【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第11部
1 :
作者の都合により名無しです :
03/08/17 00:30 ID:5PphsBkw
2 :
作者の都合により名無しです :03/08/17 00:31 ID:5PphsBkw
3 :
作者の都合により名無しです :03/08/17 00:31 ID:kh4qfdFk
4 :
作者の都合により名無しです :03/08/17 00:31 ID:5PphsBkw
ルール! それはここに書き込む際の最低限のルールである! ・過去ログを見てストーリーの流れくらいは把握しておくこと! ・リアル故人は出さないこと! なぜなら不謹慎だし色々あるからだ! ・漫画のキャラをあんまり出すな! ここのメインはあくまで漫画家だ! ・相談するのは自由だが、ルールを守り自分の書きたい物を書こうな! ・先人の意思をなるべく尊重しよう!壊すにも壊すルールがあるのさ!
5 :
王大人 :03/08/17 00:33 ID:fNC+RqDa
それでは始めぃ!!
くっ…広告が…
7 :
まこ○ン :03/08/17 00:41 ID:1UkWCtEG
新スレ引っ越しおつかれさんだモーン! お祝いにこの老化毒ガス入り玉手箱を進呈するじゃーん(ウソ)
8 :
って :03/08/17 01:17 ID:1UkWCtEG
ヽ(゚□゚)ノシ うわぁぁ! Cブロックの時間表示が思いっきりズレてますー! (前スレまとめ参照)注意、注意ー!!
9 :
野々村の覚醒 :03/08/17 01:28 ID:kH4YCcY8
自分の頭に銃口を突きつける野々村を、萩原が冷厳な目で見つめていた。 萩原「お前の敵?そんなもんはカンケーねーな。俺様に逆らったヤツは、全員ブチ殺す! 第一、この世で最高のハンサム様を捕まえて『おっさん』とはなんだ! 取り消せ、この小猿が!!」 野々村「ごちゃごちゃうるせえ!とっととこの場から消えねえと、お前の頭が吹っ飛ぶぞ!」 互いに、怒声を吐き出す2人。ふと、萩原が嘲るように笑った。 萩原「バカか、てめーわ?そんなオモチャがオレに通用すると思うなら……やってみろ!」 ドゴオッ! 刹那、デザートイーグルが咆哮した。牙のような硝煙が銃口から立ちのぼる。 しかし、萩原の頭部を破壊するどころか、逆に野々村が吹き飛ばされた。 野々村「ぐ!?」 強い力で壁に叩きつけられる野々村。口から呼気の塊を吐き出した。 萩原「フツー、いきなし撃つかあ、テメエ?それはそうと、残念だったな」 まったく無傷の萩原の周囲には、強力な磁場にも似た障壁が出現している。 萩原「これは『盾(シールド)』…物理攻撃を防ぐ障壁だ。一流の魔道師は、無意識にこれを纏う」 野々村「この……化物ヤローが……」 悔しげに臍を噛む野々村に、萩原が酷薄な表情を向ける。 萩原「テメエはつまらん。だから、一撃で決めてやろう。 ザーザード・ザーザード・スクローノー・ローノスーク 漆黒の闇の底に燃える地獄の業火よ 我が剣となりて敵を滅ぼせ!!」 詠唱と共に、空中に描き出される不気味な紋章。そう、これは萩原必殺の即死呪文! 萩原「爆 霊 地 獄 (ベ ノ ン) !!! 」 刹那、萩原の掌からおぞましき闇の炎が噴き出し、野々村に襲いかかった。
べキベキベキャ!! 野々村「ぐおあああッッ!」 凄まじい力で吹き飛ばされた野々村。いや、これは自分で飛んだのだ。 さもなければ、野々村は萩原の爆霊地獄によって消滅していただろう。 しかし、当然無傷ではすまない。野々村は右腕を肩口から失った。 野々村「ぐ…ぬおおお……」 右肩を押え、のたうち回る野々村を、萩原が思いきり踏みつけた。 野々村「ぐあああッッ!」 萩原「クックック…痛えか虫ケラが……もっと苦しみやがれ!!」 ちぎれた肩を、萩原の足が無慈悲に踏みつける。野々村の苦悶の絶叫が、こだまになった。 野々村「あ……あが…あが…」 萩原「ヤローの喘ぐ姿なんて見ててもつまらねーな。んじゃ、そろそろ消えろ」 苦痛に悶える野々村に、萩原の掌がゆっくりと突きつけられる。 今まさに、野々村の脳がはじけとぼうとした、その瞬間。 野々村の周囲に、とてつもない力が渦を巻き始めた。 萩原「な…なんだ、こりゃあ?このガキ、超能力者か!?」 予想外の出来事に驚く萩原。その眼前で、野々村が立ち上がる。 野々村「よくも……やりやがったなあ、てめええええええッッッ!!!」 萩原「!?」 野々村の喉を怒号がほとばしった刹那、萩原の体がものすごい勢いで吹っ飛ばされた。 砲弾のように吹き飛んだ萩原が、壁に盛大に叩きつけられる。 萩原「おごお!の…のにい……?」 砕かれ瓦礫となった壁から萩原が立ち上がると、そこにはとてつもない力場を纏った野々村がいた。 野々村「好き勝手やってくれやがってえ……死ぬぜえ、おっさん……」 片腕を失い、血みどろになりながら、野々村は今までにない獰猛な笑みを浮かべた。 一方、その力の脈動を感じた鷹氏は、戦慄していた。 鷹氏「この力……まさか目覚めたのか!『チャイルド』の力が!!」
前スレが早々容量越えました・・・。 Cブロックレス番号は次回より『139』をご使用ください(ペコ
鈴木「とりあえず・・・これで☆一つだな」 力なく横たわる澤井を見下ろし、無表情で鈴木は言う。 その顔に感情があるとすれば唯一つ――怒り。 そしてもう一人澤井を見下ろす男―― えなり「澤井さん・・・」 その顔に浮かぶ感情もまた――怒り。えなりは今怒りに震えていた。 澤井vs鈴木の勝負はついた。 鈴木には勝ち星が与えられ、敗者である澤井は島のどこかに飛ばされるはず、だが―― えなり「☆はあげられない」 鈴木「あん?」 えなりの言葉に鈴木の目がそっちに向けられる。 えなり「審判権限さ、たった今ルールを変更させてもらった。 ☆が欲しければ・・・僕を倒せ!」 えなりは拳を握り締め、キッと鈴木を睨む。 えなり「鈴木先生の裏人格、鈴木リバースと呼ぼうか・・・おまえは危険だ! 矢吹に組するお前を、このまま野放しにしておくわけにはいかない!」 えなりの目は気迫に満ちていた。 鈴木「とりあえず・・・テメーもぶっころだ」 機嫌悪そうに吐き捨てると鈴木は投球に入った。 えなり「違うね!死ぬのは僕の新たな『個性』を見るお前の方だ!」 この強気の言動、この男は我々の知るヘタレえなりではない。 えなりを変えたのは『個性』なのか?ならば『個性』とは何か? ――それはこれから彼自身の手で示されるだろう。 それを我々はこれから目撃することとなる。 鈴木「絞竜!」 鈴木の手から放たれた高速の変化球がえなりの体を捉えた!その瞬間―― えなり「江成真拳奥義―― 『 お い ら に 惚 れ ち ゃ 怪 我 す る ぜ 』 ! ! 」
鈴木は目を疑った。 えなりの鳩尾に刺さったボールが勢いもそのまま鈴木に返ってきたのだ! 鈴木「!」 鈴木はそれを苦も無くグローブで受け止める。しかし、驚きは隠せないようだ。 鈴木「今の技・・・攻撃反射か・・・!?」 えなり「その名の通りな!」 鈴木(別に惚れてねーっ!) 鈴木は思わず心の中で突っ込んだ。 そして、えなりの姿もさっきまでの貧弱なえなりではない。 筋骨隆々、正に戦士の姿に変わっていた。 鈴木が人格交代によって肉体を変化させたように―― えなりが魂を交代して肉体を変化させ戦ってきたように―― 肉体を支配するのは精神。成長したえなりの精神力は肉体をも強化したのだ! えなりの戦闘態勢と言ったところか。 鈴木「プフーッ!!」 さしもの鈴木リバースも、その顔と体のアンバランスさに吹き出さずにはいられなかった。 えなり「似ている、お前と僕の能力はとてもよく似ている。 人格、あるいは精神を交代し、肉体をも変化させるという点で・・・ 運命なのか・・・それとも似たような能力同士の引力でお前と僕は出会ったのか」 鈴木「テメーも真拳使いだったとはな・・・」 何とか笑いを飲み込み鈴木が言う。 えなり首を振り、語る。 えなり「ついさっき目覚めたんだ・・・『聖鼻毛領域(ボーボボ・ワールド)』で開放された、 父から受け継いだロック魂と、肉変砲とスタンド『スリーベース・ヒット』が、 お前の変身をヒントに溶け合い、統合された一つの技として昇華した! これが 江 成 真 拳 ! ! 脈絡の無い僕の技の数々は、無限の可能性を秘めた真拳として生まれ変わったんだ!」
鈴木「ククク・・・」 鈴木は笑っていた。 えなりの顔と体のバランスがおかしくて笑っているのではない。 あまりに自信満々な態度がおかしくて笑っているのだ。 鈴木「それがお前の『個性』ってわけか。 だが出過ぎた『個性』は身を滅ぼす・・・お前の親父のようにな!」 鈴木は指を差しえなりを挑発。えなりはそれを受けて語りだした。 えなり「確かに・・・僕の父は出過ぎた『個性』を持っていた。 若い頃は天才子役としてブイブイ言わせたものの、青年になり俳優に転向してからは散々だった。 その童顔なのか老け顔なのか微妙な顔は配役を選び、冴えないサラリーマン、 純朴な田舎青年といった役しか許されず、ラブストーリーなどもってのほか、 トレンディドラマに出た日には失笑を買い、二線級のサスペンスドラマの助手役がせいぜい・・・ 年寄りくさいキャラクターも徐々に飽きられていった。 そうだ、僕の父は『個性』で身を滅ぼしたのだ」 えなりは一瞬俯く。辛い過去を思い出したのだろうか・・・ しかし次の瞬間、顔を上げたえなりの眼には炎が燃え盛っていた。 えなり「だが、冨樫の遺産と矢吹の陰謀を巡るこの闘いに於いては、 『個性』の消失は放置・・・引いては死を意味する! 居ても居なくても変わらない、富沢ひとしのように! ならば例え燃え尽きようとも僕は、持てる『個性』を出し切る!!」 鈴木は黙ってえなりの独白を聞いていたが、一言。 鈴木「一発ネタで終わるかも知れんぞ・・・」 えなり「それでもいい、今は・・・誰かの心に残ってくれさえすれば・・・ そして忘れても、いつか・・・思い出してくれさえすれば僕は活躍できる」 二人の間に沈黙が流れる。やがて鈴木が口を開く。 鈴木「動機が微妙に不純なような気がするが・・・ とりあえず・・・お前を倒して☆を上げる!」 えなり「来い!江成真拳の真髄を見せてやろう!!」 前代未聞の審判・えなりvs選手・鈴木信也(リバース)の戦いが始まった!
グッジョブ・・・! えなりが活躍してこその、このスレだ。
Bブロックの控え室のある建物のとある廊下で。 キバヤシと萩野が違和感に気付いたのはそれほど時間がたってからのことではなかった。 買って来た飲み物が気に入らなくて、買いに行ったのだろうか… 萩野は単純に考え、振り返っても伊藤がいないことを確認する。 伊藤の単独行動はそれほど珍しくもない。そのくせ、誰もいなかったと怒ることを除けば。 萩野はキバヤシと相談して、伊藤を探しに戻ることにする。 Cブロックから戻るときにいくつかあった店の位置などを思い出しながら。 Bブロックの建物は思いのほか広い。 だから気付かなかった。 通り過ぎた通路のいくつもある分岐──曲がり角。 そのうちのひとつが、壁に変わっていたことを。
Bブロックのとある場所。 壁を隔てた先では荒川弘と伊藤真美が対峙していた。 軽く壁面を叩いた感触で防音の設備は整っていることがわかる。 ただの廊下に過ぎなかったが、何らかの方法で変質させたのだろう。 両端を塞がれた長い通路を見渡しながら、憎々しげに伊藤は口を開く。 「つまんない手を使うのね。わざわざこんな手を使って隔離しなければ話も出来ないってわけ?」 「あなたたちがつまらない隠し事とかしてるからでしょうが。 虐殺者に文句なんか言われたくないわよ。」 「はぁ?そんなこと私には関係ないわよ。 それでこんな夜になっていまさら私に八つ当たりってわけ思った通り陰険な女ね。」 「なにいってんのよ思い上がりもはなはだしいわよくそんな脳内妄想考え付くわね。 私はこれからあなたたちがやろうとしていることについていっているのよ。」 「だいたいあなたは白衣ばっかりでうざいのよたまには違う服とか着れないのガンガンでは こんなセンスのない女に漫画を連載させるってわけしかも今日はちょっと汚れているし」 「あなただって似たようなもんじゃないいつもフードを被った陰気女に言われたくないわ こんな女に連載させているアワーズは全く懐の広い雑誌よね」 「何よ!」 「何が!」 お互いに息を荒げて呼吸を整える。相手のほうを見ると、その表情は 一目見ただけで不機嫌なことが分かる。もっとも自分も全く同じ表情をしていたに違いないが。 目の前にいた女──荒川は剣呑な気配を隠そうともせずに伊藤に告げる。 いくぶん疲れた声で。 「こーいう話をしに来たわけではないのよ。」 「そのようね…どういうつもりよ?」 同じ調子で伊藤が応じる。 荒川はいくらか真摯な表情を見せて言ってきた。 「放っておく予定のことだったけれど、聞いておきたかったからね。 あなたたちが本当に虚無の渦を作り出そうとしているのかを。」
暗い闇の中だった。 闇の中に、悠然と門が聳え立っていた。 その門の前に、男は呆然とした表情で立ち尽くしていた。 小柄な男だった。 その外見と、人のよさそうな顔立ちは一見、気弱げな印象を人に与える。 普通に道を歩いていたら人ごみの中に埋没してしまいそうだった。 しかし、そんな概観と、衣服に隠された肉体は極限まで無駄を排除し、見事なまでに鍛え上げられていた。 「ここは、どこだ・・・」 頭がぼんやりとする、どうしてこんな場所に自分がいるのかわからない。 いつのまにか、ふと気がついたらここにたっていたのだ。 「今まで、何をやってたんだっけ・・」 記憶が曖昧だ、どうしても思い出す事ができない。 まるで頭の中に霞みがかかったようだった。 「僕はどうなってしまったんだ・・」 「知りたいかい?」 混乱する男の後ろから突然声がした。 「!?」 咄嗟に後を振り向くことなく前に飛び出し素早く反転し、体に馴染んだ戦闘態勢を取る。 両の手を顎の辺りで構え、上体を深く沈めて、足は爪先立ち。 隙あらばすぐさま相手の懐に飛び込める、そんな構えだった。 半ば拳でガードされた顔面から強い瞳が目の前にいる男を見据えていた。 「ストップ!俺はあんたの敵じゃない」 今にも飛びかからんばかりのその姿を見て、鋭く男は言った。 無機質な、硝子玉ではないかと錯覚するほど感情の無い目をした男であった。 その男は、小柄な男が踵を地に付けるのを確認してから口を開いた。 「単刀直入に言わしてもらうが、ここは現世と常世の狭間。そして俺はあんたみたいに怨みを持って死んだ為、そのまま天国へいけず地上をさ迷い続ける霊に選択肢を与える者だ」 男はあくまで熱の無い声で、とんでも無いことを言った。
「れ、霊!!??な、何を言って・・「ああ、そうだ名乗るのが遅れたな」 その男は戸惑いの声を遮るかのように言った。 「俺は高橋ツトム。一応漫画家だが今はこの―怨みの門の門番だ。よろしくな、森川ジョージ先生」 「あ・・・」 名前を呼ばれた瞬間―その男、森川ジョージの頭の中でまるで映画の早送りのように映像が浮かび始めた。 自分が死んでしまった時の映像が― 「そうか・・・僕はあの時・・真島ヒロを倒して・・・・そして・・復活したあの男に体を操られたんだったな・・」 森川ジョージはショックを受けながらも、淡々とその事実を受け入れた。 「思い出したか?」 高橋は言った。 平淡な声だった。 そして感情の無い瞳が森川を見下ろしていた。 こんな場面にもう何度も出くわしてきた、その態度がそう物語っていた。 「ああ、だけど僕はあいつを、真島ヒロを怨んでなどいない!!」 力強く森川ジョージは言った。 確かに真島ヒロは憎むべき敵だ。 しかし、戦いそのものは紆余曲折はあれど一対一の勝負だった。 その結果、自分が死に、相手が生き残ったのだ。 勝負の世界はオールオアナッシング。 負けた自分がその後どうされようとも仕方の無いことだ。 そこに怨みなどあろうはずがない 「そうだな、真島ヒロを怨んではいないだろうさ」 あっさりと高橋は言った。 「ならなんで僕はここにいるんだ!」 「なんだ、まだわからないのか?」 激昂する森川に対して高橋は呆れたような声で言った。 「わかるわけ・・」 「怨むのは、何も他人だけってわけじゃないんだぜ?」 ドクン その言葉に森川の心の奥底にある何かが反応した。
「なあ、よく考えてみろよ、あんたが死んだのは、一体誰のせいだ?」 「そ、それは・・」 森川の頭の中に、それまでずっと押し殺していたものが侵食していく。 あの時、ダウンした真島の頭部に右の打ち下ろしを叩き込んでいれば― いや、それ以前に、グローブを外していれば、ボクシングなどにこだわらなければ―!! 森川はわなわなと両手を目の前で震わせていた。 「わかった・・・わかったよ・・・」 うめく様に森川は言った。 思えばずっと自分は我慢していた 相手が何をしようと自分はボクシングをする。 そんなスポーツ漫画家としての誇りを捨てて、一度でいいから素手で、そしてノールールで戦い、そういう欲求をずっと抑えてきた。 その挙句があのざまだ。 そう、僕が怨んでいたのは― 「僕自身、か・・・」 体の底から搾り出した、そんな感じの声で、森川は言った。
「ようやくわかったか」 森川の様子を黙って見続けていた高橋が言った 「それでは、お前に三つの選択肢を与えよう」 「一、死を受け入れ、天国に旅立つ」 「ニ、死を受け入れずに、霊となって現世をさまよう」 「三、奈落に落ち、妖魔王の配下として生まれ変わる」 その三番目の選択肢を聞いた瞬間、ごくりと森下は唾を飲み込んだ。 「妖魔王、だと?」 「ああそうだ。実は本来三番目の選択肢は別にあるんだが、どうも妖魔王の戦力が足りないらしくてな、戦力に成りそうな奴はスカウトしてくれって下から要請がきた。そしてあんたはその第一号ってわけだ」 そう言いきった後、高橋は初めて感情の込められた視線で森川を見た 「だがな、選ぶのはあんた自身だ。そしてあんたが選んだ選択肢を俺は尊重する、絶対に」 「ぼ、僕は・・」 声が震えた 頭の中をぐるぐると色々な考えが駆け巡る。 妖魔王、名前だけは聞いたことがある、かつて神と戦い同士討ちとなった男。 冥府の支配者。 その配下となれば、もう一度、今度こそ何のしがらみも無く戦う機会を得ることができる。 だが、そういう考えと同時に森川の頭から離れないものがある。 ボクサーとしての誇り マガジンの漫画家としての誇り 妖魔王の配下となるということはその十数年もの間持ち続けてきた誇りを捨てるという事 「ううう・・・」 二つの相反する考えが森川を苛ませる。 そんな様子を、今までと同じく感情の無い瞳でじっと、高橋は見つめていた。 その後、森川ジョージがどんな答えをだしたのか―その事を知るのは今のところ高橋ツトム、唯一人。
うまいなー
俺が全てを失った日から2年後一一 終わりのない逃亡生活に疲れ果てた俺は、さながら生ける屍だった。 腐臭の漂うゴミ溜めの中、雨に打たれながら、俺はゆっくりと朽ち果てようとしていた。 そんな俺の前に、薔薇の入墨を刻んだ、あの男が現れた。奴は言った。 「愛しい彼女を、生き返らせたくはないか?」 その瞬間、俺の中の消えかけていた火種がくすぶり始めた。 「な……に!?」 「私と契約を結ぶのだ。見事契約を果たせば、君の思い人は蘇る。 我が主にとって、その程度のことは雑作もないこと。どうする?選ぶのは君だ」 その男一一能条純一の言葉には、人を信じさせる得体の知れない力があった。 「本当に……彼女を生き返らせてくれるんだな? ……もしも本当なら、俺はどんな事でもやってみせる!」 「愛は寛容であり、愛は妬まない…… 誇らない、いらだたない、恨みを抱かない そしてすべてを信じ、すべてに耐える…… ク…ククク……実に素晴らしい。それでこそ、君を選んだ甲斐がある。 では、この手を取るがいい、岡村賢二。君の逃亡生活は今日で終わりだ。 君には、新しい使命が待っている。歴史に名を残す巨人を始末するという使命が。 神話でも、巨人とは竜と並び、神に反逆する力を持った邪悪な種族。 そのような者は、すべて討ち滅ぼさねばならんのだよ。 そして、私は?T名人?U……ある意味では最も神に近い男だ」 能条の言っている事を、俺は半分も理解できなかった。 が一一 俺は、薔薇の入墨が刻まれた手を取った。 その日から、俺の新たな闘いが始まった。
さっそくレス数間違ってるわけだが・・・
現在一一 俺は紆余曲折を経て、裏御伽の一員となった。 しかし、俺は知ってしまった。仲間の温かさを、そして本宮さんの大きさを。 わずかな間だったが、俺は癒されていたのだ。 あの時、彼女が与えてくれたのと、同じ安らぎに満たされていたのだ。 満月を見上げながら、俺は彼女のあの笑顔を思い浮かべる。 俺って奴はどうしようもない人間だ。結局、彼女を守ることも出来ず、 本宮さんにとっての一番になることも出来なかった。 なぜなら、あの人の側には、いつもアイツが……川原がいたから。 同じジャンルで勝負する限り、俺はいつも2番手だ。 だからこそ、俺は自らを恥じ、戒めの仮面をかぶり、素顔を隠した。 そうすることでしか、俺は自己を確立することが出来なかった。 滑稽な話だ。結局、俺はあの頃と少しも変わっちゃいなかったんだ。 ……すまないシスター。 俺には、あの人を殺すことなんて、出来そうもない。 それに、俺が人を殺す代わりに生き返る事なんて、望むような女性じゃなかったな。 復讐、絶望、嫉妬。そんな醜い、浅ましい感情に縛られて、俺はそんな事も忘れていた。 ……逃げてたんだな、俺は。自分の哀しみから、自分の弱さから。
やがて、岡村はゆっくりと立ち上がった。 「もう俺には、何もない……もう本宮さんを騙しつづけることも出来ない。今の俺はもう……抜け殻だ」 そう呟いたときだった。 月明かりが、岡村のものではない、ひとつの影を映しだした。 それは、人の物ではない。それはまさしく、修羅の影。 影の正体に気付いたとき、岡村が苦い微笑を浮かべた。 「そうだったな……俺にはまだひとつだけやり残したことがあった」 耳を愛撫する潮騒を聴きながら、岡村はゆっくりと振り返る。 そこにあるのは、一面の海。闇の淵を思わせる、漆黒の海面。 その海の上……正確には一艘の小舟の上……に黒髪を靡かせながら立つ男がいた。 いつもなら絶えず浮いているはずの微笑も、今ばかりは表情から失せている。 かわりに張りついているのは、あらゆる鬼を叩き潰し、喰らう修羅の本性。 「もう……なにも語ることはないな。俺たちの間には」 岡村が、どこか吹っ切れたような顔で、言う。 だが、それとは裏腹、その身に纏う闘気は、すでに臨戦体勢である。 「俺の生涯、最後の勝負だ。心置きなく、楽しませてもらうぜ」 哀惜と獰猛が同居したような笑みを浮かべる岡村に、無表情の修羅が言った。 「今宵の俺は……岡村賢二、お前を殺(と)りにきている……。 残念だが、楽しむ暇など、ありはしないぜ……」 「死を覚悟してる男に?T殺す?Uか……脅しにもなりゃしないぜ。 悪いが、何がなんでも楽しませてもらうつもりだよ、川原……」 砂浜と海上。それぞれの足場にて向き合う鬼、ふたり。 戦場の鬼、宮本武蔵が創り上げた鬼神の業……武蔵裏天流。 その鬼すらも地に叩きふせた、千年不敗の修羅の業……陸奥圓明流。 その光景は、奇しくも、武蔵と小次郎が死闘を繰り広げた巌流島を彷佛とさせる。 満月の下で、今、血戦が始まる。
荘厳な輝きの月の下。 対面する運命の鬼二匹。 それを運悪く目撃してしまった逃亡者1人。山狩りに追われている村田雄介であった。 まだ正式な【戦犯】として吊るし上げられた訳ではないし、 手袋をしているため菓子類から指紋は取られないが、 まだ手持ちの菓子は総額500円前後残っている。 バレたら一巻の終わり。早めに違反物を(胃の中に)始末しなければならない。 しかし近く遠くで松明が点在し始め、猟犬の鳴き声や多数の人間の叫び声が聞こえ、 とにかく誰もいなさそうな所に逃げたつもりが・・・これである。 (ヤバイ、ヤバイよぉ!もしこんな所にボクがいるのが審判に見つかったら、 三つ巴戦やらないかとか言われてあのふたりに一生恨まれそうだよー! もし断るとしてもやっぱり追われてる身だし、とゆーか殺し合い見たくないし、 でも一歩でも動いたら「む!何奴」とか言われてなんか飛んできそうだしー! それ以前に怪しい奴ゆわれて身体チェック受けたら終わりだしどっちにしろダメー! あーんどうしたらいいんだよー助けてよー稲垣くーん今どこにいるんだよーぅ) 村田の魂の叫びは、当然川原と岡村には聞こえなかった。 そして追い討ちをかけるように、 『格闘専門審判』松江名俊が歩いてこちらに向かっていた。 正確には岩山の間を飛ぶようにやって来ている。 その後ろを、コキ使われている青山がヒィヒィ言いながらついてきていた。 同時期・テニスコート。 「・・・・月が、赤くなってきてないかホ?・・・・始まったのか、なぁ・・・」 「うん?お空は白くてきれーな満月タイ。にわの先生、不思議な事言いよんね」
偶然にもほぼ同時期、同じ月を見ていた裏御伽たち。 彼らにも感じるものがあった。しかし乙にはその感覚が何かはわからない。 月の下には“本宮軍団”裏御伽チームの過去と現在があった。 川原との≪誓いの品≫を下げた鎖が突然はじけ、小さな金璽が草むらに転がった。 本宮は急いで拾い上げ眉をしかめると、心なし『血吸い色』に見える満月を煽り見た。 女性審判やら女性運営スタッフやらに追われる岡野+真倉は、 とりあえず休憩するために風下の崖の下に逃げ込んでいた。 そこで彼らは切り立った土壁の空の向こうに、頭蓋骨にも見える真っ赤な毒々しい月を見た。 ・・・彼らは裏御伽の中でも霊感がとびきりである。ふたりは不吉な予感にさいなまれた。 “J”澤井も薄れゆく意識の中、ただ大地に背中をつけて空を見ていた。 パノラマの夜空は、お迎えが来つつある自分には本当に眩しくて。 そしてあの丸くオレンジがかった月が、泣いているように思えて。ただそれだけで。 裏御伽の新参、乙も不思議な色合いの月を仰いでいた。 ふとした胸騒ぎに襲われる。だが、これが何を表しているのかはわからない。 ただ、念写に唯一現れなかった、“元・裏御伽”川原の事がただ気がかりだった。 彼の直感が告げていた。 あの月は、血を欲していると。 贄(にえ)を求めていると。 ―――鬼神と修羅の血を。貪欲に、執拗に、心ゆくまで。
ただ一回多かったー(´Д⊂
虚無の渦……その言葉を聞いた瞬間、伊藤真美の顔色が変わった。 伊藤「!! あなた、それをいったいどこで 思わず冷静さを失い、感情のままに問いつめようとした、そのときだった。 !!?? 闘気ではない、殺気でもない、威圧でもない。 だが、名状しがたい……奇妙に現実離れした感覚を、2人は感じ取った。 ??「伊藤真美……そして荒川弘……」 伊藤・荒川「!? だれ!」 あるはずのない第三者の声に、2人が同時に声を荒げた。 ??「宇宙開闢より連綿とつづく果てしない運命の連鎖…… 決して人の身にすぎぬ者が、踏み込んではならぬ領域…… その領域を、片や『預言』によって……片や『錬金術』によって冒そうとする大バカ者…」 朗々と詩を詠いあげるように、紡がれる謎の声。 2人が声の方向を振り向く。そこに、ひとりの男がいつの間にやら立っている。 ??「GUNG-HO-GUNSを導く女、伊藤真美。そして、ガンガンを誘う女、荒川弘。 方法は違えど……共に人の身に過ぎたる『真理』への、 到達を目指さんとする……くされ×××アマ。 ……………………ちょっと下品だったかな」 最後の下ネタに、男は思わず自らの口を押さえた。 荒川「そんな……この場所は完全に密閉したはず……人が入ってこれるはずは……」 伊藤「ふざけたことを……何者です!名を名乗りなさい!!」 伊藤が、そう叫んだ瞬間。 ュ ン ッ 伊藤「き…消えた!?」 一瞬にしてかき消えた男の行方を、2人が目で追う。そのとき、あらぬ方から声がした。 ??「物理的な障壁など、俺には無意味だ」 2人の真後ろに、男は出現していた。
手を伸ばせば触れられる距離に、男は立っていた。 全身をことごとく『白』で覆った男。服も、肌も、髪も、すべてが白い。 男の体で色を持つ箇所は、両頬に醜く刻まれた赤黒い刀傷と、目元を隠すサングラスのみ。 その肩には、一羽のオウムがとまり、羽を休めている。 ??「伊藤真美……そして荒川弘……おまえたちは辿り着けない」 なにかを確信しているような口調で、男は言った。 その男の姿を間近で認めるや、伊藤が目を見開き、絶句した。 伊藤「! あ…貴方は……?T遠殺剣?Uの一一一一米原秀幸!!」 男の正体に気付くと、伊藤は全身を震わせはじめた。 一方、荒川は表面上は冷静さを保っていた。 だが、背中はすでに滝のような冷や汗で、衣服が張りつくほどだ。 こちらを威圧するような圧倒的な気というものは、感じられない。 というより、何も感じられないのだ。男から一切の殺気も闘気も、意志すらも。 この感覚が、最も危険なものであることを、荒川も伊藤もよく知っていた。 だからこそ、これほどの接近を許してなお、2人は動けないのだ。 荒川「辿り…………着けない?」 動揺を隠すように、慎重に荒川が訊いた。 米原「一一うん。だが、一応忠告しに来た。 『預言書』から、そして『錬金術』から手を引け。 忠告を無視するなら一一一次に俺と会う日がおまえの命日だ」 一方的に言うと、米原の体が宙に浮かび上がり始めた。 体を吊り上げる糸のようなものは、一切見えない。本当に浮いているのだ。 米原「特に伊藤真美……出来れば、俺はおまえを殺したくない。 なぜなら、おまえは俺の同胞になるかも知れないから」 なにげない一言に、伊藤が驚いた。 伊藤「貴方と私が同胞……それはいったい…?」 訝しむ伊藤に、米原はサングラスを外し、生身の両眼を見せた。 伊藤「!?」 荒川「お…狼を彫り込んだ……義眼!?」 米原「キユ軍特殊部隊『PSYCLOPS』……それが今の俺が所属する組織だからだ」
荒川「キユ……ですって!?」 KIYU……その名は真実を知る全ての漫画家にとって、忌むべき名。忌むべき4文字。 その名に連なる者が、こうして今、目の前にいる。 伊藤「待ってください、なぜ貴方ほどの作家がキユと……!」 しかし、米原。伊藤の質問を黙殺すると、 米原「おまえらは辿り着けない。しかし一一?Tあいつ?Uは必ず辿り着く……だから始末する……」 それだけを言い捨て、米原は忽然とその場から消え去った。 伊藤「消えた!また消えてしまった!どこへ……!?」 周囲は防音性の高い壁で覆われ、蟻一匹這い出る隙間もない。 第三者が侵入するのも、脱出するのも不可能なはずだ。 だが、現実として、米原はここへ易々と侵入し、そして脱出した。 荒川「……『預言』というのがよく分からないけど、まるでそれの守り神気取りね。 何者なの?あなたが臆つくほどの存在なの?」 なんとか平静さを取り戻した荒川が、気を落ち着ける為に、伊藤に問うた。 伊藤「?T遠殺剣?Uまたは?T双剣?Uの米原秀幸。別名?Tマジシャン?U… 10年前まではチャンピオンでも指折りの漫画家だったけど、 キユドライブの惨劇以後、忽然と表舞台から姿を消した…… 彼を恐れないバカな漫画家も多い…でも一一一」 荒川「でも?」 伊藤「米原に死の宣告を受けた者は一一9割9分生きてはいないという話よ」 荒川「では、私たちも『真理』の探究をあきらめなければ一一死?」 バカげている。聞いてみれば、何様のつもりなのか、あの米原という男。 そう思った途端、さっきまであの男に気圧されていた自分に腹が立ってくる。 その思いが、おどけるような声音となって紡ぎ出された。 伊藤「いえ……でも米原はなめない方がいいわ」 しかし、伊藤の忠告を、荒川は一笑に伏した。 荒川「マジシャン?死の宣告?……笑わせないで欲しいわ」 『真理』の探究をやめるなど冗談ではない。荒川の目はそう言っていた。 伊藤「米原秀幸……『あいつは必ず辿り着く』…?いったい、誰のコト?」 ぽつりと漏らした呟きは、荒川の耳には届いていなかった。
“真理”ときたか…心の中だけで呟く。 考えてみれば、それはあやふやな言葉だった。 そして、それなりに重要でもある。 むかつく米原の言い分を考えて見れば、 少なくとも意味を理解して言っていることは間違いなさそうではあった。 荒川弘はひとつだけ思い至って、考えを打ち切ることにした。 もとより、これは個人的なことだ。 いまだ怯えた表情を見せる伊藤真美に告げる。 荒川「で、どうするの?忠告を聞いて“預言書”とかいうのはやめるつもり?」 伊藤真美は疲れたような顔を荒川に見せた。 伊藤「…あなたは馬鹿な漫画家のひとりになるの?」 荒川「はずすわけには行かないわよ。 たとえそれが世に逆らうどうにもならないことだとしてもね。」 伊藤「おそらくはあなたの思うほど単純な相手ではないわ。 私はあなたが死んでもどうでもいいと思うほうだけれど。」 荒川は米原の消えた壁を叩きながら、すました顔で言う。 荒川「ようするに壁に傷もつけず、 私たちに気付かれもせずに出たり入ったり出来るような 人間がどういうわけか私たちの能力を嗅ぎ付けてなめたこと言って殺す宣言をして 消えていったということでしょう? KIYUの部下だったらそれくらい出来てもおかしくないし。それだけのことよ。」 伊藤「それってすごいことだと思うけれど…」 荒川「相手は私たちのことを知っていて、私達は相手を知らないということは痛手だけどね。 あなたは米原秀幸のことを少しは知っているようだけど、 戦闘に役に立つというほどでもなさそうね。こちらでも調べておくわ。 彼の言い分に従うかどうかは個人的な問題だから、そっちについては干渉しないわよ。 軽視しないけれど、従うことも出来ない、というのが私の考えね。 …っと。で、私が話したかったのは今のあなたたちのことについてなのだけれど。」 伊藤「…あなたもどういうわけか私たちのことを知っているのよね。」 とりあえず伊藤は突っ込みを入れる。
“真理”ときたか…心の中だけで呟く。 →“真理”ときたか…と、心の中だけで呟く。 です。
突っ込みを入れながら伊藤は先ほど何故それを、と 思わず口にしてしまった言葉に対して舌打ちをする。 どうも今の状態では隠し事をするのには相応しくない。 そのことを自覚してから、それでもいくぶんは慎重になるよう、自分に言い聞かせる。 一瞬間の間をおいて、伊藤は荒川に返した。 「それがなんだって言うのよ。」 「私はその話を聞かされたとき、 初めに思い浮かんだことは無理だと言う感情だった。 GUNG-HO-GUNSの全戦力を投入したとしても、真島と…特に矢吹を捕らえることは 不可能だと判断したからよ。…萩野の能力を考えてもね。 GUNG-HO-GUNSは面白い組織で、 自分達だけが秘密の手段を持っていて、上手くことを運べると思っている…」 「……」 「それに安西先生は変わりつつある。 いまさら虚無の渦を発生させられる可能性は低いと思う。 とにかく、結果として私はそれほどあなたたちに対して急いで対処しようとは思えなかった。 でも、問題はそれ自体ではなくて、 ここから先も、内藤は破滅の思想を持ち続けるのかということ。 そして、内藤に従うGUNG-HO-GUNSはその破滅の思想すら無条件に支持をするのかということ。 個人と集団はやっぱり違う。 それにある程度力のある漫画家が本気でそう考えているとしたら、やっぱり脅威だからね。 もしかしたら、内藤は他のもっと簡単な方法を見つけ出すのかもしれない。 そして実行に移すかもしれない。 そして、そうなるときにGUNG-HO-GUNSはストッパーではなく、ただそれを実行する銃で あり続けるのか。それとも違うのか…。」 綴られる言葉に対して、伊藤は判断した。 この女は煽っている。 答える必要もない。 「私たちはもちろん内藤の野望=GUNG-HO-GUNSの意志だとすれば、 見逃すわけには行かないけれどね。だから内藤がどこまで本気なのか、 そしてあなたたちが内藤にどこまで従う気があるか、確かめる必要があるってわけよ。」
それでも無視は出来ずに伊藤は返す。 伊藤「GUNG-HO-GUNSは…内藤様のための組織よ。 それ以上でも、それ以下でもない。」 言葉に対して荒川が続ける。 荒川「それは本音なんでしょうけれど、それだけでは納得がいかないわ。 実のところ、情報としてはもうかなりの量を持っているのよ。 GUNG-HO-GUNSと、GUNG-HO-GUNS内の『ミカエルの眼』では お互いに齟齬があることとか。 私たちに情報を与えてくれた人間は『ミカエルの眼』のほうを危険視していたけれど、 単に贔屓しているだけのようにも思えた。 どちらも破滅のために動くのなら、同じことだからね。だから──」 伊藤「何であなたが『ミカエルの眼』の事まで知っているのよ!」 思わず叫ぶ。 後半はほとんど聞いていなかった。 荒川「私たちには情報網があるのよ。 もっともそれは危機を察知するとかそういうものではなくて、 知ろうとしないことには使えない。 あなたたちのことには干渉しようとは思わなかったけれど、 虚無の渦のことまで聞かされたからには行動せざるをえなかった。」 伊藤「誰から!」 荒川「それは私の口からはいえないわ。 機会があれば本人が話すだろうからそのときに聞いたほうがいいと思うけれど。」 伊藤「嘘だ!」 伊藤は叫んだ。 この女の言葉には嘘がある。 知り合いから聞いた情報に見せかけて惑わそうとしているだけだ。 少なくともGUNG-HO-GUNSにはそんな人間はいない。 情報を漏らすなどそんなことするわけがない。 伊藤がGUNG-HO-GUNSに関わってきた年月はそう多いものではない。 それでも、彼らが誠実で信用のあることだけは伊藤は認めていた。 彼らが内藤に対して不利になるようなことを言うわけがない。
伊藤「私たちを侮辱したことは許せないわ…報いを受けてもらう!」 手に持つアルファクロスを前に出して伊藤は叫んだ。 その声は二人しかいない通路に響く。 荒川「あなたが一番客観的に考えられると思って話したんだけれど、ね…」 荒川の思っていたよりは熱しやすい性格だったらしい。 もっとも、終始無表情に話されるよりは好感が持てたが。 伊藤の激昂は続く。 伊藤「さっきの言動…GUNG-HO-GUNSとして見過ごすことは出来ないわ。訂正しなさい!」 荒川「訂正する気はないわ…まるで自分がGUNG-HO-GUNSみたいに話すのね。」 伊藤「GUNG-HO-GUNSだからよ!!ナンバーは“0(ゼロ)”!!」 荒川「なにも顔を赤くして言うこともないじゃない…とりあえず、 勝負するなら、相手になるわ!」 中指を立てて荒川が言う。 伊藤が返す。 伊藤「いい度胸ね、伊藤・ザ・ピルグリムイェーガーの技を喰らって煉獄で後悔なさい!!」 荒川「“the”とかつけていればかっこいいとかかっこいいとか思っているんじゃないわよ。 神の鉄槌喰らっとけ!!」 伊藤がアルファクロスを構える。 荒川が発火布をつけた右腕を出す。 荒川「この“焔(ほのお)の錬金術”で」 伊藤「この“ういきょうの茎”で、」 そして同時に叫んだ。 荒川「おまえを消し炭にする!!」 伊藤「あなたを焼き尽くす!!」
>>37 「“the”とかつけていればかっこいいとかかっこいいとか思っているんじゃないわよ。
→「“the”とかつけていればかっこいいとか思っているんじゃないわよ。
でした。
何割かの漫画家が胸を痛めるだろう酷い台詞ですなw
>>35 文字化けしてた…
「それがなセって言うのよ。」
→「それがなんだって言うのよ。」
です。重ねてスマソ。
ウチは化けてなかったよ
IE開きなおしたら直ってました。情報ありがとうございます。
前回までの――スポーツチーム・鈴木信也は矢吹がCブロックに送り込んだジョーカーだった。 あらすじ 覚醒した闇人格・鈴木リバースの圧倒的な力によって澤井は倒された。 「こいつを野放しにしておくのは危険だ!」 えなりは審判権限を行使し、新たに獲得した秘技・えなり真拳で鈴木リバースに挑むが・・・ えなり「念!波紋!スタンド!ロック!あらゆる要素を統合したえなり真拳の前にひれ伏せー!!」 いつになく強気なえなりは叫びながら鈴木に向かっていく。 えなり「(とはいえ・・・あの『五光』を使われたら勝ち目は無い、速攻あるのみ!) くらえ肉変砲!!」 えなりの掌から射出された肉変砲―― 自らの気を物質化する者は数多くいるが、えなりは『肉』として具現化する。 念だとかスタンドの片鱗だとか一子相伝えなり流空手究極奥義だとか諸説あったこの技も、 インフレに伴いパワーダウンし、えなり真拳の通常技として生まれ変わったのだ。 イメージとしてはフー・ファイターズ弾を思い起こしてもらえばわかりやすいだろう! ――が、鈴木目掛けて一直線に飛んでいった。 鈴木「この程度か」 鈴木はそれを難なくグローブで捕らえ、そのまま投球モーションに入った。 鈴木「とりあえず見せてやる・・・格の違いってものを」 鈴木の手から球、いやえなりの『肉』が放たれる。 しかし、その球(肉)のコースはえなりを逸れて飛んでいく。野球で言うならボール球だ。 えなり「どこへ投げて・・・」 えなりがそう思った瞬間、球の軌道が曲がった! いや、折れたと言った方が正しい、それ程の角度で変化し、えなりの脇腹に突き刺さった。 えなり「なに・・・変化球か!」 えなりが激痛に膝をつく。間髪いれず鈴木は第二球を放る。 えなり「スピードはそれ程ではない、おそらくまた変化球・・・やはり!」 突然、軌道が直角近く折れた。えなりは横に飛び回避、鈴木へ向かい走り出す。その時、 突如えなりに背に衝撃が走った。 えなり「ぐあっ!?馬鹿な、確かに避けたのに・・・」 回避したはずの球はもう一段急激に変化し、えなりの背中を襲ったのだった。
鈴木は薄ら笑いを浮かべ二本の指をえなりに突きつけていた。 鈴木「剃刀カーブは二枚の刃で敵を切り裂く!!」 えなり「二段変化とは・・・さすがにやるな・・・」 倒れ伏すえなり。しかし休んでいる時間は無い。 鈴木「テイク・オフ・スピード・V1!!」 鈴木が猛ダッシュでえなりに向かって走り出した。 えなり「直接攻撃する気か!そうはさせるか!」 肉変砲で迎え撃つえなり。鈴木のスピードはえなりの目で捕らえられないほどではない。 鈴木「悪あがきだな・・・VR!!」 鈴木の足はさらに加速した。 えなり「なに!」 圧倒的なスピードで肉変砲はことごとくかわされて行く。鈴木はもう間近に迫ってきていた。 えなり「ダメだ、もう目で追い切れない・・・しかし!」 肉変砲は当たらない。しかしえなりは待っていた。えなりを直接攻撃するのが目的ならば必ず・・・ 鈴木「V2!!」 三段目の加速、ヘッドスライディング。飛行機の離陸さながらに鈴木が飛んだ! 猛スピードでえなり目掛けて一直線に向かってくる! えなり「さらに加速するというのか!!だが最後は必ず真っ向から向かってくると思ったよ! 狙いやすくなったぞ!!」 標的は絞れた。突っ込んでくる鈴木にえなりは肉変砲を放つ。 惰性で空中を飛ぶ鈴木に、これを避ける術は無いかに思われたが・・・ 鈴木「甘いな!V3!!」 肉変砲が命中する瞬間、鈴木は地面に両手を着き、前方宙返りのようにえなりを飛び越えた。 あまりのスピードにえなりには、視界から鈴木が瞬間的に消えたように見えた。 鈴木「死刑執行だ」 えなり「!」 えなりが鈴木を認識するより早く"それ"は振り下ろされた。 鈴木「 断 頭 台 (ギロチン)!!!」 処刑人の斧―― どこからか取り出した鈴木のバット――がえなりの首へと振り下ろされた!
えなり「げぎゃ!!」 『断頭台』はえなりの首にクリーンヒット。 えなりは奇声を洩らし、不格好に地面に倒れこむ。 間違いなく首の骨が折れているだろう。 鈴木「とりあえず・・・手ごたえありだ」 ――Cブロック総括審判ほったゆみが全ての状況を把握しているというのなら、 この試合の審判えなりが意識を失ってるとしても☆は加算されるだろう。 もう、ここにいる意味も無い―― 鈴木は無様に地面を舐めるえなりに唾を吐きかけると、背を向け歩き出した。 鈴木(待てよ・・・) ふと何かを思い立ち鈴木は足を止め、辺りを見回した。 鈴木(通常の試合なら敗者は島のどこかへ飛ばされる。この試合の場合は・・・) 鈴木の視線の先には虫の息の澤井がいた。 えなりが途中でルールを変更したために転送されなかったのだ。 鈴木「・・・とりあえずこいつには止めを刺しておかないとな」 ニヤリと口の端を吊り上げ鈴木は澤井の下へ足を変える。 そしてバットを振りかぶる。この構えは―― 鈴木「断頭台(ギロチン)!!」 ガゴォ!! ギロチンは澤井の首ではなく頭の向こうの地面を抉っていた。 見るとバットには『肉片』がへばり付いている。これがバットを逸らしたのだ。 鈴木「何のつもりだ・・・えなり!!」 えなり「あがが・・・ごご・・・おまえに澤井先生は殺らせない!!」 首をありえない角度に傾けながらえなりは立ち上がっていた。 鈴木「生きていたとは・・・そのまま寝てればよかったものを、どうも死にたいらしいな」 鈴木は獰猛な獣のような視線をえなりに向ける。 対するえなりは不屈の闘志を燃やし叫ぶ。 えなり「まだ勝負は終わっていないぞ鈴木リバース!!」
鈴木が睨みを効かせる中、えなりは両手で首を元の角度に戻そうとしていた。 えなり「フン!フン!ぐえっ!」 ゴキンと嫌な音がし、首は元の角度に戻ったがどうも据わりが悪いようだ。 えなり「ふぅ〜〜対ボスチームで折られた首がやっとつながったのに・・・」 鈴木はえなりの眼を見る。戦う気だ、まだ勝負を捨てていない。 鈴木(おかしい、データによると奴はこんな目にあったら泣き言ばかりのはずだが、 えなり真拳・・・それ程の物だというのか!) えなり(いつもならすぐにでも逃げ出すところだが・・・ 僕のえなり真拳、可能性を感じる!もっと試したくて仕方が無い!) 可能性の探求。それがえなりを動かす原動力となっていた。 鈴木「とりあえず・・・どうでもいいか。 貴様ごときに使うとは思いもしなかったが・・・この球でケリをつけてやる!!」 鈴木が投球に入る。これでもかと上体をひねるそのモーションは―― えなり「トルネード投法!?・・・『五光』!!マズイ! この首は波紋で治療と痛みを取り、『肉』で補強しておくとしても・・・ あんなのを食らったら今度こそ首がもげてしまう」 鈴木は力を蓄積するかのようにさらに捻りを加えていく。 えなり「だが僕にはまだこれがある!この久保との戦いで手に入れた斬魄刀で打ち返してやる!」 そう言うえなりの手には刀の柄が出現していた。 そう、柄だけが・・・ えなり「しまったーっ!武井先生がいないと使えないんだった! そういえばこの斬魄刀の名前なんだっけ、確か『は』から始まって『め』で終わるって・・・ それさえわかれば・・・!!」 だが無常にも球は放たれた。 鈴木の間接の回転という回転、その力の全てが集約された超速球が! えなり「うおおおお!!こうなりゃイチかバチか、肉よ集え!!刃となれーっ!!」 えなりの体を覆っていた肉が柄に集まり、刃――と言うにはかなりお粗末だが一応――になった! 鈴木「 五 光 ! ! ! 」 えなり「 え な り 肉 骨 断 ! ! ! 」
えなり「わかった!『は』から始まって『め』で終わる斬魄刀の名前は・・・ 『羽交締(はがいじめ)』だーっ!!」 斬魄刀に変化は無い、どうやら違うらしい。 えなり「うそーん!」 それでもえなりのスイングは奇跡的に『五光』を真芯に捉えた! えなり「うっ、このパワー・・・!!」 しかし『五光』の凄まじい威力は留まらず、斬魄刀の中心で燻り続けていた。 えなり「それじゃ斬魄刀の名前は何なんだろう」 えなりには斬魄刀の名前がわからなかったが、これこそが幸運だったのだ。 もし真の斬魄刀を手に入れていたとして、果たしてそれで『五光』が打ち返せただろうか? 答えはNOだ。 恐らく凄まじい球威の前に腕ごと吹っ飛ばされていただろう。 奇しくもDブロックで荒木が放った魔球・香辛少女のように、 弾力のある肉の刀身が衝撃を吸収し、球の威力を半減させたのだ。 幸運はもう一つあった。 それはえなりが野球はド素人だと言うことだ。 『五光』=『速い球』という認識があったえなりは、投球のタイミングなど考えずにとにかく早くスイング、 それがたまたまジャストミート。 さらには肉の刀身が鞭の様にしなり、スイングの威力を倍増させていた。 というように幸運が重なったわけだが、 「・・・てことはストライクゾーン通ってんだから、そのまま見逃せばよかったじゃん」 という突っ込みは真剣勝負において野暮というもの、打つことに意義があるのだ! えなり「んぎぎ・・・」 とは言え、それでも『五光』の威力のほうが上回っているようだ。 球の回転による摩擦で肉の焼ける匂いが漂いだした。 えなり「おえっぷ・・・」 球は依然勢い衰えることなく燻り、拮抗を保っているように見えたが・・・ ついに均衡は破られた。 ――刹那に天地は逆転した。
『五光』の威力は均衡を打ち破り、その衝撃はえなりを飲み込み竜巻を生み出した。 えなり「ぐがあああああ!!く、首が軋む・・・!!」 鈴木「ちっ、あの変なエモノのせいで球の威力が殺されちまったか・・・ ま、その竜巻は痛めた首には酷だろうがな」 威力を殺されてなおこれほどの竜巻を生み出すというのか。 鈴木は、天地どころか上下左右あらゆる方向を失い、翻弄されるえなりを静観していた。 鈴木「こんなみそっかすごときに『五光』を二球も投げる羽目になるとは癪だが・・・ 落ちてきたときが貴様の最後だ」 やがて竜巻が収まり、えなりは重力に従って落下。 ふいにえなりは両腕を下に向け、その両掌から無数の小型の肉変砲を放つ。 えなり「えなり真拳奥義・・・ 波 紋 肉 変 ビ リ ヤ ー ド ! ! 」 えなりの眼はまだ死んではいない! 鈴木はその攻撃を回避しようとするが、 鈴木「なに!?何だこれは!」 肉片はデタラメな軌道を描いて降ってくる。 えなり「肉変弾に『はじく波紋』を流した!肉変弾同士は接触すると互いに反発する! お前にこの予測不能のビリヤード攻撃が避けきれるかー――――っ!!」 鈴木「こしゃくな真似を・・・だがいかなる物体も事象も我が眼からは逃れ得ぬ!」 鈴木の眼が見開かれる。 鈴木「 六 道 眼 ! ! 」 脅威の集中力。今、鈴木の眼には世界が止まって見えた。 鈴木はその集中した一瞬で肉片の軌跡を追う。 鈴木「なるほど・・・読めたぞ、全ての軌道が!!」 しかし同時にある違和感を感じていた。煙、紫の煙が肉片から流れるように漂っていた。 鈴木「波紋以外にも何か仕込んでいるのか?・・・うっ!」 突然、鈴木が眼を押さえてうずくまった。 鈴木「なんだ、眼がしみる!この煙のせいか!! それにこの心の奥から溢れ出す感情は・・・ 悲 し み か!?」 その眼から悲しみとともに溢れ出す大量の涙に、鈴木は動揺していた。
自らに起きた異常事態に、鈴木の超集中力が途切れた。その瞬間―― 無数の肉片があらゆる方向からしこたま鈴木に襲い掛かった。 鈴木「ぐあああああああああああっ!!」 動揺しているところにこの攻撃は堪えたのか膝を折り、涙を流しながら鈴木は叫ぶ。 鈴木「くっ、何をしたえなり!!」 えなり「しみるだろう、その紫煙は。 それは父の悲しみ・・・これぞ、えなり真拳奥義! ソ ○ ン に フ ラ れ て ヤ ケ タ バ コ ! ! ! 」 溢れ出す悲しみの正体はこれか―― 鈴木「最初から釣り合うはずが無かったんだーっ!!」 鈴木は眼を押さえて苦しむ。 えなり(これで奴の目は潰した!) 落下中のえなりはそのまま次の攻撃に入る。 鈴木「あんな尻の軽そうな女好みじゃなかったもんねーっ!!」 鈴木は未だえなりの術中だ。 五聖人以上の力を持つ奴を倒すのは今しかない!! えなり「決めさせてもらうぞ!!燃えろ僕の小宇宙よー―――!!」 えなりがコブシを利かせて叫ぶ! ――単なる肉の鎧だったえなりのスタンド『スリーベース・ヒット』も成長し、 小宇宙を高めた一瞬だけ近距離パワー型の破壊力を発揮出来るようになった! 身に纏うタイプだから聖衣の役割を果たすと言う解釈もアリだ!―― えなり「えなり真拳奥義!! 流 れ 星 の ワ ル ツ ! ! ! 」 どの口がこの恥ずかしい名前をほざくのかはさておき、 流れ星のワルツ――ぶっちゃけ、えなり版ペガサス流星拳――が鈴木目掛けて降り注いだ!
上空から流星の如き拳撃の雨が押し寄せる! 眼を封じられた鈴木は成す術も無く攻撃を受けるしかなかった。 鈴木「ぐああああああああああああああああああ!!!」 えなり「(ここだ!今しかない!もし再戦したなら今度こそ勝ち目は無い!!) このまま沈めぇぇぇっ鈴木リバー―――――――――スッ!!!」 えなりは攻撃の手を緩めず一気に畳み掛けた。その様はまさに流星雨。 鈴木「がぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 えなり「もう一押しだ!!」 えなりが止めを刺そうとしたその瞬間―― ブゥンッ!! 空間が反転した。 えなり「なに!?」 暗黒の空間。下――方向感覚を失っているが恐らく下――には無数に走るマス目のような物が見える。 えなり「こ、これは一体・・・!?」 ??「少々お遊びが過ぎたようですね、えなり君」 男とも女ともつかない中世的な声が響く。えなりはその声に覚えがあった。 えなりの足が地面を捉えた。地面?闇に目が慣れてきたえなりは足元を見る。そこは―― えなり「仏陀の手のひらの上――!!」 ??「いいえ、私の手のひらの上ですよ。私――ほったゆみ、のね」 なんと巨大なほったゆみ――実体ではないのだろう――が空間を包み込むように現れた! もう一方の手の上には鈴木と澤井が横たわっている。 えなり「なっ・・・!」 ほった「何を驚くことがありましょう。私はこのCブロックの総括審判。 言うなればこのクリードアイランドは碁盤の上も同じこと・・・ 私には全て手にとるようにわかるのです。 えなり君・・・あなたの行為は審判の役割を逸脱しています。 よって審判権限剥奪、Dブロックに戻ってもらうことにしました」 えなり「なんだって!?それじゃこの試合はどうなる!!」
突如現れたほったは静かな威圧感を持って、えなりに語る。 ほった「結果は鈴木選手の勝利、ジャンプスポーツチームに☆一つ。 敗者澤井選手は島のどこかに飛ばされることになります」 えなり「何だって!この試合の審判は僕だぞ!!」 鈴木「ふん、突然戦いに割り込んできたくせに何言ってやがる」 鈴木が意識を取り戻したようだ。――闇人格のまま。 ほった「最初は私も黙って見ていましたが・・・鈴木信也の闇人格がここでやられるとマズイのですよ。 ・・・矢吹様は彼にもっと掻き回して欲しいみたいですから・・・ それにえなり君、これはあなたのためでもあるのですよ。 さあ、Dブロックへお帰りなさい!」 えなり「くっそーっ!狂犬・鈴木リバースをこのまま解き放てと言うのかーっ!!」 空間に扉が開き、否応なくえなりはそこに投げ込まれた。 その瞬間えなりは見た。――ほったと鈴木が何やら目配せしていたことを―― えなり(澤井先生、許斐先生、気をつけるんだ・・・このCブロックには裏がある! きっとまだ何か矢吹の罠が潜んでいる!!どうか無事に戦い抜いてくれー!!) その思いもむなしく空間の扉は閉じられた。 ほった「さて、また一仕事頼みますよ」 鈴木「テメーに助けられるとはな・・・心配しなくても次に出会った奴をぶっころだ」 ほったの手から鈴木と澤井の姿が消える。元のクリードアイランドに戻ったのだろう。 もっとも、澤井は島の何処へ飛ばされたのかは定かでないが。 ほったは三人を転送し終わると、ため息を一つ吐いた。 ほった「えなり君、あのまま鈴木信也を倒していたら、矢吹様も黙ってはいなかったでしょう。 幸い、まだ今ならこの件は私が握りつぶすことが出来ます、ご心配なく」 誰にともなく呟くと、ほったも空間から姿を消した。 ――契約宝貝『帰書文』の生贄、その胸中未だ知れず――。 ジャンプスポーツ ☆2 1勝 井上 鈴木 1敗 なし 裏御伽 ☆2 1勝 本宮 乙一 1敗 岡野+真倉 澤井 チーム・タフ ☆1 1勝 猿渡 1敗 石渡 青山 ←TO BE CONTINUED
横薙ぎに振られた一刀が、橋本以蔵の胴を斬り裂いた。 鮮血をほとばしらせ、仰向けに倒れた橋本を、井上が静かな目で見つめていた。 「これで2勝か……俺の出番はここまでだな。後は他の奴らに任せるしかない」 刀身の血をぬぐうと、大刀を鞘に納める。 瞬間、細く尖った殺気が、背後から飛んできた。 振り向き様、刀を一閃させる。甲高い金属音。打ち落とされたのは、数本の匕首。 「ぐ!?」 当然、その全てを打ち落とせた訳ではない。2,3本の刃が、腕や足に突き刺さった。 顔をしかめる井上だが、悠長に痛みを感じている暇はなかった。 目の前に、殺気を滾らせた、一羽の“軍鶏”が立っていたからだ。 「なんだと!?」 井上は信じられなかった。自分の刃は、確かに奴の胴を斬り裂いたはず! 「へへっ…」 舌を突き出し、人を喰ったように笑う橋本が、上着を脱ぎ捨てた。 その下にあったのは、細い鎖を幾本も寄り合わせたような奇妙な衣服。 「鎖帷子……ってヤツだな。アナクロなシロモンだが、なかなか役に立ったぜ。 しっかし、恐ろしい切れ味だぜ、あんたの斬撃。 こいつの上から、なお数センチ肉を斬られたからな。 これを着込んでなかったら、どうなっていたことか……」 役に立たなくなった鎖帷子を脱ぎ捨てると、橋本が構えた。 「さあ、第2ラウンドと洒落こもうか、おっさん」 橋本が言い終わるや否や、井上は大刀を疾らせていた。 先手をとらねば、今度は何を仕掛けてくるか分からないからだ。 だが、その剣先は、空を斬っただけだった。 「!?」 あり得ないことが、またしても起きた。 「どうしたよ、おっさん。これがそんなに珍しいか」 薙ぎ払った大刀の上。寝かせた刃の腹に、橋本の爪先が乗っていた。 空っぽのカメをひっくり返すことなく、その淵の上を歩くことが出来る橋本だからこそなし得る神技だった。 「ヒョウ!」 刹那、橋本の足刀が、井上の顔面にめりこんだ。
鼻血を噴き出し、井上がたたらを踏んだ。そこへ間髪入れず、鋭い弧を描く爪先が叩きこまれる。 空中に浮いたまま、足刀からの後ろ回し蹴り。しかも、さらに攻撃はつづく。 (次の一撃……それが最後だ!そいつを捌いて反撃に転じる!) 井上の予想通り、三発目の蹴りが来た。その蹴りをなんとか受け止め、脇差しを抜く。 攻撃を捌かれ、空中で無防備になった橋本を、小刀が斬り裂く……はずだった。 ガッ! 攻撃に転じようとした瞬間、真下からの衝撃が井上の顎を突き上げた。 (なに…! 空中で四発も蹴りを……どういう身体能力してやがる!) 意識を縦に揺さぶられ、井上は無様なタップダンスを躍りながら後ずさる。 視界が戻ったときには、自分の腹に橋本の掌が押し当てられている。 (人間の体を<水>と考える一一相手の揺らぎに同調一一解放!) 哈 ! ! ! ! 刹那、かつて味わったことのない感覚が、井上を襲った。 骨や筋肉の痛みとは全く違う…身体中の水分が沸騰したような衝撃。 零距離からの打撃にもかかわらず、井上の長身が数メートルも吹っ飛んだ。 橋本の最大の奥義、“発勁”である。 「な 何いっ!? 何だこれは!? 血が!」 腹を押さえて嘔吐する井上の、目や鼻……顔中の器官から血が溢れ出す。 「井上…」 発勁のダメージで未だ身動きとれない井上に、橋本が躍りかかった。 左腕に自分の両足を絡ませ、捩りあげる。 ボクン、という鈍い音をたてて、井上の左肩が外れた。 激痛の呻きを上げようとする直前、井上の首に何かが巻きつく。 橋本がしていたベルトである。それが井上の首を絞めあげ、気道を圧迫した。 「ジャンプで何をしていたのだ」
「が……か……!」 背後に回った井上が背中を踏みつけ、渾身の力で首を絞めつけている。 (不覚!!不覚っ!!俺としたことが決着を確かめもせず、緊張を解いてしまった…不覚っ……!!) 橋本の両腕には力が入っている。絞め落とすつもりではない。完全に殺す気だ。 「今日、無数の命が生まれ、それと同じだけ死んでいく。明日も明後日も、その繰り返し。 俺やお前の命も、そのうちのひとつにすぎねえ」 かすむ意識のなか、井上が首に手をやった。首の皮を削りながら、ベルトと首の間に指を差し込む。 「む!?」 次の瞬間、井上が全力でベルトを引っ張り、橋本を投げ飛ばした! 「!!」 思いも寄らぬ反撃に、橋本は受け身もとれずに地面に打ちつけられた。 追撃を防ぐ為、橋本が即座に立ち上がる。 (何だ……あの剛力は!!) 「はっ…はっ…はっ…」 解放された井上が、荒い呼吸を繰り返す。その手には刀は握られていない。 その様子を確認すると、橋本が笑った。勝利を確信した笑みだ。 「へへっ…その腕じゃあ、もう剣は握れねえな。剣術ってのは、左腕が基本だからよ。つまり、もうあんたの武器は死んだ!」 しかし、一方の井上。なにやらしきりに、顔中を掻いている。 「蚊がいるな…」 「ああ!?」 いきなり意味不明なことを言い出した井上に、橋本は怪訝な顔をする。 「ここと…ここと……ここを刺されたぞ……」 血だらけの顔の奥で、眼光がほとばしる。 「きかねーな」 不遜な態度で、井上は言った。それを聞いて、橋本が意味を悟る。 「へっ……上等じゃねえか。まだまだ楽しませてくれるってこったな」 歪に笑う橋本が、トンファーを取り出し、構えた。 片腕を塞がれ、ダメージでは明らかに井上の分が悪い。 だが、自分とどこか似た空気を持つ相手を触媒とし、ようやく井上の闘争本能も研ぎ澄まされてきた。 その闘気に触れることで、“軍鶏”こと橋本以蔵もまた獣の闘気をまとっていく一一 「どっちかが死ななきゃ終わらんな……この勝負は!」 天才と軍鶏……2人の対決は、いよいよ佳境へ。
シュッ! 空を裂く音と、肉を打つ音がほぼ同時に聞こえた。 橋本のトンファーが、井上の左こめかみを叩いた。 左肩が外れている井上は、左側の防御がまったく出来ない。 面白いように、橋本の打撃が入っていく。返す刀で、左のトンファーが右頬を打つ。 すかさざ足刀が鳩尾を抉り、うずくまったところを、下からのトンファーの回し打ちが、顎を跳ね上げる。 ろくな抵抗もできずにメッタ打ちにされる井上。 その返り血を浴びる度、恍惚としていく橋本。 端からでは、もはや勝敗は誰の目にも明らかに見えた。しかし一一 (クソっ!なんでだ、なんでこいつは倒れねえっ…!) 一方的に押しまくっているにもかかわらず、井上を倒し切れない。 その事実に、橋本は苛立っていた。本来の彼なら、急所を狙いに行く。 さすれば決着はすぐに着いたかも知れない。だが、今の橋本は、いつもの冷静さを欠いていた。 井上の目。どんなに殴られても、血まみれになっても、決して光を失わない目。 その眼光からほとばしる強烈な意思に、橋本は呑まれていた。 思わず橋本の手が止まると、井上はまたしても顔を掻きむしり始める。 「あー、蚊がいるな」 あれだけ打たれたのに、全く効いた素振りも見せず、井上が言った。 それを聞いた、橋本が激昂した。 「はあっ、はあっ、ふざけんじゃねえっ…!!」 ゴキッ! 今までにない強烈な一発が炸裂した。さすがの井上も、一瞬意識がブラックアウトする。 いつの間にか、橋本がトンファーを投げ捨て、素手の攻撃に切り替えていた。 しかも、その構えは、今までのオーソドックスな構えではない。 (サウスポースタイル…?こいつ、左効きか!?) ………… ……… …またもらったらしい。意識が再び消し飛んでいた。 その鉄槌のごとき凄まじい威力は、まさに悪魔の左拳。 素手で人を殺傷するにたる、とてつもない拳だった。 極限まで追い詰められた橋本の野生が、遂に禁断の悪魔を解き放った!
井上が一際派手に吹っ飛んだ。これで終わりだ……橋本は今度こそ、そう思った。だが… 「な!?」 井上。まだ踏ん張っていた。ギラギラとした目で、橋本を睨みつける。 「無駄だ。おまえの攻撃は、すでに見切った」 裂けてピンクの肉が覗く唇が蠢き、自信に溢れる声を紡ぎ出す。 それを聞いた瞬間、橋本が盛大に笑った。 「ははっ、バカが!漫画とはちがうぞ!!」 止めとばかりに、橋本が全力で左拳をブン回す。 だが。その拳は、必殺の悪魔の鉄槌は、あっけなく掴みとられた。 ド ガ ア ッ ! ! 一瞬、何が起きたのか、橋本には理解できなかった。 気付いたときには、自分は吹っ飛ばされ、樹の幹に叩きつけられていた。 膝がガクガクと震えている。何をもらったんだ?パンチか? 混乱する橋本の眼前に、井上がそびえるように立ち塞がった。 「7発だぞ……7発!!」 井上の燃えるような赤髪が、橋本の目には井上の怒りの炎のように見えた。
7発? なに言ってやがる、こいつは? 明らかにそれ以上の攻撃を叩きこんだはずだ……なのになんでこいつは立っていやがる!? 思考が定まらず、なかば恐慌状態に陥る橋本。その顔面に、容赦なく鉄拳がめりこんでいく。 「…がはっ!」 ゴキッ メギャッ グチイッ ドカッ 聞くに耐えぬ異音が、断続的に響く。井上の一撃一撃が、橋本の体を樹の幹に縫いつけた。 「プフウッ!」 潰れた鼻から、ドロリとした濃いゼリー状の鼻血が飛び出した。 ひとつひとつの拳が、とんでもない重さと破壊力を持っている。 橋本の意識が、次第にずくずくの血色に染まっていく。 ……死ぬ? オレは死ぬのか!? “あれ”から一一今までやっと生き延びてきたのに一一 両親を殺した時。少年院に入り、この世の性が<悪>であることを知った時。 どんなに闘い続けても決して賞讃は得られず、浴びるのは罵声のみ。 自分よりも強大な敵など何人もいた。 だが、それらを向こうに回し、社会すら敵に回しても、オレは生き延びてきた。 その命が……こんなところで終わるのか!? そして最後に思い出すのは、自分のせいで人生を狂わされ、廃人となった妹のこと一一 死 に た く ね え っ ! ! 橋本の肉体が、魂が、全力でそう叫んでいた。潔い敗北? 男らしい死に様? そんな物はクソ喰らえだっ!オレは生き延びてやる、絶対にっ!! その一念、あらゆる誇りもしがらみも捨て去った果てに見た、原始の感情。 その本能に突き動かされるように橋本は、井上の死んだ左腕を捕った。
脱臼した左腕を引かれた激痛により、井上のバランスが崩れた。 すかさず、その左腕に自らの足をからめ、そのまま顎を蹴り上げた。 「ぐ!?」 190センチを超す井上の長身が軽々と浮き上がった。 持ち上げている橋本は、170センチそこそこの体格。普通では考えられない光景である。 井上は体を反転させられ、頭から地に叩きつけられた。その拍子に、喉蹴りがめりこむ。 「げはっ!」 橋本が蹴り足に、気を集中した。集約された気を一点に集中、解放する。 「 哈 」 足からの発勁。井上の口から大量の血が吐き出された。 さらにそこへ、とどめの一撃が振り下ろされる。 ブシュウッ こめかみの皮1枚を犠牲に、井上がなんとか立ち上がった。 「オレは……誰だ? オレの名を言ってみろ……」 いきなり訳の分からない事を言い出す井上。 そこへ、さらに橋本は発勁を叩きつけた。絶え間なく顔中から溢れ出す鮮血。 「言ってみろ……オレは誰なんだよ……」 さっきから、何を言っているコイツは一一? 死ぬのが怖くねえのか!? 顔面に発勁。致命的な一撃。橋本にとって、最高の一撃だった。 今度こそ……幾度目か、そう思う。しかし一一 「なんでだ……なんでお前は立ち上がれる……」 絶望感すら漂わせる、橋本の声音。度重なる致命の攻撃を喰らいつづけ、なお井上は立っていた。 「なにがお前をそこまで支える……井上ェッ!」 橋本が叫ぶと、井上がニヤリと会心の笑みを浮かべた。 「そう、オレは井上雄彦……あきらめの悪い男一一」
橋本は愕然とした。己の生すら、死すら呑み込んだ男の顔。 自分が死ぬかも知れないのに、こんな笑顔が出来るものなのか…!? 自分の中で、決定的な何かが崩れたとき、橋本は見た。 いつの間にか井上の右手に握られた、赤子の頭ほどもある皮のボールを。 ス ラ ム ダ ン ク ! ! ! 隕石が衝突したかと思うような衝撃が、橋本の意識を叩き潰した。 脳天に叩きつけられたバスケットボール。井上、渾身のスラムダンク。 その一撃が、橋本の肉体も、技も、意地も、魂も、全てを粉々にした。 頭蓋骨を砕かれ、顔面のあらゆる穴から血を吐き出し、橋本は地に沈んだ。 ビクッ…ビクッ……ケイレンし、泡を吹いて大の字になった橋本。 明確な決着。今度こそ手に入れた勝利に喜ぶ余力もなく、井上が樹によりかかった。 脱臼した左肩を樹に打ちつけ、肩を無理矢理はめる。 「これで……今度こそ、オレが勝ったのか?」 ひとりごちた、そのときだった。 「 オ レ は 負 け ね え ッ ! ! 」 突然の絶叫に、井上が驚愕しながら振り返った。 そこには、井上の取り落とした小刀を腰に構え、突進してくる橋本がいた! 「!?」 「うおおおおおおおおおおおおっっ!!」 その瞬間、一切の思考は消え失せ、井上の体は本能のまま、生き延びる為の最善の行動を選択した。 白刃が、流麗な弧を描いた。低空を滑空する飛燕すらも斬り落とす、まさしく神域の剣筋。 一一燕返し。 後にそう呼ばれる必殺の刀法が、橋本の首を両断していた。 そのとき、井上の時間は凍った。
まちがえた・・・上のは(163/350)
地に転がり落ちた橋本の首を、井上は呆然と見つめていた。 オレは、今なにをしたんだ? 自分のやった事が信じられず、ジッと手を見た。 その手には、橋本の命を奪った血臭ただよう大刀が握られている。 確かに、橋本との闘いは凄惨なものだった。 実際、どちらかが命を落としてもおかしくない……そういう勝負だった。 だが……あの時、もう勝負はついていた。誰の目にも自分の勝ちは明らかだった。 それなのに……オレは殺してしまった。奪う必要のない命を。 仲間の為、チームの為、漫画家としての誇りの為。 単純な生死を超えたものの為に、自分は闘った。その結果が、これか? 井上は絶叫した。獣の雄叫びを上げ続けた。無益な殺しをしてしまった自分。 殺すことでしか決着をつけられなかった自分が許せなかった。 消え果てたひとつの命の重さに、慟哭する井上。その目には、橋本の嘲るような笑みが映っている。 (わかったか…) 「…………」 (……俺が両親を殺した殺人鬼なら、おまえは鬼の子。 或いは死神か。俺と同じ、人の世に何の価値もない、毒蛾のような存在だ。その証拠に…) 井上の目に映る、首だけの橋本が醜悪に笑う。 (俺をどうやって殺そうかと考えていたお前の顔…俺にも増して醜いぞ) 「………!!」 (お前はその醜い顔を晒しながら、歩き続けるがいい……この果てしない殺し合いの螺旋から) それを最後に、橋本の幻は消えた。後に残ったものは、橋本の亡骸と、吹き荒ぶ風のみ。 「殺し合いの……螺旋」 井上の呟きは、風の音にかき消された。
「勝負はついたようですね」 呆然と立ちつくす井上に、総審判・ほったゆみが語りかけた。 無言の井上を尻目に、ほったは部下のスタッフ達に指示を出している。 「死亡確認」 白い不気味な三角フードをかぶったスタッフ達が、それだけを言うと橋本の遺体を回収した。 「チーム・タフ、橋本選手は試合の末に死亡……よって彼はリタイア。 参加選手からは外され、井上選手には勝ち星が与えられます。 なお、この時点で井上選手は2勝につき、 強制的にクリードアイランドから離脱することになります」 人がひとり死んだというのに、ほったは眉ひとつ動かさない。 淡々と事務的に、事実だけを言ってのける。 「おめでとうございます井上選手。それでは、残りの時間はごゆるりとお休み下さい」 言い捨てると、ほったはいずこへと消えていった。 後に残された井上も、その姿が次第にかすんでいく。強制的に、Cブロックに戻されるのだ。 これで見納めとなるクリードアイランドを悄然と見つめる井上。 その胸に去来する思いはふたつ。 ひとつは、橋本の最後の……あるいは井上の罪悪感が見せた……言葉。 そして、もうひとつは、いまだ地獄を見ている同じチームの仲間のこと。 「森田……負けるな。そして、みんな。生き延びてくれ……」 その呟きを最後に、井上の姿もまた、クリードアイランドから完全に消え去った。 ジャンプスポーツ ☆3 1勝 鈴木 2勝 井上 1敗 なし 裏御伽 ☆2 1勝 本宮 乙一 1敗 岡野+真倉 澤井 チーム・タフ ☆1 1勝 猿渡 1敗 石渡 青山 橋本 井上→2勝につき戦線離脱 橋本→死亡につきリタイア Cブロック決勝 クリードアイランドサバイバル 一一残り16名 ←TO BE CONTINUED
意外!蚊帳の外・スポーツチームが現在トップ!
しかし熱い戦いだった。7Yh8IikV乙彼さん
まあ島の中の戦いだけならスポーツチーム蚊帳の外ってことはないわけで、どちらかというとタフの面々のほうが・・
Bブロック控え室のあるとある通路。 両端を塞がれたその戦場で 荒川と伊藤の炎と炎が激突した。 荒川弘の焔の錬金術と、 伊藤真美のアルファクロスから発される炎はお互いの火力によって相殺する。 体術のほうでは伊藤が曲芸のような軽業で意表をついた攻撃を見せることに対し、 荒川は本格的な格闘訓練を受けているのか、それより一瞬早く後の先を取ってきた。 伊藤は荒川の突き出す拳をういきょうの茎──アルファクロス──でなんとか受け流し、 荒川は自らを炎で灼かれる前に焔の錬金術で伊藤を牽制する。 伊藤が荒川の錬金術で発された自分に向かう炎をアルファクロスの炎で焼いて、 同時に隙を見て攻撃を仕掛けてくる荒川に対して真上に飛ぶ。 荒川は伊藤が用意していた地面に刺さった釘に足を引っかける前に足を止めると、 右手の手袋──発火布で出来ている──から火花を出し、事前に作り出した空気構造を 辿らせて炎を上空で爆発させようとする。 だが、伊藤は荒川が炎を錬成する前にアルファクロスを左手に持ち替え、 天井を蹴ると同時に右手から釘を数本、荒川に向かって撃ち込んだ。 荒川は右腕の機械鎧(オートメイル)からなる右腕で釘を弾くと、構成を失ってはいなかった 炎を伊藤に向かって放つ。 荒川と炎と伊藤──天井を蹴り、角度を変えることでそれが直線状となったことを見越して、 ひときわ大きな炎を伊藤はアルファクロスから放出する。 だが、荒川は炎を放った時点で地面を蹴り、伊藤の炎が荒川の放った炎ごと彼女を 焼き尽くす前に荒川はそれを避けていた。 伊藤の炎から数歩離れたその位置で、 荒川がひときわ大きな錬成を組み上げる。 廊下──いや、建物全体を覆うほどの圧倒的な錬成。 「正気──!?」 伊藤すらそれを感じて思わず叫ぶ。 だが、次の瞬間荒川は錬成を全て捨てて、伊藤に向かって飛び込んできた。 「──!!」 機械鎧(オートメイル)から放たれる拳が伊藤のみぞおちに当たる。
「…っ…か…」 荒川が伊藤を完全に沈黙させるためにもう一撃与えようとしたとき、 伊藤の手が荒川の首にかかる。 荒川は何のこともなく、その手をはずそうとしたが──、 「──ッ!」 その手は荒川の手をあっさりとすり抜けた。 「駄目駄目…あなたの手じゃ私の“この手”はつかめないよ。」 そのまま伊藤の手が荒川の首をすり抜けて、血管の重要な部分に傷をつけようとしたそのとき、 予備動作もなく、荒川の左足──それも機械鎧で出来ている──の ひざの部分ががくんと折れ曲がり、開いたひざから砲弾が発射される。 ガ オ ン !! 巨大な音と共にそれは爆発した。 今の伊藤にはそれは効かないはずだった──本来なら。 「がっ…!」 伊藤は悲鳴を上げて、荒川から離れる。 荒川が軽く笑いながら機械鎧の左足を上げて説明した。 荒川「左足の機械鎧には1.5インチカルバリン砲が装備されているのだけれど、 中身は“上海妖魔鬼怪”の退魔用の砲弾を使っているのよ。効いたでしょう?」 伊藤が抗議する。 伊藤「予告も無しに“鋼の錬金術師”以外で出てきた技を使うなんていやらしいわよ!! 危うく成仏しそうになったじゃない!!」 荒川「あなただってまだちょっとししか出てきてない敵キャラの技なんか使ってんじゃないわよ! 首に手なんか突っ込んで気持ち悪いのよ!!」 伊藤「何よ!」 荒川「何が!」 二人は同時に吼えて、またそれぞれの攻撃の動作に移る。 その戦いはしばらく終わりそうになかった──。
結局どちらも機先を制することが出来ず、火力によって作り出される轟音と爆風だけが、 積み重なっていく。 理性をなくしたような見境のない攻撃によって廊下は溶解し、 爆風によってクレーター状のくぼみが出来る。 何十度目かの激突の後。 黒焦げになった荒川が伊藤に対して構えを取る。 半分炭化した状態の伊藤が荒川を睨む。 肩で息をしているのは両者とも同じだった。 厄介な相手だ…と、呼吸を整えながら荒川は思う。 少なくとも、そう認めることは出来た。 まさか伊藤がここまで粘ってくるとは思っても見なかった。 役に立つかどうかも分からない腹の探り合いと比べてどちらがましだともいえないことだったが。 少なくとも倒れるわけにはいかない、か──。 荒川はふらつく足を無理やり立たせると、発火布をつけた鋼の拳を構えた。 ふらつく頭で伊藤は考える。 思ったより強力な相手だった。 既に立っているのもやっとの状態のようにも見えたが。 だが、それは自分も同じようなものだろう。 倒れてしまえば、楽になる──抗し難い誘惑が伊藤の脳裏をよぎる。 その考えに伊藤は首を振って抗った。 少なくとも精神でこの女に負けたくないという思いだけでういきょうの茎を構える。 そのとき。 心の奥底から声が響いてきた。
(分かったぞ…) それは染み入るように囁く。 (こいつはお前を殺す気がない…油断している今ならこいつを殺せるぞ…) 声に言われるままにういきょうの茎を構える。 そして自分の考えに腕を震わせる。 私は今何を考えていたんだ!? 荒川が怪訝そうな表情を見せる。 だが、心の声は構わずに浸食していく。 (内藤のためにお前はGUNG-HO-GUNSを名乗ったんだろう。なにを躊躇う?) そうだ。躊躇う必要はない。 支配される。 そうなれば私は変わるだろう。 そうすればもう躊躇うことはなくなるのだろう。 そのほうがいいのかも知れない。 あの頃の内藤様はもういない。 それでも内藤に付き従おうとするなら、いっそ変わったほうがいいのかも知れない── そう思ったそのとき。 かつての、伊藤に微笑みかける内藤の幻影が浮かんだ。 そして。 『俺を殺して止めるか?』 言い放って、挑発する内藤のどこか悲しそうな顔が浮かんだ。 私が傍にいるわけは── 「あああああああああああああっ」 伊藤の叫びが廊下に響く。 それは外面としては、ただ声を上げたのに過ぎないのだろう。 だが、それは伊藤自身の物思いを打ち砕いていた。 それが一時的なことに過ぎなかったとしても。
「はぁっ…はぁっ…」 伊藤が息を荒げながら、周りを見渡す。 廊下。それは変わらない。 前に立つ荒川の姿も。 それほどの時間もたっておらず、声も実はそこまで響かなかったのかもしれない。 どちらにしろ気にする程のことでもない。 伊藤はアルファクロスを降ろし、対峙する荒川に告げた。 伊藤「…少し頭が冷えたわ。体力が残っているうちに、話を聞きたいのだけれど。」 荒川「別に…こちらは構わないわ。」 荒川はしばらく伊藤の顔を見る。 彼女は伊藤の心の中など嗅ぎ取ったわけではないのだろう。 それでも、荒川は答えてから、構えを解いた。
ひとつの大きな闘いが終わり。そしてまたひとつ始まろうとしている。 太い指で無理やり、切れたネックレスの鎖をつなげようとこねくり回していた本宮の耳に、 強い夜風と共に≪井上勝利≫と≪川原・岡村戦闘準備あり≫のアナウンスが聞こえたのは、 今から数分前の事だ。運営スタッフの慌しい動きが、緊迫した空気も伝えてくる。 二種類の内容の声はしばらく交錯していたが、 前者が落ち着いた頃にはもう、彼はこの場に居なかった。 本宮は人波から垣間見たテレビ画面で川原の顔を確認すると、鎖をYシャツのポケットに押し込み、 大切な金璽を背広の内ポケットに入れてすぐさま≪非戦闘区域≫の外に走り去ったのだ・・・。 (嫌な予感がするぜっ・・・!!) ほどいていたネクタイを直す事もなく、本宮はその“予感”に同調するかの如く、 深夜となり暗さがいや増す草原を、ある一定の方角に向かって走り続ける。風下だ。 誰かが呼んでいるのだ、俺を。俺たちを。御伽の国からやって来た、拳に生きる”壮士”達を。 ・・・月は空想世界と現実とをつなぐ狂気の扉。そして闇の風はますます強くなる。 ・・・風はまっすぐに、あの鮮紅の光を放つ満月へと吹いているのだ・・・。 どれだけ走っただろう。やや小高い丘に登った本宮に強烈な突風が吹きつけ、 用をなさないネクタイが幾度も翻る。彼は真摯な瞳を月に向けたままネクタイを片手で外し持ち上げ、 まるで満月に供物をささげるかのように風にはためかせ、手を離す。細長い布が闇に溶け込み、消えた。 「ここじゃあネクタイなんか、何の役にも立たねえよ」 大きく、つぶやいた。 その光景を丘の下から偶然垣間見た男がいた。乙だ。 「・・・あのスーツ姿、ネクタイ。間違いない・・・!本宮、本宮先生ーっ!僕です、乙一です!!」 「ん?おお!乙一君か、元気で何よりだな!お前さんも・・・見えるかい?あのお月さんがよ」 「!! ・・・あの月は一体なんなんですか?僕にはよくわかりません。ただ・・・」 「・・・ああ、わかんねえ。俺にもわかんねえさ。ただ、風に運ばれてゆくだけさ。・・・行くか?」 「はい!」 血の色の糸で結ばれた御伽の国の住人たちは、運命の地へと、いざなわれてゆく・・・。
奇妙な現象はこれだけにとどまらなかった。 石渡と許斐が繰り広げているテニスバトルの観客席で、それは起こった。 ぱっ(ワープ音) どんぐらわっしゃーーーー!!(落下音) 「いきなりなんだモーン!?」 「うおおおおお!!?」 観客2名、にわのとヒラマツの座る長椅子の真上に突如出現した謎の影(アフロ)。 豪快に2人の真上に降り落ちてきたそれは、先の勝負で瀕死状態の澤井哲夫であった。 避ける事もかなわずクッションと化すレスラー2人。ほどなく澤井は地上に降ろされた。 「澤井君・・・なんか、いかにも死にかけって感じだモーン」 「どっかで闘って負けたとタイね。いくら無作為ワープっつってもこれはねえってモンだなあ」 ボロ雑巾のような澤井は、にわのの姿に気づいて何かパクパク声をかけようしている。 が、どうやらロクに声帯も動かないらしい。このままでは、間もなく死ぬ。 ある決意をしたにわのがしゃがみ込み、腰に下げてたポーチから謎の布袋を取り出した。 中から数個のダンゴ大の丸薬が転がり出て、にわのの手の平に載った。 「・・・この究極漢方薬『ハイパー・キビダンゴ』は、もんのすごいパワーを君に与えてくれるモン。 しかーし、ボクみたいな“桃色筋肉”・・・筋肉には赤色(速筋)と白色(遅筋)があってね、 赤と白のバランスが取れてる瞬発も持久も回復もばっちりな筋肉の持ち主じゃないと、 翌日に【あの時死んでたほうがマシでした】レベルの激痛・・・筋肉痛が使用者を襲うんだホ。 ボクには“30分以内なら死者を生き返らせれる”技があるんだけど今のレベルじゃまだ使えないし。 ・・・今死ぬか、明日苦しむか。澤井君は、どっちがいい?」 大地に横たわる澤井は力強い視線をサングラスの奥に隠し、無言でダンゴを受け取り一口で飲み込んだ。 ぱくぱくもぐもぐ、ごっくん。沈黙は数瞬続いた。そして。 ゴゴゴゴゴゴ・・・・!!! 澤井の四肢に、溢れんばかりのエネルギーが染み渡った!! 傷口も急激に塞がり失った血液がどんどん生産される感覚が澤井を歓喜の渦に巻き込ませた。 「い〜〜ろ〜〜は〜〜に〜〜〜こんぺーとー!!ち〜〜り〜〜ぬ〜〜る〜〜〜オカマぁぁぁーー!!!」
澤井が復活した!! だが明日には死ぬだろう、たぶん!! 恐るべきはハイパー・キビダンゴ。 にわのは『おやつ』扱いでダンゴを島に持ち込んでいたのだ。 ちなみにバナナやカルピスはモンペの中の凶器扱いである。 一連の光景を眺めていたヒラマツは、ある事実に気づいてにわのを糾弾した。 「あ〜〜!先生、そんな回復アイテムがあるんなら、バナナや休憩はいらんとタイ〜!! もしかして先生はオイをたばかっておったと!?そんなんひどか。あんた外道以下やぁ」 その声ににわのは、テヘヘと照れながら扇子を取り出して仰ぎながらきゃるんと舌を出した。 「だってー、あのダンゴすんごい不味いんだモーン。ほら澤井君見てみてホ」 気づくと澤井はハッスルしてそこらを駆け回るドサクサに「ままままずいますいまずい」と叫んでいた・・・。 「それに、あのダンゴは最終手段。ドーピングみたいなものさっ!・・・君との闘いには使いたくない」 ふっと寂しげな笑顔で、にわのが言った。ヒラマツははっとした顔をし、首を縦に振った。 「・・・うれしかね、先生。先生は半分“生きた都市伝説漫画家”タイ、オイもいつかは語り継がれたか」 「あはは、“おしりふりふりと言えばもんがーダンス”って奴だばね。 懐かしいねそのネタ、あの漫画家どこ行った〜みたいな。・・・ここにいるモーン♪」 2人は互いを見つめあうと、あははははと笑って拳を重ね合った。戦闘の意思だ。 「30分一本勝負、コロシは反則負け。お互い全力を尽くすモン。おっけ?」 「・・・次代の都市伝説漫画家の座はオイのモンね。究極の二足わらじタイ!」 彼らの背後では澤井が水を求めて失神していた。月はやっぱり赤かった。
ひとつの闘いが終わり、ふたつの新たな闘いが始まろうとしている。 果てしなくつづく闘いの連鎖。そして、この2人もまた、己の闘いに全てをかける。 黄球が許斐の手から躍った。細身の体に秘められた強靱なバネが躍動し、牙と化す! パアアン! 快音をともない、逆回転のかかった鋭利なサーブが石渡コートに炸裂する。 接地の直後、ボールはまるで意思を持ったように、石渡の顔面目がけて跳ね上がる。 ツイストサーブ。許斐の十八番だ。だが、石渡は頭をわずかに動かすだけで躱した。 克「15 − 0」 そう、この試合はあくまでテニス。 打ち返しもしなかった石渡は、当然ポイントを奪われることになる。 石渡「これがおまえのツイストサーブか・・・なかなかの切れ味だ」 まだ余裕の表情を崩さない石渡。 許斐(今のは様子見という訳か・・・ならば) 2撃目。再びツイストサーブ。許斐、ガンガン攻めにいく構えだ。 一球目以上の鋭さで、ボールが着弾した。その瞬間。 石渡「甘いぜ!」 恐ろしい反応速度で前に出た石渡が、ライジングショット一一ボールがバウンドする瞬間を狙って打ち技法一一で許斐のサーブをあっさり撃ち落とした。 克「15 − 15」 石渡「あいにく、俺のテニスは超攻撃型なんだ。 とっととエンジン全開にしねえと、このまま終わるぜ?」 ラケットをビシッと許斐に突きつける。それを見た許斐が不敵に笑った。 許斐「仕方ないな。こいつは切り札としてとっておきたかったんだけど・・・。 とてもじゃないが、出し惜しみして勝てる相手じゃない」 呟くと、許斐はボールを握る手に力を込めた。 許斐「なら見せてやる!俺の新技・・・ナ ッ ク ル サ ー ブ !!」
その握りは普通のトスの握りではなく、野球の握りでいう『ナックル』に近かった。 許斐がボールを爪先で弾くように、トスを上げる。 異様な回転がかかったボールが、宙を舞う。それを許斐のラケットが叩いた。 許斐が打ったと同時に、石渡も前に出た。どんな球だろうと全て跳ねる前に打ち落とすつもりだ。 だが、着弾したボールは異様な変化を見せ、石渡の膝を打った! 石渡「なに!?」 予想外の変化に、石渡が驚嘆した。 克「30 − 15」 石渡(偶然か? それとも・・・) 今度は前に出ない。変化を見極めるつもりである。許斐の謎のサーブがまたも来た。 石渡「ぐ!?」 克「45 − 15」 跳ね上がった球は、またも石渡の膝を打った。同じ箇所だ。 許斐「これが俺の新技『ナックルサーブ』。 バウンドした球は、どこに跳ねるのか誰にも分からない。俺以外にはな」 石渡「俺のイルカと似ているが・・・俺が微妙なタッチで変化をつけているのに対し、 向こうはトスに回転をかけることで、同じ変化を可能としてるのか」 間を置かず、許斐がナックルサーブを放った。 石渡「今度は返す!」 タイミングを掴み、今度こそライジングで返そうとした。 しかし、今度の狙いは膝ではなかった。球の軌道は、石渡の顔面! 石渡「ちいっ、なめんなッ!」 咄嗟の反射神経で、顔面に来たボールを打ち返した。 許斐はサーブを打った位置のまま一歩も動いていない。 だが、どういうことか。確実に反対側のコーナーを狙ったはずの打球が、吸い込まれるように許斐の元へと飛んでいく。まるで引き寄せられるがごとく。 刹那、許斐のラケットが3.2ミリ下がった。許斐の伝家の宝刀『零式』である。 克「ゲームウォンバイ許斐」 まったく弾まず、ネットへと滑るように転がっていく黄球を、石渡が悄然と見つめていた。 石渡「こいつが噂に聞く『手塚ゾーン』ってヤツか。厄介だな」 苦笑する石渡と、不遜に笑う許斐。カウントは1 − 1。許斐、反撃開始。
東<<空前の怪物対決がッ 今まさに始まろうとしているッッ>> Dブロックアナウンサー東の名調子が、球場内のボルテージを沸騰させる。 8回裏。今や観客たちの熱狂は、完全に沸点に達している。 なぜなら、この回の第一打席。 そのバッターとして立つのが、えなりチームの5番・板垣だからである。 板垣とZ。共にチャンピオン出身の怪物2頭。 このカードに込められた期待は実に想像を絶するものがある。 ド ク ン 東<<えなりベンチの方角からッ グラップラ−板垣恵介がッッ 今 姿を現したァーーーーッッッ!>> ド ク ン ド ク ン オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ド ク ン ッ 顔中にいくつもの傷を刻んだ板垣が、表面上静かな表情で打席に立った。 相変わらず、バットも何も持たず、マウンドに聳え立つ巨体・Zを見つめる。 Zもまた、鬼の眼光を板垣にぶつける。視殺戦。 東<<両者向き合ったッッ 巨漢板垣選手もZ選手の前ではさすがに小さく見えますッッ 静かな表情の両雄ッッ しかしただではすむハズもないッッ 怪物並びたたずーーーッッ>> 水島「格闘バカめ。野球の力を思い知るがええわ」 2人を見て、ほくそ笑む水島。そして、審判渡辺のコールが勝負の始まりを告げた。 渡辺「プレイッッ」 Zが全身を撓ませ、投球モーションに入った、その瞬間。 Z「!?」 まさにボールを放ろうとしたZの目前に、宙を舞う板垣の姿があった。
自分を覆った大きな影から振り下ろされた『何か』を、Zは体を開く事で紙一重にかわす。 Zの眼前を通過したそれは、Zが一瞬前まで立っていたマウンドに落雷のごとく突き刺さる。 東<<なんだーーー!!!>> 観客が総立ちになるなか、東の絶叫が響き渡った。 Zの足下には、切裂かれたマウンドと、屈んだ姿勢で地割れに片足を突っ込んでいる板垣の姿。 克<<どッ どッ 胴回し回転蹴りです!!! 板垣選手、ピッチャーの投球モーション中、不意討ちで胴回し回転蹴りを仕掛けたァーーッッ>> 水島「やりよった、あのアホがッッ!!」 この板垣の暴挙に、こめかみの血管をピクピクさせる水島。 その怒りを嘲るように、板垣がZに語りかける。 板垣「一目でワカったぜ」 立ち上がり、Zを見上げながら板垣は鬼の笑みを浮かべる。 板垣「野球だの勝ち負けだのどうでもいい……なによりも求めるのは勝負の快感だけ…… 相手が 自分が 傷つき そして果てていく…… そんな勝負を、おまえは誰よりも願望んでいる」 Z「…………」 板垣「俺の前では隠さなくともよい……」 しばし睨み合う両雄。やがて、ぼつりとちぎるようにZが言った。 Z「お前が望む勝負方法を言え」 このたった一言に、板垣は悦極まった笑顔を見せる。 板垣「おまえは1人に対して3球しか投げないそうだな。 俺も同感だ。勝負はシンプルな方がいい…もって回った弁解など通用しないほどにな……」 すると板垣。Zと向き合ったまま、間合いの外まで後退する。 板垣「お互いボールは3球、攻撃回数は3回。その3度で……相手を“破壊”した方が勝ちだ」 Z「物騒な…雪合戦てところだな」 それだけを言うと、Zもまた、歯を剥き出したあの独特の笑顔を作る。 指の上で器用にボールを弄びながら、その背後の視線は凶器のレベルで板垣を突き刺している。 Zの持つ殺気の、質の高さに、板垣は悦びを押え切れない様子だ。 野球vs格闘技。ここに前代未聞の死闘が幕を開けた。
(分かったぞ…) それは染み入るように囁く。 (こいつはお前を殺す気がない…油断している今ならこいつを殺せるぞ…) 長引く戦いのせいで、伊藤には既にほとんど意識が無い。 奥底から響く、その声に言われるままにういきょうの茎を構える。 伊藤の姿勢に対し、荒川が鋼の拳を突き出してそれに応じた。 発火布から焔(ほのお)の錬金術によって伊藤に向かって火力を放つ。 強大な火焔。 伊藤が声に従って、荒川に向かいながらういきょうの茎で牽制しようとしたそのとき。 伊藤がぼろぼろになった床の窪みに思いっきりつまづいた。 「──!!」 荒川の焔がタイミングを失った伊藤に襲い掛かる。 気付いていると思ってた──まずい。 このままでは伊藤を本当に焼き殺してしまう。 既に荒川には精密な作業を行なえるほど体力が残っているか、自信はなかった。 それでも気力を無理やり奮い立たせると、錬金術で空気構造を変えて、 火焔の激突する方向を逸らす。 火焔は伊藤を掠め、いくぶん離れた廊下の奥で爆発した。 (──今だ、殺れ──!!) 声に従い、伊藤は荒川に向けてういきょうの茎から炎を出そうとする。 あれほど付け入ることの出来なかった荒川には今、致命的な隙が出来ていた。 そして炎を打ち込もうとしたそのとき。 伊藤は自分の考えに腕を震わせる。 私は今何を考えていたんだ!? 炎を逸らした荒川が怪訝そうな表情を見せる。 だが、周囲の状況には構わず、心の声は伊藤に浸食していく。
(なぜだ──?) 声は虚ろに囁いた。 (内藤のためにお前はGUNG-HO-GUNSを名乗ったんだろう。なにを躊躇う?) 心の中の、自分でもわからない領域に伊藤は必死で抗う。 でも──。 (内藤は全てを滅ぼすことを望んでいる。お前を傍に置くことだってそのためだけなんだぜ?) そうだ。 躊躇う必要はない。 声に従ったら、支配される──それは伊藤には分かっていたが。 そうすれば私は変わるだろう。 そうなればもう躊躇うことはなくなるのだろう。 そのほうがいいのかも知れない。 あの頃の内藤様はもういない。 それでも内藤に付き従おうとするなら、いっそ変わったほうがいいのかも知れない── 伊藤がそこまで思ったそのとき。 かつての、伊藤に微笑みかける内藤の幻影が浮かんだ。 そして。 『俺を殺して止めるか?』 言い放って、挑発する内藤のどこか悲しそうな顔が浮かんだ。 私が傍にいるわけは── 私が彼に従うわけは── 私が望むこと。 それは── 「あああああああああああああっ」 伊藤の発した叫びが廊下に響く。 それは外面としては、ただ声を上げたことに過ぎないのだろう。 それはただの絶叫だった。 だが、それは伊藤自身の物思いを打ち砕いていた。 例えそれが一時的なことに過ぎなかったとしても。
ひとり取り残された形になった水島が、マウンドの2人を苛つきながらも見つめていた。 水島(世界チャンピオンクラスのジャブでさえ起動からインパクトまでの平均速度は80km/h足らず…) 投球モーションに入るZ。それを無構えのまま待ち受ける板垣。殺気が満ちる。 水島(Zのストレートの初速は180km/hを超えるやろ。いかに板垣とはいえ…) 観客のひとりが持っているビールの缶から、水が一滴したたり落ちた。 それが合図であったかのように、刹那野獣は動き出す! 水島(見 て か ら で は 間 に 合 わ な い !!) ド ギ ュ ッ !! Zの振り下ろされた手から、凄まじい殺気と破壊力の奔流が放たれるのを、誰もが見た。 一方、板垣は明らかに一歩たりとも動いてはいない。にもかかわらず。 水島(か わ し た !?) 板垣「♪ゆ〜びきりげ〜んま〜ん う〜そつ〜いたら は〜り千本……」 鼻歌を口ずさみながら、板垣がZへと肉迫する。通常なら、投球直後で完全に無防備な状態。 だが、当のZは、今まさに投球モーションに入るところだった。 水島(な……投げて…ない!?) そう、Zの一球目は、実はフェイントだったのだ。 気を極限まで込める事によって可能となる、一流のフェイントだ。 そして、今度こそZの、魔の豪速球が炸裂する。その瞬間! 板垣「飲 ま す ッ」 リリースの直前。ボールが離れる直前の野獣の手に、鬼の掌が愛撫するように触れた。 それだけでZの腕は本来の動きを大きく逸脱し、解放された破壊力は……! グ ヴ ォ ッ !! Z「ガハッ!」 球鬼から投じられたボールが、球鬼自身の脇腹にえぐりこまれた。 Zが目を剥き、喀血した。
トリビア見てたんだが ちば悲惨だ
(……ちっ……) 声が遠ざかっていくことが分かる。 意識まで共に遠さかって行くことに何とか耐えた。 「はぁっ…はぁっ…」 伊藤は息を荒げながら、周りを見渡す。 破壊された廊下。それは変わらない。 前に立つ荒川の姿も。 それほどの時間もたっておらず、声も実はそこまで響かなかったのかもしれない。 どちらにしろ気にする程のことでもない。 伊藤はういきょうの茎を降ろし、対峙する荒川に告げた。 伊藤「…少し頭が冷えたわ。体力が残っているうちに、話を聞きたいのだけれど。」 荒川「別に…こちらは構わないよ。」 荒川はしばらく伊藤の顔を見る。 彼女は伊藤の心の中など嗅ぎ取ったわけではないのだろう。 それでも、荒川は答えてから、構えを解いた。
両端が塞がれた長い廊下で、荒川と伊藤は対峙する。 いい加減ぼろぼろになった廊下では座る場所さえ見つけることが出来ない。 もっとも、ぼろぼろというのなら二人の格好も似たようなものだったが。 荒川「続きというか…そっちが答えるべきなんだけれどね。で、どうするつもりなの?」 満身創痍にもかかわらず、変わらず荒川は気丈に言ってくる。 さすがにいくらかの疲労の色は感じられるが。 だが、荒川の表情から察するに、こちらも似た様な声質で話しているらしいことが知れた。 伊藤「さっきも言ったようにGUNG-HO-GUNSは内藤様のためにある組織よ。 私達はそのために行動する。 でも、内藤様がご自身の破滅や、ご自身が傷つくことを望まれるのであるなら、 私は止めさせて差し上げたい。 後半は個人的な感想で前半がGUNG-HO-GUNSの定義。 後は銃を使っているということぐらいね。」 荒川「あなたって銃なんか使ったっけ?」 伊藤「釘つながりでロストナンバーなんだからいいでしょうが! …ともあれ、私個人で意見をいっても仕方がないし、同じく個人で GUNG-HO-GUNSの情報を話すわけにはいかないわ。 …残念だけれど、私に話せることは今はこれだけよ。」 荒川「そう…まあいきなり完全な回答を期待したわけではないわ。 そして、身内で解決できるのなら、 私達はあまりしゃしゃりでようとも思っていない。 でも、もう少し状況は複雑よ。 内藤がKIYUに組みするのだとしたら、もしあなたたちが内藤をいさめようとしても、 どうにもならなくなっているのかもしれない。 決断は早めに出来ないと間に合わないわよ。」 伊藤「…わかっているわ。」 伊藤が苦渋の声を上げる。
荒川「…もしも、KIYU達にどうしても頼まなきゃいけないってわけじゃないなら、 私の錬金術で内藤の治療ぐらいは出来ると思うけれど。」 荒川の言葉に伊藤が訊いた。 伊藤「協力してくれるってわけ?」 荒川「いいえ。彼がどう思っているのか直接聞きやすいってだけ。」 伊藤「……あっそう。」 荒川「まあ覚えていてくれればいいわ。」 伊藤「米原秀幸に狙われるわよ。」 荒川「もともと個人的な問題だし…覚悟はしてるわ。」 言い放つ荒川に対して、 伊藤は内容を問おうと思ったが、口に出たのは別の言葉だった。 伊藤「ずいぶん…簡単に情報を渡してくれるのね。 わざわざ話す必要もなかったんじゃないかしら。 ただ戦力を減らすだけなら、私たちを不意打ちにしても良かったんだし。」 伊藤の問いに対し、荒川はそっけなく返す。 荒川「錬金術の基本は“等価交換”だからね。 情報をもらうだけでは割に合わないと思ったから、返しただけよ。 誤解しないでね。 提供者は私達に対してでなくてはならない事情があったのよ。 あなたたちを裏切っているわけではないと思うわ。」 荒川が告げる。 伊藤「…で、ついでに私を消し炭にしようとしていたの?」 どうやら提供者とやらの加護はそこまで回るほどのものではなかったらしい。 荒川「いちいちひっかからないでよ。大体私は本気で殺そうとは…」 言いかけて口を噤む。 伊藤が追い討ちをかけた。 伊藤「むかつくけど、いいわよ。私も途中から気付いたこどだしね。 …さすがに現在のガンガンで一番勢いのある作家に 正面から勝てるとは思っていなかったから。」 それでも、不意打ちで殺される可能性がある程度には危うい。 自分で分かっているのだろうか…と、思いつつ、伊藤は口を開いた。
「さて、と話し合いはここら辺でいいわね…」 笑顔で伊藤が荒川に告げる。 「ええ、忘れているなら、私から言おうと思っていたことよ…」 気付いた荒川が、同じく笑顔で答えた。 二人の間に爽やかな空気が流れる。 そして。 一瞬の後にその空気は血で血を洗う荒々しい戦場のそれへと変わる。 荒川が右手の発火布を前に出して叫んだ。 荒川「極限の焔(ほのお)を見せてあげるわ!!!!」 伊藤「ういきょうの茎!!!最大出力!!!!」 伊藤もアルファクロスを構えて荒川に返す。 そして、次の瞬間二人は同時に言葉を紡ぐ。 荒川・伊藤「死・ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 二人の叫び声の後、一瞬の光が廊下全体に広がる。 そして、その音と同時に廊下全体を含む周囲が爆砕し、消失した。 どちらが勝負に勝ったのかは二人だけの秘密。
腹を押え、膝をつくZ。その光景は、守備に散っているチャンピオン陣営に衝撃を与えた。 ダイ「今、なにが起こった!?」 強者揃いのチャンピオンでさえ、今の攻防の意味を理解した者は半分もいない。 それを理解していた者のひとり、二塁手・山口貴由が解説する。 山口「一投目はフェイントだ……もちろんただのフェイントにあらず! 殺気や闘気といった精神のエネルギーを、実物と見紛うほどに具現化させる。 言葉にするのは容易いが、まさに一流のみがなし得る技! 私が知る限り、これを行えるのは故・森川ジョージと、柴田ヨクサルのみ! それを技としてではなく、本能としてこなすとは恐るべき男だ、Z!!」 一方同時期、その攻防をベンチで眺めていた大和田もまた解説していた。 大和田「しかし、板垣はそのさらに上を行った。Zの完璧なフェイントを一目で見破り、 そしてZの投球を、“合気”により、そっくり跳ね返した。 “合気”は私も使えるが、あそこまで精妙には行えぬ。Zが怪物なら、板垣もまた怪物!」 Zが、ボールを受けた腹を押えながら、立ち上がった。 板垣「さすがにタフだな。もっともそうでなくっちゃいけねえ…… 3回分は………楽しませてもらわなきゃな」 ゴ ッ ! いきなりの第2投。もはや純粋な破壊力の塊と化したボールを、板垣はとんぼを切って躱した。 板垣「確かにすさまじいスピードとパワー…しかしそれだけ!! まるで無策!!」 巨体からは考えられぬ身軽さで宙を舞う板垣。その両足が、Zの大木のような首に絡みつく。 板垣「 転 蓮 華 」 Zの首を挟み、あぐらをかくような姿勢になった板垣が、そのまま時計回りに倒れこんだ。
Zの首を軸に、時計回りに旋回する板垣。 このまま板垣が一周すれば、どのような結果になるかは火を見るよりも明らかである。 しかし、3時の角度まで傾いたとき、転蓮華の回転が止まった。 施川「止まったッッッ 支えてるッ 筋力でッッ」 Zの人外の筋力は、悪鬼の殺人技をもこらえてみせた。 思いっきり体を振り、板垣をふりほどく。 投げとばされた板垣が、身を捻り、Zと正対するように着地した。 板垣「さて…いよいよ最後の1球だが……Zよ。 弁解の余地もないほどに完璧に止めを刺すには、どこを撃てばいい?」 それに対しZ。口からこぼれる血をぬぐいもせず、血まみれの歯を剥いて笑う。 Z「気を……つかうな。次の1球で まだお前が立っていられたなら 無条件でお前の勝ちだ!!」 劣勢のZの、この発言に、球場はさらにヒートアップする。 施川「で……ッ」 ベンチで不安を隠し切れない施川が、青ざめた声を出す。 板垣「クク……今の一言で決めたぜ。 心 臓 を 撃 ち 抜 く !!」 大衆の面前で、堂々と殺人予告をブチ上げる板垣。一方、Zは不敵に笑いながら、右肩に手をやる。 Z「3球勝負にしたのは失敗だったな………」 何かが切れる音がした。それに気付かない板垣が、最後の一撃を振りかぶる。 板垣「喰うぜッッ!!」 同時に、Zも最後の1投の為、体を極限まで捩る。 そのとき、何か重い物が地面に落ちた。マウンドから最も近くにいた山口の目がそれを捉える。 山口(砂 袋 と ゴ ム チ ュ ー ブ !?) リ ミ ッ タ ー 解 除 ! ! 刹那、とてつもない力が、人体の中心を貫いた破壊音がこだました。 バックネット側のフェンスに人間が叩きこまれる。粉々になったフェンスに、敗者がうずもれた。
>>84 私も途中から気付いたこどだしね。
→私も途中から気付いたことだしね。
でした。スマソ。
「何…コレ? ウソ…だろ? 幻覚(ユメ)にしちゃ…痛い……よ」 血反吐を呻きを吐き出し、男は崩れ落ちた。その心臓付近から、ボールが転がりでる。 そう、倒れた者の名は板垣。 そして、立っている者の名はZ。 Zが、グラウンドに倒れて動かない板垣に、闘いの時とはうってかわった静かな眼差しを向ける。 板垣の超人的な運動能力、それこそが仇になった。 これがもし1球勝負だったら、最後の全力の球でもかわされていたかも知れない。 だが、チューブと砂袋でブレーキをかけられた2球の捨て玉。 たったその2球で、板垣は身体でそのスピードを憶えこんでしまった。 身体が勝手に見切ってしまったのだ。 倒れた板垣を一瞥すると、Zはマウンドへと引っ返す。そのとき、異変は起こった。 拍手をひとつ、Zは聞いた気がした。その瞬間、Zの周囲の空間が歪み始める。 Z「!?」 世界そのものが歪み、そして元に戻る。何が起こったのかまるで理解できないZだが、 獣の本能が危機を察知したのか、板垣が倒れている場所を振り返る。 果たして、そこには板垣の姿など、影も形もありはしなかった。 Z「消え…」 呆然と呟いた、刹那。 肉が爆ぜ割れる音が、場内に響きわたった。
90 :
お願い :03/08/20 23:28 ID:yR8Sq5yg
誤字、脱字、書き間違い等を一々訂正するのは止めてもらえないでしょうか? 脳内補完で十分対応できますよ。
便乗して
>>69-70 の訂正はどうかと思った。
後から見直して展開的に物足りないとか思ったんだろうけど
伊藤の回想とかで不足部分だけ補うとかできなかったんだろうか・・・
何が起きたのか、Zには全く分からなかった。 軽い破裂音を聞いたと思ったとき、Zの右腕から夥しい鮮血がほとばしった。 肉が爆発したように飛び出し、白い骨が見えている。 そして、Zは見た。自分の破壊された右腕を両手で握っている、一匹の鬼を。 克<<あ…握撃だーーーッッ!! 相手の四肢を上下から握り、 逃げ場を失った血液を圧縮して内側から破壊ッ 単純にして強力ッッ 古タイヤを引き裂くとさえ言われる板垣選手の握力…その超握力をして初めてなし得る絶技だッ>> 水島「Z!!」 キャッチャーマスクを放り捨て、水島がマウンドに駆け寄る。 それを見て手を放すと、板垣は一言。 板垣「これで俺も攻撃終了。完全には倒し切れなかったが、ここは俺の勝ちだな」 それだけを言い捨てると、堂々と一塁へと歩いていく。 一方、端からは何が起こったのか分からない。 全員が見たのは、全く見当違いの方向にボールを投げたZが、 悠々と歩いていただけの板垣の接近をいとも簡単に許した。その事実のみ。 旭「いったいなにがおこったんだ?」 藤井「おれ ばかだからわかんねえな」 TWO突風のアホレンジャー2人はさて置き、山口の解説が始まる。 山口「おそらくは催眠術ッッ。『あざやかに勝ちたい』『圧倒的に勝利したい』 そう願う闘争者の心理の弱みをつき、術を施すッッ。 闘争者は『こうあって欲しい』安易な敵を造り出し、 こうあって欲しい試合展開をイメージしてしまう……」 ダイ「つまり、俺の幻覚と似たような技か」 1塁を踏んだ板垣を見る山口は、戦慄を禁じ得ない。 山口(今の板垣先生の強さは異常だ……いやようやく本来の力を取り戻したというべきか…… 片腕を失った私では、止める事は出来まい) そっと切断された左腕に手をやる山口。あえて、この不覚傷は残した。 この先、戦況はますます激しくなる。現状を超えるには、尋常な修練では追いつかない。 そう考えた末の、苦渋の決断だった。 山口(この場で板垣先生に勝てる可能性があるのは、水島先生と、そしてもうひとり…) その視線の先には、茫洋とした視線を漂わせながら、得体の知れぬ殺気を纏う男。 柴田ヨクサルが徘徊していた。
>柴田ヨクサルが徘徊していた。 なぜか、こんなとこに笑ってしもた・・・・
山口(なぜこんなところにヨクサルが…? まあ、しばらくは放っておくか) 様子を見る限りでは、試合に乱入するような気配は感じられない。 あの異様な殺意は気になるものの、とりあえず放っておくことにした。 むしろ問題なのは、投手Zの負傷だ。利き腕の損傷。下手すれば、選手生命に関わる。 今、水島がZのところに歩み寄り、怪我の具合を見ている。 水島「小指…動く。親指…動く。なんとか神経は繋がっとるようやの。 しかし残念やが、この腕ではこれ以上ピッチャーは無理やで」 それに対し、Z。即座に首を横に振る。 Z「俺は投げる……まだ大和田との決着もついていない。俺は投げるぞ」 静かだが、不退転の決意を感じさせる口調だった。こうなったらテコでも動くまい。 水島「分かった……だが今すぐ投げ続けるのは無理や。お前はライトに下がって、治療に専念せえ。 こんな腕では、絶対に完投は不可能や。せやから、最後の最後の為に、今は我慢するんや」 これに関しては、水島も譲らない。Zは異論こそあるようだが、従わざるを得なかった。 水島「さて、Zはライトの藤井と入れ替えるとして、繋ぎのピッチャーをどないするかやの。 やっぱり、ワイがやるしかないか……」 実は、水島の体力も限界に近かった。6回までの投球は、確実に水島の体力を奪っていた。 おそらく、全力からは程遠い球しか投げることが出来ないだろう。 水島「とんだ誤算やった……まさか、Zがここまで追い詰められよるとは。 こうなると分かっとれば、もう1人ピッチャーを用意したんやが……」 水島が悩んでいた、そのときだった。 ??「水島先生! ここは俺に任せてくれ!!」 突然、球場に快活な声が響きわたった。 すると、野球のユニフォームに身を包んだ、中学生くらいの少年が球場に入ってきた。 まだあどけなさが残る顔には、どこかふてぶてしい笑みが浮いている。 その少年を見た瞬間、水島が複雑な表情を浮かべた。 水島「そうか、ウチには、まだお前がおったの……」 『ショーバン』 松 島 幸 太 郎 登 場 ! !
松島「水島先生、何で俺を連れてきてくんなかったんだよ!」 会うなり文句を垂れ始める松島に、水島は内心で辟易した。 この男、野球の腕前なら、チャンピオンでも水島に次ぐ技量の持ち主である。 だがいかんせん、ピッチャーにありがちな典型的『お山の大将』タイプの性格をしている為、仲間ウケはかなり悪い。 下手すればチームに不和が生じると思い、水島はあえてチームに加えなかったのだ。 しかし、ことここに至っては、松島は救世主のような存在だった。 わずかな逡巡の末、水島は決断する。 水島「よし、ここからの投球はおまえに任すで、松島!」 松島「任せてくれよ! あんなヤツラなんて、俺の7分の力で完封してやる!!」 自信満々に胸を叩く松島を、水島はどこか不安な面持ちで見つめていた。 東<<チャンピオンチーム、選手の交代をお知らせします。ピッチャーZに代わりまして、松島選手! なお、Z選手はライトの藤井選手に代わり、ライトにコンバートされます>> 意気揚々とマウンドに上がる、松島。気合いが漲っている。 それを見た一塁の板垣は、興味なさそうに鼻を鳴らす。 ふと、二塁方向を見た。その視線は、山口ではなく、ショートに注がれている。 ショート、浜…画太郎。バクーシした後、一度は冷凍庫にブチ込まれたのだが、 結局、選手の不足という事態には止むを得ず、引き続きショートとして器用されることになった。 ちなみに、当の本人は、冷凍庫に入ったおかげで火傷は完全に回復。 今は、冷凍庫のアイスをまとめて頬張っている最中だ。 形態もそれに似合った、成人病体型の少年である。 浜…画太郎を見る板垣の目は、尋常でない殺意を孕んでいる。 板垣も本来はチャンピオン作家。 秋田書店に封印されていた『奴』については、よく知っている。だからこその殺気だ。 板垣(まだ生きてやがったか……このクズが。ならば、今度こそ俺が葬ってやろう。あの時のようにな) 8回裏 えなりチーム ノーアウト一塁。 えなり1 − 2王者
96 :
訂正 :03/08/21 01:07 ID:eyM1M6eh
×Z選手はライトの藤井選手に代わり ○Z選手はライトの旭選手に代わり すまん、こっちにしておいて。 これなら、松島にも打順が回ってくるんで。
『ピピッ、そこの選手止まりなさい。違反者捜索中につきボディーチェックをします』 「おや?何かあったんですか?・・・ボクの荷物はサッカーボールとハンディカラオケぐらいですが」 “山狩り”体制につきクリードアイランドの一部の地域は現在封鎖・規制対象になっている。 状況証拠しか残っていないので、範囲内やその近くにいる漫画家は全員強制捜査の対象だ。 高橋陽一は山狩り開始の合図に誘われ風下に向かううち、捜査網に引っかかったのだ。 ごていねいにサッカーボールやらなんやらをX線装置にかけたり、 ハンディカラオケ(中のテープはB・スプリングスティーン「Hungry Heart」) に食いカスがついていないか丁寧に調べられたり。高橋は変なところで時間を食ってしまった。 その原因が、自チームの新戦力である村田にあるとも知らず。 「オレの心はハングリー♪ハート♪ ジャンジャンジャンジャン ウォウォウォウォウ 飢えた心さハングリーハート♪ウォウォウ」 仕方がないのでアカペラで歌い暇をつぶす高橋であった。 一方その頃、同じ方向に向かっていた本宮と乙も別働の山狩りスタッフの近くまで肉薄していた。 「なんだぁ?あの人だかりは。ありゃあ大会運営スタッフじゃねえか。 黄色いロープなんか張り巡らせて、まるで事件の犯人を捜してるみたいだぜ」 「うーん、もしかして本当に事件でもあったのかも知れませんね。 僕のスタンドで調べてみましょうか?本宮さん」 「まあ待てや。とりあえずそこのデカイ木に隠れて様子を見るんじゃ」 男2人は大木が織り成す深い闇にまぎれ込み、耳をそばだてた。蚊が出るが我慢する。 どうやらスタッフたちの会話で察するに、誰かわからないが違反行為を行った選手がいて監獄に送りたいらしい。 自分たちも見つかったらこってりと絞られそうだ。スタッフの人数は近くだけでも20人前後。 遠くにはいくつも松明や照明、懐中電灯の光が見える。相当大規模な網だ。 「・・・クソ!なんとかなんねえのかよ、あんなのに捕まったら川原と岡村の試合が終わっちまう!」 「えっ、そんな状況なんですか。まさかこの方角に彼らがいると!?・・・どうしましょうか・・・」
混迷を極めるCブロック。終局へ向け白熱するDブロック。 主催者席にて、それらの激闘をほくそ笑みながら見つめる矢吹。 幾度目かグラスを傾けたとき、背後に黒い気配が生じるのを矢吹は感じとった。 ??「試合ははかどっているか、矢吹」 ふいに声がかかった。矢吹が肩ごしに、声の主を確認する。 矢吹「やぁ、君か」 それが知人だと分かると、矢吹が微笑を浮かべて、その男を出迎える。 黒ずくめの男だった。髪も、衣服も、濡れた瞳も、醸し出す気配までもが黒い。 まるでそれは、男の心の闇を表しているかのようだ。 首に下げられて揺れている『お守り』だけが、妙に不似合いである。 矢吹が席を勧めると、男はドッカリと腰を下ろした。 矢吹「まだCとDの決勝の最中だ。君にはどう見える、この試合」 男を試すように、矢吹が問う。それに対し、男は冷めた口調で答えた。 ??「はっきり言って興醒めだ、どちらの試合も。 Cは開始から6時間が過ぎようとしているにもかかわらず、脱落者はまだたったの1人。 これは、あまりにもペースが遅すぎる。野球の方も、ダラダラした展開だ。 しかも、当初の目論みとは異なり、さほど両陣営に被害も出ていないようだな。 人が手助けしてやらねば満足に殺し合いも出来ないとは、まったく世話の焼ける連中だよ」 男の辛辣な批評を、矢吹は笑いながら聞いていた。
矢吹「手厳しいな。秋田書店地下に封印されていた浜岡を解き放ったのも、 ゲームを盛り上げる為の一環というワケかね?」 ??「あくまでも余興に過ぎんがな。しかし、奴の能力は恐るべきシロモノだ。 あらゆる他者を吸収し、その能力を自分色に染め、己の物とする。 その能力に限界はなく、存在する限り果てしなく増大していく。 だからこそ、チャンピオン編集部は奴を恐れ、多大な犠牲の果てに奴を封印した。 いずれにせよ、これで少しは面白くなるかも知れんな」 矢吹「あんな化物を解放しておいて、余興とは恐れ入る。 さすが、チャンピオン『暗黒四天王』の長といったところか。 なあ、 瀬 口 た か ひ ろ 」 愉快そうに笑う矢吹を、黒衣の男……瀬口は感情のこもらない目で見つめ返す。 矢吹「ところで、残りの四天王3人はどこへ行ったんだ?」 瀬口「さあ、な。どいつも自分本意で、そして心に暗黒を持つ連中だ。 誰がどこにいるかなど、俺にも把握しきれはせんよ」 呟くと、瀬口はグラスに注がれたワインを一気に飲み干した。
Cブロック通路 白い不気味な三角フードをかぶったスタッフ達が、橋本の遺体を担架に乗せて運んでいた。 その目の前に、突然男は現れた。 「やれやれ、井上程度にいいようにやられるとはな」 「!? 」 表情こそフードに覆われて見えないが、その男の出現に明らかにフードの男達は動揺した。 なぜここに、ゴッドハンドの一人が、大友克洋がいるのか!? 「悲しいねえ、昔の相棒が衰えた姿を見るのは」 「けっ、久しぶりにあったと思ったらいきなりそれか、変わってねえなあお前は」 からかうような大友の言葉に、首が切り離されていたはずの橋本の遺体がむっくりと起き上がった。 「なっ・・・!? 」 信じられない光景にフードの男達がついに声を洩らしたその瞬間、彼らの体は全て四散した。
「へえ・・・」 目の前で繰り広げられた惨劇に、大友は満足げに笑った 「安心したぜ、まだまだ力は衰えてないみたいじゃねーか」 橋本はそんな大友の言葉にこちらもニヤリと笑いを浮かべてゆっくりと担架から降り立ちあがった。 「一応チームタフでの参戦だから格闘技だけを使ってたんだよ、まあ少々遊びが過ぎたとは思うがな」 人間を数人消し去った後とはとても思えない穏やかな表情で橋本は大友に話しかけた。 「それで、何のようだ、大友? 出所した時すら会いにこなかったくせに。まさか俺が本気で死んだと思って心配してきてくれたのか? 」 「ばーか、お前があの程度で死ぬと思うわけねーだろ、単に暇だから会いに来ただけだ」 「あん?確かお前今ゴッドハンドの一員だろ? 暇って事はないんじゃないか? 」 「それが暇なんだよ!! 全く任務も無いし家に帰ってもやることねーし!!! 」 「落ちつけ」 溜まった鬱憤を晴らさんとばかりに喚く大友を静止しつつ、橋本は 「じゃあ、久々に一杯やるか? 」 と、片手で杯を傾ける仕草をした。 それを見て大友も機嫌を直す 「お、いいねえ、じゃあついでに俺の映画出演についてじっくり・・」 「いや、それは無理」 「なんでだよ、お前が出してくれるっていったんじゃねーか! 」 「いつの話だよ! いい加減過去のことは忘れろ! 」 そんなことを言い合いながら二人はその場から消え去った。 後に残るは、うち捨てられた担架のみ
また急な展開・・・ 番外編かな?
というか通路ってどこやねん!! Cブロックは島ですよ、島。 遺体は中央プリズンにまとめて収監される設定だよ 大友さん入って来ちゃイヤン
中央プリズン内の入り口から死体置き場までの通路では?
人の出入りが最も激しい場所、ガンガン控え室。 現在、ほとんどの者が、この場を出払っていた。 安西(+片倉)と土塚はAブロックへ向かっており、 衛藤は荒川に代わって同人軍艦の修理を行っている。 松沢は無礼ドの調整に大わらわだし、荒川も温泉に行くなどと行って、それっきり帰ってこない。 今この場にいるのは、瞑想している藤原カムイと、お遊戯に興じている雷句・金田一の三等身お子様コンビの、合わせて3人のみである。 お菓子の箱と割り箸で造った友達『バルカン500』を使って遊んでいる雷句たちを、カムイはボーッと見つめていた。 カムイ(いったいいつまで俺は、この幼稚園児たちといなきゃならんのだ?) これなら俺もAブロックに行けばよかったか……とカムイが幾度か思った、そのとき。 カムイ「む!?」 足音が、近付いていた。カムイが聞き耳を立てる。 速いが、その歩調はまるでバラバラだ。ドタドタと乱暴で、まるで洗練されてない。 急速にこの控え室に接近してくる。敵意のようなものは感じられない。 それよりも、カムイは何かが引っ掛かっていた。かつて、この足音は何処かで聞いたような……。 そう思っていると、足音が扉の前で止まった。カムイが幻魔剣の柄に手をかけた。 どんな奇襲にも対応できるように、構えをとる。すると、扉がいきなり開け放たれた。 ??「わああああッッ、ここはどこぉ!?」 勢い良く入ってきたのは、鳥に似た生物を肩に乗っけた、ひとりの子供だった。 かろうじて少女と判別できるが、その背は小さく、極端なお子様体型である。 だあ〜っと滂沱の涙を溢れさせながら部屋に躍り込んできた少女を見た瞬間、カムイはあまりの驚きに絶句していた。 カムイ「お…おまえは…… 夜 麻 み ゆ き !!??」
んじゃフォロー入れますかね〜 あの島セキュリティ甘々かいな
ビー!ビー!ビー! 橋本の遺体が運ばれていたはずの、 ≪非戦闘区域≫中央プリズン内霊安室近くで警報が鳴った。 何かとんでもない『エネルギー磁場の異常』を察知したらしい。 島内外に幾重にも囲った、ほったゆみにも解除不可能なワープ障壁を、 大友がいともたやすくねじ破り、死んだと思われていた橋本と共に去った事実。 それらを霊安室近くの通路に設置された監視カメラは最後まで見ていた。 かくして、大慌てでC決勝運営責任者の柳田に連絡が入ったのであった。 『実は・・・・ かくかくしかじか・・・・』 「な、なんだとー!?この私の万全の運営対策が破られただとう!? 科学者の名折れだ、ええい大友とやらめ!私を誰だと思っているのだ。 この≪非科学を科学に変える男≫柳田理科雄をなめるな――!! 橋本はこの際どうでもいい・・・私の万能科学を侮辱した罪と、 大会運営を馬鹿にした行為は許されるものではないッ!構わん、 ≪スーパーメカ≫を5台闖入者の元に派遣しろ!!責任は私が取る!!」 柳田はC決勝の運営を進めつつ久米田と共に、 【手塚国光殺人事件】を調査していたのだが、 やれ時計が狂っただの猫が暴れただの久米田が鬱だだので、 心労が重なり少々苛立っていた。 そこへ彼のプライドをぶち折る報告である。
あの時。そう忘れもしない、GUNG-HO-GUNSの広江が奇襲をかけてきた、あの時。 その時の襲撃で無惨な最期を遂げたはずの仲間、夜麻みゆき。 その彼女が、なぜか今、生きてここにいる! あり得ないこの事実に、カムイは激しく混乱した。 すると、少女……夜麻のつぶらな瞳が、カムイの姿を捉えた。 夜麻「わぁ〜〜カムイだぁ! わっほい!」 途端にパッと顔を輝かせると、夜麻が一直線にカムイに抱き着いた。 夜麻「びえ〜ん、カムイいいっ! 会いたかったよぉ〜〜っ! 僕、ず〜〜〜っと道に迷っちゃっててさぁ、やっと帰ってこれて るるるー♪(うれしい)な気分だし、るるる〜(疲れたー)な気分だしー」 あまりの事態に動揺しながらも、昔からの習慣か、しがみつく夜麻の頭を撫でてやるカムイ。 とにかく冷静になるべく、カムイが夜麻に聞いた。 カムイ「お…おまえ、なんでここに!? おまえはあの時、死んだはずじゃ……」 夜麻「う〜んとね……僕にもよく分かんない。ただ、気がついたら、近くに男の人が立っててね。 長〜い銀色の髪の毛の、大っきいおじさんだったヨ。 その人が、死んでた僕の身体に、『さいせーちゅう』ってのを入れてくれたんだって。 だから、僕助かっちゃったんだって、そのおじさん言ってた♪」
カムイ「(さいせーちゅう…再生蟲? どこかで聞いたようなフレーズだな) それで夜麻、その男の名前は? そいつは何か言ってなかったか?」 夜麻「なまえは言ってなかったヨ。なんか急いでたみたいで、すぐどっか行っちゃった。 でも、『女の死体を見るのはいい気分ぢゃねー』って言ってた。ねー、ツァル?」 ツァル「シャギャ!」 夜麻の肩に止まった鳥のような生物、通称『ツァル』が、夜麻に同意するように鳴いた。 ちなみに、ツァルの正体は、『ケツァルコアトル』というモンスターである。 夜麻の説明(?)を聞いたカムイが、頭の中で話を整理する。 話を聞く限りだと、何者かが何らかの方法で、死んでいた夜麻を生き返らせたらしい。 誰が、何の目的でそんな事をしたのか? それは判然としない。 ともあれ、死んだと思っていた旧友が生きていた事は、何よりも喜ぶべきことだろう。 雷句「ウヌ? お主は誰だ?」 夜麻「僕? 僕は、みゆきー♪ 君はー?」 雷句「私は雷句、雷句誠だ。リックと呼ぶがいい」 夜麻「リックかー。よろしくねー、リックっ」 金田一「オウ、みゆきじゃないか。久しぶり(キラン)」 夜麻「わー、レンもいるー♪ うれしーなー♪」 雷句「では、みゆき。さっそく私たちと一緒に遊ぶのだ」 金田一「ふっふっふ、苦しゅうない、近うよれ」 夜麻「うん、遊ぶー♪」 ……喜んでいいはずだよな? いや、きっとそうだ。そうに決まってる。 複雑な面持ちのまま、カムイは3人に増えたお子様達のお守に、頭を悩ませ始めた。
彼は正直、漫画を読まないので漫画家の事は全然知らない。 [AKIRA]の【大友克洋】だとか矢吹に敵対するゴッドハンドの一員だか言われても、 ピンと来ない世間知らずの研究野郎である。そんな彼ゆえの、宣戦布告。 通信機を振り回しながら鼻の穴を広げてしたたか興奮する柳田を、 探偵漫画家メモを持ってぶらぶらしている久米田が虚ろげな目で見つめていた。 そこに近づく黒猫一匹。 眠りから覚めて久米田達を追いかけてきたクロこと横内なおきである。 クロはにしししと嫌な笑いを浮かべると、 『くめたん日記』で見たらしい彼の弱点を突いて来た。 久米田が普段異様に気にかけている、髪の毛の頭頂部にチョコンと飛び乗ったのだ。 ずるり。 ヅラが・・・・・・ 落下した。 「あぁぁぁぁ!!見〜〜な〜〜〜〜い〜〜〜〜〜〜でぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 久米田が発狂した!!!クロは久米田を指差しながらゲラゲラと腹を抱えて笑っている。 どうやら横内は見た目や名前だけでなく性根もかなり腹黒いようだ。 もしかしたらこれをするためだけに、久米田を追いかけてきたのかもしれない・・・。 「科学は必ず勝利するーー!!」 「なんだその目はー!!猫まで俺を馬鹿にするのかー!!」 「にゃにゃ!にゃはははは(バーカ、バーカ!ハゲ〜)」 すっとこどっこいどもの緊急事態で、あった。
は! まさか松沢夏樹をこねこねして復活させた、 通りすがりの人って・・・・(´Д`)
どこぞの山奥。 鉄を鍛える音。 桜玉吉の仕事場― キィン!キィン!キン!! 桜「ふう、今日はこの位にしとくか。ん?」 外から扉を叩く音。めったに人が来ないからいきなりでビックリする。 桜「久々だな、客か?は〜い、どちらさんで…あれ?」 開けたら誰もいなかった。確かにノックの音が聞こえたのに… ??「よお!」 桜「うわあっ!!」 なんで中にいるんだ?鈴木みそ!! 鈴木「物事は、様々な角度からみることが肝要。こんなところでも」 桜「久しぶりだなあ!まっ、座れよ」 鈴木「まだ全部言ってないんだけど…」
職場放棄して戦艦ヤマト内をうろつく、横山十傑衆“ロウオブザトゥリー”福地翼。 わけのわからん魔人バトルに付き合う義理はないとばかりに、 彼の夢である【温泉発掘】のために必要な人材を捜す日常に舞い戻る。 ・・・予定がふと自分が元いた部屋の様子が気になって戻ってみると、 そこには三日月頭のおっさんがひとり、呑気に茶をすすって漬物を食べていた。 ≪ロリ魔人タナトス≫に変形中の梅澤春人であった。 他の連中はどこかに消えてしまっていた。そしてやっぱり自室はぐちゃぐちゃであった。 「・・・・・・」 壁の保護用に張り巡らせた木々は半分炭化していた。 無言でそれらを片付けると、床に空いてた大きな穴に全部掻き落として、穴を木で塞ぐ。 「・・・・・・」 下の階の住人って誰だったかなと思いつつ、福地はすすだらけの手の平をはたく。 そしておもむろにちゃぶ台を取り出し梅澤の隣に組み立て、座布団を彼にすすめた。 どこからか取り出した和菓子の器を置き、マイ湯飲みに温かい緑茶を注ぐ。 梅澤もそれに気づいて座布団に座りなおし、ふたりは割れた窓から満月を眺めた。 「・・・・俺、なんでこの仕事してるんだろーって時々悩むんスよね・・・・」 「ロリロリ」 「同僚に高橋しんってのがいるんスけどね、あいつ昔の記憶がないんスよ。 今でも、ちょっと頭が戦闘モードに入ると今まで積み重ねた記憶がなくなっちまう。 手錠をつけられたまま・・・ただ戦闘の度に駆り出されて、そのたんびに空っぽになっちまう」 「ロリロリ?」 「・・・噂ではあいつ、ちょっと前までウチ(小学館)の地下巨大冷凍施設に封印されてたとかで。 なんか地球を滅ぼす≪最終兵器≫の素質があるとかないとかで、横山様に捕獲されて。 俺から見たらただのキツネ目のチビガキッスよ。そんな奴まで使って・・・」 「ロリ」 「戦争だなんて本当イヤんなるッス。早めに若隠居して温泉掘りの旅に出たいな〜」 梅澤がそっと福地の肩に手を置いてにっこりと笑いかけた。三日月の頭部がいやに輝いていた。
萩原「テメエ〜〜よくも、俺様のキュートな顔に傷をつけてくれやがったな〜〜」 野々村の秘めたる力によって吹っ飛ばされ、顔を傷つけられた萩原が怒り狂った。 その傷とは毛筋ほどのかすり傷なのだが、萩原の逆鱗に触れるには十分だったようだ。 先程の余裕は消え失せ、凄まじい怒りの波動が萩原の周囲に渦を巻く。 萩原「くったばりゃあああッッ! 空雷砲撃破(ヴェン・ジェン・ド)ッッ!!」 突き出した掌にプラズマ化した魔法弾が生じ、野々村めがけて高速で撃ち出された。 野々村「うらあああッッ!」 怒号を吐き出しながら、野々村が素手でそれを迎え撃つ。 すると、またしても野々村の掌から強烈な衝撃波が発生し、萩原の魔法を相殺した。 萩原「ちっ、思ったよりやるじゃねえか、このガキ。なら、オレも本気でやってやる……ぜ?」 思わぬ歯ごたえに猛る萩原だが、その直後に起きた事態に唖然とする。 衝撃波を繰り出した野々村が、そのままガックリと倒れ、動かなくなったのだ。 しばらく拍子抜けしていた萩原が、やがて呆れたように鼻を鳴らす。 萩原「なんでえ、自分の能力を完全に扱いきれてねえのか、こいつ。 ちったあ楽しめると思ったのによ、つまらねえな」 吐き捨てると、萩原がとどめの呪文を唱えはじめる。 萩原「魔界の公爵、大いなるトムニアよ、古えの契約を行使せよ(スー・アン・ドア・ステー・ルー) 雷 電 奴 濤 (ラ イ オ ッ ト) !!! 」 萩原の両掌に6万ボルトの電圧を有するプラズマが形成された。 巨大な神の雷と化した電流が、今まさに野々村を消し炭にしようとする。 だが、その瞬間、萩原の視界に奇怪なものが映った。 一瞬前まで何もなかった地面から、クラゲのように蠢きながら、何者かが這い出てきたのだ。 魔法を放とうとしている萩原はトランス状態な為、今さら魔力の放出を止められない。 構わず異形の影ごと、消し炭にするべく、電撃が放たれる。 次の刹那、萩原の目に映ったのは炸裂した雷光よりも、爛と輝く黄金いろの光であった。 それはたばしる黄金の閃光のように見えた。 すると、あろうことか、確実に相手を焼くはずの電撃が喰い荒らしたのは、萩原の肉体だった。
萩原「ぐおおおおッッ!!」 6万ボルトの凄まじい電圧が、術者である萩原自身にはじき返された。 纏ったローブがズタズタに焼け焦げ、人間大の鉄球がぶつかったような衝撃が、萩原を吹っ飛ばした。 一方、野々村は無事なまま、仰向けに倒れている光景は、魔法を唱える直前と変わりない。 その前に立ちはだかるように、いつの間にか現れた男の存在を除けば。 ??「悪いが、この男をやらせるワケにはいかぬよ。仲間のたっての希望なのでな」 忽然と出現した忍装束の男が、萩原を嘲弄するように頬肉を歪める。 萩原「テメエも、さっきの奴の仲間か。ゴッドハンドの腰巾着だな」 衣服は半分焼けたものの、萩原の持つ魔法障壁は並ではなく、肉体そのものにほとんど損傷は見られない。 ??「さよう。わしが名は、横山十傑集、せがわまさき。憶えておくがいい、暗黒のアダムとやら」 不敵な笑みを浮かべるせがわに、萩原が唾を吐き捨てた。 萩原「みょーな術を使いやがるな。おもしれえ、 なんだか知らねえが、オレの邪魔するなら、テメエも死ね」 長い銀髪を逆立たせ、更なる魔力を解放する萩原。 しかし、せがわは動じもせずに、こう言い放った。 せがわ「相手をするのはやぶさかではないが、いいのかね? わし1人に構っていて……」 萩原「なに!?」 せがわの言葉の意味に気付くのと、萩原の背後で床を踏む音がしたのは同時だった。 萩原「ちいっ、もう1人!?」 「 炎 龍 (イ ェ ン ロ ン) !! 」 振り返る萩原の目に飛込んできたのは、渦巻く巨大な黒炎。 それはあたかも、黒龍が牙を剥くかのように、萩原の視界を占領した。
萩原「ぬおおッ!?」 もう1人の襲撃者が放った黒龍は、強固な『盾』を容易くブチ抜き、炎の舌で萩原を覆い尽した。 萩原「があああッッ!」 これにはさすがの萩原も、かなりのダメージを受けた。 全身から焦げ臭いにおいを立ちのぼらせ、激痛に苛まれる。 しかし、萩原を襲う者は、さらにもうひとりいた! 萩原の頭上に巨大な影が躍り出で、丸太と形容しても足りないような巨腕を叩きつけたのだ。 間一髪でそれをかわした萩原が、襲撃者たちを全員、視界に納められる距離まで飛び退く。 そうして、第3の襲撃者の正体を知った萩原が眉をひそめる。それは、異様な体躯をしていた。 黒いマントを内側から張り裂くように、隆々と筋肉が盛り上がっている。 どういう鍛練を経ても、このような筋肉を得ることが出来るのか。 その巨大さは、常人のゆうに5倍はある。 さらに奇怪なのは、巨木のような首の上に乗っている、不釣り合いに端正な美顔だ。 その端麗な顔だちは、まぎれもなく、鷹氏隆之本人に他ならない。 萩原「てっめえ、まだ動けたのか。それになんだ、その気色悪いカラダは?」 いぶかしむ萩原の台詞に、鷹氏が笑った。 鷹氏「これは『鬼の身体』だ。私の肉体は、人間のそれではない。 わずかでも時を置けば、あの程度の負傷はすぐに再生できるのだよ」 舌打ちすると、萩原がもう1人の男に視線を移した。 染めた髪をほうきのように逆立てた、ヤンキー風の男が不遜な笑みを浮かべて立っている。 先程、萩原に黒龍を叩きつけた男だ。 ??「よう、あんた。オレたちが来なかったら、危ないとこだったな」 ヤンキー風の男が、鷹氏に向かってニヤッと笑った。
鷹氏「貴方は、神崎正臣。せがわ、お前が連れてきたのか?」 せがわ「おお、そうよ。わしが十傑集にスカウトした」 それを聞いた鷹氏が、フム、と頷いた。 鷹氏「貴方の事は高屋様や聖様から聞いたことがあります。 貴方程の方に十傑集に入っていただけるとは、 願ってもないこと。以後、よろしく頼みます」 神崎「どうせ退屈してたんだ、暴れられるなら、なんだっていいさ。 こちらこそ、よろしく頼むぜ。 さて……」 3人の十傑集が、萩原を見た。帯電した磁場のような闘気が、通路に充満する。 神崎「形勢逆転ってヤツだな。さすがのお前も、オレたち3人を相手すんのはキツイだろ」 せがわ「年貢の納め時というヤツじゃな」 鷹氏「少なくとも、『人のままでは』我ら3人を向こうに回して勝てるとは思っていまい」 居並ぶ3人を睨みながら、萩原が舌打ちする。 萩原(ちっ、こいつは少々やっかいだぜ。この3人が相手じゃあ、詠唱するヒマがない。 となれば、『アレ』を使うしかねえか) 萩原が、体内に埋め込まれた悪魔の力を全解放しようとしる。 だがそのとき、どこからともなく響く声が、萩原を制止した。 <止めておけ。その力……『ユダの欠片(ジューダスペイン)』は我らの秘宝。 このようなつまらぬ戦いでみだりに使用するな。暗黒の救世主よ> 静かだが、その声には強烈な意思の力がこめられていた。 並みいる十傑集3人をして、戦慄をおぼえさせるほどの、強力な言霊。 萩原「おまえか……裏でコソコソやるのを好むテメエが、 こんな表舞台に出張ってくるたあ、どういう風の吹き回しだ?」 萩原が、ケッとつまらなさそうにぼやく。 すると、萩原と鷹氏たちの間の空間に、突如黒く巨大な穴が出現した。
??「フッ、旧友の危機を見かねてな。それに、神の僕どもに、 今おまえの力を知られるのは、少々困るということもある」 黒い穴から現れたのは、黒いローブをまとった赤い肌の男だった。 一見、穏やかな表情をしているものの、その身に纏った魔力は、萩原と比較しても遜色がない。 せがわと神崎は直感的に、新たに出現したこの男が、相当な手練であることを見抜いた。 そして、ただひとり。鷹氏だけはさらに異なる反応を示した。怜悧な目が驚きに見開かれる。 鷹氏「! おまえは……ッ!」 ??「久しいな、神の僕共よ。もっとも、あとの2人は初めて見る顔だが」 ただならぬ妖気をただよわせるその男の名が、鷹氏の口が紡いだ。 鷹氏「おまえは……『濁天使』ッ!! 麻 宮 騎 亜 !!!! 」
麻宮「まだ生きていたか小僧。何やら懐かしささえ感じるな」 喋っているだけなのに、鷹氏は強烈なプレッシャーを感じていた。 鷹氏(十二使徒の中でも3指に入る男……『濁天使』麻宮騎亜。 まさか、この男がすでに目覚めていたとは……いかん、この男まで加わっては…) 麻宮「どうした、久しぶりなのにつれないな」 鷹氏「くっ!」 神崎「誰だ、こいつ? おまえ、何か知ってるか?」 せがわ「いや、わしはまだ十傑集に入って日が浅いゆえ。 だが、ひとつだけ分かっていることは、目の前の男が相当な強者であるということ!」 神崎「ああ、そいつは俺も感じるぜ。ヤバい気がプンプンしやがる」 麻宮の登場により、戦線は膠着状態に陥った。 萩原「おい、勝手な真似すんじゃねえ。あいつらは俺の獲物だぞ」 麻宮「危なかったくせによく言う。だが、まあいい。 ここで神の僕を数匹始末しておくのも、また一興」 十傑集3人と、萩原、そして麻宮。二組の強大な力がぶつかろうとした、まさにそのとき。 ヴ ヴ オ オ オ オ オ オ オ !!!! 鼓膜をつんざくような、雷鳴のごとき排気音が轟いた。 全員が音の方向を振り向くと、その一瞬後、とてつもない速度で何かが突っ込んでくるのが見えた。 神崎「な、なんだあ、ありゃあ!?」 それは異様な乗り物だった。前部は、パッソル……いわゆる小型の原付きバイクだ。 だが、その後部には、まるで戦車のような巨大なエンジンが爆煙を噴き上げている。 異形のバイクは猛スピードで迫り来ると、萩原のすぐ手前にて華麗に停車した。 まるで、己の手足を駆使するがごとき、見事なドライビングテクニックである。 ドライバーはエンジンを切ると、バイクを降り、唖然としている萩原を睨みつけた。 ??「まさか、テメ−がまだ生きてやがったとはな」 怒りと嫌悪をのせた声が、場の空気を震わす。その男もまた、一流の気を纏っていた。 ス プ リ ガ ン 隊 長 、 皆 川 亮 二 見 参 !!!!
迷子かー(*´∀`)ー!? 青山どうしたー(*´∀`)ー!?
なんか、えらい混沌とした状況になったな・・・ 期待してるぜ!
バイクを降りた皆川の姿、そしてその闘気にその場にいるもの全てが膠着した 一人の男を除いて 「なんだ皆川かよ、久しぶり〜元気そうじゃねえか」 場の緊張感にそぐわないのんきな声で、その男―神崎正臣は言った 「あなたは・・・」 皆川は萩原の側面にいるその男の姿を見て一瞬顔に驚きの表情を浮かべた後 「神崎さん・・こちらこそお久しぶりです」 と、萩原からはけして視線を逸らさないまま、神崎に言った。 「ふむ、流石は雑誌キラーとしてあらゆる雑誌をさ迷い歩いた男、顔だけは広いのう」 「うるせえそこ、黙ってろ!! 聖よりはましだ!! ・・・・・・多分」 半ばからかいの色が混じった口調のせがわの言葉に神崎が素早く反応する。 それを見て、野々村に気を配りつつ、麻宮と対峙していた鷹氏がふっとわずかに笑みを浮かべた。
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作者の都合により名無しです :03/08/22 23:49 ID:SY2+GzVl
「くっ・・・」 その笑みの意味を感じ取り麻宮がひきつった表情となる。 今のせがわと神崎のやり取りは結してただの馴れ合いではない。 神崎と皆川の友好関係を見て取ったせがわの、自分が神崎側の人間だという皆川に対するアピールだったのだ。 そして、次に動きがあるとすればせがわか神崎のどちらかがおそらく鷹氏のサポートに付くだろう。 それにより敵、味方の構図がより明確に皆川に伝わる事となる。 「(あの男・・・・)」 麻宮は神崎を見た。 皆川と知人だった、その要素を差し引いても、咄嗟に、しかもこの緊迫した状況下で、あんな気の抜けた態度を取る機転は只者ではない。 あれで、思わず萩原、それに麻宮すらも気を抜かれた。 あそこでもし焦って皆川に自分の存在をアピールしようとすれば、その瞬間に萩原は攻撃を開始していただろう。 そして敵味方が誰かもわからぬまま乱戦に突入していたはずである。 わずかな、さりげない戦略、だが麻宮はそこに神崎正臣という男の恐ろしさの一端を見た 「(底が、見えない・・・本当に十傑集なのかあの男は・・? )」 皆川、そして萩原をあいてどってのあの余裕、どう考えても鷹氏やせがわとは格が違った。 「ちっ・・・」 萩原ですら己の不利を覚り始めている。 たった数秒、それだけの間に完全に戦局は十傑集に大きく傾いていた。
全身を喪服のような黒ずくめに身を包んだその男は、圧倒的な美を有していた。 その美貌の前には、妖精でさえ歌を歌うのを休み、星々は輝きを止めるだろう。 180センチを超える長身はスリムで、ことに下半身の長さは1メートル以上ありそうなプロポーションの良さだが、着痩せする感じはない。 内に秘めた筋肉の躍動とパワーを感じさせる、しなやかな肉体だった。 男……菊池秀行は、小春日和が取り憑いたような間延びした笑みを浮かべながら、こう切り出した。 菊池「いい夜だな、化物共(フリークス)」 春風が詰まったようなのどかな声でありながら、その内容は驚くほど辛辣なものだった。 菊池の台詞を聞いた、菊池とは全く対照的な、肥満体の醜男……平野は、 頬の肉皮を歪ませる、見る者すべてに嫌悪を抱かせずにはおかない、 あの独特の笑いを浮かべながら、 平野「?T三闘神?U ?Tマンサーチャー?U そして吸血鬼根絶の?Tヴァンパイアハンター?U」 菊池「そうだ、そうだよ、そうだとも。もうおしまいだ。 くだらないおまえたちも、くだらない漫画教室も、もう?Tおしまい?Uだよ、ケルベロス」 血臭むせ返る魔窟の真只中にいながら、菊池の表情はしかし、あくまでものどかだった。 平野「それは困る」 急に神妙な顔つきになった平野が、食べかけの料理を頬張りながら、 せわしない咀嚼の合間に、そう言った。 平野「そんなことをされてはたまらん。 私達の戦争が終わってしまうじゃないか、私達の大好物の戦争が」 菊池「君がここの頭目かい、?Tでぶ?U」 あまりにも直接的な……ゆえにそれがこの男の口から出たとはにわかに信じられない……言い方だ。 しかし、当の平野は気にした様子もなく、菊池の問いに応じた。 平野「そうだよ、食事中なんだから邪魔しないでくれ。 知らないのか、?Tでぶ?Uは一食抜いただけで餓死するんだ。 この私がいうんだから、間違いないぞ青年」 すると、会話が途切れたのを見計らって、 それまでダラダラと冷や汗をかいていた七三が意を決して切り出した。
上げてしまいました。すみません・・・
七三「菊池さま、これはどういうことですか? 平野様の覚醒は、横山様の意向のはず。 いわばゴッドハンドの総意といってもいいでしょう、それを……」 菊池「勘違いしてもらっては困るね、七三君」 菊池は、七三太郎に、皆まで言わせなかった。 菊池「ぼくは、そしてぼくたち?T三闘神?Uは、横山の私兵でも仲間でもない。 同盟関係ですらない、いわば?T敵対していないだけ?Uの間柄にすぎない。 同志である武論尊の考えは知らないけど、少なくともぼくはそうだ。 それに、ぼくは君たち吸血鬼を殺したくて仕方がない。それが理由かな」 涼し気な声は、平野たちへの明確な敵意となって紡がれた。 七三はゴッドハンドと菊池の板挟みになった不幸にしばし慄然としながらも、 やがて覚悟を決めたように、言った。 七三「仕方ありませんね。貴方は最も敵に回したくない方ではありますが、やむを得ません あくまで我らに敵対行動をとるというのであれば、 すなわちゴッドハンドとも敵対する事を意味します。 私としてもそのような者を放ってはおけない……ゆえに、この場で始末いたします」 菊池「その言葉……平野の部下としてのものかい? それとも、ゴッドハンド側の人間としてのもの?」 七三の不遜ともとれる物言いを、菊池はさらりと質問することによって切り返した。 七三「その両方です、菊池様。私はゴッドハンドの忠実な部下であり、 今は平野様に心酔するものです。つまり、今の貴方は、 私にとっても2重の意味で敵ということになります」 一気に言い切った七三に対する菊池の反応は、冷徹な嘲笑だった。 菊池「偉大な兄を持ちながら、その弟はかくも?T愚か?Uか……救えないよ、七三」 そのとき。菊池の言葉が合図であったかのように、通路につながる扉がけたたましく開け放たれ、夥しい数の川三番地が押し入ってきた。 それぞれの手にした数え切れないほどの銃口が、一斉に菊池を照準する。 七三「我々の探究の邪魔者だ。そして大隊指揮官殿のお食事の邪魔者だ。殺せ!!」 菊池の底知れない気配に圧倒されながらも、その指示は恐ろしく冷徹で、容赦がなかった。 刹那、部屋を埋め尽すほどの銃火が一斉に閃き、無防備に立つ菊池に鉛玉が殺到した。
そう、間違いなく銃弾は殺到し、黒衣の美青年をただの赤いシミに変えてしまうはずだった。 しかし、現実は七三の思い描いたようにはならなかった。 菊池「馬鹿め、気付かないのか雑魚共め。勝負はすでについている」 麗らかに紡がれた菊池の言葉を裏付けるように、並みいる川三番地は全員、急に身動きひとつとれなくなった。 数ミリ引き金を引き絞る行為さえ、ままならない。 数十人の吸血鬼が、一斉にその自由を奪われたのだ。 それを行ったのが、菊池秀行本人であることは疑いない。 だが、こののほほんと突っ立ったままで、いかなる動作もしていない青年が、 いったいどのような魔技を用いて、川三番地たちの動きを封じたのか。 七三「な……」 菊池「忘れていたようだね、ぼくの能力を。そもそも、 ぼくがどうやってここを探り当てたか、ちょっと考えれば分かるだろうに」 ぴうん、と空を裂く細い音が奏でられた瞬間、血風が舞った。 石のようにその動きを硬化させていた川三番地たちが全員、瞬時に細切れにされたのだ。 吸血鬼の血液が、驟雨となって部屋に降り注ぎ、魔窟に鮮血の彩りを添える。 菊池の指先が軽やかに躍ると、蜘蛛の糸よりも細い銀光となって弧を描いた。 これこそが、菊池秀行の得意とする武器のひとつ……?T妖糸?Uである。 その細さ、実に千分の1ミクロンのこの糸は、チタンS9Sという特殊鋼で錬金加工してあり、 これに菊池の技量が加わったとき、この世のあらゆる物を切裂く、必殺の武器となるのだ。 さらに?T妖糸?Uの用途はこれだけに留まらず、人の神経にからみつくことで、 その者の肉体を意のままに操り、相手にいかなる触感を感じさせない。 一度、この糸に巻かれた者は、菊池の掌中に収まったのと同じと言える。 そして、指先ほどの毛玉で全長2万メートルに達する?T妖糸?Uはあらかじめ七三に結ぶつけられていた。 だからこそ、菊池はこうも容易く、平野の居場所を探り当てる事が出来たのだ。 一瞬でこれだけの殺戮をやってのけたとは思えない、茫洋とした表情を浮かべる菊池。 ところがそのとき、菊池は奇妙な音を聞いた。
パンパンパンパン。拍手の音。 平野「見事な手並みだ。君は恐ろしい作家だな」 感心したように拍手をつづける平野。その横には、料理の皿を抱えた七三が無事な姿で立っている。 菊池「おや、おかしいね。君たちの周りにもはりめぐらせたはずなのに」 胡乱に呟いたとき、菊池は平野の側にいつの間にか立っていた、もうひとりの男の存在に気付いた。 作務衣を着込んだ中肉中背の男だった。しかし奇妙なのは、その男の顔。 正確に言えば、顔は分からない。なぜなら、その男の顔は、奇怪な鬼の仮面に覆われていたからだ。 その手には、抜き身の日本刀が握られている。 菊池(まさか、ぼくの妖糸を見切り、切断してのけたというのか?) 正体は分からないが、その尋常ならざる鬼気は、仮面越しにでもはっきりと感じ取れる。 菊池必殺の妖糸を切断した腕といい、ただならぬ技量といえた。 平野「そう言えば、私にはまだ、君という味方がいたのだったな」 平野が仮面の男に、ねぎらいの言葉をかける。 だが、男は、まるで感情を喪失しているかのように、無反応だった。 いつもの事なのか、さして気にする様子もなく、平野が言った。 平野「久しぶりに見せてくれないか、君の技を」 すると、仮面の男は無言のまま、切っ先が右下を向くように、腰の位置に構えた。 一切の隙のない、完璧な構えだ。その構えから、徐々に刀を持つ手が動く。 「破邪剣征一一一一一一一 桜 花 放 神 !!」 奇妙に抑揚のない声と共に振り下ろされた剣は、必殺の太刀筋を描いていた。 その衝撃波は地を易々と裂き、部屋に亀裂を走らせる。 その太刀筋は、さながら桜の花びらが散るように、甘美な死の匂いを振りまく。 平野「相変わらず、素晴らしい腕だ 藤 島 康 介 」 平野の讃辞に、やはり男は無言だった。首頷することさえない。 菊池「ほう、なかなかの腕だな。では……」 呟く菊池はすでに、つい数瞬前の彼ではなくなっていた。 美麗な外見はともかく、人間性(なかみ)だけが変わっていた。 菊池「?T私?Uも、少しは本気になるとしよう」 そこにいるのは最早、春を謳歌するような茫洋とした青年ではない。 美貌だけをそのままに、悽愴なる魔人が出現しようとしていた。
生きとったんかい それとも・・・?
鬼の仮面がヒントだ。多分・・・
何故か牧歌的な空気が流れる、戦艦ヤマト内・福地翼の部屋。 タナトス梅澤の三日月頭は、満月を反射して夢幻の如き輝きだ。 温泉マークの手ぬぐいをおでこに巻いた福地は、それをずり下げて目線を覆う。 「・・・へっ、俺の気のせいかねぇ。やけにあんたが眩しく見えるぜ、ロリコンのおっさん」 「ロリロリ〜」 そんな雰囲気を邪魔する、『コンコン』という木の床を叩く音。 それに福地が気づいた頃には、音は『ゴンゴン』『ドンドン』『バンバン』に代わっており、 ついに『バキバキ』という音と共にさっき修復したばかりの床が抜けた。 下の階からわさわさと断面に両手をかける人間がいたかと思うと、 そいつは器用にも跳び箱の要領で手の乗った床を跳ね、回転しながら上階に降り立った。 ・・・二又に分かれた、猫耳かウサギ耳かを模した皮の帽子と、 ボロボロのマントと痛々しい両手の手錠をした目つきの悪い少年だった。 少年の頭には福地が落とした煤が降り積もっている。 「ゲ!すまん!真下はお前の牢・・・部屋だったのか、しん!」 “ラストアームズ”高橋しんであった。 戦闘時以外は何故か、三重に閉じられた広めの牢屋の中に住まう男。 もっとも高橋本人にはその生活に異論はなく、また苦痛もない。 彼の所持品らしい、猫もどきのぬいぐるみと共に何もない日常を送っている。 戦うたびに記憶がなくなるので、近頃は再教育も面倒だと放置され気味なのだ・・・。 「・・・おまえ、テキか?トモダチか?」 「しん・・・また、忘れちまったんだな。俺は福地翼、おめーのトモダチさ」 「・・・福地ー、なんか上から落ちてきてオレまっクロなんだ。なんでだ?」 「 気 に す ん な 。 ・・・あー、ホントどっかに温泉ねえかなあ? どーせ船員はほとんどいないんだし、しんの1人ぐらいこっそり抜け出させてえなー」
温泉。それは福地にとって永遠のドリームである。 世界人類を平和に導くためには温泉が必要不可欠だとマジ顔で語る男だ。 いろいろあって横山十傑集として呼ばれたが、正直上の連中には戦力としては期待されていない。 それでも彼は、自分なりに努力して心身を鍛えている。 いつかみんなと戦艦ヤマトで宇宙に温泉掘りに行く夢を叶えるために。 「オンセン?ってなんだ?」 「温泉は・・・でっけえ風呂だ!風呂の説明はめんどいからナシだ! とにかくそのススだらけの顔をなんとかせにゃなー・・・って?」 握りこぶしを作る福地は、誰かに肩をつんつんと叩かれて横を向く。 梅澤がいやにシリアスな顔つきで高橋しんを見つめている。非常に滑稽だ。 梅澤が右手の人差し指を、しなだらせながらゆっくりと高橋の前に差し出す。 誘われるように指を返す高橋。ふたりの指の先がチョンと触れ・・・光が発せられた。 「な、なんだぁーーー!?」 ビビる福地をよそに、ふたりは≪指の先で≫会話をしているようだった。 テレパシーという奴であろうか。やがてふたりは指を離し、梅澤がにやりと口を開いた。 「ロリロリ・・・・ お前のような 炉 里 魂 を捜していた!! 武井達の他にもまだ、このような高貴で崇高なる魂の所有者がいたとはな・・・!!」 「む」 福地はがっくりと肩を落とした。 (俺の周りって、こんな連中ばっかりなのか・・・?)
テニスコートから離れ、頃合を見てモバイルから審判の呼び出しをかけるにわのまこと。 「あーもしもし?こちらまこリン。ヒラマツ君とプロレスやるから審判一丁至急配達するモン!」 ・・・かくしてワープゲートは開き、何もない空間から現れたるはセーラー服の男安永航いt 「 フ ァ イ ナ ル ・ エ ル ボ ーーーーーーーーーーーー ッ !!!! 」 『気』を含んで光り輝くエルボードロップが空間を切り裂き中の男を再び空間内に押し込んだ! 「審判(レフェリー)のリコールを要求するモーン!!!」 という訳で次に派遣されて来たのが、≪実はプロレスオタクです≫新沢基栄であった。 背に腹は代えられないので渋々承諾するにわの。それらを呆然と眺めるヒラマツ。 ちゃっかり実況兼雑用として再臨した安永が、いそいそとマイクを用意している。 「あーあー、お茶の間の皆さまこんばんわんこそばー♪新沢の基ちゃん再び登場なのだ! これより裏御伽・にわのまことバーサス!チームタフ・ヒラマツミノルの荘厳プロレスバトル! 30分1本勝負のはじまりはじまり〜〜ぃ!!司会進行は私と安永航一郎でお送りするのだー」 ・・・なんかものすごく嫌な予感をはらみつつ、新沢がポーズを取ってバトルフィールドを展開した。 広い草原が光を帯び、地下から四角いプロレス用のリングと鉄柵、パイプ椅子の観客席がせり上がった! 「基ちゃん、両選手を対のコーナーに配置しといたぞー」「あーい!でわ両者、にゅうっじょうっ!!」 ――赤〜コーナー・・・・ “アグネスワールド”ヒラマツ〜〜〜〜ぅミノルっ!! しりとり罰ゲーム【北島三郎モード】ヒラマツが、背中にラジカセ付き紙吹雪製造機を背負い、 いぶし銀の着物とパンチパーマヅラと高級マイクとスポットライトを装備してコーナーから登場した! ♪男は祭りを そうさ かついで 生きてきた♪山の神 海の神 今年も本当に ありがとう♪白い褌 ひきしめた 裸若衆に 雪が舞う・・・♪
「ま〜〜つりだ祭りだ祭りだ、豊年祭り〜〜♪ 土の匂いのしみこんだ〜〜倅その手がっ宝ぁ〜物〜〜〜ぉ♪」 えらいノリノリで北島三郎の「まつり」を歌いながら、赤コーナーに入ってきたヒラマツ。 規定によりマスクの上に乗ったカツラは外れないが、着物や機械は外され安永に手渡される。 そしてまだ誰もいない青コーナーを見つめながら、ヒラマツはロープの張り具合を体で確かめた。 (長かったバイ・・・しっかし、どーしてにわの先生の周りってこんな雰囲気なんじゃろな。 タフ連中とは全然違うバイ。オイはどっちの雰囲気も嫌いじゃなかとが、それにしても・・・) 眉をしかめるヒラマツの耳に、どこからか奇妙な音が聴こえて来た。 それは何かの生物の悲鳴のようであり、バイクのふかし音のようでもあり・・・。 はおっ うひぃっ ヒエイッ うひょおっ どすこーい!!(怪しいエンジン音) 突如青コーナーの真上上空にぽっかりと穴が開いたかと思うと、 中からうさんくさいデザインのバイクに乗った「もんがー=変形にわのまこと)」が出現した!! ♪パパラパラパラパラパラパ〜〜♪ 超異次元暴走マシン“ジェット・モンガロン”は、 器用にもコーナーポストに前輪だけで着地し、もんがーはバイクと自分の体をV字に傾けて、 器械体操≪扇≫を決めた。無駄に素晴らしい技術であった。 ――青〜コーナー・・・・ “マスク・ザ・モモ”にわの〜〜まこ〜〜と〜〜〜〜!! 役目を終えたジェット・モンガロンは、自走して上空の穴に消えていった。 「そんだけかい!!(安永)」 かくして、なんだかよくわからないプロレスバトルの幕が切って落とされようとしていた。
蛭田「やっぱこれは、横山様に相談すべきかな?」 五虎神、蛭田は、崖のそばに隠れながら、基地を見つめた。 蛭田「まさか、富野さんが、ひょーぎかいに連れられてきちゃうとはねえ。さーて、どうっすかなあ。」 実は長谷川達には内緒で救出作戦は進んでいたのだが、それより先に評議会連中の動きが早かった。 蛭田「しかし、スーパーロボットが何体も見えるとなると、こちらもそれなりの準備をしないとねえ。」 蛭田はそう言いつつも、通信機を用意した。 横山「………わかりました。こちらもスーパーロボットで望むしかないでしょう。 貴方は、次の作戦の為の準備をお願いします。」 そう言って、横山は、画面を眺めてしばし考え、メンバーを選択した。 横山「有賀ヒロシ!富士原昌幸!安彦良和!長谷川裕一!吉富昭二! 以上5名。富野由悠季救出の為、行動せよ! 作戦名は、 勝 利 の 五 人 ! ( ビ ク ト リ ー フ ァ イ ブ !) 長谷川「了解!やってやるぜ!」長谷川は早速、直していたBURNにかけのる。 富士原「預かりしGR1、使わせてもらいます。」そう言って、通信機を腕に巻く富士原。 安彦「兵は神速を尊う!」ギャレオンはすぐさま、竜の船の背中に乗る。 吉富「こちらの準備はもうすんだ。」長谷川「搭載武器を喰わんといて下さい!」吉富「エンジンは、完全だ。飛ぶに問題は無い。」 長谷川「まあ、そこまで言うのでしたら、自分で動かしてくれます?」 長谷川はそう言って、手動キーを吉富に渡す。吉富「……わかった。」 有賀「熊谷、ちょっと出てくるは。」熊谷「……あっ、そう。どれぐらい。」 有賀「相手次第だな。きちんと交渉を聞いてくれるなら、すぐ終わるだろうから。」熊谷「…ま、のんびりやれや。」 五人はそれぞれの思いを描き、戦いの場へ向かう。助けるべき相手と戦う為に! この過酷な試練をどう乗り切る!ビクトリーファイブ!次回へ続く!
水島「あかん、やっぱりや・・・」 尾田を迎えての一球目。松島の「7分の力の渾身のストレート」は 外角の思いっきり高めを走り抜けた。クソボールである。 (こいつはいつになっても力みが抜けんもんやなあ・・・) 対する尾田も、Zまでとはいかないが良く伸びる松島の球に手を出しかねているようだった。 2球目、やはりボール。尾田、見逃し。 たまらず水島が「スライダー」のサイン。 しかし、3球目、ボール。渾身のストレートだ。 「手がすっぽ抜けた」とは松島の言。ペコリと頭を下げる。 ・ ・ ・ ・ 打順は富沢へと移る。 水島「あかん、やっぱりや・・・」 ノーアウト満塁。この間誰もバットを振っていない。尾田、岡田ともにフォアボールで出塁。 マウンドでは松島の一人舞台がつづけられていたのである。 松島「・・・」 東『松島選手が大乱調!ついに!ここに来てえなりチームに最大のチャンスがやってまいりました!』 ここまでひたすら影が薄かった富沢も目が燃えている。打ち気にはやっている。 荒木「代打!」 富沢「へ?」 ・・・現実は非情だ。
有賀って確か勇午の作者だよな?ゴッドハンドにいたのか・・全然気が付かなかった。
『問題:この数式の答えは正しいか、そうでないか。○か×かで答えよ。 38543×42+68342÷20×36−6539×7.5+8456 ÷40+43629−83254−80004×4=1795075.15 』 <魔王の欠片>を奪うべく己の自由を勝ち取ろうとする回答者:真島チーム その暴挙を押しとどめようと説得するも失敗に終わった出題者:藤崎 一切の自由を奪われた、矢吹・真島同盟の監視役にしてクイズの審判役:小畑 『化血陣』のクイズ対決も決着のときが迫っていた。 真島「フジリューセンセー。ちょっとタンマ」 藤崎「なんじゃ降参か?」 真島「じゃねーよ。問題の見直しをしてえ。こいつら2人にも見てもらいてぇんだよ。 もう5分だけ待ってくれ」 綾峰・上条(!?) 藤崎「う〜ん、まあ良いわ。早よせーよ」 小畑(真島のやつ、なんか企んでるな・・・) 藤崎に背を向け、真島達3人の打ち合わせが始まる。 が、その背後で藤崎がいやな笑いをしていることに彼らは気づいていなかった。 ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ ( 真島チーム:ただいま打ち合わせ中 )ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ 真島「あのインチキ仙人がマトモにクイズをやるとは思えねぇんだ。 必ず何かある――。そこでお前達の力を借りたい。 2人とも、今あいつに対して可能な攻撃は有るか?」 上条「肉体が無い以上、無理だね――」 真島「そこんとこ、GENKAITOPPAで何とかならねーか?」 上条「ムリムリ、そんなの―― 綾峰「ねぇヒロちゃん、電撃はムリだけど『邪眼』なら精神攻撃だから多分イケるよ。 あいつ、俺達が見えてるみたいだし」 真島・上条「!」 『邪眼』――それは中世の魔女達が持つ人心を惑わせる技。 綾峰は最強の大魔女の血と技を現在に受け継ぐ者。彼の『邪眼』は 人格を破壊するほどの力を秘めていた。 真島たちの企み。その成否は果たして――?
真島「よし、そいつで行こう。 俺が思うに、奴が作ったこのメルヘンチック空間が怪しい。 『俺達が消えた幻覚』を見せて空間を解除させ、その隙にバックレよう。」 綾峰・上条「OK!」 ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ ( 真島チーム:打ち合わせ終了 )ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ 真島(いいか、俺がヤツに声をかけこちらを向かせる。そしたら仕掛けてくれ。) 綾峰(OK。ヒロちゃん。) 真島たちが藤崎に向き直る。藤崎は目を閉じ瞑想しているようだ。 真島「待たせたな、フジリューセンセー。始めようぜ。」 藤崎「・・・ううん?」 藤崎が目を開き真島のほうを向く。 綾峰(今だ! 『 邪 眼 』ッ!!!」 魔女の系譜に連なる力を、眼前の藤崎に向け解き放つ!! 藤崎「・・・・・・。」 真島(・・・いけたか!?) 藤崎「・・・・・・。」 真島(・・・反応が無えな・・・) 綾峰(いま幻覚の真っ最中なんだよ。きっと・・・) 藤崎「・・・・・・あ・・・。」 上条(あ、効いてきたみたい) 綾峰(ほらね。さあ、来るよ・・・) 藤崎「・・・・・・あ・・・ああ・・・。」 突然、藤崎のポーカーフェイスが崩れ、泣き出しそうな表情に変わる!! 藤崎「・・・あ・・・ふ・ふぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ふぃ。」 それは見事な大あくび。 真島・綾峰・上条「な・・・っ、なんだって〜〜〜〜〜〜〜〜!?」 藤崎「おっと、すまぬ、ちょっと居眠りしとったもんでの・・・。 いやあ、いい夢見ておったよ。」 『 邪 眼 』 不 発!?
あまりのベタベタなボケに戸惑う3人。 真島(おい、どーなってんだよ!?) 綾峰(わからないよ。ヒロちゃん。) 上条(やはり幽体からの攻撃はムリだったんじゃ――) 藤崎「もう確認は済んだのじゃな?」 真島「お、おう」 上条(ホントにいいの?) 真島(計算は3回確認した。多分大丈夫だ。ここはこの問題をクリアして次に賭けよう。 邪眼が効かねーんならしょうがねえ。) 藤崎「さて、では再開しようかのう。」 藤崎が問題のカードを手に取り、問いかける。 藤崎「問題を間違えた場合はトーナメント決勝までおとなしくしてもらう。良いな?」 真島「おう」 藤崎「勝っても負けても恨みっこなしじゃ。良いな?」 真島「おう」 藤崎「このクイズには、おぬしら3人の夢がかかっておる・・・。そうじゃな?」 真島「おう!」 藤崎「ならば3人、声を合わせて答えるが良い。」 真島・綾峰・上条「おう!」 藤崎「声が小さいぞ!!」 真島・綾峰・上条「おう!!」 藤崎「では参る!! 『問題:この数式の答えは正しいか、そうでないか。○か×かで答えよ。 38543×42+68342÷10×86−6589×7.05+8456 ÷40+43539−88754−80004×4=1795075.15 』 真島・綾峰・上条「×(バツ)!!」 ボ、ボ、ボン!! 真島・綾峰・上条がいた位置に三筋の煙の柱があがり――、 やがて煙が晴れたそこには3体のぬいぐるみが転がっていた。
カーン! にわのvsヒラマツ、決戦のゴングが安永の手で鳴らされた! まずは様子見とばかりに前方のロープに走り出すにわの。 ここはプロレス的な演出で、微妙にタイミングをずらして横のロープに走り出すヒラマツ。 2人のレスラーがマットの上で十字を切るようにバウンドしながら交錯し、 やがてにわのが右腕をぐるぐる回しながら、リング中央に跳ね戻ったヒラマツに攻撃を仕掛ける。 回していた腕を直角に曲げ、走りながらヒラマツの顔面にその腕を叩きつける! バシッと派手な音と共に交錯は終わり、お互い慣性で飛びながらマットに背中を打ちつける。 喰らった男と喰らわせた男、2人はすぐに立ち上がり向かい合って両肩を組んだ。まずは双方、投げ合いに入る。 「ふふん、そー簡単に背中は取らせないじゃん。ボクは柔軟な体も売りなんデシ」 「そんな余裕こいとると、先生今に泣きを見るタイね。オイの体にも売りはあると・・・」 「よゆー?余裕ゆーのは・・・こーゆー事じゃーん!」 にわのはいきなりヒラマツの背後に回りヘッドロック(頭蓋骨締め)に入る。そしてニヤリと笑い・・・ “ピーチエンブレム・オープン!!”にわののマスクの額にある、桃の紋が扉みたいに開いた! 中からマジックアームが2本飛び出し、突如ヒラマツの北島ヅラに襲い掛かった!! (あいつはいくつ【時空の穴】を操れれば気が済むんだ・・・)と安永が思っている間に、 マジックアームの持つ電動バリカンが、パンチパーマを虎刈りに変貌させていたのだった。 「なっ何事バイ!先生今一体なんばしよっとね!?」「きーにーしーなーいー♪」 そそくさとアームを引っ込めるにわの。レフェリーの新沢はとっさの事に反則カウントを取り損ねた。 「祝!阪神優勝(予定)記念北島タイガーカット!ちなみにボクはダイエーファンね」 とかなんとか言いながらいきなり背後のロープに背中向きに飛び、反動でドロップキックをお見舞いするにわの。 思いっきり喰らってしまったヒラマツは、なんとか倒れずにその場で踏みとどまる。 蹴った後に瞬時に転がり、コーナーの鉄柱に辿り着いたにわのはピョンと飛び乗り勝ち名乗り。 「来な!5秒で沈めてやるモン!!」 1秒後、ヒラマツの怒りの鉄拳で場外にぎゃふんと落とされたのは言うまでもない。
勝ち名乗りじゃなくて宣戦布告だったモーン_| ̄|○
菊池の一人称がいつの間にか、『ぼく』から『私』へと変わっていた。 変わったのはそればかりではない。 その口調までもが、春の陽光を感じさせる茫洋としたものから、冷たく鬼気迫るものになっている。 もはやそこにいるのは、どこか恍けた所があった青年ではない。 悽愴な美と、凄艶な魔気をたたえた、ひとつの『魔人』がそこにはいた。 そして、菊池が人ならぬ『魔人』ならば、その前に立つこの男もまた人ではない。 圧倒的戦力を前にしてなお平静さを失わぬ男……平野が、すっと片手を挙げた。 ホールドアップではない。日本刀を構え、戦闘体制に入っていた藤島を制したのだ。 平野「君はここまでで結構だ、大尉(藤島)。 これはようやく巡ってきた、私の対戦相手。そして、私の戦争だ」 静かだが、有無を言わせぬ口調だった。 元々逆らう気などないのか、あるいはそんな感情自体持ち合わせていないのか、 その一言で、藤島は無言のまま刀を納め、あっさりと引き下がった。 平野が胸の前で、両手を奇妙な形に組み合わせ、ブツブツと呪文のような文句を唱え始める。 平野「拘束制御術式 第3号 第2号 第1号 開 放 状況A 『クロムウェル』発動による承認認識 目前敵の完全沈黙までの間 能 力 使 用 限 定 解 除 開 始 」 ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ すると、平野の身体中から、夥しい『闇』が流出し始めた。 その闇は、あるいは悪魔の翼のようであり、 あるいは獣の顎のようでもあり、あるいは無数の亡者達の手のようでもあった。 しかし、その怪奇極まる現象を目前にしても、菊池の悽愴なる美貌には翳りすら見えない。 菊池「哀れな『不死の王(ノーライフキング)』よ。 お前には何もない。その事をとくと思い知るがいい」 平野の妖気に圧されてか、それとも菊池自身の魔気によるものか、菊池の黒衣のすそが大きく広がる。 『不死の王』と『魔人』。 人ならざる者同士の悽愴なる殺戮劇の幕が切って落とされようとしていた。 それはまさしく、黒き魔鳥が、その翼を広げているかのようであった。
訂正 それはまさしく、黒き魔鳥が、その翼を広げているかのようであった。 『不死の王』と『魔人』。 人ならざる者同士の悽愴なる殺戮劇の幕が切って落とされようとしていた。 それはまさしく、黒き魔鳥が、その翼を広げているかのようであった。 最後の部分は、こっちが正しい。なぜか行が間違ってた。
それはまさしく、黒き魔鳥が、その翼を広げているかのようであった。 『不死の王』と『魔人』。 人ならざる者同士の悽愴なる殺戮劇の幕が切って落とされようとしていた。 ・・・・また間違えてたよ。下手に訂正しようとした俺が馬鹿だった。
状況の飲み込めない小畑が藤崎に問う。 小畑「何があったんだ? あいつらが突然、焦り始めたり、ぬいぐるみに化けたり・・・」 藤崎「ひとつひとつご説明しましょう。まず奴らが突然焦りだした件じゃが、 多分、あの打ち合わせが終わったタイミングで何か仕掛けたのじゃろう。」 小畑「だが、うまくいかなかった――なぜ?」 藤崎「口で言うよりこっちが早いかのう。 小畑先生、その茶筒をわしめがけ投げてくださらんか?」 小畑「いいのか・・・?そら!」 茶筒はまっすぐ藤崎めがけ飛んでいき――そして突き抜けた! カランカラン・・・と軽い金属音をたてて転がる茶筒を藤崎が拾い上げて言う。 藤崎「これは先ほど真島と影を戦わせた『金光陣』のもうひとつの能力でしてのう。 空間内の光を屈折させ、正確な位置をわからなくする効果が有るのですよ。 ヤツが何を仕掛けてくるか解からなかったので、念のため この『化血陣』との多重空間にしておいたのじゃが、正解じゃったようだのう」 小畑「じゃあ、ぬいぐるみの件は?」 藤崎「こっちは今見えている『化血陣』の能力で、ゲームに負けたものをぬいぐるみ化し、 魂魄を封じ込めるコトができるのです。これで否応無く、トーナメント決勝まで おとなしくしてもらえるじゃろう。」 小畑「でも、あの問題は正解だったんじゃ?・・・あれは矢吹の――」 藤崎「問題のカードと、やつが使っておった計算用紙を見比べてみてくだされ。」 小畑「・・・?」 藤崎「わかりませんかのう・・・? 右手にカード、左手に計算用紙。暫く見比べている小畑だったが、やがてつぶやいた。 小畑「マジかよコレ・・・」
小畑「問題が・・・すり替わっている!?」 パッと見では気づかないが、よくよく見ると数式が異なっていた。 藤崎「コレが『化血陣』のもうひとつの能力。この空間内は自分の都合の良いように 作り変えられるのですよ。たとえばこのように――」 藤崎の指差した先――先ほど茶菓子を取り出した棚が無くなっていた。 さらに蓋を開けた茶筒からは碁石がジャラジャラと音を立ててあふれ出てきた。 藤崎「これでお分かりですかの?解答の直前に問題をすり替え、 気づかれぬよう勢いをつけさせて解答させたのですよ。 まあ、あんな長い問題を暗記しているとは思えませんでしたし、 パッと見で解からぬよう、数字の差し替えにも気を付けましたがのう」 小畑「・・・(と、とんでもねえ、ペテン師だこいつ)」 真 島 ク ン (問題の再確認を) す っ と ば す ! 小畑「・・・で、真島たちはどうなるんだ?」 藤崎「わしの意思しだいで、いつでも復帰可能です。思考も停止しているので、 先ほどのまま現れますよ。ただ、ぬいぐるみの状態で傷つけば、 本体もダメージを受けるので慎重に保管しなければなりませぬがの。 ・・・なのでコレを使います。 宝 貝『 九 竜 神 火 罩(きゅうりゅうしんかとう)』」 まっすぐ真横に突き出した右手の先に大きなラグビーボール状の物体が現れる。 藤崎「これは携帯用シェルターみたいなもので非常に頑丈な代物です。 コレに真島を保護します。」 そういいながら真島たちをしまい始める藤崎。ドコから取り出したのか パラゾ○ルまで用意していた。小畑も片づけを手伝う。 小畑「あれ、それは・・・この空間の一部じゃなかったのか?」 藤崎「ああ、説得の道具に使えないかと自前で用意したのですよ。 ふたつ取るのにUFOキャッ○ャーで1300円も使いましたがの。」 藤崎は『プルー』と『グリフ』を真島たちの横に納めながら、 かつて自分の漫画で用いた台詞を思い出した。 (「わかりあえないって悲しいねぇ」)
いやぁぁぁまこリン師匠ネタキタァァァ゚(Д)゚
>>145-146 訂正はヤメテェェ。・゚・(ノД`)・゚・。
内容には変わりは無いんだし。
ストーリーの根幹に関わらない限りは、涙を飲んでくれ。
ピピッ 梅澤「!」 ピッ 唐突に、タナトス梅澤の動きが止まった。電波を受け取ったのだ。 梅澤<<おう、俺だ。……なんだ倫タンか、どうした?>> その端から見てると実に妖し気な光景を、高橋しんは興味なさそうに、 福地は一歩引いて見つめていた。 岡本<<梅さん? なんだ、じゃないにゅ。今、どこにいるにゅ?>> 梅澤<<ん? ああ、まあ色々あってよ。そうだ、面白いヤツを見つけたぜ。 是非、KIYUに会わせたい>> 岡本<<それどころじゃないにゅ。今、こっちはてんてこ舞いにゅ>> 梅澤<<……なんかあったのか?>> 岡本<<こちらのテリトリーに侵入者、にゅ。それも2人。 それぞれ、別々のルートで侵入してきてるにゅ>> 梅澤<<侵入者ぁ? どこの間抜けだ、そいつら。 んなもん、俺がいなくても、PSYCLOPSの連中に任せときゃいいじゃねえか>> 岡本<<それがあまり楽観視できない相手にゅ。 1人は、サンデー最強の原作者『静かなる狼』七月鏡一。 もう1人は……んん、なんか女子中学生みたいにゅ。 でも、身に着けてる気配が、普通じゃないにゅ。多分、誰かが擬態してるにゅ>> 梅澤<<……強ええのか?>> 岡本<<どっちも相当な使い手にゅ。PSYCLOPS総員なら確実に倒せるけど、 その場合、こちらにも相当な被害が出るにゅ>> 梅澤<<この時期に戦力を削られるのは痛てえな。……分かった、すぐ帰るぜ>> 岡本<<頼んだにゅ>> そうして、電波による会話は終了した。
福地「どうしたんスか? いきなりお空に向かってしゃべり初めて」 宇宙人を見るような目で梅澤を見ながら、福地が言った。 梅澤「ん? ああ、仲間からの連絡だ。そろそろ、俺はおいとまするぜ」 そう言って立ち上がった梅澤を、福地が内心ホッとしながら見送る。 と一一、次に梅澤がとった行動に、福地は激しく慌てた。 福地「ちょ、ちょっと!!」 思わず大声を出した福地を、梅澤がしれっと振り返る。 梅澤「あん? まだ何か用か」 福地「用か? ……じゃないッスよ! しんを何処に連れてくつもりなんスか!!」 プルプルと菊池が指差した先には、梅澤に肩車されている高橋しんの姿があった。 梅澤「何処って……KIYUんとこに決まってるだろーが。 俺はこいつの高貴なる純粋な魂が気に入った! だから、こいつは俺が連れていく!!」 さらりと言ってのけたその内容に、福地が仰天する。 福地「キ……キキキキキキ……… K I Y U !!? 」 目下、ゴッドハンドにとって最大の敵の1人である者の名を、 そして全ての漫画家にとって畏怖と忌みを持って語られる名を耳にし、 福地は脳が裏返ったかのように狼狽した。 しん「キユ? それってテキか? トモダチか?」 梅澤「俺のマブダチさ。そして、これからお前にとってもトモダチになる」 記憶を失っている高橋しんに、梅澤は都合のいい記憶を植え込んでいく。 梅澤「さーて、そんじゃ行こうぜ、しん。KIYUがお待ちかねだ」 そうして、足早に去って行こうとする梅澤を、福地の絶叫が呼び止めた。 福地「だ か ら 、 ち ょ っ と 待 て え !!」 梅澤「なんだよ、まだ何かあんのか?」 面倒くさそうに、再び福地を振り返る。 福地「大アリっすよ! KIYUって言えば、 ゴッドハンドの敵リストのトップ3に入ってる大物ッスよ! そんなヤツらに、しんを奪われたとあっちゃ、俺が横山様に殺されるッス!!」
必死な叫びだった。この男、どうやら忠誠心はさしてないらしい。 福地「それに、そんなんでも、しんは俺のダチッス。放ってはおけないッス」 だが、一方で仲間思いな部分もあるらしい。ふむ、と梅澤はしばし考える。結論はすぐに出た。 梅澤「それじゃあ……おめーも一緒に来い」 福地「……へ?」 梅澤の意外な申し出に、福地は呆気にとられた。 梅澤「俺達と一緒に来りゃいいんだよ。そうすりゃ、 しんとも一緒にいられるし、横山にどやされる心配もねーだろーが」 悪魔の申し出に、福地はブルブルと首を横に振った。 福地「じょ、冗談じゃないッスよ! あのゴッドハンドを裏切れっつーんスか!? 無理無理、そんなの絶対ダメッスよ!! ますます死ぬ!!」 怯えまくる福地を、梅澤が諭した。 梅澤「だーい丈夫だって。俺やKIYUを始めとして、うちには強えヤツがいっぱいいる。 ゴッドハンドだって、俺らをそうそう簡単にはやれやしねーよ。 ヤツらがどれ程のもんかは、さっきたっぷり見せてもらったしな」 福地「で…でも、俺はそんなに強くないし……」 梅澤「なんだあ? テメーはさっき、『しんをこっから連れ出してやりたい』って言ってたじゃねーか! 自分で言ったこと、もう忘れてんのか!? 」 福地「い…いや……確かに言ったッスけど……でもそれとこれとは……」 なかなか煮え切らない福地に、梅澤はイライラし始めた。 もういっそ、こいつを消しちまって、とっとと脱出するか。 そこまで考えたとき、梅澤の中に天啓が閃いた。 梅澤「おい、俺と一緒に来れば、『温泉』にありつける……ってーのはどうだ?」 福地「え……」 梅澤のたった一言は、福地をそれまでになく大きく揺さぶった。
福地「温泉…? マジに…? そんなの何処にあるんスか?」 半分以上は疑っているようだが、それでも福地の声には期待の色があった。 梅澤「実は、ここに来る途中で、矢吹艦の側にデカくて偉そーな別の戦艦があったんだよ。 なんか天使か悪魔の羽みてーなのがくっついた、センスねー戦艦だったけどな」 自分のセンスを棚に上げてよく言う……と、福地は内心で呟いた。 梅澤「で、その内部はちっと造りが変わってて、中に温泉も完備してあるんだよ」 福地「マジッスか、それ!?」 目を大きく見開いて興奮する福地。予想以上の食い付きぶりに、梅澤はニヤっとした。 梅澤「ああ、ちょいと中を覗いてきたから間違いねーよ。 なんなら、今から行くか? まず、しんの汚れも落としてやんなきゃいけねーし」 激しく逡巡する福地。横山への恐れ、戦いへの虚しさ、友への情、そして見果てぬ夢……温泉。 しばしの葛藤の末、福地の腹は決まった。今までとは違う、鋭い眼差しを梅澤に向ける。 それは、覚悟を決めた男の目だった。
福地「……俺も行くッス。アンタの行くところ、俺はついていくッス」 狙い通りの結果に、梅澤は満足そうに笑った。 梅澤「んじゃ、そうと決まれば、早速!! 『大食』の悪魔核!!」 叫ぶと、梅澤の姿が、タナトスからグルトニー様に変わった。 梅澤「スカル・ドルゴーーーラ!!」 右手の龍頭から、とてつもない熱量の火炎弾が炸裂し、ヤマトの外壁をことごとくブチ破った。 福地「な……なんて破壊力だ……」 まるでゴッドハンドなみに、とてつもない威力。もしかしたら、本当にこいつらは…… 梅澤「うるぁーー、ボケっとしてんなーー福地ぃぃッッ!」 梅澤の実力に驚嘆していた福地が、はっと我に返った。 そして、梅澤を見、さらに絶句する。 梅澤の身体が、まるで一匹の巨大な龍のような姿になっていたからだ。 梅澤「とっとと乗れ! 全速力でここを離脱するぞ!! 他の奴らに見つかったら面倒だかんな!!」 見れば、高橋しんは、すでに梅澤の背にちょこんと腰かけている。 しばし迷ったが、やがて福地も、意を決したように梅澤の背にまたがった。 梅澤「よっしゃあーッッ! それじゃあテメーら、目的地は温泉だーーッッ!!」 梅澤……どうやら岡本に呼び出された事を、もう忘れてしまったらしい。 そうこうしてる間に、龍と化した梅澤が2人を乗せ、ものすごい速度でヤマト艦を飛び出す。 その姿は、あっという間に見えなくなっていった。 こうして、奇妙な三人組の、温泉を巡る珍道中が始まった。
>>150 すまん、俺が悪かった。もう2度とやらないよ。
梅さん旅景色に合流したりしてw
福地タン(*´∀`)
アイランドの一角で行われている「山狩り」。違反者(大量の菓子類持込)の犯人が特定できないので、 アイランド内で包囲網周辺の選手は、全員が取り調べの対象だ。 風に乗ってやって来た高橋陽一は厳しい調査を受けており、今また本宮と乙がその網の突破にてこずっていた。 「・・・僕に任せてください。僕が彼らを引きつけます。その隙にここを突破してください、本宮さん!」 乙が決意した表情で本宮に話しかけた。 「お、おい大丈夫かよ?違反者でもないのにそんな事しちまって、 あらぬ疑いかけられて処罰されっちまったらどーするんだよ!?」 本宮が慌てるのも無理はない。しかし乙の決意は固かった。 「・・・新参の僕にはまだよくわかりませんが、何かが僕に訴えるんです。 ≪本宮さんを川原さんと岡村さんの元に導け≫ってね。僕はそのお手伝いをする。 それだけです。僕にはスタンドがある、どうとでもなります。さあ、行ってください!」 「・・・乙よ・・・わかったぜ。後背は任せる、俺は俺のやり方でここを突破する!!」 握りこぶしを乙に向け、豪胆な表情で笑いかける本宮。真摯な表情で頷く乙。 悪い事はやってない、だからコソコソ隠れて移動する理由も監査を受ける必要もない。 正 面 突 破 だ!! 「おおおおおおおおおおおお!!!!!!」 松明やライトを持つ大会スタッフたちがいっせいに周りを見渡した。 突然、木陰から男2人が飛び出し、風下の方向に全力疾走で駆け抜けてゆく!! 『そこの2人、止まりなさい!現在この山周辺は封鎖されており・・・』 『ボディーチェックを受けなさい!でないと準違反者として本部に通報が・・・』 「おおおおおおおおおおおお!!!!!!」 「行ってください、本宮さぁーーーん!!!」 赤い月の光を背中に受け、本宮はひとり山道を走る。木々の隙間から真っ黒な海が見えた。
160 :
150 :03/08/25 18:14 ID:lOgpB9Pw
>>156 キツイこと言ってスマンかった。
話の内容は面白いんで、これからも書いてください。
8回裏。ノーアウト満塁。えなりチーム、ここに来て最大のチャンス到来である。 荒木の手によって代打が告げられた時、三遊間で異変が起ころうとしていた。 その異変に、最初に気付いたのは、隻腕の二塁手・山口貴由であった。絶対絶命のピンチに気を張る山口の目に、ふとショートの様子が映ったのだ。 ショート・浜…画太郎。その奴が、ブルブルと痙攣していたのだ。 山口「……どうした、浜…画太郎? 気分でも悪いのか?」 怪訝に思い、画太郎を覗き込むように見る。 すると、たるんだ肉にうずもれた唇が、何かをブツブツと呟いているのが見えた。 画太郎?「アイスが……アイスが……切れたプー……」 その手には、ついさっきまで大量のアイスが握られていた。 だが、今やそのアイスは、1本も残ってない。全て、奴の体内に消えたのだ。 山口「画太ろ…!?」 再び声をかけようとしたとき、山口の背に冷たい悪寒が走った。 画太郎の様相が一変していた。 肥満体はたちまちのうちに痩せ細り、短かった髪がざわざわと伸びていく。 山口「な!?」 幽鬼のごとき形態となった、かつて画太郎であった何かが、鬼気迫る表情で叫んだ。 画太郎?「アイスがねぇーじゃねえか、こらぁーーーーッッッ!!!!」 この世のものとは思えぬ絶叫と共に、骨と皮だけの手が凄まじい迅さで振られた。 本能的に危機を察知していたのか、この時山口は、わずかに身を引いていた。 結果的には、それが山口の命を救うことになった。 ぞ ぷ っ 山口の腹筋が真一文字に引き裂かれ、ピンク色の内臓が飛び出した。 山口「ぐはあっ!?」 強烈なダメージと大量の出血に、山口が両膝をついた。 山口の霞む視界には、刃物のように尖った爪から血の尾を振りまきながら、哄笑する怪物の姿があった。
画太郎?「おけけけけけけけけッッッ!! 血ィ、血がうまいわぁーーーッッ!! ベロベロベロ!!」 突如として響き渡った幽鬼の哄笑に、球場が騒然となった。 東<<なんだぁーー!? ショート画太郎選手、いきなり味方の山口選手を斬りつけました!! これはいったい、どーいうことだぁーーーーーッッッ!?>> その光景を見た水島が、脱ぎ捨てたキャッチャーマスクを地面に叩きつけた。 水島「まずいッ! 始まりよったッッ!!」 それと同時、2人の男が、最初にその事態に反応した。 戸田「なんだ、この野郎ォォ!?」 ひとりは、血だまりに倒れた山口を見て、激昂したセンター・戸田。 そしてもうひとりは、『その男』の危険性を知る男、三塁手・佐渡川準であった。 まったく同じタイミングで駆け出した2人だったが、ポジションの関係上、佐渡川の攻撃が早い。 一見すると小柄で、女に見間違われそうな華奢な外見をしている佐渡川が、 夜叉のような面相で、『その男』に飛びかかった。 跳躍から、殺人的な速度で岡持を頭上に振り下ろす佐渡川。 必殺のタイミングと思われたが、その瞬間、『その男』の形態がまたも変化した。 幽鬼のような女の体型から一転、今度は筋骨隆々とした小学生の体型になる。 筋肉ダルマの小学生が、背負っていたランドセルを振り上げ、佐渡川を迎え撃った。 いや、それはよく見ると、ランドセルではない。 それは、ベルトをつけただけの 墓 石 だった!! 画太郎?「どっぽっぽーーーーーーッッッ!!」 意味不明の掛け声が響くや、人外の腕力が墓石を破壊する程の勢いで、空中の佐渡川に炸裂した。 佐渡川「ちいいいいッッ!!」 かろうじて岡持でガードした佐渡川が、空中で華麗に身を捻り、三塁付近に着地した。 しかし、愛用の武器である岡持は無惨にひしゃげ、受けた両腕は痺れている。 佐渡川「にゃろう、ごぐも(よくも)……」 砕け飛び散った石を佐渡川は口で受け止めることで、顔面の損傷を免れていた。 驚異的な咬合力で、拳大の石を噛み砕き、咀嚼する。 この間、わずか4秒。その間に、もうひとつの颶風が迫り来た。
戸田「鎮圧のシェルブリットッッ!!」 音速を超える超々直線攻撃からの、閃光のごとき鉄槌が振り抜かれる。 しかし、過去いかなる反逆をも可能にしてきたその鉄拳を迎え撃ったのは、 余裕で鼻をほじる男のだらけた表情と、そして1本だけ折り曲げられた指。 ばちーーーーーんんッッッ!! 戸田「な…なんだとぉーーーーーッッッ!!」 1個の巨大な弾丸と化した戸田を吹っ飛ばしたのは、なんと1発のデコピンだった。 戸田「ジェーーーーーーーーーーーーーーンッッッ!!!」 猛烈な勢いで縦回転を繰り返した後、戸田はバックスクリーンへと叩き込まれた。 壁面に細かいヒビが走り、砂上の楼閣のように外野フェンスの三分の1が粉微塵になった。 その中で、戸田は五体を痙攣させながら信じられないといった表情をしていた。 戦「なにい!? あの戸田がデコピン1発で!!??」 戦うマンこと島本は、あまりにも呆気無くやられた相棒の姿が信じられない。 たちまち、球場を怒号と叫喚が支配した。 しかし、その事態を引き起こした当人は、泰然とした表情で佇んでいる。 そこへ、新たな疾風がかけぬける。、二塁に留まっていた尾田だ。 軽々と空中に身を踊らせ、頭上から男を急襲する。 尾田「 首 肉 (コ リ エ) !!」 百舌のような速度で振り下ろされた爪先が、男の首筋に突き刺さった。 だが、男の強靱な筋肉は、尾田の蹴りを喉笛に受けてなお、微動もしない。 尾田「バカな……俺の蹴りが…?」 あまりの驚愕に、半開きになった口から煙草がこぼれ落ちる。 その小さな光点が球場の芝に焼け焦げを作る間も置かず、第4の矢が放たれた。 岡田「 刀 砲 (ト マ ホ ー ク) !!」 一塁上で軽やかに跳んだ岡田が、空中で揃えた両足から、真空の塊を撃ち出した。 強力な破壊力を秘めた凝縮した真空の砲弾が、筋肉ダルマの小学生に迫る。 そのとき、またしてもその形態が変化した。
新たな形態はまた貧相な体格。 幽鬼形態のときと違うのは、今度の形態が冴えない中年男だということだ。 その口にはあろうことか、一気に5本もの煙草がくわえられている。 ものすごいヤニの異臭が、周囲の者の鼻孔をえぐった。 無気力に煙草を吹かす男は、目前に迫った真空弾をちらりと一瞥し、 「フ ラ イ ン グ 根 性 焼 き !!」 筋張った指から、1本の煙草が水平に、物理的にあり得ない速度ではじき飛ばされた。 さながら弾丸のように空を切裂いた煙草が、真空弾と正面激突する。 一・二塁間の空間で、凄まじい爆発が起こったと思うと、果たしてその結果は。 岡田「と、『刀砲』を煙草1本で……って、そりゃ違う漫画じゃねーーかッッ!!」 画太郎?「わっしゃっしゃっしゃっしゃっ!!!」 今度は丸坊主の小学生の姿となり、またも男は高笑いする。 その目まぐるしい変容と、圧倒的理不尽な強さは、もはや画太郎のものではない。 ホームベース上の水島が、高笑いする男を見て、バリッ歯を噛む。 水島「あかん、最悪の事態や。遂に目覚めよった画太郎が……いや、 秋田書店最凶の生物、 浜 岡 賢 二 が !!!!」 無念を滲ませながら、水島が吼える。その目は怒りをたたえて、浜岡を見ていた。 水島「唯一の救いは、まだヤツが『最凶形態』になっていないこと。 今なら、まだヤツを止める手立てはある……はずが、予想以上の強さや! ヤツめ、長い幽閉生活で弱体化するどころか、パワーアップしとるわ、あの化物がッ!!」 拳を地面に突き立てる水島。 そのとき、水島の目には、三塁上で浜岡を睨みつける、悪鬼の姿を捉えていた。 板垣「ククク……久しぶりじゃねえか、浜岡…… さあ、もう一度殺してやるぜ。あの時同様、この俺の手でな」 8回裏。未曽有の死闘が始まろうとしていた。
秋田書店最凶生物、浜 岡 賢 二 暴 走 。 突如巻き起こった、超ウルトラど級のハリケーンに、 荒木は『代打』と告げたまま、しばし硬直していた。 やがて、息を大きく吸い込むと、開口一番、 荒木「なんだ、あの化物はッ!?」 十数秒と立たぬ間に、球場を一気に混乱の渦に叩きこんだ、怪物・浜岡。 その圧倒的威力に、さしものえなりチームも声が出ない。 ネクストバッターサークルで自分の扱いの非情さに涙していた富沢も、 ストライクが入らず、焦燥の極限に達している松島も、その混乱に頭が空白となった。 だが、そのとき。混乱を引き裂くように、よく通る声が響いた。 渡辺「オラーーーッ、えなりチームの次のバッターーーッッ!! とっとと出てこいやーーーッ、えーーーーーーーーッッ!!」 それは審判・渡辺保裕の、烈火のような雄叫びだった。 荒木「ち、ちょっと待て、審判ッ。こんな状態で試合を続行するのか!?」 当然の抗議だったが、返ってきたのはさらなる怒声だった。 渡辺「(ピーー)なこと言ってんじゃねえッ! これはバーリトゥードベースボール!! このくらいの混乱は、トラブルのうちにゃあ入らんわッ!! オラーー、とっとと次のバッターを出さないとアウトにするぞッ!!」 なんともムチャクチャな言い分であった。水島や松島ですら唖然としている。 しかし、この事態に、ほくそ笑む男ひとり。 富沢(これはもしかして、チャンスじゃないか? そうだ、今なら荒木先生も、 あっちに気をとられてて、こっちにまで注意が向いてない。 今のうちに打席に立っちゃえば、もう交代も出来ないッッ。 そうだ、これだッッ、これで行こうッッ。これは運命の女神が俺にくれたラストチャンスッッ) そう思い込み、富沢はこっそりとバッターボックスに向かった。
だが、幸運と思われたものが、実は残酷な錯覚にすぎなかったことを、 富沢は次の刹那に思い知った。いや、思い知る暇さえなかった。 なぜなら、次の刹那、富沢はとてつもない力で吹っ飛ばされ、空中を舞うことになったからだ。 一瞬前まで富沢が立っていた場所には、代わりに小柄な眼鏡の少女がいた。 ??「うっほほーいッ! ……あれ、今なんかぶつかった?」 眼鏡の少女姿のロボット……鳥山明は、ありあまる突進力で勢いあまり、 富沢を吹っ飛ばしてしまったことに、全く気付いていなかった。 その頃、あっという間に点ほどの小ささになるまで遠くに吹っ飛んだ富沢は、 会場のバリアーに激突し、そのまま艦外へと放り出されていた。 そのことにすら、気付く者はついに誰ひとり、現れることはなかった。 合掌。 そして、試合はさらなる混乱の様相を呈していた。
荒木「来たぞ!」 岡田「来たぞ!」 岸本「・・・アラレちゃん?」 鳥山「んちゃ!」 紫の髪に3頭身、好奇心に満ち満ちた目の少女。 鳥山「あちし鳥山明だよ」 そう言うと取るものも取らずにバッターボックスになだれ込んだ。 この場合の「取るもの」とは・・・まあ、バットのことだ。 「取らずに」とは・・・その、代わりのものを携えていたわけで・・・ 松島「ぐっ・・・」 滝のような冷や汗を流した松島の顔がさらに青ざめる。 水島「かなわんでこりゃ・・・」 水島も呆れはてた。 釘バット、鉄パイプ、岡持ち、ミサイル・・・ これまで様々な得物がバッターボックスに持ち込まれた。 しかし、ここまで野球を冒涜しきったものはなかっただろう。 戸田「あの野郎・・・笑ってやがる・・・」 笑っているのは、鳥山と、もう一つ。 鳥山明の持った棒切れの先の綺麗なピンク色の物体・・・ ウンチ。
乙(さてと、これからどうするかだな。)ボディーチェックを受けながら、乙は考える。 乙(このまま、ボディーチェックを受け続けて、時間を潰すよりも、サーフェースを使って逃げ出すって手も有りだな。) 審判団に連れられて、まだ数分しかたってないが、時間さえ歪むこの島で、そううかうかとしていられない。 乙(だけど、あの入り口の審判をどうにかしないといけないな。) 乙はちらりと入り口の方を見る。そこには数名の審判がいた。 乙(一撃撃破は無理だろうし、巻くことも不可能だろう。) ??「ばっかもーん!」 突如大声が響き、その場にいる全員が慌てる。 柳田「おやつなど、どうでも良いわ!この島へのアクセスログを調べたらとんでもないことがわかった。それを優先する!」 松江名「しかし、それではしめしが。」 柳田「おやつを持って入られた時点で、わしらの手におえる事じゃない。筆吉も向かっている。全マシンを使っての掃討戦だ!」 松江名「ですが……。」 柳田「もういい、用件だけ伝える。クリードアイランドへ進入を試みた二人を捕まえろ! 一人は、ゴッドハンドの大友克洋!もう一人は、能条純一!どちらも生かして返すな!」 柳田はそう言って、通信のスイッチを切る。 審判A「どうします?」 松江名「責任者が言うのなら仕方あるまい。捜査は後回しだ。審判団!二人を捕らえる準備をしろ!」 青山「おらはどうすれば……。」 松江名「全員が行くわけではない。まだまだみっちりしごいてやるさ。」 青山「トホホ。って能条さん、何しただか!わざわざ進入してまで!」 松江名「それは私の知るところではない。さあ行くぞ少年!」 乙(よくわからないけど、どうやら解放されるみたいだな。まずは本宮先生を追わないと!) 乙「エニグマの!『絶対無敵』の『能力』!」 乙の姿が紙に変わり、風に舞った。
>>167 やられた・・・・
まさかあそこで・・・・・・
ウ ン チ
とは・・・・・・・
お茶噴出したじゃねえかこのやろう(大爆笑
おおっと松江名君は探索に回ったか んじゃ川原戦は別の審判を回さねば(というかまだ始まらん)
ん?違った青山さんの下にいるのか 失敬失敬
172 :
通路にて :03/08/25 23:26 ID:JouR/3xK
能条「君は何をしている?」能条は目の前の男に聞いた。 ??「貴方の行動は、ルール違反です。よって捕獲の対象とさせてもらいます。」 能条「断らせてもらおう。私が何をしようと、私の自由だ。」 ??「そうはいきません。私も仕事ですから。」 能条「では、戦わせてもらいましょうか。」 ??「良いでしょう。」 能条「……?(何!私の絶対空間が発動しない?)」 ??「そんな、空間に人間の行動を拘束する力があるなんて、非科学的すぎます。」 能条(こいつ、俺の能力を無効化した?) ??「失礼しますが、私の名前は筆吉純一郎。科学の壁能力の前では、そのような能力は無効化されます。」 能条(そういえば、柳田が何か言っていたな。しかし反則だぞ!この能力は!) 筆吉「捕まえなさい。」 筆吉の命令に、数名の審判達が能条を囲む。 能条(これはまずい!KIYU様に合わせる顔がない!) 彼は、その独特の牌の持ち方からPSYCLOPSの一人として数えられる男。 又の名を、哭きの純一と呼ばれる男である。 今度、タフをこの場に上げたのは2つの目的がある。 一つは、岡村に命じた本宮の抹殺。もう一つは、猿渡の抹殺である。 岡村を狙うあの男を、放っていくわけにはいかない。だが、目の前の現実は遙かな壁として彼の前に立ちふさがっていた。 筆吉「貴方には色々聞くべき事があります。素直についてくることを要求します。」
Cブロック決勝会場 モニターにおいて島の中の映像が流れているその会場の、観客席の一角の空間が歪んだ。 そしてそこから二人の人間が現れた。 ??「さて、どうする?居酒屋でも探すかそれとも本部に戻って呑むか?」 その内の一人、大友克洋は快活な声で、連れ合いの橋本以蔵に言った。 瞬間移動能力により一瞬で島を抜け出した大友は今だ自分たちがどういう状況にあるか知らずのん気に談笑しだした。 橋本「それはどっちでも構わんが、それより島の様子が気になるんだが・・不法浸入はやっぱまずかったんじゃないか?」 大友「それをいうならお前は白服殺してるじゃねえかよ」 橋本「うっ、それは・・・」 大友「まあ気にするな、別に大会の進行を邪魔したわけじゃねーんだから、そんなに向うも気にしてねえって」 快活な口調で言う大友に、橋本はモニターを指差して言った。 橋本「いや、でもあれ見てみ? 」 大友「ん?・・・・うげえ・・」 橋本が指差すモニターの映像、そこでは ??「もういい、用件だけ伝える。クリードアイランドへ進入を試みた二人を捕まえろ! 一人は、ゴッドハンドの大友克洋!もう一人は、能条純一!どちらも生かして返すな!」 白衣を着込んだ男―柳田理科男が顔面に血管を浮き上がらせた凄い形相で松江名に指示をだす場面が映っていた。
微笑みを絶やさない、ピンクのウンチとメガネっ娘ロボ・鳥山明。 その素敵なアイテムの登場により、混沌としていた球場の雰囲気が一気に弾けた。 ピッチャーボックスの松島が、額に光る嫌な汗を手の甲でぬぐう。 キャッチャーボックスの水島は「もうどうにでもなれや」といった顔でミットを構える。 阿鼻叫喚の黒い台風の、中央にいた浜岡までもが≪何か≫に気づく。 はらわたを掻き集めている山口、浜岡への攻撃のチャンスを捜す岡田や戸田、 墓石を喰らい尽くした佐渡川、なんとか立ち直った荒木、他の選手たちも幾人か、 この異様な均衡を保つ野球場の圧迫感に押されとめどなく汗を滴らした。 鳥山は棒を、構える。 先端のウンチが揺れる。 松島が水島の目を見る。 水島には何も返事ができない。 諦めて松島はボールを振りかぶる。 鳥山はぐっと棒を両手で握る。 浜岡が何かに取り憑かれたように吠える。 松島が第1球を投げる。 鳥山がフルスイングで棒を振る。 棒の先から何かが飛んで外野三塁席に弧を描いて飛ぶ。 浜岡がボールに噛み付くように空を飛ぶ。 審判の渡辺がストライクを宣言する。 水島のキャッチャーミットに白球が納まっている。 浜岡と≪何か≫との距離が5メートルになった、その時。 「うわー、ほった先生投げやりな帰し方をするなぁ・・・って、え?」 浜岡とウンチの間の空中に突然 え な り が 出 現 し た !! 「「「えなりぃぃーーーーーーーーーー!!!!よけろぉぉぉーーーーーーーーーーー!!!!」
そこでえなりか!
混沌とした様子を見せるBブロックの一角、6人の猛者共を前に麻宮は思考を巡らせていた。 麻宮(野々村とかいう奴は十傑集への攻撃を優先するだろうが、萩原とも敵対している。 皆川はサンデー特殊部隊の隊長といえど所詮一大会参加選手、ゴッドハンドの存在を知っているかも疑問、 顔見知りの神崎の手前、十傑集に対する攻撃は・・・ない。 矢吹配下時の萩原とは因縁があるらしい。 よくて4対3・・・5対2では流石に勝ち目は薄い・・・か) チラリと周りに視線を走らせると皆相手の出方を窺っているようだ。 どっかのバカが先走らない限り、この膠着状態は続くだろう。 ここは退くべき―― そう判断し萩原に向き直る。 麻宮「萩原、ここは一旦・・・」 萩原「 爆 裂 (ダムド)!!!」 麻宮が話し掛けた刹那、十傑集がいた地点に激しい爆発が巻き起こった! それを行ったのは言うまでもなく―― 麻宮「は、萩原・・・・・・・」 呆然とする麻宮を余所に、萩原は間髪入れず詠唱に入る。 萩原「火炎招来(アー・ターブ・サン) 不滅なる燃焼よ 我が導きに従え !!」 麻宮「待て萩原――――!!」 萩原の周囲の空間が熱を帯び、歪み始める。 萩原「 霊 波 火 炎 陣 (ダ・フォーラ) !!!」 麻宮「萩原ァァァァァァァァァァァァァ!!!」 麻宮の制止も空しく呪文は完成してしまった。炎の精霊・火トカゲ(サラマンダー)の召喚。 虚空から槍を持った小さな人型の炎の塊が次々と飛び出してきた。 萩原「ゴッドハンドがどれほどのモンだってんだー!!」 火トカゲの炎に照らされ周囲に影が躍る。爆発から逃れた三人だ。 火トカゲは萩原のコントロールの下、高速で飛び交いながら熱線を見舞う。 萩原「黒焦げになりやがれ――――――っ!!」 麻宮(そうだった・・・こいつは筋金入りのバカだった・・・!) どこかのバカ――楽しそうに火トカゲを煽る萩原――に、麻宮は眩暈を覚えていた。
麻宮(まともな状況判断も出来んのか、こいつはぁ〜〜!最悪5対2で戦うことになるのだぞ!) いっそ6対1で袋叩きにしてやろうか・・・と一瞬思ったが、流石にそれはまずい。 麻宮(忌々しい!奴が『ユダの痛み(ジューダス・ペイン)』さえ持ってなければ・・・」 チラと他の様子を窺うと、皆川と野々村もどうやら手を出しあぐねているようだ。 まだ最悪の状況には至っていない。それを見てとると、 麻宮(まぁいい、本当にやばくなるまで助けてやらん) 麻宮は腕を組み、今暫く傍観を決め込むつもりだった。 萩原「これだけの数の精霊を同時に操れるのは、この萩原様だけだぜ!!」 口から熱線を吐きながら飛び交う炎の精霊たち。 神崎「ちぃ、鬱陶しい奴らだぜ!」 神崎は炎など物ともせず素手で叩き落していく。 鷹氏「風よ!行く手を阻めし者共を切り裂け!!」 鷹氏が巻き起こした突風は真空の刃となり精霊たちを切り裂いていく。しかし、 鷹氏「かなりの精度でコントロールされているようだな」 何匹か吹き飛ばしたものの、大半の精霊たちは気流をかいくぐり三人に迫る。 せがわ「数が多い。術者ごと倒すのが良策じゃな」 体術で火トカゲの攻撃をかわし、返す刀で切りつけながらせがわが言う。 鷹氏「そのようだ、風よ!・・・むっ」 野々村「鷹氏ィィィィィィィィィ!!」 術を行使しようとした鷹氏の側面を衝撃が襲った。 鷹氏「ち、野々村・・・!」 吹っ飛ばされたものの、巨体に似合わぬ身軽さで床に降り立つ。 野々村「まだ決着は着いてねーぜェ!!」 鷹氏「野々村・・・懲りん奴よ」 再び退治するファントムと風使い。 麻宮(む、うまい具合に離れてくれたな) 神崎「あらら、あっちは忙しいねぇ」 麻宮「貴様の相手はこの私だ!」 せがわ「むう!」 これをチャンスと見て取った麻宮がせがわの前に踊り出た。
萩原「へっ!これで一対一ってわけか。じゃ攻撃はてめーに集中してやらあっ!!」 火トカゲ達がグルリと神埼を取り囲んだ。 神崎「ほう、おもしれー。やってみろ!」 不適な笑みを浮かべる神埼。逃れる術があるというのか。 萩原「死ね、うるあああ!!」 萩原の怒声を合図に全方位から一斉に熱線が放たれる! 神崎「 ド ラ ク エ ・ ワ ー ル ド ! ! ! 」 一瞬にして空間が反転。全ての物質がドット絵のような質感に塗り替えられた! 同時に炎の精霊たちも消え失せてしまった。 萩原「なんだと〜〜!?何しやがったテメェ!!」 眼を見開き萩原は叫ぶ。 神崎「俺はこう見えても多芸でな。ドラクエの漫画描いてたこともあるんだ。 俺にしちゃ珍しくちゃんと完結・・・」 萩原「るせぇ〜〜〜〜〜〜〜!!爆裂(ダムド)!!」 神崎の口上の途中、爆発が起きた。 萩原「あれ?使えるじゃねーか」 神崎「ゲホッ、ゲホッ、人の話は最後まで聞けよ」 神崎は煙に巻かれながらも間一髪回避していた。 萩原「テメーつまんねえハッタリかましやがって!!てっきり魔法打ち消されたのかと思ったぢゃねーか!!」 神崎「ああ、さっきの魔法どうやって破ったかって?簡単さ、ドラクエにゃ 召 喚 魔 法 な ん て ね ー か ら な ! ! で、今お前が使ったのはイオだな、イオ。郷に入っては郷に従えってヤツだ。 このドラクエ・ワールドを訪れた者はドラクエにない技は使えなくなるんだよ!!」 萩原「なら、もっかい食らえ〜〜〜、爆裂(ダムド)!!」 神崎「マホカンタ」 神崎の前に光の障壁が現れた! 萩原「うぐおああああ!!」 萩原の魔法ははね返った!
萩原「くそっ!体が修復しねえ・・・!?」 神崎「当然だ。そんなインチキ、ドラクエにはねーからな」 防御結界の働きも弱くなっているらしく、萩原は傷を負ってしまっていた。 神崎「ほら、そんでおしまいか?楽しませてくれよハギー」 神崎は構えも取らず無防備に薄ら笑いを浮かべている。 萩原「上等だ、この超絶美形主人公萩原様に傷をつけたことを地獄で後悔させてやる!!」 言うなり立ち上がると萩原は、トランス状態に入り呪文の詠唱を始めた。 神崎(奴の得意呪文はRPGには必ずある炎系と見た。十中八九奴は最大の炎系を使ってくる! だが過信はこのドラクエワールドでは命取りよ!) 萩原「暗黒よ、闇よ、負界の混沌より禁断の黒炎を呼び覚ませ パーラ・ノードイ・フォーモー・ブルール・ネーイ・ヴァセ ・イーダー・イー・エイター ・ナール・アイドール ・ヘーブン・ンヘイル・イアイアンンマ ・ダイオミ・ギーザ・オージ 死 黒 核 爆 烈 地 獄 (ブラゴザハース)!!!! 」 数億度の熱で対象を完全に消滅、蒸発させる萩原最大の炎系呪文。 古代語魔術の書にも記されていない禁呪。 詠唱が終わりその効果が発現される・・・はずなのだ、本来なら。 しかし、何も起きなかった。煙の一つも出やしない。 萩原「おい!どうなってんだ!!ドラクエには炎の呪文ねーのか!!」 こめかみに汗ならぬ青筋を浮かべて萩原は叫ぶ。 多大な集中力と精神力をつぎ込んだ魔法が効果を発揮しなかったのだ、その怒りも知れようというもの。 神崎「あるに決まってんだろ!しかしおかしーな、元がどんな凄くてもこの世界じゃ、 最高でもメラゾーマで頭打ちになっちまうから"しょぼ、ププ!"って笑おうとしたのに。 お前一体どんな魔法を使おうとしたんだ?」 萩原「そりゃ炎系最大って言ったらアレしかねーだろ!! 核 爆 発 !!! 」 神崎はガクリと膝を落とした。(なんて物を使おうとしてんだよ・・・) 神崎「よいこのドラクエに・・・ 核 な ん て モ ン は ね ー よ 、 ボ ケ !!!」
パチッ。済んだ音が小気味いい音が、部屋の一角にこだまする。 ??「あっ、いけね」 男が舌打ちした。目の前の将棋盤を見ながら、頭を抱える。 木城「どうしました?」 片手の皿に乗せたプリンを頬張りながら、木城が言った。そう、ここはKIYUのアジト。 ??「詰まれた。この勝負は、俺の負けだ」 木城に答えたのは、ヨレヨレのラガーシャツ姿に、帽子をかぶった青年だった。 木城は盤面を覗き込むと、残念そうに呟く。 木城「あ〜、これはいけませんね。クローン君は詰まれてしまったようです、能条君」 すると、ラガーシャツの男……オリジナルの能条純一は、渋面を作る。 木城「しかも、よりによって筆吉君という駒がいたとは、運が悪い。 彼の『科学の壁』の前には、一切の非科学的能力は無効化されますからね。 彼とまともに張り合えるのは、私くらいのものでしょう。 これで、倫タンの計画の半分は失敗したも同じですね」 岡本「人聞きが悪いにゅ、木城」 木城の中傷を耳聡く聞きつけてきた岡本が、言葉を挟んだ。 木城「おや、いたのですか倫タン? キャハハハ!!」 哄笑する木城に、岡本のこめかみがヒクつく。どうも、この男は苦手だ。 岡本「元々、大した計画でもなかったにゅ。ただ、ちょっと猿渡の復讐心を利用して、 敵の邪魔者を消したかっただけにゅ。すなわち、本宮と福本を。 ひとつでも成功すれば良し、もしダメでもこっちには何のデメリットもないし、 Cブロックをかき乱して、他勢力の注意をそちらに引き付けられる。 私にとっては、ちょっとした余興みたいなものにゅ」 木城「しかし、貴女の戯事につき合わされた猿渡君と能条君はたまりまさんね。 猿渡君はともかく、このままタフが負ければ能条君は大損害ですよ」 岡本「能条の資金力にしてみたら、あの程度の賭け金なんてはした金みたいなもんにゅ」 能条「まあ、そうだけどよ。ただ、策を巡らすってのはあまり面白いもんじゃねえな。 やっぱり俺は、麻雀でも将棋でも、直に命を賭ける勝負が好きだ」
つまらなさそうに、能条が指で帽子を振り回し、弄ぶ。 岡本「ご苦労様にゅ、能条。退屈な役を押しつけて」 能条「俺は別にいいよ。どうせ動いてたのは、俺のクローンだしな。 もっとも、奴を直接動かしてたのは俺だけど。一一こんな風に」 パチッ。能条が盤上の駒のひとつを動かした。自軍の『王』の上に敵軍の『角』が乗っている。 木城「これにて、クローン君は用済。今頃は、自爆システムが作動してるでしょう。 下手に色々しゃべられて、我々の腹を探られるのはマズイですからね。 でもこれで、問題は解決! プリンもおいちい!!」 せわしなくプリンを口に運びながら、木城は笑う。 能条「それにしても、あんたの技術はやっぱ凄えな。あんだけ精巧なクローンを作るんだから」 木城「私の『業子力学』に不可能などありませんよ。しかし、筆吉君は放ってはおけませんね。 いずれ近いうち、私自らの手で始末するとしましょう。キャハハハ!!」 久々の好敵手の出現に胸が沸き立つのか、木城は御機嫌だった。 岡本「まだC決勝は終わってないから、とりあえずもうちょっと期待してみるにゅ。 こうなったら、タフ自身にがんばってもらうしかないけど」 木城「それにしても、貴女も酷い人だ。そして恐ろしい人だ。 自分を狙う復讐者すら手駒にする策謀と冷酷さ、 そして数年をかけた遠大な計画をあっさりと切り捨てる決断力。 さすが、KIYU様と志しを同じくする方」 岡本「詰まらない世辞は結構にゅ。それよりも、今は侵入者の対処に忙しいにゅ」 そう言い捨てると、岡本はちらりとC決勝のモニターを一瞥し、そして部屋を出ていった。 後には、木城と能条だけが取り残される。 能条「あ〜、しっかし一仕事したら腹へったな」 木城「食べます、焼きプリン?」 能条「いらねえ」
182 :
通路にて :03/08/26 17:31 ID:j9BE+vZx
柳田「何!能条が爆発しただとぉ!」 筆吉「はい、どーやら体内に自爆装置をつけていたみたいです。」 柳田「敵とはいえ、そこまでするとはあっぱれと……言う取る場合じゃない!」 通信機ごしに二人が話し合う。それは爆発した能条についてであった。 筆吉「しかし何者が?」柳田「それは後回しだ。今は大友を殺ス!」 プライドをずたずたに切り裂かれ、柳田はスーパーウェポンに大友とそのつれの抹殺を命令する。 ちなみに、能条のデータも一応入れている。 柳田「ぐふふふふふふ!スーパーメカは全部、抹殺の準備じゃあ!科学の力を思い知ると良い!」 大友「あの男、しつこいぞ!」橋本「あんな兵器は見た事ねえ!」二人はそう言って、通路を走る。 大友得意の念動力も、第十八号「納悶子江代(なもんねえよ)」の力で消え去ってしまう。 大友「反則に近いぞ!おい!」橋本「あれが量産されたら!」 間違いなく、矢吹は最強になってしまう。それをまず知らせなくてはいけない。 大友「ひきょーがすぎるぞ!をい!」 大友はテレパシーで連絡をするが、今の所反応はない。 橋本「やっぱり無断進入はまずかったんじゃ?」 大友「ほんとに入ってほしくないんだったら、入るなぐらい書けぇ!」 幾らつっこんでも後の祭りにしかならない。 木城「いやはや、あのゴッドハンドが、追われるなんてなんてすがすがしい気持ちなんですか。」 木城が画面で大友を見ながら言う。 木城「矢吹君も良い物を作ってくれた物です。ああプリンおいちい!」 木城が、プリンを食べながら言う。 ちなみに、彼が追われたのなら、物の数秒でばらばらにされるのだが、それは 負三号「蛙耐茅慨(あたいちがい)」の手で間違った情報を与えられている木城にはわからないこと。 大友「はやくなんとかしねえとまずいぞこれは!」 大友は追われながら、次の策を考えていた。
スーパーメカは27号まで動かせるんでしたな。 28号は後々のお楽しみですねフフフ
ドラクエ・ワールドの発現により、猛者7名による死戦場は、神崎の独壇場となった。 通常の世界ならば誰もが一騎当千の力を持つメンツだが、今では一般人と変わらない状態だ。 今、この場にいる中で、かろうじて戦闘能力を持つのは、麻宮と鷹氏くらいだろう。 だが純正のドラクエ漫画家である神崎に比べれば、その力は無いに等しい。 鷹氏はともかく、麻宮は今にも萩原が消されようとしている現実に歯ぎしりした。 麻宮(よもやドラクエワールドまで。この神崎という男がこれ程の手練とは…… このままでは萩原はともかく『ユダの欠片』が……) 焦燥する麻宮。そして萩原。力の大半を制限され、萩原の命は風前の灯火だった。 神崎「それじゃあ、そろそろくたばりな。見ろ、こいつが正統なドラクエ技ってもんだぜ!!」 かざされた神崎の両掌に、膨大な魔力が集まっていく。 神崎「 イ オ ナ ズ ン !! 」 御存じ、ドラクエ最強の爆発呪文が、萩原に迫った。 萩原「く…くそったれが……! この俺がこんな奴に……!」 呻く萩原の身体が跡形もなく消滅するかに見えた、そのとき。 ??「 イ オ ナ ズ ン !! 」 裂帛の気合いと共に、神崎と全く同じ威力のイオナズンが炸裂し、相殺した。 先程まで余裕の笑みを絶やさなかった神崎が、初めて狼狽の色を見せる。 当然、この場の別の誰かの仕業ではない。これは紛れもない、ドラクエ作家の力。 神崎「この呪文の威力、下手すれば俺以上……何モンだ、出て来いッッ!!」 すると、爆煙の向こうから奇妙な程に規則正しい足音が響いてくる。 ??「何者だ…だと? 同じ雑誌で同じジャンルを描いていながら、この俺を忘れたか、神崎」 不敵な台詞と共に現れたのは、マント姿の男。その男の顔を認めると、神崎が目を見開いた。 神崎「なるほど、お前か……ガンガン最強のドラクエ作家と呼ばれた男……」 呟くと、やがて煙が完全に晴れ、男の姿が白日の下に曝される。 神崎「 藤 原 カ ム イ !!」
颯爽と現れた八番目の男……藤原カムイに全ての視線が集中した。闘争の場は新たな緊張を帯びる。 神崎「久しぶりだな、カムイ。だが、どういうことだ、こりゃあ? 今の行動を見てると、萩原を助けたように見えるんだがな」 憎々し気に言う神崎に対し、カムイの返答はあっさりとしたものだった。 カムイ「お前には、他にどう判断できる?」 あからさまな敵対意思が、そこにはあった。 すると、今まで事態を静観していた皆川が、カムイを問いつめる。 皆川「藤原カムイ……俺もお前の真意を聞きたい。 そこにいる萩原は、かつて矢吹と結託し、数々の悪行に手を染めた男だぞ? よりによって、それを庇うような真似をするなど……」 カムイ「萩原には借りがある。俺はただ、それを返しに来ただけだ」 皆川の糾弾を、カムイは途中で遮った。 萩原「お前に貸し? オレはお前となんて会ったこともねーが?」 萩原も事情がよく飲み込めないらしく、胡乱な声を出す。 カムイ「銀髪に長身の男……そして『再生蟲』……俺の仲間である、 夜麻みゆきを生き返らせてくれたのは、やはりお前だったか」 そう言われて、萩原がぽんと手を叩く。ようやく思い出したらしい。 萩原「あーあー、あのチビ女のことか。 確かに、あの女を助けたのは俺だが……別に慈善事業ぢゃねーぜ。 この世の女は皆、この萩原様のハーレムに入る宿命なのだ。 だから、俺の女が勝手に死ぬのわ許さねー」 大イバリで、さも当然のことのようにのたまう萩原に、カムイ以外の全員が頭を押さえた。 カムイ「お前らしい答えだな。一一だが、理由などどうでもいい。 重要なのは、俺の仲間を救ってくれたという、その事実のみ。 ゆえに、この場だけは、俺はお前の側につかせてもらおう」 カムイが萩原の隣に並び、神崎と対峙した。面白くなさそうに、神崎が唾を吐き捨てる。 神崎「ケッ、そのスカした態度……相変わらず気に入らねー野郎だぜ」 しかしカムイ。逆に鋭い眼光を神崎にぶつける。 カムイ「気に入らないのはこちらも同じだ。昔から腐った男だと思っていたが、 よもやゴッドハンドの走狗に成り下がっているとは。 ほとほと見下げ果てた男だな……神崎!!」
カムイ「下がっていろ萩原!俺が相手をする!」 カムイは神崎の狙いが自分にあることを見て取ると、萩原から離れるように横へ飛んだ。 神崎「ちょうどいいぜカムイ、最強ドラクエ漫画家の称号いただくとするか!!」 神崎もそれに追従し、殺気を纏い突進してくる。魔法を使う様子はない。 カムイ「やってみろ!」 拳を引き抜き向かっていくカムイ。 神崎は熱い格闘戦に定評のある作家、武闘家として肉弾戦で勝負するつもりだろう。 神崎は足を止め、腰を沈めた構えから両腕を重ねた掌底を突き出した。 神崎「 波 動 拳 !!」 合わせた両掌から気の塊が打ち出された! カムイ「なに!?」 予想外の攻撃だったがカムイは身を屈めそれをかわす。 神崎「波動拳!波動拳!波動拳!」 波動拳の連射がカムイに迫る。 カムイ「ハヤブサ斬りィィィイイィ!!」 カムイは三つの波動拳の軌道を読み、幻魔剣で迎え撃つ。 一刀目で一つ撃破、返す二刀目で二つの波動拳を同時に打ち落とすつもりだった。しかし―― カムイ「タイミングが・・・合わない!?」 二刀目で捉えたのは一つだけだった。波動拳の飛んでくる速度が違うのだ! カムイ「だが、まだかわせる!」 カムイは身を捻り、波動拳を残りの波動拳を回避することに成功した。だがその眼前に―― 神崎「遅い波動拳と早い波動拳、使い分けるのは基本中の基本・・・ そして敵がそれを回避するであろうことも」 武術の奥義には扇子の背後に自分の体を隠し攻撃するものがあるらしいが、神崎がやったのはまさにそれ。 カムイが気付かぬうちに既に神崎は攻撃圏内に侵入していた。 カムイ(波動拳の影に・・・しまった・・・!) 神崎「 竜 巻 旋 風 脚 !!!」 回避行動直後のカムイは反応できず、神崎の回転蹴りをまともに食らってしまった!
カムイ「ぐわぁ!!」 吹っ飛ぶカムイ。だが全身を回転させる神崎の蹴りは何処までも追いかけてくる。 カムイがその執拗な蹴りの連撃から逃れたのはようやく地に背中がついたときだった。 カムイ「ぐはぁ!・・・何という凄まじい蹴り!」 だが寝転がってるわけにはいかない。 カムイは両足を上げ、振り下ろした反動でそのまま上空に跳び上がった。 神崎は全身のバネで跳び上がりカムイを追撃する。 神崎「 昇 龍 拳 !!!」 カムイ「来るか!だが今度はこちらの番だ!!」 カムイは両手に魔力を集中させ解き放つ。 カムイ「 イ オ ナ ズ ン !!!」 カムイの放った魔法は神崎を直撃、大爆発を起こした。 カムイ「やったか!?」 だが、爆炎の中から人影が迫ってくる。 カムイ「なにぃ!バカな!!」 神崎「この昇龍拳は 上 昇 中 無 敵 なんだよ!!!」 神崎がなんと昇龍拳の無敵判定を駆使し、無傷で爆発を抜けてきた! カムイ「がごっ!!」 神崎の拳がカムイの顎を突き上げた! 神崎の攻撃は止まらず肘が喉を、肩が胸を、膝が腹を順に突き上げカムイは天井に叩きつけられた! カムイ「つ、強い・・・!」 さらにカムイは重力に引かれ床に叩きつけられた。 カムイ「バカな・・・いくら武闘家でもドラクエワールドでこんな攻撃が出来るはずが・・・」 神崎はそんなカムイを見下ろしながら唇を吊り上げる。 神崎「周りを見ろよ。とっくに解除しちまってるぜ」 カムイ「な・・・!」 カムイが慌てて辺りを見回す。確かにそこはもう現実の空間だった。 神崎「波動拳で気付くべきだったな」 ドラクエワールド内ということでカムイは、ドラクエに則した攻撃しか来ないと油断していたのだ。
ふらふらと立ち上がるカムイ。まだ戦う気だ。 カムイ「だが!ドラクエワールドを解除したのは失敗だったな! 貴様は恐らく、萩原の強力な魔法を封じるために展開したはず、 これでヤツは自由に魔法を使えるようになった!!」 しかし神崎はその言葉に失笑を洩らす。 神崎「ふははは、笑わせてくれる。ヤツが何だって?」 皆川「萩原ァァァァァァァァ!!」 萩原「このワキ役がイキがってんぢゃねー!!」 見ると、皆川がARMSを発現させ萩原と闘っていた。 カムイ「み、皆川っ!!」 神崎「くははははは!私怨って怖いねえ、鬱憤が溜まってたんだろうよ。 ともあれこれでヤツの能力を封じる必要はなくなった。 それに俺の仲間も思う存分闘えるようになった、失敗なんてこれっぽっちもねぇよ!」 カムイ「何!全て計算の内か!!」 カムイは全てがこの男の手の内で踊らされているような感覚を覚えていた。 神崎「計算?違うな。陳腐な言い方だが・・・くぐって来た修羅場の数が違うんだよ!!」 麻宮(確かに・・・漫画家にとって廃刊とは避けようのない天災に近い。 あの男は常にそういった死線上に身を置き、幾つもの雑誌を渡り歩いてきた。 並大抵の手腕では生き残ることは難しかっただろう。 状況に合わせ臨機応変に技を切り替える機転、まさに試練の賜物か!!) 神崎vsカムイの闘いを窺っていた麻宮は思巡していた。 せがわ「よそ見をしている暇があるのか?わしもここからは本気を出せる」 麻宮「それはこちらとて同じことだ」 麻宮の言葉にせがわはフッと笑う。 せがわ「ときにお主『バジリスク』というものを知っているか?いや、わしの漫画のタイトルではなく、な」 麻宮「その目を見た物は石になるという伝説上のモンスターだな、それがどうした」 せがわの唐突な問いかけに麻宮は戸惑った。せがわの漫画でなければ何だというのだ。 せがわ「わしがその『バジリスク』じゃ。わしの前に立つ者は石になるしかないのじゃ」 妖魔王配下の麻宮を前にしてもせがわは臆することなく、力強い眼差しを向けていた。 麻宮(こいつ・・・この絶対的な自信はなんだ・・・!?)
大友「最後の手段だ、テレポートで逃げるぞ!」 橋本「なのがあったら、最初から使え!」 大友「この船の中では、テレポートすると、どこへ飛ぶかわからないの!」 橋本「えっ………。」 大友「ブロック内での短距離ワープならともかく、ブロック間を超えるテレポートは危険だから、なるべく止めろと言われているの!」 橋本「………だが、あのマシン相手は早々立ち向かえる物じゃない!」 大友「そう、なら!覚悟を決めろ!」 橋本「もう決まっている!」 二人は目を合わせてにやりと笑う。 その瞬間、二人の姿が消えた。 「「「えなりぃぃーーーーーーーーーー!!!!よけろぉぉぉーーーーーーーーーーー!!!!」 ぶちょ。うんちは命中した。突如現れた大友の顔に………。 えなりチーム一同「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 大友の強さは折り紙付きだ。しかも、かなめの荒木は消耗している。 橋本「たっ、助かったのか??」 柳田「甘いわぁ!この船の中にいる限り、スーパーメカからは逃げられんぞぉ!」 柳田は突如野球場のスクリーンに現れて、大友を挑発する。 大友「ちっ、なら船外までワープするまでよ。」 柳田「しかぁし!この兵器に勝てなかったのは事実!ゴッドハンドも大したこと無いな。」 大友「次合う日まで、首あらっとけよ、科学者さんよ。」 柳田「そちらもちゃんと対抗策を考えてくれよ、科学的にな。」 なにやら、スクリーンで火花が散ったが、大友と橋本はワープしたので、それ以上は何もおこらなかった。 戸田「何があったんだ?」 水島「もうええわ、次いこ、次。」
一難去って、また一難。 空中に待機するえなりは前門のピンク色爆弾からは逃れられたが、 後門の鬼畜最凶兵器浜岡の歯牙にその身を食いちぎられる寸前だ。 「「「えなりーーーーー!!!何とかしろーーーーーー!!!!」」」 「うわぁぁぁぁ!!・・・・〜〜〜〜えなりっ真っ拳!!だぁぁぁぁ!!!!」 ―――三塁ベースの真上地点で、光と闇が交錯した―――― (・・・は!夢?いや、やけにリアルだった。えなり君・・・無事であろうか) キビダンゴのあまりの不味さに別の意味で死んでいた澤井が、 何かを予感して目を覚ました。体の傷はだいたい癒えていた・・・恐ろしいダンゴである。 そういえばにわの先生に逢ったような気が・・・とキョロキョロと周りを見渡すも、 そこにはテニスコートで戦う石渡と許斐がいるのみだった。 不思議に感じるも、とりあえず観客席に座って試合を観戦する澤井君であった。 そして、海辺。 対峙する運命の男2人。 審判の覆面漫画家・・・松江名は結局青山の元に残った・・・が、 遠巻きに鬼たちの睨み合いを見つめている。フィールドは形成しない、砂浜が戦場だ。 川原が小船を降り、岡村が足場の砂を踏みにじる。 鬼どもは無言で向かい合い、双方の距離をゆっくりと縮める。 月は爛々と、彼らを闇に照らす。 審判の右腕が大きく振りかざされ、そして・・・・下りた。 「どちらかが戦闘の意思を失うまで試合は決着しない。それでは・・・始めぃ!!」
さて、Bブロックでスマブラが続いている頃、矢吹の船から遠く離れた評議会基地では、スパロボが始まろうとしていた。 四霊1「来たか、ゴッドハンド。ここが貴様等の墓場だ。」 四霊2「全機、発進だ!」 四霊3「うひょひょひょひょ。」 四霊4「ふっ……。」 富野「まっゴッドハンドやらのお手並み拝見といきますか。」 長谷川「相手からも見つかったらしいですね。」 安彦「こちらも出撃するぞ!」 吉富「俺は船に残るから、あいつらの相手は任せた。」 有賀「とその前にこちらから交渉を……。」 有賀「評議会の方。そちらと………。」 チュゴーン。有賀「問答無用かい!」 長谷川「に決まってるだろうが!」 富士原「行くぞ!ロボ!」 GR「まっ。」 有賀「BIG-O!アクッション。」 我神の名においてこれを鋳造す…… 汝等罪なし……… 安彦「フューゥゥゥゥゥゥゥゥゥジョォォォォォォン!ガイガー!」 メカノイドガイガー見参! 長谷川「全ガオーマシン発進!BURN、出撃します!」 竜の船より、BURNが飛び降り、大地を踏む。 四霊達も各々メカを発進させ、 今ここに、スーパーロボット同士の戦いが始まった!
麻宮(こいつの能力はさっき見せてもらった。萩原の魔法を跳ね返した、あの瞳術! 察するに、一種の瞬間催眠術のようなものだろう。 うかつに攻撃すれば、その威力がこちらにそっくり返ってくるという訳か) 得体の知れない術に、せがわの巧みな話術。これによって、麻宮はむやみに動けなくなった。 麻宮(『石化』とは言い得て妙だな。まさに、今の俺はその状態…!) 萩原「脇役のくせにやるぢゃねーか、皆川ァァ!」 皆川「貴様は、絶対に俺が倒す!」 先程、カムイが口走った『ゴッドハンド』という単語が気になりはしたが、 今の皆川には、目の前の萩原を倒すことが最優先事項だった。 神崎「どーしたよ、かっこつけて出てきたくせに、その程度かあ?」 カムイ(ちっ……強い。接近戦では奴のが一枚も二枚も上だ。 さりとて、こいつの動きの前では、大呪文を唱えるきっかけが掴めん) 多彩な技と周到な戦術を駆使する神崎の前に、カムイは苦戦を強いられていた。 鷹氏「フッ……見事に4組に分かれたものだな。お前のお守が私というのも……まぁ妥当な所か」 野々村「……鷹氏!」 鷹氏「お前の『チャイルド』の力は、まだ完全に覚醒していない。記憶が不完全だからな。 だから、無理をせず大人しくしていろ。さすれば、俺も手は出さん」 見下すような鷹氏の台詞に、野々村の裡で怒りが跳ねる。 鷹氏に向けたデザートイーグルを持つ手に、力が入る。そのとき。 「「「!!??」」」 いきなり、周囲の景観が一変した。だだっ広い通路は消え、鬱蒼とした森の中に、8人は立っていた。 突然の事態に誰もが困惑するなか、2人の男がこの事態の正体に気付いた。 ひとりは、この現象を引き起こしている人物を知る、藤原カムイ。 そして、もうひとりは、かつて同じ現象を体験した男。GUNG-HO-GUNSの野々村である。
真夜中のような漆黒の空間。現実にはあり得ない奇怪な木々。 そして、どこからともなく吹きつける妖しい風。 野々村(この感覚……忘れもしない。あれは、準決勝が始まる直前……) 鷹氏へ照準を合わせたまま、野々村が周囲を見回す。 いた。鷹氏のちょうど向こうの方角。神崎の居る場所が一番近い。 そこに、三度笠を冠った鉄仮面が、ぽつんとたたずんでいた。 他の者たちも三度笠の存在に気付いたらしい。視線が集中する。 ??「ゴッドハンド……漫画界転覆を目論み、全ての漫画家の虐殺を計画する狂気の集団… 神の名の下に振り下ろされる鉄槌は、狂気の豪雨、死の嵐……」 ぶつぶつと念仏でも唱えるように呟く、三度笠。 一番付近にいた神崎が、嘲笑する。 神崎「なんだあ、テメー?くだらねーこと言ってんと殺されんぞ!?」 すると、鉄仮面の奥の目が不気味に光り、ついで刀が妖しい輝きとともに抜き放たれる。 神崎「はっ、俺と剣で勝負するってか、おもしれえ」 すかさず、神崎が懐からダマスカス・ナイフを取り出しざま、いきなり三度笠に斬りつけた! ひゅんっ 神崎「・・・あ?」 せがわの目が驚愕に見開かれた。 血風が吹いた瞬間、袈裟がけに斬られていたのは、神崎の方であった。 せがわ「あの神崎が……信じられん」 呆然と呟くせがわに、三度笠が近付いてくる。 せがわ「ぬう、来るかッ!」 その両眼が黄金の光を放つ。必殺の瞳術だ。しかし一一 せがわ「ぬはっ!」 一瞬。一瞬のうちに、せがわの首は胴体と別れを告げていた。 噴水のように鮮血を噴き上げ、倒れるせがわ。 野々村(同じ……全て同じだ、あの時と。これは悪夢……幻覚にすぎねえ。 だが、あの時もそうだったが、いつの間に?戦いの最中にこの人数を悪夢に墜とすなど…) 懸命に思考を働かせていると、三度笠がこちらへと近付いてくる。 身構えるが、この悪夢の中は奴の思うがままの世界。対抗策が見つからない野々村。 だが、そのとき、爆ぜるような哄笑が野々村のすぐ側で響いた。 鷹氏「ハハハッッ、誰だか知らんが、とんだ小細工だな。笑わせてくれるッッ!!」
哄笑したのは、鷹氏であった。 鷹氏「これだけの人数を一瞬で悪夢に引き込むとは大した技量だ。 並の者や耐性を持たぬ者なら、何が起こったのかも分からずに 精神を破壊することも容易だろう。しかし、この私には通じぬよ」 ??「一一一一」 無言のまま刀を下げ、音もなく歩み寄ってくる三度笠。 鷹氏「フッ、問答無用という訳か?だが、精神攻撃は私も得意とする分野。 これへの対処法はすでに理解している。貴様の周りを見るがいい」 ??「!?」 三度笠が、周囲を見回す。すると、気のせいか鉄仮面の表情が翳ったように見えた。 いつの間にか、鷹氏の周囲には水晶球が配置されている。 その水晶の位置は、鷹氏を中心に大きく六芒星を描いている。 鷹氏「昔から、このテの幻術を破るには、本体を直接攻撃すればいいと相場が決まっている。 そして、今から放つ術は、その用途に最も適したもの」 そう言うと、鷹氏が目の前の鏡を覗きこむ。そこには、ひとつの部屋が映し出されている。 ??「……まさか!」 鷹氏の意図の気付いたのか、三度笠に初めて狼狽の色が見えた。 鷹氏「そうだ。この術は、この鏡に映し出した対象を、距離とは関係なく攻撃できる。 私が持つ術のなかでも、奥義のひとつだ」 言うや否や、周囲の水晶球が妖しく発光し始め、広げた両掌にとてつもない量の魔気が集っていく。 それを見た三度笠が、慌てて鷹氏に躍りかかる。剣風が奔った。 鷹氏「闇に与する同胞達よ 我がもとへ来たれ 汝等六つの星玉の輝きとなり我が鏡に命を与えよ 彼のもとへ死の影を送り給え 」 だが、一呼吸遅かった。詠唱は完了し、その瞬間巨大な黒球が形成された。 カ ッ !! 刹那、凄まじい閃光が猛り狂い、暗黒の空間を四散させた。
全てを吹き飛ばす、黒き閃光。気付いたときには、そこは現実の空間だった。 一同「はっ!!!」一部を除く全員が、我に帰ったように大声をあげた。 当然、神崎もせがわも生きている。三度笠の姿はどこにもない。 事態に気付いたのは、野々村・鷹氏・カムイ、そしてテレパシー能力を持つ皆川のみ。 鷹氏「フッ、これで忌々しい雑魚は消え去ったという訳だな」 野々村(鷹氏の野郎……なんてえ術を使いやがる) 皆川(今の現象、テレパシーとは少し違うようだが。しかし、あの三度笠の言った意味は一体…) ゴッドハンドが漫画界の転覆を狙っている?その為に、他の漫画家を皆殺し? 皆川(それでは、こいつらがそうだというのか?神崎は、そんな奴らと手を組んだと!?) 突然のことに、皆川が激しく混乱した。そこに、殺気が迫る。 萩原「 爆 炎 障 壁 (ガンズン=ロウ) !!」 皆川「!!」 逡巡した隙を突き、萩原が爆炎呪文を放ったのだ。 ジャバウォックの右腕により、かろうじて爆炎を防ぐ。 皆川「萩原……!」 萩原「戦闘中に余所見はいけねえなあ、ミナガーちゃんよお!?」 皆川に迷いの時間は与えられなかった。今は、戦闘に専念するしかなかった。 せがわ「くっ……なんだったのだ、今のは」 意識をはっきりさせるように、頭を振るせがわ。 いかに悪夢の中とはいえ、実際に斬られたせがわの精神ダメージは大きい。 その両眼が、麻宮から離れた。その好機を、麻宮は見逃したりはしない。 麻宮「『剣 帝 ジ ェ ッ ソ』 よ!!」 叫ぶと、麻宮の掌中に、剣のような槍のような奇妙な形の武器が握られた。 せがわ「!! しまっ…」 慌てて瞳術を発動させようとするが、その視界を遮るように麻宮のローブが舞う。 麻宮「 ジ ェ ッ ソ 『 火 の 陣 』 !!!!」 瞬斬、麻宮の一閃とともに、業火が渦を巻き、せがわを呑み込んだ。 せがわ「ぐおおおおおおッッッ!!」
ふかわと原がいとこだったとは・・・
見てたね?(w ( ・∀・)つ〃∩ヘェ〜ヘェ〜
せがわと同じ事態は、神崎にも起こっていた。 カムイ「好機! イオナズン×2 !!!」 神崎の間隙をぬって完成した合成魔法が、無防備の神崎を直撃した。 神崎「ゲはアッッ!!」 豪快に吹っ飛ばされ、神崎は初めてのダメージを受けた。 カムイ(お前のおかげで助かったぜ。そういえば、 ゴッドハンドの情報を教えてくれたのもお前だったな。無事でいろよ……!!) 一方、その頃。ガンガン控え室。 雷句「 セ ウ シ ル !! 」 カ ッ ッ !!!! 雷句が半球形の防御結界を張ったのとほぼ同時、膨大な暗黒の塊がガンガン控え室を押し潰した。 雷句「うおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!」 魔力を振り絞り、黒いエネルギーを押し返す雷句。黒球の破壊力は凄まじかった。 雷句の周囲、半径数メートル以外は、全てが瓦礫と化していた。 雷句「な…なんだったのだ、今のは……。距離を完全に無視して、いきなり攻撃が降ってきたのだ。 事前に攻撃が来ることを察知していなかったら、間違いなく全員消し飛んでたのだ…」 冷や汗を滝のように流しながら、雷句が全員の無事を確かめた。 突然の事態に泣き出してしまった夜麻。 それをどことなく不自然な笑顔で宥める金田一。そして、もうひとり一一 雷句「大丈夫か、お主!?」 心配そうな視線の先にいたのは、ひとりの女性だった。 日本人形のように片口で切りそろえられた、艶やかな黒髪。夜色の黒瞳。 色素の薄い、病的なほどに白い肌。造り物のように整った顔だち。 着ているものは、色褪せたセーラー服だ。その唇だけが紅を引いたように鮮やかな色をしている。 その容姿は美人と称するに十分だが、どこか人間離れした美貌とも言えた。 ??「え…ええ……ありがとう。それにしてもさすがゴッドハンドに与する者……恐ろしい手練ね」 少しけだるそうに、女は言う。彼女こそが、悪夢を見せていた張本人。 幻覚で相手を翻弄することで、カムイ達を手助けした者。 そして、ガンガンにゴッドハンドの情報をもたらした、流浪の漫画家。 名を、 冬 目 景 という。
おお本登場は初めてですな 夢オチ事件以来だ
神崎「ぐ、があああっ・・・」 苦痛にのた打ち回る神崎、その様子を見てカムイは止めを刺そうと幻魔剣を上段に構え、一気に突撃した。 カムイ「とどめだ、神崎!!」 声とともに一気に剣をうずくまる神崎に振り下ろす カムイ「(殺った!!)」 そう確信した瞬間 ふっ、 と神崎の体がその場から消え去った。 ブンッ 幻魔剣が空を斬る カムイ「な、なにっ?」 いきなり目の前から消え去った神崎の体を捜し求めカムイの視線が空をさ迷う。 そして、それは致命的な隙となった。 戸惑うカムイの後から ビュッ という空を切る音がした カムイ「え?・・・・」 その音に気が付き振り向こうとした瞬間 ドガッ!! という鈍い音と、背中への重い衝撃とともに、カムイの体は、凄い勢いで数m先のビルに向かって飛んでいく ズ ズ ゥ ン ! ! カムイがぶっかった衝撃で、ビルが揺らめく音が辺りに響き渡った。
神崎「はあああっ・・・」 その光景をじっと見据えながら、神崎はゆっくりと右足を下ろし、深いため息をついた。 下ろした右足、そして神崎を支えていた左足は、いつのまにか一回り膨張し、鈍い光を放つ金属に変化している。 この足が、カムイですら知覚できない圧倒的な移動速度、そして、ビルを揺るがす破壊力を生み出したのだ。 神崎「やれやれ、ここはエンカウント率が高すぎるな・・・」 先ほどカムイから受けた合成魔法のダメージに揺らめきながら、神崎は懐からゆっくりと、テレビのリモコンのようなものを取りだし、その表面にあるスイッチの全てを掌で一気に押した。 ピー と、いう電子音の後 ド ゴ オ オ ン ン ン ! ! ! ! という音とともに、周囲全ての建物が爆発した。
爆発の後 今まで盛大に闘いが行われていた地点は、瓦礫の山と化していた。 そして、その山の一角かが、ガラガラと崩れ、そこから一人の男が姿を現した。 ??「ちっ・・折角新調した服が汚れちまったぜ・・ついてねえなあ・・」 萩原 一至だった。 爆発の瞬間、皆川に意識が向いていた萩原は対応が遅れて、爆発にまき込まれ、上から降り注ぐ瓦礫の直撃を受けたが、無意識レベルで展開していた防護魔法でそれらを全てしのいだのだ。 萩原「しっかし一体何が起こった・・・おや?・・」 そこでようやく萩原は、自分以外に辺りに人がいないことに気が付いた 萩原はしばし腕を組んで考える仕草をした後 カッ と目を見開いた 萩原「ぎゃはははは!! この超絶美景主人公萩原 一至 様 以外誰もあの爆発から逃れなかったようだな!!!! 俺様最高!!!!」 ??「そんなわけないだろうがこのボケ!!!!」 言葉とともに後からゴツン と、萩原の頭に誰かが思いきり拳骨を振り下ろした
萩原「いってえ〜誰だ!! って麻宮じゃねえか」 頭を押さえながら後を振りかえると、そこには無傷の麻宮が怒りの表情で仁王立ちしていた。 萩原「ちっ、なんだお前も生きてたのかよ」 麻宮「当たり前だ!!」 いきにも残念そうな表情の萩原に、麻宮は続けて言った。 麻宮「お前はみていなかったかもしれんが、神崎が何かのスイッチを押した瞬間、残りの十傑集は全員撤退した。この場はGUNG-HO-GUNSとガンガン組の拠点近く、そして何より大通りだからな、これ以上援軍が来る前に逃げ出したのだろう」 麻宮「まるで申し合わせたかのようなあの動き、十傑集は我らと違い寄せ集めの統制のとれていない軍団だと思っていたが、どうやら考えを改めねばならんな)」 実際の所は麻宮の推測通り内部の統制はやや乱れているのだが、それは麻宮の預かり知らぬところ、麻宮は難しい顔をして黙り込んだ。 萩原「ふ〜ん、まあ俺にはかんけーねえな」 そういって萩原は呪文を唱え、空中に飛翔した。 萩原「じゃあ俺は当初の予定通りAブロックへいくとするかな!! 」 麻宮「待て! 萩原!! 単独行動するな!!」 それに気がついた麻宮が声を荒げて静止するが、既に萩原は空の彼方に飛んでいった。 麻宮「あいつは〜」 ボリボリと頭をかきむしった後、麻宮も又出現の時と同じように空間に穴をつくり、そこに消えていった。
瓦礫の山の上から麻宮、萩原が消えてしばらくした後 その中からゆっくりっと一人の男が這い出てきた。 ??「行ったか・・・おい、あんたももう大丈夫だぞ」 その男は周囲に誰もいないことを確認してから、下に声を掛けた。 そして、それに反応するかのようにもう一人の男が姿を現した。 ??「ふう・・・・助かった、のか?」 ??「確かあんたはGUNG-HO-GUNSの一員だったな、なら今の爆発を聞きつけてすぐに助けがくるはず、もう大丈夫だ」 野々村「そっか・・・なんで助けてくれたのか知らんが、ありがとよ、皆川」 限界、だったのだろう、張り詰めていた緊張感から解放された野々村は、そのままどさっとその場に倒れ込んだ。 野々村を咄嗟に庇い、その為に萩原との闘いまで放棄した皆川は、そんな野々村をじっと見つめながら、申し訳なさそうな表情を顔に浮かべた。 皆川「すまんな、できれば俺が安全な場所に運んでやらねばならんのだろうが、俺にはやらねばならんことがある」 そういって、皆川は野々村の体から離れ、瓦礫に埋もれたバイクを探し始めた。 探しながら、皆川は、爆発の瞬間のことを思い返していた
皆川「(あの時、俺が助けなくても野々村の事はあの鷹氏とかいう男が助けようと動いていた。それなのに何故俺は野々村を、神崎さんと敵対していた男を庇ったんだ?)」 そう自問した皆川が思い返すは鷹氏の邪悪な哄笑、そして野々村の真っ直ぐな瞳だった。 あの時も同じだった。 だから咄嗟に野々村をこちらがわに引き寄せたのだ。 皆川「(あの男、そしてもう一人の忍者、萩原、麻宮、ゴッドハンド、一体今この場で何が起こっている・・)」 何もわからない、そのことに皆川は焦燥感を抱いていた。 皆川「まあ考えたって仕方ない、か・・」 そう言葉に出し、己を律する。 そして、改めて決意のこもった表情を顔に浮かべた。 皆川「(取り合えずはAブロック、そこが俺の目的だ)」 ほどなく、皆川はバイクを掘り返すことに成功し、それを入念に点検した後、ゆっくりとシートに跨った。 そして、彼の現時点での最終目的地、Aブロックに再び出発したのであった。
安彦「ファイナルフュゥゥゥゥ…何!」 突如、近くにあった池から、触手のような物が飛び出し、ガイガーを水の中へ叩き込む。 長谷川「あれは、オーバーマン、ドミネータ!まさかぁ、まさかぁ!」 富士原「ってなんだよ!誰のマシンなんだよ!おい!説明不足がすぎるぞ!」 有賀「おめーだけ、別の世界へいってんじゃねえ!」 長谷川の台詞に、二人がつっこむ。 長谷川「んなこと言ったって、オーバーマンでわかるだろうが。」 有賀「んな、ぽっとでで、超マイナーな奴の書いた、ロボットを知ってるのはお前だけだ!」 長谷川「おーい。オーバーマンは富野先生の書いた作品だぞ。」 有賀「ぇ?」 有賀が凍る。 長谷川「まずは、安彦さんを助ける!」 四霊達「そうはさせん!」 四霊達VSビクトリーファイブの戦いが今始まった。 水中 安彦「くぅぅぅぅぅぅ、水中戦ではこちらの本領が発揮できない!」 富野「遅い遅いぞ!胸ライオン!」 変形能力を自在に動かし、ガイガーに連続攻撃を仕掛けるドミネータ。 安彦「まずは、水中から上がらないと!」 ドドドドゥン!安彦「ゴッグだとぉ!」 ガイガーの装甲にひびが入り始める。 安彦「まさか!あの人が評議会につくなどぉ!」 安彦はそう言って、ガイガーを操ろうと四苦八苦していた。
浜岡「うしゃしゃしゃ!」 浜岡がえなりを追いかける。 えなり「よくわからんが、僕の新しい力を見せてやる! え な り 真 拳 奥 義 ! シ ー ン チ ェ ン ジ ! 」 水島「何!一体何がおこったんや!」 浜岡が倒れてるのを見て、水島が叫ぶ。 克≪おそらくあの技は、シーンを変えることで、流れを変える技でしょう≫ えなり「ふっ、又つまらぬ物を切ってしまった。」 渡辺「さっさと選手外の人物は降りろ。」 えなり「あら。」 水島「しかし、参ったな。メンバーがいきなり減りおった。」 鈴木「あいつがいなくなったから、8人で………。」 ギャラン=ドゥ(突如登場して)「スタンドがOKで、アルターが駄目だって話は聞いてねえぜ!」 渡辺「10人いるぞ。」 ドゥ「えっ、1(水島)、2(鈴木),3(戸田),4(オレ),5(松島),6(山口),7(藤井),8(佐渡川),9(Z)だろう。」 渡辺「ほら、そこ。」 そこには、なにやらおかっぱ頭をした女の子がいた。 水島(まだ生きとったんかい。しゃーねーなぁ。) 水島「(ドゥに向かって。)さあ、さっさと戻れ。」 ドゥ「しくしくしく。」 戸田「ドゥ、悲しいとは思うが………。 ア ル タ ー が 泣 く な ! 」 戸田に吹き飛ばされて、ドゥはサインボードに叩きつけられた。 渡辺「次来い!次!」
「さて、この試合の実況はレフェリーも兼ねてる私、新沢基栄が同時進行でお送りするのだ! 時々ツッコミもとい解説役で登場するのは『あたたっ子純情』安永航一郎クンなのだ〜♪」 「あんたヨソ見っ、ヨソ見しとるがな!」 「おおっと〜そりゃあすまないのだー。さてリング上の動きは・・・って、 にわのまことがコーナーポストから真下の安全マットに叩き落されたのだー! そしてそれを追うヒラマツミノルがロープの上段に飛び乗って〜・・・ダーイブ!!」 「手元の資料によると、空中殺法であるところのルチャ・リブレもお得意のご様子」 「おやヒラマツ選手、ダイブしながら肘落とし!エルボースイシーダだ〜〜〜・・・避けられたー!! にわの選手、腰つきが妖しいもんがーダンスでエルボーを華麗にかわしたぁぁ!! 幸い安全マットの上なのでヒラマツ選手のダメージは小さい、 しかし精神的ダメージは受けてるようなのだ!・・・・ヒラマツ選手ゆっくりと立ち上がる! おお〜っとマスク越しにも伝わるこの睨み!それはさながら鎌首をもたげ、 獲物を捕らえんとする大蛇を思わせるのだー!良い子は見たらいけないのだ!」 「どの道マスクで見えんわ!」 「ああ、これはたまりませんっ!全国プロレス漫画ファン心酔のこの夢一夜!まさにドリーム!!」 「とっとと試合内容の実況をせんかーい!!」 「おあっと気がついたら双方リング内に戻っていましたのだ。こりゃ失敬なのだ。 ヒラマツ選手がしぶーくキャメルクラッチ(敵の背中に座ってアゴ持ってエビ反らせる技)を・・・ ちがーう!!こりゃあ反則だっ、なんとにわの選手のマスクを剥がしに来てたのだー!!」 「にわの選手、抵抗してます!ヒラマツ選手と違い露出度が高いデザインのマスクですが、 一説によるとにわの選手のその無節操なパワーの何割かはマスクの恩恵らしいのだ!! それを知ってか知らずか、悪魔の両手が御伽戦士の仮面を剥ぎ取ろうとしているー!!」 「まあ中身出たからってどぶ川が浄化したり死人が生き返りはしないそうですが」 「あー!あー!!まこリン・ザ・グレート大ピ〜〜〜〜〜ンチで引き(続く)っ!!」 「そりゃいったい誰じゃい!?」
「引きと言いながらあっさり続く実況中継!!さてにわの選手大ピンチで始まりっ!!」 「おーおーもがいとる、もがいとる。もんがーに変身中なので芋虫みたいだのー」 「しまった反則のカウント(5)取るのを忘れていたのだ。ぅわーん!とぅーう!すりーぃ」 「お?もんがーが元のにわのクンに戻った・・・何かする気だな?」 ご き (関節が外れる音) 「うわわ〜〜〜〜!!!にわの選手の腰が180度折れ曲がったのだーーー!! 勢いで手を離して後方にでんぐり返るヒラマツっ!!あまりに強烈なクラッチで、 にわの選手の腰がもげてしまったのか〜〜・・・いや、違う!!ぬぁっと!!?」 「おやおや、今度は外れた腰の骨を自分で直していやがります。あいつは変態です!!」 「なーんと!!この新沢以外にもそんな超軟体技術が使える手錬がおったとわ・・・」 「あんたは腰骨外さなくてもやりおるがなー」 「はっはっは、そーでした♪・・・なんて言ってる間にいつの間にやら試合は二転、三転!! 先ほどのお返しとばかりににわの選手、ヒラマツ選手の腕を取って関節技に入る〜!! あの技は・・・柔道なんかでもおなじみの腕ひしぎ十字固め!!し、しかし・・・」 「そう、手元の資料によると、ヒラマツ君は特異体質で関節が二重にあるダブル関節男で、 関節技はいっさい無効なのです!ヒラマツ選手、平気の平左ってな感じで鼻歌まで始めたぁ!」 「どーやらにわのクンも異常に気づいたみたいですな。あいつの得意技の半分は、 関節技でできているゆーくらいの関節技マニアにとって辛い事実でしょうなぁフフフ」 「おーっとヒラマツ選手が強引に技を解いたっ!!ここら辺常人には不可能な領域! 反撃にと飛びかかるも、にわの選手間一発でそれを避ける!様子見をしています。 おやいきなり背を向け前方のロープに飛び、おおっと中段に足をかけ踏み台にして跳んだっ!!」 「そーいやにわのクンもルチャ系というか飛び物は派手で彼的に得意技なんですなー」 「そのまま縦に一回転!半ひねりして両足をヒラマツの首にはさみ、 背筋で思いっきり後方に回転して姿勢を崩させ、ヒラマツの頭をマットに打ちつけるー!! にわのの全体重もかかった、必殺のフランケンシュタイナー!!後頭部に大ダメージだ〜」
「まだまだにわのの反撃は収まりません、即座に技を解くとヒラマツの巨体を担ごうとする・・・ しかしさすがにそう簡単には持ち上がらせてくれません!・・・ん?にわのの体型が・・・おかしいのだ?」 「あ・・・・あれはにわのの漫画に出てくるアホな流派、クラマ流格闘術の奥義のひとつ・・・ 『ミスターユニバース日本代表・ただし上半身のみの術』―――!!?」 「ネーミングが時代を感じさせますが、とにかくにわの選手の上半身だけが巨大化したぁぁ!!! これだからギャグ系格闘家はどーにも節操がない〜!!さーどーなるのだ〜〜!!?」 「アホじゃ・・・」 「さーにわの選手、突然の変貌に慌てるヒラマツ選手を軽々とリフトアップ!! しかもスキップしているのだ。さながら≪獲物を見つけて喜ぶ原始人≫状態なのだ♪ そしておもむろにエアプレーン・・・スピン!!(相手を肩に担いだままグルグル回る〜 相手を背中越しに抱え、ジャンプして後方に倒れ込む)決まったー!!」 「しかしマトモな技とアホな技を交互に使うって作戦は実にいやらしいねぇ」 「しみじみ言わんといてください。おっとまだフォールには入らない!今度は何を仕掛ける?」 「あーーーっとヒラマツ選手、笑っております、笑っておりますー!! なんだかものすごく楽しそうなのだ!私は正直ちょっと帰りたい気分なのだ!!」 「耐えれ」 「その気迫に押されてか、にわの選手一歩後方に下がり・・・ヒラマツ選手が動いた! 何も考えていないかのよーな突進だー!!思わずにわの選手、体で受け止めるー!! そしてにわの選手は左足首を取られてひっくり返されて、マットに背中を打ちつけるー!! そこへ・・・・来る!!ヒラマツ一撃必殺の≪7本バット折り≫超重量級ロー・キックぅぅぅ!!」 「肩を狙ったよーだが首へのダメージが本命のよーじゃな。おーこわ」 「にわの悶絶〜〜!!ヒラマツの蹴り技が、試合の流れを変えるのか〜〜〜!NEXT!!」 「杉本ペロのギャグかい!?」
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・ 天地を震わす、地鳴りのような音が戦場に響き渡った。 有賀「なんだ?」 長谷川「月が消えていく・・・?」 水中の安彦が気掛かりだったが、突如として漆黒の夜空を一層の暗黒に染め上げた影を看過する訳にもいかない。 天空を見上げると、長谷川たち3人は絶句した。 戦艦だった。いや、果たしてそれを戦艦と呼ぶべきだろうか。 それは戦艦と呼ぶにはあまりにも大きすぎた。 その威容の前ではこの場に並みいるスーパーロボットですら霞んでしまう。 長谷川と有賀が唖然とする横で、ただひとり元評議会であった富士原は戦きに身を震わす。 富士原「あ・・あれは・・・あれこそは評議会の旗艦・・・!!」 超 時 空 要 塞 マ ク ロ ス !!!! マクロス艦内。 「デルタ1より各機へ。エリア108に敵影を発見。至急、迎撃に向かえ!!」 女性オペレーターの声が艦内に浸透し、格納庫が慌ただしくなる。 その中、髑髏のエンブレムがマークされた指揮官機に搭乗した男の、ドスを含んだ声がこだまする。 「こちら、スカルリーダー!! よ〜し、野郎共!! ゴッドハンドのカス共を殲滅しに行くぞ!!」
マクロスの圧倒的な巨大さに尻込みする長谷川達の視界に、無数の敵影が映ったのはすぐだった。 長谷川「あれは・・・戦闘機!?」 有賀「バカにしてくれる・・・このスーパーロボットチームに、 あんなちっぽけな戦闘機ごときでどうするつもりだ」 BIG-Oに搭乗する有賀が、真っ先に迎撃に向かった。それを富士原が制する。 富士原「うかつに動くな有賀! あいつらを舐めるんじゃないッッ!!」 だが、忠告などお構いなしに突っ込む有賀を、富士原は渋々援護する。 BIG-Oが接近しやすいように、GRのスポンソン砲で援護射撃を行った。 しかし、編隊を組んだ戦闘機群は完璧に統制のとれた動きで縦横無尽に宙空を飛び回り、 こちらの攻撃なと掠りすらしない。 逆に、戦闘機部隊のミサイルはまるで独立した生物のような正確無比の動きを見せ、 容赦なく有賀たちの機体の装甲を削っていく。有賀が唸った。 有賀「な、なんだ、あの信じられない機動性能は!あの戦闘機、普通じゃない!!」 富士原「当然だ・・あれこそ、アニメ史上でも究極とうたわれた、 空中戦闘描写の芸術・・・通称?T板 野 サ ー カ ス?U!!」 長谷川「そ、それでは、あの戦闘機は・・・」 富士原「もちろん、ただの戦闘機などではない。あれは?Tバルキリー?U・・・ そして、あれを操る者こそ、評議会が誇る?T四霊?Uの1人・・・」 美 樹 本 晴 彦 !!
美樹本め、蝕で食われなかったんだな・・・
有賀「うわぁ!」 狙いすまされた、ミサイルにさしものビッグオーも倒れざるを得ない。 長谷川「有賀ッ!大丈夫か?」 有賀「大丈夫は大丈夫だが………流石にこのままだと持たんぞ!」 長谷川「くっ!グラビティエンジン、フル稼働!」 BURNの口元より灼熱の息吹が吹き上がり、ミサイルの軌道が次々曲がる。 長谷川「流石に……これは……。」 美樹本「どうしたゴッドハンド!てめえらはその程度で終わる連中か?」 長谷川「計算だと…………72対28でこちらが負けるな。」 美樹本「あっ?だったらさっさと降伏したらどうだ?神だかなんだかしらねえけれど、 こちらとしてはこれ以上暇を潰したくないの。」 長谷川「それなら……何時もより、だいぶ楽な戦いだ!」 美樹本「………ふざけるな!マクロス、主砲発射準備!」 マクロスの変形が始まり、主砲の発射準備が完了する。 美樹本「終わりだ!」長谷川「終わるかぁ!」 BURNが近くにあった岩を抱え上げ、マクロス向かって投げつける! 美樹本「何!」長谷川「あいにくだが、こいつには、手も足もあるんでね!」 岩は主砲近くに当たり、主砲はあらぬ方向へと放たれる! 煙が舞い上がり、一切の視界が閉ざされる。 美樹本「うぉ!どこだ、奴らはどこへいる!」 煙の中を走り抜け、3方向へ散る、3人! 長谷川「このままじゃまずいな!まずは安彦さんを助けるのが先決だ!」 数機のバルキリーが長谷川の方へ向かっていく! バルキリー乗り手「終わりだ!」 数百のミサイルがBURN目がけて発射された!
地上で長谷川たちが美樹本指揮するバルキリー小隊の猛攻に晒されている頃、 海中ではもうひとつの死闘が行われていた。 ズンッ ズンッ ズンッ ドゴオッ 富野が繰り出す魚雷が、矢継ぎ早に安彦のガイガーに命中する。 機体性能は強力無比なガイガーも、水中では全力を発揮できない。 安彦「クッ!このままではジリ貧だな・・・では強引にでも地上に上がる!!」 鉄仮面の奥で眼光を猛らせ、安彦が機体の乗り換えを瞬時に行った。 安彦「いくぞ、ヤスブレン!!」 新たに召喚された機体は、ガイガーとは対照的に、小柄で曲線を多用したフォルムだ。 安彦「チ ャ ク ラ エ ク ス テ ン シ ョ ン !!!!」 怒号と共に、安彦の機体・・・?Tブレンパワード?Uのブレードから眩い光の束が放射された。 その威力は凄まじく、富野のゴッグを軽々と吹き飛ばし、さらには海さえ断ち割った。 安彦「今だ!!」 海が割れた一瞬をついて、安彦が機体を急上昇させ、空中に躍りでた。 安彦「いい子だな、ブレン」 自分の機体に、まるでペットを誉めるように囁くと、ブレンパワードが優しく淡く発光する。 ブレンパワードの機嫌がいいことを確かめると、安彦は前方の機体に目を向けた。 そこには、赤を基調とした小柄なロボットが浮いている。 そのフォルムは例えるなら、西洋の甲冑を纏った甲虫。その手には両刃の剣が握られている。 安彦「まずはオーラバトラー?Tビルバイン?Uか・・・面白いことをしてくれる・・・」
奇襲から立ち直った安彦が、いつもの不敵な自信を取り戻す。 安彦「富野先生・・・いや、富野。私にとって、貴方はずっと目の上のタンコブだった」 淡々と語る安彦。富野の反応は・・・ない。 安彦「いくら私が必死にガンダムを描こうとも、貴方のガンダムには勝てない。 ずっとそう思ってきた・・・だが今はちがうッッ!! 今の私は、サンライズの全ての能力を手に入れ、ゴッドハンドとなって生まれ変わった!! そうもはや、貴方の時代ではない。これからのサンライズは私が創る!!」 熱のこもった演説をしながら、安彦がブレードを富野のビルバインに向ける。 安彦「貴様を生かして連れてこい、というのが横山の命令だが、気が変わった。 サンライズの力を持つ者は、この世にただひとり、私だけでよい!! 月影が2つの機体を照らし出す。それは、騎士同士の荘厳な儀式のようであった。 安彦「富野由悠季・・・時は来た。今、私は貴様を超える・・・!!」
長谷川「うおおおおおお!」 ミサイルは狙い違わず、BURNの近くで爆発を起す! 乗り手「やったか!」「やったぞ!あれだけのミサイルをかわせるはずがない!」 爆風の影より、4つの影が現れて、バルキリーに対して牙を突き立てる! 乗り手「何だ!何が起っている!」 次々を集結するバルキリー。だがそれは間違いだった。 長谷川「 最 ・ 合・体 ! 」 4台のメカが合体し、大爆発を起し、数百のバルキリーを吹き飛ばす! そこには、2つの影が浮かんでいた。 富野「超える…か。ニュータイプについてどう思う?」 安彦「人を超えしもの。新たなる変革者であろう。」 富野「それとは、意見を異とする奴がいた。ただ宇宙に適応しただけの人間と言った奴がいた。」 安彦「愚かな。」 富野「確かに愚かなのかもしれない。だが、その意見を俺は信じたい。」 安彦「皆殺しとまで呼ばれた貴方を変えた人物が誰かは知らない。だが私は貴方を超えてみせる!」 富野「その悪意は!俺が絶つ!この勝負は1対1だ、誰にも邪魔はさせない!」 そう言って、二つの影はぶつかりあう。 長谷川は、その光景を見て、後ろを振り向く。 長谷川「なるほど、お前が相手か。」 岩瀬「助けてもらった恩はあるけど……今は評議会の為に戦う!」 岩瀬昌嗣はそう言うと、背中の斬艦刀を抜いた。 長谷川「そちらがガンダムなら、こちらもガンダムで戦わせてもらう!」 BURNから降りて、X-3に乗る、長谷川。 長谷川・岩瀬「いざ尋常に!勝負!」
鳥山「うっほほ〜い」 この緊迫感のなさ。 これが野球ということもわかっていないんじゃないか。 松島はこの「ある意味」脅威的な打者に戸惑っていた。 水島は、違った。 これが野球の範疇におさまる試合なのだろうか。 なにもかもが野球のセオリーから逸脱している。 力が力をねじ伏せるパワーゲーム。 異質の力が渦巻いている。 松島(7分のチカラ・・・) 振りかぶり、投げる。 水島(イカン!4分の力や) 松島は気負い過ぎた。力のコントロールができていない。 結果的に置きにいった球は、力のせめぎあいでは、喰われる。 鳥山「ほいっ」 ゴスッ! 球が消えた。鳥山の大根切り打法で、消えた。 本塁の前には大穴。 水島「・・・・・・・・・・・・・・・・・・掘り出せぇぇっ!」 叫び声とともに、球場は動き出す。 板垣「浜岡ァァァァッ!」 ショートへ向かって駆け出すオーガ。 戸田「たしか前の走者を抜いたらアウトだったな」 尾田をつかまえる戸田。 戸田「またやろうぜぇ!ド派手な喧嘩をよぉ! そこのカッコイイ鎧の兄ちゃんもな!」 二塁に接近した岡田にも殺気を飛ばす。 山口「我、二塁を防衛せん!」 鳥山「キ―――――――――ン」 必死で球場を掘り返す松島と水島。 ボールを掘り出すのが早いか、戦場を潜り抜けて修羅が帰還するのが早いか。 いずれにせよ、戦局は大きなうねりを生じた。
ビームシールドを左腕に構え、右手のサーベルのスイッチを入れる、クロスボーンガンダム三号機。 赤い盾を構え、巨大な斬艦刀を背中からぬく、ソードストライクガンダム。 岩瀬「あの時、MONSTERに襲われた時、貴方は”心で”嘘をついてMONSTERを騙した。」 長谷川「懐かしい話をするな。」 岩瀬「それほど懐かしい話じゃないよ。トーナメント予選が始まる前だし。」 長谷川「こっちは、いろいろとな……。そっちも結構色々とあっただろう?」 岩瀬「まあね。でも………あの後、全員ばらばらに動くことになった後、 KIYUに大半の連中を殺された。」 長谷川「………そんな。」 岩瀬「気にすることはないよ、長谷川。俺達の力不足だったんだ。あてもなく、さまよってるところを、評議会に助けられたんだ。」 長谷川「………そうか。」 岩瀬「同情する必要は無いよ、長谷川。」 長谷川「いや、何かが少し間違っていればそこへ立っていたのは………俺だったかもしれない。只、そう考えただけさ。」 岩瀬「もし、俺がそちらに立っていたら、全力で戦っているだろう。」 長谷川「それは、こちらも同じ事だ!行くぞ!岩瀬!」 岩瀬「望むところだ!」 二つのガンダムが、漆黒の槍となってぶつかりあった。
クロスボーンガンダム(X-3)のサーベルから十数本のビームの渦が流れ、鋸状のサーベルが完成する。 ストライクガンダムが斬艦刀を正眼に構える。 二つの刃がぶつかりあい、両者一旦引く。 その隙を狙って、腕についているブーメランを投げつける岩瀬。 鋸状のビームサーベルで投げられたブーメランを叩き落とし、そのまま一気に接近する長谷川。 岩瀬「!!」長谷川「つ!」 ビームサーベル同士がぶつかりあい、反発をおこす。 岩瀬「流石に……強い!」長谷川「腕を上げたな!」 鍔迫り合いがしばらく続き、X-3の蹴りがストライクの腹部に命中する。 岩瀬「ぬぉ!」ふらつき離れたところで、X-3のサーベルの先端から光が発せられ、ストライクの左肩を焼く。 美樹本「岩瀬を援護しろ!」 オペレーター「だめです、電波状態が悪くて敵味方の区別がつきません!」 美樹本「ちっ。ミノフスキー粒子か!数で押したのは、間違いだったか!」 マクロス内で美樹本は舌打ちをした。 岩瀬「まだだ!まだ終わって………たまるかぁ!」 斬艦刀でビームサーベルを叩き落とし、そのまま縦一文字に叩き込む! 長谷川「Iフィールド、展 ・ 開 !」 岩瀬「なっ!」 右腕で斬艦刀をつかみ取り、ビームシールドのエネルギーを前へ集中させる! 岩瀬「しまっ……。」 避けようとしたときには、もう胸にXの文字が刻まれていた。
この状況。二塁付近で立ち止まった岡田は思考する。 その目が一塁方向を一瞥する。 そこには、両手を水平に広げ、足が視認できない程の高速で疾走する少女が映る。 この戦局、実はえなりチームにとってあまり有利な状況とは言えない。 いや、はっきり言って、むしろ不利と言えるだろう。なぜなら。 岡田(鳥山のあのはしゃぎっぷりだと、野球のルールなぞ理解してるようには見えない。 前の走者を後ろの走者が追い抜いた場合、即刻アウト。 この程度のルールすら知らないはずだ。だとすると、まずい。 鳥山の俊足なら、ダイアモンド一周などあっという間だ) 本来なら野球において重宝されるべき鳥山の快足が、ここでは仇になった。 ベース上は満塁。最大のチャンスにもかかわらず、一転して大ピンチになってしまったのだ。 ここで、一塁手が少しでも鳥山を足留めしてくれる事を期待したいところだが、 冷静な判断が出来る者ならば、下手な抵抗はせず鳥山を素通りさせるだろう。 そして案の定、トリッキーな戦いを得意とする一塁手・鈴木ダイには戦闘の意思が見られない。 尾田「おい、こいつはひょっとしてまずいんじゃねえか?」 どうやら尾田も事の重大さに気付き始めたらしい。岡田に耳打ちする。 岡田「ああ、俺たちは鳥山さんが来る前に、先へ進まねばならない。 しかも、俺たちは前の走者を追い抜かせず後退も許されない…… つまり、かなり限定された足場で戦わねばならない訳だ、こいつらとな」 舌打ちのかわりに、尾田がくわえ煙草を噛み千切った。 尾田「で、どうする? 板垣さんはあのクソ化物との戦いに夢中だしよ」 岡田「とりあえず、まずは後顧の憂いを断つ」 尾田にそう答えると、岡田が背中から呪印がビッシリと刻まれた棒のような物を取り出すと、おもむろに呪文を唱え始めた。 棒に刻まれた呪印が発光し始めた。
岡田「 一一A(阿)一一 一一HUN(吽)一一 」 魔 導 回 路 起 動 岡田「岡田芽武が呪印封針に問う一一一一答えよ 其は何ぞ」 我は制御……一一絶対意志制御 貴公の意志により「降魔」を起動せし者なり 意 志 力 判 定 成 功 !!! 呪文が完成するや、地響きと共に、巨影が一塁上に立ちふさがった。 それは4メートル程はある、巨大なロボットのようであり、人形のようでもあった。 起 降 動 魔
鳥山「およよ?」 鈴木「な……」 突然一塁上に出現したロボットを前に、鳥山が立ち止まった。鈴木は狼狽する。 場内の視線も、そのロボットに釘付けになった。 尾田「おい、ありゃあなんだ!?」 岡田「あれは『降魔(ルナティ)』と呼ばれる起動兵器だ。 その攻撃力・耐久力・速度、共に並の人間とは比較にならん。 とりあえず、あれで鳥山さんを足留めする」 尾田「しかし、鳥山さんを相手に出来るほど強いのか、あの人形?」 岡田「そう言われると疑問だ。おそらくは、 キャラメルマンに毛が生えたくらいの効果しか期待できないだろう。 保たせられる時間は、せいぜい数十秒といいところだ」 尾田「……ってことは」 岡田「ああ一一30秒だ」 戸田「30秒?」 岡田の言葉に、戸田が怪訝な声をあげる。 岡田「30秒でお前らを倒して一一俺たちは前へ進む!!」 不敵に叫ぶと、岡田が跳躍した。戸田に向かって、必殺の拳を降り下ろす。 岡田「雷 光 放 電 (ライトニングプラズマ) !!!」
刹那、岡田の拳が数条の閃光と化し、数千の光の矢が戸田を襲った。 戸田「!!」 そのあまりの拳速に、さしもの戸田が驚愕を隠せない。 そのとき、光の束を切裂くように、影が疾った! 山口「零 式 積 極 直 突 き !!」 ズガアンッッ!! 岡田「なにッ!?」 雷光放電……一瞬にして放たれる数千発の拳を見極めるのは不可能、 敵は木偶のように攻撃をくらい続け打ち砕かれる一一避ける事など出来はしない。 だが、その攻撃を山口は一一 岡田(見切りやがった!! 数千発の拳のひとつに、自らの一撃を当てやがった!!) 山口「実に下らぬ攻撃なり!!」 岡田「なぁにィ!?」 山口「信じるものが一つあれば、一撃打てば当るはずッッ!!」 下手すれば、車田すら否定しかねない台詞を平然と言ってのける剛胆さ。 そして、何よりも光速の拳すら完璧に読み切った、その恐るべき実力! 岡田(隻腕でありながら、この動きの冴え一一なんてえ化物だ。しかも一一) ビキイッ…… 岡田(神話の時代より砕かれなかった黄金聖衣の腕部パーツを……!) 破 聖 壊 衣
黄金聖衣の腕部パーツが砕け散り、岡田の左腕が露出する。 瞬間、それを見た数人の目の色が変わった。 水島「あの小僧の左腕に刻まれた紋章……まさか」 そう、岡田の左腕には、吼え猛る獅子を文字化したような紋章が克明に刻まれていた。 尾田「岡田……お前、その紋章は……」 間近でそれを見た尾田も、驚きを禁じ得ない。 戸田「なんだ? あの妙な入墨は…? 山口さん、何か知ってんのか?」 聞かれると、山口が一呼吸置いた後に言った。 山口「同業者の間では有名な話だ。あれこそは『修練闘士(セヴァール)』の証!!」 松島「せ?hぁーる?」 地中深く埋まったボールを掘り出す作業を続けながら、松島が聞いた。 水島「ああ、せや。あれはかつて地獄とも言える闘いをくぐり抜けてきた者の証! そして、『ガンマ』の生き残りに刻まれた烙印や!! あの小僧、タダ者やないと思っとったが、まさかあの戦争の生き残りやったとは……」 岡田「こいつを見たな・・・」 山口「む!?」 そのとき、岡田の小宇宙が劇的に変化するのを、山口は感じ取った。 岡田「こいつは俺の最も大きな誇り……そして最も大きな傷……」 今までもの静かだった岡田の裡から、とてつもなく強大な小宇宙が立ちのぼっていく。 岡田「これを暴いた手ぇ前ぇらを、俺は許さねえ……ブチ殺してやらあ!!」 少女漫画風の顔をした岡田が牙を剥き出し、野獣のように吼えた。 そのあまりの変貌ぶりに、誰もが驚きを隠せない。ただひとり、戸田だけは嬉しそうに笑うと一一 戸田「いいねえ、あんた。ただの優男だと思ってたが、意外と気が合いそうじゃねえか。 つうかテメー、そっちの方が地だろう?」 立ちはだかる戸田に対し、岡田は無言のまま血濡れた指で、左の頬をなぞる。 赤い刀傷の血化粧が、岡田の貌をさらに凄絶なものへと変える。 山口「『刀傷の化粧』……ガンマの漫画家に伝わる、独特の闘いの儀式か。戸田君、気をつけろ」 戸田「なにをだ?」 山口「気付いているだろう。この男は、島本や永井豪を除いた君のこれまでの対戦者の中でも……」 最 強 の 相 手 だ !!!!
語るスレより状況把握テンプレ持って来ました。 Aブロック ・試合が終わった現在、真島を中心に各勢力の猛者共が結集 ・が、肝心の真島は藤崎によってヌイグルミに変えられ、行動不能 ・KIYUのテリトリーに、七月と藤田が別々のルートで潜入してる模様 関係者(予定)は以下。 安西(+片倉)・留美子→真島が行動不能になったのも知らず決勝会場へ 土塚→<ティトオ>モードになり、安西達を連れ戻すべく後を追っている 戸土野→イマジノスボディを得て復活。真島の行動不能も知らず決勝会場へ 皆川→Bブロックの乱闘を終え、Aブロックへ 元々の目的は、真島から留美子を救出することで、まだそう思っている。 青山→Aブロックを目指しているが、MONSTERによって変な方向に覚醒 もはや当初の目的を忘れており、安西抹殺しか頭にない 萩原→いきなり復活した後、Bブロックで大乱闘。麻宮と何か関係が? ミナガーとの因縁を残したまま、単身Aブロックへ。 その目的は不明(単に暴れたいだけかも?) 原→山原に<破凰の種>を植えつけられる。真島の行動不能を知らず、決勝会場へ? 北条→池上に殺されかけ、現在治療中 真船→北条を救った後の行方は不明
Bブロック ・つい最近までスマブラが行われていた。今は沈静化。 ・その跡地で野々村が倒れている。カムイはビルに突っ込んだ。 ・荒川と伊藤真美が戦う。結果は不明。荻野とキバヤシは放置 ・ガンガン控え室に、なぜか女性作家が続々集結。 ・最近では、復活した夜麻みゆきと、本体は初登場の冬目景が合流 ・冬目景は、ゴッドハンドの最新情報を伝えにきた Cブロック ・死んだはずの橋本が復活。その後、大友と一緒にスーパーメカに追われる ・筆吉に能条が捕えられ、その後能条は爆発。 ・が、実はそれはクローン。本物は、KIYU陣営のアジトにいる。 ・能条はタフを欺いて躍らせていた。それを計画したのは倫タン ・大友、ウンチを頭に載せられつつ逃亡中 Dブロック ・試合以外の動きはなし(ヨクサル君徘徊中)
矢吹 ・一時期、弱体化していたが、 スーパーメカ・CLAMP・チャンプ暗黒四天王など戦力急激に増加中 ・チャンプ暗黒四天王の長、瀬口たかひろが接触。他の3人は不明 ・黒猫(横内君)は久米田をからかったりしてマターリ ・スーパーメカはゴッドハンドですら手も足も出ないヤバイ兵器 梅さん ・ヤマトでお茶を飲んでた時に、十傑集の福地や高橋しんと意気投合 ・現在は、2人を連れて温泉巡りの旅へ。目標は無敵戦艦? 旅景色 ・貞元と木村、いがらしみきおに連れられ、いずこへ 曾田としげの ・自転車とハチロクで、坂上ぼり勝負。放置ぎみ ヴィクトリーファイブ ・評議会の四霊とスパロボ中。目的は評議会から富野を取りかえすこと ・しかし安彦はサンライズの力を独占する為、独断で富野抹殺を決意 おまけ ・森川ジョージの運命は高橋ツトムのみが知っている
他不明ゆーか 気になることがあったらご連絡くださいな〜
V5 安彦(ヤスブレン):富野と対決中。富野抹殺を決意。 長谷川(クロスボーンガンダム3号機):岩瀬と決闘中 有賀(BIG-O):煙の中を逃げている。 富士原(ジャイアントロボ):同上 吉富(竜の船?):不明 四霊+1 富野(ビルバイン):安彦と決闘中。 美樹本(マクロス):只今、指令中。 岩瀬(ストライクガンダム):長谷川と戦闘中。 四霊1(???):不明 四霊2(???):不明
まとめ乙 どこがどのくらい試合進んでるかわかった。ありがとう!
233 :
旅景色 :03/08/30 02:26 ID:lq+7up64
「俺は…嫌だ」 過去の記憶を巡る旅――貞本は見た、最強の、世界最強の物体を。 「あんなもの、甦らせちゃいけない、いがらしさん!! 」 「なんで? 」 「え…? 」 「なんで甦らせちゃいけないの? 」 「それは…だって、世界のパワーバランスが――」 「僕は、それを壊す為に、欲しているんだけどなァ…」 …狂ってる。貞本は、己の中で覚悟する。 ここはあえて退く。しかし、相手は世界最高峰の狂人である。実力は、恐らくゴットハンドクラス―― 「『アーティファクト;レッド』が、欲しいなあ…」 いがらしの表情が、禍々しく歪む。 そこから読み取れるもの、それは、どんな手を用いようとも、必ず目的を成就する、病的なまでのエゴ―― (洗脳くらい、普通にしそうだ…おい、木村、にげ―) 変化。木村に変化が生じていたのだ。 その姿は、少し前、この場所で見た、あの姿だった。
234 :
旅景色 :03/08/30 02:27 ID:lq+7up64
「まだ、この遺跡にはいれさせない…」 「入れさせないィ?入るよ」 「入れさせない!! 」 「入るよォ!!?? 」 いがらしの表情から、人間味がどんどんと欠けてゆく。 天才的な資質を持つ人間は、どこか、狂っていくのか? 貞本は、心底恐れた。彼の人生の中で、これほど予想不能なオーラを湛える人間を、かって見たことが無い― 「君の精神を、汚してしまおう…包み込め」 いがらしが、何かキーワードらしきものを呟いた途端、木村と貞本が、何かに飲まれた。 「ここは…!?」 そこは、一見ただの家。平均的日本人の住まいそのもの。 しかし、そこはかとなく漂う、絶対的違和感に、貞本は吸い込まれてしまった。 「木村ァ…何だろう、ここはさあ、凄い、凄い怖いところだよォ……!! 」 「貞本…」 「うふふふ…どうだい、二人とも?怖いかい?立ってられないだろう?座りなよ?」
235 :
旅景色 :03/08/30 02:28 ID:lq+7up64
いがらしは、声を聞く限り、完全に人としての理性を失ってしまったようだ。 正直、今の彼は目的、というよりも、ただ二人を嬲ることに快感を感じてるような気さえする。 「『出してください、神様ぁァ!!』とでも言えば、出してやらないこともないがね。しかし、君らはそれをしないだろうね。楽しいね―」 「悪いが…これ以上、アンタの道楽には付き合ってやれないな。貞本、俺につかまれ」 貞本は、木村の意図を測りかねながらも、今は他にやりようも無いので、その通り従った。 貞本は、眼をぎゅっと閉じる。そして、木村の、言葉を聞く。 「虎歩――」 貞本が眼を再び見開いた時、世界は元に戻っていた。 鬱蒼と茂る森の中。遠くに見える遺跡―――――――― 「きっ、木村ァ…ありがとう、本当に―」 「ん?余は何かしたのか?」 畜生に戻ってる――― その後、貞本は今までの展開で溜まったうっぷんを人間サンドバックで晴らし、大学の方へと飛び立った―― しかし、この島には、なんて危険なものが眠っているんだ… もしかして、コイツ―今、死んでる奴― は、世界の中心になりうる男かもしれないな。 そんなことを考えながら、去って行く。
236 :
旅景色 :03/08/30 02:28 ID:lq+7up64
場に一人取り残された男、「狂人」いがらしみきお。 「うふふふふ…虎歩、か…瞬間移動の類かな?やられたよ。でも…」 次は、やらせはしない…… 古代の趣を残す島に、一人の狂人の咆哮が響き渡った――
(‘-‘).。oO(どうもいがらしみきおって動物キャラしか想像できないな。まあ久々だし乙)
238 :
旅景色 :03/08/30 02:37 ID:lq+7up64
>>237 なんか、シンクのイメージが強いっす。
やりようによってはほのぼのもこなせるか…つーか、本当はそっちのほうが普通。
なんか、久々に書いたら全く文章が違う罠。
岩瀬「うわあああああああ、あ?」 モニターをもう一度見て、岩瀬は困惑する。 長谷川「どうだ?嘘をつかれた感想は?」 岩瀬「長谷川!」 これがMONSTERでさえ騙された、”心”で嘘をつく能力である。いわゆるテレパシーのような物なのだが、 それによって、相手に自分のいる場所を認知させないと言う能力を持っている。 岩瀬「………さすがに……、年期が違うんだ…。」 岩瀬はそう言って、苦笑する。 岩瀬「それなら……こちらも全力で相手する!」 そう言って、岩瀬のガンダムが少しずつ変化を始める。 長谷川「フリーダムガンダムか……。」 長谷川はそう言って、どこからともなくマントを取り出してX-3にかぶせる。 対ビーム用装備のABC(アンチ・ビーム・コーティング)マントである。 両腕には耐ビーム用のIフィールドが設置されているが冷却時間の方が使用時間より短いという欠陥品である。 右手には、X-3専用のビームサーベル『ムラマサ・ブラスター』。 剣状の装置に14個のビーム発生器をつけ、さらにビームライフルまで積んだビームサーベルである。 左手には、ブランド・マーカー。 本来ならX-3には装備されていないが、この戦いに必要な物と思い、無理矢理つけてきたのである。 基本的にビームシールドであるが、ビームを前方に射出することで、サーベルの代りにもなる万能武器である。 それらを一同に構え、長谷川は岩瀬に対して向き合った。 岩瀬は考えていた。 岩瀬のフリーダムガンダムは、背中のビーム砲と、腰のレールガンをそれぞれ2門ずつ持っており、火力の面ではX-3を遙かに上回っている。 PS装甲はあらゆる実体攻撃を無効化するが、ビーム兵器主体のX-3にはあまり意味がない。 そして、機動力では……。流石にあちら側に利がある。 岩瀬「火力で勝負だ!」 岩瀬はそう言って、背中のビーム砲をXー3へと向けた。
240 :
旅景色 :03/08/30 14:55 ID:4FcvON3x
しかし、凄いインフレ起きてるなあ…これ、苦労するんじゃない?調整に。
戸田ならワンパン全滅ですよw
別に調整が必要なほどでもないだろ いがらしのほうがよっぽど(ry
巨大化もんがーが倒してくれるさ(嘘
>>242 確かに。
>>241 ハイブリット×1000、か…スクだから許される力技だw
実際、同人作家軍団はこれでいいよな。
板垣「浜岡ァッッッ!」 超高速。ジャブより速いカカトが浜岡を襲う。 浜岡「りゃい!」 右掌で受け、流し、勢いを借りて回し蹴り。 綻ッ! 浜岡の蹴り足に寸剄。 浜岡「キンポッ!」 寸剄の勢いすら吸収し、逆回転の後ろ回し蹴り。 施川「これが・・・これがあの『表紙の三人』どうしの戦い・・・」 格闘技術に関しては最高峰の板垣に、浜岡は中国拳法で、 いや、香港映画じこみの功夫で互角に渡り合っている。 浜岡「リャン、ウー、ミャオ、キンポー!」 ・・・声だけだと全く緊迫感が無いが・・・ 幾合かの打ち合いの後、浜岡の貫手が板垣の喉を狙う。 板垣「見切った!」 板垣のロー、蹴り壊すのではなく、膝裏を押し込み、 浜岡の体勢を崩すためのローキック。 案の定浜岡は体勢を崩し、貫手の勢いが殺がれる。 えなり「これで貫手のダメージはほぼゼロ、板垣先生は次の一撃で決める気だっ!」 ぶ っ ! ! 浜岡の手が喉に触れた途端、板垣の顔は苦痛に歪んだ。
喉に当てた手が、小刻みに揺れている。 板垣(こいつっ!この局面でくすぐりやがった!) 苦痛の笑みだ。 森「皆さんは実戦の場でくすぐりは意味を持たないどころか、 相手を逆上させ自らを危機に追い込む役立たずだとお思いだろう。 しかし、鍛錬によって昇華されたくすぐりは、相手を一瞬で爆笑させることができる! 笑った相手は全身の筋肉が弛緩し、最大の隙を晒すこととなる! あえて断言しよう。 く す ぐ り は 最 悪 の 秘 技 と な り う る ! ! ガハァ!!!」 森はそこまで解説すると、大和田戦で痛めた肋骨を盛大に痛め、吐血して倒れた。 解説通りに全身の筋肉が弛緩し、目に涙が滲み、視界が狭まった。 視界から、浜岡が消えた。 浜岡「44かんちょおおおおお!」 ずん 決まった。時間が止まった。
何故そこで森が解説する(笑)。まあいいけど。 しかし浜岡強すぎるぞ。 板垣、確かにパワーアップしてるはずなんだけど、どうも負け時のイメージが強いんだよね。 木城に負けて、山口(貴)に負けて、ここで浜岡に負けたらヤム路まっしぐらになる気がするなあ。 たとえここで負けても、変え要員が来るという恐ろしさ。 がんばれ、板垣。
森さん(*´∀`)ハァハァ
浜岡を暴走させたの俺だが、確かにちょっと強すぎたかも…… 戸田をデコピン1発ってのは、ちょっとやりすぎだったかなと思ったり
でも最凶兵器でこいつが来たらチャンプ負け、って設定のキャラだから むしろそんくらいじゃないといけないと思うよー
動かない二人。 仁王立ちの板垣。 板垣を背後から貫いた浜岡。 沈黙。そして 大和田「なあ、えなり」 突如、問いかける。 えなり「なんですか!?」 大和田「この状況、どっちが優位だと思う?」 えなり「どう見たって・・・」 浜岡は背後をとったうえに致命的な一撃を加えている。 大和田「ふむ、愚問だったな。」 荒木「ああ、板垣の絶対的優位だ。」 板垣の背中がはじけた。鬼の顔が明らかになる。 浜岡は微動だにしない。 板垣「動けねぇかい。」 えなり「そうか・・・板垣先生は」 荒木「そう、奴の指をケツで締め上げているんだ。」 必死に腕を振る浜岡。 板垣「後がつかえてるんでな。 このまま本塁までデートと洒落込もうじゃねえか。」 板垣が笑う。背中の鬼も、笑った。 悠々と本塁へ歩む板垣が、本塁前で止まった。 サード、佐渡川準である。 板垣「日に二度は、負けられねえよなぁ・・・俺も、お前も。 前門の虎、肛門の狼ってか。」
>肛門の狼ってか 激笑w
有賀「ふふふふふ、生身の長谷川と富士原と違い、俺は不死身の吸血鬼の体。どんな敵が現れようと、負けるはずがない。」 有賀はそう言って、にやりと笑う。 ??「御前はビクトリーファイブか!」 有賀「ほお、そう言う貴様は何者だ?」 声に振り向く有賀。 ??「四霊が一人!白虎の岩村俊哉!」 有賀「ふむ、ならこちらも名乗ろう!ビクトリーファイブ!有賀ヒロシ!」 岩村「負けるのにビクトリーとは愚かなり!」 そう言って、姿を現すメカ。有賀「ほう、そのガンダムは?」 岩村「ヴィクトリーガンダム!いくぞてめー!」 有賀「吹けば消し飛ぶ、量産メカめ!BIG=Oを相手に勝てると思ったか!」 有賀がそう言って、腰から碇のような物を投げつける。 岩村「当たったらどうするんだ!」 回避しながら岩村が言う。 有賀「私は当てるつもりで投げたんだがな。」 岩村「許さないぞぉ!ザンスカールの悪ものめ!食らえビクトリー切りぃぃぃ!」 有賀「えっ……ビクトリーガンダムってそう言うなの?」 有賀がつっこんだ所で、BIG-OにVの文字が刻まれる。 ??「カメラが二つあって、アンテナがついてりゃ、マスコミが全部ガンダムにしちまうのさ。」 岩村「長谷川………。何を言っているんだ?」 長谷川「これは監督が言えと言ったんだぁ。」 岩村「……まあいいさ、こちらはさっさと決着をつけようじゃないか。」 岩村はそう言って、武装を全てX-3へ向けた。
254 :
253 :03/08/30 21:44 ID:uOvb3eYO
と最後の方は岩村ではなく岩瀬です
胸騒ぎを抑えられぬまま、切り立った崖の下で逡巡するひとりの美しい少年。 否、それは少年に擬態した「ふたつの」生命体、岡野+真倉である。 真上のどす黒いまでに赤く濁った満月が、何かを岡野たちに伝えようとしている。 岡野たちは精神を集中し、その≪メッセージ≫を解読すべく精神を同調させて瞑想に入った。 あの血の池の湖面のような月は、“御伽世界の子供たち”に何を言わんとするのか・・・。 物音がかすかに聞こえる。 だんだん大きくなってくる。 力強く走りつづける足音だ。 (岡野、誰か近づいてくるぜ) (・・・ダメだ!もう少しなんだ。もう少しで声が・・・) (チ、仕方ねえな。んじゃいっちょ俺が幽体離脱して追っ払ってくるか) (あまり離れるなよ、体と魂をつなぐ管が切れたら終わりだ) (俺様を誰だと思ってるんでえ。男の中の男、真倉翔様だぜ?) (・・・そうだったな、では頼んだぞ) 真倉はゆっくりと、肉体の“片割れ”から幽体として飛び出した。 幸い少年ではなく元の『ゴツイおっさん顔の学ラン男』に戻っていた。霊力が回復したのだ。 岡野の強大な霊力は、本来自分の「肉体」を持たない真倉・・・普段は岡野の左手に棲む・・・を、 普通の人間と遜色ない程に実体化できるのだ。酒盛りだってできるし腹も減る。 しかし質量を持たず、当然体重もない。敵にダメージを与えるためには、 接触部に霊気を流して攻撃する。真倉の得意技は・・・・男の拳。つまりはケンカである。 霊体・真倉は無重力状態でひらりと崖の上に飛び乗り、さらに近くの木に飛び乗る。 もし謎の足音が岡野を見渡せる範囲に入ったら、飛び出して一撃を食らわす予定だ。 やがて足音が止まり、ひとりの大柄な男がキョロキョロと周りを見渡す。 「クソ、海岸が近そうな気がするが崖がありやがる。橋はねえのか、橋はよお!」 怒ったような声に聞き覚えがある。それは真倉が【俺以上の男】と敬愛してはばからない――― 「ああ!オ・・・オヤジぃ!!うおお、元気だったかよー!!」 ――本宮ひろ志であった。
天地を揺るがす鋼の巨人たちの激闘。戦況は、まさに五分と五分。 ほんのわずかな流れが、戦局を大きく左右するだろう。 その中で、バルキリーを指揮する四霊のひとり、『朱雀の美樹本晴彦』は焦っていた。 美樹本「くっ!このミノフスキー濃度は何とかならんのか!!これでは有視界戦闘しかない!!」 ??「美樹本、俺が行こう。一気に戦局を塗り替えてやる」 マクロスに戻って指揮をとっていた美樹本の背後で、全身を青い鎧のような物に包んだ男が言った。 美樹本「お前か……確かに、お前の機体なら、接近戦にはうってつけだな。よし、ここは任せた」 ??「分かった、行くぞ!!」 熱く燃える声を張り上げると、男は『生身』のまま、空中へと身を躍らせた。 その頃、バルキリーに追われて散り散りになっていた富士原は単独のまま、 ジャイアントロボで懸命に移動していた。そのとき。 ??「待 て い ッッ !!!!」 燃え滾るような気勢が轟いた。富士原だけではない。 その場の全ての者の動きが、ピタリと止まる。 全員が見上げた先に、月光を背に悠然と立つ、ひとつの影が見えた。 ??「愚かな者たちよ、貴様らに決して勝利はこない。 たとえ殺されようとも、悪に屈しない心、それがやがては勝利の風を呼ぶ。 人 そ れ を 、 凱 風 と 言 う 」 富士原「なんだと!? どこだ! この俺をゴッドハンド、 ビクトリーファイブ、富士原と知ってのセリフか!? ふざけた真似を、何者だ!」 突然、現れた男の口上に、富士原が吼えた。しかし、男は毅然と次の台詞を言い放つ。 ??「お 前 た ち に 名 乗 る 名 前 は な い !!!!!」 四霊の最後のひとり、 『環 望』 颯 爽 と 登 場!!!
×この俺をゴッドハンド ○この俺をゴッドハンド旗下
評議会・四霊のひとり『新たなる青龍』 環 望。 富士原が抜けた後、その実力を見込まれて四霊に大抜擢された男である。 数々のスーパーロボット大戦シリーズを漫画化し、その手腕には定評がある漫画家だ。 富士原「要するに、俺の後釜と言う訳か……ふざけてくれる」 吐き捨てる富士原に、環は叫ぶ。 環「勘違いするな!貴様の実力など、俺の足下に及ばん!! 『剣 狼』よ、勇気の雷鳴となれ!!」 環が伝説の剣、『剣狼』を抜きはなち、高々と空中に放り上げた! すると、一瞬のうちに、青いロボットが時空を超えて召喚される。 (ケンリュウ合身ナレーション) 光のエネルギーが頂点に達すると、剣狼は次元の壁を越えて、ケンリュウを呼び寄せるのである。 環は、ケンリュウと合身することにより、その力を数十倍に発揮することが出来るようになるのだ。 環「闇あるところ光あり、悪あるところ正義あり。天空よりの使者、ケンリュウ参上!」
『マシンロボ クロノスの大逆襲』に登場する主人公機『ケンリュウ』と環は合身した。 だが、それを見た富士原は嘲るように笑う。 富士原「ハハハッッ!なんだ、その貧弱そうなロボットは!! そんなもの、ジャイアントロボで踏みつぶしてくれる!!」 確かに、ケンリュウの全高は、富士原のGRの半分にも満たない。 地響きを立てて迫るGRに、しかし環は表情ひとつ変えずに気炎を吐く。 環「愚か者め!!俺の真髄はこれからだ!!」 富士原「なに!?」 その瞬間、ケンリュウが飛び上がり、空中で光となった。 (バイカンフー合身ナレーション) 「パァァイル・フォウゥメイションッ!」 環の意志を受け、剣狼が空中で光になる時、 時を越え、次元を越え、パイルフォーメーションは完成する。 バイカンフーは、地上すべてのエネルギーとシンクロし、 自然現象さえも変えるパワーを出すことが、可能となるのだ。 環「バァイ・カンフゥッ!!」 この瞬間、全ての邪悪をその拳で破壊する、地上最強のロボ『バイカンフー』が降臨した。
Aブロック試合会場へと続く通路。 安西と高橋留美子は未だ試合会場にたどり着けずにいた。 安西「はぁはぁ、試合会場ってこんな遠かったっけ?」 片倉「遠すぎちゃうか?いい加減おかしいで、これは」 高橋「ええ、これはもしかすると・・・」 まるで何時間も同じ道を走り続けているような・・・そんな感覚を三人は覚えていた。 いや、実際にそうなのかもしれない。 そう、ここはこの世ならざる空間、不可思議と不条理に満ちた外側の領域。 片倉「狐にでも抓まれとるんかいな」 高橋「そうね、何者かに惑わされているのかも」 安西「っくそーっ!一体どこのどいつだ」 安西が激しく苛立ちながら周りを見回すが、どこまでも続く通路以外は何も見えない。 ??(フフフ、やっと気付いたようね) 次元の壁を隔てそんな安西達を嘲笑う眼が一つ―― ??(もっとも気付いたからと言って、この『アウターゾーン』から逃れることは適わないけど) 光原伸――梅澤の特殊部隊『PSYCLOPS』の一人にして、不条理世界アウターゾーンの案内人(ストーカー) この無限の回廊を作り出した張本人。 戸土野のイマジノスボディの性能を確かめる目的もあって、 真島との戦いを妨害されないよう、邪魔者を足止めする罠を張っていたのだった。 光原(とは言うものの・・・肝心の真島は何処に行ったのかしら・・・それに車田も・・・) 一足先に来た光原は真島と車田が戦っているのを目撃していた。 だが通路に向かいアウターゾーンを展開した矢先、真島の気配が忽然と消えてしまったのだった。 光原(戸土野はもう試合会場に到着しているはず、この足止めも無意味か) 光原は目を閉じて神経を集中し、真島の居場所を探る。 真島の気配は完全に絶たれている。しかし死んでいるとは考えにくい。 ならば第三者によってどこか別の空間に隔離されたに違いない、その形跡を探る。 やがて光原が眼を開く。 光原「 そ こ か――」 呟くと光原はアウターゾーンを解除し、試合会場へと戻っていった。
その頃Aブロック試合会場、真島と車田の戦いで瓦礫と化したリングの上で―― 戸土野「おのれぇぇ〜〜〜どこに隠れた真島ァ〜〜〜〜!!」 駆けつけた戸土野正内郎が叫んでいた。 戸土野「この純然たるパクリ作家、戸土野正内郎様の新たなる力に恐れを為したか臆病者め!!」 直前まで真島の気配はあった。だが実際来てみると・・・いないのだ。 ??「そう急くな若造、見苦しいぞ」 現れたもう一人、いや一匹?が口を開く。 戸土野「ああん?なんだこの犬コロ」 ??「わしは『PSYCLOPS』の高橋よしひろだ。名前ぐらい覚えておけ」 戸土野「何だ梅澤の部下か。何しに来たんだよ」 戸土野が忠誠を誓うのはあくまで岡本倫のみ。 それに今まで培養液の中だったのだ、梅澤の部下のことなど知ったことではない。 独眼の狼、高橋よしひろは戸土野の失礼な発言にも表情を変えずに答える。 高橋(よ)「面白そうだと思ってわしも来てみたのだが・・・いささか拍子抜けだな」 ??「そうでもないわよ」 突如聞こえた女の声。 戸土野「何者だ!」 ??「『PSYCLOPS』の光原伸よ。初めましてかしら」 空間が歪みウェーブの掛かった緑の髪の女が現れた。 戸土野「この女も梅沢の部下か。お前も遊びに来たのか?」 高橋(よ)(本当は男なのだがな・・・) 光原「ま、そんなとこね。あら?米原さんは?」 光原は途中まで一緒に来たはずの米原がいないことに気付いた。 高橋(よ)「気まぐれな奴だからな、どこかに行ってしまいよったわ」 光原「あの人らしいわね。それより安西と高橋留美子がこっちに向かってきてるわ。 真島は私が探しておくから少し遊んであげたら?」 戸土野「何!?安西が!!よぉ〜し丁度いい、いずれ奴とも決着をつけようと思っていたところだ!!」 高橋(よ)「ふむ、ではわしはサンデーの女帝の力、いかほどのものか確かめてくれよう」 戸土野と高橋(よ)が意気込む中、光原はリング上をキョロキョロ見回しながら歩いていた。 そして瓦礫に隠れるように設置された、約5メートル四方の巨大な八卦図を発見する。 光原「 見 つ け た わ 」
一方、その『化血陣』の中―― 藤崎「宝 貝『 紅 珠 (こうじゅ)』!」 藤崎の手にした数珠のひとつが巨大化して九竜神火罩(きゅうりゅうしんかとう)を 縮小し閉じ込める。傍目から見た感じはパック○ンを思わせる光景だ。 藤崎「これで持ち運べるかの。しっかし、しんどかったわい。パクられるのが癪なんで、 なるべくヤツに解からないように宝貝を小出しにしとったからのう〜」 小畑「・・・藤崎君・・・」 藤崎「はい?」 小畑「健太・・・矢吹もああやって――荒んでいったのだろうか?真島のように・・・」 うつむいたまま、まるで己に問うかのようにつぶやく小畑。 無邪気な子供のようにパクった力を誇示する真島に、気づかぬうちに かつての愛弟子を重ねていたのか? 思えば真島の傍で感じた居心地の悪さも、そこに起因していたのかもしれない。 藤崎「まあ、似たようなものかもしれませぬが、矢吹はもう少し漫画界全体のことを 考えておりましたよ。もっとも、真島とは置かれた立場が違いますがの。」 小畑「そうか・・・ありがとう。」 小畑の表情がいくらか和らぐ。次に会うときはもう少し師の気持ちでやつを見よう。 と、同時に矢吹の師である自分を意識するのもずいぶんと久しぶりのように思えた。 小畑「藤崎君・・・いま俺は知りたいことが二つあるんだ。」
島に入る前以来の再会を果たした本宮と真倉。 真倉は木から飛び降り本宮のもとへ喜び勇んで駆けつける。 「真倉か!!やっぱりピンピンしてやがったな。岡野が猿渡に喰らったケガはどうした?」 「あ?オヤジ、俺たちの試合を知ってるのか?みっともねェとこ見せちまったなァ」 「ああ、一勝して≪非戦闘区域≫で試合を見たんだ。ところでオメーら、またやったな? あっちのスタッフの女たちが、キャー裏御伽のリーダー様よーって俺大歓迎だったぜ」 「ゲフン!・・・き、今日は風が強ええからな、ま、まあ仕方ねえって」 「がはは、お陰でこっちは至れり尽せり。嫌われるよりは楽でいいがな!」 快活に笑いながらバンバンと真倉の背中を叩く本宮。が、 ふと周囲を見渡す。真倉の傍にいるべきの男が見当たらないのだ。 「おう、ところで岡野はどうした?まだケガが治らねえのか」 「いや、今は崖下で座禅組んでるぜ。色々あって体がガキ化しちまったが、 あいつは岡野だ。・・・暗いけど、見えるよな?オヤジ。今『赤い月』と会話中だぜ」 「・・・真っ赤なお月さん、か。おめえらにも聞こえる訳か。 たぶん、裏御伽に属したことがある人間にしか、あの狂った月の声は聞けねえ」 本宮は天高く見上げて、赤く降り注ぐ光の波動に顔を晒す。 その表情は酷く苦々しいものであった。真倉が意外そうな顔をした。 「オヤジ、聞いていいか」 「なんだ?改まってよお」 「・・・俺たちは【裏御伽チーム】。現実世界に生きる物語世界の住人なんてのから名づけたと、 前にオヤジは言ってたよな。副将のにわのもそう言っている。まあ実際そんな感じだ。 ・・・岡野が副業で教師やってる間、俺は暇だから時々図書室で本なんか読んでんだけどよ。 いわゆるお月さんって奴に、生命が宿ってるなんて夢みてぇな思想が7世紀辺りからあったとか。 にわのの研究では、かぐや姫は月出身の異星人らしいしな。月の裏っ側に基地があるってよ。 俺たちコンビもこの手の研究はプロフェッショナルだ。だから聞きてえ」 「なんだい」
「・・・裏御伽に入ったあの日、俺たちは今日みてえな月を見た気がする。 あんたの異名は【金太郎】。鬼退治で一番有名な男・源頼光配下【坂田金時】の幼名だ。 雷をまとい、怪力であらゆる敵をぶん投げる、赤い肌をした天下無双の大男。 一説には、空から舞い降りた赤い龍が地上の女に生ませた赤ん坊だとか。 んでオヤジ・・・いや本宮さん。あんた、まさかとは思うんだが・・・」 「・・・なんでえ、もったいぶって」 「・・・あんた、地球の人間じゃないんじゃ・・・・・・い、いやまさかな。なんでもねえ、忘れてくんな」 「はぁ??」 話の飛躍についてゆけない本宮。無理もない。 「バ、バカ言いやがって!確かに俺ぁ天涯孤独の身だが、 お月さんに生んでもらった覚えはねえぜ!?いやその説は面白えけどよ。 ・・・でもま、俺たち裏御伽が月の加護を受けてるというのはきっと本当だぜ。なんとなくな。 そのお月さんがあんなにまっかっかになっちまってんだ、そんな思考になっても仕方ねえ。 今はそれより、俺は川原と岡村の試合を見に来たんだよ。だが崖が超えられねえ。 ここを超えればもうすぐ海に出るはずなんだ、あいつらは恐らくそこにいる・・・」 「あの川原の野郎がこの近くに!?クソ、あいつは俺が殴り倒すつもりなんだよ。 岡村に先を越されちまったか・・・俺も行くぜ、おい岡野!とっとと会話を終わらせろや!!」 川原が裏御伽・・・いや父と仰ぐ本宮を裏切ってチーム・タフに下った事を、真倉は深く恨んでいた。 奴がすぐそこにいると思うと、いても立ってもいられなかった。しかし本宮は首を振る。 「・・・真倉よ。俺にははっきりとした事は言えねえ。しかしな、川原は・・・ お前が思ってるような薄情な男じゃあない。俺は、そいつを確かめに来たんだ」 本宮は暑さで脱いだスーツを無意識に固く握りしめた。内ポケットには、 川原から譲られた≪信頼の証≫小さな金璽が入っているのだ・・・。
「オヤジはっ・・・オヤジはあんな奴をまだ信じてっ・・・」 真倉が反論し始めた刹那、崖の下から岡野の叫び声が聞こえた。 「真倉ーー!!月がしゃべった!!風下の海に川原と岡村がいる、殺し合いが始まっている!! 月は言うんだ・・・『殺し合う理由がなくなったのに、それでも“死合”をする鬼はただ愚かなり。 【赤竜の子供】を連れて鬼を調伏せよ、それが子供に課せられた宿命なり』と!!」 「「!!!!」」 本宮と真倉は、思わず無言で目を見つめあった。 下からはまだ岡野の声が聞こえる。どうやら真倉を呼び戻しているようだ。 動揺を押し隠す余裕もなく、真倉はとっさに本宮の腕をつかむと、 霊力を解放して一気に崖を飛び降りた。自重のない幽霊らしく、優雅に、ゆっくりと。 驚く本宮をよそに、真倉は崖下に音も立てずに降り立った。岡野が駆け寄る。 「あ、本宮先生じゃないですか!よくぞご無事で。ってゆー事は、 俺の今の声、聞いてたんですか?先生はあの赤い月の声は聞こえますか?」 「・・・おう、岡野。すっかりちまっちくなりやがって、まあ無事で何よりだがな。 話は真倉から色々聞いている。しかし・・・なんだ、その【赤龍の子供】ってのは・・・」 「ハイ、俺が思うにそれはようするに鬼退治をしろと言っている訳ですよね。 裏御伽のメンツから言ってそれは本宮先生かにわのセンセの事でしょうね。 でも竜の子というのがよくわかりませんね、何かの暗喩なのでしょうけど」 気難しく考え込む岡野。本宮は真倉の顔を見るが、真倉は横に首を振るばかりだ。 やがて大きく深呼吸をした本宮が、悩む岡野の両肩に手をかけ、笑顔で言い放った。 「なんでえ、難しく考えなさんな!とにかく俺たちがあいつらの元に行けばいいんだよ。 だが俺は・・・試合の邪魔をするつもりは毛頭ねえがな。そこまでお月さんの言う事を、 守る義理はありゃしねえ。ただ、俺はこの目で真実を確かめたい。そんだけだ。 さあ行くぜ!!真倉の今のジャンプがあれば、崖なんざひとっ飛びだろ!!」 その声と共に、真倉は岡野と本宮の手首を握って崖の向こう岸に跳び、やがて3人は闇に消えた。
プチ訂正 お月さんに生んでもらった→生ませてもらった かな?ちなみに金太郎伝説は実際にある逸話だよん。 かぐや姫は諸説ありますが、まこリン的には「月並みですが異星人」ニャリ
そして顔をあげ藤崎に向かって小畑は続ける。 小畑「ひとつは矢吹のことだ。 俺は今の集英社を牛耳るようになってからの矢吹をあまりよく知らない。 キユドライブで本来の肉体を失った俺は、サイボーグの体を与えられた。 が、初期型のサイボーグのため安定性が悪く、それから今日までのうち 半分は眠っていた。漫画を書いた時期も有ったが、そのときもヤツと 顔をあわせることはほとんど無かった・・・。 契約の監視者となった今も、やつの傍にいるのはほったであり、俺じゃない。 俺の知る矢吹健太朗はいつから、どうやって今の矢吹になったのか――」 藤崎「・・・」 小畑「もうひとつは藤崎君、君のことだ。 君は時の権力者に反旗を翻した。盗用された自分の技術から我々を解放するために。 だが、それだけだろうか?別に面識の薄い我々を見捨てたっておかしくない。 なのに君がそれをしないのは他に理由があるからじゃないのか?」 藤崎は暫く考え込むようなそぶりを見せたが、やがて口を開いた 藤崎「ふむ・・・理由と言うほどのものでもありませぬが、敢えて言えば・・・ そう、人としてのけじめと、漫画家としての野心――といったところですかの」 小畑「けじめと野心・・・か。良かったら話してくれないかな? 一緒に計画を進められるかどうか・・・それで見極めたい。」 藤崎「(矢吹のことを今伝えて良いものか?師から見た矢吹と元部下から見た矢吹は違う。 小畑先生はそれを受け入れられるのか・・・?いや、いずれ解かることだ――) ・・・そうですな。ただ、それであらば、もう少しふさわしいところに移動しましょう。 一度この軍艦を出ます。」 藤崎は不安を胸の奥で押し殺した。
猛火力でX-3を攻撃する岩瀬。 しかし、ビームシールドを構え、弾丸のように突進するX-3に対しては、焼け石に水であった。 岩瀬「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!お・ち・ろぉぉぉぉぉ!」 長谷川「た・ま・るかぁぁぁぁぁ!」 二つの機体が、ぶつかりあい、そして一機が倒れ込む。 岩瀬「結局…俺は、原作をそのまま書くだけの…漫画家に過ぎなかったのかよ。」 長谷川「それはわからないさ、俺だってアニメとタイアップのを何度か書いたことがあるさ。」 岩瀬「クロノアイズのアニメ化ぽしゃったくせに。」 長谷川「良いところは、なかなか見つからないの。」 二人はそう言って少し笑う。 岩瀬「もう、行くのかい?」 長谷川「ああ、待っている奴がいるからな。」 岩瀬「そうか…。いや、もし……。」 長谷川「どうした?」 岩瀬「もし、御前が…SEEDを書いていたら、どうなったかと思ってな。」 長谷川「何も変わらんさ。そう言うのは、別の奴が決めていくんだから。」 長谷川はそう言って、後ろを振り向く。 岩瀬「……いや、絶対一つだけ変わるのがある…。」 長谷川「なんだ?」 岩瀬「 お前 、 絶 対 カ ガ リ 脱 が す だ ろ 。 」 長谷川「……否定…できんな。」 苦笑しつつ、頭部だけフリーダムガンダムに見せる長谷川。 岩瀬「お前らしいな。でも、そこが良いんだけどな。もし、あの反逆馬鹿に会うことがあったら言ってくれ。 どんなことがあっても、評議会と協力するなてな。俺みたいになるからさ。」 長谷川「……わかった、伝えておく。」 長谷川はそう言って、背中のエンジンを吹いた。 岩瀬「お願いします…」 岩瀬はそう言って、静かに目を閉じた。 長谷川裕一→勝利! 岩瀬昌嗣→デッドリスト行き
うお、岩瀬もう死んだか。種割れとかやろうと思ってたが……まあいいか。乙
270 :
やきう :03/08/31 20:25 ID:QC/Qmark
佐渡川「ふふふ、確かにねえ!ならこちらも全力で相手するよ!」 板垣「それじゃ行くぜ。」 板垣が構えを取った瞬間、またしても浜岡の姿が変わった。 浜岡「夏休みは後約4時間だ!」 そう言って、浜岡が全力で立ち上がろうとする。 板垣「 ガ キ は お ね ん ね の 時 間 だ ぜ 。 」 板垣がそう言って、浜岡を蹴る。 浜岡「夏休み、夏休み。」 その衝撃で浜岡は板垣から離れ、浜岡は何やら観客席の方へ走っていく。 浜岡「うぉぉぉぉぉお!」 観客席で傍若無人に暴れまくる浜岡。 観客A「キャー。」B「こっち来るなぁ。」 浜岡「そんなこと言ってると、カンチョーしちゃうぞー。」 明るい声でひどいことを言う浜岡。 浜岡「カンチョー。」 ??「そこまでにしてもらおうか。」 まさに、観客Aに対してカンチョーをしようとした浜岡を何者かが止める。 えなり・チャンピオンチーム一同「まっ、まさかお前は!」
271 :
やきう :03/08/31 21:06 ID:QC/Qmark
浜岡「邪魔をするなあ!」 浜岡のパンチをそのまま頭部で受け止める何者か。 ??「ふっ、その程度のパンチで俺を倒そうなど笑止千万。」 浜岡「なぬっ?」 ??「 ペ ガ サ ス 流 ・ 星 ・ 拳 !」 数百の拳が浜岡を襲う! 浜岡「くへぇ〜。その程度じゃ僕には効かないもんねえ。」 浜岡は立ち上がって笑う。 ??「ならばこれはどうだ。ラ イ オ ネ ッ ト ボ ン バ ー !」 浜岡「くへっ!」 水島「見た目は普通の攻撃なのに……すごい威力や!」 またしても、浜岡の姿が変わる。なにやら変に濃い顔で、政治家風の服を着た男だ。 水島「あかん!あれは最強形態や!幾ら奴でも………。」 ??「最強形態か………ならば最強の技で対応するまでだ。」 見 る が 良 い …… 星 々 の 砕 け る 様 を …… ギ ャ ラ ク シ ア ン ・ エ ク ス プ ロ ー ジ ョ ン ! 浜岡「くぎゃぁぁぁぁぁ!」 浜岡が天高く吹き飛ばされ、バリアーに触れ姿が消える。 水島「あれがジャンプ五聖人・車田正美!浜岡の最強形態を一撃で倒すとはなんちゅう奴や!」 車田「ふっ、待たせたな。」 えなり「車田先生!無事だったんですか!」 車田「ああ、メンバーの方はそろってるようだが、辛い奴がいたらすぐ変わってやるさ、つもる話があるからな。」 荒木「つもる話?」車田「ああ。まず何から話すべきか……。」
同人軍艦の甲板を外壁からよじ登った“なりそこないたち”が蹂躙する。 高橋留美子は甲板に降り立つと、 自らの召喚した“なりそこない”──人魚の肉を喰らった不老不死の化け物── 以外には誰もいないことを見て拍子抜けした。 多少は迎撃が来るものと予測していたのだが。 高橋「誰もいないわけ?全員脱出する暇があったわけないけれど…」 高橋は呟く。 面白くもない。 艦内に潜んでいる人間がいるなら引きずり出すことも出来るだろうが、 それまでの過程が全くの無抵抗というのでは興が削がれるというものである。 高橋「…ちっ、」 高橋が舌打ちした、そのとき。 こちらに向かって銃声が響いた。 高橋の周囲には秘石『四魂』によって張られた結界がある。 それゆえ、弾丸は高橋まで届きはしなかったが、 弾丸が逸れるときの風圧が高橋の頬を掠める。 高橋「くっ…!!」 高橋留美子は風の当たった頬を拭い、弾丸の飛んできた方向を振り向く。 僅かに見える人影はすぐにその姿を隠した。 傷ついたわけではなかったが、怒りに顔を歪ませてその影を追う。 物陰になっていて見つけ辛かったが、そこには船内に入る入り口があった。 大きさから見て、非常口のようなものだろう。 高橋は躊躇わずに中へ入り、僅かに見える人影を追って行く。 敵は意外と素早い。 だが見失うほどでもない。 不意打ちされたことで頭に来たが、思ったよりは楽しめそうな予感がする。 抵抗する相手をどうやって潰してやろうか…そんなことを考えながら追っていくうちに、 高橋は広間のような部屋に行き着いた。 50メートル四方はあるかと思える、それなりに広い空間。 相手はそれ以上逃げる気はなかったのだろう。 部屋の置くからこちらを見据えている。 高橋「追い詰めたわよ…」
高橋は相手──頭の両脇で髪を結んだ童顔の少女──に向かって言ってやる。 銃を構えていることはわかるが、それがこちらに通用しないことは立証済みだ。 相手が多少弾丸の威力を挙げたとしても、 高橋留美子の結界の源──秘石『四魂』──はさらに出力を上げることが出来る。 問題はないはずだった。 高橋「梃子摺らせてくれたわね。でも…これで終わりよ…どんな死に方が望ましいかしら。」 冷酷に言ってやる。 ??「残念ながら、あなたの思っているようにはいかないですよ。」 高橋「なに?」 ??「あんたは俺達の罠にはまったんだっていうことさ。」 後の声は高橋の脇から聞こえてきたものだった。 広間で待ち伏せていたのだろう。 しょうじょと、同じく銃を持つ少年が高橋に向かって言った。 ??「降伏したほうがいいぜ。 あんたはここまでおびき出されたんだ。」 高橋「たかだか一人増えたぐらいでなんだって言うのよ。」 高橋はせせら笑いながら言い放つ。 これは喜劇に過ぎない。 秘石を持つ私に対して、一人ぐらい敵が増えたところでどうだというのか。 もともと持つ力に加えて装備ですら及ばない相手にどんなことが出来るというのか。 ??「残念だけれど、結界の力はここでは使えません。 ここは一般の部屋の中では軍艦の中枢に最も近い場所です。 当然、同人軍艦の力の影響を免れません──。」 高橋「なんだと?」 高橋は少女の言葉に対して、自分を覆う結界を見た。 薄く高橋を覆っていることはそのままだが、その力を強化することが出来ない。 当然、攻撃を完全に防ぐ程ではないだろう。 高橋「──!」 ??「完全ではないとしても、赤の秘石と青の秘石は機能している。 高橋先生、あんたの秘石の力はここでは相殺される──。」
高橋「舐めるなっ!」 高橋留美子は言い放つ。 ??「降伏しないなら、痛い目を見てもらいますよ──」 高橋が激昂の叫びを上げたことに対し、少女も銃を構え、高橋に向けて放つ。 高橋「飛竜昇天破!!」 だが、弾丸を少女が撃ち込むまでに高橋は“気”による竜巻を作り出していた。 目的は弾丸を逸らすことと同時に、天井ごと破壊すること。 所詮地を這う相手ならば、上空から雷撃で焼き尽くしてやる── どうせ人魚の肉によって不死身と化している身体である。 もう一人の少年から弾丸を喰らう可能性には構わず、高橋は自らの飛竜昇天破に力を込めた。 本気を出して打ち込んだのだ。 その目的はたやすく成功するはずだった──が、高い位置にある天井は その爆風にも関わらず、傷をつけることが出来なかった。 高橋「どういう…こと?」 ??「同人軍艦内の区画は改装され、見た目では普通の素材で作られたように出来ている。 でも、本来はこの船は別の目的に使われていたらしくてね。 その基本構造と装甲はオリハルコンによって作られている。 いくらあんたが強かったとしてもぶち破ることは出来ないぜ。」 警戒を解かない構えを見せながら少年が答えた。 高橋「だから誘い出したってこと?だとしたら、ずいぶんと浅はかね…、 私の力は結界や電撃だけではないわよ。」 ??「そうかも知れない。でも、現にあんたは俺達の仕掛けにはまってる。 のこのこ、軍艦内の中枢近くの広間までやってきた。 ここにどんな仕掛けがあるのかすら確かめもせずに、 あんたは今、罠のど真ん中に立っている。 限られた範囲では空を飛べることすら大した意味を持たない。 あんたはいま俺達の作った鳥篭の中にいるんだ。 あんたに俺達を倒せるというのならやってみろよ。 俺達は何度でもあんたの攻撃を出し抜くぞ。」 ??「名前を言うのを忘れていました。あたしたちは<ブレードチルドレン> 城平京、水野英多。ガンガンでも指折りの銃使いにして、 戦術の立案と遂行を司る者です。」
少女──水野英多──が銃を構えながら名乗り、先に答えた少年、城平京が 距離を取って自らの銃を抜く。 高橋は二人への警戒を崩さずに二人に向けて“気”を練った。 高橋「やってくれるじゃない…私を倒せると思うなら、試してみなさいよ! あなた達のプライドごと、そのちっぽけな命を消し潰してあげるわ!!」 高橋留美子の『四魂』の力を借りた禍々しい邪気が圧力として噴出する。 ガンガンのブレードチルドレンこと城平京、水野英多と、高橋留美子の戦闘が始まった。 **** 零寒(ゼロサム)艦上の漫画家たちが転移によって同人軍艦エニッ糞甲板に降り立ったのは、 高橋留美子が船内に侵入した直後だった。 高橋の召喚した人魚の肉を喰らった不死身の化け物──なりそこない── でいっぱいになった甲板上で高河ゆんは口を開く。 高河「高橋先生が居ないわね…もう敵を見つけて動いているのかしら。 なんにせよ、もともとこれは私達の仕事なわけだから、 高橋先生だけに任せるわけにもいかないよね。私たちも行くわよ。」 峰倉「っかし、誰もいねえみてーだぜ。まさかもぬけのからってんじゃねえだろーな。」 黒乃「その可能性は考えにくいな…それほどの余裕はなかったはずだ。」 呑気に呟く大柄の女、峰倉かずやに対し、侍の衣装を着た女、 黒乃奈々絵がそれを制した。 峰倉「わかってるよ、そんなこと。」 絶対に言い返すためだけに言い返した、という口調で峰倉が黒乃に返す。 黒乃は溜め息をついたが、それ以上はなにも言わなかった。 話のまとめと言わんばかりに高河が話を続ける。 高河「まあ、理屈はそのうちわかるでしょう。 この広い軍艦で固まって動いても仕方がないから行動はまかせるけど、 非常事態があったら、零寒から連絡が入るだろうから後はそれに従って動いてね。 じゃあ、また会いましょう。」 軽くゼスチャーを交わした後、それぞれはそれぞれの役割に従って動く。 その途中、黒乃奈々絵は甲板上の微妙な変化に気付いて疑問を口にした。
それは、自然に起きたと判断するには少し不自然な環境にも思える。 黒乃「少し霧が出てきたか…?」 **** 同人軍艦の甲板上には誰にでもわかりそうなメインの入り口がある。 そこから中に入り込もうと、“なりそこない”達は入り口を突き破り、艦内に殺到しようとしていた。 軍艦内で比べれば割と広い通路の中を、“なりそこない”達は 暴力的な本能それのみに従って進んでいく。 だから、彼らにとっては通路の中心に佇む一人の人間のことなど、 ただの破壊本能を発言させるための対象に過ぎなかった。 “なりそこない”達は通路に居るその人物に向かって殺到する。 ひとつ。 その人物は白衣を着込んでいた── そしてもうひとつ。 その人物は白衣の下にさらに分厚い冷却用のコートを着込んでいた── その理由は信じられないほどの膨大な機械を持つ彼女が、 その機械を冷却するために必要な措置だったためでもある── メインの通路ではなだれ込んできた“なりそこない”達に対し、 通路の中心に居た女──大清水さち──は自らの手に持つ杖を“なりそこない”達に向けた。 大清水「きましたわね…ですがここは私の空間…オラトリオを食らってもらうわよ。」 大清水が薄く笑うとその手に持つ杖の光源から光が発せられる。 光は大清水さちに向かう“なりそこない”達を包んで輝きを増した。 大清水「──オラトリオ(聖譚曲)と名付けたその技の意味を知るが良い──」 大清水と大清水の周りの通路に張り巡らされた機械が明滅する。 そして、大清水は自らの技の力を発動させるために、その条件となる歌を口ずさむ。 その歌唱とともに彼女が用意した機構が発動していき、 それはその術の中心に居る“なりそこない”達に収束していく。 大清水「O cruor sanguinis (おお、流血の惨事よ) O cruor sanguinis qui in alto sonuisti,
(おお、流血の惨事よ いと高きところにて響き渡り送られぬ。) con omnia elementa se implicuerunt (全ての元素がともに集いぬ、) in lamentabilem vocem cum tremore, (大いなる戦きと悲嘆とのうちに。) quia sanguis Creatoris sui illa tetigit, (我らが造り主の血が触れたるが故に。) ungue nos de languoribus nostris. (我らが病みたるところを清めたまえ。)!!」 歌唱が終わったとき──、 少なくとも彼女の周りで動きを見せる“なりそこない”は居なかった。それらはもう微動だにしない。 大清水は杖をしまうと細雪(ささめゆき)と呼ばれる剣を取り出し、一匹ずつ両断していく。 大清水「電脳空間に送り込み、精神の防御壁をはずした上で空間破壊(ネットクラッシュ)を かけた──単純な思考回路しか持たないものなど、私の敵にはなりませんわ──」 言いながら、大清水は通路に侵入してきた最後の“なりそこない”に手をかける。 バ シ ャ ン ! ! 水が跳ねるような音と共に首と同を切断された“なりそこない”が床に倒れる。 大清水「さて──、通路に侵入してきた敵はこれだけか──」 大清水が言いかけたとき、その眼前──10数メートルは離れていたが──には 一人の女がいた。 大清水「貴女は──」 大清水の前に立つ女、高河ゆんは大清水に語りかける。 高河「見事な手並みね。でもおかしいわ、 あなたはこんな戦法を簡単に決断できる人間ではなかったように思うけれど。」 既に血溜りとなった通路を見回しながら言う。 大清水「そんなこと、そもそもこれを仕掛けてきた貴女達にいわれる筋合いではないわ。 そもそもエニックスを支配しなければいけない私が、 この程度のことに躊躇しなければいけない理由のほうがわからないわ──」 大清水は高河の問いに言い返した。
水島「あちゃ〜〜……見事にすっ飛んだのを……」 闘場のバリアーに触れ、浜岡は一筋の流星となって船外に消えていった。 ボールを掘り出す手を思わず止め、水島が感心したように呟く。 水島「あれが車田か……話には聞いとったけど、オモロイ男やのう。 いくら夏休みパワーが尽きかけたとはいえ、あの浜岡を一撃とは。 最初っから、あの男がいたらさらに苦しい闘いになるところやったわ」 松島「え……あれって『最凶形態』とか言うヤツじゃねえの?」 水島の独り言を耳聡くとらえた松島が、怪訝そうに訊いた。 水島「アホ! いかに車田が強いからと言って、 あの程度でやられるような奴に、ワシらが苦労するワケないやろ!」 松島「それって、どういう……」 好奇心剥き出しで聞いてくる松島に、水島が説明を始める。 水島「昔、アイツは何をトチ狂ったか、秋田書店に単身ケンカを売ったんや」 さらりと言った一言に、松島が仰天する。 松島「え!?」 水島「あの事件のとき、お前はいなかったからの。 当時のアイツが何を考えて、あんな事しでかしたのか、今でもワシには分からん。 生来の悪ふざけが止まらなくなる病気がエスカレートした結果やったのか、 それとも、誰かに唆されたのか、そこんところは分からん。 アイツはパワーは物凄いが、底抜けのアホやったからの。容易く、他人に踊らさよる。 ともかく、奴は秋田書店内部で暴走した。そらもう、ドエライ騒ぎやったで。 週刊・月刊問わず、全てのチャンピオンの作家が、奴の暴走を止めるべく立ち向かった。 あの時の奴の『最凶形態』の強さとムチャクチャさは、想像を絶しとった。 ワシや・当時まだチャンピオンにいた山口貴由・鈴木・佐渡川・TWO突風・そして板垣。 それこそ、名うての漫画家が総出で奴と闘ったが、 奴はその全員を向こうに回して、なおワシらを圧倒しおった。 犠牲者もそれこそ、山のように出てのう。 月刊の看板やった高橋ヒロシなんぞ、その時のケガが元で、まだ病院で唸っとるわ。 最後は、ワシと板垣の2人がかりで、何とか奴を封印できんやが……」
高河「まあ、どうでもいいわ。 ちょっと疑問に思っただけよ。わかる必要がなくても疑問に思うことがある。 その程度の認識で構わないわ。 殺しあうのに、相手の気持ちを理解するなんて偽善だと思うからね──」 高河ゆんは大清水に言って、殺気を向けた。 同時にその背中から漆黒の翼が生える。 高河「地球人(アーシアン)の科学力、見せてもらうわよ。 簡単にくたばるなんて許さないからね──」 大清水「──フン」 大清水は手にした細雪(ささめゆき)を構える。 同時に通路に配置した器機が大清水に応えて明滅を開始した──。 **** “なりそこない”達の中には戦艦内部への通路を見つけた者も居れば、 やはり凶暴という衝動に頼っているだけの存在なのだろう、 戦うべき相手を見つけられずに、甲板を徘徊するだけの“なりそこない”も多数あった。 しかしそれらは弱い漫画家なら単独で殺せるほどの危険さを秘めている厄介な存在でもある。 彼らは不老不死である上に不死身である。簡単な傷などダメージにもならない。 殺すには、首を刎ねるぐらいしか方法がない。 戦力が多少分散したといっても、その存在は依然、脅威のままだった。 同人軍艦の周りを霧が覆う。 そこに蠢く“なりそこない”達は不気味な形としてその影を白い霧を残した。 ──と、その甲板に一人の男が降り立つ。 それを最初に見つけたのは“なりそこない”の数匹だった。 もしも、普通の人間が見たら、そいつが軍艦の外側からやってきたことに疑問を感じただろう。 だが、高橋留美子の召喚した“なりそこない”にはそれほどの知恵はなかった。 そして、数匹の“なりそこない”が単純にその──顔色の悪い──男を 破壊衝動の捌け口と判断して襲い掛かってくるまでに 大して時間はかからなかった。
初めの数匹に触発され、他の“なりそこない”達も男が居る方向に向かう。 このままでは何十という“なりそこない”達によって男が血祭りに上げられるのも、 おかしくなかったかも知れない。 だが、そうなる前にその男は、初めに襲い掛かってきた数匹の“なりそこない”に 向かって鞭のような光を当てた。 ??「マテリアル・パズル…」 そして男──<アダラパタ>のモードの土塚理弘──は自らの魔法の名前を高らかに叫んだ。 土塚「極楽連鞭!!」 すると──、その光に当たった“なりそこない”たちの目つきの様子が変わり、 近くのほかの“なりそこない”たちに襲い掛かっていく。 なにも知らない“なりそこない”達は襲撃されたことに対し、その攻撃本能で操られた “なりそこない”に対し反撃をする。 “なりそこない”達はもともと個人を識別できるような存在ではない。 だからその仲間割れは収束することなく広がり、操った“なりそこない”が死んだ後も 戦いは終わることなく、甲板にいる“なりそこない”を全て巻き込んだ混戦へと発展していった。 <アダラパタ>モードの土塚は解説しながら叫ぶ。 土塚「ケキャキャキャきゃきゃキャきゃケケけ!! マテリアルパズル・極楽連鞭!! これは知能の弱い相手を操ることが出来るマテリアルパズルでありやがります。 さあ殺し合いをしてくださいよォ!! ケキャキャキャきゃきゃキャきゃケケけ!!」 既に土塚にかまう“なりそこない”達は居ない。 放っておいても飛び掛ってくる戦闘相手は山ほど居たのだから。 土塚「そしてーーーェエ!!」 土塚は言いつつ、意識して自分のモードを変えるよう苦心する。 この頃の土塚はまだ自分の<モード>を思い通りに変えるにはかなりの集中を要した。 そして、多少の時間をかけて、土塚はモードを変化させる。 変化した土塚は右手と右腕のそこらじゅうに空洞が開いていた。 それは土塚の漫画に登場する<アビャク>というキャラクターだった。 <アビャク>モードの土塚が叫ぶ。 土塚「マテリアルパズル!!ブルーリングス!!水を体内に取り込んで変換し、我が力とする魔法! 四方を水で囲まれた海上ではブルーリングスは最大の力を発揮する!!」
Aブロックで光原が『化血陣』の入り口を発見したころ、矢吹にも動きがあった――。 職員「矢吹様、ご報告いたします。 先ほどAブロックにて真島様と車田が戦闘後行方不明に。 その15分ほど後、Dブロックに車田が出現しました。」 矢吹「何!?・・・真島と行動していた小畑はどうした?」 職員「同じく行方不明です。」 矢吹「ほったはどうしている!?」 職員「は・・・Cブロックで審判の任務中ですが・・・」 矢吹「そうか・・・(ほったが無事ならば、師・・・小畑も無事か。しかし何者が・・・?) ・・・Aブロックの様子をスクリーンへ!」 幾分落ち着きを取り戻し指示を出す矢吹。 矢吹・真島同盟の存在は知られているが、 『帰書文』の秘密は当事者以外には知らされていない。 己の手の内をさらすことになるからだ。 反応の遅い職員に矢吹は内心苛立ちを感じていた。 職員「それが・・・戦闘の影響で監視装置が破壊され、映像も音声も途絶えています。 今稼動しているのは生体反応のみです。」 矢吹「な・・・なぜ今まで報告しなかった!? (今の小畑は宝貝・・・生体反応は無い。Aブロックか!?それとも・・・)」 職員「も、申し訳ありませんでした!!」 瀬口「・・・俺が見てこようか?」 矢吹「いや、それには及ばん。君らが動くほどのことではないよ。は・・・」 瀬口「・・・あぁっ!?」
Dブロックを写すスクリーンに、車田に飛ばされる最強形態の浜岡が映し出される。 ソレはそのままバリアーに触れ、カメラから消えた。 矢吹「車田め・・・またしても」 瀬口「・・・ホントに見に行けなくなってしまったな。すまない、ヤツを回収してくる。」 矢吹「あぁ、気にするな。気をつけて行ってきたまえ。 ・・・Aブロックに偵察を派遣する。誰でも良い。ここへ呼んで来い」 職員「は、早速手配いたします!!」 去っていく瀬口を横目に見ながら、職員に指示を出す矢吹。 対応遅延の追求がうやむやになり安堵する職員 そして5分後―― ??「おらに御用だか〜?いんや、嬉しいっぺよ〜〜」 その男、『やまもとかずや』を前に『誰でも良い』と言ったことを矢吹は後悔していた。
土塚が初めに海上から甲板に上がったのはこのブルーリングスの力だった。 土塚は霧と海の水分を体中に開いた吸い口から体内に吸収し、 水を吸った土塚はその体積を十何倍にも増やす。 土塚「マテリアルパズル!!青精魔陰包──」 膨れ上がった土塚がマテリアルパズル・ブルーリングスでの最大の技を開放しようとしたそのとき。 ??「まったく、役に立たないやつらだな…」 鈍い音と共に、同士討ちを続ける“なりそこない”達の数匹が消し飛んだ。 土塚「!?」 土塚の前に出てきたのは一人の女だった。 ??「せっかく妖怪面してやがるんだから、ちったあ役に立てって、お前もそう思うだろぉ?」 峰倉かずやが土塚に向かって話しかけた。 土塚「テメーは、ゼロサムの作家かよ。」 土塚が憎々しげに言う。 峰倉「まあ、そうだな。 なんだ、いくらなんでもガンガンの連中が誰も表に出て来ねぇってのは おかしいと思ったのさ。(俺が思ったわけじゃないけどな。) まあここに居て正解だったというわけだ。」 峰倉は続けた。 峰倉「貴様、何かしようとしていていたみたいだな。待っててやるからさっさと何か技を出せよ。 いくらなんでもやりかけのままで俺に勝てるとは思っていないよな?」 土塚「いいのか?ここは海の上に囲まれている。 俺の水を操る<アビャク>状態の俺にとって絶好の場所なんだぜ!!」 土塚がアビャクの性格そのままに峰倉に対して言い放つ。 峰倉はその言葉を受け取ると、土塚に対して告げた。 峰倉「そうはいうけどな。たまには本気を出さないとフラストレーションが溜まるわけだ。 この 最 強 腐 女 子 、峰 倉 か ず や の力をな。」 ****
水島が一気に話し終えると、松島はボールを掘り出すのも忘れて、呆然と立ち尽くした。 あまりにも信じられない話だったからだろう。 なにしろ、あの時チャンピオン作家達を指揮し、自らも最前線で闘った水島でさえ、 あの時の『あれ』は実は夢だったのでは、途方もない悪夢だったのではと思う程だ。 水島「断言しよう、奴は100%生きとる。ここから落として殺せるくらいやったら、 とうの昔にやっとるわ。奴は、いずれ必ずまた、ワシらの前に現れる。 しかも、その時は、奴が味方やという保証は、どこにもない」 松島「そんな……」 冷や汗を滝のように流しながら、松島が声を震わせる。 水島「脅しやないで。完璧な状態の『最凶形態』と互角に闘える奴はこの世におらん。 勘違いするんやないぞ。車田が勝てたのは、たまたま運が良かっただけやと言う事をな」 そこまで言った時、水島の背後で土を踏み締める音がした。 板垣「何をペラペラくっちゃべってんだい。闘いの真っ最中だってのによお……」 鉄の皮膚を鬼の笑顔に歪め、格闘の魔人がそこに立っていた。 水島「とうとう本塁まで来よったか……佐渡川はどないした?」 背中を見せたまま、水島が立ち上がる。 板垣「俺のすぐ後ろにいるぜ。せっかく盛り上がってたのに、とんだ茶番になっちまったからな。 ただ一人一人とやるだけじゃ、面白くねえ……」 夜叉そのものと化した佐渡川の殺気を微風のように受け流しながら、 空間そのものを陽炎のように歪めるほどの殺気を、水島に叩きつける板垣。 水島「その筋肉、その技量、そして、その無限の闘争本能……つくづく『鬼』やの、板垣」 振り返ったときには、水島の手にはバットが握られていた。 口にくわえた葉っぱが天を衝くように伸びる。 水島「……ええわ。その『鬼』……ワシが止めてやるわい!!」 佐渡川「今度こそ、容赦しないよ!!」 板垣「クックック……そうだ、それでいい。闘いこそ、至上のコミュニケーションだ」 本塁間近。今、一点を賭け、三匹の怪物たちの喰い合いが始まった。
荒川弘は軍艦内でざっと作戦を確認する。 同人軍艦内に侵入するための通路は3箇所。 一箇所はメインの入り口で大清水先生が食い止めると言っていた。 一箇所は広間へと通じる非常口で、城平先生と、水野先生が敵を誘い出すために利用する。 一箇所は私がいる場所。海側から土塚先生が仕掛けるからそれより多少時間を遅らせて、 ここから私が攻撃を仕掛ける。 少しでも人数が絡んでくる戦いで注意しなければいけないのは、混乱を防ぐことだ。 それぞれ味方がどうなったのか、敵の状況はどうなのか、把握して構想しなければならない。 そして、戦法を一度決めたなら、それを変えることは困難になる。 作戦の遂行に於いてその指令にさえ信用が置けないとしたら、 何を信頼して敵に向かえるというのだろう。 荒川は打ち合わせをした手順を反芻し、そしてこの作戦が効果的であると認めた。 荒川「でも、どんな作戦を立てても、どんなに偶然が味方したとしても、 ままならないことってあるのよね…」 諦めたように溜め息をつく荒川の前に、近づいてくる女は言ってきた。 ??「荒川弘…貴様がいたか…」 荒川はその影──彼女──の名前を口にする。 荒川「黒乃奈々絵…先生、ね…」 黒乃「ここにいるのは私とお前だけのようだな…まあいい。お前から私の刀の錆にする。」 荒川の返事を聞いたのか聞かないのか、黒乃は刀を抜き、自分の伝えたいことだけを伝えて来た。 荒川「錆、か…」 荒川は続けた。 荒川「私は…諦めは悪いのよ。」 荒川は両手を合わせ、それから壁に手を当てて、一本の槍を錬成する。 まだ邪魔の出来る距離ではなかったせいで、こちらも構えを取るだけの余裕はあった。 黒乃「ふん…曲芸だな。いや、ガンガンの漫画家など、全てがそうか。」 黒乃は槍が作り出される様を観察して、感想を口にする。 荒川は黒乃に対して軽口で返した。 荒川「そう思うなら、戦闘なんて無粋なまねはして欲しくないんだけれどね。」 黒乃「人斬りが目の前の獲物を逃すわけがなかろう…」
黒乃は日本刀を構えると、殺気を収束させる。 ミシィ… 殺意だけで空間がきしむような空気の中で。 荒川は黒乃と対峙した。 呼吸と呼吸の一瞬の間隔を縫って黒乃は無音で攻撃を繰り出して来る。 **** 同人軍艦エニッ糞上空一万フィートの地点。魔空艦零寒(ゼロサム)にて。 操縦士Aと操縦士Bの見守る中… 美川べるのは目を覚ましました。 現在の状況。 同人軍艦内広間──高橋留美子と城平京、水野英多のスパイラルコンビが戦闘中。 同人軍艦内メイン通路──高河ゆんと大清水さちが戦闘開始。 同人軍艦甲板──土塚理弘と峰倉かずやが戦闘開始。 同人軍艦内通路──荒川弘と黒乃奈々絵が戦闘開始。 魔空艦零寒艦内──美川べるの目覚める。
矢吹とえなり姉のエトセトラ【中間のまとめ】 【これまでのあらすじ】 矢吹に攫われ、性奴隷にされたかに見えたえなり姉は、(第二部187) スタンド能力及び念能力(詳細は謎)があることにより、 矢吹の部下としてその能力を使うことになった。 しかし、えなり2世が矢吹を倒す決意をしたことにより、 えなり姉の反逆を恐れた矢吹は最近反逆の兆候のある エニックス漫画家と共にえなり姉を殺すことを決意する。 (第九部1 509-514) かくして同人軍艦“エニッ糞”にえなり姉は送り込まれ、 同人軍艦の人員全てを殺す役割は魔空艦零寒 (ゼロサム)に搭乗する漫画家達が引き受けることとなった。 (第十部 142-143) 対決するゼロサム漫画家とエニックス漫画家。 その勝負の行方は──? 【ゼロサム側】 高橋、高河、峰倉、黒乃、美川。 【エニックス側】 荒川、土塚、大清水、城平、水野。 (一部省略。ちなみに中編は第二部で同人軍艦にえなりたちが降り立つ前の間の話です。) 【いくつかの設定】 ・秘石『四魂』 高橋留美子専用の秘石。 高橋が秘石を使って覆う結界は『犬夜叉』の『奈落』というキャラの能力です。 ・なりそこない 高橋留美子の『人魚の傷』『人魚の森』に出てくる怪物。 性格悪いverの高橋がしばしば使ってくる大量生産な敵。 やぶきとえなり姉中編では海からぺたぺた壁をつたって甲板まで侵入しました。
エトセトラ、待ってましたぞーー!! ようやく戦いが始まって、何やら面白くなってまいりました。 気が向いたら、俺もなんか戦いを書いてみますね。
アドレナリンが溢れ出す――― しげの対曽田。決戦は始まった。 最初のコーナー。 「マジで車に勝てるとでも思ってんのかよォ―――!!? チャリでェ〜〜〜」 しげのは、得意のコーナーで一気に差を付けようとする。 しかし、差は広がるどころか、逆に縮まる―― しげのは、予想し得なかった事態に慌てる。 「あ…ありえねえ…」 「教えといてやらァ…コーナーは自転車の方が小回りが聞くんだよ!! 」 しかし、直線に入ると、一気にしげのが抜き返す。 所詮自転車、機械の力には敵わないのか… (直線では、やはり勝てねえ…どうすれば勝てる!? ) 「この対決自体が、お遊びなのさ…分かっとけ、ボケ!! 」 しげの、この時点で勝ちを確信する。 それが早計だった。 彼は、実力のある走り屋だったが、精神的に甘すぎた。 彼の敗北の理由は、ここにあった――
うわーチャリバトルまでー(*´Д`) 今日は豪華だ・・・
有賀「ノォォォォォォォォ!また負けるの?俺負けるの?」 BIG=Oは負けかけていた。 岩村「そうっす。負けるッス。」 ビクトリーガンダムの猛攻に対して、BIG=Oはもうふらふらになっていた。 岩村「このまま一気にかたをつけるッス。」 岩村の台詞と共に、盾の一部が分離して、BIG=Oの周りを囲む。 岩村「お前は電子レンジの中に入れられたダイナマイトッス。」 ビットの電源が入れられようとした瞬間である。一つの影がビクトリーガンダムを襲う。 岩村「不意打ちとはひきょーッス。姿を現すッス。」 長谷川「ビクトリーガンダムか…外伝を書いていた頃が懐かしいな。」 長谷川がそう言って、姿を現す。足が無く、指にはレーザー砲らしき穴が開いている。それは… 有賀「ジオングか?」 だが猫のような目が一対ついており、そして金色に塗られている。それがジオングとは決定的に違うことを示している。 岩村「ジオングッスか?そんな旧型MSでこの超最新型MSV2アサルトバスターガンダム……フベゴラァ!」 岩村の台詞もほどほどに、長谷川が指先からビーム砲を発射する。 岩村「Iフィールドがなかったら死んでたッス。」 盾を構えて、岩村が言う。 長谷川「悪いな、こいつはジョング。ザンスカールがジオングを参考にして作った機体だ。」 岩村「ザンスカールのメカッスか?それなら悪ッス!悪いメカッス!」 有賀「………機械に善悪はない。使う人でそれは決まるのだ。」 有賀の台詞は無視され、長谷川と岩村は対峙する。 長谷川「こちらとしても、負けるわけにはいかないのでね。」 そう言うと、ジョングの腕が分離する。 岩村「その自信が命取りッス。最後に勝つのは俺達ッス!」 岩村がそう言って、左肩につけてあったビームランチャーを発射する。 長谷川「悪いが……勝たせてもらう!有賀、少し話がある。」 長谷川は、レーザー通信で有賀に連絡を取った。
有賀「なんだ?」 長谷川「お前は吸血鬼になって弱くなった。」 開口一番、長谷川はそう言った。 有賀「なんだと!」 長谷川「お前は、今死をおそれていない。それがお前の甘さとなって、この戦いで負けを喫している。」有賀「………。」 長谷川「死なないから負けないんじゃない、生きているから勝つんだ。」有賀「……。」 長谷川「これを使え。」 長谷川は、コクピットから、”何か”をBIG=Oに投げつける。 長谷川「それをどう使うかは、お前の勝手だ。」 有賀は、包みを開ける。 そこには、青いヘルメットと青い腕があった。 有賀「これは?」 長谷川「それをどう使うかは、お前の自由だ。」 長谷川はそう言うと、V2ガンダムの方へ向かっていった。
完璧なモアイ君がいるw
霊力解放・真倉の勘は素晴らしく、既に丑三つ時を迎えている暗き島を、 障害物にかかることなくサクサクと駆け抜ける。しかし肝心の真倉はやや疲れ気味だった。 肉体を持たない彼にとって、霊力=自分の魂の力そのものである。使いすぎると倒れてしまう。 しかしそんな「些細なこと」に構う余裕もなく、真倉は岡野と本宮の先導役となって走り続ける。 やがて波の音が聴こえて来た。風の影響で海が荒れ始めたようだ。 しかしここに来て真倉の足が止まる。・・・目的地の砂浜は、今いる崖の真下にあった。 崖の高さは目算ではわからない。密集する椰子の木にも視界が阻まれている。 真倉は(霊体なのに)流れ出る汗を拭くこともなく、精神を集中し始めた。 「岡野!ちょいと力を使いすぎた。ここを飛び降りたら少し休ませろ!」 力を込めて叫ぶ真倉に、岡野は無言で頷いた。お互いの限界はよく知っている。 「クソ、川原をこの拳でブン殴れねえのが心残りだな。・・・おっしゃ!行くぜぇぇぇ!!」 真倉の全身がほのかに光を帯びる。霊力の最大解放。 本宮にはわからないが、同時に最大値の男フェロモンも発散している。 近くに女性が100人いたら100人殺到して大パニックになっただろう強大な力だ。 真倉は気合いを丹田(へそ下の気を溜めるポイント)に込めると、岡野と本宮を抱えて空を待った。 「・・・すげェな、あんだけ椰子の葉がかすったのにケガひとつ負ってねえぜ」 無事足元の砂浜に降りた本宮が感心した。真倉の霊力がバリア代わりにもなったのだ。 その真倉は大の字に転がって空を見ている。さながらケンカに負けた番長のような図だった。 同じく砂浜に足を踏み入れた岡野が、真倉に近づき彼の左手を己の“鬼の手”で握った。 一言「お疲れさん」と声をかける。真倉はヘヘッと苦笑いをし、そのまま鬼の手に吸収された。 岡野は左手に革の手袋をはめなおし、本宮の元に戻る。そして改めて目的の人物を捜した。 数瞬後、岡野は見た。 白い砂浜が大量の黒い沁みで覆われているのを。 波打ち際の沁みは綺麗に流され、それでもいくつかの影はこびりついたまま。 「岡村さん・・・川原さん・・・。いったい、彼らはどこへ・・・?」
鉄色をしたニ足歩行するスフィンクスのような外見の巨人・ジャイアントロボ。 その前に立ちふさがるのは、全身を燃えるような真紅に包んだ、 微妙に鎧武者にも似ているような気がする、巨大ロボだ。 胸に咆哮する狼の紋章を刻んだ、この機体の名は『バイカンフー』。 そのバイカンフーとジャイアントロボの激突が、今始まった! 富士原「パンチだ! ロボ!!」 GRの頭部にあるタラップのような場所にぶら下がりながら、 腕時計形の通信機に向かって富士原がロボに指示を出す。 GRは現在では常識となった、パイロットが乗り込んで戦うタイプの機体ではないのだ。 だが、そのパワーは圧倒的。巨大隕石のごとき文字通りの鉄拳が、環のバイカンフーを襲う。 環「ノロイ拳だ……そんなものが当るか!!」 大振りなGRのパンチは、環と一心同体のバイカンフーの洗練された動きに、あっさりと回避された。 まるで、ロボットの動きというより、よく鍛練された拳法家のような動きだ。 ロボのパンチを最小限の動きでかわしざま、二足歩行する鉄狼が地を蹴った。 環「天空宙心拳 旋風ゥゥッッ蹴りッッッ!!」 ゴシャアッッ!! その巨体からは考えられないような身軽さで、バイカンフーが飛び回し蹴りをGRの頭部に叩きこんだ。 中国拳法で言う、旋風脚のような、豪快な蹴りである。 富士原「クソオッ! 耐えるんだ、ロボ!!」 危うく蹴り潰されそうになりながらも、富士原が懸命にGRに指示を送り続ける。 一方、バイカンフーはその圧倒的な機動力と攻撃力、そして巧みな体術でGRを押しまくる。 環「天空真剣 『重 ね 鎌 鼬』!!!」 いつの間にか、バイカンフーの両手に2本の剣が握られていた。 その剣身を消失させるほどの斬撃が、GRの右腕を斬り落とした。 巨大な質量が地面に落ちる音と、呻くようなGRの咆哮が夜空にこだまする。 富士原「負けるな!! ロボォッッ!!!」
296 :
勝利の五人vs四霊 :03/09/01 11:50 ID:jUJp3+8C
片腕を斬り落とされたGR。その無惨な姿に、富士原は悲痛な絶叫を響かせる。 しかし、環に容赦だとか躊躇などという言葉はなかった。 評議会を正義の組織と信奉する彼にとって、それに敵対する全ての者は憎むべき『悪』なのだ。 環「闇の支配からこの世を守れとの命により、ここに、正義の鉄槌を下す!」 叫ぶと同時、バイカンフーの右掌が、赤熱するように発光した。 富士原「あれは、Gガンダムのゴッドフィンガーにも匹敵するバイカンフー最強の必殺技…… あれを喰らっちゃいけない! 避けるんだァ、ロボォォッッ!!」 必死にGRを操作しようする富士原だが、片腕を失ったGRの動きに、最早精彩はない。 環「ゴッッド ・ ハァァンドスマァァァッッシュッッッッッッッッ!!!!」 バイカンフーの持つ全エネルギーを結集した、最強の必殺技『ゴッドハンドスマッシュ』。 その強烈すぎる一撃が、GRの胸部に炸裂した。 あまりにも凄まじい右掌の衝撃に、GRの装甲がブチ抜かれていく。 大破したGRが、その巨影を地に沈みこませた。巨大な地響きが、戦場を力なく揺らした。 富士原の生死は不明だ。だが、あれ程の衝突の中、本人は生身だったのだ。 到底、無事とは思えない。 環は、そう判断すると、決め台詞を発する。 環「この四霊がひとり、環望と、このバイカンフーがある限り、悪の栄えたることなし!!」 自らの信ずる正義に、一片の疑いすら持ってない純粋で、そして熱い魂。 その燃え盛る魂の命ずるまま、環が夜空に勝ち名乗りをあげる。 しかし、まだ戦闘は終わってない。 すぐに気を引き締め直すと、環は次なる戦場に向かってバイカンフーを疾駆させた。
297 :
勝利の五人vs四霊 :03/09/01 12:22 ID:jUJp3+8C
一方、その頃。富士原の大破を知らず、長谷川は岩村のV2アサルトバスターガンダムと激突する。 だがその時、強烈な一斉射撃が、長谷川と有賀を襲った。 長谷川・有賀「なんだッ!?」 突然の攻撃に驚く2人の目に映ったのは、夥しいバルキリー部隊の精鋭たち。 しかも、その姿は先のファイター(戦闘機)形態ではなく、有視界戦闘用のバトロイド(人型)形態だ。 ガンダムに比べて簡素な、量産を大前提に作られたフォルムが特徴的だ。 とってつけたようなモノアイが長谷川と有賀を一斉にポイントし、集中掃射を行った。 美樹本「撃ちまくれいッッ!! お前ら、岩瀬の仇をとるんだッッ!!」 長谷川「くそっ!! なんて数だ!! この距離じゃミノフスキー粒子も意味がない!!」 戦場を埋め尽す、銃撃とミサイルの嵐。鋼鉄の牙どもが、長谷川と有賀の喉笛を喰い破らんとする。 なんとか攻撃をかわしつづける長谷川だが、多勢に無勢。とても反撃できる状態ではない。 美樹本が指揮するバルキリー小隊の統率は、それ自体がひとつの生命体であるがごとく、完璧だった。 必死に攻撃の雨あられの中を逃げまどう長谷川に、ひとつの影が迫る。 美樹本「長谷川ァァァァァッッ!!」 長谷川「美樹本ッッ!!」 間隙をぬって接近してきたのは、他のバルキリーに比べ、一世代新しくしたような洗練されたフォルム。 バルキリーの次世代機『YF-19』である。搭乗者は、美樹本その人だ。 ここでこいつを落とせば、戦況は変わる! そう考えた長谷川は、美樹本を撃墜するべく、ビームを連発した。
298 :
勝利の五人vs四霊 :03/09/01 12:46 ID:jUJp3+8C
天空を裂くビームの嵐。だが、美樹本の技量は、長谷川の想像を大きく逸脱していた。 美樹本「エンジンカット! 必殺『竜鳥飛び』!!」 それはエンジンをカットして熱源を完全に消すことにより、敵のロックオンを外す、常識外れの戦法だ。 上昇気流に乗り、美樹本のYF-19は、グライダーのごとく自在に空を漂う。 長谷川の攻撃は全てが空を切り、空の彼方へと吸い込まれていった。 美樹本「岩瀬の死を無駄にはせん! 正義たる評議会に歯向う愚か者ども! 大人しく我らの支配を受け入れろ!!」 長谷川「高貴なる者の支配など!!」 激突する両雄。しかし、機体性能・技量共に、美樹本が格上だった。 死角を突かれた長谷川に、一瞬でバトロイドへの変形を終えたYF-19が猛接近する。 振りかぶられたYF−19の右手に、高圧のエネルギーが集っていた。 局所的なバリアーを拳にまとい、殴りつける……『ピンポイントバリアパンチ』である。 美樹本「待ってろ! じきにスクラップにしてやるッ!!」 長谷川「しまっ…!」 刹那、美樹本の放つ必殺の拳が、長谷川の乗るジョングのメインカメラを粉々に叩き潰した。 **** 同じ頃、洋上でも激しい死闘が行われていた。いや、それは端からでは闘いに見えたかどうか。 なぜなら、両者の動きは完全に2条の閃光と化し、 すでに目で追える領域の戦闘ではなくなっていたのだから。 安彦「いっけえええッッ、ブレン!!」 ブレードの先端から、間断なく衝撃波を繰り出す。 それを、富野のビルバインは信じられない動きでかわしていく。 富野「下!? いや、正面か!!」 安彦の猛撃をかいくぐり、富野が得意の接近戦を仕掛けてくる。 富野「南無三!!」 安彦「やらせるかよッッ!!」 必殺の『オーラ斬り』を、安彦はニュータイプ能力と卓越した技量によって捌く。 安彦「ふははははッッ、捻り潰してくれるわッッ」 富野「俺は人は殺さないッ! その怨念を殺すッッ!」 両者の意地がぶつかりあい、究極と呼べる闘いのレベルはさらにヒートアップしていった。 吉富「これがニュータイプ同士の戦闘か……凄まじいな」 ひとり『竜の船』に居残った吉富はそう呟くしかなかった。
スパロボおもろい。熱いな!!
300 :
メカ情報 最新版 :03/09/01 13:00 ID:jUJp3+8C
V5 安彦(ヤスブレン):富野と対決中。富野抹殺を決意。 長谷川(ジョング):岩瀬を倒し、岩村と戦闘。 だが、乱入してきた美樹本にメインカメラを潰される。 有賀(BIG-O):長谷川の側で闘っている。長谷川に『青いヘルメットと腕』渡された 富士原:四霊のひとり、環望に敗れ、大破。本人の生死は不明。 吉富(竜の船?):安彦と富野の戦闘を静観している。 四霊+1 富野(ビルバイン):安彦と決闘中。 美樹本(マクロス):長谷川vs岩村に、バルキリー小隊を引き連れて乱入。 長谷川のメインカメラを潰す。 岩瀬:長谷川に敗れ、死亡した。死の間際、戸田への伝言を残す。 岩村(V2アサルトバスターガンダム):長谷川と闘っていたが、美樹本に乱入される。 環(バイカンフー):圧倒的な戦闘力で、富士原を撃破。今は次なる目標を散策中。
301 :
メカ情報 最新版 :03/09/01 13:08 ID:jUJp3+8C
訂正 ×美樹本(マクロス) ○美樹本(YF-19) ちなみに『YF-19』は『マクロスプラス』って作品に登場する機体です。 個人的に、マクロスシリーズでは一番おもしろいと思う。
長谷川「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!」 ジョングはジオングを元にしている為、頭部への攻撃は致命傷になりかねない。 長谷川「まだ、まだぁ!」 長谷川は、そう言うと、ジョングのレーザーを周りにばらまいた。しかし一発も当たらない。 有賀は悩んでいた。長谷川から渡された、腕とヘルメット。 それが何を意味するのか………。 このまま逃げちまおうか。あの二人を捨てて………。 確かにこれをつければ、戦闘力は上がる。だが……不死たる吸血鬼の力は失ってしまう。 長谷川の言葉が蘇る。「今のお前は弱くなった。」 村枝さんの言葉が蘇る。「この腕は、人を守る為にある。」 ………俺は…確かに弱くなっていた。あの太陽から後ろを振り向いたその時から。 俺は……俺は……。 そして有賀は決断した。
長谷川「このままじゃ、まずい!」 長谷川はそう言って、乗り換えの機会を探す。だがバルキリーの猛攻は、とどまることを知らず、ジョングの傷も次々と増えていく。 長谷川「雨が降ってきた!」雨によって視界がとぎれ、長谷川は次の機体へ乗り換える。 美樹本「ちっ!こんな所で雨とは、ついていない!」 雨によって、ロックオンが外れ、美樹本は驚く。 美樹本「運命は奴らに味方しているのか?」 パイロット「大変です!」美樹本「どうした!何があった!」 パイロット「バトロイドの外装が、外装が溶けています!」美樹本「なに!」 有賀「トードマンの特殊武器………レインフラッシュ!」 有賀はメットとバスターをつけ、天に向かって発射したのだ。 レインフラッシュは強力な特殊な酸の雨で攻撃する、特殊武装である。 これによって、長谷川の次のメカが登場した。300メートル級のエイのような体に、女性のレリーフをつけた船である。 長谷川「バオン・リップ。推参!有賀!もう一発、頼む!」有賀「おうよ!」 そう言って、有賀が天空へ向かって、弾を発射する。 美樹本「くっ!何をする気だぁ!」 またしても雨が降るが、今度は長谷川の船の周りに重力を無視して貯まっていく。 美樹本「マクロス!主砲発射!」 マクロスから2度目の主砲が、発射されるが、水の壁に跳ね返される!美樹本「何!」 長谷川「無駄だ!どんなビーム・レーザー兵器だって曲がった水の中を進むことはできない! このバオン・リップは水中ー流体内での戦闘用に特殊進化した、半・潜水宇宙戦艦なんだ! もっとも、最初から曲がっているビームやレーザー砲は防げないけどな……。」 最後の台詞は独り言なので、誰にも聞こえない。 美樹本「くそっ!酸の海で自らを守るとは!」長谷川「守るだけじゃないさ!」 長谷川がそういうと、海の一部が跳ね上がり、マクロスへ向かう。 美樹本「マクロスに輪が?」囲んだかと思った瞬間、マクロスが突如煙を立てて落ちる。 美樹本「何!強力な酸を逆に武器にして攻撃したのか!」 長谷川「ご名答!富士原!聞こえるか?聞こえるなら返事をしろ!」
リープタイプ初登場がよりによってバオン・リップとはw
富士原「……。ロボ、お前が守ってくれたのか?」 雨によって、目から涙を流している。ジャイアントロボ。 まるで、主の安全を喜ぶがように、自らの至らなさを悲しむがように。 長谷川「富士原!聞こえるか?聞こえるなら返事をしろ!」 富士原「大丈夫だ!だけど、ロボをやられちまった!もう俺は……。」 長谷川「……。わかった、今のうちに逃げろ!」 富士原「待て!長谷川!」 長谷川「メカがなければ、この勝負に太刀打ちすることはできないぞ!」 富士原「……何かが……呼んでいる。」長谷川「はっ?」 富士原「何かが……俺を呼んでいる。」長谷川「おーい、大丈夫か?」 富士原「お前等は……評議会に封印されて?何故?」長谷川「どうした?」 富士原「わかった……お前等に力を貸そう!」長谷川「いいからさっさと……」 富士原「出でよ! 竜 虎 王 ! 」 大地が割れ響き、青色の竜の頭をつけ、白き虎の頭を腹につけた巨人が現れる。 富士原「超機人竜虎王よ、我と意志を同じくする者よ!我が意と共に動かん! すまない、ロボ。後できちんと直してやるからな。」 富士原はそう言って、天空へと飛び立った。
>304 狙ってます。(笑) 一応、竜の船はダート号ですが、彼はリープタイプのコピーですから。 V5 安彦(ヤスブレン):富野と対決中。富野抹殺を決意。 長谷川(バオン・リップ):岩瀬を倒し、美樹本と戦闘中。 有賀(BIG-O):長谷川の側で闘っている。ROCKMAN化。 富士原(竜虎王):何とか立ち上がった。只今、戦場へ向かっている。 吉富(竜の船?=ダート・ライ・ラグン号):安彦と富野の戦闘を静観している。 四霊+1 富野(ビルバイン):安彦と決闘中。 美樹本(マクロス):長谷川vs岩村に、バルキリー小隊を引き連れて乱入。 長谷川のメインカメラを潰す。 岩瀬:長谷川に敗れ、死亡した。死の間際、戸田への伝言を残す。 岩村(V2アサルトバスターガンダム):長谷川と闘っていたが、美樹本に乱入される。 環(バイカンフー):圧倒的な戦闘力で、富士原を撃破。今は次なる目標を散策中。
ロボの描写が細かくなってからかなりイイ感じよぅ がんがれ
戸田「なあ、山口さん。『ガンマ』ってなんだ?」 岡田に気を配りながら、戸田がそっと山口に尋ねる。 山口「かつて存在した雑誌『コミックガンマ』のことだ。 当時、特集で声優を大きく取り扱ったり、色々と斬新な試みをした雑誌と聞いている。 連載作品も力作が多く、なかなか優秀な漫画雑誌だったらしいが、 もう10年以上も前に廃刊となったという話だ。 おそらく、時代を先取りしすぎたのだろう。 そして、彼はそこの看板漫画家の一人だったと伝え聞く」 戸田「へえ、そんなことがあったのかよ……知らなかったな」 山口「廃刊とは漫画家にとって恐るべき災厄……その地獄を乗り越えてきた彼は……強いぞ」 厳しい顔で忠告する山口に対し、戸田が不遜な笑みで応えた。 戸田「へへっ、おもしれえじゃねえか。ワクワクするぜ、そういう奴とケンカできるってのはよ」 うそぶく戸田の拳が、獅子の頭のように、雄々しい輝きを放つ。 まるで、猛る戸田の闘志を、そのままあらわしているかのようだ。 岡田「おおぉっ!!! ぶち壊してやるぜぇ、手ぇ前ぇらぁっっ!!!! 」 戸田「へへっ……やぁってみろよぉっっ!!!!!」 黄金の光を放ちながら、戸田がたばしる閃光のように突進した。 戸田「攻速のハイブリット!!!」 アルター『ハイパーグッドスピード』の速度を取り込んだハイブリットは、音速を超越する。 しかし、その刹那、岡田の姿がその場から忽然と消え去り、戸田の拳が空を打った。 戸田(俺より速い!?この俺より速いってのかぁ!!) キ イ イ イ イ イ イ イ イ イ 岡田の圧倒的な移動速度に、戸田は目で追う事すら出来ない。 懸命に視線を巡らすが、気配すら掴めないのだ。聞こえるのは、遅れて来る音のみ。 戸田(駄目だ!! 追いつくどころか…姿が見えねぇ!! 音だけが一一黒 い 音 だ け が 後 か ら や っ て く る !!) 戸田「黒い音…『黒 い 咆 哮 (ブ ラ ッ ク ハ ウ リ ン グ)』!!」
刹那、戸田の背後に回りこんだ岡田の足が跳ね上がった。 岡田「遅い!!」 戸田「ちいい!!」 土壇場で岡田の接近に気付いた戸田が、ガードを上げて顔面をカバーしようとする。 岡田(そんなスローな『腕受け(アームブロック)』がっ、間に合うものかよっ!!) しかし、岡田の放った蹴りの速度は、戸田の反応速度を大きく上回っていた。 岡田「クルダ流交殺法 影技 『乱 刺(ランス)』 」 ド ン !! 戸田「おばあっ!」 文字通りの槍のごとき足刀が、戸田の顔面に炸裂した。 鮮血を吹き散らしながら、戸田の身体が地面に叩きつけられる。その衝撃に地が割れた。 山口「むう、恐るべき速度、そして足技の威力。 そうか、考えてみればこちらの失点は彼の『足』によって取られたもの。 落ち着いて考えれば分かる事だった……彼の本領が『足技』だということは」 岡田の秘めたる力の一端に、山口でさえ戦慄を禁じ得ない。 一方、当の岡田は感心したように、地に埋まった戸田を見下ろしている。 岡田「なるほど、そういう事かよ。どうも手応えがおかしいと思ったら…… よけられねぇと読んで 左腕を捨てて頭をかばったか一一大した奴だよ、お前一一一!!」 ド ザ ン ッ 岡田が言うや、戸田が勢いよく割れた地面から立ち上がった。 顔面を鮮血で朱に染めながらも、戸田の眼光はますます輝きを増しているようであった。 戸田「ひゅうー ひゅうー ひゅうー」 損傷した左腕からも血を滴らせ、戸田がせわしなく呼気を吐く。その牙が獰猛に剥き出される。 岡田「初手で殺れなかった相手は久しいな! 面白いぜこの仕事…」 眼前の男の闘気に触発され、岡田も思わず破顔していた。 岡田「お前みたいな強いヤツと戦うってのは、俺達みたいな戦うしか出来ないバカには一一 最 高 の 喜 び だ よ な !! 」 戸田「喜び一一ちげえねえ。なんだ、ますます気が合いそうじゃねえか……!!」 このとき、1−2塁間は、若き獣たちの死戦場と化した!!
岡田(さすがに『陰流』や『楚真』をこんな衆人観衆の中で使う訳にはいかんが… 久々に、少しは面白い闘いが出来そうだ) 高揚の中にも、わずかな冷静さを残し、岡田が戸田と対峙する。 戸田「いっくぜええっ! 反撃のハイブリット!!」 黄金の光がほとばしり、戸田のハイブリットが空を裂いた。 岡田「 舞 麗 (ブレード) 」 空中に跳び上がった岡田が、同じ足で変形の2段蹴りを放つ。 戸田「(攻防一体の技!!! 手ぇ蹴り上げながら1発入れやがった!!)おもしれぇっ!!」 蹴りの勢いを利して後方に飛び退った岡田を、戸田が追う。 戸田「そのまま距離とって体勢を立て直すつもりだろうが一一さぁせねぇよっ!!!」 猛然とダッシュし、岡田の着地際を狙おうとする戸田。 だが次の瞬間、戸田はまたしても岡田の技量に驚嘆することになる。 戸田(違う!) 岡田「 舞 乱 (ブーメラン) 」 地が割れた拍子に飛び散った岩盤が、ケーキでも斬るように切断された。 戸田(こいつ『着地し(おり)』ねえ!!!) 岡田「……ぐっ!!!」 戸田「やりやがる!!! 空中二段(ブレード)から一一変形の旋風脚(ブーメラン)に繋げやがった!!」 裏をかいた攻撃を、戸田が間一髪、反射的に身を沈めることでかわしていた。 もう少し戸田の反応が遅ければ、その首は切断されていただろう。 恐るべきは戸田の野生のカン。ともあれ、好機は戸田に巡ってきた。 今度こそ無防備になったかに見えた岡田に、戸田が追撃をかける。 その刹那。歯を喰い縛り、全身の筋肉をフル稼動させた岡田が驚愕の動きを見せる。 両足を振り、上下逆の体勢なりながら、その回転力を利用して岡田が拳を放ったのだ。 岡田「滅 刺(メイス)」 戸田「!! 空中五段攻撃!!」 そう、舞乱(ブーメラン)はあくまで、戸田の体勢を崩す為の囮だったのだ。 十分な体勢でなければ、カウンターをとれるほどの豪打を撃てないと判断してのことである。 しかし、戸田は!! 戸田「対 空 の ハ イ ブ リ ッ ト !!」 岡田「なにっ!?」 なんと恐るべきことに、戸田は軽々とその牙(拳)を全開してみせた。 凄まじい破壊力が遂に炸裂し、岡田が豪快に外野に向かって吹っ飛んだ。
あ、↑に例の人が来ていますね。((((((´▽`)ノシ 質問でーす、なぜ文章を伸ばす時に「一」を使うんですか〜? 「――」や「−−」とかを使わないのにはこだわりがあるのでしょうか〜 それとも別の理由があるのでしょうか?との事ですー
かろうじてガードしたが、そんなものお構いなしに、岡田は地に叩きつけられる。 岡田「バカな!!」 戸田「手前のくだらねえ理屈で考えてんじゃねえっ!! 俺のハイブリットは筋肉で撃ってるんじゃねえ……魂で撃ってんだ!!」 岡田「たま…しい」 戸田「そうだ、理解したか! したなら、お前も刻め!! 俺の拳の威力を!!」 叫ぶ戸田に呼応し、岡田が地割れから這い出る。その目には爛々と殺意が漲っていた。 岡田「おもしれえじゃん! だったら刻んでもらおうか、俺の魂に!! お前の拳!!」 戸田「ああ、刻んでやらあ!!」 2人の戦いは、まだようやく始まったばかり。 一方。 尾田「さあて……こっちもいい加減始めっとすっかな」 バンダナを頭に巻き、尾田が戦闘体勢に突入する。 腰に差した3本の刀のうち、2本を両手に、そして残る1本は口に。 久々に見せる、尾田の『三刀流』であった。 山口「剣の勝負を望むか……ならば」 1本の日本刀を取り出すと、山口はそれを左肩と首の間に挟み、片腕だけでそれを抜き放つ。 ちょっとでも手元が狂えば、自らの頸動脈を斬ってしまう、危険な抜刀である。 森「皆さんは、隻腕の剣士に骨を断つことは出来ないと思ってはいないだろうか? 否! 僕はあえて断言する!! 不屈の精神を持った剣士にあっては、 自己の与えられた過酷な運命こそ、かえってその若い闘魂を揺さぶり、ついには…ゲハアッッ!!」 ベンチの森、負傷の悪化の為、今度は最後まで解説する事が出来なかった。 ともあれ、二塁上でもまた、尋常ならざる剣士同士の立ち合いが始まろうとしていた。 さらに同じ頃。 鳥山「うっほほーい! 君、つおいねー。じゃあ、あちしも本気出しちゃおーかなー」 岡田の召喚したロボット『降魔』は、今にも鳥山に破壊されそうになっていた。 『制限時間』が、刻一刻と迫っていた。
ところ変わって『化血陣』―― 小畑「ここを出るって?ソレはかまわないが、 俺といるところを矢吹に見つかったらヤバくないか?」 藤崎「ああ、それなら心配要りません――」 ヴ ゥ ン ッ ! 藤崎の姿が一瞬ボヤけたかと思うと、高校生ぐらいの少年に変化した。 小畑「おぉ!?」 藤崎「小畑先生はコレを使ってくだされ。」 小畑は薄ピンク色の薄絹を受け取とった。 小畑「何これ?」 藤崎「宝貝『如意羽衣(にょいはごろも)』といって、これを着けていると 何にでも変身できるというシロモノです。なりたいものをイメージしてくだされ。 小畑先生は今、宝貝人間ですからお使いになれるはずですよ。」 小畑「本当かぁ?どれ・・・」 ボ ン ッ ! 小畑は ヨ ボ ヨ ボ の 老 犬 に な っ た! 小畑「?」 藤崎「いかがです小畑先生?」 小畑「(ぷるっ)」 藤崎「小畑先生?」 小畑「(ニヤッ)シッシッシッ」 ど う や ら 小 畑 は 気 に 入 っ た よ う だ!
>>311 理由は……特にないですね。ただなんとなくというか……。
もし気になるようでしたら、やめます。
ボ ン ッ ! 小畑「面白いなぁコレ。」 藤崎「小畑先生・・・そのカッコは?」 胸にフライパン、肩に鍋、腹におろしがね、腰にまな板、 ヒジにおたま、ヒザにざる、そして股間にはやかん・・・ を装着した小畑がそこにいた。 なまじ美形なだけにそのギャップは甚だしい。 小畑「俺の漫画キャラのサイボーグハンターZだっ!藤崎君もどうだい?」 藤崎「うっ・・・、ま、また今度お願いします。」 ??「おもしろそうね。私も混ぜてくださらないかしら?」 小畑と藤崎が、声がした方向を見ると、 緑と紫のツートン髪で片目を隠した女(?)が立っていた 光原「お久しぶりです。小畑先生、藤崎先生」 小畑・藤崎「いっ・・・いつの間に!?」 光原「さあ・・・ その謎の答えはアウターゾーンの彼方にあるといったところでしょうか?」 一難去ってまた一難。 『化血陣』にて、かつてジャンプ巻末を争った者たちの戦いが始まろうとしていた。
316 :
311 :03/09/02 00:50 ID:5W9sJvvn
犬ー(*´∀`)ガンテツだったかな?懐かスィ
>>314 いえアッシは気に入ってる方なんですがね。書き手判別できるし太線だし。
ただ“”や≪≫や[ ]を使わない方(・と・でくくる方)はちょっと見づらいねと指摘が来てますデスデス
「検査完了!特に違反はしていませんね。もう行っていいですよ、高橋先生」 柳田が島の不法侵入者退治に没頭し、山狩り命令がほぼ撤回した中、 執拗なボディーチェックを受けていた高橋陽一もようやく解放されることとなった。 いそいそと手荷物を受け取り、またなんとなく気の向いた方向へ歩みだした。 一方、浜辺近くで川原と岡村の対戦を嫌々ながら観戦していた村田は・・・ ・・・カルチャーショックで気絶し、岸壁にもたれて気絶していた。 これが初参戦となる試合だったので、正直殺し合いに慣れていないのだ。 許斐は特設テニスコートで、石渡とのテニスバトルを続けている。 あれから許斐の猛反撃が始まり、また石渡も全力で応戦する。 勝負の行方は混沌としていた。2人のテニスウェアにこびりついた赤い血がそれを物語る。 二勝して島から退出し、Cブロックの大会場へと帰還した井上は、 舞台中央の特等席から、巨大モニターに映る許斐たちの試合を真剣な眼差しで見つめていた。 彼にできることは、この場所で仲間たちの勝利を祈る事のみだった。 しかし・・・心の中に小さなしこりが出来ていた。それは橋本以蔵の頭の形をしていた。 井上はまだ橋本の≪復活≫を知らない。 彼の中の生首は、ねめるような目でこちらを向いていた。 人格が豹変した鈴木信也≪リバース≫は、狂犬のように獲物を捜していた。 今の彼が、もし山狩りにかかっていたら、恐らく審査員たちは殺されていただろう。 柳田の暴走により違反者追及の手が緩んだ事は、双方にとって幸いであった。 ・・・リバースの中には周囲の全てを巻き込む氷炎の竜巻が渦巻いていた。 次にリバースの視界に入る人間は・・・竜巻を浴びせられる事だろう。敵も、味方も。 そして、森田まさのりは――呼吸が止まり、一時危篤状態になっていた。立ち直った今も意識が、戻らない。
岩村「まずいッス。あんな攻撃受けたら、オラのV2アサルトバスターガンダムがぼろぼろになってしまうッス。」 岩村はそう言って、こっそりと逃げようとする。さすがに酸の雨をまともに食らう気は無いらしい。 有賀「まて、何処へ行く気だ?」 BIG−Oがそう言って、ヴィクトリーガンダムを押さえる。 岩村「さっきの、格好いいお兄さんッスか?最後にお別れのキスをして分かれようッス。」 有賀「…………は?」 そう言って、ヴィクトリーガンダムがBIG−Oに口づけしようとする。 岩村「避けるなッス。」有賀「この攻撃を…食らったら……例え吸血鬼でも死んでしまう!それだけは、避けなくては!」 有賀はそう言って、BIG=Oの背中を大きく反らせる。 岩村「それほど、じらしたいんッスか?」有賀「俺は×モには興味がない!」 有賀はそう言って、考えを巡らせる。 有賀「………そうだ!長谷川!ペルセディアを借りるぞ!」 長谷川「……キスだけはさせるなよ。」 バオン・リップの中から、そう答える長谷川。 有賀「了解した!」 長谷川の了解と共に、中空からが女性型ロボットが登場する! 有賀「ペルセディア…SHOW TIME!」 有賀のその台詞に、メデューサの模様がついた盾を構える、女性型ロボット。 ヴィクトリーガンダムは、逃げようとするが、しっかりと抱きかかえる女性型ロボット:ペルセディア。 岩村「何で女性型なんッスか?」有賀「男性型だと何か良いこと有るのか?」 岩村「それより痒いッス!女性型ロボットには興味ないッス!じんましんが出るッス!」 有賀「そうか…なら興味の持てないところへ行かせてやる!天使に連れられて…地獄へ行け! エ ン ジ ェ ル エ ン ブ レ ス ( 天 使 の 抱 擁 ) ! 」
胸部装甲が高速振動を起し、ヴィクトリーガンダムを粉砕するが、ヴィクトリーガンダムが突如分離し、 その一部が、飛行機となって、逃げようとする! 岩村「コアファイターは無事ッス!このまま逃げ……。」 有賀「そう思ってるのなら、あきらめた方が良い。次元貫通弾(ディメンジョンペネトレイター)!発射用意!」 腰部のスカートの前掛けらしい物が外れ、巨大な銃となる。 岩村「ああ、過去へ戻りたいッス。あの……。」 有賀「それは良かったな、こいつはお前を45億年前まで送り出す。ゆっくりと休むと良い!発射!」 銃より、空間の歪みが現れて、岩村を包み込む! 岩村「うぎゃぁッス!」 岩村の断絶魔が響き、コアファイターが消滅する。 美樹本「おのれ、岩瀬に続いて、岩村までも!者ども続け!」 酸の雨によってボロボロになったバルキリー部隊が、長谷川と有賀に襲いかかるが、酸の海に阻まれて、なかなか到達できない。 美樹春「遠距離から、ちまちま撃っても防がれる!近寄ったら酸の海での攻撃!反則だぞ!」 長谷川「こちらにも、負けられない事情ってのがあってね!」 長谷川がそう言って、酸の海を広げようとした瞬間であった。 長谷川「えっ……?」 バオン・リップの右の翼に穴が開く。 長谷川「これは…ブラックホールのような物での攻撃?」 環「ブラックホールクラスター………それが、貴様を攻撃した武器の名前だ。」 ガンダムモドキ…ヒュッケバインに乗って、環が現れる。 長谷川「この武器に対しては……大型じゃ不利だ!」 長谷川は、酸の海を、バルキリー部隊へ投げつけ、次の機体へと乗り換える。 美樹本「何処だ!何処へ消えた!」 乗り換えた機体が消えたので、さすがに美樹本が周りを見渡す。 長谷川「ここだ!」 その瞬間、地面の中から影が現れ、バルキリーの1体を粉砕する。 白い頭部に、右手のドリルと、左手の二股アーム。そしてスマートなデザイン…。 長谷川「ゲッター2!推参!」
ホモホモホー(゚∀゚)ーー!!
大規模な捜索が行われている山中、その山の麓の暗がりの中で、二人の男は遭遇した。 「あ」 「おっ」 どちらからともなく、二人は声をあげ、すぐに一定の距離をとる。 その時、ちょうど雲の隙間から月が現れた。 そして、両者の顔も月明かりによって、はっきりとさらけ出された。 「あなたは・・・」 片方の男が、相手の正体に気がつき、口を開いた。 「高橋陽一先生・・・」 細い、心持ち畏怖の念が入った声だった。 高橋陽一 ジャンプ黄金期におけるサッカー漫画の大家 キユドライブから偶然逃れた強運の持ち主 そして、チームハングリーハートの大将として敗れたにも関わらず、ジャンプスポーツチームとして再び返り咲いた男。 そんな情報が男の頭を過る 「ふむ、君は確か荒木の漫画の小説を書いている男だな」 高橋は、自分に向けられる視線を軽く受け流しながら、ハンディカラオケを地面に降ろし、ドリブルしていたボールを軽くつま先で蹴り上げ左脇に抱え込みながら、柔い声で 「名前は・・・・・なんだっけ?」 と、尋ねた。 「乙一です」 低い声でその男、乙一は名を名乗った。 その声音に込められた感情は、名前すら覚えられていない事への怒りか、あるいは目の前に対峙する男からのプレッシャーだろうか。 「ああそう」 気の無い声だった 視線は心持ち中空をさまよっており、乙一を直視していない。 別にお前の名前になど興味は無い、そんな態度だった。
「ぐっ・・・」 乙一はわずかに息を吐いた 自分から聞いておいてそんな態度をとる高橋の倣岸と、自分の知名度の無さを晒された屈辱をまぜこぜにした憤りがそこには込められていた。 「(落ちつけ、こういうときは・・)」 「はははっ、素数でも数えるつもりかい?」 「う・・・」 行動を完璧に読まれている。 乙一は冷や汗を流しながら、言葉を詰まらせた。 高橋はそんな乙一の様子を楽しげに横目で見ながら、トン トン トン と、リフティングをしだした。 そのマイペースな行動に、乙一は戸惑った。 「(もしかしたらこの人、闘う気ないんじゃ?)」 このまま何事もなかったかのように別れることも可能・・そんな考えが頭を過り、少し思考が宙に浮いた、その時であった。 「所詮はノベライズ作家か・・」 高橋の呟き声が聞こえた。 強(こわ)い声だった。 ぞくり と、その声色に、乙一の背中にツララでも突っ込まれたかのような寒気が走る。 「な・・・・」 反射的に高橋の方に視線を向けようとして動かした、その顔面に ズバァン! と、サッカーボールが直撃した。 「ぐわあっ!!」 衝撃で吹き飛ばされながら、乙一はようやく気付いた。 既に、審判はこの場に出現していたということを 「ゴールドエクスペリエンス!!」 朦朧とした意識の中で、身を守るために出したスタンド越しの視界の目前には、絶望的な数のサッカーボールが迫っていた。
それは強大な暴力だった。 高橋が蹴ったサッカーボールは、自由自在にあらゆる角度から乙一のスタンドだけではなく、本体までも狙って次々に降り注いでいた。 ボールは高橋が、シュートを打つ一番いい角度に、まるで手品のように完璧なタイミングで出現する。 『ボールは友達』を根底に十年以上もの間サッカー漫画を描き続けた高橋は、空気を吸うのと同じぐらい自然にボールを構成することができるのだ。 乙一はスタンドによって何とかそれをガードしてはいる。 しかし、そのガードする腕に、体を支える足に、容赦無くボールは叩き込まれる。 逃げ出せない。 逃げ出そうと少しでも気をボールから離せば、一瞬でこの暴風に飲み込まれる 「(ここでふんばっていれば、いずれは・・止まる・・)」 意識を外に押し出されそうになりながらも、乙一は歯を食いしばりながら必死で耐えた。 こんながむしゃらな攻撃ずっと続けられるわけがない。 この最初の勢いさえしのげば、後はこっちのもだ。 そんな一縷の望みが、乙一を支えていた。 しかし高橋の最初は長かった。 最初からエンジン全開 ただひたすらに乙一の体にシュートを打ち続ける。 それを支えるサッカーで鍛えられた無尽蔵のスタミナ そして、機械のような正確さでボールを出現させる精神力 いずれも一介のノベライズ作家である乙一の想像を遥かに凌駕していた。
「(ぜ、全然止まらない・・・)」 暴力 凄まじい暴力の嵐 飲み込まれたものは助かる術など無い 乙一は全身から悲鳴が聞こえてくるかのような錯覚を覚えた。 もはや、限界だ もういいじゃないか 休ませてくれ 肉体が次々と乙一に訴えかけてくる しかし、乙一の精神は、まだ諦めてはいない 「(もう少し、後もう少しだ!!)」 必死で全身を鼓舞する乙一 そう、後少しでこの嵐はやむ。 注意深く、冷静に観ればわかる 高橋の息がじょじょに荒くなっている フォームも崩れている そして、ボールの勢いが少しずつ弱まっている 「(終わる・・もうすぐ終わる、だからもうすこしだけ頑張れ!)」 絶えることがないのではと思われた高橋のシュート、その終わりが見えたことによって、乙一の全身に力が漲った。 その時のことだった ふいに、嵐がやんだ そして、乙一の眼前には、芝生につんのめる高橋の姿があった。
「(と、止まった!!)」 乙一の全身を歓喜が駆け抜ける ギリギリに張り詰められた弓 それが解き放たれたかのように乙一は高橋に向かって飛び出した 「 無駄 無駄 無駄 無駄 無駄ぁ ! !」 最後の力を振り絞ったラッシュを乙一は繰り出した。 もし、冷静に、客観的な視点で乙一がその光景を見ていたとしたら、おそらくは理解していただろう 高橋の、一見つんのめったかのような動きが、『溜め』だということを そして、そこから繰り出される、高橋陽一最大級のとんでもシュートの名前も 「 雷 獣 シ ュ − ト ! ! 」 高橋の雄叫びとともに、乙一が最後に見たもの、それは自分にむかって襲いかかる、黄金の光を纏った獣の姿だった。 メキメキメキイッ と、胸骨が粉砕される音がして ドサッ と、いう重い音とともに、乙一の体は芝生に崩れ落ちた。 意識の根絶、そのことを確認した審判が、無感動に高橋の勝利を告げる。 そして、乙一の体は、光とともに島の別の場所に転送された。 「準備運動にはちょうどよかったかな・・」 全身の汗をタオルで拭いながら、ぽつりと高橋は言った。 準備運動―そう言った高橋の頭を過るのは、十年前、同じ雑誌で連載した盟友にして、キユドライブ最後の生き残りの顔 「猿渡先生・・あなたは必ず私が止めてみせる・・・」 悲壮な決意、そして、悲しみが込められた声であった。 ジャンプスポーツ ☆4 1勝 鈴木 高橋 2勝 井上 1敗 なし 裏御伽 ☆2 1勝 本宮 乙一 1敗 岡野+真倉 澤井 乙一 チーム・タフ ☆1 1勝 猿渡 1敗 石渡 青山 橋本
一塁上、鳥山vs『降魔』。一二塁間、戸田vs岡田。二塁上、山口vs尾田。 ダイヤモンドという名の巨大な檻の中、猛き男たちの激闘はつづく。 そして、ここ本塁上でもまた、ビッグカードが始まろうとしていた。 水島「佐渡川……お前は三塁に戻れ。ここはワシひとりで相手する」 佐渡川「なっ…!?」 いきなりの水島の命令に、佐渡川が憤慨した。 例え、水島の命令といえども、これだけは承服しかねるといった顔だ。 水島「今は満塁……仮に今戦ってる連中がひとりでも負ければ、本塁が危険に晒される。 ワシはこの板垣ひとりを相手にするんで手一杯や。さすがに、これ以上の新手は抑え切れん。 だから、お前は三塁を、自分の持ち場を死守して欲しいんや」 佐渡川「〜〜〜〜〜〜〜ッ」 無念さに佐渡川が歯を噛みしめた。確かに、水島の言う事は筋が通っている。 そして、自分の実力では、この2人の闘いの邪魔にしかならない事も、理解っていた。 だが、それを認めてしまう事は、自らの沽券にかかわることだった。 水島「ただ闇雲に闘うだけが、強者やない。 その時に、自分に何が出来るかを正確に見抜ける者……それが真の強者の条件や。 いかに強い力を持っとっても、闘うしか出来へんじゃ獣とおんなしや」 さすがに水島。佐渡川の心理を知り尽したような言葉である。これには、佐渡川も頷くしかない。 最後の凄絶な眼光を板垣に飛ばし、佐渡川は自らの持ち場へと戻った。 これで本塁には、板垣と水島の2人だけ。そのとき、押し殺したような笑い声が漏れた。
板垣「ククク……笑わせるな水島。お前なら、俺に勝てるつもりか?」 水島「ほう……しばらく見ないうちに、デカい口叩くようになったやないけ、若僧」 挑発的な板垣の言動に、水島の巨体から殺気が湧き出す。 板垣「長らく、チャンピオンの『球聖』と呼ばれ、『神』と崇められてきたお前も老いた。 自分の作品内で、実在の野球選手を思う存分、自分のキャラクターの噛ませ犬にする。 自 分 の 思 い 通 り に な る 事 を い い こ と に。 そんなお前が、未だにチャンピオンの王を気取るとは笑止なことよ」 水島「確かに、ワシも老いた。老害と呼ばれても仕方ないかも知れへん。 だが、ワシにはお前が鼻タレのガキの頃から、第一線に立ってきた自負がある。 せやさかい、まだまだお前に負けてやるわかにはいかんわい!」 己への揺るぎない自信を漲らせ、水島が一喝するも、板垣は一顧だにしない。 板垣「で?」 格闘の魔人の目が、鬼火のように青白い光を発した。 広大な球場すら覆いつくすような、とてつもない闘気が空間すら歪める。 板垣「教えてやるよ。丹念に積み上げた上達の実感だった六十年余りが……」 取 る に も 足 ら ぬ 錯 覚 の 歴 史 だ っ た こ と を !!!
鈴木(R)「くくくく、変な戦いを繰り広げてるじゃないか……。」 鈴木リバースは川原と岡村の戦いを見て、にやりと笑った。 鈴木(R)「只見つめ合ってるだけとはね……まあ良い。このまま1敗しても後で1勝すれば、問題は無い…。」 鈴木リバースはそう言って、リストを落とし、ボールを取り出す。 鈴木(R)「一撃で沈めてやる!」 時速150KM/hを超える投球。 狙いは間違わず、川原に当たるはずであった。 ズクッ。そんな音を立てて、空間から現れた人にボールが当たる。 乙「グッ………。」 鈴木(R)「ほうほう、誰かと思えば、裏御伽の……誰だったけ?名前覚えるの忘れちまったよ。」 乙「乙一…です……。」 鈴木(R)「くくくくく、あのノベライズ作家の!それがこの私と戦おうなど百年早いわ!」 乙一の体力は限界に来ていた。だが、彼は自らの信念を曲げるわけにはいかなかった。 乙「言葉でしか伝えることができないこともあります……。絵でしか伝えられないこともあります……。鈴木信也先生。」 鈴木(R)「ほう、どうして俺が鈴木信也だとわかった?」 乙「腰に付けているポシェットです……。あの時…ゲーム機を持っていたのは…鈴木先生だけでしたから。」 鈴木(R)「くくくくくくく、ふーははははは!戯れ言はそれまでだ!」 鈴木リバースはそう言って、ピッチャーがマウンドを確認するように周りを見渡す。 審判は、何時の間にか来ていたが、何故が、ほっぺにびんたの後をつけて倒れている。 乙「しばらく…ボールを投げるは、待たせてもらいます。」 鈴木(R)「何を言ってやがる?ん?体が動かん!」 乙「石の目の能力……しばらくの間、石化してもらいます。漫画化されてないから…使いたくないんですよね。」 乙はそう言って、審判の方へ向かっていった。
乙一大忙しですな
乙「大丈夫ですか?」 審判「うーん、ってここは何処だ!」 乙「Cブロックのクリードアイランドです。しかし僕は幸運だった。 川原さん達の近くに出ることができたし、何かのもくろみも阻止することができた。 後は、本宮さん達が来るまで、時間を稼げればいい……。」 審判「それはどーでも良いけど、俺何しに来たの?飯喰いに行ったら、変な姉ちゃんに殴られて、それから……。」 乙「えーと、審判しに来たみたいですけど……。」 審判「………のえぇぇぇぇぇ!なんで!」 ??「良い経験じゃないか。実戦を間近で見ることができる機会なんて、そうそう無いぞ。」 審判「えーと……あー、今喋ったのは……誰?」 乙「右手が喋ったように見えましたけど……」 乙が自信なさげに言う。 審判が慌てて右手を見ると、何か少し変化している。 審判「のぉぉぉぉぉ!」 右手「久しぶりだね……井上君だったかな?」井上「おっおお。」 乙「ええと……腹話術ですか?」井上「なわけねえだろ!」右手「失礼した。私の名は便宜上ミギーと読んでくれ。」 乙「ミギーさんですか?初めまして、乙一と言います。審判よろしくおねがいします」右手「こちら…。」 ズカッ。乙の背中に何かが叩き込まれる。 鈴木(R)「呑気にゴチャゴチャ話してんじゃねえ!」 バットを鈴木に打ち込まれ、乙はもんどりうつ。 鈴木(R)「終わり…。」ミギー「待てッ!」井上の右手が変化して、鈴木リバースのバットを掴む。 ミギー「今の行為は、戦闘ルールを超越している!しばしのペナルティーとして、この場で彼の治療を行う!」 鈴木(R)「ちっ……。」バットをおとなしく引っ込める鈴木リバース。 治療を行う為のメンバーはすぐ派遣された。 ??「まったく、こんなに灰をかぶる……。」 バスタオル一枚で登場したその女性は、周りを見るなり、魂の限り叫んだ。 荒川「しっねえええええええ!」
荒川大忙しですなw
水島「言っとくが、ワシのスイングはコチョコチョ小突き合っとる格闘家の拳足とはわけちゃう。 確実に一撃でお前の漫画家生命を終わらせるやろ。 後悔したくなけりゃ、ワシのバットの間合いに踏みこまんことや」 黒いバットを高々と掲げ、水島がバッティングの体勢にはいった。 バットが真剣に見える程の、巨大な気の圧迫。 板垣の目には、水島の間合いが、結界となって見えるようであった。 板垣「気遣いは無用だ、水島…」 対する板垣は深く身を沈める。猫科の猛獣が飛びかかるような一撃を狙っているのか。 板垣「追いつめられたネズミはかみつく時に…ネコを気遣ったりはせんだろう」 唇をまくりあげ、鬼気迫る笑みを浮かべる板垣。 そして、その構えは格闘技というより、陸上選手のスタートダッシュを思わせる。 クラウチングスタート。短距離走において、最速のダッシュの構えだ。 水島(こ…こいつ……!) ザワッと産毛が逆立った。一秒が永遠に感じられる程の緊張。 両者を包む空気は、破裂寸前の風船と化している。 と一一 空気がはじけた。 先に仕掛けたのは、言わずもがな板垣だ。地面スレスレの弾丸タックル。 信じられない間合いから突っ込んできた。だが、これは水島の予想通り。 あれだけ身を屈めていては、パンチも蹴りも出しにくい。なればこそ、このタックルは読めていた。 水島「グワァラゴワガキーン!!」 燕のように滑空してくる板垣を、水島の台風のようなスイングが迎え撃った。
通常の野球では考えられない、掬いあげるようなバッティング。 ワンバウンドした球すらスタンド上段に叩きこむ、水島の悪球打ち。 軌道が読めていれば、いかに速かろうが物の数ではない。 全身で突っ込む高速タックルだ。それに水島の殺人スイングの相対速度が加われば、一撃必殺のカウンターとなる。 必勝の確信を込めて放ったスイングは、しかし空を切った。 低空タックルどころではない。顎が擦るような、超低空タックル。 板垣の神懸かった…否、悪魔懸かった身体能力が、バットの下をかいくぐった。 さらに板垣は、その状態から立ち上がり、踏み止まる。 板垣「ようッ」 水島「お…」 まるで接吻するような距離に、板垣の鬼面があった。 水島がつい間の抜けた声を漏らした瞬間、板垣が反転した。 それは既存のあらゆる格闘技にも存在しない、正体不明の動きだった。 バタフライナイフのように旋回した板垣の上段蹴りが、水島の顔面を捉えた。 タックルする時に生じる前方への運動エネルギーを、 縦方向へ向けたところで回転を加えた、変則的な蹴り技。 この攻撃は理解の範疇を逸脱していた。 凄まじい衝撃に、水島の意識がわずかに遊離した。一瞬、脳内が空白になり、膝をつく。 このとき、場内が一斉に湧いた。不沈艦と思われた水島が、片膝つかせられたのだ。 チャンピオンベンチも、これには驚愕を隠し切れない。が、水島。 即座に跳ね起きた。しかし、目がまだ回っている。 これが漫画なら、水島の頭の周囲を星が舞っているところだ。 足下もフラフラとおぼつかない。このまま攻めれば、板垣の勝ち。 誰もがそう思ったが、意外にも板垣は攻めない。厳しい目で、水島を睨んでいる。 板垣「そういうことか……喰えねえ野郎だぜ」 吐き捨てるように呟くと、水島がにへら笑いしながら、バットを構え直した。 普通なら、バットを振っても当らない状態だ。だが、水島は違う。 ドロドロの視界には、全ての攻撃が『悪球』に見えるのだ。 そして、それは『悪球打ち』の水島にとって望むべきところ。 自分の危機すら有利に変える。これが、水島の真骨頂であった。 水島「い〜い具合にドロドロやで〜、い〜たがき。ほな、2打席目行くで〜〜」 板垣「これからだな」 2台巨頭対決、第2局面開始。
治療中、おやつのカ○リーメ●トを食べ、少しだけ安眠をとる。思えば、戦闘が始まってから今まで一回も寝ていない。 荒川「やれやれ、戦闘が始まると言うのに、ぐっすり寝ちゃって。」 ミギー「戦闘が始まる前だからこのように寝ているのだろう。万全の体制で戦闘に挑む。重要な事だよ。」 ニュッと腕(首)を伸ばしてミギーが言う。ちなみに、井上は気絶したので、荒川が審判を行うことになる。 荒川「にしては、無理のしすぎよ。一通り治療は終わったわ。起きなさい。」 乙「治療ありがとうございます。お礼と言っては何ですが……ゴールドエクスペリエンス!!」 G・Eがバスタオルに触ると、バスタオルが変化して、花のドレスとなり、露出してるところを隠す。 荒川「優しいのね。」乙「治療のお礼です。しばらくしたら元に戻りますが、戦ってる間は大丈夫でしょう。」 荒川「そんなの、後から矢吹からふんだくるから、大丈夫。そうねえ……。」乙「いいですよ、別に。」 荒川「錬金術の基本は”等価交換”なの。そうねえ……。」鈴木(R)「いいかげん、さっさと来い!」 CHU!乙「はっ……?」荒川「試合がんばってね。」乙「はあ…。」 突然のことに頭がパニックになる乙。まあお姫様のキスをもらうぐらい、別段悪いことではないだろう。 乙は気を引き締めて、鈴木の前に立つ。 鈴木(R)「くくくくく、澤井といい、お前といい。裏御伽にはなんて良いカモがそろってるんだ。」 乙「澤井さんと戦ったんですか?」鈴木(R)「ああ、殺してやったよ。」 乙の体がぴくりと震える。落ち着いて呼吸をととのえる。 乙「例え何があっても、全力で戦うのみ……。だが、今の僕の体内は怒りで満ちている!いくぞ… …あんたを鈴木先生とは呼びたくない。何と呼ばれてほしい?」 鈴木(R)「俺のことか?ふん何とでも呼べ。」 乙「……困ったな……。」 鈴木(R)「……お前本気で、俺の名前について悩んでいるのか?」乙(図星らしい) 鈴木(R)「ふん逆位置とでも呼べ。他の奴からはそう呼ばれている。」 乙「ええ、では行きます『逆位置』さん!」 乙はそう言って、構えを作った。
水島「あの『ウドンデ』とかゆう歩法を使うても無駄やで〜。 今のワシには、全ての動きが絶好球に見えるわ〜」 多少呂律が回っていないが、思考は冴え渡っているらしい。 まるで剣道の上段構えのように高くバットを構える水島。 上段の構えは、剣術では『火の位』と呼ばれる。 それを見事に体現する程の闘気を水島は放っていた。それに対し、板垣は。 板垣「ナルホド…あらゆる攻撃に対応するか。だが、俺が敵じゃなくなったらどうするね?」 ふいに、板垣が本気の構えを解いた。散歩するようにさりげなく、間合いの寸前まで歩み寄る。 板垣「攻めないぜ」 必殺のカウンター。板垣は、それを狙っていた。 両手をポケットに突っ込み、棒立ちになったまま、目を閉じる。 あまりに無防備な体勢に、水島のバットを持つ手がピクリと震えた。 水島は理解した。これは、根気の勝負。どちらが先に焦れて、この緊張に耐え切れなくなるか。 この状況では、先に手を出した方の圧倒的不利は否めない。 通常ならば、水島に勝算がある。板垣の野生が、無意識に反応するからだ。 だが、今の水島は、目が回った状態をいつまでも維持できない。 一合目では、不覚を取っている。完全な状態でない限り、あのスピードを捉えられる自信が、水島にはなかった。 見る者すべてを圧迫する、真剣のごとき静寂。両者とも、汗が滴る。 永遠に続くかと思われた均衡が、ふいに爆ぜた。 猛烈な風圧が、大気を断ち割る。先に動いたのは……水島だった! 水島「喝!!」 海を断ち斬るのではないかと思う程の、凄まじいダイコン斬りスイング。 裂帛の気合いが、板垣の頭上の空間を裂いた。 板垣「アホウが……」 必殺の一撃に応えたのは、鬼の嘲笑だった。 野球の神のスイングスピードが、鬼の反射神経に凌駕された。 渾身の爆打は、板垣の毛髪を数本吹き散らしたに過ぎず、後は稲妻の速度で地を陥没させた。 ガカアッ! 水島のバットを超える速度で前方回転した板垣の踵が、水島の顔面の中心にめりこんだ。 自らのスイング + 板垣の回転蹴り。勝負ありを決定づけるダメージだ。 しかし、陥没した鼻骨から鮮血を振り撒きながら、水島の目はなおも笑っていた。 その巨腕が、板垣の蹴り脚を捕えていた。刹那、板垣の視界が高速で旋回した。
遅レスだが実在の選手を噛ませ犬にするなんて板垣もよくやるじゃないか・・
棚上げという便利な言葉がw
>337 真面目な話実名云々関係無く、板垣が噛ませ犬に使った選手はほぼ例外無くリアルに落ちこんでいくのである意味水島より凄い。
踵蹴りを叩きこみ、まだ空中に存在していた板垣を、水島が抱えこんだ。 その瞬間、2つの巨体が芸術的な放物線を描く。 原作の『ドカベン』において、『影丸隼人』というキャラが得意とした、 クロスプレー時の必殺の投げだ。 柔道仕込みのこの投げは、作中で岩鬼の巨体すら叩き伏せて見せた。 その恐るべき投げ技が、板垣を捕まえた。高速で地面が接近する。 さしもの板垣も、これには反応も受け身もとれない。勝負ありか、と思われた、そのとき。 ピタリ。突然、水島の動きが止まった。 あとわずかで板垣の頭蓋が爆ぜ割れるというところで、水島が自ら投げを止めたのだ。 一体何が……と、誰もが思う中、水島の口から呪詛のような呟きがもれる。 水島「板垣…おんどりゃあ………」 一方の板垣は、この事態を始めから予測していたように、余裕の表情を浮かべている。 板垣「惜しかったな、水島よ」 嘲弄する板垣の頭の先には、白い地面があった。……ホームベースである。 もし、あのまま水島が板垣を地面に叩きつけていれば、その時点で特点になっていた。 板垣を一撃で沈めれば問題はないのだが、 水島の野球人としての本能は、咄嗟に闘争よりも野球のプレーを優先してしまった。 板垣「それがお前の甘さだ。ありあまる力を持ちながら勝負に徹し切れない、お前のな」 耳元で囁くと、板垣が身体を思いきり捻り、水島の手から脱出した。 背後に降り立った気配を追い、水島が石火の速度で振り返る。 しかし、水島は気付かなかった。その背景の闇で閃く、白い残像に。 ざ く
その光景を理解できた者が果たして何人いただろう。 板垣の手刀が、水島の頭部に突き刺さっている。それも、首筋や耳ではない。 顔面の皮膚と、頭蓋骨の間。その境目に、まるでグローブをはめるように鉄指がもぐりこんでいるのだ。 板垣「動くな。えれェことになるぜ」 冷や汗を流しながら微動だに出来ない水島に、板垣が忠告する。 しかし、どんな不利でも、水島は反撃を諦めるタイプではなかった。 自分に突きささっている板垣の手首をとる。 板垣「あ〜〜〜…… これだ」 バオッ。呆れたように呟くや、合気の要領で投げた。その際に、ちぎるように腕を振り抜く。 受け身もとれずに、水島が顔面から地に叩きつけられた。 ……深…… あまりにショッキングな光景に、観客は声も出ない。 球場の全てが、まるで海底に投げ落とされたような静寂だった。 いきなりチャンピオンベンチを向くと、板垣が意志深に笑む。 板垣「60年以上も使ったんだ。とっかえてやんな」 そう呟くと、手に持った『何か』を放り投げた。 その『何か』を、施川がナイスキャッチする。 湿った音。次いで、ブヨブヨとしたおぞましい感触。 それを手にしたまま、施川は『ヤベえよ! ヤベえよ!』と叫ぶ事も忘れていた。 施川の手に収まった物。 それは、水島の剥ぎ取られた顔面の皮膚だった。
施川「な…ッ、なんという………」 あまりに無惨な光景に、施川はそれっきり声を出せなかった。 球場は水を打ったような、痛々しい静寂に包まれていた。 板垣「『勝負あり』ってところだろう………とりあえずは」 刀についた血を払うように手を振ると、板垣がホームベースに向かう。 板垣「2点目……もらうぜ」 血濡れた手をポケットに突っ込み、板垣が歩みを進める。 そのとき、静寂をブチ割る怒声がこだました。 ??「板垣ィィッッッ!!!」 その声に板垣が振り返ると、音速を突き破ってひとつの影が躍りかかってきた。 ??「報復のハイブリットッッ!!」 金色の流星のごとき拳を打ち込んできたのは、戸田であった。 その瞬間のスピードは、対峙していた岡田ですら止められなかった。 戸田のとてつもない潜在能力の発露の結果も、しかしこの鬼には通じなかった。 渾身のハイブリットをも凌駕する速度で板垣の掌が疾ると、戸田の拳は掴み取られていた。 余湖「と……戸田のハイブリットが当らないッッッ」 戸田「………!!」 自信の拳をあっけなく止められ、戸田が唸った。 板垣「さっきから見ていたが、遅い拳だ。辿り着くまでに眠っちまうところだった」 戸田「…………ッッ」 どこか退屈そうに呟く板垣に、戸田が怒り心頭に達した。 戸田「ヤロオッ、やってやるぜッッ!」 強引に拳を振り解くと、そのまま無謀にも板垣につっかけようとする。 思わぬ展開に観客が盛り上がるが、次の瞬間、それがピタッと止まった。 信じられない光景が、そこにはあった。
戸田を止め、歓声を止めたのは水島だった。 血に染まった顔を手で押さえている。その横から剥き出しの筋繊維がのぞく。 目を手でおおっているので、前は見えていないはずだが、水島は戸田に近づき、その肩をにぎった。 戸田「…………水島……」 重傷者とは思えない強い力で水島は戸田の肩をにぎる。 水島「ゐT=ι(こ…‥|£ι"…ξ‥ηヽ……‥‥ι-〜..」 意味の取れない不明瞭な発音で水島がなにかをいった。 戸田「………え…?」 さしもの戸田も、この異常事態に唖然と間の抜けた声を出す。 水島「ワシを…………侮 辱 す る 気 か ァ ッ ッ」 裂帛の気を込め、水島が吼えた。顔を剥ぎ取られたというのに、その闘志は衰えを知らない。 静寂を張り裂くような咆哮をあげ、水島がバットを投げつけた。 咄嗟に板垣が、それを利き腕で受け止めた。一瞬の好機。 最少の動き……振り返らないまま背後に踏み込み、水島が強烈な後ろ蹴りを放った。 野球漫画一筋とはいえ、作中で空手や柔道も描いている水島である。 その蹴りの速度・キレ・タイミング、どれも一流のものを持っていた。 だが、かわされている。スパイクが破ったのは、板垣のみ。体は無傷。 偉大なる野球の神の、最後の力を振り絞った一撃も、この魔人には通じなかった。 板垣「へッ、ズッルい爺ィだぜ」 水島「!」 颶風が逆巻いた。爆風のような衝撃が、水島の学帽を宙に舞い上げた。 骨に当たった重い音がひびく。大地をも断ち切る板垣の蹴りが、眉間のあたりにメリこんでいた。 真正面からの蹴りを受け、水島が正座の形で崩折れた。 血の放物線をまき散らしながら、チャンピオンの王が堕ちていく。 舞い上がった学帽が、肉が剥き出しになっているはずの水島の顔面に、ふわりとかぶさった。 渡辺「勝負ありッッッ……じゃなくて、ホーム・インッッッ!!」 たっぷりと遅れて、審判渡辺の宣告が響き渡った。 遂にえなりチーム2点目奪取。 同 点。 この瞬間から、勝負の趨勢はえなりチームに大きく傾き始めた。 8回裏ノーアウト。えなり2 − 2チャンピオン。
×破ったのは、板垣のみ ○破ったのは、板垣の服のみ
現在、8回裏ノーアウト。 得点は、えなり2 − 2チャンピオン。 各塁上の様子はこんな感じ。 一塁……鳥山vs『降魔』。鳥山が『降魔』を倒すまでが制限時間。 倒したら最後、鳥山は走者関係ナシに暴走すると思われる 一塁−二塁間……戸田vs岡田 二塁……尾田vs山口貴由 三塁……佐渡川が待機中 本塁……板垣が水島に激勝し、同点に。水島は重傷。 ネクストバッターは、9番バッター島…戦うマン
「うぐあああっ!!」リング上にほとばしる、汗の飛沫と叫び声。 鎖骨近くの筋に凄絶なローキックを受け、にわのはたまらず場外に転がりエスケープする。 場外には20カウントまでなら自由にいられるが、安穏とはしていられない。 なんとか呼吸を整えるも、再びヒラマツの巨躯が宙を舞った。ケブラーダ(場外にバック宙アタック)だ。 さながらリングを舞う蝶が蜂に変化したように、まっすぐにわのの頭上に突き刺さる。 ≪ガッシャーーン!!≫場外の柵とヒラマツの挟み撃ちを喰らい、にわのが悶絶する! 地上落下後すばやく体勢を立て直したヒラマツは、倒れこもうとするにわのの、 マスクの髷(まげ)部分をひっ掴んで引きずり上げる。まだ祭りは始まったばかりだと、 言わんばかりである。そして勢いをつけてヘッドバット(頭突き)をにわのの額に食らわす。 「んぐーっ、まこリンぴぃーんちっ!!」・・・まだ余裕が少しはあるらしいにわの。 しかしヒラマツに比べてやや軽量級の彼は、いったん捕まるとなかなか反撃が出来ない。 場外カウントも10を超え、ヒラマツがリング帰還前にさらに一撃を与えようとした、その時。 にわのの右肘がほのかに熱と光を帯びた。ヒラマツからは死角になって見えない。 そして前置きもなく、にわののチョンマゲの髪部分がプロペラ状に回り出した! ザクザクと凄まじい音を立ててヒラマツの右腕に裂傷を作る。それは鋭利な刃物に変化していたのだ。 「うがぁぁっ!!?」「だいじょーぶ、傷は浅いし舐めときゃ治るモン!ファイナル・エルボーーーーーっ!!」 一気に光を放出した肘がヒラマツのこめかみに思いっきりヒットした!! にわのの着用する『モモ・マスク』は、からくりの贅を尽くしたとある職人の労作である。 不思議な神通力――月の力もあるのかもしれない――で稼動するそれは、 トリッキーな試合で敵を翻弄するにわのにとって良き相棒なのである。やや反則気味だが。 側頭部よりさらなる流血を余儀なくされ、ヒラマツは姿勢を僅かに崩した。 その隙ににわのはそそくさと1人だけリング内に戻る。カウントは15で未だ続いている。
脳天に手酷い衝撃を受けながら、それでもヒラマツはリング内に戻ろうとする。 場外反則負けだなんて中途半端な試合をするぐらいなら、死んだ方がましだった。 そこへうりゃーと叫んでにリング上から、にわのの片足が降って来た。 顔面にキックをお見舞いさせるつもりのようだが、ロープをまたいだ蹴りだったので、 にわのはヒラマツにむんずと両の足首を掴まれ場外に引っ張られ、 金的部分をロープに食い込まされた。しかもハシゴか何かの代わりにされリングに登られる始末。 「あはいてぇっ!!」にわのの涙声が人気のない特設リングステージに響き渡った。 2人ともリング内に戻ったはいいが、1人は左のこめかみからの流血で視界を半分失い、 1人は自業自得で股を押さえてもんどりうっている。もしかしたらギャグ狙いだったのかも知れない。 しかしなんとか気合いを入れなおし、ヒラマツとにわのは今度は正面から組み合った。 純粋なプロレスらしい技が得意だがメキシカンプロレスで揉まれた経験も大きいヒラマツ。 客受けを狙ってスタンド(立ち技系)を多用するが本当はこだわり関節技マニアのにわの。 手首を取り、返し、ひねり、抜け、背中に回り、腰を落とし、投げをこらえ、また反撃に移る。 ここに来て真っ当なプロレス技の応酬が始まり、審判の新沢や安永は思わず美技の乱舞に見とれた。 しかし。にわのは徐々に違和感を感じ始めていた。 ヒラマツの瞳が純粋さを増すと共に・・・奥底に隠された【解放された狂気】の光が増えるのだ。 それはかつて“MONSTER”に背中を押されたものの、証。 今ここに観客たちが、彼らの生の試合を観戦し、声援を送ってくれていたとしたら-―― ――これから起こる生臭い血の惨劇に、盛大なブーイングと悲鳴を返したことであろう・・・。 「 ・・・・ゲハッ・・・・!! こ、コロシは反・・・則負けだっちゅーにっ・・・ 」
ヒラマツ自身の血で覆われた右腕に、にわのの口から撒かれた吐血が彩られる。 幸い内臓の血ではなかったが、舌を何ミリか噛み切ってしまったためのものである。 ヒラマツが先刻にわのに仕掛けた技は、DDTと呼ばれる投げ技のひとつ。 相手の腕と首を取って固めながらマットに投げ落とし、後頭部と首へのダメージを狙うポピュラーな技だ。 しかしヒラマツの攻撃は異様であった。固めを解いた後も首と頭部ばかりを狙ってくる。 やがて審判に見えない角度を作り、今度は髷ではなくにわののやや長い後ろ髪を掴み、 自分の腹の位置まで持ってくると膝蹴りを見舞う。間髪入れずに、延髄にチョップを落とす。 血が喉に絡んで息がしづらくなてきたにわのを、なおも攻めつづける。今度は首投げ。 そして返す腕で首にラリアット。常人ならとっくに、集中治療室行きである。 大の字で盛大にマットに沈むにわの。プロレスのセオリー的には、 ここからヒラマツはロープに跳ぶなりコーナーに登るなり足の関節を取るなり、 『らしい』展開に持ち込まれるはずなのだ。だが、それがない。 『ヒラマツミノル』は、本来ごく真っ当なプロレスを好む男だったのだ。 それがある日ある時、狂わされた。自覚のないまま今日に至り――二つ目の死体を生産しようとしている。 「・・・先生、安心してあの世に行くバイ。オイがこれからの漫画界とプロレス界を支えるきに」 「りょ・・・りょーらんらない、ひみは・・・ほんろはほんなんりゃないはるらふ。まへられらいろん!」 (冗談じゃない、キミは・・・ホントはそんなんじゃないはず。負けられないモン!)」 とはいえ今のにわのは、地獄の断頭台に首を載せた状態である。それでも必死に対抗策を練る。 しかしヒラマツの、全体重をかけたエルボードロップがにわのの喉仏に・・・落ちた。 そして鋭角に尖った肘を、ヒラマツはグリグリと頚動脈に押しつける。やがてにわのの意識が白くなった。
・・・ダメダメ、こんな所で負ける・・・つーか死ぬわけにはいかないんだってば。 ギブアップ・・・は嫌だな、てゆーかこんなのプロレスじゃないし。ヒラマツ君、ちょっと変だったし。 なんとなく洗脳とかされてる感じだし、それならなとかしてあげなくちゃいけないしー。 まあその前に・・・なんか遠くにでっかい川と花畑が見えて・・・ってあの世じゃーん! いやじゃんいやじゃん!ボクにはまだ・・・やらねば・・・やるならやらねばやればやる時やらいでかーー!! モモ・マスクが強烈な虹色の光を放つ。リングの上が真白に切り取られて夜の島を照らす。 持ち主の意識は戻らぬまま、マスクのみが必死に抵抗しているのだ。しかしヒラマツは動じない。 光を見て反則に気づき2人の間に差し割ってきた新沢を、裏拳一発で場外にぶっ飛ばした。 マウントポジションを取っていたヒラマツは、自分の真下で起こる事態をいくつか予測していた。 その全てに対応できるような経験を、永年に渡って体に染み込ませていたから。 ――しかし、あくまでそれは『普通の格闘家』から吸収したものである。にわのは・・・普通じゃ、なかった。 今この時、モモマスクに宿る精神体・第二の肉体≪もんがー≫が、彼の意思を超えて完全に覚醒した。 反則には、反則を。非常識には、非常識を。 ――もんがー、体長68メートル・体重75000トンに巨大化―― 「・・・・・・・・え?」 ヒラマツが思わず見上げる天高くにそびえ立つ、力士体型の変な生命体。 よく見たら何故かもんがーがボンテージルックに着替えている。近くの木々が踏み潰される。 足元を蟻のように這い逃げる安永と、リング上で健気に場外カウントを取る新沢。 ズシーン・・・ ズシーン・・・ 一歩巨大もんがーが歩くごとに、島に震度2か3の地震が起こる。 狭い島の、高台にいる人間にはその光景がよく見えたであろう。もんがーの視線が横に揺れる。 視線がどこかの山の頂上に固定された。もんがーズ・アイで照準を合わせ・・・ ぴるるるるるる・・・!! 輪形の光線が幾重にも重なり、山のてっぺんを一瞬で削り取った。 山は赤く弾け、火災が広がる。島の複数箇所で警報のなる音がこだました。
あっけに取られるギャラリー3人。テレビの向こう側の衝撃も凄かろう。 島の空がオレンジ色に染まり、中央の≪非戦闘区域≫から消化ヘリが何台も飛ぶ。 「・・・・こんな・・・こんなの、こんなのプロレスじゃなかーー!!」 我に返ったヒラマツが、頭を抱えてマットの上にへたり込んだ。と、酷い不快感に襲われる。 『こんなのプロレスじゃない』この言葉は、誰に向かって放った物なのか。 自分の言葉なのに、心を引き裂かれたような印象だ。なんだろう、おかしい。こんなはずでは。 ヒラマツの脳内に何かがフラッシュバックする。 砂場に書かれた何かの文字。金髪の美しい青年。 自分がこの手にかけた“鶏ガラ男”。その絶望に満ちた顔。 間違っちゃいない、自分は間違ってはいない。青年がそう言っている。 しかし・・・。 血と汗が混じり合い、それがリングを照らす照明で乾き、赤い彫像と化して立ち尽くすヒラマツ。 巨大もんがーはなおも周囲を歩き回り、もんがっと木々を薙ぎ倒して闊歩を続ける。 しかし突然ヒラマツにその巨大な眼球を向け、何かに気づいたようにズンズンと近づいてくる。 どうやら場外からリング内に戻ろうとしているようだ。しかし、片足を載せるのが限界だろう。 ぐあっと風を切りながら、もんがーはヒラマツの頭上に右足をセットした。そのまままっすぐ落ちてくる。 「・・・うわー!!うわぁ〜〜!!踏ま、踏ま〜〜〜!!やーめーろー!!」 思わず目を瞑って、来るべき惨事を覚悟したヒラマツ。しかし。 「・・・・・・・ふう、なんとか暴走が収まったモン!自分の体なのに制御が効かないのは困るッチ!」 そこには、もんがートランス状態を終えた、元のにわのまことが立っていた。ヒラマツはただ呆然としていた。
強風に煽られ、山火事がだんだんと広がってゆく。ちょっと心配気味のにわの。 しかしそれは表に出さず、未だ呆け気味のヒラマツに、苦笑いを浮かべながら声をかけた。 「なんかね、聞こえたモン。キミの魂の叫び声がね。今度こそ、『普通に』プロレスできるかな?」 「・・・・・・先生・・・・。オイ、胸を借りるつもりで頑張るバイ。よろしくお願いしまっす!」 2人は熱い握手を交わす。瞳の中の狂気は、消え失せて、いた。 そしてすぐさま2人は距離を取り、臨戦体制に入った。試合再開である。 スイング式リバースDDT、パワーボム、サマーソルトドロップ、オクラホマスタンピード、 セントーン、大車輪キック、チキンウィングフェイスロック、足卍固め、チョーク・スリーパー、 ロメロスペシャル、パワーボム、ウラカンラナ、ブルドッキングヘッドロック・・・ 新旧各種揃った様々な技の掛け合いは、後にプロレスファンの間で語り草となった。 やがて、試合開始15分を過ぎ・・・決着の時が訪れた。 「ぜぇ・・・ぜぇ・・・まだ・・・まだまだタイ!にわの先生ッッ!」 「はふ・・・ボ、ボクの名前は・・・」 「行くバイ、必殺の〜〜・・・ジャーマンスープレックスホールド三連発っ!!」 「ボクの名前はにわのまこと・・・・ぐうっ!!」 「もいっちょォォ!」 「ぐはっ!!・・・10年来の友の・・・ように・・・」 「とどめじゃあーーーー!!」 「 ま こ リ ン と 呼 ん で く れ !!! 」 三回目のブリッジ攻撃に入った状態のヒラマツ。 にわのはとっさに自分の足を内側にかけ、ブリッジの姿勢を崩させる。そして一瞬の間も置かず、 ヒラマツの右足首を取って自分に引き寄せる。関節技が自身に効かぬ事でほんの少しだけ、 彼に油断が生じた。にわのはその隙を見逃さなかった。――関節には無効でも、『ツボ』は別―― にわのの裏技・・・【陣内流柔術】。彼は拳を握り込んで独特の楔形を形成すし、敵の足首に、振り下ろす。 14経絡708穴の中から厳選した48の人体急所。そのひとつに、気を込めた必殺の一撃が決まる。 ヒラマツのくるぶし近くの骨にヒビが入り・・・・ 勝負は、決着した。 ○にわの(17分13秒、レフェリーストップ)×ヒラマツ / 裏御伽☆3 (一勝にわの 一敗 ヒラマツ)
ああん誤字ばっかり_| ̄|○
乙「『エニグマっ』。」 乙の側に、?を体中につけたスタンドが登場する。 鈴木(R)「ふん、何やら弱そうなスタンドだな……。もうちょっとまともなスタンドは無いのか?ああ?」 乙「今の状況では、一番便利なスタンドだと思います。『逆位置』さん。」 乙は、ふらつく体を立てつつ、『逆位置』に言う。 鈴木(R)「どれほどの力か……見せてもらおうか!」 『逆位置』はそう言って、ボールを高く持ち上げる。乙一は、それをしっかりと見つめる。 力強く、後ろへ振りかぶって……。投げつける! ミギー「すさまじい速さだ。まるであれは……。」 投石機! 少し高めに飛んだボールは……乙一の頭を直撃し、乙一がもんどりうつ。 鈴木(R)「くくくく、大したことはないな……。これで2勝とは……。」 ミギー「それは、違うな……よく見てみると良い。」 乙「直前で、防いでこの威力なんて……。」 そう言って、乙が顔に張り付いた白い紙を剥がして言う。額には赤いボール型の痣がついている。 鈴木(R)「なんだ?一体何が起った?」 荒川「おそらく、あの『エニグマ』ってのは、物を紙へ封印する能力!それを使って、ボールを紙へ封印したのよ。」 荒川の解説に、乙が苦笑で肯定する。 鈴木(R)「その紙を渡してもらおうか。ノベライズ作家!」 乙「僕の名前は乙一です。お間違えの無いよう。」 乙はそう言って、紙をポケットにしまい込む。さすがに2発、3発と食らう気はないらしい。 鈴木(R)「武器が……一つだと思ったら大間違いだ!」 『逆位置』はそう言うと、背中からバットを取り出した。 乙「……それは、作ったんですか?持ち込んだんですか?」 鈴木(R)「ああ、さっき拾ったんだ。」 乙は(森田さんのかな)と考えつつ、『逆位置』に構えを取った。
森やんのバットは中央区に転がっていましたよ まあいつの間に手癖の悪いリバースさんですこと
ズガッ!乙一の立っていた場所に、大穴が開く。乙「単純なパワーだけなら、五聖人クラスか!」 乙一は冷静に分析して、後ろへ引く。さすがにこれ以上、ダメージを受けるとまずい。 単純に突っかかってくる相手には、エニグマは不利なのだが、スタンドを変える時間を、『逆位置』は与えてくれない。 乙「しまっ……。」石に引っかかり、乙一が後ろへ倒れ込む。 バットが振り下ろされるのがスローモーションで見える。 乙「『エニグマッ』」乙一の叫びと、バットが地面に叩きつけられる音が交差する。 鈴木(R)「逃げられた?」 バットの先端が地面にのめり込んでいるのを見て、鈴木は信じられないといった顔をする。 ずめし。何かが地面に落ちる音がする。 乙「やっぱり、この方法で移動するのはもうよそ……。」 乙はそう言って、地面から顔を出す。一度、この方法で移動したときは、崖にぶつかって立ち往生してしまったのだ。 鈴木(R)「なるほど、自らを紙に変えて移動したか。そんな手が使えるとわな。」 そう言って鈴木は乙の方へ走っていく。 乙の姿が縮むと、紙となり鈴木の方へ向かっていく。 鈴木(R)「 六 道 眼 ! 」 怪しくバットを構え、紙を殴ろうとする鈴木。 鈴木(R)「終わりだ!」そう言った瞬間、『逆位置』の体が倒れ込む。 井上「何が起きたの?」ようやく起きた井上が聞く。 ミギー「変身能力のスタンドを使って、紙をわざと鈴木の方へ流し、それに気を取られている隙に攻撃したのだ。」 乙「スタンドじゃなくて、宇宙人の能力ですがね。」乙が、体を戻しながら言う。 鈴木(R)「どう見ても、スタンド能力だろうが!」 乙「……イエコレハスタンドノウリョクデハアリマセンヨ。」 鈴木(R)「カタカナで喋ってるんじゃねえ!」
ここはクリードアイランド内の特設テニスコート。 すでに一時間以上が経つも、まだ試合は決着していなかった。 両者のテニスウェアに、点々と赤い染みがこびりついている。2人の顔は傷だらけで、少し腫れ上がっていた。 いかなる試合をすれば、テニスでこのような傷がつくのか? これは、ただのテニスではない。許斐にとって、テニスとは『スポーツ』。 しかし、石渡にとってテニスとは、剣をラケットに持ち替えた『格闘技』なのだ。 いわばこれは、究極の異種テニス対決と言ってよかった。 パアアン。快音をあげ、許斐の鋭いショットがコーナーに叩きこまれた。 それを石渡が、強烈なバックハンドショットで打ち返す。 石渡「スーパースクラッチ!!」 モーターコイルのような物凄い回転のトップスピンだった。だが、その軌道はフラット。 この『スーパースクラッチ』は、フラット軌道でトップスピンを撃つ事により、回転を異常凝縮させたショットなのだ。 許斐「こいつには散々苦労させられたが……もう通じん!」 顔面につけられた傷の半分以上は、『スーパースクラッチ』を取り損ね、顔面にボールを喰らってしまったことによるものだ。 許斐「三種の返し技(トリプルカウンター)のひとつ……『燕返し』!!」 ここに来てようやく回転を読み切った許斐の、必殺スライスが決まる。 石渡「ボールが……弾まない!」 許斐の『三種の返し技(トリプルカウンター)』のひとつ『燕返し』は、 相手のトップスピンの威力を逆手にとり、通常ではあり得ない切れ味を生み出す秘技である。 次なるゲーム。今度は、ネット際で激しいボレー合戦が始まった。 顔面へカミソリボレーの集中砲火を浴びせる石渡。 それをアクロバティックな動きで懸命に弾き返す許斐。 石渡「カミソリダンクショット!!」 浮き上がったボールを、石渡が渾身のスマッシュで叩きつけた。 まさに喉笛をかっ斬る切れ味と破壊力を有したショットが、許斐の顔面に迫る。 許斐「三種の返し技(トリプルカウンター)……『羆落とし』!!」 遠心力をつけて振られたラケットは、正確に石渡のダンクスマッシュを面で捉え、天空高く舞い上げた。 呆然と立ち尽くす石渡の背後に、完璧なロブショットがポトリと落ちた。
テニス久々だ 頑張れ〜 コノミン今が旬のネタに期待
乙の姿が、地面にとけ込む。 使った能力は”アース・ウィンド・アンド・ファイヤー”。JOJO原作においては、スタンド能力ともそうでないとも書かれていない。 鈴木(R)「くだらん技を……。出てきたところを、断頭台(ギロチン)でぶちのめしてくれる…。」 『逆位置』はそう言って、大上段にバットを構える。 「・・・先生、安心してあの世に行くバイ。オイがこれからの漫画界とプロレス界を支えるきに」 「りょ・・・りょーらんらない、ひみは・・・ほんろはほんなんりゃないはるらふ。まへられらいろん!」 チュゴーン。いきなり近くの山が吹き飛び、爆発で山火事がおこる。 荒川「えっ……何が起きたの?」 ズシィーン、ズシィーン。地震が起き、『逆位置』が後ろに倒れる。 鈴木(R)「ぬお!一体なんだ!」 ミギー「……どうやら収まったみたいだが……。本当に何があったんだ?」 井上「こんな、喋る右手やら、よくわからん変身能力者やら、かんしゃく持ち女性やら、変なのが居るところにいたくない…。」 井上が頭を抱えて言う。どうやら彼から見たら『逆位置』はまともらしい。 荒川「だ・れ・が、かんしゃく持ちでっすって!」 地面に手をつけて、荒川が井上を睨む。 井上「……誰でもないです……。」 消防サイレンの音が鳴り響き、消防ヘリが飛んでくる。 乙「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!じんましんがぁぁ!」 乙が突如、『逆位置』の足下に現れ、靴になり『逆位置』と共に海に向かって走り出す! ミギー「追うぞ!井上。」井上「何で?」 ミギー「一応審判なのだろう!それに私は走れないからな。」井上「しくしくしく……俺は馬か……。」 一足先に走り出した、荒川を追って、井上も走り出した。 海の中。 乙「この能力、消防サイレンを聞くとジンマシンが出るのが困るな。」 乙がそう言って、またしてもスタンド『エニグマ』を出す。 『逆位置』が近くにいるはずであり、ある策を実行する為には、この能力が一番役に立つはずだ。 乙はエニグマが作り出した紙を数枚、口の中へ押し込んだ。
警戒する乙。ある策を実行する為にしばし待つ。 乙(もしかして、川原さんと岡村さんの方へ向かっている?) 乙はそう考えて、慌てて陸の方へ泳ぎ出す。 乙(あの、二人の戦いに乱入させるわけにはいかない! なぜ、あの二人が戦う理由が永遠にわからなくなる!永遠に消されてしまう!) 乙はそう考えて、口の中の紙の具合を確かめる。 大丈夫、まだ残っている。はき出したい気持ちを抑えながら、待つ。 突如、海の中へと引きずり込まれる。乙(しまっ……。) 鈴木(R)「くくくくく、海なら負けない理由があると思ったか?あ?」 『逆位置』がそんなことを言いたげな雰囲気の顔をする。 乙(今は……只!全力を尽くすだけだ!) 乙はそう言って、紙を食いちぎらんばかりに、口を固める。襲いかかってくる『逆位置』に対して、真っ向からつかみかかる! 紙の中身。それは只の空気である。 海中ではそれほど体力が必要なわけではないが、絡み合っているうちは、海上に上がって空気を補給するのは難しい。 つまり乙は最初から、海中での戦いを視野に入れていたのだ。 だが、何かが変だ…乙は不思議な感覚にとらわれていた。何かに引かれている。 乙「このままじゃ何かがまずい!」 『逆位置』と離れようとするが、網がいつの間にか絡まっていて、離れられなかった。 柳田「あーテストテスト。幾らフリーバトルだからと言って、きちんと島の中で行ってくれ。」 二人を引き上げた柳田がそう言って、警告を促す。 乙「……了解です…。」 乙は『逆位置』と向き合いながら、次のスタンドを出す。 鈴木(R)「さっき、絡み合ったとき、取り替えさせてもらったぜ……。今のお前はお釈迦様の掌の上の、孫悟空ですらない…。」 そう言って、『逆位置』はボールを乙一に見せた。 乙「たとえ、どんな状況にあっても全力で戦うだけだ!」 乙一はそう言って、立ち上がった。
乙一は、林の方へ走っていく。 鈴木(R)「逃がすかぁ!」 ボールを乙一めがけて投げようとするが、乙一はすぐさま木の後ろに隠れて、ボールから身を守る。 ズン。そんな音がして、ボールが木にめり込む。 乙(っ!直接攻撃を受けていないのに、この威力は……。) 衝撃で倒れながら、乙一は考えをまとめる。 乙(あの『パワー』と『スピード』を封じる事ができる能力は…あれしかない!) 乙はそう言って、林の中を見回す。ちょこちょこと大きめの石が転がっており、それが乙の目につく。 乙(あれだ!) 乙は、ハイエロファント・グリーンを出して、救急用のポシェットを渡した。 『逆位置』はボールを取る為に、どんどんと近づいてくる。 乙は、距離をとりながらも、完全に離れることはなく、その目は、まだ闘志を捨てていない。 鈴木(R)「何をたくらんでるか知らんが、この俺のパワーに勝てると思ったか!」 ボールを取って2球目。乙(はずれ、いや違う!変化球だ!) 一回目の変化。乙(まだ外れている?) 乙は、身の危険を感じ、木に身を貼り付ける。二回目の変化。 乙(かすった!)そう思った瞬間、頬より血が流れ落ちる。 鈴木(R)「用心深いな……ノベライズ作家……。だがスタンドを使わないのはどういう事だ? スタンドを使わなくても勝てるという自信があるのか、それとも何か企んでいるのか……。」 乙「どちらかというと、後者かな?『逆位置』さん。」 乙は、すんなり答える。ハイエロファント・グリーンに任せた仕掛けはできた。あとはチャンスを掴むのみ! ハイエロファントをこちらに向かわせてる間、乙一も仕掛けの方へ向かう! そのころ、うんうんうなっていた澤井の体に変化が起き始めていた。
鈴木(R)「逃げ足の速い奴め!」 鈴木がそう言ってさらに加速する。 ミギー「確かに、『逆位置』の足は乙君より速い。」 井上「だったら、何故追いつけないんだよ。」 追いかける、上とミギーが漫才を始める。 ミギー「乙君の前を見たまえ。緑色の糸みたいな物が見えるだろう。」 井上「ああ、それが?どうかしたのか?」 ミギー「彼はあれを足場にして動いているある程度自らの意志で動かせるからね、 彼にとって見ればポールを避けながら走っている感覚なのだろう 逆に『逆位置』は直接木の根を踏みながら動いていて、それが差となってこの状況を作り出している」 井上「なるほど……。」 荒川「さすがですわ、岩明均さん。」 ミギー「おや、いつの間に気づいたんだい?」 荒川「寝てる間に少し調べさせてもらいました。」 ミギー→岩明「さすがに、矢吹に私が生きてることを知られたくないからね。黙ってもらうと嬉しいのだが。」 荒川「それはもう、わかってますわ。」 井上「俺の人権は無視ですかい!」岩明「まあ、運が悪かったと思ってあきらめることだ。」井上「くはっ!」 岩明「それはともかく、どうやら乙君は目的地へ着いたようだ。」 乙が緑色の糸…ハイエロファント・グリーンをしまう。 鈴木(R)「どーやら、負けを認めたようだな……。」 しかし、それを無視して乙は置いてあった石に向かって何かを埋め込もうとする。 鈴木(R)「無視か……、なら終わりだ!」 大上段に構えられたボール。それが、まさに投石機のように投げられた。 乙「これで…。」ズゥン。投げられたボールが肩に当たり、乙一が石の方へ倒れ込んだ。
362 :
361 :03/09/03 20:13 ID:Ch1SU+SX
上は(207/350)です。
岩明「しかし、彼はこれで何を企んでいたんだ?」 井上「知るか!もう帰るぞ!」 そこには、石ころでできた人形があった。 石と石との間には包帯で関節が作られてあり、デッサン用としても十分使えそうだ。 ただ、体の各部に埋め込まれたネジがどうも気になるが。 乙「ま…だ……」乙の声が響く。 乙「まだ…終わっちゃいない…。そう!まだ『たくらみ』はまだ終わっちゃいない!」 乙はそう言って、立ち上がろうとする。 鈴木(R)「まだ、何か策があるのか?スタンド使いはどうもこう負けず嫌いなのだ?」 乙は『逆位置』の投げたボールを持って『逆位置』の逆側に這って進む。 鈴木(R)「運命の名において命じる!ノベライズ作家!貴様の行動は全て!自らの悲鳴を地獄のラッパにする事だった!」 乙はその言葉には耳を貸さず、立ち上がろうとする。 鈴木(R)「例え何があろうと、今の貴様に勝ち目など無い!」 ??「その言葉、ちょっと待ったぁ!」澤井が、突如登場する! 鈴木(R)「貴様は私が殺したはずの!何故生きている!」澤井「それは私が魚雷だから!」 鈴木(R)「あれだけの怪我が、何故治る!」澤井「それは私が魚雷だから!」 乙「答えになってねえ!」鈴木(R)「くっ、魚雷ならしかたない。」乙「って納得してる!?」 鈴木「まあ良い!まずはこいつの処刑からだ!」 乙に勝ったら2勝で、澤井と戦えないが、ハイテンションの鈴木は関係なく、人形の上に乗りバットを振り上げた。
テニスコートから飛んでキター
スタンド全部使えるんだっけ乙一って?
鈴木(R)「自らの崩れる音を聞いて、死ぬが良いノベライズ作家!」澤井「乙くん!」 澤井が止めようとするが、無情にもバットが乙めがけて振り下ろされる。だが… 鈴木(R)「ばかな。体が動かん!一体何が起きていると言うのだ!」 『逆位置』の足下の人形が『逆位置』の姿になっており、逆位置と同じポーズを取っている。 乙「『たくらみ』は成功した。その人形……サーフェース(うわっつら)はコピーした対象を操る人形! 今の貴様は、指1本、自らの意志で動かす事はできない……。」 鈴木(R)「なにぃ!そんなこの鈴木信也が、鈴木信也がぁ!」 澤井「貴様が鈴木先生の名を騙るな!」 澤井が指を突きつけて言う。乙がゆらりと立ち上がりながら叫ぶ。 乙「僕はこれ以上、他のスタンド能力は使えない!だから……全て…自分で殴る!」 鈴木(R)「うぉっ」 乙「どららららららららららららららららららららららららららららららららららららららららぁ!」 生身の肉体で、全力をつくして『逆位置』に叩きつける乙。 ようやく、鈴木が気絶したとき、乙の拳は自らの血で赤くなっていた。 荒川「勝者!乙一!」 乙一は、勝利の宣告もほどほどに、澤井に向かって話す。 乙「澤井さん!どうしてここまで来れたのです!」 澤井「だって、私は魚雷だから!!」乙はそれ以上つっこまず、大事な用件を言う。 乙「向こうで、岡村さんと川原さんが戦ってます…。」 澤井「皆まで言わなくてもわかってる、君は2勝したのだろう、後の事は僕達に任せるんだ!」 そう言って、澤井は走り出す。 澤井「二人とも待ってろよ!」 乙「澤井さん……! そ っ ち は 逆 で す !! 」 現在の状況 ジャンプスポーツ ☆4 1勝 鈴木 高橋 2勝 井上 1敗 鈴木 裏御伽 ☆4 1勝 本宮 にわの 2勝 乙一 1敗 岡野+真倉 澤井 乙一 チーム・タフ ☆1 1勝 猿渡 1敗 石渡 青山 橋本 ヒラマツ
特にサーフィスは使えない気がするんだが
>365 過去ログだと、”ノベライズに出てきたスタンドはある程度使える”とあって、 スティッキー・フィンガーズやゴールドエクスペリエンスをつかいつつ、 ハイウェイスターや、エニグマ等も使ってるから、僕自身としては、 ノベライズ版、または4部に出てきた能力のいずれかだと思う。
>368 サーフィスはノベライズに出てるの?決め手に使うぐらいだから出てないわけはないだろうけど
出てないと思ったぞ
じゃあ駄目じゃん
>367 >369ー371 出てきてないけど、それを言ったら、ハイウェイスターやエニグマも出てきてないから出して良いと思ったけど、 だめでしょうか?
>372 文章の意味が全然わからん。 出てきてないならだしたら駄目に決ってると思うんだが
克「ゲームウォンバイ許斐。ゲームスカウント5 - 3。許斐リード」 ここに来て、許斐の圧倒的有利。石渡の運命は風前の灯火と化していた。 克(あの石渡さんが……これほどの苦戦を……) 表向きは淡々と審判をこなしている克だが、内心は複雑である。 克と石渡は、かつて同じサンデーの漫画家として交流があったからだ。 まだジャンプが黄金期だった頃、サンデーには『2つの特殊部隊』が存在した。 ひとつは言わずもがな、皆川が隊長を務める『スプリガン』。 それと双璧を為していたのが、石渡が隊長を務めていた傭兵部隊、 『スリーピングシープ(眠れる羊たち)』である。 その圧倒的な戦闘力と作戦遂行能力は、当時のサンデーで最高とうたわれ、 黄金期のジャンプを相手にサンデーが戦い抜けたのは、この2大特殊部隊の存在が非常に大きかった。 だが、石渡はその後、矢吹に『ヤングサンデー』を廃刊に追いやられた際、行方不明になっていた。 そして久々に公の場に姿を現したのが、『チームタフ』の一員としてだったのだ。 克(かつて皆川さんと並び『竜虎』と称された貴方も、もう昔の力はないのか…) そう思うと、克はなにやらやり切れない寂しさを感じてしまう。 しかしそのとき、石渡が不敵な笑みを浮かべた。いつの間にか汗が引いている。 石渡「フフ……驚いたな。正直、ここまでやるとは思わなかったぞ、許斐」 劣勢だというのに、その顔には不遜ともいえる自信が漲っている。 冷たい虎のごとき眼光が、許斐を射抜いた。 許斐(なんだ? まるで津波が来る直前の海岸に立っているような……) 得体の知れない悪寒。自分の優勢がまるで嘘のような。それは恐怖とも言うべき感情だった。 すると、石渡がサーブの体勢に入りながら、石渡が意味深げに言った。 石渡「許斐。今から打つ俺のサーブは……」 ガ ッ ト の 上 で 爆 発 す る か ら 気 を つ け ろ
>373 エニグマも、ハイウェイスターもノベライズには出てきていないけど、出したとき誰も文句を言わなかったから、 サーフェースも出しても良いと思ったのですが、皆さんがそう言うのでしたら、2時間以内に改訂版を書きます。
ノベライズなんか見てる人間がそれほどいるかどうかをよく考えて書くほうが気をつける問題では? 俺はサーフィスが出るまで(サーフィスが出てるのはありえないと思ったから)他のスタンドは全部ノベライズにでてるもんだと思ってた。
許斐(!? どういう意味だ……爆発?) ワケが分からないまま備える許斐。石渡が、トスを上げる。 ド ン ッ ッ !! テニスの常識を超えた、とてつもない速度のサーブが放たれた。 そのあまりに凄まじい速度は音速を突き破り、衝撃波を発生させる。 許斐(ソ ニ ッ ク ブ ー ム !?) 着弾。火柱が噴き上がるように、ボールが跳ね上がった。 許斐(迅い!! だが、捕れる!!) 全力を込めて、そのサーブを打った。打ち返そうとした。その刹那。 ド ゴ オ ッ !! 許斐「ぐああっっ!!」 本当に、ガットの上で何かが爆発したのかと、許斐は思った。 爆風のごとき威力に、許斐があっけなく吹っ飛ばされた。その威力は、さながら迫撃砲だ。 許斐が衝撃に圧されてフェンスに叩きつけられた。次いでラケットが落ちる音。 地面に這いつくばりながら、許斐が地に転がるボールを驚愕の表情で見つめていた。 許斐「ば…爆発……まさしく! なんて凄まじい破壊力のフラットサーブだ……」 人智を超越した石渡のサーブ。それはもはや『フラット』と呼べる次元のものではない。 強いて言うなら『爆裂フラット』。虎が、いよいよその牙の全貌を剥き出しにしたのだ。 ふらつきながら、許斐が立ち上がる。だが、対抗策など何も思いつかない。 これは回転の少ないフラットである。つまり、許斐得意のタッチがまったく通じないのだ。 再び、虎の牙が吼えた。音の壁を突き破った証が、地を切り裂き、コートを揺るがす。 それに立ち向かう許斐は、例えるなら津波に翻弄される木片であった。 許斐「がああっっ!!」 幾度目か、許斐が吹っ飛ばされた。 克「ゲームウォンバイ石渡。ゲームスカウント5−4」 石渡のサービスゲームを、許斐は為す術も落とすしかなかった。そして、10ゲーム目。 許斐(なんて化物サーブだ……しかし、次は俺のサーブ! ここを取れば、俺の勝ちだ) そう自分に言い聞かせると、許斐がサーブを打った。ナックルサーブ。 だが、この不規則に変化するサーブに、石渡が猛然と走った。 許斐(迅い! たった3歩で、ネット際に!!) そう思ったときには、石渡の必殺フラットが、許斐コートに炸裂していた。
>>375 もう済んだことだから気にするな。
だから、改 訂 版 は や め て く れ !
そんなことより テニスに集中!熱いバトルだ!
荒木さんにあげたディスクの他にいろいろあったとか 複製を作ってたとか能力共有とかまあ脳内補完
>380 DIOのDISCを無理矢理使ってたと言うネタを考えましたが、邪魔なだけのようですし、次から気をつけます。
それは最早、テニスの勝負ではなかった。 爆裂フラットという名の爆撃がコートを揺るがし、許斐を吹っ飛ばす。 その様は、さながら巨人が振るう巨大な破壊鎚。天の雷。人智の及ばぬ物の具現化だった。 許斐(反応できない! 自分のサーブですら歯が立たないのか!!) 克「ゲームウォンバイ石渡。ゲームスカウント5 - 5」 瞬く間に形勢は逆転した。呆気無くポイントで並ばれ、しかも許斐には対抗策がない。 しかも、相手は考える暇も与えずに、次々と砲撃に等しいフラットを叩きこんでくるのだ。 石渡「テクニックやタッチセンスならお前が上だろう。だが、俺にはお前にないものがある。 それは、パワーとスピード。そしてこの2つを持つ者こそが、テニスの頂点に立つ者なのだ!!」 非凡な才能を持つ、許斐の決定的な弱点。それはひとえに、『非力さ』であった。 許斐「波動球!!」 それは許斐が持つ最大級のパワーフラット。その破壊力は骨を砕くほどである。しかし。 許斐「ぐはあっっ!!」 それすら、石渡の爆裂フラットの前では、児戯に等しかった。 衝撃に舞い上げられ、芝のコートに叩きつけられる許斐。血は、濃い絶望の味がした。 石渡「試合終了を待つまでもない。そのままくたばるがいい」 立ち上がりはしたものの、すでに戦う力すら残っていない許斐に、とどめの一撃が飛来した。 その瞬間、時が止まった。ああ、死ぬんだな。許斐は、そう確信した。
許斐の中で、様々な記憶、そして思いが走馬灯にように流れる。 「お前は、ジャンプスポーツの柱になれ」チームリーダー高橋の言葉が蘇る。 えなりチームを去ったあの時の光景がフラッシュバックする。 そうだ…俺は……スポーツがしたくてジャンプスポーツに入ったんだ。 その為に、えなりチームの皆とも袂を分かった。 そうだ……俺は…… 俺は……負 け る わ け に は い か な い ん だ !! 瞬間、爆煙のごとく砂塵が舞い上がった。あまりに大量の砂埃が石渡の視界を塞ぐ。 石渡「な…なんだ、これは!! なにが起こった!!」 刹那、砂塵を閃光が斬り裂いた。 返ってくるはずのないボールが、石渡コートに突き刺さった。石渡が反応すら出来ない速度。 石渡「バカな! 俺の爆裂フラットを……返しただと!? しかもまるで見えなかった! ヤツの打ったボールの軌道が!!」 驚嘆を隠せない石渡の目に、『それ』は映った。 神々しい光を放ち、粉塵の闇をモーゼの十戒のごとく切り裂き、悠然と歩いてくる男の姿を。 輝きが男の表を覆い、その瞳は絶対零度を感じさせる冬の夜空。 聖剣のかわりにラケットを携える、男の名は許斐剛。 しかし、それは許斐であって、許斐ではない。明らかに異質な存在が、そこにはいた。 薄い唇が紡いだのは、流暢な英語だった。その内容は。 許斐「You still have lots more to work on・・・ (まだまだだね)」 許斐に流れるサムライの血が、今、覚醒した。
何故か英語キタ――――――――――――――――!!!!!!
熱い、最高に熱いぞ!!頑張れサムライ!!!
水島、堕つ。 チャンピオンの支柱が、本塁を守りきれなかった。 動揺の奔流と、好機の確信が渦を巻く。 しかし、激戦は続く。 岡田「鷲 座 閃 光(イーグルトウフラッシュ)」 ド ゴ ン 背後からの、岡田の超高速の蹴り。 鷲の鋭さを模した爪先が戸田の背を切り裂く。 岡田「敵の後ろに拳を向けるか、反逆者。」 戸田「ノゥ!」 岡田「いま、後ろ向いてただろ。」 戸田「絶対にノゥ!!」 岡田(その目・・・反逆をやめぬ瞳・・・!) じりり。 山口と尾田の隔たり、およそ3m。 時が止まったかのように、二人は動きを見せない。 両者の爪先のみが微かに蠕動し、いずれきたる必殺の瞬間を垣間見せる。 ぎりっ。 尾田の刀のうち1本が、噛み締められて鳴き声をあげる。
ええ〜とりあえず今日はここまで。 明日ジャンプ勝ってこないと、続きが書けん(苦笑) それと遅レスだが、プロレスすげー面白かった! 正直、感動したよ、ありがとう!
・・・ぷふー 本塁。大の字に倒れこんだ水島の顔に被せられた帽子が、浮いた。 松島「水島先生!」 水島「いっやぁ〜っ、負けた負けた!」 むくりと起き上がった水島の顔を見るまいと、松島は目を逸らそうとして、気付いた。 仏のような顔・・・いかにも温和な水島新司?の顔がそこにあったのだ。 板垣「へっ、綺麗に取り変えやがった。」 水島「ワイを球場で殺そうなんて100年早いわい!」 何事も無かったかの様に振舞う水島に、松島絶句。 水島「ん?なんや松島、ああ、顔か。 まあ、ワイもチャンピオン『表紙の三人』の一人やからの。 球場の中では浜岡や板垣と同じ程度にしぶといっちゅうことや。」 いくらしぶといからって顔を山田太郎に変える必要は無いだろう。 松島はそう思ったが、口に出すのはやめた。 水島「・・・なあ松島。」 松島「はい?」 水島「いま、1、2塁でやっとるアレ、なんやと思う?」 松島「・・・クロスプレーですか?」 水島「多分、違う。 アレは、喰い合いや。 野球とは違う、別次元の力と力の喰らい合い。 鳥山がけったいなモン持ち出したところで気付くべきやった。 板垣とやりおうて確信した。 どうにもこの野球には変なモンが混じっとる。そう思っとった。 しかしなあ、なんともいえん異物感の正体はワイと、松島。 ワイら野球漫画家やったんや!」 松島は、呆気に取られたような目で水島を見つめた。
な 、 な ん だ っ て ーーーーー !!?
>387 ありがとだッチ。゚(゚´Д`゚)゜。
「ヒラマツ君、今度いっしょに九州中ドサ回りしてプロレスを地域に根付かせてみないかモン?」 「ああ・・・そげん楽しか巡業もよかタイねえ・・・いつか、きっと行きましょう、にわの先生!!」 「まこリンでいいモン♪体で語り合った仲だモーン。あ、足のテーピングを忘れずにね」 「はい・・・・まこリン先生!そいじゃ、オイはそろそろ行きます。健闘を祈ってるバイ!」 再戦を期してお別れするにわのとヒラマツ。ヒラマツは敗北者として島の何処かへ消えていった。 ・・・山火事の只中に突っ込んでいなければいいのだけれど・・・。 「ふう、かーなり手強い相手だったホ。んじゃ審判さん達お疲れさんだば!とっとと帰るだス」 「あー、ひでー言い草じゃの!この歩く非常識め」「まあまあ!でわまたなのだー」 ひらひらと手を振りながら、地下に消えゆく特設リングと共に去る安永と新沢。 カメラクルーも去り、にわのはひとりきりになった。大きく間延びをして空を眺める。 しばし忘れていた≪赤い月≫が、いよいよ爛々と輝いていた。血が、騒ぐ。 「そんじゃとっとと移動しますか・・・めんどいからこれで行こ。 再び出でよ、超異次元暴走まっしーん・ジェットモンガロン!!」 ♪ぽーぱーぴーぽーぱーぴーぽーぱーぴーぽ〜〜♪(エンジン音) 電車かモノレールが到着しそうな音と共に、はるか異次元より変態バイクが再度召喚された。 メカもんがーが車輪を抱え込んでいるよーなデザインのそれに、にわのはひらりと乗り込む。 常識離れしたエンジン音をふかしながら、モンガロンは地上20センチの地点に浮かび、発進した。 「目標、なんとなく風下!今夜こそ光を超えるモン・・・れっつら、ごーーーーーー!!!」 ぶんぶかぶんぶか、山を飛び谷を超え、僕らの町・・・もとい目的地まで亜高速でぶっ飛ぶバイク。 しかし、あまりに加速が過ぎて突如眼前に現れた謎の人影に対応する事が・・・できなかった。 モ ン ガ ロ ン ひ き 逃 げ ア タ ッ ク !!!! 「ヒキニギャフォア!!?」 (やべ、なんか轢いちゃったぎゃ。審判来てないし、れっつら逃げっ!!ごめんねぇ〜〜〜・・・・) ・・・鉄の暴れ馬が慌てて走り去った後には、うつ伏せの大の字で土に全身を埋めている、稲垣理一郎が、いた。
392 :
忘れ物 :03/09/04 09:19 ID:3g0g35uI
超異次元暴走男・にわのが走り去って、数分後。稲垣理一郎は地の底から這い上がった。 「うっがーーッッ!誰だか知らねーが、あんの糞ヤローがッッ!危うく死ぬとこだッッ!!」 なんで死なないのか、というツッコミは禁止だ。 痛んだ体を引きずりながら、稲垣がひとり悪態をつきまくる。そのときであった。 「お?あいつは、たしか‥‥」 遥か遠方に人影を発見し、稲垣がさっそく追跡を開始する。 茂みや木陰に巧みに身を隠しながら、その男に近付いていく。 そして近くの樹に昇って身をひそめ、男の正体を確認する。 (あいつはチームタフのリーダー、猿渡哲也!こいつは大物だな‥‥) にや〜と悪魔じみた笑みを浮かべると、稲垣が持っていたマシンガンの銃口を猿渡に照準する。 殺すのは禁じられている為、あくまで手傷を負わせることが目的だ。 どうやら猿渡は全く稲垣に気付いていないようだ。そう判断した稲垣が、トリガーを引き絞る。 だが、ここで不測の事態が起きた。弾丸が一発も発射されないのだ。 (弾が出ない!?どういうことだ、こりゃあ!!) 銃の故障などは考えられない。稲垣が激しく動揺していると、そこへさらに予期せぬ事態が生じた。 「いつまでも、そんなとこ隠れとらんで、出て来いひんか?」 慌てて稲垣がスコープを覗くと、そこにはこちらを見ながら微笑を浮かべる猿渡の顔があった。 「!!!」 いきなり、猿渡の姿がかき消えた。刹那、稲垣の視界を巨大な影が覆った。 「灘 神 影 流 "塊 蒐 拳" !!」 巨大な衝撃が2つ、稲垣の胴体を貫いた。 その凄まじい貫通力は、稲垣の体を突き抜け、背中の衣服のみを引き裂いた。 未経験のダメージに、稲垣は声も出せず、その場で膝をついた。 「げ‥‥あ‥‥」 目の前が真っ白になったまま、稲垣が呻き声を発した。 髪を引っ掴まれ、強引の顔を上げさせらると、目の前に猿渡の顔があった。 「ん?見かけんツラやの。誰や、おまえ?」 さしもの稲垣も、心臓を鷲掴みにされたような恐怖を感じた。それ程に、眼前の男は桁外れだった。 言わなければ、間違いなく自分は殺される。そう感じさせる凄みが、猿渡にはあった。 稲垣にできることは、自分に関する一切合切を素直に吐くことしかなかった。
「ほう、すると"自分"は潜入工作員ちゅうことかいな。福本もツマランこと考えよる」 そう言いつつも、猿渡の顔には悪意をたっぷりと含んだ笑みが浮いている。 何か考えているらしい猿渡を見ながら、稲垣はある疑問に取りつかれていた。 (ワカラねえ。なんであの時、弾丸は発射されなかった!?) 最大の謎であった。すると、稲垣の心理を読んでいたように、 猿渡は懐からある物を取り出すと、稲垣にそれを投げつけた。 それは、小さな一枚のカードだった。"銃火器禁止"と書かれている。 「そいつは"禁じ手カード"っちゅうての。そのカードに書かれた能力を全て封じられる。 どないな強力な攻撃やろうとも、ワシには意味を為さなくなるわけや。勿論、例外はあるがの」 その"例外"までは、当然ながら稲垣にはしゃべらなかった。 猿渡の言う通り、この"禁じ手カード"には一定の制約がある。 一つ。猿渡が使える能力しか、封じることが出来ない。 一つ。カードに書かれた"禁じ手"は、猿渡も使えなくなる。 一つ。猿渡の能力を超える相手には、通用しない。 ちなみに、先の岡野・真倉ペアとの闘いで、"鬼の手"を封じたのも、この能力だ。 猿渡はオカルト漫画も描いていた為、岡野たちの"妖怪系能力"を封じる事が出来たのだ。 あえて"妖怪能力無効化"と偽ったのは、能力の一部を全てと誤解させる、猿渡一流のブラフである。 「ところで、おまえの処遇やがの。安心せい、おまえは見逃したるわ」 思いがけない猿渡の言葉だった。だが、稲垣はそれを鵜呑みにしたりはしない。 「そのかわり、今までと同じ事をやってもらうで。ただし、裏御伽とジャンプスポーツ相手にの」 「‥‥‥」 予想はしていたが、悪どい申し出であった。 スポーツチームには相棒の村田がいる。到底、承知できない条件である。 「考えとるのう。せやけど、おまえに選択の余地はないで。 さっきおまえに決めた技は"塊蒐拳"。別名"鬼の五年殺し"と言われる技や。 これを喰らったヤツは例外なく、五年以内に死ぬ」 「なに!?」 「解除できるのはワシしかおらん。仲間の為に五年で死ぬか。 仲間を売っても自分が生きることを選ぶか。よーく考えるんやな」 残酷な死の宣告を残し、猿渡は去った。後には、懊悩する稲垣だけが取り残された。
黒乃の斬撃が荒川を切り裂く。 荒川は防戦に集中するが、それでも細かい傷を避けることは出来なかった。 荒川「はやっ…!」 黒乃「よく避けるな…だが、」 荒川の錬金術で作り出した槍と、黒乃の日本刀は数合ほど打ち合わされ、 そして間隔を数メートルほど空けて再び対峙する格好となる。 黒乃奈々絵が口を開いた。 黒乃「お前では戦闘に特化した私には勝てない…」 黒乃は冷酷に告げる。 荒川「どうかな…別に私は個人であなたに勝つ必要もないんだけどね。」 黒乃「複数での挟撃を狙うのは愚かだぞ… 皆がそれぞれの戦いに気を取られていて、個人の戦いにまで気を回せないだろう、 また、それだけの余裕もないはずだ…」 黒乃は囁くように続けた。 荒川「まあね。でも…何事にも例外はあるわ。」 荒川は黒乃の後方の入り口の地点を見つめて微笑する。 黒乃「──!」 荒川「──今よ!」 荒川は一瞬、黒乃の殺意が後方に向いた隙に、後退し、 同時に槍を腕の中に持ちながら両手を合わせ、錬金術の錬成をする。 黒乃「…フェイクか、だが錬成をする暇は与えん!」 黒乃は跳躍をし、一瞬で間合いを詰めると、そのまま一連の動きとして刀を荒川に突き出す。 荒川は黒乃の低い体勢の、さらに低く、膝を落として攻撃を避けると、そのまま手を地面につけた。 黒乃「──ッ」 錬成時の光と共に、地面から垂直に数メートルはあろうかという円錐が何十本と床から突き出す。 黒乃は鍛えた身のこなしでそれを避けた。 だが、ほんの僅かだけバランスも崩れる。 黒乃「くっ!」 そして、次の瞬間、黒乃が後ろに跳ぶのと、黒乃の背後の地面が陥没するのは ほぼ同時だった。 黒乃「──!」
荒川「ぼこぼこ出すだけが錬金術ってわけじゃないわよ!」 黒乃「おのれ!!」 荒川がそのまま錬成した槍を持って間合いを詰めて来たことに対して、 黒乃は後方の崩落した位置まで体が戻る前に自らの刀を地面に突き刺し、 そのまま腕力だけで推進力を前方へと戻した! 荒川「なっ──!!」 黒乃「おおおおっ!!」 荒川の槍と黒乃の刀がぶつかり合う。 それは一瞬のタイミングとタイミングの交差。 そして黒乃の刀が荒川の首筋を切断する直前に。 荒川の槍が黒乃の胸元を突いていた。 黒乃の剣撃の方が機先を制していたことを考えると、 例えその得物の長さに差があることを差し引いたとしても、 荒川の槍が当たったことは奇跡とも言える。 黒乃は直前に再び重心をずらして致命的な部位の損傷は避けた。 とはいえ、決して浅くないその傷は、例え黒乃といえどもすぐに動けるようなものではない。 黒乃は通路の壁を背に、胸元を押さえて仰向けに倒れ込んだ。 黒乃はいまさらになって息を切らしていた荒川に向かって言う。 黒乃「…こんなこともあると言うことか……止めを、刺せ。」 荒川「…人殺しはかんべんしてよ。」 黒乃「近づいたときの反撃でも警戒しているのか? その必要はあるまい。錬金術を使えば遠距離からでも攻撃は出来るだろう。 私はお前たちに憎まれても仕方がない…ブレイド作家だ。躊躇うこともあるまい?」 荒川「殺しは嫌だって言っているのよ。 その傷じゃあ、動き回ることは出来ないでしょう? なら、これ以上手を出す気はないわ。」 黒乃「……」 ほんの僅かだけ視線が交じり合う。 そのこと自体にはそれほど意味は無いだろう。 荒川は踵を返すと、通路の出口に向かって走った。 置き去りにされた格好で、 黒乃は考える。
──愚かな行為だ。 そう、命を取らなかった行為は愚かなことだ。 ──懐柔でも狙っているのだろうか。 もしも目的がそうだとすれば、それは愚かな行為だといえた。 有利な条件を提示されれば、私はそれを利用するだけだ。 次に戦う来たときがきたとしても、容赦などしないだろう。 そして、もしも単に善意か、殺すのが怖かったという理由なら──それはもう愚にも満たない。 次に自分が死ぬことを宣言するようなものだ。 どうしたって意見の合わない人間はいる。 そして意見の合わぬ人間への究極の対処法は意志の抹殺──殺す以外には他はない。 血生臭いが、それは間違った事ではなかった。 歴史の変わるとき、世界が変わるときに夥しい血は付き物だ。 意志の合わぬものが、それだけの理由で殺されていく。 そうやって人間は生きてきたのだ── やりきれない虚脱感と、出血から来る寒気を覚えながらも震える手で懐を探り、 黒乃は小瓶を取り出す。 その中の液体の半分を消毒のために傷口にかけると、 黒乃はしばし考え、傷口の痛みを和らげるためにそれを飲み干した。 結局、今は自分からは動けそうにもない。 だから余計なことも考えてしまうのだろうと思う。。 黒乃にはひとつ思い浮かんだことがあった。 だが、それを口に出すことに躊躇いがないわけでもない。 黒乃はしばし迷ったが、意を決して口を開く。 黒乃「さてと…こんなときにこんなことをいうのも何なんだが…私の漫画、 PEACE MAKER 鐵、 は 2003年10月7日(火)テレビ朝日26時12分より放送開始決定しました。 暇な人は見てくれたりすれば、参考になっていいかも知れん…」 黒乃はそう言うと胸元を押さえて蹲った。 傷口が痛かったせいもあるが、 それ以上に言ってみて、ちょっと気恥ずかしくなったからでもあった。 ****
同人軍艦甲板にて──。 峰倉「うおおおおおおおおおおっ!」 土塚「な、なんだ?」 峰倉かずやの叫びに、土塚理弘が警戒の構えを見せた。 峰倉「俺の漫画、 『最遊記RELORD』 は、 テレビ東京で10月2日から毎週木曜夕方6時30分よりスタートだっ! 暇な人や職人さんはもちろん見てくれるよなっ!! はっはっはっ!!夕方枠だから黒乃より視聴率は期待できるぜ!! さすが俺!っしゃああああああああああ!」 ガッツポーズをとる峰倉に対し、土塚が突っ込む。 土塚「これって過去編なんだぞ。わかってんのか?」 峰倉「はっはっはっ!最強腐女子!峰倉かずや様にはそういう常識は通用せんっ!! 過去にだって最遊記はアニメ化してるし、別にいいだろう!ふははは!!」 土塚「そういう問題じゃねえだろうが! そういうやつにはマテリアル・パズル!ブルーリングスッ!!」 <アビャク>モードの土塚が体中に開いた穴から『水の力』を解放した。 峰倉が叫ぶ! 峰倉「やってみやがれえええええええ!!」 土塚「ぶっ潰れラァアアーーーーーー!!!」 土塚も叫び返す! 45億年の歴史の中で──強大な力と力がぶつかり合う!! って感じでなんかアニメ風のテロップ解説もやってみたところで! 続く!! **** 黒乃と別れた直後、荒川は通路を走っていた。 荒川「秋って新番組の季節だからなあ…」 誰にともなく呟く。 荒川「…ええと、鋼の錬金術師は10月からMBS・TBS系で土曜日夕方6時の放送です。 見ていただけるとちょっと嬉しいです。なんかガンガン系多いですね。でも宜しくです。」 荒川は言いながらも。リレー小説の意義について考えたりしないでもなかった。
現在の戦況。 軍艦甲板──土塚理弘と峰倉かずやが戦闘中。 軍艦内広間──城平京、水野英多と高橋留美子が戦闘中。 軍艦メインの入り口──大清水さちと高河ゆんが戦闘中。 軍艦内通路──荒川弘と黒乃奈々絵の戦闘は決着。
広告キター(´Д`)ーん
ホームベース上で水島がフェイスチェンジしている頃、一・二塁線上でも動きが有った。 ――ど か ん! それまで何とか鳥山の攻撃を凌いでいた降魔であったが、ついに直撃を食らう。 鳥山の攻撃の威力は想像を絶した。 その小さな拳と短い腕からは、とても想像のつかない破壊力。 予備動作無くして、星すらも砕くその拳は、まさに理不尽を体現していた。 ――ピシッ…ピシピシッ 降魔の体に細かい亀裂が走る。 まだ何とか稼動いてはいるものの、もはや嵐の前の灯火に過ぎなかった。 それを背中越しに察した岡田は表情を強張らせる。 「尾田君!降魔はもう駄目だ、もって後《10レス》。 それまでに、こいつ等を打ち倒し、水島を突破しなければならない!」 戸田の猛攻を捌きながら、尾田に向かって叫ぶ。 それを聞き、山口と睨み合いを続けていた尾田の頬に冷や汗が伝う。 (くっ、そんな事言われても、こんなに隙が無いんじゃ、迂闊に踏み込めねェ!) 口に咥えた刀を、更に強く噛み締める尾田。 今、バーリトゥードベースボールは、天王山をむかえた。
403 :
402 :03/09/04 21:50 ID:HKOSaUpu
ちょっと、タイムリミットを設定してみました。 この方が、緊迫感が出るかと思って… (´-`).。oO(10レスは長すぎたかなぁ)
松島「そ、そんな・・・俺たちが邪魔者って・・・」 水島「まあ、なんというか、な。察してくれや。 お前はあれを止められるか?」 そういって、降魔と鳥山を指差す。 それきり、松島は黙り込んだ。 水島「な、無理やろ」 ――ど か ん! 言うか言わないかのうちに、降魔は鳥山の一撃をくらう。 水島「この勝負、一介の野球漫画家には荷が重過ぎるっちゅうことや。 松島、お前は外野に回れ。お前の肩は、武器になる。」 ぽん、と肩を叩き、笑う。 水島「投手はあいつらの好きにさせる。 心配いらんでえ、ワイがしっかりリードしたるさかいな。」 松島「でも・・・!」 水島も野球漫画家じゃないか、と言いかける。 水島「察してくれや、ワイかて野球漫画家のメンツがあるんや。 野球漫画家の最後の砦として、この試合を最後まで、 本塁で見届けなあかん義務があるんや。」 悲壮とも、開き直りともとれる水島の言葉。 水島「さてと、次の投手は戸田か・・・1打者ごとに変えるという手も・・・」 次の瞬間には、野球を心底楽しむ少年のような目をみせる。 ああ、この人は心底野球バカなんだ。と、松島は球を掘り出すことも忘れ、呆気にとられた。
気絶していた村田の巨体がふいに揺り動かされた。微睡んだ意識に、知性的な声が差す。 松江名「あ〜、キミキミ。こんなとこで寝てたら風邪ひくよ」 聞き覚えのある声に、村田は即座に跳ね起きた。 村田「え、どええッ?」 松江名「おや、驚かせてしまったようだね」 落ち着いて呟く松江名だが、当の村田は内心動揺しまくっていた。 先の山狩りの時の恐怖を思い出し、村田が身震いする。 松江名「実はさっきまで違反者を捜していたんだが、なにやら有耶無耶になってしまってね。 川原君と岡村君の闘いは、他の審判がついてしまったし、ヒマでねえ」 村田「はあ……」 表面上相槌を打っていたが、内心ではホッとした村田だ。 村田(どうやら、お菓子に関してはバレてないみたいだな。よかった…) 一安心したとき、遠方からいやに訛った大声が聞こえてきた。 青山「松江名さん……もうカンベンして欲しいっぺよ〜〜む!?」 松江名の強烈なシゴキに心身共に疲労困憊だった青山だが、村田を見るや表情が変わった。 青山「お〜よ〜やく敵さん発見だっぺ。おい、そこのデブ! オラと勝負するっぺよ!」 鼻息荒く勝負を吹っかけてくる青山。村田は、これを好機と受け取った。 村田(やった、やっと僕にも出番が。これで勝っても負けても逃げきることが出来る!) ようやく闘えることの喜びと、山狩りから逃げることへの安堵感。 両方がないまぜになって、村田はいつも笑っているような顔を、さらに崩す。 ここに村田のデビュー戦が始まる! ……と思われた、そのとき。悪魔が微笑んだ。 松江名「ン?」 松江名の肩に、いつの間にか一匹のネズミがいた。 それは松江名の飼っている忍者ネズミなのだが、その口には何かがくわえられていた。 村田「あ・・・」 それを見た村田の表情が愕然と強張る。 松江名「これは・・私の大好物のチーカマ(チーズかまぼこ)じゃないかね! いったい、こんなものどこから・・・」 そして松江名の視点が、ある一点に注がれた。村田がお菓子類をしまっていたバッグ。 そこがいつの間にか開封され、そこから大量のお菓子が見えていたのだ。 どう見ても、規定金額を余裕で超えているであろう量のお菓子が。 その瞬間、松江名の目が妖しく光った。獲物にようやく巡り会えた、獣の目だった。
松江名「見〜〜つ〜〜け〜〜た〜〜ぞ〜〜、違反者発見!!」 ピ−−−ッッ! 松江名の呼び子が鳴り響き、たちまち大会スタッフ達が大挙して押し寄せ始めた。 スタッフ「いたぞ、違反者だ! 捕まえろ!」 ここに地獄の追跡劇が、再び始まった。 村田「うわあああああああッッ!!」 恐慌状態に陥り、村田が脱兎のごとく逃げ出す。それをスタッフと猟犬たちが追う。 松江名「よし、青山君。私たちも追うぞ!」 青山「オラは関係ないっぺよ・・」 疲れ果てたように呟く青山だが、それは誰にも聞かれる事はなかった。 数分後。村田「フンヌラバ!!」 スタッフたちによる包囲網を、村田が強行突破を試みる。 重戦車のごとき村田の、アメフトじこみのタックルは、それなりに鍛えられたスタッフたちを、軽々と吹っ飛ばす。 スタッフ「ば…化物だ−−−っ!? 俺達じゃ止められん! 先生を呼べ!」 村田(ひいひい・・はあはあ・・ゴメンねスタッフさん。 でも、僕はこんなとこで捕まるわけにはいかないんだ!) まだ何の役にも立ってない。捕まる前にせめて1勝でもチームに貢献したい。 その思いだけが、村田を突き動かし、疾駆させる。 だが、その目前に、いきなり道をさえぎる死神が降り立った。 松江名「こらこら逃げちゃダメだよ、これでも私は審判なのでね。規則は絶対だ。 私は争いは好まない方でねえ、あまり手を焼かせないでくれたまえ」 村田「お願いだ、そこをどいてくれ。でないと、アンタも・・・」 涼し気な松江名に対し、必死な形相で迫る村田。しかし、松江名は。 松江名「いやいや大きいね〜〜君は……」 静かな声だった。だが、それはまさしく嵐の前の静けさに他ならない。 村田(この人……僕と闘うつもりなのか? この細い体で?) この時、村田の思考はたったひとつであった。松江名を倒してでも、ここを逃げる! 2人の闘気が、メラメラと燃え上がった。空気が戦場のそれへと変わっていく。 後ろで成り行きを見守っていた青山に、ふいに松江名の声がとんだ。 松江名「青山君!」 青山「は、はい!」 思わず律儀に応えてしまう青山。 ギラリと目を光らせ、松江名が自信に満ちた声で言った。 松江名「これから柔術の実戦を見せる!! よく見て参考にしたまえ!」
松江名「さて、相手が自分より大きい場合…」 村田「うお−−−っ!!」 捨て身になった村田が、弾丸のようなタックルをしかけた。 対する松江名は涼しい態度を崩さぬまま、平然とこう言う。 松江名「まずは悪い例だ…」 青山「ええっ!? そんな実戦中に?」 常識外れの言動に、青山が驚愕した。しかし、真の驚愕はこの先にあった。 重戦車のタックルが、松江名の細身の体に激突した。 普通なら触れた瞬間に吹っ飛んでしまいそうな、圧倒的な体格差。…のはずが。 村田「ぐぉ−−−−っ!! ぬお−−−−っ!」 100キロを遥かに超える村田の巨体が、しかしビクとも動かない。 なんと松江名は、村田の渾身のタックルを、2本の腕で難なく受け止めてしまったのだ。 松江名「まっ向から対峙してはならない!! 力負けしてしまうからね!!」 青山(負 け て な い じ ゃ ん !!) 村田の突進を力ずくで抑えこみながらも、松江名には青山の方を向いて解説する余裕さえある。 青山(物理の法則的に…松江名先生が動くはずなのに!!?) 村田「う、動け−−−っ!!」 そのとき青山は気付いた。 青山「足の指を…岩のくぼみにひっかけているう〜〜!?」 それは松江名の実戦ならではの技法だった。そして、強烈な握力が村田の肩に食い込んだ。 村田「ぐわあああ・・・・!」 青山「おまえが痛がるのかい−っ!!」 苦痛にあえぐ村田から、ふいに松江名が手を放した。 松江名「よし、次は正しいやり方だアメフト君!」 村田「ぐおおお〜〜〜!!」 すでに、村田に余裕などなかった。目前の得体の知れない怪物に、心底恐怖しているのだ。 恐怖に取りつかれた村田が、力まかせにボールを振り下ろした。 刹那、村田の視界から松江名の姿が消滅した。 村田「き、消えた!? うおっ!!?」 気付いた時には、村田の死角に松江名はもぐりこんでいた。 松江名「入り身のコツは真っすぐ進むように見せて、外に進み、敵の死角を取ることだ!!」 実戦の最中だというのに、松江名の解説は止まらない。そして、圧倒的攻勢も。 松江名「そして、実戦においてだいたい柔術は…」 ま ず 、 当 て 身 か ら 始 ま る ! !
松江名先生(゚∀゚)キター!!
死角からの鋭い一撃が、村田のこめかみを痛打した。 村田「ぽっ…」 重い衝撃に、村田の頭蓋の中で、脳が激しく揺さぶられる。 アメフトで頑強に鍛え上げている村田の首ですら、殺し切れない凄い威力だった。 松江名「だが当て身はあくまで、敵の注意と体勢を崩す…お と り !!」 青山(いや!! き い て る っ て !!) 村田「くっ!」 視界を揺らしながら、懸命に村田が攻撃を繰り返す。 しかし、松江名の舞うような捌きに、全ては弾き落とされていく。 松江名「敵の攻撃はスピードに乗る前に半歩出て、力をそらして無力化する!!」 ことごとく攻撃をいなされ、遂に村田がバランスを崩し、前のめりになる。 松江名「そして…」 村田「ひっ!!」 青山「ああっ!!」 村田の腕が捻り上げられ、太い足がひっかけられた。 松江名「 投 げ る ! ! 」 瞬間、村田の巨体が、大きく宙を舞った。 派手に回転し、大きな地響きをたてて、巨体が地面に叩きつけられる。 凄まじいばかりの投げの威力に、村田はあえなく失神した。
青山「す…す…凄いぃ!!」 松江名「参考になったかね?」 あまりの技の見事さに驚嘆し、青山が駆け寄ってくる。 一方の松江名はやはり泰然としながら、和服の襟元を直している。 松江名「さて、それでは可哀想だが、村田君はプリズンに行ってもらうか……」 大の字になって目を回している村田を見下ろしながら、松江名が溜息をついた。 そのとき! 松江名「!!」 突然、松江名が駆け寄ってきた青山を蹴倒した。 いきなりの暴挙に尻餅をついた青山の頭をかすめるように、弾丸のような何かが突き刺さった。 青山「!!?」 ようやく青山が事態を察知した時には、松江名はすでに臨戦体勢にはいっている。 松江名の視線の向こうに、氷炎の竜巻が渦を巻いていた。 ??「ちょうどいい具合に敵がいるじゃねえかよ。さっそくぶっころだ」 それは、乙一にまさかの敗北を喫し、怒り心頭の鈴木リバースであった。 松江名「やれやれ…しつけの悪い獣だ…回りの者に当たったらどうする?第一、ここでは不意討ちは禁止だよ」 穏やかさの中に、真剣のものが混じる。しかし、鈴木リバースは全く意に介さない。 相手が審判だと知ってか知らずか。 いや、例え知っていたとしても、鈴木リバースにはお構いなしだろう。 鈴木(R)「うるせえ、こっちはイライラしてんだ。エラそーに指図するならテメ−から、ぶっころだzo」 松江名「ほう、面白い。やってみたまえ…」 双眸に剣呑な光が滾り、鈴木リバースに向けられた。 そのとき、別の方向から、新たな殺気が風となって吹きつける。 ??「これはこれは…何やら面白い場面に出くわしたやないけ」 混沌たる戦場に出現したのは、濃紺のスーツを着込んだ精悍な体躯の男。 チームタフの首魁。猿渡哲也である。
まちげーた。上のレスは(220/350)ね。
ここはゴッドハンドの拠点、バベルの塔。 その頂点にて泰然とたたずむ横山に、戦艦ヤマトから急な知らせが届いた。 横山「なんと、十傑集の高橋しんと福地翼が艦を脱走したと?」 このいつも冷静な男にしては珍しく、驚きの為か片眉が吊り上がる。 松本「事実だ。連れ去った者は、梅澤春人」 目の前のモニターには、松本零士からのホットラインが繋がっている。 横山「ほう、KIYUと志しを同じくする者にして、<突き抜ける>を得た者。 我らが<神>に反逆する、愚者共があの<最終兵器>をね」 羽扇で口元を隠しながら、横山が呟いた。 松本「今なら間に合うぞ。大友にでも追わせるかね?」 それに対する横山の言葉は、松本には意外なものだった。 横山「いえ、放っておきましょう」 松本「なんだと!?」 まさかの返答に、松本は一瞬、横山の正気を疑った。 しかし、横山に限ってそんな事があるはずないと即座に思い直し、松本が咳払いする。 松本<<解せんな。福地はともかく、高橋しんは矢吹艦攻撃時の要。重要な戦力のはずだが?>> もっともな事を言ってくる松本に、横山は意味ありげな微笑を刻む。 横山「確かにそうです、いや、<そうでした>というべきでしょうか。 私は思いついてしまったのですよ。あれを単純な戦力として使うより、 もっと面白い使い方をね」 松本「ほう?」 横山の真意が読めず、松本が怪訝な顔をする。 横山「KIYUと高橋しん。彼らはあまりにも境遇が似ている。 集英社と小学館。場所は違えど、共に禁忌として封印された者たち。 彼ら、2つの凶星が出逢うとき、果たして何が起こるのか。 私はそれを見てみたくなったのですよ」 横山の目に浮かんでいたのは、明らかな狂気の光だった。 だが、それに気付かない松本がさらに問う。 松本「おまえは何を考えている? もしKIYUにヤツの力を利用されたらこちらにとって大きな驚異になるやも知れんのだぞ」 横山「御心配なく。あれは、使おうと思って使える者ではないのです。 人の手では御し得ず、人の手に余るもの。あれは、<そういうもの>なのです」
松本「……それで、私に納得しろと?」 横山「その時が来れば、私の言っていた事が正しかったと証明できますよ。 ですから、ここは私を信じてもらえませんか、松本さん」 しばらく間があった。やがて、松本が言う。 松本「了解した。そこまで言うなら、追手は出さん。だが、どうするつもりだ? おまえの御自慢である十傑集……また2人も欠員が出てしまったぞ」 横山「その点についても御心配なく。すでに目星はついていますよ」 自信ありげにそう言うと、横山が別のモニターを作動させた。 そこに映し出されたのは、白熱する野球の試合風景。D決勝の映像である。 松本「これがどうした?」 すると、横山が羽扇で画面のある一点を指し示した。 横山「彼が、新たな十傑集候補ですよ」 その先に示されていたのは、えなりベンチに座るひとりの男。 誰もが純粋に勝利を目指し戦うなか、ひとり強い憎しみを滾らせる者。 横山「感じますね、ドス黒い怒り、強い憎しみの念を」 わざわざこのような言い回しを使ったのは、彼独特のユーモアか。それともKIYU達に対する揶揄か。 横山の神算鬼謀を秘めた視線の先にある男の名は。 横山「岸本斉史……確か、そのような名でしたね、彼は」 松本「なるほど、大友が以前、自らの後継者に指名した男か。 だが、あれは失敗したのではなかったか?」 それに対し、横山が静かに首を振る。 横山「いえ、大友さんの<呪印>は、そう簡単には解除できません。 それこそ同じゴッドハンドクラスの力がない限り、不可能です。 何より、彼は憎み、呪っている。自分の親愛なる者を殺した男を。 そして、その男を倒せぬ非力な己を。そういう者をこそ、私は欲しています」
松本「で、どうするつもりかね。また洗脳でもするつもりか?」 横山「いえいえ」 とんでもないと言わんばかりに、大袈裟に横山は笑った。 横山「その必要はありません。何もしなくても、彼は自らこちらへ来ますよ。 彼が仇を憎み、己の弱さを憎む限り、ね。 私たちは、それをほんのちょっと後押ししてやるだけでいい。 この試合が終わったら、その役目は大友さんにでもやてもらいますかね」 いったん息をつくと、横山はつづける。 横山「それに岸本君の中にひそむものは、下手するとKIYUや高橋しんを凌ぐかも知れません。 それ程までに兇悪な怪物を、彼は身の裡に飼っている」 松本「すべてにおいて抜かりはないというわけだな。で、もうひとりは?」 すると、それまで流暢だった横山の弁説が、急に澱んだ。 松本「どうかしたのか?」 横山「……いえ。ですが、<あの者>は色々と問題がありましてね。 出来れば使いたくなかったのですが、仕方ありません」 その横山の端切れの悪い言い方に、松本はある事に思い至った。 松本「まさか……<奴>を解き放つつもりか。あの罪人……十傑集でありながら、 貴様や他のゴッドハンドに傲然と牙を剥いた、あの者を」 横山「あの者ならば……高橋しんの後釜には十分すぎるでしょう」 松本「危険だ。奴はかつて、お前の喉元まで後一歩というところまで迫った、 最凶にして最悪の使徒……だからこそ、先の大戦以来、 奴は<バベルの塔>の牢獄に封印されているのだろう」 松本の忠告を、横山は一笑にふした。 横山「だからいいんですよ。それだから、いいんです。あの者なら十全の働きをしてくれます。 それに言ったでしょう。私に必要なのは、まさにそういう者だと」 もう松本に、何も言うことはなかった。静かな目で横山を見ると、 松本「気遣いは無用というわけか。ならば、もう何も言うまい。貴様の差配……とくと見せてもらおう」 それを最後に、交信は終了した。 そして、横山がふうと息をつく。 横山「今宵はいい月だ。このような夜には、<奴>の遠ぼえがよく聞こえます」 その耳に届く声。吹き荒ぶ風の音に混じり、バベルの塔の牢獄にて兇悪な産声があがった。
福地君クビ(゚∀゚)おめでd
「ああ、邪魔するで・・・」 あくまで静かに、この一触即発の場へ入り込んできた男、猿渡哲也。 しかしその荒ぶる闘気――いや、凍気と表現するべきか――は、場の全てを刹那に支配した。 あまりに冷ややかな空気は、昏倒した村田さえ慌てて飛び起きるものであった。 「さ・・・猿渡サンっ・・・」 「なんや青山、そんなけったいな声出しよってからに。冷汗出てんで」 傍目にこやかにも思える猿渡の表情、しかし青山は硬直しきってしまう。圧倒的な恐怖。 さしもの鈴木信也リバースでさえ一瞬鼻白む程だ。松江名が闖入者に声をかけようとする。 と、その時。好機と睨んだ村田が飛び起き、砂浜とは逆の方向へかっ飛んで逃亡した。 「逃げろぉぉぉぉぉぉ」と涙声で叫びながら。 「むう、アメフト君が逃げてしまったな。やれやれ・・・包囲網をキツくさせるか」 松江名が頬をポリポリと掻きながら、審判用連絡モバイルを懐から取り出そうとした。 しかし、なぜか猿渡がクククと笑い出し、言った。 「なあに・・・その心配は無用やろ。・・・霊柩車の用意でもしときや」 「?」松江名は首をかしげる。その横から突然、空気を切り裂くように鈴木リバースが猿渡に襲いかかった。 猿渡はゆっくりとスーツを脱いで、空高く放り投げた。 「ふう、ふう、ふう・・・・。・・・な、なんとか・・・逃げきれた、のかなあ?」 どれだけ走ったかわからない。村田は自分の知らないどこかに迷い込んでいた。 気づいたら空が赤い。サイレンや放水の音、人の声が風に乗って耳に入ってくる。 山火事の現場に近いらしい。村田はそれに気づき、ドキドキしながら赤い空に背を向ける。 ――そこには、マシンガンの銃口をこちらに向けて携えた、見慣れた男の影があった。 ――闇とオレンジ色に全身を染められた彼は、なぜか泣いているように思えた。 ――村田の相棒にして親友、悪魔と罵られる事も多いが最良の友と信じて疑わない男。 「あ、稲垣くーん!元気だったかい・・・・」 ・・・・斉射音は、火風に千切られ空に吸い込まれていった・・・
(´-`).。oO(470KB超えたら新スレに移行致しませう)
同人軍艦内広間──。 そこでは、<ブレードチルドレン>こと城平京、水野英多と高橋留美子が争っていた。 中枢に近いこともあって、高橋は秘石の力を完全には使いこなすことが出来ない。 だが、高橋はそれを差し引いても厄介な敵であることを苦々しく認める。 何度目かの衝突の後。 高橋「でも、ね…」 高橋は歪んだ笑いを浮かべる。 そして彼女は秘石『四魂』を取り出して、それを自らの胸に埋めた。 城平「なっ──!?」 ド ク ン 脈動する音と共に、高橋の邪悪な気がその濃度を増す。 水野「仕方がありません!止めをさします!!」 少女──水野が銃撃を放った。 その一撃が無防備の体勢をとった高橋の心臓に命中する。だが、関係ない。 一瞬遅れて、城平の弾丸が高橋の頭蓋を砕いた。だが、関係ない。 ただ、高橋が集中して守っていた、秘石『四魂』を破壊することは出来なかった。 黒い“気”が高橋留美子の周りを包む。 城平「馬鹿な…」 妖気に気圧されながらも、城平と水野は中央にいる高橋のほうを向く。 水野と城平は再び銃の引き金を引くが、銃弾がその体を破壊するより早く、 高橋の傷は再生する。 それは、人魚の肉による不死化など問題にもならない。 そこにいたのは。 完全に妖怪化した高橋留美子だった。 高橋「あはははははは…はははははははは………」 城平と水野が見守る中、高橋留美子は哄笑する。 ****
同人軍艦エニッ糞上空一万フィート。 魔空艦零寒(ゼロサム)の隔離部屋にて。 そこにはぐるぐるにロープで縛られた美川べるのがいた。 操縦士A「何とか間に合ったな…」 操縦士B「しかしここまでされるまで熟睡する人間もどうかと思うが…」 とりあえず美川を縛り上げた操縦士たちが話し合う。 美川「なんで縛るのよー、なにもしやしねーよー。」 美川はフライパンの上のエビフライのごとく跳ねて暴れる。 操縦士A「信用できるか!」 操縦士B「高河先生も峰倉先生も居ない以上、 おとなしくしてもらいます。」 美川「…くぅっ、お前らただの操縦士のくせに強気だな。」 操縦士A「そんなこと決まってます。私達だってゼロサムの漫画家なんですよ。」 操縦士B「ただ適当な漫画家が思いつかなかったから今のところ伏字扱いなだけなんです。」 操縦士A「きっと…きっと、今に有名な漫画家の名前を当てられるんだ。」 美川「それってすッごく悲しいぞ」 美川はとりあえず突っ込んでから、続けた。 美川「皆が…私のことを誤解しているよぅ…私はひどいことなんて…しないよぅ。」 美川はつぶらな瞳に涙をためて、操縦士たちにに訴えた。 美川「お願い、信じて…」 操縦士B「そういう自分が童顔かわいい系キャラだと知っている人間の言うことは信用しません。」 美川はきっぱりという操縦士Bに対し、今にも殺さんばかりのどす黒い表情に顔を変えて言い放つ。 美川「じゃあ死ね。」 操縦士B「豹変するの早すぎるぞ!」 操縦士Bが突っ込む。 その突如、操縦士Aの顔面に操縦士Bの鉄拳が炸裂する! 操縦士A「泣いている美川先生を信じてあげないなんてひどすぎるーーーーー!!!」 操縦士B「お前が騙されてどうするーーーーーーー!!! ほらよく見ろ、こいつうつむきながら笑ってるぞ!!」 操縦士A「はっ!!ともかく、今は美川先生の出番じゃありません。 おとなしく…ぐあっっっっっ!!!」
操縦士Aのみぞおちに美川の鉄拳がめり込んだ! 操縦士B「な!いつの間に縄を!!」 操縦士たちの驚愕の声に対し、 美川はつやつやとした鰻の着ぐるみを纏って叫んだ。 美川「私の手にかかれば、この程度の縄抜けなんか造作もない! ふふふははは。窮地を勝機に変える奇跡の女が今君の前に!」 美川はヌルついたウナギスーツを脱ぎ捨てると、操縦士たちに向かって言い捨てた。 美川「ちっ!もうお前らなんかに頼まねーよ!あばよ馬糞ども!!」 美川はぱりーんと隔離室の強化ガラスを破ってあっさりとゼロサムの艦内に脱出する! 操縦士A「まぐそーーーーーーー!!?」 操縦士B「駄目だ!私たちでは美川先生を止めることは出来ない!! 応援を呼ばなければ…!!」 操縦士Aは美川べるのを追いかけることを諦めると、 戦闘に向かったゼロサム漫画家に対して通信を行なった。 **** 同人軍艦の甲板では土塚理弘と峰倉かずやが交戦していた。 土塚「ブルーリングス青精魔陰包──、 水よ霧となれ!!」 土塚は体中に開いた穴から水を霧として勢いよく吐き出す。 マテリアル・パズル、ブルーリングス──水の魔法使い。 そしてこの魔法は体内に取り込んだ水のマテリアルパワーを変換し、自分の力とする技だった。 峰倉「……む、」 土塚「この霧は俺の結界!一度吸い込んで俺の力とし放出する水の最大魔法だ。 広範囲に渡り複数の敵をも包み込むぜ!」 峰倉「…フン。」 峰倉は懐中からニューナンブを取り出すと、 霧の中で動く土塚の影に向かって弾丸を撃ち込んだ。 だが、その影は霧の揺らぎと共に掻き消える。 峰倉「──!」 峰倉の背後から、声が聞こえた。
土塚「幻影だ。 青精魔陰包は<アビャク>最大の技!! 敵の視界を閉ざし力も奪う!雑魚なら吸い込んだだけでも死ぬ! そして俺はこの結界内のことは全て把握できる。手に取るように! もう俺に攻撃を当てることも逃げることも出来ないぞ!」 峰倉「なるほど…」 峰倉は小銃をしまうと、片手で印を作り呪文を唱えた。 土塚「させるかよ! ここは海上だ!水なんかいくらでも補給できる! この水圧弾で…」 土塚は右の掌にある穴に水を集中させた。 そして腕を突き出すと同時にそれを解き放つ! 土塚「ぶッッ潰れらァーーーーーー!!」 10数メートルもの巨大な水球が峰倉を襲う。 ドオン!! 土塚の水圧弾が甲板を揺るがし、周囲に破壊跡を刻む。その中心に峰倉は立っていた。 唇の端を揺るがせて笑う。 峰倉「それが攻撃か…ならば見せてやろう、峰倉かずやの力をな…」 峰倉は呟いて、自らの術を解き放つ。 峰倉「炎獄鬼!!」 巨大な魔物の形をした炎が出現し、それは霧を裂いて一直線に突き進む! 土塚「何──!?」 あてずっぽうで放ったのだろう。それは土塚の大きく逸れていた。 だが、こらえきれないほどの衝撃が体の脇を通り過ぎていくことを自覚する。 巨大な炎で巻き上がった突風は広範囲に渡って作られた霧をかき混ぜた。 だが、水滴が高熱で蒸発したことで、その部分部分に透明な空間──霧の綻び──が現れた。 土塚「何だと!?」 土塚の位置を見定めた峰倉が間合いを詰めて、拳を突き出す。 それは土塚が直前に張り巡らした水を弾き飛ばし、土塚を甲板の端まで吹き飛ばした。 土塚「うおおおおおおおおっ!!!」 土塚が甲板際の壁に当たり、土塚は苦痛の息を漏らす。 土塚「くそ、拳でここまで出来るなら、銃なんて使う意味あるのかよ…。」
峰倉「さあな、あれは人間だけに使う武器じゃねえんだ。 普通の相手になら力だけで充分だけどなあ!」 峰倉はさらに襲ってきた。青精魔陰包の効果はまだ続いている。 だが、今度は視覚に頼らずとも正確に土塚の位置を突いてきた。 土塚「なんだとォーーーー!!?」 攻撃を受けて、土塚は跳ね飛ばされる。 峰倉「攻撃を喰らったのなら、傷口からの血の匂いでわかる!残念だったな!!」 マテリアルパワーは無尽蔵ではなく、使う<モード>と土塚自身の強さによってその総量は限られている。 際限なく水の力を使用できるわけではなかった。 土塚(まずい…!!結界の意味がない…戻さなくては…!水を俺の体に戻して、 俺自身を守らなくては…!!) 土塚は思考を巡らせ、判断する。 土塚「ブルーリングス青精魔陰包!!霧よ!水となり俺の体内に戻れ!!」 だが、その前に。峰倉の一撃が土塚の顔面に当たる。 峰倉「ショウタイムだな…」 土塚の抵抗はそれまでだった。 なすすべない土塚を峰倉の拳が蹂躙していく。 峰倉はぼろぼろになった土塚を片手で持ち上げた。 どんな最後をくれてやろうか──峰倉かずやがもう一方の手で構えたとき、 零寒(ゼロサム)から連絡が入った。 峰倉は構えた手で髪を掻いてから、懐の携帯を取り出す。 話によると美川べるのが零寒(ゼロサム)に乗り込んでいた、というものだった。 峰倉「放っておくことはできねぇか…」 連絡を受けた峰倉は舌打ちする。 峰倉「まあ、しかたねぇな…」 土塚は既にマテリアルパワーを使い果たしていた。 もう水を取り込む力も、制御する力も無い。 峰倉「ほら、お前の大好きな水があるぜ。」 峰倉は土塚の首根を掴んで海際まで引きずった。 峰倉「とっとと還れよ。」 そして、峰倉はそのまま土塚を海へと放り投げた。
猿渡と鈴木リバースが挨拶がわりに数撃を交わし合い、距離をとった。 猿渡「やるやないけ。身体能力だけなら、五聖人以上や。……もっとも、技の方はからっきしやがの」 鈴木(R)「ナメやがって、このジジイが……」 異様な緊張感が満ちたそのとき、落音のような銃声がこだました。 何事かと、松江名と鈴木リバースが周囲を見回す中、猿渡だけは怖気のするような笑みに顔を歪めている。 するとさらに、松江名の通信機が鳴った。数瞬後、通信する松江名の顔が驚きのそれへと変わる。 混乱した松江名は通話を終えると、猿渡が松江名に訊いてきた。 猿渡「どないした?」 松江名「アメフト君……ジャンプスポーツチームの村田君が、死亡したそうだ。 殺害したのは、スタッフの一人だ。違反者を捕まえようとした所、 抵抗された為、不可抗力で…とのことだ」 さすがに驚きを隠せない松江名に、猿渡が微笑しながら言った。 猿渡「よかったやないけ。アンタらの仕事もへったの」 何かを言いたそうな松江名だったが、口から出たのは別の事だった。 猿渡「君には聞きたい事があるが、今はいい。それより、私は審判として質問したい。 君らがやってる『それ』は、試合かね? それとも乱闘なのかね?」 松江名の問いに、猿渡が楽しそうに応えた。 猿渡「どっちかというと乱闘やな。これが試合やと、ワシは2勝になってまう。 それじゃ面白くないやん。ワシはもうちょっと、この島で楽しんでいきたいよっての。 それに、そっちの兄さんにも、その方が好都合やろ?」 鈴木(R)「なんだと、テメエ……」 猿渡の揶揄に、鈴木リバースが怒りを露にする。 猿渡「ところで、松江名とか言うたの。どや、アンタも加わらへんか。三つ巴としゃれこもうやないけ」 野獣たちの戦場は、混迷の度を増しつつあった。 一方、その頃。 完全に蜂の巣になった、無惨な村田の死体を、稲垣は見下ろしていた。 通信機を切ると、煙草に火を灯しながら、おもむろに稲垣が呟いた。 稲垣「さてと。そろそろ回収班のスタッフ達が、死体処理に来るな。 ……だから、今の内にとっとと起きやがれ、この糞デブ!!」 どこか苛立ちながら、稲垣が吐き捨てた。 そのとき、穴だらけになった村田の死体が、蠕動を始めた。
**** 同人軍艦内メイン通路にて。 高河「逃したか…。」 高河ゆんは呟く。 戦闘のために完全に破壊されて、ほとんど原型を成していない通路。 そして、自身に跳ねた返り血を、高河は交互に見くらべる。 高河「もう少しだったのだけれど。」 まさか原子レベルまで分解して転移する、電送まで出来るとは思わなかった。 高河は大清水さちを追うことも考えたが、 それは必要ないようにも思えた。 高河「これならば、もう…」 先ほどの戦闘で自らが与えたダメージと、 血で真紅に染まった自身の手のひらを見て、囁くように声を漏らす。 そして、高河はしばらく考えた後に踵を返した。 **** 同人軍艦内── 大清水さちは、足を引きずりながら彼女の研究室へと入った。 動くたびに激痛が走り、そして傷口からは血液が噴き出していく。 だが、その感じる痛みすら、既に脳の許容量を超えているために 緩和された上での感覚であることは容易に予測がついた。 大清水さちは血塗れになりながら、震える手で中央の機械を作動させる。 機械はそれを受けて、光源から光を漏らして明滅した。 それは戦闘のためではない。 それは違うことだった。 エニックスは立て続けに起こった災厄、“Y”、 そして“ラグナロク”によって大きな損害を受けていた。 エニックスを統一し、エニックスの崩壊を招いた危機から立ち直り、 エニックスの作家が矢吹らに使い捨てにされている現実を覆す。 そしてもうひとつ。
調査の結果、分かったことだが、 漫画家たちはかつて何度か大きな戦いをしていて、 そして今後も大きな戦いが待ち受けているということが判明していた。 そのたびに夥しい被害が出ていることも── だが、“同人軍艦”の本来の姿である『方舟』の機能を使いこなすことが出来れば、 いずれ来る戦いの際にどのような勢力も介入できない、 アジール(避難所という意味だよ)として使うことが出来るはずだった。 分裂したガンガンの漫画家を統一し、 情報を制し、そして綿密な作戦を立てられるユニットが居れば、 それらは成功するはずだ。 そのために作ったプログラム体に対し、大清水さちは命を吹き込む。 プログラム体──ロボット、QUANTUM-QUARTERは眼を開いた。 大清水さちは製造が成功したことに対して安堵した。 プログラム体は大清水さちのほうへ向かって歩いて来る。 大清水が命令を言おうとして口を開いたそのとき── プログラム体は、装備されていた武器で大清水さちを突き刺した。 「残念ながらあなたはもう助かりません、大清水さち様──」 うやうやしく、告げる。 「あなたの感情は目的にとっては邪魔になります。 私が必ず、あなたのお望みを叶えて差し上げます。例え、どんな手を使ってでも──」 大清水さちは既に血溜りが喉に詰まったことで、声を上げることすら出来なかった。 目の前が霞んでいく。 何を、失敗したのだろう。 どうしてこんなことになったのだろう。 「必ずエニックスを貴女のものに──」 生気のない声が虚ろに響く。 答えを思いつく間もなく。 大清水さちの意識は暗転した。 ****
もうすぐ新スレ
500行かないうちに新スレか
同人軍艦内の通路にて──。 黒乃「どうして、ここがわかった?」 黒乃奈々絵が問う。 峰倉かずやは一匹の蝶を指差して答えた。 峰倉「なんかこいつが教えてくれたんだよ。 どうも動物に対して、縦線一本で『好き』、横線一本で『嫌い』に分けて 『洗脳』をかけるとかいう、高河の技らしい。まぁよくわかんねえけどな。」 黒乃「…そうか。で、何の用だ?私の始末にでも来たか?」 黒乃の問いに対し、峰倉は溜め息ひとつついて乱暴に黒乃の腕を持ち上げる。 黒乃「な──」 そのまま峰倉は腕を自分の肩にまで回した。 大柄な峰倉に対して小柄な黒乃、と言う対比で、傍目にはひどく不恰好だろうと思えたが。 峰倉「動けるか?」 峰倉の問いに対し、黒乃が苦々しく答える。 黒乃「…ゼロサムの読者はブレイドの読者とも関わっているだろう。 ここで私を殺しておけば、少しはシェアに影響すると思うが、な。」 峰倉「くだらねぇこといってんじゃねえよ。 そうしたくなっちまうだろうが。」 そのまま乱暴に引きずる。 ひどく痛くもあったが、口に出たのはそれとは別種のことだった。 黒乃「助けるのか…何故だ?」 峰倉「さぁな。 美川が起きたってことで手が足りねぇんだ。 つまらないこと言ってる暇なんかねぇんだよ。」 峰倉は話を切り上げたと言わんばかりに歩を早めた。 黒乃「…どいつもこいつも甘い…私は、気に入らんな。」 峰倉「結果だろうと、助けてやったんだから少しは感謝しろよ…」 峰倉が半眼で告げる。 その瞳に対して、黒乃はそれを苦笑することで答えた。 続きは次回の講釈で。 ****
それは異様な光景だった。村田の巨大な腹がいきなり裂け始めたのだ。 裂け目は見る見るうちに広がり、やがて完全に広がりきると中からもぞりと何かが這い出した。 ??「ひどいよ、稲垣〜〜。いきなり撃ってくるなんて……」 そう言ったのは村田の体内から出てきた小柄な人影であった。 それはアメフトのウェアを着た、小柄で気弱そうな少年であった。 稲垣「うるせえ糞チビ! 着ぐるみがひとつ、駄目になっただけだろうが。 プリズン送りにならなかっただけ、ありがたく思え!」 ??「うう〜、そんな〜。この強化服高かったのに……」 そう、この小柄な少年こそが村田雄介の真の姿。今までの肥満体型は、 実は特殊装甲を仕込んだ、一種の強化服だったのである。 その頑強な装甲は、マシンガンの銃弾ですら中身までは通さないのだ。 村田「それにしても、びっくりしたよ。稲垣がやることはいつもいきなりだけど、今度のはあまりに急だからさ」 相棒に狙撃されたというのに、村田は笑顔のままだ。それは稲垣への絶対の信頼の証である。 稲垣「うるせー仕方なかったんだよ。こうでもしなきゃ、俺は五年以内に死んじまうんだからな」 吐き捨てるような稲垣の台詞に、村田が眉をひそめた。 村田「いったい何があったの? 詳しく聞かせてよ」 そして、稲垣は語り始めた。
そして、数分後。 村田「そんな稲垣の命が……あと五年!?」 稲垣「猿渡の糞ヤローはそう言ってやがったぜ、クソ!」 苛立たしげに、稲垣が持っていた煙草を揉み消す。ちなみに、稲垣は一度も煙草を吸ってはいない。 火を点けていたのは、あくまで雰囲気作りの為である。 こう見えても、彼は誇り高いスポーツマンなのだ。 稲垣「奴の言う通りだとすれば、俺は奴に五年殺しを解除してもらうしかねえ。 その為には、速急に奴の信頼を得る必要があったんだ。だから、オメーを撃った。 これなら用心深いヤローでも、信用するだろ。死んだ事にすりゃ お前も、包囲網から解放されるしな。その強化服は前を閉じておけ。 そうすれば、奴らには本物との区別なんかつかねー。こいつは精巧に出来てっからな」 村田「うん。でも、情けないな。結局、僕がドジなばっかりに、何の役にも立つことが出来なかった」 稲垣「しゃあねえだろ、すんだことは。それに、間抜けなのは俺も同じだ。 これでタフを攻撃することは出来なくなった。結局は、猿渡の思い通りだ」 吐き捨てると、マシンガンを背負い、稲垣が歩き出す。 村田「行くの?」 稲垣「ああ…俺の戦いはまだ終わってねー。お前の分まで戦ってくるさ。 お前も、せいぜい見つからねーように上手く隠れとけよ」 お互いに挫折を噛みしめながら、2人は別れた。 一一フィールドでプレーする誰もが必ず一度や二度、屈辱を味わわされるだろう 一一打ちのめされたことがない選手など存在しない 一一ただ、一流の選手はあらゆる努力を払い、速やかに立ち上がろうとする 一一並の選手は少しばかり、立ち上がるのが遅い 一一そして敗者はいつまでもグラウンドに横たわったままである 一一テキサス大フットボールコーチ ダレル・ロイヤル
ストップヾ(´Д`)ノシ 誰か有志の方新スレよろしくお願いします(ウチは無理みょ)
ホスト規制が出て立てられませんでした…↓お願いします。
じゃあ俺がギコナビスレ立て機能のテストに立ててみます。
よろ。
感謝!では恒例の≪今回のまとめ≫お兄さん降臨待ち↓
えなり「行くぜ!俺の魂!えなり真拳!! 安西?戸田?荒木?島本? そんな奴等は見えやしね―――!! このスレの主人公はただひとー――り! 俺だー!!」 えなり姉「ううっ、かわいそう…、でもまあそれはともかく(酷)まとめでーす。」
第11部のエトセトラ。(ギコナビなどでレスが表示されます。) >9 >10 野々村の覚醒。 >12 >13 >14 恐怖、シリアスモード!えなりvs鈴木。前編。 (Cブロック141) >16 >17 荒川と伊藤。 >18 >19 >20 >21 常世と現世の狭間で。森川ジョージの決断。 >23 >25 >26 満月の下で…。 岡村VS川原。 (Cブロック144) >27 >28 月輪。村田の叫びと裏御伽チームとその他の人。 (Cブロック146) >30 >31 >32 預言の守護者。 米原登場。 >33 >35 >36 >37(訂正 >38) 血で血を洗う決戦!荒川VS伊藤。 >43 >44 >45 >46 >47 >48 >49 >50 >51 恐怖、シリアスモード! えなりvs鈴木。後編。 (Cブロック155) >52 >53 >54 >55 >56 >57 >58 >59 >61 >62 悽愴なる戦い。 井上VS橋本。 (Cブロック165) >66 >67 >68 >69 >70 荒川VS伊藤。 (69、70の訂正 >78 >79 >82) >71 >72 >73 御伽草子。ファンタジー戦士。 (Cブロック168) >74 >75 テニス対決。美技vs超技。 許斐VS石渡。 (Cブロック170) >76 >77 >80 やきう。 怪物対決。前編。 >83 >84 >85 荒川VS伊藤。最終。 >86 >87 >89 >92 やきう。 怪物対決。後編。 >94 >95 第3の男登場。 (訂正 >96) >97 クリ島犯科長 (Cブロック171) >98 >99 その頃の矢吹。 瀬口登場。 >100 >101 大友の乱入。 >105 その頃のガンガン。 夜麻みゆき復活。 >107 エマージェンシー前編。 >108 >109 カムイと夜麻とお子様軍団。 >110 エマージェンシー後編。 >112 山奥。 >113 閑話茶飲み話。 梅澤と福地。 >114 >115 >116 >117 >118 >119 十傑集、乱舞。
>122 >123 神崎の知謀。 >124 >126 >127 >128 吸血鬼と魔人。 >131 >132 閑話茶飲み話。 つづき。 高橋しん登場。 >133 >134 ときめき夜の筋肉祭。 恐怖のマスクマン対決。 (Cブロック173) >135 勝利の五人! >136 やきう。 富沢の悲劇。 >139 >140 >141 サクラテツ回答編。 >142 リングに駆け抜けろ夏。 にわのVSヒラマツ。 (Cブロック174) >144(訂正 >145 >146) 魔人vs不死の王。 >147 >148 サクラテツ解答編。 >151 >152 >153 >154 >155 珍道中の始まり。 梅澤と福地と高橋しん。 >159 どまんなか。 (Cブロック175) >161 >162 >163 >164 >165 >166 やきう。 最凶生物暴走!! >167 来た! >168 島の動き。 (Cブロック176) >172 通路にて。前編。 >173 逃亡者たち。 >174 野球関連。 そこでえなり。 >176 >177 >178 >179 ドラクエ・ワールド発動! 神崎VS萩原。 >180 >181 その頃のKIYU陣営。 >182 通路にて。後編。 >184 >185 >186 >187 >188 ドラクエ・ワールドの死闘。 神崎VSカムイ。 >189 悲惨な大友。 >190 交錯する魂。 (Cブロック177) >191 ビクトリーファイブVS評議会。 戦闘開始。 >192 >193 >194 >195 >196 Bブロック区画。 悪夢、再び!幻影の女。 >200 >201 >202 >203 >204 >205 Bブロック区画。 ひとまずの戦いの終幕。 >206 ビクトリーファイブVS四霊+1。 >207 えなり真拳炸裂! >208 >209 >210 新沢&安永プロレス中継。 (Cブロック180)
>211 >212 >214 >215 >216 >217 >218 四霊VS勝利の五人! >219 鳥山の打席。 >220 >221 四霊VS勝利の五人! 長谷川VS岩瀬。 >222 >223 >224 >225 >226 やきう。 檻の中の獣たち。 >227 >228 >229 >231 突然ですが。 (これまでの状況テンプレ。) >233 >234 >235 >236 旅景色。 >239 四霊VS勝利の五人! 長谷川VS岩瀬。 >245 >246 >251 浜岡VS板垣。 >253(訂正 >254) 四霊VS勝利の五人!有賀VS四霊。 >255 月面の波紋。 (Cブロック181) >256(訂正 >257) >258 >259 四霊VS勝利の五人!四霊、最後のひとり登場。 >260 >261 >262 対決近し! Aブロック関連。 >263 >264 >265(訂正 >266) 月と夢物語。 (Cブロック184) >267 対決近し! Aブロック関連。 >268 勝利の五人VS四霊。 >270 >271 やきう。 >272 >273 >274 >275 >276 >277 矢吹とえなり姉のエトセトラ。中編。 >278 やきう。 浜岡という男。 >279 >280 矢吹とえなり姉のエトセトラ。中編。 >281 >282 矢吹、偵察隊を派遣す。 >283 矢吹とえなり姉のエトセトラ。中編。 >284 やきう。 本塁を賭けた死闘。 >285 >286 矢吹とえなり姉のエトセトラ。中編。(中間まとめ >287) >289 しげの対曽田。 >291 >292 勝利の五人VS四霊。 >294 海の闇。 (Cブロック185) >295 >296 >297 >298 >300 >302 >303 >305 >306 勝利の五人VS四霊。 (300訂正 >301) >308 >309 >310 >312 やきう。 戸田vs岡田。
>313 >315 アウターゾーンとの遭遇。 >317 その頃のスポーツチーム。 (Cブロック186) >318 >319 勝利の五人VS四霊。 >321 >322 >323 >324 >325 蹴殺。高橋VS乙一。 (Cブロック191) >326 >327 やきう。 巨頭激突!! >328 >331 鈴木(R)VS乙一。 (Cブロック193) >332 >333 やきう。 巨頭激突!! >334 鈴木(R)VS乙一。 (Cブロック194) >335 >340 >341 >342 >343(訂正 >344) やきう。 巨頭激突!! >345 やきう。 現在の状況。 >346 >347 >348 >349 >350 >351 リングに駆け抜けろ秋。 にわのVSヒラマツ。 (Cブロック200) >353 >355 鈴木(R)VS乙一。 (Cブロック202) >356 異種テニス対決。 許斐VS石渡。 (Cブロック203) >358 >359 >360 >361 >363 >366 鈴木(R)VS乙一。 (Cブロック209) >374 >377 >382 >383 異種テニス対決 許斐VS石渡。 (Cブロック212) >386 野球。 岡田VS戸田。尾田VS山口。 >388 水島と松島。前編。 >391 超起動異次元珍走男。 (Cブロック213) >392 >393 参考にどうぞ。。 >394 >395 猿渡の力。 (Cブロック215) >396 >397 >398 >399 矢吹とえなり姉のエトセトラ。中編。 (状況 >400) >402 やきう―加速する時(0/10) >404 水島と松島。後編。 >405 >406 >407 >409 >410 地獄の再開。 松江名先生の格闘講座。 (Cブロック220) >412 >413 >414 横山の思惑。 >416 闇の風。 (Cブロック221) >418 >419 >420 >421 >422 矢吹とえなり姉のエトセトラ。中編。 >423 裏切りの戦場。 (Cブロック222) >424 >425 >428 矢吹とえなり姉のエトセトラ。中編。 >429 >430 挫折と始まり。 (Cブロック224)
えなり姉「ミスがあったら訂正キボンです。」
まとめさん、大変乙です!(ズパッ)
(´-`).。oO(赤い月は鬼同士の対決を煽って自分の"息子”(本宮)に最終的に鬼退治させて 彼を人外の力に目覚めさせようとしてるんじゃないかなと今思った赤い月出した人)
>196 悪夢、再び!幻影の女。→>198 >331 鈴木(R)VS乙一。 (Cブロック193)→>330
>374 >377 >382 >383 (゚□゚)211が2個ある〜!!また時計直しかよぅ
そういや、「赤い月」って元ネタあるのかな?本宮作品?
特にはないけど 赤い月ゆーたら不吉の予兆って感じで。 まさかあーなるとわ(汗 どっか漫画ネタないかなあ・・・
450 :
調べたら :03/09/08 21:44 ID:y33jGcEa
「そしてふたりは、赤い月の祭壇で結ばれ、幸せになりましたとさ……」 らぶひな出たよ_| ̄|○ しかも意味違うし_| ̄|○
451 :
つづき :03/09/08 21:48 ID:y33jGcEa
見つからない・・・ 冨樫の嫁の漫画ぐらいなら使えるかな・・・ って裏御伽メンバーは学ランヒーローに変身するのか_| ̄|○
すげえ展開だ……それでこそ裏御伽w
月の国に住んでるお姫様(嫁) 出そうかなと思っていたら月破壊。 実際月がないと潮の満ち干なくなるし地球は滅びるから なんとか嫁に復活させてもらわないとなあ・・・ 番外編ゆー形でいいでしょうけど
454 :
おまけ :03/09/10 15:26 ID:8WBOhoYR
赤い月関連で本宮さんが「赤い龍の子供(金太郎)」なんて話を書いたのですが、 そおいやタイトルだけ知ってる『赤龍王』なんてのがあったな誰のだろうなと思って 調べてみたら本宮さんの三国志漫画(しかもジャンプ?)だったのね偶然って怖いねビクーリ
三国志じゃなくて楚漢だよ、どうでもいいけど