機動戦姫ガンダムPrincess第二章

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1通常の名無しさんの3倍
宇宙世紀167年、地球圏はザンスカール戦争の傷跡から徐々に復興の
兆しを見せ始めていた。しかし、旧ザンスカール植民地のサイド2
「ソフィア」が地球連邦に反旗を翻し宣戦を布告。

連邦軍の最新鋭モビルスーツと戦艦の建造が噂されるサイド7の
「ロマニア皇国」にソフィア軍が侵攻した。

主人公は通学中にソフィアのMS部隊襲撃に遭い、近所に住む
友人と幼馴染の男の子とはぐれてしまう。次々に傷つき倒れていく
顔なじみの近所の人たちの姿を見た主人公は衝動的に連邦軍の
基地に向かい、噂で聞いていた最新鋭MS「Pガンダム」に強引に
乗り込み敵MS部隊を撃退する。



2通常の名無しさんの3倍:2006/03/10(金) 21:58:51 ID:???
主人公 ユウリ・イワノヴィチ・スターリニスカヤ
サイド7「ロマニア皇国」首都に住む15才の女子高生。
ザンスカール戦争で両親を失くし高校の寮で一人暮らし。
引っ込み思案で臆病な性格、成績は中の下、運動神経0。
近所の人たちを救うためにPガンダムに乗り込んだ

シレジア・ファン・ホーヴェン
ユウリの近所の幼馴染でクラスメート。男勝りの性格で運動神経
は抜群。MS講習の成績もいい。他の科目はヒミツ


アレーナ・ヨルダネスク
ロマニアの名家ヨルダネスクの一人娘。その美貌と勉学・スポーツ
全てで才能を発揮する才女ぶりから「ロマニアの薔薇」とも言われる
ほど国民のアイドル的存在となっている。
ユウリらと同じロマニア国立防衛大学付属高校に通う。

ノマノマ・イェイ
ユウリの幼馴染の男の子。サッカー部のエースでイケメンだが祭りの音頭と同じ
名前で女子達の評価は微妙といったところ。
ユウリに好意を抱いている。ジュドーみたいな性格

補足
ここまでの四人は全員15才で同じ学校のクラスメート


3通常の名無しさんの3倍:2006/03/10(金) 22:02:28 ID:???
RM−01 プリンスガンダム
頭頂高 16.1m
本体重量 7.2t
ジェネレータ出力 4990kw
スラスター総推力 81100kg
装甲材質 ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材
武装 ビームシールド2 頭部バルカン2 ビームライフル(ビームスマートガン
併用)3 メガビームライフル1 ビームトライデント ハードポイント4
胸部メガ粒子砲(プリンセスカノン) ビームサーベル2
IT機能 SWW データセンサー TRAPAシステム

ソフィア蜂起に具体的対処をしない連邦軍上層部に業を煮やした一部急進派が
サイド7「ロマニア皇国」にてプロジェクト・ロマニアの末に開発した最新鋭MS。
しかし制約された予算の中でコアブロックシステムなどリガ・ミリティアの
ガンダムシリーズの標準レベルには追いつけず、この時代の最新機能である
SWWなど戦略型インターネットの搭載でこれを補った。当初は名前どおり
ロマニア皇国の王子に授けられる予定だったが、本人の不在によりその後は
民間人にも関わらず驚異的適性を見せた皇国立防衛大付属の女子高生ユウリに
操縦が任せられた。





4通常の名無しさんの3倍:2006/03/10(金) 22:05:48 ID:???
RM−02 チャウシェスク
頭頂高 17.1m
本体重量 6.9t
ジェネレータ出力 4990kw
スラスター総推力 79980kg
装甲材質 ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材
武装 ビームライフル5 ビームサーベル5 ビームスマートガン2
頭部バルカン2 ビームシールド2 プリンセスブレード 
IT機能主要三種標準装備

RM−01プリンスガンダムが連邦主導の企画であるのに対し、ロマニア
皇国師団用に作られたものでプロジェクトロマニアの契約において
その拘束力はない。白兵戦においてPガンダム支援を主目的に作られて
おりプリンセスブレード使用時の駆動系出力調整は初期段階から
TRAPAの既存ガイダンスとして盛り込まれている。現在は皇国立防衛大付属の
女子高生、シレジア・ファン・ホーヴェンの専用機として半ば強引に定着。


5通常の名無しさんの3倍:2006/03/10(金) 22:07:51 ID:???
IM−01FAI ステアウア
頭頂高 16.2m
本体重量 7t
ジェネレータ出力 5010kw
スラスター総推力 81330kg
装甲材質 ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材
武装 ビームシールド2 頭部バルカン2 ビームファン2
ビームスマートガン2 ビームアロー(プリンセスアロー)
IT機能主要三種標準装備

サイド7「ロマニア皇国」における基幹産業の大黒柱、ヨルダネスク企業
グループがアンヘル卿の一人娘アレーナの専用機として製作した、という
のは建前で連邦との提携事業プロジェクト・ロマニアにおける協力の
一環である。しかし他のPM派生機種と大きく異なる点はIT機能、
特に戦略型インターネットとTRAPAシステム(任意の目的にあわせた
出力調整機能)の組み合わせを搭載した宇宙世紀初のMSである点だ。
※I=Iordanescu M=Mobile Suit
※FAI=For Arena Iordanescu
※ステアウア=星



6通常の名無しさんの3倍:2006/03/10(金) 22:13:49 ID:???


この作品の対象ファン層
これまで開拓されていなかった小学校中低学年の女子にアピールする。
そのために主人公を女の子にした。設定に関してはヲタはアニメ誌等で
チェックしてもらうとして、序盤のストーリーは小さい女の子でも
わかる内容と演出が必要。プラモは基本的に女児対象玩具ではないから
デザインや商品展開時のアレンジをうまく売れるように工夫する。

少女漫画の基本は恋愛=好きな男の子と接近することであり、自分を
ジャマする嫌味な美人や素直じゃない男の子、さえない自分を大きく
見せてくれる存在=ガンダムという流れがうまく表現できれば
商業ベースに乗せることも不可能ではない。


なおこのスレッドでは作品を面白くするためのアイディアを随時募集中です。
スレッドの伸長妨害、主人公を男にして欲しい、等の根本的変革案以外は
基本的にすべてのアイディアが作中に反映されますが、あくまでベースが
女児童対象アニメの小説版であることを念頭に入れて下さい。現在、二十話まで
進んでいます。設定に関してはリクエストがあったものを詳細記述しますが
dat落ちした二十話までの再放送スレ、設定まとめ用スレ立ても検討中です。
意見を下さった人は全てガンプリ製作委員会です。
7これまでのあらすじ:2006/03/10(金) 22:26:59 ID:???
サイド7「ロマニア皇国」に住む15才の女子高生ユウリは突如侵攻した
サイド2のコロニー政庁ソフィア軍の攻撃で友人とはぐれ、傷つく市民を見て
怒りを覚えると連邦軍の最新鋭MS「Pガンダム」に乗り込み敵を撃退する。
が、休む間もなく親友のシレジア、天才少女アレーナと共にリーンホース級
宇宙巡洋艦「フェレンツバロシュ」のMS隊に任命され、「ベスパの女豹」
アイア・コッカらソフィアの強敵たちとの戦いを何とか潜り抜けて任務の為
地球へ向かう。途中、何度もくじけそうになるユウリだが、性格も育ちも違う
三人は苦しい戦いの中で友情と結束を強めいよいよ地球へ降り立つのだった。

ウーイッグで待っていたのは連邦軍の出迎えではなくソフィア軍のアンブッシュ
であった。傷ついたユウリ達一向は南下してリガ・ミリティアの援助を獲得し、
損傷したフェレンツバロシュを宇宙へ帰すためのテルアビヴ基地へ向かって
カミオンと共に東ヨーロッパ大陸を南東に下っていった。しかし押し寄せる
ソフィア軍と復活したネオ・ザンスカール、地元のゲリラグループの前に
彼らの疲労はピークに達していた。
8第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 22:34:12 ID:???
リガ・ミリティアのカミオン部隊はモンテネグロで補給を終え、アドリア海沿岸を
ギリシャに向かって南下した。それに合わせてフェレンツバロシュはトリポリでの
補給を終えてアテネで合流する手はずである。トリポリをリガ・ミリティアの
重要なパートナーとして確保しておきたいというウォレン・トレース少佐の目論見で
行われた会談では市側が難色を示す結果に終わった。堅調に経済が発展している時期ほど
政治家は軍需産業と関わりを持ちたくないのは道理だが、あくまでヘキサゴナーレを
地中海からサポートする役目を請け負ってほしいという、ウォレンの希望は
両者の産業構造の相違もあってうまく伝わらなかったようだ。

アテネに到着したウォレンとFBのニコライ艦長は地中海を越えてイスラエルに
入国するか、それとも大陸を通って行くかの詰めの話し合いを行っていた。
カミオンが海上を航行できるわけがないので議論の余地も無いように思えるのだが、
リビアへの移動でFBのミノフスキークラフトが順調に作動していることが確認
されたため、ここでカミオンと別れて別働隊はチェコの奪回へ、ウッソら主力が
FBに乗り込んでイスラエルへ向かうという案も少なからず支持を集めていた。

ニコライ「そちらの尊厳を、損ねてしまう案ですが・・・」
ウォレン「いや、そういう言い方は慎んでくれ。いい案だとは思うが」
ウッソ「トルコは親連邦だからね。この前のFB支援打ち切りにどういう
反応を見せるか、それでなくたって広い国なんだから」
スージィ「とりあえず敵が来る気配もないし、アテネでゆっくり考えようよ」
カレル「そうだな。ユウリ君たちは?」
ニコライ「ああ、既に市内へ・・・修学旅行も出来るうちにさせてやりたいですから」


9第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 22:37:05 ID:???
長引く戦争で聖コンスタンティヌスに救いを求めながら東ヨーロッパを
南下してきたFBの生徒達はここぞとばかりに鬱憤を晴らし元気一杯に
アテネ市内へ繰り出していったが、残念ながら彼らは最高の観光名所を
見逃していた。市から南へ約40km、海神ポセイドン神殿が建つ
スニオン岬はエーゲ海の美しさを望める絶景だというのに、安全を
考え行動範囲は市内に限定されていた。

時間がないこともあって、ユウリら四人組はオーソドックスに英語で
書かれたガイドに従い定番の名所アクロポリスへ向かった。新石器時代、
ミケーネ時代を経てここには多くの芸術家の残した傑作がある。プロピレアの
門から先は文字通り「聖域」サンクチュアリと呼ばれる場所だ。最高の
美しさを誇るアテナ・ニケ神殿、アテナの兄ゼウスの神殿、パルテノン神殿が
立ち並ぶ光景はそこに込められた壮大なる歴史と芸術の背景知識を知らず
ともユウリ達から言葉と戦いの疲れを奪い去り、シレジアに神聖なる世界遺産
プロピレアの神柱に自分の名前を落書きする悪ノリも授けた。


10第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 22:40:38 ID:???
夕方までまだ時間があるため、さしあたってユウリ達はアクロポリスと
地下鉄二番線アクロポリ駅を繋ぐ商店街のレストランに入る。ここで
アレーナの出番である。

アレーナ「ま、庶民の貴方がたは貴族の嗜(たしな)みに疎いようで
ありますからして、このわたくしアレーナ・ヨルダネスクが一つ
顕示いたしてさしあげますわ。まず、前菜で胃腸に軽く刺激を与え
その後にボリュームのあるメインディッシュ系を追加して・・・」
シレジア「なんでぇ、そんなんどこのご家庭でもやってんじゃね?」

アレーナ「おだまりっ!!まず、ユウリさんはお子様だからサラダでも
肉類が入ってないといけない舌(クチ)でしょう?それではドルマダキアを
お勧めいたしますわ。挽肉と野菜の微塵切りに加えて米をブドウ葉で
包んだものですの。お子様の味覚には適度でしょ?」
ユウリ「うわあ、あたしブドウ嫌いなんだ・・・」
ノマノマ「相変わらず好き嫌いが多いなぁ、オメーは」


11第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 22:42:24 ID:???
シレジア「あのさぁ、ちょっとツッコんでいい?お腹にちょっと刺激を
与えるならボリュームありすぎじゃね?それに時間ないんだから何か
前菜はちょこっとしたもん適当でいいよ」
アレーナ「あー、ハイハイ・・・心得ました。ボーイさん、ティロピタキア
(ミニチーズパイ)二つ、スパナコピタキア(ミニホウレンソウパイ)、
カラマラキア(イカフライ)をお願いいたしますわ」

シレジア「よしよし、で、メインデッシュは思いっきし高ェもん頼んで
全部アレーナの驕り、と」
アレーナ「なっ!!!?」
ユウリ「わーい!」
ノマノマ「やった!」
アレーナ「く、このアレーナ・ヨルダネスク・・・・観光の中で割り勘を
忘れた・・・・お父様お許しください・・・・」

シレジア「ボーイさーん、スブラキ3つ(ホウレンソウリゾット)、ムサカ
2つ(揚げナスのトマトフォンデュ)、クネリ・スティファド4つ
(アーティチョーク野菜煮)、パスティッツィオ5つ(マカロニと挽肉の
チーズフォンデュ)。お願いします」
ユウリ「そんなに食べられるの!?」
ノマノマ「こいつ、高い順に上から四つオーダーしやがった」
シレジア「だーい丈夫だって。残ったらFBに持って帰ろうぜ。この後
デザートもあんだよなぁー。一体いくらになんだろ」
アレーナ「も、持って・・・・・帰れるわけないでしょっ!!!ピリオド(以上)!」


12第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 22:46:50 ID:???
アイア「ゴッズ大佐。お久しぶりです」
ゴッズ「うむ。貴公の働き、伝え聞いておるぞ」

シュメンに到着したゴッズの小型艇を出迎えたアイアは、突如として
肩を震わせ、ポツリ、ポツリと赤い絨毯に涙の雫を零し始めた。
アイア「申し訳ありません・・・・!!ピアスをモンテネグロのスーパーサイコ
研究所で確保しておきながら、暴走を許し、共にエンジェル・ハイロゥから
生還した掛け替えのない戦友を・・・失ってしまいました・・・!」
ゴッズ「そう肩を落とすなアイア大尉。亡きジェニファの英霊の仇は
必ずや君があのガンダムから取ってくれると信じているよ」

アイア「は、身に余るお言葉・・・・」
ゴッズ「ところで、ピアスは?」
この豚野郎は、本当にあの小僧しか見えていないのだな、と思いながら
アイアをおもむろにドアの方を指差した。
ピアス「父さん・・・・・・・・本当にお久しぶりで」


13第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 22:48:06 ID:???
ゴッズ「ピアス・・・・・・・・元気でやってるようだな」
近づいたピアスはゴッズのむさ苦しい抱擁に表情一つ変えずに、されるが
ままに、微動だにしなかった。絨毯脇に整列した女性兵達は病的なほど
真っ白に美しいピアスの頬がゴッズの毛むくじゃらな手で撫でられる光景に
妖艶な美を感じて赤面していたが、男性兵達は不快感を覚えていたことは言うまでもない。

ゴッズ「今、どこだ?」
ヴィクトル「は、テッサロニキ上空でございます」
ゴッズ「そうか・・・・アテネに着いたらダイタロスを出すぞ」
ガブリエル「し、しかし・・・!アテネは中立ですしリガ・ミリティアは
ヘキサゴナーレの前線部隊、つまり中央ヨーロッパ安全保障機構の
正規軍なのです。これ以上の交戦は国際世論の反発を買うかと・・・」
ゴッズ「黙れ!出せといったら出すんだ」
アイア「大佐の仰る通りにやるんだ。いいな?ガブリエル、貴様は
輸送のガルダ級とコンタクトを取れ」
ガブリエル「は・・・・・・大尉が仰るなら」

アイア(フン、ガブリエル・・・そういきり立つな。この倒錯した糞豚野郎も
スケコマシのフリストも、ベスパでさんざんあたしを扱き使ってくれた
クロノクル・アシャーも、あたしの前でえばる男供はみんな跪かせ靴の
裏を舐めさせてやる・・・その時あたしの下でソフィアとネオ・ザンスカールの
指揮はお前に執らせてやるからな・・・待っていろククク)



14通常の名無しさんの3倍:2006/03/10(金) 22:50:15 ID:???
15通常の名無しさんの3倍:2006/03/10(金) 22:52:53 ID:???
アレーナ「もうっ!!何ゆえわたくしが95ユーロも払わなければなりませんの!?」
シレジア「ま、いーんじゃね?地球の経済に貢献したってことで。貴族の義務だべ?」
ノマノマ「あー食った食った。帰ろうぜ」
ユウリ「そだね。もう空が茜色になってきたし」

四人はアクロポリ駅構内に降りて列車が来るのを待っていたのだが・・・
ユウリ「あ、マズイ!レストランにバッグ忘れちゃった!」
アレーナ「ほーら見なさい。わたくしを愚弄するからディオニソスの神罰が
下ったのよ。幼馴染の罰当たりを全て肩代わりするなんて大変ですわね」
シレジア「あちゃー、世界遺産に落書きしたの、やっぱマズかったか?」
ノマノマ「みてぇだなぁ」
ユウリ「とにかく、急いで取ってくる!」

ユウリは駅から地上に出てさっきのレストランを探すのだが生来の方向勘と
記憶力のなさが膨大な量の観光客によって増幅されあっという間に道に迷ってしまう。
ユウリ「と、とりあえずタクシー呼ぼう・・・ヤ・サス、カリメラ?」
エレカに乗っていた少年はユウリにタクシーと間違われ、一瞬苦笑した。
ピアス「カリスペラ、ティ・トレヒ?Aha、Dont worry. I can speak English」
ユウリ「リ、Really? アー・・・Im searching a restaurant」
ピアス「Name of the restaurant、please」
ユウリ「ノ、No・・・sorry.On the tip of tongue、but・・・」
ピアス「Aha、OK. Get on」




16第二十話:2006/03/10(金) 22:54:20 ID:???
ピアス「ここらは、人が多いんだけどそうレストランは多くもないんだ。
競争が激しいぶんだけ淘汰されるのも早いからね」
ユウリ「へぇ、そうなんですか・・・・・」
ピアス「君、どこから来たの?」
ユウリ「ロマニアです。サイド7の」
ピアス「観光旅行?それとも修学旅行かい?」
ユウリ「ええ、まぁ・・・・・・そんなところです」
ピアス「そうか、あそこはソフィア軍に侵攻されて大変だってね。ザンスカール
戦争からまだ四半世紀だってのに、人は宇宙に出ても相変わらず、いやむしろ
旧世紀より頻繁に戦争を起こすんだな」
ユウリ「そうですね・・・・・・あなたは、学生さん?働いているの?」
ピアス「いや、俺も旅行なんだ・・・・親父に連れられてね」
ユウリ「どこから来たんですか?」
ピアス「知りたい?」
ユウリ「いえ、言いたくなければいいんですけど」
ピアス「試験管・・・って言ったらどうする?」
ユウリ「え?」
ピアス「はは、冗談だよ。今はモンテネグロに住んでるんだ。親父が久々に仕事から
帰ってきたんで、ちょっとアテネに旅行でも、ってね・・・・」
ユウリ「いいお父さんだね。お金持ち?」
ピアス「ん?まぁ、割と金持ちかな」
ユウリ「何の仕事をしてるの?」
ピアス「サイド2の、どっかのコロニー政庁の市長をやってる」
ユウリ「すごーい」
ピアス「ま、俺のことじゃないから・・・褒められても仕方がない」
話にのめりこんでいると、ユウリのケータイが鳴った。


17第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 22:55:42 ID:???
シレジア「おいっユウリ何やってんだよ!早くしねーとウチらもうFBに
着いちまうぞ!」
ユウリ「ご、ごめん!もうすぐだから・・・・・」

プツッ

ピアス「すごい声だね。友達?」
ユウリ「うん、ちょっと変わってるけど・・・・」
ピアス「ユウリって、誰?君の事?」
ユウリ「は、はい」
ピアス「フルネームは?」
ユウリ「ユウリ・イワノヴィッチ・スターリニスカヤです」
ピアス「・・・・ハッ、何でそんなに赤面するの?」
ユウリ「だって、最近あまり自己紹介しなかったから・・・最近知り合った人は
大体人づてにあたしの名前、知ったんで・・・・」
ピアス「自己紹介くらい、どってことないだろ」
ユウリ「・・・ねぇ、ユウリって名前の女の子に会ったことある?」
ピアス「いや、ないな。ロシア系の知り合いはいないよ」
ユウリ「そっか・・・やっぱり」
ピアス「自分の名前、そんなに好きじゃないんだ?図星だろう」
ユウリ「・・・・・・・・・・・うん」
ピアス「いいんじゃない?可愛い名前だよ、いや、名前だけじゃなくて・・」
ユウリ「え?」
ピアス「お、着いたよ・・・・ここじゃないか?」
ユウリ「あ、そうです!ここです。ありがとうございます」


18第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 23:03:40 ID:???
ピアス「この国も、知られちゃいないけど案外スリや置き引き、ひったくりが
多いからね。今度からは気をつけたほうがいい」
ユウリ「はい、ありがとうございます」

ズスッ!!!!!!!!!!


突如、一帯を襲った強烈な振動に商店街を埋め尽くした観光客は呆然とし、
地に降り立ったダイタロスガンダムの異様な巨体を見上げていた。
ユウリ「あのMS、また・・・・・!」
ピアス「ち、何だよ・・・」

キュキュッ!
ピアスはエレカで人並みを突っ切り、一目散にアクロポリ駅へ向かうと、
地下へ向かう人々の波の中にユウリを半ば強引におろした。
ピアス「俺の名はピアス、ピアス・インヘブン。またどこかで・・・」
ユウリ「は、はい・・・・でも・・・」
ピアス「俺なら大丈夫。それに、あのMS、地下鉄は狙わないよ」
ユウリ「え?」


19第二十話「アテネ炎上」:2006/03/10(金) 23:13:03 ID:???
ピアスがポケットからケータイを取り出し何事か念じると、ダイタロスガンダムは
その凶暴な歩みを止め、ピアスの方へ向かってゆっくりと前傾姿勢をとる。
ピアス「よし、よし・・・いい子だ」

が、その時ギリシャ軍が自衛用に開発していた量産型MSウッチ・キーリが
次々とアクロポリを背にして終結し、ダイタロスを攻撃し始めた。
ピアス「わかんない連中だな・・・・動物だって、敵意のない人間には噛み付かない
ものなのに・・・・宇宙へ上がっても人は原始時代と変わらないものなんだね。
自分より大きく、恐ろしいものは全て畏怖し攻撃対象とする」

ピアスはダイタロスの手に乗って、そのままコクピットへと装甲をジャンプして
伝い、乗り込んでいった。
ピアス「いいよ。だったら、この期に及んでも革新してない人類が、どれだけ
しっぺ返しを食うか、僕が実践して見せてやるから」
ピアスの体から思念とも湯気ともつかぬ白色の流気が発散されると、すかさず
ダイタロスガンダムの全身からリフレクターファンネルが射出され当然のように
無数のビームの光条を不規則かつ規則的に反射してウッチ隊を次々撃墜していく。
20通常の名無しさんの3倍:2006/03/11(土) 00:08:10 ID:???
>>1-19

サイト作ってそっちでやれよ
21通常の名無しさんの3倍:2006/03/11(土) 00:58:21 ID:???
サラ氏揚げ
22通常の名無しさんの3倍:2006/03/11(土) 07:27:23 ID:???
ウッソがシャアの子孫っていう裏設定生かしてくれないか
あと結構面白いです。荒らしに負けずがんばってください
23通常の名無しさんの3倍:2006/03/11(土) 10:58:00 ID:???
設定のまとめはどーした

2スレ目にやるんじゃなかったのか?
241:2006/03/11(土) 11:20:11 ID:???
>>20
作るけど、こっちもやる。
>>21
採用。
>>22
やってみる。あと、何が面白かった?
>>23
まあ、そう焦るな。
25第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 11:31:14 ID:???

アイア「ピアス少尉は戻ってきたか」
ガブリエル「は!ただいま連絡とれました」
アイア「よし。何かしらアクシデントが起こっても、それに備えていれば、
あるいはその備えを生かせればいい士官になれる」
ガブリエル「あ、ありがとうございます・・・・」
褒められた訳ではないが、久々にアイアにフォローをもらったガブリエル
は嬉しかった。自分だって、伊達にウッソ・エヴィンへの私怨だけで
ここまでついてきたわけではない。この女性(ひと)には性別を超えて
人に何かを与える魅力があると思っているからだ。



ウッソ「ウッソ・エヴィン、ガンブラスター出るぞ!」
カレル「カレル・マサリク、ガンイージ出ます!」
ウォレン「アクロポリスは世界遺産だ。それだけは何としても守れと、
サラッシ・アージュ市長からの伝言である。頼むぞ!」
ニコライ「と、いうことはお互い射出するMS数も、艦砲射撃も調節
した方がいいな・・・郊外へおびきよせられればいいが」
アレーナ「艦長。どうやらギリシャ軍のMSにはそこまでの能力は
ないようですわ。出ます!」
シレジア「ウチらに任しときゃ、間違いないって!」

ニコライ「俺的にはお前らがむしろ心配なんだがな・・・・ユウリはまだ
電車の中なのか!?」
ルペスク「そのようです!ドラゴスティア、マジ・デウゼー隊は
現状のまま待機!カミオン側の射出状況に逐次合わせていけ!」

26第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 11:48:21 ID:???
クッフ「今のところアテネ市内に現れた敵MSはダイタロスガンダム
だけのようですね。機影、見当たりません」
スージィ「そりゃそうだよ、あれだけで一個師団以上の戦力があるかも」
ウォレン「ああ。それに、ダイタロスガンダムはMSとは名ばかりで
移動要塞としての用途を念頭に入れて作られたものだからな」

ユウリ「ユウリ、Pガンダム出ます!」
ニコライ「シレジアとアレーナはもう出たぞ!焦らず、敵をアクロポリス
から移動させることのみに集中するんだ。ウッソさんがリードしてくれる」
ユウリ「はい!」
さっきピアスと名乗る少年から妙なことを言われたからだろうか。確かに
ウッソをはじめとする少数精鋭の出撃MSはダイタロスガンダムの注意を
引いてうまくアクロポリスから引き剥がしているように思える。むしろ、
ギリシャ軍のウッチ・キーリ隊の無茶な接近と砲撃がダイタロスガンダムを
苛立たせているようにも思えるのだ。

その時、Pガンダムで到着している仲間のMSと円陣を組んだユウリは
ダイタロスガンダムから発せられる奇妙なプレッシャーにまたしても
先日と同じような不快感を覚え始めた。
ユウリ「ぐっ・・・・ダメだ。ちゃんと動かなきゃ・・・・!」
が、それと同じことはピアスにも起こっていた。
ピアス「・・・・なに?この街は、壊しちゃいけない?でも、あいつらは、
親父に命令されて仕方なく来てる僕に、・・・・え?地中海?・・・わかったよ」
27第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 11:58:55 ID:nVVY6Tkw
ダイタロスガンダムは周囲のビルを壊さないようにバーニアを吹かして
やや浮上すると、手足を収納してMF形態に可変しそのまま去っていく。
シレジア「逃げるぜ!?」
ニコライ「いや、いい!追うな!今の我々の戦力じゃあれは落とせない。
それよりも宇宙へ帰ることが先決なんだ・・・お前だって早く家に帰りたいだろ?」
アレーナ「・・・ですわね」

ウッソ「よし、何とかうまくいったが・・・・何故撤退したんだ?」
ガブリエル「はっ!!!!!」

ピシィッ

ガブリエル「何だこの感覚・・・不快感・・・覚えているぞ・・・まぎれもない、
あの敵MSから感じる・・・・・・」
アイア「どうした?ガブリエル」
ガブリエル「ウッソ・エヴィンだ!!」
ガブリエルはブリッジのチェアを跳ね飛ばしてMSデッキへ一目散に
疾走していった。そしてメカニックマンの静止も振り切ってハジを
奪い、一機のガンブラスターに突撃していく。
ガブリエル「うおおおおおおおお!!!!!!」
28第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 12:23:38 ID:???
完全にガンブラスターの四角から放たれたビームライフルはしかし、
これまた完全に熱源を察知していたウッソの素早い反応によって展開された
ビームシールドに弾かれ四散していった。
ガブリエル「逃さん!ウッソ!」
ユウリ「やめて!ガブリエル!」
ピアスのせいで一層感覚が研ぎ澄まされていたことにユウリ自身の自覚はなかった。

Pガンダムの援護射撃でガンブラスターに組み付いたハジは簡単に
シュメンの方向に跳ね飛ばされてしまう。それでも尚ウッソに向かってくる
ガブリエルを、レントウで出撃したアイアが強引に止めた。

アイア「やめろガブリエル!この戦闘は貴様の言ったとおり、世論の
反発を招く恐れがある」
ガブリエル「し、しかし・・・・!」
アイア「私怨は軍人に必要のないものだ。軍人は歯車だものな。だが、
時として私怨が一介の若造を戦士に育て上げることもあるのだ。ならば
そのための好機を待て・・・待つことも戦士に求められる資質だ」
ガブリエル「承知しました・・・・・大尉がそう仰られるならば」
レントウは破損したハジを担いでスニオン岬の岸壁に身を隠しているシュメン
へ帰投していった。

ウッソ「シュメンがアテネに来ていたのか・・・・ダイタロスガンダムを
奪取され、この上、連邦は一体何をやっているんだ・・・・・・」
ユウリ「ウッソさん大丈夫ですか?」
ウッソ「ああ、とにかくみんなのところへ戻ろう」
29第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 13:21:47 ID:???
 
ニコライ「だから、約束どおりアクロポリスは守りました!貴方がたがアテネを
出て行けというのならばそうします、しかし連邦がこの国を守り抜いてくれる
保障などどこにも無いことをお忘れなく!」
ウォレン「そんなに強く置いたら受話器が壊れますよ」
ニコライ「失礼、しかしこれでテルアヴィブまでの進路は決まりましたね」
スージィ「そうね、じゃああたしは・・・・・・・」
ウォレン「ああ。チェコまで戻る部隊の指揮はカレルとスージィに任せて
俺とウッソでFBを支援するよ」

心なしか寂しそうな表情をしたスージィをウォレンはそっと抱きしめると
額にキスをした。
ウォレン「大丈夫だよ、昔のウォレン・トレースじゃない」
スージィ「じゃ、あたしも昔のスージィ・リレーンじゃないからね」
二人はそういって抱擁を解くと、各々FBとカミオンの物資分別作業の指示に
戻っていった。

MSデッキに戻ったアレーナとシレジアはまたいつものようにささいやことから
口論になり、ノマノマやイズモ、メカニックマンら男衆はよく飽きないな、と
いった表情で傍観している。そんな中ユウリだけはその輪に加わらず、胸中に
残った不思議なときめきともどかしさを抑えながらPガンダムを見つめていた。
ユウリ「ピアス・イン・ヘブンかぁ・・・・・・・・・」












30第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 13:29:22 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ウッソ  阪口大助
シレジア 高山みなみ  ウォレン 松本梨香
アレーナ 白鳥由里   スージィ こおろぎさとみ
ニコライ 森川智之   ピアス  水樹奈々


ずっと閉じてた心の蕾    あなたが開いてくれれば
31第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 13:33:21 ID:???
キャスト
ゴッズ   屋良有作    ルペスク 渡辺慶
アイア   折笠愛     ノマノマ 矢尾一樹
ガブリエル 松本保典    クッフ  藤原啓治
ヴィクトル 津田健次郎   カレル  小林優子


誰に笑われたっていい   自分のこと「カワイイ」って言える
32第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 13:36:21 ID:???
原画
森崎工事  戸田和幸   斉藤久人  村瀬修功
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
藤井真紀  甲斐借家   只野和子  伊藤郁子

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間


33第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 13:37:55 ID:???
動画
釜多大儒   西村誠芳   蟋蟀里美    金山明博
道教陰陽   北崎拓    大蟻九位   愛野聖名子
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない

34第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 13:41:30 ID:???
背景 IG新潟               デジタル撮影 大橋正弘
   スタジオぎゃろっぷ                 金沢芯   
デジタル彩色 サンライズ台湾               高木良成
       ジョージ・ヨナシロ             柳沢正行           
色指定 津波聡                      藤田康成
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない

35第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 13:44:12 ID:???
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   さあオシャレして 化粧して  アフター5に繰り出そうよ


36第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 13:57:57 ID:???
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて



37第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 14:01:30 ID:???
脚本   吉川惣治   演出   今川泰宏
作画監督 西村誠芳   絵コンテ 今川泰宏




   無謀で 純粋で ワガママな自分でいたい・・・・・・


38第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 14:29:05 ID:???

          次   回   予   告


ユウリ「ピアス・イン・ヘブン。ウッソさんも、ノンちゃんも、艦長も、
カルル君たちもカッコイイと思うけれど、あんなに胸がドキドキしたのは初めて。
また逢えそうな気がする。逢えたらいいな・・・・って思うけど、あたしの本当の
ことを、本当の気持ちを包み隠せず言える勇気って、出せるかな?

   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

               黒い王子様  

          ガンプリは、みんなで見てね!



39第二十話「アテネ炎上」:2006/03/11(土) 14:31:40 ID:???
アンケート取ります。

1.あなたが一番好きなキャラクターと一番嫌いなキャラクターは?

2.ここまでで一番面白いと思った、一番つまらないと思った話・回は?

3.一番惹かれたメカ・メカの名前は?

4.女の子が主人公、という設定は十分生かしきれていると思うか?

5.矛盾している、おかしいと思う設定は?

6.今後のストーリーに期待することは?



40通常の名無しさんの3倍:2006/03/11(土) 17:24:04 ID:???
エクサソーン
所属国・部隊 不明
形式番号 不明
全長 17.23m
重量 20t
出力系 サブジェネレータ出力 8500kwn・未確認出力系×1
武装
反ミノフスキー粒子砲×1
ビームソード兼メガビームライフル×2
二連装ビームバルカン×2
ミノフスキーΤフォースジェネレータ×1
パラサイトビット×5
アームドビット×5
解説
リーズィヒヴェルトと同じく、木星のエンセラダスで
確認されたMS
武装も新世代のものを多数装備しており
ミノフスキーΤフォースジェネレータ
は粒子間斥力を利用しビームを寄せつけない働きを行う防御兵器である
出力系も未確認のものを搭載している為その性能は高いとみられる
41通常の名無しさんの3倍:2006/03/11(土) 19:44:53 ID:???
連邦が形骸化した時期とは言え、現代(20世紀末〜21世紀初頭)の国家及び
諸団体(実在のテロ組織とか)がそのまま出てくるのはどうかと思うよ
42通常の名無しさんの3倍:2006/03/12(日) 00:41:52 ID:???
>>30->>37
絶対いらねえし…
なんか…
43通常の名無しさんの3倍:2006/03/12(日) 00:42:21 ID:???
森優の再登場激しくキボン
最終決戦の中ボスくらいの役回りで(ノマノマ辺りに一発で落とされてもいいから)

搭乗機の名前はマジ・デツマンネ
4422:2006/03/12(日) 06:22:43 ID:SZeE7dSF
>>24
話のながれですかねえ
女のパイロットが主役でかつ王道の部分は抑えていると
でも小学生の女の子には少し難しいような・・・
あとジン・ジャハナムもといハンゲルグ・エヴィンは生き残っていた
らしいですがどう絡めるんですか?
45通常の名無しさんの3倍:2006/03/12(日) 06:57:20 ID:/zcPOKmc
あ、俺いい考え思い付いた。

とりあえずこの話の主要キャラはタイムスリップすんの。
行く先は第二次大戦中の日本。んでバイストン・ウェルに飛ばされんの。
んでそこには
46通常の名無しさんの3倍:2006/03/12(日) 19:28:11 ID:???
ヤザン出して下さい
47通常の名無しさんの3倍:2006/03/12(日) 20:28:20 ID:???
時代的に死んでるかなぁ

ウッソに新しいVシリーズのガンダムのアサルトバスターに乗ってほしい
そして援護に徹してもらいたい
48通常の名無しさんの3倍:2006/03/12(日) 21:24:08 ID:???
イメージボードくらいないのですか
49通常の名無しさんの3倍:2006/03/12(日) 23:59:56 ID:???
続編まだ〜?



ホシュ・スルーゼ
本編には登場しないが、しばらく書き込みがないとスレにあらわれる人物。
たまに物語をまとめたり、要望を出したりする。
実は地球連邦政府高官でいろいろと暗躍してるらしい。
50:2006/03/13(月) 21:21:54 ID:???
>>40
採用。相変わらずペースいいね
>>41
国家はともかく、オビリッチは実在のテロ組織ではない
>>42
差別化の一手段
>>43
・・・・・・・・・・採用。
>>44
どうもありがとう。俺がセーラームーンやプリキュアを見て思ったのは、
世界観や設定が難しくても演出次第で子供から視聴率が取れるってこと。
上記二作品はその例に当て嵌まらないが、とりあえず主人公たちの目的、
敵の目的はベールに包んでも、「罪の無い人たちを突然襲ってくる敵から守る」
というだけで成立するのは便利だ。全体像を把握・推理するのはヲタの仕事で
子供はそんなこと気にしなくても楽しめる。
511:2006/03/13(月) 21:36:25 ID:???
で、楽しめるようにするためには兎に角ヒーローがカッコよくなきゃいかん。
バンダイの手法としてはその時代の流行をヒーローのルックスとか変身に
生かすという伝統があるが、俺は今の時代だったらケータイが絶大な効果を
発揮すると思う。プリキュアは言うに及ばず、幼女はケータイが家の電話という
親の制約下から離れ、友達や男の子と自分だけのネットワークを築ける
魔法の道具だと思っている。過去の変身少女ヒーロー物にも必ずと言っていい
程その手の通信手段アイテム(コンパクト、マニキュア・・・etc)が存在する。
だからアームレイカーにケータイを差し込んでMS起動、という演出はいずれ来る女の子主人公のTVシリーズには
絶対不可欠な「変身」的演出になるだろう。

あと、ハンゲルグは「昔は世界一詳しかったガンダムFAQ」によると
最後のジャンヌダルク特攻時に霊が出てるから死んだらしい。俺的にも
死んだということで決着がついてるが、どうしても出して欲しいかい?

>>45
不採用。物語の根幹部分に抵触する。・・・・・が、実は君のアイディアと
似たような次回作を企画中だ。乞うご期待
>>46
採用。
>>47
実はユウリ達の後継機とVシリーズの関連性についてここ数日真剣に
考えてた。結果は非常に面白いものになりそうだ。乞うご期待
>>48
俺の汚いノートとか見たい?
>>49
君の事?いつもお世話になってます
52第二十一話「黒い王子様」:2006/03/13(月) 22:06:52 ID:???
スージィは北上するカミオンの窓から、地中海へ飛び立っていく
フェレンツバロシュをずっと見つめていた。ウォレンが公私共に支えて
くれなければ、この先ちゃんとやっていけるかどうかは不安だが、
それでも彼らはチェコに戻らなければいけない事情があった。

地球連邦政府警察機構特捜第13課、通称「マハ」(MHA=ManHuntingAgency)
の動きがここのところ特に活発になってきているというもっぱらの噂である。
地球上の不法居住者の摘発を行うこの組織にとって、カサレリアをその
目標にするのはさして不思議なことではない。が、リガ・ミリティアは
この地域を拠点にしており前大戦で世論を味方につけてしまったために
手を出せなかったのだ。

が、リガ・ミリティアはウィーンを通過した段階でマハとの「ドナウ協定」
を破ってしまったのである。文字通りドナウ川を挟んで南北の領土を連邦と
分け合い治安維持する協定だが、ここには連邦とはまた別のヘキサゴナーレ
が絡み、地域的にもリガ・ミリティアに中欧全体の安全保障を任せたいという
世論があってますますマハを刺激していたのである。表舞台に出てくることは
少ない団体だが、ソフィア侵攻のどさくさを利用することは十分有り得る話だ。

53第二十一話「黒い王子様」:2006/03/13(月) 22:26:09 ID:???
ペトレスク「視界良好。Iフィールドは上下ともよく反発してます」
ニコライ「よく反発してます、じゃない。ちゃんと数値で報告せよ」
ペトレスク「は、はい。すいません」
ニコライ「ここからは少しの油断もできなくなる。奴等がこのまま黙って
俺達を宇宙に帰すとも思えないしな・・・・・・・・」

FBのミノフスキークラフトは順調に回復できていたが、大気圏を突破するためには
ビームシールドの最大出力展開が不可欠だ。その修理が不完全な以上、
テルアビヴ基地の超大型シャトルで月のセント・ジョセフから地球の静止衛星起動に
向けて派遣される予定の部隊とうまく合流しなければならない。しかしウーイッグを
飛び立ったアリエル以下ソフィアとネオ・ザンスカールが屯(たむろ)している
状況ではセント・ジョセフと連絡が取れ次第シャトルを発進する必要がある。
その予定時刻まで二日を切っていた。
54第二十一話「黒い王子様」:2006/03/13(月) 22:37:49 ID:???
ユウリは昨日のことを思い出し、艦窓から地中海を見下ろしていた。その時、
幾分心配そうな顔で近づいたシレジアが意を決して後ろから抱きついた。
シレジア「よっ!どーした?浮かない顔して。またフォン・ブラウンときみたく
逃げ出したくなったのかい?」
ユウリ「ち、違うよ。そんなんじゃない・・・・・」

アレーナ「じゃ、話してくれますわね?月でリィズさんに触れられた時に言って
いた、敵の感触が伝わってくるという話。ダイタロスガンダムと対峙した時の
通信は、月での貴女とそっくりでしたわよ」
ユウリ「ん、自分でも・・・・・・よくわかんなくて。相談はしたいけど、原因が
わからないからどうしようもないの。御免・・・」
シレジア「・・・・・・そっか。じゃ、しゃーねーな」
アレーナ「・・・・・・・・」
去っていく二人に呼応してハロまでが床を弾んでいってしまった。

ユウリは独りぼっちになっていたが、それを遠くからノマノマが見つめていた。
彼はユウリが感じているヴァイブレーション(葛藤)を何となく感知していたが、それが
嫉妬心と混ざり合っていたものであることに自覚は無い。だからこそ、幼馴染で
あるからこそ素直に目の前に出て行って相談相手を申し出ることもできない。
そしてユウリの前にウッソが現れたとき、その苛立ちはますます油を注がれて
黙ってノマノマをその場から立ち去らせたのだった。
55第二十一話「黒い王子様」:2006/03/13(月) 22:54:49 ID:???
ウッソ「何をしているんだ?もうすぐニコシアに着く。そしたらテルアビヴから
来たスタッフとミーティングだ」
ユウリ「すいません、ちょっと思い出し事を・・・・」
ウッソ「アテネで会った男の子のかい?」
ユウリ「・・・・・・はい」

ウッソ「僕は・・・・・・そうだな、あんまりアドヴァイスできる立場じゃない、
シャクティはともかく恋愛には疎いから。子供のころからメカや肥料をいじって
ばかりの生活だからね」
ユウリ「恋はしたことがない、って?」
ウッソ「あるさ。そりゃ、あのころは思春期真っ只中だったもの・・・でも男の視点じゃ
女の子にいい指摘はできやしない。ともかく、今は余分なことは考えないで。
それに・・・・・たぶん・・・・・生きてさえいれば何処かで会えるものだから」

そう言ってウッソはエレベータに乗り込んでいってしまった。すると今度は
遠巻きに見ていたシャクティがユウリに近づいてきた。
56第二十一話「黒い王子様」:2006/03/13(月) 23:08:38 ID:???
シャクティ「ユウリさん」
ユウリ「シャクティさん、お早うございます」
シャクティ「ウッソは嘘をついているわ」
ユウリ「え?」
シャクティ「ごめんなさい、唐突で・・・でもああいう性格だから、ウッソも
言ったように女の子には女の子が相談に乗ったほうがいいと思ったのよ」

ユウリ「ウッソさんが言っていた、恋のことですか?」
シャクティ「ええ。カテジナ・ルースさんはウッソの初恋の人よ。あのころの
ことはなるべく思い出さないようにしているけど、貴女には話したほうがいいと思って」
ユウリ「是非・・・・・・・・・・お願いします」
シャクティ「ウッソはウーイッグに住んでいたカテジナさんに頻繁に会いに行っていたわ。
両親との不和で、疎開した私達の元から敵に寝返ってしまったにも関わらず、ウッソは
ずっと彼女を思い続けて最後まで悩んだの。私も、嫌いという短絡的な感情は
今も昔も持っていないわ。もっと硬質な感じ・・・何故ああいう風になったのか
ウッソも私もずっと考えていて、だからこそウッソはどんどん戦いに引き込まれて
いってしまった」

ユウリ「ずっと、好きでいたんですか?」
シャクティ「最後まで救おうとしていたのよ。さんざん酷い事をされたのに、よ?
だからウッソは思い出さないようにして、私やカルルと畑を耕すことを選んだ。
敵のパイロットに敵意以外の感情を持つことが危険だとわかったからよ」
ユウリ(あたしにとっての、ピアスがそうだって・・・・?それじゃまるで、ピアスが
ソフィアだと言っている様なもの・・・でもカテジナさんとウッソさんは敵対する
前から知り合いだったのなら、あたしとピアスとは違う・・・違うはずなのに)
57通常の名無しさんの3倍:2006/03/13(月) 23:12:34 ID:???
UM−s002 ヴェストール
所属 地球連邦政府警察機構特捜第13課
頭頂高 20.0m
重量 53.4t
出力系 詳細不明新世代融合炉〜10200kw
武装
Iフィールドジェネレータ
hi−ミノフスキークルーズユニット
バーストファンネル(子機×5内臓で長距離ファンネル攻撃可)×11
ファンネルミサイル×10
メガキャノン兼ビームライフル×1
ビームセイバー×1
ビームナイフ×2
ミノフスキー・ハイキャノン×4
Aw−20hエネルギー反射シールド
ビームシールド×2
クラッシィ・バレル
武装換装ポイント多数
解説
マハが主力戦力として
開発した新世代ms。機体各所にオプション武装ユニットのハードポイント
があるのが大きな特徴となっている。 
従来の機体の動力はミノフスキーイヨネスコ形の熱核融合炉
であったが、Iフィールド等に代表される
大電力兵装を標準装備していく為、新理論の(一説のには多位相双軸鏡像理論)
といわれる。これは最低クラスでも10000Kwn程もある大出力ジェネレータとなった


58第二十一話「黒い王子様」:2006/03/13(月) 23:21:32 ID:???
ユウリはいつものように話についていけず、上の空でミーティングを終えて
到着したニコシアの市街に出て行った。パイロット含めほぼ全乗艦者に
外出禁止令が出されているにも関わらず、だ。そこにはある不埒な心算(つもり)
があった。ニコライの言うとおりソフィアが自分達を追跡しているならば、
このニコシアにピアスが来ているはずだと。

娯楽の少ないニコシアをユウリは当て所(ど)も無く彷徨った。しかしピアスの
いるところの見当などついているわけではないし、自分自身の足が何処に向かって
いるのかもわからなかったが、娯楽が少ないからこそゲームセンターのような
猥雑なネオンと騒音を撒き散らして若者の群れを吸い込んでいく施設に引き込まれた
のかもしれなかった。

「よォねぇちゃん、一人か?俺らと遊ぼうぜ」
モヒカンの大男は二人の小柄な人相の悪い子分と共にいかにも古風なパンクロック
風の出で立ちで周囲を威圧し、キプロス訛りの酷いトルコ語でナンパしてきた。
どうしていいかわからずユウリが戸惑っていると、一階の中心から声が飛んだ。
59第二十一話「黒い王子様」:2006/03/13(月) 23:46:01 ID:???
ピアス「やめろよ。まだ子供じゃないか」
それは紛れも無い確信だった。病的なほど真っ白な肌、裂けるように鋭い目、
逆三角形にスマートな顔形を補うように全てを見透かして余裕のある、暖かく
包んでくれる表情。漆黒の突起した、それでいて緩やかに眉にかかる髪。
肌が透けるようなビブス型の黒いランニングにラフなハーフジーンズ。

アテネで感じたときめきが再生され、ユウリを甘く包みとろけさせるような
快感に変わった。それはいかなる異性からも感じたことの無いもので、思考の
余白を文字ではなく圧倒的な数の視覚イメージで埋め尽くし曖昧なときめきを
確信へと変えたのだった。

彼は中央のカプセルのような所で多くの即場ギャンブラーに見つめられ対戦
格闘ゲームに打ち込んでいたが、ユウリを視認した途端立ち上がったのだ。
「ほう、面白れぇ。少しはウデが立つんだろうな優男さんよぉ」
ピアス「喧嘩(や)ってやってもいいんだけどな・・・・・ここはゲーセン、日常の
束縛を忘れ電子の世界で解放される場所だぜ?どうせなら男同士、ゲームで
決着つけようじゃないか」
「いいだろう・・・・・・・人を見た目で判断すると痛い目に遭うぜ」
60第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 00:26:44 ID:???
ハスラーの合図でゲームが開始された。大男が選択したスモウ・レスラーは
圧倒的な攻勢でピアスのテコンドー・ファイターにダメージを与えていく。
ピアスは適当なレバーの動作で相手を往なそうとするだけで、まるで工夫が
なく彼に賭けた野次馬達から罵声が飛んだ。

「フフッ自分から嗾(けしか)けといてこの程度とはなぁ・・・・・カタつけるぞ!」
そう言ってスモウ・レスラーが残り一ポイントのゲージを奪いにかかると、
ピアスは目の色を変えて自分のテコンドー・ファイターを跳躍させると敵が
反転する間も与えず連続で打撃を与え、すぐさま離れて中距離から必殺技
「キム・チンギュ」を繰り出した。必殺技ゲージが溜まるまでの時間を
やり過ごす戦法が、意図的だと思わせないためのここまでの戦いぶりは、
大男がこのゲームをやり込んでいるからこそ数回ではバレないのだった。

しかもスモウ・レスラーの近距離攻撃が大男の巧妙なレバーの扱いで多様さを
帯びても、ピアスはそれを上回るレバーの微調整で素早く間合いをとって
相手の狙いが外れた瞬間を必殺技ゲージの装填にぴったり合わせてしまう。
そして何度目かの「キム・チンギュ」でスモウ・レスラーは倒された。
「き、き、気にいらねぇ!こんなんで男の証明ができるかよ!」
61第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 00:33:46 ID:???
そう言って大男が子分たちを集めるしぐさを見せた瞬間、ピアスはアーケード
を飛び越えて勢いをつけ、彼の顔面に強烈な膝蹴りを食らわせ、悶絶させた。
ピアス「まだ、やる奴はいるかい?」
子分たちは萎縮して、周囲の一般客達は嫌気の差していた不良グループに代わる
新たなアーケードのボスの誕生に歓喜していた。続々と女の子達が集まり、
片言の英語でピアスに住所や電話番号を聞いてくるが、ピアスはそれを意に
介さず聴衆の波を掻き分けユウリの所へ向かった。

ピアス「怪我はないかい?」
ユウリ「うん、ありがとう」
ピアス「で、これから何処に行く?」
ユウリ「えっ?」
ピアス「ハハ、本当に男の子と遊んだことないんだね。いいよ、とにかく出よう」

ピアスに惹きつけられた多くの少女達の羨望と憎悪の混じった視線を痛いほど
背中に浴びながら、ユウリはピアスをくっついて、ゲームセンターから出て行った。
62第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 00:45:02 ID:???
二人はとりあえず、ニコシアの外れにある古ぼけた中世の宮殿に入った。
日は暮れて観光時間も終了していたが、ピアスはユウリの肩を抱くようにして
息を潜め、見張りのスタッフの目を掻い潜り屋上へ出たのだった。煉瓦造りの
急斜面はやや危ないようにも思えたが、ユウリは体を支えてくれるピアスが
いたから怖くなかった。高所の屋上には内陸ながら地中海からの塩の匂いが
漂い、遠くトロードス山地のオリンポス山が望める。

ピアス「悲しい、街さ・・・・・・・・・」
ユウリ「えっ?」
開口一番、何を言い出すのかと期待していたユウリは意外そうな顔をした。
ピアス「こんなに美しい地中海なのに、人は宇宙に出ても、地球に残っても
旧世紀からの民族紛争を続ける。未だに旧世紀の国連から引き継いだ連邦の
平和維持軍が駐留している。それが、ますますギリシャ系とトルコ系の対立を
煽っているのも、気付かずに・・・・・・」
ユウリ「・・・・・・・・・・」
ピアス「かつてスペースノイドは、地球にばかり目を向けず宇宙移民者の事を
考えろと主張した。だが、それはますます連邦の態度を硬化させた。歪んだ政策は
たとえその言い分が正しくともこうして負の結果を生み出す」

ユウリ「よく、わかんない・・・・・・」
ピアス「・・・・・・・ハッ、ゴメン。難しい話をして。ところで、どうしてニコシアに?」
ユウリ「ピアスこそ」
ピアス「アイア・コッカ中尉に聞いたから、って言ったらどうする?」
63第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 00:57:45 ID:???
ユウリは絶句し頬を茜色に染めたまま目線を逸らした。
ピアス「・・・・・・驚いた?」
ユウリ「ちょっと・・・」
ピアス「俺はね、別に今の連邦や地球圏のあり方をぶっ壊そうなんて思っちゃ
いないんだ。それをやろうとしてるのは親父とか、上の人たちなんだよ。
俺はとりあえず今の生活を維持して、それでちょっと楽しいことも見つけられれば
十分だと思っている。例えば、君とかね」
ユウリ「えっ・・・・・・・」

ピアス「知りたいんだ、ユウリのこと」
ユウリ「あたしも・・・・・・・ピアスのこと、もっと知りたい」
そう言って視線が数十秒合い続けるのに耐えられなくなったユウリはすっくと
立ち上がり、屋根の末端まで歩いていった。

ピアス「危ないよ」
ユウリ「いいの、・・・・・何だか、こんな気持ちになったの初めてで・・・・・・
あたしの話、聞いてくれる?」
ピアス「喜んで。こんな俺でよければ」
64第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 01:07:44 ID:???
ユウリ「ずっとね、ユーリって名前嫌いだったの。シレジアっていう友達が
いるんだけど、その子がずっとあたしを幼稚園ぐらいのころから助けてくれて
いて、あたしと同じザンスカールに両親を殺された移民の子供だったの。
男の子も、女子も、みんなして男の子の名前だ、って言うんだよ。だから、
どうしてそんな名前をつけたのか物心ついた時に知る手段もなかったし、
せっかくシレジアが助けてくれても、勉強はダメだし、スポーツも、機械も
苦手で・・・・・・二人で必死で勉強してやっと今の高校に受かったんだよ」

ピアス「・・・・・・・・・・」
ユウリ「だからね、少し自分に自信がついたの。ガンダムに乗ったのもあの時は
夢中だったけど、やっと自分で何かできるようになったみたい。ユーリが
女の名前で何で悪いんだ!って、言えないけど、言えるかもしれないって
思えるようになってきたんだ」
ピアス「みんな、ユウリに悪口を言うのかい?」
ユウリ「言わないよ。言う人もいるけど、今はピアスに会えたのが嬉しくて、
それだけでいいの!」

破顔一笑したユウリは制服の靴とセミロングの白の靴下を脱いで、そのまま
屋根の端を右から左に走り回った。滅多に見せないような、本当に腹から
憑き物が落ちたような、天真爛漫な笑顔で。
ユウリ「フフッ、ハハッ、フフフフフフ、きぃーーーーーーーん・・・・・・」
夢中だったユウリは後ろから近づいてきたピアスに気付かなかった。
65第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 01:24:10 ID:???
ユウリ「ん、むっ・・・・・・」
ピアスは走り回っているユウリを半ば強引に抱き寄せると、左手で腰を自分の
胴体に密着させて包み込み、右手でユウリの後頭部を自分の顔に寄せて唇と
唇を重ね合わせた。目をつぶるピアスに対して緊張を解すために無邪気さを
装っていただけに胸の鼓動とどんどん赤くなっていく表情を抑えられず、
そしてゆっくりとユウリは目を閉じていった。

甘く、切なく、身が蕩けるような熱い抱擁と接吻が何分続いたろうか。二人は
言葉も無く時折間を持たすように互いを抱く手の位置を擦らしたりして姿勢が
良くなるように具合を微調整したが、それとても羞恥心を快感に変えていく
くすぐったい喜びを増幅させてしまう。

が、やがてピアスがユウリの唇を突破して舌同士を絡めようとした瞬間、ユウリは
文章にできない戸惑いを覚えてピアスの体を少しだけ引き剥がした。が、まだ
体同士は熱く密着したままだったので、互いの体温と忙(せわ)しない動悸を
感じられる距離でユウリはピアスに対して「嫌いになったんじゃないよ」と
示すため、手で頬を優しく撫でてそのまま自分の顔に再び寄せてキスをした。
その動作といじらしく意図する熱い瞳から読み取って、もうピアスは舌を入れず
唇の擦りあわせだけで互いに愛撫するだけだった。小さく、草の穂が落ちるような
僅かな声量でキスの合間にユウリはそっと「好きだよ」と囁いたのだった。それは
ピアスの抱擁を幾分、いや一層忙しなくさせた。
66第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 01:39:58 ID:???
ズ    ガ    ンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



大きな爆発音と屋根を揺らす衝撃で二人の体は一瞬にして引き剥がされた。
ダイタロスガンダムはMF形態のままで密集した街区に現れ、低空飛行だけで
多くの建物を破壊していく。
と、次の瞬間ピアスは眼前のユウリが無き物であるかのように宮殿の屋根から
飛び降りた。いや、飛び降りたのではない。対面する民家の屋根の側面に向かって
跳びその角を蹴って宮殿の窓につかまると、そのまま道路まで滑り降りて
ダイタロスガンダムに向かって疾走して行った。

ユウリ「ピアス!」
ユウリは見張りのスタッフが外の騒ぎに出払っていたこともあってスムーズに
宮殿を降りるとピアスを探したが逃げ惑う群衆の波に飲まれて動けない。
恍惚の時間が終わったことでやっとダイタロスガンダムを視認、自らの立場を
思い出したユウリは必死でFBに向かって疾走した。
67第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 01:56:21 ID:???
胸から肩にかけて大きなVの字のミノフスキードライブ加速器をつけた
ウッソ専用のガンブラスターを見つけたユウリはコクピットのアームレイカー
に填められているウッソの携帯電話に向かって電波を送った。

ウッソはさしあたって屋根の低い民家の上まで高度を下げると、コクピットハッチを
開けてつり革を下げ、ユウリをその中へ収納した。
ウッソ「ユウリ君、こんなところで何をやっていた!?」
ユウリ「後で説明します!しますから!」

がFBのMSデッキに戻ったユウリを待っていたのは想像をはるかに超える
体罰であった。
ペシィッ!!
ニコライ「貴様、いいかげんにしろ!ここ数日の怠慢ぶりは目に余るものがある!
自分はもうただの女子高生じゃない、ガンダムのパイロットなんだと、いつに
なったら自覚できるんだ!?・・・あァ、もういい!早く出撃しろ!」
ユウリ「は・・・・・・はい!」
ウッソ「ユウリ君、指揮官である中尉がブリッジをほったらかしてMSデッキに
出てきた意味、ようく考えたほうがいいな」
ユウリ「はい。ユウリ、Pガンダム、出ます!」
初めて男性から打(ぶ)たれたユウリは、以前だったらその性格上何でも自分が
悪いと思い萎縮していただろうが、周囲の目を逃れて味わう遊びを覚えてしまって、
ピアスが残した肉体の火照りを急速に冷ましたニコライへの憎らしさが出撃を
告げる声のトーンを荒げていた。
68第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 02:06:43 ID:???
既に市街ではマジ・デウゼー隊、ステアウアとチャウシェスク、Vチームが
ダイタロスガンダムを包囲して集中砲火を浴びせているが、ダイタロスは
全く意にも介していないようで街を円を描くように移動し破壊行動を続ける。
ニコシアの飛行場跡地に身を隠すFBを探すのだが、ミノフスキー粒子が
分厚く見当もつかないようだ。

ガブリエル「くっ、ぬっ・・・・・・こいつ、直進するだけで精一杯だ!大尉!
聞こえていますか!?ピアス少尉は戻っているのですか?!」
アイア「聞こえている。とりあえず出せば気付くだろうとの大佐のお達しだ。
それまで代役を頼むぞ・・・こちらはSWWでFBの情報を検索し少しでも具体的な
移動コースを予測でき次第そちらのTRAPAに送信・設定してやる」
ガブリエル「はっ!お任せくださ・・・・・・・・ん?!」

TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA


MASTER CALL      I cant recognize you     MASTER CALL 


TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA
69第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 02:15:59 ID:???
ダイタロスガンダムはTRAPAによってガブリエルの能力不足を補えていたが、
突如としてそれまでの検索情報と設定がゼロになり、何も操縦をしていないのに
機体が明後日の方向に向かって動き始めた。そして、その先には議会場の屋上に
立つピアスの姿があった。

逃げ惑う議員達を尻目に急停機したダイタロスガンダムは何の操縦もなしに
コクピットハッチを開けて左腕の掌部でピアスを迎え入れる。
ピアス「ガブリエル軍曹、輸送ありがとうございました」
ガブリエル「ふん、サイキッカーの成り損ないが・・・・わかったよ。お前なら
手足のように扱えるってんだろ、このデカブツをさ」
ピアス「御名答、が・・・・サイキッカーの成り損ないは、自分に
とって褒め言葉でも大佐に聞こえたら軍法会議ものですよ」

ガブリエルを手近な道路に下ろしたピアスは、一度ゼロになったTRAPAを
設定画面だけ出すと、強力な思念でFBをイメージした。
ピアス「!・・・・・・ユウリ!?何故、思い出すんだ・・・・・・・」
次の瞬間、TRAPAにはFBへの最短コースと最優先出力調整がアップされていた。
70第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 02:33:06 ID:???
ピアス「北北西。機体左下スラスターから。よし、いいようだ・・・・・
しかし何故ユウリのことを・・・・・・ん!?」
ダイタロスガンダムに向かってきたガンダムチームらMS群が隙を突いて
攻撃を仕掛けた。が、ピアスは意に介さずリフレクターファンネルを射出し
彼らを包囲、すかさず全身から強力なビームを乱射する。
ピアス「嵩(かさ)にかかって、集まってきたのが運のツキさ・・・・・」

機体性能で劣るウッソ以外のVチームやマジ・デウゼーが次々落とされていく。
イズモ「ちっきしょぉ!またお決まりの反射攻撃か!」
ノマノマ「何か方法はないんすか軍曹!?」
ユウリ達は性能が一段上のデータセンサーでコソヴォの戦いから記録していた
情報をTRAPAに設定していたためまだ助かったが、味方機の数が少なくなれば
なるほど、空いたスペースに幾多のリフレクターファンネルが距離を縮めて
陣形を作り、いよいよガンダムチームらにも危機が迫る。

ウッソ「んっ!?」
ウッソはPガンダムを狙って反射するはずの一個のリフレクターの位置が、
不自然にズレてその狙いを外したのを不自然に感じていた。これまでの
パターンから言って、予め設定した位置で外れるならまだしも、目標の数が
比較的減ったこの状況であれほど大きく、しかも途中でリフレクターの位置が
ズレて的を外すのは明らかに不自然だと思ったのだ。
71第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 02:47:22 ID:???
ウッソ「ユウリ君、敵の懐に接近してくれ」
ユウリ「えっ!?」
ウッソ「どういうことかはわからないが、敵はPガンダムへの照準レティクルが
ブレ気味のようだ。それで相手のリフレクターファンネル射出軌道を混乱
させられれば、またTRAPAの再設定に時間がかかるはずだ。そこを狙う!」
ユウリ「で、でも・・・・・・・・・!」
シレジア「やんだよ、ユウリ!」
アレーナ「そうですわ。遅刻した分、お返ししてもらわないと」
ユウリ「わ、わかりました。ユウリ、行きます!」

予想通り、懐に飛び込んだPガンダムによってそれまで一糸乱れぬ統率が
取れていたリフレクターの動きがPガンダムに集中したり、あるいは惑わされず
分散したりといい加減になってきた。それはガンダムチームのTRAPAやウッソの
計算からすれば、イズモやノマノマにはわからなくともはっきり確認できるものだ。

ダイタロスガンダムはヒット&アウェイを脚部に集中させるユウリ達に押され、
次第にバランスを失っていく。そしてステアウアの放った一条のライフルが
コクピットハッチを掠めた。
ピアス「うあっ!!!」
ユウリ「はっ!!!?」

その時、ダイタロスガンダムの動きがピタリと止まった。リフレクターファンネル
も全身のビーム砲も熱を急速に失う。
イズモ「な、何だ・・・・・・・・・・・・?」
それは、何者にも接触不可分な精神領域においての再邂逅であった。
ユウリ「ピ、ピアスなの・・・・・・・・・?」
ピアス「ユウリ、どうして・・・どうして僕を苛める・・・・」

72第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:04:58 ID:???
ピアス「生まれたときから既に責め苛まれていたのに、何故、何故、僕の
周りの人はますます加虐する・・・・・君だけはわかってくれると思った、生まれて
初めて同類の人間に出会えたと思っていたのに、うあああああーーーーーっ!!」
今度は、リフレクターの射出軌条もまったく考慮に入れない、強力なビーム砲の
乱発が始まった。その中の一部はニコシアの中世の色合いを残した美しい
街々をことごとく破壊していった。

ユウリ「やめて、ピアス!やめて!」
ピアス「そう言って騙すんだろ!騙して!囲いの中に入れて!逃がさないように
して自分の所有物のように飼育するだけなんだ!自分の都合のいいものしか
求めない、それが愛だ!それが人間なんだよ!そんな人間の作ったものは
一度、全部破壊したほうがいい!でなきゃ、宇宙に上がろうが革新しようが、
人が生き続ける限り地球圏は腐った歴史を繰り返すばかりなんだよ!!
うわああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
ウッソ「クソッ、どうにもならないの!?だったらーーーっ!」
ガンブラスターがコクピットに照準レティクルを固定した、その時。

ユウリ「やめてください!!」
ウッソ「何、ユウリ君!?どういうんだ・・・・・・・」
Pガンダムが高加速で直進するダイタロスの前に回りこみ、コクピットを庇った
瞬間にダイタロスは再び全ての動きを止めた。そして憑き物が落ちたように
手足を収納しMF形態に変形すると静かにニコシア上空を離脱していった。
73第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:21:08 ID:???
アイア「大佐、さっきの会話を・・・・・・」
ゴッズ「聞いていた。後でピアスを私の部屋へ呼べ」
アイア「は」




FBに戻ったユウリはPガンダムを降りてすぐニコライやウッソ、ウォレンから
説教を受けていた。少なくともPガンダムのパイロットであるという以上の
信頼を、彼女は得ていない。加えて自分自身の弱さを克服するためにガンダムに
乗ったということも、そこで得た戦果もピアスとの出会いで何処かに流れて
いってしまいそうなのを必死にこらえ、男性達からの叱責を、少女に対する
偏見と思わぬように耐えてこれからの肥やしになるよう必死に解釈していた。

が、きっとピアスとはまた惹き合い戦場で邂逅してしまうだろうという確信は
彼がダイタロスガンダムのパイロットだと知って、運命的な、少女的ときめきの
予感も単なる予定調和の事実へと変貌して彼女のテンションを下げていた。
これが再び高潮するには、闘うよりもピアスともう一度逢ってあのときめきを
再確認するしかないと思うのも、また少女だから思えることであり事実でもあった。
74第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:34:47 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ウッソ  阪口大助
シレジア 高山みなみ  イズモ  渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   ノマノマ 矢尾一樹
ニコライ 森川智之   ピアス  水樹奈々


ずっと閉じてた心の蕾    あなたが開いてくれれば


75第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:39:31 ID:???
キャスト
ゴッズ   屋良有作    ペトレスク 嶋俊介
アイア   折笠愛      不良    郷里大介
ガブリエル 松本保典    シャクティ 黒田由美
   


誰に笑われたっていい   自分のこと「カワイイ」って言える


76第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:40:56 ID:???
原画
森崎工事  戸田和幸   斉藤久人  恩田尚之
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
藤井真紀  甲斐借家   只野和子  伊藤郁子

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間





77第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:54:03 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
道教陰陽   北崎拓    大蟻九位   愛野聖名子
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない




78第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:56:13 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 大橋正弘
   サンライズスタジオ                 金沢芯   
デジタル彩色 植村礼子                  高木良成
       前林文恵                  柳沢正行           
色指定 上保睦子                     藤田康成
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない




79第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:57:57 ID:???
編集 反町泰治           制作進行  矢島洋一
録音 エジミウソン         美術進行  清水隆夫
音響効果 シルビーミョ       仕上    鈴木国生
選曲 上野勇作           美術    スタジオ・イースター
記録 菊池直哉
  



   さあオシャレして 化粧して  アフター5に繰り出そうよ





80第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 03:59:42 ID:???
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて






81第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 04:01:50 ID:???
脚本   星山博之   演出   高松信司
作画監督 恩田尚之   絵コンテ 青木康直




   無謀で 純粋で ワガママな自分でいたい・・・・・・





82第二十一話「黒い王子様」:2006/03/14(火) 04:05:28 ID:???

          次   回   予   告


ユウリ「ついにあたし達の艦はテルアビヴに到着した。セント・ジョセフからの
連絡を目前にして、シャトルとの接舷作業を妨害するためにまたピアスが
やってくる・・・もし、ニュータイプが初めて出会った初恋の男の子と、幸せに
なれないと一瞬でわかってしまうなら、あたしはニュータイプになんかなりたくない!


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              君は光、僕は影  

          ガンプリは、みんなで見てね!






83通常の名無しさんの3倍:2006/03/14(火) 04:08:12 ID:???
アンケート取ります。

1.あなたが一番好きなキャラクターと一番嫌いなキャラクターは?

2.ここまでで一番面白いと思った、一番つまらないと思った話・回は?

3.一番惹かれたメカ・メカの名前は?

4.女の子が主人公、という設定は十分生かしきれていると思うか?

5.矛盾している、おかしいと思う設定は?

6.今後のストーリーに期待することは?


>>57
採用。

早めに報告しておきますが、前スレが容量オーバーで1000前に停止したので
このスレも600くらいで切り上げたいと思います。そうしないと次スレとの
連絡が取れないんで。






84通常の名無しさんの3倍:2006/03/14(火) 04:11:40 ID:???
そういう場合は早めに次スレ立てて誘導してから使い切るんだよ。
だから今回のように重複スレがたったりするんだ。
85通常の名無しさんの3倍:2006/03/14(火) 12:58:32 ID:ytkw8S5r
>>51
いろいろあるみたいですね
http://ja.wikipedia.org/wiki/ハンゲルグ・エヴィン
行方不明ってことでしょうね
86通常の名無しさんの3倍:2006/03/14(火) 13:45:48 ID:???
そろそろ味方陣営の誰か殺って下さいな
87通常の名無しさんの3倍:2006/03/14(火) 17:51:31 ID:???
ソフィアは地上用MS開発してなかったのかな?
地上なのに宇宙用のゾロアットまで使って強引に攻め込んでるようだが
881:2006/03/14(火) 19:26:10 ID:???
>>84
わかった
>>85
っつーことで、出しません。
>>86
もう殺ったよ、一人。
>>87
らしいね。
89第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/14(火) 19:54:38 ID:???
シュメンの一室ではピアスが布団をかけられベッドにぐったりと横たわっていた。
ゴッズはガウンを羽織るとピアスのやつれきった顔の横に錠剤が詰められた
瓶とミネラルウォーターを置いた。憔悴した表情のピアスをやおら抱き寄せると
ゴッズは二枚の弁に糸を引き、糸が断たれそうになると見るや再びその疎通を
復して葉と葉を絡め弁奥に押し込んだ。

トゥルルルッ

ゴッズ「・・・・・・・・・私だ。・・・・・何だ君かね・・・・クロノクルとダンテはもう会ったか?」
フリスト「ええ、全て事は順調に運んでいますが、そちらは?」
ゴッズ「皮肉のつもりかね?こちらは予想外の破綻が起きた。それを少し
再調整中だ」
フリスト「フフッお楽しみの最中、失礼いたしました」
ゴッズ「そういう冗談はやめたまえ・・・・私はただ親子の久々の再会に、酔いしれて
いるだけなのだよ」
フリスト「あまり、悪酔いなさらぬよう・・・・・・・・・・」
ゴッズ「ああ。薬は渡しておいた」

シュメンが追跡するフェレンツバロシュがセント・ジョセフとテルアビヴの
リガ・ミリティア基地をつなぐシャトルに到着するまであと23時間。
90第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/14(火) 20:12:35 ID:???
ウッソは悩んでいた。少なくとも、今の彼はMSパイロットという以上に
ユウリの力にはなれない。何故ならザンスカール戦争で抱えた悩みと、今の
ユウリの悩みは似て非なる別種のものだからだ。そんな時、彼はシャクティの
胸の中に帰るしかない。何度目かの交わりを終えて眠りにつく瞬間、彼は
彼女の腹がもう少し膨らめば、もうこの現実逃避も通用しなくなるという
諦観に打ちひしがれて徐に寝返りを打った。

翌日、敵機接近の方を受けて出撃しようとするウッソに対し、シャクティは
最後まで彼に詰め寄った。
シャクティ「ウッソ、私が言ったこと、憶えている?」
ウッソ「なんだい」
シャクティ「あなたはカサレリアを守るために戦うと言った。その為には多少
視点が大局的過ぎても、今の連邦の人達が信用できないならあの娘達をテルアビヴ
に送る必要があるというのは、信用したわ。でもカルルを宇宙に上げて、それで
また何のためらいも無くマシーンに乗ってる。それでは、私がただ我慢して、
ウッソはまた遠くに行ってしまうわ。それではあの時と同じ・・・・・・!」

ウッソ「シャクティ、僕はただ、世界を間違った方向にもって行きたくないだけ
なんだよ。それのために何かできるなら、動ける人間がやらなくては。
ハッ、大丈夫だよ。僕は全然いつものウッソだから。それよりお腹の子、大事に
頼んだよ。じゃ、行って来るから」


シャクティ「ウッソ・・・・自分で気づいていないの?あなたはどんどん昔の
ウッソになっていることに」
91第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/14(火) 20:28:04 ID:???
キプロスとイスラエルを繋ぐ地中海のちょうど中腹で、数機のガルダ級から
ダイタロスガンダムへの繋留ブームが解き放たれた。それに呼応してシュメンも
ハジ隊をはじめとしたMS群を射出する。

ピアス「ピアス・インヘブン・・・・・・・・ダイタロスガンダム・・・・・出る」
ピアスの目は虚ろで、時折咳き込み、その度に何故かモニターに表示される
TRAPAシステムのガイダンスや火気管制表示はブレてブラウザの開閉や振動を
起こしていた。
アイア「よし、ではさしあたってFBへの牽制砲撃。こちらも援護するぞ。
ハジ隊!ダイタロスのリフレクターファンネルの射出軌道と誤差修正のデータは
全て設定しておいた。万一の場合はダイタロスに直接設定修正を送信できるからな。
頼んだぞ」
ガブリエル「は、大尉。ガブリエル・ポペスク、ハジ一番機出ます!」


ゴッズ「行ったか・・・・・・・・」
アイア「はい。我が艦か、ハジ隊を状況に応じてテルアビヴに先回りさせる
アルタネーティヴもこちらのTRAPAに設定しておいたので、いつでも送信可能です」
ゴッズ「この戦いで現在動いている連邦の戦力を粗方駆逐できると理想的だが。
ところで、今日は君は出ないのかね?」
アイア「大佐が仰られたのでは?この地球においては、指揮官として戦局を
俯瞰する術を学んで欲しいと」
ゴッズ「そうか?憶えていないな・・・・・・・・・」
ゴッズの目は形のいいアイアの尻ではなくカタパルトデッキから四散して行く
スラスターの無数の光条だけをただ直視していた。
92第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/14(火) 22:51:57 ID:???
ウッソ「ウッソ・エヴィン、ガンブラスター出る!」
イズモ「イズモ・カトウ、マジ・デウゼー出るぞ!」
ノマノマ「ノマノマ・イェイ、ドラゴスティア出ます!」
アレーナ「アレーナ・ヨルダネスク、ステアウア出ますわよ!」
シレジア「シレジア・ファン・ホーヴェン、チャウシェウク出るよ!」
ユウリ「ユウリ、Pガンダム行きます!」

ニコライとウォレンはようやくシュメンを捕捉し、FBをテルアビヴへ
直進させつつ最悪の場合はシャトル発進後にウッソ以外の全MSを収容する
構えである。テルアビヴのリガ・ミリティア基地では既にキプロスから
連絡を受けたスタッフがシャトルを発射台に固定しFBを接舷できる
リニアアームとベルトの開放を終了していた。

ピアス「ん、敵MSか・・・・・・・・・・・!」
ピアスは敵機を視認すると、目標であるFBを扇形に包囲しようとリフレクター
ファンネルを無数に射出するが、ユウリ達もTRAPAガイダンスに素早く対応し
自分達の艦を守れる必要最低限の火力でリフレクターのカプセルを撃墜した。
ガブリエル「・・・・・・・・・・まだ異常は見られないな・・・・・・・・」
ピアス「読まれている!?ならばっ!」
93第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/14(火) 23:13:23 ID:???
ダイタロスガンダムは全味方機にTRAPAのアルタネーティブを送信し、
各機の前に簡易のシールドとしてリフレクターを配置。尚且つ敵機の攻撃に
応じて反射コースが上手く敵に当たるよう微調整のパターンも追加設定した。
そしてダイタロスはMF形態のままFBへ直進軌道を取った。

ウッソ「相手も全力で来ている!ビームは捨てて接近戦に持ち込んで!」
イズモ「了解!ハジは俺らマジ隊が引き受けましたよ!」
ノマノマ「よし、じゃ後は頼みました!俺はガンダムチームとダイタロスの進路を塞ぐ!」
シレジア「オッケ・・・・・・ぐあっ!?」
二手に分かれようとした瞬間、ダイタロスを切り離したガルダ級からの砲撃が
ガンダムチームを襲った。

アレーナ「あれはガルダ級・・・・・・・・あれも連邦から奪取したの!?」
ユウリ「艦長!こっちに構わずテルアビヴに直進してください!」
ニコライ「わかっている!わかっているが、最低限の援護はするぞ!」
ウォレン「ニコライ中尉、これは・・・・・・・・・!」
ニコライと共にチェコを出てからSWWを勉強し続けたウォレンだが、どうやら
とんでもない検索結果をはじき出してしまったようだ。
ニコライ「地球連邦軍警察機構特捜第13課・・・・・・・・・!?」
94通常の名無しさんの3倍:2006/03/14(火) 23:14:24 ID:???
>>88
なんかソフィアが不憫なんで占拠した連邦基地から地上MS持ち出したことにでもしとけばいいんでは?
95第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/14(火) 23:37:49 ID:???
ウッソ「ウォレン、ニコライ艦長!」
ウッソは軽快に敵MSを撃墜し続けているように見えて、実はダイタロス
ガンダムへ敵味方のMSを集中させるよう誘導していた。これによってダイタロス
の再度の大型ビーム砲乱射は味方機への損害につながるし、そう易々と敵への
直接反射コースを再設定することもできなくなる。
ウッソ「今は、FBとあの娘達を宇宙へ返すことだけ考えるんだ・・・・こっちは
僕らに任せてくれればいい。地球上のことは、僕らが引き受ける。そうだろウォレン?
クッフさん、破損したVチームに予備のパーツを射出してください!」
クッフ「あいよ!」

実は、ウッソはユウリのPガンダムの修理を手伝うふりをしてここ数日旧型機に
簡易のTRAPAをセットしていた。SWWからの情報検索をそのまま生かすことは
できないまでも、クッフが射出した予備のVパーツの幾つかを敵への体当たりに
使用するようにガンブラスターから緊急書き換えを送信するなど、造作も無かった。

そうこうしているうちに、テルアビヴ沿岸のリガ・ミリティア基地が見えてきた。
基地の中央には巨大な発射台に固定された超大型シャトルが見える。この位置で
FBとの接舷を邪魔するなど、ダイタロスガンダムの火力なら容易だが前方を
味方MSに塞がせればそれもできないし、リフレクターの数が多ければ多いほど
こちらのちょっとした攻撃で配置を微妙に変えればそのつどTRAPAの微調整が
必要なことは、何度も戦ったウッソならすぐに理解できたのである。
96第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 00:28:56 ID:???
ピアス「ぐっ、くっ、クソォ・・・・・・・・!」
ガブリエル「ハジ隊、何をしている!?これではウッソ・エヴィンの思う壺
ではないか!リフレクターとの連携は無視してシャトルの破壊へ!」
ウッソ「させないよっ!」
ガブリエル「ぐふあっ!くうっ・・・・・・・ウッソ・エヴィンんんんんっ・・・・!」

ハジ隊へ素早く最短コースを送信してMSの密集から一機抜けようとした
ガブリエルだが、ウッソはあらかた誘導がひと段落したと見るや、その密集を
旋回してダイタロスの進路から離脱しようとする敵機を具(つぶさ)に観察し
ガブリエルのハジにスマートガンを見舞った。
ニコライ「よし!ウッソさんはやはり頼りになる・・・・ガンダムチーム、マジ隊は
引き続き敵機を足止めしつつ、TRAPAのレイター部に帰投コース設定せよ!
万一の場合はこちらから送信するからな、見逃すなよ!」
ウォレン「よぉし、テルアビヴ基地!敵機は無視して接舷作業、始めてくれ!」

シャトルと発射台はFBの着艦に合わせて大きく傾斜し、続けて余剰燃料の積み込みに
移った。そしてセント・ジョセフからの合図までついにあと二十分を切った。
アイア「よし、ガブリエル少尉・・・・貴様の判断は正しい。ダイタロスを捨てて
こちらは砲撃で援護する!ガルダ級に連絡だ!艦ひとつ分有利なはず・・・」
ガブリエル「了解です大尉。こちらはダイタロスととりあえず歩調を合わせます。
ガルダ級からの光条、シュグナイド、ソル・コンティオ、ソル・シャッコーです。
空気が読めてますね」
97第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 00:42:32 ID:???
FBと発射台の接着部からウォレンとシャクティが降り、管制室に移動した。
この発射台にも無数の対空砲火が備えられており、シャトル発射妨害など
有事への備えも万全だ。が、敵がマハやオビリッチから提供されたデータを
TRAPAに設定しているとなれば話は別である。シュグナイド隊はガンダムチーム
と交戦し、ソル・シャッコーは発射台と連携して対空砲火を放つFBに対し
TRAPA優先順位を背部対艦要撃ウェポンシステムへ直結させた。

今までに無い火力と、発射台を無数に取り囲むスツルムビットが攻撃を仕掛けて
くる。艦隊戦においても温存したこのパックによる攻撃は当然、戦闘中で検索と
再設定の暇など無いユウリ達にはTRAPAで対応できるものでもなかった。
ガブリエル「よし!いけるぞ・・・・・・・・・!」

アイア「いいぞガブリエル。見事な先導だ!」
ゴッズ「大尉!何ゆえダイタロスを放置したのかね!?」
アイア「ウッソ・エヴィンは危険です。奴はザンスカール戦争の時の驚異的センス
を取り戻しつつある。ならばダイタロスをぶつけ、余剰戦力でシャトルを
包囲する時間を作るのです。大佐が仰ったでしょう?現在動いている連邦の戦力を
駆逐すると。ならば、いちMSに固執するのは恐れ多くもナンセンスと言わせて
頂きます。それとも、FBを落としたらマハへの放置が世論を刺激するとでも?」
ゴッズ「・・・・・・・・・・・よかろう。好きにやるがいい」
98第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 01:05:46 ID:???
ピキィッ!    Pガンダムの放ったライフルがソル・コンティオに弾かれた。
ビームシールドを多用してきた彼女達にとってIフィールドがこのように
薄利多売的な展開・即応を見せるビームフィールドは驚きだった。
シレジア「こいつら、これまで何で出てこなかったんだ!?ってくらい強いぜ!?」
アレーナ「それにあの機体の速さ、ミノフスキードライブどころじゃない・・・!」

適度にガンダムチームとマジ・デウゼーの動きを止めると、TRAPAに従い
ソル・シャッコーのスツルム・ビットとソル・コンティオのファンネルが
互いに連携してシャトル発射台を攻撃する。交戦がひとまず止んだとき、
隙を突いてシュグナイドのメガマシンキャノンSPSが火を噴いた!

ガシュアッ!!!!!!!!!
ウォレン「シャ、シャトルがやられた!!そんなバカな・・・・・・・!?」
その直後、セント・ジョセフから出迎えの艦艇が静止衛星軌道に到達した
知らせが入ったのは、痛々しいほど皮肉以外の何物でもなかった。
99第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 01:30:06 ID:???
各MSの特性を生かした配置がついにFBを刺し貫いたのだ。が、艦そのものは
急いでミノフスキークラフトを発生させ炎上するシャトル発射台から脱出する。
ニコライ「くそっ!くそっ!せっかくここまで来て・・・・・」
ウォレン「ダメ、か・・・・・・・!」
ウッソ「いや、まだ方法はある!」

ウッソはダイタロスを一時放置してソル・コンティオ、ソル・シャッコーの
編隊と互角の勝負を繰り広げる。そしてモニターにブリッジの様子をディスプレイ
すると目で何事か指示をする。それを察知したニコライは一瞬戸惑いながらも
ガンダムチームへ促した軌道指示から全てを読み取った。
ニコライ「FB、これより大気圏に向かって上昇する!」
全員「何ッッッ!!!?」

静止衛星軌道ではセント・ジョセフがアリエルを含めたソフィアとネオ・ザンスカール
の連合艦隊との距離を計測し接触されるまであと二十分は持たないだろうとの
予測をウォレンに伝えていた。
100第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 02:09:14 ID:???
ウッソ「ユウリ君!彼を今でも助けたいと思っているか!?」
ユウリ「えっ!?」
ウッソ「ダイタロスガンダムのパイロットを今でも助けたいと思っているの
ならば、僕の言うことを聞いて・・・・いいね!?」
ユウリ「は、はい!それで、みんな宇宙へ帰れるんですね!?」
ウッソ「もちろんだ!全機、Pガンダムを支援して!」

Pガンダムはシャトル発射台から離れてきた敵機を薙ぎ払いながらダイタロス
へ直進する。ユウリはただウッソから送信されたTRAPAをそのまま設定するだけだ。
シレジア「ウッソさん、何をやろうっての!?」
アレーナ「わからないけど、あの人のことだから考えがあるに決まってますわ!」
全てのMSがPガンダムを援護。さらにウッソはシャトルが破壊され目標が
絞られたのをこれ幸いとばかりに、スツルムビットとファンネルを同軸線上に
固定するためFBまでも援護しながらダイタロスへ接近させていった。

案の定、ガルダ級から発進された編隊とハジ隊は分担を突如変更させられて
対応する時間が十分に取れず、互いのオールレンジ攻撃に巻き込まれたり
サイコミュ兵器を自粛したりと、まんまとPガンダムのコースを開けてしまった。
ニコライ「よし、こちらの得たデータが確かならば・・・・・少佐!」
ウォレン「ああ、ダイタロスの上半身は脱出可能なシャトルとして使える。
確かに胸部のハイメガ粒子のストリングスは分離脱後に飛行砲台になる、と
いうことは・・・・・・・・」
ウッソ「さっき僕が加えた攻撃で、脆くなっている筈!」
101第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 02:29:12 ID:???
アレーナ「ダイタロスガンダム・・・・・・・内部に予備のスラスターがついている!?」
シレジア「な、何だって!?じゃ、まさか・・・・・・」
ユウリのPガンダムだけは、任務を伝える情報を送信されていなかった。
ユウリ「ピアスぅーーーーーーーーーーっ!!!」

ズガシャッ!!!!!!

脆くなった胸部の巨大ビーム砲ストリングスの溝に向かってPガンダムは
突っ込んでいき、そして上半身は通路のような場所に出た。高空から吹きすさぶ
風に耐えながら、ユウリはコクピットハッチを降りてワイヤーで着地すると
当て所も無く適当な方向へ疾走した。

ピアス「ここだよ、ここだよ、ユウリ・・・・・・・・」
ユウリ「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・!」
ピアス「そう、そこを右に曲がって・・・・違うよ、行き過ぎだよ」
ユウリ「ピアス、ピアス・・・・・・・・!」
ピアス「そう。その突き当りの部屋が・・・・・」
ユウリ「ピアス!」
開けると、そこは天井や壁からあらゆるコードが繋がれたコクピットだった。
コードは全てピアスの頭に被さる大きなヘッドギアに接続されていた。
102第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 02:49:18 ID:???
ユウリ「ピアス!ピアス!大丈夫!?」
ピアス「火気管制表示誤差修正良し。照準レティクル、ブラウザ二個短縮。
駆動系出力調整TRAPAガイダンスとの整合性70%」
ユウリ「ピアス!?」
ピアス「ピアス。ピアス・インヘブン」
ユウリ「ピアス、しっかりして!」

ユウリがヘッドギアを強引にピアスの頭部から引き剥がして床にたたきつけると
コクピットは急激にクールダウンし、モニターの表示ブラウザも全て画面隅に
折りたたまれていった。
ユウリ「ピアス、わかる!?あたし、ユウリだよ。貴方はピアス・イン・ヘブン!」
ピアス「了解。ピアス・イン・ヘブンはサイド2アメリア政庁生まれ。
二歳でコインロッカー・ベビーとなりベスパのゴッズ・イン・ヘブンと
ジュネ・イン・ヘブンの養子となる。以後、モンテネグロのスーパーサイコ
研究所でサイキッカー養成制度に組み込まれダイタロスガンダムのパイロット
候補生に」
ユウリ「ピアス!」

ピアス「・・・・・・・・なんちゃってね。驚いたかい?フフッさすがPガンダムの
パイロットだ。ここまで乗り込んでくるのは大したもんだよ」
ユウリ「ピ、ピアス・・・・・・・・!」
ユウリは正気と目の色を取り戻したピアスに泣きついた。ピアスはその肩を優しく撫でる。
ピアス「さ、もう一度デートしようよ」
ユウリ「デート・・・・・・・・?」
ピアス「ダイタロスの中で、さ」
103第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 03:17:09 ID:???
たぶん、ウッソに意趣返ししたい気持ちだったのだろう。あるいは自分が突入
することが何らかの作戦だったとしたならそれは好都合だし、ともかくユウリは
ダイタロスガンダムの居住区に備え付けられた遊園地で思う存分遊んだ。
メリーゴーランド、自動販売機のアイスクリーム、観覧車。連邦の予算と血税が
注ぎ込まれた施設で二人はもう戻らないであろう一時を満喫した。いや、時間など
常に流れていて、経験や一時の慰みとしてしか思い出は機能しない。過去は絶対に
戻ってこないものならばできるだけ強烈な記憶に残そうと一瞬一瞬を努めて生きる
ことこそ人としての営みだろう。

観覧車の中から擬似的に映し出された青空を見て、ピアスは言った。
ピアス「どうして・・・・・・・来たの?」
ユウリ「・・・・・・・知りたいから。あたしが晒した分だけ、ピアスの本当を知りたくて」
ピアス「後悔しない?」
ユウリ「うん。だって、他人の知りたくないことを知るのは恥ずかしいことでは
あっても、無意味なことじゃない。だって上辺だけの見栄や仮面なら黙ってても
見ることはできるけど、そのもっと奥は知ろうとしなければわからないもん。
その人の本当の恥ずかしい、見られたくない部分を知ってれば本当に好きなんだよ」
ピアス「そっか。俺はもうユウリの秘密を聞いてしまったから、話さなくちゃね」
ユウリ「そうだよ。ピアスだけ、ずるいから・・・・・・・」

ピアス「俺は物心ついた時に既に親はいなかったんだ。目で見て話せるように
なったときに俺の前に今の親父がいた。ゴッズ・イン・ヘヴンはサイド2の
政庁を束ねる存在であるという以上、何も話してはくれなかった。ニュータイプが
どうの、サイキッカーがどうのって、まともな人の親がくれる人並みの愛情
なんてくれなかったね。五才になった時にはモンテネグロのサイ研にいた。
以後、今日まで一年に何度かしか会いに来ちゃくれない。そりゃそうだろ、
オビリッチの支援を受けたとはいえ連邦の管制下だものな」
104第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 03:35:10 ID:???
ピアス「いや、違う、違うな。こんなことを話したいんじゃない・・・そうだ。
俺の名前・・・・・・ピアスってどう思う?」
ユウリ「ピアス?いい名前だよ。あたしは好き」
ピアス「俺はね、大嫌いなんだ。ユウリ以外の人に呼ばれるたび鳥肌が立つ。
モンテネグロのサイ研はゴッズがポケットマネーで作ったものなんだ。そして
俺と同期の奴らには「ブローチ」、「リング」、「ネイル」なんて連中がいた。
これはどういうことだと思う?」

ユウリ「ま、まさか・・・・・」
ピアス「そうだよ。みんなコインロッカー・ベビーさ。ゴッズはベスパで得た
地位と権力で死に体のソフィアの実質的指導者になった。レフスキもトッリ・アーエス
も傀儡なのさ。さんざん女を食いまくって、でも子供は作れなかった。何故だと
思う?奴はね、生まれつき膀胱炎を患ってて避妊具なしで行為できないのさ。
そして奴の性癖は倒錯し始めた。何度も聞いたよ。地球圏のいたるところから
美少年を集めて夜毎食い散らかしてる富豪がいると、噂ぐらいはね。でも
まさか自分の親父がそうだとは思わなかった。でも、聞いてくれ。奴以上に
醜いのは養子である俺を妬み追い越そうとゴッズが数ヶ月ごとに来る度、
甘えて自分の貞操を差し出すイカれた連中さ。そうすればダイタロスのパイロット
になれるってね。でも、一番醜いのは、あの豚野郎が鳥肌立つくらい嫌なのに
これしか生きる道が無く、捨てられたら途方に暮れるしかないから、連中以上に
全てをあの変態ホモ野郎に捧げた俺なのさ!」

ユウリ「ピアス・・・・・・・・・」
ピアス「わかったろう?これでも俺のこと、真顔で好きって言えるかい?俺は
奴のアクセサリーなんだよ。自分は立派な社会人です、ちゃんと家庭を持ち
子供もいます、って示すためのね!何処にいても薬とあの変なギアで奴の
経文が聞こえてくる。貴様は本当の自分の子じゃない、自分の血肉から
生まれた子供じゃなく、後から体の一部にしたもの=ピアスだってさ!
今の台詞を、六才の子供に向かって真顔で言い放ったんだぜ!?」
105第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 03:52:17 ID:???
ユウリ「それでも、あたしはピアスが好きだよ」
ピアス「言葉でなら、何とでも言え・・・・・・」
ユウリは人差し指でピアスの唇を閉じると、そのまま抱き寄せ、子供をあやす
ように撫でた。ゆっくり、ゆっくりと・・・・・・・・
ユウリ「あたし、ピアスがそんなに痛みを抱えてたことも知らなくて、ただ
優しいからそれに甘えてたんだね。最初に会ったとき、聞いてあげればよかったね。
ゴメン、ゴメン・・・・・・・・うっ、うっ、グスッ・・・・・」
ピアス「こんな、俺を・・・あの変態豚に汚された、俺の体を・・・・」
ユウリ「好きだよ・・・・・・・愛してるよピアス」

二人の目から大粒の涙が零れ、膝の上で溶け合った瞬間にダイタロスガンダムは
その機能の全てを停止した。
ウッソ「成功した!よし、ニコライ中尉、今から上部を切り離す。そうしたら
直ぐにFBを上に付けてくれ!」
ニコライ「了解した!ウッソ機以外の全MS、帰投せよ!」
ウッソのガンブラスターから渾身のライフルが連射され、巨大ビーム砲のストリングス
から上の部分が宙に浮いた。ガンブラスターは下部に移動し、スラスター全開で
それを支える。さらに地球に残るべきヘキサやガンイージも命令を無視して
ウッソの脱出を待つべく頭部を引き上げる。

FBがウッソによりシュグナイド隊から奪取されたガンスピアを繋いだ、巨大な
柱のようなもので強引にダイタロスの脱出シャトルと貫通接合されると、
ウッソは下部から逃れスラスターの操作をするべく内部へ突入する。
そこには遊園地の観覧車で凄まじい震動に身を寄せ合って耐える二人の姿があった。
106第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 04:05:03 ID:???
ガンブラスターは二人の乗った観覧車の一個を指の屈伸のような軽い打撃で
切り離すと、その中からユウリだけを摘み出した。ピアスは外に投げ出され、
そのまま地面に向かって落下していった。数秒後、鈍い音と共に倒れたピアス
の頭部から真紅の鮮血が流れ出した。

ユウリ「ピアスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
うわーーーーーーーーーっ!!!ウッソさん、離して!ピアスが、ピアスが
死んじゃう!もう一人にさせない、誰にどんな目で見られようと、あたしが
全力で守る、二人で一緒に生きていくって、決めたのに!」
ウッソ「ダメだ!早くFBへ!」
ユウリ「離して!あたしも一緒に死ぬ!いま、下ろしてくれなかったら一生
ウッソさんを恨むからね!一生、一生ウッソさんを許さないからね!!」

ピアスは死に体で必死に観覧車の管制小屋に這って行くと、機器のデスクの
下にある引き出しのような扉を開け一際大きなボタンを押した。
ピアス「ありがとう、その一言が聞けただけで・・・・・・・」
薄れゆく意識の中でピアスは短い一生の中、唯一本物と信じられる愛に出会えた
ことを、束縛もお互いを晒しあった結果ならば許せる愛だと、悟った・・・・
107第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 04:18:56 ID:???
胸部から上の切り離されたダイタロスの脱出シャトルは、次の瞬間猛烈な
噴射で上空に向けて発進した。ウッソは地球に残るため、急いでユウリを
この強力な熱で溶ける寸前の炉心とも言える居住区から脱出させFBに
届けて、かつ離脱しなければならない。二人が束の間の蜜月を楽しんだ
偽物の街が炎に焼かれていく。この区画はもう限界なのだ。ガンブラスターは
再び最大加速レンジでダイタロスの内部を突き破り、半身をFBの繋留されて
いるダイタロスの後頭部に出して簡易のワイヤーを繋いだ。

MSデッキに戻ってきたガンブラスターはユウリを下ろそうとした。一刻も
早く戻らなければならない。悔恨を押し殺してウッソの指示に従おうとする
ユウリをウッソが呼び止めた。
ウッソ「がんばれよ、宇宙に戻っても・・・・・・地球上は僕達に任せて欲しい。
君はもうただの女子高生じゃない。普通の女の子と違うんだ。君はガンダムの
パイロットなんだ。それをもう一度、ゆっくりでいい・・・・・・自覚するんだ」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」

シレジア「ユウリーーーーーーーーーーーーっ!!」
ユウリ「シレジア、アレーナ様、ノンちゃん、イズモ軍曹、それに艦長も」
シレジアに抱きつかれてユウリは床に倒れこんだ。シレジアはいつにもなく
弱弱しい顔で号泣しアレーナも胸を撫で下ろしながら一滴の涙を指で拭った。
そして数分後にガンブラスターはFBから離脱していった。


シャクティ「MSの一部をブースターにして、宇宙に上がれるの?」
ウォレン「落ちたらまたカミオンで拾うまでさ・・・とにかく上手くいってよかった。
さ、カサレリアに戻ろう。僕達は僕達で地球上でやるべきことが山ほど残ってる」
シャクティ「そうね・・・・・・・・・・」
108第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 04:33:07 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ウッソ  阪口大助
シレジア 高山みなみ  イズモ  渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   ノマノマ 矢尾一樹
ニコライ 森川智之   ピアス  水樹奈々


ずっと閉じてた心の蕾    あなたが開いてくれれば





109第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 05:13:43 ID:???
キャスト
ゴッズ   屋良有作    ペトレスク 嶋俊介
アイア   折笠愛     ウォレン  松本梨香
ガブリエル 松本保典    シャクティ 黒田由美
クッフ   藤原啓治   


誰に笑われたっていい   自分のこと「カワイイ」って言える





110第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 05:40:42 ID:???
原画
森崎工事  戸田和幸   斉藤久人  恩田尚之
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間








111第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 05:43:45 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない







112第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 05:46:23 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない







113第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 05:50:51 ID:???
編集 奥井敦            制作進行  矢島洋一
録音 古林一太郎          美術進行  清水隆夫
音響効果 旭プロダクション     仕上    鈴木国生
選曲 牧正弘            美術    スタジオ・イースター
記録 安食光弘
  



   さあオシャレして 化粧して  アフター5に繰り出そうよ








114第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 05:53:32 ID:???
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて









115第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 05:55:30 ID:???
脚本   岡本天斎  演出   柳沢テツヤ
作画監督 川元利浩  絵コンテ 柳沢テツヤ




   無謀で 純粋で ワガママな自分でいたい・・・・・・








116第二十二話「君は光、僕は影」:2006/03/15(水) 05:59:41 ID:???

          次   回   予   告


ユウリ「宇宙に戻ったあたし達を待っていたのは、やはり敵の出現だった。
それに加えてすかさず大気圏を突破して追ってきたアイアさんにも挟み撃ち
されて、こういうマメなオバさんって、困るんだよねぇ・・・・・・・その時!
カルル君とシャーベット君がセント・ジョセフから新しい力を持ってきてくれた!


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              新しいスーツV3

          ガンプリは、みんなで見てね!









117通常の名無しさんの3倍:2006/03/15(水) 12:44:59 ID:???
強化人間が死亡したみたいだが、幽霊で再登場っていう悪評の糞演出はやめてよね
118:2006/03/15(水) 20:14:05 ID:???
>>117
何故ピアスが強化人間だと思ったの?
119第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 20:22:41 ID:???
昇進早々に失態を晒したアイア・コッカ大尉はフリスト・ボネフ中佐
からきついお叱りを受けた。そこで地球上にシュメンの戦力を分割
配置して引き続きチェコ国内の奪取した領土を守ること、マハとの
関係性についても引き続き協議を続けること、テルアビヴで戦果を
上げたソル・シャッコー、ソル・コンティオ、シュグナイドらを今後は
重点的に量産していくことを土星から帰ってくるリリア・ストイチコフ
少佐と絡め今後のプランとして提出し、何とかフェレンツバロシュ追撃
部隊としての任を継続させてもらえることになった。



一方、ダイタロスガンダムの脱出シャトルと最大出力のビームシールドで
不完全な加速器の修理状況ながらも大気圏突破に成功したFBは
セント・ジョセフから飛び立ったホワイトアークUとの合流を急いで
いた。が、出発が数十分遅れたことと既にソフィアとネオ・ザンスカール
の艦隊が地球の衛星軌道に散布したミノフスキー粒子の影響で上手く
意思の疎通がとれず互いに居場所を探しあう状況になっていた。
ブースター代わりに使ったダイタロスのパーツが捨てられ大気圏で
燃え尽きていくのを見て、ユウリはピアスとの繋がりが完全に途絶えた
ことを悟りまた涙ぐむのだった。
120第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 20:36:07 ID:???
ユウリは部屋で、星空を眺めて鬱々とした気持ちに沈んでいた。
シレジア「わっ!!!!」
ユウリ「わっ!?」
見ると、シレジアが泥鰌(どじょう)掬いの日本の農民のような服を
来てベッドの上で珍妙に踊りまわっている。

ユウリ「な、何それ・・・・・・・・・?」
シレジア「知らね。イズモ軍曹の故郷では宴会の定番芸なんだとさぁ」
アレーナ「いいかげんにしなさいっ!そんなもの、何処から持って
きたのです!?」
シレジア「おめぇこそ、そんなハリセンどっから持ってきたんだぁ?」

口喧嘩する二人を横目に続いて部屋に入ってきたノマノマはハロと
二つのサッカーボールでお手玉をしている。が、表情はいたって冷静だ。
ノマノマ「どうしたんだぁ?また喧嘩か?」
ハロ「ハ、ハロォ・・・・・・・・・・」
アンジェイ「お嬢様!?またしても貴族にあるまじき振る舞いを!?
貴女は青春をMSに捧げた御身、良き殿方が現れるまで、この
アンジェイ・クビツァ全身全霊を持ってお嬢様をMSに集中させて
さしあげますぞっ!どうぞ、ウーイッグで拾ったステアウア強化パーツです!」
イズモ「じいさん・・・・・・・・・酸素欠乏症にかかって・・・・・・・」
ニコライ「酸素欠乏症がなんだぁ!学校の担任だの艦長だの兼任して
おまけに女に逃げられた俺の辛さがわかるくぁ!?」
成人組は既に酒が入っているようだった。
ユウリ「・・・・・・・・・プッ、クス・・・ありがとう。みんな・・・・・」
121第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 20:56:53 ID:???
コーディリアUの艦内ではついにFBをキャッチし、クロノクル・アシャー
ネオ・ザンスカール総帥以下の部隊がついに初陣のときを迎えていた。
クロノクル「皆、今日というときを十四年よく待ってくれた。が、感涙に咽(むせ)ぶ
時間は与えられていない。さしあたってゾロアット、ソフィアから提供されたハジ、
トムルの編隊を誰に率いてもらうかだが・・・・・・・・」

ライザー「はぁ〜い総帥ィ〜わたくしに任せて欲しいものですねぇ〜」
クロノクル「ライザー・レモン中尉か・・・・・先の戦争では、トッリ・アーエス隊の
HGとして恐れられた・・・・・・・・・腕はなまっていないだろうな?」
ライザー「もちろんですよ〜バッチ・コーイ!で出させて頂きますからねぇ〜」
クロノクル「よし、目標はFBただ一つ。敵も地球での戦いで疲労しているはずだ。
一気に勝負を決める!ソル・シャッコーは対艦デバイスを完備してバッチ・コーイ
の先導に続け!」

コーディリアUから無数のMSの光条が宇宙空間に四散していった。
ライザー「ライザー・レモン、バッチ・コーイ、出ますよフォーーーーーーーー!!」
バッチ・コーイは腰部スラスターを激しい前後ピストン運動で高加速スロットル
に入れMS部隊を先導していった。
122第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 21:11:04 ID:???
ドミトレスク「ブリッジから全乗艦員へ。鉄器接近です」
ニコライ「んぁ?石器ィ?」
ユウリ「よし、シレジア、アレーナ様!出撃しよう!」
シレジア「よし、酔っ払いは放っといて行こうぜ!」
アレーナ「ですわね!」
ノマノマ「よし、俺も!」

四人は個々にケータイをアームレイカーに接続した。
ノマノマ「ノマノマ・イェイ、ドラゴスティア出る!」
アレーナ「アレーナ・ヨルダネスク、ステアウア出ますわよ!」
シレジア「シレジア・ファン・ホーヴェン、チャウシェスク出るよ!」
ユウリ「ユウリ、Pガンダム行きます!」

四機がFBから射出された瞬間、既にバッチ・コーイ以下のコーディリアU
MS隊がFBの至近距離まで来ていた。
ノマノマ「こりゃあマズイ!俺が先に行く!」
そう言って飛び出したドラゴスティアに、バッチ・コーイが最大加速で腰部を
強振させながら突進してきた。吹っ飛ぶドラゴスティア!
ノマノマ「ぐあああああっ!!」
ライザー「わかるかぁ〜この腰の動きはあまりにも速過ぎてゆっくり見えるんだぞぉ〜」
ライザーはコクピット内で腰を振りながら高笑いした。
123第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 21:53:10 ID:???
続いてバッチ・コーイはビームストリングスを萎縮した四機を囲むように
放射すると、他のMS隊もすかさずライフルで狙い撃ちする。宇宙、地球と
続いてきた激闘でドラゴスティアはともかく、摩托したガンダムチーム三機の
装甲は見る見るうちに剥がれ破損していってしまう。

そのころ、シュメンはようやっと大気圏を突破し衛星軌道に辿り着いた。
すぐさまアリエルからコーディリアUのネオ・ザンスカール部隊がFBと
交戦中であり貴艦はホワイトアークUの捜索をして欲しいとの、フリスト・ボネフ
中佐からの通信を聞いてアイアは歯噛みした。
アイア「ぐっ、せっかくあの賢しい小娘どもを殺れる絶好機だというのに!」
結局、アイアはガブリエルにシュメンの指揮を任せレントウ・マジューゼで
出撃してしまうのだが、これが後に痛恨の結果を齎(もたら)すことになった。

Pガンダムはビームストリングスをサーベルで切り払うと、そのままバッチ・コーイ
に接近し懐に入ったところで頭部バルカンを見舞った、が全て不思議な皮膜の
ようなもので弾き返されてしまう。
ユウリ「ビームフィールド!?」
ライザー「セーイ、セイ、セイ。甘いんですねぇ〜。ソル・コンティオ如きの
新技術が移植できない私だと思ってるんで・す・かフォーーーーーーーーーーー!!」
バッチ・コーイのビームホーンでPガンダムは肩部をゴッソリ切り裂かれてしまった。
124第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 22:08:50 ID:???
アイア「む、気に入らんが・・・・・・・・連中、かなりやるようだ」
バッチ・コーイはさらに背中のバックパックから小さなカプセルを無数に
射出すると、これが四機に取り付いてそれぞれの武装を外したり奪ったりして
いった。トムルが主にこのカプセルに反応して次々と奪った武器を自分達の
ものし、さらにユウリ達に攻撃を仕掛ける。

アイア「今だ!!!!!!!!」
アイアは十分にチャージしたハイパーメガ粒子砲を放った。
ユウリ「うっ!!!?」
完全に隙を突かれた格好のガンダムチームはこの閃光に飲み込まれ大きな
破損を抱えて浮遊している・・・・・・・・・
アイア「やった・・・・・・・・・・・フフフフ・・・・・・やったぞ!ついにあの賢しい小娘共を
殺ることができた!これでもう怖いものはなしだ・・・・・・ハハハ!」

ユウリ「シレジア!アレーナ様!大丈夫!?」
シレジア「あ、ああ。何とかね・・・・相手は油断してる。やった気みたいだ」
アレーナ「そう、ですわね・・・・・変に動かないほうが」
アイア「そこっ!!!」
急速接近してきたアイアは三機の残骸を捕まえ、その中から飛び散った三つの
ノーマルスーツに目を光らせた。
アイア「死ぬんだよ、小娘共ォ・・・・・・・うわっ!!?」
125第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 22:30:33 ID:???
ライザー「アイアさんじゃないですかぁ〜どうもライザー・レモンHGで〜す。
久しぶりですねぇ〜まさかベスパの女豹がエンジェル・ハイロゥの戦いを
生き抜いてるとは驚きで・す・よフゥ〜!」
アイア「貴様っ、この変態ゲイ野郎が!機体をはなせっ!!」
ライザー「セ〜イセイセイ、水臭いですねぇ〜同じ釜の飯を食ったもの同士
再会を喜び合おうじゃありませんか〜」
その隙を突いて、ドラゴスティアがユウリ達を抱えてコクピットに詰め込み、
一目散に逃げ出していった。
アイア「ああっ!ほらみろ、逃げられたではないか!?」
ライザー「お〜や失礼、失地回復、追跡開始で・す・ねフォォォーーーー!!」
バッチ・コーイは再び腰部を激しく振ってスラスターを吹かした。

シレジア「ちょ、狭い!アレーナ、もうちょい足引っ込めろ!」
アレーナ「何をっ!?貴女こそ、そのむくんだ腹部を絞りなさいっ!」
シレジア「なんだとぉ!?」
ノマノマ「うわっあまり暴れるな!奴らが追ってきたら・・・」
ユウリ「きたっ!!」
レントウとバッチ・コーイがフラフラとよろけるドラゴスティアに容赦なく
ライフルとビームストリングスの追撃を放つ。

ノマノマ「くっそーーーーーーーっ!!誰か助けに来てくれ!」
ユウリ「あ、きたっ!!」
シレジア「はぁ?そんな昔のアニメみたいな都合のいいこと・・・・」
アレーナ「いや、違う!あれは・・・・・・セントジョセフのホワイトアークUですわ!」
前方に見えるホワイトアークUは状況を把握すると、すぐさま一機のMAを
射出した。そして最大加速レンジでドラゴスティアを援護に向かう。
126第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 23:06:49 ID:???
今までに無いシルクの煌びやかなフォルムが銀光を発しながら、ドラゴスティア、
レントウ、バッチ・コーイの間を切り裂いた。すると、バッチ・コーイは
一瞬のうちに爆発・四散してしまったのだ。
ライザー「フォ、フォフォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
白いMAはさらにUターンしてドラゴスティアのコクピットに乗り付けた。

カルル「よう、ユウリ。苦戦してるようだな」
ユウリ「カルル君!無事だったんだね・・・・・・」
カルル「オイオイ、どっちがだよ。それよりお前のために苦労して新型を
運んできてやったんだから少しは感謝して欲しいもんだぜ」
ユウリ「新型?リィズさんの言っていた・・・・・・・・・」
カルル「そう。サナリィの研究グループとセント・ジョセフが総力を結集して
作り上げたLM314V25、V3ガンダムだぜ!もっとも、これは俺らリガ・ミリティアの
呼んでる名前であって、めっさ多くの団体が出資・協力して作った新型MSだからな。
お前一人のために、お前の戦闘データを参考にして作られたんだ。正式な呼び名は
ユウリが勝手に決めていいんだぜ・・・・・・さ、早く乗りな!」

ユウリとカルルが入れ替わり、コクピットに入ったユウリはアームレイカーを
見つけて安心すると、そこに持ってきていた自分のケータイを填め込んだ。
ユウリ「すごい、あたしのデータだから読み込みが早いんだ・・・・・・・・
ユウリ、ガンダムPrincess、行きます!」
127第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 23:28:03 ID:???
アイア「バカなっ・・・・・・・πガンダム、完成していたのか!?」
ユウリ「いくよっ!アイアさんっっ!!!!!」
ガンダムPrincess(以下GP)はMA形態のまま、凄まじい加速でレントウ
の横を過ぎ去っていった。
アイア「貴様、逃げるとは・・・・・・・・・・・・・ぐはっ!!!?」

瞬間、レントウの四半身が切り離され、爆発した。焦るアイアはビームストリングス
を連射するが、すかさずMS形態に変形したユウリのビームフィールドによって
全ての攻撃はことごとく弾かれてしまう。
アイア「ならばっ!」
アイアはレントウをMA形態に変形させ、数度旋回してGPの目を眩ませると、
機体下部から最大加速で突っ込む。が、次の瞬間GPの腰から鮮やかなフォルムで
形成されたスカート・ヴェスバーから強烈なビームの光条が放たれ、ついに
レントウはその動きを停止してしまう。

アイア「ぬっ、くううっ・・・・・・・・!」
ユウリ「アイアさん!あたし、貴女とは戦いたくないの!だから逃げて!」
アイア「に、逃げろだと・・・・・・・・?貴様、大人を愚弄して!」
ユウリ「逃げないと、次の攻撃では本当に死んじゃうよ!」
ユウリは新プリンセスカノンの存在を確認した後、チャージを始めた。
128第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 23:37:03 ID:???
アイア「舐めるな!たかがメガ粒子砲ひとつ、レントウで持ち堪えてやる!」
ユウリ「これはただのメガ粒子砲じゃないよ、もっともっと怖い武器なんだから!」
数分後、二機のMSが距離をとったまま睨み合う奇妙な沈黙が破られた。
ユウリ「いくよ、アイアさん避けて!プリンセス・カノン!!!!!!!!」

シャウッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



アイア「・・・・・・・・・・死ぬ!?あたしが!?」
レントウは咄嗟にその凄まじく太く強力な光の柱から身を避け、シュメンに
帰投していった。
アイア「残念だったな。あたしは貴様らのような小娘と違ってまだまだやる
事がたくさんある。今のうちに殺しておかなかったことを後悔するぞ!」

シレジア「すっげーーーーーーっ!!あれがリィズさんの作った新型!?」
アレーナ「しかし、ユウリさんにあの武装が使いこなせるのかしら・・・」
カルル「心配ないさ。その為に機体の追従性、軽量化を更に推し進めてハードポイント
の改良型をごまんと搭載してある。まさに女性による、女性のためのMSさ!」
ノマノマ「すげぇ、時代は変わったんだな・・・俺ら男は辛いもんがあるぜ」
ドラゴスティアとGPはホワイトアークとの連絡のため、FBへ向かった。
129第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/15(水) 23:59:25 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ウッソ  阪口大助
シレジア 高山みなみ  イズモ  渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   ノマノマ 矢尾一樹
ニコライ 森川智之   ハロ   小山まみ


ずっと閉じてた心の蕾    あなたが開いてくれれば








130第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/16(木) 00:36:43 ID:???
キャスト     
アイア    折笠愛   ライザー レイザーラモンHG    
ドミトレスク 嶋俊介   カルル  くまいもとこ    
クロノクル  壇臣幸
アンジェイ  茶風林   


誰に笑われたっていい   自分のこと「カワイイ」って言える








131第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/16(木) 00:48:50 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  菱沼義仁
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間











132第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/16(木) 00:50:05 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない










133第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/16(木) 00:58:06 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない










134第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/16(木) 01:01:39 ID:???
編集 奥井敦            制作進行  矢島洋一
録音 古林一太郎          美術進行  清水隆夫
音響効果 旭プロダクション     仕上    鈴木国生
選曲 牧正弘            美術    スタジオ・イースター
記録 安食光弘
  



   さあオシャレして 化粧して  アフター5に繰り出そうよ











135第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/16(木) 01:36:28 ID:???
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて








エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて
















136第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/16(木) 01:51:53 ID:???
脚本   園田健一  演出   川瀬敏文
作画監督 菱沼義仁  絵コンテ 西森章




   無謀で 純粋で ワガママな自分でいたい・・・・・・











137第二十三話「新しいスーツV3」:2006/03/16(木) 02:46:38 ID:???

          次   回   予   告


ユウリ「宇宙に戻ったあたし達を待っていたのは、やはり敵の出現だった。
それに加えてすかさず大気圏を突破して追ってきたアイアさんにも挟み撃ち
されて、こういうマメなオバさんって、困るんだよねぇ・・・・・・・その時!
カルル君とシャーベット君がセント・ジョセフから新しい力を持ってきてくれた!


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              新しいスーツV3

          ガンプリは、みんなで見てね!









          次   回   予   告


ユウリ「なーんか、あたしだけ新型をもらっちゃってシレジアにもアレーナ様
にも申し訳なく思っちゃって・・・・・・・なーんてね。偉い人達はわかってくれない
ことが多いけれど、空気を読むくらいはできる!絶対見逃さないでね、
あたし達の新しい力!誰にも負けない最強のガンダムチーム合体だよ!


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              始動!!!GPEG

          ガンプリは、みんなで見てね!
















138通常の名無しさんの3倍:2006/03/16(木) 02:50:14 ID:???
おお、だいぶ進みましたな

>>87>>88>>94
まぁ、とりあえずこんなもんでどうかと。

SOFIA-A07R ハジラッド & ZM-A06R ゾロラッド
地球に降下したソフィア軍が本格的な地球侵攻作戦に向けて急造した改造MS。
ソフィアではMR=モビルラッドという新たな分類で呼ばれることになるが、発想の基本はザクタンクと変わりない。
上半身はハジやゾロアットだが、下半身は制御バーニアで固められた一本の極太タイヤ…といった奇妙な姿をしている。
ソフィアはウーイッグ急襲に前後して周辺の連邦軍施設のいくつかに露払い攻撃を仕掛けたが、
その中にとある小規模な輸送基地があった。
占拠された基地には使い道のない旧型空中輸送機の離発着用スペアタイヤが大量に詰まれていた。
しかし、偶然それを目にしたガッダール隊の生き残りであるイヴァン大尉の発案により、
このタイヤを利用した画期的な新兵器が誕生することとなった。
大尉は輸送機用タイヤを基軸にゾロアット用の姿勢制御バーニアを複数取り付けたスカートを組み合わせ、
なんとMS用の下半身パーツを作り上げてしまった。
これをハジやゾロアットの下半身と付け替えることで、機体はモビルラッドとして機能することになる。
また、ハジとゾロアットに対象機を絞って微調整したことで、後に両機の正式改造パーツとして採用されることとなった。
本来は下半身に大きな損傷を受けたハジやゾロアットの再生利用が目的だったが、
イヴァン大尉が道楽で作成した制御プログラムにより、
地上走行においてかつてのアインラッド機を思わせるような軽快なフットワークを実現。
絶妙な配列の制御バーニアをプログラムにより自動で駆使することで、
平時はもとより戦闘においても転倒の危惧は皆無と言って過言ではないほどの信頼性を保っている。
バーニアの塊なのでプログラムを切り替えることで空中戦や宇宙戦にも対応する。
武装面はベース機に依存するが、ハジラッドは遠距離戦をカバーするため両肩に一発ずつ携行ミサイルを担いでいる。
両機とも格闘能力と防御性能が低下しているが、それを補って余りあるほどの機動力と運動性能を誇る。
そのためテスト運用の結果を受けて、損傷のない機体のいくつかもこのラッド仕様に改造された。
ちなみに、ラッド仕様への変更は比較的簡単だが、元の二足歩行仕様に戻すにはえらく手間が掛かるらしい。
また、タイヤは頑丈なだけの既製品で別段特殊コーティングも施されていないので、
狙い撃ちにされると一気に戦闘不能になってしまう危険性も併せ持つ。
バイク乗り魂が騒ぐイヴァン大尉は危ない香りのするハジラッドで出撃したがっていたが、
年の割に無鉄砲な性格を周囲に心配され、しぶしぶゲドラフで出撃している。
しかし大尉は、ハジラッドやゾロラッドで得られたデータを元に密かに自分用の新型モビルラッドを開発している。

型番なし リグ・ラッド
バイク乗りのイヴァン大尉が勝手に開発したモビルラッド。
ゴテゴテに武装されたコクピット付のツインラッドにしか見えない。
本人に自殺願望はないがどう見ても自爆仕様。
さらに本人は気付いてないがコクピット出入口の立付が悪い。

SOFIA-10 ソルラッド
ハジラッドの成果報告を受けて、軍の正規開発チームによって開発が決定した次世代モビルラッド。
見た目はタイヤ付のグラブロみたいなモッサリ型でこの時代の標準MSより二回りほど大きい。
アインラッドタイプの高耐性タイヤの採用、全地形対応、機動性向上、
格闘アーム・ビームランチャー・ミサイルポッド・インコムといった固定武装により戦闘力強化を予定。
139通常の名無しさんの3倍:2006/03/16(木) 16:51:23 ID:61xB/VX2
SOFIA-Gm−02ヴァーナルディ
全長 20.6m
重量 40.0t
本体ジェネレータ出力 8000kwh
照射システムジェネレータ出力 150000kwh
照射システム発動出力 75500000GW/sec(七千五百五十万ギガワットパーセコンド)
武装
戦略反ミノフスキー粒子照射システム(Gzk−S01-99V)×1
三連兵装ショトクロー×2
ハイパービームフィールド
解説
ソフィア新開発の長距離射撃用MS
この機体の主装備といえるミノフスキー照射システム
は一年戦争時代のソーラレイ級に匹敵する出力を誇り
要塞級のビームフィールドやΤフォース等はまったく通用しない
照射システム自体には複合虚像理論を応用した
融合炉を搭載し本体MSよりもはるかに高い専用ジェネレータを内臓している
欠点とすれば折りたたんだ収納時でさえ、機体全長
の四倍にもなってしまうことがあげられる
そのため、照射システムは独立行動可能なバイオコンピュータ内臓した
ユニット化されており、近接戦闘時には分離
し、支障がでないようになっている。
他の武装としては、ビームシールド・ビームソード・ビームキャノン
の三兵器の能力をもつショットクロー二つと
照射している際攻撃に耐えられるように
10分間のみだが自身の照射システムでさえ耐えられる
超強力な粒子回折を応用したビームフィールドを持つ




140通常の名無しさんの3倍:2006/03/16(木) 18:17:20 ID:61xB/VX2
アマテラス
所属国・部隊 不明
形式番号 不明
頭頂高 18.23m
重量 52.1t
搭載コンピュータ バイオ・クワントムコンピュータ
フレーム ジェネレイトサイコミュフレーム
主OS 自己学習論理発展OS [XOS-00Ωアレス]
主推進器 反ギガ粒子ドライブシステム
機体各所サブ推進器 反ミノフスキー粒子ビームスラスター
出力系 検索不可能×3 
出力 モニターエラー(参考に表示可能最高は100万kwn)
武装
ビームバルカン×2
専用ビームライフル×1
専用ビームサーベル×2
専用ハイパーバズーカ×1(熱核実体弾・ビーム兼用)
ハイパービームシールド×2
エネルギー反射シールド×1(ビームカノン×2・クラスターミサイル×4搭載)
Τフォース複合型ミノフスキービームフィールド
アトミックファンネルミサイル×10(ファンネルミサイルの熱核型)
ハイフィンファンネル×10
パラサイトビット×10
アームドビット×10
質量破砕球×1(ビームニードル出力可)×1
解説
木星のエンセラダスで確認されたガンダムタイプ無人MS
vガンダム、ZZガンダム等のように
機体は三種の戦闘機に分離する構造になっている
多数のサイコミュ兵器を装備するが
いずれもコンパクトになっており機動性を阻害
しないようになっている(最もこの機体の出力ならば要塞クラスも軽く携行できるだろう)
新世代のフレームは従来の精神感応するサイコフレームに
エネルギー貯蔵機構を搭載したものであり
ユニット化されているので、機体を分離して
サイコミュ兵器のような運用を可能としている
ビームライフル等の携行している
武装はすべて機体と同じ新型ジェネレータ内臓型であり、威力等の性能面
では他の機体とは比較にならない(ビームライフルでさえ要塞クラスの主砲程はある)
推進器系はすべてビーム駆動になり
主推進器はを物質化寸前のミノフスキー粒子を展開して
駆動するもので、従来のミノフスキードライブを遥かに凌駕するものがある

一説によるとかの伝説的ニュータイプパイロットであるアムロ・レイ
を再現する目的で開発されたアマクサという機体の後継という説もある
141第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/16(木) 22:57:43 ID:???
地球と月、そしてサイド2を結ぶ宙域では三軍の艦隊が入り乱れて互いを
探りつつミノフスキー粒子を散布していた。この密集の中に土星と木星で
任務を終えた資源採掘船「スタラ・ザゴーラ」が接近してきていた。
地球におけるフェレンツバロシュ撃破に失敗したアイア大尉のレポートを
受け、フリスト中佐が予定より早く切り上げて帰還させたリリア・ストイチコフ少佐
の指揮する船である。

一方、ホワイトアークUと合流したFBは一路、サイド7へ戻ろうとしていた。
リガ・ミリティアは地球上において不穏な動きを見せるマハと残存するソフィア
とネオ・ザンスカールからチェコの奪われた領土を取り返さなくてはならない。
カルルやシャーベット達は先輩にその激務を任せ、FBのメンバーが故郷を
回復させ再び地球上で自分達を助けてくれるための援護をするのである。
142第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/16(木) 23:16:40 ID:???
FBのMSデッキでは、新たに収納されたガンダムPrincessの優雅で力強い
機体に多くのクルーやメカニックマン達が見惚れていた。

ユウリ「すごいなぁ・・・・・・・・本当にあたしが使っていいのかな」
カルル「いいんだって。これはお前の為に支給されたものなんだから」
シャーベット「よう、とっておきのプレゼントができてご機嫌か?」
カルル「ばっ・・・馬鹿野郎!俺はただ、セント・ジョセフから任務を受けて
これを運んできただけなんだからな!」

イズモ「まぁ、それはともかくこのMSはこれから大きな戦力になるぜ。
このスカート型の連装ヴェスバーはもとより、こっちの艦との合流も早く
してくれたってこたぁ、普通の戦艦やMSとはちょっと違ったミノフスキー粒子の
散布の仕方ができるみてぇだ」
シレジア「それに、MAに変形したときの速さはありえねーぐらいだったよ。
これ、普通のジェネレータ使ってんのか?」
アレーナ「そうね、これまで通りの熱核反応炉ではまずあんな加速レンジには
入れられないでしょう。もっと、別の何か・・・・・・・」
ノマノマ「何かって?」
アレーナ「残念ながら、わたくしも全てを知っているわけではありませんのよ。
これからはせいぜいユウリさんの引き立て役として頑張りますわ。ピリオド(以上)」


アレーナは別に悪意も無く、いつものようにコミュニケーションとして言ったつもり
なのだが、少なくともこれだけの機体が支給されれば今日まで築いてきた三人の
コンビネーションが崩れることを憂慮されても致し方のないことであった。
143第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/16(木) 23:37:31 ID:???
アイア「申し訳ありませんでした・・・・重ねてお詫びします」
フリスト「まぁ、頭を上げたまえ大尉。FB撃破に失敗した後の君の対応は
迅速で、かつ素早かった。土星から帰ってくるスタラ・ザゴーラを頭に入れて
いたことは優秀だ。これは何としても彼らをロマニアに帰らせてはいけなく
なってきたよ。その為に予定を変更して、このアリエルも君達の艦と合流した
のだから」

アイア「リリア少佐は、今どの辺りの宙域に?」
フリスト「わからんよ。連中はこちらがミノフスキー粒子の波長を変えても
行く先が掴めん事がある。ま、あの女のことだから仕様の無いことだがね。
しかし、それだけソフィアの為になる新技術を持って帰ってきてくれるはずだ。
慣れ親しんだレントウは可愛いだろうが、君にも新型を一機支給することが
できそうだ。そうすれば賢しい小娘のガンダムとやらも討てる」
アイア「あの女・・・・・・・性格は相変わらずですか?」
フリスト「だろうな。そのせいで、ベスパを介してサナリィにも新技術が
漏れた可能性があるのは、気に食わん。奴らの新型を製作したリィズ・アノーは
分室の研究者だから中枢には疎いだろうがそういう場合は自分で探りを入れて
自分の研究室の中だけで解明してしまったりする。女の知恵が、末恐ろしい時代に
なってきた」

アイア「お褒めの言葉と受け取っておきましょう。ところで中佐も出られるそうで?」
フリスト「ああ、そろそろ出してやらんとオシフィエンティムが可哀想だ」
アイア「豚はあのまま放置してもよろしいのですか?」
フリスト「ご子息を亡くされ傷心の身だ。しばらく何もできんよ」
144第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/16(木) 23:52:04 ID:???
ルペスク「機影、接近です!三時の方向!」
ニコライ「ぬっ、そうか・・・・・・うっ。了解した。よし!ユウリはガンプリ、
シレジアはチャウシェスク、アレーナはステアウア、ノマノマはドラゴスティア、
イズモはマジ・デウゼー隊を率い・・・うっ、すまん二日酔いなんだ・・・
今ので合っているか?」

ドミトレスク「艦長、チャウシェスクとステアウアは出られる状況では
ないようです」
ニコライ「そうか・・・・・では、出られるMSを!」
バジリスク「了解!MS隊、発進!」

イズモ「イズモ・カトウ、マジ・デウゼー出るぞ!」
ノマノマ「ノマノマ・イェイ、ドラゴスティア出ます!」
ユウリ「・・・・・・・・・」
ユウリはMSデッキの入り口近くから見守るシレジアとアレーナを見た。
ユウリ「いつも、一緒だったのに・・・一人で戦うなんて」
カルル「一人じゃないぜ、二人の穴は俺達で埋める」
シャーベット「お熱いとこ邪魔してすまないが・・・・・・・・フフッ、
シャーベット・イノエ、ヘビーガン、出る!」
カルル「うっせーなっいちいちからかうんじゃねぇよっ!ったく・・・
カルルマン・ドゥカートゥス、ジャベリン出る!」
ユウリ「よし、あたしも・・・・・ユウリ、ガンダムPricess行きます!」
145第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 00:26:57 ID:???
シュメンとアリエルから出たMSはレントウとオシフィエンティムを
先頭にハジとゾロアットとシャベリンが三機ずつ、ソル・シャッコーと
シュグナイドとソル・コンティオが一機ずつである。

カルル「何だ!?あの、竜みたいなMAは・・・・・・・・」
ユウリ「また、オシフィエンティムか!」
シャーベット「知ってるのか?急いでデータ送信してくれ」
ノマノマ「了解!」
ノマノマはドラゴスティアだってもうIT機能は完備したんだぜ、と言わん
ばかりに買って出たのだが、ピアスがいなくなったかわりにまた二人も
美少年のライバルが現れて穏やかでない心中が発露したことに無自覚であった。

フリスト「どれ、一つ挨拶してやるか!」
オシフィエンティムはギガンティックミサイルをMS隊を迂回するように
FBに向かって放った。が、そのうち機数に合わせた数発はきちんと
MSに向けて調整する念の入れようだ。
146第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 01:08:12 ID:???
ユウリ「艦長達は、やらせないっ!」
ユウリはガンプリを高加速レンジに入れて大きく旋回した。そしてスカートヴェスバー
から出された無数の光条が戦略照射されたミノフスキー粒子のIフィールドで
うまく偏向し、艦を襲うミサイルを撃破した後大きく半周を描いて味方MSに
向かっていた分も潰す。と、すかさず三機のシャベリンがガンプリに追い討ちを
かけるも、その進路上でスラスターの残り火ともいえる鋭いビーム光に刺し
貫かれて一様に爆散した。ガンプリの、普通のMSだったら一つの動作しか
できない時間に二つの動作をやってみせた驚異的な性能にその場にいた者は
驚愕した。

ノマノマ「ちぇ、どんどんユウリが遠くに行っちまうぜ・・・・・・・・」
シャーベット「危ない、後ろ!」
ノマノマ「え!?うわっ!!」
オシフィエンティムは背後から巨大なビームラムでドラゴスティアの袈裟を切り裂いた。
ユウリ「ノンちゃん!?よし、助けに行く!」
アイア「おっとガンダム嬢ちゃん!アンタの相手はあたしだよ!」

ユウリ「くっ・・・・・・・・・アイアさんか!」
アイア「少しはウデを上げたようだが!?しかして、先日も生き残れたのは
機体のおかげだってことをわかったほうがいいね、賢しい嬢ちゃん」
ギャキイッ!!   二人はビームサーベルで激しく切り結びあう。
ユウリ「何っ!?」
アイア「男に媚びるのが上手いと、新型も運んできてもらえるわけだ。フフ」
ユウリ「あたしが・・・・・・男の子に媚びてるっていうの!?」
アイア「おや、自覚がないとはさらに質(たち)が悪いねえ!」
147第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 01:20:41 ID:???
フリスト「よし、アイア。うまい足止めだ・・・あのスカートがなければさっきのように
複数の攻撃を同時に止めることなどできはしない。行け、MS隊!」
オシフィエンティムは味方MSをFBに向かわせると、自らは両肩部に巨大な
ビームシールドを展開しつつ敵MS群の只中に突っ込んでいった。
圧倒的な火力の前に、ノマノマ達はまったく歯が立たない。

ノマノマ「くそっ・・・・・・・尻尾を切っちゃダメなんだ。尻尾を切っちゃ・・・」
フリスト「ほう?むしろ、自ら切ることもできるぞ」
フリストのひと操作で、長いオシフィエンティムの尻尾は無数のパーツに
分裂しノマノマ達を囲むと、各個にビットとして攻撃を浴びせた。
イズモ「くっそーっ!マジ隊、旋回だ!尻尾を切った分、本体は弱くなるはず
なんだよぉ!」
フリスト「本当にそうかな!?」
フリストはビットの旋回パターンに合わせてマイクロミサイルを発射。どれを
とっても正確に自分たち目掛けて向かってくる攻撃に苦戦している間に他の敵MSは
一斉にFBを取り囲んでいった。

ユウリ「く、くううっ・・・・・・・・」
アイア「終わりだな、ここであたしと心中だよ!」
ユウリ「こうなったら・・・・・・艦長!FB周囲に全開でIフィールドを!」
ニコライ「何、どういうことだ!?」
ユウリ「とにかく、あたしを信じて!」
ニコライ「よし・・・・・・・・わかった!」
次の瞬間、ソル・シャッコーの対艦ウェポンデバイスが一斉に火を吹いた!
148第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 02:22:08 ID:???
ユウリ「これしきでぇーーーーーーーーーーーーっ!!」
次の瞬間、宇宙の塵と消えたのはソフィアのMS群だった。FBが準最大出力で
展開したIフィールドバリアが、ユウリが照射した分のミノフスキー粒子で敵MSの
展開する図に合わせて圧縮・変形させられたことで、そのコンマ数秒前に艦上の
ガンプリから放たれた無数のスカートヴェスバーの弾幕が包み込まれてそのまま
偏向したのである。

フリスト「なにっ!?」
アイア「バカな・・・・・・・・・」
イズモ「よしっ敵は絞られた!俺らはオシフィエンティムをやるから、
若人衆はFBを守りつつユウリを支援してくれ!」
シャーベット「了解!宇宙に慣れてるだけあって少尉は違いますね!」
イズモ「そ、そうか?ヘヘ・・・・^^;」
カルル「よぉし、ユウリ!いま助けに行くからな!」
ノマノマ「いや、俺が先だっ!」

ブリッジから見守るシレジアとアレーナは敵MS隊に包囲された瞬間は緊張した
ものの、ユウリの機転によって救われ胸を撫で下ろしていた。
シレジア「こりゃあ、ウチらが出てく必要もなくね?」
アレーナ「ですわね。あのガンダムの性能だけでなく、ユウリさんの成長も凄い・・・」
ドミトレスク「艦長!前方に高熱源体!」
ニコライ「何、新型か?」
バジリスク「い、いや・・・・・・・所属不明機です」
149第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 02:53:33 ID:???
そのパイロットは、俯いたまま呼吸すら止めているかのようだった。しかし
目は正確に機器の具合を確かめ、やがてアームレイカーをぎゅっと握り締めると
ダンケル・ヴァイスを発進させた。無駄の一切無い加速は、一瞬でFBとオシフィエンティム
の中間に現れた。まるで瞬間移動といっても差し支えないような速さで。

ダンケル・ヴァイスは、まるで琉球武術に伝わる剣と矛を合体させたような、
つまり円形ビームシールドの先にビームソードを展開した武器でオシフィエンティム
周囲のマジ・デウゼーを薙ぎ払ったもののそれは「振り」に過ぎず、自らは
ビームパンツァーを発生させて機体そのものを光弾と化し体当たりと武器の
二重攻撃、つまり終始攻防一体の動きを貫徹していた。これに対抗するべくも
なく、イズモ達はまんまと狙いにはまってFBの方へ後退していった。

アイア「リリアか!?早く、こっちの方も助けろ!」
ユウリ「助けを求めるなんて、アイアさん変わったね!」
カルル「ユウリ!後ろーーーーーーーーーーっ!!」
瞬間、マジ・デウゼーを引き連れて体当たりしてきたダンケル・ヴァイスに
ガンプリは吹っ飛ばされた。すかさず必殺のスカート・ヴェスバーを斉射する
ものの、全てビームフィールドに弾かれてしまう。

ノマノマ「攻防一体だ!どんな攻撃も弾かれちまう・・・・」
シャーベット「そう!だから、それを貫くレベルの攻撃じゃなきゃ・・・
よし、仕方ない!艦長、シレジアさんとアレーナさんに伝えて欲しいことがあります!」
ニコライ「何だ!?」
シャーベット「僕らがホワイトアークUから運んできた、二機のガンブラを
MSデッキの中で攻撃して欲しいんです!」
ニコライ「なにっ!?」
150第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 03:21:25 ID:???
ニコライ「どういうことだ、気でも触れたのか!?」
シャーベット「それはありません。一応、宇宙に出て二週間も経っていますから、
体はともかく精神は正常です。とにかく、早く!」
ニコライ「・・・・・・・・・・そういうことだ!マジ・デウゼー二機よこしてくれ!
シレジアとアレーナも、そのあとでMSデッキに入ってくれ!」
シレジア「えっ、どういうの?」
アレーナ「とにかく、今は言われたとおりにするしかないでしょう!」

戦局はますます苦しくなっていた。息を吹き返したアイアとフリストがダンケル・ヴァイスの
ビームパンツァによる旋回を軸に中距離攻撃を食らわせれば、バスケに例えると
敵が三つのボールを保有しゴール下に侵入してくる相手と二人のスリーポイント
シューターを相手にしなければならないようなものだ。しかも唯一敵機の性能を
上回るガンプリはアイアに密着マークされ得意のスカートヴェスバー一斉射も
歴戦の勇士、ベスパの女豹にはぼちぼち読まれ始めていた。

次の瞬間、FBのMSデッキから中規模の爆発音と嬌声が聞こえた。
アイア「何だ、仲間割れか・・・・・・・・・・くあっ!?」
ガキィッ!!!!!!!!

突如、カタパルトデッキを越えて射出された二つの眩い光の弾丸にレントウが
弾き飛ばされた。姿勢を整えたアイア前方を見ると、青と黄色を基調にした
力強く重厚な機体と真っ赤な機体の中心に巨大な星のシルエットをつけた
スマートで優雅な機体がガンプリと肩を並べトリコロールを形成していた。
シャーベット「V4とV5!間に合ったか・・・・・よし!三人とも聞いてくれ!」




















151第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 03:53:16 ID:???
シャーベット「TRAPAに設定されてる最優先事項、見て!」
アレーナ「アームレイカーの右隅、赤のスイッチ?」
シレジア「こっちは、青のスイッチだ」
ユウリ「白のスイッチ・・・・そうだ!この前やってみたけど何も起こらなかったやつ!」
カルル「そう、それを押すんだ。そして次に出た言葉を順に言って!」

三人がそれぞれ指定されたスイッチを押した瞬間!
ユウリ「ガンダムプリンセスーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
シレジア「エレガント!」
アレーナ「ご、ゴージャスッ!」
コクピットが微弱な振動に包まれMA形態に変形すると、各々がフォーメーションを組んで接近。
まずガンプリが手足と頭を収納して限りなく台形に近い形になると、シレジアの
V4は中心が奥に収納されて折りたたまれた腕部脚部がと結合して長く伸び、ガンプリの
下部に結合。アレーナのV5はこれを逆に実行してハンガーとなり上部に接続
すると、ガンプリの頭部がハンガーの上に突き出た。それはまさしく神々しいという
以外に形容詞の無い、新時代の「3コアブロックシステム」のもたらしたものだ。

フリスト「バカな・・・・!三機のMSがMAに変形、さらに」
アイア「合体して一機のMSになった!?」
リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
コクピットの中にはリニアシートを突き合わせる形でユウリとシレジアとアレーナが
三角形に各方面のモニターに向き合い、呆然としていた。
ユウリ「こ、これは・・・・・・・・」
シレジア「何だ!?くっついて、一緒になっちまった」
アレーナ「これは、一体・・・・・・・」
シャーベット「時間が無いっ!設定されてる最優先事項を!」

152第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 04:26:49 ID:???
ステアウアのトリガーがさらに一回り大きくなったようなものが、胸部の
超弩級ハイメガ粒子砲の前に据え付けられ、チャウシェスクのものと同じ
巨大な剣がトリガーに引っ掛けられた。
アレーナ「三つの武器それぞれが、相互に関連している・・・・?」
シレジア「トリガーはカノンに耐性を持ってて、刀身は使い捨ての矢なのか!」
ユウリ「そして、これをプリンセスカノンで勢いを付けて発射する・・・!」

PEGの姿に驚愕したレントウ、オシフィエンティムがダンケル・ヴァイスの
元に固まった瞬間を狙って、その最強の一発が火を噴いた!
ユウリ「ガンダムプリンセス・・・・・・・・・・・」
シレジア「エレガント!」
アレーナ「・・・・(`‐´)・・・・・・ゴージャス!」
三人「カノン!!!」
トリガーの勢いで加速した刀身が超絶ともいえるメガ粒子を受けて三機に
迫った。わかってはいたが、この威光を恐れた三機はたまらず退却した。

ズアオッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


フリストも、アイアも、そして表情一つ変えてはいないがリリアも、とんでもない
強敵が現れたことを悟った。フリストはアリエルへ、アイアはシュメンへ、
そしてリリアは一言も二人に告げず彼方へ消え去っていった。
アイア「小娘ども・・・・今のうち調子に乗っているといいわ・・・・・・クソッ!」
153第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 05:26:32 ID:???
三人「やった!!!すごーーーーーーーーい(^^)(^^)(^^)!!!」
ノマノマ「すげえ!あれが本当の新型!?」
ニコライ「まったく、ガンブラスターに偽装するなんて世話の焼ける」
シャーベット「仕方ないですよ艦長。最重要機密ですから」
カルル「これでXM11〜13が全部揃ったってわけさ」

イズモ「しっかし・・・あの嬢ちゃんたちに本当に扱えるんかなぁ?」
シレジア「聞こえてっぞ少尉!昇進したからって調子こいてんじゃね!?
嬢ちゃんってのはな、お高くとまってくるくせに人に助けられなきゃ何も
できねー高飛車女のことを言うんだよっ!(`д´)」
アレーナ「あ〜らそれは誰のことかしら?貴女こそせっかく一点物だった剣が
使い捨てに変わってお気の毒ですわねぇホッホッホ(`∇´)」
ユウリ「や、やめなよ二人とも(‐д‐;)・・・・もうコクピットも一緒になったん
だし、これからは本当に仲良くしないと・・・・・・」
シレジア「へん!要は合体しないで勝ちゃいいんだろ!?こんな偏屈な高飛車女とは
ぜーーーーーーーったい合体してやんね!(`∇´)」
アレーナ「あ〜らわたくしこそ、貴女のような生身でもMSでも体力、い〜え
怪力頼みの俗悪下品かつ口の緩い方とはぜーーーーーーーったい合体など
いたしませんわよ!ピリオド(以上)!(`‐´)」

男衆「やれ、やれ・・・・・・・・・・・・・(‐‐;)・・・・・・・・)
154第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 05:29:39 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  カルル     くまいもとこ
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   ノマノマ    矢尾一樹
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


ずっと閉じてた心の蕾    あなたが開いてくれれば











155第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 06:34:42 ID:???
キャスト     
アイア    折笠愛       
ドミトレスク 嶋俊介      
フリスト   関俊彦
ルペスク   津田健次郎   
バジリスク  川本成

誰に笑われたっていい   自分のこと「カワイイ」って言える











156第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 06:51:39 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  西村誠芳
栗意刺激  佐藤正弘   スタジオ・ダブ 瀬沼泰宏
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間













157第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 06:54:25 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
ランダム   スタジオ・ゼウス  黒岩和幸   木村光正


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない













158第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 07:16:31 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない













159第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 07:21:46 ID:???
編集 奥井敦            制作進行  矢島洋一
録音 古林一太郎          美術進行  清水隆夫
音響効果 旭プロダクション     仕上    鈴木国生
選曲 牧正弘            美術    スタジオ・イースター
記録 安食光弘
  



   さあオシャレして 化粧して  アフター5に繰り出そうよ











160第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 07:23:42 ID:???
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて












161第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 07:28:36 ID:???
脚本   遠藤雅範  演出   青木康直
作画監督 西村誠芳  絵コンテ 西森章




   無謀で 純粋で ワガママな自分でいたい・・・・・・











162第二十四話「始動!!!GPEG」:2006/03/17(金) 07:33:29 ID:???

          次   回   予   告


ユウリ「人は宇宙に上がっても、相変わらず旧世紀から続く民族紛争の火種を
消せないものなんだよね。あたしはそういう事ってあまり興味がないんだけど、
仕事でやってる人たちはそうはいかない!遊牧民の蜂起を利用して、ソフィアの
占領軍を追っ払おうって、感心はできないけど悪くはないよね!(^^)


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              ロマの蜂起

          ガンプリは、みんなで見てね!



163:2006/03/17(金) 07:59:15 ID:???
>>138
>>139
>>140
採用。
164通常の名無しさんの3倍:2006/03/17(金) 09:01:16 ID:???
これ何話までやるの?
39話?52話?
165通常の名無しさんの3倍:2006/03/17(金) 14:28:26 ID:???
時間見たら作者一晩中大変だったんだな・・・
お前の根性には脱帽だ
166通常の名無しさんの3倍:2006/03/17(金) 23:59:57 ID:???
アイアの失敗が元でリリアの帰還の予定を切り上げたってあるけど(>>141
土星、木星圏から地球圏に戻るのってどのくらいかかるの?







シツモ・N・クーン
本編には登場しないが、ときたま思い出したようにスレにあらわれる人物。
重箱の隅をつつくような質問をする。
実は地球連邦政府の諜報部員でいろいろと嗅ぎまわっているらしい。
167:2006/03/18(土) 00:17:29 ID:???
>>164
五十話
>>165
そりゃどうも
168第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 01:04:32 ID:???
フリスト「ダーゴル大尉から伝言だ。ひとまずは地球上に不干渉を貫いてほしいと」
アイア「軽率ですね。もしマスコミに嗅ぎ付けられたら・・・・ひとまず、
豚が地球から帰還したのはいいとして、私が残した部隊にも好き勝手やらせぬ
よう言い聞かせておきます」
フリスト「それに関しては大丈夫じゃないか。シツモは既に我々の手中にある。
レフスキ元帥が、元々は取り込むように動いてくださったのがありがたいが、
ベスパとサナリィ経由のコネがなければできなかった話だ」

アイア「それだけにリィズ・アノーは目障りですね」
フリスト「ああ。既に月軌道で連中の撃破に失敗してから二週間だ。豚は我々の
行動に待ったをかけたが、何を考えているやら・・・・・・」
アイア「とりあえず、今までどおりFBとロマニアは私に担当させて下さい。
その間に中佐はスタラ・ザゴーラとの合流を」
フリスト「わかった。敵の新型に関してはデータ収集を最優先としよう。それを
リリア少佐に与えてやれば、あの性格だ、躍起になってそれを上回る新型の
開発に全力を注ぐだろう」
アイア「私はぶらさげる人参の調達係ですか」

フェレンツバロシュは追っ手を振り切り、ようやく懐かしの故郷サイド7の
宙域へ到達しようとしていた。
169第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 01:31:11 ID:???
ニコライ「みんな、準備はできているか?地下に逃れた有志からは既に連絡を
受けている。港を急襲しても構わないそうだ。地球を経て、強くなった俺達なら
ロマニアを必ず奪回できると信じるんだ。聖コンスタンティヌスの御加護を!」
「聖コンスタンティヌスの御加護を!」
全クルーの鴇の声と同時に、MS隊が舷側を固めてコロニーに近づいた。

と、すかさず宇宙港とコロニー外壁に配置されていたハジ部隊がライフルを
一斉射してきた。FBは艦橋をビームシールドの展開で守ると、ガンダムチームは
その外周に展開して一斉にスカート・ヴェスバーを見舞った。それはあらかじめ
展開されていた屈曲Iフィールドに沿って綺麗に敵MSを全滅させた。
警戒警報がけたたましく鳴り響く中、FBは味方のMSを張り付かせながら
コロニーの中へ入っていった。

収容所に集められていた人々は、コロニーの内壁にぶつかって大きく鳴り響く
サイレンに眼を丸くする。どんな鈍い人でも、これが救援だということがわかった。
しかし地下組織との通信を受けていたグループが素早く手紙を伝わらせて
すぐに外へ出てはいけない、ということを肝に銘じさせた。
間もなくガンダムチームを先頭にしたMS群がコロニー内に突入し、ハジ、
トムル、ゾロアットを先頭にしたソフィアのMS群と交戦を開始した。
170第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 03:48:50 ID:???
約半年前、マジ・デウゼー、Rジャベリン、Rヘビーガンを主力としたロマニアの
戦力はソフィアの新型ハジとベスパからもたらされた戦力によってことごとく
駆逐された。しかし時は流れ、連携を高めたマジ・デウゼー隊とガンダムチームの
圧倒的な戦力の前ではソフィア軍はなすすべも無かった。

たとえ局面で一対一で抜けようとも、すかさずガンダムチームの放つスカートヴェスバー
の弾幕によって再びハジ隊は後退を余儀なくされ徐々に自分達のゾーンを
狭められていったのであった。すかさず首都各所から援護のMSが飛び立つも、
ヘビーガン、シャベリンが精一杯。乱射されたハンド・グレネードは容易に
弾き返されて味方の損害を増やすばかりだった。やがてFBが意図的に開けた
コースを通って彼らは撤退していった。

ニコライ「やけにあっけないな・・・・・・・?」
しかし望郷の念は彼らの気持ちを緩めていた。さしあたって、ユウリがPガンダムに
乗ってハジを駆逐したまま放置されていた連邦軍駐留基地の、元あった格納庫へ
FBは着艦した。
シュヴァッ!!!!!
ドミトレスク「艦長!機影を捉えました、三時、四・・・いや!囲まれています!」
171第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 04:30:45 ID:???
アイア「フフッどうや、ら・・・・・・間に合ったか」
ニコライの予感は当たった。フリストもアイアも、FBを焦って追わずウーイッグ
に降りたところで奇襲した、あの作戦の再現を狙ったのである。当然ソフィア軍が
ロマニア侵攻に使った初期戦力では現在のガンダムチームを筆頭としたFBの
MS隊に勝ち目は無い。ならば一度はやられたように見せておいて、まだ出ていない
占領軍の奇襲と合わせてアイアが量産を申し込んだシュグナイド、ソル・シャッコー、
ソル・コンティオを大量に送り込めば十分に包囲できると考えたのだ。彼らとて
伊達にロマニアを領地として確保し占領してきたわけではない。

ユウリ「アイアさん!?ほんっとうにしつこい・・・・・・・・!」
アイア「だったら、どういうんだよ!?えっ、嬢ちゃん!?」
アイアがガンダムチームの中心に突っ込み陣形が乱れた瞬間を狙って、
ソル・シャッコーのメガビーム砲がFBの格納庫の右辺を突き破った。
急いで格納庫から展開する他のMS達も既に包囲されていることを知った。
たとえ機体性能で劣っていても、アイアの技量を持ってすればガンダムチーム
三人を足止めすることは容易だ。
アイア「行け者共!ガンダムチーム以外はザコだ!」

シュグナイド隊が縮退の微調整を繰り返してビームを乱射した。
ノマノマ「ザコだとぉ!?」
シャーベット「落ち着けよ、機体のことを言ってるだけだ」
カルル「言わせておけばーーーーーーーーっ!」
シレジア「落ち着けよ、本当のことだろ!?(^∀^)」
アレーナ「シ、シレジア・・・・・・・(‐‐;)」 
172第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 04:44:30 ID:???
と、いうようにホワイトアークUからやってきた二人との連携は、月軌道での
戦闘以来実戦で深める機会が皆無だったこともありちぐはぐであった。この
状況に遅れて入ってきたホワイトアークUの主砲が放たれるも、十機近い
ソル・コンティオが前後に分かれて陣形を作り、後部はビームフィールドを
集団で展開して大出力ビームによる中距離からの迎撃にも備えていた。

ユウリ「くっ、ビームフィールドならこっちだってーーーーーーっ!」
アイア「おっと、もうその手は食わないんだよ!」
ユウリ「わぁっ!!」
アイアはレントウのサーベルで、ガンダムPrincessの脛部にあるスラスター形の
口に打撃を食らわせた。行き場を失った出力が暴走し脛部に小爆発を起こす。
アイア「おそらくは、そいつで予め展開したIフィールドをその後のスカート
ヴェスバーの出力で任意に変化させてるんだろ?ビームフィールドの発生器と上手く
使い分けて混乱させようって腹でも、ベスパの女豹に同じ手は二度通じないんだよ!」

アレーナ「ユウリさん!」
アレーナは即座にユウリを援護しようとするが、前方に歪曲させた連装ヴェスバーの
軌道にすぐさまレントウがガンプリを投げつけてきた。絡み合って吹っ飛ぶ二機。
アレーナ「ちょっ、ユウリさん!離れなさい!いつまでくっついてるの!?
わたくしのツルヴェナ・ズヴェズダに傷を付けないでくださいます!?」
ユウリ「そ、そんなこと言われたってーー!!」
シレジア「ちっきしょぉ!いくらコマネチの性能が高くたって、こんなに数が
多くちゃラチあかねーよ!」
ナディア・コマネチのスカートヴェスバーは時間差で各所から出てきたトムルや
シャベリンの大群を正確に撃墜するものの、一段装甲の優れたシュグナイド隊は
その爆風を縫ってコマネチを取り囲んでいた。
173第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 05:40:36 ID:???
別に、数がそれほど多かったわけではない。しかし量産されたソル・コンティオが
集団ビームフィールドで防壁を築き、ソル・コンティオが対艦パックで大規模
攻撃を仕掛け、シュグナイドがこの二種を補佐することでガンダムチームといえども
容易には接近できなかった。このような余裕の無い状況であればハジやトムルの
大したことの無いビームトマホーク攻撃ですら直撃を許してしまうユウリ達だった。
しかもそのユウリ達が高性能で上記三機を一掃できないよう、アイアが例によって
密着マークをしていたのだ。戦略と私怨が上手く噛み合っていたのである。

ニコライ「よし、ガンダムチームはとにかく艦を守ってくれ!それ以外のMSは
ザコをユウリ達に近づけないでくれ、頼むぞ!」
カルル「艦長、それ以外たぁどういうことです!?俺達はザコ退治要員てことっすか!?」
シャーベット「やめろカルル!ここはカミオンじゃない、郷に入っては郷に従え!」
ノマノマ「そういうこった!」
イズモ「どうした若造共!?動きが鈍ってるぞ!」
シャーベットとカルル、ノマノマは初めてのコロニー内戦闘であった。コロニーの
自転方向と逆側に向かって全力でスラスターを吹かさなければいけない状況が
上手く理解できず、それが経験者のイズモには苛立たしかった。

シレジア「よし、こうなったら三機同時のスカートヴェスバー連射っきゃねーべ!?」
アレーナ「シレジア!?それは、それは無茶ですわ!」
ユウリ「そうだよ!アイアさんはあたしが何とかするから・・・・!」
アイア「何とか出来ないから、苦しんでるんだろ!?」
レントウのニーパットでガンプリが吹っ飛んだ。
アレーナ「それなら確かにビームフィールドを突破できるかもしれませんわ!
けど、ユウリさんのIフィールドが上手く展開できない状況では、正確に
敵を落とせず町に被害が・・・!」
シレジア「じゃ、どうしろってんだよ・・・・・・・ん!?」

174第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 06:00:29 ID:???
彼女の眼には、廃墟を突き破って上昇してくる勇ましいエンドラ級「ブリュンヒルデ」
が映っていた。その姿に敵味方は硬直して唖然としているが、FB艦内の
民間人、ニコライ以下ブリッジメンバーは歓喜に沸いていた。
ニコライ「ブリュンヒルデだ!ミルセア中将が乗ってらっしゃるのか!?」
次の瞬間、戦場に流れた緊張を突き破るようにブリュンヒルデのカタパルトデッキ
から無数の青と白のストライプを纏った鮮やかな色彩のMSが飛び立った。

素早い動きでソル・コンティオらを惑わすその機体は次々に敵MSを撃退していく。
が、奇襲もいつまでも続くわけが無く、レントウのアイアが見かねて背後から
サーベルで襲い掛かると、右腕部から小さな翼型の鋭いビームが放射され、
完全に死角だったアイアはそれをまともに浴びてしまった。
アイア「何だ!?新兵器なのかッ・・・ぐっ」
ニコライ「その動き、キブだな!?クリスティアン・キブ少尉!」
キブ「久しぶりだなニコ!悪いが俺はもう大尉だぜ」

ニコライ「完成してたのか、ジム[・・・・・・・!」
キブ「ああ。しかし、俺としちゃあジークフリードって呼び方に誇りを感じるね!」
キブ大隊長に率いられたジークフリードは、前々からマスコミを通じて報道されて
いたこともあって、シェルターや収容所から出てきた市民の熱狂的声援を受けていた。
が、よく見ると彼らの姿は占領下とはいえいかにもみすぼらしく、浮浪者のようだ。
175第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 06:31:58 ID:???
彼らは腐臭を匂わせる壺を振り回して声援を送っていた。その対象はガンダムチーム
ではなくジークフリード隊であった。
ニコライ「まさか・・・・・・・・ロマか!?」
キブ「そうさ。十日前、ソフィア侵攻の混乱に乗じて連中が皇室に対してデモを
仕掛けたんだ。でもソフィアが彼らの解放を視野に入れていないこと、
都市部での雇用を求めているとわかったとき、軍の人手不足を補うにはこれしか
方法がないって思ったのさ!」
ジークフリード隊のメガビームシックルは腕部から次々にスペアを出し、単調な
ライフルとサーベル攻撃の合間を縫って繰り出され敵MSを駆逐していった。

ユウリ「よし、アイアさんが離れてくれた!今しかないよ、合体しよう!」
シレジア「オッケイ、その台詞待ってたぜ!準備はいいよなお嬢様!?」
アレーナ「何故わざわざ余計なことをっ・・・・・(`Ш´)ユウリさん、どうぞ!」
ユウリ「ガンダムプリンセスーーーーーーーーーーーーーっ!」
シレジア「エレガント!!」
アレーナ「ゴージャス!!!」

コクピットが微弱な振動に包まれMA形態に変形すると、各々がフォーメーションを組んで接近。
まずユウリのガンプリが手足と頭を収納して限りなく台形に近い形になると、シレジアの
コマネチは中心が奥に収納されて折りたたまれた腕部脚部がと結合して長く伸び、ガンプリの
下部に結合。アレーナのズヴェズダはこれを逆に実行してハンガーとなり上部に接続
すると、ガンプリの頭部がハンガーの上に突き出た。それはまさしく神々しいという
以外に形容詞の無い、新時代の「3コアブロックシステム」のもたらしたものだ。

176第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 07:44:05 ID:???
ノマノマ「よし、ジークフリード隊!離れてーーーーーーーっ!!」
キブ「何ッ・・・・・・!こりゃあ、確かに凄い熱源だ!」

ユウリ「ガンダムプリンセス!」
シレジア「エレガント!」
アレーナ「・・・・ゴージャス!(><)」
三人「カノン!!!」
ズアヴォッ!!!!!!!!!!!!!!!
アイア「ぐっ、またいつもの・・・・・・・・!!!」

合体したPEGの展開したIフィールドはガンプリの損傷を補って余りあるほど、
正確にその力強い光の柱を偏向・分散させいち早く危険を察知したレントウ以外の
敵MSを跡形も無く駆逐したのだった。
勝利で凱旋したFBとMS群を、市民が歓喜で出迎える。老若男女も階級も関係ない。
聖コンスタンティヌスがロマニア皇国を悪しき侵略者から解放したこの日は、
即日「解放の日」としてサイドの祝日に決定した。が、英雄であるPEGを
取り囲む群衆が何やら内輪もめを始めた光景をユウリ達は凝視していた。
数人の若者が、家畜の糞で燃性を高めた壺を臭がってロマに罵声を浴びせ始めた
のである。するとすかさずロマも反撃し、やがて大乱闘に発展した。
177第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 09:09:45 ID:???
ニコライをはじめとして地下から出てきた皇国軍士官は事態の収拾に当たり、
やっと落ち着いたときには人工の夕日がコロニーを茜色に染めていた。
無理も無い。ソフィアの侵攻で警察・治安組織は麻痺していたのだから。
ブリュンヒルデはFBと接舷し、艦の修復作業が始まった。

ニコライ「本当に久しぶりだな・・・!死んだと思っていた」
キブ「よく言うぜ!お前こそ重力の井戸で溺れずよく戻ってきた・・・・ところで
聞いたか?あの話」
ニコライ「あの話?」
キブ「イオン王子が戻ってくるっていう話さ。機密だけどな」
ニコライ「訓練中に重傷を負ったと聞いたが?」
キブ「どうだかねぇ。まぁ真相はともかく、動ける艦は全てソフィアの手に渡らず
こうして揃えられた。あとは王子の宣戦を待つだけだな」

ユウリ「艦長!お怪我、ありませんでしたか?」
キブ「何だ、この娘?お前の新しい彼女か?」
ニコライ「ちっ、違う!それにメイラとはまだ別れてない」
キブ「じゃ、どういう関係だよ」
ニコライ「ガンダムのパイロットだよ!それ以上でもそれ以下でもない」
キブ「なにぃっ!?じゃ、この子が五機のハジを一瞬で倒したって、噂の!?」
シレジア「そうっすよ。ま、世話は焼かせてくれるけどね」
アレーナ「本当。未だに自分の世間的立場がわかってらっしゃらなくて」
キブ「おっ、そういう君はアレーナ・ヨルダネスク。憶えてるかい?春先、
JrMS選手権でカミーユ・ビダン杯を授与したクリスティアン・キブだよ!
喜べよ。グリーンオアシスからご両親が帰ってきたんだ」
アレーナ「・・・・・・・・・!・・・・・お父様と、お母様が?」
ユウリ「どうしたの、アレーナ様?」
178第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 09:19:01 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  カルル     くまいもとこ
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   ノマノマ    矢尾一樹
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


ずっと閉じてた心の蕾    あなたが開いてくれれば














179第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 09:23:35 ID:???
キャスト     
アイア    折笠愛       
ドミトレスク 嶋俊介     
キブ     結城比呂
アイア    折笠愛
フリスト   関俊彦


誰に笑われたっていい   自分のこと「カワイイ」って言える











180第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 09:37:30 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  小林利光
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間














181第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 09:43:53 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない













182第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 09:50:22 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない













183第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 09:53:30 ID:???
編集 奥井敦            制作進行  矢島洋一
録音 古林一太郎          美術進行  清水隆夫
音響効果 旭プロダクション     仕上    鈴木国生
選曲 牧正弘            美術    スタジオ・イースター
記録 安食光弘
  



   さあオシャレして 化粧して  アフター5に繰り出そうよ














184第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 09:58:01 ID:???
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて















185第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 10:07:00 ID:???
脚本   隅沢克之  演出   神戸一彦
作画監督 小林利光  絵コンテ 空母そ・そ・そ・そ




   無謀で 純粋で ワガママな自分でいたい・・・・・・














186第二十五話「ロマの蜂起」:2006/03/18(土) 10:13:31 ID:???

          次   回   予   告


ユウリ「王子様って、時代が変わっても人が宇宙に上がっても永遠に女の子の
ロマン!その王子様が帰ってくるっていうんで、街は大盛況なんだよね。
ところで、あたしが勝手にとっちゃったプリンスガンダムのこと、王子様は
怒ってないかな?まぁ国の指導者たるもの、細かいことは気にしないよね、うん。


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              王子の帰還

          ガンプリは、みんなで見てね!






187通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 12:28:03 ID:???
Jrモビルスーツ選手権歴代優勝者

0084 カミーユ・ビダン
0085 カミーユ・ビダン
0086 カミーユ・ビダン
0087 ギュネイ・ガス
0088 ケネス・スレッグ
0089 レーン・エイム
0090 ケネス・スレッグ
0091 レーン・エイム
0092 ジュリア・スガ
0093 シェルフ・シェフィールド  
0094 ロッド・ハイン
0095 ロッド・ハイン
0096 フェンサー・メイン
0097 ミヘッシャ・ヘンス
0098 ミヘッシャ・ヘンス
0099 デフ・スタリオン
0100 ムッターマ・ズガン
0101 ムッターマ・ズガン
0102 バズ・ガレムソン
0103 バズ・ガレムソン
0104 トッリ・アーエス
0105 シェルフ・シェフィールド
0106 トッリ・アーエス
0107 バズ・ガレムソン
0108 マヌエラ・パノパ
0109 レアリー・エドベリ
0110 ミンミ・エディット 
188通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 12:36:29 ID:???
0111 トッリ・アーエス
0112 トッリ・アーエス
0113 トッリ・アーエス
0114 ザビーネ・シャル
0115 ウィリアム・ジェイコブ
0116 トッリ・アーエス
0117 アンナマリー・ブルージュ
0118 ドレル・ロナ
0119 アンナマリー・ブルージュ
0120 ハリソン・マディン
0121 ハリソン・マディン
0122 ガリー・タン
0123 ペトル・デプレ
0124 ディ・トランプ
0125 フェレンツ・バロシュ
0126 ペトル・デプレ
0127 フェレンツ・バロシュ
0128 ゴッドワルド・ハイン
0129 ガリー・タン
0130 ミサキ・アイザワ
189通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 12:44:15 ID:???
0131 バクー・チー
0132 レオン・イリエスク
0133 アルベオ・ピピニーデン
0134 アルベオ・ピピニーデン
0135 タシロ・ヴァゴ
0136 タシロ・ヴァゴ
0137 アルベオ・ピピニーデン
0138 カズー・ミウラ
0139 アーネスト・リゲル
0140 ヘンリー・ダグラス
0141 カズー・ミウラ
0142 ヘンリー・ダグラス
0143 ミリエラ・カタン
0144 オリファー・イノエ
0145 ジュンコ・ジェンコ
0146 マチス・ワーカー
0147 パトリック・ブーン
0148 ネネカ・ニブロー
0149 アイア・コッカ
0150 ジェニファ・ジェレフ
190通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 12:53:02 ID:???
0151 アイア・コッカ
0152 アイア・コッカ
0153 フリスト・ボネフ
0154 セバスティアン・ケール
0156 チリアコ・スフォルツァ
0157 フェリックス・マガト
0158 ベルティ・フォクツ
0159 ユップ・ハインケス
0160 クリスティアン・キブ
0161 ヴィクトル・エーリッヒ
0162 ホルスト・ルーベッシュ
0163 カール・ハインツ・ルムメニゲ
0164 アレーナ・ヨルダネスク
0165 アレーナ・ヨルダネスク
0166 アレーナ・ヨルダネスク
0167 アレーナ・ヨルダネスク
0163 
191通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 13:15:43 ID:???
最多優勝回数 6回(トッリ・アーエス)
最年少優勝記録 6才(トッリ・アーエス)
最多連続優勝記録 4回(アレーナ・ヨルダネスク)
最多出場回数 13回(ペトル・デプレ)
最小敗戦記録 カミーユ・ビダン(地区予選・本大会予選グループ無敗)  

優勝者授与品
カミーユ・ビダン杯 トッリ・アーエス杯 マチルダ・アジャン杯
賞金300万ギラ 地球連邦青少年健全育成委員会賞 スレッガー・ロウ盾
ブライト・ノア旗 地球連邦軍本部施設・技術研究所見学ツアー券

準優勝
ジェリド・メサ杯 ハヤト・コバヤシ杯 アストナージ・メドッソ盾
賞金100万ギラ 非戦闘用ジェムズガン1体 

三位
アポリー杯 レズン・シュナイダー盾 カイ・シデン旗 賞金40万ギラ

敢闘賞 カツ・コバヤシ杯
フェアプレイ賞 ライラ・ミラ・ライラ杯
ダーティプレイ賞 バスク・オム杯 罰金1000万ギラ 
192通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 22:22:03 ID:???
コスモ貴族主義のからんだ話キボン
1931:2006/03/19(日) 13:30:29 ID:???
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1142071587/

dat落ちした第一話〜第十九話再放送および設定まとめ用スレ。
ここまで出た全ての案・本編への反映・全体的整理に使用します。
ストーリーに対する意見・要望は従来どおりこちらで。

>>192
採用。
194通常の名無しさんの3倍:2006/03/19(日) 15:26:53 ID:???
そろそろOPが変わる頃なのでMIOに熱く熱く熱く燃え滾る萌えソンを歌ってもらいたいです
(萌えソンなのはプリンセスを意識して)
195通常の名無しさんの3倍:2006/03/20(月) 23:32:04 ID:???
そろぞろグロを出す頃合ではないかな
リィナの血みたいな
196通常の名無しさんの3倍:2006/03/22(水) 20:20:17 ID:???
保守
197オープニングテーマ「GUNDAM PRINCESS」:2006/03/23(木) 03:46:14 ID:???
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS

  
198第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 03:57:51 ID:???
ロマニア皇国は復興の途上にありながらも、フェレンツバロシュとMS隊の
到着・ソフィア占領軍撃破によって活気を取り戻していた。が、これは平和を
意味するものとは限らない。ロマニア皇国はサイド7にあってベスパの侵略を
受けた数少ないコロニーだ。これが昔からの連邦軍との強い結びつきを表した
ものであるとはいえ、再び自分達の領土を荒らされたことに対する怒りは強い。

イオン・イリエスク王子の帰還とともにロマニア皇国は連邦軍から供与された
戦力の全てを持ってソフィアに反攻するものという見方がここのところ強まっていた。
プロジェクト・ロマニアはソフィアの侵攻によって崩れたものの、地下に逃れた
ロマニアと連邦軍の技術者は結束を深めていた。利益誘導のための政治的な
駆け引きではなく本気でロマニアに自衛力をつけさせようとした結果、設計図の
段階で止まっていたジークフリード以下の新MSも続々と完成し、その戦力は
先日の首都上空会戦で証明されたのである。

が、ともかくイオン王子はまだ国民の前に姿を現したわけではなく、ユウリら
防衛大付属高校の面々も各自家に戻るか、家を壊された生徒は緊急用のプレハブで
生活することによって再び懐かしの故郷に戻ることが出来た。ソフィアがロマニア
を領地として使用することを念頭に入れていたおかげでコロニーの自転機能も
ほぼ正常であり、むしろお粗末になっていた公共物投資、インフラ整備へ向けて
コロニー公社に本腰を入れさせるという効果もあったのである。
199第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 04:20:37 ID:???
生徒達は各自の家からFBに登校するという奇妙な生活を送っていた。
新しい校舎が完成するまでの暫定措置である。イオン王子の帰還と宣戦、
新校舎完成が同時に行われるよう調整されればベストだった。
ある日の授業終了後、すっかりお馴染みになった一緒の下校中に、三人は
身分が高いと明らかに思われる中年の夫婦がニコライと話しているのを廊下で
見て、ユウリとシレジアは何とも思わなかったがアレーナが足を止めた。

シレジア「どったの、アレーナ?」
アレーナ「・・・・・・・・・お父様!お母様!」
アンヘル「アレーナ!」
固い抱擁の後、アンヘルはアレーナのヘアバンドを撫でてまた親子三人
生きて出会えたことに感謝した。アメーバも激しい戦いと緊張の連続を
経てまた成長したアレーナの腰の括(くび)れを見て微笑んでいた。

アレーナ「何処へ行っていたのです、本当にもう会えないかと・・・・」
アンヘル「アンジェイから聞いていなかったか?グリーンオアシスで
アリーナに会って来たのだよ。とりあえず件の男性とも話した」
アレーナ「お姉さまと?いえ、アンジェイから聞いた話と矛盾していますわ」
アンヘル「どういうことだ?」
アレーナ「このコロニーは言論自由です。貴方がたをブルジョワの高飛びと
揶揄する輩もいるんですわよ。かく言うわたくしも、このロマニアの危機に
際してジークフリードの設計を指揮せずに逃げたと思い込んでいましたの」
200第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 05:41:57 ID:???
アンヘル「それは違うな。そして、だがしかし、私の言っていたことにも誤りが
あることを素直に認めよう。私はブッホ・コンツェルンの知り合いと会っていたのだよ」
アレーナ「ブッホ・コンツェルン?」
アンヘル「ああ。この危機に際しロマニアだけの戦力ではソフィアに到底対抗し切れない
と見て親交のあるブッホグループから使っていないザムス級やMSを貸与できるか
談してみたのだ。その収穫はあった。そのことをニコライ中尉と話していたのだよ」

アレーナ「そう、ですか・・・・・・・・・まだわかってらっしゃらないのですね」
アンヘル「わかっていない?」
アレーナ「ええ。アンジェイが言ったようにヨルダネスクに生まれたものは一時の
感情に左右されず大きな器と視座で社会全体を洞察し民意と民利を鑑みた行動を
執らなければならない。しかし、貧しいコロニーが軍需産業に傾倒するのは
さらなる戦争の火種を生むだけなのですわ。そろそろその先の需要が見えてきてもいい
時代なのに、我々一族はMSを戦争の道具ではなく女性の社会進出のステップにまで
発展させたとわたくしでさえ自負しているのに、兵器の生産を抑制しようとしない。
そういう方だから、娘二人に造反されるのですわ」

アンヘル「アレーナが娘に家出される父親の気持ちを考えているとは知らなかったが、
もう一人は自分のことか?お前は自分の意思でパイロットになったし、私はお前が
幼いころからMSに乗ることを押さえつけようとはしなかった。お前が今年の春、
表彰台でカミーユ・ビダン杯を受け取ったとき、同じカップが四つも部屋に飾られて
いるのを見たときは誇らしかった。私はお前に逃げられたとは思っていないし、
アリーナとは状況も背景も違うではないか」
201第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 06:55:17 ID:???
アレーナ「それは、詭弁です。貴方は自分の意思を伝えるのが御下手だから」
アンヘル「いみじくもお前が言ったな、ヨルダネスクの精神を。ならば私が
あの時に執りうる最善の行動を理解してくれ。お前が忌避するように民間企業が
簡単に政府にMSを提供するのは談合であり、サイドの条例にも抵触する。よって
あの段階ではマジ・デウゼーがロマニアの出せる戦力の限界だったのだよ」

アレーナ「・・・・わかりました。お話は今夜、ゆっくりと・・・ピリオド(以上)」
アンヘル「待ちなさいアレーナ」
アレーナ「まだ何か?」
アンヘル「いや、そこのお二人は友達か?」
アレーナ「・・・・そうですわね、友達以上の存在と言った方が正しいかと」
アンジェイ「なっ!!!!!!!!!!!!!!なっ!!?????何という
御言葉!?アレーナ様、お父様のご機嫌をこれ以上損ねるのはお止めください!
友達以上などと・・・・・・・・・・女子同士の恋愛など全く不健全かつ非生産的ですぞ!?」

アレーナ「ま、こちらは放っておいて・・・・紹介しますわ。同じクラスで、FBの
MS隊で共に戦っているユウリ・イワノヴィッチ・スターリニスカヤさん」
ユウリ「は、ハジメマシテ。サー・アンヘル・ヨルダネスク様」
アレーナ「そして、こちらが・・・・・・・」
シレジア「うっす!はじめまして!シレジア・ファン・ホーヴェンっす」
アレーナ「・・・・・・・・・・・・とまぁ御覧のような性格ですわ」
202第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 08:15:09 ID:???
アンヘル「はっはっ、ご遠慮なさらずに。いつもうちのアレーナと仲良くして
頂いてありがとうございます。天馬な娘ですがどうぞこれからもよろしく。
ところで、噂のガンダムのパイロットという女の子はどちらかな?」
ユウリ「あ、はい・・・・・・・あたしです」
アンヘル「ほう。マシンナリーの大会で何か実績でもあるのかね?」
シレジア「いや、コイツはメカに関してはサッパリですよ」

アンヘル「それでは俗に言うニュータイプというわけか・・・・・・・・はっはは。
アレーナ、負けないように頑張るんだぞ。ところでどうです、今日は週末で
まだ昼時ですし我が家にお茶でも飲みにきませんかね?」
シレジア「え、いいんすか?」
アンヘル「もちろんです。アレーナももう少し、別の意味で社交的にならなくては。
せっかく財界のパーティーに特注の赤いドレスで連れて行ってやっても、
男と名のつくものにはとんと興味を示しませんで」
アメーバ「本当に。アレーナが家に友達を連れてくるなんて何年ぶりかしら」
アレーナ「全く、余計なことばかり・・・・アンジェイ!いつもの車を二台」

ユウリとシレジアはヘチマコロンの匂いが充満するリムジンで緊張していた。
ボディもタイヤも十分毎に交換しているのではないかと思えるくらいに、
傷や埃ひとつついていない。しかも驚くべきことに親子三人が乗っている前方の
車両と同じく、真っ赤な塗装を施されていた。カーナビはもちろんのこと、
有線カラオケ機能までついていて、自分達の暮らしとのあまりの格差にいつもは
友人・同僚として馴染んでいるアレーナが改めて別世界の人間だと認識し、あちこち
珍しそうにベタベタ触って十円傷をつけたりしているシレジアはともかく、
ユウリは思い悩み気持ちを沈ませてしまうのだった。
203第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 09:19:40 ID:???
着いた屋敷は首都郊外の、どう考えても非現実的なほど広大な敷地と庭園の中に
あった。その敷地の中を、外から来た訪問客が一通り見て回れるようなループ状の
道路の端々には、ビジャン・ダーゴル中尉から送られたノイシュバンシュタイン城の
1/5レプリカ、サナリィとの技術提携契約を記念して贈られた1/2クラスターガンダムの
レプリカ、日本風の庭園、植物園、動物園、水族館、シャルンホルスト・ブッホの
親愛メッセージが彫られた碑石、旧世紀から宇宙世紀までの科学技術発展経緯を
収めた博物館、ドームの中で気候調節によって維持されているタイガ雪原、
オペラ座、MS教練用スタジアム、人工小麦畑、ガンダーラ石窟のレプリカ大仏
・・・・・・・・・・・などなどいちいち列記するのも馬鹿馬鹿しくなるほど贅を尽くした
施設が充実していた。

ユウリ「すごいなぁ・・・・・・・あたしもこんなところで生活してみたい」
シレジア「ケッ、こんなもん作る金あったら少しは社会に貢献しろってんだ」
二人は屋敷の前で降ろされ、丁重に挨拶を済ませた夫妻と別れてアレーナに
部屋まで案内された。
アレーナ「わたくしの後をちゃんと付いてきてね。迷子になるから」
シレジア「こんなたくさんの部屋、何に使ってんだよ?」
アレーナ「大体は資料室。それと、お手伝いさんたちの寮かしら」
ユウリ「うわーーーーーーーー・・・・・・・」

アレーナの部屋は、予想していたものよりは幾分小さかったが、西洋、風の内装と
煌びやかな化粧棚、部屋いっぱいに満ちたラベンダーの香り、レースカーテン付きの
ベッドは明らかに庶民とは桁の違う世界を演出していた。が、一際眼を引くのは
部屋をぐるりと囲んだ本棚の内容である。孔子、春香伝、ラーマーヤナ、新約聖書、
我が闘争、日本書紀、プレーム・チャンド、悪魔の詩、ブースターン(薔薇園)、
ユヌス・エムレ、ズールー族史、アーサー王の死、嵐が丘、レ・ミゼラブル、
悪の華、構造人類学、ニーベルンゲンの歌、若きウェルテルの悩み、ヒュペーリオン、
H・エンツェンスベルガー詩集、
204第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 10:04:26 ID:???
ヨハンナ・スピリ「ハイジ」、A・シュニッツラー著「内的独白の功罪を語る」、
ホモ=ルーデンス、G・シムノン作「メグレ警視」シリーズ、カルビーノSF全集、
ストイケア幾何学原本、ドン=キホーテ、ヘンリック・イプセン短編集、
エイノ・レイノ詩集「聖霊降臨祭賛歌」、ソラリスの陽の下に、カレル・チャペック作
「山椒魚戦争」、プスタの民、ソネットの花冠、オスマン帝国史、大尉の娘、
死せる魂、二葉亭四迷、チェーホフ戯曲集、カラマーゾフの兄弟、アンナ・カレーニナ、

モルグ街の殺人、ドグラマグラ、マーク・トウェイン全集、安部公房「砂の女」、
伊坂幸太郎「グラスホッパー」、T・S・エリオット叙事詩集、村上春樹作
「バート・バカラックはお好き?」、さようならコロンバス、ライ麦畑でつかまえて、
マーガレット・ローレンス作「石の天使」、山田風太郎作「南総里見八犬伝」、
孤独の迷宮、吉行理恵「猫の見る夢」、ガルシア・マルケス「百年の孤独」、
渡瀬草一郎「陰陽ノ京」、ラ=カテドラルでの会話、羅門祐人「平成愚連艦隊」、
グラシリアノ=ラモス作「乾いた土地」、灰谷健次郎「はるかニライ・カナイ」、
ホルヘ=ルイス=ボルヘス作「幻視者」、福永武彦作「忘却の河」、
ザビア・ハーバート作「かわいそうな私の国」、林真理子「ルンルンを買っておうちに帰ろう」

・・・・・・・・・・・・などなど錚々たるタイトルが並んでいるスペースはごく一部分であり、
大半は「MS実技の基礎」「MS開発史」「ミノフスキー物理学教本」
「駆動パルスの扱い方」「AMBAC制御の矛盾を暴露する」等々のシリーズと
千冊以上とも思える自作の訓練ノートで埋め尽くされていた。さらにその本棚の
内壁にはゴヤ画「マドリード五月三日の処刑」、部屋の隅にはドナテロ作「ダビデ像」、
天井にはピカソ作「アビニョンの娘達」、床はデューラー作「騎士と死と悪魔」・・・
といった傑作がパソコンソフトでコピー・圧縮・加工して描かれていた。
205第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 10:39:32 ID:???
アレーナ「・・・・・・・・・どう思った?」
シレジア「へ?どう思ったって?あーすごいよ、すごいすごい。凄すぎますよ
アレーナ様」
アレーナ「・・・・・・・・・・・・」
シレジア(あれ?普段ならすかさず怒ってくるとこなのに・・・・・・・)

アレーナ「そうでしょうね。けど、わたくしは嫌いよ。確かに一部施設は一般人に
週末、見学用に解放されているけどちゃんとお金は取るの。あんなことや、
こんなことに使うお金があったら、もっとサイド7全体に向けて投資するべき
だわ・・・・・・・そう、もしクラスのみんなが貴女達にわたくしの屋敷について
聞かれたらこう言って下さいまし。あの家は見られたものではないから、行っては
いけない、と。一人一人にね。それが人としてあるべき正しい姿ですわ。
でも・・・・・・・そういう言い方をすると、わたくしを褒めそやすことしかできない
下賎な方達はかえって興味を持たれるでしょうね。そして以前にもましてわたくしを
好奇の眼で見て煽(おだ)て取り巻く。だから嫌なのよ・・・・・・・・・ピリオド(以上)!」

シレジア「何言ってんだ?コイツ・・・・・・・・」
ユウリ「アレーナ様・・・・・・・」
アレーナ「ごめんなさい、せっかく来てくれたのにね。お茶でも入れましょう、何がいい?」
ユウリ「何でもいいです・・・・・・普通のお茶」
シレジア「じゃ、あたしはこの屋敷に置いてる中で一番高級なお茶(^∀^)」
アレーナ「・・・・・・・・・・・・・承諾!(`‐´)」
206第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 11:25:14 ID:???
人が宇宙に上がっても、遊びたい盛りの若者を熱中させるのは気の合う仲間と
集まり、歌って、騒ぐことだ。少なくともそれをやっている間は孤独や現実、
些細な悩みを忘れることが出来るし、サークルやクラスなど一過性の空間を
共有する仲間でも社会に出た後で何かと助けあったり昔を懐かしむ糧となる。
学生時代は誰かの誕生日だの、何かの打ち上げだの、記念だのと理由を適当に
つけてはみんなで金を出し合い、予約を取り、朝まで日ごろの疲れ、鬱憤を
爆発散させるべく騒ぎまくった。誰かとふざけあい、飲み比べ、あげくに限界を
越えてトイレへ向かい口と尻から凄まじい勢いでその代償を噴出する。

二日酔いの朝はさしずめRPGゲームで毒、麻痺などの特殊効果をまとめた攻撃を
食らったときのような、世界で一番自分が不幸と思うしかないほどの辛さである。
しかし、時がたち喉下過ぎれば熱さを忘れ、またあの熱狂に身を投じる。
あの楽しさがあれば翌朝の苦しさも仕方が無い、と思えるからだ。だが、
そんな楽しさも感じさせてくれないでただ緊張と窶(やつ)れが続くとしたら
地獄だ。そして今、オレはそんな境遇にある。

苦しいこともあった。面倒なこともあった。高校までのように先生が指示してくれる
わけでもなく授業や単位、就職活動も自分で情報を仕入れなければならない
のは指図されない代わりに自由でも自己責任が増して、ますます横の繋がりを
維持するのに必死だった。でも、それは楽しい日々だった。親元を離れ都会で
自由を満喫した。自由と責任の鬩(せめ)ぎあい、格闘の日々は楽しかった。
あれから半年、そう学生時代四年間でも最大規模の飲み会で朝までぶっつぶれるほど
飲んで盛り上がった卒業の日から半年。オレはどういうことか地球連邦軍の
最新鋭リーンホース級巡洋艦の艦長として天馬な小娘どもを中心としたMS隊を
指揮統率しなければいけない立場にある。目の前で人が死ぬのにも、慣れてしまった。
どういう事なんだ?一体・・・・・何がどう間違えばこんな世界に迷い込めるんだろう?
207第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 12:24:59 ID:???
「ニコライ、ニコライ、どうしたの?もっと飲みなよ」
ニコライ「ああ、わかってるよ」
「しかし、お前も大変だよなぁ。ソフィアが侵攻してきたと思ったら、
休む間もなくあのでけー戦艦の艦長とはなぁ・・・ガンダムってのもあるんだろ?」
ニコライ「ああ・・・・・・・知ってんだろ?パイロットは女子高生だ。最初はな、
女の子に説教なんて難しかったけど、やらなきゃいかんとなったら、慣れてきてさ・・・」

「メイラとはどうしたのよ?今日も来てないけど」
「一応電話はしたんだけどよぉ」
ニコライ「あいつは兵器とか嫌いだからな・・・もともと倦怠期だったけど、
オレが軍属になったことでさらに加速したみたいだ」
「勿体ねぇ。元々このサークルで行った合宿でオレがセッティングしてやったてぇのに」
ニコライ「んなこと言ったって、恋愛なんて一過性だからな・・・・・・・」

「ところでよぅ、今日は軍はお休みなのかよ」
ニコライ「ん?ああ、一応いつでも出勤する義務はあるけどな」
「どうなんだよ?王子、帰ってくるって本当なのか?」
ニコライ「らしいぜ」
「王子が帰ってきたら、即ソフィアに宣戦だって?」
「格好いいよな!あのガンダムが、俺らのコロニーのために戦ってくれるんだ!」
「パイロットが女の子なんて、これから時代も変わるわよね」
「いけいけっ!よし、今度首都に攻めてきたら俺も志願するぞ!そしたら今の
退屈な職場やうるっせークソ上司ともおさらばだ!」

・・・・・・・・・・・・・・・こいつらは気楽でいいな・・・・・・・・・・
208第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 12:48:17 ID:???
シレジア「なぁ、この部屋は何だ?」
ユウリ「ん、アレーナ以外立ち入り禁止って書いてあるけど・・・・・」
シレジア「覗いちまおう。何か怪しげな匂いがプンプンしね?」
ユウリ「や、やめたほうがいいよ・・・・・・」
シレジア「おっ、鍵がかかってやがる。よーし蹴倒すぞ!」
ユウリ「ちょ、ちょっと・・・・・・・・」
シレジア「そおおおおおれっ!!」

アレーナ「!?何の音・・・・・・・・・・あっ!?!?!」
アレーナは手に持っていたカップとトレイを放り出しユウリがそれを受け止めて、
シレジアは突入しようとした時にアレーナに両手で目隠しをされた。
シレジア「なんだよぉ、いいじゃんか!友達だろぉ?みずくせぇ」
アレーナ「ダメ!ここだけは、ダメッ!」
シレジア「抑えろ、ユウリ!抑えろ!」
ユウリ「そ、そんなこと言ったって・・・・」
シレジア「アーーーーーーッ、メンドくせっ!」

アレーナ「わっ!」
アレーナは巴投げを食らって床にたたきつけられた。そしてシレジアは部屋に続く
短い通路を走っていく。アレーナだけでなく、ユウリも興味本位で追随してしまう。
シレジア「うわっ、何だこりゃあ!?」
アレーナ「み、見てしまったのね・・・・・・・・・・・・!」
ユウリ「わっ、何これ!?」
209第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 13:14:10 ID:???
その個室の電灯は内部に赤いセロファンが貼られ電気をつけると部屋中が真っ赤に染まった。
いや電灯だけではない。窓、床、天井、壁全てが真紅に塗り染められている。
そして部屋の中心のテーブルから周囲の棚までがありとあらゆるガレージキットや
プラモデルで埋め尽くされていた。入り口から対面の壁にはまぎれも無い、
赤い彗星シャア・アズナブルのジオン公国軍少佐時代の写真が貼られている。
右の壁には何処から入手したのかエドワウ・マス時代、左の壁にはクワトロ・バジーナ、
天井にはネオ・ジオンの総帥としてスィートウォーター演説をした時の両手を大きく
広げた写真に達筆で「そして私は父ジオンの下に召されるであろう!」と書かれたポスター・・・

いや、そんなものは序の口だ。テーブルにはシャア専用ザクからゲルググ、
ズゴック、ジオング、百式、リックディアス、サザビー・・・だけではない。
ガンダムMk-U、シャア専用ガンダム、赤い百式、ムサイ、ザンジバル、
アーガマ、レウルーラ、果てはガイア・ギアαまで飾られている。床には
「このスイートウォーターは・・・」「テレビを御覧の・・・」から始まる
スィートウォーター演説とダカール演説の全文が油性マジックで書かれていた。

シレジア「ん。何だ、これは?」
アレーナ「あっ、それは駄目!それだけは!」
シレジア「シャア様と私の甘い蜜月。・・・・・・・・・何だ?二十冊目・・・?」
210第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 13:31:48 ID:???
シレジアはあろうことか、アレーナの追跡をかわしながら窓を全開にし、
響き渡るような大声でノートの内容を朗読し始めた。
シレジア「6月4日。シャア様、わたくしはまた眠れませんでした。貴方のことを思うと
夜も眠れませんの。やはり故人を愛するのは罪なのでしょうか?
→うむ。アレーナよ、恋愛とは尊敬と独占欲を繋ぎ合わせて作られた極めて不安定な
感情である。それというのも世間の男達が過去の偉人に負けないような魅力を
備えず、外見ばかり磨けばそれで良いとして中身を磨こうとしなかったからだ」

アレーナ「やめて!お願いだからやめて!><」
シレジア「(^∀^)シャア様、女の子のくせに機械や模型に傾倒するわたくしは
女性として不出来なのでしょうか?→サボテンの花が咲いている。男に媚びようと
しない女性も中身では綺麗な蕾を持っているものだ。それが若さか・・・・・
機械や模型が好き?それも、よいかも。殿方に媚びる能力が女性の魅力を判断する
決定的要素ではないことを教えてやるのだ!」

アレーナ「いいかげんにしなさいっ!わたくし本当に怒りますわよ!?」
シレジア「シャア様、わたくしは学校に行っても家にいても天才、お嬢様と
持て囃(はや)され真の友人を得られないでいます。このままで良いのでしょうか?
→坊やだからさ。ならば、周囲の馬鹿な人間達に今すぐ英知を授けて見せろ!
他人を煽てるしかできない人間は地上のノミだと教えたはずだ、アレーナ!
この私、シャアが粛清しようというのだ!→本当ですかシャア様!?周囲の
馬鹿人間達を粛清してくださる!?ああ、わたくしもうとろけそうですわ・・・ハァハァ
早くロマニアにアクシズを落としてください!」
211第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 14:00:58 ID:???
シレジア「ったくよぉ、確かに顔は結構イケメンだしすげー人だとは思うけど、
こんなオッサンのどこがいいんだよぉ?」
アレーナ「黙らっしゃい!!赤い彗星シャア・アズナブルすなわちキャスバル・レム・ダイクンは
スペースノイド独立思想の生みの親ジオン・ズム・ダイクンの子としてUC1969年サイド3に生を
受け、ジオンを私の物にせんとするザビ家に父を暗殺されながらも地球に妹アルテイシアと二人
ジンバ・ラルの手引きで生き延び、身分を隠して士官学校をガルマ・ザビに主席を譲り卒業!その後
ジオン公国軍に入りルウム戦役において五隻の戦艦を・・・・・・・・」

シレジア「あーわかったわかった。もう沢山だよ」
アレーナ「最後まで聞きなさいっ!!もう、こうなったら破れかぶれですわ!!
五隻の戦艦を撃沈させたことで赤い彗星と呼ばれ、ガンダム撃破に何度も失敗
しながらもその都度不屈の精神と強運で戦線に復活しついにザビ家への復讐を
完遂させるのです!しかし、私怨を晴らしただけでは彼の心は満たされません!
反地球連邦組織エゥーゴにこれまたクワトロ・バジーナと名を変え、サングラス
かけたり修正されたり頭を下げたり変形できなかったりしながらも伝説に残る
ダカール演説を世に残しティターンズの横暴を世界に訴え、て・・・ハァ、ハァ」

シレジア「おい大丈夫か?おめぇの顔も真っ赤だよ」
アレーナ「まだよ!まだ終わりませんわよ!UC93年彼はネオ・ジオン総帥として
再び世に姿を現し地球にしがみつく愚かなアースノイドに対し隕石落としで
地球を寒冷化させ、全人類が宇宙に上がりニュータイプになることを夢見たのですわ!
確かにそれはアムロ・レイの手で防がれ二人は行方不明になった!しかし
赤い彗星シャア・アズナブルは私怨や血筋や現実認知に翻弄されながらも決して
宇宙を、世界を俯瞰する視座を忘れずどのような苦境にあってもパイロットとして
政治家として人の上に立つに相応しい人間として宇宙世紀を牽引し続けたのですわ!
こんな素敵な男性、他にいまして!?現実の、周囲の殿方なんてどうでもいい!
誰が何といおうとバカにしようとわたくしはシャア様が好き!この世界で、いえ!
宇宙世紀の歴史の中で最も彼を理解し尊敬し愛しているわ!身が張り裂けるくらい好きなのよ!」
212第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 15:00:32 ID:???
シレジア「あーいるんだよねこういう女。自分の妄想や手の届かない世界だけで
存在する、自分を傷つけない男しか愛せないっていう、典型的ダメ女。
パイロットや貴族として一流になるためには色んな物を犠牲にしなきゃいけないって
勉強になりました、ハイ。なるほど、パイロットスーツやステアウアやズヴェズダが
真っ赤なのも、胸部に赤い星がついてんのもこれでやっと辻褄が合ったよ」

アレーナ「何か悪い!?誰を何を愛そうと自由でしょ!?ハァ、ハッ・・・」
膝に手を付いて息するアレーナの肩にシレジアがポンと手を置いて語る。
シレジア「なぁ、あんたがシャア様を好きなのはよーくわかったよ。うん。
でもさぁ、死んじまった人を思うより、も少し社交界で会うお坊ちゃんとか
クラスの男子に興味持っとかんと30過ぎババアになった時、後悔すんじゃね?」

アレーナ「・・・・・・・・もう!いいの、わたくし、その程度のことはちゃんと把握して
るんだから・・・・・それよりシレジアこそ想いを寄せる殿方はいて?」
シレジア「あたし?あたしは・・・・・・・・・・いねぇなぁ。それよっかさ、こうやって
自分の秘密を知られたほうがアンタも力抜けてもっとみんなと打ち解けられるべ?
自分で言ったじゃん、友達以上の関係だって」
アレーナ「あれは、はずみで・・・変な誤解をされるからもう言いませんわ」
シレジア「あたしのこと、好きかい?」
アレーナ「・・・・・・・・・・ま、友達としてならね。一緒にいると退屈しないし。
そういう貴女は?」
シレジア「・・・ん、好きだぜ?アレーナ」
213第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 15:27:33 ID:???
聞こえるかこの俺の声が 聞こえるか俺の息吹を

どんなに遠く離れていても いつでも俺はお前のそばにいる

だからお前はもう一人じゃない 走り出すんだお前は明日への道を

たとえどんな嵐でも 二人でなら乗り越えられる

叩きつける土砂降りの中を 俺はお前と走る

ズガッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ニコライがちょうど持ち歌のサビに突入しようという時、カラオケ店の外で
大きな爆発・墜落音が響いた。
ニコライ「よし、ちょうどいいテンションだ!みんな、行って来る!」

外ではソル・コンティオ、ソル・シャッコー、シュグナイドの編隊をレントウが
率いてジークフリード隊と激しい交戦を行っていた。連絡を受けたイズモの
マジ・デウゼーがカラオケ店の一階から出たニコライに掌部を差し出した。
イズモ「大変ですよ、ブリッジにもテレビカメラが来てます」
ニコライ「ったく・・・・言論の自由もここまで来ると只の迷惑だな!」
214第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 15:41:44 ID:???
シレジア「えっ本当に放送されてんの!?よし、しめた!!」
アレーナ「本当にやるの、シレジア!?」
シレジア「おうよ、友情パワーを見せてやんべ!」
ユウリ「うう、緊張するなぁ・・・・・・・」
ニコライ「よし、ガンダムチーム発進ら!!!ヒック・・・・」
アレーナ「アレーナ・ヨルダネスク、ツルベナ・ズヴェズダ出ますわ!」
シレジア「シレジア・ファン・ホーヴェン、ナディア・コマネチ出るよ!!」
ユウリ「ユウリ、ガンダムPrincess行きます!!!」

FBから数条の光が打ち出されたとき、アイアのレントウは多くの観光客が
詰め込まれたホテルを破壊しようとしていた。
アイア「ふふっ、この施設を破壊すればロマニアの外貨収入も一つ減る・・・ぐわっ!?」
アレーナ「そうは、させませんわよ!」
ズヴェズダのビームナギナタ交差ビームでレントウは地に伏せられた。
アイア「何者!?」

アレーナ「東に恋に悩む女子あればホストクラブの優待券を差し出し!」
シレジア「西に病床に伏せる老人あれば老人ホームへの入院を勧め!」
ユウリ「宇宙の平和を乱す、悪い奴らは許さない!見た目は普通の女の子、
しかしてその実体は!」
三人「三人そろってガンダムガールズ登場!ま、いーんじゃね?ピリオド(以上)!」
三機そろっての決めポーズにテレビカメラの照準と視聴率が一気に集中した。
アイア「ぬうっ・・・・・・・・・あたしを舐めるのもいい加減にしな賢しい小娘共!」
215第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 16:00:38 ID:???
しかし、ふざけているだけの事はあった。前回のように目聡(めざと)いアイアに
Iフィールドジェネレータやシールド系の加速器を潰される前に、三人は
一箇所に集まり合同で大出力のビームフィールドを展開し中央省庁を中心として
都心のほとんどの区域をすっぽり床のように包んでしまった。そして、すかさず
三人合同のスカートヴェスバー・脚部ミサイルポッド・ビームザンバー
を合わせた凄まじい一斉射でレントウ以外のMSは悉(ことごと)く駆逐されていく。
もちろん、テルアビヴでの戦い以来、ソル・シャッコー、ソル・コンティオ、
シュグナイドから得たデータがしっかりTRAPAと三人の学習に生かされていたからこそだ。

レントウ「バカなっ、実弾さえああもあっさり偏向させるとは!ダーゴルが
寝言のようにほざいていたミノフスキーバリア並かもしれんな・・・!」
アレーナ「敵は動揺している、今ですわよ!トップファイターOK!」
シレジア「よし来たァ!ボトムファイター、オッケイ!!」
ユウリ「コアファイターOK!ガンダムプリンセスーーーーーーーーッ!!!」
シレジア「エレガント!!」
アレーナ「ゴージャス!!!」

コクピットが微弱な振動に包まれMA形態に変形すると、各々がフォーメーションを組んで接近。
まずユウリのガンプリが手足と頭を収納して限りなく台形に近い形になると、シレジアの
コマネチは中心が奥に収納されて折りたたまれた腕部脚部がと結合して長く伸び、ガンプリの
下部に結合。アレーナのズヴェズダはこれを逆に実行してハンガーとなり上部に接続
すると、ガンプリの頭部がハンガーの上に突き出た。それはまさしく神々しいという
以外に形容詞の無い、新時代の「3コアブロックシステム」のもたらしたものだ。
三人「ガンダムPEG、登場!!!もう観念しなさい!」
216第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 16:20:34 ID:???
アイア「舐めるのはいい加減にしろと、言った!!!」
ユウリ「行くよっ!ガンダムプリンセス!」
シレジア「エレガント!!」
アレーナ「ゴージャス!!!」
三人「カノン!!!」

ドウッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

その巨大な閃光に対して無謀に突っ込んでいったアイアのレントウは、ザンスカール
戦争時代から幾多の激戦を主人とともに戦い抜いてきた愛機は、ほぼ修復不可能な
損害を受けた。シュグナイドで駆けつけたガブリエルと咄嗟のビームシールドで
何とかコックピットの融解は避けられたがもはや手足を?(も)がれている。
ガブリエル「大丈夫ですか、大尉!?機体は死に体です、脱出ポッドを!」
アイア「わかっている・・・・・・・そんなことはわかっている!自分の機体だ・・・」

脱出ポッドはシュグナイドの片手に乗ってコロニーの外へ逃れていった。
ユウリ達三人はコクピットハッチの上に乗ると寄ってきた三人の前で一丁前に
こしらえたヒーロー風のバイザーで目を隠し声援にこたえる。
アレーナ「皆様、わたくしがいる限りロマニアの平和は永遠に続きますわよ!」
シレジア「ういっす!ガンダムガールズは良い子の味方だぜ!」
ユウリ「そうだよ、良い子にしてないとまた悪い奴が襲ってくるからね!」
「あ、あれアレーナ様だろ?」
「あの姉ちゃん、近所でいびきと怒鳴り声がうるさいって有名な女子高生じゃね?」
「あ、あのおねえちゃん、きんじょのじどうはんばいきでじゅうえんだまを
そこにおとして、てをつっこんでとろうとしてたよ。ぱんつまるみえだった」
217第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 16:38:25 ID:???
しかし次の瞬間、そこにいた聴衆もお茶の間のサイド7TV視聴者も、笑いが
なくなって少しだけ表情を硬くした後両手を突き上げ熱狂した。喜怒哀楽で
言えば楽が喜に変わった瞬間である。素早く逃げたアイアとガブリエル以外の
戦闘を続けるMS群が無数のジークフリード隊、それに良く似た機体の数々に
取り押さえられたのである。ロマニア皇国が現在保有する最強の戦艦、ハンニバルの
降臨である。そのブリッジにはイオン・イリエスク王子の勇姿があった。

熱狂とは、単なる喜びではなくそこに至るまでの背景事情や因縁、思い入れが
加わってともすれば憎しみや戦闘欲が集団心理・狩猟民族意識と相まって異常な
ボルテージを生み出すものだ。ことにロマニア皇国だけでなく地球連邦軍の駐屯や
V作戦・ガンダム開発計画、ティターンズ基地など様々な迷惑を被ってきた人々は
サイド7TVを通してスペースノイド独特の連帯意識を感じ視聴率は驚異的に伸びた。

ユウリ「王子様が帰ってきた!」
アレーナ「イオン王子!?帰ってこられたの!?」
シレジア「何だよはしゃいじゃって。シャア様が好きなんじゃなかったの?」
アレーナ「いいのよ、王室のパーティーにはまだ呼ばれたことがなくて、イオン王子
と面識が無いもの。それに、シレジアに言われて少し気持ちが解れたのよ。ピリオド(^^)」
218第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 16:41:53 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  逢坂浩司
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間

















219第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 16:43:23 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない
















220第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 16:51:03 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない
















221第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 17:00:55 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  アンヘル    中田譲治
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   アメーバ    久川綾
ニコライ 森川智之   アンジェイ   茶風林


ずっと閉じてた心の蕾    あなたが開いてくれれば

















222通常の名無しさんの3倍:2006/03/23(木) 17:33:21 ID:ymxQPLXr
アブソリア
全高 1.2km
重量 7700t
合体時総出力 990000000kw
出力系 未確認出力系×10
武装
ビーム砲×700
バスターメガキャノン×10
マニピュレータ部10連メガビームキャノン×2
掌底部メガ粒子砲×2
両腕部ギガンティックビームブレード
両腕部ミノフスキー積層型ハイパービームシールド
腹部ミノフスキー積層型ハイパービームシールド
アームドビット×110
パラサイトビット×100
アトミックファンネルミサイル×100
リフレクタービット×100
アッセンブルミサイルユニット×50
大型ビームバルカン×200
ビームニードル×80
ショックワイヤー×80
アンチビームフィールドコーティングミサイル×100
超努級ミノフスキー粒子砲×5
反メガ粒子砲×5
拡散・収束ハイパーメガ粒子砲×400
モビルビット(ビームシールド兼ビームソード×2ビーム砲×2×マイクロミサイル×10)×10
メガ粒子クラフタードライブ
Τフォース・Iフィールド複合フィールド
エネルギー高出力臨界反射装甲
解説
木星エンセラダスで確認
された超巨大MA
実態はダイタロスの様な1体の同型の、巨大な
ガンダムタイプの機体が合体したものである
その巨体から戦艦を掴んだり
要塞級と直接格闘ができるほどであり
設計者曰く「巨人の世界の巨人をつくっちまった」
らしい
223第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 17:40:55 ID:???
キャスト     
アイア    折笠愛       
同級生    嶋俊介
       津田健次郎
       石橋朋子


誰に笑われたっていい   自分のこと「カワイイ」って言える














224第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 17:46:45 ID:???
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   さあオシャレして 化粧して  アフター5に繰り出そうよ





225第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 17:58:48 ID:???
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて


















226通常の名無しさんの3倍:2006/03/23(木) 18:05:56 ID:???
シャアの生年月日が…
227第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 18:07:13 ID:???
脚本   伊藤和典   演出   西久保瑞穂
作画監督 逢坂浩司   絵コンテ 佐藤順一




   無謀で 純粋で ワガママな自分でいたい・・・・・・





228第二十六話「王子の帰還」:2006/03/23(木) 18:35:35 ID:???

          次   回   予   告


ユウリ「きゃーーーーーーーーっ(^^)!!王子様があたし達ガンダムチームを
サイド栄誉賞ってパーティーに招待してくれたの!でね、でね、あたしってば
根はミーハーだからはしゃいじゃって・・・・・・・で、ここからが重要なんだけどさ、
パーティーが一段落した後に、何と!何と!ムフフ・・・・っていうか、こんな
時にアイアさんが新型で城を攻めてきたりって展開は、無しだよね?


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

           BE MY PRINCESS  

          ガンプリは、みんなで見てね!









229アレーナ・ヨルダネスク:2006/03/23(木) 18:47:51 ID:???
みなさま御機嫌よう、アレーナ・ヨルダネスクですわ。今回はわたくしの秘密が
バレてしまってとっても恥ずかしいんですのよ><手短に終わらせてもよくて?

>192
今回の話で大体ご存知いただけたと思いますが、お父様はシャルンホルスト・ブッホ
に多大な影響を受けていますのよ。世間ではブッホは何かと悪い見方をされてる
ようですが、マイッツァーのコスモ貴族主義とシャルンホルストの望んだ未来は
異なるものでその辺りはお父様もご理解いただいているのですが、何分ブッホとの
技術提携を目論めば必然的にコスモ・バビロニア戦争以降の現代では彼らの思想と
多少なりとも共感すべきと考えてらっしゃるのがわたくし嫌なんですのよ。

>>194
わたくしは下賎な殿方の俗悪な性癖などに興味は一切ありませんからして、
「萌え」などという言葉は生まれて初めて耳にしましたわよ。草花、植物の
映え具合が何ゆえ歌唱に例えられるのでしょう?全く持って理解不能ですわ。
230アレーナ・ヨルダネスク:2006/03/23(木) 18:59:09 ID:???
>>195
「リィナの血?」ああ、ZZですわね?リィナの血といえば前編では酷いミスが
二つもあって、エルが画面に出ているのに松井菜桜子氏の御声が当てられていましたわね。
特にメガライダーが水上から迎賓館を砲撃したシーンではエルの髪の色が紫になって
いたり、やれやれ・・・おそらく声だけ線録りしてその後コンテから作画に意思疎通を
しようとして、何かミスが生じたものと推測されますわ。それだけならともかく、
髪の色を間違えるのは録り直す時間が無くて確信犯でふざけてやったのか、
それとも作画に参加したスタッフにキャラ設定を無視して作業に入った人間が
いたかのどちらかですわね。後者なら大問題なのですけど。

え?わたくしはアニメなどは全く興味ありませんのよ。え?ANIMAXで全話録った
はずなのに地球編を紛失したのでTSUTAYAで借りてきた?何を仰っているのか
よく解しかねますわ。
231アレーナ・ヨルダネスク:2006/03/23(木) 19:16:45 ID:???
>>222
作者曰く「採用」とのことですわ。それと作中に登場するメカの九割方を考えて
くださって非常に感謝している。貴方がいなければガンプリはここまで続かなかった。
ただし、既に最終決戦までに必要な数のメカが揃っているので、今後はまだ
掘り下げられていない勢力・役割のメカや考証文的なアイディアにシフトしてほしい、
でないと先着順なので今から考えたMSはたとえ採用されても一発で撃墜される
可能性が高いので注意してほしい、とのことです。

>>226
申し訳ございませんでした>< だってシレジアがあんな破廉恥な真似をするので
気が動転していたのです。しかし、わたくしのシャア様ならば10才でもルウム戦役で
五隻の戦艦を撃墜し少佐になれるのでは?だってわたくしのシャア様ですものハァハァ・・・

・・・・おっと失礼。ちなみに作者は季節柄仕方ないとはいえ、ここ二週間で二度も
大規模な飲み会に参加させられ日本酒を限界近くまで飲み暖房の効いていないトイレで
つぶれていた為、二日酔いと風邪で睡魔と戦いながら26話を書いたそうですわ。
以上、アレーナ・ヨルダネスクでした。ピリオド(以上)
232あげ:2006/03/23(木) 20:56:14 ID:CWkqtws2
はい
わかりました
233通常の名無しさんの3倍:2006/03/23(木) 22:28:42 ID:???
ソフィア 連邦がロマニアで開発製造していた新造戦艦とMSを破壊するためロマニア襲撃
   ↓
ロマニア皇国軍ほぼ壊滅 駐屯連邦軍の大部分そうそうに撤退
ロマニア 生活基盤が破壊され住民脱出(疎開)を余儀なくされる
   ↓
FBの運用権は契約によりロマニアに委譲され、艦長代行にロマニア仕官が任命される
FBの運行は皇国軍と逃げ遅れた駐屯連邦軍で行なわれる
FB 住民の疎開およびFB、Pガン等の実戦データを連邦への届けるためロマニア脱出
FB以外にも残存ロマニア艦隊によっても他の住民の疎開は行なわれる(グリーンオアシス等へ)
ソフィア ロマニアを制圧 一部戦力によりFB追撃
   ↓
FB ソフィア追撃をしのぎつつ、途中々で希望する住民を友好関係にあるコロニーに疎開させる
   ↓
FB 月到着 補給を受ける サナリィと接触
ソフィア フォン・ブラウンを襲撃
   ↓
FB 残りの民間人の疎開、FBとPガンの実戦データの承認・評価のため地球へ降下する
   ↓
234通常の名無しさんの3倍:2006/03/23(木) 22:29:42 ID:???
   ↓
ソフィア 降下直前のFBを強襲。別働隊により連邦軍ウーイッグ駐屯基地を占拠
ソフィア ウーイッグを占領 旧ユーゴ地域の残存テロリストを取り込み周辺地域に対し侵攻を開始する
FB ウーイッグでの連邦軍との接触に失敗 ソフィアの奇襲を受け遁走
   ↓
FB リガ・ミリティアと接触 宇宙に戻るためリガ・ミリティアのテルアビヴ基地を目指す
   ↓
ソフィア軍 チェコ周辺地域をその支配下に置きつつ制宙権も確保
ネオ・ザンスカール ソフィアの援助を受けラゲーンにて蜂起 各地に潜伏していた元べスパが集結
   ↓
リガ・ミリティア FBと連携してソフィアに占拠されていたブタペストを解放
リガ・ミリティア 月セント・ジョセフに構成員2名を向かわせる
連邦 ロマニア皇国に対する経済・軍事援助を打ち切る
   ↓
ソフィア ダイタロスガンダム及びそのパイロットをコソヴォにて回収
FB ソフィアが占拠するコソヴォを突破、アテネへ
   ↓
FB イスラエルのテルアビヴ基地到着 ダイダロスガンダムを撃破し、宇宙へ
   ↓
FB ロマニア奪回のためサイド7へ向かう
FB ソフィアの追撃によりPガン大破 セント・ジョセフから届けられたGPEGによりソフィア撃退
   ↓
FB 残存皇国軍と連携してロマニア奪回に成功
ロマニア ロマニア王子本国に帰還 ソフィアに対し宣戦を布告
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS

  


236第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/24(金) 23:24:52 ID:???
ニコライ「アナハイム、アナハイムって・・・・・・どういうんだ。ズヴェズダの
扱いにやけにうるさいじゃないか。あれはエリシャ・クランスキーさんのおかげで
オビリッチから入手した技術が、開発チームにいっただけだろう?」
イズモ「艦長、そうは言ってもですねぇ俺らこの艦を契約どおりに返還しなかった
ってぇんでガンダムチームの開発の詳しい内部情報からは締め出されてるんですよ」
ニコライ「それで型番がXMって・・・・・・・・」

カルル「いや、あれはちょい新聞で読んだままに・・・俺もさりげなく言って自分で
驚きました。自分としてはV3〜V5って呼び方に誇りを感じます」
シャーベット「とりあえず、現在の問題として連邦が我々に情報を与えないにしても
アナハイムは積極的にコンタクトをとろうとしてきてるわけでしょ?だったら
僕らも慎重に扱う上で彼らにその根拠を求める権利はあります」
イズモ「だよなぁ。ここ数週間、ブッホやサナリィから似たような口出しが
来たか?来てねぇよな。明らかにアナハイムだけ不自然だ」

ニコライ「お前らがセント・ジョセフに着いた時、どうだったんだ?」
カルル「いや、その時はもうモノは完成してたんで・・・・」
シャーベット「ま、セント・ジョセフはリガ・ミリティアの基地なんでカルルが
言ったような呼び方を・・・・・・つまり地球を荒らすものには誰であろうと抵抗する、
ヴィクトリー計画を継ぐものだと。それだけですね、言われたのは」
237第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/24(金) 23:49:50 ID:???
イオン「私は、ロマニア皇国のイオン・イリエスク王子ではなくスペースコロニー
サイド7の一市民として今から発言したい。宇宙世紀は一半世紀を終え、我々を
阻害・搾取し続けた連邦政府は月に上がった。コロニーはバンチという単体では
なく政庁として新しい共同体のあり方を模索している。MSは兵器ではなく、より
小型化・民生品化され女性の社会進出とライフスタイルの変化に大きな貢献を
した。だが、このような時代にあって何ゆえその新しい時代のあり方が無益な
戦乱を呼び起こす必要があるのか?

ここに至って私はザンスカール帝国のマリア主義は悪ではなくガチ党の傀儡政権に
よって欺瞞であるかのように歪曲された被害物だと断じたい。私自身、男性として
このコロニーの指導者である以上、決してその業を逃れられない宿命ではあるのだが、
これからの社会を動かすのが女性であるのは明白だ。雇用率、学歴、平均収入、
その全てが証明している。私は別にフェミニストではなく事実を言っているだけだ。
不服なら彼女達に負けないような経済力と能力を兼ね備える必要がある。

話を元に戻そう。レフスキ・ソフィア元帥、クロノクル・アシャー総統閣下、
そなた達の行為はそんな時代の流れに対して歪んだ形で抵抗するものと断じざる
をえない。我々が連邦政府の援助によって得た経済回復の余剰を、どれだけ
サイド2との文化・経済交流基金に充てたか知らぬはずもあるまい。しかし貴国々は
これを武器へと変え憎しみへと変えたのだ。ならば分割処置以来の因縁、そちらの
望む形でつけなくばなかろう。これは報復ではない。サイド7全体の威信と尊厳を
かけた、宣戦布告である!」
238第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 00:05:00 ID:???
「王子、エキサイトしすぎだぜ。つけなくてはいけなかろう、て言いたかったのか」
「ま、どっちにしたって今日はめでたい夜だ。祝杯を挙げようぜ!」

ロマニアの街々は、未だ近宙域にソフィアの艦隊が哨戒しているにも関わらず
夜通しどこの飲み屋も盛り上がっていた。何故なら常に守る側だった者たちが
やっと攻める側に立ったからだ。それが宇宙全体から見て野蛮に思われようと、
開戦からここまでのソフィアの悪道ぶりと連邦政府の形骸ぶりを照らし合わせれば
彼らを非難できる確たる根拠も勢力も存在しない。つまり、時は来たのだ。

そして各テレビ局の話題は「いつサイド2に攻め込むのか」に移っていた。
やろうと思えば新たにプロジェクト・ロマニアから派生した新型MSを配備した
現在の皇国軍は十分現有戦力でシュメン率いる周辺の敵を突破できるが今は
まだそんな準備も整っていないし、王子の宣戦に対する批判も僅かだがある。
彼としては国民の士気をよりリアルタイムに上げる策を考えていた。
239第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 00:27:41 ID:???
ユウリ「えっ、あたし達を、王室のパーティーに!?」
シレジア「まーーーーーじでぇ!?」
アレーナ「フ、まぁわたくしは当然として・・・庶民には一生に一度のチャンス
ですわね」
シレジア「なっ、にぃ!?」
ニコライ「まぁ、まぁ・・・・しかし、パーティーというか実態は今後の戦争の展望に
ついて軍需産業と係わりを持つ財界人達の会談でもある。生臭いが我慢しろよ」

ユウリ「でも、サイド7栄誉賞って・・・・・・」
ニコライ「それは、俺達全員のものだよ。お前達はその代表として演台で受け取る
だけだから。それも、三人揃ってのほうがウケがいいだろってテレビ局からお達し」
シレジア「ね、ね、じゃあさ。ウチら芸能人みたくテレビとか出ちゃうわけ!?」
ニコライ「ま、その可能性もあるだろうな・・・・・・・・・」
アレーナ「まぁわたくしは教育テレビ「良い子のプチモビ」はじめテレビ出演経験には
事欠きませんから?貴女の様に少し映っただけではしゃぐほど童心ではありませんのよ」
シレジア「この女・・・・・っ(`Ш´)口が減らねぇな」

ユウリ「アレーナ様は、きっと王子様も知っているんでしょう?」
アレーナ「ん?ま、まぁそうでしょうね」
ニコライ「そりゃあそうだろ。JrMS選手権で史上初の四連覇、ヨルダネスク家の
跡取り娘、国民的アイドルのアレーナ・ヨルダネスクを知らないわけが無い」
シレジア「んーなこと言って何気に知らなかったりすんじゃね?」
アレーナ「そっ・・・・・・・・・・・そんなことあるわけないでしょっ!?ピリオド(以上)!」
240第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 00:53:05 ID:???
フリスト「アイア大尉・・・・・そう気に病むこともあるまい。私とてガンダムチーム
の強力さは身に染みてわかっている。クロノクルにラゲーンであんなパフォーマンス
をやらせるよりも、セント・ジョセフに牽制の一つも送ってやればよかったな」
アイア「はい・・・・・・・が、私の無能が招いた事態でもあります。連中にロマニアを
奪還されあろうことか王子に斯様(かよう)な屈辱的演説を許すとは・・・」
フリスト「愛機レントウもロマニアの土に帰っては浮かばれなかろう。エクサソーンは
君の新たな手足となるべきものだ。すぐに愛することはできないだろうが、
一日も早く慣れることだ」

アイア「はい・・・・・・で、問題のリリア少佐は?」
フリスト「ようやく連絡が取れた。いまロマニアに向かっている」
アイア「奴はどうやって二、三日で木星圏から戻ってきたのでありますか?」
フリスト「わからんな。惑星間ロケットでもスタラ・ザゴーラの規模ではすぐ
移動することなどできないはずだ。あるいはダミーがあったのか」

アイア「おそらく後者でしょう。油断はできません」
フリスト「フッ、そう言うな。君に新型を提供した張本人なのだぞ」
アイア「このMSが最も自分に適していると?」
フリスト「そうだよ。あのエンジェル・ハイロゥ攻防戦を共に駆け抜けた盟友が
愛機を失ったとあっては心中穏やかでなかろう?」
アイア「どうですか。彼女はあの白い奴の光の翼を前にしても平気でコクピットの
中で例の気色悪い漫画を描きながらのらりくらり逃げ回っていたのですから」
241第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 01:17:58 ID:???
衛兵達の一糸乱れぬステップと合唱団のラッパ。沿道に高いフェンスが設けられ
各界の著名人たちを一目見ようと多くの野次馬が集まる中、来賓客を乗せた
リムジンが次々に城の中へ吸い込まれていった。この中にはもちろんロマニアの
人間だけではなくソフィアへの開戦を宣言した皇国軍へ新型機や新技術を提供
しようという魂胆の輩も多くいる。戦争は、いや商戦は既に始まっているのだ。

銀白の煌(きら)びやかな正装に身を包んだイオン王子が集まった招待客に向け
端正なブロンドのウルフ・シザースの髪を冷房の風に靡(なび)かせながら語る。
イオン「皆様方、多くは語りません。今日はロマニアにとって歴史的な日であります。
と同時に私の政策に異を唱える方々と、分け隔てなく語らいの場を持てる貴重な
機会として待ち望んでおりました。我が王宮のシェフが腕を振るった傑作を召し上がって
頂く前に、わが国の危機を救った勇敢かつ可憐な三人の乙女に来ていただきましょう」

キブ「では、ご紹介を。ユウリ・イワノヴィチ・スターリニスカヤ。若干15才です。
皆様よくご存知の通り、ガンダムPrincessのパイロットであります。ま、当初は
若様のPガンダムを無断借用するという無礼も犯しましたが・・・(一同、笑)・・・
我がロマニアは勇者であれば一時の過ちも大きな心で認める国柄。これからの
時代の変化を担っていく少女と言えましょう」
242第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 01:35:47 ID:???
キブ「では、次に・・・・・・・・・・」
シレジア「うーーーーーーーっす!!シレジア・ファン・ホーヴェンです!!
15才!チャスシェスク無断使用者でーーーーす!電話番号・スリーサイズは秘密ね!
あと彼氏募集中!高学歴・高収入・高身長でデカいツラとヅラしてない人!」
キブ「ま、まぁこのようなユニークな少女もいるということです・・・最後に
アレーナ・ヨルダネスク。もはや皆さんは説明不要ですね?ロマニアの薔薇と
言われ我が国民の・・・・・・・・」

アレーナは半ば強引にマイクをキブから奪った。
アレーナ「ご紹介に預かりましたアレーナ・ヨルダネスクです。皆様に一つ言い置き
たいことがございます。我々三人は、今日この場で斯様に盛大な祝辞と賞賛を与え
られておりますが、我々が活躍できたのはフェレンツバロシュのニコライ・ピオトル艦長、
マジ・デウゼー隊のイズモ・カトウ少尉、ノマノマ・イェイをはじめとしたパイロット
の皆様や私共の機体を日夜整備してくださったメカニックマン、全てのクルーと
皇国軍の方々並びにプロジェクト・ロマニアに参加した連邦軍人の皆々様と我が敬愛なる
父サー・アンヘル・ヨルダネスクの支援によるものです。お粗末ですが、この場を
借りて彼らに盛大なる拍手をお願い致したく存じ上げる次第であります。ピリオド(以上)」

ロマニアの薔薇、国民的アイドルの言葉に大きな拍手が沸きあがると、それを
浴びながらアレーナはシレジアの一発芸に上手く返してやったわよ、と言わん
ばかりの得意げな表情で少し頬を茜色に染めながら目配せしてみせた。
シレジア「へっ、たまにゃイイこと言うじゃん?」
アレーナ「いつも、ですわよ!」
最初は気が合わず喧嘩ばかりしていたのに、いつの間にかこの二人はかなり
いいコンビだ。ちょっとした口論でさえ周囲を和ませる効果を持っている。
それに引き換え何のインパクトも残せなかったユウリは、二人が豪華なドレスと
ライトながらもアイラインとファウンデーション、ルージュで色めかしているのに
学校の制服姿、まったくのスッピン顔で来てしまって鬱々たる気持ちだった。
243第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 01:53:31 ID:???
シュメンはスタラ・ザゴーラの到着を待つまでも無くパーティー襲撃の準備を
進めていた。補給された新たな二機のMSを含めオーソドックスに3S編隊
(ソル・コンティオ、ソル・シャッコー、シュグナイド)が次々にカタパルトデッキ
から射出されていった。
ガブリエル「イメンシア、なかなかいいようです」
アイア「こっちもいいぞ。リリアはMSの知識を知り尽くしているからな。構造が
まるきり違っても支援用メカを短期間に対応調節できる」

ガブリエル「しかしシュグナイド隊を指揮できないのは不安ですし、また厄介な
女を抱え込んで大尉に心労をかけるのは不本意です」
アイア「仕方あるまい、我々は前線の泥被りだ。おまけに新型のテストまで
実戦と兼ねてやらされる。これではネオ・ザンスカールと組んだ意味がないでは
ないか。まったく不愉快だ・・・・・・・・・」

ガブリエル「どういう女なのです、リリア・ストイチコフ少佐とは?」
アイア「貴様のような正常な少年が最も嫌いなタイプの女だよ。まぁ、凡人の
群れから一歩秀でた才能を得る為には様々な犠牲を払わなければならんという手本だ。
奴は上司だし、その気になればあたしを左遷することだってできる。そうならない
ためには・・・・・・・・・」
ガブリエル「汚名挽回ですね、大尉!ガブリエル・ポペスク、イメンシア出るぞ!」
アイア「フッ可愛い奴・・・・・・・・アイア・コッカ、エクサソーン出るぞ!」
244第一話登場メカD:2006/03/25(土) 02:30:33 ID:???
表彰式は、ユウリのお尻から跳ね飛んだハロが賞状をくわえてしまうという
ハプニングで引き続き会場を和やかな笑いで包み、いざディナータイムとあいなった。
すかさず、シレジアとアレーナは王子にお近づきになろうと忍び寄るのだが、
各界の御曹司が次々に二人に言い寄り、王子は王子で次々と宴の席を移動して
まるで照準レティクルが合わなかった。アレーナは当然のようにこのような社交
パーティーに慣れているので丁重に断りながら通り過ぎるものの、シレジアは
慣れていないのでアレーナに言い寄ったはずの男を物色したりところかまわず
豪華料理の数々を食い散らかしたりして笑いと顰蹙を買っていた。

ユウリはというと、やはり二人のインパクトに負けて一人さびしくジュースを
啜っていたのだが、そこに一丁前にタキシードを着たノマノマが現れた。
ノマノマ「よ、どうした?もっと食っとかないと損だぜ」
ユウリ「う、うん・・・・・・・・・・ありがとう」
ノマノマ「なんだ?俺の顔に何か付いてるか?」
ユウリ「ううん、何か今日のノンちゃん、カッコいいなって」

ノマノマ「ば、馬鹿・・・・・照れるじゃねぇか。ところで、さ。地球で会ったあの
敵のパイロット。・・・・・・・・・・どういう関係だったんだ?」
ユウリ「・・・・・・・・・好きだったよ」
ノマノマ「・・・・・・・・・そっか」
ユウリ「でも、いいの。もう忘れたから。今は恋なんてしてる場合じゃないから。
あたしなんて、あたしなんてさ、ガンダムとったら何も無くなっちゃう。他に
何の自慢も取柄もないんだから。頑張らなきゃ」
245第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 02:50:22 ID:???
ノマノマ「そんなこと・・・・・・・・・そんなことないよ!戦争の中でだって恋は
できるさ!それにお前には良いとこいっぱいあるじゃないか!優しいし、
人を傷つけようとしない。俺に言わせりゃお前こそ真のニュータイプじゃないか!
だからパイロットになれた。それに・・・・それに・・・・・初恋でも実らないと、瞬時に
わかったからそうやって簡単にあきらめられるんだ!」
ユウリ「・・・・ノンちゃん?」

ノマノマ「い、いや・・・ゴメン。言い過ぎたよ。どうかしてた。でもな、これだけは
言っとくぞ。誰が馬鹿にしようと、俺だけはお前の・・・・・」
カルル「ユウリの何だって言うんだい?ノマノマ君」
ノマノマ「!オメェ・・・・」
カルル「ユウリ、こんな人の感性を規定解釈するような男とは幸せになれないぜ。
あっちに美味しいサラダがある。食べに行かないか?」
シャーベット「フフッ、どうして素直に外へ出ようって言えないのかねぇ?」

カルル「ばっ、馬鹿!俺はデリカシーのない男が嫌いなだけだ!」
ノマノマ「自分のこと、言ってんのかよ!?」
イオン「やめたまえ」
イオンは天真爛漫な程の明るい笑顔で二人を仲裁してみせた。
ノマノマ「お、王子・・・・・・・・・はじめまして!ノマノマ・イェイです」
カルル「はじめまして、リガ・ミリティアのカルルマン・ドゥカートゥスです」
シャーベット「同じく、シャーベット・イノエです。友人のご無礼お許しください」
246第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 03:16:09 ID:???
イオン「はは、まぁいい。少年は元気すぎるくらいが丁度いいのだ。他人に
迷惑を欠けそうになった時に止めるのは大人の仕事だからね」
するとその時、シレジアとアレーナがドレスのスカートを両手で持ち上げ
肩で息を切らしながらイオン王子に近づいてきた。
シレジア「はぁ、はぁ、王子様!妃は募集中っすか!?」
アレーナ「ええい、無礼な!わたくし先程紹介に与りましたアレーナ・ヨルダネスク
ですわ!このたびは王子への謁見が叶い光栄の極みでございます!」

イオン「ああ、ええと・・・・・アリーナ?君だったかな?」
アレーナ「アリーナ?いえ、アレーナですわプリンス・イオン」
イオン「ああ、そうだったのか。君はマシンナリーの実績はあるのかい?」
アレーナ「マ、マシンナリーって・・・わたくしはJrMS選手権で史上初の四連覇
を果たしたのです!それにテレビにもたくさん出て・・・・・・・・・・・」
イオン「そうだったのか。凄いな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

アレーナ(知         ら       な       い
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ロマニアの薔薇、JrMS選手権でカミーユ・ビダンの記録を抜き史上初の四連覇、
サイド7一の大財閥ヨルダネスク家の跡取り娘、「良い子のプチモビ教室」はじめ
現在放送中のレギュラー番組15個にCM・公告出演歴のべ200社以上、
「ROMANIA WALKER」誌「今月イチオシの女の子」、ミス・サイド7、
髪ツヤとファッションセンスと貴族作法とスタイルも抜群、写真集発行計7巻、
学校の成績は小中高と常にトップを譲らず球技・陸上・水泳・レスリングも
殿方顔負けの運動神経、IQ200の宇宙世紀始まって以来の超天才児、のわたくしを
知        ら        な       い!??!?!
こんなことは間違いだ!夢よ!そう、悪い夢なのよ、フフッ、フフ・・・・ピリオド(以上)!)
   
247第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 03:36:53 ID:???
イオン「ところで、君はユウリ君だね。君の噂は聞いていたよ」
ユウリ「え?あたしを?」
イオン「ああ、ガンダムに乗る前からね。運動も勉強も苦手だけど、とにかく
熱心に取り組む人に優しい女生徒がいると君の高校の教師から聞いたことがある。
憶えているかい?小学三年生のとき、洪水で氾濫した川に飛び込み一匹の猫を
助けて小さな表彰を受けたときのことを。あの時、こんな時代にも心優しい
少女がいるのだと思ったものだよ」

ユウリ「あ、ありがとうございます・・・・・・・」
イオン「私は、そんな優しい女性が好きだ。広い心で何者をも包み許す菩薩の
ような女性が。そう、菩薩なんだよ。男女を超越し社会を、人間を俯瞰できる。
何の取柄もなくていい。そういう女性が私は好きだ」
ユウリ「えっ、そ、それって・・・・・・・」
シレジア「あーあ。何っつーわかりやすい少女マンガだろうねぇ。おい、
アレーナ。どした?目ぇ死んでっぞ?」

ズドッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ユウリ「なに!?」
カルル「敵襲か!」
ノマノマ「よし、行こうぜ!」
シャーベット「了解!」
シレジア「行くよ、アレーナ・・・・・・・・・・おい!?」
アレーナ「JRMS選手権四連覇、ミスサイド7、写真集発行計7巻・・・・・・・・」

248第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 03:59:39 ID:???
ユウリ「洪水か・・・・・そういえば、あのころはザンスカール戦争で壊されたコロニーの
気候調整機能が直ってなくてそんなこともあったっけ・・・・・・・
ユウリ、ガンダムPrincess行きます!」
シレジア「シレジア・ファン・ホーヴェン、ナディア・コマネチ行くよ!」
ノマノマ「ノマノマ・イェイ、ドラゴスティア出ます!」
カルル「カルルマン・ドゥカートゥス、ジークフリード出ます!」
シャーベット「シャーベット・イノエ、ジークフリード二番機出ます!」
イズモ「イズモ・カトウ、マジ・デウゼー出るぜぇ!」
アレーナ「アレーナ・・・・・ヨル・・・ダ・・・ネス、ク・・・・・ツ、ル、ベナ・・・・・
ズヴェ、ズ・・・・・・・・・・・ダ、出ますわ・・・・・・・」

ニコライ「アレーナの様子が可笑しいぞ、精神崩壊か!?」
ルペスク「いえ、文字通り可笑しいだけです!機体は正常に射出されました!」
ニコライ「みんなここがどこかわかってるんだろうな・・・・・・・最も守らなくては
いけない区画だ!砲撃は最後の最後まで温存して機銃座による最小限の援護を!」
シレジア「艦長!アレーナが落ちてんすよ!背後から主砲の一発でも食らわして目ぇ
覚ましてやってくださいよ!」
ニコライ「やれるものなら、やってる!」
ユウリ「(°д °)」


アイア「来たか、賢しい小娘ども・・・・・・・・まずはこいつだな!」
アイアはエクサソーンの手振りでソル・シャッコーの群れをFBに近づけさせた。
ただでさえ手が出せないFBに凄まじいミサイルポッドとビームの網が降り
注ぎ、ニコライは出力を調整しながらも大規模なビームシールドを機体各部に
展開したジークフリードとマジ・デウゼーの腕部加速器に刺激させてさらに
拡大して簡易のドームを作り凌ぐしかなかった。
249第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 04:17:34 ID:???
アイア「やる。だが!!」
アイアはエクサソーンの肩部中型パックからビームソードを取り出すと伸長
させ、ガンダムチームに向かってそれを「発射」させてきた。
ユウリ「うわっ!」
シレジア「まるで便利なヴェスバーじゃねぇか!?」
アレーナ「ヨルダネスク家の跡取り娘、IQ200・・・・・・・・・」

この陣形の乱れを付いてシュグナイド隊はマジとジークフリードに、ソル・コンティオ
はエクサソーンをファンネルで援護しつつFBを取り囲んでいった。
ユウリ「いまさら、ファンネルなんてーーーーーーーーーっ!!!」
ユウリはバーニアを細かく調節し、コロニーの回転方向と重なるのを承知でファンネルを
スカートヴェスバーで一掃した。遠心重力で街に落下する寸前AMBAC機動で反転し
さらにバーニアが街路に向かないよう上→斜め→左と小刻みに方向転換した。

ジークフリード隊は得意のビームシックルで四角から襲い来るシュグナイドに
立ち向かったが、中距離以上の武装ならシュグナイドが若干秀でている。
お互い距離を取りながら睨み合う一進一退の攻防は最終的にマジ・デウゼー隊の
介入でロマニア優勢になっていった。しかしシュグナイド隊もアイアもFBへの
援護を遅らせることには成功していた。
250第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 05:11:39 ID:???
その時、夜闇を切り裂いて一機のダンケル・ヴァイスが急速接近してきた。
リリア「・・・・・・・・・・・・・・目標・・・・・・・・・・・・・視認・・・・・・・・・・・」
アイア「なにっダンケル・ヴァイス!?早い!」
ユウリ「迷って、くれたの!?
ハロ「ソウ、ミタイィィィ」

ガンダムPrincessは素早くビームサーベルを腕部から取り出しエクサソーンの
ビームソードを弾き飛ばした。
ユウリ「行くよ!ガンダムプリンセスーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
シレジア「オッケイ!エレガント!!おらっアレーナしっかりしな!」
アレーナ「きゃっ!な、何!?ゴージャスですの!?」

コクピットが微弱な振動に包まれMA形態に変形すると、各々がフォーメーションを組んで接近。
まずユウリのガンプリが手足と頭を収納して限りなく台形に近い形になると、シレジアの
コマネチは中心が奥に収納されて折りたたまれた腕部脚部がと結合して長く伸び、ガンプリの
下部に結合。アレーナのズヴェズダはこれを逆に実行してハンガーとなり上部に接続
すると、ガンプリの頭部がハンガーの上に突き出た。それはまさしく神々しいという
以外に形容詞の無い、新時代の「3コアブロックシステム」のもたらしたものだ。

251第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 05:41:04 ID:???
ユウリ「ガンダムプリンセスーーーーーーーッ!」
シレジア「エレガント!!」
アレーナ「ご、ゴージャス!!!」
三人「カノン!!!」
が、放たれた太く巨大な閃光はダンケル・ヴァイスのビームフィールドによって
ことごとく弾かれた。少なくとも現状で出せる最高の武器が偏向させられた
ショックは大きかった、だけではなくリリアはさらにビームパンツァをオンし
敵MS群の群れを旋回していった。

カルル「ぐっ、こいつやるぞ!」
シャーベット「この前は手加減してたんだな!」
ノマノマ「な、何とか・・・・・・・・・・・あぐ!!」
三人の乗る機体にアイアの放ったパラサイトビットが見事に填まった。三人は
必死で駆動系をもがかせるものの、機体はアイアが各個に転送したTRAPAによって
ガンダムチームやマジ・デウゼー隊を攻撃し始めてしまったのだ。

ユウリ「ノンちゃんたち!?」
シレジア「どうして攻撃して来るんだ!?」
アレーナ「武器を奪ったビットの発展型ですわ、付属のビットを狙うのよ!」
しかし、敵は圧倒的に余裕を持っていた。アイアが他のMSにもパラサイトビット
を放てばリリアはガンダムチームにアームドビットを放ちつつビームパンツァで
体当たりを続ける。3S編隊の火力で逃げるユウリ達の退路は狭まるばかりだ。
252第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 13:21:17 ID:???
その時だった。王宮の茂みから突如、巨大なハンニバルの姿が現れた。
未だに痛々しく残るハルトレイ共和国の紋章と独立祈願のスローガンが闇夜の
ネオンに映える。艦も同じスペースノイド独立の為に戦う民の手元へ転売されて
本望なのだろう。これはもはや連邦とスペースノイドの戦いではない。それぞれが
自分達の権利と自由を守る戦いだ。それは連邦政府が月に上がったこの時代を
象徴するものである。

ハンニバルからの弱く絞った十字砲火に呼応しジークリンデがコロニーの回転方向と
真逆に動きながら街上空に自分達のミノフスキーフライトの為の薄いIフィールド
の幕を張ると、カタパルトデッキから無数のジークリンデが射出された。
イオン「イオン・イリエスク、ジークリンデ出るぞ!」
フリスト「出てきたか、王子・・・・・・・実に久しぶりだな!」
アイア「フリスト中佐、オシフィエンティム!?」

戦場は完全に混乱を呈していた。が、だからといって侵略者は街を壊せるから
優位と言えるわけではない。むしろ逆だ。守るべきものが実は最大の武器として
使える。都心各所の対空砲火が王子の指示で次々に火を噴き、敵MS群を撃墜
していく。この為、わざわざジークフリードとマジ・デウゼーは頻繁にミノフスキー粒子
を調節していたのだが、都合よくIフィールドの厚薄を調節できるのも実は
ガンダムPrincessの照射能力のおかげであったしユウリ自身も気づいていない。
253第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 13:32:48 ID:???
フリスト「欺瞞を振りまく道化め、覚悟するがいい!」
イオン「一度はギロチンに魂を打った者に言えた事か!」
フリスト「賢しいな!戦場で戦っていたころの貴様はもっと直情的だった!」
イオン「だから、今では反省している!貴様の昔話など聞く耳持たぬ!」
ジークリンデとオシフィエンティムは激しい大火力武器の応酬でそのままコロニー
の外壁まで突き抜けていった。両軍とも最終的指揮官が駆けつけ、そしてドロップ
アウトして残ったのは歯噛みするアイア一人のせいで歩調が合わなくなった
ソフィア軍の劣勢である。

アイア「よし・・・・・・・・・リリアは放置して退却するぞガブリエル少尉!」
ガブリエル「えっ!?まだこのイメンシアの性能をテストできていません!」
アイア「そういう場合と問題ではない・・・・・この状況をよく観察するんだ。
見ろ、責任は分散された。ならばそれを自軍に有利に活用せねば!」
ガブリエル「戦士たる者、我慢のときがあるということですね」
アイア「そうだ。退くぞ!」

ユウリ「はっ、何!?」
シレジア「な、何だ・・・・・・・吐き気がする」
アレーナ「こ、これは・・・・・・・・・・この不快感・・・・」
ニコライ「あのMSから発せられている・・・・・!?」
その瞬間、ダンケル・ヴァイスのパラサイトビットで奪われたノマノマ達のMSも、
アームドビットで奪われたガンダムチームの武装も解放されていった。
リリア「アイア・・・・・・・・・・・・・・・コッカ・・・・・・・・・」
254第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 14:00:30 ID:???
その瞬間、ダンケル・ヴァイスは悪鬼の塊となったように素早い動きでロマニア
の敵MS群の間を旋回し始めた。今までにないスピードと威力に、ジークリンデ
隊をはじめとする集中砲火もまるで意味を成さない。全てのMSは退却し、その場に
残ったのはリリアの機体一つのみであった。
リリア「退却・・・・・・・・・・・・・戦術的判断・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦術的帰結・・・・・・」

TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA

SOLIDALITY SOLIDALITY SOLIDALITY SOLIDALITY SOLIDALITY SOLIDALITY
SPOILED SPOILED SPOILED SPOILED SPOILED SPOILED SPOILED SPILED
↓       ↓       ↓     ↓       ↓
BELEVING  NOBODY  is  the most impotant act at this moment.

TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA TRAPA

リリアの黒縁眼鏡が怪しく光りFBに特攻をかけようとした時!
ニコライ「落とせ、落とせ!何故落とせんのだ・・・・・・・・・・はっ!!!?」
無数の光条が不気味なほど正確な軌道を描いてダンケル・ヴァイスのスラスターの
半分を打ち抜いた。すると、FBから出されていたミノフスキー粒子は正常な
散布ペースを急に取り戻し始めたのだった。光条の源はアームドビットで奪われ
ビルの上に置き捨てられていたユウリのスカートヴェスバーの一部だった。
255第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 14:47:37 ID:???
アレーナ「あの子、またあんな使い方して・・・・・・・・・!」
シレジア「ビットをビットで動かして、遠隔操作だっての!?」
リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ガンダム・・・・・・・・・・・・」
ダンケル・ヴァイスは高加速レンジで退却していった。敵軍の現在の総力を
挙げたといってもいい攻勢を凌いで、再び街と軍は歓喜に包まれた。

イオン王子の狙いはハマったのだ。宣戦ムードに水をさす敵軍の奇襲を見事に
返り討ちにした。ここ数日の王室のプロパガンダは全てことごとく当たっていた。
もちろんいずれの会戦もガンダムチームの強力無比な性能とプロジェクト・ロマニア
後期派生機によるものであり、各勢力の共同入札によって現在の軍需不況を打破
しようしたとえはいえ、ロマニアへの利益誘導だったとはいえ、これだけの戦力を
いちコロニーバンチに与えたことはやがて連邦に危機感を与えるのだった。

ハロ「ユウリ、ユウリ、ノド、イタァァァァ」
ユウリ「ん、どうしたの?」
リニアシートの上で耳をパタつかせるハロの喉の奥に手を突っ込むと、そこから
一枚の紙が出てきた。
ユウリ「・・・・・・・・・・・・これ・・・・・・・・・・!」
256第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 15:17:42 ID:???
イオン「ありがとう。来てくれないかと思ったよ」
ユウリ「い、いえ・・・・・・・・・・とんでもございません」
日はとっぷりと暮れ、既に来賓客達は帰途についていた。ユウリはメールで
シレジアとアレーナに忘れ物があるから、と先に帰ってもらったのである。
王子の部屋はアレーナに負けず劣らず豪華な大理石と数々の芸術品、各コロニー
指導者からの贈呈品で埋め尽くされていた。

ユウリ「あ、あの、それであたしに話って?」
イオン「ああ、そうだったね・・・・単刀直入に言おう。私の妃になってはくれまいか?」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・・・!」
ピアスと会ったときとは全く違う、それでいて髣髴させるときめきがあった。
しかしそれはときめきとはまた違ったものかもしれない。まだ現実のものとは
考えられなくて、シレジアの言ったようにまるで出来すぎた話だった。それと
同時に王子ともなれば見える視点が違うのだろうという気持ちもあった。

ユウリ「あ、あたしは・・・・・・・移民の子です。それに貴族や王族の作法や知識も
全くありません。何より、王子様のガンダムを奪ってしまって・・・・・」
イオン「はは、それは関係ない。言っただろう?私は自分に安らぎを与えてくれる
ごく普通の優しさを持った女性を求めているだけ。それに政治の知識や作法など
あとから覚えればいいしその時間はたっぷりある」
257第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 15:33:07 ID:???
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・少し考えさせてください」
イオン「ああ、その方がいい。ゆっくりでいいよ」




パタン、と部屋のドアを閉めユウリは寄りかかって数秒沈黙すると、ポンポン
弾んできたハロを胸に抱え込んで徐に廊下を走り出した。無作法を咎める
衛兵もまるで気にはしなかった。

ユウリ「きゃはっ!ふふっ、ははは、ふっふっ・・・・・・・・・・・ぴゅーん!」
すごい、すごい。あたしが、何の取柄も無くて奥手でドジで、名前のせいで
いっつもバカにされてきたあたしが、お姫様だって!ふふっ、きゃはっ・・・・
どうしようかな?今夜、誰かに話そうかな?シレジアにメールしよっかな?
ふふっ・・・・・・・箸が転んでも楽しいって、こういうことだね!

この時、ユウリには先に待つ運命などまるで見えてはいなかった。
258第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 15:46:54 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ノマノマ    矢尾一樹
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか




















259第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 15:52:26 ID:???
キャスト     
アイア    折笠愛    ルペスク  津田健次郎         
リリア    植田佳奈   キブ    結城比呂
フリスト   関俊彦    ガブリエル 松本保典
イオン    速水奨    ハロ    小山まみ

誰に笑われたっていい   自分のこと「カワイイ」って言える

















260第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:02:48 ID:???
キャスト     
アイア    折笠愛    ルペスク  津田健次郎         
リリア    植田佳奈   キブ    結城比呂
フリスト   関俊彦    ガブリエル 松本保典
イオン    速水奨    ハロ    小山まみ

確かな男を        見つめればいい




















261第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:04:15 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  恩田尚之
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間




















262第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:08:44 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない



















263第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:19:06 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 恋する乙女の IN HEART PRINCESS SHOWER










264第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:20:30 ID:???
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   それが          それが        いま 








265第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:32:43 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




        PRINCESS       SHOWER
266第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:34:55 ID:???
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   それが         それが        いま









267第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:38:22 ID:???
脚本   出渕裕    演出   岡村天斎
作画監督 沖浦啓之   絵コンテ 岡村天斎




        PRINCESS         SHOWER
268第二十七話「BE MY PRINCESS」:2006/03/25(土) 16:48:36 ID:???

          次   回   予   告


ユウリ「ピアス・イン・ヘブン。ウッソさんも、ノンちゃんも、艦長も、
カルル君たちもカッコイイと思うけれど、あんなに胸がドキドキしたのは初めて。
また逢えそうな気がする。逢えたらいいな・・・・って思うけど、あたしの本当の
ことを、本当の気持ちを包み隠せず言える勇気って、出せるかな?

   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

               黒い王子様  

          ガンプリは、みんなで見てね!




          次   回   予   告


ユウリ「王子様にプロポーズされちゃって調子に乗りすぎたのかな?迂闊にしゃべって
変な影響与えちゃったみたい!シレジアなんて、あんな性格だし男の子には
興味なさそうだなーっていうか、シレジアの相手できる男の子なんていなさそう
だと思ってたんだけど、何気に隅に置けないみたいだよ?!

   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

             ま、いーんじゃね?

          ガンプリは、みんなで見てね! 」









269:2006/03/25(土) 16:58:57 ID:???
あーチキショー風邪が治らねぇ。ミス多すぎだよ。
後期エンディングテーマ→「PRINCESS SHOWER〜星空の温もり〜」
作詞・作曲・編曲→JAM Project Feet+MIO

>>233、244
丁寧なまとめありがとうございました。あと日付とかつけて過去の年表と
並べていけたらいいと思ってます。
270通常の名無しさんの3倍:2006/03/26(日) 00:04:38 ID:???
バビロン・リア 【Babylonia Rearguard】
ブッホ・コンツェルン系列の武装警備会社。
ブッホ・コンツェルンの工場や社屋、輸送船等の警備を主な業務としている。
社員の中にはコスモ貴族主義に傾倒している者も少なからずおり、C.Vの再来と揶揄されているが
合法的な会社組織であり、ブッホ・コンツェルンの連邦政府への影響力の強さを伺える一例といえる。
『登記簿』に記されている所有する艦船およびMSは以下の通り、

ザムス・ジェス級 1隻
ザムス・ナーダ級 2隻
武装宇宙艇  8艇
デナン系MS 11機
ベルガ系MS 3機
ビギナ系MS 1機
武装プチMS  34機

所有するMSは作業用MSとして生産を続けているデッサタイプの改造機であり、
生産性やコストは度外視されているためかなりの高性能機である。
会社の創設者の一人であった元C.V軍の将軍は退職後どこぞの辺境サイドで使用人をしているらしい。
271通常の名無しさんの3倍:2006/03/26(日) 22:30:22 ID:???
>>268この「来週もまた見てね!」なノリいいねwww
272通常の名無しさんの3倍:2006/03/27(月) 23:25:20 ID:???
>>1はしばらく執筆帰還に入ったのか?

トリアエーズ・ホシュ
 トリアエーズの復刻版。
273シレジア・ファン・ホーヴェン:2006/03/28(火) 09:17:16 ID:???
ういっす!シレジアちゃんだよ!男の名前付けられたくれーでメソメソして
ばっかいるユウリやお嬢気取りのアレーナより実はみんなあたしのことが
好きだろ!?ぶっちゃけあたしがいなきゃガンプリは超鬱展開オンリーの
精神カルテ化してたって言っても過言じゃなくね!?

>>270
ま、採用じゃね?その調子でまだ掘り下げが不足してる勢力について重点的に
アイディア出してってくれや!

>>271
どんだけウケてんだよwww

>>272
休筆期間の間違いじゃね?作者はルルとドリスタンで楽勝に風邪治ると思ったら
超しくって未だに頭痛と戦ってるらしーぜ

※「しくる」・・・・しくじる

あ、やっべ忘れてた。まとめサイトできたらしいぜ。でもまだ色もついてねーわ
内容も>>1の序文だけだわで超ショボイらしいから気長に待っときな。
つか、それなら「まとめサイト」っつー呼び方すらできなくね?
274第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 09:41:54 ID:???
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS

  





275第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 09:56:49 ID:???
イオン・イリエスク王子による宣戦でロマニア皇国軍のサイド2侵攻へ
あと三日と迫っていた。今回のロマニアの行動は当然ながら、専守防衛
の姿勢を転換することによって各勢力の反応を見るためのブラフという
側面も持っている。だが抑止力は視認可能でなくてはその効果も持たない。
ハンニバル以下現有戦力の全てを持って各サイドにそれを訴え、現状で
サイド2のスペースノイド独立派政庁に与することがいかにナンセンスか
教えようというのである。

だが、ロマニアに対する連邦のあらゆる経済援助が打ち切られた現状、
国家元首や有産階級は政財界全てを結束させ国民に戦争の継続を納得させ
うるよう裏でめまぐるしく動かさせた。その一つがサー・アンヘル・ヨルダネスク
によるブッホ・コンツェルンとの接触である。コスモ・バビロニア建国戦争で
彼らが学んだことは性急過ぎる社会変革はマイナスを多く生み出すというもの
であった。

で、あるからこそ彼らは一企業体としての立場を守りそれ以上に政治に
介入しなかったが少なくとも事実としてマイッツァー以下議会の中に影響力を
持ってしまった以上、使えることにそれを使わなければ持ち腐れではある。
武器商人の原点に戻り世間の支持を得ている勝ち馬に積極的に武器を売り、
その為の政治的根回しがあれば今後につながる人脈の拡大が可能だ。
276第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 11:53:48 ID:???
かといって連邦との協定を破ったロマニアにとりわけ大きな支援をするのは
連邦との関係や世論を考えてもよろしくない。根回しが細部にわたるまでは
現在サイド7宙域に接近しているバビロン・リアはじめ各種グループ企業に
影から支援させる状態がしばらく続きそうである。

ヨルダネスク・グループとブッホ・コンツェルンは共通点が多い。シャルンホルスト
はジャンク屋上がりであり、アンヘルも機械工から、共に少しずつ世間への矛盾感を
貴族主義という形で表していった。が、アンヘル・ヨルダネスクはクロスボーン・バンガード
蜂起の年に生まれた男である。同じ時代に生まれれば違う道を歩み反目したかも
しれなかったが彼はブッホの人生と目指した未来に強い影響を受けたのだ。

もっとも今回に関してはそんなに人的なものではなくもっと生臭い匂いもブッホの
行動から嗅ぎ取れる。同じMS小型化潮流を作ったとはいえ良好ではないブッホと
サナリィの関係がガンダムチーム開発計画に繋がったのはリィズ女史とブラックロー
運送の間柄も無視は出来ないし、マーケティング部はミノフスキードライブの
特許権訴訟の和解も含めて型番XMを提案していたという経緯がある。
277第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 12:59:36 ID:???
ロマニア皇国は戦争ムードが高まってはいたものの、それは現実的なものではない。
常に攻められる側だった彼らは再び攻める側としての機運に沸いているだけだ。
そしてこのコロニー史上最強の戦力が揃った今、若者達に悲壮感はない。
現実には連邦からの援助が打ち切られた段階で年金生活者の自殺が何件か
伝えられてはいるのだが、それでも経済封鎖とは訳が違う。

教室ではシレジアがユウリから聞いた秘密を瞬時にバラして大変なことになっていた。
シレジア「あーーーーーったく!何であたしみたいな美少女をさしおいて
ユウリだけが王子からプロポーズされんだぁ!?もう訳わかんね!」
ユウリ「ちょ、ちょっと!」
「ユウリ、やったじゃん!これで超玉の輿だね!」
「なぁ、俺とか王宮に招いてくれよ!」
「姫様っていったら毎日贅沢に遊び放題でしょ!?」

大騒ぎの生徒達と離れてアレーナとノマノマはそれを冷ややかにみつめていた。
アレーナ「まったく、少しは遠慮というものを知らないのかしら・・・・・」
ノマノマ「まったくだぜ。これで本格的にアレーナお嬢様はクラスの主役の座を
奪われるってのに、大衆は鞍替えが上手だよな」
アレーナ「あ〜ら、貴方こそ幼馴染が手の届かないところに行ってしまって
心中穏やかではないんじゃありませんの?」
ノマノマ「バ〜カ、別に何とも思っちゃいねぇって・・・・・・・」
278通常の名無しさんの3倍:2006/03/28(火) 13:56:38 ID:???
本編の投下を中断して再放送の投下するってどうなのよ?
279第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 19:37:59 ID:???
フリスト「先日は私のミスだ。君達二人に任せていれば少なくともイメンシアの
実戦データはきちんととれていたはずなのだが」
アイア「いえ、滅相もございません。こちらこそ王子をMS戦に引きずり出して
本丸を狙えるチャンスをみすみす逃してしまったのですから」

フリスト「しかし問題はリリア少佐だ。依然としてこちらと別行動をとろうと
する。資源採掘船ゆえ大きな権限を・・・・・・・・・・つまりレフスキ閣下から与え
られているのはわかるが、前線ともなればこちらに従ってもらわなければ」
アイア「ジェニファの方がまだ扱いやすかったですよ。リリアは新しい技術を
提供してくれる点で彼女より優っていますが使い勝手が悪い」

フリスト「上司を使うなどとは失敬だなアイア大尉。彼女の協力がなければ
サナリィやブッホ・コンツェルンのMS小型化も単なる戦場でのノウハウに終わって
民生品としてのブームは到来しなかったかもしれんのだ。一ヶ月に一回は
新技術を考え付く、ビームフィールドもローバー系ビットも彼女がこの戦争が
始まってから開発したものなのだからな。やはり貴重な人材だ」
アイア(・・・・・・・・・・・・・・・ならば得意の歯が浮く話術で誑(たぶら)かせばいいものを・・・・・・・・)
280第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 20:55:48 ID:???
ニコライ「ったく・・・・・・・・・いくら給料日だからって俺にたかるなよ!」
シレジア「ま、いーんじゃね?こん中でまともに高校生四人食わせられそうな
のは中尉ぐらいしかいねーんだからさ」
アレーナ「そう言って、ちゃっかりわたくしの懐も計算に入れてらっしゃるのでしょ?」
シレジア「あ、やっぱバレてる系?」
ノマノマ「やれ、やれ・・・・・・・・・・いつか搾られるぜ」

シレジア「だーい丈夫だって。いざとなりゃユウリに頼みゃいいんだ。何たって
お姫様内定なんだから、いくらでもツケられんだろぉ?」
ユウリ「ま、まだ決まったわけじゃ・・・・・・・・・」
ノマノマ「ちぇっ・・・・・・・・・・じゃ、とりあえず牛丼でも食うか」
アレーナ「ギュウドン?何ですの、それは」

ニコライ「知らないのか?ニホンの料理だ。白米の上に牛の肉を薄く切ったものを
乗せたものだが、結構いけるぞ。旧世紀から続いてるチェーン店は安いし、ナイスチョイス
だぞノマノマ!」
ノマノマ「いやぁ、それだけじゃないっすよ。やっぱ半玉は欠かせねぇ」
ユウリ「そうそう、コチュジャンと一味も入れないと」
シレジア「んで、ソースとからしも入れて一気にかき混ぜる!ヤバいよあれは」
アレーナ「ああ・・・・・・・・・想像しただけで鳥肌が立ちますわ」
281第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 21:22:31 ID:???
イズモ「いらっしゃいませぇー。空いてる席におすわ・・・・・・げっ?!?!?!」
シレジア「あっ、イズモ軍曹っ!?!?!?」
ユウリ「軍曹じゃなくて^^;少尉!何故、こんなところに?」
ノマノマ「いや、ていうか似合ってるぜユニフォーム」
アレーナ「そういう問題ではないでしょ?」

ニコライ「まったくだアレーナ。今の俺達にとって重要なのはイズモがこの店で
働いているのか単にネタでウケをとろうとしているのか、どうかだ」
シレジア「あ、わかったぜ。要するに最近出撃時しかセリフがねーもんで
ここで一丁見せ場を作ろうって・・・・・・・・・・」
イズモ「バカッ違わい!俺は地球のトチギ・プリフェクチャーで工場以外にも
牛丼屋・弁当屋とバイトを掛け持ちして家計を助けてたんだ。連邦軍のガンダム
開発計画に用具班で参加できてパイロット資格もとって、やっと仕送りが安定してきたと
思ったら俺までロマニアへの援助打ち切りに巻き込まれて、まだ皇国軍への編入
手続きも終了してねぇんだ!初任給来るまで日雇いで稼がにゃ食ってけんのよ!」

シレジア「はぁ、そりゃ大変だね!そんじゃ早速大盛・半玉五人分!一分で持って
来なかったら請求ね!」
イズモ「無茶言うなっ!夕飯時のこの客数をちったぁ見ろい!」
店長「こらぁイズモ!しゃべっとらんで働けい!同じニホン出身だってよしみで
雇ってやった恩を忘れたんか!?」
イズモ「は、はいすいません。あ、これまた洗い物・・・・・・・・・・」
シレジア「ぎゃーーーーーーーーっはっはっ!!!!!!!」
282第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 22:05:27 ID:???
ニコライ「笑うなよシレジア。お前だって欲しいものがあればバイトしたほうが
いいんだから。楽に稼げる仕事なんてないもんだぜ」
シレジア「だってよぉ、ヒヒ、あの軍服と汗臭いパイロットスーツが似合う
イズモ少尉が・・・・・・・・・・・・・・ププッ牛丼屋でバイトだよぉ!?」
ユウリ「確かに、似合ってるよね・・・・・・・・・」

イズモ「はい、お待たせ!大盛と半玉五人前!」
ノマノマ「おっ!髪の毛入ってんぞ!?」
イズモ「えっ!?う、うそ・・・・・・・・・・」
ノマノマ「ウソに決まってんでしょぉ」
イズモ「な、何だ・・・・・・・・・・びっくらこいた」

アレーナ「こ、この木でできた棒のようなもの・・・・・・どう扱うんですの?」
ノマノマ「ああ割り箸か?それは二つに割って使うんだよ」
アレーナ「な、なるほど・・・・・・・・・こうですわね?」
ノマノマ「ああっ!ダメだよ。片方の端がささくれちまった。いいか?
下のほうからゆっくり、裂くように均等に割ればきれいにできるから」
アレーナ「そ、それぐらいわかりますわよ!まったく・・・・・・・・・」
283第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/28(火) 22:51:02 ID:???
アレーナ「な、何ですのこれは・・・・・・・・・くっ!」
ノマノマ「いや、それじゃフォークと同じように扱ってるだろ?中指を箸の
間に入れて、親指と人差し指で支えんの。そう、ああ!ダメだよ。掬うんじゃ
なくて掴まなきゃ」
アレーナ「わ、わかってますわ!このアレーナ・ヨルダネスクにとって箸ごとき
扱うのは造作もないこと!余計な手出しは無用ですわ、ピリオド(以上)!」

シレジア「ヒヒ。あの二人、何気にお似合いじゃね?」
ユウリ「そうかなぁ・・・・・・・・」
シレジア「な、ユウリ。突然だけどさ艦長のことどう思う?」
ユウリ「何、突然に・・・?かっこいいと思うけど」
シレジア「それだけ?それ以上は何とも思わない?」
284第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 10:23:23 ID:???
ユウリ「思わないよ。どうして?」
シレジア「よっし、わかった!悪ぃな変なこと聞いちゃって」
ユウリ「・・・・・・・・?今日のシレジア、変なの」
シレジア「お前だって変だよ。地球であの強化人間に会ったとき、それから
最近でも。自分で気づいてないだけさ」

ガブリエル「こちらポーン。キングはナイトとキャッスリングしたようです」
アイア「わかった。豚が動いたということだな?」
ガブリエル「ところで大尉。こんな変装でバレないのでしょうか?」
アイア「案ずるな。あたしとてこんなに化粧を落とすのは久しぶりだ」
ガブリエル「そうですか。すいません、大盛二つお願いします」

ユウリ「あ、すいません!箸、当たっちゃって・・・・」
アイア「いや、なに。大したことはない。君は高校生かい?」
ユウリ「ええ。この近くの」
アイア「ロマニア皇国立防衛大付属高校というのは知っているか?」
ユウリ「あたしの高校ですよ。OBの方ですか?」
285第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 13:09:02 ID:???
アイア「ん?ああ、まぁね・・・・・・・・」
ユウリ「わぁ!あたし、女の方でOBに会うの初めてです。懐かしいでしょう?
あの校歌、恥ずかしいですよね。旧校舎の授業は臭くて狭いし最悪!」
アイア「ああ、ああ・・・・・・・・・・ハハ。懐かしいな。ところで話は変わるが、
ガンダムはこの近くにあるのかい?」

ユウリ「えっ?」
アイア「ガンダムっていえば宇宙世紀のMSで勇者・勝者の証じゃないか。その
ガンダムがロマニアの象徴だなんて凄い時代だ。見たくなったのさ」
ユウリ「無理だと思いますよ。機密だろうし」
アイア「そんなことも知ってるのか。さすが防衛大生だ」

イズモ「ん?あの女・・・・・・・・・・どこかで見たような」
ユウリ「じゃ、わかりました。ニコライ中尉!」
ニコライ「え、何だって?・・・・・・・・・・ああ、丁度今日は見学日だしいんじゃないか。
一応、身分証明書を見せてもらおうかなお嬢さん」
アイア「お嬢さんとは・・・・・・・・・・フフッ照れるな」
ニコライ「ダイムラー・クライスラー、織物工場のテレホンオペレーターか。
よし、問題はないな。早速行きましょうか」
286第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 13:47:39 ID:???
フェレンツバロシュの格納されている、元は連邦軍駐屯基地だったスペースには
多くのマスコミと市民が集まってきていた。厳重な身分チェック、赤外線・金属
探知機で報道陣をいらだたせて入るものの、三日後に出陣を控えている現状では
致し方ないといったところか。MSデッキに並べられたマジ・デウゼー、ドラゴスティア、
ガンダムチーム、ジークフリード&リンデに溜息が漏れる。

ユウリ「あれっ?ダイムラーさん何処へ行ったんだろう?さっきまで一緒に
いたのに・・・・・・・・・・・」
シレジア「トイレじゃね?それより見ろよ、なんかあーやって公に褒められると
普段とはまた違った快感があるよなぁ」
ノマノマ「アレーナ、まだスカートに米粒が付いてるぜ」
アレーナ「見えてますわよっ!余計なお世話ですわ!」

アイア「ふむ・・・・・・・・・・・・・・」
ニコライ「ん?」
アイア「ご苦労だニコライ・ピオトル中尉」
ニコライ「その制服は・・・・・・・地下に逃れていた連邦軍の方で?」
アイア「ああ。素晴らしいモビルスーツだ・・・・・・・・・これ一つあればサイド7の
ような辺境のサイドなど数時間で制圧するのも不可能ではないかもしれない」
287第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 16:59:39 ID:???
ニコライ「・・・・・・・・・・・・・・・?」
アイア「どれ、試しにやってみるとしよう」
ニコライ「あ、お待ちください!」
カルル「ん、何だあれは」
シャーベット「いや、待て・・・・・・・・・・あれは怪しい!」

素早くメカニックマンやガイドを振り切ったアイアは付属エレベータで
ガンダムPrincessのコクピットに乗り付けると拳銃でコクピットハッチのロック
を破壊し中に乗り込んだ。
ニコライ「ユウリ、ケータイは持っているな!?」
ユウリ「はい、大丈夫です・・・・・・・けど!?どうしたんですか!?」

シャーベット「ガンプリに不審者が乗りこんだんだ!」
カルル「ケータイさえあれば、大丈・・・・・・・・・あっ!?」

ガウッ!!ガシャッ!!

何と、アイアはアームレイカーに自らの携帯電話を置いて起動させてしまった。
電波が通じる区域に来たとき、既に彼女はSWWのアングラ掲示板から入手した
ユウリのホストを辿って偽造認証データを作り上げてしまったのである。
288第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 17:17:12 ID:???
ガンダムPrincessはアイアによって操られ、そのまま拘束アームを引きちぎり
基地の内部、横付けされた各MSまでも破壊し始めた。
アレーナ「くっ、わたくしのズヴェズダを・・・・・・!」
ノマノマ「どうすりゃいいんだぁ!?乗り込めねぇ!」
ニコライ「とにかく、民間人の非難が先だ!シレジア、誘導を!」

シレジア「あいよ!任されてよ!」
ユウリ「で、でも・・・・このままじゃ全部のMSが壊されちゃう!」
ニコライ「皇国軍の自衛用MSは他区域に待機してるはずだ!そいつらに連絡し
ともかくここから引き剥がすしかないぞ!」

間もなく、アイアの開けた大穴に向けて出動した皇国軍のジークフリードが接近し
ビームシックルで殴りつけた。もはや誰もいなくなったMSデッキで、近づいてくる
ジークフリードは全て蟻地獄方式に撃墜されてしまう。このままでは、MSデッキ
どころか落ちてきたMS群でFBの艦体そのものが大きなダメージを受けてしまう。
ニコライは、とにかくFBを浮上させることを選択した。
289第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 17:28:16 ID:???
キブ「くっそぉ、それならーーーーーーーーーーっ!!」
ジークフリード隊を指揮するキブの機体は右腕の加速器を低めに絞り、細く
鋭いビームとしてガンダムPrincessに向けて発射した。
アイア「うっ、ああ!」
完全にフイを突かれ顎部にこれを受けてガンダムPrincessはMSデッキの壁にめり込んだ。

ユウリ「くっ、やられた・・・・・・・・・どうするユウリ!」
ブリッジに集まったパイロット一堂はモニターからこの様子を確認した。
ニコライ「よし、ジークリンデ隊!左舷下部に集合してくれ!」
指示通り外壁から顔を出したガンダムPrincessに対し、ジークリンデ隊は
ビームライフルの一斉射を食らわし、見事艦外へ追い出すことに成功した。

ニコライ「よし、いまだっ!全員各MSに搭乗、出撃だ!」

シレジア「オッケイ!シレジア・ファン・ホーヴェン、ナディア・コマネチ出るよ!」
アレーナ「アレーナ・ヨルダネスク、ステアウア出ますわ!」
ノマノマ「ノマノマ・イェイ、ドラゴスティア出ます!」
カルル「カルルマン・ドゥカートゥス、ジークフリード出ます!」
シャーベット「シャーベット・イノエ、ジークリンデ出ます!」
290第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 17:57:17 ID:???
しかし、戦局は好転しなかった。フリストとリリアの部隊の干渉が、ロマニアの
宣戦により控えられ今回の作戦もアイアの独断となったことはむしろスムーズな
指揮を促した。このタイミングでFBのMS隊出撃より一歩先にコロニー外周の
シュメンから3S編隊が出撃すると、街中に隠されていたイメンシアに率いられ
先制攻撃が加えられたのだ。

シレジア「あたしが行くよ!」
コマネチがビームザンバーを乱射しながら突っ込んでいくと、ソル・コンティオが
ファンネルでこれを囲む。それ自体は大したものでもなかったのだが、
アイアがガンダムのスカートヴェスバーを「内に」集中させて放つことで
注意が分散されコマネチは少なからぬダメージを受けた。

シレジア「ううっ!こいつらぁ・・・・・・・・・・!!」
アイア「ふふっ使い勝手がいいな、このMS・・・・・・・」
アレーナ「ならばわたくしが!」
今度はズヴェズダがスカートヴェスバーを放ちながら旋回し脇部のマイクロミサイル
ポッドを発射するものの、今度は一歩早く展開していたソル・シャッコーの
同じマイクロミサイルポッドと上手く相殺されてしまった。
291第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 18:14:31 ID:???
要するに、ガンダムチームのうち一機が抜けたことでそれだけ多くの損失には
思い難いものの、それだけ広範囲な火力と機動力と対応力を持ったMSが敵の手に
渡った事でここ数度の首都上空会戦と同じペースで相手をあしらうことができなく
なっていたのである。アレーナとシレジアにしてみれば、いざという時の合体が
できないという不安を抱えながら戦わなければいけなかった。

そして、カルルとシャーベットもまだジークフリード&リンデに慣れてはいなかった。
一応使いこなすことは出来るものの、皇国軍のパイロット達と共に訓練をした
回数が少ないのだ。確実に危機が迫っていた。
ガブリエル「いくぞ!」
イメンシアの両腕部に抱えたスマートランチャーで牽制すると、散開した敵軍に
すかさずスプゥン・ビットを放つ。これはソル・コンティオのファンネルと
克ちあわないようあらかじめ設定されていたものだ。

それもこれもアイアがユウリより上手く使っているスカートヴェスバーの弾幕や
偏向・敵包囲用簡易Iフィールドによるものだが、ともかくシュグナイド部隊が
包囲されているFBのMS部隊を尻目にブリッジへ突っ込んでいった。
ニコライ「来る!主砲、用意!」
ドミトレスク「いや、左舷から・・・・・・・・・・うわあっ!!」
混戦から抜け出したイメンシアの一つのビットが根幹部を爆破してしまった。
292第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 18:30:07 ID:???
シレジア「そうそう、好きにはさせないんだよぉーーーーーーーっ!!」
シレジアの放ったスカートヴェスバーでブリッジの前、ちょうどカタパルトデッキの
狭間に壁が作られ、ブレーキしたシュグナイド数機を最大出力のビームザンバーで
撃墜する。
ガブリエル「面白いっ!ならばイメンシアの火力、見せてやるよ!」

イメンシアは生き残っている一機のシュグナイドと結合し巨大な一体のMSとなった。
そしてクローアームでコマネチをひるませた後、ハードポイントにスライドさせた
巨大なビームソードを手首から射出、そのままビームザンバーと激しく切り結ぶ。
シレジア「くっそ・・・・・・・絶対守ってやるからな、艦長!」
ガブリエル「!?その声・・・・・・・・・・・・・・・シレジアか!?」
シレジア「えっ、アンタ・・・・・・・・・・・まさか!?」

アレーナ「迷ってくれている!?よしっ!」
ズヴェズダが混戦から放った一条のメガ・ビームライフルでイメンシアが
吹っ飛ばされた。が、完全に体勢が傾いたことでアイア駆るガンダムPrincessの
ビームシックルに襲われる。
アレーナ「ビームシールドの加速器を、ああもあっさりと!?」
ノマノマ「危ねぇ、アレーナーーーーーーーっ!!」
293第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 18:36:10 ID:???
ドラゴスティアの全開ビームシールドは、機能の限界を超えて、いや
正確に言えばズヴェズダが展開していたビームフィールドを上手く取り込んで
アイアの攻撃を持ちこたえ跳ね返すことことができた。
ノマノマ「大丈夫か!?」
アレーナ「ええ・・・・・・・・・・不覚の至りですわ!」

ユウリ「こんなんじゃ、キリがない!」
ニコライ「おいっ、ユウリ!?」
自分の愛機を奪われ冷静さを失っている、だから出撃するなと言われていた
ユウリがMSデッキへ走り始めた。が、何を考えているのか到着した
ユウリは残されているマジ・デウゼーにもジークフリードにも接触せず
そのままアイアが開けた大穴に飛び出した。

ユウリ「アイアさん・・・・・・貴女がそういう手を使うならーーーーっ!!」
アイア「何!?」
ガブリエル「えっ!?」
シレジア「何だ!?」
ニコライ「こ、この鳥肌が立つような感触・・・・・・・」
アレーナ「何!?何かが体を突き抜けたような悪寒!?」
ノマノマ「!前方、新しい機影だ!?」
294第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 18:44:34 ID:???
カルル「なに、どういうんだ!?」
シャーベット「あ、あれはこの前敵MS隊を率いてた機体じゃないか!?」
キブ「そ、そんな・・・・・・・ヤバい!」
が、彼らの戦慄をよそに急速接近したエクサソーンはFBの左舷で機体勢を
整えるとユウリをコクピットの中へすっぽりと受け止めるようにした。

ユウリ「アイアさんがそういう戦い方するなら、あたしも怒るからね!」
本当に、本気で怒るからね!言ったよね、次は死んじゃうよって!」
アイア「バカな、あたしの機体をーーーーーーっ!!」
共に憤怒した二人の機体が激しくクリンチすると、ユウリは素早く
ハッチを開けて飛び移りコクピットの中のアイアと揉み合いになった。

ユウリ「あ・・・・・・・ああ!さっきの女の人!?」
アイア「馬鹿な、貴様が・・・・・ガンダムのパイロットの小娘だと!?」
二人はまるでキャットファイトのように激しく罵り合いながら何とか相手の
体勢を崩そうと試みる。その度、二人のセクシーな腰や胸や尻が全天周
モニターの内壁に当たって外の風景を映したCGにノイズが走った。
295第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 18:53:36 ID:???
アイア「くそっ、殺せるチャンスがありながらみすみす・・・落ちろ!」
ユウリ「う、うわぁ!?」
ユウリはかろうじて開いたハッチに掴まると、勢いあまって半身を乗り出した
アイアの頭に蹴りを入れ落とそうとする。
ユウリ「落ちろ!いっちゃえよ!」
アイア「くっ!ぐあっ!がはっ!き、貴様ぁ・・・・小賢しい阿婆擦れめ、
このベスパの女豹を侮辱したなぁ・・・・・・・・・!!」

そうこうしていると、エクサソーンの内部にまでついてきていたハロが
同機リニアシートの上からワイヤーを発射してアイアを絡めとった。
ユウリ「ハロ!!えらいっ!!^^」
アイア「ぬっ、このぉ・・・・・・・・!!」
ユウリはガンダムPrincessのコクピットに納まり、アイアは上昇した
同機体のおかげで何とかエクサソーンのコクピットハッチに絡まる
ことができた。
アイア「ガブリエル!こちらアイアだ・・・・・早く助けに来い!!」
296第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 19:02:30 ID:???
ガブリエル「大丈夫ですか、大尉!?しかし、よく絡まりましたね・・・」
アイア「神はまだ、あたしを楽に死なせてはくれんらしい。しかし、
あの賢しい小娘・・・機体に助けられているだけの素人だと思っていたが
考えを改めねばならんようだ。あれだけの危険な芸当をやってのけ、しかも
成功させるだけの度胸と自信を持っている。立派な阿婆擦れだよ!」

結局ユウリがガンダムPrincessを奪回したことで戦局は一方的な展開となった。
シレジアはシレジアでFBを守るための布陣を敷いて後続部隊を二分割、
アフターケアも万全だったが、それは元々相手の目的がガンダムの奪取と
FBの撃沈という最初期の基本に戻ったものであり、ならば開戦ムードに沸いて
いる脇腹を狙われないよう、ロマニア本来の専守防衛思想に戻らなくては
いけないという民族的本能が働いた賜物であった。

ガブリエル「大尉、落ち込まないで下さい。チャンスはまだあります」
アイア「落ちこんでいる!?ふっ、バカめ!お前の目はまだまだ節穴の
ようだな。あたしは嬉しいんだよ。単なる賢しい小娘と思っていたのが
とんだ阿婆擦れだったことにね!見た目は確かに年端もいかん小娘だ。
が、あれは放置していると宇宙全体に危機をもたらす。あれは危険すぎる。
それだけの危険な女に出会えたのは・・・フフ、カテジナ・ルース以来なんだよ!
これが嬉しくないはずがないだろ!?」
二機は高加速レンジで首都上空を離脱していった。
297第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 19:20:38 ID:???
シレジア「大丈夫かよぉ、艦長」
ニコライ「あ、ああ・・・・・ちょっと揺れてキャプテンシートから落ちただけだ」
シレジア「でも、ちゃんと擦り剥いてんじゃん。動かないで」
ニコライ「ったく、普段のお前からは考えられないな」
シレジア「男寡(やもめ)が長い艦長にちったぁサービスしてやってんでしょ」

ニコライ「なっ!?お前、そういう言い方・・・・誤解を招くぞ!?」
シレジア「当たり前ジャン、誤解させるために言ってんだからさ」
ニコライ「お、お前・・・・・・どういうつもりだよ。まさかユウリに変な影響
受けたんじゃないだろうな」
シレジア「受けたって言ったらどうする?そもそも女子高生を夜中に自室に
入れてる時点で大問題じゃね?」

ニコライ「お、お前が勝手に入ってきたんだろうが!」
シレジア「ところで、さ。艦長は戦争が終わったらどうすんの?このまま皇国軍で
軍人続けんの?」
ニコライ「話を変えるな!ところでって使い方が間違ってるぞ・・・・・・・・まったく、
まぁこの艦の処遇もまだ決まってないんだし連邦軍の処分待ちだなぁ」
シレジア「そうか、将来性はちょい不透明ね・・・・・・・」
298第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 19:35:57 ID:???
ニコライ「将来性だぁ?お前・・・・・・」
シレジア「まぁ何せユウリがお姫様、アレーナはいずれ財界の大物と結婚すんだから
あたしも負けてらんないっしょ?連邦軍最新鋭艦の艦長としてソフィアに勝てば
それなりの出世は期待できんじゃん」
ニコライ「お前・・・・・そういう男の選び方すると損するぞ?」

シレジア「あたしゃー軍属嫌いの元カノとは違うよ?艦長の良い所、最初っから
見てるからね。あたしがいなかったらとっくに鬱病になってたことぐらいそろそろ
気付いてもいいんじゃね?どう思うよ?」
ニコライ「ぬっ・・・・・・・・胸を押し当てるな!まったく・・・・・・とにかく、その男紛(まが)いの
言葉遣いを直せ!話はそれからだ」

シレジア「グスッ、グス・・・・・あたし、そんな男っぽい?あたし、昔から少しでも
ユウリを守ろうと思ってこういうキャラ貫き通してるのに、そういう言い方するのね」
ニコライ「お、おい泣くな!わかったよ!とにかくメイラが本当に俺と完全に
絶縁したのか確かめるから!傷の手当は感謝してるよ!」
シレジア「マジで!?じゃ、明日の朝にでも朝御飯作りに来ていい?怪我持ちで
インスタント食じゃ治りも遅いからね、中途半端は嫌いなんだ。あたし」
ニコライ「・・・・・・・・・お前・・・・・・・メイラとは似ても似つかねぇ」
299第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 19:47:21 ID:???
ユウリ「艦長、大丈夫ですか!?」
アレーナ「艦長、お怪我は・・・・・・・・あっ!?」
眼前の光景に二人は目を疑ってしまった。ニコライはネクタイを緩めてYシャツの
前面をはだけ、シレジアも制服のブレザーと靴下を脱いで、二人はベッドの
隅で密着していたのだ。最も、ただ怪我の手当てを授受していただけなのだが。

ユウリ「シ、シレジア・・・・・・何を!?」
アレーナ「ユウリさん行きますわよ!!社会人、軍属、艦長の身分でパイロットの
女子高生と不純交友とは俗悪かつ下品・下賎・鬼畜!見損ないましたわ、ピリオド(以上)!」




シレジア「・・・・・・・・・・・あーあ。既成事実できちゃったねぇ」
ニコライ「何が既成事実だって!?早く出て・・・うっ」
キュウウウウウ・・・・・・・・・・
シレジア「あれっ?腕の痛みですか?何か変な泣き声でしたねぇ」
ニコライ「き、貴様・・・・・足元見やがって!」
シレジア「じゃ、不純な女子高生は帰りマース。バイビー」
ニコライ「ま、待てっ!!!!」
シレジア「ん?」
ニコライ「ゆ・・・・・夕飯、食ってないんだ・・・この指じゃ熱湯も注げないから・・・
て、手伝ってくれ・・・・・・・頼む・・・・・・・・・ダメか?」
シレジア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、いーんじゃね?」
300第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 19:51:18 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ノマノマ    矢尾一樹
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか

301第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 19:59:33 ID:???
キャスト
アイア   折笠愛    ハロ     小山まみ
フリスト  関俊彦    ドミトレスク 津田健次郎
ガブリエル 松本保典   生徒     嶋俊介
キブ    結城比呂          竹村拓 
                    石橋朋子                    

確かな男を        見つめればいい

302第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 20:04:20 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  村瀬修功
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間


303第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 20:06:34 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 恋する乙女の IN HEART PRINCESS SHOWER
304第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 20:08:06 ID:???
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   それが          それが        いま 


305第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 20:11:44 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




        PRINCESS       SHOWER


306第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 20:14:11 ID:???
エンディング・テーマ「PRINCESS SHOWER 〜星空の温もり〜」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet +MIO
           (松本梨香&奥井雅美)




   それが         それが        いま












307第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 20:15:39 ID:???
脚本   原田奈々   演出   高松信司
作画監督 村瀬修功   絵コンテ 加瀬充子




        PRINCESS         SHOWER


308第二十八話「ま、いーんじゃね?」:2006/03/29(水) 20:24:59 ID:???
次   回   予   告


ユウリ「またまたあたしと王子様の一件が変な影響を起こしちゃったみたい!
明日はサイド2に向けてロマニアの全艦隊出陣の日だっていうのに、シレジアが
アレーナ様の休日を尾行しようって言い出したの!メカやMSが大好きで、
社交パーティーでも全く言い寄る男性を相手にしなかったアレーナ様が
選んだ人は・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり、あの人!?

   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

           ユウリ焦る!アレーナが初デート!?

          ガンプリは、みんなで見てね! 」
309通常の名無しさんの3倍:2006/03/31(金) 00:58:02 ID:???
つづきまだー?
みなさん御機嫌よう!ユウリでーっす^^!最近盛り上がってないから、
作者さんがネオ・ザンスカールのMSを考えてくれたよ!こんな強そうなのが
出てきて、あたしたち勝てるのかなぁ〜!?

ZMT−S37S ゾロアスター

頭頂高 15.5m
本体重量 8.9t
ジェネレータ出力 8110kw
スラスター総推力 51200kg
装甲材質 ファインガンダニュム合金
武装 ビームライフル2 ビームサーベル2 ビームフィールド
ムーバブル五連ビームストリングス MVバルカン砲

ネオ・ザンスカール軍がソフィア軍の技術協力を受け、初めて量産に成功した
機体。その名の通りZM-S06Sゾロアットの正統なる後継機であり、ソフィア軍の
援助なしに自衛を可能にする待望のMSである。
大きな特徴は機体各部の内部セロファン貼ランプで連邦軍仕様ゾロアットの
水色と白に偽装できること、ソフィア軍の新技術ビームフィールド、および
スライド移動型のビームストリングスである。普段は肩部に装着されている
同武装がレール上で戦況に応じて自在に機体各部にポジションチェンジ可能であり、
これは脇部バルカン砲にも適応されている技術。
311通常の名無しさんの3倍:2006/03/31(金) 14:03:42 ID:???
ZMT−S40S シャイト
頭頂高 15m
本体重量 10.5t
ジェネレータ出力 5870kw
スラスター総推力 95140kg
装甲材質 ファインガンダニュム合金
武装 サーベルショット2 ビームフィールド 短剣型ハンドビームガン2
足・脚・胸・肩部ムーバブルビームキャノン

ZM-S19Sシャイターンの後継機。地下に逃れソフィアに魂を売ることを良しと
しなかった旧ベスパ技術陣が学徒兵に割り当てられたために失敗とみなされた
シャイターンの評価を自責し、スライドウェポンシステムをゾロアスターと
並んで導入した。
312通常の名無しさんの3倍:2006/03/31(金) 14:50:18 ID:???
ZM−S41S シャカ
頭頂高 14.5m
本体重量 8.7t
ジェネレータ出力 8100kw
スラスター総推力 85110kg
装甲材質 Hiガンダリウム合金複合装甲財
武装 ザゼン・フィールド 両腕ビームスピア(ビームシールド兼用)
ムーバブルビームストリングス 反ミノフスキー粒子砲
ビームサーベル・ライフル・ファン各2 ロータス・フィン・ファンネル

ソル・シャッコーに激しいライバル意識を持つベスパ技術陣が開発した
自称シャッコー系の正統なる新機体。エンセラダス調査チームから得た
情報を元に準推進・制御器ながらもIフィールドメガ粒子ドライブと
ミノフスキースラスターを採用してダンケル・ヴァイス同様、出力アップと
機体のスリム化を両立させた。その他の最大の特徴は、御光輪をイメージ
して作られたロータス(蓮の花)・フィン・ファンネルである。
RX−93νガンダムのものと同じく、AMBAC補助とビームバリア帯形成可能な
利便性を持っているほか、非展開時は背部を完璧に防御できる。  
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS

  








アイア・コッカ大尉率いるシュメンの部隊がロマニア皇国軍出陣を妨害しようと
そのコロニー近宙域に漂っているころ、地球から戻ったゴッズ・イン・ヘヴン大佐、
クロノクル・アシャーネオ・ザンスカール総統閣下、フリスト・ボネフ中佐は
両者の連携を深めロマニアを迎え撃つべく詰めの調整会談を行っていた。
この会談によって、未だ根強い相互の反感を収めサイド2全体のスペースノイド
独立気運へ昇華させようというのである。

クロノクルは太陽電池の周辺に滞宙するアドラストスのガンルームでコーヒー
を啜り、徐に側近のテーベ・アルゴス少佐に目配せをしてテレビフォンのスイッチを
入れさせた。
ゴッズ「久しぶりだなクロノクル・アシャー。赤い彗星の再来よ」
クロノクル「その呼び方はやめていただきたい・・・・・・・・今となっては恥じるべき過去です」
フリスト「が、今の貴方はその呼び名に相応しい人物だ」

クロノクル「では、早速本題に入らせていただきましょう。当方で製作している
新型MSとそちらが提供していただいている既存の戦力との擦りあわせを」
ゴッズ「いや、待て。今はそんなミクロの話をしている時ではない。マクロな
視点で今後の戦略と施策を練らねばならん。いずれロマニアと連邦に再びデタントが
築かれれば我々のほうが不利だ。おまけに連中は地球上でリガ・ミリティアと
結んでもいる。ここは我々の大義をサイド2全体に訴え燻るスペースノイド
独立派を取り込む手段を協議するのが先決ではないかね」
クロノクル「・・・・・・・・・・・・溜まるものだ・・・・・・・」
テーベ「ゴッズ大佐は御子息を亡くされたので、仕方のないことです」
クロノクル「あの男、マハに根回しをしてるかもしれん」
テーベ「まさか・・・・・・・・・!そうであれば、現在ウィーンで残留ソフィア軍と
交戦している説明がつきません」

クロノクル「ああ、そうだったな。しかし我々は宇宙に戻って歓待を受け外の
風景を雲がかりにしかつかめていない。ならばこちらとしてもサイド2のサナリィ
から少し探りを入れてみるか」
テーベ「いいアイディアかもしれません。が、先日のガンダムチームとかで、
ますます本社との繋がりは薄くシビアなものになっているのでは」

クロノクル「違うな。我々とて伊達にソフィアに潜伏しているわけではないし、
ソフィアと同意の上で連邦に接収させた部署もあるのだ。だからせっかく蒔いた
種は活用しておかねばならん」
テーベ「それでは、どうぞ我々にお任せください。閣下の経営者育成プログラムが
各サイドから高い評価を受け、ゴッズ大佐としても先程仰られた政策の重要な
基幹というほどなのです。鼠稼業は鼠にお任せを」
クロノクル「ん、そうしよう」
フリスト「クロノクル・アシャー、勘付きましたかね」
ゴッズ「ダイタロスガンダムはさすがにまずかった。私も今では反省している」
フリスト「いえ、サイキッカーの実験データとして良かったのではないですか?
その方がモンテネグロを磐石にするために効果的ですし、連中はカサレリアを
制圧した後にはさらに南下するようです」

ゴッズ「クロノクルの政策、な。軍需産業に傾倒してきた地球圏はまともな
経営者の育成が遅れていると。それを立て直すことで単純労働に依存する
フリーターの若者が増えて地場産業が衰退しても、景気を抑制しつつ右肩上がりの
経済成長をすればより産業構造は高度化して、雇用も自ずと円滑化するという」
フリスト「詭弁ですが、正論でもあります。おそらくサナリィやブッホ、ひいては
ヨルダネスク・グループにアテられたのでしょう」

ゴッズ「マリア・アーモニアの弟であるという重荷さえなくなれば、自由に学び
人の上に立つ才覚は元々あった男だ。尤(もっと)もあの頃の我々にとっては
ただ目障りなタンコブにしか過ぎなかったわけだが」
フリスト「ええ、まったくです。タイヤで地均(なら)しをしたかと思えば、
女を連れ込んで大尉待遇にしろと言いましたからね。忘れようと言ったって
忘れられるものではありません」
今日も平和に授業の終了を告げるチャイムが鳴った。ユウリはシレジアと、
そしてアレーナといつものように帰ろうとしたのだが見当たらない。よく
探してみるとノマノマもだ。
ユウリ「どうしたのかな、二人とも・・・・・・・・」
シレジア「ユウリ、ちょっと耳かしな」

ユウリ「・・・・・・・・・・・・・・・・ええっ!?」
シレジア「お前も一昨日、牛丼屋で見たろう?行ってみようよ」
フェレンツバロシュの格納庫からさらに離れた、テストスペースの隅。そこは
軍人達にとって愛の告白をする、知る人ぞ知る秘密の花園であった。

アレーナ「・・・・・・・・ありがとう。礼を言いますわ、来てくれて」
ノマノマ「あ、ああ・・・・・・・・でも、俺、お前に謝らなきゃ・・・・」
アレーナ「・・・・・・・!・・・・・・・な、何を・・・・・・・まさか・・・・・・」
ノマノマ「お、俺・・・・・・そりゃ将来はでかいことをやって、この宇宙に名を
轟かすような男になりたいと思ってる。でも今はただ、サッカー部でちょっと
頭角を現して、FBでMSパイロットをやってるってだけのガキさ。別に家が大して
金持ちなわけでもない。だから・・・・・・・」
アレーナ「で、それで・・・・・・・・・・な、何を仰りたいの!?」
ノマノマ「だから、俺は・・・・・・・!すまん、アレーナ!」
アレーナ「ダメ、ダメ・・・・・・・・・・・・言わないで!」
ノマノマ「すまん!この前の牛丼代、あと二日待ってくれ!!!」
アレーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・(°д゜)は?」

茂みの中にいたシレジアが笑いをこらえられずにコケて、木の枝を踏まないように
ユウリが必死に抑えた。アレーナとノマノマは微かな物音に不信感をもよおす
ものの、アレーナはとにかく話を切らないように努めた。
アレーナ「と、とにかく!誤解なさらないで。わたくしはそんな矮小な金銭問題を
咎めるために貴方を呼び出したのではありませんわ」
ノマノマ「え?じゃあ、いいんだな!?待ってくれるんだな!?」

アレーナ「ええいっ!とにかく牛丼のことは忘れなさい!・・・・・・・・・手紙を!
ロッカーに入っていた手紙、読んだのでしょう!?出しなさいっ!」
ノマノマ「あ、ああ・・・・・・・・お話したいことがあるって」
アレーナ「わ、わたくしが・・・・・・・・殿方に手紙を出すなんて、本当に初めて
なんですのよ・・・・・・・・・・光栄に思いなさい!」

ノマノマ「それで何なんだよ、話したいことって」
アレーナ「あ、貴方・・・・本気で仰ってるの!?まさか真実、牛丼代を請求されると
思っていたというの!?」
ノマノマ「ああ、他に何があるんだ?」
アレーナ「で、ではいいですわ・・・・・わたくしも覚悟を決めましたから。
ノマノマさん。貴方、宇宙世紀167年10月11日午後3時35分16秒現在、意中の
女性はいて?」

ノマノマ「スマン、もう一度いいか?^^;」
アレーナ「だ、だから・・・・・・・・好きな女の子はいらっしゃる!?と、聞いて
いるんですのよっ!!ピリオド(以上)!!!!!!!!!」
ノマノマ「わ、わかったよ!そんな怒るなって・・・ちゃんと答えるからさ」
アレーナ「で、で・・・・・・・・・・・どうですの!?」

ノマノマ「いるよ」
アレーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・!・・・・・・・・・それは誰ですの!?」
ノマノマ「別に言ってもいいけど、本当にいいのか?」
アレーナ「なに?貴方の意中の女性の名前が、わたくしの精神衛生に如何なる
悪影響を与えるというの?いいですわ、言ってみなさいな」
ノマノマ「ユウリだよ。・・・・・・・・・・・・・・・・・俺は、ユウリが好きだ」
アレーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・!」
シレジア「・・・・・・・・・・・なんだ、よく聞こえなかったな」
ユウリ「・・・・・・・・・・気のせいかな・・・・・・・・・・」
ドキ、ドキ・・・・・・・・・・・・・・
ユウリの心中で、空耳であって欲しい、欲しくない二つの願望が振幅を起こした。

だが、それははっきり至近距離で聞こえたアレーナにとっては否定したいものであり、
むしろ自分が全くの平民であるノマノマに魅かれたという事実を、その純粋な
気持ちを抑制していた貴族としてのプライドを性急に畳み掛けるものであった。
そしてアレーナに、普段では考えられない男性への積極性を与えた。
アレーナ「あ、あんな・・・・・・・カマトトぶった子の何処がいいんですの!?」

ノマノマ「そりゃ、それは・・・・・・・そう思うだろうな。でも俺は幼稚園からあいつを
見ているからわかるんだよ。アレーナだって気付いてるだろ?ユウリはただの
泣き虫じゃないんだ。確かにシレジアの助けもあったかもしれない。けれど、
男みたいな名前をつけられたってコンプレックスや周りの女の子の偏見、いじめから
一歩も引かずに戦っている。ガンダムに乗れたのは偶然じゃない。周りが何と言おうが、
俺はあいつなら当然だと思った。けどあいつは自分自身の強さを信じられなくて、
本当は強い女の子なのに胸を張ろうとしない。だから俺が守ってやんなくちゃって
いつも思ってる。恥ずかしくて認められなかったけど、この前の王子様との一件、
地球での強化人間やカルル、ウッソさん達とのやりとりを見て初めて気付いたんだ。
俺が一番ユウリを知ってる、理解してる。他の男になんか渡したくないってさ!」
アレーナ「へえ・・・・・・・・・・!でも、残念でしたわね!彼女ほど知性のある方なら
このサイド7随一の裕福な暮らしをしている王侯貴族からの求婚を断る故があろう
はずもございませんわよねぇ!?そんな勝ち目のない勝負を挑む前に、貴方のような
平民が一生に一度得られるかどうかというチャンスを逸しないようにするのが
先決ではなくて!?」

ノマノマ「へんっ、お前こそなんだよ。ユウリをカマトトとか言う割りにゃ、
お前こそ機械オタクでせっかく社交界に出ても男どもの誘いを全く受けず、
素直になれねぇくせによ!ユウリの方がよっぽど度胸も愛嬌もあるぜ!」
アレーナ「いいわ!だったら言ってあげる!わたくしは好きよ!貴方のことが!
それは否定しない!この前の牛丼屋、MS戦で感じた温かみや頼もしさは他の男性に
無いものであると感じたのは事実だわ!けど、勘違いなさらないほうがいいですわよ!?
単にこれまでわたくしに言い寄ってきた男達に魅力が欠けていただけなのよ!
彼等はわたくしを誉めそやし持て囃すことでしか自分の価値を上げられない、
金魚の汚物と同等なのよ!けど貴方は違う、貴方はわたくしを平気で呼び捨てにするし、
欠点を指摘したりもする。認めたくないけれど、不愉快だけれど、今のわたくしの
中で最も大きなスペースを心中で占めている殿方であることは事実なのよ!ピリオド(以上)!」

ユウリは既に、シレジアを強引にひっ捕まえてその場を立ち去った。それ以上
聞いたら、自分とノマノマの間で10年以上築いてきた友達の関係が、微妙だけれど
それでいい、安定した間柄が決定的に崩れてしまうと思ったからだ。それは
学校で顔を合わせるときだけでなくMSに乗って一緒に作戦行動をする際にも心障り
になってしまう。そして、二人の走り去る物音も夢中で聞こえなかったアレーナ
は現実の男に初めて好意を吐露してしまった羞恥心が限界に達して、いつしか
硬く引き絞っていた涙腺が崩れて俯(うつむ)いて泣き出してしまっていた。
ノマノマ「お、おいっ・・・・・・・・・・・泣くなよ!そんな・・・・・・・・そんなに気にする
ことねぇだろうよ。俺なんかにフラれたって、いくらでも世の中には男がいるし、
お前を大事にしてくれる男はたくさんいるだろ?」
アレーナ「だ、だって・・・・・・・・・!グスッ・・・・・・・・・貴方みたいな人に出会ったの、
初めてなんですもの・・・・・・・シュン・・・・・・・・王子様はわたくしなんて眼中に無い、
今更この気持ちをすぐに切り替えることなんてできやしない・・・・・」

ノマノマ「だ、だったら俺は何すりゃいいんだよっ!」
アレーナはムチャクチャになった理性の中でも、シレジアやユウリが自分と違って
「女の強み」を前面に出しているのを見ているから、いつの間にかそれに感化
されていたこともあるし、どうせなら自分のポリシーに反してもプライドを
粉々にされるくらいならこの状況で使える手段は使ってしまえ、と思った。
涙が女の最大の武器だと、MSに乗っているばかりでは気付かなかったのである。

アレーナ「だ、だったら・・・・・・・・わかったわ!今すぐわたくしの軍門に下れとは
言いませんわ。でもわたくしアレーナ・ヨルダネスクは、腐っても貴族の誇りと
築き上げてきた面子にかけて貴方を諦めない。だから、一回。一回でよろしいのよ。
わたくしとデートなさい。それで本当にわたくしをユウリさん以下の女だと
思ったのならどうぞご勝手に!完全に拒絶なさるといいわ!」
ノマノマ「一回・・・・・・・・・・だよな?本当に一回でいいんだよな?その代わり
条件があるぜ」
アレーナ「・・・・・・・・何ですの?」
ノマノマ「牛丼代・・・・・・・・・・・・・チャラだ。チャラにしてくれ・・・・・・ハハ」
アレーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あなたって・・・・・・・・・・・・・・・プッ」

二人は、わかっていた。共に意中の人を奪われたから、その腹いせが欲しかった
ことを。アレーナはできるだけ自分の気持ちを正直にぶつけ、いっぱい泣いた
からまだすっきりしていた。しかしノマノマはこの誘いを受けるとしたら、
あるいはアレーナと付き合うなんて男として最高のステイタスじゃないか、という
誘惑に負けてしまいそうで意地を張ることでそれを必死にこらえていたのは、
彼女を利用してユウリの気を引こうという姑息な男にはなりたくなかったからだ。

それは、ノマノマの中でアレーナの存在を一秒ごとに大きくしていった。
自分の正直な気持ちとしてはやはりユウリが好きだ。そして彼女を本当に自分の
手の届く距離まで奪回する時間はもしかしたらあまり残されていないのかもしれない。
だとしたら、利用できるものは利用しなければ後悔しても遅い。なのに、あっさり
アレーナを利用できないのは、彼女を蔑(ないがし)ろにしたくないという
気持ちがあって、それは彼女が滅多に見せない女の子らしい弱さといじらしさに
見事に「やられて」しまったからなのだが、ともかく二人は二時間後に中央公園で
待ち合わせの約束をして各々家に帰って身支度に勤(いそ)しむこととあいなった。
324通常の名無しさんの3倍:2006/03/32(土) 00:22:34 ID:jgpTrySS
ZM-S-x05 ヴァホウス
全長 20m
重量 18.5t
装甲材質 Hiガンダリウム合金複合装甲材
主推進器Iフィールドメガ粒子ドライブ
機体制御用サブ推進器 ミノフスキースラスター
ジェネレータ出力 9000kwh
武装
サイコミュ無効化システム
ロングスナイプランチャー×1
胸部大型ビームシールド
アンチ・ビームコーティングミサイル×10
ビーム内臓ショックウィップ×2
対サイコミュ用バーストクラッシュワイヤー×20
ビームシールド兼ロングビームトンファー→両腕部
腹部大出力反ミノフスキー粒子砲×1
ハンドビームキャノン×2
ビームフィールド
解説
ネオ・ザンスカールが
対サイコミュ用機体として開発したMS
「SpiritInduction-SoMINOVSKY-Scatter-Obstruction-Type
-PsychoCommunicator-Nullification-system」
(反ミノフスキー粒子散布精神反応阻害型サイコミュ無効化システム)
とよばれるサイコミュ兵器への切り札的な兵装をもつ
その他にもワイヤー等がみられる

325通常の名無しさんの3倍:2006/03/32(土) 01:24:11 ID:???
ドネツク
暗礁空域にある廃棄された採掘用衛星に偽装した非合法商業施設
ジャンク屋、海賊、ならず者、脱走兵などが集まり盗品や再生品、違法コピー品などの売買を行なっている。
その品揃えは驚異的で、金さえ出せば戦艦まで手に入るとも言われている。
「何人にも組せず、何人にも従わず」を暗黙のルールとし、どの勢力にも属していない。
他勢力からの侵攻や圧力に対抗するべく武装しているがその使用は自衛のみに限定されている。

月に一度、MS同士の一騎打ち「MSファイト」が開催される。
巨額の金が賭けられておりドネツクの大きな資金源になっている。
なお、使用されるMSはジャンクパーツからの再生品やワンメーク品である。
が、アレーナは告白の場所にしても、待ち合わせ場所にしてももう少し初恋の
初々しい思いを抑えて冷静に選択するべきだったのかもしれない。
この日、皇国軍や政府とは全く別に民間の青年会議所や有志達によって出陣を
明日に控えた前夜祭が中央公園で行われることになっていた。ユウリもシレジアも、
部活のあるノマノマやリムジンで帰ることもあるアレーナを探したのはその
約束を取り付けるためだったのだ。

だから、ユウリとシレジアが公園に来ていたのはごく自然なことだったし、
アレーナが周囲の風景もその背景もまったく見えず頭の中はノマノマで一杯で
あったのも無理からぬことだった。
ノマノマ「お待たせ・・・・・・・・・・どうする?花火、見てく?」
アレーナ「いえ、いいわ。貴方の好きなようにして」

ノマノマは黒のジーパンに白のシャツ、チェックの上着をはだけたラフなスタイル
だった。アレーナも、あからさまに裕福さを誇示するようなドレススタイルでは
なく、少し肌寒いのに幾分靴底が厚いビーチサンダルに赤のスパッツ、紫の
Yシャツという出で立ちだった。いつも御馴染みのヘアバンドは外して前髪と
横髪がぼっさりと眉にかかり、ラフな妖艶さを醸し出している。Yシャツの
袖を手首の奥辺りまでめくっており胸元の第一ボタンも外していた。きっと
ノマノマはお嬢様然とした着こなしよりもこの方が惹かれるだろうと、アンジェイの
小言も聞かずに必死で鏡を前に考えた、彼女にとっては一世一代の変身であった。
ノマノマ「あ、アレーナ・・・・・・・・・・・その・・・・・・」
アレーナ「なに?」
ノマノマ「き、綺麗だよ。そういう服も持ってるとは思わなかった」
アレーナ「失礼ね。買い物の内容まで家柄に制約された覚えはありませんわ。
それより行きましょう。変に囲まれたらせっかくの時間が台無し」

二人はさしあたってバスに乗り、少し離れた商業区まで移動した。アレーナ
にとって二度目のティミショアラである。ティミショアラは二つの巨大な商業区
に挟まれた小さな区域であるが、狭い通りに夥(おびただ)しいほどの若者向け
服飾店・喫茶店・ライブハウスなどが集中し若者の街・流行の最先端として
有名だ。今日も他人の一歩先を行き目を引こうと奇抜なメイクや服で包んだ若者
達が楽しそうに闊歩している。

ノマノマはバスから降りるや、手近な店に全力疾走して楕円形に長い麦藁帽子を
一つ購入するとそれを呆然として見ていたアレーナの頭に斜めにかぶせた。
ここまで、そのラフなスタイルがメディアに登場するアレーナの清純なイメージ
と違っていて全く大騒ぎされることはなかったのだが、それでもティミショアラの
中央通りではさすがに苦しいだろうと、気遣ってくれたノマノマの気持ちに、
ただただアレーナは言葉も返せず頬を茜色に染めるばかりだった。そして背後を
尾行するユウリとシレジアにも気付いていなかった。
アイア「しかし、まったく汚れ仕事だな・・・・・・!花火師というものは!」
ガブリエル「大尉、それは言っちゃいけません。宇宙港の警備も厳しくなって、
シュメンに戻る機会を逸した後にようやく手に入れたバイトですよ。少なくとも
寝泊りできる場所があるのは幸いです」
アイア「ふんっ!あたしはベスパの女豹、ソフィア軍の大尉だぞ!なにゆえ
こんなところで火薬と泥と騒音に塗(まみ)れなければならんのだ」

ガブリエル「ご心配なく、大尉!こいつらほとんどは先日の首都上空会戦を知らない
のです。王子が準戒厳令で一定の情報統制をしてるのはもうけものですよ。
今こそ公園の地下に隠したMSが火を噴くときです!」
アイア「ちっ、まぁいい・・・・・・・・この花火の火薬から燃料を得るというのは
貴様の発案だったからな。しかし土星のエンセラダスとかで作ったMSが本当に
花火の火薬なんかで動くのか!?」

※「おい、おめぇら!どうしてもって言うから働かせてやってんだぞ!キリキリ
動かんか!ほら、そこの導火線!順列間違えてるぞ!」
ガブリエル「す、すいません!なにぶん素人なもんで、ハハ・・・すぐやります!」
アイア「おのれ、ロマニアの左翼労働者共め・・・・・・でかいツラしおって!」
ガブリエル「た、大尉・・・・・ここは穏便に!デモが起こればいつでもMSを出す
チャンスはありますから」
それは、夢のような一時だった。だからこそ地球でユウリがピアスと過ごした
時が戦士としての戦争での義務や使命感を忘れさせるものであろうと、
アレーナは少しだけ理解できた。初めて親やクラスメートや教師といった
束縛から離れて同世代の男の子と夜の街で遊んだのだ。況(いわん)や
彼女にとってはヨルダネスク家に生まれた時点で普通の同世代の少女とは
違う青春が宿命付けられていたし、その諦観が彼女を男性から逃避させ
MS、戦争、機械といった世界に導いた。

せめて趣味の世界では「ヨルダネスク家のアレーナお嬢様」ではない自分で
いたかったし、自分より仕事も恋愛もできるくせに安易に家督権を放棄して
グリーンオアシスの恋人のところへ家出した姉とは違う道を進みたかったのだ。
初めて男子と見る映画。初めて男子とやったアーケードの対戦格闘ゲーム。
初めて男子と一緒に買った服。初めて男子と一緒に観た地元アマチュアバンド
のライブ。初めて男子と一緒に食べた夕食。どれもこれも新鮮だった。

ユウリ「楽しそうだな、アレーナ様・・・・・・・・・」
シレジア「あーあユウリ、ノンちゃんとられちゃったね」
ユウリ「えっ!?な、何を・・・・・・・・」
シレジア「だってアンタが安心してとれる保険なんてノンちゃんくらいしか
残ってなくね?こりゃいよいよ王室の玉の輿を本気で考えなきゃいけなく
なってきたねぇ」
ズシジィッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


その時、ノマノマとアレーナが夕食をとっていた庶民的な焼肉店が大きな震動
に襲われた。客達は店員の誘導に従い非常口からシェルターに入っていく。
アレーナ「ソフィア軍の攻撃!?」
ノマノマ「っきゃねーべ!?アレーナ、お前はここで大人しくしてな!」

アレーナ「えっ、それってどういうんですの!?」
ノマノマ「俺がズヴェズダを担いできてやる!ヨルダネスク家のお嬢様がそんな
ラフなカッコでティミショアラで夜遊びなんてマスコミのいいネタだぜ!?
麦藁帽子を両手で押さえたままじゃ全力疾走できねぇだろが!」
アレーナ「・・・・・・お、お願いしますわ!」
ニコライ「シレジア、聞こえるか!俺だニコライだ!コマネチを運んできて
やった!」
シレジア「えっマジで!?愛してるよ艦長!!!」
イズモ「こっちもだユウリ!いい加減にアームレイカーでケータイ挿しっぱなしは
カンベンしてくれや!おかげで起動できたけどよぉ!」
ユウリ「す、すいません!ありがとうございます!」
二人は焼肉店の前に着地したそれぞれのMSのコクピットに入った。


FBのMSデッキはスクランブル体制だったが、ノマノマは重要なことを忘れていた。
ドラゴスティアはビームフィールド関連器、新型推進器の取り付け中だったのだ。
ノマノマ「くそっ・・・・・・・・・・しゃーねぇや!ズヴェズダは俺が乗る!」
シャーベット「って、アレーナさんのケータイは持ってんの!?」
ノマノマ「気合で動かしゃいいんだよぉ!とにかく、出るぞ!」

カルル「やれやれ私服で出撃たぁ何様かねぇ。アレーナさんの為にそんなに
必死になるなんて、ついにユウリは諦めたのかい?カルルマン・ドゥカートゥス、
ジークフリード行きます!」
シャーベット「やれやれ・・・・・・・シャーベット・イノエ、ジークリンデ出ます!」
ノマノマ「っだよ、このコロンで鼻がつまるようなコクピットは・・・・・・あっ!
アレーナの奴ケータイ忘れてやがる・・・・ハッ。ノマノマ・イェイ、ズヴェズダ行きます!」
普段、あんなに気丈なアレーナがコクピットに日記や花やぬいぐるみを飾って
いて、おまけにラブレターに夢中でケータイもアームレイカーから抜き忘れた
のを見たノマノマはますますアレーナを好きになってしまいそうで困った。
アイア「ふふっ、まったくガブリエルの逆転発想には毎度のことながら助け
られる。花火の砲台を群集に向けて打ち込み警備隊を混乱させるとは」
ガブリエル「ありがとうございます!それに、よく考えたらこんな短時間任務
で大量の燃料なんて要りませんでした!」
アイア「なら、何故花火のバイトなど見つけてきたのだ」

ガブリエル「そ、それは・・・・・^^;さっきの戦法を最初から考えていたから
であります!敵を欺くにはまず味方からと言うではありませんか!」
アイア「ふん、なるほど・・・・・・・そういうことにしといてやるか」
ガブリエル「む、敵です!相も変らぬ面子ですが」
アイア「落ち着け。例え敗れようと皇国の新型データは必ず役に立つ。
焦って攻撃を加えず退避行動をとりつつ街を破壊するのだ」

そうは言うものの、アイアはしっかり敵を攻撃していた。相手にとっては目標を
絞りやすいのがかえってロマニア側には仇になった。アイアはいつも一人で多くの
相手と戦ってきたからだ。懐に飛び込んできた相手をすかさずビームソードで
切り裂き、ようやく使い勝手がわかってきたローバー系ビットでジーク隊・マジ隊の
動きを奪って仲間割れをさせればあっという間に退路は開けたも同然だった。
カルル「だったら、俺がーーーーーっ!!」
カルルはビームシックルを最大出力にしてエクサソーンに立ち向かっていったが、
これを簡単に弾き返すと換装の隙を与えずアイアはビームソードで斬り付ける。
シャーベットもライフルを打ち込むものの、イメンシアの迎撃にあってうまく
フォローできない。

ユウリ「そうそう、好きにはさせないよ!!」
イズモ「うわ、すっげぇ加速・・・!!お前いつもこんなのに乗ってんのか」
高加速レンジで駆けつけたガンダムPrincessは得意のビームザンバーをエクサソーン
に振り下ろすがアイアもしっかりこれを回避した。
アイア「来たか、賢しい小娘!」

ユウリ「ちょ、ちょっとイズモ少尉!リニアシートの隅にどいて下さい!」
イズモ「ん、んなこと言ったって、わぁ!」
高速で旋回し激しく切り結ぶエクサソーンとガンダムPrincess。
カルル「よしユウリ!ビットで乗っ取られた味方は俺に任せろ!」
シャーベット「よし、それじゃイメンシアは俺が抑えてみせる!」
ガブリエル「誰が誰を抑えるって!?」
シャーベット「言葉は使いようだよ!」
シャーベットはイメンシアと交戦するさなかに組んだミノフスカヤ・クラッシャを
敵SWW内に送り込んだ。すると、たちまちアイアの作ったプログラムが逆流する。
乗っ取ったはずのジーク隊とマジ隊の呪縛が解け、しかも反強制的に各個の
性能を最大限に生かせる布陣を組ませてしまった。

アイア「ちっ・・・・・・・・・再び数的不利!?ガブリエル、そのガキを抑えておけ!
その間にもう一度ビットを繰り出してやる!」
ユウリ「貴女の相手は、あたしだよっ!!!」
ガンダムPrincessは中距離からのスカートヴェスバーでエクサソーンどころか
滞宙パラサイトビットも一掃すると、組み付いて再びビームザンバーを見舞った。

アイア「おのれ、貴様だけは・・・・・・・・・・ぐあっ!?」
エクサソーンの背部にビームランチャーを見舞ったのはナディア・コマネチだった。
シレジア「命中した!あたしと艦長のラブラブビーム!^^v」
ニコライ「ふっ、ふざけてないで前見ろ前!」
シレジア「艦長こそ!高加速レンジにブチこむからしっかりつかまってなよ!
あ、胸はダメだよ!?親しき仲にも礼儀ありって言うからさぁ!」
アレーナ「わたくしも、忘れてもらっては困りますわよ!」
ノマノマ「うわっ!ちょ、加速入れすぎだろ!」
ズヴェズダも収束させたスカートヴェスバーをイメンシアに炸裂させた。
シレジア「おっ新婚さんいらっしゃ〜い!^^」
アレーナ「だ、誰が新婚ですって!貴女達やっぱり見てたのね!?まぁいいわ!
デートする相手もいない人よりはマシですから!ピリオド(以上)!」

シレジア「ああっ!?今日はたまたま艦長が忙しかっただけでぇ!!!」
アレーナ「おふざけはそのくらいにして、ユウリさん!わかってますわよね!?」
ユウリ「うん!あのMS同士を合体させたら、また不利になっちゃうんだよね!
ガンダムプリンセスーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
シレジア「オッケイ!エレガント!!」
アレーナ「わかってるじゃありませんの!ゴージャス!」

イズモ「う、うわぁっ!リニアシートに挟まれるぅ〜〜〜!!」
ユウリ「ちょ、ちょっと変なとこ触らないで下さいっ少尉><!??」
ニコライ「なっ何だこりゃあ!目が回るぞ!!」
シレジア「いいじゃんいいじゃん!遊園地でデートみたいで^^!!」
ノマノマ「なっ何だよ!いつもこんな事やってんのか!?」
アレーナ「さ、恥ずかしがらないでわたくしにしっかり掴まって!」
コクピットが微弱な振動に包まれMA形態に変形すると、各々がフォーメーションを組んで接近。
まずガンプリが手足と頭を収納して限りなく台形に近い形になると、シレジアの
V4は中心が奥に収納されて折りたたまれた腕部脚部がと結合して長く伸び、ガンプリの
下部に結合。アレーナのV5はこれを逆に実行してハンガーとなり上部に接続
すると、ガンプリの頭部がハンガーの上に突き出た。それはまさしく神々しいという
以外に形容詞の無い、新時代の「3コアブロックシステム」のもたらしたものだ。
その名は
GUNDAM PRINCESS EREGANT GORGEOUS

アイア「クソッ、ガブリエル来い!何をしている!」
ガブリエル「すっすいません!コンピュータの調子が・・・・・・・・あっ!!?」
ユウリ「ガンダムプリンセスーーーーーーーーーッ!!!」
シレジア「エレガント!!」
アレーナ「ゴージャス!」
三人「カノン!!!!!!」

ギャオウッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
アイア「ぬっ・・・・・・・・・・・・ぐああ!!」
ガブリエル「大尉ーーーーーーーーーーっ!!?」
エクサソーンは下半身を消滅させられた。が、イメンシアが素早くとりついて
退避軌道を取り、二機のMS、いや一機のMSはライフルを乱射しながら港を突き
抜けていった。
ユウリ「ちょっと少尉!いつまでくっついてるんですか!?離れてください!」
イズモ「ん、なこと言ったって!このコクピットに6人は無理だぜぇ!?」
シレジア「あ、艦長!何そんな隅っこに寄ってんだよもっとくっついてよ!」
ニコライ「うるさい、このセクハラ娘!そういう台詞は十年早いわ!」
アレーナ「あーーーーーーーーーーーーーっ、もう五月蝿い!ピリオド(以上)!」

シレジア「お、誰かと思えばアレーナ様!?初デートのご感想をお聞かせください!」
イズモ「えっマジか!?本当かよユウリ!?」
ユウリ「はっはい!バッチリクッキリハッキリ見ました!っていうか離れてください!」
アレーナ「ば、馬鹿にしないで!わたくしアレーナ・ヨルダネスクはこのノマノマさんに
どうしてもと頼まれて仕方なくデートしただけですわ!」
ノマノマ「おい、ちょい待てよ!?そりゃねぇだろ!せっかくお前のこと好きに
なりかけ・・・・・・・あっ!」

シレジア「おっ、ノマノマさん!?いま何と言いました!?もっと大きな声で!」
アレーナ「あーーーーーーーーーーーーーーーーーっうるさいうるさい!
ピリオドピリオドピリオドピリオドピリオドピリオドピリオドピリオド!!!
あっ!?ユウリさんこそ今日はイズモ少尉とデート!?お熱くてうらやましいですわ!」
ユウリ「ちっ、違います!断じて違います!みんな誤解しないで!!><」
アレーナ「ロマニアの皆さ〜ん!!ガンダムPrincessのパイロット、ユウリさんは
イオン王子よりもこのイズモ・カトウ少尉を愛してるらしいですわ!!」
イズモ「えっ、俺がユウリとデート!?いやぁ照れるなぁ〜ゲヘゲヘ。でも俺
安月給だからちょっと宿代までは出せそうにねぇな!こんな俺でいいなら・・・」

ユウリ&シレジア&アレーナ「キモイわっ!!!!!!!!!!!!」
イズモ「ぐはぁっ!!!!!!!!!!??????????」
イズモは三人の渾身の蹴りを食らい全天モニターを突き破って夜闇に消えていった。
ニコライ「やれ、やれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
キャスト
ユウリ  かないみか  ノマノマ    矢尾一樹
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか




キャスト
アイア   折笠愛    テーベ   戸谷公次
フリスト  関俊彦    花火師   津田健次郎
ゴッズ   屋良有作   ガブリエル 松本保典 
クロノクル 壇臣幸           
                                       

確かな男を        見つめればいい




原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  山田きさらか
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間





動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 恋する乙女の IN HEART PRINCESS SHOWER


編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   それが          それが        いま 





背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




        PRINCESS       SHOWER





エンディング・テーマ「PRINCESS SHOWER 〜星空の温もり〜」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet +MIO
           (松本梨香&奥井雅美)




   それが         それが        いま

脚本   遠藤明範    演出   大地丙太郎
作画監督 山田きさらか  絵コンテ 大地丙太郎





        PRINCESS         SHOWER





          次   回   予   告


ユウリ「失敗続きのアイアさんはついに左遷されちゃって、何だか根暗そうな
女の人がロマニアを発ったあたし達を迎え撃つ!根暗だったらあたしも負けない
けど、そんなことで勝負したくはないな〜^^;! でもネオ・ザンスカール
の新型が襲ってくるんならやるしかない!がんばるぞ!


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              土星帰りの女

          ガンプリは、みんなで見てね! 」



347作者:2006/03/32(土) 05:49:13 ID:???
>>324,325
採用です。今後もよろしくお願いします。









寝ます

348通常の名無しさんの3倍:2006/03/32(土) 16:46:36 ID:Manuzwa1
ZM−S05H ザガス 
武装
胸部ビームバルカン×4
射出ビームニードル×10
ショックワイヤー×4
ビームシールド→両腕部
ビームトマホークソード×2
ビームナギナタ×2
高出力ビームナイフ×2
顎部ショックファング
頭部ビームホーン×2
解説
ネオ・ザンスカールによる
ジャバコの発展MSとして開発され、近接戦闘を主眼とした格闘戦型MS
射撃兵装は合計4砲門のビームバルカンのみだが
ジェネレータ出力をほとんど格闘兵装にまわすことができるので
いずれも高出力を誇り、ビームシールド程度なら通常出力
でも切り裂くことができる。
ナギナタ、ナイフ、トマホークソードは
連結し全長の倍程にもなり対艦戦等でも威力を発揮する事が出来る
349通常の名無しさんの3倍:2006/04/02(日) 03:23:52 ID:???
ネオ・ザンスカール

クロノクル・アシャー総帥率いる旧ザンスカール系組織の一つ。
その他のザンスカール系組織やソフィア中枢とも繋がりはあるが、その発端や組織図は完全に別物である。
ソフィアのウーイッグ襲撃に呼応して正式に“ネオ・ザンスカール”を名乗ったが、
それまでは民間会社を隠れ蓑にした“アルジャーノン”という組織名で活動していた。
アルジャーノンは当初こそベスパ地球降下部隊の残党組織に過ぎず、
東欧や南米における生き残り部隊の寄せ集めに過ぎなかった。
しかし、比較的初期の段階で、地球から脱出することさえ出来ない身の上で
地上での小規模な軍事活動を続けることには戦略的価値を見出せないと悟り、
まずは資金集めと組織の建て直しを図ったのだった。

第一に、かつてより密かなザンスカールのパトロンだった連邦の有力者の手を借りて、
地球上の軍事拠点の確保とサイド3に存在する既存の連邦系民間会社の乗っ取りに成功した。
そして、この民間会社を隠れ蓑にマリア主義を微妙に絡めた複数の政治団体や宗教団体を設立。
これらの団体は僅か数年で地球各所のみならずスペースコロニーにも進出を果たした。
これによって活動資金と宇宙への足掛かりを得たアルジャーノンは、
活動の方向性を直接的な軍事活動から政治活動へとシフトさせ
大小様々な旧ザンスカール系組織の橋渡し的な役割を担うようになっていった。
もちろんソフィアの軍事的発展にも人材面で大きく寄与している。
そして、宇宙の傘下組織が抱える研究所で、来たるべき日に備え新型MSの研究だけは続けていた。

その一方で、直接的な軍事活動はザンスカール戦争時代の残存MSを一定数集積した他は、
連邦軍基地への散発的なテロ活動もどんどん手控えするようになっていった。
アルジャーノンの真の本部組織は地上にあり、活動当初の残党兵の多くは未だ地球から脱出できないでいる。
無論、それは彼らの乗機たるMSともなれば尚更である。
その為、アルジャーノン自体が直接隠匿するMSは、ゾリディア11機、ゲドラフ5機、ジャバコ4機、
ブルッケング2機、ゴッゾーラ1機、トムリアット1機、ゾロ2機、ゾロアット6機に過ぎない。
いずれも地球上で稼動ギリギリのメンテナンスで再起の時を待っていたが、
現在はソフィアの援助によりほとんどの機体が戦闘に耐えられるまでに回復している。
しかし、ネオ・ザンスカールとなった今でも上層部はソフィアを完全には信頼しておらず、
軍事活動に使用するMSには出来るだけソフィアから提供された型落ちの新型を用い、
クロノクル総帥自らが率いるコーディリアUにさえ“自軍”からはゾロアットしか引っ張っていない。
総帥は、これまでは研究開発だけに留まっていた新型MSのロールアウトを心待ちにしているらしい。
350通常の名無しさんの3倍:2006/04/02(日) 18:19:32 ID:VBwyokLj
ORE−01 Φガンダム
全高 18m
重量 9.1t
ジェネレータ出力 99000.4kwh〜?
武装
攻撃的装備なし
(煙幕弾、対超硬岩盤ドリル、ハンダゴテ、リベットガン、高感度ゲージ場レーダー)
解説
自称・三度の飯よりもガンダムタイプMSが好きな
戦争ジャーナリストであるルイス・ラグ・カーンが
南極に局地生物調査の一環で行った際に野生生物調査目的の生体電流・脳波感知機で調べていたところ
強烈な反応があるポイントがあり
そのポイントで発見した擬態され廃棄されていた
所属不明のフレーム(メインカメラの外見・構造上から恐らくガンダムタイプであろう)
にジャンクパーツや手製のパーツで外装を施した機体である。
形式番号と機体名についてであるが
ORE-01とは(オレの一号機)といった意味かららしい
Φガンダムとは、Ξ等のギリシャ文字が課せられたガンダムにあやかって
まだ使われていないΦの文字をつけたらしい
本人語録
「俺はガンダムに乗ってるぜぇええっ!」
「ジェネレータ主力高すぎだよな?」
351通常の名無しさんの3倍:2006/04/03(月) 10:49:13 ID:???
クロノクルはウッソと再び戦うことあるのか?
352通常の名無しさんの3倍:2006/04/04(火) 13:37:45 ID:???
続きまだー?
353第三十話「土星帰りの女」:2006/04/04(火) 16:54:17 ID:???
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS

  











354第三十話「土星帰りの女」:2006/04/04(火) 17:04:30 ID:???
自分の目の前にはいつも薄くてしかし分厚い、目に見えない膜があって。
それは身体性とも思えるし、かといって心の問題であるということも
否定は出来ない。要は、気の持ちようなのだ。それで自分を維持し調節
できるのなら、何故周りの人たちは私に対して偏見や奇異の目で見るのか、
という考えに行き着いてしまう。

今の自分で十分いい、それで気持ちが落ち着いているのだから。人から
見れば私は変わり者の女と思われても、私はそんじょそこらの女性士官
の頭では到底行き着けない領域を極めてきたし、自軍への尊重や敬愛を露骨に
表現する代わりに実利という形で益を齎(もたら)してきた。

だから、思う。私の周りの凡人達、ことに女性士官は私の才能が羨ましい
だけなのである。世の平凡な女は、結局は男に媚びて結婚や家庭という
法的妥協によって自分を社会の中で生存させていくことが精一杯のくだらない
阿婆擦れだ。彼女達はどう頑張っても足掻いても私のレベルには追いつけない。
だから、笑う。私が笑うのは男への媚ではなく貴様らへの嘲笑の為だけだ。
355第三十話「土星帰りの女」:2006/04/04(火) 17:24:06 ID:???
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ノマノマ「ユウリ!聞こえるか?こちらブリッジだ。哨戒任務と言ったって、
マジとジーク隊の調整が終わるまでなんだ。ミノフスキー粒子もちゃんと
撒いてるし、軌道はいつも固定しろよ」
ユウリ「う、うん!ごめん!ノンちゃん」
ガンダムPrincessはフェレンツバロシュへの帰投コースを取った。

ユウリ「ナンだろ、今の声・・・・・・・?低くてすごく冷たかった。それに、風邪を
ひいたときの口の中の濁りみたいな感じもした。どういうの・・・・・・・・」
サイド7を盛大な見送りの中出発したロマニア皇国の艦隊は、サラミス改級の
アマンダとダイアン、ムサカ級ヒルデブルク、エンドラ級ブリュンヒルデ、
ムサイ級アンネリーゼ、ムサイ級ドロテア、ミサイル艦ドロテア・タルタロッサ、
サラミス級エマヌエル、サラミス改級ディーデリッヒ、マゼラン級ハンニバル
で構成されていた。

もちろん、これらの艦がひとまとまりになっているわけではない。これだけの
戦力を駆逐するには連邦軍の二個師団クラスの戦力が必要ではあるが、今の
連邦軍がロマニア皇国を危険分子と見做したとしても、すぐに行動を起こせる
だけの決定力も無ければ軍そのものの機動力もない。が、ロマニア皇国軍にとっての
目下の課題はまさにその機動力にあるのだった。
356第三十話「土星帰りの女」:2006/04/04(火) 17:40:54 ID:???
クラリッサとタルタロッサはミサイル艦であり、ジャンク屋から転売された
ムサイ級を改修したものである。ミサイル射出に特化したものである
ことから、当然のごとく最前線の弾幕として配備された。これを後方から
指揮・援護するのがアンネリーゼ・ドロテア・ブリュンヒルデであり、
まさしく前線の防壁はジオン色が濃いものと呼べる。

これがサイド2の敵拠点への突撃・侵攻部隊であるとするならば、
最後方でいつでも本国奇襲に対応できるようバビロン・リアと連携を
取っているのがアマンダ・ダイアン・ヒルデブルクの三艦である。
旧式のため相互に連携しなければならない彼等も、先日の度々の会戦で
ソフィアに与えた脅威とサイド7全土に広まった連帯意識に援護を期待すれば
本国を守りきれるだろうという判断である。

そして両者を繋ぐ心臓部にして頭脳というべき艦隊がエマヌエル、ディーデリッヒ、
そしてイオン王子の乗るハンニバルである。連邦軍などからの払い下げ
老朽艦の改修で戦力を保っている皇国軍にとって、わずか八年前に起こった
サイド4ハルトレイ紛争で実績を残しているハンニバルは大きな縋り物
であり、早い段階からエマヌエル・ディーデリッヒと連絡回線および
相互補給機能の円滑化協議を行ってきた。これに独立部隊としての権限を
与えられたフェレンツバロシュが加わり、任意の地点に迅速な戦力移動が
可能な体制が一応は整った。
357第三十話「土星帰りの女」:2006/04/04(火) 18:05:22 ID:???
ゴッズ「ダーゴルから先程連絡があった。連中、まだカサレリアを制圧できて
いないらしい。従ってネコの手も貸せんというわけだ」
フリスト「わかりました。ではこの際、動かせるものは全て動かしてしまい
ましょう。この為にはるばるサイド7に根拠地を幾つか作っておいたのですから。
それもこれもアイア大尉の功績です」

アイア「とんでも御座いません」
フリスト「問題は、それで後方を切り離せるとして本国防衛と敵の中枢破壊の
どちらを優先させるかです」
アイア「それに関しては私共の不手際がありまして。皇国軍の基地を破壊できて
いれば・・・特にハンニバルに関しては攻撃するチャンスもあったのです」

ゴッズ「過ぎたことはいい。君にはまだまだ働いてもらわねばならんのだから」
アイア「では、不躾ですが不手際ついでに申告したい事がございます。普通に
考えればクロノクルを動かせる分、サイド2への攻撃は防げます。連中とて
14年前のスキャンダルを再び雪(そそ)がれたくはないでしょうし、我々同様
敵の指揮系統の中枢のみを狙ってくるでしょう。さすれば、この判り易過ぎる
艦隊配置は不自然です」
358第三十話「土星帰りの女」:2006/04/04(火) 18:14:15 ID:???
フリスト「つまり、敵の艦隊の中に各戦局をフォローするべきリベロ(自由の意)
がいるということか?」
アイア「はい。その点について、私共の艦に任せていただきたいのです。
無論リリア少佐のスタラ・ザゴーラも限られた時間で武装を強化しましたので、
相互に連絡を取り合いバッティングは避ける所存であります」

ゴッズ「つまり、その自由に動き回る艦を落とせるかどうかがこの会戦の鍵を
握るというわけだな・・・・・リガ・ミリティアの白い奴にしても、ロマニアの
ホワイトベース伝説の出来損ないにしても、過去に魂を引かれた奴らよ」
ガブリエル「大佐。コーディリアUのクロノクル総帥から連絡です」
ゴッズ「映せ」

クロノクル「連絡は受けました。我々はサイド2に留まりつつ反撃を狙っている
連邦の平和維持軍を監視すればよいのですね」
ゴッズ「そうだ。ガウッサの話も聞いているな」
クロノクル「その事ですが、我々は伝書鳩ではありません。サイド1のコロニー
の話についても・・・・・・・・・・・」
359第三十話「土星帰りの女」:2006/04/04(火) 23:50:15 ID:???
ゴッズ「黙れ!貴公がお山の大将をやれるのは誰のおかげだと思っている?
神に近づくのは厳しいことだと知るがいい。それに、貴様らを本国防衛に
回す事でモトラッドU完成の時間も稼げるのだろう」
クロノクル「・・・・・・・・・・は、申し訳ありません。我々としては御恩を最前線で
返したく思っていたのですが、出過ぎたようです。ご健勝をお祈りします」

ガブリエル「今の会話を記録しておきますか?」
ゴッズ「しよう。戦後処理では何かと使えるに違いない」
フリスト「今から戦後のことを考えるのが得策かどうかはともかくとして、
あの男は人の言質(げんち)を取るのが下手だ。これからも上手く回せそうですね」
アイア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ゴッズ「よし、綱領は決まった。シュメン、スタラ・ザゴーラ、アリエルは
敵艦隊を迎撃。各自フォーメーションをTRAPAに最終入力して其其(それぞれ)の
最優先目標に殉じよ」
フリスト「今回は私も出ることになるかもな」
アイア「そうならない事を願います」
360第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 00:19:39 ID:???
シレジア「ユウリ!」
ユウリ「シレジア。どうしたの?」
パイロットスーツに着替えてMSデッキまでの通路を浮いていくユウリをシレジア
が呼び止めた。
シレジア「見ろよ、あれ」

見ると、四つ角の向こう側でノマノマが壁に手をつき、眼下にアレーナを見下ろし
ながら何か話しかけていた。
シレジア「あいつら、どうやら普通に付き合い始めたんじゃね?」
ユウリ「・・・・・・・・興味ないから、あたし」
シレジア「とか何とか言っちゃって、この前だって尋常な顔つきじゃなかったべ?」

ユウリ「あ、あたしは別に、幼馴染だからノンちゃんに彼女が出来てよかったな、
て思ってるだけで・・・・・・」
シレジア「まぁいいさ。今日は本格的な艦隊戦になる。連中が素早く退いたのも
全ては今日のためだろ。今まで以上に、いや今日が一番命の危険を感じる戦いに
なるだろうし、さっきあたしも艦長とキスしてきたよ」
361第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 00:50:49 ID:???
ユウリ「えっ!?」
シレジア「まぁ、なに・・・・アンタも腹くくんなってことだよ!」
そう言ってシレジアはMSデッキの方へ流れていった。ユウリもそれを追おうと
したが、なにぶん彼・彼女らと違って自分は何も決着をつけていない。恋愛は
仕事勘を鈍らせるのではなく守るものを明確化する作用もある。

守るもの。それが力になると、地球でウッソにも言われたはずなのにまだ自分は
中途半端で、何を守るために戦うのか、アレーナのように自分の力の証明のために
戦うのか判然としなかった。それは危険な心理状態であったし、今更ピアスの
事を思い出しても仕方がないということと同じくらい明らかだった。

ニコライ「いよいよサイド2宙域だ。推進剤は無駄遣いしたくはないが、いつ
戦闘が始まってもおかしくないし、あちらさんもミノフスキー粒子はちゃんと
撒いてるから索敵はガンダムチームの反作用に頼ることになるからな。いいか?」
ノマノマ「はい。ノマノマ・イェイ、ドラゴスティア出ます!」
イズモ「イズモ・カトウ、マジ・デウゼー出るぜ!」
カルル「カルルマン・ドゥカートゥス、ジークフリード出ます!」
シャーベット「シャーベット・イノエ、ジークリンデ出ます!」
アレーナ「アレーナ・ヨルダネスク、ツルベナ・ズベズダ出ますわ!」
シレジア「シレジア・ファン・ホーヴェン、ナディア・コマネチ出るよ!」
ユウリ「ユウリ、ガンダムPrincess行きます!」
362第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 01:27:55 ID:???
アイア「こちらシュメンのブリッジだ。スタラ・ザゴーラは正常か?」
イワノフ「正常かと申されれば、大尉の定義に従えば正常でしょう。少佐は
ダンケル・ヴァイスに篭ってなにやら作業をしておられます」
アイア「ああ、いい。計算どおりだ。心理的に何か変調は?」
イワノフ「いいえ。漫画も毎日ちゃんと書いておられます」

アイア「なら大丈夫だな。何処にいようと指揮はできるはずだ。そちらは
リリア少佐の指示を待ちつつハンニバルを捕捉し砲撃を行ってくれ。我々は
私のエクサソーンを中心にミノフスキー粒子の場を変調させてみる」
イワノフ「それによってお互い例のリーンホースもどきを捕捉しやすくなると
いうわけですね」

アイア「わかっているではないか。では遅れるなよ」
イワノフ「はっ!」
ガブリエル「大尉、変わりましたね」
アイア「何?」
ガブリエル「以前の大尉はあのガンダムの小娘に気を取られて冷静さを失うきらいが
ありました。しかし、今は一つ一つの指示・判断が的確かつ迅速です」
アイア「違うな。私怨をベースに戦略を立てているだけだ」
363第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 04:05:39 ID:???
早速シュメンからエクサソーンとイメンシアに率いられた3S編隊が射出された。
が、間髪いれずにスタラ・ザゴーラからもゾロアット、シャベリン、ハジが
5、6機ずつ射出された。艦隊の数で劣っている分を先行射出するMSの数で
補おうというのだが、共に作戦行動を行っていない部隊同士では逆効果を招く
恐れもある。

ガブリエル「どうします、大尉」
アイア「作戦は伝えてある。それを無視したのだから後ろからでも撃てる」
間もなく、クラリッサ・タルタロッサから大中織り交ぜたミサイルが放たれた。
これがある程度の足止めを効すると、すかさずスタラ・ザゴーラからも強烈な
砲撃が返ってきた。

アイア「スタラ・ザゴーラ聞こえるか。均衡状態はうまく作れている。アリエルと
キャリバンには随時連絡を取りハンニバルの捕捉に努めよ!状況によって我々は
囮になるからな」
ガブリエル「では、そのつもりで動きますよ!」
そう言ってガブリエルはマイクロミサイルと両腕に担いだイメンシアのランチャー
で敵ミサイルを迎撃した。まだロマニアのMSは一機も視認できていない。
364第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 04:43:55 ID:???
アイア「待てガブリエル、均衡状態は作れていると言ったはずだ・・・・中枢部は
中枢部であるからこそ守りが堅い。従って連中も我々も奇襲を狙っている点に
関しては同じなのだ。だから今、前方のミサイル艦二隻を落としては前方に
引きずり出すことになる。構えた相手は既に相手が視界に入っているのだ」
ガブリエル「了解です、大尉!」

そう指示を出しつつもアイアは宙域をめまぐるしく旋回し、メガビームライフルで
敵の弾幕を「適度に」軽減していた。これに倣い、スタラ・ザゴーラから出た
MS群もソル・シャッコー、シュグナイドらも中距離以下の武器で対応した。
この状況に対しアンネリーゼとドロテアはそれぞれ4機のジークリンデを
射出した。

アイア「フフ・・・・・・・・我慢できなかったようだな!イワノフ!ハンニバルの捕捉は!?」
イワノフ「できました!第一ライン後方5kmです!」
ガブリエル「スタラ・ザゴーラMS隊は迂回せよ!我々が道を作る!」
これでアイアの部隊はスタラ・ザゴーラとのバッティングを避けFBの捕捉へ集中できた。
何故なら脆弱な老朽艦から射出された少数のジークリンデは自慢の火力を発揮することも
なくエクサソーンのパラサイトビットに襲われ友軍艦の撃沈に貢献したからである。
365第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 05:08:03 ID:???
ニコライ「こちらFBです!MS隊、展開させますか!?」
イオン「いや、まだいいだろう。ブリュンヒルデは?」
ミルセア「こちらブリュンヒルデです。サイド7の連邦軍に動きがあるということで、
まだ援護にはいけない状況です」
ニコライ「何、連邦軍?こんなときに・・・・・・・・・」

アイア「ム、通信画像にまだノイズが走っているな・・・・・・・・これは、うっ!?」
ガブリエル「大尉、どうしまし・・・・・・・・・・はっ!?」
フリスト「ば、馬鹿な・・・・・・・・・・・・」
ゴッズ「何だ・・・・・・・・・・・・どうしたというのだ」
ニコライ「どうした!?くっ、う・・・・・・・頭が・・・待てという王子の命令である!」

エマヌエルからの砲撃でようやく道筋が見えたとき、寸分早くこのルートを
突破していたはずのMS隊の連携が乱れた。
アイア「何だ・・・・・・・・・どういうのだ・・・・・・・・ぐっ!ビ、ビットが・・・・」
ジークリンデを抑えていたはずのパラサイトビットが外れ、彼等はすかさず
空いたコースの封鎖に戻りディーデリッヒはマジ・デウゼーの射出を取りやめた。
366第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 05:31:43 ID:???
アイア「この、不愉快さ・・・・・・・・・あたしを逆立てる!」
エクサソーンから発したどす黒いオーラが再び四散したビットを集合させ、
近くのデブリを攻撃した。すると、そこから一条の光がエクサソーンに向けて
急行したかと思うと、まるで壁を蹴って木々を渡る猿のようにイメンシアに
体当たりを食らわした。

アイア「・・・・・・・・・・・貴様だったか!!!」
ユウリ「てやぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
ギギギギギギギ・・・・・・・・・キャンッ!!!!!!!!!!!
ビームソードとビームザンバーが激しく切り結んだ後、離脱するやいなや
アイアはガンダムPrincessに向けて縮退率を変えビームライフルを放った。

アイア「貴様だ・・・・・・・全ては貴様から始まった!あたしが努力して、戦場の
一兵卒から士官へ熟成しようと努力を重ねても、必ず貴様が邪魔をする!」
ユウリ「見えているよ、アイアさん!」
アイアの放つ刺々しい感触は逐一、ローバー系ビットの発動をユウリに教えていた。
そして指揮官の停滞の隙に仲間のMSはシュメンとスタラ・ザゴーラに対艦攻撃を
仕掛けたのである。
367第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 05:45:02 ID:???
ガブリエル「行きます、大尉!」
アイア「ガブリエルか、助かる・・・・・・・・・・・!?」
ユウリ「うっ!?」
シレジア「何だ!?」
アレーナ「何ですの・・・・・・・・!??」

それはユウリが発したアイアへの執着からなるプレッシャーとは異なるものだった。
意思の集中は拡散を防ぐ必要から生まれた。つまり仲間達の恋愛模様を見た迷いを
ライバルであるアイアへの意識の集中に変えて。だが、そのその時宙域に広がった
プレッシャーは対象を決めないものであった。敵意ではなく、もっと低く冷たい
ものだった。

リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・逝く」
スタラ・ザゴーラから射出されたダンケル・ヴァイスのビームパンツァ旋回に対し
他の全てのMSはスロー動作を取っているようであった。
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。
逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
368第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 05:54:17 ID:???
アイア「どういうつもりか少佐!味方のアームドベースの合体まで妨害とは!」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
シレジア「こっ・・・・・・・・・・・・・のぉーーーーーーーー!!!」
吹っ飛ばされざまに放ったコマネチのスカートヴェスバーはビームフィールドの
皮膜で跳ね返された。しかし、ロマニア首都会戦にはなかったような反発力だ。

アレーナ「だったら、わたくしが!」
ズベズダの放ったハイメガビームライフルも、いとも簡単に弾き返される。
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
アイア「どうした!?少佐、答えよ!何故通信回線をオフしているのか!?」
リリアは書きかけの漫画の原稿を破り捨て紙吹雪のようにモニターに向かって
撒き散らしながら旋回する。インクや、ペン軸や、トーンカスまでも・・・

カルル「どうすりゃいいんだ!体が痺れて・・・・・・あのパイロットの意思なのか!?」
シャーベット「落ち着こう!奴は錯乱して単調な攻撃しかしてないし、友軍まで
巻きこんでる。これならハンニバルに動いてもらっても問題はないはずだ!」
イズモ「そ、そうか!だったら主砲を・・・・・・」
ノマノマ「撃ってもらえばいいんですね!よし・・・・・・・・くあっ!?」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
369第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 06:05:00 ID:???
しかし、ダンケル・ヴァイスが出力を使いすぎていることで返ってミノフスキー粒子の
場が崩れてハンニバルへの通信は滞りなく届いた。
イオン「よし、大型粒子加速砲スタンバイだ!」
もはやにべもなかった。前方を固めていた艦隊は軌道を空け、強制的にMS隊を
回収していった。そしてガンダムチームは全力でビームフィールドを大規模展開させる。

ズアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

現在、この地球圏で最強クラスのひとつといえる主砲が火を噴いた。ザンネック
キャノンの六倍以上の火力を持つその巨大な閃光が照準レティクルのマーク通りに
ダンケル・ヴァイスへ向かっていった。
だが、何ということか。次の瞬間、ダンケル・ヴァイスは機体周囲に不可思議な
球体状のバリアーを発生させこれを受け止め消滅させてしまったのである。

イオン「ば・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿な!?」
ニコライ「あ・・・・・・・・ありえん!」
ユウリ「ガンダムっプリンセスーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
カルル「えっ!?」
シレジア「そ、そうか!エレガント!!」
シャーベット「今ので大分あのパイロットは疲弊して・・・・・」
アレーナ「よし!ゴージャス!」
ノマノマ「おまけにミノフスキー粒子主導推進システム!」
イズモ「もうあっちから調節はできねぇ!こっちから攻めたい放題か!」
370第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 06:10:02 ID:???
コクピットが微弱な振動に包まれMA形態に変形すると、各々がフォーメーションを組んで接近。
まずガンプリが手足と頭を収納して限りなく台形に近い形になると、シレジアの
V4は中心が奥に収納されて折りたたまれた腕部脚部がと結合して長く伸び、ガンプリの
下部に結合。アレーナのV5はこれを逆に実行してハンガーとなり上部に接続
すると、ガンプリの頭部がハンガーの上に突き出た。それはまさしく神々しいという
以外に形容詞の無い、新時代の「3コアブロックシステム」のもたらしたものだ。
その名は
GUNDAM PRINCESS EREGANT GORGEOUS

リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
アイア「ぐっ・・・・・・・・阿婆擦れどもめ!ガブリエル、退くぞ!」
ガブリエル「えっ!????」
アイア「もはやこれは作戦行動ではない!労力の無駄遣いだ!」
ガブリエル「りょ、了解です!」

リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
ユウリ「ガンダムプリンセスーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
シレジア「エレガント!!!!!」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
アレーナ「ゴージャス!!!!!」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
三人「カノン!!!!!!!!!!!!!!!!!」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
371第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 06:19:22 ID:???
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
ユウリ「ぬううううん・・・・・・・・・・・・・っ!!!」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
シレジア「こ、このMSどんだけしぶてェんだよ・・・・・・・!!」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」
アレーナ「ノマノマさん、わたくしを守って・・・・・・・・!」
リリア「逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない。逝く。逝かない」

激しい鍔迫(つばぜ)り合いが続いた後、ついに持ち堪えきれなくなった
ダンケル・ヴァイスは四散した。半壊した機体の中から脱出ポッドが
スタラ・ザゴーラに向けて直進していった。宇宙空間に無数の同人誌用B4
漫画原稿用紙の残骸が漂っていた。必死に破り引き裂いた爪跡、血痕が酷く
生々しく・・・・・・・・・・・・・・

ユウリ「何だったんだ、あの人・・・アイアさんのような熱い感じじゃなく、もっと
冷たくて重くて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気持ち悪かった」
ともあれ、独立部隊として動いたFBとMS隊の働きがものを言ってシュメンと
スタラ・ザゴーラはアリエルの待機する宙域まで後退せざるを得なかった。
そう、サイド2から目と鼻の先である。


372第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 07:40:19 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ノマノマ    矢尾一樹
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか







373第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 07:45:56 ID:???
キャスト
アイア   折笠愛    リリア   植田佳奈
フリスト  関俊彦    イワノフ  津田健次郎
ゴッズ   屋良有作   ガブリエル 松本保典 
クロノクル 壇臣幸    イオン   速水奨       
ミルセア  中田譲治                                       

確かな男を        見つめればいい







374第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 07:54:05 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  西村誠芳
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間








375第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 07:56:33 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 恋する乙女の IN HEART PRINCESS SHOWER





376第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 08:07:18 ID:???
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   それが          それが        いま 








377第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 08:17:24 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




        PRINCESS       SHOWER








378第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 08:20:57 ID:???
エンディング・テーマ「PRINCESS SHOWER 〜星空の温もり〜」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet +MIO
           (松本梨香&奥井雅美)




   それが         それが        いま




379第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 08:22:55 ID:???
脚本   川崎ヒロユキ   演出   西森章
作画監督 西村誠芳     絵コンテ 川瀬敏文





        PRINCESS         SHOWER








380第三十話「土星帰りの女」:2006/04/05(水) 08:28:56 ID:???
          次   回   予   告


ユウリ「ユウリです。シレジアもアレーナ様も彼氏ができて、あたしだけ寂しい
独り身です・・・・だって、サイド2への敵軍拠点直接攻撃を前にして、王子様に
プロポーズの答えなんてできないでしょ!?そんなこと考えていたら、やっぱり。
ろくなことが起こらなかった!


   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

            アルジャーノンに花束を

          ガンプリは、みんなで見てね! 」






381:2006/04/05(水) 08:30:39 ID:???
>>348〜350
採用。しかしOREガンは使い辛いな。これからギャグが極度に少なくなるから
382通常の名無しさんの3倍:2006/04/05(水) 15:51:38 ID:sb0bnQIs
すんません
383通常の名無しさんの3倍:2006/04/05(水) 18:01:18 ID:???
>>359
モトラッドUってことは新型タイヤ戦艦降臨か
となるとクロノクルが乗る船の名前はクイン・マリアかクイーン・マリアあたりってのはどう?
384通常の名無しさんの3倍:2006/04/06(木) 03:02:17 ID:???
SOFIA-07E ハマジ

頭頂高 14.1m
本体重量 8.0t
ジェネレータ出力 7330kw
スラスター総推力 68800kg
装甲材質 ガンダリウム・コンポジット+ガンダリウム合金セラミック複合材
武装 頭部バルカン×2(マジ用) ビームサーベル(マジ用)×1 ビームシールド×1(マジ用)
ビームライフル(ハジ用)×2 脚部五連ミサイルポッド(ハジ用) 胸部メガビーム砲(ハジ用)

ロマニア軍のRGM-166マジの残骸を、ソフィアがSOFIA-07ハジのパーツを用いて蘇らせた評価試験機。
かねてよりロマニアの技術力を測りたがっていたソフィアは、
とある戦いで混戦のドサクサに紛れて撃墜されたRGM-166マジの残骸を回収した。
しかし、見た目以上に機体の損傷が大きく、そのままの状態では稼動テストを望めなかったため、
SOFIA-07ハジの余剰パーツを使って欠損箇所を補うことで何とか評価試験に漕ぎ着けた。
この評価試験によって、ソフィア技術陣の想定していたRGM-166マジの能力や欠点が裏付けられることとなった。
そして、別の戦いで回収された稼動不能なRGM-166マジもSOFIA-07Eハマジへと改造され、
ソフィアは都合二機のハマジを利用してロマニア製MSの操縦系統やレスポンスを調査することとなる。
ちなみに先行して行われた一号機による調査結果は、
アイア大尉がガンダムPrincess強奪作戦を決行する際の事前資料の一つとなった。
こうして評価試験の済んだ二機のSOFIA-07Eハマジは、今ではソフィア軍へと引き渡され実戦配備されている。
一号機と二号機で多少構造が異なっているが大差はなく、どちらも大した戦力にはなりえない。
しかし、ザンスカールやソフィアのMSに比べて扱いやすい操縦系統は、後の新型MS開発へ
一定の割合でフィードバックされており、またSOFIA-07Eハマジ自体の操縦系統も現場パイロットに高く評価されている。
汎用性の高い低スペック機同士の融合だったことが逆に幸いし、極めて扱い易い機体となっているのだろう。
385通常の名無しさんの3倍:2006/04/06(木) 15:37:25 ID:pUTQcjr6
SOFIA-GAt-01MS バルデウス
全高 21、05t
重量 11、01t
装甲材 ハイマニューバガンダリウム装甲+ビームフィールド
武装
01型新世代試作火器ユニット 通称(ミノフスキーブラストチャージランチャー) 
ロングビームトマホーク×2
ハイディフェンスビット×20
ハンドビーム砲×4
グラッピングクロー×2
解説
ソフィアの新型火器試験試用MS
目玉の新型火器とは
能動的熱核融合型核爆発によるミノフスキー粒子・反ミノフスキー粒子臨界融合エネルギー兵器
「―Active-Nuclearfusion-Explosion-Depends-MinofskeParticle
・Anti・Minofskeparticle-Critical-Fusion-Energy― WEAPON-system」
というものである。
機構は、まず高濃度臨界圧縮した正の電荷の
ミノフスキー粒子を任意の範囲に散布する
そして、負の電荷の反ミノフスキー粒子を続けて散布する
このときはまだ双方の粒子は互いにΤフォースによる
斥力の為に、反発し合って反応は起こさない。
そして通常の熱核弾頭クラス10個分を使用した
クラスター弾頭を発射する
そして到達し爆発が起こる。この時の
核爆発自体は粒子を破壊しない為に弾頭にビームコーティングし
巨大ではない、が超協力な電磁パルス波が発生する。
これにより、双方の粒子のΤフォースが電気的中和により
融合反応をおこす。すると相殺による質量欠損による
膨大なエネルギーがおこる。つまりはビームライフル等の中での
反応を地上で起こした様なものと考えて頂きたい。地上にミニ太陽が発生した
と思ってくれればよい。
 確かに威力は脅威の一言であるが、プロセスが大掛かりなので
普通にしていたのでは単なる的になってしまうため
このMSはこの機体・散布範囲を含めた周囲
100m程の範囲をを完全防御可能な要塞クラスのビームフィールド
発生ビットを持っている。MS自体の防御力も極めて堅牢である。






386アレーナ・ヨルダネスク:2006/04/06(木) 23:44:56 ID:???
皆さん御機嫌よう、アレーナ・ヨルダネスクですわ。突然ですが作者氏から宣伝
を承ったので貼っておきたいスレッドが御座いますの。↓
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1144074591/l50
昨今はこういう御暇な殿方が増えて久しいとお父様も嘆いていらっしゃったわ。

>>383
採用ですわよ。強権プロデューサーのほくそ笑みが聞こえて鳥肌が立ちません?

>>384、385
採用ですが、ハマジという名は真剣に考えたのかウケ狙いかも非常に興味がありますわね

あ、そうだ・・・・ノマノマさんにメール返さなくては。それではこの辺でピリオド(以上)
387第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/07(金) 22:05:00 ID:???

今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS

  

















388第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/07(金) 22:14:19 ID:???
クロノクル「んっ、くあ、・・・・・・・・・・・・・・」
ゴッズ「お目覚めになられたか大佐。動かないほうがいい」
クロノクル「ん、ぐっ・・・・・・・ここは、何処だ?」
ゴッズ「ファレナです。貴方はエンジェル・ハイロゥのパーツに転落して
全身打撲の重態だったのですよ」

クロノクル「そ、そうか・・・・・・・・そうであったか。貴軍の慈悲に感謝する。
それで、戦況を教えてくれないか?」
ゴッズ「戦況も何も・・・・・・率直に申し上げればザンスカールは負けました」
クロノクル「ああ、いや、いいのだ。それは大して驚くべきことではない。
私も少し意識が朦朧としているようだ」

ゴッズ「モトラッド艦隊は全滅しましたが、ラステオは比較的軽度な被害で
済んだのです。月軌道に展開していたベスパの艦に拾われまして、何とか
サイド2まで戻ることができました。が、帰れる見込みが無い時点で大佐を
拾ったのは単なる慈悲ではありませんぞ」
クロノクル「・・・・・・・・・どういう事か?」
ゴッズ「大佐にはサイド2の新たな時代の旗手になって頂きたいのです」
389第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/07(金) 22:33:56 ID:???
クロノクル「久しぶりですな、市長」
ダンテ「私は単なる傀儡です。副市長と呼んでもらいたいものだ」
クロノクル「御自分の働きをそう卑下するものではありません。しかし、貴方と
またこうして普通に面会できる日が訪れるとは思いもしなかった」
ダンテ「体はもう大丈夫なのですかな?」

クロノクル「ええ、何とか起き上がることはできます」
ダンテ「八ヶ月か。八ヶ月、ベッドの上とは私には想像を絶する」
クロノクル「しかし、おかげで外の世界をゆっくり見つめる時間が持てました。
平和維持軍の到着、選挙監視委員会・・・・・といった単語を聞けば嫌でもザンスカール
が負けたのだという実感が湧きます」

ダンテ「悔しいのですかね?」
クロノクル「いえ、悔恨とはまた違った感情です。確かにそれもありますが、
むしろ自分の過去と現在を少しずつ整理していく作業として新聞やテレビに
目を通していると言えましょうな」
ダンテ「・・・・・・・・では、今日の本題も話し易くなりましょう。大佐」
390第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/07(金) 22:46:13 ID:???
アイア「大佐。お久しぶりです」
クロノクル「む、お前は・・・・アイア・コッカ中尉か!生きていたのか」
アイア「ええ。しかし自分の力不足が悔しくてなりません。結局、カテジナ
大尉を守ることはできませんでした。これではソフィアで生まれた同胞
ばかり連れて本国に逃げ帰ったと謗(そし)りを受けても仕方が無い」

クロノクル「そう気に病むことも無い。あの状況では仕方がなかったのだ。
私も今さらカテジナには固執していないし、今は先を見ている」
アイア「そう言えばクロノクル大佐はサイド2の復興には新たな経営者の
育成が必要だとお話されていましたね。宇宙世紀始まって以来、人は
軍需産業に依存してきた。だから今こそ国家の統制を受けない民間産業を
動かしていける若い世代への教育制度や資格整備が必要だと」

フリスト「大佐が企業経営に興味を持っておられるとは意外でしたな」
クロノクル「フリスト・ボネフか!よく無事だった」
フリスト「ありがとうございます。相変わらずの性格ですので畏(かしこ)
まられる必要は御座いませんよ」
クロノクル「いや、しかし・・・・見違えるほど逞しくなった」
391第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/07(金) 22:58:03 ID:???
クロノクル「蜂起、ですか・・・・・・・・・・・」
ダンテ「そう、何もザンスカール帝国に限った話ではない。幼いころから連邦が、
はっきり言えばティターンズが我がサイド2に対して行ってきた所業を考えれば
皆が皆、連邦の政策に不満を感じているのだ。しかしザンスカールは急ぎすぎた。
マリア主義をギロチンで肯定するのは人身掌握の手段として下手である」

クロノクル「それは、そうだが・・・・・・・・・」
ダンテ「あのような手法ではサイド2をまとめることはできてもその先までは
行けない、限界がある。だから私はもう少し段階を踏むべきだと進言した。
母系社会の確立はガチ党では不可能なのだ。矛盾を見つけることなど簡単だからな。
否定はしていないがもう少し上手くやる必要がある」

クロノクル「私に道化を演じろと言うのか?」
ダンテ「そういう言い方は適切ではないが、強(あなが)ち外れてもいない。
マリア主義を引き継ぎその説得力を高める存在として君以上の適任者は見あたら
ないのだよ。君もマリアの息子という呪縛から解き放たれた今なら、我々と目指す
未来が同じだということに気付いてくれてもよかろう」
392第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/07(金) 23:36:06 ID:???
ゴッズ「そういう君に、いい話を持ってきたのだよ」
クロノクル「いい話?」
ゴッズ「今も東ヨーロッパを中心にベスパの残留兵が潜伏していることはもちろん
知っているだろう?」
クロノクル「無論です」

ゴッズ「彼らは各所で今も散発的な抵抗を続けている。しかし、それには限界が
あるのだ。彼らが保有している戦力の限界をかたるまでも無く、連邦の監視の
目はきつくなっている。そこで我々は君のパイプを利用してサナリィに圧力を
かけたいのだよ。せっかく次の時代に目が向いている君に今更このような
軍需産業の財官癒着を助長するような頼みをしてすまないのだが」

クロノクル「いえ、既に私は貴方に飼われる身です。最初からそのような口調で
接してくれれば良かったのですが・・・・・・・・それで、彼らを経済的に援助したとして
次に何をやるのです?」
ゴッズ「そうだな。その点に関してはダンテ市長に詳しく説明してもらうとしよう。
君は今はまだ、静養が必要だ・・・・・・・・・」
393第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/07(金) 23:48:44 ID:???
ジェニファ「クロノクル大佐♪相変わらずイイ男♪生きてて良かったぁ♪
あたし♪お亡くなりに♪なったらどうしようかと♪思ってたぁ♪」
クロノクル「なんだ、お前か・・・・・・・・・リハビリの邪魔はしないでくれ」
リリア「・・・・・・・・・・・・・・・大佐・・・・・・・・・・・・・・」
クロノクル「リリア・ストイチコフか。お前も久しぶりだ」

ジェニファ「こいつ♪相変わらず♪メカいじくったり♪漫画書いてるだけで♪
未だに彼氏いないんですよぉ♪何とか言ってやって♪くださいよぉ♪」
リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・逝け・・・・・・・・・・・・・・・」
クロノクル「お前達はソフィアのこれからの希望なんだ。喧嘩はしないで力を
合わせ、これからのサイド2を良くしていく柱なんだ。よく覚えておいてくれ」

ジェニファ「きゃ♪相変わらず言うことが違う♪これだからイイ男は♪」
リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・承知・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
クロノクル「お前らがもう少し早くベスパの主力にまで成長していてくれたら、
戦局は変わったかもしれん・・・・・・・・・・・勿体無いことだが、過去を蒸し返しても
仕方が無い。今はただ、未来・・・・・・・・・そう、未来だけを見るんだ」
394第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/07(金) 23:59:06 ID:???
あれから10年以上が経過した。あたし達は仲が良かった。確かにジェニファの
奴もリリアも信用のできない女だったが、カテジナ・ルースに比べれば同郷
出身というだけでお互いを助け合えた。ただでさえベスパに馴染めない中、
軍の規律を守りその中で何とか目立って戦功を挙げて出世するため、互いに
切磋琢磨した。それは楽しい日々だった。

今ほどやさぐれた嫌な女ではなかった。少なくとも今よりはマシで、世の中で
起こる事、目に映ること、全てが新鮮でどんどん吸収できた。しかし、そんな
真っ白なキャンバスは様々な色が混じってどす黒く埋まってしまったのだ。
自分で得た情報も、人から受ける指摘も、素直に聞くことはできないのだろう。
自分の中で確定情報や真実として飲み込むこともできなくなった。

その分、他人や上司に向ける顔と自分ひとりのときの顔を使い分けられるように
なったが、それは決して大人になったということじゃない。逃げてるだけだ。
率直でダイレクトな指摘を恐れ自分の中の自分を守ってくれる都合のいい空間を
欲していただけである。全く違う性格ながらも奇妙に気が合いつるんでいた
あたし達三人の友情にはいつしか亀裂が走るようになっていった。
395第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 00:40:48 ID:???
例えばジェニファはああやってふざける事によって自分を維持しようとしている。
リリアは自分の殻に閉じこもっているように見えるがやることはやっている。
それに引き換えこの十四年間、あたしはどうだったろうか。ベスパの女豹という
異名にかまけて自分を高める努力をしてこなかったのだろう。いやいや、しては
いたのだがそれ以上を見る余裕が無かった。

人は誰も、若いうちは自分にできないことは無いという無根拠な自信にとらわれている。
そして現実の壁にぶつかったとき、初めて自分の小ささと壁の高さに気付く。
そして怯える自分を、戸惑う自分を尻目にすいすいと登っていく同世代の
同僚達を見て苛立ちと怒りだけが増幅していった。手をかけても滑り、足を
かけても誰かに引っ張られた。そして沈んでいく、沈んでいく、沈んでいく・・・・

いつからか大義や世界を俯瞰的に見る視点などどうでもよくなった。極めて狭く
近い範囲しか見えない女になった。傍目から見ても刺々しい女にそこらの男が
寄り付くはずがなかった。ジェニファは大尉になった。リリアは少尉になった。
そしてあたしは中尉だった。それが与えられた正当で真実な評価なのだろう。
だから、いいのだ。無闇に焦燥感を高めるより、現実を詳(つまび)らかに
認知すればいいのだ・・・・・・・・・・・
396第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 01:13:49 ID:???
ゴッズ「・・・・・・・・・・思えばあの時、洗脳のひとつでも仕込んでおくべきだったかな」
フリスト「しかし、無礼ですがクロノクルは我々よりも才覚がありました。
マリア主義を執拗に擁護するのではなく、地球上でも注目が高まっていたことを
まず考えたのです。だからザンスカール帝国のクロノクルとは思われなかった。
マスコミに露出しなかったという事ではなくスタッフも彼のやることに気がついて
いなかったのです。アルジャーノンを一つの利益共同体と割り切ったのですね」

ゴッズ「敵を欺くにはまず味方から、というがそれを地で行ったようだな。
それが本当に奏功したというのであれば未だに連中が我々に敵意や優越感を
持っているのは好都合かもしれん。馴れ合えば馴れ合うほどお互いの機密を
露出することになるからな」
フリスト「しかし、それをやろうとなさっているのも大佐御自身です」

ゴッズ「サイド2共同体か?時期尚早だよ。まずはフォン・ブラウンでお手並み、
見せてもらおうじゃないか」
フリスト「そうですね。今は辛い時期です。奴が内政で手一杯で外交・軍事にまで
口を出されて苛立つのもわかりますが、ここは凌げばいよいよ本番ですから」
ゴッズ「ま、せいぜい神輿(みこし)になってもらうか・・・・・・・・・・・」
397第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 01:32:05 ID:???
ハロ「ユウリ、ゲンキカ、ユウリ」
ユウリ「元気だよ。いま考え事してるから静かにして」
カルル「よう、ユウリ。おはよう」
ユウリ「あっ・・・・・・・・・・・」
仮眠を取った後に部屋から出たユウリを曲がり角でカルルが待っていた。

カルル「お前、悩んでいるんだろ?何でもいいから話してみな」
ユウリ「え、悩みって・・・・・・・・・・・」
カルル「な、俺じゃダメなのか?お前の相談には乗れない?」
ユウリ「そういうわけじゃないけど、唐突過ぎて・・・・・・・」
カルル「・・・・・・そうだ。ちょっと貸してみな」

カルルは床に弾んでいたハロを掴むとちょうど後頭部にある蓋を開けて何やら
操作をした。するとハロはシャボン玉を出した。
ウッソ「カルル、鍬(くわ)なんて子供が持つものじゃないんだよ」
カルル「えー、いや。いや。やらして。やらして」
ウッソ「だーめ。うちに戻って。お父さん、仕事でやってるんだよ?」
398第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 01:50:40 ID:???
ユウリ「ウッソさんだよね、これ?こんなに背がちっちゃかったんだ・・・」
カルル「面白いだろ?ここのボタンでファイルが一覧表示されるから。下に
行くほど古い奴になるからね。時々勝手に出したりするんだけど・・・・」
ユウリ「ありがとう。今度、見てみる」
カルル「あ、ああ。悪かったな。特に話題は無かったんだ。MSの整備、行くんだろ?
俺も少し腹ごしらえしたら行くから」
ユウリ「うん。じゃ、また」

カルル「・・・・・・・・・・そうかぁ。そういえばハロって手があったっけ。これは」
シャーベット「有効活用しないとね、カルル?」
カルル「わぁっ!?!??い、いきなり背後から現れるなっつーの!ったくいつも・・・」
シャーベット「でもいいの?シャクティさんにオシメ代えてもらってるやつとかも
あったよね?カルルがそういうの見られたい趣味があるなら何も言わないけど」
カルル「あっ、そ、そういやそうだった・・・俺のバカァ〜!!><」

アレーナ「ふふっ、本当バカなんだから・・・・・・・・・」
ノマノマ「んなこと言ったって、お前が行こうって行ったんだろ?」
ユウリ「あ・・・・・・・・・・・・」
ノマノマ「・・・・・・・・・・・・よ、ようユウリ。お前も整備か?」
ユウリ「ん、うん。でも全然無いね、敵襲」
アレーナ「敵は太陽電池衛星を放棄したんでしょ。そんな事もわかりませんの?」
399第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 01:58:09 ID:???
ノマノマ「おい、そういう言い方・・・・・・・・」
アレーナ「行きましょ」
そう言ってアレーナはノマノマの服の裾をいじらしく引っ張り二人して先に
MSデッキに入っていってしまった。
ハロ「アレーナオコッテル、オコッテル」
ユウリ「うん、怒ってるみたいだね」

既にソフィアもネオ・ザンスカールも新型を出してくるであろう情報はネット上で
実(まこと)しやかに流されていた。メカニックマン達も総出で各MSの最終チェック
にあたっていた。
イズモ「よう、ユウリ!よく眠れたのか?」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・・」
イズモ「おい、ユウリ!どうしたよ?」

シレジア「おーーーーーーい!ユウリ!早くしねーと間に合わねーよ!」
ユウリ「ごめん!」
既にシレジアはコマネチからガンダムPrincessに移ってパーツの緩みを補正
していた。
シレジア「あたしの方は終わったから、気にしなくていいんだよ」
400第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 02:23:03 ID:???
ユウリ「シレジア、さ・・・・・・・・あ、貸して。そこやっとく」
シレジア「何だよ」
ユウリ「艦長と付き合って、少し変わった?」
シレジア「変わってないよ。ホレ、見ればわかるじゃん」
トーチを持っていたユウリにいきなり抱き付いたシレジアはさらに胸に手を
伸ばそうとしたので、ユウリはとにかく肘を振り回して薙ぎ払った。

ユウリ「か、変わってないみたいだね・・・・確かに。だから、自分の中で何か
変わったかって聞いてるだけ」
シレジア「そりゃ、変わったさ。メールの着信を確認するときの感覚が、これまでと
全然違うの。何かね、う〜〜〜ん・・・・・・・恥ずかしいだろ、バカッ!」
ユウリ「わぁっ!トーチ持ってんだから気をつけてよ!」

シレジア「何だよ、アレーナが最近冷たいって?」
ユウリ「ん、何か事務的な会話以外はしてくれなくて」
シレジア「ハハーン、そりゃおめぇ、アレだよ。せっかく手に入れた彼氏がまた
移り気にならないよう防衛線張ってんだよ。そんくらい空気読めって」
ユウリ「移り気って、誰?誰に浮気するの?」
401第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 03:36:30 ID:???
シレジア「ばっ・・・・・・・・お前!・・・・・・・・・ハァ。わかったよ。アンタって女は
恋愛に関しては超オールドタイプなんだなぁ。いいよ、いい機会だからはっきり
言ってやる!ノンちゃんはアンタが好きなんだよ!」
ユウリ「えっ!?」
シレジア「えっ!?じゃねぇよ。見てりゃわかるよ。ていうか既に、クラスの
女子で知らないのはアンタ自身だけだよ」

ユウリ「え、ていうか、何かそうじゃないかなって気はしてたんだけど、地球での
こともあったし別に確かめる必要もないんじゃないかって思って」
シレジア「ああ、まぁそりゃわかるけどさ。大事なのはアンタだよ。少なくとも
ノンちゃんはアレーナと付き合って答えは出してんだからさ。重要なのはユウリ
の気持ちだよ。ノンちゃんをどう思ってるのか。イオン王子のプロポーズを
受けるのか、それともまだ地球で会った強化人間が好きなのかよ?」
402第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 03:46:17 ID:???
ユウリ「う、ん・・・・・・・まだよくわからなくて」
シレジア「ほら、それだよ!昔っからそうだ。中途半端で決断力に欠ける。
アンタみたく取り柄の無い女がガンダムなんかに乗っちゃってこんな多くの
男から求められるなんざこの先無いことなんだよ!?この際、言い切っちゃえば
一番確実なのは幼馴染のノンちゃんだよ!アレーナだっていつまでも平民と
付き合ってると思う!?いちコロニーの王位継承者が平民に本気でプロポーズ
すると思う!?」

ユウリ「ん、いや、ノンちゃんは好きだけど、向こうはどう思ってるかわから
なかったし、アレーナ様の方が好きならそれでいいかなって・・・・」
シレジア「あーやめた。馬鹿馬鹿しいわ。そんなんでずーっと及び腰に男と
向き合ってて30越えてもアタシ知んないよ?男とか紹介しないからね。どうせ
無駄話に終わって恥かくだけだからさぁ」

ユウリ「そういう言い方って・・・・・・・・」
シレジア「だってさぁアンタ見てたらあたしじゃなくたって誰だってそういう
反応するよ。いい?獲物ってのは捕れるときにガッ!って捕まえとかないと
横取りされるもんなんだよ!とにかく、アンタが一生結婚しないでMSパイロット
として生計立てるってんならアタシもう何も言わないからね。そりゃガンダムの
パイロット様だもん。引く手数多、ふんぞり返ってても就職決定〜!ってね」
ユウリ「はい、はい・・・・・・・・・・・」
403第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 03:57:09 ID:???
ソフィアのコロニー外壁は不気味なほど静かであった。確かに政庁内の他の
コロニーから自衛のゾロアットやハジ、対宙砲火がったもののそれはMS隊を
射出するまでも無いレベルだったのだ。
ニコライ「シュメンもアリエルも見当たらないということは、連中はコロニー
内部に帰ったのでしょうか?」

イオン「そうd・・・・・ろう。おsrくはきmの考えg正しい。こrは何かの罠nなのk
判断sる時・・・・・・・・・・間g必要dと思え・・・・・・・・る」
ニコライ「しかし、ミノフスキー粒子の散布濃度は高い。ガンダムチームを
出して変調させますか」
イオン「sう・・・・しyう。君n・・・・・・・任せr」

アレーナ「ブリッジから出撃命令!ユウリさん、よろしくて!?」
シレジア「オイオイ、唐突だな。ユウリももうガンダムを起動させてるよ」
アレーナ「では、お先に!アレーナ・ヨルダネスク、ズベズダ出ますわ!」
シレジア「やれやれ、恋愛を覚えたお嬢様ってこれだから扱い辛くて・・・・
シレジア・ファン・ホーヴェン、コマネチ出るよ!」
ユウリ「ユウリ、ガンダムPrincess行きます!」

404第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 04:14:56 ID:???
三機は索敵をしつつコロニーの外壁に取り付いた。いくら何でも宇宙港は警備が
ちゃんとしているはずなので、地下の排水溝からトンネルに入ろうというのだ。
対宙砲火もなかったので、シレジアはヒートダガーを限界まで絞って少し外壁に
穴を開けてみた。すると汚水が宇宙空間に水滴となって浮かび出た。
アレーナ「シレジア!我々の仕事はミノフスキー粒子の変調ですのよ!?」

シレジア「わかってるよ。わかってるし、やってんだろ?それで外周に火気反応が
無かったから早いとこ開けようってことだよ。間違ってる?」
アレーナ「う、しかしまだ命令は・・・・・・・・・・」
シレジア「よし、じゃあたしが行くよ!」
ユウリ「あーあ、いつもこんな・・・・・・・・」

アレーナ「貴女も!無責任なのは変わらないでしょう!?」
ユウリ「は、はい!すいません!」
ブリッジではこれを回復したレーダーで確認していた。
ニコライ「あいつら、また勝手な」
イズモ「大丈夫でしょ。いざとなったらガンダムチームには合体があるし」
アンジェイ「お嬢様〜〜!!気をつけなされ〜〜〜!!!」
405第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 05:37:50 ID:???
案の定、内部に入れば敵はいた。巨大な排水溝の中を疾駆するココロムMk‐Uだ。
ちょうどユウリ達ガンダムチームの機体と同じくらいの大きさのタイプである。
エレキパイプを振り回してくるココロムMk−Uに対しガンダムPrincessが先陣を
切ってビームザンバーの縮退率を変え連射するも、簡単に弾かれてしまった。
ユウリ「うっ!!?装甲が分厚い!」

アレーナ「落ち着くのよ!三機で同時攻撃を!」
シレジア「ってぇ、合体しない状態でってこと!?」
ユウリ「そ、そうか・・・よく考えればその手があった!行きます!」
ガンダムPrincessの胸部ハイメガ粒子砲とズベズダのビームアローが混ざり合って
ココロムMk−Uの中心に命中し、さらにコマネチの超大型ソードが脆弱になった
その部位を貫通させた。

ユウリ「活路まで開いた、さすがアレーナ様!」
アレーナ「ま、当然ですわ」
シレジア「女って男と付き合うと元気で、頭も回るみてぇだな」
アレーナ「何ですって!?」
シレジア「やるか!?」
ユウリ「ふ、二人とも・・・・・・・・・とにかく急ごう!敵の本拠地なんだから」
406第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 05:44:56 ID:???
アレーナ「いいですわね?ここを突破したら、そこは市内。慌てず急がず、
ソフィア軍の中枢基地だけを狙うんですわよ」
シレジア「ああ。情報じゃここは宇宙軍省の中庭なんだよな。本国防衛用の
MSはジャベリンのみ。楽勝じゃねぇか」
ユウリ「でも、抵抗しなければ攻撃しないよね?」

アレーナ「もちろん。大量虐殺者にはなりたくありませんわ」
シレジア「ああ。一動作で決着つけてやる」
ユウリ(これで・・・・・これで、この辛い戦争も終わるんだ。ソフィア軍の中枢を
ストップさせればネオ・ザンスカールだって戦争を続けられなくなるはず)

ユウリ「よし、行こう!」
合図と同時に宇宙軍省中庭を突き破ってコロニー内部に出た三機。
ユウリ「えっ!?」
シレジア「な、何だよ・・・・・・・・・このすごいG!」
アレーナ「違う!機体が落ちてるんですわ!」
407第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 06:20:41 ID:???
モニターに表示されたあらゆるブラウザが代わる代わる振動し画面の中を目まぐるしく
動き回っている。英語、中国語、ロシア語、フランス語、スペイン語、アラビア語
など様々な文字の意味不明な文章が表示され、女性のヌード写真や何処かの戦場の
少年兵、サッカー場の乱闘で横腹をナイフで刺されたと思われるユニフォーム姿の
男性、一家団欒のテーブルの上に汚物を落とした痴呆老人の映像がモニターを飛び出て
全天周まで埋め尽くしている。

シュキキキキィッ・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!
ユウリ「はっ!こ、このプレッシャー・・・・・・・・」
(あの人だ、この前、感じた冷たくて重いプレッシャーだ!間違いない!)
シレジア「な、何だよこれぇ!?」
最後のまとめと言わんばかりに、それまでのジャミング情報・映像が全て消え
今度は全裸の白人男性と黒人男性のツーショットヌード写真が写った。それに
伴って少女マンガやレディースコミックに出てくるような美少年のイラストまで
代わる代わる全天スクリーンに映し出されてユウリ達を困惑させる。

アレーナ「だ、誰ですの!?こんな悪趣味を思いつくのは・・・・・・・・・は!?」
その時、五十機以上と思われるジャベリンの部隊が地に伏した三機に向けて
ビームライフルを一斉射してきた。
ユウリ「だ、ダメだ!ビームフィールドが発生させられない・・・・TRAPAだけじゃ
ない、初期設定自体がやられちゃってるみたい!・・・・・・・・どうするユウリ!」
408第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 06:34:04 ID:???
アレーナ「くっ、まだ電波自体が届いているなら起動自体は・・・・・ダメ!?」
シレジア「ダメだっ!イージーモードも御丁寧にやられてる!いくら押しても
切り替えらんねぇ!いくら装甲が厚くたっていつかはやられる!」
パシュウゥッ!!
その時、背後から撃たれたビームライフルで数機のジャベリンが落とされた。

それを何とか全天周モニターの猥雑な映像の隙間から視認したユウリ。
ユウリ「ノンちゃん・・・・・・・・・・ドラゴスティア!」
シレジア「最高だ!空気読んでるぜ!」
アレーナ「ノマノマさん、大丈夫なんですの!?」
ノマノマ「えっ!?うっ、うわあああああ!!」

どうやら敵は一定の領域に対してウィルスを流したわけではない、相手を特定して
いるようだ。現にジャベリンは無事だし、ドラゴスティアは現れた瞬間にウィルスを
流された。と、いう事はもし相手がミノフスキー粒子戦略照射システムを積んで
いないか、積んでいても使っていないかという賭けではあるが、敵は自分達を
肉眼で目視できる距離にいるのではないか、とユウリは即座に考えた。
409第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 06:43:45 ID:???
ユウリ「うっあああああああああああああああああああああああ!!!!」

ブアオッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ユウリの体から発散した巨大な赤ピンク色のオーラに刺激されたようにガンダムの
デュアルアイが輝きを取り戻したかと思うと、突如コロニー内壁の人工の壁が
空を写し出していたその光を失った。そして内壁に張り付いていたヴァーナルディ
のモノアイの光がはっきりと視認できたのである。
ユウリ「逝って、しまえーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

最大出力で放たれたメガビームライフルが、ヴァーナルディに命中した。
リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・逝く・・・・・・・・・・この私が?」
ヴァーナルディは破損した脚部を重たそうにしながら、開いた穴から外に出ていった。
強大なユウリとガンダムPrincessのオーラに恐れをなしたジャベリン部隊も同じ穴から
早々に撤退していった。
アレーナ「コロニーを破損してしまって・・・・でも仕方ないわ。ミノフスカヤ・クラッシャも
止まったし、ユウリさんのおかげ・・・・・・あっ!?」
410第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 06:58:57 ID:???
見ると、ドラゴスティアを担いで飛び立っていくエクサソーンの姿があった。
ユウリ「ノンちゃん!?」
アイア「ハッハッ!油断したな阿婆擦れ!いや、もはや単なる小娘か?」
シレジア「くっ、あの女!」
アレーナ「ノマノマさ・・・・・・・えっ!?動かない」

ユウリ「くっ、さっきは動いたのにどうしてダメなの・・・・・・・動け!動け!動け!
うっ、ごっ、けぇーーーーーーーーーーーーーー!!!」
しかし、どんなにアームレイカーとフットペダルに衝撃を与えてもガンダムは
微動だにしなかった。そうこうする間にドラゴスティアを担いだエクサソーンの
スラスターの光がどんどん遠くなっていく。

アイア「これだけは言っておく、賢しい小娘共!貴様らがやってきたことは全て
無駄だったのだ。軍事指揮系統中枢を含む首都の全機能は移転した!いくらファレナ
を攻略しようと無駄だ・・・・・・・つまり、もうお遊びは終わったのだよ!第二幕を
楽しみにしているといい。ハッハッ、ハーーーーーッハッハッ!!!」
いつまでも響くアイアの高笑いはファレナ中に響き渡り、ユウリは自分を包んで
いた力強いオーラが消失していたことにも全く気付いていなかった。
411第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:03:05 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ノマノマ    矢尾一樹
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか










412第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:07:01 ID:???
キャスト
アイア   折笠愛    リリア   植田佳奈
フリスト  関俊彦    ダンテ   大塚明夫
ゴッズ   屋良有作   ガブリエル 松本保典 
クロノクル 壇臣幸    イオン   速水奨       
アンジェイ 茶風林    ハロ    小山まみ                                      
ジェニファ 緒方恵美


確かな男を        見つめればいい

















413第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:07:55 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  小林利光
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間











414第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:09:38 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 恋する乙女の IN HEART PRINCESS SHOWER








415第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:16:17 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




        PRINCESS       SHOWER











416第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:20:02 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




        PRINCESS       SHOWER











417第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:27:40 ID:???
エンディング・テーマ「PRINCESS SHOWER 〜星空の温もり〜」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet +MIO
           (松本梨香&奥井雅美)




   それが         それが        いま







418第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:32:55 ID:???
脚本   五武冬史   演出   知吹愛弓
作画監督 塩山紀生   絵コンテ 池田成





        PRINCESS         SHOWER











419第三十一話「アルジャーノンに花束を」:2006/04/08(土) 07:38:30 ID:???
          次   回   予   告


ユウリ「アイアさん、これまで我慢してきたけどもう許せない!ノンちゃんを
誘拐して人質に、あたしと女同士一対一の決闘だってさ!どうする!?
一対一って言ってる割には新型をどんどん出してくるわ、明らかにノンちゃんを
盾にするわでこんなの決闘って呼べるの!?呼べないよね!?

   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              ROTTEN

          ガンプリは、みんなで見てね! 」









420通常の名無しさんの3倍:2006/04/08(土) 11:41:56 ID:???
新作記念age
421通常の名無しさんの3倍:2006/04/08(土) 14:24:44 ID:???
視聴率があまりにも低迷しているため、
打ち切りが決定しました。
422通常の名無しさんの3倍:2006/04/08(土) 22:46:35 ID:cDBDfsGJ
ウツセミ
所属国・部隊 不明
形式番号 不明
全高 20m
重量 60.1t
搭載コンピュータ バイオ・クワントムコンピュータ
フレーム ジェネレイトサイコミュフレーム
主OS 自己学習論理発展OS [XOS-00Ψディーヴァ]
主推進器 反ギガ粒子ドライブシステム
機体各所サブ推進器 反ミノフスキー粒子ビームスラスター
出力系 検索不可能×3 
出力 モニターエラー(参考に表示可能最高は100万kwn)
武装
ハイパー反ミノフスキーランチャー×1
Τフォース複合型ミノフスキービームフィールド
要撃ミノフスキー粒子砲×2
大出力四連装メガビームライフル×2丁
ハイ・ギガキャノン×1→額部
頭部四連装メガビームバルカン×2
ビームサーベル×2
アトミック・バーストカノン×1
マイクロ熱核ミサイルポッド(20発内臓)×4
メガビームシールド×2
腹部拡散・収束メガ粒子砲×1
ハイファンネル×10
メガビームキャノン×6

木星のエンセラダスで確認された木星帝国の
残党と思われる詳細不明組織のMS
ジェネレータ、推進器系、フレーム等はアマテラスと同じ系列らしいが
OSはアマテラスと同じく、量子コンピュータと
バイオコンピュータの融合OSであるバイオ・クワントムコンピュータを
砲撃戦に特化させた物らしい
アマテラスが、格闘重視なのに対して
この機体は、砲撃戦重視である
またアマテラスと同じく三種の戦闘機に分離する構造になっている
コンセプト等から、かつての同じく重火力MS
のEX-SやZZを彷彿とさせる。
423通常の名無しさんの3倍:2006/04/09(日) 01:46:19 ID:???
意図的な演出なら聞き流してくれて結構ですが、念の為、設定間違いを指摘しておきますよ

>>388
>>ラステオは比較的軽度な被害で〜
ラステオはVで木端微塵に轟沈したのが確認されてます
(ピピニーデンのビルケナウの核爆発を格納庫の内側からモロに喰らったため)
ラステオはアドラステア級二番艦ですが
アドラステア級はアドラステアとラステオと武装を取り払った補給艦の三隻しか存在が確認されていません
補給艦の行方は不明ですが戦艦として機能していたアドラステアとラステオはどちらも沈んでます

>>391
>>君もマリアの息子という〜
クロノクルはマリアの息子ではなく弟です
実姉に劣情を催していたことで有名な真性シスコン男です
424通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 00:49:22 ID:???
また休載か?
425通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 09:01:11 ID:???
保守age
426通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 12:43:21 ID:???
まぁ、
機動戦士Zガンダム0085 毒ガスの撒かれた地で・・・
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1144074591/
のスレも逃げたからな
4271:2006/04/14(金) 19:51:34 ID:p7POd1Qs
あ〜疲れた!!本当に今週は忙しかった!!

>>420
オウありがとよ。

>>421
ぶっちゃけ俺がいない二週間が一番盛り上がってたね。

>>422
採用!

>>423
すいませんでした。

>>424
取材でも体調不良でもあ〜りませんよ

>>425
ありがとよ

>>426
逃げてねーよ

428第三十二話「ROTTEN」:2006/04/14(金) 19:54:19 ID:p7POd1Qs
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS
429第三十二話「ROTTEN:2006/04/14(金) 20:06:04 ID:???
ロマニア皇国軍の艦隊は最後尾を中心に4、5隻を本国への帰還コースへ
乗せた。序盤の艦隊戦に敗北したソフィア軍が後退し、捕捉がしやすく
なれば全戦力を投入する必要もないだろうという考えだ。
しかし一方でフェレンツバロシュのMSパイロット一名が拉致されたことで
首脳部は今後の作戦展開の決定にまごついていたことも事実である。

ユウリ「すいません、あたし達が勝手に突っ込んだから・・・・」
シレジア「いいんだよ、元はといえばあたしが・・・・」
アレーナ「そうではありませんわ。わたくしがノマノマさんを守ると
彼と約束していたのに・・・・・・・・・・・」
シレジア「おめェの色恋話は聞いてねぇよ」
アレーナ「なんですって!?」
ニコライ「やめろ!」

FBのブリッジ内はノマノマ奪回と何処かへ退避した敵軍の追跡を天秤に
かけ喧々囂々の議論が行われていたのである。
ニコライ「今は、とにかく王子の判断を待つんだ。国家の最高権力者である
と同時に軍の統帥権もお持ちなんだ・・・・・きっと最善の対処法を考えてくださるはず」
ユウリ「でも、こうしてる間にもノンちゃんが・・・・・・!」
アレーナ「貴女の手は借りないって言ってるでしょ!?」
ニコライ「やめろって言ってるだろうが!」
ルペスク「艦長!伝聞です!!」
430第三十二話「ROTTEN:2006/04/14(金) 20:28:36 ID:???
ニコライ「いい、後にしろ!」
ルペスク「ソフィア宇宙軍第一モビルスーツ師団長アイア・コッカ大尉のものです!」
ニコライ「・・・・・・・・・・・!・・・・・・・・・・・・何だと」
ユウリ「アイア・・・・・・・・コッカ!?」
沸騰していたブリッジ内の空気と飛び交う怒声が一瞬で止まった。


ロマニア皇国軍、並びに地球連邦軍に関わる全ての貴兄姉諸氏に告ぐ。
貴軍のMSパイロット、ノマノマ・イェイの身柄を拘束した。
彼の生命に危害を及ぼしたくなくば、ガンダムPrincessの専属パイロット
ユーリ・イワノヴィッチ・スターリニスカヤを一名の帯同者も伴わず
我が方の指定する場所へ向かわせよ。
これは女と女、一対一の純然たる騎士道に沿う決闘である。
場所はサイド2・16バンチ中央総合体育館。
賢明なる返答を心待ちにする。
ソフィア宇宙軍第一モビルスーツ師団長アイア・コッカ
宇宙世紀167年11月4日午後6時55分23秒

ユウリ「アイアさん・・・・・・・・・・本気なんだ」
ニコライ「待て・・・・・・・・これはどう考えたって罠だ」
シレジア「それはそうだけど、人質ってのは無事だから価値があんだろ?
だったらこっちが多少無茶をしたって向こうも撤退を強いられてる状況
じゃ、そう簡単に手は出せないんじゃね?」
アレーナ「・・・・・・・・・貴女・・・・・・・・!」
シャーベット「待ってください」
かえって油を注がれたユウリ達の喧騒をシャーベットの一声が静めた。
431第三十二話「ROTTEN:2006/04/14(金) 20:44:16 ID:???
シャーベット「敵は撤退しました。この宙域は既に敵の懐と言っても過言じゃない。
ファレナ市内だって、敵はこちらが民間人や街を攻撃できないとわかっていても
いくらなんでも軍の中枢機能だけを移転して見殺しにするなんて普通はできる
もんじゃない」
ニコライ「・・・・・・・・・・何が言いたいんだ?」
妙に冷静なシャーベットの口調にニコライは彼を凝視せざるを得なかった。

シャーベット「最後まで聞いてください。つまり、敵が追い詰められていること、
それ自体は事実です。この状況で仮にも士官レベルの人間が大局を無視した
個人的な決闘を申し込んでくるのは不自然ですし、仮に何らかの意味があるとしたら
人質を取った決闘申し込みを陽動として別に何らかの企てをしているのでは
ないでしょうか?ガンダムPrincessは数個師団レベルの戦闘力がありますし、
ここはユウリさんに任せて我々は敵の真意を探るべく他コロニーの索敵を継続
するべきです」

ニコライ「・・・・・・・・・・そうだな。確かにそうとしか言えない」
ユウリ「艦長!あたし、やります」
決然と言い放ったユウリだが、シャーベットの説得力ある主張に気圧されたとは
いえアレーナら他のクルーの顔に動揺が残っていることは否定できなかった。
アレーナ「・・・・・・・・・・どうしても、やるというの?」
432第三十二話「ROTTEN」:2006/04/14(金) 20:58:25 ID:???
ユウリ「あたしが、敵のウィルスを破った時にもう少し動けていたらノンちゃんも
拉致されずに済んだから・・・・・あたしのせいなんです。そういう言い方は自惚れ
に聞こえるかもしれないけど、敵はあたしに来いって言っているし、ノンちゃんを
助けること、それとシャーベット君の言ってるようにこれがあたしへの、だけじゃ
なくてこっちの軍全体への罠だとしたら、陽動に引っ掛かるのがあたしだけの
方が敵の企みを暴けると思うんです」

アレーナの睨みに気圧されながらも必死に言葉を搾り出されれば、ユウリがこれまでに
挙げてきた戦果を知っているクルーも納得せざるを得なかった。
しかし、アレーナだけはそう飲み込むに時間が要ったようである。
アレーナ「わかりましたわ。どう反論しようと、貴女が一番撃墜数が多いのは
事実ですものね・・・・・・けど、わたくしのノマノマさんを救えなかったらその時は
承知致しませんからね!・・・・・・・・・・・・・ピリオド(以上)!」

そう言ってアレーナは踵(きびす)を返すとシレジアを手引き伴い、おそらくは
自分達のMSの整備にでも向かうのだろう、ブリッジを足早に出て行った。
シャーベット「じゃ、俺らも行こうかカルル」
カルル「すげえなシャーベットは。俺じゃ、ユウリが心配でとてもお前みたく
全体的に物を見て発言できやしなかった」
シャーベット「それが正直に言えるだけでも大したもんだよ。それに、カルルが
ユウリを心配して出て行ってもこの優位な状況が激変するわけじゃないしね」
カルル「・・・・・・・・はっきり言うな、お前」
カルルはユウリに聞こえないよう、顔を寄せ声を潜めて言った。
433第三十二話「ROTTEN」:2006/04/14(金) 21:38:44 ID:???
カルルは悩んでいた。人は得てして、悩む対象がはっきり一つに絞られていれば
まだしも、複数絡み合っていると出口も見つけられず目の前の行動への心構えも
遅れがちになるものだ。
自分がもう少し優秀なパイロットだったら、ユウリに対して、お前は俺が守る、
俺と一緒にいろ、と胸を張って断言できる程の強い男だったら・・・・・・・

ウッソとシャクティは、年齢もあってカルルが物心ついたときにはそれとなく
自分との間に血のつながりが無いことを教えてくれた。その時は別に気にもして
いなかったが、地球の不法居住者が集まる集落の中のちっぽけな学校に通うように
なれば、自分に本当の親がいないことが切実な実感として表面化した。
だから学校も次第に嫌になって、習い事よりも実用的技術を身につける方がいいと
小さいころから時々親戚の家に行くような感覚で連れて行ってもらっていた
カミオンに入り浸るようになった。

ウォレンやマーベットらクルーは最初はウッソに申し訳ないから、と拒み気味だったが、
やる気を見せて仕事をどんどん覚えれば待遇も良くなっていった。
学校で退屈な話を聞いているよりずっと面白かったし、自分と似た境遇のシャーベット
とは気が合った。そのうちウッソとはカミオンで定期的に仕事の手伝いをする
という事で合意したが、それが破られるのも時間の問題だった。
434第三十二話「ROTTEN」:2006/04/14(金) 22:02:22 ID:???
当初は自分には本当の親がいないという事とカミオンに入り浸っているという
ことが学校を媒介にして繋がっていた。だから、本当に嫌なのは周りの子供達の
目とそれから逃げた自分自身の弱さだった。
ところが、カルルが思春期になるとウッソも少しずつ現実を見て、コネのあるウーイッグの
卸売商人から市内の私立学校への入学話を持ってきた。

やはりちゃんと学歴を積んで企業に入社した方がいい人生を送れる、という
ことだったが、感受性が鋭敏化してきていたカルルはそれが老後の自分達への
孝行を期待したものだと歪んだ受け取り方をした。
ますます学校のきつい机に座るのが嫌になってカミオンで機械いじりをするのが
好きになっていった。それはウッソを意図的に挑発するものでもあったが、
自分の意思を尊重してくれているシャクティにまで心配をかけるのは苦痛だった。

だがウッソへの反発心は単なる思春期の反抗心だけではなかった。
彼がガンダムのパイロットであり英雄だったと知っているから、畑いじりをする
だけの姿に耐えられなかった。もっとかっこいい仕事に就いてくれれば、たとえ
本当の親ではないとしても学校で惜しみなく自慢できるのに・・・
それでもリガ・ミリティアと連邦の関係は当時はまだ良好ではなかったし、
新たな戦乱も無いという状況、ウッソ自身の意思を鑑みればそれは致し方ないという
ことも解り始めていた。ウッソが自分にMSの動かし方を教えてくれるはずもないし、
それだけはウォレン達もやらなかったから、将来、何を目指していいのかわからなかったのである。

それだけにソフィア軍がFBを追ってウーイッグからカサレリアに南下してきた時は
不謹慎ながらも胸が躍った。ついに父さんの戦う姿が見れるんだ!と・・・
・・・・・・・・・・ところが、彼はあくまでFBのクルー達を援護するという立場を堅持した。
シャクティも、母さんもそれを望んでいた。自分はガンダムに乗って戦う
ウッソ・エヴィンが見たかったのに、こともあろうにそれに乗っていたのは
自分と同い年の、鈍そうでどう考えても頼りなさげな少女だったのだ。
435第三十二話「ROTTEN」:2006/04/14(金) 22:23:20 ID:???
まず、ユーリという男みたいな名前が真っ先に鼻についた。
カマトトぶって、自分の意見を声を大にして言わず、人の顔色をいつも窺う。
こんなガキがどうしてガンダムと名のつくMSに乗れるんだ!と憤慨した。
ウッソもウッソで、そんなユウリに遠慮してこともあろうにパイロットとしての
心構えみたいのを手取り足取り教えている。そんな女より、まず俺だろう!と
何度思ったことか・・・・・・・・・

だから、ちょっと無断出撃したって怒ることないじゃないか。
あんな鈍そうな、絶対マグレで生き残ってきたような女よりガンダムにふさわしい
パイロット、そうウッソ・エヴィンが今ここにいるじゃないか!どうしてそれに
誰も気づかないんだ?!
それを教えてやろうと思っただけなんだ。ウッソが駄目ならあの女を問い詰めて、
ガンダムから降ろしてやる・・・・・・そうしてカサレリアからヴォイヴォディナまで
再三つっかかっているうち、ユウリが少しずつただの女の子じゃないことがわかってきた。

ユウリは自分が思っていたより強い女の子だった。弱いのは見た目の態度だけで、
優れた資質と死線を潜り抜けてきたという自信、仲間達との厚い信頼があった。
それを馬鹿にしていた自分が非常に矮小でちっぽけな男に思えた。
見た目はドジで鈍そうな女の子でも、何故ガンダムのパイロットに選ばれたかが
わかったし、同時にウッソが自分をMSに乗せてくれない理由もわかった。
436第三十二話「ROTTEN」:2006/04/14(金) 22:49:24 ID:???
それは、極めて近視眼的な物の見方しかできないから。全体的な物の見方ができないから。
それでは自分の肉体で触れた以上の、その先を感じられないから、戦場に出ても
すぐに落とされてしまうから。
それが解り始めていたからこそ、矢先にウッソが宇宙へ行けと言ってくれたのは
何よりの喜びだった。あの父さんが、初めて自分達の元から息子を送り出す意思を
示してくれたのだ。シャクティの泣きそうな顔を見たら迷いも生じたが、その彼女が
許してくれた時には、今度は自分の目に涙が浮かんでいた。

ウッソは彼らしく、シャーベットがついていてくれるからお前でも大丈夫だな、と
余計な一言を付け加えてくれたが、父さんは別に自分が嫌いなわけではなくて、
ちゃんと理由があって自分をMSから遠ざけていたことや、自分にメカに適性があると
信じてくれていること、そして必要があればそれを伸ばそうという気持ちがあったことを
理解できたからもう余分な反抗心は感じなかった。

何より、ユウリにちょっかいを出しているうち、それが自分の彼女に対する好意だとも
気付いていたのだ。未だゲリラ体質が抜けないリガ・ミリティアにそう多くの、それも
都合よく自分と同世代の女の子が新規クルーとして入隊してくるはずもなかったし、
思春期の男子として溜まる物はちゃっかり溜まっていたせいで、割と素早くその
認識は鮮明になっていった。つまり、いつまでも自分の理想とズレているウッソへの
苛立ちや、いつも都合よく甘えさせてくれるシャクティの胸にこだわるよりも
ようやく見つけた明確な「戦う理由」「守る対象」に突き進めばいい。個人的なエゴ
よりも、ユウリを守れるような強い男になるというだけで、宇宙へ上がるのに必要な
勇気と目的意識が十分持てた。
437第三十二話「ROTTEN」:2006/04/14(金) 23:10:20 ID:???
だからこそ、今の自分の無力さが忌々しいのだ。自分にもっと力があったら、
頼りにされていたら、自分が行ってやる!と堂々と言えるのに。
どう強がったって、今の自分は女の子達より評価が低いパイロットであるのは
事実なのだ。シャーベットみたく戦局が冷静に見えるわけでもない。
リガ・ミリティアからのいち補欠パイロットにすぎない。

ユウリにだって見下されているだろう。大して実力も無いくせにいつも自分に
ちょっかいを出してくるウザったい男の子。世話になったウッソ・エヴィンの
息子だから口に出して軽蔑しないだけ。
もしノマノマでなく自分が拉致されていたら、助けに来てくれるだろうか?
いやいや、そんなんじゃダメだ。ユウリが拉致されたとき、真っ先に出て行ける
だけの勇気と実力と自信があるかどうか?
ノマノマなんていなければいい。あいつだって自分と同じくらいの実力しか
ないくせに幼馴染というだけでユウリといつもベタベタしてやがる。
もしノマノマでなくユウリが拉致されていれば・・・・と、黙っていると次から次へ
不埒な願望が湧いてくるのだった。

だが、それに押し流されていてはウッソ達が自分を宇宙に送り出してくれた意味が無くなる。
宇宙に上がって、カサレリアの小さな畑にいるよりももっと広い視野が持てるように
なったと証明しなければ。
この戦争が終わったら、あらためてユウリに自分の気持ちを伝えよう。その時までに
一人前のパイロットになればいい。まだ時間は十分にあるのだから。俺と一緒に
カサレリアに来ないか?いや、セント・ジョセフでもいいだろう。そう言ってユウリが
「うん」と即答するだけの強い男になりたい。そしてウッソが、あの父さんが
「カルルももう一人前の男だな」と言ってくれる日が待ち遠しい。
それまでは、今だけは、ユウリを信じて自分のやるべきことをやろう。

・・・・・・・・・・・そうして様々な思いを押し殺し、カルルは工具箱からトーチを取り出した。
438第三十二話「ROTTEN」:2006/04/14(金) 23:30:11 ID:???
ユウリ「ユウリ、ガンダムPrincess行きます!」
ニコライはキャプテンシートに座り、スラスターを豪快に吹かしてカタパルトデッキを
飛び立っていくガンダムを見つめていた。
ニコライ「頼むぞ・・・・・・いつだって、助けを呼んでいいんだからな・・・・・
総員!ガンダムPrincessがミノフスキー粒子変調後、すぐさま索敵再開だ!」

ユウリはアイアのメール通り、16バンチのコロニーの座標を検索してその外壁に
辿り着いた。二つ隣には、宇宙世紀87年末にティターンズによるグリプス2
コロニーレーザー攻撃で破壊された18バンチコロニーの無残な破片が浮遊していた。
勉強嫌いなユウリがそれを知らなくとも、怠慢な連邦が後片付けをしないことなど
考慮に入れなくとも、それを見た全ての人に戦争の残酷さを教えるだけのインパクト
がその宙域にはあった。

ユウリ「静かだな・・・・・・・・・・・んっ、敵!?」
人っ子一人いないがら空きの宇宙港からトンネルを進んでいくと、見たことの無い
十数機のMSが編隊を組んで現れた。
明確な対処も取れないうち、一機のシャカが展開したロータス・フィン・ファンネル
が自軍を囲むように射出された。まるで蓮の花のようなファンネルの形と、これまでに
対峙したビットやファンネルと違う展開軌道にユウリは戸惑いを覚える。
439第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 00:02:19 ID:???
ユウリ「くっ!!」
すかさずメガビームライフルを連射したユウリだが、ファンネルが形成する
ビームバリア帯に全て跳ね返されてしまう。
わずかな隙間から抜け出したゾロアスターとシャイトの編隊がガンダムPrincess
に強烈なビーム砲とバルカンの雨を降らせてくる。対して敵機体各部の砲口を
マイクロミサイルで狙い撃ちしたが、そのユウリの狙いに反して各砲口はまるで
ゲーム盤の上のボールのようにスライドして逃げていく。
しかもビームフィールドが展開され命中した部位はほとんど無傷だ。

ユウリ「何なの・・・・・・・・・こいつら!?」
特にシャイトの全身ビーム砲は厄介だった。機体の各部に固定されているなら
まだしも、常に場所が移動されているのだ。
これに呼応してゾロアスター隊は接近戦に切り替え、シャイトもその動きに合わせた
ビーム攻撃をしてくる。しかもユウリには味方が誰もいない。

ユウリ「うっ・・・・・・・・・くう!!一対一の決闘なんて、ウソばっか!!!」
そうこうしているうちに、シャカのロータス・フィン・ファンネルが自機守備を
やめてガンダムPrincessを包囲してきた。シャイトのムーバブルビームキャノン、
ゾロアスターのビームサーベルによるヒット&アウェイ攻撃、シャカのファンネル
による遠距離狙撃で早くもユウリは最大のピンチを迎えていた。
440第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 00:21:10 ID:???
ユウリ「それでも、それでもノンちゃんを助けるためには一人で行かなくちゃ
ダメなんだぁーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!」
その絶叫と同時に、ガンダムPrincessの腰部を包んだスカート・ヴェスバーは
まるで女子高生のスカートが春風で翻るかのように上下に動き回り、シャカの
フィン・ファンネルも顔負けの簡易ビームバリア帯を形成した。

しかも厄介なことに、これら新型MSはガンダムPrincessの戦闘データをTRAPAシステム
に入力していたため、ヴェスバーの縮退率変調ペースについていけなかった。
何故ならビームフィールドも常時最大出力で展開することは不可能なので、
敵の攻撃の威力に応じて常に微調整していたのである。ユウリがスカートを
凄まじい速さで上下させることで縮退率の変化パターンはさらに素早く複雑に
(正確に言えば乱雑に)なり、ビームフィールドが薄くなった間隔を突かれて
ゾロアスターとシャイトは次々に撃墜されていった。特にシャイトは全身ビーム砲
のため、焦ったパイロット達はTRAPA表示を遵守した結果、味方にまでその照準を
当ててしまうことになってしまった。

それはシャカのパイロット達も同じだった。ただでさえ70年ぶりに実戦配備される
フィン・ファンネルをわずかな訓練期間で使いこなすことは至難の業。
TRAPAシステムに入力されたデータに基づいたガイダンスが眼前の状況と少しでも
矛盾すれば、もはやそのファンネルのビーム軌道は僚機にとっても危険極まりない
ものと化していた。
ユウリ「そこっ!!!!!!!」
ユウリのメガビームライフル連射で残っていた数機のシャカも撃墜された。
翻ったガンダムPrincessのスカート・ヴェスバーは上から見るとまるで花の様で
あった。シャカのロータス・フィン・ファンネルに対抗して、目には目を、
花には花をというわけでもないが、ユウリの状況を瞬時に読む戦闘センスの
高さが発揮された瞬間だ。
441第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 00:59:39 ID:???
アイア「さすがだな、ガンダムPrincessのパイロット!ウォーミングアップに
しては物足りなかったか?」
トンネル内に響き渡ったアイアのせせら笑いにユウリは激昂した。
ユウリ「一対一の決闘と言ったでしょ!?ウソつき!!」
アイア「フフッ、まぁそう急(せ)くな。誰も連れてきていないだろうな?」
ユウリ「当たり前でしょ・・・・ノンちゃんは無事なの!?」
アイア「それは自分の目で確かめるんだな・・・・・・・・・・」

高笑いとともに萎んだアイアの声に詳細な返答を求めるまでも無く、ユウリは
トンネルの出口に向かってガンダムPrincessを高加速させた。
道中、ゾロアット、ヘビーガン、トムル、ハジ、シュグナイドらが数機出現した
ものの、もはやガンダムPrincessのビームフィールドの前には敵ではなかった。
ようやくコロニー内部に到達したとき、そこにユウリは異様な光景を見た。

ユウリ「なに、これ・・・・・・・・・・・・・・!?」
街は廃墟と化していた。市中に着陸して辺りを拡大モニタリングしてみると、
各所にミイラと化した人間のなれの果てが転がっていた。
ユウリ「・・・・・・・・・・そんな・・・・・・・そんなわけが・・・・・・・」
ユウリは急いでSWW検索エンジンから「サイド2」「毒ガス」で検索してみると、
やはりどこまでいってもティターンズによって毒ガスを流されたサイド2のコロニー
は宇宙世紀85年7月31日の30バンチ、87年12月14日の21バンチしか出てこなかった。
未遂に終わったものも25バンチである。では、何故16バンチが・・・・・・・?
442第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 01:16:07 ID:???
ユウリ「艦長に連絡・・・・・・・・・・いや!その前に」
空気中にまだ有毒物質が残っているかどうかをセンサーでチェックしてみたのだ。
これでもユウリは死体には慣れている。それよりも、有毒成分が空気中に高濃度で
残粒しているのならばこのコクピットはまさしく一人用シェルターだ。
少しの隙間も空けるわけにはいかない。
それは宇宙でも一緒なのだが、どうせなら毒ガスより窒息で死ぬほうがマシだ。

ユウリ「・・・・・わかんないな・・・・・・・パーセンテージ化・・・・・・・・67!?」
つまり、これはごく最近撒かれた毒ガスということになる。そんな数値を調べなくとも
仮にもサイド2のいちコロニーバンチに毒ガスが撒かれて報道されないわけが無い。
ユウリ「いいや・・・・・・・・自分の心配をしてる場合じゃない。こんなところで
捕まってる、ノンちゃんが危ない!」

こうなるとSWWで中央総合体育館の場所の詳細地を調べるユウリのキーボードさばきも
素早かった。特定するなりガンダムPrincessはその場に急行する。
着いたその体育館は、さすが中央総合と言うだけありMSが一体分の高さがあった。
おそらくMS同士の競技大会なども行われていたのであろう。
ユウリ「サイド2の人達・・・・・・・・・・・ごめんなさい!」
ユウリは腐った屋根を崩さないよう、慎重にマニピュレーターの指先を使って建物の正面を
まるで女の子がままごとでオモチャの家を分解するように、ゆっくりと機体が
入れるだけの穴を開けていった。
443第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 01:35:04 ID:???
内部に入ってみると、予想通りアイアの声によるアナウンスがあった。
アイア「ようこそお嬢さん・・・・・・・アイア・コッカ劇場へ。そんじょそこらの
オペラ座ではご覧になれない特上の悲劇を用意した」
ユウリ「悲劇ですって・・・・・・・・・・冗談じゃない!」
アイア「そのまま直進しろ」

ギャシンッ、ギャシンッ、ギャシンッ・・・・・・・・・・
アイア「そう、そう・・・・・・・止まれ」
ユウリ「これは・・・・・・・・・・」
MSの競技大会などに出場したことのないユウリには見覚えが無かったが、
JrMS大会で使われる統一規格のバトルサークル(土俵)だった。この決められた
円周の中で、制限時間内に相手MSにペイント弾を付けた方が勝利となる。もしくは
ペイントを付着させる部位が指定されているルールもある。
どちらもペイント弾を命中させられなかった場合は、審査員の判定決着となるが、
いずれの勝敗決定にもバランスよく対応できる範囲の大きさである。

ユウリ「・・・・・・・・・・はっ!?」
対面の巨大な壁掛けスクリーンには手足を縛られたノマノマの姿が大写しになっていた。
ユウリ「ノンちゃん!!!」
アイア「おっと・・・・・・・・その円周内から迂闊に動けば彼の命は無いぞ」
ズシッ、ズシッと足音を立ててエクサソーンが横の壁に開いた穴から入ってきた。
444第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 01:49:24 ID:???
アイア「せぇいやぁっ!!!!!!!!!!!!!」
ユウリ「くうっ!!!!」
ギシシィッ!!!!!!!!!!!!!
エクサソーンの巨大ビームソードがガンダムPrincessのビームサーベルと激しく交差する。
アイア「フフッわかっているんだろうな・・・・・・・?」
ユウリ「うかつに武器を使えば、ノンちゃんが危ないって言うんでしょ!」

が、アイアはノマノマのことなどお構いなしといった感じでソード兼用ライフルの
手持ち部分を取り外しハンドガンとしてガンダムPrincessに連射した。
それに対しどうしてもノマノマが心配なユウリは飛び道具もビームフィールドも、
そしていざという時のヴェスバーも使えない。
局地格闘戦ではどうしても経験豊富なアイアの方が一枚上手。
エクサソーンの小刻みなステップから繰り出される熟練ボクサーのような打撃に
ユウリは手も足も出ない。

ユウリ「ええいいっ、だぁーーーーーーー!!!」
しかし、ユウリはヴェスバーをギリギリまで絞って闘技場の床を打ち砕いた。
その破片が散らばってエクサソーンのモノアイの視界を遮る。
アイア「うっ!??」
ユウリ「もらったっ!!!」
アイア「待て、アレを見ろ!!」
一気呵成にビームザンバーをアイアに振り下ろそうとしたユウリの動きが止まった。
445第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 02:03:36 ID:???
見ると、ガブリエルが手足を縛られ動けないノマノマを抱き抱えて口付けを
しようとしていた。黒髪と金髪の二人の美少年が今まさに唇を重ねようとする
瞬間を見て一瞬目を奪われたユウリに、再びビームソードが振り下ろされた。
ノマノマ「お、おめぇ・・・・・・・・ガブリエル・・・・・なのか!?」
ガブリエル「ああ、久しぶりだな。しかし俺はお前やユウリとよく砂場で遊んだ
ガブリエル・ポペスクじゃない。今はソフィア軍、いやアイア大尉に忠誠を誓う身だ」
二人の声が大きく場内アナウンスされるたび、アイアの痛烈な打撃を持ち堪えようとする
ユウリの集中が分散される。

アイア「どうだ?今すぐガンダムを我々に譲渡すればこの悲劇を中断してやらんでもないぞ」
ユウリ「貴女って・・・・・・・・・・・・貴女って・・・・・・・・・・最低だよ!腐ってるよ!!!
腐ってる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
アイア「そうだよ。今頃気付いたかい、嬢ちゃん?あたしだけじゃない。女なんてのは
腐ってるんだよ。みんなね。でもこれだけは気付いておきなよ。
男に媚びる、男に都合のいい女は腐ってないってのかい?
男どもはみんな勝手で、自分に都合のいい従順で無垢な、非現実的な女しか
求めないんなら、これぐらいのカウンターを食らわしてやらなきゃ目が覚めないだろ?」

集中を乱されながらもユウリは必死にサーベルでソードを押し返す。
ユウリ「それは、間違ってる!確かにそういう男の人は多いかもしれない!
けどノンちゃんは違う!決して自分に都合のいい、女の子に甘えることだけを
求めてなんかいない!だから、あたしだって、あたしだって・・・・!」
その熱弁の応酬の中でリニアシートの上にちょこんと鎮座したハロが囁いた。
ハロ「ユウリ!ユウリ!モニターカクダイ」
ユウリ「えっ!??・・・・・・・あれは、リニアシート・・・・てことは!」
446通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 02:11:55 ID:???
うわっ!!
なんか復活してる!!!
sage進行推奨
447第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 02:23:48 ID:???
つまり、二人はMSのコクピットの内部にいるということだ。
ユウリ「それだったらーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
ついにガンダムPrincessのスカートヴェスバーが炸裂した。少なくとも限られた
時間で,内壁の強度計算から出来うるレベルでの縮退はしていた。
三層奥に隠れていたイメンシアが露になり、エクサソーンも強烈な斉射に吹っ飛ばされる。

アイア「ぐっ・・・・・・・・・・・・あああーーーーーーーーーっ!!!!」
ガブリエル「ぬあっ、くあーーーーーーっ!!!」
ノマノマ「ユ、ユウリーーーーーーーーーーっ!!」
ユウリ「ガブリエル、もう容赦しないからね!!!!」
急いで退避軌道を取ろうとするイメンシアをガンダムPrincessが追うが、
計算どおりイメンシアの機体は無事だったものの今にも倒壊しそうな体育館の
瓦礫が次々とデュアルアイの視界を遮りユウリを苛立たせる。
そこでユウリはトンネルの中で使ったスカートの旋回に加えて腰部を軸に回転まで
させてイメンシアを攻撃せずに体育館だけを一掃した。

あっという間に視界が開け、ガンダムPrincessは煙幕を失ったイメンシアを
高加速で追撃する。
ユウリ「覚悟しろーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
ガブリエル「う、う、うわああああああああああああ!!!!!!」
「待て!!!!!!!!!」


ユウリ「な・・・・・・・・・・・・」
アイア「フッ、フフ・・・・・・・フフフフフフ・・・・・・間に合ったか・・・・・・!」
※「こちらは地球連邦軍サイド2方面軍旗艦トオマス・マンである!数時間前、
16バンチにロマニア皇国軍がG3ガスを注入したとの通報を受け急行した」
ガブリエル「た、助かりました!今、そのロマニア皇国軍のMSに襲撃を受けて
いたところです!我々は市民を救出に来たのですが、アンブッシュ(待ち伏せ)
を受けまして・・・・・・・・・・」
ユウリ「そ、そんな・・・・・・・そんなのって無いよ!」
※「了解した!貴軍は当艦に退避せよ!前方のMS及び近宙域に潜伏する全ての
ロマニア皇国軍勢力の掃討を現時刻をもって開始する!」
ユウリ「な・・・・・・・・・・・・!?」
ノマノマ「ウ、ウソだろ・・・・・・・・・・・・」
CG投影機能を失い丸見えになった外の宇宙に浮かぶトオマス・マンの威容と、
そこから発せられた意味不明の言葉に二人は呆然とするしかなかった。
448第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 02:29:17 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  ノマノマ    矢尾一樹
シレジア 高山みなみ  ハロ      小山まみ
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか













449第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 02:36:45 ID:???
キャスト
アイア   折笠愛
ガブリエル 松本保典
連邦軍士官 嶋俊介


確かな男を        見つめればいい
450:2006/04/15(土) 02:43:33 ID:???
間違えた。俺ってホント何やってんだろ?
87年7月31日はサイド1の30バンチだったね。最悪・・・・・・・・
451:2006/04/15(土) 02:46:00 ID:???
あ、また間違えた。85年の7月31日だ。
フフ・・・・・・・・何だかもう訳わかんなくなってきた。
ポカミスは今に始まったことじゃないが、最近特に忙しくて疲れてるんだよぉ
許してください
452第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 02:48:06 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  小林利光
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間










原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  谷口守泰
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
   


















453第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 02:50:37 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 恋する乙女の IN HEART PRINCESS SHOWER
454第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 02:54:54 ID:???
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   それが          それが        いま 
455第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 02:57:07 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




        PRINCESS       SHOWER

456第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 03:00:21 ID:???
エンディング・テーマ「PRINCESS SHOWER 〜星空の温もり〜」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet +MIO
           (松本梨香&奥井雅美)




   それが         それが        いま










457第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 03:05:28 ID:???
脚本   吉川惣司   演出   加瀬充子
作画監督 谷口守泰   絵コンテ 網野哲郎





        PRINCESS         SHOWER

458第三十二話「ROTTEN」:2006/04/15(土) 03:13:08 ID:???
          次   回   予   告


ユウリ「ガブリエルとノンちゃんのホモごっこも、毒ガスを撒いたのも、
ネオ・ザンスカールの新型をわざわざ借りたのも、全ては時間稼ぎと陽動だった!!
しかもあたしがせっかくそれに引っ掛かっても、残ったみんなをサイド2の
連邦艦隊に襲わせる徹底ぶり!!どうしよう、このままじゃ今度こそ地球が
真っ平らにされちゃう予感!!?

   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              モトラッドU発進

          ガンプリは、みんなで見てね! 」












459通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 13:44:18 ID:kgL2dXFt
ミコト
所属国・部隊 不明
形式番号 不明
全高 19m
重量 56.0t
搭載コンピュータ バイオ・クワントムコンピュータ
フレーム ジェネレイトサイコミュフレーム
主OS 自己学習論理発展OS [XOS-00χソール]
主推進器 反ギガ粒子ドライブシステム
機体各所サブ推進器 反ミノフスキー粒子ビームスラスター
出力系 検索不可能×4 
出力 モニターエラー(参考に表示可能最高は100万kwn)
武装
質量ゲージ場干渉レーダーシステム
ミノフスキージャミングシステム
光学偏向ジェネレータ
専用ビームソード・ライフル×2
フィールドビット×20
ストイライカービット×10
トランスポータービット×10
ロングフィンファンネル×10
マイクロファンネルポッド「マイクロファンネル×50」×10
スプレーミサイルビット×50
ハイパーΤフォース複合型ミノフスキービームフィールド
メガデュアルビームシールド→両腕部、腹部
解説
アマテラス、ウツセミ
と同じ系列と思われる
木星のエンセラダスで確認された機体。
前二体が、格闘型・砲撃型と攻撃に重点をおいたのに対し、
この機体は、索敵・防御、そしてサイコミュ性能に重点をおいている。
そしてジェネレータ出力が三機中最も高いのが特徴である
恐らく三期中のリーダー格なのではないかと思われる。
質量ゲージ場干渉レーダーシステム
は質量が空間に与える歪みを直接感知するもので、従来の
ステルス性能の常識であった「見えなくする」という概念が通用しない。
ミノフスキージャミングは負のミノ粉子を散布し、サイコミュを無効化する。
光学偏向ジェネレータは全ての電磁波帯域を偏向しレーダー・肉眼両面で不可視にし
そしてメガ粒子を同時に散布するので空間上に立体像を投影することも可能である。
それはかつてのフォーミュラ計画のガンダムタイプMSを彷彿とさせる
 そしてこの三機には隠された機構があるらしい





460通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 13:51:10 ID:???
>>459
吐きそうな機体だなw
「ビット」と「ファンネル」の違いを述べよ。
461通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 13:58:13 ID:kgL2dXFt
「ビット」ジェネレータを搭載し高出力・長時間戦闘可。
と「ファンネル」E−CAPでジェネレータは
搭載していないため小型、汎用性に富む

目的に応じて
ファンネルとビットはかえてるわ
462通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 23:29:18 ID:???
そろそろ高性能機は打ち止めっぽいな
そりゃ強いのばっかだと話が進まない
463通常の名無しさんの3倍:2006/04/17(月) 18:05:17 ID:MvhOqIs+
アマノオオミカミ
所属国・部隊 不明
形式番号 不明
全長 50.0m
重量 168.2t
搭載コンピュータ バイオ・クワントムコンピュータ ×3
主OS 自己学習論理発展OS
『 XOS-000エヴォリュート』
[XOS-00χソール][XOS-00Ωアレス][XOS-00Ψディーヴァ] を接続し一つにしたもの
主力系 検索不可能×10
出力 モニターエラー(参考に表示可能最高は100万kwn)
主推進器 反ギガ粒子ドライブシステム(三連直結)
機体各所サブ推進器 反ミノフスキー粒子ビームスラスター
武装
ハイファンネル×10
超努級バスターメガライフル×1
超努級メガビームセイバー×1
ハイパーΤフォース複合型ミノフスキーメガビームフィールド
アトミックファンネルミサイル×10(ファンネルミサイルの熱核型)
ハイフィンファンネル×10
パラサイトビット×10
ビームバルカン×2
エネルギー反射シールド×1(ビームカノン×2・クラスターミサイル×4搭載)
アームドビット×10
フィールドビット×20
ストイライカービット×10
トランスポータービット×10
ロングフィンファンネル×10
質量破砕球×1(ビームニードル出力可)×1
マイクロファンネルポッド「マイクロファンネル×50」×10
スプレーミサイルビット×50
マイクロ熱核ミサイルポッド(20発内臓)×4
メガビームキャノン×6
拡散・収束メガ粒子砲×1
メガデュアルビームシールド→腹部
要撃ミノフスキー粒子砲×2
ハイ・ギガキャノン×1
四連装メガビームバルカン×2
ビームバルカン×2
質量ゲージ場干渉レーダーシステム
ミノフスキージャミングシステム
光学偏向ジェネレータ
解説
アマテラス、ミコト、ウツセミの三体が合体した機体。
膨大な火力、防御能力は当然だが、
三機分の反ギガ粒子ドライブシステムを直結したことにより
かつてのクィンマンサ、サイコ級よりも大型だが
高い機動性、回避性を誇る
主武装である超努級バスターメガライフルは三体の手持ち射撃兵装がすべて合体した兵装であり
同じく超努級メガビームセイバーも三対の手持ち格闘兵装全てが合体した兵装である。
合体方式を変更することにより、単独大気圏突入をも可能な巡航MA形態
にもなりうることが出来る。
公には存在していないが
研究者達が口をそろって存在したというかつての「ソード」というものに近い性能らしい。
464通常の名無しさんの3倍:2006/04/17(月) 18:46:33 ID:???
>>463
「ファンネルミサイル」と「ミサイルビット」の違いは何?
465通常の名無しさんの3倍:2006/04/17(月) 21:57:04 ID:RAPgDZPY
>>464
(大きさ、威力、機動性)
大きさ・威力 ミサイルビット
機動性 ファンネルミサイル
466:2006/04/18(火) 07:19:17 ID:nY2TI6EK
>>458
>>459の反感はおそらく>>460の意見に裏打ちされたものでは?
高性能機の連発は、俺もどんなに出ても最後まで全部登場させるつもりだが、
正直言えばあと18話でできるかどうか未知数だ。

あと、多分ローバー系ビット(敵の武装・MSを奪う)は用途に応じて個々に
微妙な区分があるんじゃなかろうか?
例えばエクサソーンのパラサイトビットは、おそらくミノフカヤ・クラッシャと
同じ要領でウィルスを個々にプログラムして寄生したMSを自軍のものにする
んだろうが、高性能機が相手ではプロテクトもしっかりしてるだろうし、
そのつもりで俺もジークリンデ・マジ・デウゼー等量産機だけ餌食にさせた。
しかしそれだけでは戦力として心許ないし、寄生する手間を考えれば自軍工廠で
更にハジなどを増産するほうがいいのではないか?

そこで、奪取した敵MSに加えてビット自体も各個にメガ粒子砲を備えていれば
釣り合いがとれる、ということでビットではないかと考えたのだが。
ビットはファンネルの開発でお役御免になった分、新たな付加価値を加えたのが
パラサイトビット・アームドビットだと考えているが、どうか。
アームドビットなんかは奪取した敵武装を単体で簡易の無人攻撃機にできるし、
もっと効果的に作中で使っていけば面白くなりそうだ。
467通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 12:28:26 ID:???
>>1
自分のサイトでやりましょう。
そして、削除依頼出しておきましょう。
468通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 12:39:29 ID:???
>>1
気にするな
469第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/20(木) 18:05:52 ID:1TsshHuz
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS


470第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/20(木) 18:15:45 ID:???
アイア・コッカはノマノマ・イェイを人質にし、ユウリへ決闘を挑んだ。
フェレンツバロシュのクルーはこれを当然陽動と読んだ。
が、それだけではなかった。
戦略は戦術とは違う。
戦略は失敗や停滞を想定し二の手、三の手を必要とする。
この場合はユウリ達が必要な数の戦力を残し、アイアの非現実的な決闘の
申し込みに応じないということだ。

結果から言えば、アイアのパフォーマンスはモトラッドU完成の時間稼ぎ
に過ぎない。
だが、決闘場所に撒いた毒ガスはロマニア皇国のスキャンダルに火をつける
格好の材料として使えた。ソフィアに対する経済制裁は内部に抱える民族
紛争によるものである。彼らはこれまで大量破壊・殺戮兵器を戦場で使った
主たる記録を持たない。
それだけにロマニア皇国のような戦後になってダーティなイメージが
広まった勢力こそむしろ疑われやすいのである。

ただでさえ、連邦軍上層部は自分達の主権を脅かそうとするプロジェクト・ロマニア
実行委員会を牽制したがっている。しかし、ちょっとやそっとでは
勢いを失わない彼らに強硬手段を試みた。
現実的な話、共にザンスカールがらみの宇宙戦国時代を駆け抜けた武闘派
コロニーという点ではソフィアもロマニアも変わらないのだから。
471第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/20(木) 18:28:46 ID:???
トオマス・マンを旗艦とする地球連邦軍サイド2方面の艦隊は、どういう
わけかロマニア皇国を諸悪の根源として断罪する演説を16バンチの
近宙域に放送した後、協力を仰いだ。
いかに自分達の無実を主張しても、連邦軍主流派がマスコミに与える
影響力は非常に大きい。
前大戦のスキャンダルに続いて連邦軍の最新鋭宇宙巡洋艦の無断借用と
喧伝すれば、プロジェクト・ロマニアの内実など知らない大衆を扇動する
のは造作もないことだった。

ニコライ「弾幕だ・・・・・・・・とにかく、弾幕を張れ!!」
ドミトレスク「駄目です!左弦にシャカとヘビーガンが張り付いてます!」
ニコライ「振り払えんのか!?」
ルペスク「砲座のスタッフに退避指令を出しました!」
ニコライ「くっ・・・・・・・・ハンニバルも、見事に引き離されちまってる」

怒声と悲鳴が飛び交うブリッジであったが、彼らの焦りはこれまでソフィアや
ネオ・ザンスカールを相手にしてきたものとは全く別種。
相手はれっきとした地球連邦正規軍なのである。
ただでさえ政治情勢が悪化している中、この大艦隊を率いるイオン王子も
大局を見据えた上で安易に攻撃命令を下すわけがない。
彼らは、連邦軍主流派の保守体質ではなく、もっと悪辣なもう一つの影の
存在には気付いていなかった。そして皮肉にもその真実へ誘うかのように
モトラッドUも雌伏の時を破ろうとしていた。

472第3話「アポロドーロスに見捨てられた男」:2006/04/20(木) 18:46:49 ID:1TsshHuz
クイーン・マリアのブリッジでは、真っ赤なマントを纏ったクロクル・アシャー
がしっかりと前方を見つめていた。
既にザンスカール本国をアイア・コッカ率いる一群の工作でスムーズに
出発したクイーン・マリアはビブリオテーケとテオゴニアを引き連れ、
まずは先陣を切る。
アイア隊の狙いが上手くいって地球までのコースが開けているかをまずは下見だ。

クロノクル「テーベ、こちらの出した分のMSはどうか?」
テーベ「大丈夫ですね。克ちあっていないようです」
クロノクル「ゴッズ大佐が、任せろというから出したが、信じられん。
昨日まで一応は反ソフィアの立場を取っていて、こうも掌を返せるものか」
テーベ「そういう連中なのです」
クロノクル「・・・・・・・そうか。それは、そうであるな」
クロノクルは言い置くように軽く返しただけで、テーベから手渡された
ミネラルウォーターを少し飲み姿勢を正した。

次の瞬間、クイーン・マリア、ビブリオテーケ、テオゴニアによる三角地帯に
巨大なクロノクルのホログラフが写し出された。
クロノクル「・・・・・・・・・ネオ・ザンスカールに大義と、そして・・・・正義を見出し
集ってくれた全ての同士よ!少しでいい。手を休め、耳を傾けてくれ。
世の中には、特に旧ガチ党の構成員には我々を支持しない者が多いことは
諸君も知っての通りだ。
それはさして問題ではない。だが、彼らの神権政治が14年経った今でも、まだ!
まだ!民衆の意識に深く根差してしまっていることは、ただならぬ問題である。
だからといって、我々はザンスカール帝国の、アメリア政庁の、そして
サイド2の歴史的成立過程までも否定するわけではないのだ」
473通常の名無しさんの3倍:2006/04/20(木) 18:54:51 ID:???
>>471
「大戦」は、「WWI」、「WWII」、「一年戦争」のこと。
その他は、紛争、内戦程度の規模。
474:2006/04/20(木) 19:29:42 ID:1TsshHuz
>>473
ありがとう。
475第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/20(木) 22:38:54 ID:1TsshHuz
クロノクル「我々はガチ党を否定しない。フォンセ・カガチが、単なる神権政治の
更にその先を見据えていたことは事実だからだ。
よって、我々ネオ・ザンスカールは既存の政治体制にメスを入れるのではなく、
あくまで地球連邦軍の傀儡となることを拒むのである!
私が現在行っている政策を鑑みれば、重い腰を定期的に上げるだけで、結局は
軍需産業のてこ入れだけでしか経済を活性化させられないような連邦の
経済政策は、断じて認めるわけにはいかないのである!
以上が14年の時を経て、脆弱化した本国の経済に更なる負担を強いてまで再び
地球に反旗を翻す私の本意である!
宇宙世紀167年11月4日午後9時26分33秒、ネオ・ザンスカール総帥クロノクル・アシャー。
皆の清聴に感謝する」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ザンスカール!ソッフイーア!!ザンスカール!ソッフィーア!!
ザンスカール!ソッフィーア!!ザンスカール!ソッフィーア!!
ザンスカール!ソッフィーア!!ザンスカール!ソッフィーア!!
ザンスカール!ソッフィーア!!ザンスカール!ソッフィーア!!
ザンスカール!ソッフィーア!!ザンスカール!ソッフィーア!!

クロノクル「モトラッドU、発進だ!!!」

♪俺たちサイド2のスペースノイドは♪誰にも負けない真の勇者♪
♪かかってこいティターンズ♪毒ガス・コロニーレーザー♪
♪やれるもんならやってみろ♪連邦なんて糞食らえ♪
♪叩け!破れ!踏み潰せ♪♪♪地球に媚売るヘタレ男はここにはいない♪
♪俺たちのコロニーは不滅さ♪何千・何万年の時が経とうとも♪
476第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/20(木) 22:50:11 ID:???
シレジア「くそぉっ・・・・・・・・・何だよこの歌!?」
ニコライ「国威発揚の軍歌じゃないのか!?ブリッジにも流れてる!
いや、全地球圏にだ!」
アレーナ「こんな歌詞を聴いてまで、サイド2方面軍はソフィアに味方する
というの!?」
イズモ「ちっくしょぉ!!一気に形勢不利だぜ!!」
カルル「ユウリはまだ戻ってこないの!?」
シャーベット「今は、居ない人間を頼ってる場合じゃない!!」

とにかく、サイド2方面軍が出してきたヘビーガンとジャベリンの数は
圧倒的であった。
これだけ保有しているのなら何故ソフィアやネオ・ザンスカールの蜂起を
許したのかと苛立ちたくなるほどだ。
今となっては単なる牽制用武器にしか使えないグレネードランチャーまで
大量射すればガンダムチームやジーク隊のビームフィールドを疲弊させるのに
十分だった。
しかもドラゴスティアとガンダムPrincessがいなければビームフィールド
を繋げて特大バリアにすることもできないし、いざという時の合体で
大量の敵を一掃することも出来ない。

苦戦しているうちにハンニバルとFBの距離はどんどん離れていった。
こんな時こそ艦同士の連携で敵を包囲しなければならないのだが、
何せ相手が連邦の正規軍である。
ハンニバルの主砲で一掃、というわけにもいかない。
シャカのロータス・フィンファンネルでMS隊の動きが止められ、さらに
ゾロアスターとシャイトのムーバブルウェポンがしっかりと照準レティクルを
合わせて火を吹こうとした、
その時!
477第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/20(木) 23:50:00 ID:???
ユウリ「てぇやああーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
一斉射されたされたスカート・ヴェスバーは、これまでとは違って発射後の
AMBACによる姿勢制御も必要なく軌道がヴァイリアライズされていた。
しかし、それでも完全な不意打ちにも関わらず16バンチに配置されていた分の
シャカらのデータセンサーで取得されたパターンが、即座に送信されて
現在ロマニア皇国軍を襲っている分のシャカ隊にも送信されていたため
完全に撃破することは出来ず、フィン・ファンネルの展開でいくつかは
相殺されてしまった。

シレジア「ユウリ!!!!!!!!」
カルル「やっぱ生きてると思ってたぜ!!」
イズモ「ちっきしょぉ俺やっぱホレちゃおっかな!?」
シャーベット「ナイスタイミングだ!!」
アレーナ「そんなことより!そんなことより、ノマノマさんは!?」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい、アレーナ様!助けられませんでした!」
アレーナ「・・・・・・いいわ!!それより、エマヌエルとディーデリッヒのMS隊を
助けるのよ!ここは任されたわ!」
ユウリ「了解!」
彼女達はもう、子供ではなかった。

FBとハンニバルのちょうど中間に、まんまとエマヌエルとディーデリッヒは
隔離されていた。
冷静に対処すればビームシールドを展開しながらでも砲撃は可能なのだが、
敵の数が多すぎる分かえって逆説的にいちいちビームシールドの出力調整を
しながら砲撃するはめになっていた。
それほどにクルーは混乱していたのである。
シャカやシャイトがフィンファンネルとムーバブルキャノンでエマヌエルの
ミサイルランチャーを次々撃墜すれば、すかさずゾロアスターがビームシールド
加速器の破壊を狙う。
ユウリ「待てぇーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

478第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 00:11:09 ID:???
今度こそ完全な不意打ちだった。何故なら、エマヌエルとディーデリッヒを
囲んだ部隊のTRAPA内容をハックしたから、ユウリは通じると判断したからだ。
しかも、ここにいるのはほとんどネオ・ザンスカールのMSである。
この二隻を助けて数的有利に持ち込めば、本国防衛を取りやめて駆けつける
三隻と共に戦わずして連邦軍を退けられる。
そこまでいちいち計算したわけでもないし、アレーナの指示が的確だったからなのだが、
それを瞬時に飲み込んだのもユウリの才能だ。

ユウリ「聞こえますか、FBのガンダムPrincessです!損傷は!?」
マリネスク「こch・・・・・・らえm・・・ヌエルだ。援護nikan・・・・・・・謝する」
ユウリ「ミノフスキー粒子・・・・・・・厚くたって、変えてるヒマないな・・・・・」
とりあえずユウリはガンダムPrincessのマニュピレータの手振りで方向を示し、
FBの援護を要請した。
その間に自力でハンニバルを探す。
既に、自分ひとりの力でも戦局を変えられるだけの自信がユウリにはあった。
というより、せざるを得なかった。

ユウリ「あともう少し・・・・・あともう少しでミノフスキー粒子が・・ん!?」
前方から三機ずつの編隊を組んできたMS隊。データにない。
ユウリ「・・・・・・・敵か!あともう少しってところで!」
まず、ザガス三機がガンダムPrincessを包囲した。
一方でヴァホウス三機はミサイルとビームキャノンでザガスの近接戦闘を援護する。
ザガスが三機それぞれにビームナギナタ、トマホークで襲ってきたものの
ビームフィールドを随時展開していれば恐れるには足りなかったが、しかし。
ユウリ「・・・・・・・・・・うっ!!?くあっ!」
479第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 00:24:37 ID:???
ミサイルは、アンチビームコーティング機能を先端に備えていた。
シャイトやゾロアスターのようなムーバブルビームキャノンの予測困難な
軌道ではないことに油断したユウリは、しっかりと回避軌道を取っていなかった。
すかさず、三機のザガスはナギナタ・ナイフ・トマホークソードを連結し
戦艦クラスはあろうかという程の長さにしてしまった。

ユウリ「うっ、こいつら強い・・・・・・・!」
ここでユウリは久しぶりに、「逃げる」という選択をした。
ガンダムPrincessにとって幸運だったのはパイロットがユウリだったことだ。
誰しもガンダムPrincess程のスペックを手に入れれば自分は無敵と思い込み
安易な撤退にプライドでブレーキをかける。
しかし、ユウリは元から戦うことなど望んではいない少女だ。
加えて今は自分が撃墜数を増やしている場合ではない。
結果、ザガス・ヴァホウスから等しく距離を取る事を選択した。

ユウリ「これだけ、離れれば・・・・・・・!」
が、敵は編隊を崩してはくれなかった。
さしあたってザガスをスカートヴェスバーで攻撃しようにも、どうやらシャカが
得たデータはこの両機のTRAPAにも送信されそのまま設定されているようだ。
道理でユウリの行動パターンが読まれているわけである。
ザガス隊の特大ブレードはそれ自体がビームフィールドとなり、メガビームライフル
を弾き返す。さらにユウリがIフィールドやスカートヴェスバーの旋回で
相手に読まれにくい不規則な軌道を付けようと思っても、ヴァホウスから放たれる
妙な電波で全ては止められてしまった。
480第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 00:37:38 ID:???
ユウリ「なに、これ、どういうのっ・・・・・・・いつもみたく動かせない!」
自分のニュータイプとしての感性に自覚が無いことが不運だったのは、
標準レベルのMSに非ニュータイプでも扱えるインコム系のオールレンジ武器は
装備されているのに、ユウリは常に無意識にガンダムPrincessのバイオセンサーで
自分のビーム兵器に不規則な軌道を付けて相手を撃破してきたからだ。
もしもっと勉強していれば、こういう時はヴァホウスのサイコミュ無効化システム
に惑わされずオーソドックスなインコムで攻撃できるのに。

ユウリ「はっ、や・・・・・・・・・・・!!」
ザガスの特大ブレードがまさに振り下ろされようとしたその時、その半分は
あろうかという長さのブレードが三機とブレードをモズのはやにえのように
貫通し、ヴァホウスの一機までも撃破した。
ユウリ「プリンセスブレード・・・・・・・・シレジア!?」
シレジア「あーい変わらずしょっぺーんだよ!
一人で何でも出来るってチョーシこいてんべ!?」
アレーナ「わたくし達は、三人で一つだって仰ったのは貴女でしょ!?」
ユウリ「アレーナ様も・・・・・・・うん!そうだね!
みんなで、みんなで戦おう!!」

シレジアとニコライが付き合い始めて、アレーナがノマノマと付き合い始めて。
今はそんな事を考えている暇は無いのだが、最近はそれで悩んでいたことも事実だ。
だから、三人で戦えるという事実を再確認できたことがユウリにとっては
この上も無く嬉しかった。
そう、彼女達はもう子供ではないのだ。
誰か一人が悩みを抱え込めばもう二人が支え、辛さを共有する。
彼女達は三人で一つだ。誰か一人かけても成立しない。
それぞれの境遇に変化が生じてもそれは決して不変であり、ユウリは戦争という中で
あってもかけがえの無い親友を手に入れられたこの青春に感謝した。
481第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 01:00:09 ID:???
ヴァホウスの反ミノフスキー粒子砲やアンチサイコミュシステムは、三機ごときの
力にも負けない。
しかし、相手が連携を取ってあくまで通常兵器で攻めてくれば、パイロットも
焦る。しかもザガスが皆倒されてしまった状況である。
たまらずクラッシュワイヤーを張るものの、相手のミノフスキー粒子変調や
Iフィールドの展開ばかりを気にしていたせいで単純な近接戦闘でダメージを
受けるようになった。
これこそ、ヴァホウスがザガスと編隊を組まなければならなかった所以なのだが。
結局、ヴァホウスは撃墜された。アレーナはあわよくば相手のTRAPAをジャックして
反ミノフスキー粒子砲を放たせるか、放たせた後にうまく電波遮断濃度だけを
削減しようかとも狙っていたが余裕が無いのでやめた。
抜け目の無い少女である。

ユウリ「エマヌエルとディーデリッヒを追って!ハンニバルはあたしが探す!」
シレジア「ユウリ!三人で戦うって、言ったろ?」
ユウリ「ううん、いいの。ノンちゃんを助けられなかったから。
それでもアレーナ様、助けに来てくれたから。それに、今の新型はまだそんなに
量産されてないはずだよ!
もうネオ・ザンスカールのMSは粗方倒したと思うから、散り散りになってる艦を
集合させて連邦軍を撤退させちゃおうよ!」

アレーナ「・・・・・・・・・・・・ユウリ・・・・・・・・・・わかったわ!どうせハンニバルは
主砲を使えないものね、戦わずに撤退させるならむしろ威嚇に使えませんわ。
でも、ちゃんと帰ってこなかったら承知しませんわよ、ピリオド(以上)!」
シレジア「だってさ、気をつけろよ!」
粒子ドライブを全快にして宙域を離脱するズベズダとコマネチを見送るユウリ。
ユウリ「よし・・・・・・・信頼に答えなきゃ・・・・・・・うわっっ!!!!?」
482第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 01:18:34 ID:???
ガシィィィっ!!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・

ユウリ「ぬっ、くっ、くうあ・・・・・・・・・・・!!」
アイア「甘いねぇ、甘い甘い!嬢ちゃん、どんな状況であろうとあたしが
アンタを見逃すとでも思っていたのかい・・・・・!?そいつぁちょっと、
都合が良すぎるってもんだよ!!?」
ガンダムPrincessにクリンチを仕掛けたバルデウスは激しい打撃を加えて一旦離脱する。
ユウリ「卑怯だよ、アイアさん!今度は不意打ちなんて!」
アイア「戦争に卑怯もクソもあるかいよ!」

まずアイアはバルデウス周囲に無数のビットを展開させた。
ユウリ「・・・・・・・・えっ?!」
ユウリの凝視は、つまりビットがオールレンジ攻撃用の兵器だと思っていたことによる。
あるいはエクサソーンやダンケル・ヴァイスの敵MS・武装奪取用。
ユウリがビットとファンネルを勉強不足でよく区別していなかったことも
悪いのだが、エネルギーCAP技術の有無など知らなくとも、何故メガ粒子砲を
搭載したビットを機体周囲に展開したのか。
フィン・ファンネルをデータに取って勉強している時間は無かった。

そう、フィン・ファンネルと同じだ。展開したハイディフェンスビットは大出力で
ビームフィールドを形成し、一部の隙間も薄部も無いその表面はまさしく
ビームフィールドというより球体バリア。
メガビームライフルも、スカートヴェスバーも、大出力ビームザンバーも効かないので、
一つ一つビットを壊せばいいものを焦ったユウリはそのバリアの表面に向かって
ただ攻撃を繰り返すだけ。
しかも、ビット自体も相互にシフトチェンジして照準を合わせさせない。
483第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 01:44:05 ID:???
アイア「・・・・・・・・・・・・・いくぞ!!」
ヴァホウスから数発のクラスターミサイルが発射された。
ミノフスキーブラストチャージランチャー。
正負のミノフスキー粒子の反発が着弾直前にTRAPA設定され、弾頭のビームコーテイングを
外すのだ。
が、この究極のロジカル・ウェポンにもユウリのニュータイプ感性は反応していた。
ユウリ「何か嫌なものが来る・・・・・・・・普通の武器じゃない!」
無意識だった。しかし行動には移された。

ユウリ「なむさんーーーーーーーーーーーーっ!!!」
ユウリは両腕部のビームシールド加速器を「ねじって」、まるでビームスピアの
ようにヴァホウスの周囲に滞宙するビットに発射した。
ウッソの戦い方に刺激されたのか、はたまたビームシックルの応用なのか。
ともかくミサイルの着弾と正・負両フィールド融合のコンマ数秒前、まだ
大出力の余韻を残すハイディフェンスビットのエネルギーを取り込んで
「引っ張って」「伸ばした」。

ズバウッシャァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

凄まじい爆発だった。
アレーナ「・・・・・・・・・・・・・・・何!?」
シレジア「ユウリ・・・・・・・・・・ユウリ!?大丈夫なのか!?」
離れた宙域に居る二人にも見えた大爆発。
が、ガンダムPrincess・ヴァホウスとも健在であった。
ユウリは咄嗟に、二機を横から見たとき、間にUの字の放物線を描くように
ビームシールドとフィールドの中間のようなバリアを形成した。
これで防げるかどうかは賭けだったが、ヴァホウス自体を爆発から守れるだけの
ビームフィールドならそれに自機自身の大出力ビームシールドとつないで何とか
なるだろうというアバウトながらも計算があったし、その大出力でミノフスキー粒子の
場自体を変調させれば威力も半減するだろうと踏んだのだ。
アイア「バッ・・・・・・・・・・・・・・・バッ・・・・・・・・・バカな!??」
484第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 02:03:50 ID:???
ユウリ「また、今やった攻撃はやらせないよ!!!」
再びハイディフェンスビットでビームフィールド帯を形成しようとしたアイアに
ユウリがビームザンバーで斬り付ける。
これだけ接近してしまえばもうビットは自機防衛どころか諸刃の剣になりかねない。
ファンネルならまだしもメガ粒子砲を積んだれっきとしたビットである。
しかも、ヴァホウスはアームドビットも装備していないようだ。
アイア「ぬっ、くうっ・・・・・・・・・・・!!小娘ェ!!」
すかさずビットをガンダムPrincessの背後に寄せるものの、すかさずユウリは
インコムで上下から全て撃墜した。

ユウリ「やった、出来た!!」
アイア「こっ、こいつ・・・・・・・・・何をやるか読めん!
さっきのはマグレだ。しかし、マグレでなかったとしたら・・・・いや!有り得ん!
しかし、しかし、マグレでも二度続いたらどうする!?」
動揺するアイアは先程のように落ち着いて距離を取ってハイディフェンスビットを
配置することも出来なければ、正負のミノフスキー粒子をプログラムするような
落ち着きも失った。
あっという間にビームザンバーとロングビームトマホークの中近距離戦に堕した
二機の戦いは、アステロイド・ベルトの隕石の表面にまで脱線した。

アイア「お前さえいなければ!お前さえいなければ、あたしはもっと早く
昇進していたんだよ、阿婆擦れの小娘がァァァ!!!」
ギャシッ!!ッギギギギウギ・・・・・・・・・・!!!!
ユウリ「貴女さえいなければ、貴女が逆恨みで襲ってこなければノンちゃんも
無事で、アレーナ様とも喧嘩せずに済んだんだよ、馬鹿ァアァァ!!!」
ビシッ!!!キィンッ!!!ギィッィィ!!!!!ヴィンンッ!!!
隕石の表面は両者の粒子ドライブで激しく削られ、推進するたびスラスター各部から
出る余剰エネルギーの鋭いビームで敵味方両MSが撃墜されていった。

もはやこの宙域にいるどのMSにもこの両者の戦いに割り込むことはできなかった。
が、その実態は女子プロレスのキャットファイトのような取っ組み合いに変わった。
もはや武器を投げ捨てて殴り合いや掴み合いを演じている。
口汚く女と女が罵り合う度、その言葉がお肌のふれあい回線で両コクピットに
大音響となって響き渡る。二人のどす黒いニュータイプオーラは罵り言葉を
そのまま互いの全天周スクリーンに文字ノイズとして伝える。
二人とも、隕石を横切る巨大な黒い影に気付いていなかった。
485第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 02:23:01 ID:???
ユウリ「えっ何・・・・・・・・・うっ!!!!?アイアさん、あれを見て!!」
アイア「今更命乞いとは・・・・・・・・・・・・・・・・ぬっ!?」
圧倒的威容を誇るクイーン・マリア、テオゴニア、ビブリオテーケがアステロイド・ベルト
を粉々にしながら推進する。
その行く先は、地球だ。
ユウリ「まずい!!!」
アイア「おっと、そうは行かないんだよね!!!」

ユウリ「ぐっ、あああ!!!」
背後からクローを一閃されガンダムPrincessは隕石の表面にめり込んだ。
アイア「フフッ時間は・・・・・・・・稼いでやったぞクロノクル」
ヴァホウスに向かってクイーン・マリアのブリッジからクロノクルが軽く敬礼した。
ユウリ「す、全てはこのため・・・・・・・・・・!」
アイア「そうさぁ。仮にも一個師団の指揮官が小娘一人のために戦略を放っぽり出して
決闘なんて挑むと思うかい?
お前らのやったことは、またも全て無駄だったわけさ!クックッ」
ユウリ「きっ、さっ、まぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

ギィンッ!!ガッ!!!!ジジジジジジ・・・・・・・・・・・キィンッ!!!!
ユウリ「そのために、毒ガスまで使って同じサイド2に住む人まで!」
アイア「おや、証拠でもあるのかい!?少なくとも世論は完全に反ロマニアに
傾いてるってのにさすが世間知らずのお嬢ちゃんは被害妄想がお得意だ!
いいかい!?
確かにアンタら小娘にはニュータイプの素養があることは認めてやるよ!
しかし、世の中最後はずるい女が勝つ様に出来てるのさ!!!」
ユウリ「ぐあっ・・・・・・・・・・・!」
ヴァホウスは最後の一撃をガンダムPrincessに食らわせると手早く撤退していった。
後味の悪い言葉を浴びせられたユウリは全面のコンソールに額を付けながら、
トオマス・マンがジークフリードら大群に押され撤退していく光景と、地球に
向かって遠ざかる巨大な三つの黒い影を見つめるしかなかった・・・・
486第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 02:27:15 ID:???
キャスト
ユウリ  かないみか  アイア     折笠愛
シレジア 高山みなみ  マリネスク   嶋俊介
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか

487第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 02:35:59 ID:???
キャスト
クロノクル 壇臣幸   ルペスク   津田健次郎
テーベ   戸谷公次  ドミトレスク 関智一
イズモ   渡辺慶   NZ兵士    東京フィルハーモニー管弦楽団


確かな男を        見つめればいい


488第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 02:43:23 ID:???
原画
古川達也  佐藤敦    千秋幸一  藤井まき
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
大上弘明  大貫健二   越智博之  金森検事

  
  恋する        乙女の


489第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 02:44:47 ID:???
動画
中川信子   野村宙    小沢章子   大内正彦
絵山梨栄   鈴木美穂   中田美穂   山田正志
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 恋する乙女の IN HEART PRINCESS SHOWER


490第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 02:58:27 ID:???
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   それが          それが        いま 


491第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 03:00:39 ID:???
背景 森田晴美               デジタル撮影 高島聖子
   サンライズスタジオ                 清田みどり  
デジタル彩色 植村礼子                  ジャスト
       前林文恵                  小野原博美           
色指定 上保睦子                     本立香
                         




        PRINCESS       SHOWER




492第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 03:03:46 ID:???
エンディング・テーマ「PRINCESS SHOWER 〜星空の温もり〜」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet +MIO
           (松本梨香&奥井雅美)




   それが         それが        いま













493第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 03:08:13 ID:???
脚本   植竹須美男   演出   柳沢テツヤ
作画監督 藤井まき    絵コンテ 柳沢テツヤ





        PRINCESS         SHOWER




494第三十三話「モトラッドU発進」:2006/04/21(金) 03:12:10 ID:???
          次   回   予   告


ユウリ「地球のリガ・ミリティアはマハの追撃を受けて、あたし達に援護を
依頼してきた!でもこっちでは連邦軍が相変わらずロマニアを逆賊と見做して
攻撃するからなかなかモトラッドU艦隊に追いつけない!
その中でイオン王子が死んじゃうし、また新しい敵戦士も登場!?
どうなる、地球の運命!

   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

              絶望の宇宙(そら)

          ガンプリは、みんなで見てね! 」
495473:2006/04/21(金) 06:50:03 ID:???
>>1は、「真性」か?
496通常の名無しさんの3倍:2006/04/22(土) 16:20:50 ID:e/7GYlJC
以前の222ですが
アブソリアの構成している機体が書いてないことにいまさらながら
気づいたので、書きます。ちなみにアブソリアは以下の機体が10機合体です、
 
 フォルコメイス
全高 300m
重量 770t
ジェネレータ出力99000000kw
出力系 未確認出力系×1
武装
マニピュレータ部10連ビームキャノン×2
掌底部メガ粒子砲×2
アームドビット×11
パラサイトビット×10
アトミックファンネルミサイル×10
リフレクタービット×10
アッセンブルミサイルユニット×5
ビームニードル×8
ショックワイヤー×8
両腕部ミノフスキー積層型ビームシールド
腹部ミノフスキー積層型ビームシールド ×1
アンチビームフィールドコーティングミサイル×10
ビーム砲×70
両腕部ハイパービームブレード
バスターメガキャノン×1
超努級ミノフスキー粒子砲×1
大型ビームバルカン×20
反メガ粒子砲×1
拡散・収束ハイパーメガ粒子砲×40
モビルビット(ビームシールド兼ビームソード×2ビーム砲×2×マイクロミサイル×10)×1
メガ粒子クラフタードライブ
Τフォース・Iフィールド複合フィールド
エネルギー高出力臨界反射装甲
解説
木星エンセラダスで確認
された巨大MA
戦艦クラスを凌駕する火力を持ち
大規模・要撃攻撃においては圧倒的な性能を誇る。
 10機で合体することもでき、その時は
要塞の様らしい。


497通常の名無しさんの3倍:2006/04/22(土) 16:24:53 ID:???
ほとばしる厨の香り… たまりませんね。
498通常の名無しさんの3倍:2006/04/22(土) 22:31:48 ID:???
>>496
なに書いてあるか、さっぱりわからんw
ただ香ばしいことだけわかったw
4991:2006/04/25(火) 20:26:44 ID:rDXaAqXP
>>495-498
採用。
500第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 20:30:10 ID:rDXaAqXP
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS





501第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 20:38:27 ID:???
その時であった!



機動戦姫ガンダムPrincess第二章
〜完〜
502第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 20:49:14 ID:rDXaAqXP
追撃というにはあまりに乏しいロマニア皇国MS群と艦砲を振り切って、モトラッドUは
地球へ直進していた。
対してハンニバルとフェレンツバロシュを中心にしたロマニアの艦隊は、
眼前の、自分達にサイド2・16バンチ毒ガス注入事件の容疑を着せる連邦軍艦隊
との睨み合いを余儀なくされていた。

この状況下、最も自由を謳歌していたのはソフィア軍である。
ネオ・ザンスカールは成立基盤も脆弱ゆえ、今回の地球侵攻作戦に持てる力の
殆ど全てを投入している。
加えてザンスカール本国も彼らが支持すべき勢力かどうかを見極めている段階だ。
ネオ・ザンスカールもかつてのネオ・ジオン同様に政庁化を望んでいるのだ。
これら事実はマスコミにU.C.OO93の事例を想起させる。
が、ネオ・ジオンとネオ・ザンスカールは成立過程が全く違うだけに単独で動く
事もできない。

その不自由を喚起しているのがソフィアの存在だ。
彼らはかつてのベスパの一勢力から肥大してザンスカール帝国の再興の鍵を握る
までになっている。
しかし彼らにはマリア主義やギロチンのように世間の注目を引き出すほどの新奇性が無い。
そこで、やマリア・ピァ・アーモニアの弟であるクロノクル・アシャーを
神輿として利用しサイド2全体を反連邦主義で結束させようとしている。
そして、サイド2のベスパの技術や工廠、残存サナリィ施設をほぼ完全に接収した今の
ソフィアには駒を自在に動かせる力がある。
自分達がモトラッドUで地球を再整地する作戦が、その後に待っているソフィアの
真のパフォーマンスを覆い隠す陽動であることを知っているからこそ、クロノクルは
またひとり歯噛みするのだ。
確かに14年前のインパクトを鑑みればこれ以上ない陽動であろう。
503第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:05:06 ID:rDXaAqXP
モトラッドU艦隊の先頭に立つクイーン・マリア。
その形状は14年前の名残を残しつつ、ブリッジの上方に女王マリアの
銅像を備え付けていた。
これは勿論ゴッズ・イン・ヘブン大佐の発案である。
クロノクルは過去を振り切って前に進もうとしているのだが、ソフィアに
とってはザンスカール帝国の脅威を想起させる装飾を施すことによって、
世間の耳目を集める必要がある。

それによって自分達の逃げ込めるエアポケットを作るのだ。
マスコミも以前のように一枚岩ではない。
相互に複雑に絡み合っているので、二者択一や二元論的評論はもはや陳腐と
しか受け取られない。
カルト宗教的批判を受けたザンスカール帝国や「今さら」的な見方しか
されていないソフィアだけではなく、サイド全体の連帯によるスペースノイド
独立運動を目指す。
これはマスメディアも短絡的に否定できないはずだ。

クロノクル「減速。索敵は続けろ」
テーベ「了解しました、総帥。
しかしゴッズ大佐は何を考えているのでしょうね?」
クロノクル「何だ、地球への直接攻撃ではこれまでの根回しも無駄になって
しまうということか?
それは心配ない。連邦がいかに腐っているかは、お前の想像を遥かに越えている。
ネオ・ジオン紛争時のアクシズ譲渡しかり、UC100年代初頭の連邦政府調査権
修正法案しかり、ダブリンへのコロニー落とししかり、ティターンズ壊滅後の
エゥーゴへの鞍替えしかり、だ。
官僚達は自分さえ無事なら虐殺を搾取と同レベルに考える。
ゴッズは気に食わないが、利用できるものはできる時に活用しなければ」
テーベ「は・・・・・・・そこまで考えておられるならご心配はしていません」
504第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:29:23 ID:rDXaAqXP
一方、フェレンツバロシュ艦内では分断された艦隊の配置と拉致された
イオン・イリエスク王子に関する激論が交わされていた。
満を持して望んだサイド2侵攻は惨敗に終わったのだ。
クルーの一人を人質に取られ、
それを陽動と読んでもさらにもう一枚の壁が用意されていた。
どうするべきか思案している間に、それぞれの艦が独自に動かざるを得ない
状況になっていた。
その結果としてのイオン王子拉致事件である。

ユウリ「すいません・・・・・・・あたしが、アイア大尉との戦いに熱くなり過ぎて
しまって、ハンニバルを捕捉できなかったから」
ニコライ「終わったことはもういいんだ。
とにかく、今は王子を救い出す方法を考えなければ」
シャーベット「しかし、救出するといってもハンニバルのクルーの話では
目標の特定すら出来ません。
ネオ・ザンスカールだとしたらモトラッドUの艦隊内だし、ソフィアなら
また進路は180度異なってくる」

アレーナ「いえ、貴方は仰っていることは正しいのだけれど、ロマニア皇国と
ソフィアの歴史的対立関係を失念してらっしゃるわ。
地球出身の人達はコロニーはみんな反連邦だと思ってらっしゃるようだけど、
もうそんな時代ではありませんの。
この状況を見ればそれがお解かりになるのではなくて?
ただでさえネオ・ザンスカールはソフィアの援助なしに成立できない、
実質的にはゴッズ・インヘブン大佐のコネクションとポケットマネーによる
私兵団なのですわ。
それが、あれだけの大規模なバイク艦隊を再開発するだけで精一杯の筈なのに
敵軍の将まで人質として抱え込める道理がありませんわ。
十中八九、王子はこの宙域に残留するソフィア艦隊にいます」
505第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:31:37 ID:???
その時であった!
連邦軍特務部隊「ローゼン・ナイツ」が敷設した「ソーラー・システムIV」により、モトラッド艦隊は焼き消されていった。
クロノクルは、自らの身が焦がされていく中、叫んだ。
「助けて、姉さん!」



機動戦姫ガンダムPrincess第二章
〜完〜
506第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:49:16 ID:rDXaAqXP
以前はアレーナがFBのパイロット内参謀であった。
その立場はシャーベットが来てから少し揺らいでいる。
だからといって二人が対立するわけではない。
シャーベットはあくまでリガ・ミリティアから派遣された助っ人であって
それ以上ロマニア皇国に干渉する権利がない。
加えてそうして自分の欠落点を指摘されれば随時シャーベットにとっては
将来への肥やしになる。それはカミオンに戻った時、役に立つはずだ。

ドミトレスク「艦長、通信が入りました!またソフィアからです」
ニコライ「・・・・・・・・・・なんだって!?」
シレジア「またかよ!?」
カルル「今度は、なんだってんだ・・・・・・・・」
それは、緊迫した雰囲気をむしろ緩ませたように見えた。
何故なら論議の要なくして自分達の目指す目標を発見できるかもしれないからだ。
ルペスク「読み上げますか?」
ニコライ「頼む。というか、議論の余地も無いだろう」



親愛なるロマニア皇国軍の貴兄姉諸氏、御機嫌よう。
君達サイド7のスペースノイドが崇拝するイオン・イリエスク王子は
いま我々の手の中にある。
彼の誇り高き功績と存在を無に帰すのは、この地球圏にとって多大なる損失であろう。
しかし、諸君の南極条約から連なる宇宙の秩序を無視した蛮行は見過ごすに
余りある。
従って我々は連邦軍一部勢力との癒着の下、過去に我々サイド2の民に
働いてきた虐行の数々に対する正当な粛清を下すため、U.C.0167
11月10日午後10時、つまり
現時刻から四時間後に彼を断首刑に処すことを宣言する。
これを回避するための条件はロマニア皇国軍とそれを支援する全ての勢力の
即時武装解除以外に用意しないものとする。
賢明なる対応を期待する。

ゴッズ・イン・ヘブン
レフスキ・ソフィアの名の下に
507第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:58:53 ID:rDXaAqXP
ニコライ「くそっ!くそっ!どういうことなんだ!」
シレジア「落ち着いてよ、艦長!」
ニコライ「別に、冷静だ・・・・・・・・いやいや、そうじゃない。
王子を拉致したことも、全ての戦乱の責任を俺達サイド7のスペースノイドに
押し付けようってことも、別に怒っちゃいない。
問題はだ、連中のやることは、どうしてこうも次から次へとうまくいくのか?
ってことだ」

アレーナ「確かに。ソフィアの艦隊のデータは全てFBやわたくし達のMSの
TRAPAに入っているし、こうまで敵の戦略ばかりが成功するなんて不自然ですわね」
シャーベット「・・・・・・・でも、そう考えていくと、恐ろしい結論が出てこないかい?」
ニコライは憔悴しきった顔を引き締めて言葉を返す。
ニコライ「いや、恐ろしくもなんともない。
この際、はっきりと言い切ってしまっても良いんじゃないか?
奴らは連邦の中に協力者を作っている。
最悪のパターン、プロジェクト・ロマニア実行委員会の中にだ。
それしか考えられないじゃないか!!」

ユウリ「・・・・・・でも、それだったらあたし達がやってきたこと、ぜんぶ、
ぜんぶ、ぜーんぶ無駄だったってこと?」
シレジア「誰なんだよ、協力者って」
イズモ「俺じゃねぇぜ!?言っとくけど。確かに以前は連邦軍のスタッフ
だったけどな」
カルル「俺とシャーベットも違うぜ。リガ・ミリティアは連邦と提携し始めて
いるけど、そこまでの癒着じゃない」
次第にブリッジの雰囲気が刺々しくなってきた。
508第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:09:07 ID:rDXaAqXP
ニコライ「そんな犯人探しは、やめろ!!
今やるべきことはそんなことじゃない。
確かにTRAPAシステムは、SWWつまりインターネット上から得られる限りの
情報をMSや戦艦の優先行動順位に生かせる最先端技術だ。
これだけ情報化した地球圏で、機密を全て漏らさずにおけるわけがない。
だとしたら、ソフィアに都合の悪い情報を意図的に各サイトから削除したり
検索制御したりしている黒幕がいるんじゃないか?
ってこと。それだけだ。
それより、目の前の事態をどう乗り切るかだけを考えようってことだ」

ユウリ「そう・・・・・・・・・そうですよね。
でも武装解除って、戦争をやめるってことですよね?」
シレジア「ああ。でもそれをやっちまったら、地球だって宇宙だって
奴らのモンになる。全ては終わりだぜ」
ニコライ「どうする?多数決でいい。
これは俺達だけの問題じゃない、地球圏の将来を決める多数決だ。
武装解除を受け入れる者、手を上げてくれ」

カルルの肩がピクリと動いた。
何故だろう?
どっちみち地獄が待っているだけなのに。
むしろ、自分のユウリへの思いを考えれば王子に死んでもらうのが本望。
だが要求を呑まないほうがソフィアも手荒な対応をしてくる。
どうすればいいんだ・・・・・・・・・・
が、たまにはシャーベットのように冷静な判断もしてみよう。
少しは大人になったってとこ、ユウリに見せなきゃ。
509第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:17:14 ID:???
その時であった!
同時刻、月軌道上から地球連邦軍月方面所属第13機甲師団内宇宙危機管理機関保有「ロンギヌスの槍(旧称:カイラス・ギリー)」がサイド2コロニー「ソフィア」に向け、一閃が走った。
その1時間後、ソフィア政庁から地球連邦政府宛に全面降伏を発した。


機動戦姫ガンダムPrincess第二章
〜完〜
510第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:22:22 ID:rDXaAqXP
ニコライ「ゼロか。
よし、次に王子の救出を望む者は挙手してくれ」
ブリッジクルーとイズモを除く全員が手を上げた。
ニコライ「シャーベット・イノエ、何故後者を選択した?」
シャーベット「はい。それは」
カルル「はい、はい!自分が答えます!」
ニコライ「ん、いいだろう」
カルル「よし・・・・・・・・・・」

カルルはユウリが発言する自分を珍しそうに見ているのを確認した後に
説明を始めた。
カルル「理由は、王子を救出することが武装解除した後の建て直しより
遥かに容易だと考えたからです。
武装解除しても我々は抵抗し続ける覚悟ですよね?
ならば現状で、冷酷なようですが指導者を失ってもサイド7やロマニア皇国、
そして我々リガ・ミリティアをはじめとする支援勢力が一致団結すれば
かならずや戦争継続は可能と考えます。

第二に、この宙域に残留するソフィアの戦力がそれほど大きくはないからです。
ネオ・ザンスカールは、アレーナさんが言ったように小規模私兵団です。
それがあれだけの規模のバイク艦隊を作り発進させるためには、
それ相応の人手と金をソフィアに負わせたはずなのです。
従って、戦争初期から現在まで確認されたソフィアの戦艦が四つだけという
事を考えてもソフィア自体もまだ戦争継続に耐えうる体力をつけている
最中であり、
現に我々もその守備網を容易に突破できたではありませんか。
そこから更にモトラッドU艦隊支援の戦力を割いたのです。
工夫次第で王子の救出は十分可能と考えました。以上です」
511第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:35:17 ID:rDXaAqXP
ニコライ「ん、実は俺も同じ事を考えていた。
多数決の結果、武装解除を拒否し徹底抗戦の構えを取る。
が、やはりイオン王子はサイド7全体のカリスマだ。
王子を失うわけにはいかない。
ダミーとして近宙域にいる全ての僚艦に撤退命令を出そう。それが済んだら
作戦概要を説明するのでブリーフィングルームに集合。
それまでは各自、短い時間だが休憩を取ってくれ」

納得いかない者も含めて、パイロット全員が自室に戻っていった。
その途上でユウリがカルルを引き止めた。
カルル「あ、ん、何だよ・・・・・・・・」
カルルは頬を髪と同じ色に染める。
ユウリ「すごかったね。カルル君があんなに冷静に局面を分析するなんて
珍しい。初めて見たもん」
カルル「い、いやあ、ハハ・・・・それより、悪かったな。
最悪の場合、王子を見殺しにしてしまうかも」

ユウリ「いいよ。あたしだって手を上げたし・・・・・・・・それに、それにね。
いきなり結婚て言われても実感湧かないんだ。
あたしなんて、ガンダムに乗っていなきゃ全然取り柄の無い女の子だったし、
急に境遇が変わって、混乱してるの。
だからカルル君みたいな普通の男の子と喋っているほうが安心するな」
カルル「・・・・・・・・・・・・・ノマノマよりも?」
ユウリ「えっ?」
カルル「い、いや・・・・・・・・・・・・なんでもない!
作戦、がんばろうな!」
ユウリ「うん・・・・・・・またハロの機能とか教えてよ」
512第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:54:05 ID:rDXaAqXP
それぞれの部屋に戻っていく二人の姿を通路の隅からイズモが見ていた。
イズモ「ちっくしょぉあのオレンジ髪のガキィ!
ユウリは俺が目を付けてたんだからな。蹴りを入れられてパンツの色を
見たときから!」
シレジア「お〜っとぉ!?
こいつは聞き捨てなりませんなぁ!!^∀^ 
あたしゃ言っとくけどロリコンの働いてる店で牛丼なんか食いたくねぇぜ!?」
イズモ「なっ・・・・・・・・・・・・・!こ、この雌ガキ!
いつの間に背後に回りやがった!?」

アレーナ「あ〜〜っ五月蝿いピリオドピリオドピリオド!!!!!!!
ロリコンだの牛丼だの下賎な響きを撒きちらさないでいただけます!?」
シレジア「おおっここにも欲求不満の方がまた一人!!!
ぶっちゃけノンちゃんとはどこまで進んだん?
キス?ハグハグ?そ・れ・と・も^^・・・・・・・・・・・・
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!
ヨルダネスク家の娘ともあろう者が、お嫁に行けませんわ!!!」

アレーナ「いいかげんになさいっ!いいかげんにしないと・・・・・・・・」
アンジェイ「そうですぞお嬢様!!
仮にもサイド7経済を背負うお方が下賎かつ俗悪な単語の数々を何の躊躇いも
なく発するとは・・・・・・・・・・・・ああ!!!
アンヘル卿が!聖コンスタンツァが!聖アムロが泣いています!よよよ・・・・・」
シレジア「おいっ、爺さん!スカートの下から現れんなよっ!」
イズモ「そうだっ俺はロリコンじゃない!ただ、ちょっと最近ムネがでかく
なったなって注目してただけだ!!!」
アレーナ「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ
五月蝿い!!!ピリオドピリオドピリオド!!ピ・リ・オ・ド(以上)!!!!!」
ハロ「ヤベェゼアネキー」

こんなバカ騒ぎで和んでいられる時間も、もう残り少なかった。
513第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 23:07:54 ID:rDXaAqXP
サイド7ロマニア皇国は今のところ、何の攻撃も受けてはいなかった。
気候調節の降雨が終わり、まだ水気を含んだ歩道に一人のぼろけた服に
身を包んだ浮浪者が寝転がっていた。
そこを一人の青年が通り過ぎた。
「オイじいさん、ホームレス収容所に行けよ。
それでなくたってもう少しマシなところで寝たらどうだ?
こんなところじゃ肺炎になっちまうぜ」

「・・・・・・・・・・大丈夫さぁ。聖アムロが守ってくれる」
「なんじゃそりゃ」
「・・・・・・・・・・最近のわけぇモンは・・・・・・・・・・アムロ・レイも知らんのか。
サイド7のスペースノイドの恥さね。
ウチに帰って父さんにでも教えてもらいなや」
「バカいえ。俺達が崇拝する神サンといや聖コンスタンツァに決まってら」

「・・・・・・・・・・・・だから、お前らは旧世紀の民族性や宗教に凝り固まってんだ。
古い価値観は、宇宙に上がったら捨てんのよ・・・・・・・・・・・
人類最初のニュータイプをよ、俺ら1バンチの民が崇めなくてどうする」
「1バンチ?何だそれは」
「・・・・・・・・・・・・それすらもしらねぇのか・・・・・・・・・・・・・・
最近の教育はどうなってんだか・・・・・・・・・・・・・・・
このロマニア皇国は、大昔、てめぇらの親も生まれてなかった昔にな、
1バンチと呼ばれてたのよ。
そのちょっと後にはグリーンオアシスってな。聖アムロを信じなされ。
聖アムロを信じれば俺たちゃ、サイド7のスペースノイドはニュータイプになれる。
誤解無くお互いを理解し合える人類に革新できる・・・・・・・・
ここは、ニュータイプの故郷だからよぉ・・・・・・ゴホッ!ゴホッ・・・・・・・」
「ああ、わかったわかった。とりあえずそこの交番行こうぜ」
514第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 23:34:09 ID:rDXaAqXP
アリエルのブリッジに移ったアイアはフリストおよびゴッズと会談を持っていた。
アイア「おそらく、これで連中も万策尽きたでしょう」
ゴッズ「ん、しかしトオマス・マンもこれ以上は世間の目を気にして我々の
支援もできまいて。
地球に下りた後のことを考えて残存艦隊の集結を図らねば」
フリスト「キャリバンの損傷は思ったより軽度でした。
カタパルトデッキもビームシールドも無事です。
現在、この宙域に向かっています」

ゴッズ「ロマニア皇国の艦隊の動きはどうか」
フリスト「イチワ・シンセイカ、どうだ?」
イチワ「フェレンツバロシュ含めて全艦隊の反応がなくなりました。
ホト・バシール少尉の報告です」
アイア「FBだけは危険です。あれは放っておいてはいけない。
撃沈できるまで安心できません」
ゴッズ「チューノ・カオリ補給基地から何か連絡はあるか?」

イチワ「タマリー・マセンネ基地司令と連絡が取れました。どうしますか?」
ゴッズ「タマリー、私だ。ナニ・カイテ、アル・ノカ、サパーリ・ワカラン、
タダコー・バシィ、コト・ダケ、ワ・カッタの六つの太陽電池は無事か?」
タマリー「前三者はロマニアに奪われました。
が、残りは無事です。
ああ、そうだ。キャリバンは間もなくアリエルに接舷するとの通信です」
ゴッズ「わかった。ありがとう」
前方に各所が被弾したキャリバンの姿が見えていた。
515通常の名無しさんの3倍:2006/04/25(火) 23:34:20 ID:???
皇国本土でありながら、貧富の差、激しすぎw
「ホームレス」って、どうやって入植してきたんだw?
入植・居住管理機関は存在しないのかよw
虫喰いだらけの管理体制を司る機関に対して、わざわざ表立って侵攻するバカがどこにいるw

もう少し「世界」を考えろ!!!

〜完〜
516第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 23:55:46 ID:rDXaAqXP
接舷したキャリバンとアリエルはパイプやランチで人と物を運び合う。
「アイア大尉、回収ありがとうございます」
アイア「久しぶりだなネン・チャーク少尉。
コ・ピーペ、シュウリョウ・チュウも無事か?」
「はい。しかし、ロンギヌスの槍とソーラー・システムがソフィアと
モトラッド艦隊を狙っているという情報があるのです。
一刻も早く負傷したクルーの治療と戦力の建て直しを」

アイア「ロンギヌスの槍に、ソーラー・システムだと?」
「はい。ソーラーシステムWは地球連邦軍特務部隊ローゼン・ナイツ、
ロンギヌスの槍は旧カイラス・ギリーで、地球連邦軍月方面所属第13機甲師団内宇宙危機管理機関
が保有しているものだそうです」
アイア「何という適当で安易な最悪のネーミングだ。陳腐すぎる。
どうせロマニアの連中がネットで流した撹乱情報だろう」
「私もそう思います。が、とにかく早くクルーの治療を」
アイア「ん、いいだろう。部下の指示に従え」
ネン・チャークはバイザーを開けずにバカ・ネンチャック軍曹の指示に
従い通路を進んでいった。

アイア「・・・・・・・・・・あの声、どこかで聞いたな?」
ガブリエル「・・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・」
アイア「どうしたガブリエル?」
ガブリエル「いえ、思い過ごしならいいのですが・・・・・・・・・・・・・
念のため、行きます」
アイア「行く?どこへだ?」
517:2006/04/26(水) 00:06:51 ID:otNXQhJK
>>515
ウザイなぁ・・・・・・・・・いい加減ウザイから吊られてやるよ。
その疑問を解消したいならコロニーの経済についてガンダム系の資料を
一から勉強しなおせ。
そして最後に完とか付けてる時点で永遠に誰もお前を評論家とは認めないだろう。
粘着も程々にしないとそれなりの対処をするぞ。
518第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 00:20:33 ID:otNXQhJK
「うっ、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
アイア「何だ、どうした!?」
突如、コンベアの向こう岸から聞こえてきた驚声にアイアが振り向くと、
キャリバンの艦体を突き破ってガンダムチームとマジ隊・ジーク隊が現れた。
そしてジークフリードは腕部のビームシックルでアリエルの機銃座を破壊して
いった。
他のMSは素早く展開してアリエルを半円状に包囲する。
他のソフィア軍の艦が援護にこれないように、盾にするのだ。

アリエル艦内ではネン・チャークがMSデッキに向かっていた。
「私は敵MSの撃破に向かう!ザガスを一機貸せ!」
「馬鹿を言う!この状況で動くわけにはいかない!」
ガブリエル「待て、ユウリ!」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・!ガブリエル・・・・・・・・・」
メカニックマンと口論するネンをガブリエルが制した。

ガブリエル「よくこの短時間で誤報流しと鹵獲艦への偽装をやったもんだ。
ほめてやるよ・・・・・・・!
しかし、人質が三人になってはそれも無駄だな!」
ガブリエルの放った拳銃でユウリは慄(おのの)き、ヘルメットを脱いだ。

ガブリエル「やはり、ユウリか・・・・・・・・・!
素直になってくれれば殺すつもりはない。
さぁ、ノマノマが待っている。お前もレフスキ元帥の大いなる理想の一部と
なって俺と共に戦うんだ」
ユウリ「やだねっ!」
ガブリエル「ぐあっ!!!!!!!!?」
ヘルメットをぶつけられガブリエルが倒れると、ユウリは約10メートルを
疾走して拳銃を奪った。
そして周囲の人間を威嚇しながらザガスに乗り込む。
ガブリエル「ぐっ・・・・・・・・・・・ユウリ!」

519第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 00:34:31 ID:otNXQhJK
ザガスに乗り込んだユウリは足元の人間達が退避するのを待って、
ベッドに付けられた他のMS達の各部を破壊して動けなくしていく。
ユウリ「抵抗しなければ、攻撃はしません!
投降してください!」
アイア「馬鹿なことを!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ユウリ「はっ!!!!!!!!!!!!!?」
強烈なプレッシャーにユウリが身を竦(すく)めた瞬間、ランチで自艦に
脱出したアイアのバルデウスがカタパルトデッキから細く絞ったハンドビームを
放ってきた。

アイア「ガブリエル、今だ!」
アイアがユウリのザガスを押さえている間にガブリエルも隅にあって
無傷のザガスに乗り込んだ。
アイア「どうやら貴様らの中にもウィルスのプログラムに長けた奴が
いるようだな・・・・・・・
で、なければ貴様のような小娘に新鋭機のザガスの共通リモートホストが
わかるものか!しかし、残念だったな」
ユウリ「なに・・・・・・・・・・うっ!?!?!」

ユウリのザガスはガブリエルのザガスが振り下ろしたトマホークの一撃を
受けて右腕を斬りおとされた。
ユウリ「な、何で・・・・・・・・!データで完璧に覚えていたはずなのに、駆動系が
重い!出力も落ちている!?」
アイア「ふん・・・・・・・・・気付くのが遅かったようだねぇ!」
ユウリ「は、ま・・・・・・・・・・・まさか!?」
その時、再びユウリを含めた全ての仲間達があの重くて冷たいプレッシャー
を感じた。
そして同時に全てのロマニア側のMSの動きが鈍くなり、周囲を固めるソフィア軍の
艦砲射撃を容易に受けてしまう。
520第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 01:54:17 ID:otNXQhJK
アレーナ「ぐっ・・・・・・・・・・・またこの前のウィルス!」
シレジア「どういうんだ!?」
カルル「TRAPAでガードしているはずだろぉ!?」
シャーベット「新しくなってるんだ、プログラムが!」
イズモ「くっ、くっそっぉおお!!!」
ニコライ「落ち着け、落ち着くんだ!!!」

ゴッズ「全地球圏に放送する」
ニコライ「なっ!?」
その声は両者の対峙する宙域を越えて、文字通り全地球圏に放送されていた。
ゴッズ「ロマニア皇国軍は、我々の忠告を無視し無謀にも攻撃を仕掛けてきた。
我々は当初の宣言どおり、イオン・イリエスク王子を処刑する。
誠に遺憾であるが、清浄なる宇宙を作り上げるための橋頭堡だ。
さようなら、ロマニア皇国。
さようなら、イリエスク一族。
サイド7がニュータイプを生むという幻想は終わったのだ。ニュータイプすら幻想だと
わかったのだ。君達の夢は終わった」

アリエルのブリッジの中のギロチンに捕らえられたイオン王子。
その顔は死を受け入れたように静かで、まるで眠っているかのようだ。
ゴッズの手振りと共にギロチンが降ろされた。
イオンの首が胴から離れ、ブリッジの窓を鮮血で染め上げる。
ゴッズはイオンの首を持ち上げ高々と掲げる。
それは、クロノクルがマーベットの首を持ち上げた時と同じ光景だ。
521第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:05:54 ID:otNXQhJK
ゴッズ「君達の夢は終わった・・・・・・・・・・・終わったのだよ!
ククッ、ヒヒッ、ハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっハッハッ!!!!!」
その顔はまるで狂気のような笑みを浮かべていた。
いや、積年の恨みを晴らした充実の、会心の笑みは狂喜そのものだ。
近くにいたフリストもそれを気味悪がって後ずさりをしていた。

ユウリ「うっ、うっ、うわあああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
アイア「なっ、何だ!!!!?」
ガブリエル「こ、こいつは・・・・・・・・!!??」

またしても、ユウリの強烈な思念でガンダムPrincessが無人のまま
キャリバンに偽装したFBのカタパルトデッキから高速射出された。
アイア「ぐああああああああああああっ!!!!!?」
それはバルデウスの背後に直撃した。
ユウリはザガスとガンダムPrincessのコクピットハッチを口付けのように
密着させると、ハロが咥えてよこしたヘルメットをかぶる。
ユウリ「お前らは、お前らは、お前らはーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」
522第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:21:05 ID:otNXQhJK
アイア「ガブリエル、イメンシアに乗り換えろ!血路はあたしが
開く・・・・・・・・・・・ぐはっ!!?」
アリエルから脱出し上昇したガンダムPrincessのスカートヴェスバー一斉射で
バルデウスはカタパルトデッキごと吹っ飛ばされてしまった。
もはやアリエルは傷だらけだ。
フリスト「出力を調整しろ!こういう時のTRAPAだ!」
イチワ「はい!わ、わかっているのですが・・・・・・あのガンダムから妙な
電波が出てTRAPAの遂行に支障が出ています!」
ゴッズ「ぬううううっ・・・・・・・・・・!!!」
ゴッズはもはやイオンの生首など放り捨てていた。

ユウリ「そこだーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
が、次の瞬間ユウリが狙ったのはアイア隊でもアリエルのブリッジでも
無く、デブリに隠れていたヴァーナルディだった。
リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・逝く・・・・・・・・・・・・・・・」
ユウリ「覚悟しろ!!!!!!!」
激しく組み付くガンダムPrincessとヴァーナルディ。
ビームザンバーの斬撃は怒りに任せた単純なもので、ヴァーナルディの
変幻自在な三連ショットクローに対応されてしまう。

ユウリ「お前だ、お前だ、お前なんかいなくなれば!!!!!」
リリア「いなくなるのは、貴様だ」
ヴァーナルディが巨大なビームフィールドを発生させガンダムPrincessを
吹き飛ばすと、ソーラ・システムにも似た巨大なビーム砲を放ってきた。
それはFBへの直進軌道をとっていた。
ユウリ「つっぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!」
当然、ガンダムPrincessは止めに向かう。
リリアはこれを計算していたが、相手の性能までは計算できなかった。

プシィィッィィィッィィィx!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・なに?」
ビームフィールドが通用しないならば、同じ威力の戦略照射システムで
対応するまでだ。
もちろんヴァーナルディの戦略反ミノフスキー粒子照射システムは遥かに
ガンダムPrincessの胸部ハイメガ粒子砲の威力を超えていたのだが、
ユウリは周囲にいる全てのMSが展開したビームフィールドやビームシールドの
エネルギーをバルデウスの核ミサイルを防いだときのように引っ張りこんだのだ。
523第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:35:22 ID:otNXQhJK
とはいえ、この攻撃には基本的にビームバリアは通用しない。
そこでユウリは周囲から集めた粒子を両側に寄せて、ヴァーナルディから
放たれた閃光の正面に向かって細い「溝」を作った。
つまり防御のためではなく自身のメガ粒子砲を細く絞るためのコース作りだったのだ。
これでバナナの皮が剥ける様にヴァーナルディの放った閃光は四方八方に
分散していった。

リリア「バカな・・・・・・・・・・・・・・」
リリアはヴァーナルディからバックパックの照射システムを切り離し、
自動で狙撃をさせようとする。
そして自身は退避軌道をとりつつガンダムPrincessにビームキャノンを連射する。
元々長距離射撃用で格闘戦に持ち込まれては不利なMSなのだ。

ユウリ「逃がすか!!!!!!!!!!!!」
勝算はあった。いくら戦略反ミノフスキー粒子照射システムが強力とはいえ
あれほどの出力を出すにはチャージに時間がかかるし、バックパック単体の
独立行動時の戦闘力は規模的に低いはず。
つまり、本来ならばデッドウェイトとして切り離すはずの照射システムの
分離機能の使い方をリリアは失念してしまっていたのだ。

ユウリ「墜ちろ、墜ちろ、墜ちろーーーーーーーーーー!!!!!」
ニコライ「ユウリ、止まれ!」
ユウリ「えっ!?」
ヴァーナルディが再び照射システムと結合し退避していく。
ユウリ「どういうことなんです!?」
ニコライ「リガ・ミリティアがマハに襲われている!ウォレン少佐から
支援を依頼された!地球に向かうぞ!」
ユウリ「でもでも、でも!もう少しであの艦を落とせるのに!」
ニコライ「いいか、冷静になるんだ!俺達は負けたんだよ!それより、
これ以上周りの人たちを死なせちゃいけないんだ!地球に行けばウッソさん
達を助けることにもなるし、モトラッドUも止められる!連中が追ってくれば
そこで決着も付けられるんだ!今度こど連邦も指を咥えて見ている訳には
いかなくなるだろう!撤退するんだ!」
ユウリ「うっ、うっ、うわあああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああ・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」
号泣しながら、ユウリはアームレイカーやフットペダル、全天周モニターを
ヘルメットで叩き付けた。
ハロ「ハロォ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
524第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:46:52 ID:otNXQhJK
キャスト
ユウリ  かないみか  アイア     折笠愛
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか




525第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:55:01 ID:otNXQhJK
キャスト
クロノクル 壇臣幸   ルペスク   津田健次郎
テーベ   戸谷公次  ドミトレスク 関智一
イチワ   水樹奈々  ガブリエル  松本保典
ゴッズ   屋良有作  タマリー   高橋広樹
フリスト  関俊彦   アンジェイ  茶風林
青年    山寺宏一  老人     清川元夢   



確かな男を        見つめればいい
526第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:57:16 ID:otNXQhJK
原画
森崎工事  戸田和幸   斉藤久人  菅野宏紀
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
藤井真紀  甲斐借家   只野和子  伊藤郁子

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間





527第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:00:20 ID:otNXQhJK
動画
釜多大儒   西村誠芳   蟋蟀里美    金山明博
道教陰陽   北崎拓    大蟻九位   愛野聖名子
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない




528第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:05:19 ID:otNXQhJK
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   それが          それが        いま 





529第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:11:49 ID:otNXQhJK
背景 IG新潟               デジタル撮影 大橋正弘
   スタジオぎゃろっぷ                 金沢芯   
デジタル彩色 サンライズ台湾               高木良成
       ジョージ・ヨナシロ             柳沢正行           
色指定 津波聡                      藤田康成
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない




530第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:14:39 ID:otNXQhJK
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて






531第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:29:45 ID:otNXQhJK
脚本   まついひとゆき  演出   西森章
作画監督 菅野宏紀     絵コンテ 西森章





        PRINCESS         SHOWER







532第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:48:10 ID:otNXQhJK

          次   回   予   告


ユウリ「マハがライプツィヒまでカミオンを追いかければ、ウォレンさん達を
反連邦の逆賊と看做した連邦軍は、モトラッドUが地上を整地しても何の対応も
しないって酷くない!?
そんなんだからカミオンも壊されちゃってスージィさんも死んじゃうんだよ!
こうなったら、誰も味方してくれなくたって戦うしかないじゃない!
   
   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

               さらばカミオン

          ガンプリは、みんなで見てね!






533第三十五話「さらばカミオン」:2006/04/26(水) 23:10:48 ID:dxTAEm8N
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS








534第三十五話「さらばカミオン」:2006/04/26(水) 23:44:40 ID:dxTAEm8N
サイド2のコロニー政庁「ソフィア」が地球連邦に宣戦布告してから半年以上が経過した。
現在、地球連邦軍全体としての対ソフィア軍事行動は起きていない。
明確なアクションが無くとも攻撃を受けた各サイドやコロニーの駐留連邦軍や
現地市民の抵抗で何とか紛争の域を出ないレベルの被害で済んでいるからだ。
ソフィアが現時点で制圧した地域はウーイッグを中心にした東ヨーロッパ各所。

そのうち、ブダペストとコソヴォはリガ・ミリティアによって奪回されたものの、
後にウーイッグ制圧部隊の攻撃で再び占領下に置かれた。
ネオ・ザンスカールが地球へのモトラッドU降下・整地作戦を決行したのも、
この地を明確な拠点として確保したいからだ。
その上で、過去の宇宙戦争で幸運にも大きな被害を受けてこなかった西ヨーロッパ
制圧へ乗り出すのである。
元はといえばダイタロスガンダムを連邦から譲り受けたモンテネグロのスーパーサイコ
研究所のコネクションでゴッズ・イン・ヘブンは漁夫の利を狙うマハを地球上での
味方に付けたという事実があった。

それによって地元のゲリラを駆逐されても、リガ・ミリティアから支配地域を奪回
することができたのである。
さしあたってマハは、「地球の不法居住者摘発」の名の下にカサレリアへの攻撃を
開始した。
この点でソフィアとマハの利害は完全に一致していたのである。
警察機構を統括するグレゴリー・ヨクサン長官は兵器不況によるバブル・リバウンドも
あって地球上の人口を一人でも減らしたいと願う派閥の急先鋒であったが、彼は他の
官僚と違ってソフィアとのコネで手に入れた武力と技術がある。
後に、彼らが現在の思想やスタンスと逆行するような主義を掲げる跳梁となるのだ。
535第三十五話「さらばカミオン」:2006/04/27(木) 00:19:30 ID:ogR4v1yl
ウォレン「対空砲火!弾幕薄めるな!」
クッフ「やってますよ!」
エリシャ「街に入るわ!これで敵も攻撃を弱めるはずよ!」
マルチナ「ねっ、姉さん!前方に降下してきたわ!」
カレル「僕が食い止める、早くライプツィヒへ!」
シャクティ「うっ、うっ、ううううう・・・・・・・・!!!!」

マハのMSヴェストールの群れに追われるカミオンのキャビンの中は騒然としていた。
ようやく断崖絶壁の山岳地帯を抜けてライプツィヒの街が見えてきたところで、
シートの一つに座っていたシャクティが呻きだした。
お腹はパンパンに張っており、今にも破裂しそうなほどの熱く躍動感あふれる
鼓動を響き渡らせている。
ウォレン「シャクティ!大丈夫なの!?」
シャクティ「だ、大丈夫・・・・・大丈夫よ」
ウォレン「ここは危険だ、奥へ!」

ゲリラ戦用の機銃やバズーカではマハの新鋭MSに歯が立つはずもなく、カミオンに
直接弾幕を張る砲台はジェムズガンが引き受けていた。
ヘビーガンとジャベリンがいくら抵抗したとしても、ヴェストールの戦闘力には
歯が立たなかった。
若手達を率いるカレルにも焦燥感が滲み出る。
カレル「くそっ・・・・・・・・・・FB!早く来てくれーーーーーーーっ!!!!」
536第三十五話「さらばカミオン」:2006/04/27(木) 00:58:37 ID:ogR4v1yl
サイド2宙域での激戦から一日と少し、フェレンツバロシュは止む無きこととはいえ、
僚艦の随行を全く得ぬまま地球の静止衛星軌道へ到着していた。
イオン・イリエスク王子の、結局は失敗に終わった奇襲による救出作戦において
敵軍のゴッズ大佐は王子を解放する条件としてロマニア皇国軍とそれを支援する
全ての勢力の即時武装解除を要求した。
これに対し、ダミーとして一応は全ての友軍に撤退命令を出したのだ。
これはサイド2に戦力を傾けていたために即座に本国の防衛ラインを修正しなおす
意味もあったのだ。

しかもリガ・ミリティアとの協力体制はあくまでFBのみのものであり、それ以上の
協力は仰げない。
ただでさえ王子の戦死で、皮肉にもリガ・ミリティアのオイ・ニュング伯爵がギロチンで
処刑された時とは正反対に皇国軍とソフィアに対抗する全ての勢力の士気は日に日に
下がっており、今更地球を守ってやるなど、スペースノイドとして自分達の住む土地
第一の精神を覆すことは出来なかった。

しかし、来てしまったからにはやるしかない。
ニコライには、東ヨーロッパを奪回して現地の連邦軍人にかけあい今度こそ援助を
引き出さなければ、という思いもあるからだ。
FBの無断運用の汚名、そしてロマニア本国への経済援助打ち切り。
全てがソフィアのシナリオ通りに動いている。
ここで連中の勢いに歯止めをかけなければ、それこそユウリの言うとおり、
これまでやってきたことが全て無駄になってしまう。
ニコライ「モトラッド艦隊、まだ捕捉出来ないのか!?」
537第六話「本気の友情」:2006/04/27(木) 01:22:28 ID:ogR4v1yl
仮眠をとって後、ユウリは昼食をとるために食堂へ向かっていた。
もう何日、学校へ行っていないのだろう?
シレジアやノマノマ、アレーナ達とバカ騒ぎしていた日々が懐かしい。
地球へ降りて、その後ロマニアに戻ってからは学校の機能も全て皇国に
戻されて自分達は皇国軍と聖コンスタンツァ学園を結ぶ特別強化指定生徒の
制度に助けられ、一定の単位が免除されるようになった。
しかし、そんなことはどうでもいい。
ただ、あのころの慎ましくも平和な生活に戻りたいだけだ。

イズモ「よ、ユウリ!よく眠れたか?」
ユウリ「少尉!・・・・・・・どうしたんですか?」
イズモから話しかけてくるなんて珍しいことだ。
イズモ「あ、あのよぉ・・・・・・・俺も軍属の先輩としてだな、そのぉ・・・・
これまでお前らに先輩らしいことをしてやれなかったと思うんだ。
そりゃ、まだ女子高生だ。
戦争が辛いのは当たり前だろ?
だから、悩みがあったら何でも言ってくれ。聞いてやるからさ」
ユウリ「あ・・・・・・そりゃ、あの・・・・・・ありがとうございます」

自分より10メートル身長が高いイズモに対し、少し上目遣いに頬を赤らめた
ユウリは言葉を拙く搾り出すように返した。
イズモ「あの、さ。
覚えてるだろ?フォン・ブラウン。あの時、女子高生は電車でケータイでも
いじってりゃいいんだって、言ったのまだ怒ってるか?
だったら、謝るよ。お前は間違いなく凄腕のパイロットだ。
どこへ行ったって通用するよ。うん、俺が保証してやる。
だから、悩むことなんてねぇんだ。俺達みんな、ユウリがいなかったら
死んでたんだからな」
538通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 03:12:02 ID:???
その時は ・・・



要塞の様らしい。

539通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 21:18:30 ID:kO3h1a8t
ソード出して
OK?
540:2006/05/04(木) 00:41:27 ID:IJGsfj6C
ぬぉーーーーーー復活したぞ!!
風邪ひいた!
寝込んでた!!
そんだけ!!!
541通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:43:45 ID:???
その時は・・・




ー 完 ー
542第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/04(木) 01:05:18 ID:IJGsfj6C
イズモは頭を掻きながら、目を逸らすユウリを見つめる。
彼自身も自分の中の感情を確かなものとして肯定できてはいなかったが、
今やっていることは仕事なので、肯定する、否定する以前にいみじくも
イズモ自身が言ったように、フォン・ブラウンの時のように過剰に否定する
ことなく、かといって年端も行かない女子高生に軍人の自分がへーこら
するわけにもいかない。
だから、とりあえず最低限の「職場的コミュニケーション」を取ろうとしているのだ。
例えるなら新入社員の副店長と優秀なバイト店員の関係である。

イズモ「じゃ、俺は自分のMS隊の整備を監督しなくちゃならんから・・・・
あ、そうだお前も!
今度から自分の乗る機体のパーツや燃料を各自で発注する事になったの、
知ってるよな?ちゃんとやれよ」
ユウリ「あ、はい!がんばります」
そう言い残して、イズモはMSデッキへ去っていった。
取り残されたユウリはイズモの妙な人の良さに戸惑いをおぼえて一人
立ち尽くしていたが、そこに迫る影があった。

シレジア「わっ!!!!!!!」
アレーナ「う、わぁ!!!?なにっ!?」
突然後ろから抱き押さえられたユウリとその上に覆い被さるシレジアは、
傍目からするとデートの待ち合わせをしていたカップルのようである。
シレジア「ユウリ、気付いたかい?」
ユウリ「気付いたって・・・・・・・な、何を」
シレジア「そりゃあオメェ、少尉の態度がいつもとえらく違うってことさ」
ユウリ「そ、それは気付いたけど・・・・それがなに?」
次にシレジアが何を言うかわかってもいたのだが、それは長年の付き合いだから
ではなくて、この手の話題に敏感になったからだとわかっているからこそ、
ユウリは頬を少し赤らめたのだった。
543第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/04(木) 02:12:44 ID:IJGsfj6C
シレジア「なぁんだ、オメェまだ気付いてねぇのか?
イズモ少尉の気持ちにさ。ったく、可愛い顔して罪作りだよ・・・・・その鈍感さ!
なんかアイアおばさんの気持ちもわかるぜ」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・」
ここで「わかってるよ、イズモ少尉はあたしのことが好きだっていうんでしょ」
とでも言ってしまうとする。
それは自惚れだろう。それこそ、いみじくも名前が出たアイアのいつも言っている
賢しい小娘そのものになってしまうので、いつものようにシレジアのイジりを
無視するようにユウリは起き上がって何処かへ立ち去った。

シレジア「ユ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
呼び止めようとして、やめた。
ここから先は本当に戦争を実感する戦いになる、そう言ったのはシレジア自身だ。
事実その通りになったからって、全然偉くもなんともない。
自分がもっとしっかりしていれば、恋愛沙汰・色恋話に現(うつつ)を抜かしたり
していなければ防げた犠牲もあったはずだ。
そう、ここは友達と遊ぶ場所じゃない。戦争をやってる戦艦の中なんだ。

それをわかっているのに、ユウリの温もりを求めたのは、それこそ目の前で人が
死ぬのを見ればいつもの日常の中にある安心感に浸って自分を落ち着けたいと
思ったからである。
だが、今のシレジアにはニコライがいる。
ニコライに精神的充足を求めることはできないのか?
それも駄目だろう。彼はこの艦を、そして今やロマニア皇国軍を預かる立場だ。
そして、王子の生首を見れば、ニコライが同じ目に遭うことを想像して余計に
会うのが怖くなるのである。生理も乱れる道理なのだ。
544:2006/05/05(金) 13:48:44 ID:???
いろいろ考えた結果、無断で個人・会社名を引合に出し、さも公式であるかの装いをした為、三十五話をもって終了致します。
関係各位に大変なご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ありませんでした。
なお、新作・続編を製作しようとする計画もありましたが、二次創作の範疇を越える為、中止致します。
545通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 14:05:39 ID:twpaWDy1
しつこいのが多いね
546通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 14:49:51 ID:nTXFPliy
良スレあげ
547第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/06(土) 04:48:53 ID:jvJq9vxT
ドミトレスク「艦長、機影です!二時の方向!」
ニコライ「いや、いい・・・・・・・・・・・モトラッド艦隊は!?」
ルペスク「ダメです・・・・・・・・ミノフスキー粒子は哨戒濃度ですが、それでも衛星軌道に
それらしき質量は確認不能です。
おそらく既に大気圏・・・・」
ニコライ「それ以上はいい。
連中が足止めに出した部隊だろう。突破するぞ!ミサイル発射だ」
ブリッジのその声と同時に、フェレンツバロシュ全体が戦闘体制に入った。

MSデッキでも全てのパイロットが準備を終えている。
ニコライ「聞こえるか?
敵MS群の先頭にはザガスと、未確認のものもある。TRAPAシステムのガイダンスに
頼りすぎるなよ」
イズモ「わかってますよ、艦長!うちらマジ・デウゼー隊はデータの取得に専念させて
もらって、随時ガンダムチームとジーク隊のTRAPAに送信しますんで。
イズモ・カトウ、マジ・デウゼー出るぜ!」
シャーベット「さすがだな、少尉・・・・・シャーベット・イノエ、ジークリンデ出ます!」
カルル「よし・・・・・・・・・今日が俺にとって勝負の日だな。
カルルマン・ドゥカートゥス、ジークフリード出ます!」

全てのMSがFBと共にそのまま大気圏突入後にモトラッドU艦隊を捕捉・追撃する構えだ。
アレーナ「今は、ノマノマさんのことも、全ての余計なことも忘れなくては・・・・・
アレーナ・ヨルダネスク、ツルベナ・ズベズダ出ますわ!」
シレジア「ユウリ、出遅れんなよ!
シレジア・ファン・ホーヴェン、ナディア・コマネチ出るよ!」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・・・・よし・・・・・・・・・・・・敵を倒す。倒すんだ・・・・・・それは、最後に
大切な人をみんな救えることなんだ・・・・・・・・それを、信じるしかないんだ。
ユウリ、ガンダムPrincessいきます!」
マジ、ジーク隊に続き、赤・青・白の三機のガンダムタイプがカタパルトデッキを飛び立った。
548第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/06(土) 04:58:59 ID:???
その頃、モトラッド艦隊は大気圏の高熱を圧倒的な出力のビームフィールドで
突破しドレスデンへの降下軌道シークェンスをとっていた。
旗艦クィーン・マリアはビームフィールドの連結のための艦隊配置から、
戦闘体制に移行するための修正指示で慌しくなっていた。
地球連邦軍に動きが見えない以上、それを警戒する手は無い。
問題は既にライプツィヒまでカミオンを追い詰めているマハとのバッティングを
避ける作業だ。

テーベ「クロノクル総統!
ショスタコーヴィチのジェロニモ部隊が出撃許可を求めています」
クロノクル「ショスタコーヴィチが?
それはともかく、何故いまジェロニモなのだ・・・・・・・・・世間に余分な詮索を
させるだけだろうに・・・・・・・が、静止衛星軌道に配置した部隊の数を考えれば
テストも兼ねて出すも止むを得ないところか。
いいだろう」

クィーン・マリア両舷のMSデッキから、頭部に羽飾りをつけた筋肉質のGMが
次々に射出される。
中欧安全保証機構ヘキサゴナーレは旧世紀から長い年月をかけてアルプス対空砲火線を
築いた。
ここを突破するのに、各勢力への顔向け・調整を考えているヒマはない。
そうしていてはやられてしまうからだ。
クロノクル「イヴァン大尉からの連絡はまだか!」
549第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/06(土) 05:20:31 ID:jvJq9vxT
地球の静止衛星軌道では、FBのMS部隊が敵の防衛網を突破する戦いを始めていた。
太い火線、細い火線、磁場、粒子が目まぐるしく交錯する。
まさしく、地球を巡る戦いの正念場である。
クロノクルはマハに期待して、さらに地球リクリーン作戦の先にある真の目的に
向けての意味であえて保有MSの四割をここに配置したほどなのだ。
ユウリ「む、ザガスっていうのが数機・・・・・・・・ってことは、両脇の一機ずつが、
新型なのか」
ザガスには、ヴァホウスの隊がそれぞれペアを組んでいた。

近接戦闘用のザガスに、中・遠距離射撃用のヴァホウス。
ユウリも苦戦したようにこの二機はコンビネーションで動く。その為、ネオ・ザンスカールの
中でも特に意思疎通のあるパイロット同士がペアを組むことになっていた。
その中には恋人同士も含まれていた。
ガンダムチームの驚異的な火力は、彼らの未来の門出を阻む悪魔の力だ。
それでも彼らは進まなければならない。
理想の社会のため、そこで安心して暮らせる夢を願いながら・・・・・・・・・

アレーナ「悪いけど・・・・・・・・・一掃する!」
シレジア「オッケイ!」
ユウリ「よし、いこう!」
ガンダムチームがスカート・ヴェスバーを一斉射した。
しかし、敵MS群もシャカが素早くロータス・フィン・ファンネルを展開して味方機の
半数以上をスッポリ包み込むバリアを形成した。
その数は尋常ではない。シャカもかなり量産が進んでいるようだ。
蓮の花のような形をしたファンネルのバリア帯が消えたのと、ヴェスバーの嵐が止んだ
のはほぼ同時であった。
縮退率を細かく調節すれば薄い部分を狙うこともできたろうが、ガンダムチームの
ビームフィールド連結は大気圏突破に不可欠。ここで出力の無駄遣いは出来ない。
550第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/06(土) 05:58:52 ID:jvJq9vxT
ヴェストールの攻撃は、ライプツィヒの街中にも被害を及ぼした。
ウォレン達はカミオンのホロを被せたMSの荷台を森の中に隠し、さしあたって
クルー達を市民と共に聖トーマス教会に避難させた。
この街は、文化・芸術・政治経済的な面で旧東ドイツ地域の要となっている。
ここを破壊されることはあらゆる人に心理的動揺を与える。
そして地元の人々はリガ・ミリティアを厄介者と感じていることも事実だった。

「なーにが、中欧安全保障だよ」
「厄介なモンを抱えこんじまったな」
「この時代に地上戦なんてやっからよぉ」
耳に痛い言葉の数々は、シャクティの腹にも響いていた。
一人の若手クルーがシャクティの額に水で冷やしたタオルをあてる。
シャクティ「あ、ありがとう・・・・・・・・・・・」
「いいんですよ」
いつまでも、ここに世話になるわけにはいかないだろう。
カサレリアを奪われ、退却せざるを得ないとはいえそれは同時に戦線を自分達の
都合で広げていることにもなるからだ。

ズドンッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「きゃっ!!!!!!!!」
「何だぉ!?」
「く、ああああああ!!!!!!!」
「リガ・ミリティアは、何してるんだ!」
ライプツィヒの街が泣いている。
路上に転がったゲーテや森鴎外の銅像の首も、泣いている・・・・・・・・・・
空を覆う厚い雲の、慈悲だろうか。
551第三十五話「さらばカミオン」
再び、衛星軌道。
散開したネオ・ザンスカールのMS部隊に混じっていた二機の新型MSの
うちの一機がズベズダに組み付いた。
アレーナ「ぐっ、うう・・・・・・・・・・!」
アームレイカーをしっかり握り締めたまま振動で上半身を倒され、亜麻色の長髪を
揺らすアレーナ。そして、全天モニターで背後のMSを視認する。
アレーナ「これは・・・・・ハジ!?い、や・・・・・・違う」
イズモ「マジ!?マジだと!?
野郎共、鹵獲したマジをパーツに使いやがったなーーーーーーっ!!」

いきり立つイズモが口角に泡をこぼして隊を離脱する。
が、ズベズダを解放したハマジはビームサーベルの一閃でイズモの突進を
受け止める。
イズモ「ぬうううっ・・・・・・・マジ・デウゼーは連邦とロマニアの信頼の絆だぞ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
パイロットは頭部バルカンと脚部ミサイルポッドを使ってイズモのマジの
体制を崩す。
イズモ「あ、ぐぉあ!便利に出来てやがる・・・・・・・」

しかし、ガンダムチームの隊列を修正するのには役立った。
アレーナは素早くシレジア、ユウリと合流する。
もう一機のハマジは各局面をこまめにフォロー砲撃。戦線は完全に膠着した。
カルル「イズモ少尉!ここは俺に任せて!」
カルルもジークフリード隊から離脱してハマジに突進していった。
イズモ「カルルか!・・・・・・・・・・・・すまん!」
妙な行動をとるこのハマジはともかく、もう一機のデータを取って各機のTRAPAに
送信すれば確実に道は開ける。イズモは的確な対応をした。

しかし、こちらのハマジに乗るパイロットは熟練のようだ。
カルルも全力で互角の戦いを演じていたが、ハジとマジの機能を兼ね合わせた
それを上手く生かして、寄せ付けない。
ギィィッィン!!!!!!!!!!!!!!
交錯したジークフリードとハマジがビームサーベルを交差させ火花が飛び散る。
カルル「こ、このパイロット・・・・・・・・何だ!ケレン味がある・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
カルル「何・・・・・・・・・・・・・・・何なの、この手触り!?
会ったことがある人!?でも・・・・・・・・」