【2次】漫画SS総合スレへようこそpart39【創作】
「俺はホムンクルスだ。けれど抽出物をちゃんとした手段で得たくて人間社会で暮らしている。
その為に人喰いを極力我慢して、仕事に必要な技術だってキチンと磨いた! けれども
人間は惰性まみれがほとんど。どーして就職するコトを小学生の頃から知っておきながら、
適性を把握せず、技術も磨かないのか」
親も親だろう。英語やら習字やらの小手先の技術を無目的に習得させるより、繰り返し繰り
返し現実のキビシサを教え込み、飯獲得用の努力の下地を形成させるべきだ。
そもそも野生動物はみなそうではないか。人間の親とて仕事において苦労のし通し。
ならば。
子に苦労が待ち受けてるというのは、本能においても理性においても連綿と刻み込まれ
た周知の事実ではないのか?
にもかかわらずろくに対処も考えぬまま、子ども可愛い子ども可愛いという惰性でのみ育児
をやらかすから連中はアホだ! と久世屋は言う。
「だから職場に苦労が満ちている。ひとたび『優秀』だと思われれば、途端に厄介ごとが流れ
込むようになっている!」
「でも、他の人にあなたの知識や技術を教えれば、少しは苦労も和らいだ筈よ」
千歳の指摘には、かすかな信頼が含まれているのだが、久世屋は大きくかぶりを振った。
「溺れている人間が助けられる時、救助の技術体系をつぶさに観察できますか? 覚えられ
ますか? できないでしょう。それと同じです。苦労の中であっぷあっぷしている状態だから、
学ぶ体勢ができていない。まして一つの目的の元で知識や技術を行使するなど夢のまた夢。
そーいう状態では、苦労知らずの状態へ成長するなんて不可能です」
少し、かつての根来の言と通じるものがある。
その根来のだが、所在については。 つ サブリミナル参照。
「んな連中から見れば優秀な上司なんて、苦労を和らげる抽出物にすぎません。救援を求め
て時間も輝きも吸い尽くし、打ち捨てる。目に見えているコト」
出世したくない理由はそれだ、久世屋は声を振り絞って叫ぶ。
「吸い尽くされた俺は苦労のし損です。忙殺された挙句、おもちゃで遊べなくなる! 苦労を
重ねた末に、抽出物一つ得られないなんてのは、会社で働いてお金が貰えないよーな状態!
そういうのに陥りたくないから、能力を見せなかった」
ただし相当忙しい時は残業を避けるべく、全力で仕事をしたという。
「けどそれが部長の目についた。キミは底力があるから課長にならないかと! 正確には主
任を経てですが、どの道、だいたい200時間ぐらいの研修を受けなきゃならなくなる。俺がお
もちゃで遊ぶ時間が搾取(サク)られるのは明白。しかも終えた後はもっともっと搾取(サク)られる」
だから──…
「俺は断った」 影
抜
しっかりと自身の適性を述べ、辞退した。. 忍
者
「二度も三度も断った」 出
歯
仕事中に呼び出された時も。 亀
家で遊んでいる時にかかってきた電話口でも。 ネ
言葉を尽くして丁重に。 ゴ
ロ
「だが奴は会社や同僚のためとかいって受けなかった!」 、
地
若いうちの苦労は買ってでもしろと言った。 中
だが彼の言う苦労は惰性への耐久だ。. か
進歩や抽出を目指す建設的努力ではない。. ら
散らかされたゴミを片付けるような薄暗い行為の連続だ。 迷
それを強いて、大事な時間を搾取(サク)ろうとしていた。. う
. コ
「だから殺した!!」 ト
な
会社に乗り込んだのは、部長は残業が多いせい。. く
わざわざ家に帰る時間を待つのは、面倒だった。. 千
歳
「ホムンクルスの俺としちゃ、充分穏便な対応でしょう!」. へ
穏便、と口に上らせつつも表情は凶悪だ。 . イ
目を血走らせて、唇を果てしない怒りにわななかせ、頬は限りなく歪んでいる。 ン
「話し合いに応じてやって、意見もしっかり述べて、受け入れなかったから始末した! 食事
目当てで学校を襲うような連中に比べれば、はるかに穏便!!」
声を聞きながら、根来は暖かい粘膜の中でほっと一息ついた。
で、構えた。シークレットトレイルをいつでも外に出せるよう。
「俺がおもちゃに触れていなければ人喰いの衝動に支配され、他のホムンクルスと同じく多く
の人間を犠牲にするんです。それを防げるなら、部長の一人や二人、別にいいでしょう?
あなたたちだって、多くの人命を救えるなら一人や二人別にいいって時もあるでしょう?」
つい先日まで千歳が所属していた再殺部隊は、まさにそんな方針。
千歳が羨む根来とて、遂行のためなら犠牲を厭わぬ男だ。
久世屋を否定できるいわれはないだろう。
ただ、久世屋を見逃せば、いつかまた同じコトが繰り返される。だから阻止する。
千歳が戦う理由へ介在させて良い感情はそれだけだろう。
「大事なのは、抽出への希求です。何を排しても見たいと欲するコト。それが薄ければ何を
しようと持ちえようと、惰性まみれの世界に呑まれ、機を失う! だから俺はあなた方と戦い
ます。やらかしたコトに対するアフターケアをなさないと、俺はおもちゃで遊べませんからね。
恨みはありませんが、行きます」
千歳は無言で半歩退いた。
瞳に灯った涼やかな光を戦う意思と了承したのか、久世屋は右ポケットから手を抜いた。
「ぶっつけ本番ですが、要は、『変身!』とかやる調子でOKでしょう!」
千歳にありありとつきつけられたのは、六角形の金属片。すなわち。
核 鉄 !
闘争本能を武器へと具現化する結晶!
しかしどこから入手したのか。それに 核鉄を発動できるのは人間型ホムンクルスのみ。
チスイコウモリ型の久世屋に発動はできない筈。
疑問点が錯綜した分、千歳の動きは遅れた。
「武 装 ──」
すでに掛け声という名の予備動作は半ば!
だが。
「発動させると思うか?」
根来の声が突如割り入り、千歳は稲光に灼かれる視界の中で、確かに見た。
細腕につかまれた忍者刀が、久世屋の胸めがけて飛び出すのを!
その出現元がどこか千歳が把握する頃には、奇襲は既に結果を出していた。
(1)どこか説得力のある意見を持っていて (2)でももの凄く狂っていて (3)想像を超えた絵で表される。
ネウロの犯人像を以上のように踏まえてみたのですが、描く分には色々ありますねコレ。
それはさておき、武装錬金には黒崎薫というストーリー協力者がおられるのですが
彼女のHPによると
ttp://plaza.rakuten.co.jp/kurosakibunko/diary/200606220000/ 根来は忍者マニアらしくビックリ。てっきり忍者の末裔か何かとばかり。
というか、根来もアニメに出るのだろうか。声は誰だろう。キョンの人とかだったら笑う。
>>339さん
もし気に入られたら、大槻ケンヂの歌や小説もオススメですよ。あちこちに錬金の元ネタがあります。
例えばパピヨンの父さんの「要」「不要」の思考法。「新興宗教オモイデ教」のトー・コンエの影響がバリバリです。
そして、ここから段々と思考の要素が濃くなります! なにしろ1ヶ月ぐらいかけて「ある物」を作ったので!
>>340さん
実は最近仕入れた知識もあるので、堂々と胸は張れないかも……うーむ。昔から知ってるのは
「ボールペンの先っぽが詰まったら、タバコのフィルター部分に突っ込んで回せ!」ぐらいでしょうか。
なお今後、チスイコウモリならではの「出来事」が二つほど出てきます。お楽しみに。
>>354さん
どうも基本的に、最後の場面につながるよう構成してしまいます。あ、本当に最初の方で部長が残した
アレは、またいずれ。そして今回前回が折り返しですが、良くも悪くも先は長く……長いといえば、
構想中の作品はめっさ長くなりそうです。何せキャラが多い。オリキャラ5人以上は作劇上、どんなモンでしょう。
ふら〜りさん
やはり火サスの因果律からは抜け出せませんねw 恐るべし火サス。
話は変わりますが、今週の週刊少年チャンピオンの涅槃姫みどろは、ふら〜りさん的にツボ
だと思います。もしくは燃えよ剣下巻の「お雪と」って項も。たたみいわしって台詞は、良すぎです。
>484
乙!
スターダスト氏のSSに影響されて、初めてネウロをジャンプで読んでみた
教授恐いよ教授
486 :
作者の都合により名無しです:2006/06/30(金) 12:28:56 ID:dAWgIx3x0
スターダストさんお疲れ様です!
相変わらず文章上手いし心理描写や情景描写まで書き込んでいるのに、
今回はレスごとに工夫もされてますねw
縦書きよくズレなかったなあw
黒崎薫さんって、和月さんの恋人みたいっすね。」
487 :
戦闘神話:2006/06/30(金) 19:24:02 ID:RdX5SDhP0
part.5
「何かを手に入れるためには、何かを差し出さなければならない…。
等価交換、君たち錬金術師の基本だそうだね」
無言でうなずくエドワードの無作法をとがめることすらせずに、
ジュリアン・ソロは話を続けた。
「先ほど私は、君を全力でバックアップすると言った。
代価を求めるほど卑しいつもりはないが、それでは君も納得しまい?」
端的に言うならば、と、紅茶で唇を湿らせて、ジュリアン・ソロは続ける。
「少しばかり、動いてほしいのだよ」
やっぱりそういうことか、そんなエドワードを察したか、
ジュリアン・ソロは。
「君、社交界やサロンで富豪たちの相手をしたいのかい?」
488 :
戦闘神話:2006/06/30(金) 19:27:43 ID:RdX5SDhP0
そう、言った。
エドワード・エルリックは、ぐうの音も出なかった。
ジュリアン・ソロただ一人の相手ですらこれほど戸惑うのだ。
一人や二人ではない。
こういった連中数十人を相手に会話するともなれば、
東部の片田舎出身のエドワード・エルリックにしてみれば勘弁願いところだ。
「わかったよ…」
多少なりともうんざりとした調子であったことは、
触れないでおく優しさがジュリアン・ソロには存在した。
「さっそくだが、私が君に頼みたいことは二つあってね…」
489 :
戦闘神話:2006/06/30(金) 19:35:07 ID:RdX5SDhP0
教皇の間は、本来の主が存在しない。
聖戦終結後。教皇が座すべき玉座には、畳まれた教皇のローブの上に、
シオンが被っていたマスクが置かれているだけだ。
その光景を、さびしいと思う人間ももう、ずいぶんと減ってしまった。
サガ政権下にて、影ながら粛清された者の中には、
シオンの恩顧の人間がずいぶんといたのだ。
彼、ギガースもまたそんな恩顧の人間の一人だった。
だが、彼はサガをサガと知りつつ遣え、その命を永らえていたのである。
ゆえに、サガの乱終結後は当然のごとく処罰されるはずであった。
しかし、彼は禁固という非常に軽い処罰ですんでいる。
「あれ、じっちゃんここにいたんだ?
聖域中さがしまわっちゃったよ」
ギガースは先ほどまでニコルに喚問を受けていたのである。
「おお、貴鬼か?」
490 :
戦闘神話:2006/06/30(金) 19:36:15 ID:RdX5SDhP0
教皇シオンの、生存する数少ない直弟子の一人であり、
貴鬼にシオン最大必殺技・スターダストレボリューションを教示したのは、彼である。
さらには、シオン政権時、サガ政権時ともに大部分の公務に携わり、
聖域のほぼ全権を知っている人間は、いまや彼以外には存在しない。
ゆえに、彼を処罰しきることはできず、
何より、サガ自身の思いを尊重したアテナにより、
不問とされていたのである。
「シオンさまとムウさまの話を聞かせてよ!」
ギガースにとって、貴鬼は孫のような存在だ。
冷遇されるべき彼を、祖父のように慕ってくれる貴鬼の存在は、
ギガース個人にとって非常にうれしいものだ。
「おお、そうじゃの…。
では、シオンさまからお聞きした聖戦の話でもしようかの…」
今、ギガースに権力への欲望はない。
かつて、シオンへの恩義すら凌いだ聖域掌握という権力欲は、
アテナの前に霧散していた。
敗者にむけられる憐憫という、最も重い刑罰にすがりながら、
ギガースは生きている。
491 :
戦闘神話:2006/06/30(金) 19:40:44 ID:RdX5SDhP0
教皇の間・謁見室。そのすぐ隣に、教皇執務室がある。
シオン、サガと続いて、現在の主は祭壇座・アルターのニコルである。
彼は黄金聖闘士ではない。
聖域の統率者である教皇の代行権をもつ助祭長である彼は、
決して武辺者ではない。
サガが彼を青銅聖闘士抹殺のために派遣しなかったのは、
教皇の間の職員であり、
聖域のブレーンの一人だったから、というだけではないのだ。
オルフェ、魔鈴、シャイナ、ダイダロス、ミスティといった、
白銀聖闘士たちの実力者からくらべれば、彼の実力は確実に劣る。
しかし、武力だけが力ではない。
彼のちからは、武以外のところにあるのだ。
戦闘者集団である聖闘士の中では、こまごまとした実務に適した彼は、
非常に貴重な存在なのである。
492 :
戦闘神話:2006/06/30(金) 19:45:45 ID:RdX5SDhP0
「アンドロメダ、ピスケス両名、ご命令により参上しました」
瞬が教皇執務室の前で誰何の声をあげると、
間髪入れずにニコルの声が返ってきた。
「ああ、入ってくれ!」
ほとんど叫び声のような許可の言葉に、師弟二人は執務室へと入室した。
すると中には書類の山脈に埋もれるようにして、ニコルは居た。
「ニ、ニコルさん…?」
瞬は、絶句した。
アドニスも、絶句した。
「頼む、この書類を崩さないようにして机の前にきてくれないか」
できる限り慎重に二人が入室すると、
書類の山に埋もれている、
といったほうがいいようなニコルの顔色が明らかになった。
先月、ムリヤリ暇を作りだし、瞬と共に演劇を見に行ったときよりも、
よりいっそうゲッソリとやつれていた。
因みに、演目は蜷川幸雄演出のメディアだった。
女は怖い、という所で瞬とニコルの意見が一致したのは秘密だ。
493 :
戦闘神話:2006/06/30(金) 19:47:32 ID:RdX5SDhP0
「どうしたんですか?」
その姿は、思わずアドニスがたずねてしまったほどのもであった。
そんな驚愕の師弟の姿に、彼は力なく微苦笑するだけだった。
「実は、大変な事が発覚したのだ、二人とも」
「もの探しと尋ね人だ」
笑みは深いが、決して笑っているわけではないジュリアン・ソロの顔。
なれるものではないが、これから先、嫌になるほど見なければならないのだろう。
そう思うと、よりいっそうゲッソリするエドワードだったが、
これも等価交換だと、ムリヤリ自分を納得させていた。
「探し物は、ある人形師の連作。全部で七体だそうだが、多くは望まない。
せめてひとつだけでも確保してくれ。
尋ね人の名は、蝶野爆爵。東洋の錬金術師だ」
戦闘神話第一回はこれにて終わり
やっちまいました、って感がデケーです。よりにもよってスターダストさんの後に…w
今回登場したギガース、アニメ版聖闘士星矢の序盤に登場したキャラなんで
しってる人あんまりいないかも
彼が登場した理由は、ぶっちゃけ某所の星矢SSの影響です。
設定かぶってます、すみません
>>300さん
錬金つながりでついに武装錬金も…
蝶人登場も近いです
>ハイデッカさん
任せろ
嘘、一緒にがんばりましょう。
謎の美女に新たな敵!嫌がおうにも期待たかまります。
>>345さん
僕も声優ネタやってみたかったりします
ソレントに「オリハルコォーン」と叫ばせたり
「ゴールドバグとよんでくれよ」とかw
>ふら〜りさん
原作で不遇な扱いだった連中に日の目を当てたい。
それが僕のSSのモチベーションだったりします
ジュリアン・ポセイドンはまだまだこんなもんじゃないので、ご期待ください
アフロディーテはもうちょっとカッコよく書いてもよかったかなぁと思っていたり
では、またお会いしましょう
495 :
作者の都合により名無しです:2006/06/30(金) 21:33:07 ID:aN1UCPpr0
>スターダストさん
文章構成もうまいけど、文体?構成もうまいなー。アイデアマンですな
しかし最初は千歳と根来のチェイス物だったのに、どんどんジャンルレスになっていくw
こういういい意味での「取り留めのなさ」がこの作品の魅力ですね。
>銀杏丸さん
とりあえず、某所のセイントSSというのが知りたい。それも銀杏丸さん作なの?
物探しと尋ね人という、ある意味アドベンチャーの王道がどう展開していくか。
しかし、氏は本当に星矢を愛しているんだなあ。
そのとき激しい揺れが宇宙船内を襲った。
『バーディー、バーディー・シフォン。起きてください』
ちょうど調整槽に入っていたバーディーも宇宙船の言葉にすばやく反応する。
「私も感じたわ。起きるから浸透液を抜いてちょうだい」
バーディーが言うまでもなく、宇宙船は浸透液を抜き始めていた。
『なにが起こったんだ?』
頭の中に精神が同居している千川つとむが頼りなげに問いかけてくる。
バーディーは浸透液が抜けた調整槽から起き上がると、いつもの部屋着に身を包みながら
つとむに答える。
「分からないわ。でもおかしいわね。フィールドが効いてるはずだから物理的な衝突はない
はずだけど。宇宙船!」
『はい』
「さっきの衝撃はなに?」
『分析しましたが、現在のところ原因不明です』
「船体に外傷は?」
『ないと思います』
「そう、とりあえずメギウス警部に繋いで」
しかし宇宙船は答えない。
「どうしたの?」
バーディーが聞き返すと、宇宙船はやけに人間的な感じでこう答えた。
『それがその。実は先ほどから緊急の直通回線を開こうとしているのですが、まったく
向こうからの応答がないのです』
「へ?」
一瞬、宇宙船の述べたことが理解できなくて、固まるバーディー。
さらに宇宙船は申し訳なさそうに告げる。
『それと、地球圏内にいる僚船との回線も不通でして』
「私のトワラ・トランとも?」
先ほどから足元で大騒ぎしていたリクルス人の捜査官キデル・フォルテ巡査部長が、その
ときになって初めて発言した。
『僚船全てと、こちらに向かっている辺境観測船とも、とにかく全ての回線が不通です』
「どーなってんの?」
『こっちが聞きたいわ!』
頭の中でつとむがわめく。
「ともかく、状況を確認しましょう。巡査部長」
「キデルでいいよ」
「じゃあキデル、緊急回線を使って信号を送り続けてください」
「君は?」
「船外活動で宇宙船の外観に異常がないか見てみます。宇宙船は現状の維持と突発的な事
態が起こったときの連絡をお願いね」
『了解です』
バーディーは普段は着慣れない船外活動服の収納されているボックスを開けると、急いで
着込んだ。
戦闘が起こったのならともかく、普段ならありえないことだが、船体が損傷を受けていて
はどうしようもない。
最後にヘルメットを装着するとエアロックに入り、空気を抜いてから外に出る。
『おいおい、こんな薄い宇宙服で大丈夫かよ?』
つとむが初の船外活動にびくついている。
「安心なさい。この宇宙服はあたしの生体防御以上の強度があるんだから」
『でもさあ……』
「おかしいな、特に損傷はないようね」
なおも言い募る勉はとりあえず無視して、バーディーはゆっくりと宇宙船の周囲を移動し
ながらチェックしていく。
そのうち、宇宙船の向こうから地球が見えてきた。
「あれ?」
『あれ?』
バーディーとつとむの二人が気付いたのは、地球がなにか変だということだった。
「つとむ、あんな大陸あった?」
『い、いや、地図でも見たことないぞ』
「大きなクレーターに侵食されているようにも見えるし……」
『大地の面積が……、小さいような……』
どう見ても、地球の大陸とは思えなかった。
『「どうなってんの、これ?」』
最初の異変に気付いたのはこれだった。
「宇宙船!」
『はい』
バーディーの呼びかけにすぐさま宇宙船から返答が帰ってくる。
「ちょっと全天周観測と、月の位置、それから地球の観測をお願い。それからそのデータと今までの
地球のデータとつき合わせてみてくれる?」
『了解です』
「私はすぐに戻るわ」
『いったいなにがあったんだよ?』
つとむがいつものかんしゃく気味の声を出す。
「分からない。分からないことだらけだわ。つとむも私の目を通して見たでしょ? あの変な地球を」
『そりゃまあ見たけどさ』
「とにかく、船内に戻って分析よ」
バーディーはつとむに言い聞かせるようにして、船内に戻っていった。
「おいバーディー、こりゃ大変なことになったぞ」
キデル・フォルテが宇宙船の床面に映し出された映像を眺めながらそう言った。
「ど、どう大変なんです?」
「宇宙船、解説頼む」
『はい。バーディー・シフォン、ありていに言えば、あの星は地球ではないということです』
「は?」
『もう一度言います。あの星は地球ではありません。さらに言えば、連邦と同盟のどの星にも属して
いない星です。私の記憶データバンクにあの星は入ってないのです』
『「えーっ!!」』
大仰に驚くバーディーとつとむ。しかし宇宙船は意に介さずさらに解説を続ける。
『この星が地球でないという証拠がもう二つあります。この星の月ですが、地球のものと組成がまっ
たく異なりますし、直径もやや小さいです。そしてなにより天文観測によると、星の位置がまったく
異なります。これは三次元位置が地球でないことの証左といえましょう』
「だとさ、バーディー」
「気楽ですね、キデル」
「いや、俺も驚いてるよ。でも今はどうしようもないからね。俺たち、根は楽天家だから」
『さすがげっ歯類』
つとむが言わずもがなのことを言う。
「じゃああの星が地球でないとするとなんなの?」
『さあ、私には皆目見当がつきませんが、推定することはできます』
「その推定とは?」
『320週期前になんらかの原因でピンポイントでゲートが開き、ゲート出現時に爆発もせずにどこかに
飛ばされたという報告があります。当然、飛ばされた宇宙船は戻ってきてはいませんが、現状では
妥当な線ではないかと考えます』
「ゲートねえ……」
『それと蛇足ですが、スペクトル分析によると、あの星の大気組成は地球とほぼかわらなそうです』
「うーん……」
床面に映った星を眺めながらバーディーは唸る。
「いっちょ降りてみたらどうだ?」
キデルが無責任に言う。
『キデルさんのいうとおりかもしれないな。このままじゃどうにもならないよ』
「うわ珍しい。つとむが勇ましいなんて」
『茶化してんじゃないよ。僕だってこんな異常事態から早く解放されたいんだ!』
「分かってるわよ。……宇宙船、どこか適当なポイントを探してちょうだい。とりあえず干しに降りて
調べてみるわ」
「俺っちの助けが必要ならいつでも言いな」
「ありがとうキデル」
『では、地表をスキャンして、人気のない丘当たりを探してみます』
「よろしく」
こうしてバーディーとつとむは得体の知れない惑星へと降り立つこととなった。
501 :
作者の都合により名無しです:2006/07/01(土) 12:31:25 ID:kKnLrjlF0
これはどなたが書いた作品なのだろうか?
もしかしてちょっと消えてた職人さん?だと嬉しいな。
新人さんだと勿論嬉しいけど。
名前も後書きもない・・
バーディというキャラも元ねたの漫画も知らないけど、
オリジナルの宇宙オペラとして読ませて頂きます。頑張って下さい。
>銀杏丸さん
エドが一応主役ですよね?でも、セイントたちの超戦闘力に錬金術が通用するかな?
でも物語はまだまだ序盤なので期待して待ってます。お仕事もがんばってね。
>名無しさん(もしかして、しぇきさんとか、サナダさんとか、うみにんさんとか?)
ふらーりさんが好きそうなのを持ってきましたねw俺もバーディは詳しくないけどゆうきまさみ好き。
勿論、これは連載してくれるんですよね?旅立ってそのまま終わりってのは勘弁して。
『バーディー、小高い丘にポイントを設定しました。すぐに降りられますか?』
「ええ。テュート、転移モードへ」
バーディーが唱えると、その姿が連邦捜査官の生体皮膜による防護スーツに変容する。
『ゲート開きます』
宇宙船が答え、バーディーの目の前に円形の空間転移ゲートが出現する。
その向こうの丘の上から見える風景は、広大な平原のようだ。
バーディーはそれを確認して一歩外に踏みだした。
「あ!」
ゲートから顔を出していたキデルが声を上げる。
その声に反応するでもなくバーディーが左を向くと、巨大な鉄板がバーディーめがけて
飛んできたところだった。
「ぶっ!」
避ける暇もなく、直撃を受けて吹っ飛ぶバーディー。
ゲート付近では風圧を受けてキデル一人が外に転がり落ちる。
『危険です!ゲートを閉じます』
宇宙船は一方的に宣言すると、バーディーとキデルを残してゲートを閉じた。
「うあ、痛ぁ……」
顔面をしたたかに打ち付けられて、鉄板を跳ね除けて起き上がったバーディーは涙を流し
ながら鼻をさする。もちろんつとむは目を回している。
「バーディー、大丈夫か?」
体の小さなぶんの役得か、転がり落ちても傷一つないキデルがバーディーに駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫ですけど、なんなの一体……」
「どうやらあれらしいよ」
キデルの指差す方向には、見知らぬ飛行機械が煙を噴き上げながら滑空している。
どうやら、あの機械の外板かなにかに衝突したらしい。
「なんなんです、あれ?」
「いや、俺に聞かれても困るけど……」
「わーっ!!」
突然、見知らぬ方向から叫び声が上がる。
バーディーとキデルはびっくりして文字どおり飛び上がった。
「人だ!」
という声のほうに目を向けると、ひとりの快活そうな少年が奇妙な衣服を身にまとって
倒れてる少女を見つけて驚いてるところだった。
「動かないけど、死んでるのかな?」
恐る恐る少女の様子をうかがう少年。見かけは地球人とまったく変わらないように見える。
バーディーは状況をまったく把握できてないが、思い切って少年に声をかけてみることにした。
「ねえ君」
「えっ?」
少年は話しかけられて初めてバーディーの存在に気付いたようだった。少女とバーディーを
交互に見ながら今起きた事柄を必死に整理しようとしているように見える。とりあえず言語に
よる意思疎通は可能な様子だ。
「お姉さん、誰?」
少年は少女の様子を気にかけながら聞いてきた。
「私はバーディー。バーディー・シフォンよ。君は?」
「よかった、息をしてる。あ、僕はザン。下の森に親方と住んでるんだけど……」
「だけど、なに?」
「お姉さん、この子の知り合いですか?ルアイソ−テの飛空挺から落ちてきたみたいだけど」
ザンと名乗った少年は、なぜか妙に身構えた格好を見せた。
バーディーはそんな少年を不思議に思ったが、なにか誤解してることだけは理解できたので、
それを否定する。
「いいえ、私はそのルアイソーテ、だっけ?それとは関係ないわ。私は別のところからここへ
来たのよ」
なるべくにこやかに対応したおかげか、ザンの態度が少しだけ軟化する。
「じゃあお姉さんはどこから来たの?僕がこの崖を登ったときにはいなかったけど」
と言われると困るバーディー。
「は、反対のほうから登ってきたのよ」
とっさに嘘をつく。
少年はじっとバーディーの瞳を見つめると、なにか思い当たったのかにっこりと笑った。
「まあいいや。お姉さんがルアイソーテの人間であの飛空挺の乗組員なら軍服を着てる
はずだしね。でも、この子をこのままにしてはおけないよ。怪我をしてるかもしれないし」
ザンはいまだピクリとも動かない少女を見やって困った顔をする。
「とりあえず親方のところに連れて行こうと思うんだけど、お姉さん手伝ってくれる?」
バーディーはキデルと顔をあわせ、相談する。
「どうします?」
「いいんじゃないの?手伝ってやれば?」
あくまで気楽なキデルだった。
バーディーは小さくため息をつく。
「分かったわザン君。私が彼女を背負うから君が案内してちょうだい」
バーディーとザンとの運命の出会いはこうして訪れたのだった.
最初に自己紹介が抜けてすみませんでした。
はじめまして。「バーディーと導きの神」の書き手で17〜といいます。
バキスレは以前からROMってましたが、今回一念発起して書き手に挑戦してみました。
知っている人が少ないネタで恐縮ですが、完結までお付き合い願えたら幸いです。
連日投稿GJ
新人さんは大歓迎だよ
元ネタはよく知らないので、次回書き込み時にでも
詳しく教えてもらえれば嬉しいな
「七不思議、そうなる予定で話を進行して来た7人、
その内の一人は聞き手として話をまとめていたので怪談を語ることは無く、
最後の語り手が来る予定だったのだが、話が終わっても最後の語り手は来なかった。」
唐突に語りだすユダ、今までの話し手の様に話術、演技を用いる事は無く、
ただ話を明確に伝えるために話している、だからこそ感じるのであろう。
何者からか送られた、深く濃密にからみあう『恐怖』の念が。
「いつまで経っても来ない最後の話し手に痺れを切らしたその場の一同が、
一度帰ることにしたその時、最後の話し手がやって来た、新聞部の部長がな。」
新聞部、そのキーワードに反応を示すシコルスキー、
それもその筈、彼の話の聞き手にも新聞委員が出ていたのだから。
「おい、もしかして聞き手にも新聞部が・・・。」
「ああ、居たよ。7人の中の聞き手がその部長の後輩だ。」
シコルスキーの反応を予測していたのか、全て言い終わる前に答えるユダ。
少しの沈黙の後、再び話を進める為に眼を閉じて精神を集中させる。
「先に言っておく、この話はシコルスキーの話したトイレの男で出た、新聞委員の身に起きた出来事だ。」
怪談を話すに措いて、物語の重要な謎を先に話すという事は普通
その場の雰囲気を濁してしまう。だがこの時は違った、今まで話して来た
物語の数々は、最早怪談ではなく事実である事を認識し始めていた。
「付け加えるならばこれは幾つかある内の結末の一つ、シコルの話したラストも、これから話す事も。
シコルス、ドリアンの話は両方とも怪談をするため学校に集まっている。
ドリアンの話が日本の話ではなかったのは、ドリアンに日本絵画の知識が全く無かったからだ。
恐らく頭にある知識を使って話を構成しているのだろう、その為にモナリザを使った。
スペックの優れた視覚は無意識にモナリザの謎を目撃し、脳へと伝達されて怪談が構成されたのだ。」
次々と謎を発覚させていくユダ、全て空論に過ぎないが間違いとも言い切れない。
「だが、柳とスペックの話は学校とは無関係だぞ。ドイルの話も学校が舞台だが、七不思議という訳では無い。」
話に共通点を見出せないシコルスキー、唐突にユダへと質問を投げかける。
「いや、関係はある。お前達が話して来た怪談全てを、俺の思い浮かんだ怪談で新聞部の奴が聞いていた。
スペックの話は聞かなかったが、中には絵画の話もあった、スペックの話は本来それにする予定だったのだろう。」
柳が何か質問したそうにしているのを見て、杭を打つ様にして話を進める。
「ちなみに絵画は描いた本人の肖像画らしい、今、怪談を構成している俺にも絵は見えんのだ。
多分スペックで無くともモナリザの話に移っただろうな。」
柳が感じた『知らない情報を使う事は出来ない』という疑問を一瞬で見抜き、
絵画の正体を明らかにするユダ、確かに本人の肖像画ならば誰も知らない。
元の怪談である肖像画に変わって、世界的に有名なモナリザを選んだという訳だった。
「さて、すっかり話が逸れてしまったが、怪談話に戻るとしよう。
遅れてきた部長は差し入れに飲み物をその場に居た全員に配り始めた。
重い空気に心身共に疲れ果てたのか、次々と語り手達はそれを手にとっていった。」
質問への応答を終え、再び怪談を語り始めるユダ。
「全員が喉の渇きを潤すと、新聞部の部長が最後の怪談を持ち出した。
部長の持ち出した怪談は、学校で密かに行われている奇妙な実験の事だ。
理科室に鍵のかけられた扉がある、その中で『白髪鬼』と呼ばれる
教師がとんでもない物を作っているという噂が学校に広まっていた。」
ユダの話が進むに連れて、上空を支配していた雷雲は静かに、
洞窟から見渡す限りの空を、暗黒で覆っていった。
「学校中に広がっている噂を、怪談の語り手に選ばれる程の
人間の耳に入らない訳がなかった。当然、その場の全員がその話に興味を示した。
だが部長が地下室の中については知らないと話すと一瞬にして興味を失ってしまった。」
話を振っておきながら知らないと言う部長の話に、拍子抜けする死刑囚達。
だが最後の怪談がそんな事で終わる訳は無く、続く話に恐怖を抱く事になる。
「この部長、タチの悪い性格をしている様でな。興味を失ってガッカリした
様子を心の底で笑い終えると、興味を惹く『餌』を見せびらかす事にした。」
興味を惹く『餌』、その言葉に氷が背中に張り付いたかの様な感覚を覚える。
果たしてそれは只の学生の悪戯なのか、ドリアンの話した少女の前例があるだけに不安に駆られる。
「その部長が見せびらかした餌、それは地下室への鍵だった。
語り手達の中には当然、上級生も居た、彼等が職員室に入る機会は多い。
だが部長の持っていた鍵は見た事の無い古びた鍵だった。そして彼の一言で、
再び興味を取り戻した語り手達は未知の領域に踏み込む事になった。」
「これから、その地下室を調べにいかないか?」
恐怖という道に続いていても、人は好奇心からそれを求めてしまう。
まるで甘美な果物の様に、だがそれは禁断の果実。
手にした者には神の裁きが降る事になるとも知らずに。
「夜の学校を徘徊する七人の語り手と一人の聞き手。
彼等は教員に見つからないように、足音を忍ばせながら理科室へと向かった。
教員も人が居る訳が無いと高をくくっていたのだろう。
理科室には難なく入ることが出来た。」
理科室、そのイメージは案外、万国共通の物である。
大量に並ぶ薬品、ホルマリンに浸けこまれたカエルや蛇。
薬ビンが硬く閉じられていても、室内では奇妙な臭いが鼻につく。
静寂が恐怖を呼び、夜の闇が探究心を生み出す。地下室への
扉を見つめる語り手達の心臓は、高く波打つ鼓動と期待に膨れ上がった。
「地下室への扉自体は呆気なく見つかった、問題はこの先だ。
大きめな南京錠を古びた鍵で開くと、地下室から、まるで
死体を燃やした様な臭いが充満していった。お前達なら
判るだろうが、彼等には臭いとしか感じなかっただろうな。」
犯罪という甘い誘惑に乗った御蔭で死刑宣告を受けた彼等だが、
犯罪者となった事を後悔した訳では無かった。
強くなる術も、戦う相手にも、何一つ不自由しなかったからだ。
そして何よりも、『人を殺してはいけない』という鎖から解放された事。
そんな彼等が焼死体の臭いを知らない訳が無かった。
「一体その中には何があったんだ?
白髪鬼の焼死体が転がってた訳じゃないだろう。」
その場の空気に耐えかねたシコルスキーが急かす様にして尋ねた。
臭いの正体、そして地下室の奥に潜む物の正体を。
「臭いに吐き気を覚えた彼等だが、好奇心が冷める事は無かった。
真っ暗な室内の先にある物を想像すると、体中がゾクゾクと震え上がり、
甘美でいて、今まで味わったとこの無い様な最上級の
メインディッシュを目の前にした錯覚を覚えるからだ。」
洞窟の外に広がる雷雲は、既に雲と呼べる物ではなくなっていた。
元から黒かった紙に墨汁を垂らしても、これ程の黒に染まる物だろうか。
そして、その世界を覆う漆黒の中心では、六人の罪人が恐怖への扉を開けていた。
513 :
邪神?:2006/07/02(日) 11:43:14 ID:ROoTEbj80
クラスマッチョとかあってバテちゃって遅めの執筆。邪神です。
まぁネタが中々思い浮かばなかった、って理由もありますが。
今回のインスパイヤは学怖を買って初めて出たラストをチョイス。
しかし今にして思えばドリアンにはキャンディ婆さんの話させるべきだった。
当初はそれが目的だったのに何処かでアルツハイマーが作動してしまったのか・・・。
そうそう、このスレの書き手の方々も事故にあってる様ですが家の姉者も遭遇しました。
家に帰ったら姉のスクーターのナンバープレートがへし曲がってたのでビビりましたよ。
まぁかすり傷ですんでましたけどね、轢いちゃった人がまずい菓子もって見舞いに来たそうです。
みなさんも気をつけてくださいね。ちなみに結構昔ですが、自分も事故に遭いましたよ、
まさかあんな所を怪我するとは・・・それでは講座は無いので感想に対しての感謝を。
〜感謝〜
ふら〜り氏 ユダに限らず北斗軍団はモヒカンであっても暗闇で見るとヤバそうです。
サウザーやらラオウならまだ普通に怖そうですがトキなんてスケルトンですよ。
あんなゲッソリした人が暗闇から出てきたら落ち武者か何かと間違えそうです。
サマサ氏 のび太って射撃も得意だし意外とGUN道に向いてたりするのか・・・。
そうなると浪人のポジションは・・・ドラえもん?ハゲだし。
426氏 >>このままレギュラーになるといいな
大丈夫です、主役のホークがサブレギュラーですから・・・。
428氏 自分も元ネタの小説を読んだ時は「良く思いついたな」とか思いました。
残念ながらタイトルは忘れてしまいましたが、角川書店のホラーにありました。
マイナーな作品だったので探すには根気が必要ですが、面白いのが揃ってましたよ。
430氏 サガチームにはケンタロウ、死刑囚はカイル達と別れて マッチョ5+ユダ=漢祭り状態。
更にテイルズチームにも濃いのが入る予定、キャラがどんどん濃いのばかりに・・・。
親方の家というのは、丘の近くの小さな村はずれにあった。
直方体の一枚岩をくりぬいて作ったようで、がっしりした建物だ。
しかしバーディーが驚いたのは、その入り口の扉の大きさで、高さは優に三メートルはあった。
ただしその扉には別に小さな扉もついており、ザンとバーディーはこちらの扉を使って建物の
中に入った。
「お邪魔しまーす」
少女を背負ったバーディーと、そのバーディーの肩に乗ったキデルは、ザンに案内されるまま、
三階の彼の部屋まで連れて行かれた。
そして少女をそっとベッドに寝かせる。
「お姉さんはここにいて。僕は親方を連れてくるから」
「うん。でもザン。私のことはバーディーって呼んでいいわよ。お姉さんじゃ呼びにくいでしょ」
「わかったよ。じゃあバーディーさん、ちょっと待っててね」
ザンは急いで階段を下りていく。
バーディーは手近な椅子に腰を落ち着けると、あらためて少女の様子を見た。
「この少女、只者じゃなさそうですね」
「緑色の髪をしたアルタ人や地球人は見たことがないしねえ」
「あの子の服の素材も連邦星系のものにはありませんね」
などと会話をしていると、ザンが誰かを急かしながら階段を駆け上ってきた。
「親方、早く!」
「そう急くな。人間用の天井は低くて歩きづらいんじゃからの」
そう言いながら階段から顔を出したのは、身の丈5メートルはあろうかという首の長い
爬虫類風の人間だった。
「キデル、見たことありますか?」
「いや、ないね。こりゃあ宇宙船の言ってたことはいよいよ本当のことかもしれないね」
バーディーとキデルは嫌な予感に身を硬くする。
しかし、ザンの部屋に入ってきた爬虫類風の人間は、バーディーを見るなりにっこりと
笑いかけてきた。
「あんたがザン言っとったバーディーさんかね。よろしく。わしは氷牙。みてのとおり
老いぼれ竜人じゃよ」
「こ、こんにちは」
「親方!挨拶はいいから、こっちの子を見てやってよ」
ザンは氷牙の服を引っ張って、寝かしつけてある少女の様子を見てくれとせがむ。
「大丈夫よザン君。この子は熱もないし怪我もしてないわ。ただ普通に寝てるだけみたいよ」
バーディーが氷牙に代わって説明する。
「でも飛行艇から落ちたんだよ!」
「んー、バーディーさんの言うとおりじゃな。この娘は大丈夫そうじゃ。飛行艇からはうまい
落ち方でもしたんじゃろ。そうでなけりゃ、この娘が普通じゃないのかもしれんな」
「普通じゃない?」
「見てみいザンよ。わしはこんな緑色をした髪の毛の人間などみたことないわい。それに
この服の素材。ルアイソーテの連中は、いったいどこからこの子を連れてきたのやら」
氷牙はそう言ってザンを落ち着かせると、今度はバーディーに目を向ける。
「バーディーさんとやら。どうやらあんたもわしの知らない人間のようじゃな。この娘とは
違うが、お前さんの服装も見たことのない代物じゃわい」
氷牙はあくまでも落ち着き払った態度を崩さないが、バーディーたちに警戒心は抱いて
いるようだった。
バーディーは無理もないと思いながらも、適当な嘘を考え始める。
しかし、バーディーが答えるより先に、キデルが口を出した。
「我々は連邦警察の特捜班の人間です。今までは地球という星で捜査活動をしていたの
だけど、宇宙船が奇妙なトラブルに巻き込まれて、気がついたときにはこの星の衛星軌道上
にいたんですよ。そのため我々は、この星に降りて状況を確認していたところなのです」
なんとキデルはこの現状の状況さえ理解できてない状態で包み隠さず真実を語った。
バーディーはキデルのその真意を測りかねて驚くのみだった。
だが、驚いたのはバーディーだけじゃない。氷牙とザンも同様に驚いた。
「ネ、ネズミが喋った!」
「こりゃ驚いたわい」
二人とも、一言言ったきり固まっている。
「私はネズミじゃないよ。リクルス人という人間だよ。言葉も喋れば頭も使える。君たちと
変わらない人間だよ」
キデルは人差し指を立てて得意げに説明する。
「はあ〜……」
「世の中まだまだ珍しいことがあるもんじゃわい」
ザンはいまだに事を理解してないが、氷牙は年の功か、それとも生来無頓着な性格なのか、
そう言った後豪快に笑ってみせた。
「いいんですか?本当こと話しちゃって」
「いいんじゃないの?ここは本当に我々が知る連邦や同盟とはまったく無関係な場所
みたいだし」
あくまで楽観的なキデルだった。
その会話を聞いていたのか、氷牙が興味深そうに聞いてくる。
「あんたら、宇宙船とか星とか言っとったの。わしも生まれて長い年月を過ごしてきたが、
星から来た人間というのは見たことはない。じゃが、若い頃古代文献で星をを旅した人間の
話を読んだことがある。どうじゃろ、あんたらの話、聞かせてはくれまいか?夕食もご馳走
するでな」
氷牙は好奇心の強そうな瞳でバーディーとキデルの顔を覗きこんでくる。
そう言われれば仕方ないというか他に道はない。この星のことを詳しく知るためにもこの
老人の知識は役に立とう。
バーディーとキデルは謹んで氷牙の歓待を受けることにした。
この場面で投下していいものか迷いましたが投下させてもらいました。
非常識だったらすいません。
>>508 元ネタはゆうきまさみ作「鉄腕バーディー」と円英智作「エルデガイン」のコラボです。
そろそろ次スレですね!
520 :
作者の都合により名無しです:2006/07/02(日) 15:43:24 ID:uT3BMTjjO
いや、別にかまわないと思うけど。
邪神さんの投下からは三時間たってるし。
521 :
作者の都合により名無しです:2006/07/02(日) 18:01:12 ID:YQYiteiJ0
>邪神様
もはや小学生の仲良し集団並だな、この連中・・w
えらい古き良き昭和の時代がするような怪談話に怖がるメンバーがかわいい
戦えばそれなりに強いのにね
>17さん
お疲れです!バーディはちょっとだけ知りませんがエルデガインは知りません。
でも、なんとなくファンタジーのような惑星冒険譚のような感じがいいです!
522 :
テンプレ1:2006/07/02(日) 18:20:41 ID:YQYiteiJ0
523 :
テンプレ2:2006/07/02(日) 18:21:21 ID:YQYiteiJ0
524 :
テンプレ3:2006/07/02(日) 18:23:38 ID:YQYiteiJ0
525 :
テンプレ屋:2006/07/02(日) 18:25:53 ID:YQYiteiJ0
いつか来ると思ってたけど、うみにんさんとゲロさん、ユルさんを
テンプレから外さないといけない。
今回、テンプレを遅れたのも、もしかしたら復活されるかな、と思ってね。
特にうみにんさんなんて、ホームページも止まってるよ。VSさんも。
何かあったのかと心配になるね・・
カマイタチも終わったし、名職人が次々と去るのは寂しいねえ・・
でも3ヶ月音沙汰が無いので流石に。出来ればご連絡を。
サナダムシさん前回4月29日、しぇきさん5月2日で、
2ヶ月だとギリギリアウトなんだけど、今回は入れておきます。
復活を願ってね。
526 :
ふら〜り:2006/07/02(日) 19:07:53 ID:beMWadlR0
>>サマサさん
久しぶりに、本作誇る美少女チームによるギャルゲ時空満開ですな。ここしばらく熱い男の
友情話が続いてただけに何とも華やか。その華たちに対するのび太とアスランの差が何とも
楽しい。これがギャルゲなら、もう攻略キャラを絞ってる時期……ED近し、なんですね。
>>全力全開さん
次回は、もう少し書き溜めてから出して下さると有り難いです。でフランスケーキ、確かに
覚えがあったので思い出そうとしてる間に解答が出てしまってちと悔しい。原作でもメロン
やケーキが定番ですが、高級品・ご馳走に対する発想の子供らしさってのも可愛いですなぁ。
>>スターダストさん(あのセンセの構想してた作品は、ぜひ読んでみたいですな)
うん。敵キャラには、というか敵キャラにこそ独特かつ奥深い哲学が欲しいところですよね。
主人公側は復讐とか贖罪とか純粋な正義で充分なので。しかし今回は何つーか……お疲れ様。
きちんとした文章力・構成力に加えて、こういう奇抜な発想もできるって素直に凄いです。
>>銀杏丸さん
前作でもちょこちょことそういう要素がありましたが、聖域における事務方の存在ってのが
リアルというか生々しくて良いですな。確かに、いて当たり前のものですし。不遇と言えば
白銀は丸ごと不遇。でも登場した面々は殆ど死んでる(多分)。救えるものならお救いあれ。
>>17〜さん(SSを読むのは楽しいですが、書くのもそれに劣らず。頑張って下されぃ!)
飾りっけのない比較的平易な文章ですが、内容は謎&広大な空気。そんな内容が平易な文章
のおかげで読み易くなってる感じです。残念ながら原作は未読ですので、できれば世界観や
キャラの外見などの解説を何卒。未知の惑星に発進した本作、今後の広がりに期待ですっ!
>>邪神? さん
締めはどれが来るかなと思ってましたが、コレですか。あの作品の中ではかなり非オカルト
な話ですよね。しかし改めて言われてみると、我らが死刑囚ズは明確に犯罪者で悪人でした
な。脱獄の経緯が全員アレですから、実は冤罪とか正当防衛とかって言い訳も不可。むぅ。
>>テンプレ屋さん
おつ華麗さまです。確かに、ごぶさたな人が多いですね……復活祈願。でも新人さんも
来られてますし、ここが賑やかに楽しい場所である限り、きっと帰ってきて下さいますよ。
ちょっくら立ててくる。
hosyu