Zのヤザン・ゲーブル大尉が主人公だったら?

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1ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D.
 いつの間にかヤザンスレが落ちてたなんて知りませんでした…! ヤザンスレの火は消してはイケマセン! 
さあ、貴方も作品の枠に囚われず、ヤザン・ゲーブル大尉をあらゆる作品の主人公にして見ませんか?
ヤザンスレ三発目! エウティタDXことZガンダムVSガンダムや、Zの総集編で大尉の勇姿が見られるその日まで! 

前スレ:ヤザンが旧シャア板ガンダムの主人公だったら?
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/x3/1068556244/l50

前々スレ:ヤザンがファーストの主人公だったら  
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1063739248/

 ネタでも罵声でもSSでも構いません! ヤザン大尉を知っている方こそ、このスレには必要なのです!


2通常の名無しさんの3倍:04/10/22 10:57:43 ID:rW6pi9rx
糞スレ立てんな
3ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :04/10/22 11:02:14 ID:???
【お前が】キャラを入れ替えるスレ3人目【俺で】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/x3/1069332084/l50
【リプレイ】キャラを入れ替えるスレ4人目【G】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/x3/1097041258/l50
で書いてたSSの続きをスレ即死予防に上げます…。

ヤザン−ユウ 第七十八章

 俺と『ブルー』から距離を取った、NT−1がビームライフルを放つ。…脚に06を組み付かせたままではAMBACすら
まともに使えない。俺は撃墜する機体に優先順位を付ける。 …『ブルー』のリミッターが発動し、停止するまで…後…!
 マシンガンを持つ、もう一機の06高機動型に躊躇いが見えた。…甘い! 甘すぎる! 付け込まれるぞ?! 狡猾な敵に!
先ずは奴からだ! 折角僚機が俺の、ブルーの足止めに成功したと言うのに、射撃に躊躇してどうするかよ! 馬鹿が!

 「敵の前で、しかも、俺の目の前でッ! そんな迂闊な真似をッ! 」

 ブルーのスラスター推力は強力だった。バックパックだけの噴射で、コマンドの付かない素のGM並みの速度を得られた。
俺は脚に06をへばり付かせたまま、その激甘ちゃんに吶喊する。ようやく我に返ったマシンガン持ち06の、パイロットが
ブルーに砲口を向けたその時、俺はブルーの脚を下げ、その射線上に組み付いた06を露出させる。…撃つか? 撃つのか?!

 「…決断が遅いッ! 撃ったのは褒めてやる! ほら、持って行け! 俺からのご褒美だッ! 」

 脚にへばり付いた06が着弾の衝撃で離れ、奇妙なダンスを踊った。衝撃がブルーに一瞬伝わり、コックピットの俺の身体に
心地良い刺激と為る。残念だが、決断が遅かった。それ相応の速度で、06同士が衝突する。…兵士に為り切れん甘ちゃんが!
MS戦闘時に迷いは禁物だ! 一瞬の判断が生死を分ける! スティックとペダルを常に意識しておけ! これで2機は黙らせた!
 さあどうする? 『ソロモンの悪夢』? 眼前に『蒼い死神』の無慈悲さを見てブルッたのか? このまま仲間を見捨てて逃げ…?

 「来たなッ! やはり戦友は見捨てて置けんか?! 色付き! …フン! 『ALEX』、そいつと仲良く連携か! ビームでは
 俺は無理と判断か! だがなッ! この俺はなッ…お前らが想像する、データサンプルのッ、初心者どもでは無いんだよッ! 」

 09が青白く発光するヒート剣を抜き、ブルーに向かって来ると見せかけて、モニターの上端に移動する。…上方からの奇襲だ。
だが、そんな正直な行動は欠伸が出る程に読める。…舐めているのか? 連邦のMS乗りを? …ここは一つ、教育せねばな!
俺はAMBACで即、上方を向き腰部ミサイルを2連射する。…これくらい切り払えよ? 簡単に出来るだろう? …あぁん?

 「く、喰らうかよそれを! それも大事な大事な虎の子のっ、ビームバズーカを盾にして…情け無いッ! …拍子抜けだ! 」

 俺はもう、相手をする気を無くした。どんなに喰い応えが有るか期待したが…この程度とは! ビームライフルでヒート剣を持った
右腕を吹き飛ばす。もういい。俺の相手はもう、NT−1だけだ。俺は即座に、『ブルー』の左脚からビームサーベルを抜き、慣性を殺し
切れずに突進する『色付きの09』の両足を膝から綺麗にスッパリ斬り落としてやる。達磨にしてやれば邪魔も出来まい! 止めに頭部
バルカンでモノアイまで潰してやる。…仲良くオネンネしていなよ? この『ブルー』、『蒼い死神』に狩られる『悪夢』でも見ながらな?
 …胴体だけに為った09の機体が接触する。さあ、最大限に屈辱的な、イカす台詞でも聞かせてやるとするか! 

 「情け無いッ! 鎧袖一触とはこの事か! この見かけ倒しの張子の虎がッ! 」
 《…蒼いGM…二度と忘れんッ…! 》
 「ほう…? まだやる気かお前さんは? 暢気に次が有ると思ってるのか? 死にたいのか? アナベルちゃん? 」
 《!!…我が名を何故…!? 》

 俺がその暢気な台詞に思わずビームサーベルで止めを刺そうとしたその時、本当の俺の『敵』がビームを6発撃って来るのが見えた。
俺はすかさず『ブルー』をロールさせ、全弾『華麗に』回避する。…悪いな? あんまり遅いんでお前を忘れていたよ、『ALEX』っ!!

4ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :04/10/22 11:08:52 ID:???
ヤザン大尉の、自分の欲求に正直な『軍人』キャラクターにオイラは魂を魅かれています。
トンガリつつも己の美学と職分を忘れずにいる所が大好きです。そんな大尉を他の作品で暴れさせてみたい!
という熱い思いを抑えきれずに一年…! とうとうビクビクしながらヤザンスレを立てるまでに至りました!
ネタ、ありませんか? …以上です! 
5通常の名無しさんの3倍:04/10/22 22:42:18 ID:???
ヤザンはしんだ。ZZで。
6通常の名無しさんの3倍:04/10/23 01:15:53 ID:???
ヤザンの魅力はコロニーお年や毒ガスという非人道的な戦いを嫌う点だと思う
7通常の名無しさんの3倍:04/10/23 07:39:42 ID:???
ヤザンはいいひと
8通常の名無しさんの3倍:04/10/23 17:07:33 ID:???
よーし、3回しろ!!!
9通常の名無しさんの3倍:04/10/23 17:23:12 ID:???
ハンブラビでゼントラーディ兵を
パンチで一人ひとりミンチにしていくヤザン
10通常の名無しさんの3倍:04/10/24 19:48:40 ID:???
種ガンダムのお子様達を片っ端からミナゴロシにするヤザン。
11通常の名無しさんの3倍:04/10/25 10:37:45 ID:???
>>6
単に自分の手で相手を殺したいだけじゃないのか。
12通常の名無しさんの3倍:04/10/26 16:22:58 ID:l76po7fU
マジレスするが、ヤザンは面倒見がいい。
13通常の名無しさんの3倍:04/10/26 16:42:35 ID:???
シロッコとも気があう魅力を持ってるヤザンさん


あの二人はどこが惹かれあったのか不思議だ
14通常の名無しさんの3倍:04/10/26 18:49:55 ID:???
ヤザン曰く
「腹黒いところに惹かれました」

シロッコ曰く
「戦争をゲームのように楽しんでいるのに共感しました」
15通常の名無しさんの3倍:04/10/26 19:25:42 ID:???
こんなヤザンは嫌だ




亀の刺青がクイーン・ザ・スペードになっている
16通常の名無しさんの3倍:04/10/26 20:14:55 ID:???
ガンダムVSZガンダムの宇宙世紀モード。
アムロと一緒にジャブローのシャアを迎撃するわけだがあのシャアって撃破できるのかな?
ミッションモードみたいにシャアの耐久力だけ異常とか復活が発動してその後無敵とかありそうで結局倒せそうにない悪寒。
17通常の名無しさんの3倍:04/10/27 00:21:20 ID:???
十万馬力でパンツ一丁のヤザン大尉が人の心について語ったり…




とか言ってみるテスツ
18通常の名無しさんの3倍:04/10/27 01:14:04 ID:???
グリプス戦役の名パイロット達の隠された真実を明かしていく

その名も真相報道(以下略
19通常の名無しさんの3倍:04/10/27 15:31:55 ID:???
初代に出てきた、シャア専用ズゴック登場の回に出てきた『ビームライフル装備のGM』が存在する。
あの回はシャアの『GMぶち抜き』だけがクローズアップされているが、実はそんな機体が登場してたりする。

で、今回のIFモードだ。

 ヤザンがジャブローにいた事が公式になれば! そう、晴れてヤザンは初代キャラと『タメ』を張れる偉大な
存在となるのだ! こんなにうれしい事はない! そうさ! ビームライフル装備GMにヤザンが乗っていたのさ!

 コイツは決定事項にしてもいいくらいの設定だと思わないか、ヤザン好き!
20通常の名無しさんの3倍:04/10/27 22:57:36 ID:???
やざん様はジャブロー防衛戦のとき
ファンファンでアッガイとザクとグフをおとして
ジャブローのドン亀とおそれられたそうです
21通常の名無しさんの3倍:04/11/03 05:35:52 ID:fc+1Lho5
ヤザンが料理番組の主人公だったら…? 「食いしん○バンザイ」

「激マズなモン食わせんな下手糞! これは豚の餌以下だ! 」

正直過ぎてスポンサーから打ち切りを喰らうが、視聴者の大好評にて復活。
22通常の名無しさんの3倍:04/11/05 10:41:59 ID:???
さっきAT-XでSDガンダムフォースを見てたわけだが……怖い想像をしてしまった。

胃に穴が空くハロ長官。
23通常の名無しさんの3倍:04/11/13 03:05:37 ID:???
ヤザン・ゲーブルを主人公とするならば、ガンダム・アナザーストーリーとして一年戦争ゴテゴテミリタリーでやってほしい。
24通常の名無しさんの3倍:04/11/13 04:06:14 ID:???
どこかのスレで読んだヤザンよユウ・カジマの組み合わせは秀逸だった
25通常の名無しさんの3倍:04/11/13 04:08:49 ID:???
却下
出撃のたびに縮み上がったキンタマを揉むシーンを見たくない
26通常の名無しさんの3倍:04/11/13 04:16:40 ID:???
ユウは金玉ちじませるようなぼうやじゃないだろ
27通常の名無しさんの3倍:04/11/14 11:35:29 ID:???
>>25
某曹長みたいに縮み上がった金玉を蹴るよりはマシだろw
28通常の名無しさんの3倍:04/11/15 04:23:38 ID:MMgTH6qx
金玉談義よりも、ギレンで指揮が低く描かれるヤザンは間違っていると思う漏れ。
29通常の名無しさんの3倍:04/11/15 05:11:32 ID:???
一年戦争の撃墜数を見る限りヤザンさんは一年戦争じゃ30機も落としてはないんですね
30通常の名無しさんの3倍:04/11/17 17:15:23 ID:mL3MfVg6
きっとジャブロー勤務だったんだよ。優秀過ぎて基地防衛隊だったとか。
31通常の名無しさんの3倍:04/11/17 17:37:18 ID:???
ヤザンさん「今まで食べたパンの枚数なんて覚えていません」
32通常の名無しさんの3倍:04/11/17 17:54:59 ID:???
ツェペリさんが歯軋りしちゃうなw
33通常の名無しさんの3倍:04/11/17 17:56:11 ID:???
etukd
34通常の名無しさんの3倍:04/11/20 03:52:55 ID:KkrAIRIp
今度の新作でワンカット扱いで無いことを祈る。
35通常の名無しさんの3倍:04/11/27 00:16:20 ID:???
なんというか、ヤザンはZの中ではかなりまともな軍人だよな。
まぁ、「Zの中では」だけど。
36通常の名無しさんの3倍:04/11/28 14:51:30 ID:???
>>28
どのゲームもヤザンの能力低いね。
そのわりにテロリストが強いし…
37通常の名無しさんの3倍:04/12/01 13:10:01 ID:0WfjlIhw
きっと新作では高くなるよ。Z3部作の後だし。
38通常の名無しさんの3倍:04/12/01 14:03:53 ID:???
>>36
十分に高い
牙刀が高すぎるだけ
39通常の名無しさんの3倍:04/12/01 18:46:36 ID:???
ヤザン隊長最高!
今日もハンブラビ!
40通常の名無しさんの3倍:04/12/01 21:07:54 ID:???
ヤザンに百式あげたら気合いでカミーユに勝てそじゃね?
41通常の名無しさんの3倍:04/12/02 08:03:56 ID:???
百式はロートル機なので
42通常の名無しさんの3倍:04/12/04 15:53:56 ID:CGgmTelw
いや、シャアが百式のポテンシャルを活かし切れてなかっただけ。
ヤザンさんの野生味、獣性に期待したいところではある。
ランチャーなんてデカイ飛び道具は使わんだろう。機動性命のヤザンなら。
43通常の名無しさんの3倍:04/12/04 16:04:45 ID:ySJNQ5yd
一年戦争の時はヤザンはGMに乗ってたのか?
それとも量産型ガンキャノンとかか?
44通常の名無しさんの3倍:04/12/04 16:24:41 ID:???
カプコンのおかげでGM乗りにされそうではあるね。
ジャブローに在籍したことにも。…シャアズゴと対戦経験ありにも。
45通常の名無しさんの3倍:04/12/04 18:59:16 ID:???
ヤザンにはMAが似合う気がする
46通常の名無しさんの3倍:04/12/05 00:16:25 ID:???
ジムライトアーマーが似合いそう
47通常の名無しさんの3倍:04/12/07 16:09:32 ID:60dmaB/8
ヤザン・ゲーブルという若いパイロットからの要望書である。

そんな事よりジム作った奴よ、ちょいと聞いてくれよ。
このあいだ、ジム届いたんです。ジム。
そしたらなんか、俺パイロットに選ばれてるんです。
で、乗ってみたら機動性低くて話にならないんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、俺様の野性の反射神経について来れない機体作ってんじゃねーよ、ボケが。
ノロマなんだよ、ノロマ。
なんかもうザクに負けてる奴とかもいるし。それは見て見ぬふりか。おめでてーな。
ザクを上回る高性能、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、装甲削っていいから機動性上げろと。
俺様はな、このあいだまでトリアーエズに乗ってたんだよ。
ドップのバルカン一発で撃ち落とされてもおかしくない、
生きるか死ぬか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。チキン野郎はすっこんでろ。
で、装甲削れって言ったら、整備士の奴が、貴方の安全を考慮して、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、安全も糞も勝てなきゃ意味ねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、高い生還率を確保、だ。
お前は本当にジオンに勝ちたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、MS作ってみたかっただけちゃうんかと。


文面は以上である。
…この提案書の有効性を認められ、GMライトアーマーが誕生したかは、定かでは無い。
48通常の名無しさんの3倍:04/12/07 18:32:56 ID:???
バイストンウェルに召還されれば活躍しそうだな
ヤザンの珍生スレっぽいけど
49通常の名無しさんの3倍:04/12/11 22:09:17 ID:???
アラゴルンとして転生してまつ
50通常の名無しさんの3倍:04/12/11 23:26:44 ID:???
>>47の元ネタは何?
51好評なら続き書きます:04/12/11 23:35:39 ID:???
辺りははうっそうと茂った木々に囲まれている。泥に足を何度もすくわれそうになりながらMS『GM』が進んでいく。
ジャングルの上空にはずんぐりした体のガウが編隊を作り、その中から馴染みのある緑のMSが空をおおうように降りてくる。

「けっ、なんて数だ。・・・まぁいいコイツをためさせてもらう」

GMのパイロット、ヤザンは手にしたビームライフルを天に向けた。すでに空は対空砲火の嵐であちこちで爆発が起こっている。
ヤザンはスコープ越しにねらいを定める。ちょうど一機のドムが対空砲火をかいくぐり、目の前の木々の中に着地した。

「ハッ!油断したなぁ!落ちろぉぉ!!」

一閃。目の前の木々は轟音とともに燃え上がり、たちまち灰になっていく。中に黒煙を上げ燃える鉄塊が確認できる

「なんてパワーだ!連邦はいままでこれを出し惜しみしていたのか!!」

燃えさかる木々。そのなかから陽炎が見えた!敵機である

「レーダーに反応!?・・・ふん、1機か。戦いはやはりこうあるべきだ!」

ヤザン機はビームライフルを放り投げザクに奇襲をかけた!肩からサーベルを抜く!
ザクはヤザンに気づき、マシンガンで抵抗するも時すでに遅し!!
一撃の名の下にザクの右腕を切り落とし、すかさず足払い!崩れるように倒れるザク!
ヤザン機の足でザクの頭を踏みつぶす!さらに後方から4機のMSが現れる

「来たな・・・せいぜい俺を楽しませてくれよ!!」
52通常の名無しさんの3倍:04/12/12 01:23:10 ID:???
>>51
良いねぇ。
続きキボンヌ
53通常の名無しさんの3倍:04/12/13 12:02:30 ID:???
>>47
吉野家コピペ改変。プロジェクトXスレ初代のネタ
54好評なら続き書きます :04/12/14 00:27:19 ID:XpQELhpp
背後から迫るB3グフのヒート剣!!それを難なくかわすGM。しかしその目の前にはマシンガンを構えたザクが・・・!

「ちぃ、往生際が悪りぃぜ!」

ヤザンは手にした盾をザクに押しつけ、盾ごとザクを真っ二つにした!!上下に切れ分かれるザク!!
その向こうにバズーカを構えるシルエットが見える。 回避が間に合わない!
だがヤザンは冷や汗一つかいていない。それどころか不適な笑みを浮かべている

「ハッハッハァー!少しは骨があるようだが、コイツの前じゃあ無駄なあがきだ!」

GMは体を仰け反らすように背後にバーニアで移動した。すぐ目の前のザクの残骸にドム・トロピカルのバズと
グフのガトリング砲がぶつかり爆発していた。すかさずヤザンは先ほど投げ捨てたビームライフルを拾い上げ・・・

「ここまでだなぁ!落ちろぉー!!」

二筋の閃光がきらめき、ドムとグフが炎上する。だが閃光はもう一筋光った!!

「ぐうぅっ!!貴様ぁよくもぉ!!」

ヤザン機は左腕を打ち抜かれたが、残った右腕でビームサーベルを抜き、斬りかかる!!だが・・・

「貴様にかまっている暇はない!落とさせてもらう!」

ヤザンのGMはそのMSの爪にモノアイを貫かれ、力無く倒れ伏した
その間に赤く塗装されたそのMSズゴックはジャングルの奥へと消えた。

「何ぃぃ!!・・・あ、赤いMS、貴様赤い彗星かぁ!必ず、お前だけは忘れねぇ!今に見ていろ!!」

ヤザンはモノアイをつぶされ、左腕を失った自機で赤いMSを追った。追った先にはジャブロー地下への入り口だった。
既に日は暮れ戦闘は終了していた。

「赤い奴・・・次はねぇぞ」
ヤザン・ゲーブルの第二次ジャブロー戦 完
55通常の名無しさんの3倍:04/12/14 00:48:14 ID:???
ヤザンの技量を持ってしてもシャアには一蹴されるのか(´・ω・`)
56通常の名無しさんの3倍:04/12/14 00:53:44 ID:???
その後ヤザンは赤いMSを追い続ける。
しかし、どこで間違ったのかいつの間にかジョニーライデンを芽の敵にすることになる
57ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :04/12/14 13:03:28 ID:???
 (>>51>>54)ウホッ! 良いヤザン! …オイラもそろそろ復活の狼煙を上げなければ!
誰も待ってはいないでしょうが、>>3の続き、独断とヘンケンで…逝きまぁぁぁぁぁぁぁっす!
58ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :04/12/14 14:09:56 ID:???

ヤザン−ユウ 第七十九章

 待っていたその時がやっと訪れた。『ALEX』が俺にバックパックを向けたのだ。そこから放たれる各バーニアの光の
束が収束し、MS腕部、脚部各スラスターから延びる光条の数も数本になる。それを目の当たりにした俺は唇の端に
引き攣った笑みを隠せなかった。『ALEX』を操る相手が素人ならば、俺は迷わずトリガーを引き絞っていただろう。

 「ここで、俺にビームライフルを撃たせ…また回避する…! そして、またドッグファイトを誘う…だがなぁ! 」

 …他の『実戦経験のある』パイロットならば、尚更の事だ。しかし…奴等、『機械ども』は『ALEX』にNTを、現段階では
『15歳か16歳のアムロ・レイ曹長のデータを乗せている』筈なのだ。さらに、奴等、『機械ども』のみの『力』だけでは、
この『俺・7年後のヤザン・ゲーブル大尉』の例の様に、『未来から』人格・記憶を引っ張っては来れまい。

 「この、俺を…生き残った、兵士を…こうも…舐めるなっ! 餓鬼がぁ! 」 

 Gに苛まれ、脳味噌が余り働かないのだと俗に言われている『パイロットの7割アタマ』でも、俺の思考速度や読みは
MSを降りても変わらない。…単純なのか、Gに強いだけなのか、身体が丈夫なだけなのか…それでも俺は、冷静さは
ともかく、明晰な思考と戦術の選択とを失わなかった。ここで撃っては、相手の思うツボなのだ。…『ブルー』の性能では
ビームライフルのエナジーチャージ速度は『ALEX』にはとても敵わないだろう。…相手は『ガンダム』の後継機なのだ。

 「ヒャッハァ! 捕まえたぞ! 気分はどうだ? 『ALEX』! 怖いか? そうだろう! 」

 …俺はチャージ、体当たりを選択した。興奮に頭を煮えたぎらせ、沸き返らせながらも、俺の身体は的確にスティックと
べダルを操り、『ブルー』の左腕、右脚を『ALEX』の機体に背後から組み付かせて行く。相手は実態が無いと言うのに、
俺の体の感覚は『衝撃』を伝えて来る。…『EXAM』の為せる業だ。暴れ、もがき、必死に逃げようとする『ALEX』の動揺が
手に取る様に今の俺には『解る』。鼻歌でも出そうな気分で、俺はブルーの右脚部からビームサーベルを出し、右手に持たせる。
 
 「…スラスターやバーニアを幾ら吹かせようとも! 遅いんだよ! 俺を殺せまい! 幻影が! 堕ちろ! 」

 頭では、この『ALEX』が機械ども、コンピュータどもが必死に為って創り出した幻影であり、支配下に無い俺への実体の
無い刺客で有る事は理解していた。しかし…この身体に伝わる衝撃、『EXAM』を通して伝わる動揺は…俺に『実体の有る敵』
の存在を痛い程に伝達していた。脅威は、プレッシャーは…潰して置かなければ! ビームサーベルから光の刃が伸びる。
見慣れない…『蒼い』光条だ。…何かが、おかしい。頭の片隅でそう思いつつも、俺は『ALEX』のコックピットと思われる『胸部』に
ビームサーベルを突き立てようとする。…胸部? 何故だ? 奴のコックピットは機体を見る限り腹部に…しかし『敵意』は胸部から…?
 その時、俺の脳裏に強いイメージが飛び込んで来た。目から大粒の涙を流し続ける…白い羽の生えた…裸の…少女の…だと…? 

 『…ヤザンさんっ、駄目っ!! 止めてぇぇぇぇぇぇぇぇっ! 』
59通常の名無しさんの3倍:04/12/14 16:19:52 ID:mwAouZWJ
                 ,.,.,.,.,.,.,.,.,__
               ,;f::::::::::::::::::::::::::ヽ
               i/'" ̄ ̄ヾ:::::::::::i
               |,,,,_ ,,,,,,_  |::::::::|
               (○);(○)==r─、|   おい>>1、Zナメんなよ!
               { (__..::   / ノ′   ttp://www.geocities.jp/ztake2000/z_kotou.html
.               ', ==一   ノ
                !___/_>、,,..- 、
          ィ'''フ''''=、r'"~ ヽ、-=- /i,, `ヽr''"`ヽ、ヽ、
       ,r'"´ ノ"    )=、.,_ゝニノ,,..ィ'"´i       ヽ、
       (       ノ  ´ ̄ `Y"´            i
         )     __,,..         レ      _,,,,、      j、、
      , '    ヽィ'''i"       J   ,,.ィ'"~  `'ヲ'''ー-、ノ、ヽ
     .{ _.ト、   Y人        ,,l、        ノt'  イノ.ノ
      '、 >.ト  '/ `ゝ、       人       ,,イ  jt、 __...-'
       ' .,,_ _ ノ、   `ー--;::-ニ"_,ゝ=---‐''"    ノ
           ヽ、 r  、 f"   `i´ ̄` Y  `ヽ /
60通常の名無しさんの3倍:04/12/15 05:23:17 ID:???
>>59
Z厨ムキになるなよw
お前他スレでよっぽど偉い目にあったんだなw
そりゃぁお前がとてつもなく基地外だからだろw
( ´,_ゝ`)プッ
( ゜,_ゝ゜)バカジャネーノ
61通常の名無しさんの3倍:04/12/21 13:17:58 ID:DlM3MmEK
ヤザン上げ!
62通常の名無しさんの3倍:04/12/30 00:23:10 ID:/3rEIiwD
おおーゲモン心の友よー
63通常の名無しさんの3倍:05/01/05 10:39:15 ID:???
ヤザンスレ記念ぱぴこ
ヤザン胸元えろいよヤザン
64通常の名無しさんの3倍:05/01/11 21:53:03 ID:???
お、ヤザンスレ復活してた
65通常の名無しさんの3倍:05/01/19 01:14:41 ID:JWFToXtb
殺すために生き延びる事がゲーム同様に楽しくなった、イカス軍人サンのスレはココでつか?
66通常の名無しさんの3倍:05/01/20 13:52:59 ID:???
どうでもいいがシールなんて直に肌に貼ってかぶれないのか??
67通常の名無しさんの3倍:05/01/20 16:53:42 ID:???
刺青シールって知らんのか?
68通常の名無しさんの3倍:05/01/22 05:39:43 ID:???
ヤザンの胸のあれってシールなの?最近興味持ちはじめたので、本物かシールなのか気になる。
69通常の名無しさんの3倍:05/01/22 09:29:38 ID:???
ZZの小説版にシールって明言されてるよ。
ZZの小説版はヤザンも結構活躍(?)するから未読なら読むべし。
7068:05/01/22 20:13:45 ID:???
69タン、サンクス。ZZヤザンには触れてはならない気がしていたが、活躍するなら読んでみるよ。
71通常の名無しさんの3倍:05/01/22 21:21:33 ID:???
よせ!早まるな
7268:05/01/23 15:58:00 ID:???
え!?
じゃあ、ちょっとだけ立ち読みしてから決めます。
73通常の名無しさんの3倍:05/01/24 03:51:58 ID:???
やめろ!>>71に惑わされるな
74通常の名無しさんの3倍:05/01/24 20:41:06 ID:???
皆!「かぐやま」って文字を変換してみなさい。
75通常の名無しさんの3倍:05/01/25 00:57:01 ID:???
香具山
76通常の名無しさんの3倍:05/01/26 20:12:53 ID:???
まあ、確かにギャグ要素が強いところもあるが最後のセリフは結構カッコ良かった思うが。
ヤザンが仲間想いなところも再確認できるし。
7768:05/01/26 20:34:58 ID:???
そうか。
ちょっとどうしようとか思ってたけど、やっぱり気になるから読んでみる。仲間想いなヤザン、いいな。サンクス。
78通常の名無しさんの3倍:05/02/02 18:59:27 ID:???
香具師→ヤシ
香具山→ヤザン 
79通常の名無しさんの3倍:05/02/08 03:48:45 ID:bTlix/cA
戦慄のブルーinヤザン、続きマダー!?
80通常の名無しさんの3倍:05/02/08 18:24:33 ID:BYV/9GVt
俺もヤザン戦記書こうかな。
81通常の名無しさんの3倍:05/02/09 01:25:54 ID:???
ヤザン隊大活躍ストーリーを読んでみたい。
82ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:01:24 ID:???

「馬鹿な…? 命中しているのに?!」

 俺は自分の目を疑った。ハンブラビのビームキャノンは確かに目の前のZガンダムに命中している。
だが、当たった瞬間、メガ粒子の奔流が霞の様に消えて行く。俺はスティックとフットペダルを引っ切り無しに
動かし、Zの放つ閃光を回避した。体を痛め付け続けるGが、目の前の光景を現実だと否応無しに認識
させてくれる。
 
「反則だぞ、Zぁ!!!」
 
 俺は思わず叫んでいた。こんな事がある筈が無い。ビームを弾く装甲をエゥーゴ風情に開発出来る訳が無い。
潤沢な予算を持つティターンズだが、同じ効果を持つIフィールドなんて代物は、ZサイズのMSに搭載できる
程にコンパクト化されていない。俺の目の前でZが突然ビームサーベルを発動させた。
 
「接近戦か?!」

 舌を噛みそうになりつつ、俺はZにハンブラビを突進させた。目の前の敵を撃墜する事が、頭の中を駆け巡っていた。
いつもの様な高揚感、生と死の狭間に見える何かが、今の俺には微塵も感じられなかった。得体の知れぬ恐怖感だけが
俺をZに向かわせていた。その時、Zのマニピュレーターに握られたサーベルが常軌を逸した輝きを放ちながら巨大化して
行くのを俺の目は捉えていた。それが振り下ろされる瞬間、俺は無意識のうちにハンブラビからコックピットを離脱させて
いた。薄れ行く意識の中、俺は確かに少女の声を聞いた。
83ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:02:12 ID:???


 第一章 ヤザン・大地に立つ

 体が下に引っ張られるような懐かしい感じに目を開くと、信じられない物をモニターが映し出していた。
一年戦争の時に嫌になる程見てきたジオンのTYPE06、『ザク』が肩のスパイクを使い、丁度タックルを敢行しようと
している所だった。

 「舐めるなよ、旧型ぁ!!」

 俺は激昂した。Z相手に不覚は取ったが、旧型の06風情に堕とされる程、落ちぶれてはいない。
俺は機体に装備されたビームサーベルを発動させ、腕に握らせた。其処で俺は違和感に気付いた。
叫んだが、聞こえてきたのは俺の声じゃない。別人の聞いた事も無い声だと言う事を。
しかし、今は目の前の06にこちらが戦意を失っては居ない事実を教育してやらねばならない。
舐められっぱなしでは、俺のプライドが許さない。

 「接近戦でこの俺を仕留めようってのか? 甘いんだよ!」

 突っ込んできた06を考えられる最小の間合いで回避し、俺はすれ違い様に06の『首』をビームサーベルで刎ねた。
MSの『首』の部分には大抵、各種センサー系が詰め込まれている。06のパイロットは謂わば視覚を急に奪われた
格好となった訳だ。

 「自分の甘さを呪えぃ!! 06ぅッ!! 」

 MSの腕だけを背後に廻し、俺は迷わずスティックのトリガーを、引いた。思わず耳を覆いたくなるような聞きなれた
砲声と衝撃が、俺の体を叩いた。…うんざりする位に聞き慣れ、聞き飽きた、GM用の100oマシンガンの発射音だった。
 
「どうなってるんだ…? こいつは…? 」

 俺は狭苦しいコックピット内を見える範囲で確認した。確か意識を失う前の俺は、Zとハンブラビで戦闘をしていた。
此処に比べればリビングルームの様に広々としたコックピットで、こんな尻が痔になりそうな硬いシートでは無く、
まるでベッド並みにゆったりとしたリニアシートに身を預けて居た筈だった。

 「…GMのコックピットじゃねえか…」

 そうだ、この計器の配置はGM系のコックピットだ。毎日毎日飽きるほど見てきた。GM、ライトアーマー、クゥエル。
どれもいい機体だったが、反応が鈍すぎるのが、あの頃の俺の大きな不満だった。素人に毛の生え始めた連中には
お似合いの機体だ。

 「拷問だな…こいつは…」

 俺は計器を見渡す中、見慣れぬ赤いボタンを発見した。大仰に黄と黒の注意ストライプの枠と、おまけにプラスチックカバー付きだ。
俺は押してみたい衝動に駆られた。
84ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:06:48 ID:???
第二章 俺はヤザン・ゲーブル…
 
 プラスチックのカバーを押し破ろうとしたその時、ノイズ交じりの通信が俺の耳に飛び込んできた。
男の、耳障りな、悲鳴にも似た叫び声だった。

「ユウ、ユウ! 囲まれちまった! 助けてくれ! サマナの奴が片脚やられて動けなくなっちまったんだ! 
GM1機じゃ、ドム5機相手は…」
 
 俺は眉を顰めた。俺はヤザン・ゲーブルだぞ、と喉元まで出かけた怒声を押し殺し、俺は男の声に応答した。
誰であれこの状況を知るためには、味方は、放って置けない。まずは状況を把握しない事には、今後も糞も無かった。

「…聞こえてる! 今すぐ行くから待ってろ! 情け無え悲鳴を上げるんじゃねえ! テメエの女が聞いたら泣くぞ!? 
解ったら黙ってろ!! がたつくな!」
 
男からは応答が無かった。俺は軽く舌打ちをすると、計器を確認した。ミノフスキー粒子が戦闘濃度で散布されているのか、
索敵用のインジケーターの敵味方表示が時々乱れる。が、味方の2機を表わす表示が5機の敵に包囲されて居る事は
かろうじて読み取れた。此処から700mの距離だ。俺はモニターに目を向けた。岩山が見えた。体を大地に引き付ける重力を感じる。
俺はMSに天を向かせた。空の青さが、目に沁みた。…ここは地球だ。心に湧き上がる不安を俺は無理矢理押さえ付け、
MSのフットペダルを踏み込んだ。戦場で、戦闘以外の余計な事を考え過ぎる奴は、死ぬ。スラスターが爆発的な加速を生み出した時、
俺は息を詰まらせた。体に掛かるGが、予期していたGMの物と段違いだった。

「何なんだ!? …GMじゃ無いぞ、この加速は!?」

 俺はフットペダルに掛けた力を弛め、エネルギーインジケーターの数値を確認すると…GMの倍近くの数値を誇っていた。
この機体がどうやら特別製らしい事に俺はようやく気が付いた。俺はスティックを握る右腕を横目で見た。白いノーマルスーツにそれは、
包まれていた。俺は、心の中の疑問を口に出した。

「…俺のノーマルスーツは、黒だった筈なんだがな…」

 ドンッ! 機体が激しく、揺れた。モニターを確認すると、2機のMS、09がバズーカの砲口をこちらに向けていた。迷いは一瞬で、消えた。

「…当たらなくて残念だったな、スカート付きのお嬢さん達ぃ!」
 
 俺は更にフットペダルを踏み込み加速させると、左の09にマシンガンの弾を集中させた。その09がのけぞるのを尻目に、右の奴の腹部に
ビームサーベルを叩き込んだ。5機の中の2機を潰すと、前方に片膝を付いた見慣れないGMと、背中合わせに立ってマシンガンを撃つGM
が目視出来た。

「生きてるか、タマ無しども!! もう少し我慢しろよ?!」
「…ユウ少尉…ですよね? タマ無しなんて…少尉のイメージじゃあ…」

面を見なくても性格が解るような、気弱な声が通信機越しに入って来た。俺は面倒なので、返事をせずに、レーダーを覗き込んだ。
残りの3機が、三方に散っていた。包囲殲滅にじっくり時間を掛けようとしたのが、そもそも間違いの元だ。

「…お前、頭でも打ったのか? ユウ・カジマさんよぉ? 」
「フィリップ少尉、前にドムが!」

 俺は溜息を吐きながら、立っている方のGMに突進する09にマシンガンの照準を合わせ、スティックのトリガーを引いた。後、2機が残っていた。
85ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:13:40 ID:???
 俺が残った2機の内の1機を始末に掛かる間に、サマナとか言う、脚をやられたGMの方のパイロットが09を仕留めていた。
…それなりの腕は有る様だ。もう片方のGMのパイロット、フィリップも並みの腕じゃ無い。俺が救援に来るまでの僅かな間に、
機体のコンディションを保ちながら、09の猛攻を捌き続けたのだから。俺は辺りに敵の姿が無い事を目視と計器で確認した後に、
2機のGMの傍に自分のMSを駐機した。2機のパイロットは機体を降り、脚をやられたGMの損傷程度を調べていた。
俺は自分のMSをハッチを開け、ワイヤーを使い大地に降りた。

「ユウ、無事だったか! 心配したんだぞ? 敵の隊長機を引き付けるのは構わんが、無茶しすぎだぜ」 
「しかし御蔭で、敵も散発的な攻撃しか出来なくて、助かりました…。フィリップ少尉が悲鳴を上げた時の
ユウ少尉の説得、悪いですけれど笑っちゃいました」
「…ま、何だナァ、サマナ君…。『蒼い死神』は伊達じゃないってこったな?」
 
 俺は二人がお気楽に話しかけてくるのに正直、戸惑っていた。こいつらは俺の知っているあの頃の連邦パイロットと違っていた。
09を見ただけでブルッてしまう奴等と、目の輝き自体が違う。飽きるほどMS戦闘を繰り返してきたのだろう。普通のパイロットだったら
機体ダメージの確認もせずに帰還する所だ。

「蒼い…死神…? 」

 俺はふと、やさぐれた感じのする男、フィリップの言葉に引っ掛かるモノを感じ後ろを振り向いた。蒼いGMが、其処に居た。
…いや、GMじゃない。胸にはバルカンの発射口2門、その下にも恐らく小型ミサイル発射機だろう発射口が同じく2門分、
装備されていた。蒼いMSの特徴的なフェイスが、俺にGMと誤認させた原因だった。ゴーグルタイプのメインカメラ、通称『GMフェイス』だ。

「GM…? いや…なんだ…? コイツは…? 」

 だが、他のGMと大きく異なるのは、その下に赤い『口』が付いている事だった。その分だけ、他のGMよりもセンサー系かコンピューター系で
勝っているだろう事が教導隊にも居た事もある俺の経験則から判断できた。機体の外見を見てこれぐらいの事を推測出来なければ、MSパイロットと
してセンスが無いと言っていい。教官時代の俺なら有無を言わさずぶん殴り、『原隊へ帰れ、能無し!』と格納庫の外を指さしてしまうだろう。
突然、回想に浸っている俺の耳に少女の声が飛び込んできた。

『乱暴な奴、消えてしまえ!』
「あァン?! 何だとテメェ…!!!?」
声に釣られて蒼いMSのゴ-グルを俺は睨み上げた。誰も乗っていない筈の無人のMSが、立ち上がり、100oマシンガンの銃口が俺を狙う。
蒼いMSの、紅い両眼がゴーグル越しに血の輝きを放っていた。
86ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:19:10 ID:???
 無人である筈の蒼いMSにGMマシンガンを突きつけられながらも、俺の頭の中は冷静そのものだった。
何故か、MSの中の『誰か』が怯えているのが解ったのだ。俺は蒼いMSの『眼』をじっと見据えた。
さぞかし困惑して居るのだろうと思うと、自然と笑みが漏れてきた。さぞかし凄みのある表情になっている事だろう。
 
『殺れるものなら殺ってみろ。ただしその時はお前も道連れだ!』
 
 俺が脳裏で呟いたその時、蒼いMSのゴーグルから紅い光が突然消え、また勝手に動き、駐機姿勢に戻った。
得体の知れないMSだ。乗っていた時には気にもならなかったが、今は傍に居るだけで『嫌な感じ』がするのを押さえられなかった。
 
 俺は蒼い機体を睨みつけると、後ろの二人を振り向いた。…二人はいち早く安全圏へと退避していた。それも、駐機したフィリップ機の
脚の陰に隠れて、首だけ出してこちらを覗いていた。なかなか、味な真似をしてくれる連中だった。目端も利く。…いいパイロットだ。
俺は生き残るのに貪欲な奴は好きだ。
 
 「…フィリップ、サマナ! テメエら汚ェぞ! 俺を置いて逃げやがって!」
「…俺達は、MSで生還するのが任務だからな。 実戦データ取ってたときの癖が出ちまったんだ。
 悪いな、ユウ。『モルモット隊』の仲間だろ?」
「それにしちゃあ、やけに冷てェじゃねえか、フィリップ、サマナよぉ?」
「ユウ少尉も、ユウ少尉ですよ。あんなMSのパイロットを引き受けるからこんな目に遭うんですよ…。
 今からでも遅くありません、辞めた方が…」
 
 モルモット隊。思い出した。俺が一年戦争時代に、撃墜数リストで常に俺の名前の上に居た奴が、配属されていた部隊の綽名だ。
それでユウと来たら間違いは無い。『蒼い死神』で気付くべきだった。…この体の真実の持ち主の素性を俺は、ある種の懐かしさと
共に思い出した。『ユウ・カジマ』。連邦軍屈指のエースだ。俺は追い付けなかった謎が解けた事に、安堵していた。たとえMS戦闘の
腕が同じ程度だったとしても、あの頃の俺が乗っていたGMよりも余程反応の良い、こんな優秀な機体に『奴』が乗っていれば、
逆立ちしたって追いつけなかったろう。

「辞めるかよ! こんな面白い事をよぉ?! 辞められねえぜ、おい!」

 俺はGMの脚に隠れた二人に向かって叫んだ。俺は何故か一年戦争時代の連邦軍の『モルモット隊』の『エース』パイロット、
『ユウ・カジマ』になってしまった事を爆発的な歓喜と共に自覚した。俺が奴より優秀だと示す方法はただ一つ。

                    この蒼いMSを操り、奴よりも撃墜スコアを伸ばすことだ。

俺は蒼いMSに向き直り、歯を剥いて笑った。蒼いMSの中の『誰か』がたじろいだ様に、俺は『感じた』。
 俺はMSに近づくとコックピットから伸びたワイヤーを掴み、乗り込むとハッチを閉めた。…やはりそうだ。このMSには俺以外の
『誰か』の存在を強く感じる。俺はMSを起動させるためにコンソールに手を伸ばした。

「嫌な感じだ…。まるであの、シロッコのドゴス・ギア艦内の雰囲気を思い出させる」
『わたしに触らないで! 乱暴な人は大嫌い!』

 俺は恐怖に震えた少女の声を耳ではなく『心』で『聞いた』。その声は、俺がZに撃墜された時、意識を失う前に聞いた物と同じ声だった。
87ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:21:44 ID:???
 俺は少女の声を無視してコンソールを操作し、通信機の送信スイッチをOFFにした。正直に言って、俺の怒りは頂点に達していた。
人をいきなり乱暴者と決め付けるこの怯えようは尋常ではない。一度じっくりと話し合わねば、おちおちMSも降りられなくなる。
 …俺はMS戦闘は好きだが、生身で殺り合いたい訳では無い。俺は深呼吸し、『出て来い』と叫ぼうとした。

『聞こえているわ…ヤザン・ゲーブル大尉』
「何者だオマエは! 俺に何か恨みでも有るのかよ! 100oマシンガン何ぞ突き付けやがって! ふざけるな!」
『怒らないで! EXAMが…また発動してしまう…! 心の中で念じて! 私を感じることが出来るあなたなら…解り
 合える筈だから…お願い…ヤザン大尉…』
「ワケアリ、みたいだな…解った。じっくりと話し合おうじゃないか。まずはオマエの名前からだ。いつまでもオマエ
 呼ばわりじゃあ、気分が悪いだろうが? そうだろう?」
『…解らないの?』

 俺の頭の中に聞こえてくる少女の声は、困惑していた。心底不思議そうに聞いてくる少女に俺は、噴き出していた。

「解るワケが…」

 俺は背筋に冷たい何かが走るのを感じた。待て。俺は一度でも此処で名前を口に出して言ったか? …答えはNOだ。

『…言ったわ。心の中で。フィリップ少尉の通信に答える時、俺はヤザン・ゲーブルだって…』

 俺は底知れぬ恐怖を声に感じた。何もかも隠せぬ、恐怖を。まるで、こちらの言わんとしていることを総て読まれてしまって
いる様な錯覚に囚われてしまった。

『私には、わかるの。それが認識力の拡大…』
「まさかオマエ…NTか? それとも幽霊か!!」
『駄目! 恐怖や怒り、負の感情を強く持たないで! あなたには『因子』があるの! EXAMを、押さえきれなくなる!』

 俺は深呼吸して、興奮した自分を無理矢理押さえ付けた。今度は俺の出来る精一杯の優しい笑顔をイメージしながら、心の中で
少女に呼びかけた。

『悪かったな、お嬢ちゃん、で、名前は? そのEXAMって何だ? どうして俺は此処に居る? 他人の体だぞ? こんな事…』
『私はマリオン・ウェルチ…14歳…。EXAMは、NTを『裁く』ためにNTの私を取り込み、クルスト博士が創り上げたOS…。あなたは、
 EXAMと共振してしまったの…。NTとの戦闘に、『因子』を持つあなたが…』

 少女はまだ声を恐怖に震わせていた。仕方ない。俺は火の付いた様に泣き喚く親戚の子供に笑いかけ、黙らせた事もある。文
字通り『泣く子も黙る』ヤザン・ゲーブル大尉だからだ。…泣き止んだ子供が前より激しく泣いたのは言うまでも無いだろう。

『…そんな事が、あったんだ…』

 俺は心の中を無遠慮に覗き込まれた事に不快感を禁じ得なかった。しかし、少女の怯えを無くしただけでも良しとしなければ、な。
シロッコやサラ、Zや百式のパイロットに感じた不快感の正体は、これだったのか。俺は心の中で苦笑のイメージを作った。

『ごめんなさい…許して…』
『良いんだ。勝手に聞こえるんだろうが。便利なようで、不便なんだな』

 突然、フィリップ機からのコールが入った。俺は密かな逢引を覗かれた間男のような気分を始めて味わった。俺は他人のモノを盗む
ような卑怯な真似は死んでもしないが…。俺は通信機の送信スイッチをONにして、喋った。今度はマリオンからは拒否されなかった。
なかなか、聞き分けがいい娘じゃねえか。俺はただの乱暴者じゃあ、無い。それ相応の分別もある、『29歳』の『お兄さん』だ。

「どうしたフィリップ!何か用か!」
「おいユウ! 聞こえてるのか!? サマナ機の左側に廻ってくれ! どうやら自力帰還は無理らしい!」
「解った! で、何回俺を呼んだ!? 答えなかったろうが?」
「何言ってる? …今が初めてだ。 …ユウ、お前本当に頭、大丈夫か?」

 俺は苦笑するとフットペダルを踏み込み、サマナ機の左に廻ると腕を取り、支えた。サマナ機が損傷した左膝を伸ばし、立ち上がった。
一息ついた俺は、この先何が起こるのか、俺自身が楽しみにしていることにふと気が付いた。なかなか気分は、爽快だった。
88ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:23:19 ID:???
 俺達は『モルモット隊』の宿営地に何事も無く辿り着いた。
あれからこの蒼いMSも勝手に動く事も無く、敵の襲撃も無かった。…いや、避けたと言うべきだろう。
…マリオンが引っ切り無しに敵の伏兵の存在を訴え続けたのだから。
それを同行する二人に説明しなければならない俺の苦労は並大抵の物じゃあ、無かった。
 俺は『モルモット隊』は三機のミデアで編成されている事を、喋りだしたら止まらない
フィリップの無駄口と、それを遠慮がちに嗜めるサマナの言葉から理解した。
ミデアが合流地点に先回りして、宿営地を設営し終えている所だと、フィリップは空腹を訴えながらぼやいていた。

 俺は当然の事ながらそんな事情だとは知らない。
MSには鹵獲された場合を想定して、座標の入力をされてはいない。
パイロットなら合流地点を聞いているだろうが、生憎と俺は、ユウ・カジマじゃない。
フィリップやサマナが聞いているだろうが、俺が合流地点を知らない事を伝える訳にはいかん。
戦場で味方の士気を下げる馬鹿な軍人など、何処の部隊を探しても居ないだろう。
…俺が居た『ティターンズ』を除けば、だが。

 だから俺はサマナに感謝していた。
この場合、隊長機が率先して合流地点を示してやる必要が無くなるからだ。
他のGMとは違う蒼いMSに乗っているユウ・カジマが、この小隊の隊長格であろう事は容易に推察出来る。
…俺はサマナのMSを支えながら、フィリップの行先に附いて行けば良い…筈だった。

 マリオンさえ、俺の頭の中で黙っていてくれれば、の話だが。

『あそこに敵が居る!』『いや、怖い!』『怖い人たちが沢山…』

 俺の蒼いMSの索敵レーダーを見ても、何も反応が無い。
特別な機体であるこのMSでもそうだから、フィリップ等が乗る改良型のGMのレーダーも、
反応が無いのは間違いは無いだろう。

 …だが、俺のMSに乗り続けてからの『経験』と『勘』が、伏兵の潜んで居る事実を明確に告げていた。
それはマリオンが反応を示す場所と、不思議な位に一致していた。
…最も、MSをその場から移動させるためにマリオンを一々なだめなければならなかったが。
フィリップ達はマリオンが怯える度に俺がルート変更を求めるのを、

「敵なんぞ、居る訳無いだろうが…。ユウ、考えすぎだぜ? 」
「喋り方がアレなのに、意外と臆病なんですね、ユウ少尉?」

 と、散々茶化してくれやがった。帰ったら、今に見てやがれ…こいつら…。
二人とも包囲された時、泣きそうになってたのを整備やオペレーターの連中にバラしてやる。
…優秀なエリートを気取るパイロットには、いい薬になるだろう。最後には俺も頭に来たので、
「るせェこのスットコドッコイどもが! こいつぁテメェらの量産型たァ、出来が違うんだよっ!」
と怒鳴り、『お〜お〜、エースのユウ様はお怒りだ』、『ユウ少尉、それは無いですよ』
と、二人を怒らせてしまった。…一応、言い過ぎたと謝っては置いたが。

「なにィ?!」

 ミデアがモニターの視界に入ったその時、急に俺のMSが停止した。
フットペダルを踏み込むが、ピクリともMSが動きはしない。
マリオンに呼び掛けて見るが、返事もしない。
俺は堪り兼ねてハッチを開けた。MSの足元から陰気で、低い男の声が聞こえた様な気がして、
俺はコックピットから身を乗り出した。

「無事だったか? オレのブルーは?」

 眼鏡を着けた、『いかにも技術者でござい』と言う雰囲気を漂わせる神経質そうな痩せた男が、
強い突風の吹きすさぶ中で微動だにせず、『俺』ではなく、俺の乗った『蒼いMS』を見上げていた。
89ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:26:39 ID:???

『アルフ大尉! そこに居られると、こっちは困るんですよ!』

フィリップ機から嫌味たっぷりの声が響いた。
俺のMSの脚が止まったのが、この陰気な面をぶら下げた男のためだと誤解したらしい。
アルフと呼ばれた男はフィリップの言葉を意に介する事無く、先程の言葉を俺に向けて繰り返した。
風の鳴る音にも負けず、アルフの声は俺の耳にしっかりと届いた。
 
「…無事だったか? オレのブルーは? ユウ・カジマ少尉!」

俺は男の、その度胸に感動した。
踏み潰される事を恐れもせず接近し、パイロットに怒鳴られるかも知れない状況でも
己の主張を決して曲げはしないこの男を俺は、一目で気に入ってしまった。
コイツがこのMSの整備主任だったとしたら手を抜く事は絶対に無いだろう。
俺ははるか眼下に見える男に叫んだ。

「おう、見りゃ解るだろうが! 安心しろ! キズ一つ有りゃしねえぜ! さすが、オマエのブルーだ!」

男は頷くと、道を空けた。…案外、素直な奴だ。
俺がハッチを閉めシートに深く座った途端に、サマナからの通信が入った。
ミノフスキー粒子が薄いのか、豪華にも映像付きだ。フィリップも回線を同じように開いた。

「…脅かしてやれば良かったんですよ…ユウ少尉…。誰も乗ってないのに勝手に動いたって…」
「パイロットが降りたら、オツムがいかれて勝手に殺そうとしてました、って言ってやれば、アイツはその場で
 這い上がってくるぞ? サマナ准尉殿? そうなるとオマエさんの帰還が益々、遅れる訳だがな?」

フィリップの言葉にサマナは心底嫌そうな顔を見せた。俺は二人に声を掛けてからフットペダルを踏み込んだ。
今度は、問題なくMSの脚が動く。俺は二人の冗談の様なやり取りを聞きながら、ゆっくり宿営地へと向かった。

サマナ機を整備スペースに駐機させると、俺は蒼いMS、『ブルー』を自分の駐機スペースへ向かわせた。突然、
オペレーターからの通信が入った。
…まだ子供と言って良い位の年の女だった。
俺が口を開く前に、オペレーターが俺に笑いかけてきた。

「お疲れ様でした、ユウ少尉。夕食は出来てますから、冷めないうちにどうぞ」
「…ああ、ありがとうよ、お嬢ちゃん。せいぜい、楽しみにしとくぜ」

夕食といっても、直ぐには取れないのがMS運用部隊の常だった。
報告、機体の整備状況の把握、スクランブルがかかった時の当直MSパイロットの分担…。
考えるとやらねばならない事は山積みだった。ふと俺が我に帰りモニターを見ると、
俺の台詞を聞きとがめたのか、女の眉が怪訝そうに顰められていた。

「…ユウ少尉…。………ユウ、どうしたの?」
「ん…? 用がそれだけなら、回線切るぞ?」

女の心配そうな顔が俺を見詰めると、一方的に向こうから回線を切られてしまった。
俺は溜息を付き、伸びを一つすると、ハッチを開けコックピットを降りるためにワイヤーを下に垂らした。
俺が固定ベルトを外して、さあ降りようとしたその時に、目の前に男の面が現れた。
アルフ大尉とか言う奴が、ワイヤーを使って上がって来たのだ。

「おう、あんたか。このMS、なかなか優秀だぜ? 勝手に動くんだからよ?」

優秀、と聞いてほころびかけたアルフの顔が、一瞬にして驚愕に変わった。恐怖すらその表情から伺える程だった。
90ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:29:53 ID:???
「…EXAMを、発動させただと…!?」

アルフが俺の両肩を強く握って来た。ノーマルスーツ越しにも関わらず、俺が思わず痛みを感じる程の力強さだった。
俺は痛みに耐え切れず、アルフの両腕を下から持ち上げ無理矢理肩から外した。

「この蒼いMSから降りると、コイツが勝手に動いて、俺を100oマシンガンで狙いやがったんだ!
 嘘だと思うんならな、後でガンカメラを調べてみろ! 俺は殺されかけたんだぞ! 」
「今、行う! …悪いが付き合ってくれるか…? 事は一刻を争う…!! 」

アルフの顔色は蒼白を通り越して最早土気色だった。
恐らく、奴にとって『EXAM』の発動と言うのは余程精神的負担が強い出来事らしい。
俺はシートに座り、ワイヤーを格納してからコックピットハッチを閉めた。
狭苦しい空間に、アルフの過呼吸気味の息遣いが耳障りに響いた。

「…ガンカメラの映像を、出してくれ」

俺は奴の言うまま、その部分を再生した。…俺は『俺』の顔を始めて見た。
…こりゃあオペレーターのお嬢ちゃんも面食らう訳だ。
優男。ユウ・カジマの俺の第一印象はこれに尽きた。
口惜しいが、俺の喋り方だとこの上品に取り澄ました色男の魅力が台無しって寸法だ。
映像を見ているうちに突然、画面の中のユウ・カジマがこちらを見上げた。
蒼いMSの起動に気付いた所だろう。そして、見る者の背中が寒くなるような、凄みの有る笑いを浮かべた途端、
カメラの映像が、突然乱れた。俺は其処で画像の再生を停め、背中から覗き込むアルフに振り向き片眉を上げた。
アルフが深い溜息を吐いた。人差し指で右のこめかみを揉みながら、奴は口を開いた。

「…オマエに、反応したようだな…ブルーは…。だが解らん…どうして、オマエは生きている?」
「…そんなに物騒なMSなのか? コイツは? EXAMは、そんなにヤバい代物なのかよ?」

確かに、『マリオン』の怯えっぷりは普通じゃあ無かった。それに、アルフのさっきの反応もだ。

「…EXAMが発動して、生きて帰ってきたパイロットは、今の所、オマエ一人だ」
「…何だって? 今、何つったテメェは? 今、とんでもなく物騒な事をサラッと流したな!?」
「EXAMはオレにも解らない、云わばブラックボックスだ。オレに出来たのは、機体の制御から
 EXAMを可能な限り引き離し、この紅いスイッチで発動の制御を行うようにする事だけだった」

 俺は自分が幸運の女神と不幸の女神の両方に魅入られた事をたった今、悟ってしまった。
この蒼いMSがただの高性能のMSでは無い、パイロット泣かせ、いや殺しだと言う事を。
俺はアルフに微笑みかけ、口を開いた。…俺に今まで乗りこなせなかったMSは、無い。
ただ一つ、俺がこのMSを華麗に乗りこなして見せる前に確認しておかねばならない。

「で、そのEXAMってのは結局何なんだ?さっぱり話が見えねえんだが…?」
91ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:30:44 ID:???
 俺がそう言った瞬間、アルフの奴は頬の辺りを引きつらせた。
目があからさまに俺を侮蔑していた。どうやら馬鹿にされたらしい。…気に食わねえ。
俺は『マリオン』に聞いた事を思い切ってコイツにぶつけて、カマをかける事にした。

「…クルストって博士が作ったOSだとは聞いたが、OSが暴走しただけでパイロットが
 お釈迦になるワケがねェ。アルフさんよォ、隠し事はいけねえよ?」

アルフの頬が別の引きつり方をした。痛い所を突かれたのか、奴の顔が苦渋に歪んだ。

「…そうだ。ジオンからの亡命者、クルスト・モーゼス博士が作った、『優秀すぎる』OSだ。
 博士はEXAMを完成させるために、連邦に亡命をした」
「オツムがジオン製じゃあ、連邦の機体じゃ合わねえワケだ…」

カムラは淡々と話し続けた。面倒臭いので俺的に要約すると、

 ・EXAMは、蓄積した敵の行動パターンを分析して、最適と見られる戦闘行動を選択する。
 ・その時、パイロットの意思を無視した行動を取ってしまうことがある。
 ・発動すると機体が機体最大性能で動いてしまうため、パイロットの身体と機体に過大な
  ダメージを与えてしまう。(そのためアルフはリミッターを機体とEXAMとの間に噛ませた)
 ・発動時に何故かパイロットが意味不明の言葉をつぶやいたり、恐慌状態になってしまう。
 ・今まで乗ったパイロットで精神も肉体も無事だったのは『ユウ・カジマ』ただ一人。
 ・EXAMを積んだ機体は博士の趣味で蒼く塗装されている。
 ・ジオンにもEXAM実験機が一台稼動している。

と、言う事だった。俺は俯き加減に話すアルフの肩を右腕を廻して抱き、軽く叩いた。

「…オレを、殴らないのか? こんなMSに乗せた、オレを…許して、くれるのか?」
「要はコイツに乗ってる限り、俺は敵と戦えるんだろう? こんなに嬉しい事が他にあるかよ?」
「…そう言ってくれて、助かる。…死ぬなよ、ユウ少尉。オレのブルーを、頼む」
「おい、そう言やぁ、コイツの型番は何だ? 最初コイツの『顔』見てGMだと思ったぜ?」
「前にも話したと思うが、ブルーは最初陸戦型GMをベースに造られたが、機体が持たなかった。
 そこで、陸軍管轄の陸戦型ガンダムを廻してもらい、カメラから上を交換した。GMフェイスは…」
「その名残ってワケだ。ゴーグルタイプの方が、周囲を確認しやすい。データ収拾にも役立つ」
「…そうだ。RX-79〔G〕BD-1、ブルーデスティニー。大切に、使ってくれ」

カムラは照れながら、自分でハッチを開け、ワイヤーを降ろしてコックピットを出て行った。
なんだ、イイ奴じゃねえか。ただ、人付き合いが下手なだけだ。奴は完全に信用できる。
俺一人がコックピットに残された格好になった訳だ。これで、聞きたいことが『もう一人』に
心置きなく聞ける訳だ。俺は『マリオン』に心の中で呼びかけた。が、返事が無い。
どうやら『マリオン』はダンマリを決め込む腹らしい。俺は唇を歪めて笑った。

『止めて、ヤザン大尉! それは…!』
「もう遅いぜ?! マリオォン!」 

俺は黄と黒の注意ストライプに周囲を彩られた、紅いボタンのプラスチックカバーに拳を叩きつけた。
92ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:39:46 ID:???
俺の目は確かに、画面に表示された『EXAM SYSTEM』の紅い文字を読み取った。
俺の耳は確実に、虫の羽音の様な唸りと、『EXAM SYSTEM STANDBY』と囁く機械的な声を聞いた。
その瞬間、俺の意識が…飛んだ。どこか自分の意識だけが抽出され、宙へ放り出されたかの様に感じた。

「何なんだ? 何が起こったんだ! どうしてEXAMが発動している?!」

俺の足元で、アルフが叫んでいた。足元、だと? ふと自分の感覚を可笑しく思い、俺は自分の右腕を見た。
それは武骨な形をしたMSの腕で、蒼く塗装されていた。強い風が、俺の体を吹き抜けてゆく。

『俺は…一体…どうなっちまったんだ…?』

頭の何処かで、少女の泣き叫ぶ声が聞こえた。俺は少女の叫びに耳を澄ませた。怯えが、少女を支配していた。

『後ろから、怖い人達が来る! 6人も! もう…嫌ぁァァァァ!!』

俺は振り向いた。3機の07と、3機の06が、『見えた』。
視覚では無い。例えるならば、皮膚感覚だ。あのチリチリと焼けるような殺気が、俺を苛立たせた。

『解った! 始末するから、泣くな! 喚くな! 怯えるな! …落ち着け、マリオン! その為に俺が居る!』

我ながら、ガラにも無い台詞だった。童話の中の、姫君を守る騎士にでもなった様な気恥ずかしい言葉を吐いた
俺は自分の精神が正気を保っているかどうかを一瞬疑ってしまった。

『…俺では無く、優男のユウ・カジマの顔なら、この台詞も案外似合うかもしれないな』

俺は苦笑すると、後ろを向き、殺気の元へと意識を集中させた。体が飛ぶように軽く動く。
俺はこの感覚を非常に心地良い物として捉えていた。それは、かつて感じたことの無い快感だった。
俺の意識がMSにダイレクトに伝わる。MSが認識した物が自分の感覚の様に伝わる。
俺の乗ってきたどんなMSでも、こんな感覚を味わう事は無かった。

『一体どんな魔法だ…コイツは…』

 …あの抜群に反応の良かった、『RX−139 ハンブラビ』でさえも、このMSのもたらす一体感に比べれば、
金属の鎧を何重にも着た鈍重な反応を返すMSと感じてしまう。機体性能や機動性は比べ物にならないほどに
ハンブラビの方が高いだろう。だが、そんなカタログスペックの問題ではない。
動かすのにスティックもフットペダルも必要としないこの快感は、とても口下手な俺には説明できない。

『来た来た来た来たァ!! カモが来やがったァ!! 』

『俺』の視覚が、3機の07を捉えた。俺はビームサーベルを両手に持ち、突進した。
07のパイロットの驚愕が、何故か俺には手に取る様に感じられた。

『うおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!! 死ねぇぇぇぇぇぇい!!!』

 押さえきれない破壊衝動が、俺の脳裏を支配した。
真正面の07のヒートサーベルを持った右腕と、マシンガンが内蔵された左腕を一気に斬り落とす。
とどめに胸のバルカンの連射でコックピットを潰すと、07は呆気なく崩れ落ちた。

『まず一機っ! 次はテメェだぁ! 間抜け野郎がぁッ!』

 俺は盾を構え、ヒートロッドを放とうとする右の07に『体』を向けた。
すぐさま腰部に装備されているミサイルを放ち、牽制した。07が無様にのけぞる。
俺は急接近してコックピットをビームサーベルで貫く。今の俺には、このMSの事が総て『解って』いた。
装備している武器も、限界性能も、自分の体の様に『理解』していた。
俺は唐突に思った。この感覚さえ『あの時に』有ったなら、『Z』に勝てたのでは無いかと。
93ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:44:07 ID:???
 立て続けに2機の07を葬り去った俺は、次の07を認識した。戦闘中に余計な事を考えた奴は死ぬ。
破壊欲求に支配された俺の心の中に辛うじて残った冷静な部分が、俺を束の間の回想から呼び戻した。
 3機の09がホヴァーで土煙を巻き上げながら、ジャイアント・バズを構えつつ接近していたのだ。
残された07が連動して仕掛けて来ると思ったが、どうやら恐怖に取り憑かれたらしく、動かない。
俺はビームサーベルを片方、格納した。このMSのエネルギーゲインが高いと言っても、無限ではない。

『ジオンの達磨どもか…。勿体無いがこの俺が相手してやるぜ!』

 俺は向かってくる3機の09の内、先頭の1機の右足に、ミサイルを同時に2発放った。
俺の狙った通りに有線ミサイルは命中し、先頭を行く09の右足が吹き飛んだ。
直ぐにホヴァー推進のバランスを崩して、俺から見た右隣の09を巻き込みクラッシュする。

『2丁上がりィ! ママの夢でも見ながら寝てな! 』

俺は突っ立ったままの07の背後を取るとそのまま盾にして、無傷のまま残った09にスラスターを噴かし突進した。
盾にされた07を気遣ってか、案の定、09はジャイアント・バズを撃って来なかった。

『甘いんだよ、オマエは! だから死ぬ! 』

俺は07を09に向かって突き放すと、スラスターを切って急制動をかける。何故か俺の膝が痛んだ。
07と09が衝突し、けたたましい音を立てて07が仰向けに倒れる。装甲が厚い09は立ったままだ。
だが、牽制にはそれで充分だった。09の背後に廻った俺は迷う事無く09の腹部に光る剣を突き立てた。
コックピットを焼かれたパイロットの叫びが、何故か俺の耳に届いた。

『…何故…俺はコックピットを…パイロットを集中的に狙っている…?』

 俺は自分の行動に違和感を持った。直接倒した2機の07に、今の09。必ずコックピットを優先的に潰している。
殺気の元を断っていると言っていい。戦闘不能にするならば、メインカメラや手足を潰すだけで簡単に出来るはずだった。
ボシュボシュボシュッ! 俺が命じた訳でも無いのに、腰部のミサイルが連続して、クラッシュしている2機の09に向かって発射された。

『やめろぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』

俺の意に反して、ミサイルは2機の09に向かって吸い込まれて行くかのように次々と命中していく。
そして、二人のパイロットが上げる、断末魔の悲鳴が俺の頭の中に直接聞こえてくる。

『まだ…怖い人がいるっ…』
『何だと…』

 マリオンの怯えた声が俺の脳裏に響いた。俺は仰向けになって倒れている07を見た。
パイロットがコックピットから出て、俺に拳銃を向けていた。可哀相になる位に震えていた。
…若い女だった。07乗りはベテランが多いが、まさか若い女が乗っているとは想像もしなかった。
パン! パン! パン! 女が立て続けに引金を引いた。…拳銃弾では、MSの塗装を傷付ける事がやっとだろう。
だが、俺の耳にブルーの胸部バルカンを作動させるモーター音が唸りを上げるのが聞こえた。

『乱暴な奴、消えてしまえ!』
『やめろぉォォォォォォォォォォォ!!!!』

その途端、俺は自分がコックピットに居る事を始めて認識した。…胸部バルカンは、発射されなかった。
俺はMS戦闘は大好きだが、人殺しをしたい訳ではなかった。これでは俺は虐殺者になってしまう。

「何をそんなに怯えている!! 相手は生身だぞ?! 正気かマリオン!」
『…ヤザン大尉…ごめんなさい…許して…でも…私には止められないの…』

正面のモニターには、リミッターの作動を告げる表示が明滅していた。俺はEXAMがどんな物かを、自分の身をもってこの時思い知ったのだった。
人間を、パイロットを、ただの破壊の快楽に酔う殺戮マシーンに変えてしまう、究極のマン・マシーン・インターフェースシステムだという事を。
94ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:45:41 ID:???
荒らし同然の旧作の書き込み、許したもんせ(大泣き)。つい、やっちまったがんす!
95ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:50:27 ID:???
…目の奥がチクチクと痛む。少々、吐き気がする。急に激しい頭痛が『我に還った』俺を襲った。
膝が燃えるように熱く、痛む。コレが戦闘能力の『代価』に、パイロットが支払う『代償』なのだろう。
EXAM発動時に味わった極上の快楽から、直接地獄の釜の中に投げ堕とされた気分だった。
…最悪ってことだ。規則正しい地響きが、俺の不快感を増加させた。間違い無い。MSの脚の駆動音だ。
機体のレーダーを確認する間もなく、通信を告げるコール音がけたたましくコックピット中に鳴り響く。
宿営地に居るはずのフィリップ機からだった。
ミノフスキー粒子の散布濃度が薄いのか、画像付きだ。驚いたことに、アルフを同乗させている。

「ユウ、無事か?! バカヤロウ! 一人で勝手に突っ走るな! 俺達はチームだろうが!」
「悪かった…済まないが…も少し小さな声でやってくれ…。頭に響くんだよ…糞野郎が…」
「やられたのか?! オレのブルーが!? 何処を損傷した! 答えてくれ、ユウ少尉!」

アルフの奴が身を乗り出して聞いてきた。俺は体に残る不快感をこらえながら、笑顔を作った。

「…アンタのブルーは拳銃弾三発を被弾しただけだ。…紅いボタンを押した後の感想を、早く聞きたくないか?
 なるべく急いで来てくれ。EXAMのリミッターが作動して、動けないだけだ。…お蔭で助かったがな」
「…馬鹿が…。オレは許可を出した覚えは無いぞ!? EXAMは危険だと言っておいたのに、何を考えて…!」
「言っただろう? 『ブルーを頼む』と…。 お前は俺を信じて話してくれた。俺は信頼に応えたかった…」
「ユウ、三分待ってくれ! こちとら技術者サマを乗せてたのを忘れてた! スラスター全開で行くからな!」
「壊すなよ…フィリップ…。整備の連中が泣くぞ? 一日で三機も面倒見切れません、ってな」
「…その時はオレの名と腕に措いて全機体の面倒を見てやる。急いでくれ、ヒューズ少尉…パイロットが心配だ」
「…舌噛んじゃ嫌ですぜ? しっかり体を固定して下さいよぉ? カムラ大尉ぃ!」

時折ノイズの走る画面の中で、アルフがのけぞるのが、悪いが俺には可笑しかった。
フィリップが、無邪気に笑っていた。…アルフに対する悪意など、全く見られない。
アルフが他人と打ち解けるのに、俺はどうやら一役買ったようだ。思わぬ嬉しい誤算だった。
モニターで外界を確認すると、眼下のジオンの女パイロットは、拳銃を握ったままへたり込んでいた。
…無理も無い。
三分足らずで五機の仲間が、たった一機を相手に全滅したのだ。
大の男でもこうならないとは云えん。
多分、この場から逃走しようと言う気力も失せているのだろう。
連邦の陸軍の女捕虜の扱い方は、お決まりのコースだ。

「何をしてる! 早く隠れるか、逃げろ! あとニ分で俺の仲間が来る!」

…俺も随分、優しくなったものだ。
女が戦場にしゃしゃり出てくるのは嫌いだが、軍が抵抗できない女子供を痛め付けるのは許せなかった。
コロニーの民間人にG-3ガスをばら撒いたりする作戦を立てる様な組織に居たこんな『野獣』の俺でも、
軍人として守るべきルールがあると思っている。
相手は軍人だが、この際は目を…固く瞑ろう。俺は自分に言い聞かせた。
しかし、女は反応しなかった。
…当たり前だ。外部音声出力をONにしてないのだから、相手に聞こえる筈が無い。

俺はハッチを開け、MSから顔を出した。パン! チュゥン! 
…あと10p右にそれていたら、ユウ・カジマの秀麗な顔はザクロの様に紅く割れていただろう。
女はまだ戦意を失っていなかった。俺は腰に装備していた拳銃を素早く抜き、続けて三発撃った。
外す事無く、弾丸は女の胸部に命中した。綺麗な顔をしたまま、女は逝った。

「随分と…お優しい事だな…? ヤザン・ゲーブル…」

俺は、女の頭から狙いを外した自分に苦笑した。
自分の中に甘さが残っていた気恥ずかしさが、そうさせた。…まだ、俺は『甘い軍人』だな、と。
『軍人』は命令ならば、自分に武器を向ける者は女だろうが子供だろうが何だろうが関係なく、
躊躇せず殺らねばならない。
しかし、ティターンズの気に入らない命令を拒否した俺は…人間のままなのかも知れない。

「やり慣れない事は、するモンじゃ無いな…」

フィリップ機の立てる騒々しい音が、すぐ近くまで迫っていた。今日だけでブルーは10機のMSを堕としていた。
体調は最悪だが、悪くない気分だった。
96ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 13:57:31 ID:???
俺はブルーを降り、女の遺骸を見下ろしていた。女の見開いた目を俺はそっと閉じさせた。

「…勿体無ェなぁ…。宇宙人にも一発お願いしたいイイ女が居るモンだな? ユウ?」

サバイバル用の携帯スコップを持ったフィリップが、俺のすぐ後ろに来ていた。
俺は振り向き、苦笑の表情を作った。フィリップは肩をすくめ、『お手上げ』のジェスチャーを見せた。

「戦争だ。仕方無い。それとも俺が死んでた方が良かったか? フィリップ?」
「お前さんが死んだら、誰に俺の背中を任せられるんだ、ユウ? サマナの奴じゃ、ちィと、な…」

フィリップは女の拳銃に視線を移した。殺すまでに至った事情を察してくれたようだ。相手が抵抗した。俺が拳銃で相手をした。少なくとも、一方的に殺した訳では無い事を。
俺が遺骸を埋めてやる事を提案すると、奴は快く同意してくれた。…口は悪いが、気のイイ奴だ。コイツも、俺の信頼できる『仲間』に出来る。

「…キジも鳴かずば何とやら、だな…。ユウ? お前さんの先祖が住んでた土地の言葉だ」
「ニホンの格言だろ?『キジも鳴かずば撃たれまいに』だよ、フィリップ」
「…で、そのキジって何だ? 動物か?」
「さあな…。アルフの奴はどうした? ブルーの中か?」
「ああ、素っ飛んで行きやがった。あ、お前さんの事も心配してたがな。
 …案外イイ奴だったんだな、アイツ…アルフ・カムラ大尉殿は」

ジオンの女兵士を埋葬する穴を交替で掘る間に、フィリップが此処に駆け付けるまでに至った経緯を話してくれた。何と奴は、フィリップに頭を下げて、頼み込んだと言う。

「『オレが気に食わないのは知っているが、ユウ少尉のために曲げて頼む!』、なんて
 言われると、何か俺が悪い人の様に思えてな…。飯も食わずに来たんだぜ?」
「あとで何か奢るよ、フィリップ」
「せいぜい楽しみにしておくぜ…っとぉ! 疲れたから交替な? ユウ?」

穴を掘り終え、女兵士の遺骸を埋葬するため運ぶ際に、フィリップは女の胸元に手を突っ込んだ。認識票を、墓標に掛けて置くのに回収するためだ。

「…使い物にならんよ、フィリップ。こうも穴が空いていては、な」
「お前さんに出会ったのが、彼女の運の尽きってワケだな…」

金属製の2枚の認識票には見事にそれぞれ一つずつ穴が空いていた。…俺の拳銃の弾の仕業だった。着弾の衝撃でひしゃげている。
フィリップは認識票の鎖を女の首から外し、自分の手に掛け、遺骸の両肩を持った。俺は脚の方を持つ。アルフが、ブルーの状態の確認を終えたのか、近寄って来る。

「済まねぇな、アルフ大尉…。この女を埋めるまで、待っててくれるかい?」
「…何かオレに、出来る事は無いか? …見ているだけでは、な…」
「大尉は、この認識票を持って来て下さいや。俺達が、運びますから」

女を埋め、破壊したMSのパーツの破片で十字架の墓標を作り、認識票をそれに掛け、三人が黙祷を捧げると、一連の簡単な葬儀は終了した。

「幸せな、女だな…」

アルフが呟いた。フィリップと俺は、静かに頷いた。俺の破壊した後のMSは、コックピットを重点的に狙っていた。ミンチの様になった奴も居れば、ミサイルで焼かれた奴も居る。ビームサ−ベルで貫かれた奴は、塵すらも残っていないだろう。
綺麗な顔のまま、誰かに見送られて、逝けた。例えそれが敵でも。言い訳などしない。『俺』が全てやったことだ。
この結果は俺の選択が招いた事だ。それをEXAMの発動の責任にしてしまうと、俺が乗っている意味が無くなってしまう。

「…ブルーの再起動に成功した。両膝のショックアブソーバーにガタが来ている以外には、
 大きな問題は無い。宿営地までは持つ。…オマエ達には悪いが、一つ仕事を頼みたい」
「07の鹵獲でしょう、大尉? 『蒼い死神』の大戦果だ! やったな、ユウ!」

フィリップが軽く口笛を吹いた。俺はアルフに頷くと、もう一度、墓標を見た。
ただの自己満足や偽善に過ぎないかも知れないが、許してくれ。明日は我が身かも知れないのだから。
そう心の中で呟くと、俺は二人の肩を抱き、帰還を促した。

「さあ帰るぞ2人とも! 腹が減って仕方が無い! 醒めたピザでも残ってりゃあ御の字だ!」
97ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 14:00:54 ID:???

「膝以外の異常は…無いようだな」

俺はブルーのコックピットに戻り、各種計器をチェックした。特定部位、特に各部アクチュエーターの
表示がグリーンから、イエローに変わっている。膝の部分が、危険を示すレッドだ。俺は溜息を吐いた。

「…怖ろしくコストパフォーマンスに欠ける機体だな、コイツは…。EXAMなんて代物を外せば…」
『仕方ないわ。…このMSはEXAMを基本OSとしているもの…。機体の方を合わせるしかないの』

俺は口を閉じた。ブルーに乗ると言うアルフを宥めて、フィリップ機に乗ってもらった理由は、
この『マリオン』と対話する為だとは、現段階では奴に明かせなかった。
俺は静かに目を閉じ、心の中にEXAM発動時の戦闘のイメージを作った。
この娘が本当にNTなら、これだけで、俺の言いたい事が理解できるはずだ。

『あれは…わたしの意志じゃないの…。 EXAMが…わたしに…強制を…だから…わたし…』
『…泣くな。解った。それだけ聞けばもう充分だ。責めたりして済まん…』

思わず拳を握り締めた俺は、クルスト博士と言う奴を無性にブン殴りたくなってきた。
俺の脳裏に、苦痛に耐えながらもモーゼス・クルスト博士の期待に応えたい一心で
EXAM開発の被検体になり続けた『マリオン』の辛さの『ビジョン』が、飛び込んで来たからだ。
彼女が実験中、素晴らしい反応数値を叩き出すごとに喜んでいた博士が、段階やレベルが進む
うちに深刻な憂い顔をする様になり、やがては狂気染みた憎しみすらNTに対して、抱くようになった事。
そして何よりも俺が哀れみを感じたのが…。

『大尉は…優しい人…。どうして…そんな人が…人を…殺せるの?』

 …彼女はそれを全て解っていた事だった。14の少女がこんな悪意に満ちた行為に耐えられるはずが無い。
EXAMは旧人類、OTの『対NT戦闘』のために用意された、戦闘能力に特化した人間を撰び出すOSである事を、
彼女は全て『知っていた』のだ。認識力の拡大したNTの宿命と言えばそれまでだ。だが、残酷過ぎる。
戦争は、大人の都合でやるモンだ。…少なくとも、明日を担う子供が付き合うモンじゃあ、無い。

『…どうして、俺にこんな物を見せる気になった?』
『大尉は…解ってくれると思ったから…。大尉は…『目覚め』かけているから…』
「止めろ! マリオン! これ以上俺に構うな! もういい! 用がある時は俺が呼ぶ!」

俺は恐怖していた。自分がNTになってしまうかも知れないことが。俺は、無神経な人間でいたい。
もし、戦場で向かい合った人間の全ての事を理解して、俺はそれでもそいつを殺せるのだろうか?
…出来る奴は狂人か、よっぽど他人に無関心な人間だけだろう。共感能力が欠如した奴等だ。

『…叫ぶ理由が解ったぜ…マリオン…。辛いんだな…。怖いんだな…。「自分」が…』
『大尉は…解られたくないの?…解りたく…無いの?』

俺は応えず、MSのフットペダルを踏み込んだ。自分の意志でも無いのに戦闘を強制させるEXAM。
それを解って貰いたいのに、向かってくる敵。その全てを感じ取り、恐怖するNT、『マリオン』。
俺はそんな辛さは御免だった。『生き残る快感に目覚めた人でなし』のままの方が楽でいい。
俺は俺以外のモノに為るのは正直、御免だ。俺は『ヤザン・ゲーブル』なのだから、死ぬ時も
俺のままで居たい。『確実な先読み』なんて抜かすインチキな能力などクソ喰らえってモンさ。
…己に恥じる処無く、逝きたい。最後にシミ一つ無い心意気だけを持っていくために。

『マリオン…。いいか、俺が、人殺しをしているんだ。オマエの責任じゃあ、無い。たまたま、
 傍にオマエがいるだけだ。もう…悩むな。悪いのは、俺を含めた…戦争をする大人だ』
『…有難う…大尉…』
『怖かったら、俺を感じろ。敵よりも、俺の方が怖いからな? 何せ、俺は戦争を楽しんでる』
『…うん…』

俺の頬に、何か暖かく、柔らかい何かが一瞬、押し付けられた感じがした。…気のせいだろう。
何故か気恥ずかしくなった俺は、機体を気遣い、緩めにフットペダルを踏む。
この歩行ペースでも、先行するフィリップ機に追いつくには、時間は懸からないだろう。
98ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 14:03:08 ID:???
俺はフィリップに追いつき、右に廻って07を担いだ。アルフは『ブルーに負担を掛け過ぎるな!』
と、釘を刺すのを忘れなかった。…フィリップは苦笑いしていた。アルフに悪意が無いのが救いだ。
宿営地に着いた俺達は、待機していたサマナから夕食を受け取った。…冷めたハンバーガーだ。
仕方無い。別に支給されるはずのパイロット食に期待しよう。
俺達の野獣のような喰いっぷりをニコニコしながら眺めていたサマナが、ニヤ付いた顔をして、俺の腹を小突いてきた。

「モーリン伍長が、取っておいてくれたんですよ。後で礼を言って置いて下さいね?」
「おいおいサマナ君? お前が取っておいてくれたんじゃないのか?」
「フィリップ少尉とアルフ大尉の分は、僕が確保したんですよ? もちろん、ユウ少尉のも?」
「なんだ、ユウの分がもう一つ有るのかよ? ウラヤマシイことで…」

俺はその『モーリン伍長』が誰だか見当も付かなかった。ユウ・カジマとイイ仲らしいと言うのは解る。
ただ、どんな顔をしているかがわからない。礼を言おうにもそれではどうしようも無い。
深刻そうな表情で俺が黙ったのを見兼ねたのか、意外にもアルフが声を掛けてきた。

「…オマエ達のオペレーターを担当している、モーリン・キタムラ伍長がか? サマナ准尉? 」
「アルフ大尉…もしかして興味が御ありで? ユウ、サマナ君、ライバル出現だなぁ?」
「いや…違う…。もし、ユウ少尉と親しい仲なら…悪い事をした、と…」

意味深にアルフは俺の顔を見た。…俺の事について何か感付いたらしい。俺はそれに気付かぬ振りをしてサマナに答えた。

「解ったよ、サマナ。モーリン伍長には礼をキチンと言って置く。お前にも、な」
「…ユウ、本当に、頭、打ったのか? モーリンの事、伍長なんて階級つけて呼ぶなんて…」
「モーリン、僕にこぼしてました。 ユウ少尉に『お嬢ちゃん』って呼ばれたって…。ショックだったみたいですよ?」
「…EXAMの影響だろう…。一時的な記憶の混乱だ。…心配無い。すぐに慣れる」

確定的だった。『俺』についてアルフは何かを掴んだのだ。奴の知っているユウ・カジマと『俺』との決定的な違いを。俺はアルフの目を見た。
アルフの目元が、柔和に笑っていた。どうやら、この場を収拾してくれるらしい。俺はアルフに小さく頷いた。
この場は俺に任せてくれ、と言う意思を込めたつもりだ。

「…ちいと06とやり合った時に、ショルダーアタック受け損なってコケちまってな…。ほら、お前らが包囲された時だ」
「ユウ、それなら医者に診てもらった方がいいんじゃないのか?」
「そうですよユウ少尉…。脳はそれはそれは複雑な構造で…」

俺は顔の前で手を振り、微笑んだ。お医者サマに診てもらっても、コレばっかりはどうにもならない。

「いいよ、フィリップ、サマナ…。作戦に支障が無ければ。俺の腕、見ただろう?」
「…そうだな。何時にも増して、凄かった。それは認める。優秀な、パイロットだ」

アルフが口を挟んだ。言葉どおりに取れば、ユウ・カジマではなく『俺』を褒めていた。フィリップとサマナは、なおも言葉を継ごうとしたが、アルフが機先を制した。

「…ブルーのことでユウ少尉と話がしたい。軍機にも関わるので、済まないが…」
「解りました、大尉殿。…ほれ、サマナ君、行くぞ?」
「フィリップ少尉…。何時までも『君』付けは困りますよ…。最近整備の女の子にも…」

フィリップとサマナは、ふざけ合いながらミデアの中のパイロット待機室へ向かっていった。MS駐機スペースに残った人間は、俺とアルフの二人しか居ない。…潮時だろう。アルフが口を開く前に、俺は口を開いた。…腹芸は、苦手だ。速攻でケリを付けたい。

「ユウ・カジマはこんな口の聞き方をせず、もっと寡黙で聞き分けの良いパイロットのはず、だな?」
「…ああ。『するな』と言われた事はしないパイロットだ。冗談も余り言わん…。それに…」
「それに?」

アルフが顔を赤らめた。…男が照れているのを見るのは正直言って気持ちが悪いが、人付き合いに慣れていないコイツには、余程、言いにくい事なのだろうと俺には推測できた。
俺は『29歳のイイアンちゃん』、『ヤザン・ゲーブル』だ。…人生経験はそれなりに有る、つもりだ。
99ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 14:08:22 ID:???
 アルフは所々つっかえながらも、言葉を繋げた。照れていただけなのだろう。正直俺は、安心した。

「絶対に『熱く』はならない、冷静な男だった。…彼はオレの事も『ブルー』の事も嫌っていた…。
 しかし、オマエは違う…。オマエはブルーを褒めてくれた…。オレを信じると言ってくれたっ…!
 熱い、煮えたぎるようなギラギラした何かを、オレはオマエから感じたんだ…! …笑ってくれて
 もいい。…だが、オレは、変わりたい! 戦いたいんだ! オマエと、ブルーと共にっ!」

血を吐くようなアルフの叫びに、俺は圧倒された。一見、人の評価など何処吹く風か、と言う様子の
この男に似合わぬ、『熱い』台詞だった。俺はアルフに、右手を黙って差し伸べた。
アルフが俺の右手を握ると、俺は正体を明かす決心をした。

「…俺はティターンズのヤザン・ゲーブル大尉だ。以後、よろしく頼む。アルフ・カムラ大尉…」
「ティターンズ? 何だ、それは?」
「話せば、長くなるんだがな…今は0079だから…そうだな…」

俺は辺りを見渡した。休憩を終えた整備員達が、各担当のMSに三々五々と向かって来る。
誰かに聞かれると、非常にマズイ。俺はブルーのコックピットで全てを話すことにした。
ブルーに『灯』を入れ、点検中を装おうとした俺をアルフは手でさえぎった。

「? 何だ? 何のつもりだ? アルフ?」

アルフが操作パネルの裏をいじると、普段は表示されないメニュー画面が出てきた。
そこに表示されたチェックを次々とアルフはOFFにして行く。俺は正直、呆気に取られていた。

「…パイロットのモニター用に、コックピット内の全てのデータが保存される様になっている。
 音声データもそうだ。…例外無く、EXAM発動後パイロット達は『マリオン』と言う名詞を
 叫ぶ。…オレ以外の誰もこの処置に気付いていないはずだ。隠しメニューだからな」
「お前、コイツの設計段階から関わってるのか?! 」
「オレの造った物が、テム・レイの造った物に負けるとは正直、思わなかった…」

アルフが語ったのは、『V作戦』にまつわる秘話だった。ぶっちゃけて言うなら、テム・レイの
政治力に負けたアルフの『RX-78』が没にされ、『RGM−79』開発に廻されてしまったと言う事だ。
しかし、戦況が急遽MSを必要とするほど悪化したために、没になったアルフのプランが採用され
試作型の部品が流用され、生産された。それが…

「…陸戦型ガンダム、RX−79〔G〕だ。オレの造ったモノを採用していれば、こんな苦戦をせずに
 済んだだろう。最も、先行量産機体で、試作品に近い代物だ。…ロールアウトした数は微々たるものだが」

その後もアルフは陸戦型GM、GMバリエーションの設計に関わったと言う。凝り性のコイツの作ったMSだ。
さぞやベテランのパイロットやメカニック以外には乗り辛く、扱い難い機体に仕上がった事だろう。

「…今度はオマエの話す番だ。ユウ少…、いや、ヤザン大尉。オマエは何者だ?」
「俺は…七年後の宇宙から、この時代に…呼ばれたんだ…。精神だけ、な」

アルフは、笑わなかった。…紳士的な奴だ。ここは思い切り笑い飛ばしてもイイ所なんだが…。
100ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 14:10:57 ID:???

 俺が話す内容に、アルフの顔は徐々に青ざめてきた。政治向きの話では聞き流していたが、
MS関係の話になると身の入り方が違う。俺の首を締めんばかりの勢いで身を乗り出して来た。
 …可変MSなんぞ、この時代の常識からすればゲテモノ以外の何物でもないだろう。しかし、
アルフは以外にも俺の話す内容について、己の技術屋としての立場からの異論を挟まなかった。
 むしろ俺から情報を出来る限り引き出そうとしていた。…己の仕事に貪欲な奴は、好きだ。

「…ムーバブルフレームか…。だからオレは言ったんだ…。戦闘機にも為る脱出カプセル
 など面白がって組み込むからだ。戦闘データなど人が居れば幾らでも取れるだろうが…」
「おいおい、アルフ、それを絶対、俺以外のパイロットの前で言うんじゃ無いぞ…」
「…オマエがパイロットだと言う事を忘れていた…。技術的な事を語れるから…つい…」
 
 アルフが慌てて謝罪し、俺は笑って許した。大局的な見地に立って見ると、アルフの言う方法が
有効だ。一つの不確実な質より、玉石混交の確実なデータ収集の方が効率が遥かに良い。

「…ジオン系の技術はモノコック構造とその…サイコミュ…と…人工NTか?」
「ああ。生化学の分野はあまり詳しく無いが、肉体的にも精神的にも人間を
 戦闘用にいじくり回した産物さ。薬か何か使ってるから、ラリってるのと
 似たようなもんだ。不安定過ぎて一緒に組んで戦いたいとは二度と思わん。
 薬物耐性から、女が多いな。なんでも、『動機付け』が簡単だとか…」
「…クルスト博士の言う事は、正しかったのだな…。…ヤザン大尉…」
「…戦闘狂の似非NTが増えたのは認める。しかし真実のNTはそんな…」

 俺はZに堕とされた時を思い出した。Zのパイロットも、NTだと噂されていた。
そのZが、俺との戦闘にどんな事をやってのけた? メガ粒子砲をワケの解らん力で弾き、
機体分もある長さのビームサーベルで俺を…いや、ハンブラビを斬った。
 俺はトチ狂って何をアルフに言おうとしているんだ? 悪意が俺の頭の中で意地悪く囁く。
俺は『マリオン』を弁護したいだけなのだろうか? 俺は人類の可能性を説きたいだけだ。

「…危険なモンじゃ無い。ただ、全てを『解る』から…辛い。何か自分に
 出来る事をしようと足掻くのが人間だろ? もっとこう…何だ…その…」
「…NTにでも逢った様な口振りだな? オマエはNTの何を見たんだ?」

 俺はアルフに全てを話した。Zとの戦闘、『マリオン』との邂逅を、夜の明けるのも忘れて。
…俺の驚天動地の体験に満ちた長い一日が終わり、戦闘に明け暮れる日々が始まるのも知らず。
101ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 14:13:18 ID:???
 それからの俺達は、自分で言うのも難だが、正に『戦争の申し子』と化し、北アメリカ大陸を蹂躙した。
第十一独立機械化混成部隊こと『モルモット隊』は、『RX-79BD-1』のテスト部隊としての性格のみならず、
MS小隊戦術研究部隊の性格も付与された。アルフに正体を明かした俺は、文字通り『吹っ切れて』いた。

「バックアップは俺に任せろ! フィリップ、サマナ、出来る限り引っ掻き回せ!」
「…任せとけユウ! こんな奴等より、お前の方が余程怖いぜ!」
「僕だって、いつまでもやられてばかりじゃないんだ! 糞ォッ!」

 俺は教導隊の教官に戻ったつもりで、ベテランである二人にMSの運用法を初歩の初歩から『叩き込んだ』。
勿論、激しい反発もあった。だが俺は、宥めすかしつつも脅し、何とか『観られる』レベルまで成長させた。
今では立派に前衛も後衛もこなせるオールラウンドな思考と腕前を持つパイロットに仕上がったと思う。

「…整備の方は任せてくれ…ヤ…ユウ少尉…。前より整備班が動いてくれて、助かる…」 
「ん? やっぱ宴会が効いたか? もう一回、非番の奴を集めてやるか? 」
「…その…なんだ…。幾ら軍隊でも…アレはイケナイのでは無いかと正直…オレは…思うぞ」
「いいんだよ、面白けりゃあ。 整備やオペレーターの女の子にも受けてたろ? 」

 この部隊のネックが新参者のアルフ・カムラ大尉の無愛想さにあると見た俺は、当直以外の奴等を中心に、
『大宴会』を企画し、実行に移した。事実、整備班の奴等が文句を垂れ、出席を拒んだが、俺は古株連中を
叩きのめし、一切合財強制参加させた。
 そこでアルフ・カムラ大尉のスピーチをやらせ、部隊の酒保倉庫から失敬してきたアルコールや食料を大盤
振る舞いした訳だ。案の定、アルフの株は急上昇し、古株連中は面目を失った。今では整備班の若手はアルフの『手足』以上によく働く。
 アルフが言った『イケナイ』事とは、俺がその晩の当直MSパイロットだったサマナまで引っ張り込んで、
フィリップとアルフの四人で実行した俺の『脱ぎ芸』の奥義、『教導隊名物4連風車』を実行した件だろう。
…誰の風車が一番良く廻ったかって? 目を覆った手の指の間からしっかり見ていたモーリン伍長に聞くと
『…フィリップさんのって、意外と可愛いんですね』だそうだ。可愛い顔してるのに、結構言う事は残酷だ。

「…あの日ずっと部屋の前で待ってたのに…。バカ…」
「…ん?何か言ったかキタムラ伍長?」

 俺とアルフがブルーのコックピットで一晩を語り明かし、充実した気分でミデアの私室に帰ってきた俺を
部屋の前で待っていたのは、目の下にクマを作ったモーリン伍長だった。心配してくれたのだろう。
 しかしその対象は俺ではなく『ユウ・カジマ』だ。俺は抱きついてきた伍長を宥め、自室に帰した。
 …人の持ち物に手を出すほど俺は不粋じゃあ、無い。…俺は正直、もう少し大人びた女が好みだ。
 
「行くぞお前達! 今度の獲物はでかいぞ! 気を引き締めていけ!」

 部隊が一つのチームとして育っていく過程は、俺にとって輝かしくも懐かしい記憶を呼び起こさせた。
教え子がどんどん成長していくあの楽しさは、やって見なければ解らない喜びだろう。
唯一残る障害は、この部隊を仕切ろうとする俺の意のままにならぬ、無能な部隊長だけだった。
 俺はアルフと謀議し、一つの策を練り、この糞ったれの部隊長の排除を実行に移す事にした。
102ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 14:15:04 ID:???
俺が名前を言うのも気に障るそいつは、『大尉』のアルフより1階級上の『少佐』だった。
そいつがただの出世しか頭に無い奴なら、俺やアルフを始めとする主流派は気にも留めやしなかった。
俗に言う『ヒラメ』と言う奴だ。目が上にしかついていない奴をからかうためにあるニホンの言葉だ。
 
 だが、奴は違った。事有るごとに細かいことでも口を出し、敵が迫っているのに指揮も執らず、ただ
『戦略上うんぬん〜』を最もらしく持ちだしては、悦に入る。戦場で即時対応しなければならない俺達
パイロットの苦労も知らず、『私の御蔭で勝てたのだ』と来れば、誰だって頭に来るだろう。
 
 …戦場の情報分析や状況把握は、アルフがほぼ一人でこなしていた。それらをオペレーターを使って
伝え続けてくれたのも、アルフの御蔭だ。…その時その『少佐』は何をしていたかって?
 
 呆れたことにオペレーターの女の子の体をベタベタ触り、嫌がるのも構わず撫で続けていたそうだ。
『百害あって一利無し』。これが俺達『モルモット隊』の指揮官たる『少佐』への最終評価だった。
 簡単に言やぁ、『居ない方が遥かにマシ』って奴だ。正直、指揮官としてマシな奴が欲しかった。

「アルフ…巧くやれよ…。死ぬなよ…。頼むぜ…?」
『ヤザンさん…。どうして…そんな酷い事をするの? 死んで良い人間なんて一人も…』
「居るんだよ、マリオン。生きてても邪魔な人間は、確実にな!」

 戦闘を重ねる内に、俺は『マリオン』に好感を持たれる様になっていた。俺を呼ぶ時、一番最初が
『大尉』だった呼び掛けが、『ゲーブルさん』に変わり、終には今の『ヤザンさん』になった。
 …正直に言おう。俺に昼食を直接届けに来たモーリン伍長を、『ブルーの胸部バルカン』で危うく
ミンチにしようとした事態がつい一時間前に発生したばかりだ。元に戻すのに三十分も説得に要して
しまったほどだ。口を極めて罵りはしたが、まあ、『マリオン』の事だ。多分、許してくれるだろう。

『…私が許せないのは、あの人の方…。私がここに居るのも知らないで…あんな嬉しそうな顔をして…』
「まだ、怒ってるのか? 別にあの子は『俺』に好意を抱いてる訳じゃないんだ。むしろ、嫌っている。
 モーリン伍長はただ、自分の知ってる昔のユウ・カジマに戻って欲しいだけなんだぜ?」
『私は…ヤザンさんに戻って欲しくなんか…』
『…おいでなすったぜェ! ユウ! 敵さんがよォ! 生本番と行きますか!』

 ノイズ混じりのフィリップの呼びかけに俺は送信を急いでONにした。…余り早く片付けてもらっても
今回は困るのだ。敵の哨戒部隊だ。敵の編成は…。俺がフィリップに聞く前に、頭の中に少女の声が響く。

『先行部隊に06が3、07が4。後発で09が6に…指揮車にギャロップが1っ!』
「今回は俺がメインで殺る。サマナと間接支援をきっちり頼む! 今回は部隊長も観戦するとよ!」
『…どう言う風の吹き回しですかね…。あのホヴァートラックですか? ユウ少尉』
「おうよサマナ! しっかり守ってやンな! 行くぞ! 」

 俺は送信をOFFにし、フットペダルを踏み込んだ。心の中で『マリオン』に礼を言う。
 この娘の索敵能力の御蔭で、ミノフスキー粒子の濃い戦場下での戦術の組み立てがどれほど助かったか。
 …まともに索敵部隊が機能しなかったせいもあるが、それも今日の計画で終わりを告げるだろう。
『人殺し』を『マリオン』に手伝わせる事も無くなるのだ。俺は口元に侮蔑とも取れる微笑を浮かべた。
103ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 14:17:26 ID:???
すまんこってすバイ…! これもヤザンスレのタメですバイ…! 済みません…。
104通常の名無しさんの3倍:05/02/15 15:57:18 ID:???
続きはまだ?チンコチンコ
105ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:03:45 ID:???
 俺はブルーにビームサーベル2本を両手に装備させ、ジオンの先行部隊の群れを目掛けて
突っ込んだ。…俺が敵の機動性を奪い、フィリップとサマナの長距離射撃で始末する戦術だ。
 そのためにフィリップ機とサマナ機に180oキャノンをわざわざ持って来させたのだ。

「遅い遅い遅い遅い遅いんだよっ! ここは戦場だぞ?! 新兵以下だぞ! 」

 俺はブルーのコックピットで戦闘を楽しんでいた。どうせ殺るなら楽しまねばならない。
悩んで後悔しても、殺した相手が生き返って来ることは無い。俺が殺らなければ相手が俺を
殺るだろう。条件は五分と五分だ。…弱い奴が狩られ、喰われる。それが自然の摂理だ。

『…っ! …く…っ! …ンっ! …アっ…はァンッ! こんなのッ…』
 
 07が真正面に立ちふさがる。ステップを踏む事無くそいつをスルーし、背後から脚を潰す。 
『マリオン』が苦しげな悩ましい声を上げる。…敵の感じる恐怖を『感じて』いるのだろう。
体に暖かいモノがしがみ付いている感蝕に俺は違和感も抱かず、敵の機動力、即ちMSの
脚を斬って行く。次々と敵を葬る180oキャノンの轟音と衝撃が、心地よく俺の耳に響き渡る。

「歯応えが無さ過ぎるんだよ…。07乗りならもう少し俺を楽しませろ! 」

 俺の言葉は、ブルーの持つ機動性能を高い高い所にある棚に放り投げて、忘れた上での発言だ。
敵の前衛小隊にして見れば、俺とブルーの存在自体が「反則」以外の何物でも無いだろう。
 機体性能に差が有り過ぎ、その上にMS乗りとしての、兵士としての7年の経験が俺に有る。
その各種アドバンテージを取っ払って始めて、イーヴンに足りうると言えるのだ。
 
「…遊んでやるか。まだ09が来ないんじゃあ、仕方が無い…。時間稼ぎだ」
『…ヤザンさん…。自分をまだ…『試す』の? そんな事は…哀しいだけなのに…」  

 俺は片方のビームサーベルを収納し、ブルーに手招きをさせた。『マリオン』が息を呑むのを
感じる。…完全に人殺しを楽しんでいる俺を、『マリオン』はきっと軽蔑しているだろう。
 適当に機体にダメージを喰らわなければならない事情がこちらには確実に存在するのだ。
俺は後方に待機しているであろうホヴァートラック中のアルフの憂い顔を思い、苦笑した。
106ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:04:51 ID:???

 07が、動いた。右手に持ったヒート剣を即座に捨て、鞭状の得物を左腕の辺りから抜き出す。
07の持つ、特徴的な兵器の筆頭にいつも挙げられる『ヒートロッド』だ。
07が間髪を入れずにそのまま右腕に持つ『ヒートロッド』をブルーに向かって抜き打ちに叩き付けた。
俺の目はその動きを感知はしたが、俺のスティックを握る腕とフットペダルを踏む足の動作が一瞬、遅れる。
 辛うじてブルーの胴体への直撃は免れたが、ビームサーベルを持った右腕にそれが蛇の様に絡み付く。

 「来るぞ! 耐えろよ、マリオンっ!」

 激しい震動が機体を襲った。ブルーの右腕に巻き付いたヒートロッドを介して、
高圧電流が機体全体を駆け巡る。
この当時の連邦系の機体では誤動作を起こしかねない程の電圧に、ブルーは耐え切った。
MSの電装系や駆動系、推進系統の回路には異常は見られない。ダメージの許容範囲内だ。
 …パイロットである、『俺』の体を除けば。

 『ヤザンさん?! ヤザンさんっ!? どうしたのっ?! …何か言ってっ!! 』

 俺は痛みに耐えるために奥歯を噛み砕く寸前まで歯を食い縛っていた。
機体は持つが、もともとMS破壊用にまで高められた電圧に、生身の体が持とう筈が無い。
コックピット周りに幾ら厚い防御が想定されて居るとは云え、限度は存在する。
 俺はハンブラビの『海蛇』を喰らった敵のパイロットの心境を、幸か不幸か、
嫌と言うほど味わう破目になってしまった訳だ。

 「…舐めた真似をするっ! ジオンの07っ!」

 発光しなくなった右腕のビームサーベルを保持させたまま、俺は07に向かって
ブルーの胸部バルカンを数発、叩き込んだ。07が左腕に装備したシールドでそれを防御する。
 シールドで07のモノアイが隠れた瞬間に、俺はブルーの左腕にもう一本のビームサーベル
を握らせ、07のシールドに押し当て、そのまま最大出力で発動させた。
 
 「俺を殺るには少しばかり運が足りなかったようだなぁ! 07乗り! 」 
 
 力強く発光するブルーのビームサーベルが、07の機体本体をシールドを装備した左腕ごと貫く。
ぎゅっと俺の首っ玉にしがみ付く暖かいモノの感触で、俺は07のパイロットが塵に為った事を知った。
 俺は溜めていた息をゆっくりと吐き出した。鉄錆の味が口の中に広がる。
行儀が悪いが、俺はコックピットの床に血の混じった唾を吐く。…新兵時代に習った基本だ。
 そのまま飲み込むと、吐き気が治まらなくなるのがその理由だ。…俺は無作法な馬鹿共とは違う。

 「…目算は狂ったが、狙い通りだな…」

 バルカンやミサイル、100oマシンガンの弾薬が暴発していれば、口の中を切った所の騒ぎでは無かったろう。
俺が生きているのは僥倖とも言える。
今頃はミンチの方がまだマシなほどに体が吹き飛んで粉々になっていたかも知れないのだ。
俺は口の中に溜まる唾を律儀に吐き出しながらホバートラックとの通信回線をONにした。

「アルフ大尉、済まないがブルーが敵との交戦で戦闘不能になった。診て貰えないか?」
『…解った。ユウ少尉…。そこで駐機しろ。…少佐、ブルーを診て来ます』

 少佐が鷹揚にアルフに許可を与えるのを聞き届けた俺は、回線を切りほくそ笑んだ。
後衛の09は未だ接近中だろう。しかし、少佐ではホバートラックの聴音センサーは使えない。
 フィリップ機とサマナ機のセンサー有効半径に入るのも、もう少し先の事だろう。
107ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:05:55 ID:???

 ホバートラックが駐機姿勢を取ったブルーの背後に停まり、ハッチからアルフが飛び出て来た。
アルフの奴は余程動転しているのか、地に足を着けて走り寄る時に脚をもつれさせて転びそうになっていた。
 07のヒートロッドの一撃を喰らった場面を見ていたのだろう。奴はブルーと『俺』を心の底から案じているのだ。
俺はハッチを開き、ワイヤーを下に降ろした。アルフがそれを掴み、金属環に足をかけるのを確認してから巻き上げる。

 「…戦闘不能とは、どう言うことだ? ヤザン? …オレには何の問題も無く動いている様に見えるが…?」
 「あんな与太話を真正直に信じるなよ、アルフ。 お前と『俺』が仕上げたブルーだぞ? 言って置いたろう?」
 「…冗談にしてはダメージが大き過ぎるぞ…ヤザン? 右腕のパワー伝達系がレッド表示寸前だ…」
 「機体損傷時の戦闘なんぞ問題無い。俺はMS戦闘を地上に宇宙と7年間やって来たんだ。…俺を信じろ、アルフ」
 『ヤザンさん…09とギャロップが…来るっ! …話をすぐに止めてっ! 捉えきれなくなるからっ!』
 「いい子だ…ちゃんと前衛に追いついて来てくれるとはな…」 

 俺は急いでハッチを閉じると、アルフに後ろに回ってコックピットのシートを掴んで体を固定するように指示した。
アルフは黙って俺の指示に従った。『マリオン』の事は奴に細大漏らさず話してある。…最も、半信半疑だが。
 アルフと俺との弾む会話に、第11独立機械化部隊の『女神様』は御機嫌をかなり悪くされたらしい。
フィリップ機からコールが入る。俺は通信回線を開き、切羽詰った表情を作った。

 『ユウ! 敵のダルマが6機にデカイ芋虫が1匹だ! ちぃと分が悪ぃな? 動けるか? 』
 「心配無ェよ、フィリップ。アルフ大尉殿が今修理中だ。動けるようになるまで牽制を頼む」
 『聞いたか、サマナ君? ここはわが部隊のエースに恩を売りつけるチャンスだぞ?』
 『聞いてますよフィリップ少尉! 僕だっていつもやられてばかりじゃないんだぁっ!』

 そして敵09後衛部隊との戦端が開かれた。『動けない』はずのブルーに程なくマシンガンの弾やジャイアント・バズの
ロケット弾が降り注ぐだろう事はどんな馬鹿でも理解できる事だが、少佐のホバートラックが動く気配は全く無かった。
 奴にとって乗物は『運転して貰うモノ』であり、『自分で動かすモノ』では無いのだ。身の危険を感じては居るだろう
がブルーが盾に為ってくれると脳天気にも全面的に信じ切っているのだろう。…俺の心の中に潜む悪意に気付かずに。
 幾らフィリップとサマナが腕を上げたとしても、三倍の敵を相手にするのは分が悪い。装備している180oキャノン砲
ではホバーを最大限に使い、機動性で勝負する09には対応出来なくなるのは必然だ。現に奴等は押され始めている。

 『ユウ、まだか?! 敵さんエラく張り切ってやって来やがるっ!』
 「…済まん! まだだフィリップっ! もう少しなんだっ!」
 
 地面に着弾する敵弾の数がだんだん増えて、距離も近づいて来る。遂にGM2機は駐機したブルーの隣のラインまで
後退して、必死になって180oキャノン砲を縦横無尽にホバーで動き回る09に撃ち続けていた。
俺は悲鳴と泣き言をまくし立て続けるフィリップ機とサマナ機との通信回線を切った。

 「撃てよ…09…狙いを外すな!」
 『来るっ!』

 『マリオン』が敵の攻撃がブルーを正確に狙っている事を短く告げた。
俺はこの時、この瞬間を待っていたのだ。俺は薄笑いを浮かべ、ブルーを右50mへと急速回避行動を取らせた。
ブルーを狙った敵弾は、ブルーが移動する前の元の存在した地点に違う事無く集中する。
 少佐の乗った、ホバートラックへと。大音響と多量の土砂と共にホバートラックは俺の『狙い通り』に吹き飛んだ。
俺は2機との通信回線を開く事無く、09の群れへと突進した。この爽快感を敵である奴等に思う存分伝えるために。
108ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:07:32 ID:???

 『少佐』が死んで、後任の少佐が着任した。俺とアルフの2人はミデアの司令室へ呼び出された。
『少佐』を死なせた責任を問われるかと思ったが、『ヘンケン・ベッケナー』少佐と名乗った男は、
開口一番こう言った。『運の良い男だな、彼は。軍法会議に懸けられる前に死ねて』と。

 「どう云う事ですか? …少佐? 軍法会議とは物騒ですな?」
 
 奴はかなりの額の部隊運用資金を自分の口座に横領していたそうだ。隠密裏に情報部も動いて
居たと言う。『…ユウ・カジマ少尉だったかな? おめでとう。君の中尉昇進の辞令を預かって
来ているんだ。…上申書は読んだよ。私は前任者とは違い、君のMS戦隊長としての意見を、可能な
限り反映するつもりだ』と嬉しい事を言ってくれた。指揮官はこう言う風でないと居る意味が無い。
 
 「謹んで、拝命いたします! ヘンケン・ベッケナー第11独立機械化部隊・隊長殿!」
 「堅苦しく無くていい、中尉。ヘンケン少佐で結構だ。フルで呼ばれると髭が痒くなる」 

 こうなると、ベッケナー少佐の生やす頬髭と口髭がなかなかチャーミングに見えてくる。
 アルフにも握手を求め、『優秀な技術者』と持ち上げるソツの無さは正に天下一品だ。
俺達2人を呼び出す前に、部隊の宿営地を徒歩で回り、一兵卒に至るまで声をかけていた事は、
特筆に価する。有能すぎて、気持ちが悪い位だ。…良い士官ほど、腐った連邦軍に対して幻滅
する。馬鹿な奴等が嫉妬し、結束して出世のジャマをする。ベッケナー少佐は妬まれるタイプだ。
 
 「私は本日付けで着任だが、明日、MS戦隊員がもう一人着任する。今、資料を渡す」

 渡された資料の正面と右横顔の顔写真を見た瞬間、俺の顔が引きつった。…22の頃の『俺』本人、
『ヤザン・ゲーブル曹長』が、ふて腐れた顔をして写っていた。俺はヘンケン少佐の解説を上の空
で聞いていた。あとでアルフが要点をかいつまんで説明してくれたが、なんでも、
 
 ・この部隊に転属する事を自分で志願した。
 ・非常に『腕の良いパイロット』であり、自負心が強い。
 ・協調性が皆無。ゆえに単独出撃の一撃離脱戦法を好む。

 らしい。俺は頭を抱えた。俺の事は俺が一番良く知っている。大方、『俺』、ユウ・カジマ少尉の
撃墜スコアに疑いを持ち、捏造では無いかと騒ぎたて、自分の目で確かめるから早く転属させろと
暴れたのだろう。…自分でも恥ずかしくなる位の典型的な『勘違いも甚だしい莫迦で阿呆な無鉄砲』。
 …それがあの頃の俺だ。俺が『大人』になったきっかけが、ある事が理由で負傷した事実だから、
コイツは間違いなく、『餓鬼』のままの俺だ。俺は隣を歩くアルフにその旨を小声で話した。

 「…そうでもないぞ…ヤザン…。それはオマエの顔をした…」
 「あぁン? ユウ・カジマかも知れん、と言う事か? そんな馬鹿な事が…」

 アルフは黙って俺を右手の親指で指した。『そんな馬鹿な事』は既に俺の存在で実証済みだった。
まあ良い、明日になれば解る事だ。俺は途中でアルフと別れ、一人でブルーの待つMS格納庫に向かう。
 『マリオン』と話しながら、コックピットの中で眠るのが、いつしか俺の日課となっていた。
109ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:08:21 ID:???
 
俺はブルーの横たわる整備ベッドによじ登り、ブルーのコックピットハッチのロックを
解除した。…パイロットとアルフだけが知る、コードキーを入力することによって開く。
 ハッチが開くと俺は座席に潜り込み、機体の計器に灯を入れ、アイドリング状態にする。
 …電源を入れないと、ハッチを閉めて眠ると酸欠で死ぬ恐れがある。
 地球上で寝ているうちに酸欠で死んだのでは、パイロット仲間のいい笑い者になるだけだ。
俺はコックピットハッチを閉め、目を瞑った。戦闘に備えて、ノーマルスーツは来たままだ。

 『おかえり、ヤザンさん…。何だか楽しそう…』
 「ああ、やっとお前に人殺しの片棒を担がせる事も無くなると思うとな…」
 『…ヘンケン少佐はね…ヤザンさんが堕とした、『ラーディッシュ』の艦長になる人…』
 「…やっぱり連邦軍には勿体無い奴だったんだな…。MkUをかばって撃沈された艦だ…」

 常に人の『先』を読む者の宿命だ。訊きたい事を口に出そうとする前に、こちらの意思を
読んで応えてしまう。テレパシーとは少し違うが、似たようなものだろう。
 NTには隠し事は出来ない。どうしてもやりたいなら、複数の事柄等について同時に考察を
めぐらせてやればいい。数瞬だけだが、こちらの意思決定までの時間までそれで稼げる。

 『ヤザンさんの意地悪…。でも、その方法は有効だから…』

 クスクス笑うマリオンの表情のイメージが、脳裏に浮かんだ。短く刈った髪が、繊細さも
相まって少年の様にも見えてしまう。中性的とでも言えばいいのだろうか? 今は14歳だが、
俺がティターンズに居た7年後にはきっと…
 
 『…髪の長い方が、ヤザンさんは好き?』
 「ン…。まあな? 伸ばした方が綺麗になると思うぞ? きっとイイ女になる。
  女に五月蠅いこの俺が言うんだから間違い無い。…優しいお前なら確実だ」   
 『ヤザンさんのお母さんって…いい人…?! 』
 「ああそうだ。今の俺から見ても、一人の女として、妻として完璧『だった』な…。
  俺は甘えっ子で、外で遊んで膝を擦り剥いて泣いて帰ってきたら、ぎゅうっって…」
 『…ごめんな…さ…い…っ…こんなっ…そんなのっ…私っ…そんなつもりは…』
 「いいんだ、気にするな、マリオン。久し振りに人間に戻れて、俺は嬉しいんだよ」

 …俺の故郷は、シドニーにあった。今はもう、存在しない。懐かしい風景も、美しい街並、
住んでいた住人も…海の底だ。戦争初期段階のジオンの作戦の、『コロニー落とし』の御蔭で。
俺の家族は都市ごと消滅したのだ。優しく綺麗な母親も、ハンティングを教えてくれた祖父も、
黙々と働きながら、俺に不自由をさせなかった父親も、真面目で素直な性格の弟も、暖かい会話
が絶えなかった郊外にあった小さな家も…最早、俺の記憶の中にしか存在しない。
 俺が死ねば、ゲーブル家がシドニーに有った事を知っている者は誰も居なくなってしまうのだ。
これまで誰にも話さなかった、俺が生に固執するようになった遠因だ。…俺が死ねば『皆』が死ぬ。

 「…マリオン、地球はいい所だぞ? 自然も豊かで、可愛い動物もいっぱい居てな、それはそれは」
 『…どうして…人間は…もっと…広く世界を観る事が出来なかったの?! 失ってはいけないものを、
  簡単に壊したり、奪ったり、殺したりっ…! 取り返しが付かなくなるのを解っているのにっ!』

 また、失敗したようだ。俺の子供の頃見た風景をイメージしたのだが、マリオンは俺の見た『その後』
を読んでいたのだ。地球環境が激変し、ゴツゴツした岩肌が露出した山や、動物の骨が辺りに転がって
いる荒野、人の気配が全く無い廃墟と化した都市を。…俺は、自分の間抜けさを心の底から後悔した。

 『…っ! 違うの…ヤザンさんを責めたわけじゃ…』
 「大人が、悪いのさ。お前の世代に託すはずのモノを壊した、な…。哀しいが、俺もその大人なんだ。
  だから、謝るな。マリオン。皆、自分だけが、人間だけが正しいと信じ込んでいる。巻き込まれる
  動物や植物の生命なんぞ度外視だ。…お前の怒りは、正しい。…大人になっても、忘れるなよ…。
  『人間』の俺と、『ヤザン・ゲーブル』との約束だぞ…? なあ? …イイ女に、なれよ? …約束だぞ、
  マリオン…? な…? 泣くんじゃない…。悪いのは…お、れ…』
  
 俺が眠りに堕ち、意識を失う寸前に、こくん、と涙目の『マリオン』は頷いたような、そんな気がした。
110ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:09:20 ID:???

 俺は体重が掛かる部分が背中から臀部に変化していく妙な気分の中、覚醒した。
ブルーが整備ベッドごと起立させられているのだ、と気付く。前面モニターにアルフが
クリップボードを小脇に抱え、ブルーの肩に必死でしがみついて居るのが良く見えた。
俺がコックピットハッチを開くと、アルフがクリップボードを差し入れて来た。

 「…命令受領時刻が0205? 偉く中途半端だな…?」
 「…現在時刻は0500だ。作戦は既に発動している…。キャルフォルニアベース奪還作戦
  に伴う『露払い』を行うのが主任務だ…。ただし…ブルー1機のみでな…」
 「たった1機でか? 数個連隊規模の各兵科のジオン部隊の存在を確認と書いてあるが」
 「…失敗すればベース奪還部隊は壊滅だ。基地からの各種巡航、弾道ミサイルの雨でな」
 「なるほど…奇襲して全滅させろって事か…。任せてくれ。存分に暴れてやる! 」

 キャリフォルニアベース奪還作戦に伴う懸案事項が、ジオン軍が設営したミサイル基地の
存在だった。中でも長距離誘導ミサイルを発射可能なこの基地は連邦軍の頭痛のタネだった。
 ベースに接近する部隊全部がことごとくミサイルの餌食となるのは火を見るより明らかだ。
中でもこの基地は戦略核搭載可能なミサイルを装備している事を、情報部は突き止めていた。
 『核が放たれる前に、隠密裏に基地を潰せ』それが今回の俺に与えられた『任務』だ。

 「…ベース攻略には他の二人と…『新入り』が参加する。オレは此処でオマエのサポート
  を担当するコトになった。…ブルーもオマエも、無事に帰って来る事を祈っている…。
  …今回は、『EXAM』の発動をオレの権限で許可する。…死ぬなよ、ヤザン…」
 「『俺』に逢うまで死ねるかよ。楽しみにしてるんだぜ、俺は? …安心しろよ、アルフ。
  …『EXAM』は、使わない。俺はもう、これ以上『マリオン』を苦しめたくは無い…」
 「…解った。オマエに任せる。…この作戦成功の鍵は、オマエとブルーに託されているんだ。
  いいか、絶対に生きて帰れ…。…オレはもう…『生き甲斐』を失いたくは無いんだ!」
 「…お前と俺の育てた『ブルー』がどれ程凄いか、お偉方に目にモノ見せてやるよ…アルフ」

 連邦初の汎用MSの開発者の名誉を失った、アルフ。奴の行き場を無くした情熱は『ブルー』に
総て注ぎ込まれてきたのだ。テム・レイの造った『RX-78』を超越するために。生きる誇りを再び
取り戻すために。『敗北からの復活』。それが、オレとアルフを硬く結び付けている物の正体に
限りなく近いものだろう。俺はZと再戦するチャンスを与えられたのだ。…『次』は負けない。
 アルフを『ブルー』のマニピュレーターを使って降ろし、俺はコックピットハッチを閉じた。
俺はブルーを、ミデアの開いたままの格納庫ハッチまで移動させた。ミデアは地上を滑走している
と形容して良いほど、低空飛行を敢行していた。俺は大きく息を吸い込んだ。そのまま息を溜める。
『魅せてやるよ、俺とブルーの戦いぶりを!』と心の中で呟き、息をゆるゆると鼻から出してゆく。
『ユウ中尉、発進準備OKです!』とモーリン伍長が伝えて来る。俺は頷き、ブルーを飛び出させた。

 「ヤザン・ゲーブル、BD-1、出るッ!」

 敵は軽く20機を超えるMSと大量の兵器を基地防衛に繰り出すだろう。この時の俺は確かに昂奮していた。
死ぬかも知れない状況に身を置き、潜り抜けた先に待つ、開放感に似た『人でなしの快感』を求めながら。
111ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:11:37 ID:???

 「ダブデだと?! 聞いて無いぞ! 糞ッ! これでは最短距離で接近出来ん!」

 俺はミサイル基地に接近する途中に、超長距離からの砲撃を受けた。
ジオン公国が誇る陸上移動要塞『ダブデ』がミサイル基地に駐屯していたのだ。
大口径砲の『面』単位で標的を破壊しようとする攻撃で、俺とブルーは足止めを喰らった格好になった。
 ジオンのMSが、四方八方からブルーを狙う。目視した数だけでも30機は越えている。
連隊規模では無く、師団か軍団規模の部隊がここに配置をされていたのだ。
基地を襲撃する情報が何処かのスパイか何かから漏れていた事は確実だった。
…情報部の奴等と出会うことが有ったら、そいつが誰であろうと一発ブン殴ってやる。俺は心に刻み付けた。

「…何処からでも掛かって来い! ジオンのモノアイども! この俺とブルーの速さに追いつけるのならなっ!」

 大地にダブデから放たれた砲弾が次々と着弾し、クレーターを作る中、ブルーは疾走する。
敵の06、07、09等が砲撃に巻き込まれ残骸になって行く。
ここに『核』がある事は確実だ。味方の部隊の損害も厭わず、守らなければならない程の戦略拠点と言う事だ。
 俺は基地の敷地へと到達した。…この距離だとダブデの巨大さが嫌に為る位に実感できる。
…ダブデの、移動要塞の全容が基地内の敷地から見えないほど大きいのだ。

 「何処を狙っている! しっかり狙え! 芋虫が! 予測修正も出来んのか! 情け無い奴めっ!」

 俺はブルーの武器を一切使用せず、回避だけに努めた。
ブルーの装備する武器・弾薬は有限だ。施設破壊には正直、勿体無い。敵にやらせるのが一番手っ取り早い。
今も、俺を狙った06のバズーカとミサイルが基地の通信施設を吹き飛ばした所だった。
 回避、回避、また回避。右に、左に、急制動、急発進。Gが無慈悲に機体と俺の体を痛め付ける。
じわじわとそれは疲労を蓄積させて行く。しかし俺はそれを止める事は出来ない。停まったら最後だ。
ありとあらゆる敵の火砲から砲弾がブルーに集中して、俺の死を持って作戦は失敗するのだ。
 
 「ぬおっ! …当たったかっ! 腕のイイ奴も居るっ! 褒めてやるぞ07! この俺に当てたんだからなっ!」

 突然、機体が予想もしない衝撃を受けた。
建造物の陰に隠れていた07が、左腕のマシンガンをブルーの脚部に数発、命中させた。
ブルーの装甲がルナ・チタニウム製で無かったら、確実にブルーは行動不能になり、俺は死を覚悟して居ただろう。
宇宙で生産されたこの合金は、成分が比重によって分離せず非常に均質で良質な、装甲板として理想的な性質を持つ。
地球上だと重力の関係で、同じ成分で合金を作っても、決してこの合金の特性は得られないのだ。
この合金をふんだんに使って『ガンダム』や『ブルー』を作った連邦技術者に俺は感謝した。
…アルフの照れ笑いの表情が、一瞬だけ俺の頭の中をよぎった。

 「…コイツは俺からの礼だ! 存分に受けとれィ! 遠慮は要らんぞ! 」

 ブルーの上半身を捻らせ、俺を撃った07に向け、腰部ミサイルを戦闘を開始してから初めて放つ。
07が吹き飛び、整然と並んだMS格納庫を軒並みなぎ倒し、沈黙する。核ミサイルサイロは近いのだろう。
ブルーの機体に攻撃を当てて来る奴等が加速度的に増えて来ていた。

 「…俺は生き延びるッ! お前を怯えさせる奴は俺だけでいい! 我慢してくれ! もう少しの辛抱だ! 」

 …この時、目を硬く瞑り、苦痛にひたすら耐え忍んでいる可憐な少女の存在とビジョンを俺は戦闘中にも関わらず、不謹慎にも『感じて』いた。  
112ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:12:52 ID:???

 目前に発射口が口を開ける。核ミサイルの発射シーケンスが作動しているのだ。急がねばならない。
情報部を信じるならば、核ミサイルは戦略核が搭載されている物が5箇所、基地の一角に集中している
筈だ。戦術核の発射はその後だ。ミサイルサイロさえ潰せば、発射は事実上、不可能になる。…が…。

 「…邪魔だっ! どこから湧いてくる、このミドリ虫どもがっ! 新手の嫌がらせか?! 殺すぞ!」

 ジオンの物量作戦が俺を苛立たせる。マゼラ・アタックにマゼラ・トップ、ワッパ、06が蛆虫かウンカ
の如く、俺とブルーを足止めする。ワッパで急速接近し、ホローチャージをぶちかますジオン兵。
 ロックオンした途端に、トップを分離させ無駄玉を使わせるマゼラ・アタック。その雑魚共を片付けた
後に、執拗に隙を狙ってクラッカーやミサイルポッド、バズーカで攻撃を行う、旧式と新型の混成06部隊。
ブルーの機体は度重なる着弾による擦過傷により、ルナ・チタニウム装甲板の地肌の銀色と塗装面の蒼色の
タイガーストライプ迷彩を施されたかの様に、傷だらけになっていた。機体自体にはまだダメージは無い。

 「…この糞野郎どもめ! アルフに誰が言い訳をすると思ってるんだ! 大人しく黙って道を空けろ! 
  無駄な抵抗をするな! …そうか、そんなに死にたいのか? ならば逝けェェェェェェェェェェッ!」

 俺は撃ち尽くした100oマシンガンを捨て、ブルーの右手にビームサーベルを装備させ、サイロの前に展開
する06部隊に突っ込む。パイプ付きのU型の頭部に付いた冷却パイプを引き千切り、胴体をビームサーベルで
突き刺し、発射口にそのまま突き落とす。発射させなければ、俺の勝ちだ。MSの爆発で核が誤爆したなら、俺
の負けだが、勝負には勝てる。その時にはこの基地が吹き飛ぶだけだ。軍人は与えられた任務を完遂させなけ
れば軍人を名乗る資格は無い。…最も、己の良心を優先させた俺が言う言葉では無いが…。

 「どうした、次は誰だ?! 誰が俺を楽しませてくれる?! 俺と一緒に死の舞踊(ダンス・マカブル)を
  踊ってくれるんじゃなかったのか?! 忠勇たるジオン軍人さん達はよぉ?! 掛かって来い! 屑がッ!」

 俺の行為に恐れを生したのか、ジオンの各部隊が行う、ブルーへの攻撃が散発的になった。…びびったな。
俺は動きを止めた06やマゼラ・アタックを攻撃してから、ミサイル発射口に投げ込み、爆発させる事を繰り
返した。戦いは人間心理を読んでやるものだ。突撃だけじゃあ、つまらない。…時には搦め手も悪くない。

 「戦いは、びびった方が負ける! 人間一度は死ぬモンだ! 己が死ぬかどうかは鍛えた腕と多少の運!
  あの世に逝っても覚えて置け、スペースノイドっ! 文句があるなら聞いてやる! 俺は寛大だからな!」

 俺は外部スピーカーをONにし、大音量にして叫んでやった。イライラしっ放しだった気分がスッキリする
と同時に、敵弾の暴風雨が俺とブルーを襲った。…敵は少なくともタマ無しでは無い様だった。
 
 『…ヤザンさん…。敵が…また…。このままじゃ…ヤザンさんが…』
 「お前は、無事か、マリオ、ンッ! それ、だけが心ぱ…い…っ! 死人にっ、魅かれるなっ! 
  俺が…居るっ! 俺を…かん、じ…ろっ! くぉっ?!  …後ろか?! 俺としたことがっ! 」

 俺はダブデに向かう途中、背後から攻撃を受けた。残存部隊が面子を懸けて俺とブルーを堕としに掛かって
来ていた。全天周囲モニターの時代ならともかく、背後を振り向いた俺は、明らかに疲労の兆候を見せていた。
身に染み付いた癖と言う物は、なかなか修正出来ないものだ。俺の目に、黄と黒の注意ストライプに囲まれた、
プラスチックカバーで保護された紅いボタンが魅力的に飛び込んで来た。『EXAM』の発動ボタンだ。

 『…押して! ヤザンさんっ! わたしと『EXAM』の力なら…勝てるっ!』
 「…押すものかっ! 誰が押すものかよっ! 俺は俺の力で生き抜いてやるっ! それを自分から止める時は
  俺が死ぬ時だけだ! 誰にも文句は言わせんっ! 俺はそうして生き抜いた! これまでも、これからもだ!」

 機体の各部のダメージレベルが紅に染まってゆく中、俺はダブデを目指し、ただブルーを走らせ続けていた。
ただ己の限界点のみを見極めようとする、求道者のように。俺を知る者達に、恥じぬ生き様を見せるためだけに。
113ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:13:57 ID:???
 
 基地と核は無力化し、『任務』は達成したも同然だ。しかし、俺は更なる破壊を望み、敵を求めていた。
死ぬかも知れない恐怖を克服し、己自身のみの力で生をもぎ取る快感に、俺の脳は沸騰していた。
 肉体が根を上げ続ける中、俺の意識だけが暴走していく。ひたすら目の前に敵を求める。殺すために。

 「…まだだ! まだ見えて来ない! 何処に有る!? 有る筈だぞ! 其処に有る筈だっ!」
 『ヤザン…さん…? …何を…捜しているの…? 怖い…! 今のヤザンさんは…まるで…』

 『マリオン』にも理解できないだろう。…呆れた事に、言葉を叫んだ俺ですら解っていないのだから。
戦い続け、快感を求め続け、生き残る。その行き着く先に俺は何を期待し、渇望しているのだろうか?
終わり無き闘争? 身を焼く快感? 己を顕わすため? 昨日の自分を越えるために? …今は解らない。
突然、ブルーが停まる。突然我に帰らされた俺は、コンソールの表示に己の目を疑った。
 
 「緊急停止だと?! 馬鹿な! 俺の技量にブルーが追い付けない訳が無いっ! 動け! 動けブルー! 
  まだ俺達はやれる筈なんだっ! アルフが泣くぞ! 俺は約束したんだ! 奴に生きて還ると! 」   

 どうやら俺は無意識のうちに、ブルーに『EXAM』発動時並みの負荷を機体に掛け続けて居たらしい。
…信じられない事に、機体のリミッターが作動したのだ。…ダブデが、その全砲身をブルーに向けていた。 

 『…ヤザンさん…わたしを…許してっ…! 優しい貴方を…わたしがやらせないっ!』
 「…何だと? …!! やめろ! 止めてくれ! マリォォォォォォンッ! 」

 『EXAM SYSTEM STAND-BY』。機械音声が『EXAM』の発動を告げた。モニターに表示が明滅する。
あの妙な虫の羽音の様な唸りも聞こえた。…だが、あのMSとの一体感が襲ってこない。
 機体の各部アクチュエーターの表示が稼動限界を示すレッドからオールグリーンに一斉に変化する。
今、ブルーと一体に為っているのは…パイロットの俺では無く、14の、虫も殺さぬ少女だった。

 「やめろ、マリオンっ! 俺が、俺が殺るんだッ! 機体の管制を俺に渡せッ! もう充分だっ!」
 『やらせはしないっ! わたしが守るのっ! 乱暴な人は嫌い! でも…貴方は違うっ! 優しいっ!
  『EXAM』に、潰させはしないっ! 生きた『EXAM』になど、わたしがさせはしないっ!』

 ブルーの機体が激しく揺れる。ダブデの砲撃を潜り抜け、ブーストを掛けて急制動し、移動要塞に取り付く。
スラスターを吹かし、要塞によじ登り、ビームサーベルを普段の数倍にも膨れ上がらせ、ブリッジを叩き斬る。
『Zのパイロット』がやった事と今の『マリオン』がやった事が、俺にはその行動が何故か被って見えた。
 人には無い力の発動。『マリオン』の味わう苦痛が、不思議にもダイレクトに俺にも伝わってくる。
断末魔を迎える多数のジオン兵の声が、『マリオン』に聞こえていない筈が無かった。…恐怖に震えたいに違いない。
 しかし今の俺の傍には、いつも俺の膝の上に居る筈の『マリオン』が『感じ』られない。…必死に耐えているのだ。
ブルーが背後を振り向いた。敵の姿を求めて。そのメインカメラには、ツインアイが血の輝きを放っている事だろう。
114ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:15:20 ID:???

 『マリオン』がブルーの機体の管制を奪い、MS戦闘を行う姿は、俺を羨望と嫉妬の渦に容赦無く叩き込んだ。
一言で言えば、『優雅』だった。俺のやる様に敵の只中に躍り込み、掻き回し、混乱させる様な事を一切行わずに、
敵の攻撃をまるで舞を舞うかのように瞬時に読み、紙一重で回避し、コックピットにただ、一撃の、的確で致命的な
攻撃を加えて行く。無駄な動きなど一つも無い。『EXAM』の稼動時間カウンターが漸減して行く中、数秒間の内
に一機のペースで敵を屠って行く。正にMS乗りの誰もが思い描く理想の戦闘スタイルだ。
 機体のダメージや消費エナジーを最小限に抑え、敵には致命的なダメージを与え、戦闘能力を奪う。言葉にすれば
簡単だが、乱戦の中、それを実行する事がいかに困難かは、実戦を経験した兵士の誰もが知っている。
 敵は『敵』だけでは無いのだ。地形、気象、敵・味方の支援砲撃、各種弾薬の効果…。考慮しなければならない物
は山ほど存在する。…しかし、この『NT・マリオンの操るブルー』はその総てを認識し、戦闘しているのだ。

 「…クルスト博士の恐怖が…やっと実感出来たな…。普通の人間では、相手にならん…」

 ヒートホークを構えた06が、正面からブルーを襲う。俺がペダルを踏む事無くブルーは回避し、空を斬らせた。
ブルーの左拳が、06のコックピットをすれ違いざまに最大出力で文字通り『叩き潰す』。…悲鳴が、聞こえた。
 すかさず右にブルーが体を開くと、09のジャイアント・バズの弾が即座に通過して行った。…敵の動揺が、解る。
ブルーが09に向き直り、腰部ミサイルを発射する。2発キッカリ命中し、09のパイロット達の敵意が消えていく。
そのまま停まる事無く、07に向かって体当たりし、右手のビームサーベルをコックピットに当て、一瞬だけ発動させて
焼き殺した後、また出力を切る。…戦闘行動の総てに措いて、無駄と言える物が一つも無かった。

 「…虐殺だな…。いや、違う…これでは『屠殺』だ…。…何っ!? 歩兵まで殺るか!? しかもMSでだとぉ!? 」

 敵の構築した歩兵用の陣地や塹壕まで、丁寧に脚で踏み潰しながら、胸部バルカンで掃射して行く。敵意に容赦しない
『EXAM』に俺は怒りを爆発させた。怯え、逃げ惑う、抵抗出来ない兵にまで攻撃を加えるのは、俺の美学では無い。

 「…聞こえているか『マリオン』っ!! 俺はこんな真似を望んじゃいない! 今すぐ止めろ! 止めるんだよ! 」
 『…いけない事だと解っているのっ、わたしはっ…! 『EXAM』がっ…! ?!ヤザンさん、逃げてっ! 』

 『マリオン』が苦しい息の中、俺に警告すると同時に、ブルーが高々とビームサーベルを持った右手を掲げ、ビームが
発動する部分を俺に向けた。…どうやら最大の敵意を、『EXAM』はこの俺に発見したらしい。至極結構で真っ当な事だ。
敵よりもこの俺を恐れるとは、よく解って居るじゃないか。『EXAM』と言う奴は。よく出来ているシステムだ。

 「この俺が逃げると思うか、マリオン! 機械風情に尻尾を巻いて逃げるヤザン・ゲーブルだと、オマエは思うのか?
  …オマエ一人だけ、置いては行けん! 女に救われて、挙句に見捨てるなんて真似など、格好が悪過ぎて、この先
  男を演って行けんのだ! 生き残る事が俺の主義だが、重い恩を受けた恩人を見捨てて逃げられるか!」
 『ヤザンさんっ…』
 「こんな死に方も悪くないな? 目に見えんが、女の子が傍に居てくれる…。少なくとも、寂しくは無い」

 俺はビームサーベルの粒子が凝集して行くのを他人事の様に嘲笑いながら見ていた。笑いが止まらない事に満足しながら。
115ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:16:12 ID:???
 粒子が急に拡散し、光が消える。…ブルーの機体がシステムごと停止したのだ。『EXAM』の稼動時間カウンターが、
−(マイナス)の領域に突入しても、まだ律儀に『刻』を刻んでいた。…俺は、生き延びたのだ。己の力量ではなく、
女の、『マリオン』の憐憫と、ブルーの『スタミナ』切れによって。俺にとっての、それは考えられる最悪の結末だった。
 体を拘束していた安全ベルトを外した俺は、立ち上がり、目の前のコンソールを力任せに殴り続けた。

 「糞ッ! 糞ッ! 糞がぁッ! 死んだ方がまだマシだ! 何だってこんなッ…! …ッ! ウォォォォォッ!!! 」

 俺は、俺の誓いに背いたのだ。俺の力の無さによって。少女の手を、自発的に人間の血に染めさせてしまったのだ。 
俺の軍人としての、男としての誇りが、地に落ち、踏みつけられ、汚され、崩れて行く音が耳の奥から聞こえて来る。
 
 「まだ14の小娘に、俺は何をさせた?! 女が戦場に居るのは気に食わないだと?! その女に危機を救われた俺は…
  ただの道化以下よりまだ悪いっ! …畜生畜生畜生畜生ッ! 無力過ぎるにも程度がある!…情け無いっ…! 」 
 
 よりによって、未来を託すべき者の手を、汚させてしまったのだ。強制させたのなら此処まで俺は後悔をしない。
明日を生きるべき者のために、俺は生き延び戦うのだ。血に汚れようが罵られようが、構いはしない。武器を取り、戦う
者の哀しみを味わう人間が、俺が進んで汚れる事により少しでも居なくなるようにと…。この瞬間まで戦い続けて来た。
 …俺のささやかな願いは、天に聞き届けられなかったのだ。最悪の形で裏切る事になったのだ。…少女の、信頼を。

 『わたしは…生きていて…欲しかった…。ヤザンさんに…。だから…自分を…責めないで…。悪いのは…』
 「俺だ! 核を潰し、基地施設を破壊した時点で見切りを付けて撤退していればっ…。頭に血が上った俺がっ…!
  女に戦場から消えろと言った俺が、女、それも民間人に戦場で救われただと!? これ以上の醜態は無いんだっ!
  俺は生きる拠り所さえ失った! 守るべき誓いさえ己の手で破ったッ…! 哂いたければ哂え…『マリオン』…」

 コンソールを殴り続けた俺のノーマルスーツの拳の部分は、何時の間にか表皮の強化繊維が裂け、内側の保温層が露出
していた。血が滲み、コックピットに滴るまで痛め付けたその部分を、暖かい感触が柔らかく、包む。…痛みが、止んだ。

 『ヤザンさんは…本当は優しい人…。怖いのは…そう自分で信じて、他人にそう見せかけているから…。どうして…?
  『戦争が好きだ』と心にも無いことを言うの…? 本当に好きなら…体を傷つけてまで…私のことで悩むはずが…』
 「…人間と言う奴は、慣れて行く。どんな事にも…。俺の良心がもし有ったとしても、眠って貰わねばならない時が、
  ある。人殺しを俺がやらなくても、誰かがやらなければいけなくなる。…同じ嫌な思いをするなら、慣れている俺の
  方が、巧くやれる。…そんな嫌な思いを…真っ当な『人間』に…して欲しく…無かったんだ…。なのに俺はっ…!」

 コンソールに再び叩き付けられようとした拳が、途中で目に見えない何かに遮られた。柔らかい誰かの腹を殴った感触
が、俺の頭に冷水を浴びせ掛けた様に、怒りに熱くなった意識を急に冷まさせる。…俺は中空に手を伸ばし、抱き締めた。

 『もう…泣かないで…。どんなにヤザンさんが手を汚しても…わたしが…傍に…いるから…守るからっ…』
 「俺が…泣いている…だと? ハハッ、莫迦な事を言うな…。この俺が、涙など…! これはただの角膜の洗浄液だ!」
 『…心の…ね? ヤザンさんの…。強くなるために、何かに耐え抜くために、人は涙を流すの…。泣いて、恥じる事は
  …何も…一つも無いの…ヤザンさんには…。貴方が汚れるのなら…わたしも一緒に…汚れるから…ね? 』
 
 …俺は、認めたく無かった。この少女に、母親の膝で幼児が泣くが如く、俺の傷ついた誇りと心が癒されて行くのを。
116ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:17:05 ID:???

 俺とブルーがその場に停止している間、生き残ったジオンの歩兵達はブルーを狙い執拗に攻撃していた。
小銃弾や拳銃弾等の実体弾が命中する、高く澄んだ音が装甲を伝わり俺の耳に届く。…再起動は不可能だ。
 俺の操縦でガタが来たのと、『マリオン』が擬似的にノーダメージの状態で『EXAM』を発動させたため、
OS関係のソフト面は正常に作動しても、駆動系や関節系のハード面、下手をすればフレーム系も一部損傷を
しているかもしれない。蒼き死神、ブルーは今や『燃え尽きた』状態にあるのだ。俺は苦笑した。

 「パイロット失格だな…。これじゃアルフに笑われるな…。いや、号泣してくれるか…? 」
 『ヤザンさん、上!』
 「な…! あの…馬鹿野郎っ! ミデアで来るか?! 戦場の只中に?! 引き返せ、アルフ! 危険だ!」
 「…悪いがお断りだ…。オレのブルーとオマエを…見捨てはしない…! …機械化歩兵部隊を投下する。
  …付近の掃討は彼等の任務だ…。…ヤザン…礼を言うぞ…ブルーの頭部をよく無傷で…こんな状態に
  なっても…。…しばらくそのまま待機してくれ…。…時間は取らせん。オレも降りるからな…」

 空を舞うミデアから、次々と落下傘を装備した車両が投下されて行く。俺はようやく思い出していた。
この部隊が『第11独立機械化部隊』では無く、『第11独立機械化『混成』部隊』である事を。各種兵科が
一通り揃っている部隊なのだ。…俺は無意識の内に、MSにこだわり過ぎていたのだ。…俺には仲間がいた。
通信が、入る。音声のみだが、味方の名も知らぬ奴等からだった。俺は回線をフルオープンにした。

 「我が部隊の看板エースに傷を付けちゃあ、第11独立機械化混成部隊の名が泣きますからね! 少ぉし
  待ってて下さいや、ユウ中尉殿! すぐに足元のジオンの奴等なんぞ、追っ払ってやりますから! 」
 「汚ェぞ! ライル! 中尉にポーカーの借りが有るのは、手前ェだけじゃ無ぇんだ! このぉ! 」
 「待ってて下さいね、中尉…。アルフ大尉を乗せて、この私が優雅に空から舞い降りますから…」
 「…アンタ、それ、公私混同だよ? ヴァネッサ? 変な自己主張しないの! あ、アタシはケイね?」

 ブルーのコックピットに続々と通信が入ってくる。皆、俺の事を、いや、ユウ・カジマの事を思って語り
かけて来てくれるのだ。俺は言いようの無い嫉妬に駆られた。…俺の一年戦争時代に居た部隊は、こんなに
暖かくは無かった。同じ最前線に配置された部隊でも、天と地ほどの差が有る。…俺は見捨てられたのに。

 『…ヤザンさん…そんな事が…?! 酷いっ…! 味方なのに…そんな事を…するなんて…! 』
 「…半分は俺の蒔いた種だ。一人で戦争を戦っているのだと勘違いした、俺の…な…」

 ミサイル基地が完全に掃討され、俺とブルーが回収されたのは、アルフの通信よりきっかり2時間後だった。
コックピットの惨状を一目見たアルフは、黙って俺を抱き締め、言った。『…オマエの…せいではない…』と。
アルフの奴はようやく信じる気になったのだ。『マリオン』と言う、NTに覚醒『してしまった』少女の存在を。
117ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:20:27 ID:???

 本隊と合流し、俺達は移動命令に従って、転戦しつつある連邦軍基地の研究施設へと向かっていた。
 俺は連邦のこの時期のMSの殆どが、パーツ類の統一規格化を進めていた事実に始めて心から感謝した。
回収されたブルーは、首から下だけが塗装が剥げ、銀と蒼の虎縞模様状に傷ついていた。弾痕の水玉
模様も痛々しい。しかし、外観を見た限りでは、ブルーの装甲板に致命的なダメージは見当たらない。

 「…見て見るか? …ブルーのアクチュエーターに各部ショックアブソーバーの損傷具合を? 」

 何時の間にか俺の背後に立ったアルフは、厭味ったらしく手に持った紙資料を渡して言ったものだ。
見ると、丸々一機分を調達出来る程のパーツリストが羅列してあったのだ。内部のダメージが深刻らしい。

 「…パーツの手持ちのストックが危うい。…逆に言えば、一回の補給でここまで良く持たせたものだ…」
 「テスト機体は大事に扱え、といつも上の方から言われていたのでな? 陸戦型ガンダムのパーツなど
  本当は無いんだろう? パーツ交換する毎に微妙に反応が鈍くなって来ているのだがな? アルフ?」
 「…東南アジア方面で大攻勢が始まるらしく、必要数が確保出来なかった…。オマエは、騙せんな…?」
 「量産試験機の陸戦型GMの物だろう? フィットさせるオマエの腕を今回も信じているよ、アルフ…」
 「!! …知っていたのか?! 人が悪いな…ヤザン…。…コックピットはもう修理した。入っても構わん」

 俺はアルフに軽く頷き、再塗装前のブルーのコックピットに歩き出す。…何故かハッチが、開いていた。

 「よお? 『モルモット隊』のトップエースさんか? 先にお邪魔してるぜ? …いい機体だなぁ、
  おい? この俺様が惚れ惚れしちまうってのは、そうザラに無いな。ま、いずれは俺のモノに…」

 自分の特徴と欠点を思い切り醜悪にして、目の前に戯画(カリカチュア)化されて、これがお前自身だ、
とこれ見よがしに突き付けられた者が、どんなやりきれない気分になるか、他に誰か理解できるだろうか? 
 …俺はそいつに皆まで言わせる程、忍耐力は無かった。大事な『娘』を他の男の手で汚された『父親』の
ような怒りが、今の『俺』を俺自身で殴り倒させる原動力となった。…この『ヤザン・ゲーブル曹長』を。

 「…転属してきたヤザン・ゲーブル『曹長』だな? 相も変わらず、口の聞き方を知らん奴だ…」
 「…ふん、俺の知ってるユウ・カジマとは少々勝手が違うようだなぁ? 『声』の言う通りだな…」

 切れた唇を拭いながら、奴は言った。意外だった。この当時の『俺』ならば、殴られたならば100倍どころ
か1000倍以上にして『その場で』返す、単純明快な奴だった筈だ。決定的な『あの事件』が無かったならば。
睨み据える『上官』の『俺』に、奴は立ち上がり、唇に不敵な嘲笑すら浮かべながら堂々と言った。

 「いいか、ユウ・カジマさんヨォ? テメェの中身なんざこの俺様にとっちゃあ、どうでもいい事だが、
  これだけは言って置く! 俺が来たからには、もうデカイ面はさせネェ! 俺がのし上がる踏み台位が
  テメェには丁度お似合いなんだよ! 今に撃墜数でも追い抜いてやる! わかったか『中尉殿』…?!」

 ギャンギャン吠えるだけの犬は、今までジェリドの馬鹿だけだと思い込んでいた俺の都合の良さを、俺は
心から恥じ入り、ジェリドに心の中で謝罪した。下には下がちゃんと居るものだ。俺は『俺』の胸倉を掴み
思う存分、1時間後にやっと気付いたフィリップとサマナに静止される瞬間まで、満足するまで『修正』を
『ヤザン・ゲーブル曹長』に施してやった。…奴の反撃などかすらせもしないままに。
 これが俺達らしい『初対面』の儀式だろう。俺は心の何処かに引っ掛かるものを感じながら、倒れ伏し、
顔を痣だらけにして気絶し、弛緩し切った奴を見下ろし、思う存分笑ってやった。…敗者の無様な醜態を。
118通常の名無しさんの3倍:05/02/15 16:27:12 ID:vmZf9aMl
あげ。あげ。
119ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:33:04 ID:???

「…奴に、酷い事をされなかったか? 『マリオン』…? 変な事、言われなかったか?! 」

 ようやくコックピットに入り、ハッチを閉めた俺が放った第一声が、間抜けにもこの一言だった。
あの汚い手でスティックを無遠慮に撫で回した拍子に触られたか、内装を舐め回さん勢いでジロジロ
見ている最中に偶然イメージを感じ取られ、目を付けられた等の心配が『奴』には充分有り得たのだ。

 『自分を悪く言うのは…何か可笑しいな…。ヤザンさん? 同じ『存在』なのに…』
 「腐っても『俺』だぞ? 性格の悪さと素行の悪さはこの俺が保証書を付けてやっても良い位だ!」
 『でも、行為に明確な悪意が無いもの…。あのヤザンさんには。まるで子供の様にはしゃいでた…』
 
 『マリオン』の声が弾んでいた。子供に子供と言われる『奴』に何故か、微笑ましさを俺は感じた。
俺のそのイメージを読んだ『マリオン』が遂に笑い出す。俺もそれに釣られて、笑い出してしまった。
そうだ。新米の頃の俺は、MSと言う大きな機械人形を、自分の新しい玩具か何かの様に思っていた。

 「子供のまま、大きくなったモンだからな…アイツは…。周りを取り巻く悪意に気付くまで…」
 『…悪意に気付かなければ…幸せなまま生きて行けたのに…解ってしまった…。わたしと…同じ…』
 「…人間は誰でも何時かは、大人に為る。アイツは遅すぎて、お前は早すぎた。…それだけの差さ」

 あの頃の俺はMSと言う機械人形の戦闘能力に夢中になると同時に、のめり込んだ。MSの戦闘能力を
自分の実力だと思い込み、周囲の人間や状況を見ることをすっかり忘れ、傲慢に振舞い過ぎたのだった。
パイロットの鉄則とも言える『整備屋とは喧嘩をするな』と言う不文律さえも、何処吹く風とばかりに
暴れ回り、気に入らなければ口論を吹っかけ、喧嘩を売らせては殴り付け、悦に入っていた莫迦だった。

 『…卑怯だよ…その人は…。そんなやり方を…恥ずかしいとは思わなかったの? 手抜きだなんて…』
 「メカニックを甘く見た高いツケを払っただけさ。…恨むなら機体の点検をしなかった俺自身だよ。
  …生き延びた今は、そうも言えるが…。あの時は…目の前が真っ暗だった。俺は死ぬんだってな?」

 或る日、それは起こった。敵の目前で、俺の自慢のGM・ライトアーマーの右膝に突然、動作不良が発生
したのだ。…起こる筈の無い、整備不良からのアクチュエーターの焼き付きだった。擱座(カクザ)した
俺は、敵のいい的となる運命を免れ得無かった。…残った僚機は脱出した俺を回収する事無く退却した。
 俺は敵の制圧下を命辛々逃げ延び、やっとの事で生を拾ったのだった。…誰も俺を捜そうと言う奴は、
居なかった。ただの一人も、居なかった。俺はその時、悟ったのだ。俺一人では、何も出来ない事に。

 『…生きていてくれて…有難う…。ヤザンさん…。生きていたから…わたしは貴方に逢えたの…』
 「それが、昨日に奴に起こった出来事の筈なんだが…? 馬鹿なままなのは…何故だ? 」
 『…どうしてあの人が、コックピットに入れたの? …わたしは、多くを…伝え…られ…』 
 「…マリオン? どうした? おい? 何故答えない?! マリォォォォォォンッ!! 」

 俺は消えていく『マリオン』の気配を、名を呼ぶ事で繋ぎ留めようとでもするかの様に叫んでいた。
そう言えば奴は『コックピット』に『入っていた』。アルフと、ブルーのパイロットしか知らないコードを
入力して。人見知りをするアルフが、『奴』に教える訳が無い。消去法を繰り返せば、残る可能性は…!! 
…ブルーデスティニーのパイロットにして、『蒼い死神』の異名を持つ…『ユウ・カジマ』ただ一人だった。
120ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:34:41 ID:???

俺は整備ベッドに横たわるブルーのコックピットから、ハッチを開けると同時に転げ出た。…『俺』を捜すためだ。
付近で若い女性メカニックとイイ雰囲気で観談中のサマナを捕まえる。血相を変えた俺が『奴』の居所を聞くと、サマナは
震える声で『フィリップ少尉が頭に水をバケツで掛けて覚醒させたら、微笑んで『有難う』と言って居住区に行った』と
答えた。『女の前でビビるなよ、サマナ? 格好悪いな?』と俺が言ってやると、『そこが准尉のカワイイ所なんです!』
とお姉ちゃんに詰め寄られたのは俺の予想外だったが。…その年で早くも女の尻に敷かれるとは…苦労するぞ…サマナ。

 「『有難う』か…。あの俺の調子だと、目覚めた途端、水を掛けた奴を殴るぞ…? やはり奴は…? ? モーリン? 」

 俺の、いや、ユウ・カジマの私室の前で、モーリン・キタムラ伍長がドアに後ろ手に持たれつつ、俯きながら待っていた。
俺が声をかけると、体をドアから離しゆっくりと顔を上げる。…幼さを幾分残したその顔からは、何故か生気が消えていた。
細く、華奢な、ペンより重い物を持った事が無いだろうその両手には、鈍く光を反射するゴツイ軍用拳銃が握られていた。
俺の胸へと真直ぐ、銃身を震えさせる事無くその照準はしっかりと保持されていた。花弁にも似た可憐な唇が、静かに開く。

 「…ユウの声で…私の名前を呼ばないでよ…。ヤザン・ゲーブルっ! ユウから出て行って! ユウを返してっ! 」
 「…何の事だ? …君は疲れて居るんだよ、モーリン…。俺があの下品なヤザンなワケが無いだろう? さあ、銃を…」
 「ユウの声で喋らないで! ユウは私に優しかった! ユウは私だけを気遣ってくれた! 貴方みたいな人は違うっ!
  …貴方は出撃の前に言ったっ! 『ヤザン・ゲーブル』ってっ! …私のユウを返して…! 今すぐ返してよぉっ…」

 …だから女は苦手なのだ。情念ですぐ行動する。俺を撃ったら自分がどうなるかなど、頭から綺麗サッパリ消えているに
違いない。トリガーに指が掛かって、必要以上に緊張している。この状態で俺が喋ったら、何かの拍子に引いてしまうかも
知れない。…四の五の考えても仕方が無い。行動有るのみだと俺が意を決したその時、モーリンの背後に『奴』が現れた。

 「? ユウ…? ユウなの…? !? 違う…!? でも…雰囲気が確かに…!」
 「…済まないな…モーリン…。冷えるだろうが、暫く此処で眠っていてくれ」 

 奴はモーリンの延髄に手刀で軽く一撃を加えると、失神させる。崩折れる彼女の体を抱き止め、ご丁寧にも壁に持たれ掛け
させた。『俺』ならば、こんな気の効いた事は絶対しないだろう。…何よりも放つ雰囲気が別人だった。ギラギラした俺の物
とは違う。例えるならば、静かな水面、そう、『水鏡』と言えばしっくり来る。荒れる事無く、ただ物事を『有るがまま』に
受け止める。自らが動く事無く、状況が変わったならば柔軟かつ冷静に対応する。俺が『剛』なら、奴は差し詰め『柔』だ。
 ただ、気に入らないのは、その雰囲気が『俺』の顔では違和感が有り過ぎて、俺自身が気持ち悪くなって来た事だけだろう。

 「…お互いに『始めまして』…と言うべきなのか解らんが…。…『ユウ・カジマ』…だな? 俺のオマエは? 」
 「…ルウムで命を粗末にするなと俺を殴った事をもう忘れたのか? 都合のいい頭だな、『ヤザン・ゲーブル』…
  いや、俺はやはり『始めまして』と言うべきだろうな…。今のお前は此処に確かに居る。『ヤザン・ゲーブル』の体にな」

 ルウム戦役の激戦の中、幾つもの宇宙戦闘機隊が全滅した。そんな部隊の中でもただ一人、幸運にも生き延びる奴等が居た。
俺もそうだが、コイツもそうだ。仇を討つと息巻いたコイツを殴り飛ばし、医務室で監禁してルナツーまで連れ帰った日を、
今の今まで記憶の外に追いやっていた事を。『今は耐えろ。生きて居ればこそ出来る復讐がある』と、悔恨に悩む男に説いた事を。
『連邦にMSを造る! それが俺達の出来る復讐だ』と。俺は意地の悪い微笑を唇の端に浮かべ、言った。

 「もしかして、あの時の『死にたがりのお莫迦さん』か? 大人になったモンだな…? お互いに…。…何が可笑しい?」
 「…戦争は人を変える。良い方にも、悪い方にもな…。今のお前は確かにこのお前よりも大人だな? 猫を被っている様だ…」

 奴は俺には真似の出来無い、静かで綺麗な微笑みを浮かべた。お互いにさぞ気分の悪い事だろう。自分の顔をした他人を見るのは。
121ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:36:00 ID:???

 俺達は俺の、いや『ユウ・カジマ』の私室に入り、ドアをロックした。まずは目の前の『俺』の状況の確認が最優先事項だった。 
俺が椅子に座り、『ユウ』がベッドに座る。…『俺』がこの部隊に入ってから一度も使っていないユウ・カジマの本人のベッドだ。
ユウが言うには、『無茶を止めるのは辛かった』の一言に尽きた。
俺の体に入った『ユウ』は、余りにもこの馬鹿の自我が強すぎたのか、直接体をこうして動かせたのは初めてだと言う。
その間、声のみでこの阿呆をここまで導いてきたのだから、その忍耐力と指導力には敬服してもまだ釣銭が来る。

 「こう言うのも難だが…。『俺』が馬鹿でスマン…。よく生かして連れて来てくれた。…貴官に捧げる謝罪と感謝の言葉も無い」
 「…目的を遂げる間に、その手段が楽しくなって、道を見失ってしまったのだろう…。半分は、俺の責任でもある…。気にするな」

『MSを造ってくれ。テストパイロットとして計画をぶち上げろ。必要な時間は、必ず俺が創ってやる。 だから生きろ!』と。
その場の雰囲気に酔った、熱くてノリ易い若かりし俺はユウに言ったのだ。…今は恥ずかしくて良く言えた台詞では無いが。
俺はトリアーエズやTINコッド、セイバーフィッシュで一年戦争初期の戦場を駆け抜けた。
宇宙で、地球上で、ジオンのモノアイどもや体を痛め付けるGと果てしなき格闘を繰り広げた。
宇宙空間では無敵のMSだが、HLV内やガウから降下する一瞬の間は無力になる。
その瞬間を狙って、俺達、戦闘機隊は突撃する。それを逃せば、待っているのは己の死だ。
 神経の何処かが麻痺して、生きているうちに好きな事をやりたがる刹那的な性格にも為る、とユウは言った。

 「そうして創った時間で、上層部はMS不要論を振りかざした…。俺達は何も出来なかった…」
 「まあ、俺の壊れているのは元々だからな? お前の責任じゃあ無い事は俺が保証するよ、ユウ」

 俺はジャブローのモグラどもに向けた殺意を押し殺し、わざと明るくユウに言った。奴を落ち込ませるのが目的では無い。
飽くまで『俺』の情報が俺は欲しいのだ。ユウ曰く、『操縦技術は凄いが、MSのハードやソフトについての理解が足りない』
『機体の事前点検やちょっとした修理に随分とフォローが必要だった』、『周囲が見えていない』との事だ。
流石の俺でも本人の目前で『その絶好の機会をお前がご丁寧にも潰してくれたんだ』との暴言は恐れ多くて、吐けなかった。

 「…俺はブルーに乗り、EXAMを拒否して…こうなった。良く我慢しているな…? あんな胡散臭いMSに乗せられて…」
 「胡散臭いは無いな? ブルーは優秀なMSで、アルフはイイ奴だ! マリオンは素直だが、ただEXAMが曲者なだけだ! 」
 「マリオン? …ブルーに初めて乗った時…俺は女の…少女の声を聞いた…。あれが、EXAMの正体なのか? 」

 俺は思わず『俺』の、ユウの胸倉を掴んでいた。右腕を振り上げ、拳を作る。瞬時に俺の腸が煮えくり返っていた。
『マリオン』とEXAMを同列に語ったユウを、俺は何故か、許せなかった。ブルーに乗ってお前は何を感じたんだよと、無性に問い詰めたかった。
…俺は怒っていた。同じブルーデスティニーのパイロットとしての共感を俺はユウに無意識のうちに求めていたのだろう。
戦闘を強制されている『マリオン』の哀しみを知っているのかと俺は腹の中で叫び、ユウを放した。

 「違う! 『マリオン』は、『マリオン』なんだ! 『EXAM』じゃあ無い! 二度と俺の前で一緒にするな! 次は許さんぞ!」
 「…どうやらお前は何か知っているようだな…? …良ければ話してくれないか? …急に怒りだす位だ。その理由が知りたい」

 俺はユウに慌てて謝罪した。俺が見た『ビジョン』を奴も見ていたとは限らなかったのだ。
俺の狼狽ぶりにユウの奴は苦笑していた。『まるで自分の母親か恋人が淫売呼ばわりされたような怒り方だ』と。
俺は少し頭に来たが、構わずに残らず話してやった。MS戦闘中に俺の体験した一体感や『ビジョン』の内容の全てを。
一時間かけて話したが今の『俺』が目覚める気配は少しも無い。俺が更に話を続けようと口を開いた時、ドアがノックされた。
腰を浮かせかけたユウを手振りで制止し、モニターを覗くと、失神し続けるモーリンを横抱きに抱えた、アルフがそこに立っていた。
俺はロックを開けアルフと眠ったままのモーリンを招じ入れると、夜の明けるまでEXAMとマリオンの差違について議論を繰り広げた。
俺の戦うためだけに浪費されてしまった青春を再び我が手に取り戻すかのように、熱く、長々と語り続けた。時の過ぎ行くのも忘れて。
122ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:38:04 ID:???

 『そう…EXAMが全ての元凶…。ユウはEXAMのもたらす殺戮の快楽を受け入れず…EXAMは自らに相応しい
 パイロットをわたしに撰ぶ様に…強制した…。『NTに憎しみを持つ強い魂』を捜す事を…。それが七年後のヤザンさん…』
 「俺にこそEXAMが相応しい、か。そうかも知れん…。失うモノなどもうあの時の俺には何も無かったからな…』

 出撃待機中のブルーのコックピット内で俺は『マリオン』に一昨日の議論の結果を暇潰し代わりに話していた。
『EXAM』が限り無く臭い、と言う事実をだ。『マリオン』が今俺に語った事で、その推論は確信へと変わった。
『マリオン』が何か暗い雰囲気を漂わせ始めたのを俺はすぐに『感じた』。何が気に障ったのか聞こうとする俺を
『マリオン』は察し、口籠もりながらも俺に理解し易い様に『言葉』にして伝えて来た。

 『酷い…でしょう? ヤザンさんをこんな目に遇わせて…。わたしを…嫌いに…なった? 』
 「…マリオン…。返って来る答えを知ってて聞くのは、相手の男に自分を嫌な女だと思わせてしまう原因の一つだ。
  …俺からの忠告だ。もし良ければ覚えて置け。将来、立派な男を捕まえられるイイ女になりたいのならな? 」
 『わたしは言葉として…聞きたいの…。ヤザンさんの口から…。ねえ、ヤザンさん…わたしは我儘…かな? 』
 「俺はEXAMに礼を言いたい位だ。偶然でも、オマエに逢わせてくれた。…これ以上はな…俺が照れくさくてな?」
 『ヤザン・ゲーブル、GM・ライトアーマー、出るぞコラァ! 行くぜェ! ジェロォォニィモォォォォッッ! 』

 馬鹿が雄叫びを上げてまだ高度も高いと言うのにミデア格納庫から飛び降りた。空挺作戦か何かと勘違いしている奴
に、俺はやり切れなさに硬く目を閉じ、首を左右に振った。やはり危機を『体験』させなければ『奴』は変わらない。
俺はミデア格納庫の発進作業員の合図を確認する。OKサインが出た。…機体への過度の負担は思わぬ事故を呼ぶ元だ。

 「…ユウ・カジマ…。BD-1…。出る…」
 『ユウ、敵は少ないけれど、気を付けて』
 「…有難う…。モーリン…。必ず帰るよ…。君のために…」

 俺は議論のついでにユウから徹底的にモーリンへの接し方を『仕込まれた』。自分の帰るべき身体を傷つけられては
たまらない、とその時奴は俺に大真面目に言ってのけた。『もしかして気が有るのか? 』と俺が聞くと、例の微笑み
で巧くかわされてしまったので、十中八九、狙っているに違いないだろう。…誰の御蔭で俺がいらん苦労をする羽目に
なったと思っているんだ奴は? お前は良いかも知れんが、俺が『マリオン』を宥めるのに、どれだけ神経を遣うのか
お前は経験した事が無いだろう? 俺の居るコックピットにモーリンが入って来た時なんぞ、危うくビームサーベルで
二人まとめて焼き殺される所だったんだぞ? 俺にどう行動しろって言うんだ奴は? 何考えてやがるあのムッツリ…

 『あの人が邪魔なら、排除を何時でも出来るわ。『EXAM』の発動の責任にしてしまえばいいもの。簡単よ?』
 「…っ…あのなぁ『マリオン』! 俺から『悪いコト』を学習するな! それは女の子の言っていい事じゃない!」
 『…若い方のヤザンさんは『正直だな』って喜んでくれそうだけど。ヤザンさんのその困惑した顔、好きだな…?』

 敵の09の3機小隊に、ライトアーマーが果敢に接近戦を挑んでいた。飛び廻るライトアーマーの姿に俺は意地の悪い
微笑を浮かべた。ユウとの打ち合わせ通り、事は進んでいる。…細工は流々で、後は仕上げを御覧ぜよと来たモンだ。
機体を事前点検せずに荒っぽい使い方を平気の平左でする罰当たりの末路は、この俺には痛いほど解り切っているのだ。

 『酷い事するなぁ、ヤザンさん…。わざわざ細工してまで同じ目に遭わせるなんて…。同じ『自分』なのに? 』
 「その甘さが、戦場では命取りになるんだ。ここで修正して置かんと…必ず奴はZと殺り合う前に死ぬだろうな」

 ライトアーマーの左膝から煙が上がり、脚部が脱落した。俺は笑いをこらえながら、100oマシンガンを奴の機体の
周辺に着弾させる。…何かと格好を付けたがる『奴』の事だ。見栄を張ってノーマルスーツの下に『オムツ』をしては
居ないだろう。今頃小便を漏らしているに違い無い『奴』の醜態を想像した俺は、久し振りに愉快な気分を味わった。
123ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:38:57 ID:???

 俺はワザとブルーを擱座(カクザ)したライトアーマーに接近させず、100oマシンガンでの遠距離戦闘で09を牽制し続けた。
さらに俺は『奴』を置き去りにして後退するフリまで実施した。敵小隊の一機の09がジャイアント・バズを『奴』の乗ったままの
コックピットに突き付け0距離発射をしそうになった時、流石の俺でも焦って腰部ミサイルを3連射して撃破したが、それ以外の攻撃
は09が跋扈するままに任せてやった。しかし、『奴』のライトアーマーの武器を持っているはずのマニピュレータはビームライフル
を保持したまま、何時まで経っても動くそぶりも見せない。恐らく、完璧に自らを襲う死の恐怖に呑まれているのだろう。
 
 「若造! 脚をやられたからと言って、攻撃出来んワケが無いだろう! ガッツの有る所をこの俺に見せてみろ!
  キン○マ縮み上がらせて『ママン、僕怖いの』と何時まで震え上がる心算だ! このクズが! それでも男か!」 

 俺は舌打ちをした後に、回線をフルオープンにして奴に言った。味方の誰もが俺と奴の遣り取りが聞こえる様にだ。
すぐにライトアーマーの持つビームライフルが散発的にビームを射出し始める。…俺の意図に気が付いたのだろう。
此処で泣き言を言えば、奴はもうへタレのまま生きて行くしか無くなるのだ。それは『あの頃の俺』にとって死も同然
なのだ。臆病者に無能者の2枚看板を背負って生きていくには、まだ『奴』は若過ぎるのだ。奴は泣いているだろう。
間違い無く出撃前に自分の目で機体のコンディションを確認しなかった己の『甘さ』と『迂闊さ』を悔いている。

 『…堕ちろ…堕ちろよ…堕ちろぉぉぉぉぉぉぉッ!! 俺はまだ、死にたくネェ、死ねネェんだヨォっ!! 糞ォッ!』
 『ヤザンさん…もう…あのヤザンさんを助けてあげて…! 大きな恐怖が…あの人の思念が…もう少しでっ…!』
 「…『EXAM』が発動するのか?! 解ったマリオン、もう少しソイツを抑えて置いてくれ。 …すぐに片付ける!」

 通信回線を通じて聞こえる『奴』の絶叫に笑いが止まらなかった俺は、『マリオン』の告げようとする内容に慄然とした。
…奴の恐怖に、『EXAM』が共鳴し始めているのだ。『マリオン』が俺を救った時に言った、『生きたEXAM』と例えた言葉が、
俺の若い頃の顔と二重写しの様に俺には重なって見えた。俺が09を仕留めようと100oマシンガンを構えたその時、突然耳に
あの虫の羽音の様な唸りが聞こえた。コンソールと前面モニターの両方に紅い表示が明滅する。

 「何ィ! 『マリオン』っ! どうなっているんだっ! 『EXAM』が、動くぞ?! こんな事は聞いていないぞっ!」
 『魅かれているのッ! 若い方のヤザンさんの過大で純粋な恐怖にっ! もう…駄目ェェェェ! 怖いのは嫌ぁッ!」
 
 『EXAM SYSTEM STANDBY』とシステム音声が無情に告げた。俺の意識が宙に飛び、ブルーの高い視点に引き上げられ固定される。
09のヒートサーベルで焼かれた風の匂いが俺の鼻をくすぐり、大気を震わせるジャイアント・バズの轟音が俺を不快に苛立たせる。
何よりも強い破壊への欲求が俺の心を蝕んで行く。背後からかすかに、『止めて』と哀願する少女の声が聞こえて来るが…俺は、
あえて無視を決め込んだ。自分の浅ましい衝動が目の前の奴等で満たされる事を思うと笑みまでこぼれて来る。堪らなく、いい気分だ。
 俺を制止し続ける少女の悲痛な叫びさえも、今の『俺』にはただの破壊への心地よいプレリュード(前奏曲)に聞こえた。
殺せ、壊せ、命を奪え。お前の餓えを満たす物はそれのみだ、と。俺は100oマシンガンのトリガーを爆発的な歓喜とともに絞った。
 迫り来る後続の09小隊と、哀れっぽく叫び、不快な『感じ』を垂れ流し続ける、『味方である』GM・ライトアーマーに照準を向けて。
124ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:39:52 ID:???

 俺は射撃時に出る反動を利用して、左から右にかけて100oマシンガンの射線を真横に流して行った。
通常弾の中に、5発に1発の割合で射線確認のため装填されている曳光弾が、オレンジの光の尾を曳いて、
09の群れの中に踊り込んで行く。その砲弾は09のコックピット付近に狙った様に吸い込まれ、命中する。
擱座(カクザ)してちょうどその高さに存在したライトアーマーの頭も、射線の終点に位置していたため、
巻き添えを食って吹き飛ばされた。…『俺』に伝わる恐怖が、5割増しになって更に不快感を倍増させる。
 …泣き叫ぶのに疲れたのだろうか? …『マリオン』の声が今の俺の耳には最前から聞こえて来なかった。
 
 「情け無い奴! それでもヤザン・ゲーブルかっ! たかがメインカメラが吹き飛んだ位で…!」
 『…どんなに愚かでも…。情け無くても…。誰も自分で自分を辞める事は出来無い…!』

 『マリオン』の鋭い声が狂気にはやり立つ俺の耳を雷鳴の如く打ちすえた。09がヒートサーベルを抜き、
ホヴァーを利かせて左右から俺を挟み撃ちにしようと突き掛かる。…危うく胴体を串刺しにされる所だった。

 「…どう云う事だっ! 何が言いたいんだ! 俺に何を求めている、『マリオン』ッ!! 」
 『今のヤザンさんはあのヤザンさんとは違うっ! 同じだけど違うのっ! 今のヤザンさんには簡単な事
  でも、あのヤザンさんには難しい事だってあるのっ! 確かに格好悪いかも知れないけれどっ…』

 バックパックのスラスターを吹かし、急発進して回避した俺は、急制動できずにお互いを貫いてしまった
09のパイロット達の断末魔を『聴いた』。『間抜けどもが』と俺は腹の中で一言毒づき、次の獲物を探す。
飛ぶように加速し続ける爽快感が、『マリオン』の言葉から生まれた疑念を、俺の心の中より洗い流して行く。

 「…そらそらそらそらァ! そんな勢いだけの下手糞を構うよりっ! この俺と踊れィ、09! 」

 動かないライトアーマーを鹵獲しようとする09を、俺は疾走しながら胸部バルカンと腰部ミサイルで追い散らす。
09の、のけぞる様が糸の切れたマリオネットを思わせ、俺をニヤリとさせる。あのダルマは踊る事を最早出来まい。
俺に要らぬ手間を取らせるライトアーマーの『奴』の存在が不快感の源なのだ、としきりに頭の中の誰かが囁く。

 「…ああ、そうだな…。こんな泣き叫ぶしか能の無い奴が…俺であるはずが無い…。消してしまえば…俺は…」

 動く物が最早俺しか居なくなった戦場に残る唯一つの不快感の塊が、この半壊したGM・ライトアーマーだった。
俺は片膝を付いたままのライトアーマーのバックパックに、ビームサーベルのビーム発振部分を強く押し当てた。
ここでビームを発振させれば、推進剤に火を付け、コックピットをそのまま貫いて、『奴』を完全に抹殺できる。 
 
 『…誰もが最初から上手な人は居ないっ! 完璧な存在でも無いっ! 憎まないでっ!! 無力な自分をっ!! 』

 俺は『マリオン』の叫びと同時に、瞬時に覚醒した自分に気が付いた。薄ら笑いを浮かべ、抵抗出来ない自分を
焼き殺そうとした俺に。強張る指を、俺は握り締めたままのスティックから一本一本、無理矢理に引き剥がした。
指の力加減を間違えたら最後…『奴』は生を此処で終えることになるのだ。それは俺の目的とする処では…無い。
『EXAM SYSTEM』の紅い文字表示が、恨めしそうに前面モニターとコンソールに2、3度瞬くと、あっさり消えた。

 「…忘れていたよ…『マリオン』…。過去の自分を認めなければ…今の自分は無い。全部ひっくるめての…俺だ」
 『…わたしはきっと…ヤザンさんなら気付いてくれると…信じていたから…呼び続けたの…でも…自信が…』
 「ああ、聞こえていた…。もう、『EXAM』には呑まれん。…済まなかった…有難う…『マリオン』…」

 ライトアーマーの開いたコックピットから、涙と鼻水で顔をグシャグシャにした『俺』が、不安そうにブルーを
見上げているのに気付いた俺は、ゆっくりとブルーの左手を差し伸べた。しっかり『教育』を施してやるために。
125ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:40:46 ID:???

 俺は『奴』を連れ帰り、ブルーをアルフに任せると、すぐに『奴』を人目に付かない様にシャワールームに押し込んだ。
『奴』の下着と軍服を用意して、俺は『奴』に声を掛ける事無く立ち去ろうとすると、意外にも『奴』に呼び止められた。
かすかに漂うアンモニア臭が、俺の『奴は小便を漏らしているだろう』と言う予想を、確実に裏付けていた。

 「何故…オマエは俺を庇う? 誤射で俺を殺しても、文句が出ない状況だったし、オマエに…その…憎まれているつもり
  だった…。今の情け無い俺をワザと人目に晒す事だってオマエは出来たはずだ。…俺にそんなに恩を着せたいのか? 」
 「…礼は期待しては居ない。オマエがこの出来事で学んでくれた事があったら、今の俺は嬉しい。…それだけだよ、曹長」
 「…信じられんが…『声』が、言っていた…。…笑うなよ? オマエは…本当に…俺…『ヤザン・ゲーブル』なのか? 」
 「軍に志願する際に、周りの人間に同情されるのが嫌で、ニューヤーク出身って書いて、そのまま通っているはずだな? 
  どっかでテストパイロットやった時、技術者を庇って上の馬鹿どもに爆弾発言かまして最前線送りになった世渡り下手、
  そして何時も撃墜数リストで自分の上に有る奴の名前を見て悔しがってたな…。家族構成は祖父、父母、弟。実家は…
  オーストラリア、シドニーだ。小さな頃、ハンティングが趣味の祖父と一緒に北アメリカに旅行してニューヤークに土地
  勘があった。出身地の偽証や土地の訛りや地名や地区の様子は全部祖父からの知識の受け売りだ…。違うか? 曹長? 」

 俺がここまで語り終えた時、急に奴はシャワーブースの扉を引き開けた。蒸気と共に現れた『奴』の、見たくの無い所まで、
しっかりと観賞する羽目になり、驚愕する『奴』を尻目に、俺は苦笑いを隠せなかった。俺は奴にバスタオルを投げ渡した。

 「…隠せ。男相手に自慢するモノでも無かろう? オマエの『俺』…ヤザン・ゲーブル曹長…?」
 「本当に…俺…か? アンタは…その…? 正真正銘…ユウ…カジマにしか…見えないンだがな…」
 「まずはそれで体を拭け。俺は報告書が、オマエは始末書と各所掌への謝罪周りが待っている。この俺も付き合ってやる。
  大人しく、俺のやり方を見ていろ。それが終わったら全て話してやる。…オマエに何が起こるか、俺に何が有ったかを」
 「…済まんが、もう少し、待ってくれ。ノーマルスーツを…その…な? 素人じゃないから…解るだろう? 」
 「…待ってやる。ちゃんと熱湯でやるんだぞ! 匂いが残ってるとすぐバレる。…しっかり洗えよ? 」

 あわただしく身支度を終え、ノーマルスーツを乾燥室へぶち込んで息を切らせている『奴』を引き連れ、俺は索敵班を始めと
する部隊各所掌へ頭を下げに行く『巡礼』に出かけた。『ウチの新人が迷惑を掛けた』と、MS戦隊長である俺が真っ先に謝罪
すれば、後から出てくる各部署からの不平不満は最小限で済む。勿論俺が『奴』のリーゼントを掴んで下げさせたのは言うまで
も無いだろう。この場合、積もり積もった奴のこれまでの『悪行』の御蔭で、俺の『誠意』だけでは足りなかったのだった。

 「これで解ったろう? オマエ一人で戦争をやってる訳では無い事をな…」

 俺が報告書を書き終え、奴の私室を訪ねると、奴は早速、手にGMの整備に関するファイルを拡げ、端末の前に座っていた。
目覚めた『奴』の学習能力の高さに、俺は満足して頷いた。『奴』がベッドに座る様、俺に勧めた。俺は遠慮無く座る。
 俺は『まず聞け』と釘を刺し、俺の体験を『奴』に話し始めると、『奴』はメモを取る許可を求めた。俺は言ってやった。
『お前はそんなに馬鹿だったか? 』それから二度と『奴』は無駄口を叩かなかった。俺が話し終える頃『奴』は俺に言った。

 「…俺は『アンタ』に勝ちたい。だから言う事を聞く。これから指示にも従う。だが忘れてもらっちゃあ困る事が一つ…」
 「『ヤザン・ゲーブル』を舐めるな、だろう? 誰にモノを言っている? 『ルーキー』? …根を上げるなよ? 若僧?」

 俺達はガッチリ握手を交わした。奴は『今の俺』を超えるために。そして俺は『過去のZ』を『奴』に超えさせるために。
126ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:43:02 ID:???

 俺は着陸したミデアからブルーが勢い良く飛び出てくるのをホバートラックから眺める。
『奴』の本来の乗機「GM・ライトアーマー」は、結局、『奴』が乗るブルーが回収する事
になった。コックピットとマニピュレータと片足は無事なので、「何かのパーツ取りに使える」
と俺が判断しての決定である。正直、『奴』にブルーを、いや、『マリオン』を預けるのは、
今の俺に取って、大変に勇気の要る行為だった。『奴』はEXAMを発動させているのだ。
 …『奴』が未だに『大人に為り切れない、子供染みた純粋な感情』を持つが故にだ。
俺は苦り切った顔で、忍び笑いを見せるモーリンからヘッドセットを受け取り、耳を済ませた。
 
 『ヒャッホウ〜! こいつぁ凄ェ! ちょっとペダル踏んだだけでビンビン動くぅ! 』
 「…遊ぶな糞野郎! ブルーは俺のMSだ! とっととライトアーマーを回収しろ! 」
 『もう少しイイだろ? な? お…じゃなかった、ユウ中尉…? あと十分! 頼む!』
 「命令を読んだな? 作業完了時刻は何分だ? 遅れた時間×10回の、プッシュアップ
  (腕立て伏せ)決定だ。俺は容赦せんぞ? 早くしろ! ヤザン・ゲーブル『曹長』!」

 奴が息を呑む様が大きく俺の耳に響く。『マリオン』の、『本当に嫌そうな顔をしている』
との報告が、俺の心に届く。間髪入れず、『五月蠅い、余計な事言うな!』と『奴』が慌てて
『マリオン』に口止めしているのがまた、微笑ましい。『奴』はどうやら、急速に『何か』に
目覚めつつ有るらしい。『俺の存在が、トリガーになった』と『マリオン』は言ったものだ。

 『生命の危機と、プレッシャー…。ヤザンさんは、あの『曹長さん』に『EXAM』で
  増幅された『それ』を感じさせてしまった…。秘められた『因子』が、動き出したの…』
 「…そうなると、俺は、どうなるんだ? 『マリオン』? …俺は、『俺』では…」
 『無くならないわ。どういう風に、いつ発現するかは…わたしにも…解らないから…』

 俺の短い回想を、けたたましい音と震動が瞬時に破ってのけた。『奴』がGM・ライトアーマを
取り落としたのだろう。上がった土煙がホバートラックを覆い、風で舞い上がった土砂が装甲板を
叩く甲高い音が俺を苛立たせた。頭の中で毒づいた俺の言葉を、多分『マリオン』は細大漏らさず
伝えている事だろう。現にもう、『うへぇ〜…勘弁してくれよぉ〜…』と『奴』が零していた。

 「『曹長』! 丁寧にやれと言ったろうがっ! 俺に勝つまでシミュレータ漬け、決定だ! 」
 『…せめて、ダメージ半分まで減らせたら、で…。前回、瞬殺されたばかりなんだぜ…俺…』

 盗み聞きしているモーリンが、額を押さえる俺の傍で、大っぴらにコンソールを叩いて笑い転げて
いた。『奴』相手に漫才をするつもりは無かったが、どうも他人に言わせると『そのもの』らしい。
俺はこの時間を思い出さない時は無いだろう。『若かりし俺』を鍛えた、笑いが絶えなかった日々を。
127ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:43:45 ID:???

 エマージェンシー・アラームがけたたましくミデア内に鳴り響く。俺は直ぐに私室から走り出す。
『奴』がその俺の前を必死な表情をして走り過ぎて行く。過呼吸気味の真っ赤な顔だ。俺は『奴』に
数秒で追い付き、ロッカールームに同時に入る。ノーマルスーツに着替えるのは、俺の方が早かった。
 乗機を失った奴は、結局俺のミデアに乗る事になった。俺は『奴』を鍛える為に日常生活まで介入
した。食事の食べ方から軍服のアイロンプレスの掛け方、MS戦術論から強い酒の飲み方、女の洒落た
口説き方に至るまで、多種多様の教育を『奴』に詰め込んだ。『奴』が消化不良を起こす事無く、熱意
を持って取り組み、砂漠に水を撒くが如く知識を吸収、体得していくのは、俺の『教官』冥利に尽きる
ものだった。今回の『競争』も『教育』の一環である。いかに非常時に素早く対応出来るかを覚えさせ
るためだ。宇宙ではノーマルスーツの着用の遅れが、生死を分かつのだ。…その他にも理由がある。

 「残念だったな、『曹長』! 俺に勝ってブルーに乗れたのは2回だけだな? ズルを抜くと? 」
 「…また俺が居残りかよ! 実戦させろよ、実戦! アンタも俺に経験を積ませたいんだろうが! 」

 そう、俺はスクランブルの発動後、早くノーマルスーツを着て、ブルーのコックピットに座った方が出撃
出来ると言うルールを作ったのだ。奴はこれまでに2回、2サイズ上の軍服の下にノーマルスーツを着ていた
と言うズルと、最初からノーマルスーツでブルーのコックピットに座っていたと言う茶番を4回もやらかして
いた。あとの6回は俺の完全勝利だ。年季は俺の方が遥かに積んでいる。俺にとっては至極妥当な結果だ。

 「七年同じ事をやってる俺に『2回も』勝てたんだぞ、『曹長』! 少しは自信と自覚を持て! 」
 「しかし…シミュレータではアンタに10回に1回位しか未だに勝ちが取れんのは…正直辛いぞ…」

 背後から声がする。黄色いノーマルスーツに包まれた腕が見える。まだ『奴』は勝ちを諦めていないのだ。
俺は自然と唇に微笑が浮かぶのを抑えられなかった。コイツはまだまだ伸びる。厳しく鍛えれば鍛えるほど。
 格納庫までのデッドヒートを繰り広げる俺達の眼前に、格納庫から伸びる、白っぽい照明が眩しく煌いた。
キャットウォークを走り抜ける俺達の形相を見て、アルフを始めとするブルー専属スタッフが爆笑していた。
 慌てて飛びのくメカニックの置いた工具箱を飛び越え、ぶつかりそうになるSE(システム・エンジニア)
の女の子を抱き止め、優しく脇に退けた。丁度そこに間髪入れずに鬼の様な顔をした『奴』が迫る。俺の背後
で絹を裂く様な悲鳴が上がった。どよめきが上がる。奴が何かしたらしい。ブルーのコックピットハッチに手
を掛けた俺が振り向いた時、見たのは、しゃがみ掛けたSEの女の子を、奴は前方宙返りでかわした瞬間だった。

 「やるな、『曹長』! だが、俺の勝ちだ! ミデアの銃座からの的確な援護射撃を、期待しているぞ! 
  俺に負けて悔しいからと言って、俺に当てるなよ? これで俺の7勝2敗だ! BD−1、ユウ・カジマ、
  準備良し! モーリン、聞こえるか? …パイロットは…ユウ…カジマ…『中尉』だ…」
 『聞こえてるわ、ユウ! また勝ったの? 曹長、銃座についてくださいね?』
 「そりゃないぜモーリンちゃぁん…! 疲れてるんだよ俺は…! 次は負けんぞ『中尉』ィ! 」
 『…おはよう『優しい』ヤザンさん…。また、一緒で…わたし…嬉しいな…』

 終わりの無い生と死の隣り合わせの時間の中、俺達の皆はこの『一瞬』を最大限に活用し、かつ、愉しんでいた。
いつか、この笑いに満ちた日々が、終わりを迎える時が来るのを、心のどこかで切なく感じながら。
128ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:44:52 ID:???
 
 幾多のジオン軍の妨害を退け、俺達『第11独立機械化混成部隊』は、『GM・ライトアーマー』1機の損害のみで
連邦軍の勢力下にある研究施設へと辿り着いた。その間、『奴』に俺の持てる限りのMS戦の技術を詰め込んだのは
言うまでも無い事実だ。相変わらず『馬鹿』は直らないが…最後まで根を上げなかった事は充分、評価に値する。
 
 「おいおい、そりゃあ無いだろうがよぉ…? ちゃんとアンタから5回に1回は勝てるようになったろうが! 」
 「マシンガンやバルカン砲弾の掃射の中、機体ダメージ無視で突っ込む奴は他に何と謂うんだ? 『曹長』? 」
 「確かに『馬鹿』以外の何者でも無い…。このオレの基準でもやはり『馬鹿』だな…? ヤザン『曹長』…」
 「アンタら血も涙も無いのかよ…。俺より『ブルー』がそんなに可愛いのか? あ、そうか、『中尉』は…」

 俺達三人は研究施設がある基地内を散策していた。俺とアルフと『奴』の三人は、徒歩で移動しながら、辺りを
観察していた。研究施設…。目立つ建物は直ぐに解る。背が高い建物はMS格納庫だ。先程から『嫌な感じ』を放つ
窓の無い建造物は…あの何もかも見透かされる様な得体の知れない雰囲気がする建物は…俺の直感だが…多分…。

 「なあ『中尉』…? さっきから、変だぜ? あの宿舎に何かあるのかよ? もしかして気に入ったとか? 」
 「『曹長』、貴様はあの建物から何か『感じ』ないのか? 何かこう、不愉快な感覚を感じないのか? 」
 「…ジオンからの亡命者が…この基地で研究を続けていると言う話をオレの同期から聞いた…。ヤザン、オマエ
  の話してくれた…『フラナガン機関』からの亡命者だそうだ…。オレがその名を出した途端、同期の奴は絶句
  した…。この時点では最高機密らしいが…。NT研究所と言うゲテモノが、本当存在していたとは驚きだな…」
 「!! …『中尉』…? 子供の泣き叫ぶ声が…聞こえて来ないか? あの窓の無い殺風景な建物から…? 」

 『奴』は俺よりも具体的な『感覚』でその違和感を感じ取ったらしい。『奴』は即、建物に向かって駆け出した。
俺とアルフはその後を追う。自動小銃を持った衛兵が8人、2人1組に為って、その建物の周りを警備している。
なんと基地の最中枢に位置しているにも関わらず、建物周辺には対空銃座や塹壕、鉄条網さえも設営されていた。
『奴』はそれらが目に入らぬかの様に、構わず敷地内へ入ろうとする。案の定、すぐに『奴』は衛兵に制止された。

 「…アルフ、話をつけてくれ。『EXAM』関係者だと言えば、案外スンナリと中に…」
 「…そうも巧く行かん様だな…? あの『曹長』に搦め手を期待する方が可笑しい…」
 「糞! やってくれたっ! 馬鹿! 停まれ! 衛兵に撃たれるぞ! 死ぬ気か『曹長』っ!」

 押し問答の末、衛兵に脇腹を自動小銃で小突かれた『奴』は激昂したのか、制止した衛兵を2人とも殴り飛ばし、
そのまま施設の敷地に駆け込んだのだ。走る『奴』の足元のアスファルト舗装に小銃弾で小さな穴が穿たれ続ける。
 『奴』は躊躇する事無く施設の入口を目指し、疾走を続けた。辿り着くと、軍服の上着を脱いで、右拳を包むと、
入口の強化ガラスを殴り付けた。中に封入された金網で補強されていたガラス窓が、『奴』の打撃に降服したのは
ものの3回の右ストレートだった。俺の目は内線電話を掛ける衛兵を捉えていた。俺は走り寄り、フックを押さえ
切った。非常用に足首にいつも携帯している、9o口径の護身用の小型自動拳銃で。俺の好奇心も、刺激されていた。
129ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:46:01 ID:???
 
 結局『奴』と俺の実力行使は、重罪に問われる事は無かった。アルフの『現状で、ものの2人しか確認
出来ない、貴重なEXAMパイロットを殺す気か!』と言う、謂わば『盗人猛々しい理屈』と、『EXAM関係者』
である一事が、俺達を建物の中に入り、自由に見学・行動可能な許可を得させる原動力と為った。

 「…おっと! お嬢ちゃん! 前見てろよな? お兄ちゃん、ビックリしたじゃないか? なっ? 」

 研究所内に入った俺達三人が、監視の人間付きで見学している最中、通路の角で、前も見ずに走って来た
幼女と、『曹長』が衝突した。7〜8歳位の彼女は、『曹長』の脚に突っ込み、派手に転倒したのだった。
 『奴』は直ぐにしゃがみ込み、怯えながら立ち上がろうとする幼女に、微笑みながら右手を差し出した。
驚いた事に幼女はその手を握り、立ち上がった。…信じられなかった。この俺は『笑った子も泣かせる』、
ヤザン・ゲーブルであると言うのに、だ。普通の子供なら、『奴』が微笑んだ時点で火の付いた如く泣く。

 「嫌なことする人たちが…来るの…。わたしを…守って…! ヤザンおじさん…」

 『奴』は『おじさん』と幼女に云われて傷付いたのか、僅かに眉を顰めた。俺とアルフは、それとは別の
事実で、眉を顰めた。何故、彼女は『奴』の名を知っている? 俺は監視の人間の顔色を伺った。観るまで
も無く、予想した通り、蒼白だった。俺とアルフは悟った。間違い無く此処は、極秘の連邦軍NT研究所だと。
 『奴』はニッコリ笑い、怯える幼女を抱き上げ、自分の肩に乗せ、肩車をした。…優しい奴だ。残酷な程に。

 「よし! あいつ等だな! 観てろよ、『お兄ちゃん』の強さを! 子供は明日の宝物ってなぁ! 」

 追手の白衣を身に纏った男達を一目見た奴は、幼い頃、俺が母親から聞いた受け売りを口にし、向かって行く。
アルフが俺を見た。俺はあらぬ所を見上げ、呟いた。『言い訳、頼む』と。拳と脚蹴りの炸裂音が、静かな研究所
内に、数十度、響いた。子供を肩車したまま、奴は7人の研究者を叩きのめしていた。女も男も容赦無く、だ。
 幼女の無邪気な笑い声と、奴の、『もう大丈夫だぜ? お嬢ちゃん』と得意げに語りかける口調が、俺の頭痛を
誘う。監視者の無言の非難を含む視線が、俺の横顔を痛い程貫いて居た。『部下の管理が、全く成って居ない』と。

 「ヤザンおじさん、みんなにあわせてあげるね! 嫌なことする人たちから、わたしをたすけてくれたって! 」 

 横目で俺が見ると、ぶわっと、監視者の顔から冷や汗が噴き出していた。俺は独り言を言うように静かに言った。

 「無かった事にじゃないか? その方がお互い、幸せになれる。そうだな? 監視カメラを停めて、盗聴も止めて
  来所記録も抹消して、各所掌の人間に緘口令敷いて、あと、お偉いさんには報告無しだ。ついでにアンタもここ
  から離れれば、免責可能だぞ? 所員を介抱している内に、三人が勝手に自由行動した、とな? 」
 「…オレが全ての責任を取る。君は所員を介抱し給え、軍曹…それも早急にだ。感謝して呉れるだろうな…」

 アルフの言葉に救われた様に、監視者は駆け出して行った。奴はこれから、各所の辻褄合わせに忙しく動かねば
ならないのだから。俺達は顔を見合わせ微笑むと、楽しげな幼女を肩車して、足取りも軽く進む『奴』の後を追った。
130ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:47:01 ID:???

 『奴』がその部屋のナンバーロックを幼女の指示に従って解除し、開けた途端に、十数人にも上る子供達の突進を受けた。
怖い物知らずで鳴らす、流石の『奴』も面食らったのか、助けを求めるように俺達の方を向いた。
歓声を上げる子供達にすぐに囲まれた『奴』は、子供達に軍服のズボンを引っ張られ、尻を押されるままに部屋の中へと入っていった。
…懐かれ振りが普通では無かった。

 「ヤザンおじさんありがとー! あのダイクってひと、にがいおクスリばかりのませるんだー! 」
 「あー! ずるぅいー! つぎ、ぼくー! ヤザンおじさん、かたぐるまー! 」
 「ないちゃだめってわたしにいつもいう、ナミカーっておんなのひと、なかせてくれてありがとう…」

 俺達が部屋を覗いた時、最早奴の体の上は子供達で占領されていた。
肩車をしていた女の子はそのままの位置をキープし、『奴』は座り込んで胡坐を掻いていた。
十数対の穢れ無き、純粋な瞳が、俺を射抜いた。俺は何故か無遠慮に心の中を覗かれる不快感を覚えた。
何かこう、値踏みされているのとは違う、そう、見せたく無い何かまで、無理矢理白日の下へ引きずり
出されるような…遠慮の無さだ。俺は不快感に耐え切れず、思わず両腕で自らの体を抱き締め、叫んだ。

 「止めろ! 俺の心を無遠慮に覗きに…入るな! お前達のような子供が見て良い物など一つも無い! 」
 「…急に…どうしたんだ? オレは特に何も、感じないのだがな…? 」
 「へんなの〜! あのひともヤザンおじさんなのにね〜? 」
 「ね〜! 」

 無邪気に笑い合う子供達と対照的に、俺達3人の顔から笑顔が消えた。
奴にもやっと理解出来たのだ。…鈍い奴め。どうあっても、隠し事など出来ない恐怖が、俺達を凍り付かせた。
どうなっているんだ? どうしてこんな能力を持つ? 見た目は子供だと言うのに?

 「…ふつうのひとは、ちがうの? わからないの? 」
 「…ああ。始めて出遭った人間の名前なんぞ、普通の人間は、知らんよ」
 「だからマリオンおねえちゃん、気をつけてねって言ってたんだよぉ…」
 「…知ってるのか? 『マリオン』を? ここに『体』は…存在するのか? 」

 凍り付いた『奴』の肩から、ぴょん、と幼女が跳ね降りた。珍しい髪の色だ。
ブルーグリーンと言えば良いのだろうか? 染めて居なければ、天然で居る存在では無いのだが…。 
 俺の隣に居たアルフが、背を屈め、口を開いた。言葉を発しようとした矢先に、幼女が呟く。
俺は同じ様に腰を屈め、幼女の目線に合わせた。子供とは言え、対等の、人格を持った人間だ。

 「…『EXAM』は、マリオンおねえちゃんじゃないよ…? あれは…ちがう『もの』なの…」
 「どういう事なんだ? もっと俺に解る様に言ってくれないか? 俺はまだ、お前達とは『違う』んだ」
 「…おじさんが、もどりたいなら…おねえちゃんを助けたいなら…『EXAM』を、こわすの」
 「有難う。気を悪くするなよ? 俺は慣れているが、『奴』は『初めて』だったんだ…」

 妙に老成した笑顔を、幼女は見せた。他人の嫌悪感の対応に、慣れているのだろう。
悪意を持った人間を、見慣れ過ぎた、乾いた笑いだった。子供には、して欲しくない表情だった。
少なくとも俺は、させたくは無かった。後ろで唇を噛んでいる『奴』も同じ思いだろう。

 「いいの。…おどろかれるのは、いつもだから…。でも、おじさんたちは、いやじゃないよ? 」 
 「ありがとよ。おチビちゃん…。また来て、いいか? 今度は美味いもの、たくさん持ってきてやるから! 」
 「うん! ヤザンおじさん、約束だよ! 約束! ぼく、あまいのがいい! 」

 不安そうに俺達を見詰めていた他の子供達に、再び笑顔が甦って行く。俺達はこの戦争の『早期終結』を心に誓った。
…たとえ俺が『戻れなく』なる事態が勃発したとしても。『俺』の命がこの時代で尽きようとも。…知ってしまったのだから。
 戦争の道具に、生きた兵器に、『調教』されつつある、少しばかり神様に悪戯をされた、可哀相な子供達の存在を。
131ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:48:02 ID:???
 
 連邦軍NT研究所から出た俺達は、峻厳な顔付きをした、眉毛の太い初老の男に出迎えられた。
 アルフがその男を俺に紹介しようとするが、俺はそれを停めた。すぐに俺は右手に拳を作ると、
薄い唇を開き、何かを言おうとした男を問答無用でブン殴った。…奴には俺にそうされる理由が
充分に存在する。俺はその男の顔も、名も、その為した事も、既に『見知って』いた。

 「クルストォ! ほんの少し、俺達と違うからと言ってっ…! 年端も行かん少女になぁ、
  己の抱いた妄想のためだけに、あんな辛い事を押し付けるのか?! マリオンは…あんたを、
  信じていたんだ! 心から慕っていたんだ! それを何故、利用する様な真似などっ!」
 「…そうか…お前はバケモノの為り損ないなのだな…。嘆かわしい…。私の創った『EXAM』に
  狩られなかったと言う事は、まだ完全に『発現』していないワケだな…急がねばならん…」
 「カムラ大尉、あのオッサン、誰だ? 『中尉』の態度がさっきから尋常じゃあないが…? 」
 「…彼は『EXAM SYSTEM』の産みの親であり、ジオン公国からの貴重な亡命者で情報源でもある。
  …『クルスト・モーゼス』博士だ。何故かNTを…蛇蝎の如く、忌み嫌っている…」
 
 切れた唇を拭おうともせずに、クルスト博士は俺を睨み付けていた。狂気に取り付かれたその瞳
は、俺の中に存在する『何か』を見据え、激しく憎悪している様だった。どうやら奴は、この俺が
『マリオン』に懐柔されたと判断したらしい。直ぐに『曹長』の方の腕を取り、引っ張る様にして
自分の乗って来たエレカの後席に押し込んだ。…有無を言わさぬ、鬼気迫る表情だった。

 「まだだ…まだ、君が居るッ! 君とあと一人が…旧人類の…いや…人類に残された希望だ!
  非常に惜しい事だが、ユウ中尉はもう使い物にならんっ! 私と一緒に戦うのだ、若者! 」
 「お、オッサン、な、何だってんだよ、おい、おいったら! 俺は逃げやしねェよ! 痛ェなぁ…」

 呆気に取られる俺達を無視して、博士はエレカの運転席に乗り込み、基地内の制限速度を無視した
スピードを出して、新型MS格納庫と思われる建物に向かって行ってしまった。俺は自分の右拳に痛み
を感じ、腕を上げると、クルストの歯で切ったのか、ザックリと拳が切れて出血していた。無事な
左手で軍服の総てのポケットを探ったが、生憎止血に使える様な物は無かった。アルフが溜息を吐き
ながら、自分のハンカチーフを差し出す。俺が礼を言う暇も無く、直ぐにアルフは手当てしてくれた。

 「…済まん…どう言えば良いのか…その…奴が…クルストが…な? 優しすぎる『マリオン』の…」
 「…あの格納庫にはな…ガンダムフェイスの『ブルー』が存在する。新品の…『ブルー』の二号機だ。
  まだ例の『蒼色』に塗られてはいないが…予備パーツ用に、既に三号機も組み上げられている…。
  …ヤザン、オマエの今までに叩き出した驚異的な戦闘データの総てを叩き込んだ…新型MSだぞ…?
  オレは、オマエにこそ…最初に乗って欲しかった…。オレとオマエの2人で育てた…『ブルー』にな…」
 「…アルフ、そいつ等については、お前、完全に部外者だろ? そんなMSに『ブルー』を名乗らせて良いのか? 
  俺とお前とマリオンの一号機こそが、本物の『ブルーデスティニー』ってモンだよ、アルフ。違うか? 」 
 「ヤザン…オマエが考えて居る事は解るつもりだがな…? 二号機と三号機は宇宙戦仕様に換装済みだ。今更…」
 「俺と『曹長』のどちらが強いか、解らせてやるだけさ。…あの『自分の妄想で眼が曇った』博士にな? 」

 俺はEXAM搭載マシン同士の対戦を、クルスト博士に申し込む事を婉曲にアルフに告げた。『マリオン』を救うには、
『EXAM』を全て葬り去る必要がある。これは危険かつ無謀な『賭け』だ。『EXAM』マシン同士は、惹き合う。そして、
互いに暴走し、潰し合う。承知の上での決断だ。もし『EXAM』が基地で発動したならば、NT研究所の子供達が危険だ。
 人類の可能性を、こんな『機械ごとき』にこの俺が潰させやしない。人類の行末は、未来の人類自身が決めるのだ。
 だが気になる事が一つ、あった。『Zのパイロット』や『マリオン』が発した『力』について、クルスト博士の見解を
俺は聞きたかったのだ。NTに敵意を持つ『奴』ならば…対処法を心得ているかも知れないのだ。俺は呆れるアルフと共に、
格納庫に足を向けた。脚が重い。俺は先ず、あのクルスト・モーゼス博士に、殴った詫びを入れねばならないのだから。
132ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:49:13 ID:???

 俺は自分の感情に整理を付けられなかった。NT研究所の子供達を、『兵器』にさせないためには、
この戦争の早期終結が必要だ。『EXAM』搭載マシンが量産可能になれば、連邦は戦力的にも充実する。
 しかし、『EXAM』は不安定だ。俺が『ビジョン』で観た限り、アレはNTと『対等に戦う』為にだけ
創られたシステムだ。安全性など最初から度外視している。あんな物に乗らされた『普通の奴』は…
システムが強制する破壊衝動に先ず耐えられない。…多分あの『ヤザン・ゲーブル曹長』もだ。
 正直に言うと、俺は迷っていたのだ。子供達の成れの果ては…俺も一緒に戦った事も在る、強化人間
だ。歴史は、変えられないのならば、多分あの中には、『ロザミア・バダム』も居る事だろう。
 子供達を救えないのか? 救えるのか? 結局目の前に居る子供達を救う事は、出来はしないのでは?
だとしたら…俺は何をするべきなのか? 『未来』を知る者として? 様々な想念が、浮かんでは消える。

 「…結局の所、俺は目の前の敵を倒したいだけかも知れん。敵が居ないと、余計な事を考え過ぎて
  困る。戦争は善悪を直ぐに見分けられるほど、単純では無い。俺の感性のままに動くまでだな…」

 俺の直感は『EXAM』を危険で胡散臭い物だと訴えている。俺は、気に入らなかった。人間を戦闘機械
にするシステムだ。人間は、自らの意志で行動する生物だ。この俺を操ろうとした時点で、システムは
この俺、『ヤザン・ゲーブル』を敵に廻したも同然だ。気に入らなければ、殺せば良い。…簡単な事だ。

 「オマエの今回の敵は…災難だな? 己のフラストレーションの、解消の為に模擬戦を考えたのか? 」
 「ストレス発散、と言って欲しいな。欲求不満じゃあ、子供扱いされた様で、格好がつかんだろう? 」

 俺の独白を聞いたアルフが、珍しく冗談で俺を揶揄した。クルスト博士は意外とあっさり、『ユウ・カジマ』
の『俺』を許してくれた。『正しい道に戻ってくれると信じていた』と、大真面目に言ってのけた博士は、直後
に満面の笑みを浮かべ、俺の肩をポンポン叩きながら格納庫の中を案内してくれた。…気味が悪い程、親切に。

 「あの思い上がった新人類に、人類の実力を思い知らせてやらねばいかんのだ! EXAMに相応しい人間は、
  やはり君しか居ない! 戦闘記録を参照したが…君の部下は、残念ながらまだ…未熟だったようだな?」

 そうだ。『奴』、『曹長』は、未だ『EXAM』発動時のブルーを体験して居ない。ただ、ブルーに乗っただけだ。
残念ながらクルスト博士の御眼鏡に適わなかったのだろう。俺は薄笑いを浮かべ、横目で『曹長』を捜した。

 「折角バケモノ屋敷から一匹借りて来て、シミュレータで『EXAM』発動を体験させようとしたのだが…」
 「…なんだと? 俺の部下は何処に居る! 博士! 『奴』は、ヤザンは無事なのか?! 」
 「情け無くも拒否したのだ。『子供を殺れる程、俺は外道じゃネェぞ、オッサン』と、一緒にバケモノ
  屋敷へ戻った。彼と、ミュータントが一匹乗った、私のエレカと擦れ違わなかったか? 」

 俺は胸を撫で下ろした。こんな事で『奴』を潰されては『俺』が困るのだ。博士がキーコードを入力すると、
馬鹿に大きい耐爆扉が開いて行く。俺とアルフは促されるままに、中に入った。『ガンダム』が2体、居た。
蒼く塗装された『ガンダム』と、白いままの、『ガンダム』だ。『ブルー』の一号機と同じく、左肩にそれぞれ
『02』、『03』と数字で大きくマーキングされていた。『02』は白で、『03』は黒で描かれていた。

 「MK−Uなのか…? あの白い奴は…? 」
 「アルフ君は関わっては居ないが、『ブルー』の2号機と3号機だ。マークUと言うなら、二号機の方だよ、ユウ中尉」
 「…オレに機体データを見せて貰えませんか、クルスト博士…。オレにはその権限が与えられているはずだが…」
 「アルフ君、私は君にも期待しているのだよ…。私がもし、志半ばで斃れたら…その時は…遺志を継いで貰いたい! 」

 俺はクルストの台詞を最後まで聞く事が出来なかった。…急に俺の頭の中に、『マリオン』の悲痛な声が響いて来たのだ。
『どうしてなの…? 三号機が…この時点で完成している訳が無いのに…! 』と。俺は『マリオン』に心の中で問いかけたが、
応えは、無かった。俺は一抹の不安を抱きつつ、二号機の足元へと歩み寄るクルスト博士とアルフの後を追った。
133ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:50:34 ID:???

 俺は結局、アルフを残し、NT研究所へ『奴』を迎えに行くことにした。余り子供達に、『深入り』するなと
釘を刺して置くためだ。入口は許可命令が下ったのか、今度はスルーパスだった。中に入ると…頬を腫らせた
女研究者が、俺に泣いて縋って来た。『何とかして下さい』と。俺が彼女に微笑むだけで、目元を紅く染め、
黙る。色男は、得だ。奴はあの部屋の子供達と一緒に、『遊んでいる』と言う。案の定、思った通りの展開だ。
もう夜間だが、此処には窓が無い。大方時間を忘れて夢中で構ってやっているのだろう。…その逆かも知れんが。

 「…任せてください。奴を連れ戻す為に、私が来たのですから…貴女も…辛いでのしょうに…」

 女研究者の両肩に優しく手を置き、労わりに溢れた真摯な声で言ってやると、感極まったのかまた泣き出し、
抱きついて来た。俺は女が泣き止むまでそのまま突っ立っていた。勿論、この女に同情の余地など一つも無い。
 人体を、此処の子供達を良い様に弄繰り回し、結局『次の』戦争の道具に『仕立て上げた』人間の一人なのだ。
恥を知っている人間ならば…己のしている事の善悪を考えて…とっくに行動しているだろう。…『奴』の様に。

 「…居るんだろう? 俺だ。 ロックを解除しろ、『曹長』」
 「…『曹長』は眠った。ドアは開いている。彼に話が有るのなら、俺は引っ込むが? 」

 『ユウ』が代わりに、応えてくれる。…そう云えば、子供達は『ユウ』の存在に気付いていたのだろうか?
窓が一つも無い、異様な部屋の中の真中に、胡坐を掻いた『奴』を中心にして子供達が寄り添って眠っていた。
『奴』の膝に凭れて眠る者も居る。これでは強面の『奴』も動けないだろう。俺は『ユウ』に苦笑を見せた。
『ユウ』も静かに笑う。…心に染み入る様なその優しい笑みは、金輪際、俺には真似出来無いだろう。

 「…ジオンの『EXAM』マシンが来る。『ヤザンおじさんの中のユウお兄ちゃんは、元の体に戻れるよ』と、
  この娘が教えて呉れた。右腿に頭を乗せて眠っている子だ。名を…」
 「ロザミア・バダム…面影が有る。7年後には『立派な』強化人間にされる…娘さ。俺と一緒に出撃したよ」
 「…残酷だな。未来を知っていると云うのは…? 人殺しをさせるために、俺達は戦って来た訳では無い…」
 「ユウ…もう少し…体を…貸して呉れないか? この件に、ケリが付くまでで良い…頼む! 」
 「…戻れるだけさ。『でも、今と変わらないよ? 』と…左腿のこの娘がな。名前は…教えてくれなかった」

 俺は、頷いた。…昼間のブルーグリーンの、髪の子だ。ユウはその髪を優しく、撫でる。俺は真向いに座った。

 「ジオンの『EXAM』マシンについて、知っている事は? 」
 「…パイロットは二ムバス・シュターゼン。自称『ジオンの騎士』だ。先行量産GMコマンドのテストの際、遭遇
  した…。気を付けろ…奴は普通じゃ無い。イカれて居る。…オーヴァーヒートで動けなくなった、俺の機体の
  コックピットからわざわざ俺を出させ、ヒートサーベルで焼き殺そうとした。『騎士の機体に傷を付けた事を
  褒めてやる。この私のイフリート改にな』とな…。『ブルー』の性能ならば、まず勝てると思うが…」

 俺はユウの腕に恐怖した。あの『EXAM』を積んだマシンと、生身で互角に渡り合ったのだ。…しかし、相手がヘボ
だったと言う可能性も捨て切れんが。ジオンのMSの性能を、連邦のMSは曲がりなりにも凌駕しているのだか…待て。
GMコマンドがオーヴァーヒートだと?! その逆なら容易に考えられるが、『EXAM』が、暴走しなかったのか?!

 「…奴は完璧に…『EXAM』を制していた。ヤザン、お前は…まだ、の様だな…? 」
 「ああ、まだだ…しかし、俺は負けん! 誰にも、負けん! 『EXAM』にも、自称・ジオンの騎士にもな! 」
 「…その割には…体が震えているようだがな…? …それとも俺の遠い先祖の言葉にある『武者震い』か? 」

 俺は背中の辺りがゾクゾク疼くのを感じた。俺と互角か、それ以上の相手と戦えるだろう、その期待感に。
134ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:52:10 ID:???

 『奴』は、子供達に『懐かれて』いた。次の日、基地のPX(売店・かなり広い)のジャンクフードの棚が全部、
空に為る位に買占め、段ボール箱を満載したエレカで研究所に乗りつけ、衛兵の白い眼も気にせず所内に持ち込み、
『ヤザンおじさん』を『ヤザンお兄ちゃん』と呼ぶように頼み込んでいた。
 …『奴』の真意を知っている子供達は、当然面白がって『おじさん』と呼ぶのを止めなかったが。
 PXの係員に、『玩具』を調達しろとねじ込んだと、偶然居合わせたフィリップから聞いた時は腹を抱えて笑った。
『EXAM』のシミュレータを弄るのにもいい加減飽きてきた三日目の朝、唐突に変化が訪れた。
『ブルーデスティニー』2号機が、綺麗さっぱり格納庫から無くなっていたのだ。
アルフも寝耳に水を喰らったのか、茫然としていた。俺は手近なクルスト博士の部下の一人を捕まえ、聞いた。

 「中尉の部下のあのヤザン曹長を連れて、2号機の運動モーメントのテストに行きましたよ?
  気付かなかったんですか? 」
 「…あの早朝出てったトレーラーか! スクラップを搬出するだけだとオレに伝えておいて…! 
  …しかし何故この主任メカニックであるオレに無断で…? 」
 「ああ、そういえば曹長、博士に条件付けてましたよ? 子供達に『ガンダム』を見せてやりたいから、
  後で連れて来てくれと。博士、にこやかに快諾してましたね。普段バケモノ扱いしていても、
  あの人はやっぱり子供好き… 」

 俺はその男を突き飛ばし、乗ってきたエレカで研究所に向かった。…間に合えば、ここで何事も無く、終わる。
俺の切実な思いも知らず、研究所の事務職員は『もうとっくに子供達は出発した』と俺に素っ気無く、告げた。
…クルストの狙いは読め過ぎる程、読めた。博士にして見れば『2号機』や『曹長』の『最終テスト』なのだ。
 俺は無言で研究所を出て、エレカに乗り込んだ。途中で走って来たアルフを拾い、制限速度無視で、ミデアに向かう。
息を切らせて喘ぐアルフに、俺は案件のみをしっかり大声で伝える。粗相が在っては今後何かと差し支えるのだ。

 「三日前、提出済みの『ブルー』の模擬戦の嘆願書に、今日の日付を入れておいてくれ。ヘンケン少佐には既に
  話は通してある。場所は演習場だ。ミデアの使用許可も内々に取ってある。…あの子供達の前で『2号機』を
  『曹長』が起動させた瞬間…悲劇が起こるだろう。阻止するにはこの方法しか無い…『EXAM』には『EXAM』だ!」
 「…固定兵装は実弾が装填したままなんだがな…100oマシンガンも実弾の方が良いのか? ヤザン? 」
 「俺と『マリオン』を信じてくれ! 『EXAM』は『EXAM』か、それと同様の『モノ』に魅かれても発動する! 
  あの子供達はNTだ! だから…! 同じモノに魅かれるならば、『EXAM』の方が、より強い敵意を…! 」

 ミデアの格納庫に設えてあるスロープの、地面との段差で俺は舌を噛みそうになり、黙る。スピンターンの要領で
エレカを停めると、俺はキャットウォークを駆け上り、ブルーのコックピットに滑り込んだ。アルフが内線で操縦室に
離陸を促すのを肉眼で確認し、俺はハッチを閉め、『ブルー』起動させた。テストの為にノーマルスーツを着込んで
置いた事は僥倖だった。ケーブル類をヘルメットのジャックに差込む。俺の焦りに気圧されたのか、『マリオン』は
語り掛けて来ない。…俺は『EXAM』には呑まれはしない。そう心で念じながら、体は機械的に計器チェックをこなして行く。
間に合え。間に合わなければ俺は一生、後悔するだろう。あらゆる者を見捨てる卑怯者の生き方は、俺にはまだ似合わない。
135ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:52:59 ID:???

 ミデアが離陸して10分も経過しただろうか? 『マリオン』の息を呑む『声に為らない声』を俺は『感じた』。

 「稼動して居るのだな…? 『EXAM』が既に…」
 『あれは…違う! わたしじゃない! わたしとは…違うの! わからないの…! 』
 「ハッチ開け! ユウ・カジマ、出る! 」

 突然、例の唸りと、モニターの表示がシステム発動を告げた。俺は急いで通信回線を、外部スピーカー
までオープンにして叫んだ。放置すれば、外に出るためだけにミデアの格納庫ごと破壊してしまう恐れが
充分に在る。隔壁が開くと、長方形に切り取られた空が、蒼く、眩しく、闇に慣れた俺の眼を焼いた。
 ミデアが失速気味に高度を落としたのか、視界が激しく揺れた。直ぐに『ブルー』の各部ロックが解除
され、俺と『ブルー』は中空に躍り出る。数秒もしない内に激しい震動が、俺をダイス(サイコロ)の様
に弄んでくれた。『ブルー』のショックアブソーバが特別製でも、こればかりは完全に防げない。
 低空飛行を敢行しつつ、演習場内の建造物を曲芸飛行張りに鮮やかに回避して行く、目の前のミデア
のパイロットの腕に俺は感謝した。『ブルー』の着地地点には、廃墟と化したコンクリートビルディング
が立ち並んでいる。嘗て栄華を誇った、戦争前の遺物達だ。誰も居ない都市。死の街。気象の激変で、人
が街を捨てたのだ。捨てる事の出来る棲家が無くなった時…果たして人間は次に何処へ行くのだろうか?

 『ヤザンさん、前!』
 「2号機かっ?! 何処だ! 」
 『あの子たちが…居るッ! 早く遠ざけて! 今のあの子たちには…見せたくない! 』
 「解った…ミデアに回収を依頼…ッ!」

 すぐ近くに大型のエレカを視認した途端に、途轍も無い破壊衝動が襲い、俺の意志を阻止しようとする。
モニター表示は…完全に敵表示だ。しかも最優先破壊コードまで御丁寧に付与されている。俺の思考が未だ
正常に働くのは、『マリオン』が『EXAM』に対して必死に抵抗し続けて居る証だった。俺も機体に堪えなけ
ればならない。『マリオン』の信頼に応えるためにも、だ。俺は叫んだ。格好悪いが、他に方法が無い。

 「俺は俺だ! 俺に従え『EXAM』ッ! 俺の敵はもっと喰い応えの有る奴だ! 捜せ、『EXAM』! 」
 『…ヤザンさん…』
 「幻滅しただろう? だが、これが俺の本性だ。どの道、敵が居なければ、満足せん男だからな…?
  ただの兵士が一番性に合ってるのさ。正義の味方を気取って見たって、人殺しに大した違いは無い」
 『でも…人の命の重さは…知っている…。だからMS同士の戦闘に拘り続ける…。哀しい人…』

 『ブルー』が、機体ごと背後を向いた。見つけたのだ。俺の『喰うに値する』敵を。…『蒼いガンダム』が
その両眼を血走らせながら、立っていた。その様子から残念だが、『曹長』の自由意志は無いと見るべきだろう。
 俺では無く、俺の背後のエレカを、その右腕に保持した『100oマシンガン』でロックオンしていたのだから。
136ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:53:53 ID:???
 
 俺は無性に腹立たしい気分を抑え切れなかった。この俺が機械に、『EXAM』に舐められたのだ。
武器を持たない、子供達の怯えや敵意の方が、この俺、『兵士』であるヤザン・ゲーブルよりも
脅威だ、とされたことにだ。2重の意味で腹立たしかった。目の前の、過去の俺以上である『奴』
も、NTの子供達よりも危険度が低いと、この『ブルー』の『EXAM』が判断したのだから。

 「舐めるなよ、機械風情が! 」

 俺はブーストを掛け、『蒼いガンダム』こと『BD-2』に体当たりを掛ける。2号機は何故か回避
せず、大地に地響きを立て俺の『ブルー』と共に倒れ伏した。…様子が変だ。『EXAM』発動中の
『ブルー』は、恐るべき存在だった。正常、と呼ぶべきなのか解らんが、この状態の『ブルー』は
まるで敵の行動を予測しているかの様な回避行動を取る筈だった。『お肌の触れ合い会話』こと、
接触回線に俺は耳を澄ますと…『奴』が何と…啼いていた。

 『どうしちまったんだよ…『マリオン』…何にも出来ない餓鬼どもを殺せってのかよォ…!
  まだ子供なんだぞ…どうしてだよ…! まだあいつら、世界の何にも見てないんだぞ…!
  汚い物も綺麗な物も…! 敵だなんて言うなよ…! 俺は撃ちたくなんか…無ェ! 』
 「『曹長』! 『曹長』! 俺の声が聞こえるか! 曹長! 」
 『ちゅ…中尉…か? 変なんだよ…この『マリオン』…。此処で起動させた途端、やたら
  怯えて…挙句の果てに、あの子達のエレカ見たら…『破壊する』って…』
 「体が自由ならばヘルメットを取れ! そして対衝撃行動! 早くしろ! 一刻も早くだ!」
 『と、とったぞっ! 中尉、次は何を…』

 俺は『ブルー』の頭部バルカンを発射した。2号機の『頭部』が原型を留めなく為るまで。
今の今まで頭部バルカンを使用しなかった理由は一つ。『EXAM』システムが搭載されている
部所が、『頭部』だからだ。『EXAM』はその性質上、センサー系と密接な関連性が有る。
 敵の行動予測一つにしても、メインカメラが撮った映像を判断し、敵の型番、武装等を読み
取らなければ始まらない。通常のMSは大抵コックピット周りに存在するメインコンピューター
に情報を送るが…『EXAM』は頭部に設置する事により処理時間を短縮していると、アルフから
以前に聞いていた。しかしBDシリーズは『EXAM』が基本OSだ。全てのシステムを統括するだろう
『EXAM』の宿る頭部を破壊した時、MSは後に行動不能に為る事は間違い無い。
 俺は回線を前もって設定して置いた秘匿通話回線にして、ミデアで待機しているアルフに怒鳴った。

 「ブルーの頭部が破壊された場合のフェイルセーフ機能はどうなっている?! メインコンピューター
  の、通常基本OSでリブート(再起動)可能なのか!? それともメインの方は取り外されているか?!
  用心深いお前ならば、当の昔に調べてあるはずだがな?! 」 
 『…安心しろ。その方法で良い…。オレの子飼いの部下が、クルスト博士の指示を無視して搭載した。
  人脈は、こう言う時に生きる物なのだな…? 安心してリブートさせろ。 もう暴走の危険は無い』
 「聞いたな『曹長』! 即実行だ! そしてリブートしたらあのエレカを抱えて、後はアルフの指示
  に従うんだ! 俺の『ブルー』から、出来るだけ遠くに退去! 復唱は要らん! さっさとやれ!」

 俺は『感じて』いた。圧倒的な敵意と、闘争への期待感を持った相手が迫りつつある『プレッシャー』を。
『Z』のパイロットに何処か似た、あのざらつく不快感を。俺は『ブルー』の体を起こし、カメラを最大望遠に
して索敵した。土煙の上がる中、かすかに光るモノアイ達が見える。掛け値無しに間違い無く、ジオンのMS部隊だ。
 俺は『観た』。その中に肩を紅に彩り、二本のヒートサーベルを携えた一つ目の『蒼い』MSが存在する事実を。 
137ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:54:54 ID:???

 「味方を殺っているのか…? あの…MSは…? パイロットは…正気なのか…? 」
 『二ムバス…あの人も…哀しい人…。だけど…違う! わたしは望んでいない! 』

 そのMSの持つヒートサーベルは、『サーベル』と言う響きに似合わぬ重厚さを俺とブルーの前に見せ付けた。
まるで騎士の持つ、『大剣』の遣い方だ。斬る。叩き斬る。撫で斬る。06が、07が、09が、瞬く間に餌食と為って
行く。凄まじい遣い手だった。片方の剣で受け、もう片方で斬る。射撃されると、剣の幅で最小限の部分を防御し、
接近して、剣で突き、仕留める。そのMSの見せる優美な舞を舞う様な美しさに俺は、100oマシンガンの砲口を向け
るのも忘れて、見入っていた。戦いたい。俺は純粋にそう願った。コイツと、一対一で誰にも邪魔されず、殺り合い
たいと。しかし、ブルーの『EXAM』の稼働時間カウンターが、無情にも漸減して行く。俺は、もう待てなかった。

 「邪魔だ貴様等! 消えろ! そいつは俺の獲物だァ! 」

 俺は蒼いMSに斬り掛かろうとする07改の腕を精密照準で吹き飛ばした。体ごと蒼いMSが反転し、即座に07改の上半身
と下半身とをヒート剣で分断した。俺の目に写った、蒼いMSのモノアイの残光が消える間も無い間だった。立っている
ジオンのMSがその『蒼いMS』以外に無くなった時…。俺は外部音声出力をONにした。さあ、総てを出して魅せて見ろ!
俺を、愉しませろ! その極上の技で! その技量で! その無慈悲さを以て! 俺の飢えを癒して見せろ! 『敵』!

 「邪魔者は、消えたな? さあ、始めようか…。自称ジオンの騎士、二ムバス・シュターゼンとやら! 」
 「随分と無作法だな…? まあ良い…騎士の名誉に懸けて貴様を倒す! 連邦のEXAMパイロット! 」

 まさか外部音声で応えて来るとは夢にも思わなかった。…御目出度い奴だ。だが、面白い! 根拠の無い自信に満ち
溢れたその言や良し! …もしかして俺も移っちまったか? と思う間も無く、『蒼いMS』の両脚のミサイルポッドから
有線ミサイルが放たれた。さあ、愉しもうじゃないか。心行くまでこの戦闘を。残り3分の、ゲームセットまで。俺は胸部
バルカンを一斉射し、ミサイルを破壊してから廃墟の影に隠れる。すかさず背後の廃墟が両断される。なるほど、牽制を
見抜く目は有るか。しかしまだ、ゲームは始まったばかりだ。焦る事は無い。人でなしの快楽を互いに味わおう。存分にな!
138ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:56:02 ID:???
 
 「奴の…懐に入れんのがっ…痛いなッ! 」

 ブルーの装備する胸部・頭部バルカン砲の連射で廃墟を薙ぎ倒しながら、俺は蒼いMS…そうだ、
確かユウがイフリート改とか言ったMSから距離を取りつつあった。中・近距離戦のあの圧倒的な
破壊力は、正直言ってブルーにとって分が悪い。相手の得意分野でわざわざ勝負してやる義理は、
俺には無い。しかし、100oマシンガンの砲弾にしても無限では無い。このまま逃げ回り続けるの
は、俺の流儀に反する。『EXAM』の時間切れでゲームオーバーだ。…リミッターさえ無ければ…。

 「フハハハハハハハハッ!! 恐れを生したか連邦のEXAMパイロット! このジオンの騎士を愚弄
  した自らの愚かさと粗忽さを、地獄の底とやらで後悔するが良い! 死ねェい! 下郎! 」

 また、有線ミサイルだ。…ナントカの一つ覚えだ。回避されるの解ってて撃つか? も少し接近
して撃てよ? 俺はすぐさまブルーを振り向かせ、胸部バルカンで破壊しようとした。…破片が、
ブルーの機体にさぞや細かい傷を付ける事だろう。閃光とともに消し飛んだミサイルの発射元が…
居ない?! 囮か! 奴は何処に消え…

 「甘い! 甘いぞ連邦のEXAMパイロットォ! 囮を囮と見抜けぬ駄馬にも劣る畜生よ、堕ちろ! 
  この私に立ち向かう事自体が、無謀と知れ! 喰らえぃ! 」

 奴は左に廻り込んでいた。有線ミサイルの、ワイヤーは誘導の為に有る。そのワイヤーは有る程度
ミサイルが推進すれば、切り離される。奴が何故、わざわざ有線ミサイルをワイヤーの届く範囲内で
使っていたか? この一瞬を創り出すためだったか…。有線ミサイルが、ワイヤーを引き摺りながら
ブルーに向かってくるのを、コックピットの中の俺の眼はその光景をスローモーションの如く、捉え
て居た。奴に乗せられた俺が、迂闊だった。…だが! 俺に勝ったと思うのはまだ早いんだよ! 

 「ゴチャゴチャぎゃあぎゃあと…舌噛まねェのかよ、この時代錯誤野郎がァっ!」

 俺はビームサーベルをブルーの左手に握らせ、ミサイルを斬り払うと、直ぐに装備しているシールド
で頭部をガードし、イフリート改にブーストを掛けて突っ込んだ。避けられるのは最初から解り切った
事だ。狙いは相手の火力の漸減。何だかんだ言っても、『飛び道具』は封じて置かねば為らない。
 左脚部のミサイルポッドを、俺は斬る事に成功した。…フン、舐めるなよ、ジオン公国の勘違い騎士!
俺が下郎や駄馬なら、テメェは旧世紀の物語の人物の『ドン・キホーテ』そっくりだ!

 「…連邦の闘士よ、名は何と言う…? 貴様の墓碑に私が刻んでやらんでも無い」
 「うるせえよ『ドン・キホーテ』! 能書きは良いから掛かって来いコラァ! びびってんじゃ無ェ」
 「命は要らんと言う事か…良かろう、疾く、散れィ! 」

 背後のイフリート改のヒート剣が赤味を帯びる。冷静さを失った奴が負けるんだよ、闘争って奴はな! 
139ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:57:28 ID:???
背後で飴の様に切り裂かれてゆく廃墟ビル群に、ブルーの胸部バルカンで薙ぎ倒される
前方のビル達。…俺が必要最小限を破壊して行くのに、奴と来たらヒート剣の触れた物は
根こそぎ切り刻む。執拗に追ってくる奴に、俺は苛立ちを隠せ無かった。間合いが、取れ
ないのだ。足止めを画策し、廃墟の影に隠れ、やり過ごそうとすればたちまち発見され、
瓦礫を作って足止めをすれば、機動力を生かしすぐに乗り越えて背後に迫って来る。

 「偏執狂め! いい加減に諦めて疲れろ! …くおっ! 」
 『ヤザンさん?! 』

 グレネードを避け切れず、遂に一発喰らってしまった。炸薬の量が多かったのか、機体に
ダメージが発生したとの表示が浮かび上がる。運が悪い事に、それも推進系だった。

 「この私に勝負を挑む事自体が、貴様の大きな間違いで有り、不幸なのだ! 」
 「…遺言がまだ有ったら、聞いてやる。…テメェは今、俺を本気で怒らせた! 」
 『ヤザンさん、駄目、逃げて! 殺される…』
 「マリオン! そのような下種に憑いて居るとはな…私こそがお前を守る騎士! 
  お前を縛る者はこの私のみ! さあ、私の元へ戻るのだ、マリオンッ! 」
 「テメェの相手はこの、俺だ! 命の遣り取りをしている最中に、トチ狂うな! 」 

 俺は『ブルー』に機体ごと振り向かせ、100oマシンガンを残弾が無くなるまで奴に向け、
撃ち尽くすと同時に、左手のビームサーベルを発動させ、斬り掛かった。間抜けな騎士殿は
片方のヒート剣を右腕ごと失った。…『ブルー』も無傷では済まなかった。瞬時に奴の反撃を
喰らい、右肘から下を斬り落とされた。次で、勝負が決まる。俺と『ブルー』に残された時間
は残り時間1分を切っていた。リミッターが作動するまで後、50秒弱。『マリオン』頼みの
『奇跡』は期待出来ない。恐らく『EXAM』の強制力から俺を守るのに精一杯と言う所だ。
俺は溜息を吐き、外部音声出力をOFFにした。息も絶え絶えな少女の声が俺の胸を打つ。
予想通りだ。『マリオン』も、もう限界に近いのだ。
 
 『ヤザンさん…あのMSの』
 「解っている…頭が蟹の様に平べったくデカイのは、アレがEXAM搭載機だからだろう。
  奴の頭を破壊出来れば、俺達の勝ちだ。しかし…」
 『それを二ムバスも、狙っている…』
 「…俺は、お前を…失いたくは無い! 俺の総てを曝け出せた相手を…こんな所でっ…! 」
 『有難う…ヤザンさん…わたしはその言葉だけで…もう…充分…』
 「マリオンっ?! 止せ、止めろォッ! 俺は…俺は…お前をッ…」 

 紅い表示が、再びモニター画面に明滅した。『EXAM SYSTEM STAND-BY』。
『ブルー』が、いや、『マリオン』がゆっくりとイフリート改に向き直る。…俺のペダルや
スティック操作を待たずにだ。ありったけの勇気を搾り出し、少女が戦う意志を見せたのだ。
 イフリート改は、余裕を見せ付けるかの様に、左腕のヒート剣を持ち上げ、突きの体勢を取る。
この一撃が、全ての決着を付けるのだ。俺は覚悟を決めた。情け無い姿を、もう見せられ無い。

 「良いだろうマリオン! 飽くまでこの私を拒否すると言うのか! このマリオンと同じく! 」 
 「機体の管制を俺に渡せ。…俺に任せろ。死ぬ時は、俺も一緒だ。本当は、怖いんだろう? 」
 『…勝って…! ヤザンさん…勝って…わたしと…』
 「二ムバス・シュターゼン、参る! 」

 イフリート改が、動く。俺は体の力を抜き、ただ見ていた。奴の赤熱するヒート剣の『剣先』が、迫る。
140ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:58:16 ID:???

 ブルーの残った左腕を、俺はイフリート改の腕に当てる様にして、剣先を逸らす。
そう、ボクシングで言うクロスカウンターの要領だ。突き出したブルーの左手には、
ビームサーベルが発動していた。見事にイフリート改のモノアイを貫いたその一瞬を
俺はコックピットの中に巻き起こった電装系のスパークの中、確認していた。

 「…さすがに無傷と言う訳には、行かんな…? 機械風情が余計な真似を…!」

 ブルーは、いや『EXAM』は、密かに俺に抵抗していたのだ。スティックとペダルの
俺からの反応(レスポンス)が途絶えたと判断し、自らを、頭部を守るため『勝手に』
行動し…その結果、イフリート改のヒート剣の剣先を…コックピットに誘導しようと、
スラスターを吹かした。俺のスティックとペダルの操作を確認し、慌てて従った結果が
『コックピットすぐ脇への』ヒート剣の直撃だった。衝撃で吹き飛んだ部品の直撃で、
俺のノーマルスーツのヘルメットのバイザーにヒビが入っている。胸部バルカン砲の
弾薬やスラスター推進剤を遣い切る寸前まで暴れ回ったのが、俺の生死を分けた一因だ。

 「フューエルカット確認、胸部バルカン残弾強制排出確認! 誘爆危険性無し、
  周囲に他の敵影見られず! ユウ・カジマ中尉、これより脱出する! 」 

 機体保護の手順を緊急時のマニュアルに従い、呼称しながら手順を進めた後、俺は
脱出のため、ハッチを爆破しようと手動ハンドルを握った途端、不意に何かが頭の
中にするっと入り込む感触が俺を襲った。…頭痛などと言う、不快な感じとは違う。
まるで失われた何かが戻った様な、そう、懐かしい…?

 「二ムバス! 出て来い! 今回は俺の勝ちだ! …敗北を味わう気分はどうだ! 」
 「いつぞやの雑兵だな…腕を上げたのか? いや…私はその蒼い機体に負けたのだ! 
  貴様などに遅れを取った訳ではない! …マリオンめ…どこまでも小癪な真似をする…」

 俺が意識しないのに、口が勝手に動き、喋った。間違い無い。この体の持主の意志が…
『ユウ・カジマ』が喋っているのだ。俺はこの場をユウに任せ、マリオンの存在を探った。
…弱ってはいるが…俺に笑って見せてくれた。俺も微笑み返す。ちゃんと『俺の顔』で。

 『…あと…『EXAM』の残りは…2つ…これと…3号機…』
 『何だって? 3号機は完成して居ないはずだろうが? まだリミッターも噛ませて
  居ないはずだ。普通のパイロットでは使い物にならんとアルフが俺に…? 』

 拳銃の発射音が俺達の逢瀬を断ち切った。ユウとニムバスが脱出のために、牽制し合って
いるのだ。機体の自爆スイッチに手を触れようとするユウに、俺は抵抗した。

 『…アルフが待機している。回収を依頼した方が早い。胸部バルカンの残弾や推進剤の
  引火の危険性は…今の所無い。これで終わりじゃあ無い。クルストが…まだ何かを…』
 「…解った、ヤザン。従おう。…ユウ・カジマ中尉、機体大破に付き、脱出する! 」
 『了解。ただちに回収に向かいます。…ユウ、もう少し待っていて! 生きていて! 』 
 
 回線を開き、ユウはモーリンに伝える。俺は底知れぬ不安と不信感を博士に感じていた。
奴は最初から2号機を引き渡すつもりで…ニムバスを此処へ呼んだのでは無いか、と。
141ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:59:04 ID:???

 『ブルー』から、大地に降り立った『俺』とユウは、辺りを見渡した。…ニムバスの姿が、消えていた。
荒れ果てたビル街の中、2体の巨人の残骸が互いに交差する姿が戦闘後の『俺』の心の空しさを助長した。
俺は確かに勝った。敵にも、『EXAM』にもだ。しかし、得られた物は…? 無きに等しい。生死を共にした
『ブルーデスティニー』を失ったのだ。大事に乗って来たつもりだった。型番からして、予備パーツの存在の
少なさを覚悟し、為るべく損耗しない様に動かして来た…。北アメリカ大陸の大半を稲妻の如く蹂躙しつつ、
幾多の戦場を閃光の如く駆け抜けた、この蒼い機体は…ここにその力の総てを出し切り、斃れたのだ。

 「…ブルーの2号機の体は、無事回収に成功している。子供達の大型エレカもだ。そして、1号機の頭部も
  まだ『生きて』いる。当然、1号機のメインコンピュータもだ。…ヤザン、俺の考えている事が解るな? 」
 「…アルフとその仲間達に期待するしか無い。ベースが共通とは云え、移植が成功するとは限らんからな?
  頭を乗せ換えるだけなら、ハード的には可能だろう。RX−79ベースだからな? ただ、問題が…」
 「『マリオン』か…。彼女は『EXAM』では無いと、お前は俺に言った。信じるんだ。それが大きな力に為る」

 性質の悪い一人芝居の様に思えて、俺は喉の奥で笑った。『本物』のユウなら絶対に演らない、笑い方だ。

 「…どうした? ヤザン? …可笑しい事じゃない。誰にだって…その…少年の日に、純粋なあの頃に、
  戻りたく為る時が必ず有る。顔が良いとか悪いなど関係無く、頭の天辺まで敵の血に染まった男でも…」
 「…これが哂わずに居られるか? 味方に野獣とさえ言われた男が、数え切れない程、敵を堕として来た男が、
  たった一人の女に、心を砕いているんだぞ? 戦場に女が居るのが気に食わないと言っていた、この俺が!」
 
 ただの偽善に過ぎん、と発しようとした俺は、ユウの体に遮られた。…俺の話を最後まで聞いてくれ。頼む。
 
 「…まだ、幸せさ。心が、有る。機械じゃ無い。言いたくは無かったが…今の俺はお前の総てが『解る』。
  お前は…大量殺戮には…手を染めなかった。自分のために指揮官とブリッジ要員を謀殺したが、結果的
  には、駒として、兵士として死んで行く者達のために無能な奴を排除した。…己自身を恥じる生き様を、
  ヤザン、お前はして来たのか? …お前と同じ兵士に過ぎん俺は、とてもそうとは思えない…」
 「…艦船は堕としたがな? …解っている。ああ、ユウ、混ぜ返すつもりは俺には無い。兵士として戦場
  に存在する人間は、殺し合う覚悟が出来ていると俺は認識していたよ。その覚悟も無く、生の、娑婆の
  感情を剥き出しで戦う人間を…俺は赦せなかった。最も俺の居た戦場は…そんな奴ばかりだったがな」

 辺りに響く轟音に、慌てて俺達が空を見上げると、徐々に一機のミデアが接近しつつあるのを視認出来た。
難航する回収作業の中、俺とユウはクルストとニムバスの捜索の提案をしたが、アルフに、即座に却下された。
『オレの『ブルー』の再生が最優先だ! 』と額に青筋を走らせ、目を充血させた、物凄い怒りの形相で
怒鳴られた俺達は頷くしか術が無かった。ふと背後を振り向くと、モーリン伍長が、瞳を潤ませて立っていた。
 感極まって、俺に、いやユウに抱き付いて来る。『おかえり…ユウ』と。…不粋な真似は止めにするか。
俺はしばらく、眠る事にした。『ブルー』が再び、俺の前に立ち上がるまでの短い休暇を愉しむとしよう…。
142ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 16:59:55 ID:???

 しかし俺の休息は、残念ながら許されなかった。宙に浮いていた体を、無理矢理引き戻された
様な感覚が、『俺の意識』を引き戻したのだ。何が、起こった? 俺は、まず情況を確認した。
 …ミデアの格納庫内だ。俺は、いや、ユウは何をしようとしていたのだ? ノーマルスーツを
着用して? 目の前に首の無い『BD-2』が立っていた。その隣には『BD-1』が各種パーツを剥ぎ
取られて整備用ベッドに寝かされている。まだ、作業も終わっていないのに…?

 『ヤザンさん…! 三号機が…! 急いで…! あの子達が…! 』
 「此処は何処だマリオン! あの基地なのか? 何が起こって…? 」
 『…ニムバス大尉が三号機を奪取したのっ! クルスト博士の手引きでっ…!
  フィリップ少尉にサマナ准尉、『曹長』さんが喰い止めているけれどっ…
  嫌! 触らないでっ! こんな事っ…わたしは…わたしは望んでなんかっ! 』
 「頑張れ…! 今俺が行く! 耐えろよ、マリオォォォォンッ! 」

 事情は切迫していたのだ。動悸と息切れを俺は認識する。俺が呼ばれた時間は多分、三号機の
計器にニムバスの手で『灯』が入れられた瞬間なのだろう。三号機にはリミッターが噛まされて
は居ない。云わば『クルスト純正EXAMマシン』だ。適性の有るあの『ドン・キホーテ』が操るの
ならば…答えは一つしか無い。『最悪の事態』だ。基地の戦力を総動員しても、止められん。
警報が五月蠅く鳴り響く中、俺は二号機のコックピットに入り、機体を始動させた。足元が揺れる。
ミデアが離陸を始めたのだろう。

 「何をする気だ、アルフっ! 戻れ! 奴等を、仲間を見捨てて逃げるのか!? 俺はやるぞ! 」
 『…ブルーを失う訳にはいかん。…我慢しろ…と言いたい所だが…オマエは聞かんだろうな…。
  良いか、それは今と為ってはオレの手に残った最後の『ブルー』だ。壊すな。そして…必ず
  帰って来い。それがオレの命令だ。最も、その機体にはEXAMを未だ搭載しては居ないがな…』
 「ユウ・カジマ、ブルーデスティニー2号機、出すぞ! 格納庫ハッチ、早く開けろ! 」

 宇宙用機体に調整された二号機の脚部が自重を支えるだけの『飾り』同然で無い事を祈りながら、
俺は星の瞬く夜空に躍り出た。無謀極まりない行為だ。…俺はノーマルスーツを着ているとは言え
機体のコックピットハッチを『開けたまま』で搭乗して居るのだから。風の渦巻く音と響く砲声を
BGMに、俺は舞い降りた。戦場と成り果ててしまった基地と研究施設の真っ只中に。着地の衝撃に
二号機の脚部は耐え切った。流石だよアルフ。コイツは…上出来のマシンだ。ああ、お前の誇りだ。
 通信が即座に入る。フィリップにサマナ…お前達も立派だよ。よく…生き延びていてくれたっ!

 「…随分待たせたなぁ! 真打登場って奴だよ、お前等! そら、拍手拍手ゥ! 」
 『バカヤロウ…逃げろって言ったろうが、ユウ! でもな…信じてたよ』
 『ユウさん、ユウさんッ…! ううッ…! グっ…な、泣いてなんかぁ! 』
 「基地守備隊は全滅か? そう言えば、あの馬鹿はどうした?! まさか…殺られたのか?」
 『研究所から三号機を引き離すんだって、只今交戦中だ! 俺達も支援ちゅ…おっとぉ! 』
 『曹長、現在ライトアーマーの機動性で囮を引き受けていますけれど…曹長ぉ! 』
 『来たか『中尉』っ! 機体の推進剤の残量がヤバイ! 早く…ぬおっ! 』

 その交信の直後、一条の光線が闇夜に閃いたのを俺は視認した。…選りに選ってビームライフルを
装備か…! クルスト博士め、やってくれる…! そんなにNTが怖いのか? 理解出来ないのは解る。
しかし、相手はまだ…非戦闘員なんだぞ? 俺は二号機を疾走させた。光線の源流、三号機の元へと。
143ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:00:58 ID:???
 
 大気中では、ビームライフル内で加速され撃ち出された粒子の速度が減殺され、その威力を失う。
これは動かせない大原則だ。しかしビームコーティング技術など未発達な『この時代』に措いて、
ビーム兵装は脅威以外の何者でも無い。正確に『BD−2』の頭のあった場所を奔って行った光線に、
俺は恐怖する所か、興奮した。太い射線より漏れ出た重金属粒子が、ハッチの開きっ放しのコック
ピット内のそこら中に拳大の穴を開けて行くが…機体状態表示の端末モニターは…無事だった。
 …俺が穴だらけに為る確率は高くなるのだが、撃たれた瞬間に仰け反ったのが功を奏したのだろう。
踏ん張れず、機体は斃れ付す。早く起こさねば、良い的に為る。…幸運なのが、ミサイルやバルカン
のまだ射程外と言う事実だ。星空が…いつに無く、綺麗だった。
 
 「…俺は不死身だ! 殺されたって死ぬものか! 」

 俺の、いやユウの体は奇跡的に無傷で済んだ。今度は、こっちの番だ。機体を起こしながら兵装を
確認すると…最悪だ。マニピュレータに何も装備してはいないのは知っていたが…内臓兵装の弾薬が
…何と総て訓練弾にペイント弾だった。腰部ミサイルも、胸部バルカンも…MSを破壊すると言う用途
には哀しい位に無力だった。

 「…あの腐れ外道がァっ! 読んでやがったのかっ! 最初からこのつもりでッ! 」

 俺の頭の中の感情的な部分が瞬時に沸騰した。クルストは俺が2号機を止める事を見越していたのだ。
あの時の2号機のマニピュレータの武装だけは、実弾入りだったのだろう。エレカ一台にマシンガンを
構えること自体に、あの時の俺は違和感を抱くべきだった。使える兵装は…ビームサーベルのみか!

 『ユウ、無事か!? やられたのか?! ユウ! 』
 『ユウさんっ! ユウさんッ! 』
 『中尉、殺られた…? …糞ォっ! あのビームライフルさえ無ければッ! 』

 強風の唸る中、立ち止まった『BD-2』を気遣ってか、回避運動を取りつつも三人が通信を入れて来た。
直ぐにでも応えたかったが、俺の頭の中はある事で一杯だった。次の発射まで…5、4、3、2、1…!
来た! 何で俺を狙うんだよ、あのアナクロニズムの塊がっ! まあ、残念ながら華麗に避けたがなッ!

 「フィリップ! サマナ! 曹長! …俺に命を預けられるか?! 素敵な無鉄砲三人衆! 」
 『お前さんには負けるがな、ユウ! 軍人だろ、俺達は? メーレーには従いますよっと! 』
 『…なんですかその素敵な無鉄砲って…モルモット仲間じゃないですか、僕たちは! 』 
 『何か良い手が有るのかよ? 中…このッ! ミサイルを俺にだとっ!? 舐めるな! …了解! 』

 揃いも揃って、感動モノの良い答えだ。軍人はこうで無くてはいかん。『個人の命など消耗品に過ぎん』
この心構えが『生粋の連邦軍人』の有難さだ。戦闘もそいつ等に掛かれば気の効いたゲームと同じなのだ。
俺は唇だけで微笑み、囁く様に呟いた。『確かに預かった。行くぞ、フォーメーションYだ。掛かれ』と。
144ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:01:49 ID:???

 フォーメーション『Y』。文字通りの、3機のMSでの、三方向からの同時吶喊だ。数え切れぬ実戦の
中で磨き上げ、奴等に仕込んで来た、俺の戦闘の記憶の中に有る数多くの連携の中でも、地上戦では
かなりの難度を誇る。宇宙用には立体化バージョンが存在するが…正直付いて来られるか解らない。
 NT研究所からはそう離れてはいないが…この際、躊躇はしていられない。殺らなければ殺られるのだ。

 『待たせたな! ユウ! フィリップ機到着! あとは合図待ちだ! 』
 『っとお! …曹長に負けたら僕の立場が…サマナ機、準備よし! 』
 『…酷ェ言い草だなぁ、准尉…! 中尉ィ! 取ったァっ! 行けるッ! 』
 「偉いぞ『曹長』! BD−2…位置に…付いた! …もう少し…3…2…1…今! 全機突入! 」

 フォーメーションが完成するまで、俺は各機の通信を聞きながら、三号機の眼前で陽動に徹していた。
目的は一つ。ビームライフルを封じるためだ。この戦闘中、俺は三号機の持つビームライフルの斉射後の
チャージに掛かる時間を計測していた。あのドン・キホーテのビームライフルを撃つタイミングを読んで
掛からないと、フォーメーションを組む三機の内の誰かが餌食と為るのはこの『俺』には簡単に想像出来た。
 3号機の兵装は、頭部バルカン、胸部バルカン、腰部ミサイル、ビームサーベル×2、ビームライフルの
5種。その上シールドを装備の完全武装だ。右のマニピュレータはビームライフルで塞がり、左は空だ。
 俺がビームライフルを奴に使わせれば、別方向への急遽対応可能な兵装は…バルカンとミサイルだ。
しかも胸部バルカンと腰部ミサイルは3号機の構造上…同じ方向を向く。そして今、ジオンの騎士サマは
まんまと引っ掛かり、ビームライフルを『俺』に斉射したのだった。その2種の攻撃が集中するクジ運の
悪い奴には災難だが、これは『並みの腕』のパイロットには事実上回避不能な、必殺の、罠だ。

 「さあ、二ムバス! 避けて見せろ! 俺がポンコツの06で出来た事が貴様に出来ん筈は無いぞ… 」

 …俺の教導隊時代に、最新鋭MSを型落ちのMSで仕留める際に使った戦術だ。練度の高いパイロットが
揃わないと各個撃破されてしまう脆さももちろん内包してはいるが…。俺は奴等を信じていた。が、実は
避け方が2通り、有る。その内の一つを、必ず奴は選択する。俺はそう読んでいた。戦闘は常に二手三手
先を読んで罠を仕掛けて置く物だ。即座にBD-2の外気に剥き出しの計器が、鳴り響く風切音に負けずに
ロックオンアラームを奏で出す。そうだ。3号機が取り得る回避手段は『跳ぶ』か、『前に出る』の2種だ。
そして奴の機体は『ガンダムタイプ』であって、圧倒的な推力を誇る『ガンダム』では無い。答えは一つだ。

 「さあ来いニムバス! この俺が後腐れ無く、ビームサーベルでぶった切ってやる! 覚悟しろ! 」

 3号機はそのツインアイを真紅に染めたまま、真直ぐ俺に向かって、スラスター全開で突進を開始した。
3号機のバルカンとミサイルのフルコースが、BD−2の剥き出しのコックピットに乗った『俺』を、襲う。
 俺はBD−2の両腕にビームサーベルを発動させた。迫り来る砲弾とミサイルを、俺は何故か一つ一つ認識
出来た。『看える』。何故だ? 何故、『看える』のだ? 俺は頭の何処かで引っ掛かるものを感じながらも、
本能の命ずるままにBD−2を操り、回避に掛かった。一発当たるだけで肉片と為り兼ねないバルカン砲弾を、
機体姿勢を変化させる事で潜り抜け、迫り来る腰部ミサイルの弾頭をビームサーベルで『正確に』斬り離した。 
145ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:02:44 ID:???

 巻き起こる土煙の中、3号機は止めとばかりに、体勢を崩した俺のBD−2にシールドを前面に構え
チャージを敢行して来た。何故かビームサーベルを持たずに、だ。俺はその時、あの羽音の様な唸り
を頭の中で『聴いた』。『EXAM』が俺を…いや、助けを求める『マリオン』が俺を呼んでいたのだ。
 コード類、コネクター類は接続などしてはいない。しかし、俺は『マリオン』を除けば、『EXAM』に
最も近しい精神だった。云いたくは無かったが、俺は『EXAM』に撰ばれ、遙か7年後より招かれた存在だ。
『EXAM』発動中の3号機中の『マリオン』と…信じたくは無いが『共感』作用が働いたのだろう。その時、
俺の推測を裏付けるかの様な、増幅された二ムバスの声が3号機から響いて来た。

 「EXAMに撰ばれたこの私よりも…あの連邦の闘士をお前は撰ぶと言うのか、マリォォォォォンッ! 」
 
 遂に俺のBD-2と3号機が石を投げれば届く距離で対峙した。3号機の、ニムバスの兵装が火を放つ様子は
見られない。『EXAM』の強制した稼動が、機体の持つ稼動限界を越えたのか? それとも『マリオン』が抵抗
しているのか? どちらにせよ絶好の好機だ。俺は迷う事無く3号機の頭にビームサーベルを叩き込もうとした。

 『駄目! いけない! クルスト博士は…あの子達を人質に…! お願いヤザンさん…! 博士を停めて! 』
 「どういう事だマリオンっ! 残りは1号機とこの3号機だけだ! これでお前を解放出来…」
 『…即刻、この戦闘を中止するのだ、ユウ・カジマ中尉! ミュータントどもの命が惜しければの話、だが』
 
 汎用通信の周波数に通信が入った。聞き覚えの有る、クルストの声だ。何処に居た? とっくに逃げた筈では
無かったのか? 連邦軍に捕獲される危険を冒してまで俺達の戦闘を見ていたと言うのか? 俺はこの急転直下
の展開に解せぬものを感じながら、紅く光る3号機の『目』を睨み付けた。この俺は、ガンダムになど負けん!
 何よりも先ずは、事態の掌握だ。俺のBD-2には『頭』が無い。これではズームで確認など出来はしない。
研究所に一番近いのは…ようやく部品が揃い修理完了したばかりの『曹長』の愛機、GM・ライトアーマーだった。

 「『曹長』! メインカメラ最大望遠で確認しろ! NT研究所の方角に何が見える? 俺からは確認出来ん!」
 『あのオッサン正気か…! 子供の頭を拳銃で狙ってやがる! しかもニヤニヤ笑いながらだと…? ッ!! 』

 曹長が息を呑んだ理由は、俺の耳にも伝わった。…それは…銃声だった。3号機の『目』が、さらに紅さの度を
増した様に俺は思えた。恐怖…怒り…哀しみが…解る。『EXAM』が、いや、『マリオン』が感じているだろうそれ
を、俺は感じていたのだ。…今、罪も無い子供が一人、死んだ。『苦いクスリを飲まされるんだ』と嫌がっていた、
男の子だった。俺の心はまだ冷えてはいたが…胎の中は沸騰していた。クルスト・モーゼス…!
 俺の心の中の処刑リストのトップにランクアップだ。一番はZのパイロットだったが、たった今、変わった。
146ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:04:19 ID:???

 俺が歯軋りを漏らす中、耳障りな上に俺のカンに障るクルストの声が続く。此方を小馬鹿にする高慢さが言葉の
節々に見え隠れしている喋り方だ。己が賢いと信じ切っている者特有の、鼻に付く『匂い』だ。言うまでも無く、
この俺は、そんな奴がジャマイカンを筆頭に挙げるまでも無く、大嫌いだ。金を払ってでも殺してやりたくなる。

 『ビームサーベルを仕舞い給え、中尉。このままだと攻撃の意志ありと看做すが? 』
 「貴様の交換条件は何だ! クルスト・モーゼス! 」
 『まず戦闘を中止して、3号機をこちらに廻して貰おうか。…まだまだ改良せねば、『EXAM』は使い物にならん』
 「…貴様が次の犠牲者を出さんと言う補償は何処にも無いッ! 断るっ! 俺の答えは、断じて否だっ! 」
 『…連邦の闘士に告ぐ、これ以上の犠牲はジオンの騎士、二ムバス・シュターゼンがその名誉に懸けて出させん。
  行かせてくれ。…騎士にとって…兵士では無い、守るべき無辜の民草が殺されるのは…耐え難い苦痛ッ! 』 
 
 俺は博士の言葉を信用出来ないまま、ビームサーベルの出力を絞った。肉眼では確認出来ない程に光の刃は
短くなる。自らジオンの『騎士』と名乗るコイツのアナクロニズムとロマンに賭けるのは典型的な馬鹿の見本だが…。
俺は、ニムバスの言葉を信じた。同じ『マリオン』を知り、感じる者としてだ。しかし…個人的感情と職業意識は別だ。

 「フィリップ! サマナ! 3号機に照準を合わせろ! 3号機が下手な真似をしたら指示を待たず即座に撃て!
  『曹長』はそのまま監視! 次に子供を撃ったら遠慮無くビームライフルで全員焼き殺せ! これは命令だ! 
  俺は3号機の傍に付き同行する!  子供達の安否の確認の為だ! 聞こえたな、クルスト! 」
 『クルスト…次に同じ真似をするならば…私は容赦せん…! お前は聴こえるのか? 私の『マリオン』が…
  泣いているのだぞ? 悲痛な声で…! 貴様はそれだけで万死に値する事を忘れるな…! 』
 
 俺はこの緊張感の中、二ムバスの台詞が醸し出した妙な可笑しさに引っ掛かり、思わず笑い出しそうになった。
俺と、同じだ。コイツも『マリオン』と『自分の欲求』のまま、己に正直に生きている。…嫌いな奴では無い。

 「…俺の声が聞こえているか? ニムバス? 」
 『何の用だ? 連邦の闘士よ? 』
 「その…な…? …『マリオン』に伝えてくれ。俺は、博士のこのやり方を許さん、とな…」
 『…奇遇だな? 私も『マリオン』にそう言おうと思っていた…。貴様は解るのだな? 『マリオン』が? 』
 
 2号機の右手に持たせたビームサーベルを3号機のコックピットに突き付けながら、俺達は傍から聴けば奇妙極まり
ない会話を続けていた。戦闘中での『マリオン』の反応、『EXAM』の融通の利かなさ…。この邂逅は戦場と言う場所に
似合わない程、弾んだ。俺が確信を持って云える事が一つ有る。『俺達の性根は、実は兵士向きでは無い』と言う事だ。
何処の世界に、戦闘の只中で、己の扱う兵器について、敵兵に共感を持って愚痴を垂れあう兵士達が居るだろうか?
 そんな奴はこの俺と目の前の騎士サマしか、居ないだろう。NT研究所までの道程が、俺が短く感じる程、会話は続いた。
147ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:05:27 ID:???

 NT研究所の建物の屋上に、拳銃を持った博士と、子供達の一団が居た。…小さな血溜りの中にうつ伏せになった
男児の死体も視認出来た。クルスト博士は左腕に一人の『女児』を抱き抱え、その頭に拳銃の銃口を突きつけつつ、
3号機の顔と2号機のコックピットの俺を眩しそうに、笑みさえ浮かべながら見上げている。俺は奴の顔に今すぐ
にでもヘルメットのバイザーを上げ、唾と罵声でも吐いてやりたい衝動に駆られた。

 「良くぞ来たニムバス大尉! 君こそが人類の希望! さあ、私を連れて逃げるのだ! 私が居れば連邦も迂闊に
  手は出せまい! 私は人類の未来の為に、研究を続けなければならん! 例えあらゆる非難を浴びようとも! 」
 
 ニムバスの3号機が、盾を装備した左腕を博士に向けて差し出した。喜々として博士は『女児』と共にその手に乗る。
女児の髪の色は…青緑色をしていた。その時見せた、何故か女児の物哀しげな表情が…俺の『人間』の部分を苛んだ。

 「クルストォ! その子を離せ! 貴様の目的は達成したろう! この場の誰もお前を撃てん! だから離せ! 」
 『…クルストよ。解放だ。騎士たる私の名誉をこれ以上傷付ける行為は…最早、容認出来ん。人質を解放せよ』

 クルストはニムバスの言葉に従い女児を解放した。が、背を向けて走りだす女児のの背に、即座に拳銃を向け発射する。
俺が2号機のマニピュレーターで阻止しなければ…銃弾は女児の小さな体を容赦無く貫いていただろう。博士のその行為は、
俺には理解出来た。飽くまで子供達は博士にとって『人類の敵』だ。その『敵』が『子供の形』をしているに過ぎないのだ。

 『…連邦の闘士よ…感謝する。悪いが行かせて貰う。だが…その代償は払う。このジオンの騎士、二ムバス・シュターゼンの
  名と名誉に懸けて、支払う。通話回線を、黙って開いて置くが良い。後でこの私が、面白く、痛快な物を聞かせてやろう』
 「さっさと行け、騎士様…。俺がその手の中のオッサンに胸部バルカンの真っ赤なペイント弾をぶちかましたくなる前にな? 」

 俺が2号機のビームサーベルを収納させると、3号機はそのまま背を向け、スラスターを吹かせて、脱兎の如く奔り去る。
そして、俺達の装備したGMマシンガンやビームライフルの射程外まで到達すると、こちらを向いて高々と左腕を掲げた。

 『騎士の名誉を汚し、華麗なる闘争の興を削いだ貴様の罪、万死に値する! その命を以て、償うが良い、クルストォ! 』
 『や、止めろニムバ…』

 プチッ、かグシャリ、か、音が聞こえた様な気がした。先程の女児は…このクルスト博士の結末を『知っていた』のだろう。
そしてこの事件の御蔭で…3号機の顔、『白いガンダムの顔』は間違い無くNTの子供達に、『悪の象徴』として記憶された筈だ。
 後の強化人間としての彼らの『刷り込み』はさぞ容易な事だろう。そしてEXAMは…もう生産される事は無い。残りは2つだ。
1号機のEXAMと、3号機のEXAM。2号機と1号機の寄せ集めと、完全な3号機。俺にとってそれは僥倖なのか不幸なのかは…
未だ知る由も無かった。
148ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:06:19 ID:???

 MSの互換性への挑戦。アルフ・カムラ大尉は俺に軽く微笑み、そう言った。2号機のコックピットの
内装は完全に『お釈迦』になり、脚全体のジョイントも馬鹿に為っていた。宇宙用の半分お飾りみたいな
脚で地上戦を戦ったのだから仕方が無いと言えば聞こえは良いが、メカニックの苦労を思うと鬱に為る。
 
 「…何! 溶接する? 馬鹿かオマエは! 完全に交換だ! 手間を惜しむな! 弛んでいるぞ! 
  …オレのブルーだぞ!? …手抜きなどユウ中尉が許しても、このオレが許さんからな!! 」

 3号機で逃げた二ムバスの奴も今頃、同じ思いをしているに違い無い。3号機の左のマニピュレータを
洗うジオンのメカニックに同情する。血が乾いたら、取れにくい事この上無いからだ。
 俺達は『クルスト博士』だった肉塊を直ぐに回収し現地部隊に引き渡した。現地部隊の指揮官がやけに
嬉しそうだったのが引っ掛かったが…まあ、戦争だ。仕方無い。いちいち良心など期待しては戦えん。

 「…何だコレは…! …地上用と宇宙用のフレーム構造の差異などオレは付けて居なかったの
  だがな…! やり直しだ! オレが作業の監修をする…! …ブルーは美しくなければ…!」

 アルフが部下に怒鳴って居る。『諸般の事情』で、手抜きが有ったらしい。納期に間に合わせる為に、
連邦軍の組織全体が後に良くやるように為る、『裏金づくり』の構図の一幕だ。俺にとっては珍しくも
何とも無い出来事だ。…3号機はクルスト博士がEXAMのために仕上げた機体だ。こんなあからさまな
手抜きなど無かったと信じたい。飽くまで俺は、二ムバスの3号機と『同じ条件』で殺り合いたいのだ。

 「ジェネレーター? …3号機は新型を使った?! 糞! …こちらも同じ奴を乗せろ! 型番幾つだ!
  機体データは残って居るのか!? …見せろ! オレのブルーは全てに措いて完璧で無ければっ…! 」

 日頃は無口なアルフが、人の変わった様に饒舌に他人と喋っている。フィリップやサマナも、あれには
驚いていた。『あの何分の一の情熱を、俺のGMにも注いで欲しいね…』『ブルーは特別ですから…』と
格納庫中のキャットウォークに設置された落下防止柵に凭れながら、2人は呆れている。その2人のGM
は、今は無い。…近々始まる『ソロモン攻略戦』に向け『宇宙用』に改修される予定だった。その機体が
無事2人の元に還って来る保障は無い。別の兵士が使用するかも知れないのだ。
 …丁度その下では『曹長』がうろたえる事務屋に、とても聞くに堪えない悪罵の限りを尽している。

 「ライトアーマーは俺のモンだ! 一度廃棄扱いにしてんだろうが?! 違うかコラァ?! 」

 と結局『曹長』は、ゴネ得を勝ち得た。書類関係で一度廃棄扱いにされたのが思わぬ功を奏したのだ。
宇宙・地上両用に設計、開発されたコイツが手元に残るだけで、俺が『曹長』のためにどんなに安堵した
かは表現する言葉も無いほどだ。勿論、装甲、ジェネレータもアルフが責任を持って『監修』するそうだ。
 機動性能とビームライフルの発射速度が上がるのは、『曹長』にとっては朗報だろう。
俺はまだ、動けない。『ブルー』が再び立ち上がるまで。『ブルー』の『ゴーグルアイ』をふと見上げると、
その奥のツインアイが瞬いた気がした。…俺の胸が急に切なさに痛み出す。誰かに恋焦がれるかの様に、だ。
 …『マリオン』の声を無性に聞きたかった。俺は、まだお前と共に戦える『兵士』でいるかどうかと。
149ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:07:15 ID:???

 『不安なのか? ヤザン…? 大丈夫だ。あの子はきっと、応えてくれる』

 完成した『ブルーデスティニー』のコックピットに座った俺は、起動手順を何時まで経っても行わない
ままに、コンソールに手を伸ばしたまま、固まっていた。起動したとして…もしも『マリオン』が応えて
くれなかったら? その想像が俺の心を支配していた。何時から…俺はあの少女に心を奪われてしまって
いたのだろうか? 共に戦う同志としてか? 守るべき存在としてか? 信頼する仲間の一人としてか?
それとも…無意識下で、失ってしまった家族の温もりを求めての事なのか? …俺は知らず知らずのうち
に『人間』に戻っていたらしい。ユウが声を掛けて来たのも仕方無い。俺は苦笑いを殺し切れなかった。

 『野獣も牙を失えば…ただの獣に過ぎなくなる、か…。俺も弱くなった物だ…』
 『…まだ、己の弱さを知っている。畏れを知っているパイロットは…強い。…違うか? ヤザン? 』

 俺はユウに応えず一気に起動プロセスを開始した。各スイッチ類を呼称しつつ計器に灯を入れ、操作卓
(コンソール)を確認する。機体状況が表示される。…アルフの監修の元、1号機と2号機を組み合わせ
完成為った『ブルーデスティニー』だ。…俺はコイツの『GMヘッド』が実は大のお気に入りだ。量産機
の匂いが残った、兵士の『在野根性』や『雑草魂』のエキスが濃縮されている様で、何故か嬉しいのだ。
 『羊の皮を被った蒼き狼』とハズカシイ事を『曹長』は真顔で言ってくれた時は…流石の俺も爆笑したが。
少女の声が、聞こえた気がした。俺はすぐに意識を集中させる。声に力が入ってくる。間違い無い。俺の
一番待ち望んだ者が…俺の一番の『理解者』が還って来たのだ! …ユウには悪いが奴は二番手で我慢だ。

 『おかえり…ヤザンさん…。わたし…待たせた…のかな? 』 
 「…マリオン? それは俺の台詞だぞ? …また逢えたな? さあ、行くぞ相棒! 奴は何処だ! 」
 『占領した連邦軍基地でシャトルを接収して…宇宙へ行くの…。行先は…』
 「EXAM発祥の地、サイド5こと…ユウと俺の嘗ての戦場…ルウムだな? 」

 ニュータイプ部隊が連邦にも存在すると触れ回る、連邦軍首脳に踊らされたジオンは、対抗手段として
のEXAMが喉から手が出る程に欲しいはずだ。何せ、自軍がニュータイプ部隊の実力と『恐怖』を肌で
実感しているのだから。クルスト博士から聞いた事を思い出す。ジオンのニュータイプ研究機関である、
『フラナガン機関』はNTの資質を白鳥の部位に例えていたと言う。…『マリオン』は最高ランクに近い
翼…こと『羽』だ。その白い羽を紅に染めさせる片棒を担いだ俺は…きっと地獄が有ればそこへ堕ちるだろう。

 「…この基地が接収した『06』二機と俺が鹵獲した『07』に一働きして貰うか…。 新生『ブルー』の
  テストも兼ねて、だ。捕まえられりゃあ御の字で、駄目で元々だ。…『曹長』は多分、ゴネるがな…」

 奇襲。俺の脳裏にはこの二文字が明滅していた。フィリップとサマナは『06』を扱わせてもイケるのだ。
150ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:08:07 ID:???

 ジオン製の機体は有っても、その基地の『敵味方識別コード』を入手出来なければ奇襲の意味は無くなる。
情報部の連中は『半日くれ』と言って来ていた。その間にシャトルが打ち上げられる危険も有るのだが、と
俺が意地悪く聞けば、もう整備の人間を潜入させていると言う。…諜報の分野は奇麗事では動かないのだ。
 俺はここまで聞いてその女の頬を平手で張ってやった。衝撃で女の眼鏡が吹き飛んだが、出血はしていない。
…頬を押さえ俺を睨む女に、俺は心持ち表情を険しくして、渋く言ってやった。…美男だからな、ユウは…。

 「貴女には罪は無い。だが、貴女に踊らされる人間の事を忘れるんじゃ無い。…俺も『例のミサイル基地』
  のダブデの存在を知らされずに突入させられた。今の平手は…俺の分と今回の作戦で動く奴等の怒りだ。
  名も無き兵士たちは貴女の命令だけでは動かない。…一刻も早くこの戦争を終わらせたいから動く! 」

 俺は思った事を忠実に実行するタイプだ。あの時俺は情報部の人間を一発殴ると誓った。…『マリオン』は
俺のこの行動を褒めてくれるかも知れない。…現実は俺の剣幕に引いた人間と、拍手する人間がいただけだった
のだが…敢えて俺は女に謝罪し、始末書も書いた。軍は体面を重視する組織だ。相手の立場を理解してやらねば
いけない時も存在するのだ。この先、彼女が情報部で働き続けるには、誰かに舐められたままでは部下の前で毅然と
して命令が下せなくなる。…俺はそこまで彼女を苛めるつもりは無い。…相手が気に入らなければこんなフォロー
は入れない。今、俺の、いやユウの右頬には平手打ちの痕跡がまだ薄く残っている。…殴り返す根性の有る女は、
俺は嫌いでは無い。はっきり言ってしまえば『食べたく』なる程に好みだった。で、今はミデアのユウの私室だ。

 『…で、ヤザンさん、どうするの? この女の人…』
 『…お前も見てるしユウも見てるしモーリン伍長は部屋の外。俺は残念だが、紳士に為るしか道は無い。
  それともマリオン、俺がオネガイしたなら、見ない振りでもしてくれるのか? 』
 『…もう…しらないっ! 』
 『…ヤザン、俺のための配慮、感謝する』

 まあ、思いっ切り辛さを吐き出させ、満足させた、と言って置こう。組織の中で性別を感じさせず己を演じる
には…何時の時代でも女が辛い事には変わり無い。ユウの胸で女が泣いている最中に『わかりやすく』飲み物を
差し入れに来るモーリン伍長に、俺は心行くまで心の中で『大爆笑』させて頂いた事を正直にここに告白して置く。
女が化粧を整え、頬の辺りを紅に染めながら俺に礼を言って出て行った後、今度は『曹長』が遠慮がちに来た。

 「…みんなが…ああ、あの子供達がな…死んだ男の子の…お別れ会をな…? だから…」
 「フィリップとサマナには俺から話を通して置く。07の習熟訓練には少し遅れるのだな? 『曹長』? 」
 「行って…いいのか!? 『中尉』! 本当に、いいんだな?! 」
 「俺とアルフも出席する。…子供達と面識のあるのはお前だけでは無い。知らせてくれて感謝するぞ、曹長」

 作戦開始まで後20時間。俺達は人間と兵士の狭間で揺れながら、もう二度と還らないだろう『今』を過ごしている。
151ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:09:25 ID:???
 
 NT研究所の前の植え込みにひっそりと置かれた、大き目の石。それが、此処に少年の居た証だ。

 「…人は、繋がることができる…。ねえ、おじさんには、信じられる? 」
 「ああ、信じられるさ…。失った者とは…直接には語れんと言う違いは有るがな…」
 「おじさんは…それでも、人殺しを…!? ごめんなさい…! 」
 「…お前達に、させたくないからさ。こんな嫌な思いを、な? それが大人の義務だ」

 しんみりとした状況を想像していた俺は、少女の言葉を聞いた途端にその明るさが理解できた。
子供達は、死者を『感じる』事が出来るのだ。オカルトの分野だと、研究者連中は笑うかも知れん。
だが、俺達も自然に出来ている事なのだ。彼女達の『それ』が…リアルタイムだとしたら、俺達の
物は『プレイバック』だ。己に蓄積された死者との思い出や、記憶。俺達はそれらの断片を元にして、
死者の言いそうな事を想像する。だが…同じ死者を悼む行為に…何が違うと云うのだろうか?

 「…欲しかったセイバーフィッシュの模型、埋めといたからな! …他の欲しかったら、言えよ?
  俺が…買って…置い…糞ぉぉぉぉぉぉっ! 何が研究だ! 死んでもまだ実験動物扱いかよ!
  そんなのって有りかよ! 墓さえ作んないのかよ! …間違ってる! 間違ってるぞ! 」
 「…それが、組織だ。敵に勝利を収めるには…どうしても非人道的に為る。いい加減に理解しろ」
 「…『中尉』…アンタはっ! 」
 「…殴るならオレの方だ。…ヤザン曹長。現にオレも『中尉』をモルモットにしているのだからな」

 少年の遺体は、還って来なかった。NTの貴重な、『人道に配慮せず解剖可能な』サンプルなのだ。
研究者達の喜々とした様子に反吐を吐きたく為ったのを俺に我慢させたのは…俺より自制心の無い奴が
居てくれた御蔭だった。一々、俺が言わなくても解るだろう。…取り押さえられるまで、重軽傷者が
両手では効かん程出た。…俺の右ストレートと左ボディーブローの、コンビネーションを『曹長』が
喰らうまで、だが。アルフと俺がワザと早急に停めなかったのは…被害者には悪いが当然の事だ。
軍人として許せても、人間として許せん事が有る。俺達大人の、せめてもの、死者への手向けだ。

 「…あの子にはまた、逢えるから…。ね? ヤザンのヤザンおじさん? 」
 「…クソっ、眼にゴミが入りやがった…! こら、お兄ちゃん、だろうが!? 」
 「老け顔なんだよ。お前は? 年を取れば、自然と周りから若く見られるさ」
 「…己に対しても容赦せんのだな? ヤザン? それが戦士の心得か? 」
 『…お兄ちゃん達、きてくれて、ありがとう』
 
 俺達が祈りを捧げ、立ち去ろうとする時、誰も居ない筈の背後から誰かに呼ばれた気が、した。
それは俺達の幻聴だったのだろうか? …亡くなった少年の声が俺達の耳に届いた気がしたのだ。
 人は、繋がっている。信じよう。俺も誰かと、繋がっている。この素晴しい、過去の人間達と。
元に居た、未来で共に戦った、戦友や部下達と。そして、死んだ家族達と…『マリオン』とも。
152ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:10:18 ID:???
 
 06の2機を左右両脇で『ブルー』の腕を抱えさせ、07に両足を持たせる。そして『ブルー』はスタンバイの
状態で待機させる。…メインスイッチを切って置くのが最上だが、この『お芝居』が露見した場合が怖かった。
 作戦名『コン・ゲーム』。平たく言えば『詐欺』だ。…もう一機『ブルー』を鹵獲したとジオン軍に思わせ、
シャトル打ち上げ基地の懐深く潜り込み、シャトルを推進不可能にさせ、3号機を再奪取する。それが目的だ。
 不可能な場合は…当然、シャトルごと破壊だ。…事前に入ってきた情報に因れば、シャトル整備員に偽装した
工作員は処刑されたと言う。シャトル打ち上げは事実上、この作戦が失敗すれば完全に阻止不可能と為る。
 …俺は、こう言う失敗出来ない一発勝負の焦燥感と緊張感が堪らなく、好きだ。

 『♪ ポッポッポぉ〜宇宙人〜っ、『ブルー』が欲しいかやらネェぞぉ〜♪ 欲しけりゃ自分で
  獲りに来い〜っ♪ と来たもんだな? どうだねサマナ准尉クン? 小官の朗々たる美声は? 』
 『フィリップ少尉…もう少し真面目に出来ませんか? そろそろ通信傍受可能区域に到達します! 』
 『あのな、オッサン…? ジオンの奴ら、もう『ブルー』の3号機盗ってっちまったんだがな…?  』
 『下手な突っ込みアリガトサン! …眉無しィ〜? のぼせ上がって台詞、トチるんじゃ無いぞ〜? 』

 『曹長』があからさまな煽りに釣られる前に、俺は早めに停めねば為るまい。…何処まで打ち上げ基地に
接近ができるかが、この阻止作戦の成否を分かつのだ。…ジオンの守備隊を何処まで騙せるかが、鍵だ。
 俺は07に乗る『曹長』に熱心に演技指導を施した。ジオン訛りから無線交信パターン、階級制度から奴らの
軍制度、慣習に至るまで、多岐に渡ってだ。07に乗る奴は小隊長役を務めねば為らない。怪しまれたら最後、
そこから即、守備隊相手の実戦が始まるのだ。…念入りにも為る。未来から呼ばれた俺は、教導隊時代に仕事
で付き合った、ジオン軍関係者からの情報がたんまり有る。俺本人が担当するならば、騙し通せる自信は有る。

 『『曹長』、フィリップ、そろそろ御出迎えの時間だ。さあ、本番スタート! アクション! 』
 『了解! ユウ、多分…奴らは引っ掛からんと俺は思うがな? それにしてもお前さん、ジオン
  訛りなんぞ、いったい何処で覚えたんだ? 宇宙人どもの通常無線交信の通話パターンもだ? 』
 『…男ってモンはな、謎が多いとミステリアスかつセクシーに見えるモノだよ、フィリップ? 』
 『へ〜へ〜、黙ってるお前さんはモーション掛けなくてもゴマンと女が寄ってきますよっ、と。
  りょーかい、一部マニアにしか『受けない』サミシ〜いボクちゃんは黙ります黙りますっと! 』

 フィリップが黙った、と云う事は…索敵レーダーに何らかの反応が有ったと言う事だ。フィリップは
ふざけて居る様だが、実は筋金入りの連邦軍人だ。…普段の態度は『新人』達の力を抜いてやるために
演じているに過ぎん…と断言したい所だが…案外アレが地かも知れん、と最近になって俺も解ってきた。
 俺自身もそういう風に演じた経験が有るので、奴もそうだ、とてっきり思い込んで居たのだが…。
 まあ、『仕事』に関しては優秀なので、俺に文句は無い。軍隊と云う組織は、『結果』が全てなのだ。 
153ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:11:07 ID:???

 「どうやら巧く行きそうだな…? 」

 俺はフィリップが敵と行う交信を傍受しながら、底意地悪く哂って見せた。敵の守備隊である、09が主体の、打ち上げ基地
攻略部隊が俺達を発見して、接触して来たのだ。交信パターンを熟知し、情報部から当日の識別コードを入手した俺達を、
疑う道理など、奴等には毛ほどの筋も無いだろう。後はこの間抜けどもの誘導に従って、潜入を行えば完璧だった。

 「フィリップの奴…巧すぎるぜ…。渋めに、それも真面目に演れるじゃないか…? あの路線ならモテるのになぁ? 」
 『…ヤザンさんの方が…わたしはいいな…? 』
 「フン、俺の本当の顔見て…言ってるか…そりゃお前の目には何かのフィルターが何重にも掛かってる御蔭だろう? 」
 『あのね? ヤザンさん…? わたしはモビルスー… そんな…大尉っ! 」
 「どうした、マリオンっ!? エグザム発動だとっ?! …やってくれたな…二ムバァァァァァス! 」

 俺がマリオンと戯言を交わしている時に、突然EXAMが発動した。…ブルーのメインスイッチを切って置かなかったのは、
不可抗力だ。守備隊から報告を何らかの形で聞いたシャトル内の二ムバスが不信感を抱き、ワザと自分の機体、3号機の
EXAMを発動させたのだろう。…奴はEXAMを制する事が出来る。その上での『この行為』なのだ。何も起こらなければ良し、
起こったら…! 俺の視界が、ブルーのそれと重なる。…マリオンの阻止が追いつかず…俺はEXAMに呑み込まれたのだ。
 
 『フィリップ! サマナ! 俺を置いて逃げろ! 支援はいい! 出来るだけブルーから離れろ! EXAMが、発動した! 』  

 俺は残った理性を総動員して、通信回線をONにしてコックピット内で叫んだ。湧き上がる破壊衝動が俺を、殺戮へと駆り立てる。
06二機が最大加速で遠ざかって行くのを背後の気配から察する。今の俺はそれを装甲越しでは無く、体感していた。NTにはNTを。
それが不可能ならば認識力の拡大させた『人間』をぶつける。NTがコレを日常的に感じているならば、普通の『人間』は逆立ちしても
敵わないだろう。しかし、『EXAM』はそのハンディキャップを埋めてくれる理想的なシステムなのだ。

 「悪いが09、後ろからでも、今の俺には『解る』んだよッ! 残念だったな! そうそう、殺られんッ! 」

 慌ててヒート剣で突き掛かって来る09を、首だけ振り向き、頭部バルカンで牽制してから左にかわし、そのまま背後にビームサーベルを
突き刺す。EXAMが次に撃破する近くの敵の存在を示すが、俺は無視してジャイアント・バズを放とうとする奴を100oマシンガンで潰す。
 
 「戦うのは人間だっ! 命を張るのはこの『俺』だっ! たかが機械風情がこの俺に、指図などぉッ! 」 

 …哀しむべき事は、それがMS本体に限定されると云う事だけだ。どんなものにも、『限界』が存在する。EXAMの送り込む戦闘情報が
人間の情報処理能力の限界を超えているのは承知の通りだ。だからEXAMは、人間の意向を無視し始める。それが『強制力の発動』だ。
自らの意に従わぬパイロットの操作を『エラー』として処理し始め…やがてMS本体がその2つの異なる命令に反応しきれずに誤動作を
起こす。それが積み重なり、最終的には暴走を引き起こすのでは無いか、と俺は今までの経験とアルフとの会話で認識していた。

 『大尉を宇宙(そら)へと上げるのだ! 白い悪魔と戦い、無念に散った同胞の為に戦う、大尉とその乗機を! 』

 …俺の思念に飛び込んで来る声が有った。俺は確かに『聴いた』。コックピットを破壊され崩れ行く09の、死ぬ間際のパイロットの『声』を。
154ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:12:14 ID:???

 『EXAM』は執拗に、『ブルー』を狙う総ての敵の『思念』を俺の脳裏に送り込んで来た。

家族を想い、残った勇気を振り絞り立ち向かう、06のパイロットの切ない思念。
原隊をオデッサのガンダムに潰され、ただ復讐の念に駆られ突撃してくる09乗りの無念。
ジャブロー攻防戦で恋人を失い、捕虜に為り、連邦軍の非道をその身で体験した女兵士。
己の身を捨て、二ムバスの3号機に己と国の運命を託し、爽やかに笑って死んでいくMS中隊長。
 
 俺は『EXAM』に試されていた。『完全に戦う相手を理解して、それでもお前は人間を殺せるのか? 』と。
俺は…合格だった。相手には何かしらの『守るべきもの』や『信ずるべきもの』が有った。だが、奴等と戦う
今の俺の心には…『何も無かった』。戦士の義務は戦う事だ。武器を取り向かって来る以上、どのような
理由が存在にするにしろ、相手は俺に取ってはただの『敵』で、『喰い応え』が有るならば『美味しい敵』だ。
 俺がMSを降りたならば、彼らを悼む事も出来るだろう。同情も可能だ。しかし揺るがせぬ大前提が有る。

 俺とブルーがこの戦闘を生き残らなければ、意味が無い。生きて居ればこそ、それは出来る事なのだ。

 「だから何だ?! この俺が躊躇すると思ったか?! わざわざ殺られてやる義理など無いッ! 」

 回避。相手の09の、必殺の一撃と信じたヒート剣の斬撃を紙一重でかわす。敵の驚愕する思念に、俺は
歯を剥いて哂う。心地良い。敵の裏を読み、その狙い通りに行動してやり…そして…裏を掻き、隙を突く。
通常では解らぬ、相手の思念までをも嫌味なまでに忠実に伝えてくれる『EXAM』は、今の俺には堪らない
快感を与えてくれる『素敵なデヴァイス』だった。信念やら恨みやら、面倒でお堅いモノを抱えている連中を
楽にしてやる『救世主』にでも為ったような爽快な気分を感じさせてくれる。

 「さあ、楽に為りたい奴は向かって来い! すぐに娑婆から退場させてやる! 俺とこの、『蒼い死神』がな! 」

 敵の抵抗を排除しながら、俺とブルーはシャトルの存在を確認した。『奴』が、居る。真摯な顔で、『済まぬ…兵よ』
と薄暗い3号機のコックピットで呟く二ムバスの姿が俺の脳裏に飛び込んで来る。…吐き気がした。完全に偽善だ。
 多数の犠牲を悼むならば、何故自らの手で俺を止めに来ない? 己の体面や使命とやらがそんなに大事なのか?

 『…私は『ジオンの騎士』なのだ! 果すべき使命が、有る! 名誉が何だ! 幾多の同胞を屠った『白い悪魔』を
 倒すには…同じ悪魔の力、いや、それ以上の力が必要なのだ! 使命の為に私情を殺す! それが騎士たる者
 の心得! ただ戦闘を愉しむだけの貴様には死んでも理解出来ぬ事だろうよ、連邦の闘士よ! 』
 「ニムバァァァァァァァス! 」

 二ムバスの思念を受け取った俺は、純粋な怒りを覚えた。自分の事を遠く高い棚に放り投げ上げて、良く言った!
スラスターの出力をミリタリーパワーからさらに限界の『テスト領域』まで引き上げ、俺と『ブルー』は突進を開始する。
 …俺は二ムバスに嫉妬していた。根っからの『兵士』である俺が金輪際持てぬ、揺るがぬ信念を持つ、ジオンの騎士を。

 「…俺は俺の存在に懸けて貴様を許さんッ! 貴様の存在をッ! 戦場に己のロマンを持ち込む愚劣さをッ! 」

 群がる敵を薙ぎ倒す中、シャトルが徐々に視界の中で拡大して行く。宇宙には行かせない! 行かせるものかよッ!
155ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:13:32 ID:???

 前方に接近し続ける総ての事物を破壊しながら、最短距離で俺と『ブルー』は、ロケットノズルから冷却剤の蒸発して行く
白煙を上げ始めたシャトルに向かう。機体表面塗装が傷付くのも構わず、木々をひたすら薙ぎ倒し、立ち塞がるジオンの
MS群を両手に持たせたビームサーベルで切り刻む。100oマシンガンの予備マガジンは既に切れ、俺は廃棄していた。
 ニ刀で戦闘を続けると機体のエナジー消費が激しいが、仕方が無い。作戦目的は飽くまで『シャトル発進阻止』なのだ。
軍人たるもの如何なる犠牲を払おうとも、作戦目的を達成する事がその存在意義だ。…言うまでも無く俺は失格なのだが、な。

 「あの07…? !!…曹長かッ! よくもこうも生きていたッ! 偉いぞ! 」

 各部の装甲が傷付き、返り血ならぬ、オイル塗れになった07が、俺の真逆の方向からシャトルに接近していた。俺は
フィリップとサマナには撤退命令を出してはいたが…頭の中から『曹長』の存在を綺麗サッパリ忘れていたらしい。
 そして命令を出されなかった『曹長』は…当初の作戦に忠実に行動していたのだった。シャトルの、破壊の為だけに!

 「糞、間に合わんか! …届けェい! 」

 俺と『ブルー』の眼前で、発射台のタワーが離れ、ノズルから炎が噴き出し、シャトルが浮き上って行く。胸部バルカンに、
腰部ミサイル、頭部バルカンを一斉発射するが…哀しい事にまだ有効射程外だった。…あと、たった50mの距離が遠い!

 『ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ! 黙って行かせて堪るかヨォっ!! 』

 外部音声が俺の耳を焼く。07がその場で回転する。陸上競技の『ハンマー投げ』の要領でだ。右手一本で赤熱させた
ヒート剣を保持し、一回転、ニ回転、三回転とスピードを上げて行く。07の機動性重視の構造上、機体の強度はそう持たない。
だが奴は、恐らくコックピット中で鳴り響く各種警告アラームを無視して回転を続けているのだろう。自らの体の限界まで。

 『これでも喰らえィ! 宇宙人がぁぁぁぁぁぁ! 』

 遂に07が、ヒート剣を手放した。赤く光る矢が、ようやく大地からの呪縛を解き放とうとするシャトルを目掛けて飛んで行く。
ロケットエンジンが本格的に起動し、炎が一瞬だけ大きく為った、まさにその瞬間…! ヒート剣はシャトルの翼に突き刺さった。
 そして、余熱でヒート剣はそのままシャトルの右翼を切り裂き、地に堕ちて行く。…しかし、シャトルはそのまま、天へと白煙を
なびかせ昇って行く。『作戦、失敗』。すぐさま俺の脳裏にその四文字が浮かび上がる。決着は、宇宙に持ち越されたのだ。

 『曹長! まだ余力が有るな?! 作戦目標変更! 当打ち上げ基地を占拠するの敵MS部隊の殲滅! 動けるか! 』
 『正直カンベン…と言いたい所なんだが…他ならぬ中尉殿の命令だ。やって見るさ! 』
 『無理はするな? まだまだお前には生きていて貰わねば困るのだからな? まだまだ宇宙(そら)で鍛えなければならん』
 『なら…死ね無いな…そいつは…楽しみだっと! 』

 生き残れてさえいれば、挽回のチャンスは幾らでも転がっている。二ムバスめ! せいぜい頸を洗って待っているがいいさ!
俺が貴様を裁いてやる! 戦闘とは、戦う兵士の義務とはどう言う物なのか、この俺自らがそのイカレたオツムに教育してやる! 
156ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:14:46 ID:???

 「第11独立機械化混成部隊は、本日午前0時を持って解散、再編成される! 残る者、去る者も居るだろうが… 
 しかし、我々はいつまでも共に戦った『戦友』である! 部隊員諸官よ、貴官等の未来に幸有らん事を願う! 」

 ヘンケン少佐の肉声が、MS格納庫に集合した全部隊員の耳に届いた。…二ムバスを『取り逃がした』俺達を待っていた
のは、当然の如く、『即時追撃命令』だった。しかし、俺達の所属部隊は機械化歩兵部隊等の『陸戦兵力』も抱えていた。
 宇宙には当然それは必要が無い筈だが…俺だけは知っていた。今回、どうしてもその『陸戦兵力』が必要な事を。

 「ヘンケン少佐、お偉いサンに直接回線を開けるか? 2、3分で構わんのだが… 」
 「…中尉、中尉、言葉遣い、言葉遣い! 俺に五月蠅く云うクセに、自分は良いのかよ自分は! 」
 「構わんよ、中尉。端末と認識コードを貸す。訊かれたならば私から借りたと云えば良い」

 二ムバスの、いや、ジオンの特殊任務部隊の行き先がルウムの廃棄されたコロニー内に有る、秘密研究所に有る事を
俺はマリオンから『訊いて』いた。陸戦兵力、いや、歩兵支援さえ有れば、先に占拠されているかも知れん研究所の制圧も
可能だ。熟練歩兵をここで切り離されたら…最悪、探索者に死人が出る。俺の『仲間や部下』をこんな『下らん事』なぞで
戦死させるのは御免だ。…例え何年か経って、『嘗ての戦友が敵味方に別れ、戦う事に為ったとしても』、だ。

 『ユウ中尉…と言ったな? 用件は何かね? 私は忙しいのだが? 』 
 「ヘリやミデアのパイロットや軍用車のドライバーは仕方無いが、第十一独立機械化混成部隊を『そのまま』宇宙(ソラ)に
 上げろ。でなければNT研究所で行われている事を洗いざらい総てマスコミにぶちまける。非人道ネタはさぞや奴等にとって
 美味しい事だろうな? 」
 『やってみたまえ。こちらは痛くも痒くもな・・・』
 「アンタのその発言、RECしたぞ? さらに美味しいネタ一つだ。アンタ等上層部がサイド2のGガス攻撃を察知していた
 事実。世論作りに黙殺し、利用した。証拠だって用意可能だ。アンタ方『上』は、軍隊の横の繋がりを、舐めてるだろう?
 同期や先輩後輩の絆ってのは、階級差を超越する! さあ、どうする? ああ、俺を消せば、当然の如く総て暴露だぞ?
 マスコミを操作可能なのは連邦軍人なら誰でも知ってはいるさ。だが、絶対民主主義下では、『公然』と言ってはイカンよなぁ? 」 

 ユウの出世の道を断った心算は無い。逆に異様な程にその後の昇進は早く為る筈だ。…ティターンズで同じ手でジャミトフに掛け合った
俺が保証する。…俺の場合は『アル・ギザ』で一緒に為ったパイロット仲間の『愚痴』だ。内容は『デラーズフリート』の一件の裏話だった。
 後は推測、資料蒐集…そして『想像力と交渉術』だ。…俺はそれで『ティターンズで好き勝手をやる自由』を手に入れた。

 「さあ、どうする? 俺は黙る事にやぶさかでは無いがね? 条件は先に提示した! 簡単だろう? 命令を一つ書き換えるだけだ」
 『…解った。後、何が欲しい? 金か? 名誉か? い、言いたまえ! 君! どうにかして見せようではないか! 』
 「フン! 前線の兵士がそんな物が必要だと思う時点でアンタ等の腐りの程度が知れるってモンだな! MS搭載可能戦艦の一つでも
 廻してくれるとでも言うのかよ! まあ、ソロモン要塞を落とす兵力は死んでも割けんだろうがな! 用件はそれだけだ! 切るぞ! 」

 数時間後、解散命令は撤回され、数十名の移動命令が新たに発令された。ヘンケン少佐はニヤリと笑い、俺に親指を立てたのは言うまでも無い。
…2日後、宇宙に上がった俺達は『連邦軍の腐れ度合い』を舐めていた事に気付かされた。宇宙に上がった俺達のシャトルを待っていたのは…!
 『MS搭載可能のマゼラン改』と『GM2機』だった。…艦長は一挙に『何故か』あの『ガディ』だったりするのが俺にとっての『ご愛嬌』だった。
157ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:15:41 ID:???

 「この度、当艦の艦長を拝命した、ガディ・キンゼー大佐で有ります! 戦時だとは言え、私のような若輩者が
 大佐などと…ユウ中尉、笑わないで頂きたいモノだな? この私とて戸惑っているのだ! 」
 「いやあ失敬! 反則だぞガディ? 丁寧な口調で喋り始めるからつい、笑ってしまったのさ…。いや、済まん。
 謝罪する。どうぞ話を続け為さって下さい、大佐殿! …ああ…悪い…他意は無いんだ、許せよ? ガディ…? 」
 「貴官にファーストネームで呼ばれる程、親しい間柄では無い! 以後、言動を謹んで貰おう! カジマ中尉! 」
 
 おっかなびっくりな顔で俺を叱責するガディのその表情が、俺の笑いのツボをまた正確に突いて来る。例の紋切り
口調で、さらに何時も自信たっぷりで指揮する姿を知っている俺、『7年後のヤザン・』に取って見れば…今の姿との
ギャップが悪い冗談以外の何物でも無かった。

 「いやぁスマン、ガディ。で、要はこの艦の艦長を仰せつかったのは、他に適当な人材を廻せなかった訳では無いの
 だろう? 何せこの艦のタイプは最新型で、艦名もまだ、艦番83以外の何も付いていない状況だしな? 」
 「…ヘンケン少佐! 早急に部下の言動を指導して頂きたいものですな! このままでは貴官の指導力を…」
 「貴官も北米戦の噂を聞かなかった訳では無いだろう、大佐? それに格納庫で見たな? …あの『蒼い死神』を…」
 「!! では…あれが…軍機指定の…! ブルーデスティニー…! そしてそのパイロットが…貴様だと?! 」
 「これからの指導力を問われるのはお前さんだよ、ガディ? ま、精々頑張るんだな? 期待しているぞ? ン? 」

 血の気の引いたガディの狼狽振りをひとくさり愉しんだ後、俺はブリッジを出て行った。当然行き先は…MS格納庫だ。
面白い『余興』が有る、とアルフから聞いていた。この艦に搭載されたGMが見えてくる。どこか見覚えの有る、GMだ。

 「逢いたかったよ、マギー! お帰りぐらい言ったらどうだ? 俺はお前のご主人サマだぞ? 」
 「フィリップ少尉、軍のMSに適当に名前を付けないで下さい! 私物じゃないんですから! 」

 二人のコックピット前の漫才を聞きながら、俺は粋な計らいをした軍の補給・輸送担当官に酒の一杯ぐらい奢っても
惜しくは無い、いい気分に為る。アルフに依ると…更なる『余興』はブルーのコックピット内に有るらしい。コックピット。
 ああ、『アレ』の事だ。今、思い出した。誰が最速で『アレ』を堕とせるかが、教導隊で一時期、流行ったものだった。
俺の目の前でブルーのコックピットハッチが開く。黄色いノーマルスーツがヘルメットを脱ぎ、振り回す。…『曹長』だ。

 「たぁー! 反則だぞありゃあ! コッチが一発撃つ間に四発も撃って来やがる! ガンダムだろ? コイツも! 」
 「…テムの創ったモノに負けん性能は持っているのだがな? 後はパイロットの腕の問題だ」
 「何だよ…俺の腕ががヘボだって云うのか! 」
 「その通りだ! パターンすら読めんのか? お前のMS宇宙戦の訓練が足りんのは言い訳に為らんからな! 」
 「ゲ…中尉…嫌だな…聞いてたのかよ…」」
 「…真打登場だな? さあ、やってくれヤザン。相手は若干15歳のパイロット、そして…ガンダムの開発者テム・レイの
 息子、アムロ・レイ曹長だ。戦時任官で、元々軍人でも無かった。そんなデータに、負けたのが貴様だ。『曹長』…」 
 「俺は餓鬼に負けたってか?! それも戦時任官の軍人未満に?! 」

 俺だけは知っている。相手が『ニュータイプ』の片鱗を見せ始める以前の『アムロ・レイ』で有る事をだ。この『模擬戦闘
シミュレーター』には、カラクリが有る。…あるパスワードを入力すると…多分…『ニュータイプ』の能力を発揮した全開の
ガンダム』と対戦可能な筈なのだ。ガンダムの戦闘データは最優先で常に訓練機関と開発機関で同期を取っている。
 俺は、この場でその事をアルフと曹長に話すつもりだ。この俺が相手にしたいのは『餓鬼』じゃ無い。…『ニュータイプ』だ。
158ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:16:30 ID:???

 「悔しいのは俺も同じだけどよぉ…しっかしなあ…なんでそう怒るんだよ? たかがシミュレータで負けただけだろう…!」

 ぼやく『曹長』の顎に向かって、俺の右腕が拳を作り、勝手に動いた。俺には得体の知れぬ怒りの熱さが、ただ胎を焼く。
『ユウ』の怒りだった。俺は『曹長』の発言に呆れ、後から『教育』を施す心算だったが、ユウの奴は人が優し過ぎるのだ。

 「…たかがシミュレータだと? それが実戦を潜り抜けたお前の云う事か?! もっと恥じたらどうだ! このシミュレータは
 周囲の敵の存在など無い! 実戦で体を苛むGなど一つも無い! …純粋に自分の意志で戦場を『創る』事が出来る! 」

 殴られて吹き飛び、流れて行く『曹長』の襟髪を掴み、AMBAC機動の要領で停め、自分の体をブルーの方向へと流す。
俺『達』は『元』宇宙戦闘機のパイロットだ。この戦争で死んでいった奴等の中では宇宙で実戦を経験したパイロットとして
『最古参』の部類に入る。…ユウの奴は『曹長』の『危う過ぎる認識』に危機感を抱いたのだろう。奴は心の底から泣いて
感謝すべきだった。修正が、この『一度きり』で済んでくれた事をだ。

とても『ヤザン・ゲーブル』の吐いて良い言葉とは到底、今の俺には思えなかった。…俺なら追い討ちを駆けて膝をブチ込み、
その後、許してくれと泣いて頼むまでMS機動訓練を行わせる。そうすれば、己の『甘さと鈍さ』を『曹長』も気付く事だろう。

 「…カムラ大尉! プロジェクターの用意を! 可能ならばシミュレータの映像を教育の一環として外部に出力したい!」
 「…ヤザンでは無く、オマエ自身が『余興』を愉しむと云う訳か…良かろう。…オマエの腕前を診せて貰う…ユウ中尉…」

 不貞腐れる『曹長』の前で、アルフの部下達が次々と機器を接続して行く。口コミで話が広がって行ったのか、暇を持て余す
奴等が集まって来る。…連れて来た陸戦部隊の連中なんぞ、常に新しい娯楽に餓えている。喧嘩騒ぎを軍艦で起こさないのは
一重にヘンケン少佐の指導力の賜物だった。…女性兵士の部屋に『お出かけ』をする以外ろくな『愉しみ』が無いとほざく奴等だ。
部隊にもこの艦にも女性兵士はゴマンと居るが…ほら、解るだろう? ん? 何がって? 俺にこんな哀しい事を言わせるな…。
 『大事な蒼い稲妻に付く悪い虫』を可能な限り、陰に陽に追い払い続ける、モーリン伍長の苦労は今も続いているのさ。

 「ユウ中尉ぃー! 目線くださぁい! あ! ヘルメット、まだ被っちゃヤですぅ! 」
 「退いて! アンタの薄汚い頭が入るのよっ! コックピットに座るエース…絵に為るわぁ…」
 「ハイハイ! 下がって下がって! そこ! ああ! 触っちゃダメ! 『私の』ユウはデリケートなんだからっ! 」
 「キタムラ伍長! 五秒間ルールはまだ有効でしょう!? 横暴よ! 」

 アルフの額に血管が膨れ上がる。ブルーのコックピットの計器に女たちが触れる度に眼を剥いたりするが…当の群がる女性陣は
気付いても呉れなかったりするのが空しい。コックピットハッチの強制閉鎖スイッチに手を伸ばすアルフを、俺は目配せで停める。 
 
 「知ってるかい? ブルーは曲がりなりにも軍機なんだがなぁ…オジョーサン達…? 」
 「フィリップ少尉! …殺されますよ? 今の彼女達を止めると…? 何せ対人戦の達人も居る事ですし…」
 
 群がる若い女性兵士の嬌声に顔を顰める、何時に無く真面目なフィリップを、サマナが停めるのは珍しい。逆なら解るのだが。

 「俺は寝技なら負けん自身は有るぞ? ええ? サマナ君? 」
 「どんな寝技ですか! 下品ですよ少尉! 」
 「サマナ君は小官を誤解しているなぁ? ジュードーの事だよ。…下品なのは君だよ、サマナくぅん? 」
 「…クッ…そう来ましたか…! そう…! 」 

 騒ぎが一段落し、ユウがヘルメットを被るのを合図にコックピットハッチが閉鎖される。一瞬、暗闇がコックピットを支配するが、
直ぐに人工の『星空』がモニターに瞬き出す。さあ、魅せて貰おうか! ブルーの正規のパイロット、ユウ・カジマの戦闘を! 
 ただ…それがシミュレータなのは俺にとっては残念なのだが、な…。 『星空』に光が見えた。…さあ、『ゲーム』の始まりだ!
159ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:17:21 ID:???

 『光が見えた! 解るか! 』
 「…当然! 今回は黙って俺に任せて貰うぞ!  」
 『ほう…アレが解るのか…。満更でも無いな? 』
 「褒めて下さり、光栄! 」

 俺はユウの動体視力を軽視している訳では無い。ただの確認だ。スラスター光が判別出来るか出来ないかで、
敵に対する初動が遅れてしまうのだ。敵をやっと認識した頃に、初撃を喰らっている自称『ベテランパイロット』を
俺は星の数程に知っていた。その大半が…あの世逝きだ。敵と、己の技量の底の浅さを、『舐めるから』だ! 

 「…直線的にッ! こちらもビーム持ちだ! 舐めるなよ! 白いの! 」
 
 急接近するRX-78-2に、ユウはビームライフルを撃つ。しかし、計ったが如くガンダムは光条を紙一重で『避ける』。
『超反応』の仕業だ。シミュレータはニュータイプの『動き』を再現する為に、操縦者のスティックとペダル、トリガーの
操作を『読み取り』、回避動作を行う。それが0コンマ下2桁、3桁以下で行われ、反映される。これが先読みの正体だ。
 そう…だから、突撃馬鹿では落とせん。MS戦闘の戦術を『組み立てる』訓練には持って来いのシミュレータなのだ。

 「フン…そう言う、事かっ! 」

 今の一瞬の攻防で、ユウはそのカラクリに気付いたらしい。そのまま速度を落とさず通過するガンダムを、スラスター
を使わず、AMBAC機動を使いブルーを振り向かせ、モニターの視界に捉える。ガンダムが動き回っても、常に前面の
モニターに捉え続ける技量は、戦い慣れた俺の眼から見ても感嘆の出来だ。この時代のMSには、一部の例外を除いて
『全周囲モニター』など搭載されて居ない。どんなにパイロットが優秀でも、モニターの死角から攻撃されれば見えない
まま攻撃を受ける羽目に為る。常に標的を捉え続けるユウの凄さに、外のギャラリー達は気付いているだろうか?

 「…無駄弾をッ! 撃つなと! 言っているッ! 」

 桃色の光条が4本、星空を貫く。…ガンダムのビームライフルだ。実は、ブルーとガンダムのジェネレーターの出力値は
互角だ。しかし、ブルーとガンダムには決定的な差異が存在する。ジェネレータの『数』だ。ブルーの排気口は、腹に一つ。
ガンダムの排気口は、胸に2つ。…最低でも、それだけの冷却が必要と為る位の強力なジェネレーターを搭載しているか…
複数のジェネレーターを複数利用しているかと読み取らなくてはならない。機体の性能を外観から推測し、判断するのも、
パイロットの基本だ。ユウは僅かに動き、ブルーの『上半身』を捻らせる。…ガンダムの放ったメガ粒子の束が、正確に
元のブルーの頭、左右の腕の有った位置を貫いて行く。ユウはガンダムから最後に放たれた4撃目の光線を、急速回避する。 

 「もう少しだった! 惜しいな! 狙いが、解り易過ぎる! 」

 一撃、二撃、三撃目で敵を追い込み、最後の四撃目で必殺を期す。並みのパイロットなら、一撃目を回避可能でも、二撃目
はキツイ。この時代のビームライフルは、ガンダム以外に連射可能なモノは先ず、無い。ビームライフルの存在すら知らない
パイロットが下手をすると大半なのだ。だから『曹長』は、落とされたと言っても過言では無い。…奴が敵を、『舐めるからだ! 』

 「舐める舐めるとっ…機械如きに、俺とて舐められたくは無いッ! 」

 ユウが始めて、胸部バルカンと腰部ミサイルを放つ。同時では無い。若干のタイムラグを創って、だ。ガンダムは頭部バルカンと
ビームサーベルの『切り払い』で、ミサイルを回避する。それがユウの狙いだった。スラスターを全開に吹かし、前進するが…?

 「先ずは腕だ! シールド獲った! 『曹長』! 見ているか! 手強い敵は、先ずAMBACを封じるのが先決だ!」

 簡単に『殺れた』筈のタイミングなのに、左腕を潰しただけだ。なるほど…ユウは奴を『教育』する気らしい。だがな…? そう巧く
行かないのが世の常だ。ガンダムを、いや、アムロ・レイの戦闘データを舐めると怖い。…ガンダムは『喰らってから』が、怖いのだ。
160ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:18:02 ID:???

 「速いっ! だが…負けんっ! 」

 ユウが唸った。左腕とシールドを持って行かれたガンダムの反応速度と射撃の正確さが、更に増したのだ。そう、最初は
小手調べなのだ。シールドを破壊出来るか否かが、『次の段階』へのフラグだ。機体に掠るか掠らないかのタイミングで、
ユウが回避運動を続ける。…巧い。だが、俺に言わせればこれが『シミュレータ』だからこそ可能な連続回避運動なのだ。
 レッドアウト現象やブラックアウト現象を考慮に入れなくても済むのだから、パイロットにとって楽な事この上無いのだ。

 「ここで…停まる! パターンを読め! 相手は所詮、データだ! 」

 ユウがガンダムのビームライフル射撃を総て回避し(これには俺も驚いたが)、バルカンの連射を大型シールドで受け
ながら突撃し、機体ごとガンダムにブチ当てる。ガンダムがそのチャージを受けたと見るや、自機のシールドにブルーの
ビームライフルの銃口を当て、そのまま撃った。…その射撃はガンダムの右脚を破壊し、脱落させる。

 「動き回る相手を狙い易くするには?! そう、動きを停めてやるのが先決だろう! 」 
  
 …中々、やる。機動力を奪う作戦だ。しかし…な? ガンダムの特性をまだ、解っちゃあ居ない。…見て驚けよ、ユウ!

 「…冗談も此処まで来れば、笑えんぞ…! 連邦もカネに飽かせてっ! 」

 ガンダムの特性。それは、Aパーツ・コアファイター・Bパーツの三部位で一機を構成すると云う事だ。…なんとガンダム
は、Bパーツを切り離し、さらに運動性を高めたのだった。バックパックとコアファイターのバーニアを利用した圧倒的な
推力は、ブルーの加速を僅かに上回っていた。だが…ユウの狙いは正しかった。左腕を先にもぎ取られたガンダムは、
AMBAC運動を完全には行えない。必然的に、その機動は単調な、予測可能な範囲に限定されてしまうのだ。

 「…ここで! 矛を奪う! 」

 ユウの口元が微かに綻んだ。正確な射撃がガンダムの右腕を断ち切り、持っていたビームライフルを星空の彼方へと
投げ出させる。まだ見苦しく頭部バルカンで抵抗するガンダムを哀れむかの様に、ユウは伏目がちに腰部ミサイルで頭部
を破壊する。間髪入れずにガンダムのAパーツからコアブロックが離脱し、コアファイターに変形した所で…

 「…悪いが、チェックメイトだ。…余興は終わりにしよう…御互いにな…」

 ユウは静かにそう呟くと、ブルーの頭部バルカン、腰部ミサイル、ビームライフルで止めを刺した。何もそこまで、と云う
者も居るかも知れない。だが、戦う者の、戦士のせめてもの礼なのだと俺は思った。獅子、欺かざるの心だ。…獲物は
常に己の全力を尽くして狩らねば為らない。何故か? 逆襲を…復讐を敵に許しては為らないのだ。敵を生かして還して
しまえばそれは負けに等しい。自分の今の攻撃パターンを読まれて、さらに強力に為って還ってくるかも知れないのだ。
161ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:18:59 ID:???

 「終わった…か? 」
 『待て! 光が見えた! 解るか!? …今度は俺の番、と云う訳か…俺と替われ、ユウ! 』 

 ガンダムの撃墜でシミュレータが終了したと思ったユウがヘルメットを脱ぎかける。しかし、『俺』はMSのスラスター光を
モニターの端に捉えていた。…シールドに『ALEX』と大書された…ガンダムタイプのMSが、こちらに接近して来たのだ。
アグレッサー(訓練時の敵役)を数多く引き受けた、教導隊出身の俺が見た事も無い機体だった。その機体の力強い
スラスター光とその数は、嫌でもその出力の高さと機動性能を俺達に思い知らさせる。どうなっている? ガンダムで、
『余興』は終わりでは無かったのか? 

 「アルフ! どうなっている?! 何があった!! この機体は何だ! 」
 「…俺にも解らん…。レーザー発信で手近な軍のアクセスポイントに接続すると…EXAMが一瞬…起動しただけだ…」
 
 アルフの台詞が終わると同時に、画面に機体名が表示された。『PLAN:RX−78NT−1』。ここまで表示されて、俺は
戦時中の『噂』に思い至った。連邦も『ニュータイプ専用機』を試作中だと言う噂だった。ジオンのニュータイプ専用機の、
『サイコミュ搭載機』は、軍上層部の情報統制にも関わらず、前線を戦う俺達の耳に入って来ていた。兵士達の生存本能、
生き残る為にあらゆるモノに貪欲と為る習性を上層部は『舐めていた』。…当時の俺達は、対処法を待機中、皆で真剣に
語り合ったものだった。予測しない方向からビームが飛んでくるらしい、ソイツが居ると変な声がするから気を付けろ、など、
半分冗談めいたモノも有ったが馬鹿にはしなかった。…その当時の俺達には…総てが『真実(リアル)』だったのだ。

 「アルフ…! コイツはガンダムの…NT専用機プランだ! EXAMめ…味な真似をしてくれるっ! 」
 「…っ…外部音声・映像出力ダウンだと!? …復旧しろ! …オレは、オレのブルーの…戦闘を見届ける義務が有るッ! 」

 どうやら…『機械ども』は俺に対し、その全力を以て『潰し』に懸かって来るらしい。余計な電力やコンピュータ処理すら、
惜しいのだ。…嫌われた物だ。いや、逆に言えば、好かれているのかも知れん。総てに於いて『人間に対して無関心』と
云う態度を崩さなかったコイツらが、俺一人のため『だけ』に此処まで『一年戦争の最高の舞台』を創り上げて呉れたのだ。

 「フン! 生意気な機械どもめッ! 型遅れの最新型如きに、この俺を叩き堕とせると思うかよッ! 」
 『…ヤザンさん…気を付けてっ…『彼ら』は…ヤザンさんの『脳』の過負荷を狙っているのっ…』 

 俺は急に聴こえたマリオンの言葉に、EXAMの特性を思い出す。過大な戦闘情報をパイロットに送り込むシステムだ。
シミュレーターもその分、臨場感に溢れている。機械どもが本気を出した=リアルを再現=もし俺が撃墜されれば…? 
 
 答えは、一つだ。

 「安心しろ、マリオンっ! 俺は負けんッ! 何故なら…俺は…他のNTでも何でも無いっ…人間だからだッ! 」
 『ヤザンさん…』
 「手助けは…要らんからな、マリオンっ…これは俺の力のみで解決する必要の…有る…問題なんだよッ! 」  

 『体を借りている』ユウには悪いが、任せて貰おう。…これは俺に叩き付けられた挑戦状だ。受けて遣らねば男が廃る!
162ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:21:21 ID:???

 ブルーのEXAMが、このNT−1に反応し、発動した。どうやら、そいつにNTが乗っていると設定したらしい。…これで
俺の持ち時間は5分。随分と汚い遣り口だ。どうしてもこの俺を『MS戦闘で負かして殺したい』らしい。…御苦労な事だ。
 唇に苦笑を浮かべたその時、何故か俺は強烈なGを身体の前面に体感した。俺は身構えて居なかったワケでは無いが、
コイツは効いた。よく言う『ヘビー級ボクサーの放つボディブロー並み』の奴だ。…たかがシミュレータの癖に生意気な!

 『ヤザンさん…! 射出されたの! ブルーのEXAMが…本当に発動しているからっ! 』 
 「…この宙域付近に、あの『中世気分の糞野郎』でも居るってのか、マリオン! 」
 『居ない…! 居ないけれど…! もし暴走したら危険だって…艦長命令で…! 』
 「フン…! ガディの奴の判断か…。良い判断だよ! 折角の新鋭艦を壊されては艦長気分も台無しだからな?! 」
 《…そう言う事にして置こうじゃ無いか、ユウ中尉。 タップリ愉しんで呉れたま…敵襲だと?! ええい、こんな時に! 》

 ノイズの中、切れ切れに聞こえるガディの皮肉混じりの声の調子が一変した。艦からのレーザー発信をブルーは、
受け続けていた。『機械ども』は艦のコンピュータの能力まで使って、シミュレータでこのNT−1を動かしているのだ。
 何故奴の声にノイズが混じって居るのか? このミノフスキー粒子の濃度で、何故無線を使うハメに為っているのか?
それ位推測出来なければ、まあ、実戦ではまず使いモノには為らんだろう。俺が特別に優秀だ、と言う訳では無い。

 「フン! 任せて置けよガディ! この死神、ブルーデスティニーの戦い振りを貴様に見せて置くのも悪くは無いな? 
 そのジオンのお客サンは何機で来ている?  …ただの哨戒小隊単位なら、ブルーの性能ならば何ら問題は無い!! 」
 《問題は無い、だと…! 抜かせ! その暴走した機体で何が出来る! MS隊をただちにユウ中尉の回収に向か…》
 《出すな! この艦を沈める危険性も充分に有るのだぞ! 射出する前にビームライフルを外せとオレは言った…! 》
 「そう言う事だよ、ガディ! 万事、俺に任せて置けば良い! 心配なら、後は神様か何かに祈って居れば良い! 
  アルフ! ブルーの初の宇宙戦だ! シャンパンを冷やして置いてくれ! 後で連中と飲むからな! 俺は! 」
 
 モニターの中のNT−1がビームライフルを撃つ。俺はシールドを構えながらギリギリで回避した。これが実戦ならば、
光線から漏れた重金属粒子がさぞやシールドに細かい凹凸を創り上げてくれる事だろう。…流石は、宇宙戦闘機乗りの
身体だ。スラスター全開の後に逆噴射で急制動を掛けてAMBAC機動で方向転換しても、『俺』の元の身体同様に何ら
問題は無い。『G』に弱く三半規管が敏感なパイロットならば、一発で『天にも昇る様な気分で地獄行き』に為っている。
163ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:22:10 ID:???

 「ユウ! ありがとよォ! 身体を鍛えて置いてくれてなァ! 」
 
 間合いを取ろうとするNT−1に俺がチャージを掛け、それを受けたNT−1がまた間合いを取るため離れると云う機動が、
繰り返される。頭部と胸部バルカン砲を撃ちながらと云う所が肝腎だ。リアルに造型して有るのならば放った砲弾の破片が
機体の冷却機構を傷付け、少しは奴の強烈な出力を減殺してくれるかも知れんからだ。…高機動仕様の14が穴だらけに
為って流れて行った。どうやら、ブルーは本当に砲弾を発射しているらしい。『招かれざる客』もいよいよ到着したのだ。

 「…手前等! 邪魔だッ! 遊びの邪魔なんだよっ! 興を削ぐだろうがッ! 折角追い詰めた所だと云うのにヨォ! 」 

 悪いがゾクゾクする程、面白い。実戦を遣りながら、俺自身はシミュレータ相手に遊んでいるのだから。巻き添えを喰う
奴らが間抜けなだけなのだ。所詮は一度切りの人生なのだ。最大限に状況を楽しまなければ、損以外の何物でも無い。

 「明日など、要るかッ! 今が有ればッ…! 生きていると言う実感が無ければッ…死んでいるのと同じなんだよッ! 」 

 EXAMが発動した『ブルー』は、後の整備の事など御構い無しに出力全開で動いて呉れる。それこそ全身全霊を以て、だ。
普通、MSの消耗する部位はほぼ決まっている。人間の体でも、普段は回復可能な領域までしか動かさないのと同じだ。
 だが…EXAM発動時にはその消耗を想定された部位以外のパーツまでフルに作動させる。後に回復し易い様に動く、などと
生易しい事など全く考慮の外で、動く。…俺がコイツを気に入った理由は此処に有る。…正に『ブルー』は俺向きの機体なのだ。

 「撃って来るかよ! そこでッ! 」

 NT−1が背を向けたまま、右腕だけ廻して、ビームライフルを三連射する。ブルーのEXAM発動後の出力でも、追い縋るだけ
でも辛い。ここまで追い詰めたのが、回避する事により、また離される。遠距離戦の撃ち合いでは圧倒的に相手に利が有るのだ。
 だから、俺の採る戦術としては中・近距離戦のブルーの持つ火力を利用して圧倒するのがセオリーなのだが…!?

 「な…ガトリングだとォ!? 冗談抜かせ糞がァ! 当たっちまう所だったぞ! 」

 静止したNT−1に突進した俺の眼に見えたのは、右腕のカバーがパックリ開いて出現したガトリング砲だった。それが
火を放つ前に俺は辛うじてローリングし、回避する事に成功した。ジオンの09、スカート付きがすぐ前に迫る。糞がッ!

 「退け! 死ね! 手前等に構ってる暇など無い! 俺とブルーにはっ…後…残り3分しか無いんだからなッ! 」
 
 非常に勿体無いのだが、そいつにビームライフルを御馳走してやる。後々、機動の障害に為るとこの俺が困ってしまうのだ。
これで終わりならまだ良いが…今度は06の高機動型だと?! 引っ込め旧型! お色直しをしても結局は無駄無駄無駄無駄ァ!
164ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:23:35 ID:???

 しかし高機動型の06は…何故か間合いの取り方が巧かった。主兵装のマシンガンの特性を生かし、弾幕を張りつつ
俺の『ブルー』と一定の距離を維持し続けている。俺がそいつを追おうとすれば弾幕の中へ飛び込んでしまうだろう。
それを嫌う俺は『ブルー』を加速出来ない。『いやらしい』戦い方をする奴だった。…それ相応に、戦い慣れをした奴だ。

 「退けぇ! 奴が行っちまうだろぅがぁッ! 」

 業を煮やした俺がビームライフルをその高機動型の06に向けた途端に、一筋のビームの黄色い光条が俺の眼前を
横切った。…シミュレータのNT−1のものでは無い。…視界の片隅に、妙なカラーリングの宇宙用09、スカート付きが
確認出来た。その手の武装はジャイアント・バズでは無い。…後期生産型の09に装備された『ビーム・バズーカ』だ。

 「…エースか! 面白い! …構ってやるよ! お望み通りなァ! 」

 一年戦争時のジオンのビーム兵装は…ア・バオア・クーの学徒兵を除き優先的に『エース』に装備されてきた事を俺は
教導隊時代の元ジオン軍関係者から嫌に為る程に聞かされて来た。…連邦のGMの歯応えの無さに拍子抜けしたと言う
屈辱的な揶揄の表現と共にだ。物量の差をこうも言い換える嫌らしい根性に若かった俺はその都度、激怒したものだ。
 
 「泣いて許して下さいと言っても許さんぞ! もう覚えたぞ、色付き! …っとぉ! 」

 下方からもう一機の高機動型の06がヒートホークで斬りかかって来る。俺は難無く斬撃は避けたが、流石にチャージは
無理だった。そいつにブルーの『脚』を組み付かれる。糞がッ! NT−1が、あのシールドに書かれた『ALEX』が小さく…!

 《カリ…ス…! …トー…! コイツは…エー…だッ! テスト機を…れて…退…しろっ! 安心しろ…この…リィは…》

 『お肌の触れ合い会話』で、通信の内容が切れ切れに聞こえて来る。どうやら14のテストのため、何処かの精鋭部隊が
狩り出されたらしい。見れば遠方の06の肩の盾には『302』と部隊ナンバーらしきものが誇らしげにマーキングされていた。

 「…302? ソロモンの哨戒中隊…! 面白い! あのコロニー落としの外道どもか! 死んだぞ貴様等ッ! 」

 俺は『アル・ギザ』にも居たのだ。アルファ、ベルナルド、チャップ…! あいつ等からデラーズ紛争の真相を聞いていた。
奴らの事、いや奴らの中の特定単数は連邦の新兵の教本にも記載されている。俺は教本からそいつの名を削除する機会を
与えられたのだ。試験に悩む新兵達のためにもここは一つ、ただの宇宙の塵にしてやるに越した事は無いだろう。
 …悪夢に為る前に、この俺と『蒼い死神』が悪夢を祓ってやる! …『ソロモンの悪夢』こと、『アナベル・ガトー』とやらを!
165ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/15 17:25:13 ID:???
で、この続きが>>3と>>58なワケです…ハイ。長々と荒らし同然の大量レス…済みませんでした。
166通常の名無しさんの3倍:05/02/15 18:16:58 ID:???
続きはまだ?チンコチンコ
167通常の名無しさんの3倍:05/02/15 18:48:30 ID:???
>>165
再掲載や文庫化は気にしない。
それよりも新刊マダー?

どこぞの遅筆御大みたいな真似はヤメレーって事で。
168通常の名無しさんの3倍:05/02/15 22:12:45 ID:???
同志>167
おとなしく軍板へ帰りたまえ
それとも機密漏洩で南冥かリェータにでも逝ってみるかい?
169通常の名無しさんの3倍:05/02/19 11:31:15 ID:???
保守
170ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/02/21 01:18:06 ID:KkZkAHOk

 『何だ…此処は…? 』

 俺は、ブルーのコックピットに居た筈だ。…星空。妙に『蒼い』宇宙(ソラ)の中に、俺はシートに座った格好のまま、
漂っていた。俺は自分の身体を意識し、胸を見た。はだけた胸に懐かしい、ブルータートルのタトゥのシールがある。
着ているのは特注の、イエローのティターンズ仕様の軍服。…間違い無く、『俺:ヤザン・ゲーブル』の身体だった。

 『戦いだけが…ヤザンさんの出来る事じゃ無いのに…! 』
 『マリオ…ン…なのか? 』

 ヴィジョンで垣間見た、少年にも似たその姿態。まだ『女』の特徴を備えて居ない、胸。繁みの蔭りがまだ薄い、陰部。
俺と同じ人間のモノなのかと一瞬、疑わせる透き通る様な、きめ細かで、白い肌。その背には…純白の翼が有った。

 『罠を噛み破ったつもりでいないで! 本当のEXAMの狙いは、違うの! 』
 『殺らなければ殺られる! それが闘争だ! 違うか、マリオン!? 俺はそうして、生き残って来た! 』
 『相手に実体が無いのを気付いているのに、どうしてヤザンさんはビームサーベルを発動させたの?! 』
 『チャンスなんだよ! 奴を…ALEXを墜とす、唯一の機会をパイロットとして逃せるか! 』

 俺は顔中を口にして、唾が飛び散るのも構わずマリオンに向かって怒鳴った。マリオンの眉が悲しげに顰められた
瞬間、俺はある事実に思い当たった。待てよ…。俺はALEXのコックピットが腹部に有る事を見抜いた筈だったが…!?

 『…気付いて…くれた? …ヤザンさん…? 』
 『俺の『兵士』としての、『戦士』としての本能を機械どもは利用したと言う事か…たかがゲームに熱く、成り過ぎたようだ』
 『此処は…何処だと思う? ヤザンさん? 』
 『さあな。俺にとってのパラダイスでは無い事は確かだ。…天使は居るが、敵が居ない』
 『人は…解かり合える存在…そして…繋がる事の出来る存在…』
 『俺は…俺は解かられたくは無い! 理解される事は、負ける事だ! 俺は嫌だ! 理解されれば、俺は複製可能な、
  誰にでも替わりが勤まる存在に為ってしまう! 本当の『消耗品』に為ってしまう! 俺は御免だ! 解られて堪るか! 』

 閃光と共に、宇宙(ソラ)の景色が収束して行く。俺が最後に観た物は…マリオンの哀しげな表情だった。喉の渇きが、
俺を苛む。ひり付く喉が水分を欲しがっているのだ。…ビームサーベルの光の刃が見える。もう少しで、俺は自分をコレで
焼き殺し、宇宙のチリへと変えていたのだ。タイマーのカウンターは何故か、俺が覚えていた時間のままだった。

 「何だったんだ…アレは…? 」

 俺がビームサーベルを収束させると同時に、モニター、計器類の光が一斉に消えた。タイムアップだ。ゲームオーヴァー。
しかし、俺は生きている。…機械どもに、俺は勝利したのだ。兵士に取って、生き残り、また次戦を戦う事こそが勝利なのだ。

 「残念だったなEXAM! 俺は…俺は生きているぞ! 生きて此処に居るぞ! ハッハハハハ! 」

 暗闇の中、俺は一人で笑い続けていた。 別にトチ狂った訳では無い。ささやかな、機械どもに対する勝利宣言と言った所だ。
171通常の名無しさんの3倍:05/02/26 18:59:18 ID:OAZWfHt3
あげとくぞ
172通常の名無しさんの3倍:05/03/06 19:32:23 ID:???
(゚∀゚)神のヨカーン
続 希望age

ACEってヤザンあっけなかったよな・・・
173通常の名無しさんの3倍:05/03/07 00:55:54 ID:???
キャラを入れ替えるスレ、いつの間にか復活シテル━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
174通常の名無しさんの3倍:05/03/08 00:58:08 ID:???
(゚∀゚)ワクワク
175通常の名無しさんの3倍:05/03/09 22:19:36 ID:???
おとさせるか
176通常の名無しさんの3倍:05/03/09 22:57:50 ID:???
ヤザン経歴スレに比べて、こっちは至極まともなスレなのな
177通常の名無しさんの3倍:05/03/10 00:39:10 ID:???
やっぱしヤザンは

「MSのってるよっかATに乗ってたほうが似合う」

匂いがボトムズだぜヤザン・・・・
なんかウドでバトリングやってるかクメンで傭兵も似合ってる・・・
178通常の名無しさんの3倍:05/03/10 16:16:13 ID:???
Gガンダムにいても違和感無い。
ザブングルでも。
もしかしたらマクロスでも。
甲殻でも。
カイジでも‥‥。

すごいかも、ヤザン。
179通常の名無しさんの3倍:05/03/10 23:04:02 ID:???
いや、面白いよマジで
なんか素人っぽくないぞ文章が
180通常の名無しさんの3倍:05/03/11 18:48:22 ID:???
Zリメイクでどうなるんかなあ
最近のトミー的にコレ系キャラはどうなの?
ターンAだとコレンとかスウェッソンとかになるんだろうけど
181通常の名無しさんの3倍:05/03/13 10:22:45 ID:???
>>178
>カイジでも‥‥。

エスポワールに乗るヤザン想像してワロタ。
182ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :05/03/14 21:31:49 ID:???

 俺が笑い狂っている最中に、突然、コックピットが揺れた。どうやら、外部からの接触らしい。敵だろうか? 味方か?
俺は笑いながら計器を確認するが…完全に機能を停止したブルーのモニターやセンサーは、何も答えてはくれなかった。

 『…中尉? どうしたんだ? 何か可笑しい事でもあったのか? それとも…』

 どうやらアルフの奴が気を利かせて、『曹長』のGM・ライトアーマーを機能停止したブルーの回収に寄越したらしい。
 接触回線(お肌の触れ合い会話)だ。『曹長』、『若い俺:ヤザン・ゲーブル』の声が暗闇の中に響く。それとも、の後は
馬鹿でも想像出来る。狂ったのか、と聞く気だ。阿呆が、この位でこのヤザン・ゲーブルの精神が参ってしまうものかよ!

 「ハン? 至(いた)って快調だぞ? ルーキー? 見たか? 俺とユウのMS戦闘を! シミュレーターでヒィヒィ言ってる
  餓鬼には、刺激が強すぎたか? ン? ところでジオンのお馬鹿さん小隊どもはもう撤退したのか? 俺は確認出来ん
  のだ。計器ぐらい、読めんとは言わさんぞ若僧? さあ、俺にその足りん脳味噌で教えろ。可及的速やかにだ! 」
 『言いたい放題言いやがって…。自信満々だよな、いつも…。俺は本当にアンタに為れるのか、イマイチ自信がなくなって
  来たぜ…。目の前にダルマになった09が居るが、どうする? 止めを刺すか? スコアは当然、俺のモノになるだろ? 』

 アナベル・ガトーの09の成れの果てだ。幻影のALEXとの戦闘の巻き添えを食った、哀れで間抜けなな連中の一人だ。
後のデラーズ紛争の芽を摘むのには、『曹長』に『撃て』と一声、命令すればそれで終わりだ。しかし…それでは困る。
 ティターンズが成立しなくなるのだ。83年代からの唯一の連邦軍実戦部隊、ティターンズが無くなれば…『曹長』の経験
を積む場所が無くなってしまう。実戦で得られる『緊張感』は、訓練では絶対、再現出来ない類のものだ。俺の目的は…!

 「…放って置け。残飯漁りに興味が有るなら無理は言わん。浅ましく俺のお零(こぼ)れを頂戴しろ」
 『けッ! そこまで言われて、『ハイそうですか』と頂く俺、ヤザン・ゲーブルだとアンタは思うのかよ!? 』
 「違うのか? フン、成長したなルーキー。勿体無いが、褒めてやろう。だが、実戦は違う。敵は殺さねば、な」
 『…アンタってイマイチ、矛盾してるよな…。あ、ああ、撃たないよ! …怒ってるのが解るってのも嫌な気分だぜ…』

 未来のコイツにZを撃墜させる事だ。そのためならば、何人死のうが犠牲が出ようが知った事では無い。個人的な良心、
連邦軍人としての良心は痛むが、それだけだ。ここで09を落とせば、極端な話、Zは居なく為ったも同然だ。エゥーゴも
過激な行動を取らなくなるだろう。そしてヤザン・ゲーブルは…! 飽くまで仮定の話だ。俺は戦士で居たい。死ぬまで。
 いや、死んでも、戦士でいたい。戦い続け、そのスリルに身を置いていたいのだ。それこそが…俺を俺で居させてくれる。

 「シャンパンは冷やして有るだろうな! ブルーの宇宙戦の初勝利だ! 後でデータ、見せてやるからな、『曹長』! 」
 『へーへー『中尉』、精々楽しみにしときます…っと、フィリップ少尉、サマナ准尉、そおっと頼みますぜ! 」

 俺はその『曹長』の言葉に興味を抱き、コックピットハッチを開放した。格納庫で、フィリップとサマナのGMに丁度、ブルー
が抱きかかえられて支えられる所だった。…俺は、生きて還って来たのだ。ブルーとともに。そう、仲間たちのところへ。
183通常の名無しさんの3倍:05/03/15 23:50:05 ID:???
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
184通常の名無しさんの3倍:05/03/19 15:17:01 ID:jCIasAqO
ヤザン萌え
185通常の名無しさんの3倍:05/03/19 16:40:46 ID:???
最高です
ヤザンに惚れそうだ
186通常の名無しさんの3倍:2005/03/22(火) 14:26:13 ID:YzvqtJ/x
ヤザンをEx−Sに乗せて欲しい。だって、設計コンセプトがギャプランと似てるからw
地球から宇宙へ。Ex−Sって『ティターンズのためのガンダム』って感じがするねw

 ヤザンの初登場時の乗機のギャプランは、高高度迎撃用の機体だから、ヤザンは
戦闘機乗りだったって妄想も可能かもw
187通常の名無しさんの3倍:2005/03/22(火) 18:26:45 ID:???
ヤザン!ヤザン!ヤザン!お花を大切に〜
188通常の名無しさんの3倍:2005/03/22(火) 21:24:00 ID:???
>>186
ヤザン厨さんのSSはヤザン、ユウ共に元戦闘機乗りって設定だね
>>120-121あたり)
189通常の名無しさんの3倍:2005/03/24(木) 02:38:33 ID:z3c4WCnU
188さんありがとう。
そうだったのか・・・大きなお世話だったかな?
Sガンはデカイから、正直、ヤザンの好みじゃないか・・・
190通常の名無しさんの3倍:2005/03/24(木) 09:26:55 ID:???
>>189
ヤザン@ライトアーマーネタもあったよな。
何処のスレで出たかまでは記憶にないが……
191通常の名無しさんの3倍:2005/03/29(火) 04:03:28 ID:6ZDSz1LB
うひゃー
192ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/03/30(水) 00:01:15 ID:???

 祝勝会はごく簡単な、パックの配布で終わった。…宇宙空間で、それもMSデッキで瓶詰めのシャンパンなんぞ開けた
日には、清掃だけでかなりの労力を割かれてしまう。ましてや『ブルー』の整備に『命』を懸けるアルフはそんな『暴挙』を
金輪際、許可するワケが無い。奴は『ブルー』をオーヴァーヒートさせたとネチネチ小一時間嫌味を案の定…垂れ続けて
くれた。それを見るに見かねたキタムラ伍長の援護射撃は逆にアルフの逆襲を喰らい…彼女は泣いて出て行ってしまった。

 「…アルフ…ブルーの緊急停止は俺の責任じゃあ… 」
 「…皆まで言うな。頭が痛くなる…。オカルトだな…。それより、軍医のメディカルチェックは済んだのか? 」
 「あのセンセイ、苦手なんだよ…丸っきり俺を珍獣か実験動物か何かだと思ってる」
 「それか狂人扱い、かもな…。無理も無い。幻覚を見たとしか、事情を知っているオレにも思えんからな」

 俺は咥(くわ)えていたスパークリングワインのパックのストローを口から離し、思い切りむせた。やはり、コイツに話した
のが間違いだった。ガンカメラを再生中に、『どう見ても、EXAMのオーヴァーヒートでは無い様だが』とアルフが言うので
渋々、マリオンに『遭遇』した話をしたのだ。その途端、アルフの奴…コックピットの中のメディカルパックの無痛注射器の
中身を確認したのだった。…オイオイ…俺はジャンキーではないし、第一、クスリに頼る程、軟弱でも無い。

 「…アタマがメルヘン風味にイカれた訳では無いさ。だが、俺は見たんだ! 白い翼を生やした少…」
 「ここに居たのかねユウ・カジマ君! 捜したよ! 」
 「…ハサン軍医…彼の脳にEXAMのもたらす、悪影響は出ているのか…? 」
 「糞、アルフ! 俺を売ったな! MSを降りてまで、モルモット扱いは御免だぞ! 」

 EXAMは大量の『情報』を俺の五感に送り込む。俺の、いや、ユウの脳が耐え切れる方が事実、不思議な程なのだ。
メディカルスタッフなど何時、乗せたのかとアルフに怒鳴った俺は当然…医者嫌いでも有る。強化人間を連想するのだ。
 ギャプランに乗っていた時もそうだった。当時、強化人間よりも優秀な成績を叩き出す俺に興味を持ったのだろうか、
オーガスタ研から来た白衣の奴等が血液やら髄液やらバイタルサインやら、俺の全てをモニターして行ったのだ。

 「待ちたまえユウ君! 何処へ行く気だね! 」
 「あばよハサン先生! コックピットに用事が有るんだ! 済まないな! 」
 「ヤザン! まだブルーは整備中だ! …後五分くれ! 」
 「? ゲーブル曹長は就寝中の筈だが? カムラ大尉? 」
 「…軍医…オレに栄養剤を下さい…。どうやら疲れているようだ」

 …マリオン。お前は人間…だよな? 俺はまだ、人間で居たいんだ。俺は人間以上の者には為りたくは無いんだ。
何故、翼など生やす? 何故、自分自身で有ろうとしない? …俺はそれを伝えるために、『ブルー』のコックピットを
目指し、整備デッキ内の無重量空間を真直ぐに流れて行く。遙か下からハサン軍医の大声が聞こえて来る。

 「このままシステムに依存し続けると、君の脳に重大なダメージが残る事になるのだぞ! 」

 …その前に、決着は付ける事が可能だろう。俺の眼前で『ブルー』の両眼が赤く輝いた。奴が、二ムバスが…居る。
193通常の名無しさんの3倍:2005/03/30(水) 00:19:47 ID:YaDzPBIQ
オイオイ・・・だいじょうぶかユウ?
194通常の名無しさんの3倍:2005/03/30(水) 18:33:16 ID:???
(゚∀゚)ワクワク
195通常の名無しさんの3倍:2005/03/31(木) 22:56:56 ID:???
ぶった切ってスマンがampm独自の店内放送でヤザンの中の人が「チーズハンバーグカレー!!」
とか言ってるのを聞くとバイト中に毎回吹き出しそうになるw
196通常の名無しさんの3倍:UC-0040年,2005/04/03(日) 22:51:25 ID:???
おお、久しぶりに来てみたら続きが来てるよ。
197通常の名無しさんの3倍:2005/04/07(木) 21:33:17 ID:0MIhUmBZ
応援age
198通常の名無しさんの3倍:2005/04/07(木) 21:59:57 ID:???
神降臨マダー
199通常の名無しさんの3倍:2005/04/07(木) 22:17:46 ID:???
まだ〜
200通常の名無しさんの3倍:2005/04/07(木) 22:19:08 ID:???
なんだ、ここは良スレだったのか
201通常の名無しさんの3倍:2005/04/08(金) 00:18:58 ID:nQQmNkDh
きれい好きのヤザン
202通常の名無しさんの3倍:2005/04/08(金) 06:07:14 ID:???
うまいよ!「焼肉屋ヤザン」1号店
203通常の名無しさんの3倍:2005/04/08(金) 14:16:25 ID:???
ヤザン THE BUTCHER!
204通常の名無しさんの3倍:2005/04/12(火) 16:07:32 ID:???
隔週連載なのか?
205ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/04/12(火) 17:19:23 ID:???

 その瞬間、俺を誘(いざな)うが如く、ブルーの胸にあるコックピットハッチが勝手に跳ね上がる。俺に今すぐに乗れ、と
云わんばかりにだ。…ヘルメットに装着する各種ケーブルが漂っていた。何故かそれは俺と『ブルー』とを繋ぐ鎖に見えた。

 「…お前の方から、俺を呼ぶとはな、EXAM…」

 俺が数本のケーブルの中から最初に撰んだのは、『赤』のケーブルだった。ヘルメット後部に有る『ジャック』にコネクターを
差し込むと…ある光景が『観えた』。補給艦、『コロンブス』の艦隊だ。護衛は数十機の『セイバーフィッシュ』。MSも数機、
居る。先行量産型GMの宇宙用、通称『E型』だ。まあ、補給部隊だからな? 二線級の兵力で護衛していても不思議では無い。

 「何故…こんなモノを見せる…? 」

 訝(いぶか)り、怪訝に思いながらも俺は次のケーブルをヘルメットに接続すると…聞き覚えの有る声が聴こえて来た。
それは二ムバスの、声だった。しかし、それは俺が知っている、いかにも大仰で憎憎しげで高慢ちきな喋り方とは違っていた。

 『隊長! ここであの部隊を見過せば…! 味方の後背が危機に晒されます! 我が部隊の戦力を全て傾注すれば…!』
 『二ムバス中尉! 隊長は私だぞ! 部隊を、キシリア様より預かったこのMSを、無駄に損耗する事は許されんのだ! 』
 『…味方が、危機に陥るのです、隊長! 同じ理想を掲げる。我がジオン公国の同胞が…』
 『くどい! …あの部隊の先に展開しているのはドズル中将隷下の部隊! 我々には関わりの無い事、予定通り撤退する! 』
 
 これは多分…『奴』の…二ムバスの…記憶だ。そうに違いない。確かあの時、BD-3強奪時には、クルスト博士は奴に『大尉』と
呼びかけて居た筈だった。見ている光景は宇宙。そして周囲に居る06は高機動TYPEでは無い06Uに、旧型の06も混じっている。

 『貴様の様な屑が居るから、戦争は終わらぬのだ! 消えろ! 』
 『…よせ! 二ムバァァァァァァス! な、お、お前達まで…や、止め…うわああああああああああ! 』

 オイオイ…部隊の皆で隊長を撃っちまうのかよ…それも隠密の偵察行動中に…? 軽率過ぎるんじゃ無いのか? これじゃあ…

 『クルト…?! オネーギン…! サイラス! ドネルまで…! 何故…何故お前達まで撃ったのだ! 』
 『ずっと俺達は一緒にやって来ただろう? なあ、『騎士の中の騎士』殿? これで隊長はお前だ。さあ、どうする? …決まってるよな? 』
 『…済まない…。では、行くぞ! 『薔薇騎士団(ローゼンリッター)』、全機突撃! 目標は敵、輸送船団! 』

 何て絵に為る光景だ! まるで宣伝映画でも見ている気分に俺はさせられた。ここまで仲間に恵まれた奴がどうしてああもイカレた雰囲気を
漂わせるのか?…まあ06の5機編成なら、腕のイイ奴ならば殲滅には梃子摺らんだろうな…ってオイ、コロンブスから出て来るのは…!
 GMじゃ無いか! それも新型、現行機種のRGM−79だ! …墓穴を掘ったな、お前ら? 殺された隊長こそ、幸せだったかも知れんな?

 『理想も理念も無い連邦の雑兵どもに、俺達、『ジオンの騎士』が遅れを取るものかよ! なあ、二ムバス! 』
 『ああ、我等こそがジオンの理想を体現する、『撰ばれし者達』なのだ! こんな雑魚如きに、我々が…! 』
 『ドネル…ドネルッ! 糞! 奴等! 1機に5機がかりで! 待ってろ、今…!? 』
 『クルト、危ないッ! 』

 助け合いながらも、06はまた1機、また1機と撃墜されていった。二ムバスが最後の補給艦を撃沈した時、辺りは残骸が漂うのみに為っていた。
…ジオンのアナクロニズムに被れた奴等のくせに、中々、やる。俺は真剣にそう思った。物量を質で凌駕する奴等は、俺は個人的に嫌いでは無い。 
  
 『はは…やったぞクルト…? クルト…どうした? 』
 『…悪いが、一発喰らっちまった…。俺の機体は持つが、生憎俺の身体は持たんみたいだな…? 』
 『何を言う、クルト! 私が艦まで連れて帰る! 待っていろ! そんな物、かすり傷だ! 』

 突然、目の前のビジョンが消えた。訪れた暗闇に戸惑う俺に、声のみが響く。…現在の、ブチ切れ感タップリの『奴』の声だった。…二ムバスだ。

 「…連邦の闘士よ…! 私はサイド5、××バンチの廃棄コロニー付近の宙域で貴様を待っている! 勝つのはジオンの騎士たるこの私だ! 」

 …ああ、解ったよ騎士様。このビジョンの続きはきっと、戦闘中に『EXAM』が見せてくれる事だろう! しかし勝つのは俺なんだよ! 悪いな! 
206通常の名無しさんの3倍:2005/04/12(火) 18:11:32 ID:ogw4S+bM
遅いぞ 二週間以上もだ なにやってんの!
207通常の名無しさんの3倍:2005/04/12(火) 21:35:15 ID:???
失せろ>>206
208通常の名無しさんの3倍:2005/04/12(火) 23:48:21 ID:???
>>205
乙です
このスレ読んでヤザンに惚れます他
209通常の名無しさんの3倍:2005/04/13(水) 01:42:29 ID:???
>>205
投下乙
210通常の名無しさんの3倍:2005/04/13(水) 02:33:05 ID:UWWhBEoM
ヤザンが訪中
211通常の名無しさんの3倍:2005/04/13(水) 11:57:35 ID:???
しかし、読ませる文体だよなあ・・・
ヤザンを見る眼が確実に変わっちゃうよw
212スマイル2世:2005/04/13(水) 15:27:30 ID:???
喪中につき年度始めのレスをご遠慮申し上げます

本年4月 カミーユ ◆SHINE/D8Qc のスレが20歳にて永眠いたしました。
ここに旧年度末中に賜りましたご厚情を深謝申し上げます。

時節柄ご自愛のうえ、良き新年度をお迎えくださいますようお祈り申し上げます

平成17年4月
東京都千代田区駿河台                   スマイルJr         

213コレで完璧だぜえ:2005/04/13(水) 16:02:42 ID:???
喪中につき年度始めのレスをご遠慮申し上げます

本年4月 スマイル◆SHINE/D8Qc のスレ

★★ゼロから語る機動戦士ZガンダムPart29★★
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/x3/1113300208/

が20歳にて永眠いたしました。
ここに旧年度中に賜りましたご厚情を深謝申し上げます。

時節柄ご自愛のうえ、良き新年度をお迎えくださいますようお祈り申し上げます

平成17年4月
東京都千代田区駿河台                        スマイル3世  
214通常の名無しさんの3倍:2005/04/16(土) 03:03:32 ID:S4pKtrat
あげとくぞ
215通常の名無しさんの3倍:2005/04/21(木) 11:24:06 ID:???
ほしゅ
216ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/04/23(土) 07:58:44 ID:???
書きに徹すれば良いのに、悩んでいるオイラです。SSが遅れ気味でスミマセン…。

『俺MS』こと、BDコンパチ1号機アタマ宇宙用を出しましたが…後一機、出したくて…その…。
そう、GM・LAです。カンの良い方ならば、『終わり』の展開が見える主張なのですが…。
 敢えて、断腸の思いで…もう一度『俺MS』を出します。純然たる宇宙世紀ファンの一人として、
本当に申し訳有りません。あと…もう少しだけ、オイラと大尉に付き合って貰えれば、幸せです。
217通常の名無しさんの3倍:2005/04/23(土) 11:49:54 ID:???
>>216
物語上の必然性がある『俺MS』なら歓迎。いや、大歓迎。
218ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/04/23(土) 13:25:50 ID:???
…有難うございます! エピローグにあと1機追加予定です! では、オイラ、逝きまあァス!
219ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/04/23(土) 14:46:02 ID:???

 「カムラ大尉、『中尉』は眠ったか? 」
 「ああ…。コックピットで眠っているだろう。しかし、彼が完全にオレの事を忘れているとは思わなかったが…」
 「7年前の出来事なんてなぁ、思い出す方が難しいさ。『中尉』は歴戦のパイロットだぜ? 『中尉』が覚えて
 いるのは、どっかの誰かさんだか知らんが『技術者を庇って激戦区へ異動命令を喰らった』事だったがね… 」

 『ブルー』を見上げるアルフ・カムラは、若干眩しげに目を細めた。RX−79、そして、RGM−79の隠れた開発
功労者である『テスト・パイロット』が現れたのだ。アルフは男に向き直る。…そう、若き『ヤザン・ゲーブル曹長』に。

 「…久し振りだな? 『命知らず』…。 ジオンの『ザク』を超えるMSは約束通り、完成させたぞ? 」
 「フン、『パイロット殺し』がよく言うな? 一緒に無能な奴等を叩きのめした事を、俺はまだ、忘れてないぜ? 」

 陸戦型ガンダム。RX−79が短期間で開発されたのには理由が有った。RX-78の候補は一機では無かった。
宇宙軍主導、空軍主導、海軍主導、海兵隊主導、そして陸軍主導で、開発が行われていた。結局、宇宙軍の強く
プッシュするタイプが『RX−78』のナンバーを与えられ、現在はその開発者の息子が大戦果を上げている。
 
 「失われた…機体の…つもりだったが…偶然とは怖ろしいものだ。レイ大尉が行方不明に為り…廃案となった
 オレの…プランが見直されるとはあの時…夢にも…思わなかった…。それは今…こうして『ブルー』となって…」

 遠い目でアルフはまた、『ブルー』を見上げる。まだ艶やかな装甲が、マット塗装をしているにも関わらず照明を
鈍く反射していた。鮮やかな『蒼』がアルフの目を射す。陰鬱な表情が常の、アルフの口元に珍しく、微笑みが浮かぶ。

 「コンペティションの悲劇、アレが無けりゃア決定的だったさ。アンタの候補作とレイ大尉のプロトタイプ。アンタの
 奴に乗ってた奴が、間抜けにも外に出なくて、そしてプロトタイプの故障による『コアファイターの脱出』と云う、
 恰好のデモンストレーションさえ、無ければな…。そして、あの間抜けがプロトタイプの爆発に巻き込まれて…」
 「死んで居なければ、か。全ては仮定に過ぎん…。ともかく、能力と腕を疑われていた当時、進んでオレのRX-79
 に乗ってくれたただ一人の『まともな』テストパイロットが、オマエだよ…『曹長』。今でも、感謝の言葉も無い」

 『ブルー』を見上げたままのアルフから視線をそらした『曹長』は、ニヤリと笑って駐機したままの宇宙戦闘機を見る。
MS格納庫兼、宇宙戦闘機格納庫。多分使われないままであろう『セイバーフィッシュ』が2機、員数合わせのために
配備されている。…独立部隊の体裁をでっち上げるための『書類的処置』だろう。贅沢な事だと『曹長』は思った。
 一言で言えば『無駄』そのものだ。しかし、今回はそれが生きるのだ。『曹長』はもう少し、思い出話を続ける事にした。
220ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/04/23(土) 14:47:48 ID:???
 
 「レイ大尉が居なくなった途端、お偉いサンは掌を返したように『量産型を君に頼みたい』だからな? 断ろうとした
 オマエの口を塞いだこの俺に感謝すべき所を、なんと嬉しい事にまぁた最前線送りにして…戦闘機乗りにした…」
 「フン、オマエが高官の事をモグラやらハゲ頭などと云うからだ。最前線を戦う兵士のために開発をしているんだ、
 と云うオマエの主張は間違いでは無いが、お役人に染まりきった軍高官には面白くは無いだろうよ、『曹長』…。
 そんな話を持ち出して、一体このオレに何をさせたい? それは『ライトアーマー』の整備よりも大事な事なのか? 」

 アルフは『曹長』を睨み据えた。『曹長』も睨み返す。数瞬の沈黙の後、どちらとも無く笑い出す。RX−79のテストの
際には、この後には必ず罵声の応酬、そして拳と脚蹴りを交えた会話が始まったものだった。『反応が鈍い』と言えば、
『オマエの操作が繊細さに欠ける』、『装甲を削りたい』と言えば『機体の剛性を下げる気か低脳』と、それはもう、日常
茶飯事であった。…別れの日が、テストパイロットの任を解かれた『曹長』の即時異動が発令されるまでは。

 「ライトアーマーの、機動性を上げたい。出来れば…『ブルー』を超える『速さ』を手に入れたいんだ…。今の俺で、
  『中尉』に勝てるとは思えん、だが、せめて、機体性能だけでも追いつきたいんだ! …頼む、カムラ大尉! 」
 「…プランは? 考えて居ないオマエでは無いだろう? 『アレ』を使うのだな? それに、修理用のこの戦艦の
 フレーム…。出来ない事では無いが…大丈夫なのか? オマエの主張する『信頼性』に著しく欠けるのだがな? 」
 「俺は宇宙戦闘機乗りだ! 想定されるGはかなりのモンだが、構うものかよ! 推進系の計算ならやってある!」
 「…見せてみろ、オマエのプランを。話はそれからだ」

 『曹長』は無言で紙資料をアルフに手渡した。下手糞な図が目に飛び込んでくる。×字上に組まれた戦艦のフレームの
一部と、『セイバーフィッシュ』から取り外したスラスターが組まれた姿がそこに描かれていた。『曹長』はこの装置をライト
アーマーのバックパックに連動させる気らしい。ソフト解析も可能なBDチームを乗せ、工作機械も揃っている戦艦ならば…

 「半日だ。半日呉れ。悪いが、テストは実戦に為るかも知れんがな、『下手糞』。それで良いか? 」
 「頼んだぜ、『ヘボメカニック』! 信じてるからな! 」
 「ヘボは余計だ、この馬鹿が…」

 『中尉』が指示した目的宙域への到着までには間に合うだろう。これは絶対、徹夜仕事になる。アルフは喜び勇んで
走り去る『曹長』の背に静かに微笑みかけた。恩は返すぞ、と遠ざかる姿にそっと、囁くように呟いて。
221通常の名無しさんの3倍:2005/04/23(土) 19:36:41 ID:KhemwPLQ
高機動型ライトアーマー・・・ヤバげなニオイがするぞ・・・
222通常の名無しさんの3倍:2005/04/23(土) 22:10:28 ID:???
>>220
なんかX字に(・∀・)ニヤニヤワクワクしてきましたよ。
223通常の名無しの3倍:2005/04/24(日) 14:11:54 ID:8vDLC2T6
多分、ヤザン以外の男性クルーは、
全員、チンこがはれてると思う
224通常の名無しさんの3倍:2005/04/26(火) 12:27:47 ID:+x591zoK
ヤザン厨 うざいよ。お前の書くオナニー小説なんかみたくないよ。こんなとこで
かかないでチラシに書いてお前の友達にでもみせとけ。
225通常の名無しさんの3倍:2005/04/26(火) 16:54:51 ID:???
        (´\r-、     ┼         +     /`/`)    +
     ┼   (\. \!              *     // ,/)  *
  +     * (ヽ、   \ +  *          /   /)   +
      ⊂ニ      )        *   +  (     ニ⊃
  *  +  ⊂、     (   ∩___∩   ノ     ⊃ 「さっさと地獄へ逝けや!」
         (/(/   ヽ | ノ ノ'  、_ヽ /    、)ヽ) ┼
    +        (/     ∨  ● ;;;;;;; ●レ     、)ヽ)   i
     *       (/'(/   |   ( _●_) ミ'   )、)´     |
         +    (/ (/彡、   |∪| ノヽ、)、)、)   + i   l
     +            〉    ヽノ,   | *         |  |
       ┼        / \  \____ /       |    |  i  : : :::;i!|イ、_
           +     /     \_| ,、|)/         | |i  | : : :::li!| : : : : (
  +         *  /  /|   | \\i     |  |l  |l/i |  : : :::li!((::△::)__:ゝ  ←>>224
            / / ノ __ノ  ̄ \. \i!    i    // .| l: : :::li!| 、_\: : ::}
    *     +   (_/   |_/´       \_/- 、, -|l",   l i: : :::ii!| ェェ ヾ: :::}
                         /: : : : : : :|"~   /  : : :::li!|―-、 |: ::ノ
                            /: : : : ::;:;: ;: ;:;|.__ /   : : :::ii!| ̄7/ /::ノ
                       {:: : : :ノ --‐'|       : : :::li!|-┘{/
                       {:: : :ノ ,_;:;:;ノ、| ズバッ!: : :::ii!||  ̄ ̄ヽ
                        l: :ノ /二|       : : :::li!||//\ 〉
                         | //         : : :::!i!| /  \ /
226通常の名無しさんの3倍:2005/04/26(火) 17:00:45 ID:???
ここまで気合の入ったオナニーは>>224には不可能だろうな
227通常の名無しの3倍:2005/04/27(水) 17:09:26 ID:jWvcm2Np
ヤザン大尉!
>>224の修正お願いします!!
ちんこをもぎ取ってやって下さい!!!
228ヤザン大尉:2005/04/28(木) 00:06:56 ID:DaItAU8M
よし! >>227、俺が修正してやるぜ! 
 俺の両手が真っ赤に燃える!
 >>224の度胸を試せと轟き叫ぶ!
 必ぃぃぃっ殺ッ! 「ちぢんどるぞ」フィンガァアァァァァッ!!!
229通常の名無しさんの3倍:2005/04/28(木) 02:09:10 ID:???
>>228は普通に大塚芳忠氏の声でイメージできるな
230ゼータよく知らないんですが、:2005/04/28(木) 14:08:11 ID:???
このスレ見ていると、ヤザン大尉はゲッターロボ(石川賢テイスト満載の)に出ても
不自然じゃなさそうですね。

>>18
声優ネタか!
231スレageついでに:2005/04/28(木) 14:11:09 ID:???
ヤザン大尉の友情出演はなるべくロボットもので。
232230:2005/04/28(木) 18:14:17 ID:???
その場合、ゲッターはアニメ版ね。
233通常の名無しさんの3倍:2005/04/29(金) 10:07:06 ID:???
勝手にスレ上げ。
234通常の名無しさんの3倍:2005/04/30(土) 23:54:01 ID:QTxUE8He
神降臨マダー
235通常の名無しさんの3倍:2005/05/01(日) 18:03:35 ID:???
ガソダムエースでヤザンがサイコパスのように書かれていた。

ふざけんな!!
236通常の名無しさんの3倍:2005/05/02(月) 00:35:34 ID:???
レコアさんを殺せないヤザンラヴ
シロッコよりずっと良いのにねー
237ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/05/02(月) 02:28:01 ID:/4QXrXWw
 …サイコパス扱いはオイラも本当に心外でアリマス! …この手のアレは…!
大尉の、躊躇せず、人を殺せ、MS戦闘好きの面から、そう書かれたのでしょう。
しかし、大尉は単なる『大量虐殺』を嫌っている事実は動かせません。
真実に大尉がサイコパスならば、禁忌感を抱くはずも無く、作戦に参加して
いたでしょう。コロニー落としにせよ、Gガス注入にせよ…。
 ダムAの評者がどう思うにしろ、オイラは、大尉は『血も涙も有る軍人』
だと思います。そうでなければ、アドル曹長やダンケル・クーパー、
ラムサス・ハサやその他『ティターンズ』のパイロット達が命令に『喜んで』
従う筈が有りません。部下に慕われるには、それなりの情の篤さが必要です。
 軍隊は人間の真実の姿が如実に出る所です。戦時中ならなおさらです。

 ヤザン大尉の好きな方。言いたい事は言わせて置きましょう。真実の大尉は、
ヤザン好きの皆様が知っています。オイラは信じています。

 さあ、Z劇場版のトミノ節に、真実の大尉の姿を期待しようではありませんか!
238通常の名無しさんの3倍:2005/05/02(月) 02:28:58 ID:???
バンキシャっぽくなると思う
239ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/05/02(月) 02:32:41 ID:???
>>238
…ティターンズのバスク派の悪事を告白! てな事をやったら…似合いますかね?
240通常の名無しさんの3倍:2005/05/03(火) 13:11:37 ID:kUtEpsy4
総集編では人気出ないだろうな・・・
241通常の名無しさんの3倍:2005/05/03(火) 14:03:14 ID:???
ヤザン、砂漠からの復活。
「…隊長、探しましたよ」」
ゲモンと何でも屋の生活を送るヤザンの元を、一人の連邦軍人が訪ねて来る。
「…ダンケル…か? 」
再会を喜ぶ間も無く、砂漠のオアシスを襲い来る、一機のMS。敵はファンネル装備。
「糞! ジオンめ! 」
ダンケルはGMUで応戦するも、敵わず、コックピットから引きずり出され、放り出される。
「だ、ダンケルゥゥゥゥゥ!! 」
 ヤザンの怒りに火が点き、なんと携帯型ロケットランチャー1本で対戦。死角を突き、
取り付く。ハッチ付近のジョイントを壊し、コックピットに侵入。ナイフを突き付ける。
「MS戦闘は、MS同士だけでやるモンじゃ無い。面ぁ見せろ、この! …子供…だと? 」
ノーマルスーツを取った敵の顔は…!
「所属と姓名を吐け。お前は俺の捕虜だ」
「…プル…フォー…」
今、野獣が、目覚める。
242通常の名無しさんの3倍:2005/05/03(火) 15:25:50 ID:???
>今、野獣が、目覚める
なんかワロタ
243通常の名無しさんの3倍:2005/05/03(火) 18:43:51 ID:???
今、ロリコンが、目覚める
244通常の名無しさんの3倍:2005/05/03(火) 20:08:50 ID:???
『野生の証明』みたいな展開になる御棺
245通常の名無しさんの3倍:2005/05/04(水) 00:25:28 ID:???
続きがみたい
246通常の名無しさんの3倍:2005/05/04(水) 00:46:54 ID:???
何故か子育て編に逝ってしまう(謎

そしてヤザン二世が……
247通常の名無しさんの3倍:2005/05/04(水) 02:02:21 ID:???
>>241
兵器として生まれた少女と、人間として生まれ、戦士の道を撰んだ男。
「こんな所で脱ぐな! いい年をした娘が! 」「…何を戸惑っている? 私はただの兵器だ」
そして、二人を追う女達。
「ハン! 男風情がアタシのペットを奪うなんざぁ、百年早いんだよッ! 」
「姐さんのワガママには正直、飽き飽きしましたわ…」
少女の無意識の挑発に、ついに野獣、覚醒。
「…犯すぞ? コラァ? 」「…軍規をか? ティターンズは消滅したと私は聞いているが? 」
一人乗りのMSのコックピットに、2人乗り。男の膝の上に、少女が座る!
「…先程から、私の臀部に堅い物が当たるのだが? 」「…解ってて言ってるだろ? お前…」
闘いにより人の心を失った野獣は、マリオネットとして生まれた少女を人間にする事が出来るか? 
248通常の名無しさんの3倍:2005/05/05(木) 03:33:47 ID:???
っつーかプルフォーってまともにクチきけるのね。
249通常の名無しさんの3倍:2005/05/05(木) 14:17:43 ID:???
>247
(・∀・)イイ!!
250通常の名無しさんの3倍:2005/05/06(金) 12:47:54 ID:???
 「そう…そうだ…スティックは優しく、柔らかく握れ…」
男が私の右手に己の手を重ねる。男のがさつな言動に似ず、その手の感触は柔らかだった。
 「この機体は『遊び』が殆ど無いか…糞! 」
 偶然乗った機体。濃紺の…ガンダム。廃棄扱いに為っていたらしいこの機体を奪取したのは、
この男の鮮やかな働きだった。私を病人に偽装し、まんまと廃棄場に入り込み、軍服を奪い…!
 「何やってる! 俺には『アレ』の動きが解らん! 『アレ』は何処に居る! 早く教えろ! 」
 …私には不思議だった。この男は確実に『因子』を持っている。発現しない事が不自然な程だ。
何らかの理由で『それ』を拒んでいるだけなのだ。それに目覚めてしまえば、話は簡単なのだが…。  
 「戦闘中に他の事を考える奴は早死にするぞ! 俺に『アレ』の位置を教えろ、早く! 」 
 「五月蠅い! 貴様が喚くから捉えられなく為る! 黙れ! 」
 …嘘だ。私は怖かったのだ。この男が『目覚めて』しまう事に。私の思いを『理解』されてしまう事に。
そして…私がこの男に…『要らない』と言われてしまう事に。私は…この男に必要とされて居たかったのだ。
 「右だ! 『観え』無いのか?! 」
 「糞! 糞ガァ! だからサイコミュってのは度し難い! こんな感じはメイルシュトローム以来だぜ! 
  俺は、俺は生きているぞ! 俺は生きている! まだ戦っているぞ! ラムサス! ダンケル! 」
 悪態を吐く男の顔を私は見上げた。その口元は…嘲笑っていた。何故か私の胸が切なく、痛む。 
私を病人に偽装した時…心底、気遣う素振りをしていた癖に…! この男の全てを知りたい。私はファンネルの
攻撃イメージを精神で感知しつつ、男の固くそそり立ったものを臀部に感じていた。
251通常の名無しさんの3倍:2005/05/06(金) 16:46:31 ID:???
誰との絡みなんだろう・・・フォウ?
252通常の名無しさんの3倍:2005/05/06(金) 23:54:42 ID:???
上のプルフォーじゃね?
253通常の名無しさんの3倍:2005/05/07(土) 01:46:37 ID:???
よく読めばそうだ
254通常の名無しさんの3倍:2005/05/07(土) 02:17:13 ID:???
「ショック状態で、体温を維持させるにはこの方法しか無かった。…どうした? 」「…あたたかいな…」
エネルギーの節約とばかりに空調を切ったコックピットの中で、ヤザンの逞しい胸板に、頬を擦り付ける少女。
追っ手を振り切ったのは良いが、ストレスの溜まったプル・フォーが顔を真っ蒼にしてへたり込んでしまったのだ。
ヤザンに出来る事は、体温の維持。ノーマルスーツを脱がせ、下着だけにし、自分も裸に為り、己のマントで包む。
「お前も人間だって事さ。間違っても、兵器なんかじゃない。兵器が…」「!!!な、何をするッ! や、止め…ンッ…」
ヤザンは少女のまだ薄い胸の頂を軽く摘み、弾く。少女の何かを耐えているような、切なげな表情を見て、哂う。
「兵器がこんな反応を示す訳が無い。!!! 」「お返しだ…この不埒者ぉ…不良軍人め…捕虜を虐待する悪い奴…」
ヤザンのそそり立った男根を掴むプル・フォー。それは焼けるように熱く、そして、MSのフレームよりも固かった。
「大人を…からかうなよ小娘…」「小娘をからかうな、大人め」「…ほう、兵器じゃ無かったのか? 」「抜か…あんッ!」
ヤザンが急に立つ。全周囲モニターをしっかり確認していたらしい。手にしたノーマルスーツを少女に投げ付ける。
「早く着ろ、小娘。敵が来た」「…そんなに戦いたいのか? 自殺行為に等しいぞ…」「やってみなきゃあ、解らんさ」
ヤザンの機体は、廃棄寸前のガンダムMk-Uアドヴァンス(試作の試作)。武装はビームサーベルが2本きり。
「ファンネル1つも満足に避けられん癖に…」「そのために、お前を生かして有る」「それだけの…ためだけにか? 」
そう言った、少女の表情はヤザンの視界には映らない。ヤザンの目はただ、迫り来るキュべレイ量産型に向けられていた。
255通常の名無しさんの3倍:2005/05/08(日) 23:57:42 ID:???
神降臨マダー
256通常の名無しさんの3倍:2005/05/13(金) 02:58:34 ID:???
ヤザンが主役のガンダム=ジオン軍が物凄いテロリストに描かれるに違いない。エゥーゴは激悪組織に。
257通常の名無しさんの3倍:2005/05/13(金) 03:11:12 ID:???
黒富野全壊発動。間違いない
258通常の名無しさんの3倍:2005/05/13(金) 03:21:44 ID:zCqxuebb
 正統な言い分をもつキャラクターだろうがなんだろうがミナゴロシの戦争モノとして
『正しい』ガンダムができあがるとおもう 矢算を一般兵士としてえがけばかんぺきw

 あわせてモビルスーツの開発系統も整備されればガノタのオレとしてもうれしい
259ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/05/14(土) 15:43:25 ID:qBk4eHtD
…これは、俺の夢だ。見て直ぐに解る。俺は眠っている。そうだ、夢だ。…いや、過去の記憶だ。

 『よくもお兄ちゃんを…! 覚えてなさい! いつか必ず…殺してやるから! ティターンズの犬! 』
 『俺は犬では無いぞ、お嬢ちゃん? ヤザン・ゲーブル中尉だ。敵の名前ぐらい、キチンと覚えて置け! 』

 0085、サイド1、30バンチ。当時既にティターンズに入っていた俺はガス注入には参加をしなかったが、胸糞の悪い
作戦だった。コロニー内で決起した暴徒に『無力化ガス』を注入する名目で、かなりの部隊が動いていた。俺はと言えば、
その効果確認を命じられ、2人の部下と共にハイザックで潜入していたのだ。潜入する際、味方が運んでいたボンベを
視認した。表示用の塗装を剥がされてはいたが、その形状は俺の頭の中に叩き込まれていた物と同じだった。『G−3』。
 
 『…鎮圧だと? …これでは唯の虐殺だろうが! ダンケル! ラムサス! …解って居るな? 俺達は軍人だ! 』
 『ハイ! ヤザン隊長! 急ぎましょう! 通信を傍受したら、ガスの注入準備は終わったそうです! 』
 『速やかに民間人を逃がす! 了解しましたよ! ゲリラの巻き添えにはしたく有りませんからね! 』 

 あの当時のティターンズ…少なくとも、30バンチが始まる前のティターンズ主流派には、真っ当な理念が有った。
スペースノイドとて連邦市民であり、最小限の犠牲で済ます。それを忘れては居なかった。…この事件で、強硬派が
実権を握ってしまった時から…ティターンズの理念は地に堕ちたに等しかった。…規格外れの俺が言うのも、難だが。

 『ベイトの奴に連絡しろ! 港の一部を空けて置けってな! マスコミに漏れるのを恐れて、目撃者と為った民間人を
 奴等は皆殺しにする筈だ! G−3を撒く奴等に軍人の良識など期待するなと言って置け! 俺は少しでも多くを…』
 『隊長! 何を…』
 『コロニーに穴を空けて、ガスを逃がすんだよラムサス! ダンケル! お前はベイト達と共に港を抑えろ! 行け! 』 

 俺はハイザックの全武装をコロニーの『窓』に向けて発射した。…コロニー公社が緊急警報を流すのを期待しての事だ。
期待通り『窓』は割れ、一切合財を外の『宇宙』に吸い出される『穴』が出来上がる。…これで少しは時間が稼げる筈だ。
 俺の目の前のモニターに、少女が流れて行くのが見える。14歳位の、髪の長い娘だ。俺はマニピュレータで娘を捕まえ、
保護する。…今にして思えば、ただの気まぐれだったのかどうか、解らない。どの道、あの世の贖罪など期待しては居ない。
 俺は軍人だからだ。人を飽きる程、殺して来た。沢山、殺した。1人の罪の無い人間を救ったからと言って…許しなど期待
はしない。俺に出来る事は…少しでも『無駄な』犠牲を少なくする事だけだった。…殺しに慣れている奴の方が、巧くやれる。

 『…頭を打ってはいない様だな…。運の良い娘だ…」

 被っているベレー帽と巻き上がるチェックのロングスカートを必死に押さえていた御蔭だろう。丁度ジュードーの『受身』の
体勢でハイザックのマニピュレータに『ぶつかった』のが功を奏した。俺は止せばいいのにハッチを開き、怯える少女を抱え
コックピットに連れ込み、リニアシートに座りハッチを閉じる。…俺が、救ってしまったのだ。毒喰わば皿までの心境だ。

 『なんて事すんのよ! ティターンズ! コロニーに穴を開けるなんて…! 』
 『お前の名前は! お前の家族が危ない! 今、このコロニーにガスが注入されているんだ! 黙って補助シートに座れ! 』
 『!! …ルー・ルカ…』

 気の強そうな目付きで俺に突っかかって来た娘は、俺の剣幕に押され、黙った。…当然だ。俺は子供だろうが餓鬼だろうが
女だろうが、スペースノイドだろうがアースノイドだろうが容赦はしない。そいつらは俺と同じ人間で、赤い血が流れているからだ。
 
 『隊長…! アレを…! 』
 『糞…! 間に合わなかったか…! 』

 …それは悪夢だった。元気そうに歩いていた子供達が、喉を掻き毟り、首から血を流して倒れて行く。ベンチで愛を語らって
いただろう若い男女が、嘔吐を繰り返し、白目を剥いてのたうち回る。生物と云う生物の命が、俺の目前で風前の灯火の如く、
揺らめき、そして消えて行く。…全天周囲モニターは残酷だ。その全てを映し出す。補助シートに座った少女は、肩を震わせ、
泣いていた。静かに…すすり泣くでも無く、ただ、涙を流して…。それを俺は、美しいと思った。怒りからの涙と、悟ったが故に。
260通常の名無しさんの3倍:2005/05/15(日) 05:18:38 ID:???
乙です。
ヤザン厨氏の書くヤザンはすげーカッコいい。
261通常の名無しさんの3倍:2005/05/15(日) 15:16:09 ID:???
ヤザンはカコイイんだが
ヤザンに絡む既存キャラの選択は
作者の趣味なのか?
262通常の名無しさんの3倍:2005/05/15(日) 18:19:31 ID:???
>>261
正直ジェリドやカクリコンが>>259のヤザンの指示に従うとは思えない
263通常の名無しさんの3倍:2005/05/15(日) 20:33:30 ID:???
今まで出てきた既存キャラ(順不同)

キャラとして文中登場      名前だけ

ヤザン・ゲーブル         アムロ・レイ 
マリオン・ウェルチ         テム・レイ
ユウ・カジマ             ベイト
二ムバス・シュターゼン モンシア
アルフ・カムラ アデル
EXAM・SYSTEM
フィリップ・ヒューズ     
サマナ・フュリス
モーリン・キタムラ
モーゼス・クルスト
ヘンケン
ヤザン・ゲーブル(若)
アナベル・ガトー
ケリィ・レズナー
オットー・カリウス
ハサン先生
ルー・ルカ
フォウ・ムラサメ?
ロザミア・バダム?

ぐらいなもんか。あと出るとしたら…やっぱりバニングかと予想
264通常の名無しさんの3倍:2005/05/15(日) 20:34:22 ID:???
ダンラム忘れてるぞw
265通常の名無しさんの3倍:2005/05/15(日) 22:54:30 ID:???
>>261-262
作中で「ジェリドのバカ」扱いしているぐらいだしねぇ(若ヤザン初登場の時)

>>262
ヤザンの部下お二人(>>259の回想にて)が抜けているような。
あと、名前だけにジェリドも加えても良いかと。
266通常の名無しさんの3倍:2005/05/18(水) 11:59:59 ID:ybM0AYNI
保守
267通常の名無しさんの3倍:2005/05/18(水) 17:30:19 ID:???
おい、ぼまいら! ガディ・キンゼー艦長をわすれてますがな!
268通常の名無しさんの3倍:2005/05/23(月) 00:07:27 ID:???
hosyu
269ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/05/25(水) 13:40:31 ID:???

 『…そん…な…』

 少女が、やっと言葉を発した。遙か眼下に見える、のたうち、痙攣する少年に見覚えが有るのだろう。
口に手を当て、信じられない、と言った蒼白な顔をしている。…元より大理石の如く白い肌をしているのだが。

 『知り合いか? …済まんがもう、手遅れだ…』
 『助けて! お兄ちゃんを…助けて! 』

 俺は懇願する少女に首を左右に振った。Gガス散布下の大気中だ。ノーマルスーツを着用している俺は
ともかく、この少女は酸素マスクすら持っては居ないのだ。少量のガスに、皮膚が触れるだけで死に至る。
Gガスが旧世紀のVXガスよりも更に凶悪な性質を持っている事を教導団時代に俺は、叩き込まれていた。

 『…俺に出来る事は、早く楽にしてやる事しか無いんだよ…』

 俺はハイザックにビームサーベルを握らせた。俺のハイザックは、マシンガン装備だ。ジェネレーターの
出力の関係上、ビームライフルとの併用は当時は不可能だった。…近接武器が強力な方が、俺の性に合う。
 俺はスティックを操り、ゆっくりとビームサーベルを少年に近づける。俺の意図する行為に気付いた少女が
俺の右腕に縋って必死にスティックから引き剥がそうとする。…俺は、無言で少女を振りほどき、全天周囲
モニターを構成する壁面に叩き付けた。そして迷わず、苦しむ少年をビームサーベルで炭化させ、塵にした。
 少女はその一瞬の光景を…細大漏らさず目にしていた。少女の秀麗な顔は、怒りに歪んでも…綺麗だった。

 『よくもお兄ちゃんを…! 覚えてなさい! いつか必ず…殺してやるから! ティターンズの犬! 』
 『俺は犬では無いぞ、お嬢ちゃん? ヤザン・ゲーブル中尉だ。敵の名前ぐらい、キチンと覚えて置け! 』
 
 俺は敢えて、少女に名乗った。これから少女は、天涯孤独の身と為るだろう。支えと為る物が必要となる。
当時の俺が家族を殺された恨みを晴らすために軍に入り、生き残る術を身に付けた様に、この少女にも…
怒りを向ける対象が必要な筈なのだ。…だが、この少女、ルー・ルカはガスを散布したティターンズ兵の顔を
知らない。ティターンズは少女の華奢で優美な細い腕で倒せる程…情け無い軍事組織では無いのだ。

 『俺がティターンズに入ったのはなぁ! ジオンが俺の家族を皆殺しにしたからだ! 借りを返しただけだ! 』
 『…だからって…だからって…! 何で…何でなのヨォッ! 』

 俺を憎む事で、生きる支えが出来るのならば、俺は喜んで憎まれよう。それが俺に出来る、精一杯の事だ。
俺を殺そうとする目的のためならば、どんなに辛い事でも耐えられる。そしてその経験は…お前の血肉と為り、
生き延びる力と為るのだ。少女は泣きながら俺に縋り付き、拳を、膝蹴りを、打撃を…俺の身体に浴びせ続けた。

 『離れろ! この反応は…敵か! 』
 『エゥーゴが…! 来てくれた…! アンタもこれまでね! ヤザン・ゲーブル! 』

 俺は補助シート目掛けて少女を振り払った。ポスン、と少女は呆気無くシートに落ちる。俺は少女に向かって
歯を剥いて、憎憎しげに哂ってやる。…悪役を演じるのも、悪くは無い気分だ。道化を演じるのも、久し振りだった。
270通常の名無しさんの3倍:2005/05/25(水) 21:12:23 ID:???
>>269
少量だけど新作キタ━(゚∀゚)━!!!!


以前はどういう道化を演じたのか小一時間……
でも、外伝書くのは本編の進行に対して大変危険なので本編終了後にお願い致しますな。
271ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/05/25(水) 22:14:41 ID:???

 『06の高機動型が3機…? 情報は本当だったのか…おい! 交戦の意志は当方には無い! 住民の… 
  30バンチ市民の生き残りを…民間人を保護した! スペースノイドの大義を標榜する団体に任せたい! 』
 『た、隊長…?! それは利敵行為そのものです! 』
 『ラムサス! お前も港に向かえ! これは命令だ! いいな! 』
 『…了解! ヤザン隊長、ご無事で! 』
 
 俺は掟破りの、接触を試みる。…俺一人ならば何の問題も無いが、民間人を乗せている。むしろこいつ等に
保護して貰った方が、少女にとって幸せだろうと判断したのがその理由だった。少女は信じられない、と云った
顔で俺を見つめていた。…それはそうだろう。とても『俺はティターンズだ』、と見栄を切った男の台詞では無い。
 ビームサーベルを収納し、マシンガンまで置いて見せた俺のハイザックに…高機動型06は発砲を開始した。

 『…う、嘘…! 何で撃つわけ?! 』
 『フン! 信用せんのは当たり前と言う事か! ティターンズは貴様等よりもまともな軍事組織なのだがな! 』
 『二重の意味で困るのだよ! 30バンチは墓標と為らねばならんのだ! ティターンズは飽くまで虐殺者で
 居て貰わねばならん! 我等スペースノイドの大義のためならば、多少の民間人如きの犠牲は止むを得…』

 コイツは本物の『ジオンの亡霊』だ。デラーズ紛争を引き起こしたテロリストどもの正統後継者だ。それならば
生かして置く必要は…これっぽっちも存在しない。俺は置いたマシンガンのストックをハイザックの足で踏んで
起こし、マニピュレーターに装備させ、正面の06に向けて発砲する。命中確認! …この、アマチュアがぁ! 

 『…子供のお前にも解り易く解説してやろう! お前は頭の悪いこいつ等にとっては、かなり邪魔な存在なのさ!
 お前がティターンズの俺に助けられた事実もそうなんだが、エゥーゴが実は事前にGガス攻撃を察知していて、
 それを看過していたと言う事実を知ってしまったからなぁ! しかし馬鹿な奴等だな! 高度な政治と云う物を、
 全く、理解して居ない! 』

 左右同時に掛かってきた06を、俺は右腕に装備させたマシンガンと、左腕に装備して、即座に発動させたビーム
サーベルを交差させ、仕留める。…何処かで見ているだろう、エゥーゴのプロパガンダ部隊は、歯噛みしている事
だろう。何せ、今のは、映像栄えがするMS戦闘だからな! …俺の今の戦闘は『魅せるため』の教導団の技術だ。

 『どういう…こと? 』
 『ン…、お前みたいな綺麗な娘に、涙ながらにマスコミの前で『ティターンズの非道』を語らせれば、即、俺達は
 外道認定をされる。…俺はこの民間人にも累を及ぼした、大量殺戮行為を許せん。だからお前を譲ろうとしたの
 だが…奴等は千載一遇の好機を逃がしたって寸法だ。…自分の高価値が理解できたか? ルー・ルカ? 』
 『…顔に似合わず…アンタって頭良いのね? 』
 『…ティターンズは一応、エリート軍人の集団だ。最も、軍人思考しかやれん連中がこんな事をしてくれたがな?』 

 これからどうするの? と云う顔で少女が俺を見る。…俺の解説は少女の好奇心を刺激したらしい。…先程まで、
哀しみと怒りを抱いていたのが嘘の様だ。…ん? 背後にもう一機か! フン! 偵察型風情が俺に敵うモノ…!?

 『…隊長! ヤザン隊長! お見事でした! でも…俺はそんなに力不足ですか? 』
 『命令違反だな、ラムサス・ハサ? …港はどうなっている? 押さえたか? 』
 『アル・ギザが後20分で入港するそうです! ヤザン隊長には『障害排除』を願いたい、との事です! 』
 『障害排除って…? ティターンズがティターンズを敵にするのッ?! 』
 『大人の世界は複雑なんだよ、お嬢ちゃん! 舌噛むなよ! 』

 無茶な事を言うものだ、あの艦長も…。最も、一度死んだ事に為っているだろうから、怖い者など何も無いに違いない。
さらにこれを引き起こした『脳味噌筋肉野郎』のバスク派には恨み百倍の口だからな! やって見せるさ! 味方殺しをな!     
272ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/05/25(水) 23:04:18 ID:???

 その後俺達は、港に着いた『アル・ギザ』とともに脱出し、艦長の伝手で少女を『ラビアンローズ』に預ける事にした。
脱出の際、少女を乗せて派手に暴れた俺は、どうやら少女の進路を決定する事に寄与したらしいと風の噂に聞いた。

 『きっとアンタより腕のイイMSパイロットに為って、必ず殺しに来るから! ティターンズのヤザン・ゲーブル! 』
 『期待しないで待ってるぞ? お嬢ちゃん? 最も腕試しの途中で、俺以外の誰かに堕とされるかもしれんがな?』
 『アンタがそれまで生きてるって、保証も無いけどね! …ぁりがとぅ…』
 『はん? 何か言ったか? じゃあな! 頑張れよ、エゥーゴのルー・ルカ! 』

 『ラビアンローズ』で別れてから、不幸なのかツイているだけなのか…それから一度も少女とは遭遇しては居ない。
しかし何故俺は久し振りに、『夢』を見ているのだろうか? 何時も、何も見えなかった筈なのに…。疲れて、いるのか?

 『…生き延びる意味を…探しているのね…? ヤザンさん…。待ってる人が居るって…信じたいから…』

 映像が消え、暗闇だけの視界に、『マリオン』の声が響く。俺は目覚めているのか、眠っているのか、解らない気分に
為った。苦笑のイメージを作ると、暗闇だった視界が宇宙(そら)を写す。妙にその宇宙は蒼く、星々は光り輝いている。

 『命を奪う事は罪だろう。しかし…俺にはそんな生き方しか、出来ない。他の誰かの犠牲でしか、生を実感出来んのさ』
 『それを罪だと解るヤザンさんにしか…出来ない事だって有ると…思うの…』
 『気休めは良いよ、マリオン…。もう、静かに眠らせてくれないか? 何度見ても、気分の悪い夢なんだ、アレは』
 『それは嘘。私には…わかるもの』

 天使が背中を向けて拗ねているのが見える。俺のアタマはもう、何処かの回路がイカレているのかも知れん、と真剣に
思った。妄想にしてはクリアで、俺は正気を保っている。第一、本当にイカレて居る奴は自分の精神の正常さを疑ったりは
しないだろう。俺は…俺だ。俺は自分の体を意識する…って、何で『俺自身』の、ヤザン・ゲーブルの身体なんだ?!

 『私は、ヤザンさんに目覚めて欲しい…。そして…私と同じ物を見ていて欲しいの…。こんなに綺麗な…生命の…』
 『止めろォォォォォォォ!! 』

 俺は叫ぶと同時に完全に覚醒した。見えるのは何時もの、狭苦しい『ブルー』のコックピットだ。…全く…こうなると、
あのハサン軍医の戯言も信じたく為って来る。俺の、いや、『ユウ・カジマ』の脳の限界が近づいているかも、知れない。
 その証拠に、今は全く、ユウの意識の発動が感じられない。…『ブルー』、『マリオン』、俺にお前達は何を見せたい?
273通常の名無しさんの3倍:2005/05/26(木) 17:42:41 ID:???
外伝もイイ!
ヤザンカコイイよヤザン
274通常の名無しさんの3倍:2005/05/26(木) 23:38:22 ID:???
>>271
ちょいまて
>あの艦長も…。最も、一度死んだ事に為っているだろうから、怖い者など何も無いに違いない。
これはっ!!

(回答不要というか、最後までネタバらししなくて結構です)
275通常の名無しさんの3倍:2005/05/27(金) 00:34:08 ID:???
ヤザンがかっこぃぃぃいいぃぃぃぃぃぃぃよよょよょょぅぅううううぅうん…(;´Д`)ウッ!
276通常の名無しさんの3倍:2005/05/27(金) 14:25:25 ID:qaFIw20+ BE:173145694-#
戦闘自体を好む激しい性格で、
サラ・ザビアロフに野獣のような男と称される。

ただ、コロニー落としやサイド2への毒ガス攻撃などの
弱者への残虐な作戦に対しては反対している。
また、部下想いの一面もある。

ニュータイプが圧倒的な強さを見せるガンダムシリースにおいて、
強さ、インパクトとともに最強のオールドタイプであるといっても過言ではない。

277通常の名無しさんの3倍:2005/05/28(土) 13:12:19 ID:???
劇場版Zガンダム上映日記念カキコ
278通常の名無しさんの3倍:2005/05/29(日) 11:11:10 ID:???
ヤザンって中尉から大尉にいつ昇進したんだっけ?
279通常の名無しさんの3倍:2005/05/29(日) 13:00:50 ID:???
ジャマイカン謀殺時は中尉、シロッコと会ったときには大尉だったと思う。
コスチュームチェンジ!(大尉以上で許可なのか?)
280通常の名無しさんの3倍:2005/06/02(木) 12:15:19 ID:???
劇場パンフレット2部予告にヤザン発見。階級章は中尉。
281通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 00:19:29 ID:???
よっしゃ!
実は心配してたさw
282通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 02:13:17 ID:???
パンフのは新規作画だな。
283通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 12:51:38 ID:???
最近のアニメキャラの甘すぎる性格に辟易したガノタに、ヤザンの痛快さは新鮮にうつるであろう!
284通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 12:56:52 ID:???
パンフレットのヤザン、TV版よりかなり顔が怖いよ。声も撮り直しだから楽しみ。
285通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 12:57:29 ID:???
カミーユの暴走のトドメを刺すには必須なキャラ、ヤザン。
しかし新約Zではカミちゃんの精神はほーかいしない。
・・・ただのザコ化だけはやめてね? 冨野神サマ・・・。
286通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 12:59:08 ID:???
アドル曹長のタマタマニギニギ、ちぢんどるぞぉシーンが入ってる事を祈る
287通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 13:05:57 ID:???
アドルごとカットだろ

ポジチブ富野なヤザンかあ…想像つかんねえ
288通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 13:18:43 ID:???
Gガンのチボデーみたいな軽いノリになる。



あの顔で。
289通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 13:21:32 ID:???
ブランがはじけてるから必要無い気もするけどな
290通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 13:24:13 ID:???
んんんなぁぁぜぇぇだぁぁぁ!
291通常の名無しさんの3倍:2005/06/03(金) 14:01:48 ID:???
劇場版ではあの変な私服はどうなるんだろ?
292通常の名無しさんの3倍:2005/06/04(土) 00:53:19 ID:???
縮んどるぞ!はカットされそうな悪寒
293通常の名無しさんの3倍:2005/06/04(土) 01:26:47 ID:???
知らんがな
294通常の名無しさんの3倍:2005/06/04(土) 11:28:33 ID:???
こんな良スレがあったなんて知らんかったよ・・・
読んでて絵が次々と浮かんでくる。ヤザンカコイイ!
295ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/06/06(月) 17:32:10 ID:???

  『ユウ…起きてる…? 起きてるんでしょう? 』

 遠慮がちなノックと声が、閉じた頭上のコックピットハッチから聞こえて来る。…モーリン・キタムラ伍長の声だ。
思えばこの所、『ユウ・カジマ』の俺が『仕事』以外でキタムラ伍長と話す機会は全くと言って良い程、無かった。
 
 『ねえ…ユウ…返事をして…』

 寝る時もブルーのコックピット。起きている時はMS関係でアルフ、戦闘行動ではフィリップ、サマナ、『曹長』と
付きっ切り。ヘンケン少佐と、宇宙に上がってからは艦長のガディも含めて作戦行動についてのMS戦隊長として
の意見具申。食事は何時も戦闘食のハンバーガーをパクつき5分で終了。トイレは水分補給を控え一日2回で
計10分。ハッキリ言ってまともに仕事以外で『女』と話しているとすれば…寝る時に『マリオン』とだけだ。
 シャトルの打ち上げの前に、自分の不安を誤魔化すためだろうか、サマナが冗談めかして言うには…

 『ユウと僕はデキてるって陸戦隊の女の子の評判ですよ? ユウ・カジマの『受け』疑惑、って話も…ぶべら! 』

 まあ、俺は皆まで言わせなかったが。ユウの秀麗なマスク、ストイックな態度が『女嫌い』を思わせるのだろう。
第一、下らん女などに関わっている暇が有れば、戦闘準備に全力を傾けている。俺の高尚な趣味であるMS戦闘に
費やす時間の方が、俺にとっては至高の快楽なのだ。まだ見ぬ未知の強敵のために、己の持てる全ての『力』を示す
ために! そのためならば、俺は男の本能を、遺伝子の呪縛を断ち切る事など簡単に出来る。その下賎な獣欲すら
俺はMS戦闘のため、攻撃衝動として利用するだろう。…俺は誰にも、負けたくは無い!
 
 『ユウ…? 』

 ユウとの約束が有った。彼女にはユウ・カジマとして接してくれ、と。しかし…本当に接したければ本人がやれば良い。
シャイだか気取ってるんだか知らんが、ここまで付きまとわれると正直、ウンザリしてくる。毎回『マリオン』を宥めるのは
この他ならぬ『俺』、ヤザン・ゲーブルなのだ。二ムバスからの『メッセージ』を受け取ってから、改マゼラン級『艦番83』
は丸一日最大船速で行動している。俺の計算なら、もう半日で目的宙域に着くだろう。これが最後かも、知れんしな…

 「アルフに激怒されんうちにコックピットハッチから降りるんだな、キタムラ伍長! 第一、お前が乗っていたらハッチを
 開けようにも開けられん! 宇宙だから転がり落ちる心配は無いが、お前に怪我をされては…」

 俺はユウにどう言い訳をすればいい? と言いかけて俺は口をつぐんだ。感情のままに怒鳴れば、俺の正体がバレて
しまう。…マリオンの見せる『夢』が、俺の健全な精神状態を阻害しているのだろう。熟睡が出来ないと人間は、得体の
知れぬ焦燥感を抱き易い。俺は深呼吸をし、心の中で自分に冷静に為る事を言い聞かせる。…よし! 俺は『ユウ』だ!

 「…困るんだよ、モーリン。…今、ハッチを開けるから…」
 『ごめんね…ユウ…』

 トン、とモーリンがハッチを軽く蹴る音が聞こえた。俺はハッチを開ける前に笑顔を作ってみる。モニター映像を消して、
パネルに顔を写して見るが…駄目だ! どうしても…哀しい位、『ヤザン・ゲーブル』の笑みだ。獲物を前に舌舐めずりを
する、荒々しく凄みの有る印象を与える、例えて言うなら、ハイエナの様な…狡猾な肉食獣の微笑だ。…ええい! ままよ!
自棄になった俺はハッチを開放した。…眼前に漂うモーリンの、俺を、ユウを見て綻び掛けた笑顔が、引き攣っていた。

 「…どうした? モーリン…? 」

 まさか!? 内心の動揺を押し隠して、俺はユウらしく尋ねた。俺は正直…女は苦手だ。何を考えているか、など…解らん。
だから、MSを降りれば、女性には出来得る限り優しく、紳士的にして来た。避けていたツケは…さぞかし高くつく事だろう。

 「ユウ…! 」

 引き攣った笑顔から、キタムラ伍長はポロポロと、涙の玉を生み出していた。なあユウ、俺は…これからどうすれば良い?
296通常の名無しさんの3倍:2005/06/06(月) 21:02:21 ID:???
続き続き!
297通常の名無しさんの3倍:2005/06/06(月) 21:30:14 ID:???
キタ―――――!待ってましたよ。
298通常の名無しさんの3倍:2005/06/06(月) 23:21:23 ID:???
キタキタキター!!!
299ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/06/07(火) 00:22:52 ID:???

 「ど、どうした? いきなり怒鳴ったのは悪かった。だから泣くのは勘弁してくれ、キ…いや、モーリン? 」
 「『ブルー』に、貴方を獲られたような気がしてたから…やっと、振り向いてくれたって…! 嬉しいのに…」

 …う〜む。嬉し泣き、なのか? そんなに冷たく接してた…な。出撃前、戦闘中、帰還後のオペレートでも徹頭徹尾、
俺は仕事以上の会話はしなかった。彼女を呼ぶのも『キタムラ伍長』で終わりだ。モーリン、と俺、ヤザン・ゲーブルが
呼び掛けるのは気が引けたからだ。何処の世界に、他人の思う女性を気安く呼ぶ紳士が居ると言うのだろうか?
 それも、当人の見ているだろう前で、だ。ユウは俺のすぐ傍に居た。地上でも、宇宙でも、だ。俺は卑劣漢では無い。

 「こうして話せる時間が嬉しいのに…涙が…止まらないの…。どうして…こんなに…」
 「…切ない、と云うのさ。そんな時は…」
 「えっ? 」

 俺は若い頃に見た、ヴィデオディスクや本の知識を脳味噌の記憶領域をフル回転させて思い出す。この脳味噌は
現実にはユウ・カジマの所有物なのだが、何故か俺は求める記憶を拾い上げる事が出来た。…男はタフで無ければ
生きて行けない。だが…『優しく無くては、生きている資格が無い』! 口数の多い男は俺の性には合わんが、この際
仕方が無い。俺がユウ・カジマで無い事がこの時点でキタムラ伍長にバレたりしたら…今度こそ撃たれるに違いない!

 「これで、最後かも知れないと、キ…君が…心の何処かで思っているからだろう…」
 「そんなこと…! 私、信じてる! ユウは、私の『蒼い稲妻』は…エースだもの! きっと…! 」
 「きっと還ってくる、か? 違うな。必ず、還って来ると云う保証は誰も出来ない。それが、戦争の真実だ」

 人間の、他人の思い込み風情で必ず生還出来るのならば、戦場で戦死する兵士など誰も居なくなるに違いない。
皮肉では無い。誰だって、死にたくは無い。やりたい事だって有るだろう。ただ、それは戦う本人の生存欲求に直結を
しない限り…強い思いなぞ糞の役にも立たんシロモノなのだ。戦う本人の思いからして邪魔に為る場合だってある。
増してや他人の思いなんぞは…だ。こんな事を思う俺は多分…人でなし、と罵られる類の人間だろう。
300ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/06/07(火) 00:23:27 ID:???
「ユウ…」

 しまった。完璧に…泣かした。キタムラ伍長は、不安だったのだ。だから、縋(すが)るモノが欲しかったに違いない。
相手がまだ子供に毛が生えたばかりの年頃なのをすっかり忘れていた俺の…ミスだ! しかし、まだだ! まだ…!

 「しかし、俺は誓う。きっと、還って来る。君の、ために。泣き顔なんて、何時も笑ってくれていた、君には似合わない。
 俺が包囲されていた時も、機体を失いかけて途方に暮れて居た時も…何時も君は俺を明るく励まし続けてくれた…」

 大嘘だ。俺はそんな事は1oだって思っちゃあ居ない。それにキタムラ伍長は切ない思いを『ユウ・カジマ』に向けて、
必死にオペレートし続けていたのだ。それを俺本人に向けられている、と誤解する程…俺は馬鹿では無い。むしろ俺が
本当に感謝しているのは…! 

 『ヤザンさん…今だけは…私の事は忘れて…。今は…モーリンさんのユウ・カジマで居てあげて…ね? 』

 優しいな、『マリオン』…。ああ、解ったよ。済まない。こうして客観的に見るとだ、お前の方が遙かに大人なんだと俺は
思うぞ? 少なくともお前は目に見えて、俺に付き纏ったりはしないし、寂しいから、不安だからと俺を一々煩わせない。 

 『…それは、違う…! ヤザンさん、だから今は…』
 「俺は、君にどう想われているか解らない。俺は…自分のベストをこれまで通り、尽くす。それで、君の元へ還って
 来られるならば…そうしよう。だが、それじゃあ、味気無い。やっぱり、笑顔で迎えてくれる女の子が居てくれる方が
 いい。君の笑顔を見るために、還って来るよ…モーリン…」 
 「ユウ…ユウッ!」
 『ヤザンさんっ…私…私…そんな風に…想われてっ…』

 辺りは乙女の涙で凄い事に為っている。俺の今の言葉の、最後の名前だけは完全に異なると、解って欲しい相手に
確実に伝わってくれた事が救いだった。俺がキタムラ伍長に約束した事を守れるのは、多分今の肉体に関してだけだ。
 ユウ・カジマが無事に還って来るためには…EXAM SYSTEMをこの世から消滅させねば為らない。それは多分、
俺の、『7年後のヤザン・ゲーブル』の消滅を意味する事なのだ。それと同時に…『マリオン』とも…

 「!! 敵襲?! こんな時に…! 」
 「モーリン、最後に為るかも知れない。オペレートを笑顔で、な? さよなら、モーリン…」

 けたたましく警報の鳴る中、俺はキタムラ伍長をキャットウォークへと流し、その反動でコックピットへと戻りシートに座る。
名残惜しげな表情を見せ、ブルーを向いたまま、キタムラ伍長は遠ざかって行き、コックピットの俺からは見えなく為る。
 俺はコックピットハッチを閉じ、深い溜息を吐いた。今の今まで、忘れていた。俺がEXAMを壊したら…俺はどうなるのか?

 「フン! 元より拾った命だ! 好きに殺るまでだ! 俺は不死身だ! 殺されたって、死ぬものか! なあ、『マリオン』! 」

 少女のすすり泣く声が、聞こえる。天使が静かに、ポロポロとただ涙を流すヴィジョンが『観える』。…泣くな、『マリオン』。
逢うは別れの始めなり。人生離別無くんば、誰ぞ仁愛の重きを知らん? 俺がどうなろうとも…お前だけは、守って見せるさ…。   
301ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/06/07(火) 00:27:26 ID:???
ペースが遅くてスミマセン…。最後が見える場面まで、来たツモリです…。
オイラ、必ず完走させて見せます! もう少々…お付き合い下さる事を願います。

Z総集編の第二部の大尉を期待している、オイラです…では皆様、オヤスミナサイ。
302通常の名無しさんの3倍:2005/06/07(火) 05:46:12 ID:???
朝から乙だぁ!


ぐっじょぶ!ヤザン厨!
303通常の名無しさんの3倍:2005/06/07(火) 10:59:41 ID:???
ヤザンが初ラブコメ記念age
304通常の名無しさんの3倍:2005/06/07(火) 21:45:21 ID:???
うはw 2日連続でキター!
305通常の名無しさんの3倍:2005/06/11(土) 14:24:28 ID:???
保守
306通常の名無しさんの3倍:2005/06/14(火) 15:33:59 ID:oP6bXB4n
おちそうなのであげ
307通常の名無しさんの3倍:2005/06/14(火) 15:38:08 ID:???
ヤザンて部下のチンコいじりが趣味なん?
308通常の名無しさんの3倍:2005/06/14(火) 15:50:34 ID:oP6bXB4n
マジレすすると

恐怖に縮み上がってるチンコ嫌い
だらりと垂れたふぐり好き

つまりは戦闘好きないくさびと
309通常の名無しさんの3倍:2005/06/14(火) 19:32:29 ID:???
YAZANです。
ここが噂の2ちゃんねる?いいじゃない。いい感じじゃない。
何てゆうの?こう、若い人達の情熱?魂の叫びって感じ?ソウルってゆうの?
そういうのYAZAN、嫌いじゃないんだよね。
ここにいる人達、何?2ちゃんねらーってゆうの?すごいYAZANに
インタレスティングもってくれてるわけだけども、そういうのってさ、
YAZAN的にもやっぱ嬉しいわけよ。
まぁ、YAZANとしてはこれからも闘い続けるわけで、それはいくら
ジジイになろうが、そのスタンスを変えるつもりは、ダイレクトに言うと、無いわけよ。
ここにいる人達も、何てゆうんだろ?こう、どんなにジジイになっても
漂流やってるYAZANを暖かい目で見守って欲しいよね。言いたいのはそれだけ。
それじゃ、YAZANでした。ヨロシク!
310通常の名無しさんの3倍:2005/06/14(火) 21:40:06 ID:???
俺、劇場版も情報にうといからしらんのやけどヤザンの声は大塚氏で確定?
それとも、変更?
311通常の名無しさんの3倍:2005/06/14(火) 23:37:30 ID:???
出るとしても2以降でしょうから
まだ未定かと
ですがターンエーでも仕事してますから
ほぼ確定かと
312通常の名無しさんの3倍:2005/06/16(木) 19:15:22 ID:VgXgHVg7
最近はここの小説を見るためだけに2chやってる俺ブランカ
313ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/06/16(木) 21:23:07 ID:???

 《モビルスーツ隊、出られるか!?》

 『ブルー』のコックピットに居る俺の耳に、聞き慣れたものとは若干違う声が響く。…《ヤザン隊、出られるか!?》
出撃可能な状態を確認しているくせに、生真面目な奴はことさら俺に良くこうして回線を開き、語り掛けてきたものだ。

 「ああ、ガディ! 何時でも行ける! BD、ユウ・カジマ…」
 《MS隊の把握をしろ! 貴様は優れたパイロットなのは認めるが、聴力に問題があるようだな? 自分は…》

 ガディ・キンゼー。軍人だな? 哀しい位に…。だがな、この艦を堕とされる危険を最小限にするには、まだまだ、だ。
MS隊を一気に出すよりも、まず囮(デコイ)として単機を出撃させ、自艦に加えられる打撃を分散させると言う思考が
出来んと、艦長としては失格だろう? MSを抱いて撃沈される恐れを無くしたいのも理解出来るが…年季が足りん。

 《構わん! ユウ中尉、出ろ! 本職、ヘンケン・ベッケナーが全責任を取る! 少しでも、敵の注意を逸らすんだ! 》
 《ベッケナー少佐! 艦長は自分です! …ブルーデスティニ―は軍機。軽々しく出す訳には行きません! 》

 ほう…。そいつがネックだったって訳だ、ガディ? 気配りが行き届いているな? しかし…遅いな? 『奴』は何を…?
ブルーの背後のスペースに複数の機体が集った事が、接触回線や震動でコックピットの俺に伝わる。通信回線が、開く。

 『マギーの宇宙の処女を奪うのは僕ちゃん! さあ、行きますかユウ中尉どの! 』
 『フィリップ少尉…ですから純然たる軍の機材を私物化しないで下さい! 遅くなりました、艦長! 』
 「あの馬鹿はどうした? ライトアーマーの姿が…!! 」

 カタパルトがゆっくりと射出位置に前進して行く音がする。若干、それが長過ぎる様に俺には感じられた。最初からMSを
乗せているらしい。駐機位置で待つ俺達のMSのメインカメラに、その機体が映った。調子外れの、フィリップの口笛が
甲高く響く。…それは確かに、俺達の知っている『曹長』のGM・LAだった。背中のX状の文字に組まれたユニットを除けば。
314ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/06/16(木) 21:28:21 ID:???

 『眉無しぃ〜? カムラ大尉にケツでも差し出したか? 何だその…背中のスペシャルなバッテンは? 』
 『…カスタムメイド機のカスタムですか? それ、セイバーフィッシュのスラスターですよね? 』
 『ハッハァ! これで機動力だけでも『中尉』の『ブルー』にも負けネェって寸法ヨォ! 先輩方ァ、どうよ?! 』

 フレーム上のスラスターをヒョィヒョィ動かして、自慢げにアピールしている『奴』に、俺は苦笑を禁じ得なかった。案外、
フィリップの言う事も冗談では無い様な気がしてくる。この自由度の高いスラスターは、LAの機動性をさらに高める事に
為るだろう。問題は…スラスターを背後に全て廻した時の全力加速にパイロットの身体が保つかどうかなのだが…。

 『『中尉』ィ! お先に失礼! 機動テストは実戦でやらせて貰う! ヤザン・ゲーブル、GMLA…何たら…出る! 』

 発進ランプがGOサインを表示したと同時に、カタパルトがLAを射出した。ブルーの加速にも劣らない速度で、射出後の
『奴』の機体のスラスター光が小さく為って行く。…やれやれ、アルフ? 駄々っ子に恰好の玩具を与えたお前の罪は重いぞ?
と、思った途端。通信回線がまた開く。噂をすれば何とやら、だな? …オイ…何でお前がノーマルスーツを着ている?

 《…HMC…ハイ・マニューバ・カスタムだ。彼は高機動型も言えない位に興奮している。しっかり手綱を引くのだな…》
 「アルフ! …俺を誰だと思っているんだ? 馬鹿とハサミは、うまく使ってみせる! 俺はヤ…ユウ、カジマ…だぞ? 」
 《…護衛を、頼む。オレはあの廃棄コロニーに、陸戦隊と乗り込む心算でいる。オレはEXAMの…アーキテクチャーを
 知らねばならん…解析するにしろ…破壊するにせよ…乗りかかったフネだ。見届ける義務が…オレには有る…》
 《…ユウ・カジマ中尉。発進準備、願います…》

 キタガワ伍長の哀しみの残滓を湛えた声が、俺が今はユウだと言う事実を認識させてくれた。カタパルトにブルーの両足を
乗せる。…全てに決着が、付く時が迫っている。俺は唇だけで哂った。さあ、俺を極上の技で愉しませてくれ、ジオンの兵士達よ!
発進ランプが点灯し、その瞬間、強烈だが、俺にとってはどんな感触よりも最高な圧力、Gが俺を包む。これだ! この瞬間が
心地良い! 息詰まる衝撃! 踏ん張る四肢! そうだ! 俺は、俺は闘いに往くのだ! 俺の力を、ただ誇示するためだけに!

 《ユウ! 必ず、還って来て! 私の元へ! 》

 射出される瞬間、俺はキタガワ伍長の感極まった声を聞いてしまった。…約束する。ユウ・カジマは必ず、アンタの元に返すさ。

                    この『俺』、ティターンズの精鋭の、ヤザン・ゲーブルの名に懸けて。
315通常の名無しさんの3倍:2005/06/16(木) 21:32:11 ID:???
キタガワをキタムラとよいこのみんなは、よみかえよう
316ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/06/16(木) 21:40:57 ID:???
ぶべらぁ! オ・・・オイラは何て事を…! 
…全国一千万のモーリン・キタムラ伍長のファンの皆様…!
スミマセン。回線切って、SS引っ張り出して、反省してきます。
ブルー分を補給しなければぁ! …ゴメンナサイ。ハイ。
317通常の名無しさんの3倍:2005/06/16(木) 23:17:53 ID:???
次回は戦闘の描写か?
ヤザン厨氏の戦闘の書き方、スゲー好きなんで楽しみ。
318通常の名無しさんの3倍:2005/06/16(木) 23:55:35 ID:???
>>316
なにはともあれ乙。
319通常の名無しさんの3倍:2005/06/17(金) 18:08:12 ID:???
キタァア。
待ってましたよー。
320通常の名無しさんの3倍:2005/06/18(土) 22:04:31 ID:???
>>311
遅スレだが、情報アンガト
まぁ、楽しみに待つよ
321通常の名無しさんの3倍:2005/06/22(水) 21:13:29 ID:???
ほしゅ
322通常の名無しさんの3倍:2005/06/23(木) 20:37:50 ID:sjRk4Gul
期待あげ
323通常の名無しさんの3倍:2005/06/25(土) 23:08:30 ID:???
スペシャルなバッテンの活躍マダー?

(保守sage)
324通常の名無しさんの3倍:2005/06/26(日) 21:43:14 ID:???
ヤザンの経歴をうめてみよう 第10の珍生
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1119785973/
325ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/06/27(月) 21:20:35 ID:???

 《ユ…アルフた…と陸…を乗せ…ンチが発艦…コロニーに…援…!》

 出撃した『ブルー』のコックピットに、ミノフスキー粒子が戦闘濃度で散布されている中にも関わらず、
キタムラ伍長からの通信が切れ切れに届いた。ここは想像力で補うとするならば…アルフの奴が
発艦したのだろう。それも、機動力の乏しいランチでだ。陸戦隊の連中も支援のために乗り込んで
いるのだろう。俺の大切な『仲間』が、『戦友』が乗っているのだ。…伝わるかどうか解らんが…!

 「了解、モーリン! 曹長、傍受が出来たならば、露払いを頼む! 俺はランチの護衛に専念する。
  フィリップ、サマナは『艦番83』を頼む! …俺達の還るべき場所を守ってくれ! 聞こえたか?! 」

 数瞬のホワイトノイズの後、応答が有った。ミノフスキー粒子の悪戯に、俺は結構泣かされたものだ。

 《了解だユウ! フィリップ機、艦の右舷に付く! サマナ君は左舷! 簡単に沈ませますかってんだ!
  なあ、サマナ君? ほら、姿勢制御が遅いぞ! MSは丁寧に、やさーしく、扱わんとなぁ? 》
 《…女の子を扱うように、でしょう! 言いたい事はそれだけですか? 安心してくださいよ、ユウ中尉! 》

 フィリップ機とサマナ機は『ブルー』からさほど離れて居なかったのだろう。比較的通信の感度、明度とも
に良好だった。問題は素っ飛んで行った『曹長』だ。俺はモニターを望遠モードに切り替え、索敵を開始した。
程無く、ちょこまかと良く動くスラスター光と、数瞬後に浮かび上がる火球が視認出来た。多分あれが…!?
 立て続けに火球を3個生産したGMLA・HMCが急速接近して来た。一年戦争時の量産機体からは想像も
出来ん速度を、背中のX字状のユニットが叩き出していた。俺は通常モードにモニターを切り替える。

 「早い…! アレがGMの加速か…!? あれではパイロットが保つものか! アルフめ…玩具を与え過ぎだ! 」
 《中尉、何だって? 戦闘中で良く聞こえなかった! もう一回、頼む! 》

 X字状ユニットの各先端に装備していた全可動スラスターを機体の前面に向け、GMLA・HMCは俺の目の前で
急制動を懸けていた。スラスターユニット自体が独立して、機体のマニューバの支援に動く。プログラムを組んだ
奴を褒めてやりたいくらいだ。少なくとも素人には、曹長には逆立ちしたって無理な話だろう。

 「…アルフが倒れたら、お前の責任だな? 『曹長』? 御機嫌な機体に仕上がったのは、認める。通信には耳を
 澄ませて置けよ? 連携が出来んと、お前一人が突出して、周囲から包囲されて死ぬ! 一度しか言わんから
 良く聞け。アルフがあの廃棄コロニーにランチで陸戦隊とともに突入する。俺はランチの護衛をやる。お前は…」
 《露払い、だろ? やっぱりアンタに怒鳴られないと、調子が出なくてね! 了解! 》

 X字の先端、一部のスラスターが炎を噴いた。GMLAが急速反転し、ビームライフルを撃つ。反転したその先には、
06高機動型が居た。腹部に命中し、新たな火球が、生まれた。速い! AMBACを使わず、その速さで反転とは!

 《中尉〜? 油断してただろ? ここは…》
 「戦場だ、ルーキー! あんまり派手に遣ると、優先的に狙われるぞ? 周囲に意識を向けろ! MSの装甲越しに
  殺気を感じろ! ご機嫌な玩具を壊されたくは無かろう! 行け! 行って連邦のMS乗りの技量を示せ! 」 
 《了解! 待ってろよ宇宙人どもがぁ! こんな奴等、中尉の手を煩わせる必要など無くしてやる! 先行開始!》 

 俺はブルーのビームライフルを装備していた右腕を背後に廻し、射撃した。敵の14が曹長を狙って、ブルーの背後
から接近をしていたのだ。一呼吸置いて、14が音も無く、爆散する。…接近する14に、曹長は気付いて居たのだろうか? 
…それとも、曹長を『試した』俺に華を持たせただけなのだろうか? まあ、どうでも良い事だ。俺はランチを右方に視認し、
ブルーを接近させ、随伴を開始した。曹長、忘れるな。足りたと思えば、進歩はそこで止まるのだ。常に餓えていろ! 
326通常の名無しさんの3倍:2005/06/27(月) 23:31:23 ID:u1y0fe/d
ついにキタキタキタキター!!
327通常の名無しさんの3倍:2005/06/28(火) 00:10:25 ID:???
乙です。
328通常の名無しさんの3倍:2005/06/28(火) 23:15:21 ID:???
新作来てたー
329通常の名無しさんの3倍:2005/07/02(土) 00:32:34 ID:???
スレ違いになるが、

主役でなく、あくまでも原作同様のポジションでのヤザンが、ハマーン(キュベレイ)と戦ったら、どういう結末を迎えるだろうか?
ヤザンの搭乗機は、原作で使用したMSなら何でもOK。
330通常の名無しさんの3倍:2005/07/02(土) 04:57:52 ID:???
2通りだろう
・ファンネル避けられずアボーン。
・ファンネル喰らいまくるも体当たりして撃破。
で歴史の流れとしては
・ティターンズ衰退
は避けられない。ネオジオン有利かエゥーゴ有利かの2択

 兵士としてはヤザンは優秀だが、政治は別で、さらにメディア
戦略でティターンズは失敗している。かなり苦しい戦いになる。
331通常の名無しさんの3倍:2005/07/05(火) 15:24:31 ID:TjY+uMWN
HOSYU

うーん、アヴァレン坊ヤザンだからなあ・・・本筋には絡まないかと
それか、破MA-んのプレッシャーのためにNT化かな

早く続きをくれヤザン厨
332通常の名無しさんの3倍:2005/07/05(火) 15:44:03 ID:???
調子に乗るんじゃねぇ!!!ハマーン!!

そしてファンネルを華麗に打ち落とすヤザン

格好良すぎ
333通常の名無しさんの3倍:2005/07/06(水) 00:01:39 ID:???
そういやファンネル捌いたオールドタイプっていたっけ?
334通常の名無しさんの3倍:2005/07/06(水) 00:59:30 ID:???
>>331
プレッシャーを己の意志で無視してこそのヤザンではないだろうか?

>>333
UC世界には居ないんじゃない?
335通常の名無しさんの3倍:2005/07/06(水) 01:45:15 ID:???
ここに来るような連中としては、ゲームでのヤザンはどうなんだろう?
ギレンの野望シリーズだと最初(一年戦争勃発時)から使える最強クラスのオールドタイプ、
スパロボだとティターンズからティターンズ残党、シャアのネオジオンにも所属するシナリオ上での便利屋、
と言う所だが……

>>333
UCじゃなくてAW(ガンダムX)でなら強化人間カリスのビット攻撃を主人公ガロードが捌いてた。
336通常の名無しさんの3倍:2005/07/07(木) 06:49:30 ID:???
332
そして「ミジンコは仕留めた。次はおまえだ!」
337通常の名無しさんの3倍:2005/07/11(月) 17:19:35 ID:OiPrqy/p
最近のアニメがつまらないのは、純粋に戦闘だけをゲームの様に楽しむ
人非人が居ないせい。ヤザンの様な大人キャラは死滅したのだろうか?

自らの置かれた状況すら、意のままにしてしまうパワーキャラを求む。

338通常の名無しさんの3倍:2005/07/11(月) 19:07:49 ID:???
種死が始まる直前、俺はTVしりーず初の最初から軍人の主人公、キラとは180度違う主人公ということで
シンはヤザンみたいなキャラであると思い込んでいた



放映開始後、負債にヤザンのような漢キャラが描けるわけがなかったことを思い出した
339通常の名無しさんの3倍:2005/07/13(水) 20:36:39 ID:0bln48KU
ヤザンはハードゲイじゃなかったんですか?
340通常の名無しさんの3倍:2005/07/13(水) 20:42:23 ID:???
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  レ'.:::::|::o::! ヽヾ、:::ノノ      ヾ、|   | /::ヽ、_ノレ' ヽ:::::::|:::::|::::::::::
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::::::::/::::/ .:ヾ、      .:::     ´ ̄ ==‐- 二つ /:::::::::::::::::::::::::::       あやまれ!!
:::::/::::/ .::::∧       `                   /::::::::/::::::::|:::::::::    ヤザンさんにあやまれ!!
::/::::/ .:::::/::∧       ヽ`'ー--- 、           /.::::/:::::::::::|:::::::::
/:::/ .:::::/.::/.::.ヽ       |:::::::::; -‐::::.ヽ       /.::::/:::::::::::::::::|:::::::::
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341通常の名無しさんの3倍:2005/07/14(木) 00:30:35 ID:Oxh2HW/i
ごめんなさい・・・てっきりヤザンが女嫌いだと思ったから・・・。
あと、アドル曹長の玉握りやってるし・・・。
342通常の名無しさんの3倍:2005/07/14(木) 10:23:04 ID:???
軍隊で叩き上げですから
お下品なのさ
343ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/07/14(木) 11:46:04 ID:???

 俺はランチにブルーの右マニピュレーターに装備したビームライフルを接触させた。シールドは
左腕にマウントさせ、マニピュレーターには100oマシンガンを装備させている。チャージ時間と、
消費エナジーを考慮するならば…この一年戦争時代は実体弾兵装の方が遙かに有効だ。
 
 「ジェネレーター換装の御蔭か…? LAのビームライフルのチャージ時間が短いな…」
 『…火力と手数を上げんと、機動力の意味が無い。そう、テストパイロットに怒鳴られた…』
 
 先行する『曹長』の機体のちょこまか動くスラスター光を確認しつつ、俺はアルフに接触回線で
話しかけた。まさか奴も、このままトリガーを引くとは思わないだろう。何せEXAM機だが、俺が
乗っている事を知っているのだから。

 「『曹長』に頼まれたのか? 良い出来じゃあ無いか、アルフ」
 《…覚えているか? 技術者を庇って、最前線送りに為った時の事を? 》
 「突然何だ? それがどうかしたのか? 」
 《…覚えているかとオレは聞いている》
 「昔の事だから、な。それ以後にも色々やらかした覚えも有る。一々…」
 
 チクチクと俺の、いや、ユウの即頭部が痛む。EXAMの影響なのか、といぶかしむ俺の脳裏に、
過去の情景が唐突にフラッシュバックする。そうだ、俺は当時テストパイロットで…!先行量産機の
開発を…! 最前線送りに為る切っ掛け! 確か量産機の開発を断りそうな技術屋の口を塞いで! 
 そして、若かりし俺の台詞…! 技術屋の名前…! フン、EXAMよ! 味な真似をするじゃないか!

 『「引継ぎを喜んでやらせて頂きます」、と、カムラ大尉は言っておられます…。 が、安心するのは
  まだ早い! 違うぞ! アンタ達のためじゃあ無いぞ!  コイツは前線の兵士のために引き受けるんだ! 
  ザクと体を張って旧式兵器で 渡り合う命懸けの連中のためになぁ! アンタ達みたいなモグラの頼みで
  コイツが 動くものかよ! 腐れ禿に頭の狂った出世魚のためになんか、動く奴じゃない!』

 別れる時…そうだ…俺は…! 陸軍高官とアルフとの、密約を聞いて…! 確かガンダムの再設計プラン…!
奴はテム・レイと組んで連邦MSを開発していて…! そうだ! 俺は何故…忘れていた?! こんなにも熱い… 
 
  『アンタがコピー品を作るのを引き受けたあの時、ルウムの敗戦隠しで 貰いたくもない勲章の叙勲待ちで、
  俺は次の間に控えてたんだ。 …全部聞いてた。…アンタの創ったMSに乗れるまで、なあに、俺は生き残って
  見せるさ! 俺の腕前、知ってるだろう? …じゃあな… アンタの心意気に、俺は惚れたよ。…また何処かで、
  逢おうや』
  
 鼻の奥がツン、と来る。涙なんぞ、いい歳をした男が、それもこの『俺』が、涙など簡単に流せるものかよ!

  「…覚えていたよ、カムラ大尉。アンタの創ったMSに、俺は…いや、俺達は、乗っている…。あの時の、『曹長』
  が何故か『ブルー』のハッチのパスワードを知って乗り込んでいたのは…奴がユウに教えて貰ったのでは無く…」
  《…オレが、教えた。何せRX-79の、最初で最後、空前絶後のテストパイロット様だからな…。オマエや奴には、
   その資格が有る。そうだろう? 『命知らず』? 》
  「…ああ! ああ! そうさ! その通りだ! 良くやったぞ! 『ヘボメカニック』! コイツは…最高の仕事だ! 」

 傍で聞いている陸戦隊の奴等や、ランチのパイロットには、金輪際、何の事を言っているのか解らないだろう。だが、
俺達には…あの情熱を共有した者には…解り過ぎる程だった。偏見と蔑視を跳ね返すため、前線にMSを届けるため、
俺達は乏しい予算と膨大な束縛の中、ベストを尽くしたのだ。…一目見て、相手を理解してしまうNTには絶対に、この
俺の感慨など理解出来ないだろう。…しんみりしてしまった俺の眼に、目指すコロニーが大きく飛び込んで来た。

                               終焉は、近い。 
344通常の名無しさんの3倍:2005/07/14(木) 12:09:02 ID:???
>>341
戦争に女が関わるのが嫌いっぽい。
古き良き軍人なのであろう。

>>343
新作キタ━━(゚∀゚)━━!!!!
345通常の名無しさんの3倍:2005/07/14(木) 13:01:29 ID:???
昼飯後の最高のデザートキター!!
346通常の名無しさんの3倍:2005/07/17(日) 04:54:11 ID:Gs28bXPz
あげるぞ! 気をぬくな!
347通常の名無しさんの3倍:2005/07/19(火) 16:39:47 ID:vpC9XdO8
続きキボンぬ!
348通常の名無しさんの4倍:2005/07/19(火) 18:10:46 ID:???
ひでぶ
349通常の名無しさんの3倍:2005/07/19(火) 20:23:19 ID:???
ここのヤザン厨の戦闘描写と、新板のキラとウッソが出会ったらスレのモップ男の戦闘描写が好きだ
350通常の名無しさんの3倍:2005/07/23(土) 00:41:43 ID:???
ヤザン厨の次の奴は1stかZ序盤にヤザンを挿入なんてやらかしそうな気がする
351ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/07/24(日) 02:14:02 ID:???
ヤザンin…プロトタイプガンダム。泣き所は冷却系でどうでしょうか? とオイラボソリ。
だってアムロとシャアの因縁も絡めないとイケマセンし…と言って見ます。駄目でしょうが…。
 
 終わらせたく無い程楽しい宿題がオイラにとっての、このヤザンSSなのです。

曹長と中尉の関係を見つめ直す時間を、オイラに下さい。この2人のラストを極めたいのです。

スミマセン…dat落ち回避のために、一端、上げます。
352通常の名無しさんの3倍:2005/07/24(日) 13:43:28 ID:???
>>351
sageでも大丈夫、最終書き込みだからと書いておく。

それと、皆は待つことには慣れていますから、いくらでも待ちますよ。


>ヤザンin…プロトタイプガンダム
テムがアルフへイヤガラセして、ヤザンをあの時のサイド7に招いたと言うところだろうか。
353通常の名無しさんの3倍:2005/07/28(木) 02:15:50 ID:bLSN4b6Q
関係ないかもしれないけど、ブルー一号機がGFFになるらしい。
GM頭の二号機で飾っときたいけれど・・・ぜんぶ青部品にできるんだろうか?
354通常の名無しさんの3倍:2005/07/29(金) 06:13:32 ID:???
合体のウマミを生かしてくれれば嬉しいが。プロトタイプガンダムはコアファイター方式だったっけ?
新規住人獲得age!
355通常の名無しさんの3倍:2005/07/29(金) 10:47:56 ID:???
>>337
>最近のアニメがつまらないのは、純粋に戦闘だけをゲームの様に楽しむ
>人非人が居ないせい。
特撮にはいますよ。
浅倉威とか芝浦淳とか東條悟とか草加雅人とかン・ダグバとかデカレッドとか溝呂木さんとか……
違うキャラが混じってるけどまあいいや。

>自らの置かれた状況すら、意のままにしてしまうパワーキャラを求む。
「そんなのはリアルじゃないから駄目」とか言われそう。
でもキリコ・キュービィやケイン・マクドガルはどうなんだろうね?
356通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:09:03 ID:???
                 ( ̄ ̄<     / ̄>
                  \  ヽ   / /ソ
        プ ロ ジ ェ ク ト\  ヽ P r o j e c t MS
   ─────────────────────
         技術者たち /|_/ /\engineers
                 |   /   \   丶
                 \/       \__ノ
「RX-78シリーズを超えろ! 宇宙の蒼の物語」

(エーックス・・・)

 地球連邦軍が起死回生の策として世に放ったV作戦。その成果は初の試作汎用MS、RX-78に
結実した。そのRX−78と競い、敗れた幻の機体が有った事を、最早知る者は、少ない。
 V作戦の総責任者「テム・レイ大尉」の陰で、一方的に対抗心を燃やす新進気鋭の技術者が
存在した。その名は「アルフ・カムラ大尉」。後にRX-79として採用される機体を作り上げた
男である。男の青春と情熱は、ただテム大尉のガンダムを超えるためだけに費やされた…。

(男の前に右にガンダムのフィギュアと、左に4体のガンダムタイプMSのフィギュア)

 「この機体を記録映像で知っている方も多いでしょう。このトリコロールカラーの機体が、
  あのアムロ・レイ大尉が最初に乗っていたRX−78−2「ガンダム」です。かの一年戦争で
  大戦果を挙げ、その後地球連邦軍の象徴ともなる各ガンダムの雛形となった機体でも
  あります。このガンダムの開発主任が…」

(男の背後にテムの肖像写真が浮かび上がる。左半分は暗いまま)

 「…テム・レイ大尉です。彼はアムロ・レイ大尉の父親でも有り、連邦のV作戦の原動力と
  なった人物でした。この人が居なければ、連邦にMSは存在せず、アクシズが地球に落下
  しようとした時でも、押し返そうとしたNTもMSも存在しなかったでしょう。では…」

 (ガンダムの左に立つ、ガンダムタイプの4体のフィギュアの中から一体を指す男)

 「この機体をご存知の方も視聴者の中には、いらっしゃるでしょう…。RX−79〔G〕、
  「陸戦型ガンダム」です。この機体はRX−78の開発時の余剰パーツから製造された
  云わば「間に合わせ」の機体とこれまで定説とされて来ました。今回の政府の機密
  解除指定により、私たち調査班は定説を覆す新たなる事実を発見することになった
  のです。このRX-79〔G〕は、実はこのガンダムと、RX−78の座を熾烈に争った機体
  でもありました…。この機体の主任設計者でもあった技術者が…」

(テムの写真の左隣に、鋭い眼光を放つ、眼鏡をかけた神経質そうな長髪の痩せた男の
 写真が表示される。まるで両者が睨み合うかのように写真の視線がぴったり合っている。 )

 「この、『アルフ・カムラ』大尉でした。彼がこのテム大尉とどんな関係にあったか、V作戦
  当時の2人を知る人は口をそろえて言いました。「カムラは彼の生贄になったのさ」と。
  今回は二人の「連邦初の汎用MS開発者」の名誉を争う経緯にスポットライトを当てて見たい
  と思います…」
357通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:14:35 ID:???
(オープニングテーマ:「地上の星」 詩/曲 中島みゆき)

風の中の昴ぅ〜 砂の中の銀河ぁ〜♪
 
[黄金時代。蜜月の刻][君は優秀だな、アルフ君]

みんなどこへ行ったぁ〜 見守られることもなくぅ〜♪

[悪化する戦況]

草原のヴィーナスぅ〜 街角のペガサスぅ〜♪

みんなどこへ行ったぁ〜 振り向かれることもなくぅ〜♪
 
[今この時でも戦場で人はザクと立ち向かってるんだっ!]

地上にある星をぉ〜 誰も覚えていないっ 人は空ばかり見てるぅ〜♪
 
[技術者の意地][簡易型の製作着手][そして運命の日…]

燕よぉ〜 高い空からぁ〜♪
 
[こんな珍妙なもの…][テストパイロットの死亡]

教えてよぉ〜 地上の星をぉ〜♪
 
[失意の左遷][協力者現る!]

燕よぉ 地上の星はぁ〜♪
 
[偉大なる巨人の行方不明][V作戦に復帰してもらいたい][…間に合わん!]

今どこにぃ いるのだろぉ〜♪

 [ガンダムを…超えるっ!][亡命者との出会い][宇宙に満つる生命の「蒼」]
358通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:15:37 ID:???
今は亡きプロXスレから発掘しますた
順次コピペw
359通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:18:09 ID:???
1年戦争初期の一大会戦、ルウム戦役。ジオンを上回る兵力を動員していながら
結果はジオンの勝利に終わった・・・しかも総司令官を敵に捕らえられるという大失態
のおまけ付きであった。宇宙軍は完膚なきまで叩きのめされ、制宙権はジオンの物も同然と為った。
 この敗北により、連邦軍首脳部は「モビル・スーツ」という新型兵器を打倒する戦略に迫られた…。
0079 4月、MS開発に関する秘密計画「V」が発動する。奇跡的帰還を果たしたレビル将軍は
この計画の為、技術将校をジャブロ−に召集した。アルフ・カムラとテム・レイの両技術大尉だった。

 「MSを創って欲しい。あの忌々しいザクを遥かに凌駕する性能のモノを! しかも早急にだ! 」

 各地で鹵獲されたMSを徹底的に調査する二人の技術将校の姿には、鬼気迫るモノがあったと見るものは
口を揃えている。寝食を忘れ、会話も忘れ、自らが人である事を忘れた様に、彼等は『ザク』のとりこと
なっていた。設計に無駄と言う物が無く、可能な限りのコストダウンが図られ、しかも要求性能は満たさ
れている。旧時代の『零戦』を思わせる設計方針に、宇宙軍出身のテム・レイ大尉は魅了されたのだ。
 アルフ・カムラ大尉は陸軍出身だった。地上でこの巨人達と相対するには火力が必要だと真っ先に思い
テムに提案した。しかし、テムは同意しなかった。彼は、得意げに、言った。
 
 「まあ待ってくれ。私に考えがあるんだよ。…自立帰還が可能な脱出カプセルだ。それを組み込んでMSを
  創れば、基本操縦系にかかるだろう、コストダウンも見込めるし、操縦訓練期間の短縮にも繋がるのだ。
  私の言う事に違論があるかね? …アルフ・カムラ大尉? …まずはそれから始めようではないか」 

 一理はあった。一番時間が必要なのはやはり操縦員の訓練期間である。しかし、その脱出カプセルが戦闘機
型を予定していると聞いた瞬間、カムラは、黙った。強烈なテムの、いや宇宙軍のエゴを、そこに見たのだ。

 「…派閥争いの種をオマエは…わざわざ作る気なのか…? …オマエは後の利権まで食い物にする気か?」

 テムは、ニヤリとアルフに笑って見せた。『この若僧が』と言う侮蔑をアルフはその笑いに見た気がした。
360通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:21:20 ID:???
 「可笑しいかね? そうだろう。君も知っての通り、宇宙軍は創設期間が若い。
  むしろ、君達三軍出身者に圧迫され続けていた。今こそ、軍の中で主導権を
  握る好機なのだよ。…戦争は連邦の勝利で終わる。君と私が協力すれば、な」

 RX−75、『ガンタンク』のプロトタイプ開発は、実はすでに終わっていた。
しかし、脱出カプセルFF−X7、『コアファイター』の開発に難航していたのである。
 テムの要求性能が高すぎたのが原因だった。核融合炉2基搭載した、宇宙でも地上
でも運用できる優秀な戦闘機。同時期に開発されたセイバーフィッシュの影響をもろ
に受けているのは、どんな素人でも理解できる事だった。アルフは、直言した。

 「…こうしている間にも、多くの兵士が…ザクと対峙している…。時には妥協も…」
 「偽善ぶるな! 君も夢想しただろう! 潤沢な予算! 優秀なスタッフ! 自由
  に振舞える開発環境! 今全てが私達の目の前にある! もうすぐなんだ! 」

 テムは、アルフの首を今にでも締めんばかりの勢いで反論した。アルフは、沈黙した。
FF−X7は、一週間遅れて漸くロールアウトした。RX−75は、すぐに再設計された。
砲部分のAパーツと、装軌車両部分のBパーツに分離し、なおかつ装甲強度も要求する無茶
に、テムとアルフは、昼夜を忘れて取り組んだ。結局時間が無くなり、RX−75は、二つの
コックピットを持つ機体として成立した。初期型から存在する、頭部のコックピットと、
FF−X7、コアファイターのコックピットである。軍首脳部の返答は、芳しくなかった。
首脳部の返答は、『火力は申し分無い。機動性が、問題だ』と。二人は、歯噛みした。

 「人型がお好みか…。私達がどんなに努力したか、凡人には理解出来んらしいな…」
 「…ザクと接近戦で渡り合いたいのだろう…。数をそろえてしまえばコレの価値が
  解るだろうに…。用兵思想と言う物まで忘れたのか…? 奴等は…? 」

 RX−76は他の開発チームが取得していた。二人はRX−77、『ガンキャノン』の設計に
取り掛かった。砲撃専門機体ならば、陸軍出身のカムラの独壇場だったが、2足歩行機
となると勝手が違う。二人の試行錯誤がまた、始まった。その日は0079、5月下旬。
 宇宙では、ジオンの宇宙要塞『ソロモン』が丁度完成の日を迎えていた。
361通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:22:07 ID:???
クニイ「こうやって、二人の技術者によってMSの基礎ができあがって行きます。」

ゼンバ 「ではここでご紹介します。MS開発に携わった元連邦軍技術大尉アルフ・カムラさんです」

クニイ「時の司令官、レビル将軍にこのプロジェクトを託された時はどういったお気持ちでしたか?」

アルフ「・・・・何故私が?ってのが正直なところでした。しかも高名な宙軍のレイ大尉と
    同じ計画で仕事をするとは・・・仰天しましたよ(笑)」

クニイ「コア・ファイターの開発に於いて対立されたそうですが?」

アルフ「私も、若かったんで派閥だのを言ってくるレイ大尉には非常に頭に来ましてねえ(笑)
    何とかして彼の鼻をあかさねばならぬ・・・その一心でしたね」

ゼンバ「試行錯誤を重ね、いよいよMSの開発は佳境を迎えます。続けてご覧ください」
362通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:23:17 ID:???
 RX-77。それはアルフとテムの、持てる技術の絶妙なるハーモ二ーの結晶だった。
砲撃力とビーム兵器と重装甲を兼ね備え、更に機動性を持った『動く機動歩兵』の
芸術的な完成形が、疲労の極致にあった二人の前にロールアウトしたのは、なんと
2週間しか経たない6月上旬の事だった。二人は、極上のウイスキーを注いだグラスを
打ち付け、微笑みあった瞬間…同時に気絶した。…二人の、一番幸せな時期だった。

 「鈍重に過ぎる! 話しにならん! 君達は一体この一ヶ月、何をして来たのかね」

 得意満面で高官達の前でプレゼンテーションをしたテムが受けた衝撃は、筆舌に尽くす
には足りなかった。帰ってきたテムを出迎えたアルフは、テムの所業を止められなかった。
 これまでに書き溜めたプランや設計図の記録媒体にウオッカをぶちまけ、室内で、焼いた。
涙を、流しながら。アルフも、泣いた。…泣きじゃくるテムの肩に両手を付いて。
自分達の成果が、厚顔無知な高官のために完全否定された事は、明らかだった。

 「糞どもに見せてやる! 思い知らせてやる! 本気になった私達の凄さを!
  カムラ君! 最早納期は完全無視だ! ザクを時間の彼方へ追いやる物を、
  創ろう! 奴等が涎を垂らして阿呆面を並べる様を嘲笑おうでは無いかっ!」
 
 火災を感知し、室内のスプリンクラーの放水や消化ガスが蔓延する中、ずぶ濡れになった
テムは、アルフに鬼気迫る顔で吐き捨てた。アルフは、恐怖した。狂気に取り付かれた男に。 
363通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:25:40 ID:???
 地獄の、季節だった。寝ても覚めてもMSが頭の中から離れない。Aパーツと
Bパーツ。コアファイター。フレームに装甲、冷却系。既存の蓄積した技術を
一切使わず、新規にプランを書き起こすテムに、冷静に反論するアルフ。

 「私の設計に無駄があるだと! 何処だ! 言って見ろ若僧! 陸軍の地べた
  を這いずり廻る地虫風情がこの私に一端の口を聞くとは、笑いが止まらん!」 
 「…オレは歩兵じゃない…技術者だ! …訂正しろ! 今すぐ取り消せ! 
  古い頭をひねくり回す位しか能が無いくせに、言うッ! 冷却系がマズイと
  オレは言っているだろうが! これでは廃熱系が宇宙しか持たないんだ!」

 時には皮肉交じりに、時には胸倉を掴み合いながら、そしてまれに拳を交わしながら、
プランは徐々に形を取りつつあった。

 MSの顔を、人型に近づけ示威効果を高めること。
不慣れな操縦者のための重装甲から、ザクのマシンガンやバズーカを跳ね返せるだけ
の特殊軽装甲の開発。砲撃専門機体から、格闘戦もこなせる敏捷さを持つ汎用機体に。

 ヒート系の嵩張る格闘装備よりも、より携帯性に優れる白兵戦用ビーム兵器の装備を。
重要なのが、軽量装甲を補う取り回しやすいシールドの開発等等…難問ばかりだった。
 
 幸運な事に、連邦軍のエネルギーCAP技術が、完全ビーム兵装化を可能にしたのが
7月初旬の事であった。二人はその知らせに安堵の余り、一日休んだほどだった。
究極のMSを創ることに、テムとアルフは、文字通り心血を注いでいた。
テムの癇癪を抑える側のアルフは、喀血し、設計に悩むテムは、躁鬱病を発症していた。
血を注ぎ、心を犠牲に捧げたMSは遂に完成の日を向かえ、ロールアウトする。
 
 完全な新規設計から約3週間の異例なスピードで、RX-78-1は、地球に措いて完成した。
0079、7月上旬の事であった。その一日前、新型戦艦『WB』が進宙式を済ませていた。
364通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:26:41 ID:???
ゼンバ「ここに用意しましたのは、当時試作された25分の1のRX−77のテストモデルです
    カムラさんから特別にお借りしてきました」

クニイ「実際に動く訳ですよね?」

カムラ「ええ。MSの関節構造をそっくりコピーしたので・・・やって見ましょう」

クニイ「おおっ!これはすごい」

カムラ「・・・・・レイ大尉は、テストモデルやモックアップにまで完璧を要求する人でした。
    ”プロトだしそんなに神経質にならないでも”と言うのですが・・・
    いやあ何度も怒られましたよ(ふと遠くを見て涙をこらえる仕草)」

ゼンバ「RX−77のプレゼンテーションの後、レイ大尉に何か変化みたいな物はありましたか?」

カムラ「まあ彼の場合は、作業に対する執着心みたいのは並はずれてました。
    私も彼もかなりの自信がありましたので、あの結果は彼の執着心に拍車をかけたとでも
    いいましょうか・・・」

クニイ「つらかったでしょう?」

カムラ「ええ。私も本気で彼をバックアップせねばと決心しました。そして
    勝利の美酒をウオッカでと」

ゼンバ「全てが完璧に進んだプロジェクト、そして敗北。わずか1機で
    戦局をひっくり返す原動力となった傑作機RX−78がその姿を現します」
365通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:27:54 ID:???
 しかしアルフは、テムに隠してもう一機の『RX−78』のプロトタイプを創っていた。
それはコアファイターを抜き、機体の剛性を高め、より生産に適した機体であった。
陸軍のゴップ将軍を始めとする主流派の、要求に応えてのものだった。

 「宇宙軍にだけ、いい思いはさせてはイカン。そうだろう? カムラ君?」
 「…アンタ方も、宇宙軍と同じ穴のムジナと言う奴か…。解った。やろう。
  しかし、アンタ方の為では無い! 今この瞬間でもザクと戦い、死んで
  行く兵士のためにだ! …その代わり、一切テム大尉には口外しないで
  欲しい…。テム大尉から見れば…オレの行為は裏切りだからな…」

 テムが寝静まった頃に、ひっそりと自分の機体の進捗状況をオンラインで
確認するアルフの二重生活が、喀血の原因となったのを、テムは知るよしも
無かった。『原型機』があるだけに、作業は早かった。もう一台の『RX-78』
は、不慣れな陸軍工廠が多数の余剰部品を産み出しながらもロールアウトした。
テムの『RX-78-1』の完成から、一日を置いての事だった。
 出来た機体は…テムのRX−78の『フェイス』を完全に受け継いでいた。
そして、運命のテムの機体の、デモンストレーションの日がやってきた。

 圧倒的かつ画期的な性能を魅せるRX−78−1に、居並ぶ高官達は言葉を失った。
しかし、陸軍の高官の一人は、侮蔑とも取れる微笑を唇の端に浮かべていた。

 「まだこの機体に、RX−78ナンバーを与えるのは早いのではないかね?」

 テムの機体の背後に、『顔』だけはそっくりな機体が現れ、軽快な運動性を
披露し、次々と現れる標的をそっくり同じ兵装を使って、打ち砕いて行く。 
テムの額に太い血管が見る間に浮かび上がった。アルフは、唇を噛んだ。

 「我々のこの機体こそ、RXナンバーを与えられるに足りる。そう思わんかね?
  アルフ・カムラ『陸軍』技術大尉? 君はとても優秀で、しかもまだ若い!」

 テムの燃えるような視線が、カムラを射抜く。テムが声を絞り出すように発した。

 「…戦闘機は要らんと言うのは…こう言う珍妙なモノを創るために言ったのかね」

 アルフは、応えなかった。その時だった。テムのRX−78−1が異音を発し、煙を
上げ始めたのは。最後の課題の冷却系が解決せず、無理に完成まで持っていったのが
その原因だった。しかし、それはテムの機体にとって、絶妙なデモンストレーション
と為ったのだった。パイロットは慌てる事無く機体を横たわらせ、Aパーツを離脱。
コアファイターを使い、脱出する。カムラの機体は、AパーツとBパーツの爆発に
巻き込まれ、大破したのである。…テストパイロットはその事故で、死亡した。
 面子を潰されたテムと陸軍の高官の決定は、カムラを閑職に追いやる事だった。
366通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:30:02 ID:???
 RX-79プロジェクト。聞こえは良いが、RX−78のプロジェクトに比べ、予算は
4桁も少なかった。テムはRX−78−1の宇宙でのテストに向かう際、アルフにこう
吐き捨てた。…カムラは、黙ってその言葉に耐えた。現場の、兵士のために。

 「君の様な者は、私の○○した○○でも喰っている方が、遥かにお似合いだよ。
  そう思わんかね、『寄生虫』君? 君には羞恥心のカケラも無いのだからな!」

 RX−79。それはRX−78の先行量産機を創ると言うプロジェクトだった。しかし、
用意されたのは質も遥かに劣るスタッフと、数々の余剰部品。報復人事の一端で
ある事は誰の目から見てもすぐに解ることだった。

 「…オレはオレの機体を作る! 現場でMSを必要とする兵士のために!
  軍の面子なぞもう知った事か! 見てろテム・レイ! オレはオレの
  やり方で貴様のRX−78を超えてやる! オレ自身のためにもな!」

 愛憎半ばする不思議な感情を抱えつつ、アルフ・カムラはRX−79製作に
腐る事無く、熱狂的に取り組んだ。そのひたむきな姿に、事情を知る者は
涙を隠せなかった。陸軍工廠から出た余剰パーツを廻してもらったり、
RX-78のパーツを同情的な技術者仲間に密かに流してもらったり、物乞いの
ような真似は、『雲よりも高い』彼のプライドを甚く傷つけた。しかし彼は
諦めなかった。こうして完成した数十機の『RX−79』は、彼の分身とも言えた。 
367通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:32:39 ID:???
 RX-79プロジェクト。聞こえは良いが、RX−78のプロジェクトに比べ、予算は
3桁も少なかった。テムはRX−78−1での宇宙のテストに向かう際、アルフにこう
吐き捨てた。…カムラは、黙ってその言葉に耐えた。現場の、兵士のために。

 「君の様な者は、私の○○した○○でも喰っている方が、遥かにお似合いだよ。
  そう思わんかね、『寄生虫』君? 君には羞恥心のカケラも無いのだからな!」

 RX−79。それはRX−78の先行量産機を創ると言うプロジェクトだった。しかし、
用意されたのは質も遥かに劣るスタッフと、数々の余剰部品。報復人事の一端で
ある事は誰の目から見てもすぐに解ることだった。

 「…オレはオレの機体を作る! 現場でMSを必要とする兵士のために!
  軍の面子なぞもう知った事か! 見てろテム・レイ! オレはオレの
  やり方で貴様のRX−78を超えてやる! オレ自身のためにもな!」

 愛憎半ばする不思議な感情を抱えつつ、アルフ・カムラはRX−79製作に
腐る事無く、熱狂的に取り組んだ。そのひたむきな姿に、事情を知る者は
涙を隠せなかった。陸軍工廠から出た余剰パーツを廻してもらったり、
RX-78のパーツを同情的な技術者仲間に密かに流してもらったり、物乞いの
ような真似は、『雲よりも高い』彼のプライドを甚く傷つけた。しかし彼は
諦めなかった。こうして完成した数十機の『RX−79』は、彼の分身とも言えた。 



クニイ「・・・・レイ大尉と結局袂を分かつわけですが・・・」

カムラ「・・・今からすれば、若さ故の過ちとでもいいましょうか。何とかして
    あのレイ大尉を上回りたかった。只の開発協力者で終わるわけには行かなかった・・
    結果的に裏切り者と蔑まれても当然のことを犯した。最後には貴い犠牲を負ってしまって」

ゼンバ「レイ大尉のRX−78のどこが不満だったのでしょうか?」

カムラ「あの時点で連邦軍が勝利を収めるには、MSを大量生産し、早期に戦場へ送らなければならなかった
    量産効率の面ではあまりに不利でした。確かに性能はザクの数倍の戦闘力を確保はしていましたが」

クニイ「それは、やはり現場の兵士達を思ってのことですか?」

カムラ「ええ。我々がMS開発に手こずってる合間にも前線で同胞が命を落としていく状態はとても嫌でしたから」

ゼンバ「さて、自らの主義を通し閑職に追いやられたカムラ大尉。転機が訪れます」

368通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:33:48 ID:???
2重カキコすまそ
次でヤザン出る
369通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:36:31 ID:???
 8月に、RXシリーズの最終テストがサイド7で開始された。RX-75,77,78-2が順調に仕上がって行く中、
アルフのRX−79の地球でのテストは行き詰まりの様相を呈してきた。…テストパイロットが、居ない。
 あの不幸な事故が尾を引いている事は明白だった。あの事故の話に尾ひれが付いたのだ。

「奴の創る物は信用できない。誰も死ぬと解ってて乗る奴は居ない。余程の馬鹿じゃ無ければな!」

テストパイロットの中で、何時の間にかカムラの作った物に対して、根も葉もない噂が、蔓延していた。
確かにパーツはRX−78の製作過程の余剰部品だ。しかし、出来は純正品と同じだ。自信は充分にある。
カムラは自らテストパイロットを説きに廻った。…部隊を訪れたカムラに待っていたのは、冷笑と侮蔑だった。
カムラはこの時、悔しさに、思わず、叫んだ。

「臆病者どもがっ! オレの機体がそんなに怖いのかっ! 誰も乗りこなそうとは思わんのかっ!」

カムラの背後から肩に手を置く者が居た。宇宙戦闘機乗り出身で、『怖いもの知らず』で超有名な、
「Y・G」だった。彼は静かに微笑みながらアルフに、言った。

 「言わせておけよ、へタレどもには? 俺が、協力してやる。あの『ガンダム』に乗れるんだろう?」
 「『ガンダム』? …なんだ、それは? オレの聞いたことも無い名前だが…? 一体それは何だ?」
 「『RX−78』のテストパイロットの付けた愛称だ。いい機体だと、パイロット仲間から聞いている。
  アンタはあのRX−75,77,78の設計に噛んでいたそうじゃないか? 俺は正直、期待してるぜ?
  ああ、それと事故の件だが、気にするな。死んだ奴が無能だったせいさ。アンタの責任じゃない」

 「Y・G」の最後の台詞は、居並ぶ他のテストパイロット達を激怒させるのには充分だった。
アルフは、「Y・G」と共に、乱闘に参加した。2対15の戦いに、二人は45分後、勝利を収めたのだった。
370通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:38:40 ID:???
テストパイロットがようやく参加し、機体のテストが着々と進み、
今まで見えて来なかった問題点が次々と浮かび上がる。
終わりの見えない修正を続けるカムラ達に、2通の文書が、届いた。

「サイド7にてRX−78−2、白兵戦にてザクを撃破」と。

カムラ達は我が事のように喜んだ。自分の名は出ないだろうが、仕事は報われたのだ。
もう一通の内容は、カムラを即、昏倒させた。

          「テム大尉、行方不明」。

 「行方不明…? あのテム…レイ大尉が…行方不明だと!? 
  嘘だ! 誰か嘘だと言ってくれ! 敵の流した欺瞞だ!」

 超えるべき巨人が、目標が、呆気なく、カムラの前から、消えた。
急に自分の足元が、覚束無くなり、よろめいた。
「Y・G」が、すぐに支えてくれた。彼は嬉々としてカムラに、言った。
 
 「…お偉いさんが、大勢で来てる。アンタにどうやら大事な話が
 あるらしいな…。どうする? 追っ払うなら、手伝うぞ?」

 自分を逆恨みで閑職に追いやった、あの高官も来ていた。
V作戦の、地球に残った関係者達が、押しかけてきていた。
 彼らはカムラが姿を見せると、そろって安堵の溜息を吐いた。
カムラは唇の端を露骨に歪め、彼等に皮肉げに言った。

 「…オレには『ガンダム』を創れません。アンタ達はそれを承知で、
  此処に、オレの元へわざわざ来た。…どんな気分だ?」
 「君が居てくれて…良かった…。恥知らずだが、敢えて言おう。
  君にV作戦を引き継いでもらい、RX−78の量産型を頼みたいのだが…」

 『お断りだ! オレはテムじゃ無い!』と叫ぼうとしたカムラの口を塞ぐ者が居た。
「Y・G」だった。その大きな手でカムラの口を覆い、彼は代わりに高官達に応えた。

 「『引継ぎを喜んでやらせて頂きます』、と、カムラ大尉は言っておられます…。
  が、安心するのはまだ早い! 違うぞ! アンタ達のためじゃあ無いぞ! 
  コイツは前線の兵士のために引き受けるんだ! ザクと体を張って旧式兵器で
  渡り合う命懸けの連中のためになぁ! アンタ達みたいなモグラの頼みでコイツが
  動くものかよ! 腐れ禿に頭の狂った出世魚のためになんか、動く奴じゃない!」

 「Y・G」は即日で最前線の戦闘機隊に配属が決定した。アルフはV作戦に、復帰が
決定した。別れ際に「Y・G」は照れくさそうに、アルフに言った。

 「アンタがコピー品を作るのを引き受けたあの時、ルウムの敗戦隠しで
  貰いたくもない勲章の叙勲待ちで、俺は次の間に控えてたんだ。
  …全部聞いてた。…アンタの創ったMSに乗れるまで、なあに、俺は
  生き残って見せるさ! 俺の腕前、知ってるだろう? …じゃあな…
  アンタの心意気に、俺は惚れたよ。…また何処かで、逢おうや」

 カムラはテムと袂を分かってから、初めてこの時、男泣きに、泣いた。
371通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:40:33 ID:???
(カメラがアップになっているにもかかわらず涙をハンカチでぬぐうカムラ)

ゼンバ「では、ここでもうひとりゲストをご紹介します。かつてカムラ技術大尉と共に
    MS開発に携わったテストパイロット、ユーリ・ゴルトベルガ−氏です」

カムラ「・・・・・えっ・・・(ふと後ろを振り返る)久しぶりだなぁ?!生きておったか」

ゴルトベルガ−「何とか・・・あなたもお元気そうで!」
  (しばし抱擁・・・)

クニイ「閑職においやられた後もMS・・・ガンダムの開発を続けていたのはやはり
    レイ大尉に対する対抗心からなのでしょうか?」

カムラ「ええ。それは多少ありましたが、自分の蒔いた種は必ず自分で始末しなければならないという・・・意地ですかねえ」
    それに優秀なテストパイロットの存在もありましたし(笑)」

ゴルトベルガ−「そんなに優秀でしたかな私は?(笑)」

ゼンバ「ところが79年の10月の・・・サイド7での衝突で偉大なる目標
    テム・レイ大尉が行方不明となるわけですが・・・」

カムラ「あの時の報告を聞いたときは、嘘であってくれ!と何度も思いました
    私にとって、彼を打倒することがモチベーションだったので」

クニイ「情熱が失われたと?」

カムラ「まあ、そういうことですが。もとより打たれ強い方なので(笑)自分を取り戻すのは
    早かった記憶がありますな」

ゴルトベルガー「当時の彼の精神的頑丈さを見るに技術屋よりパイロットのほうが向いてるんじゃないかと思いましたよ(笑)」

クニイ「この事故により再びV作戦に参画する訳ですが、どういった心境でしょうか?」

カムラ「彼の・・・テム・レイの無念を晴らすというとかっこいいですが技術屋の本性ですな
    思い切って腕をふるうことが出来る。それだけでした」


ゼンバ「さて再び加わったV計画に、思わぬところから協力者が現れます」  
372通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:41:43 ID:???
これ実は2人でやってた
ゴルトベルガーっつーのはTV局の用意したニセモノw
373通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:44:46 ID:???
 V作戦は最終局面に入っていた。いよいよ主題の、MSの量産過程を構築しなければならない。
しかし、RX-78は、哀しくなるほど量産向きの機体では無かった。潤沢な予算を投入し、完成した
部品の数々は、個々の精度には問題は無かったが、その部品を組み立てる際に許される誤差が、
寸分の狂いも、許されなかった。格段の性能を発揮するが、これではたとえ時間が幾らあっても、
足りなくなってしまう。カムラは、悩まなかった。RX−79を再設計する方が、効率的だった。
 
 もともとカムラの創っていたRX−79は「寄せ集めの半端モノ」から生まれた。多少の設計上の
部品の誤差も、組みの甘さも、問題にもしなかった。部品さえあれば、いちおう要求性能を満たす
機体を創れる。先行量産機を試作すると言う『閑職』で培った経験が、ここで生きたのである。 
 
 量産機はガンダム量産型の「ガンダム・マスプロダクツ」からGMと名づけられる予定だった。
形式はRGMで決まっていた。後に続く番号は…? スタッフの目が主任であるカムラに集中した。

 「…78は、却下だ。こんなやっつけ仕事は、凝り性のテムなら怒って引き受けないだろうな…。
  …GMは、オレの即席品RX−79から多分にインスピレーションを得て『オレ』が設計した。
  …79だ。これに78をつけると言う奴が居たら、オレはその場でそいつをどうするか解らん…」

 RGM−79は、こうしてロールアウトを待つばかりとなった。が、ここで思いも依らない問題が
発生した。装甲材やフレーム等に利用する『ルナ・チタニウム合金』の払底である。各地の制海権や
制宙権をジオン公国に握られた連邦軍の物資調達能力が、徐々に低下しつつあった。

 「…緒戦の負けが…此処でで響いてくる…この責任はモグラどもの無駄な采配にある…!
  RX−75と77を量産して、せめて足止めに使っていればっ…! …糞ッ!」

 ルナ・チタニウム合金は宇宙で生産することにより、合金を構成する各金属分子が比重に関係無く、
均質に結合し合い分布するという『均質性』が大きな特徴であった。同じ成分で地球上で生成しても
重力の関係で、部分的にに脆いモノが出来てしまう。これまでの試作機は宇宙で生成し加工したもの
を地球に降下させて組み立てていた。ここまで戦況が悪化してしまった今、もうその手段は使えない。

 「強化セラミックと、旧式兵器のルナ・チタニウム合金を溶融した、チタン合金仕様で、
  RGM−79の再設計を行う! 残された時間はもう無い! 悪いが皆の命をオレにくれ!
  期間は一週間! 急げ! ここで負けたらあの世でテム大尉に詫びる顔がなくなるぞ!」

 テムの名を出した途端、スタッフの顔が引き締まった。アルフは、じっと、中空を見据えていた。
374通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:50:38 ID:???
焦るカムラに、RX−78−2の華々しい戦果が次々と伝えられて来た。
ザクを物ともしない火力、防御力、機動性。正式な整備らしい整備もロクにせず、
『実戦で』活躍する『テムの作品』に、カムラは強い嫉妬を覚えた。

 「…テムのRX−78が宇宙や地上でアレだけの戦果を挙げたのだから、
  オレのRX−79やRGM−79も実戦では引けを取らんはずだ…! 」

 丁度、極東方面軍のイーサン・ライヤー大佐が、試作機を自分の指揮下の大隊に
廻して欲しいとの要望を、オブラートに包んだような言い方でカムラに伝えていた
事を思い出した。カムラは目の前の端末のボタンをプッシュし、言った。
 
 「RX−79とRGM−79の内、すぐに陸戦型に換装可能なものは何機ある?
  …実戦データが採れるいい所を思い出したのでな…。そうか…わかった…」

 陸戦型ガンダムと陸戦型GMは、こうして淡々と戦場へと送られたのである。
RX−78に比べて、どこか暗く、裏取引の匂いのする、地味なデビューだった。




クニイ「カムラさんの作り上げたMS、RX−79は地球での実戦投入が開始されました
     ですが、いっこうに進まない量産計画にご不満はありませんでしたか?」

カムラ「不満・・・・それはありましたが、なにせ実戦データの枯渇は最優先に
     クリアーしなければならなかったので、陸戦機ヘの換装、小規模投入に応じることにしました」

ゼンバ「選択は、間違ってませんでしたか?」

カムラ「若干遠回りしましたが、その後の開発効率も上がりましたよ。」

クニイ「さてここにありますのはRX−79の左腕メンテナンスハッチに実際に使われていた部品です。
     ・・・・非常に軽いですね。これがMSの装甲なのかと思うとちょっと
     信じられない気がします」

カムラ「怪我の功名なのですかね?急場しのぎで作った合金ですが軽量化にも作用しました。
     私は神様とかはあまり信じないのですが、今回ばかりは神様に感謝しましたよ(笑)」
         
クニイ「この戦争は、ニュー・タイプ・・・優れた人類の登場する新たな戦いでもありました。」
     それはV作戦にも影響を及ぼします。」
375通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:55:18 ID:???
カムラは、後悔した。予想以上の、陸戦型仕様のMSの損耗率に、頭を抱えた。
東南アジアへの補充部品の矢の様な催促が、本筋の量産計画まで圧迫していた。

 「パイロットの技量の差か…? オレは何処までもツいていない…!」

 ルナ・チタニウム製の装甲の御蔭で、パイロットの死亡は未だ無いものの、その
部品の消耗率は常軌を逸していた。カムラは心の底から、陸戦型のパイロットを、
呪った。パイロットの技量さえ充分なら、ザクごときで苦戦する筈が無かった。

 「…そう言えば…あのRX−78のパイロットは一体誰だ? 資料が確か…!」

 『アムロ・レイ』。カムラの目に『レイ』の文字が墓標の様にそびえ立って来る
様だった。まだテムと親しげに話せたあの日、思春期を迎えた息子の話を聞いた事
があった。カムラは必死に思い出す。にこやかにテムが自慢していた、将来を期待
していた息子の名前は…! カムラはプリントアウトされた資料を机に叩き付けた。

 「またしてもテム・レイ、オマエかッ! 何処までもオレの上にっ…!」 

 闘志が自分の中に再び燃え上がるのを、カムラは感じていた。コンピュータの端末
から、密かに記録しておいたRX-78の機密資料を呼び出し、閲覧するカムラの脳裏
に、あるアイデアが閃いた。教育型コンピュータの存在である。この『テムの息子』
の叩き出した華麗な戦績を生み出した操縦テクニックや機体運用データは、逐一、
記録されているのだ。これを限定的にRGM以降のMSのコンピュータに反映させれ
ば…素人同然の技術を持ったパイロットでも、戦果を上げることが出来る!

 「…ク…クックックック…ハァッハッハッハッ!! テム! …あの世でオレに
  感謝しろ!! オレを寄生虫と罵った貴様の息子を、オレが有効活用してやる
  のだからな! 親子揃って、オレの糧(カテ)となるが良い!」

 もはや陸戦型MSのデータなど、今のカムラにとって屑も同然だった。
 カムラの狙いは、見事に当たった。しかしそれは、完全では、無かった。
GMにデータを移植したのは成功だった。しかし、GMの挙げる戦果は皆、
『テムの息子』がもたらしたとの評価が付いて廻る事になったのである。
カムラは、荒れた。やり切れなかった。

 「ドイツもコイツも…! 量産を成功にまで導いたのは誰の御蔭だと思っている!」

 優れたパイロットが必要ないシステム。そんな物はただの夢物語だろうか?
そんな時に出会ったのが、ジオン公国からの亡命者『クルスト・モーゼス』
博士だった。博士の開発した画期的なOS、『EXAM』システムに、カムラ
は魅了された。システムにより処理される情報量が、連邦製品とは段違いだった。

 「今度こそ…オレの手によるMSで…RX-78を…ガンダムを超える!」
 
 試験的に使用したRGMの機体では、最終的にシステムの要求する機動や出力に
対応出来なかった。カムラは自分の持てる全てを叩き込んだ、かなり状態の良いRX−79
を数機、自分の研究用に確保していた。カムラはそれを投入する事に躊躇しなかった。
 
 「コレで…オレは…RX−78を…超える機体を目指す! 見てろよテム・レイ!」

 『目』から上だけが、『EXAM』を積んだRGM初期型で、後はRX−79の機体。
RX−79の頭の名残は、『口』の部分に付いている、紅く塗装されたブロックのみだった。

 「…何…? 機体を『蒼く』塗る? 別に構わんが…。理由は? 趣味か…。解った…」

 『EXAM』を搭載した機体、RX−79はその機体全体を、クルスト博士の『趣味』で
『蒼く』塗装される事に決定された。「RX−79BD−1:ブルーデスティニー1号機」
はこうして誕生したのである。GMの量産により、戦局は連邦に有利に傾きつつあった。 
376通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 11:58:26 ID:???
カムラは、この蒼い機体の示す性能に、魅惑された。自分の手で創った機体だとは、
とても信じられなかった。正に戦うために生まれたのだ、と言い切れるMSだった。

 「おお…オレの…ブルー…。凛々しく、そして、美しい…。機能美溢れる破壊の女神よ…」

 機体の固定兵装として、武装胸部バルカンを2門、腰部に小型ミサイル発射機を2門。
ビームサーベルを腰部に2基、装備し、ジェネレーター出力をUP。さらに技術工廠
の人脈を使い、試験的に各部のアクチュエータのマグネット・コーティング技術の導入
までやってのけたのである。その気になれば、RX−79用のビームライフルさえ運用可能
なエナジーゲインを誇っていたが、EXAM運用のためにそれはあえて装備させなかった。
その代用品として実体弾を使用する100oマシンガンを、マニピュレータに装備させた。
 
 「…オレの心血を注いで創ったモノが、テム・レイの創ったモノに負ける筈が無いのだ!」
 
 『EXAM試験機』それは連邦の高官たちにとって大きな意味を持つMSとなって行く。
ジオン公国が掲げる、『ニュータイプ思想』は、彼等にとって大きな頭痛の種だった。
実戦にニュータイプ兵士を投入すると言う情報が飛び交い始めたとき、それに匹敵する能力
を普通の兵士でも発揮できると言う『EXAM』に、彼等が飛び付いたのも無理は無かった。

 『GMプロジェクトは君の御蔭で軌道に乗った。次は『EXAM』実用化に
  向けて優秀な君の力を最大限に発揮してくれ。…君をこのプロジェクトの
  専属技術者とする。必要な予算や人員は君の要求する通りに、当方で可能
  な限り差し出そう。逆境の中、這い上がった君の力を我々に見せてくれ!』

 ゴップ将軍が小さな端末の画面の中で軍帽を取り、その頭を下げた時、カムラは不覚にも涙を
抑え切れなかった。ついに、此処まで自分は上り詰めたのだと、始めて実感したのだった。


クニイ「学習型コンピューターの導入によってカムラさんの開発したMSは
     飛躍的進化を遂げることになります。カムラさん自身はニュー・タイプ
     という存在はどのようにお感じになりましたか?」

カムラ「・・・突出した人間というのはどこの分野、どんな環境に置いても存在しうる物である
     という認識ですね。しかし、あの78型ガンダムのパイロットにおいては当てはまらない
     事例ですな。わずか15歳の民間人があの戦果ですから・・・」

ゼンバ「運用データの礎になった78型ガンダムのパイロット・・15歳の青年があなたのライバル、テム・レイ氏の
     ご子息と解った時には、どういった心境でしたか?」

カムラ「・・・・・・あの時の私はテム・レイの78型ガンダムを上回る機体を作る
     それだけでした。ただ、親子そろってよくも私に絡むもんだと思いましたよ(笑)」

クニイ「ジオンからの亡命者によって新たなる技術”EXAM”がもたらされました。
     敵の技術を流用するのに抵抗みたいのはありませんでしたか」

カムラ「ないですねえ。やはり一日の長があるジオンのMS技術力、利用しない訳には
     いきませんでした。逆に、感謝してるくらいですよ。」

ゼンバ「ここに、EXAMシステムを搭載したMS、RX−79BD−1つまり
     ブルー・デスティニーを撮影した数少ない写真を用意しました。

クニイ「白ベースの連邦系量産MSを見慣れてる私にとっては、この”蒼い”機体は
     非常に新鮮に映りますねえ」

ゴルトベルガー「宇宙空間なら解りづらかっただろうね」

カムラ 「成る程なあ・・・・今頃気づいたぞこの蒼の意味に(笑)」

ゼンバ「GMの大量投入が功を奏し、戦局は連邦の勝利へと傾きます。そして
    カムラ技術大尉のMS開発と言うもう一つの長い戦いも終焉へと向かいます」 
377通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 12:01:11 ID:???
しかし、好事魔多しとはよく言ったモノで、カムラにとって『EXAM』は正に鬼門となった。
テストパイロットが、『EXAM』によって送り込まれる情報に耐え切れず、次々と発狂若しくは
廃人と化していった。『女』の声を聞いた、或いは『少女』が訴えかけるとの報告に、周囲の人間
は徐々にプロジェクトの中止をカムラに求め始めた。何か得体の知れないモノが、ブルーに宿って
いるのだ、と言うスタッフを、カムラは一笑に付した。

 「…優れた物を求めるのには代価が必要だ…。求められる代価が大きい程、オレのブルーは
  より大きな輝きを放つ…。きっとブルーは、捧げられる犠牲が多ければ多いほど、優れた
  MSと為るだろうよ…。…ブルーのテストは続ける…。…中止など論外だ…」

 事実、『EXAM』の暴走は止む事は無かった。暴走したが最後、ブルーは戦場に動く者が
無くなるまで破壊を続け、機体が稼動限界に達するまで、敵や『味方』の区別無く、殺戮を
続けたのである。敵や味方の識別を続けられなくなる理由は、『EXAM』が予測する戦闘
情報を絶え間無く送り続けられたパイロット自身の情報処理能力の限界を超えて、過大な処理
を彼の精神や肉体に強制するのが原因だった。つまりは、システムの要求に人間が『耐え切れ
なく』なるのだ。パイロットには、それを拒否する事が実質、出来ないのだ。
 『EXAM』は、戦闘に際し最適だと『システム自身』が判断した行動を、パイロットに
提示する技術だと聞いていたカムラは、まず最初にテストパイロットの無能さを呪った。

 「…オレのブルーに『乗り潰される』パイロットは、所詮それだけの器に過ぎん…」

 テムと別種の狂気を、居並ぶスタッフは今の『アルフ・カムラ大尉』に見出していた。

 結局カムラは、リミッターを機体と『EXAM』の間に噛ませる事でスタッフと妥協した。
『テストパイロット殺し』の名を、自分の最高傑作である、この『ブルーデスティニー』に
冠されたく無かったのが原因だった。…しかし、それでもブルーの暴走は止む事は無かった。

 「…クックックック…。ブルー…。偉いぞ…? よくオレの元へ還って来た…」

 敵、味方の部隊を幾度も全滅させ、パイロットを発狂させ、帰って来るブルーにスタッフは
恐怖した。正に『呪われたMS』だった。暴走時に、RGMのゴーグルタイプのメインカメラ
の奥より放つ紅の両眼(ツインアイ)の輝きは、アルフだけを興奮させ、周囲の人間を戦慄の
渦に叩き込んだ。ブルーにはいつしか、『蒼い死神』という綽名が囁かれる程に為っていた。
しかし、圧倒的な戦闘力を誇る『死神』のコックピットをGMで撃破したパイロットが現れた。

 「オレの…ブルーを…あの『GM』で、だと?! 誰だ! 誰の仕業だ! 」

 撃破したのが、第十一独立機械化混成部隊所属の『ユウ・カジマ少尉』である事が判明するのには、
多くの時間を要しなかった。『MS実験部隊』はアルフ達のチームだけとは限らなかったのである。
 
 「…オレのブルーの性能をMAXまで引き出せるのは…奴が適任かもな…」
 
 アルフは彼こそがブルーのパイロットに適任だと直感し、第十一独立機械化混成部隊に、ブルーごと 
移籍を希望し、叶えられた。その後紆余曲折あって、『モルモット隊』と綽名されたこの混成部隊で
『ユウ・カジマ少尉』がブルーデスティニーのパイロットとして任命され、多大な戦果を挙げたのは、
その後の記録が示す通りである。が、その栄光に満ちた日々は長くは続かなかった。
378通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 12:02:58 ID:???
 ジオンにも、『EXAM』を搭載したMSが存在したのである。アルフの心血を
注いで完成させた『RX−79BD−1』は大破し、搭載していた『EXAM』は
破壊された。しかし、その頃既に、宇宙用に換装された『BD−2』と『BD−3』
がロールアウトしていたため、カムラの受けた衝撃は微々たる物だった。

 「遂に…オレのブルーが、宇宙に…! テムゥ! 見ているが良い! 」

 しかし、事はスンナリと運ばなかった。ジオン公国軍の手で、宇宙用に換装
された『BD−2』は奪取されてしまったのだった。『EXAM』の産みの親
である『モーゼス・クルスト博士』もその際に死亡し、『EXAM』の全容を
知る者は居なくなった。『EXAM』は最早、量産不可能なシステムとなった
のだった。奪取された『BD−2』を追跡するため急遽調整された『BD−3』
は蒼く塗装されること無く、あの『RX-78』に施された塗装と類似したものに
為っていた。『BD−3』と宇宙に上がったアルフは、落胆した。

 「所詮…テムをオレは…超えられんのか…? その程度の…器だったのか…?」

 その時、コンテナ船の格納庫で歓声が上がった。アルフは、そこへ向かった。
『BD−3』の周りで、兵士達が騒いでいた。宇宙に行く前にアルフが手に入れた、
『テムの息子』の乗った『RX−78−2』と対戦できるシミュレータが稼動していた。
これまで連邦軍の中で勝てるパイロットや機体は、存在しなかった代物でもあった。

 「…どうした? 何があった…? !! そ、それは…本当なのか!? 」

 手近の兵士を捕まえて聞いたアルフは、驚愕した。なんと、『ユウ・カジマ中尉』が
『ガンダム』に『BD−3』で勝利したと言うのだ。…カムラの目に、じわりと涙が溢れた。

 「…テムに…勝てた…! オレは…勝てたッ…! 見たかテムゥゥゥゥゥ!! 」

 突然叫びだしたカムラに、兵士は驚いて離れていった。アルフは群集の中を掻き分け、
ユウ中尉の前に出て、彼の両手を握り、振り回し、感極まって、力強く、抱き締めた。

 「…有難う…! …オマエの御蔭でっ…オレはッ…オレの仕事は…報われたッ!!」

 その後BD−2、BD−3は大破し、EXAM搭載機は再び世に出ることは無かった。
アルフはその後、ムラサメ研究所に志願する事になる。『EXAM』があるニュータイプ少女
の精神パターンをコピーしたものだと判明したのがその大きな理由であった。 
379通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 12:06:06 ID:???
 (四体のフィギュアを順に指すゼンバ)

ゼンバ「これが…BDの原型機とも言えるRX−79で…。
     この蒼いGMの頭部に似た機体が…BD-1。この蒼く塗られたガンダムヘッドがBD-2、
     そして、このRX-78-2に酷似した機体が、BD−3という訳ですね? カムラさん? 」

カムラ 「その通りです・・・・」

クニイ 「試作機の強奪、ジオンの技術者の死と連続して悲劇が起こり”EXAM”
     は事実上の終焉と相成るわけですがライバル、テム・レイの打倒という
     目標は達成されたと・・・思いますか?」

カムラ 「(何を思い出したか、涙を流しハンカチで拭き取って)
     ええ・・・何度と無く辛酸をなめつつもここまでやってきたのは・・・
     テム・レイのRX−78型ガンダムの打倒、それこそが私の原動力でしたから
      そして、シミュレーター上とはいえ、テム・レイの78型・・・そして彼の息子を
     倒すことに成功した・・・何事にも代えられない喜びでしたね」

ゼンバ「ではもし、あなた一人で開発に携わっていたら・・・?」

カムラ「ここまでの成果は、無かったでしょうね。”競作”という手段を79年の時点で選択した
    レビル将軍はこのことを認識していたのでしょう?」

クニイ「終戦後のカムラ技術大尉のその後を振り返りつお別れとさせていただきます」


  ♪かた〜りつぐ ひとも〜なく〜

380通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 12:08:10 ID:???
『宇宙は、命に満ちている…』

BD−3から奇跡的に脱出を果たした『ユウ・カジマ中尉』は アルフ・カムラ大尉にこう語ったと言う。

『宇宙は、暗黒の世界ではない。宇宙には『色』が あるのだ』

と。カムラ大尉はその時、真っ先に、BD−1の機体の色を思い出した。

『あの、蒼色か…?』

ユウ中尉は黙って頷き、言った。

『マリオンが、言っていた』と。
 
カムラ大尉は廃棄されたサイド5の研究所で、資料を読んでいた。EXAMが起動した瞬間、
一人の少女が意識を失ったと。その少女の名をユウ中尉が口にしたことを、カムラ大尉は自然に
受け入れていたのだ。

『命の…蒼…か…』
己を振り返ったカムラ大尉は、『蒼』に別のイメージ を抱いていた。
一年にも満たない期間を、駆け抜けていった出来事や、忘れられない人間達の事を。

 「…オレのこの戦争に捧げた、青春は、終わったよ…。ブルーと共にな…」

 戦争を始めるのも終わらせるのも、全ては『人』の『繋がり』だった。それが可能な『人の革新』に
アルフ・カムラ大尉は自らの次に求むるべきモノを見出したのだ。ムラサメ研究所での、カムラ大尉の
研究は未だ軍事機密により明かすことは出来ない。しかし、もう私たちは知っている。
 
         カムラ大尉が、真摯に自らの求めるモノを、追いかけた事を。         


                          END
381通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 12:09:14 ID:???
コピペ終了
早く続きくれヤザン厨
382通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 12:30:25 ID:???
再収録乙

しかし、できれば一部修正が欲しかった。
>>366-367
4桁なのか3桁なのかハッキリ汁。
383381:2005/07/30(土) 13:58:25 ID:???
スマソ
漏れは桁多いほうがイイと思ったが
オリジナル尊重した
二重カキコになったが後悔してない
384通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 18:07:12 ID:???
>>383
了解した。


どころでゴルトベルガーってのはヤザンを知らん奴が続きを書いてしまったキャラだったような。
当時はヤザンの偽名説でカタを付けていたような記憶がある。
385通常の名無しさんの3倍:2005/07/30(土) 18:40:17 ID:???
そう言えばこのプロジェクトXスレのハイザックネタにもヤザンとエリオットレムが絡んでたw
386通常の名無しさんの3倍:2005/08/02(火) 23:32:44 ID:???
hosyu
387通常の名無しさんの3倍:2005/08/03(水) 18:33:54 ID:???
隊長!
チンコがちぢんでいるのでもみほぐして欲しいであります!
388YAZAN:2005/08/06(土) 08:20:16 ID:hMTQrFp2
どれ…ふむ…いかんなぁ? ちぢんどるぞぉ! しっかりせい! 
389通常の名無しさんの3倍:2005/08/06(土) 11:39:20 ID:???
ヤザンってウホなの?
390通常の名無しさんの3倍:2005/08/06(土) 18:34:42 ID:???
両刀だろ
391通常の名無しさんの3倍:2005/08/06(土) 19:20:59 ID:aspf3zWJ
アニメ見ました。ニュータイプよりヤザンが一番マトモに見えます。
こんな私は変でしょうか?
392通常の名無しさんの3倍:2005/08/06(土) 21:38:30 ID:???
なんでヤザンはホモ扱いされるんだろうなぁ……
393通常の名無しさんの3倍:2005/08/06(土) 21:56:00 ID:???
金タマ握りという懲戒免職もののセクハラをやったからさ
394通常の名無しさんの3倍:2005/08/07(日) 06:58:06 ID:???
しかしあのときのアドル曹長の表情ったら、なんとも言えんものがあるよなぁ
395通常の名無しさんの3倍:2005/08/07(日) 19:34:00 ID:???
私服の露出度もすごく高いから?
396通常の名無しさんの3倍:2005/08/07(日) 21:01:58 ID:???
あれは私服というよりコスプレ。
397通常の名無しさんの3倍:2005/08/07(日) 23:18:16 ID:???
ヤザン・ゲーブルと比較できるキャラは
デコース・ワイズメルぐらいしかおるまい
398通常の名無しさんの3倍:2005/08/08(月) 02:14:54 ID:axejKCBT
いや、カミサン思いのXのカトックとかいう軍人さんか、ククルスドアン。
だってヤザン、顔はああ見えても、心のなかみは、かなり、やさしすぎるから。
399通常の名無しさんの3倍:2005/08/08(月) 03:59:26 ID:???
デコース、コステロ、スウェッソン

コステロはちょっと違うか
400通常の名無しさんの3倍:2005/08/08(月) 12:56:09 ID:???
ギャバン・グーニー
…声いっしょだから
401通常の名無しさんの3倍:2005/08/08(月) 15:44:22 ID:jPygM2DS
初めて見たけど一気に読めました。ヤザン最高!ヤザン厨氏神!
http://l.pic.to/3foz2
402通常の名無しさんの3倍:2005/08/09(火) 21:29:25 ID:???
名スレage
403ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/08/10(水) 11:42:52 ID:???

 コロニーに接近した俺達2機のMSとランチ1機は、港に入港しているザンジバル級2隻を視認した。『曹長』のGM・LAが、
『ブルー』の右肩を掴む。接触回線で会話しなければ、通信を傍受される危険が有る。搭載していたMSは大半が出撃中
かも知れないが…常に最悪の状況を想定し、それを回避するために最善の行動を採るのが『真の軍人』たる証だ。

 《『中尉』…港からは無理だ。どうやって内部に侵入する? どうせ廃棄コロニーなんだ。外壁を吹き飛ばして…》
 「そいつは三流以下の回答だ、『曹長』。もう少しアタマを使って考えて見るんだな」
 《オマエは馬鹿か? 敵に発見されたらどうなるか、解って言っているのか? 》
 「アルフ…教育中だ。スマン。…曹長! 北米に居た時、俺がお前をブルーに始めて乗せた時、俺はお前に何を
  読ませたか覚えて居るか? 覚えていたらそんな台詞は出てこん筈だがな! それとも早くも忘れたか? ン? 」

 数瞬の沈黙が辺りを支配した。与圧され、空気の充填されたコックピット内の各種ファンが廻リ続ける音だけが聞こえる。 
もう、7年も聞き慣れた音だ。…俺の居た『ティターンズ』は、ジオンの残党狩りに組織された。当然、想定される戦場は、
宇宙だ。そして奴等の潜伏する恰好の隠れ家と為るのは…そう、各種コロニーだ。当然、侵入方法は俺にとってはお手の
ものだ。だが、この場合、『俺』が模範解答を示してやる訳には行かない。『曹長』に施した教育の成果を確認して置かな
ければならないのだ。…この戦闘が終わり、EXAMを全て破壊してしまえば、俺は…

 《…このタイプのコロニーの、資料だ…。そうだ…港とは別に存在する点検坑! 位置は確かコロニーの各所…! 》
 「そうだ曹長。その一つだ。作業用ポッドで開けられるノブ付きの、な。覚えて置け。侵入経路は一つだけじゃあ無い」
 
 『曹長』の喜色溢れる歓声の回答は、俺の展開する陰鬱たる思考を破ってくれた。そうだ。今は、悩んでいる時では無い
のだ。戦場では、戦闘以外の無駄な事を考える奴の方が早死にする。これは真理だ。俺は…今、何を考えていたのだ?
 俺がどうなろうとも、俺はここに生きて居るのだ。生きている限り、為さねば為らぬ事を全力で行わなければならん。

 「俺のブルーのマニピュレーターは見ての通り、両方とも武器で塞がって居る。一機で開けると、その中に潜む敵MSから
 の奇襲を受ける危険性が高い。MSでのコロニー侵入はだから三機編成がベストだ。しっかり覚えて置けよ、『曹長』! 」
 《三機編成の内容は何だ、ヤ…ユウ》
 「一機が開け、一機が中の敵に対応。そしてもう一機が…」

 最大望遠にしていた後部確認モニターに、俺はスラスター光を捕らえていた。ビームライフルの有効射程距離、ギリギリ
にだ。幸い発見された様子は無いが…侵入を発見されてはまだ、困るのだ。あの光の拡散具合から…06の高機動型だ。
装甲は薄い。コックピットを直撃させれば…時間は稼げる筈だ。他に展開している敵MSの配置は、ビームライフルの射線
光源を追跡可能な角度では無い。そうなると俺の回答は、一つしか、無い。

 「後方を監視、さ」

 俺はビームライフルを持った『ブルー』の右腕を背後に廻し、撃った。一呼吸後に火球が生まれる。『曹長』の息を呑む、
声に為らない声未満の呻きが、接触回線で聞こえた。この調子では、きっとモニターでの後方監視を怠っていたに違いない。
 調子に乗っていた、Gディフェンサーに乗っていた馬鹿なパイロットといい勝負だ。素人に毛の生えた連中が良くやるミスだ。

 「急ぐぞ。今のを発見された恐れが有る! 」
 《掴み難いんだよ…糞! よし、開いた! 》
 《…今のノブ解放モーションデータを、帰ったらマニピュレータの基本モーションプログラムに追加して置く…》 

 点検坑の隔壁が、開いて行く。コロニーの内部には何が、待っているのか? …二ムバス…何処だ? 何処に居る?
404通常の名無しさんの3倍:2005/08/10(水) 14:38:43 ID:???
キ―――――――タ―――――!!
405通常の名無しさんの3倍:2005/08/10(水) 15:14:50 ID:???
野獣 VS 騎士
期待sage
406通常の名無しさんの3倍:2005/08/10(水) 19:32:23 ID:???
新作がキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
407通常の名無しさんの3倍:2005/08/10(水) 23:48:37 ID:???
カツ・・・
408通常の名無しさんの3倍:2005/08/11(木) 12:33:58 ID:geCRfVRV
二部に堂々登場記念でヤザン上げ!

カミーユに「プレッシャーは無い! ただ *強いだけ* だ! 」

と言わしめた最強のオールドタイプに乾杯! NTでは無いのに強いと解らせる!
正にタダモノでは無い強さ! それがヤザンの魅力!
409通常の名無しさんの3倍:2005/08/11(木) 16:08:51 ID:g2i8zInE
>>408
おまけに忍法ムササビの術まで使えるし
体を張ったギャクも最高だ。
410通常の名無しさんの3倍:2005/08/11(木) 16:51:03 ID:???
レコアとNTっぽく感応してなかったっけ?
411通常の名無しさんの3倍:2005/08/11(木) 17:59:07 ID:lan4HBgZ
しかし感応拒否。NTになる事を拒否したすてきな戦闘オタク。
412通常の名無しさんの3倍:2005/08/11(木) 18:41:59 ID:???
ハマーンも感応拒否してたような…
413通常の名無しさんの3倍:2005/08/11(木) 20:30:15 ID:???
奴はNTじゃないから良いんだ。

(まあ、彼の性格なら別にNTでも問題なさそうだが)
414通常の名無しさんの3倍:2005/08/11(木) 21:07:58 ID:???
何だかどんなヤバイ戦況でも、
ヤザンなら何とかしてくれるって気がしてきた。
415通常の名無しさんの3倍:2005/08/12(金) 01:14:35 ID:???
ここまで愛される三白眼も珍しいね。
416通常の名無しさんの3倍:2005/08/12(金) 03:46:12 ID:dgs97SuP
なにせパクリ王のフクダですらパクるのをためらった
主人公デストロイヤーだからな
417通常の名無しさんの3倍:2005/08/12(金) 07:31:14 ID:???
>主人公デストロイヤー
ちょっと違う
悪役の枠を超えた名脇役だ
計算してできるものじゃない
418通常の名無しさんの3倍:2005/08/12(金) 11:14:02 ID:???
ザブングル的にはティンプの役どころに思える
419通常の名無しさんの3倍:2005/08/12(金) 19:52:54 ID:???
しかしサエグサぶち殺しかけるので、ZZでは退場を命ぜられたw
420通常の名無しさんの3倍:2005/08/13(土) 04:00:11 ID:???
お前ら勿論MIAハンブラビ買うよな
421通常の名無しさんの3倍:2005/08/13(土) 11:37:03 ID:???
ころしてでもうばいとる
422通常の名無しさんの3倍:2005/08/14(日) 01:59:51 ID:uSFEeT1I
ギャプランが似合うかも。
423通常の名無しさんの3倍:2005/08/14(日) 02:02:12 ID:RgkNwIU2
ヤザンってなんでこんなにもてはやされてんだ?
424通常の名無しさんの3倍:2005/08/14(日) 02:04:25 ID:???
>>423
私服がナイスだから
425通常の名無しさんの3倍:2005/08/14(日) 02:16:50 ID:RgkNwIU2
>>424
納得w
426通常の名無しさんの3倍:2005/08/14(日) 02:59:53 ID:JoDIMLgp
ヤザン=フルハウスの父ちゃん=データ少佐
427通常の名無しさんの3倍:2005/08/14(日) 10:08:13 ID:???
んな子と言われてもヤザンスレだからなあ
428通常の名無しさんの3倍:2005/08/14(日) 17:39:49 ID:8JRAWvJj
このスレはただのマンセースレでないところがイイ
429通常の名無しさんの3倍:2005/08/14(日) 19:58:00 ID:???
強いは強いが性格は限りなく破綻しているからなあ
430通常の名無しさんの3倍:2005/08/16(火) 07:10:42 ID:z6tCWCAM
破綻と言うより・・・何だかなあ
極限状態に置かれても、それを他人事のように、
ゲームのように状況を楽しんでるように見える。
431通常の名無しさんの3倍:2005/08/16(火) 15:33:02 ID:???
アニメZZでさ、ゲゼで復讐したり、あえて政治思想は持たない主義っぽい。
なんか人相悪い土方歳三みたい。
ゲゼを撃破されて脱出して、それからどうなったんだろ?
小説では地球までゲゼで追っかけてたけど。
「ダカールの日」でそれっぽい人みたけど、やっぱ遊びかな。
432通常の名無しさんの3倍:2005/08/16(火) 22:20:56 ID:???
途中でフェードアウトだからこそその後を想像する余地が生まれるんだろ。
433通常の名無しさんの3倍:2005/08/17(水) 00:33:21 ID:???
骨の髄までバトルマニアよね
434通常の名無しさんの3倍:2005/08/18(木) 00:09:23 ID:???
ところで・・・ニムバスはあぼーんさせられるのだろうか?
それとも大逆転はありえるのだろうかと悩むこの漏れがイルw
435通常の名無しさんの3倍:2005/08/18(木) 15:04:20 ID:???
多分大丈夫だと思うよ。
しかしここは平和ですねえ。
436通常の名無しさんの3倍:2005/08/18(木) 16:32:11 ID:???
なんてったってあのヤザンさんがここの王だからな
437通常の名無しさんの3倍:2005/08/18(木) 19:53:21 ID:???
カプなんて考えもしないからな
荒れないことは良いことだ…
438通常の名無しさんの3倍:2005/08/20(土) 19:52:10 ID:3npTjRQU
フォウの声優変更に抗議あげ
ヤザンの声が変わったら怖い
439通常の名無しさんの3倍:2005/08/21(日) 09:14:31 ID:???
そんな不吉な事いうのヤメレ・・・
440通常の名無しさんの3倍:2005/08/21(日) 12:10:51 ID:???
「女が戦場にいるってのは、気に入らないんだよォ」
ってアニメ声で言われるかも。
441通常の名無しさんの3倍:2005/08/22(月) 02:11:58 ID:KzzbSxyb
もし、ヤザンの声優が保志総一郎に変更されたら・・・
漏れは漏れなく音響監督を射殺するかもしれない
442通常の名無しさんの3倍:2005/08/25(木) 15:12:50 ID:???
age 
443ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/08/26(金) 19:26:42 ID:???

 慣性の法則。それは、今だ律儀にもこの廃棄コロニー内に重力の残滓を留めるに到っていた。コロニー内に太陽光線を
導くミラーが数枚破壊されて居るとは言え、自転を止めるには衝撃が足りなかったのだろう。点検抗よりメンテナンス通路
に侵入した俺達は『マリオン』の指示に従い、目指す建造物に『導かれて』いた。無論、敵の存在をも知らされてはいたが。

 『ヤザンさん…気をつけて…あの人が…居る』
 「…俺に奴をどうして欲しいんだ、マリオン? 」

 『マリオン』は、俺にある『ビジョン』を見せていた。優しかった、『理想的な軍人:二ムバス・シュターゼン』との記憶だった。
勿論、NTであるマリオンは奴の内包するコンプレックス、野心、プライド等、鬱屈する澱んだ感情が見えていた筈だろう。
しかし、ジオンの騎士と自称する奴は…クルスト曰く『少女の形をした戦闘能力の化物』に対し、飽くまで一人の普通の人間、
いや、少女として接していたのだ。少女をあからさまに差別する、クルストへの直言もあった。

 『年端も行かぬこんな少女を戦わせて何に為ると言うのだ! 私の様な優秀なパイロットが居れば事足りる! 』

 EXAMシステムに『取り込まれた』マリオンに最初に気付いたのも…奴…二ムバスだった。最初は、奴も『マリオン』を解放
するために戦っていたのだが、MS戦闘での破壊の魅力、システムの産み出すMSとの一体感に、当初の志を失いつつあった。
 EXAM発動を完璧に制御可能に為った現在では、最早、奴の、『マリオン』の知っていた優しい大尉の面影は皆無に等しい
に違い無い。この『俺:ヤザン・ゲーブル』ですら、システムがもたらす闘争の快感に我を忘れて酔ってしまった程だ。
 
 『二ムバス大尉を…助けて…』
 「殺すな、と云う事か? 難しいな! 第一、俺は手抜きなんざ性に合わん男でな! 強い相手ならば尚更の事だ」

 俺の脳裏に、味方MSを斬撃で無慈悲に葬った蒼いMSの姿が浮かぶ。血塗られた赤い肩をした、2刀を操るそのモーションは
一分の隙も無く…美しかった。堪えようも無く、ただ俺に『戦いたい』とだけ思わせた、あの無慈悲さ、華麗さ。思い出せば口中に
唾が溢れて来る。思わず舌舐めずりをしてしまった俺は、『マリオン』の沈黙に気付いた。…嫌われたな。しかし俺は…

 『戦う事がどうして…そんなに楽しめるの? 何も産み出さない事なのに…ただ、命を奪うだけの行為なのに…』
 「…解らんだろうよ。戦う事を止めてしまったお前にはな…」
 
 生き残る快感は、それを味わった事の無い人間にどれだけ言葉を尽くして語ったとしても、理解されない類のもので有る事は、
俺はジャーナリストと名乗るだけの似非ブンヤどもとの付き合いで、嫌に為る位に実感していた。…ジャーナリストと言えば…あの
細目のセンスの悪い、白のスーツを着た若僧の事を思い出す。奴だけは…口下手な俺の語る内容を、解ってくれた気がする。
 ただ、頷き、『解るよ』と一言だけ呟いた奴の陰鬱で沈鬱な表情を浮かべた顔は…確かに戦闘を経験した兵士の顔だった。 

 『あの建物よ…あの建物に…』

 モニターが一瞬、光度調整に因るハレーションを起こす。メンテナンス通路を抜け、廃棄コロニーの内部に漸く抜けたのだ。 
まだ、植物が枯れずにいる。外の荒れ様が嘘の様に内部は傷んでは居なかった。此処が、戦場で有る事を忘れてしまう程に。

 《…到着したようだな…。この分だと、空気も水も有りそうだ》
 《敵サンもな! 『中尉』! あれか?! あれなんだな! 目的地は! 》

 俺達は全ての始まり、ジオンサイド5秘密研究所を視認する。連邦軍である俺達はついにEXAM発祥に地に辿り着いたのだった。
444通常の名無しさんの3倍:2005/08/26(金) 19:31:10 ID:nbwALK+B
キタキタキタキタキタキタキタヤットキタ―――!!
445通常の名無しさんの3倍:2005/08/26(金) 20:36:14 ID:???
>>444
カイ北ーーーーーーーーーーーーーーー
446通常の名無しさんの3倍:2005/08/26(金) 20:50:51 ID:???
>>443
GJ!
447通常の名無しさんの3倍:2005/08/27(土) 08:07:27 ID:???
続き乙です!
448通常の名無しさんの3倍:2005/08/27(土) 16:13:02 ID:???
>>443
新作来てた━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
449通常の名無しさんの3倍:2005/08/28(日) 00:52:44 ID:???
キタァー(゚∀゚)ーッ!!!
キタァー(゚∀゚)ーッ!!!
キタァー(゚∀゚)ーッ!!!
続き…(*´艸`)ワクワク
450ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/08/28(日) 05:10:37 ID:???
 「ハリハリハリハリハァリィ! 早く降りんと背中から撃っちまうぞ、このクソッタレどもが! 監視を怠るなよ! 伍長!」
 「陸戦隊突入班! ここが見せ場だぞ! しっかりユウ中尉にいいトコ見せんとな? 俺達を連れて来て良かった、と
 言わせなければオトコが廃るってモンよ! なぁ、兄弟?! う…お先にどうぞ…レディファーストっす、中隊長…」
 「アンタねぇ…オンナのアタシを捕まえて、兄弟は無いでしょう?! タマナシ! びびってんじゃないの! 降・り・る・の!」

 ランチから、第11独立機械化混成部隊に残った、陸戦隊の連中がノーマルスーツを着て、小銃等の武器を持って降りて
来た。 降りた者から、班毎に隊伍を組んで研究所の外壁に取り付く。ランドムーバーを用意した者は屋上へ飛び、屋上の
入口を確保する。かく言う俺は、ブルーを降り、システム自体を落として、膝を付かせて駐機姿勢を取らせていた。やはり、
『仲間』だけに危険を伴う『作業』をさせる事は、俺の性に合わなかった。『曹長』には機材監視、言ってしまえばMS内にて
待機を命じてある。『俺だけ居残りかよ! 』としっかり言ってくれたが、最重要任務だ、と睨み据えて云うとビビって黙って
しまう所がまだ…小物臭を感じさせてしまう。まあ、場数を踏んだ分だけ、新兵よりはマシだが。

 「…オマエも行くのか、ヤ…ユウ中尉…? 」
 「ああ、見せて貰うのさ。陸戦隊の実力をな? 」

 隊長格の兵士に、目配せする。…若い女だった。確か…ケイだったか? 名前は…? そうだ。俺がブルーを地球の北米、
キャリフォルニアベース近辺のミサイル基地で乗り潰した時に、ヴァネッサと云う同僚相手に『公私混同だよ? 』と通信で
たしなめていた事を俺は思い出した。マズかったか…? いや、ユウの甘いマスクで流し目は…完璧にマズイ選択だった…。

 「アンタたち! ユウ中尉の前でアタシに恥かかせたら、どうなるか解ってるんでしょうね! 」
 《糞兵隊サン艦内マラソン3周か、女子更衣室で裸踊りか、三食抜きであります、マム! 》
 「生きてても死んでてもしっかりさせるからね! あと! アタシより先に死ぬんじゃ無いよ! 解ったかい? 」
 《イエスマム! カワイイカワイイ部下達は全員、隊長殿の突入命令待ちであります! 突入命令を!》
 「了解! 犬の様にお座りしてな! …陸戦隊突入班、ケイ・サカキ少尉以下32名は、中尉の命令を以って突入を開始します」

 眼前で繰り広げられた、下品な陸軍のノリを忘れたかの様に少尉は艶やかに微笑んでくれた。…これだから、女って奴は怖い。
俺は上位者であるアルフ『大尉』を見遣る。ノート型の携帯端末をしっかり抱え、奴は頷いた。…上出来だ。恐怖に震えていない。

 「アルフ・カムラ大尉の許可が出た。…では、第11独立機械化混成部隊陸戦隊! 突入! 」
 「突入命令受領! 第一分隊、第二分隊、第三分隊! 同時に屋上と正面、裏口の扉を爆破後、速やかに内部を制圧せよ! 」
 《イエスマム! 3…2…1…爆破! 》

 轟音と共に入口ガラス扉が粉々に吹き飛んだと同時に、銃声が辺りに響き渡る。ジオン兵が先に潜入して、待ち伏せていたのだ。
小銃が、俺の腕の中を目掛けて飛んできた。どうやら屋上から投げてきたらしい。間髪入れずに通信が入る。低い男の、声だった。

 《姐さんを頼みますぜ? 色男でエースのダンナ? タマナシじゃあなかったらの話ですが、ね? 》

 云ったものだ。俺が昔、陸戦でライトアーマーを擱座(カクザ)させた時、敵中を拳銃一丁で突破した腕である事を知ったならば、
そんな無礼な台詞は出て来ないだろう。…もっとも、奴が傍に居たならば、俺はすぐさま小銃の台尻で脇腹を思い切り突いてやる
心算でいたが…運の良い奴だ。

 「私の傍を離れないで下さい、御二人とも! 行きますよ! 」
 『ヤザンさん…気をつけて…中には…』

 ああ、解っている。多分、居る筈だ。俺を恋焦がれたかの様に待っている奴が居る事を。…二ムバス! 俺は来たぞ!   
451通常の名無しさんの3倍:2005/08/28(日) 06:16:08 ID:???
>>450
あんた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





















最高だぜ!!
452通常の名無しさんの3倍:2005/08/28(日) 12:14:40 ID:???
>>450
連日の新作キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
453通常の名無しさんの3倍:2005/08/30(火) 12:36:43 ID:JBOynkZ0
さて、どうなるどうする? 白兵戦か? 野惨は勝てるのか?
454開成 ◆QRXqyPRNBo :2005/08/30(火) 12:39:28 ID:???
屋残滓ねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
455通常の名無しさんの3倍:2005/08/30(火) 12:41:59 ID:???
>>454
お前もなw
456通常の名無しさんの3倍:2005/09/01(木) 18:34:32 ID:autLWRO7
神不在上げ
457通常の名無しさんの3倍:2005/09/03(土) 21:47:14 ID:???
種死見た
ヤザンを投入して戦闘地獄にたたき込みたくなった
458通常の名無しさんの3倍:2005/09/04(日) 13:32:35 ID:???
ヤザンのような「仕事人」は
ああいう話では、表面に出てこんよ
終戦まで黙々と撃墜して酒呑んで寝てを繰り返すのみ
459通常の名無しさんの3倍:2005/09/06(火) 10:45:20 ID:+gjagToQ
ん? 主役級の周りを普通にぶち殺すんでない?
460通常の名無しさんの3倍:2005/09/06(火) 12:14:22 ID:???
ヤザンの胸の亀かわええええええええええ
461通常の名無しさんの3倍:2005/09/06(火) 12:17:24 ID:???
実写版Ζを作るとしたら
ヤザン役は吉本新喜劇のトサカのおっさん(名前しらん)だよね
462通常の名無しさんの3倍:2005/09/08(木) 13:09:47 ID:WZXQaVln
劇場第3作で、ザコ化するヤザンは見たくない
463通常の名無しさんの3倍:2005/09/08(木) 18:15:55 ID:???
カツにやられるかもね
464通常の名無しさんの3倍:2005/09/08(木) 23:20:38 ID:???
>>463
それだけは絶対嫌
465名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 19:15:42 ID:7Qo1BCis
カツスゲー
466名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 19:20:59 ID:???
あの情けないZZにおけるヤザンを思うと、
相手はカツでいいので、カッコ良く散って欲しいと思う俺がいる。
467名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 07:05:33 ID:???
え?情けない
ヤザンといえば「豚の丸焼き」だと思うが、俺は。
468名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 07:38:02 ID:???
あのガサツな喰い方だけは、Z時代からそうだったような気がしてならない。
469名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 17:33:35 ID:???
ヤザンさんはマスターキートン並のサバイバル技術も習得してる方だから
470通常の名無しさんの3倍:2005/09/14(水) 23:45:34 ID:4/yzrwxR
蘇るヤザン
471通常の名無しさんの3倍:2005/09/15(木) 01:29:17 ID:???
ギレンもヤザンが味方なら勝てた…と思う
472通常の名無しさんの3倍:2005/09/15(木) 15:56:23 ID:???
ヤザン再び
473通常の名無しさんの3倍:2005/09/16(金) 12:12:43 ID:M4ZebI2d
・・・ヤザン、散る
474通常の名無しさんの3倍:2005/09/16(金) 14:32:41 ID:???
ヤザンも新兵の頃は上官にチンコいじられてたのだろうか
475通常の名無しさんの3倍:2005/09/16(金) 21:53:10 ID:???
小説版ZZで、砂漠にロンメル達の墓を建てる漢ヤザンも味があるけどなぁ…。

インテリは夢ばかり追いかけて、過激な事しかやらない。
野獣はねぇ「無駄な殺し」はやらないのよ。

疑問形に疑問形で返す、似非インテリ達の世界を斬り裂いて欲しい。
476通常の名無しさんの3倍:2005/09/17(土) 04:01:50 ID:???
>>475
奴らはインテリですらありません
477ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/09/17(土) 16:55:18 ID:???
 俺とアルフと小隊長を務めるサカキ少尉の三人は、正面入口から侵入した第二分隊とともに行動していた。 
1階の中央まで侵入した所で、第二分隊はジオン兵の猛烈な反撃を受けていた。ここまで激烈な抵抗をすると
なると、この秘密研究所には余程、重要なデータが眠っていると解釈するべきだろう。…手間取らせやがる!

 《糞! 糞糞糞糞ォ! ジオンの豚どもが! 死ねよ! 俺は捕虜には為らんぞ! 》
 《おい、ライル! 早くロケラン(携帯式歩兵用ロケットランチャー)撃て!  建物が崩れても構わん! 》
 《第一分隊が貧乏くじを引いてくれた御蔭で、こちとら裏口は快適に射的中ってね! 七面鳥撃ちより簡単だぜ!》
 《Aエリア、クリアー! こら、その死体に触るなよ!? 良く見ろ! 手榴弾握ってるだろ! ブービートラップの初歩だ!
  引っ掛かったらあの世に逝っても間抜け呼ばわりだぞ、ルーキー(新人)! 次行くぞ次! 悪い宇宙人狩りだ!》 
 
 俺のノーマルスーツのヘルメットに、各分隊からの悲鳴にも似た怒号が、引っ切り無しに入ってくる。これだ!
この混沌こそが…陸戦の、白兵戦の醍醐味だ! 俺はバイザーを上げ、深呼吸する。うっすらと匂う、陸戦隊の
連中がばら撒いたCSガス(催涙ガス)の香りが俺の股座をいきり立たせる。…最高だ! 俺は今…戦っている!

 「第一分隊の奴がママン助けてぇと泣き言言ってやがるぞ! 第二分隊! 1F制圧後は上階へ向かえ! 」
 「イエスマム! …って…姐サン! ユウ中尉が! 」
 「あッ…?!…そんな…中尉?! …危険ですから下が…!? 」

 ユウの身体は俺の元の身体と同じく、俊敏に動いてくれた。遮蔽物が無い所に身体をワザと露出させ、敵の射撃を
俺は誘う作戦に出た。味方のバックアップなど期待して居ない。敵が銃のトリガーを絞る前のタイミングで、速攻で殺る。
 案の定、机や椅子を積み上げたバリケードから身を乗り出して来た粗忽者の顔を、俺は小銃弾で柘榴のように割る。
掠めて行く敵の小銃弾や拳銃弾の衝撃波による、身体を伝わる震動が、俺をさらに興奮させる。

 「チマチマチマチマ殺ってんじゃ無いぞ貴様等! 今こうしている間にも、貴重なデータが敵の手で消されている
 かも知れんし、第一分隊が全滅するかも知れんのだ! ガッツのある所をこの俺に見せてみろ、お嬢さんタチぃ! 」

 俺は目の端に次の敵を捉え、そいつに小銃をぶっ放しながら味方を振り向き、怒鳴った。俺は直ぐに敵に向き直り、
バリケードに向かって突進し、両腕に持った小銃だけ下に向けトリガーを引く。反動で踊る小銃を上手く左右にリード
するのがコツだ。案の定、隠れていたジオンの奴等が『ギャン! 』やら『あガッ! 』やら、素敵な悲鳴を上げてくれる。

 「出来ないと言うなら、俺に貴様等の持つ弾倉を寄越せ! その代わり俺は貴様等を臆病者だと地獄に堕ちても…」
 「第二分隊! 中尉に続け! 名誉に懸けても貴様等を『お嬢さん』と中尉に呼ばせるな! アタシは良いがな! 」
 「イエスマム! 恥は二度とかかせません! 俺達だって、やるときゃやりますよ! A班! 上階に行くぞ! 」 

 俺は小隊長に向かって親指を立ててやる。おどけた敬礼をする小隊長は、困った、とばかりに眉をひそめてから、
苦笑を返してくれた。何時死ぬか、誰にも解らん。だから、精一杯、自分の出来る範囲で愉しまねば…損をする。
 焦げた匂いが辺りに漂う。この匂いは…手榴弾の点火ヒューズの匂いだ! …死にミヤゲ、か…ジオン兵め!
俺が対爆姿勢を取って、伏せた途端に爆発し、当たりに散らばっていただろう弾薬類が誘爆を開始した。フン、甘いな!

 「…中尉を陸戦隊にスカウトして構いませんか? アルフ大尉…? 」
 「…EXAMパイロットの移籍金は、高いぞ少尉…? 」

 アルフ…お前、冗談も言えたんだな? 俺は身体を起こし、バリケード越しからそっと前を見る。エレベーターの有った
所が大穴に為っていた。俺は前進し、大穴を覗いた。…案の定、深く地下に続いていた。上の建物は…多分全てダミーだ。
二ムバス…俺は貴様を、追い詰める! 
478ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/09/17(土) 17:10:07 ID:???
遅くなってスミマセン…。プロバイダごと、アク禁喰らってました…。
オイラが書き続けて、2年目に突入しました。皆様、有難う御座います。
完結まで…もう少しです。対ニムバス戦と…おっと、口が滑りました。
エピローグではあの名場面をオイラ解釈でやりたいな、と思っています。
バイオセンサーが感応し合った結果が、カミー…!! では、オヤスミナサイ。
479通常の名無しさんの3倍:2005/09/17(土) 18:50:57 ID:H2FIY6Vb
新作・・・キタ―――!!(^o^)9m
480通常の名無しさんの3倍:2005/09/17(土) 19:27:25 ID:???
>>478
いや俺はいつまでも待つよ!スレを保守しながらな!
GJ!
親愛なるヤザン厨に敬礼!
481通常の名無しさんの3倍:2005/09/17(土) 21:40:22 ID:???
>>478
いつもながら新作乙
482通常の名無しさんの3倍:2005/09/17(土) 22:08:35 ID:???
陸戦ヤザン燃え
483通常の名無しさんの3倍:2005/09/17(土) 22:34:04 ID:???
ヤザンはパイロットだけど、白兵戦やってるのを想像しても違和感がないなあ。
ブラン・ブルタークあたりも違和感ないかな。
484通常の名無しさんの3倍:2005/09/18(日) 22:02:42 ID:???
ガンダムでは数少ない職業軍人だからな
485通常の名無しさんの3倍:2005/09/18(日) 22:09:41 ID:???
ブランはそうだけど、ヤザンに職業軍人というイメージが無いのは俺だけですか?
486通常の名無しさんの3倍:2005/09/18(日) 22:15:52 ID:???
うん
487通常の名無しさんの3倍:2005/09/18(日) 23:56:04 ID:???
ブラン→職業軍人
ヤザン→喧嘩屋

ってイメージなら、合うかな?
488通常の名無しさんの3倍:2005/09/19(月) 01:49:04 ID:???
ブラン→職業軍人
ヤザン→いくさ人
489通常の名無しさんの3倍:2005/09/19(月) 09:21:19 ID:???
新作乙であります!
いつもながら迫力のある戦闘描写に毎回大興奮。

まとめサイトとか欲しいと思うのは俺だけ?
490通常の名無しさんの3倍:2005/09/20(火) 20:57:01 ID:w6NmYxjD
このスレじたいまとめスレみたいなもんだしな
491通常の名無しさんの3倍:2005/09/20(火) 21:19:48 ID:???
間違えてもらっちゃあ困る事がある
  ここは ヤ ザ ン スレだ
純粋なヤザン好きが集まるスレだ
492通常の名無しさんの3倍:2005/09/20(火) 21:24:53 ID:w6NmYxjD
スマソ
493通常の名無しさんの3倍:2005/09/21(水) 00:57:10 ID:???
このヤザンの話も入れ替えスレ発祥(2スレ目466〜。>>82はそれの改訂版)だったりする。


ところで、いつのまにか入れ替えスレが出来ていたようだ。
ヤザンに限らない入れ替えネタは下記も併用すると良いだろう。

バーニィとガトーを入れ替えてみる。2
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1126528029/
494通常の名無しさんの3倍:2005/09/21(水) 19:54:19 ID:???
妄想で考えたことある。逆シャア以降の生き残り敵ジオンキャラだけを集めてのオリジナルストーリー。
主役はヤザン
他出演キャラは
イリア、ダニー、デル、デューン、ナナイ、ミネバ
495通常の名無しさんの3倍:2005/09/23(金) 12:26:15 ID:7jYoy/7j
連邦軍の面子とからませたいね
496通常の3杯:2005/09/24(土) 18:01:12 ID:QpHKAE6F
実況・ヤザン先生がいたら
http://live20.2ch.net/test/read.cgi/livetbs/1127552081/
497通常の名無しさんの3倍:2005/09/26(月) 01:01:37 ID:???
解りやすいようにMSに顔マークをプリントする。
498通常の名無しさんの3倍:2005/09/28(水) 00:09:56 ID:fTB0lUQc
ティターンズに入った理由は実戦を求めてのことだろう。
訓練はしょせんオナニーだから
499通常の名無しさんの3倍:2005/09/28(水) 00:14:31 ID:???
どうせだったらもしガンダムを初めて起動させたのがアムロじゃなくてヤザンだったらが見たい

ヤザンはたまたまサイド7でにいただけだった
アムロは爆撃でフラウと抱き合いながら死亡
500通常の名無しさんの3倍:2005/09/28(水) 17:54:56 ID:???
どうせもなにも…元はそんなネタスレだったんだけどなw
みんなとっくに飽きたけど
501通常の名無しさんの3倍:2005/09/29(木) 20:38:37 ID:Wy8I+vSa
>>499
ヤザンが軍人か民間人かで展開が分かれる。
民間人なら・・・アムロのように事前データ持ってないとMSは動かせない
軍人なら訓練を受けていたと言う理由で問題ナシになるけれど
結論:アムロは運がいい
502ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/10/01(土) 12:11:08 ID:???

 「俺とアルフにランドムーバーを貸せ。お前達は退却しろ。後は、俺の仕事だ…と言っても、聞かん顔だな? 皆? 」
 「それは例え、中尉の命令でも承服出来かねます。…勿論、大尉の命令でも、ですが。なあ、お前達! 」
 「…此処まで来てそりゃあ無いでしょう、ユウ中尉? 姐御と俺達に最後までお付き合いさせて下さいよ」

 屋上から突入した第一分隊は、裏口から突入し上階に向かった第三分隊に支援されて、このエレベーターシャフトまで
一部が辿り着いていた。死者はトラップにするためにその場に仕掛けを施し残して来たと晴れやかに言う奴等に、プロの
根性を俺は見た。感傷に囚われず、生死を共にした仲間すら戦争の道具に仕立ててしまう。立派で素敵な兵士達だ。
 
 「…任務は自分の命より、誇りよりも重い、か。相手が一般市民では無い事が救いだな…」
 「?」
 「いや…お前達はどいつもこいつも…素敵で立派な軍人だよ! 行くぞ! 」

 任務に忠実な奴等『理想的な軍人』が、コロニーにガスを撒き、そして暴徒鎮圧のために平気で普通のスペースノイドを
巻き添えにした事実を知っている『俺:7年後のヤザン・ゲーブル』にとって、それは苦い思いと皮肉めいた可笑しさを想起
させた。自分の仲間には限り無く優しいが、敵には命令が有るまで容赦はしない。軍人の修正不可能な習性でも有る。
 
 「悪いが一番乗りは、俺が頂くぞ? お、ありがとよ。ついでに、手榴弾も有ると嬉しいんだがな? 4個有ればいい」
 
 俺は渡されたランドムーバーを装備すると、小銃とハンドグレネードを抱えて穴倉に飛び込んだ。深い。この深さは…きっと
地下にMS格納庫か、MS機動の研究棟まで有るに違いない。エレベーターの縦穴の内側から扉を数えて行く内に、少女の
声が俺の頭の中に響いて来た。今になって何故、話しかける? 『マリオン』?

 『停まって、ヤザンさん。アルフさんが…上から来る。でも…一人だけ…』
 「なんだと! 奴等はどうした! 陸戦隊の奴等は! 」
 『交戦中なの。アルフさんを送り出してすぐ…』
 「…急いでくれ、ヤザン。時間が無い。敵が上から来ている。ケイ少尉達は交戦中だ」
 
 俺は無言で付近のエレベーターの内扉に小銃弾をぶち込み、それから開けに掛かる。敵が待ち伏せていたならば、最初の
射撃で蜂の巣状になって倒れているだろう分量をお見舞いしたので、手動で開けるのに少々時間が掛かった。上の陸戦隊の
奴等が全滅したら、敵は迷う事無くこのエレベーターシャフトに各種爆薬を投下するだろう。俺はローストターキーには為りたく
は無かった。非常灯の赤い光が、通路を支配していた。この建物の緊急発電能力は、まだ生きているらしい。

 「マリオン! ここは何処だ! 二ムバスは何処に居る! 俺に教えろ! 時間が無い! 」
 『…ヤザンさん達が居るのは地下8階のサイバネティクス研究棟。大尉は真直ぐ行って右の部屋。…MS戦技研究室』
 「…ヤザン? どう云う事だ? 誰と話している? マリオンは、いや、ブルーは地上に残し…」
 「何時か話しただろう? …頭の中の天使サンとさ。あんまり突っ込むな。付いて来い、アルフ! 」

 そうか…人間の動作と、MS機動とを繋ぐ研究棟か。EXAMには相応しい命題と来たモンだ。しかし何故、二ムバスは逃げない?
まるで俺を待っているかの様な行動を取るとは…罠か? いや、ジオンの騎士と自称する奴が、卑怯な罠を張るものだろうか?
 俺とアルフはMS戦技研究室を目指す。…アルフには来るな、と言ったのだが…。二ムバス。狙うのはこの『俺』だけにしてくれよ! 
503通常の名無しさんの3倍:2005/10/01(土) 12:42:35 ID:???
>>502
乙!!一ヶ月間待ったかいがあったさかい
504通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 20:02:32 ID:g6qkVQKI
ヤザン焼き豚あげ
505通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 20:09:46 ID:???
照明弾を匂いで嗅ぎわけるヤザンに萌え
506通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 20:29:17 ID:???
そんな攻撃が俺に効くか〜ぁ!!!
507通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 20:30:42 ID:???
新設
スーパーサイヤ人3は、ヤザン隊長だ。
508通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 20:35:55 ID:???
説だろ>>507
509通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 20:54:08 ID:???
縮んどるぞぉ〜まだ出撃前だ、しっかりせい!
510通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 21:04:45 ID:???
MSに乗らなくても強い説ですね。
511通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 21:07:58 ID:???
>>510
東方不敗レベル?
512通常の名無しさんの3倍:2005/10/04(火) 22:17:17 ID:???
いや、チボデー・クロケットレベル
513通常の名無しさんの3倍:2005/10/05(水) 00:39:06 ID:???
シャア専ブログで劇場Z2関連をつらつら見直してたんだが…ヤバそうだな
トミー発言でもチクチク触れられてるし、ZZヤザンな悪寒?
514通常の名無しさんの3倍:2005/10/07(金) 11:55:06 ID:???
ヤザンの経歴をうめてみようスレがオワタ…
515通常の名無しさんの3倍:2005/10/08(土) 00:46:15 ID:???
いや、新しいの立ったよ。
516通常の名無しさんの3倍:2005/10/08(土) 18:33:12 ID:???
スマン立ってたね…
517通常の名無しさんの3倍:2005/10/08(土) 20:25:21 ID:???
今更PSのΖガンダム買った
ヤザンの顔があまりにも変で一瞬誰だか本気で判らなかった
何あれ 弱いし
518通常の名無しさんの3倍:2005/10/10(月) 02:20:55 ID:aSqdw49c
旧シャア板の中ではティターンズ好きってだけで厨扱いされる場合もあるもんな
ならグロスナチドイチェライヒ(大ナチドイツ帝国)の武装SSはどうなのよ、
と思うね
 ティターンズ=親衛隊っぽい組織(ただし違うのは正規軍から派生)
519通常の名無しさんの3倍:2005/10/10(月) 02:28:34 ID:???
>>517
なかなか楽しませてもらったぞぉ・・・ヌハハハハハハ!!
が聞けるだけで価値がある
520通常の名無しさんの3倍:2005/10/12(水) 13:46:24 ID:0Om225CS
悪役笑いが似合うのは芳忠神の力だけではない
宇宙世紀の傾奇者(カブキモノ)ヤザンの力ここにあり
521通常の名無しさんの3倍:2005/10/12(水) 14:07:22 ID:???
ふふはははは!!落ちろォ!!
この言葉にヤザンの全てが凝縮されてると思うぐらいカコイイと思う。
522ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/10/13(木) 20:45:13 ID:???

 MS戦議研究室のドアをアルフの持ってきた端末を接続してコードを解析して開かせると、俺はその中に持ってきた
手榴弾全てをぶち込みドアをまた閉鎖させた。…罠が張って有ると思われる所に正面から乗り込む程、俺はボケては
居ない。陸戦は、MS戦闘よりも人間の意志に左右される要素が大きい。詐術、裏切り、欺瞞、錯誤。人間相手だから
こそ、油断は出来ないのだ。

 「…口を開いておけよ、アルフ…今! 」

 衝撃波が今の『俺』の身体、ユウ・カジマの身体を直撃していた。壁越しにコレだから、中に伏兵が居たとしたら…
正直、生きては居ないだろう。流石は陸戦隊、対人用なんて甘っちょろい代物は持って来ては居ないな! 最高だ!
 アルフがドア開閉装置のコネクターからケーブルを引き抜いた。…ドアの電装系が破壊されたのだ。繋いでいても、
反応が無かったのだろう。俺はアルフに表情と手振りで、ドアを手動で開ける意志を伝えた。アルフはそのまま残り、
俺は右に廻る。そしてドアに手を掛け、両側から引き開けた。…闇に支配された内部に、赤く染まった光条が徐々に
太く、差し込んで行く。

 「ビンゴ、か。…しかし…誰が誰だか解りゃあせんな…」
 「…フン、MSパイロットに比べればマシな死に様と云うべきだろう? ヤザン…」

 伏兵が部屋の壁にパーツとなってへばり付いていた。五体満足な奴は一人として居ない。だが俺は羨望すら覚える。
奴等は死んだ後に死体を残せたのだ。MSパイロットはそうも行かん。機体の推進剤に誘爆すれば骨も残らんだろうし、
ビーム兵器に直撃されればチリ同然だ。アルフも技術者のくせに胆が据わっている。…多分死体の入った『ブルー』の
コックピットユニットの解析で慣れているに違い無い。突然、俺達の視界が白く染まる。しまった、照明がまだ…!

 『久し振りだな、連邦の闘士よ…逢いたかった…程では無いがな? 』

 照明装置が、まだ生きていたのだ。目が光に慣れて行くに従い、俺は状況を把握した。二ムバスの声がするが、それは
電気的に増幅された声で、上方から降ってくる。正面の、一面に張ってある強化ガラスにヒビが入った向こうの部屋が多分
戦技モニター室だ。そこに一度だけ拝んだ面(ツラ)が得意げに微笑んでいる。二ムバス・シュターゼン! スカした面ァ、
しやがってヨォ! その隣には各種コード類が接続された、ヘッドマウントと椅子のユニットが鎮座ましましていた。

 「ようこそ諸君、と最初に言って置こう…。此処がEXAM誕生の地だ。そして、私とマリオンがともに過ごした地でも有る」

 隔壁ドアが両側に開き、二ムバスが戦技モニター室より俺達の部屋に出て来た。その手には、三振りのフェンシングに
使用する、サーベルが握られていた。その中の一振りを俺に投げて寄越す。俺は無視して、自分の小銃に銃剣を装着した。
 …白兵戦で、相手の得意な武器でわざわざ勝負してやる義理は俺にはこれっぽっちも存在しない。揺さぶりでもするか…。

 「…ジオンの騎士と名乗る貴様が、こうも罠を張るなど、頂けないな? 二ムバス? これが騎士の…」
 「部下の希望を無下には出来んだろう? 違うか? …そこの技術者、EXAMのアーキテクチャはあの部屋の中だ。
  端末のパスワードは…Probe。古い地球の一地方、ドイツ語だ。私の気が変わらん内に、疾(と)く行くが良かろう」
 「…試練…だな…意味は…解った。…そのEXAMの被験者の末路を、良ければ聞かせて呉れないか、大尉?」
 「マリオンはサイド6、フラガナン機関の息の懸かった病院に収容された…。この戦争が終わったら…解析して、彼女を
 救ってやってくれないか? …死に臨まんとする私の、切なる願いだ。彼女は…希望なのだ! 頼む! 技術者よ! 」

 おいおい、何か俺がもの凄い悪役に思えて来たぞ? 仕方なく俺は、奴に付き合って小銃から弾倉を抜く。それが、合図だった。
二ムバスが、双刀を構えたのだ。足裁き、体重の掛け方を見た喧嘩屋の俺には解る。相等遣えるぞ、コイツは! 面白い!

 「…解った。引き受けよう。但し…オレがこの戦争を生き延びる事が出来たらの話だが…」
 「…感謝するぞ、技術者…では連邦の闘士よ! 二ムバス・シュターゼン特務大尉、参る! 」

 ハン! 後悔するなよジオンの騎士様! テロ鎮圧で培った、俺の白兵戦技を舐めて貰っちゃア、困るんだよ!

  
523ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/10/13(木) 20:47:21 ID:???
フラナガンでした。スミマセン。…ああっ! また用語間違い! …クライマックスにぃ! スミマセンでした…。
524通常の名無しさんの3倍:2005/10/13(木) 21:22:08 ID:???
>>523
知るか!!そんな細かい事!!
二ムバスかっけ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!GJGJGJ!!!!
525通常の名無しさんの3倍:2005/10/14(金) 00:13:39 ID:y/uz0EDt
ほぼ2週間周期の漏れの楽しみがきましたよ
526通常の名無しさんの3倍:2005/10/14(金) 16:34:37 ID:???
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
ヤザンハァハァ。頭の中で声付きで動き回りますよ。
527通常の名無しさんの3倍:2005/10/15(土) 18:10:56 ID:???
ヤザン・・・漢認定!!
>>523氏GJ!!!
528通常の名無しさんの3倍:2005/10/18(火) 04:50:49 ID:1q+XVRI4
ヤザンの白兵戦に興味がある
529通常の名無しさんの3倍:2005/10/18(火) 09:37:31 ID:???
ヤザンの嫁に興味ある
530通常の名無しさんの3倍:2005/10/18(火) 22:12:11 ID:???
ヤザンの家族に興味在る!!!
531通常の名無しさんの3倍:2005/10/18(火) 23:18:17 ID:???
ヤザンの孫に興味が在る!!!
むしろジジィヤザンもみてみたいような・・・
532通常の名無しさんの3倍:2005/10/19(水) 22:06:21 ID:???
ヤザンの履歴書に興味有るよ!
何が書かれてんだろ?
533通常の名無しさんの3倍:2005/10/19(水) 22:35:08 ID:???
高校中退
534通常の名無しさんの3倍:2005/10/20(木) 13:59:18 ID:???
趣味:他人の金玉揉み
535通常の名無しさんの3倍:2005/10/20(木) 14:00:45 ID:???
嫌いなもの:戦場にしゃしゃり出てくる女子供
536通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 01:02:56 ID:???
なんてかっこいいスレだ
これだよ、これ種とは違う感覚!
537通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 20:06:50 ID:EQIEjmSJ
PS2の百式ゴールドパック出すんならPS2のハンブラビ仕様のものも出してほしい

PS2の本体をハンブラビカラーに改造した人っていますか?


538通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 20:11:44 ID:X1NFUrtZ
青いPS2を買うんだ
539通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 20:41:50 ID:EQIEjmSJ
青いPS2って出ているんですか詳細教えて!!
540通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 20:43:25 ID:EQIEjmSJ
Z以降のヤザンはどうなったのですか?ZZの1話でZガンダムの奪取に失敗して・・そのあとの詳細キ本ぬ

541通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 21:30:30 ID:???
ゲモンと組んでゲゼに乗ってΖと戦う。技量面では優位だったが、所詮ゲゼ。勝てない。まぁ、ΖΖのヤザンはギャグキャラでしかないので
542通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 22:48:42 ID:???
小説でわ、ヤザンはゲモンを相棒にして戦場から離れたらしい・・・
543通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 23:10:49 ID:ezxoi+l6
アニメ版でヤザンの部下のダンケルとラムサスが最終話の手前ぐらいでどちらか一人死んだけどもう一人はどうなったの?
544通常の名無しさんの3倍:2005/10/22(土) 23:30:02 ID:MR9R63lD
ヤザン最高ヤザンは、不死身だ
545通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 00:11:57 ID:1AudL71J
ヤザンは顔が悪人みたいだけど、ほんとはいい人かもしれない・・
546通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 00:34:19 ID:???
いい人かはともかく、筋は通してる。そこがイイ。
547通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 00:46:00 ID:1AudL71J
>>546 なるほど・・・・
548通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 00:58:36 ID:???
Ζとカミーユがやられて廃人になったのを知って、味方になるヤザン。

とか脳内(ry
549通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 01:05:29 ID:???
直前でラムサスが逝ったけど、ダンケルはどうやらスルー・・・死に際の絵が無い。
550通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 01:58:07 ID:???
行方不明って結構あるね。ZZの3Dとか。
551通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 08:00:23 ID:8mwAOr7T
ハンブラビは結局3機しか作られなかったの?3期とも試作?
552通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 10:06:46 ID:???
三機とも試作。RX−139のナンバー貰ってるところから見ると、そんな数作ってなさそうだし。
553通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 11:34:55 ID:tOuOYTuC
ハンブラビって他の可変モビルスーツよりも生産しやすかったんでしょ?あれだけの戦果を収めることができる機体なんだから量産型を作って戦線に大量に送り込めば良かったのに・・
554通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 18:10:36 ID:???
もう少しぃ〜刻がぁ〜ゆる〜やかであぁったならぁ〜♪

元アリス・堀内の持ち歌。年末時代劇白虎隊のタイアップソングの歌詞。

ハンブラビは、ナンバー見てわかるとおり、連邦軍開発・謹製。

試作機は豪華でも、量産型は生産効率を上げなきゃお話にならない。

連邦軍はその開発中に、エゥーゴと手を組んでしまった。
555通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 18:34:20 ID:???
>>549
トマーシュのことかぁぁぁ!
556通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 20:21:31 ID:pYDkvlMj
>>554 ハンブラビの量産タイプだと性能が相当落ちると言うこと?
557通常の名無しさんの3倍:2005/10/23(日) 21:50:02 ID:???
 それと、どこまで質を落とすかと、パイロットの確保。
機種転換訓練っつーのは、実は結構期間の必要な訓練
 リニアシートコックピットだから簡単の様に見えるが、
非変形MSから可変MSに乗り換えるだけでも普通の人は
大混乱に。連邦軍っていってもピンからキリまでいるから
558通常の名無しさんの3倍:2005/10/24(月) 22:07:34 ID:gPsavCQr
皆さんPS2の百式ゴールドパック持ってますか?


559通常の名無しさんの3倍:2005/10/25(火) 00:44:52 ID:???
>>558
なにそれ?
560通常の名無しさんの3倍:2005/10/25(火) 01:29:29 ID:yBni5qcL
>>559  金ぴかのプレイステーション2本体  本体に百という文字が入っている・・
561通常の名無しさんの3倍:2005/10/25(火) 04:14:03 ID:WMJ+8vep
エウティタの頃の限定版だなw
562通常の名無しさんの3倍:2005/10/25(火) 18:21:27 ID:T5FYC7hf
560 >>561 持ってますか?
563通常の名無しさんの3倍:2005/10/25(火) 23:55:49 ID:YAo7Jqxg
このスレの皆さんはMIAのハンブラビ買いますか?
564通常の名無しさんの3倍:2005/10/26(水) 01:53:19 ID:???
>>563
アッシマーなら・・・・
ハンブラビよりギャプランのが好きなんだ
565通常の名無しさんの3倍:2005/10/26(水) 09:12:24 ID:bX4j327d
>>564 ギャプランが出たら買うんですか? ギャプランに乗っているヤザンが好きなんですか?
566通常の名無しさんの3倍:2005/10/26(水) 09:35:25 ID:???
質問厨のage荒らしUzeeeeeee!!!
567通常の名無しさんの3倍:2005/10/26(水) 14:56:45 ID:???
やっぱギャプランわ、ロザミアよりヤザンだべえ!!
568通常の名無しさんの3倍:2005/10/27(木) 00:11:22 ID:???
ヤザンが乗ってたギャプランは下方の視界を見ることができなかったのは本当?あとギャプランはメッサ−ラに刺激されて連邦軍が開発したものなんですか?
569通常の名無しさんの3倍:2005/10/27(木) 05:03:58 ID:Qhf38+fN
>>568
 本当。そのためにカミーユにしてやられた。
後半部分は×。もともとギャプランは高高度迎撃用のMS。
変形させてブースター装備した姿はハァハぁもの。
アレが生み出すGに耐え切れる猛者が居る、連邦の兵の層の厚さよ!
たっても、乗りこなせるのは劇中設定では強化人間を除いてヤザンだけ。
570通常の名無しさんの3倍:2005/10/27(木) 09:43:40 ID:???
>>569
補足。
本来オーガスタ研の実験機であるギャプラン。
連邦の基地にパーツ状態で運びこまれた物を、機体の知識がない者が組み立てた訳だ。
そりゃ不具合出るだろうと。
そんな未調整機体であれだけの戦闘行なえるヤザンは神。
571通常の名無しさんの3倍:2005/10/28(金) 01:21:39 ID:???
ヤザン大尉が好きな食べ物は何だろ?
572通常の名無しさんの3倍:2005/10/28(金) 09:48:35 ID:???
肉類じゃね?
573通常の名無しさんの3倍:2005/10/28(金) 11:57:46 ID:???
肉は戦闘で食い飽きてるから案外あっさりしたものが好きだったりして
574通常の名無しさんの3倍:2005/10/28(金) 14:14:02 ID:???
実はベジタリアン
575通常の名無しさんの3倍:2005/10/29(土) 00:13:34 ID:???
ヤザンに似合いそうなMSは?
576通常の名無しさんの3倍:2005/10/29(土) 00:30:36 ID:???
実を言うとゼータ系の軽量強襲MSかF91かBD
577通常の名無しさんの3倍:2005/10/29(土) 11:54:08 ID:???
ゲゼ!ゲゼ!
578通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 14:58:51 ID:jl3d0ty/
実は妻子がいたりして・・・
579通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 15:13:56 ID:r9UHzq6J
ヤザンは豚肉食べてたよな。
580通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 16:23:28 ID:???
>>543
二人ともエマのスーパーガンダムにやられなかったっけ?

行方不明と言えばZZのイリア・パゾムもどうなったのやら。NT能力も高かったらしいのに。
外伝漫画(ダブルフェイク)に出世して出てきたりはしてるけど。
581通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 21:16:15 ID:???
>>580 一人は確実にやられた、もう一人の方はMSにビームが命中したが生死不明

これ買いますか?

http://www.tamashii.jp/mia/ms/200.html
582通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 21:26:56 ID:???
フェダー淫ライフルや盾なんて持ってたっけ?
583通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 23:31:07 ID:???
劇中では『全く』使用していません。
ギャプランしかりハンブラビしかり、
必要最低限や機体オプション仕様
しかヤザン様は使用していません。

でもゲルググのビームナギナタは
使いましたが。『ジオンの亡霊』の

 …グおゥ! なんの! 腕は2本
あるんだァ! の発言にシビレマス。
584通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 23:36:24 ID:gWExMYYu
ラムサス死亡
ダンケル被弾

そんだけ
585通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 23:41:18 ID:WeAYlrNM
>>584使える!とか言って結局役に立たんかったよなアレw
586通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 23:43:36 ID:WeAYlrNM
訂正>>583
587通常の名無しさんの3倍:2005/10/30(日) 23:47:57 ID:WeAYlrNM
訂正>>583
588通常の名無しさんの3倍:2005/10/31(月) 01:30:27 ID:???
>>583
ガブスレイ用のフェダーインライフルを使おうとしてたシーンはある。
盾は見たこと無いけど。
589通常の名無しさんの3倍:2005/10/31(月) 01:37:33 ID:???
MIAのページでハンブラビが持っているのはマラサイのダミーだと思います。赤い物体を展開させるとマラサイになる。
590通常の名無しさんの3倍:2005/10/31(月) 04:44:35 ID:???
1時からぶっ通しで最初から一気に読破した
ここまで身が打ち震えた文章は初めてだ
ヤザン厨さん、いやヤザン厨様!執筆頑張ってください!
591通常の名無しさんの3倍:2005/10/31(月) 18:18:54 ID:???
たかが590レスに3時間45分もかけるなよ
592通常の名無しさんの3倍:2005/10/31(月) 22:48:54 ID:???
>>591
いやいやわからんぞ?
ガノタで無ければキャラの来歴一つとってみてもグクらねばわからんからな。
Zだけで済めば良いが、ZZやら1stやらコロ落ちやら外伝やらガンダムネタ
のオンパレードだからな、このスレはw
593通常の名無しさんの3倍:2005/11/01(火) 13:41:54 ID:???
映画の評判を見に来たらこんな神スレに出会えるなんて…
記念カキコ
594通常の名無しさんの3倍:2005/11/02(水) 03:07:56 ID:Gv1FwNwm
 保守あげ
595通常の名無しさんの3倍:2005/11/02(水) 03:25:15 ID:???
富野本流のGガンダムができる
596通常の名無しさんの3倍:2005/11/02(水) 15:13:18 ID:???
>>553
扱いが難しいんじゃないの?
海ヘビとかクモの巣とか相当腕がないと使いこなせなそうだし
597通常の名無しさんの3倍:2005/11/02(水) 15:28:48 ID:???
>>596 海ヘビとかクモの巣とか使わずに飛び道具(フェダーインライフル)やMA状態での固定武装による攻撃だけに限定するとか・・
598通常の名無しさんの3倍:2005/11/02(水) 16:43:17 ID:???
TMSの利点が全く無いだろうにと言って見る。
RX−139はその汎用さと機動性能が命!

言って見れば『裏Z』なトコロが魅力なのさ!
で、ヤザンが裏主人公ね? ジェリドでなく。
599通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 21:37:32 ID:???
映画のヤザンてでかくね?シロッコとあんなに身長差あったかな。
まぁカッコいい事に変わりはなかったんだけど。
600通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 21:51:17 ID:CSTdkirM
むしろ男性らしさを象徴する鍵と見たね、漏れは。
劇場版追加セリフの

「ヤザンとハンブラビの組み合わせにかなうものか! 」
もいいが、

「手篭めにしてやるっ! 」が気になった。

カミーユは中性的、むしろ女性的に描かれるのに対し、
ヤザンは終始、『男性のシンボル』的に描かれていたと
見る。要は、第二作は女ばっかり出て来たが、ヤザンで
男らしさの作品バランスを取っていると負荷読みw
601通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 21:55:46 ID:???
>>5
ええー!?
ΖΖでのヤザンってマンホールに落ちただけで死んではいなかったんでないの?
602通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 22:03:23 ID:???
>>601
ちゃうちゃう、ゲゼのコックピットから転落。
603通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 22:12:04 ID:???
まさか転落死!?
なんかガンダム好きの先輩から聞いた話だとゲゼで出たけどやられて頭に来て、
最後はジュドー達をホウキもって追い回してたらマンホールに落ちて
マンホールにホウキが引っかかって下までは落ちなかったところで彼の登場は終わり、とか
そんなふうに聞いたんだけど。

まあ最後の武装がホウキってあたりで「ヤザンとしては氏んだ」とも言えるけどw
604通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 22:15:04 ID:???
「ヤザンとハンブラビの組み合わせにかなうものか! 」
もいいが、

「手篭めにしてやるっ! 」が気になった。

あの辺の台詞は良かったな。大塚氏の神ボイスとの相乗効果で燃えた。
つーか、声変わってたらどうしようかとそれだけが不安だったw
605通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 22:18:32 ID:???
大塚ってスネークの大塚?
ヤザン=スネーク? やべえ劇場版見にいかないといかん!
606通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 22:51:53 ID:???
>>605
イエイエ。ヤザン=バンキシャのナレーターの中の人
607通常の名無しさんの3倍:2005/11/03(木) 22:58:34 ID:???
ターンエーのギャバン・グーニーとか
608通常の名無しさんの3倍:2005/11/04(金) 01:36:09 ID:???
正しくは
「いい勘をしているな!だがヤザンとハンブラビの組み合わせから逃げられるかな?」

でも今回は「ガンダムかい?」が好きだな。
「どぅぇあーはっはっ!」のヤザン笑いも聞けたし。
609通常の名無しさんの3倍:2005/11/04(金) 14:53:51 ID:???
「いい勘をしているな!だがヤザンとハンブラビの組み合わせから逃げられるかな?」

これヤザンが言ったのマジで?自分をファーストネームで呼ぶヤザンさんか・・・うーん。
610通常の名無しさんの3倍:2005/11/05(土) 11:49:48 ID:???
富野禿は、ヤザンが好きみたい・・・
611通常の名無しさんの3倍:2005/11/05(土) 12:07:17 ID:???
そんなのやざーん
612通常の名無しさんの3倍:2005/11/05(土) 20:30:07 ID:???
第二部はジェリドより見せ場が多かった気がする。
613通常の名無しさんの3倍:2005/11/05(土) 23:10:01 ID:???
「ちぢんどるぞ」フィンガァアァァァァッ!!!
このシーンでてきた?
614通常の名無しさんの3倍:2005/11/05(土) 23:18:05 ID:???
>>613
ない
615通常の名無しさんの3倍:2005/11/05(土) 23:55:04 ID:???
ないのか・・・3部までお預けか、それともカットされたかw
616通常の名無しさんの3倍:2005/11/06(日) 00:46:03 ID:???
グリプス戦役の古強者ヤザン・ゲーブルは情報面の便利屋カイ・シデンと並んで
ZZ〜CCA間を舞台としたSSでは出番の多いキャラだと思う。

この板のどこかだとロンドベルに参加しているという妄想もあったな。確か
「敵は墜とす。シャアも潰す。だがテメェらの指図は受けねえ」
だったか?
617通常の名無しさんの3倍:2005/11/06(日) 02:37:56 ID:???
ヤザンって本当に死んだの?
618ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/11/06(日) 04:36:30 ID:???
自分の名前にコンプレックスを持ってるカミーユ。
己の名前を堂々と名乗って自負すら伺わせるヤザン大尉。
と、その台詞を解釈するオイラです…。うう…白兵戦描写が難しい!
619通常の名無しさんの3倍:2005/11/06(日) 15:47:05 ID:???
ヤザンのキャラってガンダムよりむしろモンスターハンターみたいな世界のほうが合いそうだよな。
とりあえず人でも竜でも気に入らない相手はみんな焼いて食っちゃうみたいな。
620通常の名無しさんの3倍:2005/11/07(月) 19:48:27 ID:???
軍板見てて思いついた

ヤザンがファンタジー世界に召還されますた

……いや、それガンダムとか関係なさすぎてさすがに問題有るでしょというツッコミが聞こえそうです。
621通常の名無しさんの3倍:2005/11/07(月) 20:48:54 ID:???
なにげに月桂樹の冠とか被ってギリシア風の神殿の玉座みたいのに座ってても似合いそうではある。
ただ、やっぱり悪役なんだけどw
622ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/11/08(火) 03:05:03 ID:???
 二ムバスの右のサーベルが風を斬り、撓(しな)る。俺はナイフを装備した小銃で、
それを受けた。強化プラスチックの機関部では無く、ナイフの部分でだ。兵士に取って
銃剣術は基本中の基本だ。俺がZのビームライフルから伸びたビームサーベルに驚いた
のも、それが原因だった。銃剣の付いた小銃ほど、怖いモノは無い。

 「やるな? だが、これは避けられまい! 」

 二ムバスの左サーベルが俺の腹部を突いて来るが、俺は小銃のキャリングハンドルに
それを通し、思い切り捻った。サーベルを構成する鋼の靭性の限界を超えたのか、
妙に澄んだ音を立てて、サーベルは無残にも中間部で折れた。ザマぁ見やがれってんだ!

 「ハン! 二刀流だか何だか知らんが、見切る自信は有るぞ! イカレ騎士が! 」

 ノーマルスーツのバイザー越しにも、奴の表情が怒りに歪む様が俺にも解った。素早く
右のサーベルが俺の頭が有った空間を薙(な)ぐ。華麗に避けた俺は小銃を半身に構え、
突きを入れる。が、回避される。だが、それは予想の範囲内だ。俺は小銃をさらに半回転
させ、小銃の台尻を先にして突っ込み、下から奴の顎を目掛けて叩き込む。…銃剣術の
初歩の初歩だ。そして俺の打撃は…

 「…やるな? だが! 右腕は貰ったぞ! 」

 奴のヘルムの顎の部品を砕いたに過ぎなかった。一瞬の隙を奴に見切られた俺は、サーベル
の斬撃を避け切れず、ノーマルスーツの右肩を薄く薙がれた。遅れて、俺のノーマルスーツの
強化繊維が弾けた。…馬鹿が! 誰を相手にしていると思っている? ヤザン・ゲーブルだぞ?
 そのまま俺はひるむ事無く二ムバスの左肩目掛けてナイフ部分で斬り付け、摺り足で下がる。

 「…何故…そこで撃たぬ? 連邦の闘士よ? 」
 「愉しみたいからさ。この生と死のギリギリの狭間を、少しでも長くな! 」

 そうだ。俺の小銃の薬室(チェンバー)には、弾倉を抜いたとは言え、実は一発、残っている。
先程の銃剣・台尻・銃剣の三連撃に、最後に銃口を向け引金を引いて撃つのが、真の実戦技だった。

 「…嘘だな、それは…。所詮貴様も私も…ロマンの残滓を求めているに過ぎん」
 「…サーベル相手に、飛び道具を使う程腐っちゃ居ないって言えば…そうだな」

 二ムバスと俺は、互いの武器を構えたまま、意地の悪い微笑みを浮かべ合う。そうだ。俺達は人間
なのだ。殺し合いにただ効率のみを求める、機械どもとは違うのだ。

 「連邦の闘士よ…続きは、MS戦で行ないたいと言えば…受けて呉れるか? 」
 「貴様に辿り着けたら、の話だろう? …その時は一対一で受けてくれよ? 」

 アルフが俺の背後に付く。データのコピーが終ったのだろう。二ムバスは俺達に敬礼し、背を向けた。
俺は撃つ事も出来たが、そうしなかった。…決着はまだだ。MS戦こそが、俺達のケリを着けるに相応しい
舞台で有る事を、当然の如く理解していたからだ。

 「ではドネル…後は任せたぞ…」

 二ムバスが呟くと同時に、俺達の足元が揺れ、床に大きなヒビが入る。そのまま床を砕き、現れたのは…
EXAMが見せた『過去のヴィジョン』の中の、『MS−05』、二ムバスの僚機の姿だった。
623ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/11/08(火) 03:12:56 ID:???
終らせたくはありませんが、終わりが近づいています…。

ゲーム中の『スーパーアーマー装備旧ザク』=のけぞらない旧ザクの
設定を片付けるために、二ムバスの過去をヤザンに見せました。

 マリオンの精神のコピーに踏み切る前にクルストは実験をしていたと
したら? …固定式のシステムで。それがオイラの答えでした。
>>620様。軍板のそのスレは…ゴホンゴホン。まあ、オイラも知ってマス。

では、近いうちに!  
624通常の名無しさんの3倍:2005/11/08(火) 08:51:30 ID:???
キ━━━タ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
続き乙であります!
ラストへ向けて盛り上がりまくってますね。
625通常の名無しさんの3倍:2005/11/08(火) 13:55:15 ID:???
ついにラストバトルか・・・・・何日でも待つので納得する出来になったら投下してください大尉!
626通常の名無しさんの3倍:2005/11/08(火) 16:55:02 ID:O3Nkv8B5
                       ,,,,,,_
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                  ,,illlllllllllllll!゙°
                 ,,illlllllllllll!l゙゜
                  ,,illllllllllll!l゙゜
                 ,,illllllllll!!゙゜.
                ,,illllllllll!゙゜            liiii,,
             ,,illllllll!゙゜                'llllllli,,
            ,,illllllll!゙                  lllllllllli,,
           ,illlllllll゙                  ,lllllllllllllii,
           llllllllllli,_             ,,,,illlllllllllllllllli,
           !llllllllllllllliiiiiiiiiiiii,,,,,,,,,,,,,,,iiiiiiiiiiiiiillllllllllllllllllllllllllllll
            ゙゙!!llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
              ゙゙゙゙!!!!!!llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!!!!!!!l゙゙゙゜ 華麗
627通常の名無しさんの3倍:2005/11/08(火) 16:59:27 ID:???
やざん=しら
628ゼロ・ムラサメ:2005/11/08(火) 21:26:52 ID:???
応援が凄い・・・・ここのスレわ、気合が違いすぎる・・・!!??(滝汗)
629通常の名無しさんの3倍:2005/11/08(火) 23:39:45 ID:???
ヤザンの少年時代ってどんなのだ?
630通常の名無しさんの3倍:2005/11/08(火) 23:46:53 ID:???
骨付き肉をよく食べている野生児だろうよ
631通常の名無しさんの3倍:2005/11/08(火) 23:51:41 ID:???
昔ナメック星人だったって話は聞いたことあるけど。
632通常の名無しさんの3倍:2005/11/09(水) 02:10:32 ID:???
ヤザンまじかっこいい。最強のオールドタイプ。
633通常の名無しさんの3倍:2005/11/09(水) 15:41:38 ID:???
不良でも超エリートなヤザン
634通常の名無しさんの3倍:2005/11/09(水) 18:44:10 ID:???
野生的なオトコって素敵よね。あの胸のイレズミは色っぽいわ。

635通常の名無しさんの3倍:2005/11/09(水) 22:36:15 ID:???
ヤザンを漢字で書くと?・・・ヤは野生の野で決定だよな!!
・・・ザンは・・・

野惨 ・ 野斬 ・ 野算 ・ 野山 ・ 野纂 ・ 野残 ・ 野懺 ・ 野暫

・・・どれが相応しいかな? 
636通常の名無しさんの3倍:2005/11/09(水) 23:29:55 ID:???
野に参ると書いて野参でもいいかな…。厨臭いけど自分は野斬が好き。
637通常の名無しさんの3倍:2005/11/09(水) 23:36:57 ID:???
あれぇ?漢字にするのはどうかなぁ?
638通常の名無しさんの3倍:2005/11/09(水) 23:41:50 ID:???
家斬でもヤザンと読める。
家でも一刀両断にしてしまうほどの腕だぜ!?みたいな。
まあMS使ってるから当然なんだけどw
639通常の名無しさんの3倍:2005/11/09(水) 23:42:25 ID:???
ちなみに、爺もヤと読むらしいw
640ムサイ:2005/11/10(木) 02:11:14 ID:PfORFJjk
理由はどうあれ、ヤザンという人物に魅かれたヤシ達があつまるスレだよな。
そこで問いたいんだが、ヤザンのどこが好きだ?おまえら。
オレもヤザンが大好きなんだがどこがどうと言われるとこまるんだよなー。
641通常の名無しさんの3倍:2005/11/10(木) 02:13:16 ID:SHjJzW/F
虐殺はキライだが戦闘好きな所です
642通常の名無しさんの3倍:2005/11/10(木) 02:57:13 ID:???
声に尽きる
643通常の名無しさんの3倍:2005/11/10(木) 04:10:14 ID:???
OTなのに、カミーユを殺しかけたあの強さと、以外と部下思いな所。そして、あの声と台詞回し。
まあ、全てだよ。ヤザンというキャラクターに惚れたのだよ
644通常の名無しさんの3倍:2005/11/10(木) 09:46:39 ID:???
あれだけNTマンセーなZの中で平気な顔して主役級NTを追い詰めまくって、
超高位NTが結局ハイパー化なしには落とすこともできなかった上に
結局最後まで普通に無傷で生き延びてるキャラなんてNT・OT問わず彼くらいだよな。
ギュネイ程度になら圧勝しそうな強さ、
しかもなにげにかなりお茶目w

お茶目がたたってZZではギャグ要員にされてしまったというのも
ある意味彼らしいといえば彼らしい。
645通常の名無しさんの3倍:2005/11/10(木) 10:32:26 ID:???
戦闘狂
646通常の名無しさんの3倍:2005/11/10(木) 11:15:18 ID:dkO2BzTL
 ヤザンの狂戦士ことベルセルクことバーサーカー
そして旧人類側のイレギュラーでもあるところ
 NTになれたはずなのに拒否するなんて凄いから

 このスレのヤザン厨ではないがEXAMはそんな
存在を選びだすために作られたのではないかと
思う

 ユウもニュータイプ狩りが出来る人材だったかも
試練なとも思う

 ここで漏れは考えた

 脱走した強化人間狩りをする部隊が連邦に存在
したのではなかろうかと

647通常の名無しさんの3倍:2005/11/10(木) 12:43:58 ID:???
>>646
終わりの2行のネタでSS書いてみようぜ
もちろんヤザンも出してさ
648ムサイ:2005/11/10(木) 15:48:46 ID:PfORFJjk
うむ、>>643氏の言うように全てなんだなーと思ったよ。
まぁしかしあれだな、2ちゃんとは思えないほど良いヤシの集まるスレだよなぁー、大事にしないとな。
あらためて礼を言うよ。ありがとう
649通常の名無しさんの3倍:2005/11/10(木) 19:45:31 ID:???
戦争好きでも虐殺は嫌いなのだ
650通常の名無しさんの3倍:2005/11/11(金) 21:24:36 ID:???
なんか理屈抜きで男臭いんだよな、ヤザンって
昔はいっぱいいたけど今は珍しいタイプだ
651通常の名無しさんの3倍:2005/11/11(金) 21:30:29 ID:???
確かに風呂とかあまり入らなそうなタイプだ。
652通常の名無しさんの3倍:2005/11/11(金) 23:01:26 ID:???
俺がヤザンを好きな理由・・・

・迷いが無い  
とにかく凄い行動力! ギャプランで単独特攻! ジャマイカンを葬る! ZZの初回でも、平然と車の強奪をやりこなす!

・戦争で鍛え抜かれた野生的勘とMS操縦技術
おまいNTなんぢゃねえの?・・・って位、NT専用MSを手足のごとく扱う!

・とにかく生き残る!!
ハイパー化して神と化したカミーユのZに斬り付けられても、本能で脱出ポッド射出!
逆に表現すれば、ああならなければ、カミーユはヤザンに勝てなかった!?

・・・てなとこかな?・・・男臭いのも大好き!
小説版では、あの天才シロッコにもヤザンは評価されていた・・・『(サラに)ヤザンはいい男だろう?』
653通常の名無しさんの3倍:2005/11/11(金) 23:20:43 ID:???
>とにかく凄い行動力!
あの顔で尻込みするタイプだったら逆に怖いw

>おまいNTなんぢゃねえの?
微NTだって説もよく聞く。 精神感応やピキーンみたいなのを「好きじゃない」みたいにして排除してる。

>ああならなければ、カミーユはヤザンに勝てなかった!?
他の戦闘だと同格くらいだった場面のほうが多いし同意も同意。

>小説版では、あの天才シロッコにもヤザンは評価されていた
TV版でも評価はされていたと思う、「扱いやすいw割に戦力としてデカ杉」みたいな感じで。
654通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 18:17:19 ID:???
血+にてヤザンの声が聞こえたような…
655通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 19:25:03 ID:Mm5H4vil
>654
maji!?
656通常の名無しさんの100倍:2005/11/12(土) 19:26:04 ID:???
主人公の恋人の親父だっけ
657通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 19:29:06 ID:???
股間シーンはないでしょ、アドルの存在そのものが消されてるんだよお!
658通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 20:22:27 ID:???
アドルはダンケル以上に目立つ相棒だったのに・・・
659通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 20:28:30 ID:???
ヤザン隊3人組+アドル曹長ストーリーを作って!!
660通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 20:31:48 ID:???
661通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 22:37:18 ID:???
誰かヤザンの 公式設定上の年齢 を教えて!!

・・・大体、30歳位と踏んでるんだが・・・!?
662通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 23:55:08 ID:???
29とかじゃなかったかな。まぁ大体30歳くらいだろうな。
663通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 01:36:22 ID:???
パンフによると27歳。
664通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 01:43:59 ID:???
ヤザン・ゲーブル「恋人たち」セリフ集

「エゥーゴのMS隊はコロニーの北側から来るぞ!!」
「ぬぅはははは!せぃ!!」
「ど こ だ !?」
「ヌゥ・・・」
「シロッコ お前は おもしろい なァ」
「ヘッ!所詮 当てずっぽうだろうが!」
「ン!・・・なかなかいい勘をしてる奴だが、ヤザンとハンブラビの組み合わせから逃げられるかな?」
「ガンダムかい?」
「手篭めにしてやる!!」
「新手かぁ!?」
「どぅおあぁー!!」

以上。
665通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 02:29:59 ID:???
ひどいや
666通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 02:59:55 ID:???
ヤザンが、ヴァカになった・・・・・・・・・
667通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 07:36:10 ID:???
>パンフによると27歳。

マジかよ。俺より年下・・・orz
668通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 09:46:57 ID:???
べつに凹むこたああるまい
とりあえず豚の丸焼きをアウトドアでこさえて
ワイルドにムシャムシャ食えば、キミもヤザンの仲間入りだ!!あれ?
669通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 14:23:44 ID:???
しかし、実際に豚の丸焼きって作るのめっさ大変なんだよな…
ソレ考えると、ヤザンって料理も上手いのか!?
670通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 18:14:51 ID:???
というか、サバイバルの達人でしょ。
671通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 18:24:24 ID:???
そんなに手の込んだ丸焼きでもないだろうし。
672通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 19:05:30 ID:???
ヤザン大尉の3分クッキング

先生「ふふはははは!!落ちろォ!!」
高橋「なるほどー、こうするとカラッと揚がるんですねー」
先生「ヘッ!所詮 当てずっぽうだろうが!」
高橋「なるほどー、旨味が逃げない様にあらかじめ表面を焼いておくんですねー」
先生「ぬぅはははは!せぃ!!」
高橋「本当ですねー、いい香がしてきました」
先生「手篭めにしてやる!!」
高橋「キャーーーー」
673通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 19:29:37 ID:???
シロッコとセックルしてる様だ…
674通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 23:01:44 ID:???
大尉が2歳若返ってる…。設定では開戦時で29だったのに…。
あ、ソースは当時の文献ね。87年の。
675通常の名無しさんの3倍:2005/11/13(日) 23:40:49 ID:???
実はあの豚には名前が付けられていて、ピーちゃんと言うらしい・・・
676通常の名無しさんの3倍:2005/11/14(月) 21:58:01 ID:???
ヤザンにだったら、手篭めにされたい・・・
677通常の名無しさんの3倍:2005/11/14(月) 23:03:15 ID:???
奴って一升瓶とかスイカとかそういう無理目なものを面白半分につっこみそうで怖いと思うんだが。
678通常の名無しさんの3倍:2005/11/15(火) 04:03:43 ID:8Yc1/FIL
いや、そういう奴に限って童貞だったりするんだぜ?
全裸レコアのイメージに暴力的な恐怖を感じて感応拒否したし。
もしかして性欲(リピドー)を全部、戦闘に回しているような、
少年をそのまま大きくしたような無邪気な人間かもしれんね、ヤザン。
679通常の名無しさんの3倍:2005/11/15(火) 09:00:06 ID:???
新シャア板のヤザンスレが落ちた。職人が居て気に入ってたのだが…保守の重要さを実感したよ。
680通常の名無しさんの3倍:2005/11/15(火) 12:08:37 ID:???
>>678
縮んでるぞ!なんてギャグかますあたり童貞だと情けない。
681通常の名無しさんの3倍:2005/11/15(火) 12:09:59 ID:???
マンホールに落ちてそれっきりなんて、漏れは認めんぞ!

すぐはい上がってきてジュドーたちを追ったが、
きっとぎりぎりでカメラに映れない場所だったんだ。
そうだろ?無敵のヤザン様があのままやられるなんてことは…。
682通常の名無しさんの3倍:2005/11/16(水) 03:07:12 ID:???
ヤザンは豚と縁があるの?
683通常の名無しさんの3倍:2005/11/16(水) 07:31:45 ID:???
>>681
大丈夫だよ
あの後すぐに腐れ連邦に復帰して
0093には、ユウ・カジマの近くで
崩壊するアクシズを眺めてるさ
684通常の名無しさんの3倍:2005/11/17(木) 00:10:05 ID:???
ヤザンらしいのはあちこちにいたなぁ。
ネオ・ジオン主催のパーティ会場に連邦側来賓と一緒にいたり、
逆シャアの最後の場面でベッドに横たわって窓の外のオーロラを見ていたり。
あれが、ドッペルゲンガーというやつか。
685通常の名無しさんの3倍:2005/11/17(木) 06:42:00 ID:???
前者はたぶん他人のそら似
後者は本人かも
686ヤザ〜〜〜〜〜ン:2005/11/17(木) 12:03:11 ID:???
  , , ,-'   〜 ゝ_
.   //,'        ⌒ 〜 ,
    |.i.i   r'  ,,,_     ヽ
.   |!|!|i、  |i ,',-==- 、    ヽ
   )ゞヾ、 (_(' _-=- 、ヾ    |
  γ `./        |    ! MIAのハンブラビがそろそろ
  | /    , '     |     ゝ     出るぞ〜っ!! 買え〜〜っ!!
  ゝi, ___  / __,,, ,,_  ゝ     !    HGUCでハンブラビだしてくれ〜〜!!
    !'' -`')  ` ―`` γヽゞ ノ
    i、 ノ_     _ノ iλ ! i
    } ヾ'、ゝ   i'   ν/ ソ
    | ,-―---    し /
    |  ''''      / | ゝ
     !、     __--''' レ彡
       `┐ー''''  ノ  レ
      λ、,,,,,,、、---'''⌒!i
      ノ>πiiiiiii!!!!!
687通常の名無しさんの3倍:2005/11/17(木) 17:38:51 ID:???
3つ予約したよ。
688通常の名無しさんの3倍:2005/11/18(金) 20:58:07 ID:???
スレ立て依頼なんですが、よかったらやっていただけませんか…?

▼スレタイ
ZのヤザンがSeedの世界に来たならば。

▼本文
きっと、漢かつ獣のような戦いを見せてくれる…!
そう信じて立ててみた。前スレはDatに落ちたが、この程度ではへこたれない。

…たぶん。

【前スレ】(電子の海の藻屑になりました)
もしZのヤザン・ゲーブルがSEED世界に乱入したら
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1130072888/

--------------------------------------
こんな感じなんですが…
689YAZAN:2005/11/18(金) 21:33:48 ID:???
光が見えた! 解るか! (立てました)
690YAZAN:2005/11/18(金) 21:34:35 ID:???
691シャア・アズナブル:2005/11/18(金) 22:25:41 ID:???
,. ''"    ``ヽ、
    /            ヽ、
  f´   ,  、_       ヽ    私は昨日までオシメをしていたような
  ,ノ   { ン'':. ̄:.V! い  }     少女がたまらなく好きだ・・  
  !   .r''.:;へ:::.__;ノL、リ (
  !_  .!:::ノ       'フィ  ヘ
   ゙ーヘ! `,.-‐  ,.r== 、  ヽ、
      心、  /‖  L べ`
    r=゙ッ ̄レ'"‖

692通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 01:14:47 ID:bwCWgaPj
あげとくからな
続きたのむ作者よ
693通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 01:22:52 ID:???
立ててくれた人、ありがとうございます。
職人の有無以前に、新シャア板系のネタにヤザンを絡めて雑談とかしてほしかったので…
(ここだと板違いになりますから)
重ね重ね、本当にありがとう。
694通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 02:06:51 ID:nF9rq8TN
バー寒たい発進
695通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 02:10:17 ID:nF9rq8TN
あらお
696通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 02:15:28 ID:zsFkeqba
ヤザンが主人公になったらベジータが主人公のドラゴンボールになる
697通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 12:15:38 ID:???
ストーリー的に面白くなりそうぢゃん。
698通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 13:23:15 ID:???
例えとしては変だが
キラが張飛でヤザンが魏延な話になりそうだな
699通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 18:04:49 ID:???
アスランは関羽??

・・・やめて、そんな例え!!
700通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 21:22:50 ID:???
>>699
つ〜か、もともとそ〜ゆ〜話なんだよ。種は
たまたま魏延がいないというだけでw
701通常の名無しさんの3倍:2005/11/19(土) 22:36:04 ID:???
クソ種の話わ、やめろや!!
702通常の名無しさんの3倍:2005/11/20(日) 05:04:32 ID:???
そんなあなた方にここをおすすめする。
ttp://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1127639075/
703通常の名無しさんの3倍:2005/11/20(日) 08:00:38 ID:???
ヤザン、ヤザン、ヤザン!
そうだ、ヤザンだ
704通常の名無しさんの3倍:2005/11/22(火) 03:02:12 ID:???
いまーはうごーけなーい

…Zの鼓動はヤザンのタメの曲に違いない。赤炉利では無く。
705通常の名無しさんの3倍:2005/11/22(火) 21:09:23 ID:???
ヤザンの「縮んどるぞぉ〜」新訳ではなくなっちゃうの?
Zでの名シーンなのに!
アドルの替わりに誰か別のでやってほすい・・・・
706通常の名無しさんの3倍:2005/11/23(水) 01:10:50 ID:1P2P/q4a
劇場版ではハンブラビぶった斬りシーンで

カミーユよ、貴様も俺も所詮人殺しなんだよ!
墜とすか墜とされるか、その一瞬を愉しんだ覚えが
無いとは言わさんぞ! 奇麗事を抜かすな、この餓鬼!

とかヤザンがいっちゃったりしてな?
707通常の名無しさんの3倍:2005/11/23(水) 21:50:04 ID:???
ヤザンだから許される台詞!!・・・しびれます!!
708通常の名無しさんの3倍:2005/11/24(木) 18:56:28 ID:E6Z7p8wf
戦後、傭兵になってワザとティターンズのシンボルをMSの肩に付けてそう

「敵が寄ってくるからな! 喰い放題だぜ! 」

なんてな? ノーマルスーツ捨てたのかな? 高そうなのに・・・
709通常の名無しさんの3倍:2005/11/24(木) 20:51:31 ID:???
巨大化した?
シロッコと比べてデカすぎねえ?
710通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 02:21:15 ID:pu3yMGz8
190cmくらいにはなってたよな
ガタイが丈夫な『男』のイメージを出したかったと思われ
何せ主人公が『なんだ男か』な美少年だからな
コンプレックスが引き立つし、ヤザンが強いのも頷ける話に
ギャプランが動かせるオールドタイプ(エースパイロット)は貴重
711通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 03:37:47 ID:OSCdMG4t
でもニュータイプになりかけのオールドタイプだろ?
ヤザンがニュータイプになれないのはエースパイロット成分の
チームワークを生かした戦闘のできる兵士の部分と思われ
でも独善的な部分はまさにニュータイプを超えてるがw
712通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 03:52:56 ID:???
エースパイロット成分…むう、某赤い彗星の開戦当初くらい?
713通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 06:07:21 ID:tTI8VYLA
連携が出来る=己を殺す=エースパイロットの条件
714通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 06:18:06 ID:???
ZZのアニメ版でもヤザン生き残ってなかった?
ゲゼから飛び降りて、風呂敷でムササビの術使ってたような。
715通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 13:37:29 ID:???
ニュータイプ能力で部下のチンコ縮みが分かる
716通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 17:22:37 ID:XZDIzh4w
>>715
違う、それは違うぞW
717通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 19:40:17 ID:ip/V2ZYR
野獣がよく似合うヤザンは、御大将とも
気が合いそうだな。
一年戦争中も無茶やってそうなw
718通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 23:42:37 ID:???
昨日アニマックスのZZでネオジオンのパーティーでヤザンらしき人物を目撃
719通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 23:44:37 ID:???
ネオジオンに居ても、おかしくねぇよな!?
720通常の名無しさんの3倍:2005/11/25(金) 23:51:23 ID:???
ティターンズいたのだっていいMS乗れて頻繁に戦闘出来るからってだけだろうしな。
自由に暴れさせてくれるならネオジオンだろうとエゥーゴだろうと構わんだろな。
でもハマーンとソリ合いそうになくね?
721通常の名無しさんの3倍:2005/11/26(土) 00:39:53 ID:???
ダカールでハマーングレミーミネバリィナが集ったとこだよね
俺も見たとき思った
違ったらごめん
722通常の名無しさんの3倍:2005/11/26(土) 00:52:46 ID:???
ナメック星とか宇宙戦艦ヤマトにもいたな、ヤザンらしき人物。
723通常の名無しさんの3倍:2005/11/26(土) 02:35:28 ID:???
バイオニック真田さんは三白眼だというだけだぞ
724通常の名無しさんの3倍:2005/11/26(土) 18:42:48 ID:???
オレもヤザン見たよ。二丁目で
725通常の名無しさんの3倍:2005/11/26(土) 20:09:10 ID:???
すまんな、それは俺なんだが。
726通常の名無しさんの3倍:2005/11/27(日) 04:48:15 ID:???
>>725はヤーサン。
727通常の名無しさんの3倍:2005/11/27(日) 18:49:51 ID:???
確かにヤザンって新宿二丁目の方にはモテそう・・・
728ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/11/28(月) 18:04:25 ID:???

 俺の目と、MS−05のモノアイが合った。戦技実験室が無駄に広いので、MS−05の頭だけが出た格好となっていた
のだが、どうやら頭を天井に支(つか)えたまま無理に回転させたらしく、部屋全体のフレームが軋む音がし始める。

 「…脱出するぞ、ヤザン…」

 アルフが俺に声を掛けているのは解る。だが、それは酷く遠い所から響く様に俺には思えた。何だ? 何がこのMSに
有ると言うのだ? 見ての通り、TYPE06より一つ前の05だ。何の変哲も無い、旧式に過ぎぬMSに過ぎん。しかし…
このMSには違和感を感じる。言ってみればそう…不快感だ。なにかこう…人の、乗り手、パイロットの意志をあまり感じ
させないこの雰囲気…無機質で味気無い、殺意すら無いと言うのは…

 「…ヤザン! 来い! 」

 俺は業を煮やしたアルフが始動したランドムーバーの音で我に返った。そのままアルフに引き摺られる様に、研究室
を飛び出していた。振り返れば、後ろで建物が轟音と共に潰れて行く。やっとエレベーターシャフトの縦穴まで辿り着く
と、俺もランドムーバーを始動させる。…そう言えば…上のサカキ少尉達、陸戦隊の連中は無事なのだろうか? 下方を
覗くと縦穴が見る見るうちに左右からひしゃげ、潰れて行く。あの05め、そのまま地上に出ると言うのか! どういうつもりか! 

 《『中尉』! 生きていたか! 命令違反のシミュレーター漬け、覚悟はしてる! 済まないな! 》
 「中尉…済みません。ユウ中尉の部下に止むを得ず支援して頂き、研究所を制圧完了致しました」
 
 縦穴から出た俺は、光の眩しさに眼を細める。徐々に眼が慣れてくると、駐機したGMライトアーマーにホリゾントの青空が
目に飛び込んできた。研究所の地上建築部分が半壊していて、ライトアーマーの腕の上で陸戦隊の連中が笑顔で俺に手を
振っている。『曹長』め、完全に命令違反だな! だが…恩に着る! しかし、奴をこれ以上調子付かせたくは無いので、俺は
『曹長』を褒めない事にした。軍隊では命令違反は重罪なのだ。場合によっては銃殺すら有り得るのだからな! 

 「…済まないと思うのならその馬鹿な英雄気取りを即刻止めて、陸戦隊をランチに移動させろ! 敵が来る! MSだ! 」 

 アルフが俺に代わって怒鳴ってくれた。有り難い! 慌てて陸戦隊がライトアーマーの腕から駆け下り、ランチへと矢の様に
走って行く。俺は駐機させたブルーに向かい、ランドムーバーの出力を最大にまで上げ、移動させようとしたその時…

 《こ、こいつは…! 死んでる…! 死んでる人間が何でMSを動かしてんだよォ! 》

 『曹長』が外部音声で妙な叫び声を上げ、脅えていた。振り向くと戦技研究室で見た05が地上部分に半身を乗り上げている
所だった。 死人? 『曹長』、一体何を言っているんだ? 俺は頭に浮かんだ疑問を振り払い、前方を向く。バ、馬鹿な…!

 「『ブルー』! 何故、お前が動く! お前はただの機械の筈だろうが! 」

 俺の目の前でシステム、動力まで完全にシャットダウンして置いた筈のブルーが、駐機姿勢から立ち上がり、俺に正対をしよう
としていた。…何故動ける? そして、何故俺がお前の、MSの力を欲している事まで解る? …ついに立ち上がった『ブルー』は、
俺を誘うが如くその胸のコックピットハッチを開けていた。俺はコックピットの上空2mまで移動すると、ランドムーバーの出力を切り、
自由落下する。その間にランドムーバーを外し、背中をフリーにして置くのを忘れない。俺がコックピットに座ると同時に、ハッチが
閉じる。外部の景色を写すモニターに点滅表示されていた《ready》表示が消える。…俺はコネクターをヘルメットに差し込んで行く。
 …さあ『ブルー』よ、 ジオンの騎士様と殺り合うまでに前座どもを軽く一掃するぞ? この俺、奴曰く『連邦の闘士』、ヤザン・ゲーブルとな!
729通常の名無しさんの3倍:2005/11/28(月) 19:58:57 ID:7t47+nyG
やっと新作キター!
730通常の名無しさんの3倍:2005/11/28(月) 20:08:26 ID:???
何かここのスレッドだけわ、気合が違うなぁ〜・・・(汗)
731通常の名無しさんの3倍:2005/11/28(月) 22:23:54 ID:???
燃え過ぎです。熱くて死にそうです。ハァハァ
732通常の名無しさんの3倍:2005/11/29(火) 23:45:27 ID:bXKR2MWM
持ち上げだハァハァ!
733通常の名無しさんの3倍:2005/11/30(水) 15:57:14 ID:???
ヤザンが戦ってる時って、少年のように無邪気だ!!
734通常の名無しさんの3倍:2005/11/30(水) 18:56:34 ID:???
熱い、熱いぜ大尉殿!GJで御座います
735通常の名無しさんの3倍:2005/11/30(水) 20:20:54 ID:TCEJ8sFA
激アチ!激アチ!!
736通常の名無しさんの3倍:2005/12/02(金) 06:51:10 ID:C9457iVT
で、EXAMは発動…していないのかしているのか気になるのは漏れだけだろうか
737通常の名無しさんの3倍:2005/12/03(土) 00:47:45 ID:???
和田アチ子!和田アチ子!
738通常の名無しさんの3倍:2005/12/05(月) 01:30:19 ID:???
あれ!旧シャアにもあったか。
新シャア板にもヤザンスレあるから、、
Zとseed、両方見た人だけ来るといい
URL貼って誘導はしないけど
739通常の名無しさんの3倍:2005/12/05(月) 02:44:12 ID:???
うん、遠慮しとく
740通常の名無しさんの3倍:2005/12/06(火) 14:33:59 ID:???
膨らんどるゾォッ!
741通常の名無しさんの3倍:2005/12/07(水) 19:02:26 ID:???
ヤザンスレが駄目になるかどうかの瀬戸際なんだ、上げて見せますよっ!
742通常の名無しさんの3倍:2005/12/07(水) 20:20:14 ID:???
やめろ、種厨増殖とオーバーロードで自滅するだけだぞ!
743741:2005/12/07(水) 20:28:28 ID:???
………!! (離れて行くギラ・ドーガを掴もうと手を伸ばし、掴む)
744通常の名無しさんの3倍:2005/12/07(水) 20:42:29 ID:P2pLKLtC
ヤザンスレは、伊達じゃない!!
745ムサイ:2005/12/08(木) 18:00:58 ID:???
捕手
746通常の名無しさんの3倍:2005/12/10(土) 01:38:19 ID:4fDyE5Xd
747ムサイ:2005/12/10(土) 03:19:58 ID:???
種への誘導か・・・。
悪くはないが、ここの住人に合わないヤシが多いのではないだろうか?
まぁヤザン調にカキコむと「貴様ぁ!?此処を何処だと思っている?ハン、甘っちょろいことをやっているとぉ、ここでは命がいくら有っても足りないんだよ!!
748通常の名無しさんの3倍:2005/12/10(土) 11:42:32 ID:???
種スレは皆のヒーローヤザンが種世界を蹂躙してキラを追い詰める感動巨編
749通常の名無しさんの3倍:2005/12/10(土) 14:25:14 ID:???
ラカンと一緒にな。ナマイキー!!
750通常の名無しさんの3倍:2005/12/11(日) 21:09:18 ID:???
種ウゼ〜
751通常の名無しさんの3倍:2005/12/11(日) 21:55:28 ID:???
しかし、
種をこき下ろす奴って、なぜ種をきちんと見てるの?
俺は詰まらんと思った時点でもう見るのやめたけど・・・
752通常の名無しさんの3倍:2005/12/11(日) 22:29:15 ID:???

批評する為にチェックしてんぢゃね?
それも、つまらない観方だと思うが、作品自体がつまらな過ぎて、批評する気も起きない漏れがいる・・・
753通常の名無しさんの3倍:2005/12/11(日) 23:08:24 ID:???
種が嫌いだと言いつつ、種の視聴率アップに貢献する・・・
それじゃアンビバレンツだな。
俺は、イヤなものにかかわるなんて時間の無駄としか思えんが・・・
それに批評なんて、見所のあるものに対してやるものだ。
754通常の名無しさんの3倍:2005/12/12(月) 02:28:36 ID:???
見てなくても種厨うぜええ>種うぜえええ となるんじゃまいか?
というかなった
755通常の名無しさんの3倍:2005/12/13(火) 02:48:16 ID:???
種は一応全部見たが種死はさすがに見なかったよ
批判する気になれんのもわかる
種ヤザンスレは種の世界をUCキャラでブチ壊す目的があると思われ
756通常の名無しさんの3倍:2005/12/14(水) 22:40:08 ID:???
>>755

ブチ壊したい位、情けない内容だったからぢゃね?
スレ自体は盛り上がってるし、特に反論する余地も見当たらないのだが、何か?
757通常の名無しさんの3倍:2005/12/15(木) 18:06:41 ID:???
ま、アンチ巨人も 巨人ファンってね〜
758通常の名無しさんの3倍:2005/12/16(金) 19:23:39 ID:???
ヤザン大尉は阪神ファンだと思うんだ
759通常の名無しさんの3倍:2005/12/17(土) 11:05:24 ID:???
なぜ、そう思う?
760通常の名無しさんの3倍:2005/12/17(土) 21:29:31 ID:nC8igk9Q
age
761通常の名無しさんの3倍:2005/12/17(土) 21:33:12 ID:nC8igk9Q
age
762通常の名無しさんの3倍:2005/12/17(土) 23:58:07 ID:???
何よりも彼の功績→カツに止めをさしたこと
763通常の名無しさんの3倍:2005/12/18(日) 10:32:07 ID:???
そんなの「金タマ握り」に比べれば、ニュースバリューは無いに等しいw
764通常の名無しさんの3倍:2005/12/18(日) 23:07:10 ID:cyTQBkW+
765通常の名無しさんの3倍:2005/12/18(日) 23:46:25 ID:???
良スレだからageるぞ!!
766通常の名無しさんの3倍:2005/12/19(月) 23:45:12 ID:???
age
767通常の名無しさんの3倍:2005/12/20(火) 21:53:44 ID:???
サエグサ死んだと思ってたがZZの最後で生きてるのが判明。
さすがヤザン大尉、ちゃんと手加減していたんだな。
768通常の名無しさんの3倍:2005/12/23(金) 15:32:31 ID:???
えっ! プチモビに 殴られて 死んだんじゃ……
769通常の名無しさんの3倍:2005/12/23(金) 19:08:30 ID:???
age
770通常の名無しさんの3倍:2005/12/24(土) 20:38:47 ID:???
今日の夜にはヤザンサンタが世界中のヤザンファンにHGハンブラビを…
771通常の名無しさんの3倍:2005/12/24(土) 22:12:02 ID:???
是非くれ!
772通常の名無しさんの3倍:2005/12/27(火) 12:28:56 ID:???
保守は必要?
773通常の名無しさんの3倍:2005/12/28(水) 21:04:22 ID:???
うん
774ヤザン厨 ◆fACt0Nk7D. :2005/12/29(木) 22:01:34 ID:???
 …このスレが現在、皆様の御蔭を持ちまして、スレ最大容量の512KBのうち、
498KBに到達をいたしました。ヤザン大尉のファンの皆様に、感謝します。
 オイラのSSで大分、容量を消費してしまい、申し訳有りません。このスレで
まだ、続けてよいものかどうか、迷っています。このスレはヤザンファンの皆様の
ものなのですから。SSは完走させます。あとは書くだけです。次スレで上げるか、
このスレで終わらせるか…? 待っている方には申し訳有りませんが、悩んでます。

 次の、「真・ZZ」の構想だけは出来ているオイラです。では、今夜は失礼します。
775通常の名無しさんの3倍:2005/12/30(金) 03:15:02 ID:???
>>774
もれはどっちでもワクテカして何処までもついていくだけさ
776通常の名無しさんの3倍:2005/12/30(金) 09:18:53 ID:???
次スレ建ったらかな
777通常の名無しさんの3倍:2005/12/30(金) 10:26:00 ID:???
ヤザン厨さん、自分も貴殿に付いていきます。
778通常の名無しさんの3倍:2006/01/01(日) 13:35:40 ID:???
ホームペ−ジ作ったら?
779通常の名無しさんの3倍:2006/01/06(金) 21:06:44 ID:???
>>780
まとめサイト製作よろ
780通常の名無しさんの3倍:2006/01/07(土) 11:36:50 ID:???
なんかすごいタイミングできちまったな。藁
ただヤザン熱いな!ありがとう!とだけ言って去ろうと思ったんだが。

wikiでまとめるから待っててな。
つ、わけで781次スレよろしく。
781通常の名無しさんの3倍:2006/01/07(土) 16:56:05 ID:JVuj1PmB
782ムサイ:2006/01/07(土) 17:33:04 ID:???
>>781
783通常の名無しさんの3倍:2006/01/13(金) 18:22:52 ID:???
良スレ
784通常の名無しさんの3倍:2006/01/19(木) 14:33:44 ID:fPhEWQy6
Zガンダムにおけるパイロットの腕前
ヤザン>カミーユ>シロッコ=クワトロ>・・・ファ=カツ>・・・・
785通常の名無しさんの3倍:2006/01/20(金) 20:40:03 ID:???
>>784
カツの前に、画面に映らない雑魚パイロットが抜けてる。
岩にぶつかってアボーンしたパイロットなんて代物、初めて見た時には吹いた。
786通常の名無しさんの3倍:2006/01/21(土) 21:20:28 ID:???
カツはあのまま成長してたらかなりいいパイロットになったと思う。
どの回か忘れたけど咄嗟の機転でセオリーにない攻撃もしてた。

奴が生き残る可能性は限りなく低いけどw
787通常の名無しさんの3倍:2006/01/22(日) 06:15:57 ID:???
ハサウェイだって、シャアもどきにまでなれたんだしな
788通常の名無しさんの3倍:2006/01/22(日) 19:39:11 ID:???
カツは人格的には最低だが戦闘能力はなにげに凄い。
ヤザンやシロッコ、ハマーンなどの最強クラス相手にもそこそこは立ち向かえてる。
岩は、NT能力では岩の気配までは読めなかったんだろうw

まあ、岩グッジョブ。
789通常の名無しさんの3倍:2006/01/23(月) 04:19:11 ID:1zEKk+Jk
軍板から来た
小官
すまん
見直した
790通常の名無しさんの3倍
>>774
自分も何処までもついて行きます!
できれば納得するまで書いて欲しいな、とも思ったり。