【2次】漫画SS総合スレへようこそpart38【創作】
1 :
作者の都合により名無しです:
2 :
作者の都合により名無しです:2006/05/03(水) 20:21:35 ID:QBRCWXWZ0
3 :
作者の都合により名無しです:2006/05/03(水) 20:22:46 ID:QBRCWXWZ0
>ハイデッカ氏
スレ立てと力作、お疲れ様です!
なんかジャンヌが殺意の波動に目覚めそうですね。黒くなってる・・
慶次がいなかったら狂ってしまったかもしれませんね。
しかし、ハイデッカ氏は本当にエストポリスが好きなんだなあ。
俺もエストの大ファンなんで嬉しいです。
>しぇきさん
変な奴のいう事なんて気にしないで下さいね。
ハイデッカさん乙!
ジャンヌの裏の顔が染みでるなか、運命は
彼女をさらに過酷に打ちのめす…がんばれ慶次!
ハイデッカさん、乙
プリフィアの花、ですかw
エストファンにとっては非常に重要な花ですねw
4さんと同じく、私もエストファンなので嬉しいです。
7 :
ふら〜り:2006/05/03(水) 22:55:40 ID:K8KArnKr0
>>テンプラ屋さん&ハイデッカさん
おつ華麗さまです! ♪は〜るばる来たぜ38〜♪ 40ももうすぐですね、めでたい。
今スレ中、いや40までには私もまた一つ……できるかな。最近はまた一段と絶好調で、
進行早いですからねぇ。いろんな壁を乗り越えて、バキスレますます元気です!
>>サナダムシさん
面白い! ギャグ的な意味での「面白い」とアイデアの見事さへの賛辞の「面白い」と、
両面で面白いです、これ! 内容だけ考えると正直笑える奴らですけど、実際加藤の立場
に感情移入して、三色に代わる代わる攻め立てられるのを想像すると……シンプルに怖い。
>>サマサさん
真っ先に頭に浮かんだのは「私が死んでも代わりはいるもの」ですが。それはそれとして
キラ……ほんのついさっき(作中時間)、アスランと幸せフィールドを展開してたのに……
そのアスランは今いないし、いたとしても支えてあげられる問題かどうかだし、どうなる?
>>ウルフズさん(ちなみに私は奈良県民)
あー……展開が滑らかで映像が豪快でキャラが綺麗に区分けされてたから意識してません
でしたが、もうかなりの人数になってましたね。フルメタ側ヒロインのかなめ、久しぶり。
私は戦隊の最終回EDをイメージしましたが、バトルの合間にこういうのもいいですね。
>>しぇきさん
>ちぃ!足だけは速い奴め!
ヘタレは逃げ足は早く、でも追いつかれてやられて、でも生命力はしぶとくて死にはしない
ってのがお約束。ゴキブリどころか大魔人になってますが。特戦……いやチノパン愛好会が
巻き込まれ被害者サイドという珍しい展開ですけど、多分被害を拡大させるんだろうなぁ。
>>ハイデッカさん
そーか、やっぱりまだ悟りを開いたってわけではなかったかジャンヌ。むしろ、マイナスの
悟り? に至ってしまって……そこをガッチリと支えましたね慶次。彼女自身ではまだ、
いや多分永遠に戦いの悟りは開けなさそうですが、慶次がいればそれでも戦っていけそう。
8 :
作者の都合により名無しです:2006/05/03(水) 22:57:28 ID:H9tn/lXP0
お疲れハイデッカ氏。
純粋な人が汚れていく姿は少し哀しいですね
聖女から普通の女になるという伏線かな?
でも、魔界転生っぽくなりますか。
楽しみだけど、今の感じが好きなのでちょっと複雑?
ハイデッカは人間的には最低だけど、作品は最高だ
ここ数回は本当にクオリティ高いな
次は有名なジャンヌが撃たれるシーンか?楽しみだ
ハイデッカさん神がかりすぎw
今年のSS大賞はほぼ確定か?
それにしても今バキスレレベル高い(しぇきさん除く)
11 :
作者の都合により名無しです:2006/05/04(木) 10:33:48 ID:sUZ7WrkY0
俺はしぇきさんの作品が一番好きだけどな。
令嬢とドドリアみたいなほのぼのとした話が好きだ。
12 :
三十五話「漆黒に染まる悪魔」:2006/05/04(木) 14:02:43 ID:D+5XLq1U0
「グゥオオオオ!」
上空から五本の水柱を呼び寄せ、高水圧を叩き付ける中級晶術、スプラッシュ。
砂漠の流砂の様な甲殻が泥の様な色へと変色して行く、あの甲殻は地層だったのだ。
砂に潜り込み流砂を擦り込み、さらに砂中を高速で動く事によって甲殻を研磨した結果、
鉄や銅、人類の知恵の及ばない最高の硬度を誇る自然の作り出した鎧へと進化したのだ。
だが完全という存在は決して作り出すことは出来ない、広大な自然の力を持ってしても。
長い時間をかけて固めていった甲殻も、多量の水を浴びれば泥となってしまう。
「今なら甲殻の上からでもダメージを与えられるかもしれない!」
攻め立てるカイル、水の術の素質が無い自分の役割は少しでも長く足止めをする事。
泥となった甲殻へと刃を突きたて少しづつ剥していく、だが攻撃力に変わりは無かった。
筋力自体が大きく発達しているディアブロス、ハンマーの様に硬質で鉄塊の様な重さの尻尾、
先端が当たらなくとも十分な威力が出せる代物だ、遠心力が追加される先端は最早カイルでは耐えられない。
威力が完全に発揮されない付け根の部分だが、押す力でカイルを無理矢理にでも引き離す。
「今だ!アクアスパイク!」
ロニの声が聞こえる、悪魔が予期せぬ晶術で怯んだので引き離された距離を再び縮める。
放たれた水の槍が表面の甲殻を更に削っていく、見逃さない、いや見逃すわけにはいかない。
スプラッシュを喰らって興奮しているディアブロスの次の標的はリアラだろう。
怯ませ続けなければ勝機は無い、一気に攻勢へと出てもう一度スプラッシュを当てる。
距離を詰めるカイルに再び脅威の尻尾攻撃が襲い掛かる、渾身の力で振り下ろされた悪魔の槌。
先端の最も威力の高い部位による攻撃、数多のハンターを屠ってきた砂漠に潜む悪魔が勝利を確信する。
だが、いつもの様に自慢の尻尾で粉々に砕ける人肉の感触は無かった。
「空翔斬!」
瞬時に上空まで飛び上がったカイルが、重力を味方につけての剣撃を浴びせる。
尻尾の甲殻を突き破り内側の肉へと剣が食い込む、だが後少しという所でディアブロスの眼光は、
己の双角に掛けて勝利を掴むため、集中力を極限まで高めている少女へと向けられた。
助走をつけるため一歩だけ後ろへ下がる、だが前へ進む事は出来なかった。
「うおおお!霧氷翔!」
何時の間にか接近していたロニが尻尾へと氷の刃を突き立てる。
カイルの割った甲殻を打ち抜き切れ掛かった尻尾を完全に切断する。
13 :
三十五話「漆黒に染まる悪魔」:2006/05/04(木) 14:03:21 ID:D+5XLq1U0
尻尾が千切れる事で体のバランスが失われ地面へとひれ伏す悪魔。
詠唱を終わらせたリアラのスプラッシュが、再び放たれる。
「行きます!スプラッシュ!」
落ちる水流に再び動きを封じられる、ボロボロの外殻が流れ落ちる。
だが、死に際の魔獣の底力は想像を絶する物だった。
立ち上がるディアブロス、水圧に負けじと立ち上がる誇り高き双角の悪魔。
しかし容赦をする訳にはいかない、厳格なその姿を見てもリアラは怯む事無く追撃する。
「逃がさない・・・クラッシュガスト!」
スプラッシュによって周囲へと飛び散った水、それを低温で凍結させ氷の粒子へと変える。
既に強靭な外殻を失った、むき出しの筋肉へと激しい氷の結晶達が渦巻きながら猛襲していく。
決ったと思った、だが誇りは砕け散ってはいなかった、渾身の咆哮が響き渡る。
「グゥアアアアアアアアアアアアアア!」
最高の雄叫びが部屋全体に響き渡る、これが動きを止めるだけの代物か、
生涯で聞く最も衝撃的な音、そう言われれば真っ先にこの悪魔の咆哮が浮かぶであろう。
魔物達の世界においては強さこそが全て、砂漠の頂点に君臨する悪魔の憤怒。
一部のハンターには、王者であるリオレウスですらディアブロスの前では赤子にすぎない。
そう語る者もいる、そして死に直面した魔物は、時に信じ難い力を発揮するのだ。
信じられない速度で走っていた悪魔の姿は驚愕に値する物だった。
体中の甲殻を再生させながら走り抜けるディアブロス、その姿は本物の悪魔の如く。
斬られた尻尾の先から黒く変色した甲殻が体中に広がっていく、
漆黒に染まった悪魔のスピードが更に上昇する。
自慢の尻尾を貫いたロニへと渦巻く様にねじれた、復讐の黒角が襲い掛かる。
ハルバードを持つ手に力が入らない、既に2回体験した耳への攻撃の脅威はこれにある。
ひしひしと感じる凶悪な威圧感、別の生き物に生まれ変わったかの様な変化を遂げた悪魔。
黒く染まった甲殻から、その下にある皮膚までもが黒く変化を遂げていく。
その恐怖の双角がロニへと突き刺さろうとしたが、刹那、走り抜ける影が一つ。
目の前で己の腕力のみで、この巨大な悪魔の角を受け止める男がいた。
「女神ノ次ハ、悪魔ヲブッ壊セッテ訳カ・・・ッッ!」
そこに居たのは血粧嘴によって腹部の傷口から大量の血を滴らせる、
最後のメンバーである最凶死刑囚の一角、スペックの姿だった。
14 :
三十五話「漆黒に染まる悪魔」:2006/05/04(木) 14:04:08 ID:D+5XLq1U0
常人なら死んでも可笑しくない怪我で、凶暴な悪魔の動きを抑えるスペック。
押さえられている角からスペックを振り解こうと暴れまわるディアブロス。
黒く禍々しい姿になった悪魔、だがダメージは変わらないのか振り解けない。
体に巻いた包帯が真っ赤に染まっていく、スペックの傷口から一層激しく血が滴り落ちる。
「本当ニ甘イ・・・幾ラ鋭イ角ヲ持ッテイテモ、使エナインジャアヨッッ!」
ユダの様にドリル状に回転を掛け、受け止める腕を無理に弾く事が出来ない悪魔には、
単純に戦闘能力での勝負で挑むしかない、怪我がなければ双角の前にスペックは潰されていたであろう。
互いに怪我を負っているとはいえ、悪魔を支えているのは自分自身の力のみ。
だがスペックは違った、退屈なアサシンギルドを抜け出し自由に振舞っていた。
その中で出合った漢、キャプテン・ホークと共に、海の男として戦った。
船を守る役目があったにも関わらず、柳に破れたがゲラ=ハに助けられ復活を遂げた。
嵐の海で放り出され、船を捜すが見当たらない、ならばと思って降りかかる火の粉を払うため、
船を後にした、そしてここに辿り着くまでに新しい仲間に出合い、新しい敵と戦った。
知らぬ間に以前より強くなれた気がする何故かは判らない、だが胸に響き渡る熱い鼓動こそがその答えだろう。
仲間を持ち、強敵を持ち、信頼を知った今のスペックは仲間のために命を燃やして己を支えている。
悪魔の力を撥ね退ける程の力で、まるで硬い岩盤に突き刺さってしまったかの様に、
己の角が動かない事に驚愕する双角の悪魔、最大のチャンス到来。
全員へと指示を出し最後の攻撃への準備を進めるカイル。
「今が好機だ!ロニはもう一度霧氷翔、リアラは晶術で援護!狙いは・・・角だ!」
突撃するカイル、飛び上がるロニ、詠唱を始めるリアラ、勝利へのの三連携。
剣を高速で振るカイル、落ちる枯葉ですら容易に切り裂く連続剣。
「散葉塵!」
鋼鉄を越える硬度を持つ悪魔の角へと、少しづつだが傷をつける。
更に飛び上がったロニのハルバードから氷の槍が突き出される。
「霧氷翔ッ!更に!」
そこから追撃へと出るロニ、素早く地面に降り立つと槍の様な先端を利用し、
氷を纏った斧の重さを持つ槍を、双角へと突き立てる。
15 :
三十五話「漆黒に染まる悪魔」:2006/05/04(木) 14:04:47 ID:D+5XLq1U0
少しづつではあるが黒く染まった悪魔の角が、確実に傷ついていく。
リアラが残り少ない体力で詠唱した晶術が発動する。
「アクアスパイク!」
戦士のロニでも扱える基本の水晶術、アクアスパイク。
威力へと力を費やすため、スピードは遅く相手にギリギリ当たる距離で止める術。
一見すると地味な術なのだが本格的に術を志した者の唱える晶術は、
如何なる時も恐ろしい威力を発揮する物だ、達人の域に入っているカイルの剣撃、
それを以てしても折れることのなかった角へと、ピンポイントで威力の集中した水晶術を唱える。
「グゥアアアア!」
叫び声を上げるディアブロス、角を見ると小さな亀裂が入っていた。
後一息で壊せる事を確信し、残った力の全てで立ち向かう。
血を流しながら耐えるスペック、段々ディアブロスを抑えられなくなってきた。
これで勝負が決らなければ黒い双角の怒りによって皆殺しにされるであろう。
散葉塵を放った事によって別の構えへと移る、そこから奥義を続けて放つ。
「まだだ!屠龍連撃破!」
目にも止まらぬ連続攻撃を素早く、それでいて流れるように繰り出す。
上下左右から高速で襲い掛かるこの技を受ける事は達人でも難しい。
まして、この巨体でスペックに押え付けられているのでは話にならない。
切れはしなくとも衝撃が角を刺激し更に亀裂が広がって行く、そこへロニも奥義を以て追撃を仕掛ける、
上段回し蹴りを放った所へ溢れる気合を自らの手に込め、渾身の力で掌打を叩き付ける。
「うりゃあ!戦吼爆ッ破!」
会心の一撃が亀裂を角全体にまで広げていく、後一息だがカイルもロニも奥義の反動で動けない。
「お願い・・・倒れて!」
リアラがそれをフォローするため、スプラッシュの2連撃で失った体力を気力で補い、アクアスパイクを昇華させる。
飛び散った水が、氷の矢へと変わっていく、一見するとスプラッシュの昇華晶術との変化は無いが、
クラッシュガストとの違いはここからである、小さな無数の氷の粒子で相手を取り巻く訳では無く、
数発の氷の弾丸を形成するのだ、そして標的を一点集中で射抜く術なのである。
一発、二発、三発、次々と放たれるが角はまだ折れない、そして最後の一発が、亀裂の中心へと深々と突き刺さった。
直後、悪魔が弱々しい鳴き声を上げると同時にスペックが倒れる、その手に片方の角を掴んだまま。
今、全員の力を合わせ漆黒に染まった悪魔を退けたのだ、勝利を掴み、喜びに打ち震えながらカイルが勝鬨を上げる。
「これが・・・英雄の力だ!」
16 :
三十五話「漆黒に染まる悪魔」:2006/05/04(木) 14:06:33 ID:D+5XLq1U0
祝新スレ、乙1殿、そして応援して来た住民や2ゲッターの方々。
俺の妄想力が尽き果てる予定も今の所ないのでどうにかなりそうです。
ちなみにモンハンでディアブロスに水属性攻撃しても泥色になんかなりません。
水属性が弱点だったので勝手な設定つけちゃいました、ファンはいないだろうけど申し訳ない。
ようやくカイルの方も終わりそうな気配、次はスタンですな、その後はお楽しみ、
アミバ様の「今流行りの新秘孔〜モテる秘孔編〜」を・・・。
〜前スレの方々への講座&質問箱〜
ふら〜り氏 死刑囚に活躍の場を・・・って事で可哀相なシコルを重点的にw
余りにも可哀相なので主役級の昇格を目論んでたりしますがきついかもw
これから先も柳やらドリアンやらの活躍もきっと。でも四天王パワーは多分無し。
5人と4匹で数が合わない・・・ジュエルビーストって奴を考えましたが強さが段違いなので没。
サルーインより強いのに量産品な巨大なカエルの力があればホークもケンシロウも必要ないですw
サマサ氏 64・・・そういえば招き猫全部集めてないやw
ロマサガは戦闘回数基準なので戦わないと雑魚とボスの差が開きませんね。
つまり戦わないと初期能力値のままサルーイン様を相手にしなくてはいけませぬ。
でもSFCは戦わなくてもよし、だってラスボスが石化で死ぬんだから・・・。
17 :
作者の都合により名無しです:2006/05/04(木) 18:16:23 ID:vy0jpjPX0
お疲れです、邪神さん。
邪神さんの作品見てると懐かしさがこみ上げて来るな
スプラッシュには朧気にお世話になった覚えがある。
テイルズメンバーの中で奮戦するスペックはいい。
花山以上の男を感じる。
しぇきにはこの言葉を捧げたい
一寸の虫にも五分の魂
ハイデッカはライオン
カマイタチは象
こいつらに対ししぇきはちっぽけな虫でしかない
それもカブト虫みたいな強いのではなく、せいぜいヤブ蚊だろう
殺虫剤や蚊取り線香でコロリと逝っちゃう下らない存在
でもな、しぇき
アンタだって立派なバキスレの職人だ
這い上がってみせろ
虫なら虫の意地をみせてやれ
叩かれたって仕方ない
アンタはまだまだ未熟だし下手くそだ
だが未熟ということは育つ余地があるということだ
頑張れ、しぇき
負けるな、しぇき
19 :
作者の都合により名無しです:2006/05/04(木) 22:13:39 ID:sUZ7WrkY0
邪神さんお疲れ様です。
テイルズチームは強いけど、なんか最後の死刑囚の砦のスペックも
死にそうだなあ。俺の中ではこの作品の主役はスペックなんですがw
しぇきさん、どこにでも粘着はいます。
俺はいつも楽しませてもらってるので頑張って下さいね
テイルズ懐かしいなー。
桜庭音楽に乗りながら戦闘に明け暮れた日々を
邪神さんの作品を読んで思い出した。
でも、あまり図に乗った後書きは控えて欲しい>しぇきさん
書き忘れた。
しぇきさん、俺はあなたの作品好きなんで
気にせずがんばってね。内定決定おめでとう。
23 :
作者の都合により名無しです:2006/05/05(金) 11:06:05 ID:l4Uc/uoa0
・ハイデッカ様(スレ建て乙です)
ジャンヌが清純が堕ちていく。やはり火刑台は避けられないのでしょうか?
最後は歴史と違い慶次と結ばれて欲しい・・
・邪神様
テイルズチームは死にそうにないけど、スペックに死亡フラグが立った感じ。
死刑囚の砦として、最後まで頑張ってほしい・・
・しぇき様
オーガの作品は本当に大好きです。今のギニューもしぇきさん節がとても好きです。
雑音を気をせず頑張って下さい。
24 :
作者の都合により名無しです:2006/05/05(金) 13:26:54 ID:kfIw/FmG0
>>16 しぇきのSSはテラキモス
多分本人もwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
25 :
作者の都合により名無しです:2006/05/05(金) 13:32:45 ID:kfIw/FmG0
ヤリチン早漏のハイデッカとピザヲタ3Kのしぇきとでは格がちがいすぎる
26 :
作者の都合により名無しです:2006/05/05(金) 13:34:58 ID:kfIw/FmG0
しぇきはいつまでバキスレにいるのだろう
自分が書いてて楽しいからってのは分かるが、他の職人の迷惑も考えろ
しぇきの文章は凄い
目に入るだけで吐き気がしてくる
紙一重で天才になれたタイプだろうな
>しぇきさん
ID見れば分かるけど、昨日から粘着してるの1人だ。
便乗がもう1人位いるかも知れんけど。
だから気にしなさんな。
あなたのSSが好きな人は荒らしの数倍いる。
こういう時にいつもの投稿ラッシュがあるとありがたいんだけど
職人さんGW休みかあ。
相手するなって
誰がどう見たって荒らしなんだから
轟音が無機質だった廊下を派手に彩る。演奏者として参加しているのは三挺のマシンガン
だ。パラパラと床に落ちる薬莢が、このビルの保安チームの足元に堆積している。鋼鉄の
口腔から吐き出される弾丸が、数メートル離れた扉を蜂の巣にしていた。やがてその物音
も止む。申し訳程度についていたドアノブがあっけなく落ちた。それを機に蝶番がもげて、
扉自体が崩壊した。その向こうから現れたのは、伽藍とした虚空。保安チームの面々は油
断なく動く。二人を扉の方向へ先行させて、一人がその様子を見守る。やがて、二人は扉
の付近にまで到達した。ヘルメットで頭部を保護した彼らは、光学バイザーで強化された
視界の中に、扉の向こうの景色を入れた。誰もいない。月の地表のように銃創が重なり
合った壁以外に、なにも見止めることはできない。あの熱狂と殺意のこもった合奏の前に、
侵入者は欠片も残さず消えたのだろうか。それも当然か。人体を粉々にして吹き飛ばすの
にあまりある暴力をその身に受けたのだから。二人はバイザー越しに目を合わせ、安心し
たようにマシンガンを下ろし、
「五月蝿くてかなわなかったぜ、ソレ」
という声の方向にマシンガンを向け、突然頭を襲った衝撃により敵の位置を消失し、
グラグラと揺れ動く意識の中で自分の頭を叩いたのは、同僚のソレだと認識し、ガチリと
いう音の正体を知ることなく、二発の魔弾によって、二人の頭は柘榴と化した。
「お、おおおっ!」
一人残された彼も、すぐに仲間の後を追った。飛来した光弾が、慌てて銃を向けるのを黙
らせた。ほぼ同時に、三人の体がドサリと倒れた。零れた脳と血液が床を汚していく。
「さてと、先は長いな」
そんな言葉を口から漏らし、黒いコートを翻しながら上を目指す。
時間は少しさかのぼる。高層ビルの一画に、その施設はあった。
ミレニアムが運営する吸血鬼開発研究所。
永遠の命という誘惑に勝てる人間はごく少数だ。
誰も死にたくはないのだから。
廊下を歩く人間が一人。
彼は傭兵だった。
金と契約さえあれば、死ぬまで雇い主に隷属する人種である。
金とスリルが彼のすべてだった。
他のものは彼の心胆を熱くはさせない。
平凡極まる生活に嫌気がさし、銃弾飛び交う戦場に飛び込んだ頃から、彼はすっかりその二つの虜になっていた。
嗜虐心が強く、金銭への執着が凄まじかった彼が、この道を選んだのは当然といえた。
今の彼の仕事は警備である。
支払額が破格で待遇も悪くはないという理由で、彼はこの仕事を引き受けた。
ただ、彼の望むスリルが提供される機会は皆無に思えた。
彼の仕事場は、一般人も多く住む大都市の中心なのだから。
既に彼の勤務時間は終わり、自室へ帰る途中だった。
このビルには娯楽施設が少ない。
かといって、ビルの外へ行くことは禁止されていた。
なので、彼の娯楽といえば、アルコールを楽しむことぐらいだった。
歩きながら、また今日もブランデーを飲んで、数日前までの自由な日々を思いつつ、ベットで微睡む自分を想像していた。
そうなるはずだった。
だが現実はまるで逆で、今彼は戦場にいる。
恐怖の具現が目の前まで迫っている。
反撃がまるできいていない。
そよ風に銃弾を撃ち込んでいるようなものだ。
下のフロアから連絡が途絶えて久しい。
爆音が聞こえた。無線を開く。それはノイズしか流さなかった。
返答はない。
「おい、なんだよこれ……なんなんだ畜生!」
彼は絶叫をあげた。
仲間との通信の途絶。
それが意味するのは自分以外の味方の全滅。
彼らに与えられた装備は、ビルの警備をするにしては破格のモノだった。
やり方によっては、大統領官邸さえも制圧可能な重装備だった。
しかし。
それを身にまとった歴戦の勇士達は、あっけなく破れ去った。
「くそっ、くそっ、くそっ、くそったれ!」
同僚達の死を悼む暇もないまま、彼は戦うことを要求されていた。
拒否すれば己を待つのは死のみである。
半ば泣きながら彼は、迎撃の準備を行っていた。
彼にはそれしかできなかった。
下から硝煙の匂いが漂ってくる。
「――――オオオオオオオオオオオオ!!!!!」
自暴自棄になりながら、彼は突貫した。
そして階段のそばへ辿り着く。
壁に背を預け、侵入者を待つ。
「さあ来い! 風通しをよくしてやる!」
――――そこで彼は違和感を覚えた。
かさ。きちきち。
かさかさ。きちきちきち。
かさかさかさかさかさかさきちきちきちきちかさかさきちきちきち
きちきちきちきちきちかさかさきちきちかさかさ。
きちきちきちきちきちきちきちきち。
頭上を見る。
―――――虫が大量に張りついていた。
正確にいえば、虫の形をした黒い物体だ。
その虫に酷似した物体は異常に大きく、十をこえた子供ほどの大きさだった。
濃い闇色の触角を揺らし、淡く黄色く光る無機質な両眼で、黒い虫ははじっと見つめていった。
彼は、なんとなく、それらが何かを欲しがっていると感じた。
「な……なんだ、こいつらは」
「そいつらはなぁ、ハートレスっていうんだよ!」
突然の声に彼はひどく錯乱した。音源を探りその方向へ銃を突き付けた。
一つの人影。
黒かった。黒いコートを着込んだ男だった。
フードはかぶっておらず、顔は丸見えになっていた。
年齢はそれほど若くはなさそうだが、その顔は肉が少なく精悍な雰囲気を漂わせていた。
同時にどこか子供っぽい印象を受けるのは悪戯っぽく歪んだ唇の所為だ。
しかしこの男、推し量れぬ鬼気を隠している。
数々の修羅場を潜り抜けてきた者にだけ許される証がこの男にはある。
まず注意を引かれるのは左頬から目元までのびた大きな傷。
おそらく何かしらの刃物で下から切り上げられたのだろう。
生々しい激闘の跡は生涯消えることはない。
そして右目を覆う黒の眼帯とたった一つ残った左目。
それは金色に輝き、鷲のように鋭かった。
「ハートレスは心を失った化物だ。人の心に反応して導かれうじゃうじゃ
うじゃうじゃ沸いてくる。んで、だ。ハートレスは心を欲しがってる。
文字通り心がないからな、欠損を埋めようって必死なんだ。
人の心の闇につけこみ陥れ、心を奪う。
そしてハートレスに心を奪われた人間はハートレスになる。
そうやってどんどんどんどん仲間を増やし心を増やしていくんだ」
そこで黒コートはかすかに笑った。
「誰だァ、貴様は!」
「ああ、こりゃ失敬。俺の名はシグバール。]V機関っていう組織でNo.2をやらせてもらってる。
まぁ知らないのも無理はない。俺だってこっちにきたばかりだからな」
事実、男は]V機関という言葉を初めて聞いた。
それなりに裏の世界の事情に精通していたが、米国にも欧州にも
アジアにもそのような組織が存在すると聞いたことが無い。
「ま、どうでもいいか。ともかくアンタには消えてほしいってハナシだ!」
パチン、指を鳴らす。
男の周囲から闇が吹き出る。
それは幽鬼のようにまとわりつきながら、男の自由を奪う。
闇の中にはハートレスと呼ばれた黒い影が山ほどいた。
数えるのも馬鹿らしいほど多くの瞳が男を見つめている。
「う、うわあああああああっ!!!」
狂乱。ふと気付くと、黒い虫は至る所にいた。
彼はぼとぼと落ちてくる黒い虫に体を押しつぶされていた。
逃げ場はなかった。
男は必死に振りほどこうともがくが、逃げようとすればするほど拘束は堅固になっていく。
その様を見て、シグバールは満足そうに頷いた。
するすると指が上がり男の胸の辺りを指し示す。
「これも仕事だから、恨みっこなしだぜ。さて、あんたの心、戴くかね」
いい終わると同時にシグバールは拳を作った。
そして闇がすっぽりと、彼と虫たちを覆い尽くした。
そして闇は消える。
まるで最初から何も存在しなかったような静寂だけが残された。
シグバールは既に姿を消していた。
ハイデッカさん、スレ立てご苦労さまでした。そして
――――ごめんなさいデス。
一ヵ月以上間が空いてしまいました、すいませんでした。
でもやっと大学入学でがらりと変わった生活にも慣れてきて、どうにかSSに集中できそうです。
とりあえず生存報告を兼ねた更新です。前に書いた“大作クロスゲーム”というのは、お気付きの方もいらっしゃるかもしれません。
ゲームの名は、キングダムハーツUです。ディズニー作品のキャラクターが一堂に会するRPG。その敵キャラ、二丁拳銃の使い手、シグバールの登場です。
まぁ、鼠キャラを出すわけにはいかんので、KHオリジナルを引っ張ってきました。
彼らならヘルシングのあくの強いキャラとためをはれるはず。
では、次の更新の時に。……今度こそ間を空かずにできればいいなぁ。
487さんお疲れ様です。正直、危ないかな…と思ってましたw
大学生活はきっと楽しいでしょうけど、合間にSSも頑張って下さい。
戦場でしか生きられない男の悲哀と滑稽さがよく出てますね
ハートレスってお化けみたいな奴ですよね?ファミ通で見ただけですが。
スクエニ作品とのクロスオーバーなら、大作になる予感満点です!
38 :
ふら〜り:2006/05/05(金) 21:51:21 ID:teGTLdls0
>>邪神? さん
スペック、渋いなぁ。テイルズの面々が華々しくも豪快な魔術・武術で戦ってる中、
一人黙々と弁慶状態。
>>17さん、仰る通り侠立ちしてましたよね今回は。思い返せば
波乱万丈してきた彼ですが、ここで抱きつく専属ヒロインはなし。……やはりYUd
>>487さん(おぉおぉお久しぶりです! 大学生活、楽しんで下さいっ)
ハートレスもコワ気持ち悪かったですが、それより
>>30が凄く印象的でした。事態の
進行に読む速度が追いつかない、って読んでない部分は意識する必要ないだろ、でも、
ちょ、待っ……と。この高密度文章によるメインキャラ同士のバトルが楽しみです!
>しぇきさん
あなたのSSが嫌いな人は好きな人の数倍いる。
あなたを嫌いな人はあなたのSSが嫌いな人の数倍いる。
この現実を受け止め、今後の身の振り方を決めて欲しい。
487さんお久しぶりです。
ハートレスを銃撃でバンバン撃ちまくるような展開になるんでしょうか?
なんか主人公も葛藤してますね。マンガもゲームも知りませんが楽しみにしてます。
でも、ちょっと改行してくれるとありがたいかな。
他のレスは良かったんですが、1レス目が見にくかった。
>しぇきさん
アホは気になさらずに。言うだけ野暮ですがw
今度、ギャグ系のSSを書いてみようと思っているものです。
もし、投下することがあったらよろしくお願い思案す。
42 :
作者の都合により名無しです:2006/05/06(土) 10:03:51 ID:u3IKWE1E0
頑張れ。ただ、ギャグは外すと寒いぞw
人それぞれに嗜好の差があるし。
でも応援してますよ。
しぇきの作品が目に入るのは嫌だ
487のSSは見にくく、しぇきの顔面は醜い。
一応言っとくけど、これ以降荒らしはスルー
ギャグ系のSSといっても素材はいろいろあるからな。
どんな漫画をたたき台にするつもりなのかな、42さんは?
頑張って下さい。
オラ しぇきよりサマサが嫌いだ
しぇきはつまらん
つかいい加減消えろよこのスレ。
存在するだけでジャンプロワスレに迷惑掛けてる
テンプレにしぇきさんの作品があってワラタ
51 :
聖少女風流記:2006/05/07(日) 00:42:56 ID:9AXdlxW00
第二十一話 審判の時
1429年5月7日。そして翌8日。
この両日は、フランスの歴史の中でも特に重要な意味を持つ日である。
聖女が、健気な力でイギリス軍を撤退させた、と言う実質的な意味合いだけではない。
その日は、フランスの魂の救済日と言い切ってしまっても良いかも知れない。
その証拠に、現在のオルレアンでは毎年、ジャンヌを祀り盛大に祝祭が行われている。
19歳でその短き生に幕を引いた現身(うつしみ)の聖女、ジャンヌダルク。
彼女の生涯は、物語としてどんな偉大な小説家でも手を加えられないほど完璧である。
いや、彼女は物語そのものである。そう、彼女自身が物語である。
片田舎に生を享け、十三歳にて神の言葉を聴き、十六歳にして祖国の為に立つ。
十七歳で王太子と接見し、国王の座に就かせる事と侵略された都市の解放を約束し、
それから一年にも満たない、僅か十八歳の時にその2つの神事を成し遂げる。
だが栄光の頂点はほんの数ヶ月で終わる。
それから無謀な戦いで敗戦を繰り返し、王族から疎まれ、裏切られて敵方へと売られる。
そして幽閉され、敵兵に陵辱され、最初から結果の決まっている不平等な裁判に処せられ、
魔女との卑名に屈したまま火刑にて果てる。
それから500年以上の時を経た1920年5月16日。
ジャンヌ・ダルクはローマ教皇により、聖人の列にその御名を連ねるのを認められる。
そして彼女は、人々の中に生き続けるのだ。おそらくは、歴史が続く限り永遠に。
最初は英雄譚、最後は悲劇。
歴史という原稿に、運命というペンで神が創作したとしか思えないほど、完璧な物語。
それがジャンヌ・ダルクという聖女の生涯である。
幾星霜を経ても、物語はフランス人の、いや世界中の人の心に根ざし、語り継がれていく。
52 :
聖少女風流記:2006/05/07(日) 00:43:48 ID:9AXdlxW00
フランス軍一般兵の士気は異常なほど高い。それは当然だろう。
サン・ルウ砦、オーギュスタン砦と、不落と思われた城砦を立て続けに陥落させ、
更には自軍の戦死者・負傷者の数は驚くほど少ない。死者の数は僅か数十人である。
一万人以上の兵数と、戦果との兼ね合いから見れば奇跡的な程に少ない。
その負傷者の少なさにはからくりがある。いや、勝ち戦の必然とも言っても良いか。
何しろ一つの砦を陥すのに、実質1日もかかっていないからだ。
ほんの数時間の戦闘で決している。即ち、反撃させる隙無く勝負を決めたという事である。
一気呵成に陥せば、ほとんど損傷無く戦争が終わるのは洋の東西を問わない。
ほんの小さな穴に錐(きり)のように鋭く切り込み、その穴を拡大させ敵軍を瓦解させる。
戦勝の理想形と言ってもいい。
戦争素人のジャンヌが、慶次たちの協力があるとはいえそれを成し遂げているのである。
その見事な勝ち方は、兵たちから見れば神秘であり、驚異であり、心強くもある。
結果、兵たちのジャンヌへの崇拝は更に増幅され、彼女のカリスマ性は益々高まっていく。
逆にイギリス軍トゥーレル砦兵の士気は低い。夜半に逃げ出す兵もいるほどである。
イギリス兵は恐れている。フランス軍ではなく、ジャンヌ・ダルクという存在に、である。
『本当に、あの女は聖女ではあるまいか?』 ……と。
口には出さない。上辺では魔女と罵っている。だが心中ではその疑念が渦巻いている。
イギリスもまたフランスと同じくキリスト教国家で、兵の中にも敬虔な信者は多い。
もし、あの女が本当に神の御使いならば。天が降ろした聖女ならば。
俺たちは、自分の信じる神へ唾しているのではないだろうか?
そして聖女に唾した俺たちが、死した後天国へ行けるのか?
ただでさえ戦況不利な状況で、そんな疑念を腹に抱えた軍が戦争で勝てる訳は無い。
このトゥーレル砦の戦いは、戦闘前から勝負は決している。 ……筈であった。
53 :
聖少女風流記:2006/05/07(日) 00:44:46 ID:9AXdlxW00
イギリスオルレアン軍提督リシャール。彼は神を信じない。
戦争とは戦略であり、また兵力であるという信念を持つしたたかな武人である。
神の存在は否定はしていない。が、また頼ってもいない。
所詮人間など、神から最も忌み嫌われる薄汚い存在であると思っているからだ。
フランス軍の弱点も見抜いている。
それはフランス軍最大の武器であり、象徴であるジャンヌ・ダルクそのものである。
武器と弱点は表裏一体であり、その一番の武器を砕けば、おのずと勝利は転がり込む。
歴戦からそれを骨身に感じている。
瞳を失った獣を屠殺するなど容易い。頭を無くした蛇など哀れなだけだ。
ジャンヌ・ダルク。まず最初に、あの女を殺す。
数は多いとはいえ、所詮は傭兵や農兵で編成さえた烏合の衆である。
ジャンヌが死ねば動揺するだろう。いや、戦う理由を失い逃走を始めるに違いない。
聖女が普通に死するただの女と知った時、フランス軍は統制を失い崩壊する。
死した後、ジャンヌに代わる人材などこの世には存在しないのだ。
リシャールは腕利きの弓兵を選び抜き、精射隊を編成した。
長弓隊とクロスボウ隊を混成させ、長距離、近距離共に狙えるかたちにする。
精射隊の使命は唯一つ、ジャンヌの祖射である。それ以外、何もしなくて良い。
ただジャンヌだけを狙え。雑魚には構うな。
どれほどあの魔女が近衛兵で固めても、戦場に立つ以上その機は必ず訪れる。
その時を逃すな。失敗は、許さない……。
リシャールのこの策は的中する。しかも、戦局の極早い段階にて。
フランス軍の兵は口々に、聖女を称える歌やフランスの栄光を誓う歌を口ずさみながら
進軍する。その顔に恐れは無い。が、緊張感すらも欠けている。
慶次はジャンヌの傍らで松風を進めながら、その様子に危うさを感じている。
戦場で危機感を無くした兵など今まで見た事が無い。
不安が走る慶次に対し、ジャンヌがまっすぐな目で宣言した。それは驚くべき内容だった。
54 :
聖少女風流記:2006/05/07(日) 00:46:17 ID:9AXdlxW00
「慶次さん、ジヤンさん。ラ・イール将軍。私に、前線で戦わせて下さい」
ジヤンが、ラ・イールがその言葉に驚く。だが慶次は表情を変えない。
「何を言っておられる、ジャンヌ殿。あなたはフランス軍の精神的支柱ではないか。
ラ・ピュセルの旗を掲げ、高き場所から我が軍を見守って頂ければ、それでいい」
ラ・イールが激高を抑え諭すように言った。ジヤンも同調する。が、ジャンヌは曲げない。
「安全な場所から、人が死ぬ様をただ見殺しにするのは嫌なのです。
私を聖女と言ってくれ、戦ってくれる人たちを死なせ、自分は遠い場所でそれを見る。
それのどこが聖女ですかっ!!」
ラ・イールもジヤンも驚いた。ジャンヌがここまで、我侭とも言える激情を出したのを
始めて見るからである。慶次はその様子を哀しそうに見ている。
ジャンヌはまだ苦しんでいる。いや多分、彼女が生きている間は拭えない苦しみである。
不穏な空気が3人の間を流れる。が、それを救ったのはやはり慶次であった。
「いや、流石はジャンヌ殿。豪気な事この上ない。俺も傍らで共をいたす」
ラ・イールがその言葉に遂に激怒する。慶次を怒鳴りつけた。
「貴殿、ジャンヌ殿を死なす気かっ! 見損なったぞ!」
だが、慶次はうっすらと笑いながら穏やかにラ・イールに返した。
「このままだと負けるかも知れんよ」
ラ・イールやジヤンはその言葉に眉を顰めた。こいつは何を言ってるんだ?
士気も最高、相手の戦力の底は見える。どう見ても勝ち戦ではないか。
「兵の顔を見なよ。勝ち戦に浮かれた顔だ。確かに士気は高い。が、脆い高さだ。
勝って当然、という前提の元での士気。少し綻びがあれば、すぐ崩れるよ」
ラ・イールは背後を顧みる。兵たちの顔を見て愕然とした。
確かに戦場へ赴くものの顔ではない。自分たちが死ぬかも知れぬ、という覚悟が無い。
聖女の事を盲信し過ぎているのかも知れない。ジャンヌの影響はそれほど大きい。
「確かに、順当に行けば勝つだろう。だがもし相手が窮鼠と貸せば、
それを仕留める必殺の覚悟が奴らには無い。そうなると、どうなるか分からん。
勝ちいくさを勝ち切るのは、存外に難しい。勝ちいくさでは兵は命を惜しむからな」
ラ・イールはグウの音も出ない。更に慶次は続けた。
55 :
聖少女風流記:2006/05/07(日) 01:22:40 ID:9AXdlxW00
「だが、ジャンヌ殿が先陣を切るとなれば話は別だ。兵たちも覚悟を決めるだろう。
大将が命を賭ける姿ほど、部下が鼓舞されるものは無いからな」
ラ・イールは押し黙ったが、やがて搾り出すように言った。
「言い返せんわ。悔しいがな。それに、ジャンヌ殿が前線に出ねば納得しまい。
そんな目で、さっきから私を見据えている」
ジャンヌは押し黙っていた。が、その瞳は不動の決意を嫌でも感じさせる。
「分かった。ではこの戦争の責任者としてお願いする。慶次殿とジヤン殿は、
ジャンヌ殿に付き従い、前線にて必ず聖女をお護りするように」
慶次は笑顔で頷いた。ジヤンも不承不承頷く。ジャンヌにやっと笑顔が浮かんだ。
慶次は嘘を付いていた。ラ・イールへの弁は詭弁である。
戦局から言えば、ジャンヌを後方へ押し込むが遥かに正しい。慶次はそれを分かっている。
確かに兵は緩んでいるが、もうその程度で逆転はされないほど士気には開きがあるからだ。
しかし、このままだとジャンヌは壊れる。それを慶次は危ぶんだ。
自分が傷つく場所にいない限り、彼女は内側から壊れていく。そんな儚さを感じるのだ。
ジャンヌの馬がそっと慶次に近付いて来た。睦言のような声で慶次へ囁く。
「ありがとうございます、慶次さん。我侭を推して頂いて」
「引けないのか、どうしても」
「ええ。私の罪は、進む事でしか許されないと思うのです。前へ、前へ」
たとえその先が奈落でも、彼女は前へ出るのだろう。退がれば己の罪悪感に焼かれるから。
「わかりました。昨日の約束通り、どこまでもお供いたす」
「ええ。 …月を護る雲のように、お願いします」
「ああ。 ……地獄までも、な」
トゥーレルの決戦場に辿り着くと、ジャンヌはラ・ピュセルの旗を一瞬高く揚げた。
そして旗をラ・イールに投げ渡すと、そのまま馬を奔らせ、砦へと突進を始めた。
56 :
聖少女風流記:2006/05/07(日) 01:23:40 ID:9AXdlxW00
フランス兵は狂喜した。彼女の小さな背中は眩しく光り、磁力すら感じさせる。
あの聖女が、今度は自ら戦場に赴く。これ以上、兵を熱狂させる事は無かった。
傍らには鬼神と呼ばれる、無敵の強さを誇る異国の騎士が寄り添っている。
男を熱狂させるに、これ以上は無い光景である。
ジャンヌの操馬は上達している。が、慶次と松風には勿論遠く及ばない。
慶次は朱槍を閃かせ、ジャンヌに襲い掛かろうとするイギリス兵を次々と屠っていく。
まだ、ジャンヌに操馬と剣を同時に為す事は出来ない。ただ必死に馬を操るだけである。
が、不思議と気分が高揚し、反面落ち着いている。周りの風景が暖かく見える。
生臭い戦場が、故郷の草原のように懐かしく感じた。自然と笑みが零れてくる。
自分の中で、それは少しずつ育っている。蛇。黒い蛇がまた内側で蠢いている。
ざわざわざわ。背筋に氷を感じる。不快ではない。むしろ恍惚に近い感情。
慶次の槍が閃くたび、血が辺りに飛沫く。
その血が自分の肌に掛かる度に、優しく愛撫されるような快感が奔る。
私は、本当に呪われたのだろうか……?
(妙だな)
慶次は直観でそう感じている。先ほどから、イギリス兵攻めが自分へ集中している。
最初はジャンヌへ殺到していた。が、今は自分へばかり向かって来ている。
慶次とはいえ、敵を迎撃すれば瞬間、そちらへ意識を取られる。
嫌な予感がする。意図を感じる。何か、自分とジャンヌを引き剥がしに掛かるような。
少しずつ、ジャンヌと慶次に間が空いていく。
先ほどまで隣り合わせだったのに、今では手を伸ばしても届かないほどだ。
後続のフランス軍が津波となって砦へと襲い掛かる。
このままだと、一気呵成に決まるだろう。ものの数十分で砦は陥落する。
この時、リシャールは笑う。まさか、聖女自ら戦線に赴いてくれるとは。
57 :
聖少女風流記:2006/05/07(日) 01:24:22 ID:9AXdlxW00
矢が、投石器による石が降り注いでくる。
が、慶次の朱槍とジヤンの献身により、ジャンヌには傷一つ与える事が出来ない。
砦の城壁までもう少しである。ジャンヌは一番駆けのまま、戦場を疾駆する。
彼女は気付いていない。矢の投下範囲が、徐々に狭まっている事に。
リシャールが吼えた。 「今だ、あの怪物(慶次)へ畳み掛けよ!」
その声で、10人ほどの筋骨隆々の兵が城砦の門戸を開け、戦場に踊り出た。
一般兵とは明らかに違う迫力である。その10人が、一点慶次のみを目指し殺到する。
慶次は城壁を前に、足止めを食らった。ジャンヌとの距離が遠く離れる。
いかな慶次でも、精鋭を10人ぶつけられてはすぐには通れない。
ジャンヌの方を見た。ジヤンを始め、護衛兵数名がしっかりと彼女の傍らを固めている。
イギリス兵のジャンヌへの殺到を、ジヤンたちは順調に迎撃している。
が、慶次に悪寒が走る。先程まで、戦場に降っていた矢の雨が止んでいた。不自然な程に。
ちくん。ジャンヌの胸に何故か痛みが走った。ジャンヌに正気が戻る。
痛みの元を見た。それは、懐にそっとしまった、プリフィアの花。
「殺ったぞ、魔女め!」
リシャールが城壁の上から叫んだ。一点集中、一点斉射。勿論、ジャンヌへ向けてである。
数十本の矢が、走るジャンヌの馬の通過点目掛け、正確に打ち下ろされた。
ちくん。また、胸のプリフィアが痛む。ジャンヌはその痛みに怯み、一瞬、操馬を止める。
ジャンヌの目の前に、数十本の矢が降り注いだ。ほんの3メートル程先である。
操馬を続けていたら、蜂の巣になっていた。確実に死んでいた。
が、人は数十本の矢を受けなくとも、転んで頭を打てば、当たり所が悪ければ死ぬ。
位置を間違えた、誤射の一矢。その矢が、静かにジャンヌの左胸を貫いていた。
58 :
ハイデッカ:2006/05/07(日) 01:26:29 ID:9AXdlxW00
今回は特に書く事なし。
ハイデッカさん乙です。
あ〜、なるほど。ここから魔界転生に行くわけか。
ずっとジャンヌは最後で死ぬものだとw生贄とかで
>サー
ジャンヌが死んでから魔界編か。てっきりジャンヌの生贄にされるのを助ける話だと思ってた
神降臨したねwwwGJ
ハイデッカさんお疲れ様です。
ここからジャンヌが死んで魔界転生?
でも歴史だとここからジャンヌは生き返った気がする
歴史といっても映画で見ただけだがw
お疲れです。いよいよ魔界転生編に突入?
ジャンヌも好きだけど、慶次が主役だと思うのでそろそろ目立って欲しい
パオ氏の分も頑張ってくれ・・
今回は書くつもりはなかった?のに(某スレより)、お疲れ様です。
しかし、ジャンヌはここで死ぬのかなぁ。そうだったら、フランスはどうなるんだと言う話になるが、
史実を考えると、ここで死んだほうがよいとも思える…。
そろそろサマサさんや見てた人さんやサナダムシさんたちも
復活してほしいなー。勿論、パオさんやVSさん、うみにんさんも
現スレ妙に空気がいいと思ったら、しぇきが投下してないからだ。
このまま来なければありがたいんだけど、あのバカは空気読めないからな…。
しぇきは本当につまらん上に荒しを呼ぶからもうくんな
心配しなくてもGWが終わったら皆帰ってくるし変な奴も消える
だから構うな
>>66 ホント頼むから相手しないでくれ
scene48 犯人と殺人者
カイジは恐る恐る、廊下に顔を出した。
運転免許実技試験のように、大袈裟な左右確認を済ませる。
廊下の突き当りに目を凝らしたが、誰かが潜んでいる様子はない。
とりあえず、廊下には何の異常も見られなかった。
今、一番の重要事項と思われたのが『犯人』である只野文男の居場所である。
(只野文男は、まだ拘束されているのだろうか……?)
それを確かめようと、カイジはホールへと向かった。
静まり返った中央廊下を歩く。やはり、人の気配はない。
まるで、シュプールと言う生き物が活動を停止してしまったかのようだった。
ホールへの道のりが、心なしか長く感じられる。
只野文男は、探すまでもなくホールに居た。
キャスターテーブルに縛り付けられたまま、身動き一つしない。
それは、カイジが一時間前に見た彼の姿と何ら変わらなかった。
……ある一点を除いては。
(何だ……これ?)
すぐには、状況を理解できなかった。
只野の喉から、木の棒のようなものが飛び出している。
カイジには、その『棒』に見覚えがあった。
(アイスピックの、取っ手だ……!)
気付き、背筋にゾクリと悪寒が走る。
只野文男は、喉からアイスピックを生やして絶命していた。
その膝の上には、乱暴に破かれた封筒と、裏返しになったプラスティックのカード。
カイジはそっと、それを拾い上げた。
ロンドンはイーストエンドの殺人鬼、切り裂きジャックをモチーフにしたのだろうか。
カードには山高帽を被り、血の滴るナイフを手にして笑う、怪人のシルエットが印刷されていた。
criminal――それは確かに『犯人』のロール・カードだった。
(犯人が、殺された……!?)
酷使し続けた思考回路は、今やオーバーヒート寸前まで追い込まれていた。
それでも何とか、現状を整理しようと試みる。
(誰に? 何の目的で?)
このペンションには、世話役の二人とゲーム参加者以外はいない……はずである。
となれば、第一の疑問『誰に?』の解答は、三択まで絞り込まれる。
小此木秀平。玉崎真吾。双葉夕実。
この三人の内誰かが、只野文男を殺した犯人と見ていいだろう。
いや――“犯人”と呼ぶのは紛らわしい。
只野文男を殺害した犯人は、便宜上“殺人者”と呼ぶことにしよう。
次に、第二の疑問『何の目的で?』だが、こちらは、まったく見当がつかなかった。
こればかりは“殺人者”本人に、直接問い質す他ない。
ともかく、このまま立ち尽くしていても埒が明かない。
カイジは三人の安否を確認する為、それぞれの部屋を調べて回る事にした。
scene49 微笑む亡骸
反時計回りに個室を調べていたカイジが『ソレ』を発見したのは――
鬼が出るか蛇が出るかと、冷や汗を流しながらドアを開くも、ことごとく誰もいない。
そんな繰り返しを七回も続け、大分緊張感が削がれていた頃だった。
八号室、双葉夕実の部屋。小此木秀平が、仰向けに倒れていた。
額はぱっくりと割れており、顔中が血塗れになっている。一目で死んでいることがわかった。
サイドボードの角に、血痕が付着していた。おそらく、サイドボードに額を打ち付けられたのだろう。
(また……死んでいる)
頭の奥で『死』の一文字がぐるぐる回る。
犯人が死んで尚、探偵の死体が転がり出てきたと言うのに、それほどショックは受けなかった。
ただ、性質の悪い二日酔いのような倦怠感が、肉体と精神を蝕んでいた。
カイジは大分感情が鈍麻してしまったらしい自分自身に気付き、若干の戸惑いを覚えずにはいられなかった。
水瓶一杯に注がれていた感情と言う名の水は、連続殺人と言う名の大地震で、すべて零れてしまったようだった。
この二日間で。この狭いペンションの中で。何人が、物言わぬ骸と成り果てただろうか?
その人数を思えば、カイジの中で、人の死に対する感覚が麻痺しつつあるのも無理からぬ事かも知れない。
(死体慣れなんて、できればしたくなかったな……)
そんな、愚にも付かない事を考えながら、暫くの間、呆然と死体を見下ろしていた。
ふと、カイジは、バスルームから微かに聞こえてくる水音に気付いた。
引き寄せられるようにして、バスルームの扉を開く。
その瞬間、熱気と共に湯煙が溢れ出し視界を遮った。むせかえるような血の匂いが鼻をつく。
湯煙の向こう側にぼんやりと見えたのは、力なく手足を投げ出して浴槽に沈む、双葉夕実らしきシルエットだった。
開かれた扉から、序々に充満していた煙が流れ出して行き、中の様子がはっきり見えるようになる。
双葉夕実の死体は、服を着たままの姿で浴槽につかっていた。長い黒髪が、海草のようにバスタブに漂っている。
右手には小ぶりの果物ナイフが握られており、左手首に切り傷があった。
浴槽から今も溢れ出している湯は、大量の血液が混じって、薄桃色に染まっていた。
湯煙は、三十秒も経たない内に消え去った。
そして――カイジは気付く。常軌を逸した、双葉夕実の表情に。
双葉夕実は…………笑っていたのだ。
(何なんだ、これは)
理解不可能な情報の流入に、カイジの頭脳は一瞬思考を止めてしまう。
(双葉夕実が“殺人者”で……風呂場で手首を切って、自殺したのか……?)
カイジは一先ず、現場の状況からそんな仮説を立ててみた。
が、改めて手首の傷に目を向けて、その仮説は砂上の楼閣のように崩れて消えた。
(傷が一つしか、ない)
通常、人が自殺する際には、逡巡創――俗に言う、ためらい傷というものが発生する。
遥か太古の昔から遺伝子に組み込まれた生存本能が邪魔をして
自身の手では、そう易々と致命傷になるような傷をつけさせてはくれないのだ。
しかし、双葉夕実の左手首に刻まれた傷は……
手首を切り落とさんばかりに深く、そして、何の迷いも無く、真一文字に切り裂かれていた。
(つまりは……小此木秀平も、双葉夕実も、殺された……)
真実を知った感慨など、微塵もなかった。
思考の余地など皆無に等しい無粋な消去法で、殺人者の正体は判明した。
scene50 後ろにいるのは
最早、探すべき人間は一人しか居ない。
カイジは足早に八号室を出て、九号室に向かった。
もし、九号室が無人であれば、残る部屋を虱潰しに探すまでである。
カイジが九号室のドアノブに手をかけ、手首を回したその時、背後に何者かの気配を感じた。
一瞬前――ドアノブへと手を伸ばしたその瞬間――には、人の気配など微塵も感じられなかったと言うのに。
それは、あまりにも突然の登場だった。カイジには、振り向いて確認する暇すら与えられなかった。
玉崎か、と言おうとして開いた口に、何か柔らかいものが押し込まれる。
布切れのようなもので口が塞がれたのだ、と理解した時にはもう遅かった。
何か薬品が含ませてあるのだろう。すぐに、意識が朦朧としてきた。
決して、警戒を怠っていた訳ではなかった。それなのに……なんたる不覚だろうか。
手足から、力が抜けていく。
(あの時と、同じ感覚だ)
(遠藤に車に乗せられ、地下強制労働施設に連行された時と……)
抵抗する気力も、失せていく。
(しかし……)
(今回は、あの時とは違う)
目の前が、ぐるぐると回る。
(もう二度と、目覚めること叶わないかもしれない)
(ここには命の保証など、ないのだから)
カイジは薄れていく意識の中で、誰かの絶叫を聞いた。
(一瞬、それは)
(無意識の内に自分の喉から発せられた叫びなのだと、そう思った)
(でも……違うみたいだ)
(今のは……俺の声じゃない)
(別人の声)
(それにしても……)
(今の声……どこかで聞いた覚えが……?)
(ああ……そうだ、思い出した『玉崎真吾の声』だ……)
(間違いない)
(あれ……?)
(じゃあ、今)
(俺の口を塞いでいるのは……)
(俺を殺そうとしているのは……)
(誰……なんだ……!?)
毎度ありがとうございます。前回投稿は前スレ373です。
物語全体で見ると、今が一番謎が深い時かもしれません。
何ともなしに、保管して頂いたSSを読み返していた所、証明に関する説明補足なるものを発見しました。
細部にわたるフォロー、痛み入ります。
・不審な描写
そう言えば、かなり前から放置気味でしたね……
とりあえず、ここまでに広げておいた風呂敷はなんとか畳めそうな気配です。
・オカルト
オカルト編かどうかは微妙な所ですが、超展開であるのは間違いないと思われます。
結局、前までの話すらこの展開の為の福泉に過ぎなかったのか。
前回までの話はまだ探偵と犯人という指針があったけど、
これからの展開は先が読めませんな。
泥沼にはまっていくような、暗闇ばかりの展開をお待ちしてます。
78 :
作者の都合により名無しです:2006/05/07(日) 23:27:11 ID:QGUGuGwk0
お疲れ様ですカマイタチさん。
またカイジはピンチというか絶体絶命でヒキですね。
生き残った人物も誰一人信用できないし、
疑おうと思えばもしかしたら死んだはずの人間が本当に死んでいるか…
期待してます。出来ればまだ中盤あたりだと嬉しいなあ
>見てた人さん
第二部開始、といった感じですかね。
前回の急展開から早くもクライマックスというか、カイジが追い詰められている。
また死人が続出しそうですね。とりあえずこのピンチをどう乗り切るか。
80 :
三十六話「死闘の末に」:2006/05/08(月) 01:53:32 ID:mKap7I830
誇りを折られた双角の悪魔は力なく地面に佇んでいた、目の輝きを消さぬまま。
出血の激しいスペックの元へ走るカイル、包帯が血で染まっている。
「スペック!」
ロニとリアラも続けてスペックへと駆け寄る、だがスペックが漏らす言葉は感謝では無く警告だった。
血反吐を撒き散らしながら上体を無理に起こすと、包帯から血が染み出て地を赤く染める。
「速ク・・・止メ・・。」
そう言いながらカイルの後ろを指差す、すると死んだと思っていたディアブロスが、
足を引きずりながら部屋の中心を目指して移動し、地面に角を突き立てる。
一本になってしまった角を器用に動かし砂を掻き分けて行く。
「まだ生きてたのか!?」
ロニがハルバードを片手にディアブロスへと斧を振るが、地面へと潜ってしまった後だった。
静寂が辺りを支配する、悪魔と呼ばれる所以は強さだけでは無いのだ。
一体どうやってあの巨体で砂を器用に掻き分け、そして高速で砂中を移動するのか。
悪魔を初めて見る者は必ずこんな事を考えるのだがすぐにそんな暇は無い事を思い知らされる。
地面から突然突き出す二本の角を使った強烈な突進は、どんな強固な防具で身を堅めても致命の一撃となる。
不自然に土煙が上がる、それは壁の向こうへを目指して一目散に駆け抜けていった。
「逃げた・・・のか?」
ここで疲弊した4人の内、角が一本しか無いとはいえ、誰か一人を突き殺すのは容易い。
だが外へ出た瞬間に出来る隙を狙われる事を恐れたディアブロスは撤退を選んだのだ。
先程までの戦いが嘘のように静まり返る室内、だがふと気付くミニオン・ワイルの存在。
「奴はどこへいった?」
部屋中を見渡すが奴の姿が見当たらない、どうやら両方逃がしてしまった様だ。
突然、部屋に異様な音が響く、まるで何かのスイッチが発動したかの様な。
そして続けて起きる地震の様な音が、上空から聞こえてくる。
恐る恐る上を見上げるロニ、天井がゆっくりと降りてきている。
「おい・・・ちょっとお約束すぎねぇか?」
冷や汗を流しながら呟くロニの言葉に反応してくれる筈も無く、
下へ下へと無常にも天井が迫ってくるのだった。
81 :
三十六話「死闘の末に」:2006/05/08(月) 01:54:35 ID:mKap7I830
「どうするカイル!?」
周囲を見渡し出口を探し回るロニ、だが閉められた扉以外には見当たらない。
もうすぐそこまで天井が迫っている、どうにかしなければと思い不意にディアブロスの尻尾が目に入る。
「ロニ!尻尾で天井を支えるんだ!」
猛ダッシュで悪魔の尻尾へと駆け寄り、持ち上げようと試みる。
かなりの重さだったが二人がかりでならその場に立たせることが出来た、二つに割れた先端を下にし、
地面に突き刺して安定させると鋼鉄のように硬い尻尾はズブズブと砂に埋まり、やがて天井と共に止まった。
尻尾は既に硬直し始めていたので曲がる事は無かった、しばらくはこれで大丈夫であろう。
安心する間も無くスペックの容態を確認する、出血の量が酷いため急いでヒールで傷を塞ぐ。
ロニも一緒になってヒールを唱える、カイルは回復晶術の資質が無いので見守る事しか出来ない。
疲労した状態で回復術を唱えるロニとリアラ、額からは汗が止めなく流れている。
「なんとか血は止まり始めてるが出血がひどい、栄養価の高い物を食わせれば大丈夫だと思うが・・・。」
道具袋の中には回復用のグミしかない、精神安定を施し集中力を高めるオレンジグミ、
増強効果があり身体の回復力を上昇させるアップルグミ、どれも栄養価はイマイチなものである。
ロニもリアラも疲れを取るためオレンジグミを口に放り込み、スペックの口にもアップルグミを入れておく。
「・・・甘イ。」
仰向けになりながらスペックが呟く、その顔は何故か笑顔だった。
ゆっくりと立ち上がり扉へと歩く、怪我人とは思えない程しっかりした足取りで。
それを止める為、カイルが声をかけようとしたがスペックが突然話しかけてきたので黙ってしまった。
「ヤハリボーイダナ・・・イイ加減甘サガ移ッチマウゼ。」
扉の前で仁王像の如く立ち尽くし、一息吐いてから構えを取る、両腕を高く構える本気の構え。
妖星によって傷いた体で悪魔との壮絶な死闘を演じたというのに、もう休んでもいい筈なのに。
男は命を燃やし扉と向き合い、神が己に授けた闘争力の全てを開放しようとしている。
男が何をしようとしているか判っているのに、それを止めたいのに体が動いてくれない。
「馬鹿野郎!何する気だ!」
ロニが叫ぶ、それと同時に体が動くがロニの居る場所からでは間に合わない。
カイルも急いで止めようと走り出すが、既に遅かった。
「デモヨ・・・居心地良カッタゼ、アリガトヨ。」
その一言を合図にスペックの体が動いた、酒場で見た時の無呼吸連打。
だが柳や悪魔を退けた今のカイルでも、今のスペックの動きは見えなかった。
激しく燃えた風前の灯は、風で消える事を望まず自ら燃え尽きてしまった。
82 :
三十六話「死闘の末に」:2006/05/08(月) 01:55:16 ID:mKap7I830
塞がり始めていた傷口から再び出血が起こる、妖星の放った血粧嘴はヒールでは治せない傷を付けていた。
ユダに送られた部屋で休んでいれば治る望みもあったのだが、怪我を承知で悪魔の猛攻を止めた。
血を失い過ぎたスペックには死が迫っていた、スペック程の肉体ならば傷を塞ぎ輸血をすれば助かったであろう。
だが扉が閉じられていればそれも不可能、ロニ、リアラのヒールも限界がある。
このままでは自分もカイル達も死んでしまう、ならばと思い自らの命を持って扉を開いた。
腹部から大量の血がビチャビチャと嫌な音をたてながら地面へ落ちる。
スペックの無呼吸連打は5分も続いてはいなかったが、今までで最高の威力を発揮していた。
吹き飛んだ扉は原型を保っていなかった、僅か5分足らずで巨大な鉄の扉から、巨大な鉄の塊となってしまった。
そしてまたスペックも、最強の男から地面へ転がる骸の一つに変わり果てようとしている。
ディアブロスの尻尾の上部に張り付いている甲殻に亀裂が走るのを見たリアラが急いで外へ出る。
「カイル、もう持たないわ!」
スペックの壮絶な姿に心打たれ、身動き一つ取れなかったカイルだったがリアラの言葉に反応する。
ロニも自分が置かれている危機に気付き、素早くスペックを担ぎ上ると出口へと走った。
全員が外にある廊下へ出ると悪魔の尻尾は圧力で四散し、天井が地面と密着していた。
ロニがスペックを仰向けにして再びヒールをかけ始める、それが無駄だと判っていても。
「テメェ・・・無茶しやがって!起きたら一発ぶん殴ってやる!」
叫ぶロニ、もう起き上がらない事が判っていても今は回復晶術を唱える事しか出来ない。
リアラはレンズの力を最大まで引き出し、最大の回復晶術を唱えるため集中している。
死刑囚戦で精霊を具現し、ディアブロス戦ではスプラッシュを連発していたリアラの精神は、
肉体異常に疲労している、それでもリアラはスペックを救うため限界まで精神を酷使する。
その時、廊下に足音が響き渡った、十字路の向こうから誰か来ようとしている。
恐らく進入に勘付いたアサシン達が攻めてきたのであろう、足音が重複し一人では無い事を悟らせる。
リアラの詠唱を邪魔させる訳にはいかない、剣を構え道を塞ぐカイル、その時リアラの詠唱が終わった。
「レイズデッド!」
神々しい光がスペックを包み込み、突き破られた腹部を治癒し、失われた血を復元する。
リアラに使える最大の回復晶術レイズデッド、その神の息吹は時に死者すら蘇らせる。
しかし、今の疲弊したリアラではそれも叶わず、光は途中で儚く消え去った。
「スペック!」
儚く消えた光を見た男が、スペックの名前を叫びながら走り出す。
その男は死闘を演じた強敵、南斗六聖の内の一人、妖星のユダだった。
83 :
三十六話「死闘の末に」:2006/05/08(月) 01:56:07 ID:mKap7I830
ユダの姿を見たカイルが困惑しながらも警戒し、剣を振るが飛び上がりそれを回避するユダ。
ロニもヒールを中断し、ユダへと襲い掛かるがハルバードを振る前に柄を押さえられてしまう。
「目障りだ、消えろ!」
ロニの腕力で振り下ろされたハルバードは岩をも軽々と砕く事が出来るというのに、
ユダはそれを嘲笑うかの様に片手で受け止めている、残ったもう片方の手でロニを吹き飛ばす。
壁にぶつかるロニ、だが余り痛みは感じない、それを不思議に思いユダを見る。
良く見るとユダの体には無数の傷が刻まれていた、切り傷から焦げた痕まである。
スペックと戦っていた筈の男が何故こんな怪我を負っているのか判らず混乱するロニ。
だがユダはそんなロニには目もくれず、スペックへ話しかける。
「バ・・・バカな、何故あの体で戦った!」
その場に座り込み、倒れるスペックを抱きかかえるユダ、連続で唱えられた回復晶術によって、
中途半端に傷は塞がっていた、己の繰り出した最高の奥義はスペックに深い傷を負わせていた。
この傷ではしばらく眠りから覚める事は無い、そう思っていた自分に腹が立つ、
拘束してでも引き止めていればこんな事にはならなかった。
「ユ・・・ユダ。」
レイズデッドによって意識を取り戻したスペック、だが傷は塞がりきってはいないし、
大量に失った血の一部を取り戻しただけだ、意識のある内にに治療しなければならない。
身に纏った真紅のマントでスペックの傷口を塞ぎ、スペックを抱き上げながら立ち上がるユダ、
それを見て止めに入るカイル、再びユダの行く手を塞ぐように廊下に立ち塞がる。
「待て!スペックをどうする気だ!」
だがユダの瞳は隠し通路で会った時の物とは全くの別物であった。
冷徹な殺人鬼の目は穏やかで、炎の様に熱い一人の漢の目になっていた。
「俺の部屋まで続く廊下の途中に俺の医務室がある、そこにスペックを連れて行く。」
ユダの目の輝きが嘘では無い事を語っている、しかし本当に信用出来るのだろうか?
その時、廊下の奥から声が掛かる、それも聞いたことのある声が、
「安心したまえ、彼は味方だ。」
敗北によって精神を病んでいた筈のドリアンの声が響き渡る、柳もドイルも傷だらけの体でそこに居た。
そして花山の前に置き去りにしてきた筈のシコルスキーは何故か無傷で立っていた。
ユダは周囲を気にかける事無く2mはあるスペックの巨体を抱き上げたまま自分の部屋へと向かっていく。
「お前にこんな死に方はさせん、こんな死に方はな!」
84 :
邪神?:2006/05/08(月) 01:57:26 ID:mKap7I830
なんだか俺がROM厨だった頃の如く殺伐とした雰囲気になってましたが何事も無かったかの用に再開。
モンハンも過疎ってきたのか友人が引退していきます、ペット対戦を共にしたユダも姿を暗ましました。
ユダ・・・カムバーック!はい、モンハンはどうでもいいですね。
予想通りスペック瀕死、何故かユダにいいシーン取らせすぎな気がしますが気にしないでください。
北斗の格ゲーを見てたらユダの動きに心奪われてしまったのです、ジャギ派だったのに・・・。
おのれユダ!この屈辱は忘れんぞ!そう思ってユダを出しつつもやはり美しいと認めてしまった俺は無力でした。
なにやら今回の後書きはユダ話が多いですがそれも気にしないで下さいね。
〜最近やってなかったロマサガやってたらもう一周しないとシェラハ出せそうにない事に気付いた講座〜
ふら〜り氏 見事に当てられてしまった専属ヒロイン、だが妖星は裏切りの星。
いつか期待を裏切るかもしれないし特にネタが浮かばなくてそのまま突き進むかもしれないし。
17氏 それなりのTP消費量、そこそこの威力、テイルズ伝統な水術ですからね。
後半でも薬草ドーピングは黄金の種がめんどくさいので上位晶術に織り交ぜて詠唱速度重視な時にお世話に。
19氏 主役のキャプテンの影が薄すぎる上に出番までも無い悲惨な状況ですから・・・w
対モンスターではケンシロウ以上の活躍をさせて上げたい今日この頃、でもその前にアミバ様の日常書かなきゃ。
20氏 テイルズのバトル音楽は良質な物が揃ってていいですねぇ、でも音楽はロマサガの方が好き。
ミニオン戦の音楽はとりあえず口にしたくなる中毒性があります、聴く機会があればオススメします。
23氏 >>死刑囚の砦として
代役にシコルスキーを、え?没?余りにも微妙な性能を持つ四天王パワー有でもスペック以下っぽいですね。
第七十二話「明かされる秘密・3」
僕の名前はキラ・ヤマト。
家族はいない。気が付いたときには既に孤児院で育てられていた。
アスランとはその頃に出会って、それ以来ずっと一緒だった。
もう少し大きくなって、ロボットの女の子―――リルルに出会って、それからは三人一組だった。
メカトピアがクルーゼたちに攻め込まれたのを機に三人ともレジスタンスに入って、イザークやディアッカ、ニコルと
一緒に戦った。
そして、地球へと旅立って―――のび太たちと出会った。
それが僕の生い立ち。そして、その中での空白の期間―――
僕は孤児院に入る前には、どこにいたのか?いくら幼くても、おぼろげに覚えているものではないのだろうか?
何故―――何一つ思い出せないんだ?
だけど今―――思い出した。思い出してしまった。
僕は―――僕は―――
「―――コーディネイター、だと?まさか・・・」
ムウはその言葉をどこかで目にしていた。必死で記憶を辿り、ようやく思い出した。
確かテムジンという風の村の少年がやってきたときのことだ。あの時自分はドラえもん、そしてキラと一緒に<狐>の
情報を調べていた。その中の一つが確か―――<終焉に向けての存在・コーディネイター製造計画>。
それが―――キラ?
「コーディネイター・・・それは正確には<狐>ではなく、その相棒にして<十三階段>一段目、架城明楽が研究していた
人工生命体。架城明楽はタイムパトロールから逃れるためにこの時代のこの星に潜伏しながら、研究を続けていたのだ」
「だから―――結局コーディネイターってのは何なんだ!」
勿体ぶった言い方をするクルーゼにムウは苛立ちをぶつける。クルーゼは口元に笑みを浮かべたまま続けた。
「胎児の段階で徹底的な遺伝子調整を施された、生まれながらにして全てを超越する圧倒的な存在―――それこそ世界に
終焉をもたらすほどの、世界そのものにも匹敵しうるほどの、究極の生命体―――それを目指して造られた命。それこそが
コーディネイター・・・すなわち、そこにいるキラ・ヤマトだ」
「だけど・・・」
キラは苦しそうに言葉を紡いだ。
「だけど、僕には―――そこまでの力はなかった」
「そうだ」
クルーゼは鼻で笑う。
「架城明楽が望んだのは、世界に終焉をもたらすほどの存在。ありとあらゆる全てにおいて他を圧倒する絶対。しかし、
コーディネイターはそこまでの境地には辿り着けなかった。ただ単なる<普通よりはかなり優秀な存在>でしかなかった。
そういう意味では後に産まれた<真紅の人類最強>や<橙なる種>の方が、よほど優れて―――
いや、こういう話はしないでおこう。この物語の本筋には関係がないからな―――
とにかく、コーディネイター計画は失敗だった。故に架城明楽は君を見限り、記憶を消去して放逐したのだ。そして、
今に至る―――」
「もういい!もうやめろ!」
キラが怒鳴り声を上げてクルーゼの言葉を遮る。封じられていた記憶を取り戻し、キラの脳裏で様々な事柄が繋がった。
―――異世界から来た少女、プリムラ。彼女を初めて見たとき、キラはどこか奇妙な親近感を感じた。
それは多分。彼女も同じだったから。
造られた命―――人工の存在―――同じ紫色の瞳。
無意識の内に、お互いの似た部分を感じ取っていたのかもしれない。
―――<狐>の語った、キラと<狐>との因果。
キラを造ったのは<狐>にとって浅からぬ縁の持ち主である架城明楽だった。
そういうことだったのか?
だとしたら、何ていうろくでもない話だ。これが運命だとでもいうのか?これが因果だとでもいうのか?
―――なんて、最悪だ―――
「キラ・ヤマト・・・」
クルーゼが語りかける。今までのような嘲笑う調子ではない。闇の淵から誘いかけるような声だった。
「君の気持ちは私には分かる。同情でもなんでもない―――私も君と同じだからな・・・」
「・・・!」
「私も自分の父親と言える存在に造られ―――そして、失敗作だから捨てられた。その時私は思い知ったよ。人間とは、
実に身勝手で醜い生き物だとな・・・」
「クルーゼ・・・」
キラは顔を上げてクルーゼを見る。クルーゼは笑みを深くした。
「君は幸いにも、未だ人間に絶望してはいないようだが―――果たして、いつまで持つかな?君は人間ではない・・・
それだけで排斥されるには充分な理由だ。人は己と違う存在を恐れ、認めようとしないのだからな」
「くっ・・・」
キラはその言葉を否定できない。奇しくも彼はつい数時間前に、それを体験していた。
自分が叩きのめした二人組―――彼らは自分を、まるで理解不能の怪物を見るような目で見ていた。
あの二人はキラを恐れ―――キラを人間と認めていなかった。
いつかは誰もが、あのような目で自分を見るのだろうか―――
「うう・・・うああ・・・」
呻き声を漏らすキラを見つめ、クルーゼはその手をキラへと差し出す。
「私の元へ来い、キラ。私だけは、君を分かってやれる」
クルーゼの声は、優しげでさえあった。
「私と君はよく似ている―――まるで兄弟のようにな」
「クルー・・・ゼ・・・」
キラはぼんやりと差し出された手を見つめる。その誘惑の、なんと甘美なことか。
―――この人の言ってることは、本当だ。この人だけは本当に、僕のことを分かってくれる―――
「やめろ、キラ!」
ムウの怒声が闇に飲まれかけたキラの思考を押し止める。キラは慌ててクルーゼから飛び退いた。
「・・・ふう。今はまだ、人間を信じたいか」
クルーゼはキラとムウに背を向ける。
「だが、私には分かる。君もいつか人間に絶望するとな・・・」
「くそっ・・・待て!」
ムウはショックガンを撃つが、クルーゼは紙一重でそれを避けて階段を昇っていく。ムウの本来の立場ならばそれを
追いかけなければならないところだったが、今のキラを一人残すわけにはいかなかった。
「キラ、あんな奴の言うことなんて気にするなよ・・・キラ?」
キラは答えない。ただクルーゼの走り去っていった先を、じっと見つめているだけだ。
「キラ!」
肩を激しく揺さぶると、ようやく目の焦点がムウに合った。
「ムウさん・・・僕は・・・」
「ああ、いいんだ。今はとにかく・・・みんなのところに戻ろう」
キラはその言葉に頷くしかなかった。
心の中に、深く重い闇を抱え込んだまま―――
投下完了。前回は前スレの408より。
・・・邪神?さん、すいません。時刻を見たら邪神?さんの投下から数十分も経ってませんでした・・・
それはともかく、ゴールデンウィーク中は仕事で忙しくて(普通の人が休みな時期に忙しい仕事なので・・・)
まったく書けませんでした。
明日からようやくまとまった休みが取れたので一気に書きました。しかし疲れてるのでイマイチな出来・・・
レス番は前スレのもの
>>410 うーん、種知らないってことは多分スパロボも知らないだろうから・・・すいませんとしか・・・
>>411 オリ設定と原作設定と戯言シリーズの設定がカオスになってますw
>>412−413 そういう部分がのび太の魅力ですよね。
>>414 それを言っちゃあおしまいですよ・・・
>>しぇきさん
ドタバタ劇がいい感じのテンポで展開されて、原作知らないけど楽しく読めました。
次回の<あの人>登場を待ってます。
誹謗中傷は気にせずに。
>>ふら〜りさん
それでもやはり、キラを最後に支えるのはアスランであってほしいところ。主役クラスのキャラの親友って
そのためのポジションですしね。
>>邪神?さん
多人数による戦闘をきっちり書けているのが羨ましい・・・僕にはとても出来ませぬorz
しかし石化で死ぬラスボスって・・・チェーンソーで死ぬ神様並に情けないですな。
>邪神様
スペックの男ぶりが光りますね。テイルズチームが子供っぽい分、彼のダンディさが光ります。
死に際に憎まれ口を叩く所とかとくに。ひとつ希望を言えば、適当な所で改行して欲しいな。
>サマサ様
<十三階段>一段目、架城明楽はやはりbPの称号を背負うだけあって大物でしたか。
種は知らないけど、FF7は好きなのでそれっぽい感じが好きです。GWお疲れ様でした。
92 :
作者の都合により名無しです:2006/05/08(月) 09:08:47 ID:xW7GdpmJ0
お疲れ様です。GWが明けて気分一新で頑張って欲しいですね
>カマイタチ
双葉の死に際の笑顔は何を意味するのか?前半の犯人当てより、ホラー色増してますね。
カイジの後ろに回った人間といい、全ての空間が油断できない恐ろしい魔窟だ。
>キャプテン
テイルズパーティは強いな。確かにこの世界で魔法や気を使えないとかなり厳しそうだ。
スペックはそれでも体一つで頑張ってるから好きだな。シコルはアレだがw
>超大戦
キラの生まれの秘密が明かされ、それに苦悩する姿がこれから書き込まれていきそうですね。
裏切りもあるんだろうか?パーティに優しい人間が多いから、癒されると思うけど
サマサ氏乙
原作よりも遥かに上手くキラの苦悩とか表現できてるなあ
ところで、その種が映画化だとさ
このスレ見て、種が良作だと勘違いした人が間違えて観に行っちゃいはしないかと不安だ
94 :
作者の都合により名無しです:2006/05/08(月) 19:07:56 ID:UQ+G3kzQ0
・邪神さん
死刑囚の最後の希望も費えるかぁ アレには期待できないしな
あと、そろそろテイルズ講座に切り替えて下さい。
・サマサさん
キラの出自の設定って原作準拠なのか。93さんの見て始めて知った
物語も佳境になるにつれてシリアス化ですな
>>94 >キラの出自
まあ大体一緒だね
原作だと「コーディネーター」というのは遺伝子改造された人間のことで膨大な数がおり、彼ら専用のコロニー国家が存在している
アスランとかイザーク・ディアッカ・ニコルも原作ではみなコーディネーター
そしてキラはコーディネーターの中でも、さらに異なる遺伝子操作を施された特別製という設定
オラしぇきよりサマサが嫌いだ
サマサさんの超機神は楽しませて頂いてるが、
「1stガンダムが好きなら種は見てはだめだ!」と熱弁する
ガンオタの連れの言葉を守り原作のアニメは見てない
でも一度見てみようかな。ミドリさんの影響でマリ見ても読んだし。
きっと硬派な人間ドラマや、戦争に対する苦悩が描かれているんだろうな。
しぇきさんのSSって何語で書かれてるの?
まさか日本語じゃないよな?
だってあまりにもつまらなすぎる。
実はどっかの国の言語で本当はスゴク面白いんだよな?
おっと、感想書き忘れた。
>邪神氏
テイルズファンなら嬉しくなるコンボですね。キャラ多いから仕方ないけど、
死刑囚全滅すると寂しくなるな。メカドイルとして復活…はちょっと厳しいかw
>サマサ氏
今度マジでアニメ見てみます。嫌な予感もするけど、キラもSSと同じように
苦悩してるでしょうから。のび太より主役っぽいな。トラウマ持ちの所とか。
>>100 35話辺りから見るといいと思いますよ。
初めてこのスレきたんだが、なんでゲーム作品も使ったSSおkなの?
ありがとう…でも、そんな中盤終盤からかw
ま、アニメを見るお楽しみはサマサさんの連載が完結してからにするよ
>>102 漫画が含んでいれば『今』は何でもありの風潮w
どっちかというとジャンル問わずの総合SS。
それでも漫画が一作は入ってないと一言ぐらい言われるかも(連載の場合は)
>>103 あえて見るなら無印だけにしておいた方がいい
種死の方は見たが最後、問答無用で死ねる、それこそMARも真っ青なぐらいに
サマサ氏のSSには無印のキャラしか出てこないしね
>>104 そうなのか。まぁTOD2は確かにコミック化してるけどモンハンどうのこうのと上に書いてあったからちょっとね。
暇とやる気が出たらドラえもんレギュラー+αVSジョジョの一族+αで何か一作書いてみる。
ぶっちゃけ種死も普通に見てたらつまらなくは無いぞ
色々毒されてる人は無理かも
まぁ烈火とかレイブとか黒猫レベルには面白いよ
マーとかタカヤほど酷くもなし
種死は面白いぞ
始めの4話くらいは
下には下がいる
しぇきにこの言葉は通用しない
110 :
作者の都合により名無しです:2006/05/09(火) 11:07:45 ID:BZWUoEQ20
>>106 頑張れ。期待してますよ。
俺も、幕末から維新を時代背景にした作品を書こうかなと思っている。
主役は剣心になるか陸奥出海になるかわからないけど。
>>110 期待してる
そろそろ、間隔的にNBさんが来る頃だな
サダダさんもGW明けに書くとか言ってたし
第七十三話「迷える心」
戦闘が終わって基地の中でキラとムウを待っていたのび太たちは、ようやく帰ってきた二人を出迎えようとして―――
キラの様子がおかしいことに気付いた。
顔は老人のように憔悴しきって、精気がまるで感じられないのだ。
「キラ!どうしたのさ!?」
のび太が声をかけても、キラは俯いて答えない。
「みんな・・・今はそっとしといてやれ」
ムウが一同を制する。彼もまた、どこかやり切れないものを抱えた表情だった。
「キラ、とりあえず部屋に戻るんだ。今はゆっくり休んで・・・」
「―――いえ」
キラは頭を振った。
「僕からちゃんと―――話しておきたいんです」
「キラ・・・」
ムウは何かを言いかけたが、結局口をつぐんだ。
「僕は・・・」
キラ自身の口から、その過去が紡がれた―――
「僕は―――人工生命体なんだ・・・」
―――話を聞き終えた一同は、ただただ呆然としていた。
「キラが・・・人工生命体・・・」
のび太は小さく呟いて、無意識のうちに視線をプリムラと亜沙に移す。彼女たちも言い知れない衝撃を受けているのが、
その表情から見て取れた。
亜沙は母親が人工生命体、そしてプリムラは正しく人工生命体だ。
キラも―――それと同じ―――?
造られ方やその目的は違っても、彼もまた、造られた存在だった―――?
「だけど―――そんなの、気にすることないよ!」
のび太は思わずそう言っていた。
「キラが人間だって、人工生命体だって―――そんなのを気にする奴なんて、この中にはいないよ!」
「そうだよ。みんなキラの友達なんだもの」
ドラえもんが続き、さらにみんなも口々にキラに慰めや励ましの言葉を送る。だが―――
キラにはそれは、届かない。
「・・・やめてよね」
今までに聞いたことがないほどに、冷めた声だった。
「分かるもんか・・・人間として生まれたみんなに、家族の暖かさを知ってるみんなに、僕の気持ちなんて!」
キラの声は、身体は、震えていた。
「のび太。いつか君たちは言ったよね。戦いが終わったら、一緒に僕の家族を探そうって。だけど、僕は―――産みの親に
捨てられたんだ・・・!失敗作だって・・・っ!」
噛み締めた唇から、一筋の血が流れ落ちる。
「家族なんて、僕には結局いなかった・・・いなかったんだ・・・!」
「キラ・・・」
「僕は、人間じゃない。ただの・・・作り物だった・・・!」
キラはのび太たちに背を向け、走り去る。あっという間にその姿は見えなくなった。
「キラ!待ってってば!」
のび太はキラを追いかけようとするが、アザミに服の裾を掴まれて制止される。
「やめなさい。あなたが何を言っても、今の彼には届きませんよ」
「だけど・・・」
「やめとけやめとけ。あんなガキに構ってやるのは」
USDマンもにべもなく言い放つ。
「ああやってウジウジすりゃ誰かがかまってくれると思って甘えてんだよ。一人にさせときゃいいんだ」
「USDマン!そんな言い方はないだろう!」
「しゃあねえだろ。俺様、ああいうウダウダしたの嫌いなんだよ」
ペコが食って掛かっても、USDマンはどこ吹く風だ。
「全くもう・・・アスラン、どうしたらいいかな・・・」
困りきったのび太はアスランに話題を振るが、返事がなかった。
「・・・アスラン?」
周りを見回しても、アスランの姿はない―――そして―――
プリムラの姿もなかった。
「二人とも・・・どこに行ったのさ?」
投下完了。前回は
>>89より。
キラの心を救うのは、少女と親友。そして、仲間。
話は変わりますが、西尾維新がデスノのノベルを書くそうな・・・期待です。
>>91 原作では狐面の男の昔の相棒ってしか情報がないんですけどね・・・うーん。
>>92 裏切りはまあ、ないと思います。ラクス様でもうやったし。
>>93 映画・・・果てしなく不安ですねえ・・・
>>94 さすがにここまできてギャグばっかやってたらまずいです。
>>98 >>100 >>103 種はまあ、そこまで問題はないと思いますが・・・続編の種死だけは見てはいけません。
>>105 新キャラは主人公さえも当て馬にされ、旧キャラは軒並み人格崩壊したとしか思えない言動ばかり・・・
あれだけはもう二度と見たくないですね。
>>107-108 種死、始まった時は楽しみだったんですよ・・・始まった時は・・・
ああ、超久々に来たけどこのスレまだ賑わってるんだね。嬉しいなあ。
見覚えのある作者さん達も御健在のようで何より。
ふら〜りさんの全員レスも御健在で何よりだ。
面白そうな連載もあるし。
もっと時間が有ればなあー
それは、私が部下を迎え、教導官への道を一歩進んだその日に起こった、小さな事件。
出会ったのは、同年代の子達。
その手に使うは、不思議な道具。
今度は、私たちが友達を紹介しなきゃ。
ドラえもんのび太と魔法少女リリカルなのは〜黄昏の戦乙女編〜、始まります。
119 :
第3話-1:2006/05/10(水) 01:38:32 ID:qpbK5/ze0
7/15(土) 15:20 茨城県隆宮市 月村家
「こんにちはー」
「あっ、なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん!」
と、紫色の髪にカチューシャの温和そうな少女。
「きたわね。ん?その後ろにいる人たちは誰?」
こちらは金髪で勝気そうな少女。
「ちょっと事情があって…」
「お、なのは。来たのか」
と、まじめそうな青年が。
「お兄ちゃん!?来てたの?」
「ああ。ちょっと忍に用があってな。忍、お客さんだ」
その声にこたえて奥の部屋から来た紫色の長髪の女性が、
「いらっしゃい。あら、その子たちは?」
…このクロストーク状態が解消されるのに数分を要した。
第3話 その名は黄昏の戦乙女なの?
「改めて、海鳴大学2年、月村忍(20)、この人の内縁の妻」
と、青年を示して。
一同、絶句。
「だから誰が、誰の内縁の妻だ。いい加減にそういうの吹聴するのやめろよ。えーと、俺は高町恭也(21)。海鳴大学2年で、このなのはの兄だ」
と、なのはの頭に手を置いて。
「私立聖祥大学付属小学校4年、月村すずか(10)です」
「私はアリサ・バニングス、聖祥小学校4年(10)よ」
「!アリサちゃん!?」
ジャイアンの後でスネ夫が驚いた。
「あ!スネ夫!」
アリサも驚いた。ジャイアンの陰に隠れて気が付かなかったようだ。
「え!?知り合いなの?」
なのはたち、驚く。
「日米両方での取引相手で、パーティーで何回か会ったことがあってね」
「あ、アメリカでの取引相手ってのは、スネツグを養子にしたニューヨークのおじさんのことだよ」
「そうだったんだ…」
ちなみに、藤子先生はスネツグの存在を長い間失念していて、急に思い出して後付で『養子に行った』という設定にしたそうだ…幸薄いと言うほかない。が、先日、久々にTVに登場した。声は少々おばさんくさかったが。
いけない、また脱線してしまった。
「あら?その子は?」
忍がドラえもんに気づいた。
「僕ドラえもん、猫型ロボットです」
「猫型?てるてる坊主じゃなくて?」
「違うだろ忍、醤油差しだ」と、恭也。すずかは、
「え!?胡椒入れじゃないの?」
アルフは、
「あたしは団子かなんかだと思ってたんだよな〜」
最後にアリサが、
「みんな違うでしょ、パンダよパンダ」
「ぐぐぐ……………」
「ドラえもん、落ち着いて…」
ドラえもんは限界だった。
ここでやらかす人といえば…そう、『火薬庫』である。
「私は、え〜っと…そうそう、狸、狸っすよ狸♪」
…禁句を言ってしまった。
ポキン…
理性 崩壊!!
ここから先、理性を失ったドラえもんの行動は、
全てが予測不能…
白目になって、ガーピー鳴ってるドラえもんは、
「……ポケット……」ぐりんっ
逆さにして、
「トケッポ!!!!!」
放送コード完全アウトな顔になった!
「ドドドドドッドドドドッドッドドドドドドドッドドドードド
「ッドドドドドーードドドドドドドッドドードッドドドドド【原子核破壊砲】【地球破壊爆弾】!!!」
「うわぁぁぁっ!!!誰か止めて!!!」
「ええと、ユーノ君はいないし…」
なのは、あたふた。
「あたしにまかしときな!」
「アルフさん!」
「リングバインド!」
ドラえもんの大してない手足が発生したリングに拘束された。
「今だ!」
のび太はドラえもんのポケットに手を突っ込み、
「【まあまあ棒】!」
口に当てて、
「まあまあまあ!!まあまあまあまあ!!!まあまあまあまあまあ!!!!」
プシューーーー
ものすごい蒸気が排出され、
「………まあいいか」
こうして、またひとつ人類の危機は去った。
完
こらこら、終わらすな。
122 :
第3話-4:2006/05/10(水) 01:41:01 ID:qpbK5/ze0
こらこら、終わらすな。
その後、一通り自己紹介がすんで、
「なるほどぉ、ロボットね……面白そうね、ちょっと解体させて?参考にしたいの」
「えっ!!??」
「忍、いくらなんでもそれはまずいだろ」
「やっぱりだめかぁ…」
呆然の一同。
「…忍さんってこういう人なの?」
「うーん、機械系が好きなんだよ。すずかちゃんもだよね?」
「そういうなのはちゃんこそ」
なのはのメカ暦を簡単に書くと、3歳でテレビ・ビデオのタイマー操作を覚え、4歳でカメラ操作を理解し、5歳でビデオ撮影できるようになった、というところである。デバイスのメンテナンスだけに飽き足らず、今では自分で改造までする。
まあ、メカ好き娘が多いのはとらハシリーズの伝統なので。
「解体はちょっと勘弁してください…」
困り気味のドラえもん。あまりの驚きに先ほどまでの怒りも吹っ飛んだようだ。
「そう、残念ね…ちゃんと元に戻すんだけどなあ。」
「いや、それは当然だろ」
恭也のツッコミが決まった。
「じゃあ、さっきみたいなすごい道具だけでも…」
「あの…お姉ちゃん、このまま立ち話は…」
「あらいけない。そうだ、ちょっと過ぎちゃってるけどティータイムってことでどう?ノエル、ファリン」
「はい」「はい〜。あ、なのはちゃんたち、お友達を連れてきたの?」
冷静そうなほうがノエル・K(綺堂)・エーアリヒカイト、ちょっと危なっかしそうなほうがファリン・K・エーアリヒカイト。月村家のメイドである。
「ええ」
「お客様がいらっしゃったから、お茶とお菓子を持ってきて」
「わかりました、すぐ持ってまいります」「ちょっと待っててくださいね〜」
「あ、ちょっと失礼します」
ドラえもんが何かに気づいたのか、後を付いて行った。
「どうなさいました?」
と、ノエル。
オオクワ専門乙。
124 :
第3話-5:2006/05/10(水) 01:45:10 ID:qpbK5/ze0
ドラえもんは小声で、
「あの、つかぬ事をお伺いしますが…もしかしてあなたもロボットですか?」
「!」
ノエルは表情を変え、忍のほうへ。
二言三言話した後、忍が、
「どうしてわかったの?」
「ええとですね、僕の目には赤外線機能が付いてるんです」
「ああ…そのくらいの機能はあると考えとくべきだったわね。迂闊だったわ…ま、ここにいるみんなは全員知ってたんだけどね」
「そうだったんですか…」
「われわれヴォルケンリッターももとは『夜天の書』保持者の守護騎士としてのプログラムだから、少々共感を覚えた」
と、シグナム。
「ノエルは親戚の家にあったのを私が修理したの。ファリンはちょうどすずかが生まれたから、お世話のために自作してみたの」
「さっきの話もそれで…ぁあっ!」
ドラえもんはひどく重大なことを思い出したようだ。
「どうしたの?」
「忍さん、さっきの話ですが、やっぱり受けます」
「本当!?」
「いや、僕の分解だけは勘弁で…」
「じゃ、早速工具とってくるわ♪」
「手伝うぞ、忍」
「私も手伝う、お姉ちゃん」
月村姉妹と恭也、奥の部屋へ。
「私たちはお茶の準備を」
ノエルとファリンも部屋を出る。
「そうだ、私も家に電話入れとかなくちゃ」
アリサも席を立つ。
125 :
第3話-6:2006/05/10(水) 01:46:14 ID:qpbK5/ze0
あまりの豹変振りを不思議に思ったのび太が、
「ドラえもん、どうしてOKしたの?」
「うーん、ちょっとこの話は長くなるけどいい?あと、誰にも話しちゃダメだよ」
一同、頷く。
「読心ルーペってあるでしょ。でも機能だけ見ればすることレンズ、ナニスルグラスと大して変わらない。なぜかというと、違うメーカーが作ってるからなんだ」
「へぇー」
「そういう風に、道具はいくつかのメーカーが作っているんだよ。たとえば僕の造られたマツシバ重工は、今の松菱電工と重芝(重工芝浦)が合併して出来たんだ」
「うん、それで?」
「のび太君たちはもう2008年にタイムマシンが完成することは知ってると思うけど、それを造ったのが忍さんなんだ」
「えーっ!!!???」
驚嘆、ここに極まる。
「ここの家の経営している機械製作会社がムーンナイト社っていう業界最大手になるんだ。それで、その創業者曰く『昔、青いロボットに会ったことが今の繁栄を決定付けた』」
「それじゃあ、それがドラえもんだってこと?」
「それで、教えるのか…」
「不思議だわ…」
「今日はすごい日だなあ…」
のび太、ジャイアン、しずか、スネ夫。驚き通しで疲れてきたようだ。
「はぁー。忍さんってそんなにすごい人だったんや」
一族の遺失工学を復活させれば、アレだけの発展も可能なわけである。
ドラえもんは
「ただ、一番不思議なのは、セワシ君の所から来た時も、創業者は第一線でがんばってたんだよなあ…今の年齢からすると120歳以上?…」
などとブツブツつぶやいていたが、
「準備できたわよー」
「忍様、こちらも準備が出来ました」
「こっちも電話終わったわよ」
声でその思考は打ち切られた。
お久しぶりです。若干風邪気味です。皆さんはお元気ですか?
今回の他漫画ネタはジャンプからです。と言うかあのネタ自体がエヴァのインスパイアですけど。
前回ぱにぽにネタだったのは監督が同じ人(新房氏、今度ネギまの監督をやる)だったからです。
前スレ351さん
Aパートの途中までなのに長い…さらに短くしようかと思います
サナダムシさん
ジャンケンでしたか。私は赤→炎、青→氷、黄→雷の特殊攻撃かと思ってました。
ふら〜りさん(しずかちゃん埋没について)
のび太にフラグ立ててみました。さてどうなるか…
487さん
ガンガン読者なので舞台背景などある程度知っているつもりです。楽しみにしています
ハイデッカさん
スレたてお疲れ様です。ここからの急展開に期待です。英霊戦争みたいになるかな
見てた人さん
もしかしたらここから『クラインの壺(岡嶋二人最後の作品)』みたいになるんでしょうか…
邪神?さん
私の小説、これからチーム戦描写もあるって言うのに…このくらいうまくなりたいです
サマサさん
>戯言シリーズ
赤青橙はさすがに出てこないか…
あいつらを使うとパワーバランス崩壊しまくりですから当たり前ですが。
デスノート小説版も楽しみだったり。
>人工生命体
この小説にもそんな感じの人が数人出てきます。話の深いところにも関わります
ついでに聞きますが、『強力ウルトラスーパーデラックス錠』(三分間だけUSDマンと同じ強さになる)はこの後使います?
>>123 規制にかかってました。ありがとうございました。
朝になったらAパートの残りをあげますね
ボーボボのガネメだーー!!つーか地球爆弾出すなーー!!
一番の脅威は常にドラえもん
ドラえもんの歴史のはじまりが忍でその夫がなのはの兄。しかもアリサとスネ夫知り合い
出会いは必然だったのですね
サンダルとかいう糞名は飽きたから変えたのか?
初心者スレ池
>サマサさん
キラの周りの大変さとは裏腹に、USDマンの飄々とした感じが素敵だ
やっぱり一番キャラ立ってますな。でも、意外と友情キャラになるかも
>全力全快さん
ああ、必ずどの長編SSでも強制終了楽屋オチは出てくるなあ。
ドラえもんの歴史の始まりを証明する意外な事実が明らかにされましたねw
※ID:ffF/E54BOはしぇきさんに粘着してる奴なんで気にしないでね。
131 :
作者の都合により名無しです:2006/05/10(水) 08:05:27 ID:y9M/nDFJ0
>サマサ氏
種を読まない俺はキラはオリキャラとして読んでいるが、実は主役はのぶ太より
コイツという気もしてきた。無関心なUSDマン萌え。
こういうのが一人いないと場面が湿っぽくなるからね
>全力全開氏
魔法少女、宇宙、ドラえもんに人工生命体ですか。豪華だなー
ま、ドラえもんも人工生命体だし、ドラ世界には合うと思う。
ドラ誕生の逸話は、物語に絡ませやすいのかもね。
132 :
第3話-7:2006/05/10(水) 09:49:58 ID:So8rPoWb0
お茶の後、忍さん大興奮の道具分解・組立。その間小学生たち(とアルフとヴォルケンの面々)はゲーム。
忍が大のゲーム好きなので結構な種類のゲームがあるのだ。
結果はと言えば、なのはの一人勝ちであった。
あまり強いので、2対1で勝負しても勝つと言う強さ。
「すごいねー」
口々にそう言われ、
「てへへ…でも、忍さんもすごいよ。これだけあるゲーム全部遊び倒してるらしいし」
「なるほど、どうりで道具に遊びに使えるものが多いのか…」
一人納得するドラえもんなのだった。
お茶の後、忍さん大興奮の道具分解・組立。その間小学生たち(とアルフとヴォルケンの面々)はゲーム。
忍が大のゲーム好きなので結構な種類のゲームがあるのだ。
結果はと言えば、なのはの一人勝ちであった。
あまり強いので、2対1で勝負しても勝つと言う強さ。
「すごいねー」
口々にそう言われ、
「てへへ…でも、忍さんもすごいよ。これだけあるゲーム全部遊び倒してるらしいし」
「なるほど、どうりで道具に遊びに使えるものが多いのか…」
一人納得するドラえもんなのだった。
「スネ夫君の知り合い?じゃ大丈夫ね、ドラちゃんもいるし」
こんな感じで電話も済んで、食事(それはもう豪華であった)、入浴、そして就寝と相成った。
ちなみに二人一部屋で、のび太と相室だったのはティアナ。
ティアナがヴェガ、アルタイルを磨いていると、
「それ何?」
気にかかって訊くのび太。
「私のデバイス、魔法使用の補助装置っす」
「危なくない?」
「非殺傷設定っすから、えーと、ダメージは精神だけっす」
133 :
第3話-8:2006/05/10(水) 09:52:04 ID:So8rPoWb0
「へぇー。なんかすごく強そうだね」
すると、ティアナは顔を曇らせ、
「確かにすごいっす…私なんかにもったいないくらい…」
「どうして?」
「私、威力だけはあっても制御は全然で、狙ったところに飛ばなくて…。それで味方に当てちゃったり、迷惑かけてばっかりっす…」
そのしょげかたに、見ていてしのびなくなってきたのび太、ひらめいた。
「僕、何とかできるかも」
「えっ!?本当っすか!?」
「僕、何のとりえもないけれどあやとりと射撃だけは得意なんだ。撃ちかたくらいなら教えてあげられるかも…」
「ぜひ、ぜひお願いするっす!!!」
あっという間に元気を取り戻した。
「わかった。こんな僕でよければ」
「早速、明日の朝から頼むっす!」
「何時から?」
「四時半っす♪…どうしたっすか?」
一瞬気が遠くなったのび太。しかし、
「…うん、やるよ!」
腹を決めた。
「ありがとうっす♪」
「じゃ、早速寝なきゃ」
「それもそうっす」
一秒後、
「ZZZZZZZZZ…」
「スー…スー…」
両方とももう寝ていた。
どんだけ寝付きいいんだお前ら。
少々遅くなりましたが、残りの部分です。
のび太とティアナにフラグ立てました。これには黙っていられない人もいますよね?
忍は原作ではノエルを二年かけて修理しただけで、自分では造っていないのですが、妹のファリンがいるということは、
『自分でロボットを作れる』と言うことになるので、タイムマシンを作ってもあながち不思議じゃないと思ったので。
2008年にタイムマシンができるというのはドラえもん原作設定をそのまま引っ張ってきただけです。
ひとつ断っておきますが、宇宙は出てきません。かわりに次元世界は出てきますが。
この作品後半に燃える展開を予定しているので、はやくそこまで行きたいところです。
ティアナのデバイスが銃ってとこで気づくべきだったフラグ。ギラーミンに勝った腕前を乞うご期待!ですね
早起きはのび太がダメで射撃はティアナがダメ。寝つきのよさはどっこいどっこい。いいタッグです
136 :
作者の都合により名無しです:2006/05/10(水) 12:50:17 ID:RVntywkG0
お疲れです
のびたは誰にでも優しいからティアナに対してもこういう対応になるんでしょうね。
でもフラグという事は、本当にもっと親密になるのかな?
心地よいそよ風が吹く、緑の草原。所々に赤や黄色の小さな花が咲き、蝶がひらひら
舞っている。日差しはぽかぽか暖かく、遠くで河の流れる音がしている。
そんな、この上なくのどかな風景の中、ぽかんとした表情で座っている少年は呟いた。
「……なんなんだ。何が起こった?」
この華奢な少年は中学生。夏場なのでガクランではなく白いワイシャツ姿で、街を
ブラブラしていた。で高層ビル建設現場の下を通った時、上から鉄骨が落ちて
きて……気がついたら、尻餅ついてここにいた。
ここに到った経緯と、この風景とを合わせて考えると、導き出される結論は一つ。
「お笑いだな。まさかこの俺が、天国に来たのか? 日頃の行い悪いってのに」
とりあえずそれ以外考えられない。だが一応、今自分は病院のベッドで寝ていて
夢を見ているという可能性もあるので、ほっぺたをつねってみる。
「痛い、痛い、痛い、痛い!」
「そう、痛い。だから夢じゃないな。やっぱり天国か」
「痛いって言ってるでしょ!」
「しかし常々思っていたが、実際夢の中でも転んだりしたらちゃんと痛いよな。
だからこの、ほっぺたつねり判別法ってのはアテにならない」
「いい加減どきなさいよ、こらっ!」
「どけと言われてどくバカは……え?」
お尻の下から聞こえていた少女の声に、少年はようやく気づいた。慌てて立ち上がる。
文字通り少年の尻に敷かれていた少女は、当然ながらご立腹のご様子。
「ったく、いきなり人を押し潰しといて天国がどーたら夢がどーたらと……
日頃の行いが悪い、ってのは確かね、あんたは!」
プリプリ怒りながらパタパタ羽ばたいて、少女は少年の眼前に来た。
「……な」
少年は絶句した。今目の前にいる少女は、体長およそ三十センチ。ピンク色のふわふわ
した服と帽子、背中には蝶のような二枚の羽。誰がどう見たって人間ではない。
「な、何だお前は? 突然変異で生まれた未確認生命体? それともどこかの軍が
開発した生物兵器? でなけりゃ虫と人間の怨念が融合してできた妖怪とか?」
「……どーしてそれだけ並べた中に、妖精って単語が混じらないかしらね」
はあ、と溜息をついてその妖精少女は少年に名乗った。
「あたしは妖精、フィリーっていうの。そしてあんたは、時空の歪みに巻き込まれて
この世界に来た人。で、どう? 記憶喪失とかになってない?」
フィリーは少年の顔を覗き込む。少年は何が何だかさっぱり解らなくて、
「ちょっと待て。まず、その時空の歪みってのは何だ?」
「あたしもよくは知らないから、説明を求められても困るけど、文字通りのものよ。
たまに異世界の人が巻き込まれたりするの。あんたみたいにね」
少年は少なからず混乱した。目の前の少女は異世界とか何とか言ってる。
だが確かに、少年のいた世界には妖精なんてものは絵本の中にしかいない。となると
やはり、ここは異なる世界……時空の歪みとやらのせいで、迷い込んでしまったのか。
「なんてこった……あっ。フィリー、時空の歪みって、ああいうのか?」
少年は頭上を指差して言った。フィリーも見上げてみると、遥か上空で七色の光が
渦巻いているのが見えた。
「そう、あれ。あんたもああいうとこから降って来たの。でもどこに繋がっているか
判らないから、あんたが帰るのには使えないわよ」
「じゃどうすれば……」
と少年が言いかけたところで、時空の歪みから人影が降って来た。
ズズン! と地響きを立てて、二人の目の前に降り立つ。
「!」
フィリーが青ざめ、少年は息を飲んだ。
降って来たのは、青い肌をした巨人だったのだ。優に少年の二倍はある体格で、筋骨隆々。
獣の皮を引っ掛けた半裸姿で頭には角、顔の中央に大きな単眼、大きな口にはズラリと牙。
「サ、サイクロプス! 何でこんなのが!」
「ってフィリー、なんなんだこいつは」
「ここから遠い、遠い、遠い、遠いところにしかいないはずの魔物。解る? 魔物って」
「……俺の世界での知識から言うと、鬼ってのに似てるな。人間を食ったりするバケモノ」
「大正解よ」
ゴゥアアアアァァァァッ! とサイクロブスが吼え、少年とフィリーに襲いかかってきた。
フィリーは慌てて飛び上がって避難する。と当然の成り行きとして、少年が狙われた。
サイクロプスの巨大な拳が、少年の頭を殴り潰すべく振り上げられた、その時。
「えいえいえいえい!」
フィリーが、空を飛び回りながらサイクロプスをぽかぽこと殴りつけた。もちろん
そんなものダメージになんかならないが、気を逸らせることはできた様子。
「ほら、今の内! さっさと逃げなさい!」
「あ、ああ! 恩に着る!」
と言って少年が、逃げようとすると……
「ガァッ!」
サイクロプスの咆哮、そしてフィリーの悲鳴。足を止めて振り向いた少年の目に映った
のは、虫のように叩き落されたフィリーだった。サイクロプスの足下に落下、地面に
激突したフィリーは、呻き声すら出さず、ぴくりともしていない。
そこへ、サイクロプスが足を持ち上げた。踏み潰そうとしている!
「フィリーっ!」
少年がダッシュ! して間一髪、フィリーを救い上げた。サイクロプスの足は、
轟音とともに地面を踏みしめる。
見たところフィリーは、骨折などはしてないないようだ。だが、死んだように
ぐったりとしていて、口の端からは唾液だか胃液だかを溢れさせている。
飛び去れば、自分は簡単に逃げられたのに。少年を逃がそうとして。こんな小さな、
それこそ人形のような妖精のくせに。巨大なバケモノに単身立ち向かって……
「……くそっ!」
少年はワイシャツの胸をはだけて、そこにフィリーの小さな体を押し込んだ。これで
なんとか、両手は自由になる。
そして、再度襲ってきたサイクロプスの攻撃、振り下ろされる拳をじっと見つめる。
『今の俺に可能な、こいつに対して有効な攻撃といえば、あれしかない!』
少年は、紙一重で巨岩のような拳をかわすと、そのままその上に乗り、腕から肩へと
駆け上がった。サイクロプスが少年を捕まえようと動いた時には、既に少年は
頭の上に到達しており、ベルトを外してバックルを握り締めていた。
四角いバックル、もちろん金属製のその角を、眼下にあるサイクロプスの眼球めがけて、
力一杯振り下ろす! 振り下ろした! ……のに。何も起こらなかった。
バックルは眼球に刺さらず、めり込まず。サイクロプスは目を閉じることさえせず。
ただ少年の手に、コンクリートを叩いたような感触がしてバックルが弾き返されただけ。
「バ、バケモノかこいつ!?」
今更な驚愕の叫びを上げた次の瞬間、少年はシャツを掴まれて引っ張られ振り回され、
そして地面に叩きつけられた。反射的に胸に抱いてるフィリーを庇い、背中から落下する。
柔道の達人による投げ技、その何倍に相当するのか解らない衝撃が少年の呼吸を潰した。
そのまま朝まで寝ていたい気分だったが、脂汗を流しつつも少年は素早く立ち上がる。
そして、逃げた。無念だがもう、完全に打つ手が無い。
動きは機敏ではないが歩幅の大きいサイクロプスが追って来る。少年は必死に草原を
駆ける駆ける。だがその行く手、草原が途切れたところに、障害が立ち塞がった。
「……ウソだろ……」
断崖絶壁、遥か下方に激流の河。ずっと聞こえていた河の音は、これだったようだ。
この高さでは、下が水でもタダでは済まない。おそらく大怪我して、その後溺死だ。
無論その場合は、気絶しているフィリーも一緒に、である。
振り向くと、サイクロプスが地響き立てて迫ってくる。太陽を背にして逆光を纏った
その姿は、正に黒い魔人。
絶望……しかかったその時、少年の手がポケットに触れた。微かに膨らんでいる。
何か入っている? 少年はポケットの中に手を突っ込んで、それが何か指で確認した。
形からして、アレだ。そしてその種類は……アレならば……と祈りを込めて、撫でてみる。
「!」
アレだ。間違いない。アレで、種類がアレ。となると、一つだけ逆転の可能性がある!
「……ク……ククク……」
少年は、この世界に来て初めて、笑みを浮かべた。少年本来の、得意の笑み。
額に脂汗、背中に冷汗が流れているが、この笑みが出ればそれらもスパイスに過ぎない。
「異世界」に戸惑ってしまっていたが、この少年はもともと、こういう状況が好きなのだ。
手からビームは出ないし、拳で岩を砕くとかもできない。それでも少年は凡人では……
いや、『凡夫』ではない。ポケットの中のアレを握り締め、撫でながら、笑う。
「ククク……ツキの女神はいつだって……死線の向こうにしゃがみ込んでいる、か……」
「ゴゥアアアアアアアアァァァァッ!」
「……来たぜ、ぬるりと……反撃、開始だっ!」
少年は白髪をなびかせて、サイクロプスの攻撃に真っ向から対峙した。振り下ろされる拳、
その向こうに太陽、それに向かってポケットの中の「アレ」を翳す!
「ガアァッ!?」
サイクロプスの目を、強烈な反射光が襲った。目が眩み視界を奪われ、体勢がグラつく。
その隙をついて少年はサイクロプスの脇を駆け抜け、背後に回り込んで、
「くたばれっっ!」
思いっきり、突き飛ばした。もともと拳を振り下ろそうとして前傾していたサイクロプス
は、視力がゼロなこともあって重心を保てず、またその体重と強靭な脚力も災いして
断崖の先端を踏み砕いてしまい……落下した。
恐ろしげな咆哮が響き、数秒後に豪快な水音。その後も咆哮は遠ざかりながら続いた。
さすがというか、大したケガもせず流されていったようだ。
……脱力してへたり込んだ少年には、その様を見届ける気力は残っていなかったが。
「ほらフィリー、そろそろ起きろ」
「……んむ……暖かくて気持ちいい……ここ、天国……?」
「ここに来た時の俺みたいなこと言ってるんじゃねえ。起きろってば」
少年は胸をはだけて、フィリーを引っ張り出した。襟首を掴んで、猫のように持つ。
「あれ、あんた……サイクロプスは?」
「何とか片付いた。こいつのおかげでな」
と言って少年は、先ほどの戦いを説明しながら、親指ほどの大きさのそれを
フィリーに見せた。裏表半分ずつ、黒と白に塗り分けられた四角いモノ。
「何なの、それ?」
「麻雀牌。俺の世界の、ゲームの駒さ。何かの拍子でポケットに入ってたんだろうが、
この「ハク」だったおかげで助かった。イーソーやキューピンだったらと思うと……」
という少年の説明を待っていたかのように、パチパチと拍手が聞こえてきた。
少年とフィリーがそちらを見ると、小さめのギターのような楽器を肩にかけ、
ゆったりとした服を纏った娘……いや青年か? 結い上げた水色の髪、柔らかな顔立ち、
優しげな表情、そして落ち着いた雰囲気の甘い声は、性別を惑わせてくれる。
とにかく、そんな人物が歩いてきた。
「お見事お見事。いやあ、ハラハラドキドキしましたよ」
「ロクサーヌっ!」
フィリーが突然飛び立ち、ロクサーヌとかいう人物の目の前で叫び散らした。
「一体、どーいうつもりよ! 確かにあんたの占い通り、異世界から男の子が降って
来たけど……あんたまさか、その後の展開まで予測してたんじゃないでしょうねっ!」
「いえいえ。私が占いで予測していたのは、尋常ならざる少年が現れる、ということだけ。
吟遊詩人としては放っておけないネタなので、あなたにも取材を手伝って貰おうと
思ったのです。というわけでフィリー、彼が元の世界へ帰る手助けをしてあげて下さい」
「何であたしがそんなことを」
「一週間前のチョコパフェ代。その三日前のイチゴケーキ代。その五日前の、」
「あ〜も〜、解ったわよっ!」
フィリーが、ぐるんと振り向く。
「どうせ、あんたには助けてもらった借りもあるしね。あんた、この世界のこと何にも
知らないんでしょ? いいわ、あたしが面倒見てあげる」
「そりゃ、ありがたいが。けど借りはチャラだぜ。俺だって助けて貰ったんだから」
と言いながら少年は、フィリーのスカートの裾についていた泥を払い落とした。
フィリーがサイクロプスに叩き落された時、ついた泥だ。
「……あんた、いい奴ね」
「日頃の行いが悪いのは確かだけどな。妖精を尻に敷いて天国と夢の話をするぐらいに」
「……前言撤回かも。ま、いいわ」
フィリーは、改めて少年の顔を見つめて訊ねた。
「そう言えばまだ聞いてなかったわね。あんた、名前は?」
「俺は……」
華奢な白髪の少年は、名乗った。
「赤木しげる、だ」
かくして。
神域の少年は吟遊詩人と妖精に導かれ、剣と魔法の世界を旅することとなったのである。
ロクサーヌ曰く、目指すは最果ての地イルム・ザーン。そこに行けば、元の世界に帰る
手がかりがあるらしい……
恥ずかしながら、これが以前お話ししたものです。アニメ版の彼、良かったですねぇ。
各種関連スレでいろんな妄想を書かせて頂いております。反省を活かして名無しですが。
で舞台は『エターナルメロディ』。普通の男の子がいきなりハーレム状態に投げ込まれる
っていうのを描きたいなら、こういう風に異世界に飛ばされるのが一番簡単で自然で、
感情移入もし易いと思うんです。が漫画・アニメはともかくギャルゲでは(多分エロゲも)
ヘンに希少。ナゼなんだろう……?
>>ハイデッカさん
高すぎる士気すなわち油断、か。さすが慶次、説得力ある……と思ってたら言いくるめの
為の詭弁ですかぃ。戦略の優劣よりジャンヌの精神状態を気遣う辺りも、さすがというか
彼らしい。でもその精神も長い時間・話数をかけてじわじわ変質してきてますね。危うい。
>>見てた人さん
もうクライマックスは越えた、と思ったら今が謎の最深部? 原作(かまいたち)の各種
皆殺しEDを彷彿とさせる今回でしたが……もう、オカルト路線に行く以外展開の予想が
できませぬ。いろんな死体を見てきましたが、笑顔の手首切り死体って一際エグかった……
>>邪神? さん(アニメ版のバット曰く、『カッコ良すぎるんだよおおぉぉっ!』)
無論私としてはスペックを気遣うヒロインが男性であることになんら異存はなく。つーか
素直に萌え、じゃない燃えました漢気に。アインの最期を思い出します。ユダとスペック、
強敵と書いて「とも」と読む。いつか、二人並んで元気に戦ってくれ……ますよねっっ?
>>サマサさん
こういう展開でプリムラとキラをガッチリ結びつけてるのに心から感服。これだけの大所帯
だと、クロスオーバーと言いつつもつい「併立」しそうですけどちゃんと「混在」してる。
でUSDマンみたいな役者も忘れずに配備して。ノリだけじゃない確かな技術、見事です!
>>全力全開さん
ドラ世界のドラ時代の成り立ちに関わる話とはまた、濃くなりそう。本来ただの家電製品、
子守りロボ(しかも不良品)のドラとしては内心緊張なんかしてるのかも。そういえば、
あやとり・射撃と並ぶのび太の第三の特技が寝つきでした。早々といいコンビしてますな。
>>106 >>110 また新たにバキスレの柱が増えそうで、ありがたく嬉しく。お待ちしてますぞっ。
>>137 何だか上品な感じの女性ボーカルで♪戦うため 生まれた トランスフォーマー……♪
って記憶。もしかしてこれ、元祖・初代のコンボイたち?
>>God Region Melody
すみません、あと二回だけお許しを。その二回は、今回よりは彼らしさを描けてると
思いますのでっっ。
146 :
作者の都合により名無しです:2006/05/11(木) 05:57:21 ID:uBsI9AZy0
むう、まったく読んだ時に設定がわからなかったが
まさか最後に赤木が出るとは。
全部知らん漫画のキャラで埋められるかと思っていた。
赤木(じゃなくてアカギか)好きなんで期待してます。
147 :
三十七話「降り注ぐ悪夢」:2006/05/11(木) 15:17:32 ID:bD/HVKFZ0
廊下を走り抜けるユダ、スペックの流す血で真っ赤に染まりながらも
疾風の様に駆け抜けるその姿は、紅鶴の名に相応しい姿であった、
血に濡れた真紅のマントで頭と胴体を完璧に固定し、
震動が伝わりにくいようにしている、本人は恐らく全力で走っている訳では無い、
だがそれに追いつく事が出来ないカイル達、死刑囚達は仲間であるスペックを心配してか、
ユダに続けて走っている。怪我は同レベルなのだが寝ていた事もあってか、
少しユダ達の方が身体の調子がいいようだ。一足先に部屋に辿り着いたユダが
スペックをベッドに寝かし、従者を呼びつける。
「今すぐ全員緊急医療配備につけ!」
ユダの一言で奥から看護婦の姿をした美女達が集団で現れる、
その後景に遅れて辿り着いた死刑囚達も驚愕していた。
部屋はユダの呼んだ美女によって埋め尽くされてしまったので、
止むを得ずユダの寝室へと移る事にした。
軽い雑談で暇を潰すロニと死刑囚、暗い空気も落ち着いて
来たが、カイルはスペックを心配してか沈黙を破れずにいる。
「ほぉ、騎士団に所属していたのに流派は我流ですか。」
「特定の型だけじゃ多種多様なモンスターに対応出来ないからな。」
柳と武術の話題で盛り上がっている、カイルは一人スペックの身を案じていたが、
リアラが居ない事に気付く、辺りを見回しても姿が見当たらないので探しに部屋を出るカイル。
しばらく廊下を歩くと、医療室の前に立つユダの姿が見えたのでリアラの居場所を尋ねてみる事にした。
「あ、あのー。」
苛ついているのかカイルを睨みつけるユダ、無言で踵を返し廊下を進む、
無視されて複雑な気分になるカイルの前でユダは足を止め口を開いた。
「ついて来い。」
何だか良く判らないが言われるままついて行くカイル、しばらく進むとユダが
廊下の壁を叩き始めた、石の壁がドア状に開く、一体幾つ隠し部屋を作ったのだろう?
「見せたい物がある、入れ。」
部屋の中には巨大な水晶体があった、そしてどこか見覚えがある形の物が。
ロニとラグナ遺跡へと探索に出たあの日見た直径、約六メートルの巨大水晶。
そしてリアラとの出会いを生んだカイルの冒険の序章、
巨大レンズ「神の眼」がそこにあった。
148 :
三十七話「降り注ぐ悪夢」:2006/05/11(木) 15:18:28 ID:bD/HVKFZ0
「これは・・・・神の眼?」
尊敬する偉大な英雄、父スタン・エルロンによって破壊された筈の巨大レンズが目の前に、
いや、破壊された物ではなくラグナ遺跡にあった物と同じく新しく発見された神の眼かもしれない。
「前に魔術師を使い、暗殺ターゲットに呪いを掛ける時、
この巨大な水晶がさっきの娘のペンダントと同じ輝きを放っていた。」
ユダの言い放つ言葉に身を硬直させるカイル、見抜かれた。
自分達がレンズの力を引き出せる事を、そしてその中でもリアラは別格な事を。
「フッ、予想は当たっていた様だな、この世界を知るため神についても学んだが
所持しているのが杖のみ、特殊なローブも用いず魔力を引き出し、戦力になる魔術師。
そんな人間がわずか十五そこらの小娘である筈は無い、貴様等の力の秘密はこの水晶だ。」
こちらの反応を見ただけで全ての答えを見抜かれてしまった、知略の星の名に恥じぬ
恐るべき洞察力。だが、確かに合っているが何のためにこんな質問をしたのだろうかと
疑問に思い、戸惑いながらもユダに尋ねてみる事にしたカイル。
「確かに俺達はレンズの力で術を使ったりしてますけど・・・。」
「そうか!やはりな・・・。」
その質問の続きがカイルの口から漏れる事は無かった、ユダが無視して話を進める。
「女を戦いの場に駆り出すならば何か長所がある筈だ、即ち貴様等の中で最も導術の扱いが上手い、もしくは
先程の回復術、資質のある者にしか使えない等の理由がある訳か?それとも水晶を扱うこと自体に資質が?」
少し悩ましげに腕を組みながら考えに耽りこむユダ、既に眼中からカイルはフェードアウトしている。
「あの・・・少しいいですか?」
確かに神の眼の様に危険な物は放っては置けない、情報は欲しいが、今はリアラを探しているのだ。
手早く聞く事を聴いたらリアラを探しにいかなければ、スペックを助けられなかった事に
責任を感じて落ち込んでいるかもしれない、だが相変わらず聞く耳持たずなユダ、
しかし聞くまでも無く、知りたい事の答えをユダ自ら話し出す。
「コイツを見た時に驚いていたがあの娘は同じ水晶体をペンダントにしていた、
水晶体自体は珍しくは無い、この大きさである事が脅威、つまり力は水晶の大きさに
比例するのだな。これ程の大きさを持つ魔術媒介ならば更に強力な医療術が使えないだろうか?」
その一言に大きく反応するカイル、何故気付かなかったのか。目の前に神の眼に匹敵する
レンズがあるのだ、リアラとロニの晶術の効果は数十倍以上に引き出される。
リアラのレイズデッドを身体の血液、壊死した細胞の復活へと当てはめ、
ロニのヒールで肉体の再生をレイズデッドをサポートする形で行えば。
149 :
三十七話「降り注ぐ悪夢」:2006/05/11(木) 15:19:41 ID:bD/HVKFZ0
「すまないがお前の質問は後で聞く、早速あの娘を・・・。」
ダッシュで扉を開け外へと飛び出すカイル、慌てて追いかけるユダだが
怪我を無視して走るカイルの本気のスピードには追いつけそうになかった。
「あの小僧・・・フン、ドイル達が腑抜けたのかと思っていたがな。」
微笑するユダはふと思う、昔の自分がこんな笑いが出来ただろうか、
アサシンギルドを出たスペックと出会い、戦った。それだけで
前の様に自分が薄汚い笑いを浮かべる事が無くなるとは。
カイルは恐らくリアラを追ったのだろう、その証拠に
自室と逆方向へと走っていった、つまり誰か部屋を出ている。
ロニもカイルもスペックに近づいた時の反応で性格は把握している。
直情的なカイル、ふざけている様で冷静なロニ、
何の考えも無く突進して来たカイルに対して、
ロニは術を中断し構えをとってから攻撃を仕掛けた。
理由も無く単独での行動は起こさないだろう。
そして何より、カイルのリアラを見る目に見覚えがあった。
妖星が遠い昔、義星を追った時のようにカイルも追っているのだ。
「期を逃すなよ、そして何より見誤るな・・・この俺の様にな。」
どんな敵をも欺く知略を持つ頭脳であっても、
レイの美しさを決して認めようとはしなかった。
だが心では認めていたのだ、それ故に拒んだ。
過去の思い出に浸っている最中、自室の扉の前へと着いた。
リアラをカイルに任せ、先にロニに事情を説明する事にした。
「リアラ、どこだ!」
十字路の中心へと辿り着くカイル、目へと全神経を集中させ、
真っ暗な廊下を見渡す、正面の入り口に桃色の服を身に纏った少女の姿が。
間違いなくリアラだ、小さな体に秘められた超人的な能力で駆け抜ける。
「リアラ!神の眼があった!それを使えばスペックも何とかなる!」
やはりカイルの予想通り、振り向いたリアラの瞳に涙が見えた。
スペックを助けられなかった事に無力感を覚えていたのであろう、
だがカイルの一言に驚愕すると共に希望の光を見たかのような
表情を見せるリアラ、だが彼女とレンズの関係からやはり神の眼の
存在には疑問を抱いているようだ。
150 :
三十七話「降り注ぐ悪夢」:2006/05/11(木) 15:20:15 ID:bD/HVKFZ0
「そんな・・・神の眼がもう一つ存在してたの?」
あの大きさのレンズがそんなに残っている筈は無い、
レンズとは天地戦争以前に地上に墜落した彗星の核から
抽出されたエネルギー結晶を一定の規格に従って整形した物である。
魔物とは天地戦争によって散らばったレンズを体内に取り込んだ動植物、
時には無機物までモンスター化させる事のある強力なエネルギーの塊である。
スタンが破壊した神の目、ラグナ遺跡の巨大レンズ、そしてリアラの知る限り
残りは1つしかない筈である、まだカイル達には伝えてはいないが。
「リアラ!急いでスペックを治しに行こう!」
神の眼の存在に戸惑いながらもカイルに手を引かれ再びギルドへと足を踏み入れる。
その時、カイルの足元に迫り来る影が見えた、リアラをアサシンギルド
内部へと進ませ、バックステップで影のある場所から離れるカイル。
直後、影の場所に粉塵が巻き上がり影の本体が地面へと降り立った。
それは不気味な目を持つ大剣を持ち、奇怪な右腕を掲げ、
そして闇の様に黒く、雄雄しい西洋鎧に身を包んでいた。
その姿を見た者は彼をどう形容するだろうか、悪魔?死神?
いや、その余りにも醜悪な瘴気は見る者を夢に誘うだろう。
「死よ・・・闇よ・・・我に力を!」
死という永遠の[悪夢]への道を開く者、ナイトメア。
男が落ちてきた衝撃で岩盤が崩れ始める、正門の付近は
崖だったのを忘れていた、ギルドの門が岩石によって閉ざされる。
「カイル!返事をしてカイル!」
岩に縋る様にしてカイルを呼ぶリアラ、間違いない。
あの嵐の時に感じた二つの邪剣の内の一つを持っている、
イヴィルスパームの元凶、この世に破滅を齎す邪剣の所持者。
かなり硬い岩だが上位の晶術を何度か唱えれば破壊できるかもしれない、
しかしそれではあの男にカイルが殺されてしまう、スペックの使った
隠し扉を開け放ち、ユダの部屋へと向かって走るリアラ。
全力で走る、幾度もカイルに助けられ、そして自分の望む
英雄として目覚めようとしている一粒の希望が絶たれる前に。
「カイル・・・頑張って。」
151 :
邪神?:2006/05/11(木) 15:21:56 ID:bD/HVKFZ0
またもゲームキャラですが「ソウルキャリバー」から参戦、ナイトメア。
2では良く使ってましたが3で使い勝手が悪くなったのでジークに乗り換え。
えぇ、知ってますよ、誰もこんな話して欲しいなんて思ってないのは。
それでは講座の方に移ろうと思いますが94氏の言う通り、
テイルズに限らずやはり別ゲーも数多く出てくるので講座で出していきます。
但し晶術は大抵このSSで出す予定ですので講座は行いません、もちろん奥義も。
表現力不足でどんな術だか判らなかったらすいません・・・w
出さないと思いますがオリジナル奥義、術に限っては講座を行うかも。
良く考えるとリオレウスは講座で紹介したのにディアしてないな・・・。
キャラについては前に投下した勢力図に追加等してるので、
溜まったら再び詳細を投下します。なんだかgdgdですが
説明が必要っぽい知識は出していきます。
自分では気付かないかもしれないので、
疑問があったらどんどんツッコミを入れてください。
〜その他も扱うロマサガ講座〜
レンズ 文字どおりレンズの形をした人工物質。人間の精神力を増幅する事ができる。
天地戦争以前に地上に墜落した彗星の核から抽出されたエネルギー結晶を一定の規格に従って整形したものを
レンズと呼ぶ。レンズには整形された大きさによって6cm級、1m級、6m級の3種類が存在する。
通常、レンズという表現を使う場合は汎用の6cmレンズのことを指す。同様に6m級は神の眼、
1m級は大レンズと呼ばれる。レンズの元となったエネルギー結晶には、光の力が宿っており、
これを『晶力』と呼んだ。また、後にソーディアンが開発されるようになり、晶力を操る技術が確立するころには、
力を引き出して使う技を表わす言葉として『晶術』という表現も生まれた。
神の眼 テイルズオブデスティニーに登場する巨大レンズ。その名の通り神の体の一部ではないかと
思われるほどの強力な晶力を生み出す事が出来る、原作ではソーディアンを犠牲に破壊されたが、
デスティニー2で新たな神の眼が発見され、それをきっかけに物語が展開する。
152 :
邪神?:2006/05/11(木) 16:00:12 ID:bD/HVKFZ0
〜なんだか後書きが長ったるくなった為ページ追加な感謝の場〜
ふら〜り氏 赤木・・・アニメ最終回見損ねたorz そして北斗アニメはOVAしかorz
有名な「切れろ切れろ切れろぉ〜〜〜!」を聴いてみたいですねぇw
ユダと死刑囚チームで組ませるかどうか考慮中、ロマサガ3は6人だったし行けるかな?
赤木は麻雀知らないのに何故か面白かったなぁ、リアルで、他スレで頑張りながらの作業。
そしてスレの職人の心をヒートさせる激励、パーフェクト超人ですな。
サマサ氏 >>チェーンソーで死ぬ神様並に情けないですな。
中々に通ですなw サガシリーズのボスはみんな能力が狂ってるけど
システムがそれ以上に狂っているので妙な戦法でラスボスも余裕になりますねw
クイックタイム連発でもう駄目押しw そして種は見てたけど種死は見てない俺ガイル。
全力全開氏 確かにチーム戦は複数人数の動きを妄想するので面倒ですねぇ。
カイルやらロニの特技→奥義はどう書いたら上手く伝わるか一応考えたり。
上手く伝わってるかどうか判りませんがw
100氏 死刑囚、生きるか死ぬかは考え中ですが三途の川は渡ってもらいますw
106氏 俺からゲームを取ったら骸が一つ残るだけ、故にSSにも干渉してしまった。
申し訳ない、ドラVSジョジョですか、ジョジョのコミック多すぎて買う気が・・・
面白いんだけどなぁ。
112氏 あれぇぇぇ、PS3のあのダサいコントローラーが普通に・・・。
それはともかく、こういう情報はありがたいんだけどスレ違いになる様な。
あ、俺のSSが既にスレ違(ry
今回またゲームキャラ増えたし。
お疲れ様です。
俺は格ゲーについては、メジャーな2D物を除けば、ボンボン版餓狼伝説(ゲームではないがw)ぐらいしか知りませんが、
ナイトメアについてググってみたら、随分格好良い鎧の暗黒騎士様が出てきたんで、これからの展開が楽しみです。
あと登場シーンの
>それは不気味な目を持つ大剣を持ち、奇怪な右腕を掲げ、 そして闇の様に黒く、
という表現を読んだ時、クジンシーが出てきたのかと思いました。あっちも妖気をまとった様な成りをしてますし、
目とかがついた剣を持ってますし。エスタミルに行ったという伏線も、ここで活かされる?とか想像してみたり。
また、話は変わりますが、
>そして何より、カイルのリアラを見る目に見覚えがあった。
>妖星が遠い昔、義星を追った時のようにカイルも追っているのだ。
やっぱりユダはフォモってのがファンの中で公式かって思えてきましたwww
154 :
戦闘神話:2006/05/11(木) 17:33:11 ID:XtYALgAW0
第一回
part.1
地中海沿岸、避暑地として有名なその海岸沿いにある潮風の香る館群は、持ち主たちだけでなく、
訪れる観光客たちにも人気がある。世界的に旅好きで有名な日本人専門のガイドまで出没するあたり、
その人気の程がわかるだろう。
その館群の中でも、とくに年代を感じさせる館がある。
汐の館と呼ばれる館は、欧州にその名を響かせる海商王一族、ソロ家の館であり、
同時に、錬金術師協会の欧州本部としての顔をもっている。
隻腕のエドワード・エルリックは、錬金術師協会本部の威圧的な会議室にいた。
会議室にいるのは、エドワード・エルリックを含めてわずかに三人だけであり、
十三人がけの円卓の盟主の位置に座す、まだ青年というべき年頃の男と、
その男の脇に控える涼やかな雰囲気をもった青年だった。
エドワード・エルリックがその彼から受ける威圧・プレッシャーは、
一国の主からでもこれほどのものは無いだろうというものだった、
言うなれば、神話の神のようそれである。
藍色のスーツを貴公子然と着こなし、海原を思わせる青黒い髪、彫りの深い顔立ち、
伸ばしだしたばかりなのか、薄く口髭が生えているが、それは端正な彼の顔立ちに野性味を加えていた。
座っているから分かりづらいが、恐ろしく長身だ。190pはあるだろう。
身長に強いコンプレックスを持つエドワード・エルリックには、あまり嬉しくない事実なのだが。
155 :
戦闘神話:2006/05/11(木) 17:33:46 ID:XtYALgAW0
「エドワード・エルリック
君を錬金術師として認めよう」
エドワード・エルリックの挑むような目線を、そよ風ほどにも感じていないのだろう、
天上から見下ろす神の如き重厚な響きで、男はそう、言い放った。
これでようやく、エドワード・エルリックはスタートラインに立つことが出来た。
あの時、この体を引き替えに弟を呼び戻したとき、エドワードは再びこの世界に来た。
錬金術師たちが真理の扉と呼んでいた世界は、錬成エネルギーを汲み出していた世界は、
詰まるところ並行世界の一つだったのである。
その世界へと来てしまったエドワードに、諦めるなどという言葉はなかった。
再び弟に会わなければならない、帰りを待つ人間があちらには居る。
それだけで不撓不屈の魂を燃やすには十分だ。
機械じかけの義手義足のリハビリに比べれば、この程度屁でもない。
そう、火のついた力強い目をもっているのが、エドワード・エルリックという少年だ。
「我がソロ家は、私ジュリアン・ソロは。
全力をあげて君をバックアップしよう」
156 :
戦闘神話:2006/05/11(木) 17:35:40 ID:XtYALgAW0
大航海時代。列強諸国の海運全てに関わり、莫大な財を築いたソロ家は、
その命脈を潰えようとしていた錬金術師協会のパトロンとなった。
ソロ家は、海皇の絶対の守りと子孫繁栄とを引き替えに、
末代に至るまで、その血肉の魂の一片たりとも余さず海皇に捧げている。
無論、現在のソロ家の総帥たるジュリアンも例外ではなく、
事実、現在の彼は海皇そのものと言っていい状態にある。
かつてのソロ家の総帥が錬金術師たちを保護したのは、もちろん目論見あってのことだ。
錬金術の祖は、ふたつの流派による。
アトランティスと、ムーの流派である。
アテナの聖闘士七人によって消滅した、海皇ポセイドンの大陸城塞宮殿アトランティス。
ギガントマキアによって消滅したムー大陸。
両者とも、ごく一部の知識層のみが生き残り、ムー大陸の錬金術師団は世界の秘境・チベット奥地に潜み。
アトランティスの錬金術師団はエジプトへと渡り、今日知られる原始の科学となった。
次なるアテナとの戦いに備えとして、錬金術師達を保護したのである。
だが、その試みもうまくいったとは言い難い。
この度の復活は、ジェミニのカノンによって偶発的に引き起こされたため、
ポセイドンの構想していた戦略戦術の一切合財は無に帰した。
その上、本拠地たる海界と居城たる海底神殿、さらには海将軍と彼らの鱗衣すらも失い、
手足をもがれたに等しい状態である。
だが、それでも海神の皇(わだつみのすめらぎ)は諦めはしない。
三叉矛はいまだ折れず、鱗衣は砕けず、己はまだ、存在しているのだから。
ジュリアン・ソロの肉体を十七年かけて改造してきたのだ。
現在の彼の戦力は、彼自身を除外すれば、最後の海将軍・海魔女セイレーンのソレントのみである。
だからこそ、形振りかまわないことにしたのだ。
かつて、海皇を打ち倒したあの少年たちのように。
みなさまお久しぶりです
銀杏丸です
ところで冷凍したアジの開きってぶっすり刺さりますから
お店の人に袋つめしてもらったほうがいいですよ
聖矢キャラ以外にもいろいろ出てくるクロスオーバーを予定してます
気長にやりますので、では、またお会いしましょう
>>137 来年実写版が公開されるそうですな、TF
実にすばらしい
聖矢のOPをよくぞここまで…
中国か香港の方だと思いますが、すごい人もいるものですな
ドラえもんとTFのクロスオーバーをやろうとしてたのはここだけの秘密w
159 :
作者の都合により名無しです:2006/05/11(木) 20:13:12 ID:wY1knTmh0
銀杏丸さんお久しぶりです!
仕事の方は如何ですか?慣れましたか?
前回の短編連作が好きだったので、今回も期待してしまいます。
ハガレンと星矢のクロスオーバーですか。しかも長編連載ですね?
楽しみですー
第16話 矢神
会場は歓声に埋め尽くされていた。
選手入場のアナウンスと音楽が流れ始める。
観客達の目はリングに向けられていた。プロレスはショー。
そうだとわかっていても思わず見たくなってしまうような要素が格闘技の試合にはある。
そして・・・今一人の男がリング上に立っていた。緊張しているのかそわそわしている。
セコンドが彼に水を渡した。男は少し口に水を含むとコップをセコンドに返した。
「大丈夫。君なら上手くやれるさ。」
セコンドが男に声をかけた。気楽にいけと軽くポンと背中を叩く。
対戦相手の名がアナウンスされた。有名なレスラーらしく場内から相手選手の名前が連呼されている。
男は思った。
(ヤバァァイ。天満ちゃんと同じ試合を見たい。唯それだけだったのにぃ!)
対戦相手がリングにあがった。
男は体中に汗が浮き出るのを覚えた。相手が強敵である事を体が察知した証拠である。
(ええい、ままよ!)
今、ゴングが鳴ったーーー
男がリングに上がる一週間程前ーーーーー
東京都 矢神高校にて。
制服を着た高校生達が校庭に集まっていた。新学年の一学期が今日から始まるのだ。
掲示板に新クラスが発表されているので生徒達は皆自分のクラスを探している。
その中に身長が一際目立つ男がいた。
播磨拳児 16歳。身長180CM。日焼けした顔に顎鬚を生やしサングラスをかけている。
(さぁどこかな。)
掲示板を覗き込むように自分の名前を探すも見つからない。何より人が多い為大柄な彼でも
背伸びしなくてはいけない。
2−Aから2−Dまで一通り探した彼は途方に暮れた。無いのだ。
自分の名前がどこにもない。学校側の何らかのミスか。
「おー播磨。お前こんな所で何してるんだ?お前留年だろ?」
偶然近くを通りかかった男が播磨に話しかけた。
その言葉を聴いて播磨は凍り付いた。留年。忘れていた。自分は成績不振で留年扱いだったのだ。
「先生・・ちょっと職員室へ。」
「ああ。いいぞ。」
その頃 矢神高校 2−Cの教室にてーー
「ハーッ!新学期だっー!」
小柄な女の子が陽気な声をあげていた。身長は160CM前後だろうか。
椅子に座って大きく伸びをしている。彼女の周りには友人らしき女子生徒達が座っていた。
「ねー天満、最近いい事あった?」
金髪の女の子が彼女に声をかけた。どうやら小柄な子の名前は天満と言うらしい。
「あったけど・・・・今は秘密ね。」
「ふふ・・・天満が秘密って・・・ちょっぴり大人っぽくなったわね。」
今度は彼女の隣にいた黒髪の身長が高い女の子が話しかけた。
「えー誰にだって秘密ぐらいあるでしょう。」
「天満・・・ちょっとトイレに付き合ってくれない?」
ショートヘアの女の子が天満に話しかけた。
数十秒後、二人は女子トイレの中にいた。
「やっぱりね。あなたアレを経験しているのね。」
「うん・・・・人間誰でも恋はするもんだけれど・・・こう・・・熱くなるよね。」
そして・・・二人の会話を何気なく聞いている人間がトイレのドアの近くに二人いた。
「何か・・・あるわよね。」
「うんうん・・・天満だからね。」
人の話し声やら足音やらが絶えない廊下で二人の女子がトイレのドアに耳を寄せていた。
「「へぶっ!」」
二人の顔面にドアが当たった。
中から天満が勢い良く開けたのだ。完全に不意を突かれた二人は尻餅を付いた。
「さッ!授業が始まっちゃうよ!」
天満は早足で教室へと向かっていった。
「沢近・・・大丈夫か?」
「ええ・・・周防こそ大丈夫?あの子の事だから狙ってはないだろうけど・・探り甲斐があるわね。」
金髪の子がニヤリと好奇心に満ちた笑みを浮かべた。
「周防!授業に遅れるぞ!」
突然、二人の後ろから太い声が聞こえた。
周防と呼ばれた女の子が後ろを振向くと、そこには彼女のクラスの学級委員、花井春樹が立っていた。
眼鏡をかけているマジメ系で熱い男である。
「今年は・・・面白くなりそうね。」
沢近は自分が口元に笑みを浮かべているのに気付いていなかった。
その日の昼飯時 陣代高校にて。
千鳥かなめは学校の廊下を歩いていた。
丁度昼飯時に生徒会室に呼び出されたのだ。
取り止めの無い事を考えながら廊下を歩き、彼女は生徒会室の前に立った。
「失礼します。」
扉をガラリと空け前に軽く会釈する。
机に座っていた陣代高校生徒会長、林水アツノブは「やあ。」と軽くかなめに声をかけた。
部屋の中には林水の他に相良宗介と美樹原蓮がいた。
「林水さん、何でしょうか?」
「うむ。今度矢神高校と交流を図る事になった。そこでだ。君に相良君と共に矢神高校にミーティングに出かけて欲しい。」
「わかりました。」
かなめは軽く礼をすると相良宗介と共に生徒会室から出た。
彼女は考えた。交流と言っても何をするんだ。矢神高校は陣代高校の隣町にある学校である。
両校とも同じ東京都の区の中にあるので運動部の大会やら何やらで顔を合わせる事はある。
今の所企画やら何やらは無いはずだが・・・林水が言うのだ。
「ソースケ・・・・・私嫌な予感がするんだけど。」
「何だ?まさか組織の陰謀か?大変だ。ただちに特定を・・」
「わーッ!そういうのじゃなくて色々と面倒な事になりそうって事よ。」
「つまり“やられる前にやれ”という事か。実に正しい選択だ。」
かなめは呆れ果てた。いい加減ソースケの戦争ボケにも慣れたがここまで真剣に妄想するとは。
「だから・・多分ミーティングで色々話すんだと思うの。ルールやら何やら。高校生が暮らしやすい様にでしょうね。」
「街中での発砲を許可するかどうかか。日本の警察は一々発砲するのに許可がいると聞いたが・・・」
宗介が言い終わらない内に彼の頭にパシーンという音が響いた。毎度お馴染みの千鳥かなめによるツッコミである。
「あんたねぇ・・・・・普通に考えなさい!一般人の立場になったつもりで!」
「むう・・・・そうか。つまり市民の生活の為のルールなのか。未成年者に関するルールも含まれるかもな。飲酒はすべきではないからな。」
「そんな所だと思うけどね。」
二人の若者の姿はまるで息の合ったカップルのようであった。
キャラ紹介
塚本天満(スクールランブル) 矢神高校二年生。小柄で天然系の明るい性格を持つ
女の子。とある人物に恋心を抱いている。
沢近愛理(同上) 天満の同級生。 イギリス人と日本人とのハーフ。富豪の妾の娘であり
基本的に豪邸に執事やメイド達と暮らしている。父は多忙であるが故にたまにしか
家に帰ってこない。母親は京都に住んでいる。
播磨拳児(同上)天満の同級生。とある人物に猛烈な恋心を抱いている。
喧嘩っ早い性格だったが恋をしてからはまともな性格になった。
周防美琴(同上)天満の同級生。Dカップの持ち主。明るい性格で姉御肌タイプ。
高野晶(同上) 天満の同級生。謎が多い。何故か海外に唐突に出かけたりしている。
電子機器に詳しく、パソコン関係はお手の物である。
花井春樹(同上)天満の同級生であり周防美琴の幼馴染である。クラスの仕切り役であり
彼の実力はクラス全員が認める程である。天満の妹、塚本八雲に一目惚れした。
林水アツノブ(フルメタル=パニック!) 陣代高校生徒会長。現在、高校三年生。
外国人が住むアパートで一人暮らししている。生計は株。父親は政治家である。
正直結構悩みました。スクラングループとフルメタグループをどう絡ませていくか
を中盤の見せ所にしたいので・・・・・。これからもよろしくお願いします。
第16話終了しました。ではでは。
166 :
作者の都合により名無しです:2006/05/11(木) 23:37:27 ID:uBsI9AZy0
>邪神さん
あれ?死刑囚って全滅したと勘違いしてたけど生きてるw良かった良かった。
神の目、懐かしいな。テイルズとロマサガを融合させるのは難しいけど頑張って。
>銀杏丸さん(いちょうまるさんと思っていたがどうやらぎんなんまるさんらしいw)
お久しぶりです!前回の黄金たちの物語がお気に入りだったので復活嬉しいです。
今度は鋼の錬金術師メインですか。まだどんな話か分かりませんが、本当に期待してます。
>フルメタさん
うは、スクランが出たwある意味餓狼伝とベクトルがまったく真逆な作品ですねw
でもびんちゃんが出てる作品だからなあ。あの原作のほのぼの感がどう出るか楽しみです。
・戦闘神話
銀杏丸さんお久しぶりです。新連載おめ。
氏の得意な星矢ワールドにエルリックがいるのか、
それともエルリックの世界にセイントキャラが分かりませんが期待度大です。
ドラえもんもみたかったなw
・フルメタルウルブス!
スクールランブルには少し驚いた。
ま、びんちょうたんが出たときにはかなわないけど。
でもどうやって絡ませていくんだこいつらを。
好きな作品なので楽しいけど想像つかんw
last scene 日常への帰還
(生きている)
(俺はまだ――生きている)
接着剤を塗り付けられたように重い瞼を、ゆっくりと開く。
誇張でなく、全力を振り絞って、カイジはベッドから起き上がった。
頭がズキズキと痛んでいるのは、薬品で無理矢理眠らされたせいだろうか。
(ここは……?)
こめかみを押さえながら、周囲に視線を這わせる。
これと言って特徴のない、小奇麗な部屋だった。
タグの付いたルームキーが、ベッドサイドに置かれている。
大きな窓からは、青い空と白い雲が見えた。
どうやらここは、ホテルの一室らしい。カイジは立ち上がり、窓へと歩く。
張り付くようにして窓に顔を寄せる。カイジの目に、見慣れた町並みが飛び込んで来た。遠くには、東京タワーも見える。
(帰って来たのか……東京へ)
まだ、帰って来たという実感が沸かない。目を閉じれば、未だ暗闇の中に数多の雪が踊っている。
出入り口と思わしきドアの前には、鈍い光を放つ銀色のスーツケースが、これみよがしに立て掛けられていた。
取っ手を持って引き寄せ、開けてみると、中には札束がぎっしりと隙間なく詰まっていた。
実際に、札束を手に取り、中身を確認してみる。
短時間で用意させた身代金のように、一番上の一枚だけが本物で後は新聞紙――などと云う事は勿論なかった。
スーツケースに詰められたすべて、正真正銘の万札である。
「これが、優勝賞金……なんだろうな」
それは、カイジが殺人ゲームに勝利した、確かな証だった。
カイジはついに、庶民から見れば目も眩む額の大金――現金一億円――を手中に収めたのだ。
しかし、シュプールで過ごした悪夢のような三日間を思えば、とても賞金獲得を喜ぶ気にはなれなかった。
それどころか逆に、底なし沼に嵌ってしまったかのように、気分は沈む一方だった。
(結局、犯人と生き残った探偵たちを殺害したと思われる“殺人者”についても、何者かわからないままだ)
その事実も、陰鬱な気分に、より一層の拍車をかける。
頭の中で、ゲームで生命を落とした探偵たちの画像が再生され始めた。
何気ない会話から、最期の姿まで。種々雑多な画像群が、スライドショーのように次々と浮かんでは消える。
もしも。この場に、天使でも悪魔でもいい、何かしら神がかった存在が現れて……
現金一億円と引き換えに、シュプールでの出来事を帳消しにしてやろうと持ちかけたなら。
カイジは迷うことなく、二つ返事で取引に応じただろう。それほどに、今回の一件はカイジに深い精神的打撃を負わせていた。
手にしていた札束を、ドアめがけて思い切り投げつける。
叩き付けられた衝撃で帯封が外れて、札は散り散りになって宙を舞った。
「うわああああああああああああ!」
気付けば、声の限り叫んでいた。瞳からは止め処なく涙が溢れる。
過酷な非日常から、平穏な日常へと帰還して……ずっと張り詰めていた何かが、切れた。
何故、叫んでいるのか……? (無力感……?)
何故、泣いているのか……? (罪悪感……?)
カイジ自身にも、意味を言葉にするなどできなかった。それでも、今はただ、感情の赴くままに任せた。
* * * * * *
カイジが帰還した翌日、夕方のニュース番組にて。
ショートへアの女性キャスターが抑揚のない声で、原稿用紙を読み上げていた。
「次のニュースです。
今朝未明、長野県白馬村のペンション『シュプール』が全焼しているのを
料理に使用する食材を届けに来た配達員が見つけ、警察に通報しました。
焼け跡からは、オーナーの小林二郎さんとみられる男性の焼死体が発見されました。
ペンション『シュプール』は、一年前に発生した銀行強盗バラバラ殺人事件以来
呪われたペンションなどと実しやかに噂されており、経営状態は悪化の一途を辿っていたと言う事です。
ホールに灯油を撒いた形跡があることなどから、大町署では借金を苦にした焼身自殺と見て、捜査を進めています」
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>75です。
何やら最終回のような雰囲気ですが、流石にこのままでは終われません。
次回より終章に入って、もう少しだけ続きます。
・物語進行度
すいません、もうそろそろ(おそらく後数回ほど)で終わりです。
・クラインの壺
言葉としては知っていますが、小説の方は知りません。
どんな展開なのやら気にかかります。
この名前を聞くと真っ先に思い出されるのが、逆転裁判の倉院の里……
172 :
作者の都合により名無しです:2006/05/12(金) 11:19:21 ID:9Midvx+I0
おお、カイジ優勝ですか。でもあと数回で終わってしまうのか。寂しい・・
しかしこっからまた驚愕の展開〜怒涛のラストを期待します。
非情になりきれないカイジが好き。
>銀杏丸氏
また連載してくれますか。お帰りなさい。鋼の錬金術師は知りませんけど、
前作で星矢ワールドを構築された実績があるんで楽しみです。長期連載希望。
>振るメタルウルブス作者氏
スクランですか。本当に予想が付かないところからキャラを引っ張ってきますねw
フルメタパニック&スクランと、餓狼伝&びんちょうタンチームに分かれるのかな?
>見てた人氏
ああ、もう終わりが近いですか。凄い好きな作品だったのでちょっと残念です。
でもまだ数回あるんで、まだ一波乱ありそうですね。カイジ、ちゃんと賞金出たのかw
第七十四話「君は僕に似ている」
キラはただ一人膝を抱えていた。
まるでどこまでも続く深い闇の中に堕ちてしまったかのようだ。
(僕は・・・人工生命体・・・)
ヒトとは違う自分が、怖くてたまらない。
(僕は・・・どうすればいいんだ・・・)
いつかは全てから疎まれて。異端だと蔑まれて。自分もまた全てに絶望していくのか。
―――クルーゼと同じように。
<私の元へ来い、キラ。私だけは、君を分かってやれる>
<私と君はよく似ている―――まるで兄弟のようにな>
クルーゼの言葉が蘇る。それはまるで、鎖のようにキラの心を縛り付ける。
ふと、影が落ちた。誰かがキラの前に立っているのだ。
「キラ」
か細い少女の声。誰なのかすぐに思い当たった。
「プリムラ・・・」
顔を上げる。彼女はキラをじっと見ていた。
「泣いてた・・・?」
「・・・」
「どうして、泣いているの?」
詰問する口調ではなかったが、それはキラにとって重過ぎる問いかけだ。それでも重い口を何とか開いた。
「・・・怖いんだ」
そして一度溢れ出た言葉は止まらない。
「僕は―――怖いんだ!人ではない自分が!人から忌まれてしまうことが!僕を包む―――世界そのものが!」
涙さえ浮かべて、キラは叫んだ。
「僕もいつかきっと―――クルーゼのようになってしまう!それが・・・怖いんだ・・・!」
そんな彼を、プリムラはじっと見つめ、言った。
「・・・キラは、私と同じだね」
「え・・・?」
その言葉にキラは少々面食らった。
「同じ・・・?なんで?」
「私のことは聞いてるよね?人工生命体だって・・・」
「・・・うん」
プリムラは、キラの瞳を覗き込む。自分と同じ―――紫色の瞳を。
「私もキラやあのクルーゼと同じ―――造られた命。けれど、私は知ってる。ひとは嫌なところもあるけど―――
優しいところもたくさんあるって」
プリムラの言葉は、キラも分からないではない。醜いばかりが人ではない。しかし、それでも―――と、キラは思う。
「それでも―――僕は、怖いよ。自分が人ではないのが。人から嫌われてしまうことが―――君は、怖くないの?」
「私もこわかった。人でも神でも魔でもない自分が嫌だった。それで誰かに嫌われるかもしれないのがこわかった。
けど大丈夫。例え、世界中すべてのひとが私を嫌っても―――それでもきっとのび太やりんは、私を友達だって言って
くれるから。私はそう信じてる。ひとを、信じてる」
「・・・・・・プリムラ」
キラはプリムラを羨ましいと思った。彼女は―――全然僕と同じなんかじゃない。僕なんかより―――
よっぽど強い。
「君は―――強いよ。僕なんかと違う。僕は―――弱い」
「違う。私は、最初から強くなんてなかった。のび太が、りんが―――みんながいてくれたから、友達になってくれたから、
強くなれた。キラだって、これから強くなればいい」
「なれるかな―――強くなんて」
そんなキラの弱音を吹き飛ばすかのように、プリムラは優しく笑った。
「大丈夫・・・支えてくれるひとがいれば、キラはあのひとみたいにはならない。もっと、強くなれる」
「・・・・・・」
キラは答えない。プリムラも答えを強いることはなかった。ただもう一度だけ微笑んで、その場から立ち去った。
プリムラが去った後、キラは一人で佇み、プリムラの言葉を思い返す。
「・・・僕は―――強くなれるのかな・・・」
キラは呟く。そして―――突然背後から声をかけられた。
「キラ」
「アスラン・・・」
答えるかわりによっ、と手をあげるアスラン。
「悪いな。話は聞かせてもらったぞ」
「え・・・」
キラは思わず口ごもってしまう。アスランの顔を直視することさえできない。アスランは言った。
「人類は滅亡する!」
「そんなギャグを言うために出てきたの!?」
「いやいや、さすがにそれだけのために出てくるほどアホにはなってないぞ」
結局いつも通りのアスランであったが、妙に顔つきは真剣だった。
「キラ・・・お前、ちょっと後ろを向いてみろ」
「え・・・?こう?」
「そうだ。で、もうちょっと足を開け」
「う、うん・・・」
言われた通りにするキラ。そして背後に回ったアスランはおもむろにしゃがみ込み―――
「おらあっ!三年殺し!」
「うわあああああっ!?」
小学生がよくやる、ちょっと下品な悪戯を敢行した。
「な、なにするんだよアスラン!ひどいよ!」
「だが見ろ、元気が出たじゃないか!」
「いや、元気にっていうか・・・」
「キラ」
アスランは不敵に笑い、キラの肩に手を置く。
「お前がウジウジ悩んでることなんて、俺のカンチョー一発で吹き飛ぶようなちっぽけなもんなんだ。そんな小さいことに
振り回されてどうする?第一今さら人間じゃないだの何だのに悩んでたら、うちのメンバーの大半はウジウジしなくちゃ
ならなくなるぞ」
「・・・・・・けど、僕は・・・」
「やかましい!」
「うっ・・・」
怒鳴られて言葉に詰まるキラ。アスランはそれに構わず畳み掛ける。
「はっきりしない言葉で誤魔化すな!自分だけが被害者みたいな顔をするな!分かって欲しいならきっちりそれを伝えろ!
何をしたいのか、どうしたいのか、はっきり自分の意見を示せ!」
「・・・・・・」
キラは押し黙る。単なる慰めでは持ち得ない重さを、アスランの言葉に感じ取っていたのだ。
「・・・まあ、俺はお前じゃないから軽々しくそんなことを言っていいもんじゃないがな」
ふっと笑って、力強くアスランは語る。
「今のままじゃ弱いと言うのなら―――俺が、お前を支えてやる。俺が、お前を強くする。忘れるな―――
俺はいつでもお前と共にある。俺とお前は幼馴染で親友で―――相棒じゃないか!」
「・・・アスラン」
いつになく真剣なアスランの言葉に、キラは言葉を失う。
「俺だけじゃない。みんな、お前の力になりたいと思ってる。みんな、お前を友達だと思ってるんだからな―――お前には
家族はいなくても、友達ならたくさんいるんだ。それだけは忘れるなよ」
アスランはそう言って微笑んだ。キラはそんな彼を見て思う。
そうだ―――自分は何を迷っていたんだろう。僕にはいる。共に戦う仲間が。全てを受け止めてくれる友が。
クルーゼとは―――違うんだ。
「アスラン―――僕は―――」
キラは語る。己の思いを。それはただの言葉ではない。彼の誓いだった。
「僕は、強くなるよ―――強くなってみせる。誰かに勝つためじゃない―――自分自身に負けないために」
「―――ああ、もう。キラはあんなことになっちゃうし、アスランとプリムラはいなくなるし・・・もうグダグダだよ」
ドラえもんはそう言って嘆息するが、全員同意見だった。このまま放ってはおけない―――だがどうすればいいのか。
思考の袋小路に陥りかけたところで部屋のドアが開き、プリムラが姿を見せた。
「みんな、キラのことを話してたの?」
「ああ・・・けど、どうしたらいいのかな・・・」
稟が難しい顔で答えると、プリムラは笑った。
「大丈夫」
「え?」
「キラは、大丈夫―――キラだって、強いひとだもの」
その言葉には奇妙なまでの確信があった。何かあったのか―――そう聞こうとした時、ドアがまたしても開き、キラと
アスランが顔を覗かせた。
「アスラン・・・キラも!」
遠慮がちに声をかけると、キラは小さく、しかし確かに笑った。
「―――みんな、心配かけてごめん」
その声には、どこか吹っ切れた響きがあった。
「僕はもう、逃げたりしない。敵からも―――自分からも」
「キラ・・・」
先程までとは打って変わったキラの様子に、のび太は何があったのかとプリムラとアスランに目で問う。
プリムラはそっと笑って、アスランは自信満々で腕を組み、不敵に笑った。
結局よく分からなかったが、ただ一つだけ―――
キラが元気になってよかった。素直にそう思うのび太だった。
投下完了。前回は
>>115より。
仕事の方が結構忙しくなってきたせいで、身体がきつい・・・
>>全力さん
暴走ドラえもんは最強ですね。のび太とフラグが立った彼女の活躍に期待です。
赤青橙は、存在は示唆されていますが、本編には出ません。ほんのお遊びです。
「強力〜〜〜」は出す予定はないです。
>>130 友情キャラ・・・どうでしょうか。
>>131 大長編ドラの主役は、のび太よりはゲストキャラですしね。
>>137 なんかよく分かりませんが、かっこいい・・・
>>ふら〜りさん
アカギとギャルゲのコラボ・・・果たしてどうなる?何故か妖精の姿は福本絵で再生されてしまいました・・・
人工生命体関連のクロスオーバーは、割と初期から考えていました。
>>邪神?さん
ナイトメアは知りませんが、また強敵登場ですね。ここを打破するには最近全く出てない主役か?
神様、実は僕は初プレイでは正攻法で倒したんですよね・・・よく勝てたなw
クイックタイム連発はやりましたね。
アスランが原作と違って、好漢として描かれているなあ
しかし先にこれを読んでから、原作のアスランを知った人は軒並み幻滅するだろうな
>見てた人さん
優勝で大金が入っても悩むところがカイジの良い所であり甘い所だな。
もうすぐ終わりというのは辛いけど、この作品に相応しいラストをお願いします。
>サマサさん
やはり同類相憐れむ、って感じでしょうか。ちょっと違うかw
でも、同じ苦しみを持った人間?が近くにいるのは、少し心強いでしょうね。
182 :
キャラクター:2006/05/13(土) 11:36:00 ID:c2IidKpaO
高町なのは
聖祥小学校四年・左利き
性格:穏やかで優しい、誰にも好かれるタイプ。困った人を見ると放っておけない。自覚はないが正義の心に厚い。悩みがあっても自分だけでなんとかしようとする。恋愛にはとても疎い
魔法:魔法に関して天性のセンスあり。砲撃と防御が長所。機動は重く、小技はまだ得意でない。防御で耐え、砲撃で高町なのは
聖祥小学校四年・左利き。
理系教科は得意(いつも満点)だが文系は苦手。
(名門校なので基準自体は高い)
メカ好き。
性格:穏やかで優しい、誰にも好かれるタイプ。
困った人を見ると放っておけない。
自覚はないが正義の心に厚い。
恋愛にはとても疎い。
魔法:魔法に関して天性のセンスあり。
砲撃と防御が得意。機動は重く、小技はまだ得意でない。
防御で相手の攻撃を受けきり、一撃必殺の砲撃でしとめる戦術。 過去:父が用心棒の仕事で大怪我を負い、幼い頃はだいたい一人だった。
そのためか大人びたところがある。
「悪い人がいて、その人が正義の味方に倒されれば平和になり、みんなが笑顔になる。
そんな事態もあることはあるのだろうが、
現実のほとんどはそんな簡単なものではないということをなのはは理解している。」
小説版より引用
フェイト・テスタロッサ・ハラオウン
聖祥小学校四年・右利き
使い魔のアルフとは姉妹のように接している
性格:寡黙だが穏やかで優しい
魔法:なのはと同格の実力者。機動力に長け、なのはと対照的に接近戦が得意。
回避は得意だが防御が苦手。速攻で片付けようとするきらいあり。 雷系の技が多い。 過去:天才魔導工学者プレシア・テスタロッサが、愛娘アリシアを甦らせようと造ったアリシアのクローン。
そのことをプレシアに告げられ精神崩壊しかけるが、戦いの最中にも呼び掛けてくれたなのはの危機を救うため立ち直る。
184 :
キャラクター:2006/05/13(土) 12:22:40 ID:c2IidKpaO
八神はやて 聖祥小学校四年・右利き、料理が得意。関西出身。
夜天の書の負荷により下半身不随だったが、最近は随分と良くなった。
性格:優しく柔和、母性がある。
誕生日の零時、突然現れたヴォルケンリッターに最初は気絶したものの、その後は本物の家族のように扱っている。
魔法:遠隔・後方支援が得意な司令塔タイプ。自分より味方側の勝利を重視する。
過去:幼年期に両親を亡くし、一人暮らしだった。ヴォルケンリッターを家族同然に接しているのはそのためだろう。
そろそろだいたいメインは出たので、キャラクタ紹介です
早く相手側(あえて敵とは言いません)も書きたいところです
ふら〜りさん
このフラグは簡単にはなくしませんよ。
アカギは事情があって見られなかったんですが、この世界とどう合わせていくんでしょう
邪神?さん
こちらは前衛と後衛に分かれている分いくぶん過書きやすいんですけど、それでも文章力が…
銀杏丸さん
鋼ネタ(むしろキャラかも)はこちらも出す予定です。ヒントは今回紹介したキャラ(ちょうど同じ名前の子がいたはず)の父です
フルメタさん
こちらもスクラン一発ネタを予定しているところです。やはり同年代だと合わせやすいですね
見てた人さん
クラインの壺は、
主人公が書いたシナリオでバーチャルゲームを作ることになり、主人公はテストゲーマーになる。
殺人が起こるが、架空(ゲーム)と現実の見分けがつかなくなり…という話です。
一読をお薦めします。
もしかしたらカイジはまだあの館に… サマサさん
こちらの人工生命体はクローンなので、プリムラよりリコリスに近いです
もう一つ聞きますけれど、藍色の「サード」は出ます?一応紅の父の一人ですし、名前のもとですし
>184
厚顔無恥
>184→>185
>>185 いい加減、ウザがられてることに気づいてくれ・・・
189 :
作者の都合により名無しです:2006/05/13(土) 18:49:27 ID:KP9VSIMT0
俺は全力全快氏には期待しているよ。
ドラえもん好きだし、文章とかはまだまだだけど
魔法少女の設定とかは好き。
ただ、キャラの説明は本文の後にしてほしい。
長編カテゴリに移ってからとかなら、まとめの意味もあるけどな。
この段階でキャラ説明オンリーはちょっと行き過ぎかも。
190 :
作者の都合により名無しです:2006/05/13(土) 18:51:51 ID:KP9VSIMT0
あ、今見たらサイト25万ヒット超えてるね。おめ。
10月くらいに30万超えるかな?
いやならスルー汁。
おれなんかカマイタチのためだけにここにきてるし、皆イイ!!と思う作品が読みたくてきてるんだろ?
自分好み以外は総スルーでよくないか?
「この街は、旅の仲間集めには適してるわよ。一攫千金とか伝説の英雄になるとか、
そういうのに憧れてる冒険者がたくさんいるから」
「らしい、な」
買い物客で賑わう夕刻の商店街。その人波を見渡してみれば、いかにも百戦錬磨っぽい
重武装の戦士や、年季の入った厳かなローブ姿の魔法使い、相当な荒修行を積んできた
らしい強面の修道僧などなど。石を投げれば大魔王討伐隊に当たります、という風情だ。
平和な日本と日本人しかしらないアカギには、お目にかかったことのない光景、雰囲気。
一応フィリーの案内で、武器屋で剣を購入し腰に差してはみたものの、やはりまだ
アカギは、この世界に馴染んでいない。
「まるで獲物を前にした肉食獣の群れだな。これは」
「言い得て妙ね。実際、そんなものよ」
「……そしてその獣の中に、魚が一匹迷い込んでいるらしい」
と言ってアカギは、唐突に進路を九十度変更。狭く暗く人気のない路地に入っていった。
「ちょ、ちょっとアカギ?」
慌ててフィリーが後を追う。アカギはずんずん進んでいって、また唐突に止まった。
その視線の先、路地の奥には、一人の少女が店? を出していた。灰色の布を被せた机が
一つ、その奥に少女が座って、じっとしている。机の上には、何やら文字を書いた札が
何枚か置かれているようだが、アカギには読めない。
なのでアカギは、追いついてきたフィリーに振り返って聞いた。
「フィリー。あの子は何だ」
「何だ、ってあんたは何も解らずにこんな陰気臭いとこに来たの? ったく、何考えて
んのよ。あれはただの易者……げ。楊雲(ヤンユン)っ? こんなとこにいたんだ」
「楊雲ってのかあの子は。その『げ』はどういう意味だ」
フィリーはアカギを引っ張って少し後退、楊雲から距離を取った。
そして、楊雲に聞こえないよう注意して、ひそひそと囁く。
「楊雲はね、影の民っていう不吉な民族の娘なの。普通は一族郎党大人しく
里に籠ってるんだけど、彼女は今、掟で修行の旅をしてるとかで」
「ふーん。で、その影の民とやらは何がどう不吉なんだ?」
「人の不幸、特に『死期』をズバリ言い当てられるのよ。影の民の予知能力は、そこに
特化しててね。もちろん彼女の占いも、そうよ。彼女が並外れた魔力を有してるのも、
闇の領域に深く入り込んでる特殊な少数民族だからで……」
そこまで聞いて、アカギは歩き出した。楊雲に向かって。
「並外れた魔力、か。なら適任じゃないか。旅の仲間として」
「ちょちょちょちょっと、待ちなさいってば!」
フィリーの静止を無視して、アカギは楊雲の前に立った。
闇夜そのものを思わせる漆黒の長い髪、血が通っているのかどうか怪しいほど真っ白な肌。
薄暗い路地の奥にあっては、その暗さに溶け込んでしまいそうなほど、気配が希薄だ。
顔立ちが整っていることもあって、本気で人形のように思えてくる。
だが人形でない証拠に、楊雲はその小豆色の瞳でアカギを見上げた。
そうして視線が合ったところで、アカギが話しかける。
「悪いが、占いの客じゃない。あんたの力を貸して欲しいんだ。俺はアカギといって……」
アカギは事情を説明し、楊雲に旅の同行を求めた。
そのアカギの話がまだ終わらない内に、フィリーがアカギの耳元で慌てて囁く。
「待ちなさいってのにっ。言ったでしょ、この子は不吉なんだってば。一緒にいるだけ
で不幸が訪れるって噂だし、そもそもこの子がこんなとこにいるのも、表通りにいたら
いつ誰に石を投げられるか判らないからで、実際投げられてるの見たことあるし、」
「……ということですから、アカギさん。他を当たった方がよろしいでしょう」
ぽつりと零れた楊雲の言葉に、フィリーが凍りつく。
「き、聞こえてたの?」
「ええ。ですが、貴女の言っているのは全て事実ですから。お気になさらず」
「あ、あはははは。そ、そう? じゃ、そういうことで。ほらアカギ、行こっ」
とフィリーに袖を引っ張られても、アカギは動かない。楊雲をじっと見ている。
冷たささえも感じられない、無表情な楊雲の、深い深い瞳の奥を覗き込んでいる。
「……自分の身の上を嘆いてる訳でも、ヤケになってる訳でもないな。面白い」
「面白い? 私はただ、影の民としての運命を受け入れているだけです。アカギさん、
でしたね。フィリーの言う通り、私などを旅に同行させるのはやめた方が良いですよ」
「へえ。受け入れている、か。ますます面白い」
言いながらアカギは、腰の剣を抜き放った。薄暗い路地に、微かに差し込む夕陽を
受けた白刃が、眩しく煌く。
その刃に、アカギはそっと人差し指を当てた。そして、すうっと指を動かす。
音もなく、指の皮膚が切れた。微かに血が滲んでくる。それを見てアカギが笑った。
「ククク……フィリー、お前の見立ててくれたこの剣、よく斬れるな」
「な、何言ってるのよ、あんた。何する気?」
アカギは、机を挟んで目の前に座っている楊雲を見下ろして、言った。
「俺はさっき言った通り、旅の仲間を探してるんでな。あんたを試しがてら、
ちょっとした博打をさせてもらう」
「試すも何も、私を同行させるのはやめた方が良いと言ったはずですが」
「影の民だから、か? 関係ねえな。俺は元の世界に帰りくて、その為に仲間が欲しい。
その第一候補を試す。それだけだ。あんた、人の死期を予知できるそうだな……ククク」
アカギは軽く笑いながら剣を引いて構える。その「本気」を察した楊雲の顔から
血の気が消えて、慌てて腰を浮かした、と同時にアカギが突く!
ザグゥッッ!
刃が肉に食い込む、嫌な音が路地に響き渡って。
紅い血液が、白刃を染めながら一筋二筋、伝って流れる。
その滴り落ちる鮮血は、楊雲の机の上に、生臭く染み渡り広がっていった……
え〜と、アカギと女の子が、「女の子」が、絡んでる話を書いてみたくて見て貰いたくて、
その。もう少しだけおつき合いのほどをお願いしますっ。
>>邪神? さん
スペックをみんなが心配してる……ユダはスペックと戦ったことで改心できたって自分で
認めてる……嬉し過ぎまする。外伝さんや五さんとはまた違ったスペックの活躍というか
優遇、感謝です。カイルも心配だけどスペックの復活、戦列復帰のため、走れリアラっ!
>>銀杏丸さん
おお、お帰りなさいませっ。冥界編に続いて今度はポセイドン編ときましたか。星矢キャラ
は他に出て来れますかね? 錬金キャラとの共闘・衝突も楽しみ。TFはガンダムほどでは
ないにしろ、いろいろ出てますよねぇ。銀杏丸さんのコンボイたち、見てみたかったかも。
>>ウルフズさん
新章開始ですな。びん&餓狼(幼女&おっさん)から一転、宗介たちと同等の高校生たち
メイン。冒頭から察するに、やはり以前と同じく格闘主体なのか……できればまた敵組織
が出てきて、クルツたちミスリルの面々にも活躍してほしいとこですが。今後に期待です。
>>見てた人さん
ぅあ。連載開始時にも言いましたが、このままでは「極限推理コロシアム」オチ。何とか
救いが欲しいとこですが……難しそう。帝愛絡みでさんざん修羅場を潜ったカイジですが、
さすがに今回のゲームはかなり効いた様子。優しいから傷つき易い、そんな男ですもんね。
>>サマサさん(忙しいのは頼られてる証し。SSともども、休める時は休まれますように)
キラの幸せものっ。プリムラとアスラン……女の子と男の子から、それぞれにそれぞれの
形で励まされて。その二人を含めてその二人以外にも、自分を支えてくれる存在に気づか
されて。これで以前よりパワーUP! しないと、ヒーロー失格だぞ全く。次戦、魅せよ!
第九話「第一部完と言っておきながらいつまで経っても第二部が始まらないことは多い」
『――全国的にさわやかな陽気になる模様でございますが、五月といえば湿気も多いジメジメした季節。
「なんだよこれ、こんなジメジメしてんのに晴れって言えるのかよー」などと鬱な愚痴を私に向けないで下さいませ。
それでは結野アナのブラック星座占いでございます。今日ツイてない方は……』
早朝、場所は真選組屯所。
元が漫画である故に深いツッコミはご遠慮いただきたいが、仮にも江戸時代という設定の世界で、なんの違和感もなく男はテレビを見ていた。
その男、ゴリラのような暑苦しさを漂わせ、顎鬚をトレードマークとしているのは、真選組局長近藤勲。
真選組での地位は土方や沖田よりも上であるはずなのに、第一部ではストーカーやってて出番なしという汚名を付けられてしまった可哀想な男である。
『……乙女座のあなた。今日は人生の転機といいますか、何か劇的な改革が訪れる日です。
改革といっても悪い方向への改革で、いいことではないのでご注意を。特に顎鬚を蓄えている人、要注意です』
「……ピンポイントで俺じゃん。やだなぁ〜、朝からテンション下がるな〜」
近藤の星座は乙女座、先程紹介したとおり、もちろん顎鬚所有。
しかもこの番組、『結野アナのブラック星座占い』は良く当たると評判で、近藤は毎朝この番組を見るのが習慣だった。
まぁ以前はこの番組に「今日死ぬ」とまで言われたことのある近藤だ。これしきの占い結果ではへこたれない。のだが……
「――この腐れゴリラァァァァァ!!」
『結野アナのブラック星座占い』が終わるのとほぼ同時に、いきなり自室の障子が蹴破られた。
「ぐわばっ!?」
二枚の障子と共に吹っ飛ばされ、そのまま奥の襖も吹っ飛ばす近藤。
なんだ!? 敵襲か!? それとも総悟のいつもの悪ふざけか!? と思案を廻らす内に突然の来訪者は、
「……立てこのヤロー。三秒以内に立たないと頭ブチ抜く」
畳につっふす近藤に向かって、銃を構えていた。
「ま、松平のとっつァん!?」
朝っぱらから騒がしく近藤の寝室を襲撃したのは、近藤よりも年配に見えるグラサン銜えタバコのオヤジ。
名を松平片栗虎。真選組を統括する警察庁の長官であり、言ってしまえば近藤の大上司。
時には個性豊かな真選組メンバーの上をいく滅茶苦茶ぶりを見せるが、基本は幕府に忠実な仕事のできる男である……娘のために仕事を疎かにすることが多々あるが、そこを除けばなんとか。
その松平のとっつァんは、近藤に対してたいそうご立腹だった。
「い……」
「だァァァ! ちょっと待って! どうせ三秒とか言いつつ一秒カウントしただけで発砲するつもりだろうが! 立ちます! すぐ立ちますからその銃しまってェェ!!」
近藤が慌てて立ち上がると、松平は「ちっ」と舌打ちして銃を懐にしまった。やはり問答無用で発砲するつもりだったらしい。
「近藤(ゴリラ)よぉ……オジさんは何もやりたくてこんなことやってるんじゃねぇんだよ。朝っぱらから髭生やしたむさい男の部屋に侵入するなんて、若さと潤いの欠片もねぇ行為じゃねーか。娘にも嫌われちまうよ」
「じゃあ来んなよこんな朝っぱらから! 俺だって朝からおっさんのテンションには付き合いたくねーよ!!」
「そうさせるだけのことをやったんだろうが、お前らはよぉ。この期に及んで知らねぇじゃ済まさねーぞ……例の講談屋の件」
「あ……」
心当たりがあった。
講談屋の件――かの大手出版社講談屋が、テロリストのパトロンをしているという噂を掴んだ真選組は、先日隊を率いて討ち入りに入った。
しかしそれは誤解であり、講談屋はテロリストとはまったく関係ないということが判明した。
その件に関しては、情報元である監察の山崎が手痛い制裁を受け収拾済みである。
「……んな簡単に済むわけねぇだろ。てめぇらは一体何度真選組に泥を塗れば気が済むんだよ。あん?」
実際この件では、講談屋に多大な迷惑をかけたうえ、間違いで大手出版社を襲撃したという汚名にしかならない結果だけが残った。
さらに言うとこの真選組、実は民衆の評判はあまりよくない。
大義名分を盾に暴れまわる沖田や、いつも必要以上に町を破壊して事態収拾に努めようとする沖田、まぁ大半はやりすぎな沖田によって、イメージダウンの報道は日常茶飯事だった。
ここぞというところではちゃんと信用されるのだが、普段は冷ややかな視線を送られる。そんな武装警察が、真選組。
「いや、でもあれはトシと総悟と山崎が主立ってやったことで、俺は関与してない……」
「でもじゃねーよ。お前はあいつらの局長だろうが。下の不始末は自分でつける。それが責任ある上司ってもんだろうが」
松平は仕事と娘に対してはアツイ男だ。例えそこにどんな理由があろうとも、不始末は不始末。上の人間が片をつけるのは道理。
「そこでな、オジさんは考えた。もう真選組はダメだ。このままじゃあイメージ回復なんてままならねぇ。これは改革が必要だ」
「改革……」
結野アナの顔とさっきまで見ていた占いの結果が脳裏によぎる。そして同時に嫌な予感も。
「近藤、いいか? よーく聞けよ……」
所変わって、万事屋銀ちゃん。
そこにはいつものメンバーのいつもの風景があった。
「銀ちゃーん」
「んー? なんだ神楽?」
ソファに寝転がりながら『週刊少年チャンピオン』を読んでいるのが、万事屋紅一点の神楽。
向かいのソファで新聞を読んでいるのが、眼鏡のツッコミ役である志村新八。
そして万事屋の一番奥の机でコンビニのゼリーを喰らっているのが、大黒柱の坂田銀時。
「最近チャンピオンで『聖闘士星矢』が始まったけど、なんで元々ジャンプでやってた作品がチャンピオンでやってるアルか?」
「それはな神楽、大人の事情ってやつだ。てか第二部になってもまだジャンプネタ引っ張るのかよ。いくらここが自由奔放な2ちゃんねるだからって、いつか集英社が文句言いに来てもおかしくねーぞ」
銀さんそれは禁句!
二次創作におけるタブーを色々ぶっちゃけられるのもこの作品のウリといえようか、とにかくこんな感じの万事屋。
「てか神楽よぉ、今時チャンピオンはねぇだろチャンピオンは。時代はラブコメを取り戻したジャンプだろうが」
自分で言っておいてまだジャンプネタを引っ張る銀時だった。
「何言ってるアルか銀ちゃん! チャンピオンの看板作品が何か今一度よく考えてみるネ!」
「あん? チャンピオンの看板つったっら……やっぱ『バキ』とか『ドカベン』だろうな」
「分かってるじゃないアルか! だったら次にここがなんの『スレ』か自分の胸に手を当ててよく考えてみるネ!」
「は? スレ? …………あ」
言われて気づいた。ここじゃあとてもじゃないがチャンピオンネタは使えないことに。
だってチャンピオンがなかったらここも存在しなかったかもしれないし。
「……すいませんでした」
「分かればいいネ」
神楽は銀時を優しく宥めると、自らの手でチャンピオンを閉じた。
もう一介のジャンプキャラがマガジンとかチャンピオンとか言うのはよそう……サンデーとかガンガンは分からんが。
「あー、やっぱこの作品もオーガとか烈海王とか出さなきゃダメかなー」
「何言ってるんすか……」
自分がイチ二次創作のキャラであることをまるっきり無視した発言の数々に、新八は呆れ果てていた。
まあこれくらい壊れないと、このスレでの個性の確立は難しい。
ほどほどに好き放題やろう。きっと誰かがそう思ってるんだろうなぁ……。
この作品の行く先がどこだろうと、自分はツッコミに徹するだけ。
己の役割を心得ていた新八は、それ以上何も口にしなかった。
そして、ストーリーは動き始める。
「ん?」
新八の読んでいた新聞から、一枚の折込チラシがハラリ。
やたらとド派手なデザインが目を引いたので、新八はそのチラシを手にとってよく読んでみる。
「……これって!」
中身は驚愕の内容だった。驚きのあまりコメディアンばりにアタフタしながら、新八は銀時のもとにチラシを運ぶ。
「銀さん! ちょっとこれ、見てみてくださいよ!」
「なんだよ新八、そんなに慌てて……」
新八に言われるがままにチラシを覗き込む銀時。そこには……
『新人隊士募集! 君も俺達と一緒に江戸の治安を守ってみないか!?
素人大歓迎! 資格は一切必要なし! 大事なのはやる気と根性と子供の頃ヒーロー番組憧れていたあの童心!
なんと今なら一から隊を再構成! 新人の君もいきなり局長になれるかも!?
興味の湧いた方は本日正午、真選組屯所まで!』
……というわけで、待ってた人がいるかどうか怪しいけれども第二部開始。
お久しぶりです、一真です。初っ端から飛ばしております。
この作品は「シルバーソウルって英訳するとちょっと格好いい」第二部。微妙に第一部の続きです。
……え? 覚えてない? ほらあれですよ、やたらマガジンやジャンプがどうのこうの言ってたやつですよ。
今回は真選組を中心に、色々なキャラが暴れまわるどちらかというとギャグよりの展開。の予定。
一部でちょっといい話をやったので、次はバトルいこうかどうか迷いましたが……そこは後にとっておくということで。
やっぱりギャグやらかしてるほうが銀魂らしいし。
方向性としては、『バキスレの異物』を目指すつもりで。
真面目にギャグをやろうと思います。それではまた。
7/16(日)5:00 茨城県海鳴市桜台
「ふぁ〜」
見事な大あくびののび太。どのくらい見事かというと、ちよちゃんがやり方を教えてもらいたくなるほどである。
「私も朝弱いからつらかったけど、慣れるとそうでもないよ」
「もともとししょーが練習してた時間なんっすよね〜♪」
なのはは、八時半就寝四時半起床の規則正しい生活をしているのである。
「まったく…あくびはやめろ。眠気が移る」
『反なのは同盟』結成の一因だけあって、のび太も敵認定しているようだ。
「そういう意地悪を言うものじゃありませんよ」
「そうっすよ。せっかく好意で来てくれたんっすから」
擁護に回る二人。なのはも、
「あんまりきついこと言っちゃダメだよ」
で、結局孤立無援になって、
「なんだよお前ら。そんな奴のほうについて!」
こうなるわけである。
「…本当にこの先やっていけるのかな」
一抹どころか百抹の不安を覚えるなのはであった。
とりあえずフェリツィアも落ち着いたところで訓練である。
「そういえば、魔力のない僕でも撃てるの?」
「その点なら問題ないっす。ヴェガは使用者の魔力にカートリッジ分を付加するんっすけど、アルタイルはカートリッジの魔力だけで撃てるっす」
「それなら大丈夫だね」
「ただ、問題なのは他のデバイスについているような制御補助機能がほとんどないことっす」
ここでなのはも、
「私もデルカーノさんに聞いておいたんだけど、カートリッジ自体を撃ち出す形式だと威力が高くなるから、
制御補助と変形制を犠牲に強度と威力を高めているんだって」
「それだけじゃないっす。トリガーの引き方で曲がる方向が決まるっす」
「えっ?曲がるの!?」
まさか曲がるとは思わなかったらしい。
「そうっすよ」
「本当に教えられるかな…」
「悩むより、まずはやってみるっす♪」
ティアナは後ろに回り、のび太の腕をとって構えさせる。
「!」
「どうしたっすか?」
「別に、何でも」
キョドるのび太。その理由はと言えば、
(あ、当たってる…当たってるよ)
ティアナの胸が背中に当たっていたからであった。11歳という年齢にしてはかなり大きい。豊乳である。きっと数年後にはかなりの巨乳に…
「顔、赤いっす。体調が悪いっすか?」
「いや、大丈夫だから、心配しないで」
「それならいいっす。えーと、曲がらせたい方を強く引けば曲がるっす」
「こう?」
魔力光は寸分違わず、なのはの用意した的(誘導弾)へと向かっていった。
その後ものび太が思うとおりの軌道で光条が紡がれていった。
「さすがっす、こんな短時間で!じゃあいよいよ私の番っすね」
ティアナはのび太の前に回る。
(お、このアングルもなかなか…)
ティアナのバリアジャケット(防護服)は胸元が大きく開いていて、後ろから見ると胸が…
眼福であった。
「やっぱり眠いっすか?」
その言葉がのび太の思考を復活させる。
「いや、本当に大丈夫だから。それじゃ、撃ってみよう」
まずは自由に撃たせてみたが、前の方には飛ぶが見当違いの方向で向かっていった。
「ふぇぇ…」
「大丈夫。僕がなんとかするから」
「それじゃ私は他の二人を見てくるね」
それから一時間以上、二人きりの練習は続いた。
どうも、松井が心配な者です
フラグ発展。一言で言うと「大好きッス、ボイン」
気に入らない部分がありましたら、お申し付けください。こちらもちゃんと対処致します。
ふら〜りさん
こちらもハーレムに近いかも知れません。キャラの女子率が結構高いんで…そちらはいきなりな展開のようですが
一真さん
おかえりなさい。前回も楽しく読ませていただいたのですが、もしかして旧組員リストラですか?
先が書きたくてたまらないので、早いうちに来るかも知れません
>>201-203 >「のび太は女の子と出会った。」まで読んだ。
つ推敲しろ。お前の態度を見てると昔の「草薙」という職人を思い出す。
>ふらーりさん
アカギが女と絡んでるのは確かに初めてだなあ。どんな状況でも、その類稀な能力でなんとかしそうな気はするけど。
万能キャラにして人気キャラ故に書きにくいと思いますが、頑張って下さい。
>一真さん
おお、2部開始おめです。相変わらずのローテンションだかハイテンションだかわからないですが、
真撰組との絡みは好きなんで楽しみです。ちょうど原作も協力してますね。
>全力全開さん
のび太、射撃は宇宙一だからなあ。いい師匠を持ったかも、なのは。全然出来てないけど。
先が書きたくてたまらないってのはいい事ですね。変なのがいますが気にしないで下さい。
>>205 しぇきさん叩きからターゲット変えたのか?
しつこいよ。嫌なら読まなければいいだけの話。
>>206 いや俺違う人よ。だけど目に余るモノがあってね。
改善に期待。
>>全力全開さん
どこで はタイトルで分ったけど 誰が いるのかつかみ難い。
台詞がちゃんとキャラ分けされているけど、元ネタに詳しくないんで、
台詞だけでは誰と誰が話しているかまで分らないのが勿体無い。
なのはの方に詳しければもっと面白いんだろうなあと思えるから余計に。
携帯で書いてるんでしたっけ?
面倒かもだけど別口でキャラ設定を出すより、地の文で会話いくつか毎に
誰と誰が、どんな位置で話しているのかいれて欲しいな。
キャラ同士の掛け合いが軽妙だからあまりその特徴を壊さない程度で
いいですから。よろ。
…我ながら細かいなw
「小僧、中々いい魂だな・・・。」
まるで空間を支配されてるかの様な間隔を覚えるカイル、
聴覚を鎧の足音が支配して行く度に心臓が締め付けられる。
言葉を交わすまでも無く、放っている悪意が敵であると悟らせる。
「でりゃぁ!」
素早く斬りかかるカイル、だが男は棒立ちのままだ。
鎧に剣が触れる、斬れない、見事に傷一つつかない。
ゴーレムを相手に剣を振った事もある。だがこの男の鎧は
化け物の体を上回っていた、否、この男がそれ以上の化け物なのだ。
奇妙な右腕と同じく邪気を浴びた鎧は既に鉱物の硬さでは無かった。
「フン・・・剣技はまぁまぁ、だが力が足りんわ!」
右腕で剣を振り上げる、剣を頭上に構えガードする。
だが、妙な感覚が体を支配していく、このままでは死ぬ。
振り下ろされた不気味な大剣、咄嗟に身をよじる。
大地が震え、地面に直線的な亀裂が入っていく、
受け止めていたら剣ごと真っ二つになっていた。
「ほぉ、勘もいいな。いいぞ、我が渇きを満たしてみせろ!」
雄叫びと共に横に薙ぎ払われた巨大な大剣、今度は受け止める。
地面から足を離し、衝撃を流し剣を折られるのを防ぐ。
だが圧倒的な力量を思い知らされる事になるカイル。
空中に逃げ威力を殺したのに剣に亀裂が走る、
そして、そのまま剣撃の軌道と同じ方向に吹き飛ぶ。
地面と平行に飛ばされるカイル、だがバランスを
失ってはいない、勢いが下がり地面へと体が近づくと姿勢を
崩さないように着地し、再び構えを取り男へと目を向ける。
「調子に乗るなよっ!」
激しい衝撃で手が痺れているが問題ない、反撃を試みるカイル。
吹き飛ばされて開いた距離を、身の軽さを利用し一気に詰める。
「蒼破刃!」
渾身の力で剣を振りぬき、高速の斬撃で衝撃波を生み出し、
それを防いだ所を狙う。だが男は防御などしない、
先程の剣撃と違い全力で放った技だというのに。
男は両腕を前に交差させ、気合と共に腕を左右に開放し、
大地にまで張り巡らせた邪気を炸裂させる。
「うおりゃあ!」
邪悪な魂の叫びによって鎧に触れると同時に
放たれた蒼破刃が消え去る。
「逃がすか!」
蒼破刃からの派生技、蒼破追蓮を立て続けに放つ。
高速で接近し、更に距離を縮めてからの連続切り。
だがやはり硬すぎる鎧に阻まれてしまう。
弾かれて体勢を崩さないように流すように斬る、
それでも傷一つ付かない、男が構えを取り剣を振る。
「聞け、絶望の音を!」
次ガードしたら剣が折れるのは目に見えている、
振り下ろされた剣に合わせ、受け流すと同時に
前へ出る、剣は折れてしまったが男の体勢を
崩す事に成功する。この期を逃すわけにはいかない、
すかさず前のめりになる男の真横に移動する、
「喰らえぇぇぇぇ!」
カイルの全身全霊を込めた一撃が放たれた。
〜アサシンギルド・ユダの寝室〜
「蒼黒の鎧・・・まさか[蒼い悪夢]が来たのか!?」
部屋に駆けつけたリアラの言葉に思わず動揺するユダ。
蒼い悪夢、イヴィルスパームと共に訪れ大量の殺戮を
繰り返した殺人鬼の名称の一つ、手に不気味な大剣を持ち、
単騎で大国をも滅ぼし、歩いた道には骸しか残らない。
その男が何故、考え込むユダだがそんな暇は無いとリアラが急かす。
「急いで!カイルが・・・。」
外へ出る扉へと向かうユダ、妖星の知略が冴え渡る。
「ロニ、お前はその娘と共にスペックの治療を頼む。
柳、ドリアン、ドイル、奴を引き付けて時間を稼いでくれ。
いい策がある、鍵を握るのはシコルスキー、お前だ。」
〜アサシンギルド入り口〜
「フッハハハ、今のは良かったぞ小僧。」
男の鎧に一筋の傷がついている、分厚い鎧だったが
神経を極限まで集中させ、剣を犠牲に断つ事が出来た。
剣は柄の部分を残して跡形も無く吹き飛んでしまった。
鎧の傷口からは黒い煙とも霧とも呼べる物が吹き上がっている。
「だが闇に刃向かうには力不足だった様だな、死ねぇ!」
完全に剣が粉々になったカイルは最早、逃げる事しか出来ない。
重い鎧のせいでスピードではこちらが上だがそれでも逃げ切れる程の
差がある訳ではない、そしてスタミナに置いても鎧の男が優勢だった。
ここまで醜悪な外見を持つ剣だと毒等が仕込まれている可能性を考えてしまう、
その時、剣に張り付いた目が瞬きをしているのを見てしまった。
生きている、あの剣が本体だと確信を持つカイル。だが武器が無くては
どうする事も出来ない、遂に壁に追い詰められるカイル。
「ヤバイな・・・。」
仮面からこちらを覗き込む目が悟らせる、奴が笑っている事を。
死にたくない、死ぬ訳にはいかない、自分はリアラの為に英雄になるんだ。
少年の心を支配するのは「死への恐怖」では無く、たった一人の
少女への想いであった。飛び上がるカイル、下から上へと鎧の男が
切り上げる、空中で逃げ場など無い事は戦いに身を置く者の常識である。
「血迷ったな小僧、だが我が内の力として永久に生きるがいい!」
剣から、鎧の男から、憎悪が吹き上がりカイルに襲い掛かった。
だが諦めはしない、まだ残された一つの秘策を見せてやる。
「ヴォルテックヒート!」
「馬鹿が・・・術を唱える暇っ!?」
鎧の真下に現れた旋風が周囲の物と一緒に男とカイルを浮き上げる。
微弱にだが鎧が浮き上がり体勢を崩す、しかし真空の刃が鎧を傷つける事は
出来なかった。だがカイルの狙いはそこではない、
浮き上がったカイルは崖にしがみ付く事に成功したのだ。
「フン、無駄な足掻きを・・・そこからどうする気だ!」
「えっと、この後どうしよう?」
ここからカイルの逆襲が・・・・始まらなかった。
「・・・馬鹿が!」
剣をカイルのいる場所の真下に突き刺そうとする鎧の男。
大地を断ち、海を断ち、生命を吸い尽くす邪剣からは逃げられない。
しかし、背後に殺気を感じるとすぐに後ろを振り向いた。
「またせたね、カイル君。」
ドリアン海王の姿がそこにあった、柳やドイルの姿は見当たらない。
パラパラと小石が振ってくる、不審に思い上を見上げると。
「フハハハハ!愚か者がぁ〜〜〜妖星の知略の下に果てるがいい!」
頑張って岩を押しているシコルスキーの姿はカイルには見えなかった、
それでも落とされた岩がカイル目掛けて落ちてくるのは見えた。
「うわっとぉ!」
咄嗟に横に飛ぶカイル、運良く突き出た岩壁にしがみ付く事が出来た。
シコルスキーの落とした岩はそのまま悪夢を呼ぶ男に直撃した。
「・・・何のつもりだ?」
岩は男に確かに当たった、しかし全くのノーダメージだ。
だがユダの策はこれだけではない、次の準備に取り掛かる。
「よし、行けシコルスキー。」
「・・・えっ?」
シコルスキーを崖から突き落とすユダ、悲鳴を上げる事も出来ず
地面とキスした彼はムクリと起き上がり崖を見上げてユダを非難した。
「テメェェェェ!死ぬとこだったじゃねーか!」
「続けて行くぞ、ドリアン!ドイル!」
またも無視して作戦を続行するユダ、ドリアンが足元の
何の変哲も無い石を踏みつける、すると周囲の岩石の中から
鎖に繋がれた鉄球が飛び出し男を締め上げていく。
「チッ、小癪な。」
引き千切ろうと引っ張るがズルズルと引き出てくる。
動きを止めるための物ではない、動きを制限する物なのだ。
動けるには動けるが足元には大量の鎖、そして鉄球による重さ。
そしてドイルが崖の上に立ち何やら準備を進めている。
「無様な姿だな悪夢の男、俺の美しい策に敗れるがいい!」
春らしくようやく暖かくなってきました、邪神です。
4月だったら桜が咲いてるのに雪降ってましたよ、
これで月が出てればなぁ、とか思ったり。
取り合えずsage進行に変更、何と無く。
〜講座by質問箱〜
ソーディアン 古代文明が産み出した知能ある剣(インテリジェンスソード)。
柄の部分に小型のレンズが埋めこまれており、使い手に『昌力』を与える。
また、直径数センチの「アタッチメントディスク」を挿入できるようになっている。
人間と同じように、経験値を蓄積することによって成長していく。天地戦争の時代、
最終にして最強の兵器として以下の6本が作り出されたが、戦争の終結とともにいずこかへと姿を消した。
名前、性格は持ち主と全く同じであるが、ベルセリオスは持ち主の妹の人格が採用されている。
ディムロス・ディンバー・・・性別/男、属性/火
アトワイト・エックス・・・性別/女、属性/水
ピエール・ド・シャルティエ・・・性別/男、属性/大地
イクティノス・マイナード・・・性別/男、属性/風
ラヴィル・クレメンテ・・・性別/男、属性/雷
ハロルド・ベルセリオス・・・性別/男、属性/光と闇
天地戦争 テイルズオブデスティニーの世界において1000年前に起きた戦争。
天上人と地上人に分かれての戦争、天上人が圧倒的に有利だったが
最終兵器ソーディアンを用いたソーディアンチームが勝利を奪い取った。
その時の犠牲者がベルセリオスの所持者であった。
〜感謝御礼〜
ふら〜り氏 スペック外伝、人の盾を使う辺りとか予想は出来ても
文章に力が入ってて面白かったです、柳だけストップしてるのが残念。
文章力、一行にスタン編に行けない要領悪い俺には無縁な物か・・・。
サマサ氏 主役は海を放浪中ですなぁ、使えね(ry
神様を正攻法で叩きのめすとはw 流石ですなw
全力全開氏 前衛と後衛、前衛だけならアクションを延々と書けばいいですが
後衛付きならチームワークの描き方をどうするかで決まる様なそうでない様な。
掛け合いも大事ですなぁ、難しい所ですが頑張ってくだされ。
153氏 ナイトメア、今でこそカッコイイですがソウルエッジのはひどいですw
それはそうとクジンシーはもうちょっと後のイベントですね。
>>やっぱりユダはフォモってのがファンの中で公式かって思えてきましたwww
いやいやいやいやノーノーノー、友情ですよ友情、そういう事にしとかないと只の変態(ry
166氏 実は初代デスティニーはノークリア、だってバグって進まないんだもん・・・。
そんな訳でベスト版買って進めてます、でもってロマサガも進めてます、そしてモンハンも(ry
お疲れ様です邪神さん。テイルズ講座ありがとうです。ファンタジアしかやった事無いんでw
カイルは一生懸命戦ってますが、ユダは相変わらずえらそうですね。
>鍵を握るのはシコルスキー
ああ、この策は失敗だな、と思いましたw でも役どころを見てなった納得。
>>全力全開
死ね。お前は百害あって一利無しだ
某書き手
>>216 せめて文体を変えろ
諺と共に煽る所でバレバレだぞw
>217
普通に別人だが。
俺は以前オオクワ専門にスレを荒らされたことがあるからむかついてるだけ
こいつの厚顔無恥に気付いてない奴はいないだろ?
>>218 そうか?しぇきさんの時も一寸の虫にも五分の魂とか書いて煽っていったけど
それに幾ら相手が厚顔無恥でもそれを煽ったり中傷したりしたらオマイも荒らしと変わらん
あと某書き手なんてわざわざ名乗るところも止めれ。空気が悪くなる
そういうのはあっちで書きなよ
>>219 諺くらい誰でも使うだろ…
なんでもいいが、アイツが鳥付きで謝らないかぎり許す気はない。
なんでスレ潰された俺はSSも書けなくなって大御所バキスレに逃げ込んだオオクワが擁護されにゃならんのだ
>216->220
語ろうぜスレにどうぞ。
折角書いてくれた職人様達のSSが汚れるので
>>220 そんなネットでムキになるなよ
ここでもSSを書けるぞ!どのスレを潰されたかは知らないけどここで書けばいいじゃん
それで全力氏よりも遥かに高い人気を得られればそれで良いだろ
223 :
作者の都合により名無しです:2006/05/14(日) 16:26:03 ID:dF+xYzri0
猫に小判
豚に真珠
しぇきにバキスレ
224 :
作者の都合により名無しです:2006/05/14(日) 16:27:30 ID:dF+xYzri0
しぇきは筆を選ばず
意味:ヘボはどんないい道具使ったって無駄
225 :
作者の都合により名無しです:2006/05/14(日) 16:28:42 ID:dF+xYzri0
しぇきの耳に念仏
意味:真性のバカは何言ったって聞きやしねぇ
俺はオオクワにスレを潰されたからムカついてる。そしてSSはもともと好きだからこのスレは大好きだ
ちなみにしぇき氏も好きだ。フリーザ野球軍大好きっす
だからこそ元凶のオオクワがのうのうと書いてるのが我慢ならんのだ
もうここには現われません。スレ汚しすまんかった
最後に一言だけ
しぇき氏を叩いてるのは間違いなく全力全開だよ
オオクワ専門=サンダル=全力全開
本当にここにいる書き手の皆さんには申し訳なかった。さよなら
228 :
作者の都合により名無しです:2006/05/14(日) 16:41:07 ID:dF+xYzri0
しぇき頑張れ!ぼくは応援してるぞ!
229 :
作者の都合により名無しです:2006/05/14(日) 16:41:50 ID:dF+xYzri0
シェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキ
230 :
作者の都合により名無しです:2006/05/14(日) 16:43:09 ID:dF+xYzri0
しぇきを叩く男許さん!
231 :
作者の都合により名無しです:2006/05/14(日) 16:45:05 ID:dF+xYzri0
何ゆえにしぇきを叩く?
つまらないからか?
この世に最初から面白い男がいただろうか?いやいないね!
どんな男だって訓練すれば面白くなる!
例外はしぇき一人!
>>224 選ばず×択ばず〇
それに意味が逆。そんな頭でよく叩く気になるなw
なんで書き手を叩く?
巧い人もいるんだし、書きたい人が書くってスレなんだから下手糞がいても仕方ないじゃん
もう相手にするのもよそうや。ID見ると一人2人だし。
嫌なら読まなければいいってのも分からない純正の荒らしみたいだし。
>一真さま
真撰組が今度のゲストキャラですね?俺は土方と沖田との掛け合いが好きなんで楽しみです。
沖田と神楽の仲良いんだか悪いんだかのコンビもいいな。今度はちょっと泣ける話も混ぜてほしいな
>全力全開さん
俺は応援してますよ。なのはとのび太のコンビとかも好きだし。SSなんて書けば上手くなるもの。
長編カテゴリ目指して頑張って下さいな。雑音は気にしないで。
>邪心さん
ユダ、すっかり死刑囚たちの親分だなあ。彼が対等と認めているのはスペックくらいか?
ま、シコルスキーはやはりという感じの扱いでしたね。バキ初期なら重要な戦力だったろうにw
荒らしもうざいが相手する奴も相当うざいぞ
荒らすような奴に何言っても無駄なんだから構うなって
↓何事も無かったかのように再開↓
―――キラの賛同が多くなってきた世界。
そのキラの正体である夜神月は、ある日DEATH NOTEと呼ばれる不気味なノートを拾ってしまう。
これはノートに名前を書いた人間は死ぬというノートであった。月はTV中継されている、
殺人犯の名前を書いてたみた。約40秒後、その男は死んでしまった。
その後ノートを落とした死神界から来たという死神のリュークが現れ、ノートを使用するか、
破棄するかの選択に迫られる。そこで月はノートを使い、悪人共を駆逐していき、
正しいものだけが世界で生きていけるような社会を形成する新世界の神となることを決意した。
月が殺人犯を殺し続け、やがてその状態が『キラ』という形でネットなどで崇められていった。
一方、この現状に苦悩していたICPOは探偵『L』にキラ事件を依頼する。
こうしてキラとLの権謀術数渦巻く戦いが始まった。
だが日本では問題となっている事件がもう一つあった。
『地獄通信』と呼ばれる存在である。これは午前0時にネット上の地獄通信のサイトに
アクセスし憎んでいる相手の名前を書き込み、送信すると『地獄少女』が現れ、
相手を地獄に落とし恨みを晴らしてくれるという内容だった―――。
「リューク。」
「なんだ?」
「これしってるか?」
月はPCに写し出されたサイトを見せた。
「知らないな…なんだこれは?」
「今キラと同様、社会問題になっている事件さ。ここに恨んでいる相手の名前を書き込むと
地獄少女という者が相手を地獄に落としてくれるらしい。」
「どうせ流行っているガセネタだろ?」
「いや、実際に失踪者がいる。ここで興味深いのが失踪した人間が
いじめ、ストーカー、家庭内暴力などを行っていた者たちなんだ。
警察は以前の被害者に事情聴取をしてみたが、
皆『何も知らない』『合いたくない』または『ネットに名前を書き込んだだけ』の一言だ。
そして警察も失踪者に関しての証拠は一切見つかっていない。今までで一度も。
サイト元も特定できていないし、なんたってこの僕も分からないんだ。」
「おもしろいな…。」
「問題はどうやってこんな大多数の人間を失踪させているのかだ。
もしかして僕の他にノートを拾ったやつがいるのか…しかし。」
「なんだ?」
「名前だけでは相手は殺せない…ならば顔写真が必要なはずだ。
問題は被害者が、このサイトに顔写真を載せる事に気付くかだ。」
「どういう意味だ?」
「このサイト、『あなたの恨み晴らします』しか文字が書かれていない。
そして噂になっている『憎んでいる相手の名前を書き込み』という煽りだけでは
普通は名前しか書かないだろう。何故、このような効率の悪い方法で裁いているんだ?
しかもこの事件は、徐々にだが肥大化している。」
「住所とか特定して色々調べてんじゃねーの?」
「だからそれが矛盾なんだよ。何故そこまでリスクを背負う必要があるんだ?
顔写真を見て名前をノートに書き込む、それだけじゃないか。
『サイトに顔写真を載せて送ってください』とでも掲載すれば
分かりやすいし、殺害の効率も高い。」
「クック…その謎を解く方法は簡単だぞ、月。」
月はすかさず解答した。
「やって欲しいのか?リューク。」
「ああ。面白そうだ。」
「………。」
月は地獄通信に「咎死四誌比呂」と書き込んだ。殺人犯の名前である。
一方、リンド・L・テイラーの死によってキラ事件が明らかになり、
これにより日本に来訪したLも地獄通信事件に移行を示していた。
―――ある女子中学生たちが談話し下校していた。
「じゃねっ。真由美。」
「うん、バイバイ。」
真由美と呼ばれた少女は、ごく普通の生徒である。
唯一あの事件を除いては…。
真由美が家に入ろうとしたとき、後ろから声が聞こえた。
「…橋本真由美さんですね?私、連続失踪者特別捜査本部のシロタ=D=コンソメと申します。
率直に申し上げます。あなたから地獄通信についてお話頂きたい。」
「…!」
少女は硬直した。何故なら、彼女は以前自分をいじめた人物の名前を、
地獄通信に書き込んだからである。彼女は焦燥した。
「し、知りません…っ。」
「知られたくないのも無理はありません。しかし、同時刻あなたの通う中学校で、
あなたと黒田亜矢さんを見たという情報は決定的なんです。
そして黒田さんはそこから忽然と失踪した。
しかし私共はあなたが犯人だとは指名していません。
まだ犯人は別にいます。」
「本当に私から情報を聞くだけですか…?」
「はい。それにこれはLの指示でもあります。」
「えっ…!も、もしかしてあのキラ事件をTV中継した、あの名探偵の人…!?」
「はい。」
「…わかりました。とりあえずここで話すより…家に上がってください。」
「ありがとうございます。」
真由美の家には誰もいなく、重大な会話をするにはちょうどよかった。
「待っていてください。今紅茶淹れますから。」
「お気を使って頂きありがとうございます。しかし、早々に聴取したいので…。」
「あ、はい…分かりました。」
「まずは先に謝っておきます。」
シロタという警察官は手帳を取り出した。
「FBI捜査官…ですか?」
「はい、すいません。キラ事件と地獄通信事件、両方の事件に関わらなければいけないので
偽名を使わせていただきました。私はFBIのレイ=ペンバーと申します。
早速ですが、地獄通信の経緯についてお話頂きたい。」
「…発端はお気付きのとおり、黒田さんからのいじめでした。最初は我慢していたのですが、
徐々にエスカレートしていき、もう耐えられないという状況でした。その時地獄通信の噂を聞き
半分冗談で、そして恨みを込めて黒田さんの名前を書き込みました。
でも…状況が変わらず、耐えられなくなった私は自暴自棄に飛び降り自殺を覚悟しました。
そしてそのとき…地獄少女が現れたんです。」
「…地獄少女の正体は?」
「…黒いセーラー服を着た、普通の少女です。長くて綺麗な黒髪が印象的でした。
彼女は『閻魔あい』…そう名乗りました。そして彼女に渡された紐の付いた黒いわら人形…
それを引けば相手を地獄に流してくれると言ってました…。」
「引いてしまったんだね。」
少女は頷いた。そして震え、泣いていた。
この年頃の子は焦燥すると物事を深く考えず、
衝動的な行為を行ってしまう。そして罪の意識を感じてしまったからである。
「…だが、君のせいではない。
悪は地獄少女で、君はその簡易的な誘惑に、
誘われてしまっただけだ。」
レイはハンカチーフを差し出し、同時にこの出来事について考えた。
地獄少女とは何者か、と。
「…真由美さんは、地獄少女の正体はキラだと思いますか?」
「……違うと思います。あくまで地獄少女は受動的です。
こちらから申し出ないと動きません。対するキラは…
自分自身の意思で行動しているようにみえます。
ただ…なぜキラはあんな簡単に人を殺せるのか…何故…。」
「そうです。キラと地獄少女の共通点はアリバイを残していないこと。
相違点はキラは積極的であり地獄少女は消極的。それにおかしいことがある。
地獄少女側にはこんなにも証拠があるのに未だ正体を掴めていない。
彼女は…閻魔あいと名乗る少女はデコイでしょう。」
「デコイ…?」
「おとりってことです…少女1人では犯行は難しい。」
真由美は具体的な出来事を言おうと思ったが、思いとどまった。
何故ならそのことは余りにも非現実的であったからである。
「あの、私の言ったこと…信じてます?」
「信じてますよ。他の被害者の人たちも全く同じことを述べていました。
全員『地獄少女は閻魔あい』と。真由美さん…他に知っていることは?」
「特に…ないです。」
「わかりました。ご協力頂き、ありがとうございました。」
レイが立ち去ろうとしたそのとき、真由美は問いかけた。
「あ、あの…刑事さんはキラはなんであんな事やってると思いますか…?」
「私は好き勝手に殺人を犯してると思いますね…。」
「…私は…ちょっとそうは思えません。キラは殺人犯だけを対象にしているから、
別の意味で救世主なのではないかと…思います。」
「…いや、キラは悪だ。幾ら殺人犯でも、人道というものがある。
キラにはそれが欠如している。これは極端な無差別的殺人だ。」
「でも!殺された人の遺族の人達、友達、恋人はどうなるんですか?
大切な人は一生帰ってこないのに、殺した人間は生きている…。
そんな不平等があるから、キラは現れたんだと思います。」
「………。真由美さん、何時かあなたにも分かる時が来る。
キラはエゴだと。衝動的な犯行ではなく計画的な犯行だ。
そしてあなたはまだ若い。将来様々な思想が交錯する…その中で決定すればいい。
だが我々、そしてLが行っている行動は正義だと信じている。」
「…そうですよね。私みたいな中学生の考えは何もかも中途半端…
ただ、観ているだけですから…軽はずみで口走りましたね。」
「いや、それが普通ですよ。何が正義で何が悪かは将来世間や思想家が決めればいい。」
「はい…勉強になりました。刑事さん。」
レイは橋本真由美の家を去り、聴取した事件の内容を警視庁に報告した。
そしてこの事件内容はワタリを通してLに伝わった。
「L。」
「どうした、ワタリ。」
帝東ホテルにてLはキラ事件と地獄通信について攻略していた。
世界的に広がっているキラ事件を優先としているが、
日本に来てからはついにL自身が地獄通信の件に触れてきた。
Lは既に地獄通信に関しての実験をしている。
死刑囚を使い、そこからカメラで監視していたのである。
しかし地獄少女は現れなかった…それはそうだ。
牢屋に閉じ込められては来るどころか、殺害も不可能だ…。誰もがそう思うであろう。
だが、地獄少女の根本的な考えはまた違う……
そうLは考えていた。
「地獄通信の件に関して、新たな情報が入りました。
しかし、やはりこの情報も従来と全く同じものでした。」
「調査内容を送ってくれ。」
Lはレイと橋本真由美の会話内容を見て考察した。
「…やはりこの事件に関するのは中高生に多いようだ。
問題なのは、地獄通信が何故一部の者にはアクセスできないか…
アクセスできる対象者は恨みを持った人間だけだ…。
そしてアクセスし名前を書き込んでも、地獄少女は現れない…
複数の人間による犯行だろう…。
何者かが状況を把握し、情報を流している。ならば…」
Lはワタリに通信した。
「ワタリ。今から3ヶ月以内に起こった犯罪の軽重問わず、東京都に住む被害者、
そして被害者の家にパソコンがある者を限定に調べて、部屋に監視カメラを付けてくれ。
後は閻魔あいという人物についての詳細を調査してくれ。」
「わかりました。」
以前従来の情報を元に、L自身もアクセスを試みたが繋がらなかった。
これはL自身が恨みの対象とする人物が、いないからだと思われる。
しかし地獄少女を呼び寄せる方法は他にもあると言われている…
月が地獄通信にアクセスしてから三日が経過していた。
しかし月が地獄通信に名前を送信した犯人には未だ変化は無い。
「あれから無いも起こらないな、月。」
「…もう一回、アクセスしてみるか。」
「クク、やけに積極的だな。」
「何故だか分かるか、リューク?キラと地獄少女、根本的には似ている。
それは法的処置がなく人を裁けること…最もキラとはベクトルが違うが。
地獄少女は依頼者の私情、そして完全に受身で活動している。
…だが中高生が頻繁にアクセスしている分、殺人にあう報酬など殆んど受け取っていないか、
タダで行っているであろう…これには尊敬に値する。キラと同じ、アンダーグラウンドの神に近い。
それに殺人方法としてDEATH NOTEを使っている可能性が高い…気になりもするさ。」
「ククク…なるほどね。だが、地獄なんてねーんだがな…。」
「そう言ってたな、リューク。天国や地獄は存在しない…。
まあこれは人々を恐怖心に陥れる、都市伝説の常套句だけどね。
…さて、そろそろ午前0時だ。地獄通信に書き込んでみるか。」
「今度は誰の名前を書き込むんだ?」
「ふふ、まあ観てな。」
月は地獄通信に何かの文字を打ち込み、送信した。
リュークが覗き込むと、こう書かれていた。
『L』と。
「…おいおい月。名前を打ち込まないと駄目だろ。」
「これはあくまで地獄通信=デスノートってことじゃないさ。
Lという固有名詞の人物なんて今じゃあの有名な名探偵だって誰だって思うだろ?
そしたらLの素性、周りを少しは調べてくれるかもしれないって思ったんだ。
まあ誰かのイニシャルって場合で、不特定多数になる場合もあるけどね…
冗談半分で書いてみただけだよ。」
「前に書いた奴より難易度が高いぞこれ…。」
「…まあ、僕が本気で憎んでいる人物といえばLだからね。」
その時、月とリュークの背後から気配がした。
「何!?」
月が背後を振り向くと、そこにはセーラー服を着た黒い長髪、赤い瞳をした少女が立っていた。
そして少女は月にこう述べた。
「私は閻魔あい…呼んだでしょ?」
月とリュークは驚愕した。
「地獄少女だと!?何時の間にそこにいたんだ…?」
「………。」
リュークは沈黙して彼女を見ていた。
リュークも驚いたのは、彼女が人の形をした者だったからである。
だが地獄少女は淡々と行動を移していく。そして月に赤い糸の付いた黒い藁人形を渡した。
「これは…?」
「貴方が本当に恨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を解けばいい。
糸を解けば、私と正式に契約を交わしたことになる。
恨みの相手は、速やかに地獄に流されるわ…。」
「地獄…だと?」
「…ただし、恨みを晴らしたら、貴方自身にも代償を支払ってもらう。」
「代償…?」
「人を呪わば穴二つ…貴方が死んだら、その魂は地獄に堕ちる。
極楽浄土へは行けず、貴方の魂は痛みと苦しみを味わいながら…永遠に彷徨う事になるわ。」
「……ちょっと待ってくれ。いくつか聞きたいことがある。」
月は考察した。眼前にいるのは中学生くらいの少女。
いつの間に部屋に入り込んできたのか。
密閉した部屋で物音を立てずに入り込んでくるのはありえない…。
「何故今頃ここに来た?以前僕は別の人物の名前を書き込んだはずだが。」
「それは貴方の『私怨』が本気ではなかったからよ…。」
恨みの重さが分かるなんて、馬鹿馬鹿しいと誰もが思うだろう。
しかし月の疑念は当たっていた。Lと送信してから来たのだから。
「…僕は地獄通信に『L』と書き込んだ…それが誰だか分かるのか?
そしてその人物の名前、顔、居場所などの詳細を突き止めることは可能か?」
「名前や顔は別にいい…必要なのは、居場所。
それが分かれば後は調べさせるわ。」
「なん…だと…?そしたら、居場所が分からぬまま糸を引いたらどうなる?」
「…そうしたら最初に依頼した人物が対象になる。」
「ふざけてる…馬鹿馬鹿しいな。」
「私も模索してみる。でも、貴方自身が見つけてくれれば、
その時点でこちら側も行動しやすい。」
地獄少女とは一体…
「後はあなた次第よ…」
「まだだ…待て……!」
しかし少女は壁際から消えていった。
これは月にとって予想外であった。
もはや『人』とは言えない行動に見えたからである。
「…月。面白いことを教えてやる。俺のこの死神の目は人間の名前と寿命が見えるのは
知っているだろう?…だがあいつは何も見えなかった。」
「なんだと…それは本当か?その条件を満たすのは死んだ人間だけじゃないのか…!?」
「さすがの俺も焦っちゃったぜ。」
「…リューク、単刀直入に聞く。あいつは死神か?」
「だったら俺も驚かないって。あんな人間みたいなやつ死神界には絶対いない。」
「リュークの話はなんか信用出来ないな…案の定地獄に堕とすとか言ってたが…
恨みを晴らせば、死後僕自身も堕ちるのか…どういうことだ…?」
「…本来、地獄という概念は人間が作ったものだ。それに固執しているということは、
『元々は』…ということもあるが、何にせよあいつは『人間』だ。」
「…まあいいさ。それが地獄少女側の脅迫であることは確かだ。
そして僕はこの糸を解かない。後で厄介なことになっても面倒だからな。
この噂についても新たな情報が把握出来た。」
「なんだ?」
「いくつかある…。
1.恨みの相手の本名を書かなくても依頼は可能
2.しかし地獄少女側の条件を満たしていない場合は本名を書いても来ない
3.共犯者がいる
唯一の疑念は…やつは何故『顔』を見なくても可能と答えたのか…。
いずれにせよ奴がDEATH NOTEを使用している可能性は60%ぐらいか…
その他の殺害方法が30%、10%は…僕が知り得ぬ『常識を超えた何か』と考えるしかない。」
「月、共犯者がいるというのはなんで分かった?」
「やつが『調べさせる』といったからだよ。
それに僕はまだ地獄少女が死神だという複線を捨てたわけじゃない…
あんな物理的に不可能なことを成し遂げたのだから。」
「俺って信用ないなぁ。ところでその糸、解いてみれば?」
「馬鹿いうなよ、地獄に堕ちてしまうんだぞ。」
「お前って迷信とか信じるほうなの?」
「この藁人形はセンサーらしきものはついていない。
もうこれはDEATH NOTEと同じ現代の科学を、
超越した物と思わなければ…いや、信じなくてはならない。」
そのときまたもや予想外のことが起きた。
「おい月!藁人形が!」
何と月の持っていた藁人形が忽然と消えてしまったのである。
「…なんだと?…これは。」
「ライト?」
「…はは、どうやら向こう側も判断したようだ。」
「判断?」
そう言うと月はノートに『閻魔あい』と名前を書き込んだ。
「まあ名前も寿命も見えない…
そして偽名と分かる苗字だが、一応書いておくか。」
「…俺の目は死んでいると判断していたからな。」
「まあいいさ、あいつはキラ事件に関与しない。
忠実に己の任務をこなす隷属だ…。」
月はいずれ地獄少女自身をも解明しようと思っていた。
『この世は腐っている…。』
ニ度起こった不可思議な出来事に、己の探究心が駆出していた。
「…『人を呪わば穴二つ』、か。はは、面白いよ…閻魔あい。
いつか…貴様の全貌をも暴いてやる。」
ある夕暮れの里。現代には数少ない村落の風景。
そして現世とは何かが違う、美しい夕日が映し出されていた。
「なあ、キラ事件って知ってるか?」
「…ああ。あの殺人犯が大量に死んでいる事件のことね。」
「これがほとんど心臓麻痺が原因で死んでいるんだ。
お前はどう思う?」
「もしかして、あたし達以外にも人外の力を持っている輩がいるってことかい?」
「やっぱそう思うよなぁ。あんなこと人間界で起こったことないし。」
彼らの名前は『一目蓮』と『骨女』といった。地獄少女に仕えている妖怪である。
彼らが談話をしていると、夕日の向こうから閻魔あいがやってきた。
「お嬢のお帰りだ。」
「…輪入道は?」
あいはそう彼らに問う。
「え?輪入道は依頼者の所だろ?お嬢はそこに行ったんじゃないのか?」
「早々に撤退させた。」
「そりゃまたなんでさ?」
「…依頼者が完全に糸を引く様子を見せなかったから。
それに他の人間と違ってた…妖(あやかし)がついていたわ。」
「なんだって?それはどういう妖怪なんだ。」
「私にもよくわからない。黒い羽の生えた、鬼に似た風貌…。」
「…ちょっと俺も見てくるぜ。」
一目蓮は去り、月の部屋を覗いてみた。天井には奇妙なものが映し出されていた。
『目』である。彼は千里眼の持ち主の妖怪であった。
しかし、彼にはリュークの姿は見えなかったのである。
ただ月が小さな声で一人で喋っている様にしか見えなかった。
一目蓮自身も奇妙に思い、夜神家を後にした。
「どういうことだ、お嬢。何も見えなかったぜ?
依頼者が一人でぶつぶつ喋ってたが。」
「もしかして…私にしか見えない……
…妖と喋っていた…やはり…夜神月……彼は、私と同じく妖を従えている…?」
異様な依頼者の事を議論している間、あいのもう一人の使い魔である輪入道が帰ってきた。
輪入道は黒い藁人形に変化していた妖怪である。
「たくっ。一人でぶつぶつ何か言ってたが、なんだったんだ。あの依頼者は。
ありゃ恨んでいる様子なんて全く無かったぞ。
お嬢も何故あの依頼を受けたんだ?」
「…それは…わからない。でも…」
普段は、常に無表情の少女。
だがその顔には少しばかり陰鬱な表情を浮かべていた。
「でも…ちょっとだけ恐怖心を感じた。これは一体…。」
そのとき…
「あい〜。依頼が来てるよ〜…。」
屋敷の中から老婆らしき声が聞こえた。
「わかった、おばあちゃん。」
「…お嬢。何を考えてるかはあたしには分からないけど、
前の依頼者のことは忘れて、今の仕事に専念した方がいいよ。」
「…わかっているわ。」
「………。
あたし達はお嬢に使える妖怪。この依頼の調査、どうぞ使い回してくださいな。」
夜神月について様々な疑問がある中、あいは次の依頼者の下に向かった。
そのころLはPCの置いてある対象者の部屋を四六時中見回していた。
計数十人はいる…そしてこの中で近日中に地獄少女は現れると、
確信たるものを持っていた。そのとき…
「……様子がおかしい。この人物は、鷹村涼子か。
以前からストーカー被害にあってるという……」
監視カメラ越しの鷹村涼子と呼ばれた人物は、恐怖に怯えた様子だった。
そして焦燥の中、彼女は地獄通信にアクセスしたのである。
書き込んでいる名前をカメラで見てみると、そこには『ストーカーの人』と書かれていた。
地獄少女の一連の噂は彼女も知っていたが恐怖心のため、
そして名前も分からぬので我を忘れてこう書いてしまったのだろう。
「………。」
Lはこの状況を静観していた。
―――彼女は今、ストーカーらしき人物から電話が掛かってきている。
そして怯えている。何度も何度も繰り返されてきたのだから。
「もう嫌…どうして…なんで私だけこんな目に……」
彼女の被害状況は未だに証拠不十分であり、警察も手を出せなかった。
故にこの状況が一年間も続いていたのである。
彼女は耐えられなくなり、地獄通信にアクセスをしてしまった。
「助けて…もうこんな生活は嫌………!」
困惑の中、彼女の後ろに地獄少女は現れた。
だが涼子は驚く様子を見せなかった。
ありがたい、と思う気持ちの方が上回ったからである。
「私は閻魔あい。呼んだでしょ?」
「あ…あなたが地獄少女ね!お願い、私を助けて!」
「私に人を助けることは出来ない…ただ、相手の恨みを晴らすだけ。…これを。」
あいは例の藁人形を渡した。
「これは…?」
「貴方が本当に恨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を解けばいい。
糸を解けば、私と正式に契約を交わしたことになる。
恨みの相手は、速やかに地獄に流されるわ…。」
「ほ、本当に?これを引くだけで…」
「ただし、恨みを晴らしたら、貴方自身にも代償を支払ってもらう。」
「え…?」
「人を呪わば穴二つ…貴方が死んだら、その魂は地獄に堕ちる。
極楽浄土へは行けず、貴方の魂は痛みと苦しみを味わいながら、永遠に彷徨う事になるわ。」
「そ…そんなことが…。」
「…後は、貴方次第よ。」
そう言い残すと、閻魔あいは闇へ消えていった。
「一体…何が起きたというんだ。」
一方、一部始終を見ていたLはこの状況を考察していた。
何故なら監視カメラ越しには、閻魔あいの姿が映ってなかったからである。
「…鷹村涼子は一時的に暗示をかけられているのか。
それとも鷹村自身が監視カメラに気付き、自演をしていたのか。
ストーカー、もしくは地獄少女などの犯人に脅されて演じていたのか。
…そして問題なのは、あの藁人形は何処から出現したのか。
一瞬のうちに、鷹村の手のひらの上に乗っていた…何故。」
不明瞭な部分が多すぎるため、そして非現実的な情景が
浮かび上がってしまったためLは思いとどまっていた。
「いや…今突き止めるべきは地獄少女の正体だ。
キラと違い、これは隠蔽的ではない。明らかに私は今、
地獄少女の真相に近づいている。そして人形にも糸が付いていた…
…それは確かだ。」
『藁人形の糸を引くと、地獄少女が現れる』
このキーワードが引っかかり、まさに今吊り上げようとする寸前である。
Lは好機を逃すべく、ワタリに次の指令を出した。
「ワタリ。レイ=ペンバーに鷹村涼子の尾行を要求してくれ。
…もし、鷹村が藁人形を手に持ったら辺りと鷹村自身を警戒するように、
それと鷹村自身に危険が及んだ場合、極力最低限突入は控えるようにと伝えてくれ。」
「対象者を彼女に搾るのですか?」
「ああ。ある程度証拠は掴めた。
それとワタリ、鷹村家の車、クラスルームにも監視カメラを付けてくれ。
簡易的でかまわない。」
「了解いたしました。」
「頼む。」
鷹村涼子は学校で授業を受けていた。
そこで彼女は一時的にだが落着した様子を見せている。
彼女にとって学校が一番安全、そして安らげる場所であった。
「私の目の前に救世主みたいな人が現れてくれたらなぁ…。
…キラ……キラが奴を裁いてくれればいいのに…。」
そう思っているのも束の間、時間はあっという間に過ぎてしまう。
「はぁ…」
彼女は最近になって車で登下校をしていた。
父親が娘の身を案じて送り迎えをしてくれ、
鷹村家も常に警戒心を持つように持つようになっていた。
しかし車にいたのは…
「え…どうしてあなたがここに?」
「やあ、涼子さん。」
車にいたのは、彼女の事件を受け持つ中年の刑事であった。
彼は父の車にいる事情を説明した。
「どうやら君のお父さんが犯人を見つけたらしくてね、
そのまま追いかけていったんだ。迎えは私に任された。
君を送ったら、俺も追跡してみよう。」
「遂に犯人を見つけたんですね…!」
涼子は心の中で大いに喜んでいた。
つらかった生活がやっと終わると、そう思っていた。
投稿規制対策
しかし、車で向かった先は家ではなく、薄暗い廃墟であった。
「ここは…?」
「やっと二人きりになれたね…涼子。」
涼子は体が硬直した。
自分の身の危険を感じた。
「迷子の迷子の子猫ちゃん…あなたのおうちはどこですかぁ?」
「近寄らないで!」
「涼子ぉ…なんで俺を遠ざけるんだい?
こんなにも君の事を愛してるというのに…」
「お父さんはどうしたの!?」
「君と二人きりになるのには奴が邪魔だったんだよ…。
もういいじゃないか…あんなにも告白のプレゼントを贈ったのに。」
「意味不明の気持ちの悪いラブレター…
私の盗撮写真……極めつけは動物の死体まで送ってくるなんて、変質にもほどがあるわ!!」
「なんだって…涼子。」
この状況を影で見守っている人物がいた。
シロタ=D=コンソメこと、レイ=ペンバーである。
「…ヤバイ事になってきたな。
しかし糸を引くまでは……その時に地獄少女は来るのか…?」
彼女が藁人形を持っていることは事前に把握していた。
後は糸を引くだけだがレイはその一瞬一瞬を見逃さず、銃を構え待機していた。
このギリギリの中で出撃しないのも、FBIの判断力と視察力が身に付いているからである。
「涼子…なんで、なんでおれ受け入れてくれないんだ!
こんなにも愛しているのにぃぃーーー!!!」
ストーカーの刑事は落ちている木片の棒を手に取り、襲いかかろうとしている。
「どうして…!どうして私がこんな目にあわなくちゃいけないの!?」
「ハァハァハァハァ…お前が悪いんだよぉ?涼子〜。
もういいさぁ〜お前を殺して、動かない人形にしてあげるからさぁ〜…
そしたらいっぱい、いっぱいお着替えさせてあげるからねぇぇ〜〜…ハァハァハァハァァァッァ」
「いやぁ!!!」
狂気に満ちたストーカーは、そのまま涼子に襲い掛かった。
そのとき……
「くそ!ここまでかっ!」
レイは出撃した。だがその時、涼子は糸を引いてしまった。
「助けて…私の救世主。」
すると、レイの対向から別の警察官がやってきた。
「おい!そこで何をやっている!?」
「くそ…!」
ストーカーは逃げていき警察官はそれを追って行った。
レイは涼子の方へ向かっていき、手帳をみせた。
「私は警視庁のシロタ…いや、FBI捜査官のレイ=ペンバーと申します。
早速ですみませんが私の車にお乗りください。私も奴を追います。」
「ど…どうしてFBIの人がここに…?」
「それは車の中でお話しましょう。」
そしてレイもストーカーを追っていった。
「あの…先ほどもお話しましたが、何故FBIの方が日本にいるのですか?」
「…凶悪犯連続殺人特別捜査、通称キラ事件を追っているからです。
道を通りかかった瞬間、偶々あなたが被害にあっている現場に遭遇して
助けに掛かりました。」
地獄少女を追っているとは言えなかった。
それは鷹村涼子がこの事件の実験体だったと言っているようなものである。
キラ事件も黙秘していたかったが、この時ばかりはそうはいかない。
「キラか…キラも殺人犯だけではなく、
悪い人はみんな裁いてくれればいいのに。」
「何故、そう思うんですか?」
「倫理的に考えれば、裁判も猶予も無く人を殺すのは馬鹿げています。
でも実際被害にあった人の立場から考えたらそうでは無いと思うんです。
どんな小さな罪でも、自分の立場からすればその罪は大きい。
しかし現実で自分は犯人を殺すことは出来ない。
そんな時、『妄想』と『祈り』が私を助けてくれるんです。
頭の中では永久に牢に閉じ込めようが人を殺そうが、何をしてもかまわない。
キラは…そんな私の妄想が具現化したような人物なんです。」
しばらくの間、沈黙が続いた。
レイの立場からすればそれは正論ではない。
だが真由美のときとは違い、反論は出来なかった。
人の思想は自由でありそれを裏付けるのは、
実際に涼子が被害者であり、それを見てしまったからである。
「…そういえば、私はあなたの名前をまだ聞いていませんでした。
よろしければお教えくださいますか?被害届けも出さなくてはいけない。」
レイは事前に知っていたが、
改めて聞き、場の雰囲気を変えようとした。
「鷹村涼子といいます。」
「涼子さん、地獄通信って知ってますか?
これはキラ事件の次に日本で問題になっているものでして、
先日私も初めて知りました。局地的な事件なので
アメリカでは話題になりませんでしたが。」
地獄通信の名前が出たとき、涼子の顔が一瞬虚ろ気になった。
「一応知ってます…。」
「行方不明ということになっている地獄通信の被害者の方は、
まだ助かる希望があると私は思います。」
「多分…助からないと思いますよ。地獄通信の噂、知ってます?
通信の主、地獄少女は恨みの相手をそのまま地獄に送ってしまうんです。」
「…地獄なんてあるわけない。神もいない。
キラや地獄少女は、この世の神にでもなろうとしているのだろうか。」
「…そうですね。また、私は妄想に囚われていました。」
「…色々と大変だったようですね。応援も呼びましたので、
必ずストーカー犯人を捕まえます。
私の先の、犯人のすぐ後ろを追っている警官もいるので大丈夫でしょう。」
「そう…ですね…」
涼子は確信を持っていた。誰より先に地獄少女が手を下すと。
「…どうやら犯人は病院に逃げ込んだようです。
今は夜、人がいない暗い病院でその場で身を隠し、
我々を見計らって逃亡すると思われます。
…涼子さんはここで待っていてください。」
「わかりました…。」
一方、この会話を傍受していたLは考察した。
「どういうことだ…?このレイ=ペンバーの会話は…
『犯人のすぐ後ろを追っている警官』とは、一体…
この監視カメラの先は、犯人しかいない。
レイ=ペンバーの見誤りではない……
鷹村宅でも同一の現象が起きた。
そして、鷹村自身が糸を引いた…これは…
…これも地獄少女に関係していると思うべきか…。」
監視カメラ越しには警官の姿は写ってなかった。
そしてLはワタリに通信した。
「ワタリ。」
「今から私とレイ=ペンバーが直接通信出来るようにしてくれ。」
「かしこまりました。」
「…地獄少女。確実に追い詰められているはずだが、
お前には存分に余裕を感じさせられる…これは私の杞憂か…?」
病院前には先を追っている警官とストーカーがいた。
レイは外に出たその時、携帯から電話が掛かってきた。
「…もしもし?」
「ワタリです。Lの要望があり、
今から直接貴方の携帯にLの通信を送ります。」
「なんだって!?それはなぜ…。」
「リアルタイムで貴方に指示を送りたいとのことです。
「わ、わかった。」
レイの携帯からLの通信が来た。
「Lです。レイ=ペンバー捜査官、今正面には誰がいますか?
今、貴方が持っている鞄の中の小型カメラでは範囲が狭いので。」
「犯人と、犯人を追っている警官です…今病棟に入りました。
私も犯人を追ってみます。」
「…その警官が犯人をそのまま追っていれば構いませんが、
もし犯人と警官が別々になってしまったら、警官を追跡してください。」
「そ…それは何故ですか?」
「その警官は地獄少女の一派だと思われます。
犯人は他の警察官たちに任せてください。」
「なんだって…!わ、わかりました…!」
レイは病棟に入ると二階に上っていく犯人と警官を見かけた。
「そこの警察官の方、応答を願いたい!
私は警視庁のシロタ=D=コンソメと申します!」
「警察手帳に拳銃…どうやら本物のようだな。やれやれだぜ。」
しかし、警官は無視してそのまま行ってしまった。
「やはり地獄少女の一派なのか…!
犯人を追っていたあの時日本警察ではそう簡単に、
銃は使わないと思い、何故銃を持って威嚇をしないかなど
思ってもいなかったが…くそ!」
2階に上ると犯人が右に逃げていく中、警官は左に移動した。
「私を撒くつもりなのか…!」
レイもLの指示に従い、警官を追った。
警官はレイを誘うかのように部屋に入っていく。
レイも部屋に入ったが中には誰もいなく、何も無い空き部屋であった。
「くそっ…ここは2階だぞ。どこから抜けたというんだ…?」
「…レイ=ペンバー捜査官、犯人を追ってください。
私たちを撒き、犯人と接触を試みているのかもしれません。」
「わかりました。」
「ぎゃああぁぁぁぁ!」
その時、右の通行路から悲鳴が聞こえた。
犯人は廊下に立ちすくみ対面している部屋からは明かりが灯ってた。
レイはそこに向かい、銃を構える。
「まて!そこから動くな!」
しかし犯人は『引きずり込まれる』かのように部屋に入っていった。
レイも急いで部屋に入ったが、またもやそこには誰も居なかった。
「なぜこうも、一瞬の内に消えることが出来るんだ…?
これは一体…。」
「…どうやら警察隊が来たようです。一度、彼らと合流してく………」
「L…?くそっ、電波妨害か。」
小型のカメラも起動しなくなった。
「ワタリ?」
「…すみません、L。病院周辺に謎の電波ジャックが入りました。
早急に対応します。」
「頼む。」
全て地獄少女の計画通りに進んでいった。
「何故部屋から消えることが出来た…あの部屋にはトリックも何も無い。
『地獄少女』……そんなものの存在を信じろとでもいうのか…。
…どの様な裁きを行っているかは知らないが、お前は悪だ。
意義が違えど、やっていることはキラと同じ…
そしていずれ…どちらも処刑台に送って見せよう。」
―――ストーカーは今あの引きずり込まれた病室に居る。
その前方には長襦袢の着物を着た少女、閻魔あいがいた。
「この部屋に涼子が居たと思ったら…ば、化物にかわりやがった!
これはどういうことだぁぁ−ー!」
するとまた背後から気配がした。
「あの子がどんな思いをしてきたか分かってるのかい?
あたしゃあ、あんたを見てると気持ちが悪いよ。」
「運悪く本物の警察と鉢合わせになっちゃったよ。
…まあこうやってうまく誘い込めたんだけどね。」
「自分の罪を認めるきになったか?」
それは骨女、一目蓮、輪入道の三人。
レイの先にいた警官の正体は一目蓮であった。
「ふざけるんじゃねぇぁぁ!あいつが悪いんだよ!
こんなにも俺が愛してるのによぉぉおぉ!!」
「だってさ、お嬢。」
あきれ返った一目蓮が切り出すと、
あいはストーカーの方ににじり寄って来た。
「闇に惑いし哀れな影よ……
人を傷つけ貶めて…罪に溺れし業の魂…」
「ひぃぃ!?」
「イッペン、死ンデミル?」
その瞬間ストーカーは幻覚に捕らわれたかのように、
闇に堕ちていった………
YOU 短編のつもりで何話かに分けちゃいなYO
面白そうだし
「はっ!?」
目覚めると、ストーカーは小船に乗っていた。
川の周りには灯篭が流れており、小船を漕ぐ少女が一人。
「ここはどこだ!?」
「地獄行きの三途の川…
ここは妄念に捕らわれた貴方には、よく似合う場所……。」
「ふざけるなぁ!」
あいに襲い掛かろうとしたが、
ストーカーはこの世のものとは思えぬ輩に
身体を雁字搦めにされてしまった。
「ひいぃぃ!?
逝きたくないー!逝きたくないよぉぉ!!!」
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、
金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、
無間地獄の旅支度。
「この恨み…地獄に流します……」
囚われた魂は、地獄へ堕ちていった。
死神をも知らぬ地獄へと…。
>>273 とりあえず後2回投稿したら完結します。
「終わったな、お嬢。」
「そうだね…」
あいの見つめる先には、鷹村涼子がいた。
レイ=ペンバーは鷹村の待つ車へと戻っていった。
「遅くなってすいません…犯人は病院から失踪した模様です。
申し訳ありません、総動員で探しましたが…。」
「いえ…いいんです。今回の件はありがとうございました。」
少女の胸元には契約が完了した証の刻印が刻まれていた。
少女は、小声でつぶやいた。
「…これでいいの。私の救世主は地獄少女。
私のような目の届かない罪は地獄少女が恨みを晴らしてくれる。
魂を犠牲にして、自業自得でなければいけないけど…でも…
キラと地獄少女がいれば、この世はいずれ平和になる。
それを望まない人がいても…必ず。」
キラの支配を代償に、安寧とした世界を望む者。
それに反抗し、現在の状況を維持しようとする者。
地獄少女はどちらにも興味が無い。
「啼けよ…鶯、林の雨に…
妹恋しと声かぎり…。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき…
狐牡丹の花がさく…
地獄七山七谿めぐる、可愛い…
ふぅ……やめよ。
…『夜神月』…あなたは、一体…。」
あいは詩を歌ったが、途中でやめてしまった。
閻魔あいは、どれにも交わらずただ自らの任務を遂行する。
彼女はそれだけの為に、幾何年存在し続けてきたのだろうか。
それでも時は止まらない。
そして月とL、この先どちらに勝敗は転ぶのだろうか。
未来は、誰にも分からない―――
完
共通するテーマは『善悪の定義と矛盾』
登場人物
夜神 月…DEATH NOTEの主人公。ある日デスノートを手に入れ、犯罪者を裁くことにより
世界を変革しようとしている。裁くことを肯定している者からはキラと呼ばれている。
閻魔あい…地獄少女の主人公。地獄通信に書き込むと現れる地獄少女の正体。
リューク…DEATH NOTEの登場人物。ライトに憑く死神。
L…DEATH NOTEの登場人物。ライトと対する人物。
レイ=ペンバー…DEATH NOTEの登場人物。キラ事件を調べているFBI捜査官。
ワタリ…DEATH NOTEの登場人物。Lをサポートしている。
一目蓮、骨女、輪入道…地獄少女の登場人物。閻魔あいに仕える妖怪。
橋本真由美…地獄少女の登場人物。第1話に登場。
鷹村涼子…地獄少女の登場人物。第2話に登場。
ストーカー…地獄少女の登場人物。第2話に登場。
うん 中々良かった。最初ビックリしたぜ。
月があいを殺すのかと思ったら違うのね。
支援しておいて言うのもなんだが、
長すぎ。もうチョット、読んでる人のこと考えなよ。
>>282 すいません。
次回があったら何話かに分けて構成します。
乙です。俺はリアルタイムで読んでたので楽しかった。
内容からして、連投したいのもわかります。
デスノートは好きなので嬉しかったよ。地獄少女とやらは知らないけど、
確かにサイト見るとコラボし易そうだ。面白かったよー。
285 :
作者の都合により名無しです:2006/05/14(日) 22:42:39 ID:f09OG/Px0
開いたらすごいのが来てたのでびびったw
お疲れ様です。地獄少女もデスノートもダークな世界観は
共通しているものがあるのでコラボは成功ですね。
しかし地獄少女すげえなw
第二部があるのか。楽しみですね。(次回は分けてね)
四人の天使は、人間の三分の一を殺すために解き放された。
この天使たちは、その年、その月、その日、その時間のために用意されていたのである。
新約聖書“ヨハネの黙示録”第九章十五節より
終章「鎮魂」
■任務開始
玉崎はごろん、と床に仰向けに寝転がった。
「それにしても、さっきのはすごかったっすよ、カイジさん」
真横で同じ格好をしているカイジに視線を投げながら、語りかける。
「……カイジさん? カイジさん!?」
玉崎が大声で呼びかけても、返事はなかった。
その様子を見た黒川が、ばたばたとカイジに駆け寄る。
「意識がないんですか?」
「そう、みたいっす」
「肩口の傷が……かなりひどいですよ、これ。出血が原因で気を失ったのではないでしょうか」
と、黒川。それを聞いて、玉崎は跳ねるようにして上半身を起こし、目を丸くした。
「ああ! まさかその傷……銃弾!? 喰らってたんすか!?」
「そのようですね。部屋で安静にさせた上で、何かしらの応急処置をしないと……まずいかも、しれません」
「是非、そうしてあげてほしいっす。もう人死には御免っすよ」
「玉崎さんは?」
「ここで、犯人を見張ってるっす。と言っても、もう抜け殻みたいになっちゃってるっすが」
そう言って玉崎は、親指で縛られた只野を示した。
玉崎の言う通り、焦点の合わない目で宙を睨んでいる只野からは、生気が感じられなかった。
「では、ホールの方はよろしくお願いします」
黒川は、只野と玉崎を交互に見て、それから玉崎に軽く目礼をしてカイジを背負い、四号室に向かった。
「あんたが犯人を見張っててくれるなら、俺は、こちらの姫君をベッドに寝かせてくるとするわ」
言って、小此木は気を失っている双葉を抱きかかえた。
「……悪戯するんじゃないっすよ」
中央廊下へ歩き出す小此木の後姿に、玉崎がぽつりと呟いた。
「しねーよ! すぐ戻る!」
振り返って、心外だ、と言いたそうな目つきで玉崎を睨み、小此木は叫んだ。
「折角運が向いてきたと言うのに、一言余計だったか。ゆっくりしてきてもらえるに越したことはないんだが」
廊下の奥へと消えて行く小此木の姿を目で追いながら。
玉崎は、今度は誰にも聞こえないような小声で、そう呟いた。
■小林二郎【二】
踊り狂う雪と漆黒の闇が織り成す幻想的な白と黒のコントラストを、オレンジ色をしたヘッドライトの光が引き裂く。
最悪の天候をものともせぬ速度で、一台の4WDがペンション『シュプール』へと向かっていた。
運転席では、小林二郎が鬼気迫る形相でハンドルを握り、アクセルを踏み込んでいる。
フロントガラスの向こうは白いノイズだらけで、視界は実質ゼロに近かった。
車もろとも、沢へ滑落するかもしれない。途中でタイヤが雪に埋もれ、立ち往生するかもしれない。
それでも、長年の感覚だけを頼りにして、自殺志願とも思えるような無謀な運転を続ける。
小林の心中を支配していたのは、強い自責の念であった。
闇金融の連中の手先と思われる、黒ずくめの男達から持ちかけられた、一つの取引。
小林は男達の甘言に耳を貸した上に、渡りに船とばかり、二つ返事でその取引を快諾してしまった。
取引の条件は、以下の三点。
壱。ペンション『シュプール』の営業を停止。こちらが定めた日数、オーナーは留守にする。
弐。その期間内、ペンション『シュプール』に何があったとしても、一切関知しない。
参。この取引の内容は、どんな事情があったとしても、決して他者に口外しない。
提示されたのは、驚くほどに単純明快な、三つの条件。
それを呑むだけで、雪だるま式に膨れ上がった借金の帳消しと、再出発に十分な額の資金の提供が約束される、と言うのだ。
人には誰でも、魔が差してしまう一瞬と云うものがある。
小林はあの日、生に絶望していた。小林はあの時、死に思いを馳せていた。
そして、そんな心の隙間に入り込むような絶妙のタイミングで持ち込まれた『取引』への誘い。
欲と金に塗れた薄汚い男達の言葉を、小林はあたかも天から差し伸べられた救済の手のように思ってしまったのだった。
(くそっ……!)
取引の条件、項目弐。『シュプールに何があったとしても、一切関知しない』この一文が、何を意味するのか。
小林が文章に秘められた相手の真意に気付いたのは、取引を承諾してから数週間も後――今日の朝――だった。
シュプール『で』何があったとしても、一切関知しない……ではない。
シュプール『に』何があったとしても、一切関知しない……なのである。
そう。黒ずくめの男達は、暗に『シュプールを破壊する』と、小林に示唆していたのだ。
そうでなければ、ここまで莫大な金額を小林に渡す理由が説明できなかった。
(シュプールを、壊させはしない……絶対に……!)
もし、小林が経済的な余裕を取り戻す事、それだけを望んでいたとしたならば。
バラバラ殺人事件の直後。経営が暗礁に乗り上げた時点で、すっぱりと経営を放棄すればよかった。
ともすれば傷口を広げかねない大規模改装など、する必要はなかったのだ。
あの時点であれば……まだ、やり直すことができた。
シュプールを売却して得た利益で事務所を借り、弁護士として法曹界に復帰する。
そうすれば、借金はここまで致命的なものにはならなかっただろう。
少なくとも今のように、自己破産以外に有効な手段が見当らないまでに追い込まれる事はなかった筈である。☆注
しかし、小林は決して、シュプールを手放そうとはしなかった。
あくまで、シュプールの存続を願い、不利なゲームと知りながらチップを賭けた。
シュプールと、いつまでも共にありたい。そんな、損得勘定を無視した頑なで純粋な想いが、小林の中にはあった。
遥か前方に、ぼんやりとした明かりが見えた。少し間を置いて、見慣れたペンションの輪郭が姿を見せる。
目が、大きく見開かれる。アクセルを踏み込む足に、一層の力がこもった。
☆注
自己破産を行えば、シュプールを競売にかけられるだけでなく、弁護士資格も剥奪される。
元の鞘に納まる事さえままならなくなってしまうので、小林としては一番避けたい手段だった。
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>170です。
時間はちょっと戻りまして、カイジが意識を失った直後。
時系列がちょっとわかりにくいです。
・賞金
この手のイベントでは大抵、主催者は律儀にもフェアプレイを貫きますよね。
そのあたりは、お約束と言った所でしょうか。
・相応しいラスト
泣いても笑っても後少し。悔いのないよう頑張ります。
・救い
あまりないかもしれません。とことん暗い話になってしまいました。
291 :
作者の都合により名無しです:2006/05/15(月) 17:56:56 ID:zCto+I1y0
とことん暗い話は物語の性質上仕方ありませんね。
いきなり小説の一説が書かれているから、特に悲劇っぽくw
終章ですか。寂しいなぁ
第17話 玄人と呼ばれる男
東京都葛飾区亀有にてーーー
子供達が公園で遊んでいた。時刻は午後3時過ぎ。遊びの時間真っ盛りである。
その公園の向かいに派出所、つまり交番があった。
「あ〜、ダリぃなぁ。全く一日ぐらい非番の日をくれってもんだ。」
交番の中で一人の男がぼやいていた。角刈りで顔と体は丸っこい。おまけに眉毛が繋がっている。
身長は167程か。体中の毛が濃く「ゴリラ」と呼ばれてもおかしくない。
その彼が今机に向かって書類を作成していた。PCを使って作成するのではなく手書きの
簡単な書類である。が、数が多い為時間がかかる事この上無いのだ。
「すみませーん、両津堂の先生はいらっしゃいますか?」
一人のスーツ姿で帽子を被った男が派出所に現れた。
「はい。なんでしょうか。」
交番の男が答えた。
「自分はマルス工業の者です。今回先生に仕事を依頼したいのですが。」
「私が両津堂の職人、両津勘吉です。何か御用でしょうか。」
“マルス工業”と言う会社から来たらしい男は鞄から何かの書類を取り出した。
そこには何かの図面の様なモノと写真が描かれていた。
「そろそろ日本の警察にも情報が入りそうですが・・・。」
男は写真を両津に見せた。それにはアメコミに出てくるヒーローの様な格好をしたロボットが写っている。
どうやら戦闘の一シーンの写真らしい。
「これは?」
「これを作ったのは我々の同志なのですが・・・最近行方不明になったのです。」
「ならアンタ達がすりゃいいじゃねぇか。日本警察の手に負える問題じゃないぜ。」
両津は面倒臭そうに傍にあった茶碗を手に取りお茶を飲んだ。正直筋違いもいい所と言う顔をしている。
「探してくれというのでは無いのです。今の組織を消滅させる為に新しいロボットを作るのに協力して欲しいんです。金ならいくらでも出します!」
“金”という言葉が響いた途端に両津の表情が一変した。ニタリとずる賢い笑みを浮かべている。
「まず報酬の額を教えてくれ。後今の組織・・・つまりあんたの職場を消すってのはどういう事か説明してくれ。」
「はい・・・。」
マルス工業から来た男は静かに語り始めたーー
同時刻 東京都中央区 神田 「超神田寿司」にてーー
一人の男がカウンターで寿司を食っていた。寿司をワサビと醤油につけ箸で口へと運ぶ。
魚肉は一目みて高級とわかる程の艶を放っていた。貧乏人が見たら涎が口から出てくる程であろう。
「いや美味いね。流石本場のスシ。この味は忘れられないだろうな。」
褒め言葉を述べると男は席を立った。そのまま出口へと歩いていく。
レジに金を払ってはいない。食い逃げである。
「待とうか。」
寿司屋の女将らしき老女が男に声をかけた。
手には薙刀を持っている。
「へっ、追えるモンなら追って来やがれ!」
男は一目散に駆け出した。見る見る内に姿が小さくなっていく。
「誰かソイツを捕まえてくれッ!食い逃げだッ!」
女将が声を張り上げた。
男は安心していた。この調子なら逃げられると思っていたのだ。後ろから追ってくる気配は無い。
(よしッ!食い逃げ成功だッ!)
調子づいた男が更にスピードを上げようとした時、彼はある異変に気付いた。
背後に何らかの気配がある。ちらりと後ろを見るとそこには薙刀を持った一人の婦人警官がいた。
走りながらこっちを追いかけてくる。
「ソイツ食い逃げなんだッ!ウチの寿司を食って金払わないげ逃げやがったんだッ!」
婦人警官が周りに呼びかけた。
「ほおぅ・・・周防・・・ちょっと待っててくれ。」
「花井ッ、花見の料理の材料・・・」
「後だ!今は犯罪者を捕らえる事が先決だッ!」
婦人警官の言葉を聴いて二人の高校生らしき男女が会話をしていた。
男の子は食い逃げ犯に向かって走り出した。全速力である。
婦人警官、男子高校生、ともに食い逃げ犯との距離は数十メートルである。
因みに現在、三人は商店街にいる。車道に出られたら厄介だがその場合食い逃げ犯は自らを危険に晒す事になる。
何せ車の通りが激しいのだ。
「おのれ 食い逃げ犯めぇ!僕の手にかかれば全滅だぁッ!」
食い逃げ犯の姿を視認した花井と呼ばれた男子高校生がスピードを上げる。既に食い逃げ犯の正面である。
「ソイツ!逃がさないで!」
婦人警官が薙刀を投げる準備をしながら叫んだ。そうしている間に花井と食い逃げ犯の距離がどんどん縮まっていく。
「ちぇい!」
花井が飛び蹴りを放った。左足が食い逃げ犯の顔に迫る。
「でえりゃあ!」
食い逃げ犯の男も対抗したかの様に飛び蹴りを放った。
二人の蹴りが空中で交差し、体もすれ違う。
「むッ」
「クッ」
二人の頬が同時に裂けた。当たってはいない。つまりダメージは無い。
着地と同時に食い逃げ犯は再度走り出した。
今度こそ逃げられたのかもしれない。花井達がそう思いかけた時異変は起こった。
食い逃げ犯が突然倒れこんだのだ。膝からガクリと崩れ落ちる様に。
格闘技を知っている者なら誰でもわかるもう二度と起き上がらない倒れ方ーー
「大丈夫ですか?」
花井達が呆然と突っ立っている所に一人の弓道着姿の女性が話しかけてきた。左手に弓を持ち背中には
矢を入れた容器をしょっている。この女が矢を放ったらしい事は確かであった。
「磯鷲早矢・・・・やるわね。」
薙刀を持った婦人警官が道着の女性に声をかけた。どうやら知り合いらしい。
「ギボシ 纏(まとい)さん。私の矢があなたより少し早かっただけです。」
早矢と呼ばれた女がニコリと笑みを浮かべた。愛想笑いに見えたが友人に対するフォローの様でもあった。
数分後 ギボシ纏達は「超神田寿司」の敷地内、つまりギボシ屋敷の中にいた。
食い逃げ犯を尋問する為である。
「おりゃ!」
ギボシ纏が男に水をぶっ掛けた。
「ううっ・・・どこだ・・・ここは。」
食い逃げ犯が目を覚ました。険しい目つきで周囲を見回している。
「ここはアンタが食い逃げをした店だよ。さぁ年貢の納め時だ!」
纏が薙刀を食い逃げ犯にぶつける。斜め上から振り下された薙刀は男の肩に命中した。
「ぐえッ。」
男が右に倒れる。纏が追い討ちで打撃を加える。
「名前を聞こうか。」
纏が厳しい口調で質問した。答えなければ又打撃を与えるという態度だ。
「葵 ブンゴ」
「へぇ・・・んじゃ警察に・・・」
「待てぇいッ!」
纏の言葉が終わらない内に誰かが遮った。
全員の目が向かった先にはギボシ家四兄妹の一人 ギボシ 檸檬(レモン)が立っていた。
「どうした 檸檬。」
「この者は食い逃げをしたのじゃろう。なら家で皿洗いやら雑用やらさせればよかろう。」
檸檬の言葉に纏は首をかしげていた。何だ そのご都合主義展開はと言いたげな顔である。
纏の意見は至極最もである。無銭飲食はれっきとした犯罪である。
「逃げた場合はどうするんだ?終わるまでこいつが逃げ出さない保障は無いぜ?」
「問題無い。お得意さんには北辰館がいるじゃろ。頼んで探して貰えばいい。」
北辰館。日本で一番有名な空手の団体である。それも其の筈。松尾象山がトップにいるからである。
「お縄かと思いきやここで働かせてくれるってのかい。喜んでやらせていただく。俺の事を見張ってくれても構わねぇぜ。」
「檸檬。お前何時そんな知恵つけたんだ?」
「悪人だからと言って徒に罰するだけではダメだって勘吉が言ってたぞ。」
「へぇ・・・。アイツもそういうトコあるんだ。」
あるうららかな春の日であった。
登場人物紹介
両津勘吉(こちら葛飾区亀有公園前派出所) 亀有公園前に勤める巡査長。
若い頃に刑事だった事がある。手先が非常に器用で“両津堂”というフィギュアメーカー
の職人でもある。資格は腐る程持っており何気に犯人の検挙率は優秀な方である。
だが騒ぎを起す事が多いのが玉に傷。
ギボシ 纏(同上) 両津勘吉の親戚。 婦人警官で男勝りの性格と両津に勝る程の
ベーゴマの腕を持つ。兄妹が三人居て ギボシ憂鬱、ギボシ檸檬 ギボシ蜜柑がいる。
磯鷲早矢(同上) 纏の同僚。婦人警官で優れた薙刀の腕を持つ。弓道の経験もあるらしい。
実家は京都にあり実は富豪の娘である。なお実家に帰ると地味系からギャル系に変わるという
驚くべき性格である。
ギボシ檸檬(同上)ギボシ纏の妹。四歳児でありながら祖母 ゲパルトの影響で「水戸黄門」
を愛する女の子。天才的な味覚を持つ。
葵ブンゴ(小説版餓狼伝) 葵三兄弟の一人。
好きなキャラを出してみました。両さんはドジな所があるけどパワーがあって
明るくてイイ人なので一番思いいれがあるキャラです。
ギボシ 檸檬に関しては「びんちょうタン」とのコラボを描く際に絡めて行きたいと思っています。
第17話終了です。ではでは。
298 :
作者の都合により名無しです:2006/05/15(月) 18:42:58 ID:zCto+I1y0
檸檬とびんちゃんはいいコンビになりそうですね。
どうしても檸檬がリーダーシップ取りそうな感じですけど。
しかし、フルメタさん纏め切れるのかw
>見てた人さん
いよいよ最終章ですか。寂しさと同時、救いのないラストを早く見てみたい。
あれほど呪われているとしか思えないシュプールに拘る小林。この辺がラストへの伏線?
後数回だと思いますが、まだ見てた人さんらしいドンデン返しがありそう。
>フルメタルウルブス作者氏
うわ、両さんが出てきたw ジャンプ、いや漫画を代表するキャラなのに何故か今まで
バキスレではほとんど出ませんでしたね。しかしまさかこの作品で出るとわw
しかし、今回は超神田寿司のまったくの日常風景ですねえ。
300 :
299:2006/05/15(月) 22:56:43 ID:SO3EW+TD0
>しぇきさん
連載打ち切りおめでとうございます。辛い決断だったでしょうが
自身の実力をきちんと理解した上でのご英断だったと思います。
もう二度とSSを書くことはないと思いますが、強く生きて下さい。
>>194 剣の先端は、アカギの喉元に触れたところで止まっていた。刺さってはいない。
自ら手に持った剣で、自らの頚動脈を突くポーズで、アカギの手は止まっている。
止まっているのは、楊雲が止めたから。咄嗟に立ち上がり、刃を両手で直接掴んで
握り締め、アカギの剣をギリギリで止めたから。
楊雲の、細く白い指に刃が深く食い込んで、血が流れ落ちている。
「……あ、あなたは……」
刃を掴んだまま、楊雲はアカギの顔を見上げて言った。
「一体、何を考えているのですか? 私を試すと言っておきながら、
こんな自殺行為……どころではない、自殺そのものを……」
「自殺、か?」
アカギがようやく、力を抜いて剣を引いた。楊雲の手が刃から離れる。
その時傷口が擦られて、文字通り斬られるような痛みに楊雲はその端正な顔を
歪めた。が、すぐさま厳しい表情になってアカギを睨みつけ、
「とぼけても無駄です。あなたの言う通り、私には人の死期が判るのですから」
「で?」
「あなたは、生への執着こそ深くありませんが、死からは縁遠いところにいます。
少なくとも、今日明日に死ぬ運命は全くなかった。今も同じです。が、さっきの瞬間、
あなたにはくっきりと死相が出ていました。私が止めなければ、あなたは間違いなく
自らの喉を貫き、死んでいた。寸止めや手加減などは、絶対にしなかった!」
剣を鞘に収めたアカギが、ぱちぱちと拍手した。
「ククク……全くその通り、そのつもりだったぜ俺は。いや、お見事お見事。
あんたの能力はこれで実証されたってわけだ」
平然と笑顔で拍手し、楊雲の死期予知能力を褒めるアカギに、楊雲は混乱する。
「な、何を言ってるのですか? もし私が止めなかったら、あなたは死んでいたの
ですよ? そうなったらどうするつもり、いえ、どうするも何も死んでしまったら、」
「おいおい、言ったはずだぜ。俺はちょっとした博打をすると。その博打……
そのギャンブルに、俺は勝った。つまり俺の読みが当たった。そういうことだ」
「……え。ではあなたは、私が止める、と読んで?」
まだ困惑した顔の楊雲に向かってアカギは頷き、言葉を続けた。
「あんたが死期を読めるように、俺は人の弱さを読むのが得意でね。ただひたすら
弱い奴、そういう弱い奴しか相手にできない奴、とか。あんたも弱いぜ。というか、
弱さを自覚しまくっている。人の不幸、人の死を予知できながらも、何もできない
自分の弱さをな。どうだ? 当たらずとも遠からずだろ」
「……っ……あ、あの、」
何か言おうとした楊雲だったが、アカギの言葉がそれを遮る。
「けどな。手を伸ばせば、その手が届く刃ぐらいは止められるだろ。そして、そこに
いる奴を救える。それができないほどあんたは弱くない、と俺は読んだ。違うか?
いや、違うも何も実証済みだよな」
と言うアカギの視線は、楊雲の手に注がれている。「実証」した血まみれのその手に。
当の楊雲はというと、信じられないといった面持ちで、アカギを見ていた。
「私が必ず止めると確信していたから、何の躊躇いもなく自分の喉を突いた……? そ、
そんな。たった今会ったばかりの人間を、あなたはそこまで信頼できるのですか?」
「信頼? 俺はそう読んだ、と言ったろ。そしてその読みに自分の命を委ねた。
それが博打、ギャンブルの本質さ。読みが外れればそれまでのこと。こんな薄暗い
路地で、無意味に自殺して血まみれの屍を晒す……それもそれで悪くない……」
自分の、全く無意味な死の可能性を、軽く笑って語るアカギ。
楊雲には理解不能だ。いや、困惑混乱しながらも、自分なりに理解しようとしていく。
『この人、口では何だか危ないこと言ってるけど……でも私を、影の民の私を、
心から信頼して……くれた』
アカギの「自殺未遂」が確実に本物であると見抜けるからこその、楊雲の今の感情。
楊雲の能力と、そして楊雲の心とに、文字通りアカギは命を賭けたのだ。
「と、いうわけで楊雲。改めて頼むが俺の旅に同行して欲しい」
などと言われても楊雲は、もうアカギをまともに見ることが出来なくなっていて。
俯いたまま、震える声で答えた。
「ほ、ほんとうに、あなたは……わ、私なんかで……いいの、ですか?」
「こっちから何度も頼んでるだろ?」
「……私と一緒にいるだけで、あなたも白い目で見られたり、いわれのない
非難を浴びたりするのですよ……それでも?」
「それはフィリーからも、あんた自身からも聞いた。けど、さっきも言ったろ。
俺は俺の読みに賭けるだけだ。あんたを選んだ俺の読みに、な」
あんたを選んだ。その言葉が決定的だった。
そよ風にかき消されそうな声で、楊雲が答える。
「こんな私で、いいのでしたら……お供させてもらいます……」
「お、そうか。そりゃ良かった」
生まれてこの方最大の、と言うより人生初めての、魂が燃えるような感情の中で、
楊雲は承諾の言葉を搾り出した。
だがアカギは変わらず、淡々平坦。軽い表情で「よろしく」と握手の手を差し出す。
楊雲は戸惑いつつもそれに応じようとしたのだが、指先が触れ合った瞬間、
「つっ……!」
「あっと、悪い。その手じゃ無理か。ちょっと待ってくれ」
と言いつつアカギはハンカチを取り出して、ケガをした楊雲の手に巻きつけ結んだ。
「ほら。こうして、こうすれば」
「あっ……あの、」
指をぐるぐる縛られているので、普通の握手はできない。なのでアカギと楊雲は、
変形握手をした。楊雲が今自由に使える唯一の指、小指だけで握手をしたのだ。
そう、互いの小指と小指だけを繋ぐ握手。
「これからよろしく頼むぜ、楊雲」
「……は……は、はいっ。こちらこそ、よろしくお願いします……アカギさん」
楊雲はもう完全に、涙声になっていた。だがもちろんその涙は、悲しみの涙ではない。
初めての仲間、初めての友達、そして初めての握手に、
言いようのない昂ぶりを感じての涙である。
《楊雲が仲間に加わった!》
そんなこんなのやりとりを、ぱたぱたと羽ばたきながらフィリーはずっと見ていた。
「な〜んていうか……なんだかなぁ。楊雲、根本的なところで思いっきり、
アカギのことを誤解してるような気がするんだけど」
ほりほりと頭を掻いてるフィリー。その眼下で、アカギが表通りに向かって歩き出した。
手早く荷物を纏めた楊雲が、その後に続く。
今の楊雲の顔。手に巻かれたアカギのハンカチと、そのハンカチが巻かれていない
小指を見つめて、それからアカギの背中に視線を向けて、遅れず着いて行こうとする
その表情。
そんな楊雲を見ていたら、フィリーもなんだか、こう。
「……ま、いいか」
ぱたぱたと羽ばたいて、二人の後を追うのであった。
以上です。いつにも増して、本当に書きたいから&観て貰いたいからのワガママ
でしたが……おつき合い下さり、ありがとうございましたっっ!
>>一真さん
なるほど異分子、納得の頷きです。斜めにズレた異次元感覚が妙な笑いを誘ってくれます。
ギャグを主体にし、普段バカやってる連中が話の盛り上がりに合わせシリアス顔も見せる、
これぞ最大の燃え展開。一部でちゃんとそうなってましたし、新生? 真選組に期待です。
>>全力全開さん
ほう。入浴シーンの目撃ではなく、女の子との直接接触でそう……感じますかのび太クン。
いや珍しい。まあ源家のお嬢さんはその辺、今日びの十歳としてはどーなんだろって感じ
ですしねとか思ってみる。ますます本家ヒロインとしてヤバくなってきたぞ、お嬢さんっ。
>>邪神? さん
あぁやっぱりシコルはシコルですな。作戦の駒にさえさせて貰えず、一人だけ利用されて
るような。でもユダに高く評価されてる(?)っぽいし、本人が満足できる形かどうかは
ともかく、次回活躍できるんでしょう、多分。その時はスペックも加えて総力戦になる?
>>デスノ×地獄さん
燃えはしませんでしたが冷たく緊張しましたよ〜。激突も勝負も怒号もないのに緊迫感、
お見事。私にゃ書けませんなこれは。でも面白かっただけに、私としてもやはり分けて
欲しかったです。次回を楽しみに待つ、というのも楽しいので。あと、できれば御名前を。
>>見てた人さん
小林さん……確かゲームの「2」でも追い打ちかけられてたような記憶が。金や地位とは
計りにかけられないほどに、シュプールのことを愛している。しかしもう惨劇は起こって
しまっていて、そもそも契約も済んでて。確かに、もうどうにも救いようがなさそう……
>>ウルフズさん
新章突入と同時に、怒涛の新キャララッシュですな。こち亀は長いこと読んでませんが、
噂通り随分と様変わりしたみたいですね。とりあえず両さんなら、知識・技術・実力と、
どれを取っても餓狼・フルメタの面々とも張り合えるでしょうし。大暴れ大活躍に期待。
>ふらーりさん
あれ、ふらーりさんここで終わりですか?まだ続きそうなんですが。
ふらーりさん特有の可愛らしいアカギをもっと見たかったなあ。
>見てた人さん
完結と同時に名作に数えられそうな素晴らしいクオリティでしたな
ラストスパート頑張って下さい。また悲劇が起こりそうな感じ。
>フルメタルウルブス作者さん
両津は生命力は餓狼伝キャラを凌ぎそうですね。ある意味最終兵器。
びんとレモンの幼女コンビは鞍馬がやはり守るんだろうか?
307 :
作者の都合により名無しです:2006/05/16(火) 00:43:27 ID:0xTbs2YS0
ふら〜りさん今回は短いな。長編カテまで頑張って欲しかった。
アカギが主役の作品って珍しいから、修羅場とか見たかったな
>ふら〜りさん
どんなに本人からすれば軽く見ていても、命を自分に預けてくれたりしたらたまらないでしょう
Fateのキャスターと宗一郎のようです
「これでよし、準備OK!」
爆薬を岩にセットするドイル、火薬の扱いは自分の体に
仕込むくらいなのだ。出来て当然といった表情でドイルは
作戦の準備が出来た合図をユダに送る為、大声で叫ぶ。
「よし、ドイルはその場で待機!崖下の連中はシコルスキーの周りに集まれ!」
ようやく作戦を思い出すシコルスキー、この為に突き落とされたのだ。
ドリアンが鎧の男に纏わりつく足元の鎖を引っ張り体勢を崩し、
その隙にシコルスキーの下へ走る、崖にしがみ付いたまま
呆然としているカイルにユダの声が掛かる。
「何をしている!飛び降りてシコルスと合流しろ!」
慌てて手を離し地面へと着地するカイル、シコルスキーと
ドリアンがすぐに駆けつけ、手を差し伸べる。
「甘いわ!」
咆哮と共に手に絡みついた鎖を振り回し、遠心力で先端を引きずり出す。
余りの力に鉄球を発射した砲台までもが引きずり出されてしまった。
そして腕に巻きつけ、鎖の長さを調節すると、奇怪な右腕の
異常なる力でカイル達に向かって振り下ろす。
「覇ッ!」
三戦、空手の構えであり攻、防、バランスの取れた型。
これに呼吸法が加わる事によって大きな防御効果を得られる。
そしてこれを用いてカイルを守ったのは、空手の原型である
中国拳法の中でも最強の称号、海王を持つドリアンであった。
「見よう見まねでは、厳しかったかな・・・。」
構え、呼吸に置いて完璧だった三戦、だが悪夢の力を防ぐには
心許なかった様だ。ドリアンの厚い胸板が陥没していた。
「今だ、ドイル!」
ユダが指示を出す、それと同時に岩に仕掛けた爆薬を作動させる。
轟音を立てて岩が崩れると共に、亀裂から水が飛び出す。
「このアサシンギルドの創設以来からダムに溜め込まれていた水だ。
御蔭で谷が枯れてしまった様だがな、喰らえ化け物!」
ドイルの仕掛けた爆薬によって、留まっていた水が
一気に溢れ出し、谷を飲み込んでいった。
この谷は本来ならば川として機能していたのだろう、だが
アサシン達は人が水を求めて訪れる川ではなく、魔物の生息する
危険な谷を自分達の隠れ家としたかったのだ。危険な場所に自ら
飛び込む愚か者は、自分達が始末すればいいのだから。
その為、飲み水の確保、そしてギルドの防衛機能として岩のダムを作ったのだ。
「フン、血迷ったか。自分の仲間と道連れとはな。」
ニヤリと笑うユダ、シコルスキーを指差し悪夢を嘲笑う。
「愚か者が、貴重な戦力を貴様如きの為に失う訳が無かろう!」
シコルスキーが詠唱を始める、正確にはシコルスキーの内にある
水竜の力が、周囲に淡い膜を貼り優しくカイルとドリアンを包み込む。
「水術、水舞い!」
得意げに術を披露するシコルスキー、悪夢の男の眼が血走る。
水流が目の前に迫る、押し流されていくナイトメア。
水舞いによって流れに逆らわず、受け流すシコルスキー。
遥か彼方に悪夢の男が消えた時、ようやく水の流れが収まる。
崖から飛び降り、ドリアンの下へと走るユダ。
2mあるドリアンを担ぐシコルスキー、カイルでは潰れてしまう。
ドイルも続けて崖から降り、シコルスキー達の下へ駆け寄る。
「急いでギルドの中へ入れ、あの程度で奴は死なん。」
ドイルとシコルスキーが疑惑の声を上げるがカイルは判っていた。
あの程度で死ぬ様な奴では無い、万が一あの鎧が砕けても、あの
不気味な剣が所持者を探し、己の傀儡として仕立て上げるであろう。
だが今は立ち去った危機が再び襲来しない内に
ここを離れる事を考えなければ。ユダ達の通った隠し道を通り、
再びアサシンギルドへと足を踏み入れた。
〜???〜
この程度の水流に流されるとは、ソウルエッジの力、今だ不完全か。
次に会う時には更なる魂を闇に沈め、我が物に・・・。
邪剣の眼が次なる獲物を求めて、世界を見渡していた。
〜アサシンギルド・ユダの治療室〜
カイル達がスペックの安否を気に掛け、部屋へ急ぐと
リアラとロニがベッドで眠っていた、神の眼を使ったとはいえ
相当疲れたのであろう、ユダの侍女が二人に代わって
スペックの容態を伝える。だが侍女が全てを伝える前に、
ベッドから起き上がる男がその場に居た全員を安心させた。
「ン〜良ク寝タゼ、一眠リシタラ腹ヘッチマッタ、飯持ッテ来テクレ。」
まだ眠り足りなさそうに背伸びをすると、ユダの侍女に飯の
催促をしている、その場に居た全員に安心と同時に満面の
笑顔までも土産にして、神を破壊する男が復活した。
「そうか、全員分の食事の用意をしろ!」
ユダが周囲の侍女に命を下すと直ぐに部屋から立ち去り、
食事の準備を進めに別室へと移動していった。
腹を擦りながらロニも部屋を出て行く。
「俺も腹が減っちまったなぁ、うまい飯頼むぜ。」
全員がユダの部屋へと移動していく、ユダも部屋へ向かおうと
扉に手を掛けるが不意にスペックから声が掛かる。
「スマナカッタナ、迷惑掛ケチマッテ。」
背を向けたままその言葉を聞き、後ろを振り向かずに手を振って答えるユダ、
こちらを向いていなくてもスペックには判っていた、ユダが人知れず
微笑んでいる事が。己の策に陥る者を嘲笑う笑みでは無く、友を、強敵を
気遣う優しく、熱い漢の笑みのまま扉を開き、皆の下へ向かった事を。
ユダに続き、自分も外へ出る為ベッドから起き上がる、体が重い。
やはり神の眼を使ったとはいっても治療術は完全無欠では無い様だ。
もう一度背を伸ばし、体の調子を少しでも取り戻そうと試みる。
「ヨシ、行クカナ。」
背を伸ばし、身体をほぐすと少し楽になったので早速、
スペックは空腹を満たすためユダの部屋へと赴いた。
「うおおお!この歯応え、舌触り!どれを取っても非の打ち所がねぇ!」
ユダの侍女達の運ぶ料理を次々と口に入れながら料理の解説をするロニ。
長い独身生活で主婦業もお手の物である彼だが、料理はその中でも
得意な部類に入る、遅れて部屋に入るスペックにも気付かず
片っ端から口の中へと放り込んでいく、流石にマナーは学んではいない様だ。
「醜い奴だ、もう少し慎んで食えんのか・・・。」
忠告している最中にも関わらず料理に飛びつくスペック、ブチブチとユダの
頭から何かが切れて行く音がする、フォークとナイフをテーブルに置き、
席を立つと南斗紅鶴拳に伝わる独特の構えを取り、テーブルの上に手を翳す。
「料理と一緒にバラバラにしてやろう・・・!」
ローストチキンは見事に真っ二つになり、焼き魚は縦横に裂けて行く。
こういう展開を予想してかテーブルの端を掴み自分の料理を死守する
カイルとりアラ、柳、ドリアン、だがシコルスキーはユダの目の前にいたので衝撃波に襲われる。
「ぐおおぉ、みみみみみ見えない!どこから来た!」
料理の味にひたすら感動するだけだったので状況が判っていないシコルスキー。
ズタズタになった腕を水竜の力で治しながらテーブルへと目を向けると、
ユダの手によって二つに割れたテーブルの間で、ユダ、スペック、ロニの
三つ巴になっていた、シコルは天を突く怒りに身を震わせ、力の限り叫んだ。
「てめぇらの血は何色だぁーー!」
シコルスキーの突然の襲撃を避けずに受け止めるスペック、
怪我人とは思えないタフネスで耐え切ると、カウンターで
テーブルにあった肉まんを3つまとめてシコルの口に詰め込む。
口を塞がれよろめくシコルにロニの拳が襲い掛かるが間一髪、
回避に成功するシコルスキーだったがユダの放った伝衝烈破に
またしても切り刻まれてしまう、そして真っ二つになった
テーブルの中心に立ち尽くすシコルスキーに、三位一体の攻撃が襲い掛かる。
紅鶴の奥義、超スピードによる衝撃と騎士団でも通用する我流の奥義。
そして怪我から回復したばかりの男が放つ息もつけない怒涛の連撃。
「南斗鷹爪破斬!」
「空破特攻弾!」
「ハハハハッ!」
ユダの拳による斬撃+ロニのタックル+スペックの連撃=シコルスキー敗北の図式が完成した。
SSにナイトメアが出た影響かソウル3のコンボ探しに夢中な、邪神です。
やっぱジークフリードはいいですなぁ、声も勇者王だし。
ちなみに前回
>>ナイトメア、今でこそカッコイイですがソウルエッジのはひどいですw
と書きましたがソウルエッジ時代は中の人でした、
ナイトメアはキャリバーでしたよ。
なんか2から3になってダサくなった彼。
まぁどうでもいいので講座いきましょうか講座、
本編未登場のキャリバーの紹介もしておきます。
〜講座of講座〜
ソウルエッジ 普段は巨大な目のついた大剣、所持者によって刀、ヌンチャクと様々な姿に変わる。
元々は普通の剣だったが数多の戦争で活躍している内に負の力に侵され邪剣となった。
ある時代に英雄王と呼ばれる人物の手に渡り、強い意志で邪剣を操ったが不幸にも
英雄王の息子が未熟なうちに剣を取ってしまったため、邪に目覚めた息子もろとも邪剣を破壊した。
何時の日か復活するソウルエッジを恐れた英雄王はソウルエッジの破片を使って、一振りの剣を作った。
ソウルキャリバー 英雄王が世に知られた賢者の力を借り、清められたソウルエッジの欠片で作られた霊剣。
だがソウルエッジと同じく、大きすぎる力である為、ソウルエッジが復活しない限り真の力は発揮されない。
ソウルエッジの欠片で作られた為、本体のソウルエッジには及ばないが霊剣の力を強める法具がある。
そして、その法具が無ければ邪剣を起源とするこの剣が人の心によって二つ目の邪剣となってしまう可能性がある。
314 :
邪神?:2006/05/16(火) 01:34:11 ID:diKLB59g0
〜感謝感謝〜
ふら〜り氏 おや、前回冷めた感じだった子がデレデレ、
これがツンデ(ry
シコルスキー評価はされてるっぽいです、水竜の力が。
ジャギ戦で見ただけですがカイル達がディアブロス戦中に眠りから覚めた
時にシコルの無傷を疑問に思って聞いたのでしょう。
っていう脳内補完で、ユダ様は本当に頭の良いお方。
215氏 ただ突き落としたいだけで岩落としに配置したのではない!
安全な位置でダムの水害から味方を守り尚且つ攻撃も出来るという
切り札的ポジションを与えていたのだ!ん?突き落とす必要性?
な、なんの事かな・・・フフ。
234氏 戦って拳を交えないと相手を認められない男、それがユダ。
現代風に言うとツンデr(ry
んん〜いつもの事ですが少ないコメントに拍車が掛かってますな。
妙な粘着に気分を害して外出中な方が多いのでしょうか、
速く少し前のバキスレの雰囲気に戻るといいですねぇ。
【2次】漫画SS総合スレへようこそpart37【創作】 より
456 :作者の都合により名無しです :2006/05/04(木) 22:41:58 ID:to6FnGOY0
バラダッド・ナイブスの8億人斬りみたいな感じになるかな。
勇次郎も60億と戦っても云々と言ってたし。
ありかもよ、こういうの。
401 :作者の都合により名無しです :2006/04/29(土) 18:11:41 ID:SJ1IZU5H0
テンプレの
>>1でも話題の本編ですが、ゴルゴVSビスケ&男塾雑魚塾生以外の全人類の番外編をどなたか
お作りください。
402 :作者の都合により名無しです :2006/04/29(土) 18:43:15 ID:eLFuwATh0
>サナダムシさん
赤青黄に対する対応はじゃんけんですか。
加藤、頭脳プレイ?も冴えてきましたね。
試練を乗り越えて、出来ればラスボスは
独歩か克己がいいなあ。
>テンプレ屋さん
乙です。しかし、パオさんは心配ですね。
>>401 意味わからん。
403 :作者の都合により名無しです :2006/04/29(土) 20:58:22 ID:qrs88eHT0
バキ魔界編の番外編を読めばわかります。まとめサイトにありますよ。
邪神?さん乙です。
スペックとユダの男の友情が、花の慶次みたいでいいです。
シコのポジションは、もう不変なんだろうなあ。
317 :
作者の都合により名無しです:2006/05/16(火) 17:07:48 ID:Q29XuywN0
邪神さん、好調な連載お疲れ様です。
ユダはすっかり一味を取り仕切る風格ですね。いい奴っぽい。
しかし他の連中はうまく使われてるなあ。死刑囚は子分みたいだ。
シコルに至っては奴隷以下だし。スペックだけが一目置かれてる感じ
邪神氏好調だなあ。100話くらいまで行きそうだ。
ユダ&死刑囚軍団の個性の強さにテイルズやロマサガたちが食われちゃってるけどw
俺も頑張って書かなければいけないと思いつつ、中々書けない今日この頃w
【鞭】むち
「市民の皆さん。全市民の皆さん。知っていますか? ホットケーキは、1632年、イギリスの
小さな農家で初めて焼かれたのです。母親のいないその家庭で、父親は子供の為に愛情を
込めてホットケーキを焼きました。皆さん。全市民の皆さん。私に皆さんの為のホットケーキを
焼かせてください。私は皆さん一人一人のために、尽くしたい!愛情を込めて、尽くしたい。私
に皆さんの為のホットケーキを焼かせてください! 私は皆さん一人一人の為に、尽くしたい!」
何かの候補者らしき人間が、霧の中で声を張り上げる。
スピーカーやマイクが作動しなくなり、地声で演説するはめになっている。
そこからかなり離れたバス亭のベンチで。
金髪の男が軽く頷き、認識票を一撫ですると……霧がすぅっと引いていった。
10分後、バスに乗る金髪の男の姿があった。
「やはり冷房は涼しい。霧で日光を遮るのとは大違いだ。さてと。緒方カンパニーを目指すか」
夕刻。
海豚海岸と皆神市の中間に位置する駅に千歳はいた。
正確には、その駅の誰もいない待合室に。
彼女は、久世家のアリバイについて一通り調査を終えているが、どうしても分からぬ部分が
あり、頭を悩ましている。
とりまとめた目撃証言と、麻生部長殺害の時刻を付き合わせると、時間的には不可能という
結論しか出ない。
とりあえずアリバイは、電車を用いたっぽいものだ。
電車といえば西村京太郎なので、最寄の本屋で買って読んで研究してみたがさっぱり分か
らない。時刻だけが並んでいる文章を見ると眠くなる。
というのは筆者の場合における話なので、千歳とは関係ない。
やはりここは高名なる海外ミステリを入手し、それをパク……いや参考にしていかねばならな
いのだろうか。筆者、現在価値の割引なら分かるが、時刻表トリックへの素養はゼロなのだ。
余談がすぎた。
千歳はおなかが空いたので、根来にやる予定だった弁当をそそくさと食べて、今後の方針を
考えてみた。とにかく、出来うるコトはやらねばならない。
聡明なる瞳が、静かな光に満たされた。
何か思いついたという感じが見て取れる。
「ダメージのせいで昨日の夜は無理だったけど、今なら」
いかにもな説明セリフと共に、ヘルメスドライブを発現すると、心地よい電子音が鳴り、画面に
文字が浮かんだ。
内容は、『場所』と『人名』、どちらを選択するかの質問だ。
レーダーとして使われるヘルメスドライブだが、対象を検出するプロセスは、平易な喩
えをすると、銀行などにあるATMにやや近い。
千歳はタッチペンを手に取り、『人名』の方を軽やかになぞった。
すると検索の方法(50音別か最後に会った時間、性別などなど)や、それに応じた項目が色々
と出てきたが、千歳は迷うことなく目的に向かってタッチペンを動かしていく。
最後に目的の人物名をなぞると、鈴が落ちるような音がした。
ヘルメスドライブが待機モードに移った合図だ。
なお、以上のややこしい手順は、対象が遠方にいる時のみである。
千歳自身が視認できる場所や人物ならば、集中一つで索敵と移動ができる。
ややあって、対象が映し出された。
その人物はいつもの居住地で、別の人物を会話をしているようだ。
「もう退院していたのね。でも、どうしてココに?」
千歳は不思議そうに呟いた。
対象と話をしている人物は、ひどく端正な顔立ちだ。
にもかかわらず、その前歴は特異で、かつ波乱と闇に満ちている。
戦団に入るのがもう少し早ければ、再殺部隊へ編入されていただろうと思わせるほどだ。
千歳が見覚えがあったのは、以上2点によるところが大きいが、しかし「どうしてココに」とい
う疑問への回答にはなりえない。
千歳は性格上、覗きは好まない。
ので一旦、ヘルメスドライブを解除。
しばらく待ってから再起動し、対象と顔見知りの会話が終わっているのを確認すると、瞬間
移動を実行した。
なお、この際気をつけねばならないのは、用が済んだらちゃんと今の駅に戻らなくてはならな
いというコトだ。切符の料金が無駄になるし、下手すればキセルにもなる。
ステンドグラスから夕日をうっすらと浴びながら、一人の少女が気だるそうに呟いた。
「今日は先客万来ね。望んでいないっていうのに」
「ごめんなさい。本当なら私たちが頼れる筋合いはないけど──…」
千歳は要件を切り出した。
少女はしばらく黙った後、不機嫌そうに回答を出した。
「やればいいんでしょ」
「ありがとう」
「勘違いしないでちょうだい。ママがあなたを操ったコトを気にしていたからよ。私は貸し借り
を消したいだけ」
少女は千歳から何かを受け取ると、さっさと踵を返した。
「気にしないで。あの時のコトは私の油断が原因だから」
大きな瞳にゾッとする寒気を漂わせ、少女は押し黙った。
もし、彼女が千歳より年上だといっても誰が信じるだろうか。
華奢な体つきも幼い顔立ちも、着ているセーラー服とは年相応。
そう、誰 か さ ん とは違って、ちゃんと年相応。
だが彼女は別段、喜んでいない。
むしろそうなった理由と、諸々の事情で『錬金の戦士』なる人種をことごとく嫌悪している。
千歳の「気にしないで」という言も、きっとひどく気に障ったに違いない。
ただしそれでも要件を放り出さないのは何故なのか?
この時、生じていた葛藤は彼女しか知るべくもない──…
少女は、首だけ千歳に振り向かせ、別の話題を切り出した。
「あなたの能力は一応、ママから聞いているわよ。だから」
千歳は、提示された条件を了承した。
(きっと、私に対して貸しも借りも残したくないのね。だからこういうコトを)
「これを明日の昼頃にするのよ。いいわね。あなたが頼んだモノはそれから渡すわよ」
頼むというよりは命令口調で一方的にいってのけると、少女は地下へと姿を消した。
地下深くでガラス張りの水槽がぷくぷく泡を立てている。もはやいない主を寂しがるように。
「もうどこに居ても同じよ。だから気晴らしに行くだけ──…」
セーラー服の上にメタルブラックのマントを羽織った少女は、一人で呟いた。
夕闇迫る工場の近くで、雛咲という事務員が所在無げにボソボソ呟いていた。
瞳がおかしい。中心から幾重にも、円が重なっている。
グルグル回るグルグル回る。グルグル回るグルグル回る。
「右に回ったのは久世家さんです。ちょっと童顔で残業をあまりしない人です。今日は私の
伝票処理の業務を引き継ぎました。部長が死んで、いろいろ仕事の分担が変わったので。
あとは、他の郵便物とかも管理するようですね」
「なるほど。会社ってのは大変だな。分かるぞ本当によく分かる。俺も一応リーダーだからな。
組織に属するってのは大変だ。で、左に回ったのは誰か聞かせてくれるかな?」
雛咲の前に立っているのは、先ほど駅前にいた金髪。欧州的な美形である。
彼らがいるのは人通りが少なげな、川沿いの細い道。
所々にサビが浮いたフェンスで川と歩道が区切られていて、その網目を男は熱心に見つめている。
「根来さんです。逆立った髪型で怖い目つきで、マフラーをしています」
男が左手を動かすたび、風切り音が舞い上がり、何かがフェンスの網目をすごい速度でくぐる。
左手に鉄製の鞭を握っているので、その先端部分だろう。
テンポよく左から順番にくぐっていたが、不意に跳ね上がった。
「うあ! ちょっと手元が狂って網目のX部分にかすってしまったぞ! 大丈夫かなコレ。ちょ
い塗装が剥がれてるように見えるが、もともとフルそうな奴だからな。きっと俺のせいじゃない
だろう。うん。大丈夫だ。ダイジョブダイジョブダイジョブダイジョブ、ダイジョブ・だよねぇ〜♪」
フェンスの前に屈みながら、男は妙にはしゃいでいる。
「最近どーもみんながっ! ボクをワラテル気がスル!! フ。部下どもがひどくてなぁ」
「ちゃんと話を聞いてください」
「聞いてたさ。左に回ったのは根来とかいう、スーパーサイヤ人か002みたいな奴だろ」
「いいえ。逆立った髪型で怖い目つきで、マフラーをしています」
「パーツからして、スーパーサイヤ人か002じゃないか」
男はそこらの雑草を引っこ抜き、塗装の剥がれた部分に乗せた。隠したいらしい。
「いいえ」
「操ってるのに抗弁するとは。それも仕方ないか。再現率は最大で8割程度だしな」
苦笑する男の眼前で、草がズリ落ちた。
「ちなみにこの武装錬金で催眠をかけた場合、元の性格はそのまま表れる。てコトはだ。
君は、根からマジメなんだろう。部下に欲しいが、巻き込むのも忍びない」
男は雛咲の首から、認識票を取り外した。右手だけでこなすあたり、器用さが伺える。
「お。そうだもう一つ」
さらに認識票をかけがてら、思い出したように質問する。
「この顔に見覚えはないか? そっくりじゃなくていい。もうちょい老けた感じだと思うんだが」
「いいえ。初めてみます」
「そうか。ともかくありがとう。ポケットに『なごやん』を入れといたから気が向いたら食べてくれ」
鉄鞭が地面を打ち、乾いた音が響き終わるころ。
男の姿はなく、自分がそこにいるのを訝しむ雛咲の姿のみが残った。
真夜中。明け方にやや近い頃へ時刻は移る。
「ふむ。アレからしばらく考えてみたが、どうも妙案が出ない」
男は森の中にいた。ちょうど先日、根来たちが戦った広場に。
「工場の近くでたまたま社員を見つけ、催眠をかけた所までは良かったが」
頭かきつつ、なごやんを口に放り込む。辺りにはゴミやら血の跡があるが、彼はあまり気に
していないようだ。
「とにかく久世家という男は、核鉄を持っていない上に、錬金の戦士がすぐ近くにいる。力添
えをしてやりたいが──…」
地面に鞭の先っぽを突き刺し、持ち手を耳に当ててみる。
「下手にしゃしゃり出て色々ブチ壊すのは気が引ける。が、核鉄を渡し、武装錬金の使い方
と戦士の存在を教えてやらねば、みすみす死なせてしまう」
呟き声と入れ替わるように、工場近くの音が次々に入ってくる。
「どうやって伝えるべきか。直接はいろいろリスクがある。何か、間接的な方法は──…」
さて。と長考にふける男は、非常に大きな音を聞いた。
何か重量のあるものが、地面を走る音だ。微細な振動も混じっている。
「これは、製品や部品を運ぶためのトラックか。まだ夜中だというのにご苦労な。ん? そうだ」
男は端正な瞳を子どものようにきらめかせ、掌をポンと叩いた。
「さっき話を聞いといて良かった。工場ならコレを使っていろいろできる。……と思いついた所に」
「クエー!」
背後に禍々しい気配を感じ、男はため息をついた。
薄ら汚れた白スーツの男が怒りも露に立っている。鷲尾だ。
彼は警察から脱走したのだ。で、ようやく着いた巣の近くにまた侵入者がいたので逆上した。
もはや殺すといわんばかりの眼光で、拳銃を構えている。
「厄介そうなのが来たな。ま、俺に当たったところで痛痒はないが」
男の胸でニつの光が瞬いた。
一つはホムンクルスになら必ずあるという章印。
もう一つは、胸の中心。ちょうど、認識票がかかっている辺り。
楽しそうに笑う男の手から鞭がかき消え、代わりにモスグリーンの光が広場を照らした。
「銃声で騒ぎになってもつまらない。と、ゆーわけでコイツの出番」
男の右手に光がまとわりついていく。単細胞生物・アメーバのように、うねうねと。
やがて幾重にも重なりあった光は、徐々に硬質化し形を整え、最後には篭手(ガントレット)
……のようなものになった。
と書いたのは実際、コレを『ガントレット』と呼んでいいものか悩んだからだ。
ガントレットとは手袋状、もしくは前腕部までを覆う防具を指す。
しかし今、男の右手に現われた『ガントレット』は。
右手のほぼ総てをすっぽり覆っており、形も通常のものとは大きく異なっている。
肩口から肘の辺りまではいわゆるプレートアーマーのように波を打ち、前腕部分は、ガトリング
ガンの銃身そのものだ。手首からにょきりと生えた二枚の羽と、ガンプラとしか形容できない
掌は、もはやおもちゃか何か、『ガントレット』からは程遠いフォルムだ。
更にそれが。
「いやぁ久々」
肘の辺りから光を噴出し、暗闇切り裂き、鷲尾を仰天させて。
「こいつはやっぱり!」
男を宙に舞い上がらせ、青ざめた鷲尾に口をパクつかせて。
「気持ちがいい武装だよな!」
自由落下の最中にグングン膨張する掌から、鷲尾を必死なる逃走へ駆り立てるも。
「グエっ!」
結局、彼を叩き潰したりしたら、これはもう普通の『ガントレット』とは呼べない。
哀れ鷲尾、巨大な掌の下敷きになって、白目を剥いた。
「ヒャッホウ! なんてな。いやぁ、しかしすまんすまん。これ持ってたからな」
男は、銃を拾い上げると損傷のないコトを確かめた。
「殺しはしないさ。ちょっといいコト思いついたから、しばらく付き合え。なごやんやるからさ」
……根来が出てないな今回。
さてさて。風呂敷を広げつつありますがいかがなものでしょうか。
いちおう最後の展開自体は決まっておりますので、そこへ説得力を持たせるべく、色々描いて
いますが、最後の展開を変更した場合はとてつもないコトになりそうな。
総集編的な代物もそうです。ピリオドの描き足しとアフターがあったせいで、構想をブチ壊され
でもカズキvsパピヨンをじっくり入れたいから、とてつもないコトに……!
ゆえにSSを描くのです。気分転換に。ああ、文章って自由に動かせるから素晴らしい。
ふら〜りさん
チラシ作成といいますと、フォトショでですか? レイヤーの統合がCtrl+Eでできるという……
千歳は、原作者が「ちょっとダメっぽいコスプレお姉さん」と広言しましたので「変な部分があってもいいや」
と描くのを楽しんでます。あと、少ないと思ってた物が多いと得した気分になりませんか…? 自分はそうです。
>God Region Melody
え。めっちゃ序盤って感じなのにもう? ああでも、短編というのはこんな感じですよね。
女の子と仲良くしてるアカギは新鮮ですねw それでいていつもの調子を崩してないのも。
時系列的には不可能ですが、天が見たらなにを思うやら。確か「人と親しく話しているのを見た事がない」そうなので。
part37スレ
>>258さん
エクセルについては、コレだけでも1つSSがかけるほど色々ありますよ。でもワードは自分もダメです。
何せ練習用のソフトが違ったもので。それと身長ですが、自分も単行本を眺めていてビックリですよ。
そういう意味で、ライナーノートは飽きないです。そこにあった「諦観して任務で平衡を保っている」千歳も
捨てがたいんですが、自分の受けた印象と根来との対比で、ちょい感情的+変な部分がありますね。
part37スレ
>>259さん
フラッシュは、あれから細部がグレードアップしております。こうご期待。
>こんな「自分より実力が高い新参者」がいたら俺もうざいかも。
同意です。でもまぁ、的確な指示とよい環境さえ与えてやれば、仕事はきっちりやってくれそう
なので、いいかなぁと。あと、根来の成分を与えたヒロインを作ってますが、コレがなかなか乙でして。
>聖少女風流記
いよいよ山場! ジャンヌ亡き後はオリジナル色を全面に押し出した展開になりましょう!
魔界転生チックに蘇る敵のチョイスも気になる所。OVAジャイアントロボばりに、「コイツかぁ!」
という意外な人物が意外なポジションに収まったりも……? 期待はつきまじです。
全力全開さん
いいですね。情報系。縄文時代はCOBOLとかの為にフローチャート書いてましたよ。
しぇきさん
まとめサイトの方ではありがとうございました。自分は頑張って完成させますよ。
実際は時々、自身の映像技術のなさに悩んだりしますが、しかし動いていると案外どうにか
なってくもんですし、テンションも上がって楽しくなりますよ。楽しんでやってれば、自分の想像
以上に良いものができたりもします。生きてる限りは、アレ、いつか必ず完成させます。
>それゆけフリーザ野球軍
フリーザ陣営以外のキャラを主軸に据えますと、ハジけますねw
されど暴れ狂う敵こそ、修行の相手に相応しい! 歯止めの効かぬ相手をただ倒すだけじゃ
なく、救ってやってこそ成長が! といってもギニューたちもともと悪役ですが、成長する悪役もアリですぜ。
327 :
作者の都合により名無しです:2006/05/17(水) 10:27:18 ID:WtGmo0w40
お久しぶりです。サイトの掲示板のフラッシュも楽しませて頂きました。
怪しげな少女が出てきたら、と思ったら鷲尾が脱走して。
でもすぐに拘束されてしまいましたねーwこの作品のヤムチャ的なキャラだ。
実質的な主役の千歳はあくまで真面目ですねえ。
そういえば根来も真面目だからワキの変なやつらが余計に際立つ。
フラッシュともども期待しておりますよ。
お疲れ様ですスターダストさん。
今回、主役は出てきませんでしたけど、毎回ひそかに楽しみにしてる
ウンチク、というか豆知識はやっぱり出てきましたね(ホットケーキ)
鷲頭がとっつかまって、ドラマも急展開でしょうか?
次の更新を楽しみしてます。
329 :
清祥所封隆起:2006/05/17(水) 20:54:49 ID:UkpmoaH00
第二十一話 蒼穹の彼方に
それは残酷なほどまでに美しい情景だった。
白銀に身を固め、白き馬で駆け抜けていた美しい乙女の騎士を襲った一本の矢。
それは易々と鎧を貫き通し、矢尻は体を突き抜け、背中で禍々しく血を滴らせている。
ほんの少し、聖女は自分の左胸を見た。
まるで誕生日に思い掛けないプレゼントをもらったような、そんな顔である。
そしてゆっくりと落馬した。
映画の華やかなシーンをスローモーションで演出するかのように、残酷なまでに静かに。
前線の狂騒すらその瞬間、静まったような錯覚を覚える。
美しくも哀しい一幕。だが、決してあってはならなかった一幕である。
そして聖女は地に伏せた。
天使が羽ばたき疲れ、大地をベッドにして眠りにつくように。
それを見たイギリス軍提督・リシャールが常軌を逸した声を張り上げ、兵に叱咤した。
「ざまぁ見ろ魔女っ! お前ら、そいつを滅多突きにしてしまえ! 恩賞は望みのままだ」
イギリス兵がその声に狂喜の声を上げ、彼女へと殺到しようとした。
ジヤン達、近衛兵が彼女を中心に円陣を組み、必死にジャンヌを守ろうと抗戦する。
将軍ラ・イールがその異変を察知し、長弓隊を更に前線奥深くへと進軍させる。
そして素早く、城壁上の敵弓隊への一斉照射を命じた。ジヤンへの援護の為である。
彼の元へ、前線兵が駆けつける。そしてその凶報が伝わった。
(……聖女が射たれた、だと?)
ラ・イールは副官に本隊の指揮を任せ、自ら前線へと赴く事を即決する。
指揮官が本隊から外れる。戦場でのセオリーに反する事である。
だが、彼はもう知っている。この軍の中心軸はずっと前から自分ではない。
自分は作戦の指揮官であるが、兵士たちの心までは指揮は出来ない。魂は動かせない。
それが出来るのは地上で唯一、ラ・ピュセルの聖女のジャンヌ・ダルクだけなのである。
ジャンヌを失う事は、兵たちの心にある旗が折れる事である。魂の柱を失う事である。
それだけは避けねばならない。
330 :
聖少女風隆起:2006/05/17(水) 20:56:08 ID:UkpmoaH00
慶次が怒髪天に達し、獣のように咆哮した。
リシャールに対慶次用に厳選されたトゥーレル最強の10人が、その鬼気に硬直する。
生まれて初めて、彼らは鬼神を見た。
いや、二度目か。一度目はあの呂布である。が、彼は味方ではないがこちら側であった。
だが今は、その鬼神が猛り狂いながら自分たちに殺意を向けている。
触れてはならないものに触れてしまった。
後悔とも恐怖とも、諦観ともつかぬ複雑な感情が彼らを支配する。が、それも一瞬。
強烈な衝撃で目の前が空白になり、物言わぬ肉塊となるのに時間は懸からなかった。
一直線に慶次がジャンヌの元へと駆け抜ける。
怒りとも、哀しみとも、恐怖とも、焦りとも付かぬ叫びを上げながら。
イギリス兵もフランス兵も慶次を避けて逃げ惑う。目の前にまっすぐ道が開いた。
今のあの男は、触れれば死ぬ。
松風の瞬駆である。ジャンヌの元へ辿り着くまでは、ほんの数秒であった。
が、慶次はそれまでの生涯の中、ここまで長くもどかしく感じたことは無かった。
ジヤンが血を流しながらも敵兵からジャンヌを守り続けている。
慶次の槍が容赦なく唸る。イギリス兵が紙屑の如く風に散る。彼の怒声が響き渡った。
「これよりこの場所に近付かんとするもの、畜生の如く斬って捨てると心得よ!」
ジヤンはその慶次の顔を生涯忘れまい。
ここまで荒々しく、そして哀しい顔をした男を見た事が無かったからだ。
前線に不可侵の場所を生む、そんな鬼神がする表情とは到底思えない程に哀しい顔だった。
慶次は松風から降り、そっとジャンヌを抱き寄せた。優しく手を握って声を掛けた。
「ジャンヌ殿、お気を確かに、心安く。大丈夫。大した傷ではありません」
ジャンヌは応えない。が、慶次の温もりは感じたのだろう。
心なしか微笑みを浮かんだ。しかし呼吸は荒く、意識は戻らない。体が震えている。
慶次はいくさ人である。失傷に関して正確に判断する術を、自然に身に付けている。
その経験が、彼女の傷と状態を見抜いていた。油断出来ぬ状態である事を。
331 :
聖少序風隆起:2006/05/17(水) 20:57:49 ID:UkpmoaH00
(これは……厳しいかも知れん)
慶次の顔から汗が滴る。が、顔には出さない。出せば周りが動揺するからだ。
いくさ人として、いまだ有利な戦況に響くような事は出来ない。
が、一個人の前田 慶次としては別である。
心が掻き毟られるような痛みを覚える。敵の策に嵌った自分の不明を呪った。
(俺は、ジャンヌ殿を守る事が出来ぬのか)
左胸から血が流れる。僅かな出血量である。刺さった矢が皮肉にも血止めになっている。
出血死はないだろう。が、貫かれた位置は心臓に真近い。体が小刻みに痙攣している。
古今東西、戦場で一番多いのはショック死である。
撃たれてすぐに心臓が停止したり、しばらくして心臓が衰弱し死ぬ事が一番多い。
ましてジャンヌは女であり、射たれた場所は心臓の近くである。最悪といってよかった。
精神が浮遊している。
肉体という枷を外し、魂のみの存在となり、虚空に心地良く漂っている。
ゆらゆらと魂揺られて、静かにゆっくりと舞い上がっていく。虚空の果てに光が見える。
どうやら、あそこは自分が望んでいた場所らしい。
ほんの少し安心した。私には、まだ資格があるらしい。あそこへ行ける資格が。
人を殺めた穢れし身でも、まだ主は御許しになられている。
祈りと感謝を捧げる。精神のみの存在だから、『想う』だけだ。でも、それで精一杯。
今までの肉体の重みを感じる。その肉体に科せられた、罪と罰の重さも。
20歳前の娘には、重過ぎる宿業も。
出来るだけの事はやった。もう、充分。後は何処かの誰かが意志を継いでくれるだろう。
フランスを想う気持ちも、家族を愛する気持ちも、子供たちの将来を憂う気持ちも。
きっと誰かが継いでくれる。この国を愛する人たちが、あんなにいるのだもの。
だからもう、偉大なる父の元へ。苦しみも哀しみも無い、永遠の安息の地へ。
あの、光の溢れる場所へ。祈りを捧げるたびに夢見た、あの約束の場所へ。
主よ、今から参ります。あなたの懐へ。どうか御護り下さいませ……。
332 :
聖少女風隆起:2006/05/17(水) 20:59:05 ID:UkpmoaH00
『それで、いいのですか』
光に触れるほんの手前。その声は響いた。自分の精神の内側より、優しく包むように。
『本当にいいのですか、ジャンヌ・ダルク。あなたの旅は、ここで終わりですか』
もう一度、念を推すように声が響いた。
ジャンヌはその声に気付く。13歳の頃より、ずっと自分に応えてくれていた声である。
(大天使ミカエル様……?)
目の前の光が形を描き、美しい女性の曲線を描いた。背なには美しい翼がある。
『あなたが望むなら、永遠の安らぎの場所へ連れましょう。あなたは本当に頑張りました。
でも、本当に良いのですか? 心残りは、ありませんか…』
ほんの少し、末尾が哀しく響いたのは気のせいだろうか。それでもジャンヌは応える。
(私はもう戦う事も、人を殺める事も出来ません。主のお近くへ、どうか)
『そうですか。 ……この人生は、あなたには辛過ぎましたね。もう、お休みなさい』
ミカエルの姿が消え、光の海が出来る。暖かな光の宇宙である。
ジャンヌには分かった。その光に触れれば、永遠の安息の地に辿り着けることを。
光と精神を重ねようとした。永遠の場所へと旅立とうとした。
だが、しかし。.
何かが。何かが自分を止める。何か、とても大切なものを、自分は失おうとしている。
それは何? 子供の頃より夢見た天国と天秤に賭けられるようなもの?
ジャンヌに再度声が響く。ミカエルとは違う、低い、無骨な声である。
その声に感じる優しさの質は、ミカエルとは違う。だがミカエルよりも優しく感じる声。
「ジャンヌ殿、ジャンヌ殿……」
慶次は優しくそう繰り返している。背中を無防備に晒したままである。
ラ・イールが辿り着いた。ジャンヌを見て驚愕する。背中へ矢が貫通し、意識が無い。
「慶次殿、ジャンヌ殿はもう…」
慶次はほんの少しだけジャンヌから視線を外し、ラ・イールに静かに言った。
「言うな。その先を言えば、貴殿でも斬る」
333 :
聖少女風流気:2006/05/17(水) 21:00:40 ID:UkpmoaH00
慶次の腕の中のジャンヌの痙攣が激しくなっていく。
「失礼、ジャンヌ殿」
慶次は瓢箪を取り出し、水を一口含んだ。そしてそれを口移しでジャンヌに呑ませる。
少しだけ体の揺れが収まった。慶次はほんの少し安心したように微笑む。
その表情が一瞬厳しくなった。慶次の背中を見てラ・イールが目を剥く。
背中に、矢が刺さっている。
城壁の上から、敵将リシャールが兵に向かって狂ったように激を飛ばしている。
「あそこだ、他は構わん、あそこを狙え。怪物と聖女を一気に殺れる」
ラ・イールも弓兵に命じ、迎撃する。が、その間にも慶次の背中に刺さる矢は増えていく。
「何をしている慶次っ。聖女を連れて、今すぐその場から逃げろっ!」
苛立ちからか、慶次を呼び捨てにしてしまうラ・イール。だが慶次は穏やかに応える。
「今の状態で動かす訳にはいかん。俺はジャンヌ殿が目覚めるまで、この場を動かぬ」
それだけ言うと、また慶次はジャンヌへと優しく呼掛け続けた。
334 :
聖少女風流記:2006/05/17(水) 21:07:11 ID:UkpmoaH00
「ジャンヌ殿、ジャンヌ殿……」
声はそう続けているだけである。だがそれが限りなく暖かく、そして懐かしく感じる。
目の前の光を見る。先ほどまでは暖かく眩しく輝いていた。だが今は少し脆弱に感じる。
声。その声に比べれば、この光さえ……。
(大天使様……。私には、まだ)
搾り出すようにそう言った。ミカエルは母のように優しく応える。
『ええ。あなたにはまだ、為すべき事と、待っている人たちがいます』
精神が少しずつ地へ落ちていく。重力を感じる場所へ。己の肉体へと帰っていく。
ミカエルはその様子を見届けると、哀しげに呟いた。
『戦場へ、戻りましたか。おそらくあなたはもう、こちら側に来られないでしょう。
天には昇れない。でも人の歴史において、あなたは永遠に聖女と呼ばれる存在となる。
それが、あなたの歴史の中での役割なのです……』
暖かく包まれるような感触がある。
羽のように柔らかで、鎧のように強健な腕が私を包んでくれている。
そっと目を開けてみた。
血塗れになりながらも、穏やかな微笑を浮かべたまま護ってくれる人がそこにいる。
「慶次さん…。鎧が、真っ赤に染まっていますよ」
私は何とかそれだけを口にした。
その人は少しだけ目を潤ませたような気がする。だが穏やかな微笑のままこう言った。
「なあに、これも戦場の彩りですよ」
私は帰ってきた。私の場所へ。私の戦場へ。
魔女と罵られても、禁忌に身を焼かれる事になろうとも。
為すべき事を、成す為に。
335 :
4代目土方歳三:2006/05/17(水) 21:12:50 ID:UkpmoaH00
おめーら、土方歳三と坂本龍馬(竜馬は厳密に言うと間違い)どっちが好き?
先日、日本人が好きな100人とかいう番組見てて色々思った。
まずジャンヌダルクがマリーアントワネットに負けたのが許せん。マザーテレサは許すが。
何より許せなかったのは、紳介が好きな人物に土方を選んでいた事だ。
土方を汚すな。お前は横井秀樹あたりだろ、キャラ的によ。
そんな訳で俺は圧倒的に土方である。勿論、龍馬も好きだが。俺の周りも土方好きが多い。
俺は新撰組オタであるので、たまに酔うと上記の質問をする事がある。
ある酒の席で馬鹿なねーちゃんに、止せば良いのに上の質問をした時の事だ。
「土方なんて知らなーい! え、○○さん歴史オタク? きんもーい!! 暗−い!」
立ちバックで両方の穴を犯しまくるぞメス豚が…!
斬らねばならん。
娘など武士として斬りたくは無いが、現代に生きる新撰組として土方を馬鹿にするのは許せねえ…。
俺の自慢の和泉守兼定で滅多切りにしておいた。もう湯気が出るほどだ。
土方副長見ておられますか。安心して下さい。
こんな軟弱な平成の世の中でも、俺の心にある誠の旗は輝いております。
まあ新撰組オタというのは結構いる。俺なんかまだまだだ。
かなり前だがヘルス嬢(またかよw)でもぶつかった。
なんかの拍子で「NHKの新撰組!!てクソだよねー」と彼女が言った。
本人いわく新撰組オタらしい。誰が好き?と聞いてみた。俺は正直見くびっていた。
(ハイハイ、どうせるろうに剣心の影響で斉藤でしょ、それとも沖田かな?)
ま、俺も斉藤や沖田は好きだが、どうせそんなもんと高を括っていた。が、彼女の答え。
「山南敬助」 …こりゃ本物だわい。
それから俺たちただひたすら新撰組について語り合った。5分前のブザーが鳴るまで。
結局なんのプレーもしなかったが、まあいいやと思って店を出る際、携帯の番号を
教えてくれた。やはり新撰組は素晴らしい。
という訳で、漫画やSSだけでなく歴史物も読もうね。
道理で。
ジャンヌの戦術に土方が重なる訳だ。
ジャンヌは歴史上でも猪突猛進しか出来なかったはず
ちなみに俺も土方だ。幕末で一番すきなのは勝海舟だが
>スターダスト氏
ヴィクトリアでいいのかな、その少女は?
錬金はイマイチ流し読みしただけですが、スターダスト氏のFLASHを見て
興味沸いてきました。一度熟読してみようかな。
ネゴロの分は千歳がちゃんと活躍してますね。美人は得ですな
>4代目土方歳三氏w
ジャンヌ生き帰りましたか。魔界転生編はもう少し先かな?
結構楽しみにしてたんですけど、オルレアンはジャンヌの力で
解放してほしいかな。慶次の優しさが作中際立ちますな
どうもジャンヌがいつも美味しいけどw
ハイデッカさんの後書きはいつも痛さと面白さのラインを
行ったりきたりしてるなw
第十話「不景気不景気っていつまで続くんだこの不景気」
五月。春の到来と共に気持ちよくスタートを切った新入生や新社会人が、謎の気だるさに襲われる月。特にゴールデンウィーク明けとかに。
その日、昼の真選組屯所。いつもは数人のむさい男しかいないそこだったが、この日ばかりはいつもと違う賑わいを見せていた。
朝の朝刊に織り込まれていた新人隊士募集のチラシ――それを見た真選組隊士志望者が、ここに集合していたのだ。
それこそ老若男女関係なく。ガキからおっさん、ジジイまで。婦女子にババアまでいる始末。
ここはなんかのパーティー会場か? それとも初詣で賑わう日本の神社か? そう感じずにはいられない男が、二人いた。
「……おい総悟、こりゃあ一体なんの冗談だ? 俺らが朝の見回りに行っている間に何が起こったっていうんだ?」
冷や汗を流しながら人ごみの様子を見続ける男、土方十四郎。一体何人いるのだろうと数えてみたが、二十人くらいで挫折した。
「さすが土方さんだ。自分が毒牙にかけた女どものことを一晩で忘れちまうとは」
隣で同じく冷や汗を流しているのは、相棒の沖田総悟。吐く言葉はいつもどおりだが、実際はえらく動揺している。
「いや、今はボケてる場合じゃねぇだろこれ」
「甘いですぜ土方さん。こんな時でこそ平常心でさァ」
「そうか。じゃあ俺はいつもどおり昼食にマヨネーズ特盛りの『カツ丼土方スペシャル』を食うぞ」
鬼の副長と呼ばれる土方でも、現実から目を逸らしたくなる気分だった。
「副長ォォォ!」
どこか遠い空の果てを見つめ始めた土方に、真選組隊士の制服と無数の包帯を身につけた、傷だらけの男が声ををかけた。
数日前、仲間内から『人間バトミントン』なる新種の拷問(内容はご想像にお任せする)を受けた、山崎退である。
「なんだ山崎、そんな木乃伊みたいな格好して」
「これはあんたの仕業でしょうがァァ!! いや、そんなことより! これ見てくださいよ副長!」
山崎が差し出してきたのは、一枚のチラシだった。内容は、「シルバーソウルって英訳するとちょっと格好いい第九話最後の文面」に属する。
「……おいおいどういうことだこりゃあ」
「リストラってことじゃあねぇですかィ」
「いやー、まったく不景気って嫌だねぇ」
土方、沖田がうんうんと頷く。ついに真選組にも不景気の荒波が押し寄せてきたか。嫌だ嫌だ。
「……ん?」
違和感を感じた。先ほどの「いやー、まったく不景気って嫌だねぇ」というセリフ。
土方でも沖田でも山崎の声でもない。もっと渋めの、顎に髭を蓄えていそうなおっさんの声に聞こえた。
「って、何やっとんじゃお前はァァァ!!!」
「ぐほぉっ!?」
土方の隣には、いつの間にか真選組局長、近藤勲の姿があった。それも何食わぬ顔で。とりあえず、ぶっ飛ばしておいた。
「ちょ、ちょっとトシ! 仮にも局長に向かってその仕打ちはないんじゃない?」
「うるせぇこのゴリラが。つーかどういう訳だこりゃあ。事と次第によっちゃあ、いくらあんたでも斬り捨てるぞ」
そう言って、土方は腰の刀に手をかける。
鬼の副長の異名は伊達ではない。相手が例え上司であろうと、土方がやるといえばやる。
それが土方十四郎の持つ恐ろしさ。彼を怒らせて無事でいられる者など、沖田くらいであろう。
「違うって! 俺はこの件には無関係だって! 全部松平のとっつぁんが勝手にやったことなんだって!」
「なにぃ?」
松平の名を聞いて、土方は抜きかけていた刀を納める。さすがに警察のトップに斬りかかるほどハジケてはいないようだ。
「ったく、一体何考えてやがるんだあのおっさんは。真選組がそこらのゴロツキに勤まるわけねぇだろ」
「それでも今のメンツよりはマシって考えたんじゃねぇですかィ? ったく土方さんの女遊びが過ぎるから」
「いや、原因があるとしたら間違いなくオメーだろ。この間の講談屋の件にしたって、一体いくつの編集部潰してたよ」
「土方さんは今までふった女の虫歯の数をいちいち覚えてるんですかィ? そんなもんは数日前の新聞でも見て確認してくださいよ」
二人の会話は、聞いているだけで冷や汗が止まらない。
第一部の講談屋事件、近藤は登場しなかったが、一体どれくらいの被害を出したと言うのか。考えるだけでも胃が痛くなってくる。
「それで? 言いだしっぺのとっつァんはどこに行ったんだ?」
こうなったら本人に直接意図を聞き出さなくては、土方は松平の居所を求めるが、
「いやぁ、とりあえず正午になったら詳しく説明するって言ってたけど、もうすぐ出てくんじゃないか?」
とことん役に立たないゴリラだった。
同じく真選組屯所内。
新八が発見した折込チラシを見た万事屋一行は、この無数の人ごみの中にいた。
もちろん真選組に入る気などない。ただなんとなく、おもしろそうだから来ただけである。
「しっかしスゲー人だなぁ。こんな人数一体どうやって選考すんだ?」
「そうですよねぇ。資格一切なしとかって書いてありましたけど、剣の実力とかもいらないんですかね」
いくらなんでも剣の素人など入れたら江戸の治安は守れないだろう。新八は本気で真選組の行く末を心配しだしたが、銀時は、
「いいんじゃねえの誰が入ろうと。どうせ天人様様の世の中は変わんねぇんだし。俺にはねーし。つーか第二部俺の出番少なそうだなぁ。大丈
夫か?」
真選組の未来など、全く興味がなかった。それどころか、自分の出番の心配をしだす始末。
「銀さん……。あれ? ってか神楽ちゃんは?」
気づくと、もう一人の万事屋メンバー神楽の姿が見えない。
新八がどこに行ったのだろうとあたりを見回していると、
「――ゲェー!?」
無数の屈強そうな男達に囲まれている、血まみれの神楽を見つけた。
おっと、ここで早まって勘違いをしてもらっては困る。
これではまるで神楽が酷い目に遭っているように思えてしまうかもしれないが、この屈強そうな男達は既に地面に倒れピクリとも動かず、神楽
自身に付着した血は、全て周囲の男達のもの。つまり返り血だった。
改めて言い直すと、「神楽が数人の男達をのしていた」。
「ちょっと神楽ちゃん! なにやっちゃてんのォォォ!!?」
「なにって、先手必勝、ライバル潰しアルヨ」
――ここで原作未読にも関わらず興味を持って拝読して頂いている読者の方のために説明させていただくが、この神楽、実はただの少女ではな
い。もっと言うと、地球人でもない。
その正体は、最強最悪の戦闘民族「夜兎」。外見は地球人と大差ないが、広い宇宙では傭兵としても使われる程の驚異的な戦闘能力を誇る。
夜兎は透けるような肌が特徴であり、日の光を嫌うところから常に日傘を手放さない。神楽もいつも日傘を携帯していた。
神楽が地球にやってきたのは、元々は出稼ぎのため。さらに、父は宇宙をまたに駆けるエイリアンハンターなんかをしていたり。あ、好物は酢
昆布ね。
と、ここまで長々と説明すればご理解いただけただろうか。神楽にとって、そこら辺の男をぶちのめすことなど簡単なことなのだ。
「ライバル潰してどうするんだよ! 神楽ちゃん本気で真選組入るなのォ!?」
「そうだぞ神楽。それにライバル潰しっていやぁ昔っからトゥシューズに画鋲って相場が決まってんだよ」
「どこのバレエ少女マンガだそれェェ!!」
新八のツッコミは冴え渡る。仮にもここは武装警察の本拠地であるというのに、万事屋三人はいつもどおり好き勝手だった。
「はいは〜い、みんなちゅうもぉく!」
と、銀時&神楽のボケと新八のツッコミが鬩ぎ合う中、ついに時は来た。
正午。時間きっかりに、警察のドン、松平片栗虎がご登場。大物の雰囲気を漂わせる薄めのグラサンを光らせ、大衆の注目を集める。
一同の視線が松平に向くと、雑踏は静寂を得て瞬時に話を聞く体制になる。どうやらほとんどの人間が本気で真選組に入る気でいるらしい。
「えー、今日はよくぞ集まってくれた。正直オジさんもこんなに人が集まるとは思っていなかった。こんなことならチラシ作る数も半分くらいに減らすべきだった。あれ結構経費使っちゃったんだよ」
どうでもいい内輪話にも、未来の真選組候補達はぼやかない。ヤバイ、こいつら本気でマジだ。新八がそう感じていると、
「お前らも知ってのとおり、今の真選組はだらけ切っている。それ故失態も多い。そこでオジさんは思った。このままじゃあ駄目だと。そこで、オジさんは思い切ってこの真選組に改革を齎すことにした」
松平は早速今回の目的について話し始めた。確かに、松平の言うとおり最近の真選組は不祥事も多い。しかし、だからと言って隊を再構成、素人を増員するなど、正気の沙汰とは思えない。
「隊員総入れ替え。メンツが変われば民衆のイメージも変わるだろう。かなり強引な手法だが、今の真選組立て直すにはこれしかねぇ……と、思ったんだけどよぉ。正直これだけの人数選考すんのは、かったるい」
まあそうだろうな。その場にいる全員がそう思った。それくらいに集った志願者の数は膨大だったのだ。
「オジさんも暇じゃねぇ……だから、一番効率のいい選考方法を思いついた。たった今」
たった今かよ! 周囲の静寂のせいでツッコミを封じられた新八は、心の中で密かにツッコむ。
「――今からお前らには、真選組採用を懸けた『鬼ごっこ』をしてもらう」
静寂は、いっそう強まった。
そして誰が最初に呟いたのか、あまりにもお決まりのセリフで返した。
「……お、鬼ごっこ?」
ヤベッ……改行ちょっとミスった。
不自然に改行されてるところはちゃんと繋がっているので、脳内変換お願いします。
どうも一真です。第十話もとい第二部第二話をお送りします。
初めに、前回はハッチャケ過ぎたかとも思いましたが、それほどの反響もなかったようなので一安心。
それはそうとアニメ版の銀魂。長谷川の声の渋さに痺れました。あんな見せ場の少ないキャラなのに。
そんな長谷川泰三は次回登場予定。誰それ?って人はもうちょっと待つべし。
第二部、早くも雲行きが怪しくなってきたけど、今回はギャグ一本道でいくつもりなのでよろしくお願いします。あくまでも「つもり」だけどね。
そして最後に、毎度の感想ありがとうございます。締めの言葉に困ったので感謝で終えてみたり。
土方ネタが続いたのは本当に偶然かw
相変わらず気持ち悪いマヨネーズ主食のこっちの土方。
沖田と神楽の微妙なコンビはあるのかな?
血に染まる鬼ごっこになりそうだ。
しかしそこまでして入るような組織でないような>真選組
>ハイデッカ氏
慶次の男気に呼び戻された感じですね、ジャンヌ。
魔界転生辺はもう少し先ですか。
俺は基本的に今の歴史に沿った流れが好きなんで
もう少しこのままでいてほしいかな、と思います。
俺はどちらかというと竜馬派かな。でも吉田松陰が一番好き。
>一真氏
俺が作中で一番面白いと思う真撰組メインの話ですか。
今原作で彼らがメインなのでタイムリーですね。
神楽と沖田のツンデレ?のコンビと銀さんと土方の意地の張り合い
など見所が多いパートですね。新八、突込みが忙しそうだw
345 :
作者の都合により名無しです:2006/05/18(木) 14:29:58 ID:GY39z6S10
>聖少女
もうすぐ終わりっぽい?慶次はジャンヌを陰日向で支えてますね。
こんな2人がやっぱり火刑で引き裂かれるのかな?ハッピーエンドがみたいな。
>シルバーソウル
新撰組と銀ちゃんたちは決して相容れない存在のような期がするけど、
背に腹は変えられないかw最後までギャグで走るのもまた銀玉の醍醐味ですね。
■黒川時子
私はフロントに用意されていた救急箱を使い、カイジの傷口に簡単な応急処置を施して、一息ついた。
応急処置と言っても、残念ながら、私は医療知識など殆ど持ち合わせていない。
結局、小学校の保険委員と大差ない処置――消毒と止血――に終始してしまった。
しかし、幸いにも傷は見た目より深くはないようだった。少し安静にしていれば目を覚ますだろう。
さて、いつまでも寛いでいる訳にはいかない。ホールに残して来た三人と、犯人が気になる。
私はベッドの横に置いた丸椅子から立ち上がり、部屋を出た。
中央廊下を歩きながら、先ほどの犯人確保の一件を回想する。
今思い出しても、身体が震える。あれは、奇跡と呼んでも差し支えない、絶妙のコンビネーションだった。
拳銃を手にした犯人に臆することなく、互角に渡り合った伊藤開司。
死を覚悟で先陣を切り、犯人の注意を逸らした旗元太。
そして、二人が作ったチャンスを最大限に生かし、犯人の動きを止めた小此木秀平と玉崎真吾。
その時の私はと言えば、旗元の射殺を目撃したショックで、床に突っ伏して嘔吐していた。
まったく、不甲斐ないにもほどがある。己の醜態に、嘆息を禁じえない。
汚物を撒き散らかさなかっただけ、気を失った双葉夕実の方が上等と言うものである。
済んだ事を嘆いてみても仕方がない。所詮私の『器』はその程度だと云うことなのだろう。
そんなネガティブな思考に囚われていたせいか、私はホールで起きている『異変』に気付くのが遅れた。
玉崎真吾が、拘束されている犯人――只野文男のすぐ近くに跪き、小さな声で何事か呟いているのだ。
咄嗟に声を上げそうになり、口を塞ぐ。まさか……玉崎は『主催者側の人間』なのだろうか?
テーブルの影になって、只野の表情を確認する事は出来なかったが、見る限りでは、玉崎と会話を交わしているようである。
何しろ廊下であるから、身を隠す場所など無い。私は極力気配を殺し、二人の様子を窺った。
と、玉崎はいきなり、両手で只野の頭を鷲掴みにした。
首ががくんと、くの字に曲がる。
「あっ……」
意図せず、掠れた声が喉から漏れてしまう。
只野の首が……重力に何ら抗うことなく、折れ曲がった……
あれではまるで……まるで……死んでいるようではないか……!?
今の『声』で、流石に玉崎も自分に視線を送る何者かの気配に気付いたようだった。
ぎくしゃくとした動作で立ち上がり、血走った目で、周囲を見回す。
そして、ついに廊下の奥に私の姿を認める。遠目だと言うのに、玉崎の動揺が、手に取るように感じられた。
私は観念して、玉崎を十分に警戒しながら、ホールへと歩を進める。
只野文男は――アイスピックを喉に突き刺されて死んでいた。
その光景を前にして取り乱さなかったのは、直前、力なく折れ曲がる首を目撃したおかげだろう。
私なりに、心の準備と言うか、覚悟はできていた。
玉崎は黙って、射抜くような目でこちらを見ている。
「何故……殺したんですか」
冷静を装って、私は静かな口調で玉崎に質問を投げた。
「この状況じゃあ、誤解するのも無理はないと思うんっすけどね……俺は、殺してないっすよ」
ぎこちない笑みを浮かべながら、玉崎は言う。
「ちょっと目を離した隙に……こうなってたんすよ」
馬鹿を言うな、と思う。
もし、玉崎が只野殺害に何ら関与していないのだとすれば。
死体となった只野の前に表情一つ変えずに座り込み、頭を鷲掴みにしていた先の行動は、どう解釈すればよいのだ。
ニュースキャスターが、カメラが回っているのに気付かずスタッフと談笑するようなものだ。
私が覗き見たのは間違いなく『舞台裏』であり、玉崎真吾と言う男の『素顔』だと思われた。
騙されない……こんな苦し紛れの言い訳に、騙されてなるものか。
彼はおそらく、主催者の関係者であり、ゲームの監視役なのだ。
そして、参加者の隙を見て、用済みとなった只野の口を封じた。そう推理して間違いはないだろう。
「自分から『見張り役を引き受ける』と言い出しておいて『目を離した』ですか……!?」
吐き捨てるように、言葉をぶつけた。
少しでも気を抜くと、膝が笑って立てなくなりそうだった。
犯人に単身立ち向かった伊藤開司を思い出せ。そして、なけなしの勇気を振り絞れ。
今は、敵にほんの少しの弱みも見せてはいけない。
これは……紛れもない、宣戦布告なのだから。
「馬鹿にするな……! そんな白々しい演技で私を騙そうとしたって、そうはいかない」
そう、演技だ。私は、小心者の探偵と云う皮を被っていた只野文男の豹変を目にしたばかりではないか。
「小此木さんと双葉さん――二人はどこに行ったんです? まさか、あなたが殺したんですか」
自分で言ってしまってから、背筋にゾクリと悪寒が走る。
本当にそうならば、手負いで動けない伊藤開司以外に、私の味方はいないと言う事になるのだ。
「いい加減にしてほしいっすね……」
玉崎は呆れ顔で、溜め息を一つついた。あくまでも、シラを切り通すつもりらしい。
「小此木は失神した夕実ちゃんを部屋に寝かせに行ったんすよ。
でも……おかしいっすね。もうそろそろ、戻ってきてもいい頃なんっすけど」
「わざとらしい」
私がそう言うと、玉崎は大袈裟に首を左右に振りながら、聞き取れないような小さな声で何事か喋った。
口元をもごもごと動かすだけだったので、唇を読む事もできなかった。
言い終えたかと思うと、神妙な顔をして、摺り足でこちらとの間合いを詰めはじめる。
「近付くな!」
そう威嚇してみて、その言葉が何の抑止力にもならないと気付く。
武器になるようなものを持っているならともかくとして、私は素手なのだ。
体格では、圧倒的に玉崎が上。しかも、玉崎が犯人の一味だとすれば……戦闘訓練を受けている!
落ち着け……落ち着くのだ、黒川時子。そして次に何をすべきか、考えろ。
まずは……武器を調達しなければ。相手と対等な力関係でなければ、交渉のテーブルにすら立てない。
私は、勢いをつけて身体を反転させ、調理場の引き戸へと走った。
調理場に転がり込み、引き戸を閉める。
丸テーブルやら観葉植物やら、調理場に散乱しているものをかき集め、引き戸の前に即席のバリケードを作った。
こんなもので侵入を阻めるとは思わないが、足止め程度の役には立ってくれるだろう。
カウンターに駆け寄り、キッチンシンクの下のキャビネットを開く。
そこには予想通り、大小様々な包丁が何本も納められ、鈍い銀色の光を放っていた。
その中の一本を手に取る。私が武器として選択したのは、ずっしりと重い、大型の出刃包丁だ。
ガタガタと何かが崩れる音がして、後ろを振り向く。
引き戸の前。バリケードを蹴散らして、玉崎が立っていた。
もうこうなれば、戦うしかない……だが。私は、勝てるのか? 生きて帰れるのか?
不安からか、目線が自然と床へと泳いだ。そこに転がるハネダユカリが、白目を剥いてこちらを見ている。
ああ、そうか。これは無念の死を遂げた、彼女からの警告なのだ。
目を逸らせば――殺される。逃げれば――殺される。
戦わなければ生き残れない。決意を込めて、正面を見据える。
玉崎は、逃がさない、とでも言うように、引き戸の前で仁王立ちしていた。
「私は絶対に殺されない……! 私は絶対に殺されない……!」
呪文のように呟いて、出刃包丁を握り締め、構える。
先手必勝だ……迷っている時間などない……!
決意は固まった。行動も決まった。実行に移す前に、深呼吸を、一つ。
それでも、破裂しそうなほどに激しく脈動する心臓は、そのスピードを緩めてはくれない。
私は歯を食い縛り、玉崎へと一直線に突撃した。
武器を手にしたとは言え、体力の差は歴然。長期戦になればこちらが不利だ。
一撃必殺を狙わなければ、勝ち目は薄い。目標は首……頚動脈。
目標目掛けて包丁を振るう。が、斜めに振り下ろされた刃先は首から大きく外れ、顔へ。頬と口を深々と切り裂いた。
そして、次の瞬間。眼前に展開される異様な光景に、私は戦慄した。
顔が裂けて、皮膚が垂れ下がっているのに……血が、一滴も出ていない……!?
何だこれは? 何だこれは? 何だこれは? 何だこれは? 何だこれは? 何だこれは?
常識を遥かに超えた荒唐無稽な事態。私はすべての思考を放棄したい衝動に駆られる。
小刻みに、震える、手から、包丁が、滑り落ちて、床に、落ちた。
「畜生……よくもやってくれたな……これで俺は……もうおしまいだ」
頬から口にかけて引き裂かれているのにも関わらず、玉崎が意味不明な恨み言を吐いた。
これは夢なんだ。狂っていて、歪んでいて、壊れていて……そんな、とびっきりの悪夢なんだ。
そうでなければ……この状況に、どんな説明がつけられる!?
無意識の内に、玉崎を思い切り突き飛ばしていた。その隙に、調理場の外へと走る。
そのままホールを通り抜けて、中央廊下へ。一心不乱に足を動かしながら、私はぼんやりと考えていた。
この閉鎖された建物の、どこへ逃げると言うのだろう……と。
この不信渦巻く空間で、誰に助けを求めると言うのだろう……と。
最早信頼できる人間などは、このペンションには誰もいないのかもしれなかった。
いや……待て。私の脳裏に、一人の男のシルエットが浮かぶ。伊藤開司だった。
ペア作戦で組んだ時にも、不審な点は一切見当らなかったし……
あの、鬼気迫る犯人との大立ち回りは、演技では決して出来よう筈もない。
それに――雲を掴むような話になってしまうが――彼からは、何か不思議な力を感じるのだ。
それはきっと、絶望を希望に変える力。不可能を可能に変える力。
彼なら。伊藤開司なら。この非現実も、現実に戻してくれるのではないか?
そんな淡い期待を胸に、私は走った。伊藤開司の部屋、四号室へ。
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>289です。
終わるにあたって、残された謎を消化中……
今しばらく、お付き合い下さい。
見てた人さん お疲れ様です
出来ればコテハンの元ネタを教えて欲しいのですが
連投ですみません。今まで自分の我儘に付き合ってくださったバキスレ住人の皆様
本当にありがとうございました。自分は大学生なのですが現在大学の勉強が忙しくなって
来ております。正直SSを書く時間が少ないのです。ですので「書き溜め」の時間を下さい。
遅くても夏頃には再開出来ると思います。
ではでは。
353 :
作者の都合により名無しです:2006/05/18(木) 22:14:45 ID:rUX0SF5F0
>見てた人さん
アナザーストーリーと言うか、舞台裏と言うか。
カイジ勝利の裏にはこんな陰惨なドラマがあった訳ですね。
一人一人掘り下げるのは嬉しいですが、欝な気分が増しそうだ。
>>351 バキスレを「見てた人」からじゃなかったっけ?
>フルメタルウルブス作者さん
うん、勉学優先は仕方ないです。ちょっとずつ書きだめして
少しずつ放出してくれると嬉しいな
354 :
ふら〜り:2006/05/18(木) 22:38:37 ID:UOyJ6hBX0
>>邪神? さん
原作でもやってましたっけ、水攻め。てきぱきと指示を下す様は充分に軍師の風格でした。
そして蘇ったスペック、今回の戦いには間に合いませんでしたが、次はユダとコンビでっ。
>背を向けたままその言葉を聞き、後ろを振り向かずに手を振って答えるユダ、
二人とも原作からは想像もつかぬ漢っぷり、でも原作のキャラ性も殺してないのが見事也。
>>スターダストさん
>>328さんの仰る通り、実質主役(カメラアイ)は千歳ですね確かに。千歳を通じて敵の、
あるいは根来の言動に驚いたり溜息ついたりしてます私。弁当、渡してあげて欲しかった
ですけど、その辺のあっさり味が彼女の魅力でもありますし。クールなコスプレお姉さん。
>>ハイデッカさん
ジャンヌが戻っていく過程で、フランスもイギリスも全く考えに出てこなかったですね……
それほど彼女の中で慶次の存在が巨大なものになっていると。フランス軍の支えがジャンヌ
で、その支えが慶次。イギリス軍にとっての慶次は、二重の意味で非常に厄介な敵ですな。
>>一真さん
いつも失態だろうと毎度被害甚大だろうと、志望者がこれだけ集まってるってことは何だ
かんだ言って市民に愛されていそうな真選組。鬼ごっこといえば悪名高きリアル鬼ごっこ
なんかが思い出されますが、はたしてどんなルールでどんな修羅場が展開されるのやら?
>>見てた人さん
>彼なら。伊藤開司なら。この非現実も、現実に戻してくれるのではないか?
ヒーローですねぇ。思い返せば原作でも、みんなの期待を背負い不安を受け止め、そして
勝利を掴むのが彼。その後でまた落ちてしまうのも彼ですが。原作以上に絶望感・恐怖感
があって、視覚的にも陰惨ですから「カイジならきっと……!」の思いも引立ってます。
>>ウルフズさん
大学で真面目に勉強されてるとは偉い! コスプレダンパに行きまくってたどこかの腐
とは大違いですな。勉強の合間にでも少しずつ書き溜められて、それを少しずつ見せて
下さるのが当方としてもベスト。ゆっくりと待ってますので、じっくりと書いて下されぃ。
カマイタチは本当に洗練されているなあ
小説的な手法だけでなく映画的・ゲーム的な手法を取り入れている
それだけにもうすぐ終わるのは残念。傑作は間違いないけど
早いけど次回作も期待しておりますw
356 :
作者の都合により名無しです:2006/05/19(金) 08:11:37 ID:JLx4drtz0
>カマイタチ
黒川の祈りのような「殺されない」が切ない。
玉崎が妙に醒めた所が寧ろ快楽殺人犯より恐ろしいですね。
あと3回くらい?最もお気に入りの作品だけに寂しい。
>フルメタル作者さん
学生は勉強が本分です。気分転換にまたSSを書いて楽しませて下さい。
魔界編の最終話、ダメダメな終り方だったなー。
俺らでバキ外伝SSの更に有終の美を創ろうぜ!
第七十五話「終末の光」
あの一件から二日が経った。キラは表面上は普段通り振舞っていたが、以前とは少し雰囲気が変わっていた。
その瞳には静かな、しかし確かな闘志が満ちている。研ぎ澄まされた刃のような空気さえ感じられた。
とにもかくにも、キラの中で何かが変わったらしい。
バカ王子については相変わらず格納庫に篭って、怪しい発明に精を出している。クラフトたちもそうしてくれた方が
問題がなくていい、とバカ王子の好きにさせていた。
そして、のび太たちはといえば―――
「ジャイアン・・・何してるの?」
のび太が呆れたようにランニングシャツ一枚で走り回るジャイアンを見やった。
「何って、見れば分かるだろ。戦いに備えてしっかり身体を鍛えてるんじゃねえか!」
そう言って、次は腹筋運動を始めるジャイアン。
「あーあ、暑苦しいったらありゃしない。やだね、全く」
「なんだとお!?」
スネ夫がぼやき、ジャイアンに怒鳴られた。そんな光景を冷ややかに眺めつつ、アザミが読んでいた本を閉じる。
「あなた方が何をしていようと勝手ですが、静かにしていただけませんか?気が散って本も読めません。ドタバタする
より、学術書の一つも読んでみたらどうです?」
「へん。そんな小難しい本なんか読むより、鍛えてる方がマシだよ」
ジャイアンはそっぽを向いてしまい、アザミは再び本に目を走らせる。どうにも相性の悪い二人だった。
「なんとも、先が思いやられるなあ・・・しかしアザミ、何の本を読んでるんだ?」
興味本位に聞いた稟に、アザミは本を傾けて表紙を見せた。
<無限力理論―――ムートロン・アニマスピリチア・ビムラー他百選>。
「少々難しい内容ですが、興味深いですよ。あなたも読みますか?」
「・・・いや、やめとく。絶対分かりっこないから。えーと、ところでイザークたちは何してるんだろ?」
話を逸らすために別の話題を振った。
「イザークたちは会議室で話し合ってる。大事な話だそうだから俺も出席したんだが、何故か開始二分で摘み出された。
ちょっと堅苦しい雰囲気を和ませるために泥鰌掬いを披露しただけなのに、酷い話じゃないか!」
アスランは憤るが、そんなアホなことをすれば当たり前であった。
―――と、噂をすれば何とやら。扉が開き、イザークとディアッカ、そしてニコルが姿を見せた。三人とも、真剣な
顔でのび太たちを見ている。
「どうしちゃったの?怖い顔して」
「・・・お前たちに改めて、正式な協力を依頼したい」
イザークがそう切り出す。
「これまではクルーゼの侵攻に対し、ただただ防戦一方に追い込まれていた―――このままではジリ貧になるのは目に
見えている。ならばいっそ、クルーゼの居場所を探し出し、一気に総攻撃をかけようという話になった」
ざわっと一同がざわめいた。
「だが俺たちレジスタンスの兵力だけでは、例え全員玉砕覚悟で臨んだとしても、勝ち目はないだろう。あちらとこちら
とでは、それほどの戦力差がある―――だが」
そこで言葉を切り、イザークはのび太たちを見つめた。その瞳には、全幅の信頼の色があった。
「だが―――お前たちが力を貸してくれれば、不可能ではない。危険な作戦だが、どうか・・・」
「水臭いこと言うなよな」
ジャイアンが割ってはいる。
「言われなくても、おれたちだってあの変態仮面共とは戦わなくちゃいけないんだ。今さら畏まってそんなこと言われても、
逆に面食らっちまうよ、なあみんな!」
「そうだよ。やってやろうじゃない!」
ドラえもんも握り拳を作ってジャイアンに続いた。他の面々も次々におーう、と名乗りを挙げた。
「おーおー。熱いねえ、お前ら。ま、俺様も派手な喧嘩は嫌いじゃねえからな。精々大暴れさせてもらうとするぜ」
興味がなさそうな素振りを見せつつ、USDマンも口元に笑みを浮かべる。
そんな彼らを見て、イザークたちは深く頭を下げた。
「・・・ありがとう。本当に感謝する」
「だから、そういうことは言わなくていいの」
リルルが言った。
「みんなわたしたちの友達なのよ。いちいちお礼言ったりなんかしなくてもいいの。ね、みんな」
「そうですよ。友達を助けるのに、感謝なんて求めません。ただ、助けたいから助けるんです。少なくとも―――
のび太さんたちは、そういう人です」
ペコもリルルに同意する。そんな風に言われては、のび太だって悪い気はしないのだ。
「いやいや、そんな。ぼくたちなんて、そんな大層なもんじゃなくて―――」
のび太が照れ隠しに頭をかきつつ、言いかけた時だった―――
世界が、光に包まれた。天より降り注ぐ光が、地上を埋め尽くしたのだ。それは激しい衝撃を伴い、メカトピアを襲った。
「うわあああああーーーーっ!」
誰の悲鳴なのかも分からない。ただ突然のことに、誰もがパニックに陥るしかなかった。
光がようやく収まった。しばらく肩で息をしていたのび太たちはようやく立ち上がり、何気なく窓を見て、声を失う。
遠目からでもよく分かる、半径何キロメートルもあろうかという巨大なクレーターが、地面に口を開けていた。
「まさか―――今の光が!?ドラえもん!」
「分かってるよ、調べてみる!<スパイ衛星>!」
ポケットから取り出した、小型だが超高性能の衛星。それはあっという間に宇宙まで昇り、その光景を映し出した。
「な・・・なんだ、これは!?」
スパイ衛星からの映像を目の当たりにしたのび太たちが驚愕する。一同が見たのは宇宙に浮かぶ、明らかに人工的に
造られたと分かる物体だった。
まるで難攻不落の要塞といった佇まいのそれは、恐ろしく巨大な砲門を備えていた。あそこから先程の謎の光は放たれた
のだ―――誰もが直感的にそれが分かった。
「―――<ジェネシス>―――!」
そう呟いたのはアザミだった。
「アザミ・・・あれを知ってるの?」
「ええ・・・シュウの元にいた時に、ね。彼は色々と造り物をしていましたが、その中の一つにこれがありました。
勿論私が見たのはほんの原型ですし、一体どういうものなのかはシュウもろくに教えてはくれませんでしたがね・・・
まさかこんな代物とは」
アザミは巨大なクレーターをもう一度見つめる。
「・・・恐らくは、あれでもまだ出力を抑えて放ったはずです。この程度の破壊能力ならばわざわざあんな大げさな
ものを造る必要はないですからね。フルパワーで撃てば―――惑星一つ、粉々にできるとみていいでしょう」
ゴクリ、と誰かが唾を飲み込んだ。
「今の砲撃はただの威嚇でしょう―――もしも本気なら、出力全開で発射しているはずです。挑発しているのでしょうね。
ここまで来い、と・・・」
「・・・行こう、みんな」
それまで黙っていたキラが力強く言い放った。
「こんなことを許しちゃダメだ―――僕は、そう思う」
「キラ・・・そうだよね。ぼくだってそう思う」
キラの言葉に、のび太も頷く。
「恐らくクルーゼの奴も待ち受けてやがるんだろうな・・・いよいよ決着の時近し、か」
ムウが顔を引き締める。
「へっ!上等だ。おれたちがあのデカブツごとぶっ潰してやらあ!」
ジャイアンが豪快な笑みと共に拳を突き上げる。
「―――よし、みんな!気合を入れていこう!」
「おーう!」
ドラえもんの号令に、全員の声が乗った。メカトピアの歴史に残る解放戦争―――その最後の一日の幕開けだった。
投下完了。前回は
>>178より。
バレ様、まとめサイト25万突破おめでとうございます。
スランプは未だ治らず。しばらく充電期間をおいたほうがいいのかも・・・
でもやっぱり時間が空けば書いちゃうんだろうな・・・
>>180 無印種の彼はそうでもないんですが、種死の彼は、ねえ・・・
>>181 同病・・・というか、似た者同士惹かれあう、みたいに書きたかったというのがあります。
>>全力さん
<サード>については・・・出ても、名前だけになると思います。原作でも、具体的にどういう人なのか
さっぱり書かれてないから書き様がないです。
>>ふら〜りさん
女の子の心を溶かすのって、もうちょい甘いシーンだと思ってましたwなんて血生臭いんだ・・・
次の戦いでは、キラが活躍します。
>>邪神?さん
シコルはやっぱこんな扱いなのね・・・
しかし、マジで神様を正攻法でよく倒せたものです。
サマサ氏乙です。いよいよ終わりが近いか…。そんなに急かなくても大丈夫ですよ。自分のスピードで。
関係ないが、これリアルタイムで読みつつドラ開始を待ってJチャンネル見てたらエンディングが種の歌(玉置成実)でワラタ
364 :
作者の都合により名無しです:2006/05/19(金) 21:31:40 ID:Nof/Q1t70
サマサさんの連載も前作を合わせると2年以上続いているんだな。
本当にお疲れ様です。この話は好きなので自分のペースで頑張って下さい。
最終決戦の舞台とメンバーが整った感じかな?
でも、以前サマサさんはまだ続くと仰ったからまだ年内位は楽しませてくれるのかなw
セリフだけ見ると、ジャイアンとUSDマンはベクトルが同じ感じだ。2人とも男気がある。
Part36,384から
「…あのさあ」
突然リンスが話の腰を折る。
「何だ?」
「……アンタさ、脚色してない?」
リンスだけではなく、トレインもそう思っていた。
圧倒的に今と違い過ぎた。外面を清廉潔白に繕い、内心は黒い策謀を巡らせるその様は人面獣心と言わずして何と言うのか。
「いいや、これが昔の俺だ。……俺自身は生まれに関係してると思うんだがな」
「……生まれ?」
トレインの言葉に、スヴェンは自嘲を零す。
「俺の親父は、或るデカい会社の社長でな。で、お袋はそいつの妾だった。
しかもな、二人は多分まだ生きてると思う。俺の記憶が正しければ親父は今七十代、お袋は恐らく五十代だからな」
その言葉にトレインは訝しんだ。確か、彼の話では……
「……じゃあ、何でお前孤児院に居たんだよ?」
「簡単だ、作る予定のガキじゃなかったのさ。
お袋は相当焦ったと思う、俺が居るままじゃ十中八九親父に捨てられるからな。でなきゃ孤児院に俺を置いて消えたりするかよ」
何処か諦念を滲ませてスヴェンは笑った。
「…同情なんぞしてくれるなよ。調べたらどっちもそんな人間だと判った以上、寧ろその方が良かったと思う。
そいつ等の主観で育ったら、よっぽどつまらん奴に成ってただろうからな」
だが、その結論に至るまでどれほどの苦悩が有ったのか……確かにそれは彼自身しか知らないし、他人がどうこう言える物ではない。
されど一人の人格が捻じ曲がるのには充分な理由だろう。
「俺にはな、昔から或る才能が有った。お前らもよく知ってる奴だが、何だか判るか?」
訊かれて二人は首を傾げた。
「何故かな、目を見ただけで人の主観が判るんだ。そいつが今どんな感情を抱えているのか、何を俺に求めているのか、克明にな。
勿論、老若男女全てに於いてだ。……悪さする度に感じてると思ったんだがな」
トレインは得たりと頷いた。確かにそれなら数々の読みの説明がつく。
「俺はそれを利用する事で、昔から集団て物のリーダーシップを奪い取って来た。
その方が、上手く立ち回れるって判ってたからな。…つまり俺は、足し算よりも先に人を利用する事を憶えたんだ」
その言葉通り、孤児院でも学校でもISPOでも彼は物事の中心だった。
皆が彼の言う事に従い、彼の指し示した方向を見、彼の結論に賛同した。それも全ては、我流の人心掌握術が或る一定の領域に
達していた事を意味する。
「社会に於いて本当に頭が良いってのはな、計算が出来るとかそんなじゃない。どれだけ人を上手く使えるかだ。
その理屈で言うなら俺の遣り口は……最悪だ」
彼の導き出した最高の誘導術―――――…それは、『信頼』を利用する事。
それを勝ち得るだけで、他者は頼むまでも無く、或いは僅かに謎を掛けるだけで彼へのプラス的行動を容易に取ってくれる。
その過程で死んだり傷ついたりしても、大抵自身の腹も懐も痛まないのを彼は知っていた。
かつての彼にとって、他人とは全て道具。ハサミやペンの様にお気に入りなら取って置くが、使い尽くしたら捨てて新品を買う。
たったそれだけの存在だった。
「そう言う意味では、マリアとロイドは俺のお気に入りだった。
ま、マリアの情報収集能力は俺の備品みたいなモンだが、ロイドは違う。あいつは本当に俺に必要な物を持ってた」
「…あのさ、お前なんでそんなジャンケン強いんだ?」
孤児院の腕白盛り達がサッカーに汗を流すのを眺めながら、スヴェンはロイドに訊ねた。
しかしロイドはそれを訊かれても返事をせず俯いた。その眼には寂しい迷いが僅かに陰る。
「……あ、その…話したくないならいい。無理には訊かない」
と、話を切ろうとしたが、
「……いや、話すよ。本当は凄く怖いけど……」
「怖い? 何が?」
「聞いたら君は、僕の事を嫌うかもしれない。だから僕も本当は話したくない。
でも君は、僕の事を助けてくれたから―――その分を今、返す」
色濃い諦めも深く、彼の貌は憂いに満ちる。
すう、とロイドの右手が彼方を指差す。スヴェンの眼がその先を追えば、少年達がサッカーボールを揉みくちゃになって奪い合っていた。
「?」
「あのボール、割れるよ」
ロイドの顔を覗き込むが、其処に嘘やハッタリは存在せず、ただ彼の深く蒼い眼が真っ直ぐにボールを見据える。
「…3」
突然のカウントダウンに、スヴェンは急ぎボールへと目を遣る。
「2」
少年達の蹴り足の中から、ボールがまろびつ飛び出す。
「1」
それを追い掛けた少年が高々と足を振り上げた。
「――――0」
瞬時にボールの空気が抜け、少年の渾身の一蹴は盛大な空振りに終わった。
……勢い余って背中から倒れる少年を、スヴェンは驚愕に開き切った目でロイドと見比べる。
「え? あ…え? ええ!?」
「…僕の眼には、未来が見えるんだ。いつか今≠ノなるこれからが」
スヴェンとは対照的に、ロイドの貌は次第に深く沈んでいく。
「僕はまだ上手く使えなくて、時々僕の意思とは関係無く視える℃桙ェ有る。
ジャンケンの時はそれが現在とごっちゃになって……気付いたら皆に殴られてた」
肩が少し震えている。そのときを思い出したからだろう。
「そんな目に遭う度に良く思うよ、母さんはどうして僕にこんな眼をくれたんだろうって。
こんな物さえ無ければ、僕はまだ普通の人生を……」
その震える肩を、スヴェンの手が力強く捕まえる。その一瞬、彼の恐怖は最高潮に達した――――――が、
「スゲェよ……ロイドお前、それ…スゲェよ!!」
言われて彼を見れば、其処に有ったのは忌避や嫌悪ではない、興奮気味の素直な賞賛だった。
「…す……ごい…?」
「ああ! カッコ良いじゃんかそれ!!」
「…そ……そう、なの…?」
「いいなー、うらやましいなー、俺も欲しいなー」
……そんな彼の賛辞を受ける毎に、ロイドは胸の奥で何かが融けて行くのを感じた。
記憶の中で少女が言う――――――「何なのよあんた……人間なのホントに?」
四番目の里親が張り飛ばしながら言う――――――「…次はどの馬だ? 早く言えってんだよガキィッ!!」
子供達が石を投げながら言う――――――「来んなよ、バケモノ! あっち行けよ!!!」「そうだ、そうだ!」
彼が舐めた辛酸その全てが眼前の激賛に色を失い、悉く彼の心から消えて行く。
――――――――涙が、止まらなかった。
さて驚いたのはスヴェンの方だ。まさかいきなり泣き出すとは思わなかっただけに、どうにも対処をしあぐねる。
「あの、ちょっと、おい、どうしたんだよ急に。……あの…なんか、悪かったか?」
恐る恐る尋ねても、ロイドの号泣は止まらない。両目を覆い、そのままの形でしばらく泣き続けていた。
「そう――か、そんな事が…」
ようやく泣き止んだロイドの口から涙の顛末を知り、スヴェンは痛みを分かち合う様に眉根を寄せる。
「気にすんなよ。そいつ等只のゴロツキだ、もうお前とは何の関わりも無いんだぜ」
「……うん」
「もういいだろそんな奴等、大丈夫だって」
「……うん」
嬉し過ぎて、それ以上の言葉を綴れない。今まで、痛みと悲しみでしか涙を流した事が無い彼にとって初めての経験だった。
……人は、嬉しくても泣けると言う事が。
「でもな、ロイド」
突然名前を呼ばれ、はっと顔を上げる。其処には、面倒見の良い兄の様なスヴェンの貌。
「……言いたくないけど、俺以外には言うなよ。みんながみんな、こう言うとは限らないんだから」
……やはりロイドと同様に、彼も現実を知っていた。無言で頷いて返す。
そしてスヴェンは、改めてまるで明かりが灯る様に笑った。
「じゃあ……さ、俺がトモダチ第一号だな」
「―――――そりゃあ口説いたさ。どれだけ使い道が有るか、考えただけで内心笑いが止まらなかったからな。
実際、俺がISPOで大した立場に立てたのも、あいつとマリアに気取られない様それを利用したからだ」
爛れた自嘲は張り付く様な不愉快さで吐き出された。
「俺はあいつ等の側に居る事でな、ロイドの能力とマリアの手腕を完全に私物化してたんだ。
当然、俺が二股掛けてる時もそれは変わらなかった」
二人にとって仲の良い友人を演じる事で、権力争いにお節介と言う形で協力させ、彼は見事に立ち回った。
370 :
作者の都合により名無しです:2006/05/19(金) 22:02:35 ID:Nof/Q1t70
ロイドの眼≠利用して長官の娘が同じ大学のチンピラに狙われていた事を知り、その危機を救い、長官派の懐刀となった。
だがその後、言葉巧みに副長官派へと水面下でパイプを繋ぎ、彼は副長官派でも重要なポストを担う様になった。
勿論それは、どちらに転んでも損が無い様にだ。
両派共に今日まで表に示した彼を知るだけに、彼の演技を見抜く事など出来はしない。そして、それとなく会話でマリアに
行動を起こさせ、背後組織の存在を把握されたこの時点で、彼は抗争そのものを自分の掌に掴み取ったのだ。
「そして俺は、そいつ等のバックに取り入った」
…深く信用されれば事は足りた。
若手の有望株、と言う名目でマーク=ブライアン及び外務次官の下へとそれぞれ招かれ、彼等にすれば全く意外に、彼にすれば案の定、
捜査官スヴェン=ボルフィードの有能さを思い知る事となった。
「組織の内情も把握してたからな。それぞれが抱えるトラブルの対応策を素早く提示すれば、あっという間に信じた。
二人を使えばそれほど難しくも無かったしな」
会員制高級レストランの中で、スヴェンは少々遅めの夕食を摂っていた。
しかし、その席に居るのは彼一人ではない。周囲に石像の如く直立不動する屈強の黒服数人と、スヴェンの対面に座る初老の男。
男盛りをやや過ぎてはいるが、その双眸は野心に燃える若者の様に炯々と鋭い光を放つ。
「……大した物だなボルフィード君。君の立案のお陰で商売敵を三つも吸収出来たよ」
「いえ、真に賞賛を受けるべきは実際に動いてくれた人間です。俺は只、口を動かしたに過ぎない」
「その若さで脂下がらないのは賞賛に値するよ。副長官に君を紹介して貰ったのは、私とファミリーにとって
この上ない天佑の様だな」
ナプキンで丁寧に口を拭いながら、男はスヴェンを誉めそやす。
この男こそ、この国この業界に於いて最も巨大な勢力を有する組織「ブライアン一家」の首魁、マーク=ブライアンだった。
「もしこの件が済んだらウチに来ないかね? 君なら相応のポストを用意しても良い」
「気持ちは有り難く受け取ります。ですが、今しばらくは捜査官の方が都合が良い。取り締まる側に立つと言うのは、
旨味が色々と有りますから」
その言葉に、ブライアンは眉を顰める。
「…切れるが喰えん男だ。もしかしたら今殺すべきなのかもしれないな、君は」
何が人の癇に障るのか、正確に把握できる人間は居ない。ましてやこう言う手合いの前では、何が失言となるかなど完璧には判り得ない。
通常ならその時点で誰もが死を覚悟する。実際マフィアのドンに危惧を抱かれただけで殺される人間など、珍しい話では無い。
勿論、眼前の男がそれを知らない訳は無いだろう―――しかし、
「お言葉ですが、容易に喰えたらそれこそ毒にも薬にもなれませんが?」
黒服達の少なからぬ驚愕の視線が、一気に集中した。
有ろう事か、先刻の低頭を何処へやら、彼は敵意をほの見せて笑った。その笑みが、この状況に於いては万死に値する事を彼は
知っているのだろうか。
重苦しい沈黙が二人の間に横たわる。もし此処でブライアンが相応の指示を出せば、スヴェンは明日にでも何処かの港に浮かぶ。
―――――――…少しして、その沈黙を破ったのは失笑だった。
「……は、は。なんとも生意気な若造だな」
其処まで言わせれば、普通なら死は磐石不動の物となる。だが、
「…肝の太さが私の若い頃にそっくりだ。ますます気に入ったよ」
クーラーから赤ワインのボトルを取り出し、その口をスヴェンへと突き付けた。彼もまた、空のワイングラスでそれに応じる。
「君の今後の輝かしい未来に」
ワインがグラスに注がれ、今度はスヴェンがボトルを受け取ってブライアンのグラスに注ぐ。
「貴方の今後の幸全てに」
二人のグラスが、同じ高さに差し上げられ―――…
『乾杯』
そして、一息に飲み干した。
――――――――二・三分前に日付は変わっていた。
スヴェンは自室の壁掛け時計でそれを確認しながら、おもむろに口を開く。
「……で、どうだった? ロイド」
その背後には、付き従う様に呼ばれた当人が立っていた。
「……三日後の二十二時十一分、マルドゥックビルの前で、マーク=ブライアンは襲撃されて死ぬ。
それが今回見えた全てだ」
「方法は?」
「防弾車に乗ってるんだけど、それを見越されて数人に撤甲弾の乱射を受けるんだ。逃げようが無い」
「ま、それについては考えるか。済まないな、頑張ってもらって」
「いいって、僕が好きでした事だから。ただ、マリアには内緒にしといて欲しいな。抜け駆けって言われるからね」
そして彼は快活に笑った。
……実は、先刻のレストランに居たのはスヴェンだけではない、彼もだ。
スヴェンはロイドを言いくるめ、会員証を偽造し、彼を店内に張らせていたのだ。
そして、マーク=ブライアンを視せる事で後の窮地の有無を知り、助ける事で彼の信頼を確固たる物にする。
懐を暖めれば誰だろうと見境無く信用する拝金主義の外務次官と違い、荒事に慣れた人間にはこう言う特典が無くては
頭から信用されるのが極めて難しいのだ。
更に投稿規制?
「でも、一ついいかな?」
「……何だ?」
貌こそ平静を装ったものの、一瞬スヴェンの胸の内がざわついた。
まさか、怪しまれたか? それとも、視られ≠スか? ―――――否、有り得ない。
この男に疑えるほどの頭は無いし、眼≠ノしても視覚情報以外映らないのを彼は重々心得ている。
それを知っているからこそ、未来を視れるロイドをこうして騙して利用していると言うのに、自身の本性を悟られるなど考えられない。
―――――そして、それは杞憂だった。
「君は、今まで僕が見た数々の不幸な未来を機転と発想で変えて来た。
それは本当に凄い事だと思う。運命を傍観する事しか出来なかった僕にとって、君はどれだけ凄い人なのか判らないよ。
でも――――、これだけ言って置く」
君なら心配ないとは思うけど、と前振りをして、
「傍観せざるを得ないほど変えようが無い運命だってきっと有ると思う。
もし、君がそうだと感じた時は手を出さないで欲しい。最悪、君まで死ぬかもしれないから」
聞いて胸中で胸を撫で下ろす。
有り難い事だ。全く、何処までも愚かでお人好しの俺の親友。女房も利用している事すら知らない都合の良い親友。
いざとなったら家族丸ごと生贄に差し出す事も視野に入れてあるのに、それを全く疑おうともしない、馬鹿な親友。
内なる悪魔を押し隠し、彼は安心させるように笑った。
「判ってるさ。でも、時と場合によるぜ」
「…? 例えば?」
「その想像はお前に任すよ。多分それが俺の思ってる事だ」
「…判んないよ、それじゃ」
「なら、それで良いんじゃないか?」
二人が確かな友情で繋がっている事を確信し、ロイドは吹き出した。そしてスヴェンもまた笑う。
だが其処に、友情など欠片一つ無い事をスヴェン以外は知らない。
「しかし凄いね君は。何時の間にかブライアン一家や外務次官にまで食い込んでいるなんて。
一体どんな手を使ったんだい?」
そう言って微笑むロイドは、マリアの協力を勿論知らない。
そして何より、何時の間にか夫婦共にスヴェンの描いた策謀の絵図に組み込まれている事も知らない。
そもそも彼は、『自分だけの話』と言った筈なのに。
――――その三日後。
「スヴェンさん!」
廊下の真ん中で振り向いたスヴェンの胸の中に、スーツ姿の女性が飛び込んで来た。
そして二人を通り過ぎる人々――――主に男性の嫉妬羨望の眼差しを無視しながら、彼女に眼を据える。
急いだ為か化粧が薄く、微妙に消し切れないそばかすが幼さを感じさせるも、それでも充分美人と言える。
動きに合わせて宙を舞う長いブラウンヘアそれ自体が光を放つ様に中空で輝くのは、充分な手入れが行き届いている証拠だ。
「…シャーリーン、此処は局内だぜ。部外者は立ち入り禁止だって知らないか?」
「良いんじゃないですの? 来期には私も此処の一員になるんですもの。
今は大学も暇ですし………そう! これはいわゆる職場見学ですわ!!」
……本来なら将来のヴィジョンなど見ようともしない自堕落な大学生だった彼女だが、スヴェンに窮地を救われて以来、
彼の背を追う様な形で、ISPOの捜査官になる道を定めた。
その上、猛反対する両親を共に説得してくれたり、その為の心得や必要な教養を懇切丁寧に指導してくれたりと様々な形で
彼女の夢を後押ししてくれたスヴェンに対して、今や吊り橋効果では言い仰せ切れない感情を抱いていた。
「職場見学は良いが、親父さんに見付かったら大目玉だと思うんだが」
「心配有りませんわ、あれで結構甘い人ですから。
それに、未来の相棒と親睦を深めるくらい良いんじゃ有りません?」
と、胸を張ったが、すぐに頬を赤らめて声を落とす。
「………貴方と、私の………仲ですし」
やっとの思いで告げたのだろう、それを境に次第に小さくなっていく。
貌はそんな彼女の純情を優しく微笑むが――――――彼の心はその様を鼻で笑っていた。
―――全く、簡単なもんだ。正義感にかぶれた箱入り娘なんぞ。
彼女には――――いや、誰であろうと知る由も無い。助けたのも、好かれたのも、家庭教師の真似事をしているのも、
家族ぐるみで付き合っているのも、何もかも彼の計略の範疇である事など。
全ては取り入る為の完璧な布陣の一つだ。娘まで手中に収めれば長官は絶対に彼を切る事は出来ない。
しかもこの関係は、密接な様で実は違う。繋いでいるのは損得ではなく単なる情≠セ。それは時には太く、時には細い。
然らば当時の彼に情など、どれほど唾棄すべき存在であっただろうか。
主観の相違で太さは変わる。向こうが出来なくなろうとも、いよいよともなれば此方から切る事も充分可能だ。
最悪、全ての責を長官に押し付けて旨味を吸い尽くしたまま副長官派に下っても良い。
もし何か言おうとも、手管を仕込んで誑かした娘にあれこれ説得させれば何を言える事も有るまい。
長官の娘はなかなかの美貌を持つ上、素質も有る。単純に手駒と見ても、捕えた獲物と見ても、実に具合が良かった。
もしも正式に結婚できれば、莫大な財産も従順な傀儡も確かな地位も、何もかもがスヴェンの物だ。
「……だが俺は、悪党やるにはまだ少々若過ぎた」
悔恨を噛み殺す様な苦い貌で、煙草を揉み潰す。
「上手く行き過ぎて有頂天になってたんだろうな。
俺は―――、副長官のプライドの高さと、器の小ささを軽視してた」
更に支援。1話を1回うぷというのにNBさんのこだわりを感じる。
が、正直2回に分けてほしい量だw
おや?まだかな
むむ?続き来るの楽しみにしてるんだけど今から出なければ
行けないのでとりあえず感想を。
お久しぶりですNBさん。リアルタイムで読んでおりました。
この作品もサマサ三と同じく2年以上の連載期間ですね。素晴らしい.
スヴェンの紳士の今とは違う腹黒き過去。
悲しい出自が彼を人を道具としてみる癖をつけたのか?
マフィアのドンすら手玉に取るようなしたたかさが、
返って危うさを感じさせますな。しぶく悔恨を語るスヴェンが男らしい
とうとう推参! 俺!!!(挨拶)
いや、ホント長かった! こうして投稿するまでが!
実は5月前に完成していたのですが、店側が規制を強めた所為で投稿出来なくなっておりました。
最早パソを待つより他無く、そしてようやく来たかと思えば…パスワードが紛失ときやがった。
飛天御剣流もビックリの三段構えで投稿を邪魔されるとは……流石に想定外でしたね、ええ。
しかし、ついにネット環境が復活し、まずは一安心です。
後は俺の「もう少しキリキリ書けや」と言う内なる声にどれだけ脳と指が従ってくれるかだけですね。
――――…いや、それが一番の問題か。
まあ兎に角、ようやっとのお目見え叶い嬉しさひとしおに御座います。
と言う訳で、今回はここまで、ではまた。
>370>374>378>379>380
うざい
>サマサさん
うーん、この超大作もいよいよ大詰め、クライマックスといったところですか。
寂しいような嬉しいような。サマサさんの事だからもう一つも2つも盛り上げてくれると思いますが。
最強メンバーで向かう最も厳しい舞台ですね。インフレバトルの真髄を楽しみにしてます。
>NBさん
もう少しキリキリ(略w いや本当に楽しみに待っていました。パソ環境の問題だったんですね。
スベンの過去、仲間への打ち明け話にしてはやたらと重い話題ですね。まだ本人も振り切れていないし。
過去のマリアとロイドとの経緯、それによって残された傷。しぶい男の過去話を活目して待っています。
NBさんお久しぶり。
スヴェンの過去の非道さと人間性の低さがどんどん明らかになっていくな。
ここからイブを守る紳士道の達人になっていくのか。
その前に、原作にかかれなかった(と思う。原作は流し読み程度)
スヴェンが紳士に変わる事件が楽しみです。
支援とかマジ止めろよ。
気持ち悪い。
つーか氏ねよカス。
NBもちゃんと注意してやれ。明らかにマナー違反だ。
NBさんパソコン手元になかったのか。それで1ヵ月半空いたのか。
相変わらず文章上手過ぎ。今回みたいなダークな展開だと更にそれが引き立つな。
スヴェンが腹黒過ぎるけど、男たるもの過去に傷くらいないと
>>357でも言ったけど、あのラストはエヴァの23話と24話みたいな感じだったよな。
または劇場版ジエンドオブの出来損ない。
皆で作りあおうよ、最終話。
■玉崎真吾(江本厚)
小此木が中央廊下の向こうへと消えるのを見届けてから、俺は行動を開始した。
証拠収集のチャンスは、後にも先にも単独行動の出来る今しかなさそうだった。
唯一の監視役である俺がホールを離れ、犯人がノーマークになってしまうのが不安の種ではある。
だが、犯人はキャスターテーブルに拘束されたまま、マネキンのように姿勢を崩さない。
首は斜め下を向いていて、目は閉じられている。もしかすると、眠っているのかもしれなかった。
何にせよ、数分ならば持ち場を離れても問題ないだろう。ホールで物音でもしたら、大急ぎで戻ればいい。
気配を殺して、ホールから中央廊下へ向かう。
長野県のとあるペンションを舞台に、大規模な『犯罪ゲーム』が行われようとしている――
帝愛の内通者――玉崎真吾から、そんな情報が公安当局へともたらされたのは、つい一週間ほど前の事だった。
その真偽を確かめる為、俺は玉崎真吾の身代わりとしてここ、ペンション『シュプール』へとやってきた。
目的は勿論、ここで行われるらしい犯罪の証拠を掴み、持ち帰る事である。
まさか、ここまで大胆不敵な殺人ゲームとは、実際潜入してみるまで夢にも思わなかったが……
数十人の捜査員の中から俺が選出された理由は至極単純。
玉崎真吾に背格好の似ている人間が俺以外いなかった、と言うだけだ。
かくして、素顔を分厚い特殊メイクで覆い隠し、俺は『江本厚』から『玉崎真吾』になった。
俺には、世間を騒がす伝説の怪盗――1412号のような天性の変装センスなどないのだが
今回使用しているマスクは玉崎真吾本人の協力の下で製作された精巧な代物である。
身内と顔を合わせでもしない限り、正体を暴かれる事はないとのお墨付きだ。
そして幸運にも、玉崎が秘密裏に入手したと言う参加予定者の一覧には、知った名前はなかった。
今までは、実行犯である犯人の正体がわからなかった上、ペア作戦などの相互監視の目が厳しくて、満足に身動きがとれなかった。
下手な動きを見せれば、主催者側に俺の正体がばれるだけでなく、犯人にスケープゴートに仕立て上げられる危険すらあった。
犯人の行動を封じる自衛策が、皮肉にも証拠集めの障害となっていた訳だ。
各部屋へ通じる、四角形の廊下に着いた。
三号室、二号室、一号室、の順番で回り、カメラ付き携帯電話で死体の写真を撮影する。
どこかでゲームの進捗状況を逐一監視しているであろう主催者にそれと気取られぬよう、慎重に。
見張りを引き受けておいた手前、不在がばれては不味い。手早く用事を済ませると、急ぎ足でホールへと戻る。
「馬鹿な……」
ホールに戻ってきて、俺は絶句した。
俺が目を離したほんの数分の内に、犯人が――只野文男が、首にアイスピックを突き立てられて死んでいた。
シュプールのどこか、もしくは参加者の中に、第二の犯人とも言うべき何者かが潜んでいて……
確保、拘束された犯人は用済みと判断され、口封じの為に殺害されたのだろうか?
とりあえず、死体を調べなければ……
周囲を見回し、人の気配のないのを確認してから、俺は動揺している素振りでテーブルをさりげなくずらし、死体の前に座り込んだ。
先ほど仰向けに寝転がった時に、それとなくホール天井の監視カメラの位置は確認しておいた。
この、ホールの中央部分ならば、丁度カメラからは死角になり、俺の行動は主催者側に漏れない筈である。
殺された犯人には悪いが、帝愛が実行犯として使った人間の身元を特定できる絶好の機会だった。
「さて。これが『素顔』かどうかが問題だな……」
ぶつぶつと独り言を零しながら、まだ温もりの残る頬を引っ張り、変装か否かを確認する。
どうやら、俺のように特殊メイクで顔の造形を誤魔化すことはしていないようだ。
日本の暗部とまで言われる大組織の犯行としては、随分とお粗末なものである。
素顔である事を確認した上で、携帯電話で顔写真を撮り、指紋も採取しておく。
それから、DNA鑑定に回す為に、毛髪を一本頂いて行く事にした。
と、その前に。一応、鬘を被っていないかどうか調べておこう。
頭を鷲掴みにして、頭髪を引くと、勢い余って首ががくんと曲がった。地毛のようだ。
「……っ」
その時。どこかから、小さな声がした。それと同時に、何者かの気配。一瞬、時間が止まる。
俺は油切れのロボットのようなぎこちない動きで立ち上がり、周囲に目をやる。
そして――中央廊下に、黒川時子の姿を見つけた。
どうしようもなく、最悪のタイミングだった。
言い訳の言葉を探す暇すら与えず、黒川はこちらへと近付いてきた。
どう対応するべきだろうか……? 俺は判断に迷った。
心理的に、殺人を犯した人間がすぐに現場に戻ってくるとは考え難かったが
黒川が主催者側の人間であり、只野を殺害した――そんな可能性もゼロではない。
気を引き締めてかからなければ……そう思い、目に力を込める。
「何故……殺したんですか」
ホールに足を踏み入れた黒川は、只野の死体を一瞥するなり直球を投げて来た。
「この状況じゃ、誤解するのも無理はないと思うんっすけどね……俺は、殺してないっすよ」
ちゃんと笑顔になっているかどうかさえ怪しいものだったが、俺は無理矢理に、作り笑いを浮かべた。
「ちょっと目を離した隙に……こうなってたんすよ」
我ながら、説得力の欠片もありはしない。
俺の不審な態度を見て、黒川の顔つきがどんどん厳しくなっていく。
「自分から『見張り役を引き受ける』と言い出しておいて『目を離した』ですか……!?」
いちいち正論だ。俺は、何の反論もできずにただ口を閉ざすしかできない。
「馬鹿にするな……! そんな白々しい演技で私を騙そうとしたって、そうはいかない」
打てど響かない俺に苛立ったのか、黒川は一方的にヒートアップしていく。
「小此木さんと双葉さん――二人はどこに行ったんです? まさか、あなたが殺したんですか」
もう、俺が只野を殺害したと、半ば決め打ちしてしまっているようだ。
今から洗いざらい真実を話したとしても、信じてもらえそうにない雰囲気だった。
「いい加減にしてほしいっすね……」
俺は不愉快な表情を隠さずに、大きく溜め息をついた。
「小此木は失神した夕実ちゃんを部屋に寝かせに行ったんすよ。
でも……おかしいっすね、もうそろそろ、戻ってきてもいい頃なんっすけど」
特に何も考えず、素直な感想を述べただけなのだが、言ってみてから確かにその通りだと実感する。
拳銃で撃たれたカイジの治療にあたっていた黒川とは違って
小此木は気を失った夕実を部屋に寝かせに行っただけなのだから……
それこそ俺が写真を撮り終え、ホールに戻ってきたあたりで合流してもよさそうなものである。
もしかすると、小此木が只野を――
「わざとらしい」
黒川の声が、思考を遮った。俺はゆっくりと首を左右に振る。
一連のやりとりから推測する限りでは、まず間違いなく、黒川は只野を殺してはいないと思われた。
それならば、こちらの素性をすべて黒川に明かしてしまいたい所なのだが……そう簡単な話でもない。
このゲームの性質から察するに、監視カメラとは別に、各部屋に感度の高い集音マイクが仕掛けられている可能性は非常に高い。
音声をモニタリングできなければ、肝心の推理の内容が主催者に届かないからである。
黒川に俺の素性を話すと言うことはつまり、帝愛にこちらの正体を暴露してしまうことに繋がる。
俺の身分が帝愛の知る所となってしまえば、勝敗に関係なく、俺はこのゲームから生きて帰れなくなってしまう。
せめてもう少し距離が近ければ、声を殺して会話することも可能なのだが……
「話がある、こっちへ来てくれ」
俺は意を決して、マイクが音声を拾えないよう、出来る限り小さな声で黒川に呼びかけてみた。
頼む……伝わってくれ。そして、こちらの意図を汲んでくれ。
そう願いながら、摺り足で距離を詰める。リスクは最小限に抑えたい。
「近付くな!」
が、そんな願いも空しく、黒川は大声を出して俺を牽制した。
当然の処置と言えばそうだろうが、パーソナルスペースには意地でも立ち入らせないつもりらしい。
それどころか、黒川は俺に背を向けて走り出し、調理場へと飛び込んだ。
思い切り引き戸が閉められたかと思うと、すぐに内側でガタン、ガシャンと激しい物音がした。
黒川が何をしているのかは定かではなかったが、放って置く訳にもいくまい。
只野が何者かに殺された今、黒川は貴重な味方の一人である。誤解されたままと言うのはいただけない。
特に、黒川の誤解が伊藤、小此木、双葉の三人に飛び火するような事態は避けたかった。
何故なら……この三人の中には、只野を殺した『第二の犯人』が一人混じっている。
そいつはおそらく、黒川の誤解を最大限に利用するような形で、俺に罪を被せようとしてくるだろう。
俺はまだ生々しい血の痕を避けるように大股で歩き、調理場へと続く引き戸を開けた。
立てかけてあった丸テーブルが滑り落ち、観葉植物の鉢が倒れて土がぶち撒けられた。
やはり、黒川はかなり精神的に参っており、正常な判断能力を失ってしまっているらしい。
両開きでない引き戸の正面にバリケードを築こうとするなんて、普通の神経では考えられない。
スライド部分に、つっかえ棒の代わりになるような物を差し込んでおいた方が余程効率的かつ、効果的だ。
引き戸の前に乱雑に散らばったガラクタを乗り越え、床から視線を上げた。
そこでようやく、俺は黒川がこちらに向かって突進してきているのに気付いた。その手に握られているのは……刃物!?
何が起きているのか理解したその時には、既に黒川は目の前にまで迫っており、手にした刃物は高々と掲げられていた。
刃が煌き、風を切る鋭い音がした。痛みはまるで無かった。
反射的に顔に触れて、気が付いた。俺の指は『傷口』からするりと『皮膚』の中に入り込み……素肌に触れた。
それは俺にとって、死の宣告にも等しかった。
俺の命綱である『玉崎真吾』のマスクは、頬から口にかけて大きく裂け、無残な姿を晒していた。
黒川は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして、刃物を取り落とした。
「畜生……よくもやってくれたな……これで俺は……もうおしまいだ」
思わず、喋り方が『玉崎真吾』のものから『江本厚』のものに戻ってしまう。
これで、俺が替え玉であると言う事実が帝愛に露呈してしまった。奴等は俺を生かして返さない。
戦おうにも、多勢に無勢。逃げ出そうにも、外は吹雪だ。
どう足掻いても逃れられない死が、俺の心に重く圧し掛かる。
失意に浸る間もなく、突然、黒川に突き飛ばされた。俺はよろめいて転倒し、壁に後頭部を打って呻いた。
そのままずるずると、その場に座り込む。俺はもう、暫くの間立ち上がる気もしなかった。
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>349です。
今回は前回と重ね合わせると、何がどうなっているのかわかり易いかと思います。
今まで主観が出てこなかった脇役キャラに視点を回していきます。
・HNの元ネタ
元ROMであったと言う理由と、後はフィーリングで決めました……
特に元ネタはありません。よくよく考えると変な名前ですが、今はもう馴れております。
・何とかしてくれる
何気にカイジは頼られキャラですよね。勝負強いせいか、期待を一身に背負うシチュエーション多数。
古畑&安藤、石田さん、45組の面々、などなど。
・次回
すみません、今の所割とハイペース(私にしては)で書けていますが
カマイタチで精根尽き果てそうなので、次回、すぐに何かを書けるかどうかは未定です。
書くとしたら何になるでしょう……今度は、違うジャンルにしようかな。
394 :
作者の都合により名無しです:2006/05/20(土) 22:54:41 ID:TJeKwvH80
お疲れさんです。見てた人さんが夜遅くなんて珍しいな
事件が終わってから、更に一人一人のプロフィールを書き込むとは。
その中で更に事件の全貌が浮かび上がってくる・・
次回作はちょっとチャージしたらお願いしますw
見てた人さん乙です。
犯人の裏側にある病巣のような心理、黒川たち食われる者たちの焦り。
大幕は終わったというのにハラハラさせてくれますね。
最後までロジックと心理描写で書き切った、という所に凄みを感じます。
まだ終わってませんけど。
でも最初がこのレベルだと必然的に次回作を期待してしまいます。
396 :
パパカノ:2006/05/21(日) 03:42:16 ID:HqIV6AA80
ナメック星でサイヤ人の打ったかめはめ波の流れ弾にあたり、瀕死の重症を負った勇次郎。
そんな彼を助けるため、息子のバキは勇次郎を眞鍋医院に連れて行った。
「いやぁ、大変だね。宇宙から光線が来るなんて……地上最強の生物も宇宙からの物体には勝てないのかな」
「いきなり失礼なこと言ってんじゃねーよ、ヤブ医者。親父を治してくれ」
「あぁ、ちょっと待ってね……」
真鍋医師は治療用の針と糸を取り出す。勇次郎の体は既に出血多量で一刻を争う状態だ。
まず、出血を止めなければならない。真鍋医師はブラックジャックをも凌ぐスピードで
糸を張りに結びつけ、出血の多い部位に針をさす。だが、次の瞬間。
針は勇次郎の肉体に跳ね返されてしまった。
「まさか……地上最強の生物は鉄よりも強いのか?」
「親父に勝てるやつは癌細胞だっていない。そう思っていたけど、まさか針まで跳ね返すなんて……」
「まずいな、これは。」
「眞鍋、どういうことだ?」
真鍋医師は勇次郎の出血部位にカテーテルを挿入し、そこから直接血液を流し込む。
「ふぅ。とりあえず、これでもってくれればいいが……」
その後、バキを見つめ。神妙な面持ちでこう伝えた。
「いいかい、バキ君。君のお父さんの体は、格闘性筋肉肥大症に罹っている恐れがある。
一流の格闘家が稀にかかる不治の病だ」
「なんだよそれ……」
「本来人間の体にとって、害になる筋肉が必要以上に増えすぎる症状だよ」
「害になるって……アンタ何言ってんだ?」
「普通の人間なら、トレーニングをしないと筋肉が落ちていくものだ。それは人間の
生活にとって、筋肉というものが害になる可能性があることを示している。
事実、筋肉が増えることによって血管が圧迫され出血が増えたり、エネルギーの消費量が
増えることで疲れやすくなったりもする」
「そんな馬鹿な……」
「この年齢、そしてこの筋肉。お父さんはどの道長くは無いだろうな」
「何言ってんだ、アンタは医者だろ。親父を助けろ!!」
「言われなくとも、そうするつもりさ……フフフッ」
真鍋は邪悪な笑みを浮かべる。(乱堂君でできなかったことが……ついに僕の夢が叶う)
397 :
パパカノ:2006/05/21(日) 03:42:53 ID:HqIV6AA80
数日後、真鍋医師の手により勇次郎の命は救われた。だが、彼の体からは筋肉がほとんど消えてしまっていた。
「一応、治療の結果報告をするね。まず、薬を使ってお父さんの体から筋肉を70%取り除いた。
次に、脂肪を備蓄するため胸とお尻に皮下脂肪を注入したよ。あとは、男性ホルモンが増えると
結局元に戻るんで、男性ホルモンの根源を切り落とした」
「切り落としたって……」
「いやぁ、危ないところだったよ。あのまま放置してたらお父さんの命は後1年もなかったろうね」
得意げな真鍋医師。診療所のベッドには一人の少女が眠る。
「あのなぁ、だからって顔を整形する必要まであったのか?」
「いや、アレは僕の趣味……」
その瞬間、バキの音速拳が真鍋医師に炸裂する。宙を舞う真鍋の体。その体が少女:勇次郎にぶつかった。
「んぅ……あぁ………駄目っ」
少女が目を覚ます。
「あれ……ここはどこ?」
「親父! おきたのか、体は大丈夫か?」
「?? あなたは誰?」
「え、 親父何言ってるんだよ」
血塗れになり、真鍋医師が笑う。
「ふふふっ、どうやら彼には記憶がないようだね」
「記憶が……」
「宇宙からの物体が衝突したんだ、並の人間なら死んでるよ。地上最強の生物だからこそ
記憶喪失だけで済んだんだろうね」
「親父に記憶が無い。そして、チ●ポも……。おい、ヤブ医者。親父はどうなるんだ?」
「さぁ……」
「さぁって、オマエなぁ!」
「あのぉ、皆さん、何の話をされてるんですか?」
「……親父。本当に記憶が無いのか?」
「記憶……そうだ、確かに何も思い出せない。私は一体誰なんですか?そして、アナタ達は?」
少女:勇次郎の質問に対し、バキが答える。
398 :
パパカノ:2006/05/21(日) 03:44:17 ID:HqIV6AA80
「アンタはオレの親父だ。名前は範馬勇次郎。地上最強の生物といわれた雄だ」
「私が、地上最強の生物?親父? 何言ってるんですか。
だって私には胸がありますよ。胸があるって言うことは、女なんですよね?」
「いや違う。アンタは雄だ。」
「え……でも……大体、地上最強の生物なんて、そんな馬鹿な生き物いるわけ無いじゃないですか」
「いいや、いた。アンタだ。」
「いい加減にしてください! 私がそんなわけ無いです」
そういって、少女はバキに平手を食らわす。バキは反射的にそれを防ごうとする。
しかし、バキのガードを吹き飛ばし、少女の平手はバキを吹き飛ばした。
「え?? 私なんでこんな事できるの?」
「攻めの消力……やっぱり、アンタは地上最強の生物だ。筋肉が落ちたことによって
以前以上の力を身につけている。」
「え……嘘でしょ……ねぇ、先生は本当のことを言ってくださいますよね、私は地上最強の生物なんかじゃないですよね?」
「残念ながら、本当にキミは地上最強の生物と言われていたよ」
「……そんな、本当なんですか? 私が男で、地上最強の生物で、息子がいて……」
「いや、それは違う。キミは女の子だ。そして、彼は息子じゃなくてキミの恋人だよ」
「おい、ヤブ医者。何言ってんだ」
「いやぁ、彼は恥ずかしがり屋でね。こうやっていつも否定しているんだけど、
傍から見ているとイチャイチャイチャイチャ。暑くすぎるカップルだったなぁ、君たちは」
「そうなんですか」
「違う!」
「そう、恋人同士だったんだ。さぁ、彼に、バキ君に抱きつきたまえ」
「バキさん!」
少女:勇次郎はバキに抱きつく。
この瞬間、バキに新たな彼女が誕生した。
はじめまして、
醜い文体だと思いますが、とりあえず書いてみました。
ちょっとの間だけ、掲載してみます。
皆さん、よろしくお願いします。
400 :
作者の都合により名無しです:2006/05/21(日) 06:06:09 ID:jM2ppdcD0
ワラタw手術したんじゃあ、元には戻らないんじゃ・・。
ともかく次回も頑張ってください。
>カマイタチ
最後までハイレベルですな。
玉崎は快楽系でなく、淡々と自分の仕事をこなしていくようなタイプだから怖い。
でも、更に恐るべきは組織的な力で闇に葬る帝愛ですね。
現実のサラ金は帝愛以上に恐ろしいところもありますがwアイフルとか武富士とかw
>パパカノ
おお、新連載お疲れ様です
いきなりナメック星からの流れ弾の発送に笑ったwどれだけ遠くからの流れ弾だよw
しかし、最終兵器彼女より恐ろしいな。地上最強生物彼女は。しかも息子に抱きついてw
やはり、蛸との最強彼女VS最悪彼女の戦いが見られるのだろうか?
402 :
しぇき ◆DzYUybNTDc :2006/05/21(日) 12:06:14 ID:gufO6GtU0
はじめまして、
醜い顔面だと思いますが、とりあえず焼いてみました。
ちょっとの間だけ、整形してみます。
皆さん、よろしくお願いします。
403 :
ふら〜り:2006/05/21(日) 19:19:05 ID:YW4Zwme60
>>サマサさん
アザミとUSDマン、溶け込んでますね。もともと混成大軍団ですから、そぐわないとか
異質とかは心配無用ですし。内輪の諍いや個人の悩み事もとりあえず解決し、戦陣内とは
いえ平和な光景……に突如敵の挑戦。先の二人も加えて一枚岩になったのび太たち、出撃!
>>NBさん
あ、悪意が深い。不快。ラーメンマン並、いやそれ以上に反転したらしい彼の人格。一体
どういう経緯で更正(?)したのか、目が離せませぬ。けどロイドとの比較で解る通り、
超能力があっても知能や度胸がなければそれを武器にはできない。その辺は変わらず流石。
>>見てた人さん(サムライトルーパーNY編の当麻……いえ、何でもないっす)
ひあぁ……と溜息。誤解が絡まり関係が泥沼化していくドロドロに重い相関図変異過程を、
ここまで綺麗なザッピングで描いてしまうとは。皆さんも言ってますが、本っっ当に凄い
技術です。この辺は登場人物視点で感情移入せず、素直に神の視点で味わうのが良さそう。
>>パパカノさん←で、いいですか?
なるほど、こういう意味だったのかタイトル。地の文の説明が皆無、元が勇次郎、なのに
えらく可愛くイメージできてます。真鍋の言葉を素直に信じ込んでるのと、記憶がなくて
不安がってる様子のせいでしょうね。自然な女の子描写が巧いパパカノさん、次回も期待!
特に意味はないんですが、サマサさんとNBさんが元気に続くと何となく嬉しい。
そこに、見事すぎる技術で魅せてくれる見てた人さんと、何だか天然に
センスのありそうなパパカノさんも並んで。うん、今日も元気元気。
だからそろそろ、意外と似合ってた先生勇次郎や、アホ満開の特戦隊も見たいなぁ……
404 :
作者の都合により名無しです:2006/05/21(日) 23:25:21 ID:5Muuh6sB0
パパカノさんを見ているとマルチメディアを思い出す。
そのいい意味で変なアイデアを大切にして下さい。
勇次郎を少女、そしてバキの彼女にするという発想は凄いw
見てた人さん乙です。今まで読んだ中でも俺が最も好きな作品です。
終わって欲しくはないけど、やはりエンディングが気になるのでラストを見たい。
これだけのものが書ける人はそうはいないからなあ
>>403 キモイなぁ。
素直にしぇきさん帰ってきてって言ってやんなよ。腐女子さん。
406 :
パパカノ:2006/05/22(月) 01:34:34 ID:s7aF2tss0
範馬勇次郎が変体医師眞鍋の手によって、女の子に改造されてしまった。
ちなみにルックスはマンドラゴア並みの美少女だ。
そんな少女に抱きつかれ、父親と分かりつつもチン●が反応してしまう男の子なバキ。
「ちょ、ちょっと離れてくれ。オレは君の息子なんだから」
「騙されませんよ。どこの世界の女の子が親父になるんですか!
いい加減にしてください。そして……この温もり、アナタは間違いなく恋人です」
「いや、それ根拠無いから」
「あります! きっと、これは運命の出会いなんです」
「いや、その……」
結局、少女:勇次郎はバキになついてしまい、そのまま彼と同じ高校に通うことになった。
ところ変わって、ここはツルツルお肌のオカマ宇宙人が支配する惑星。
「あのサイヤ人が……宇宙の帝王をコケにしやがって!!
今すぐパパと一緒にあいつの星を潰してやる」
そう言って、フリーザは『地球』という星をタウンページで探す。宇宙1のスピードを誇るフリーザはPCで検索などしない。
彼のページ捲りのスピードはタウンページをPentium4.30GHz以上のパソコンに早変わりさせる。
「見つけたぞ、地球だ。パパ、フリーザ軍を全軍集めて!」
407 :
パパカノ:2006/05/22(月) 01:35:08 ID:s7aF2tss0
再び、地球。教壇の上には少女が立っている。
「はじめまして、範馬勇子です。バキ君のカノジョやってます。趣味は地上最強の生物です」
教室中の男女全員が騒ぎ出す。男共は「かわいい女の子だなぁ、バキ殺す!」
女共は「なによぉ、いきなり彼氏自慢しちゃって、可愛いからって調子のんな!」
そして、バキの元カノ・梢(アライと付き合い始めた)は
「あらぁ〜〜可愛い彼女ができたじゃん、よかったわね。バキ君」
「いや、アレは彼女じゃなくて。生き別れた双子の姉が若年性アルツハイマーにかかったんだ」
苦し紛れの言い訳をするバキを絶対零度の冷たさでシカトする梢。
その頭ではアライとのデートだけを考えている。
勇子の席はバキの隣で、梢の前に決定する。満面の笑みで着席する勇子。
(やったわ。シャイな彼の隣の席ゲット! 恥ずかしがり屋なバキ君も隣の席から私の色気で攻めればいつかは憧れのロストバージン。
第一のチャンスは今日の体育よね。色気抜群のブルマー姿で攻めれば、ロリコン好きは1フェムト秒(1000兆分の1秒)で落ちるわ。
あと、人気の無い体育倉庫もチャンスね。彼を押し倒して、唇と胸で理性を殺し……
って、何考えてんのよ私は。これじゃ、エロゲー中毒の童貞中年オヤジじゃない)
勇子は痴漢初心者が女子小学生に向けるような瞳でバキを見つめる。
この瞬間、教室中の全男子が勇子を恋愛対象から除外したことは言うまでもない。
ここは、フリーザ軍を運ぶ宇宙船の中。
「フリーザ様、あと30分ほどで地球に到着します。到着予定地は日本の●×高校校庭です」
「ほーほっほ。楽しみですね、あのサイヤ人が戻ってくるまでに地球人を全滅してあげましょう」
408 :
パパカノ:2006/05/22(月) 01:35:41 ID:s7aF2tss0
再び地球●×高校。教室の中では勇子、梢を含む女子生徒たちが体操服に着替えている。
「体操服の着こなしは、洗濯板胸にキツキツの上着。黒いブルマーから白いパンツが露出していると尚良し。また、ブラの着用は論外」
勇子は変体医師眞鍋に吹き込まれた知識を元に着替えを行う。
ちょうどそのころ、校舎の上にはフリーザの船が到着していた。
勇子達は着替えを終え、校庭に出る。
萌えルックス万全の体勢でバキを迎え撃つ勇子。地上最強生物の誘惑を命がけでシカトするバキ。
その上空には歴史上初の地球外知的生命が着陸態勢を取っていた。
今日の体育は男女合同のバレーボール。バキと勇子と梢は同じチーム。
コートの準備をし、今から試合……という瞬間、上空から宇宙船が下りてきた。
(何よいきなり、あの宇宙船、私とバキ君の邪魔をするつもり!)
「ここが地球か、思ったよりいい星だねパパ」
フリーザとコルドが宇宙船から降りてくる。
はじめて見る地球外生物にあっけに取られるバキたち。「宇宙人って日本語しゃべるんだ……」
409 :
41:2006/05/22(月) 01:42:52 ID:s7aF2tss0
そんなわけで、第二弾投稿します。
>>見てた人さん。
凄い、文章が読みやすいし何より、話が面白いですね。
何だかシリアスでピンチっぽい展開ですが、どうなるんでしょうか……
>>ふら〜りさん、400さん、401さん、404さん。
こんばんわ、わざわざ、変な文章のSS読んでくださってありがとうございます。
とりあえず、皆さんが飽きないうちに、まとめられればいいなぁなどと思っております。
ではでは。
また、来週会いましょう。
勇次郎対フリーザになるのかw
女性化したパパとバキのコンビが宇宙の帝王をどう倒すか楽しみだw
411 :
作者の都合により名無しです:2006/05/22(月) 20:32:26 ID:52q2ck700
地上最強の親子対決か。コルドは地上最強のザコキャラとして有名だが。
女と化してもその戦闘能力は失われて無さそうだし、意外とまともなバトルになるかも
412 :
作者の都合により名無しです:2006/05/22(月) 22:11:59 ID:BWTEMPNY0
こういう、人と少し変わったセンスの人の作品は好きだ。
頑張ってくだされ
しぇきさんはそろそろ帰ってきて欲しいな。
粘着のアホは一人だけだから気にしないで。
魔界編の最終話、ダメダメな終り方だったなー。
俺らでバキ外伝SSの更に有終の美を創ろうぜ!
あのラストはエヴァの23話と24話みたいな感じだったよな。
または劇場版ジエンドオブの出来損ない。
皆で作りあおうよ、最終話。
416 :
41:2006/05/23(火) 10:30:09 ID:2V3scANM0
>>413 こういう感想つけずに「〜帰ってきて」ってのよくいるけど、荒らしか?
勘弁してください。
何でIDが同じなんだよwww
レオパレスか?
420 :
作者の都合により名無しです:2006/05/23(火) 14:20:26 ID:1pMKqbKdO
そろそろ次スレかな?
第七十六話「死闘の幕開け」
仮面の男、クルーゼ。彼の目の前には漆黒の巨体が無数のコードに繋がれていた。
まるで鎖に繋がれた悪魔のようだ―――彼はそう思った。
「如何です、クルーゼ―――これがあなたの新しい機体です」
背後からの声。整いすぎるくらいに整った美貌の男が、唇を歪めて笑う。
「感謝するよ。<プロヴィデンス>ではもはや、彼らを倒すことはできそうにないからな」
「ククク・・・それはよかった。私は今回の戦いには参加できないので、せめてと思って開発したのですが、気に入って
いただけたようで何よりです」
「君は参加できない、か・・・詮索して悪いが、何か用事でもあるのかな?戦いよりも重要なことなのか?」
その問いに、シュウは少しだけ表情を固くした。
「少し、狐と話がありましてね・・・少々、彼と意見の食い違いが出てきましたので」
「ふむ。と言うと?」
「―――話の展開によっては、私は狐の元を、<十三階段>を、離れるかもしれないということです」
シュウは深く溜息をついた。
「私としてはそれは避けたいところですがね・・・。彼は見ているだけで退屈しない男ですから」
「ふむ・・・まあいいさ。この新型機と、他にも君の造った玩具の数々がある。戦力的には不安はない。君は君で用事を
済ませてくるがいいさ」
「はい。では失礼しますよ」
シュウはクルーゼの前から去っていく。残されたのは、クルーゼただ一人。
彼は何を思うのか―――ただその口元に、邪悪以外に表現のしようのない笑みを浮かべていた。
アークエンジェルを先頭に、宇宙艦隊が群れをなして漆黒の宇宙を進む。
レジスタンスの全残存兵力を結集した結果がこの大艦隊だ。それぞれの艦の格納庫には、ぎっちりと詰め込めるだけの
兵器や機体が搭載されている。
「―――とは言っても、どれだけの数が生きて帰れるか。数の暴力で言えば向こうの方が上だし、質にしても・・・」
バカ王子のそんな呟きに、イザークは眉を顰めた。
「貴様、よくもそんな事が言えるな!みんな決死の覚悟でやってきたんだ。それを馬鹿にするつもりか!?」
「そういうつもりはない。事実として言っている。君だって分かってるはずだ。メカトピアの兵器では、奴らには対抗
できないと」
痛いところを突かれて、イザークはぐっと口ごもる。そんな彼を尻目に、バカ王子はすっくと立ち上がった。
「・・・だが、パイロットの質は高い。特にイザーク、ニコル、ディアッカ。君たち三人の力量はかなりのものだ」
「ふん、褒めて機嫌を伺おうとしても・・・」
「そんなつもりもない。ただ僕はこう言いたいんだ―――いいパイロットがいい機体に乗れば強い、と」
「当たり前の事を―――」
「そう、当たり前だ。けど今の君たちは、その当たり前ができていない。だからこそ、僕は君たちにもちょっとした
プレゼントを用意したんだ」
「プレゼント、だと?」
「そうだ。まあ、付いてきたまえ。戦闘が始まってからでは遅いからな。クラフト、君も来い」
「俺もか・・・嫌だなあ、どうせろくでもないことに決まってるんだろうなあ・・・」
クラフトは聞こえよがしに悪態をつくが、勿論そんなモンを気にするバカ王子ではない。さっさと歩き出してしまう。
イザークたちは仕方なくそれに付いていった。
―――ライトアップされただだっ広い空間。その中に佇む、三つの巨体。
「これは・・・!」
イザークは息を呑んだ。その反応に満足して、バカ王子は得意げに語る。
「君たちの新しい機体だよ。如何にパイロットの腕がよくても、乗ってる機体が問題だった。その点、これは今まで
君らが乗っていたものと比べて、性能は遥かに上だ」
「・・・それが、これですか」
ニコルは真新しい三つの機体を眺める。基本的に、三人が今まで乗っていた<デュエル><バスター><ブリッツ>と、
見た目はほとんど変わらない。
「で、名前は?」
「うん。シンプルに<デュエル改><ブリッツ改>そして<改バスター>とした」
まんまであった。泣きたくなるくらい、まんまであった・・・。
「くっ・・・バカにしてるのか、貴様!名前に<改>が付いただけじゃないか!」
「いやあ、むしろ相当厚遇してるぞ。原作じゃあ結局乗り換えイベントなんかなかったんだから」
詰め寄るイザークに対し、悪びれもせず言い放つバカ王子。それを見て、ニコルは嘆息した。
「結局僕らって、十把一絡げの扱いなんですね・・・正直、パワーアップしてもロクに活躍できなさそうですよ」
「いやいや、ちょっと待て!問題は俺の機体だよ!」
ディアッカが改バスターを指差した。
「なんだよ改バスターって!なんつーか、その・・・無茶苦茶サイバスターのパチモンっぽい名前じゃないか!普通に
バスター改でいいのに、なんで俺のだけ前の方に改が来てるんだよ!」
「それくらいやった方がネタ的に面白いからだ」
堂々とぶち上げるバカ王子。
「いいか、ディアッカ。誰も君にかっこいい活躍なんて望んでいないんだ。皆が君に期待していることは唯一つ・・・
如何にネタキャラ振りを見せてくれるのか。これに尽きる。さあ、改バスターでさらにネタキャラとして定着するがいい!」
凄まじい暴言に、もはやディアッカは反論さえしなかった。ただ、遣る瀬無さそうな顔で俯くだけだ。
「てめえ・・・絶対戦闘中の事故に見せかけて殺してやる・・・!」
「諦めろ。そんなもんで殺せるなら、俺がとっくにやってる」
クラフトがディアッカの肩をポンと叩く。
<お前の気持ちは分かる>その瞳はそう言っていた・・・。
「さて、それではギャグパートはこれくらいにして、準備してくれ。そろそろ戦闘開始だ」
言いたいだけ言ってバカ王子は去っていく。後継機乗り換えイベントをギャグパートと評された三人は、深々と、それはもう
深々と溜息をついた。
「全く・・・俺たち、結局こういう役回りかよ・・・」
ディアッカは呟き、そして―――笑い出した。
「ぷ、く、くくく・・・ははははは!ま、これもいいんじゃねえの?主人公みたくかっこよくなくても、強くなくても、俺たちは
俺たちなりに戦うだけ―――そうだよな、イザーク、ニコル!」
「・・・ですね。僕らは僕らにやれるだけやりましょう。ねえ、イザーク!」
「ふん・・・。言われなくとも!」
イザークは胸を大きく反らしてデュエル改のコクピットに入っていく。ディアッカとニコルもそれに続き、機体に乗り込んだ。
彼らにとってこの戦いは、祖国メカトピアを守るための大切な戦い―――華々しい活躍などできなくともいい。
自分たちなりに戦い、そして何かに役立つことができるなら・・・そんなに素晴らしいことはないだろう。
その時、艦内に警告音が鳴り響いた。ついに戦闘地域に到達したのだ。
イザークたちは唇を引き締め、暗闇の宇宙へと飛び出した。その先に待ち受ける強敵たちを、恐れることなく―――
ただ、前だけを見て。
投下完了。前回は
>>361より。
プロットは全部できてますが、それを文に起こす作業はかなり時間がかかります。
年内に終わらせることができたら理想的なんですが・・・。
>>363 種は歌は結構いい歌揃いだと思います。TMRとかTMRとかTMRとか(TMRばっかだ)。
>>364 ジャイアンとUSDマン・・・あまり意識してなかったけど、確かに似てると言えば似てるかも。
>>383 大きな戦いは今回の話と、ラストバトルになります。それで長かったこの物語も、一応の
結末ということに・・・。
>>ふら〜りさん
本編でも大長編でも、相手が誰だろうといつの間にか友達になれるのがのび太たちですしね。
しぇきさんには来てほしいですね。スパロボの話が分かる職人さんですし・・・。
でも、執筆の大変さとか考えると、気軽に帰ってきてとも言い辛い・・・。
426 :
作者の都合により名無しです:2006/05/23(火) 19:36:30 ID:1nDa26ac0
なるほど。まだまだ楽しませてくれるのですね。
100話ちょうどくらいに終わると理想かな?w
今回のお話は、ある意味クライマックスですね。
ラストバトルに次ぐ激闘が待ち受けているのですから。
まあどんなにハードな戦いでも、
バカ王子がいる限り暗くはならないでしょうがw
乙です。こう毎週確実に書いてくれる人は有り難い。
何となく調べてみたら稟=ヨウラン・ケント(種)=南光次(サイバスター)=ブルックリン・ラックフィールド(スパロボ)だそうでびっくりした。
>>427 えーと・・・・ロボじゃないけど銀魂アニメ主人公=ハルヒの主人公=ブルックリンの中の人です。
声優ネタスマソ。
サマサさん乙。
まだ二山あるのか。安心したよ。
インフレもいいけどギャグパートも好きなので
なるべく長く頑張って下さい。
脚の無くなったテーブルから料理を降ろし、心行くまで
食事を楽しむと何者かの血に濡れた床の上でユダが深刻な顔で話を始める。
「御遊戯の時間は終わりだ、これからについて考えるとしよう。」
そう言うとユダは親指と中指で爽やかに指を鳴らす。
ぞろぞろと湧き出るユダの侍女達が食器や割れたテーブルを片付ける。
ロニの目が煌く、間違いなくナンパする気の様だ、しかしユダは侍女にも
話があるのか、全員が食器を洗いに行かない内に呼び止める。
「お前達、今まで御苦労だったな、俺はこの居城を
後にする。出て行きたければどこへでも行くがいい。」
ユダの言葉に侍女たちが喜びの表情を浮かべている、どうした事だろうか。
カイルが尋ねようと試みるが神の眼の時の様に先に説明されてしまった。
「この者達は、俺が勝手に攫って来た平民だ。旅に出るには邪魔にしかならんであろう。」
サラッと言ってのけるがこれは重大な犯罪だ、見過ごしていいのだろうか?
しかしユダの事だ、持ち前の知略で法律の穴を探し出して言い逃れる事も出来そうだ。
それはともかく、ユダに抑えられている為、去って行く美女達を
見つめる事しか出来ないロニの姿から、独身男性特有の必死さが
ひしひしと伝わってきて見ている方に虚しい空気を感じさせる。
話し合う空気が乱れたのでドリアンが話を戻すため自分の意見を述べる。
「私達は特に目的も無い、パーティの分担は任せよう。」
柳、ドイル、シコルスキーを代弁してユダに身を委ねるドリアン。
スペックも異論は無さそうだ、話は更に続いて行く。
「ならば死刑囚達は俺について貰う、カイル達はどうする?戦力不足なら一人か二人そっちに回すぞ。」
確かに戦力の低下は著しい、だがスタンさん、ルーティさんが心配だ、それに
大人数じゃ動き辛い事もあるだろう、カイルに替わりロニが冷静に判断を下す。
「いや、俺達は今のメンバーでいい。それより問題は神の眼の処分だ。」
あんな危険な物が、あの赤衣の男の様に強力な魔力を持つ人物に渡ると危険だ。
有効な活用方法は今の所、術法の力を高める事にしか使われていないのだろうが、
兵器へのエネルギー、巨大な魔物の更なる強化へと使われる事も考えられる。
この世界は自分達の世界より魔物の進化が優れている、神の配下ともなれば
眼を使うに相応しい力を持っているであろう。
「爆薬や君達の術では破壊出来ないのか?」
「無理だな、究極の兵器ソーディアンを全て犠牲にしてやっと破壊出来る代物だ。」
爆薬すら効かないという言葉に、ドイルはやや不服そうだが事実なのだ。
この神の眼自体にそんな硬度がある訳ではなく常に膨大なエネルギーで
覆われているからである。天地戦争では、この神の眼一つで地上全土が
灰になりかかっている。ソーディアンがあったとしても古の英雄達と
同等の力、更にはソーディアンを扱う資格が無ければならない。
資格の話はロニが子供の頃にスタンから聞いた物なので間違いない。
地上が灰になった話も地質学者の研究で立証されている。
こんな危険な物、砕けるならば砕けてくれればいいのだが。
「隠すにしてもこの大きさだ、埋めた所で鼻の利く魔物を考えるとな。」
ユダの知略を持ってしても有効な隠蔽策は見当たらない。
そんな中、意外な男が意外な提案を持ち出す。
「マラル湖に沈めて水竜に守ってもらうのはどうだ?」
水竜、神に匹敵する魔物らしいがサルーインを憎み、シコルスキーに
力を与えた魔物、どうせ会う予定でも有ったのだろう。
名案だと言うのに顔には自信は満ちていない、名案、もし本当に
味方だったら名案なのだが、魔物を信用する事が出来るのだろうか。
「シコルスキー、水竜とやらは信用出来るんだろうな。」
ユダの問いに戸惑いを隠せないシコルスキー、ジャギとの戦いで己の身を守り、
ダムの水から仲間を守ってくれた水竜の力、だが会ってもいない相手を信用など出来ない。
「力を借りておいて何だが、会って見ないと俺も信用は・・・。」
その言葉を聞いたユダは考えが纏まったのか、荷造りを始める。
「行き先は決った、マラル湖へ行く!お前等は神の眼を守っていろ。」
カイル達を指差しながら支度を続けるユダ、立ち上がる死刑囚。
誰一人として不平の声を上げる事はしない、神に匹敵する魔物を
相手にする事になるかもしれない、それでも仲間の為、一つの目標に
向かって全員で力尽きるまで進攻をやめる事は無い、彼等は「武人」なのだから。
神の眼の守りをカイル達へと託し、マラル湖へ向かう為アサシンギルドを
後にするユダ率いる死刑囚軍団。
「ジャアナ、ボーヤ。」
スペックがカイルの方を振り返り、手を振る。カイルも手を振って、
それに答える。ロニも、リアラも彼等の無事を祈って笑顔で見送る。
柳も、ドイルもドリアンも笑顔でそれに答える。当然、シコルスキーも。
ユダも珍しく顔に微笑を浮かべ、必ず戻るとカイル達に告げて別れた。
アサシンギルドの入り口が見えなくなるとこれからどうするかを考える。
準備も無くマラル湖へ向かい、水竜が敵でした、では洒落にならない。
まずはクジャラートへ行き宿を取り、如何なる場合でも万全の状態で
事態に備える事が出来る様にする。最も、相手が神に匹敵する魔物では
死力を尽くしても勝機は薄いであろう、それに伴い戦う場所は
相手の陣地。マラル湖に聳え立つ神殿の中の仕掛けにも油断は出来ない。
流石にユダの知略の及ぶ範囲では無い、水竜が味方である事を
願うしかないであろう。そして水竜との和平の鍵を握るのは、
水竜の加護を受け、脅威の治癒能力と水の術法の力を手中に収めた男。
強力なベアナックルで相手を切り裂く、最強死刑囚の一人、シコルスキー。
「お腹減ったシコー、ちょっと休むシコー。」
今は子供の様に駄々を捏ねているが戦いともなれば話は別、
水術によるサポートから格闘戦までこなすスペシャリストに・・・
「もう疲れたシコー!少しは休ませろシコ!その髪型似合ってねぇシコ!」
何やら語尾がウザ過ぎる、こんなキャラだっただろうか?
頭の血管が膨張を始めているが無理矢理押さえ込む。
仕方なく休憩を取る事にした、これからの方針についても話し合いたい。
「長旅じゃ無いといっても無理は禁物だな、まだ歩いてから30分も経っていないが・・・。」
一人一人が周囲を見渡せる様、円状に座り込む。
まだ魔物の気配は感じられないが、ここは人里離れている。
モンスターの住処には持って来いの場所である。
「休憩中だが聞きたい事がある、ここに居る者が何の目的を持っているのかを知りたい。」
唐突に話を持ち出され少し戸惑う柳、ドイル。だが意外にも
最初に答えを出したのはドリアンだった。
「友の目的を果たす為、まぁ何が目的化は知らんがね。
この場でハッキリしてもらえるとありがたいかな。」
柳やドイルもそれに賛同するかの様に頷く。
次に答えたのはスペックだった。
「俺モ当然ユダニ付ク、ダガコノ先デ会エタラダガキャプテント合流シテェナ。」
キャプテン、船の船長を意味するが海賊の長とも取れる言葉、
まずはそのキャプテンがどういった人物か聞き出す事にしたユダ。
「誰だそいつは?信頼出来る人物か?」
「海賊ダ、俺モ海ニイル間ハ海賊ダ。マァ船ハ壊レチマッタガナ。」
キャプテンについて語るスペックの目が強く輝く。
尊敬からか、信頼からか、どちらの感情で語っているかは
判らないが、一つ言える事は信用出来る人物だという事。
人物の人柄など、口で伝えられる物ではない。だが、
スペックの目が教えている、その男の強さと人を惹きつける何かを。
それに壊れたとはいえ、船を使えるならば目的を果たすには都合がいい。
「シコルスキーはサルーインの討伐だったな。」
「ああ、水竜に言われただけだがみんなが手伝ってくれるならいいかな。
手伝ってくれないならこの力を返して終わりにするよ。」
他人任せにも聞こえるが、神を相手に戦うと言い切った事に驚く一同。
上位アサシンの恥さらし、チキンオブチキンとまで呼ばれたロシアの男が、
世界を破滅寸前まで追いやった最凶最悪の破壊神と戦う意思を示したのだ。
「お前がそこまで言うとはな・・・ならば俺も迷いを断とう。」
そう言うとユダは懐から古びた紙を取り出し、広げて見せた。
文字の様な物が並んでおり、ボロボロになっても禍々しい気を放っている。
「これぞサルーイン打倒の鍵、死の神デスの統治する冥府の奥、地獄と天国の
狭間で地獄以上の苦しみを味わい続ける魂の贖罪を行う為のもう一つの地獄、その名は煉獄。」
最近、再びPSPにハマって執筆をサボってました、邪神です。
何のゲームかは今回の投稿を見ると実は載ってたり。
気付いてもスルーしてね、出す予定ですから・・・w
またゲームかと呆れる方に向けて某漫画を購入したので
多分そのうち出します、姉者に見せたら「ファック!」
とかやたら叫ぶ様になって困りました。
それでは講座に入りますか。
〜サガ&その他説明会〜
マラル湖 タルミッタにある巨大な神殿を中央に浮かべた湖、水竜に纏わる伝説がある。
昔々、クジャラートの民は戦争に負けて領土を追い出されてしまいました。
追い出されたクジャラートの民はマラル湖へと身を寄せましたが、長く暮らす事は
出来そうにありません。クジャラートの民の娘がマラル湖に住むと言われる水竜へとお願いをしました。
「水竜様、我々は住む所を失いこのままでは滅んでしまいます。
私の命と引き換えに、どうか我等クジャラートの民をお救いください。」
そういい残すと娘はマラル湖へと身を投げました、涙に頬を濡らす人々に、
水竜は住む場所を与えました、それがタルミッタだと言われています。
(詩人さんの話なのですがうろ覚えです、でも大体こんな感じの伝承でした。)
水竜の神殿 マラル湖の中央に浮かぶ巨大な神殿、中には魔物が巣食っている。
最深部にはサルーインの作り出した最強のモンスターの内の一匹、水竜が待ち受けている。
彼の願いを叶える事で商談は成立する、主に「生贄」を求めるが他の願い事もある様だ。
煉獄 死の神デスの統治する冥府の奥、謎の門を潜ると死者の贖罪の地に辿り着く。
全99階に渡る地獄の連鎖、最深部にはある人物の魂の断片が残っている。
〜感謝感謝〜
ふら〜り氏 水攻め、部下を用いての知略の結晶、部下コマクの代わりにドイルですが。
最近バキと北斗を読んでて気付いたけどユダは最後が漢らしかった。
でもスペックは言葉使いが意外と紳士だった・・・敬語多し。
サマサ氏 神様、余談ですがミンソンで図書館を調べると
神様がチェーンソーで殺される場面がおとぎ話として載ってますw
316氏 そう、美しい友情なのです。決して、うほっ(ry
じゃあないんです、多分。シコル君は原作と同じく可哀相な運命を・・・。
317氏 知略の星の地位をいかして指揮官っぽい感じにしたらやたら台詞多いです。
死刑囚がなんだか可哀相に見えてきます、原作のデジャヴが・・・。
318氏 100話で終わるか心配になってきました・・・
何時ぞやに言われたけど出しすぎると収集がつかないですな。
懲りずにドンドン出してく気ですが、漫画もゲームも。
ゲームはもうちょっと考えてからにしとくかな・・・。
邪神?さん乙です。
死刑囚達が相変わらずいい味出してますね。
PS3は高すぎですね。ソニーはもう終わりでしょうね。
それにしてもしぇきさんはうざい。
あの人がいなければバキスレはもっと、と思うとホント悔やまれる。
シコルスキーの語尾がうっとうしいw
437 :
作者の都合により名無しです:2006/05/24(水) 10:15:04 ID:tqc3Ap+H0
邪神さんお疲れ様です。
懐かしいな、デスとの戦い。旧ロマサガしか知らないけど、冥府へ突入か。
シコルは一応パワーアップしたのか。水流のおかげで。他力本願というのが彼らしいがw
しかし、ユダはすっかりリーダーだなあ。
>サマサ氏
なんだかんだで馬鹿王子はなくてはならない人材ですね。インフレのために。
まだ数ヶ月は楽しめそうですから嬉しいです。今回のバトル楽しみにしてます。
>邪神?氏
死刑囚が一丸となってますね。中でもスペックの凛々しさとシコルの情けなさが際立つ。
死刑囚で一番すきなのは柳だけど、この個性の中で目立つのは厳しいかなあw
しぇき。
きみが引退したらスレががらんとしちゃったよ。
でも…… すぐになれると思う。だから………心配するなよしぇき。
絶対帰ってくるなよ。頼む、マジで。
■小此木秀平
両腕に抱きかかえた双葉夕実を、八号室のベッドにそっと寝かせる。
ぼんやりと、夕実の寝顔に目をやりながら、俺は一人考えていた。
夕実は『あの事故』を、果たしてどこまで覚えているのだろうか……と。
小さな頃。俺は屋敷を抜け出して、近所の公園に行くのが好きだった。
機会がある度に抜け出していたので、日課になっていた、と言ってもいいかもしれない。
昼過ぎから夕方にかけて、服を汚さないように気をつけながら遊び回り……
屋敷に帰る前に、大きなジャングルジムの頂上へと登る。それが、俺の行動パターンだった。
ジャングルジムの頂上から、夕日に染まっていく街並を眺めていると……
閉塞した生活の中で溜まったフラストレーションが、ゆっくりと溶けて、消えていくような気がした。
馬鹿と煙は高い所に登りたがる、と言うが、御多分に漏れず、俺もその一人だったらしい。
公園では色々な子供たちと遊んだが、一番の顔馴染みは、ある双子の姉妹だった。
性別が違う上に、年齢差は四歳もあったのだが、何故か、姉妹は俺によく懐いた。
それが――双葉朝実と、今俺の目の前で眠っている、双葉夕実だ。
姉妹は瓜二つの容姿をしている上に、いつもお揃いの洋服を着ていたので、殆ど見分けがつかなかった。
そして、あの日……忌まわしい、あの日。
いつものようにジャングルジムの頂上に登った俺は、些細な切欠から、横に座っていた双子の片割れと口論になった。
口論の原因が何であったのかは、今となっては記憶にない。
汚れた手で服に触れられたことかもしれないし、前日親に叱られて虫の居所が悪かっただけなのかもしれない。
何にせよ、年齢がようやく二桁に達したばかりの子供の喧嘩だ。きっと、記憶に残らない位くだらない理由――
原因は些細でも、結果は重大だった。俺は、少女を……ジャングルジムの頂上から、突き落とした。
「きゃ……!」
短い悲鳴。続いて、地面に叩きつけられる鈍い音。それだけだった。
痛いと泣き喚く声も、突き落とした俺を非難する声も、聞こえなくて。幼いながらも、無性に不安を掻き立てられた。
俺は、おそるおそる下を見た。その時目にした光景だけは、未だに網膜に焼き付いたまま、離れてくれない。
少女は、首をあらぬ方向に折り曲げて、光を失った瞳でこちらを見ていた。半開きの口許からは、一筋の血。
少女の手足は四方八方に投げ出されていた。おそらく、反射的に張り巡らされた鉄棒に掴まろうとしたのだろう。
その姿はさながら、蜘蛛の巣に捕らえられ力尽きた蝶のようだった。
我に返るまでしばらく、ぼうっと少女の姿を眺めていた。
今思えば、死体に魅了されていたのかもしれない。
が、時間が経過するにつて、恐怖感が次第に膨れ上がり……その場から逃げた。
数日後、風の噂で俺が『殺した』少女が『双葉朝実』だったのだと知った。
双葉朝実の死は、不幸な事故として処理され――暫くしてジャングルジムは取り壊された。
初めて『彼女の名前』に気が付いたのは、初日の夕食の時だった。
セピア色に風化しつつあった過去の記憶が、鮮明さを取り戻していくのを感じた。
間違いない。彼女は、双葉朝実の妹だ……
そう思い当たった瞬間――夕実は、爬虫類のような冷たい目で、こちらを睨んだのだ。
何を言い出すかと気が気ではなかったが、それ以来、夕実は一切おかしな素振りを見せなかった。
当事者の夕実から何の働きかけもない以上、俺から話を振って藪蛇になるのも馬鹿みたいだ。
彼女は俺など忘れているのだと前向きに解釈して、無理矢理自分を納得させた。
落ち着いて振り返れば、夕食の時も、俺が一方的に動揺していただけのような気がするし……
思わぬ場所で思わぬ名前を聞いたショックで、他意のない視線を曲解したのかもしれない。
それでもやはり、喉に刺さった小骨のように残る違和感。
俺はそれとなく確かめたくて『運び屋』を買って出てみたのだが……
用事も無いのに、目を覚ますまで待っていると云うのも、不自然な話だ。
彼女が目を覚まさぬ内に、早々に退散した方が賢明であるように思えてきた。
ベッドに背を向けて、部屋から出ようとする。
「ねえ、しゅう兄」
不意打ちのように、後ろから声がした。
背中に冷たいものを押し付けられたような感覚がして、身体が震えた。
その呼び方は、昔の――
「犯人が見つかって、よかったね」
振り向きたかったが、金縛りにあったみたいに足が動かない。
「しゅう兄、さっき、犯人のこと『殺人狂』って怒ってたけど……」
頭蓋骨の中で、警報装置が大音量で鳴り響いていた。
「私も、その気持ち、凄くよくわかるよ」
足に絡みついた不可視の縛めを振り解き、向き直る。
「殺人者は、許しちゃいけない」
その言葉と同時に、俺と夕実の視線が交錯し――両手で喉を思い切り、掴まれた。
夕実は首に手をかけたまま、踊るような軽やかなステップでくるんと身体を回し、俺の後ろに回り込む。
「覚えてた、のか……」
俺の首根っこを掴む、夕実の腕の力は尋常じゃあなかった。
どうしたら、あの枯れ枝みたいな細い腕から、こんな化け物じみた力が捻り出せるのか。
首に絡みついた手を力ずくで引き剥がそうとするが、全く歯が立たない。
「姉貴の……双葉朝実の、復讐をするつもりか……!?」
「違うよ」
実にあっさりと否定してくれる。動機はそれ以外ないだろうに。
「私が成すのは『双葉夕実』の復讐」
その言葉の意味を理解する間もなく、俺の顔面は、サイドボードの角に向けて急降下した。
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>391です。
scene9に置いておいたものを今更ながら回収。
・チャージ
そうですね。ちょっと充電期間を置いてから、また書きたいです。
・ザッピング
ザッピングが好きなのは、サウンドノベルの影響だと思います。
メディアの垣根なく利用される手法ではありますが
私が初めて触れたのはサウンドノベルでした。
・サラ金
グレーゾーン金利の見直しに伴い、貸金業規制法の改正は間違いなさそうですね。
問題は、金利水準がどのあたりで落ち着くか……
どちらにせよ、消費者金融黄金時代も終わりを迎えそうです。
頻繁にCMを流していた頃が、むしろ異常だったのかもしれません。
444 :
ふら〜り:2006/05/24(水) 21:52:54 ID:Fsb0Wy3B0
>>41さん←これを御名前に?
ちゃんと可愛い、萌えキャラに見えますがねぇ勇子。目がないぞ男ども。あと眞鍋医師、
ブラをつけていても制服の上からくっきり形が見て取れるのがお約束(何のだ)かと思ふ。
次回はそんな勇子の最強っぷりが見れそう。宇宙最強のカマセも準備OK、いざ喰え勇子!
>>サマサさん
>祖国メカトピアを守るための大切な戦い―――華々しい活躍などできなくともいい。
種もスパロボも本作以外の知識はほぼ皆無ですが、でも今回の改トリオが、ギャグパート
だからとオモチャにされたのはよく解ります。で、そのコケた状態からの立ち上がりさえ
も、こうして丁寧に感動へと繋ぐ。サマサさんの、彼ら(&作品)への愛が感じられます。
>>邪神? さん
いやぁ本作のスペックは、人を愛し人に愛され、実に良い。ユダが「謎の男・キャプテン」
に嫉妬でもしたら卒倒しましたな私。一行が船に乗ればまた活躍できそうだし、前途洋々。
シコルも彼らしくヘタレらしく前向きで明るく、好感がもてます。楽しいぞユダチーム♪
>>見てた人さん
あっちでもこっちでも、よくもまぁここまで。こういう事態になるようにと、帝愛が緻密
に計算してこのメンツを掻き集めた……とは言い切れない部分もありますしね。偶然あり、
大活躍あり、大失態あり。一体どこまでが誰の手の内? そしてどこからが運命の狂い目?
規格外な女の子萌え、戦う男の子たち萌え、非常に個人的好みにハマった男たち萌え、
最後に暗黒重厚恐怖で締め、と。いつもながら読み応え充分、感想書くのも楽しい限り。
職人さんたち&バレさん、いつもありがとうございますっ。
445 :
作者の都合により名無しです:2006/05/24(水) 22:25:15 ID:4gh6+CrK0
見てた人さんは本当に登場キャラ一人一人のバックボーンを緻密に考えているんだなあ。
脇役キャラにまで性格付けをしっかりして、人物造詣の背骨を作ってる。凄いなあ。
あと、ザッピングといえば俺はすぐに「街」を思い出しますが、見てた人さんやりました?w
>>見てた人
キター。 何だか、そろそろ終わりそうな。
でも、まだまだ続くんですよね?
447 :
作者の都合により名無しです:2006/05/24(水) 22:40:03 ID:4gh6+CrK0
あと3、4回くらいじゃないかな、寂しいけど・・
双葉こええええ
見てた人氏乙です。
なるほど、こういう手法はサウンドノベルのザッピングから
ヒントを得ましたか。脱帽です。
>>445 キャラの性格付け・キャラ間の絡み方・トリックとギミックなどを
考えていた時間の方が、実際の執筆時間より長いんじゃないかな、多分
ずっと気になっていた双葉夕実の伏線が遂に来た・・・!
しかし彼女もこの後・・・。
「おい、お前ら。いきなり宇宙船を着陸させるんじゃない。今は授業中だぞ」
マッチョな体育教師が、ピントのずれた正論を振りかざし、フリーザに詰め寄る。
フリーザは、体育教師を無視し、校舎を見ながら部下に言う。
「中々、お洒落な建物じゃないですか。この星の住居なんですかね。チョット見学していきましょう。
あなた達はここにいる人間を片付けておきなさい」
つるつるお肌のオカマ宇宙人:フリーザは歩きながら校舎に入っていく。
「おい貴様! 勝手に校舎に入るな」
そう言った瞬間。フリーザの放つ光線が教師を貫いた。フリーザは教師だった肉片に目もくれず校舎の中に入っていった。
バキはその光景を目の当たりにして、震える。ただただ震える。生まれてはじめて見る
オヤジ以上の存在。それも、圧倒的な力の差。自分の父親よりほんの少し強いだけの
生物なら、この世にいてもおかしくない。バキでさえ、そう思ったことはある。
だが、オカマ宇宙人の強さは、『ほんの少し』ではない。
(これが、宇宙人……勝てない)
地球人が全て勇次郎であったとしても勝てない。バキは直感した。
そうして、震えながらフリーザを見つめ続けるバキを激しい衝撃が襲う。
その衝撃は、フリーザの部下が投げた石ころによるものだった。
「お、アイツ生きてるぞ」
「まぁ、この中で一番マシな戦闘力だもんなぁ」
「戦闘力7。この中じゃ確かに一番強いか。他は……みんな5もねぇ。
それに、あの女見ろよ、測定不能だ。低すぎるんじゃね?」
部下たちが指差す先には勇子がいる。ちなみに、勇子は一人妄想中だ。
(何よいきなり宇宙から来て。未知との遭遇なんて今時はやらないのよ。
MMRだって1999年で連載終了したじゃない。今更宇宙人なんて来てもネタになんないのよ)
そんな事を考えている間、バキと宇宙人たちは北斗の拳さながらの世紀末でマジな世界に入っている。
クリスタルキ●グの主題歌が流れそうな雰囲気の校庭の中。フリーザの部下たちと高校生が対峙する。
高校生たちの戦闘力はバキ7、梢2、勇子測定不能。対するフリーザ軍は最低でも500前後。戦力差は圧倒的である。
(勝てねぇ)
そう思う。だが、思えば思うほど、逆に格闘家の血が騒ぐ。
地球の格闘家、いや、全生物を代表して、宇宙人たちと戦いたい。
バキはすぐさま戦闘態勢を取り、そのまま1人の宇宙人めがけて音速拳を叩き込む。
命中。その瞬間、バキは岩を叩いたかのような感触を感じた。
「ぅぐ、ぁっぁ」
声にならない悲鳴をあげるバキ。
「何やってんの?」
宇宙人は痛がりもせず、ただ不思議がるだけ。
(打撃が通用しないなら、関節を極める)
そう思い、バキは痛めた拳を使い腕関節を極めに行く。だが、宇宙人の腕はビクともしない。
「ギャハハハッ、何やってんのコイツ。攻撃ってのはな、こうやるんだよ」
そういって、宇宙人はデコピンをバキに食らわした。弾け飛ぶバキ。
もう少しで校舎に激突するという寸前、他の宇宙人が優しく受け止めてくれた。
「おい、フリーザ様がいる建物を壊す気か」
「あ、いけねぇ。忘れてた」
そんなやり取りをしながら、宇宙人2人はバキを使ってキャッチボールをはじめる。
そんな中、勇子は1人妄想をしていた。
(大体、宇宙人なんて古すぎるわよ。ドラゴ▼ボールだって連載終了してから10年経ってるのよ。
小学校低学年の子なんて生まれてないじゃない。
そんな古すぎる奴等が私の邪魔をするなんて、まるで叶神の邪魔をする知欠みたい。
全く……もう少し分をわきまえろっての……)
そんな妄想をしながら、勇子が校庭を見つめると、そこでは愛しのバキがキャッチボールの球になっていた。
「って、ちょっとアンタ等。時代遅れのまがい物ETの癖にバキ君に手出してるんじゃないわよ。
彼はね、私が襲い掛かる予定だったのよ。生まれてはじめてのエ●チのチャンスを邪魔するんじゃない!」
(いや、アンタ何言ってんの?)
バキは朦朧とする意識の中、勇子の言葉に突っ込みを入れていた。
「へへ、あの女戦闘力測定不能の雑魚だぜ。どうせ1以下の戦闘力で測れないんだろうなぁ」
「戦闘力戦闘力ってねぇ、アンタらその言葉が最近は通じないこと分かんないの?
今の流行は道力なのよ。知ってる? 小学校低学年の子にも通じる言葉使いなさいよ。
所詮、少年漫画のキャラなんでしょ」
「い、いや。お前何言ってんの?」
「わかんなきゃ、わかんないで構わん。でも、私のバキ君に手出した奴は許さん」
言うが早いか、勇子は正拳で宇宙人を吹き飛ばし、バキを助け出す。
「お、おい。何で測定不能の雑魚にやられてんだよ……」
相方の宇宙人がやられ、戸惑うもう一人の宇宙人。
ちょうどその時、新型のスカウターを持つ宇宙人が勇子の戦闘力を測定する。
「10万、20万……え?? 嘘だろ。まだ上がる。
90万……」
ッボン! 新型のスカウターが壊れる。
「お、おい。ヤバイんじゃね?」
「あ、あぁ……」
「フリーザ様を呼んで来い」
宇宙人たちが、戸惑いながらフリーザに報告に行く中。勇子は意識が朦朧とするバキを見て発情する。
「腕の中に傷ついた彼が眠る。これって、恋のチャンスじゃない?
こういう時って人工呼吸よね。私のファーストキスじゃん。やりぃ」
(いや、人工呼吸って溺れた時だから……)
「さぁ、チュウするわよ」
勇子はバキの唇めがけて突撃する。が、戸惑う。
「やっぱり恥ずかしい。私って花も恥らう乙女ジャン。なのに、キスなんて……やっぱ無理よ。
あ、でもしたい」
もう一度突撃。いや駄目。いやいや、もう一度。勇子の体がバキの目の前で揺れる。
心の葛藤が体に反映されて、ゆらゆら揺れている。
キス突撃、でも駄目。勢いよく戻る。その瞬間、部下に呼ばれた宇宙の帝王が勇子の後ろに来る。
ゴチンッ。勇子の後頭部がフリーザの股間に命中する。
「ITEッ」 「今のは痛かったぞー!」
勇子が立ち上がる。フリーザが睨む。
「アンタ、私の甘いひと時を邪魔するんじゃない」
「アナタこそ、わたしの股間に攻撃するなんて、いい度胸してますね。
去勢してなければイッてたかもしれません」
フリーザの目が釣りあがり、怒りをあらわにする。
「許さんぞ虫けら、ジワジワと嬲り殺してやる」
フリーザと勇子の戦いが始まった。戦闘描写が苦手な作者なので、単に互角とだけ書いておく。
戦闘の様子をコルド大王が宇宙船から見守っている。
「まさか、息子と互角に戦えるものがいるとは……」
宇宙最強のはずの息子。強すぎるが故にまともに教育することができず、オカマに成り下がった息子。
筋肉にだけ栄養が行き、頭が悪くなって、人前で真裸になる息子。
その息子と互角の女がいる。
コルド大王は思った、あいつもうちの息子と同じで、カマなんじゃないかと。
じゃない、コルド大王は思った、あの女を倒さないとマズイと。
そして、コルド大王は宇宙船から飛び出し、勇子向かって突撃した。
が、次の瞬間。瀕死のバキが起き上がり、コルド大王の攻撃から身を挺して勇子を守る。
「オヤジを倒すのは俺だ」
コルド大王の攻撃を受け、再び倒れるバキ。
「バキ君。は〜と!!」
勇子は身を挺して、守ってくれたバキに惚れ直す。
その様子を見ていたオカマ帝王は思う。「あの男、格好いい」
「勇子さん、でしたかね。一時休戦としませんか?
その男の子に免じて」
「えぇ、いいわよ」
(やっぱり、私のバキ君は凄い。こんなに弱いのに、私を守ってくれた!!)
勇子がバキに見とれていると、オカマ帝王が優しくバキを抱きかかえた。
「パパの攻撃をこんなに弱いのに、受けようとするなんて……惚れたわ」
フリーザはバキにキスをした。
その数日後。フリーザ軍は●×高校上空に滞在し、フリーザは転校生として●×高校に入学した。
トリつけます
>>見てた人さん。
ついさっき、まとめサイトで全部見てきました。
何だか、もうすぐ終わりそうで残念です。
乙。
来週って言ってたから、もっと後かと思ってた。嬉しい誤算だ。
股間頭突きワロス。そしてフリーザ転校オチにテラワロス。
これだけ笑えたのはVS以来かも。
457 :
作者の都合により名無しです:2006/05/25(木) 22:48:20 ID:8aV7xiiQ0
フリーザと勇次郎女は互角なのかw
バキの見立ては当てにならんなーw
コルド大王VSバキ、優子VSフリーザの敵対関係かな?
バキだけ力が劣るが・・
フリーザが転校してきて訳のわからない学園物になったなw
他にもいろんな奴が転向してくると面白いかも
459 :
作者の都合により名無しです:2006/05/26(金) 08:29:40 ID:DViXPIIB0
出会い系で出会えない・やれないってのは、やり方が下手なだけです。
1)まず、1つメール文を考えて、それを50人くらいに一気に送る。
2)返事があった女の子に、直メールでのやり取りを提案するダメなら冷やかし認定でパス。
3)やけに会う気満々の子や、テンションが高すぎる子もサイト常連ブスor風俗or常連個人売春認定でパス。
これだけフルイにかけると、2、3人しか残らない。 その相手とメールすること。そうすれば普通に出会える。
あとポイントは絶対に褒めること!これ大事。どんな部分でもいいからチャームポイントを見つけ褒めたおす。これ使えます!
そしてホテルは当日絶対に誘うこと。出会い系の女は相手も複数相手にしている場合が多いから
出会い系歴5年の私の経験からくる鉄則である。
こんなやり方したら、よっぽど不細工な男じゃ無い限りちゃんと出会える。
いま一番会えるサイトは素直にココ!! ⇒
http://www.happymail.co.jp/?af1471542 エキサイト、スタビ、Mコミュもやってるけど今のところ一番女の回転が速いサイトです。
前スレ埋めた方がよくない?
461 :
テンプレ1:2006/05/26(金) 21:55:50 ID:aIyKF83D0
462 :
テンプレ2:2006/05/26(金) 21:56:40 ID:aIyKF83D0
463 :
テンプレ3:2006/05/26(金) 21:57:46 ID:aIyKF83D0
464 :
テンプレ屋:2006/05/26(金) 22:00:03 ID:aIyKF83D0
今回は特に変わった所はありませんね。
新連載が3つ追加になっているだけです。
ちょっと忙しいので詳しいチェックは出来ませんでしたけど、
うみにんさん、ユルさん、鬼と人とのワルツ作者さんが最近着てないかな?
もう次スレ立てる?
466 :
テンプレ屋:2006/05/26(金) 22:22:58 ID:aIyKF83D0
480KB前後でいいんじゃないでしょうか。
467 :
作者の都合により名無しです:2006/05/27(土) 07:46:10 ID:1EzitiXI0
あと4、5本だな
468 :
oni to hito no waltz:2006/05/27(土) 09:42:09 ID:EG7R25O90
PC todoku made ato 1 months kurai kakarimasu.
Kaigai tte mendoi....
>>468 hukki wo matteimasu.
tte kaigairyoko kayo iina.
>>469 Oshigoto
Sabaku no man-naka
471 :
作者の都合により名無しです:2006/05/27(土) 22:23:53 ID:qrPm5BzE0
砂漠の真ん中で仕事か。凄いな。
気をつけて帰ってきて下さい
復帰をお待ちしてます
海外勤務か
色々な所に職人さんはいるんだな
473 :
第3話続き1:2006/05/28(日) 10:32:17 ID:+ZaOrz0iO
>>203から続いています
「うーん…」
確かに上達した。
普段、教えるほど秀でている事がないため顕在化していなかったのだが、
のび太には意外とコーチの才能があったようだ。
しかし、それだけではどうにもならない問題もあった…
「両手に持っていると、なんか集中できないっす…」
二丁同時に扱えないのである。
「このデバイスは二丁で一組なのに…」
ティアナは悄気てしまった。
と、そこになのはがやってきて、
「どうしたの?」
「実は…」
これこれしかじか、と経緯を話すのび太とティアナ。
「そうなんだ…じゃ、のび太君が片方もってあげれば?
今回の事件、協力してくれるって言ってたし、ちょうどいいよ」
なのはのこの提案に、
「私は、のび太君がいいなら…」
「もちろん!」
快諾され、
「よ、良かったっす…」
ティアナは安堵しつつも、妙な感覚を覚えていた。
「どうしたの?顔赤いよ?」
なのはに尋ねられると、
「別に、何でも、無いっす…」
(ヴェガとアルタイル。こっちの世界では織姫と彦星…)
覚悟は決まった。
474 :
第3話続き2:2006/05/28(日) 10:34:50 ID:+ZaOrz0iO
「のび太君、このアルタイルをよろしく頼むっす!」
いきなり語気を強められ、
「う、うん」
とだけ返すのび太。
「OK,leader.I hope to see more of you,sir.(今後ともよろしくお付き合いください)」
アルタイルも挨拶。
「それじゃ、説明っす。まず本体、好きなときに待機状態にできるっす」
と、ヴェガを小さく、ペンダント状にする。
「使うときは、前に使ったカートリッジの余った魔力が貯められていて、それで起動できるっす」
今度は銃の形に戻す。
「手入れとかは、私か管理局の所に来てくれれば大丈夫っす。とりあえずは以上っす!」
アルタイルとカートリッジを十数個ほど渡し、その流れで一気に、
「ぇと、これは、おまけっす!」
年の割に発育が良好なティアナ。少し身を屈め、素早くのび太のほおに口付けた。
「@¥#&¢*§〒$℃∞≠£※%!?」
のび太の脳内は突然の事態に混線状態である。
そしてもう一人、
「え!?あの、えーと、その、私はこれで!」
こちらもいっぱいいっぱいななのはだった。
ティアナ・ユリシーズ
8月8日生まれ 10歳(以前、間違って11歳と書いてしまいました。すみませんが修正をお願いします)
体格:豊乳。背も結構高い
性格:頭はいいが天然で空気が読めない。時に暴走。口調:丁寧。語尾に「っす」がつくことが多い
座右の銘:『とりあえずやってみよう』
なのはの部下の砲撃魔導師として、最初はおバカなドジっ娘系で考えていましたが、いつのまにやら天然暴走娘になっていました
語尾はD.C.の好きな某キャラから拝借
恥ずかしながら、帰ってまいりました。描写には細心の注意を払いたいと思います
邪神?さん
前後衛に分けるにしても、人数がおそろしく多いのが問題なんです。下手すると二桁いきますから…
デスノ×地獄さん
こういうタイプは好みなんで、次回を待ってます。個人的な意見なので聞き流してもらって構わないのですが、雰囲気の近い『夢使い』あたりをからませてみるのはどうでしょう
見てた人さん
実は、TRICK(漫画化されています)でひぐらしパロを書こうかと思ったのですが、仕掛けが思い浮かばず凍結中です
仕掛けはどう考えているんですか?
フルメタさん
こちらはとりあえずやばくならないくらいに頑張ろうと思います。復帰を心よりお待ちしてます
ふら〜りさん
かのお嬢さんの旗色が結構やばくなってきました。あと、あちらではありがとうございました
スターダストさん
小さい頃から数字をいじるのが好きだったのが決め手になりました
>>全力全開さん
今回ちょっと短いなぁ。描写をもう少し増やして欲しい。正直想像が難しかった。
ハイデッカさん
そういえば、以前『黄金拍車』というラノベを読んだことがあるんですが、あれと舞台背景が共通だから楽しめているのかも
一真さん
『しんせんぐみ』というと某南国少年を思い出す私はガンガン読者…
サマサさん
今更ですが、ユーゼスの口調から某新本格魔法少女を思い出します
NBさん
今更ながらアニメの方を見逃したのが惜しいです。こちらもガンアクションもどきが入ってくると思います
41さん
着眼点がすごいです。こんな話はそうそう思いつかないでしょうに。質問ですが、手術の際に肉体年齢が若返ってるんですか?
鬼と人さん
日本から出たことのない私には想像もできませんので、頑張ってくださいとしか…。あと、変な病気には気をつけてください
>>477さん
あまり長くするのもと思って短くしてみたんですが、どうも失敗だったかもしれません
一応、一晩中読み返してみたんですが…
漫画板なので、漫画版の紹介を。学研ノーラコミックス『魔法少女リリカルなのはA's』です
これは日常パート中心なのですが、入り口としてはいいと思います
アニメ本編は『熱血魔法バトルアクションアニメ』だけあって燃える展開が多いです。
設定などは↓を見るとわかりやすいと思います(ネタバレが多いので注意)
ttp://nanoha.julynet.jp/
初心者スレに行け
480 :
作者の都合により名無しです:2006/05/28(日) 14:58:51 ID:eMQf4fMB0
最近オリキャラ多いなぁ
乙です。初回と比べると大分読みやすくなってますね。
全力全開さんにアドバイス
・オリキャラの絡みほどほどにした方がいいです。カマイタチさんのは例外中の例外で、
普通は叩かれる原因を作るだけです。
・登場人物の数もほどほどがいいです。メインは多くても5人くらいで、あとは端役レベルに
しないと、読む側が訳分からなくなります。
・以前と比べ情景描写は増えましたが、時折描写メインのパートを組み込んだ方がいいです。
文章にメリハリが出ます。
http://www2.cds.ne.jp/~macride/howto/index.cgi?TYPE=Y
482 :
作者の都合により名無しです:2006/05/29(月) 08:36:50 ID:d/6Xkgx40
お疲れ様です全力さん
今回ちょっと短いけど、リスタートという事でまた頑張ってください
481さんのアドバイスは俺も参考になるなあ
■双葉夕実
掴んだ両手を持ち上げては、サイドボードめがけて、力一杯振り下ろす。
私を『殺した』張本人……小此木秀平が今、私の手によって裁かれようとしていた。
復讐を果たせると云う高揚感と、久々に朝実と言う名の檻から出られた開放感。
――気持ちいい――
私は、心の底から自由を謳歌していた。
今までも時々、朝実の身体を自由に動かせる機会はあった。
が、ここまで主導権を握り、私の思うがままに行動できたのは初めてだった。
朝実を完全に抑え込めた要因はおそらく、この特殊な環境にあるのだろう。
クローズド・サークルと化したペンション、シュプール。
誰一人として信用できない、死と隣り合わせの犯人当てゲーム。
相も変わらず意気地なしな朝実は、長時間に亘ってそんな極限状態に置かれ、精神を磨り減らしていった。
そして、追い詰められた朝実にトドメを刺したのが、犯人による旗元の射殺だった。
恐怖に慄いた操縦士が職務を放棄して逃げ出したおかげで、私がコックピットを乗っ取る事が出来たと言う訳だ。
気付けばしゅう兄は、手足をだらんと投げ出したまま、動かなくなっていた。
いくらなんでも、そろそろ死んだ頃合だろう。
そう判断して、首から手を離して、力を失った身体を床に放った。
しゅう兄は床に手足をついて、小刻みに震えている。立ち上がろうとしているのかもしれない。
虫の息ながら、まだ辛うじて生きているようだった。予想以上にしぶとい。
まあいい。あんまりあっさり死んでもらっても、面白くないから。
私の受けた痛みと苦しみ、利子をつけて返してあげるとしよう。
お腹を思いっ切り蹴飛ばして、仰向けに転がした。
それから、鳩尾を何度も踏みつける。口から血の混じった泡が溢れた。
* * * * * *
夕実は、しゅうお兄ちゃんが死んでしまったのを確認すると、満足そうに笑った。
部屋を出て、中央廊下に歩いて行く。
もしかしたら、次は私が『殺される』番なのかもしれない――漠然と、そう思った。
ホールには、拘束されている只野文男以外に人はいなかった。
夕実は床に転がっていたアイスピックを拾い上げると、何の躊躇もなく、只野の喉に突き刺した。
その、一片の迷いも感じさせない動作に、只野も、勿論私も、何も出来なかった。
只野は、びっくりしたように夕実を見上げると、目を剥いて吐血し、すぐに動かなくなった。
幾人もの命を奪った殺人鬼にしては、あまりにも、あっけない最期だった。
* * * * * *
因果応報だ。人殺しに、生きている価値なんかこれっぽっちもありはしない。
私は只野の命の灯が完全に消えたのを確認してから、次の行動に移った。
調理場から果物ナイフを一本拝借して、八号室に戻る。
私が手っ取り早く『朝実』を殺す方法として選択したのは、手首切断――リストカットだ。
その準備として、浴槽に栓をして、お湯を溜める。
リストカットは、刺激的な見た目とは裏腹に、致命傷にはなりにくい。
首吊り、飛び降り、大量の服薬、一酸化炭素中毒、線路への飛び込み――
自殺方法は数あれど、リストカットはどちらかと言えば生還率が高い部類に入る。
それなりに深く傷をつけたつもりでも、外気に晒された血液が凝固して、血は簡単に止まってしまうからだ。
手首をお湯に浸しておけば、血は止まる事無く流れ続け、出血多量での死は免れない。
あと少し……あと少しだ。このお湯が浴槽を満たしたその時、朝実の人生は終焉を迎える。
悲願成就を目前に控え、頬が緩むのを抑えられない。
もう、誰に憚る事もないのだから、今この場で思い切り笑い出してしまっても構わないのかもしれない。
けれども、何故かそうする気にはなれなかった。
* * * * * *
私は私の奥深くに潜り、埋没した切欠を掘り起こそうと試みていた。
それは、何故『こんな事』になってしまったのか……その、そもそもの原因と向き合う作業でもある。
私に残されている時間は少ない。それは十分理解していた。だからこそ、気持ちの整理をつけておきたかった。
嫉妬とか不安とか葛藤とか、全部凝縮して詰め込んで、一言で言ってしまうなら。多分、私は……夕実が羨ましかったのだと思う。
今だからこそ、想いを言葉にすることが出来た。でも、昔の私ではきっと無理だっただろう。
与えられるすべては、常に理不尽さを孕んでおり、心のどこかに鬱屈した感情を積もらせていった。
同じ日に生まれて。同じような顔をして。同じくらいの背丈で。同じ服を着て。同じ靴を履いて。
それなのに、二人の立場は……決定的に違っていて。
――お姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい。
――夕実のこと、ちゃんと見ててあげて。
当人たちにしてみれば、善意も悪意も含まれていない、何気ない発言のつもりだったのかもしれない。
しかし、事ある毎に投げられるソレは、いつしか私に絡みつき、自由を奪う鎖になっていた。
言葉で編まれた、決して切れない頑丈な鎖に。
* * * * * *
永遠のように長い時間だった気もするし、刹那のように短い時間だった気もする。
ともあれ、浴槽はお湯で満たされた。
バスルームの扉を閉めっ放しにしていたせいか、生温い煙が纏わり付く。
私はそうっと、飛沫を立てないように気を配りながら、浴槽に身体を沈めた。
身体を包むお湯の感触が、何だか、無性に懐かしいもののように感じられた。
(――暖かい)
無意識の内に、目を閉じる。
(――安らぎ)
瞼の裏側には、ただ暗闇が広がるだけだった。
(――羊水の海)
目を開いたその時、目の前の景色が霞んで見えた。汗ではない。
楽しくて仕方がない。嬉しくて仕方がない。今こそ待ち望んだ、復讐の時。
それなのに、私は……泣いている?
ぴしりと硬質な音を立てて、私と言う存在のアイデンティティーに亀裂が入る。しかしそれも、一瞬だけの事だった。
少し考えれば、すぐにわかる。疑問の余地などありはしない。これは感情の昂ぶりが引き起こした、歓喜の涙だ。
ほら、その証拠に、目尻はだらしなく垂れ下がり、口許は緩んでいるではないか。私は間違いなく、笑っている。
遠慮なんかいらない。右手に握りしめたナイフを、左手首に振り下ろそう。そして――終わらせよう。すべてを。
* * * * * *
切り裂かれた手首から、とめどなく血が流れ出ていた。
薄れて行く意識の中で、私は『すべてのはじまり』を見ていた。
ジャングルジムから落ちて、動かなくなってしまった夕実。
ジャングルジムから降りて、駆け出すしゅうお兄ちゃん。
私は悲しかった。動かなくなってしまった夕実が。
しかし、それ以上に、私は怖かった。責任の所在が明確になるのが。
『夕実のこと、ちゃんと見ててあげて。叔母さんに迷惑かけないように、いい子でいてね?』
『うん、大丈夫!』
叔母さんの家に来る前。両親と別れ際に交わした会話が、思い返される。
嘘じゃないよ。見てたんだよ。でも、何もできなくて……
夕実のお気に入りの人形は、ジャングルジムを登る時に、私に手渡されていた。
どうしていいかわからなくなった私は、それを握りしめて泣いた。
異常事態に気が付いたのか、それまで公園の片隅で世間話に花を咲かせていた叔母さんが、血相を変えて走ってくる。
「『夕実ちゃん』どうしたの!? 何があったの……!」
その一言で、頭が真っ白になった。私の中で、何かが壊れる音がした。
私は、震える指でジャングルジムの方向を指差して……大きく息を吸い込んだ。
「お姉ちゃんが、お姉ちゃんがジャングルジムから落ちて――」
肉体の所有権が戻ってくる。血で赤く染まったお湯が、ぼんやりと見える。
あまりにも、気付くのが遅過ぎた。せめて、もう少し早く気付いていれば――
いや、違う。ここまで大事になってしまったからこそ、愚かな私にも『気付くことができた』のかもしれない。
これは、呆れるくらいに単純な話。
私が夕実を奪ってしまったから、私が夕実に奪われてしまったのだ。
全ての罪は、結局の所、私の弱さに集約される。何度謝っても、謝り足りない。
取り返しのつかない嘘をついて、ごめん。勝手に悪者にしてしまって、ごめん。
それから……しゅうお兄ちゃんにも、ごめん。
もう私も、子供じゃないから。泣いていたあの頃とは違うから。向こうで会えたら、いっぱい怒っていいよ。
全身の感覚が麻痺してきていた。死ぬと言うのに、恐怖は感じなかった。
それどころか、ずっと背負い続けてきた重荷を降ろしたような、不思議な充実感に包まれている。
この場所で、こんな事を考えるのは、とても不謹慎なのかもしれないけど。
今なら――心から笑える。そんな風に、思えた。
毎度ありがとうございます。前回投稿は
>>442です。
scene11の夢、scene31の『首の骨』発言、などにもようやく決着がつきました。
残すはあと一〜二回くらいです。
・街
やりました。確かに、サウンドノベルでザッピングと言えばこの作品ですね。
「シュレディンガーの手」や「迷える外人部隊」あたりがお気に入りでした。
後、エピローグ的なシナリオですが「花火」も好きです。
・全部読んだ
どうもです。長い話ゆえ、一気に読破するのは骨が折れたかと。お互い頑張りませう。
・TRICK
TRICKって漫画化されてたんですね。知らなかった。ひぐらしは、前に体験版をやってみた記憶が。
仕掛けと言うか、お話は……ぼうっとしている時や、寝る前に考えております。
何の参考にもならなくてごめんなさい。
うーん、深い話ですね。
最後に死んじゃうんでしょうか……
新スレ。
そろそろ立てたほうがいいと思いますが、
立てるの失敗してしまいました。
誰かお願いします。
490 :
作者の都合により名無しです:2006/05/29(月) 21:41:14 ID:Et/RkLug0
カマイタチ、あと1、2回で終わりか。
ラストは絶対ハッピーエンドにはならないけど、すっごい楽しみだ。
俺の中で大切なSSのひとつになった。ちょっと早いけどありがとう>見てた人氏
>>489 早いってw
まだ80KBもあるんだぜ?
>>489 これまでの過去スレを見る限り、だいたい470オーバーくらいで
新スレ立てるのがちょうどいいと思います。
見てた人さん乙。最後まで気合の入った心理描写GJです。
質問ですが、物語構成は全て最初から決められてたのですか?
それとも大まかな道を決めておいて後はアドリブで?
どっちにしてもすごいと思いますが。
フリーザが転入してきた翌日。●×高校改め帝丹高校(後付設定)の工藤新一と毛利蘭は
いつものように二人一緒に登校していた。二人はある事件を手がけていたため、一週間ぶりの登校だ。
「ねぇ、新一。真昼間なのに、あの星ハッキリ見えるよね。ぶつかったりしないかしら……」
「心配ねぇよ。あの星はただの彗星で地球大気圏をかするぐらいまで近づくみたいだけど、
ぶつかったりはしない。ニュースで言ってたぜ」
「そ、そりゃ、ニュースぐらい私も見るけどさ。心配になるじゃない」
「ハハ、そりゃそうだ。でもな、あんなのがぶつかったら、どうしようもないから
心配するだけ無駄だよ」
「それは、そうだけどね……」
毛利蘭は不安そうな顔で彗星を眺める。すると、その近くに空飛ぶ物体を見つけた。
それは彗星のように遠い物体ではない。地表のすぐ近く。飛行機よりも近い高さと距離。
「ね、ねぇ新一。あれは何かしら? あの宇宙船みたいなの……」
「宇宙船……バーロォ、んなのあるわけないだろ」
「でも、あそこ見てよ」
蘭は上空の物体を指差す。その物体はフリーザ軍が来訪してきた際に用いた宇宙船であった。
「あぁ、あれは、1980年代から90年代にかけて連載された漫画ドラゴ■ボールで用いられた宇宙船で……
って、んなわけねーよな」
「でしょ、真面目に答えてよ」
「ごめん蘭、俺もアレはわかんねーよ」
(バーロ、何だよあの船は、どうみてもフ▲ーザの乗ってる宇宙船じゃねーか
この作者SSの元ネタ間違ってんじゃねーか?)
新一が飛行物体を眺めながら、考え事をしていると二人の隣を戦闘服を着た宇宙人が通り過ぎる。
「見ろよ蘭。よくできた特殊メイクだぜ」
「本当……よくできてるわね。でも、ちょっと不気味ね」
「あぁ、そうだな……」
宇宙人は、そのまま帝丹高校校舎に入る。
「学校に入っちゃったよ……ねぇ、怖いからちょっと調べてくれる?」
「え〜〜何で俺が、そんな面倒なこと」
「お願い!」
そういいながら、蘭は電柱に一撃。電柱にヒビが入る。
「あ、あぁ……わかった。ちゃんと調べるよ」
(まったく、事あるたびに空手を見せやがって……)
こうして、高校生探偵工藤新一による未確認飛行物体の調査が始まった。
未確認飛行物体(UFO)は帝丹高校校舎の真上にある。
屋上から、UFOまでの距離は100〜200mと言ったところか。
(校舎の上にあるって事は、学校で使うってことだよな。
学園祭の道具か? それとも授業の一環か? いや、それ以外か?)
まず、UFOが何のために上空に停止しているのかを把握する必要がある。
屋上に上る新一。今は朝8時30分。ホームルーム開始まで後15分。
この時間はまだ登校している生徒もまばらである。屋上は静まり返っていた。
上空を見上げる。宇宙船は思った以上に大きい。大型旅客機3台分の容積と言ったところか。
(あのサイズなら、人が出入りするための物体と考えるべきだな。
また、同時に学園祭道具説は消えた。あれだけの物を作れる高校生はいない。
あれは授業の一環……いや、それも違うだろう。だとすれば、何のためにあそこにあるんだ)
新一が宇宙船の目的を考えていると、宇宙のオカマ帝王フリーザが降りてきた。無論、空を飛びながら。
フリーザの降り立つ姿。宙を舞う姿を始めて目の当たりにし、驚きを隠せない新一。
(馬鹿な。何のトリックもなしに人が空を飛ぶわけねぇ……あれは手品の練習場?
面白れぇじゃねーか。このトリック、俺が解明して見せるぜ)
飛行する人体という謎を目撃し、新一の顔に笑みが浮かぶ。
そんな新一にフリーザが話しかける。
「すいませんが、職員室はどこでしょう。転入手続きの続きをしなければなりませんので」
突然話しかけられ動揺する新一。だが、すぐに正気を取り戻す。
「あぁ、職員室はこっちだよ」
そう言って、フリーザを職員室に案内する。
「君は転入生かい、どこの高校から来たんだ?」
職員室への道中、当たり前の話題を振る新一。
「はい、確かに私は転入生ですが、前は高校に通っていませんでした。
実はもう何年も前に卒業していて……」
「へぇ、そうなんだ……」
「それも、この星の高校ではなく惑星フリーザの高校を出ています」
「惑星フリーザ……アハハ、あんた面白い冗談言うなぁ」
「冗談ではないのですが」
「そうだな、もし本当なら、その星に行ってみたいね」
「構いませんが……その体だと不自由と思いますよ。重力がこの星の10倍はありますからね」
「アハハ、面白いよアンタ。その話丸っきりド◆ゴンボールじゃねーか」
「ドラゴンボ▲ル……。ナメック星にあったあの玉ですか。あれには個人的に嫌な思い出がありまして……」
フリーザと新一はドラゴ●ボールについての話をしながら、職員室へと向かう。
(こいつ面白い。完全にドラ◎ンボールのフリ△ザになりきってやがる)
フリーザはナメック星での出来事を順序良く説明する。
元々博学な新一はドラゴンボ×ルを全巻記憶しているため、フリーザの説明は必要なかったが、
丁寧な説明をするフリーザの話は新一に新たな発見をもたらす。
それは隣にいるオカマ宇宙人が並々ならぬ知能を持つということだ。
フリーザは人前で裸になる恥知らずだが、知能は決して低くない。
それは会話一つとっても分かるものだった。
(頭のいいやつっていうのは、どこにでも居るもんだな。まぁ、コイツの場合は紙一重だが……)
フリーザの容姿を観察する新一。
常に廊下から10cm程浮き上がり、特殊メイク以外には何も身に着けていない格好。早い話がほとんど裸。
宙に浮かぶ円▲プロの芸人と言ったところか。
新一は会話の切れ目を狙って、質問する。
「なぁ、アンタどうやって空飛んでるんだ?」
「そりゃ気を使って……ただの舞空術なんですが、この星の人間は使えないんでしょうか?」
「アハハッ、そうか。舞空術か。ゴメン分かったよ」
(そりゃ、手品の種を赤の他人に明かすわけねーよな)
「あ、職員室に着いたぜ」
「ありがとうございます。ところで、あなたお名前は?」
「俺は工藤新一、2年7組だ」
「そうですか、私と同じクラスですね。私はフリーザと言います。
これから二年間よろしくお願いしますね」
「おぉ、こっちこそ。よろしくな」
(こりゃ、面白いやつと同じクラスになったなぁ)
新一は一週間ぶりの登校で、面白い人間と一緒に授業が受けられると知って、喜びが抑えられない。
彼は誓う。探偵の名にかけて。フリーザが宙に浮く謎を解いてみせると。
同時刻、真鍋診療所。真鍋医師と勇子、コルド大王の3人がいる。
「先生、聞いてくださいよ。バキ君ったら浮気したんですよ。私というものがありながら……」
「まぁ、彼は色男だからね」
「だが先生、うちの息子はオカマだぞ」
「そうなのよ、オカマ宇宙人相手にアッツアツのキスをして。それも私の見てる前でよ!許せないよ」
「まぁまぁ、勇子ちゃん。浮気は男の甲斐性って言うじゃないか。キスぐらい許してあげなきゃ」
「でも……」
「バキ君の彼女はキミしかいないんだよ。心配しなくても大丈夫だよ」
「それに、息子はオカマだから、マ×コがついてないしな……」
「アハハハッ、だったらまったく心配要らないじゃないか」
「いいえ! だからこそ心配なんです。障害のある恋こそ燃え上がる。
二人の間に、『オカマ』という最大の障害がある以上、私は逆に不利なんですよ」
(キミもオカマなんだけどなぁ……)真鍋はそう思いつつも口には出さない。
「そんなに心配なら、一つ手段があるんだけど。やってみるかい?」
「手段?」
「そう、バキ君を確実に取り戻すことができる方法さ。同時に息子のオカマに悩まされるコルドさんも助かる一石二鳥の名案がね」
「先生、それは何ですか」
勇子とコルドは同時に真鍋に詰め寄る。真鍋は2人に自らの作戦を披露する。
「そんな手段でバキ君が浮気やめるかなぁ」
「やめるさ」
「しかし……先生。仮にその作戦でバキが浮気を止めるとしてもだな。
そもそも、成功しないんじゃないか? 結構難しいぞ」
「2人なら可能ですよ」
うーん。と頭をひねるコルドと勇子。しかし、2人の頭脳には眞鍋以上の名案が浮かぶ筈もなかった。
「分かった。先生の手段に乗ってみる」
勇子とコルドは真鍋の作戦に則り行動を開始することにした。
投稿規制?
ふー。今回はギャグなしです。
ごめんなさい。
もう何がなんだかw
とりあえず、新一のくだりでウケタw
お疲れです。いや、楽屋オチありシモネタありと
結構なギャグのボリュームでしたよw
だんだん、学園コメディになりつつありますなw
>>鬼と人のワルツさん
砂漠の真ん中でお仕事ですか、行って見たい様な気もしますが、
仕事だと大変そうですよね。頑張ってください。
>>全力さん
のび太かぁ。オリキャラも上手く設定できてるみたいだし、いい感じですよね。
>>481 >オリキャラの絡み
やっべ、主人公がほとんどオリキャラだよ。
>登場人物の数
増えすぎですね。僕のSS
>描写メインのパート
大の苦手です。
>>501,502
あれ。笑えました?狙ってないんですけど、笑えたって言うことは
天然の称号がもらえたと判断していいですよね?
生理的に受け付けないSSだな
505 :
ふら〜り:2006/05/30(火) 00:11:21 ID:MxoSAYRS0
>>全力全開さん
まだ本格的な開戦はしてないというのに、もうコンビ確立に加えて「おまけ」ときたか。
本格的にヤバいですな正ヒロイン。こういう、お礼とかご褒美とかで「自分の商品価値」
を少〜しだけ(重要)自覚してる女の子ってのは結構好きです。さじ加減に注意ですぞ。
>>見てた人さん
あの「笑顔の死に様」はこういうことか……双子であること、そっくりなことを利用した
話ってのはいろいろありますけど、これはなかなか重く怖い。加害者と被害者の絡まり方
が何とも。ここまできたらさすがにハッピーEDは不可能、むしろ深いバッドEDを期待。
>>41さん(↑の直後に……効きましたよっっ)
恋に燃える暴力の化身どもが大暴れを始めるかと思いきや、漫画界きっての知性の象徴が。
蘭も巻き込まれそうだし、ますます学園バトルラブコメとして楽しみになってきましたっ。
しかしコナンでなく新一……装備品なしのまま、知性だけで奴らと渡り合っていくのか?
>>テンプレ屋さん
おつ華麗様です〜。こうしてみると……開幕したばかりの作品、好調連載中の作品、
エンディングが楽しみ&寂しい作品と、いろいろありますよねぇ。
>>宣伝
以前、ちらりとお話ししましたスレにまとめサイトができました。バキスレではちょっと
遠慮してしまうようなネタをこちらで書かせて頂いてます(名無しですが)。
絵師さんたちもお見事ですので、よろしければご観覧下されぃ。
ttp://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1146758670/
506 :
作者の都合により名無しです:2006/05/30(火) 12:20:06 ID:1Bb0k/3j0
>見てた人さん
人物設定が深く濃いなあ。同じSS書きとして(バキスレじゃないけど)凄く参考になる
もうあと2回か。次スレ早々で終わってしまうのかあ・・。
>41さん
フリーザ様主役ですかw確かに、バキより存在感が確かにあるな。
コナンも出てきて、収集がつくのかw 長編目指してがんばってください
第十一話「借金で追われるよりはマシだ」
『鬼ごっこ』
古来より、鬼とは人を襲う異形の怪物として恐れられてきた。
それらは子供を対象とした童話などにも度々登場し、数々の悪事に手を染めてきた。
鬼に追われること、それ即ち「恐怖」であり、鬼に捕まることは「恐怖」を越えた「絶望」。
魔性の怪物に追われる恐怖心は計り知れないものだが、そのギリギリの精神状態で体験する逃走劇は、人間に「快楽」を感じさせるという。
始まりは誰だったか、鬼に追われる「恐怖」を「快楽」に、鬼に捕まる「絶望」を「ゲームオーバー」に変換し、遊びとする者が現れた。
その発端は子供――信じられない話だが、若さ故の怖いもの知らずと言おうか、この魔性の遊戯は日本人児童の間でもっともポピュラーな遊びになったと言う。
――――――民明書房刊「本当は危険な遊戯百選」より
「――って、どこの男塾だそりゃあァァァ!?」
走りながら、銀時が叫ぶ。
彼が今現在置かれている境遇を説明しよう。
数時間前、真選組屯所にて説明された、松平片栗虎発案「真選組に入りたいかァー!鬼ごっこ」。
江戸の治安を守る真選組隊士をそんな子供の遊びで決められるものか、と集まった志願者からはブーイングの嵐が巻き起こったが、そこはやっぱり真選組。普通の鬼ごっこのはずがなかった。
ルールを説明しよう。
ゲームはチーム対抗戦で、まず捕まえる鬼側と逃げる側に分けられる。
鬼側には現真選組、逃げる側には集められた真選組志願者。
舞台は真選組屯所から周囲五km以内の江戸の町全部。場外は即刻ゲームオーバーとなり、そのチェックは各所に散りばめられた山崎ら真選組監察によって行われる。
逃げる側には目印としてナンバー入りのバッジが配られ、鬼に捕まったものはそのバッジを明け渡すと共に即刻退場。真選組入隊の資格を失う。
配られたバッジの数はキリよく百。つまり逃げる側の人数は百人。あまりにもキリが良すぎて何やら作為的なものを感じるが、そこは所詮二次創作と割り切って頂きたい。
制限時間は夕暮れ時、午後六時まで。それまでに逃げ通せれば、晴れて真選組入隊が約束される。
その他、武器の携帯、仲間同士での結託、裏切り等なんでもあり。
まさに、松平が即興で考えたお手軽採用試験だった。
「――ったく、あのとっつァんも面倒なことしてくれるぜ」
さらに現真選組隊士に向けて、もう一つルールが。
それは、「百人の入隊志願者全員を捕まえることが出来れば、真選組は現状維持」というもの。
そしてさらに、「一番多くのバッジを集めたものには、新局長就任の名誉が約束される」というものだった。
「局長の地位に興味はねぇが……目の前に獲物がいるってんなら、黙っちゃいられねぇよなぁ!」
ニマァっと微笑みながら、鬼役である土方は銀時を追う。
百人全員捕まえればリストラは免れる。この条件を成立させるには、志願者の一人であるこの男も捕まえなければならない。
こんなお遊びに付き合う気にはなれないが……この男が参加しているというのなら話は別だ。
「だァァァ! こっちくんなマヨネーズ侍!」
銀時もこんなゲームに乗るつもりはなかった。なにせ、真選組に入る気などこれっぽっちもないのだから。
だが、この男が追ってくるというのなら話は別だ。絶対に捕まってやるわけにはいかない。なんつーか、プライド的に。
この二人、坂田銀時と土方十四郎。実はちょっとしたライバル関係にあったりする。
性格の不一致や食に対するこだわりの相違など色々要因はあるのだが、顔を合わせるとなにかといざこざを起こすのが定番。
そんな二人が、この鬼ごっこという舞台で遭遇した。追う側と追われる側に分かれて。
対立は……必然?
「はぁ……なんだかまた変なことに巻き込まれちゃったなぁ……」
銀時と土方が追走劇を繰り広げている地点より数百メートル離れた場所で、新八は溜息を漏らした。
思えば、何でこんなことになったのだろうか。発端はチラシを発見した自分にあるのだが、だからといってすぐさま銀時に見せたのは失敗だったか。
新八自身は真選組入隊なんて興味の欠片もないというのに。
「まったくよぉ……人が気合入れて来たってのに、鬼ごっこってなんだよ鬼ごっこって。ガキの遊びじゃねぇんだぞ」
「そうッスよねー。……って」
新八が横に目をやると、いつの間にいたのか、見知った人相がそこにあった。
貧相ながら渋さを強調させたいとする見栄がまる分かりな黒サングラスに、今トレンディなのかどうかは分からないがとりあえず蓄えといたという感じの顎鬚。
この男、名前を長谷川泰三という。
かつては入国管理局局長の地位に就き、天人の出入国の一切を取り締まっていた幕府の重鎮である。
しかしながら、現在は無職。銀時新八の口車に乗せられ、一時のテンションに身を任せて国際問題級の暴挙を働いてしまったからだ。詳しくは原作を参照していただきたい。
「は、長谷川さん!? 長谷川さんもこの鬼ごっこに参加してたんですか!?」
「ん? ああ。俺もいつまでもフリーターやってるわけにはいかねぇからな。ここらでなんか安定した定職ゲットしたいなーって思ってたらこの話が飛び込んできたんだよ」
「でも真選組ですよ? 長谷川さん剣術とか大丈夫なんですか?」
「バッカ、俺だって元はお上に仕えてた男だよ? そりゃあ人並みにはやれるさ。人並みだけど」
念を押すところを見ると、それほど自信はないらしい。
「で、オメーらはなんでまたこんなとこにいんだよ? 一家揃って転職か?」
「僕だって分かりませんよ……つーかホント誰か教えてくれ」
端的に言ってしまえば、『お話の都合』だろうか。まぁでも、新八もその辺の事情は理解していることだろう。きっと。
「新八ぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
新八と長谷川が偶然な遭遇を果たしてすぐ、またまた聞き覚えのある声が響いてきた。
聞こえてきた声は甲高い女性のもの。新八の知り合いにおいて、女性でここまでの音量を発揮する人間は……結構いるかもしれないが、この場合は彼女一人しかいないだろう。
黒尽くめの男を数人引き連れて江戸の大通りを疾走するチャイナ服の少女、チャイナの部分だけで説明がつく。神楽だった。
「か、神楽ちゃん!? てかめっちゃ追われてるゥゥゥ!!?」
「っておい、こっちくんなお前ェェェ!!?」
神楽が引き連れてきた黒尽くめの団体は、言うまでもないとは思うが鬼である現真選組隊士である。
これといって顔見知りな人物はいなかったが、どれもが粒よりの屈強男子。脚力にも怒涛の勢いがある。
鬼が追ってくるとあらば、新八はどうするべきか。
「逃げればいいんでしょう、チクショォォォ!!」
分かってるじゃないか新八さん。
神楽、長谷川と肩を並べ、新八はとにかく走った。
真選組になど入る気ゼロなんだから、さっさと捕まってしまえばいいものを。
新八はなんだか誰かに踊らされている気がしてならなかったが、ツッコミとは本来巻き込まれ型が基本である。
なんだかんだで、早くも今回の自分の役割を受け入れ始めているのかもしれない。
「てか神楽ちゃん! やっぱ無理あるってこれ! 追いつかれるってェェ!」
「頑張るね新八! ここで捕まったらこの先出番なしも覚悟するアルヨ!!」
新八たちを追う真選組連中は、それぞれが名無しキャラのクセして中々に速かった。
なにせリストラが掛かっているのだ。今のご時勢、侍の再就職がどれほど難しいかは、新八もよく理解している。
「仕方ないネ! こうなったら奥の手アルヨ!」
そう言うと、神楽は突如隣を走っていた長谷川の肩を掴み、
「生け贄アル!」
追撃してくる真選組たちに投げ込んだ。
「ええええええ!!?」
サングラスが宙を舞う。職なしのおっさんが、職の掛かった男達の群れに食われていく。合掌。
「――って、ちょっと待てーい! 俺このために登場したのか!? 俺の出番これで終わりかァァァ!!?」
――33長谷川泰三、脱落。
長谷川という比較的どうでもいい犠牲を払い、新八と神楽は生き延びた。
「長谷川さん……すいません。僕、あなたの分まで頑張りますから」
「泣くんじゃないネ新八。男は皆、悲しみを乗り越えて成長していくものアル」
決意を新たに(どこまで本気かはわからないが)新八と神楽は歩みを速める。
鬼から逃げるため。真選組に入隊するため。
第二部は早くもノリがおかしいな……という危惧を必死に押しとどめて。
だが、大通りを抜けて小道に入ったそんな二人の前に、
「――おっと、そっちは通行止めでィ」
おきたそうごがあらわれた!
一真です。前回は
>>338より
案外久しぶりですかね? 投稿スピード落ちてます。
いや、色々忙しいんですよと言い訳しつつ、やっとこさ第二部第三話。
せっかくの平日休暇なんで人が少なかろう昼を見計らってみました。意味はありません。
ギャグに徹するつもりが、なんか中途半端な本編。
長谷川の処遇につきましてはホントにかませキャラです。
ただ出したかっただけです。ごめんなさい。
この先彼に再登場の機会はないのであしからず。
あと第一部以上にキャラがごちゃごちゃしていますがそこはご勘弁ください。
おぉっと、名前とトリップ変え忘れた。
「煉獄、罪そのものや、その傷を残したままの霊魂は、天国に入るために準備が
必要である、その準備を「清め」と呼び、「清め」を受ける場所、それが煉獄。」
煉獄について語り始めるドリアン、だがユダの言う煉獄とは
印象が違う、柳が思い出した様にドリアンの解説に相槌をうつ。
「そうか、我々の世界の聖書にもそんな文が載ってましたな。」
死刑囚と言われると粗暴な印象を受けるかもしれないが、犯罪とは慎重に行うもの。
人の持つインテリジェンスを最大まで活かす事が必要不可欠である、その点で文学とは正に
知力を取り込む為に存在する物と言える、それが犯罪と真逆に位置する聖書であっても。
「ほぉ、丁度いい機会だ、俺達の罪もそこで洗い流すか。」
ドイルが犯罪者ならではの冗談を言ってのける、洗い流せぬ罪を背負っているが、
同時に熱い心を十字架として背負っている、それはここに居る誰もが同じであった。
「意気込むのはいいが、甘く見ない事だ。この予言書によると煉獄で死ねば
永遠の贖罪の待つ地獄を彷徨う事になる、死ぬつもりは毛頭無いがな。」
ユダの言葉に一つの疑問が生じる、予言書、それは未来を記した物の筈。
何故、そんな物に煉獄が関係するのか、生に溢れた世界と死後の世界。
陰陽全く正反対の二つの世界の関係とは一体どうなっているのだろうか。
「俺はこの世界の知識を集め、この紙にある文章の一部を解読するのに成功した。
これは予言書、聖書では無い、煉獄がこの書に載っているという事は間違いない。」
ユダがワナワナと手を震えさせながら予言書を見せ付ける、そして知略の星が出した結論は。
「この世界に居る、罪も無い人々が煉獄に送り込まれる事になるんだよ!」
「な、なんだってぇー!」
全員が一斉に驚愕の叫び声を上げる、そんな馬鹿な事が起こり得るのか。
ユダがここで嘘を吐いても何のメリットも無い、だが予言書を否定したい一心から、
最終的な確認をするため改めてユダに問いかけるシコルスキー。
「そ、それは本当なのかユダ・・・ッッ!」
「机上の空論に過ぎないが、その可能性は大きいだろう。」
空が曇り始める中、周囲を沈黙が支配し、全員の心を絶望が支配していく。
雨が降りそうだ、沈黙が続く中、今は急いで町を目指し歩き続ける。
ユダは予言書の断片を雨に濡れない様にそっと懐にしまった。
世界に煉獄が降り立つ未来を示す「ヨハネの黙示録」を。
洞窟に潜む影が、琥珀色の眼で豪雨の中を走る6人を見つめる。
外を走る者の一人が洞窟の存在に気がついた様だ、影は急いで奥へと退く。
「助かりましたな、ここで火でも起こせば寒さに体力を奪われる事も無いでしょう。」
雨で視界を遮られている中、一番にこの洞窟を発見したのは柳であった。
ユダと同じ暗殺者の生業に就いていながら、長年鍛え抜かれた勘はユダをも
上回っていた。技に置いては老体ながらも長年費やして鍛え上げた技が
冴えるが、最強を誇る二極の暗殺拳、陰陽の陽に当る南斗聖拳の前では良くて
五分といった所であろう。力では若さからユダが上だろう、冷静に戦力の分析を
続けて行くユダ。全員同じアサシンギルドの同業者ではあったが、共に旅を
したことなど無く、手を組んだ事もジャギとの戦いの時のみであった。この機に
各メンバーの能力を把握する事で少しでもマラル湖での戦闘の負担を軽減したい。
当然、非常時に備えて水竜との戦いも考察している。
「岩ガ邪魔ダゼ、ヨット!」
全員が休めるスペースを確保する為、辺りの岩をどかすスペック。
技では只殴る事しか出来ないスペックはユダの足元にも及ばない。
鍛え抜かれた技の前では力、身長、体重など問題にもならない、だがスペックは
違った、体力、体格どちらにおいてもスペックが勝ってはいたが、それ以上に
自分の技はそれを凌駕していた、心技体など偽りの言葉、技と磨き抜かれた
美しい肉体こそが全てだと信じていた。心など不要、そう思っていた。
だがスペックの見せた呼吸を止めての連打が教えてくれた。ユダの用いる
南斗紅鶴拳最強の奥義、血粧嘴によって腹部を貫きズタズタにされて尚、
滅びる事の無い心で立ちはだかり南斗六聖の一人、妖星のユダを
正面から打ち破った、南斗108派の内、最強に数えられる六聖を何の策も用いずに。
この男によってレイに続いて2度目の敗北を味わった、だがスペックとの再戦を考えると
熱い鼓動が肉体を駆け巡る、仲間であると同時にスペックはライバルなのだから。
「おっと、スペック君、その岩はそのままでいい。」
そう言うとドリアンが荷袋からボトルとハンカチを取り出しボトルの栓を開ける。
ハンカチにボトルの中身を染み込ませ、岩陰に紙を敷き、風に遮られない様に
ライターを取り出しハンカチに火を灯す、拳法に加えて高いサバイバル能力。
通常の戦闘では苦戦を強いられる事は無いだろう、だがこの男の本領は局地戦で発揮される。
傷に対する応急処置、逃亡手段の手際をこの男が確保すれば強力な敵とも長期の間、
戦闘を継続する事が出来るであろう。長期戦に持ち込めば戦力的に不利であっても
この妖星の知略を持ってすれば奇襲、陽動、強攻策、逃亡策あらゆる手が浮かぶ。
「ふぅ、一息つけ・・・ん?灰が残ってるな、誰かが焚き火でもしたのか。
奥に薪でも残ってれば火が絶えずに済むかもな、行くぞシコルスキー。」
ドイル、蒼黒の鎧を身に纏った悪夢の男を撃退した時にうまく爆薬を扱えていた。
ドリアンでも扱えたであろうが体格の問題からドリアンでは侵入地が限定される。
才能は無いが変装もこなせる事から工作員としての能力が高そうだ。
強力な爆薬を調達する事が出来れば更に重要な戦力として開花しそうだ。
「ああ?ドイルちゃん誰に向かって口聞いてんの!?今は雨、俺に秘められた水竜の力が
最も発揮される・・・貴様如きコスプレ爆薬オタクなど足元にも及ばな・・・いってれぼ!?」
ドイルの脚払いが的確にシコルスキーの脛へヒットし、本来曲がらない
方向へと曲がる。折れた骨が肉を打ち破り血飛沫が周囲へ飛び交う。
容赦の無い攻撃によって負傷を負ったシコルスキーを見捨ててドイルは一人、
洞窟の奥へと進む。声を抑えるシコルスキー、雨によって活性化した力が折れた足を
修復していく。再生能力が無かったとしても、手加減したかどうかは判らないが。
戦闘能力では多少劣る面があるであろう、斬撃に近いベアナックル。
南斗聖拳の類に類似しているが古代の闘士をモチーフにした物であろう。
強力だが魔物を相手にするには毛皮、鎧に阻まれる、この世界の人間も
元の世界と違い重武装した者も少なくは無い、自分の様に鎧すら切り裂く拳、
柳、ドリアンの様な打撃武術、ドイルの様な刃物、スペックの様に全てを破壊する様な金剛力。
そういった物が無い分、身体能力では他の者に引けを取らないが戦う手段に乏しいのだ。
だが偶然にも身につけた力、邪神によって生を受けた最強の魔物の中で「水」を司る者。
水竜の力がシコルスキーに力を与えた、攻撃に援護、オールマイティなサポーター的存在だ。
だがそれぞれの長所に伴い、不安要素もそれなりにある。
柳は武術をメインとしているが、ドリアンの様な内部破壊では無いので
鎧にはそれ程には通用しない。刀か何か武器が必要であろう。そのドリアンは
戦闘面では中国拳法、一部の武器、酒を使った火炎まで使いこなす。
だが街中でこの巨体は目立ちすぎる、自分にもスペックにも言える事だが。
柳は小柄、ドイルは筋骨隆々としているが比較的細身なので問題は無い。
隠密行動を取るにはこの二人がメインとなってしまい敵との遭遇が心配される。
特にスペックには隠密は厳しい、犯罪者としての日々が身を隠す能力を高めているが、
道を切り開く行為に知略を用いない、扉が無ければ問答無用で破壊して通り痕跡を残す。
ドイルの隠し刃物もギルド内での戦いで刃こぼれが酷く爆薬も僅かしか無い。
シコルスキーに至っては水を用いた計略、戦闘以外では役に立つ要素が皆無だ。
指の力が何かの役に立つ可能性もあるが、単純に腕力で済む事はここに居る誰もが解決出来る。
一長一短、まぁ複数の長所を持つ者もいれば複数の短所を持つ者も居るのでこの言葉は
正確には当てはまってはいない。複数の長所、複数の短所を正確に把握し策を練るのは難解だ。
だが複数の長所、複数の短所、長所と短所の数、そして知略によって策は無限に広がりを見せる。
「遅いな、ドイルの奴。」
綺麗サッパリ傷跡一つ残っていない体に再生したシコルスキーが異変に気付く。
奥の暗闇へと全神経を集中させると、戦いの気配を感じ取れる。
「どうやら、彼の身に何か起きた様だな・・・ッッッ!」
同じく危険に気付き、足場が悪いため岩を飛び越えつつ走り抜けるドリアン。
続けてユダ達も岩場を越えて行き、そして奥に辿り着いた。
「スマナイ、まさか3体もいるとはな・・・。」
倒れこむドイルの顔色が悪い、どうやら重度の毒を受けてしまった様だ。
シコルスキーが解毒をするため、ドイルの倒れている場所まで走る。
「ギュアア!」
奇妙な叫び声と共に巨大な青い影がシコルスキーを襲撃した。
琥珀色の眼を持ち、種族の長として野獣を統率するリーダー、
ドスランポス。だがドイル程の使い手ならば武器が無くとも撃退できた筈。
「毒液による皮膚の汚染と麻痺性の神経毒?気をつけろ、残る2頭は毒持ちだ!」
奥から飛び込んできたのは巨大な赤い影と黄色の影、2匹とも毒を持つ魔物であった。
真っ赤な体に毒液を溜め込むドスイーオス、牙から麻痺性の強い毒を流すドスゲネポス。
ランポス、ゲネポス、イーオス、それぞれの種族の長が群れを成して襲い掛かってきた。
ぬうううう!マメモンの進化条件きついよ育成失敗15回もしたらご機嫌たりねぇよ!
なんか後輩に借りたデジモンワールド(初代)を地道にやってたら風邪ひいちゃった邪神です。
なんか兄MAXでデジモンがやると聞いて懐かしさの余りやりたくなってしまった。
まぁデジモンは最近のを知らないので出す予定無いです、既望があれば古い奴ならどっかで。
でも最近のデジモンは流石ですね、ガルルモンの移動速度って人間がしがみ付いてられるんですか。
まぁ余り深くは見ていないのですが主人公が炎の塊にパンチしようとしてたのもみました。
余りにもハイセンスなので見るの止めましたよ、まぁ講座でもしておきますか。
ああ、レオモンがウソコしすぎてスカモンに・・・。
〜ネタ切れ講座〜
水舞い ロマサガ2で役に立たない水術といったら真っ先にこれが上がる。防御を微妙に上げ、
火耐性を微妙に付けてくれる、本当に一部の戦いでしか役に立たない術。
ヨハネの黙示録 偉大なるノストラダムス様が残した予言書、1999年には何も無かったけどね。
多分別の意味があるんだよ、きっとそうさ、そうに決ってるよ。
ランポス&ゲネポス&イーオス モンスターハンターの代表的な雑魚モンスター。
名前にドスがつくとその種族の長として群れの統率者となる、見分け方は巨大なトサカ。
518 :
邪神?:2006/05/30(火) 20:58:59 ID:t2g8+QR70
〜御礼御礼〜
ふら〜り氏 >ユダが「謎の男・キャプテン」に嫉妬
どこの「うほっ!」な同じ(ry ですかw
一応考えたんですけどえね・・・w
全力全開氏 キャラ人数の問題ですか・・・俺みたいにグダグダになる可能性がありますが
戦闘ステージを分ければ人数も絞れていいかも、しかし大人数戦の映写も複数人で使う
兵器等でサポート出来たりするしなぁ〜結局の所お好みですね。
437氏 個人的に気に入ってますからね、ユダ。一番はアミバ様なんだが
ジャギ、ラオウ、ユダは捨てがたい!しかし煉獄行きは確実ですが
デスとの戦いが出来るほどの強さになれるか死刑囚軍団w
438氏 毒手もスッカラカンですし厳しいですね柳。でもドイルも火薬切れ、
ドリアンは何も失ってないのに目立たない。残りの3人しか個性を持たせられなかったのは失敗か。
これからの旅では活躍の場を与えてあげたいですねぇ。
519 :
作者の都合により名無しです:2006/05/30(火) 22:20:53 ID:eomwKYbm0
>一真さん
やはりマダオはマダオか。長谷川はキャラ的に好きなのだけどな。
変なドラクエかスティールボールランみたいになってきたなw
>邪神さん
ユダと死刑囚のヒエラルキーが確立されつつあるな。対等はスペックだけ。
後は末端のシコルまでwでも、意外といいチームワークで煉獄を突破するかも?
第七十七話「レジェンド」
機体に乗り込み、宇宙へと飛び出したのび太たちは、メカトピアを振り返った。漆黒の宇宙に宝石のように輝く蒼色―――
それは、例えようもなく美しい。
「きれい・・・」
ほうっと息をついたのび太に、リルルは微笑む。
「そうね・・・大切な、わたしたちの故郷よ」
「そう。僕たちの故郷だ」
通信機越しにキラの声が聞こえる。その声には気負いはない。あるのはただ、メカトピアを守ろうとする決意だけだ。
「頑張ろうね、みんな。あの星を、誰にも傷つけさせるもんか!」
ドラえもんが握り拳を作って意気込む。その時、ダイザンダーの全身から咆哮の如き轟音が響いた。そしてコクピット内の計器
がピコピコと点滅する。
「これは・・・」
「ジュドの声よ。彼も、やる気一杯みたいね」
リルルが頼もしそうにダイザンダーのコクピット内部を見渡す。バカ王子によってダイザンダーに改造されたが、ザンダクロス
だった頃から備えられていた人工知能はそのままだ。それがのび太たちの心意気に反応したのかもしれない。
「ダイザンダー・・・一緒に頑張ろうね!」
のび太がそっと操縦桿に触れた時、前方の空間が歪み、もはやお馴染みになった量産型グランゾンが次々と姿を現した。
「来たな!」
「だけど、もうこいつらとは戦い慣れてる。一気に行こう!」
キラが力強くそう言った時だった。
「威勢がいいな―――キラ・ヤマト!」
「―――!」
突如響いた声に、キラの顔が強張った。その声を、聞き違えるはずがない。
「どこだ―――どこにいる、クルーゼ!」
キラは叫びながらSフリーダムのレーダーを確認する。遠くから近づいてくる機影が一機。それも、恐るべき速さだ。
「そんな馬鹿な!この速度―――本当に<プロヴィデンス>か!?」
「キラ、危ない!」
一瞬狼狽するキラに対し、アスランが悲鳴に近い声で叫ぶ。ほとんど反射神経だけでSフリーダムを旋回させた。直後、
雨嵐の如く降り注ぐ光線。その全てを紙一重でかいくぐったキラは、目の前に現れた黒き機体を睨み付けた。
そして気付く。それは全く見たことのない機体だと。
「プロヴィデンスじゃ・・・ない?」
「そう―――プロヴィデンスではもはや君たちには歯が立たない。これはプロヴィデンスに代わる私の新しい機体―――」
クルーゼは勿体付けたように間を置き、そして告げる。
「その名も<レジェンド>。プロヴィデンスを元に、シュウが大幅な改造を行なったものだ。機体性能だけで言えば彼の
ネオグランゾンと同等―――あるいはそれ以上か」
<ネオグランゾンと同等だと!?くそっ、シュウの野郎・・・そんなもんを造りやがったのか!>
マサキが悔しそうに歯噛みする。
「ふふふ・・・彼が造ったのはそれだけではない。見ろ!」
レジェンドの背後の空間がひしゃげたように渦巻く。そこから現れたのは―――
「そ・・・そんな・・・!」
のび太たちは呆然と竦み上がる。歪んだ世界より顕現した姿―――それは―――
機械の魔竜―――フェニキア。
大空に君臨する巨大なる城―――ネオラピュタ。
冥府より来たりし帝王―――ゼオライマー。
かつてのび太たちが倒してきた強敵たちの姿だった。それも、一体や二体ではきかない。
ほとんど無数とも思える数が存在していた―――!
「さ・・・再生ボスキャラ軍団ってやつ!?そんなお約束な・・・」
「相手がモビルスーツやら量産型ネオグランゾンやらばかりでは飽き飽きしているだろうと、シュウが丹精込めて開発
したものだよ。流石にオリジナルそのままの性能というわけにはいかないそうだが、精々楽しんでくれたまえ。そして、
さらにもう一つ―――重大なことを教えよう」
これ以上何をしようというのか―――クルーゼは嗤いながら語った。
「<ジェネシス>はもうじきフルパワーでメカトピアに向けて発射される。そうだな・・・あと一時間もなかろう」
「何だって―――!?」
次から次に襲い掛かる絶望的な状況―――もはやのび太たちは顔面蒼白になるしかなかった。誰もがショックの余り
動くこともできない―――いや、たった一人だけいた。
「それならそれで―――構わない!」
キラは叫びながら近くにいた量産型グランゾンに斬りかかり、破壊した。そして射撃武器を全開放して、絶妙の精度で
放つ。数十もの敵機が一度に爆散し、誘爆によって更に多くの敵機を巻き込んだ。
「こいつらを倒して―――ジェネシスが発射される前に破壊して―――そして―――お前を倒す!それだけだ!」
キラはビームサーベルの切っ先をレジェンドに向けて力強く言い放つ。確かな意志の込められたその言葉は、仲間たちの
心を揺さぶった。
「・・・そうだよね・・・それしかないよ。ねえ、みんな!」
「おう!やれっていうなら、やってやらあ!」
気力を取り戻したのび太たちは、膨大な軍勢を前にして、怯むことなく前進していく。それを見たクルーゼは、苦々しい
表情を浮かべた。
「ちっ・・・このまま絶望していればいいものを!」
クルーゼはレジェンドを全速で稼動させ、Sフリーダムへと向かう。ビームサーベルが交錯し、激しい鍔迫り合いとなった。
「キラ・ヤマト!残念だよ―――どうやら君は私よりも彼らの方を選んだらしい!」
「当たり前だ!お前なんて―――僕の兄弟なんかじゃない!」
レジェンドのビームサーベルを弾き、返す刀で胴体を狙う。それをかわしたクルーゼは後退し、キラに向けて言い放つ。
「いいだろう―――ならばせめて、私の手で殺してやる。来い、キラ・ヤマト!」
そのまま遥か後方へと飛び去りながら、キラへの呼びかけを続ける。
「最後の決着を付けよう!待っているぞ―――!」
一瞬でレジェンドはキラの視界から消えた。
「クルーゼ!くそっ・・・みんな、僕はあいつと決着を付ける!ジェネシスは頼んだ!」
キラの駆るSフリーダムもまた、一瞬にして飛び去った。それを見たムウは、ぎりっと唇を噛む。
「みんな・・・俺も行く!」
「ムウさん!?」
「クルーゼと因縁があるのはキラだけじゃない・・・俺もだ。悪いが行かせてくれ!」
「ちょっと待った、ムウさん!ならば俺も行こう!」
そこにアスランも割って入る。
「俺はキラと約束した・・・俺があいつを支えると。俺はいつでもあいつと共にいると。だから、あいつの敵は―――
俺の戦うべき敵なんだ」
「アスラン・・・」
「みんな、そんな心配そうな顔をするな」
アスランはにやりと笑った。
「何せ俺は未来のメカトピアの教科書に救国の英雄として物凄いゴシック体で乗る男―――俺に任せれば、全ては
モウマンタイ!では行くしかないじゃないか!」
「・・・・・・」
珍しく真面目なことを言ったかと思ったらこれだ。物凄く不安だった。だがそんな一同に構わず、アスランはさっさと
行ってしまう。その後に続いて、ムウもまた姿を消した。
「・・・と、とにかく、ぼくたちはジェネシスを破壊することに専念しよう!キラたちなら―――きっと大丈夫だ!」
ドラえもんが気を取り直して一同に指示を出す。一斉におう、という力強い言葉が返ってきた。
「のび太くん、行くよ!・・・のび太くん!なにボーっとしてるのさ!」
「ご、ごめん!」
平謝りしながら、のび太は目の前に迫った敵機へと視線を戻す。
(キラ・・・ムウさん・・・ついでにアスラン・・・すぐに迎えに行くから・・・だから、頑張って・・・!
ぼくたちも・・・頑張るから・・・!)
遠くで戦う仲間の無事を祈りながら・・・。
すごいねぇ
投下完了。前回は
>>424より。
今回登場した再生ボスキャラたちですが、所詮は再生怪人と同じ扱いになりそうです。
でもボスキャラが再生して大軍で復活はお約束なので、やってみたかったもので・・・
>>426 構想どおりにいけばほぼ100話くらいですかねー?バカ王子は最後の最後で美味しいところを
全部掻っ攫うような役割です。
>>427-428 さらに言えばアニメより前に出たドラマCDではグリーンリバー氏が・・・
>>429 ラストスパートに入ってきたところなので、体の負担にならないレベルで頑張ります。
>>438 バカ王子とUSDマンは作者の予想を超えて実によく動くキャラになりました。
>>邪神?さん
シコルとヤムチャはどれだけ貶めても誰からも文句が出ない(むしろ喜ばれる)、ある意味
素晴らしいキャラですよね。
水舞は確かに全く使いませんでした・・・まあぶっちゃけクイックタイム使えば他の術は(略
>>ふら〜りさん
次回、イザークたちがついにまともに活躍します(する予定です)。
>>全力さん
あなたが抱くのがそのような疑問で、予めそれを予測するのが私だ
・・・混ざりすぎて訳が分かりませんね、失礼しましたw
なんか次スレ直前で一気に着出したなw
>一真氏
もっとも原作のキャラに近い振る舞いや言動をさせているのはあなたかも。
神楽や銀さんが本当に言いそうな台詞を言ってくれる。鬼ごっこ楽しみだ。
>邪心氏
ううむ、だんだんとチームワークがこなれてきたな、ユダ&死刑衆軍団。
お互い力をあわせればデスや猿にも勝てそうだ。シコルがいなければ・・
>サマサ氏
おお、100話まで続けて下さるおつもりか。頼もしい事この上ないです。
かつてのボスが再登場すると戦闘員に成り下がるというお約束は好きw
マシなレベルが1人だけか
バキスレも落ちたもんだ。
サマサさんお疲れ様です
ラストスパートと思いきや、まだ20話以上もあるんなら終了はずっと先の話ですね
年内いっぱいくらいは楽しませてくれそうでうれしいです
しかし、敵味方あわせてもう何回改造パワーアップをしたかわからんなw
529 :
作者の都合により名無しです:2006/05/31(水) 17:04:02 ID:WEItqSzh0
サマサ氏乙。
今まで少し陰に隠れていた主役(のはず)ののび太がいよいよ主役となりそうだ
あと2回の決戦、頑張って下さい。
新スレ立てようとしたが駄目だった。まだ微妙に早いか?
俺も立てれないな
まあ早いといえば早いがちょうどいいといえばちょうどいい
銀魂好きなので一真さんには頑張って欲しい
531 :
作者の都合により名無しです:2006/05/31(水) 18:52:51 ID:2bR76ts00
532 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:04:14 ID:bZVRp7xQ0
529 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 17:04:02 ID:WEItqSzh0
サマサ氏乙。
今まで少し陰に隠れていた主役(のはず)ののび太がいよいよ主役となりそうだ
あと2回の決戦、頑張って下さい。
新スレ立てようとしたが駄目だった。まだ微妙に早いか?
530 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:13:04 ID:PANaK2p60
俺も立てれないな
まあ早いといえば早いがちょうどいいといえばちょうどいい
銀魂好きなので一真さんには頑張って欲しい
531 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:52:51 ID:2bR76ts00
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1149068946/l50 次スレ立てておいたぞ
532 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:04:14 ID:bZVRp7xQ0
529 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 17:04:02 ID:WEItqSzh0
サマサ氏乙。
今まで少し陰に隠れていた主役(のはず)ののび太がいよいよ主役となりそうだ
あと2回の決戦、頑張って下さい。
新スレ立てようとしたが駄目だった。まだ微妙に早いか?
530 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:13:04 ID:PANaK2p60
俺も立てれないな
まあ早いといえば早いがちょうどいいといえばちょうどいい
銀魂好きなので一真さんには頑張って欲しい
531 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:52:51 ID:2bR76ts00
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1149068946/l50 次スレ立てておいたぞ
533 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:04:46 ID:bZVRp7xQ0
532 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:04:14 ID:bZVRp7xQ0
529 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 17:04:02 ID:WEItqSzh0
サマサ氏乙。
今まで少し陰に隠れていた主役(のはず)ののび太がいよいよ主役となりそうだ
あと2回の決戦、頑張って下さい。
新スレ立てようとしたが駄目だった。まだ微妙に早いか?
530 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:13:04 ID:PANaK2p60
俺も立てれないな
まあ早いといえば早いがちょうどいいといえばちょうどいい
銀魂好きなので一真さんには頑張って欲しい
531 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:52:51 ID:2bR76ts00
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1149068946/l50 次スレ立てておいたぞ
533 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:04:46 ID:bZVRp7xQ0
532 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:04:14 ID:bZVRp7xQ0
529 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 17:04:02 ID:WEItqSzh0
サマサ氏乙。
今まで少し陰に隠れていた主役(のはず)ののび太がいよいよ主役となりそうだ
あと2回の決戦、頑張って下さい。
新スレ立てようとしたが駄目だった。まだ微妙に早いか?
530 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:13:04 ID:PANaK2p60
俺も立てれないな
まあ早いといえば早いがちょうどいいといえばちょうどいい
銀魂好きなので一真さんには頑張って欲しい
531 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:52:51 ID:2bR76ts00
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1149068946/l50 次スレ立てておいたぞ
533 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:04:46 ID:bZVRp7xQ0
532 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:04:14 ID:bZVRp7xQ0
529 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 17:04:02 ID:WEItqSzh0
サマサ氏乙。
今まで少し陰に隠れていた主役(のはず)ののび太がいよいよ主役となりそうだ
あと2回の決戦、頑張って下さい。
新スレ立てようとしたが駄目だった。まだ微妙に早いか?
530 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:13:04 ID:PANaK2p60
俺も立てれないな
まあ早いといえば早いがちょうどいいといえばちょうどいい
銀魂好きなので一真さんには頑張って欲しい
531 :作者の都合により名無しです :2006/05/31(水) 18:52:51 ID:2bR76ts00
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1149068946/l50 次スレ立てておいたぞ
537 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:11:02 ID:7DUm9Jvf0
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
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ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
538 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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539 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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539 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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539 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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539 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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542 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:20:55 ID:bZVRp7xQ0
538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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539 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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544 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:23:11 ID:DLHOqM830
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542 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:20:55 ID:bZVRp7xQ0
538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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539 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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546 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:24:02 ID:DLHOqM830
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547 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:24:39 ID:DLHOqM830
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548 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:25:22 ID:DLHOqM830
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549 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:26:26 ID:DLHOqM830
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542 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:20:55 ID:bZVRp7xQ0
538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
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539 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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542 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:20:55 ID:bZVRp7xQ0
538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
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539 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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542 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:20:55 ID:bZVRp7xQ0
538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
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539 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:18:53 ID:uOfGzaAF0
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542 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:20:55 ID:bZVRp7xQ0
538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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542 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:20:55 ID:bZVRp7xQ0
538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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555 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:33:24 ID:Dud2lRRd0
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556 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:34:28 ID:Dud2lRRd0
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542 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/06/01(木) 17:20:55 ID:bZVRp7xQ0
538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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558 :
作者の都合により名無しです:2006/06/01(木) 17:35:22 ID:Dud2lRRd0
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538 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2006/06/01(木) 17:17:32 ID:uOfGzaAF0
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560 :
作者の都合により名無しです:
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