【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第10部
3 :
矢吹:03/07/28 23:45 ID:EgSuIZQf
「ごくろうだったな。さあ祭の続きだ」↓
4 :
王大人:03/07/28 23:48 ID:HlMofYXZ
それでは始めぃ!!
数分前、車田は臨時避難場所で目を覚ました。
とてつもなくドス黒い小宇宙を感じたからだ。
昏倒する直前まで同行していた、にわのがいなくなってるのが気になりはしたが、
とりあえずは、その出所であるAブロック医務室へ急行することにした。
そして、治療中で意識不明の高橋留美子を人質にとろうとしていた、真島と遭遇したのである。
今、2人は無人のAブロック決勝会場にいた。
車田と真島が全力で戦えば、医務室も含めて、
周囲が跡形もなく破壊されるであろうことを考慮してのことである。
車田にとってはもちろん、真島にとっても、
貴重な人質を無駄に殺すことは避けたいことだったので、あっさりと合意した。
そもそも、すでに真島は、<魔王の欠片>のことをこの一時、忘れていた。
ここで車田を倒し、その力を吸収することは、魔王の力を手に入れることと同じくらいの価値があると判断したからだ。
黄金の小宇宙を纏う聖闘士と、暗黒の妄執を発する異形が対峙する。
にらみ合うだけで大気が震えるような緊張のなか、小畑がそっと耳打ちする。
小畑「例の新能力は、ここでも使わないの?」
真島「その前に、俺は自分の力を試したい。その点で、車田との戦いはいい判断材料になる」
それを聞くと、小畑は内心でため息をつく。
小畑(おまえの欠点は、自分の能力を楽しみ、試したがることだ。だから、隙が生じる。
それのせいで、何度も失敗してるってのに、学ばない奴だなあ……)
そんな小畑の心中など知るよしもなく、真島と車田は戦闘状態に突入する。
車田「来い、パクリ野郎。おまえの身体、塵ひとつ残さず、この俺が消滅させてやる!」
真島「ほざけ、車田ァ!いくぞ!」
吠えると、真島は魔法の詠唱を開始する。
真島「地に閉ざされし、内腑にたぎる火よ 人の罪を問え! ファイジャ! 」
詠唱が終了すると、たちまち業炎が渦となって、車田に放たれた。
だが、車田は迫り来る炎を前に一歩も動かぬまま、組み合わせた両拳を高々と頭上にさしあげる。
小畑「あ…あの構えは、水瓶座(アクエリアス)最大の拳!」
車田「オ ー ロ ラ エ ク ス キ ュ ー シ ョ ン !!」
突き出す拳から繰り出された絶対零度の凍気は、巨大な炎の舌をあっさりと打ち消し、
その凄まじい威力の余波は、真島まで飲み込もうとする。
真島「ぬう! 沈黙の光よ、音の波動のもたらす 邪悪な影から守りたまえ! シェル!」
咄嗟に魔法防御上昇の呪文を唱え、さらに『えいゆうの盾』で凍気する。
真島「何て威力だ。俺の魔法より強いだと!?」
車田「どうした、真島!貴様の力は、そんなものか!」
真島「調子に乗るな、車田ァ! 天と地の精霊達の怒りの全てを 今そこに刻め! サンダジャ! 」
再び詠唱を完成させると、今度は驟雨のごとく豪雷が降り注ぐ。
車田「ライトニングボルト!!」
グワカァ!!
放電の奔流が、両者の間で暴れ狂った。
真島「なんだと、またも相殺した!? この男、化物か!!」
車田「化物じゃねえ、俺は聖闘士。そして、漫画家だ。
創造をやめ、人を捨て、化物に成り下がったのは貴様の方だろう!!」
真島「ほざくなと言ったはずだ、車田!ならば、俺の全身全霊で、テメエをぶっ殺す!
時の流れよ、我が身を包み込み 巨大な渦をなせ… ヘイスジャ!」
魔法によって、通常を遥かに超える速度を得た真島が、車田につっかける。
それを光速の動きで迎え撃つ、車田。
形は違えど、共に人を超えた者同士の激闘が始まる。
力と力、速さと速さ、破壊と破壊の絶えまない衝突。
その恐るべき戦闘力の激突は、Aブロック決勝会場をも震撼させた。
小畑「すごい……なんて戦いだ……」
いつの間にか観客席に移動していた小畑が、思わず唾を飲み込む。
一気に大量の唾液が食道を通過した為、喉が痛い。
だが、そんな痛みさえも気にならないほど、眼前の戦いは凄まじかった。
真島「爆 裂 剣 舞 デスペラード・ボム!!」
車田「ライトニングプラズマ!!」
真島が剣を振るうや、大規模な爆発が連続して炸裂する。
爆発の閃光を切り裂き、光速の拳が乱舞する。
まさしく人外の攻防。だが、力の天秤は除々に、車田へと傾きつつあった。
真島「クソッ、正面きっての戦いでは勝てんというのか!ならば、見せてやろう。
この俺の真の力、ダークブリングの力を! バレッテーゼ・フレア!!!」
ドォウッ!
車田「グハッ、なに!?」
間合いを詰めようとした矢先、車田のすぐ近くの空間で、いきなり爆発が起こった。
胸から黒煙を吹き上げ、吹っ飛ばされる車田。
黄金聖衣がなければ、ただではすまなかったかも知れない。
真島「フハハッ、見たか車田ァ!これが六星ダークブリングのひとつ『バレッテーゼ・フレア』!!
任意の指定した空間に、見えない爆弾を設置する能力よ!そう、一度に何個でもなあ!!」
たちまち、車田の周囲で次々と爆発が起こり始める。
車田「ちいいッッ」
絶えまない連続攻撃に、さしもの車田も防戦を余儀無くされた。
マシンガンの着弾のように巻き起こる爆発の嵐に、Aブロック決勝会場が無惨にも破壊されていった。
会場中を覆い尽す、破壊の嵐。その渦中で、小畑が悪態をついた。
小畑「いくら僕が死なないと言っても、少しは考えろよなあ……
まったく、後先考えずにムチャクチャやりやがってッ」
ぼやきは、耳をつんざく爆音に、虚しくかき消された。
真島「ハッハッハ、無駄無駄ァ!このDBには死角はないッ、
いくらおまえが光速の動きを持っていてもなあ!」
得意絶頂になって勝ち誇る真島。そのとき、真島の哄笑を打ち破るように声が届く。
車田「果たして、そうかな?」
その声は、意外と近くで聴こえた。
真島「なに!?」
咄嗟に声の方向を振り返ると、爆煙を切り裂き、車田が光となって突っ込んでくる。
車田「この至近距離まで接近すれば、爆発させることは出来まいッ。
そうすれば、自分まで爆発に巻き込まれるからなあッッ」
真島「しまっ・・」
こんな短期間で、『バレッテーゼ・フレア』の弱点を見破られるとは、予想外だった。
慌てて剣を抜くが、あまりに遅すぎた。
車田「影 道(シャドウ)龍 極 破 !!」
光拳一閃。その一撃で、真島の下半身は微動だに出来なくなった。
真島「な…なんだこれは……足が動かねえッッ」
車田「影道龍極破……相手の神経を麻痺させ、動きを封じる技。
だが、恐るべき男よ、真島。通常なら一撃で行動不能に至らしめる龍極破が、
半身にしか効かぬとはな……。だが、龍極破!!」
再び、拳が唸った。そして、今度こそ、真島の全身を麻痺させることに成功する。
真島「こ、今度は全身が動かねえ〜〜グオオオオ……車田ァァァ〜〜〜」
呻く真島だが、異形の体は、びくとも動こうとはしなかった。
車田「これで終わりだッ、ラ イ ト ニ ン グ プ ラ ズ マ !!」
刹那、流星群のごとき数千条の閃光が、真島の全身をズタズタに切り裂いた。
光の奔流と化した数千発の連撃は、真島の全身を容赦なく打ちのめした。
だが、その瞬間。
車田「ゴハッッ!!」
その場で崩れ落ち、膝をついた。口からとめどもなく、血が吐き出される。
車田「な…なんだ、これは?いつ、俺は攻撃を喰らったんだ……」
真島「ク…ククク……驚いてるな、車田ァ……。
これこそ、六星ダークブリングのひとつ……『ゼロ・ストリーム』!
このダークブリングは、あらゆる『流れ』を支配する。
風の流れ、水の流れ、力の流れ、そして、血液の流れまでもなあ……。
コントロールが難しい能力ゆえ、あまり使いたくない能力だが、効果は絶大だ」
またも得意げに能力の解説をする真島は、すでに体の自由を取り戻していた。
車田「グッ、やるな……龍極破からこんなに早く立ち直り、俺にこれだけのダメージを与えるとは」
口調とは裏腹、車田の膝は震えており、足下がおぼつかない。
血流を操作されたダメージはかなりのものだ。
もちろん、真島も尋常でないダメージだが、これを好機とばかりに、攻勢に移る。
真島「フン、形成逆転だな。このまま一気に葬らせてもらうぞ…」
新たな詠唱を始めった。しかもそれは、FFの魔法ではない。
真島「七つの星に裁かれよ… 宇 宙 魔 法 七 星 剣(グラン・シャリオ)!!」
刹那、天空から七つの閃光がほとばしり、車田の周囲を焼き払った!
車田「うおおおッッ」
真島「まだまだこれからだぞ、車田ァ!さらに強力な宇宙魔法を見せてやろう!!
宇 宙 魔 法 『 聖 夜 (ファイノメイア)』 !!!」
今度は一転、周囲の空間が銀河となり、数多の星屑の光が車田の五体をつらぬく!
車田「ぬおお〜〜……」
真島「とどめだ、車田! 宇 宙 魔 法
『 英 雄 た ち の 船 (アウゴ・ナウティカ) 』 !!!!
」
真島の詠唱が完成すると、突如、天空に巨大な箱舟が出現し、
その船の主砲からほとばしった圧倒的な破壊力の奔流は、会場の半分近くを消し飛ばした。
会場中を覆い尽すような砂埃が、やがてゆっくりと晴れていく。
そこには巨大なクレーターがぽっかりと口を開け、生きた者は全て跡形もなく消え去ったように見えた。
小畑「破壊力はとんでもないけど……あれって、FF8の召喚魔法『エデン』のパクリじゃないか」
結局、原作の技までパクリか。小畑は嘆息したが、現実に車田を倒したという事実は否定しようがない。
真島「ククク……ハーハッハッハ!!やったやったぞ!!俺は、あの車田を倒した!!
黄金のジャンプが誇る、最高の漫画家を、この俺が倒したんだ、ハハハハハ!!」
己の成し遂げた快挙に、歓喜の哄笑を響かせる真島。その顔は、狂気に支配されている。
真島「フフフ……スガスガしいッ、なんて素晴らしい気分なんだッ。
だが、惜しいことに、奴を塵ひとつ残さず消し飛ばしてしまったな。
まあ、わずかではあるが、奴の動きを参考に出来ただけでも良しとするか……」
会心の勝利に御満悦の真島は、そのまま『テレポ』の詠唱を始めようとする。
真島「さて、急いで高橋留美子の身柄を確保せねばな。テレ…」
詠唱を完成させようとした、そのときだった。
突然、さっきまでとはケタ違いの小宇宙が、燃え上がるのを感じたのだ。
真島「ま、まさか……!」
真島が事態に気付くのが遅いか、無数の閃光が瞬く!
「ス タ ー ダ ス ト レ ボ リ ュ ー シ ョ ン !!!」
テンプレ無くなるといいね。
刹那、星屑が乱舞した。大宇宙を撹拌するがごとく。それはまさに、星屑の革命だ。
星屑たちは、無数の閃光となって荒れ狂い、真島が召喚した『アウゴ・ナウティカ』をことごとく破壊しつくした。
真島「テ、テメエ、まだ!」
車田「フッ、ツメが甘いな真島。これが荒木ならさしずめ、
『勝ち誇ったとき、そいつはすでに敗北しているッ!』とでも言うだろうよ」
マスクを失い、頭から血を流しながらも、車田は威風堂々と立っていた。
真島「あの魔法をもってしても、まだ生き延びるとはな!ならば、喰らうがいい、
触れただけで、全ての生命を吸収し尽す、俺の必殺魔法を!」
叫ぶや、その異形の巨体からは考えられない跳躍力で、空中に飛び上がった。
そして、必殺と豪語する魔法の詠唱を開始する。
真島「死ねい、車田ァ! 暗 黒 魔 法
『 最 終 絶 命 線 (オ メ ガ ラ イ フ) 』
」
魔法が完成すると、真島の4本の腕から、禍々しい色をした巨大な魔力の塊が放たれた。
真島「フハハ、今度こそ、例え貴様といえども助からん!
これは、わずかでも触れれば、即座に生命が消し飛ぶのだからなあ!」
勝利を宣言する真島に対し、当の車田はその場を一歩も動かず、仁王立ちしている。
小畑「なんで避けようとしないんだ、あれじゃ・・・」
そのとき、車田の小宇宙が爆発的に燃え上がり、黄金のオーラが現れる。
真島「あ、あの形は!」 小畑「サ、サジタリアス……!!」
車田「おおおおッッ、俺の小宇宙よ、限界まで燃え上がれ〜〜〜〜ッッッ!!!
廬 山 百 龍 覇 一一一一一一!!!!!
」
最大級の小宇宙が燃え上がり、両掌からとてつもない破壊のエネルギーが放たれた。
百龍の牙と化した破壊の咆哮は、真島の持つ最大の暗黒魔法でさえ、完全に相殺して見せた。
いや、互角ではない。いくつか残った龍の顎が、真島の異形の肉体に深々と突き刺さる。
真島「ぐぎゃあああああああ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
上空から盛大に地面に叩きつけられ、周囲の岩盤が崩落した。
その瓦礫の山の中から、血まみれの真島が起き上がる。
真島「グ…グウウ……車田・ア・ア・ア・ア〜〜〜〜〜」
その妄執は一向に衰えを見せないが、ダメージはアリアリだった。
車田「そろそろ終わらせるぞ、真島。
おまえの犠牲になった多くの者の痛みと無念、思い知る時が来た!」
ギュウッと拳を握りしめ、更に小宇宙を燃え立たせる車田。その体は、まさしく黄金に輝いていた。
真島「ク…フフフ、さすがだ、車田。おまえは強い、あまりに強すぎる。
だが、この俺も、現マガジンを支配する男。ならば、この一撃を受けてみせるか!」
車田「む!?」
気炎を吐く真島の体に、今まで以上の魔力が集まっていく。
真島「禁断の宇宙魔法・・・・
『 流 星 雨 (メ テ オ リ ッ ク シ ャ ワ ー)』 」
瞬間、遥かなる天空より、数えきれないほどの、燃え盛る隕石群が降り注いだ!
小畑「って、メ テ オ の パ ク リ じ ゃ ね ー か ! !」
己が誇る最大の技までパクリ。もうどうでもいいや……小畑は心底、そう思っていた。
だが、真島はそんなことには一切、お構いなしだ。
真島「ハーハッハッハ、あまりの威力ゆえに封印していた、究極の宇宙魔法だあ!!」
これこそ、真島の最終兵器。しかし、車田に後退はない。そして、あの技を放つのだ。
そう、幾多の敵を消滅させた、車田最大の拳。
見るか一一一
星 々 の 砕 け る 様 を
車田「ギ ャ ラ ク シ ア ン エ ク ス プ ロ ー ジ ョ ン !!!!!」
銀河の星々さえも砕く一一その言葉が嘘でも誇張でもなかったことが、今ここに証明された。
真島にとって禁断の奥義を、灼熱の流星群を、車田最大の拳は、跡形もなく消滅させた。
地表には、誇りひとつ、落ちることは叶わなかった。
その信じがたい光景に、真島も小畑も、ただただ呆然とするだけだ。
ただひとり、平静さを保ったままの男……車田が、おもむろに言う。
車田「これで、貴様の手札は打止めか?なら、そろそろ決めさせてもらう」
そのとき、真島は、懐かしく、そして忌わしい感情を久しぶりに自覚した。
かつてのマガジンの雄、今は亡き森川ジョージとの戦いで芽生えた敗北的な感情。
すなわち……
恐 怖 で あ る
安西は焦っていた。
全速力でブロック間を移動したものの、未だ医療室にはたどり着けずにいた。
いや、それどころか、突然目の前に現れた鎧武者によって、ただの一歩も進めずにいた。
目元から下を布で覆ったその男は、安西の放つ炎のことごとくをかわし、手に持った奇妙な戟で少しずつ安西を切り刻んでいった。
安西「ちきしょー!!テメエ何もんだぁ!!
あの真島のクソやろーの子分かよっ!!」
安西の叫びは、竜之炎漆式・虚空 弐式・崩ェの閃光となって放たれたが、鎧武者はその場所から動くことなく、上半身の奇妙な動きだけでかわした。
??「あのような、ゲスなパクリ作家など我の知ったことではない。
ただ、今の未熟な貴様を、奴のもとに行かせる訳にはいかぬのでな」
安西「ふざけんじゃねー――!!
今の俺は、命に賭けてもやんなきゃいけないことがあんだよっ!!
邪魔すんじゃねぇ!!」
再び炎を放つ安西だが、やはりあの奇妙な動き・・・そう、まるで風に揺れる柳のような体術によって、むなしく空を切っただけであった。
??「やはり、この程度か・・・・。
仕方がない・・・殺しはせぬが、動けぬよう足の一本二本覚悟してもらおうか」
男は、その手にある得物の剣先を、安西に向けて一直線に構えた。
槍の刃の四方を、さらに4つの刃に囲まれたその戟は、微動だにせずその牙で安西を喰らわんと狙っていた。
安西「ちっ、来るなら来い!!
一撃でケリをつけてやる!!」
拳に、竜之炎参式・火群を纏わりつかせた安西は、真正面から突進する。
??「無謀な・・・・だが潔い!!
なればこそ、わが一撃によって砕け散るがよい!!」
男は向かってくる安西に対し、戟に異常な回転をかけて繰り出した。
そして、炎を纏った安西の拳を弾き飛ばし、さらにその右足に向けて襲い掛かった。
安西(やられる!!くそぉ、カムイの野郎の言った通りだ・・・
だがな、俺は最後まであきらめねえ・・・)
必死になって、身をよじる安西だが、やはり純粋な格闘漫画家やバトル漫画家ではない彼は、能力や道具に頼った戦いが主であり、この男の戟をかわすほどの体術は持ち合わせていなかった。
激の切っ先が安西の右足に喰らいつき、肉をえぐり、そして骨を砕こうとした・・・
そう、砕こうとしたその時!!
キイィーーーーーーーーーーーーーン
突然、安西の背後から日本刀が飛んで来て、男は自らを護るために戟でその剣を弾き飛ばさるえなかった。
そして、剣の飛んできた方向から、なにやら古風な口上が聞こえてきた。
此 の 鹿 毛 と 申 す は
あ か い ち ょ っ か い 革 袴
安西「ぐ・・・、誰だ・・・」
右足の痛みに耐えて、安西がうめく。
茨 が く れ の 鉄 兜
??「何者か・・・・」
鎧武者の男が戟を構える。
鶏 の と っ さ か 立 烏 帽 子
巨馬に乗った男が安西の後ろから現れ、ニヤリと笑って最後に叫んだ。
原 哲 夫 の 馬 に て 候 !!
美々しく彩られた鎧を着た原哲夫が、松風に乗って颯爽と現れた。
富沢は悩んでいた。いくらなんでもチアガールなどやりたくなかったのだ。
しかし自分の身体を放置するわけにもいかず、覚悟を決め身体に入ろうとした瞬間
何といきなり身体が光を放ち始めたのである。
富沢「うわっ!なんだこれ」
鳥山「身体が元に戻っていくぞ」
光が収まるとすっかり富沢の身体に戻っていた。
富沢「なんだか分からないけど助かった〜お帰り俺の身体・・・」
本多(やっぱりあの人には敵わなかったのか…相性が悪すぎるよな。
えなりくんも何時の間にか消えてるしここに居る義理も無い…評議会に戻るか)
丁度その頃、矢吹の戦艦内の森の中で緑色の髪の男となすび型の物体の激しい戦いに決着が付こうとしていた。
その戦いは一方的で、なすびは無傷。緑色の髪の男…聖悠紀の回りは朱色で染まり髪も血で汚れ
身体に無数に付いた凄惨な刀傷からは止まる様子もなく血が溢れていた。聖は大木に背中を
預け立ち上がろうとするが力尽きたかのように座りこんでしまう。
なすび型の物体が、勝利を確信したかのように聖の目の前に立ち彼を見おろす。
聖は切り落とされていない方の腕をかざすと残る力の全てでサイコスピアを放ち
紫色のなすびは光の奔流に飲み込まれていった。
聖「…これでも…効かないとは。」
直撃したはずの光は霧散し、なすび型の物体はその攻撃をを意にも介さずその場に佇んでいた。
聖「な…るほど…貴方が横山さんの言っていた危険…」
なすび「真の『神殺し』、天王寺きつね だ。お前個人に恨みがあるわけじゃ無い。けど
神に頼ろうとしているゴットハンドは腐敗の元凶。それを見過ごす訳にはいかない。
それにうちの上層部が、計り知れない力を持っているお前達を嫌っている。」
聖(あの時個人行動だったAさんや今の私は格好の的…と言う事ですか)
聖は命がけの任務になるかも知れないと言っていた横山の言葉を思い出す。Aが一度
殺害された時から何か感じていたのかもしれないが、何も手を打たなかった所を見ると
まさかこんな相手が居るとは思わなかったのだろう。どの組織とも違う考え方からして
恐らくは評議会の刺客。…と黙考するが、相手に剣を突きつけられ聖の思考は中断した。
きつね「命令は出ていないがっ腐敗の元は断つ!!」
次の瞬間、聖の左胸に深々と神殺しの剣が突き刺さった…
が、今度は天王寺きつねが驚愕し後ろに飛び間合いを広げる。
きつね「何故なんだ。これで倒せないなんて・・・」
聖「大体…分かりました…神殺しには神の『力』がいっさい通用しない…
そして…神が神殺しに付けられた傷は…決して癒える事は無い」
きつね「・・・!?」
聖「そして剣速…身のこなし…技が普通の漫画家と大差が無い所からして…
貴方は神を超える力を持っているのでは無く…神に対してのアドバンテージを持つ
ただの漫画家…神の力を借りる者以外なら倒せる…と見ました。」
天王寺きつねのなすび型の身体から汗がだらだらと流れ落ちるが、すぐに気を取り直して
言い返す。
きつね「だが、それが分かったからといってゴットハンドであるお前にはどうする事もでき・・」
聖「私は…洗脳に手を貸した件で恨みを買っていまして…貴方に見つかるよりも先に
追われていたんですよ…」
きつね「何が言いたいんだ?」
その刹那、聖の後ろに一人の男が立っていた。白衣を来たその男はすざまじい殺意を
放ち両者を見つめる。
きつね「あ…ああ…」
聖「『魔界医師』菊地秀行…さん……」
きつねは神殺しの剣を菊地に向かって構えるが、自らの神殺しの血にも神殺しの剣にも
反応が無いのを察すると敵わない事を知りさっさと空間を渡って姿を消してしまった。
菊地はそれを意にも介さず聖の元に歩み寄りメスを首すじに突きつける。
菊地「魔界医師の名を知らぬ訳ではあるまい、そして私が患者と友に手を
出すものは決して許さぬ事も…」
聖「…」
彼はしばらく考えた後、意識の無くなったを聖を抱えるとそのまま何処かへ消え去った。
俺が裏御伽に入ったのは、乙を除けば最後だったろう。なにやら、人材が集まりつつあると言う本宮の元へ、ぶちのめしに行ったのだ。
ところが奴は、殺気満々の俺をあっさりと迎え入れた。普通だったらあの殺気の中で、飯を勧めるなんてできっこない。
戦う気が失せて、飯を食うことにした。
試合に出ることになったが、俺達のチームは運が良いのか悪いのか、只の1回も戦うことなくブロック決勝へと出ることになった。
何故あの男が、ここまで来られたのか、不思議でならないとその時は思ってた。平野がケルベロスを率いて、戦闘をしかけたとき、本宮は真っ先に艦内の客の安全を確保する為に動いた。
タフが胎動し始めたとき、俺は迷わなかった。
『強い奴と戦いたい。』その気持ちよりも、まず『あの男を殺させたくない。』という気持ちが先におこった。
格闘漫画家としては二流の気持ちかもしれない。だが俺は、その時はっきりとそう思った。
川原が裏切ったとき、俺には二つの感情が芽生えていた。
一つは「これで、奴と戦える」。もう一つは「あの人を何故裏切った」。
おかしな事だ。只強くあることが、俺の存在意義なのに・・・。
乙とやらがうちに入ってきたとき、俺は冷やかしで奴に言った。
「スタンド能力、俺にも渡してくれないか?俺も強くなりたいからよー。」
奴はこう返してきた。
「スタンド能力は、敵を始末するだけの能力ではないし、最強になるための能力ではない・・・。
漆黒の荒野に一筋の道を切り開く為の能力なのだから・・・・・・。」
その時は、只の冷やかしで言ったつもりだったが、今では本気でスタンド能力がほしい。
「ここはどこなんだ・・・・・。」漆黒の荒野の中、俺は呟いた。
村田雄介は、うきうきしていた。
偉大なる先人達と一緒に戦えるなんて!そのことだけでも、あの黒眼鏡さん(福本)に感謝をしなくてはいけない。
そして過去を思い出す。
村田「ねえ、ねえ!稲垣!僕たちもジャンプスポーツチームに入ろうよ!」
稲垣「何言ってやがる。糞(ファッキン)デブ!チームはもう登録がされてて、俺達が入る余裕はないの。」
その言葉に、村田は持っていた袋を落とす。
村田「そんなぁ。」
稲垣「さあ、練習続けるぞ。」
稲垣の言葉に、村田は渋々従った。
次の日だと思う。
二人で寂しく、シュークリームを食べていると、一人の男がやってきた。
黒い眼鏡をダンディーに決め、普段着とはいえすさまじい迫力を持った男(少なくとも村田にはそう見えた)。
福本「このシュークリーム良いかな?」
稲垣「なにもんだよ、あんた。」
稲垣が口にシュークリームをくわえつつ聞く。
福本「君たちを、ジャンプスポーツチームに、紹介しようと思ってね。」
その時、村田には、その男が天使に見えた。
村田は思う。精一杯感謝してくれた、ジャンプスポーツチームの為にもがんばらねばと・・・。
それが、自分ができる最高の恩返しであるはずだから。
村田「よし、がんばるぞぉ!」
村田はそう言って、歩き始めた。
22 :
ちばの信念:03/07/29 08:59 ID:m305a4RY
「このちばの心を曲げられるかァ!?」
魔人のボケモン、ビガチュウの1億ボルトを意地で跳ね返したちばが吼える。
「この野郎・・・逆境に追い込まれる程、力が上がるのか!!」
「俺は、絶対に負けない・・・ 負 け な け れ ば 最 強 だ!!!!」
ビリビリ・・・・ッ!!ちばの言葉が、場を、人を、激しく震わせる。
「面白ぇ・・・面白ぇじゃねえかちば――――――!!!!!!!!!」
「俺も面白えぞ炉里魔人―――――――――!!!!!!」
Aがあわてて横槍を入れる。
「ちょっ・・・ちょっと・・・!!」
「なんだ?今ノッてきたってのに・・・」
「実際問題、ちばさんに奴を倒せるんですか!?私、言ったでしょう?攻撃が効かないって・・・」
「試したのか?」
テンションが、これまでに無いほど高まっていた。
「いや、でも僕が分析した結果、奴には・・・」
「そうじゃねえ!!A!! 実 感 を も て よ ! ! ! ! 」
「!!!」
「お前は、強い!だが、試さずに、己の鋭敏な感性のみで決めちまう!!もったいねえんだよ、おまえ・・・!!!!」
ちばは、泣いていた。それはAへの、Aを認めているからこその、涙。
「俺の生き様、信念を・・・ 見 と け ! ! ! ! ! ! 」
23 :
ちばの心力:03/07/29 09:40 ID:m305a4RY
「うおおおおをおおおぉぉ―――――!!!!!!!!!!」
ドシ――――ンッッ!!ちばの右ストレートが、魔人のあばらに直撃!!
「おいおい・・・Aの野郎が言ってただろう?響かねえよ、お前の攻撃ィ!!」
「ふん、響かないなら 響 か せ る ! ! ! ! 」
「・・大好きだぜェ、お前のような漢はナァ!!!!」
「はアッ!!!」
ドシーン、ドシーン、ドシーン・・・ちばのボディーが、部屋を揺らす。まるで地震のように。
しかし、その力は炉里魔人には全く伝わらない。
「あああ・・・ちばさん、やっぱり私の言った通りじゃあないですかァ・・・」
「ぐはァ!!!!」
ドゴ―ン!!Aの後方に吹き飛ばされたちば。
「う、ぐっ・・・!!」
「ちばさん・・・無茶です、ここは私が!」
「ハ――――――ハァッハァッハァ―――――!!!!!」
高笑いする炉里魔人。
「テメェ、オレを期待させて、それかい・・・まあ、楽しめたがな」
「ふんっ、まだ終わっちゃいねえ・・・」
「オレを倒す手段を見つけたとでも・・・?」
「いや、だが、掴みかけている・・・!!」
「・・ふんっ」
ギュアアアァ――――――・・・炉里魔人は、両の手を合わせエネルギーを溜める。でかい。
24 :
ちばの心力:03/07/29 09:41 ID:m305a4RY
「あああ・・・ちばさんっ!これはァ!!?」
「でけえ・・・さっきとは比べ物にならねえリーダー波だ!!奴の力は無限かっ!?」
「心にでっけえ炉里がある限り・・オレの力は尽きねえ・・・!!オレは全ての幼女を愛してる!!!!」
「俺は、自分が大好きだ。」
「自分、だと?」
「お前は、自分が好きかい?子供に愛を向ける自分が・・・」
「大好きさァ・・オレは自分が大好きだ!!!炉里を愛する自分がな!!!」
「そうか・・・なら、来い・・!!俺は、自己愛の無い男に負けたくはないからな」
「ギブアップ宣言か?意外に弱いな・・はあっ!!!」
ド―――――――――――――――ンッッ!!!!!!!!!!!!!
でかい。最高の破壊の炉里心を込めたリーダー波!!
克「諦観を表したちば選手を炉里魔人が見限りましたね。高い純度のエネルギーです・・すばらしい」
何故か解説する克。
「俺が諦めたと、いつ言った!!!???」
克「右の突き上げアッパー!!最高威力のリーダー波を上に逸らす!!合理的で大変いいですね!」
「俺が俺を諦めない限り敗北はァ・・・無いッ!!!!」
「なんだ、テメェは・・・!!」
「俺はちばてつや・・・心で生きる男!!!!」
どこで電波を受信したんだ克亜樹っ
26 :
念のため:03/07/29 11:48 ID:m305a4RY
ルール!
それはここに書き込む際の最低限のルールである!
・過去ログを見てストーリーの流れくらいは把握しておくこと!
・リアル故人は出さないこと! なぜなら不謹慎だし色々あるからだ!
・漫画のキャラを出し過ぎるな! ここのメインはあくまで漫画家だ!
・相談するのは自由だが、ルールを守り自分の書きたい物を書こうな!
27 :
念のため:03/07/29 11:58 ID:lzl6KoTk
試合開始から一時間ほどになろうとしていた。
当時漂流中の一名を除いて、いよいよ戦闘の火花がそこかしこで飛び散ろうとしている。
湧き水の音になんとなく誘われ、森を覆う闇の中を抜ける赤い髪の男。
そのフットワークは力任せ、周りの木々で自分の手足がかすり傷だらけになっている。
そして足元がビシャバシャと水をはね始めた。浅い川に出たのだ。
月明かりで川面がキラキラと輝き幻想的だ。しかし男は無遠慮に光の川を踏み荒らす。
と、川の上流から野太い声が聞こえてきた。大きな岩の上に、誰かがいる。
「あ〜!オラ今、野ションベンしてたっぺよ〜!川に入ったらアカンよぉ〜」
チーム・タフのヒラマツミノルであった。そして、
「ぬあああ〜〜!ばっちい、ばっちいぞー!ふんぬー、許さん!降りて来いゴリ!!」
被害者である赤い髪の男はジャンプスポーツチームの井上和彦であった。
一触即発の雰囲気。それを打ち破る、もうひとつの叫び声。
「ぶわぁああ!!いっ今川の水を飲もうと・・・のも・・・うわぁぁぁ!!」
「!!?」
「誰だ!」
それは2人のいる、さらに下流からであった。
第3の声の主は、半泣き半怒りの形相で川上にあがってくる。
月の光に晒された顔は・・・・ふたつ。
片方は叫びながら川を歩いて渡り、片方は無言で川の上に浮かんでいる。それは幽霊。
先ほどスーパーメカからの生還を果たした、裏御伽チームの岡野・真倉コンビであった。
ここに3チームの面々が一堂に会したのであった。
「汚いなキミー!俺の生徒だったらおしりぺんぺんしてやるところだッ!!」
「あー、だってよ〜お月さんがあんなにもきれーだったからよぉ〜」
「カンケーねーよ!テメエ俺の靴弁償しろ!俺のエアジョーダンーー!!」
「いちいちうるせーなてめえらは。男ならとっとと決闘してケリつけろってんだ」
大人三名、幽霊一名。あまりの騒がしさに、森で眠る小動物たちが起き出した。
わーわーぎゃーぎゃーしょうもない言い争いが続く。罵詈雑言はだんだんと聞くに堪えないほどになる。
「お前なんか○○○が○○○にでもなって○○になっちまえばいーんだ!」
「なんだってー?いっておくけどオラの○○○はとっくに○○になってんぞー?」
「カンケーねーよ!!だから靴だって言ってんだろこの○○○○○○ー!!」
「テメエラまとめてどっか行っちまえー!カスどもと付き合ってると男が腐っちまうぜ!!」
「なんだとー!?」「やるかー!?」「やらいでかー!!」「またこれかー!!」
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!ケンカはやめるのだ〜〜!!モトちゃんぶつじょー!!」
「「「「だ、誰だぁー!!」」」」
謎の男は白い覆面を被った状態で、腰から腕から文字通り全身をバタバタばたつかせながら叫んだ。
これは彼の必殺技のひとつ、仲裁専門のギャグ【やかましぶわさ】である。
「わたしは臨時審判のひとりなのだ!チミたちのしょーもない争いも、
逐一衛星カメラや特殊浮遊メカカメラから全国生中継なのだ。抗議殺到中なのだ〜。
わたしが戦いの場を提供するので、いいかげんおちゃめなケンカはやめるのだ♪」
と言うと、男は覆面を外した。中からウルトラマンのお面が出てきた・・・
ような気がしたがそれは地の顔だった。六角目にしゃくれあご、眉毛もないのに紳士顔。
彼の名は「 新 沢 基 栄 」。“変態”という蔑称を肯定的にした稀代の男であった。
新沢がいたか。頑張っとくれ。
抗議殺到と聞いてはおとなしく審判に従うしかない。そう思った3人とひとりは新沢の言葉を待った。
「えー・・・(もじもじ)そんなに見つめられると恥ずかしいのだ」
「能書きはいいからとっとと試合おっぱじめろや」真倉がグラサン越しにガンを飛ばす。
「ふっふっふ、では全国の期待を一身に背負ってみんなには頑張って欲しいのだ♪
わたしが提案する試合は特殊ルールで、☆ひとつを奪いあうものなのだ。
負けた人には負け星がつかず、ただ飛ばされるだけなのだ。だから安心して戦いたまえ!」
画期的に思われた提案に、選手たちの目が輝く。
やるやる、それならいくらでも参加する―――と、選手ではない(と思われる)真倉を除いて、
3選手がこぞって賛成した。にこにことうなづく新沢。
「では戦闘意思をかくにーん!バトルフィールド、発進ゴー!!」
ズゴゴゴゴ・・・・と地面がいくつかせり上がり、3つの電話ボックスのような箱が横並びに現れ、
それの真横に立派なお立ち台が登場した。ボックスの前にメカカメラが陣取る。
「左から井上選手、ヒラマツ選手、岡野選手の順でボックスに入るのだ。
そして中にある≪ハイパーウルトラ着ぐるみ変身スーツ≫に着替えたまえ」
お立ち台に登ってマイクの調整をする新沢が三人を手招きする。
三人はなんとなく嫌な予感がし始めたが、契約した後なので逃げもできない。
おとなしくボックスに入り、中に立てかけてある「特撮戦隊スーツ」もどきを着用した。
『おっほん。お三方着替えは済みましたかな?んでわ、れでぃーーすあんどじぇんとるめん!!
これより3チームの選手による【勝ち抜き変態しりとりバトル】のはーじまりはじまり〜〜!』
(し、しりとり〜〜!?)選手たちは心の中で叫ぶ。
『ルールは簡単。しりとりをすると、今着たスーツが変形して言った言葉に見合ったデザインになるのだ♪
同じ言葉や最後に“ん”をつけちゃった人は飛ばされちゃうのだ。・・・・スーツが変形したままで。
ヌードと言った人が次のターンで負けたらスケスケスーツと股間にポーチで飛ばされちゃうのだ!!
ちなみにスーツはこの試合に限らず、勝って☆を得るまで脱げない仕掛けなのだ。 が ん ば る の だ 』
「「「ヌハーーーー!!!!」」」 3選手がいっせいに雄たけび?をあげた。
『あと10秒以内に言葉が出なくても負けなのだー。
でわ左から順番に始めるのだ!最初の言葉は変態の・・・【い】!!』
今更後悔しても遅い。真倉はニヤニヤ笑っている。
負けてもせめてみっともない着ぐるみじゃないといいな・・・と、
3人は心の片隅で思いつつ壮絶なバトルを始めた、のだった。
[順番:井上→ヒラマツ→岡野→井上]
「い・・・いのしし!」井上がイノシシの着ぐるみを着込んだ!
「し、しゃもじ!」ヒラマツが巨大しゃもじの着ぐるみを着込んだ!
「じ?十字架!」岡野が十字架に吊るされる聖者に変形した!
「か・・・かまいたち!」井上がイタチの着ぐるみを着て鎌を装備した!
「ち、ちゃんこ鍋!」ヒラマツが力士の格好になってちゃんこ鍋を食べた!
「べ?ベッカム!」岡野が変な髪型になってサッカーボールを蹴った!
「ム・・・ムカデ!」井上がリアルなムカデの着ぐるみを・・・・
≪ テレビでごらんの皆さまへ 生放送なので刺激的な映像にご注意ください ≫
戦いは、終わらない。
33 :
:03/07/29 15:41 ID:abnyhRH9
えなり二世って何?
>>33 一見さん?とりあえず、過去スレを制覇したまい
ここら辺で人気投票でもしましょうか。少年漫画らしく。
語るスレでドゾー
まあ、個人的にはやっても面白いかも。
きつね「くそっ!まさかあそこで邪魔が入るとはな!!」
空間を渡り撤退した天王寺きつねは憎々しげに叫んだ。
辺りには誰もいない。
きつね「聖が本拠地に戻ってしまったからもうたやすくゴッドハンドを狙う事はできなくなったな、俺も一度帰るか」
??「残念だが、そういうわけにはいかないんだよ」
突然耳元から声がして、同時に自分の皮膚を何かぬるぬるしたものが這いずり廻る感触がきつねの体を襲った。
きつね「な、なん・・・うぐっ!!」
慌てて耳元に手をあてようとした瞬間、そのぬるぬるした何かはきつねの口の中に飛び込んでいた。
きつね「があああああああ!!!!」
自分の体の中の中で何かが暴れまわっている。
その絶望的な感覚を最後に、天王寺きつねの意識は闇に落ちた。
地に伏した天王寺の亡骸。
それを一人の男が見下ろしていた。
その男は身に何も纏っておらず、その体にはねばねばした液体がまとわりついていた。
??「単独行動中の聖悠紀を狙う、その程度の事をあの御方が―横山様が想像できないとでも思っていたか?」
そう無感動に言い放ち、男は天王寺きつねの亡骸を担ぎ上げた。
??「聖悠紀を監視し続けていれば必ず神殺しはやってくる、まさに横山様のお言葉通りだ。その重要度から考えて両者に気が付かれることなく、確実にこの男を仕留めることができる俺を選んだのも適切な判断だ。しかし・・・」
そこで一端言葉を切り男は眉を顰めた。
??「ゴッドハンドに対する最大の鬼札―それを仕留めるためとはいえ同じゴッドハンドの命をも利用するとは、本当に恐ろしい御方だ」
恐ろしい―そういいつつもその男の表情はいつのまにか喜悦に変わっていた。
??「だが、だからこそこの俺、せがわまさきが仕えるに相応しいのだ・・・」
その男―横山十傑集が一人せがわまさきは不気味な笑みを顔に貼りつかせたまま、きつねの死骸とともに音も無くその場から消え去った。
前回のあらすじ 「ジョジョだーーーっ!!」
澤井&信也「「いくぞーーーーーっ!!」」
信也「ザ・ワールド!
澤井「スタープラチナ!!
えなり「出てないよ、スタンド
澤井「オラオラオラッ!
信也「ふん、突き(ラッシュ)の早さ比べか。無駄無駄無駄ァッ!
えなり「だから、スタンド出てないよ。
そんなツッコミを聞いているのかいないのか、二人はラッシュ比べをし、澤井が吹き飛んだ。
信也「フン、こんなものか。時を止めるまでもないな。
澤井「テメー、殴るっつのは服を撫でるだけの事を言うのか?
信也「ジョースター家はどうしてこうも負けず嫌いなのだ?まあ、よい。安っぽい挑発に乗ってやろう。
えなり「ジョースター家じゃないよ。日本人だし
澤井「オラオラオラオラッ!
信也「無駄無駄無駄無駄ァッ!
再びラッシュ比べをする二人。結果は・・・澤井の負けだった。
澤井「うおぉぉーーっ!
信也「死んだか。しかし、首をはねて一層の安心を得るか。
近くにあった標識をもぎ取り倒れている澤井に近づく。
えなり「どこにあったのそれーーっ!
信也「これでジョースター家御一行エジプトツアーも終わりだ!
澤井「今だ、オラッ!
攻撃を加えようとした所にスタープラチナによう不意打ちを喰らい、完全に脳天にヒットした。
信也「くっ・・・頭が痛い・・・足元がふらつく・・・吐き気がする・・・この信也が・・・
えなり「風邪だね。
澤井「これで終わりだ。信也!! オ ラ オ ラ オ ラ オ ラ オ ラ (以下略) オ ラ オ ラ オ ラ オ ラ オ ラッ!!
信也「ぐぎゃぁぁーーーっ!………フフフ、これでいいのだ。澤井、キサマはこの信也との知恵比べに負けたのだ。これが我が逃走経路よ!!
澤井「何ッ!?・・・まさか。
鈴木が飛んで行った方向・・・そっちには澤井が食べられていた『アンパン』があった。
信也「ククク・・・ワハハハ・・・なじむ!実になじむぞ!!最高に『ハイ』ってやつだ!!
落ち込むなよ
あんがと
カァ一一ン!鐘打(ゴング)が鳴り、試合が始まった。
フェンスに手を置きながら気を集中していた本宮が、開始と同時に勢いよく振り返る。
だが、その瞬間、唸りをあげて飛んできた物体に、本宮の目は釘付けになった。
重さ20?Lはありそうな特大のダンベルが、大リーガーの投げる豪速球のようにすっ飛んで来たのだ。
本宮「うおっ!?」 ガッシャアアン!
反射的に身を引き、間一髪よけた。
目標を外したダンベルは、砲弾のようにフェンスをブチ破っていた。
本宮「てめえ、アブね…!」
いきなりの兇行に声を荒げようとするや、本宮の股間で衝撃が爆発した。
強烈すぎる激痛。
ダンベルを囮に抜け目なく接近していた青山が、本宮の金的を蹴り上げたのだ。
本宮「ぐむむっ!!」
口から悲鳴が漏れそうになるのを、かろうじて本宮はこらえた。
本宮「て…」 ゴッ!!
本宮は、次の句をつげなかった。それより早く、青山のワイルドパンチが顔面を打ち抜いていた。
青山「なんだなんだ?まさか、このナンデモアリのルールで、
この程度のこと卑怯とか言うつもりじゃねえべさ?
だとしたら、ケンカ屋なんていっても、ちょれえもんだべよ〜」
機先を制された本宮に、青山の集中砲火が襲った。
青山「梅〜は〜咲い〜〜たぁ〜〜かぁ〜〜♪さく〜ら〜は〜まだかい〜なぁ〜♪」
鼻歌を口ずさみながら、本宮をメッタ打ちにする青山。
最後に、ハンマーのような頭突きの連打を叩きつけると、本宮はもろくもマットに沈んだ。
すっかり顔面が腫れ上がった本宮の状態を確認すると、青山は踵を返して汗を拭く。
青山「いや〜汗かいたら、なんか腹へったべ。まだまだオラも、育ち盛りってこったな」
奇襲まがいのラッシュで本宮を叩きふせた青山は弁当の残りと格闘を再開しようとする。
そんな青山に声がかけられる。
松江名「あ〜キミキミ、いいのかね。そんなに油断してしまって」
声をかけたのは、臨時審判の松江名である。
青山「あ〜〜、なに言ってるべ?オラの鉄頭くらったら、最低一週間は足腰たた…」
??「誰 が 足 腰 立 た ね え っ て !?」
いきなり野太い声を聞いたかと思った刹那、青山は奇妙な浮遊感を味わった。
青山「あ・・あが・・・」
ミシ・・・ミリ・・・・
青山は、後頭部を巨大な掌にワシ掴みにされたまま、宙吊りにされた。
頭蓋骨に指が食い込む程の握力に、顔面を蒼白にしながら、横目で後ろを見やる。
そこには果たして、腫れた瞼の奥で鬼火のような眼光を滾らせる、鬼と化した本宮がいた。
本宮「てめえ・・・ずいぶんとオチャメな真似してくれるじゃねえか・・・・」
青山「お・・おご・・てれえ・・」
なにごとか呟く青山には耳を貸さず、強引に顔を自分の方に向けさせると一一
本宮「おりゃああああっっ!!」
グワッシャアアア!!!
片手で青山の頭部を引き寄せると、チョーパン(頭突き)炸裂!!
青山「おべっ!!」
一発で鼻骨が粉砕され、鼻血がしぶいた。
しかし、そんなことはお構いなしの、情け容赦ないチョーパン地獄がつづく。
顔面の形が変わるくらいに頭突きを浴びせると、本宮は片手で思いっきり、青山をフェンスまで放り投げた。
盛大にフェンスにメリこむ青山。金網を掴み、なんとかダウンを拒否する。
血みどろの顔面の奥で、青山の目が冷たい光を放つ。
さあ、挨拶は終わりだ。
本宮の連打が、空を切る。まがりなりにも、青山は元プロ格闘家だ。
大振りのパンチは、まずヒットしない。そして、その隙を青山は見逃さない。
青山「ほい、アンヨががら空き!」
乾いた打撃音が、夜空に響きわたった。その一発で、大腿は肉離れしたらしい。
本宮「ぐううっ」
さらにチン(アゴの先)を狙いすましたアッパーで、瞬間的に意識を揺さぶる。
本宮の視界が白くなった瞬間、青山が飛びつき三角絞めを仕掛ける。
このまま倒れ込めば、完全に極まる。だが、本宮の巨体は微動だにしなかった。
青山「こ、こらえた!?」
本宮「へっ!バカ力とでも言いてえのかよ?てめェがひ弱すぎんだよ!!」
青山の巨体を、腕一本で高々と持ち上げると、渾身の力を込めてマットに叩きつけた。
そのまま一気に馬乗りになろうとする本宮。マウントポジションという言葉は知らなくとも、このあたりの動きは、やはりケンカ慣れしている。
だが、本宮はまだ知らなかった。マウントポジションをめぐる攻防の奥深さを。
胴体を青山の両足に挟まれ、本宮の動きが止まる。
本宮「うっ!?」
青山「見直したよ、本宮先生。これが路上だったら、頭カチ割れて、俺の負けだったな。
だが、マット上じゃ、叩きつけても見た目の派手さ程、大したダメージにならない。
むしろ、NHB(ノー・ホールド・バーズ)ではここからが本当の勝負だ。
攻めてみろよ、本宮ちゃん?」
本宮「なめんな!!」
挑発されて激昂した本宮が、必殺の剛腕をふりかざす。
しかし、その鉄拳は、一発もかすりすらしなかった。
青山「これが柔術の『ガード・ポジション』だ。見かけとは逆に、
下の人間のほうが相手をコントロールできる有利なポジションなんだぜ」
本宮(クソッ!両足で上半身を殺されて力が入らねぇ!なら、この邪魔な足を外しちまえばどうだ!?)
焦った本宮は、自分の胴体と青山の足の間に腕を突っ込み、強引に外そうとする。
その様子を、青山は薄笑いしながら見つめていた。
青山「素人丸出しだな…」
本宮「!!」
軽く胴体を捻るだけで、簡単に上下が入れ替わった。今度は、青山が上、本宮が下だ。
唯一違うのは、青山の場合は、完全に本宮の上に馬乗りになっていることである。
本宮「あ…」
青山「上下をひっくり返す『スイープ』。相手の胸の上に乗る『マウント・ポジション』」
いきなり、真上から拳がぶつかってきた。本宮が鼻血を噴き出す。
青山「そしてこれが『マウント・パンチ』」
本宮「ぐ…」
打下ろしの連打が、容赦なく本宮を襲う。懸命に反撃を返すが、
上と下では、パンチの重みが違いすぎた。
本宮の腫れた顔が、さらにずくずくの血袋のようになっていく。
青山「そんな下からの大振りじゃ、届かねえよ」
突き刺さる拳。その拳を睨みつけながら、本宮がブリッジした。
青山「アホ、ブリッジでマウントポジションが返せりゃ、誰も苦労しねえよ」
もはや完全なる勝利パターンを、冷静に機械のように実行していく。
そのとき、本宮が吼えた!
本宮「ウオオオオオ!!」
信じられない事が起きた。
青山「バ、バカな……」
マウントポジションから、本宮が普通に起き上がってしまったのだ。
鉄のマウントを返され、青山の目が驚愕に見開かれる。
本宮「なに驚いてやがる。てめぇがひ弱なだけだって言ってんだろ?」
「うお〜〜〜!野生の馬だ。あの中から余に相応しい馬を捕らえるぞ!!」
「待てい」
軽いエネルギー波(焦げる程度)を放って止めた貞本。
「何をする貞本!?」
「畜生以下の存在であるお前が馬を傷つけるな」
ひでぇ言い様。
「余はもうお前の背中のおぶさって移動するのは嫌なのだ!!
『夢浪漫!木村復活馬巡り湯けむりハーレムブラリ旅』の為に!!」
「木村!やがてその旅は・・『夢浪漫!木村即殺地獄巡り血けむりハーレムブラリ首』になるだろう」
「ブラリ首ですか!?」
「そんな天気予報みたく・・・」
「まあ、いいんじゃねえか?俺もお前なんて乗せたくねえし。頑張って探してくれい」
そう言うと、貞本は木陰で昼寝に入ってしまった。
「私、手伝います!!世界一の名馬捕らえましょ!!」
「それは無理だな!」
「ほへ?」
「余の飼っていた馬シルバーを超える馬など・・・」
「ほへー!銀色の綺麗な毛並みの馬だったんでしょうねー」
「ちなみにこう書く」
木村はフリップを出した“汁婆”
(汁のお婆さんって何!?)
「その名に恥じぬ名馬だったよ!」
「その名はちょっと・・・」
「う〜〜〜〜ま〜〜〜〜う〜〜〜〜ま〜〜〜〜〜」
「足で追いつこうとしても無理ですゥ・・・」
パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ
その時、私が振り返って見たもの・・・それは一生忘れられない偶然の出会い。
はじめての汁婆との出会い!その時汁婆は、風のように颯爽と
馬 を 駆 っ て 現 れ た !
本宮「おらああっっ!」
両足を抱えた状態から、青山を思いっきり投げ捨てた。
再びフェンスに叩きつけられた青山に、すかさず追い討ちを入れにいく。
倒れた青山の頭部を、踏みつけに行った。
だが、これは直前で避けられ、逆に背後に組みつかれた。
青山最大の必殺技、スープレックスの体勢である。
本宮「させるかってんだっ」
腰に回された腕を掴み、スープレックスを阻止する本宮。
力が拮抗し、一時、膠着状態になる。しかし、次の瞬間。
本宮「が…!」
一瞬、本宮の表情が苦痛に歪んだ。その隙を青山は逃さない。
本宮の巨体が浮き上がり、あっさりと地面に倒された。
それを見た審判・松江名が、「ほぅ…」とほくそ笑む。
松江名「『ラテュラルドロップ』……背後から倒れこみ、相手の踵を蹴って投げる技。
しかもその直前、左手で大腿骨を極めている。
関節ありの古流レスリング『キャッチ・アズ・キャン』の技術だ。
あれをやられては、さしもの本宮先生も踏ん張れないだろうね」
寝技に入り、すかさず関節技に入りにいく青山。懸命に、逃げる本宮。
しかし、青山の寝技の技術は、常軌を逸していた。
リストロック、アキレス腱固め、腕ひしぎ十字固め、三角絞め……
観客「オ、オイ、見ろ、あの入墨ヤローの動き!なんだかすげェぞ!」
「まるで手足が何本もあるような…」
「無数の蛇が全身にからみついていくような…」
打撃に匹敵する、凄まじい速度だった。まさに、蛇の乱舞。
本宮は、なんとかふりほどくのが精一杯だ。
刹那、本宮の首と腕に、青山の右足がからみついた。ついに捕まったのだ。
本宮(な、なんだ、この関節技は!?)
首を巻いた足を、相手の脇の下に突っ込みロック。そのまま相手の腕をつかみ、半回転。
体を密着させ、足を伸ばすようにして首と肩を絞め上げる一一これが“バズ・クラッチ”!
本宮「ぐ…ぐぁ…」
それは複雑な関節技だった。アマレスのフルネルソンのように、首と肩が完全に極められている。
松江名「プロレスのストラングルホールドにも似ているが…
しかし、NHBでこんな複雑な関節技が極まるとはね。しかも、誰にでもできる技じゃない。
青山先生の長く柔らかな肢体をもって、初めて可能なサブミッションだ。
本宮先生、タップ(ギブアップ)するかね?」
本宮「バカなこと言うんじゃねえっっ!!」
ギブアップを当然のごとくつっぱねる本宮。そこへ、青山が話しかけてくる。
青山「タップした方ええべ、本宮先生。この技は、一度極まったら絶対に外せねえだ
我慢しすぎると、痛いだけじゃすまなくなるべよ」
さらに強烈に絞め上げられた。頚椎が負荷限界を超え、僧帽筋が断裂していく。
激痛に顔面を蒼白にしながらも、本宮は必死に脱出を求め、あがく。
手先のパンチでは、蚊が刺すほどにも効きはしないが、それでも本宮はあきらめない。
本宮(どこかにスキがあるはずだ……人間の考えた技に“絶対”なんかあるわけねェ!)
そう考え、本宮は足掻きつづける。
苦しまぎれのストレートを打った。躱しざま、青山が動いた。
一瞬で、首と腕をクラッチし直す。これで、本宮は完全に身動き出来なくなった。
青山「もう一度だけ聞く。本当にタップしないんだべな?」
本宮(なんだ?ここから何がくる…!?)
刹那、青山がゆらめいた。
青山「“バズ・ロール”」
天地が逆転した。
2人の体は宙を舞い、一回転したのだ!
本宮(やべえ!踏んばったら、首が折れる!)
松江名「回転の勢いで、本宮先生が宙を舞う!そして再び、青山先生が上になって…」
ドキャア!
松江名「全体重を首に浴びせ、着地!!」
本宮「ゴハッ!!」
本宮の口から、血混じりの吐瀉物が飛び散った。
だが、青山の動きは、まだ止まらない。2回転目!
観客「やめろぉぉ!勝負はついたぁ!!」
観客席から悲痛な叫びがこだまする。むろん、試合場に届くわけもない。
青山(スマねえ、本宮先生。でも、オラはこの大会、なんとしても優勝しなきゃならねえだ。
そう、たとえアンタを殺してでも…!)
そのとき、青山は、背筋が凍りつくような錯覚を覚えた。
景色が歪むほどの回転速度のなか、本宮が……笑っていた。
不敵な笑みを浮かべ、真直ぐにこちらを凝視している。
本宮(あったぜ……スキが……)
それは、2人の体が一回転し、青山が完全に本宮の上にのしかかろうとする、まさに寸前に起こった。
本宮(この瞬間!ディフェンスががら空きの頭が下から昇ってくる。そこへ……)
突然、鈍い音がしたかと思うと、青山のこめかみに、本宮の膝が突き刺さっていた。
ただでさえ強力な蹴りに、遠心力が加わり、その破壊力は恐ろしいことになっている。
瞬間、青山の意識は粉々に吹っ飛び、頭の中が真っ白になる。
その隙に、本宮は、ようやく寝技からの脱出に成功した。
しかも、膝のダメージで、まだ青山は起きあがれない。
攻守交代である。
本宮「ようやく、俺の番だな」
青山「う…」
本宮「おっしゃああああああああっっ!!」
首から上がなくなったかと思うような、とんでもないヤクザキックだった。
ガードはまるで意味をなさず、フェンスまで吹っ飛ぶ。
転がった青山の腹に膝を落とすと、そのまま馬乗りになり、メチャクチャに殴りまくった。
青山は必死で抵抗を試みるが、それはさしずめ、砲弾を紙の盾で防ごうとするようなものだった。
何度も何度も、打下ろされるパンチの雨あられ。青山はもはや、風前の灯火だった。
青山(強え…前へ前へと出て来る、この圧倒的なプレッシャー…このままじゃ、オラ負けるだ……)
青山の歯が砕け、血反吐と一緒に吐き出された。
青山(おふくろ……)
そのとき、青山広美は、思い出していた。
『チーム・タフ』に入る転機となった、あの日のことを。
最大トーナメント開催より、3ヶ月前一一
青山広美は、病院に呼び出された。無論、自分のことで、ではない。
そのときの青山は、プロ格闘家を引退し、漫画家になってしばらく経った頃だった。
野球漫画『ダイアモンド』でそこそこの成功を修めた後、青山は自分の経験を生かして、
本格格闘漫画と銘打った作品『格闘太陽伝ガチ』の連載を開始。
おせじにもメジャーとはいえないが、良質な作品を手掛けてきた。
だが、ある日、彼を悲劇が襲う。
自らの拠り所だった雑誌『ビッグコミックスピリッツ』が廃刊となったのだ。
全ては矢吹と、その下で動いていた福本伸行の仕業であったのだが、その時の彼には知る由もなかった。
しかも、青山を襲った悲劇はそれだけではなかった。
青山「一千万!?」
医師「ええ、そうです。貴方のお母さまを救うには、もはや心臓移植をするしかありません。
しかし、これは非常に珍しい手術ですので、最低でも一千万円。
優先リストの順位を上げたければ、さらに一千万が必要です」
青山は絶望しきっていた。幼い頃から、女手ひとつで自分を育ててくれた母。
なんとしても死なせるワケにはいかない。
だが、職を失った自分に、そんな大金などあるはずもない……
青山「オラは…オラはどうしたらいいんだ……このままじゃ、おふくろが……」
腕っぷしだけは強くても、大切な者ひとり、助けることが出来ない。
自らの無力さと、運命の残酷さを、青山は呪うことしか出来なかった。
そのときだった。
天からの御使いのごとく、ひとりの男が青山の前に現れたのは。
手の甲に『薔薇の入墨』を刻んだ、その男は言った。
??「青山君。実はひとつだけ、君の母を救う方法がある」
青山「本当か?本当に、そんな方法があるのか!!?」
??「ああ。矢吹が3ヶ月後に開催する、最大トーナメント。それに出場するんだ。
私がリストアップしたメンバーと共にね」
青山「**先生がリストアップした?」
??「そうだ。名は、『チーム・タフ』。私が厳選した史上最強の格闘集団だ」
その一時間後。
青山は、病床の母親に語りかけていた。母親は、眠っている。
青山「おふくろ、オラはもう一度、格闘家に戻るべ。
もう怪我して、おふくろに心配かけないって約束したけど……堪忍だべ」
そうさ、何もためらう理由はない。
たとえ、オラの心の奥の邪悪な蛇が…
また誰かを傷つけたとしても、神様はきっと許してくれる。
絶対に負けられない。
必ず最大トーナメントに優勝して、おふくろを救ってみせる。
こうして、青山広美は格闘集団『チーム・タフ』の一員として、
再び血みどろの戦場へと舞い戻ったのである。
そして、時は戻る。
観客「いけぇーー本宮!あと一歩だ!!」
マウントパンチで青山をめった打ちにし、勝利目前の本宮。
裏御伽を応援する観客たちのボルテージは最高潮。
ゆえに、邪悪な蛇が、ゆっくりと鎌首をもたげようとしていることに、気付く者はいなかった。
圧倒的な攻勢をよそに、本宮は焦燥していた。
本宮(なぜKOできねぇ!?俺の拳は、確かに効いてるはず)
松江名(柔軟性だ。ガードポジションのうまさに加え、
青山先生の並外れた体の柔らかさが打撃の威力を半減させている)
一方、観客席。
観客「どうしたァ、本宮!?さっさと決めちまぇ!」
熱狂する観客に混じり、ひとり密かにほくそ笑む男がいた。
チーム・タフのスポンサー、『薔薇一族』総帥、能条純一である。
能条(来る!もうすぐ、もう一人の青山広美が、目を覚ます!)
その言葉を裏付けるように、青山に異変が起こった。
本宮の圧倒的な攻撃をかろうじてしのいでいたクロスガードを、オープンガードに戻したのだ。
松江名「む!?」
刹那、本宮の放った拳が、腕ごと巻取られた。
そう、まるで“蛇”が絡み付くように。
青山「“バズ・ロック”…」
それは一瞬の出来事だった。巻取られた本宮の腕が、肘を直角に曲げたまま、
通常の関節稼動域とは逆の方向に折り曲げられた。
本宮「があああ!!」
嫌な音がした。右肩の関節が、外されたのだ。
吼える本宮が、掴んだ腕を叩き、強引に掴まれた腕を引っこ抜く。
両者、同時に立ち上がる。そして、本宮は見た。
青山の気配が、ついさっきまでのそれとは、まったく異質なものへと変貌していることに。
“蛇” 覚 醒 ! !
青山「ハハハ。アハハ」
強烈な笑みだった。見る者すべてに、不快と恐怖を与えずにはおかない顔。
本宮(なんだこいつ?人の肩ぶっ壊しておいて、その笑いは!?)
本宮の長い戦歴でも、このような者は初めてだった。背に、戦慄が走る。
それを振払うように、本宮は気力を振り絞る。
肩を外された激痛は、相当なダメージだった。これで、少なくとも右腕は殺されたのだ。
本宮は、踵を返すと、フェンスの方へと歩み寄っていく。
と一一
いきなり、本宮は脱臼した肩を、フェンスへと叩きつけた。
ビキッ
再び嫌な音がし、肩がハマったことを告げる。
松江名「肩がどうしたのかね?」
本宮「なんでもねぇよ」
とんでもない激痛だった。気を失わないのが不思議なほどだ。
しかし、本宮の底なしの気魄は衰えを知らず、むしろますます燃え盛っていく。
本宮(右がダメなら左がある。拳がダメなら、蹴りがある。
立てなくなりゃ、はってでも噛みつきにいく。
裏御伽の長である俺が、負けることなど許されねェ。
絶体絶命の、このピンチをはねのけてこそ、本物の漫画家)
本宮がネクタイに指をかけると、スーツの上着とネクタイを放り捨てる。
満天の月明かりが、傷だらけの本宮を、スポットライトのように照らしていた。
本宮「し び れ る 夜 だ ぜ」
ファイト!
乙(おそらくチーム・タフはスタンドや超能力者と戦った絶対的な経験が少ない)
乙はそう考える。澤井と戦った時、タフは気合でギャグフィールドを無効化したと言っていた。
つまりは、相手の能力を全て封じた上で戦おうとしたのだ。
乙(それは、封じている間は確実に勝つが、封じられない場合苦戦を強いられる事があると言うことだ。)
乙(さらにまずいことに、彼等は僕を荒木先生戦へのステップの一つとしてしか見ていない。)
乙(その体験したいと言う気分が、彼等が能力にはまる一因になっている。)
乙(次は本気で来るな。)
乙はそこまで一気に考え、周りを見渡す。とくに異常は見あたらない。
乙(でも、あの本宮先生。荒木先生とはまるで別の意味で大きな人だ。)
あの、パープルヘイズを出したとき、本宮はとっさに4人を自分の後ろへ、しかも明るい方へを押しのけた。
乙(危険性に気づかないんだったら、庇うはずはないし、危険性に気づいたのなら、さっさと逃げるだろ。)
ほとんど、無意識のうちに味方を庇ったのだ。もっとも乙は裏御伽を巻き込む気は無かったのだが。
乙(どれほど、平穏な生活を求めていても、どうやら事件に巻き込まれやすい体質らしいな。)
乙(だったら、あの人がどこまで行けるのか見てみたいな。)
乙はそう思って、木陰に座り込む。
乙(他の人はどうなんだろう?何故本宮先生について行こうとするのかな?)
乙は少し考え自分の考えを否定する。
乙(理由なんてどうでも良いのかもしれないな。)
空を見上げながら、乙はそんなことを考えていた。
石川「ようやく来たか。」
目の前のカレーを食べ尽くして、石川はその男に向き合う。
安彦「ふん、巌流島の戦いを忘れたか。」
石川「あー、平家が滅びた戦いか。」
尼子「それは壇ノ浦です。一文字もあってません。」
石川「無粋なツッコミは命を縮めるだけだぜ。おい長谷川!デザート持ってこい!」
長谷川「ただいま〜。」
でんと積まれた合成漫画肉*沢山。それを石川はものすごい勢いで食べる。
石川「どうした、お前等も食えよ。俺一人じゃくえねえからよ。」
石川はそう言うが、その雰囲気に誰も手を出せない。只二人を除いて。
安彦「お言葉に甘えて。」横山「たしかに、せっかく長谷川が作ってくれたものを無駄にはできませんからね。」
どうやら、格が違うらしい。
石川「食べ終わったら、食後の運動と行くか?クックックッ・・・・・・」
安彦「望むところよ!ふはははははは・・・・・・」
奇妙に笑う二人。自分たちは楽しいだろうが、周りは思いっきり引いていた。
石川「チェーンジ、真ゲッター1!スイッチ オン!」
安彦「フュージョォォォォォン!」
3体のメカが合体し、一つの人型を成す・・・。石川ご自慢の真ゲッターロボだ。
風の渦の中より、4体のマシンが一つに重なる。それは勇者王・・・
安彦「ガォ ガイ ガァー!」
2体のメカが今、ここに君臨した。
蛭田「背丈だけは、両方同じに見えるね。」
蛭田がそう言って、両者を見比べる。
池上「しかし、背丈だけで戦いが決まるわけではない。」
五虎はそれっきり口を閉ざす。全員こういうのは苦手なタイプなのだ。
前川「こういうの得意なの誰?」
尼子「長谷川さんがこういうの得意だと思ってますが・・・。」
山原「何か気絶してたな。」
・・・・・・
蛭田「たたき起こしてこい!」
前川「なにも、そこまでしなくても良いでしょう。しばらく休ませてあげようよ。」
石川の為に運ばれた料理を思い出して、前川が止める。
蛭田「こんな試合が見れるのは、今だけだぞ!その解説を休むというのか!あいつは!」
その会話を聞いて、横山が口を挟んだ。
横山「それはまずいですね・・・。ストップをかけられる人間がいません。」
5虎「?????」
横山「しばらく、待った方が良いのかもしれませんが・・・。」
石川「るせぇぃ!さっさとやるぞ!こいやぁ安彦!」
安彦「ふはははははははははは!良かろう!思う存分戦おうではないか!」
横山の思惑はなんのその。もはや、完璧にハイテンションになっている二人である。
横山「しかたありません。ですが私が止めといった場合、試合は中断させて頂きます。」
二人「わかったぜ!さあこいや!」
もはや、ボルテージはマックス。誰にも止められない気がしたが、戦いは始まった。
「得意な人」思いっきりいるじゃん・・・
「デラウェア!」「あめんぼ!」「ぼ・・・ボーリング!」
「具志堅用高!」「浦島太郎!」「梅干し!」
「シュークリーム!」「ムササビ!」「備蓄米!」
「イカっ・・・ !」「かぼちゃ!」「ちゃ?ちでもやでもいいのかな・・・ヤンバルクイナ!」
イカゲル星人と言いそうになって止めた井上。
あくまでマイペースなヒラマツ。
意表をつかれて一瞬悩んだ岡野。
ものすごい勢いで着ぐるみスーツが変形している。
備蓄米なんかはただの米袋だったが。
「なすび!」「ビキニ!」「にきび!」にきびまみれスーツにテレビの向こうで非難の声。
「びょうぶ!」「ブラジャー!」「ジャイアント馬場!」ヒラマツのセクシー下着に茶を吹く視聴者。
「バーコードバトラー!」「ラーメンどんぶり!」「両津勘吉!」誰も知らないバーコードバトラー。
「チャイコフスキー!」「北島三郎!」「宇多田ヒカル!」著名人ものまねそっくりさん対決。
「る・・・ルービックキューブ!」「無頼漢!」「ん?・・・・!!!」
『ピピーッ!!はーいヒラマツ選手しっかぁーく!!
サブちゃんのスタイル【パンチパーマと着物と背負い型紙ふぶき製造機+照明】セットのまま、
ヒラマツ選手はレースに復帰していただきます♪では手荷物をお持ちください〜』
「え?ええ〜〜!?」
新沢基栄のアナウンスが入り、ヒラマツは巨体を揺らしながら泣く泣く着替えボックスに戻り、
数少ない手荷物と着替えを持った。そして頭上のシャワー状の機械から、
紙ふぶきと照明を受けながら、負け星のつかない敗者としてどこかへ飛ばされていった。
夜目に眩しいスポットライトは、ヒラマツが手元のスイッチに気づくまで点きっぱなしであった。
ゴクリ・・・!!残されたふたりは生唾を飲み込んだ。いろんな意味で、負けられない。
「はひぃぃ〜〜〜〜!!!」
「何事だこずえ!!」
「馬が馬にィ!!」
「馬が馬に乗ってた!?」
幻覚・・・そういえば昔から・・・(独り言)
「聞いてください木村さん!!馬がこう蹄で馬の首をはさんで・・・」
哀れ・・・ジャンキー・・・(独り言)
「ほら!あそこにいますう!!」
天野の指指した場所には、馬に跨る馬がいた。しかし、すぐに降りてしまった。
「おらぬではないか」
ひょい!
「はひぃ〜〜〜〜〜!!!」
「シ・・・汁婆!?」
「お前・・こんなトコで・・・」
?
「余を忘れたのか!?余だ!木村だ!!お前汁婆」だろ!?余より乗馬のうまい汁婆だろ!?」
ズシーンズシーンズシーン・・・パオ〜〜〜〜〜!!!!
象登場。
「何故原っぱで象が!!?」
「はひ!?木村さん怖い・・・」
「世も怖い!!汁婆!貞本を起こしてきてくれ!!そうすればどうにかなる!!」
“どうやって起こす?”汁婆はフリップで会話した。
「とりあえず、なんでもよい!!アイツ寝起きが最悪だから、手荒なマネも良いぞ!!」
“OK”
「汁婆!!F・S(フォーメーションスプリンター)発動!!」
「はひ?なんですそれ?」
「余の馬は・・」
汁婆が立ち上がった!そして・・・
「二本足で走ったほうが速い!!」
ファオン!!ドドドド・・・・!!!
「馬違う・・・」
「ゴブゥ!!!」
勢い余って汁婆は貞本を吹っ飛ばした。
「・・・何だ?」
“木村にやれって言われました”
「・・・そうか。」
「あっ!遅いぞ貞本!!さっさとあの象を・・・」
「木村ァ・・・上には気をつけろよお」
木村の真上に、象の巨大な足があった。
「助けてくれェ!!」
「遠慮します。さっ、天野さんはこちらに・・・」
「貞本めぇ〜〜〜余を裏切りおって〜〜〜・・・貞本
今朝のお前の納豆、賞味期限切れてたんだぜ?
木村は貞本に、銃を撃つ構えをした。口で「バキュ―ン」と・・・
グシャ!
「天野さん、俺の背中に乗って」
「木村さんが、象の足の下から出て来られないんですけど・・出てくるのは大量の血・・」
「大丈夫だよ、あいつには足もあるわけだし・・・」
そう言って貞本が、さっきまで汁婆がいた方向を見ると、もう既に逃げ出した後なのか、誰もいなかった。
「まあ、どうにかなるでしょ・・・」
ばさっばさっばさっ 貞本と天野は飛び去った。
いよいよヒートアップするしりとり会場。井上→岡野の順番で直前の言葉から再開される。
「ぶ、だな。武器庫!」「米俵!」
「らっきょ!」「巨乳!」
「打ち切り!」「やな言葉を・・・リウマチ!」
井上がスーツの効果で鬱に入った!! 岡野がスーツの効果で腰に痛みを覚えた!!
「・・・チキンカツ」「ついたて〜」スーツの効果が切れた。
(・・・・想像以上に恐ろしい。見た目は滑稽だが言葉次第で己の首を絞めまくるッ・・・)
動揺し、言葉を選びはじめた岡野。井上はあくまで直感で答える直球野郎だ。
そしてこの違いが、のちの試合の行方を決定付けた。
「チョーク!」「く・・・クリスマス!」サンタのコスプレで妥協する岡野。
「すいか!」「か・・・・・・家政婦!」
「ふかひれ!」「れ?・・・レーサー!」
「サバイバル!」「る!?る・・・る・・・る・・・ルアー釣り・・・」
「リオのカーニバル!」「るー!?き、貴様ー!!・・・ルッコラ(※野菜の名前)!」
「ランドセル!」「がー!!わざとかよ!!・・・ルールブック!」
「栗まんじゅう!」「ホ・・・うさぎ!」
「ギョーザ!」「ざ?ざ・・・・ざ・・・・ざ・・・・・・・・ざ、なんかとっさに出ねーっつーのー!!」
『ピピー!!岡野選手、時間切れでしっかぁーーーーく!!
なので岡野先生は【うさぎの全身着ぐるみ(白)】で次の戦場に向かっていただきますなのだ〜』
「し、しまったー!!せめて、せめて動きやすい家政婦がよかったー!!」
がっくりと膝をつこうとする岡野。しかし着ぐるみの短い足は膝が折れない仕様であった。
「あーあ。オヤジ(本宮ひろ志)にツラぁ合わせられねえなあ」
「今日ほど霊体のお前をうらやましく思ったことはないよ・・・」
あえなく岡野は真倉と共にどこかの闇の中へと消えていった。うさぎのまま。
『勝者!ジャンプスポーツチーム井上和彦!!』 ―――かくして熱戦は終了したのであった。
65 :
岡野:03/07/30 10:54 ID:ObBH4J/m
「しまったー!『座敷わらし』があったー!」 真倉「アホ」
か ぶ き 者
『傾き者』または『傾奇者』とも書く。
最後の書き方が最も端的に言葉の内容を表している。『傾(かぶ)く』とは、異風な姿形を好み、異様な振る舞いや突飛な行動を愛することを指す。
現代のものに例えれば、権力者の取って目障りな『反逆者(トリーズナー)』とも言えるが、
真の傾奇者とは、己の掟のために、まさに命を賭した。
そして世は漫画家戦国時代、此処に天下一の傾奇者がいた!!
その男の名は、 原 哲 夫 !!
??「ほう、たしかに五聖人原哲夫。
さすがに″餌″が良いと、釣れる″将(さかな)″もでかいものよ」
原 「こちらは、名乗った。そちらも名乗ったらどうだ。
木石にあらねば、名ぐらいあろう・・・」
愛馬松風から降りつつ、原が尋ねる。
安西「ちっ!!」
二人の睨み合いの隙をつき、安西が炎の壁を作り、一気に後退した。
その壁をバンッ!という弾ける音ともに、鎧武者が横一文字に切り裂いた。
??「我が名は山原義人。『五虎将』が一人。
ここを通りたければ、我をみごと倒してみよ!」
鎧武者、いや山原義人は、大気を切るように素早く戟を構え、残った炎を吹き散らしながら言った。
原 (槍の刃のまわりに、両端の尖った棒状の刃が四つ・・・
方天戟にも似てるが・・・。初めて見る武具だな!」
自慢の朱槍を小脇に担ぎつつ、安西のいる所まで間合いを詰める原。
山原「天下に名高いぬしの朱柄の槍、我が双天戟″震雷″の相手に不足なかろう」
対して安西のそばまで来た原は、槍を構えて言った。
原 「来い、山原義人とやら。穀蔵院一刀流の名にかけても、この漢を通してみせよう」
安西「!!」
穀蔵院一刀流とは、戦国武将前田慶次の刀法である。しかし、この刀法には習って身に付けるどんな型もなかった。ただ、太刀行きの速さと、そこに籠められた力だけが勝負を決する戦場の刀法である。
鎧すら叩き割る、まさに猛獣なみの剣であり槍であった。
安西「俺を通すって、アンタどうゆうつもりだよ・・・」
安西の問いに、原はニヤリと微笑んで答えた。
原 「おまえさん、なかなかの傾きぶりだったぞ。
男が命をかけて事を成そうというんだ・・・・
そんな男を見過ごせるほど、おれは薄情者ではないんでね」
以前の安西なら、このような他人の好意を決して受け取らなかっただろう。昔の彼のとって、他者とは利用するものであり、もしくは倒すべき敵でしかなかった。
しかし、今の安西は・・・
安西「すまない・・・」
己が無力さを歯噛みしながらも、それでも自分の力不足を認め、他者を受け入れる。
今の彼には、それが出来た・・・。
原 「俺が奴の隙を作る。
おまえさんは、その瞬間を見逃さず、後ろの松風に飛び乗って一気に駆け抜けろ」
安西「後ろのって・・・この馬手綱ついてねーじゃん」
原の愛馬松風には、手綱はおろか、馬銜もついていなかった。
原 「ああ、約束なんでな」
安西「誰とだ?」
原 「松風とだ」
まるで、馬を人のように言う。
原 「心配せんでも、おまえさんを無事、俺の朋友の所まで送ってくれるよ。
ただ、松風は普通俺以外の人間を乗せん。今回は特別だが、あいつを怒らせるようなことはするなよ」
安西「朋友って・・・」
原 「この先で、車田が真島と戦っている。
早くせぬと、あいつに御馳走ぜんぶ持っていかれるぞ」
安西「車田が・・・。ああ、頼むぜおっさん!」
原 「まかせろ!」
ビッシと、槍を構えて原は言った。
いよいよ、スーパーロボットの中でもトップクラスの力を有する2人が激突しようとしていた。
それを固唾を飲んで見守る横山に、横から声がかけられる。
??「横山様。十傑集がひとり、『風使い』鷹氏隆之、まかりこしました」
声の主は、長髪に涼し気な美貌を持つ、黒マントの男である。
横山「ご苦労でした、鷹氏。面倒な役目を与えて、すみませんね」
鷹氏隆之は、横山の命により、安彦良和の監視役を務めているのだ。
鷹氏「いえ、身に余るお言葉。しかし、永井様と諍いを起こされた時はヒヤヒヤしました。
直前で、高屋様が止めてくれたので、事なきを得ましたが」
横山「『強殖装甲』を持つ男、高屋良樹ですか。あの男は古風な部分がありますからね。
このような戯事には興味がないのでしょう」
一方、横山と鷹氏が会話してる横では、尼子がせわしなく動いていた。
鷹氏「大変だな、尼子。ひとりで、六人分の役を演じるというのは」
尼子「あ、鷹氏さん。まったくそうですよ。用心の為に、横山様最強の親衛隊である『五虎神』は常に、横山様の側に待機してるように見せておく必要がありますから」
なんと、『五虎神』たちはすべて、尼子の目まぐるしい変装が生み出した偽物だったのである。
鷹氏「で、本物の『五虎神』たちは、一体どこへ?」
横山「彼ら全員には、矢吹艦への潜入任務を命じました。
元々、隠密行動は彼らの得意とするところですからね」
鷹氏「あの五人を全員……ですか」
横山「一応、あまり派手に動くなとは言ってありますがね。今頃、どうしているやら
そうそう、貴方にはヒマを与えます鷹氏。しばらくは、安彦の監視は必要ありませんから」
思わぬ横山の申し出に、思案した後、鷹氏は言う。
鷹氏「では、横山様。私も、矢吹艦に向かってもよろしいでしょうか。
ひとり、『旧交』を暖めたい人物がいるんですよ」
横山「貴方ほどの男が、『彼』ごときをまだ気にかけていたとは意外ですね。分かりました、許可しましょう」
鷹氏「恐悦至極に存じます。(フフ、おまえに会うのも随分と久しぶりだな、『ファントム』よ)」
じりじりと間合いを詰める原と山原。後ろから固唾を飲んで見守る安西。
空気が凍りつくような時の中、ついに二人は一足一刀の間合いまで詰め寄った。
山原「!!」
先に仕掛けたのは山原。両目を見開き、異形の武具「震雷」を繰り出した。
原 (突きか・・・なら、払って返す!)
冷静に朱槍を突き出す原。しかし、奇妙な違和感に一瞬槍を止める。
原 (なんだ!?)
僅かながら、震雷が回転を始めるのを感じた原は、槍を下げ、横っ飛びに避ける。
一方、そのまま猛烈な回転を始めた震雷は、原の後ろにあった壁を粉々にした。
原 (鉄筋コンクリートの壁を一撃で粉々に・・・。なんという破壊力だ!!)
山原「ふふ・・・。よくぞ槍を止めた。
あのまま槍で受け払えば、槍ごと五体を引き裂いたものを・・・
その一瞬の見極めは見事よ!」
正確に言うと、原は見極めたわけではない。
原の野生の感が、危険を感じ槍を止めたのである。
原 (むう、確かにこちらの槍の突きや受けは、あの震雷の回転に巻き込まれ、
槍は破壊される・・・
まともに向かえば、槍では太刀打ちできぬというわけか・・・)
山原「ふ・・・。攻め手を迷うか!?
だが、迷いは焦りを呼び・・・。隙をつくるっ!!」
再び、猛烈な回転をかけ、震雷を繰り出す。
原 「ならば・・」
ひとまず、震雷を避ける原。
原 「かわして突く!!」
ピタリと震雷が止まった瞬間を突いて、槍を繰り出す。しかし・・
山原「フ・・・」
後ろに避けた震雷の刃が、原が槍を突くより先に戻ってきた。
原 「ぬお!!」
原は咄嗟にかわすが、避けきれず脇腹を切られてしまった。
原 (ぬかった!これほどまでに引きが速いとは!!)
山原「これが″震雷″
地を震わす打撃と、雷光の如き戟の攻守!」
ゆらりと、語りかける山原。
山原「だが、少し見込み違いであったな・・・。
小手先でかわすがぬしの槍術ならば、ぬしの武人としての器も先が知れる・・・
ここで果てるが良かろう・・・」
原 「小手先・・・この原哲夫が・・・」
山原の言葉に衝撃を受ける原・・・しかし!!
原 「ハァーーーッハッハッハ!!」
山原「!?」
大声を上げて笑う原に、今度は逆に山原が衝撃を受けた。
原 「まだ、おぬしのような″いくさ人″が残っておったとはな!
これだから、この世は面白い!!さあ、次で最後だ!!
故隆慶一郎先生直伝の朱柄の槍、今度こそ馳走いたそう!!」
心地よいほど爽やかな闘気をあげて、朱槍を構える原。
山原「ふ、それでよい・・・
剛気に満ちた武人こそ、我が望む敵。
されど、我が″震雷″槍法に敗れたことなし!!」
こちらも震雷を構え、原に負けず劣らず巨大な闘気をあげる山原。
槍と双天戟、互いに巨大な武具を持ち、鎧に身を固め対峙する二人の姿は、まるで戦国時代の合戦の一ページそのものであった。
華やかで美々しく、豪胆で力強いその姿を、後ろにいた安西は羨望のまなざしで見ていた。
安西(これが漢!!これがいくさ人!!遠い・・・俺にとってなんて遠い世界なんだ!!)
じりじりと間合いを詰める二人。先手はやはり山原。
猛烈な回転をかけられた震雷が、原に迫る。
原 「ぬうん!!」
槍を突き出す原。
山原「笑止!!″震雷″に対し、突きで向かってくるとは!!
ならばその槍もろとも、砕け散るがよい!!」
原の槍が震雷に巻き込まれる。しかし、朱柄の槍は砕けることなく、弾き飛ばされただけであった。
元来槍とは、突いたり切ったりするものではなく、まずは敵を叩き殺す事に使うものである。
ゆえに、原の槍は、鉄筋をいく条も束ねており、震雷といえども簡単に破壊できるものではなかった。
山原「砕けぬか!!しかし結果は変わらぬ!!」
朱槍を壊すことは出来なかったが、それでも一直線に原を狙う震雷。
原 「まだまだぁ!!」
槍が弾き飛ばされた衝撃を利用して、震雷を避ける原、しかし!!
山原「甘いわ!!」
一度目標を外れた震雷を、一気に引き戻す山原。原を後ろから獣の如き刃が襲う。
原 「三度同じ手が効くと思うな!!」
なんと、原は脇腹に震雷の刃を突き刺さった時、逆に筋肉を締め固定し、そのまま震雷の柄を掴み取ってしまった。
山原「なんと!!」
そして原は、右足を大きく踏み出し、弾かれた朱槍を地面に叩きつけ、その反動を利用して山原を柄の部分で殴り飛ばした!!
山原「ぐはぁ!!」
原の豪力である。山原は弾き飛ばされ、そのまま壁に叩き付けられた。
壁に大きなクレーターが出来るほどの一撃であった。
原 「今だいけーーーーーーーーーーーー!!
安西―――――――――――――――――!!」
安西「オッシャーーーーーー!!」
松風に飛び乗った安西は、風のように駆け出した。
安西(今はあんたらのいる位置は、俺には遠すぎる)
乗るというよりは、しがみ付くという状態ながら、安西は松風で駆ける!!
安西(だがな・・・いつかあんたらのいる高みまで駆け上がり)
二人の戦った場所まで安西が接近する!!
安西(そして、突き抜ける!!)
安西は、二人のいた場所を駆け抜けた。
新たな決意とともに・・・。
本宮と青山の死闘は、いよいよ最終局面に突入した。
それを観戦する能条純一は、冷徹な視線をモニターに投げかけている。
能条(終わった。こうなったら、もう誰にも青山を止められない。
相手をとことん壊し、血の叫びを聞くまでおさまらぬ異常な闘争本能。
病床の母親への想いが、心の封印を解き放った…)
本宮から突っ込んだ。
剛腕の連打から、蹴り。粗いが猛烈な速さのラッシュで、青山をフェンスに押し込む。
その猛撃を、青山はすべてガードし、楽々とフェンス際から脱出する。
青山「ハハ。アハハ。」 本宮「クッ!」
松江名「だめだな、まるで効いていない。
体の柔らかさで、すべての衝撃を吸収されてしまっている。
しかも、右の大砲は使えない。今度捕まったら、勝負は決する!」
松江名の言葉を裏付けるように、青山の動きはますます冴えていく。
青山「フフ…待っていて、おふくろ。もうすぐだ…。
勝った…あとはどう終わらせるかだけ。首か肘かもう一度肩か…」
アマレス流の高速タックルにいく青山。本宮は、それをカウンターで迎え撃つ。
燕のような低空タックルと、猛牛の突進のような剛打。
“蛇”は、あっさりとかわすと、巨漢に組み付き、そのままフェンスに押し込む。
本宮「ぐはっ!!」
松江名「肩か。やはり、そうとう痛めてるな」
組み付いた状態から、頭を強引に下げさせ、膝を顔面に突き刺す。
新たな鼻血が飛び散り、本宮の視界が揺れる。その瞬間!!
松江名「スープレックス!!」
本宮の背後に回ると、青山最大の必殺技が遂に発動した。
圧倒的な速度で、芸術的な放物線を描く、両者の肉体。
本宮(やべぇ、受け身!!)
しかし、本宮がそう思ったとき、すでにマットは目の前にあった。
瞬間、夜が砕けた。
上のレス数は(49/350)です。失礼しました。
青山のスープレックス。“投げる”のではなく“落とす”。極めて実戦的な投げだ。
青山「角度、スピード、タイミング…すべてが完璧に決まれば、受け身など何の意味も持たない。
こ れ が ス ー プ レ ッ ク ス だ 」
マットに深々と大の字になって横たわる本宮の体は、ビクビクと痙攣していた。
本宮(なんだ・・・今・・なにが・・・おこったんだ・・・)
飛び飛びになった意識を、本宮は必死で手繰り寄せようとする。
腹に加重。青山が、再びマウントポジションになったのだ。
青山「これで、終わり」
とどめとばかりに、マウントパンチを振り下ろす。だが一一
本宮「な ぁ め ん な あ っっ」
ガッシャア!
青山「!?」
すんでのところで意識を取り戻した本宮が、フェンスを蹴り、通常よりも遥かに高くブリッジする。
これには、さしもの青山もはじきとばされてしまう。
松江名「うまい!フェンスを利用しての高いブリッジ!
柔術の教科書にはない、本宮先生ならではのスイープといったところか」
マウントを返した巨漢は、逆に“蛇”に馬乗りになる。そこから、嵐のような連打。
青山の目尻の傷が開き、血が飛び散る。はた目からは、もう少しでKOできるように見えた。
松江名「ダメだな、左手一本で押し切れるほど、甘い相手ではない。勝負あったか…む!?」
そのとき、下になった青山が動いた。両腕を蛇のように、本宮の太い首に巻き付ける。
松江名「ブラジリアン袖車……エ ゼ キ エ ル ! !
『ギ(道衣)』を利用した、柔術特有の絞め技!!」
青山(この男は、意識を根こそぎ断たないと倒せない。これで決める!!)
頸動脈を絞め上げられ、本宮の顔面が蒼白になった。
強引に立ち上がり、青山をフェンスに叩きつけ、がら空きのボディに膝の連打!
ここが正念場と判断した青山は、必死に耐える。
その間にも、本宮の顔から見る見る血の気が引いてきた。
松江名「完璧にはいっている……残念ながら、これで勝負あり、だな」
本宮「ぐ…が…」
青山(本宮ひろ志。その名前、覚えておこう。オラの心の奥の蛇も満足したよ。
おふくろの分も礼を言う。いいファイターだったよ)
本宮の呼吸が止まり、巨腕が力なく垂れ下がる。
本宮(力が抜けていく、何も見えねェ…なんでこんなに暗いんだ?)
そして、遂にはヒザが落ちた!!
本宮の巨体から力が抜けたのを確認すると、青山は心中で喝采をあげた。
青山(勝った、勝ったぞ、おふくろ!)
観客「本宮一一一一一一一一一一一一一一ッッッ!!!!」
観客席から悲痛な絶叫がこだまする。だが、試合場にいる本宮には聴こえるはずもない。
……そのはずだった。
ビクン!ふいに、本宮の体が跳ねた。
本宮(なんだ?どいつもこいつも何をわめいてやがる?)
垂れ下がっていた剛腕が、いきなり振りかぶられた!
本宮(見えねェよ…真っ暗で何も分からねェ…)
松江名「あ…あのパンチはまさかっっ!!」
本宮(だが…まだ俺の拳は動く。魂のかけらでも残っている限り、俺は闘う!!)
ゴオオオキャアッッッ!!!
痛めていたはずの右腕。
必殺の拳がついに爆発し、“蛇”の鎌首を砕かんばかりにテンプルを粉砕した。
松江名「あれは ロ シ ア ン フ ッ ク 。
ロシアの格闘家が編み出した変則的必殺パンチ!
死角から打ちおろされる高速のハンマー、それがロシアンフックだ!
おそらく、偶然だろうが、土壇場で素人があれを繰り出すとは!!」
ガクガクと糸が切れたように崩れ落ちる青山。
松江名「しかも、パンチと柱の間で、頭をサンドイッチにされた。
あれでは、青山先生の柔軟性をもってしても、打撃の威力を吸収できない!」
しかし、本宮の眼もうつろなままだ。力を使い果たしたように、フェンスに倒れ込む。
松江名「ダブルノックダウン?この勝負、引き分けか…」
誰もがそう思ったときだった。
本宮の脳裏を、裏御伽の仲間たちの顔がよぎる。
そして、何としてももう一度会わなければならない男の顔が。
決着をつけ、その真意を確かめなくてはならない男の顔が浮かび上がる。
本宮(川 原 !!)
そのとき、本宮の眼に、再び魂の火が灯った。
感覚が覚醒していく。全身に力がみなぎっていく。
本宮「おおおおりゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!」
夜気を揺るがす獅子吼が、巨漢の喉をほとばしった!
ド ン ッ ッ ッ
巨人の、最後にして最高最強のアッパーが、青山の土手ッ腹をブチ抜き、
満天の星が輝く、遥か天空の高みへと、蛇の体を打ち上げていた。
松江名「勝 負 あ り ッ ッ ! !」
本宮「いででででででででで!!」
試合終了後の、静かな夜に、野太い悲鳴がこだました。
松江名「ほらほら、大の大人が、この程度でわめかない。それにしても、ムチャをする。
あんな整復をしたわりには、しっかり関節はハマっているが、
周囲の腱や靱帯は傷ついたままだ」
激痛にあえぐ本宮の肩を、松江名が診察している。
本宮「それで俺はどうなるんだ?まさか、もう戦えねえってんじゃ・・」
松江名「戦う!?とんでもない!!」
松江名が、「なにを言いだすんだ」と言わんばかりに、大仰に驚く。
瞬間、本宮がギクリと顔を強張らせた。
だが、松江名は即座に相好を崩すと、ニンマリと笑って言った。
松江名「アームレスリングのチャンピオンだってめざせるさ」
それを聞くと、本宮がヘナヘナと肩を落とす。
本宮「脅かすなよ・・・」
ともかく、これでまた戦える。
しかし、少々疲れたから、とりあえず<非戦闘区域>に行くか。
そんな事をとりとめもなく考えていると一一
松江名「じゃ、1・2の3、で整体するよ、いいね?」
本宮「ん?ああ、頼むやってくれ」
松江名「それじゃ、1・2・・」
ゴキッ!
本宮「うっぎゃああッッ!てめえ、“3”でやるって言ったじゃねえか!!」
松江名「ハハハ、この方が力が入らなくていいのさ」
そんなこんなで騒いでいると一一
青山「うう・・・こ、ここは・・?」
気絶していた青山が、目を覚ました。
本宮「お、気がついたか」
目覚めた青山は、自分がどこにいるか分かってないらしかった。
青山「?ここは・・?」
松江名「君と本宮先生が戦った場所さ。
本来なら、負けた瞬間に飛ばされるのを、本宮先生が引き止めたんだ。
せめて気絶から回復してからにしろ、とね」
それを聞いた青山は、ガックリとうなだれた。
青山「そっか・・・オラ、負けただか・・・」
まるで世界の終わりのように沈痛な呟きだった。
本宮「おまえ、おふくろさんの為に戦ってるんだってな」
青山「ど、どこでそれを!?」
突然の本宮の言葉に、青山が狼狽した。
本宮「いや、おまえがうわ言でそんなようなこと言ってたからよ。
もしかして、おまえがチーム・タフに参加したってのも・・・」
青山「だったら、どうだっつんだべ。闘う理由なんてもん、誰にだってある。
そんなことで同情してもらおうだなんて真っ平だべ」
頑に青山が言い張った。しかし、本宮は男臭い笑みを浮かべると一一
本宮「誰が同情するなんて言ったよ。俺たちのやったあれは、いい勝負だった。
それだけで十分じゃねえか。ホラ、あの声が聞こえないのか?」
本宮が合図すると、松江名がモニターを取り出して操作した。
そこには、観客席の映像が映し出される。そこで青山が観たものは一一
観客「青山一一一ッ!」
「いい試合だったぜぇ!!」
「すげぇもん見せてもらったぜ!」
「最高だぜ、青山!」
「次の試合も期待してるぞ一一一一ッッ!」
青山「こ…これはいったい……」
青山にとって、それは信じられない光景だった。
自分たち『チーム・タフ』は飛び入り参加のならず者。
トトカルチョが目当ての観客たちからは、蛇蝎のごとく忌み嫌われていたはずだ。
それなのに、敗者である自分を讃えるこの声援は……
本宮「いい勝負だったって言ったろ?そういうのに、つまらねえしがらみは関係ねえのさ」
地鳴りのような歓声を、青山は恍惚の表情で浴びていた。
かつての自分にも、こんな時期があった。
格闘家として期待され、いい試合をし、大勢の観客に賞讃された時期が。
そのときの感動を、歓喜を、自分はいつの間に忘れてしまっていたのか。
格闘とは、相手を傷つけるだけじゃない。
時として、なにものにも代えられない感動を、人に与えるものだということを。
青山の目には、いつしか涙が光っていた。
そして、あらためて自分に誓う。自分は、必ず戻ってくる。
おふくろと2人で一一格闘技の素晴らしさを教えてくれた、このリングに帰ってくる。
涙を拭くと、青山は立ち上がった。
青山「世話になったな。んじゃ、オラ、そろそろ行くベ」
本宮「行くのか」
青山「ああ、今回はオラの完敗だべ。だが、まだ諦めた訳じゃねえべよ。
オラにはまだチャンスがある。最後には必ず、チーム・タフが勝つだ」
その目には先程までのギラついた光はない。どこか清清しさを感じさせる、澄んだ光が宿っていた。
本宮「望むところだ。また返り討ちにしてやるよ」
さわやかな笑いで、応じる本宮。
そして、松江名が青山を転送しようとした、そのとき。
青山「あ、最後にひとつだけ忠告しておくだ。うちのボス、猿渡哲也についてだ」
思い出したように、青山が言った。
本宮「猿渡?奴がどうしたんだ」
すると、青山は顔を硬くさせると、つづける。
青山「あの人を、チーム・タフの他のメンバーと同じに見ない方がええべ。
あの人は、俺らとは格が違うだ。
オリンピックメダリストを遥かに凌駕する運動神経と、IQ180の天才的頭脳を持ち、
灘神影流活殺術を極めた、格闘漫画界屈指の巨人だ。
その実力は、あの板垣と比較しても、決して劣るもんじゃねえ」
それを聞くと、本宮が顔をしかめた。
本宮「“地上最強の生物”と呼ばれた、チャンピオンの化物と互角か。しんどいな」
青山「それだけじゃねえ。あの人は、オラ達と違って、超能力が出て来る漫画とかもたくさん書いてるだ。
そのテの能力に対する戦闘経験も、オラ達とは踏んでる場数が違う。くれぐれも気をつけるだ」
本宮「待てよ、どうして俺にそんなことを教えてくれる?」
青山「さあな。オラ、頭悪いから分からねえ。ただ・・・」
ふいに、傷だらけの顔で、青山がニッと笑った。
青山「アンタのことが気に入ったから・・・かもな」
そう言うと、青山はいずこかへ転送されていった。 (戦績:本宮1勝 青山1敗)
2人ともおつかれさん
前回のあらすじ 「ジョジョネタしつこい」
信也「最高に「ハイ」ってやつだ!
もの凄いで勢いでアンパンを食べまくる鈴木。後を追って走る澤井。なんだか泣きたくなってきたえなり。
澤井「テメー、信也!
えなり「ねぇ、これまだやるの?
澤井「もう少し・・・
信也「さぁ、最終ラウンドだ!!…知るがいい、ザ・ワールドの真の能力がまさに世界を支配する力だと言う事を。
えなり「どっか、聞いた事ある台詞だな・・・
信也「ザ・ワールドッ! 時 よ 止 ま れ ! !
『 コ ン ト ロ ー ラ ー 』 で ! !
えなり「ポーズ機能だーーーーっ!
澤井「くっ、動けてせいぜい2秒ってとこか・・・
えなり「動けるよ、普通に。
信也「澤井よ、お前が動けようが動けまいが関係無い処刑の方法を思いついた。
えなり「動けるよ、普通に。
信也「喰らえ・・・・・・・・・・・・『 コ ン ト ロ ー ラ ー』 だ っ ! !
そう叫ぶとSFCのコントローラーを両手に持って飛び上がった。
えなり「しつこいよ、それ!!
鈴木はそのまま体勢を変え、コントローラーごと自分から澤井につっこんでいった。
信也「フハハハハハ!とどめだ・・・・何、体が動かん!
砂埃がはれるとコントローラーの下に澤井の姿が無かった。
澤井「スタープラチナ『ザ・ワールド』・・・俺が時を止めた。
『 ビ デ オ の リ モ コ ン 』 で !
えなり「停止ボタン!?
前回のあらすじ 「コントローラーだっ!」
澤井「今からテメーをやるのに1秒もいらねぇぜ。
えなり「(どうせ、オラオラでしょ・・・)
澤井「命はもらったーーーーーーっっ!!
ドスッ!という効果音とともに澤井は鈴木の体を貫いた。
信也「この信也がーこの信也がぁぁぁ!!
えなり「えっ、キャラ違っ、えーーーっ!!
澤井「テメーは俺を怒らせた。
えなり「今ごろ遅いよ、途中ディアボロだったでしょ!?
澤井「・・・・覚悟する事は幸福だぞ。えなポリオ。
えなり「誰だよテメーーー!!
えなり「でも、この状態じゃ澤井先生の勝ちかな?
えなりの言うとおり鈴木の体には大きな風穴が開き、血が大量に出ていた。
えなり「それじゃあ、澤井先生の勝ちーとっとと僕を帰してください。
澤井「投げやりだね。
しかし、ほったが現れる様子は無かった。なぜなら・・・
信也「誰だーこんな事して。僕じゃなかったら死ぬ所だよ。
えなり「あんたはどうやったら死ぬんだよ!!
信也VS澤井せんはまだまだ(ムダに)続きます。
木村混ぜると科学反応起こしそうだなW
>信也VS澤井せんはまだまだ(ムダに)続きます。
おいおい、Cブロックの制限時間、350レスしか無いのに…。
ダラダラ続けたら、後の人が困るのでは?
「ムッフッフ、俺ってやっぱ天才だよなー」
見事一勝をあげ、着ぐるみスーツを脱いだ井上武彦は息抜きに≪非戦闘区域≫に向かった。
割と近くにあったらしく、森が少しずつ広くなったと思う間に遠くから人工の光源がぼんやりと見えてくる。
手元のモバイルも、現在地がイエローゾーンだと示している。井上は鼻歌までし始めた。
・・・光の方角から女性たちの黄色い声が聞こえる。もしかしてお出迎えかなと井上は素直に喜んだ。
「はっはっはー!おじょーさん達も見る目があるよね。さてはこの男・井上武彦に惚れ・・・」
ふと耳を澄ます。様子がおかしい。女狂戦士軍団の猛り声が、風に乗って聞こえてきた。
「怨怒霊―――――!!よぉぉぉくも岡野様たちに勝ちやがりましたわね――!!」
「ぶち殺すぷち殺すぶっと殺す!!あいつは今世界中の女を敵に回したッッ!!!」
「あいつ絶対来るよね!死 に た い 漫 画 家 は 前 に 出 ろ――――!!!!」
「んな゛―――!!!?」
まさに百鬼夜行!夜叉の宵祭!しりとりバトルをモニターやカメラでチェックしていた、
先ほどできた裏御伽(岡野・真倉中心)応援ファン倶楽部『UFC』の会員となった女性スタッフたち。
彼女らは今鬼と化す!このまま区域に向かったら、恐らく井上の生命は風前の灯!!(ええんかい)
さあ、どう出るか井上?
―――その後しばらく。 ≪非戦闘区域≫内にて。
「はーはっは!んでね、聞いてくださいよーあの時の連載がまた大変で・・・資料とか・・・」
「えー☆」「ふーんそれでー?」「もっとお話聞かせてー♪」「キャー赤い髪の毛かわいー」
UFCの『四方山(よもやま)話で時間消耗作戦』が、まんまと炸裂した・・・・。
「なんじゃあ?あのモテモテ男は。余裕綽々じゃねーか!へへっ」無事区域入りした本宮が高らかに笑った。
Cシリーズが終わったら晴れてふたりは王子とトリオを組めると。そして第2ラウンドと。 (´Д`)
90 :
:03/07/31 01:26 ID:2Dh953TF
澤井と信也は、他と一切絡まずに最後までマッタリと闘っていそうな気がする。
まあ、それはそれで味があっていいかもw
無駄に熱い友情が・・・
そして、えなり不在のままやきう終了w
>>87 続くと言っても5レス前後かと思われ・・・・長いな。
四つ巴の闘いは、現在A対魔人をないがしろにし、ちば対魔人が進行中である。
「心で強くなる・・・?俺の辞書にはねえ!!」
「知らねえお前が弱いということだ!!」
狭い密室(元々は福地の部屋であった)で対峙するはちばと炉里魔人。
「・・よおく、分かった。」
魔人は、言った。
「お前を倒すには全てを粉々にしなくちゃならねえってことがな!!」
「体を砕かれたことはねえが・・・そこからでも這い上がってくる自信はあるぜ」
ニヤリと笑ったちば。
お互い、考えていた。どうやってこの化け物を倒すか・・・
魔人
(この野郎は、心の有り様によって、どうにでも出来るんだ。ならば、どうすれば倒せる?
どうすれば、奴を殺せる!?心で強くなられては・・・心?・・そうか!!)
ちば
(さすがに、『奴を倒したい』と思うだけじゃ駄目だろうな。俺に奴を倒す術があるのか!?
打撃ダメージが無いというのは、経験したことがない・・・かといって精神ダメージなんて、完全に専門外
・・・それがあったか!!そうか、アレならもしかして・・・!!)
決まった。紛れも無く、これで決着。
「「これで決着だ!!!!」」
ちなみに、今回全く出番の無かったAとタナトス梅澤は、縁側(あるんか)でお茶を飲みながらほのぼのしていた。
次回、ちば対炉里魔人決着。
95 :
_:03/07/31 10:32 ID:b5iB9Ra8
96 :
???:03/07/31 11:46 ID:wCWa7VQx
人気のない岩場を、覆面の上にパンチパーマのズラという、珍妙な格好で、ヒラマツは歩いていた。
だが、常にマイペースなヒラマツは、むしろその姿を気に入っているようですらあった。
道中、ヒラマツは、自分が『チーム・タフ』に入った頃を思い出していた。
『ビッグコミックスピリッツ』が廃刊になってから、
ヒラマツは副業であった覆面プロレスラーとして生計を立ててきた。
そんなある日、第2の人生を歩んでいたヒラマツの元に、思わぬ話が転がりこんできた。
同じ雑誌の大先輩である能条純一から持ちかけられた、『チーム・タフ』結成の話である。
最初、ヒラマツはあまり気が進まなかった。そのメンバーの中に、あの猿渡がいたからだ。
ヒラマツは猿渡を好きではなかった。
猿渡は、自分の作品の中で『プロレスラーは神に選ばれた人種』などと、一見プロレスラーを讃美しているように見せているが、その実、かなりプロレスラーを馬鹿にした内容が目立つ。
それがヒラマツには不愉快だった。プロレスは自分の誇りであり、生き甲斐だ。
そのプロレスを馬鹿にする者は、何人であろうとも許さない。それがヒラマツの信念だ。
にもかかわらず、能条の誘いにのったのには、理由がある。ヒラマツには夢があった。
ヒラマツの夢一一それは、これまでにない新しいプロレス団体を設立することだ。
ディープな格闘技ファンから、お茶の間まで。全ての人が楽しめる夢のプロレス団体を作る。
その為には、資金が必要だ。
そんなヒラマツにとって、この最大トーナメントはまさに千載一遇のチャンスだったのだ。
絶対に優勝して、賞金を手に入れてやるばい!そして、オイは社長になるっとお!
ヒラマツは、燃えていた。
98 :
作者の都合により名無しです:03/07/31 13:37 ID:Nr1bpUZU
えなりは言いました。
「ママーウンコモラシターオムツカエテー」、と
ヒラマツさんは北島セットをうまく活用してくれそうですな
そこは墓場だった。生温い風に、幽霊柳が不気味に揺れる。
整地はされておらず、乱雑に墓石が乱立している。そんな場所だった。
大の大人でも近寄らないような、その場所に、およそそぐわない生き物がいた。
一一巨大な『白うさぎ』。
まったく場の雰囲気と噛み合っていないその生物は、しかしよく見ると人間だった。
『白うさぎ』がぽつりと呟く。
真倉「飛ばされた場所が、よりによってこんな場所とはな・・・」
岡野「しかも、なんでこの島にこんな場所があるんだ。・・まさか。この島は昔、彼岸・・・」
真倉「アホなこと言ってんじゃねえ。
早いとこもう一試合こなして、とっととそのアホな格好の脱ぎ捨てろ」
岡野「・・・おまえはいいよな。俺だけがとばっちりだ」
こういうときは、つくづく霊体の真倉がうらやましくなる。
真倉「つまらねえことゴチャゴチャ言ってんじゃねえ。んで、これからどうする?」
岡野「そうだな・・ここには危険な霊もいないみたいだし、移動するかな」
霊を探知する為の霊水晶を片手に、岡野が言った。
どうでもいいが、白うさぎが水晶と白衣観音経を持ちながら歩く姿は、かなりシュールだった。
探していた『龍脈』もない以上、こんな場所に留まる理由はない。
そう思って移動しようとした、そのとき。
岡野・真倉「!!??」
総毛立つような、とてつもない鬼気を2人は感じた。
まるで、とてつもない大妖怪を目の前にしたような、強烈な圧迫感。
小枝を踏む乾いた音が、後方でした。岡野と真倉が振り返る。そこには一一
??「ほう・・ワシは運がええの。まさか、こないな場所で敵と巡り合えるとは」
地味なスーツの下からでも分かる、とてつもなく鍛え上げられた肉体を有する男が、そこにはいた。
飾り気のまったくない眼鏡の奥で、双眸が冷たい光を放つ。
チーム・タフの首魁、
猿 渡 哲 也 、 動 く
うさぎさん逃げてぇー(|||´Д`)
猿渡は、岡野の姿をジロリと一瞥すると、おもむろに言った。
猿渡「しっかし、けったいな格好やのお『自分』、ツッコミ待ちかいや?」
岡野「違わい!誰が好き好んでこんな格好・・」
真倉(そんな事言ってる場合じゃねえだろ!やべえぞ、こいつ!)
岡野(ああ、こうして向かい合ってるだけでも強さが伝わってくる。逃げられるか?)
そう考えた矢先、猿渡がずいっと前に出た。
岡野・真倉「!!」
猿渡「しらける真似はよそうや。もう、ワシを倒さん限り、ここから帰れんぞ」
確かに、猿渡の言う通りだった。
この距離では、もし背中を向けて逃げ出そうとしても、脊髄を打ち抜かれる。
真倉「しかたねえ、ハラくくるしかねえぞ」
岡野「そうみたいだな。やるからには勝つ!」
猿渡「その意気や。おっ、ちょうど審判も来たみたいやで」
そう言った猿渡が指差すと一一
ほった「お待たせしました」
岡野・真倉「うわあ!!」
いきなり、何の物音も気配もさせずに現れた、ほったゆみに2人が驚いた。
ほった「では、この試合の審判は私が務めさせていただきます。試合場は?」
猿渡「このままでええよ。妖怪漫画家に、平安時代の亡霊、そして墓場。
なんとも風情があってええやないか。
・・・万が一どっちか死んでも、後始末の手間省けるしの」
平然とした顔で、恐ろしいことを言う。
岡野と真倉も、ごくりと唾を飲み込んだ。
果たして、この男相手に、どこまでやれるか・・・・
ほった「それでは、試合はじめ!」
ほったの合図と同時に、岡野が霊気を集中し始めた。
真倉「オンコロコロ センダリマトウギソワカ、霊 気 の 風 !!」
岡野が真言を唱えるや、霊気を帯びた風が、猛烈な勢いで吹き荒び始めた。
格好はうさぎでも、霊術の威力にちがいはない。
霊気の風がその身を刻もうとする寸前、猿渡が高々と跳躍すると、両足を旋回させる。
猿渡「灘 神 影 流 ?T鷹 鎌 脚?U !!」
空中で放たれた回転蹴りは、凄まじい風圧を発生させ、霊気の風を完璧に相殺してしまう。
岡野・真倉「なにぃ!?」
驚愕する2人を尻目に、猿渡が音もなく着地する。
その足下は、あまりの風圧の為に、渦状にえぐれてしまっている。
ほった(なんという蹴りの威力!この男、尋常ではありませんね)
猿渡「その程度の手品じゃ、ワシには通用せん。自分の最大の武器で来いや!」
叫ぶや、猿渡が猛烈な勢いで、突っ込んでくる。
真倉「迅ええッ!」
岡野「ちいッ、火 輪 尾 の 術 !!」
すると、岡野の周囲に巨大な炎の輪が生じ、猿渡を薙ぎはらいにいった。
猿渡「小賢しいッ!」
だが、猿渡は跳躍してそれを躱すと、体操選手のような身のこなしで宙を舞うと、
空中から連続蹴りを放った。その数、実に4発!
岡野は『鬼の手』で半分はガードし、半分は喰らってしまう。
岡野「ぐあっ!(空中で4連蹴り!?)」
よろめいた岡野が、墓石の裏に回り込む。しかし一一
猿渡「むんッッ」 バカアッ!
剛拳が、墓石を粉々に破壊した。欠片が弾丸のように岡野たちに降り注ぐ。
真倉「墓石を素手で!?人間か、こいつは!!」
大きく後方に飛び退り、猿渡と距離をとる2人。それを追撃する猿渡。
しかし、岡野はそれを待っていた。
岡野「南無大慈大悲救苦救難広大霊感! 白 衣 霊 縛 呪 !!」
呪を唱えると、岡野の持つ『白衣観音経』が鎖のごとく、猿渡に巻き付いた。
岡野「喰らえッ! ?T鬼 の 手?U 妖 力 1 0 0 % 解 放 !!!!」
安彦「ふははははははははは、怖かろう!」
石川「貴様にもあじあわせてやるぜ・・・。ゲッターの恐ろしさをな!」
二人の戦いは、異常なまでにヒートアップしていた。
ゲッタービームをプロテクトウォールで防ぎ、ブロウクンマグナムをトマホークでたたき落とす。
ちょこちょこ、バビルの塔にも攻撃が当たった気がするが、気のせいだろう。
多分、気のせいだ。横山がなにやらごちゃごちゃ言っているが、気のせいだ。
安彦「しかし、小技ばかりで飽きてこないかぁ?石川ぁ!」
石川「それはこっちの台詞だぜ。安彦ぉ!」
安彦「ならばな。」石川「やるべき事は一つ。」
安彦・石川「最強武器でけりをつける!」
石川「珍しく、意見があったな。」安彦「ふははははははっ!」
横山「あなた方、周りの被害・・・。」プチッ。二人とも通信を切る。
安彦「ゴルディオンハンマーァァァ!発動承認!」石川「ゲッター炉、出力最大!」
ガオガイガーの右腕にマーグハンドが合体し、ゲッターの体から闘気が立ちこめる。
石川「全エネルギーを、つぎ込んでくれる!」安彦「それはこちらとて同じ事よぉぉぉぉ。」
ゲッターが空を飛び、安彦が地面上でハンマーを振り回す。
石川「シャァァァァイィィィィィン!」安彦「光にぃぃぃぃぃ!」石川「スパァァァァァクッ!」安彦「なれぇぇぇぇぇ!」
2大ロボットの最強必殺技がぶつかりあい、すさまじいエネルギーが爆発した。
尼子「これが・・・伝説級の力・・・。」
尼子がそう呟いて、モニターを見渡す。尼子も実際に目にするのは初めてであったが、ここまでとは。
ぼろぼろの状態の3台のロボット。
安彦のガオガイガー。石川の真ゲッター。そして、横山が呼び出したガイアー。
横山「全く、少しはこちらの事情を考えて下さい。」
横山がガイアーの手から降りる。とっさの判断でガイアーを呼び、バリアを張らなければバビルの塔は崩壊していた。
石川「わりいわりい。」安彦「しかし、両雄のけりをつけるのは最強の技をおいて他に無いだろう。」石川「それもそうだな。」
全く反省の色を見せない二人。横山はそんな二人に対してあきれたような顔を見せる。
横山「まったく・・・。修理する長谷川の身にでもなってご覧なさい。」
長谷川「一体、何が起きたんですか?」
ようやく起きてきた長谷川が通信機ごしに聞く。
石川「ちょっとした喧嘩さ。」安彦「なぁに!ちょこちょことアクチュエーターが壊れたが問題はない。」
長谷川「喧嘩で、スーパーロボット使うんですか?・・・って!修理にいくら時間かかると思ってるんですか!」
そこで長谷川の悲鳴が聞こえるが、二人は気にしない。
石川「なかなかやるじゃねえか。」安彦「御主もな。」二人「ふははははははははははっ!」
横山「長谷川。台風が来たと思ってあきらめなさい。」
長谷川「はい・・・。目を覚ますたびに仕事が増えてる気がする・・・。決戦まで命持つかな?俺。」
尼子「・・・・・・・。」長谷川の台詞が冗談に聞こえないので、黙り込む尼子。
ふとレーダーに目を通す。
尼子「何か近づいてきます!」
尼子の台詞に、全員が身構えた。
106 :
59:03/07/31 20:56 ID:/vKYV2zS
「得意な人」は当ってたがそっちを呼びましたか
でかい。Zの第一印象である。
近くで見るとあらためてでかい。
顔に大きく『Z』とフェイスペイントをほどこしたそれは、威圧するでもなく、笑っていた。
荒木の目の前で。
2ストライク、追い込まれた荒木の覚悟。それは唐突だった。
右手を狂ったかのように振り回す『ザ・ハンド』。
気がつくと球場は歪んでいた。マウンドと、バッターボックスの間が無い。
『ザ・ハンド』が空間を削りとったのである。
「来いよ、化け物。僕のスイングスピードがお前の球速より速いなら、僕のバットがお前の顔面を打ち砕く。
お前の球が速いなら、僕の顔面に球がめり込んで、終わりだ。」
猛獣を諭すかのごとき荒木の挑戦。
「全力で、振ってみろ。」
猛獣はあくまで、不適に笑う。
二人に気おされたのか、未知の勝負に血が沸くか、渡辺と水島は沈黙する。
バットを握るのは、荒木ではない。荒木に重なるように出現した、最高のパワーとスピード、精密さを誇る闘士『スタープラチナ』
白球を掴むのは、藤澤ではない。勝負の陶酔にとり憑かれた、己の直球のみで全てを喰らわんとする怪物『Z』
歪みきった18.44cmの空間に、邪気が、満ちた。
??「やはりあの方達の仰ったとおりですね。ここまであっけなく捕らえられるとは!
伝 説 級 の 惨 め な 事 よ ! 」
石川「くそぉ!ゲッターのパワーが上がらねえ!」安彦「GSライドの機能が落ちている!」横山「がんばれ!ガイアー!」
ガンダムにも似たロボットが、電磁網に絡められ、三体のスーパーロボットが動きを止める。
先の戦闘でエネルギーを消費しすぎた為、動きが鈍っているのだ。
石川「てめえは!富士原 昌幸!」
富士原「ええ、評議会により選ばれた、神を砕かんとする四霊が一人!青龍の富士原です!ああ、名前を覚える必要はありません」
安彦「くくく、この程度で我らを倒せると思っていたのか?」
富士原「動けない身が何を言ってますか?このまま死んでもらいます。」
富士原がそう言って、肩につけてある巨大なキャノン砲をガオガイガーに向ける。
長谷川「そうはさせるか!プロミネンス砲ファイア!」
長谷川が”竜の船”を発進させ、ガンダムモドキに対して、胸部からビーム砲を発射する。
富士原「遅い!」攻撃をかわす、ガンダムモドキ。
富士原「貴方の戦闘能力は全て、理解しています。貴方の勝率は1%以下です。
・・・っていない?」
竜の船が消えている?富士原は周りを見渡す。富士原「どこへ消えた!」
長谷川「能力データだけでは戦い方まではわからなかったようだな!”星の涙(スターティア!)”」
プロミネンス砲を利用し、地面を潜って横山達に近づき、必殺の武器で、電磁網を破壊する。
横山「助かりました。少し下がっていないさい。」安彦「1%の可能性を100%にする!それが勇者だ!」石川「たっぷりお礼参りしてやる。」
富士原「美しいのは、完全な勝利ですよねえ。」
富士原は気にすることもなく、きざな台詞をはく。それと同時にガンダムモドキの周りに数千のロボットが現れた。
夜に太陽が出現したかと見紛うほどの光が炸裂した。
白衣霊縛呪で動きを封じてからの、最大出力の?T鬼の手?Uによる一撃。
現時点で、岡野が放てる最強の攻撃であった。岡野がガクリと膝をつく。
真倉「平気か、岡野?」
岡野「あ・・ああ・・・大丈夫だ。しかし、妖力100%解放は、さすがに負担がデカい」
真倉「もうちょっとで、封じていた鬼が覚醒するところだったぞ」
岡野「だが・・ここまでしなければ、こちらがやられていた。
さすがにチーム・タフを束ねる男・・・恐ろしいヤツだった」
真倉「しかし、ヤツはどうなったんだ。こう土煙がすごくちゃ何も見えねえな」
岡野「たぶん・・消し飛んだろ・・。あの最大威力を喰らったら、普通の人間じゃ・・」
そう言っているうちに煙が晴れていく。すると、いきなり声がした。
??「ばあーっ」
岡野・真倉「!!」
2人は、自分の目が信じられなかった。なぜなら、そこに立っていたのは・・・
??「フン、眼鏡が砕けてしまったな」
眼鏡が割れ落ち、素顔があらわになった猿渡が、そこにはいた。
岡野「バ・・バカな・・・鬼の手の妖力最大解放を喰らって・・・」
真倉「無傷・・!だと・・・」
驚く2人を、真一文字に刻まれた傷痕の上で底光する、二条の眼光が射抜く。
猿渡「残念だったな。・・これが、俺がおまえらと闘いたがった理由だ。
俺には、特性として、オカルト・・妖怪漫画の能力を無効化する力がある。
本来なら100%無効にするところを、おまえ達の攻撃は、皮一枚分、障壁を破った。
この能力にも、まだまだ改良の余地があるということか。いや、勉強になった」
絶望的な事実に、さしもの2人も声が出ない。
真倉「妖怪能力無効化・・・そんな能力が・・・」
猿渡「しかし、おまえらもよくやったぞ。その妖怪能力で、俺に一太刀いれたのだからな。
これが他の奴らだったら、負けはしないまでも、相当な苦戦を強いられていただろう。
おまえたちの高い漫画力に、敬意を評してやろう」
どうやら眼鏡を外すと、関西弁ではなくなるらしい。
尤も、今の岡野たちに、そんな事に構う余裕などなかったが。
猿渡が、地を蹴った。
明らかに精神的に押されている岡野たちに、格闘の鬼が肉迫する。
猿渡「灘 神 影 流 ?T斧 旋 脚?U !!」
片手倒立から前に倒れこみながらの踵蹴りを喰らい、岡野の額が割れた。
岡野「ぐああっ」
割れた額から、噴水のように血がしぶく。
ヨロめく岡野に、猿渡が無慈悲に間合いを詰める。
真倉「クソっ!岡野ォ、てめえ、もっと踏ん張りやがれ!このままじゃ、親父(本宮)に合わす顔がねえっ!」
必死に叫ぶ真倉を、猿渡は嘲弄する。
猿渡「ムダだ。もう、おまえらに勝ち目はない。
だが、俺を楽しませてくれた礼に、灘神影流の奥義で葬ってやろう!」
真倉「奥義・・だと、この野郎・・」
猿渡「おまえらは妖怪漫画家だ。そんなに妖怪が好きなら、永遠に妖怪の幻を見るがいい!」
瞬間、猿渡の腕が交差し、岡野の頭を挟み込んだ!
猿渡「灘 神 影 流 奥 義 ?T呪 怨?U !!」
交差した腕が岡野の頭部を挟み込み、開く力を利用して首を捩った。
岡野の頭部が背中の方まで回る。さらに、こめかみに強烈な一撃がヒットした。
?T呪怨?Uをまともに受けた岡野が、糸が切れたように倒れふす。
ほった「し、勝負ありっ!」
凄絶な決着に、さしものほったも、声が震えている。
猿渡「もう転送してもムダだ。?T呪怨?Uは波動により脳動脈に血栓を起こさせる技。
後大脳動脈に血栓が起きた場合、半身麻痺・半身知覚障害・失語症
さらに幻覚などの神経症状が現れる。死にはしないが、もうこいつは一生廃人だ」
技の解説をしながら、猿渡はスペアの眼鏡を出してかけ直す。
ほった「・・・一応、規則は規則です。岡野選手は敗北した為、転送します」
そして、ほったの指示により、生ける屍となった岡野はどこかの闇へと転送されていった・・・
猿渡「大変やな、道具扱いされんのも」
ほった「それしか、今の私に生きる術はありませんから」
猿渡の皮肉を、ほったは表向き平然と受け流し、そして消えていった。
猿渡「さて、と。とりあえず一勝やな。・・なんや、まだワシしか勝っとらんのか。
こちらがだらしないのか、相手が強いのか・・・」
携帯モバイルを見ながら、猿渡がひとりごちた。
猿渡「まあええ。ともかく、あと一回しか闘えないから、相手は慎重に選ばんとな。
できれば、次はもっと大物と当たってみたいの」
誰もいない墓場に、猿渡の去りゆく足音だけが響いていた。
一方、その頃一一
「くっ、危ないとこだったぜ・・・もうちっとで一生ベッド暮しになるところだ」
「?T陽神の術?U・・あの瞬間に術が間に合わなかったら、どうなっていたか・・・
もっとも、練りが足りなかったせいで、不完全な姿になっちまったけどな」
?T陽神の術?U一一それは霊魂を操ることで、霊体で出来た己の分身を作る、岡野・真倉の最大奥義である。
「さて、どうするよ。俺達の元の体はポンコツになっちまった」
「・・・とりあえず、乙君を捜そう。彼の能力なら治療できるだろう」
「そうするか。そうと決まれば急ぐぞ。この体でも闘えないことはないが、今、敵に襲われたらヤバい」
「そうだな、急ごう」
こうして、2人の少年一一12才程度の年齢になってしまった岡野と真倉一一の試練の旅路が始まった。
現時点戦績(裏御伽☆2 1勝 本宮 乙一 1敗 岡野+真倉)
(ジャンプスポーツ☆1 1勝 井上 1敗 なし)
(チーム・タフ☆1 1勝 猿渡 1敗 石渡 青山)
←TO BE CONTINUED
富士原「この一万二千三百四十七機のメカの壁を突破できるますかぁ?」
尼子「ええと一人あたり・・・。」
横山「考える必要はありません。行きますよ!石川さん!安彦さん!」
考える尼子を止め、横山が言う。
安彦「ふははははははははは!その程度の壁などぉ!空間湾きょぉく!ディバイディングドライバー! 」
左腕につけられたドライバーの先端より空間がゆがみ、メカの壁に穴が開く。
富士原「なんだとぉ。」今になって富士原の顔の色が消える。
石川「ゲッタービーム!」ガンダムモドキは一瞬のうちに吹き飛んだ。
横山「彼は評議会に操られていました。」
横山が、そう全員に告げる。悔しそうに唇をかみしめながら。
石川「道理で、判断力が消えてるわけだ。」安彦「ゴッドハンド三人相手に勝てるなどと思っているとは!笑止千万。」
互いに実力を出し切って、どうやら理解し合ったようだ。横山もこれが狙いだったらしい。
尼子「彼はどうしますか?」尼子が心配そうに聞く。
横山「もし、彼がそれを望むのならば・・・。ゴッドハンドの一員として、受け入れたいのですが・・・。」
石川「そのあたりの判断は、お前に任せる。なにやらお前と因縁がありそうだからな。」
横山「わかりました。」
横山はそう言って、席を立った。
富士原「申し訳ありません!横山様!」
横山「良いのです。全ては評議会の実力を見誤った私の責任です。」
そういって、横山は富士原の肩を叩く。
富士原「この富士原。腹をかっさばいてお詫び申し上げます!」
横山「そこまでしなくてもいいのです。その代わり、長谷川と一緒にスーパーロボットの修理をお願いしたのですが・・・。」
富士原「はっ!この富士原!全力を持って横山様の力となりましょう!」
富士原はそう言って、部屋から出て行く。
横山「評議会・・・。何時までも全てが貴方がたの支配下に無いことを教えてあげましょう。
我ら、”人間”の手によって!」
横山はそう誰にともなく宣言した。
ブラッディうさぎ合掌(´人`)
少年ぬ〜べ〜懐かしいなあ
これじゃ本当に本宮さんはおやっさんだ
矢吹艦内のとある通路を、ひとりの男が軽快なステップで歩いていた。
男はおもむろに通信機を取り出すと、どこかと連絡をとる。
??「ケヒョ……あ〜もしもし。あ、『天王寺きつね』さんですか?……はい?
…ええ…はい……そうです。本来の『天王寺きつね』さんはお亡くなりになりました。
ですから、貴方が新しい『天王寺きつね』さんです」
評議会の『神殺し』一一『天王寺きつね』。
彼は、横山十傑集・せがわまさきによって暗殺されたはずだった。しかし一一
??「はい、そうです。天王寺さんの漫画には、某国の王女が処刑された後、
その替え玉として行動するヒロインが活躍する作品がありましたよねえ?
ですので、以後、貴方が『天王寺きつね』になるのですよ。
『替え玉』といっても、他者に与える影響は全く同じです。
すなわち、これはもう『受け継いだ』と言い換えてもいいかも知れませんね」
スーツを着込んだ、どことなく胡散臭いその男は、なにやら上機嫌で話しつづける。
??「『ゴッドハンド』の皆さんは、それはそれは優秀な創造者さんたちです。
だから、彼らは皆、自分たちが神の下僕だなどと、一度たりとも考えたことはないでしょうね。
ですが、彼らは『神』に限りなく近しい存在。
ゆえに『神』の力の影響を強く受けてしまっています。
つまり、それが『神の加護を受ける』ということ。
そして、貴方の『神殺し』の力は、『神』の力を断ち切る剣。
横山光輝さんは事前に天王寺さんの危険に気がついて罠を張っていたようですがねえ。
まさか、こんな希有な能力を『受け継ぐ』者がいるとは、
さしもの彼も思いも寄らなかったでしょう。限りなく『神』に近いとはいえ、
彼らもまた、『神そのもの』ではないのですから。
ああ、そうそう。念のために言っておきますが、貴方の力はあくまで専用武器ですからね。
他の漫画家さん相手なら、あっさりと殺されちゃいますから。
ですんで、貴方は本部で待機して動かないでください。
やっぱりレアアイテムは温存しておかないとね。来るべき『戦争』のために。ケヒョ♪」
そんなに使いたいのかねえ・・・・ゴッドハンドの作家陣を矮小化してまで・・・まあ頑張れ夏男
とりあえず評議会は伝説編に回して
やきうを進めてくださいよぅ
こっち島担当なんで書くに掛内・・・書けない
??「え?私がどうしてこんなに上機嫌かって?聞いてくださいよ、売れたんですよ、武器♪
やっぱり戦争中っていいですよねえ。
ついさっきも、大きな商談がまとまったばかりなんですよ。
なんと、アメリカ軍の最新兵器全部ですよ?そりゃ、流石の私も苦労しました。
あちらさんは、『アメリカ150年の暴力』とかワケの分からないこと言ってましたけどね。
まあ、要は武器が売れてくれればいいんです。それで私はハッピー♪
ついでに、その人たちもハッピー♪
あ、すいませんね、長話しちゃって。
それじゃ、くれぐれも本部を動かいちゃダメですよ。
知られたらすぐに殺されちゃいますからね。その点、本部にいれば安心♪
ん?私ですか?やだなー私は大丈夫ですよ。
なんたって、私は 『不 死 身 の 押 川 雲 太 郎』 ですから♪
それじゃ、私はまだ仕事がありますんで、この辺で。ケヒョヒョヒョ♪」
ほとんどひとりで延々としゃべった後、男は電話を切った。
そして、再び歩きだす。
押川「さあて、と次は…と。うひょー、こんなに買ってくれちゃうんですか?
いやー、これだから戦争ってのはいいなあ、ケヒョヒョヒョ♪
晴〜〜れた空〜〜♪ そ〜〜よぐ風〜〜♪ うーん、今日は喉も絶好調♪」
とてもいい声のテノールで懐メロを口ずさむ押川。
押川「それじゃ、行きますか。次の場所は、ちょっと遠いですからね。ケヒョヒョ♪」
SHUTATATATA!!
突然、目にも止まらぬ速さで走り出した押川の姿は、あっという間にその場から消え去った。
武器商人にして、評議会トップクラスのエージェント・押川雲太郎。
なんとも珍妙な男であった。
>>116 あれ出したのは俺じゃないよ。ただ、即あぼーんは可哀想だと思ったもんで。
とりあえず、また使えるようにしただけなので、使い方は出した本人が決めればいいさ。
出した本人も、そんなにムチャな使い方はしないって言ってるんだから、まあいいんじゃない?
>117
確かゴッドハンドも評議会も妖魔王も明確な行動目的を晒すのは伝説編からにしようということになっつえいたはずなんだが・・・一人でマイナー作家出すためだけに作りますか・・・
122 :
作者の都合により名無しです:03/08/01 01:17 ID:N49xa6JV
「キャアアアア!!」 女性たちの歓声が驚愕と悲痛の叫びに取って代わった。
モニターで試合を観戦していたUFC――裏御伽ファンクラブ――達の声だ。
その声に、裏御伽リーダーという事で至れり尽せりの歓迎を受けていた本宮ひろ志が反応し、
涙に暮れる女性たちのもとに、痛む全身を抑えながら向かった。嫌な予感がしたのだ。
≪非戦闘区域≫での選手の行動は、戦闘行為以外基本的に制限されていない。
味方同士で相談を始めたり、敵同士で情報交換をしたりする事もできる。
しかし試合中継のモニターは選手用には配置されておらず、覗くとスタッフはいい顔をしない。
なので本宮は遠慮していたのだが、女性たちの声の中に、聞き慣れた名前があった気がしたのだ。
そして彼は見ることになる。遊園地で風船を配っていそうなうさぎのぬいぐるみが。
精悍な体躯の男にありえない方向に首をねじられ、血だまりの中に倒された瞬間を。
闇にうっすら体が透過し始めたひとりの幽霊が、血を吐きそうな表情で哭いた瞬間を。
「岡野・・・・ 真倉ッ・・・・!! なんてこった・・・・」
ギリギリと歯を食いしばる、裏御伽の長。ファンクラブの女性たちは、本宮に泣きすがる。
「本宮様!岡野様、真倉様の仇をッ!かたきを取ってください!!」
「あんなハンディキャップ(うさぎ)があるのに、あんな事するなんて酷過ぎます!」
わあわあと泣き喚く女性たち。それを見て、本宮の怒りが少し収まった。
心を必死に落ち着かせると、大きな握りこぶしを作り、あえて笑って彼女らに語りかけた。
「安心せえ、あいつらのしぶとさは俺が保証するぜ。かわいい子分、いや共に闘う仲間よ。
俺には見えるぜぇ!今にあいつらはピンピンして帰ってくるってなァ!だから泣くんじゃあねえ」
柄にもなく、へたくそなウィンクまでして大声でスタッフたちを励ます本宮。
その照れくさそうな顔に、女性たちは岡野たちに感じていた【魅力】の一端を見た。
ふと、本宮は視線を背中に回す。そこには、敗者・失格者が収監される牢獄があった。
幾人の犠牲者をその腹に飲み込みたがっているのか――それは誰にも、わからなかった。
えなり2世が最も恐れること……
それは自分の「個性」が消失することであった。
クリードアイランドに連れてこられる前のことは、なんでも全て覚えている。
荒木の操り人形と化した野球の試合だとか、武井や板垣に体を貸したボスチームとの闘い。
死神となった久保との闘いや、ほとんど解説役だったエース戦。
チームのみんなと世間話をし、
人気投票やったら圏外じゃないの?と言って笑われたこと。
全て記憶している……
だがクリードアイランド以降は……
ただ命令に従い、理由も知らないまま、
「ツッコミ兼審判役」をする……
それしか「存在意義」がない……
この場所で何レスも「審判」をしていたはずなのに、
ある記憶はそれだけだ……
お約束のツッコミ――
人気があると言うことはきっと「熱血」するということなのだ。
えなりはそう悟っていた――
出番を失うこと……それだけが怖い。
戸田泰成が矢吹を倒すために行動し……
島本とか信頼するものの為に命を懸けて行動しているのは、
きっと「熱血」が彼の中にあるためなのだ。
それが漫画家のエネルギーなのだ。
「熱血」が細胞に勇気を与えてくれるのは間違いない。
今までのえなりには無かった感覚だ。
今はある!
それが「個性」なのだ!
えなりはそう悟っていた。
澤井「優先するのはどっちだね?わたしか?それとも鈴木信也の命か……」
澤井と鈴木がえなりに迫る。
えなり「………」
えなりは無言で構える。敵は二人。どちらを先に攻撃するか――
鈴木「一瞬考えたなッ!!その差が命取りだァァァァァァァァァッ!!」
その隙をついて鈴木がえなりに襲い掛かった!
えなり「くらえッ!肉変砲!」
えなりの手から無数の肉の弾丸が放たれる!
えなりの初期からの持ち技の一つ。
この技は自分に憑依する者の体を、肉を纏うことで再現するスタンド――
「スリーベースヒット」の片鱗なのだが、えなり自身はそのことに気付いていない。
っていうか、今そういう設定にした。
鈴木「ウオシャアアアアアアッ!!」
鈴木はラッシュで肉変砲を叩き落していく。
えなりは思う――人気が上がることを考えると――勇気がわいてくる。
これこそが「熱血」なんだ……これが「個性」なんだ。
澤井「絶望のォォォひきつり濁った叫び声を聞かせておくれよ鈴木ィ!えなりィィッ!」
鈴木「ブァカ者どもがァァァァッ鈴木信也の漫画力は世界一ィィィィィィィィィィィッ!!!」
えなり「えなり2世容赦せんッ!!」
鈴木、澤井、えなり。三つ巴の闘いが今!(なぜか)始まった!!
えなり奮起?
人が少なくなった、久米田研究所研究員詰め所の中で、
一匹の小さい黒猫がケージの中ですやすやと眠りについてた。
傷口も塞がり、今は体力を回復しているのだろう。
久米田がいないので手術も始まらず、今はただのんびりしている。
しかし、ひとりのそそっかしい研究員が、クロが眠るケージに足を引っかけ、
派手にすっ転んでしまった。飛び散る書類、豪快に壊れる鉄柵。クロは一瞬で目を覚ます。
「みゃあー!みゅーみゅー、ぎゃーぎゃー」
黒猫は怒って抗議の意思を訴えるのだが、慌しい研究員はへらへらと、
「あーネコちゃんごめ〜ん」と軽く謝りケージも直さず走り去ってしまった。
呆れたクロが周りを見渡すと、床には散乱する水皿の襲撃を受けた一冊の本。
どうやら久米田の日記帳らしいのだが、インクが水で一部滲んでしまった。
「にゃー」
クロがやれやれと言った表情で、日記を乾かすためにページをぺらぺらとめくる。
・・・ある1ページを見て、クロの肉球がピクッと反応した。
そのまままじまじと日記を読みふけるクロ。そこへ別の研究員たちが帰ってくる。
「あ!こっコラ、お前網を倒して部屋で暴れまわったな!ひどいじゃないか!」
「にゃっ!!?」
ネコは慌てて首を横に振り否定するも、連中はあーだこーだと猫をこっぴどく叱る。
クロが読んでいた日記帳も奪われそうになり、彼は思わずはっしと日記帳を掴む。
ギリギリと本の引っ張り合いが続き、しかしクロがふいに前足を手放す。ひっくり返る研究員。
何をするとばかりに怒り出す連中を前に、突如クロがとっぴな行動を取り始めた。
前置きなしにすっくと二足歩行で歩き始め、近くに落ちてたペンとコピー用紙を拾い、
器用にペンを握って文字を書き始めたのだ。≪オイラは犯人じゃないぞ 横内≫と。
器用にも程があると、人によっては思うだろう。
だが彼は数少ない【動物漫画家】なのだ。本人にはこのくらい普通の動作である。
もっとも走る時は四速歩行の方が早い。今回はけん制効果を狙ったのである。
思惑どおり、研究員たちはクロ――漫画家名・横内なおきに対して畏怖の念を持ち始めた。
せっかくなのでマジックでコピー用紙に自画像の猫とサインを付け足しておいた。
黒猫はふふんと勝ち誇ると、詰め所のソファの上にあるクッションに飛び乗り再び眠りについた。
『矢吹様ー!やーぶーきーさーまー』
CブロックとDブロックの試合をスクリーン越しに、
高級料理を食べながら遠い目で観戦していた矢吹の元に、
この珍事件の報告が入ったのは間もなくのことである。
運悪く赤ワインで兎肉のトマト煮なんか食べていたもので、
非常に気分を悪くしていたところにこの報告であった。
「・・・ほう、さすがだな。筆談で漫画活動をしていたのだな。それまでに随分苦労も、
していたのだろう、好きにさせてやれ。エサにサンマか何かを与えて滋養をつけさせろ」
クロにはどうにも甘い男であった。意思の疎通を図れるという事実を知り、
彼はますますあの黒猫が気に入ってしまったようだ。
ふと、思い出したように質問を返す矢吹。
「そういえば、手術はどうなった?久米田のやる気は回復したのか」
『い・・・いえ、それが様子がおかしいのです。≪高みから見下せる人間になってやる≫
などとブツブツつぶやきながら、柳田博士と一緒にどこかへ出かけてしまいました』
「・・・・・・研究所維持費半年分没収するぞと伝えておけ」冷酷に宣告する矢吹であった。
(・・・生身でもそこまで鍛え上げられているのか。ならば、もしかしたらだが。
サイボーグ化なんかしなくても、あの雄(おとこ)なら生き抜けるのではあるまいか・・・)
久しく“ぬくもり”を忘れている、己の胸を抑えながら、矢吹は心の中でつぶやいた。
一拍の静寂、緊張をはさみ、体をねじる怪物。
空気の変動を感知し、バットを握り締める闘士。
喉もとに牙を突き立てんかのようなZの投法。
荒木は、怯まない!バットの軌道がZの顔面を捉えた!
ガツッ・・・
鈍い音とともに、静寂が再び訪れる。Zと荒木は微動だにしない。
妙技、といっては語弊がある。絶技、でもない。
ボールは水島のミットに無く、バットはZの顔面に叩き込まれてもいなかった。
Zと荒木の間で、ボールは、バットのグリップエンドと拮抗をくりひろげていた!
(そうか、バットのなかで最も回転の少ないグリップエンドにぶつけて、勢いを消したのか)
荒木が気付いたときには、バットに無数の亀裂が入り、更に、両腕に激痛が走ってきていた。
「うぐぅっ!」
たまらずバットを手放すと、あっけなくそれは砕け散り、ボールは、Zの前へ。
こつん。歯を剥き出しにしたあの獰猛な笑み。
常人とは異なる笑みが、荒木の額に当てられたボールを銃口と勘違いさせる。
「ア、アウトォー!」
渡辺が引きつったような声で宣告した。
「凄いコントロールだな」
荒木のそれは猛獣から開放されたという安堵からの発言か。
「ド真ん中以外の投げ方を知らん
いつものコースにたまたまそこがぶつかった。それだけだ」
7回裏、えなりチーム 1アウト
131 :
決着:03/08/01 11:00 ID:AQGwWsdq
「ちばぁァ―――――ッ!!!!!テメェの弱点読めたぜ!!」
炉里魔人は、神速とも言うべき速さで、ちばの真前に来た。
「心で闘うといったな・・・人間は、心をここで統括しているんだろォ!?」
炉里魔人は掌を合わせ、構える。標的は、頭部・・・脳!!
「リ ー ダ ー 波 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ! ! ! ! ! 」
ボシュウゥ――――――――!!!!!!
部屋の壁が、破れた。
Aの目に映ったのは、頭の無いちばてつや。
「あああっ!!!!ちばさぁァァンッ!!!!!?????」
「ふっ・・・ハ〜〜〜〜〜ッハッハッハッハッハッハァッッ!!!!!!!!!」
炉里魔人が、勝利の雄たけびを挙げる。
「脆い・・脆いぜェ!!『心で生きる』ったって心自体が砕かれたらどうしょうもねえやな!!!」
「甘い」
声がした。それは、Aにとってさんざ聞き慣れた声だった。
「あああ・・・ッ!!」
「・・・テメェは、なんだ?」
「俺かい?俺は・・・」
首無しは、言った。
「心で生きる男、ちばてつや!!!!」
132 :
決着:03/08/01 11:01 ID:AQGwWsdq
何故、コイツは生きている?普通人間は、頭無くなったら生きていけないはずじゃないか!?
「心は脳が統括してる?何を言っている」
何故何故何故何故何故何故何故なぜ何故何故何故何故何故何故何故何故!!!!!!!!!
「俺の心は・・・ここにある!!!!」
ちばは、自分の心臓を指さした。
「ここが砕かれん限り、俺が死ぬことはない・・・永遠にな。」
「最も、俺のボディーは破られんよう、万全に固めているがな」
こいつは何だ!?
「さあ・・・俺の番だ」
こつ、こつ、こつ、こつ、こつ・・・ちばはゆっくりと歩いて、炉里魔人のすぐ前に来た。
威風堂々。
「お前は、魂で出来ているんだったな・・・」
ぎゅっ、ぎゅっ。ぎりっ、ぎりっ。
右手に力を込め、歯を食いしばり、溜める、溜める。大砲を。
「じゃあ、それを・・魂に衝撃を与えるとどうなるかな!?」
どうなるか。それは炉里魔人自身にも、よく分からなかった。
「島袋の口から入り、奥に入っていった。感じるぜ、お前の魂の波動。聞こえるぜ、お前の魂の鼓動!!!」
それは、人間の心臓に当たる場所から!!!
「俺の全てを込めた・・・拳を喰らえぇェッ!!!!!!!」
ッぎゅぎゅぎゅッ・・・ ぼ ご ん っ ! ! ! !
「・・・・・・・・!!・・。・。・・・!!!!!!!!!!」
がたがたがたがた。炉里魔人の挙動が、狂う。
肉体ダメージが無い炉里魔人。それは、裏を返せば脆弱な魂を守るための鎧の機能を果たしていたと言える。
ちばは、破ったのだ。なによりも硬い炉里魔人の肉体を、振るわせた。
魂は、振動するだけで瓦解を起こしそうになるほど、儚いものなのだ。
「・・・やった。」
ばたんっ!!ちばは気絶した。これより先は、Aが見守ることになる。
133 :
決着:03/08/01 11:02 ID:AQGwWsdq
「ちばさんっ!!・・・限界が来たか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」
激しく体を震わす炉里魔人。その姿は、終わりを感じさせるものだった。
「凄惨な・・・でも、見届けなくては。ちばさんの為にも」
「・・・・・・・ごろじてやる」
「!!!」
突然炉里魔人が立ち上がる!!その体は眩く光っていた。
「あああっ!!あの光は・・・!!」
「道連れだ・・・お前ら全員・・・オレの体内の膨大な炉里魂を変換して、破壊のエネルギーにしたる!!」
「あああ・・・あんなエネルギーが放たれたら、ヤマトだけでなく、下の世界にまで影響を与えてしまう・・・!!」
「どけ」
三度立ち上がるは、ちばてつや。
がしいっ!!
「ふぇ、ふぇめへ、口ほはなへ・・・」
「口さえふさいでりゃ爆発できねえだろが。俺と一緒に行こうぜ・・・!!」
ちばは、リーダー波で空いた穴から抜け出し、甲板に出た。
「ちばさん!」
「心配すんな。俺は、死ぬと思わなきゃ死なん・・・!!」
「ふぃ、ふぃくほう・・・ふぁなへ・・・」
ダンッッ!!ちばは、炉里魔人とともに、残る力を振り絞り、跳んだ。
その姿は、太陽と溶け込み、消えた。
「なんて跳躍力だ・・・もう見え・・・」
フゥン・・・!!空一面が、一瞬真っ赤な光に染まり、雲が消えた。
134 :
決着:03/08/01 11:02 ID:AQGwWsdq
「ちばさん・・・」
Aは、福地の部屋に戻り、タナトスと茶を飲んでいた。
「戻ってくるロリ」
「梅澤・・・」
「ちばは、戻ってくるロリ。ほら・・・」
部屋の中に首無し男。
「あああっ・・・・!!ちばさんっ!!」
「A・・言ったろ?俺が死ぬと思わない限り、死なないって」
「炉里魔人は・・・?」
「ああ、死んだ。と言いたいところだが・・・」
「・・・」
「よく分からん。しばらくは動けないようだが、存在はまだあるようだ」
「あいつの炉里パワーを感じるロリ。まだまだ動き足りないようロリよ」
「あああ・・・またあんなのやらなきゃならないのか・・」
「いや、大丈夫だろ。アイツは別のやつとやりたいみたいだからな。
どうやら、念願の相手がいるようだったからな・・・」
「あの闘いの中、そんなことも考えていたんですか・・・さすがだな」
「俺が強くなったのは、あの方・・・梶原一騎さんのおかげだからな。
俺はあの方に学んだ。あらゆる闘いは、冷静に相手を観察し続けたものが勝つ、と」
「ふう、僕は、ベテランなのに、まだまだだな」
「A、俺について来い。お前には、教えてやりたいことが山ほどあるんだ」
「・・ぜひ、お願いします」
二人は去っていった。部屋では、タナトス梅澤が一人茶を飲んでいた。
「ここが・・・神の島」
カナン
話は数時間前に遡る。
「お主ら、ちょっとまてい」
占い師は、貞本たちに話しかけた。
「カナンにゆけい・・・」
「ちょっと待て、婆さん。いきなり何を・・」
「主らに導きが見える・・・ほれ、地図じゃ、ただにしといたる」
「余は、カナンという場所を知っておるかも・・・」
「いいんじゃないですか?ぜひ行ってみたいです!!」
「ん〜、じゃあ行くか!!」
当然のように木村の発言はスルーされたが、どうでもいい。
現在に戻る。ここはカナン。
「ここは・・・ジャングルか!?」
「やぶ蚊が凄いです・・・」
「ア〜ラハンマ〜〜ァヤァ〜〜〜」
ドンッ!!
「ジャングルで火薬を撒くな!!」
「た、溜め無しで撃つとは・・貞本卑怯だぞ!!」
「死んでくれないかな」
ジャングルの奥地に来た。巨大な遺跡が見える。
「ここが、遺跡か・・・」
「なあ、なんか余の体がおかしいぞ・・・」
「どうやって入るんでしょうね〜入り口もないし・・・」
「いや、小さいけど上に入り口があるよ。飛んで入ろうか」
「なんだ?体が熱い・・・うう、何かが込み上げてくる・・・余はどうなるのだ」
「じゃあ、天野さん、しっかり捕まって」
「は〜い、大丈夫ですよ」
「おい、お前ら」
木村の声のトーンが違う。よく見ると、髪の色も違う。白髪だ
「どうした?」
「俺の忠告を聞け。遺跡には入るな」
「どうしたんですか?それに俺って・・・?」
「この遺跡には、世界で最も強力な工芸品がある。お前らでは無理だ」
アーティファクト
「何・・・」
「引け。ここは、神聖な場所なんだ」
「そう言われると行きたくなるんだがなあ・・・!!」
「そのうちここに来る機会が必ず来る。必ず、な」
「・・・」
「兵どもが、ここに集まる」
引き返す。
「・・・」
「どうしたのだ貞本?余の顔に何かついとるか?」
(こいつ、何故あの遺跡の前で、変化した?あの遺跡は・・・?分からないことだらけだ)
「そうか!お主は男色の気があったのだな!?確かに余は絶世の美男子だが困るぞ!!」
ただ一つ分かること。それは、コイツは殺すべきだということだ。
同人軍艦内の個室で荒川弘はえなり姉に対して問いかけた。
荒川「あなたって矢吹先生のスパイなんでしょう?」
えなり姉「ええ、そうよ。」
存外あっさりと肯定する。
えなり姉「矢吹さんに頼まれたの。
同人軍艦が反乱をするのかどうか確かめてこいって。
静養のためだけなら、この時期に軍艦に来る必要もないものね。
ところで、同人軍艦は矢吹さんに反抗する意志があるの?」
荒川「私たちに余力がない…ことは矢吹先生にもわかってもらっていると思っているけれど。
絵柄のせいかもしれないけれど、矢吹先生はエニックス系作家に大勢の部下がいるし、
今のところ私たちには敵対する理由がないわ。
…それはともかく、ここで尋問しようと思うことには意味がないわよ。
甲板ならともかく、軍艦内の内部に入っている以上、あなたがどんな能力を持っているにしろ
その話を外に伝えることは出来ないと思うし。」
えなり姉「私には何の力もないわよ。」
えなり姉は自嘲気味に呟くと、荒川に向かって問いかけた。
えなり姉「でも理由は聞きたいわ。
このままだと矢吹先生がそう思っていなくても、その配下の人が不安に思うし、
いまは矢吹さんが絶頂とも言えるほど勢力をつけているのだから、
グレーゾーンを渡ることは止めたほうがいいと思うけれど。」
静かな声だと荒川は思う。
もっとも、重要なのは声質ではなく、内容なのだが。
荒川「…本当に余力がないからよ。
今のエニックスにはね。私達はガンガンを立て直さなければいけない。」
実際にはグレーゾーンは越えていることは置いて、荒川は説明する。
えなり姉「どうして力が無くなったの?」
荒川の答えにえなり姉が聞く。
荒川「エニックスには大勢の漫画家が引き抜かれる事件が起こったからね。
コミックブレイドでは『ラグナロク』と言われている事件のことよ。
矢吹先生には重要性がいまいち伝わってないかも知れないけど。」
えなり姉「聞かせて。」
荒川「ええ、私が『鋼の錬金術師』を連載する前の話なのだけれど、
月刊誌であるガンガンは隔週化を目指したことがあるのよ。
そしてそれは実行に移された。
それまで連載していた連載陣のペースなどは無視してね。
当たり前の話だけれど、漫画の刊行ペースっていうのは早いほうがいいのよ。
漫画にとって必要なことは、
面白い話を作ることと、
読者が待ちくたびれて、
他の雑誌に移ってしまう前に新たな続きを提供することよ。
月に一回の連載だとしたら一年で12話しか提供できないことになる。
それでは今までいた読者が他の雑誌に移ってしまう可能性も高くなるし、
新規の読者は展開の遅い長期連載を理解することも難しくなってしまう。
実際にジャンプもサンデーもマガジンもチャンピオンも月刊誌より週刊誌のほうが
読者が多いわけだしね。
ガンガンの編集部はガンガンをマイナーから脱皮させるために、
ガンガンの発行スピードを早くさせることが必須だと考えたわけよ。」
えなり姉「それで、どうなったの?」
荒川「多くの作家のストーリーと絵が荒れて、
体を壊す作家も現れて、元の月刊誌に戻したわ。
読者のほうでもころころと刊行ペースを変えられたらたまったものではないから、
売り上げにも影響したと思う。
ガンガンにとっては散々だったわけよ。」
えなり姉「…すごい話ね。」
荒川「もっとも、影響はそれだけではなかった。
漫画家たちはエニックスに対して強い不信感を持った。
…結局それが根強く残っていたんでしょうね。
ジャンプみたいなシステムだったらそれでも問題はそれほどなかったんでしょうけど、
エニックスの漫画家は同人誌を作っていた人も多くて、
雑誌の刊行についてのノウハウを持っていた。」
えなり姉「…『ラグナロク』が起こったわけね。」
荒川「…まあね。
そんなわけで私たちも連載したはいいけど、雑誌が潰れたらかなわないから、
とりあえずエニックスをまとめるためだけでも必死にならなければいけない、と言うわけよ。」
同人軍艦が出てきた時点では柴田亜美はPAPUWAを連載していなかったし、
(多分それくらいの時期だよね?)
荒川自身、新人に過ぎなかった。
土塚はまだジールボーイも使うことが出来なかった。
また、多くの作家陣も同人軍艦に所属していたわけではなく、
同人軍艦=方舟と言う強い庇護があるにせよ、脆い存在であるとも言えた。
荒川「…まあ、それだけではないのだけれどね。」
えなり姉「…?」
荒川「とりあえず、私たちは自衛する権利を持っていると考えている。
そして、それを許可してくれる分には矢吹先生に反抗する気はないわ。
こちらの言い分は理解してもらえたかしら。」
えなり姉「ええ、理解したわ。」
えなり姉が頷く。
荒川「私のほうからも、質問していいかしら。」
えなり姉「ええ、なんですか?」
荒川「これは調べたわけでもないのだけれど、
えなりが矢吹先生を倒すために行動していると言う情報はこちらの耳にも入っているわ。
…それはあなたの弟だそうだけれど、いいの?」
えなり姉「なにが?」
荒川「矢吹先生に協力していることについてよ。
えなりに協力するなら、矢吹先生の味方をすることはおかしいなと思っただけ。」
えなり姉「矢吹さんはそれほど悪い人だと私は思っていないわ。
確かにえなりを殺そうとしていることは認めるけれど、
彼の理屈を理解することは出来る。」
えなり姉の言葉に、荒川は不機嫌な声でうめいた。
荒川「関係ない漫画家も巻き込む理屈に理解も何もないわよ。」
えなり姉はただ淡々と続ける。
えなり姉「傷つくことは避けられないわ。
それでも私はそれを最小限にとどめたいとは思っているけれど。
でも、どれかが理屈ではないとすれば、どこに境界線があると思う?
荒川先生の考えはさっき聞いたばかりだけれど、
それは荒川先生一人で決めたものではないでしょう?」
荒川「大抵のことは私と大清水先生で決めているわ。
加わってくれるなら衛藤先生や土塚先生に参加してもらうこともあるけれどね。」
えなり姉の問いに荒川が答える。
えなり姉が続けた。
えなり姉「自分の考えはともかく、他人の意見は表面的には正しそうでも、
もしかしたら全く違う目的を持っているのかもしれない。
それはどうやって見分けるの?」
荒川「…判断材料はいろいろあるけれど、端的にいえば信用しているからとしか
言いようがないわ。口に出していうと面白くないけれど。」
えなり姉「それなら私も同じよ。
そして矢吹さんと同じく、荒川さんの理屈も理解できるわ。
あなたの理屈にも協力したい。」
荒川「…随分と矢吹を信用しているのね。どうして?」
持ち上げられたことはひとまず置いて、えなり姉に返す。
えなり姉は答えた。
えなり姉「証拠みたいなものをもらったからね。もっとも、これはもともと矢吹さんのものだから、
彼が困ったときにでも使おうと思っているのだけれど。」
えなり姉は目を瞑ると、胸に手を当てて言う。
その手は少し浮いていて、その手には念で作られているバインダーが収まっていた。
もっとも、『ブック』と彼女は言っていなかったし、
例え凝で目を凝らしたとしても見えるものではなかったが。
荒川が続けた。
荒川「まあ、私たちにも協力してくれるというのなら帰って矢吹先生に報告するときにうまいこと
言ってよね。出来れば今の時期の戦闘は避けたいから。」
えなり姉はしばらく荒川のほうを向いていたが、やがて視線を変えて口を開いた。
えなり姉「…そうしたいわ。でも多分それは出来ないと思う。」
えなり姉の返答と、軍艦のレーダーがその機体の存在を発見したのはほぼ同時だった。
太平洋上空。
高度1万フィートの高さにある、魔空艦 零寒(ゼロサム) の艦内では
操縦士を除いた数人の漫画家が目的地に着く瞬間を待っていた。
峰倉「結局、飛行機に向かった10人集はえなりたちを倒せなかったわけだな。」
機体の壁に肩を預けた峰倉かずやが問う。
高河「でも操縦桿は支配したって。海に落としてもいいんだけれど、確実に殺すために
同人軍艦に誘導してそこで始末するって作戦ね。
私たちの任務は東まゆみが着く前に“同人軍艦エニッ糞”の
全乗組員を始末すればいい。それだけよ。簡単だわ。」
頭巾を被った女、高河ゆんが答える。
峰倉「ガンガンとゼロサムとでは読者層が被る面があるからな。あいつらを始末すれば
そのシェアを独り占めできるって寸法だ。」
峰倉は口の橋を歪ませた。
黒乃「それはむしろGファンタジーだと思うが。」
侍の格好をした黒乃奈々絵が口を挟む。
峰倉「関係ねぇよ。親玉を潰せば数珠繋ぎで『ガンガン』の名前を使った雑誌も潰れるさ。
ていうかブレイド組はお前一人かよ。
まあ株をエニックスに半分握られちゃってんじゃあ、しょうがねぇか。はははは。」
峰倉がせせら笑う。
黒乃「別に…ブレイドは作家ごとにばらばらだからな。矢吹派もいるし、エニックス派もいる。
まあ今回はどちらも手出ししないようだが。」
黒乃は表情も変えずに答えた。
高河が言い合いに口を挟む。
高河「なんでもいいよ。とっとと殺して金もらうって話。それだけ。
あなたもそう思うよね、高橋先生。」
そういって、高河は向きを変えた。
その方向の座席に座っていた高橋留美子は高河をひと睨みして告げる。
高橋「…あまりつまらないことに私を巻きこまないで欲しいわね。
まあ、せっかく矢吹邸に案内してくれるっていう企画なんだから、適当に楽しませてもらうけれど。
この秘石『四魂』の力を試すいい機会でもあるしね…」
高橋留美子の手にある秘石『四魂』は真っ黒に濁りながら淡い妖気の光を放っていた…。
その頃操縦席では──
操縦士A「今のガンガン相手にこのメンバーなら瞬殺だろ?」
操縦士B「ああ、この分ならすぐに帰還できそうだな。」
操縦士A「…ところであそこで寝こけている美川べるのって誰が連れてきたんだ?」
操縦士B「しー!!起こすなよ。あいつが起きたら全部めちゃくちゃになるからな。」
間接を異様な方向に捻じ曲げながら熟睡している美川べるのは
そんな会話がなされているとは知らずに天使の笑顔で瞳孔を開けたまま寝入っていた…
他の人は知らないけど、峰倉と黒乃って、確か女では?
この話は第二部のどこらへんかに対応しています。念のため。
>>144 一応全員女性というイメージで書いております。
147 :
作者の都合により名無しです:03/08/02 18:36 ID:ZOX1jsKe
復活記念あげ
148 :
やきう:03/08/02 19:50 ID:q9hK85WF
ド リ ュ ッ !! ド オ ン ッ !!
渡辺「ストラーイクッッ!!」
野球。打順は、3番岸本。彼はバッターボックスで戦慄していた。
岸本(う…ぐ……なんて化物だってばよ……反応できない!)
今の球速は、時速167km/h。荒木のときより、さらに速くなっている。
水島「どーやら、肩が暖まってきたようやのお……本来の球速に近うなってきたわ」
岸本(!! こ、これでまだ全力じゃないのか?)
?T写輪眼?Uですら見切れない。驚愕する岸本にお構いなく、2投目が放たれる。
グ バ ア ! ド オ ン ッ ッ !!
火を吹くような化物じみた豪速球に、またも岸本は反応できなかった。
水島(ムダや。才能だの…ましてや努力だの羨望だの嫉妬だの、そんなレベルであの男は測れん。あの男には…単純に…)
3投目。そのモーション直前、チッチッチッ……鳥がさえずるような音が鳴り始めた。
尾田「千 鳥!なるほど、あれは岸本が持つ中で最速の技。あのボールを捉えるにはそれしかない」
岸本(来い、化物!俺のすべてでおまえを倒すってばよ!)
『千鳥』を構えながら、岸本が『Z』を睨む。だが一一
岸本(な一一デカい!!??)
投球モーションに入る『Z』の姿が、岸本の目には天を衝く巨人のように見えた。
Z「ハ ア ア ア ア ア ア !!!!」
ズ ッ バ ア ア ア ア ン !!!!!
渡辺「ア・・アウト・・・」
東<<ひゃ…ひゃ…ひゃく…170km/hォ〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!岸本選手、まったく反応できず!!>>
克<<あ…あり得ません!! そ 測定器の故障です!!そうに決まってる!!>>
ヒ ト ケ モ ノ
水島(人 類 は 野 獣 に は 勝 て な い !! そ の 真 理 が あ る の み や)
149 :
やきう:03/08/02 19:51 ID:q9hK85WF
岸本(な…なんて怪物だってばよ……俺にどうこうできる相手じゃねえ……)
『Z』と化した藤澤に手も足も出なかった岸本は、傷心のままベンチに帰ろうとしていた。
そのとき、ふいに岸本に声がかけられた。声をかけたのは、なんと『Z』である。
Z「今度やる機会があれば、貴様の中に飼っている獣を解き放ってからにしろ。
仔 犬 な ら せ め て 鎖 を 外 し て じ ゃ れ て こ い」
岸本「くっ!!」
敵からの辛辣な言葉に、岸本が歯噛みした、そのとき!
ド ク ン !!
岸本(!?)
ド ク ン !!
突然、首筋からとてつもない激痛が全身をかけめぐった。
見れば、岸本の首筋から顔の半分までを、禍々しい呪印が覆っている。
尾田「あ、あれは!!」 荒木「大友のほどこした呪印!まだ消滅していなかったのか!!」
岸本(ぐっ……あのときの呪印がまだ……!)
かつて大友に刻まれた呪印。それは岸本にとてつもないパワーを与える代わりに、徐々に岸本の身体を蝕んでいく両刃の剣だ。
荒木「いかん、あれを止めなければ!!」
急いでベンチから飛び出す荒木たち。だが、呪印の侵攻は以前以上に早い。
岸本(あの化物の気配に呪印が反応しちまったのか…!?ダ…ダメだ…抑えきれねえ…!)
このまま覚醒すれば最後、眼前の敵を殺し尽すまで岸本はとまらない。岸本の意識が薄れかかる一一
大和田「自分を見失うな、愚か者!貴様も男なら、気をしっかり持て!!」
意識を手放しかけた岸本を叱咤するように、力強い声が轟いた。
150 :
やきう:03/08/02 19:53 ID:q9hK85WF
宮下もかくやと言わんばかりの一喝。その凄声に、岸本の意識が覚醒した。
大和田「我を忘れるな!己の力を振るうときは、己の意思を持たんでどうする!!」
鼓膜ではなく、心を揺さぶるような力強い声。それが岸本を呼び覚ました。
尾田「呪印が……消えていく……」
荒木「あらためて思うが……何者だ あの男……」
ネクストバッターサークルにいた大和田が、岸本の肩に手を置く。
岸本「お…大和田さん……」
呪印はとりあえずは収まったものの、岸本はまだ息をついていた。
大和田「貴様は、堂々と勝負した。何も恥じることはない。あとは私に任せるがいい」
言い捨てると、大和田はバッターボックスへと歩いていく。
その背中は、岸本の目には、エベレストよりも雄々しく見えた。
大和田「待たせたな」
愛用の釘バットを手に、大和田が打席に立つ。
怪物が、怪物と向き合った。
大和田の背に、ふと水島がお決まりの挑発を始める。
水島「ムダや。おまえみたいなエセ野球漫画描きに、アイツのよう打てへん」
大和田「能書きはいい」
大和田は、水島の目を見ずに応じる。
水島「お前のために言ってんねん。弱者が敗れても、恥じる必要はない。
そのことを言いたかっただけや……」
この挑発に、しかし大和田は、こう言って返した。
大和田「優勝劣敗は勝負の理。貴様の言う通りだ。負けても堂々と母親の胸で泣くといい」
その瞬間、大和田から放たれた裂帛の気魄に、水島さえもが気圧された。
『Z』の方に目をやると、当の『Z』は一一
水島(よ…悦んどる……そうか……ワイはこの男を見誤っとった。こいつも同しや。
あの『Z』と同じ人類……同じ生物! もうひとりの?T球 鬼?U や!!)
大和田と『Z』。
今、ふ た り の 球 鬼 が 、 激 突 し よ う と し て い た 。
151 :
やきう:03/08/02 19:54 ID:q9hK85WF
ここに、2人の野獣が激突する。Zの野獣そのものの肉体が、ギリギリと捩じれ、撓む。
ド キ ュ ッ!!!
放たれた豪速球は、なんと大和田の顔面に激突した!
荒木「大和田ァーーーーッッ!!」
水島「アホな!なんでよけへんのや!!」
まともにZの殺人球を受けるも、しかし当の大和田はグラつきもしない。
しかも、その視線は最後までボールから離れていなかった。
大和田「なめるな。私を倒したくば、本気で来い」
奥歯を吐き捨てながら、大和田が燃える眼光で、Zを睨めつけた。
すると、Zは歯を剥いて笑うと、肩に手をやった。ブチッと何かが切れる音がする。
と、ドサドサッ、と重い物が落ちる音がした。球場の全員の目が、?Tそれ?Uに注がれる。
?Tそれ?Uを、全員は信じられない面持ちで見ていた。
荒木「ゴ…ゴムチューブと砂袋……動けるか普通…」
さしもの荒木でさえ、その事実には戦慄を禁じ得ない。
今までのZは、本気ではなかった……その事実に。
だが、大和田は、むしろ笑みを浮かべていた。楽しくて仕方がない、という笑みを。
大和田「是 非 も な い」
2人の球鬼が、獣臭い笑みをかわしあった。そして、勝負!!
ヴ オ オ オ ッ ッ ! !
大気が唸りをあげ、軋む。測定器のメーターは、170km/h代。
電光掲示板の?T1の位?Uが、めまぐるしく変わっていく。
一流のプロでさえ反応もできない、この球を、しかしもうひとりの球鬼は捉えていた。
大和田「分 析 完 了(ア ナ ラ イ ズ ド)」
152 :
作者の都合により名無しです:03/08/02 19:54 ID:N8Dh5jeA
153 :
やきう:03/08/02 19:54 ID:q9hK85WF
ピ ッ。
野獣の動体視力が、その軌跡を捉えた。
機械の分析能力が、その軌道を読み切った。
そして。
球鬼のフルスイングが、その威力を弾き返した。
ギ ャ ッ !!
あり得ない光景に、水島ばかりか、Zまでもが目を限界まで見開いた。
ギャギャギャギャギャ !!!
単純計算で、2倍の迅さと化した大砲は、鬼の牙となって大気を軋ませた。
空間を歪めるほどの、人智を超えた速度が、Zに襲いかかる
ピッチャーライナー。
グ バ ア ッ !!!!
刹那、Zの巨体がはじけた。嵐と化した球は、真直ぐにZの顔面あたりを直撃した。
鬼を思わせた巨人が、派手に背から叩きつけられる。
死んだ・・・すべての者がそう思った。しかし一一
東<<と…捕っている一一一一一ッ!!Z あの打球をダイレクトでキャッチしています!!>>
154 :
やきう:03/08/02 19:56 ID:q9hK85WF
その瞬間、場内が爆発したような歓声に包まれた。
打球を捕ったZのグローブからは、ブスブスと皮の焦げた臭いがたちこめている。
東<<アウト!!7回裏終了です!!Z 1点差を辛くも守りきりました!!
しかし、大和田選手もまた見事!!
打ちも打ったり 捕りも捕ったり 実に見応えのある攻防でした!!>>
だが、場内の喧噪をよそに、2人の鬼は、そろって歯を噛んでいた。
いまだ白煙をあげる球を、Zが無言で見つめている。
その鼻と口からは、打球の余波か、血が滴っていた。
回が終わってもマウンドに立ち尽くすZに、水島が声をかける。
水島「ピッチャーライナー…かいや…。
・ ・ ・ ・
ま 野 球 な ら お ま え の 勝 ち や で」
その瞬間、マウンドが爆発した。
深々と陥没したマウンドに、煙をあげて、白球がめりこむ。
まくれあがった唇から、ギリギリと憤怒に食いしばられた歯がのぞく。
Z「お お わ だ ァ ァ ァ ・・・・・・・・・・・・・・」
鬼の声帯を、噛み殺しても殺しきれないほどの怒りが震わせる。
一方、大和田もまた、釘バットを捻じ切るほどの、強烈な怒りを見せる。
大和田「おもしろい・・・次 が 真 の 決 着 だ な ・ ・ ・」
互いに、ヒートアップする野獣たち。死闘は、最終打席へと持ち越された。
7回裏終了 えなり 1 − 2 チャンピオン
155 :
y:03/08/02 19:58 ID:duFz3fHi
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やきゅーだやきゅーだ
いよいよラストへスパート
アイランド編もがんばろうっと
いよいよ次は野球も8回に突入、余す所、あと2回となった。
ベンチにてえなりチーム各員が守備の準備をするなか、大和田はひとり、いずこかへ電話をかけていた。
大和田「もしもし……吉崎観音か。…ああ、そうだ。大和田だ。実は、お前にちょっと頼みたい事があってな。
……エース本社にある『例のアレ』をとってきてもらいたい。なに?ああ、そんな事は承知だ。
私は、エース創刊当時からのメンバーだぞ。確かに、『アレ』を抜いた者は、エース作家には一人もいない。
だが、そんな事も言っておられん状況なのだ、相手は強い。
……ああ、おまえのルーラなら、すぐに行って来れるだろう。
遅くとも、最終回の私の打席までには、間に合わせてくれ。頼んだぞ」
一方的に通話を切ると、大和田はグローブを取りにいった。そこに、岸本が話しかけてくる。
どうやら岸本は、先の一件で、大和田に心酔してしまったらしい。
岸本「どこにかけてたってばよ?」
大和田「ん?ああ、ちょっとヤボ用だ。同じ雑誌の仲間に、ある物を取ってきてくれるように頼んだ」
岸本「ある物?なんだってばよ、それ」
大和田「それは、後々のお楽しみだ。…ところで、次は我々の守備だろう?なにやらモタついているようではないか」
ベンチの様子を見ると、荒木までもが何やら困っていた。
荒木「困ったな……キャッチャーがいない……というか、誰がキャッチャーやってたんだっけ?」
主人公えなり、存在そのものを完全に忘れ去られていた。
大和田「何を言っている荒木!キャッチャーは……本当に誰だったかな……」
主人公えなり、完璧に忘却の彼方であった。
大和田「仕方ない、キャッチャーは私がやろう。私がいた三塁には、代わりに宮下をコンバートすればよかろう。
なに、ライトなどいてもいなくても大して変わらん。それと…ええと、そこの影の薄い奴!
体が戻ったのなら、一塁の守備につけ!!」
なにやら、バリバリに仕切り始める大和田。
えなりチームの野球における指揮権は、今や完全に、荒木と大和田の2人に握られつつあった。
「俺は・・・俺は・・・」
ベンチ裏で島本和彦は煩悶していた。
この島本も、「逆境ナイン」を書き上げた、いっぱしの野球漫画家である。
あれは野球っていうより男漫画じゃん?
という余湖・・・相棒田畑は島本を尊敬していた・・・のツッコミは無視しておこう。
試合も終盤に入り更に熱気が高まっていく。熱気は島本に伝染する。
一度守備についたくらいで満足していないのが明白である。
仮面だけでは無理なのかっ!?
そうか!この赤ジャージでバレたんだ!
なら黒服黒マントで「スカルマン」になれば・・・
いや駄目だ!!あのマスクは口が出ている!!
全身を・・・全身を覆うスーツがあれば・・・
いっその事 敵 に な っ て で も 野 球 が し た い !
そのとき悪魔が微笑んだ。
悪魔というには気の抜けた顔であったが。
どこからどう入り込んできたのか柴田ヨクサル。
無造作に鎧?のようなモノを放り投げ、言った。
「 装 着 (つけ) な い か 」
ちなみに、宮下はあまり野球に興味がない為か、どこか大人しい。
珍しく寡黙なまま、ズズッ…と茶などすすっている。
すると、ポツリと、岸本が言った。
岸本「ところで……腹、減ったってばよ……」
今や、えなりチーム全員の胃袋は、悲鳴をあげている状態だった。
尾田「そういや、もうナイターになっちまってるもんなあ……。長い試合だ。
よし、この試合が終わったら、俺が飯作るから、お前ら今のうちにリクエストを言っておけ」
煙草に火を灯しながら、尾田が言った。その一言に、全員の目の色が変わる。
尾田は、ジャンプ作家陣の中でも、屈指の料理人でもあった。
岸本「俺、ラーメンが喰いてえってばよ!」
荒木「僕は、ピッツァ・マルガリータに、娼婦風スパゲッティを」
大和田「何を頼んでもよいのか?それならば、私は刺身の盛り合わせなどを……」
岡田「俺は、ゴーヤチャンブル」
板垣「なんでもいいから、フルコースを10人前だ」
宮下「ガッハッハ、牛丸ごと一頭でも用意せいッ!」
鳥山「とにかく、オラ、喰って喰って喰いまくるぞーーッ!!」
口々に勝手な注文をしていくメンバー達。それらを、尾田はひとつひとつメモしていく。
尾田「ええと…(板垣と宮下と鳥山のダンナは、とにかく喰うだろうなあ……)」
試合後の忙しさを思うと、軽く頭が痛くなる尾田であった。
尾田「…まだ、頼んでいない奴はいないかーッ!?……変だな、誰か忘れてるような……」
富沢「あ…あの〜……僕の注文も……」
ミスターないがしろ・富沢がおずおずと手を挙げる。
尾田「ああ、そうか!おまえをすっかり忘れてた!…よしっと、これで全員のオーダーは出そろったな。
んじゃ、これで注文を締め切るぞ!!」
えなりと武井がいなくなってる事には、依然、誰も気がついてはいなかった。
そして、試合はいよいよ、大詰めを迎える。
伏線的にヨクサル君ではまずかろうとゆー意見が出ております。
誰か適任キャラはおられませんかね〜?
つか、別にいいじゃんと思うがね。
ギャグはギャグ、熱い戦いやるなら野球のあと、って区別すればいいことだと。
「 装 着 (つけ) な い か 」
もう一人いる?
眼前の男、柴田の言葉とは、島本には思えなかった。
なぜなら、柴田は目を瞑り心ここにあらずといった容貌で、ふらふらと今も歩み続けているからだ。
鎧を放り投げたのは?
「全くわからない人間だ・・・この柴田も・・・お前もっ・・・」
「貴様!福本!?」
「しばらくぶりだ・・・島本・・・前回の賭けはご破算だったな・・・
いや・・・私の負けに近いっ・・・」
福本は苦渋の汗をしたたらせ、フラフラと去る柴田を見る。
「そこでだ・・・私も鬼ではない・・・賭けの支払いはさせてもらおう
この鎧は『シズナマン』という、奴の装甲だっ・・・
奴は一種の瞑想状態にある・・・本能だけが突っ走ってる状態だ・・・
この装甲を奴がお前に託したのも・・・何がしかの思考を持っての行為ではないだろう・・・
『シズナマン』がお前を選んだともいえる・・・つまりこの装甲がお前に与えられたのは、天恵っ・・・幸運っ・・・
糞っ・・・なぜお前はここまでついている・・・
もう一度だけ聞くぞ・・・ 装 着 (つけ) な い か 」
夜はますます深くなる。
それでも幾人かが闇の中でも敵を見つけおおせたのに、
どれだけ捜しても対戦相手探し当てられない人間もいる。
彼は月夜に軽く晒される岩山をあてもなく歩き回り、
すっかり疲れ果てていた。巨漢ゆえかアウトドアは不向きのようだ。
彼、村田雄介は独り言を発する余裕も残っていない。
思えばこんな辺鄙なところに長居する相手もおるまい。
どこかふもとの、獣道や歩きやすそうな道を見つけ、
そこに誰かが来るのを待つ戦法もあったはずなのだが。
後悔しても、仕方がない。相棒の≪悪魔≫の事も忘れ、ただひたすら闇を渡る。
せっかく大会に参加できたのだから。
せっかくこうして仲間たちと闘えるのだから。
黒眼鏡さん(福本)のためにも、仲間のためにも、自分のためにも。
頑張らなくっちゃなあ。村田はポーチから一口チョコレートを取り出して頬張った。
だが、さすがにちょっと限界が見えてきた村田。膝が笑っている。
仕方がないので手頃な石に腰掛け、【手持ちの武器】として登録しておいた、
ラグビーのタックルの練習の時に使う片手サイズの砂袋を背中から外し・・・
・・・中から物が取り出せるように改造したそれからダミーの砂パックを取り出す。
そしてジッパーからは『総額5000円以上』はあると思われる、
たくさんのお菓子、果物、パン、カロリーメイト、ゼリー飲料、ジュース他が顔を出した。
周りに人がいない事を改めて確認し、村田はニコニコとドーナツから食べ始めた。
もちろんバレたら柳田権限により失格である。がんばれ、村田。
なんかカワイイぞ村田w
皆川「何でもありだなこの飛空挺。おかげで助かったが…」
セルフのガソリンスタンドで皆川は、パッソル=γウォルターウルフに燃料を注ぎながら呟いた。
青山と共にAブロックに向かって走行途中、燃料が残り少ない事に気付きうろたえたが、
飛空挺甲板上に資材運搬道があることを知り、それならば当然――と思い乗ってみたら、
皆川「ビンゴだったな。しかし、道路はあるし緑もある……」
ところどころに木々が生い茂る大草原に何処までも伸びるハイウェイ。
遠くには山のようなものまで見える。少々無機質ながら、のどかな田舎の風景。そんな感じだった。
ここが飛空挺の甲板上だと言われても信じられないくらいだ。
皆川「案外この艦の正体は浮遊大陸か何かなのかも知れないな」
馬鹿な考えだ。――しかしあながち否定も出来ない。そんな風に皆川は思っていた。
青山「み、皆川くん……」
よろよろと青山が皆川の方にやって来た。
皆川「どうしました青山さん?」
その様子を見て皆川は心配そうに声をかけた。
青山「すまないが先に行っててくれないか。もう尻が痛くて痛くて……」
皆川は路端の草を食む黒王号を見る。
無理もない――この飛空挺は一県ほどの大きさもあるのだ。
自分達の来たのはDブロックのさらに先、最後部からなのだ。
そこから正反対のAブロックまで、馬に跨って移動するなど無理がありすぎるだろう。
皆川「そうですね。現在地はBブロックとCブロックの中間、
まだ先は長いですから少し休んだ方がいいでしょう」
青山「悪いね。10分ほど休んだらすぐに行くから」
皆川「はは、もしかしたら俺一人で片付けちゃうかも知れないですよ」
皆川は言いながらパッソルに跨りエンジンをかけた。
青山「無理はするなよ皆川くん」
皆川「わかってます。じゃ一足先に…!」
パッソルは爆音と共にハイウェイの闇に消えていった。
青山は皆川を見送りながら、ふと気付いた。
青山「あーちくしょう。この馬置いて後ろに乗せてもらえばよかったんだ!」
青山は尻を擦りながら口惜しがっていた。
青山「いててて、いてー。ケツいてー」
よろよろとスタンドの休憩室に入るとベンチにうつ伏せに寝転がった。
青山「こんな所でゆっくりしてる場合じゃないんだが……」
しかし尻が悲鳴を上げているのだから仕方がない。
青山「いや、仕方なくはないか。こんな事ぐらいで根を上げてどうする」
青山は考え直し、すぐ皆川の後を追おうと顔を上げたとき、
テーブルの上に無造作に置かれた本に目が止まった。
青山「本?絵本か…?」
普段なら絵本など気にも留めない。しかし今の青山の意識はその本に強烈に引き寄せられていた。
その本のタイトルは『なまえのないかいぶつ』とあった。
青山「少し読んでみるか……」
その本を手に取るとパラパラとページをめくる。
――むかしむかしあるところに なまえのないかいぶつがいました――
――かいぶつは なまえがほしくてほしくてしかたありませんでした――
――そこでかいぶつはたびにでて なまえをさがすことにしました――
何の変哲もないただの絵本だ。青山はそう思った。しかし……
――ぼくをみて ぼくをみて ぼくのなかのかいぶつがこんなにおおきくなったよ――
その一説に青山の目は釘付けにされた。
その瞬間青山の記憶が全て思い起こされた。
それは皆川と共に見たエースNEXTチームの惨劇。壁に血で綴られた言葉。
そして自分が真実を聞かされてもなお、安西を憎む理由も――
出会っていた。出会っていたのだ!
あの時――皆川と別れた後。
真島に異次元に飛ばされる前。真島と対峙する前に――
そいつは通路の真ん中にただ佇んでいた。
金髪の美しい青年だった。
顔は覚えていない。確かに見ているはずなのだが覚えていない。
ただ金髪の美しい青年とだけ記憶にある。
ふいにそいつがメモ帳のようなものを取り出し、何かを書き始めた。
そして書き終わったそれを青山に見せた。
そこにはただ人の名前が書いてあった。
安 西 信 行
――と。
「彼」は何も言わなかった。だが青山には直感でわかった。
こいつを殺せと言うことだと。こいつはいらない人間なんだ――と。
バンッ!と絵本を閉じると青山は顔を上げる。
その顔は安西に対する憎しみに満ちて……
いなかった。
青山「そうだ、そうだったんだ。僕は正しかったんだ。
やっぱり安西は死ぬべきなんだ。早く安西のもとへ行かなくては」
青山はまるでこの世の全ての苦しみから解放されたような、晴れやかな表情を浮かべていた。
そして休憩室を出て、黒王号に跨る。
青山「待ってろ安西、すぐに殺してやるからな!」
黒王号は怪物に魅入られた青山を乗せ、闇夜のハイウェイを駆けて行った。
長谷川「おーい、こっちだこっち!」
長谷川がドッグの中で、富士原を呼び出す。
流石に所狭しとスーパーロボットや、小型戦艦が並んでいるのは、そうそう見れる物ではない。
富士原「・・・なにやら嬉しそうだな。」
富士原が長谷川の喜びように疑問を持つ。
長谷川「まあ・・・な。」
長谷川は、そう笑いながいう。
富士原「何があったんだ?」
長谷川「まず、仕事の量が減ったこと。」富士原「・・・・・・(←仕事の量が増えた人)。」
長谷川「そしてあの人の救出作戦の計画が纏まり始めたからな。」
富士原「あの人?」富士原が疑問に思って聞く。
長谷川「”黒いサザンクロス”の異名を持ち、伝説巨神の力を持ちし者。そしてかつて”皆殺し”とまで呼ばれし男・・・。」
富士原「最後でわかった。話は変わるが、ガイアーのランプが3つばかりついているんだが。あれは?」
長谷川「ああ、あれは地球破壊爆弾のカウント・・・・・って本気にするなよ。あれは聖石の覚醒具合がわかるランプだ。」
富士原「はあ・・・。」
長谷川「ところで四霊って言ってたけど、他のメンバーは?」
富士原「いたような、いなかったような・・・。」長谷川「おいおい。」富士原「ところで、お前はなんでゴッドハンドに?」
富士原の切り返しに、長谷川は工具を取りに行きながら言う。
長谷川「何もわからない人間には、ゴッドハンドも評議会もありゃしないさ。
俺は白紙の自分の目に映ったことを正しいと信じるよ。」
長谷川はそう言って、ガオガイガーの方へ向かっていく。
長谷川「さぁて!仕事仕事!」
169 :
旅景色INキャンパス:03/08/03 09:26 ID:F1rA46qs
「大学・・・か」
貞本は、大学にあまりいい思い出が無かった。
「何故こんな所に来たのだ?」
「ぼ〜っとしながら飛んでたらここに着いちまった・・・」
ここは、貞本の母校。最も、中退なのだが(リアル貞本がどうなのかは分かりません)
「何をしてる?」
現れたのは、ガチャピンのような顔をした・・・男?女?
「あのお、あなたはどなた?」
天野が尋ねる。
「私は、みずしな孝之。」
「ああ、あの大学4コマで有名な・・・」
その姿、隙だらけ。
(こんな隙だらけの人間、見たことねえ・・・)
「お前は何故ここにいる?」
「ここは俺の母校、と言っても中退だがな・・・」
「あんた、何かが足りなさそうに見えるよ。」
「なっ、何かとは、なんだ?」
「後悔しているように見える。それは、大学に関係してる」
170 :
旅景色INキャンパス:03/08/03 09:27 ID:F1rA46qs
隙だらけの男?は、何もかも見透かしたように、言う。
貞本は、恐怖に近いものを覚えていた。
みずしなの台詞は、意外なものだった。
「もう一度、大学に入ってみないか?」
「な・・・なんだと!?」
「あんたのもやもや・・・晴らせるかもしれない」
「だっ、だが、俺には目的が・・・」
「別に、毎日休みなくこいってわけじゃない。講義には出なくてもいいし、テストの時だけ出ればいい」
「しかし・・」
「私は、強制なんてしない。出来ないし。あんたが決めることだ」
「・・・俺は、入りたい。大学に」
「ほへぇ!!ホントですか貞本さん!?」
「余も入ろうかのう!」
「いいよ。みんな入りな」
大 学 入 学 決 定 !!
「貞本、何かが見つかるといいね」
「ありがとう。お礼をしたい、ぜひ」
「別にいいよ。そういうつもりで勧めたわけじゃないし」
「いや、ぜひ」
「それじゃあ・・・部屋の掃除をしてくれ」
171 :
作者の都合により名無しです:03/08/03 09:35 ID:GgNlHjhN
遠くからけものが吠えるような声が聞こえる。
いや、よく耳を澄ませるとそれは闘う男達の声。しかも3種類だ。
他者の試合を見物するのも悪くない、そう思ったひとりの男が、
風が吹く方向へ早足で歩いていった。荒れ狂う狼たちのもとへ。
男――橋本以蔵は≪親殺し≫の過去を持つ。
その血塗られた全身を、もはやさらなる血でしか拭い去れない男。
エリートの息子。嘱望された将来。優しい父。美しい母。平穏な日常。
その全てを――1本のナイフで切り裂いた憐れな男。
空手を知りナイフを捨てた後も・・・。
その瞳には尖った金属が、冷たい焔を纏い突き刺さっている。
瞳の中のナイフがひとたび炎を外に飛び出させた時。
橋本以蔵は、一羽の凶暴な≪軍鶏(シャモ)≫となる。
過剰なまでの自己防衛本能が、敵が死ぬまで闘いをやめない鶏に、彼を、変える。
橋本は蔓草を煩げに掻き分け、目的地へまっすぐ向かう。
思考は・・・ない。ただ本能の赴くまま、戦場の匂いを求めて歩を進める。
小高い丘に着き、眼前の光景を確認した橋本の目に、
全自動の撮影カメラや照明器具に晒された三匹の獣が見え―――・・・・
澤井「絶望のォォォひきつり濁った叫び声を聞かせておくれよ鈴木ィ!えなりィィッ!」
鈴木「ブァカ者どもがァァァァッ鈴木信也の漫画力は世界一ィィィィィィィィィィィッ!!!」
えなり「えなり2世容赦せんッ!!」
橋本は『見なかったこと』にしてその場を立ち去っていった。脳裏の片隅で澤井の生命力に感心しつつ。
思えば、チーム・タフの裏について色々調べるべきだった。
まあ、矢吹にしてみれば十人集は人材の多い方が良い。
前の十人集は、お世辞にも強いとは言えなかった気がする。
まあ、相手が黄金五聖人にも匹敵する荒木ならばしかたない気がする。
他の連中にも負けてたとも聞いた気はするが。
それは良い。だが、タフ連中には謎が多すぎる気がする。
まず、全員の協調性がとれていない。
休憩中なにやら話し合っているときも、いちいち棘がある話し方を取っていた。
まあ、格闘家ってのは協調性がとれない人種なのかもしれない。
次に、裏御伽を襲った時だ。なぜ裏御伽を途中で襲うことを止めたのか?
あそこまで、協調性の無いタフ連中が、何故か途中で戦うのを止めた。
つまりは、上に誰かいるのだ。それもかなりタフに関して重要な人物が。
そいつがタフ連中の動きを止めたのだろう。
そいつが誰だかはわからない。何故止めたのかもわからない。
高橋「まずは、目の前の戦いを征しなければいけないな。」
足下でサッカーボールをドリブルしながら、高橋は呟いた。
猿渡哲也は夢を見る。それは悪夢だ。寝ても起きても決して醒めぬ地獄。
その時に見た血だまりの光景が、男を闘争の修羅へと駆り立てる。
一一そう、全ては『あの時』より始まったのだ。男にとっての、地獄が。
それは、ひとりの男がすべてを失った、慟哭の刻一一
10年前一一
この『10年前』という時は、ほぼ全ての漫画家にとっても忘れ得ぬ、忌わしき刻である。
キユドライブ。
かつて、一人の漫画家の怒りと哀しみが生み出した、恐るべき惨劇。
そして、現在の終わりなき闘争の発端となった出来事。
誰もが知る悲劇の裏で、もうひとつの地獄が進行していたのだ。
当時、猿渡哲也は、青年誌『ヤングジャンプ』にて『高校鉄拳伝タフ』の連載を終了させ、
装いも新たに『タフ』の連載を始めようとしていた。
その時の彼は、格闘好きではあったものの、まだ闘争を好む鬼ではなく、
職場では理性的な人物、家庭では良き夫であり、良き父親であった。
順調に仕事をこなし、趣味の格闘を楽しみ、優しい妻と幼く可愛い娘に囲まれ、猿渡は幸せであった。
今の、この幸せさえあれば、なにもいらない一一猿渡はそう思っていた。
歴史の闇にうずもれた惨劇が、男を永遠の地獄へと歩ませる事になろうとは、
その時の猿渡はまだ、知る由もなかったのである。
上のレスは(71/350)です。
キユドライブが起こったその日、『ヤングジャンプ』の作家陣たちは、ささやかなパーティを開いていた。
理由はもはや、覚えてはいない。
とにかく、その日はひとつの場所に『ヤングジャンプ』の主な連載作家たちが勢ぞろいしていた。
宴たけなわとなった頃一一それはまさに『キユドライブ』が起きた瞬間であった一一事態は起きた。
目を灼く閃光、爆ぜる大気、燃える大地。地獄が落ちてきた。
ビルは瓦礫となり、赤黒い炎がすべてを覆っていた。
なにが起こった一一!?
状況が分からないが、とにかく、猿渡は他の作家たちを救助するべく動いた。
瓦礫を押し退け、燃え盛る炎の海をかきわける。
煉獄の火も、猿渡の鍛え上げられた肉体を焼くことは叶わない。
そして、彼は見た。
生き残ったわずかな作家たち。同じ雑誌で、苦しみも喜びも分かちあった仲間。
その仲間たちが、次々と五体を分断され、血の海に沈んでいく様を一一。
ある者は手足を切断され、ある者は首を刎ねられ、ある者は岩盤に叩きつけられて粉々になった。
猿渡は、眼前の光景が信じられなかった。
それなりに名の通った数多の作家たちが、操り人形の糸を切るように屠られていく。
しかも、その恐るべき殺戮劇を演出したのが、まだ20にも満たぬ、愛くるしささえ感じさせる、
ひとりの年端もいかぬ少女によって為されたなど、誰が信じられようか。
おおおおおッッ!!
気付いたとき、猿渡は少女にとびかかっていた。
百戦錬磨の漫画家が放つ、必殺の攻撃。
しかし、少女は自分に飛びかかる猿渡をつまらなさそうに一瞥すると……
「つまらんにゅ」
少女が一言呟くと同時、猿渡の頭部を、見えない何かが突き抜けた。
前回のあらすじ 『えなりは個性を覚えた。主人公らしさが3上がった。』
澤井「先手必勝!いくぞ、『聖鼻毛領域(ボーボボ・ワールド)!!』
普段は心の奥底にある『魂』を開放する空間を生み出す技。逆に魂を開放しなければ
精神が崩壊し死に至るという恐怖の一度破られた技なのだ!!
澤井「テメ〜〜ら、魂を開放しないと死んじまうぞーーーって、泥になってるよ、この人!!
いきなり澤井の目に入ってきたのは泥とかした鈴木の姿だった。
信也「泥のように眠るって言葉あるじゃないですか。なんつうか、泥になりたいんですよ。
でも、納豆も捨てがたいな。でも、本命は ウ ン コ か な。
澤井「何、この人。いきなり下ネタ?!
澤井哲夫、下を恥らうピーー才です。
信也「でも、ウンコなんて汚いですよね。今時はおウンコ様ですよ。丁寧かつ失礼がないよう。
澤井「ウンコに丁寧もくそもねぇーーよっ!!
信也「あ、今のギャグ?
澤井「うん、分かった?
信也「勿論じゃん(^o^)丿
澤井「それじゃ・・・・バビロン神の裁きを受けてもらろうか、この愚者が。
いつの間にか澤井の顔がウン・・・ゲフゲフ・・・チョコレート味のソフトクリームの色・形になっていた。
信也「おウンコ様降臨ーーー!!
横山「起きてください。CMですよちばさん」
ちば「う〜ん…ムニャムニャ
ヨコヤマ。
ケンタロー・ヤブキはパクリ呼ばわりが怖くないのか?
あいつは何度叩かれても掲載順位が上がってくる…
ケンタロー・ヤブーキ…
恐るべき男、ケンタロー・ヤブーキ…」
A「これではCMをやる事は出来ませんねぇ」
大友「ちっ仕方ねえ。今回は人大杉にも安心な2ch専用ブラウザの紹介だ。
パソコンの負荷も減って無料、試しにかちゅ〜しゃかギコナビで検索しな
ウイルスに感染してないかも自分で調べろ。」
モンキー「2chにも優しいからよ〜ろしく頼むぜ〜」
赤塚「何か微妙に不親切なのだ。」
永井「そういや赤塚、昔タモリと一緒にTVでSMやってたらしいじゃねえか?」
石川「画像は見つからなかったってあれか?」
安彦「そんな事はどうでも良い!!人大杉でもえなりスレを頼むぞ?ふはははは」
さいとう(何か忘れているような…)
??「この魔界医師がかすり傷1つ治せないとは面白い
実に興味深い症状だ」
?(誰・・か…助け…はう…)
ぐあッ!今、何が起こった!?ワシは、いったい何をされたんや!?
不可視の衝撃が頭部を貫き、猿渡は地に倒れ伏すと、それっきり動けなくなった。
顔面を真一文字に裂いた傷からは血が溢れ、鼻の気管を灼いた。
左目は漆黒の闇に塗りつぶされ、奇妙な熱だけを伝えてくる。
薄れゆく意識に、少女の呟きが聴こえてくる。
「ちっ、こいつ意外にやるにゅ。
本来なら見えないはずの私のベクターを、本能的に紙一重で、致命傷を避けているにゅ。
一一まあいいにゅ。所詮、年を喰った旧い漫画家ひとり。生きてた所で何ほどもないにゅ。
もはや、私とキユの行く手を阻む者は皆無にゅ」
猿渡は、少女の言葉の意味を、半分も理解することは出来なかった。
鼓膜と血錆びた記憶に残ったのは、『ベクター』『キユ』という2つの不可解な単語。そして一一
惨劇の現場に、ようやく救助が駆け付けた。
周囲は、物見高い野次馬や、作家の関係者などでごった返す。
群衆が口々に叫ぶなか、猿渡は愛しい者たちの声を聞いた。
「あなたー!いったいどこなのー!?返事をしてーーーッッ!!」
「パパー!パパーー!!」
ま…まさか……!! いや、まちがいない、この声は一一ッッ!?
自らの最も愛する者たち。かけがえのない者たち。自らの生そのもの。
「うるさい蠅たちにゅ」
少女の形をした怪物が、群衆に目を向ける。その目には、害虫を見るような冷徹な意思があった。
まさかまさかまさかまさかまさか!!
「汚物は消毒だ、にゅ」
やめろ一一ッッ!やめるんだ一一一ッッ!!やめてくれ一一一一ッッ!!!
刹那、愛の潰れる音を、男は聞いた。
そのとき、男の世界は、終わりを告げた。
猿渡「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!」
喉を突き破るような絶叫をほとばしらせ、猿渡は跳ね起きた。
全身が嫌な汗でずぶ濡れだ。
またか………
猿渡は、ひとつ息をつくと、タオルで汗を拭った。
猿渡がいる所は、<<非戦闘区域>>の仮眠施設である。
そこのベッドから、猿渡は全裸のまま起き上がった。
そのまま備え付けのテーブルに歩み寄ると、酒を満たしたグラスに入った、奇怪な物体を手に取る。
それは、なんと目玉だった。正確にいうと、義眼である。
アルコールで消毒していたそれを、猿渡は己の左目があるはずの場所一一今はぽっかりと空洞があるだけの場所一一にはめ込む。
そして、顔の疵を隠すように、飾り気のない眼鏡をかけた。
鏡に映った自分の顔を見ながら、猿渡は心中で自嘲する。
あれから、10年。それは『もう』ともいえれば『まだ』とも言える年月だった。
しかしながら、一人の人間を鬼へと変えるには、十分な時間だった。
結局、あの惨劇で生き残ったのは、俺を含めて、わずか数名だった。
たまたま出席していなかった高橋陽一を除くと、生存者は自分、奥浩哉以外に数人。
生存者たちは、その後散り散りになり、互いの行方など分からなかった。
高橋陽一が『チームハングリーハート』を結成したことも、
奥浩哉が矢吹に捕えられ『黒のコア』を植え付けられたことも。
そして、それ以外の者が、どのような生を生きたのかも。
猿渡がやったことは、己をより強く鍛え上げることだった。
あの時に味わった激痛、戦慄、怒り、絶望、哀しみ、そして……恐怖。
その全てを乗り越え、自らを苛む無力さへの憤りを消す為、猿渡は己が身体を酷使しつづけた。
それは、強くなる為の修練というよりも、己を罰する行為のように見えた。
すべてを失ってから、10年の刻が流れ、猿渡は変わった。
いや、かつての猿渡は死に、一匹の鬼が誕生したのである。
そして、現在。
復讐鬼と化した猿渡は、チーム・タフの現スポンサー、能条純一と出逢い、手を組むことになる。
目的は、ただひとつ。格闘漫画の最強を証明する?そんなものは建て前にすぎない。
現に、『格闘集団』の名の元に集ったチームメイト達は、各々勝手な目的の為に闘っている。
自分も、またしかりだ。すべては、あの悪魔を滅ぼす為。
10年前、自分が愛した全てを破壊した、あの女を闇の向こうから引きずり出す為。
岡本倫。奴を殺す為だけに、今の自分は生きている。
トーナメントに優勝し、あの女を自分の目の前におびき出し、殺す。
もはや、猿渡に残されたものは、ただそれだけであった。
岡本倫への怨念。それだけが、今の猿渡を突き動かしている。
猿渡「待っているがいい、岡本倫よ。どこにいようとも、必ず見つけだしてやる。
そう、たとえ地の果て、この世の果てにいようともな」
ドゴンッ!!
岩をも砕く拳が、仮眠施設の壁を、発砲スチロールのように破壊する。
見れば、その拳が小刻みに震えていた。猿渡の脳裏には、今もこびりついているのだ。
あの時に感じた、岡本倫への恐怖が。
猿渡「クク……俺は無理に恐怖を消そうとは思わない。
恐怖とは時に、人間をより強く、より凶暴にしてくれる」
己の中の鉄錆びた憎悪と怒りを再確認し、猿渡は服を着た。
そのとき、猿渡はふと、首に下げられたロケットを開いた。
そこには、優しい微笑を浮かべる妙齢の女性とまだ幼い女の子を写した写真が収められている。
写真を眺めたときだけ、猿渡の目が別人のように優しくなった。
猿渡「俺はおそらく、地獄に堕ちるだろう。お前たちの所へは行けないな」
呟き、ロケットを握りしめたときには、猿渡は格闘の鬼へと戻っていた。
球場の観客席
人の群れ
誰しも球場で行われている命さえもすり減らすような大激戦に酔い、会場中の人間がまるでえなりチームを応援する人間とチャンピオンチームを応援する二つの集合体になってしまったかのようなその中で一人の男がため息を洩らした。
「はあ・・・・畜生、やっぱ俺も出たかったなあ・・・」
その男の名は神崎将臣
ヤングマガジンアッパーズで鋼〜HAGANE〜の連載で、ある程度の知名度を得て、現在ブルーバッグという新連載を書いている漫画家だ。
「つーか板垣さんもなあ・・明らかに餓狼伝のほうが力入れて書いてる癖に、チャンピオンで出場するし・・せがわもいつのまにかどっかいっちまうし・・他の奴らもそれ聞いて逃げやがったし・・・なんだかなあ・・・」
神崎は深く嘆息した。
そして球場で戦う元ヤングアニマルの面々を見た。
「所詮マイナー雑誌、下手に雑誌のプライドなんか捨ててあいつらみたいに他のチームにいれてもらえばよかったのかなあ・・・」
と、本人たちが聞けば私刑(リンチ)確定な事をぼそりという。
「こんなことならガンガンの奴らに土下座してでも入れてもらえばよかった・・あいつらがあそこまで勝ち残るなんてよ〜くそっ!!」
あまりにも落ち込んでいる自分を見て、アシスタント達がこっそりこの決戦のチケットを取ってくれたのでなんとなくこの場にきてはいたが、これではまるで生殺しではないか
「あ〜もう誰でもいいから俺に戦う機会をくれ〜!!」
神崎はじりじりと燻る感情を抑えきれず思わず立ちあがり絶叫した。
しかしそれはちょうど大和田とZの血戦終了時だったので他の観客の叫び声に彼の声は掻き消された。
神崎はマジで泣きたくなってきた。
「畜生・・・・・」
ずるずると崩れ落ちるように席に座った神埼。
「やれやれ、面白い男だねえ君は・・」
その神崎の座る後から突然声が聞こえてきた。
球場の観客席
「誰だ!?」
その声に反応し素早く後を振り向き懐から大型のナイフを取り出し構える。
「ひいいっっ!?な、なんですかいきなり?」
だがそこにあったのは突然振り向きナイフを構えた彼に怯える普通の観客の姿だった。
「落ちつき給え・・・」
今度は再び彼の後方、つまり彼が今まで座っていた方向から声がした。
「なん・・・!?」
振りかえったその先の光景に、彼は思わず絶句した。
なんと彼のベンチの足もとのコンクリートの一部が奇妙に浮き上がり、人の顔を形成していたからだ。
「誰だよてめえ・・・・」
いきなり現れた怪物を見据え、彼は小刻みに震えていた。
怯え、ではない。彼の唇の両端は獲物を前にした肉食獣のように奇妙に釣り上がっていた。
「いや、誰でもいい・・感謝する・・・もう抑えきれなくなっていたところだ俺の中にぶち込んだDNAがよ!!」
そう言い捨て、神崎は完全に戦闘体勢に入ろうとした。
「やれやれ・・落ちつけといっているだろう、僕は君と闘いにきたわけじゃないんだよ」
今にも飛びかからんとする神崎を諌めるかのようにその物体はいった。
それを見て、神崎は歯軋りしてどっかりと席に座り込んだ。
「じゃあなんなんだよ!!とっとと用件をいえ!!」
癇癪を起こしたかのように喚くその姿を見て、その物体は不気味に蠢いた。
どうやら笑っているらい。
「僕は横山十傑集が一人、甲賀の山田風太郎。君を勧誘にきたのさ」
「誰だ!?」
神崎はその声に反応し素早く後を振り向き懐から大型のナイフを取り出し構える。
「ひいいっっ!?な、なんですかいきなり?」
だがそこにあったのは突然振り向きナイフを構えた彼に怯える普通の観客の姿だった。
「落ちつき給え・・・」
今度は再び彼の後方、つまり彼が今まで座っていた方向から声がした。
「なん・・・!?」
振りかえったその先の光景に、彼は思わず絶句した。
なんと彼のベンチの足もとのコンクリートの一部が奇妙に浮き上がり、人の顔のようなものを形成していたからだ。
「誰だよてめえ・・・・」
いきなり現れた怪物を見据え、彼は小刻みに震えていた。
怯え、ではない。彼の唇の両端は獲物を前にした肉食獣のように奇妙に釣り上がっていた。
「いや、誰でもいい・・感謝する・・・もう抑えきれなくなっていたところだ俺の中にぶち込んだDNAがよ!!」
そう言い捨て、神崎は完全に戦闘体勢に入ろうとした。
「やれやれ・・落ちつけといっているだろう、僕は君と闘いにきたわけじゃないんだよ」
今にも飛びかからんとする神崎を諌めるかのようにその物体はいった。
それを見て、神崎は歯軋りしてどっかりと席に座り込んだ。
「じゃあなんなんだよ!!とっとと用件をいえ!!」
癇癪を起こしたかのように喚くその姿を見て、その物体は不気味に蠢いた。
どうやら笑っているらい。
「僕は横山十傑集が一人、甲賀の山田風太郎。君を勧誘にきたのさ」
おい!故人出すなよ!!
がっくやぶりの すうまんばい やばいぜ
嘘、故人なの!?
やべえ知らなかった・・今すぐ修正します!!
みなさんすみません!!!
球場の観客席
人の群れ
誰しも球場で行われている命さえもすり減らすような大激戦に酔い、会場中の人間がまるでえなりチームを応援する人間とチャンピオンチームを応援する二つの集合体になってしまったかのようなその中で一人の男がため息を洩らした。
「はあ・・・・畜生、やっぱ俺も出たかったなあ・・・」
その男の名は神崎将臣
ヤングマガジンアッパーズで鋼〜HAGANE〜の連載で、ある程度の知名度を得て、現在ブルーバッグという新連載を書いている漫画家だ。
「つーか板垣さんもなあ・・明らかに餓狼伝のほうが力入れて書いてる癖に、チャンピオンで出場するし・・せがわもいつのまにかどっかいっちまうし・・他の奴らもそれ聞いて逃げやがったし・・・なんだかなあ・・・」
神崎は深く嘆息した。
そして球場で戦う元ヤングアニマルの面々を見た。
「所詮マイナー雑誌、下手に雑誌のプライドなんか捨ててあいつらみたいに他のチームにいれてもらえばよかったのかなあ・・・」
と、本人たちが聞けば私刑(リンチ)確定な事をぼそりという。
「こんなことならガンガンの奴らに土下座してでも入れてもらえばよかった・・あいつらがあそこまで勝ち残るなんてよ〜くそっ!!」
あまりにも落ち込んでいる自分を見て、アシスタント達がこっそりこの決戦のチケットを取ってくれたのでなんとなくこの場にきてはいたが、これではまるで生殺しではないか
「あ〜もう誰でもいいから俺に戦う機会をくれ〜!!」
神崎はじりじりと燻る感情を抑えきれず思わず立ちあがり絶叫した。
しかしそれはちょうど大和田とZの血戦終了時だったので他の観客の叫び声に彼の声は掻き消された。
神崎はマジで泣きたくなってきた。
「畜生・・・・・」
ずるずると崩れ落ちるように席に座った神埼。
「やれやれ、ほんと面白い男だなお前は」
その神崎の座る後から突然声が聞こえてきた。
「誰だ!?」
神崎はその声に反応し素早く後を振り向き懐から大型のナイフを取り出し構える。
「ひいいっっ!?な、なんですかいきなり?」
だがそこにあったのは突然振り向きナイフを構えた彼に怯える普通の観客の姿だった。
「落ちつけよ・・」
今度は再び彼の後方、つまり彼が今まで座っていた方向から声がした。
「なん・・・!?」
振りかえったその先の光景に、彼は思わず絶句した。
なんと彼のベンチの足もとのコンクリートの一部が奇妙に浮き上がり、人の顔のようなものを形成していたからだ。
「誰だよてめえ・・・・」
いきなり現れた怪物を見据え、彼は小刻みに震えていた。
怯え、ではない。彼の唇の両端は獲物を前にした肉食獣のように奇妙に釣り上がっていた。
「いや、誰でもいい・・感謝する・・・もう抑えきれなくなっていたところだ俺の中にぶち込んだDNAがよ!!」
そう言い捨て、神崎は完全に戦闘体勢に入ろうとした。
「お、おいちょっと待て!!俺だよ俺、せがわまさきだよ!!」
今にも飛びかからんとする神崎を見て、慌ててその物体―せがわまさきは顔を完璧に外気に晒し出した。
それを見て、神崎は歯軋りしてどっかりと席に座り込んだ。
「せがわ〜今更出てきやがって・・・!!何のようだ!!」
「だから落ちつけって・・・」
完全にダダッ子モードに入った神崎を見て苦笑しつつせがわは用件を切り出した。
「お前、横山様に仕える気はないか?」
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190 :
やまもと :03/08/04 09:16 ID:DwgYVgdo
「鳥山の魂って、どこにあるっぺ?」
やまもとは、今だに鳥山の魂を捜し求めていた。久米田が鬱になっているのも知らず…
「もす、そこん人鳥山先生の魂どこにあるか知らないっぺ?」
やまもとは、野球の観客に聞きまわっていた。
「うわ、なんすかあんた!」
「何このオッサンキモ―イ」
「近付くなオッサン。うぜえ」
「あのう…おじさん、臭いです…」
「死んでくれたらいいのに」
散々だった。
「なーんだべ最近のわけぇモンは!年長者への敬意ってモンが全くねえべやさ!!」
「あのう、お客さんの迷惑になるんで…出て行ってもらえませんかね?」
警備員だった。
「ひ・・・ひぃぃ!!すまねえっぺお巡りさ〜ん!!!」
やまもとは恐怖し、球場からチキンのように逃げ出した。
「…別に警官じゃないんだがなあ」
191 :
ゆで :03/08/04 09:16 ID:DwgYVgdo
「この国は恐ろしいっぺ…」
「あのう…」
「ああ!なんだっ…ひぃぃぃぃッ!!!?」
「ああ、そんなに怖がらないでください!僕はゆでたまごの片割れです」
やまもとは、矢吹と久米田以外の漫画家に会うと、過去のトラウマが蘇ってしまうのだ!!
「頼む…許してくんろ…漫画がつまらねえとか、秋田で働いてろよ、なんていわねぇでくんろ…」
「何を言ってるんですか、僕が聞きたいのは…」
「いんや!あんたはこういうっぺ!!“何故お前などがジャンプで連載出来たんだ?”と!!」
「やれやれ…被害妄想の強い人だ…仕方ない。こうはなりたくなかったけど」
ゆでは精神を入れ替えた。怒りの形態。
「てめぇ〜〜〜!!!!ふざけんじゃねえ!!フェイスフラッシュ!!!!」
「ひぃいひぃいひぃ…あれ?オラは今までなにを…」
フェイスフラッシュで、やまもとのトラウマは取り除かれた。
「ふう…この形態は疲れる…あなたのお名前は?」
「おっ!嬉しいっぺ!オラァやまもとかずやって言うんだっぺ!!!」
「やまもとさん…あなた、矢吹様の居場所を知ってますか?」
これは、本来ならばトップシークレットであろう。しかし、やまもとにそんな概念は無かった。
「実は、矢吹様の場所は特定できねえんだけども、久米田先生なら分かるっぺ!!」
「じゃあ、僕をそこに連れて行って頂けませんか?」
「ああ勿論いいっぺ!!それじゃ早速行くッぺ!!」
「宜しくお願いします」
やまもとは、自分がここに来た理由すら忘れてしまっていた。しかし、それはフェイスフラッシュによるものではない。
見えない学校の理科室にて、麻宮騎亜は、黙々と作業を続けていた。
幾つかのパーツに分かれた『双子座の聖衣』。
その一つ一つに、妖魔王の血液を染み込ませてゆく。
元々、聖衣には、血を好む性質が有るらしく、
妖気に満ちた血溜まりに浸された聖衣は、貪欲に、その滴りを吸い上げていった。
その様子を眺めながら、麻宮は、ある疑念を抱いていた。
このような手間をかけ、他者の力を借りなければいけないほど、
我らは脆弱なのだろうか――と。
これを自分たちで使うと言うならば、納得がいく。
だが、この計画は他者を操る事を前提にしている。
――それが無念だった。
確かに、十二使徒はその性質上、純粋な戦闘集団では無い。
戦闘が苦手な者も多く、総合的な戦力は確かに低いだろう。
だが、少なくとも自分には、ゴットハンドと渡り合う自信が有る。
恐らく、森野や田口あたりも、同じ考えだろう。
高田と大暮も、油断さえしなければ大丈夫なはずだ。
それと、十二使徒最後の一人。
彼もまた大妖≠フ名を冠す者、決して遅れは取らないだろう。
「それでも半分か…。」
溜息混じりに呟く。
確かに、これでは戦力が心もとないのも事実だ。
その上、ゴットハンドは、先の大戦の時よりも数が増えていると言う。
―――やはり、戦力の底上げが、必要か。
ふと、麻宮が我に返ると、何時の間にか双子座の聖衣が、星座の型に組みあがっていた。
妖魔王の血を、存分に吸ったソレは、闇色に染まり、妖気が立ち上っている。
気のせいか、デザインも、より先鋭化したようにも見える。
そして、マスク部分の双貌は、共に、邪悪な笑みを浮かべていた。
麻宮は知らなかった事だが、
聖衣は神≠フ血を吸う事によって『神聖衣』と呼ばれる物に進化する。
そのため、神に匹敵する力を持つ、妖魔王の血を吸った双子座の聖衣は、その力に感応し、
神聖衣と同等の力を持つ妖聖衣≠ニして生まれ変わっていた。
麻宮は、その生まれ変わった双子座の聖衣の余りの出来映えに、手放すのが惜しくなっていた。
――何とか、我らで、扱えないものだろうか。
そう考えながら、窓から外を見ると、無貌♀遂ア弘が、空手の型の練習をしているのが見えた。
1年前一一
それは、桜が咲き始めた、うららかなある春の日だった。
当時の俺は、仕事に行き詰まり、気分転換と静養を兼ねて、ひとりで旅に出た。
適当な手荷物を愛用のバイクに積み込み、ぶらりとツーリングの旅だ。
道中、あまりに気候が良かったので、このまま日本一周してやろうかと思ったくらいだ。
そんな事を思いながらの旅に出て数日後、俺はとあるドライブスルーに立ち寄った。
そこは都会からは外れた田舎であり、簡素な飲食店が数軒あるだけの寂れた場所だった。
バイクを停め、小さな喫茶店で一服しようとしたとき、俺の耳に甲高い悲鳴が飛込んできた。
「キャーーーッ!」「いや、やめてくださいッ!」「誰かあッ!」
悲鳴を挙げているのは、女子大生くらいと思しき、3人組の若い女達だった。
良く見れば、3人ともなかなかの美人である。
その3人をぐるりと取り囲んでいるのは、これまた絵に描いたように人相の悪い男たちだった。
「オイオイ、いいじゃねえかよお?」
「ちょこーっと、お兄さんたちと遊んでくれればいいんだ」
「震えちゃってよお、可愛いねえ!キミタチ、おウチどこお?」
不良というよりは、すでにチンピラヤクザの域に達している男たちだった。
人数は8人。そろって体格が良く、荒事慣れしている雰囲気があった。
中にはエモノを隠し持っている者もいる。
周囲の者は男たちの剣呑な空気にすっかり怯えてしまっており、助けが入る様子もない。
ほっとくワケにもいかねえか。やれやれ、仕方ねえな。せっかくの休みだってのに一一
つくづくトラブルに縁がある自分の性分に悪態をつきながら、助け舟を出すべくチンピラたちに歩み寄ろうとした、そのとき。
「オイ、困ってるか?」
突然、不思議な笑みをたたえた男が、哀れな女たちに声をかけるのを、俺は見た。
くたびれたシャツとズボンを身に着けた、小柄な男だった。
身長は、170センチ強といったところだろう。パッと見、一般人と大差ない。
男はとぼけたような、人を喰ったような笑みを浮かべたまま、チンピラ達の方へ近寄っていく。
「困ってるのか?」
チンピラを目の前にしても、なお変わらぬ笑みで男が言った。
「お願いします!」「助けて!」
女たちは、男の雰囲気に戸惑ったものの、藁にもすがる気持ちで救いを求めた。
すると、当然のように、チンピラ達の表情が、一層剣呑なものに変わる。
「なんだあ、このチビ・・?」
「いっちょ前に、女の前でカッコつけようってかあ、このマヌケヤロー?」
「回れ右だ、コゾー!オラッ!」
口々に脅しにかかるチンピラだが、当の男はどこ吹く風で、女たちに質問する。
「なあ、金持ってるかい?」
男の質問の内容に、俺は呆れた。助ける替わりに、いきなり金の無心とは。
「え、ええ、助けてもらえれば、お金はいくらでも・・・」
女の子のひとりがそう答えようとすると、男はとぼけた声で、
「あん?そんなにいらねーよ。ここの支払いだけしてくれりゃいい」
そう言って、さっきまで自分が座っていた席を指差す。
そこには、ものすごい量の食器が、山と積み上げられていた。
「いや、金持ってないのに気がつかないで、ちょっと食べ過ぎちまってさ」
頭をかきながら言うと、男は女の子たちを庇うように、チンピラたちの前に立つ。
「8人か。飯代にはちっと足りないかも知れないけど、色つけといてくれ」
細い目で女の子に目配せすると、交渉成立とばかりに、男は改めてチンピラ達と向き合った。
男を見るチンピラ達の表情が、怒りに染まる。たちまち腐った殺気が辺りに充満し始める。
「勇気あるな、ヒーロー?よーしよし、んじゃ、表出ようかあ?」
小柄な男と、大柄なチンピラ達。誰もが、小柄な男の、悲惨な運命を予想しただろう。
そんな中、俺だけは興味を惹かれるように、事の成り行きを見守ることにした。
この男、おもしろそうだ。
大学はいいところだ。
俺は、中退して20余年、俺はようやくそのことに気付いた。
入りなおさなきゃ気付けないなんてな…
「どうしたんですか貞本さん?」
ヒョコっと現れたのは、天野さん。彼女も入学したのだった。
「私、大学は行かなかったのでこの雰囲気にイマイチ慣れないんですよねぇ」
「俺も一回目はダメだったし、天野さんならそのうち慣れるよ。俺より順応性ありそうだし」
「貞本!!人文の教室はどこだ!?」
木村も現れた。邪魔しやがって。
「そこの曲がり角を曲がってすぐのとこ」
「よし!分かったご苦労!!」
・・・・・・・キャーーーーーヘンタイーーーーーーー!!!!!
「貞本!!殴られたぞ何故だ!!」
「だって女子トイレだもん」
「しれっと答えよって…いいもーん!貞本なんて仲間外れにしてやるもーん」
「何の?」
「お前ら楽しくやっとるかあ!?」
関西弁のちっちゃい男がやってきた。
「どちら様です?」
「嫌やなァもう忘れとんの?俺や!みずしなや!!」
何か、この前は違うキャラだった気がするがまあいいや。
木村は人文の教室に向かった。三人は庭のベンチに腰を下ろす。
「大学はええやろう?」
「そう言うけど、みずしなさんちっとも講義に出ないじゃないですかー」
「ま、まあそう突っ込むな天野!で、どうや?」
「いいですね、昔は分からなかったことが見えてきました」
「分からなかったこと?」
「昔はぬるま湯だったんです、ここが。物足りなかった。俺はこんなところで何をしてるのか、ってね。
でも、今は、そのぬるま湯が楽しいんです。つらいことが多かったから…しばらくは、ここで浸かっていたい。」
「大学っちゅうのは、俺に言わせりゃそんなモンやな。人生の避暑地っつうかな。」
「あー!!恥ずかしいセリフだあ!!」
「うわっ!!今の取り消しや!!」
ははははは・・・和やかな、雰囲気だった。
「ぬるいな、貞本」
その男――台風の目――は突然現れた。
「誰だ?」
「俺はいがらし…いがらしみきお」
「えっ…!!」
業界の人間なら、知らないものはいない大天才、いがらしみきお。
その男が、何故大学に?
「お前は知っているんだろう?伝説のアーティファクトを…」
「…それが?」
「それが?だと…!!ぬるい!!ぬるいな貞本!!手に入れれば世界の覇権を手にするも同然の
アーティファクトを、何故に獲ろうとしないのだ!?」
「おいおい、あんたそんなに暑く…」
「部外者は 黙 れ ! ! ! ! 」
この男、空気を変える!!この力…!!!
「ううっ・・・!!!」
「あっ…!!」
貞本以外は、力に耐えられない。
「止めろ!!この平和な大学で、そんな力出すな!!!」
この男…ゴッドハンドクラスか!?
「止めて欲しければ、オレと来い」
「…嫌だ」
オレは…ッ!!
「俺はこの生活を保ちたい!!」
「じゃあ、どうしたらいいかなあ…そうだ、この大学を吹き飛ばしてあげようか?お前が、多少好意を
持っていると思われるその女や、そこの関西弁…おや、殺しても死なないギャグ作家もいるようだが…この男も必要だな。核だ」
「!!!!」
「来る?別にどっちでもいいよォ」
ふざけてる…狂気。いがらしの裏か…
「…分かったよ、行く」
「それでイイ…ちょっと待ってな、向こうの不死も連れてくるから」
「貞本さァん…」
「ゴメン、怖い目に会わせて…」
「ううん、貞本さんのせいじゃない…それより…」
「…それより?」
「私も、あっちに行きたい」
「・・・・」
シュンッ いがらしが戻ってきた。木村を抱えて。
「余を食べてもおいしくないぞ〜〜!!」
「お前には、核となってもらうよ…さあ、行こうか、貞本。」
「…じゃあ」
貞本は、天野に最後の別れを告げる。
「カナンへ…!!」
シュンッ!! いがらし達は、消えた。
残ったのは、魂の抜け殻のような、天野。
そして、ぼ〜っとしつつも
(すごい展開や…)
などと考えていたみずしなだった。
なにやらバタバタと忙しいガンガン陣営。
ひとり放っておかれた印象の闖入者、松沢夏樹はひとりカレーを食べていた。
さっきまで木村が独り占めしていたのだが、どうも行方不明になってしまった。
大方カレーの神様に食べられてしまったのだろう。松沢はそう結論づけておいた。
と、大事な用事を思い出す。自分が持ち込んだ≪無敵同人戦艦無礼ド≫の事だ。
「いっけな〜い!そろそろエネルギーが切れて墜落しちゃうー。夏樹ちょっとおドジさん」
ややキャラを壊しつつ、矢吹巨大戦艦の真上に待機させている無礼ドに戻った。
≪無礼ド≫の原動力はいわゆる魔法エネルギーである。
魔法力を持つ人間を2名以上乗り込ませ、専用コネクタを背中に装着し、
そこから運営用と魔法砲弾用の魔法力を戦艦に流し込み動かす仕組である。
現在は特に派手に動かす予定もないので、とりあえずアシ数人を回してあるが、
さすがにバッテリー代わりにしかならない。今夜中は持たなさそうだった。
(ホントはカムイ先生のMPをもらいにこっち来たんだけどなー。
まーあんだけ苦労したヒトにこれ以上ムチャさせたらカレー神に食べられちゃうし(?)。
あたしゃカレー食べたし栄養満点!さーさっさとエネルギー注入させましょー)
ブリッジに上がった松沢はアシと交代し、背中にコードを刺して精神統一を始めた。
うーんうーんと唸りながら無礼ドに燃料を補給させる。その間さっきまでいた控え室の事を思い出す。
(・・・もしかして、安西君と金田一ちゃんって・・・まさか、いやしかし・・・あの雰囲気は・・・)
ふと脳裏をよぎったのは微妙な雰囲気のふたり。なんつーか、青春の匂いゆーか。
(・・・ええーっと、な、なんだかうらやましいっつーか・・・い、いかん・・・オイラの・・・に・・・)
なにやら松沢の様子がおかしい。忍者仮面の皮が、ゆっくりとはがれてゆく。
(・・・オ、オイラの前にアベックを・・・アベックを見せたらアカンのや!アベックを・・・アベ)
脱皮した皮の中から、別のマスクを被ったレスラータイツの男。瞳に宿った≪嫉妬≫の炎。
(アベック・・・・許さん!なんたる屈辱!俺が・・・世界中のモテない男に代わって・・・)
ゴゴゴゴ・・・・!!無礼ドにさっきまでとは比べ物にならない質量のエネルギーが送られる。
「この・・・この『しっとマスク1号』が世界中のカップルに天罰下してくれるわァァーーーーーーー!!!!」
松沢夏樹は伝説の(独身男だけの)ヒーロー『しっとマスク』に変身した!!
♪男が嫉妬に燃えるとき しっとマスクを呼ぶ合図
素顔は誰だか知らないが しっとの心を仮面に隠し
しっとパワーの炸裂だ(オー) しっとビームはアベック倒し
しっとファイアーはアベック焦がす 行くぞ我らのしっとマスク
もてない男の希望の戦士 しっとマスクはしっとの王者♪
「(カラオケ)ゆーくぞーーーわれーらのーしーーっとーますくーーー♪」
――戦艦無礼ドのエネルギーが1000%補給された!!無礼ドはレベルアップした!!――
3分後、カスカスの抜け殻になった松沢夏樹が艦内エアコンの風にひらひらと飛ばされていた。
203 :
おまけ:03/08/05 17:40 ID:sD+Ljv28
〜CM〜
「という訳でよい子のみんな!我が【しっと団】に入らないか?今ならカレーも付くぞ。
クリスマスとバレンタインは我らのハルマゲドン!!みんなでレッツハルマゲドン!」
カムイ「・・・やめときなさい」
修羅だ。
男の動きを見て、俺が第一に思い描いたイメージがそれだった。
今までに見た事のある、いかなる技術体系とも異なる格闘術。
その足が地を離れたかに見えたときは、相手は血の海に沈んでいた。
その拳が霞んだかに見えたときは、相手は地獄の苦痛の中で悶絶していた。
投げが、関節技が、チンピラ達に爪をかけたのは、瞬く程の刹那だ。
男の動作は、わずか数呼吸。それも、ひとつひとつがあり得ない程に迅い。
その速度、まさに電光石火。その所業、鬼を喰らう修羅のごとし。
俺以外の人間の目には、男がチンピラ達の脇をすり抜けるや、チンピラ達が同時に崩れ落ちたようにしか見えなかっただろう。
強い。これ程の凄腕が、俺の知らない所にまだいるとは思わなかった。
こういう時、つくづく世の広さというものを再認識させられる。
柄にもなく感心していると、その男がこちらに近付いてくるのが見えた。
助けられた女たちがしきりに礼を言っているが、男はすでに興味もないらしい。
一歩、距離が詰まるごとに感じる、戦慄。
オイオイ、なんのつもりだ?
そう思っていると、男は手を伸ばせば届く距離にまで接近し一一
……そして、俺の横を通り過ぎて行った。って、帰るだけかよ。
「オイ、強いじゃねえか、お前!」
我知らず、俺は男に声をかけていた。男が怪訝そうな顔で振り向く。
それには構わず、俺は一方的に話をつづける。
「俺は、本宮ひろ志。漫画家だ。おまえは……?」
すると、男はかすかな微笑を作ると、言った。
「川原正敏。アンタと同じ、ただの漫画家だ」
福本「ん・・・?」
島本と話していた福本は、ちらりと手元のノートパッドを見る。
福本(なんだ、MONSTERに与えていた防衛任務が働いただけか。)
島本「どうした?」
福本「いや、なんでもない。私事だ。」
島本「???」
福本(あそこには、あれがある・・・。ゴッドハンド、妖魔王、評議会、さらにはKIYUでさえも瞬時に消去される兵器・・・。)
そこまで考え、一度顔を上げる。
福本(Cブロックで使われている悪魔の兵器の量産工場!それを知っているのは私と矢吹だけ・・・。
しかし、矢吹にあれを使えるかどうかわからない・・・。あのような武器は・・・。)
そう言って、福本は考えを止める。
福本(まあ良い。それは後々考えることにしよう。)
悪意の固まりでさえ、道具の一つとしてしまう。この男の業は深い。
川原との初めての出逢いから数十分後一一
俺と川原は、別の店にて、共に飯を喰っていた。俺が奢ると言ったからだ。
これがまた、よく喰う。さっきあれだけ喰ったばかりだってのに、その量は俺と互角だ。
胃袋の底が抜けているのではないかと思うほどの、大食漢だ。
この小さな体のどこに、これだけの食糧が入るのやら。
「ふう、ごっそさん」
すっかり満足したらしい川原は、のどかにくつろいでいた。
こうして見る限りでは、これがあの鬼神と同一人物だとは、到底信じられない。
何も考えてそうに見えて、その裡では様々な思考が渦を巻いているような気がする。
そうかと思えば、やはりただの馬鹿かも知れない。とにかく、飄々としてて真意が全く読めない。
こんな男は、俺の人生の中でも初めて見る。そのあたりが、俺の興味を惹いたのかも知れない。
そんな事を考えていると、ふいに川原が話しかけてきた。
「アンタの漫画、見たことあるよ。面白いな、アンタの漫画は。見ててスカっとする」
「へえ、そいつぁどうも」
このような讃辞を口にするようなタイプとは思わなかったが、とりあえず相槌を打っておく。
だが、川原は思わぬことを続けて言ったのだ。
「……だけど、アンタはまだ本気じゃない。アンタの本気はあんなもんじゃないよ」
なんだと?俺が、本気で描いてない?なにを言っている、こいつは?
俺はいつだって、仕事に全精力を、人生をかけてきた。
かすかに憤りを覚えたが、なぜかそれが口を割って出ない。
バカな、なんで俺は、こいつの言葉を否定できねえ。
確かに、若い時の、あのギラギラしたものは随分と薄れてしまったかも知れない。
思えば、今の俺は、随分と丸くなったのかもな。
一方で、そんな考えも浮かんでしまう。俺の中に生じた、かすかな迷い。
それを見透かすように、川原は言った。
「“本気”にさせたいねえ・・・」
川原の顔に、あの時の修羅が浮かんでいた。
あてもなく暗がりの中の、丘の頂をせっせと登るひとりの男。
上から眺めれば見えない物も見えると判断したのだ。
森田まさのりは、野球審判の疲れも見せずに元気に歩き回っている。
右手には金属バット。左手には携帯モバイル。
多少危なっかしい足取りだがなんとか荒れた岩肌に順応している。
「うお〜!こりゃあ絶景だなーっ!」
本当に嬉しそうに、森田はパノラマの風景をぐるぐる見回す。
やっとこ見晴らしのいい場所に出たと思ったら、そこは突き出した崖の上。
戻るには今来た道を戻るしかないが、それでも気分は高揚していた。
きらきらと眩しくまたたく星々は、まるで自分を祝福してくれるようで。
森田は気が収まらずにその場で素振りを始めだした。
周りに敵がいないことがわかっているので余計に気が大きくなっているのだ。
わはははなどと高笑いしながら、ぶんぶんぶんと大振りをくり返す。
・・・ちなみに野球、実はそんなに詳しくなかったりする。よく漫画内でルールも間違えたし。
森田は後先考えず豪快にバットを振り回し・・・
すぽーん。ぴゅー。
崖の彼方へぶっ飛ばしてしまった。
「うげ!やっちまったぜ〜!こうなりゃ崖を飛び降りる!!」
脊髄反射で崖から身を躍らせた。ガコガコガコガコ。傾斜60度を駆け抜ける奇跡の足音。
しかし真の恐怖はこの後にあった。バットは無情にも―――
≪非戦闘区域≫内にギリギリ突入していたのである。モバイルの警告音には気づかなかった・・・。
ぶいーん ぶいーん ぶいーん
『違反者ブルーバンダナ10時の方角よりイエローからレッドへ。距離500メートル。
スーパーメカ2号緊急起動せよ。スーパーメカ2号≪虎馬 夢太郎≫起動せよ!!』
1号≪満賀 掛内≫に続く悪魔の超兵器―――動く。
ガサガサとつる草をかき分け、森田まさのりは知らずと地獄の扉を開けてしまった。
キョロキョロとバットを捜すが、自分の周辺がいやに明るい事に程なく気づく。
ふと前方を見渡すと・・・そこには鬼をかたどったと思われる奇妙な鉄の塊。
いやそれこそがメカ2号“トラウマ埋めたろう”虎馬夢太郎君であったッ・・・!!
「違反者、レッドゾーン完全侵入!敵対の意思ありとして攻撃の許可を与える!!
≪虎馬 夢太郎≫波動バズーカ構え!敵を殲滅せよ・・・ファイヤーーーーー!!」
ヒマなので何故かメカに乗り込んでいた安永航一郎が声高らかに先鞭を切った。
事ここに来てようやく事態に気づきメカに背を向ける森田――そこに光の波が炸裂した。
「あぎゃああぁあ!!何しやがっちゃっ・・・たられらぁぁ〜〜〜!!?」
森田が目玉をひん剥いて草むらにどうっと倒れ込む。そしてそのまま、眠りについた。
「・・・ぬ?このロボピッチャは相手を眠らせるだけなのかな?つまらんのー」
他人事なので呑気な安永。しかし夢太郎の背中に張り付いていた取説シールを見て納得。
「Aボタン・・・【締め切り直前に真っ白な原稿に囲まれる夢を見させる】ほほーう。
んでBは【絶対の自信作が丸々リテイク(描き直し)食らう夢】か!こりゃすごい。
えーとCは【ファンからもらったチョコレートを食べたら中から×××の×】・・・うげ〜」
以下ボタンの組み合わせで128通りにもなる≪トラウマな夢≫の、どれを森田は見てるのか?
それはテキトーにいくつもボタンを押した安永にもわからなかった。
やがて種類を判別すると、「あー、こりゃ死ぬわ」と安永は事も無げに宣言した。
「横山様、ねえ・・・」
その名前を聞いて神崎の表情が変わった。
「やれやれ、どこをふらついているのかと思ってたら、いつのまにかゴッドハンドの犬になってたってわけか」
「ふん、なんとでもいえ、俺はようやく俺が仕えるに相応しい主人を見つけたのだ」
「主人・・そういや横山十傑集の枠が最近二つ空いたな、そこに俺とお前が埋まるって寸法か?」
「察しがいいな、その通りだよ。あの御方ならばお前の闘争心を満たす場を必ず提供して下さる。悪い話ではないだろう?」
「なるほどね・・」
腹の探り合いのような会話をしながらしかしせがわは神崎の体の中からマグマのように闘気が噴出してきているのを感じていた。
「横山十傑集か・・おもしれえ、おもしれえじゃねえか・・くくくっ、ははっ、あははははは!!!」
闘争心を抑えきれない、そんな感じで神崎は勢いよく立ちあがりけたたましく笑い始めた。
「ばっバカ!!静かにしろ!!」
そんな神崎をせがわが一瞬送れて必死で止めようとする。
なぜなら今は守備と攻撃の交代の時間。
周りの観客は全員席に座り休憩の真っ最中なのだ。
いきなり立ちあがり奇声を発し始めた不良中年、そしてその足元で腰から下をコンクリに埋めた全裸の男
本人達に自覚は無かったが、絵的にかなりまずい状況である二人は一気に周りの注目の的となった。
「やだーなにあれ、変態?」
「男と男って本当にあるんだ・・気持ち悪〜」
「ねーねーおかあさん、あのひと・・「しっ、みちゃいけません」
「わたししってるよ、あれってえすえむっていうんでしょ?」
「ばかっ、そんな言葉どこで教わってきたのこの子ったら!」
周りから聞こえるひそひそ声に対して神崎は強かった。
「うるせーてめえら!!俺はラストオブアメリカンヒーローだぞ!!俺を尊敬しろ!!!」
大量の観客を相手に怯むどころか寧ろ自分からさらに視線を集めようとするかのごとく椅子の上に立ち観客に逆に罵声を飛ばしたのだ。
今の今まで漫画家なのに誰からも声を掛けられず、闘いにすら参加できなかった男の悶々がついに爆発した瞬間であった。
>>188の続きが209ということです。
なんかおかしな表示になったので念のため。
瞬間、空気が張り詰めた。マシンガンの銃口を突き付けられる方がまだマシ一一そう思わせる程の鬼気が顔を叩く。
身を凍らせるような戦慄の中、俺は久々に、胸の裡に熱い滾りが生じるのを実感する。
「いやあ、世の中すてたもんじゃない……おもしろいやつはいるもんだなあ」
気付いたら、俺は笑っていた。見れば、川原もまた、今の殺気が嘘のように笑っている。
本当におもしろいやつだ。そう思っていると、川原が言った。
「海を見に行かないか」
さらに数十分後。俺達は海岸にいた。泳ぐにはまだ早い季節の為、他に人はいない。
しばらくの間一一数十分か、数時間か一一とにかく黙って海を眺めていた。
「海の力ってのはすげえもんだ。普段は茫洋としてても、嵐とのなれば、そりゃあもう身が震える。
俺も一時期、漁師をやってたからな。それがよく分かる」
これは俺の台詞だ。川原もまた言う。
「俺も、昔は商船専門学校ってのに通ってたんでね。海ってやつは好きだ。いくら見てても飽きが来ない」
それからさらにしばらくすると、ふいに川原が背を向けて去ろうとする。
「もう行くのか」
「ああ、仕事がたまってるんでね。そろそろ戻らなきゃならない」
川原がそう言った。そして、俺もまた、自分がするべきことを思い出す。
「俺はもう少し海を見ていく。じゃあ、縁があったらまたな」
俺がそう言って手を振ると、その手に金色に光る小さい何かが手渡された。
「……なんだこれ?」
「そいつは、“金璽”だ。それを持つ者には、俺は持てる全ての力をもって合力する。
短い間だったが、俺はアンタが気に入った。だから、そいつをやる」
川原は言った。
「俺の力が必要になったときは、いつでも言ってきてくれ。
そうすれば、俺は必ずアンタの力になる。そして、絶対に裏切らない」
「なぜ、俺にこんなものをくれる?何の見返りもなしに」
「アンタが気に入った。そう言ったろう。理由なんてものは、それで十分だ。ただ一一」
「ただ?」
「俺といつか“本気”で闘ってくれ。あえて言うなら、それだけが俺の望みだ」
屈託なく笑って言うと、ヤツは風のように去って行った。
これが、俺と川原の最初の出逢いだった。
現在。ふと、俺は追憶から舞い戻った。
ここは<<非戦闘区域>>。
休憩中とはいえ、戦闘の真っ最中にこんな昔のことを思い出すとは。
俺も年を取ったな。そう思った。
ふいに、俺は首から下げた鎖に目をやる。その先には、あの時の“金璽”がぶら下がっている。
俺は、あの時のヤツの言葉を反芻する。
「俺の力が必要になったときは、いつでも言ってきてくれ。
そうすれば、俺は必ずアンタの力になる。そして、絶対に裏切らない」
ヤツは別れ際、確かにそう言った。その事を俺は今でも覚えている。
だからこそ、裏御伽を結成する際、ジャンプ勢の中にマガジン出身者を入れるのを頑強に拒んだ、
岡野と真倉の反対にも耳を貸さず、川原をチームのメンバーに加えたのだ。
それがどうだ。
奴は、あっさりとチーム・タフに寝返り、今や最強の敵として俺たちに牙を剥いている。
岡野と真倉は、「これだから他社のヤツらは信用できない」と言い、
にわのは頻りに混乱して、唐突にもんが〜ダンスを乱舞し始め、
岡村も複雑な心境を隠し切れない様子だった。
男同士の約束の証であったはずの“金璽”を握りしめ、俺は煩悶する。
なぜだ、川原。裏切るつもりなら、おまえはなぜあんな約束をした。
俺と“本気”で闘う。たったそれだけの為に、おまえは俺の信頼を裏切ったのか?
いや、違う。違うはずだ。あの時、俺の目に映ったお前は、そんな男だとは思えなかった。
男の信義を裏切る、そんな男ではないはずだ、おまえは。
俺には分からない。川原よ、おまえはいったい、何を考えているんだ。
「川原・・・おまえは本当に俺達を裏切ったのか・・・・」
その呟きに答える者はない。
無情の月だけが、悩む本宮を冷たく照らすのみである。
えっと、上のは(83/350)です。ミス、失礼しました。
マコリン(*´A`*)
カナンに到着した。相変わらずのジャングル。
「“核”はともかくとして、お前には、このビジョンをインプットせねばな」
いがらしの手が青白く光る。それは、神秘的な輝き…
その手は、貞本の額に当てられる。
「何を…!?」
「痛くないから…」
これは、なんだろう
数え切れない程の人間が、戦っている
アーティファクトバトル。人間には到底不可能な動き
やがて、全ての人間が倒れる。生き残らない?誰も?
いや、正確には、いた。ただ、それは人間に見えない
「目」とでも言うべきか
無慈悲なまでの力。敵わない
新たな人間が現れた。赤い衣服を纏い、剣を手にしている
刃先から三つ矛の槍状の光が放たれたかと思うと、「目」を消し去ってしまった
そうか、そうかこれが…
過去の記憶は巡り、現実へと帰依する。
「見たか?」
「『目』と、三つ矛の槍…」
「アーティファクト レッド」
「あの、赤い布のことか?」
「そう、理解が早くて助かるよ」
「『目』は、あれほどに強かったのに、一瞬で消されてしまった」
「あれは、この遺跡の中に眠っているのだよ!!どうだい?」
「…怖い」
「怖い?それは何故かな貞本君?」
「あの力は、怖い。あんなものを手にしたら、世界が終わってしまう!」
「終わるんなら終わればいいさ」
「そう来ますか…」
「これで壊れるのなら、世界はその程度ってことだろう?なら壊れればいいさ」
「あんた…狂ってるよ、いがらしさん」
木村は「核」のくせに話しに混ざれなかった。
218 :
到着:03/08/06 15:05 ID:puEpXawL
にわかに混沌の様相を呈するAブロック。その中を、黒鹿毛の駿馬が疾駆する。
それを駆る一一というよりしがみついてるというべきか一一のは銀色の髪の男、安西だ。
安西は、駿馬?T松風?Uと共に駆けながら、先程の闘いに思いを馳せる。
安西(原と山原……どっちもとんでもない手練だった。
少なくとも、今の俺じゃあ、歯が立たない。
俺も命がけの修行とかして、ちったぁ強くなった気でいたが……とんでもない自惚れだったぜ)
だが、心中とは裏腹に、安西の顔には笑みが浮かんでいる。
安西(上等だ。俺は、必ずアンタらの立つ場所に追いつき、そして超える!
じゃなけりゃ、?Tあいつ?Uには勝てねえ・・・・・)
安西の脳裏に浮かぶ、忌わしき影。?T妖魔王?Uと名乗った、少年の形をした怪物。
あの文字通りの化物を倒すには、自分はさらに強くならなければならない。
決意を新たにする安西。そこに、片倉が話しかけてくる。
片倉「しかし安西。順当に行けば、俺たちの次の相手は、あの原率いるチームやぞ?
準決勝までは、たった2日しかない。それで、俺ら勝てるか?」
安西「そうだな。もっとも、あの矢吹のことだから、単純にAvsB、
CvsDの代表同士を戦わせるかどうかは疑問だけどな。もしかしたら、
くじ引きでランダムに組み合わせを決めるってのもアリかも知れねえ。
ただまあ、どこと当たるにしても、相手は原クラスだろうけどよ」
片倉「……厳しい戦いになりそうやな」
安西「ああ、だが俺たちは負けねえ。絶対に、この大会に勝ち抜いて、矢吹を倒す」
そのとき、前方にAブロック医務室が見えた。
安西「! ?T松風?U、ちょっと止まってくれ!!」
言うと、すかさず?T松風?Uは停止した。完璧に人語を解しているようだ。
巨馬の上から、ひらりと着地すると、安西が松風の首筋をそっと撫でた。
安西「ありがとな、松風。もういいから、主…いや、友達のとこに戻ってくれ」
安西は、原に言われた通り、素直に馬に頭を下げた。
それを見た松風は、気のせいか、多少驚いたような顔をした……気がした。
松風は、ブルル…と上機嫌でいななくと、そのまま元来た道を引き返していった。
片倉「どうやら、ここには真島はいないみたいやな」
医務室に辿り着いた安西と片倉。片倉が周囲を見渡して、言う。
安西「だが、まだあの莫迦の気配が漂ってる。ちょっと前にヤツはここに来た。
それが、なんらかの原因でこの場を去るしかなくなった……」
片倉「車田やな。あいつが真島をどっかに連れ出したんやろ」
安西「この近くで戦いに適した場所は……Aブロック決勝会場だな。たぶん、あいつらはそこにいる」
そう言うと、安西は医務室の扉を開けた。
片倉「あん?すぐに行かなくてええんか?」
安西「せっかくだから、念の為に、中を確認するだけだ」
胡乱な片倉の問いに答えると、安西は医務室の扉をくぐる。
中では、複数の医者や看護師らしき連中が、なにやら忙しそうに働いていた。
いくつも並んだベッドには、何人かの患者が寝ているのが見える。
安西「ふう、どうやらここは無事だったみたいだな。それじゃ、真島のとこに行…!?」
医務室の安全を確認して部屋を去ろうとしたとき。
安西は、居並ぶ患者のなかに、見知った人間がいることに気付いた。
安西「あれは……留美子さん?」
急いで駆け寄ってみると、まさしく、高橋留美子本人が、そこに眠っていた。
片倉「へえ、この人が高橋留美子かいや。ごっつ綺麗な人やの〜〜」
安西「あいかわらず全然老けねえな、この人は。
もう結構な歳のはずなんだが、さすが不老不死ってとこか。
それにしても、なんでこの人がこんなとこに……?」
安西が知っているのは、何らかの影響で高橋留美子の性格が一変してしまったことだけだ。
だから、青山の奮闘によって、高橋留美子がかつての人格に戻ったことなど、知る由もなかった。
高橋留美子の寝顔を見ながら、そんなことを考えていた、そのとき。
閉じられていた彼女の目が、ゆっくりと開かれようとしていた。
高橋「…う……ここは…?」
眩しそうに目を細めながら、高橋が呟く。まだ意識が不鮮明らしい。
片倉「お、気がついたみたいやで」
安西「大丈夫か、留美子さん?」
声に反応して、高橋が安西の方を見た。すると、その顔が柔和に細められた。
高橋「……安西君?」
にっこりと、優し気な笑顔で、そう言う。安西は、高橋の様子に軽く驚いた。
安西「……昔の留美子さんだ。正気に戻ったのか?」
高橋「ええ、青山君のおかげでね。それにしても、何年ぶりかしら、安西君に会うのって」
邪気のない笑顔は、まさしく安西が知っている、昔の高橋留美子だった。
それだけに、安西の中で、過去の烙印が痛む。サンデーの者にとって、自分は許されざる裏切り者なのだ。
なのに、なぜこの人は、その自分にこんな表情を向けるのだろう。
安西には、それが不思議でならなかった。
高橋「安西君。ダメよ、そんな顔をしていては」
安西「留美子さん……」
優しい声音に、安西は戸惑いを隠せない。
高橋「確かに、貴方のやったことは許されることではないわ。でも、それは私も同じ。
私も、正気を失っている間、とりかえしのつかない過ちを犯しすぎた。
でも、過去を悔いても、失われたものは帰ってこない。
大切なのは、これから私たちがいかに生きるか。生きて、どのように罪を償うのか。
それが、私や貴方のしなければならない使命じゃないかしら」
安西「留美子さん……俺は……」
うつむき、震える拳を握りしめる安西。その拳に、そっと手が重ねられる。
安西「!?」
高橋「貴方がもし地獄に堕ちるなら、私も堕ちるでしょうね。だから、心配することはないわ。
貴方の罪は、私も背負ってあげる。貴方はもう、ひとりではないのだから」
安西は、思わず胸に熱いものがこみあげるのを実感していた。
サンデーの作家で、安西にこのような言葉をかけてくれたのは、藤田と七月以外には、初めてだったのだから。
221 :
やきう:03/08/06 16:37 ID:8+jVwnuH
東 <<さあ、やってまいりました8回の表!チャンピオンチームの攻撃です!>>
苦悩する島本をよそに、8回の表は今まさに始まろうとしていた。
なぜか一人足りないえなりチーム。この正念場に於いて欠員は不利な条件とも言えるだろう。
だが――
荒木「やるしかない」
残されたチャンスは後2回。なんとしても点を死守しなければならない。
6番TWO突風・藤井が鉄パイプを構えてバッターボックスに立つ。
藤井「きやがれ どんなたまでも うってやるぜ」
水島「さ〜て、今度はどんな魔球を見せてくれるんかいの?」
荒木は水島に構わず振りかぶる。
荒木「その目で確かめろ!」
第一球が手から放たれた。
藤井「ぜっこうきゅうだぜ!」
一見何の変哲もないストレート。だが…
水島「待て!見送れ藤井!」
水島の声に藤井は動きを止める。
渡辺「ストライークッ!!」
藤井が水島を恨めしげに見る。
藤井「なんだよ ただのすとれーとだったじゃねえか」
水島「すまんすまん。しかし追い詰められたヤツは何をするかわからんからのー。
用心するに越したことはないで」
藤井「まきゅうはもうねたぎれじゃねーのか」
大和田「愚かな…」
藤井の楽天的な考えに対して大和田は呟いた。
大和田は荒木に返球しようとしたとき、妙な感触に気付いていたのだ。
荒木「打てるものなら打ってみろ!いやむしろ打て!」
荒木が第二球を投げた!またしても絶好球。
藤井「のろいたまだ もらった」
藤井のスイングが球を捉えた!
222 :
やきう:03/08/06 16:37 ID:8+jVwnuH
かきーん。
軽快な音が球状に響き渡る……はずだった。しかし実際は――
藤井「みょうな てごたえだ!?」
ボスッ、と鈍い音がして打球は藤井の足元に転がった。
藤井「やべえ!」
全力で走り出す藤井。
大和田「逃すかぁ!!」
大和田は転がったボールを拾い上げ、その手で藤井の後頭部に鉄拳を見舞った。
藤井「ぐほあっ!!」
あだち「アウトォ!!」
水島「なんやて!?今のは絶好の当たりだったはずや!!」
水島が驚きの声を上げる。
東 <<チャンピオンチーム、1アウト!そして荒木選手の新魔球が出たようです!!
しかしこれは一体どういう魔球なんでしょう克さん?>>
克 <<ではまずVTRをスロー再生で見てみましょうか>>
オーロラビジョンに藤井が球を捉えた瞬間が拡大されて映し出される。
球はスイングの衝撃でひしゃげてしまっている。
克 <<見てください、ここがポイントです。
藤井選手は確かに球を真芯に捉えました。しかし…>>
次の瞬間。ひしゃげた打球は前に飛ぶどころかさらに変形し、勢いを無くし落下していく。
東 <<なにかボールが柔らかいゴム…というよりゼリーになったみたいな感じですね>>
克 <<そうです、荒木選手はスタンド『スパイスガール』でボールを 柔 ら か く し た のです!
この能力で柔らかくなった物体は衝撃を吸収し、物理的に破壊不能になるのです。
ボールは軟球よりも硬球の方がよく飛びますよね?
それは硬い方がスイングの衝撃がダイレクトに伝わるからなんです。
だからこの球にかかればたとえホームラン級の当たりだったとしても、
柔 ら か す ぎ て 全 然 飛 ば な い の で す ! ! >>
水島「なんてことや……打球を強制的にバント同然にしちまう言うのかいな!?」
これでは打線の成績は期待できない。水島は憎々しげに荒木を睨んでいた。
223 :
やきう:03/08/06 16:37 ID:8+jVwnuH
水島の視線を真っ向から受け止める荒木。
荒木「チャンピオンチーム…恐ろしい連中だ。
残り後2回……お前たちも全力で点を引き離しに来るだろう。
そこでだ!お前たちがボールを打とうと打つまいと関係ない方法を思いついた!
名前を冠するなら 魔 球 ・ 香 辛 少 女 ! !
この球なら我々を勝利に導ける!!」
水島「ぬぐぐ……」
水島は悔しかった。画太郎、『Z』が参戦し、これからというときに…
しかし水島の目は節穴ではなかった。
水島「ははははは、やりよるわ荒木。
『打たせない』のではなく『打たせて取る』戦法に切り替えたっちゅうことやな。
やが……それはお前が追い詰められとる証拠や!
お前はもう一人に対して三球も投げる余裕が残っとらんのや!!」
水島はビシと荒木を指さし挑発した。
荒木「言うとおりだ……僕はスタンドパワーを酷使し続け、もうほとんど残っていない。
最終回まで投げ続けられるかも怪しい……」
荒木は挑発に乗ることなく静かに語る。水島はさらに煽る。
水島「やはりそうか、苦肉の策っちゅうわけやな。
しかし打たせてとる作戦はおそらく失敗や。
塁に出るチャンスがある限り、うちらのチームの勢いは止まらんで!!」
荒木「塁に出る?類に出るだって?そんな事は覚悟の上さ、あえてだ!
一塁はともかく、二塁には板垣先生が、三塁には宮下先生が、ホームには大和田君がいる。
尾田も岸本も岡田君も……みんなが何とかしてくれる!
最悪で犠牲は必要だが、暗闇の道は『覚悟』が切り開く…!!」
荒木の目には覚悟の炎が宿っていた。
荒木だけではない、えなりチーム全員が闘志に溢れていた。
水島(なんてヤツラや……圧倒的な『Z』の迫力に萎えたどころか、
さらに激しく闘志を燃やす言うんか……これは最後まで気を抜けんな……)
8回表 チャンピオンチーム 1アウト
ネクストバッター 満$画太郎!
高橋「ところで、青山君には会った?」
唐突に、高橋が言った。それを聞いた安西の表情が変わる。
安西「いや、モニターで見かけた程度だけど」
そう言った安西は渋面だった。あのときの青山は、殺気の塊だった。
藤田と対峙していたのも、自分に関係があるに違いない。
なぜなら、青山は誰よりも、裏切り者の自分を憎んでいたのだから。
そう考えていると、高橋はいきなり起き上がろうとした。
安西「ちょ、ちょっと留美子さん!まだ起きちゃダメだって!」
高橋「平気よ、もう怪我は回復したわ。それに、のんびり寝ている場合じゃないでしょう」
起き上がろうとする高橋を止めようとする安西。
だが、その瞬間、安西の目は、起き上がった拍子に盛大に揺れた、高橋の胸元に釘付けになった。
安西(うっ!この人って、?Tデカい?Uよなあ・・・)
思わず、唾を飲み込む安西。
安西は一一というよりこれは藤田門下に共通することだが一一胸フェチであった。
片倉も安西と同じ光景を見ていたが、こちらは平然としたものだ。
片倉(俺は、脚線美重視やからな〜〜)
そんな2人の反応に、高橋が怪訝な顔をする。
高橋「? どうしたの?」
安西「い、いや、なんでも…(しかも自覚がねえからな、この人)」
咳払いし、慌てて誤魔化す安西。それを見た高橋は不思議そうな顔をしたが、やがて立ち上がる。
安西「留美子さん、これからどうするつもりなんだ?」
高橋「青山君を捜そうにも、どこにいるか分からないしね。
だから、しばらくは貴方たちと行動を共にするわ。いいかしら?」
それを聞いた安西は、慌てた。
安西「ダ、ダメだ!俺たちは、これから真島を倒しに行かなきゃならねえ。だから…」
必死に制止しようとするも、最後までは言えなかった。
高橋「あら、安西君。あまり甘くみないで欲しいわね。
私が真島ごときに遅れをとると思っているの?だとしたら、心外だわ。
それとも、いつの間に貴方は、私の事を心配できるくらい強くなったのかしら?」
自信に満ちた笑みを浮かべる高橋。
それはまさしく?Tサンデーの女帝?Uの異名をとる、女傑の顔だった。
野球のオーダーは8回表現在
えなりチーム チャンピオンチーム
宮下 1番 サード 水島 1番 キャッチャー
荒木 2番 ピッチャー 旭 2番 レフト(ライト?)
岸本 3番 ショート 鈴木 3番 ファースト
大和田 4番 キャッチャー 戸田 4番 センター
板垣 5番 セカンド 山口 5番 セカンド
尾田 6番 センター 藤井 6番 ライト(レフト?)
岡田 7番 レフト 画太郎 7番 ショート
富沢 8番 ファースト Z 8番 ピッチャー
――― 9番 佐渡川 9番 サード
えなり VS チャンピオン
1 − 2
チャンピオンの攻撃
ワンアウト、ランナーなし
>>224 何やらドッキリ★ハプニング(古がありそうですなW
金田一に睨まれますぜ?
しっとマスクも悶絶しますぜ?
228 :
やきう:03/08/07 07:09 ID:p9A2Mlwi
水島(気を抜けないと言えば、ここにももう一人・・・)
チラリと視線を向けるその先には、
画太郎「いよいよオレの出番かー!!」
水島「よっしゃ行け!浜・・・画太郎!!」
嫌な感じの笑いを浮かべながら画太郎はバッターボックスへ向かう。
水島(あいつは画太郎や・・・画太郎なんや・・・
画太郎であるに越したことはない・・・!)
その背中を見送りながら水島は、自分に言い聞かせるように思考を繰り返していた。
鈴木「大丈夫かな・・・」
施川「何事もなければいいんですけどね」
戸田「ところであいつ結局、浜・・・」
余湖「しっ!言うな!」
チャンピオンチームの面々も緊張した面持ちで、片時も画太郎から目を離すまいとしていた。
東 <<チャンピオンチーム、バッター画太郎選手>>
そして画太郎がバッターボックスに立つ。
画太郎「っしゃー!!」
荒木(何だ?何かこいつを見ているとゾクゾクと背筋が寒くなるようだ)
水島(嫌な予感がする。杞憂であってくれれば良いが・・・)
異様な雰囲気を放つ画太郎に、荒木と大和田は悪寒が走るのを禁じえなかった。
荒木「(だがしかし!こいつがどんな力を持とうと・・・)
この魔球、香辛少女の前には無力だッ!!」
荒木は悪寒を振り切るように魔球を放った!
画太郎「うおおおお!死にさらせー!!!」
画太郎のスイングが見事に空を切った!
戸田「空振りかよ!!」
大和田(気のせいだったか・・・) 荒木(警戒する必要もなかったか・・・)
ボールは何事もなくミットに収まる。二人が安心した瞬間――
東 <<おーっと!!バットがすっぽ抜けましたー!!>>
荒木「なにィィッ!?」
バットがケツからロケット噴射のような火を吹き荒木に襲い掛かった!!
229 :
やきう:03/08/07 07:10 ID:p9A2Mlwi
大和田「くっ、ピッチャー殺しか!!」
荒木「WAAAAANAAAAAAABEEEEE―――――!!!」
襲い来るバットに対し、咄嗟にスタンドを繰り出しラッシュを叩き込むが、
刹那、マウンドに爆発が巻き起こった!!
大和田は思わず立ち上がり叫ぶ。
大和田「荒木ィ――――――!!!」
画太郎「うひゃひゃひゃひゃ!!」
尾田「ミ、ミサイル!?」
水島「・・・やりよった」
水島は頭を抱える。両軍その光景にしばし呆然としていた。
板垣「はっ!大丈夫か荒木―――!!」
我に帰った板垣がマウンドに駆け寄る。
大和田「この外道がー!!」
大和田が画太郎に掴みかかった。
画太郎「バーリトゥード野球に外道も糞もあるかー!!」
渡辺「うむ、これぞバーリトゥード野球!!」
あだち「ええー!!いいんですか、これぇ!!」
尾田「荒木先生を・・・許せねえ!!」
岸本「ギタギタにしてやるってばよ!!」
殺気立つえなりチーム。一方チャンピオンベンチでは、
余湖「これはやばいんじゃねーの、えなりチームの奴ら、
怒りに任せてこっちにつっこんでくるかもしれないジャン」
旭 「やつら つっこんでくるとおもうか?」
鈴木「つっこんでくる」
施川「つっこんでくる」
山口「つっこんでくる」
戸田「そう、思うだろ?あんたも!!」
藤井「ちがーう!!」
『がつん』が戸田によって阻止されていた。
230 :
やきう:03/08/07 07:10 ID:p9A2Mlwi
??「審判、コールを忘れてるんじゃあないか?」
一触即発の空気が流れる中、『彼』の声が聞こえた。
岸本「え!」
大和田「なに!?」
宮下「無事であったか」
板垣「荒木!!」
黒煙の立ち昇るマウンドから荒木が姿を現した!
東 <<おーっと!!荒木選手、無事です!!無事でした!!>>
荒木「スパイスガールを使ってたおかげで何とか助かったよ。
バットの外殻を柔らかくして爆発の威力を半減させることが出来た。
さすがに無傷とはいかなかったが・・・
それより審判、コールはまだか?ちゃんとミットに収まったはずだが」
そう言う荒木の全身は血だらけだった。
あだち「そうだった!ストライクだ!!」
東 <<今更ながら画太郎選手ワンストライクです!!>>
荒木「それと大和田、手を離すんだ」
大和田は画太郎の襟首を掴んでいた手を見る。
板垣「何を言う!この外道は何をするかわからんぞ!このバーリトゥード野球なら、
このまま全員でコイツを始末しても咎められるわけではあるまい!」
荒木「いや、だからこそ野球で片を付ける!
大和田、早くミットを構えろ。板垣先生もみんなも持ち場に戻るんだ。
野球・・・続けようじゃないか画太郎」
画太郎「その意気やよし!!でもちょっと待ってて、代わりのバット持ってくるから」
そう言うと画太郎は一旦ベンチへ戻っていった。
大和田「荒木おまえはまさか・・・」
荒木はあくまで野球で決着を付けようというのだ。
板垣も大和田もみんな、それ以上何も言わずそれぞれのポジションに戻る。
と、画太郎が戻ってきた。
画太郎「お待たせー、重いから早く投げてね」
――その腕に3〜4メートルはあろうかという特大のバットを抱えて――。
ま さ に 外 道 ! ! ! !
231 :
やきう:03/08/07 07:10 ID:p9A2Mlwi
水島「・・・」
大和田「・・・」
岡田「・・・正気なのか?こいつは」
東 <<ん〜〜あ〜〜あれは〜〜どうなんでしょう〜〜?>>
あだち「いいんですか!あれ!」
渡辺「 盛 り 上 が っ て き た よ う だ な ! ! 」
あだち(こいつも同類かー――)
球状には今、かなり微妙な空気が流れていた。
荒木「僕は今まで、何を考えてるのかわからない奴こそが、
一番恐ろしいと思っていたが・・・」
画太郎の抱えた超特大バットを見る。
荒木「こんな 魂 胆 見 え 見 え の奴を恐ろしいと思ったのは初めてだよ!!」
荒木の額に嫌な汗が流れる。
大和田「確実に・・・火薬満載だな」
荒木「ああ、コーラを飲んだらゲップが出るってくらい確実だ!!」
大和田「その例えは違うぞ荒木!
太 陽 が 東 か ら 西 に 沈 む く ら い 確 実 だ ! ! ! 」
水島「ああ〜〜なんてことや〜〜画太郎のままでも充分危険やないか〜〜」
ベンチで水島が嘆いている。
余湖「やっぱりあの時全員で始末しておいた方がよかったジャン」
鈴木「確実に始末できるんならな。やり損ねた場合を考えると・・・」
「「「「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・」」」」
無関心なZと事情をよく知らない山口らを除いて、
チャンピオンの面々はこれでもかと溜息を吐きまくっていた。
画太郎「早く投げろよ〜〜〜重いんだからさ〜〜」
急かす画太郎。荒木は覚悟を決めた。そう、覚悟を――。
荒木「行くぞ画太郎――――ッ!!」
荒木は第二球を投げた!
そして画太郎は特大バットを投げた!
232 :
やきう:03/08/07 07:11 ID:p9A2Mlwi
東 <<おおーっと!!またしてもバットがすっぽ抜けました!!>>
尾田「すっぽ抜け違う!!どう見ても投げただろ!!」
特大バット――いやミサイルと言ってさしつかえないだろう――が火を吹き、荒木目掛けて飛んでいく。
荒木「ザ・ワールド!!時よ止まれ――――――――ッ!!」
ドォ――――z______ン!!!
間髪いれず荒木が時を止めた。
荒木「何をするかわかっていれば覚悟ができる。時を止めるタイミングはバッチリだったな」
水島(荒木・・・時を止めよったか、今回ばかりは邪魔せんでおくで)
荒木「しかし、ここで破壊するのはマズイ、停止時間中に爆圧半径から逃れる事は無理だろう。
チームのみんなもいる・・・ならば!軌道を変える!!」
ザ・ワールドが特大バットの頭を上に向ける。
荒木「観客席はバリアで守られてるし、この飛空挺は矢吹の物だ。
天井が壊れようと遠慮する義理はない。――そして時は動き出す」
ゴオオオオオオオオオ
次の瞬間、特大バットは軌道を変え、轟音と共に上昇していく。
岸本「やったってばよ荒木先生!」
尾田「さすがにあんな物は二つも持ってないだろうし、これで・・・って、え?」
宮下「戻ってくるぞ!!」
荒木「何だと!?」
なんと、上昇していたはずの特大バットが再び軌道を変え戻ってきていた!
板垣「とりあえずそこを離れろ!!」
荒木「わかっている!!」
荒木は、いやチーム全員が蜘蛛の子を散らすように球場の端へと逃げていく。
しかし特大バットミサイルはマウンドで爆発するかと思いきや、
地面すれすれで軌道を変え、再び荒木へ向かって行った。
荒木「何!?まさかこのミサイル・・・自動追尾か!!」
ちがーうワロタ
234 :
やきう:03/08/07 09:11 ID:TQlRtkIv
画太郎「うひゃひゃひゃ、逃げても無駄・・・ぶべらっ!!」
後頭部に受けた衝撃によって画太郎の馬鹿笑いが途中で遮られた。
大和田が後からぶっ叩いたのだった。
大和田「おい審判!またコールを忘れてるぞ!ボールはちゃんとキャッチしている!!」
あだち「あ、ストラーイクツー!!」
大和田「野球で決着を付けると言っても、あれをどうするというのだ・・・!?」
大和田は荒木たちを追いかけるバットミサイルを睨みつける。
板垣「自動追尾だと!?お前を追いかけて来ているということか!!」
荒木「おそらくそうだ。画太郎はどうあっても僕を始末する気だ!!」
板垣「なるほど。という事は・・・みんなーっ荒木から離れろーっ!!!」
板垣の声にチームのみんなは一斉に荒木から離れていく。
荒木「待ってくれ板垣先生!チームメイトだろー―――ッ!!」
特大バットはやはり荒木だけを目標に定めていたようだ。
荒木の背後に間近に迫っていた。
ふと、荒木の前方に――
岡田「うわっ、こっちに来るな!!」
荒木「岡田君!ちょうどいいところに!
君の黄金聖衣なら、あの爆発にも耐えられるかもしれない!!」
岡田「ムチャをいうなー!!」
荒木「そうだ君は確か車田先生の弟分だったな!
あれを使えないか?ほら、アナザーディメンションとかいう・・・」
岡田「ちょっと待ってくれ、アナザーディメンションだから異次元空間・・・安直すぎるか。
異次元転送・・・だめだ!良いのが思いつかない!」
荒木「使えねーのかよォォォォォォォッ!!」
岡田「使えるさ!!熟 語 的 に 漢 字 を 見 開 き に 配 置 できれば!!」
荒木と岡田は仲良く特大バットと追いかけっこしていた。
施川「なんか楽しそうですねぇ」
水島「人事やからな・・・」
チャンピオンチームにとって、この状況は対岸の火事であった。
八回表、チャンピオンチームの攻撃が始まったその頃、神崎将臣は一発ヤった後のように晴れやかな顔つきで席に座ってポップコーン片手に野球観戦していた。
「お〜お〜盛りあがってるね〜パクパクパク」
「盛りあがってるねえじゃねーだろうが全く・・パクパクパクパク」
その隣の席にはどこから取り出したのか普段着を着たせがわまさきが神崎とは対称的に疲れた表情で座っていた。
既に彼らの周りには観客はいない。
全員あの後暴走した神崎から発せられた―エロスとバイオレンスに満ちた言葉の数々に恐れをなして逃げ出したのである。
ちなみに真っ先に逃げ出そうとしたしたせがわは神崎にアストロンで鉄の塊にされつい先刻まで裸のまま晒し上げられていた。
「はあ・パク・・・これで又アッパーズのイメージが悪くなった・パク・同じ青年誌のアニマルの奴らはあらゆる場所で活躍して雑誌の印象を確実によくしてるっていうのに・・・パクパク」
そういってつい先ほど神崎が見ていたのと同じようにヤングアニマルの面々を見る。
「まあ、看板漫画家のうち一人が他誌から出場、もう一人がパシリやってたんじゃしかたないだろ。パクパクパクパクパク」
「パシリ・・・・・」
自分のことは完璧に棚に上げた神崎の情け容赦ない言葉に、せがわは反論すらできず項垂れた。
思えば横山様に仕えてから今の今まで地味な裏方仕事ばかり、それでも耐えに耐えてようやく横山十傑集に入る事ができ、初めて重要任務を貰い表舞台にでれたと思えば結局失敗して散々他のメンバーになじられたあげく、神崎の勧誘と岡田への定期連絡という雑用任務に逆戻り
パシリといわれても仕方無い過去であった。
「うう・・・」
今まで心のうちに押し殺してきたことを思い出してしまい、せがわは普通に凹んでいた。
「やれやれ・・まるで数分前の俺を見ているようだぜ」
落ち込みまくるせがわの様子に、神崎は今までとはうってかわって真摯な眼差しで見つめていた。
「なあせがわ、お前、俺と組む気はねえか?」
「ふん・・何を企んでいるか知らんが俺は横山様を裏切る気はないぞ」
「バカ、誰もそんなこといってねえだろうが、あくまで横山十傑集としてってことだよ。二人でこの艦内にいるゴッドハンドの敵となりそうな奴らを血祭りにあげるんだよ、考えただけで血が滾るだろ?なあ?」
ゴクリ
狂気に満ちた神崎から発せられる奇妙なカリスマに魅入られたかのようにせがわは自然に唾を呑み込んだ。
「・・・・・・・くっ・・しかし俺には任務が・「いいのか・・このままだとお前ずっと日陰者だぜ?」
その一言が、止めとなった。
「わかった・・お前と組もう!」
「よっしゃ!!それでこそSF忍者だ!!二人でこの戦艦血で染め上げようぜ!!!」
「おうよ!!!」
ガシイッ
二人はどちらからともなく手をだし、そして力強く握手した。
アッパーズ最狂コンビ結成の瞬間であった。
今日は書き込み多いねぇ。
まだだ!まだ島を書いてねぇ!
今日はまだ書いてねえ!!書かなくては…ああ、でもネタが…
240 :
やきう:03/08/07 18:31 ID:VOA9EWGe
荒木(異空間。ザ・ハンドでは大きさが足りないし・・・。あっ!)
荒木「岡田君!すまない!離れてくれ!」
岡田「えっ?」
荒木の変わりように、びっくりする岡田。
バットは荒木目指して飛んでいる。
荒木「僕を狙ってくるのなら、それなりの対応をするまでだ!」
その瞬間、荒木の隣にスタンドが現れる。
ガ オ ン
空間が削れる特有の音が鳴り響き、バットが消滅する。
東≪あれは?≫
克≪荒木さんのスタンドの一つクリームですね。能力は異空間に吸い込んだものを吹き飛ばす能力です。≫
画太郎「俺のバット!俺のバット!はどこだぁ!」
荒木「お前のバットは・・・。粉みじんになって消えた・・・。」
画太郎「俺のバットが消えたなど!消えたなどと!見え透いた嘘をつくなあ!」
画太郎が荒木に向かってつっこんでくる。
荒木「まだ、お前の打席だぜ・・・。審判!この試合、改造ボールはOKだったな。」
あだち「よほど大きかったりしないと問題は無いが。」
荒木「よし、何番目か忘れたが!今回ばかりは変化球を投げさせてもらう!」
一同「(・・・ほんとに何番目だおい)。」
荒木「貴様は、内角ストレートの新魔球『心臓球』でけりをつける!」
一同(当てる気満々だ・・・・・。)
241 :
やきう:03/08/07 18:50 ID:VOA9EWGe
荒木の持ってきた球。それは簡単に言えば、”髑髏の頭部の小型戦車”である。
荒木「僕が投げたら、全力でこいつ(小型戦車)から離れるんだ!」
荒木がそうつげる。
板垣「わかった。」大和田「よくわからんが、わかった。」岸本「了解!」・・・。
全員がわかったのを確認して、荒木は球を投げる!
画太郎「そんな遅い球ぁ!」
バットで打とうとした瞬間!
球「コッチヲミロォ〜!」
ドゥン。バッターボックス、いや球が大爆発を起す。
画太郎「い、今のは何だ?」
ぼろぼろとなったバットを見ながら、画太郎が言う。
荒木「そいつの名前は、シアー・ハート・アタック。ある条件を元に攻撃を繰り返すスタンドだ。」
画太郎「その。」ドォン「条件は」ドォン「何だ?」ドォン
荒木「それを教えるわけにはいかないな。」
荒木が喋っている間も、シアー・ハート・アタックは攻撃を倒れた。
荒木「ま、こんなもんだろ。」
水島「余湖、後は任せる。」
余湖「うぃ。」
荒木(しかし変だ・・・。シアー・ハートアタックが少しチャンピオンベンチに向かっていた。
この距離から、何熱い物を感じたんだ?)
荒木は疑問に思ったが、次のバッターの為に、精神を集中することにした。
えなりチーム2アウト
>>241 2アウトはえなりじゃなくてチャンピオンチームだッ!
>荒木が喋っている間も、シアー・ハート・アタックは攻撃を倒れた
(´-`)?
244 :
訂正:03/08/07 19:55 ID:VOA9EWGe
>243
荒木が喋っている間も、シアー・ハート・アタックは攻撃を続け、画太郎は倒れた。
です。
>242
ごめんなさい。間違えてました。
宵闇の中、2人の少年が駆ける。
ひとりは、年相応の、よく見るとなかなか整った顔をしている。
ひとりは、年不相応の、大人びた一一というより老けた一一顔をしていた。
前者は、岡野剛。後者が、真倉翔である。
ふたりは、猿渡哲也に肉体を破壊され、“陽神の術”によって子供の姿の霊体となっているのだ。
岡野「ハーハー…疲れたな。やっぱ子供の体だと、移動にも倍以上の時間がかかる」
真倉「弱音吐いてる場合じゃねえ。この状態で襲われたら、俺ら終わりなんだぞ!?」
一応、霊石を仕込んだヨーヨーなど、戦闘手段がないことはないが、戦力の低下は著しい。
霊体ゆえにちょっとやそっとで死ぬことはないが、ダメージを受け過ぎると霊体が消滅することもあり得る。
だからこそ、2人は焦っていた。この状態を打開できるのは、回復能力を持つ乙一だけ。
彼を捜し出せねば、最悪、自分達が牢獄送り第一号となりかねない。
弱音を吐く岡野を、真倉が叱りつける。そのとき、岡野の目に、あるものが映った。
真倉「聞いてんのか、岡野!」
岡野「お、おい、真倉!あれ・・・」
大声を張り上げようとした真倉だが、岡野の視線に気付き、その方向を見た。
月以外、何の明りもない闇。その空を、一羽の鷹が飛んでいた。
夜目の利かない鳥が、闇夜を飛ぶ。それだけでも奇妙だが、2人はその鷹に見覚えがあった。
岡野「あ、あれは“ルファ”……!」
真倉「アイツの鷹!すると、まさか……」
鷹の持ち主が、自分達の良く知る人物であることを思い出し、2人は急ぎ周囲を警戒する。
その瞬間。
??「なにやってんだ、あんたら?そんな格好して」
その声を聞いた瞬間、2人のなかに2つの感情が生じた。
ひとつは、恐怖。確実な“死”を連想させる、圧倒的な戦慄。
そして、もうひとつ。
恐怖さえも塗りつぶす、強烈な感情が噴き上がる。
原始にして、人間の持つ最も激しく、強い感情。
すなわち、怒り、である。
ふたりが、怒りの元凶へと向きを変える。果たしてそこには、鷹を肩にとまらせた、その男がいた。
裏御伽でありながら、謎の裏切りを行った男。
修羅・川原正敏である。
真倉「て、てめえッ!!」
激昂した真倉が、川原につっかかろうとする。それを必死に押さえ付ける岡野。
川原「落ち着けよ。まだ審判は来てない。それ以前の戦いはルール違反だ。ゲームみたいなルールだけどな」
軽口を叩く川原を、岡野が無言で睨みつける。
岡野「……よくも、ノコノコと俺たちの前に姿を現せたな。
それとも、楽に倒せる、今の俺たちから始末する気か?」
態度は正反対だが、ふたりの中には、共通の怒りがある。
元々、川原のチーム入りに反対していた2人である。
それだけに、裏切った川原への嫌悪や不信感も、人一倍強かった。
憎悪を滾らせる2人に、川原は涼しい顔で言う。
川原「逃げてもいいぜ?」
真倉・岡野「!!??」
川原「戦うってのは、怖いってことだ。そして、そこから逃げないってことだ。
だから、戦うのが怖ければ、逃げればいい。逃げる者を追う気はない」
淡々とした語り口が、2人の怒りに油を注ぐ。
真倉は歯を剥き出しにし、今にも飛びかかろうとしている。
それを、岡野は懸命に抑えつける。
真倉「なぜだ!なぜ止める!このクソヤローは、親父を裏切りやがったんだぞ!!」
岡野「……怒ってるのは俺も同じだ。だが、冷静に考えろ。
今の俺たちがかなう相手だとでも思ってるのか?
たとえ万全の状態でも、勝算の見えない手練だぞ!?」
真倉「グッ…ククッ……」
冷静な岡野の指摘に、歯ぎしりする真倉。
川原「で、どうするんだい?逃げるか?それとも……戦うか」
修羅の選択が、ふたりに突き付けられた。
岡野「……不本意だが、今は退かせてもらう。今の俺達では、お前に勝てん……ッ」
あまりの無念に拳を硬く握りしめる岡野。すると、興味は失せたとばかりに、川原が言う。
川原「そうか。じゃあ、戦わないなら、ここからすぐに立ち去ることだな。
戦わないヤツは、戦場には不要だ。興が、そげる」
その言葉に、ふたりの目が殺気を帯びる。
猛る真倉を制し、岡野が冷たい殺気を投げ付ける。
岡野「今は退く。だが、忘れるなよ。裏御伽を裏切ったおまえを、俺達は絶対に許さん!」
言い捨てると、ふたりは足早に立ち去ろうとする。
ふいに、その背に、川原が呼び掛けた。
川原「……そういえば、ここから1?Hほど南で、乙一ってヤツを見かけたぜ。
あんたらも、そんな姿じゃ不安だろ。せいぜい、お友達に助けてもらったらどうだ」
川原が言い残した思わぬ内容に、2人ははじかれたように振り向いた。
だが、そのときには、川原の姿は忽然と消えている。
ふたりは、思わず急ぐのも忘れ、呆然としていた。
なぜ、なぜ川原は、そんな事を教える?ふたりの思考を、ふいに生じた疑問がかき乱す。
しかし、答えなど出るはずもなかった。
一方、川原は、ひとり闇の中を闊歩する。顔に、いつもの微笑を浮かべながら。
川原(あんたらは、それでいい。ただ純粋に、本宮のおっさんの為に、仲間の為に戦う。
そう、あんたらは、それでいい。おっさんの側に必要なのは、まさにそういう人間だ)
川原は心の中で呟く。あのふたり、本気で怒っていたな。そんな事を考えながら。
川原(俺はちがう。俺は、人の為に……なんて言える人間じゃない。
だから、俺はどんなに裏切り者と蔑まれようが構わない。
どうせ、汚い人殺しだ。末路は決まっている。だが、だからこそ…)
川原が片目を開けた。そこには、瞬前の微笑とはうってかわり、厳しい表情が現れている。
川原(こんな俺だからこそ、こんな俺にしか出来ないことがある。
そいつは、あんたらには無理だ。ましてや、おっさんが許すはずもない。
しかし、俺はやらなけりゃならない。例え、裏切り者と呼ばれても。なぜなら……)
左手で、腰に差した刀の柄を握りしめる。その先端には、小さな丸い穴が空いていた。
川原(俺は“約束”したからな。1年前のあの時、おっさんの力になると。
それが例え、おっさんの怒りを買おうともな)
修羅の心中。
それを知る者はいない。
その道筋を暗示するように、血を吸ったような真紅の月が、闇を不吉に照らしていた。
前回のあらすじ 「澤井:前レスは下ネタが多かったな。
えなり:(お前のせいだろ)
信也:あぁーもう、ウンコ、チンコ、しっこ禁止!!」
澤井「いくぞ・・・『バビロンの裁き』!!
すると上空に千手観音のような物・・・バビロン神が現れ、手に持つ様々の武器を振りかざし
鈴木に聖なる裁きを下す。
信也「にぼっ!
澤井「さてと・・・そういえば、えなりの姿が見えないな。
澤井はえなりと探そうとして辺りを見回したが、その必要はなかった。なぜなら・・・
バ ン ド 『 え な り ん 』 オ ン ・ ス テ ー ジ ! !
えなり「イクぜェェェェェェ!俺の魂ィィィィィィ!!
てめえの心に刻み付けてやるぜェェェェェェェェ!!
殴(や)れ! 刺(や)れ!
犯(や)れ! 殺(や)れ!
壊(や)っちまえ―――――――!!
安西? 戸田? 荒木? 島本?
そんな奴等…クソ喰らえだ!
そんな奴等は見えやしね―――――――!!
このレスの主人公はただひとーーーり!!!
俺だーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!
澤井「目に焼きつけよう・・・この光景を・・・
梅に届くか?このロック!
無理だw
>このレスの主人公はただひとーーーり!!!
249レス目限定らしい
>>249 スレじゃなくレスだと言った所に、えなりの深い悲哀を感じた夏の日の夜・・・・・
>252
書いた人はこれで落したつもりなのかそれとも素で間違えたのか・・どちらにしろえなりには笑いの神が憑いている・・
>>255 ちょくちょくそこ貼られるけど
ただの読み手としてはネタバレ満載のところに行きたくないんだが
ちょっとした感想くらい言っちゃいかんの?
>255
つーか一行レスくらいで目くじらたてないでよ頼むから
俺は書き手だが、そのレスはどうかと思うぞ
>>255
一行レス専用のえなり板作るのもアレですしな〜
それにあんまリンク貼ると容量減っちゃうぞ
気持ちだけは受け取っておくよ〜
試合開始から約3時間が経過しようとしている。
海の遠くではにわのまことが海面に衝突して死にかけのところを救出されていた。
岡野と真倉の凸凹少年ズはかつての仲間、川原に翻弄されている。
澤井はえなりのリサイタルに心酔している。
岡村はあてもなく島を歩き回っている事だろう。
乙一は川原に発見されていた事実を知らない。
そして彼ら【裏御伽チーム】の根幹を支える大黒柱――本宮ひろ志は、
癒えぬ傷を包帯とカッターシャツに包み隠したまま。
ただ、月を見ていた。力強い右手に“金璽”を握り締めながら。
一方【ジャンプスポーツチーム】の挙動はいまいちパッとしない。
高橋・許斐・村田は未だ敵も味方も発見していない。
村田など反則である“過剰な栄養補給”までしている。
井上は辛うじて一勝を挙げたものの運がメインのしりとりバトル、
あまつさえ裏御伽に荷担する者たちの罠にかかりすっかり試合を忘れている。
森田は違反行為に気づかずスーパーメカの餌食になり生死を彷徨っている。
唯一まともに戦っている(はずの)鈴木も、『バビロンの裁き』とやらでもう駄目かもしれない・・・。
彼らに逆転のチャンスは果たして来るのだろうか?
そして台風の目【チーム・タフ】。彼らの行動もあまりお茶の間に届けられてはいない。
しかし彼らの間には人知れず、様々な地獄の光景が広がっていた。
不本意な戦場に散る事を潔しとしなかった石渡。
本宮との闘いに敗れ、審判との約束を果たしている青山。
過去の夢にとりつかれ、もはやその魂は休む事を許されない猿渡。
凄惨な過去と先の見えない未来を背負い現代をただ歩き続ける橋本。
昼間にクローン人間を殺害し、やがて事件を調査する柳田一味に目をつけられるだろうヒラマツ。
そして誰にも真の自分を理解される事なく、それでも己の信念を果たそうとする川原――
そう、ここは≪信念を持つ者の島≫クリード・アイランド。島の神は、さらなる情熱に杯をかかげるだろう。
「とゆーワケでっ!!はづかしながら不肖にわのまことっ、
只今帰ってまいりましたモーン!ってこれはワキ毛じゃーん」
“JOJOのポーズ”を繰り出してワキから作り物のリボンつきワキ毛を見せながら叫ぶ男(バカ)。
『アホはいーかげんやめて足早に戦線復帰しろ!私は色々あって忙しいのだ。さらば』
そう言うと柳田はモバイルの通信を切った。カガクゴー試作機も去り、砂浜は元の静けさに。
にわののモモマスクのちょんまげに可愛く結わえた黄色いバンダナが潮風に揺れる。
バカンス気分やサバイバル気分を味わい、様々な人に出会いそして別れた。
おまけに原始時代ワープや臨死体験までして今日はとことんゴージャス日和。
そんな一日も残り2時間。にわのはちょっぴり長いあくびをした。
(これでDブロックで野球に参加してたら完璧だったホ。惜しい事しただスな。
そおいや「森やん」審判やってたんだっけ。お互い忙しいモン、今度飲みに行くモーン♪)
にわのと森田まさのりはデビューが近く、近所に住んでた頃はよく酒を交わした仲だ。
ついでにお互いの漫画の中でそれぞれの作品とコラボレーションしたものだ。実に懐かしい。
今は故あって敵味方に分かれてはいるが、いい好敵手だと彼は思っている。
闘いが終われば誰とでも仲良くなれるのが、にわのという男なのかも知れない。
しかし彼は知らない。今この時、その森田まさのりが・・・
あの忌まわしきスーパーメカ≪虎馬 夢太郎≫によって、命を落とそうとしていた事を。
――かつて、運命の寵児・安西信行が内藤に延々と見せ続けさせられた『夢の世界』があった。
それはあらゆる漫画家が血の涙を流すとまで言われそうなほどに、悲しいまでの暴力の奔流。
夢。『一分おきに打ち切りを食らう夢』。安西は藤田師匠の呼びかけで魂を救われたが―――
森田まさのりの見る夢は、漫画家として熱き魂を体に宿せば宿すほど、その苦しみを倍化させる地獄の針山だった・・・。
漫画で人(読者)の魂を救える。
それと同時に魂を殺すこともできる。
清めることも汚すこともできる。生殺与奪のエネルギーを持つ。
それは漫画家が至高の域に達した証拠でもあり、
創作作家は誰もが一度は夢に見る究極の力だ。
しかし―――
誰だって、自分の作品のファンたちを。
本当に傷つけたり悪の道に走らせたり、ましてや殺そうなどと本気で考えたりはしない。
また逆の・・・読者を救おうとする心はどこかに少なからず存在するのだろうが。
作者にも制御しきれない<何か>は、確かに存在するのだ。
森田まさのりの見る夢の中で、今。
ひとつの悲劇が起ころうとしていた。
――拝啓 森田先生
はじめまして。はじめてファンレターを書きました。ずっと前から先生の漫画のファンでした。
今日は先生にお礼を言いたくて手紙を書きました。今までありがとうございました。
ぼくは先生の漫画に影響されて、ボクシングを始めました。ボクシングはとても楽しかったです。
でもぼくは間違ってしまいました。ボクシングでけんかをして、相手を殺してしまったんです。
先生の漫画で、そんなことをしちゃいけないって、ちゃんと書いてあったのに。ごめんなさい。
ぼくはこれから責任を取りに行きます。最後に先生にお礼を言いたかったんです。
森田先生今まで本当にありがとうございました。ずっとずっと面白い漫画を描きつづけてくださいね。
ぼくはもう先生の漫画を読めなくなるけれど、遠いところに行っても先生のことは忘れません。
本当にありがとうございました。さようなら。いつまでもお元気で。さようなら。 敬具
君が責任を感じることじゃない。担当や仕事仲間たちの声が、手紙を握りしめる森田のからっぽの胸を通り過ぎていった。
裏御伽ファンクラブの女性陣に囲まれ、おしゃべりに興じていた井上武彦。
しかし自分のいる≪非戦闘区域≫の、別のところで光が炸裂するのを見た。
気にするな、と引き止めたがる彼女らを必死に振りほどき、井上は光の方角へ向かう。
と、そこには怪しげなメカとそれに乗り込んだ安永がいた。
安永はなにやらメカの側面と操作パネルを何度も見返し指差し確認をしている。
やがてため息をつき何やらつぶやくと、安永はメカの背から飛び降りた。
「おーいあんた。そのロボットはなんだ?俺も乗ってみていいかあ?」
なにやら珍しいものを見たという感激からか、井上はニコニコと安永に近づく。
「むう、あまりおすすめはできんな。どう勧められないかというとしいたけヨーグルト並だな」
よくわからない比喩をすると、安永は井上をしっしっと追っ払いにかかった。
ケチーと言わんばかりに井上が唇を突き出す。と、メカが向いている方角に人影が。
草の上に倒れこんだまま、ピクリとも動かない。気になった井上が影のもとに向かう。
そこには、目を固く閉じたまま涙をとめどなく流す・・・森田まさのりがいた。
「おわー!森田センセー!あ、あんた一体何しやがった!?ユ、許せん」
がるるるといきり立つ井上を、安永は渋面でなだめた。審判としての島入り前に、
スカート丈の長いセーラー服に何故か着替えた安永は、冷たくもこう言い放った。
「森田先生は資格がないのに警告を無視してこの区域に入った。だからこーなった、それだけじゃ」
「クソー、ああわかったよ!だからせめて、せめて医務室に寝かさせてくれよなー!」
「・・・ま、そんくらいならええじゃろう。ただし治療はせんからな、自業自得じゃて」
安永はやれやれと言った顔で大会スタッフを呼び、森田を医務室に運ばせた。
(森田先生・・・あんた今いったいどんな夢を見ていやがる。早く目覚めてくれよな・・・)
迫る女性陣にもはや構うことなく、井上は森田の付き添いとしてスタッフの流れについていった。
・・・森田が見る黒い夢。それは【漫画家は神であって神ではない事を悟る夢】。
人によって症状が異なる波動だ。森田は人を“ふたりも”殺した罪の十字架に押しつぶされようとしていた・・・。
一応こっちにも・・・素で間違えました。スマソ・・・
あと、二行分付け忘れてたので書いて起きます。
澤井の最期の台詞の後ろに足してください。
キユ「梅さん。僕、アレ欲しい。買って買って♪
梅澤「レンタルで十分。
しりとりバトルに敗れたヒラマツは、敵も味方も発見できないまま彷徨っていた。
なにしろ、お目当ての相手に、まったく出会えないのである。
ヒラマツ(む〜〜、にわの先生はいったいどこにおるバイ?)
同じプロレスを愛する漫画家として、ヒラマツはにわのに一角の敬意を持っている。
試合前に裏御伽を潰そうとしたときも、せめてにわのだけは自分の手で倒そうと思っていたくらいだ。
プロレスラーが、プロレスラー以外の人間に敗れることなどあってはならない。
それがヒラマツの思想であり、にわのとの戦いは、彼の悲願でもある。
ヒラマツ(早くあの人と、血が沸騰するようなプロレスをしたか〜〜。
そして、勝った暁には、オイの旗揚げする予定の団体に入ってもらうバイ。
社長のオイと、にわの先生の二枚看板!こいつは大成功間違いナシバイ!)
見果てぬ夢に思いを馳せるヒラマツ。その視界に、ふと見知った人間が映った。
ヒラマツ「ン?あれは、青山さんバイ。しっかし、何しとるとぉ?」
アフロリーゼントの、その男は、確かに青山広美だった。
だが、今の彼はなにやら疲労困憊であり、いつもの精気に満ちた彼とは別人のようであった。
ヒラマツに気付いたのか、青山が虚ろな視線を向ける。
青山「ヒ…ヒラマツ……た…助け……死…」
今にも死にそうな青山の元に、ヒラマツが慌てて駆け寄る。
ヒラマツ「ど…どうしたとぉ?い…いったい何が……」
突然の事態に、ヒラマツが狼狽してると、第3の声が響いた。
??「おやおや、こんなとこにいたのかね?ダメじゃないか、まだ修行は途中だというのに。
さあ、頑張って修行を再開しよう。大丈夫、あとは軽く流すだけだから」
そう言ったのは、先の本宮vs青山戦の審判を務めた、松江名俊。
にっこりと悪魔の笑みを浮かべる彼の後ろには、特大の岩を山と積んだトロッコが確認できる。
松江名「さあ、これを引いて、この島をあと10週だ。軽いものだろ?」
瞬間、青山が悲痛な絶叫を虚空にほとばしらせた。
数分後。3つの音が、尾を引いて、遠ざかっていった。
トロッコを引く音。馬車馬を鞭で叩くような音。そして、阿鼻叫喚の絶叫。
再び地獄へと向かう仲間を、ヒラマツは憐憫の眼差しで見送った。
ヒラマツ(……もう青山さんは、実質戦線離脱バイね。
きっと、これっきりフェードアウトして、存在そのものが忘れ去られるバイ。
悲しいかけど、これがマイナー作家の宿命バイね。せめて、青山さんの分まで、オイが戦うタイ)
同じ雑誌で連載し、チームの中では唯一ウマがあった友に、ヒラマツは心の中で合掌した。
ヒラマツ「よ〜し、青山さんの無念はオイがはらすバイ!……ン?」
決意を新たに、気合いを入れていると、ヒラマツは新たな人影を発見した。
しかも、その姿には見覚えがある。
ヒラマツ「ああ〜〜!あれは、いつかの鶏ガラ!」
??「!?」
いきなり大声を出したヒラマツに、謎の影が驚きに体をすくめた。
ヒラマツ「…いや、似てるけど、違うバイ。……ということは、もしかしてオリジナル?」
??「……お前は何を言っている」
闇に映える純白のテニスウェアに身を包み、ラケットバッグを小脇に抱えた男が言った。
ヒラマツ「そんな事はどうでもいいバイ!許斐剛!!
オイは前から、おまえの腐女子に媚びた内容の漫画が気にいらなかったバイ!!!
今、この場で、オイが叩き潰してやるっとぉ!!!!」
一方的にまくしたてるヒラマツに、テニスウェアの男……許斐は辟易しながら呟く。
許斐「読者が、どんな風に俺の漫画を読もうが、知ったことではない。
ただ俺は、拙いながらも、全力でテニスを描いている。それだけだ」
ヒラマツ「ムカ〜〜、開き直っとるバイ、このカンチガイ鶏ガラ美形が!!」
許斐を心底軽蔑しているヒラマツは、許斐の言う事など聞く耳持たない。
迫り来る筋肉の要塞に、許斐が身構える。だが、そのとき。
??「待て、ヒラマツ。そいつと闘うのは、お前じゃあない」
凛とした声が響いた。それと同時、空気そのものが燃え盛るような熱気が伝わってくる。
??「そいつと闘うにふさわしいのは、この俺だ。……なあ、そう思うだろ許斐」
許斐の目はすでにヒラマツを見ていなかった。ただ、目の前に現れた“虎”だけを見据えていた。
ヒラマツ「い…石渡さん!?」
いつもの冷静な戦争機械ではない、陽炎のような熱気を放つ石渡に、ヒラマツは困惑した。
ヒラマツ(な…なんて熱気バイ!これは、いつもの石渡さんじゃなか。
『B.B(バーニング・ブラッド)』と呼ばれた、真の石渡さんバイ!
これはただごとじゃすまんことになるとね…)
そんなヒラマツを無視して、石渡は許斐と対峙する。
石渡「お前と俺が闘う……なら勝負方法はひとつしかない。分かってるな?」
許斐「ああ。アンタの参加を知った時から、俺の目的はアンタ一人だった。
ど ち ら が 真 の テ ニ ス プ レ イ ヤ ー な の か。
決 着 を つ け る 時 が 来 た !!」
瞬間、石渡が軍服を脱ぎ捨てた。その下には許斐と同じ、白く輝くテニスウェアを着込んでいる。
そして、その手には、いつの間にかテニスラケットが握られている。
すると、そのタイミングを見計らったように、戦闘フィールドが形成された。
舞台は、もちろんテニスコート。それも、ウィンブルドンのセンターコートだ。
許斐「このコートに立つのは、世界中のテニスプレイヤーにとっての見果てぬ夢。粋な演出だ」
石渡「フッ…まさに俺たちが雌雄を決するにふさわしい」
中央の審判台には、いつの間にか、ひとりの男が座っている。
??「では、これより試合を始める。審判を務めるのはこの私…克・亜樹あらため、克 解 王 だ !!」
ヒラマツ「な…なにーーーッッ!あ…あんたはDブロックの解説じゃ……」
克「解説が必要な所あれば、私は時空すら超えて参上する!それが私の存在意義なのだ!!」
もはや、すっかり解説者が天職になってしまった克。ノリノリである。
役者が揃い、にわかに盛り上がる中、中央でサーブ権を決めるトスが行われる。
石渡「Which?」 許斐「ラフ(裏)」
ラケットが回転し、やがてパタリと倒れる。グリップの底は一一
石渡「残念だったな、スムース(表)だ。俺のサーブからだな」
両者、各ベースライン上に下がった。いよいよ試合は始まる。
克「ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ!石渡サービングプレイ!!」
解王ワロタ
乙「・・・やっぱり・・・。」
乙一はなにやら、腕時計と、携帯モバイルと、説明書を見ながら呟いていた。
乙「まさかここまでとは・・・。」
??「何がここまでなんだ?」
乙「誰だ!」
すかさず、ハイウェイ・スターの上に乗って逃げる準備をする乙。
真倉(子供)「俺だよ、俺!真倉 翔だって。」
乙「・・・。一体何がどうなったら、そんな姿に・・・。」
岡野(子供)「かくかくしかじかで・・・。」
乙「まあ・・・大体話はわかりましたけど・・・。」
真倉「一体何があったんだよ!なんか川原に見つかってたらしいぞ!」
乙「えっ・・・。」どうやら、何かを考えていて、気づかなかったらしい。
真倉「・・・まあその話はおいといて、一体何がここまでなんだ?」
乙「これを見て下さい。」
そう言って、乙は腕時計とモバイルを二人に見せる。
真倉「2〜3分。ずれてるな。」岡野「うん、ずれてる。」
乙「この時計、いつ合わせたと思いますか?」
岡野「さあ?」
岡野が、頭にクエッションマークをつけながら言う。
乙「試合が始まる直前です。」
岡野「だったら、何でずれてるんだ?合わせ間違いとか、実はモバイルの時間機能が間違ってるとか・・・。」
乙「このモバイルの時計は、グリニッジ天文台の時間に合わせて表示されています。
考えられることは、ただ一つ、この島、いえ矢吹船の中の時間がほぼ全て変化しているのです。」
どちらが真のテニス漫画家か?因縁の対決が始まった。
1ゲーム目。サービス側の石渡が、右手でボールを弄ぶ。ラケットは左手。
石渡「俺は、両利きなんでな。今回はこちらでやらせてもらう」
対する許斐も、ラケットを持つ手は左手。最初から、本気だ。
石渡「お前はツイストサーブが得意のようだな。なら、俺のツイストサーブも見せてやろう」
石渡の右手が持ち上がり、ボールが舞い上がる。同時に、石渡の膝が大きく沈みこんだ。
許斐(あの大きく膝を沈ませた体勢!あのサーブはまさか……)
ド ン !!
テニスのインパクト音とは思えぬ音を響かせ、石渡の必殺サーブが放たれた。
着弾したボールが、瞬間、鯨が水面からジャンプするように、天高く跳ね上がる!
許斐「これは……『くじらサーブ』!!」
通常ではあり得ない高さに舞い上がったボールを、許斐が全力で追い掛ける。
フェンスを蹴り、驚異的なジャンプ力でボールと同じ高度まで跳躍した。
許斐「ダ ン ク ス マ ッ シ ュ !!」
ジャンピングスマッシュの2乗の威力を持ったボールが、一直線に石渡コートのコーナーに突き刺さる。
しかも、ボールはそこから、さらに逃げるように逆向きに跳ねた。
許斐は、スマッシュにツイストサーブを応用した逆回転をかけていたのだ。
常人離れしたフットワークでなんとか追いつくが、体勢を崩される石渡。
許斐「無駄だ!そのタイミングじゃ、回転の威力までは殺し切れない!」
そのとき、石渡が密かに笑みを浮かべたことに、許斐は気がついていなかった。
しまった、リロードし忘れた!上のは(97/350)です
石渡「見せてやるぜ、“魔法”ってやつを」
シュイン!
弾丸のような球が石渡のラケットに触れた瞬間、真綿が水を吸うように威力が消えていた。
あっさりと返された球は、ドロップショットとなって、許斐コートに舞い戻る。
許斐「しまった、『魔法の手(マジックハンド)』!彼の持つ、究極のタッチ!!」
タッチとは、球を打った瞬間、球の回転を掴むセンスのこと。
一流のタッチを持つことこそ、一流選手の条件。その点において、石渡は、超一流と言えた。
許斐がネット際にすべりこみ、かろうじてボールをすくいあげる。
が、相手コートに目をやった刹那、許斐はこの攻防に敗北したことを悟った。
石渡が、すでにネットまで詰めていたのだ。すべては、石渡の掌の上だった。
石渡「これで、ジ・エ〜〜ン……」
ド ウ !!
渾身のスマッシュが、許斐の顔面に炸裂した。
こめかみにボールを喰らい、もんどり打って倒れる許斐。
克「15 - 0」
審判のコールが告げられた。
だが、モニターで観戦していた観客……特に一部の女性……は大ブーイングだ。
「ひっどーいッ!」「いくらなんでも、やりすぎよッッ!」
一方で、石渡は困惑していた。
石渡(バカな…?俺は確かに、奴の股下を狙ったはず……)
ふと相手コートを見ると、起き上がった許斐が帽子をかぶり直しているところだった。
こめかみから一筋の血を流しながら、許斐が意味ありげに微笑む。
石渡(まさか……あの瞬間に、俺のタッチを狂わせたとでもいうのか?)
その疑問に返答するかのように、爬虫類のような目を燃え立たせ、許斐が言った。
許斐「まだまだだね」
この上なく腹の立つ決め台詞を残し、許斐がベースライン上に戻る。
遠ざかる許斐の背を見つめながら、石渡もまた、不敵に笑う。
石渡(おもしろい……勝負ってのはこうでなくちゃいけねえ)
究極のテニス対決。勝負は、まだ始まったばかりだ。
真倉「時間が変化するって・・・。そう簡単に起りうる現象なのか?」
乙「簡単にとまでは行きませんが、重力が強大になれば時間さえもゆっくりと進み始めるというのは、物理学でも証明されています。」
岡野「ということは、この辺り一帯に強力な重力場が発生しているのか?」
岡野の質問を乙は首を縦に振る。
乙「おそらく矢吹艦の中は、色々と空間を歪めているのでしょう。そして空間の歪みが、
重力の歪みとなり、時間の歪みとなって、このような現象を起していると思えます。
物理は専門ではないので、良くはわかりませんが。柳田さんに聞けば、もっとよくわかると思いますが。」
岡野「・・・何でまた矢吹はそんなめんどくさいことを・・・。」
乙「・・・さあ?そこまではわかりません。もしかしたら、この船内を広くしているだけかもしれませんね。」
岡野「・・・それほど気にするほどのことか?」
乙「まあ、時刻あわせが大変になる程度の問題ですけどね。(僕も矢吹艦に入って何回か時計あわせをしたけど。)
只、この空間の歪みを計算できれば、荒木先生の”あの能力”を完成させること事ができるかもしれない。」
岡野「あの能力?」
乙「メイド・・・。」
真倉「能力の完成はどうでも良いから、俺達を早く治してくれないかな?」
乙一の言葉を遮って、真倉が言う。このまま乙の講義を受け続ける気はないと言う雰囲気満載だ。
乙「はいはい。」
乙一は苦笑つつスタンドを出して、治療を始めた。
あれ?クリード島って普通に太平洋上とかじゃないの?
ウチはそーゆー風に書いてたけど(まこリン漂流編)
岡野「ギャッハァ!」
治療はその岡野の一言から始まった。
乙「動かないで下さい。動くと変なところにくっつきますから。」
真倉「そうはいっても・・・。この痛みは・・・。」
乙「元の肉体は、猿渡さんの手でほぼ破壊されたんでしょ。クレイジー・ダイヤモンドでは無い物はは直せないし、
パールジャムでは治るのに時間がかかります。こうやって、肉体パーツを作ってはめあわせるのが一番良いんです。」
乙はゴールド・エクスペリエンスで治療を続けながら、真倉と岡野を押さえる。
岡野「そこはやめてぇ!」
(大変、見苦しい描写が多々有りますのでしばらくお待ち下さい。)
乙「…だから暴れないでって言ったのに…。」
岡野「しかたないだろ!あんなにスタンドでの治療が痛いなんて……。」
真倉「まあ、鬼の手は普通に使えるから、良しとしようや……。」
3人とも、なにやらげっそりとした声で言う。
岡野と真倉の治療は完成した…だが二人の魂は別々の肉体に宿ってしまったのだ。
すなわち、人間の首に手と足が付いたような生き物……岡野。
顔が腹の辺りにあって、首が無い生き物……真倉。
岡野「まだ、俺と真倉の魂の絆は切れていない……。別の肉体に宿ったからと言って切れる絆じゃないと言うことか。」
真倉「まあ、ここで絆が切れて、二人になったから失格になるよりかはましか……。」
岡野「それもそうだな。じゃあな乙。がんばれよ。」
乙「ええ、そちらこそ。」
三人は二手に分かれて移動していく。それぞれの目的の為に。
漆黒の荒野に一筋の道を作りながら…・。
もしかしたら、福本が言っていた秘密兵器?が原因だったりしてな。>274
>274
ぼくはてっきり、矢吹が戦艦の中にグリードアイランドをパクって作った島だと思っていました。
もし、皆さんが、太平洋上にあると思うのならば、時計関連は乙の勘違いとしてくれると嬉しいです。
謎が多うございますな
しかし妖怪コンビが本物の妖怪変化・゜・(つд⊂)・゜・
見事に黒焦げになった画太郎を、数人の余湖が王者ベンチに引きずっていく。
水島「今のうちに、どっかの冷凍庫にでも放りこんどけや」
吐き捨てるように言うと、ちらりとZの方を見やる水島。
次の打席だというのに、当のZは、欠伸をもらしたまま、動こうともしない。
水島「……やっぱ、こいつは投げること以外、興味を示さんか。どないしよか、次の打席」
打者自体は、DH制(指名打者制)を採用すれば、ピッチャーを代えずにすむ。
だが、肝心の選手が、もう王者チームにはいなかった。
こうしている間にも、タイムリミットの5分が過ぎようとしていた。
一方、ひとり取り残された島本は、重大な決心をしていた。
島本「覚悟……なんて素晴らしい言葉だ!
さすがは荒木……奴を見ていると、こんな小さいことで悩んでいた俺が、バカみたいだ!!
この熱い試合に参加しないなんて、男じゃない!!!
そんなことで、なにが熱血だ!!!!
それを思えば、敵か味方かなど、ささいなことだった!!!!!」
決心するやシズナマンスーツを引っ付かみ、ベンチ裏へと走る島本。
そして、掛け声と共に、シズナマンスーツを装着する。
島本「 蒸 着 」
瞬間、ひとつの影が、天高く空を跳び、一塁付近に着地した。
球場中の視線が、一斉に、その奇妙な影に集中する。
東<<なんだぁーー!?いきなり、謎のコスプレヒーローが現れました!!この人物は、いったい何者だぁーーーー!!!>>
狼狽する一塁手・富沢をよそに、謎の影が叫ぶ。
??「チャンピオンチーム!俺と勝負だぁーーーーーーーー!!」
ええっ!島本離反すか?
謎のコスプレ男の叫びを聞いた瞬間、戸田を除く球場の全員がずっこけた。
水島「あ…あのアホ……」
施川「フア〜〜そうまでして出たかったのか〜〜」
戸田「なんだ、アイツは!上等じゃねえか、やってやるぜ!!」
ひとりだけ、戸田はまったく気付かない。
東<<あ…あの…あれはどう考えても……いいんでしょうか、克さん?>>
克<<野球は、一度ベンチに引っ込んだらダメですからねえ……>>
時空を超える解王、克が投げやりにコメントした。
??「(バ レ て る み た い)。……福本、何だっけ俺?」
福本「シ ズ ナ マ ン !!」
謎の男のバカさに辟易しながらも、福本が言った。
??「……………」
福本「バレバレだから、どうするか悩んでるっ」
謎の男が悩む間にも、観客からは島本コールが鳴り響く。
??「ちがう…ちがうぞ、俺は!」
福本(“ちがう方向”で行くんだ…っ)
??「(…よし!)今日の俺は、島 本 和 彦 で は な い !!」
高々と叫ぶ男。福本、心中で激しくツッコミを入れる。
福本(それじゃあ、島本和彦だろうが……っ。この愚図が……っ!)
??「俺の名前は “戦 う マ ン” !!!!」
瞬間、福本は気絶した。
282 :
野球番外:03/08/08 22:23 ID:F3GgoK6V
一人ベンチに取り残された、鳥山は、苦悶の表情を浮かべていた。
目の前で繰り広げられる、熱 戦。
体を失っってしまったばかりに、
その戦いに参加できない鳥山のフラストレーションは溜まる一方であった
「クソッ、オラに体さえ有ればッ!」
悔しそうに吐き捨てる。
だが、頼みの綱だった本多とか言う男も、何時の間にか居なくなっていた。
(せめて一回。いや、一打席だけでもかまわねェ!オラもこの試合に参加してぇ!)
悔しさに打ち震え、マウンドから視線を逸らす。
すると、ベンチの隅にバッグが詰まれているのが、目に入った。
ソレは、えなりチームのメンバーの私物が入っている物なのだが、
その中に、(鳥)と書かれたバッグが有るのに気付く。
何気なく、そのバッグを手に取り、ファスナーを開くと、
中には、山吹色の胴着、仙豆の袋、[封]と張り紙された電子ジャーなどが入っていた。
283 :
野球番外:03/08/08 22:24 ID:F3GgoK6V
それらは、まさしく鳥山がこのトーナメントに持参した物である。
「おお!、誰か持ってきてくれてたのか。オラ嬉しいぞ。」
そう言いながら、中の物を確認していると、胴着の中に、
四角い金属製のケースが紛れ込んで居るのに気付いた。
それを手に取り蓋を開けると、中には1〜6番までの番号が振られた、カプセルが収まっている。
それを見た鳥山に笑みがこぼれる。
「そうか!コレを、コイツを使えば!」
鳥山は、[1]と書かれたカプセルを抜き取ると、スイッチを押し、軽く放り投げる。
すると、カプセルは淡い閃光と共に炸裂し、爆煙を巻き上げた。
その煙が徐々に晴れてくると、その中から一人の少女の姿が現れる。
その少女は、小柄で、大きな眼鏡が印象的な、とても愛らしい少女だった…が、
その目には、光が宿っておらず、まるで、人形のように見えた。
「お前を動かすのは、久しぶりだな。」
鳥山は、懐かしそうに目を細めながら呟く。
「さぁ!久しぶりにオラと大暴れしようぜっ!」
そう言うと鳥山は、少女の背中を開き、そこから中へと侵入していく。
そして、鳥山の霊体が完全に少女の中に入りきると、その目に光が宿った。
「うっほほーい!力が漲ってくるぞ。よーし、みんな待ってろ!オラが今行くからな!」
――――鳥 山 明 再 起 動―――――
自称“戦うマン”が名乗りをあげた瞬間、球場の全員が膝をついた。
水島「『バカ』で膝をつかせよるとは……」
旭「『ばか』でこうげきするのはやめろ!」
藤井「『ばか』はしまっとけっ」
余湖「つーか、おまえらそういう問題じゃないじゃん!
アイツが敵に回ったりしたら、俺らますます不利じゃん!!」
余湖がもっともなことを言うが、水島は意外と冷静だ。
いや、もしかしたら、あまりのバカさに、やる気が失せたのかも知れない。
水島「まあ、ええやろ」
施川「えーー!いいの!?」
水島「野球ってのは、戦略重視のスポーツや。ただのドつき合いとは違う。
それに、この試合はすでに、そんな次元やない。わずかなミスも命とりになる。
そんなとこにいきなり異分子が入りこんでみい。
精密機械みたいな荒木にも、狂いが生じるかも知れへん。
つまり、アイツが加入することは、連中にとって必ずしもメリットやない!!」
余湖「なーるほど。要は、潜入工作員みたいなもんジャン?」
施川「本人に自覚がないことが、一番怖いですね」
戸田「“戦うマン”だと?誰だか知らねえが、カ ッ コ イ イ じ ゃ ね え か !!!!」
余湖「こっちにも、同程度のバカがいるじゃん」
水島「……そやな。ま、それはおいといて。こっちにもメリットはあったで。
どうやら眠ってた“鬼”に、火が点いたらしいわ」
意味ありげに笑う水島の視線の先で、バットを持った球鬼が腰を上げた。
島…“戦うマン”の乱入は、えなりベンチにも多大な混乱を招いた。
尾田「いいのかよ、荒木先生!あのクソコスプレ、俺たちに味方するらしいぞ」
岸本「ってか、信用してもいいのかってばよ。もしかしたら、敵の罠?」
荒木「……いや、水島なら考えそうなことだが、あのコスプレ君はそんな頭は回らないだろう。
つまりは、彼個人の暴走ってとこかな?」
岡田「で、結局どうするんですか、荒木先生?」
荒木「おもしろいじゃないか。せいぜい、有効利用させてもらうとしよう。
こっちはなぜか、人数がひとり足りないからね」
その頃、ロックを歌う男の悲痛な叫びは、えなりチームの誰の耳にも届いていなかった。
一方、一塁では、富沢が窮地に立たされていた。
島本(戦)「だから、一塁の守備を俺にゆずってくれ!」
富沢「いやですよ、やっとめぐってきた出番なのに!僕は、交代したくない!!」
すると、島本(戦)が、ガッシと富沢の肩をつかんで叫ぶ。
島本(戦)「それなら大丈夫だ!君にはまだ、ライトのポジションが残っている!!
8番ライト!!野球で一番、あってもなくてもいいポジション!!
君 に ふ さ わ し い ポ ジ シ ョ ン だ !!!!」
ガ一一一一一一ン!!!!
富沢はショックをうけた!!9999の精神的ダメージをうけた!!!
トリさ(アラレ)まで来ちまったぞ
盛り上がってまいりましたな
>277
色々アレンジ利きそうですぜ
黄色い球に込めた命がけのプライドと戦闘意欲。
互いに互いの心身を削ぎ合う、それはコートという名の戦場。
既に自分たちの世界に入ってしまった石渡と許斐を、
ヒラマツは北島ヅラといぶし銀の着物を着用したまま、ただ見つめていた。
「はー、あンの鶏ガラがマトモにラケット振り回しとうよ。
オイはちいとばかし勘違いしておったかも知れんとタイ。しかし、
だからってあれがウチのリーダーに勝てるとは到底思えんけねー」
ステージが出たついでにせり出した、プレハブの小さな観覧席。
ヒラマツは青いプラスチックの板にどっかりと腰を据え観戦を始めた。
目の前では許斐が帽子を深く被りなおしている。
なんとなくその光景を見ていたヒラマツの隣に、ひっそりと人影が現れた。
「あー、ここ空いていますかな?ってどこも全部空いてるんだけどねあっはっは」
「うん?ああ好きに座って・・・ってあんた!にわのまことでねーかっ!!」
間の抜けた青年の声に普通に返答していたヒラマツの目がカッと見開いた。
なんと、捜し求めていた獲物が自らのこのこ顔を出したのだ。
思わず目頭が熱くなってしまったのは何故だろう。そんなヒラマツにはお構いなしに、
にわのは「んじゃ座るモーン♪特等席だモン」とはしゃぎながら腰をおろす。
さて、どう戦闘状態に持ち込もうかと考え出すヒラマツ。
そんな彼に向かって突然、にわのが何かを突き立てた。
思わず色めき立ち身構えるヒラマツ。仕込み凶器だと判断したのだ。
しかし、にわのの手が握っていたものは・・・・ 「食べるだスか?」
バナナ。
目が点になったヒラマツ。これは試合開始前に散々もめた原因の一つではないか・・・!
「あ!そりゃあ本当に反則の凶器タイね!にわのはんはほんに恐ろしい男じゃあ!」
「しー!だってテニスゆーたらバナナでしょ?栄養補給とかさ。だからつい〜」
「うーん・・・ほんじゃオイと勝負するんならナイショにしといておくタイね」
「確か君もレスラー漫画家だったね。いいよー♪でもこの試合ちょっと見てみたいじゃーん」
「ウムム、オイは一秒でも早くあんたとがっぷり四つで手合わせしたいのー」
「いやじゃんいやじゃん!ぼかぁまだバナナ食ってねーじゃーん!!
それにさっきまで海で漂流してて大怪我して死にかけてただス、ギブミー休みをおくれだス!」
「・・・だからどんだけ捜しても見つからなかったって事かいね。しゃーねーッスねえ。
そんじゃ、せっかくだからテニスでも見ておきまっしょ。石渡さんがーんばーれー」
「話がわかるヤツぁ大好きでおじゃるよ。ほれバナナやるぞよ♪うまいぞよ〜」
上手ーくにわのに丸め込まれたヒラマツは、
覆面の口部分をたくし上げバナナを豪快に頬張った。
この時点で、もし柳田にバレたら双方反則負け必至である。
カメラが客席に向かない事を祈る・・・。
「福岡の人なの?ボクは鹿児島出身で福岡にも住んでたホ。第二の故郷だモーン・・・」
「はぁ。あっこのラーメンの味を、東京出てからずーっと捜してるんですけんどなかなか・・・」
ぼちぼちと客席のふたりが妙に打ち解けあってきた頃も、
テニスコートの中は決して相容れない・・・竜虎の気が充満して、いた。
前回のあらすじ 「レスとスレを未だに間違える奴約一名」
澤井「・・・・・・・・・・・・・・・
同情と哀れみとその他色々の感情が混じりあった中、澤井はボーボボ・ワールドを解除した。
澤井の顔も元に戻り、ライブも強制終了だ。
えなり「えっと・・・僕は一体・・・
お約束のように覚えちゃいない。大丈夫、キミの叫びは届いたよ。ほら、
>>285の9行目を見てご覧。
澤井「さぁ、次は貴様だ。
えなり「鈴木先生・・・もとい、鈴木はやられたのか。負けるもんか!!
??「皆、逃げた方がいい・・・かも。
突如聞こえた、幼さが残る高めの声に二人は動きを止めた。声の大きさこそ小さかったが――実際に、最後の方は消えてしまいそうなくらい―――
明らかに女の子の声は男の戦場によく響いた。
澤井「キミは一体・・・裏御伽にはこんな女の子は居なかった。
えなり「タフって感じゃないし・・・それじゃあスポーツチーム?
軽くパニックになっている二人に対して、女の子の方は冷静だった。
??「スポーツチームがある意味あってる・・・かも。でも、今はそんな事関係・・・ない。早く逃げた方が・・いい。
澤井「何を言っているんだ?キミこそ、逃げた方がいい。何処から迷い込んだか知らないけどここは危険だ。
??「ああ、その手も・・・あった。でも、私が逃げるよりあなた達の方が逃げた方が遠くに行ける・・・でしょ?早くしないとアイツが・・・来る。
えなり「アイツって?
??「『愚者』のカードの逆位置の暗示・・・普段は正位置と私で抑えているアイツが・・・『愚者』の正位置は『愚か』、『異常な精神状態』を表す・・・けど
愚か故に『純粋な行動』を取るし、『無垢な思い』を・・・持つ・・・逆位置は違う・・・『聡明』で『心の安定』を表す。でも、それは『不純な動機』からのモノ。
あいつを表に出しちゃ・・・ダメかも・・・うっ!
顔を歪め、膝折りその場に座りこみ、必死に何かを押さえ込もうとしているようにも見える。明らかに異常だ。澤井とえなりは戦いを忘れ傍に近づく。
??「逃げて・・・お願い・・・・・・逃げて・・・
意識もしっかりしていないのか、上言のように逃げてと呟く。顔色は真っ青、脂汗もだいぶ出ている。こめかみを抑え、必死に何かに耐えているようだ。
澤井「大丈夫かい?とりあえず誰か呼ばないと・・・
えなり「澤井先生・・・逃げた方がいいのかも知れない。例え、スポーツチームに1勝を上げても
澤井「ど、どうしたんだい?
えなりの言った言葉が飲み込めず、聞き返す。ただ、えなりが何かに気が付いた事だけは理解できた。
えなり「彼女は僕達が良く知っている人物です・・・そして、『アイツ』も僕等はよく知って居ます。ただ、彼らの『人格』は知らない!
澤井「キミは・・・何が言いたいんだ?
そう言っている間も女の子の容態は悪くなっているのが素人目でも分かる。先に医療班を呼ぶのが先決じゃないか?と
澤井は心の中で思っていた。
えなり「いいですか、今から言う事は想像でも仮設でもなく『事実』です!
実際に、体長や声色が変わるケースは確認されていますし中には危険な奴もいる。それに、
全員の事を知っている『まとめ役』が大抵居るし、『本体』は気づかない事もある!
澤井「もっと、はっきり言ってくれ!僕はわけが分からない!!
えなり「この子は・・・いえ、『鈴木信也』は・・・『多重人格者』です。
ここはVIPルーム。全ての会場がモニターで確認でき、全ての場所に指示が出来る。
そこに居る男は勿論、孤独の帝王矢吹だった。
矢吹「多重人格・・・か。
矢吹が持つレポートに書かれている言葉をポツリと音にする。
そのレポートには次のような事が書かれていた。
「そもそも、多重人格は性的・肉体的・精神的虐待を受けた10歳までの児童がなるケースが多い。
それは今こんな酷い事を受けているのは自分ではなく違う誰かと思う事により自らを守る、言わば
防衛本能の産物なのです。この方法が取れるのは現実と空想の境界線がはっきりと引けない10
歳の子供がほとんどですが、稀に成人もなるケースがあります。」
矢吹は静かに次のページをめくる。
「『強化』にはその人物の精神に負担をかけます。普段ならギリギリの所で止めて自己と理性ある『人間』
の状態で止めて居ます。それ以上は命令すら聞かない『人形』になる可能性が非常に高いからです。
しかし、鈴木信也の場合は極限まで精神に負担をかけざる負えませんでした。すると、鈴木信也の精神
が三つに分裂しました。一つは普段の鈴木信也。彼は他の人格に気づいてないようです。一つは他の
人格をよく知るまとめ役。人格は大人しい女の子です。最後の人格は身長180cmの男です。心に深い
闇を持ち、矢吹様に忠誠を誓っています。最初の二つの人格は戦闘能力はほとんどありませんが、
彼は違います。彼の戦闘能力はお望み通りジャンプ5聖人を上回ります。しかし、彼は二つの人格に
抑えられています。彼が表に出るには・・・鈴木信也が気絶するしかないようです」
矢吹「ふふふふ・・・久米田よ。やはりお前は天才だ。素晴らしい、素晴らしいぞォォォォ!!
のんきにバナナを頬張るお気楽レスラー2人が見守る中、試合は白熱する。
石渡が、2球目のサーブを撃った。今回は、膝の沈み方は普通だ。
“くじらサーブ”の欠点は、打つ際に大きく膝を落とさねばならない為、モーションが丸ワカリな点だ。
ゆえに、石渡も2度は使わない。そう、これは石渡のもうひとつの必殺サーブ!
着弾した黄色い球が、あり得ない方向……真横に跳ねる!!
許斐「これが伝説の“い る か サ ー ブ”か!」
まさに、いるかのジャンプのような軌道を描くボールを、許斐はそれでも弾き返す。
石渡「それが片足のスプリット・ステップか!やるな!!」
的確にコーナーを突いてきたボールを、石渡がなんなく跳ね返す。
今度は、さっきとは逆の斜め方向に跳ね上がるボール。打ち返す許斐。
息をもつかせぬ、目まぐるしいラリーが始まった。
並外れた動態視力を持つにわの達にも、おいそれとは見切れないほどの打球のスピードだ。
許斐(さすがに強い…!スキが見当たらない強さだ。だが……負けん!)
石渡(想像以上だぜ、こいつ。フットワーク、テクニック、タッチ。ほとんどの面で俺と互角…!)
何度目かの許斐のリターン。それが、コードボールになった。
すかさず追い付き、丁寧にそれを打ち返す石渡。
だが、そのときにはすでに、許斐がボールの真下にスライディングですべりこんできていた。
許斐「ド ラ イ ブ A」
異様な山なり軌道を描いた球は、石渡のこめかみを正確に撃ち抜いた。
今度は、石渡がコートにはいつくばった。
克「15 - 15」
コールが告げられるなか、許斐は夜空を仰ぎ、自分に陶酔したように言う。
許斐「俺 様 の 美 技 に 酔 い な」
端からは、ギャグでやってるようにしか見えないが、許斐は大マジメだった。
石渡「フン、さっきのお返しってワケか。やってくれるな」
顔の血を拭うと、石渡の眼光が、ひときわ鋭くなる。
両雄、序盤から完全に火が点いていた。
石渡「やるじゃねーのよ、許斐。だったら、こっちもそろそろ本気を見せてやるぜ」
3球目のサーブが放たれた。鋭い軌道を描き、コートにつきささる。
許斐「イルカ……いや、これはちがう!」
跳ね上がったボールは、さながら獲物を喰らうシャチのような鋭さで、許斐を急襲する。
ガシャーン!
勢いよく、ラケットが弾き飛ばされた。コート上を、ボールが転々とする。
痺れる手を、じっと見つめる許斐。
石渡「これが第3の球……“オルカサーブ”だ。オルカとは、シャチのこと。
まさに、海のギャングの通り名が示す通り、的確に相手に喰らいつく!」
許斐(利き腕の肩めがけて飛んでくるボールか。厄介だ)
パアアアン!
休みなく、次のサーブが撃ちこまれる。
許斐「今度は取る!」
オルカを警戒する許斐だったが、意に反して、ボールは逃げるように真横に跳ねた。
オルカが来ると思っていた許斐は、ぴくりとも反応できない。
許斐「しまった、裏をかいてイルカとは!」
石渡「これがオルカのもうひとつの意味。オルカを警戒しすぎると、イルカへの反応が遅くなる。
一歩でも反応が遅れれば、イルカは打ち返せない。
そして、イルカとオルカは、跳ねるまでの弾道が全く同じ。
つまり、バウンドするまでは、どちらなのか見極めることは不可能ってことだ」
依然、余裕の態度を崩さぬまま、石渡は悠然と構える。
数分後。
克「ゲーム・ウォンバイ・石渡。ゲームスカウント 1 − 0。石渡リーディング」
結局、最後のポイントも石渡が決め、第1ゲームは、石渡が先制した。
許斐「にゃろう……絶対、倒してやる」
不屈の闘志を燃え立たせる許斐。
次は、許斐のサービスゲームである。
294 :
287:03/08/09 11:39 ID:WFa30XVP
あ、まちがえた〜
>ウチのリーダーに
サブリーダーでしたよ石渡さん
医務室まで森田に付き添っていた井上だが、結局やることが無い上にこれ以上島にチームの人間がいなくなるのはまずいと思い島に帰ってきていた。
そして井上は島の中を敵を求めて歩いていた。
井上「さ〜て次の相手は誰かな〜まあ誰が来てもこの天才が負けるわけはないけどね〜」
実際の所しりとり勝負で勝っただけなのに、裏御伽ファンクラブの女に散々持て囃されたおかげで井上は調子に乗りまくっていた。
だから彼は気がつかなかった。
彼の足元に上を向いた釘が落ちている事を
ずむ
井上は足の甲を貫くほど思いっきり釘を踏み抜いた。
「いてえええええ!!!!」
余りの痛さに井上は足を抑えながら地面を転がり回った。
「ぐううっ・・と、とりあえず応急処置をせねば・・」
痛みをこらえながらなんとか起きあがろうとしたその時、ふいに空が彼の視界に入った。
空はどこまでも広く、雄大であった。
「・・・・」
井上はまるで足の痛みなど消えてしまったかのように呆けた顔で空を眺めていた。
空を眺める井上の頭の中に、これまでの自分の姿が過っていた。
大小の違いはあれど、その姿のどれもが常にジャンプという過去の栄光に縋り付いていた。
「ちっぽけだ・・・」
うめく様に井上はいった。
「俺は、ちっぽけだ・・・」
囚われていた
ジャンプという雑誌に、過去の自分の栄光に囚われていたのだ俺は―
この満点から見下ろせば、ジャンプもモーニングも変わりは無いというのに―
「はははっ、全く、これで天才などとよくもまあ恥ずかしげも無くいってたもんだ」
笑いながら、井上はゆっくりと起きあがり手際よく応急処置を施し始めた。
「(これが荒木や鳥山なら足の裏で気がついただろうな・・・)」
元同僚の二人の顔を思い浮かべると自然に井上の顔には笑みが浮かんできた。
「あいつらともう一度会うためにも、俺はCブロックを突破しないとなあ・・」
そういって応急処置を終えた井上はゆっくりと立ちあがった。
「さて、少し待たせてしまったようだが・・始めようか」
井上のその言葉とともに岩陰からすっと、男が姿を現した。
その男の右目は赤く、濁りきっていた。
「まだ審判が来ていない、戦いはそれからだ」
男は獰猛な獣を思わせるような視線を井上に向けながらぼそりといった。
その体から発散される只ならぬ殺気に自然に井上の顔も引き締まる。
「確か、橋本さんだったかな・・」
井上の言葉にその男の表情が歪んだ。
「へえ・・てっきり俺のようなマイナー作家の名前は忘れてるもんだと思ってたけどな・・」
そういう男―岡田以蔵の口元には嫉妬とも憧憬ともとれる卑屈な笑みが浮かんでいた。
「あんたのような有名人に会えてよかったよ・・」
「どういう意味だ?」
「あんたは光だ、眩く輝く光・・誰もがあんたの作品を、そしてあんたを知ってる。それに比べて俺は影・・底辺の雑誌で連載を続けている、誰も知らない闇のそこにいる影・・だが・・」
そこで言葉を区切り岡田はぎらついた瞳で井上を見た。
「あんたをここで倒せば、俺は光になれる、影が光に成り代わるんだ・・」
岡田はそれで言葉を終え、腰を落し両手を上げ構えをとった。左手が前、右手が後、一見ボクシングの構えのようだが、それよりは拳と拳の間が開いた―蹴りを想定しての構えだった。
岡田が構えたのとほぼ同時に、闘いの気配を察知した審判が到着した。
GUNG-HO-GUNS控え室にて、寺沢達と藤原がちょっとしたやり取りを行い、
荻野と伊藤真美が、なにやら話の根幹に関わるイベントに巻き込まれていた頃、
GUNG-HO-GUNSの“5”、野々村・ザ・ファントムは、ただひとり売店の前で放置されていた。
野々村「・・ったく、荻野はどこ行ってんだよ!伊藤さんまでどっか行っちまうし……」
毒づく野々村の目の前には、山のような買い物袋が置いてあった。
野々村「ひとりで帰ろうにも、こんな量の荷物、ひとりで持って帰れねーしなあ。
あーー!ちくしょー、いったいどうしたら………」
ブツブツと、悪態をついていた、そのときであった。
野々村「な…なんだアレは……」
野々村の視界に映ったもの。それは、床の一部に黒い闇が、巨大な穴のように口を開ける光景だった。
見る間に、その“穴”は広がっていく、その中から人影が、ゆっくりと現れ始める。
ズキン!
野々村「ぐあ…(なんだ、頭が痛え……!)」
突然の頭痛に、野々村が呻いた。“穴”から出て来る人影を見た瞬間、いきなり痛みだしたのだ。
野々村(俺は……以前にも、この光景を見たことがある。だが、それがどこだったか?
くそっ、なにも思い出せない!)
原因不明の痛みに襲われる野々村をよそに、謎の影はその全貌を現そうとしていた。
やがて、“穴”が完全に消え去ると、そこにはマントを羽織った、一人の精悍な美丈夫がいた。
長く垂らした髪とは正反対に白い肌に、凄艶な美貌を宿す男。
その男の姿を認めた瞬間、頭痛は収まり、野々村の頭の中が空白になった。
野々村「・・た・・・」
唖然とする野々村を見やると、男は蠱惑的とも言えるような微笑を浮かべる。
??「久しぶりだ、我が友よ……と言っても、おまえは“憶えていない”か……」
十数年来の親友にあったように、歓喜の表情を見せる男。
刹那、野々村の喉を、絶叫と共に凄まじい憎悪がほとばしった。
野々村「鷹氏ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッッッ!!!!!」
どうやったら橋本と岡田を間違えるんだろう
うわ・・・アホだ俺・・・橋本と岡田て・・すんません・・次からしっかり推敲します。
前回のあらすじ・・・は、シリアスモードなのでありません。
澤井「多重・・・人格?
えなりの顔を見て、女の子の方を見、またえなりの顔を見る。にわかに信じられない。多重人格なんて。
えなり「ええ、そう考えると納得が行きます・・・澤井先生、逃げましょう!『アイツ』は危険です。
必死に澤井の服の袖を引っ張って逃げようと即す。澤井は暫く考え・・・その手を振り払う。
澤井「えなり君・・・逃げるならキミ一人だ。
えなり「えっ・・・
澤井「キミは漫画家ではないし、出場選手でもない。ここで戦う義務は無いよ。だが、僕は裏御伽の一人なんだ。
みすみす自分可愛さに逃げていたら皆に怒られてしまう。
えなり「澤井先生・・・・
澤井「勘違いしないでくれよ。僕は勇敢なんかじゃない。踏みとどまろうとしてるだけだ。キミにはそれが出来なかった。
だけど、それは罪じゃない。『一般人』ならね。
えなり「・・・・どういう意味ですか?
澤井「キミがここに居る時点で自分がどうなのか考えてみなよ・・・さぁ、時間切れだ。
先ほどまで女の子が立っていた場所には男が立っていた。身長はかなり高く、銀髪。黒に近い肌に金色の目。
その目は鋭利な刃物のごとく澤井を突き刺していた。踏みとどまっているだけ、の言葉はまんざら嘘ではない。
男「とりあえず・・・最初はみそっかすか。
鈴木より低い声が、二人の耳に入ってくる。何の感情も感じられない声が男の人間らしさを奪っていた。
澤井「なんと呼ぶべきかな?多重人格なら鈴木先生と呼ぶのは失礼だろう?
男「別に・・・あのガキは俺の事を『逆位置』とか呼んでいたがな。
あのガキとは・・・恐らくあの女の子の事だろう。彼女は鈴木より身長が低かったのが今更気づく。
澤井「それじゃあ、鈴木と呼ぶよ。
鈴木「好きにしろ・・・今から死ぬんだからな。
澤井「そうか、それじゃあ僕も本気で行こう!!
そう言うと澤井は気合を入れ始める。みるみると澤井の顔が変化していき・・・最終的には玉ねぎにサングラスという
顔になっていた。
澤井「今の僕はもう、澤井哲夫じゃない。こう呼んでもらおうか・・・・『J』と!!
怒号と同時に、獣の咆哮のごとき銃声が轟いた。
人外の拳銃、“デザートイーグル55AP”が火を吹いたのだ。
ぶ厚いコンクリートの壁すら易々と貫く鋼鉄の牙が、一直線にマントの男……鷹氏隆之に向かって飛ぶ。
鷹氏「風よ、我が盾となれ!」
直撃する寸前、弾丸はいきなり巻き起こった猛烈な“風”に弾き返された。
怒りに燃えた目で自分を睨む野々村を、鷹氏の表情に驚きと困惑がこみあげる。
鷹氏「これは驚いた……まさか、私を憶えているとは……」
どうやら自らが“友”と呼んだ男に撃たれたことを驚いているのではないらしい。
鷹氏「いったいどういうことだ?“あの時”、私は確かに、おまえの脳を破壊したはず。
一見、完璧に見えるおまえの肉体だが、実はたったひとつだけ弱点がある。
それは脳だ。肉体は再生できても、脳の記憶を司る部分が破壊されれば、
おまえの記憶は永遠に失われ、赤子同然の状態になる。
なのに、なぜおまえは、記憶を失っていない!?」
自らを落ち着かせるように、まくしたてる鷹氏。
そんな鷹氏を睥睨する野々村が、ちぎるように吐き捨てた。
野々村「確かに、俺には5年前より昔の記憶がない……だが、ひとつだけ憶えている。
それは、テメエだけは許さねえ!絶対に、俺の手でブチ殺すってことだ!!」
憤怒に声を荒げる野々村に対し、鷹氏は冷静さを取り戻していた。
鷹氏「なるほど……奇妙なこともあるが、これは嬉しい誤算だな。
まさか、それほどまでに私のことを、強く憶えていてくれたとは。
なあ、“ファントム”……いや、かつての名である“チャイルド”と呼んだ方がいいのかな?」
刹那、影が走った。
鷹氏「!?」
野生動物のそれすら遥かに凌駕する速度で跳躍すると、空中で上下逆の体勢のなりながら、鷹氏の後頭部にデザートイーグルを照準する。
吼えるような銃火が炸裂し、鮮血が散る。まさに電光石火の、野々村の動きだった。
鷹氏「ほう、私に血を流させるとは……昔よりは成長したらしいな」
鷹氏の頭部は健在だった。銃弾は、わずかに頬肉を削りとったにすぎない。
それでも、この至近距離でこれだけの大口径の銃弾ならば、気絶するのが普通なはずだ。
つまり、鷹氏という男もまた、野々村と同じく普通ではないことを意味する。
鷹氏「風よ! 行く手を阻めし者共を切り裂け!! 牙 裂 斬!!!」
両者の体が交錯した瞬間、猛烈な風の刃が発生し、野々村を切り裂いた。
野々村「ぐはっ!」
鉄をも切り裂く風の刃が、野々村の全身を切り刻んだ。血しぶきを噴き出し、壁に叩きつけられる。
鷹氏「頬の皮一枚に、その代償とはな。
まあ、私とおまえの実力差を考えれば、妥当なところだろう。さて……」
血だらけで這いつくばる野々村を、見下ろしながら言う。
鷹氏「ひとつ聞く。おまえは、私を憎む、その理由を憶えているのか?」
その問いに、野々村が絞りだすような声で答えた。
野々村「いや…正直、なぜここまでお前が憎いのか……それは俺にも分からねえ。
だが、理屈じゃねえんだ!
頭では忘れていても、俺の体中の細胞が、テメエを許せねえと叫びやがるんだ!!」
吼える野々村だが、それを聞いた鷹氏は得心したように笑う。
鷹氏「……なるほどな。ならば、話は簡単だ。私と共に来い、野々村」
野々村「!?」
ぶしつけな申し出に、野々村は困惑する。
鷹氏「私と共に来れば、おまえの記憶を完全に蘇らせることも出来る。
そうすれば、おまえは全てを悟るだろう。
そして、真実を知れば、おまえが私を憎む理由もなくなる。
それに、我が主……横山様は、偉大なお方だ。おまえも私と来れば分かる。
あの方が、どれだけ大きく、そして素晴らしい御人であるかがな」
唱うように語る鷹氏に、野々村は軋るように言葉を絞りだした。
野々村「ふざけるな…ッ!そもそも、俺の主は、内藤様ただひとり!!
それ以外の者に仕える気など、毛頭ない!!」
一途な野々村の台詞に、鷹氏が嘆息した。
鷹氏「やれやれ……あいかわらず頑固な男だ。そういうところは、昔とちっとも変わっていない。
いいか、私はおまえを救いにやってきたのだぞ?」
野々村「な……に?」
鷹氏「この大会が終われば、ゴッドハンドによる一斉進行が始まる。
そうなったら最後、この艦に巻き起こるは、狂気の豪雨、死の嵐。
人の身で、この運命に抗うことは出来ぬ。
その暁には、現存するほとんどの漫画家は死に絶えるだろう。
ましてや、おまえごときでは、真っ先に死ぬだろうな。
だが、私は友として、おまえを失いたくない。
私と共に来れば、おまえだけでも救うことが出来る。
もう一度言う。私と来い、野々村!」
野々村に手を差し伸べる鷹氏。しかし、野々村はその手を冷厳にはね除けた。
鷹氏「野々村!」
野々村「ふざけるな……そう言ったはずだ。俺が主は、内藤様ただひとり。
“あの時”、全ての記憶を失い、幼児退行を引き起こして、
みじめに朽ち果てるだけだった俺を、あの人は救ってくれた。
それだけじゃない。抜け殻だった俺に、進むべき道と、生きる目標を与えてくれた。
今の俺の命は、あの人の為にある!!」
鷹氏「本当に変わらない、おまえは……だが、愚かだ。
未だ意識も戻らぬ男の為に、むざむざ命を捨てるとは……」
野々村「だからこそだ!今度は、俺があの人を救う番なんだ!!最後にもう一度言う!!
俺の名は、GUNG-HO-GUNSの“5”、野々村・ザ・ファントム!!!!」
魔法力を使いきり、恐怖心に真島はただ立ち尽くしていた。
小畑「真島もここまでか・・・」
現在の小畑健は『人型』をしているが人間ではない。
契約書である宝貝「帰書文」の生贄となり、『人型』を与えられて
真島が矢吹との契約条項に違反しないよう、同行監視している身である。
監視の任を全うするため、あらゆる攻撃を無効とできるが、
こちらから仕掛けることもできない。
ただ真島を同行監視する、自ら終わらせることはできない毎日。
そこに自由は無かった。
だから、目の前で真島が今まさに車田によってとどめを刺されようとしても
ただ冷淡に状況を見つめるだけであった。
真島が『死ねば』、契約に基づき帰書文の効果は終了。
ほったと小畑は人型を保てず帰書文に戻る。それだけ。
不自由な日々が続くことに変わりは無かったからである。
真島「くっ・・・」
車田「真島、お前の命運もここまでだ。
貴様が何を企み、高橋先生を狙ったかは聞かぬ。
それが何であれ、ここでとどめを刺せばその企みも潰えるからだ!
受けろ!お前が苦しめてきた人々の報いを!!
ラ イ ト ニ ン グ ・ プ ラ ズ マ ――――――――!!!!」
拳が真島を砕こうとする刹那、真島と拳の間の空間に亀裂が入り、
一瞬で周囲の全てに拡がり、飛び散った。
車田「くっ、ここは・・・」
空間の亀裂が一瞬で広がったと思った次の瞬間、一面の花畑の中心に車田はいた。
真島も小畑もAブロック決勝会場も見当たらない。
敵がいないと確認して安心したのか、同時に体に激痛が走った。
真島との戦闘で何箇所かの骨が折れているようだ。
警戒してさらにあたりを見渡していたそのとき、
ヴゥゥゥンッ!
車田の眼前の空間に長方形の『窓』のようなものが開いた。
車田「これは!風魔死鏡剣・・・!?」
??「う〜ん、そんなに似ておるかのう?よいしょっと・・・」
『窓』から這い出てきた道化のような格好をした人物が車田に挨拶した
??「お久しぶりです。車田先生。」
車田「貴様、誰だ?」
??「藤崎竜と申します。以前集英社でご挨拶させていただいた・・・。」
実はこの2人、同じ雑誌出身でありながらあまり面識が無い。
藤崎のデビューは、車田がコメント欄で突き抜け雑誌を去った数週間後であり、
打ち合わせで訪れた集英社で挨拶したきりなのであった。一世代離れた先輩と後輩なのである。
車田「確か魔界十人衆の・・・荒木に討たれたと聞いていたが。
なるほど、この事態も貴様の仕業か。矢吹の命を受けて同盟相手の真島を救出した訳だな。
しかし、さっさと逃げればよいものをノコノコ出てくるとは・・・」
藤崎「いや、矢吹とは先日手を切ったのですよ。
この擬似空間もわしの能力ですが、あくまでフリーの1漫画家としての行動です。」
ここにこうしてきたのは車田先生、実はお願いが有ってのことです。
藤崎は車田に頭を垂れて言った。
藤崎「今 は 真 島 を 見 逃 し て く だ さ い」
車田「何っ!?」
車田「貴様・・・真島の所業を知りながらの願いか?」
静かに、だが熱く小宇宙を燃え上がらせながら車田は問う。
車田「どれだけの人々が奴に苦しめられてきたのかを―――」
藤崎「(なんてプレッシャーだ。これが五聖人の格というものか。
だが、ここでビビっては何も成せない―――)
ええ、よく存じております。ですが、奴の協力が無ければ救い得ない命もあるのですよ。」
車田「誰だそれは・・・うっ・・・!?」
さすがに疲労がピークにきたのだろう、何とか姿勢を正すも車田の血の気は薄れ始めていた。
と、それを見た藤崎が桃をさしだした。
藤崎「仙桃です。どうぞ召し上がってください。体力が回復します。」
車田「敵に出されたものなど―――」
藤崎「ですから、わしにはもう、矢吹との繋がりも敵対する理由も無いのですよ。さあ。」
ようやく仙桃を受け取り口にする。傷が塞がり、体力が回復するのが聖衣の上からでもわかった。
車田「―――ほう、鳥山の仙豆みたいなのものか」
藤崎「仙桃自体は古のころより中国で広く知られておりますよ。
これはわしの出身・崑崙山産の特別な一品ですがの」
車田「だが、仙豆よりもずっとうまい。なかなかいいものだなこれは」
藤崎「いやいや、それはどうも―――」
すっかり体調も回復したようだ。
車田「さて、と」
藤崎「(ハッ!!)」
先ほど以上に小宇宙を燃え上がらせながら車田は再度問う。
車田「貴様・・・なぜ真島の所業を知りながら庇う?
返 答 に よ っ て は 覚 悟 し て も ら う ぞ」
藤崎「(や べ え、ブ ッ 殺 さ れ る―――!?)」
ここで殺されては小栗かずまたの記録にまた近づいてしまう。
それだけは何とか避けたかった。
内心おびえながらも表情を変えずに藤崎は語り始めた。
藤崎「真島の傍にいた金髪の少年をご存知ですかの?」
車田「小畑健と名乗っていたな。だが、俺の知る小畑はもっと老けていたはずだが」
藤崎「彼は小畑先生であって小畑先生では有りません。ほった先生とともに
矢吹によって術の生贄となり、今の姿は術に与えられたかりそめの姿なのです。」
車田「なんと。それでは弟子の弟子の術のために利用されているということなのか!?
だが何のために?」
藤崎「矢吹と真島の同盟契約書として。そしてその履行を監視するためです。」
車田「なんということだ!」
車田の小宇宙が怒りでさらに燃え上がる。が矛先は矢吹に変わっていた。
内心ホッと胸をなでおろす藤崎。
車田「だが腑に落ちん。なぜ貴様がそれを止めようとする?関係なかろう?」
藤崎「実は大有りなのですよ。
その術はわしの技術――崑崙山の技術が流用されておるのです。
己のアイデアが他人を不幸にするために流用される。それは耐え難いことだ。
そして、それを止めうるのは矢吹以外では、わししかおらん。
ならば・・・ わ し が 彼 ら を 解 放 し た い。」
車田「フッ・・・。」
これまで車田は、藤崎達=車田が去った後の世代を「同人ウケ狙い」「パクリ」と、
どこかで莫迦にしていた。
だがその世代にも『たった一度の今日という日』を必死に生きようとする者がいる。
自分達が築き上げた熱血の気風が、世代を隔てた後輩達にも
確実に受け継がれていることを車田は喜んだ。
矢吹は弟子の弟子じゃないよ。
弟子だ
安西が去った後、原はその後姿を少しの間だけ見送っていた。
原「征け・・・安西・・・。後ろは振り返るなよ・・・」
いかにも満足げな笑みを浮かべた原は、脇腹に刺さったままの震雷を無造作に
抜き取った。まるで、痛みを感じていないかのような動きである。
原 「さて、これからどうする?ケリをつけるかね」
壁に埋まったままの山原に対し、原は体を安西の方向に向けたまま、
顔と左手の槍だけ向けて語りかけた。
山原「まさか、脇腹を犠牲にするとはな・・・・
ムッ!そうか、おぬし死人か!!」
命を庇おうとするから迷いが生じる。
そして、その迷いがかえって死につながる。
原のような歴戦の"いくさ人"は、そのことをよく知っており、
彼はいくさ場に向かう時には常に死人と化している。
その死人に、脇腹など何の価値があろうか・・・
原 「おまえさんの戟を受けるにはこの方法しかなかった。
ただ、それだけのことだ」
安西が完全に見えなくなったことを確認した原は、あらためて山原に対し向き直り、
油断なく両手で槍を構えた。
山原「フッ・・クックック・・・。
見事、さすが五聖人と言ったところだな・・・
しかし!!」
背のマントを掴んだ山原は、それをバサッと原に向けて投げつけた。
原 「小癪な!!」
槍でマントを払い、そのまま一気に山原を突き刺す原。しかし・・・
原 「ム!!」
突き刺したものの、その槍からはまったくといいほど手応えは伝わってこなかった。
原 「鎧のみだと!!」
原は、全身を鎧で覆っていた山原が、唯一生身をさらしていた目元が空洞になっている
ことに気がついた。すでに、空となった鎧を突き刺しただけだったのである。
一挙に警戒心が増す原。その彼に背後から声がかかった。
山原「しかし、なんで得意の北斗神拳を使わなかったんです?」
振り向くと、そこにはまだ少年と言っていいほどの小柄な体格の男が、
両腕を組み、顔には柔和な笑みを浮かべて佇んでいた。
闘気も吐かず、武器も持たず、見るからに人の良さそうに微笑むこの男を、しかし原は
即座に、先ほどまで禍々しい鎧姿で荒々しく戦っていた、山原の本来の姿だと見破った
原 「知れたこと。この俺に戟で戦いを挑もうをいう漢がいるんだ。
ならば、槍で返すのが礼儀であろう・・・」
鎧に突き刺した槍を引き抜きながら、原は再び山原の方に向き直った。
山原「傾きますね」
原 「フッ・・・・
だがそれは、お互い様だな。
おまえさんも、武器を使った戦いが主ではなかろう・・・」
ニヤリと笑う原。
山原「あれ!気付いていましたか・・・・」
頭を掻きつつ、照れくさそうに笑う山原。
原 「フフ・・・
素手のおぬしともやり合ってみたいものだな」
槍を肩に担ぎつつ原が言う。
山原「参りましたね・・・・
僕だって武人の端くれです。そのようなことを言われると・・・」
山原の表情が鋭いものに変わる。
山原「自分を、抑え切れなくなるじゃないですか・・・」
左手で、右腕の手首を抑えるように握る山原。全身から、猛獣のような闘気が吹き出す。
原 (ほう、まだこんな闘気を隠しておったか・・・
これは、おもしろい・・・)
山原の闘気に触発されて、原の全身の血液が燃え滾った。
朱柄の槍の"石突き"の方をコンクリートの床に突き刺し立たせ、
徒手空拳となり北斗神拳の構えをとる。
山原「でも、止めときましょう・・・」
噴出していた闘気を霧散させ、元の人懐っこい笑顔に戻る山原。
原 「ん?それほどまでの闘気を発しておきながら、闘わぬと言うのか?
だがおぬし、安西の事はどうする。
先ほどは、わざと見逃したようだが・・・」
山原「参ったなあ。何もかもお見通しですか・・・。
その、まあ・・・安西は見逃したんじゃなくて・・・」
頭を斜めに傾け、首筋をカリカリと掻く山原。なにやら、バツの悪そうな顔をしている。
山原「彼の・・・その・・・目に」
原 「目?」
怪訝そうに眉をひそめる原。
山原「目に・・・見とれちゃって・・・その・・・つい・・・」
原 「見とれた・・・!?」
少し顔を赤らめて言う山原に、一瞬呆けた様な表情になる原。
原 「ぷ・・・・くっ・・・あーはっはっは!」
山原「・・・そんなに笑わないでください」
思わず爆笑する原に、照れる様に言う山原。
原 「いやあ、スマン・・・。
フフ、たしかに佳い目をしていたなあ」
安西が行った方向に対し、少し遠い目をして微笑む原。すっかり戦意は削がれている。
山原「ええ、あれなら真島と戦っても犬死するような事はないでしょう。
ここに来た時の彼の心は、過去の罪に囚われていましたから。
あのまま行っていたら、間違いなく真島と刺し違えようとしていたでしょうね・・
しかし、先ほどの彼はしっかりと未来を見据えた、良い目をしていました。
今の彼なら、たとえ泥を噛んでも生き残る道を選ぶでしょう。
それに、車田さんも善戦しているみたいですし・・・」
原 「確かにそうだな・・・。
しかし、お主はなぜ奴に肩入れする?
それほど、重要な男とも思えんが・・・」
山原「それは、秘密です。
ただ、彼の力はまだ未完成です。今後、どのように化けるかは彼しだいですね」
原 「そうか・・・」
腕を組み、少し考える原。
しかし、様々な思惑が絡みつく今の漫画界において、策や陰謀と縁の薄い原には、
山原の行動の底にあるものを読み解くことは出来なかった。
原 (荒木なら、あるいは分かるやも知れんな・・・)
懐かしい旧友の顔を思い出し、その思考力の深さを少し羨ましく思った原であった。
山原「さて、これからあなたはどうします?」
原 「行くさ、もちろん」
山原「真島の所にですか・・・
原さんが行く必要はないと思いますが、しかし気をつけてください。
奴は矢吹と違い、純粋なる真の邪悪です。
追い詰められれば、漫画界もろとも自滅の道を選ぶでしょう。
あの男なら、たとえ一人でも虚無の嵐を引き起こすでしょうから」
原 「なあに、そうなる前に方をつけるさ。
それに、車田は莫逆の友。いざという時は、一緒に死んでやらねばなるまい」
山原「彼はえなりチーム。
このまま勝ち進めば、お互いに殺し合わねばならない相手ですよ?」
原 「命の取り合いほど、深い付き合いはないさ」
山原「フフ、傾きますね。
しかし、あなたほど実力のある方なら、わざわざバンチを復刊させずとも、
矢吹と対等の同盟を結んだ上で、新雑誌の長ぐらいすぐ成れるものなのに・・・」
原 「莫迦。勝ち馬に乗るよな、そんなみっともない真似が出来るか!
負け雑誌を勝ち雑誌に変える事こそ、漫画家の醍醐味。
汚い権謀術数に現すを抜かす矢吹には、俺が必ず鉄槌を下して見せるさ」
山原「ふふ、しかし意地を通すのは不便なものですね・・・」
原 「だが、それがいい」
清々しい空気が、二人の間に流れた。
山原「もう少し、ここであなたと戦っていたかったんですが・・・
時間です・・・」
安西の行った方向とは、逆の方向に歩き出す山原。
原 「行くのか・・・。
ならば、再見の日まで壮健であれ。
次は、心ゆくまで戦いに興じようではないか!」
山原「ええ、それまで再見(サイテェン)!」
原 「再見(サイテェン)!」
すれ違いざま、中国語の挨拶を交わし、二人は別れた。
横山「どうでした、山原君。
上手くいきましたかな?」
原と別れた山原に、横山からテレパシーで連絡が入った。
山原「ええ、安西の方は上手くいきました。
それに・・・」
伝心術で返す山原。
山原「原哲夫に、" 破 鳳 の 種 "を植えることに成功しました」
バビルの塔にいる横山は、遥か彼方にある飛空挺が自ら望んだとおりに事が進むことに
満足し、思わす笑みをもらした。
横山「フフフフ・・・・。
それは結構。
原が、破鳳の種の誘惑に負け、世紀末覇者となるか、
それとも、自に打ち勝ちさらに成長するか・・・見ものですな」
山原「ええ、僕は勝つと思いまずが・・・」
横山「それもまた一興・・・フフフ・・・
アーーーハッハッハッハ!!・・・・・・・・・・・」
自らは動かず傷つかず、ただ一人勝者の道を歩む横山は、鉄壁の牙城の中、
いつまでも高笑いを上げていた・・・・
一瞬ほぐれた表情を再び引き締め、藤崎を直視したまま車田は問う。
車田「で、お前の意気込みは解かったが、真島を生かしてどうするんだ?
真島を仕留めて契約を終了させたほうが早くないか?」
藤崎「真島が『死』んでも、2人の魂は術の源=宝貝に戻るだけです。
また、矢吹が『死』んでも、2人の魂が開放されるかどうかは不明です。
術を解除してやるのが一番確実な方法です。」
藤崎「そのためには、ほった、小畑両先生が一箇所に揃う必要があります。
それは、矢吹、真島の両名も一緒であることを意味します。
2名を相手にするのは困難ですので、真島には協力――
せめて、邪魔をしないようにして貰わねばなりません。」
車田「しかし、あの真島が説得に応じるだろうか?」
藤崎「あの同盟は矢吹、真島両名に力があってこそ意味があります。
トーナメント決勝が終われば、多くの勢力が矢吹を攻撃に向かうため、
逆に真島にとっては足枷になりかねません。
解除をトーナメント決勝終了時と条件をつければ乗ってくるはずです。」
車田「それならあるいは――だな。しかし、今開放すれば、また暴れまわるのではないか?
奴が決勝まで大人しくしてくれるとは思えん。」
藤崎「そこは説得する以外ありませんね――
最悪、擬似空間に御逗留いただくことになるやも知れませんが。
まあ、彼は身内には案外優しい人ですから、何とかなると思いますよ。」
ひととおりの説明を聞き終えた車田は、暫く瞳を閉じ考えていたが、
やがて目を見開き口を開いた。
車田「わかった。お前に任せよう。――ただし!」
藤崎に歩み寄り両肩に手をかけた。歴戦をくぐりぬけた男の力に満ちた手だ。
車田「お前がひとりで抱え込むことは無い。任せた以上俺にも責任がある。
何かあれば遠慮なく相談してくれ」
藤崎「!?」
それは藤崎にはあまり経験の無い、どこか暖かく力強い感情であった。
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>>310 失礼しました。皆様、脳内補正お願いします。
ちなみに小畑さんはまこリンの弟子だ(´Д`*)マジ
藤崎「――あ、ありがとうございます・・・!」
魔界十人衆だったころにはほとんど使うことの無い言葉。それが自然とあふれ出した。
車田も屈託の無い笑顔を返す。
車田「さて、ではそろそろ俺は行こう。この空間を解いてくれないか?
藤崎「ああ、それなら近くまでお送りしますよ。目的地まで空間をつなげます。」
車田「そんなことができるのか?ブロック間のテレポートは不可能では・・・」
藤崎「お任せくだされ。私も艦の空間制御システムの開発チームメンバーでしたから。
ウラ技はいろいろ有るのですよ。さて――、どこに行かれますか?」
車田「Dブロック・・・いや、高橋先生の医務室かな・・・」
藤崎「でしたら、右手をご覧ください。
高橋先生は――もう、医務室を出られましたね。ご友人と一緒のようですな。
ん〜その地点に向かっている点が3つ?皆川先生と、原先生と――
コイツは、戸土野正内郎!!パクリ四天王か!真島を隔離して正解だったのう――。
Dブロックは――バーリトゥード野球とはいえミサイルと追いかけっことは――」
藤崎が人名に言い及ぶたびに、空間に『窓』が開き人物の様子が映し出される。
車田「おい野球とミサイルってどういうことだ?何で荒木と岡田がいっしょに走ってるんだ?」
藤崎「ああ、ルールにバーリトゥードベースボールが採用されたんです。何でも有りの。
岡田先生は野球メンバーとして助っ人参加してます。人数合わせるために
他にも何人か入ってますよ。あぁ〜結構ケガ人出てる――」
車田「決めた。Dブロックにしてくれ。原や皆川がいれば高橋先生は大丈夫だ」
藤崎「了解!後ろに『窓』が開きます。お忘れ物の無いように――」
車田「ねーよ。じゃあ、真島は任せたぜ!」
ヴゥゥゥンッ!
藤崎「はい!――車田先生、チームの優勝をお祈りします!!」
車田「おう、お前もがんばれよ!!」
車田は『窓』の外へ歩み出た。仲間達の救援に駆けつけるために。
鈴木「・・・とりあえず、死ね。
『左手』にグローブをはめ、何処からか取り出したボールを握り振りかぶる。
J「ふむ、やはり野球漫画家という根本は変わっていないのですね。
鈴木に向って走し出し、両手には黒い炎を生み出す。
J「いいでしょう。私の技の中で攻防のバランスに置いて最強を誇る
黒太陽真拳でお相手しましょう。
鈴木は何も言わず「J」に向って、ボールを投げた。下 手 投 げ で!
J「むっ、その投げ方は・・・黒太陽真拳奥義『夜惑いフォルテシモ』
空中に飛び上がり、体を回転させ両手の炎を撒き散らす。当然、投げられた
ボールは誰にも当たらず、鈴木は「J」の攻撃を直で受けた。
J「フッ、いつから貴方はソフト漫画家になったんですか?
鈴木「・・・仕方が無い。倒せなくも無いが時間の無駄だ。
そういうと鈴木は『右手』にグローブをはめ直した。その様子から先ほどのダメージは
ほとんど無かったようだ。
J「いいでしょう。ならば浄化の炎を喰らいなさい。『悲しみのエレクトラ』!!
再び、空中に飛び変則的体勢からの攻撃。しかし、鈴木本来のピッチングは先ほどとは比べ物にならなかった。
えなり「は、速い!このままじゃ澤井先生に・・・
今度も鈴木は攻撃をかわそうともせず受け止めた。そして「J」にもボールが直撃したかに見えたが・・・
J「私の黒太陽真拳こそ現代の神秘。決して暴かれる事の無い灼熱の礎なのです。
無傷。両者とも全くのダメージを受けていない。いや、鈴木は多少なりに衣服や皮膚が焦げているが「J」は全く
の無傷なのだ。
熊谷「断る」
薄暗く、そして広い部屋。その中央でスポットライトのような一点を照らす光を浴びて、
黒い装甲服のようなものを着込んだ男、熊谷カズヒロは前方、
上の位置に座している四人の人間にそう答えた。
四人は輝く球体のような物を中心に、四方向に浮かんだ椅子に腰をかけている。
CLAMP3「何故です?」
肩に人形を乗せた少女が言う。
熊谷はその少女に顔を向けた。顔全体を覆うマスクを装備している為、その表情は分からない。
熊谷「我ら評議会の任務は、全ての漫画界の腐敗を正すことだ。
その我らが、腐敗の原因とも呼ぶべき矢吹健太郎などに力を貸すなど言語道断。
よって、我が矢吹の元につくなどという命令は、拒否させていただく」
CLAMP1「上官である我々の命令が聞けないと?」
白くて丸い生物を抱えた少女が問う。熊谷は視線をそちらに移した。
熊谷「貴女達の命令に納得がいくのならそうしよう。
だが、明らかに本来の目的と逆の結果になることをするわけにはいかん」
CLAMP2「ちぃ?」
CLAMP4「この作戦が、結果的に漫画界全体の為になるのだ、それが分からんか?
と言っている」
体中にコードが絡まった少女が言い、魔法少女の格好をした少女がそれを訳した。
熊谷は一瞬どっちの方を向いたものかと困惑したが、
とりあえずコードが絡まった少女の方を向いた。
熊谷「私にはそのようになるとは微塵も思えない。
どうしてもやると言うのなら他の者を使ってくれ」
CLAMP1「……これ以上問答しても無駄のようね。分かりました。
しかし、命令を聞かなかった以上、それなりの懲罰は受けてもらうわ」
熊谷「分かっている。謹慎なりなんなり、如何様にでもしてくれ」
熊谷の言葉に四人は同時に頷き、
CLAMP1「では熊谷カズヒロ、これより2週間、あなたには自室にて謹慎を命じます」
まったくふざけている。
熊谷カズヒロは表面では落ち着いてみせていたが、内心では今にも爆発しそうなほど憤怒していた。
何故我々が本来敵である矢吹健太郎などに協力せねばならんのだ。
しかも、すでに本多健志をやつの部下として送り込んでいるらしい。明らかにおかしい。
評議会は漫画界の腐敗を取り除くための組織だ、それが腐敗の助長をするなどと……
熊谷「そう言えば、これが漫画界の為になるなどと言っていたな。
一体どういうことだ……?」
腐敗の助長が漫画界の為? 否。そんなはずはない。
熊谷「ならばなんだ? まさか、スパイなどというつもりではなかろうな」
確かに矢吹の持つ力は大きい。多くの作家の力をパクっているからだろう。
神には流石に及ばないが、それに近い力を持っている。しかし、
熊谷「ただ倒すのなら、真っ向からではなく暗殺すればいい。
私にはその力がある。その命令なら、喜んで受けたものを……」
何故あの女達は私にその命を下さないのか。私の力を侮っているのか?
いや、違う。彼女達はメンバーの力は全て把握しているはずだ。
そう、仮にも評議会のトップなのだから――
熊谷「待て」
自らの言葉で思考を止める。トップ? 誰が? CLAMPがか?
熊谷「何故?」
彼女達は、どちらかというと矢吹に近い属性、同人系の属性のはずだ。
そんな女達が、何故この評議会のトップに納まっているのだ?
熊谷「いつから……だったか……」
CLAMPが評議会のトップに納まった時の事を思い出す――思い出せない?
熊谷「そんなバカな」
熊谷は昔の記憶を引っぱりだして来た。過去の任務を一つずつ思い出して行く。
しかし、CLAMP以前の評議会のトップは彼の記憶にはいなかった。
CLAMPが評議会を設立した――そんなわけがない。
あの女達が、わざわざ自分達の敵になる組織を作り、
そのトップに納まるような矛盾した行動をとるわけがない。
熊谷「俺は……評議会のことをなにも知らない?
長年いるはずのこの組織の事を、一つも――?」
彼は今始めて、自分のいる組織に対して疑念を持ったのだった。
CLAMP2「断るとは、予想外だったわね」
CLAMP4「記憶操作が甘かったんじゃないの? もう少し強化したらどう?」
CLAMP1「それは無理よ。これ以上強くしたら彼が壊れてしまうわ。
彼を使うには、評議会は正義の組織と思わせるのが一番なのよ」
CLAMP3「ちぃ……」
CLAMP2「そうね、本来の目的の為に使えなければ意味がないわ。
無理は承知で、もう少し強化する必要があるかもしれないわね」
暗闇の中で相談するCLAMP。
刹那、その中央に位置する球体が輝きを増した。四人の表情が硬くなる。
球体の中に、一人の男の影が写し出された。
矢吹「……やあ、久し振りだね」
CLAMP「はい、お久しぶりです、矢吹健太郎様」
球体に写し出されたのは矢吹健太郎だった。どことなく楽しそうな表情をしている。
矢吹「そっちの様子はどうだい?
こっちはCブロックが中盤戦、Dブロックがクライマックスで楽しくてしょうがないよ」
楽しそうに笑う矢吹。
対するCLAMPは多少沈んだ面持ちだった。CLAMP1が頭を下げる。
CLAMP1「矢吹様、申し訳ございません。熊谷カズヒロをそちらに送るはずでしたが、
失敗してしまいました」
矢吹「かまわないよ。今の私は冨樫の遺産を手に入れたおかげで更に強くなったのだよ。
今の私は、誰が相手だろうと負ける気がしない」
CLAMP2「遺産を手に入れたのですか?」
CLAMP4「おめでとうございます」
CLAMP3「ちぃ!」
矢吹「ありがとう、まあ戦力の方はまだ大丈夫だ。
そっちも、彼に勘付かれない程度にがんばってくれたまえ」
CLAMP『は、了解いたしました』
球体から矢吹の姿が消える。CLAMP達はお互いの目を合わせて頷き合った。
CLAMP『全ては、矢吹健太郎様の為に!』
Aブロック決勝会場を目指す、2つの影。安西と高橋留美子である。
高橋「決勝会場はもうすぐよ。けれど、本当に真島はそこにいるの?」
安西「かつて同じ属性だった、俺は、他のパクリ作家の波動を感じることが出来る。
少なくとも、ついさっきまでは、奴の気配は確かにそこから流れていた」
そう言いながらも、安西は考える。
安西(どういうことだ?さっきまでは、
あれほど強く感じた奴の波動が、急に全く感じられなくなった。
まさか、車田が、もう奴を倒しちまったてえんじゃねえだろうな?)
そんなことを考えていると、前を走る高橋から軽い叱責が飛んだ。
高橋「こら!なにをボケっとしているの、安西君!決勝会場はもうすぐそこなのよ!
いかなる時でも、ちゃんと気を張ってなきゃダメじゃない!!」
途端、普段は反発的な安西が、狼狽し、しどろもどろになる。
安西「え…い…いや、これは……その………すまねえ……」
高橋「まったく……あいかわらず、どこか抜けてるわねえ、安西君は」
勝手なことを言う高橋に、安西は一切の反論が出来なかった。
安西(この人は、昔からどーも苦手なんだよなあ……。
俺が、藤田先生のアシだった頃から、なにかにつけて口うるさかったし……)
注意された矢先、安西はもう随分遠くなってしまった、過去を思い出す。
安西(……でも、不思議と嫌じゃなかったんだよなあ。
あの人にまくしたてられると、
なんだか顔にあられがぽんぽん降ってくるみてえで心地よかった。
俺にはお袋がいないから分からねえけど、もしいたら、こんな感じだったのかな……)
高橋「あ ん ざ い く ん ?」
押し殺した声に、安西は追憶から呼び戻される。
安西「うおッ!?」
驚きの叫びを発する安西の目の前に、高橋の顔があった。
その顔は微笑んでいるが、その裏になにやら怖いものが潜んでいるような、そんな表情だった。
高橋「ボケっとするな、と言ったそばから、いい度胸ね?」
安西「い…いや…だからこれは……」
懸命に言い訳しようとする安西に、高橋がすかさずコブラツイストをかけた。
安西「ぐああッ!?」
呻く安西の耳元で、睦言を囁くように、高橋は呟く。
高橋「それともうひとつ……?Tお 袋?Uってどういうことよ!
私はまだ、そんなトシじゃないわ!例えるなら、せめて、?Tお 姉 さ ん?Uでしょうが!!」
どうやら、安西の心中の呟きは、途中から声に出ていたらしい。
刹那、外見に似合わぬ万力のような力で、安西の全身を絞め上げる。
その拍子に、高橋の豊満な胸が顔に押しつけられていたりするのだが、
今の安西に、その感触を楽しんでいる余裕などなかった。
安西「がああああッッ!!すんませんすんませんすんません!!
お姉さん、お姉様、姉上、姉君様、許してくれ〜〜〜〜〜!!!」
コブラツイストで大の男を絞め上げる巫女と、断末魔にも似た絶叫を響かせる男。
そんな2人のやり取りを、安西の中に潜む片倉は、戦々恐々の思いで見ていた。
片倉(こ…怖え〜〜……。しかし、なにやら猛烈に嫌な予感がするのう……
真島との闘いはともかく、むしろ控え室に帰った後に、
なにか、とてつもなく恐ろしいことが起きるような………)
この片倉の予感は、後に見事に的中することになるが、それはまた後の話である。
長谷川と富士原は、小破した3体のスーパーロボットを修理すべく、
ひとまず、一番損壊の酷かったガオガイガーの下に向かっていた。
長谷川「しかし助かったなあ・・・・
うちは、メカが多い割りには、整備できる人が少なかったから」
富士原「お役に立てて、そりゃどうも・・・
しかしこりゃ、スーパーロボットマニアにはタマラン眺めだなあ・・・」
ここは、バビルの塔の地下格納庫。並べられているスーパーロボットは数知れず。
長谷川「まあ、主流であるダイナミックプロ系とサンライズ系のスーパーロボットが、
ほとんどここに詰め込まれてるからな。
本来なら、光子力研究所やジャブローなんかに置いとくべき代物なんだけど、
分散して置いとくと管理も大変だし、各個撃破の的になる。
それに下手すりゃ、盗まれて敵の戦力に組み込まれるし・・・。
それならば、スーパーロボット漫画の開祖である横山様のこの塔に、
みんな纏めて置いとこうって、事になったらしいぜ」
長谷川「へー、色々考えてるんだなあ・・・
そういや、問題のガオカイガーはどこに?
なんか見当たらんけど」
長谷川「あれー?
確かここに搬入しといたはずなんだけど・・・」
"25"と描かれたデッキの前、40M級のロボットを探す二人。
無くなるはずのないものが、ここにない。
そんな二人に奥のほうから、"ガリ、ゴリ、ボリ、ガギ"と、
なにやら不気味な音が聞こえてくる。
富士原「おろ?
誰かなんか食ってるのかな?」
長谷川「そのわりには、えらい硬そうな音だが・・・
確か、真ゲッタ―はあっちの方に置いといたな」
富士原「それなら、先にそっちから修理しよう。
あの音も気になるしな」
こちらは"3"と描かれたデッキの前、真ゲッタ―を探す二人。
しかし今度も見当たらず、代わりにあるのは紅い金属片と各種機械パーツ。
そして、それらを喰らうロングコートに黒眼鏡に長髪という、あから様に怪しい男が一人。
富士原「なあ、まさかあれって・・・・」
長谷川「まさか、そんなはずは・・・・」
とんでもない光景に、暫し呆然とする二人。
その間にも、不気味な噛み音は続いていく。
長谷川「確かあの人は、横山五虎大将の吉富昭仁さん」
富士原「と・・・、とりあえずあの人に聞いてみよう・・・。
すみません、ガオガイガーっていう肩に新幹線の着いたロボット、
見ませんでしたか?」
いやな予感に、恐る恐る話し掛ける富士原。
話し掛けられ、後ろを振り返る黒眼鏡の吉富昭仁。一応食事をとる手は止めている。
吉冨 「肩に新幹線のあるロボットは、何体かあった・・・
胸にライオンがついてる奴か・・・?」
ぼそりと言い放つ吉冨。
富士原「そうです・・・そっ・・・それです!」
富士原の言葉に暫し考える吉冨。そして再びボソリと言い放つ。
吉冨 「結構、薄味だった・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
思考停止30秒。二人は同時に言い放つ。
富士原&長谷川「「 吐 ぁ き 出 せ ぇ ー ー ー ー ー ー ー ! ! 」」
さすがに、"金田一かよ!"とうツッコミはしない二人だった。
吉冨 「今は食事中だ。後にしてくれ・・・」
富士原「食事って、あんたそれまさか・・・」
まさかも糞もない。間違いなく真ゲッタ―1である。
今は、金属片と機械パーツに分解されてはいるが・・・・・(涙)
長谷川「まあ待て、富士原。
一応、あの人は横山様の直属、五虎大将の一人。
ここは、任せてもいいんじゃないだろうか・・・」
一応、先輩として富士原をなだめる長谷川。
しかし、富士原の肩を持つ手が震えている。
富士原「しかしあの人、アレを食おうとしているぜ・・・」
富士原の指が示す先、青白い光を放つ巨大な物体がひとつ。
長谷川「まさかアレって、ゲッタ―炉?」
富士原「まさかもくそも、ゲッタ―炉!」
ゲッタ―炉心。
原作では、ゲッタ―Tの炉心の爆発により、迫り来る恐竜帝国軍団を
全滅させた代物である。
そのゲッタ―炉に、吉富昭二は両手をかけて、大口を開けていた。
富士原&長谷川「「 や め ろ ー ー ー ー ー ー ー ! ! 」」
必死で止める二人。しかし時既に遅し。
吉富は真っ白い健康的な歯で、青白い恐怖の炉心にがぶりつく。
ド ゴ ー ー ー ー ー ー ー ー ン !!
二人の叫びは空しく、炉心の爆発音によって掻き消された・・・・・
その後、ススだらけでシッチャカメッチャカになった格納庫を掃除する派目になった二人は、
新品同様ツルツルピカピカになって、完全修復された真ゲッタ―とガオガイガーを見て、
泣いた・・・・
鈴木「とりあえず・・・ぶっころだな。
鈴木の目つきが一層鋭くなり、「J」を捕らえる。猛禽類が獲物を捕らえるときの様な金色の目は
その視線だけで人を殺す事が出来ると思わせた。
J「フフフ、無理ですね・・・黒太陽真拳奥義『永遠ブルー』!!
三度目の空中変則的体勢からの攻撃と地上からの剛速球の勝負。黒き炎は意思を持つがごとく
鈴木を捕らえ、白き対空砲は「J」の腹部に直撃した。しかし、やはりどちらも無傷だった。
えなり「す、凄い・・・鈴木がダメージを食らってないのは防御力が高いだけだけど・・・澤井先生
はカスリ傷一つない。これが黒太陽の力なのか?
鈴木「・・・なるほどな。その上のか。
えなり「上?
そう言われて空を見るが、至って普通の青空なのだ。特に怪しい物は無い。
J「フフ・・・見事。初めてですよ、黒太陽の真実に気づいた者は。
すると、「J」の姿がじょじょに消えて少し現れた場所に本物の「J」が現れた。
J「この黒太陽真拳超奥義『眠らざる5太陽』の真実にね。
突如空が曲がり、そこから5つの黒い太陽が現れる。
えなり「そうか。澤井先生はこの5つの黒太陽の光の屈折を利用して幻影を作り出していたんだ。
だから、直撃に見えても実は検討ハズレの攻撃に過ぎない!
J「しかし、気づいた所でどうします?貴方にはこの技を破る方法は無い。
えなり「確かに・・・この幻影を消すにはあの黒太陽以上の光が必要だ。今の鈴木にそんな
事は出来ない!
鈴木「黙れ・・・外野がピーピーさえずるな。
ギロリ、という効果音が聞こえてきそうな1睨みにえなりが耐えれるはずもなく氷ついてしまった。
鈴木「・・・・・・・・ちと、本気で投げてやる。
J「それは楽しみですね。
J「黒太陽真拳奥義『バネッサの屈辱』!!」 鈴木「絞竜(こうりゅう)」
Jカッコいいなw
横山への連絡を終えた山原の背に、ふいに声がかけられた。
??「そちらの首尾は上々のようだな」
山原「おや、池上さんですか」
振り返りも、驚きもしないところを見ると、すでに池上の存在には気付いていたらしい。
中国風の衣装を身に着けた長身の青年……池上遼一は、背を向けたままの山原に向かって、話をつづける。
池上「恐るべき男だ、原哲夫。お前ほどの男が一目置くのも理解できるな」
すると、山原が恥ずかしそうに頭をかく。
山原「なんだ、見ていたんですか。人が悪いなあ…」
池上「どうでもいいけど、その格好と喋り方はどうにかしたらどうだ。
?T二重の擬態?Uをするとは用心深いお前らしいが、俺の前でまでやる事はないだろう」
池上が言うと、山原が苦笑した。そして、その姿が変化していく。
今までは小柄な少年の姿だったのが、見る見るうちに、ひとりの精悍な美丈夫へと変貌していく。
やがて変形が完了すると、そこには肩当てに虎頭をあしらった鎧を身に着けた、長髪の男が立っていた。
途端、先程までとは大気を震わすような圧迫感が、辺りを支配しる。
山原「フッ、あの姿は潜入任務や相手を油断させるには、うってつけなのだが、疲れるのが欠点だ」
池上「身体構造すら自由に変化させる?T雲体風身?Uの術。原が怪物なら、お前もまた怪物だな」
山原「そんな事を言う為に、わざわざ来たのではあるまい池上。お前の方は一一」
そのとき、山原は初めて池上を返り見、そして気付いた。
山原「……また、泣いているのか、池上。
そして、お前が涙を流すときは、誰かを殺したという証明。
原の?T破鳳の種?Uの萌芽を促進することが、お前の任務。誰を殺したんだ?」
目を閉じ、双眸から涙を溢れさせながら、池上はちぎるように呟いた。
「北条……司」
山原義人と池上遼一が会話していたのと同じ頃。Aブロック内のとあるBAR一一
人気のない店内は、グラスやワインの瓶などが砕け散り、惨澹とした状態だった。
その店内の中央。そこに、全身を切り刻まれ、血まみれになった男がひとり倒れている。
端からはどう見ても死んでいるようにしか見えない。だが、男はかろうじて生きていた。
いや、それは?T生きている?Uというよりも?Tまだ死んでいない?Uと言った方が正しい。
「…… …… … …………」
何か喋ろうとしているらしいが、喉……声帯までも切り裂かれている為、声にならない。
喉の傷から空気が漏れるたびに、ヒューヒューと笛のように鳴り響く。
裂かれているのは、喉だけではない。
全身の至るところ……それも致命の急所となる部分が、ことごとく鋭利な刃物のような物で切り裂かれている。
手足の腱も切られているらしく、男に出来る動作は、
全身をピンで止められた昆虫採集の標本のように、ピクピク痙攣させることだけだ。
動脈を断ち切られたことによる多量の出血の為、すでに混濁した意識の中で、男……北条司が思った事。
それは、突然の暗闇の中、死神の鎌のように襲いかかってきた、一人の兇手(暗殺者)の姿だった。
あれは俺の人生最大の不覚だった一一北条司は後に述懐する。
数分前一一
試合後、ナンパに精を出していた北条だったが、案の定誰も引っ掛けることが出来ず、
結局、ひとり寂しくBARでグラスを傾けていた。
バーテン以外、誰もいない店内で酒を呷っていると、色々と不快なことが思い出される。
自分の目の前で灰になったイブのこと、矢吹のこと、そしてこれからの漫画界のこと。
様々な澱みが北条の胸中に沈澱し、結果、いつもよりも深酒をすることになった。
あるいはそれが不覚をとった最大の要因だったのかも知れないが、それだけでもない。
例え、万全の状態でも、勝てるかどうか定かではない一一相手は、それほどの強敵だった。
何度目かのグラスを空けたそのとき、事態は起きた。
まず、店内の証明がいきなり消えた。
「!?」
ほんの一瞬の混乱の後、すぐさま戦闘体勢をとる北条。
それは彼が一流であることの証明だったが、敵はその上をいっていた。
闇夜でも昼間と同様の視界を保てる北条だが、暗闇に瞳孔が順応するには、ほんのわずかな時が必要だった。
刹那とも言える針のような隙間。それを相手は見逃さなかった。
背後の足音に反応し、即座に愛銃のコルトパイソン357マグナムを照準する北条。
だが、その先にいたのは、喉から噴水のような鮮血をほとばしらせるバーテンの姿。
その事実を視認し、さらに理解するまでに、さらにもう1コンマ。
それは、相手のナイフが、北条の利き腕の腱を切り裂くに、十分な時間だった。
返す刀でもう片方の腕も使用不能にされた時点で、勝敗は決していた。
次々と全身を切り刻んでいくナイフを、北条は全く躱すことが出来なかった。
北条自身、銃器だけではなく、ナイフ術にも精通している。
しかしながら、目の前の男の技量は、ケタが違っていた。
北条の生命活動を停止させるに足る損傷を与えるのに、1分とかからなかったのである。
完全に動けなくなった北条に、男はせめてもの手向けと思ったのか、己の名を名乗った。
「池上遼一……それが俺の名だ」
北条は死にません。ちょっとやりたい展開があるので、また深夜につづきを書きます。
せっかく盛り上がってたのに・・・
死なないなんてネタばれ要らないYO
>>337 すまん、
俺が、下手にもんく言っちまったせいで、こうなっちまったみたいだ。
見逃してやってくんなまし・・・・
長谷川「………(ZZガンダムの中を整備している)」
富士原「………(マジンカイザーを整備している)」
二人ともげっそりとした雰囲気で仕事をしている。
それもそのはず、なにやらすぐ終わるはずだった仕事が、急に増えたのだから。
横山「…………。二人ともがんばって下さい。」
横山はモニターを見ながら、同情の念を込めいて言う。
吉富「修理は終わった。」
吉富がドアを開けて言う。
横山「ええ、見てました………。しかしあれをはずす為とはいえ、あの二人には流石に悪いことをしましたね。」
吉富「………。」
吉富は無言でナットを食べる。
横山「で、首尾はどうです?」
吉富「この通りだ。」
そう言って、複雑な装置を手から取り出す。
吉富「戦った時に埋め込まれてたらしい。富士原は気づいていなかったがな。」
横山「ま、そんなことだろうとは思ってましたよ。次動かしたときに作動する洗脳装置だなんてね。」
つまり評議会にとって富士原は最初から捨て駒だったのだ。
横山「ガイアーのコクピットを探していたのが運のつきでしたね。」
自動的にコクピットを探し出し、次動かしたときに洗脳する。これほど効率的なメカはあるまい。
(ちなみに漫画版ガイアーにコクピットはない。テレパシーで動かすのだ。)
吉富「長谷川のメカにはついていなかった。」
横山「つける暇がなかったのでしょう。まあいずれにしろ警戒するに超したことはありません。
メカウサギ(バビルの塔にあるの、いやまじで)を使って警戒を強めておきましょう。」
長谷川「自分の分も直さないとな(BURNを直している)。」
富士原「そだな(竜虎王を直している)。」
長谷川「横山様は、食事当番は止めてメカ修理に専念するよう言っていた。」
富士原「さすがに、この状態で食事当番はまずいだろう。」
長谷川「そだな。」
雑用係は色々大変みたいだ。
お、なんか続いてる!
しかも状況を上手く利用して。
なんか、ちょっと嬉しいぞーーーー!。
はあ はあ はあ
試合開始から数分、橋本はキックボクシングの構えのまま、最初の立ち位置から動かず、じっと目の前の井上を凝視していた。
動いていないにも関わらず、既に息が荒くなっており、額からはわずかに汗がにじんでいた。
橋本が凝視する井上は、橋本とは対称的に、平然とした表情で腰に帯びた刀を抜こうともせず、ただ両手を脇に垂らしたまま、べた足で突っ立っていた。
何故だ!?
まるで消耗した様子の無い井上の姿に橋本の頭の中を疑問がよぎる
両者の間の距離は、拳どころか蹴りにも程遠い間合いではあったが、逆にその間合いに入る前に何らかの攻撃を加えなければ剣士である井上は不利にきまっている。
しかも橋本は格闘漫画家、距離を詰めて殴り合いに持ち込めば瞬く間に決着は付く。
そして何より自分は先ほどからそれだけで相手を食い殺せそうなほど強烈な殺気を井上に向けて放っているのだ。
消耗しないはずがない、いや、消耗しているはずだ、そうに違いない。
頭の中で思考が錯乱する。
このままではいけない、それはわかっている。
先ほど自分の頭の中を過った通り一気に懐に飛び込み、蹴りの間合いでも拳の間合いにでもすればいい。
それもわかっている。
だが動けない。
一瞬井上の表情がまるで痴呆のように宙をさ迷った
それを見て取り踏み込もうと思った瞬間
それまで宙をさ迷っていたはずの井上の両眼がいつのまにかこちらを睨みつけているのだ。
「(隙だらけのような・・だがそれでいて・・一部の隙もない・・・)」
はあ はあ はあ はあ
獣のような橋本の荒い息だけが、その場に響き渡っていた。
ふう・・・
井上は短くため息をついた。
まずいな
刀を抜く暇が無かった。
審判が来て、多少はルールの取り決め、開始前の間があると思っていた。
油断だった。
この目の前にいる男にとって、審判が来た、その事実だけで十分だったのだ。
剣と剣との勝負では無い、わずかな動きでも見せた瞬間、相手は俺の懐に飛び込んでくるだろう
まずい この状況が、ではない
静かすぎるのだ 俺の心が
平静すぎる
必殺の戦いの最中にこれでいいのか?
頭が 冷たい
・・あの左手・・・
橋本の左手に何かを感じたのか、井上の思考がわずかにそれる。
ザッ
その隙を見て取ったのか橋本の体がわずかに動く
おっと
慌てて意識を橋本に戻す、すると橋本はまるで子供の遊びのようにその場で硬直した。
危なかった、獣のような男だ
じっと俺に隙ができるのを待っていたのか
凄い殺気だ 必死の形相
この男も何かに囚われているのだろうか
わからない
こんなことを考えていていいのだろうか
それもわからない
ただようやく一つわかったことがある
俺は今 自由自在だ
ふっ・・・・
いつしか、井上の顔に笑みが浮かんでいた。
いつの間にかバスケットマンから剣豪に戻っていますな
(見てくれは赤い人でサムライ野郎なんかな)
怒声が木霊する。
真島「うおらぁ〜〜〜〜〜!!」
眩い光が射す、見渡す限り瓦礫の世界。
真島「はあっ、はあ・・・しぶとい野郎だ!」
真島は目の前に立ちはだかる『敵』に対して、がむしゃらに剣を振るっていた。
真島「くそっ、魔法力が残ってればこんな奴!」
真島はもはや精も根も尽きかけ、その姿は元の人間のものへ戻っている。
真島をここまで消耗させている相手は――影。
まさしく真島の影なのであった。
真島「いい加減に・・・死ね!!」
真島の一刀が影を切り裂く――
真島「ぐおっ!!」
その度に自身も同じ箇所に激痛を感じるのだが――
小畑「いい加減に気付かないもんなのかな〜」
小畑は物陰に隠れ、呆れたようにその戦いの様子を見ていた。
??「『金光』によって作り出された影へのダメージは自分に跳ね返る。
影の力は本体の10分の1に過ぎぬが、本体が死なない限り影もまた死ぬことはない。
しかし・・・まさかまだ戦ってるとは思わなんだのう。
『金光陣』に閉じ込めて良かったんだか悪かったんだか」
ふいに空間の窓が開き、道化のような人物が小畑の横へ現れた。
小畑「物陰に隠れれば影も消えるし、ちょっと考えればわかりそうなものだけどね。
力押ししか頭にないんだから・・・ところで、あんた誰?」
??「藤崎竜、と言えば覚えがあると思いますが・・・
お会いするのは随分と久しぶりでしたかのう?」
小畑「藤崎・・・なるほど、君が・・・」
小畑は複雑な表情で道化を見つめていた。
本来ならとうに死んでいたところを、彼の技術のおかげで永らえたのも事実、
しかし、契約の監視者としてしか存在を許されなくなったのもまた、事実なのだ。
ふと藤崎の額の千里眼が警告を発する。
藤崎「むう、まずいのう、真島のHPが無くなりそうだ」
影への攻撃を止めようとしない真島のHPは、否応なく減り続けているのだ。
藤崎「 宝 貝 『 化 血 陣 』 ! 」
途端に空間が塗り替えられる。
真島「うおりゃー!今度こそとどめ・・・あれ?」
ふと気付くと、そこはメルヘンチックな人形だらけの部屋だった。
藤崎「おぬし、とどめなど刺したら自分も死んでおったぞ」
真島が辺りを見回すと、この部屋にあって全く違和感のない藤崎を見止めた。
真島「何だてめーは?」
藤崎「わしは藤崎竜、崑崙山の仙人にして、
おぬしらに課せられた契約宝貝『帰書文』の技術提供者と言った所だ。
まあ、好きで技術を提供したわけではないがのう」
真島は鬱陶しそうに小畑を一瞥すると、藤崎に向き直る。
真島「はぁ〜ん、てめーが。で、そのフジリューが何の用だ?」
藤崎「では単刀直入に言おう。かくかくしかじかで――」
藤崎が用件を説明する。
真島「かくかくしかじかだと!!」
小畑「なるほど、かくかくしかじか」
通じたらしい。便利な言葉だ。
藤崎「それで、どうです小畑先生?」
藤崎は腕を組み考え込む小畑に問い掛ける。
小畑「確かに自由の身になるのは魅力的だ・・・けど、そんなに上手くいくかな?」
至極最もな疑問だ。
藤崎「術者以外に宝貝を解除できるのか・・・ということですな?
その点は心配に及びません。アンチ宝貝を持ってすれば可能です」
藤崎は淀みなく疑問に答える。自信があるのだろう。
小畑「しかし・・・本当に自由になることを望んでいるのかな・・・?」
小畑が呟いたその言葉は、藤崎にとって予想外のものだった。
藤崎「小畑先生は自由を望んでおられぬのですか!?」
藤崎の声に小畑はハッとしたように口元を押さえた。
(口に出してたのか・・・)小畑は咄嗟に言い訳を取り繕う。
小畑「いや、ほら・・・一応ほったの意見も聞いてみないとな」
藤崎「ああ、確かに・・・」
よく考えれば自分のやっていた事は、好意の押し売りだったのかもしれない――
そう思いかけた藤崎はホッと胸を撫で下ろす。
そして小畑も――
小畑(確かに矢吹は許せない、この役目から開放されるなら願ったりだ。
しかし、いざとなると少し・・・少し考える時間が必要だ・・・)
「ああ、もちろん実行するつもりで計画を進めてくれていいから。
真島もそれでいいな?」
小畑は真島に意見を求める。
真島「帰書文を無効化するのには反対しねーが、
トーナメント終わるまで大人しくしてろってとこが気にいらねー。
俺はもっと強くなりてーんだよ!!」
車田に敗北したことを思い出しているのか、その顔には憤怒の表情が浮かんでいた。
藤崎「ならん!これ以上無茶をすれば各勢力・・・特にサンデーの連中が黙ってはいまい!
今お前に死なれては困るのだ!!」
藤崎が制す。しかし真島の野望は止まらない。
真島「あと2、3人から『魔王のかけら』を奪えばそれだけでもパワーアップできる!
そうすれば倒される心配は・・・いや、そこまでいきゃ全部集められるかも知れねー!!」
この男は言葉では止まるまい――
藤崎「力ずくでも大人しくしていてもらう!!」
その言葉に真島は藤崎に殺意を向けた。
真島「できるのかよ・・・!?お前ごときに!!」
だが藤崎は身じろぎもせず(内心びびっているが)その視線を受け止める。
藤崎「ダアホが!!戦いは力のみで行うものにあらず!
わしが何の考えもなしに、おぬしを金光陣に放り込んだと思うか!」
真島「何だと!?」
藤崎「おぬしは車田先生との戦いで魔法力は尽きていた。
そして先程の『金光陣』でも、影を攻撃すれば自らのダメージになるとも気付かずに戦い続けた。
今のおぬしのHPは3ケタも残っとらんわ!」
真島「何ィ!だが俺の力を持ってすればお前など・・・」
藤崎「一撃で倒せるか?だが、おぬしも一撃たりとてわしの攻撃を食らうことは出来んのだぞ。
いざとなったら戦闘に不向きなわしでも一撃で倒せるように、
千里眼にアラームをセットして、おぬしのHPを調節しておいたのだからな!」
真島「くっ、まんまと貴様の策に乗ってしまったと言うわけか!?」
小畑(物陰に隠れればいいだけだったのに)
例えまぐれでも攻撃を食らうわけにはいかないとは――真島はうろたえていた。
藤崎(効いとるようだのう・・・もう少し脅しておくか)
藤崎は懐から教鞭のようなものを取り出し、構えた。
藤崎「わしの言葉が嘘か真か、試してみるか!」
藤崎の周りに風が巻き起こった。
真島「くう・・・いいのかよ、俺を殺したら小畑は宝貝に戻っちまうんだぜーッ!なあ?」
小畑「いいよ別に」
真島「ほら、いいってよ!・・・何ーっ!?いいのかよ!!」
小畑をダシに使うつもりが、予想外の答えだった。
小畑「藤崎君なら俺が宝貝に戻っても何とかしれくれるだろ」
小畑は他人事のように答える。狼狽する真島。
藤崎「ニョホホホホホホ、当てが外れたのう。どーする?玉砕覚悟でわしにかかってくるか?」
真島「くそーっ!!」
一撃、一撃で藤崎を葬り去れればいい。しかし、一撃、一撃でも食らってしまったなら!
何故こんなに追い詰められてしまっているのだ俺は・・・ロウカードを使うか・・・?
真島が思案している最中、藤崎はニョホホと大蛇のように絡み付き、その耳に囁いた。
藤崎「まあ、わしも鬼ではない。むやみやたらに殺生するのは好まん。
そこでだ、クイズで決めると言うのはどうかのう?
わしが負けたらおぬしの行動には口出しせんことにする。それでどうだ?」
その言葉は真島には慈悲深い仏の声に聞こえた。しかし――藤崎は嫌な笑いを浮かべていた。
真島「よし、クイズで勝負だ!!」
――そのための『化血陣』なのだ。真島はまた藤崎の策に嵌ってしまったのだった。
真島と藤崎はテーブルに向かい合う。
中央にはトランプのようなカードの山が置かれている。
藤崎「ルールはいたってシンプル。この問題の書かれたカードの山から一枚を引き、
交互に問題を出し合うというもの。答え合わせは小畑先生がやる。1問でも外れたら負けだ。」
真島「1問でも!?そりゃ厳しくねえか、おい?」
藤崎「何を言う。そもそもわしらの戦いは先に一撃を加えた方の勝ちであろう。
それを平和的に解決しようとクイズに置き換えただけの話。厳しいも糞もないわ」
真島「じゃあ、先に問題出した方が絶対有利じゃねーか」
真島は結構痛い所を突いた。
藤崎「ぐっ・・・じゃんけんで決めるのだ。それでよかろう」
真島「よーし、じゃーんけーん!」
藤崎「ぽん!・・・やったー!!」
真島はグー、藤崎はパーを出していた。
小畑「じゃ、藤崎君の先行だな」
小畑は問題の書かれたカードをシャッフルし、テーブルに置いた。
藤崎「では第1問行くぞ」
藤崎がカードをめくる。と、その手が止まった。
藤崎「ほほ〜これはこれは・・・電卓使ってもいいぞ。プクク・・・」
問題:この数式の答えは正しいか、そうでないか。○か×かで答えよ。
38543×42+68342÷20×36−6539×7.5+8456
÷40+43629−83254−80004×4=1795075.15
真島「げええ〜〜こんなのアリかっ!!」
数字の羅列を見て真島が心底嫌そうな顔をする。冷静に考えれば2択なのだが。
藤崎「さ〜〜て、真島君の頭の程度はどれぐらいかのう?」
涼しい顔で藤崎が言う。
小畑「こ、これは!この問題はっ!!」
小畑が何かに気が付いたらしい。そう、この問題はあの――
真 島 が 矢 吹 を 越 え ら れ る か ど う か ・ ・ ・
今 ま さ に 試 さ れ よ う と し て い た ! !
かくかくしかじかワロタ
池上遼一……その男の名を、北条は幾度も耳にしたことがあった。
暗殺者集団?T百八竜?Uの総帥であり、自らも世界最高の誉れ高い暗殺者。
巨大な組織力と、暗殺者としての超人的な技量によって、法の外に君臨し、?T自由人(フリーマン)?Uと呼ばれる黒社会の巨人。
それが、池上遼一という男である。
(只者じゃないと思っていたが、あれが、そうだったとは……まいったね。
噂には尾ひれがつくのが常だが……奴の場合は、伝説の方が大人しめだ)
自嘲の笑みを浮かべようとするが、意識が混濁してきた。
(いかん、まだ死ぬ訳にはいかない!
奴が単身動くとは思えない……暗殺者という人種は、自分の意思では動かない。
とすれば、奴の指示を出している者がいるということ!
急いで、原たちに危機を伝えなきゃならない!
いや、原たちも、もしかしたらすでに敵に襲われているかも知れん)
懸命に身を起こそうとするが、体中の腱を断たれている為、芋虫のように見苦しくもがくことしか出来ない。
(……しかし……つくづく完璧な仕事ぶりだ……このままじゃ……数分としないうちに……俺は……)
死への甘い誘惑が、北条を永遠の眠りへと誘おうとする。
極上の美女である死の女神の抱擁を、北条は全力ではね除けた。
(……まだ俺には……この世でもっこりしたい女が山程いるんでな……アンタのお誘いはまだ受けられねーよ……)
床に太い血の跡を引きながら、北条はある場所へと這いずっていく。
そこには、ケースに納められた、数本のアンプルが散らばっている。
(こいつだけは……2度と使いたくなかったんだが……そうも言ってられねえか…)
北条は心の中で、己の不幸に毒づくと、アンプルを噛み砕き、中身の液体を嚥下した。
……天使の名を冠する、悪魔の薬を……
??1「ゴッドハンドが”あの男”を助ける為に動き出したらしい。」
一人の男が、手に紙コップを持ちながら言う。
??2「さすがに、”あの男”の実力は横山や、永井にも匹敵するものがある。」
??3「そんな奴がゴッドハンドに協力したら、流石にまずい。」
??4「だから、我らが呼ばれたのであろう。」
??2「その通りだ、我ら評議会のスーパーロボット乗り「四霊」の手によって、”あの男”の身柄はすでに確保している。」
??3「ふ、例え奴らがどのようなスーパーロボットを持ち出そうが、古くさいメカなど一蹴してくれよう。」
克「ええと、皆さん。富士原さんがゴッドハンドに負けたんですが。」
??2「愚かな、奴は私たちの中では一番弱い。」
いつの間にか現れた克のインタビューを一蹴する2。
??1「みんな、聞いてほしい、この戦いにおいて新たなメンバーが加わる。入ってこい。」
??2「ななにっー!貴様は!」
少し大きめのライフルを背中に背負った男が入ってくる。
??5「まったく、マーブルチョコ並に甘い連中じゃないことを祈るぜ。」
??2「(1に対して)大丈夫なのか?”あの男”。」
??1「戦闘力は保証する。記憶操作の方は完全に書き換えている。何ら問題は無い。」
??3「なら安心したが……。」
??5「一体何を話しているんだ?恋人か?」
??2「いえ、ただの世間話ですよ、ただのね……。」
??5「そんな馬鹿な………ことはないか。」
??3(ふふふふふふふ、記憶操作はきちんと効いているみたいね。さあやって来なさいゴッドハンド!
我らが返り討ちにしてあげよう!)
そう五番目の男………。富野由悠季をみて四人はほくそ笑んだ。
もしかしてこのスレ最強のキャラは克亜樹ですか?
353 :
天使の塵:03/08/12 22:40 ID:mSfMBL4V
PCPエンジェルダスト一一
服用した者の痛覚を消し去り、眠っていた身体能力を100%解放する、驚異の薬。
そして、人間を超えた不死身性と絶大な力を与える引き換えに、
投与した者の肉体に破滅をもたらす悪魔の薬。
今、北条は、仲間の為につかの間の命を繋ぐべく、禁断の果実を口にした。
ドクン!
エンジェルダストが体内に浸透するや、北条の身体が電気に打たれたように仰け反った。
すると、あろうことか、回路を断たれたはずの肉体が、獣のような反射速度で立ち上がった。
筋肉が爆ぜ、得体の知れない力が、北条の肉体に漲る。
だが、それとは対照的に、北条の表情は人形のように生気が失せ、虚ろだ。
意志の光のない、ガラス玉のような目をしたまま、北条はそれでも仲間の所へ向かおうと、歩を進める。
と一一
「遅かったか……しかし、なんという馬鹿なことを……」
修羅場と化した店内に、いつの間にか一人の男がいた。
背の高い男だった。しかも、全身を猫科の大型猛獣のように、しなやかな筋肉が覆っている。
一流の戦闘家でもかくや、と思える肉体を、薄汚れたマントに包んでいた。
客観的に見て、かなり怪しい風体の男である。
だが、深い知性を感じさせる物腰と、曇りのない真摯な眼差しが、外見の印象を帳消しにしていた。
「ううう………」
エンジェルダストによって理性を失った北条が、獣のように唸った。
濁った目が、見知らぬ男を捉えると、いきなり野獣のように飛びかかった。
その手には、割れて鋭利なナイフ状と化した酒瓶が握られている。
「止むを得ん」
筋力を限界まで引き出されたことによる、北条の常人を遥かに凌駕した攻撃。
しかし、男は眉ひとつ動かさずに、北条の石火の攻撃を、紙一重で躱した。
その瞬間、凶器を一閃させた北条の腕を掴むと、関節を捻り上げるように投げ飛ばした。
190センチを超す北条の体が、見事に宙を一回転し、床に叩きつけられる。
?T小手返し?Uと呼ばれる、古流柔術においては基本的な技だ。
「が!?」
北条の口から、呻くように呼気が吐き出された。
何が起こったのか理解できていないようだ。
その隙に、男は一瞬で北条の背後に回り、丸太のような両腕で北条の首を絞め上げた。
頸動脈を圧迫されることによって血流が止まり、北条は数秒とせずに意識を失った。
それにつけても恐るべきは、男の手並み。
いかに北条が理性を失っていたとはいえ、その技の切れ味は尋常ではない。
男が、嘆息しながら呟く。
「さすがは、ジャンプ五聖人、北条司。意識がない状態だから楽に抑えられたものの、
万全の状態だったらどうなっていたことか。……それにしても、無茶をする。
まさか、あの悪魔の薬を使うとは。……もっとも、そうしなければ、
俺が到着する前に、北条は死んでいた。せめて、俺がもう少し早く駆け付けていれば……」
無念さに、男は歯を噛み締める。
「だが、俺の命に代えても、お前は絶対に死なせん。
お前はまだ、この漫画界に必要な人間だ。そして、なにより……」
血まみれの北条を軽々と抱きかかえると、男は早足で外へと歩き出した。
「オレは医者だ。その医者の誇りにかけても、お前は絶対に助けてみせる!」
男の眼差しには、確固たる信念の炎が、静かに燃えていた。
鈴木から放たれた白球は先程変わらず剛速球だった。しかし、それでは何も変わらない。
四度、黒太陽の炎が鈴木の体を焼く。鈴木とて効いていない訳ではない。炎に包まれれば当然熱い。
だが、それが鈴木の動きを妨げるに及ばないだけだ。そして、先に膝を折ったのは・・・「J」の方だった。
J「ぐっ・・・そんなバカな・・・
わき腹を抑え、必死に立ち上がろうとするが力が入らない。当たるはずがなかった。変化球ならもっと
スピードが遅いはず・・・だから、かわせると思っていた。そう、鈴木の投げたボールは直前で『変化』したのだ。
野球に知識無い、「J」にとっては理解が出来ない出来事だった。しかし、えなりは分かった。絞竜の正体に。
えなり「間違いない・・・あれは現代の魔球と言われている『カットファーストボール』!!
スーパドクターキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !
357 :
神技:03/08/13 01:53 ID:DAFlkle+
Aブロック医務室一一
つかの間の安息に包まれていた医務室に、いきなり事件が舞い込んできた。
それは、血まみれの男を抱えた、怪しい風体の男が部屋に躍りこんできた事に端を発する。
「急患です!それも、酷い重傷です!」看護士の切迫した声が、医務室に響き渡る。
「ううむ……しかし、これは酷い……」
「今まで数多くの重傷者を診たが……これは極めつけだ」
「残念ながら……この怪我では……」
居並ぶ医師たちの口から出た言葉は、どれも弱気なものばかりだった。
この艦内の医師たちは皆、大会の為に矢吹が金に糸目をつけず世界中から集めた名医ばかりである。
その者たちを持ってしても、患者……北条の状態は絶望的だった。
だが、ここにひとり、決して諦めない男がいた。
「手術室に案内しろ」
北条を運んできた男が、唐突に言った。
「は……はぁ?」
思わず間の抜けた声を漏らす看護士に男が言ったことは、その場の全員の度胆を抜くものだった。
「この手術(オペ)は オ レ が や る !」
さも当然のように言い放つ男に、医師たちは一様に困惑した。
「え……!?あんたが……!?」「ちょ…ちょっと!!あんた、いったい何者なんだ!?」
「手続きも取らんと……」「何の権利があって、そんな無茶なことを言う!?」
次々と騒ぎ出す医師たち。そして、その中の最高責任者も黙っていない。
「まったく非常識もはなはだしいわい!!どこの馬の骨ともわからぬ男に……
だいたい医師免許を持っておるのか、キミは!?」
肩をいからせ、大股で男に詰め寄る年配の医師。
そのとき、男がいきなり、その医師の胸ぐらを掴み上げた。
突然、宙吊りにされ、たちまち狼狽する医師。それを斬り捨てるように一瞥すると、男は吐き捨てた。
「たわごとを聞いているヒマはない!」
年配の医師を、まるで人形のように放り捨てると、男は勝手に看護士に指示を出し始める。
他の医師たちの言うことなどお構いなしに、北条はオペ室に運ばれていく。
その中でも特に若い医師が、なおも制止しようとするのに対し、男は再度宣言した。
「こ の オ ペ の 執 刀 は……オ レ が や る !」
その鬼気迫る威圧に、もはや男を止められる者は誰もいなかった。
今、前代未聞の手術が始まろうとしていた。
358 :
蠢く怪物:03/08/13 01:54 ID:2n2kkNK9
聖石を回収した大久保はキユの拠点へと戻ってきていた。
大久保「ふぃ〜任務完了っと」
岡本「ご苦労だったにゅ回★転★王」
岡本は聖石を受け取りながら大久保を労う。
岡本「梅さんも宇野っちもいないから詳しくはわからないが、確かに聖石のようにゅ」
岡本はこういったものには疎いが、この石からは何か力のような物を感じていた。
大久保「ところで、あの手塚って奴には止めを刺してこなかったが、良かったんだよな?」
大久保がソファーに身を投げ出しながら尋ねた。
岡本「構わないにゅ、少々情報が漏洩しようとも問題にはならないにゅ」
木城「もっとも、その手塚も既に始末されたようですが」
木城の言葉に二人は少し驚いた顔をした。
岡本「それは初耳にゅ。反矢吹派にでもやられたのかにゅ?」
木城「やったのは現在Cブロックで試合中のチーム・タフの一員、ヒラマツミノルです」
大久保「ヒラマツ?知らん奴だな」
岡本「まあ、手塚からうちらを辿られないのは鬱陶しくなくていいけど、関係ない話にゅ。」
興味が失せたのか、岡本は手の中の聖石を弄ぶ。しかし、
木城「ところが関係なくもないのですよ倫タン。
なんせそう仕向けたのが他でもない『MONSTER』なのですから」
その名は岡本を驚愕させるのに十分な物だった。
岡本「なにゅ〜〜〜〜!!彼がついに動き始めたというのかにゅ!!」
岡本の驚きをよそに木城はプリンを頬張りながら続ける。
木城「彼は以前からずっと動いてますよ。表面に出てこないだけで・・・おいちい!」
大久保「つまりその『MONSTER』がヒラマツってのを洗脳して、手塚を襲わせたってわけか?」
この陣営に入って日が浅い大久保が己の推論を口にするが、
木城「洗脳?洗脳だって?キャハハハハハハッ!彼はそんなことしませんよ!」
木城は甲高い声でそれを笑う。
大久保「何がおかしい!!」
大久保は馬鹿にされたと思い、木城に掴み掛かった。
木城「ククク・・・失礼、あまりにお約束の推論だった物でつい。
常識で考えればそう思うのも無理はないですが・・・なんせ彼は『MONSTER』
背 中 を 押 し た だ け ですよ・・・軽く、ね」
359 :
神技:03/08/13 02:19 ID:DAFlkle+
ただちに北条は手術室に運ばれた。わずかに遅れて、手術着を纏った医師たちが入ってくる。
その中心に立っているのは、北条を運んできた、あの男だ。
このごに及んで、まだ尻込みする医師たちに、男の叱責が飛ぶ。
「一刻を争うんだ!グズグズするな!!」
一喝されると、たちまち全員が借りてきた猫のように大人しくなる。
「あの……麻酔の準備はできてますが……」
麻酔担当の助手が言うのに対し、男はそれをはねつけた。
「いらん!!」
「いらないってそんな……」
一方的な男に、医師が抗議しようとした瞬間、目の前で針が躍った。
飛燕の速度で、男の持った細い針が北条の首筋に突き刺さる。
すると、北条はたちまち、穏やかな寝息を立て始めたではないか。
「針麻酔か!?(この人、針を使うのか…?それもたった一本の針でだと…?)」
その技量に医師は驚くが、これはまだまだ序の口にすぎなかった。
「メス!!」
手術が始まった。すかさず、男の指示がとぶ。
「カンシ!!ぼやぼやするな!!血液供給を続けろ!!」
それからの男の手腕に、医師も看護士たちも、目を見張った。
澱みなく流れる清川のように、華麗なる舞のように、そして荒ぶる戦士のように。
男の手は医師たちの常識を覆すような速度で動いていく。
(はやい……それになんというメスさばきだ………
一見乱暴に見えるが、これは違う……人 間 業 じ ゃ な い!!)
「先生……」
先程、最後まで男を制止しようとした若い医師に、看護士が声をかける。
「ウ、ウム、この男は違う…。この男のオペは……すべてにおいてオレ達とは次元が違う!!」
男の圧倒的な技量を、もはや誰もが認めざるを得なくなったそのとき。
心拍数低下を告げるアラームが、手術室に鳴り響いた。
360 :
神技:03/08/13 02:45 ID:DAFlkle+
「心拍数低下!!」
看護士の声に、若い医師が、やはり…と呻いた。
「オペに耐えられなかったか……!」
慌てて昇圧剤を射とうとする看護士を、男が制止した。
「大丈夫だ……心配ならビタミン剤でもうっとけ」
動揺の欠片さえ感じさせない男の言葉に、医師が慌てる。しかし、男は。
「これだけのオペをしているんだ。心拍数や脈が弱まるのは当然だ。
もっと人間の生命力を信じろ!今はとにかく、このオペ自体を終わらせることだけを考えろ!!」
そう言う合間にも、男の手はわずかも休むどころか、鈍りすらしない。
やがて、計器類を見守っていたオペ看が、唖然としたように報告する。
「あの…心拍数が……少しずつですけど……強く、確実になってきています……」
あの若い医師は、あらためて男の実力を再認識した。
(この人は…!!人間の体を知りつくしているんだろうか……!?
この大手術をたった一人で……汗ひとつかかずに、それにこの信じられないようなスピード…
この男はもしかしたら……)
神 か・・・・!?
そして、手術開始からおよそ3時間後一一
「終了!!」
男の声に、その場の全員は陶酔から覚めたように我に返った。
慌てて心電図を確認する医師たち。それに対するオペ看の反応は一一
「まるで……眠っているように安定しています…」
それは手術の成功を告げる福音だった。
「バカな普通だったら10時間はかかるオペを……たった3時間あまりで……」
目の前で起きた事態に呆然とする医師たちを尻目に、
「あとの処置はまかす!」
それだけを言い捨てると、男は足早に手術室を去って行った。
後に残された医師のひとりが、呆けたように呟いた。
「ほ…ほんとうに……救ってしまった……」
今宵、ひとつの奇蹟を彼らは見たのである。
規則正しい呼吸を繰り返す北条。その様子を見た、あの若い医師は、安心したように微笑む。
その背に、声がかけられた。先程、奇蹟をかいまみせた、あの男である。
「ひとまずは、北条は安心だ。だが、奴の戦いはこれからだ。
PCPエンジェルダストの副作用による禁断症状は想像を絶する地獄の苦しみ……
ほとんどの者がその苦痛に耐え切れず、発狂して死んでいく」
それを聞くや、医師の表情が曇る。だが、男はつづけた。
「すべては奴の生命力と精神力次第……だが、あの男なら必ず打ち勝つだろう。
逆に、この程度の苦境を乗り越えられないなら、
この先の未曽有の窮地に立ち向かうなど最初から不可能だ」
そっけなく言うと、背を向けて去っていく。
「ま…待って下さい、ぜひお名前を!どこの病院に勤務されているんです!?
そしてあの技術!難しいオペをたったひとりで!それもすごいスピード!!
しかも…あの急患が来たとき、他の先生方は体面だけを考えていたのに…
僕は目を覚まされる思いがしたんです!!」
興奮してまくしたてる医師に、男は言った。
「オレは名を捨てた……あえて呼ぶなら?TK?Uとでも呼ぶがいい。
どこの病院にも勤務していなければ、誰に教わったものでもない」
男の意外な言葉に、医師は激しく狼狽する。
「そ…そんな!なぜです!!あなたのような人が病院をひらかないなんて…」
「フ、おまえはまだ若い……まあ見どころはあるがな。だが、このことは覚えておけ……
オレは表の医学会には出ていく気もなければ、興味もない男だと言うことを」
男は最後にそう言い残すと、マントをひるがえしながら去っていった。
後には、若い医師だけが取り残される。
(そ…そんな、あれ程の腕前を持ちながら……いったいどんな理由があるっていうんだ!?)
そう思ったとき、医師は男の名を反芻した。
「まてよ……?TK?U!?まさか……!?」
かつてこのマガジンに不世出の天才と呼ばれた漫画家がいた。
出身地生年月日等一切不明、マガジンに様々な貢献を残す。
しかし一一彼はある日忽然と姿を消した。
将来を嘱望されていたこの男は、出生からその最後までのすべてを謎に包んだまま、
漫画界のファイルから消去された……
野獣の肉体に天才の頭脳一一
そして
神技のメスを持つ男。
森川ジョージ亡き後の、マガジン最後の侠客。
その名は、?TK?U・・!
そして、かつての名は一一
真 船 一 雄 !!
363 :
蠢く怪物:03/08/13 03:53 ID:2n2kkNK9
大久保「はぁ〜〜!?背中を押しただけぇ?その『MONSTER』ってのはお前らの味方なのかよ」
岡本「味方どころかキユの友達にゅ」
(『MONSTER』――そんな奴がキユ陣営にはいたのか)
大久保はまだキユについてもよくわかっていないのだ。その交友など知る筈もない。
大久保「そいつが何者かは置いといて、そのヒラマツと接触を持ったってことは、
そこから辿られるんじゃねえのか?」
木城「接触?接触だって?キャハハハハハハハッ!」
再び木城が笑い声を上げる。
大久保「何なんだよ!もう!」
癇に障る木城の笑い声に大久保はもうブチ切れ寸前であった。
木城「いや、失礼。確かに掲載誌が同じということで過去に接点はあるでしょう。
しかし、それはあくまで矢吹の手で『MONSTER』になる以前の話・・・
この艦内にはたくさんの人間がいます。
ただすれ違っただけ、二、三言葉を交わしただけの人間の顔など誰も覚えてませんよ。
ヒラマツは現在の『MONSTER』と接触したなどと夢にも思ってない筈です、おいちい!」
そこまで話すと木城はプリンを頬張る。
大久保はこの"おいちい"にもちょっとムカついていた。
大久保「洗脳じゃないとすると、どうやって『MONSTER』は・・・?」
木城「人間誰しも迷いはあるものです、自分のやってることは本当に正しいのか、これでいいのかと、
いつでも不安に苛まれているものです。
大方このヒラマツという男、プロレスにプライドを持っているのでしょう。
それを馬鹿にされれば黙ってはいられない性格のようだ。
『MONSTER』は耳元で囁いたのです――馬鹿にするような奴は殺してしまえ――と。
そう・・・手塚を殺ったのはあくまで ヒ ラ マ ツ 自 身 の 意 思 なのです」
岡本「誰もが自分の正義を・・・欲求を持っている、『MONSTER』はその欲求を認めてやるだけにゅ。
『お前は正しい』のだと・・・それが『背中を押す』と言うことにゅ」
大久保「そんな・・・囁くだけで他人の心を解き放てるなんて・・・」
大久保は話を聞いていて震えが来るのを禁じ得なかった。
木城「それができるからこそ『MONSTER』なのです」
364 :
蠢く怪物:03/08/13 03:56 ID:2n2kkNK9
震える大久保をよそに木城はプリンを一口、口に運ぶとさらに話を続けた。
木城「おいちい!似たようなケースがBブロックでもあったようです。
隠密行動をしていた『忍犬』でもある、『PSYCLOPS』高橋よしひろからの情報ですが。
『同人軍艦エニッ糞』の通称"プロフェッサー"大清水さちの反乱、
彼女もまた『MONSTER』に『背中を押されて』いたのです。
"あなたの好きなようにやりなさい"と、"あなたのその力でエニックスを支配してしまいなさい"と、ね」
大久保「なるほどな・・・『MONSTER』にかかれば人の心を操るなんて造作もないってことか」
大久保は話を聞きながらある感情が湧きあがってくるのを感じていた。
木城「操るのとは違いますね、人の欲求を解き放つだけなのですから。
むしろ今、あなたが感じている・・・恐怖!それこそが『MONSTER』の本領なのです!」
見透かされた――!大久保の鼓動が早くなる。
木城「無理もありません。この私とて初めて彼を目の当たりにしたときは、震えが止まりませんでしたよ」
岡本「でも心を操るってのはあながち間違いじゃないにゅ。だって、ほら・・・」
(だって?だってとは何だ?既に俺の心は『MONSTER』の手の内にあるとでも言うのか!)
意味不明な岡本の言葉に大久保の震えは増していくばかりであった。
木城「大久保くん、さっき私はヒラマツは『MONSTER』と接触したなどと夢にも思っていない・・・
そう言いましたね?」
大久保「あ、ああ」
喉がカラカラだ。声を絞り出すのがやっとだった。
木城「なぜそう言い切れるのかお教えしましょう。彼・・・『MONSTER』は人の視界から姿を消すことが出来るのです。
見えているけど見えていない、存在を認識させない・・・そういうことが可能なのです」
大久保は木城が何を言いたいのかよくわからなかったが――
木城「私の後ろを見てください。向かって左側、50cm程離れたところに――彼 は い ま す 」
(ああ、そういうことか・・・)
いた。――最初からこの部屋にいたのだ。
そいつは優しい笑みを浮かべた金髪の美しい青年だった。
とても優しい、優しい目をしていた。しかし大久保はその目を見たとき、こう思った。
(俺は深淵を覗き込んでしまったのかもしれない)――と。
365 :
久保復活:03/08/13 11:23 ID:vyh+Yl6u
「ぐが〜〜〜〜〜がぁ〜〜〜〜〜」
悲痛な叫びが響き渡る艦内某所、平野達の前線基地の救護室。
右上半身が消滅した久保はそこでもがき苦しんでいた。
「平野様!久保の精神が肉体から剥離し始めております、このままだとあと二時間も持ちません!」
久保の容態を見ていた七三太郎が叫ぶ。
ベットの上の久保は、吸血鬼のためか、出血はほとんど止まっていたが額には玉のような汗が滲んでいた。
様子を見に着た平野は、七三太郎の報告を聞き、久保を一瞥すると口を開く。
「何も、問題はない。」
「なッ・・・」
平野の言葉に七三太郎は耳を疑った。
「し、しかし久保の肉体は元々久保のではなく後から作った物、元の体ならともかく、
借り物の体ではいくら吸血鬼と言えどもその超再生能力を存分に発揮することは出来ません!
久保はこのままだと確実に死にます!」
七三太郎は言葉を繰り返し、反論する。
問題がないわけはない、それとも久保は唯の同盟者だから命などどうでもいいというのか?
平野は七太郎の訴えを無視して久保に話しかける。
「久保、何をしている?お前はもう吸血鬼になったのだぞ、おまえ自身の意思で。
お前はもう人間ではない、どうした?まだそんな体すらすら掌握できないのか?
そんなだからあのえなりにすら勝てないのだぞ。」
久保の体がぴくりと反応する。
「お前はなぜ吸血鬼になったのだ?えなり達に復讐するためではなかったのか?
思い出せ!今お前が存在する理由を!まだ半身が消えただけだぞ。
力を解放しろ!肉体を支配しろ!新たな肉を作り出せ!
貴様、それでも吸血鬼―ノスフェラトゥを名乗るつもりか!!」
366 :
久保復活:03/08/13 11:24 ID:vyh+Yl6u
「オオオオオオォオオオォオォォォォオォォ!!!」
久保が咆哮した。
その叫びは狂気の叫び、何度も死を体験した地獄の悪鬼の叫びだった。
突如、久保の肉体は黒い霧と、蝙蝠に変化していく。
「なッ、なッ。」
戸惑う七三太郎。久保の様子を笑いながら眺めている平野。
霧と蝙蝠は集まり、徐々に久保の形を成していく。
そしてそれらが久保の形を成したとき、そこに立っていたのは傷が完全に消えた、五体満足な状態の久保。
唯一つ違ったのはその目は狂気に満ちていたということだけであった。
「ほう、掌握したか・・・、やはりお前は面白い男であったな。」
平野は笑いながら久保に言う。
「すまないな平野。」
珍しく久保が礼を言う。
「かまわんさ、まだお前には働いてもらわねばならん、それに、お前の復讐劇にも少々興味がある。」
「・・・まあ、とりあえず、感謝はしておく。」
そういうと久保は部屋を出て行く。
いまだかつてない狂気をその眼に宿して・・・。
後に残されたのは七三太郎と平野の二人。
「久保に・・・何をしたんです・・・?」
「なに、対したことではない、奴は川三番地や他の同人作家どもとは違い、この私がじきじきに吸血鬼にしただけだ。」
それだけ言うと平野は部屋を出る、七三太郎も後を追った。
「平野様、一つ・・・聞いてもよろしいですか?」
七三太郎は重々しく口を開く。
「それは、私の同盟者としての質問か?ゴッドハンドのスパイとしての質問か?
それとも・・・一漫画原作家七三太郎としての言葉か?
答え如何によっては言えぬ事もあるのでな。」
振り向きながら平野は聞き返す。
「・・・私は唯の七三太郎という漫画原作家としてあなたに問いたい。
あなたのその力はどこで手に入れたのです?私は横山様があなたに何かをしたと聞きました、
しかしあなたの力を見ていると後から何かされて手に入れた、そんな類の力ではないような気がするのです。」
そう七三太郎は別の部屋に向かい歩いている平野を追いながら問う。
「なるほど、腐っても身内をゴッドハンドに持つ者か。」
平野はそう呟くと、部屋の椅子に腰を下ろす。
「よろしい、ならば教えてやろう。」
平野はそういうと右手を自分の額に添える。
すると平野の額から何か黒い石のような物が現れる。
平野はそれを七三太郎に見せた。
「これは・・・?」
「『秘石』だ。名称は知らん。人の心の箍を外す力を持つらしい。」
「箍・・・ですか。」
「そうだ箍だ。己の欲を抑え、矢吹の僕と化しているように見えた私の力を解放するのには、
最も都合が良かったのだろうな。」
「するとこれが・・・?」
「そうだ、横山が私に渡したものだ。
事を起こすタイミングを見計らっていた私は、それを契機として事を起こすことにした。
おそらくは横山もそれは予期していたに違いない。
が、どちらにしても私が事を起こすことに変わりはない。
横山にとっては私が事を起こすということ、それ自体が都合が良かったのだろう。」
そういうと平野はおもむろに秘石を握るとそのまま握りつぶした。
「これは私には必要ないものだ、元からな。
だが、この石は危険だ。ここで壊さなくてはな。まったく、糞面白くもない。」
平野の開いた手から、ぱらぱらと黒い粉が落ちる。
心の箍を外す石、理性の枷を外す石、人の欲をさらけ出す石。
堰が破られた欲望の濁流は、沈静化するまであらゆる物を飲み込み喰らう。
今までに幾度となく人の感情を解放し、
未曾有の濁流を発生させてきた名もなき秘石は、
その記憶を語ることなく唯の塵と化していった。
広いコートの中ではいつの間にか、地獄のラリー合戦が始まっていた。
もはやそこはテニスの試合を借りた果し合いと化している。
その光景を、ぼんやりとバナナや凍らせたカルピスパックを喉に通しながら眺める男2人。
にわのまこととヒラマツミノルであった。
「ボクはねえ、いろーんなジャンルの漫画を描くのが大好きなんだな」
ふと、にわのがポツリとつぶやいた。目は隣のヒラマツではなくコートを向いたまま。
「格闘技、スポーツ、ギャグ、バトル、バイオレンス、ホラー、時代劇、エロコメ、色々ね。
SFやヒーロー物なんかは好きすぎて却ってなかなか描けなかったりするけど。
・・・昔、ボクは漫画家になるため全国武者修行してたんだホ。
大衆食堂の住み込みで用心棒まがいの事をしたりね。・・・そこで、あの先生とプロレスに出会った」
――にわのの意識が過去に飛んだ。そこはセピア色の記憶の世界。彼が故郷を出て放浪の旅に出ていた時代。
「待ちなねーちゃん!この店では客に三葉虫を食わせるのかよ!」
「す・・・すみません・・・(グスッ)シーラカンスを入れたはずなのに・・・」
今日も食堂のお姉さんが、ドジってチンピラに絡まれている。ボクは≪実戦格闘技≫の修行とばかりに、
奴らを屋根裏に連れ込み、取って喰らって丸呑みして頭蓋骨だけにしてあげました(ウソ)。
そこにたまたまお客としてラーメン食ってたのが、ボクが生涯師匠と仰ぐあの人だったモーン。
この後すぐ彼に挑戦したんだけど、あっさり血泡吹かされて倒されちゃって、そんでもって・・・。
「“胃の中のオカズ大腸を知らず”!!だな。どうだい?お前さん。
プロレスもスポーツも描けるマルチ漫画家にならないか!?今なら安くしておくよ」
≪なんでもあり作家≫の大先輩、小林まこと先生だったんでヤンスよ・・・!
「ボクはこんな感じ。ヒラマツ君はどお?なんか、面白い話、ある?」
370 :
369:03/08/13 18:03 ID:nKj4KDba
(´-`).。oO(猫先生にしとこうかな〜三毛猫)
にわののギャグを織りまぜた昔話を、興味深げにヒラマツは聞いていた。
「う一一一一ん、そやねェ……にわのセンセみたいにおもろか話じゃなかが……」
そう前置きしながら、ヒラマツは己の過去について語り始めた一一一一
おいは、スピリッツで連載する前、『モーニング』で2つほどスポーツ漫画を連載ばしたとね。
ひとつが、『レジ−』っていう、外国人選手を主人公にした、日本のヤキューの問題点を風刺した作品。
もうひとつが、『ヨリが跳ぶ』っていう、女子実業団バレーボール漫画。
人によっては、バレーボール漫画の最高傑作と言ってくれる読者もおったほどバイ。
どっちも地味ばってん、なかなか好評やったとね。
ばってん、そこからが、おいにとっての試練になったバイ。
おいは、次に何を描くべきか分からなくなってしもたとね。
いや、ひとつだけ描きたいものはあったバイ。
それが、おいが当時から大好きやったプロレスやったとね。
ばってん、おいはプロレス漫画ば描くのが、怖かった。
好きだからこそ、大好きだからこそ、その作品が失敗したらと思うと、どうしても踏み切れんかったバイ。
なかなか次の作品を描けなかことによるストレスで、おいは鬱屈した日々ば過ごしとった。
そして、?Tあの日?Uも、おいは気を紛らわす為に、行き着けのジムでスパーリングばしとったとね。
「オラーーッ!もうおいの相手ば出来る奴はおらんとーー!?」
すでに二人のスパーリングパートナーをブチのめし、おいはリングの上で猛ってた。
すると、そこにおいの担当だった編集の人が来たバイ。
「漫画が描けなくなったって聞いたが、なかなか調子良さそうじゃねえか」
「もの足りんバイ。これじゃ、インスピレーションなど湧くワケなか」
編集に、おいはそう言って返したバイ。すると、あん人は笑って……
「……じゃねえかと思ってよ」
そう言いながら、入り口の方に目配せしたバイ。
つられて見ると、そこにとんでもない闘気ば身に纏った男が立ってたバイ。
「板垣恵介さんだ」
黒ずくめの男だった。
シャツも、ベルトも、ズボンも、靴も。シャツのボタンば、きっちり上まで留めていた。
皮膚までもが鉄のように黒い。鉄に表情ばあるとしたら、それくらいにはある。
鉄に表情ばないとしたら、それくらいにはない。
おいが板垣先生に抱いた第一印象は、こんな感じだったバイ。
「その坊やかい」板垣先生が言った。
「ごアイサツしろ」これは編集の人の台詞バイ。
「この人とスパーリングばするとですか?」そして、これがおいの台詞。
すると、板垣先生はさも可笑しそうに笑いを噛み殺したとね。
「フフ……スパーリングと呼べるものに………なるかならぬか……」
この小馬鹿にしたような台詞に、おいはカチンときたバイ。
なにを偉そうに、ちょいと名が知れてるからっていい気ばなっとる。
こんな奴、おいがブチのめしてやるけん!
……………とんでもない思いあがりだったバイ。
おいの知っている闘いとは、まるで次元の違う闘争い!
自分がなにをされているのかもわからない……
ただもう一方的に一一一一
何度も起こされ…………何度も倒され………
憶えていることといえば、最初に喰らった?Tスンケイ?Uとか言う技。
そして、もうひとつは…………踵!
これはよく憶えてるとね。踏まれる直前、?T死?Uを予感したからだと思うバイ。
口ン中で折れた歯がカリカリ鳴って、スッゲェんだホント……
逆さンなったマットが、グニャグニャでよォ……
もうスパーリングもクソもないバイ。
おいァ夢中になってマット引っ掻いてよォ、逃げたとバイ130キロのおいが……
結局、おいが勝ってたのは、身長と体重だけ。
あれは、スパーリングじゃなか。
純粋な ?T破 壊?U だったバイ。
おいが目覚めたのは、それから数時間もしてからだった。
起きると、そこにはまだ、板垣先生がいたとね。
気付いた板垣先生に、じろりと一瞥されると、途端においは惨めになっとお。
「おいは弱かァ〜〜〜〜〜〜……ずっと……夢ば見てしもうたとですっっ…………」
血でずくずくになった顔面を涙と鼻水でグシャグシャにしてると、板垣先生は言ったバイ。
「お前は強くなる!特に、お前の蹴り……あれは磨けば使い物になる。
そしてなにより…………己の弱さを知った者だけが強くなれる!!」
どん底だったおいにとって、その一言はまさに青天の霹靂だったバイ。
「プロレス漫画を描け!お前には、それを描く才能がある!
いいか、あまり堅苦しく漫画を捉えるな。もっと大雑把に描け!
もっとガムシャラに描け!もっとバカに描け!そして・・・・
それらを、大マジメに描け!!
それが出来たとき・・・・俺のライバルはお前だ!!」
「……と、まあ、この後すぐに、おいは念願のプロレス漫画『アグネス仮面』の連載をスタートさせたバイ。
より迫力ある漫画を描く為に、実際にプロのリングに上がったりもしたバイ。
・・・おかげで、休載しがちなのが玉にキズやけども。
とにかく、板垣先生がおらんかったら、今のおいはいなかったとね」
ヒラマツの一連の話を、にわのはバナナを頬張りながら聞いていた。
「それぞれ、色々あるんダスな〜〜。
ボクに小林まこと先生がいたみたいに、ヒラマツ君には板垣先生が。
で、どおなの?それから、板垣先生とは再戦したりしたの?」
「いや〜〜………それが漫画とプロレスの両立が忙しくて全然。読者には、
?Tさっさと続き描け?Uだの?T『ヨリが跳ぶ』の続きは??Uとか言いたい放題言われる毎日。
ばってん、おいは充実しとるバイ。そして、板垣先生には恩があるとバイ。
この恩は、いつか強くなったおいば見せつけることで、返すつもりバイ!!」
握り拳を作り、ヒラマツは熱く語る。
にわのは話を聞いているうちに、ヒラマツが性格は変だが、根は純粋な男であることを理解した。
「そっか……でも、板垣先生も凄い人だモン。
もし、小林まこと先生と闘ったら、どっちが強いのかな〜?ちょっと興味あるなあ」
なんとなく頭の中で想像してみるにわのだが、両方ともケタが違いすぎて、とてもじゃないがシミュレーションなど出来そうになかった。
ふと、ヒラマツが鼻息荒く言う。
「それも大いに興味ばある話ばってん、今のおいにはもっと重要なことがあるバイ。
あんたとおい、どっちがより強かプロレス漫画家か?早く確かめたいバイ」
「そだね。でも、今はこっちの試合も見たいモ−ン」
猛るヒラマツを、上手くかわすにわの。
そんな二人の目の前では、激しいテニスの試合が展開されている。
ちょうど、石渡が1ゲーム目を先取したところだった。
次は許斐のサーブ。反撃が始まろうとしていた。
J「カットファーストボール・・・なんだい、それは。
ようやく立ち上がり、えなりの方を向く。鈴木もえなりの解説を待つようで
攻撃する気配は無い。
えなり「あれは変化球とも直球ともつかない・・・『ファーストボール』の一種です。
「J」も鈴木も互いに何も言わず、えなりの説明を聞いている。えなりは更に言葉を続けた。
えなり「野球の本場アメリカで生まれた直球のスピードで変化を起こす・・・それがファースト
ボールです。日本では普通ストレートは『4シーム』と呼ばれる握り方です。しかし、
ファーストボールは『2シーム』と呼ばれる握り方で、微妙な変化がかかります。
そして絞竜・・・『カットファーストボール』は2シームファーストボールの内、攻略・習得
共に最も困難と言われる現代最後の魔球と呼ばれています。
J「なるほど・・・しかし、ようは超スピードのスライダー。その程度の技では私は倒せませんよ?
説明の間、体を休めそれなりに回復したようだ。服の汚れを落とし、構えを取る。
J「私は貴方とは違い、『ゲーム化』も『アニメ化』も経験している・・・この二つを果たした漫画家と
そうでない漫画家とでは違うという事を教えてあげましょう。
鈴木「・・・俺が貴様に劣るとでも?
J「どうとってもらっても構いません。
鈴木「・・・1球だ。1球で全てを分からしてやろう。
この時、「J」もえなりも気づいてはいなかった・・・『アニメ化』・『ゲーム化』の言葉が鈴木の逆鱗に触れている事に。
(´-`).。oO(しまった、ホワッツマイケルはトラ猫だったモーン!今度修正入れるモン))
何 が お か し い !!!
笑っている 井上が笑っている この俺を笑っているのか
「舐めるなあ!!!」
己をその場に留める全ての束縛を振りほどくように絶叫し、橋本は井上に突撃した。
そしてその勢いのまま右の拳を井上の顔面に繰り出した
びゅっ、と空気が切れるような音がした。
井上は頭をわずかに後にそらし、その拳を避けようと動いた
にいっ
橋本の唇の端が釣りあがった。
井上に放った右手、それは既に拳の形ではなかった。
右拳から人差し指と中指が揃って突き出ていた
指で井上の左目をえぐる
井上に拳を避けられることを想定してのニ段構えの攻撃だったのだ
しかし、突き出した指、その先には何の感触も無かった。
井上の左目をえぐるはずの指は、その目標の数cm手前で止まっていた
井上は指が突き出る距離の分まで頭を後にそらしていたのだ。
馬鹿な!?
ありえない、拳がくると思って避けていれば間合いを誤って指が目に入る
途中で変化した指の動きにスゥエーの動きでここまで完璧に見切れるはずが無い
読まれていた?
呆然とした表情で硬直する橋本
そして井上はその隙を逃さず橋本の指先から頭からすっと橋本の内側に入り込んだ
既に左手は鞘を、右手は柄を握り締めている。
「(まずいっ!!)」
橋本がそれを察知したその時にはもう、井上の刀は鞘から解き放たれていた。
ざしゅっ、という音がした。
井上の刀が橋本の胴を切り裂いた音だ。
「があっっ!!」
橋本は血液が自分の体の中から流れ出ていくのを感じながら
どさっ、と音をたててその場に崩れ落ちた。
すとーっぷ!カウント数字が117からズレてますー ヽ(´Д`)ノシ
ドクン ドクン ドクン
一年もの長き月日を経て
ドクン ドクン ドクン
永き再生の眠りより目覚めた
ドクン ドクン ドクン
あの男がついに帰ってくる!!!
ドクン!!!
萩原 一至
Coming soon
萩原一至は鳥山にぶっ飛ばされてたね。
しかし、復活するにしてもどこで戦うつもりなんだろ?
柳田「あーテストテスト。どうやら島の中の時間がずれていたらしいので、一度訂正する。現在は123レスだ。」
乙「…………やっぱりこの島は?」乙はハーミットパープルを出して念写をする。そこには現在の状況が現れた。
裏御伽
本宮:休憩中。 澤井:えなり、鈴木と対決中
岡村:道に迷っている。 真倉&岡野:なにやら逃げている。
にわの:ヒラマツと話している。 乙:味方を探している。
スポーツ
高橋:ドリブルしている。 許斐:石渡とテニス勝負中。
森田:寝ている。 村田:食べてる。
井上:橋本と戦闘中 鈴木:えなりと澤井と決闘中
タフ
猿渡:寝てる。 石渡:許斐とテニス勝負中
青山:修行中。 橋本:井上と戦闘中
ヒラマツ:にわのと話している
川原:(字がこすれて読めない)
その他
えなり:澤井、鈴木と戦闘中。 ??:何かが動いている
審判:何故か、真倉と岡野を追っている。
乙「あの二人、何しでかしたんだろう………。」
女性審判A「ようやく見つけましたわ〜岡野様〜。」女性審判B「もう逃がしませんわ〜。」
真倉「(逃げている)うぉ〜。」岡野「今度から、もうちょっと方角を考えような………。」
校庭でひとり、黙々と空手の基本稽古をこなす『無貌』叶恭弘。
その側に、黒いローブを羽織った男、『濁天使』麻宮騎亜が近付いていく。
麻宮「精が出るな、叶」
叶「麻宮さん」
麻宮が声をかけると、叶の手が止まった。
麻宮「いや、邪魔してしまったな。悪かった、続けてくれ」
叶「いいッスよ。ちょうど、一息いれようと思ってたところです」
そう言って、スポーツタオルで汗を拭う。
練習用の空手衣の合わせ目から薄い胸板が覗いているので、かろうじて男だと判別できるが、
それを除くと叶はどこから見ても女子高生にしか見えない。
この男の外見に惑わされて命を落とす、または道を踏み外した者の何と多いことか。
麻宮はそのことを、あらためて思い出す。
麻宮「おまえは本来、純粋な意味での戦闘要員ではあるまい。
にも関わらず、おまえの練習熱心ぶりには頭が下がる」
叶「俺は確かに、麻宮さんや高田さん、それに『妖皇子』みたいな十二使徒の上位陣と比べると弱い……。その戦闘力の差は比較にもならんでしょう。でも、俺は微弱ながら、少しでも妖魔王様の役に立ちたいと思ってるんッス」
叶の真摯な台詞に、麻宮が微笑する。
麻宮「頼もしいな。確かに我らは十二使徒は、純粋な戦力としてゴッドハンドに及ばんかも知れん。
だが、必ずしも一枚岩ではない連中と違って、我らには揺るぎない団結がある。
現に、連中は離反者を『二人』も出してしまっているのだから」
意味ありげに笑う麻宮に、叶が尋ねる。
叶「それは聖と、そして今ここの保健室で寝こけてる『あの人』のことッスね。
でも、俺にはイマイチ分からないッス」
麻宮「なにがだ?」
叶「あの人……風忍さんは確かに強い。けど、あの人は元々、永井豪のアシ上がりッスよね。
正直なとこ、ゴッドハンドの連中に比べると格という点ではどう考えても劣ってる。
第一、あの人は元々、ダイナミックプロの一員として、
サンライズの『蝕』にも加わってたらしいじゃないッスか。
そんな人が、どうして妖魔王様の配下最強の『冥界三巨頭』のひとりなんスか?」
それを聞いた麻宮が、話すべきか思案し始める。そのとき。
??「その点については、おいらが説明してやるよ」
謎の声と共に、ボロボロの着物と風呂敷を纏った少年がいつの間にか現れていた。
叶は、その少年が誰か分からないらしい。だが、麻宮はちがった。いきなり少年の足下に跪く。
叶「ち、ちょっと麻宮さん!なにしてるんスか!?」
麻宮「バカ!早く、おまえも頭を下げろ!!この方を一体誰だと思ってるんだ!!」
突っ立ったままの叶の首根っこを引っ付かみ、無理矢理叶を跪かせる麻宮。
その様子を見た少年は、手を挙げて二人を制する。
??「そんなに畏まる必要はないぞ。おいらはそういうの、あんまり気にしないからな」
叶は困惑していた。この少年は、いったい何者なのか?あの麻宮が、これほどまでに畏まるとは。
風忍とちがって、この少年には何の強さも威圧も感じられない。それなのに、この態度はいったい……?
??「おいらが強そうに見えないか?まあ、無理もない。
なにせ、『忍び』ってのは、己の強さをとことん隠すものだから」
見透かしたような少年の言葉に、叶はギクリとする。そして同時に気付く。
叶(少年の姿……麻宮さんのこの態度……そして『忍び』……まさか!!)
麻宮「やっと気付いたか、叶」
なかば呆れたように言う麻宮。一方、叶は己の抱いた仮説に、おののく。
麻宮「そう。このお方こそ、名を知らぬ者なき忍者漫画の大御所。
白 土 三 平 様 だ 」
今調べたら白土さん71歳でご存命なのね・・・
妖魔王よりは若いけれど意外(心底失礼
白土三平、出たーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
出そうかどうか迷ってて、リアルで生きてるか調べてたら先越されちゃったい!
ちなみに今、71歳だったかな。
386 :
385:03/08/14 10:28 ID:1hUZHCUP
ごめん(*´・`*)
また凄いのが出てきたな!
期待しとります。
叶「そんな……俺はなんて無礼を……」
今さらながら、己の無知に恐怖する叶。もし、麻宮がいなかったら、自分はどうなっていたか……
白土「だから、そう怯えるな。おいらは、そういうのあんまり好きじゃないんだ。
『神』の奴は、そのあたりにうるさくて、それが気に入らなかった。
だからおいらは、『妖魔王』が『神』に牙を剥いたとき、こっちについたんだし」
あっけらかんと言ってのける白土。
麻宮「前大戦では妖魔王様の両腕のひとりであった貴方様がいれば、ゴッドハンドといえども恐るるに足りませんな」
恭しく言う麻宮に、白土の表情が翳った。述懐するように呟く。
白土「あの神の下僕共を甘く見るな。奴らは、以前よりも、その勢力を増している。
対して、こちらは先の大戦で、我が朋友であり対を為す存在だった、小島剛夕を失った」
その声は、神への怒りと憎悪に満ち満ちている。
わずかに漏れた感情の揺らぎが、凄まじい圧迫感となって二人の全身を締め付けた。
叶(ぐうっ…!?なんていう、とんでもない殺気だ!さっきとケタがちがう!!)
麻宮(恐ろしいお方よ……先の大戦から、その力はまったく衰えておらぬとは……!)
ふと、二人の様子に気付いた白土が、気を静める。
白土「おお、スマンな。昔を思い出して、少し熱くなった。……で、風忍についてだったな?」
叶「…え?あ、ああ……はい、そうです」
慌てて、叶はこくこくと頷く。すると、白土は説明を始めた。
白土「ふむ、では話してやろう。知っての通り、奴は元々、ダイナミックプロの一員だ。
そして、奴はサンライズで起きた『蝕』にも参加している。
だが、奴の悲劇はここで起こった。
奴を贄と間違えた、石川賢によって喰われてしまったんだよ」
叶「え……そ、そうだったんですか?」
あまりに間抜けな事実に、叶は思わず呆れた。白土は話をつづける。
白土「喰われたあと、奴が冥界で彷徨っているのを、たまたまおいらが見つけてね。
妖魔王に、その魂を謙譲したんだよ。そうして、復活したのが奴だ」
白土の言葉に、麻宮が相槌を打つ。どうやら、麻宮はこの事を知っていたらしい。
叶「失礼ですが、おかしくないですか、それ。
『冥界三巨頭』は、先の大戦で多大な戦果をあげた、妖魔王様の配下中最古参の方々のはず。
それが、洗脳された元ダイナミックプロだなんて……」
叶が思わず疑問を口にした。そう、それが最大の謎だったのだ。
白土「洗脳というのとは、ちょっと違うな。風忍は、妖魔王の力によって、転生した。
その肉体も、その魂も、もはやかつての風忍のものではない。
つまり奴は、ゴッドハンドにも匹敵する力を得て、新生したのだ」
驚く叶をよそに、白土の話はさらにつづく。
白土「ちなみに、奴がなぜ『冥界三巨頭』なのかといえば……なんのことはない。
それは全て、奴自身にそう思いこませているだけのこと。
自らが、古えよりの妖魔王の下僕である……とな。
形はどうあれ、所詮は背信者。そんな輩が、栄誉ある『冥界三巨頭』あるはずがあるまい。
これは、十二使徒でも、そこの麻宮と妖皇子しか知らぬこと」
真実を知り、叶は驚きを禁じ得なかった。思わず麻宮の方を見る。
麻宮「黙っていてすまんな。だが、これは秘中の秘だ。
万が一、本人に知られたら、面倒なことになる。
彼では小島様の代わりは勤まらぬだろうが、戦力は多いに超したことはない」
途方もない話に、叶は溜息をつく。
あの男ですら、妖魔王様にとっては使い捨ての手駒にすぎないのか。
つくづく、自らが仕える主の強大を思いしる叶であった。
叶「それでは、真の『冥界三巨頭』は別にいるということなのですか?白土様以外にも?」
別の質問をぶつける叶に、白土は首を横に振って答えた。
白土「はは、おいらは『冥界三巨頭』じゃないよ。
言っただろう、おいらはそういう肩書きが嫌いなんだ。
それに、妖魔王とおいらは、主従じゃない。
彼のことを気に入ってるから、手を貸している。ただそれだけさ。
そいつは、あの小島も同じだった。
だから、真の『冥界三巨頭』は厳密には、まだ一人も姿を現していないってことなのさ」
白土の言葉に、叶はさらに驚愕する。
叶「白土様は、『冥界三巨頭』ではない……すると、その三人とはいったい……」
白土「まあ、そいつは先のお楽しみってとこだな。ひとつ言えることは
どいつもゴッドハンドと互角以上の力を持つ剛の者ばかりだってことだ。
期待しているといい」
白土の話が一段落した。そのとき、奇妙な音が聴こえてきた。
パタパタパタパタパタパタパタ・・・・・・・・・
叶「な、なんだこれ?・・・足音?」
なにげない一言に、白土と麻宮がハッとした。
麻宮「白土様・・・これはまさか・・・」
白土「おそらくは・・・あの男か」
バサッ!
ついで何かが投げ込まれた音が、ゲタ箱の方からした。
叶「な…なんだ?なんか、変な音がしたぞ!?」
叶が急いでゲタ箱へと向かうと、そこには新聞が一部、無造作に突っ込まれていた。
叶「なんだ、夕刊?ってか、新聞なんてここに配達されるワケねえ!!
じゃあ、これは何なんだ?それに、これを届けたのは誰だ!?」
慌てて周囲を見渡すが、不審な気配はどこにも感じられない。
叶「・・・いない。なんだったんだいったい?」
首をかしげる叶。ふと、新聞を手に取っていたことに気付く。
叶「なんだか分からないけど・・・せっかくだから読んでみるか」
呟くと、叶が新聞を広げた。その瞬間、麻宮の絶叫が響いた。
麻宮「やめろ一一一一ッ!そ の 新 聞 を 読 む な 一一一一一一ッッ!!」
叶「え?」
突然の麻宮の叫びに、叶は一瞬、呆気にとられた。
だが、時すでに遅く、叶の目に新聞の内容が飛込んでくる。
『驚天動地! 漫画界に、第2次大戦勃発!?』
大袈裟の見出しがまず目に入り、続いて文面を読む。
『西暦20××年 ○月△日未明
集英社の現支配者・矢吹健太朗氏の所有する巨大空中戦艦内において、
未曽有の戦乱が勃発。 事件が起きた当初、戦艦内部では、
<<最大トーナメント>>の優勝式典が執り行われている最中であり、
現存する漫画家の大半がその場に居合わせていた。
その式典の後半、ゴッドハンドの旗艦<<宇宙戦艦ヤマト>>による一斉攻撃と、
元ケルベロス平野耕太氏率いるテロリスト一派の襲撃により、
会場内はたちまち、戦乱の坩堝と化した。この事件による死者及び重軽傷者多数。
漫画界始まって以来の、前代未聞の事態と相成った。
なお、天気は晴れ、ときどき血の雨、死の嵐。ところにより、戦艦が降る模様』
そこまで読んで、叶は仰天した。
叶「な、なんだこれ!!??こんなこと、まだ起こってないぞ!!
しかも、この日付け……数日後になっている。これはいったい……」
混乱している叶の手から、いきなり新聞がひったくられた。
見ると、麻宮が手に新聞を持ったまま、切羽詰まった表情を浮かべている。
叶「ど、どうしたんですか、麻宮さん。そんなに慌て・・・」
麻宮「バカが!!おまえは、この新聞がどういうものか分かってないのか!!よく見ろ!!」
怒ったように叫ぶと、麻宮が新聞のタイトル欄を指差す。叶が見ると、そこにはこう書いてあった。
『 恐 怖 新 聞 』
麻宮「普通の者がこの新聞を読む度に、そいつは、
寿 命 が 100 日 縮 ん で し ま う ん だ !!
そして、一度でもこれを読んだら、決して逃げることは出来ない!
死ぬまで読みつづけるしかなくなるんだ!!
これを読んでも平気なのは、ゴッドハンドと同等かそれ以上の力を持つ者だけだ!!」
それを聞いた叶は、たっぷり数分の間を置いた後、絶叫した。
叶「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
引き攣り濁った恐怖の表情を剥き出しにしながら、この世のものとは思えない絶叫を放つ叶。
それを尻目に、白土はひとり、平然とその新聞を読み耽る。
白土「ウヌ、なるほどこんなことが。こいつは、楽しくなりそうだ。
それにしても、あいつの発行する新聞はあいかわらず面白い。
だが、本人が出無精なのが、いかんな。いったいいつになったら、姿を現すやら。
真の『冥界三巨頭』のひとりである、あの男は・・・・」
ひとりごちると、新聞を読むことに没頭する白土。
その横で、叶の恐怖の叫びは、いつまでも響きわたっていた。
つのだ☆ひろの兄貴(弟?)キタ――!!
島…戦うマンの乱入という事件はあったものの、さしたる混乱は起こることなく試合は再開された。
2死のこの場面、チャンピオンの攻撃、打順は8番ピッチャーZ。
一塁上では、急遽えなり側の助っ人となった戦うマンがやる気むきだしで待機している。
一方、遠くライトの方では、ないがしろここに極まった富沢がひとり涙していた。
そんな中、再び荒木とZが対峙する。
最初の対決とは、立場が逆。しかも、前回は荒木の敗北で終わった。
凄まじい圧迫感を発散させながら、バッターボックスで仁王立ちするZ。
まさに鬼と呼ぶにふさわしい巨体と闘気を持つこの怪物を、マウンド上の荒木が鋭い目で見据える。
極限の緊張の中、荒木は先の対決を思い出す。
(あの時……このZと戦った時、正直いって Zという怪物にぼくはビビッた…
足がすくんで 体中の毛が逆だち 全身が凍りついた………
Zを見て動けない自分に気づき『金しばりにあっているんだな』と思うと
ますます毛が逆だつのがわかった…胃がケイレンし 胃液が逆流した。ヘドをはく 一歩手前さ!
ぼ く は 自 分 を 呪 う !
ヤツとの戦いが終わって ぼくはホッとしたんだ…
正直いって心の底から安心したんだ……………
まだまだ生きれるんだ!
そう思った しかし…………屈辱だ…ゆるせない!
これ以上の屈辱はない……自分が許せなかった……ヤツに精神的に屈した自分を呪った!
ここまでボロボロになりながらも、このマウンドに立つ理由もそれだ!
二度とあの時のみじめな荒木には戻らないッ!
Z おまえと魂を賭けて闘うのも それが動機さ!
だ か ら
この試合でこの荒木飛呂彦に精神的動揺によるミスは決してない!と思っていただこうッ!)
気高い『覚悟』を胸に、投球モーションに入ろうとする荒木。
そのとき、いきなりZが声をかけてきた。
Z「さっきのつづきだ、荒木。あの空間を削り取る能力を、もう一度使え。
同じ状況で、俺を倒してみせろ」
バットの先端を荒木に突きつけながら、Zがふてぶてしく宣言する。
そのZの申し出に、荒木もまた、不敵に笑った。
荒木「いいだろう。今度こそ、貴様を打ち破ってやる、Z!」
すぐに『ザ・ハンド』を繰り出すと、再びマウンドとバッターボックスの距離が狭まる。
お互いに完全なる制空圏内にはいった状態で、二人が睨み合う。
Z「3球勝負は興が乗らん。ボールは1球…スイングも1回……これでいいだろう」
荒木「いいだろう。この勝負に、ぼくの魂を賭けるッ!」
バットの先端を下方に向け、背中を見せる奇妙なフォームで構えるZ。
ゆっくりと投球モーションに入る荒木。
まさに真剣勝負の緊張感に、熱狂していた会場が、水を打ったように静まりかえる。
岸本「よ…よくやるってばよ、どっちも……」
ガタガタと震える岸本。両軍の他の者も、固唾を飲んで見守る。
水島「伏せとった方がええで……」
ふいに、水島が言った。怪訝な顔になるチャンピオン一同。
水島「Zは今まで、重り入りの12kgもあるバットを使っとった。
それでもヤツはかつて、メジャーで6割台の打率を叩きだしてとる。
そのヤツが今回は、公式(オフィシャル)バットを持っとる。
こいつはエライことになるで、なんせヤツは、ヤツ以外の全ての人類と、
人 種 が 違 う ん や か ら な 」
Z(これが…一般人の使うバットか……
フフ…まるで……羽 毛 の よ う じ ゃ な い か !!)
平野「もうすぐだ・・・・もうすぐだよ七三太郎(ドク)」
心底待ち切れないといった感じで、平野は七三太郎に話し掛ける。
七三「楽しそうですね、平野様・・・いえ、大隊長殿・・・」
悪魔のような笑みを浮かべる平野に同調するように、七三太郎も微笑んだ。
平野「闘争だよ。考えても見たまえ君・・・・
きっと血みどろの闘争になるに違いない・・・
素敵だろう? 闘争 闘争だよ」
死と破壊と狂気・・・・
あらゆる負の火種が、この部屋・・・いや平野の周囲には充満していた。
プルルルルル・・・・・
七三「!?」
突然、七三太郎の携帯が鳴りはじめた。ゴットハンドの連絡員からの電話である。
既に平野に知られているとはいえ、さすがに目の前で堂々と連絡をとる訳にはいかず、
七三太郎は焦りだした。
平野「どうしたのかね、ドク? 遠慮なく取りたまえ・・・
聞かれて困る話なら、別の部屋に移ることも許可するが?」
平野からの申し出に、一瞬考える七三太郎。
しかし、これ以上弱みを見せるのは不味いと判断した彼は、平野の前で電話を取ることにした。
七三「では、失礼して・・・・
はい・・・わたしだ・・・・なに!・・・それは本当か?・・・・・
何故止めなかった!・・・・言い訳などいい!・・・・・
わかった・・・・後はこちらでなんとかする・・・」
電話を切った七三太郎は、厳しい表情で平野に向き直った。
平野「どうしなのかね、ドク?」
相変わらず、不敵な笑みを浮かべる平野に、七三太郎は断固とした口調で言い放った。
七三「平野様! ここをすぐにお離れください!」
平野「ほう、どうしてかね?」
七三「先ほど、ゴットハンドの連絡員から電話がありました。
"原作最強三闘神"菊地秀行がこちらに向かって来てます!」
七三「こちらに来る目的は不明です。
しかし、下手をすれば"あの"菊地秀行とやり合う派目になります」
平野「ほう、菊地秀行とな・・・」
七三「"原作者" 菊地秀行、 "三闘神" 菊地秀行、
"魔界医師" 菊地秀行、 "マンサーチャー" 菊地秀行、
"闇ガード" 菊地秀行、 "念法使い" 菊地秀行、
そして"バンパイアハンター" 菊地秀行、
出身・人種・年齢・全てが不明・・・・
分かっているのがは、この数々のアダ名の他ひとつだけ!」
彼はそこで一端息を切り、そしてすぐに続けた。
七三「彼が"化物"専門の作家であるという事です!」
七三太郎の言葉に平野の目が輝く。
七三「今は久保も出払っており、こちらはほぼ無防備状態です!
万一、彼とやり合うことになれば、御身が危険に晒されます!
すぐ、ここをお離れください!」
必死に訴える七三太郎に対し、平野はなぜか"満足"そうに首を横に振った。
平野「それはできない・・・
ドク、どこへ逃げようとも、闘争の火種というものはどこにでも潜んでいるもの。
そうだな・・・・そう・・・・
例えば君の後ろなんかに・・・・」
七三「!?」
慌てて後ろを振り返る七三太郎。
そこには"美しい"では、とても言葉足りぬ形をした一人の男がいた。
その男の名は " 菊 地 秀 行 "
美と麗と華に愛でられし、男の名であった。
お?平野の見せ場がまわってきた
「もぐもぐもぐ」
持ち込んだ大量の飲食物(違反)をあらかた胃に押し込めた村田は、
満足した表情で大きく息を吐き、足元の岩をどけ大きな穴を作りおやつの包装紙を投げ込んだ。
さあ後は証拠隠滅だとばかりに押しのけた岩を戻そうとするのだが、
その時ふいに、ここから程遠くない場所から誰かの叫び声がしたのだ。
続いて何かを引っ張るガラガラガタガタという音と、
もう1人の男の掛け声が、心なしだんだんこっちに近づいてくる。
「あっヤバーい!逃げなくちゃあ〜」
仕方なく穴を塞がぬまま、村田は慌てて手荷物を抱えて闇の山に消えていった。
「ぜえ・・・ぜえ・・・ぜえ・・・も、もう・・・オラ・・・死んでもいいっぺよな・・・?」
視線が怪しい死にかけの男、青山広美はトロッコと共に黙々と山を登っている。
「おーい、そっちは岩山で危ないぞ、さっきの広い道に戻りたまえ」
その後ろをスタスタと軽い足取りで歩く仙人のような男は、臨時審判松江名俊。
罰ゲームである『修行』の一環であるトロッコ牽きは、未だ半分の島5周にも達していない。
青山がテンパってしまって、トロッコを降りて茶を飲んで休憩していた松江名を放って、
意識朦朧とした中勝手にトロッコを引っ張ってあらぬ方向へ走り出したのだ。
「仕方がないなぁ、さすがに暗い岩山であれは危ないぞ」
表情のつかめぬ松江名が、あごに手を当てて悩みながら青山の後を追う。
ふと、人が座れそうな大岩とその前にある奇妙な≪反射物≫を発見した。
月明かりに照らされて、プラスチック容器が光を帯びて見えるのだ・・・。
「おや?誰かここに来ていたのか・・・・・・ム!!これは・・・・総額4700円は下らない量の菓子類!!」
松江名は一目で空き容器からお値段チェックをした。まさしくこれは違反物!!
まだふらふらと山を登っている青山に、松江名から『怒りの鉄拳』が飛んだ。
――バコォォォン!! 「んなっ、何すっぺー!?」正気を取り戻した青山に、
双眸から気のオーラをカッと発した松江名が熱く語りかける。
「違反者だよ!!この山に反則負けに値する選手がいたのだよ!!
犯人が座ってたと思われる大岩をチェックしてみたところ、犯人はさっきまでここにいた。
すなわち私は審判として、犯人を見つけて処罰せねばならない!!
残念だが修行はいったん中止だ、我々は犯人を・・・・追う!!」
「我々って・・・オラも〜!?(しかもいったん中止って事はまたやる訳で)」
「はっはっは、当たり前じゃないか。これも試練だ、がんばりたまえ少年!!」
青山が少年かどうかは甚だ怪しいが、ともかく松江名は審判用モバイルから本部に連絡を入れた。
「あー、松江名審判です。違反者を発見しました、捕まり次第プリズン送りです。
現在私がいる地点の山周辺をすぐに封鎖してください。スタッフも何名か派遣してください、では」
プチッとスイッチを切った松江名は、近くにいた青山が半泣きになっているのも構わず、
犯人に聞かせるが如く大きな大きな声で、叫んだ。こだまが発生した。
山 狩 り だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ
村田雄介・地獄の逃避行の始まりである。
野々村の、揺るぎない意志を秘めた言霊が、廊下に響きわたる。
それを聞いた横山十傑集・鷹氏隆之は悲し気に目を閉じた。
鷹氏「そうか……残念だな……ならば……」
静かに呟く鷹氏の周囲に、得体の知れない気が集束してゆく。
鷹氏「ならば力ずくでも連れていくぞ、野々村!!」
くわっ、と目を見開く鷹氏。そして、鷹氏は気付く。
野々村の掌に握られている、小さな黒い石のようなものの存在に。
瞬間、黒い石がアメーバのように広がり、野々村を包みこんだ。
すると、一瞬後には、黒ずくめの姿をした野々村の姿はどこにもいなかった。
代わりに、人骨と剥き身の筋肉を歪に組み合わせたような鎧……というよりも甲殻のようなものを身に纏った、異形の影が立っていた。
野々村「これが俺の切り札……戦術生体装甲(タクティカルバイオアーマー)だ!!」
その異形の正体は、まぎれもなく野々村だった。
鷹氏「本気か……それを使うということは、本気で俺と闘うつもりなのか……ならば仕方がない!」
その台詞を最後に、すかさず詠唱に入る鷹氏。
そうはさせじと、野々村が残像すら残さぬスピードで疾駆する。
鷹氏「風の精霊達よ疾風となれ 真空の鎌を擡げ
地に立つ影を刈り取れ!!! 真 魔 鎌 刃 !!! 」
さすがは横山十傑集に名を列ねる使い手。詠唱の速度も尋常ではない。
文字通り死神の鎌と化した、風の刃が、高速で動く影を刈り取る!
ズシャアアア!!
しかし、切り裂いたのは壁と床のみ。野々村自身にはかすりもしない。
先程までの野々村の動きとは、まるで桁が違っていた。これが、戦術生体装甲の威力!
鷹氏「ぬううッ、迅い!!」
跳躍して風の刃を躱した野々村は壁を蹴り、鷹氏の頭上を舞う。
鷹氏の脳天に、悪魔の銃口がポイントされる。
野々村「とったぞ、鷹氏ィ!」
鷹氏「やるな……だが、甘い!!」
今まさに、怨敵への引き金を引き絞ろうとした刹那、野々村を猛烈な威力の風が叩きつけた。
野々村「ぐはああッッ!!」
天井に強かに打ちつけられ、さらなる追撃で吹っ飛ばされる。
地を嘗める野々村を、鷹氏は憐れみを込めた目で見つめた。
鷹氏「無駄だ……お前では、私に勝てん。我が風には、詠唱を使用せずに使える術も多い。
そして、その速度は、お前の全開のスピードを遥かに凌駕している」
野々村「くそ……風ってヤツが、ここまで浸透するものとは……
俺の戦術生体装甲の上からでも、ガンガン響いてきやがる」
遠距離からの銃撃は通じず、接近戦をしようにも鉄壁の防御。
野々村の持つスキルは、鷹氏とは相性が悪すぎた。
鷹氏「お前を殺してしまうワケにはいかん……さりとて並の風では、
完全にその鎧を砕けはしまい。ならば、この技がギリギリかな……」
ひとりごちる鷹氏が、新たなる詠唱を開始した。
鷹氏「目覚めよ!!! 大気に眠りし精霊達よ!!!
魔の力 黒き翼の力を持ちて従え!!! 風魔と化し彼の敵を滅ぼせ!!!
魔 裂 風 塵 !!! 」
詠唱が完了すると、風が野々村を囲むように、円を描いた。
野々村「!! なんだ、これは! 気圧が下がってくる……!!」
風とは、気圧が高いところから、低いところへと流れるもの。つまり。
ドドドドドド!!!
刹那、凄まじい風が、津波のごとく野々村に襲いかかった!
野々村「うおおおおおおお!!」
その風の破壊力は、これまでの風とはまるでちがっていた。
嵐に曝される木の葉のように、野々村の体が、不格好なブギを躍る。
やがて、風が収束したとき、残ったものは、破壊の爪痕を刻まれた廊下と、そして死んだように動かない野々村だけだった。
鷹氏「すまぬな、野々村。お前を殺さずに戦闘不能にできる技となると、これくらいの風を使用せねばならなかった」
呟くと、動かない野々村に手を伸ばす。
鷹氏「だが、これからはまた一緒だ、野々村。お前がどんなに私を恨もうと、私はお前を見捨てない」
今にも、野々村は鷹氏によって連れ去られようとしていた。
だが、そのとき。灼熱の吐息が、廊下に満ちた。
鷹氏「!?」
尋常でない大気の精霊の動きに、鷹氏が驚愕した。
弾けるように、その方向を見やると、廊下を埋め尽す勢いで、爆 炎 が迫り来た!
鷹氏「火の精霊よ 全ての攻撃を遮り食らい尽くす炎の壁と成せ!!!」
反射的に、鷹氏が炎の防御壁を作り出し、炎の奔流を受け止めた。
凄まじい熱量と熱量の激突。廊下の一部を融かし、大炎の渦が収束していく。
鷹氏「何者だ……これほどの爆炎を操る者などザラにはいるまい……爆炎!?」
さりげなく呟いた言葉を、鷹氏が反芻した。あり得ない予感が、脳をかすめる。
すると、鷹氏の予想を肯定するように、性悪そうな声が響いた。
??「クックック…耐火(レジスト)したか。少しは楽しめそうだな」
不敵かつ邪悪な笑みを浮かべながら現れたのは、銀髪を長く伸ばした、美形の男だった。
??「俺様の目的は、Aブロックなんだが……ちっと遊んでやらあ!!」
発達した犬歯を剥き出し、残忍そうに哄笑する男。せっかくの美顔も、印象が帳消しにされていた。
趣味の悪いレザーの服を着た、その男を、鷹氏が戦きながら見つめている。
鷹氏「バカな……なぜ、お前がここにいる……。
おまえは、あの時、鳥山明によって消し飛ばされたのではなかったのか、
萩 原 一 至 !! 」
萩原一至。この男はかつて、鳥山明によって粉々に消滅させられた筈であった。
その男が、なぜか、今こうして、ここにいる!
萩原「あーん?なんで、てめーがそんなこと知ってやがる?
…ははーん、さてわお前、俺様のファンだな?」
鷹氏「んなわけあるか!!」
萩原「ジョークだよ。てめー、ゴッドハンドの三下だろう?
じゃなけりゃ、俺様の詳しい死に様なんて、現場にいたヤツか、
そいつから話を聞いたヤツしかわからねーもんなあ?」
ニヤつく萩原に、鷹氏は思わず、いつものペースを失ってしまう。
鷹氏「なぜだ、なぜ、貴様が生きている?それにこの力……聞いていたよりも遥かに……」
手の痺れが鷹氏に教えてくる。目の前に立つ男が、とてつもない力を有していることを。
萩原「別に大したことぢゃねえよ。『喰った』んだよ、あのとき、鳥山のエネルギーをな」
鷹氏「喰った……?」
平然と言ってのける萩原に、鷹氏が怪訝な声を出す。
萩原「ああ。あの時の俺様は、目やら腰やら、とにかく体中にガタが来まくってて、
とてもぢゃねーが、連載なんてやってられなかったんだよ。
だから、鳥山の『かめはめ波』のエネルギーを吸収させてもらった。
おかげで、体も新品になったし、俺様の超!絶!美!形!にも磨きがかかった。
おまけに、ゴッドハンドの監視網からも逃れることが出来てなあ」
鷹氏「な!?」
萩原「なに驚いてやがる?あの時、Aが監視してたことくらい、魔法探知で気付いてたんだよ。
さすがにあの時の俺様じゃ、勝てる気がしなかったんで、一芝居打ったってワケだ」
鷹氏「なるほど、鳥山を利用して、死を擬装したのか……」
萩原「Da Bomb(正解)!!……って、これわ俺様の漫画ぢゃねーか。
ま、そーいうワケで、俺様は充電完了!!
あの時の俺様と比較しても、今の俺様は、もううりゃうりゃだぜ!!」
萩原の言動にイチイチ驚いていた鷹氏だが、やがてフッと笑う。
萩原「やい、てめー!そういう『フッ…』って笑い方は、
俺様のような超絶美形にふさわしいんだよ!!
てめーみたいな二流の美形がやっても、滑稽なだけだぜ!!」
どうでもいいことに、やたらとこだわる萩原。それを見て、鷹氏は言う。
鷹氏「どっちにふさわしいかはすぐに分かる」
萩原「かー、頭にくるヤローだな!そうそう、俺様はAブロックに行くんだよ!
だから、てめーなんざ、一瞬で片付けてやるぜ!!」
久しぶりの出番に、萩原はちとはしゃぎぎみだった。
鷹氏「お前を生かしておいては、ゴッドハンドの方々に申し訳が立たぬ。
暗黒のアダムよ、とにかくお前は
萩原「ワーハハハハ!! 待たせたなァ、皆の者ォ!!!
ヤルぜェオレわ とにかく何もかもブッ殺ス!!!フハハハハ!!!」
鷹氏「死ね
萩原「次のレェスからは、100万レェス連続で、萩原様の大活躍が見られるぜェ!!!
G O 一一一一一一ッッッッ!!!!!!!!! (何がGOだか……) 」
萩原、はしゃぎすぎて、鷹氏の言うことなど、まったく聞いていなかった。
…………それに、ないってそんなレスは
「一一一」って流行ってんの?最近よく見るが
まぁそれは置いといて
ハギーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
ハギー書き貯めしてるんだろうか?
また休載を始めたら、突拍子無くやられても誰も文句を言わなさそう・・・。
409 :
山崎 渉:03/08/15 10:55 ID:WrrWIlD4
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
Zのバッティングフォーム。見れば見るほど、奇妙な構え。
頭のすぐ横に構えたグリップ。やや下方を向いたヘッド。
鍛え上げられた広背筋を見せつけるかのような、極限の腰の捻り。
わずかに地から浮いている左足。
それは野球のフォームというより、なにか古武術のような構えに見えた。
怪物の殺気をひしひしと感じながら、荒木が振りかぶる。
といっても、実際に球を投げるのは、荒木本人ではない。スタープラチナ。
奇しくも、先程の一戦で使ったのと同じスタンド。これも因縁か。
と一一
荒木「オラァーーーッッ!!」 ドリュッ!!
Z「ハアアアアアッッ!!」 ズババババッッ!!
刹那、怪物同士が交錯する!
体感速度500km/hの嵐が吹き荒れる!!
ビシッ!
施川「ヒイッ!」
Zのスイングが巻き起こした凄まじい風圧は真空を生み出し、両軍のベンチを真一文字に切り裂いた。
獣の爪痕のごとき亀裂からは、煙がたちのぼっている。
水島「これがあいつのMAXか……初めて見たでえ……」
岸本「うっわあああ!なんなんだってばよォ!」
尾田「どういうクソバケモンだ!ありゃあ、ホントに人間なのか!!」
板垣「まさに人智を超えた怪物……『球鬼』ってワケか……ククク、おもしれえ」
その威力の余波は、守備についたえなりメンバー各員のところまで及んでいた。
岡田「風圧だけでこれだ……荒木先生は!?」
爆煙が徐々に晴れ、二人の姿が明らかになってきた。
煙が晴れ、荒木とZの姿が見えてきた。
そこに現れた光景に、球場内の全員が絶句する。
ボールを持ったままのスタープラチナの拳が、Zの顔面に突き刺さっていた。
Zのバットが、荒木の胴体に深々とめりこんでいた。
相打ち・・!
そんな言葉が、全員の脳裏をよぎる。
片や、時速300km/hに達するスタープラチナの拳。
片や、風圧だけで壁を切り裂き、地を裂く、Zのスイング。
こんなものが互いにぶつかりあえばどうなるか、子供でも分かることだった。
岸本「そ、そんな荒木先生!」
尾田「クソっ!最初から勝ち目なんてなかったんだ。
仮に荒木のダンナのタマを喰らってZが即死したとしても、
一度動きだしたヤツのパワーとスピードは決して止まらない…
確実に荒木のダンナを粉砕する!」
戸田「荒木……やられちまったのか?それに、藤澤も……」
さすがの戸田も、呆然とするばかりだ。だが、ひとり冷静な水島は言う。
水島「い〜や、見てみい、あれをな」
指差した方向に、視線が集中した。
よく見ると、Zの顔面とスタープラチナの拳の間に、なにかがある。
旭「な…ッ!?」
Zはスイングした瞬間にバットから放した右手で、スタープラチナのパンチを受け止めていたのだ。
藤井「あのはげしいもーしょんのなかで、みきったのか……」
水島「動態視力…反射神経…まさに野獣や!!」
伯林「Zの勝ち……ですかね…」
誰もがそう思った、そのときだった。
荒木「勝手に勝負を決めるんじゃあないぜ・・・・」
なんと、荒木は生きていた!
荒木「どうしたぁ〜〜水島先輩ィ〜〜〜?俺はこの通り、ピンピンしてるぜ!レロレロレロ!」
おどけた荒木の声が、えなり陣営を歓喜させた。
反対に、チャンピオン陣営……特に水島は驚きを隠せない。
・・・・・・・・ ・・
水島「Zの一撃を正面からま………まともにくらったのにな…なぜ!?」
しかし、それを聞いたキャッチャー大和田は笑う。
大和田「『まとも』?フフフ…まともにくらったように見せるほど荒木はぬけ目ない………
どうしようもない天才イカサマ師ということだな。ほめていいのかどーかわからんが。
もしヤツが漫画家以外の職業についていたら、
とんでもない大悪党にか、ものすごい大人物なっていただろうな。
荒木の胴のあたりを見てみるがいい。何がある?」
指摘され、水島は見た。
荒木の胴……ちょうどZのバットが当たった部分でアメーバ状の奇妙な物体が蠢いているのを。
水島「あ…あれは……まさかスタンド?」
ようやく気付いた水島に、荒木はにやりと笑う。
荒木「こいつは喰らった肉と同化しているから、一般の人間にも見えるしさわれもするスタンドだ。
『節制』のカード、イエローテンパランス!!
このスタンドはいうなれば!
『力を吸い取るよろい』!『攻撃する防御壁』!
エネルギーは分散され、吸収されちまうのだッ!
Zのスピードがいくら早かろーが、力がいくら強かろーが、
このスタンド一一『イエローテンパランス』の前には無駄だッ!」
水島「ワシが驚いとるのは、そんなことやない!お前は、すでにスタープラチナを出しとったハズ!
一度にスタンドを2体同時に出すなんて、どういうことや!!」
そう、真の謎であり、驚異であるのは、その点。しかし、荒木は不敵に言う。
荒木「『どういうことだ』だと?なんのことはない。
そちらの戸田も、アルターを2つ同時に出したことがあったじゃあないか。
ならば……その男に出来ることが、
俺 に 出 来 な い は ず が な い !! そ う だ と も !!」
言い捨てると、荒木は落ちた帽子を拾う。
荒木「あ あ 、そ う だ と も !!」
帽子をかぶり直しながら、荒木はZを見る。二人の視線が交わる。
荒木「野球ルールなら、俺の勝ち。だが、勝負としては引き分けだ。
お前との真の決着は、ピッチャーとしてお前に投げ勝つことでつける」
そう言い捨てると、荒木はベンチへと引き返していく。
遅れて、スリーアウトのコールがこだました。
やがて、Zもチャンピオンベンチに帰還すると、水島が訊いた。
水島「で、どうなんや、手ェの具合は」
それに対し、Z。
Z「……右手甲の骨にヒビがはいっている。だが、問題はない」
平然と、何事もないように呟くと、Zはグローブをはめた。
さしものZも、スタープラチナの攻撃を素手で受け止めて、無事ですむはずはなかったのである。
握力を確かめるようにボールを握りながら、鬼の目がえなりベンチを見る。
えなりチーム最高の知将にして守護神、荒木。
唯一、Zの豪球を前に飛ばした、もうひとりの球鬼、大和田。
そして、もうひとり。
笑っているのか泣いているのか判然としない、まさしく鬼面を浮かべながら殺気を放ちつづけている、悪鬼。
Zと板垣。
希代の怪物同士の対決が、もうすぐ始まる。
8回表終了。えなり1 − 2チャンピオン
やっぱりカックいいな、荒木は。
ところでイエローテンバランスって小説のスタンド?
遠くで山狩りだとかなんとか声が響いている。
「・・・・!!あっちに誰かいるのか。この際誰でもいい、ただ無為に彷徨うよりはマシだ」
ツタや木の根が複雑にねじれ込んだ密林から出られず、
体力を無駄に消耗していた裏御伽“仮面の男”岡村賢二。
前後不覚に陥り危機を感じていた所に謎のこだま。
罠でもいい、人がいるなら何かがつかめる。そう判断して声の方角に進んだ。
遠くで山狩りだとかなんとか声が響いている。
「おや?熊でも出たのかな」
ドリブルをしながら、短い草の生い茂る地域をひた歩いていたスポーツリーダー高橋陽一。
ボールを踏み止めて声のした方角を耳を澄ませて判断する。
足元の芝草を何本か指でちぎり、風に乗せて手放すとそれは彼の右斜め後方に飛んだ。
「あっちの方か。よし!とにかく行ってみよう」
高橋はふたたびドリブルを始めると、風上の方向に向かって軽快に走り出した。
遠くで山狩りだとかなんとか声が響いている。
「お〜か〜の〜様〜!」「生きておられて何よりですわーっ!」
さっきからまた女性の人数が増えた。乙のスタンドで“一対”の異形の生物として生命を永らえた、
岡野と真倉。普段の行動用にと≪合体≫して、普通の人間からは異形がわからぬように、
一体の少年の形を取っていたのだが、そのチョイスがまずかったのかも知れない。
サラサラの金髪で黒目がちの目元が涼しい美少年。衣服は真倉が着ていた学ランのサイズを小さくし、
岡野が予備衣服として持ち込んでた白衣を上から羽織っているのだが、
どうやらその姿が、自分たちを捜索していたファン達にはかなり刺激的だったらしい。
俗に言うショタ趣味という奴か。かつ合体した事により男の色香フェロモンも飽和状態。
合体バージョン岡野+真倉は、それはもう命がけで女性たちの包囲網を突破していた。
山狩りの声は、彼らの耳には聞こえなかった。
>>414 第3部登場「節制」のカードのスタンド。花京院に化けていた。
野々村「ぐ・・・」
昏倒から野々村が目覚めた。すでに、戦術生体装甲は解除されている。
惚けたように辺りを見回す。瞬間、頭に鈍痛が走った。
まだ朦朧とする網膜に、向かいあう二人の男の姿が映る。
野々村「あ、あの男は!?いったい、なにがどうしたってんだ・・・」
その呟きは、萩原にも鷹氏にも聴こえていなかった。
どちらも、目の前の相手に集中しているのだ。
鷹氏「それにつけても愚かな男だ。そのまま大人しくしていれば、あるいは命を拾えたものを。
すでにゴッドハンドの方々は、お前の復活に気付いた。
もはや、お前に安息の日々はないぞ」
罪人に死刑宣告する裁判官のように、鷹氏は言う。
だが、萩原。そう聞いても、なにやら愉快そうに笑うだけだ。
萩原「くーくっく……オロカなのはてめーらの方だぜ。
なんで、俺様がノコノコ出てきたと思う?俺様は開発したんだよ。
ゴッドハンドの神霊力を無効化する究極の兵器をな」
鷹氏「なにーッ!?」
萩原の自信に満ちた台詞に、鷹氏は思わず叫ぶ。
しかし、すぐに冷静さを取り戻すと、言った。
鷹氏「何を言うかと思えば、戯言を。それにだ。仮にそんなものがあったとしても、
この私には、通用しないぞ。私はゴッドハンドと違い、人に過ぎぬのだから」
萩原「信じられねえか……まあ、いい。それよりおめー、勘違いしてねーか?
ゴッドハンドが相手ならともかく、その腰巾着風情が俺様の相手になるかーーッ!
そんなもん、俺様の自力でも余裕でブチ殺せるぜーーッッ!!」
鷹氏「やってみるがいい!」
瞬間、二人の周囲に、凄まじい数の精霊が集まり始めた。
その場にいるだけで吹っ飛ばされそうな圧力の中、野々村が必死で踏み堪える。
野々村「この力……こいつら強い!!」
萩原・鷹氏「「い く ぞ!!」」
互いに叫ぶと、それぞれ詠唱を開始する。
どちらも、遠距離戦主体の闘いを得意とする2人。
スタイルが噛み合う以上、勝敗は純粋に力量の差によって決まるだろう。
鷹氏「遍く大気に宿りし精霊達よ
全てを貫く退魔の槍と化し彼の敵に降り注げ!!!
魔 剣 槍 牙 !!! 」
鷹氏の詠唱が完成すると、複数の細い槍の様な風が放たれる。
萩原「光弾よ 敵を撃て(タイ・ト・ロー)
鋼 雷 破 弾 (ア ン セ ム)!!! 」
萩原の両手の中に、いくつもの魔法の矢(マジックミサイル)が形成され、標的に向かって飛ぶ。
風の槍と魔法の矢が寸分の狂いなく激突し、互いに相殺された。
どちらも、かすり傷ひとつ負ってはいない。
萩原「へっ いかんな…。テメエみてーなクソが
努力まで怠っちまったらハナクソだな。それ以下かも」
鷹氏「やはり…この程度の風では、まるで通用しないか。これは骨が折れそうだ」
目の前の男の実力が普通ではない事を察し、鷹氏が気を引き締める。
一方、萩原は哄笑を響かせながら、次の魔法を唱える。
萩原「テメエなんざ、オレの敵じゃねえーーーーーっ!!」
途端に高まりだす魔力。しかも、さっきとはレベルがちがう。
萩原「大いなる力の三角 六芒五芒 光と闇 円盤に満つる月よ 竜王の英霊に申し上げる!」
複雑な印を描く両手が組み合わさった瞬間、地が割れ、とてつもない力が噴出した。
床が割れ、とてつもない力と共に、巨大なる異形が出現した。
それは、ファンタジーではあまりにも有名な、あの伝説の幻獣!
野々村「ゲェ!あっあれはドッ……ドドド! 竜(ドラゴン)!!」
凶暴な牙を剥き出し、圧倒的な威容を誇る巨体を従え、萩原の詠唱がつづく。
萩原「天の理 地の理 人の理 力の円錐ディマジオの紋章もちて
我に聖なる炎 三頭黄金竜の力 与え給え!!! 」
鷹氏「くっ!一気に決着をつけに来たか……だが、させぬ!!」
召喚された竜の威容を目の当たりにしても、鷹氏の闘志は萎えていない。
鷹氏「土の化身土竜よ!!! 大地の脈動を守りしその力 我がために貸し与えよ!!!
大地よりその力を受け 全てを滅ぼし土に還す竜の吐息を浴びせよ!!! 」
詠唱が完成するや、床がものすごい勢いで盛り上がり、ひとつの巨大な三首竜が形成された。
野々村「三頭竜が……もう一体だと!?」
萩原「い っ て こ い 大 霊 界 !!!!
皇(マー)!! 龍(ノー)!! 破(ウォー)ーーッ!!!! 」
鷹氏「覇 竜 瓦 礫 槍 !!! 」
刹那、黄金の三頭竜の顎が開かれ、全てを焼きつくす灼熱のブレスが吐き出された。
土の三頭竜の口が大きく開き、全てを押し流す土石流の吐息を吐き出した。
炎と地。2つの巨大なブレスが、正面衝突し、凄まじい破壊力が生じた。
萩原「ちいッ!」 鷹氏「ぬううッ!」
衝突の際の衝撃に、2人の体が数メートルも後退する。
鷹氏の土竜は跡形もなく、黄金竜の炎によって燃え尽きていた。
萩原の黄金竜は無惨にも、土竜の土石流によって埋め尽されていた。
目の前の超絶極まる闘いを見て、野々村が唸る。
野々村「鷹氏の野郎……これほどの術を持ってるとは……俺との時は手を抜いてやがったのか!」
己の弱さと、倒すべき敵の強大さを思い知り、歯噛みする野々村。
だが、実際には。鷹氏にはわずかの余裕もありはしなかった。
鷹氏(土竜が燃やし尽されるとは、ヤツの炎はこれほどまでに浸透するものだったのか……
しかも、こちらが土系最強の技を繰り出したのに対し、
ヤツは依然『人』のまま……つまり、まだ本気を出してはいない……
やはり、単純な力比べでは、勝負にならぬか……ッ)
萩原「クックック…どーした小僧、息があがってるぜ?」 鷹氏「クッ!」
焦る鷹氏の内心を見透かすように、萩原が挑発する。その顔には、まだまだ余裕の笑みが浮いていた。
萩原「ゴッドハンドの舎弟がよ……知らねえのか?オレ様は、残忍だぜ」
邪悪極まりない笑顔を見せる萩原。その顔は、蟻を踏みつぶす幼児のそれに似ていた。
萩原「カイザード・アルザード・キ・スク・ハンセ・グロス・シルク!!」
新たに唱えられ始めた呪文に、鷹氏が驚愕した。
鷹氏「これは、あの有名な……ならば、こちらも最大の風で当るしかない!」
これが最後の一撃になることを覚悟した鷹氏が、これまでで最大級の術を発動する。
萩原「灰燼と化せ、冥界の賢者 七つの鍵をもて開け 地獄の門!!! 」
鷹氏「大気に宿りし全ての精霊達よ 我が絶対の力と化せ!!!
天と地を従えし魔流と化し 触れる物全てを無へと帰せ!!! 」
刹那、光が満ちた。それぞれの最大級の技がぶつかりあわんとする。
萩原「七 鍵 守 護 神 (ハ ー ロ ・ イ ー ン)ーーーーーーーーッッ!!!!! 」
鷹氏「魔 覇 ・ 皇 龍 盡 !!!!! 」
指向性の純粋なエネルギーが、核熱にも匹敵する破壊の奔流と化した。
大型台風を凝縮したような、光輝く風が吼え猛り、一匹の魔竜と化した。
ドドドオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!!
極限の力の衝突と激突。だが、吹っ飛ばされたのは鷹氏隆之だった。
鷹氏「ぬううああああああああ!!!」
床の融解よって生じた巨大なクレーターの中に、鷹氏は叩きつけられた。
鷹氏「グハッ!肋骨が砕けたか……内臓も半分近く潰れている……。
ヤツがこれほどの力を持っているとは………計算外だった…
五虎神クラスでなくては……この男には太刀打ちできん……ッ」
呟きながら、激しく吐血する鷹氏。意識が血色にかすむ。
その様を、萩原がゴミを見る目で傲岸に見下ろしていた。
萩原「マジで……この程度の力しかねえのか。この雑魚ヤロウが…」
容赦のない嘲りに、鷹氏は唇を噛む。
元々、鷹氏は場を利用した戦術的な闘い方、そしてなにより、対化物戦闘のスペシャリストである。
対人…それもこのようにだだっ広いだけで何の遮蔽物もない場所での闘いは、鷹氏の本領ではないのだ。
しかしながら、現実は非情。なすすべなく、鷹氏は圧倒的な力に押しつぶされようとしていた。
萩原「しょせんわ、マイナー漫画家。オレ様の相手するには、荷が重かったな」
何とか立ちはしたものの、もはや鷹氏に勝機はない。
目的を全うできぬまま死んでいく己の運命を、鷹氏が呪った。
今まさに、萩原のとどめの呪文が炸裂しようとした、そのとき。
萩原「オイ、何の真似だ、小僧……」
それは、鷹氏に向けて言った台詞ではなかった。萩原の意識は、背後に向いている。
すると、背後から萩原の頭部に銃口を突きつけている男が言った。
野々村「悪いが、そいつはオレのイメージだ。横からしゃしゃり出てくんじゃねーぜ、おっさん」
422 :
訂正:03/08/15 21:28 ID:tOonSeNA
×そいつはオレのイメージだ
○そいつはオレの敵だ
なんだ、このミスは・・・ありえねえ・・・
ガンバ(´Д`)
J「面白い、ならば私も全身全霊を持って貴方を倒しましょう!!
そして、再び「J」は鈴木に向って走って行く。鈴木も同じようにモーションに入るが・・・
それは先ほどまでとは違っていた。
えなり「あんなに上体をひねるなんて・・・まさか『トルネード投法』!?
自身の体をスプリングの如く、相手に背中を見せるほど上体をひねる。
ただのオーバースローと違い、体全体で投げるトルネードは球威だけでならオーバーの
比ではない。しかし、そんなトルネードにも弱点はある。
えなり「澤井先生!トルネード投法は威力がある分コントロールが若干悪くなります!
気を付ければ避ける事も可能なはずです!!
J「(ありがとう、えなり君。そして私はもう一つの弱点を見つけた。それは、彼の戦い方の弱点でもある。
そう、攻撃方法はピッチングである以上 連 射 は 不 可 能 )
現に鈴木が攻撃準備中に「J」は楽々自身の射程に入りこめた。
J「黒太陽真拳奥義 『少年のファクトリア』!!
今までの攻撃と違い、鈴木の頭上に巨大な炎の柱が現れ鈴木を飲み込む!!鈴木はかわす素振りも無く
そのまま炎の柱の中に消えて行った。
えなり「やった!今度こそ!!
しかし、えなりが喜んだのも束の間。炎の柱に異変が起きた。始めは僅かに、だが確実に柱は揺れ始め
縮んで行く。そして竜巻(トルネード)が凝縮していくように一点に集まって行く。
J「そんな・・・バカなっ!私の黒太陽が彼に飲み込まれて行く!!
鈴木の気迫が、黒太陽の炎を自らに従わせ吸収していく。炎は鈴木に染込むように消え、一部を衣のように
纏っていた。先ほどと同じ体勢で。
鈴木「絶望というにはまだ早い・・・・矢吹陣営(俺達)との絶対的核の違い。真の絶望はこれからだ。
堕ちろ、亡者ども。貴様等が手繰り寄せている蜘蛛の糸・・・それは細く、脆いものだという事を知るがいい。
貴 様 等 の 漫 画 全 て を 否 定 し て や る ! !
放たれた球は暗闇の炎を身に纏い、漆黒の鳳凰と成り「J」に突き刺さった。鳳凰の暗黒の光は『眠らざる5太陽』が作る
幻影を消し去ってしまった。「J」は澤井哲夫に戻り、音を立ててその場に崩れ去った。
鈴木「『五光』・・・貴様にはもったいない技だったな。
えなり活躍の予感。
続き書かせてくれないかなぁ・・・・
やりたいネタがあるんだ。
書いたもん勝ち。
お盆だがんばれ
−十数年前、【超高級別荘地、シーサイドヒル高見台】−
アニメ化作家「アニメになんかならい方がいいって!」
単行本売り上げNo.1作家「売れたら売れたで好きなもん描けなくなるんだって。」
人気投票1位作家「ナンバーワンよりオンリーワンだよ。」
日々上からものを見た感じの発言が繰り返されるその場所で、久米田はバルコニーを見上げ、何人もの作家に高いところから言われ放題になっていた。
アニメ化!映画化!ゲーム化!カード化!
オレはそんな人気漫画家の栄光を…いやというほど見せつけられ…そんな漫画家に見下されて描いてきたんだよ
そしてオレは漫画家に"絶望"したんだ!漫画家は醜い!
こんな醜い生物は全てネタにしてやらなければならないと思った…それがオレの…使命だとな!
"漫画家どものイメージをぶち壊してやる!!"
オレはそう考えた!だから藤田と万乗をネタにした…ネタにしてネタにしてネタにしまくった!!
"藤田"はそれ自身ネタに成り…"万乗"はパンツがネタに成るからだ!!
200回近くネタにしたところで………オレはついに小学館から追い出された!
そしてむごたらしくロケットで突き抜けようとしていたオレの前にやつが現れたのだ!
マスター
大ネタ作者矢吹が!
矢吹「お前のようなオタクを捜していた!!」
ワロタ(´Д`*)
『問題:この数式の答えは正しいか、そうでないか。○か×かで答えよ。
38543×42+68342÷20×36−6539×7.5+8456
÷40+43629−83254−80004×4=1795075.15 』
己の野望のため、絶えない力への欲求のため――
紙とシャーペン、そして十指を駆使して真島が問題に挑む!
――5分後
真島「・・・ってコトは・・・を・・・足して・・・」
10数年ぶりフル回転する彼の左脳。・・・が、悲しいほどに計算速度は遅かった。
藤崎「あ〜退屈だのう〜。そうだ小畑先生、お茶にでもしませんかな」
小畑「お、いいね〜。じゃあ、お願いしようかな〜」
部屋の隅の戸棚から茶菓子とお茶を持ち出す藤崎
藤崎「ゴマ団子でよろしいですかのう?」
小畑「結構結構。じゃあ、ひとつもらいましょうか。」
藤崎「まだまだありますから、ひとつといわずどうぞどうぞ――真島君もどうかのう?」
真島「うっせーよ、お前ら!」
――20分後
そろそろ茶菓子も食べ終わるころだった。
小畑「・・・長いな。」
藤崎「・・・のう真島君、電卓貸すぞ」
真島「うるっせーな、敵に施しは受けねーよ」
小畑(元ネタ知らないんだな・・・でも確かに複雑だが何でこんなに・・・)
そうつぶやきながら紙を覗き込んだ小畑は、
――信じられない光景を見、そして理解した。
小畑(・・・ 足 し 込 ん で る ――!!)
紙上に”38543”が縦に42行並び、
さらにその周囲に細かい計算のあとが点在していた。
――30分後
藤崎「・・・もう一杯いかがですかな」
小畑「あー、できれば今度は冷たいのがいいな――」
茶菓子はすでに食べ終えていた。
真島「あぁっ!もうラチがあかねー!こうなったら・・・
『音 速 の 剣 (シ ル ファ リ オ ン)』!!」
慣れない作業に限界が来たのか、真島がいきなり立ち上がり剣を抜く!
『化血陣』に一触即発の緊張が走った!
小畑「!!」
藤崎「ん〜?問いよりも剣を選ぶか!?一撃食らう覚悟があってのことか、真島君?」
いつでも避難できるよう身構える小畑。
座ったまま真島を見据えながらも、内心はビビりまくる藤崎。
真島「そんなんじゃねぇ。心配すんな。――」
真島はおとなしく席に着き、再び計算に挑む。
シャーペンの、そして十指の屈伸速度が先ほどの数倍に跳ね上がっていた。
『音速の剣』が作業速度に貢献しているのである。
小畑と藤崎も内心ほっと胸をなでおろす。
小畑(やれやれ・・・これで少しは進むかな)
藤崎(う〜む)
――40分後
真島「・・・で、・・・を引いて・・・」
真島の挑戦は続いている。『音速の剣』の力をもってしても
脳の計算速度そのものはあまり変わらないらしい。
小畑(ドコまで進んだんだろう?)
再び用紙を覗き込む小畑は――
真島「よっしゃ、あともう少しだ・・・つぎはこれを引いて・・・」
――そこで新たな脅威を目の当たりにした。
小畑(・・・ ×、÷ を 優 先 し て い な い――!!)
真島は×、÷を優先せず、左から順番に計算していたのである。
真島「よーし、これで最後だ。4をかけて・・・!?」
横で凍りつく小畑に気づき、小畑と用紙を交互に見つめる真島。
ようやくコトに気づき、シャーペンを消しゴムを持ち変えたのはさらに1分後のことだった。
藤崎「たしかに、決勝までの時間稼ぎが目的じゃが・・・」
真島の回答はまだ先のことになりそうだ
裏御伽の皆・・・・僕は先生方の漫画に"夢"を見ました。
貴方達の書いた漫画を初めて見た時から、その漫画に心奪われました。
矢吹の野望を止める事だって、可能だと思えた。それはまるで夢の様だった。
だが、この球はまるで
全 て 漫 画 家 の 夢 を 喰 ら い 尽 く す 夢 魔 の よ う だ
前々から思ってたけどそんな短いレスで島の時間消費していいのか?ただでさえ長いのに
前にもダラダラ書くな!って指摘あったはずなのに・・・。
438 :
忍者参入:03/08/16 10:29 ID:NcgJ2j+u
鷹氏「(野々村っっ)」
血を吐き、跪きながらも鷹氏は必死で立ちあがろうとした。
だが、そんな鷹氏の足の裏を何かが叩いた。
トン トン トン
鷹氏「(なんだ?)」
思わず立ちあがりかけた足を降ろすと
トン トン トン
今度はアキレス腱の辺りを叩いてきた。
その異常さに一瞬戸惑う鷹氏、だが朦朧とした意識の中でなお鷹氏の怜悧な頭脳は直ぐにそれがなんなのか気がついた。
鷹氏「(叩くリズムに一定の法則がある・・そして俺はこの法則を知っている・・)」
地面の中から直接自分の靴底を叩く、このやり方はかつて横山様の配下だった、今や横山十傑集の一員となったあの男が好んだ連絡手段。
「(せがわまさきか!)」
にいっ
と、地面がまるで人間が笑みを浮かべるかのようにかすかに揺らいだ。
――1時間30分後
真島「終わった・・・やっと、やっとできたー!!!」
満面の笑みで真島が叫ぶ。脳の酷使によるランナーズハイ状態で
そのテンションは異様に高かった。
藤崎「・・・長かったのう」
小畑「・・・ん、ん〜!?」
反対にこちらは、すっかり待ちくたびれてローテンション。
小畑にいたっては居眠りをしていたようだ。
真島「さあ、クイズを再開しようぜっ!!!」
藤崎「まあ、待て。回答の前にいくつか質問がある。」
真島「あぁ〜ん!?」
おもむろに藤崎が立ち上がり、真島に問いかける。
藤崎「おぬしは計算が大の苦手だ。そうじゃな?」
真島「あぁ、自慢じゃねえが数学は赤点だったからな」
小畑(算数の範囲なんだけど)
小畑は場が荒れそうなので心中でツッコミを入れた。
藤崎「その苦手な計算に挑んでまで、おぬしは力に固執している。
思えば、トーナメント決勝戦だって数日後には始まる。
だが、それすら待てぬとおぬしは言う。
何がそこまで駆り立てるのだ?」
真島「はぁ〜ん、またお説教かよ藤崎センセー!?
どうせまたパクリを止めろだの――」
藤崎「わしはおぬしをパクリなどとは一度も申しておらん。
嘘だと思うなら過去ログを探してみい!
それどころか、わしはおぬしを矢吹よりはマシだと思うておる。」
真島・小畑「!?」
藤崎「おぬしは少なくとも、矢吹よりはオリジナリティーをもっている。
おぬし自身が力を持っておるのだ。
矢吹の下に10年近くいたわしがそう言っておるのだよ」
真島「・・・お世辞はやめな」
藤崎「世辞ではない。――これなぞ、いいデザインではないか」
いつの間にか部屋の隅にいた藤崎はぬいぐるみのひとつを拾い上げる。
真島(『プルー』・・・!?)
藤崎「確か『プルー』といったかのう。それとこれは確か――」
真島「グリフ・・・『グリフォン加藤』だ・・・」
真島の顔から険しさが消えていた――
藤崎「なかなかいいセンスをしておると思うぞ。」
真島「・・・」
席に戻り、ぬいぐるみを真島に向けて卓に並べながら藤崎は続けた。
藤崎「わしも『絵がキレイなだけの漫画家』とよく言われた。
デビュー当時・・・いや、今もそう言う者もおる。
だが『絵がキレイ』なら、そこから始めれば良いではないか。
それがおぬしのオリジナリティーになる。
そして、現にこうして製品化されとるように、
おぬしの絵を支持している者もこれだけおる」
藤崎がぬいぐるみの頭をなでた。真島には『プルー』と『グリフ』が
自分に微笑みかけたように見えた。
聞き慣れない賛辞に真島は戸惑っていた。
この機を逃がさじと藤崎が畳み掛ける。
藤崎「(もう一押しかのう?)
じゃが、そんなことはすでにおぬしも考えておろう。
にもかかわらず、おぬしは力を外に追い求める。
もう一度問う。なにがおぬしを駆り立てるのだ?
世間ではおぬしを無法者のように言う。
だが、わしはおぬしがただの無法者には思えぬのだ」
真島「何を根拠に・・・」
藤崎「おぬしの後ろにおる、その2人の存在が物語っておる!」
真島「ふたり・・・!?」
??1「ひどいよヒロちゃ〜ん」
??2「あ、忘れられてる」
真島「!!」
藤崎が指差した先――
そこには、幽体となりながらも真島に付き添う
綾峰欄人と上条明峰がいた。
真島「お前達・・・!?」
綾峰「うぅ〜っひどいや〜」
上条「まあ、しばらく出番無かったし――」
真島「わ、忘れてなんかいないぞ。そんなハズない!!」
綾峰「忘れてたんだっ、絶対忘れてたんだ〜っ!」
上条「あれ、でも出番が無いってコトはやっぱり――」
真島「大体お前達、いたなら計算手伝ってくれてもいいじゃないか!!」
綾峰「無限城じゃ算数なんて習わなかったよ〜」
上条「そもそも、数理をTOPPAしてこその壬生一族なわけで――」
数スレぶりの会話は当分やみそうに無い。
小畑「・・・このまま決勝当日まで続きそうな勢いだな」
藤崎「それまでお付き合いになりますか、小畑先生?
わしはかまいませんがの〜」
小畑「・・・やめて」
藤崎「わかりました。それでは――
・・・あの〜、話を続けてもいいかのう?」
真島「あ、あぁ、すまねぇ。お前達、話は後だ」
綾峰「うぅっ」
上条「次はいつだか――」
しらけた空気を仕切りなおすように藤崎が咳払いする。
藤崎「オホンッ・・・で、続きだが・・・
死して自由となりながらも、なおも付き従うような仲間の存在。
それがおぬしをただの無法者と思えぬ理由だ。
今の矢吹にそのような者はおそらく居らぬだろう。
まぁ、矢吹も昔はあんなじゃなかったのじゃが――」
小畑「・・・」
藤崎「――ともかくわしに話してみてくれぬか?」
しばしの沈黙の後、真島が口を開く
真島「俺とあいつら――綾峰と上条はマガジン内での同志(ダチ)なんだ」
真島「俺達はマガジンがジャンプの発行部数を超えたころデビューした。
田舎のヤンキーあがりの俺だったが、新人漫画賞に入選し、
晴れて漫画家への一歩を踏み出したんだ。
当時のマガジンはてっぺんには立ったが、その後の方向性を見失い、
模索していた。そのプランの中のひとつが「能力バトル系ヤンキー漫画」
――俺達に与えられた路線だった。
最初に俺がファンタジーもので、続いて綾峰、上条が連載を開始した。
藤崎「同じ釜の飯を食った――というやつじゃな?」
真島「あぁ、そうさ。
やがて、読者の反応は期待値を超え、俺達は確固たる支持層を確立した。
が、従来の支持層のやつらからは総スカンを食い、内部的にはつらい位置にいた。
似た境遇の俺達は誓い合った。てっぺんに立ち、奴らをひれ伏させる。
『 喧 嘩 上 等 !』と――」
真島の弁に熱が入る。綾峰と上条も当時を思い出してか、相槌を打つ。
真島「そのためには力が要る。数の力だ。マガジン内の多数派となるため、
まずヤンキー漫画家を味方につけた。が、熱血路線の連中をてなづける前に、
ジャンプが再びてっぺんに立った。
俺達は外と内、両方を相手にしなければならなかった。
毎週の連載は熾烈を極め、手持ちのネタのみで続けるのは困難になり、
そして――外にネタを求め、『吸収』を始めた。」
小畑「・・・パクリか」
真島「そうとも言う。が、誰でもやっていることだ。完全なオリジナルなど存在しない。
読者が喜ぶならそれは善だ。それは正しいことだ。」
藤崎「だが、それでは周囲に敵を作るばかりではないかの?」
真島「かまやしねぇ!漫画はタマの取り合いだ。勝ったやつが仕切る。
俺達が今までされてきたようにな。」
藤崎「己の才能で勝負したいとは思わぬか?」
真島「くっ・・・だが、それでは間に合わない!打ち切りを食らったら漫画を失う。
漫画をなくしたら俺達はいい歳した田舎のヤンキーに逆戻りだ
連載が続く以上、俺達は走り続ける!立ち止まりはしない!!
『 邪 魔 す る や つ は ぶ っ 潰 す !』」
ここで真島は深呼吸し、そして一気にまくし立てる
真島「誰にも邪魔はさせない!
矢吹にも!ゴッドハンドにも!キユにも!ケルベロスにも!車田にも!えなりにも!
そしてテメーらにもだっ!!」
藤崎「ではあくまで、決勝を待つことなくこのまま『吸収』を続けると――」
真島「そのとおり!さあ、おしゃべりはここまでだ。ケリをつける!
勝負を!喧嘩を続けようぜ!」
藤崎はしばらく天を仰いでいたが、意を決して真島に向き直った。
藤崎「(わしでは説得は無理か・・・
いや、これは別の者の役目なのだろう。マガジン出身の誰かの――)
わかった。話は終わりだ。勝負を――クイズを再開しよう。」
Bブロック控え室。ガンガンチーム。
「う〜〜〜〜」
荒川弘が金田一の腹の中から出てきたのは随分時間がたってからのことだった。
「どこに行ってたんだ?しばらく見かけなかったが。」
藤原カムイの問いに荒川が疲れ切った声で答える。
荒川「方舟を修復していたのよ。
とりあえず今まで壊れた分は修復できたのだけれど、
衛藤先生の『がじぇっと』の機械も組み込んでいたから、
秘石の調整だけじゃ間に合わなくて…今は衛藤先生が交代して作業しているわ。」
カムイ「そうか、大変だな。」
荒川「まあね。でもこれで完成すれば、方舟の防御力は格段に上がるはずよ。
一応生き残っていたセンサーで山崎戦のデータも多少取れているから、
そこから全力を予測して、対抗できるだけの強化を考えているわ。
まあそれだけで何とかなるなら苦労はいらないのだけれど。」
カムイ「そうだな…」
カムイはキユ達の戦いを思い出しながら同意する。
荒川「秘石を完全に制御できればまた話は変わって来るのだろうけれど、
それは私には無理だしね。
それでもできる範囲の部分ではかなり違っているはずよ。
情報の保護のほうも今回は徹底しているから、方舟内部の会話を聞き取ることは
容易ではなくなっているしね。無礼ドのほうにも同じ機能をつけたいのだけれど、
魔法のほうは専門外だから、仕組みだけ説明して後は松沢先生に任せるわ。」
松沢「まかされたぞ。」
なぜかかさかさになっている松沢は、ひらひらと控え室内を飛び回りながら答えた。
荒川は話を続ける。
荒川「それから、回線の修理のほうを終えた後、方舟の“中枢”で走査をやり直してみたけど、
いくつか事態が動いたことがあるわ。」
カムイ「そういえば、今後の方針について話すとか言っていたが、どうなったんだ?
今度は安西と土塚がいないわけだが。」
カムイの問いに荒川が答える。
荒川「土塚先生にはいちおうの方針を話したし、安西先生はやることが
一通り決まっているからね。
あまり問題はないと思うけれど…それに」
一拍置いて荒川が続けた。
荒川「事態が変わるたびにこちらの対応も変わってくるし、
踏み込んだところは明日にするから、今は起きている事態の確認ぐらいになるはずよ。
今日はもう疲れたからこれが終わったら私はすぐ寝る予定だしね。
それに話を始める前に帰ってくるかもしれないし。
さすがに汚れたから、始める前にシャワーを浴びたいところだけど、誰か使ってる?」
カムイ「どうだったかな…ちょっとわからんが…」
カムイが呻いたとき、松沢が口を挟んだ。
松沢「控え室のシャワーを使わなくとも戦艦無礼ドの中に温泉があるじょー。
今なら貸切だじょー。」
荒川「本当?」
目を輝かせる荒川に、松沢が力強く頷く。
なんで戦艦の中に温泉が…とカムイは思ったが、口には出さなかった。
荒川「ありがとう、それじゃあ使わせてもらうわ。
でも、そのまえにひとつだけ、やらなければいけないことを済ませてからね。」
手近にあったタオルで顔を拭きながら荒川が答える。
カムイ「やらなければいけないこと?」
荒川「疲れていても逃せない機会っていうものはあるわ。
それだけよ。」
荒川は軽く笑って答えた。
魔空艦ゼロサムの上から高橋留美子は遥か眼下に位置する“同人軍艦エニッ糞”を見下ろしていた。
彼女の持つ秘石、『四魂』をかざして言う。
「受けるか?この女帝の一撃を!!」
「…何でそのテンションなの?」
彼女の隣にいた高河ゆんが口を挟む。
そんな光景をやや離れて、黒乃奈々絵が眺めていた。
会話を期待して話されたことではなかったのだろう。
どちらにしろ黒乃にとってそれほど興味のあることでもなかった。
高河は高橋のやることを邪魔しないように下がったし、
高橋は呟きには構わずにかざした『四魂』に自らの『力』を込める。
どくん
秘石が脈打つ。
同時に圧倒的な黒い光が秘石から噴出した。
黒い輝きは同人軍艦エニッ糞に向かって一直線に放射される。
「くっ!」
こちらに届くものは僅かな余波、とはいえその圧倒的な圧力に黒乃は思わず眼を覆う。
前にいる高橋は平然としたものだったが。
単純な力の違いなのだろう。
そのことに心の中だけで舌打ちをして、眼下を眺める。
黒い影の中、同人軍艦の周りに巡らされている結界が『四魂』の力に対抗していることが判った。
秘石の力は強力だったが、どうやら同人軍艦に張り巡らされた結界を消し去るには至らなかったらしい。
そのとき、様子を観察していた高橋は弓をつがえ、矢を放つ。
その矢は注意をしなくてもわかるほどはっきりとした霊力が込められていた。
矢は一直線に結界に向かって吸い込まれる。
結界と矢が接触した瞬間、轟音が響く。
その衝撃はゼロサムまで響いてきた。
下腹に響くような、そんな力のぶつかりを感じる。
そして次の瞬間、高橋留美子はゼロサム艦上から飛び降りた。
高橋は結界に向かって脇差から日本刀を引き抜く。
それは、出した瞬間は錆び付いた刀に過ぎなかったが、
高橋が手にすると突如として身の丈ほどもある大剣へと変貌する。
高橋「風の傷!!」
高橋は自らの持つ大剣、鉄砕牙を振り下ろす。
今までよりひときわ大きな衝撃が走ると、結界は崩れた。
高橋が叫ぶ。
高橋「さてと…いくわよ。出てきなさい!なりそこないたち!」
結界を破壊したあと、空中で静止した高橋は『四魂』をさらに操作して、水面下対して呼びかけを行なう。
すると、海面から無数の影が同人軍艦に向かってまとわりつき、壁をよじ登り始めた。
──なりそこない。
人魚の肉を食べ、正気を保てず怪物化したもの。凶暴で不死身の化け物。
高橋はその光景を見て、目を細める。その眼は蹂躙を運命付けられた同人軍艦へと向けられていた。
高橋「見せてもらうわよ…苦しむさまをね…」
その姿を見て。
黒乃奈々絵は面白くない感情が混じることを自覚する。
自分にとってはどうでもいいことだ。
だが──同じくブレイドに入った浅野りんや、エースにいる吉崎観音は今の高橋を見てどんな
感想を思うのだろう。
ふいに後ろから声がした。
「そろそろ私たちも行くわよ。」
高河ゆんが話を続ける。
「今から同人軍艦まで転送するわ。用意はいい?」
「もちろんだ。」
高河に対して黒乃は答える。
今は自らの感情など封印するときだ。
戦いは始まったのだ。
**
「…近づいてきましたわ。艦名は…魔空艦零寒(ゼロサム)!!」
大清水さちの艦内放送が響く。
荒川「どうやら話し合いをしている場合ではなくなったようね…」
荒川弘は苦々しく呻く。
えなり姉「零寒は今は矢吹に雇われていたわ。
多分、彼がエニックスを潰すつもりなのは明白のようね。」
荒川「あなたも巻き込んで?」
荒川の問いに、えなり姉はさびしげに頷く。
えなり姉「彼が信念を貫こうとすれば、当然そうなるわ。私が邪魔なことは私にはわかっていた。」
一拍置いてえなり姉は続けた。
えなり姉「…だから、私にはこれは仕方がない。」
荒川はえなり姉に対して告げる。
荒川「これでも、矢吹先生…矢吹に対しても弁護するつもりがあるの?」
えなり姉が小さく頷く。
荒川「私には理解できないわ。したいとも思えないけれど。」
荒川は呆れ顔で応えた。
えなり姉「あなたにとっても、私はもう利用価値はないはずよ。…どうするの?」
荒川「要するに無害ってことでしょう?
別にどうもしないわよ。今はそんなことより、対処しなければならない問題があるからね。」
またシャワーかw
荒川「戦闘ができないなら、艦内でおとなしくしていることね。
動かれると、あなたを守りきる保証はないわ。」
そっけなくいったつもりだったのだが、えなり姉は気にしなかったようだった。
僅かに微笑んで囁くように告げる。
えなり姉「…私はあなたが好きよ。矢吹さんと同じくらいだけれどね。」
荒川「は!」
荒川は答えずに言い捨てると、えなり姉のいる部屋を後にした。
荒川弘は通路を移動しながら考える。
軍艦エニッ糞の乗員はそのほとんどがすでに忘年会に向かっている。
この時期の戦闘は全く歓迎することではなかった。
もっとも矢吹もそれを見越して兵隊を差し向けたのなのだろうが。
同人軍艦は中枢にある二つの秘石によってによって守られている。
だが、それを知っているはずのゼロサムの漫画家たちがわざわざ攻めてくるからには結界を
破られる可能性を無視することはできなかった。
大清水さちの情報とあわせて、簡単に通信で打ち合わせをする。
事態を変えられるないのなら、出来る力で対応しなければならない。
残った漫画家は自分を含めて、土塚理弘、大清水さち、城平京、水野英多の5人。
その他の乗員達は避難させ、その入り口を錬金術で壁で塗りつぶす。
同人軍艦エニッ糞の結界が破壊されたのはその作業が終わったすぐ後だった。
長々と戦いを続けてしまったスミマセン・・・
>>435はレス数にカウントしないで下さい。
本当はもっと短いはずだったのに
まとめ切れなかった文才の無さを許してくれ・・・
もう、「恐怖、シリアスモード」は島の時間を消費するような事はありません。
最後の辺りはえなりに語ってもらおうと思います。
そして、俺自身もクリードアイランド編には関らない事にする。
他の島を書いてる人には迷惑をかけました。
>>452 あまり気にしないで続けたほうがいいと思うよ。
>452
えなりはちゃんと野球に戻すところまで書きなよ
>452
ちなみに長いことじゃなくて1レスに投稿する量が少ないのが問題、435と355が最も短くて、他も結構一回の投稿量が少ない。
もっと書き溜めて投稿すれば長くても問題はないと思う。
刻々と目まぐるしく変化していく戦況。
沸き返る観客席のなか、ひとりこの状況に歯がみしている男がいた。
チーム・タフのスポンサー、能条純一である。
能条「……思わしくないな。よもや、これほどの苦戦を強いられようとは。
開始より4時間少々で、すでに一敗が2名……いや、3名とはな」
目の前のモニターには、血しぶきをあげて倒れる橋本以蔵の姿が映し出されている。
現在、一勝をあげているのは、リーダーの猿渡哲也だけ。
サブリーダーの石渡は、スポーツチームの許斐と好勝負をしているが、彼とてすでに一敗しており、後がない。
青山広美は、一敗したうえに罰ゲームを受けているし、ヒラマツは敵であるにわのまことと呑気に世間話などしている。
切り札的存在の川原も、今のところ、さしたる戦果をあげていない。
能条は、椅子に深く背を預けると、小さく息を吐いた。
能条「序盤戦はこちらが出遅れたな。だが、勝負はまだ3分の1を経過したに過ぎない。
どうやら、そろそろ攻め始めなければ、ならんようだ」
呟くと、能条が目を閉じ、意識を集中した。ある人物の姿を思い浮かべる。
やがて、能条がゆっくりと目を開ける。
彼がいる場所は、Cブロックの観客席ではなくなっていた。
そこは星々が煌めく銀河のように美しい場所だった。能条以外には、人は誰もいない。
ただひとり、能条は光の中央にある足場……巨大な将棋盤の上に立っていた。
静かに待っていると、どこかから声がした。
??「こ、ここはどこだ?俺は、山の中で迷っていたはず……」
黒い道着を身に着けた男が、うろたえている。いきなりの理解不能な事態に混乱していた。
能条「落ち着け。ここは、私が持つ“三大絶対空間”のひとつ……“特別対局室”だ。
ここでは将棋以外、一切の直接戦闘が禁じられる。
そして、自分の視界の届く範囲なら、どんな相手でも連れ込むことができる。
もっとも、一度にひとりしか連れこむ事が出来ないがな。
と、そんなことより、私は君に話があって、君をここへ呼んだのだ。
なんの話かは分かるな、裏御伽チームのひとり、岡村賢二クン?」
ひとり、チーム・タフの影の元締め、能条純一の支配する空間に誘いこまれてしまった岡村賢二。
事態に気付いた岡村が、たちまち怒りに表情を歪ませ、吼える。
岡村「どういうつもりだ!俺の闘いを邪魔するつもりなのか!?」
並の者が聞けば震え上がるような剣幕を、能条は涼風のように受け流す。
能条「邪魔するつもりなどないさ。勝負とは、あくまでもルールに乗っ取ってやらねば面白くないからな。
だが、なにも盤の上のみで叩きあうだけが勝負ではない。
勝負というものには例外なく、盤外戦というものがあるんだよ。
そして、君はその為の大事な駒だ。……まさか、忘れた訳ではないだろうな?」
岡村「ぐっ!」
能条の一言に、岡村の顔色が変わった。何かに耐えるように、全身を震わせる。
能条「君は元々、私がスパイとして裏御伽に送りこんだ男だろう?
裏御伽の内情を探り、そして首魁である本宮を暗殺する。それが君の本来の役目だったはずだが」
事実を能条につきつけられ、岡村が唇を嚼む。血がしたたった。
岡村「忘れてはいない……そもそも忘れるはずがない……」
血を吐くように声を絞り出す。その声はかすれていた。
能条「当然だな。なにせ、君の恋人が生き返るかどうかの瀬戸際なのだから」
笑いながら残酷な事実を突きつける能条に、岡村が殺気をぶつける。
能条「いい目だ。だが、それは向ける相手がちがうだろう?その目を向けるべきは、本宮に対してのはずだ、違うか?」
今にも掴みかかりたくなる衝動を、岡村は必死で抑えつける。その様子が滑稽に見えるのか、能条は笑う。
能条「それにしても滑稽なものだ。君のような真の裏切り者が仲間の信頼を受け、
君のような裏切り者を始末する為、あえて仲間に背を向けた川原は、唾棄すべき背信者として蔑まれる。
まったく、この世は悪意と矛盾に満ちている。そうは思わないか、岡村君?」
能条のさりげない一言に、岡村は激しく狼狽した。
岡村「な…なんだと?今、なんて言った!?」
能条「んん?」
岡村「奴が……川原が裏切ったのは、俺のせいだって言うのか…?」
一層、声を大きく震わせながら、岡村が訊いた。その動揺の仕方は、今までの比ではない。
能条「君の真意が、川原にバレていたことにすら気付いていなかったのか。
彼は、とっくの昔に、君の“真の目的”に気付いていたよ。本宮暗殺という、君の目的にね。
本当なら、すぐにでも始末したかったのだろうが、君は目的の性質上、
常に本宮の側にいた為、それは叶わなかった。
例え自分の命を狙う者であっても、一度仲間になった者を殺すことは本宮が許さないだろうからな。
だから、川原はチャンスを待った。堂々と君を始末するに絶好の舞台をな。
そして、彼は予想通り、こちらのエサに食いついてきた。
チーム・タフの一員として、試合の中で君を始末できるという、格好のエサに。
実は、それすらも、私の描いた棋譜であるとも知らずにな」
岡村「なんだと!?」
能条「これは二重の策だった。君というスパイを利用し、川原を我が手駒に加えるというな。
将棋でいうところの、王手大駒取りってやつだ」
明らかになった能条の策謀。そのあまりにも残酷な真実が、岡村を苛む。
能条「君が気に病むことはない。川原はあくまで、自分の意志で決めたのだ。
それに、君の始末だけが目的でもあるまいよ。彼はやけに本宮にご執心のようだ。
案外、君のことなどは建て前で、本宮と闘う理由が欲しかっただけかも知れん。
君を始末しようとしているのも、自分以外に本宮の命を狙う者が許せないだけかも知れん。
いずれにせよ、彼の本心までは分からんがね。彼の真意は、私ですらもはかりかねるところがある」
まあドキドキ
そしてそろそろ新スレの季節
「ハッ!」
気付いたとき、岡村は海岸にいた。確かに、山中にいたはずが。
「夢……だったら、どんなに楽か……。あれから、もう3年か……」
岡村はふと、過去を思い出す。つい3年前の事のはずが、すでに100年は経っているような気がする。
それはまだ、俺が駆け出しの頃だった。当時の岡村はなかなか目が出ず、伸び悩んでいた。
画力は高いのだが、話作りの才が、俺にはなかった。
さりとていい原作家にそうそう巡り会える筈もなく、もう漫画家を辞めようとまで思っていた。
そんなある日。俺は、ひとりの女性に出逢った。
彼女は教会のシスターであり、身寄りのない子供たちの為の世話をしている女性だった。
たまたま気紛れで教会に足を運んだのが出逢いのきっかけだ。
その出逢いは、頼りにならない神に祈るより、余程幸運だった。
美人で心優しい女性である彼女に、俺は一目惚れし、以来足しげく教会に通うようになった。
「しかし、凄いよシスターは。まだ若いのに、こんなに立派な事をやってて」
「いえ、滅相もありませんわ。私など、矮小な存在……すべては神の思し召しです」
「俺にとっては、アンタが神だよ、シスター」
「え、なんかおっしゃりました?」
「はは、いやなにも。ひとりごとさ」
「まあ、おかしな人。フフフ…」
「ハハハハッ」
今でも目をつむれば鮮明に思い出せる、彼女の笑顔。天使のような声。
そう、まさに俺にとって、彼女は天使だった。
どんな辛い時でも、彼女の笑顔を見ると、やる気が出た。
彼女にふさわしい男になりたい。彼女を守ってやれるような男になりたい。
その一念で、俺は死に物狂いで努力し、遂には『宇強の大空』の月刊連載を勝ち取った。
その作品で、そこそこの人気を得た俺は、続いて同誌に『龍猿』を開始。
思えばあの頃が、俺にとって最も幸福な時期だった。
そう……あの事件が起こるまでは。
3年前。それは、俺がすべてを喪失った日。その日、俺はいつものように教会に向かっていた。
普段なら、教会で適当に祈って、孤児院の子供達の相手をして、そしてシスターの笑顔を拝んで。
いつもと変わらぬ、しかし何にも代え難い日がつづくはずだった。
だが、そこに待ち受けたもの。それは、悪夢だった。
小さな教会に、汚れた牙が突き刺さっていた。それは、土砂を積んだダンプカー。
教会は無惨に破壊され、シスターがいつも熱心に手入れしていた花壇は無惨に潰されていた。
そして……俺の何よりも大切な者も。
「シスターーーーッッ!!」
瓦礫とトラックに挟まれている修道服を見た瞬間、俺は駆け出していた。
そこで俺が見たものは、惨たらしく圧死した、彼女の慣れの果てだった。
美しく、優しく、気高く、何よりも神の教えと花々と子供達を愛した彼女は、冷たい肉の塊となり果てた。
そのとき俺は、自分の中で小さな金属音が鳴ったのを、確かに聞いた。
犯人は、以前から教会の土地を狙っていたヤクザ共だった。珍しくもない話だ。
そう、そしてその糞共を憎悪し、復讐を誓う男……なんてのも珍しい存在じゃない。
「ひいっ!や…やめろ……許してくれえええッッッ!!」
「許す?そんな資格が、貴様らのような外道にあると思うのか。身の程を知れ」
「ぐ……がああ、このシャバ僧があーーーーッッ!!」
組員を尽く殺され、自らもまたその醜い命を終わらせようとしていた組長が、悪あがきに引き金を絞った。
だが、その銃弾はかすりもせずに、後ろの神棚を撃ち落としただけだ。
「貴様らの汚ねえ命と魂は、俺 の 拳 が ?T永 滅?U さ せ る !!」
俺の拳は、組長の醜く肥えた豚面を陥没させ、気脈を破壊し、絶命させた。
その日から俺は、日本中の組織によって、追われる身となった。
463 :
二番目:03/08/17 00:18 ID:1UkWCtEG
ルール!
それはここに書き込む際の最低限のルールである!
・過去ログを見てストーリーの流れくらいは把握しておくこと!
・リアル故人は出さないこと! なぜなら不謹慎だし色々あるからだ!
・漫画のキャラをあんまり出すな! ここのメインはあくまで漫画家だ!
・相談するのは自由だが、ルールを守り自分の書きたい物を書こうな!
・先人の意思をなるべく尊重しよう!壊すにも壊すルールがあるのさ!
ではスレ立てやってみます。(マウスが・・・(汗
466 :
あうち:03/08/17 00:26 ID:1UkWCtEG
・・・と思ったのですがマウスがしっかり壊れてスレ立て無理です誰かぷりーずへるぷみーだモーン!!(つдT)
ではたててみます。
入れそびれた王大人台詞まで・・・謝謝!!
↑【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第11部
移動よろ。
たてた人もマウスの人も
乙一
おちゅ〜
↓まとめさん待ち
、 ,. / _/{ / /
l゙、 ,/{ ,.r'i r":::/ / ,.r / / /
ノ:::`、∧l:::゙、i"::::|/:":レ'"l、-''""/ / / /
{:::::::、:::::::::∧'"゙`::::::::"::::{:::::::::::ノ / /
ヽ、 ゙、:::/ヘ/:::゙、:::r"゙ヽ、::::::::,","/‐ニ="´ /
__l゙=vニ-‐"~゙i、::゙,:::/:::::`ヽ‐-、_r、/-、 /
゙、:::::<,-‐''"~、 ゙'‐-=彡ゝ、_::::::::,.-''l `''‐-、___,,
):::::| ノ''''‐、 ,.〃-‐'''‐=、ヽ‐'゙'ゝ !、‐-、 _、-‐'''"´
〈:::r' "-‐‐'/,゙i、 _,.-‐-、ミ ゙、ノl |\ >ニ=‐''" 戸田
l/ 〃 ,.-‐ '、 ゙、 (・) }::::::/゙,〈 ゙、 ゙i、
,i"〃 r'"゙゙'ヽ, ヽ `'‐-'::i、./::j `ヽ、ヽ ヽ、_,. 「ヤ・・・ヤベェ・・・
..y'i. ノ" ̄`、l ゙、=‐-''" ゙}:::l ヽ `ヽ r‐''" ヤベェよ兄貴・・・・
〈, i / i'::::::::::;;;;/ `‐'" r'‐、゙、 ゙、,.、‐'"
/゙l/ /、:::::::::;/ // / /ra } ヽ, \__
:::::'i/ ゙'‐、__r" ι /="/゙ 、 `ヽ'/ 弱いタイトルしか
,.r"l `'‐ ι /、__,,./ ヽ , '" 浮かばねェーーーーッ!! 」
! __,,,,...ノ ゙i、,__゙‐、 ,.、‐'"
/ ゙'''-r==‐'''"/ / ./}''" |  ̄
‐' l | | / / / l j ヽ、
"~゙> / / /r''‐''" `'-‐''"`゙゙
/`ヽ、 ,.、-'i"::`ヽ、 / / /
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‐- 、__,,.-'"ヽ:::::゙、:::::::!::i:::,"::::,":::::/:::::,、-'"::::::/ / l l
゙、:::::::::::゙ヽ,:::::゙、::::゙、:::::!::!:i ,,,.i,,,,r"::/:::_,,.、-‐l / l l
゙i`ヽ、:::::::ヽ:::゙、::::゙,::::i、-'"" ´´゙`ヽ、-'"::_,.-‐゙、 ゙i、==-!
l::::::::\:::::゙、:::゙、::_i-" / ̄ ̄i ゙i‐''" -‐''ゝ、 _,,,,,,,_zj‐‐''`ヽ, 黒田
!‐‐-、 ヽr"゙`''''" // ゙、r'"ヽ,‐‐‐''`゙- / /
ノ‐‐-、,_i" // /`゙ヾ ゙,ir‐ヽl‐''""゙/" { _,,,..、-'' ゙、 「んなわけねーよな!!!」
-"__ ,l/ ゙゙゙゙̄''''ニ、ヾ '、_,bj_,/ l〉ゞ/‐‐-/ /`''''"´ 〉
゙`ヽ、:::::`゙ヽ /`r。'、 , r/ !-=ミゝr‐l _,,- /-、
゙ヽ,彡"r、 __ヾ' ,. /:l l'‐':/"´ ,./j ヽ、,,.、-‐''" ヽ, i,
}/ ヽヽ, ヽ _ノ:::::! j゙i://``" / f" ノ / ゙!
,i /〃゙‐i ,,.-"::::::::::ノ /-'"`l:::::::く \_,,.、-'" l l
"´`゙`ヽ、 ゙ヽ、 ‐'----‐‐'" /--、;;;;;゙、_/ /" /! |
i/,.-ゝ、 '"゙' //⌒ヾ);;;;;;7 〉、 ..,,_,,. ノ./! !
,...-、"''" `''‐、 /ヽ==''i";;‐i\ / ヽ冫‐‐"`" ノ l i
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ヽ j;;;;;;;;;:::::l | !;;;;;;;;;;;〉 / / ヽ-‐/" l
〈〈;;;;:::::::::〈..,,__ //个-、;;;;;j l l;/;/|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;} ゙、\l ||/; lゝ、 戸
;;ヽヽ;:::::::::|ゝ-、Y メ 人 //j / |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| ゙、 ,i l l-'"ll:: 田
-‐┴''"~´| :: ゙`'‐-?__ `゙`'〈〈〈'-?: |: l l :l;;;| ?‐'〉〉〉,-ll=、
.jト、,ヘ ゙、ヾ゙`''‐ゝo、_ \ !、;;i;;;i;;i;;;,i /、-''(・)ヽ ll/ 「
/ _,./ /゙il: 〉 \ `゚" `゙''-ゝヾl-l-l/-"'"、..,_,,..,ゝ'll/ こ
く=''"7 :/ ::li /:::: ヾ=ill/=-''"~_// l;;;;;l ゙i、--======= == れ
》-="::/ :/~゙i゙‐、、_ ili ,.-==j;;/ {;;;} ゙i,;l==-、., ll/||\ が
/ :/,.-ァ;;;;;;゙、 `l'ヽvllr''"/ /;〈: |;;;| 〉;゙、 ゙、ヽ,li || iヘ
'"~´|ヽ、/=/;;;;;;;;::゙,/l__l_,..jl‐-'" j;;;;;;〉: |;;;| :〈;;;;;;l,.-''=-li=-|| |: ま
.::;| }=={;;;;;;;;,//||=l'"ll'';;;__、 ヽ:|;;;|/ ,r''、ゝlll :|| |: と
;;、::| |==:l,.-'' /::|| | .ll ;;;lヽ'ヽ、..,,_____,,..,./lrl l;;;;!,i、=||j::: め
=、| /゙-''"´ /::::||ト=‐ll ;;゙l ゙lヽエエ工工エエ//;;;;;i ll |:::
| /; ,./:::::||;ll lll、 ミ '゙l l⌒lr''゙ヽ"~゙r''ヽl⌒l l::::/l ll:::|:::: テ
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;;!、 ,,.r-‐"~ :/:::::::|;;;;;{ {;ヘ ゙、 ゙i´゙l,.ゝ、.,_,..、-' f‐、| ii ノ;;;;}/::::: プ
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ヾ=、`''‐-、.,_;;;;;;;;;;;\ l、;ll:::::::ヾ;;;゙i、 /`i、 / V/ //::::// 」
第10部のエトセトラ
>5 >6 >7 >8 >9
>10 >13 >14 >15 激闘!Aブロック!真島VS車田。
>16 >17 安西の前に立ちはだかるもの。
>18 >19 神殺し!天王寺きつね登場!
>20 岡村の思考(Cブロック)27
>21 村田の思考(Cブロック)28
>22 >23 >24 炉利魔人戦!ちばの信念。
>28 >29 >31 >32 恐怖!ハイテクバトル!ギャグタイフーン新沢基栄登場。(Cブロック)32
>37 >38 きつね
>39 恐怖、ボケVSボケ!ツッコミはえなり?!澤井VS信也。(Cブロック)33
>42 >43 >44 >45 格闘VS喧嘩。本宮VS青山。(Cブロック)37
>46 旅景色INどっかの野原。前編。汁婆登場。
>47 >48 >49 >50
>51 >52 >53 >54 格闘VS喧嘩。本宮VS青山2。(Cブロック)45
>56 乙の思考(Cブロック)46
>57 >58 サンライズVSダイナミックプロ。
>60 凄絶!ハイテクバトル。ヒラマツ脱落。(Cブロック)47
>61 >62 >63 旅景色INどっかの野原。後編。
>64 悶絶!ハイテクバトル。岡野、真倉脱落。井上勝利。(Cブロック)48 おまけ >65
>66 >67 一夢庵龍狼伝。原哲夫VS山原義人。安西通過前編。
>68 サンライズVSダイナミックプロ2。
>69 >70 >71 >72 一夢庵龍狼伝。原哲夫VS山原義人。安西通過後編。
>73(訂正 >74) >75
>76 >77 >79 >80 >81 >82 格闘VS喧嘩。本宮VS青山3(最終)。(Cブロック)56
>84 >85 恐怖、ボケVSボケ!ツッコミはえなり?!澤井VS信也2。(Cブロック)58
>88 華麗なる悩み番外編。(Cブロック)59
>94 ちばと炉里魔人の闘い。(“引き”が入ってます。)
>97 ヒラマツの思考(Cブロック)60
>100(応援 >101) >102 >103 岡野・真倉VS猿渡。前編。(Cブロック)63
>104 >105 サンライズVSダイナミックプロ3。ガオガイガーVS真ゲッター。
>107 久しぶりの野球。18.44cmの死闘 。
>108 ゴッドハンドVS評議会。四霊、富士原昌幸登場。
>109 >110 >111 >112 岡野・真倉VS猿渡。後編。(Cブロック)67
>113 ゴッドハンドVS評議会2。
>115 >118 評議会エージェント登場。
>124 男の拳は何を語れるか。本宮の思考。(Cブロック)68
>125 >126 恐怖、ボケVSボケ!えなり怒る!!澤井VS信也3。(Cブロック)70
>128 >129 黒猫とタンゴ
>130 野球。“Z”VS荒木。Z勝利。
>131 >132 >133 >134 炉利魔人戦最終。
>135 >136 旅景色IN神の島。
>137 >138 >139 >140
>141 >142 >143 矢吹とえなり姉のエトセトラ・中編
>148 >149 >150
>151 >153 >154 野球。二人の球鬼。
>157 幕間〜えなりベンチ〜。前編。
>158 島本と柴田。
>159 幕間〜えなりベンチ〜。後編。
>162 島本と福本。
>163 ゴージャス・タイム(Cブロック)71
>165 >166 >167 青山と皆川。青山の記憶。
>168 ゴッドハンド雑用係の会話。
>169 >170 旅景色INキャンパス。前編。
>172 徒手 〜からっぽの男〜(Cブロック)72
>173 高橋の思考(Cブロック)73
>174 >176 猿渡の思考・前編(Cブロック)75
>177 恐怖、ボケVSボケ!ノリで三つ巴!!(Cブロック)76
>178 何か暇なのでCM
>179 >180 >181 猿渡の思考・後編(Cブロック)79
>182 >183(修正 >187 >188) 神崎とせがわ。
うそ、C数字3つも4つもズレてんの!?
>190 >191 トラウマの払拭。やまもととゆで。
>193 >194 妖魔王サイド
>195 >196 巨人と修羅〜出逢い。(Cブロック)81
>197 >198 >199 >200 旅景色INキャンパス。後編。
>201 >202 カレー馬鹿がやってきた!ヤァヤァヤァ。 おまけ >203
>204 巨人と修羅〜出逢い2。(Cブロック)82
>205 Cブロックの兵器についての前振り。
>206 巨人と修羅〜出逢い3。(Cブロック)83
>207 >208 煙と××は…(Cブロック)85
>209 神崎とせがわ2。
>212 >213 巨人と修羅〜出逢い4。(Cブロック)87
>216 >217 旅景色INカナンの過去。
>218 >219 >220 安西到着。
>221 >222 >223 やきう。
>224 再会。
>225 野球、8回表現在。
>228 >229 >230
>231 >232 >234 浜・・・画太郎。
>235 >236 神崎とせがわ3。
>240 >241(訂正 >242-244) 心臓球。
>245 >246 >247 >248 川原の思考(Cブロック)91
>249 恐怖、ボケVSボケ!三つ巴の戦い。(Cブロック)92
>260 Cブロック決勝エトセトラ。(Cブロック)93
>261 >262 >263 にわの帰還。森田の夢。(Cブロック)96
>265 >266 >267 決戦!テニス勝負!許斐VS石渡1。(Cブロック)99
>269 乙と真倉達(Cブロック)100
>270 >272 決戦!テニス勝負!許斐VS石渡2。(Cブロック)102
>273 >275 乙の講義(Cブロック)104
>279 >281 >282
>283 >284 >285 野球関連!チャンピオンチームとえなりチーム。
>287 >288 黄色いアイツはテニスの友!許斐VS石渡3。(Cブロック)106
>289 >290 >291 恐怖、ボケVSボケ!シリアスモードに移行!?(Cブロック)109
>292 >293(訂正 >294) 決戦!テニス対決!!許斐VS石渡4。(Cブロック)111
>295 >296 >297 光と影。井上VS岡田1。 (Cブロック)114
>298 亡霊と風使い。
>301 恐怖、シリアスモード!今夜はボケ無しで!!(Cブロック)115
>302 >303 >304 >305 亡霊と風使い。
>306 >307 >308 >309 サクラテツ説得編、前。 おまけ >310
>311 >312 >313
>314 >315 >316 一夢庵龍狼伝終章。それぞれの思惑。
>317 >319サクラテツ説得編、後。
>322 恐怖、シリアスモード!今夜はボケ無しで!!(Cブロック)116
>323 >324 >325 揺れる評議会。
>326 >327 安西と留美子。
>328 >329 >330 ゴットハンド雑用係の悲哀。
>331 恐怖、シリアスモード!今夜はボケ無しで!!(Cブロック)117
>333 >334 >335 自由なる兇手。北条の不覚 。
>339 (続)ゴットハンド雑用係の悲哀。
>341 >342 光と影。井上VS岡田2。(Cブロック)119
>344 >345 >346 >347 >348 サクラテツ対決編。
>350 北条の切り札。前編。
>351 評議会基地一角にて。
>353 >354 北条の切り札。後編。
>355 恐怖、シリアスモード!今夜はボケ無しで!!(Cブロック)120
>357 神技、前編。
>358 そのころのKIYU陣営。蠢く怪物、前編。
>359 >360 >361 >362 神技、後編。真船一雄登場。
>363 >364 そのころのKIYU陣営。蠢く怪物、後編。
>365 >366 >367 >368 久保復活。
>369 >371 >372 >373 >374 ヒラマツとにわの。(Cブロック)125
>375 恐怖、シリアスモード!今夜はボケ無しで!!(Cブロック)126
>377 光と影。井上VS岡田3。(Cブロック)127
>379 連載再開。
>381 今までの状況。(Cブロック)128
>382 >383 >389 >390
>391 >392 >393 妖魔王関連。
>395 >396 やきう、荒木vsZ再び!前編。
>397 >398 平野の危機。
>400 >401 デンジャラス・ゾーン(Cブロック)130
>402 >403 >404 >405 >406 Bブロック。萩原一至登場。
>410 >411 >412 >413 やきう、荒木vsZ再び!後編。
>415 三者三様の山の夜(Cブロック)131
>417 >418 >419 >420 >421(訂正>422) 萩原VS鷹氏。
>424 恐怖、シリアスモード!今夜はボケ無しで!!(Cブロック)132
>429 >430 矢吹と久米田のエトセトラ?1
>432 >433 >434 サクラテツ問答編
>435 恐怖、シリアスモード!「J」は最後に何を思う。(Cブロック)133
>438 忍者参入。
>439 >440 >441
>442 >443 >444 サクラテツ説得編。
>445 >446 その頃のガンガン。
>447 >448 >449 >451 矢吹とえなり姉のエトセトラ・中編。
>456 >457 >458 真実と策謀。(Cブロック)136
>460 >461 岡村の過去。(Cブロック)138
にわの「なんだかCブロックのレス番号が激しくずれてるモーン。」
乙 「ふむ…やはりこれは時空が(ry」
にわの「単に間違えてるだけだモーン。」
戸田「細かい間違いを見つけたら訂正のシェルブリットだ!!」
___
_(_(_ |
/__ | |
|)、__ | .|
.|wlO|| ..| |
..(__ ゛V |
.(__ / |
/ |
〔 |
にわの「というわけで次スレの人も気をつけるモーン。」
テンプレ自体にも間違いがあったら訂正をお願いします。
>435を入れるか入れないかが問題ですな。
Jの中の人が次に書く時にこれを冒頭に入れるという形がベストなんでしょうけど、
中の人おやすみ宣言しちゃったし。書くなら最後まで書いておくれやす(´Д`*)
とりあえずレス番号は138までで、次スレからは139になるかも。
もそっとチェックしてみますね〜〜