【2次】漫画SS総合スレへようこそpart31【創作】
1 :
作者の都合により名無しです:
2 :
作者の都合により名無しです:2005/11/08(火) 14:09:06 ID:W80gBNea0
3 :
作者の都合により名無しです:2005/11/08(火) 14:10:35 ID:W80gBNea0
4 :
作者の都合により名無しです:2005/11/08(火) 16:42:08 ID:DtLzRxK40
スレ縦乙です。
一番載りは誰かな。
また盛るといいですね
>>1 乙。
結局、ザク氏やブラキン氏、ユル氏の復活宣言は無かったか・・
突然の復活期待。
第二十七話「機神獣・アヌビス」
「うう・・・」
自分のうめき声で、ペコは意識を覚醒させた。記憶がはっきりしない。確か、巨神像が破壊されたところまでは覚えて
いる―――そこで疑問が生じた。巨神像があれほど破壊されて、何故ぼくは生きている?それとも、死んだのか?
ゆっくりと目を開く。そこに広がっていたのは、異様な光景だった。さっきまでのだだっ広い巨神像の操作室ではない。
そこは、まるで機械仕掛けの子宮のようだった。ごちゃごちゃした計器類、目の前の操縦桿らしきもの、モニター―――
そう、まるでロボットのコクピットのようではないか。
「ここは、なんなんだ・・・?やっぱり、死ぬ間際の夢でも見てるのかな・・・」
<そうではない、バウワンコの子孫よ・・・>
「うわっ!?」
突然返ってきた言葉に、思わず情けない声を出してしまう。だが謎の声はそれに構わずに続けた。
<先ほどのあの男の攻撃により、私の外壁である巨神像は破壊された―――だが、それが私を再起動させるトリガーだった
のだ。そのままではあなたが死ぬところだったので、大至急私のコクピットへ避難してもらった>
「な・・・なんだって?突然すぎて、話が見えない。まず、君が誰なのか教えてくれ!」
<ふむ、無理もないがさすがに混乱しているようだな。よかろう、まず私の名を教えておこう―――我が名はアヌビス。
正確には、アヌビスに搭載されたサポート用AIだ>
「アヌビス・・・」
その名には、すぐに思い当たった。確か犬の王国を発つ前に、ブルススから聞いたのだ―――
世界に暗黒が迫りし時、巨神は石の身体を脱ぎ捨て、金色に輝く裁きの神<アヌビス>となる―――
「ぼくは、ブルススにそう聞いた。だけど―――やっぱりよく分からない。アヌビスとは、一体何なんだ?」
<あなたの疑問はもっともだ。よろしい、全てお話しよう―――そのためにあなたには知ってもらう。犬の王国に隠された
真実の歴史―――黒歴史を!>
その声と同時に、モニターに電源が入る。そこには、まるで近未来の都市としか思えないような街並みが広がっていた―――
そして、アヌビスが語り始める。数千年に渡って隠されてきた真実、黒歴史を―――
<今から約五千年前、犬の王国は恐ろしく高度な文明を築き上げていた。それはあなたも知っているはずだ>
「ああ・・・けれど、この街並みが五千年前の王国だというのか?いくらなんでも、これではまるで未来文明だ。ぼくが
聞いた話では、精々が火を吐く車や空飛ぶ船があったとしか・・・」
<そう、それはその通りだ。だが文明の進化はそんなレベルでは終わらなかったのだ。あなたの知る歴史にどのような
修正がなされているのかは知らないが、古代の犬の王国は恐るべき速さで進化していった。はっきり言って、今の時代で
最新鋭とされている科学が当時の犬の王国の科学に追いつくには、あと百年が必要だろう>
「そんな・・・」
恐ろしいほど胡散臭い話だったが、そう考えればこの<アヌビス>の存在にも納得がいく。ここまで自律的な会話が可能な
AIなど、現在どこを探しても見当たらないだろう。そう、それこそドラえもんが生きる未来世界にも匹敵する科学力でも
ない限り―――
「そんなとんでもない文明が、何故失われたんだ?そしてアヌビス―――君の正体も、さっぱり分からない」
<急かすな、話はここからだ―――モニターを切り替えるぞ>
次にモニターに映ったのは、異様な光景だった。近未来的な街が焼き払われ、破壊され、無残な廃墟を生み出していた。
そして、その廃墟で蠢く巨大な物体―――
「な・・・!?」
それは、ロボットだった。数十メートルはあろうかというロボットの大軍が、古代王国を蹂躙し尽くしているのだ。
<犬の王国は、空より降ってきた侵略者によって襲撃を受けた―――恐るべき敵だった>
「空より降ってきた・・・?まさか、異星人だとでも!?」
<その可能性がもっとも高いだろう。私たちはそれを招かれざる客―――ゲストと呼んだ>
話している間にも、モニターの中では残虐な破壊行為が行われている。逃げ惑う人々の姿もそこにはあった。
両親の姿を求めて泣きながら彷徨う子供、恐らく恋人のものであろう死体に縋り付く青年―――
「くっ・・・なんてことを・・・」
<・・・バウワンコ一世陛下は王国を救うため、一心不乱にゲストに対抗するための研究を続けた。そして―――彼は
ついに生み出したのだ―――幾千、幾万、幾億の試行錯誤、偶然に偶然を無限に掛け合わせて起きた奇跡、その果ての
唯一無二の兵器―――それが私、<機神獣>アヌビスなのだ>
画面が再び切り替わる。どこかの研究所らしき場所で、精悍な顔をした壮年の男が、巨大なロボットを前にしていた。
その男の顔には、ペコも見覚えがあった―――というより、ある意味見慣れた顔だった。何せ、齢の違いがあるとは
いえ、自分にそっくりだったのだ。
「まさか・・・これがバウワンコ一世陛下!?」
<そう、実にあなたに似ているだろう?そして、彼の目の前にあるロボットをよく見るがいい―――それがアヌビスだ>
促されて、ペコはそのロボットを注視する。
身長は40メートルといったところ。その姿は鎧を纏った人間を巨大化させたといえば、一番近い。変わったところといえば、
背中に飛行機能の補助のためか、翼を模したユニットが取り付けられているぐらいか。
ただ、頭部だけは異彩を放っている。犬の顔を模している所は巨神像と同じだが、造詣はそれとはまるで違う。まるで闘犬
の如く猛々しく、それでいて深い知性をも感じさせる、兵器というよりも既に一個の芸術品のようでさえあった。そして
その全身は、朝焼けを思わせるような黄金色で統一されている。
それはまさに黄金の巨神―――
「アヌビス・・・これが君の姿なのか」
<そう―――そしてバウワンコ一世は自ら私に乗り込み、ゲストと戦った。それはあらゆる思惑を越え、ただただ生き延びる生物
としての本能に基づいた、ある意味ではもっとも純粋なる戦いだった。そして、無限に続くかのように思えたその戦いも、ゲスト
たちの撤退により、ついに終結した。だが破壊され尽くした王国には、かつてのような高度文明は失われていた・・・。そして
その後、バウワンコ一世はその文明を復活させることはしなかった。あまりにも高度に発達しすぎた世界が災いを招いたのではと
危惧した彼は、一切の文明を放棄し、黒歴史として封印したのだ―――私もまた彼の望みを理解し、眠りについた。
―――巨神像に、その身を隠して>
「・・・・・・!」
<もう分かっただろう―――巨神像とは、私の寝床に過ぎない。あるいは私の強大な力を封印するための拘束衣といってもいい。
そしてそれが破壊された時に、再び目覚めるようにプログラムされたのだ―――すなわち、世界に迫る危機を救うために>
長い話が終わった。ペコはというと―――圧倒され、声もなかった。
はっきり言って、滅茶苦茶な話だ。五千年前に超高度文明があり、異星人が攻めてきて、巨大ロボットまで造られたなど―――
だが、目の前にそれがあるのだから、信じるしかない。何よりも―――それは今、ペコがもっとも必要とするものだった。
すなわち、力。誰かを守るためにも、力は必要なのだ。何かを成し遂げるためにも、力が必要なのだ。
「アヌビス―――君はぼくの味方なんだな?」
<肯定する>
「ぼくのために―――ぼくの友達のために、戦ってくれるんだな?」
<あなたがそれを望むなら、私はあなたの剣となろう>
「分かったよ、アヌビス―――」
ペコはふっと、新たなる仲間に向けて微笑んだ。
「共に行こう、アヌビス!」
<―――了解する!>
ペコは目の前の操縦桿を握り締める。動かせないなどとは、まるで考えなかった。まるで自分のために拵えられたかのように、
自然に手に馴染む。
<それもそのはずだ。あなたが気絶している間に、睡眠学習の要領で脳に直接私の操縦方法をインプットしたのだからな>
「・・・待て、悪質な精神操作じゃないのか、それは?」
<心配するな。身体に悪影響はない・・・多分>
「・・・・・・・・・多分てなんだ」
何だか無茶苦茶不安になったが、ペコはそれを無理矢理ねじ伏せる。
「ともかく―――アヌビス、行くぞ!」
ガラッ・・・ガラガラッ・・・
瓦礫が崩れていく音が響き、その場を飛び去ろうとしていたUSDマンがそれに気付いた。なんとなくそちらに目線をやった
彼は、その場に立っていた驚くべき物体を目撃する。
身長は40メートルといったところ。その姿は鎧を纏った人間を巨大化させたといえば、一番近い。変わったところといえば、
背中に飛行機能の補助のためか、翼を模したユニットが取り付けられているぐらいか。
ただ、頭部だけは異彩を放っている。犬の顔を模している所は巨神像と同じだが、造詣はそれとはまるで違う。まるで闘犬
の如く猛々しく、それでいて深い知性をも感じさせる、兵器というよりも既に一個の芸術品のようでさえあった。そして
その全身は、朝焼けを思わせるような黄金色で統一されている。
それはまさに黄金の巨神―――
「はあ―――なんだなんだありゃあ。面白そうなのが出てきやがったじゃねえか、おい!なんだよ、そりゃあ!」
それを見てもなお、USDマンはまるで怯まない。恐れない。それこそはまさに戦鬼と呼ぶに相応しい―――
だがペコももはや、その姿に恐怖することはない。恐怖する必要などない。
実際にアヌビスを操作してみただけで、その秘められた凄まじい力を十分に感じるのだ。そう、それこそUSDマンにも
匹敵するほどに―――
「彼の名はアヌビス―――<機神獣>アヌビスだ!」
宣言するように放たれたその言葉が、USDマンとの都合三回目の死闘の合図となった―――!
投下完了。前回は前スレ382より。
そして
>>1さんお疲れ様です。
え〜・・・この物語はフィクションです。現実に存在するのび太の大魔境とは、一切関係ありません。
こんな但し書きをつけなきゃならないほどのトンデモ設定を付けてしまいました。我ながらアホです。
でもお話はまだまだ続きます。ちなみにUSDマンはまだまだ倒せません。彼には終盤まで出張ってもらいます。
前スレ385
雑魚には無茶苦茶強いけど、強敵相手には苦戦する。それがガンダム主人公クオリティ・・・偏見です、すいません。
でも種の雑魚の弱さは歴代ワーストだと思います。
前スレ386 しぇきさん
USDマンは間違いなく生身最強キャラ。ロボを含めた強さランクでも現段階では最上位レベルくらいに考えてます。
そしてしぇきさん、長い番外編お疲れ様です(って、まだ一回残ってますね)。
全力で戦って、分かり合って、青臭いと世間様に言われようが少年漫画の王道ですよね。
超機神大戦でもそんな展開を予定してます(いつになるか分からないけど)
ふら〜りさん
プリムラ>>>>>ペコのヒエラルキーは変わりません。それこそペコが作中最強キャラになったとしても、
ペコは永遠に彼女の中では非常食、よくてペット扱いです。
新たなバキSSでは、背中につけてるマークはオーガが好きでしたので、ああいう路線がいいなあ・・・と思ったり。
・・・我がバイブル、戯言シリーズがついに最終巻を迎えました。エヴァ並の複線放置プレイにだけはえ〜っと
思いましたが、それでもここ数年で読んだラノベの中で一番楽しめました。
しかし最近後書きなげーなー・・・
12 :
作者の都合により名無しです:2005/11/08(火) 23:54:18 ID:r9kbXizg0
サマサ氏、一番乗り乙です。
5000年前にも今の戦いに勝る大事件があったんですね。
しかし、本当に尋常じゃないインフレですねえw
13 :
作者の都合により名無しです:2005/11/09(水) 00:05:52 ID:qaHEpMmK0
>>1氏乙
>サマサ氏
ペコにも専用の巨大平気が用意され、いよいよ戦争じみて来ましたね。
小池さんはジョーカー的存在ゆえ、パワーアップしても中々倒せない印象があります。
作中最強クラスなだけはありますね。あと、アヌビスって元ねたはなんですか?
乙一
そろそろ僕も投稿再開せんと…
>>サマサさん
敗北→復活前の回想→復活!
という実に爽快感あるシチュエーションを見事に描ききっていて凄い
しかし、USDマンはこういう戦闘物だとここまで恐ろしいとは…
あらためて、彼を起用したサマサさんに脱帽します
>>14 エジプト神話にでてくる犬面人身の神様だと思う
死者の心臓をはかり、審判する役をおった神様
JOJOでも同じ名前のスタンドでてきてた
>サマサ氏
USDマンってよく考えたら塾長や勇次郎並に負けるのが想像出来ないな・・
あんな外見なのに恐ろしいキャラだ。自分の10倍以上ある大きさの相手にこの余裕。
結構好きなキャラなんで、最後まで引っ張って欲しいって気がする。
なんとなく、出木杉帝国のギラーミン的キャラみたいですな。ルックスは違うがw
>>15 どなたか知らないけど期待しております。
>>16 なんかめちゃくちゃかっこいいな
ロボットというよりサイボーグみたいだ
でも、アニメや漫画じゃなくゲームなんだね
>でも、アニメや漫画じゃなくゲームなんだね
一応アニメ化もされたんだ、アヌビスもゲストで出ている。
板違いなんでこれ以上は言わんが面白いぞ。
全長は20m前後で色も金ではないけど、犬顔で羽まで付いてると言う事で
俺の頭の中ではこっちのアヌビスが動いてしまいました。
19 :
作者の都合により名無しです:2005/11/09(水) 13:51:29 ID:odo45MLl0
サマサさん、ゲロさん、しぇきさん、邪神さんなど精力的に
作品をあげてくれる人が多いのはすごく喜ばしいけど、
テンプレからザクさん、ブラックキングさん、ユルさんら
名物職人がいなくなったのは本当に悲しい。
俺はずっと待ってるから。
>>16 名前と、容姿的なモチーフはズバリそいつです。
それをでっかくして、色を金ぴかにしたのを想像してくだされば・・・
サマサさんお疲れ。
今回の元ネタは∀ガンダム?黒歴史は2ちゃんでは一般的な言葉(原作の知名度に反してw)ですが、
巨神像が崩れて、未来的なロボットが出てくるあたり、そうなのかなーと思って。
>>サマサさん
うは、そういう事でしたか…元ネタはそのまま使うという頭の固い考えしか
出来なかったので色々騒ぎ立ててしまい申し訳ないです。
しかしZ.O.E.大好きなのでアヌビスの登場は嬉しい所ですわ。
>>17 >USDマンってよく考えたら塾長や勇次郎並に負けるのが想像出来ないな・・
そうなのか?
24 :
普通:2005/11/09(水) 22:58:37 ID:6p2e5Gi00
範馬勇次郎との決戦を目前に控えた夜、刃牙の家。刃牙は畳の上にあぐらをかいて、
合戦前の武将よろしく友人と酒を酌み交わしていた。
母の愛を得るべく父を倒そうとして、苛烈な修行に耐えてきた刃牙。だが、つい先程
その母に、刃牙は殴られ罵られ噛まれた。「オマエが弱いから」と泣き叫ばれながら。
だから。今の刃牙には、戦いを目前に控えた格闘士とはとても思えないほど、覇気が
ない。落ち込みきって悲しみのどん底にいる。
そんな刃牙を見て、友人は少し癖のある長めの髪をかき上げながら、ぽつりと言った。
「うらやましいな……君が」
「! 今、何て言った? 羨ましィだァ!?」
刃牙は立ち上がり、友人の襟首を掴み上げた。黒い学生服が、シワになって
引き伸ばされる。
だが友人はそれを気にせず、またぽつりと一言。
「父さんが……逝った」
「……え」
刃牙の手から力が抜ける。友人、水島一純(いずみ)はその優しげな顔を無念の思いに
歪めて、刃牙の方を見ず俯いたまま語り始めた。
「どこだかの戦場で敵軍の罠にハマって、間隔10センチ以下のナパーム弾集中投下を
浴びたんだってさ。最強だ無敵だと恐れられてた、あの父さんが。息子の私にも同じ道を
歩ませようとして、鬼みたいにシゴキまくってくれた父さんが。はん、ザマぁないよ」
「……水島さん」
「私のこの手で、殴り倒してやりたかったのに。もう永遠に叶わぬ夢となってしまった」
水島は、ワイルド・ターキーをぐいっとひと飲みすると、顔を上げて刃牙を見た。
「これで私は、両親を亡くした。けれど、君にはチャンスがある。父さんを倒すことも、
母さんを抱き締めることもできる。だったら……勝つしかないだろ?」
やり場のない怒りと悲しみは、今、酒と一緒に飲み込んだらしい。刃牙を励ます
水島の顔には、彼本来の優しさだけが浮かんでいる。
その暖かさに、刃牙はこれまで受けてきたどんな拳よりも強く、打たれた。
「水島さん……ッ」
どちらからともなく差し出された手を、これまたどちらからともなく握り合い……
25 :
普通:2005/11/09(水) 22:59:17 ID:6p2e5Gi00
「なああぁぁにをヌルいことほざいとるか、このバカ息子がっっ!」
突然、窓を突き破って人影が飛び込んできた。その勢いのまま水島に怒涛のような
蹴りを食らわせ、間髪入れずに倒れた水島の足を掴んで振り回して窓から投げ飛ばす。
夜空の彼方に飛んでった水島を追いかけ、その影も窓から出て行った。
「こんな攻撃もかわせぬとは、やはり怠けておったな! 許さんぞ一純!」
殺気丸出しのド低い声で怒鳴り散らしながら、去っていく影。
一瞬の一連の嵐のようなできごとに、刃牙はただ、ぼーぜん。
「……な、なんだったんだ今のは……えと、とにかく、水島さんが危なさそうだっ」
というわけで刃牙も、壊された窓から外に出て、二人を追いかけることにした。
言動からすると今のは水島の父? 実は生きてましたってこと? いや、それは絶対に
ない。絶対に絶対にあり得ない。刃牙は水島の父と面識はないが、断言できる。
「だって……なぁ」
走りながら、刃牙はちょっと顔を赤らめた。
水島が飛ばされた方角へと刃牙は走って走って、家から遠く離れた公園に到着した。
そこに、ふらふらと立ち上がるズタボロ学生服姿の水島がいる。どうやら刃牙が
ここに辿り着くまでの間にも、かなり容赦なくボコボコにやられたらしい。
そしてその水島と向かい合い仁王立ちしているのが、あの謎の影。
「ふんっ、この軟弱者めが!」
刃牙はその人物を見つめて、思わず目を逸らしてしまって、いやそんな場合じゃない、
と改めて見つめなおした。
その人物は、薄いピンク色のネグリジェを纏った、高校生ぐらいの女の子。水島に
よく似た柔和な顔立ち、少し癖のある長い黒髪の、可憐な美少女……だろう。本来は。
だが今は羅刹のような凄まじい形相を浮かべ、噴煙のような殺気に髪を波打たせ、
どう聴いても男性の声で怒鳴り散らしている。
何が何だか解らない刃牙は、とりあえず水島に駆け寄って、助け起こしつつ聞いてみた。
「大丈夫……じゃなさそうだね水島さん。一体あれは何なの?」
26 :
普通:2005/11/09(水) 22:59:44 ID:6p2e5Gi00
水島は頭を振って意識を覚醒させると、前方に立つ少女を見据えて言った。
「幻覚を見ているのでなければ、あれは私の姉さんだ。だがまるで……」
と言いかけて、水島は固まった。同時に刃牙も固まった。
雲が切れ、明るい月の光が差し込み、少女のネグリジェが透ける。華奢な体格の
割には起伏に富んだ、艶めかしいプロポーションが浮かび上がった。が月光は、
そんな彼女の肢体と同時に別のものも浮かび上がらせている。
いつの間にか彼女の後ろに、黒い軍服姿の男が立っている。よく見ると足がない……
「っっっっ!」
刃牙と水島が、男の正体に思い当たって、声にならない悲鳴を上げた。すると男が、
そして少女が、同時に同じように口を動かした。
「気づいたようだな、バカ息子。いかにも私だ。お前が鍛錬を怠っておらぬかどうか、
こうして確かめに来てやったのだ。どうやら残念ながら、不安的中だったようだな」
「……って」
水島が一歩、前に出た。軍服姿の男、いや水島(父)に向かって叫ぶ。
「何をわけの解らないこと言ってんだ! 今すぐ地獄に帰って、姉さんを元に戻せっ!」
「人をタチの悪いバケモノみたいに言うな。私はただの悪霊だ」
「きっちり自覚してるんじゃないかっっ!」
「吼えるな。言った通り、私はお前を鍛える為に、一時的にこの体を借りているだけだ」
その時、また雲が流れて、月が隠れた。同時に、黒い軍服は煙のように消滅する。
刃牙と水島が、あっと思った時にはもう、ピンク色のネグリジェは旋風と化し掻き消え、
「遅いっ!」
しなやかな脚の、人食い虎のように獰猛な蹴りが、水島の背を襲った。防御も回避も
間に合わず、水島は為すすべなくブッ飛ばされる。
更に追撃を加えようとする水島(父)。だがその前に、刃牙が立ち塞がった。
「どけい、小僧っ!」
繰り出された水島(父)の拳を、刃牙は両腕でガードして踏みとどまった。
「……見過ごせねぇな。よそ様の家庭の事情に首突っ込むのは、普通はアレだけどさ。
けど、ちっとばかりウチの事情に重なってる。こいつは見過ごせねぇよ」
27 :
普通:2005/11/09(水) 23:02:06 ID:6p2e5Gi00
出典は「突撃! パッパラ隊」。水島は「初代ピッコロぐらいなら殴り殺せるかも?」
なレベルの強さを誇りつつ、女装すれば天使の可愛さで女の子にまでモテる少年です。
>>1さん
おつ華麗様っ! 30を越えて更に踏み出したバキスレ、40から50へと歩き続けて
いきたいものですね。
>>うみにんさん
比喩でも何でもなく、本当に言葉通り「そいつの存在自体が世界の滅亡を招く」……恐い、
というレベルを超えてますなこれは。これとロココたち、そして中国のゾンビバスターズ
がどう絡みどう戦っていくのか。想像のつかぬこれからの物語、のんびり待っております。
>>しぇきさん
あ〜もぉ。何だか熱すぎて見ちゃおれませんぜドドリア氏ぃ。サラダやザーボンたちも
ちゃんと「戦い終わってめでたし空間」を形成してるのに、強固な二人っきりフィールド
を展開してて。……まあ、お姫様以外の人もきちっと護ったナイトへのご褒美、ですかね。
>>サマサさん
アヌビスが生まれた経緯、封印された理由、そしてペコの手足となって動き出す必然性。
スムーズ且つ燃える一連の流れがお見事です。今は思いっきり主人公してるペコですが、
でもヒエラルキー最下位固定という哀れっぷり。その差異、私としてはかなりツボですぞ。
ふらーりさん新作乙です。
しかし、相変わらず出展がわからないw
水島一純が最初は花山かと思った。これから期待してます
29 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/10(木) 04:18:54 ID:ImMex4ok0
-------------------------------------------------------------------
<10日後・フリーザシティ:某レストランの外>
”夕日”
今日の終わりと明日の門出を祝してくれる、太陽が生み出す神秘。
この神秘は一日のうちに僅かしか顔を見せなく、誰が見ても心癒される光景だろう。
そんな神秘の光景をバックに今、自ら影となり町を這いずる四人の姿があった。
「二人が食べているの・・・。おいしそうね・・・・。」
お腹がすくマオ。
「ああ・・・。」
右に同じくのザーボン。
「いや〜、腹が減ったわ!はっはっは。」
やけくそのウエハーツ。
「周囲に敵は確認できない。ミスリルを恨む右翼もいないようだ・・。今のところは順調と言うところだな」
頑張れサラダ!
四人は黒子の衣装を着ながら、とあるレストランを外からスパイカメラで覗いていた。
覗いている先にはドドリアと令嬢の両名。
二人はこの前のプロポーズを掛けたデートをやり直しをしている最中だった。
もちろん、この二人はここにこの四人が居て、覗いていることを知らない。
いや、知るはずが無い。
つまり、これは・・・、
興味本位のストーカー・・・、もとい。
”ドラゴンボール&フルメタ版のメタルギアソリッド!?”である。
---------------------------------------------------------------------
30 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/10(木) 04:19:47 ID:ImMex4ok0
四人がレストランを監視して1時間。
食事し終わったドドリアと令嬢の二人は腕を組みながら外へ出て行く。
「む、二人が移動するぞ!!」
サラダのこの声に反応し、四人は壁を這い蹲るように尾行し始める。
それはまるで食い物へ慎重に近づいて行く、ゴキブリのようであった。
----------------------------------------------------------------------
31 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/10(木) 04:20:27 ID:ImMex4ok0
<フリーザ中央通り>
レストランを出た二人は止めてあったタクシーに乗り、この通りを真っ直ぐ進む。
この星のタクシーは基本的に自動操縦。
ドドリアが目的地を言うと、勝手に目的地まで運送してくれる仕組みだ。
そんな便利タクシーのおかげで、二人は運転する必要も”他人に自分たちの甘〜〜い会話”
を他人に聞かれる事もなく、
楽しそうに会話をしている。
しかし!
この甘い光景をミスリルが誇る最新鋭超ミラクルDXみえなーいステルス迷彩を着て、
タクシーに這い蹲って覗き見&盗聴する四人の戦士がいた!
その四人とは当然、マオ、ザーボン、ウエハーツ、そしてサラダである。
流石に今度はこの距離で会話するとばれるので、スカウターでのチャット機能を使って会話する。
「なんか、楽しそうね!」
素直な感想のマオ。
「うむ、いい感じだ。」
またしても右に同じのザーボン。
「俺は悲しくなってきたよ・・。」
鬱になるウエハーツに、
「後続車は特に問題がある車ではない。異常なしだ。」
いろんな意味で頼もしいサラダ。
しばらく四人がチャットでそんな会話をしていると、今度はあるビルに着く。
「あ!ここがそうですか?」
「はい、ここの屋上から見える景色がまた素晴らしいんです。」
「ふふ、それは楽しみですね。速く行きましょう!」
「あ・・。そんなに腕をひぱっぱらないでくださいよ!!」
傷ついた左腕とは逆の腕を引っ張りせかす令嬢。
それを嬉しそうに困り顔をするドドリア。
二人は幸せオーラ全開でビルの中に入って行った。
32 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/10(木) 04:21:22 ID:ImMex4ok0
----------------------------------------------------------------
<ビルの外部・44F>
「考えたわね・・。この場所なら告白にもってこいだわ!」
ドドリアの才能に嫉妬のマオ。
「うむ。俺が令嬢なら速攻でOKだ。」
自分の意見が無いのか?のザーボン。
「はあ・・。せっかくの休みなのに・・・。あ、バーチャルの可愛い子が・・。」
現実逃避のウエハーツに、
「ウルズ8安心しろ。脱出路と弾薬は十分確保している。これならバレても、1週間は戦える。」
一家に一人のサラダ。
四人は迷彩スーツを脱ぎ、ゆっくりと空中を上昇しながら、二人が乗るエレベーターを監視していた。
現在エレベーターは44F。
このままいけば、もうすぐこのデートも屋上でプロポーズして終了・・・するはずだった。
「あれ?降りるわね?トイレかしら?」
四人が監視していたエレベーターは屋上に行かずに44Fという不吉な階で止まり、二人はそのまま降りる。
「ん?階段で行くのか?」
「・・・。いや、階段で行くようには見えんが・・。それに大佐殿もいるしな・・。」
サラダはザーボンの言葉に周囲を警戒しながら否定する。
それに横にいたマオは同調する。
「そりゃあ、そうね。あの子がいたら、屋上に行くのが次の日になっちゃうからね〜。って!ウエハーツ?何歌ってるの?」
「俺は〜♪フラ〜グ!フラ〜グ!フラグブレイカ〜♪俺にかかれば今日で彼女とおさらばさ〜♪
「・・・・・。」
思わず、その場に呆然とするマオ。
「ん?ああ、今の気持ちを歌にしただけさ!」
「ちょっと・・・。ザーボンの前でそれはやばいんじゃ・・。」
「良いんだよ!せっかくの休みにストーカーごっこだぜ?こうでもしないと気が晴れんわ!!」
マオの言葉を無視して、ウエハーツは更に歌い続ける。
「・・・。知らな・・・、ひ、ひい!!ちょいとザーボンさん?」
仕方ないといった顔でビルのほうへ顔を向けようとすると、ウエハーツの歌で変身してしまった鬼の形相のザーボンが!
33 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/10(木) 04:21:56 ID:ImMex4ok0
「ウエハーツクン?」
「ブ・ブレイカ〜ハートクラッシュ!!♪ん?旦那?なんで急にそんなコスプレをして?気持ち悪いぞ!」
ウエハーツはそんなザーボンの心情を察せず、事においてザーボンの真の姿を愚弄する。
「ふむ。君は中々見所があるかと思っていたが・・・。実は人の不幸を喜ぶような人間だったようだ・ね!!!」
流石にザーボンの放つ闘気によって気付いたのか、ウエハーツは冷や汗をかきながら横に目をそらす。
「いや〜、俺はね。二人の祝福の歌を歌っていた訳ですよ。ね!まだ仮歌だけど・・。ほら!ギターも付く予定だし!!」
必死に理論武装で逃げようとするが、そんな穴だらけの武装でザーボンを止められることは無く、
「ブ・ブレイカ〜ウエハーツボディクラッシュ!!♪」
「ちょ!や、まじで・・・。ごめ・・。」
ズゴーン!!!
無論、ザーボンの必殺の一撃を食らったのは言うまでも無い。
------------------------------------------------------------------------
34 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/10(木) 04:22:33 ID:iO88oguW0
「長い・・・わね。」
もう44Fに止まって二人が降りてから10分近く経つ。
トイレに行ったとしても、そろそろといった所だろう。
しかしこっちに来る気配は無い。
屋上の方も、先程ザーボンに殴られたときに大気圏まで上昇したウエハーツが見てきたが、
二人は影も形もなかったそうだ。
「どこに行ったのだろうか?」
「む。まさか・・・。」
「まさか?」
マオがそう聞くと、サラダは神妙な顔つきになる。
「うむ。誘拐・・・。」
「はははは・・。それは無いって!」
即効で切り返すマオ。
(当たり前だ。これ以上あってたまるか。)
と、ザーボンもそんな顔をしてサラダを見ている。
「では、二人はこの階で何をしているのだ?」
「え・・。それは・・。」
マオは言葉に詰まる。
「”それは無い”では、犯罪は未然に防ぐことは出来ん。」
ごもっともなサラダの言葉。
「せ、正論ね。じゃあ、なにかいい案があるの?」
マオのこの言葉に、サラダは”まってました!”と言った顔になると、
背中のバックからあのスーツを取り出す。
「うむ。これで進入すれば大佐殿たちにも気付かれまい!」
それは・・・・。
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35 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/10(木) 04:32:20 ID:iO88oguW0
ちょっと、土曜まで投稿できる暇が無いので、終わりの部分を分割して投稿する
しぇきです。
>サマサさん
アヌビス+ロボット+AI=ZOE2とすぐに気付きましたよ!
個人的にはジェフティやエイダも出てきて欲しいですけど・・。
って、よく考えたら急激なインフレですな。
もしこのアヌビスが零シフトを装備しているのなら、
空間移動ができないUSDマンに勝ち目はない気が・・・。
いや、きっと後半でさらに零シフトは追加されるのでしょう。
>ふら〜りさん
新作連載!バキ物楽しみしていました!
バキがどっちかというと、最近のバキと昔のバキを足して2で割ったような
性格な気がします。
水島父+勇次郎タッグと水島+バキの勝負も見たいですね。
あ、勝てないか・・。
レスをくれた皆様。毎回ありがとうござます。
前スレ>456さん
構想の5倍ですね、長さ的には。最初は戦闘は入れるつもりは無かったですから。
なので、本当は今頃は他キャラの外伝が終わっていた頃なんですけどね・・。
では失礼・・・。
>ふら〜りさん
新連載おめです。好きなバキ物ということで思わず期待してしまいます。
勇次郎っぽい水島パパといい、ネグリジェの美人幽霊といい、相変わらず
ふら〜りさんらしい世界観ですねw完結まで頑張って下さい。
>しぇきさん
微笑ましいデートをストーキングする仲間たち。コメディのお約束ですなw
腕を組んで歩くということはそこまで好意を持たれたってことでしょうな。
ハッピーエンドっぽい感じになりそうな感じでいいですね
>しぇきさん
サマサさんを疑るなァッッッ
38 :
作者の都合により名無しです:2005/11/10(木) 13:40:39 ID:y2cPBHlf0
しぇき氏乙。構想の五倍ですか。でしょうねえ。
もう、今まで書いてた本編より長いもん・・w
でも、野球ではなかなか場面転換とか難しいだろうけど
この作品ではいろいろな視点から書かれていて面白かったですよ。
ラスト1回、楽しみにしてます。
第二十八話「50%」
「かっ!アヌビスねえ・・・金ピカに塗って翼つけて神話から名前取ってくりゃあ強えってもんじゃねえぞ!まあ
とにかく行くぜぇ・・・第三ラウンドォッ!」
USDマンは咆哮し、アヌビスに襲い掛かる。相変わらずの凄まじい速度と、それに正比例する破壊力―――だが、
繰り出された一撃をアヌビスは紙一重でかわした。
「ああん!?」
巨体に似合わぬその動きに、USDマンが初めて動揺する。そこにアヌビスの拳が叩き込まれた。まともに喰らい、
USDマンが錐揉みしながら吹っ飛ぶ。地面にクレーターができるほどの勢いで激突し、爆風の如く砂煙が舞う。
その隙を逃さずに、ペコはアヌビスに取り付けられた武器を構える。それは長槍の形状をしていた。
「―――<ハウンドスピア>!」
そしてそれを突き、薙ぎ、打ち払う。普通の物質ならもはや原型も留めぬであろうほどの嵐の如き攻撃―――
だがそれでもまだ、USDマンは倒れてはくれないだろうという確信があった。
「アヌビス!もっと強力な攻撃をしなければ!」
<了解した、主よ>
アヌビスの口部が大きく開く。その奥には、巨大な砲門が覗いていた。
<V.Gカノン!>
砲門から放射された凄まじいエネルギーが、世界そのものを蹂躙せんばかりに破壊をもたらす。そして濛々と
立ち込める砂埃が治まったとき、USDマンはまだそこに立っていた。
「・・・はあっ・・・はあっ・・・やってくれんじゃねえかよお・・・!」
眼光はまるで力を失っていないが、着ている服はズタボロになり、全身に無数の傷が刻まれている。流れる血が、
モニター越しにも確認できた。
「よし・・・!」
ペコは一連のやり取りで、アヌビスの性能をほぼ理解した。パワー、スピード、機動性、耐久力、武装―――
あらゆる要素が、巨神像だった頃とはまるで比べ物にならない。さらに、今まで全く歯が立たなかった相手に、
確かにダメージを与えることができたのだ―――。
だが―――それでも―――
「ギャハハハハハハハハハハハッッ!やっと面白くなってきたなあ、おい!こうじゃないとつまんねーよ!」
USDマンには、まるで慌てた様子もない。そして―――
「こりゃあしゃあねえなあ・・・50%の力で殺ってやんよ」
「な・・・!?」
「あれ、言わなかったか?俺様はちょっとしか本気出してねえって、よ。今までのは―――うん、20%ってとこだ」
恐ろしいことを、USDマンはこともなげに言い放った。
<・・・ハッタリだ。いくらなんでも、さっきまでで20%だなどと、ありえん>
アヌビスの声にも力がない。どうかハッタリであってくれ―――という願いが込められていた。
「それが嬉しいことに、ハッタリじゃあないんだよなあ・・・うらあ!」
掛け声と共に、USDマンがアヌビスに突進してくる。そのスピードは、先程までの比ではない。
「くっ・・・!」
回避行動は不可能と見て、両腕を胸の前で合わせてガードする―――次の瞬間、隕石がぶつかってきたかのような
衝撃が走った。USDマンのぶちかましが、アヌビスの巨体を激しく揺らす。
<―――次が来るぞ!>
警告の声に、今度は防御せずにハウンドスピアを突き出して迎撃する。その穂先がUSDマンを貫いた―――かに
見えた。だが実際には、鈍い衝撃とともに突き出す手が止まっただけだ。
「真剣白刃取り〜・・・なんつってか?」
USDマンは、顔の前で拝むように合わせた両掌でハウンドスピアを挟み込んでいた。恐るべきパワー、そして反射
速度だ。そのまま滑るように空中移動し、アヌビスの顔面に強烈な蹴りを放つ。
アヌビスは音速を超える勢いで吹っ飛ばされ、海に叩き落された―――。
「ひゅー・・・所詮こんなもんか?違うってんなら早く上がってこいよぉ・・・俺様は気が短いんだからよ、あんま
待たすなよなぁ?」
USDマンは嘲弄し、そのまま腕を組んでアヌビスを待ち受ける―――。
海中に落ち、ペコはぐっと唇を噛み締めた。
「くっ・・・まさか、あそこまで強いとは・・・!」
<うむ。私も見誤っていた。恐るべき男だ>
「おい!そんな呑気に言ってる場合じゃあないだろう!」
悲嘆したところのないアヌビスの声に、思わずペコは怒鳴ってしまう。アヌビスは悪びれずに続けた。
<ふむ。これは失礼した。だが主よ―――奴は確かに強いが、私では勝てない、とは言っていないぞ・・・>
「・・・何?」
<奴に対抗できるものが一つだけある。だが余りにも扱いづらいものなので、初戦でいきなり使用するのも憚られた
のだが―――そうも言っておられんようだ>
「それは・・・まだ君には、切り札があるということか?」
その問いに、アヌビスはやや歯切れ悪く答えた。
<切り札―――というのはどうかな。確かに使いこなせればまず敵はないが、制御が非常に困難なのだ―――はっきり
言って、ぶっつけ本番で使うシロモノではないのだが、やらなければどうしようもない。それを扱えるかどうかは、あなたの
心の力にかかっている―――>
どこか抽象的な物言いだった。不審げなペコに、アヌビスはその兵装の性能、使い方を説明した。それを聞いたペコ
は、開口一番にこう言った。
「な、なんて眉唾物の兵装なんだ・・・」
<だが実際にそういう兵装が私にはあるのだ。さあ、我が主よ。起動の許可を求める>
「・・・分かった。アヌビス、信じるぞ」
<ありがたい。では―――>
アヌビスが海中で姿勢を整え、そのまま翼のスラスターを吹かせて海上に飛び出す。その機械の瞳に、力強い輝きが
灯る。そしてアヌビスの声が響いた―――。
<ラムダ・ドライバ―――起動する!>
投下完了。前回は
>>10より。
つーわけで、アヌビスのモチーフはZOE足すフルメタ足す捏造要素です。
武装に関しても、名前は同じでも内容が違ってたり(原作好きな人には許せんかもしれませんが)。
前回はやたら感想を書いてくださる方が多かったので、レスが大変なことになりそうな・・・
>>12 もっとインフレする予定です(強さのバランスも結構ハチャメチャになりそうです)。
>>14 元ネタは
>>20と今回の後書き参照です。
>>17 ギラーミンよりはげんごろうに影響を受けてます。
>>21 ∀ガンダムについてはほとんど知りません(爆)が、黒歴史という言葉は2ちゃんではかなり有名で
イメージしやすいだろうから使いました。
>>ふら〜りさん
なんか嫌過ぎる親父っぷりが、勇次郎とちょっと被ってるような・・・原作知りませんが、勇次郎と絡んだら
面白そうですね。
ヒエラルキー・・・ 美少女キャラ>>>美形男キャラ・主役レベルのキャラ>>>その他 くらいで(笑)
>>しぇきさん
友達のデートをこっそり監視するのはお約束・・・というか、デートには必ず監視をつけるべき、という不文律まで
ある気がします。なんか学園ドラマみたいですねw
超機神のアヌビスにはゼロシフトはありません。そのかわりにラムダ・ドライバ、みたいな。
でもゼロシフトがあってもUSDマンならなんとかしてくれる気が・・・
43 :
作者の都合により名無しです:2005/11/10(木) 23:21:05 ID:rtAYThtC0
サマサさんお疲れです。
USDマンってなんかべらんめえ調というか、江戸弁?みたいなキップの良さがいいですねえ
強さに裏付けているし。巨大ロボに槍振り回されても余裕ですね。強い。
しかしラムダ・ドライバって有名な武器なの?しぇきさんの作品にも同じような名前の武器が
(あちらはラムネでしたが)出てきたし。
「俺はまだ20%だぜ!」みたいなのはちょっと子供っぽいけどw
インフレバトルのお約束、王道ですね。
戦い戦いまた戦いという感じで燃えますね。
>>43 ラムダ・ドライバは「フルメタル・パニック」に登場する主人公機やライバル機に装備されてるシステム
簡単に説明すると、思念による力を増幅して、防御フィールドを形成したり攻撃力を増加させたりする
フルメタの原作はラノベだけど、最近はアニメが何期も放映されたり、スパロボに参戦したりして知名度上がってきたかな
こんばんは。投下させていただきます。
野球。ソフトボール。ハンドベース、キックベース。
丸めた紙屑と箒を使っても野球だし、雪玉を手袋で叩いても野球。
物騒だし、道徳的とは言い難いが不良がバットで人の頭を打っても名だけは野球。
球になる物と、それを叩くものがあれば野球。
間違った定義ではあるだろうが、これも野球のイメージから産まれた一つのくくり。
それは勇次郎がボールを投げようとした瞬間の事だった。勇次郎の体は、頭から切株を砕く斧のように、
背後の地面に向けて振り下ろされた。いわゆるバックドロップ。
勇次郎に重なるように体を反らせているのはジャック・範馬。
試合開始時にジャックは、土手に行く振りをして途中で反転し、勇次郎の死角からこっそりと
近付いていた。ピッチングの時の、勇次郎の集中が最大まで高まる瞬間を狙っていたのだ。
おかしくとも、地上最強の生物と呼ばれる男。危機感知能力は並々ならず、
反射だけでもありとあらゆる攻撃を避けられる。故に、彼等は隙を作った。
ジャックはすぐさま体勢を立て直すと、倒れている勇次郎を全力で踏みつけた。
追い撃ちの、ストンピング。数秒、十数発は続けただろうか。
普段の範馬勇次郎であれば、状況を整理し反撃に打ってでるのに十分すぎる時間だ。
しかし、今の勇次郎は普段の勇次郎ではなかった。
空間を圧迫するようなおぞましい気迫はそこには無く、
何を考えているのか、ただを空を見上げ地に倒れているだけ。
ジャックは、そのまま勇次郎を球にした。
球にした、といっても球の様に丸められた、という意味ではない。
―――ピッチャー、ジャック・範馬。投球フォームは『ガーレンスペシャル』
範馬勇次郎は、野球の球になった。
ロシアの英雄、アレクサンダー・ガーレンの使った投げ技、ガーレンスペシャル。
相手を抱き抱え、圧倒的な膂力を以て背面に向け、地面と水平に放り投げる。
投げられた人間は、放物線など描かず、野球の球の様に真っ直ぐ、真っ直ぐ飛んで行く。
野球の球となった勇次郎は真っ直ぐ、真っ直ぐ―――
ピッチャーが球を投げれば、バッターはそれを迎え打つ。
バッターボックスに入っているのは自称腕力世界一、ビスケット・オリバ。
バットは持っていない。その上何故かパンツ一丁。
―――バッター、1番ビスケット・オリバ。使用バットは『自らの拳』
浮き出る血管。隆起する筋肉。ストライクゾーンど真ん中ではなく、
バッターオリバに向かい真っ直ぐ飛んで来る『絶好球』をバットは今か今かと待ち受けていた。
野球。ソフトボール。ハンドベース、キックベース。
丸めた紙屑と箒を使っても野球だし、雪玉を手袋で叩いても野球。
物騒だし、道徳的とは言い難いが不良がバットで人の頭を打っても名だけは野球。
球になる物と、それを叩くものがあれば野球。
ならばきっとこれも野球。
結論を言うと、ビスケット・オリバは範馬勇次郎を打った。
49 :
鬼の霍乱:2005/11/11(金) 00:49:27 ID:ug4kEc99O
バ、バキが終ってしまう!
このSSより先に!
のんべんだらりとやっていたばかりにこんな事態に…!
すいません、まだ続きます。
50 :
作者の都合により名無しです:2005/11/11(金) 13:32:12 ID:nW2z1shk0
お疲れさまです。
勇次郎、弱いな!ジャックに手も足も出ず野球の球ですか。
しかも友達のはずのオリバに打たれてるし・・・強くても人間性がアレだからなあw
どうせバキは最終回後も2年は続きますよ…ご心配なく。
また凄い展開ですな。裕次郎球ですか。しかも打たれているしw
52 :
作者の都合により名無しです:2005/11/12(土) 10:31:33 ID:6h0+B0kE0
むう、現スレは投稿頻度落ちちゃったかな?
週に十本以上も来続ける事が異常でしょ。
個人的にはこのくらいのペースの方がゆっくり作品を楽しめていい。
54 :
作者の都合により名無しです:2005/11/12(土) 19:44:01 ID:ZWPe+ORy0
バキスレはもうSSスレとして完成されているからな。
良い意味でも悪い意味でも。
3年もの間、ずっと作品が着続けているのだけでも恐ろしい事。
他のスレでは平気で10日以上投稿の間が空く時あるのに、
このスレで5日以上作品が来なかったのってちょっと記憶にない。
ただ、ザクさんやブラックキングさんとユルさんとか、
大好きだった作品が来なくなって来たのは哀しい。
投げ出しは勘弁して、どんなペースでもいいから。
55 :
普通:2005/11/12(土) 21:44:15 ID:Jo+DbWWx0
>>26 ぐぐっ、と水島(父)が力を込めて拳を押す。だがそれと真っ向から押し合う刃牙は、
動かない。
「ほう。小僧、少しは出来るようだな。だがそこまでだ。命が惜しければ下がってろ」
「命は惜しいけど、下がらねぇよ。言ったろ、見過ごせねえって。それに、」
刃牙は、挑戦的な目で水島(父)を睨みつけた。
「俺は、あんたなんかよりずっと強い男と戦う予定がある。あんた如きを相手に、
引き下がったりなんかできるかってんだ」
刃牙がそう言うと、水島(父)は拳を引いた。そして二歩、三歩と後ずさる。
刃牙から少し距離を取ったところで、水島(父)は拳を振り上げた。
「あんた如き、と言ったな。……言ったな、小僧おおおおぉぉッ!」
水島(父)は拳を地面に叩き込んだ。と同時に大地が真っ二つに裂け、地割れがまるで
大蛇のように地を這って刃牙に向かってきた!
「嘘っ!?」
慌てて跳び退く刃牙。するとそこにはもう、水島(父)が踏み込んできていて、
「オオオオオオオオォォォォッ!」
砲弾のような拳が、瞬く間に百発、二百発と刃牙に打ち込まれた。常人なら即死、
どころか死骸が原型を留めないレベルの、本物の集中爆撃並の打撃である。
だがそこは刃牙なので、まるで全身がタコ焼きの鉄板になってしまったかのような
気分になりながら、吹っ飛ばされるだけで済んだ。それでも無論、重傷ではあるが。
「……がふっ!」
飛んで飛んで、刃牙は背中から地面に激突した。水島(父)の強さは水島から
聞き及んではいたが、まさかこれほどとは思わなかった。もしかしたら
勇次郎に匹敵、いや、考えたくないが勇次郎を越えているのではないか?
「大丈夫……じゃなさそうだな」
さっき刃牙に言われたセリフを言い返しながら、刃牙を見下ろす水島。こちらも
刃牙に劣らずボロボロである。
「すまない、君を巻き込んでしまったな。ただでさえこの強さの上に、
姉さんの体を操ってるときては……手の出しようがない」
56 :
普通:2005/11/12(土) 21:45:02 ID:Jo+DbWWx0
いや。実は刃牙は、それについては考えがあった。先だってのガイア戦で、どこも
傷つけない慈愛にみちた攻撃ってやつを実戦活用、成功させたのだ。あれなら、
水島(姉)を傷つけず水島(父)を制圧できる。そう考えてこの戦いに割り込んだのだ。
が。どうやら、あんな悠長な技を使わせてくれる相手ではない模様で。
刃牙は倒れたまま、悔しさに涙を浮かべて歯噛みした。
『ま、負けたくない……勇次郎を倒すまで、アイツ以外の誰にも……負けたくない!』
動かない二人に向かって、水島(父)が、ゆっくりと歩いてくる。
「もう闘志をなくしたか。フヌケどもめが」
「ふ、ふざけるなっ! 姉さんっていう人質を取られてるこの状況で、フヌケも何も」
「泣き言は聞けんな。戦場に卑怯という言葉はない。そもそも、これは訓練であって
実戦ではない。だから私とて、お前たちを殺すつもりはないぞ? お前たちの生命力を
見切って、絶命だけを免れるギリギリの破壊……で留めるつもりだ。そもそも、」
水島(父)が歩を止めて、少し笑って言った。
「お前が死んだりしたら、さすがに娘の意識が覚醒して、私は追い出されるだろう
からな。なにしろこの子は優しい。最愛の弟の死を目の当たりにしたら、どれほどの
衝撃が魂を燃え上がらせるか。想像もつかん。あぁ恐ろしい恐ろしい」
「こ、このド悪霊……っ!」
無念に拳を震わせる水島。だがその時その足下で、刃牙の脳裏に走る稲妻があった。
勇次郎のことを思い出して悔しがっていたところに、耳に流れ込んできた水島(父)の
言葉。それらが結びつき、ある閃きをもたらしたのだ。
「刃牙? どうした」
怪訝な顔をした水島に、心配そうに見つめられながら、刃牙はふらりと立ち上がった。
「水島さん、一つ確認させてくれ。あのお姉さんは、アンタのこと、好きか?」
57 :
普通:2005/11/12(土) 21:45:54 ID:Jo+DbWWx0
「え?」
「アンタのことが好きで、アンタのことを誰より大切に思ってる、か? どうなんだ?」
「こ、こんな時に」
何を言ってんだ刃牙、と言いかけたが水島は言葉を飲み込んだ。刃牙の目に鋭い気迫が
こもり、この上なく真剣だったからだ。
だから水島は、頷いた。互いにもう高校生だというのに、誕生日に手編みのマフラーを
くれる姉というのはなかなかいないだろう。そういう姉さんだ。ちょっと恥ずかしい。
そんな水島の思いは知らず、刃牙は「よぉ〜し!」とアツく叫んで水島(父)を指差した。
「やい悪霊! 次が俺たちの最後の攻撃だ! それが通じなかったら、
煮るなり焼くなり蒸すなり煮込むなり好きにしろっ!」
「……ほう?」
水島(父)が、楽しそうな笑みを浮かべて腕を組んだ。
「何か考えたようだな。いいだろう、やってみせろ」
「お、おい刃牙っ」
水島が、心配そうに刃牙の腕を掴む。
「姉さんは、心身ともにごく普通の女の子なんだぞ? 君や私レベルの攻撃を
まともに受けたりしたら……」
それを聞いて、刃牙の顔が確信に染まった。
「安心したよ水島さん。実は、あのお姉さんが普通の女の子でなかったらって不安は
あったんだ。けど、普通の女の子なら大丈夫だ。確実に、イケる!」
「?? どういうことなんだ?」
刃牙は、水島に耳打ちした。幼き日に聞いた、勇次郎の言葉を思い出しながら。
「刃牙。女って生き物の分類について教えてやろう。二次元世界には、様々なジャンルの
萌え萌え美少女が存在する。が、残念ながら三次元となるとそうはいかなくてな」
「というか、そもそも二次元と三次元を同列に語ること自体どうかと」
「うるせぇ。いいか、三次元の女は俺に言わせりゃ……」
また月曜日になれば、怒涛のように押し寄せますぜ旦那衆。いつものことです。
>>しぇきさん
前回に輪ぁかけて二人っきりモードな二人。ただし今度は客観視点のみ。見てる側として
は、微笑ましいながらも状況把握しきれなくてもどかしい。でもそれがまた覗きの醍醐味
というかチラリズムというか。そんなこと考えてニヤついてたら、また何か事件が……?
>>サマサさん
今回はUSDマンがいいですねぇ。こういう展開で、あっけなくアヌビスの噛ませになら
ないのは感心感心。敵キャラが強く悪く魅力あってこそ、主人公側も輝くというものです。
USDマンがこうして盛り上げてくれたところで、さぁ真打ち兵器の登場。反撃だペコっ!
>>霍乱さん
前回と同じく、文章量と時間経過とのズレが濃いですな。その間中、勇次郎がされるが
ままになってるのが何とも。今のところ刃牙たちの罠(?)は順調にいってるようですが、
野球という枠の中で勇次郎をハメて、一体何を企んで……やっぱり日頃の恨みを、かな。
59 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:41:51 ID:tT29dvbC0
眩しい光で目が覚めるホーク、一瞬天国かと思ったがそうではないようだ。
第一、海賊が天国にいける訳が無い。
どうやら船ごとジャングルに突っ込んだ様だ、ゲラ=ハ達の姿が見えない。まさか波に飲まれたか?
状況確認のためまずは船に目をやった、レイディはもう駄目だろう、マストは完全に折れていた。
船倉、さらには船底もボロボロだ、ここまでやられたら船は終わりを迎える。
最後は小屋でも作ってその中で誇らしく佇ませてやろうと思っていたホークの相棒は、
見てて痛々しい気持ちにさせる様な寂しい廃船となってしまった。
しかし今はそれよりも他の奴等を探さなければ、死んでしまったかもしれない。
そんな不安に駆り立てられ周囲を見回すホーク、すると少し離れた位置にゲラ=ハの姿が見えた。
合流しようと近づくとなんと、ゲラ=ハが二人いた、一瞬我が目を疑うが冷静に見てみると服が少し違う。
鱗の色も少々違うようだ、多分ゲラ=ハ以外のゲッコ族であろう、ならばここはゲラ=ハの出身地か?
情報を集めるためそのゲッコ族に話しかけることにした。
「おい、あんた等。」
こちらの言葉に反応し警戒しているのだろう、槍を構える二人組み、人間嫌いが多いゲッコ族。
それに加えて一目で海賊と分かる風貌、警戒して当然、まずは目的を話した上で警戒を解かねば。
「怪しい者じゃない、ここら辺にゲラ=ハって言うゲッコ族や俺以外の人間を見なかったか?」
ゲラ=ハの名前を聞き驚いているのか、二人組みの片割れが、次はこちらに質問してくる。
「お前きゃ?ゲラ=ハの友達ときゃ言うきゃい族は?」
どうやらゲッコなまりが強いようだ、ゲラ=ハは既に標準語をマスターしていたが、
何かの役に立つと言い教えてくれたのだ、この場合
[お前か?ゲラ=ハの友達とか言う海賊は?]
となる。
「きゃ」の部分を、「か」にして考えればいいのだが早口だと聞き取りづらい。
それを考慮してくれたのか少し遅めに話してくれていたため内容を理解し、問いに答えるホーク。
「そうだ、俺の名は、キャプテン・ホーク!」
自己紹介にはありったけの気合を籠めるのが己の流儀であるホーク、だがジャングルの中という事を忘れていた。
「グウウゥゥ・・・!」
60 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:44:36 ID:tT29dvbC0
突然遅い来る獣タイプの魔物が現れた、石鎧に身を堅めておりそれなりに強そうだ、斧を構えるホーク、
しかしそれより速くゲッコの騎士が動く、片方が攻撃を受け流し、もう片方が仕掛ける。
手首を返し素早く突く、「反し突き」威力は低いが牽制にはもってこいであろう。
どちらを攻撃すればいいか迷う魔物、その隙を突き連携へと繫げる。
少し離れて槍を投げ、一瞬そちらへ気を取られる魔物を狙い済ました一突きで貫く。
「ジャベリン」と「エイミング」の連携技、「ジャミング」
倒れ掛ける魔物、しかし最後の力で反撃を仕掛ける。反応が遅れるゲッコの騎士、信用してもらうためにも、
助けることにするホーク。魔物に不意の一撃が入る、今までの戦いの中で長期戦を有利にするために思いついた新技。
斧の刃の無い部位で敵を打つ「骨砕き」地味な技だがホーク程の腕力があれば、ある程度固い敵にも骨まで衝撃が響く。
うまくクリティカルしたり弱っている所に打ち込めば相手の攻撃力を大きく落とせるだろう。
ダメージを受けている魔物の力を失いかけた胴体へ重い一撃が入る。倒れる魔物、これで信用してくれればいいが、
そう思い騎士へと目を向ける、まだ完全に信用した訳ではないようだが一先ず落ち着いた様だ。
「礼をいうぞ、人間。」
ゲッコ族は人間を信用してはいないが礼節は心得ている種族だと聞いた。
事実ゲラ=ハは紳士的である、危険だと判断されなければ多分教えてくれるだろう。
「礼はいい、それよりさっきも聞いたがゲラ=ハってゲッコ族や変な格好した二人組みとか
刺青だらけのオッサンみなかったか?」
先程言いそびれた特徴を適当に述べて行く、こんなもんで大体分かる筈だ。
だがゲッコの騎士は自分達の質問の方を優先してくる。
「それよりこちらの問いに答えてもらおうきゃ。ゲラ=ハとはどういうきゃん係だ?」
(訳:それよりこちらの問いに答えてもらおうか。ゲラ=ハとはどういう関係だ?)
ホークはここは従う事にする、船の上ならまだしも陸地、しかもジャングルでゲッコの騎士二人組みに挑む。
そんな真似をやらかす程、間抜けではない。
「さっき答えただろう?あいつは俺の仲間だ。」
61 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:46:26 ID:tT29dvbC0
半信半疑の様子だが質問を変えるゲッコの騎士。
「・・・では人間、何故ここに来た?」
嵐の事を説明するホーク、一応信じてもらえたのかゲッコの騎士達は自分達の村へと案内してくれる様だ。
さらに村へと続く道の途中にも話は続いた、この二人はまだ未熟なので名を貰ってはいないと言う。
そして片方のゲッコの騎士が刺青の男を見かけたと言うので詳しく聞くと、
「ちきゃくの村のパブでまんじゅうをきゃった後、海を泳いでどっきゃいっちまった。
正気の沙汰とは思えなきゃった。」
(訳:近くの村のパブでまんじゅうを買った後、海を泳いでどっかいっちまった。
正気の沙汰とは思えなかった。)
頭が痛くなるホーク、戦力のダウンと共に探し物が増えてしまった。
しかしそんなことはお構い無しに歩き続けるゲッコの騎士。
少しして洞窟へとたどり着いた、ここがゲッコ族の住処の様だ。
「ここを見たきゃらにはお前ぎゃ信用出来ぬと判断した場合死んで貰うぎゃ・・・きゃまわんな?」
(訳:ここを見たからにはお前が信用出来ぬと判断した場合死んでもらうが・・・かまわんな?)
本当にこの中に入ればゲラ=ハの居場所が判るのだろうか?
何やら嫌な予感がするが闇雲にジャングルを彷徨ってものたれ死ぬだけだ。
意を決して中へと足を進めるホーク、そこは行き止まりにしか見えなかった。
騙されたか?しかし背後をこちらに向けている、警戒は解いていないが争いの意思はないだろう。
すると何やら岩を動かし始めた、どうやら仕掛けがあるらしい。
罠の可能性もあるので手を懐へ突っ込み斧がある事を確認する。
岩を動かし終えるといきなり目の前の岩の壁が動き始めた。
それを行き止まる度に繰り返す、これなら人間はそう簡単には入って来れまい。
そして洞窟の中、草が妙に生い茂っている所へ入り込んでいく、これが入り口なのだろう。
中に入ると意外にも、ゲッコ族で賑わっていると思われた村は殺伐としていた。
何か流行り病でもあるのだろうか?しかし少数のゲッコの民を見てみた所、病人はいなさそうだ。
民家の中かもしれないがどの家にも灯りはない、どういうことだろうか?
とにかく村長と話をしにいくと、すでにゲラ=ハが説得していた。
今度は間違いない、服も、持っている槍もゲラ=ハと同じ物だ。
62 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:48:24 ID:tT29dvbC0
「長、そういわず話してください。何故、人間を避けるのですか?」
仲違いしていたのだろうか?険悪な雰囲気が周囲に伝わる。
「人間は臭いが違うのだ。地べたに這い回っていた我々を立ち上がらせたのはサルーインだ。
エロールの子である人間とは違うのだ。お前は人間の臭いがするぞ、ゲッコとしての誇りはどうした?」
ゲッコ族の視点からであれば至極当然な意見、破壊神と光の神、違いは明白だ。
しかも光の神の使いが破壊神を封じたのだ、即ち自分達の信仰する神を人間が破滅へ追いやった事を意味する。
だがゲラ=ハは諦めず説得を続ける。
「しかし、サルーインはもういません。人間と生きていくのが我等の道でしょう。」
だが村長は機嫌を悪くしている様だ、冷たくあしらう。
「人間はそうは思っておらん!その証拠に我等の仲間を攫って行くぞ、やはり人間は信じられん!」
ゲラ=ハも言葉での説得を諦めた様だ、こちらに向かってきてこう言い放った。
「キャプテン、ゲッコ族を助けてはくれませんか?村の仲間が一部の人間に誘拐されている様なのです。
スタンさん達は私の仲間に任せておいてください。」
強い決意の秘められた眼差しでこちらを見るゲラ=ハ、どうやら上辺だけでは無く、心から人間との和解をさせたいらしい。
ここで断る訳にもいくまい、それに攫われたゲッコ族の情報を集めるくらいだったらジャングル探検よりは楽だろう。
そう思い引き受けることにしたホークは早速、ゲラ=ハにゲッコの民からの情報収集を任せる。
そして自分は近くにヴェイブ、ゴドンゴと二つの村があるらしいのでまずはヴェイブのパブへ向うことにした。
63 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:49:34 ID:tT29dvbC0
〜そのころのカイル達〜
「なんでロニまで寝ちゃうんだよ!この箱壊れたら溺れ死んじゃうじゃないか!」
荷箱で漂流している様だ、どうやら毛皮で漏れないようにし、さらにコートの男、だった亀甲の男のコートで、
多少ながら浮力をつける、後は「レンズ」と呼ばれる石に力を籠めて晶術を使い水を操作する。
そんなこと武術面以外では一般人であるカイルとロニに出来る訳がない、使えても低レベルな晶術に限られる。
では、なぜ出来るかというと、
「リアラ、大丈夫?」
そう、リアラの力である。
彼女には不思議な力が備わっており、レンズの力を一般人よりも遥かに高く引き出せるのである。
だが彼女は浮力を高めるようにするので精一杯の様だ、レンズが足りないのだろう。
ではどうやって進んでいるのだろうか?
「俺とした事がついつい寝ちまうとはなぁカイルの眠り癖が移ったか・・・?ん?オラ!サボるんじゃねぇ!」
ロニが亀甲の男の縄を引っ張る、男が目に大量の水を浮かべているが塩水が入ったのだろう、きっと。
推進力はどうやら亀甲の男の様だ。類稀なる強靭な肉体で荷箱ごと3人を運ぶ、縛られたまま。
どう泳いでいるのか良く分からないがとにかく体をうなぎの様にくねらせている、気持ち悪い推進器だ。
その時、船の姿が見えた・・・がその船を追いかける様に泳ぐ男が一人。
「あ・・・あいつさっき乗ってた船で見掛けなかった?」
カイルが見たのはそう、スペックであった。
近くへ泳ぐ様に推進器に命令するロニ、渋々従う推進器がスペックに並んだ。
「ン?シコルスキージャネェカ、ナンデ縛ラレテンダ?」
それに気付いて話しかけるスペック、小声でスペックに話しかける推進器。
「助けてくれッ、こいつ等相当強いんだ。アサシンギルドまでおびき寄せてドイルさんに倒してもらおう!」
敵わないと見てドイルという男に助けを求めるように提案するシコル、いや推進器。
どうやら下っ端なのでスペックの裏切りの情報を知らない様だ。
64 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:50:42 ID:tT29dvbC0
それを悟ったスペックはこれを利用しアサシンギルドへの潜入を考える事にした。
元々は自分もギルド出身なのだ、キャプテンに迷惑を掛ける訳にはいかない。
とは思うのだがどうにも戦力が足りない、どうすれば?その時ロニがスペックに話し掛ける。
「おいアンタ!この変人の知り合いか?」
誰が変人だ!自分で勝手に縛っておいて・・・
そう心の中で叫ぶシコ・・・推進器、正確にはロニではなくカイルなのだが。
そんな男の心の声が聞こえる訳も無く、ロニは会話を続ける。
「すまないが見ての通りこんな木箱じゃ沈んじまう、この変人と一緒に泳いでやってくれないか?」
どうやら変人型推進器が一つでは不安な様だ。
ここは恩を売りつける事にし、用件を承諾する。
「イイゼ、特別サービスダ、礼ナラ後払イデカマワネェ。」
一応ランクCの中ではトップクラスの実力を誇るシコルスキーを倒し、さらにはこき使う程の実力者ならば、
きっとアサシンギルドの連中とも渡り合えるであろう。そう考えたからだ。
「よし、早速この紐を体に巻きつけて引っ張ってくれ。」
そう言ってロニは荷袋から取り出した紐をスペックに渡す、いたって普通にそれを体に巻きつけているスペック。
それに不満を感じたシコルスキーが講義する。
「おい!俺は何時まで縛られなきゃいけないんだ!泳いでやるからさっさと解け!」
そう叫ぶシコル、しかし相手にされる訳はなかった、藁をも掴む気持ちで優しさを求めて少女へと視線を移したが、
「・・・私が探してるのは英雄よ、負け犬じゃないわ。」
やはりロシアの情報は遅れている、日本の女性は奥ゆかしいのではなかったのか。
泳ぐのに夢中なのか馬鹿なのか、ここは日本では無い事に気付かず心の中で自国へ文句を言うシコルスキー。
そもそもどう見たって少女には日本人の特徴は皆無だというのに・・・。
そんなアホを尻目に、凍りつくような一言を言ってのけた少女の目を見て少年は少女との出会いを思い出すのであった・・・
あの日、家の家計を助けるため母の反対を押し切り、街の近くの遺跡へと騎士となって帰ってきていたロニと共に
噂になっていた巨大レンズを探しにいったのだが、なんとその巨大レンズは割れてしまったのだ。
それも目の前で、しかしそれでは飽き足らず、割れたレンズの破片が光となって集まり、
その中から少女、つまりリアラが出てきたのだった。
英雄を求める謎の少女に向かって少年はこう言ったのだ。
「自分は未来の大英雄だ。」
と、しかしそんな少年を見る少女の目は・・・
65 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:52:52 ID:tT29dvbC0
「俺・・・リアラから見たらこんなんだったんだ・・・」
お前は英雄では無いといい捨てて去っていったあの時の少女の目は、まさに亀甲縛りのこの男を見る目と同じ目であった。
だが少年は諦めず少女を追いかけ、仲間と共に英雄になるための旅に出たのだ。
だが現実はうまくはいかなかった。
街で運良く少女と再会したカイルは「自分の父親は英雄だ」「父親と同じ痣がある」
等と少女に自分を認めさせようとし、父親の自慢話を始める。
しかし帰ってくる返事は全くカイルに期待を抱いていない物だった。
当然である、それは少年の残した偉業ではないのだから。
それに気付かずにまたも去ってゆく少女を追いかけ強敵と出会う。
全身から危険な闘気を纏う狂気の男、バルバトス。
少女に襲い掛かる所を間一髪助けるが、ロニと協力しても撤退させるのがやっとであった。
しかも、その男はまだ本気をだしていない様だった。
少女を助けた少年は力の差を見せ付けられても英雄になるのを諦めなかった。
少年の意志を見せ付けられ、渋々護衛を任せながらも微かに期待を抱く少女。
自分に英雄の資格がある事を証明するために、少年は少女の意思に従う事にした。
少女の目的は「英雄を探す事」であった。
そこで世界を代表する四英雄を訪れることにしたカイル一行は、
過去に父親と共に世界を救った四英雄の一人、英雄王ウッドロウ・ケルヴィンに会うことにした。
その際、北国ファンダリアを収める王との面会に使った方法はこうだ、
「四英雄の一人、スタン・エルロイの息子が面会に来た。」
そうロニが言ったのである。
ウッドロウはこれを承知し面会を許し、自分は過去の英雄である故に助けにはなれないと告げ、助言を施す。
「英雄の息子ならきっと英雄になれる。」
と、これを聞いたカイルは最初は浮かれていたが、街中のある人物に言われて気付いたのだ。
「父親の功績に縋る者が英雄になれるのか?」
66 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:53:52 ID:tT29dvbC0
何も言えなかった。
自分ではなくロニが言ったのだが父親の功績に縋り、父親の力で認めてもらったのだ。
自分が一般人だったら偉い人間や先に面会の予約を取っていた人達が先に会えたであろう。
ではどうすれば英雄になれる?
それを問いかけようとした時、その人物は消えてしまっていた。
全身を覆うマントをしていたが刀と、奇妙な篭手をしている男であった。
その男の問いへの答えを今も考え続けている。
ここに至るまでの道のりを振り返る。
レンズの力でこの世界へ飛ばされ、密航していた船が壊れて木箱で漂流。
英雄という存在へと近づいた気は全くしない。
少しずつ、英雄という存在によって少年の心を不安が蝕んでゆくのであった・・・
67 :
八話「英雄」:2005/11/12(土) 22:56:19 ID:tT29dvbC0
中途半端な所で終了です。
カイルの回想が説明臭ぇぇぇ!
ジューダスはリオンとして登場させたいんで保留。
原作通りカッコ良く死んで理由もなく復活なるか?
理由は付けとくか・・・エルレインもリオン復活させるくらいならまだ
ミクトランとかにしとけば良かっただろうに・・・
そして刀と篭手の人、ゲーム比率がモリモリ上がってる・・・
自分が漫画よりゲーム派なのに今頃気付くとは。
さて、カイル達はアサシンギルドまでどんぶらこっこ。
グレイ一向にスタン達、まだまだ書く事がありそうな感じ。
まぁスタン達とは別れっぱなしとかもあるだろうし。
出会いと別れこそサガの本質。・・・だよね?(0w0;)
パーティ外成長でパワーアップはするさ、きっと。
〜サガ講座〜
ゲッコなまり ゲッコ族の特徴的な方言。詩人さんがゲッコ語りで話してくれる所があるけど
もう聞いちゃってたからゲッコなまりの確認取れず。確か「か」が「きゃ」になるだけの筈・・・。
ヴェイブ、ゴドンゴ ジャングルを境とした隣り合わせの村。ここでゲッコ族が誘拐され、
売り飛ばされているのを止めたりする。何故ゲッコ族が売られるのかは多分、硬い鱗のためだろう。
メ○ドにするにはゲラ=ハには器用さが足りないし、まぁゲラ=ハが人一倍不器用なだけかもしれないが。
ここはキュートなルックスで観賞用だろうか?
68 :
作者の都合により名無しです:2005/11/12(土) 23:54:42 ID:8yDrD+rV0
まずは邪神?さん長編カテゴリ移行おめでとうございます。
ロマサガチームとテイルズチームになんとなく別れているようですね。
エイミング使ったな……w
個人的にロマサガは3が一番好きなのですが(モニカ様♪)
ラスボスはサルーインが一番印象に残ってますね。
そこまでたどり着くのにまだまだかかりそうですねえ。
>普通
水島というキャラは強いんですね。勇次郎と同レベルとは・・
しかしふらーりさんのキャラはいつも可愛いな。
最後の勇次郎の台詞の回想も良くわからないヒキで。
>その名はキャプテン
ジューダス→リオンはディスティニー2のネタでしたっけ?
それはともかく、この作品でもシコルスキーはこういう扱いなのかw
バキ軍団の奮起を期待してます。スペックはそこそこみたいだけど。
>ふら〜りさん
相変わらずバキキャラ使ってもまったりのふら〜りワールド。
今後の展開がどうなるかは分かりませんが期待してます。
>邪神さん
テイルズキャラの甘ったるい感じがすき。ロマサガよりも。
ああ、ウッドロウ好きだったなあ。かっこよかった覚えがうっすらと。
大活躍を期待しております。
71 :
DIOの世界:2005/11/14(月) 05:11:15 ID:FxwQ4HkM0
http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dio/2-07.htmの続き いつもそうだ。俺の前に立つ救いの天使は、いつも汚らわしい。
泥の底から響くようなしわがれた声で、因業さを含んだ不遜で不躾けな視線で、
この世の垢を皮膚に撫で付けたような体臭で、俺の目の前に突然現れる。
醜悪さが老婆から辺りに発散される。
だがそれは年老い、不潔な風体だからじゃない。そんな婆あはいくらでもいた。
この老婆は言わば鏡。己の、心の奥底にある醜悪を映し出す魔鏡だ。
誰しも一皮剥けば醜悪である事をおれは知っている。
神に祈りを捧げるはずの聖職者が、その御手で純朴な乙女を犯し、狂わせる。
やがてその乙女がヤクに走り、体を売る姿をおれは飽きるほど見てきた。
突き詰めれば人は獣。そして本能は犯すこと、奪うこと、殺すことを望む。
そんな事は誰でもわかるはずだ。おれたちは皆、天から見捨てられているのだから。
神への祈り? おれには分からない。いや、おれは神が存在すると信じてはいる。
だがそいつらは決しておれたちの味方じゃない。
天の御座において、薄ら笑いを浮かべながらおれたちの愚行を楽しんでいるクソだ。
おれは何人か知っている。
最後まで信仰を貫き、悪事に身を染めず最後には餓えて死んでいった馬鹿を。
奴らは死ぬ寸前まで自分たちの神に感謝を捧げていた。
この苦しみは試練であり、試練に耐えた我らは来世では歓びに満ち溢れると。
72 :
DIOの世界:2005/11/14(月) 05:12:04 ID:FxwQ4HkM0
本物の馬鹿だ。死ねば砂に戻るだけだ。そこから先に光などは、無い。
ありもしない神の慈悲にすがろうとする馬鹿どもよ、いい加減に気付くがいい。
天の上にいる神は、おれたちになどさして興味は無いという事に。
おれたちが足元の蟻に興味を示さないのと同じように、だ。
だからおれは誓った。おれは、この世でおれ自身が神になるということを。
そして求めた。天ではない、この地上においておれが仕える神を探すことを。
今、薄汚い天使が目の前にいる。地上の神の御使いとして。
力を得ただけでは救われぬおれを救う為に。おれに信仰を授ける為に。
地獄の天使、エンヤは笑う。嘲るように、慈しむように。
おれの昂ぶりはガキでは癒せない。犯そうとしていた少女を半裸のままブン投げる。
下半身を剥き出しにした少女は転がり、そして逃げ去ろうとした。が、そう甘くは無い。
街のゴロツキどもが数人喚き散らしながら、泣き叫ぶ少女を路地裏に引き込んでいく。
半年後には立派な売春婦に成長するだろう。おれにはどうでもいいことだが。
屹立したペニスをゆっくりと自分でしごき始めた。最大限に怒張した後、射精をする。
ドクドクとした精液が手の中で広がる。酩酊にも似た快感が体を包む。
自然と微笑が浮かんだ。おそらく、エンヤと同じ質の微笑。
エンヤは大袈裟な、だがこの老婆に似合いの嬌声で叫んだ。
「ひゃはははははあ。よくぞここまで濁り腐りおった。上等じゃ。やはり上物だったか。
ワシの一人息子に向こうを張りおるわ。では、行くとするか。ワシら主が待つ場所へ」
73 :
DIOの世界:2005/11/14(月) 05:12:41 ID:FxwQ4HkM0
盲目とはものが見えないことじゃない。光の屈折を捉えられないことに過ぎない。
少なくともおれには、目明きよりも遥かに多くのものが、見える。
息の臭いから相手の健康状態が見える。声の張りから精神状態が見える。
指先で軽く撫ぜるだけで、その造詣は一ミリの紛れなく脳内に浮かび上がり
皮膚感覚は数秒後の風の向きや、明日の天候ですら教えてくれる。
おれは視覚を失うことにより、却って見えるようになった。この世の理が少しだけ。
見えることは観えないこと。聞けることは聴けないこと。
そして知ることは更に知らなくなること。 …当たり前だ。それはごく当たり前のことだ。
自分の目で見ているものが、実際は違う姿をしているかも知れないのだから。
自分が見ている世界と、他人が見ている世界は違うのかも知れないのだから。
人はいうならば短い時間と限られた場所を生きるだけの小さな存在。
おれも、足元を這う蟻も大差は無いゴミのような存在。
そんなゴミが、どうして目が開いているだけで世の理が見える。見える訳が無い。
ならば、いっそ見えない方がいい。
見えない方が、目の前の虚像に惑わされず感じることができる。真理を。因果を。運命を。
おれの中で歯車が動き始めるのを感じていた。
昂ぶっている。水の能力を得た時以上に。力でなく、精神を手に入れる予感があった。
大いなるものに包まれる予感が。
おれは闇を感じながら前に進んだ。横のエンヤが緊張しているのが分かる。
ここはどこかの洋館らしい。階段の形状や屋敷の間取りから豪邸であることを感じた。
そして時は来た。我が地上の神との邂逅は、あまりにも平凡な一言からだった。
「やあ。 ……お前が、エンヤのみつけた有望な種か」
その「やあ」という言葉は、生まれて初めて聞く言葉のように、神聖におれの胸に響いた。
74 :
DIOの世界:2005/11/14(月) 05:17:50 ID:FxwQ4HkM0
書いている本人も内容忘れていた位の久しぶりだけど、あと2回か3回で終わりです。
その後第三部行けるかなあ?一気にDIO編で終わらせようかなあ?
今度は辛気臭い話はやめて、マライアとかの女詐欺師とかのコメディを考えているんだけど。
今までサボりすぎたんで、現スレは5回くらいは更新できればと思ってますが。
シティーハンターの続編をアニメで見たけど、主要キャラの声優が変わってなくて嬉しかった。
だけど、リョウ(漢字が出ない)の声優さんの声の老化具合がショックでした。
この作品、パオ氏の作品の中で人魚姫の次に好きだけど、やっぱり読んでて痛いなあ。
でも最近の現実はこのSSよりよっぽどもっと酷いですね。母親殺しの科学部の女とか。
ンドールとディオとの邂逅を楽しみにしてます。詐欺師の話も楽しみです。
>シティーハンターの続編
エンジェルハートですね。あれはシティハンターファンからすると耐えられない内容かと
内容や作品の出来がどうこうじゃなくて香の設定がきついよね。
77 :
作者の都合により名無しです:2005/11/14(月) 14:55:42 ID:+v+Ywjq40
>殺助氏(一応)
相変わらずなブラックな展開とンドゥールの思考がよろしいです。
でも、次のコメディも楽しみですね。
でも魔界編と北の果てよりも更新進めてくださいね。
ただ、現実世界は75氏の言うとおり想像をもう絶しているな…
前スレ374から
「――――君達に前もって言って置く事が有る」
高級ホテルのエレベーター内で、クリードは居並ぶ道士達に告げた。
「例のトレイン=ハートネットとは、極力戦わないように」
早速リオンが発言に絡んだ。
「…何でだよ。そいつ道士でも何でも無いんだろ? そんなに殺されたくないのかよ……気持ち悪りィ」
関係を疑ってか貌を顰めるが、クリードは愚弄を何処吹く風と柔らかく笑う。
「…何時だって何処だって、触れてはならないものは有る。
爆弾然り、酸や劇毒然り、餓えた獣然り、崩れそうな建物然り……そしてワガママ娘の勘気然り。
トレインはそう言う物の一つだ。もし迂闊に扱ったりしたら……悪いけど僕じゃ助けてやれない」
その時、目当てのカフェラウンジとは幾分離れた階でエレベーターが止まった。
「用が有るからこれで」と降りるクリードを仲間と共に見送りながら、デュラムは内心不愉快だった。
――ふざけやがって。
危険だと? 触れてはならないだと? それは寧ろこの己に相応しい台詞だ。
賞金首となって何人もの掃除屋を返り討ちにし、それを上回る数の強者弱者を殺し続けたこのデュラム=グラスターにこそ。
最強は、そして最恐は己にこそ相応しい称号だと言う事をあの優男は勿論、此処にいる全員がいずれ知る事となるだろう。
大体クロノスが道士狩りを行っていると言うのに、自分の所にはたったの一人も来なかった。
それは間違い無く、クロノスが自分の力を認めている証拠に相違無い。
――だからいずれ、この組織はオレが貰い受けてやる。そう、最強たるこのオレが。
金が有って、力が有って、手下が居て………正に自分に供されるべき美味しい獲物だ。
さぞ気分が良いだろう、その全てを勝手気ままに動かすのは。
その指導者が手に余るらしい何処かの馬の骨を殺せば、トップに躍り上がる名目も立とうと言うものだ。
――有難うよクリード、オレの為に組織をここまで大きくしてくれて。
………しかしその夢も、キョーコの指摘で脆くも崩れ去ってしまうが。
――…思えば、この敗北を認めた時点で黒猫(ブラックキャット)に手を出すべきではなかった。
クリードの言葉は誇張でも何でもない、単なる事実でしかなかった。
しかし驕慢の愚かしさを思い知らされ、後悔は既に彼岸の彼方………気付くのが遅すぎた。
月光を背負うトレインの顔は闇一色で視る事は出来ない。だが、二度見ない事は幸せかもしれない。
―――――それでも、
恐ろしくて銃爪を引けない。
恐ろしくて逃げられない。
恐ろしくて動けない。
恐ろしくて、喋れない。
恐ろしくて――――――眼を離せない。
理性や知識では到底及ばぬ始原の恐怖が、デュラムからあらゆる行動の自由を剥奪していた。
殺意だとか、憎悪だとか、命への無関心だとか、そんなものを超越した形容し尽くせぬ何かが人の形で其処に在る=B
それは獣の獰猛でも、機械の冷徹でもない。強いて言うなら―――――…理解出来ない。
顔中の穴から液体が滴る。まだ日が昇っていた時に殺した警官の様に。
だが、彼にはまだ慈悲が有った。選択の自由が少しは有ったから。
しかし今のデュラムに選択は一つしか無い―――――動かない事、それだけがほんの僅かに命を永らえる。
……尤も、その稼いだ時間だけ恐怖に晒されるが。
生き意地汚い事は悪い事ではない、ただ時と場合によっては死ぬより残酷なだけだ。
トレインの足が、一歩デュラムに近付いた。
一歩、一歩、また一歩。デュラムを死刑台に引っ立てる様に。殺戮の場だという事を感じさせない緩やかさと静けさで。
「…あ……あああ……」
零れる声は絶望に軋り、瞬きを止めた双眸は恐怖を涙にして流させる。
今なら如何な恥辱屈辱だろうと耐えられる。この怪物から逃れられるなら。
別に死ぬ覚悟が無い訳ではない。これに殺される無慈悲が恐ろし過ぎるのだ。
その上で、これまで自身が行なってきた所業を鑑みるに、奴に仏心など芽生える筈も無い。
「…あ、うぅぅ……ぁ…」
助命の嘆願すら出て来なかった。代わりに体が、近付くごとに震え出す。
おぞましい均衡が徐々に破裂する場を求めて膨れ上がるのが判る。そのベクトルがデュラム一人に向いているのも判る。
近付く一歩一歩にかぶりを振って拒絶しても、トレインの足はゆっくりと迫る首切り人の様に止まらない。
「ぃいい……いいいいい………!」
貌が恐怖と悲哀を斑に混ぜて彩られる。
待たされる事もまた、時として恐ろしい。
何時殺される? どう殺される? 苦しいのか? 長いか? それとも、ただ生き地獄か?
なまじ人の死に触れて来た為に、悲惨な末路の想像は極めて容易だった。
抜けた腰のお陰で手だけで後ずさる。すぐ背後が大樹の幹だと言う事を完全に忘れて。
―――――――…そして、トレインだった怪物はデュラムの目前で足を止めた。
銀の月光よりなお冷たく、夜の帳よりなお暗く見下ろす闇が、其処に在るだけでデュラムの意識を削り取っていくようだ。
事実、彼は半ば以上自分を見失っていた。
いよいよデュラムの恐怖は精神の限界に達した。
――――嫌だ、怖い、助けてくれ誰か―――
抵抗を諦め、矜持も信念も関係無く命を惜しんだ時点でイヴの分は返した。
されど、殺した程度で収まらないのが世の常。守るものも何も無いデュラムには到底判りえぬ領域からの答えはそれだ。
デュラムに死刑判決を下す様に、ハーディスの撃鉄が起きる。
「あ、あ…あああぁぁあアぁぁあ! あぁあアアぁぁァァぁァァあ――ァあ!!!」
叫んだ。恐怖に任せて。
彼にはもう、死以外の因果は存在しない――――――――――筈だった。
突然トレインが弾かれた様に後方に跳んだ。
次いで、風切り音と共に高速で飛来した何かが、トレインが立っていた位置――デュラムの眼前を爆発の様に吹き飛ばす。
それによって、彼は意識を手放した。
トレインの着地と同時に夜空に響く落雷の様な音………それが恐らく狙撃の銃声だろう。
否、それは既に狙撃の威力ではない。
対戦車ライフルの威力も見た事は有るが、それを充分に凌ぐこの破壊力は、最早砲撃の域だ。
第二射の意≠感じ取ると、トレインは鮮やかな後転で射線から逃れた。
それを皮切りに放たれる第二、第三射。トレインもまたそれに答える様に連続後転で次々と砲撃を凌ぎ切る。
破壊力そのものは戦車砲の撤甲弾並みだが、連続で来る時点で尋常の砲撃ではない。その射撃密度のお陰で木々は砂場の棒倒しか
ドミノ倒しか、そんな風に薙ぎ倒される。しかもその全てが有り得ないほどの精密で。
しかし彼もされるがままでは無い。射角・タイミング・銃声・精度、それらを回避しながら見定める。
八射目に、遂に砲撃者の位置を導き出した。
―――三時半方向に約二百メートル、地上20メートル地点。
其処に視線をやれば――――ひと際高い大樹の頂点に、異形の何かがしがみ付いていた。
対比を見るに、並みの人間より遥かに大きい黒い何か。遠目には巨猿にも見えるが、其処から砲弾と殺意が確かに放たれる。
それを確認しつつ回避しながら、トレインは徐々に―――いや、猫科動物さながらの速度で砲手に近付いていった。
砲手は砲撃の序でにトレインに感嘆と賞賛を送る。
素晴らしい、それが最良の選択だ
それはかつて、トレイン一行の女性陣とセフィリアの前に現れたロングコートの怪物だった。
右手の五指を樹にめり込ませたまま、左手に持つ己と同様異形の巨砲を緩急自在の左右移動で進撃するトレインへと向ける。
所謂単発のミサイルランチャーに近い形状をしているが、極限まで突起物を削ぎ落としたストイックな形状は鉄柱そのもの、
頑強さは一般のそれとは違う極限の一体感が保証する。しかし真たる異質は砲身ではない。
銃口下部に滑らかに一体化した重厚なグリップガードと肩当て付きの銃杷。そのグリップガードに、破城槌の先端と槍の穂
の中間を取った様な重くも鋭い武骨な突起が銃身と平行して突き出していた。この巨砲、紛れも無くトレインのハーディスと同様、
近接武装も兼ねる様だ。
ただ、連射機構が何処にも無いのに連射出来る理由は判らないが。
続く連射が絨毯爆撃の様にトレインの周囲を吹き飛ばす。しかしそれでもトレインの魔獣の進撃を止める事が出来ない。
回避そのものが進行となり、しかもそれが予測のつかない方向へと見る間に到る。
当然砲手に手心など無い。一歩先を狙おうが、樹の下敷きにしようと幹を薙ぎ倒そうが、今のトレインには届かない。
寧ろ、何度か見失うほど今の彼は迅速で周到で…容赦ない。
これが狙撃ならこの進行は或いは常識なのかもしれないが、さにあらず。これは砲撃なのだ。
一発当たれば致命傷――――――どころか衝撃波だけで命が脅かされる威力に、正解とは言え向かって来る座った≠ヌころでは
済まされない強靭な心胆。
射程外から撃ち込む圧倒的有利を覆しつつある、規格外の身体能力。
砲撃を全て予測し切って、その炸裂すらも進撃の推進力に変換する極小ミリ単位の領域を覇す洞察力。
その全てを発揮して砲手に迫るトレインは、死神の魔弾に等しかった。
今の彼に狙撃の類は意味を成さない。当たらない事に恐怖しながら死を待つのみだ。
―――――しかし、怪物は状況を知るや凄絶に微笑った。
既にトレインは十メートルを突破していた。
もう間も無く砲手の真下に到れば其処で全ては終わり。迎撃の間なぞ有ろう筈も無く、下から逃げ場無く撃ち殺されるだろう。
それを知ってか、トレインがシリンダーを開放して空薬莢のみを摘まみ出し、全弾を装填し終えたその時―――
これまで以上に巨大な一弾が、デュラムへと放たれた―――…否、それは砲弾ではない、砲手そのものだった。
「!」
トレインは一瞬にして砲手の狙いを察した。
これまでの砲撃は確かに彼を殺す為の物であったかも知れない。しかし其処には隠された真意が有った。
狙いを己に定めさせ、襲わせる事でデュラムから引き離す為の戦略だったのだ。
此処に何時の間にか上って、片手で砲撃していた時点で察するべきだった。奴にはトレインが走ってようやく
詰めた距離を瞬く間に埋める身体能力が有るのだ。
それに気付き、きびすを返すや、トレインは黒い疾風の如く来た道を真逆に疾駆した。
着地した怪物は気絶したデュラムを肩に易々抱え上げると、トレインが向かってくるであろう方向へとふと見やる。
気にするな、別にお前の読みが浅かった訳ではない。俺が隠していただけだ
彼とて今のトレインとまともに戦える訳では無い。故にこうして少々派手なペテンにかけたのだ。
恐らく一直線に向かってくるだろうが、道は砲撃で散々に荒らしてある。どう急いでも一分以上は費やすだろう。
さりとて迂回など以ての外、更に逃走の時間を彼に与える事となる。
お前と真っ向勝負をするなど、愚の骨頂なのでな
心で僅かに賞賛を送ると、トレインと反対方向に第一歩を進めたその時、
―――――彼の耳が、己に迫るけたたましい音を聞きとがめた。
……何!?
振り向いた怪物が見た物は――――――――…森中に乗り捨てられたオフロードバイクの一つを駆るトレインの姿だった。
彼も完全に予想外だった為に、覚えず狼狽する。
その彼へと、跳びかかる虎そのままにバイクがウイリー体勢のまま襲い掛かった。
「ぬうッ!!!」
振り向く勢いで左腕を巨砲ごとバイクに叩き付け、弾き飛ばすも、其処にトレインは乗っていなかった。
それに気付いた瞬間、襟首を突然引っ張られる。
見上げれば其処には―――バイクから怪物の肩に飛び乗ったトレインが銃を振り上げていた。
「う…おおォッツッッ!!!」
銃床を振り下ろすより早く怪物は全身を振った。
突然竜巻に巻き込まれた様な強烈な遠心力に、流石のトレインも前後不覚に陥るばかりか手も離し、宙に飛んだ。
そして怪物も宙を飛ぶ。但し、トレインとは違い真上に、高く。
そして樹の幹に掴まるや、別の樹に跳んだ。
木々に次から次と飛び移り、地上を走る様な速さで見る見るトレインから離れていく。巨体をまるで感じさせない身軽さで。
「……素晴らしい。アレが黒猫(ブラックキャット)か」
逃げながら思わず感嘆を声にする。
成る程確かにクリードが絶賛する腕前だ。暗殺は勿論、近接戦闘に於いても敵は有るまい。
如何に道士だろうが、結局身体限界から逃れられないのでは誰であろうが今宵を模すのみに終わる。
だがクリード、引き入れるのは我等の目的以上に困難だぞ
アレは繋ぎ止められる物ではない。如何様な鎖も食い千切る魔獣だ。
造反されれば手を噛むどころでは済むまい、喉笛を噛み切られるだろう―――…
――――その思考を、彼の背中に突然突き刺さった激しい衝撃が断った。
「!?」
樹に飛び移る中空と言う最悪のタイミングで撃ち込まれ、バランスを失った怪物は地面へと落下した。
落ちる彼の目に、遥か向こうで座射姿勢で銃を構えるトレインが映る。
………拳銃で…狙撃!?
―――――通常狙撃と言うものは概ねライフルで行われる。
ライフルの長銃身とライフル弾独特の流線形が、照準と着弾点の一致を遠距離まで維持するからだ。
しかし実際撃つとなると様々な障害が必中を妨げる。
距離、天候、気温、風向、重力、心理状態、明暗………そして、運。
更に相手が動けば命中率は一層低下する。
その上で最も重要なのは、銃の性能だ。
世に有る銃は広い意味で玉石混交、ライフルもその例に漏れる事は無い。然るに、拳銃の狙撃など相応のパーツが無い限り論外だ。
だが、かのクリードが賞賛する最強の暗殺者とやらはしてのけた。
夜間、距離、速度、重力、角度、木々の枝、ダメージ、疲労、銃の性能―――それら全ての障害を技能一つで彼は踏破したのだ。
しかも怪物の巨体にバランスを崩させる威力は一射ではなく――――
この距離で……ピンヘッド…?
平行距離でもざっと五十メートル、その距離を彼はミリ以下の誤差で背中の一点に六発の弾丸を撃ち込んだ。
その着弾を確認したトレインは、急転直下中の彼に向かって走り出す。デュラムともども止めを刺す為に。
貫通の手応えを感じなかったのは多分あのコートのお陰だろうが、近寄って頭を粉砕すれば問題無い。
木々の陰が疾駆する彼を覆い隠すも、それより昏い爛々と輝く二つの光までは隠せなかった。
その二つの輝きは、自由落下する二匹の獲物を狩らんと捉えて放さない。
…とその時、大きい方の長髪から覗く猛禽の双眸が、彼を真っ向から見据えた。
そしてコンマ二秒遅れて、巨大な砲口が射抜く視線と共に餓えた魔獣さながらのトレインを殺意で睨む。
――――――辛うじて身を捻ったものの、砲弾の衝撃波がトレインの躯を弾き飛ばした。
……気が付くと、トレインは仰向けに倒れていた。
木立がいびつに切り取った夜空に、満天の星と銀光の満月。それらが殆ど動いていない事から、時間はさほど経ってはいまい。
「…逃げたのか」
口から、久々に聞いた様な懐かしさで声が零れた。
―――見事なものだ、あの怪物は結局最後まで諦めなかった。最後まで無理をしなかった。
こちらは最後の最後で勝利を過信したからこの様なのだが、そこに追撃しないとは並大抵の自制力ではない。
……いっそ止めを刺しに来れば、逆に引導を渡してやったのだが。
逃した苛立ちを舌打ちに変え、掌で目を覆う。そして今度は疲労の溜息。―――――唐突に訪れる沈黙。
闇は、また静けさを取り戻していった。
だが、其処に音が一つ現れた。
啜る様な、苦しい様な、萎れる様な声が、一つ……二つ………
それは――――トレインの嗚咽だった。
夜の謳歌が如く降り注ぐ月光の中、トレインは一人、起き上がる事もせず泣いていた。
視界を封じたが故に生じた闇の中、彼の人の顔が現れ、消える。そして耳には声が甦る。
『…そんな殺気立ってどうするんスか、トレイン君』
―――――うるさい。
『…もっと緩やかに生きても、バチ当たる事なんて無いスよ』
―――――黙れ。
『…そうやって拒むだけが、キミの生き方なんスか?』
―――――お前に何が判る!
『…いいじゃないスか。ゆっくりでも』
―――――黙れって……言ってるだろうが!!!
『…大丈夫、キミはこんなに…………暖かいから』
「―――――…オレには……無理だ!!」
心の叫びは、知らず声となって迸った。
「……無理だよ………やっぱり…オレ一人じゃ、無理だ…」
続いて嗚咽の闇に現れたのは、先刻の戦い――――とは名ばかりの虐殺。
手はまるで運命の決定の様に独りでに動き、獲物を見定め、狩り殺す。
恐怖が、慟哭が、惰弱のうろたえが、人が一瞬で物になる感触が、彼の手管と心を益々冴えさせていった。
……未だにこの時が、一番落ち着く。人を終わらせるその時々が。
何故、この世界に彼の人は居ない? こんなに心細いのに。こんなに悲しいのに。こんなに……寂しいのに。
「見えないんだ…サヤ。お前が見てた世界が………オレには全然見えないんだ…」
仲間を守っても、仲間の為に戦っても、今の自分に彼女の春風の様な笑顔が余りにも遠過ぎた。
ふと甦る、ナンバーズ時代の仲間達の眼――――剥き出しの恐怖と、必死に覆い隠した嫌悪………それが先刻の兵士達と重なる。
―――何故、こんな怪物にあんな優しさをくれた? 生きている価値など望める訳が無いのに。
延々と続く答え無き自問―――…否、答えは彼の人の命と共にこの世から消えた。
虐殺に興じ、道士の心を一瞥でへし折り、怪物の心胆を寒からしめた無敵無類の魔獣は、暗き静寂の中、孤独に泣いた。
「世直し順庵」蝶サイコー(挨拶)!!!
「アンタ、もう手遅れだ」の藤田まことがマジ格好良いNBです。
それはそうと、ゲラ=ハに続きアヌビスまで見れるとは……恐るべしバキスレ。
投げ技の有る宇宙空間ロボット物って新鮮だったから、よく憶えてます。
さて、オリキャラ出すと宣言したけど………前出てた奴じゃんよ、俺。
更に敢えてモデルを明かすと、バイオ3の追跡者です。こいつ(バレバレ)。
あの重火器使う化け物ってのが余りにも衝撃的だったのでつい……ムラムラしてやった、今は反省している。
と言う訳で、昨今のガキ共よろしく形だけ反省して……今回はここまで、ではまた。
88 :
作者の都合により名無しです:2005/11/14(月) 20:55:02 ID:+v+Ywjq40
おお、NB氏最近調子いいっすなー。
デュラム戦ここまで長いのに、中弛みしなかったのは素晴らしい。
最後の心の中のサヤとの問答もアクセントになってるし。
時間軸が行ったり戻ったりの演出も上手いわ。
NB氏GJ!
巧いっす
90 :
ジブリ大戦:2005/11/15(火) 08:18:49 ID:MpSDle7N0
おだやかで小さな山村は今、恐怖と混乱に支配されていた。
ザザザザと森を覆い尽くす灰色。灰色は生き物である。猛り狂った
灰色の生き物は人知を超えた速度で増殖する森と共に村を襲った。
逃げ惑う村人たちの中に、その家族はいた。
「サツキ!メイ!何をやっているんだ!早く逃げるんだ!」
「でも、トトロは、トトロは悪い子じゃないよ!」
「私、私、トトロを止めなきゃ!」
森の怒りは止まらない。
相次ぐ自然破壊に森の主であるトトロは人間を滅ぼすことを決意したのだ。
群れをなして村を襲うトトロたちの目は血のように真っ赤に染まっている。
攻撃色だ。
逃げ惑う村人たち。
そんな中、救世主は唐突に現れた。
そのもの青き衣をまといて。
言い伝えの通りである。
村人たちは口々にその救世主の名を叫んだ。
91 :
ジブリ大戦:2005/11/15(火) 08:19:30 ID:MpSDle7N0
「ああっ!?あれは!?」
少女である。
「バカな!?」
ド迫力である。
「ナウシカがっ!」
ドドドドと凄まじい地鳴り。
盛大に土埃を巻き上げて、森をなぎ倒しながらなにかが迫ってきた。
「ナウシカが!ナウマンゾウに乗ってやってくるっ!?」
ナウシカはナウマンゾウに乗っていた。
「それだけじゃないぞ!あっちを見ろっ!」
ナウシカの後ろ遠くの、かろうじてなぎ倒されずにすんだ、か細い木の陰で
静かにこちらを見つめている人影。
「ああっ!?ユパ様が!?ユパ様が遠くからウーパールーパーに乗って
見つめているっ!?」
瞳ドアップ。
「なんて哀しい瞳なんだっ!」
ユパ様はウーパールーパーに乗って去っていった。
92 :
ジブリ大戦:2005/11/15(火) 08:20:13 ID:MpSDle7N0
またなんかやってきた。
「今度はなんだっ!?」
ほうきに乗って空を飛ぶ少女があらわれた。
「宅急便です。」
上空から放り投げられたものは細菌兵器だった。
「飛べねえブタはただのブタだっ!」
そう叫びながら現れたポルコは徒歩だった。
「つまり、オレはただのブタだっ!」
ポルコは去っていった。
アシタカ、サン、アスベル、クシャナ、クロトワ、パズー、シータ、フィオ、
ジーナ、ムスカ、千、白とかいろいろを飲み込みながら顔なしがやってきた。
顔なしはサツキに告白した。サツキはOKした。みんな幸せになった。
93 :
範海王:2005/11/15(火) 08:21:15 ID:MpSDle7N0
わけわかんねえ
94 :
範海王:2005/11/15(火) 08:41:31 ID:MpSDle7N0
みんな、ごめん・・・
NBさん、ラスボスでも無ければ中ボスですらないデュラム相手に良くここまで濃いのを書けるな。
VSクリードの最終決戦なんて恐ろしいことになりそうだ…GJです。
週1くらいのこのペース守ってくれると嬉しいな…
あとジブリ大戦って、一発ネタですか?
96 :
作者の都合により名無しです:2005/11/15(火) 16:39:03 ID:JTsjRUH00
>ディオの世界
超越者に謁見する前の狂人。雰囲気出てますね。
DIOがどんな風に対峙が書かれるか楽しみです。
>ブラックキャット
いよいよクリードと新キャラが動き出すんですね!
デュラム相手以上の激戦が期待出来そうだー。
97 :
普通:2005/11/15(火) 20:32:11 ID:jgGB+9Ov0
>>57 刃牙から秘策の説明を受けた水島は、顔を赤くしながら青ざめて後ずさった。
「なななな何考えてるんだ刃牙っ!?」
「その反応だよ。水島さんの死に匹敵するほど衝撃的、だろ。お姉さんにとっては」
「それは確かにそうだろうが……しかし……」
と水島が躊躇している間に、眼前にいる水島(父)の顔が少しずつ、険しくなってきた。
どうやら苛立っているらしい。それを見て、刃牙が慌てる。
「迷ってるヒマはないっ! これしかないんだから、覚悟キメるんだ水島さん!
シチュはさっき言った通り、もし長引いたらお互いアドリブで頑張る! OK?」
「ぜ、全然OKじゃないけど、OK!」
刃牙と水島が、覚悟を決めた表情で向かい合った。水島(父)が、興味深そうに見つめる。
「ほう。やっと始まるか。さてさて何を…………んぁ?」
水島(父)が、ぽかぁんと口を開けてぽあぁんとなった。唖然呆然。
というのも、刃牙は何だか恥ずかしそうに上目遣いで水島を見上げていて、
「センパイ、卒業おめでとうございます。……あの、こういう時女の子だったら、その、」
水島は水島で、クールな雰囲気の中に優しさを秘めてますって感じで刃牙を見下ろしてて、
「別に、男の子がやっちゃいけないって訳じゃないだろ。ほら」
水島が第二ボタンを外して刃牙に手渡した。刃牙はそれを宝物のように両手で受け取り、
幸せそうな笑顔を浮かべている。そんな刃牙を見つめる水島の目は、
「って、待てええぇぇ! お前ら一体、何のつもりだっ!? 見ろ、これ、さぶいぼっ!」
水島(父)が袖をまくって、鳥肌の立った腕を見せた。
だが少年二人の、卒業式の伝説の木の下っぽいシーンはまだ終わってくれない。
「センパイ、俺、ずっとセンパイのことが……」
「ふっ。解ってたさ、刃牙。君の気持ちは(おい、まだやるのか?)」
「センパイ……(大丈夫、効いてる。もう一押し!)う、嬉しい、です」
刃牙が目を閉じた。水島がその両肩に手をかける。そして二人の、二つの影が一つに……
「いずみのばかああああああああぁぁぁぁっっ!」
電光石火の跳び蹴りが、横合いから水島を襲った。ぶっ飛ばされた水島に、間髪入れず
ピンク色のネグリジェが覆いかぶさる。いや違う、馬乗りになっている。
そしてそこから、マウントパンチならぬマウントビンタの雨雨あられの集中豪雨。
98 :
普通:2005/11/15(火) 20:32:41 ID:jgGB+9Ov0
「いずみのばかばか! こ、こともあろうに、おおおお男の子同士でそんな……わたしは、
あなたをそんな子に育てた覚えはないっ! 不潔よ不潔よ不潔よ不潔よっっっっ!」
超人的な耐久力を誇る水島の頬が、みるみる腫れ上がっていく。どうやらこの
マウントビンタ、かなりシャレにならない威力のようだ。
「三次元の女は、俺に言わせりゃ二種類しかいねぇ。頭に『腐』がつくか、つかねぇか。
で、つかねぇ方はやたらと『腐』を嫌う傾向がある。女ってなぁ何かと極端なんだぜ」
姉のビンタに打ちまくられてる水島を見て、刃牙はほっと一息ついた。
「ふぅ〜。どうやら当たったみたいだな。オレの、一発逆転の秘策が」
「ああ。見事だったぞ」
「どぅわっ!?」
いつの間にやら刃牙の隣に、黒い軍服姿で足のない男……悪霊・水島(父)が立っていた。
「今回のところは、お前たちの作戦勝ちとしておこう。だが、次はこうはいかんぞ」
水島(父)の姿が、ふわぁぁと高く浮かび上がりながら消えていく。
「小賢しい小僧よ。名を聞いておこう」
「へっ、地獄で噂にしてもらおうか。範馬刃牙、だよ」
「ふむ。いい名だ……えっ? 範馬?」
水島(父)が、唐突に鮮明画像に戻って着地した。
「お前、もしかしてあのオーガの……む、息子、か?」
「そうだけど。それが?」
刃牙が、しれっとして答えると。
「そう、か……はは、はははは! そうかそうか! お前が! お前がか!」
水島(父)は再び浮かび上がり消えていきながら、大笑いした。
「範馬刃牙よ、教えておいてやる。オーガは、私などより遥かに強いぞ」
「えっ!?」
「オーガが、息子と戦うのを楽しみにしているとは噂に聞いたが。これはこれは、
また何とも。オーガも私同様、強い息子には恵まれなかったようだ」
水島(父)の姿は、もう殆ど夜空に溶けている。その彼に向かって、刃牙が叫んだ。
99 :
普通:2005/11/15(火) 20:33:10 ID:jgGB+9Ov0
「待ってくれ! 勇次郎が、あんたより遥かに強いって本当なのか!?」
「まあ打撃力だけなら、私が上かもしれんがな。オーガはおよそ格闘に関する、全ての
要素に於いて怪物だ。まともに戦えば、手も足も出ずに私は殺されるだろうな」
「……て、手も足も出ずに……殺される? あ、あ、あんたほどの男が?」
「ああ。オーガと戦う、イコール死だ。それがお前程度なら尚更確実に、な」
水島(父)の姿が、気配ごと完全に消えた。
静まり返った夜の公園で、聞こえるのは水島(姉)の、水島へのマウントビンタの音のみ。
刃牙は無言で、ただ立ち尽くしていた。
翌日、米軍横田基地。警察も手を出せないこの場所が、刃牙と勇次郎の決戦の舞台だ。
が、まだ開戦十二時間前である。なのに刃牙は、激しいウォームアップを始めていた。
「オイオイ。十二時間をそーしてるつもりか」
「アイツのロー・ギアってのは、オレのトップ・ギア以下ってことはないハズだからね」
見ているストライダムは呆れて溜息をついた。しかし刃牙は大真面目である。
『勇次郎の強さは理解してるつもりだった。けど、水島さんの親父さんの方が強いかも、
って一瞬とはいえ思ってしまった。でも、現実の勇次郎は更に遥か上……』
一体、本気の勇次郎はどこまで強いのか。
刃牙は、湧いてくる恐れを振り払うかのように、黙々とウォームアップを続けた。
刃牙が汗を流している横田基地から遠く離れた、ある平和な一般家庭にて。
「もう、いずみなんかしらないっ!」
「だから、父さんの悪霊を追い出す為の演技だったんだってば。信じてよ姉さぁぁんっ」
「そんなオカルト話でゴマかそうったってだめ! 一純が、普通の女の子を
婚約者としてわたしに紹介しない限り、信用しない!」
んな無茶な、と頭を抱える不死身の高校生水島一純。彼も彼の父も普通とは言い難いが、
彼の姉はごく普通の女の子なのである。
『普通の女の子の反応……なんだろうな、これが。恨むぞ刃牙っ』
100 :
普通:2005/11/15(火) 20:33:53 ID:jgGB+9Ov0
で。少し前に開かれた某イベントでの収穫物(自費出版の薄い本。つまりアレ)を
ぎっしり詰め込んだ紙袋に囲まれて、勇次郎は唸っていた。
「う〜む。トド×ザンか、ザン×トドかで割れそうだな、これから。にしても、」
米軍の軍用ヘリの中で、今日の勇次郎は、ちょっと真面目な顔をしている。
「これはこれで、面白いと思うんだがなぁ。ヘンに意識しなくてってもよ。なのに、
男はまだしも女でも嫌う奴の方が普通、か。普通ってなんだろな。なぁどう思う?」
と勇次郎に語りかけられて、彼にボコボコにされたガイアは困る。質問の意味が不明で。
「……ま、要は楽しめる奴が楽しめばいいってことか。ヲタ道の基本に従って」
つまりそういう方面の本を、真剣かつ楽しそうに読み続ける勇次郎。
地上最強の生物は、『普通』とはちょっと距離のある、広域ヲタであるらしい。
私にとっては、ある意味メガンテなネタでごさいましたが。ともあれ、
おつき合いくださった皆様、ありがとうございましたっ!
>>邪神? さん
ゲッコなまり、可愛いと言っていいのかどうか微妙なところですな。人間嫌いの異種族、
依頼された事件、などなどRPGの王道をいってる……と思ってたら変人推進器が一対。
ゲームネタ部分と漫画ネタ部分で、きっちり空気が違うのも本作の味わいの一つかなと。
>>殺助さん
前作のガイルは、「力さえあれば欲望のままに」と望んでいて、実際ハングドマンを得て
そうなりました。でもンドゥールは欲望のままにふるまいつつ、結局は満たされていない。
性欲や殺傷欲とは別に、求めてやまぬは信仰の対象。ガイルより弱いのか、それとも……
>>NBさん
猛スピードと超パワーの戦い、これにて幕。いやぁクリードの褒め言葉が誇張でないこと、
徹底的に証明してくれましたね。でもアドレナリンが切れた途端に立ち上がる、ある意味
本来の弱さ。そしてそこを支えてくれるのが……うん、やはりヒロインはサヤ姐っスよ!
>>範海王さん
御名前+後書きまで含めて、笑えましたよ〜。何しにきたんだユパ様っ、と突っ込む間も
なく次から次へとよくもまぁ。台詞の素っ気無さっぷりから綾波キャラなキキを想像して、
案外いいかも? とか思ってみたり。こういう高密度怒涛ギャグも書けるようになりたひ。
第二十九話「想いの力」
「ラムダ・ドライバ・・・なんだそりゃあ?」
USDマンが訝しげに尋ねるが、ペコは答えない―――答えようがなかった。
<ラムダ・ドライバ―――それは簡単に言えば、心に願ったことを物理的な力に変換する兵器だ。攻撃力を爆発的に
高めたり、あらゆる攻撃を防ぐ盾を創ることもできる―――まあ、自分でやってみるしかあるまい>
アヌビスから為された説明はそれだけだ。はっきり言って抽象的すぎる。自分で理解さえ満足にできていないのに、
人に教えてやることなどできないし、それ以前に理解していたとしてもUSDマンに教える筋合いもない。
「まあいいさ―――いくぜ、金ピカ犬!」
USDマンが無防備に突っ込む。防御など考えるまでもない、ということか。
「・・・喰らえ!」
ペコの怒号と共にアヌビスがUSDマンを迎撃すべく、拳にエネルギーを集中させるイメージを乗せてパンチを放つ。
USDマンはそれを軽々と受け止めようとして―――その身体が押し返された。
「・・・んん!?なんだあ、パワーがちょっと上がったかぁ?」
USDマンも少々面食らった顔でアヌビスを見やった。
「アヌビス!今のが・・・!?」
<―――いや、まだ完全ではなかった。本来ならあの程度の威力ではない・・・また奴がくるぞ!>
「くっ・・・・・・!」
ペコはアヌビスを取り囲むような<盾>をイメージする。瞬間、そのイメージは現実のものとなった。だが、それにも
構わずUSDマンは攻撃を続ける。それは明らかに<盾>の強度を上回っていた。
「はっはっはぁ―――おどかしやがって、結局こんなもんかあ!?まだまだ俺様は本気出してないぜぇ!?」
嘲弄しながらも、攻撃の手をまるでまるで緩めない。<盾>を通して軽減されているが、それでも一撃一撃が凄まじく
重い。
<主よ!ラムダ・ドライバは強い想いの力で動かすのだ!もっと強く念じなければ意味がない!>
「やっているさ!だが―――!」
言葉が途切れる。USDマンの猛攻の前に、せっかく張った<盾>がついに破られたのだ。
<イメージしろ―――自分が何を守りたいのか、何のために戦うのか!>
「何の・・・ために・・・?ぼくは・・・」
<ここであなたが負ければ、破滅するのは我らだけではない。奴は我らを倒した後、あなたの仲間も手にかけるかもしれん
・・・それでもいいのか!>
「そんな・・・そんなことは・・・!」
「な〜にごちゃごちゃ言ってんだよ!やる気がねーんならさっさと・・・!」
USDマンの攻撃の手が止まる―――正確には、止められた。アヌビスの周囲に再び<盾>が張り巡らされていた―――
その強度は、先程までとは比べ物にならない。そう、USDマンでさえ貫けぬほどに―――
「そんなことは―――許さない!」
「うっ・・・・・・!?」
凄まじいプレッシャーを感じて、USDマンが飛び退く。彼の本能が、全力で警鐘を鳴らしていた。
「何だ・・・こりゃあ・・・」
アヌビスの全身が、うっすらと発光している。溢れ出す強大なエネルギーが、チリチリとUSDマンの肌を刺す。
<よし。これだけの力があれば奴を倒せるかもしれん!>
「そうか―――アヌビス」
<む?>
「君には感謝している―――ありがとう」
その言葉に、アヌビスは苦笑―――そう、多分彼に表情があれば苦笑していただろう―――した。
<まだ早すぎる。そんな言葉は、もっと後半になってから言ってくれ>
「確かにそうだな―――まずは、奴を倒すぞ!」
<応!>
アヌビスの声と共に、その拳にラムダ・ドライバによって生じた攻撃エネルギーが全て集約していく。一点に集まった
エネルギーは、今にも爆発しそうなほどに強く輝いていた。
「俺様を倒す―――だあ・・・?デカイ口も―――いい加減にしやがれ!」
USDマンが全力で拳を突き出し、アヌビスに突撃する。アヌビスもまた、それを正面から迎え撃った。
「うおおおおおおおおっ!」
「おらあああああああっ!」
USDマンとアヌビスの拳がぶつかり合った。
そして―――
「・・・それで、どうなったの?」
のび太が急かす。彼らはついさっき風の村から帰ってきて、ペコたちと留守の間の出来事を互いに報告し合っていたのだ。
フー子が人間になってたり、サイバスターの元パイロットが稟にとり憑いたり(悪霊みてーな言い方するな、とマサキは
怒っていた)といったアレコレを説明したのち、ペコの話に移ったのだ。
「分かりません・・・お互いに吹っ飛ばされて、そのままです。ただ、あれで死んだとも思えません。恐らくはまた、ぼく
たちの前に現れるでしょう」
ふうー・・・と全員の溜息が漏れた。
「それにしても、本当にとんでもない奴みたいだね、USDマンって」
「うん・・・僕もあそこまで強い奴は見たことがないよ。下手したら、あのネオグランゾンと同じくらい強いかもしれない」
<へん!グランゾンを改良してやっとこヘンテコなラーメン野郎と同じレベルじゃあ、シュウの奴も大したもんじゃねえな>
キラの言葉に、マサキが小馬鹿にした調子で言い放った。
「そうは言うがな、ええっと、マサキくん?USDマンにしろシュウのネオグランゾンにしろ、半端なく強いぜ。君だって
シュウの奴に負けたんだろ?」
と、ムウが皮肉った調子で言ったので、マサキがうっと言葉に詰まった。
<ま、まあそりゃあそうだけど・・・とにかく、シュウたちをぶっ倒さなきゃなんねえってことだろ!つーかあんた、何だか
シュウに声が似ててむかつくからあんまし喋るな!>
「苦し紛れに声優ネタまで入れて思いっきり話を逸らしたな・・・」 *二人の声は同じ声優(子安氏)があてている。
どうやらあまり触れられたくないポイントのようだった。
とにかく、色々と積もる話も終えて一息ついたのだが―――
「・・・それにしても、無理もないがみんな疲れてるみたいだな」
「え?そう言えば・・・ほとんどずっと、この島に閉じこもりですもんね」
ムウの言葉に、キラも同意する。
「だろ?このままじゃあ良くないと俺は思うぜ」
「はあ・・・何が言いたいんでしょうか?」
ドラえもんの問いかけに、ムウはにやりと笑った。
「ちょっとくらい、息抜きも必要じゃないかってことさ」
投下完了。前回は
>>41より。
・・・・・・ふら〜りさん、マジですいません。リロードし忘れで、ふら〜りさんの投下後一分で投下しちゃいました・・・。
気を悪くなされたらほんとごめんなさい・・・。
さて次回は、種世界最狂の悪女が登場予定・・・。
>>43 USDマンの性格は捏造です(笑)ラムダ・ドライバは有名なのか無名なのかw
>>44 仰るとおり子供っぽいけどお約束ですw
>>45 それです。
>>ふら〜りさん
もう一度重ねてお詫びします・・・。
そして連載終了お疲れ様です。タイトルが<普通>なのに、なんか壊れた奴ばっか・・・。
ところでふら〜りさんのSSの勇次郎は全員共通してオタク趣味なんですか?背中に〜だと
セラ○ン好きだったし・・・。
>>NBさん
アヌビスはあんまり(ほとんど?)原型を留めてませんw
しかし、原作では栽培マンレベルの扱いだったデュラムでここまで<濃い>話を書くとは・・・。
NBさんのSSだけ読むと、黒猫が名作に思えるような・・・(原作は原作である意味好きでしたが)。
乙
やっぱUSDマンはそう簡単には死なないか
107 :
作者の都合により名無しです:2005/11/15(火) 22:07:02 ID:JTsjRUH00
ふらーりさん、サマサさんお疲れさんです。
でもふらーりさんの作品は正直もう少し長いかと思った…。次回作お待ちしてます。
サマサさん、これはやっぱりUSDマンの勝ちでないでしょうか?
でも、止めさしてないからな。やっぱり相打ちなのかな?
うむ、ふら〜りさんの可愛いバキキャラは好きなのでもう少し続いて欲しかった。
でもお疲れ様でした。また可愛いキャラの話期待してます。
それにしてもサマサ氏、またも強豪キャラを出すのか!
ほぼサイヤ人並みのウルトラデラックスマンだけでもドラ陣営ふらふらなのに。
俺は種見ていないけど、種世界最狂の悪女という煽りは期待させますな。
109 :
聖少女風流記:2005/11/16(水) 02:30:18 ID:P+ylSnVd0
第一話 いくさ人と救世主
大天使ミカエルの啓示から全てが始まったといわれている。
初めてその大天使の「声」を聞いたのは1424年。彼女がまだ、13歳の頃である。
小さな村の、教養もなければ武力もない少女に、その偉大なる啓示が下された。
神々しい声だったという。
透き通った神聖さと、重厚な威厳を感じさせるような、脳内に駆ける稲妻のような啓示。
それは度々彼女の脳裏に閃めいた。まるで彼女の短い人生を弄ぶかのように。
そしてやがて、彼女は民衆から救世主と呼ばれる事となる。フランスの運命と共に。
その啓示の第一声はこうであった。
「男装し、武器を取り、そしてフランスを救いなさい」
舞台は中世のフランス。腐乱と荒廃、無秩序な戦争の時代。
「百年戦争」と呼ばれるフランスとイングランドの闘争が、民衆から安眠と安全と安寧を
奪っていた時代。暗黒と暴力が満ちていた時代の話である。
舞台は一度、日本に移る。
110 :
聖少女風流記:2005/11/16(水) 02:31:00 ID:P+ylSnVd0
合戦場が2つに割れていた。
たった一騎の真黒い巨馬と、それを駆る大柄な武士の「一騎駆け」の為である。
巨大な朱槍をまるで小枝のように軽々と振り回しながら、悪鬼羅刹の騎馬が行く。
その騎馬の周りでぶうん、と風が唸るたびに敵兵の首が飛び、頭蓋が割れていく。
「ヒイイ、化けモンだ……。あれが前田 慶次と愛馬の松風か」
悪鬼が地獄の馬に乗り血の雨を流す。
敵のみならず、味方からもそう恐れられる天下一の傾奇者・前田 慶次と松風が
敵将目指して一直線に駆けていく。
それは喩えるならば死の壁だ。当たれば即座に死ぬ。
故に、皆が避けようとし、結果、慶次の前には無人の野が出来ていく。
「つまらんなあ。いくさなんてのは、今死ぬかも知れんから楽しいのに」
慶次の前に敵将の顔が近付いて来た。大将首である。
一騎駆けの後の大将首、手柄は甚大である。が、彼にそれは興味がない。
ただ滾る血のままに、戦場の男として生きて死ぬだけの事である。
朱槍が敵将目掛けて風を斬る。必殺の間合いからの獣張りの速度の一撃。
その時である。
目の前に光のモヤが現れた。フッと慶次の周りの景色が消失した。
慶次はそのモヤに包まれて、やがて意識が途切れた。
111 :
聖少女風流記:2005/11/16(水) 02:31:43 ID:P+ylSnVd0
目を覚ました。一体どの位、意識を失っていたのかは分からない。
ゆっくりと油断なく辺りを見回すと、すぐその行為が無駄と分かった。
視界全てが闇に支配され、しかもそれが無限に続いていたのだ。
ブルル、という鼻息が近くで聞こえた。どうやら相棒もここにいるらしい。
「こりゃあ、死んだのかね、松風」
どっかりと腰を下ろして、松風の鬣を撫ぜながらそう言った。
だがその声色に全く悲壮感はない。慶次という人間は常にそうなのである。
成ってしまった事は成ってしまった事で、仕方が無いではないか……。
懐から扇子を取り出し、胡坐のままぱたぱたと仰いだ。
その暢気な様子はとてもこの異常事態の最中にいるとは思えない。
「まあ、俺が極楽に行けるとも思ってないが、なんとも退屈な所だなあ。
これなら地獄に堕ちて鬼や閻魔と一戦交える方が面白いな」
無邪気にそう言って大笑した。
漆黒の闇の中に、慶次の笑い声と松風の鼻息が溶けていく。
慶次の立ち居振る舞いは、現世と全く変わらなかった。
この男に、現世や来世という考えは元々無い。
生きるだけ生きたら、後は死ぬだけの事だ。それはどの世でも変わらない。
しかし、それでも、これだけは我慢出来なかった。
「ああ、この辛気臭い退屈は耐えられんな」
松風が同意するようにいなないた、その時。脳裏に「声」が閃いた。
直後、目の前にあの光のモヤが姿を見せる。「声」は言った。
『この地においてなお、豪胆ですね。前田 慶次朗利益殿』
112 :
聖少女風流記:2005/11/16(水) 02:32:31 ID:P+ylSnVd0
慶次は不意のその声にも緊張感が無い。が、一切の油断も無い。
「ほう、こんな真っ暗な場所に高貴な御声ですな。どうですか、一杯」
慶次は隠し持っていた瓢箪に吸い付き、酒で喉を潤した後、
それを大らかに光のモヤに差し出す。「声」が響く。
『あなたはこの状況においてもなお泰然としていますね』
「焦ってもどうにもならない事はどうにもなりませんからな」
光のモヤが酒を受け取らないのを見て、瓢箪に口を付けながら言った。
「で、ここはどこなんです? 地獄とやらですか」
言葉の内容とは裏腹の穏やかな声でのんびりと聞く。「声」が応える。
『地獄ではありません。ここは時間と空間の異なる人知及ばぬ場所。
あなたに、お願いがあってここに呼びました』
「ほう、人知及ばぬ場所。ではあなたは、菩薩ですかな」
慶次は変わらぬ態度のままのんびりと聞く。そしてこう言って笑った。
ここが地獄で無いとは残念だ。一度、鬼と喧嘩をしてみたかった。
それに閻魔の前で舞でも踊り、一献傾けて見たかったが、残念だ……。
冗談で言っているのではなく真剣に残念がっている慶次を見て、
「声」から笑いが漏れる。なんと愉快な男だ。この男なら、きっと……。
『菩薩、ですか。そう呼ぶ人たちもいます。大天使と、呼ぶ方々も』
「ほう、そうですか」
差して驚く様子も無く、瓢箪を呷り続ける慶次。「声」は言った。
「あなたに、異国の地にしばらく赴いて欲しいのです。
……多くの命の運命を握る少女を、護る為に」
異国の地。慶次はそれを聞き、少年のような顔になる。
心からうきうきして堪らないといった顔。思わず顔を緩ませながら聞いた。
「ほう、異国ですか。それは面白そうだ。知らぬ土地で美味い酒を呑み、
友を見つけ、恋でも出来ればこれに勝る事は無い。その国はどこです?
朝鮮、南蛮、蝦夷……?」
『危険ですよ。命を、落としかねないほどに』
113 :
聖少女風流記:2005/11/16(水) 02:33:07 ID:P+ylSnVd0
玩具を貰った子供のようにはしゃぐ慶次。
この、辛気臭い場所でこのまま朽ちるよりどれほど異国の地が楽しいか。
命を落とす? 結構なことである。是非殺して欲しいものだ。
命懸けのいくさを、まだ見ぬ土地でする事が出来る。これ以上楽しい事があるか。
『本当に、生粋のいくさ人なのですね、あなたは。願った通りの方です』
「それで、私の行く場所は何処なのですか。そしてその護るべき方とは」
『場所は、あなたのいる時代より、約200年前のフランスという国。
そして運命の神子の名は……。行けば、分かります』
「声」が朧になった。意識が混濁していく。浮遊感に溶けていく中、「声」が言った。
『気を付けて下さい。私があなたを選んだように、闇もまた歴史から選ぶはず。
神子を殺す為のつわものを。神子を、どうか…』
意識が再度目覚めた。慶次は光の眩しさを感じた。しっかりとした大地が足元にある。
次の瞬間、息を呑んだ。目の前の光景にである。
目の前に、小柄な少女が祈りを捧げているのだ。年の頃は17、8というところだろう。
見たことも無い艶やかな金髪と蒼い瞳が、自分と違う人種という事を感じさせた。
だが、人種云々なので慶次は驚いたりしない。驚いたのは、少女から神々しさ。
慶次に少女が気付いた。微笑みかけてくる。微笑だけみれば年相応の田舎娘だ。
だがすぐにわかった。この少女こそが、菩薩が言った護るべき神子。
慶次も少年のような無垢な顔で微笑んで言った。不思議と言葉が通じる。
「どうやら、あなたに会う為に私はこの地へ来たようですな。名はなんと申される?」
少女ははにかみながら、だが毅然とした態度で言った。
「ジャンヌ。 ……ジャンヌ・ダルク」
114 :
聖少女風流記:2005/11/16(水) 02:50:47 ID:P+ylSnVd0
佐藤賢一さんの小説の漫画版をざっと見て思いつきました。
こんな雰囲気は最初だけで後は魔界転生みたいな感じになるかと。
計10回くらいで打ち切りっぽく終わらせるつもりです。
115 :
作者の都合により名無しです:2005/11/16(水) 04:23:30 ID:CZ/Px5j20
>聖少女風流記さん
新連載乙です!
花の慶次はお気に入りなので、異国との絡み方や戦い方の違いなど見所
満載な作品になりそうですね。
116 :
作者の都合により名無しです:2005/11/16(水) 11:02:52 ID:3KJV/E+10
慶次もジャンヌダルクも実在したの人物だよね。
山田風太郎ぽい作品になるとありがたい。
でも個人的にすっごく興味ある出だしだ。
でもこのスレ的にはどうかな?
>サマサ氏
アヌビスラムダドライバフル状態=USDマン100%位でしょうか、力関係。
USDマンがこの程度でやられると思えないので、まだまだ最終回近くまで
絡んできそうなキャラですね。ネオグランゾンと共に現作中最強ですか。
次のキャラは女ですか。期待してます。
>名無し氏
新連載お疲れ様です!
ジャンヌダルクは多分、外国の女性の偉人で一番に人気のある人ですね。
慶次も大好きなキャラなので、異国での傾き振りを楽しみにしてます。
佐藤賢一さんは知らないけど、山田風太郎は忍法帖とか大好きでした。
10回といわず、長編カテゴリ目指して頑張って下さい。
種世界最狂?
もしやラ○○様ですか!?
119 :
作者の都合により名無しです:2005/11/16(水) 20:43:42 ID:NM45xMOG0
新連載いい感じだ。
末永く頑張って下さい。
120 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:47:45 ID:of1eShRv0
<ビル内部・44F>
景色が売りの割りに無駄に高い階層。
だが、別に”景色のためだけ”に高くしている訳ではない。
一応はホテル、レストラン、アミューズメントセンター、スーパー、ブランドショップ等、
多数のお店が多方面の分野で統合されているビルなのだ。
ザッザッザッザッザッザ!!!
そんなビルの中で規則正しく行進する四つの影。
それが通り過ぎるたびに、おもわず奇異の目で見てしまう道行く人たち。
「「フリ!フリ!フリ!フリ!」」
それもそのはず、その正体は-----某宇宙の帝王をモチーフにした-----フリ太君だからだ。
しかも4体。
当然この中に入っているのは、マオ、ザーボン、ウエハーツ、サラダである。
四人が着ているスーツはきぐるみから作った物なので、そこまで幅の無い通路内でかなり幅をとる。
そのせいで否が応でも人目についてしまい、あっという間に注目の的となっていたのだ。
いや・・、まあ・・、大きさだけじゃないかもしれないが・・。
「フリ!フリフリリリリ!!」
「フリ!!フリ・・。」
「フリフリ!フリフリフリフリ!!」
「フリ・・・。」
訳)「おい!滅茶苦茶目立っているじゃねえか!これじゃあ、ドドリア達が見つかる前に、警備員にとっ捕まるぞ!」
「まあ・・、分かってたけどね・・。」
「問題ない。捕まる前に相手の戦闘力を剥げばいいだけだ」
「だから・・、それが問題なんだって・・・。」
四人がそんな会話をしていると、早速報告を受けた警備員が飛んできた。
「おい!そこの・・・、四人?いや・・、四匹か・・。」
いちいち細かいところにこだわる奴である。
「と、ともかくちょっと下まで来てもらおうか?」
警備員はそう言って、四人・・、もとい四匹のフリ太君の前に仁王立ちし、とうせんぼする。
121 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:48:17 ID:of1eShRv0
「フリ!!」
ビビッ!!
無論、そんなことで時間をとられている場合ではないので、サラダがスタンガンであっさり警備員を気絶させる。
「ぐあ・・、ふ、フリ太・・。ガク・・。」
気絶した警備員をそこいらの隅に運ぶサラダ。
その時のサラダが着たフリ太君は、”悪いがこれも任務でね”といった表情のようにも見えた。
・・・数分後。
流石にこれ以上は騒ぎを大きくしてはまずいので、四人は男子トイレの中で程の迷彩スーツに着替える事に。
「フリフリフリ・・・。」
訳) 「ここで・・、着替えるか・・。」
中に入る一同。
すると、そこにはドドリアが・・・!
122 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:49:45 ID:of1eShRv0
「もうすぐ、プロポーズ・・。もうすぐプロポーズ・・・。ああ〜〜、どうしよう!!」
迷える子羊全開でトイレの中をうろつくドドリア。
(え?まさかこの十五分あまりずっとトイレにいたのか?)
ザーボンが驚いていると、ドドリアがこっちに気付く。
「あ・・・。」
(しまった!こちらに気づかれたか?)
ザーボン達は一瞬”しまった!”という表情をきぐるみの中でする。
しかし、ドドリアは彼等の正体やフリ太君がここに居るという突っ込みも無く、
「フリ太君か・・・。」
と言ってまたその場を回り始める。
気付かれなかったのは幸いだが、相当切羽詰っているようだ。
四人はとりあえずはドドリアを発見できたことに一安心する。
「フリ!フリフリフリ!!」
「フリ・・。フリフリ!」
「フリフリ。フリフリ。フリフリ。」
「フリ、フリフリフリ?」
訳)「うむ!無事発見できた幸いだな。」
「ああ・・。そういえば令嬢はどこだ?」
「そうね。私が探そうから。もしかして女子トイレかもしれないし。」
「っていうか、姉さんはなんで男子トイレに普通に入っているんだ?」
こちらの正体に全く気付いていないドドリアを尻目に四人はこれからの方針を立てる。
流石に面白みたさでメタルギアごっこをしていると言えども、最悪なパターンは回避せねばならない。
四人は傭兵と幹部らしい手短で明確な議論で、マオを女子トイレ及び、令嬢探索&発見後は引き止める役。
他の三人は”ドドリアを立ち直らせてプロポーズさせる”という方針にした
123 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:50:42 ID:of1eShRv0
「フリ、フリフリフリ。フリフリ。」
「フリ。フリフリ。」
訳)「じゃあ私はあの子を探して、引き止めてくるから。そっちは宜しくね。」
「了解だ。そっちは頼んだぞ。」
そう言ってマオはトイレから出て行く。
「フリフリ・・・。」
訳)「行ったか・・・。」
ザーボンはマオフリ太君の後姿を見て重そうに一人呟く。
なにしろ、兄弟の将来に関わる重要な作戦なのだ。
失敗するわけには行かない。
パァン!!!
「フリフリフリ!!」
訳) 「よし!やるか!!」
そしてザーボンは自分の頬をフリ太君ごしに叩き気合を入れたのだった。
------------------------------------------------------------------
124 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:51:36 ID:of1eShRv0
<ビル44F・男子トイレ>
四人は作戦を開始してはや十分。
フリ太君三人(ザーボン、サラダ、ウエハーツ)は、正体を明かさず、尚且つ「フリ」のみで、
ドドリアからなぜか今の心境について聞くことに成功していた。
外見からの威圧か、それとも三人の真心が伝わったかもしれない。
----まあ、「フリ」だけで伝わる真心だが・・。
「フリフリ、フリフリフリ?」
訳) 「つまり、プロポーズをしても断られるのと今の関係が崩れるかもしれない
と言う思いの板ばさみで悩んでいるわけだな?」
ザーボンは”フリ”の個数の割には長くて伝わらない台詞でドドリアの悩みを聞く。
もちろん、こちらの素性は内緒で相談を受けているのだ。
「はい・・・。この関係が壊れるかと思うと、プロポーズするのが怖くて怖くて・・。」
なぜか成立する会話。
ウエハーツがこの光景に対して、一生懸命サラダに向かって突っ込んでいるが、
当のサラダは通信機でこの一言のみの返信しかしなかった。
”友情に国境は無い”
「・・・。フリ・・・。」
訳) 「だから素性は明かしてないんだって・・。」
ウエハーツは一人淋しくその場に項垂れていた・・。
125 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:52:40 ID:cHGf+GaV0
ザーボンはそれからしばらくドドリアの話を聞き、自分の意見
-----自分は大した恋愛はしてないが、精一杯考えて答える。----をその度にドドリアに向かって「フリ」で伝える。
しかし、内容は唯のループ。
ともかく、”ドドリアは今の令嬢との関係を崩さずに、それでいてプロポーズをしたいというものなのだ。”
一見、男らしくないが、誰だって本当に心から好きな人との関係は崩したくは無いだろう。
ザーボンもそれが分かっているからこそ、ドドリアの悩みに「フリ」で返す。
「フリ・・・。」
訳) 「うむ、これは難題だな・・。」
中々答えが出ない議題にザーボンは困りきっていた・・。
一方、マオの方はというと・・。
-------------------------------------------------------------
126 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:53:14 ID:cHGf+GaV0
<女子トイレ・44F>
「あっつー・・・。」
女子トイレに侵入。
もとい進入したマオは、女子トイレにも令嬢がいないのを確認すると、とりあえずフリ太君を脱ぐ。
フリ太君という仮面を脱ぎ捨てて、さらけ出される肢体。
令嬢ばかりクローズアップしているが、マオも女性である。
傭兵という女性では普通ならない職業をしていることから女マッチョのようなイメージがあるかもしれないが、
実際は猫を思わせるような大きな瞳と、整った顔立ちで髪は黒色。
それでいて豊かなバストと、傭兵なんぞを辞めて、別の道に行った方が大成できそうな具合である。
「で・・・、トイレにもいなかったっていう事は・・。」
マオはそう呟きながら自分が常に携帯している小型ノートパソコンを取り出す。
ウィィィン!!
技術が進歩しても、起動音は同じようである。
「C・A・N・D・Y・・・、と・・。」
マオは申し訳程度の長さのパスワードを入れて、デスクトップ画面を開く。
「う〜んと・・・。スカウターからTDDに接続してと・・。よし!ここの監視カメラのセキュリティーは・・。」
マオが今やっているのは、ハッキング作業。
この階の監視カメラを乗っ取って、階全体の様子を見るつもりだ。
つまり、この階に誰がどこに居るかを見て、令嬢を探す作戦だ。
127 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:54:04 ID:cHGf+GaV0
この文章を見て、”歩き回って探した方が早いじゃん。”という人。
そういう人は人生経験が少ない。
世の中と言うのは待ち合わせでもしない限り、知らない場所で意識的に誰かを探すと言うのは、
太平洋に逃げたメダカを小石で当てるようなものなのだ。
行き違いも起こすだろうし、なるべくドドリアの決意を固まる時までドドリアにあわせるのも避けたい。
それが分かっているからこそ、マオは確実で堅実な監視カメラから令嬢を探すという、回りくどい方法に出たのだ。
------まあ、それが道徳的に良いのかは別として・・・。
「う〜ん・・・・。」
マオが監視カメラを乗っ取って、早5分。
すぐに見つかると思った割には以外と見つからない。
というか、監視カメラの数が多すぎるのだ。
一応、色々なお店が並んでいるこのビルは、当然、一階一階馬鹿広い。
どうやら今日はブランド品のバーゲンもやっているようで、凄い人である。
これでは令嬢を探すのも一苦労・・・という訳だ。
「バーゲンか・・・。最近私も買ってないな・・・。」
マオに一瞬令嬢の探索を止めて、バーゲンに行くという考えがよぎる。
(スタングレネードを使えば、他人に欲しい物を取られることは無いだろうし・・。監視カメラも乗っ取っておけば・・。)
ちょっとした完全犯罪をしようか本気で考えていると、バーゲン会場の入り口で知っている顔が!
「お〜っと!これも普段の行いのおかげかな?」
マオは思わずパソコンの画面を凝視する。それもそのはず!
幾多の監視カメラの映像の中から見つけたその姿こそ・・・
そう!令嬢であった!
-------------------------------------------------
128 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:55:03 ID:cHGf+GaV0
<バーゲン会場・44F>
「あ〜〜〜〜ん!本当に私は16歳です!」
「はいはい。子供は入場禁止だよ。」
先程から15分もの間ずっと、こうしたやり取りをしている令嬢とバーゲン会場の警備員。
警備員の上には”15歳未満は購買禁止”と書いた看板がデカデカと書かれてある。
----この星での法律として、成人&結婚は15歳からとなっている。
なぜなら軍に入るのが、才能がある奴なら3歳から。
サイヤ人は人権がないので生まれたときからと、どれも若すぎるうちに軍に入って仕事をするので、
当然、5歳という若いうちにでも死亡することが頻繁にあるため、人口が急激に減ってしまうことがあった。
ミルコはそれを改善するために、従来の法律を変えて成人も結婚も15歳としたのだ。----
そんな余談は別として、令嬢が今ここにいる理由・・、それは・・。
ドドリアがトイレに行っている間にバーゲン会場を見て回ろうとした令嬢。
しかし、会場に入る直前に突如、会場の警備員に止められてしまう。
それに不満な令嬢が一生懸命抗議していて、今に至るという訳なのである。
そして・・・。
129 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:55:49 ID:cHGf+GaV0
「そもそも、なんでバーゲンに年齢制限があるんですか!!」
最もな令嬢の意見。
しかし警備員はこの質問を他の人からも何度もされているようで、表情を全く崩さずこう言った。
「最近、子供の犯罪が多くてね〜。特に万引き。お金が無いようだからね。やるんだよ。
こういうバーゲンのような人ごみの中で小さな子供が。盗られても財布とかなら分からないし、
最初から疑って監視をつける訳にも、行かないしね〜。だからめぼしい人は入場は禁止にしているんだよ。」
「ぷ〜〜〜。大人の人だってやるでしょ?なんで子供だけなんですか?」
「いや、大人の人は大人で手荷物検査を行き帰りに。当然、商品一つ一つに探知機が入っているしね。
まあ、逮捕した時、大人の方が子供よりも扱いが楽だってのもあるけど・・。」
警備員も退屈だったのか、令嬢の質問に次々答えていく。
「でも、でも、私は15歳じゃあないですよ!16歳です!」
令嬢の再抗議。しかし・・・。
「いや〜、疑わしい年齢の人には身分証明書の提示をお願いしているんだよ。無いんでしょ?証明書。」
警備員の言葉に言い返せない令嬢。
「だから、証明書があれば入っていいよ。」
「・・・。もう良いです!!」
プイっとした顔になり、その場に翻す令嬢。
「あ・・・。マオ?」
翻ったその先には、監視カメラの映像を見てすっ飛んできたマオの姿があった。
--------------------------------------------------
130 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:57:18 ID:+JS9hnP90
「何してるのアンタ?」
”監視カメラをハッキングしてまで探してました”という雰囲気を出さぬ様に、
尚且つ、”今日はバーゲン目的で来ました。”という雰囲気を前面に出して、令嬢に話しかける。
すると令嬢は、”我は今100万石の大名を味方に付けたり!!”といった表情で泣きながら飛びつく。
「うわ〜〜〜ん!あの人が、私のことを子供って言うんですよ!!!酷いですよね??ね?」
流石にこの言葉にビックリしたのか、警備員も抗議する。
「ちょっと、私は証明書があれば良いと言ったじゃないですか?持って無いそっちがいけないんでしょう?」
「ぷ〜〜〜〜!!それ以前に、私のどこが子供だって言うんですか?ね?マオ?」
警備員の言葉に反撃し、マオに同意を求める令嬢。
しかし本来味方である筈のマオはというと・・・。
「まあ・・、ぶっちゃけ見た目は13歳くらいだもんね・。アンタ・・。」
と実に突き放した意見。
「ひど〜〜い!私達の友情はそんなもの何ですか!!酷いです!!あまりに酷いと・・・。」
令嬢は顔を”ぷく〜”と膨らませ、警備員に続いてマオまで抗議の対象に入れる。
その顔は正に13歳といっても分からない顔だった。
131 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:57:59 ID:+JS9hnP90
ここでも、1つ容姿の説明をしておこう。
令嬢は年の割にはやや幼い顔つきだが非常に整っており、どんぐり眼といって良い程大きく、
そしてつぶらない瞳をしている。
髪の色はシルバーで、体は・・、まあ地球でいうこの年の女性ならと言った所だろう。
要は好きな人は好きな体形だろうが、お世辞にも、大人っぽいとはいえない体形ということだ。
ここまで聞くと、軽いロリ一人を説明しただけに終わるのだが、彼女の本来の魅力は容姿だけでは無い。
彼女本来の魅力はこの容姿+普段の行動&表情・・・、つまり全てだろう。
例えば、歩くだけで、”ずるべった〜〜ん!!”と転んでしまう運動神経の無さ。
思わず守りたくなるような擁護感。
相手を心配した時、喜んだ時などに、浮かべる天使と女神が共存しているような表情。
どれを1つとっても、男女問わず”キュン”としてしまう様なものばかりである。
しかも、それらは全て天然なのだから、世の男がほっとくわけの無い。
-------とまあ、つまり容姿など、全て満点に近い人なのだが、
今回は若干幼い容姿が祟ってこんなことになってしまっているのだ。
132 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 01:58:50 ID:+JS9hnP90
「うう〜。酷いです!やっぱり・・・。」
「っと、”命令しちゃいます”は無しよ。大佐様?」
「うぐ・・・。」
先を言われ口をつむぐ令嬢。
「では・・、身分証明書が無いというわけで・・・。」
警備員はその様子を見て、占めに入ろうとする。
「ああ〜!そ、そうだ!マオも一緒なら入っていいでしょ?保護者同伴になるだろうし!」
令嬢のこの言葉に警備員は特に異論は無く、
「そうですね・・。そこの彼女が保護者同伴ということならば・・・、当然ですが保護者カードをつけてもらいますよ!」
「え〜!そんなの付けるの?」
あからさまに嫌そうな顔をするマオ。
「マオ〜〜!良いじゃないですか!!付けましょう〜よ!」
ねだる令嬢。
「ねえ?つけましょうよ〜〜!つけましょうよ〜〜!」
どうしてもこのバーゲンに入りたいのか、これ見よがしに令嬢はマオにねだる。
トイレに行っているドドリアのことは、目の前のバーゲンの為にすっかり飛んで行った様だ。
悲しきかな・・。女のサガって奴は・・・。
「しょうがないわね・・。わかったわよ・・・。ねえ、警備員さん?他になんかデザインは無いの?」
マオは本来のドドリアの決意が固まるまで令嬢を引き止めるということを思い出し、渋々納得したのであった。
-------------------------------------------------------------------
133 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 02:02:14 ID:+JS9hnP90
<男子トイレ・44F>
マオが令嬢と合流している頃、まだこちらでは何の進展も無く、唯ひたすらドドリアの愚痴を聞いていた。
「俺は・・・、プロポーズしても今の関係を壊さずにいられるか・・。それだけが気になって気になって・・。」
もう、100回は越したであろうこの台詞。
ぶっちゃけザーボン以外はうんざりしている感はある。
しかし、真剣に受け答えする三人。
当然、三人は「フリ」しか言っていないが・・・。
ピピピピピピ・・・。
ドドリアとフリ太君三匹が当ても無い会話をしていると、サラダの通信機が鳴り出す。
(ん・・・。マオか・・。見つかったのか?)
どうやら相手はマオからのようだ。サラダは、
(多分、令嬢が見つかったことでの方向だろう)
と思い、通信機のボタンを押した。
”こちらウルズ7だ。大佐殿は無事確保できたか?”
相変わずぶっきら棒な、サラダの言い方。
まあ、これも彼の性格を如実に表している一つに過ぎない。
当然、彼の性格を良く知っている人の一人だけあって、マオは特に何の疑問も無くサラダの質問に答える。
「まあ・・ね。とりあえずはうちらの事はばれてないわ!って・・、ちょっとそれは私のよ!!!」
”・・・。ウルズ2?どうした?”
突然のマオの大声にビックリするも冷静さを保つサラダ。
「うん?それとそれ・・・。ああ!サラダ?大丈夫よ!あの子も買い物中だし・・。
後・・は、これ!前から欲しかったのよね〜〜。」
”おい・・、マオ!何をしているんだ?本当に大佐殿はこっちのことは知らないんだな?”
「あ・・・。これは・・、傷物ね〜。・・・・。え?そうね。きっとそうよ。」
マオも目の前のバーゲン品にドドリアの事など、90%は忘れているようだ。
サラダの方もそれを察知し、とりあえず長びかせるようにマオに言った。
134 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 02:02:50 ID:+JS9hnP90
「え?ああ、長びかせるのね?・・・って、アンタ、それしか買わないの?」
マオの驚愕の声。
どうやら令嬢の買い物がほとんど終わってしまったようだ。
”どうした?ウルズ2?何か問題が発生したのか?”
サラダのその言葉にマオはこう答えて通信を先に切ってしまう。
「そうみたい。だから・・、15分。それ以上伸ばすのはキツイわ。一応、もう少しバーゲンで粘ってみるから!
ピンクちゃんのことはそっちで何とかしてね。」
”え?あ・・、わかっ・・・。”
ツー・・・・・。
------通信終了--------
(ふう・・・。本当に大丈夫・・か?)
最後はちょいと乱暴な閉め方だったが、とりあえずは連絡は取れて一安心するサラダ。
ともかくサラダはこの旨をザーボンに伝えることにする。
「フリ!」
訳) 「ザーボン!」
サラダに呼ばれたザーボンは、ドドリアに”ちょっと待ってね。”の動作をしながらこちらに来る。
「フリ?フリフリフリ?」
「フリ。フリフリフリ、フリフリフリ。」
訳) 「なんだ?令嬢は見つかったのか?」
「肯定だ。しかし、後十五分しか引き伸ばせないらしい。」
サラダのこの言葉を聞いて、ザーボンは絶望的な気分になる。
(この状態のドドリアを15分で勇気100倍にしろと?来年の楽天が優勝するぐらい無理だぞ!)
サラダもドドリアを見ながらきぐるみの中で暗い顔をする。
135 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 02:03:53 ID:5l0gSQir0
(もう、無理か??)
二人がそう思って、”どうしようか?”と途方にくれようとした・・・その時・・・・!
「フリ!」
訳)「おい!」
今までハブられキャラだったウエハーツが突然二人の間に割り込んできて、
「フリフリ!フリフリフリフリ!フリフリ?フリフリ?」
訳)「二人とも!これならプロポーズまでして、十五分以内でいけるぜ!どうだい?俺の提案に乗らないか?」
と意味ありげな顔をきぐるみの中でしながら、ある作戦を提案した。
---------------------------------------------------------------
136 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/17(木) 02:11:50 ID:5l0gSQir0
どうも、お久しぶりのしぇきです。
一週間ほど見ない間に、他の職人様や新連載様がだいぶ来ているようで。
後part10スレ分は安泰ですな。
最近はパソコンをつけても、就活や設計のためにしか使っていないので、
ちょっと最後まで投稿できませんでした。
添削も、見直しも出来ていないので・・。
一応、最後まで書いてありますが、人様に見せられ無いほど酷いので投稿できませんでした。
>前回レスをくれた皆様方。
ありがとうございます。だんだん変な方向に入っていますが、気にしないでください。
すぐに終わりますので。
>37さん
良く分からないのですが、感想のことでしょうかね。
自分では変なことは書いたつもりはありませんが、サマサさん共々、
気分を害されたら申し訳ありません。
では失礼・・・。
137 :
作者の都合により名無しです:2005/11/17(木) 15:01:45 ID:K3I7k61v0
しぇきさん、お疲れです。
ま、ドドリアのプロポーズがすんなりいく訳はないですね。
これくらいのドタバタは仕方ないですな。
しかし令嬢16歳か。ドドリア、あるいみ犯罪じゃん…
就職活動も頑張って下さい。
第三十話「休息時間」
「うわー、なんかむちゃくちゃ人がいるぞ!」
フー子が楽しげな声を上げる。
「そりゃそうだよ、大きな街だもの・・・ほら、走っちゃ危ないよ、フー子」
のび太が大はしゃぎするフー子を嗜める。
「ふーん、こういう場所はボクたちの世界とあんまし変わらないね」
「そうですね。ちょっと思い出しますよ」
「賑やか・・・でもちょっとうるさい」
亜沙と稟、プリムラは三者三様の感想を漏らす。
―――彼らは今、繁華街に出ていた。ちょっとは息抜きも必要だろう、というムウの言葉に従い、こうして繁華街へと
繰り出したのである。
「まあ、島の中だけで話を作るにはもうネタ切れ気味だったしな・・・」
「そういう裏事情を言っちゃダメだって。作者が何も考えてないのがばれるでしょ」
「へいへい。ま、みんな思いっきり楽しめよ。先立つ物については心配するな。タイムパトロールの経費からこっそり
割り増し請求してやるから!」
「わーい・・・って、ムウさん、そんなことしていいんですか!?」
気色ばんだ稟に、ムウは大人の余裕と汚さをもって堂々と答える。
「いいんだよ、どうせ経費なんてロクなもんに使わないんだ。子供たちのために使ってやった方がまだマシってものさ」
<無茶な理屈だな・・・>
マサキが皮肉った。
「まあ、ちょっと頭の固いお人に叱られるかもしれんがな・・・」
―――その頃。
「ハッ・・・クシュン!」
「あら、ナタル。風邪をひいたの?」
「いえ、そういうわけではありません。フラガ隊員あたりが私の悪口でも言ってるんでしょう」
―――まあ、そんな漫画的お約束はさておいて。
「ほらみんな、こんなのはどうかな?」
まず立ち寄ったのは服飾店である。思いっきりファンシーで、男子禁制というオーラがプンプン漂ってきそうな店で
あった。
「うー。なんかヒラヒラして気持ち悪いぞ」
「ダメダメ!女の子なんだからこういう可愛い服を着なきゃ!」
今現在は、フー子が亜沙の着せ替え人形と化していた。オーソドックスなものからゴスロリ系、果てはお色気系まで
色々な服を着せられてフー子は非常に困惑していた。
「ね、ねえ。無難なところでこれでいいんじゃないかな・・・?」
さすがに見かねたキラが助け舟を出した。キラが差し出したのはちょっと男物っぽいフード付パーカーと膝上までカット
したジーンズである。
「えー、なんか男の子っぽくなりすぎない?」
「さっきの気持ち悪いヒラヒラドレスよりマシじゃねえの?・・・いてっ!」
不用意に発言したジャイアンが頭をぽかり、とはたかれた。
「こら、タケシちゃん。女の子の服を気持ち悪いなんて言っちゃダメでしょ!」
「ちぇっ・・・少女趣味」
「んー、でもおれもこっちの方がいい」
フー子もキラの差し出した服を手に取った。
「あ、もう、勝手に決めちゃって!」
亜沙は膨れっ面になりつつも、本気で怒っているわけではないのは、笑いを含んだ口元で分かった。
「やっぱ来てよかったかもね、のび太くん」
「そうだね、みんななんだかんだで楽しそうだし・・・あれ?あの人・・・」
のび太が何かを見つける。それはふらふらと歩いている女の子―――亜沙と同じくらいの年齢だろうか?―――だった。
別に彼女は好きでふらふら歩いているわけではない。手に余りにも多くの荷物を持っていて、重さの余り足元が定まって
いないのである。色んな店の袋に箱にで、顔もろくに見えないくらいだった。
「んしょ、んしょ・・・」
それを可愛らしい掛け声を上げながら持ち歩く様は、ノーベル努力賞をあげてもいいくらいであった・・・。
「なんとなく分かるけど・・・お約束だと、次の展開は・・・」
「きゃあっ!」
お約束通りだった。足を滑らせて、盛大にすっ転んで―――
「危ないっ!」
キラが女の子を支え、のび太他の男性陣がすっ飛んできた荷物を慌ててキャッチした。
「あら、ごめんなさい・・・わたくしったら、はしたないですわ」
女の子が顔を上げる。柔らかで優しげな美貌に、ふわりとした長い髪が広がった。
「あれ・・・外人さんかなあ?綺麗な人だなあ・・・」
のび太がデレデレと鼻の下を伸ばした。ジャイアンやスネ夫も同様だ。
「まあ、みんなしていやらしいんだから!」
しずかがむっとした様子でふん、とそっぽ向いた。
「そ、それはともかく・・・君、いくらなんでも荷物を持ちすぎだよ」
キラの言葉に、女の子はにこやかに答える。
「そうは思ったんですが、わたくしは一人で買い物をしたことがあまりないので、ついつい買いすぎてしまいまして。
いつもは屋敷の人がついてきて下さるので、実は一人でこうやって街へ出たこと自体がないのですわ」
「うわ、屋敷とか言ってるし・・・ひょっとしてお嬢様?」
「いえ、そんな。ただ世間知らずなだけですわ」
ちょっと失礼な質問にも、朗らかに答える。育ちのよさが滲み出ているかんじだ。
「ねえ、どうせならボクらと一緒に来ない?そっちの方がきっと楽しいよ」
「あら、わたくしはよろしいですけど・・・ご迷惑じゃありませんこと?」
「いや、ご迷惑だなんて・・・どうぞどうぞ、ぼくらでよければ」
亜沙に続いて、のび太ら男性陣が熱心に誘う。
「・・・・・・ふしだら」
ボソっとプリムラが呟くが、誰も聞いちゃいなかった―――いや、聞いていた。足元にいる白い犬―――ペコである。
さすがに二足歩行でやっていたら目立ちすぎるので、普通の犬っぽく振舞っているのだ。
ペコはふうっと溜息をつくかんじで、勝手にやってなさいとばかりにそっぽを向いてしまった。
「それではお言葉に甘えさせてもらいますわ―――あら、名前もまだでしたわね。わたくしはラクス・クラインです。
よろしくお願いしますね」
「いえいえ、こっちこそ」
新しいメンバーを加えて騒ぎ出す一行。ラクスを中心に、あれこれ話題が飛び出す。
―――と。
<稟・・・ちょっと聞け>
「ん?なんだ、マサキ」
突如のマサキの声に、稟が立ち止まる。どうやらマサキの声は、自分にだけ届いているようだ。
<あの女・・・気を付けた方がいいかもしれねえ>
「え?何を言い出すんだよ、急に・・・」
<気のせいならいいんだが―――なんかあの女の言ってることもやってることも、どうにも演技臭いんだよ>
「おいおい、それは疑いすぎじゃないのか?」
稟はそう言って笑うが、マサキの態度は変わらない。
<確かに自分でもそうかとは思うけどよ・・・どうにも奴から、邪悪なかんじがするんだよ・・・闇に飲まれた奴に
特有の香り―――とでも言えばいいかな・・・>
「・・・・・・」
<まあ―――多分取り越し苦労だとは俺も分かってるが、頭の隅にでも置いといてくれ>
「あ、ああ・・・お前がそこまで言うんだったら・・・」
「稟さーん!何ボーッとしてるの!?」
「あ、おい!置いてくなよみんな!」
稟はのび太たちの後を追う。それきり、マサキの警告はすっかり忘れてしまった・・・。
投下完了。前回は
>>104より。
種世界最強にして最凶にして最狂、ラクス様登場です。
>>106 まだまだ彼は頑張りますよ。
>>107 今回は引き分け・・・かなあ?相打ちだから・・・
>>108 彼女の凶悪さはこれから出していきます。
>>117 力関係はそんなかんじでいいかと。USDマンはまだまだ活躍させたいキャラですし。
でもネオグランゾンの方がまだもうちょっと強いです、多分。
>>118 大当たり(笑)
>>しぇきさん 気になさらずに。僕も
>>37さんが何故怒るのか分かりませんし(失礼)
サマサさんキィタァアアアアアアアアアアア!
ついに最狂にして最凶、最悪の女が超機神に推して参りますか!
キラはまたあっさりとだまされてのび太たちと壮絶な死闘を演じる事になるのでしょうか?
はたまたのびたたちの鋼の友情を断ち切ってしまうのか?
期待しております!
144 :
作者の都合により名無しです:2005/11/17(木) 23:50:51 ID:VrocTVxU0
>しぇきさま
ほのぼのとした終わりと思いきや、最後に一波乱ありそうですね。
この2人らしいですが、ドドリア16歳のロリ美少女と結婚か。
いいなw最後は結婚式かな?
>サマサさま
最初のフー子のお人形のように着せ返されるシーンが好きです。
プリムラとは違った意味でのヒロインオーラですね。しずかちゃん影薄いw
ラクス・クラインという新キャラは
>>143が最悪というほどなのかw
そうか、ついに来たかあの最悪キャラが・・
これからラクスがどんな活躍?をするのかが楽しみです。
一言で言うとマインドコントロールの達人
十三階段ってまだ半分くらいしか出てないよね?先は長そうだw
しぇきさんも、まだサイヤ人との野球が丸々残っているんですよねw
お2人とも大変ですが応援してるから頑張って下さい。
148 :
ふら〜り:2005/11/18(金) 21:31:04 ID:oWrQxu/o0
>>105のサマサさん
お気になさらず。「私もさんざん通ってきた道だッ!」ですから。バキスレでも
ヤムスレでも。今後も通る可能性ありですが、お互い気をつけましょう。
ではいつもの↓。
>>サマサさん
よしよし。USDマンが完全敗北しなかったのが、ちょっと嬉しい。願わくば、もう一度
ペコを追い詰める展開を望ム。ライバル関係フラグは立ってますぜぃ。しかしそのペコは、
華々しいパワーUP編の直後、皆の足下で畜生状態。そんな、日の当たらぬ彼が好きです。
>>聖少女さん
戦闘力より何より、慶次の一番慶次らしいところ、泰然自若っぷりがよく出てます。怒号
の戦場から一転、天からの使者と遭遇……興味引っ張る展開ですねぇ。ジャンヌといえば
雑君保プ先生の「WH2」が出てくる私ですが、さてこのジャンヌはどんな子でしょう?
>>しぇきさん
令嬢にカメラ向けての視聴者サービス編ですな。原作でも「風呂上りの足の指」でサラダ
を赤面させましたしねぇ。今更ながら彼女とドドリアの馴れ初め見たし。で、その日から
今日まで、膨らませた想いを告げることに臆病なドドリア。男の純情、これもまた可愛い。
149 :
作者の都合により名無しです:2005/11/18(金) 22:55:52 ID:H+Jy4/zn0
>ジャンヌといえば
>雑君保プ先生の「WH2」が出てくる私ですが、
>さてこのジャンヌはどんな子でしょう
ふらーりさん、いくらなんでもあのSSのジャンヌは
普通にフランスの英雄のジャンヌダルクでしょう・・
恐ろしい思考だ・・
ふらーりさんもまたなんか書いて下さいよ。
前回のはちょっと短過ぎ。面白かったけどね
結局ザク氏は脱走か…
ブラキン氏も危ない…
>>149 いや、「WH2」って「ワールドヒーローズ2」のことで、元々は格ゲーなんだよ
服部半蔵とかチンギスハンとかラスプーチンとか、歴史上の英雄達を集めて格闘させるってトンデモな内容のゲームでな
で、数あるキャラの一人としてジャンヌ・ダルクが出てくる(エラいタカビーで、1の時点ではブッチギリの最強キャラだった)
雑君保プはそれの漫画版をコミックゲーメストかなんかで連載してた漫画家
なんか今はエロ漫画家やってるらしいけどな、ってどうでもいいトリビアだった
152 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:04:13 ID:AzRUH7z00
<ビル66F・屋上>
「きゃ〜〜!助けてください〜〜!」
広大な屋上から見える、最高の景色に最高の夕焼け。
そして、そんな場所で響く、電波塔に括りつけられた美少女の悲鳴。
マニアなら生唾モノだろうこのシュチュエーションも、今のドドリアにとっては意味不明なものだった。
「な、なんでこんなことに?」
驚きが先行して上手く状況整理が出来ないドドリア。
それもそのはず、ほんの5分前まではトイレで「どうしよう。どうしよう。」言っていた男が、
今度は屋上で四人のフリ太君と令嬢を賭けたデスマッチをすることになったのだから。
ちなみに、ザーボンフリ太君だけは味方で、後の三人は敵という設定だ。
「フリフリフリ!フリフリ、フリフリフリ!」
とりあえずこの状況作り出した張本人のウエハーツはやる気満々で、大きな方眼紙に、
〜良く来たな!この子が返して欲しければ、俺達三人を倒すのだな!〜
と書いてドドリアに向かって提示する。
゛ねえ?これはどういったことなわけ?ピンクちゃんと戦うなんて聞いてないけど・・。゛
マオはウエハーツが提示した台詞にきぐるみの中でジト目になりながらウエハーツを見る。
゛何いってんだよ!告白は戦い!つまり、危機的状況を乗り越えれば自然と二人の愛は一つになるだろうが!゛
ウエハーツはそんなマオの言葉に、台詞の続きをしゃがみ込んで書きながら力説する。
゛本当かしら・・。゛
さっきよりも、きぐるみの中で怪訝な顔になるマオ。
゛本当だって!当然コードネームもある!゛
フリ太君の目がなぜか一瞬光ったと思うと、ウエハーツは物凄い勢いで立ち上がり、夕日に向かって叫ぶ!
「フリフリ!フリフリフリフリフリフリ!」
訳)「名付けて!DEAD or ALIVE?告白できたらいいな♪大作戦!」
゛殺しあう必要は無いだろうがあ〜〜〜!゛
そんな絶叫をしたマオの姿が夕日をバックにとても輝くのだった。
------------------------------------------------------------------------
153 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:05:41 ID:AzRUH7z00
ビルF66・屋上>
「フリフリフリフリフリ!!!」
ウエハーツは、マオとの会話中に書いた方眼紙をドドリアに見せながら喋る。
ちなみに、方眼紙に書いてある内容は、
”さあ、来い!お前が来なければ、あそこに括り付けている女の子を爆破するぞ!”
と、今日日のお子様でも乗らないような台詞。
(マジでダメだわ・・。)
マオはウエハーツのセンスの無さに思わず、失望とついていけない感を出す。
しかし、自分以外の他の男子三人はノリノリで、サラダやザーボンは、
〜そうだ、あの子に仕掛けている爆弾は、ソロモンに帰って来るほど威力があるぞ!〜とか、
〜勇者様!あのフリ太君達は赤い目をした魔王の腹心じゃ!早くしないと、あの子が死んでしまう!〜
と、どのゲーム会社も企画採用しないような台本の一部のような台詞を提示する。
(やばいわね・・・。これじゃあ・・。)
このままでは小学生以下の出し物で失敗してしまうと思い、マオはウエハーツ達を止めようとする。
”ちょっと!あんた達・・。”
----が、その時!
「・・・。フリ?」
訳)「・・・・。はい?」
マオの体はある人物を見て一瞬止まる。
154 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:06:43 ID:AzRUH7z00
「姫!お付け申す!」
そう、マオが見たのは、状況の変化についていけなくなり脳が麻痺したドドリアだった。
(可愛そうに・・・。ピンク・・。)
マオは思わずドドリアと令嬢に深い深い同情をする。
一方、脳が越前くらげに刺されたように麻痺したドドリアはそんなマオの同上も露知らず、声高らかに叫ぶ!
「いくぞ!魔王の腹心ども!!!」
----そしてこれがドドリア&ザーボン編”最悪の茶番”の始まりの合図だった!
「たあああああ!!!」
「フリリリリリリリ!」
ドドリア&ザーボンは戦闘力を解放して、サラダ&ウエハーツに突撃する。
無論、サラダ&ウエハーツも負けじと戦闘力を解放して二人を迎え撃つ。
まずは先手を取ったはウエハーツ。
二人が突撃してきたのを見るや否や、フリ太君の中に隠し持っていたE式マシンガンを取り出す。
ウエハーツの普段は狙撃手という役柄ライフルが基本だが、今は今日のうっぷんを晴らす絶好の機会。
得意のライフルより、派手なマシンガンなのだ!
「フリフリ〜!!!」
訳)「イッヤッホ〜!!!」
ウエハーツはここぞとばかりマシンガンを乱射して、ドドリア達を威嚇する。
パララララ!!!!!
「うっ、うわ!」
ウエハーツの撃った弾はドドリア達の足下を蜂の巣にし、動きを止める。
155 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:07:39 ID:AzRUH7z00
「フリフリフリフリ・・・。フリフリ!!」
訳)「足下ばかり気にとられているとは・・・。隙だらけだ!!」
サラダが動きが止まって隙だらけのドドリア達を見逃すわけ無い!
これもフリ太君に隠しておいたのか、背中からE式グレネ―ドランチャ―を取り出して、全弾発射する!
「あひ!ヤバい!!」
ドドリア達は当然避けることは出来ず、全弾まともに食らう!!
ジュドドォドド〜〜ン!!!
「フリフリ〜〜!!!フリフリフリフリ!!!」
訳)「YEAH〜〜!!!もっとぶっ放すぜ!!!」
さらにウエハーツは巻き起こる爆炎に向かって、本当にどこに持っていたのかE式対戦車ミサイルをぶち込む。
ここに某神父がいたら、「おお〜!神が対戦車ミサイルを一丁与えもうた。」と言ってくれるだろう。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
・・・・半壊する屋上。
”ちょっと!やりすぎじゃないの?大怪我しちゃうじゃない!!”
マオの怒声。それも無理も無い。
いくらフリーザの幹部クラスの実力者とはいえ、かの用務員に攻撃するかのような、怒涛の砲撃なのだ。
(やばいわ・・。もしかしたらもう跡形もなくなっているんじゃ・・・。)
マオは令嬢が泣きそうな顔をしているのに気付きながら二人の心配をする。
-----だが、マオの心配もよそに・・。
156 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:08:13 ID:AzRUH7z00
「フリ?」
「フリフリフリ・・・。」
訳)「え?」
「まさか・・・。」
爆発や粉塵が収まり出てきたその姿を見て、驚愕の表情をきぐるみの中でするサラダ&ウエハーツ。
「はーはっはっは!こんなもの!正義の心があれば危機はせぬわ!」
「フリフリ。フリ。」
訳) 「さすがです。勇者様。」
粉塵が消えて見えた二つの姿とは・・・。
アレだけの砲撃を受けて尚、全くの無傷のドドリア&ザーボンであった。
------------------------------------------------------------------------------
157 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:08:53 ID:irdD6PFH0
サラダ&ウエハーツの怒涛の攻めに全く無傷のドドリア&ザーボン。
(ちょっと!なんでアレで無傷なのよ?ってあれは・・・。)
マオは二人の無傷に安心するが、それと同時に”なぜ?”という疑問が頭を霞める。
そこでマオはドドリアを良く観察してみると・・。
ドドリアの指先に光る見覚えのある指輪。
(うげ!ラムネ・ドライバじゃない!そういえば、返してもらってなかったな・・・。)
マオはその存在に気付き、思わずたじろく。
そしてサラダ&ウエハーツに今すぐ戦闘行為を止めるように連絡する。
”ちょっと、ピンクはラムネ・ドライバを持っているわよ!このままじゃ、やばいからこの茶番を今すぐ止めなさい!”
しかし、その言葉にサラダ&ウエハーツは従うことなく・・、
”姉さん・・。男には引けないときがあるんだぜ!それに俺が魔王の腹心ならなおさらだ!!!”
”ウルズ2・・。貴方は良い魔王だった・・。ウルズ8行くぞ!”
と言い残し二人へ特攻する!
「フリフリ!フリフリ!フリフリフリ!!!フリ!フリフリフリ〜〜〜!!!」
訳) 「ちょっと!やめろって!それにさっきまで魔王の腹心って言ってたじゃない!
何よ、その急激で嫌な方向へのランクアップは!おい!聞いてんの!お〜〜〜〜い!!!!」
マオの絶叫虚しく、ドドリアとザーボンに重火器を突進しながら乱射し始める二人。
よく考えたら重火器で勇者に戦いを挑む魔王の腹心も珍しい。
158 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:09:38 ID:irdD6PFH0
「フリフリフリフリ!!!」
訳) 「死にさらせ〜!!!!!!」
用務員戦より気迫たっぷりのウエハーツはE式マシンガンを今度はドドリア達の頭部に直撃させる。
「効かん!効かんぞ!!!」
しかしラムネ・ドライバが生み出す見えない壁に阻まれ、全くダメージを受けない二人。
”ちっ、やっぱり効かないか・・。”
ウエハーツはきぐるみの中で愚痴をこぼす。
そして、そのままドドリア達から離れようとする・・・が!
”ウルズ8!右だ!!”
サラダからの通信。
ウエハーツはすぐに右を見るが、時既に遅し。
何時の間にかウエハーツの死角に入り込んだザーボンが、
ウエハーツの顔面に向かって全体重を乗せたワイルドパンチを打ち込む!
「フリリリ〜〜〜フリ!!!」
訳)「ウエハーツロイヤルクラ〜〜〜〜シュ!!!」
メキメキ・・・。
きぐるみで肉体を強化されたザーボンの渾身の一撃!
この攻撃はウエハーツの意識を奪うには十分だった。
「フリ・・。」
訳)「ぐあ・・。」
マオの方まで20m程吹き飛ばされるウエハーツ。
159 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:14:15 ID:irdD6PFH0
”ウエハーツ!ちょっと、大丈夫なの?”
マオはあまりの打撃音に心配してボロボロになったウエハーツフリ太君に駆け寄る。
普段なら、「ハイハイ・・。」で済ますマオも血相を変えている。
なぜなら、これはあくまでもドドリアと令嬢をくっつけなければいけない戦いなのだ。
本気で戦って、怪我や致命傷なんて食らうには馬鹿馬鹿し過ぎし、バレタ時の後味も悪い。
だからこそマオは心配になって、ウエハーツに駆け寄ったのだ。
”ウエハーツ!生きてる?”
マオの声にウエハーツはなぜかすぐさま意識を取り戻す。
”ふふふふ、この魔王の腹心である、ジゴロンキングにダメージを与えるとは・・。”
”ちょいと・・。ウエハーツさん?”
気が付いた早々、わけの分からないことを口走るウエハーツ。
”許せん!許さんぞ!!親父にもブタレた事が無いのに〜〜!!!!!”
そしてウエハーツはドドリア達の方へ突進して行った。
一方、その場に取り残されたマオの心には、
「フリフリフリ・・・。」
訳) 「あたしって、何なんだろ・・。」
やるせないと取り残され感が上手く比例した気持ちが心をウェイトの大半を閉め始めていた。
-------------------------------------------------------------
160 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:17:22 ID:irdD6PFH0
”群雄割拠”
”一進一退”
”実力伯仲”
このように、ほぼ同じ意味の四文字熟語はいくらでもあるが、その熟語では物足りないくらい、
四人の互角の戦いは白熱していた。
しかし、ある時を境にこの戦いは急激な変化を遂げる!
「くらえ!愛のフォルッテシモ!!(唯のパンチ)」
ズボッ!!
ドドリアのかけ声と鈍い音とともに宙に浮くサラダ。
だが、フリ太君着用のために大したダメージは与えられない。
「くそう!さすがは魔王の腹心!俺の愛のフォルテッシモ(唯のパンチ)ですら、その命は奪えぬか・・。」
ドドリアは少し焦りを覚え、テンションでカバーしていた左腕の傷が痛み始める。
一方、ドドリアの焦り顔を見てサラダ&ウエハーツの二人は好機と思ったのか、
方眼紙にいそいそと文字を書き殴り、ドドリアとザーボンに提示する。
〜ふふふ、そろそろ限界のようだな。では、これで終わりにしてやろう!〜
〜いくぞ!これが真の・・・・。〜
二人は手で掲げて提示していた方眼紙を丁寧にきぐるみの中にしまうと、
今度はバットとボールをどこからか取り出す。
「な、なんだ?」
理解が出来ないドドリア。
逆にザーボンはこれから放たれる必殺技の正体に気づき、方眼紙にいそいそと文字を書き殴る。
161 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:18:00 ID:irdD6PFH0
「ん?なになに・・。」
ドドリアはザーボンが提示した方眼紙を見て驚愕する!
「じゃ、ジャコビニ流星打法だと!!!!」
そう、打った打球とともにバットの破片も飛んできて、
守備側はにっちもさっちも行かないと言われる伝説のあの打法だ。
「や、やばい・・。避けなくては!!」
ドドリアは”はっ!”とサラダ&ウエハーツの方へ振り向く。
だが時既に遅く、ドドリアが振り向いた時にはサラダがウエハーツの投げた球を
しっかりジャストミートしていた瞬間だった!
---------------------------------------------------------------
162 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:19:13 ID:gf4fGYSt0
パァーン!!!
飛んでくる打球と、粉々になったバットの破片。
サラダの全戦闘力を纏い、一撃必殺の威力を持つバットの破片はドドリア達に流星のごとく降り注ぐ!
ビュビュビュビュビュ!!!
---------このままでは避けることが出来ない・・。
---------それはイコール・・・、死?
ドドリアの頭に一瞬絶望がよぎる。
無論、ラムネ・ドライバが都合よく発動して来ればよいが、100%と発動する保証は無い。
しかも、この精神状態で発動できるかといったら・・・。
(死、死ぬ?)
ドドリアが観念しようとした瞬間・・・!!
「ふ、フリ太君!!」
そう、フリ太君----つまりザーボンがドドリアを庇ったのだ!
「フリッ!!」
訳)「グハ!!」
いくらフリ太君の上からのダメージとはいえ、数百のもの破片を連続して受けて無事なはずが無い。
肋骨を軽く持っていかれたようで、ザーボンは脇を抑えながら数十メートル吹っ飛ばされる。
「「フリフリ!フリフリ!!」」
訳)「「はっはっは!ジャコビニ流星打法の威力は!!」」
ウエハーツとサラダはその光景を見て、きぐるみの中で快活に笑う。
一方、ドドリアはサラダが自分のことを庇ったときの事がフラッシュバックして、無意識のうちに、
ザーボンフリ太君の元へ駆け寄る!
「フリ太君!大丈夫か!!」
ザーボンフリ太君はドドリアが来たのを確認すると、息も絶え絶えになりながら、
方眼紙を取り出し台詞を書いてドドリアに朗読しながら見せる。
163 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:20:27 ID:gf4fGYSt0
「フリフリ・・。フリ、フリフリフリフリフリフリ・・。」
訳)「ドドリア・・。もう、俺はダメなようだ・・・。」
ザーボンはドドリアが読んだのを確認すると、その台詞を書いた方眼紙に続いて台詞を書き込み、
ドドリアに見せながら、また朗読する。
「フリフリフリ・・。フリフリフリ、フリフリフリフリフリフリ・・。」
訳)「最後にこれを伝えておく・・。そのラムネ・ドライバを使えば、
片手のお前でも真のジャコビニ流星打法が打てるはずだ・・。」
「フリ太君・・・・。」
ザーボンフリ太君は方眼紙で伝えることは伝えると、最後に叫んで、力尽きる!
「フリフリ、フリフリ!フリ!フリフリ!フリフリ、フリフリ!!・・カクッ・・。」
訳)「この世の闇を消せるのは、勇者ドドリア唯一人!行け!それゆけ!
その手で姫を救い出し、求婚するのだ!!・・カクッ・・。」
-----不自然に動かなくなるザーボンフリ太君。
「フリ太君〜〜〜!!!!」
ドドリアはザーボンフリ太君の死?に世界の中心よりも中心で悲しみを叫ぶ。
その様子を見ていた、ウエハーツは満足そうにして、次の台詞を方眼紙に書き込み、ドドリアに向かって提示する。
〜はっはっは!次はお前の番だ!覚悟しろ!ピンクデブ!〜
なんだか、やたら悪意の篭ったウエハーツの文章。
当然、今のドドリアがウエハーツのこの台詞?に乗らないはずが無く、声高らかに、
「くそう!魔王の腹心どもめ!俺の真の力!受けるが良い!!」
と言って、ラムネ・ドライバを天に掲げたのであった!
注)忘れている方がいるかと思いますが、ラムネ・ドライバは指輪の形をしています。
------------------------------------------------------------------
164 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:21:04 ID:gf4fGYSt0
天に掲げたラムネ・ドライバは激しい反応とともに、空中に光の棒を作り出す!
「「フリ・・・。ふ、フリ・・。」」
訳)「「ま、まさか・・。こ、これは・・・。」」
先程とうって変わって、生まれたての小鹿のように震え始めるウエハーツとサラダ。
まるで、三流伝承歌の1ページのような場面だ。
それはともかく、ドドリアがラムネ・ドライバから作り出した光の棒は、
ゆっくりドドリアの右手に吸い込まれるように降りてきて・・。
「こ、この感覚・・!!」
ドドリアは降りてきた光の棒を握り締めて懐かしい感覚を思い出す。
「そうか・・・。これは・・、バットだ!!」
ドドリアがそう叫ぶと、光の棒は瞬く間にドドリアの手の大きさにフィットするように形を変え、
黄金色(こがね色)のバットになる!
「おお・・・。これは・・・。」
感嘆すると共に試しにと怪我をして無い右手で振ってみるドドリア。
ブン!ブン!!
「こ、これは・・!まるで重さを感じない!!これなら・・、片手でも!!」
ドドリアはこれは行けると確信した目付きになってウエハーツ達の方を睨みつける!
「魔王の腹心ども!覚悟しろ!!」
ドドリアがそう言うと、ラムネ・ドライバからもう1つ何かが出てきた!
「ボール・・。か?」
ラムネ・ドライバから出てきた物体----それは光のボールである。
「よし!では・・。」
ドドリアはバットとボール----真のジャコビニ流星打法を使うのに
必要なファクターが揃ったのを確認すると、光のボールをひょいと上に投げる。
「食らえ!!!これが・・、真の!!」
そして叫びとともに片手でフルスイングした!!
「ジャコビニ流星打法だ!!!」
165 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:21:31 ID:gf4fGYSt0
ドバババババババババババーン!!!
砕け散るバット!
しかも、この真のジャコビニ流星打法はボールも砕け散る!!
野球では使えないけど・・・。
「フリフリフリ?」
訳) 「やばいすぎる?」
速すぎるバットとボールの破片にウエハーツの背中に何か冷たいものが走る。
横にいるサラダは、避けることを諦め、イスラム教のコーランを暗唱し始めている。
「フリ・・・。」
訳)「あ・・・。」
避けようとする予備動作すらする時間もなく、光のボールと黄金色バットの破片の波に飲み込まれていく二人。
ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!!!!
「フリフリ!!フリフリ!!!」
「フリフリ・・・。」
訳) 「くそう!!覚えてろよ!!!」
「ゾロアスター教は・・、異教だ・・。」
捨て台詞を残した後、ザーボンのように”カクッ”と倒れる。
そしてドドリアは、二人が死亡?もとい、気絶したのを確認すると、
「正義は勝つ!!!」
と令嬢に向かってVサインをしたのだった。
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166 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:34:42 ID:gf4fGYSt0
どうもしぇきです。
一気に投下すると、迷惑がかかるので小出しに分けることにしました。
これなら、周一とかにならずに済みそうです。
前回レスをくれた方々ありがとうございます。
野球の方は日本シリーズとか色々あったのでネタは十二分にありそうです。
後は自分の文章力と相談でしょうか。
サイヤ人戦はやっぱり、長くなりそうです・・。
>NBさん
NBさんの文章の方が、原作よりもトレインの凄さ、強さ、
そして弱さを表しきっていますね。イヴの葛藤描写も
そのうちありそうで楽しみです。
>邪神?さん
カイルは英雄になれるのか?
それは親の七光りでなるものか?
と、D2ゲームをやった自分が書くのもなんですが、
やはり文章で見れると良いですね。
分かりやすいし、説明不足にならないですし。
>ジブリ大戦さん
ジブリの電波系は初めてですが、個人的には楽しめました。
トロロって攻撃色とかあるんですねw
167 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/19(土) 02:51:31 ID:gf4fGYSt0
>ふら〜りさん
腐が付くか付かないか、個人的にはこの”婦”もありだと思っています。
こっちの婦のほうが個人的には良いですね。
水島の姉ちゃんの拳の事が一番心配でしたが、
頬をピンタが出来るということは全くの無傷だったんですね。
勇次郎より打撃力なら強いのに・・。恐るべし・・。
後、お疲れ様でした。
短いのは残念ですが、次のSSも期待しています。どうも・・。
>サマサさん
ラクス・・・・。
大丈夫!ドラえもんなら、ドラえもんなら・・。
でもシャミーの例もあるから、余計に心配。
ということは、他の女性陣+フー子が一致団結して・・。
って、マインドコントロール前提でしたね。スイマセン。
後、USBマンvsペコの最終ラウンドも非常に気になりますね。
やはり、ジャイアンvsげんごろうみたいになるのかあ〜。
>聖少女風流記
海外でも歌舞伎の心は通用するのか?
そして、まだ見ぬ強敵の存在や、史実どうりに進むのならば、
ジャンヌの最後の方の精神状態をどう慶次がほぐしていくのかも
気になります。とにかく楽しみです。応援しています。
と、来ていなかった分の感想を書きましたがウザかったらスイマセン。
では失礼・・。
>しぇきさん
流転するなあ、このSSw とうとう姫を救う勇者になりましたかドドリア。
フリ太クンはじめ多くの人に助けられ、ヒーローは成長しますなあ。
でもこの量で小出しなんですか!すげえ。創作意欲を衰えさせず頑張って下さい。
>>151 解説乙です。しかし、ふらーりさんの底は深いなあ。底無し沼のようだ・・
169 :
作者の都合により名無しです:2005/11/19(土) 12:39:26 ID:lOpD9hVA0
しぇきさまお疲れ様です。
すごいボリュームですなー。しかし、結ばれる前の最後の?一波乱ありましたか。
ドドリアも成長したものですな。結局フリーザさまは出て来なかったような?
エンディングくらいは出てきてほしいなー
170 :
茄子:2005/11/19(土) 13:40:35 ID:01J8VyKJ0
その14 そこへゆけ
そうだ。原チャリ乗りにいこう。
風が気持ちいい。秋だけど。
今日は暖かめでよかったよ。
だからこそカブ乗る気になったんだけどな。
車ウゼえなあ。
でも、向こうもウゼえって思ってんだろうな。
まあいいけどさ。
海が見えてきた。
海とは人によっては思い出の保管庫みたいなもんなんだろう。
俺は、溺れかけて親父にぶん殴られたくらいしかないけど。
色恋沙汰なんて、そんなそんな。
でも、見てるとなんだか心が豊かになる気はする。
ここにいると、何かが入り込んでくる感じ、する。
作家とかミュージシャンに海好きが多いのも分かるよ。
詰まるとこ、人は常に何かを求めているんだな。
でも、何かって何だろ。
掴めないから何かなんだな。
171 :
茄子:2005/11/19(土) 13:41:18 ID:01J8VyKJ0
ここは大好きだ。
なんていうのかな……
くさっぱらって、いい匂いがするからだ。
本当は春が一番なんだけど、秋は秋で悪くない。四季サイコー。
子供の頃にくさっぱらをたくさん歩いた大人は、柔らかさを心に残してる。
子供がもしいたら、くさっぱらをたくさん歩かせてやろう。
キャッチボールもしよう。ボールが川に落ちたら一緒に探そう。
千葉マリンにもたくさん連れて行ってあげよう。
プロ野球選手にしたいな。ロッテに入ってレギュラーになってくれたらいいな。
相手いないけどさ。
とにかく、くさっぱらは最高だ。
春になったらまた来るよ。
妄言を吐くな、と言われた。
その人が心無い人だからだろうか。それとも、俺がいけないのだろうか。
ホットコーヒー飲みながらぼんやり考える。
結論。
うん、俺はやっぱ悪くねえ。
空になったホットコーヒーを捨てた。もちろんゴミ箱に。
そろそろ帰ろうか。
172 :
茄子:2005/11/19(土) 13:42:05 ID:01J8VyKJ0
今日は蕎麦にしよう。
月見蕎麦がいいかな。それに茄子の天ぷらも添えて。
なんてごちそうだろう。
蕎麦は固めに仕上げる。
桧枝岐蕎麦。桧枝岐って何県だ?
茹で汁でめんつゆを薄める。
蕎麦屋の存在意義って、やっぱ蕎麦の茹で汁だよな。
家庭だと、あの蕎麦汁は無理だもん。
あれがなきゃ誰も蕎麦屋なんて行かないよ。
茄子には薄めに衣を着ける。
さっと揚げておしまい。
うまい。
それ以外の言葉をつけても、蛇足だろう。
うまいったらうまいんだから。
テレビの料理番組は無理しすぎ。
言葉を凝らしたって駄目なもんもある。
うまいはうまい。
それが本質。
本質を探る。
そのものの中央に踏み込む。
混じりっけなしに触れる。
それが表現。
まあ、んなことはどうでもいいや。
蕎麦は旨い。
心地よい余韻に浸りながら、僕は本質に踏み込む行為を始めた。
幕張辺りに住むロッテファンの二十代男性が主観です。仕事は多分表現系。
今回の元ネタというか、イメージ元はありますが、漫画じゃないです。
…千葉に生まれたかった。
規制が長いです、AOLは。対応がよくないのかな。
前スレ
>>364 5レスで纏めたかったからあまり長く出来なくて……
今回も長くないですけども。
>>365 一話完結(今回のように)だったり続いたり……
気分の問題です。
>>377 まあ、十代ですしね。かなり極端に書いてますけど。
ちなみに成美は孕まされてないですw
>>413 前も書いた気がするけど、長く書ける人は羨ましいです。
どうしても長く書けないのが悩みです。
>>424 収束というか、風船みたくふんわり飛んでいく感じになればいいな、と
思っております。
成美は実に普通の娘ですよ。この中では。
では次回。そろそろ『魔女』を……なんとか……書きたいなあ……
174 :
作者の都合により名無しです:2005/11/19(土) 23:38:14 ID:oEHlHgFp0
お久しぶりですゲロさん。やっと規制が解けたみたいですね。
今回の主人公は読んだだけではわかりませんでしたがまたーりとした雰囲気で世勝手です。
規制中、書き貯めしてくれたのかな?
ゲロさんお久しぶり。日常の平和な妄想ネタだな。
もう少し前にやってくれてたらタイムリーなネタだったんだが…
ゲロ氏復活おめ。そうか規制なら仕方ないね。
今回はいつにもましてシュールですな。
ところで、蟲師百物語はどうなったの?w
177 :
聖少女風流記:2005/11/20(日) 13:43:34 ID:YVuukTTL0
第二話 上ナシ
>>113 大柄で涼しげな日本のさむらいと、小柄で清浄な雰囲気をまとった少女が
互いに微笑を浮かべながら静かに対峙していた。だがその微笑の質は僅かに違う。
さむらいの微笑みは、いわば己の立ち振る舞いから滲み出る自然な微笑である。
対して少女の微笑みは、なにかに殉ずるような、どこか儚げな危うさがあった。
慶次はその微笑を見て、瞬時に理解する。
あの菩薩とやらの真意。この少女が背負う宿命、いや宿業の重さを、うっすらと。
この、年端もいかぬ少女をおれに守れというのか。
先程までの異国の地に対するうきうきとした憧憬は霧散していた。
代わりに、目の前の少女を肩に載せられたような息苦しさを感じる。
嫌なものだ。慶次は涼しげな微笑を崩さぬまま、心のうちで煩悶した。
この少女は、しびとである。もう己の人生を捨て、生きながら殉じた人間なのだ。
慶次もまたしびとである。が、戦場で生きるおれはまだいい。
何故、こんな年端もいかぬ見目麗しい少女が、過酷な運命を……。
慶次は己の今の境遇も省みず、ただ目の前の少女を不憫に思っていた。
不思議な男である。並の人間なら、知らぬ場所に飛ばされた自分の不運を呪うだろう。
前田 慶次朗利益と、その愛馬の松風が強制移動された場所とその年次は、
フランスの中央部のオレリアンにごく近い片田舎。そして西暦は1429年である。
慶次の生きていた時代より160〜170年ほど遡り、しかも数千キロ離れた場所である。
時代も風土も、そして周りの人種も違う場所は、異世界といっていい。
が、慶次は違った。少女と出会う前、彼は心底うきうきしていた。
そして今、彼はジャンヌ・ダルクという少女の宿命の大きさに心から同情していたのだ。
慶次という男は、即ちそういう男なのである。
178 :
聖少女風流記:2005/11/20(日) 13:45:47 ID:YVuukTTL0
慶次の死に対する考えは、至って単純なものである。
彼は常々思っていた。自分は、戦(いくさ)場でしか生きられない男である。
そして戦場では、生き死になど二の次の事だ。ただ修羅に入る。それだけの事。
自生きるか死ぬかなどは、自分が知らぬ大きなものが決めるのだろう。
そしてそこでしか生きられぬ自分は、いくさ人である。何時何処で死んでも構わない。
また、こうも考えていた。
ある日、疲れて大木に体を預けそのまま寝入る。そしてそのまま目を覚まさない。
おれはそんな風に死にたい。
じたばたせずともその日は、この世から魂が離れる日は何時か必ずやって来る。
それは十年後かも知れないし、明日かもしれない。
だったら、すんなり受け入れてやればいい。恐れる事などひとつも無い……。
明日、いやすぐに死ぬかも知れないからこそ、今が楽しいんじゃないか。
死すら支配出来ぬ男が、違う世界に飛ばされた程度でじたばたする訳が無い。
ここが何処で、どんな世界であろうとも、おれはおれでしかない。それだけの事だ。
松風が傍でぶるん、といなないた。ぼうっとしているなよ、という意味である。
慶次は松風に頭を下げた。ジャンヌがそれを見、初めて少女らしくころころと笑った。
「まあ。お馬さんとお話が出来るのですか」
ジャンヌがそう言いながら近づいて来た。慶次も頭を掻いて応える。
「はは。松風は、友ですので」
少女の甘い体臭を嗅いだ。どこか、幼い頃のおまつを思い出させる横顔である。
179 :
聖少女風流記:2005/11/20(日) 13:48:16 ID:YVuukTTL0
ああ、これはいけないな。
慶次は笑いながら思った。自分の「死」はどうでもいい事だ。
が、女は駄目だ。特におまつ殿に似た少女は、特に駄目だ……。
珍しく松風が少女に鬣を触れさせている。元々野生馬の松風は警戒心が強い。
滅多に無い光景だ。が、少女の持つ何かがそれを赦させるのだろう。
「夢を、見ました。昔から度々見る、大天使さまの夢です」
ジャンヌが唐突に語り始めた。振り返り、まっすぐに慶次を見据える。
「私を、護って下さる方がこの地に現れると。異風の装束を纏う大柄な戦士」
慶次は観念したようにどっかりと腰を下ろした。優しい笑みを浮かべている。
「私は、フランスを救うために戦わねばなりません。元より、命は捨てています。
ただ、今の私には自分自身を護る事すらも出来ないのも事実。私を」
慶次は言葉を遮るように大きく笑った。どうやら、おれの負けらしい。
ジャンヌに、懐から取り出した瓢箪を差し出した。きょとんとするジャンヌに言った。
「私の国の酒です。芳醇にして清涼、まるであなたのような美酒だ」
その口説き文句とも取れそうな(勿論、慶次にその意図は無い)顔を赤らめるジャンヌ。
「え…、あの私、お酒は、その、信仰上」
しどろもどろになる少女。敬虔なキリシタンであり神の啓示を受けた聖女である。
拒否は当然であった。が、慶次は笑って首を振った。
「これは酒ではありません。いわばあなたと私の、命の誓いの証」
180 :
聖少女風流記:2005/11/20(日) 13:50:01 ID:YVuukTTL0
主従、という言葉は飲み込んだ。慶次には身分の上も下も無いからだ。
ただ、己がその相手に死ねるかどうかである。そして、慶次はジャンヌに惚れた。
男女の間の惚れた、ではない。命を捨てる相手として惚れたのだ。
「そうですね。今回だけは、主も笑ってお許しになるでしょう」
ジャンヌが悪戯っぽい顔で笑った。
この少女は殉教者の崇高な微笑と、田舎娘の無垢な微笑の2つを自然に持っている。
くい、と可愛らしい仕草で瓢箪を呷った。一口飲んだだけだが、その場にへたり込む。
慶次は笑いながら抱き起こすと、ジャンヌがくすくす笑いながら言った。
「はうう、やはり私にお酒は無理ですね。目がくるくる回ります」
2人は顔を見合わせて大きく笑う。そしてその後、ジャンヌはまっすぐ慶次を見て言った。
「あの…私とともに、その」
慶次は笑った。どんな権力者相手にも「上ナシ」が自分の信条であった。
が、ほんの一時期だけ、この大きな運命を背負った少女に仕えるのも悪くは無い。
「前田 慶次と申します。今この時より、あなたの家臣となる男」
181 :
聖少女風流記:2005/11/20(日) 13:51:28 ID:YVuukTTL0
ジャンヌは慌てるように両腕を振った。実年齢も幼く見える。
「あ、いえ、あの、その、家来とかは止めて下さい。あと、敬語も」
「はは。そうですか。で、これからどうなされる、ジャンヌ殿?」
慶次は一頻り笑った後、おもむろに聞いた。遠くに数人人影が見える。
勿論、慶次は最初から気付いていたが、敵意を感じないので放って置いた。
おそらくジャンヌの道連れだろう。彼女は真顔に戻り言った。
「ここから遥か遠くのシノンという地へ。そこで王太子陛下に謁見を願います。
でもその為には、敵占領地を横断せねばなりません。命懸けの旅になります」
「結構ですな。異国の地を旅し、喧嘩まで出来るとは結構すぎて悪いくらいだ。
しかも、ジャンヌ殿ほどの美女と共に旅出来るとなれば、良き旅は間違いない」
「はうう…。あの、私、真剣にお願いしているんですけども」
同刻。どこかの場所。暗闇。黒いローブを身に纏う怪しい風体の男。独り事をポツリ。
「運命の神子の元に強い力を感じる。相当な手練れの者のようだ。天使め」
吐き捨てるように言った。が、それも一瞬。卑しげな余裕の笑みを浮かべて呟く。
「フン。が、たった一人しか召還出来なかったか。力の衰えを感じるわ、ミカエル。
この時代の混沌は、もうお前にその程度しか力を残していまい」
羽織っているローブよりも更に闇に近い念が彼を覆う。
「我の今の力ならば、その手練れ以上の強者を2人、いや3人召還出来る。
その強者と時代の流れを相手にして、神子を護り続けれるかな、前田 慶次とやら」
フオン、と目の前に黒水晶が出現した。闇色の念を水晶に込める。
「一人目はやはり貴様と同じ国の強者がよかろう。 ……こいつがいいわ。
その自慢の二刀流とやら、この異国の地で閃かせてみるがいい…」
ジャンヌがおかしな性格に…
最初は隙の無い気高い性格で、でも時折見せる少女っぽい素顔のつもりでしたが
普段は普通の少女で、確変すると神々しくなるみたいな、になりましたw
183 :
作者の都合により名無しです:2005/11/20(日) 15:37:13 ID:Fa1FcbtE0
>ハイデッカさん
慶次の死生観が表れてていい感じです。文体もどこと無く隆慶一朗先生っぽいような。
でもジャンヌダルクの「はうう」はちょっとwキリッとした方が個人的に良かったかな。
「はうう」とか掲示板で見るとちょっと嫌悪感を感じるw
立ち上がりは凄く面白いので、これからもがんばって下さい。
うん、新機軸な感じで面白い。
ジャンヌダルクってフランス革命かなんかの英雄ですよね。
名前だけは知ってましたけど、慶次とどう絡んでいくのかが楽しみです。
宮本武蔵か。いよいよ魔界転生になってきたね。楽しみです。
>>186 見えないな。種がどんなのか知りたかったけど。
188 :
作者の都合により名無しです:2005/11/21(月) 23:17:58 ID:nysEd/ji0
ここんとこちょっと不調だけど、また爆発してくれると思っている。
週に5本以上来てて不調は、投稿してくれてる作者さんに失礼か。
始【スタート】
俺はホムンクルス(※)らしい。
けど、俺はちゃんと職についてマジメにやっているからいいじゃないか。
ところで、職場において「優秀」という認識されるのは、非常によくないものだ。
そりゃ俺だって優秀って自認してるけど、本当のコトを言われる方が嫌な場合だってある。
だって優秀だと思われたら、難しい仕事が回され易くなってしまうから。
苦労したくない、出世も苦労が増えるからしたくない。
と思う俺を、卑怯という人間もいるだろう。
現についさっきも部長に説教された。
「若いうちの苦労は買ってでもしろ、苦労は人を成長させる」って。
だが本当に、そうなのか?
ことスポーツ選手や研究者ならそうだろう。彼らの苦労の原因ってつまり、生涯全てを費やし
ても悔いがない!ってな覚悟で決めた目標と、現状のギャップだ。
それを少しでも埋まるべく、鍛錬を続けて痛さや辛さに耐えるのが、苦労の内容だ。
けれど苦労にも負けず、彼らは決めたコトに向かっている。向かい続けている。
なんかすごいエネルギーが感じられるし、何より合理的で一番確実だ。
だから苦労を重ねる彼らは尊敬できる。
けれど職場の苦労なんて、突き詰めてしまえば、他人が出した不都合不利益の後始末だ。
だってそうだろ? 仕事なんて、得意な物を選ぶんだから、普通にやってりゃ苦労しない。
仕事そのもので苦労するのは、得意な分野を選べなかったか、そもそも得意な分野を作れ
なかったそいつの失敗だ。
大体、人間いつかは就職するなんて、小学生の頃から分かってるんだぞ。
だったらなるべく早く、何が向いてて何ができるか把握して、その技術を磨いておくべきだ。
みんながみんなそういう考えで、必ず何かの技術に長けてて適材適所を地でいけたら、あぁ
社会はどれだけ良くなるか。
そうすりゃ誰でも存在意義があって、リストラとかイジメとかなくて、貧困ゆえの強盗とかもな
くなってひいては技術を間口に信頼しあえる、平和な世の中になるに決まってる。
でもこういう考えは理想論というか、遊び呆けて実行しない人間がほとんで、だから職場に苦
労が満ちている。
そう、みーんな惰性で動いてる。特技なんて何もないまま、下らんコトをやらかしてる。
普通にやれば簡単に済むコトを、連中はいらん手順を踏んでややこしくしてるんだ。
だからマジメにやってる俺が苦労してる! 優秀ていう理由で残業と後始末をさせられる!
なんというか毎日、頭の悪い子供が曲げまくった知恵の輪を、ちゃんと元に伸ばしなおして
そこから解きにかかるよーな、くすんだ煩わしさと時間の搾取の繰り返しだ。
…そんなん、なんの成長にも繋がらねーっつーの! そもそも成長になんか興味ないし!
……ああ、こうやって内心で怒鳴っているのは疲れる。
嫌な脳内物質が心を重くして生きる喜びを奪ってく。正直いって、毎日辛い。
ストレスで髪の毛がよく抜ける。もっとも俺はホムンクルスなのですぐ生えてくるけど。
そんな歩き疲れた道の途中で思い出す物がある。俺の心を少年のように輝かす物がある。
それは夢だ。夢はやっぱり大事だ。
だから俺は仕事を与えられればすぐ、どうすれば早く正確にできるかを考えている。
やっぱり、仕事には真剣に向き合うべきだ。間違えれば中身のない説教をされるし、手間取
れば残業する羽目になり、結局は夢すなわちおもちゃで遊びまくる時間が搾取されるから。
…………イヤなんだ!
仕事のせいで、おもちゃを振りまくってバシュウバシュウ叫ぶ夢のような時間が搾取されるの
はイヤなんだ!
なのに神よ! あなたはどうしてこれ以上、搾取しようとされるのですか! やめてください!
やめないならやっちゃいますよ! 根はマジメなので心臓がバクバクいうほどヤバげなコトを
やっちゃいますよ! でも返事次第じゃやめますよ! だからさぁ返事を!
1分経過。2分経過 ……5分けーか。なぁオイ、聞いてんのか神よ! 聞いてねぇのかよ!
へっ、ならやってやる! スポーツ選手みたいなギャップを埋める為の苦労をやってやるぜッ!
白い光をスポットライトのごとく浴びる二人の男がいた。
片方は40をすぎたと思しき、のっぺりとした無個性な顔。
片方は20の半ばをややすぎた、茶髪で軽そうな印象の顔。
パソコンや書類を前に話し込むところは何か打ち合わせをしているようであり、時折ハハハ
と笑い声が響くのは雑談しているようでもある。
会話の流れからして、のっぺりした顔は部長らしい。
その部長が胸ポケットを自慢げに叩き、
「ここに面白くて懐かしいゲームが入っているから後で貸してやる」
とか言ってる所をみると、ほとんどが雑談、残業代欲しさにだらだら居残っているのだろう。
やがて二人はジャンケンをし、茶髪が負け、朗らかに苦笑しつつ「ではコーヒーを買ってきま
す」と事務所を出た。
部長は書類に目を通し、独り言を唱える。明日以降の算段を練っているのだろうか。
5分ぐらい経った。
不意に、扉が開いた。
扉のある方は既に消灯されていて、遠目では詳しい様子は分からない。
そちらへ手だけを、部長は相変わらず書類に目を通したまま、労うように振った。
足音は闇の中を無言のまま、進み、やがて光の下に出た。
「珍しく早かったな」とおどけて言おうとした部長は、足音の主を見て、表情を凍りつかせた。
いたのはスーツこそ着ているが先ほどの茶髪でなく、レスラーのような黒い覆面をした男。
右手にはナイフ。
更に侵入者が左手で覆面を取り、ニっと笑った瞬間、部長の顔は歪みきった。
未知なる物への怯えでなく、見知った者への意外性。歪んだ表情はそれを雄弁に語っている。
次にナイフが一閃。
部長の喉笛がばっさりと切り裂かれた。
生暖かい液体がスプレーのように噴出し、気管に詰まる嫌な水音がした。
白いワイシャツや机上のパソコンや書類などが赤黒のまだら模様で汚される。
椅子から死体寸前の肉塊が一つ、血溜まりにべちゃりと落下した。
机の引き出しに赤い飛沫が散り、部長は、不本意に生涯を閉じつつあるのを実感した。
大きく息を吐き、氷のように冷たい指で、胸ポケットより何かを取り出した。
血文字でそれへと、文字通りの死力、最後の力によって
──犯人はこのゲームと同じ
と書いたのに、侵入者は気付いたかどうか。
部長は胸倉をつかまれ、強制的に立たされた。
そして虚ろな顔に、手のひらが当てられ──…
真っ赤に熱した鉄を水につけるような「バシュゥ!」という音が、事務所に響いた。
5分後。コーヒーを買って戻ってきた茶髪は、床に広がる血だまりと部長の着衣を見た。
それから、ファミコンのゲームソフト。
さきほど部長のポケットにあったと思しきそれには血文字が書かれていたが、メガドラが
好きな茶髪にその意味する所はわからない。
この状況に真っ当なる判断力は麻痺している。
茶髪は事務所を狂ったように徘徊し、震える声で何度も
「冗談でしょ」「脅かそうとしてるんでしょ」
などと部長の姿を求めた。だが、返事も、姿もない。
やがて茶髪は震えながら携帯を取り出すと、警察に通報した。
警察の人も現場検証のあとファミコンのソフトを押収したが、警察の人は3DO至上主義なの
でやっぱり内容は分からない。
影抜忍者出歯亀ネゴロ
さて、ホムンクルスの退治と核鉄(ホムンクルスを倒すアイテム。縮れ毛があるのが強い)の
管理運営をする組織がある。
其の名は錬金戦団。
こういう組織というのはたいてい、警察とかCIAとかFBIとかTRFとかとつながりがあるものだ。
あるに決まっている。
ともかく、紆余曲折を経て、前出の事件を錬金戦団が担当するコトになった。
時は、戦団を100年に渡って悩ませていたヴィクターが死んだ夏の頃だ。
正確にゃ死んでないが、月にいったからもうおしまいなのは確定とみていい。
問題はその後だ。彼との戦いでほとんどの戦士が活動不能。
新しく入った早坂秋水という戦士も活動不能。
極度の飢餓状態におかれた人間が、一気に食事を摂ると死ぬという。
弱った消化器官が食事を受け付けずショック状態に陥るからだ。
それが秋水にも起こった。
出番を摂取できず弱り果てたキャラ性に、総計4ページの再登場は非常にこたえた。
セリフを間違えもした。恐悦至極を僭越至極と間違えた。
それが最終的な引き金となり、彼はブッ倒れた。
なので他の戦士ともども入院中で、姉の桜花に連日連夜プリンをあーんして貰ってる。
で、登記名簿の業務内容の欄に「ホムンクルスの退治、並びに核鉄の管理運営」などと書い
てる戦団だから戦士がいなきゃ牛肉を断たれた吉野家のごとく商売ができん。
だがその時点で動ける戦士といえば、数は限られている。ブッちゃけ、10人ぐらい。
司令部は困り果てた。
何に困り果てたかというと、件のワケのわからん殺人事件の調査だ。
着衣だけ残して消滅という手口は、ホムンクルスのそれではあるが、しかし奇妙なのだ。
ホムンクルスが好んで食べるのは、思春期前後の少年少女だ。狙うのは学校。
だが今回の被害者は、40代の男性である。事件現場を聞けば、工場だという。
その辺りが良くわからない。されど、犯人らしきホムンクルスが工場に狙いを
定めていたとすれば、捨て置けないのもまた事実。
普段の戦団はホムンクルスの集団を捕らえるために、戦士を学校に潜り込ませる。
具体的には学生寮の管理人とか保健の先生とかに扮し、有事のために控えている。
で、今回もその要領でいく、いくわようという話にまではなったのだが、しかし誰を送るかは
決まらないしやっぱりどうにも判らない。
なぜ犯人は、子供でなく40過ぎた男を襲ったのか?
「なぁに。ホムンクルスとてたまにはゲテモノを喰いたくなるものさ」
「そうかしら」
場所は錬金戦団日本支部。人員不足のあおりで人影もまばらな食堂。
の更に窓際でヒソヒソ話す男が二人(?)。
かたや筋骨隆々のいわゆる「ムサい」大男。かたや綺麗なお姐さん。
戦部と円山という、二人の戦士である。
この時、食堂に見知った顔が約二つあるのに、彼らは気づいた。
しかしそれらは、会話というのがひどくやりづらい顔だと戦部も円山も心得ているから別に声
をかけたりはせず、件の事件についての雑談を再開するコトにした。
「わざわざ工場なんかに侵入してまで喰べたいゲテモノ」
こっそりパクった被害者の写真を、円山は見た。
映っているのは脂ぎっている所ぐらいしか特徴のない、いわゆるおっさんだ。
なんでも見た目にそぐわぬ、人材発掘に熱心で優秀だった部長サンとか円山は小耳に挟ん
だが、あまり興味を引く話題ではない。
おっさんの顔はひらりと宙を舞った。写真が投げ捨てられたのだ。
「私ならパスね。やっぱり若いコがいいわ」
やる気なさげに円山は、イスにもたれながら両手を前後に、ばたばた動かした。
「俺ならやるな。強ければの話だが」
戦部はでかい包みを机に乗せて、開けた。
猿型ホムンクルスの生首が出てきてきーきー鳴いた。
「またゲテモノ」
「どこがだ。こんなに旨そうじゃないか」
「私はそーゆーのもパス。なんで男ってそういうロクでもない物に興味を示すのかしらね」
「気に入るモノは仕方ない。俺のように、いつしか原動力にすらなる」
──案外、工場に出たホムンクルスとやらもそうだったかも知れんな。
というかオマエも男で感心しがたい趣味もあるだろうに──
戦部は色々なコトに苦笑しつつ、とりあえず生首の頭にかぶりついた。
ギッ!と短い悲鳴を上げて、ホムンクルスは白目を剥いた。
「きゃあ恐い」
円山はおどけた様子で両手を口に当てた。当てたまま身を乗り出し、喋る。
「ところで、潜入捜査だけど誰がするのかしらね?」
「さあな。だが、できそうな者は限られている」
「例えば?」
「彼女か、」
戦部は猿の脳漿まみれのアゴを、見知った顔めがけてしゃくった。
「カレ?」
つられて円山も見知った顔を指差した。
「ま、そんなところだろう。普通の会社に潜入できそうなのは」
さらに前者は社会的な潜入が、後者は物理的な潜入が、各々できると戦部は付け加えた。
「少し、似てるわよねあの二人」
「表情を崩さない所がな」
「トモダチ少なそうな所もね」
戦部と円山が交互に差した人物たちは、ともに一人で慎まやかに食事を取っている。
片方は手弁当を、もう片方は崩した豆腐をごはんにかけて食べていた。
※換気扇のガンコな油汚れや急な発熱によく効く事でおなじみ。
これを用いてレギュラーガソリンをリッター110円にする裏技が、伊東家の食卓で紹介され
すらしたメジャーきわまる物質であるが、実は意外な一面を持っている。
なんと人間を食べるのだ。そりゃもう、頭からがじがじっと。もしくは腕からばしゅうっと。
日常と切っても切り離せない心優しき隣人である所のホムンクルスが、実は床下でポン刀を
手入れしている恐るべき殺人者だったという衝撃たるその事実に学会は震撼した。
モンゴルの大平原を駆ける最後の騎馬部族は赤く光る凶星を夜空に見つけ、馬上で涙した。
というコトで、今回投下しましたのは、ネウロっぽさを目指した武装錬金のSS。
「影抜忍者出歯亀ネゴロ」ってフレーズ自体は、4月に作った武装MADに少し入ってたりも。
戦士忍者影抜ネゴロの方が字数はあってるけど、出歯亀でいいや。
テーマその1は、「年末調整終わったから贖罪だ! 昔ちょいと壊しすぎた二人を真っ当に書いてみよー!」
誰と誰かは近日中に。
さて、前スレにて照星物語にレスを下さった方々、ありがとうございます。
前スレ294さん
確かにああいう形式はあってますね。最後とか前提とかは元がああなので……
元になった小生物語っていうのは、乙一氏がHPで連載してたエッセイみたいなものです。
淡々と凄まじいコトを書いてる点が、ナイスです。あとはGOTHなんかも良いです。
前スレ303さん
どうも、戦団の人らはアレですよね。今回はマジメに書きますが、アレっぷりに引かれてアレになったらゴメンなさいです。
火渡は上司としちゃどうなんでしょう。少なくても「ようやく集まったか遅ェぞクソッタレども」 →
「おいしい所は早い者勝ちだ、行け!」 のコンボは部下としちゃたまりません。最初から集めるなという話です。
ふら〜りさん
ご指摘の通り、基本的にはほとんど素ですね。ただ湯沸かし器のくだりは、乙一氏ならこう書
くかなぁ〜とちょっと考えたりも。ただ、あそこは隊長さんの身に起こった事態までを想像してこそ
文が引き締まったかもです。29日は、夢オチにしようかと思いましたが、まぁいいやと魔がさして。
しぇきさん
自分もゼロスっぽい立ち位置になるかな〜っと思ってましたが、嗚呼、なんかすみません。
ああなったのはいうなれば事故なのです。照星と小生を掛けたいが為に起こった不幸な事故なのです。
壊れた湯沸かし器もマジックパズルもハドラーも、全ては小生の穢れた体験であり、照星は無実なのです。
後、あれだけの分量で小出しというのはスゴいです。それでいてテンポ良く状況が進んでいるのも。
コテがこうなので、ソロモンのくだりにはニヤリとしました。赤い目の魔王の腹心さんも懐かしい。
ぴったり5レスで投稿って難しい…
197 :
作者の都合により名無しです:2005/11/22(火) 00:58:09 ID:GhpZVoGc0
スターダストさん、お疲れ&お久しぶりー
相変わらずスターダストさんは武装錬金が好きですね。
俺も大好きですが、るろ剣みたいに一般受けしなかったな…
最初はホムンクルスなのにサラリーマンの悲哀、そして急に
殺人事件が勃発して、強引な(失礼)オチw
相変わらず飛ばした文体ですねえ。次作、お待ちしてます。
読み切りだけでなく連載も見たいな。
第三十一話「美しき刺客」
「ちょっと疲れましたわね。ここで一休みしませんか?」
ラクスと出会い、しばらく歩いた辺りでラクスがそう言った。確かに歩きっぱなしで、随分と疲れていたのは確か
だ(その割には女性陣だけは何故か元気だった。まあ、この辺は女性の買い物に付き合ったことがあれば分かる
だろう)。ともあれ、一休みしようというのは全員一も二もなく賛成した。
「でも、どこで休もう?」
「あそこはどうですか?よさそうなお店ですわ」
ラクスが指差した先には、どことなく怪しげな雰囲気の喫茶店があった。名前は<MMR>だった。
「うーん・・・なんか怪しげだなあ・・・」
「てゆーか、あからさまに怪しいよ」
「ま、いいじゃない。入ってみようよ」
一同はドアを開け、中に入った。店にはマスターとおぼしき男が一人いるだけだった。店内の雰囲気も実に怪しい。
「あのー・・・ここ、喫茶店ですよね・・・?」
恐る恐るのび太が尋ねると、男は不敵な笑みを浮かべる。そして―――
「ふふふ・・・ついに来たか。待っていたぞ!」
「え!?待ってたって・・・」
あまりにも唐突な展開にのび太たちはぎょっとする。
「ふん、分かってないようだな・・・いいだろう、教えてやる。俺の名はキバヤシ―――<十三階段>九段目だ!」
「な・・・・・・なんだってーーーーーーーーーーっっっ!!!」
やたら大げさに驚く一同。それを尻目にキバヤシは勝手に喋りだす。
「何故俺が狐の仲間になったかを教えておこうか―――まず俺の名前、キバヤシをローマ字表記にすると<kibayasi>
だ。この中で重要なのは<ki>だけで、残りはノイズだから排除する・・・そして<ki>の後に、人類起源前に滅びた
伝説の古代都市において重要な言葉であった<tune>を置く・・・すると出てくる言葉は<kitune>・・・・・・
そう、<狐>だ―――」
キバヤシはそこで一拍置いて、ババーン!と言い放った!
,.ィ , - 、._ 、
. ,イ/ l/  ̄ ̄`ヽ!__
ト/ |' { `ヽ. ,ヘ
N│ ヽ. ` ヽ /ヽ / ∨
N.ヽ.ヽ、 , } l\/ `′
. ヽヽ.\ ,.ィイハ | _|
ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、 | \ つまり俺は狐の仲間・・・<十三階段>の一員になるべき
.  ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ >
. l  ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__ 運命だったんだよ!
゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ トr‐' /
l `___,.、 u ./│ /_
. ヽ. }z‐r--| / ト, | ,、
>、`ー-- ' ./ / |ヽ l/ ヽ ,ヘ
_,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´ ./ \、 \/ ヽ/
-‐ '''"  ̄ / :| ,ゝ=< / | `'''‐- 、.._
/ !./l;';';';';';';\ ./ │ _
_,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\ ./|._ , --、 | i´!⌒!l r:,=i
. | |:.l. /';';';';';|= ヽ/:.| .|l⌒l lニ._ | ゙ー=':| |. L._」 ))
l. |:.:.l./';';';';';';'! /:.:.| i´|.ー‐' | / | |. ! l
. l. |:.:.:.!';';';';';';';'| /:.:.:.:!.|"'|. l' │-==:|. ! ==l ,. -‐;
l |:.:.:.:l;';';';';';';';| /:.:.:.:.:| i=!ー=;: l | l. | | / //
l |:.:.:.:.:l;';';';';';';'|/:.:.:.:.:.:.!│ l l、 :| | } _|,.{:: 7 ))
l |:.:.:.:.:.:l;';';';';'/:.:.:.:.:.:.:.:| |__,.ヽ、__,. ヽ._」 ー=:::レ' ::::::|; 7
. l |:.:.:.:.:.:.l;';';'/:.:.:.:.:.:.:.:.:.|. \:::::\::::: ヽ ::::::!′ :::| .:/
. l |:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! /ヽ::: `::: :::: ....::..../
ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
ミミ:::;,! u `゙"~´ ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ ゞヾ ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/  ゙̄`ー-.、 u ;,,; j ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\ ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/ J ゙`ー、 " ;, ;;; ,;; ゙ u ヾi ,,./ , ,、ヾヾ | '-- 、..,,ヽ j ! | Nヾ|
'" _,,.. -─ゝ.、 ;, " ;; _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ | 、 .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
j / ,.- 、 ヾヽ、 ;; ;; _,-< //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─-- エィ' (. 7 /
: ' ・丿  ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、 i u ヾ``ー' イ
\_ _,,......:: ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... ' u ゙l´.i・j.冫,イ゙l / ``-、..- ノ :u l
u  ̄ ̄ 彡" 、ヾ ̄``ミ::.l u j i、`ー' .i / /、._ `'y /
u `ヽ ゙:l ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_  ̄ ー/ u / ←ドラ一行
_,,..,,_ ,.ィ、 / | /__ ``- 、_ l l ``ーt、_ / /
゙ u ,./´ " ``- 、_J r'´ u 丿 .l,... `ー一''/ ノ ト 、,,_____ ゙/ /
./__ ー7 /、 l '゙ ヽ/ ,. '" \`ー--- ",.::く、
/;;;''"  ̄ ̄ ───/ ゙ ,::' \ヾニ==='"/ `- 、 ゙ー┬ '´ / \..,,__
、 .i:⌒`─-、_,.... l / `ー┬一' ヽ :l / , ' `ソヽ
ヾヽ l ` `ヽ、 l ./ ヽ l ) ,; / ,' '^i
「・・・って待て!無茶苦茶こじつけじゃないか!そんなんだったら俺だって言えるぞ!」
「ほう?では一応聞いてやろう」
稟の言葉にも余裕を崩さないキバヤシ。それを尻目に稟は語り始めた・・・。
「俺の名前は土見稟・・・ローマ字表記で<tutimirin>だ。この中で大事なのは<ti>で、他はノイズだから排除。
そして<ti>の後に、人類の想像を遥かに超えた超天文学的文明惑星の秘文字である<gau>をつける。すると
どうだ・・・<tigau>・・・<違う>。つまり・・・お前の言ってることは間違っているんだよ!」
「な・・・・・・なんだってーーーーーーっっ!!!」
キバヤシは思いっきり動揺した。
「馬鹿な・・・俺が間違っていたなんて・・・ノストラダムスよ!あなたは時を越えて一体何度我々の前に立ち
はだかるというのだ・・・!」
「いや、まあ、ノストラダムスは置いといて、間違ってたんだから<十三階段>は抜けたらどうだ?」
「・・・そうだな。君の言う通りだ。そうしよう」
キバヤシはがっくりと肩を落として去っていった・・・。
<十三階段>九段目―――キバヤシ、リタイア―――
「結局なんだったの、あの人・・・」
「一発キャラだよ、のび太くん」
凄まじくだるい気分になってしまったのび太たちは深々と溜息をついた―――と。
「・・・なあ、ちょいといいかい、ラクス?」
ムウが口を開いた。その声は―――疑念に満ちている。
「あら、どうかしまして?そんな怖い顔をなさって」
ラクスはそれににこやかに応じる。対してムウは、いつになく厳しく言い放った。
「単刀直入に言うぞ―――君も<狐>の仲間か?」
「え・・・!?」
思わぬ言葉に、キラがムウに食って掛かる。
「ちょ、ちょっとムウさん、なに言ってるんですか!?ラクスさんはさっき偶然会ったばかりで―――」
慌てふためくキラを横目に、ムウは語る。
「そうだ。さっき会ったのも、行動を共にしているのも偶然―――さらに偶然見つけた喫茶店に入り、そこには
偶然にも<十三階段>―――これだけ偶然が続くなんざ、まずありえねえ。だがラクス・・・君ならできた。偶然を
装い俺たちと接触すること、そしてここに入ること―――今思えば、俺たちの行動はかなり君によって操られていた。
一緒に行こうと言い出したのはウチのお嬢ちゃんだが、そうじゃなかったら君の方から持ち出すつもりだったんじゃ
ないのか?」
―――沈黙が訪れた。誰もが固唾を呑んで成り行きを見守る。そして―――
「・・・くす・・・くすくす」
ラクスが笑い始めた。それは無邪気な少女の笑いではない―――もっと禍々しい、不気味な笑いだ。
「うふふ・・・ようやく気付いたんですか?こんな三文芝居、もっとはやくばれるかと思ってたんですが―――
誰も彼も間抜けですこと」
「ラ・・・ラクス・・・?」
キラが呆然とその名を呟いた。目の前の少女の変貌が信じられない、とでも言うように。
「くすくす・・・ではわたくしも名乗りを上げましょう・・・<十三階段>七段目―――<歌姫>ラクス・クライン
ですわ。以後、お見知りおきを」
ラクスは―――美しく、そして邪悪なる<歌姫>は―――悠然と微笑んだ―――。
投下完了。前回は
>>141より。
しかしラクスを出したら反響がすごいですね。さすがはラクスです(皮肉)。
>>143 キラは・・・洗脳されるのやらどうやら。
>>144 しずかちゃんは正史ヒロインなんで、この作品では他のヒロインキャラに重点が
置かれてます。つうか、実は個人的にしずかちゃん書きづらいんです。
>>145 ガンガン暴れます。
>>146 その通り。
>>147 神界ならすでにアザミを倒している頃なのに、超機神ではまだまだ強敵いっぱいですw
>>ふら〜りさん
ペコは書いてて楽しいので好きです(ならなんであんな扱いなのか・・・)。
次回対決時に決着が付く予定です。
>>しぇきさん
久々に原点の野球に戻ったようなw愛のフォルテッシモ(ただのパンチ)に笑いました。
ドラえもんでもラクスの相手は厳しいかも。
USDマンVSペコの最終戦は・・・うん、うみにんさんのVSげんごろう戦っぽくなるかも・・・
はいはい サマササマサ
うーむ、ラクスが本性を顕すのが早すぎるような気が・・・
ラクスの恐ろしさというのは、ラクス自身の言動は電波で無茶苦茶なのに、
誰もがそれを疑問に思わず(主人公すらもが!)、作中ほとんどのキャラに無条件でマンセーされ、
そうでない者は悪として断罪されるという超異常空間を形成していることにあると思ってるんで・・・
似たような例をあげるなら、テイルズ・オブ・レジェンディアのシャーリー
キバヤシ&MMRAAクソワロタ
ラクスが本性ばらすのがちょとはやい気がしたけど
キバヤシのギャグで持ち上げてラクスで落とすっていう良いテンポだったす
なんかもう、サマサさんのノリは飽きが来ないですw
207 :
作者の都合により名無しです:2005/11/22(火) 11:05:21 ID:d9Ul53qj0
>スターダストさん
おひさしです。少しだらーんとしたスタートからいきなりのテンションアップに
びっくりしました。ネウロって読んでませんが、こんな解決方法なの?
レンキンはミドリさんの影響で読みましたが、原作に比べてスターダストさんの
作品ではなんか生活感が溢れているキャラが多くていいですね。変人多いしw
>サマサさん
<十三階段>九段目―――キバヤシ、リタイア――― 。ここに笑いましたw
ヤムチャと一緒の一発系かよ!ま、このペースで行かないと終わりは見えませんねw
種って知らないけど、一度DVDでも借りてみようかな。
とりあえず錬金好きなんでスターダスト氏の復活はうれしかった。
そろそろミドリさんもいらっしゃらないかなー
209 :
新参者??:2005/11/22(火) 17:24:30 ID:LQGKAhA60
ちょっと聞きたいのですが……投稿する時は、一話は大体5スレ
じゃないと駄目ですか??
>>209 ダメじゃないよ。スレとしての決まりは特にない。
ただ板の投稿規制で5回以上の連続投稿が難しいのと
あんまり一度に投下されると読み手としても疲れる場合も
あるかもしれないってくらいかな。
分けたら面白くない構成なんて場合もあるだろうし、
そのへんは投稿する側の裁量でいいんじゃないかな?
実際に一度に大量に投稿するときは、マナーとして
事前に告知とかあればなおいいと思うけどね。
ああ駄目、突っ込まずにはいられない・・・5スレって・・・。
212 :
作者の都合により名無しです:2005/11/22(火) 21:27:01 ID:d9Ul53qj0
うん、一度に5スレは誰もついていけない領域w
今の投稿規制は5レスだからみんなその辺りで苦労してるけど、
本文2レスと後書き1レスでも十分。
週間少年漫画板でVSさんは1レスで相当なレベルの作品かいてるし。
もう投げてしまったのが惜しいが…。
勿論、逆に10レスくらい一気に投稿する人もいる。
その場合は他の人とバッティングしないように
気を配ればいいんじゃないかな。
投稿規制入れると、1時間位かかるからな。
頑張って下さい。
213 :
新参者2:2005/11/22(火) 21:38:21 ID:NhPI2GkTO
>212
私からもききたいことが
特撮やアニメのキャラは使ってもいいのでしょうか?
前例はいくらでもあるからキャラを引っ張ってくる事自体はOKだと思うけど、漫画ネタをちゃんと噛ませないとスレ違いになるかな
215 :
ふら〜り:2005/11/22(火) 23:57:38 ID:SVcn7hU10
>>しぇきさん
ウエハーツとザーボンはともかく、サラダもドドリアも完全にノッてしまって。結局マオ
一人冷静、というか冷めてて。この男どもは全くもぉ、です。持ってていーのかのラムネ・
ドライバは性能が不安定な反面、応用が効くと。もしかしたら今後、野球でも使うとか?
>>ゲロさん
ほんわか……いいなぁあぁこれ。今までのゲロさんの作品で一番好きかも、今回の主人公。
>四季サイコー
特にここ。春夏秋冬それぞれのいいところを列挙しても良かったんですが、するりと一言。
詩的で、且つ器の大きい男らしさも感じる。くさっぱらも蕎麦も、かっこ良く綺麗でした。
>>ハイデッカさん
外見は何から何まで対照的で、それぞれ違う形で死を恐れないヒーローとヒロイン。二人
とも底の深い人物ですから、これからの旅路・戦いでの交流が楽しみです。敵側の出方も
気になるところですが、口ぶりからして各国の歴史上の人物が刺客に? だとしたら……
>>スターダストさん
おひさです。相変わらず激しいアップダウンぶりですねぇ。ギャグに笑ってたらヒヤリと
させられ、気を引き締めてたらコケてしまう。冒頭の語りにはザクザク刺されましたが、
元祖FC世代として気になる部長の血文字。肩のアザ? 金庫室へ通路? 人形の涙?
>>サマサさん
稟、お見事! 相手のルールに乗り、相手の土俵で鮮やかにKOしてしまうとは。やら
れたキバヤシも、潔く敗北を認める男らしさが爽やか。……内容のレベルはアレですが。
あのUSDマンの直後にこんなもんが来て、さて次なるラクス女史とやらの実力や如何に。
>>151 解説さんくすです。あのジャンヌ、凛々しくて好きなんですよ〜。
「今、私の邪魔をする者は……死して後も神の祝福は受けられぬと知れ!」
>>新参者様方
まとめサイトをご覧あれ。わ〜た〜し〜なんか、小説に特撮にゲームにと。そりゃもう。
……心広き住人の皆様、ホントにありがたく思っております。いつか名作で恩返しをっっ。
216 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:09:52 ID:W1ukcpVK0
<ビル66F・屋上>
魔王の腹心二人を無事に撃破したドドリア。
となると、次のお相手は・・・。
「後、一人!そう!魔王!お前だけだ!」
ドドリアは更にテンションを上げて、”ビシィ!!”とマオを指差す。
これまでのドドリアの快進撃に助けられる側である令嬢のテンションはMAXだが、
指を指された当のマオ本人は、フリ太君という皮を被っていても判るくらい、やる気0という負のオーラを放っている。
「ふふふ。部下がやられて臆したか!行くぞ!!」
ドドリアはマオの”やる気の無さ”を”この戦いを諦めた”と勝手に認識して、
”勝機は我にあり”と言わんばかりに戦闘力を再度解放してマオに向かって飛んでいく!
「フリフリフリフリ・・。」
訳) 「ちょっと!こっちの話を聞き・・。」
マオはすぐさま抗議の声を上げるが、ドドリアはそんな抗議の声を掻い潜り、一瞬でマオの懐に入る!
(なんで?早すぎ・・。)
----そう、一瞬である。
マオは今までに数回、ドドリアの戦いぶりを見てきたが、
今、マオに近づいてきたスピードは今までの比ではない。
恐らくこの変なテンションと令嬢への思いが限界を突破させたのだろう。
217 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:11:08 ID:W1ukcpVK0
マオの懐にあっさり入ったドドリアは、何か意味ありげな顔をして・・・。
「真!愛のフォルテッシモ!(唯のボディーブロー)」
と叫びながら全身のバネを一気にパワーに変え、マオの肝臓目掛けて右手でボディーブローを撃つ!
ドゴン!!
「フリ・・・。」
訳)「く・・。」
その一撃は脇腹へ綺麗に突き刺さる。
そして僅かに浮かび上がるマオの体。
反応すら出来ていないマオはその一撃により思考が数秒止まる。
ドドリアはそんなマオの様子を見逃さず、マオのわき腹に突き刺さった自分の拳を引き抜かずに
体を高速でひねるための軸として使いながら、すぐさま左足で上段蹴りを放つ!
(・・・。)
そのキックは体格の割には綺麗な線を絵描き、思考が止まったマオの頭部へ完璧に決まる。
「フリ!!」
訳) 「があっ!!」
マオは受身を取ることも許されず、ニ転三転して屋上の外枠まで転がされて大の字に寝転ぶ。
(うう・・、やば・・・。マジで私を倒す気だわ・・・。)
フリ太君の性能のおかげで攻撃が全て直撃している”わり”には比較的軽傷のマオ。
しかし、この一連の流れでドドリアを説得するを無理だと悟る。
(あ〜、何やってんのかしら・・。私・・。)
フリ太君の目の辺りから綺麗な夕日が見える。
いくらフリ太君のおかげで比較的軽症で済んだとはいえ、
あの体重の蹴りが直撃した頭部へのダメージは結構なもの。
戦闘が続行できる状態ではない。
ここで負けを認めてこの茶番を終わらせようとするのが普通だ。
218 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:11:37 ID:W1ukcpVK0
しかしこのマオという女性。
このまま一方的な展開で簡単に負けを受け入れるほど、出来た性格をしていない。
それが友人のためであってもである。
当然ドドリアに攻撃される前までは二人のプロポーズを成功させるために、
必死にあれこれ考えていたのだが・・・。
(こっちの気も知らないで・・・。ふっふっふっふ・・。後悔しなさいよ・・。)
そして、マオは沈みかけている夕日を見つめながら、”嫌がらせ”もとい、魔王としての本分を
存分に実行しようと心に決めるのだった。
------------------------------------------------------------
219 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:12:14 ID:W1ukcpVK0
(この一撃で仕留める!そして、あの人を・・。助けるんだ!!)
ドドリアはマオの心情も露知らず1歩、また一歩とこちらに近づいてくる。
マオはドドリアとの歩調をフリ太君内から横目で確認しながら、
今のドドリアに出来る最大限の嫌がらせ(魔王の本分)を考える。
(これで・・。ふっふっふ・・・。やるわよ〜〜!!)
そしてついに思いついたのか、マオはドドリアが近くまで来たのを確認すると
左手を軸にしながら起き上がり、そのまま体を回転させてドドリアに足払いを掛ける。
「うを!!」
マオはさっきまで動くそぶりすら見せなかった。
そのため、ドドリアの警戒心が鈍っていたのか、はたまた”これで終わらせるといった考え”
が目の前を曇らせていたのか、マオの足払いにあっさり引っ掛かり、綺麗にすっころんでしまう。
「フリ!フリフリフリ!!」
訳) 「ようし!楽しいパーティーの始まりよ!!」
マオは転び、もがいているドドリアを尻目に、ある場所に向かいながらフリ太君スーツを脱ぐ!
「これは・・・、邪魔よ!!」
フリ太君を脱ぎ去り、真の姿があらわになる魔王。
ドドリアは見覚えのあるその姿に驚愕しながら、魔王が向かった先を見て、更に驚く。
そこは・・・。
「へ?マオ・・・?」
なんと電波塔に括りつけられた、令嬢の元だった!
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220 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:14:12 ID:W1ukcpVK0
<ビル66F・屋上>
「ふふふ・・・。大佐〜。悪いけど、ちょっと付き合ってくれない?」
マオは猫なで声で、令嬢に話しかける。
「マオ?え?何でマオが魔王なんですか?」
(おい、こいつもマジで信じてたのかい・・。)
自分の周りが"馬鹿バッカ"なことにげんなりするマオだが、今の状況ではこの方が都合が良い。
マオは一瞬でそう判断して、
「それは愚問ね!私は魔王に乗っ取られた・・・。いわば、悪マオよ!」
「えええ〜〜?マオ!正気に戻ってください!!」
かなり巧み?な話術で、令嬢をも完全にこの茶番に引き込むに事に成功する。
そしてマオは令嬢をこの茶番に引き込むや否や、ドドリアへ向かって叫んだ!
「勇者ピンクよ!これ以上近づいたら、この娘に取り付けてある爆弾を爆破させるぞ!!!」
無論、これはウエハーツたちが適当に言っていたはずの嘘である。
「な、なに〜〜!これじゃあ・・。」
”馬鹿バッカ”と称されるうちの一人であるドドリアはマオの言葉を当たり前のごとく間に受けて、
苦虫を噛み潰した顔をしながらその場に固まってしまう。
「え〜〜?どこに仕掛けてあるんですか〜〜!!いや〜〜!取ってくださ〜い!!!」
当然、”馬鹿バッカ”二号の令嬢もマオの言葉をあっさり信じて泣き叫ぶ。
マオは予想よりも遥かにスムーズに行くことに気分を良くしたのか、先程とは打って変わって上機嫌になる。
(ん〜。良いか・ん・じ♪)
221 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:15:29 ID:C1K5ZSKL0
一方、マオの言葉を信じて動けないドドリアは、何とかして令嬢を救うため、
マオに隙が出来る瞬間を狙って虎視眈々とその目を光らせている。
(おっ!まだやる気のようね・・。ようし・・・。)
マオはドドリアの目が全く諦めてないことに気付くと、今度は精神的な圧力を加えて、
戦意を喪失させる作戦に出ることにする。
「ピンク!そこら辺に転がっているフリ太君達を脱がしてみな!」
マオの言葉にドドリアは”もしや?”と思い、
先程の戦いで倒れた三匹のフリ太君をマオへの警戒を緩めずに急いで脱がす。
すると、そこには・・・・。
「ま、まさか・・・。」
「嘘・・・。」
その光景にドドリアと令嬢は息を飲み、信じられないといった顔になる。
それもそのはず、フリ太君脱がすとザーボン・サラダ・ウエハーツの姿があったからだ。
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222 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:21:03 ID:C1K5ZSKL0
ドドリアはフリ太君の中身を知り、何か言いたげな視線をマオによこす。
「ふふ。見ての通り、彼等は私の力によって操っていたまで。しかし、もう用済み。
後は、お前を殺すだけよ!!」
それに答えるマオ。
そしてドドリアは、マオの言葉を理解すると自分のしていたことを思い出し衝撃を受ける。
(俺が・・、今まで戦っていたのは・・。)
断っておくが、マオが”操っていた”なんてのは当然、嘘である。
しかし、”仲間は何があっても大切君”という良くある主人公タイプのドドリアの戦意を奪うには十分。
マオの読みどおりにドドリアはザーボン達を見たまま全く動こうとしない。
やはり、仲間を攻撃したことに後悔と自虐が折り重なった心理状態になっているようだ。
(ふふ・・。もうこちらを攻撃する気も無いようね!このまま気絶してもらうわ!!)
もう、ドドリアをプロポーズさせるための戦いなんて事は忘れているだろう。
マオウ・・、もとい、マオはこれで終わりとばかりに手のひらにエネルギーを集め始める。
これにはドドリア絶体絶命のピンチ!
しかし・・。
「ど、ドドリア・・。」
ドドリアの後ろから聞こえる声・・。
223 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:23:33 ID:C1K5ZSKL0
「う、ウエハーツ?」
そう、ジャコビニ〜で倒された赤い目の魔王の腹心。ウエハーツである。
ウエハーツは苦しそうな表情の演技をしながら、ドドリアにこう言う。
「ドドリア。姉さんは魔王に乗っ取られているだけだ・・。”大佐(令嬢)”もそのことを祈っている・・。」
もしこの世に、この宇宙で一番下手な演技を選ぶ祭典があったら、”〜ニダ”
と言ってばかりの国でさえも一切否定することなく、宇宙中が満場一致でウエハーツを受賞させるだろう。
-------そんな演技。
台詞は棒読みだし、あろうことか半分顔が笑っているし・・。
だが、今のドドリアの精神状態を考えると欺く、いや信じ込ませるには十分。
ドドリアはウエハーツの言葉に勇気をもらい、その場にしゃがみ込んでウエハーツの腕を優しくつかむ。
「ああ!必ず!」
そして戦意に満ち溢れた顔&何か吹っ切れた顔になってマオの方へ向き直った!
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224 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:24:40 ID:C1K5ZSKL0
<ビル66F・屋上>
「ええ〜〜!そんな事を言っていいの〜?ほら!スイッチを押しちゃうよ!」
マオはドドリアとウエハーツの会話を見て、エネルギー波をではなく、爆弾のスイッチを押そうとする仕草で
ドドリアの精神状況をまた引き戻そうとする。
爆弾云々は、ウエハーツ達の作り話なのでスイッチは無いはずだが、
マオはそれを見破られないようにするため、令嬢探索に使っていたノートパソコンをそれらしく見繕っている。
「く・・・、クソ!!」
当然騙され、こちらを睨みつけるだけのドドリア。
(ふふふ。勝ったわね。後は一歩でも動いたら爆発させるとか言ってなぶり続ければ・・・。)
マオはドドリアの様子を見て勝利を確信する。
が、事態は急速にマオの思惑とは反対の方へ向かい始める。
「すみません・・・。」
ドドリアは令嬢に向かっていきなりそう言い放つ。
令嬢は何のことかわからず混乱していたが、ドドリアの次の言葉によって、
すぐさま理解を強いられることに!
「俺は・・・。マオの中にいる魔王を倒します!
ウエハーツからそれが貴方の願いだと知りました・・。」
「へ?私はそんなことは一言も・・・。」
理解は出来たが困惑の表情を浮かべる令嬢。
「分かっています。俺も貴方とは離れたくない。だけど、貴方の思いを踏みにじるのはもっと嫌だ!だから・・。」
「ふえ?私・・・。そんなことを言いました?ねえ?マオ?」
混乱しきった令嬢はマオに助け舟を求める。
「さあ・・・?アイツがそういうのなら言ったんじゃない?」
と今は敵役にまわっているという事もあり、マオは適当に返事する。
しかし、これがマオがした最初で最後。そして最大のミスだった・・・。
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225 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:25:17 ID:C1K5ZSKL0
「自らの命と引き換えに友人を助けて欲しいという、貴方の覚悟と思い!
貴方を守る勇者として必ず、マオの中にいる魔王を消滅させてみせます!!」
ドドリアはそう言いながら、戦闘の構えを取る。
「へ?こ、この子が本当にどうなってもいいの?私がスイッチを押したらソロモンもドカーン。ドカーンよ?」
マオはいきなりのカミングアウトに少し焦った表情で再度ドドリアを脅していたが、
内心はドドリアの言葉はハッタリだと思っていた。
”ドドリアのような甘ちゃんにそんなことができるはずが無いと・・。”
だから、いくらドドリアが万が一こちらを攻撃してきても令嬢を人質に取れば、
甘ちゃんなドドリアのことだから攻撃の手を緩めたり、致命的な隙が見つかるだろう。
マオはドドリアの台詞をそう捉えていた。
しかし、マオは先程のミスに気付いていない。
混乱しきった令嬢の言葉を適当に流してしまったことに・・・。
そして、広い範囲での状況の変化とこの空気の異常性を考慮していなかったことに・・。
「わかりましたドドリアさん!!マオを助けるためなら・・・・。この命!欲しくはありません!!」
令嬢は突然、声高らかに宣言する。
その宣言に完全に不意をつかれ、ビックリするマオ。
「あのう〜。大佐さん?マジで?」
226 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:26:14 ID:4k4NAUvN0
マオが聞くと、
「無論です!マオがさっき言ったとおり、私はマオが正気に戻るのを心から願っていたようです!!
ちなみに脳内では多数決では3対2と接戦でした!」
とちょっと壊れた台詞を言う。
どうやら、彼女の素直が性格とこの異常な状況。
そしてマオの適当な切り捨てた台詞が引き金となって、令嬢がちょっとだけ・・。
本当にちょっとだけ壊れてしまったようだ。
「さあ、ドドリアさん!マオに正義の鉄槌を!!」
「はい!うおおおおおおおおお!!!!!!」
令嬢の言葉と共にドドリアは全戦闘力を解放し、ラムネ・ドライバと共鳴しながら更に戦闘力を高める。
(あれ〜〜?予想していた状況と違うんですけど・・・・。)
マオは汗をグッショリかきながら、次の手を必死に考える。
(アイディア〜〜出ろ〜〜!!良いアイディア〜〜〜!!!)
しかし、状況はマオが次の手を考え付くまで待ってはくれない。
「いくぞ〜〜!!!!」
ドドリアはマオが次の手を考えているのを尻目に、地が避けんばかりに声を張り上げる。
するとシェルブリッド宜しく-----ドドリアの右腕は黄金色に染まり、訳の分からない装飾が施され始める!
シュウウゥゥゥ・・・。
やがて全ての力が手の甲に集まると手の甲にある、鏡らしき物のが光り始める。
ドドリアは自分の腕を見て勝利を確信したのか、クラウチングスタートの構えを取り、
「これで終わりにする!!」
と言って、そのままマオのほうへ飛んでいく。
227 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:26:38 ID:4k4NAUvN0
「ウォォ〜〜!これが断罪の!!!!」
ドドリアはマオの”STOP!とか”勘弁して?”とか”ジョークで〜す!”といった言葉を一切無視して、
鬼の形相で叫びながら、腕を大きく振りかぶる。
するとドドリアの肘部にいつの間にか出来た薬室が”ガコン!”と音を立てて装填される。
そして、充血しすぎて真っ赤になった目を大きく見開きながらマオの中にいる魔王を殺すべく、全ての力を・・・
----------解き放つ!!!
「シェェェェルゥゥゥブリッドォォォォ!!!!!」
ドドリアの腕から全身にかけて黄金色になりながら、マオに向かって全ての力を解き放つ!
「光になれぇぇぇ!!!!」
「や、やば・・。」
マオが反射的に1歩後ろに下がった時・・。
ピッ!!ピーーーーーーーーーー・・・。
「え?」
足元から聞こえる謎の機械音。
マオはとっさ足元を見る。
すると、その瞬間!
ゴゴゴゴゴ・・・・。
「な、何!」
ドドリアはもう数センチでマオに拳が当たるという位置まで迫っていたが、
音のする方を見て、思わず拳を振るうことをやめてしまう。
「いや〜〜!!!ドドリアさ〜〜ん!!助けてください〜〜!!」
それもそのはず、目の前で令嬢を括りつけた電波塔が音を立てて外側に倒れ始めたのだ。
つまりマオが踏んだのは・・・。
228 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:27:46 ID:4k4NAUvN0
爆破スイッチだ。」
サラダが平然と起き上がり、説明口調で一人呟く。
「へえ〜、ってオイ!本当に仕掛けたのかよ!!」
ウエハーツは立ち上がってサラダに突っ込む。
「無論だ。俺達がこのミッションを遂行している間、誰に襲われるか分からん。当然、何かあったときは・・・。
当然ソロモンに帰ってくるほどの威力は無いがな・・。」
「だからって〜〜〜!仕掛けるな!!!!!!」
悔しそうに呟くサラダに今度は呆然とその光景を見ていたザーボンが突っ込む。
どうやら、男三人は”やられた演技”を止めてマオとドドリアの様子を傍観していたようだ。
「しかし、これはチャンスだな。」
突っ込む二人を尻目に解説を始めるサラダ。
「なんだよ・・。チャンスって・・。」
突っ込む気力も失せたのか、サラダの言葉に聞き入るザーボン。
「む。この状況。ドドリアが大佐殿を助ければ、ウエハーツ。お前が言った作戦が成功すると言うことだ。」
サラダの言葉に”はっ!”となり、ウエハーツはドドリアに向かってこう叫んだ!
「ドドリア!!!!”今だ!!彼女を助けるチャンスだぞ!!!」
いきなりの爆発に呆然としていたドドリアは我に返り、令嬢を救うべく電波塔に向かう!
倒れた電波塔は、そのまま屋上から離れ、宙へ放り出されていた。
「きゃ、きゅあああああ〜〜!!」
宙に放り出された令嬢はありったけの声で叫ぶ。
身動きの出来ない令嬢にとって、これがこの状況で出来る唯一のことだった。
229 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:28:08 ID:4k4NAUvN0
ニュートンの法則にしたがって、加速度的に下へ落ちていく電波塔。
「くそ、さっきので力を使いすぎて、上手く飛べん・・・。」
ドドリアはさっきのシェルブリッドで力を使いすぎたようで電波塔に追いつくことが出来ない!
エネルギー波で電波塔を壊すことも考えたが、令嬢にも被害が出るかもしれないので勿論却下した。
(くそ!八歩ふさがりか・・。)
そう、今のドドリアには電波塔が地上に落ちるまでに追いついて助け出すといった方法しかないのだ。
地上まで、後200m・・・・。
-------------------------------------------------------------
230 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:29:13 ID:4k4NAUvN0
<空中>
「わ〜〜〜ん!ドドリアさ〜〜ん!!」
令嬢の泣き叫ぶ声。ちなみに半分はドドリアが助けに来てくれるという希望で出来ている。
ドドリアはその声を聞いて必死に宙をもがくが、中々追いつけない。
「くそ!くそう!!!!」
ドドリアが心の底から”令嬢を助けたい!”と思ったとき・・・。
キュイイイイイイイン!!!
ラムネ・ドライバが激しく反応し始めた!!
「え?ラムネ・ドライバ?しかし・・・、この状況では・・・。」
せっかくのラムネ・ドライバだが、この状況では余り意味が無い。
そう思ったドドリア。
しかし、とっさにあるアイディアを閃く!
「そ、そうか!これなら!!!」
231 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:31:19 ID:NnkKIMcD0
ドドリアは上に振り向き、今ある全ての力を使ってエネルギー波を撃つ!
ジューーーン!!
でかいエネルギー波と共に一気に下へ加速されるドドリア。
「そして・・・、これでどうだ!!!」
次に地面に向かって、ラムネ・ドライバで作った光の砲弾を地面に向かって撃つ!
ズズズズズズズ・・・。
光の砲弾は地面に着弾すると、その場に留まりながら、落ちてくる電波塔を優しく受け止める!
そして、ドドリアは光の砲弾が電波塔を受け止めている間に・・・・。
「助けに来ました!」
「あ〜〜!ドドリアさ〜〜ん!!」
無事に令嬢を助け出したのであった。
ズーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
まあ、周りの建物とそこにいた人々に相当な損害を与えたが・・・・。
-----------------------------------------------------------
232 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:46:59 ID:NnkKIMcD0
どうも、しぇきです。
とりあえずキリがいいところで・・・。
次の投稿でこの話は終わります。
>ハイデッカさん
本格バトルものになるのかな?
それとも、各国との騎士達と心の広さを前面に押していくのか?
慶次はどちらでも話が作れそうで楽しみです。
とりあえずは始めは武蔵という事で、どう戦うのか?
どういう漢の会話がなされるのか。とても楽しみです。
>スターダストさん
連載物だ!よく考えたら、錬金集団の方が異常者の集まりですよね。
ホムンクルスはその生物としての習性で人間を食べるのに、
人間の方は・・・。雑食である人間ですが、このSSを読んで、人間の特殊性に
ついて少し考えちゃいました。(20秒ほど)
推理物?になるようなので、戦いでなく頭脳方面での錬金集団の活躍を
期待しています。
>サマサさん
うををを!!来た!!キバヤシ!!基地外〜〜〜!!(以下自粛)
それを見事?に論破する凛。そして、正体を現したラクス。
どうやらマインドコントロールは無しなのか?
それともほうしん演技のだっき(漢字でないくてスイマセン)みたいな
術やパオペエを持っているのか。続きが気になります。
では失礼・・・。
233 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/23(水) 06:58:56 ID:NnkKIMcD0
なんかスターダストさんへの感想を見ていたら、連載物でなくて単発なんですか?
始→事件起こる→会社に侵入する話を立てるで続きがあるのかと思っていたのですが・・。
最後の※以降がオチでしょうか?
読解力が無くてスイマセン。
234 :
作者の都合により名無しです:2005/11/23(水) 10:35:44 ID:hItdWzcY0
しぇきさんお疲れですー
ドドリアの全てをこめた、周りの迷惑を考えないw
一撃で無事に幕引きとなりそうですね。
これだけで長編丸々一本という感じですな。
しぇくさんの創作意欲に頭が下がります。
最後は、令嬢とドドリアのハッピーエンドになりそうでよかった。
潜【もぐる】
司令部が会議の末、手弁当を食べている方に白羽の矢を立てたのはその頃だ。
名は千歳。大きすぎる失点を背負ってはいるが、潜入に関しては定評がある。
そして事件の現場になった所へ「これこれこういうコトですが」とメールを書き始めた。
まず、ホムンクルスっつー化物の存在を説明して、色々付記して送って、返事が来た。
返事の最後には、「おう、若いねーちゃんならええわ。あとは適当にもう一人」と条件を付
けられていた。
このメールの文面を見た事務員は血相を変え、緊急会議を開くよう司令部に要請した。
そして会議の場において、プロジェクターからスクリーンに投影された文面を見た瞬間、司令
部の面々に凄まじい戦慄が走った。それを見届けると、事務員は力尽き、床に沈んだ。
「わわ輪ワわWA若いねーちゃん、だと」
「せめてあと5年…いや、8年早ければ…! なぜ今頃……ッ」
「まさかこの様な危機がヴィクター同様、世界に潜りこんでいようとは。ジーザス!」
あとはもう、大騒ぎである。蜂の巣をつついたかのごとく、他に潜入ができる女戦士はいない
かと怒号が飛び交い、いないといえばそこかしこで殴り合いの喧嘩が巻き起こるほど、狂騒
が全てを支配した。世界状況が来るべきところまで来、無茶苦茶で瀕死の社会状態になっていた。
だが潜入ができる女性の戦士は、千歳しかいない。
津村斗貴子はようやく捕まえた年下に月へ逃げられ、すごくヘコんでいる。
早坂桜花は弟の口にプリンを突っ込むのに忙しい。そもそも戦士じゃない。
円山は男。毒島は姿を見れば自ずと分かろう……(四乃森蒼紫風)
が、千歳は千歳で、年齢があまりに障害すぎた。
例えるなら、ニワトリになりかけのヒヨコを見て、ヒヨコと主張していいかどうかの悩みだ。
あらゆる面が中途半端で、断言し辛い。
そして、長い机がひっくり返り書類が床に散乱し、ホワイトボードにプロジェクターが
めりこみ、壁に頭を突っ込んだ者がいたりする、屍山血河の会議室の中。
司令部最後の一人をコークスクリューで葬り、チャンピオンになった坂口照星に、それとは特
に関係なく大戦士長というコトで最終決定権が託された。
重要性はランク#髏?ポである。
それに込められた意味は、ヴィクター討伐がランクSS、LXE壊滅がランクSと書けば、お分
かりになるだろう。
また、これに似たランクを、クイックマンステージのビームにブチ切れてコントローラーをぶつ
けたファミコンがテレビ画面に弾き出していた。怪奇極まる雑音を放ち、焦げ臭くもあった。
夕闇が迫り始めた頃。
照星は帰宅すると書斎に行き、電気もつけずバジリスクの1巻をぱらりと開いた。
窓から射す灼熱の夕陽が、伊賀の老頭領・お幻を照らし出した。
比べた。比べるコトで千歳はかろうじて若いねーちゃんたりえた。
苦しい戦いであり、照星は罪悪感による胃痛胸焼けの類に苛まれた。
脂汗が数滴、甲賀弾正の断末顔にこぼれる。それは書斎に篭った夏の熱のせいだけではない。
胸焼けは収まるどころかいよいよむかつきを増していく。
照星はたまらず傍にあったトイレに駆け込み、吐いた。
書斎にトイレを備え付ける建築士のセンスはこの際どうでもいい。
昼に食べた物が灼熱のえずきと共に口から排泄され、白い便器が際限なくどろどろに汚された。
照星は涙を浮かべながらなおも吐いた。吐き続けた。
やがて黄色く苦い胃液すらも吐き尽くすと、レバーを「大」の方に回し、吐瀉物を流した。
ごばごばと歯切れの悪い排水音を聞きながら照星は、息も絶え絶えにトイレの壁にもたれか
かり、力なき指で十字を切った。黙祷はいったい誰に対してか?
ああ、今も燻る思い胸にしかと宿らば。
ともかく、条件はクリアした。
比較級的な意味でしか存在しえない若さには、後々クレームがつくかも知れんが、その時は
その時。いざとなれば郭海皇でも引き合いに出しゃいい。
照星はそういう覚悟において、暗闇の荒野を切り開く所存だから昇り行く朝日よりも美しい。
千歳が大戦士長・坂口照星に呼ばれたのは返事がきた翌日だ。
場所は戦団日本支部、大戦士長室。両名とも服装はいつも通りの制服だ。
「失礼します。──で、任務というのは?」
千歳。髪はショート。体つきは中肉中背。
タイトなスカートから覗く膝裏にやや気だるい色気がある妙齢の女性。
そして端正な顔だちの中でひときわ特徴的なのは、その眼差しだ。
しん…と佇む湖面を覗き見るように、どこまでも深く透明で、しかし底が見えない美しさがある。
にもかかわらずそれを「沈着」と称するのは矛盾しているような気もするが、ともかく、その沈
着な眼差しの先で、坂口照星、この男にしては珍しく逼迫した感じで喋りだした。
「バンダイの下請けの工場にホムンクルスが出没しました。なので潜入して、正体を突き止め
て倒してください。ついでに働きつつ、働くというのはですね、あくまでついでですよ。ついでに
働いて、私たちはあちらの人手不足にかこつけてあなたともう一人を派遣してその見返りにお
金を貰う契約をしてたりは別に決してきっと必ず絶対にしてませんが、潜入はとても大事な任
務ですし、楠木正成の軍は足利尊氏相手に篭城戦をした時、壁をよじ登ってくる敵兵にうんこ
をかけた日本で初めて?の軍だそうですが、あのですねあのですね」
「分かりました」
照星の狼狽をくすりとも笑わず、千歳は頷いた。
これは照星の置かれている状況に興味がないというより、十全に理解した上での了承だ。
よーするに戦団は、労基(労働基準法の略)すれすれのヤバいコトでもせにゃやってけんのだ。
実をいうと入院している秋水どもにも労災が降りない。ので、彼らは内職して口に糊する始末。
事情を知る栄養士さんは、バランスを色々考えてケロッグコーンフレークを作って応援してる。
だからみんな一生懸命だ。尿道結石と前立腺ガンを併発してる照星だって一生懸命だ。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
照星は千歳の手を取り、繰り返し礼を述べた。その目はよく見ると、涙すら浮かんでいる。
「ところで、もう一名というのは」
「あぁ、それなのですが、貴女が選んで下さい」
そうするコトでしか一連の侮辱的な思考の咎はあがなえないだろう。
そして選択権を得た千歳はきっと、「防人君」と、ごくごく微妙な表情で答えるに違いない。
照星は千歳が文句なしの若いねーちゃんであった頃から、防人を憎からず思っているのを
知っている。さればここで防人ことキャプテンブラボーが選ばれるは必定だ。
彼の怪我はひどいが、持つ者を治癒できる「核鉄」というアイテムを2〜3個つけてツバつけ
とけばすぐ治る。二十代後半ならまだケガは治りやすいのだ。これが三十代ならもうダメだが。
例えば、指のささくれだってうかつに剥いちゃいけない。血が出たら一週間は治らず地味に痛い。
そういうのって戌年を一回しか迎えてなくても、なんとなく分かるのだ。
繰り返すが、千歳は防人と一緒の方が最善だ。
照星がそう(一部除く)考えているうちに、千歳は口を開いた。
「では戦士・根来を」
照星は思わず席を立った。
「ね、根来ですか」 影抜忍者出歯亀ネゴロ
平素穏やかな声が跳ね上がったのも無理なかろう。
根来。本名を根来忍。年齢は20歳。戦団の中で冷徹を持って知られた戦士である。
その前歴については全くの謎だ。体術、風体、そして武装錬金という、闘争本能を形にした
武器の形状から忍者の末裔ではないか?と推測する者もいる。
推測というにはあまりにひねりがないが、あながち間違いでもない。
実際、徳川家康の配下に「根来衆」と呼ばれる忍びがいたという。繋がりがあるのだろう。
確かなのは、彼が任務遂行の為なら味方すら平然と犠牲にするという所だけで、その一点のみで
まるで交友関係を持たぬ、ともすれば透明な存在になりかねない根来が戦団に存在を認め
られているといっても過言ではない。
付記すると、今回の潜入捜査の候補にも根来の名は挙がっていた。
一番大きな理由は、彼の操る武装錬金の特性だ。
名はシークレットレイル、和訳すれば影の抜け道。
忍者刀を模したこの武装錬金は、切り付けた物に潜めるという特性を持っており、正に潜入
にはうってつけである。
が、それを操る根来には、いわゆる一般社会に放つ斥候としては激越すぎるフシがあるという
コトで、彼の変わりに千歳が選ばれた。
しかし千歳が再び根来を推挙したから、照星は困った。
ここで彼を任務に組み込むのは、司令部との折り合い上、あまり良くない。
中は権威に凝り固まっているだけのアフォだから、俺らが止めたコトを何でするんじゃあ、
色んな心の傷が治ってない時にいらんコトすなあと、怒りかねないのだ。
そも、千歳の口から根来の名前が出てくるコト自体、想定外だ。
彼らの接点は、あるといえばあるが、ないといえばないような、あやふやなものだ。
彼は共につい最近まで「再殺部隊」という一団に所属していた。
だがその活動中、千歳と根来に親交が芽生えたとは考え辛い。
何故なら、海豚海岸という場所に再殺部隊が集合した翌朝からの話になるが、千歳が防人
へヴィクターIII(武藤カズキ)の生存を告げた頃、既に根来は単身ヴィクターIIIの追撃に向か
い、千歳が独自の調査において横浜郊外にあるニュートンアップル女学院へ潜入した頃に
は、根来は横浜のランドマークタワーに宿泊していたから、会話があったかどうかすら疑わ
しい。
「はい。根来です。彼が別の任務についていなければ同行をお願いしたいのですが」
千歳は、表情にあまり意思を乗せない女性であるから、考えがまるで分からない。
ただ照星は携帯を取り出し、人事部門に根来の予定を聞いた。声はまだ上ずっている。
やがて来たのは
「今回の任務に際し、念の為に開けておきましたので今はまだ、フリーです」
という返答。
電話を切ると照星、その旨を千歳に告げ、やんわりと問いただした。
「しかしどうして根来なのですか? 私はてっきり防人を選ぶと思ってましたが」
無表情は微かに動いたが、次の声は凛然とし、どこか冷たさすらあるいつもの声だった。
「これは私情ですが、防人君には、しばらく入院して休んでいて欲しいというのが率直な所で
す。戦士・根来を選んだのは、……彼が優秀だからです」
やはりその一言でしか根来の存在は表せないだろう。
後は司令部と同じような理由で選んだのだろうと、照星は納得するコトにした。
しかし反面、照星はただそれだけの存在である根来に、少し哀惜を覚えもする。
戦友が一人でも彼にいれば、とも思うが根来自身がそれを望んでいる可能性は極めて低そうだ。
第一、もし彼がこの場にいれば、「今、論ずるべきは任務の方針であって私の行く末ではな
い」というだろう。
確かにそうだと、照星は話を進める。根来の実務的な性格は、嫌いではない。
「……分かりました。彼には追って連絡を。…ですが、もし彼が断った場合は」
千歳のいうコトは確かにもっともだが、かといって根来が請けるかどうか。
いわば千歳の独断であり、人によっては私情とも取れる。根来がそれをタテに断る可能性もある。
照星の権限なら強制的に履行させられるが、司令部が一旦保留した人選を、そこまでして実
行するのは気が進まない。しがらみはなるべく避け、先の会議みたいなブッちゃけれる時に
ブッちゃけるのが組織人である。
もし根来が断るならそれで引いた方が、錬金戦団全体としては良さそうなのだ。
千歳という一戦士の要望は通らぬし、照星的にも咎はあがなえないが、それも組織の常だ。
以上のような思惑の元に照星は発言し、黙った。色々考えたせいでひどく疲れている。
「その時は、大戦士長に一任します」
と告げると千歳も黙り、立ち尽くし始めた。
それが3分ぐらい続いた頃、照星はようやく千歳が言葉の続きを待っていると気づいた。
慌てて「もう退室していいです」と告げると、千歳は無表情のまま一礼し、部屋を出た。
(それにしても相変わらず──…)
照星は嘆息し、千歳の無表情ぶりに思いを馳せた。
その原因を照星は知っている。
7年前。千歳と防人、そして火渡という粗暴な男が属し、そして照星が束ねていた『照星部隊』
の任務失敗からだ。
いや、失敗という軽い言葉でもって、彼らの意識には残っていない出来事だ。
一集落ごとホムンクルスに壊滅されたという事実は、「自らの招いた惨事」として各々の意識
に深く刻み込まれている。
任務失敗以来、防人は名を捨てた。火渡は不条理に固執し始めた。
そして、その惨事の遠因、計画を綻ばせ失敗に繋げた「とあるミス」をしたのが他ならぬ千歳
であり、雨が注ぐ惨劇場で自責の涙をはらはらと流し続けた千歳も、今ではまったくの無表
情である。
自戒、なのだろうか。ミスを仕出かした自身への。
表情を消すコトで動揺を招かぬ精神を形作ったのか、それとも理知に徹し続けた結果の副
産物として表情が消えたのか、その辺りには照星にも判然としないが、部下が大好きと公言
して憚らない彼としては、千歳の笑顔が戻る日を心待ちにしている。
というワケで第二話(前編)です。
次でこの話の主役が出てくるけど…長引きそう。
テーマは3つ。残り2つは次で感じ取って頂ければいいや。
>>197さん
好きな作品は数あれど、いちばん二次創作がしやすいのは武装錬金ですね。
一般受けこそしてませんが、まぁ、気に入って楽しめればいいのでは。マンガはそういうモノですよ。
ご期待に沿えるかは分かりませんが、根来と千歳のビターな関係を軸とした、いちおうの連載形式となっております。
>>207さん
ネウロの解決方法は、何ていうか突拍子がないですね。ええ。それに沿ってガーっと無茶を
やらかしたくもあるこの誘惑、逆らいがたしです。あと、SS書くときは必ずどこかにおかしなのが
混じってますね。でも実は一回だけ、自分でも「まともで、良いな!」と納得できて、周りの方々の同意も
得られるものを書けたコトもあるのですよ。そういう方面で書きたい長編もあるにはあります。
>>208さん
ありがとうございます。ミドリさんが銀成学園の日常を書いたら、かなりハマると思います。
それとピリオド発売後をめどに、あるモノを作ってます。性質上、萌えスレへの投下となりますが
懐かしくも新しい、錬金好きな人なら燃えられるモノです。進捗は今現在、1/3ぐらいです。どうぞお楽しみに。
ふら〜りさん
どうしたもんでしょうねぇコレは。起伏の激しさは書いてて楽しい点のひとつですが、しかし一定の状態に
ある文章もそれはそれで価値あるような… あ、楠正成のうんこは司馬遼太郎が言っていたから実話です。
…え? 肩のアザ? 金庫室へ通路? 人形の涙? そ、それらは一体…?
しぇきさん
展望としては推理物というより……狩りのドキュメンタリーになるかもです。
頭脳面での活躍は、「え、そっちに頭を使うの」な調子になりそうですね。
食事に関しては、元ネタのネウロでも良くある場面なので、それにちなんだ少し風変わりな描
写がこの先出てきます。
しかし、ドドリアのビジュアルと作中の言動を一致させると偉いコトになってますね。
「俺は・・・。マオの中にいる魔王を倒します!」 あの容貌でこう言われたら燃え萌えですよ。
マオがひっかきまわし、純情一途なドドリアが状況を悪化させる。このスパイラル。
次回でひと段落ですが、果たして恋の行方やいかに。
レスの問題は難しい…
>しぇき氏
いよいよ次回大団円ですか。うまく結ばれるといいですね2人とも。
個人的には、どうしても展開が似がちになる野球よりもこの話の方が
起伏に富んですきだったです。でも、サイヤ人との野球も期待してますよ。
>スターダスト氏
おお、連載だったんですか。てっきり私も読み切と思ってました。嬉しいです。
千歳が主役だと思って読んでいたら次回主役登場ですかw誰だろうw
バジリスクがチラッと出てきましたが、忍者の潜入劇っぽい感じですね。
次回に期待してます。でも、千歳ってレンキンにいたっけ・・思い出せない・・w
244 :
作者の都合により名無しです:2005/11/23(水) 22:46:01 ID:GH6qYQp20
スターダストさん、今回はまだ推理っぽくないですが
ネウロも元なのでちょっとした謎解きがあるのかな?
根来衆の血を引くかもしれない男がどんな活躍するのか楽しみです。
スターダストさん、しぇきさん乙華麗です。
>それゆけフリーザ野球軍
勇者ドドリアと令嬢の物語もいよいよ次回で完結ですねえ。
でも、これって本編とは完全に隔離された話でしょうか?
フリーザも出てこなかったし。
>影抜忍者出歯亀ネゴロ
錬金の組織もサラリーマンの組織と同じか…物悲しいw
でも、根来はSSの雰囲気の中でも寡黙で異彩を放ってますね。
次回の主役登場と合わせて期待してます。今回前編だけど数回続くのかな?
246 :
作者の都合により名無しです:2005/11/24(木) 17:14:27 ID:IKedduYu0
スターダスト氏、文章はうまいけど少しネタ詰め込みすぎな気が。
サービス精神がありすぎて、普通の人が2回分くらいに分けるネタを
1回にしてしまっているって感じ。生き急ぎって感じw
生意気言ってすみません。期待してますんで頑張って下さい。
247 :
作者の都合により名無しです:2005/11/24(木) 22:57:32 ID:G3T5Mixd0
ザク氏やブラキン氏やVS氏は勿論、
ミドリさんやうみにんさんやゲロさんも投稿回数減ったなあ。寂しい。
サナダさんも復活してくれないかなあ
248 :
作者の都合により名無しです:2005/11/25(金) 11:10:41 ID:nnfdXGBL0
VSさんとうみにんさんはそのうち書いてくれそうだな
自分のHP持っている人はいいな
自分でHP作れない無能な俺はいつもバレ氏に感謝している
前に作ろうと思ったけど、2分で挫折した
251 :
sage:2005/11/25(金) 23:16:43 ID:s5xxk1cu0
SHUFFLE!始めて見たんだが・・・上の画像を見た感じではPG15のアニメなのか?
>>250 つうか、これは本当に萌えアニメなのかw?
サマサ作品の見方が270度くらい変わりそうだよw
253 :
250:2005/11/26(土) 07:11:32 ID:ayQ4fAY70
アニメ板のシャッフルスレを見る限り、原作とは別物らしい。
原作よりは神界や魔界といった設定を使ってはいるが、真ん中の女は性格を完全に
キティに改悪されているそうな・・・
パソコンの紹介ページや漫画とまったく絵柄も雰囲気も違うな・・
サマサさんの作品はパソコンの方に拠っているんだろうね
255 :
魔女 境:2005/11/26(土) 15:49:32 ID:HXbVuWmm0
――聞いてくれ。
――え? あ……夢、かな。夢だな……
――違う。夢ではない。
――えー? 夢でしょ。
――ここは彼岸と此岸の境だ。懐かしい。かつて君のお母さんに出会った場所だよ。
――違うって。ここは夢の世界じゃないですか。だって、ここに来れるのは死ぬ間際
にいる人だけですよ? あなたは朝ピンピンしていたじゃないですか? なにがどうな
ったらここに来れ――
――殺された。
――…え?
――正確には、虫の息だが。しかしあと二時間も持たないだろう。
――…嘘だあ……確かに最近物騒だったけど、でも、殺人なんて……そ、それに、今日
は、大人の人達が見回りもしてるし……何十人も列を成して。…そうだ、どうして見回り
してたんだろう? 今日はその日じゃなかったのに一体……ああ、そんなことはどうでも
いいかなあ!?
――…そいつらだ。
――そいつらって……見回りの人達ですか?
――俺は、そいつらに集団で襲われたんだ。
――そんな、有り得ない。あの人達は町の平和を維持するって目的で活動しているんで
すよ? そ、それが殺人行為なんて……
――それだけが目的なのか? 本当に、それだけのために存在する組織なのか?
――どういうこと?
――町の平和維持活動というのはあくまでも建前であり、真の活動理由は別にあるんじ
ゃないのか?
――真の、理由……?
――それが何かは分からないが、俺がそれに図らずも触れそうになってしまったから、
始末されたのかもな。
――……
――口惜しいなあ。あと何時間か後には彼女と再会できたのに……そしたら、沢山お礼を
言おうと思っていたよ。沢山、沢山ね……
――…まだ、生きてるんでしょ?
――虫の息だ。
256 :
魔女 境:2005/11/26(土) 15:50:04 ID:HXbVuWmm0
――諦めないでください! すぐお医者さんに見てもらえばわかんないじゃないですか!
私が今行くから諦めないで!
――もう無駄……行ってしまった。…あの人の娘だな。
樹は境を抜け出し、続き授業も抜け出して外に出た。樹は腹を押さえていた。
「…給食食べてから一時間も経ってないなあ……」
しかし樹は腹痛にも耐え、再び走り出した。ついさっきまで境にいて、男の気配は何となく
感じられた。その足取りに迷いはなかった。胸にあったのは、ただ生きていて欲しい、生かし
たいという気持ちだけだった。
角を曲がり、制服の胸ポケットから携帯を取り出し開いた。一時半。
八時前には生きていた人が、今死の淵にいる――
樹は携帯を閉じ、決意を新たに前を向いた。と同時に顔が何か生暖かいものにぶつかった。
「す、すいませ……!」
ヒリヒリする鼻を押さえながら、顔を上げた樹の目には、見回りの大人達の姿が映った。
樹のぶつかった大人の真っ白いシャツには、微かに赤が付着していた。樹は鼻の穴に指を突
っ込んで自分の血ではないことを瞬時に確認した。
「おや、すまないねお譲ちゃん。」
「……」
それ、血ですか?
誰の――
魚のようにぱくぱくと開いた口からは、肝心の言葉が出てきてくれなかった。
樹は思わず身をよけて、行進の邪魔にならないようにしてしまった。
ふと上の方を見た。
大きな――大人一人くらい簡単に収まりそうな――棺のようなものを、列の真ん中の人達が
担いでいた。
何が、入って――
樹の口は開かなかった。
大人達が視界から消えてもなお、樹は動くことができずにいた。
気配は、どんどん遠くなっていく。
樹にはもう分かっていた。
257 :
魔女 境:2005/11/26(土) 15:50:41 ID:HXbVuWmm0
「母さん……」
「なあに」
夕食前。居間には母と樹の二人きりだった。樹の顔は、憔悴しきっている。
「私ね、今日、母さんに昔命を救われたって人と会ったんだよ」
「え」
「その人は、凄く嬉しそうで、喜びで体がはち切れそうになってたの。母さんのことが大好きだった
みたい。私が母さんの子供だって知ってから、表情が少し曇ってたもの。それでも、嬉しそうだった」
「……」
母は何も言わず、樹の話を聞いている。
「殺されたんだよ、その人」
「…何を、馬鹿なことを」
しかし樹には分かった。先ほどから母が細かく震えていることが。
「母さん、あの人達は何?」
「町の治安を守ってくれる人達でしょ」
「『あの人達』って言っただけなのに、よく分かったね」
母は、この時半ば観念していたのだろう。
静かに、しかし確実に奥に踏み込んでくる娘を見て。
「……」
「今日が初めてじゃないでしょう? 今までもあったんでしょ? 今までもあの人達が、母さんに救わ
れた人達を今日みたいに始末してきたんでしょ? なんで? ねえなんでなの母さん! 知ってるんで
しょう自分のことだもの!!」
「……」
「…母さんが、どれだけの人を境から救ってきたかは知らないけど……自分が救ってきた人達を信用で
きないの? 分からない、私には全然、分からない……」
「…全てはあなたのためなのよ」
「――何それ?」
樹は、表情に微かな怒気を籠もらせて、言った。
「私は、あなたのお母さんじゃないの」
――何それ?
今度は、言葉が出てこなかった。
二ヶ月ぶりくらいかな? 前回の話はまとめサイトでお願いします。
今回で落とせなかったから次回に続きます。
>>174 書き貯めはしないというか、できないタイプですね。
書いたらすぐ読んでもらいたくなるのでw
>>175 タイムリーって何がですか?
>>176 蟲百は、とりあえず保留しときます。『茄子』終わらせたらぼちぼち。
>>215 この主人公は某ミュージシャンをイメージして書いたんですが、もしよければ聞いてみてください。
中村一義という人です。
ただ、くさっぱらとか蕎麦とかマリーンズとかは単に自分が好きなものを書いただけですがw
では次回。多分『茄子』です。
259 :
作者の都合により名無しです:2005/11/26(土) 19:35:41 ID:8LY2VbnU0
お疲れ様ですゲロさん。
彼岸と此岸の境の夢の世界から日常へ。でも、日常も少しずつ狂い始めてますね。
かつての殺人の記憶から偽りの親子の絆へ。どう展開するかわかりませんがサスペンスですね。
ゲロ氏乙。
悪夢の世界よりも深い日常の奈落に堕ちていく感じだな。
茄子と真逆の世界観で面白い。あっちはほんわかだし。
両極端の作品を2つ同時進行で書く方が作者さんも楽しめるのかな?
>タイムリーって何がですか?
ロッテの日本一がこのレスの少し前にあったんでw
86から
「…死亡総数三十四名、か。
また随分と派手に虐められた物だねえ、デュラム」
白を基調とする医務室の中、安静用の変温ベッドに腰掛けたデュラムは、医療班に治療を受けつつも憎らしげにクリードを睨め上げた。
対するクリードは、手の中の報告書を弄びながら独特の微笑を静かに湛える。
「だから言ったじゃないか、『トレインに手を出すな』って」
言質こそは労わりらしい物が感じられるも、デュラムの耳へは毒の棘をびっしりと生やして滑り込む。
「判ったろ? 組織の為なら兎も角、個人の為の独断専行はリスクが大きい上に自己責任だ。
…これに懲りたら、以後は僕の言う事をしっかりと聞くように。いいね?」
報告書をデュラムの膝に置くや、何を責めるでもなくクリードは彼に背を向けた。
そして、医務室を出るべくドアノブに手をかけたその時――――、
クリードの背中に報告書が叩き付けられた。
その衝撃で、ホルダーで留めた紙束が一気に周囲に散った。
医療班の面々はデュラムの暴挙に竦み上がる。幾ら何でも直にクリードに向かって怒りをぶつけるとは思わなかったからだ。
「…酷いねデュラム。後で集める皆が大変じゃないか」
振り向かずに優しい言葉を返すも、デュラムはそれを聞いてはいなかった。
「オレが敗けたとでも思ってんのか、クリード」
かくして振り向いたクリードの貌は、先刻とまるで変わらなかった。
「…違うのかい? ファルセットが連れて来た時は喋る事すら出来なかったのに」
「―――ッ! あの粗大ゴミ野郎が来なきゃ逆転してたんだよ!! それに、相応の用意をすれば……!!!」
「したじゃないか。僕に無断で」
デュラムの声が詰まった。そして彼の行き場を見失った怒りをあやす様に、クリードの柔和な声が続く。
「デュラム、キミは有能だが組織活動を嫌う傾向がある。それでは、上司としていささか考え物だね。
事と次第によっては部下を任せられないかもしれない」
しかし、言葉そのものは辛辣だった。…人を管理する以上当然の意見だが。
だがデュラムは反発する。
「あいつらが使えねえのが悪いんだよ!! オレの所為じゃねえ!!
……それに、オメェの所為でも有るんだぜクリード」
それを聞いた途端、クリードは益々顔を綻ばせて優雅に歩み寄った。
「僕の所為? それは知らなかった、承ろう」
歩を止め彼の前に立った頃は、医療班達は既にデュラムから離れていた。この後何が起こるか、容易に想像がつく故に。
微笑を浮かべるクリードとは対照的に、デュラムは手負いの怒りを満面に現し見上げる。
「…確かに手を出すなとは言ったがよ、アイツがあんな化けモンなんてこれっぽっちも聞いてねえぞオレは。
それによ、オメェオレの事を有能だって言ったのに、アイツに敗けただろうが!
オメェがオレのことを持ち上げやがったから、オレがこんな目に遭ったんだよ!! 判ってんのか、ああ!!?」
一気にまくし立てるが、その内容たるや珍妙奇怪にして支離滅裂、苦しい自己正当化と責任転嫁の嵐。敗走の怒りを取り敢えず
クリードにぶつけている以外の何物でもない。
傍から聞いている医療班ですら、この男の子供じみた言い訳に呆れ返った。
しかし―――――
「……成る程、それは済まなかった。キミの言う通り、確かに僕の説明不足が今回の事態を引き起こしたと言えるね。
デュラム、キミの負傷は僕の責任だ。謹んで謝罪しよう、この通りだ」
――――意外にも、クリードはこの身勝手の塊に深々と頭を下げた。
誰もが驚いた。医療班は勿論の事、当のデュラムも。
正直、この男がそろそろ噛み付いてくるかと思えばまさか望外の低姿勢とは。
クリードの下げる頭を見ると、デュラムの心に下卑た支配欲がムラムラと湧き上がる。
「判りゃあいいんだよ。
…でもなぁ、そればっかじゃ誠意が足りねえと思わねえか。なあ?」
言うや彼の頭を掴み、リノリウムの床に叩き付けた。額が裂けて出血するのを見ると、何とも言えぬ優越感に満たされる。
「土下座、だよ。この位しねえとなあ、やっぱ。
オメェの所為で負った傷なんだからよ。ああ、痛ェ痛ェ」
今更ながらに傷を強調してクリードの頭を一層床に押し付けるが、当の本人は微動だにしない。
それを真剣な謝罪ゆえと見たデュラムは、今度は頭を踏み躙る。
それには医療班も流石に口を開いた。
「デュラム様、御止め下さい! それ以上は余りにも……!!」
だが口舌を、デュラムの銃口が遮った。
「…やかましい、これは等価交換って奴だよ。
コイツのお陰でこんな目に遭ったオレが、謹んで謝罪を受けてやってんだ……だから外野は黙ってろ!」
一切謹んではいないが、それ以外の偽りがこの状況に無い為、言われたとおりにするしかなかった。
「――――時に、いいかな?」
状態の屈辱をまるで感じさせぬ声音で、クリードが言葉を発した。
「…ああ?」
余裕のまま訝るデュラムに、更に言葉が続く。
「キミ、当然再戦はするんだろうね?」
聞いたデュラムの表情が、一変した。
先刻までの驕慢は一瞬にしてなりを潜め、入れ替わりに色を失う。
足の力が抜けるのを感じるや、クリードは身を起こす。
「だって、そうだろう? 今度はキミの中にトレインの最新の情報が余さず有るんだ。それこそ僕の説明なんて要らないほどね。
……だったら、やられっ放しは趣味じゃないだろ?」
額から流血しながらも快活に笑う。
「今度は装備も申し分無く整えると良い。人員も用意しよう。
決行は何時か、是非教えてくれないか。さあ」
――――冗談ではなかった。
誰が好き好んで斯様な怪物ともう一度会いたい物だろうか。危うく殺されかけたと言うのに。
最新の情報? ―――そんな物は恐怖と絶望だけだ。
やられっ放しは趣味じゃない? ―――アレ以外なら確かにそうだ。
決行は何時? ―――…絶対に御免だ!!
だが何故か、デュラムはそれを口に出せなかった。血塗れの笑顔を向けるクリードが、如何なる事か言い出す雰囲気を作っていなかった。
――彼には知る由も無いが、クリードの低姿勢は否定の反論を封じる為だった。効果的に煽て上げる事によって
ネガティヴの発言を出し辛くし、捲くし立てる事で流れは必然的に肯定へと向かう。
物の例えに、
クッキーが欲しいと言った鼠にクッキーを与えると今度はミルクが欲しいと言い、それにも応じると鼠は際限無く付け上がる。
だが、ミルクの段階でミルクに毒を混ぜれば疑う事無く鼠は飲む。
クリードが再戦発言を滑らかに引き出したのは、実にこの毒に相当する。
「…準備期間に一月も要らないだろ? さ、何時かな?」
――――嫌だ、と言える雰囲気ではなかった。
既に彼は自分で自分を王者に演出した。然るに此処で拒もうものなら権威は取り返せないほどに失墜するだろう。
その状態で部下を持てば、最悪後ろから彼らに撃たれかねない。直接暴力のみを頼みとする輩であろうが、
人の上に立つ以上それなりの威光は必要なものだ。
それを暴悪一つで繋ぎ止めていたデュラムが失えば、彼への尊敬も何も誰が抱けようか。
「い…いや、その…だがよ、オメェの友達だろ? いいのかよ」
やっとの思いで引き出した言葉に、クリードは含み笑いを漏らす。
「そうさ。でも、今は心を鬼にして同志の憤激を優先しよう。
僕達は一心不乱に進み続けなくてはならない。ならばムラ£度の障害でも徹底的に排するべきだ、そうだろ?」
勿論トレインはそんな些細な物ではない。ひとたび遮ろうものなら千尋の谷か、荒れ狂う大河か。
断じて道を使う殺人鬼如きに踏破出来る代物ではなかろう。
「で、でも……怪我が…まだ………」
「ウチの技術力ならその程度一週間で完治するさ。それに、キミは新しい武器を手に入れたろう?」
またも封じられた。
「だ………だけどよ!」
なおも食い下がるデュラムに、クリードは笑顔を解いた。
表情のテンションは見る見る下降の一途を辿り――――…すっかりと失望一色に染め上がった。
「………つまり、戦いたくないんだね」
言い様深い嘆息。それが部屋中に行き渡るように、空気もまた沈んでいく。
「い、いや! そんな事言ってる訳じゃ……!!」
「じゃ、戦うんだね?」
言われて唇が感じ得ぬ冷気に凍り付く………とどのつまり、言い返せなかった。
クリードは一際深く溜息をつくと、軽蔑の眼差しをデュラムに向ける。
「デュラム。キミ、『狂犬の美徳』と言うものを知っているかい?」
デュラムは勿論、成り行きを見守る医療班の面子も知らない言葉だった。
「…狂犬はね、噛み付く相手を選ばないんだ。これがどう言う事か、判るかな?」
狂犬とは文字通り狂った犬だ。
誰彼構わず噛み付き、その先など全く考えようとしない。
例え相手が手負いの兎だろうが、餓えて気が立った虎だろうが、其処に一切の妥協も区別も打算も無い。
それ故に、絶対の公平と言う揺るぎ無い美点が存在する。
無知の蛮勇と言おうが、うつけと言おうが、他者が侵す事叶わぬ孤高が確かに其処にある。
それだけ取れば、実に勇猛な猟犬に比肩するある種の信念と言えよう。
「…なら判るだろう? 噛み付く相手を選ぶ狂犬は―――果たして、狂犬と言えるのかな?」
嘲りそのものの言葉に、デュラムの胸に僅かながら炎が灯った。何を言いたいのか、流石に理解は出来る。
だがそれを言葉にするには彼の学がやや足りなかった。
「強いて言うなら…負け犬、だよ」
―――怒りは一瞬で形になった。行動も一瞬だった――――…彼の左手に握った銃はクリードの額を見据えていた。
「抜かしゃあがったなテメエ!!!」
銃口も体も多分に怒りに震えるが、照準そのものは外さない。クリードの一言は完全に一線を超えていた。
医療班が駆け寄るタイミングをデュラムの手練に見失い、その場に硬直する。
血管が破裂寸前まで血が上った頭に、一切の言葉は通用しない。何を言おうと銃爪を引く指を止める手立ては無い。
されど、その殺意と危機的状況を前にしてもクリード自身にあらゆる情動が存在しない。
当然それは、恐怖から来る物ではなかった。
「……いい≠だね?」
デュラムの全てを真っ向から受けて返したのは、その一言だけだった。
それ以外何も無い。何一つ変わる事は無い。クリードは今なお生死の境に佇んでいる。
そして生殺与奪権は未だデュラムの手の中にある。
―――――それでも、彼は銃爪を引けなかった。
そもそも、銃を向けている時点で彼の勝利は確定する。
しかし、何故か今喉元にそれより速く刺さる刃が押し付けられている様だった。
クリードには何一つ変化は無い。指一本動いてはいない。
それでもデュラムの額に玉の様な汗が次々に吹き出す。呼吸も次第に荒くなる。手も怒りとはまた違う感情で震え出す。
…もう少し早く気付くべきだったかもしれないが、相手はあの魔獣を友と称する同類≠ネのだ。
否、あれが魔獣ならこちらは悪魔と言った所か。ともあれ、彼には想像もつかない地獄の住人だと言う事に変わりは無い。
それを考えるに、感情任せのこの行為のなんと愚かしい事か。
撃って殺せなかった場合、果たして如何なる悪逆比類無き返し技が来るのか。
結論から言って……デュラムにこの博打に応じる度胸は絶無だった。
クリードに不敵な笑みを浴びせて体裁を取り繕い、あっさりと銃を引いた。
「マジになんなよ。冗談に決まってるじゃねえか」
その笑みのまま軽く流したが、語感に一抹の恐怖が窺えた。
「…え? あ、ああ、そうか。冗談か」
答えるクリードの顔に僅かながら明るさが戻った。最後の台詞にはそれと判る微笑さえ浮かんでいる。
それを危機を脱した証拠と見て取るや、デュラムにも心底の破顔が顔を出した。
「ああ、そうだ。冗談だ」
「そうかそうか、冗談か」
そしてクリードは朗らかに笑い出した。
釣られてデュラムも笑う。
やがて二人の笑いは大きな高笑いとなり、先刻の緊迫など初めから無かったかのように胸を逸らせて笑う。
それを見守る医療班達は、まるで狐に抓まれた様な気分で旧友よろしく笑い合う二人を見守っていた。
だが、次の瞬間――――
笑顔のクリードの右手が霞むと同時に、デュラムの体が首から上だけ車に跳ねられた様に吹き飛んだ。
鉄槌の様な裏拳の炸裂だと知ったのは、その犠牲者の体躯が医療機器を激しく薙ぎ倒した頃だった。
「……諸君、これ以上は治療しなくて良いよ。薬が勿体無い」
変わらぬ朗笑のまま、クリードは何気無く拳に刺さった奥歯を抜き取る。
「聞こえてるだろデュラム。その程度には手加減したからね。
これより以後、キミから全権を剥奪する。そして、『コンツェルト』の一兵卒からやり直しだ。
もし今回みたいな事がまた有ったりしたら、僕直々に仕置いてあげるから憶えておく様に」
医療機器の残骸と必要以上に仲良くなったまま動かないデュラムを些末に一瞥し、
「キミはファルセットを嫌ってる様だけど、これからはキミの指揮官になるんだ。仲良くして貰いたい物だね」
言い捨てて医療班達と共にドアに向かっていった。
「……全く、道士になってもゴロツキはゴロツキか」
それを置き土産にドアが閉じると、もう部屋の中には半死半生のデュラムしか残っていなかった。
彼は仰向けのまま動かない。否、憎悪一色の眼から懇々と湧く悔し涙だけが、今の彼の行動の全てだった。
廊下を歩くクリードは、デュラムと違いすこぶる上機嫌だった。
部下の手前、余りこういう貌を晒すのは良くないが、どうにも頬が緩むのを抑えられない。
額から流れる血で顔が染まろうが、そんなものは何の気にもならない。
嬉しいよトレイン、やっぱりキミは昔のままだ
あの報告書に目を通しただけで、トレインの戦い振りが手に取る様に判る。
迅速で、精密で、獰猛で、冷徹で、周到で、かつて敵は勿論味方までも恐怖に陥れた雄姿が目の前に甦るようだ。
打算で賭けを投げ出す安いゴロツキなど比較にもならぬ麗しき美獣の生存が、クリードには何より嬉しかった。
…デュラムをけしかけて正解だったよ
初め見た時からデュラムの性情は判り切っていた。
―――自分より優位状態の人間に激しい敵愾心を燃やし、優位を確保した途端付け上がり、その上で各種欲望に極めて忠実―――
そんな奴の前でトレインを絶賛すれば、命令せずとも勝手に行動するのは目に見えている。
同じガンマンだと言う事も功を奏し、いい感じに暴れてくれた。そのお陰で久々に親愛なる友を確認できた。
ま、もう少し利用させて貰うよデュラム。
どうせクロノスからの贈呈品(ギフト)だ。せいぜい好きに使うさ
彼自身は「クロノスが戦闘を敬遠したから自分の所へは来なかった」と言ったが、実際は違う。
こんな迂闊な男を見逃すナンバーズでは無いし、戦闘を敬遠するなど万が一にも有り得ない。
ならば何故デュラムは、生きてクリードの元へ馳せ参じる事が出来たのか?
―――理由は簡単、意図的に見逃したからだ。
恐らくは彼がナンバーズに監視されていたのだろう。そして観察の結果「組織の足並みを乱すやも知れない」とでも結論付けられ、
そのまま放置された―――と、言った辺りか。
リオンの様に撃退したり、エキドナの様に返り討ちにしたりしなければ現実的に言って彼らの手を逃れるのは不可能だ。
幾ら今なお道士を増やしているとは言え、この二人の様に実力でクリードの元へ到る人間は今の所居まい。
その為、彼が無断で持ち出した最新装備とやらも、実はクリードが手を回して寄越した物だし、技術も一世代前のものだ。
結局、デュラムの行動全てはクリードの計算の内でしかなかった………と思いきや、
しかし、予想以下の役立たず振りだ。三人の内、一人も殺せないなんて
そのたった一つだけが、彼の計算の範疇を空しく超えていた。
メイド喫茶の感想。――――…俺が悪かった、許して下さい。(挨拶)
金スマ見ただけでこれでは、実際には絶対行けないであろうNBです。
第八話「黒猫」これにて終了です。お楽しみ頂けたでしょうか。
さて、次回のAnotherAttraction BCは―――
引き裂かれた二人が再会したのは―――戦場だった。
運命に弄ばれた二人は、国の為、名誉の為、そして…過去の因縁に縛られ切り結ぶ。
と、そこに宇宙人が攻めて来ました。
――――と言うのは嘘で、第九話「別離」を乞う、ご期待!
なので今回はここまで、ではまた。
乙です。最近ペース良くて嬉しい限りです。
デュラム哀れw 自業自得だけど。
NB氏、乙
クリードの狡猾さが際立っていて実に「悪党」っぽくてGJです
しかし、以外にちゃんとボスやってんですね、クリードw
>236のランクが化けてる…
274 :
作者の都合により名無しです:2005/11/27(日) 14:20:42 ID:R+j2Ln2Z0
>ゲロ氏
魔女の雰囲気は独特ですな。ナスもいいけど、
俺としては蟲師を更に救い無くした感じの
こっちの方が好きです。この話、長くなりそうですね。
>NB氏
ヂュラム、前回で死んだと正直思ってた…。
しかしクリードの引き立て役という役回りを演じきりましたな。
いやあ、力を過信した悪党らしい見事な死に様w
>>273 これやっぱり文字化けか!
あえてスターダスト氏が意味不明な文字を
書いたのかと一瞬思ったが…
第三十二話「歌姫」
「―――抵抗するな。君を拘束する」
ムウが冷たく言い放つ。その手にはショックガン―――ドラえもんが出すものとは違い、、実際に殺傷力を持った
強力なタイプだ―――が握られていた。その場の全員がごくりと、と唾を飲んだ・・・いや、銃を向けられた本人
だけは、平然としている。
「ふふ・・・それでわたくしを撃ちますか?タイムパトロールのムウ・ラ・フラガさん?」
「抵抗するなら、な・・・だが、それは賢明じゃないぞ。見たところ君は丸腰だし、たった一人だ―――まさか
USDマンみたいなバケモンでもないだろうしな」
「そうですか?―――おかしいと思いません?何故こうもわたくしが無防備なのか・・・」
「なんだと・・・」
「教えて差し上げます―――こういうことですわ」
突然、ラクスが高らかに歌いだした。あまりの脈絡のなさに、ドラえもんたちは呆気に取られる。
「い、いきなりなんなの!?やっぱあの人、イタイ系の人だったんじゃ・・・」
「そ、そうかも・・・あれ・・・?なんだか、身体が・・・」
「ぐっ・・・!?う、動けない・・・?」
「ふふ―――どうですか、わたくしの<呪縛の歌>は?」
歌い終えたラクスが余裕たっぷりの表情で尋ねる。
「じゅ・・・<呪縛の歌>だって?なんなんだ、それは!」
「簡単に言えば、今の歌を聴いた者は動けなくなる―――それだけですわ」
「そんな!歌を聴いただけで―――」
一同から上がる狼狽の声に、ラクスはこともなげに答えた。
「わたくしは歌を通して奇跡を起こすことができるのです―――このくらいは簡単ですわ」
「くっ・・・ま、まさか、こんな・・・」
悔しそうに歯を食いしばるキラに、ラクスはくすりと微笑む。
「まだまだ、こんなこともできますわ―――<眠りの歌>」
ラクスが再び歌いだす。先程とは違う歌―――耳を塞ごうとしても。身体が動かなくてはそれも叶わない。最初の
変化は、のび太からだった。身体がグラリ、とよろめいたかと思うと、その場に倒れこんでしまったのだ。
「の、のび太くん!?」
ドラえもんが叫ぶが、彼もまた視界がふらついていくのを感じていた。同時に、猛烈な睡魔が襲い掛かる。周りを
見ると、すでに数人が倒れ付している。
「あ―――」
ドラえもんの意識が、完全に閉ざされた。そのままドサリと、床に崩れ落ちる。
「ふう・・・なんて呆気ない。この場面が小説ならば、あまりの出来の悪さに投げ捨てるところですわ」
ラクスは不満げに言い放つと、倒れた面々をしげしげと眺める。そして、キラに目を留めた。
「ふふ・・・この子がいいですわね。素直そうで、真面目そうで、人を疑うことなんて知らなそうな―――実に
いいお人形さんになってくれそうですわ」
ラクスは眠るキラの耳元に顔を寄せ、囁くように歌う。それは人を暗闇へと引き摺り下ろすような、それでいて
妖しい魅力に満ちた歌声―――
「―――<傀儡(くぐつ)の歌>―――」
かっ、とキラの目が見開かれた。そして彼はそのまま勢いよく立ち上がる。
「ふふ・・・お目覚めですか、キラ?」
「やあ、ラクス。なんだかすっきりした気分だよ」
「それはよかったですわ―――ねえ、キラ?」
晴れやかな顔のキラに、ラクスは笑いかけながら尋ねる。
「あなたはわたくしを守ってくれますわね?わたくしが危ないときは、命をかけて守ってくれますわね?」
「うん、もちろんだよ。僕はラクスが一番大切だもの」
「例え敵が、あなたの友達でも?」
「うん、もちろんだよ。いくら僕の友達でも、ラクスの邪魔をするなんて、許せないものね」
「うふふ・・・嬉しい・・・」
ラクスは本当に嬉しそうな顔で―――子供が最新の玩具を買ってもらったような顔で―――言った。そして、
今度は眠ったままののび太たちに振り返る。
「さて、次は・・・」
ラクスの唇が再び旋律を奏でる。どこか物悲しく、そしてどこか不思議な歌―――
「―――<夢送りの歌>―――」
その歌が終わったとき―――ドラえもんたちの身体に変化が起きた。眩いばかりの光に包まれ、それが消えると
同時に、彼らの身体も消えてしまったのだ―――!
「うふふ・・・それでは、もし無事ならばまたお会いしましょう」
―――数分後、店のドアが開き、一人の男が顔を出した。その顔は、無機質な仮面で覆われている。
「あら、いらっしゃいませ。残念ながら店主は留守ですけれど」
「構わんさ。別にコーヒーを飲みにきたわけじゃない」
「あら、それくらいお出ししますわ―――ラウ・ル・クルーゼさん?」
男―――クルーゼはそのやり取りが面白かったのかどうか、口元に小さな笑みを作る。
「しかし、回りくどい真似をする。さっさと殺すか、君の人形にしてしまえば、それで終わりではないかな?」
クルーゼの疑問に、ラクスは艶然と微笑む。
「あら、それじゃあつまらないですわ・・・全員あっさりとお人形さんにしてしまっては、楽しくありません。
わたくしはこの物語をもっともっと面白くしてほしいのです。狐さんがそう望むように、ね・・・キラもそう
お思いですよね?」
「うん、そうだね。ラクスが楽しければそれでいいよね」
そんな二人は、まさに傀儡子と傀儡そのもの―――それを見てクルーゼは静かな戦慄を覚えた。
「恐ろしい女だよ、君は―――もし君を敵に回していたなら、さぞや恐るべき相手だったろうな」
「お褒めにあずかり、光栄ですわ―――さて」
ラクスの口元に、笑みが浮かぶ。それは無邪気な―――そう、笑いながら虫の手足をもぐ子供の顔だった。
「それではわたくしたちはしばし見物するとしましょう・・・彼らと夢の魔王―――オドロームとの戦いを」
投下完了。前回は
>>202より。
目を覆うスランプです。
>>205 ラクスのあの大物ぶりは、とても再現できません・・・
>>206 ノリがいいと言ってくれるのは嬉しい限りです。
>>207 あと話数にして50〜60くらいを予定しているので、一発キャラはがんがん消化しないと
まずいですw
>>ふら〜りさん
原作の彼女はもっと恐ろしいんですが、僕の筆力ではこれが限界です・・・
>>しぇきさん
ちょっと当たってるような>術やパオペエを持っているのか
しかしドドリアが原作からは考えられんですねー・・・本当に勇者だw
それにしても、流石爆破はサラダのお家芸ですね。
>>250-254 ・・・違います。原作の彼女はこんなんじゃないんです。
オドロームが来るとは思わなかったよ
280 :
ふら〜り:2005/11/27(日) 22:05:26 ID:MR14+CCX0
>>しぇきさん
あぁ最後の常識の砦、マオまでが。普段真面目な人ほど、壊れるとスゴイってのを実証
してくれてます。おかげで一気に事態進展ヤバ度上昇、本来一番頭いいはずの令嬢まで
>ちなみに半分はドドリアが助けに来てくれるという希望で出来ている。
……。いや、見てる分には実に可愛いんですが。周囲への被害が。どーするこの始末!?
>>スターダストさん
前回とは趣きを変えて、今回はずっしりと重い感じでした。会話もキャラのアクション
も多くはないけど、中身は濃い。地の文と登場人物との一致団結による千歳への失礼っ
ぷり(若くない)にコケながら、最後は照星の親心で後味暖か。私も学ばねばなりませぬ。
>>ゲロさん
ほ〜ん〜とに、茄子とは違い過ぎる空気できてますねこっちは。SS読む時、頭の中で
映像化しつつBGMなんかも流すんですけど、今回はもうシーンとしてて。寒々しくて。
次回更に深くなりそうで。静かな四面楚歌が迫ってきそうで。……怖いものみたさです。
>>NBさん
久しぶりにクリードが魅せてくれました。計算高く、情け容赦なくデュラムを封じ込めて
の制裁に喝采。デュラムが底の浅いありふれたサディストではなかっただけに、クリード
の凄さが一層際立ち、カタルシスも充分でしたよっ。で、デュラムは再戦するんですか?
>>サマサさん
てっきりジャイアンが「なんでえなんでえ! 俺の歌の方が……」と反撃してくれるかと
思ったんですが。夢の世界(?)で反撃なるか? あとムウがさらりと言ってますが、
普通の人間かと思いきやUSDマン並だった、てことがあり得るんですよね。恐ろしや。
>>スターダストさんへ補足
肩のアザ→「ポートピア連続殺人事件」、金庫室への通路→「さんまの名探偵」、
人形の涙→「オホーツクに消ゆ」です。レゲー世代、つーかレゲーヲタですみません。
楠木軍のアレ、資料によっては「煮立てた糞尿を……」だったりも。エゲつなさが楽しい。
傀儡にされた途端、急激にイキイキし始めたキラにワロスw
つくづくキラって電波を除くと何にもないキャラだったんだなあ、と改めて認識した
・ゲロ様
今回は最後の一行に物語のテーマが収斂してますな。悲しい予感がする。
親子の絆がどう崩壊するのか、はたまた続いていくのか楽しみです。
・NB様
徹底して卑怯で醜悪なデュラムに対し、全てが上のクリード。
しかし小物相手にこの長さじゃ、最終決戦はどれ位のスケールになるか。
・サマサ氏
種を知らん俺としては、もう物語の9割が知らんキャラにw
サマサ氏のオリジナルとして楽しんでます。オドローム位ググって見るか。
サマサさん
キラは洗脳されてこそキラっすね!
「やめてよねry」を思い切り憎たらしく吐いてくれそうで期待してます
料理方法次第でここまで良くなるのになぁ
種ってああ、もったいねえ
285 :
作者の都合により名無しです:2005/11/28(月) 13:54:25 ID:KNK2gluA0
蟲百物語、楽しみだったが流石に百は無理か…
しかし、全150話をたった数回のうぷで成し遂げてしまった人もいるがw
287 :
作者の都合により名無しです:2005/11/28(月) 21:37:10 ID:zfX8Lh3D0
たまに貼られるアドは怖くて踏めん・・
「了解した」
数時間後、根来は千歳のいた場所で淡々と頷いた。
男性にしてはやや小柄。どこか平安貴族めいた酷薄な顔立ちは生白く、逆立った髪と地面
までかかるマフラーがシルエットに特徴を与えている。
実年齢は20歳だというが、果たして本当なのか。もし100を越える老人だとしても、彼の乾
いた性格を知る者はみな一様に、「ああやはりか」と納得するだろう。
「これは千歳からの個人的な希望ですよ。断るコトもあなたには」
「私にとり重要なのは、任務遂行ただ一つ。いかなる背景があろうとそれに関わるつもりは
毛頭ない」
剣もほろろ。根来の回答は、ひどく断定的で横柄に聞こえる。
一介の戦士たる彼が、大戦士長相手にこういう発言の仕方をするのは無礼であろう。
しかし、戦団の意向には大筋で背きはしないし、小筋で背い(勝利の為に味方を犠牲にする
コトを指す)たとしても結果だけは確実に出す、いわば優秀な男であるから多少のコトには目
をつむる他ない。ただでさえ人手不足の戦団としちゃ、優秀な者にやめられたら困るのだ。
そしてその優秀な男は常に冷然と、一枚絵のごとく表情を崩さないので、千歳同様考えてい
るコトがわかり辛い。
ただこの男の奇妙な所は、一見すると寡黙であり、寡黙である状態の方が多くはあるが、必
要あれば、りゅうりゅうと理屈を並べてよく喋る。
喋った時は何を考えているかよく分かるが、他の戦士が根来を敬遠し、奇兵と蔑む原因は
むしろそこにある。
根来の言は、中身のない冗長な屁理屈ではないが、一本筋が通った意見とは言い難い。
筋というのを、「倫理」といういかにも正しげな意味で捕らえるならば、根来の言にそれはない。
いかなる場合状況に置いても、任務を遂行するための最短最速最低限の思考しかなく、犠牲
や不義をまるで気にしていないのだ。剣を習い覚えたりする際、上達が早ければ「筋がいい」という。
そちらの筋はつまり、「取り組むべき事象の法則性や本質に対する理解度」だ。
もしくは事象の法則性と本質そのもの、と言い換えても、根来の言は説明できる。
ひどく機械的な鉄色に染まった「筋」がきっちりと組み上げられ、一言一句を紡いでいるのだ。
そういう意味では根来の意見は、一本筋が通ったものと言えるが、しかし根来の言はただ合
理を舌鋒鋭く告げるだけの物に終始していて、時には単純な悪口よりも他者を激昂させるシ
ビアな論理を放ったりもするから好感はまるで持たれていない。
どうも彼の他人への認識というのは、感情も先入観も一切挟まない、いうなれば薬品を調べ
る化学者が「こうだからこうだ」とありのままを断定し、どう利していくかを考えるだけのものら
しい。
組織というのはつまるところ、人の集まりなのだ。建物がロボットのように動くものではない。
だからそこに居る人々を、人々と見なさぬ振る舞いを取り心象を害してしまえば、いかに優
秀であろうと「組織」からは認められず、組織の主幹には決して潜れなくなる。
照星はこの瞬間、或いはそっちの方が要領よく生きられるのではないかと思った。
先ほど根来に哀惜を覚えはしたが、いざ接してみると難点ばかりで辛いのだ。
そういう思いをする原因をただせば、照星の「大戦士長」という立場にある。
照星が平の戦士であれば、根来と今回の任務について話すコトにはならなかっただろう。
接点も、恐らく先ほどの千歳と同じようにわずかしか持たなかっただろう。
詰まる所、この場に至るまでの照星の苦労の数々は、組織に認められ要職に就いたがため
のものなのだ。
根来のように、組織の端へと爪弾かれ、技能を活かして細々とホムンクルスを倒しているだ
けの人生の方がストレスが少なくて楽なのではないか、と照星は少し葛藤を始めた。
見逃す根来ではない。
「大戦士長ご自身が戦士・千歳の申し出に不服であられるならば、権限を以って取り消せば
いいだけのコト」
「そ、そうですが」
「私は既に了承したのだ。然るに大戦士長はただ困惑を浮かべられるのみで、いまだ方針
を確定せずにいる。それが戦団そのものの意思であれば良い。しかし坂口照星一個人の背
景によるものならば私は関知しない。大戦士長という要職に在り、部下を指揮する権限を持
たれる以上、つまらぬ私心は切り捨てて然るべきであろう」
この長い発言、照星にとってはかなり腹立つものだ。
判断力なき阿呆呼ばわりされた気になった。
かなりの苦労を影で色々としてるのに、どうして何も知らない下っ端に文句を言われなければ
ならないのか。
ぶつん。
照星の中で何かがキレたが、しかしこの場では表に出さない。
彼の脳内では、嫌なコト用の適応規制が発動した。大人はそういう、ものなのだ。
汚い感情の掃き溜めにしても構わぬ対象を想起し、それに矛先を向けて感情を収めるのだ。
そして照星は火渡という部下を思い出した。
(犬飼でないのは、脆弱なるサンドバッグは捌け口にすらならないからだ)
つい最近見た火渡は、毒島というガスマスクと一緒にモスバーガーでコーヒーシェイクのSサ
イズを飲んでいた。
ガラス越しに見えた毒島というガスマスクは、楽しげに話していて、手作りのクッキーを差し出
したりしてたが、火渡はぶっきらぼうにあしらいクッキーもただ黙々と平らげていた。
ハンバーガーショップで手製クッキーを食べるとは、まるでヤクザと情婦。
いや、もっとおぞましい何かだ。
(ああ、叱らないと。火渡はいるだけで景観を害する社会悪だから叱らないと)
照星はひきつった笑いを浮かべつつ、根来に「潜入してください」と命じた。
もう司令部とかクソ喰らえだ。事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてんだ。
八【やつあたり】
そして根来が去ってしばらく後の部屋。
まずガスマスクがドアをぱたむと開けて入った。やや遅れてガラの悪そうな男がドアをばたり
と開けて入った。
すると1分も経たぬ内に部屋は口論のるつぼと化し、やがて光と共に吹き飛び瓦礫まみれの
荒野になった。
そこで5100度の炎と、バスターバロンというでっかいでっかい男爵ロボがやりあった。
時は夕刻。じりじりと世界を焼く落日の光にも負けじと、熱い風が吹き荒れた。
ラァラァラァキャオ! ぐぎゃぁっ ガガガガ ゴソゴソ ゴロゴロザパーン!
照星操るバスターバロンが勝った。
実はそのサブコクピットに毒島という名のガスマスクが囚われてて、
「わ、私なんかに構わず5100度の炎を撃ち続けててください! それで初めて身を守れる
んですよ火渡様ぁっ。ああっ、ダメです無抵抗は…攻撃を…きゃあん! お願いです大戦士
長、火渡様をイジめないで下さい〜」
てな声援を送ってくれてたのだが、火渡の動きはどうしてか凄まじくキレが悪かったのだ。
ダメだな。
ともかく、根来と千歳は手早く身支度を整えると、この瀬戸内海近くにある日本支部を後にした。
目指すは北関東の「皆神市」にあるバンダイの下請け工場だ。
連投規制かな?
いよいよ師走のヤロウが接近しつつありますが、どうなんでしょうかね。
忙しいのはいらんから、休みだけくれと。ねぇ。
いや、師走という理由で忙しがる人のがおかしい。自分を持つんだ。目覚めるんだ。
たかが寒くなって一年の最後の月になっただけじゃあないか。
>>243さん
千歳さんは終盤の方でちらちら出てた人ですね。単行本だと6〜9あたり。
バールのようなものとセーラー服がトレードマーク。
前者は2chネタですが後者は本当に作中で着ていたから恐ろしい。
>>244さん
謎解きは鋭意製作中です。ただ……ほんとにちょっとしたものだと。
根来は色々やります。ええ。タイトル通りのコトを色々。
>>245さん
なんか、千歳さんの年齢に対する照星のリアクションを書いてるうちにああなっちゃいました。
根来の異彩ぶりは、どこか時代小説に通じる物があって好きですね。ちなみに彼が主役で
話は…予想を遥かに超えて続くかもです。
>>246さん
ありがとうございます。生き急ぎ…格好よいフレーズですね。眩しく燃えて生き抜きますよ、閃光のように。
思うに、錬金が合うのは色々詰め込む性格のせいかも知れません。
>>273さん
>>274さん
すいません。アレは仕様なのです。
ふら〜りさん
よもやそれを切り返されるとは… いや本当、レトロゲームの知識も含めて恐ろしい。
そしてアゴが外れ目玉が飛び出、冷や汗をかき、今ならば変えられる今ならば変えられる、
せめてプレイしときゃ良かったという悔恨の念すらあります。……………そうです、ご名答。
>>292 あ、いえ、単に文章を考えていたので。
追加訂正
>>288の下から三行目を
ただ、筋というのには別の意味もある。
剣を習い(以下同じ)
に訂正お願いします。失礼しました。
スターダスト氏、乙です。
バトル描写が迫力ありますね。
主人公のキャラも最初ウザかったが、だんだん好きになりそう。
296 :
作者の都合により名無しです:2005/11/29(火) 10:52:22 ID:WQWhSgQk0
スターダストさん、お疲れでした。
根来と千歳は忍者でいう「草」みたいな存在かな?
このコンビは性格とかが違っている分、かえって力を発揮しそうですね。
しかし今回からシリアスっぽくなってきたのに、行き先は
バンダイの下請工場かw
297 :
九話「目覚め」:2005/11/29(火) 15:56:16 ID:MPXFQB050
〜ゴドンゴのパブにて〜
「zzz・・・」
いつも静かな昼時のパブ、にも関わらずいびき声が響く。
昼間からパブにいびき声が聞こえると言う事は飲んだくれか「働いたら負け」な人間が居ついているかのどちらかだ。
普段はそうなのだがこの時は違った。
真昼間からパブに響き続けるいびき声の主は・・・
「ちょっとぉ!いつまで寝てんのよスタン!」
歴史に名を刻む大英雄の一人、救世主スタン・エルロンであった。
どうやら二人とも地元の漁師に引き上げてもらった様だ。
仕事があると告げ漁師は海へ漁に出て行き、マスターやパブに常駐している吟遊詩人に任せたのだ。
低血圧な英雄を起こそうとしているのはそのパートナー、ルーティであった。
「仕方ない・・・アレをやるかぁ・・・」
マスターに頼んでおたまとフライパンを手に取るルーティ。
刹那、スタンの妹から教わった究極奥義「死者の目覚め」が放たれた。
数分後・・・
気だるさが全身から溢れ出ているスタン。
耳元で冒険者として鍛えられた能力を以て金属同士を叩き付ける事で生まれる絶妙なハーモニー。
殴り起こされた訳ではないのに衝撃が脳を突き抜けていく感覚を味わい、頭へ響き続ける騒音が体の不調を煽る。
当然そんな騒音を出したルーティもマスターに怒られていた。
その場に居合わせていた詩人さんも、
「聞いた事の無い音だ、素晴らしかった。だがショックで思い浮かんでいた詩を全て忘れてしまったよ・・・」
とコメントを残してくれた。
記憶を掻き消す程の騒音を嵐で傷ついた肉体に受けたのだ、心身共にダメージは大きい。
寝起きで食欲が無い為、牛乳で済ませる。
コーヒーが駄目な訳では無いが田舎者の朝は牛乳なのだろう・・・きっと。
牛乳を飲み終えたスタンは剣の稽古に外へ出ようとしてある事に気付く。
「ディムロスが・・・無い?」
298 :
九話「目覚め」:2005/11/29(火) 15:58:55 ID:MPXFQB050
一瞬困惑するスタン、もしやルーティが売り払ったのかもしれない、そう思い尋ねてみる。
「ルーティ、まさかディムロス売っちゃったんじゃないだろうなー?」
まだ聞きたい事もある上にソーディアンを集めることを誓って措いて売り払うのは心が痛む。
だが帰ってきた返事はさらに絶望的な物だった。
「あんた船から吹っ飛ぶ時に落としちゃったんでしょ?私の方はなんとか大丈夫だったけど。」
ルーティの鞘は体に紐で巻きつけるタイプの物である。
しかしスタンは・・・鞘ではなく服にくっつけた革に突っ込んでおくだけの物であった。
ディムロスは一般的な長剣より大きめの剣であるため素早く抜くには鞘では遅れる。
咄嗟の戦闘ではどうしても出遅れる傾向があるため丈夫な革を服に貼り付け、そこから引き抜いて戦っていたのだ。
だが今服を見てみると、綺麗に革が無くなっていた。
少し荒めに引き抜いても平気な革だったのだがやはり嵐には勝てなかったようだ。
こうなるとアトワイトが残っていただけ幸運であった。
相棒を失ったショックでがっくしと膝を床に着くスタン。
「そんなぁ・・・まだ教えてもらいたい事があったのに・・・」
頼れる相棒であり尚且つ強力な武器であったディムロス。
それがいきなり手元から消えてしまったのだ。
己の手に人知を超えた力を宿した剣を握り続けていたスタン。
それが無くなった心許なさは相当な物であろう、晶術は使えない、
ディムロスがなければ使えない強力な技の数々も封印せざるを得ない。
これから先の旅が楽をしていたのが一気に辛く険しくなるのだ。
楽な道とは一般人に取っては泥沼なのである。
次の苦難を無理に回避しようとしたり、諦めが速くなったりするものだ。
それは冷静な判断を狂わし一見して楽な道を選択する様になる、後々の事を気遣いもせずに。
力に溺れた者で無ければあの嵐で吹き飛んだ、たった一本の剣を探そう等とは思わないであろう。
だがスタンは違った、着いた膝を上げ決意を込めて立ち上がった。
「しかたない、待ってろディムロス!お前との約束、きっちり果たしてやる!」
力に執着している訳ではない、無謀、それもあるだろう。
彼は未だ世界を知らない未熟な冒険者なのだから。
だが一番の理由は、「仲間」だからだ。
299 :
九話「目覚め」:2005/11/29(火) 15:59:49 ID:MPXFQB050
武器であり、兵器でもあるディムロス。
だがそんな事は問題ではない、ディムロスには「意思」があり、「正義」もあるからだ。
そして何より自分の事を信じてくれているし自分もディムロスを信じている。
「仲間」であるためにこれ以上望むべきものは無い。
その考えこそが彼の「英雄」の素質であろう。
人を信じる心こそが人を強く繫げるのだ。
正直、スタンは剣の腕は確かに常人離れしているが実は妹との勝負で彼女の武器がフライパンなのにも関わらず、
負け掛けた事がある。
まぁそれでも妹がかなりの素質を秘めていたからこそスタンを追い詰める事ができたのだが。
彼は「英雄」ではあっても「超人」では無いのだ、
勝ち続ける事が出来たのもディムロスの所持者だったからだ。
いや、ディムロスだけでは無かった。
ルーティとアトワイトが居なかったら危機を乗り越える事はできなかった。
傷の治療に使う治療用のグミを大量に買う金など持ち合わせてはいないし遠距離攻撃に精通した仲間がいないと
歯が立たない敵にも何度も遭遇している。
彼は常に仲間と支え合って熾烈な戦いを生き残ったのだ。
その仲間のディムロスが今は側にいない。
それがどういうことか分からない訳では無い・・・だが仲間との誓いを守るため、
彼は剣を取る、ディムロスに頼らずに戦う事を決意して。
早速、パブの自衛用の剣を取り、再び剣の修行へ出ようとしたその時、
「ちょっと張り切るのはいいけどテーブル片付けなさいよ、一宿一飯の恩を仇で返す気?」
ゆったりとコーヒーを啜るルーティ、自分は何もしない気であろう。
どうやら旅の前に一片付けしなければならない様だ。
それにしても何か肝心な事を忘れている気がする。
300 :
九話「目覚め」:2005/11/29(火) 16:01:35 ID:MPXFQB050
〜おまけ〜
きゃぷてんほーく物語
(注:子供でも読めるように編集されたキャプテンホークの日記
火竜月 4日
嵐で船が吹っ飛んだ。
ジャングルに漂着してゲッコ族に出会った。
襲い掛かってきた魔物を叩きのめしたら村に案内してくれた。
なんかゲッコの民が誘拐されてるっぽいから助けるため情報収集。
パブでウホッ!いい女を見つけて誘おうとしたがが変な奴に先を越される。
ま、いっか。
そういやスタン達どこ行ったんだろ。
火竜月 5日
昨日パブで女を誘ってた奴が馬に蹴り殺されたらしい。
女がいうには「私に関わるから不幸になる」だそうだ。
ここで一つダンディズムを感じさせる様な台詞を考えねば。
あ、女が出て行く、ここで引き止めないと俺のパーティーの華はあの守銭奴だけだ。
あんなの華は華でも周りの養分を吸い続ける吸血鬼の如くタチの悪い華だ。何としても彼女をパーティに!
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ。
あれ、もう行っちゃった。
明日にしよう。
火竜月 6日
姿が見えないのでマスターに聞いたら、
「シェリルなら店をやめたよ、みんなが不幸になるといけないってさ。」
あ、よく考えたら今あの守銭奴すらいないじゃん。
ホークは称号「むさい」を獲得した。
301 :
九話「目覚め」:2005/11/29(火) 16:02:12 ID:MPXFQB050
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人呼んでて「動いたら負け」ゲームを
「働いたら負け」ゲームと読んじゃった邪神?です。(0w0)
今回はなんか余っちゃったからなんとなくギャグ物追加。
え、微妙?それは言わないお約束さベイベー。
すっかりスローな投稿になってしまいましたがソウルキャリバー3のせいです。
もうちょいで終わるって所で発売日になっちゃったもんでついつい・・・
まぁソウルキャラは出す予定だからネタ漁りって事で許してくださいな。
〜今週のロマサガ講座〜
火竜月 ロマサガの世界の日付の模様、他にどんな月があるかは不明、時期も不明。
某お城の日記で使われてた。
お疲れ様です、邪神?さん。正直少し心配してましたw
スタンとディムロス、ルーティとアトワイトのカルテットであり
ダブルコンビであるパーティの一角が崩れてしまいましたね。
戦闘力的にディムロス無いと無能のスタンの事、いつかコンビ復活するんでしょうがw
キャリバーは2までしかやってないけど、どんなキャラが出るのか楽しみです。
ご自分のペースで頑張って下さいね。
303 :
作者の都合により名無しです:2005/11/29(火) 18:54:37 ID:6EgBbI+X0
>スターダストさん
レンキンSSから少しずつオリジナル化してますね。
バトル満載の忍者ものになるんでしょうか?
レンキンあまり知りませんが、期待してますので頑張って下さい。
>邪神さん
ちょっとだけお久しぶりです。キャリバ休暇だったんですかw
もう一方の主役であるスタンパーティに事件が起こりましたね。
キャリバキャラ出すなら、あの金髪女の剣士がいいな。
304 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 03:52:43 ID:wKYiOUiL0
<フリーザ中央通り>
令嬢を無事に助け出し、町中の危篤な雰囲気と裏腹に、
二人を取り巻く雰囲気は最高潮になっている。
これなら、相手に脈が全く無い以外は成功しそうな雰囲気なのだが・・・・。
「ドドリアさん?どこか痛めたのですか?体中が震えていますけど・・・。」
ドドリアの様子がおかしい事に気付いて心配になる令嬢。
「え?い、いや・・。はい・・・。大丈夫です・・・。」
肝心のドドリアは令嬢の言葉にも上の空。
その様子はまるで死刑寸前の囚人の様子といってもおかしくは無い。
二人を取り巻く雰囲気はいいが、それと反比例してドドリアがその雰囲気を使いこなすスキルが無いようだ。
それを象徴するかのように、ドドリアの顔色はピンクから青に変わり、どんどん追い詰められているのが分かる。
(言わなくちゃ・・・。でも・・。でも!!)
”追い詰められている”。
これは普通の人ならおかしいと感じるかも知れない。
いくら恋愛に対するスキルが無いといえ、逆に追い詰めらているという事に・・。
はたして、ドドリアをそれほど追い詰めているものとは一体何なのだろうか?
----------その答えは”プロポーズをする事で失う関係”である。
305 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 03:53:08 ID:wKYiOUiL0
本来、今日はドドリアが令嬢へ勇気を出してプロポーズをする。
唯、それだけの日。
しかし、ドドリアはいくら勇気を振り絞って告白しても、
失ってしまう(変わってしまう)”かも”しれない”関係”への恐怖が拭えない。
だから、中々言い出せ無いのだ。
当然、その様子をドドリアの仲間達が黙ってみているはずも無く、
優秀なコンピュータでも思いつかないような奇策で、勢いというきっかけを作ろうともした。
だが、結果は町に大きな損害を与えた些細な結果のみで、ドドリア自体を変えるまでにはいかなかった。
いや、変えたのは勇者のフリをするだけ-----つまり表面だけと言う最悪な結果かもしれない。
ともかくドドリアは自分が愛した人との関係がどっちに転んでも180°変わる、
プロポーズという名の人生のターニングポイントに立たされた為、全く言葉が出てこなくなっているのだ。
「・・・・。本当に大丈夫ですか?」
令嬢は先程から小刻みに震えるだけのドドリアの顔を覗き込んでひたすら心配の念を送る。
しかし、それにすらドドリアは上手く答えられない。
(う・・・。声が・・・。)
やはり、悪い方向に二人の関係が変わってしまうかもしれないと考えてしまい、
その考えから感じる恐怖に体と心が支配されているのだろう。
------さっきよりも、体の震えが激しくなる。
もう・・、これ以上ここに居るのは限界とドドリアが感じた、その時!!!
-------空から四つの人影が現れた!!
----------------------------------------------------------------
306 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 03:54:11 ID:wKYiOUiL0
<フリーザ中央通り・その2>
「あれ〜〜〜?まだ言って無いの?」
呆れ顔で不満を愚痴るマオ。
「うむ。ここまでチキンとは・・。」
右に同じくのザーボンに・・・、
「全く・・。これじゃあ・・。」
さすがにげんなりのウエハーツ。
「む。ならばもう一回か?」
最後にありえないことを言うサラダ。
彼等は周りの損害を見てみないふり----もとい、現実逃避しながらゆっくりと地上へ降りてきた。
ドドリアと令嬢はそれを見て、安堵の表情を浮かべながら彼等を見る。
ドドリアは恐怖が少し拭える感覚を味わいながら、そして令嬢は・・・・。
「あ!皆さん・・。大丈夫ですか?特に・・・、魔王?いや、マオ?」
マオは地上へ降りてくるや否や、令嬢のこの言葉にいささかムッとする。
(ったく・・。この子は・・・。)
しかし、自分にも多少--------本当に多少は非があると自覚していたので、
仕方ないと言った表情をしながら一応乗ってあげる事に。
「大丈夫よ。ピンクから出ていた意味分からんちんな光のおかげで浄化されたわ。」
令嬢はそんなマオの言葉に嬉しそう-------本当に嬉そうな顔をしながら自然と声を上げる。
「ああ〜〜。良かった〜〜。」
そんな令嬢の心からの言葉。
当然、令嬢の友人代表であるマオが、これに心を打たれないわけが無い。
(やっぱりこの子を泣いた顔は見たくないな。)
マオは令嬢の言葉に改めて本来の目的を思い出す。
そして、そんなマオの思考が働いた結果、自分に出来ることは、ドドリアに”活を入れてハッパを掛ける。”
-------というモノだった・・・・。
------------------------------------------------------
307 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 03:54:42 ID:wKYiOUiL0
<フリーザ中央通り・その4>
ザーボンがマオからバトンを渡されて数分。
ザーボンはあれやこれやと、ドドリアに勇気を与えるため。
それ、すなわちプロポーズをさせるため。
色々模索していた。
そしてたどり着いた結果は・・・。
「よし!ここは、これから起こるだろう様々な事に対応できるようにしてから、
プロポーズしてみよう!」
「へ?なんで?」
ドドリアの作画が一気に崩れる。
「今のお前には経験が足りないと見たからだ!そこで俺達が様々なシーンを想定するから、
ドドリアはそれを見事に乗り越えてくれ!そうすれば、この状況も乗り越えられるはずだ!!」
「いや・・、ちょっと・・。」
ドドリアは全く乗り気で無い。
まあ、彼の心情を考えれば当たり前だろう。
しかし、ザーボンはそんなことはお構い無しに、強制的に始めてしまう!
「よ〜〜し!LET'Sプレイ!」
注:文章力が無いので、ここからは、なるべくシーンを思い浮かべながら読むと分かりやすいです。
308 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 03:55:37 ID:wKYiOUiL0
〜CASE1:男塾方式〜
「私がモテ塾・塾長!江田島ザー八である!!!」
「先生〜〜〜!」
「ん?なんだ?」
誰もが特に疑問に思わないところで質問されたので、いぶしげな雰囲気でドドリアに言葉を返すザーボン。
「某週刊誌の読み切りとそっくりなんですけど〜〜。」
「あ・・・・・・。」
「インスパイア?」
「いや、オマージュ。」
〜CASE2:曲がり角で気になるアイツとごっつんこ!方式〜
「やべえ!遅刻だ!!!」
今日はドドリアのフリーザハイスクール転校初日。
新しい環境の期待と不安に興奮して眠れなかったドドリアは見事に一時間目開始15分前という
デンジャラスな時間に家から飛び出る羽目になった。
ビューン!!!
文字通り空を飛びながら学校へ向かうドドリア。
「よ〜し!!この調子なら後一分も・・・。って、うわ!人が!!」
グシャ!!!
ドドリアの鋼鉄の頭と正面衝突して、ある少女?の顔が潰れる。
いや、潰れたのは少女ではなく、銀髪かつらをかぶったザーボン・・・。
ドドリアの頭部との衝突の為、ザーボンの被ったかつらが半分ずれ落ちている。
「・・・・。やっぱりこれは無理だわ・・・。」
ザーボンが喋るたびに血が滴り落ちる。
「うん。っていうかこれってプロポーズじゃなくて出会いな気がする・・。」
「だまれ・・。」
「はい・・。」
※注:銀髪は令嬢の髪の色です。(まとめサイト様の37参照)
309 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 03:56:42 ID:6MOw5duC0
〜CASE3:イジメッコ方式〜
ここはとある小学校。
今日も今日とでイジメが行われている普通の学校だ。
「や〜い!これを返して欲しかったら、あの子にプロポーズしろよ〜〜!!」
ザーボンはドドリアのある大切な宝物を取り上げて、プロポーズを強制する。
「や、やめろよ!ザーボン君!それに僕は小学生だよ!結婚できないよ!!!」
「あ・・・。」
「いや・・・、大学の設定にしようか?」
「もういい・・・。」
「ゴメン・・・。」
〜CASE4:イジメッコ方式・その2〜
ここはとある小学校。
今日も今日とでイジメが行われている普通の学校だ。
「や〜い!これを返して欲しかったら、あの子にプロポーズしろよ〜〜!!」
ザーボンはドドリアの”大切な宝物が入った袋”を取り上げて、プロポーズを強制する。
「や、やめろよ〜〜!!それにそれはママからもらった大切なものなんだ!返してよ〜〜!!」
ドドリアは必死に宝物の返還を願うがザーボンの耳は馬に念仏。
全くドドリアの言葉を聞こうとせず、あろうことかその中身をクラスの皆にばらそうとする。
「お〜い!!皆これを見ろよ!!ドドリアの宝物だってよ!!!」
ザーボンの声に二人ほど周囲に集まる。
「なんだよ、ドドリアの宝物って?」
「む。秘密と言うものは他人の物のみ見たいものだ。」
当然、集まったのはウエハーツとサラダである。
「まあ、俺もこれから見てみるんだけど・・。」
ザーボンはそう言って、宝物が入った袋をあさり中身を取り出す。
「は?これって・・・。」
「うえ・・。」
「見るのではなかった・・・。」
見たものを驚愕させた宝物とは・・・・。
310 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 03:59:19 ID:6MOw5duC0
”官能?超絶ヘアヌード?栽培マンとみだらな雫”
税別なんと1500円のお手軽価格だ。
戦いに疲れたサイヤ人から、ゲテモノ好きのあの人まで全てのジャンルをカバー!
くうぅ〜〜!お買い得だよお客さん!!
「うえ・・。きも・・。こんなもの捨てちまおうぜ!」
ザーボンはそう言って、窓から栽培マン本を捨てようとする。
「や、やめろよ〜〜!母ちゃんの処女作だぞ!!」
ドドリアはザーボンの元へダッシュして、彼の手から”宝物”を奪い返す!
「くそ!俺にとっては最高な母ちゃんなのに・・。」
そんなドドリアの目には涙がうっすら溜まっていた。
ビシャァ!!
ドアが一気に開く音。
そして開いたドアの向こうからは銀髪の女子が!
「はう〜〜〜!ドドリアさんを虐めないでくださいよ〜〜!!」
銀髪の女子---------いや、銀髪のかつら被って、令嬢の真似をしたマオが、
大きな声でドドリアをフォローしながらドドリアの元へ向かう。
「あ・・・・。君・・・、いや・・・、ゴメン」
その姿を見て思わず謝るドドリア。
当然、銀髪の女子もとい、マオは良い気分ではない。
「なんであやまるのよ?大体、台本とちが・・。」
「いや、済まないけど、流石の俺もカバーできないよ姉さん・・。」
ウエハーツはマオの姿を見てうな垂れるのだった・・。
-------------------------------------------------------------
311 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 04:00:22 ID:6MOw5duC0
<フリーザ中央通り・その5>
「さて・・、次はこんな方法も・・・。」
ザーボン達がノリノリでプロポーズのため?の事前練習、もとい、コントをしていると、
後ろから取り残された令嬢が話しかけてきた。
「あ、あのう・・。ザーボンさん達は何でコントをしているのですか?」
「あ・・・・。」
ザーボンはこの言葉に令嬢の存在をすっかり忘れていたこと。
そして、これじゃあプロポーズが何時まで経っても出来ないことに気付く。
どうやら、何かをすると周りが見えなくなるのは、この6人の悪い癖のようである。
痛いミスを犯してしまったザーボンは、今やっていた事を誤魔化そうと、シンキングモードになる。
(むむむ・・・。)
ザーボンは数秒ほど考えあぐねたが、これはドドリアがプロポーズをする絶好のチャンスということに気付くと、
「ドドリアが貴方に話があるそうです。」
と言って、ザーボンはドドリアを令嬢の方へ押し出す。
「お、おい!」
無理やり押しだされて、ドドリアは無意識のうちにダッシュして後方へ逃げる。
それもそのはず、自分の考え-----ましてや恐怖すら克服できていないこの状況で、
プロポーズなど土台無理な注文だからだ。
「だけど今しか無いだろ!!今しか!!!」
そんなドドリアの様子を無視する形で、ザーボンは後方へ逃げたドドリアを捕まえる。
「捕獲完了。さっ!行くか!」
ザーボンは、なんの感情も無い台詞を言った後、未だに嫌がり抵抗するドドリアを、
無理やり引きずって令嬢の方へ連れて行く。
312 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 04:00:42 ID:6MOw5duC0
ズル・・・。ズル・・・。ズル・・・。
「いや・・。無理だって!泣くぞ!泣いちゃうぞ?」
子供のようなことを言うドドリア。
「はっ・・。お前が彼女に白い目で見られるだけだろ!一向に俺は構わないね!」
「へ?いや・・。嘘です冗談です!勘弁してください勘弁してください・・。」
予想外のザーボンの突き放した言葉にドドリアは思わず涙目で弁解&謝罪をする。
しかし、ザーボンは歩みを止めない。
「なあザーボン・・・。俺達親友だよな・・。」
ドドリアはさっきと打って変わって、シリアスな声でザーボンに話しかける。
ザーボンはその様子に少し驚いたが、彼の考えていることを瞬時に見抜き、落ち着いて対処する。
「ん?ああ・・・。兄弟だな・・。」
「え?そうだな・・・。うん・・・。」
瞬時に帰ってくるカウンター。
「やはり、ここで逃すわけにはいかないだろう。出来る時にしておかないとな。」
「---------はい・・・。」
一方、そんなドドリアの情け無い姿をまざまざと見る令嬢。
普通なら幻滅する方が多いだろうが、
(こんなドドリアさんも・・、可愛い・・・。きゃ!)
等と、世間の統計とは逆にザーボンの言葉とは反対なことを思っていた・・・。
恐るべしバカップル・・・・・。
---------------------------------------------------
313 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 04:01:52 ID:6MOw5duC0
<フリーザ中央通り・その6>
ザーボンが何とか令嬢の元までドドリアを連れてくる。
一時は落ち着いたが、ドドリアはやはり目の前にして騒ぎ出してしまう。
「む、無理だって!!無理です。NOです。インポシブルです。」
ドドリアの言葉に令嬢は過敏に反応する。
「あの・・。何が無理・・・・ひゃあ!!」
--------が、いつの間にかにマオが令嬢の背後に回ってくすぐり攻撃をし始めている。
どうやらマオは、ドドリアのあの様子を見て、”心の整理が付かないうちにプロポーズをやらしても、
成功するわけが無い”と、思ったようだ。
「きゃははは・・。し、死んじゃう・・・。」
「そうかい。そうかい・・。それじゃあ・・・。存分に・・・。味わいな!!コチョコチョコチョコチョコチョ!!!」
「ひゃは・・・。ふい・・・。無理・・・。死ぬ・・・。」
マオのくすぐり攻撃に死にそうになる令嬢。
「あの人がヤバイ!!助けに行かなけば!トウ!」
と、普段のドドリアなら助けに行くが、こちらもザーボンにきっちりマークされている。
無論、助けにいけるはずが無い。
そんな歯がゆい思いをしながら、ドドリアはザーボンを見る。
「ん?なんだ?さっきまではあんなに行きたがらなかったのに・・・。」
呆れ顔のザーボン。
「まあ・・・。それくらい彼女を思っていれば、大丈夫だと思うんだけどなあ〜。・・・お!そうだ!!」
ザーボンの脳裏にある閃きが!
314 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 04:02:51 ID:abr7xpLm0
「なあ・・。ドドリア?」
「ん?なんだ?」
令嬢の方が気になるのか、声だけザーボンで、頭は令嬢の方を向いている。
「ちゃんと・・・、聞け!!!」
ザーボンはそんなドドリアの態度に、怒りを込めて彼の口を握りしめながら自分の方へ顔を向かす!
「いててててて・・・。分かった!これ以上、口を・・。」
ザーボンは、ドドリアの全身がこちらへ向くのを確認すると、ドドリアの口からやっと手を放す。
「よ〜し・・・。やっと話が出来る・・。」
「はい・・・。」
結局、ドドリアはまるで師匠の前にいるように正座して真っ直ぐにザーボンの方へ向く事に。
ザーボンもその様子に満足して、
「ドドリア。お前がプロポーズできない1つの原因が見つかったぞ!」
と吉報をもたらす!
「え!本当か?一体それは何なんだ?」
ドドリアはその言葉に食いつき、さっきの態度は何のそのといった感じでザーボンにすがり付く。
どうやら、あんな態度を取っていても、内心は葛藤に満ち溢れているようだった。
ザーボンはドドリアの食いつき方に、彼の今の心情を理解する。
そして、ドドリアに向かってプロポーズ出来ない原因の1つを喋り始める。
「うむ。それはな・・。」
それはザーボンが、二人-----------つまり、ドドリアと令嬢を見ていて一番に感じたことだった。
315 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 04:03:20 ID:abr7xpLm0
「ドドリア。プロポーズする時には名前を呼んでやれよ。お前・・、名前とか恥ずかしくて呼んで無いだろ?」
「えっ、え?な、何で知っているんだ?」
ドドリアはこの言葉にビックリし、ザーボンの顔を預言者をまじまじと見る。
「なんでって・・、お前、さっきみたいな緊急時でも、”貴方の思い〜”とか言って
名前を呼んでなかったじゃないか。そんな奴が・・・、なあ?」
ザーボンはドドリアを信頼している事からこそ、ちょっと嫌味っぽく言う。
「むう・・・。そ、そうだな・・・。わ、わかったよ・・・。」
図星だったこの言葉に、ドドリアは自分の言動を今一度振り返る。
(た、確かに・・・。まずはそれくらいは言わなくては・・・。)
そしてザーボンの言葉を皮切りに、今の関係が壊れるかもしれない恐怖と戦いながら、
ドドリアは令嬢へ愛を紡ぐためのパーツを1つずつはめていく。
パーツといっても様々なものがあるが、今回もたらされたのは、
”愛している彼女の名前を呼ぶ。”と言う至極単純なモノ。
パズルでいったら外周の部分に当たるだろうこのパーツ。
しかし、そんな基礎も出来ないで、ドドリアは後のパーツ埋めていった。
例え、どんなに真ん中の大切なパーツが埋まっていても、外周の部分が出来ていなくては、
そのパズルが完成することは無い。
ドドリアはザーボンの言葉から、やっとそれに気付く。
316 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 04:03:56 ID:abr7xpLm0
(そうか・・・・。俺は、滅茶苦茶だったんだ・・。彼女のへの愛し方も全て!
しかもそれは自分の都合がいいように・・・。)
ドドリアは自分の至らなさと、自分勝手さに嫌気がさす。
しかし決して絶望はしていない。
”寧ろそのことに気付かせてくれてサンキューな”といった顔をしている。
(そうだ・・。俺のダメな点が分かったんだ・・。だからこそ言える!俺は彼女を愛していると!
例えプロポーズがダメだとしても、彼女へ対する思いは変わらない!だから!俺は!!)
傍から見ればただの自己満足に過ぎないこのドドリアの思い。
しかし、人に一生は自己満足で出来ているといっても過言ではない。
だから相手のことを真に思うならば、まずは自分の心に決着を付ける。
そう自分の心に決着を付けてから、自分の思いを相手にぶつけて伝えなければ、
相手の心にも決して伝わるはずが無いのだから。
それは一見難しいことかもしれない。
しかしそれが脳が進化した生物の特権であり、神秘。
317 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 04:04:20 ID:abr7xpLm0
そして忘れてはいけないのが、相手との関係が自分の思いをぶつけたからといって、
変わるイコール破局と決め付けてしまうことだ。
(もちろん、自分と相手の思いが初めから一緒ならばそれに越したことは無いが。)
本当に彼女を愛しているなら、今の関係が変わっても愛し続けるはずだ。
例えプロポーズの答えがNOでも、愛し続けるはずだ。
それがプロポーズをするということ、それが愛するものを一生守っていくだけの覚悟の最低条件なのだ。
それを・・・、それをドドリアは分かってはいなかった。
気持ちだけが先走って、相手や自分の事でさえも見えていなかったのだ。
気持ちだけが先走って、プロポーズをするということの意味を履き違えていたのだ。
しかし、今のドドリアの顔はそれに気付いた。
そんな彼の顔はどんな人が見ても輝いているように見える漢だろう。
間近にいたザーボンも、ドドリアの顔を見てまぶしそうな顔している。
そして、ドドリアは自分の心に活を入れると、ゆっくりと令嬢の方へ振り向き声をかけるのだった!!
”愛しいあの人に愛を紡ぐために”
-------------------------------------------------------------------
318 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/11/30(水) 04:08:00 ID:abr7xpLm0
お久しぶりのしぇきです。
大分遅くなりましたが、これで本来投稿する予定の半分です。
長いので、夜にもう一回投稿して終わりにします。
感想は、今日はちょいと、朝早いので後の投稿で書きます。
毎回感想をくれる方々ありがとうございます。
色々、疑問などが書いてありましたが、それについての回答も
今夜書きます。
では失礼します・・・・。
319 :
作者の都合により名無しです:2005/11/30(水) 14:28:31 ID:WGotwDEf0
しぇきさん、お久しぶりです。
プロポーズの決意を固めたドドリア、うまくいくといいですね。
万事丸く収まるハッピーエンドになるのかな?
ただあまりハッピーエンドだと、次のサイヤ人野球に影響がw
しぇき氏お疲れ様です。
いよいよ、この本編よりも長かった番外編もエンディングですか。
色々あったけど、結局ドドリアと令嬢は心が通い合ったみたいで良かったですね。
ラスト楽しみにしてますよ。
いよいよ大詰めですか。
ドドリア、幸せになるといいですね。
原作では汚え花火として散っただけに。
つうかこれ、本編は野球だったことをすっかり忘れてたw
個人的には、VSサイヤ人編は野球にこだわらないで欲しい。
アドベンチャーっぽい作品がいいな。
野球だとどうしても場面が変わりにくいから単調になる。
今回の話は視点が変わってせわしないけど、飽きなかった。
野球は長引くと展開が同じパターンで辛くなる予感。
しかも前に書いたやつとネタ被りそうだし。
勿論、しぇき氏の好みだし、俺は読むけどね。
番外編見る限り、制限なさそうな舞台の方がしぇき氏も
書いてて楽しそうだと思った。
俺的には、野球より今回の方が本編だな。
勝手な戯言しぇき氏ごめん。最終回期待してます。
324 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:07:18 ID:p9WekB1L0
<プロポーズ>
「あ、あの・・・。」
「きゃはあ・・・。え、はい?何ですか?」
ドドリアに声を掛けられて笑顔で応じる令嬢。
それと同時に時間稼ぎをしていたマオは、黒子のようにあっさりとその姿を消す。
「その・・。あの・・。」
「ドドリアさん・・。そういえば、お体は大丈夫ですか?さっきは具合が悪そうでしたが・・。」
「え・・。あ・・。大丈夫です・・。」
やはり心では解決していても実際には、言葉に出すタイミングが上手くつかめないのだろう。
最初と余り変わらないように見える。
(このままじゃ、やっぱり・・・。)
そんなドドリアの様子を後方から見ていたザーボンは、心配な顔になる。
なぜなら今のドドリアの顔は、先程の輝いてみるほど漢らしい顔とまた正反対の顔をしているからだ。
(しかし、これ以上は俺等には無理だ・・。後は、ドドリア自身の問題だからな・・。)
ザーボンはドドリアの様子を見て密かにそう思う。
仕方が無いといっては冷たいかもしれないが、ここから先は”本人にしかどうにかできない領域”
これ以上は確かにザーボンの思う通り、自分たちではどうにもならないだろう。
しかしザーボンにとって、ドドリアは大切な存在。
彼自身にしか道を開けないのを承知で彼を助けようと、”別な事”も考える。
(今、俺に出来ることは・・・。)
325 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:08:35 ID:p9WekB1L0
ザーボンは考える。
”今、自分にできること”を。
結局、現実は自分でどうにかしなくては決して良い方向へは転がらない。
それはどんなことでもだ。
しかし友人や家族は、愛するその人の人生をより良い方向へ転がす道具となってあげることは出来る。
それが友人であり、家族の役目の1つでは無いだろうか。
だから、ザーボンは必死に考える。
大切な兄弟とも思える存在の彼を助けるために。
そして・・・。
ザーボンは”すぐに”思いつく。
ドドリアに助けることが出来る手段を。
恐らく最初からこれしかなかったであろう。自分ではない他人が、その人の為に出来ることなど・・。
しかしザーボンは、別に自分の不甲斐無さに落ち込むことは無い。むしろこの言葉で彼は立ち直ると信じていた。
「ドドリア!!行くんだ!!今しかない!!!」
ザーボンは大きな声でドドリアに向かって叫ぶ。
もはや、令嬢に気付かれようとお構い無しだ。
「ざ、ザーボン・・。」
ドドリアはその声に反応して後ろを向く。その顔は悲壮感に満ちている。
彼もきっと、自分の不甲斐無さに絶望していたのだろう。
ザーボンはドドリアの顔を笑顔で見つめながら、彼を立ち直す言葉--------ザーボンが今できる、
最高の行動を実行に移した!
「ドドリアァァ〜〜!!!お前なら・・・、出来る!!!絶対にだ!!」
326 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:09:29 ID:p9WekB1L0
ザーボンが精一杯考えた結果、今の自分に出来るに出来る最高な事。それは・・・、
そう、応援をすること。
今の兄弟にザーボンが何かやれることと言ったらこれしか無いだろう。
もしかしたらドドリアには伝わらないかもしれない・・。
言葉なんて安いと周りからは言われるかもしれない・・。
それでも、兄弟と思える友人を助けたい一身で叫んだ、心からの言霊だった。
きっと、兄弟に伝わると信じて・・・。
一方、令嬢はザーボンの応援の意味か分からず、不思議そうな顔をする。
(何が今なのかしら??どういう意味だろう・・?)
令嬢が気になって、ザーボン達のほうへ”ひょい”と顔を向けた-----その時!!
「ドドリア。戦場では冷静さも大切だが、時には大胆に行かねばならない場合がある。
それが・・・・、今だ!!!行け!!ドドリア!!!」
まずは普段、冷静で大声などは決して出さないサラダがドドリアに向かって叫ぶ!
「いけええええ!じゃないと、俺達の今日の茶番は何だったんだ!!!」
ゴスッ!!
「って、余計なことを言うんじゃない!!!
それとピンク!今やらなきゃ、ずっと出来ないわよ!好きなんでしょ!」
ウエハーツの迷台詞に拳骨を入れてカバーするマオ。ついでにウエハーツもドドリアを応援する。
そう、ザーボンの言葉は決して安くは無かったのだ。
327 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:10:11 ID:p9WekB1L0
皆に伝わっている・・・。
ザーボンの応援が皆に伝わっている。
「み、みんな・・。それに・・、ザーボン・・。ありがとう・・・。」
そして・・・、ドドリアの心にも。
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328 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:15:36 ID:p9WekB1L0
<プロポーズ・その2>
「あのう・・・。」
「はい。ドドリアさん?何ですか?」
令嬢が笑顔でドドリアに優しく目を合わせる。
ドドリアはやっぱり顔が赤くなるが、ザーボン達の応援によって先程と1つだけ違う所がある。
-------それは目の色。絶対にプロポーズするという決意の色だ。
(よし!い、行くぞ!!)
ドドリアは顔が赤くなりながらも、決意の目を令嬢に向ける。
そして自分の気持ちを紡ぐ為に、まずはザーボンのアドバイスどおり、
令嬢の名前を呼ぶことから始める。
「あの・・あな・・。いや・・、”テッサ”!話があるんだ・・・。今日はその為のデートだったんだ。」
”テッサ”
これが令嬢の名前。
初めて自分の口で紡いだ、愛しい人の名前。
ドドリアは”心臓に大地震でも来るんじゃないか”と思えるぐらい、鼓動が早くなるが、
兄弟達から貰った応援に後押しされて、テッサへの愛を紡ぎ続ける。
「俺は・・・・。テッサ・・。君のことが・・好きだ・・。」
令嬢・・、いや、テッサはこの言葉に顔が真っ赤になる。
ドドリアは愛しい人のその顔を見ながら更に続けた。
「だから・・。その・・、お互い結婚できる年齢なわけだし・・。その・・。俺と・・。」
しかし、ここで詰まってしまうドドリア。
329 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:16:43 ID:57gDf3h80
後、一言・・・。
後、一言が出ない・・・。
これは決してプレッシャーで言えなくなってしまったは訳ではない。
これは決して臆病だから言えなくなってしまった訳じゃない。
これは決して怖いから言えなくなってしまった訳じゃない。
唯・・、唯!この後の運命を知る勇気が無くなってしまっただけなのだ。
(くそ・・、俺には・・、知る勇気すらないのか・・。言いたい!言いたいのに!!)
自分の勇気の無さにふがいなくなるドドリア。
このままでは、また先程のように一言も喋れないダメなドドリアに戻ってしまう!
しかし、ドドリアは一人ではない。
だからドドリアの勇気が足りなくても・・・・・。
「「止めるな〜〜!!!!!!駆け抜けろ〜〜〜!!!」」
みんなの勇気を足せば良い!
(あ・・。・・みんな。ありがとう・・。俺は!!!今度こそ!!)
ドドリアは自分の勇気と仲間の勇気を足して最後まで一気に駆け抜ける!!
330 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:17:19 ID:57gDf3h80
「俺と・・・、ずっとチョコレートパフェを食べてください!!」
ズコーン!!
ザーボン達の頭上に4つほど、どこからかタライが落ちてくる。
(ま、まじかよ・・。あ・・・、婆ちゃんの笑顔・・・・。)
ウエハーツは常軌を逸したプロポーズの言葉に一瞬天国のおばあちゃんを見てしまう。
他の三人も同様に、笑うのを堪えすぎて腹筋がねじ切れたマオや、
あらかじめ決めておいた脱出路へ必死に逃げ込むサラダ。
そして、兄弟であるザーボンは悲しみのあまりに前が見えなくなっていた。
(む、無理だ・・・。)
誰もが”答えはNO"だと思った。
いや、思わざる得なかった!
しかし・・・。
「嬉・・・しいです。本当に・・。」
テッサは顔を真紅よりも赤くなりながら答える。
無論、この言葉はドドリアのプロポーズを受け入れた証だろう。
「「えええ〜〜〜!!マジッすか??」」
ザーボン達が突っ込むと同時に、やはりどこからともなく、何億ものタライが頭上に落ちてくる。
ズコココ〜〜〜ン!!ガラガラガラ・・・。
(彼氏が彼氏なら、彼女も彼女っていうわけか・・・?)
何億ものタライの直撃を食らったザーボン達は、彼等の茶番により崩壊した町並みから聞こえてくる、
「あの塔の下敷きになった奴等を助けてやってくれ!」という声等に現実に戻されながら、ゆっくりと意識を失うのだった・・・。
-----------------------------------------------------------------------------
331 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:20:10 ID:57gDf3h80
〜エンディング〜
<メリダ島・豪邸>
あの告白から数日後。
ドドリアとテッサを含めた毎度の6人は、テッサが住んでいる豪邸でパーティーを開くことにした。
勿論、主役はドドリアとテッサである。
「「改めて・・・、おめでとう!!!」」
シャンパンのコルクが宙を飛びパーティが始まる。
並べられた豪華絢爛な料理に舌鼓を打ちながら、世間話やゲームをする一同。
六人は普段の仕事や悩みなどを忘れて、この幸せな一時を楽しんでいた。
笑顔というのはこういうときに出すものなのだ。
そんなことを書いてしまいたくなる風景。
無論、このパーティの主役の一人であるドドリアもそれを”ひしひし”と感じていた。
しかし・・・・。
332 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:20:50 ID:57gDf3h80
「あ・・。そういえば・・。・・・。あのう・・、ドドリアさん?」
テッサは思い出したように、ドドリアへ話しかける。
「サイ〜クリング〜♪サイ〜クリング〜♪ ・・あ、はい。なんでしょうか?」
幸せの舞を中断して、ドドリアはテッサの方へ向き直る。
「プロポーズの件は私の方はOKなんですけど・・・。父がどういうか・・・・。」
ドドリアがテッサの言葉に反応するより早く、ミスリル三人組が、
”あちゃー。忘れてた!てへ!”
みたいな顔をしながら無言でいそいそと帰り支度を始める。
ドドリアはミスリル三人組の反応に嫌なものを感じ、
テッサに彼女の父親が”どういう人”か聞こうとした---------その時!!
グオオオオ!!!
「な・・・、なんだ?」
あまりの騒音にビックリして外に出る一同。
すると、上空に巨大な人・・・・いや、巨大なロボットが空中で待機していた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
333 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:21:20 ID:57gDf3h80
<メリダ島・庭>
「え〜、ゴホン。ドドリア君とか言ったね・・・。私はテッサの父であるマデューカスというものだ。」
巨大ロボットから聞こえるくたびれた声。
読者の方は忘れてしまったかもしれないが、この声の持ち主はテッサ救出作戦を
提案した時に登場したTDDの隊長っぽい人・・・。
つまりは役職的には副長である。(第二話あたり参照)
ちなみにテッサの親は、彼女が幼いときに他界したので、
テッサの父と親友だった彼が父親代わりとなっているのだ。
「あれがお父義様?」
上空からの突然の襲来にドドリアは驚愕の表情を浮かべていたが、すぐに立ち直り挨拶する。
「あっ・・、お父様。始めまして。自分はドドリアというものです。」
差し障りの無い台詞。ドドリアのこの言葉にマデューカスはもちろん、
「君の父親になったつもりはな〜い!」
とお決まりの台詞を言う。
(よ、よし!ここまでは予想通りだ!)
本当にそんなことを考えていたのかは知らないが、ドドリアはとりあえず
マデューカスと会話が出来たことに一安心する。
ここまでは三流ラブコメにでもありそうな、お決まり----本当にお決まりなパターン。
しかし、現実はそんなに上手く物ではない。
334 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:22:42 ID:t4qoosUM0
「さて、それよりもドドリア君。私は用があってここに来たのだよ。」
「え?それは何でしょうか?」
「まあ・・、結婚のことには違いないのだが・・・。」
マデューカスはそう言って、機体の中で厳しい顔になる。
「君は・・・、彼女。つまりテッサと結婚したいというわけだね。」
「はい!」
ドドリアは迷い無く返答する。
「そうか・・・。では、私と戦ってもらおうか!もし私に勝てれば、彼女との結婚を認めよう!」
「へ?」
ドドリアが間抜けな声を出すと同時に、空にいた機体がゆっくりと地上へ降りてくる。
シュウウウウウウ・・・。ズゥーーーン!
非常に低い重低音。その機体はかなり重いのだろうか?
見かけのスリムなフォルムの割の音にたじろくドドリア。
「さて、それでは殺ろう・・いや、闘うか?この星の人には悪いが、ちょっと派手になりすぎてしまうかも知れん・・。」
そう言って、空手の型を構えるマデューカスが乗ったロボット。
その構えに隙は微塵も無く、少なくともフリーザ級のオーラを感じる。
「いや・・・・。まじっすか?」
突然の展開に困惑のドドリアは思わずテッサの方を見てしまう。
テッサはドドリアの視線に勿論すぐ気付く。
「私の為に頑張ってくださいね!大丈夫です!ドドリアさんなら、きっと・・・。」
飛び切りの笑顔でエールを出すテッサ。
(あう・・。しょ、しょんな・・。)
この応援で、ドドリアは益々後には引き下がれなくなる。
(そうだ・・。ザーボン達に・・。)
今度はザーボン達の方へ向くと、手伝ってくれorどうにかしてくれオーラを全開に出す。
しかし・・・。
335 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:23:36 ID:t4qoosUM0
「お!俺は今日、合コンだったんだ!な?ウエハーツ?」
「え?そうそう。ヤバ!こんな時間だ!じゃ、頑張れよ!」
兄弟であるはずのザーボンと友人であるはずのウエハーツは、
汗をダラダラかきながら”さっ”と、どこかへ飛んでいってしまう。
二人とも、マデューカス+ロボットのオーラに飲み込まれたようだ。
「お、おい!」
しかしドドリアが抗議しようとする頃には、二人は既にどこかへ飛んで行ってしまった後だった。
「じゃあ・・。」
今度はマオのほうへ向くと、やはり・・・・。
「う〜ん・・・。ゴメン!副長が乗っている機体のことは・・、まあ、サラダに聞いて!じゃあね!」
サラダに聞けと助言を残すと、テッサを無理やり抱き抱えてどこかへ飛んでいってしまう。
テッサを抱えていったのは勿論この戦いに巻き込まないためであるが。
「オ〜イ!薄情者!!」
ドドリアは恨み節を唱えながら、”今度こそ”の思いと共にサラダの方を見る。
するとサラダはパーティーの余り物をタッパーに入れながら、、
「うむ、その機体に使われている素材は”カッチン鋼”だ。戦闘力200万は無ければ、傷すらつけることは出来んな。
そして・・・、いや、その機体の性能を教えるのは酷と言うものだな・・。じゃあな。無事を祈る!」
目ぼしい物を入れ終えると皆と同じようにどこかへ飛んでいってしまうサラダ。
「・・・・。」
ドドリアは仲間だと思っていた奴等に見捨てられて落ち込む・・・、と思いきや!
「ふっふっふっふ・・。は〜はっはっはっは!!」
見捨てられたはずなのに、ドドリアはなぜか不敵な笑い始める。
これは決してこの絶望的な状況に狂った訳ではない。
今までなら絶望的な気分に陥るのだが、用務員との戦い以来、
ドドリアにはラムネ・ドライバという限界の無い装置がある!
当然それを忘れていなかったドドリアは、指先にはめているラムネ・ドライバに
全ての希望を乗せてマデューカス------もとい、お父義さんの方へ振り返えって叫ぶ。
336 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:24:45 ID:t4qoosUM0
「分かりました!やりましょう!テッサの為に!!」
マデューカスはその声に満足そうな顔をする。
「よし・・。それでは・・・っと!言っておくのを忘れていたわ!」
マデューカスはうっかり忘れていたある事を思い出し、ドドリアに伝える。
「この私が乗っている機体にはラムネ・ドライバのアンチテーゼ的な装置が入っている。」
「え?」
一気にデフォルメ顔になるドドリア。
「つまり、ラムネ・ドライバでの攻撃は全てキャンセルだ。後・・・。」
マデューカスが「この機体に私を乗せたら戦闘力は4億はでる。」だとか他に色々危険なことを言っているが、
今のドドリアにはそんなことは聞こえない。
ラムネ・ドライバという希望を失った今、ドドリアは”あっちの世界”へ旅立っているようだ。
「つまり優れた兵士は優れた兵器に勝つ言うことだ!分かったか?」
「え?は、はい!」
しかしこの一言にあっちから一気に現実に戻されるドドリア。
「その心意気よし!では、彼女をモノにしたければ、私が乗ったアーバレストを倒してみよ!!!」
「え・・?ちょっと・・・!」
「いくぞアル!」
”ラジャ。マスターモード解除。最大戦速。生物滅殺モードで戦闘を開始します。”
ドドリアの言葉を無視して、いきなりフルパワーになるマデューカス。
グゴゴゴゴゴゴ・・・。
大地が割れ、海が裂ける。
そして鳴り止まぬ雷鳴と共に、竜巻が起こる。
「・・・・・・。」
もはや声も出ないドドリア。
(一体この状況を俺にどうしろと・・。いや、ほんとに・・・。)
337 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:25:29 ID:t4qoosUM0
ドドリアがどうしよう無い感情に支配されていると、フルパワー状態のマデューカスが優しく喋りかける。
「ドドリア君。まずは小手調べだ。」
「いや、上にフルパワーって書いてあるし!!!」
思わず突っ込んでしまうドドリア。
「ふむ・・。突っ込みはまあまあだが・・、後はどうかな?」
マデューカスがそう言うと、アーバレストは狼が大口を開いた時の様子を描いたような構えを取る。
「この構えは・・・、地球いう星で一番優れた構えだそうだ・・。」
「いや、マジで勘弁・・・・・。」
「では・・、いくぞ!!狼牙風風拳!!!」
しかしドドリアがSTOPをかけるよりも早く、戦闘力4億ものロボットが突進してきたのであった!
「N〜〜〜〜〜O〜〜〜!!!!!!」
”頑張れドドリア!!相手は足元が弱点なはず!!”
”そしてテッサと結婚は・・・・もうすぐ?”
<ドドリア&ザーボン編・完>
338 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 01:37:35 ID:t4qoosUM0
どうも、長々お世話掛けましたしぇきです。
これで一応、ザーボン&ドドリア編は終わりです。
次は・・・、どうしようかな・・。
一応、キュイ&リクーム編→ギニュー編→フリーザ編→特訓→野球の予定だったんですけど、
なぜか長くなってしまったのですよね・・。むう・・。
ともかくここまで読んでくださった方には本当に感謝しても足りなくらい感謝です。
ありがとうございました。
実は、ザーボン(以下略)編はギャルゲーオチも用意して
エンディング2パターンにする予定だったんですけど、危険すぎるので止めましたw
>245さん
フリーザは用務員が出てきた辺りで、ザーボンが宇宙遊泳中と言っています。
練習試合で星を壊してしまい、部下達は逃げたので、一人で惑星フリーザに帰らなくてはいけません。
だから、練習試合から三日後の話ではまだ帰ってきていないんですね。フリーザ様は。
>323さん
自分もビックリです。こんなに長くなるなんて。
野球の方はトンデモ方向に持って行けるように頑張ります。
あくまでアプールは練習相手なので。
レスを下さった方々ありがとうございます。
完結お疲れ様でした。
ま、その後いろいろありますが、一応令嬢とドドリアはハッピーエンドですね。
巨大な壁が立ち塞がりましたが、ともかく末永くお幸せにって感じかな?
323ではいろいろと失礼を書いてすみませんでした。
次はキュイ編になるのかな?楽しみにしてますので、これからも頑張って下さい。
340 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 02:07:09 ID:t4qoosUM0
>スターダストさん
照生さんって、原作ではそんな性格でしたっけ?wむしろ火渡りが考えてそうなことばかりだ。
後、それにしても照生が出て来ると、一人舞台になりますね。一人称照生でいろんな作品が書けそう。
まあ、どっかの青さんと違って、一人で先走っても銃弾に撃たれることはされそうには無いでしょうが。
司令部にリアルギレを起こしても。
>ゲロさん
連載が三作もあるのに、ネタはどこから来るのでしょうか。
関心しか出来ません。茄子はぼのぼの。魔女はグサリとナイフで抉られている
ような展開。そして、蟲師は・・・・。次は茄子だそうなので、楽しみにしています。
>NBさん
デュラムと会話するグリードを読んで、彼はトレインと闘わずに決着が付きそうな予感がします。
原作は普通に闘って決着が付きましたが、NBさんの描くグリードは闘って死ぬよう印象を受けなかったもので。
>サマサさん
ドラもんの大長編はかなり好きなので、オドローム参戦に一人ではしゃいでいます。
「塵となれ〜〜」は、ロボットに乗って闘っても耐え切れ無そう。でも、ネタキャラとして出て来ると、悲しいなあ〜。
白銀の剣は出てくるのか?そういえば、あのフクロウは原作では死んで無いんですよね。
オドロームが死んだら、他も消滅するみたいな設定も無かったはずだし・・。ドラちゃんのポケットがまたピンチか?
>邪神?さん
スタンには飛燕連脚と獅子穿孔があるじゃないか!
素手攻撃なので、ディムロスいらずですし。キャリバーはやった事が無いので
わかりませんが、期待してます。
>ふら〜りさん
いつもありがとうございます。
町の破壊状況に対してのザーボン達がしたことは現実逃避ですが、まがいなりにも惑星フリーザ。
塔の一つや二つ頭上から落ちてきても・・。きっと、軍がどうにかするでしょう。フリーザもいないことですし。
長々スイマセン・・。では失礼・・・。
341 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/01(木) 02:09:45 ID:t4qoosUM0
>338
やば、キュイじゃなくてバータです。
なんで間違えたんだろう・・。彼はもう死んでいるのに・・。
>339さん
いえいえ、ここまで読んでくださった上に、
ご意見もいただけてで嬉しい限りです。
では今度こそ失礼・・・。
しぇき氏、とりあえずドドリア編終了お疲れ様です。
ドドリアがドドリアじゃない男前で、また彼の周りの脇キャラも男前でした。
ラストはドタバタになってしまいましたが、一応ラブラブな終わり方でしたね。
次の主役は誰になるかわかりませんが期待してます。
343 :
作者の都合により名無しです:2005/12/01(木) 18:15:45 ID:nK7DLnWv0
しぇきさん乙です。
色々ありましたが、最後は令嬢とうまくまとまったようで良かったです。
お父さんの問題はありますがw
また、新章期待してます。
344 :
ふら〜り:2005/12/02(金) 00:23:53 ID:jams99VB0
>>スターダストさん
例によって原作知らず者の感想ですが……照星サンと根来、シブイですねぇ。鬱陶しそう、
汗臭そうといったマイナス面まで込みで、それぞれ違った意味でリアルに「大人の男性」
らしい。カメラが現場に向くと照星サンの出番はなくなりそうですが、その分根来に期待。
>>邪神? さん
原作知らずその二として。ここまで強くアツく語られてしまうと、どーしてもディムロス
を擬人化していろいろと妄想してしまったり。とか思ってたらすかさず本編の主人公が女
日照りを嘆いておられて反省。シェリル嬢は何やらありそなので、追って貰いたいところ。
>>しぇきさん
赤くなったり青くなったり男らしくなくグズグズと、いやこれこそ男の純情? ともあれ
めでたくゴールイン! ですね。結局サラダたちの騒動、ドドリアの後押しになってない
のがいい。一言二言の応援と、後はあくまでドドリア自身。お幸せに、このバカップルっ。
気づけば、砂浜に立っていた。
眼前に広がる、船ひとつ通らぬ大海原。まるで定規でなぞったような美しい水平線。天
候も悪くない。
左右には、今立っている地点と変わらぬ砂が、延々と敷き詰められている。太陽光を浴
び、ところどころが点滅している。
背中、つまり大地となる方面にあるのは、密林。日本では植物園でしか見ることができ
ないような怪しげな緑が生い茂っている。木々の密度が濃いため、あまり奥深くまでは見
渡せない。
まさか、こんなことになろうとは──。
手榴弾が、破裂した。
考えるより先に、体が反応していた。衝撃から逃げ、犯人を追う。
炎に焼かれた全身を布で包み、下手人たる怪人はひた歩く。堂々とせず、こそこそもせ
ず、あくまでも自然体。好奇や恐怖を向ける通行人も、彼は気にしない。ひたすら、住処
へ向かうのみ。
「逃がすかよ、ヤロウ……」
怪人よりも五十メートルほど後方にて、闘争心を燃やす男。
加藤清澄。清く澄んだ──などという名に似つかわしくない経歴を持つ若者。空手を道
具と断じ、凶器も躊躇なく使用する。水面に浮かぶ油のように、歪んだ空手家だった。た
だし、師匠への尊敬と、それに付随する復讐心は純粋であったかもしれない。
「どこまで行きやがる」
かなり歩いた。
額に汗が滴る。なにせ、歩幅が違いすぎる。怪人にとっての五歩は、加藤にとっての七
歩程度には相当しただろう。
住宅街を抜け、繁華街を突き進み、またも住宅街──ポケットに入った切り札(テグス
にゴム管を被せた凶器)を指で定期的に確認しながら、加藤は進む。
歩いた。何歩も、何歩も。
曲がった。何度も、何度も。
追いかけた。執拗に、執拗に。
気がつくと、加藤は立っていた──いうまでもなく、どこかの砂浜に。
「ど……どうなってやがんだ」
加藤は反芻する。
きちんと追っていたはず。見失ってなどいないはず。手負いの死刑囚をどう料理するか、
醜い未来図に舌なめずりさえしていた。だのに、一体なぜ。
「どうなってやがんだァッ!」
加藤は絶叫した。しかし、だれも答えない。
足下を歩く小さなカニ。苛立ち紛れに加藤はそれを踏み潰した。だが、すかっとなどし
ない。むしろ、カニなどで気分を晴らそうとした自分自身が恥ずかしくなり、胸糞が悪く
なるだけだった。
「くそっ」靴にへばりついた死骸を、砂地にこすりつける。「どうすりゃいい」
あてもなく歩き回る加藤。とにかく、脱出することが先決だ。海岸に沿って歩いていけ
ば、きっと地続きの“出入口”があるはず。
ぶつぶつと文句をいいながら、加藤は歩く。だが、十五分と経たずうちに、結論は出て
しまった。先ほど殺したカニが、彼を寂しそうに待っていたのだ。しかも、死骸からは足
跡が点々と伸びている。だれのものでもない、加藤本人の足跡(もの)。
すなわち、一周してしまったことになる。
「ふざけんなァッ!」
またも、絶叫する加藤。
いくつかの単語が浮かび上がる。漂流だの、無人島だの、ロビンクルーソーだの……。
これらを必死にはねのけようとする加藤だが、だてに極道や空手道をかじった身ではない。
窮地にあって、彼の心は冷静であった。
──自分は、(無人かは分からないが)孤島に閉じ込められた。
愕然とし、膝をつく加藤。ズボンを通して現れる、ざらざらとした砂の感触。夢ではな
く、本物。しばらくの間、加藤は立ち上がることができなかった。
ところが、打ちひしがれた理性を立て直すものがある。それは本能。
いくら絶望しようとも、体機能にごまかしはきかない。乾きと飢え、つまり空腹感が徐
々に加藤を支配していった。
幽鬼のように、力なく腰を上げる加藤。
「ハラ減ったな……」と、腹をさする。
むろん、加藤には食料の持ち合わせなどない。かつて居た世界からこの島へ持ち込めた
ものは、衣服とテグスで作った凶器のみ。ならばどうする。
空腹は体力を奪うが、同時に原動力ともなりうる。
外出がおっくうな怠け者ですら、腹が空けば冷蔵庫をあさったり、コンビニへ出かけた
りする。食べたいという欲求は、強い。
加藤は食料を手に入れる決心をした。まだ今の状況を心から認めたわけではないが、ひ
とまずは差し迫った課題を解決せねば始まらない。この島での生活を乗り切り、夢が覚め
るまで待つか、もし夢でなければ脱出のチャンスを探る。
とはいえ、すでに日は暮れ始めている。海を見ると、まるで刃物で刺されたかのように
青空が赤々と燃え広がっている。
「ってこたァ、つまり──」密林に視線を移す加藤。「急がねぇとやべぇな」
あれだけ木が生えているのだから、果物のひとつやふたつすぐに見つかるだろう──加
藤はこう考え、さっそく茂みへと侵入していく。
入った瞬間、空気が変わった。踏みしめる地面は砂から土へと変わり、体中にまとわり
つく湿気がなんとも気色悪い。
立ち並ぶ巨大かつ奇妙な樹木。おそらく図鑑を調べれば、いずれにも長ったらしい片仮
名の名前がつけられているのだろうが、加藤に分かるはずもない。乱雑に葉や雑草をかき
分けつつ、前進する。
先ほどまでとは打って変わって、加藤は楽観的であった。十分足らずで一周できる島に
あるジャングル。迷うことなどありえない(仮に迷ったとしても出ることはたやすい)し、
実がなっている植物も豊富に見受けられる。いざとなれば、虫でもなんでも食えばよい。
「どうやら、食うものには困らなさそうだぜ」
無作為に選んだ木にローキックを叩き込み、落ちてきたココナッツに似た実を手に取る。
しかし直後、加藤の顔が凍りついた。
唸り声。鋭い眼光。音も立てずに眼前に現れた、猛獣。黄と黒とで構成された縞模様が、
そのまま立派に身分証明書となるであろう。
──密林の王者。タイガー。
「とっ、ととと、虎……!」唾を飲む加藤。
かつて、愚地独歩はこれを倒した。倒せるであろうか、自分で。
加藤の中で、疑問符が発生する。──と、この精神の虚を野性で見切ったのか、虎から
駆け出してきた。
お久しぶりです。
加藤復活記念に、彼を主役にしてみました。
350 :
作者の都合により名無しです:2005/12/02(金) 13:38:13 ID:x8ot4uI80
サナダムシさん復活、乙です!
マイフェイバリット職人のあなたが復活してくれて本当に嬉しい!
正直、年内は無いと思ってました。応援してます。
しかも元ネタはバキ!それも通好みのw加藤が主役!
最初から今回はシリアスっぽいですね。
原作ではありえない、カッコ良くて強い加藤を期待してます!
うぉおおおおおおおお!
サナダムシさん復ッ活ッ!
あれだけドリアンにぶちのめされながらも復活した不屈の加藤
どう転ぶのか非常に楽しみです!
復ッ活!サナダムシ復活!復ッ活!サナダムシ復活!(烈調で)
いや、マジで嬉しいです。
しかもバキスレなのに最近バキねたが無い所に、加藤ねた。タイムリーです。
以前にも増したご活躍をお祈りしてます。
第三十三話「妖霊大帝」
「・・・ん。のび太くん!」
「ううーーーん・・・ドラえもん、もうちょっと寝かしてよ・・・」
「起きろ!」
「うわっ!?」
がばっと身を起こすと、そこに広がっていたのは、ザンダクロスのコクピットだった―――
「え・・・?なんでこんなところに・・・」
眠る前の出来事を思い返す。ラクスに出会い、騙され、そして―――
「気が付いたら、こんなところにいたのよ」
リルルものび太の顔を心配そうに覗き込んでいた。モニターから辺りを確認すると、仲間たちの機体も見える。
どうやら全員、無事ではあるようだ―――いや。
「リルル・・・キラの<フリーダム>は?」
「分からないわ。他のみんなはちゃんといるけれど・・・キラだけははぐれてしまったのかもしれない」
「そんな・・・探さなくちゃ!」
「そうは言うけどな、のび太。ここがどこなのかも見当もつかないんだぜ?」
通信装置からムウの声が響く。
「キラのことも心配だが、今は俺たち自身どうなるか見通しがつかねえ。せめてここがどこかだけでも分かれば
いいんだが―――なにやら、とんでもなく怪しいところだってのは分かるんだが。ほら見ろ、なんなんだあの
わけの分からん動植物は!」
ムウの苛立ちの混じった声に周りを見回すと―――
「うええ!?」
思わず悲鳴を上げる。狂った芸術家が丹精込めて造り上げたおぞましいオブジェのような異様な動物たちが
空中を泳ぎまわり、とてもではないが観用にはできそうにない花々が揺れている。のび太はただただそれを
気味悪がるだけだったが、ドラえもんはなぜか難しい顔をしてのび太に詰め寄ってきた。
「のび太くん・・・ここ、見覚えない?」
「見覚えって、こんなとんでもないところに見覚えなんて・・・」
「ほら、あれだよ。<夢幻三剣士>を思い出してよ!」
「<夢幻三剣士>・・・それは覚えてるよ・・・あっ!?」
のび太もそれに思い至った。今見ている風景は、あのゲームの最終決戦の地―――幽迷宮を取り巻く風景に酷似
していたのだ・・・。
「おいおい、二人で納得してないで、俺たちにも説明しろよ!」
ムウがそう言って急かす。
「ムウさんは<気ままに夢見る機>って知ってますか?」
「ああ、知ってるよ。確かひみつ道具の一つで、カセットを差し込むと眠っている間に色んな夢を見て遊べる
っていう・・・」
「そう、それです―――その中に<夢幻三剣士>っていうカセットがあったんですけど―――それに、全く
そっくりな場面があったんです!」
<・・・よく分かんねえけどさ。つまりお前、ここは夢の世界だって言いたいのか?>
マサキの問いかけに、のび太とドラえもんはこっくりと頷く。
「しかし・・・それなら何故、ぼくらはちゃんと機体に乗ってるんでしょう?アヌビス、君なら分かるか?」
そこまで話を聞いていたペコが口を挟んだ。アヌビス―――ペコの愛機の名であり、それに搭載された自律思考
型AI―――はそれに答える。
<少々難しい質問だな・・・私自身、状況を把握できていないこともある。ただ、推測を述べるならばこうだ。
ここがあなたたちの夢の中の世界であるというのなら、私や他のロボットたちは現世にある本物ではなく、あなた
たちのイメージによって作られたものであるのかもしれない。この世界へと送られる際に危険を感じたあなたたち
が無意識のうちに我らに助けを求め、それがそのまま形となった―――まあ、実際にこうして我々がいる以上、
このような推測に意味はない。言ってしまえば、作者の都合だ>
「それを言ったらおしまいじゃないか・・・」
ペコは嘆息した―――そのときだった。
「おい―――おい、フー子、プリムラ、どうしたんだ!?」
「ちょ、ちょっと、大丈夫!?」
稟の焦った声が、のび太の意識をそっちに向けさせた。
「り、稟さん、亜沙さん。二人がどうかしたの!?」
「わ、わかんない・・・二人とも、急に震えだして・・・」
亜沙のおろおろした声が、余計に不安を増大させる。のび太は思わず叫んだ。
「プリムラ!フー子!どうしちゃったのさ!?」
「の、のび太・・・なんだか、怖いんだ・・・すごく怖いやつが・・・ここに来る・・・」
「だめ・・早く、ここから離れないと・・・悪魔が、ここに・・・」
二人の言葉ははっきり言って要領を得なかったが、のび太に最悪の連想をさせるには十分すぎた。
<夢幻三剣士>の世界。夢の世界。すごく怖いやつ。悪魔・・・。それが指し示すものは、一つしかない。
「まさか・・・そんな・・・だって、あいつはやっつけたはずなのに・・・」
<クク・・・確かに、その通り・・・ワシは確かにあのとき、貴様に斃された・・・>
地の底から響くような声が、全員の背筋を凍りつかせた。
<だが、ワシを蘇らせた男がいる―――ふはは、貴様もよく知っているだろう。あの<狐>を名乗る男だ>
「な・・・なんだって!?」
<あの夢カセットは回収された後、巡り巡って<狐>の元へと辿り着いた―――そして奴はそれを解析し、ワシ
を復活させたのだ―――>
「やい、てめえ!わけの分かんねえことばっか言ってないで、さっさと出てきやがれ!」
ジャイアンが恐怖を捻じ伏せ、啖呵を切った。それに答えるかのように、巨大な闇が地面から染み出し、それは
おぞましい怪物の形を取った。
山羊に似た頭部は、西洋の悪魔を思い浮かべればよかろうか。黒いローブを纏った姿は、さながら邪教が祭る
異形の神を思わせた。枯れ木のような腕が、不気味な杖を握り締めている。
そして異形の神は名乗りを上げた―――!
「我が名はオドローム・・・<十三階段>六段目にして<妖霊大帝>オドロームなり! 」
投下完了。前回は
>>277より。
ちょっと短いですがきりがいいので。
しかしアニメSHUFFLE!の稟は真中レベルのクズ男になっちゃったなあ・・・
原作じゃエロゲ主人公には珍しい男前なのに(泣)
ヒロインの一人は精神崩壊一歩手前になるし、どうなるんだよこの先このアニメは。
>>279 映画の敵としては結構マイナーですしね(多分)
>>ふら〜りさん
だめですよ、今後の展開をバラしちゃ!・・・あ、言っちゃったwまあ信じるかどうかはあなた次第で。
まあ生身でUSDマン急に強いやつなんてギャグパートのDCSアスランくらいですが(笑)
>>281 みんなキラが洗脳されるのを期待していたようで、反響がでかくて驚いてますw
>>282 元ネタ知らなくても楽しんでもらえるように・・・とは思ってるんですが、いかがなものか。
>>283 敵になった途端やたら強気なキラの活躍にこうご期待w
>>しぇきさん
ここでマデューカスか・・・そりゃ勝てんわwしかし戦闘力4億って完全体セルより強いんでは?少なくとも
フリーザは楽勝で越えてるようなw
オドロームはネタキャラではないのでご安心を。この戦いが中盤の山場になる予定です。
>>サマサさん
乙です。
オドロームがとうとう登場しましたね。やっぱり攻撃する時は
「塵になれ・・・」なのかな?(そのセリフは俺にとってはオドロームの名セリフ)
358 :
作者の都合により名無しです:2005/12/02(金) 23:51:41 ID:ZbqWXtkL0
>サナダムシさん
お、復活嬉しいです。正直、今年はもうあなたの文見られないと思ってました。
バキスレなのにバキがないという現状を打破する新連載、楽しみです。
なんか加藤がのっけからかっこいいですね。期待してます。うんこも見たいなw
>サマサさん
<妖霊大帝>オドローム、また強そうなのが出てきましたね(元ネタ知りません)
これから出る十三階段はネタキャラじゃなくて、すべて実力者っぽいですね。
ドラ&稟チームがどうするか、期待してます。もう1回位パワーアップするかな?
サマサ氏乙です。量は少ないけど、重要そうな話ですね。
あと十三階段って何人生き残っていたんだっけ?
最後は総出演で戦争かな。
十三階段でまた未登場なのは、後二人だね
つか読み返してみたら、まだ9人も健在なのな
一発ネタで終わった奴もいたからもう半分くらいは倒したように思ってたが
まだ9人もいるのかw
ほとんど残っているって事だね。
サマサさん頑張ってね。
まとめサイトの登場人物の紹介・十三階段で抜けてるところの解説です。保管お願いします。
三段目―――フェニキア
「のび太と翼の勇者たち」に登場した竜の姿をした怪物。この作品では機械の身体を手に入れ、さらに言葉まで
喋れるようになり、大幅にパワーアップしてのび太たちへの復讐を狙う・・・のだが、見事に覚醒サイバスターの
カマセとなってしまった。
六段目―――オドローム
「のび太と夢幻三剣士」に登場した敵。悪魔のような不気味な姿に、数々の強力な魔法を使う。
劇場版悪役の中でも、個人の実力的には最強レベルか?
七段目―――ラクス・クライン
ガンダムSEEDに登場。恐らくガンダム史上で最も視聴者から叩かれた女。平和のためと言いつつ
被害を拡大させているようにしか見えなかった(笑)。
今作では完全な悪役として登場。
九段目―――キバヤシ
「MMR(マガジンミステリー研究会)」主人公。その凄まじい論理飛躍は見るものを魅了してやまない(多分)。
困ったことがあるとノストラダムスに結びつける悪癖がある。
実際まだまだ大勢残ってるんですよね・・・頑張ります。
トリップ入れ忘れw
失礼しましたー。
364 :
作者の都合により名無しです:2005/12/03(土) 20:28:45 ID:42KhGw8n0
ノリノリだなサマサさん。
その調子で頑張ってくれ。
365 :
茄子:2005/12/03(土) 22:26:50 ID:ReCnLgSf0
その15 ショートショートショート
深い海に沈んでいるようだった。呼吸が出来ない。今の僕は自分の周りを薄い
ラップのようなものでぐるぐるに巻かれた残りの焼き鮭だった。
それがある時は卵焼きになったり、たらこになったり、茄子の漬物になったり
するだけで、基本的には変わらなかった。
――動けない。動かなくちゃ。
――動けない。動かなくちゃ。
――動けない。動けない。動けない。
深い海にいるんじゃないか。ラップで包まれているんじゃないか。そう錯覚し
てしまうほどに息苦しくて、死にそうだった。
この感じはあれに似てる、そう、あれは、あれだ、昔、まだ中学生の頃、何か
悪いことをして、明日学校に行ったら、まず、十中八九、間違いなく、担任の教
師とか、学級主任とかに、怒られるだろう、感じ。
あるいは、なんだろう、逮捕前夜の、容疑者。の気持ち。
グリーンマイルを歩く、受刑者の、気持ち。
足場の崩れる音が体中に響いて、死を確信して、何故か笑顔になっちゃってる、
崖に立つ、男の、きもち。
前に、芋煮会で、料理の、不味さを、知っていたけど、断れなくて、それで、
結局、彼女の、作ってきた、弁当を、食べざるを得ない、状況に、陥った、男の、
きもち――
包まれたまま圧しゅくされていく、ぼくのなかで、どんどん、ふくらむ、のは
――
ぜつぼうをえにかきました。
ぜつぼうをえにかくと、まっくろになるかとおもってたけどそれはちがいました
とつてもきれえでとおめえでぎらつてしていましたぼくわそれおみてわらいました
ぼくわすごいとおもいましたここにわだれもいないのです
366 :
茄子:2005/12/03(土) 22:27:25 ID:ReCnLgSf0
小さな命が、僕の目の前に降りてきた。
それはなんと言語を介した。
名前は「ペー」というらしい。
僕はもちろんそれをすぐに受け入れたりはしなかった。すぐに人(?)を信用す
るのは宜しくない。まず分析をしてみよう。
形状は、ラグビーのボールに目と口が付いている。鼻はない。ラグビーのボール
と言ったが、茄子にも似ている。あるいは小さい米俵。
こんなもん、受け入れられるわけねえよなあ。
声は、なんだろう、アニメっぽい。最近テレビのバラエティーとかでよく見る、
アキバ系? なお兄さん達が好きそうな声。あと喋り方もそんな感じで。
見た目に合わない。
僕への態度は、極めて紳士的で懇切丁寧。
その発言内容は、細かいところまでは分からなかったが、どうやら地球侵略。
ここまでを総合――お引取り願いたい。
「あの……帰ってくれない?」
「帰れですか? それなら私はお兄ちゃんの傍にずっといるです」
「…いや……『帰れ』って意味、分からない?」
「至らない妹ですが、どうぞ末永くよろしくです」
「…………ねえ」
「なんですか? お兄ちゃん」
「…………殺してくれない?」
「誰をですか? お兄ちゃん」
「俺を」
「分かりました♪」
367 :
茄子:2005/12/03(土) 22:28:06 ID:ReCnLgSf0
男は陸橋の下、朝七時頃いつもいた。理由は女子中高生のパンツを観賞するため。
当然誰かには気付かれ、悲鳴を上げられ、連れて行かれるが、次の日にはやっぱり
いる。なんでも、とてつもなく偉い人の息子だとかで。
私は見られる側の人間なのだろうが、別に見られても減るもんじゃないし構わない
という考えを持っていた。周りの子はジャージをスカートの下に結構穿いていたが、
見た目があまりにみっともないので私は真似しなかった。確かに冬は太股辺りの感覚
がなくなることも多々あるが、それに耐えてこそ女子高生だという自分でも訳の分か
らない自負を持っていた。
私は階段を降りながら下を見た。たまたま、目が合った。男のズボンから茄子(比
喩的表現)が出てきていた。さすがに私も悲鳴を上げた。皆も悲鳴を上げた。連れて
行かれた。
昨日は悪かったな、と私は思った。昨日は、私の叫びが周りの子に伝播したのだ。私
は男に謝ることにした。男も今日は茄子を出してはいなかったので、私も叫び出さずに
済んだ。まあ、昨日で耐性は出来ていたと思うし、不意打ちだったせいもあると思う。
それに何も初めて見たわけではないのだから。私は深呼吸をする素振りをした。
「はじめまして」
私は言った。男は上を見続けていて、私の方を向かずに、
「はじめまして」
と鸚鵡返しに言った。
「なんでずっとパンツを見てるんですか」
かねてからの疑問をぶつけた。
「それはね」
「それは?」
「好きだから」
「…………」
変質者のくせに、あまりにも捻りのない回答。
私はこんな男に興味を持ったことを恥じたので、悲鳴を上げて捕まえてもらった。それ
でもやっぱり次の日同じ時間にいたが、もう本当にどうでもよかった。
一本目:こんな毒にしかならない話を臆面もなく書けるのが2ちゃんねるのいいところですね。
二本目:特になし。
三本目:この女の子は多分、若手芸人見てシビアに批判してるタイプ。
雪が降ってきました。
>>259 最初はいつものように平凡になるように話を落とそうと思ってたんですが、書いてるうちに狂いました。
今回は五回で終わらそうと思います。けど五話は既に頭の中で完成しているので、はやく書いちゃい
たいなあ。
>>260 茄子が必ずしもほんわかとは限らなかったりします。ほんわかの比率が高いのは間違いないんですが。
原作もそれは同じです。
>両極端の作品を2つ同時進行で書く方が作者さんも楽しめるのかな?
そうですね。それは間違いないです。あと、なんでも書けるのが理想だと思っているので、それもあります。
タイムリーへの返答ありがとうございます。なるほど。
>>274 そうですね、この話だけで中編といえるくらいになるかもしれません。
でも救いのない話は嫌なので……まあ、まだ決めてないんですけど。
>>280 俺も小説読む時は頭に絵を描きますが、音楽までは流れないですね。凄い。
静かな四面楚歌……そんな感じを出したいですね。
>>282 あまり悲惨にはならないようにしますね。
>>340 ネタがキーボードで打ち出す前に浮かんでる時とそうでない時があります。ここ三回の更新は後者です。
即興で書くのは好きですが、ここまで極端なのは短編でしか通用しないやり方だろうなあ、と最近痛感して
います。
しぇきさんのドドリアを読んでしまうと、原作であっさりやられるシーンが妙に物悲しく感じられるようになって
しまいそうで、いいですね。背景のあるキャラは理想的です。
では次回。
「いったい何を話してるんだろ。」
のび太の部屋に集まった7人の会議。中心になっているのは海底人のようである。
窓の外から様子を見つめるヤマト神帝は、窓にペッタリはりついて両の目を大きく
まんまるく開いてみたり、耳を懸命にそばだててみたりと忙しい。
「ふんふん。蛇の話か。うん。だいたい合ってるねえ。あの海底人もなかなか鋭いな。
今話に加われば、話はけっこースムーズに進みそうなんだけど・・・。・・・おっと!」
突然立ちあがった海底人が窓の方に近寄ってくる。ヤマトは慌てて顔を引っ込めた。
「う〜ん、だけどやっぱり“勇者”じゃない者を巻き込むわけにはいかないよなあ・・・」
ヤマト神帝はあきらめて屋根の上にゴロンと寝っころがってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エルは再び、ドラたちの方を向いて話を続けた。
「世界に迫っている危険はそれだけじゃない。」
「え?」
「実は、僕らムー連邦には“蛇”のほかにもやっかいな問題を抱えているんだ。」
エルは6人の顔を見渡した。
「ポセイドンが統べる“アトランティス”を覚えているかい?」
「忘れるわけないよ。あんな怖い思いしたんだもの。」
のび太やジャイアンが声を合わせて即答する。
アトランティス―――――海底人エルと出会い、海底国家ムー連邦を知ったそのとき、
彼らは戦っていた。海底鬼岩城に潜み、世界を滅ぼさんと暗躍するポセイドン率いる
“アトランティス”と。ドラえもんたちの活躍と、そしてしずかの優しさに触れて、
電子頭脳の奥底に眠る勇気を振り絞って戦った海底探索車バギーの尊い犠牲によって
ポセイドンは滅んだのだった。
しかし、当時海底探索に参加していなかった出木杉にとっては初耳となる単語である。
が、そのわずかなやりとりに、彼らの冒険が安穏としたものではなかったことを悟り、
そして―――――その傍らでそっと胸をおさえ、少し悲しそうな影をおびたしずかの
表情に戸惑いを見せていた。
エルは戸惑う少年たちを見渡して問いかけた。
「あれほどの超科学。超頭脳。結局、アトランティスの正体はなんだったと思う?」
「・・・え?正体!?」
「そう。ポセイドンの正体と言い換えてもいい。」
「キミたち陸上人がまだ石器の時代を生きていたころ、
僕ら海底人が、既に高い文明を持っていたことは前に話したよね。」
「うん。」
「海底には何百という小国が集まって、ムー連邦とアトランティス連邦。
2つの対立する巨大な連邦を形成していた。どちらも既に高度な文明を持ち合わせて
いた。それに対し、陸上ではまだ野蛮な狩猟や採集にいそしんでいたころだ。」
「う〜ん、事実とはいえ、複雑な心境だなあ。」
ともすれば海底自慢にも聞こえかねない話にげんなりするドラ一行。
しかし、エルの口調は変化した。
「だけど、改めて考えてみる。なぜ文明にそこまで大きな差が開いたのか――――」
「う〜ん・・・。それは実は、前から疑問には思っていたんだ。」
ドラえもんが話に割り込んだ。エルと講師を交代したかのように疑念を語り出す。
「僕らは、いつかの教育ドリームとかいうので聞かされたよね。海底人とは
“人が母なる海に帰っていった姿”なんだって。その話に少し違和感が残ってたんだ。」
「なんで・・・?」
のび太たちがキョトンとした顔で問う。エルのドラえもんを見るまなざしは
真剣なままである。ドラはその真摯な目をまっすぐに見返しながら語った。
「エルくんたちの体は―――――僕ら地上人となんら変わりないんだ・・・!」
「・・・へ?」
「そんなの当たり前じゃん。同じ人間なんだから。」
拍子抜けするジャイアンたちにドラえもんは冷静に切り返した。
「当たり前なもんか!自分の手の平を見てみな。」
ジャイアンとのび太は言われるままに、自分の手の平を眺めてみた。
「指と指の間に水かきみたいなのがついてるだろ?それは人間が昔水中で生活して
いたときの名残だとも言われている。キミらにだってそんなものが残ってるくらいだ。
海に適応した人間、海底人に水かきやエラのひとつもついてないのはおかしいよ。」
「・・・そういえば・・・!」
「そもそも進化の過程で海へと帰っていったというのなら、彼ら海底人たちが
いまだに“テキオー灯”に頼って生活しているのはおかしな話だ。」
ドラえもんの言う通り、ムー連邦の民はみな、テキオー灯を使って生活している。
しかし、進化の過程で海へと移り住んだのならば、本来、その肉体に決定的な変化が
現れているはずなのだ。つまり――――
「つまり海底人が海へと帰ったのは―――――――――」
「のは・・・?」
「じょじょに海に適応していったのではなく――――――――」
「なく・・・?」
ドラえもんが導く結論の最後を紡いだのはエルだった。
「そう。僕らの祖先は、ある日突然、海に適応して海に移り住んだんだ。テキオー灯を
使ってね。だけど、そこでもう一つの疑問が浮かんでくる。テキオー灯と、それを生み
出すほどの文明があれば、あえて海へと帰っていく必要性があったのだろうか。」
「う〜ん、それは・・・・」
のび太とジャイアンは頭をかきむしりながらうなった。どうやら脳味噌がパンクしそうに
なっているようだ。そんな彼らに向けて、エルはある仮定をつきつけてみせた。
「我ら海底人の祖先を、外部よりテキオー灯を持ち込んで、海へと導いた何者かが
存在する・・・!」
エルは再び窓へと向かった。まばゆい窓の外を瞬きもせず静かに見つめながら――――
「石器時代よりもさらに大昔の話だ。この広大な銀河の遥か彼方――――――――」
エルはとうとうと語り始めた。知られざる太古の歴史を―――――――
「M88星雲と呼ばれる、我々には想像もつかないほど果てしなく遠い距離に。
現代の地球の常識を遥かに超えた超科学力をもった星があったという――――」
エルの拳に知らず知らず力がこもる。
「人の身には巨大すぎる力を手にした彼らは――――――醜い争いを幾度も繰り返し、
ついには――――自ら生み出した超科学の力によって滅び去った―――――――」
話を遮って、口を開いたのはドラえもんだった。
「ひょっとしてその星が・・・・・?」
エルはコクリと頷く。
「そう。その星の名は―――――――“アトランティス”!」
『アトランティス!?』
驚愕するドラ一行。エルはさらに話を続ける。
「かろうじて生き残った人々は、“方舟”と呼ばれる宇宙船に乗って脱出した。」
エルはまるで教科書を朗読しているように流暢に語る。
「あまりにも発達しすぎた科学力と醜い争いによって滅びた母星アトランティス。
その惨劇を二度と繰り返すまいとする良識あるアトランティス最後の王の一派と、
そして、アトランティスこそが世界の支配者たらんとする狂信者ガーゴイル一派、
しかし―――――――母なる星が滅びさってなお、彼らは争そい続けた。」
一拍の呼吸。エルは続けた。
「ガーゴイル一派は地球を守らんと戦うアトランティス最後の王の前に
敗れ去った・・・」
「じゃあ・・・」
「そう。戦いに勝利したアトランティス最後の王の一派が僕ら海底人の祖先を
海へと導いたのかもしれない・・・。それが海底国家の始まり――――――」
「ふうん。それが真実だとしたら、エルさんたち海底人が争いを好まない理由の一端が
そこにあるのかもね。」
「ふふ・・・そうかもね。そして、そのガーゴイル率いる一派の名を覚えておいて欲しい。
一派の名は―――――“ネオ・アトランティス”!」
「だけど、なんでそんな昔のことが今になってわかったの?」
のび太の質問に、エルはニヤリと笑った。
「いくらなんでも鬼岩城をそのまま放置してたと思うかい?」
「あっ!じゃあ・・・」
「そう。鬼岩城跡地のさらに地下の奥深く、彼らの超文明が作り出した超施設が
残されていたんだ!」
「その後の調査と研究でわかったことなんだが―――――――――
ポセイドンとは元々、アトランティス―――――そうだね。少々わかりにくいから、
本当のアトランティス、すなわち“真アトランティス”とでも呼ぶことにしようか。
ポセイドンとは真アトランティスの超科学が生み出した人工知能のことだったんだ。
それが彼ら真アトランティス人の生き残りと共に地球に持ち込まれ―――――――
永い時を経て暴走したらしい。ポセイドンの暴走は、真アトランティスの名を
引き継いだ海底国家アトランティス連邦を滅ぼすことにつながった。」
エルの表情がさらに引き締まった。
「そしてこれは最近の話だ。」
ドラたち6人は、エルの表情の変化に、ついに話の核心が来たことを悟る。
「どこからやって来たのか、目的は何なのか。一切わからない。ある日突然――――――
“ネオ・アトランティス”を名乗る者たちが現れたんだ!」
「・・・・“ネオ・アトランティス”!?」
「え?でもネオ・アトランティスって大昔に滅びたんでしょ?」
「いたずらかなんかなんじゃ・・・?」
「それはさすがに考えられない。現在、ネオ・アトランティスの名を知る者は
国家の中枢にいる者たち数名と国家機密研究員だけに限られる。そして――――――
その名“ネオ・アトランティス”は事実ハッタリなんかじゃなかった。」
ゴクリとつばを呑むドラ一行。語るエルの頬に大粒の冷や汗が伝う。
「彼らは鬼岩城を超える超兵器を携えて、僕らムー連邦に戦線布告をしてきたんだ・・・!」
今回分終了。お久しぶりです。
脳味噌がパンクしそうなのは、のび太でもジャイアンでもなく
僕だったりします。次回、説明パート、もうちょっと続きます。
なんとか今スレ中には区切りのいい所まで投下したい所存です。
うみにんさんGJ!
ネオアトランティス!ナディアですか!凄い風呂敷の広げ方だ!
一人蚊帳の外のヤマト神帝、はたして挽回のチャンスはあるんでしょうか?
次回も期待しております
ドラ世界のアトランティスとナディアのネオ・アトランティスを繋げてしまう
その非凡さには本当に目から鱗です。今から続きが気になって仕方がないです。
いきなり倒された。
加藤は虎の頭から突っ込むようなタックルで、いきなり倒された。
「ひゅっ」本能的に拳を繰り出すが、寝ている状態では効果は薄い。怯ませることすらで
きない。
牙が迫る。噛まれれば命はない。加藤は反射的に右腕を出し、あえて噛ませた。
「ぐぅっ……!」牙が食い込む。長袖の服を着てなければ、骨も危なかった。とにかく、
いつまでも肉を味わわせてやるわけにはいかない。「キョラッ!」
残った左拳で、虎の右耳を強打する。虎が嫌がる。
「おらぁっ! 離れろ、クソヤロウッ!」
耳を連打、連打、連打。左フックで、耳を徹底的に狙う。
牙が右腕から遠ざかった。間合いを外しながら、立ち上がる加藤。だいぶ出血している。
虎も耳を打たれたことにより、少々平衡感覚が鈍ったようだ。攻めあぐねている。
「立ちゃあ、こっちのモンだぜッ!」
一般人ならば、確実に殺されていたであろう虎との初攻防(ファーストコンタクト)。
これをぎりぎりで凌いだ加藤は、自信を取り戻していた。自分はそこら辺を歩いている有
象無象とは違う。自分には、空手がある。
「セイッ!」ワン。左正拳。
「どりゃっ!」ツー。右正拳。
「しゅっ」スリー。右ミドル。
「セイヤッ!」ダメ押し。左後ろ蹴り。ボディへクリーンヒット。
虎が後方へふっ飛ぶ。改心の笑みを浮かべる加藤。
「よっしゃあっ! これで館長に並──」
しかし、笑みは徐々に引きつっていく。虎は立ち上がってしまった。今日中にでも殺人
犯になれたであろうコンビネーションを喰らってなお、何事もなかったかのように。
これが──野性の持つ耐久力(タフネス)。
「効いてねぇってか」
虎は唸る。ダメージは与えなかったが、怒りだけは与えたらしい。
「だったらよう」加藤とて怒っている。空手技を喰らって倒れぬなど、もっとも空手を侮
辱する行為なのだから。「効くまでやってやるぜ、トラ公ッ!」
血を撒き散らしつつ、加藤が跳ぶ。飛び足刀狙い。が、虎はさらに高く跳び上がった。
「え」空中にて見上げる加藤。「高ぇ……」
頭上から振り下ろされる、爪。掌底に近い一撃をもらい、加藤は地上へ激突した。容赦
なく、虎は加藤に着陸する。三百キロ以上のボディプレスに、呻き声をもらす加藤。
「こんなのに、勝ったのかよ……」
虎に雀の涙ほどの抵抗をしつつ、加藤は独歩の姿を思い浮かべる。師匠に憧れ、虎をも
屠る戦力に憧れ、空手を習った。ところがどうだ。あれから、自分は師匠に近づけただろ
うか。どんどん遠ざかってゆく、背中。寂しそうに手を伸ばしながら、加藤が奮起する。
生きねばならない──追いつくまでは、絶対に。
「けりゃあっ」貫き手。
喉に四本指が突き刺さり、わめき出す虎。よたよたと起き上がる加藤。
「ト、トラ公……なめてんじゃねぇぞ!」
起死回生の眼突き。人差し指と中指を、虎の両眼へと放つ。決まれば、逆転必至。とこ
ろが、加藤も万全ではない。的を外してしまう。指跡がふたつ、眼の近くに築かれただけ
であった。
なぎ払われる、爪。加藤は胸を鮮やかに切り裂かれた。
「マジかよ」
胸部から噴き出す血液に、急速に加藤の脳みそが冷えていく。
戦っている最中はとかく気づきにくい、否、気づかぬふりをする、しなければならない。
ところが、冷静になった加藤はもう、気づくしかなかった。
──これは、勝てぬ戦だ。
敗北すれば絶命は免れず、柔らかい内臓は丸ごと食い散らかされ、後には白骨だけが晒
される。いや、骨すら厳然たる食物連鎖の一部となるやもしれない。
「ひっ」加藤は身震いした。「死んでたまっかァッ!」
空手家は逃走を選択した。
木々を縫うように、じぐざぐに走る加藤。背後からは虎のせわしない足音が聞こえる。
しかも音は大きくなってゆく。明らかに向こうの方が速い。
走りざまに枝や葉を木からちぎり取り、後方へ放り投げる。少しでも、虎の走行を妨害
するためだ。しかし、足音から察するに、あまり効果は感じ取れない。おまけに、地面は
慣れぬ土。思うように足が動かない。
虎が迫る。背後から飛びつかれれば、非常に危険だ。加藤はやけくそに背後へ蹴りを放
り込む。「ぎゃんっ」当たった。少し差が開いた。
二十秒ほど走ると、海岸が見えてきた。あそこに辿り着けば助かる、などという保障は
ないのだが、少し加藤が安堵のため息をつく。ラストスパート。
脚力をフル活動させ、アメフトのタッチダウンのように加藤は砂浜に滑り込んだ。
「くっ」体中が砂まみれになる。「くはっ」
加藤は慌てて後ろを振り返る。しつこく虎も追ってきていた。が、虎はしばらく佇むと、
やがて密林の奥へと引き返していった。
「た、助かったぁ……」
疲れがどっと、加藤を襲った。
結局、食料を手に入れることなく日没を迎えてしまった。
服を破った布で負傷した右腕と胸部を止血すると、早々と加藤は寝ることにする。
「これが夢なら、眠りゃあ覚めるはずだ」
さいわい気候はよく、波も一定の高さを保っており、海岸が水没する危険性もない。虎
の気配も感じられない。眠るのに不自由はなさそうだ。
「星が綺麗だなぁ……」と、加藤は大の字になり、砂浜に寝転がった。「悪い夢なら、マ
ジで覚めてくれ」
そのうち、彼は熟睡した。
そして、数時間後目を覚ました彼が見たものは、昨日と全く同じ光景であった。
一日目終了です。
サナダサンGJです!
それにしてもバキスレがこの一日で凄く熱くなっている気がする。
ずっと、この状態が続けば・・・。
385 :
作者の都合により名無しです:2005/12/04(日) 11:05:39 ID:K1VyRWer0
なんだ、このまとまった来方はW皆さんGJです。
>ゲロさま
いろんな料理に最初たとえていたので、
茄子の心情かなと思ってましたが変質者の話か!w
確かに毒にも薬にもならない話だけど、いい意味で「茄子」の真骨頂ですなー。
>うみにんさま
おお、確かに舞台は海ですな。前回が地底で、なら次作は天空?w
気が早すぎですが、世界が広がる広がる。M78星雲まで現れてスケールでかい。
>サナダムシさま
今時、まっとうすぎるほどまっとうな空手だのう(餓狼伝の観客調)
しかし今回は最初かシリアスですね。何日加藤の奮闘が見られるんだろう。
出来るだけ長く見たいなー
・茄子
相も変わらず日常の不条理世界ですね。ただ、子供の女と変質者ネタは今どうかとw
今回はいつものレギュラー陣は出てないですね。少し残念。あの人たち好きなんだ。
・のび太と天聖道士
そうか、ネオアトランティスって何か引っかかったけど、ナディアですか!
いやー、広範な知識と世界ですねえ。ドラモビックリマンもナディアも大好きです!
・やさぐれ獅子
今回はギャグパートなし、ハードな展開が続きそうですね。加藤はどこまで強くなれるか?
ラスボスは勇次郎かな?それとも師匠越えで独歩?なんにせよ、強い加藤を期待してます。
周りのSSが世界が広がっていったり、激闘を繰り返したりの中であえて
日常の中の笑いを追及するゲロ氏の「茄子」が派手さは無いけど(失礼)大好きだ。
388 :
ふら〜り:2005/12/04(日) 23:06:00 ID:vfeLuKHz0
>>サナダムシさん
いきなり砂浜、ってどーゆーギャグかと笑ってしまいましたが。閉ざされた空間に飢えと
乾き、猛獣との流血戦……どうやら冗談ではすまない模様。師匠や空手への美意識に固執
せず闘争→逃走したのは彼らしくて良かったです。ここからロビンソン風サバイバル路線?
>>サマサさん
夢世界……フレディやデス13のアレですか。メカたちが本物ではなく、イメージで
作られたものってとこに何かありそう。あと普段は各々対極的な意味で「怖がって震える」
とは縁遠そうなプリムラとフー子が揃って怯えてるのが印象的。それほど怖い=強い?
>>ゲロさん
>彼女の、作ってきた、弁当を、食べざるを得ない、状況に、陥った、
そこで耐えて美味しそうに食べて見せるのがオトコの度量。「ぺー」ちぁん、なかなかツボ
を抑えた萌えキャラの様子。絵で見たいですね。変質者氏、茄子に例えられたのならまぁ
……良いのではないかと。こういう時よく言われる○○○ビッツに比べたら。男としては。
>>うみにんさん
ナディアですかああぁぁっ! 正直、ナディアはどーでもいいですからグラタン組の出演
を熱望ですっ! にしても前作もそうでしたが、すごい勢いで敵味方双方が膨らんでます
ね。レッドノアにキョンシーが乗って攻めてきたら、かなりとんでもない光景になるなぁ。
ゲロの次にゴミを連投しないでくれよ
朝。時刻は定かではない。仮に加藤が時計を持ち込めていたとしても、この島はどう考
えても日本とは異なる緯度と経度にある。つまり、時差があるはずなので、何時なのかと
いう問いはもはや無意味だ。
あくびをし、伸びをする加藤。
「ようするに、夢じゃねぇんだな」
首を左右に鳴らしながら、加藤は呟いた。その声には悲壮感は漂っていない。すでに夕
べの時点で、覚悟できていた部分があるのだろう。
「とりあえず、朝飯にすっか」
ぐっすり眠ったおかげで体力は回復し、傷もまだ痛むが塞がっている。
加藤は考える。やはり果物が欲しい。水分補給と腹ごしらえを同時にこなせる。できれ
ば肉も欲しいが、この島では虎以外の動物を確認できていないので諦めた方がよさそうだ。
また、昨日は深入りしすぎた。あまり奥へ入らなければ、虎も襲ってはくるまい。
こうして、加藤は苦い敗北を教訓に、再度ジャングルに足を踏み入れる。
無知だった昨日までとは違う。この密林は、虎が住まう危険地帯。
気配を殺しつつ、そろりそろりと食用となりそうな植物を探す加藤。いつまた虎がやっ
て来るかと思うと、気が気でない。
砂浜から近い木から、なっている実だけを器用にもぎ取り、即ダッシュ。こんなことを
二、三回繰り返し、当面の食料は確保できた。
「とりあえずこんなもんだろ」
砂に収穫した実を並べ、悦に入る加藤。正直、初めて見るものばかりだが、加藤はあま
り気にしていない。色合いが健康的だから大丈夫、と次から次へと実をほおばる。歯と果
肉がぶつかり合い、染み出た汁が口全体へ広がっていく。
「う、うめぇ!」
味は良好だった。甘く、くどくなく、後にふわりと訪れる酸味。
十個余りあった実は、五分と経たずうちに平らげられてしまった。加藤は腹をさすり、
満足そうにゲップをした。甘い香りが、鼻を漂う。
ただし、彼の心には、どこか釈然としないものが残っていた。
加藤は海辺をぼんやりと眺める。船が通りがかるのを期待しながら。
自然と姿勢は体育座りになっていた。膝を曲げ、両手を組み、背中を丸める。正中線を
守るこの座り方は、どこか落ち着く。疲れないし、このまま眠ることだってできる。“体
育座り”というださいネーミングでいい印象はなかったが、これほど優れたものだったと
は──うつらうつらしながら加藤は笑っていた。
一向に船は通らない。雲ばかりが、空を横切っていく。
体育座りから連想され、加藤は小学校の頃を思い返していた。近所でも評判の悪童で、
喧嘩でもスポーツでも勝たなきゃ気が済まない体質だった。たとえ、どんな手を使ってで
も。変わってねぇなぁ──遠い記憶の中にいる自分に、加藤はこう呼びかけた。
波の音が間断なく耳に流れ込む。船は通らない。
神心会空手と、愚地独歩と出会ったのはいつだったか。“強くしてやる”という言葉を
信じて、不良(ワルガキ)は稽古に夢中になった。物をぶっ壊してぇ、人をぶっ叩きてぇ、
物騒な願望を力に、不良はいつしか一人前の空手家に変貌していった。だが、加藤はそん
な自分を認められず、神心会を去り闇の中へ墜ちていった。
いつしか、加藤はまどろんでいた。
昼下がり。日本でいうと正午過ぎであろう。太陽が真上で照っている。首元をじりじり
と熱せられ、加藤が目を開く。
「やべっ、眠ってたか。今は昼か?」
もし、さっき虎に狙われていたら、まず殺されていた。ろくに安全も確認せずに、眠り
についたことを悔いる加藤。だが、あまり深くは考えない。
「まぁ、とにかくハラ減ったな」
朝と同じく、忍び込むようにしてジャングルに入る加藤。一度成功したことを繰り返す
などたやすい。あっという間にいくつか実を手に入れ、砂浜へと持ち帰った。
やはり、どれも味は抜群だった。ひたすら甘いもの、甘酸っぱいもの、酸味は強いがク
セになるもの。ココナッツを叩き割って出てきた液体などは絶品だった。
夜も同様だった。実を収穫し、平らげる。単純な生存作業。
「案外、俺ってこういう生活が向いてたのかもな」
二日目にして、加藤は島に順応していた。ホームシックにかかるような繊細さとは無縁
だし、孤独も嫌いではない。それに、まだ心の奥底には“これは夢だ”という想いも湯垢
のようにこびりついており、現実感も希薄であった。
「さて、寝るか」周囲をひと通り見渡し、加藤はごろりと横になった。
夜でも絶えず往復を続ける波。まるで波に意識を押し流されたかのように、加藤は寝息
を立て始めた。
二日目終了です。
こんなよく分からない話にお付き合い頂き、ありがとうございます。
395 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/05(月) 03:27:48 ID:iRwJ5UCR0
〜バータ&リクーム編〜
<惑星フリーザ>
「う・・、もうこの時間か・・・。」
バータは眠い体を起こして目をこする。その顔はとても不機嫌だ。
「そろそろ・・、準備しないとな・・。」
バータは不機嫌な顔のままベットから芋虫のように這い出る。
現在時刻は午前6時30分。彼が何時も起床する7:00より1時間も速い。
しかも今日は練習試合の次の日。(つまりドドリア編始まりの二日前)
さすがにあんなことがあった次の日は仕事もお休みである。
”特戦隊”という役柄、事務仕事も幹部であるドドリアやザーボンより遥かに少ないので、
臨時出勤という線もありえない。
では、なぜ彼は本来起床する時間より一時間も早く起きたのだろうか?
---------それは最近特戦隊を悩ませている、ある騒音問題のためだ。
「6時35分・・。後・・、1分か・・・。」
バータはなぜか戦闘服を着て、その時間に備える。
まるでこれから戦闘が始まるみたいだ。
カチ、カチ、カチ・・・。
この騒音問題が始まって以来、バータは時計をアナログ式の鳩時計に変えた。
この方が、時間がより正確にわかるからだ。
カチ、カチ、カチン・・!!
そして・・・、遂に騒音が始まった!!
396 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/05(月) 03:28:31 ID:iRwJ5UCR0
”夢じゃない、あれもこれも〜〜♪その手でドアを開けましょう〜♪”
この曲・・。そう、B’○のウルトラソウルだ。
しかも、朝にもかかわらず、辺りに盛大に響くほどの大音量。
しかしこの程度ではバータは動じない。
なぜなら、これから来るある一撃に耐えなければいけないからだ。
”祝福が欲しいのなら〜♪喜びを知り、一人で泣きましょう〜〜♪”
”そして〜、輝く〜♪”
最後の稲葉の叫びのところで曲が止まる。
(き、来たな!!)
バータは曲が止まるのを確認すると、自分の部屋を飛び出てある部屋まで全速力で走る!
丁度バータがドアの前に差し掛かると、ドアの向こうから誰かが大きく息を吸う音が!
(や、やばい!遅かったか!!)
そう、バータは遅かった。騒音の最終形態を止める事は出来なかったのだ!
397 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/05(月) 03:29:01 ID:iRwJ5UCR0
「「「「「ウ・ル・ト・ラ・フォ〜〜!!ハアアア〜〜イ!!!」」」」
「うっせ〜〜!!!!」
バコーーーーーン!!!
バータの渾身の飛び蹴りを無防備でうけた誰かは、そのまま部屋を突き破って500mほど飛ばされる。
「た〜〜〜〜く!!お前は毎朝毎朝うるせいんだよ!!!おい!聞いているのか?リクームよ!」
そう、騒音の主は同じ特選隊のメンバーであるリクーム。
「痛いフォ〜。酷いフォ〜・・。別に悪いことはしているつもりは無いフォ〜!!
ただ、HGに近づきたい一心でやっているだけフォ〜!!」
「DA〜KA〜RA!!!」
バータは”またこの説明か・・。”と言いたげな顔でリクームを見る。
「やりたいのは結構だが、せめて山奥でやるとか人に迷惑が掛からないようにしろよ!
分かるだろう?お前のせいで、毎朝快適に起きられないんだよ!!」
「フォ〜・・。でも、朝は寒いから外に出たくないフォ〜。」
プチッ・・。
何かが切れる音・・。
決してバータのパンツのゴムが切れていないことだけは、ここに記しておこう。
398 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/05(月) 03:30:41 ID:iRwJ5UCR0
「うがああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「ひ、バータが壊れた!?」
バータは先程のウルトラソウルよりも大きな声を上げると、
全戦闘力を解放してリクームに向かってパープルコメットクラッシュを撃つための構えをする。
「セイセイセイセイ!!!ちょっと待った〜〜!!!」
リクームは必死に止めようとするが、今のバータにそのような戯言は聞こえるはずが無い。
「青少年安全週間〜〜〜!!!!」
バータはリクームの存在を根本から否定する言葉を発すると、パープルコメットクラッシュを超至近距離でぶっ放す!!
「セイセイセイセイ・・・。無理・・・。」
当然、特戦隊内ではグルドの次に鈍いリクームがそんな超至近距離で放たれた高速弾を避けれるはずも無く、
野球でいうバットの芯に当たるが如くクリーンヒットする!!
「フォ?フォ〜〜〜!!」
パープルコメットクラッシュはリクームに当たっても爆発せず、そのまま空高く運んでいく。
-------だんだんリクームの叫び声が小さくなる。
どうやらパープルコメットクラッシュのおかげでリクームは一番星になったようだ。
399 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/05(月) 03:31:05 ID:iRwJ5UCR0
「はあ、はあ、はあ・・・。ん?」
リクームが一番星になった頃、バータは”はっ!”と我に返る。
「り、リクーム?」
バータは辺りを見回すが、リクームの姿は確認できない。
当たり前である。自分自身の手で一番星にしたのだから。
しかし、発狂したバータは覚えていない。
サスケの最終回宜しく、破壊しつくされたリクームの部屋周辺を当ても無く探すバータ。
「お〜い・・。迷子の迷子のHGや〜い!!」
一通りリクームを探すが、当然見当たらなく、バータはその場に立ち尽くす。
「俺・・。言い過ぎたかな・・。」
先程のやり取りを思い出して、少々後悔するバータ。
その目には涙が溜まっている。だが、決して悲しいからではない。
むしろ当然・・・・。
「や、やった〜〜!!!」
崩壊したリクームの部屋でバータは喜びのダンスを踊る。
そして先程の記憶が戻ったのかは定かでは無いが、まだ太陽が昇って間もない空に向かって敬礼する!
「リクーム!!お前はただ五月蝿い奴であった!!サラバだ!!」
バータとはこういう奴である。
400 :
それゆけフリーザ野球軍:2005/12/05(月) 03:31:49 ID:79me7F6B0
<どっかの惑星>
「フォ〜?ここはどこだフォ〜?ま、前が見えないフォ〜!!暗いフォ〜〜??」
もしも貴方が、どこか知らない惑星に行ったときに、「フォ〜フォ〜、セイセイ!」言っている
にんじんを見かけても決して引き抜かないでください。
抜いたらきっと、マンドラゴラより悲惨な目に合いますよ。
きっとね・・・。
<バータ&リクーム編・了>
401 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/05(月) 03:32:50 ID:79me7F6B0
林・・・、いや森と言った方が良いのだろうか。
生い茂る木々の間から見せる月が、自らの光で照らす範囲はおよそ林と言われる規模ではなかった。
時間帯は深夜・・。
もう、あの物語を語り始めて何日になるのだろうか?
いや・・、確か3日も経ってはいない。
しかし、もう一ヶ月近くこの物語を語っているように思えた・・。
----------痛い痛い痛い痛い痛い。
私はこの声で月を見上げるのを止め、傍らにいる男性を見る。
----------やめてやめてやめてやめてやめて・・。
私の傍らで叫ぶ男性は、生への絶望と渇望飢えを叫ぶ。
----------死にたくない死にたくない死にたくない。
私の傍らで叫ぶ男性は、すぐ先にある未来への絶望を拒否しようと叫ぶ。
---------・・・・・・。
今・・・、男性の声が事切れた。きっと次は私の番だろう・・・。
しかし自身の死への恐怖より先に、私の心にはある疑問が渦巻いている。
402 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/05(月) 03:33:20 ID:79me7F6B0
”なぜ私はこんな状況にいるのか?”
私は”語り部”。
決して語り側に存在が出ることは無い、言葉だけの存在。
しかし今、確かに私はここに存在している。
しかも、語るだけでは持ち得なかった、恐怖という感情を手に入れながら・・・。
---------お待たせ〜☆
私が恐怖を手に入れると同時に、先程の男性を黄泉へ送った人物が私に問いかけてきた。
---------ふふ・・、じゃあ、どこから逝こうか?
私はその言葉に即答した。
いや、それしか答えるつもりはなかった。
きっとこう答えれば、私は語るだけの存在に戻れるだろう。
そんなことを願いながら・・。
---------それじゃあ・・、まずは首からで・・・。
403 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/05(月) 03:33:52 ID:79me7F6B0
〜導入〜
ある村の朝・・・。
まだ朝日が出て間もない時間にもかかわらず村中は活気に満ち溢れていた。
この村では未だに農作が主流。つまりは田舎である。
私が言うのもなんだが、そんな田舎に生まれた若者は「東京さ行くだ。」と言って村から出て行くほどの田舎だ。
だが、この村は決して過疎化にはならない。
なぜなら、都会に言ってしまった若者は数年立つと必ずこの村に戻ってくるからだ。
1つの例外もなく。
それはなぜか?
理由はこの村の非常に特殊な風習にある。
毎年6月頃から9月まで行っているこの風習は、全国------いや、世界を見回してもこの村だけだろう。
その風習が一度身に付くと、どこにいても村の人達は自分の村に帰らず得ない精神状態になる。
それが例え自分のいる場所が地の果てでもだ。
どうだい?そう聞くと少しは気になるだろう?
この風習はどんなモノか。
まあ、ここまで話を広げておいて恥ずかしい話なのだが、実はその内容に関して、語り部である私にも全く分からない。
さらに広く言えば、この風習を知っている者は宇宙中から見てもこの村の住人だけだ。
だが、これから始まる物語を私と一緒に辿ればきっとどんな風習か分かるだろう。
それが・・・・、例え貴方の命を奪おう結果になろうと・・・。
404 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/05(月) 03:34:15 ID:79me7F6B0
え〜・・、ゴホン・・・・。
そういえば、挨拶も無しにこんなことを言うのは失礼だね!
始めまして、私は語り部。それ以上もそれ以下も無い。
物語を語るだけの存在。まあ、言ってみればただの案内役だよ。
さて、挨拶もしたことだし話を元に戻そう。
ただのSSで命が奪われるなど誰もが信じてはいないだろう。
しかし私が言いたかったのは、それほどこのSSを読むときは注意して欲しいという事なのだ。
え?何を注意すればよいか?
ふむ、そうだな・・。例えばこれを読んでいる君の背後や、路上を歩いている時に
曲がり角から来る車なんか注意して欲しいね。
いや・・、特に深い意味は無いよ。本当に。
でも、ほら?最近五月蝿いだろう?世の中って奴は!
これを読んでいる方々の日常に、何か不幸なことがあったら責任がもてないからね〜。
そのときに疑われたくないからさ。まあ、その保険って奴だ。
読みたくない人は読まなければいいし、読みたい人はウェルカムだからね。
405 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/05(月) 03:35:16 ID:VjzOrrgv0
注意とアリバイ・・、もとい保険はそれくらいにして話を戻そうか。
先程この村の風習は宇宙中で村人以外は誰も知らないって言ったね。
しかしそれが違っていたんだ。いや、嘘を言ったわけじゃない。
今さっき情報が来たんだよ。例外が一人だけいるって!
嬉しいね〜。この人のおかげで上手く語れそうだね〜。
さあ、用意はいいかな?
今、この村の風習を知っている例外が家を出たみたいだ。
ん?どこにそいつの家があるかって?
そりゃあ・・・。
とある村だよ・・・。変わった風習があるって村。
珍しいね。こんな田舎・・、失礼。
彼の家族は、こんな自然溢れんばかりの素晴らしい村に引っ越してきたみたいなんだ。最近。
さてさて、これ以上私の話ばかりだと飽きちゃうだろう?
だから、色々疑問に尽きない今のうちに早速物語を語ろうかと思う。
----能書きはいいから、早く語れって?
わかった、わかった。そんなに怒らないでくれよ。
それじゃあ・・・、始めようか・・・・。
406 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/05(月) 03:43:13 ID:VjzOrrgv0
どうも夜分遅くにスイマセンしぇきです。
一作目:バータ&リクーム編。
実は続きも考えていましたが、短編にしたかったので
短編ぽくしてみました。短編になっているかな〜。
当然、この一回で終了です(短かッ!!)
二作目:オーガの鳴く頃に
某同人ゲームとバキもの合作です。これも、短編から中篇です。
当然、バキのオーガが出てきます。今回はまだ出ていないですが。
ちなみに自分はこの同人ゲームのことを全く知りません。
知っているのは製品パッケージをWEB上で見ただけです。
だから知っているのは少女一名と少年一名、あと”惨劇に挑め”の
キャッチコピーだけです。だから、名前は使っていても別物だと思ってください。
ただ、範馬バキ連載記念にちょっとオーガを使ったSSを書いて見たかっただけです。
>サマサさん
強いオドロームに期待!!!あの映画版のような、剣が突き刺さった瞬間に挿入歌が流れる
あの瞬間を思い出せる感動を期待しています。
407 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/05(月) 03:49:10 ID:VjzOrrgv0
>ゲロさん
三作目はレベルEに出てきそうな雰囲気でした。
ショート三作。その文章力に恐れ入ります。
>うみにんさん
フェイト!ナディアと言ったらフェイトです!
あの最後は幼き頃のトラウマでした。
潜水艦には一生乗らないと思った瞬間でもありました。
今回、エルは解説役にまわりそうですね。すごく板についてるw
>サナダムシさん
なんで孤島に飛ばされたのが凄い気になる!
そして文章を見ると、斉藤さんのサバイバルを思い出します。
加藤の無事を祈っています。打倒トラ!
では長々と申し訳ないです。では失礼・・。
あ、ナディアの舞台って確か西暦1889年だよね(ぐぐった)
そのままでは出せない訳か・・・もっともタイムマシン他何でもありのドラ世界なら
あっと驚く登場もありか・・・或いは直接ナディア達は出ないのか。いずれにせよ楽しみだ。
この中でHP開設してる人がいたら教えてほしい
ぜひ覗いてみたいもので
410 :
作者の都合により名無しです:2005/12/05(月) 18:42:14 ID:n4RePsa+0
>サナダムシさん
氏は一度筆が乗り出すと、快調に執筆されますなあ。ふぁんとしてありがたいです。
いつか加藤を落とすんじゃないかとハラハラして見てますがw
どうやらそんな事はなさそうですね。加藤のサバイバルと成長を見守りたいです。
>しぇきさん
ドドリア編が終ったばかりなのに、休まずエンジン全開のしぇきさんに最敬礼します。
バータ編はほのぼのっぽいオチですが、まさかしぇきさんバキ物も書くとわ!
語り部って単語に本部かなと思いましたが、違う人物みたいですね。楽しみです。
でも、出来れば一作ずつ日を置いて欲しかった・・
>やさくれ獅子
加藤かっこいい。正に心神館のデンジャラスライオンだ。
ハードな作品もサナダさんの引き出しの一つですな。
あと、年末までに一本くらいうんこもそろそろみたいですw
>〜バータ&リクーム編〜
ドドリア編に比べてやたら短いwHGは惑星フリーザでも人気なのかw
>オーガの鳴く頃に
まったくバキっぽくない書き出しだwオーガはオーガのまま出てこない雰囲気だ。
>>409 411で書き忘れた。うみにんさんとVSさんはサイトあるよ
バキスレまとめサイトからLINKのコーナーで行ける
【備】したじゅんび
かつて再殺部隊が集結した海豚海岸は風光明媚だが、知名度は低い。
ネット上で「意外な穴場」として語られているぐらいだ。
けして観光名所として町全体が賑わっている訳ではなく、海岸を一歩離れれば、よくも悪くも
普通の町並みが展開され、更に歩いて十数分の駅にも目を引くものはまるでない。
切符売り場からガラス一枚隔てた小さな事務室に年老いた駅員が数名いるだけで、ホームも
ところどころひび割れ、雑草が顔を覗かしている。二つのみのホームを繋ぐ渡線橋もひどい。
内部を見渡してみれば、そこかしこで塗料が剥げ落ち、錆が浮いているのが見受けられる。
ようするにこの駅はとても殺風景で、取り柄といえば、潮の匂いがかすかにするだけなのだ。
路線も一つだけで、一時間に上りと下りの電車が各1回、思い出したように到着し、横腹で
まばらな人影を出し入れしている。
千歳がそんな光景をぼんやりと眺めていたのは、任務開始から一晩明けた頃である。
瀬戸内海にある戦団日本支部を出て、夜半、普通列車(新幹線でないのは推して知るべし)
を乗り継ぎ続けて十数時間。
目指す皆神市までは、残り三駅ほどである。
道中、銀成市を経過し、千歳は市内で入院している防人の身を案じた。
重傷ではあるが、元来の鍛えた肉体のおかげで回復も早く、医師の話では秋ごろには退院
できるという。
彼の今後の身の振り方は、千歳には分からない。
ただ、照星にも話したように、過酷な戦いの数々で傷付いた体を休めて欲しいというのが本音である。
やがて銀成市は見えなくなり、そのまま乗り替えなしで海豚海岸に来た。
千歳はドアにもっとも近い長イスの端に身を預け、この路線で一番混雑する光景を眺める。
夏も終わりに近いというのに、海水浴に来たと思しき少年少女がよく目につく。
車内に射しこむ熱が篭らぬ日差しを人影が流れ、潮の香りがシャープな鼻梁を撫でる。
きりりとしまった美しい瞳の中で人々の動きが途切れると、扉が閉じ、電車は再び走り始めた。
ここで降りた人間の方が多かったららしく、車内はがらんとしている。
ほどよく効いた冷房の一種の埃臭さが潮の匂いをかき消していき、千歳はなんとも惜しい気
分になった。
さて、同伴しているハズの根来はどうしているか?
千歳とは対角線上、電車の連結部に近い長イスの端で、ちまちまと手を動かしている。
寡黙な千歳と根来にさほどの会話があるワケでもなく、ただ電車に揺られている。
ちなみに、戦団日本支部を出た時から、彼らは戦団の制服を着ていない。
千歳は白いワイシャツと黒いベストとスカート。根来は上下ともに灰色のスーツを着ている。
道中、戦団の制服で目立つのを避けるのと、向かうバンダイの下請け工場では、上だけ
制服を着ると聞かされているから、それに合わせる形でスーツを着ている。
ちなみに、根来の首には平素愛用しているマフラーが巻きついている。
恐らく、工場においてもマフラーを巻くつもりなのが千歳には分かり、遠回しにやめるようい
ってはみたが、根来は黙りこくるだけで要領を得なかった。
そんな彼は今、あたかも朝を拒むがごとく、背後のブラインドを下ろしている。
車内の片隅は夜が残っているように薄暗い。そこで根来の手元がときおり、チカッ チカッと
光るのを千歳はすっかり熟知している。
「下準備だ」
というのが車内で針を取り出した根来に対する誰何の、答えだ。
根来は膝の上でカッターシャツを持ち、針をちまちまと往復させている。
灰色のスーツやズボンなどに同様の行為を施し、そして足元の風呂敷包みに仕舞ったのを
千歳は何度か目撃している。その数と緑一色の風呂敷包みの膨らみ具合から察するに、カッ
ターシャツが下準備の最後となりそうだ。
下準備、というのは単なる繕い物ではない。
前述のとおり、根来の武装錬金、シークレットトレイルの特性は「切りつけた物に潜り込める」
だが、しかしただ切り付けた物に潜めるのであれば、潜って下がる、いわゆる妖怪もぐりさ
がりの二番煎じで、著作権上あまり良くない。
今回、根来とコンビを組むにあたって千歳が調べた情報では、切り付けた物に潜む通行手
形的条件は「根来のDNAを有しているコト」らしい。つまり、髪、血、唾液、汗、垢などの根来
の体の一部が付着していれば、いかなる物でも根来と同じく、物体へ潜れるのだ。
そして根来が車内で忙しく動かす針に通してあるのは、灰色の長髪だ。
体組織の中で一番採取しやすく、また匂いなどで潜入を察知されにくいのは、やはり髪だろう。
それを根来が慣れた手つきでスーツやカッターシャツに縫いこんでいるのは、工場において
迅速かつ十全にシークレットトレイルを発動させるための行為というのは、明らかだ。
ゆえに下準備。
シークレットトレイルの特性を予備知識として知っていた千歳だが、それを機能させる為の
下準備を見ていると、なんとも感心がこみ上げてくる。
周到ではあるが至って簡略化された、実用一点張りの方法だ。
ただしひたすら、地味である。それを黙々と電車の中でこなしている集中力は、やはり忍者
に通じるものがある。
千歳は言葉にこそ出さないが感心し、羨望すら覚えもした。
このような、任務を遂行するコトだけを最優先し、一挙一動全てを確実な一手にしようと影で
目論む冷徹な態度こそ、7年前の千歳がもっとも欲しかった物なのだ。
過去を悔やんでも仕方はないが、もし、千歳がミスによって多くの人命を死に至らしめた任
務に、根来が代わりに関わっていたのなら、惨劇は防がれ、仲間と呼べる親しい者の人生
を狂わさずに済んだ筈なのだ。
そういう、過去に対して「もしこうだったら」とありえぬ可能性を描いてしまう詮なき後悔の一種が
千歳に根来の同伴を求めさせたのだろう。
根来は奇兵と蔑まされている。任務遂行のためならば、味方を顔色一つ変えず手駒にする
からだ。
例えば、同僚の戦部という戦士の体に潜り込み、彼の相手へ奇襲を仕掛けたり、瀕死の重傷
を負った円山という戦士を、交戦中の敵に隙を作るために投げつけ、結果円山に手傷を負わ
せたりと、ともかく、人間に通っている暖かな血の気配が、根来の戦法にはない。
しかしである。
任務にただ真正面から取り組み、実力不足でミスを犯して、多くの者の人生を狂わせるのと
任務をただ遂行するためだけに、味方を利して成功し、結果多くの命を守るのを比べた場合
千歳は後者が絶対的に正しいと思ってしまう。
もちろん、仲間と普通に協力し、誰一人として傷を負わない解決方法が一番正しいと千歳は
思っている。だが、彼女の同僚たる火渡の言葉を借りるなら、
「錬金術という人の手に余る力の世界での戦いで、条理とか合理とかその手のモノは通用
しない」
というのが実感としてある。惨劇が防がれるのなら、多少の不条理もやむなしなのだ。
根来に利用され、傷を負った戦士は憤っているだろう。感情としてはそれも正しいが、しかし
彼らの傷も憤りも、いずれは平癒する軽い軽いものである。人生そのものに黒く染み付くほ
ど取り返しのつかないものでは、決してない。
それを差し引いても、根来が間接的に救った人間の方がはるかに多いのだ。
それと千歳の前歴を考え合わせれば、彼女が根来を羨んでもおかしくはない。
窓を眺めると、そこでは針葉樹が流れている。任務の舞台たる工場へ、当然ながら向かっている。
千歳は息を潜め、務めて冷然と眺めた。
と、木々が拓け、眩しい光が視界に広がった。
電車は崖を走っているらしく、朝日に照らされた海が窓の外を走っていく。
広く穏やかな海の表面で、千々に分かれた金の光がゆらりゆらりと瞬いて、千歳の目を痛い
ぐらいに刺激する。
「次はぁー 氷室駅ぃー 氷室駅ぃー」
車掌特有の粘っこい、実はお前ら客を小ばかにしてるだろうってアナウンスが響く。
すると根来の手が止まり、彼は不意に立ち上がった。
目指す工場があるのは、氷室駅ではない。そこからもう二つ先の皆神駅だ。
疑問を含みちらりと目線を投げた千歳に、ちょうどカッターシャツを脇に挟んだ根来は答えた。
針はまだ持ったままだ。
「もうすぐ幼稚園児の団体がそこの扉から乗ってくる。人数は25から30」
おりしも電車は鉄橋に差し掛かり、赤い欄干が窓の外を高速ですり抜けていく。
がたんがたん、がたんがたん。
立体的な和音が静かな車内に反響し、やがて後ろの方へ飛んでいった。鉄橋を過ぎた。
「……え?」
一拍遅れて、千歳が細い眉根をひそめたのは、目の前で根来が意外すぎる挙動を取ってい
たからだ。
彼は、残る片手で足元の風呂敷包みをひょいと持ち上げ、隣の車両へと歩いていた。
微かな驚きが、端整な顔に広がった。
約2分後。
果たして、幼稚園児の群れは乗り込んできた。人数も根来の謎めいた予言通り。
みなそれぞれリュックを背負い、何人かは浮き輪を持っている。
しかし海豚海岸とは逆方向に向かう電車に乗ってきたのを見ると、川遊びかキャンプに行く
のだろう。
幼児は座る千歳の横を特有の意味不明な歓喜の叫びと共にすり抜けて、思い思いの席に
着き始めた。あとは同伴の保育士に席を譲ろうとしたり、隣の者に菓子を与えたり、根来が
閉めたブラインドを跳ね上げて、海があるのに喜んだりし始めた。
その近くで深い翳に彩られる美貌などは、彼らの目に入っていなかっただろう。
千歳は、子供が嫌いかといえばそうではない。見ると暖かい気持ちになれる。
だがそれは束の間なのだ。
無邪気に騒ぎ、純粋に父母や兄弟や周りの人間を思いやり、そして未来を心底から信じて
いる子供たちを見ると、かつて犯した過ちで死なせてしまった者を連想してしまい、辛くなる。
彼らが生前こうで、生きていればこういう子供たちと幸福な家庭を築けたのではないかと想
起し、罪の意識に強く激しく苛まれる。
千歳は静かに立ち上がると、園児に同伴している若い女性の保育士に「どうぞ」と手短に告げた。
そしていたたまれない気持ちを抱えたまま、根来のいる車両に移った。
時間が時間だけに、人影はまばらだ。
根来はどこかと見渡すまでもなく、彼は先ほどと同じような席に座って、同じように日陰を作
り、同じように下準備をしていた。
彼との位置関係が先ほどと同じになるよう座席に座ると、千歳は声を掛けた。
気を紛らわす意味もなくはない。が、疑問の方が多い。
「どうして…」
しっとりと沈んだ千歳の声が終わる前に、根来は答えた。
「園児たちの声が聞こえたからだ」
事もなげに根来はいうが、走行中の電車から次の駅の様子など普通ならば聞こえない。
しかし根来の聴覚は凄まじい。5km先の消防車の音を聞き、到着までの時間も割り出せる。
この電車は駅に向かうために徐々に減速していたから、速度は平均で時速42kmぐらいだろう。
根来が予言して園児が乗り込むまでは約2分。
距離は約1.4kmで、幼稚園児は何かと大声を上げて騒ぐ生き物だから、根来の聴覚が捕
らえられる範囲なのだろう。
千歳の持つ周知の事実とそれに基づく推測は、以上のものとほぼ同じ形を取っている。
実は、照星に任務を告げられた後、千歳は根来について幾つか調べてある。
前述のシークレットトレイルの特性はもとより、戦績、個人情報、そして能力。
千歳はその全てを少ない時間の中で手早く調べ上げ、頭に叩き込んでいる。
そういう事前調査は、潜入に並ぶ千歳の得意芸だ。故に根来の聴覚の鋭さは知っている。
では、千歳は何を疑問に思っているのか。
彼女が抱えたそれを口に上らせようとした時、根来の動きが止まった。
そして針を後ろ手に隠すと、油断のない鋭い目つきを連結部のドアに向けた。
そこが開いた。
土色の蛇腹も露わな連結部をよたよた歩いて現われたのは、小さな男の子だ。
服装からして、先ほどの幼稚園児の一人らしい。彼はきょろきょろと車内を見渡し、千歳を見
つけると、小走りで駆け寄っていった。
走る電車の中は揺れる。千歳は彼が転びはしないかと心配した。
「ありがとー」
男の子は千歳の前につくと、おずおずと緊張の面持ちでチロルチョコを二つ差し出した。
恐るべきコトに、何といちご味だ。しかも両方ともが。
不意のコトに、千歳は少し目を見張ったが、しなやかな指先をそっと伸ばして受け取った。
「ありがとう。でも走ったら駄目よ。戻る時は足元に気をつけて」
「うん!」
男の子は嬉しそうに笑って、足元を一生懸命見ながら隣の車両へ戻っていった。
そんな姿に、千歳は寂しそうに手を振った。
無表情だったから怖がられていないか、やはり無理にでも笑ってあげた方が良かったか、
そんなコトばかりが頭をめぐる。
だが、間接的に人を殺めておいて笑うのはどうしてもできない。できたとしても辛くなるだけだ。
根来はそんな千歳にさほどの関心も示さず、後ろ手に隠していた針を、体の前に戻した。
そして黙々と下準備を再開するように思われた。
が、そうはしなかった。代わりにぽつりと呟いた。
「不要だ。それは貴殿が受け取った物だ。私が受け取る理由も必要もない」
先ほど幼稚園児の存在を言い当てただけあって、すぐ近くの千歳がどう動こうとしているか
容易に察したのだろう。
いつの間にか立ち上がっていた千歳は、一瞬動きを止めたが歩き出した。
そして根来の前に立ち、チロルチョコを一つ差し出した。
「理由ならあるわよ。私と同じ理由が」
「………」 影抜忍者↓出歯亀
千歳より先に今の車両に移った根来は、押し黙った。
「だってあなたは私より先に、子供たちに席を譲ったもの。なぜ譲ったかは私には分からな
いけれど、少なくても受け取る権利と理由はあるはずよ。それにさっきの男の子が入ってきた
時、警戒していたのは針のせい。彼が転んで針が刺さる可能性を考えていたんでしょ。だか
ら針も隠していた。違う?」
「違うな。子供は騒ぎ、準備を妨げかねない。ゆえに私は車両を移ったのだ。針を隠したのは
不慮の事故で警察沙汰になり、任務に支障をきたすのを避ける為。それだけだ」
根来は不快そうな顔をした。図星を指されたという顔ではない。
ただ千歳とのやりとりの時間分だけ、下準備を遮られたコトに憤っているらしい。
こういう人間的な会話よりも、任務に連なる挙措が彼にとっては重要なのだろう。
「あなたらしいわね」
率直な感想を呟くと、千歳はチロルチョコを引っ込めた。
皮肉ではなく、どこか筋が通っている根来の性格を褒めたつもりだ。
根来はそういう千歳の機微にやはり関心がないらしく、また黙々と下準備を始めた。
結局、彼はチロルチョコ(何と、いちご味だ)を食べないまま、皆神駅に着いた。
とかく偏屈な男ではある。
しかしどこか筋が通っている様に思えて、千歳は根来への印象を柔らかくした。
最近職場で良く思い浮かべるキャラといえばクロコダイン。彼は立派。すごく立派。
バラン編の最後でバランがライデインしか使えなかったのは、クロコダインがギガブレイクを
使わせたからだと気付き、瞳が潤んだ。捨石になろうとした心意気は無駄じゃなかったし、
本当に総力戦だったんだなぁと感慨に浸るコトしばし。ダイは、思い返してハッとする戦いが多いから、良いですな。
>>295さん
ありがとうございます。ラァラァキャオからゴロゴロザパーンまではもう、大迫力の擬音ですね。
ただこれはチャンピオンのサイカチって漫画から拝借しましたので、こちらがスゴいのですよきっと。
根来は好き嫌いが分かれるでしょうが、自分は大好きです。マフラーがいかしてます。
>>296 そうですね。この二人の違いは、そのまま利害の一致にもなりますので。
行き先がバンダイの工場なのは、ちょっとした理由があります。
>>303さん
なるべく原作の世界観に沿うようにはしてるんですが、どこか逸脱してますよねぇ…
バトル満載のSSは、これとは別に描いております。ちなみに錬金ではなく、某アニメの原作たちです。
しぇきさん
戦団を描くには、照星さんは便利ですね。ギャグでもシリアスでも展開できます。…どこかの青さん?
そして急転直下! プロポーズの練習でさらりとあばかれるドドリア衝撃の出生の秘密!
まさか栽培マンから生まれたとはw こんなお母さん思いのドドリアですから、式には駆けつけてくれるでしょう。
とりもなおさず波乱含みではありますが、ハッピーエンドでホっとしました。
リクームに関してはもう殴られても仕方ないです。
ちなみにですねHGといえば、ネットじゃドドリア×ナッパというSSが有名ですが、見ちゃ駄目ですよ。
ふら〜りさん
ありがとうございます。やはり大人というものは物語に不可欠な存在ですので、より魅力的
に描いていきたいと思ってます。ええ。クロコダインが大好きですので。照星サンは、食に絡
んだ話題で途中ちらりと出てきます。根来もそこで、彼らしく描きたいですね。
容量が410KBの時にしていいのかどうか……名乗り忘れましたので一応。
422 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/06(火) 02:45:38 ID:09MkOaJm0
>400を
<どっかの惑星>
ここは惑星フリーザから遠く離れた未開の惑星。
未開というだけあって、この星には文明はおろか人間並みの知能を持った生物一匹もいない。
そう、全ては運命によって自然淘汰されているヒラエネルギーサイクルで成り立っている星なのだ。
たった1つを除いて・・。
ちょっと見てもらいたい。ここに最近出来た巨大なクレーターがある。
クレーターの中心には一本の巨大な大根・・・。いや、にんじんがある。
「フォ〜?ここはどこだフォ〜?ま、前が見えないフォ〜!!暗いフォ〜〜??」
にんじんが喋っているように聞こえるが、 決して喋ってはいない。
もしも聞こえるならば、それはきっと貴方は疲れているのだろう。
「フォ〜フォ〜、セイセイ!」言っているように聞こえるかもしれないが、それも気のせいだ。
そして、最後に1つ。
貴方が何かの間違いで、この未開の惑星に来たとしても、決してこのにんじんを引き抜かないで欲しい。
抜いたらきっと、マンドラゴラを抜いた時より悲惨な目に合いますよ。
きっとね・・・。
<バータ&リクーム編・了>
に書きなおしました。どうも・・。
423 :
オーガの鳴く頃に:2005/12/06(火) 02:50:30 ID:09MkOaJm0
もしも聞こえるならば、それはきっと貴方は疲れているのだろう。
を、
もしもにんじんから声が聞こえるのならば、それはきっと貴方が疲れているからだろう。
にします。スンマセン。
あ、しぇきでした。ほんとうにどうも
424 :
作者の都合により名無しです:2005/12/06(火) 10:02:57 ID:eEXym8CY0
>スターダストさん
SSとは思えない情景描写の細かさですね!本式の小説みたいだ。
この筆力がスターダストさんの武器でもあり、また弱点でもあるかなと思う。
漫画板の人間は小説より漫画を多く読む人が多いから・・。
私はこういう細やかな描写大好きですが。勉強にもなるし。
根来と千歳のコンビ、千歳はちょっとした憧れを根来に持っているようだけど、
現時点ではまだまだ噛み合ってない感じがしますね。
これから少しずつ心を通じ合いながら、強さを発揮していくんでしょう。
その時、根来はチョコを食べるのかな?
あと、投下は450KB過ぎても大丈夫だと思います。
480KBでも一本くらい良いかな?
>しぇきさん
いつもお疲れ様です。
本当に楽しみにしてますけど、推敲をw
バレさんも年末進行で忙しいでしょうし。
>影抜忍者出歯亀ネゴロ
文章うまいですね。千歳と根来が少しずつ打ち解けていく描写が上手いです。
でも、今回はあまり動的な描写は少なかったですねー。次回に爆発かな?
一気に長編カテゴリに行きそうな感じですね
426 :
作者の都合により名無しです:2005/12/06(火) 21:23:40 ID:8g2htWKc0
もうすぐバキスレも3周年か。早いなあ。
職人さんたち、バレさん、いつもお疲れ様です。
>>375 ムー連邦を襲う怪しい影。エルの脳裏に黒い不気味な潜水艦の映像が浮かんだ。
「バトルフィッシュを遥かに超える性能の戦闘艦隊“ガーフィッシュ”の群れ。基本的
には鬼岩城を守るのみだったバトルフィッシュとは違い、明確に敵意と計画性をもって
ムー連邦所属の艦隊を襲っている。戦闘は激しさを増している。“蛇”の出現で海底に
注目が注がれている今、地上世界の軍隊に気付かれるのも時間の問題だろう。」
「敵の正体・・・というかどこから攻めてきてるのかはわかってるんですか?」
「それが・・・ネオ・アトランティスという名前以外、詳細はまだ何もわかっていない
んだ。敵の本拠は現在全力で追跡調査中なんだが・・・」
ここでエルはいったん話を区切った。わずかに呼吸をおいて話を続ける。
「不可解なことがあった。ある日、ガーフィッシュを追跡した追尾艇からの目撃情報だ。
彼らは行き止まり。つまり海底の分厚い岩盤の中を、溶け込むように消えていったという。
岩盤には細工の痕も何もなかった。これが本当の話なら、凄まじい科学力の船だ。」
「見間違いってことはないんですか・・・?」
「僕らもそう思っただろうね。地中に溶け込む不思議な帽子、ドラえもんくんの
カメレオン帽子や数々の秘密道具を見たことがなければ・・・」
「・・・そっか。でも真偽はさておき、ムー連邦の力をもってしても追尾できない、
ってのは確かによっぽどのことだと思う。」
「我々には、残念ながらあれほどの超科学への対応策に乏しい・・・」
エルは一同を見渡しながら、ドラえもんの手をとった。
「ムー帝国を代表して、ここへやって来た・・・!」
ドラえもんだけではない。全員の瞳を一人ずつ真摯に見つめる。そして言葉を紡いだ。
「再び僕らに手を貸してもらえないだろうか。」
エルの真剣な頼みにドラえもんたち6人は、静かに顔を見合せ――――――――
小さく、しかし確かな力強さで頷いた。勇ましい笑顔で声を合わせて応える。
『もちろん!僕等の力でよければ、喜んで!』
「・・・すまない。まだ幼いキミたちを再び戦いに巻き込んでしまって・・・」
「水臭いこと言わないでよ。」
「世界の危機だってんならさ。遅かれ早かれオレたちの身にも降りかかってくるん
だろ?じゃあ、それはオレたちの問題でもある!何もせずにやられてたまるか!」
「そうよ!それに、困ったときはお互い様よ!」
のび太、ジャイアン、しずかと順に笑顔でエルに声をかけ、最後にボソッとスネオ。
「ま、他の人が救ってくれるんなら、それにこしたことはないんだけどね。」
新たな冒険を前に団結を固め始めた7人。特に小学生にして既に歴戦の猛者である
ドラたち6人からは、まるで見えない炎のオーラが立ち昇っているかのようだ。
そのとき、階段の下の方からドラえもんを呼ぶ声が聞こえてきた。
緊迫感の薄い日常の声に炎のオーラはあっさり消えて、みなが振り向く。
「ドラちゃん、電話よー!」
のび太のママ、タマ子である。ドラえもんは軽く首をかしげて呟いた。
「僕に?のび太くんじゃなくて?いったい誰からだろう?」
1階にある受話器の前へと急ぐ。
「はい。誰からですか?」
階段下で待つタマ子に先方の名を尋ねながら走るドラ。
「バンホーと言えばわかるって言ってたけど・・・」
「バンホーさん!?」
タマ子の口から飛び出した思いがけない名前に、ドラは慌てて受話器に飛びついた。
早口でまくしたてる。
「も、もしもし、バンホーさんですか!?なにかあったんですか?」
「やあ、久しぶりだね。バンホーだ。・・・・もう少し世間話の一つもしたい
ところだったが、どうやら先に用件を言った方が良さそうだね。」
「いや、あの、ごめんなさい。あわてちゃって・・・」
「ハハハ、かまわないさ。」
笑い声のあと、一瞬の沈黙。バンホーの口調は瞬時にして軍人らしい真剣なものへと変わった。
「・・・実は“ネオ・アトランティス”を名乗る謎の一団から接触があったんだが・・・」
「ネオ・アトランティス!?」
ついさっき聞いたばかりの単語に目を丸くしながら思わず聞き返すドラ。
「む?知っているのかね?」
「ええ、ちょうど今その話を・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バンホーとの話を終え、受話器を置いたドラはしばしその場にとどまり―――――――
大量の冷や汗を流しながら深く考え込んだ。
(地底世界にも・・・!)
海底に突如現れたという謎の軍事勢力ネオ・アトランティスの影。
そして、世界を揺るがす巨大生物、“蛇”――――――――
(地球規模で何か大きな変革が起きている・・・?)
ドラえもんは、自分たちの想像を超えた変革の予兆を感じ取っていた。
(ハッ!?地中に消えていく船――――――!?)
エルの言葉が頭をよぎり、ドラの脳裏に地中を進むある巨大な船が浮かび上がった。
地底竜人世界において、地かくを悠然と突き進み、時をも超えた万能の飛行船―――――――
(――――――地底世界のあの飛行船・・・!!
あの船の存在もまた、文明と不釣合いに高度な超科学の結晶だった――――――)
ドラえもんは電話の前に立ち止まったまま、熟考を余儀なくされた。
(どうする?ムー連邦と地底世界・・・どちらにも伝えた方がいいのか・・・?
しかし――――――――)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回分終了です。
すみません。前話ですが、「M88星雲」ではなく「M78星雲」でした。
うろ覚えでとりあえず書いておいたあと、確認するのを忘れてました。
ナディアとグラタン組は出てくるような気がします。フェイトは・・・
設定的には出せるはずなのですが、出すと話が暗くなってしまいそう・・・
>>408 そのへんは次回少しだけ触れると思います。
432 :
作者の都合により名無しです:2005/12/07(水) 10:35:26 ID:vlGIrzRl0
おお、朝からお疲れ様ですうみにんさん。
バンホーが出たって事は海だけでなく地底世界も絡んでくるのかな?
前作以上のスケールになりそうですねえ。
>うみにん氏
短いですがいろいろな伏線を感じる回ですなあ。
しかし、前作とのリンクまでして来年中に終わるのかな?w
終わるまで何年でも読み続けますが。
現スレでもミドリ様来なかったなあ…
朝日が昇る時刻。加藤がだるそうに目蓋をこじ開ける。ここへ飛ばされてから、三日目
ということになる。ただし、丸一日以上寝ていないという保障はどこにもない。なにせ、
暦がないのだから。が、加藤は三日目だと認識する。自分の生理機能をよく信頼している
証拠だ。丸一日も眠れるはずがない、と。
「館長や克己さん、末堂、おかみさん、どうしてっかなぁ……」
育ててくれた、共に育った、恩人たちを思い浮かべる。
「刃牙、烈、花山、渋川、徳川のジジィ。生きてっかなぁ……」
徳川邸で手榴弾が炸裂して、迷わず加藤は犯人(ドリアン)を追った。だから、他のメ
ンバーの安否を知らない。おそらくは無事だろうが、百パーセントではない。
今までは自分のことで精一杯だったが、急に故郷が気になり出す。
独歩の左拳を奪った死刑囚、怪人ドリアン。あれは始末がついただろうか。もしや、独
歩の右拳をも……。いや、そんなはずはねぇ。首をぶんぶんと横に振る加藤。今頃、神心
会のだれかが奴を倒しているはず。が、不安は拭えない。
そもそも向こうでは、失踪した自分はどういう扱いを受けているのか。また暗黒街に舞
い戻ったとか、ドリアンに返り討ちにされたとか、それなりの噂は立っているに違いない。
いきなり無人島に飛ばされたなどと、突飛な発想ができる者があるだろうか。
きっと今も、皆は戦っている。わけの分からない怪奇現象に巻き込まれた加藤を置いて、
どんどん先に進んでいるに違いない。強くなっているに決まっている。
ぞくっ。と、加藤は寒気を覚えた。
校内マラソンで、一人だけ取り残される感覚。痛む横隔膜をかばったり、ほどけた靴ひ
もを結んだり、寄り道をしている間に、差が絶望的なまでに開いてゆく。いっそ潔く諦め
てしまえばよいのだが、性分としてそれはありえない。
「セイッ!」自分でも無意識のうちに、加藤は正拳突きを放っていた。
基本稽古。握り締めた拳を前へ突き出し、後へ引く。
百本、二百本、とこなしていくうち、ようやく加藤は理解した。昨日初めて食事を取っ
た時に感じた、釈然としない気持ち。
「俺はっ」規則正しい正拳に伴って汗が飛ぶ。「逃げてどうすんだっ」
「俺はっ」砂に汗が染み込む。「雑種だろうがっ」
「俺はっ」拳から、いや全身から湯気が立ち込める。「戦ってやるっ」
「トラ公をぶちのめし、格(ランク)を上げるッ!」
──獅子が吼えた。
密林へ、加藤は宣戦布告する。
「トラ公ォッ! 八つ裂きにしたるから、かかって来いやァッ!」
大気がびりびりと振動する。声も、闘志も、確実に虎へと届いているはず。虎が人語を
解すはずがないが、加藤には分かっていた。まもなくここへやって来る。
少し後悔もあった。なにも、今すぐ挑む必要はなかったのではないか。しかし、恩師や
ライバルたちに少しでも近づくための方策は、これしかなかった。一秒でも早く虎に挑み、
叩き潰す。豊富な食料を頼りに、脱出するまで細々と虎をやり過ごすなど、「俺らしくね
ぇっ!」
どちらかを亡き者にせねば──加藤の覚悟は決まっていた。
予感は的中する。茂みから加藤のいる海岸へ、虎は現れた。縞模様をうねらせながら。
「来やがったな」加藤が跳んだ。「っしゃあっ!」
ぴくっ。虎も反応する。が、加藤が速かった。
虎の延髄へ、全力で手刀を叩き込む。効果は絶大だった。「ぎゃんっ」
神心会の象徴でもある場面(シーン)を再現した加藤、さらに勢いを増す。まっすぐに
正拳突きを浴びせ、虎の鼻っ面をひしゃげさせる。
「イケるッ! これで決め──」連打、連打、連打、連打、連打、血飛沫。「えっ?!」
前腕から血が滴り落ちる。一部、噛みちぎられた。攻めに集中しすぎて、牙に注意を向
けていなかった。不敵に加藤の肉を味わう虎。
舌打ちし、バックステップで加藤が退く。が、ここぞと虎は一気に距離を詰める。虎は
加藤に覆い被さり、体重を乗せて押し倒した。
ここからは寝技の領域。が、加藤はほとんど寝技など知らない(実戦経験から、我流の
返し技などは習得しているが)。一方、虎はひたすら前脚を振り下ろしてくる。爪が、顔
や胸をズタズタに引き裂く。
だが、加藤は待っていた。圧迫された状態では、抵抗しても大した効果は期待できない。
むしろ、持久力を非効率に消費するばかり。ならば防御に徹し、待つ。
両腕を小刻みに動かし、爪をガードする。少なくとも、眼と首だけは守る。下半身は完
全に乗っかられているので、ほぼ上半身だけの運動。拳ひとつ出していないのに、呼吸が
苦しくなる。ついには一昨日つけられた胸の傷が開き、出血がより激しくなる。
「し、死ぬ……」が、虎もついに業を煮やした。大口を開け、牙を剥く。「いや、やっと
来たッ!」
牙めがけ、正拳一閃。一本へし折れた。激痛と不快感に、虎が反射的に立ち上がる。加
藤も追うように体を起こす。
「キャオラァッ!」
虎の左眼に、人差し指一本拳。指が埋め込まれる。
「グギャアッ!」ついに、虎が悲鳴を上げた。
虎は逃げ出した。四肢をフルに駆動し、ジャングルの中へと駆け込んだ。ところが、加
藤の表情は決して晴れやかではなかった。
「まだ勝ちじゃねぇ。これで一勝一敗、次からは奴も本気で殺しにくるはず。もう餌じゃ
ない。奴にとって、俺は敵になった」
その夜、珍しく加藤は座禅を組んでいた。
虎との戦い、一勝一敗。次で決まる。どちらかが死ぬか、屈服するか。共存などありえ
ない。
敵は片目を失っている。とはいえ、加藤も満身創痍。額や頬は裂傷まみれ、唇も切れて
いる。胸板は赤黒く染まり、風が吹くだけで痛みが脳に伝わる。腹や足腰も、下敷きとな
ったため明らかに動作が鈍っている。骨に異常があるのかもしれない。
加藤は噛み締める。刃牙や独歩といったトップファイターは、きっとこのレベルの緊張
感を幾度も味わってきたのだろう。それに比べ、自分はどうだ。格闘技に関しては素人同
然のヤクザ相手に粋がっていただけ。おまけにあれほど鍛えた五体を軽んじ、武器に浮気
してしまった。
「いいぜ」加藤はすっくと立ち上がり、ポケットに入った凶器を取り出した。「やってや
る」
空手は道具、武器は不可欠、こんな腐った考えが加藤を弱くした。
かつて核弾頭とも恐れられた、野良空手家が出した結論とは──。
「だったら、やってやるぜぇッ!」
手製の凶器を夜の海に投げ捨てた。ちゃぽん、という別れの証は波にかき消された。
生え揃った永久歯を剥き出し、加藤が笑う。唇を三日月を横たえたように吊り上げた、
禍々しい笑み。
自ら、切り札を断った。もう生き延びるすべは、虎を徒手で上回る以外にはない。狭い
島に猛獣と二人きり。この極限状況が、加藤を狂わせた。否、ようやく一歩進ませた。
三日目終了。
テグスとはここでお別れです。
キーアイテムにしようと思ったんですが、おそらく上手く使えないので。
第三十四話「敗走」
「お、おいのび太!あの野郎は一体なんなんだ!?つーか、そもそもここはなんなんだ!?」
ジャイアンがパニくって怒鳴る。そうか―――とのび太は気付く。ジャイアン、スネ夫、しずかにとっては
<夢幻三剣士>の冒険はあくまでもただのおかしな夢でしかないのだ。
「う、うん・・・説明したいとこだけど―――今はそれどころじゃないよ!」
<確かにな―――あの山羊頭をぶっ倒して、さっさとここから抜け出そうぜ!行くぞ、稟!>
「分かってる!一気にやるぞ!」
サイバスターが剣を振り上げ、中空に魔方陣を描く。そこから膨大な熱量とともに姿を現す、炎を纏いし神鳥―――
それは大きく嘴を広げ、オドロームへと飛び掛った。
「いっけええええ!<アカシック・バスター>!」
だがオドロームは、自分を焼きつくさんとする神鳥を他人事のように眺めている。その口元に、余裕というには余りに
醜悪な笑みが浮かぶ―――
「温いわ―――<マホカンタ>!」
オドロームが呪文を唱えると同時に、その身体を透明なバリアが包み込んだ。そしてアカシック・バスターがそれに
触れた瞬間、炎の神鳥は方向を180度変えて、サイバスターに襲い掛かった。
「な・・・!?」
<ま、マズった。反射魔法かよ・・・!>
突然のことにそれを避けれず、サイバスターは炎に包まれ落下していく―――!
「くははははっ!馬鹿めが、ワシに魔法系攻撃で勝負を挑もうなど、千年早いわ!」
オドロームの高笑いも、のび太たちには届かない。ただ撃墜されたサイバスターを呆然と見つめるだけだ。
「そ、そんな・・・みんなが・・・」
「のび太くん、落ち着いて!みんなが着てるパイロットスーツには<絶対安全お守り>が仕込んであるって言った
でしょ!?少なくとも、中にいるみんなは無事なはずだ!」
ドラえもんの声になんとか平静を取り戻しつつも、ペコが怒りもあらわに言い放つ。
「だからといって、許せませんよ・・・!アヌビス、次はぼくらが!」
アヌビスは地を蹴り、オドロームに肉薄する。
「アヌビス!ラムダ・ドライバを起動させろ!」
<了解した、主よ>
言うが早いか、すぐさまラムダ・ドライバが起動した。ペコはそれを使い、アヌビスの拳に力が集約するイメージを
形作り、それをオドロームに向けて叩きつける。オドロームはそれをかわせず、押しつぶされた―――かに見えたが。
「なんだ・・・?手応えがまるでない!?」
「そ・・・そうか、しまった・・・」
のび太がなにかに気付いたかのようにうめいた。
「あいつは、あれでしか倒せない・・・あれじゃないと、駄目なんだ・・・」
「のび太!あれってなんなんだよ、のび太のくせに自分だけ分かってるなよ!」
「クク・・・知りたいか?ならばワシが教えてやろう」
ジャイアンの声に答えたのは、オドローム自身だった。
「ワシはあらゆる攻撃を寄せ付けぬ不死身の肉体を持っていてな・・・だがそれにも例外がある。そう―――魔を
断つ剣、<白銀(しろがね)の剣>でのみ、ワシの肉体は滅ぶのだ」
「だ・・・だけど・・・」
「そうだ、白銀の剣士よ・・・ここには、ない。白銀の剣は、今ここにはないのだ・・・つまり―――」
オドロームの顔が邪悪な喜びに歪む。
「貴様らはどうやっても、ワシには勝てんのだ・・・!」
「うっせえ!だからなんだってんだ!シロガネだかなんだか知らねえけど、そんなもんなくたってテメエなんぞ
ぶっ倒してやる!行くぞ、みんな!」
「や、やっぱり行くの・・・?」
弱気なスネ夫の声。それに向けてジャイアンは堂々と言い放つ。
「当たり前だろうが!うおらーーーーーっ!」
「あ!おい待て、ここは一度引いて・・・って、聞いてねえな。ちっ・・・仕方ねえ、俺たちも行くぞ!」
「はは・・・やっぱし・・・」
ジャイアンに続きムウ、スネ夫、しずかもオドロームに突撃する。だが、どんな攻撃もオドロームに対しては無力
―――そう、文字通り無力だ。
「雑魚が・・・塵になれ!」
オドロームの杖に魔力が集中し、閃光が迸る。
「え・・・うわああああっ!」
「きゃああっ!」
「くっ・・・!」
ムウだけはそれをかわせたが、破壊の光は残る三機のスカイグラスパーを貫き、全てを灰と化す―――!
のび太はそれを呆然と見守るしかなかった。
「み、みんな・・・!」
「しずかさん・・・!」
リルルも狼狽した様子でレーダー類を弄くり、その示した結果に一息つく。
「―――大丈夫よ。機体はやられたけど、生命反応はあるわ。みんな無事に脱出してる」
「・・・だけど・・・みんなを・・・!」
のび太の中で恐怖を覆し、怒りが湧き上がる。
「みんなを傷つけて・・・お前はもう許さない!」
ザンダクロスがオドロームに向き合う・・・だが。
「ふん・・・ここで一気に殺してしまってもつまらんな。そうだ・・・こうしよう。今ここに転がっている
奴らを、三日後にでも処刑しようか」
「な・・・なんだと!?」
「それまでに逃げるもよし、無謀にもワシに挑むもよし・・・クック、どうするかな?白銀の剣士よ」
「ふざけるな!ここでお前をやっつければ・・・」
「それが無理なのはお前にも分かっていよう。それでは、健闘を祈るぞ、白銀の剣士とその仲間たちよ・・・
飛び去れ、<バシルーラ>!」
オドロームの両手から魔力が放たれ、ザンダクロス、アヌビス、エグザスを白い光が包み込む。一瞬の後、凄まじい
衝撃が襲い掛かり、三機を空高く跳ね上げた。そのまま地平線の彼方まで、ザンダクロスたちは吹き飛ばされていく。
「く・・・くっそおおおおーーーーーっ!」
怒り、屈辱、そして絶望感に全ての感覚が奪われていく中で―――
「わーーーーはっはっはっは!」
オドロームの高笑いだけが、のび太の耳にこびり付いたまま、いつまでも響いた・・・。
投下完了。前回は
>>355より。
えー、みんな忘れてるかもしれませんが、登場人物たちはパイロットスーツを持ってますし、特に説明が
ない限りは戦闘時はちゃんと着込んでます。言葉足らずですいません・・・。
しかしまあ、なんですね。インフレがちょっとやばくなってますね(汗)まあできたら気にしないで下さい。
しかし「魔を断つ剣」のフレーズの元ネタ分かる人って果たしているのかなあ・・・。
>>357 さっそく出しました、「塵になれ」
>>358 そう思わせて、残り全員ネタキャラかもw
>>359 まあ全員終結での最終決戦がお約束ですが・・・どうなるだろ。
>>360 本当に十三人は多すぎたかも・・・でもネタキャラも多いですしね。
>>361 >>364 はい、頑張ります。
>>ふら〜りさん
>フレディやデス13のアレ すいません、さっぱり分かりません(汗)
ドラえもん大長編「夢幻三剣士」を見れば今回の話も分かりやすいかも・・・
>>しぇきさん
果たしてあれほどの臨場感が出せるかどうか・・・まああれだ、僕にあんまり期待すんなってこった(おいおい)
HGネタは出すだけで笑える・・・しかしHGの相方ってむちゃ影薄くないですか?
ひぐらしの〜は、僕も名前は知ってるけどやったことないですねー。なんかキャラがデフォルメしすぎで
いまいち好きになれなくて・・・。しかしどんな話になるのか。オーガの性格はどうなるのか。
頑張って下さい。
444 :
作者の都合により名無しです:2005/12/07(水) 20:34:43 ID:aZ4nEvsU0
>うみにん様
今回で前作並みの長編になるのが約束された気がする。楽しみです。
ナディアといいビックリマンといい、うみにん氏はうまくツボをつくなぁ。
多分俺とあなたは同世代です。俺はSSは書けませんが。
>さなだむし様
獅子対虎ですね。しかしバキ世界では虎殺しは凄いんだか凄くないんだか
分からないからなぁwこの前、裕次郎がゴジラみたいなアフリカ象倒したし。
しかし、確かに虎倒せないと師匠クラスには絶対になれないですね。
>サマサ氏
何度目の敗北かわかりませんなw強敵と戦う度に1回は負けている気がする。
でも勝利フラグ立ちましたね。自分で弱点を言う敵が最後まで残った試しが無い。
悪代官の「冥土の土産に教えてやろう」みたいなもんだw
445 :
ふら〜り:2005/12/07(水) 21:39:04 ID:5+pJbLh90
>>しぇきさん
野球軍
今までこの作品に登場した全キャラの中で、リクームが一番原作に忠実というか、原作
の域からはみ出してない気がします。これぐらいならやりそうですよねぇイメージ的に。
オーガが鳴く頃に
私もタイトルと噂だけ聞き及んでおります。「こっち」に語りかけてくるような文体が、
ぞくりときましたよ。こういう形の作品は少ないので、どう転がっていくのか楽しみです。
>>スターダストさん
多分スターダストさんが書きたい、表現したいと思ってるもの、きっちり読者に伝わって
ますよ。根来、本っっ当に重厚で渋くて不言実行で実は優しくて、匂うような「男」です。
後はそんな彼を引き立たせる、柔らかな「女」を千歳がこなせるかどうか。見もの見もの。
>>うみにんさん
うみにんさんの書くグラタン組……うおぉおぉ見たい! 待ってますので何卒よろしく!
ネオアトランティスやニューノチラスの真の科学レベルは、終盤だけでしたから完全には
明かされてないと思いますので。ガチでドラの道具とやりあえるのかも……楽しみですっ。
>>サナダムシさん
果物がやたらと美味そうでたまりませんな。台所のリンゴに手が伸びかけました。それと、
>神心会のだれかが奴を倒しているはず
克己や末堂に限ってないところが、妙に嬉しい。きっと他にも(さぞ少ないでしょうが)
戦友がいるんだろうなと。生存の為ではない戦いは、ある意味人間の証。さぁどうなる?
>>サマサさん
DQの呪文にラムダ・ドライバにドラの道具にと、今回は短い中にいろんなのが交錯しま
したね。耐久力ではなく属性の問題で無敵らしいオドローム、白銀の剣以外の弱点を見つ
けて……とはならなさそな流れですな今のところ。となると外の世界から何とかして、か?
・やさぐれ獅子
シコルやセルのようにヘタレるかと思ったけど、
このままハードに決めるようですね。新境地ですか?
いや、まさか今までと逆パターンで最初カッコよくて後からヘタレるとか?w
・超機神大戦
この世界では(というかオドロームは)ドラクエの呪文が
巾を利かせているのかwでも、やっぱりUSDマンの方が強そう。
またパワーアップイベントか?
サナダムシさんとサマサさんの創作意欲には敬服。
でもなんかふらーりさんの後に感想書くのは気が引けるなw
>>412 住人だからその二人以外でってことなんジャマイカ?
>447
そうです
449 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 03:56:19 ID:PimuvAC00
〜序章〜
太陽は十分に村中を照らすほど高く上がっている。
世の中的には正午が太陽の位置が一番高いと言われているが、
この村ではそんな区別が付かない位熱い・・。
ちなみに今日は6月6日。
ちょっとしたオーメンDAYだが、ここは日本で無宗教の人が多数点在している国。
誰もそんな日の事は気にしない。強いて国民が気にする事を上げるなら、やはり今日のこの熱さだろう。
気温など感じることの出来無い”語り部”である私さえも気になるぐらいなのだから。
”DOG DAYS"(長く”熱い”日・・。)
読者の方々は上の単語を見て、どう感じるだろうか?
暑くてクーラーが効いた部屋に引きこもりたいと思うのだろうか?
それとも、プール日和とでも思うのだろうか?
ん?私ならどう思うか?そうだな・・。
私がこの単語を使って、始めて語ることになった時のことは良く覚えている。
それからというもの、この単語を見ると私は何か良からぬことが起きるとしか思えないのだ・・・。
450 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 03:57:42 ID:PimuvAC00
<一日目・その1:自習と鬼>
現在時刻:午前9:30 場所:村内の高校
ここは、とある村にある高校。
21世紀にもなってエアコンが一箇所も完備されていないこの学校では、
今日のような暑い日には自然サウナ状態になることは珍しくない。
当然、生徒達からはエアコンデモが起こったりしているが、依然として導入までには至っていないようだ。
「はう〜、圭一君・・。熱いね〜。」
「あちい・・・。そうだな・・、レナ・・。」
今、会話している二人が私が語る物語の副主人公とヒロインである、圭一とレナ。
圭一は、先程言っていたこの村唯一の例外だ。つまりは他の町や都市から引っ越してきた全くの部外者である。
そして、そんな圭一に話しかけたのがレナ。
彼女を一言で説明するなら、この村のある風習のために東京の学校を辞めてまで、この村に帰ってきた女の子だ。
容姿的には・・、まあ、良くも悪くも一般的な女子高校生といった所だろう。
髪の毛も茶髪だし・・・。ん?なにやら会話に進展があったようだ。先にそちらを語っていこう。
「ふ・・。人間熱いとダメね。」
「何がだよ・・。」
「ほら、もう1時間目が始まっていると言うのに全く来る気配も無い先生方のこの体たらく振り。」
「はあ・・・。」
圭一は気の無い返事をする。
451 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 03:58:15 ID:PimuvAC00
「これが、熱いから来ませんでした!っていうのは言い訳にならないよね☆」
「ああ・・。そうだな・・。」
「やっぱりそうだよね!そんな教師陣を見ると〜〜。」
レナは肩に掛かるか掛からないか位の髪を”ふさぁ”とかき揚げながらさらにこう言った。
こうしてみると、普通に可愛い女子高生だ。
「思わずナタで滅多切りにしたくなるよね〜☆」
「そ・れ・だ・け・は・や・め・ろ!!」
圭一は思わず机から乗り出し声を荒げる。
”前言撤回・・・。”
この発言には周りの生徒達もビックリしていたが、”語り部”である私もあえて言おう。
”全く・・・、ヤレヤレダ・・。”
452 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 03:58:52 ID:PimuvAC00
現在時刻:午前10:30 場所:村内の学校・教室
普通の高校だったら、三時間目が始まるであろうこの時間。
担当講師は今だ、この教室に姿を現さなかった・・。
「先生・・。こねえな〜・・。もう三時間目だ・・。」
「あはははははははは!!!全くだね〜☆学費って、退学時でも返却してくれるのかな〜。」
「レナさん・・?その巨大なナタは一体どこから・・・。」
ビビル圭一と半分逝った目で背中からナタを取り出すレナ。周囲も完全に引いている。
当たり前である。小泉よ!日本の銃刀法はどうなっているのだ!
まあ、存在すら無い語り部が言ってもしょうがないが・・・。
「さあ〜て、職員室に突撃だよ〜☆いくぞ〜、圭一君〜〜☆」
「ちょっと、手を引っ張るな!!ぬ、抜ける〜〜。」
レナはとても女子高生とは思えない力で圭一を引っ張っていく。
そして数分もしないうちに職員室の前に着いたのだった。
453 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 03:59:22 ID:PimuvAC00
現在時刻:午前10:35 場所:村内の学校・職員室前
「ふう〜、遂に来たね〜。」
レナは片手に持っていた武器を職員室のドアの前に突き立てる。
一応、読者に入っておくが、良い子は真似しないで頂たい。間違いなくその日のうちに三面記事である。
「さあ〜て、税金泥棒に正義の鉄槌と逝こうかな?」
「お、おい!冗談だろ?って、ナタからいつの間にか斧に・・・。や、やめろ〜〜!!」
圭一の静止を他所にレナは職員室のドア目掛けて斧を振り被る!
「オ〜プン・ザ・ゲ〜ト〜☆」
「や、やめろ〜〜!!退学になる〜〜!!!」
圭一の叫び虚しく振り下ろされる斧。一体その華奢な体のどこにそんな力があるのだろうか?
しかも振り下ろされた斧のスピードはすさまじく、一般人では触れることはおろか、反応すら出来ないだろう。
当然横にいた圭一もそのスピードに反応できていない。ついでに言うと私もだ。
ガラガラ・・・。ピシャッ!!
「ん?」
しかもあろうごとかレナが斧を振り下ろす先には、丁度ドアを開けて出てきた学校の先生が!
「せ、先生〜〜!!避けて!!」
振り下ろされた斧にやっと反応した圭一が叫ぶが、時既に遅し。
レナの振り下ろした斧は真っ直ぐと先生の脳天を・・・・。
”は?なんだありゃ?”
454 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 04:00:48 ID:ZssHUl5d0
・・・。ご、ゴホン。本当に済まない。語り部であるまじき台詞を言ってしまった。
心よりお詫び申し上げる。でも1つだけ言い訳するとすれば、それほど意外でありえないことが起こったのだ。
レナの振り下ろした斧は明らかに人が反応できる速度を超えていた。
きっと、グレイシーやミルコ。無論、ヒョードルでさえ反応できない。そんな速度。
しかし学校の先生は、「その程度は本部の手を捻る並に簡単だ。」と言わんばかりに、
振り下ろされた斧をあっさりと受け止めたのだ。
「ふん・・。最近の若い奴は軟弱だと言うが・・・、一概にそう言えんかも知れんな・・。」
学校の先生は良く分からないことを口走ると、受け止めた斧をその場に放り捨ててレナ達を睨む。
「お前達・・。今が何時か分かっているのか?お前達がやった行為は・・。」
学校の先生は二人を威圧しながら喋りだす。
その威圧感といったら、その場に存在が無い私でさえ、今すぐ逃げ出したいくらいだ。
しかし斧を振り下ろした張本人のレナは、あっけらかんとした態度で先生の台詞を遮る。
「上等な授業に蜂蜜をブチ撒けるがごとき振る舞いッ!
貴様それでも生徒か………恥を知れィッ!!!でしょ?勇次郎先生?」
そう、なんと職員室のドアから出てきた人物は勇次郎・・・・。
-------------範馬勇次郎その人だったのだ!!
455 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 04:02:28 ID:ZssHUl5d0
現在時刻:午前10:40 場所:村内の学校・職員室前
レナの人外な速度で振り下ろされた斧を受け止めた”トン”でも高校教師・・。
その名はなんと範馬勇次郎。世界中に轟かせている地上最強の生物で、この物語の主人公のようだ。
ところで、なぜ彼がこんな似合わないことをしているのかと言うと、全てはある目的のためらしい。
ん?詳細?いや、済まないね。知らないんだ。
そもそも私、語り部は、”その物語の「登場人物」の主な背景を知った上で、
「リアルタイム」で起こる出来事を追って語ることしか出来ない”存在だ。
言い換えれば、作者が出す情報をそのまま皆さんにお伝えしている存在ともいえよう。
しかし、決して私は特別な存在ではない。
例えば皆さんが何かの本を読んでいると、「登場人物」の台詞の前後に台詞ではない文章があるだろう?
それが私だと考えていただければそれで結構だ。
まあ、ライトノベルとかは、主人公が一人称となって話が進む場合があるが・・。
む・・。話が脱線してしまったな。ここは1つ、語り部らしく素直に話を戻そう。
ともかく勇次郎の目的は作者以外には分からない。
しかし話の流れから見ても”村のある風習”が目的であろう。
そして今、勇次郎は職歴を偽造してまで、この村に潜入している。
そこまでは君たちの頭にはあるはずだ。
では彼の風習を知る目的は何なのだろうか?
それを今から私と見ていこう。きっと最後には彼がこの村に来た理由が分かるんじゃないかと思うよ。
456 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 04:03:16 ID:ZssHUl5d0
「そうだァッ!分かっているなら教室へ戻れィッ!!」
意外と様になっている勇次郎の叱咤。
当然、叱咤の相手は人様にいえない理由でここにいる圭一とレナである。
「きゃはははは!そうだね〜☆」
しかし勇次郎の叱咤に対して、レナは舐めているとも取れる言葉を発してしまう。
「て・・・、てめえ!!」
当然、勇次郎がそんなふざけたことを許すはずが無い。
威圧感は先程よりも更にでかくなり、二人を威圧・・・・。
いや、殺気も混じっているだろう・・・。
”早くこんな怖いところからは離れたい・・・。”
はっ!つい本音が!
え、え〜と、と、ともかく舐めた態度を取ったレナが勇次郎に怒られているようだ。
良くに見ると、勇次郎の背中に鬼のような模様が出てきてレナに向かって何度も拳を突き出している。
「熊すら葬る、鬼の連撃ッィ!!更生する気なら耐えてみろ!!!」
「ははははははは〜〜☆当たらないね〜〜!!」
きっと体罰では無いだろう。そうだ、そうに違いない。
恐らく身振り手振りを交えた熱い講義に違いない。うん、そういう事にしておこう!
そして二人のやり取りを見ていた圭一は遂に見かねて声を上げる。
「あのう、先生・・・。」
勇次郎はその声に気付き、レナに鬼の連撃・・、もとい講義するのを止める。
「ん?前原か。なんだ?教室に戻れという声が聞こえなかったのか!!!」
「い、いや・・、その・・。俺達は先生を呼びに来たんだ。授業が始まったのに、先生がこないから・・。」
圭一は勇次郎の威圧に耐え切れず、あわてて弁解する。
「フン!!お前のクラスの二時間目は・・・。」
圭一の弁解が届いたのかは分からないが、意外にも勇次郎は教師らしく今日の時間割を思い出したりする。
恐らく、今ここに普段の勇次郎を知っている人間がいたら卒倒するかもしれない。
それほど意外・・。
普段の勇次郎から考えたら全くの意外な反応だった・・・。
457 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 04:03:58 ID:ZssHUl5d0
「確か・・・・。英語の木下だったな・・。」
勇次郎の脳内にある時間割が、圭一クラスの三時間目の授業と教師名を割り出す。
「そうです。職員室にいらっしゃいませんか?」
しかし勇次郎は圭一の問いに頭を横に振るう。
「え・・・。じゃあ・・、自習か・・。やった・・、いや、残念残念・・。」
「ふえ〜、やっぱり税金泥棒には天誅だよね〜〜。」
レナは再度ナタを取り出す。しかも-------スカートの中からだ。
「自習・・?そんな訳にはイカねえな〜。」
しかし勇次郎は圭一の言葉を否定しながら、レナからナタを取り上げる。これで今日も学校は平和だ。
「え〜と・・、じゃあ・・・。」
圭一は何か嫌な予感を感じながら勇次郎を見る。
勇次郎は圭一の視線に気付くと、「お前の予想通りだ!!」と言わんばかりの顔をして学校中に響くように叫んだ!
「今日のこの時間ンン!!!俺様が貰ったァァ!!!!」
「が〜〜〜ん!!」
圭一は、その言葉に大きな絶望感を感じる。
「始まるのか・・・・。今日も・・。」
一体どういったモノなのだろう?地上最強の生物がやる授業というのは。
語り部である私ですら興味があるものなのだ。読者もきっと興味があるに違いない。
「ようぅぅッし!!では教室に行くぞ!!!」
どうやら勇次郎が教室に向かうようだ。当然、圭一とレナも教室へ戻ろうとしている。
「む・・。この怒鳴り声・・。勇次郎君か・・。ちょっと!!」
偶然通りかかった校長先生が勇次郎に声を掛ける。
どうやらこの会話の後は、教室に行くまで何もなさそうだ。
そうだ!丁度良い。読んでいる方も疲れただろう?
校長と勇次郎の会話を読んだ後は彼等が教室に行くまで少し休むといい。
私もその間、休むとしよう・・。
「勇次郎君・・。熱血教師はいいが、廊下は静かに。」
「あ・・、はい・・・。」
458 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 04:07:19 ID:ZssHUl5d0
どうも、夜分遅くにのしぇきです。
前回、二作作るときは分けた方が良いとご指摘を受けましたので、
分けることにしました。
ギニュー編は早ければ、金曜か土曜に投稿したいです。
感想は次にまとめて書くと言うことで。
でも最近は物凄い投稿頻度ですね。凄い凄いです。
では失礼・・。
459 :
オーガが鳴く頃に:2005/12/08(木) 04:47:42 ID:I0pq/t/i0
あ、後、暑いを熱いにしているのは仕様です。
話が進むに連れて意味が分かるようになります。
お疲れ様ですしぇきさん。
ライトノベルの元ねたは知りませんが、圭一とレナは恋人同士なのかな?
勇次郎が学園に紛れ込むってのもすごい異物感ですな。
まあ、相手をする2人もそれなりの強者みたいですが。
フリーザ軍の方は次はギニュー編ですか。隊員も当然出ますよね。楽しみです。
次スレテンプレ作りました。いまから投下します
461 :
テンプレ1:2005/12/08(木) 12:54:55 ID:qJVYYcwW0
462 :
テンプレ2:2005/12/08(木) 12:55:35 ID:qJVYYcwW0
463 :
テンプレ3:2005/12/08(木) 12:56:17 ID:qJVYYcwW0
464 :
テンプレ屋:2005/12/08(木) 13:06:11 ID:qJVYYcwW0
今、確認したらフリーザ野球軍がつながらなかった。
サイトの方でも、練習試合やザーボン編には繋がるんですが
一番最初の「練習編」に繋がらない。バレ様に連絡しておきます。
ゲロ氏の蟲百物語はご本人がちょっと保留と書いておられたので
アドレスは外しました。
でも、 >上・魔女 中・茄子 下・蟲百物語 (ゲロ氏)
テンプレで消し忘れてますね。すみません。
スレを立てる方、>上・魔女 下・茄子 に変えて頂けると幸いです。
ミドリさん、次スレは出来れば来て下さいね。ご連絡だけでもいいので…
しぇき氏、テンプレ屋氏お疲れです
オーガの鳴く頃に、本当にラノベの雰囲気ですね。
勇次郎のコメディバージョンですか。
ここ数スレしぇきさん大活躍ですが、次スレも頑張って下さい。
466 :
じゅん:2005/12/08(木) 18:21:47 ID:UBaeny4+0
「バキ」で検索かけてこのHPたどりついたんですがマジ面白い作品ばっかでビックリしてます
いくつか読ましてもらったんですが特に
バキ死刑囚編
しけい荘物語
不完全セルゲーム
それ行けフリーザ野球軍
ありふれたテーブルの上で
オーガのリング
Z戦士への入門
ドラえもんの麻雀教室
がお気に入りです
知ってる漫画がバキ/JOJO/ドラゴンボール/ドラえもんしか無いのがもったいないなぁ
連載中の作品どうなるのか・・楽しみにしてます
じゅんさんいらっしゃいです。お気に入りになったようで嬉しいです。
上記の作品以外にも楽しい作品は沢山ありますので、お時間があれば読んで下さい。
長い作品が多いので大変ですが…w
現スレも盛況で良かったですね。
あと2本くらいで次スレかな?
空が淡く焼け、水平線に白い光が差し込む。夜が行方をくらます合図。
加藤は起きていた。体中から汗を放射させながら、ひたすら動く。声と技とを飽きずに
突き出し、大気を切り裂いていく。
早起きしたのではない。彼は一睡もしていない。眠ろうと努力しても、内から亡者の群
れが押し寄せて眠らせてくれない。休むな、眠るな、動け、と大勢で脅してくる。こうし
ていわれるがまま一晩中、鍛錬し続けてしまった。
「朝か……」朝日に眼を細めながら、加藤が呟く。
海がいつもの青さを取り戻し、海岸の砂にも灯が宿る。熱帯林もにわかに活気づいた。
いつ抗争が起こるとも知れぬヤクザ社会を生業としていた加藤にとって、徹夜などさほ
ど珍しいことではない。一ヶ月の睡眠時間が二十四時間以下、という時期もあった。ただ
し、こういう形で朝を迎えるのは今日が初めて。早朝というのは、単に一日を構成する部
品の名称ではない。生命が覚醒し、活動を始める神聖なる幕開け。これが朝か──加藤は
感動すら覚えていた。
朝日が昇りきっても、加藤は休まない。不意に舌が、“しょっぱい”と主張する。
「塩?」海水が潮風に運ばれてきたと推理するも、すぐに打ち消す。「──いや、汗か」
汗は固形と化していた。
手が、足が、速度を増していく。散々に酷使され壊れかけたブレーキが、もうまもなく
役目を終えようとしている。加藤は凄まじい悪寒に襲われた。
おい、ちょっと待てよ。これ以上進めば、もう後戻りはできねぇ。虎を倒すどころじゃ
なくなる。まだ戻れる、今がぎりぎりのライン。戻れよ、休めよ、眠れよ。いや、ダメだ。
愚地独歩なら、ここで絶対にアクセルを踏む。
「か、か、館長ォッ!」
──脳が爆ぜた。
二十数年、蓄えられた記憶が頭蓋骨を飛び越えていく。苦痛と疲労が存在しない世界へ、
加藤は旅立った。
「き、来やがった」常軌を逸した鍛錬を耐え抜いた先にある境地。「エンドルフィン!」
酔った。拳を振るうたび、足を上げるたび、無重力に迷い込んだような浮遊感が味わえ
る。もう首から下が自分の体ではないようだ。いや、目に映っている部分すら現実かどう
か。こんな絶世の美酒を、ずっと昔から浴びるように飲んでいたトップファイターたち。
「そりゃ強くもなるだろうぜ」
半ば呆れたように、加藤は苦笑いする。
汗はすでにろくに出なくなり、日も強くなり体中が乾燥してきた。が、加藤は止まらな
い。楽しくて仕方ないのだ。彼は典型的な中毒症状に陥っていた。
とうとう、加藤は昼過ぎまで止まらなかった。
きっかけは右ハイキック。右ハイを仕損じて転倒した加藤からは、起き上がる力は失わ
れていた。まるで加藤を操っていた糸が、切れてしまったかのように。
エンドルフィン切れ。体液はとうに出尽くし、唾液すら出ない。筋肉は乳酸に蝕まれ、
金縛りに似た状態となっている。
体も心もぼろぼろ。が、加藤は満足していた。
「こうやって鍛錬してきゃあ、虎はもちろんだが、いつか日本に戻ったら刃牙や烈だって
倒せる!」
過剰に強気な台詞を吐く加藤。実力と伴っているかはともかく、自分自身に充足してい
る証だ。
砂浜と密林の境界上にある、茂みが揺れる。風だろうか。どんどん揺れが激しくなる。
加藤がちらりと視線を流す。
「風、じゃねぇっ!」加藤が目を大きくする。「獣臭!」
茂みから、弾かれたように巨体が飛び込む。隻眼と化した虎の再来である。
サバイバル四日目突入。
新スレへカウントダウンです。
加藤のピンチに、シコル○キーとセ○乱入!
473 :
作者の都合により名無しです:2005/12/09(金) 12:36:03 ID:EtpeMzD10
>加藤のピンチに、シコル○キーとセ○乱入!
いつも後書き読んでから内容読むので、必死にセコルを探した。
どこにもいないじゃないか!サナダさんの嘘つきー!
相手の虎は結構強めの虎かな。隻眼の虎はサガットを思い出すw
さすがにこのSSにセルとかは乱入しないだろう。
したらしたで面白いがw
なかなかトラの壁は厚そうですね。
しかし烈やバキはトラ数倍強いからな。
ところで、この加藤は何時頃の加藤?
最大トーナメント終了後?
ドドリアと戦ったって退院した後?
どの時期でもビミョーに原作と合いませんな。
もしかしてSSの内容に関する質問俺してる?
475 :
作者の都合により名無しです:2005/12/09(金) 16:38:58 ID:iIzIgttFO
>474
話をもう一度詳しく読んでみるべし
>474
ドドリアと戦ったって…
加藤だったら間違いなく死ぬだろ。
477 :
作者の都合により名無しです:2005/12/09(金) 23:38:04 ID:EtpeMzD10
多分、ドリアンとドドリアを間違えたのだとマジレス
わざとかも知れないが。
次スレ立てようかと思ったけど、あと2本くらい来てからが丁度いいか。
>>430 「遅いよ、ドラえもん。」
のび太の部屋へ戻ると、待ちくたびれたと言わんばかりにのび太が
話かけてきた。すっかり影の薄くなっていた出木杉が続けて尋ねる。
「誰からの電話だったの?ずいぶん話し込んでたみたいだけど。」
「え?いや、その、ド、ドラミからだよ。元気してる?だってさ。」
あわててゴマかすドラ。出木杉はドラの不自然な態度に不思議そうな顔で、
しかし、特に執拗に気にすることもなく、軽い相槌を打った。
「ふうん。兄思いの良い子だよね。ドラミちゃんって。」
「うん。いや、全く心配性で・・・あれ?エルさん、それは・・・?」
しばらく会議の場を離れていたドラえもんが改めて部屋を見れば、エルが
なにやらノートパソコンのようなものを開いて何かの書類をプリントアウト
している。ようやく出揃った書類をまとめ、エルは再び話を再開させた。
「さっそくだけど、キミたちに頼みがあるんだ。キミたちにしか頼めない。
というよりキミたち以外には無理だろう。」
「ドラえもんくんの道具には時を遡る物さえあるというけど・・・」
「タイムマシンのこと?」
「それを使って探し出して欲しいものがあるんだ。」
そう言って、エルは手にしていた書類をその場に広げてみせた。
1枚目の書類には、青く輝く美しい宝石の写真が載っていた。日本語で、
説明書きが書かれている。ドラえもんたちのために翻訳されたものだろう。
説明書きの冒頭に一際大きな文字で「ブルーウォーター」と書かれている。
「へえ、きれいな宝石だね。」
「ブルーウォーターって言うのか・・・」
「で、これがなにか・・・?」
「これは、“ブルーウォーター”と呼ばれる宝石。真アトランティスの超科学が
生んだ奇跡の宝石だ。太古の昔には賢者の石とも呼ばれていたらしい。が―――――
―――恐らく、現在、地球上には存在しない。」
「・・・・存在しないものを探せって言うこと?」
のび太の呟きを流して、エルは話を続けた。
「鬼岩城にはまだ真アトランティス人の秘密が隠されているはずだ。
ひょっとしたら、そこにはなにか大きな手がかりが―――――」
「だけど、残念ながら海底鬼岩城最深部にはどうしても開かない扉があったんだ。
「ふむふむ。」
「それを開くために必要なカギが二つある。」
「そのうちの一つが・・・」
「そう。賢者の石“ブルーウォーター”!」
「そして―――――」
エルはブルーウォーターの写真をズラし、2枚目の書類を露にした。
「へえ・・・」
書類を見つめる一同にブルーウォーターのとき以上の感嘆の声が広がる。
2枚目の書類に写る写真を見たしずかは、思わず羨望の吐息を漏らした。
「きれいな人・・・まるでクレオパトラみたい・・・」
そう。そこに写っているのは、まだ若く美しい一人の少女の笑顔であった。
年のころは15〜18といったところか。まばゆい笑顔。健康的な美しい褐色の肌。
スリムな体。スラリと伸びた四肢は、しなやかな野生のカモシカを連想させた。
「褐色の肌がなんだかエキゾチックだねえ・・・」
「かっわいいなあ・・・」
「なんと、お美しい・・・」
のび太、ジャイアン、スネオの3人はしまらない顔でデレデレと眺めている。
ま、彼らからすれば、きれいなお姉さまは好きですか?しょうがないところだろう。
「秘石、ブルーウォーターの代々の所持者であるアトランティス王家の者たち。
彼女こそがその末裔――――――――“プリンセス・ナディア”!」
『“ナディア”!』
「でもその人、100年も昔の人なんでしょ?生きてるの?」
「子孫は?」
「子孫はいない。いや、見つからないし、いたとしても判断のしようがないんだ。
それというのもどういうわけか、ある地点で歴史が完全に途絶えてしまっているんだ。
ナディア姫と科学者ジャンの結婚の記録までは残っているんだけど・・・
アトランティス王の最後の子を産んだエレクトラ女史もいるから、どちらかの
子孫が残っていてもおかしくはないと思うんだけど・・・まあ、どちらにしても
“ブルーウォーター”を引き継いでいるのはナディア姫だけのはずだからね。
そうでなくても純粋なアトランティス王家の血を引き継いでいるナディア姫を
探した方が間違いないだろう。」
そこまで一気に語ってからエルは、唐突に話を切り出した。
「キミたちに頼みというのは他でもない。彼女を探し出して欲しいんだ。」
「え?100年前の人本人を・・・?」
そこまで言って、ドラえもんはようやく閃いた。
「・・・そうか!100年前に行って、その人を連れてくればいいのか!」
「なるほど。だから僕等じゃないとダメだってわけなんですね。」
「すまない。そういうことだ。」
「ブルーウォーターはいいの?」
「彼女こそが、その正統継承者と言っただろ?秘石は常に彼女と共にある。」
「じゃあ、ナディア姫さえ見つかればカギは二つとも揃うってわけか。
話が早えじゃん♪」
エルは申し訳なさそうに一同の顔を見渡した。
「すまない。キミたちだけを危険な目に合わせてしまうかもしれないが・・・
僕はこれでも兵隊長・・・。ムー連邦をほったらかしにすることはできないんだ。」
のび太を始め、一同がみな笑顔で胸を張る。
「大丈夫ですよ。人探しくらい、そんなに危険なこともないだろうし。」
「エルさんの方がよっぽど危険な任務についてるわけだしな。」
「・・・みんな・・・・本当にありがとう・・・!」
エルはみんなの暖かい笑顔に、思わず目に涙を浮かべながら頭を下げた。
「そんな・・・頭なんて下げなくてもいいですよ。さっきも言ったけど、
これは僕等の問題でもあるんだから!」
「そうだぜ!スネオだって、今回はウダウダいわねえよな!?」
こういうとき、必ず尻ごみしてしまう臆病なスネオの機先を制すべく、
ギロリと睨みつけるジャイアン。しかし――――
「行くー!行く行く!行きますとも!絶対に!なあ、みんな、世界を救うためだ。
断れるわけないよな。頑張ろう!オ―――――――――――ッ!!」
いつにもましてスネオが張りきっている。ジャイアンは目を丸くして冷や汗を流し
ながら後ずさりした。・・・どうやら、アトランティスの麗しき姫君“プリンセス・
ナディア”の笑顔に、スネオは一目惚れしてしまったらしい―――――――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回分終了です。本当はもう少し続きがあったのですが、
今スレ中に間に合いそうになかったのでキリのいいところまで。
で、これだけムー連邦vsネオ・アトランティスを強調してきて
なんなんですが、実は今回の舞台は「海底」ではなかったりします。
(当たり前だけど、もちろん海底も大きく絡んできます。)
真の冒険の舞台。
「次作は天空」の声がありましたが、それに近いかもしれないですね。
次章の仮タイトルは「いざ!幽幻界へ―――!」です。
うみにんさんぐっじょぶ。
ナディアはどうやら今作のヒロイン的キャラになるのかな?
賢者の石とか、ムーとかアトランティスとか、わくわくするキーワードですね。
ますます広がっていく世界に期待大です!
おぉ!うみにんさんGJ!
ついにバキスレにもナディアが登場かぁ
懐かしいやら嬉しいやらだ
スネオ、ナディアとあったらきっと驚くだろうな
主に性格でw
485 :
作者の都合により名無しです:2005/12/10(土) 13:24:57 ID:gROTkqzM0
ナディアって不思議の海のナディアかな?
名前だけは聞いた事あるけど、見た事ない。
漫画じゃなくてアニメですよね?
ナディア知らないけど、うみにんさんの作品は
元ネタ知らなくても楽しめるんで好きです。
続き楽しみにしてます。
486 :
魔女 境:2005/12/10(土) 15:11:45 ID:P8iuDDPc0
樹はその日、泥のように眠った。
沈んでいくように――永遠とも思える底なしに――
「…ここは……境?」
樹は周囲を見渡した。深い谷底の奥の奥とはこんな感じなんだろうか、
とふと思うほどに暗闇で満ちていた。何も見えなかった。
しかし、暗闇以外の何かで満ちているような気もしていた。
「君、どうして?」
「え……あ!」
声の方に首を回すと、そこには今朝見た男が立っていた。その体は、
ぼんやりとした光を帯びていた。
「君の方が早くこっちに来るなんて、驚いた」
「今来たんですか?…って、ここは、どこ?」
「ここは……彼岸の世界、かな。多分ね」
「…もう、死んだ人達の、世界……?」
「黄泉の国とか、冥府、冥土――まあ、そのようなものだろうね」
「私、死んでないよ」
「なんでここにいるんだろうね。境を抜けて、君は踏み越えてしまった」
私はただ、全てが分からなくなってベッドに飛び込んで、そして――
樹は、静かに混乱していた。
「…なんで……」
「…心かな」
「心?」
「心が、死んだのかもしれないね」
「…心……」
「一時的にだろうけど」
487 :
魔女 境:2005/12/10(土) 15:12:14 ID:P8iuDDPc0
男は、首を下に曲げた。
「見てごらん」
と言って、見ている方を指差した。樹は指差すほうに顔を向けた。
「何も見えないよ。ただ、まっくら」
「そうかい? 僕にははっきりと見える」
死人と仮死状態の差かな、と言って男は少し笑った。樹は何も変わらずに
下を見続けていた。
「あ」
光が一つ見えた。男と同じ、ぼんやりとした光が。そして二つ、三つ、四つ
――瞬く間に、光は数え切れないほどに増えた。
「見えた」
「目が慣れたのかな」
男は続けた。
「天才と呼ばれる画家の中には、暗闇を書き続けた人達が何人かいる」
「え」
「そっくりだ。この光景に。彼らは、生きながらにしてこの常闇を見ていたのだ
ろうか? それとも、頭の中の宇宙にこの光景が刻み込まれていたのだろうか?
不思議だね。凡人には分からない」
「あなたは、画家じゃないの?」
樹は心の中にあった疑問をぶつけてみた。
「凡人だよ」
「そうなの?」
「むしろ、君の方が才能ありそうだ」
「私? 私は……下手で」
「まだ子供のうちから自分の限界を決め付けるのはよくないよ。君は、他の人間
とは違う世界を見ている。それは、表現することにおいて強力な武器になる筈だ」
「…境」
「君なら出来るよ」
488 :
魔女 境:2005/12/10(土) 15:12:52 ID:P8iuDDPc0
樹は、首を少し上げた。男の下半身が見えた。
「…え?」
樹はうろたえて、言った。
「足が……」
「ああ、時間みたいだね」
男は静かに言った。
「ここは、死の世界の入り口なんだ。この下の無数の光は、黄泉への道を歩んでいる
死者の群れ。たくさんいるだろう? 今日、これだけの人が死んだんだね」
「…あなたも、あれに混じる……?」
「そうなるね」
気付くと、もう体の半分が黄泉に飲まれていた。
「君はやっぱり大丈夫だ。目が覚める頃、此岸に戻れるだろう」
「…………」
樹は、男に何かを言い忘れている気がした。それを頭から必死に穿り返していた。
「…う」
言う必要はない。そう判断した。
真実を教えたところで、ここで何かが変わるわけでもないし、これから恒久の時を
過ごすかもしれない死人に今もやもやを与えたくはない――そう思った。
もう、顔しか見えなくなっていた。
「じゃあ、元気でね」
「…あ……」
「?」
「…あなたの、名前は?」
「…………」
男は、それを聞いて吹き出した。
「そういえば、まだ言ってなかったね。高山義隆。○×美大出身」
樹は何も言わずに、案外普通の名前だな、とぼんやり思っていた。
「…忘れないでくれよ」
そう言った後、完全に見えなくなった。
489 :
魔女 境:2005/12/10(土) 15:13:18 ID:P8iuDDPc0
樹が目覚めたのは、深夜三時も過ぎた辺りだった。樹は暗闇の中立ち上がり、机の中を
音を立てず漁った。
預金通帳を手にすると、それをじっと見た。
子供の頃から、不思議だった。なんで、0がこんなに一杯あるんだろうと。
今は、それに何かの意思を感じていた。
物言わぬ金に、誰かの強い気持ちを感じていた。
それは、多分優しさの類だと、樹は今思っていた。
樹はそれを持って静かに家を出た。鍵を掛けて、そして遠くに投げ捨てた。
「高山義隆。○×美大。高山義隆。○×美大。高山義隆……」
忘れないように何度も何度も呟きながら、夜の住宅街を抜けた。
八年後――
四回じゃキリが悪いので、まだ続きます。次で完結。
当初思っていたのとは別の展開になりましたが、どちらかといえばこっちの方がいいかな。と。
樹はどうなるのか。本当の母は。等々次回で。
>>385 上から順に心の病、不条理、ギャグ、って感じですかね。
まあどうでもいい話達ですが、それはそれで。
>>386 あの人達の話もそろそろやりたいですね。24話で終わらせる気ならそろそろやらないと……
でも本当は、もっと書いてもいいんですけど、キリがなくなりますからね。
>>387 有難うございます。でも「あえて」じゃなくて皆様と同じように出来ないんですw
やっても負けます。だから違う土俵で相撲取って逃げるしかないんですよね。
>>388 ポークビッツは小さいですよね。たまにやたら小さい男優がいて笑いますが。
最近妹の作るものがかなり食えるようになってきて感心してます。
>>407 レベルE、立ち読みしただけですが面白い話でした。冨樫さんはああいうのが一番向いてるのでは。
ショート、本当は四本書くつもりだったんですが、面倒で一本減らしてしまいました。
>>409 ブログってどうなんだろうなー、と思ってはいるんですが、思ってるだけで終わると思います。
では次回。どっちかな。ところで、日本は予選突破厳しい感じですね。クロアチアもオーストラリア
も与しやすい相手では絶対ないと思うので。ブラジルは論外。
お疲れ様ですゲロさん。
冥府の境で樹が見た事、感じた事。
そして高山との不思議な出会いが8年後にどう結実するのか
まったくわかりませんね。ラスト楽しみにしてます。
>サマサさん
魔を断つ剣って……デモベですか!
そりゃ強いでしょうけど……となるとザンダクロスはお役ご免?
493 :
作者の都合により名無しです:2005/12/10(土) 23:35:10 ID:Yry36liw0
ゲロ様乙です。
彼岸とし岸の間で感じた暗闇。魔女はなかなかハッピーエンドにはならない作品ですから
樹も苦しむかも。しかし、急に8年後になりましたね。もう少し冥府を引っ張るかと思ってましたw
ああ、やっぱり魔女は恩田陸の影響をそこかしこに感じますね。
494 :
作者の都合により名無しです:2005/12/10(土) 23:43:11 ID:Yry36liw0
495 :
ふら〜り:2005/12/11(日) 22:26:36 ID:Nx1sysF+0
>>テンプレ屋さん
おつ華麗さまです〜。これだけ作品が多いと、大変だったでしょう。その奉仕精神に
敬礼! です。
>>しぇきさん
ん〜、意外とハマってて想像し易い、勇次郎の先生姿。チョーク投げとか、出席簿叩き
とかの破壊力が凄いんだろなぁとか思ったり。レナの行動とその実力に動じないのは、
勇次郎が自分基準で考えているからか、目的・風習ゆえか……まだ始まったばかりですね。
>>サナダムシさん
加藤がその域にまで達しましたか。でも勇次郎の解説映像にもありましたけど、あれって
格闘家に限った話じゃないですよね。そのまま強さの目盛りにはならない。でも身体能力
がある基準に達した証ではあるわけで。虎相手なら格闘技術より重要かも。勝てるかっ?
>>うみにんさん
これでナディア世界に行くとすると、スネオがジャンのライバルに? 機械の知識という
武器が強敵だぞスネオっ(それ以外は大差ないと思うけど)。幽幻〜のあの子と二本立て
ヒロインだとすると、美夜子やリルルとはだいぶ路線が違いますねぇ。華やかさが楽しみ。
>>ゲロさん
今回は景色というか空間描写が「蟲師」っぽかったですね。言葉そのままの意味で、底の
ない広い深い暗闇。手ごたえがなくて、対応しようのない怖さ。物語の内容とはまた別に、
吸い込まれそうな気分になりました。樹も一緒に、ふら〜っと「境」を越えちゃいそうな。
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