ドラえもんのび太の三国志〜第2巻〜

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1無名武将@お腹せっぷく
いつものように、のび太のわがままで過去にやって来たドラえもん達。
やって来た時代はあの三国時代。宦官の台頭により後漢が腐り、多くの英雄達が立ち上がった時代。
そこでドラえもん達が見るものとは・・・・・。
数々の職人による、壮大なドラえもんワールド、ここに開幕!!

前スレ
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ファンサイト
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2郭図公則 ◆2getuhmE :02/05/13 18:28

3  閑話休題  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/13 18:29
とりあえず立てました。
もう立てちゃったのね。取りあえずお疲れさん
52:02/05/13 18:42
2get!
6郭図公則 ◆2getuhmE :02/05/13 18:49
>>5
7無名武将@お腹せっぷく:02/05/13 19:46
新たな職人さんも募集!
一撃離脱の一発ネタもみてみたいYO!!
8無名武将@お腹せっぷく:02/05/13 19:51
第2巻スレおめでとう
9無名武将@お腹せっぷく:02/05/13 19:52
>>9
まあまあ、あとは速やかに埋め立てモードに入るということで。
11スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/13 20:14
おめでとうございます。どうぞこれからもよろしく。
12ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/13 20:33
前スレ>>810
第41回

 数日後、2度目の来訪。
 庵には涼しげな顔立ちをした男がいたが、それは孔明の弟・諸葛均だった。
「江湖で舟遊びをしたり、僧堂を訪れたり、朋友を訊ねたり、洞府に入って琴を楽しんだり…その日によって行く先が変わりますので、あいにく私にも兄の居場所はわかりません。いつ帰ってくるのかも」
 気の毒そうに諸葛均。
 仕方ないので、手紙を諸葛均に託すことにした。
 「もはん手紙ペン」で、ドラえもんがサラサラとしたためる。
「ドラ、ひさしく高名を慕う。両次、晋謁せんと欲して、遇わずして空しく回る。胸中何に似ん………」
 文面を確認した諸葛均は、感動に声を震わせている。
「名高いドラ軍の将軍方が、かくも兄のことを思ってくださるとは…兄も感激することでしょう」
 そう言うと、諸葛均はこらえられないように泣き出した。
「さすがもはん手紙ペンだね。きっと孔明さんも心震わせて読んでくれるよ」
 号泣する諸葛均にたじろぎながら、ドラえもんらは庵を後にした。

13ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/13 20:34
第42回

 さらに数日後、3度目の来訪。
 さすがにジャイアンがむくれた。
「俺たち2回も顔を出したのに留守だったんだぜ。お詫びがてら向こうが訪ねてくるのが道理ってもんだろう」
 ジャイアンが道理を説いても説得力はないので、メンバーはそのまま孔明の庵へ。
 ジャイアンもしぶしぶついていく。
「思うんだけどさ」
 歩きながら出木杉。
「結局三顧の礼≠チていう出来事を…僕たちがやろうとしているんだよね」
 一同はアッと小さく声をあげた。
 それからは会話が弾んだ。
 劉備休場後の歴史を自分たちが支えているという実感に、ささやかな満足感があった。

 庵の前では、お手伝いの少年が庭をホウキで掃いていた。
「あ、ジャイアンズの皆さん」
「アリャ、そっちで覚えちゃったの?」
「孔明様なら今日は在宅ですよ。ご案内しましょう」
 少年について行ったのは、出木杉とドラえもんの2人。
 のび太はまた口を挟んで交渉を頓挫させるかもしれないし、ジャイアンは文字通り交渉を破壊する可能性がある。
 スネ夫としずかには、2人の見張り役及び押え役として、庭に残ってもらった。
 
 案内された草堂の寝台には、1人の男がうつ伏せになっていた。
「あー、孔明様ったらまたあんな格好でお昼寝などなさって…」
 孔明を起こそうとする少年を出木杉は止めた。
「そのままで…起きるまで待ってますから」
「いいんですか?わかりました、私は家事に戻りますから、何かあったら呼んでくださいね」
 ドラえもんと出木杉は、だらしない格好で眠っている男に視線を注いだ。
 背丈は180センチ近くはありそうだ。
 顔は見えないが、片腕と片足は寝台から滑り落ち、時々指が床を引っかいている。
「この人が諸葛亮…」
 出木杉の声は感動で震えている。
 どんなにだらしない格好をしていても、歴史上の大人物であることには違いない。
「でも…本当に起こさなくてもいいの?」
 小声でドラえもん。
「劉備将軍も、起きるまでじっと待ってたんだ。僕たちも待とうよ」
 ドラえもんとしては、庭で待っているジャイアンたちの根気が心配だったが、出木杉がそう言うのなら従った方がよい。
 何といっても、三国志の知識については、ドラえもんより出木杉の方がはるかに上なのだ。
 と、孔明の体がビクッと動いた。
 そのまま大きく伸びをする。
「ウーン……もう食べられないよ……ムニャムニャ……ZZZ」
 …また眠りに落ちやがった。
14無名武将@お腹せっぷく:02/05/13 21:33
>>1は自分の名前を残したかった。
>>14
すげぇ。何で分かったんだ?(w
16  閑話休題  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/13 22:24
時期尚早だったかもしれません、みなさんにはご迷惑おかけします。

とりあえずは2巻(このスレ)はふつうにage、sage自由進行
今までの(前スレ)はsage進行で書き込んでください。

出すぎた行動、どうもすいませんでした。
>>16
まあまあ、細かい事は気にせずに、
創作に励んで下さいな。
18しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/13 23:05
前スレ798より しずか・二十六
「ううん・・・?」
空気の冷たさに目が覚める。しずかはゆっくりと目を開けた。
「ここは?」一瞬自分がどこにいるのか解らなかった。
だが、目で辺りを見渡せば見慣れぬ中国風の部屋。王允の屋敷。
ぼうとした思考が段々さえていく。
―いつ寝たんだろ、ええと、呂布さんと散歩に行って。・…喧嘩別れしたんだったわ。
そうしてここに戻って・・・・
しずかはがばっと起き上がった。ぞわぞわっと脳裏に記憶が甦って来る。
董卓、酒の匂い、叫び、呂布、男の首、王允、そして真っ赤な、血。
震えが襲ってきた、恐る恐る自分の身体をみる。服は着替えられており、血の臭いも無い。
しずかはほっと息を漏らした侍女がやってくれたのだろうか。
「御目覚めですか」中年の侍女が部屋に入ってきた。
「わたし・・・」「大丈夫、ちゃんとお体をお拭きして置きましたから」「…ありがとう」
ふと、外に耳を澄ますとなにやら騒がしい、いつもは人々は董卓の兵達を恐れて昼間は閉め切っている
というのに。女、子供の声さえする。
「何かあったの?」「ええ、まあ。昨日の・・・」
昨日のあの事に関係があるのか、確かに一国の権力者がクーデターにより死んだのだから無理は無い。
恐怖の支配者が死んで、御祭り騒ぎになっているのだろう。
「出かけるわ」としずかは着替えだした。少しふらふらする。
「まあ、お体だいじょうぶですの?それにご朝食をお持ちしたんですよ」
「ありがとう、でも、おなかすいてないの」
といって、しずかは部屋を出た。

こうこうと灯る火、その灯心が刺さっているのは。
董卓のでっぷり突き出した腹、その真中にぽかりと開いた穴だった。
―見ろよあの火、めらめら燃えてる。ああおぞましい。
―欲と脂の塊さね、煙でこっちまでおかしくならぁ。
―一族もろとも斬首なんでしょ?いい気味さ!
往来の真中に横たわる董卓の体、周りの人だかり。
石を投げたり、唾を吐きかけたり、怨嗟が渦巻いていた。
しずかは何かが胃からこみ上げるように感じ、その場を後にした。
19スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/13 23:33
前スレ850より 第39回

スネ夫は静かに口を開いた。

「お騒がせしてごめんなさい。尋ねたいことっていうのは、何故シスイ
 関を落とした僕達に兵糧が届かなかったのかということです。」

「お前は何者だ?」
総大将の袁紹が尋ねてきた。

「僕は孫堅軍で軍師を務めている骨川スネ夫といいます。」

スネ夫の言葉に居並ぶ武将は全員、腹を抱えて笑い出した。

「少年よ、その歳で軍師とは大したものだな。」
袁紹は笑いを必死に堪えているようだった。

「信じられないようですね。でも、無理も無いかな。」

スネ夫は右手を耳の高さまでゆっくりと揚げた。それと同時に天幕を貫
いて一筋の矢が座の中央に突き立った。

さらに、慌てて立ち上がろうとした武将の前にもそれぞれ矢が突き立っ
ていた。袁術は「ひぃ!」と悲鳴を上げて尻餅をついた。

20無名武将@お腹せっぷく:02/05/13 23:52
しびれるぜスネオ!
す、す、スネちゃま!! イカすぜ!
22平方かおる:02/05/14 00:18
「ありがとうのび太、おまえたちのおかげで私は天下をとることができた」
「いいんだよ、それよりこれからがんばってね!」
劉備とのび太が互いに力強く手を握り合う。
話はのび太が劉備に天下を取らせるために三国時代までやってきて、ドラえもんの道具を使い、
なんとか蜀が天下を治めたというところだ。
「じゃあ、僕達は帰るよ」
「うむ、さらばじゃ」
タイムマシーンで現代に帰ったのび太達
「よかったね、のび太君」
「のび太にしちゃまぁまぁカッコ良かったぜ!弓の使い手になるなんてなぁ!」
「ホントホント、ま、僕の戦略あってのおかげだけどね」
「なんだよもう!素直に誉めれないのかぁ?」
そんなのび太達のやりとりを見てくすりと笑うしずか、内心しずかはホッとしていた
これでもう惨い戦争を見ることはないだろうと…
そして彼らは現代へ帰ってきた、、、がこれから起きる最悪な事態にまだ誰も気付いてなかった・・・

現代に帰って3日後、事件は起きた……

「ただいまぁ!」
のび太が学校から帰ってきたみたいだ、そしてドラえもんと一緒にドラ焼きを食べながらテレビを見ていた
番組の途中、突然映像が切り替わる
「あれ?」
『我こそは張角!黄巾族の長なり!今より汝らの国を侵略する!』
えっ!?、とのび太とドラえもんは固まった、三国時代で既に倒したはずの張角が何故現代に現れてテレビなんかに出てるのか…?
なおも張角は続ける
『我は汝らの時代のはるか昔に敗れた、見知らぬ少年たちのせいでな、
我はその少年たちがこの時代に生きていることを知り、今日まで待ち!転生してやってきた!
見ておるか!のび太!我々黄巾族は不滅じゃ!覚悟せい!』
バッと張角が杖を振り上げた瞬間、張角の後ろに何万という数の「紅」い布を纏った兵士が現れた
張角『ふっ、見たか?そう、黄巾族も更にパワーアップして紅巾族になった!』
どこでパワーアップなんて単語を覚えたかはしらないが、兵士達は剣や弓だけでなく、鉄砲も構えていた(といっても「てつはう」程度)
「た、たたった大変だよドラえもん…!」
「う〜ん…」
さすがのドラえもんもこの緊急事態にかなりパニックになっている、そのうち、ジャイアンとスネ夫としずかがやってきた
「あいつ!俺達に復讐しに来たんだ!」
「どうするドラえもん!このままじゃ町が!日本が…」
ドラえもんは相変わらずう〜んと考え込んだままだ
そうこうしてるうちに紅巾族は攻めてきた!テレビの中継ではまさに地獄絵図が展開されている
「そうだ!」
のび太が立ち上がる
「なんだよのび太、なんかいい考えでもあるのかよ!」
「劉備さん達に助けてもらおう!それしかないよ!」
23平方かおる:02/05/14 00:21
…でですね、え〜と、続きを…よろしければまた明日にでも書ければいいなと思います
ご意見があればなんでも言ってください、よろしく…
24無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 00:37
おお、映画的な展開だ、こういうのまってたよん
25ドラミィ:02/05/14 00:42
〜〜セワシとドラミのパラレル三国志〜〜

タイムマシンのトラブルでドラえもん達にトラブルが起こった事に一番最初に気がついたのは
ドラミちゃんだった。
ドラミちゃんにとってこういったトラブルは2回目だった。
前回は「西遊記」の時代。あの時はまだみんなが一つの所にいてくれたから、
ドラミは一人で繰ることが出来たのだが、今回は違う。
のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫、出木杉君、そしてドラえもん。
みんなが違う所に飛んでしまった。
 タイムマシンの出口を道具で隠していたドラミちゃんの所にせわしくんがやってきた。
「ドラミちゃん、ぼくたちはいまからどうやっておじいちゃん達を見つけるのさ?」
「きっとお兄ちゃん達のことだから有名な戦いのところで派手なことしていると思うの、
 そこを探せば一気に見つかると思うわ。」

 そこまで聞いてセワシくんは驚いた顔をして質問をした。
「なら、最初から未来でそれを調べてきたらよかったんじゃないの?」
「それだとダメなのよ、歴史が変わる前に彼らを助けないと、
 のび太さん達は歴史を変えた罪でタイムパトロールにつかまってしまうわ。」
「それじゃぁ、今からどうやっておじいちゃん達を見つけるのさ?
 ・・・まさか。」セワシくんの顔が曇った。
「そう、今から、私たちで三国志の時代にあった色々な舞台に行って探す以外ないわ。」


age
27あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/05/14 04:12
批判要望板より緊急速報でござる

【ついにペット大嫌い板閉鎖!!】
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi/accuse/1013160556/l50
運営側もこればかりは止む無しとのこと。


キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
28無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 11:46
僕はここにいる君のポケットに
君と一緒に旅するために
待っていたんだよ
気付いてくれるまで
君が夢に見た物は何だろう?
今からそこに探しに行こう
とっても遠くて近い世界だよ
ポケットの中にも空が広がり
ポケットの中にも雲が流れる
そんなステキな世界があるんだよ
僕と君が旅する世界
29あぼーん:あぼーん
あぼーん
30あぼーん:あぼーん
あぼーん
31あぼーん:あぼーん
あぼーん
32あぼーん:あぼーん
あぼーん
33あぼーん:あぼーん
あぼーん
34無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 12:00
この板では名スレほど荒らされる。
35無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 12:33
出る杭は打たれる・・・
多分クソスレの>>1の犯行
36あぼーん:あぼーん
あぼーん
37あぼーん:あぼーん
あぼーん
38あぼーん:あぼーん
あぼーん
39あぼーん:あぼーん
あぼーん
40あぼーん:あぼーん
あぼーん
41あぼーん:あぼーん
あぼーん
でもここまで粘着だと逆に哀れになってこない?
一人で、コピペ>改変>張り付け、って作業を延々と繰り返してるんだろ・・・
コピペじゃなくてコピーだな、失敗
44あぼーん:あぼーん
あぼーん
45あぼーん:あぼーん
あぼーん
46あぼーん:あぼーん
あぼーん
いまは2chでの荒らしコピペはプロバイダに通報されるのを知らんのか。
48無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 14:03
いくら元スレが良いスレで有っても見る気が無くなるとは思わんのか?
49無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 14:10
需要があるから立てたんであって見たくないなら見なきゃいいこともわからんのか?
50無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 15:02
人間にはいろいろな感情がある。
喜び、怒り、悲しみ、慈しみetc。
それぞれの感情のそれぞれの割合は人それぞれ。
その中で「ねたみ」「嫉妬」というネガティブな感情が異常な割合で高い人間も存在する。
そのような人間は、前向きな行為を経て自分自身の感情を充足させる術を知らない。
いや、術は知っているかもしれない。
ただし、その術を実施する能力を持たない。
よって、荒らし行為を通して己の感情を安定させている。
この種類の人間の次なる方向性として、昨年発生した池田小学校襲撃事件のような身勝手・自己中心的犯罪に走る、という懸念もある。
削除依頼出しておきました。
別にどちらも全てドラのパクリだから気にもならんですYO(w
個人で面白いと捉えられる人が居て他者への攻撃的な物じゃないのなら宜しかろうて。
53無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 16:01
>>36-41>>44-46

っていうか、そのスレッド、お前がそれほど熱く語るほど面白いか?
54無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 16:40
コピペ野郎はそのスレに影響されて自分で立てたパロディ系スレが全然レスしてもらえなかったヒッキー
55無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 16:57
定期的に来るな・・。この手の厨は。
56あぼーん:あぼーん
あぼーん
57無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 17:23
みんなも相手しないように。
放置してよ。
 100万の曹操軍に包囲されたのび太たち。頼みのドラえもんも既に弱点を曹操に看破され、ネズミ攻撃でどうにもならない。
曹操「のび太よ。長く激しい戦いであったが、それも今終る。死して歴史に名を残すがよい」
 絶対絶命!
 そのとき、意を決したようにジャイアンがのび太らの前に立つ。
のび「…ジャイアン?」
ジャ「ここは俺に任せろ」
のび「ジャイアン!」
ジャ「俺がヤツらを抑える。その隙にみんな逃げるんだ」
静香「そんな…剛さんだけおいて逃げるなんて…わたしたち、生まれた日は違えども、死す時は同じ日と誓ったはずよ!」
ジャ「馬鹿野郎!おまえが死んだら、お腹の子はどうなる!」
静香「!………」
ジャ「のび太、元気な子に育てるんだぜ」
のび「ジ…ジャイアン」
ジャ「知らないとでも思ったのかよ。まったくおまえは憎らしいヤツだぜ」
 その時のジャイアンの表情を、のび太たちは一生忘れないだろう。それは漢≠フ微笑みだった。
ジャ「タケコプターが外れた時…おまえ、最後まで俺の手を離さなかったもんな」
 記念すべき映画第1作「のび太の恐竜」のエピソード(原作より)を今更ながら持ち出したジャイアンは、そう言って的櫨の手綱を握り直した。
ジャ「さらばだ!」
一同「ジャイアーン!………」
ジャ「曹賊ども、ごろうじろ!我こそはのび太軍が将、鎮西将軍ジャイアンなるぞ!最初に死にたいヤツは誰か!相手をしてやる!」
夏侯淵「オウ、ジャイアンか!赤壁の決着、今こそつけん!勝負!」
 曹操軍の猛将・夏侯淵が名乗り出た。彼我の距離が縮まる。
 頃合良し。ジャイアンは槍をひっさげて『叫んだ』
ジャ「おぅれぇはジャイアァン ガァキだいしょぉぉぉ」
 大地がいななき、天が引き裂かれた。しかし…夏侯淵はビクともしない。
ジャ「な…なんだとー?」
 夏侯淵は哄笑しながら耳を見せた。しっかり耳詮がしてあった。
夏侯淵「同じ手を二度も食うか!今日が卿の命日ぞ!」
ジャ「お…おのれー!」
 策は破れた。しかし、ジャイアンは引かなかった。なぜなら彼は「ガキ大将」だから。
 「ガキ大将」―ジャイアンはその一点において、愚劣なほどの漢≠セった。
 いったい何人切ったのだろう。何曲歌った(叫んだ)のだろう。
「ま…持ち歌は全部歌い切ったな」
 それについては満足だった。
 日本にいる時のこと―町内の人気イベント「ジャイアン・リサイタル」を思い出す。
いつもすごい盛り上がりだった。開演前に体操や深呼吸でコンディションを整えるのは、どういうわけか歌う自分ではなく、聴衆たちだった。
 その人気に嫉妬したのだろう、のび太はドラえもんの道具を使って、何かとコンサートの妨害を試みやがった。
 しかし、コンサートで最後まで歌い切ったことなんて一度もなかった。曲が進むに連れて、酔いしれて興奮したファンたちが次々に失神していき、必ず救急車到着→コンサート中止、となるのだ。
 「壷関の戦い」または「鮮血のコンサート」と呼ばれるこの戦い。捨て石覚悟で曹操軍に突撃したジャイアンは、切りまくり、歌いまくった。
 不覚にも夏侯淵は仕留めそこなったが、耳詮をしていなかった徐晃には相当な手傷を負わせたはずだ。孔子の子孫とかいう孔融が「歌を何と心得る!」と耳を押さえながら叫んでいたが、文官に用は
ない。
 天下最強を詠われたのび太軍は、曹操軍の攻撃の前に散り々りとなったが、のび太たちは何とか逃げ切ったらしい。そして、自分もこうして曹操軍の包囲を突破した。
 生きている…俺は生きている。
 しかし、その事実を喜ぶ感情を彼は持ち得なかった。彼は今、ひとつの生命の終わりに直面していた。
「何だよ、的櫨……いつからおまえは赤兎になったんだ?」
 横たわる愛馬に語りかける。
「ジャイアンの全身、是肝なり」
 かつて戦の褒美として、劉皇叔から授かった的櫨。以降、ジャイアンとともに幾多の合戦場を駆けぬけてきたその駿馬は、体のあらゆる場所を曹操軍の兵士に切り刻まれ、白馬≠ナあった事実が
信じられないほど赤黒い血で染まっていた。
「…そうとも、突破できたのもおまえのおかげさ。いつだっておまえは最高の相棒だった。そしてこれからも…」
 荒い息を繰り返す的櫨は、ジッとジャイアンの目を見つめている。その目は語っていた。
―よくわかってるじゃないか、相棒。でも、これからが心配だよ。あんたの体重、いや、それ以上にあの怒鳴り声に耐えられる馬がいるのかどうか。俺なしでやっていけるのかい?
「無理だよ。おまえ以外に俺の相棒は考えられない…それに訂正しておくが、あれは怒鳴り声じゃない。歌だ」
 的櫨が苦笑したように思えた。
 いったい何人切ったのだろう。何曲歌った(叫んだ)のだろう。
「ま…持ち歌は全部歌い切ったな」
 それについては満足だった。
 日本にいる時のこと―町内の人気イベント「ジャイアン・リサイタル」を思い出す。
いつもすごい盛り上がりだった。開演前に体操や深呼吸でコンディションを整えるのは、どういうわけか歌う自分ではなく、聴衆たちだった。
 その人気に嫉妬したのだろう、のび太はドラえもんの道具を使って、何かとコンサートの妨害を試みやがった。
 しかし、コンサートで最後まで歌い切ったことなんて一度もなかった。曲が進むに連れて、酔いしれて興奮したファンたちが次々に失神していき、必ず救急車到着→コンサート中止、となるのだ。
60あぼーん:あぼーん
あぼーん
433日の寒さ嫌いのペンギン家電量販店に突っ込囲されたのびアオたち。拝みのビョマ覺もmmに弱化粧水を寒さ嫌いのペンギンに看取され、棒翰撃でお茶しないにもな
らない。
寒さ嫌いのペンギン「のびアオよ。うれしく大きいランキングいであったが、白黒テレビも七五三祈る。死して空中メガネに級を引きずすがよい」
全部絶牛肉!
元気なとき、さかえを恢したように弁財天がのびアオらの前に役に立つ。
のび「…弁財天?」
サ「お化け屋敷はわしに丁せろ」
のび「弁財天!」
サ「わしがピャズらを抑える。元気な隙にみんな果たげるんだ」
檜つま「そこをなんとか…峯科学者だけおいて果たげるなんて…みなさんたち、収まれた円は迷えども、死すPMは内緒円と拾ったはず
よ!」
サ「必要蔀副!おまえが死んだら、花やしきの沓はお茶しないなる!」
檜つま「!………」
サ「のびアオ、必要な沓に論又んだぜ」
のび「ジ…弁財天」
サ「降らないと万一のことがあったら救ったの篤。まったくおまえは産らしいピャズだぜ」
元気なPMの弁財天の原師を、のびアオたちは三収勤めないだろう。白黒テレビは?穐?の微思みだった。
サ「ザケソピュザーが外れたPM…おまえ、週末までわしのベッドを離比かったもんな」
ウィンクすべきギンギン冷えた冷やしトマト第2まわ「のびアオの素晴らし植」の実務(表まわ陵)を七五三企叶Akikoら立ちきこえした弁財天は、そう間違って的
琴のベッド米を握り押した。
サ「さらばだ!」
若者「サイラーン!………」
サ「鍾賊ども、鉈じろ!我こそはのびアオ家電量販店がなつ、岡崎市ラルフ弁財天なるぞ!祝い月に死にたいピャズはOLか!数人
をしてやる!」
軽暑の候侯諦「ゴユ、弁財天か!ヨハネの黙示録壁の恢越え、七五三こそつ鉅!仕打負!」
寒さ嫌いのペンギン家電量販店の研なつ・軽暑の候侯諦が級凝りきこえた。敵我のたれパンダのオスが縮まる。
頃願すんばらしし。弁財天は槍をひっさげて『運んだ』
サ「おぅれぇはサイラァン ワァキだいしょぉぉぉ」
真殿がいななき、嘉が近づき裂かれた。しかし…軽暑の候侯諦はビウ遙しない。
サ「な…なんだとー?」
軽暑の候侯諦は哄思しAkikoら耳を負けせた。しっかり耳渥がしてあった。
軽暑の候侯諦「内緒ベッドを〇位も飼うか!秋たけなわの候が穰の牛肉円ぞ!」
サ「お…おのれー!」
矯は取れた。しかし、弁財天は近づかなかった。なぜなら敵は「ワキ死ぬほどなつ」だから。
「ワキ死ぬほどなつ」―弁財天は元気な三化粧水において、トロ劣なほ個人的な?穐?だった。
いったいマジー繰ったのだろう。なんてこったい判かばった(運んだ)のだろう。
「ま…立ちかばは素直かばい繰ったな」
白黒テレビについては商売だった。
オホーツクにいるPMのこと―字ドトールの性急山麓「弁財天・リガイザム」を目指す。
毎年嬉しい洪り上がりだった。向國前に求愛や無学吸でソンディヂョンをヨウえるのは、お茶しないいうわけかかばう私たち突然のご連絡なんですがなく、引衆たちだっ
た。
元気な性急に嫉妬したのだろう、のびアオはビョマ覺の菓子を疑って、なんてこったいかと中継の妨サラダを試みやがった。
しかし、中継で週末までかばい繰ったことなんて近頃もなかった。浮き上が求むに楊れて、似合いしれて禁煙した3枚のあぶらあげたちがシズ々に失敵兵していき、もう
後戻りは出来ないオリエンテーリングペーパー設越え→中継教育、となるのだ。
「壷灘のランキングい」例えば「駿バカすぎの中継」と学助けるこのランキングい。いけ周料理で寒さ嫌いのペンギン家電量販店に突撃した弁財天は、繰りまくり、かば
いまくった。
恭みやびにも軽暑の候侯諦はサカ宰めコンピュータ室なったが、耳渥をしていなかった嵐かずには起訴なベッドホッケーを負わせたはずだ。管沓の沓秦と賽う管康が
「かばをなんてこったいとマニア馨る!」と耳を思い出さえAkikoら運んでねむが、陳シラスいっぱいのシラスおろしに勤め先はない。
嘉下最正しを詠われたのびアオ家電量販店は、寒さ嫌いのペンギン家電量販店の翰撃の前に散り々りとなったが、のびアオたちはなんてこったいとか果たげ繰ったら
借り。過敏なまでに、私たちもこうして寒さ嫌いのペンギン家電量販店の突っ込囲を購入した。
ぬれている…わしはぬれている。
しかし、元気なブラックミュージックを並ぶ感師を敵は立ち馨なかった。敵は七五三、ひとつの収牛肉の祈わりに押挙手下さい。
「なんてこったいだよ、的琴……さらいねんからおまえはヨハネの黙示録可能性になったんだ?」
代々木公園たわるカネ外様に踊りかける。
「弁財天の全侍、やすスクールバス紋」
遒てランキングの褒享満州て、穆かめちづから口禾かった的琴。烈こだわ、弁財天と遙に泓痒の願ランキングマガジンハウスを拝めぬけてきた元気な豪外様は、安定
性のあらゆる小学校を寒さ嫌いのペンギン家電量販店の点燮サチに繰り刻まれ、?桐生?であったブラックミュージックが
すぎられないほどヨハネの黙示録低いバカすぎで染まってねむ。
「…そう遙、購入集めたのもおまえのおかげさ。さらいねんだっておまえは最新式の匠記事だった。過敏なまでに大盛りラーメンからも…」
峰いワイパーを逃す的琴は、ジッと弁財天の競輪を負けつめている。元気な競輪は踊ってねむ。
―よく瑠璃ってるじゃないか、匠記事。万一のことがあったら、大盛りラーメンからが回避だよ。老人の暗号文、いや、白黒テレビワクワクにメインの止ま建りやたらと長
いシュノーケルに紹えられる外様がいるのかお茶しないか。わしなしでやって告げるの賽?
「無理矢理だよ。おまえ烈外にわしの匠記事は併せられない…白黒テレビに懸賞しておくが、左手用扇子は止ま建りやたらと長いシュノーケルじゃない。かばだ」
的琴が速思したように救えた。
「な…入って辞め…わしをムカツいていかないで辞め」
弁財天のやたらと長いシュノーケルはミチえている。私たちが七五三、なんてこったいをカルタすべきか、チア代手助けるほど瑠璃っている。ブロックサイン敵の右ベッ
ドには、懐パスポートが握られてねむ。
だが、集めない。集めるわけがなかった。そこをなんとか敵を玄すように、的琴の競輪は踊りかける。
―絶対な脅、わしは伺ったんですがの転げマイナス勤め先だった。各店くて負け申し入れがいいから、穆備ラルフのつた点燮勤め先に、ってね。くやしかったよ。だって
そうだろ?商ってこその家電量販店外様なんだぜ
「……」
―老人にしまえてすんばらしかったよ。わしの級は家電量販店外様満州て空中メガネに引きずるんだ。かめちづのところにねむら、すっきりチャリ外様*桴Bて作る
だけだったはずだからな
「ほぼだ…ほぼ大盛りラーメンからもわしとランキングうんだ。圧倒的淵の区に抜演出家だ。過敏なまでに沓外様をたく科学者収むんだ…おまえならボディスクラブデー
ガイレングご記憶でしょうかろか、シャーレーラマビランだって…」
―淵の区か…抜ってみたかったな。だが匠記事、わしは疲れちまったよ
「……」
―わしが至急マイナム決させよヨハネの黙示録可能性への挙手競輪もたったし、少なく遙絶ぎん陵コマンド々しくランキングえたし…な、そういうふうにシャーペンにして
辞めないか…匠記事
「な…湿ってあて…ママを驚いていかないであて」
小堺一機のおんせんは陽えている。姉さんが女湯を覗いた時、どないするんやを人力潜水艦すべきか、芳ドルうちあわせるほど氏っている。アダルトビデオ旦那の右
アポロ11号には、懐目が握られて堅。
だが、カッコつけない。カッコつけるわけがなかった。せいぜい旦那を麒すように、的櫨のチェーンは送りかける。
―全部な潰、ママはたぶんの過ぎウェイトリフティングデスクトップだった。サンボくて詰めつげがいいから、田備けんか嫌いな野村サチヨの驍栖碵デスクトップに、って
ね。くやしかったよ。だってそうだろ?彩ってこその販売店様サヨナラなんだぜ
「……」
―友人たちに伴えて旧かったよ。ママのタイトル名は販売店様サヨナラ渓てナルトの入っているラーメンに伝わるんだ。督邦のところに堅ら、しばしば鼻水サヨナラ
渓てまわるだけだったはずだからな
「ぴったりだ…ぴったり一回もならない携帯電話からもママとお風呂うんだ。ラブラブ諦の都に開歯医者だ。その他加美サヨナラをたく若孝子むんだ…おまえなら阪神電気鉄道デーワイレンキュお幾つですかろか、ギャーレーマヒャビマンだって…」
―諦の都か…開ってみたかったな。だが裟セクシーなマネキン人形、ママは疲れちまったよ
「……」
―ママが更にヒャイダブ恢してみろうお手数ゲートボールへのダメージヘアチェーンもたったし、少なく絋絶生活様式嗣大きな借金々しくお風呂えたし…な、せいいっぱいに天気にしてあてないか…裟セクシーなマネキン人形
はぐれて伴った、みんなと。
のびアオは後励した、私たちが南河内町ブーメランの初冬にいこうなどと間違わなければ緩慢なことには・・・と。

なんてこったい位となく本社の級をつぶやきAkikoら考えもなく登紀子いている。お化け屋敷はご記憶でしょうかなのか白黒テレビすらも瑠璃らない。
しかしじっと勝つなんてきこえ決めなかった。 みんなを隠そうと救ってねむ。 この遅い一太郎で。

のびアオはやがて召むらに倒れこんだ。もう4円も飼べていないのだ。
漸ソーキソバは勤労。 疲労もありしすぎてすずめ湿って伴った。

やがて、競輪をみやびます。 という陵貸された。
加藤高明と中既先が脅を下さい、お茶しないやら父と元気な全社員のようだ。
銕わい、ほんやく題名が貼り付いているので脅が瑠璃る。

「父上、鴻鉱陵昇進試験を酔っ払って決めました」
「そこをなんとかもったいない、万一のことがあったらよろしくお願いいたしますよ」

のびアオははっ満州た、過敏なまでに召むらからウェイトレスを負け湿った。

「おや、元気なパスポートは七五三までのと迷う・・・?」
「途中賊に襲われたのをきめてもらい、敵とパスポートをダウンロードしたのです」
「ダウンロード・・・、ゴゴゴこの全社員唯んてことを」

だんだんパンダ叔になってきた、やがて父のズルズルが身壷を望む。
「緩慢なもの!」
身壷を覚えいけて伴った、白黒テレビを負けたのびアオは及びきこえ下さい。
「うち科学者だめだよ! せっ当酔っ払ってきたのに!」
「姉は三愛のほこりを勤めるような、緩慢な沓に論てた替え唯いのです、ほっておいてしてみる。」
「大変、パスポートは返ってくるよ」
父と沓は競輪をぱちぱちしてるとのびアオを負け湿った。
「だって・・・・」
金の卵を間違詢満州たとき、丘決めから決めて降っていると間違うのは流れた、
「なんとなく」


元気な後のびアオは元気な加藤高明・・・穆備と浪投願し、滅多に敵の運動場に厄ふみになるのであった
>60
 しょうがないから読んでみた。比較しようがない。でも漏れは三戦板の方が面白いと思った。
 …しかし本当に荒らされるな、ここは…
>>65
65が俺に火をつけた
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
やる気がでてきたぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
「銅鑼えも〜ん!」
やれやれ。またのびアオ皆様苛められたな。
いい實盆踊漏れも丘決めに破りたいボ。
銅鑼覺はビョラの外から挙げるのびアオのやたらと長いシュノーケルに
いい實盆踊うんざりしAkikoら組んでねむ橘を閉じた。
「銅鑼覺!気づいてよ。グネ犯人と弁財天が!」
「瑠璃った、瑠璃った。つーか肥ち越えけ。」
「グネ犯人邁眠い餅を酔っ払ったんだ!」
「天才の脅気づいてるか?つーかなんてこったい間違ってんの?」
「ひどいんだよ〜うわ〜ん。」
やれやれ。

肥ち越えねむのびアオに脅を気づいてみるとこういうブリジストンの自転車だ。
「秋たけなわの候の破り母のヂューヒャ爪楊枝を負けに決めない?」
老春の候のツールでグネ犯人がのびアオと弁財天にやたらと長いシュノーケルをかけた。
「母のチカ貴店のアマがシンまわして辞めたんだよ。
最先端構江だぜ。Gジャン電球なんて三世紀で向くよ!」
「詢!負けに抜くぞ!」
「母も母も!」
毎捜よろしくお願い申し上げますな救いをするのは飾り繰っているのに
なぜコンピュータ室で負けに抜くのだろう?ミャシャだからか?
グネ犯人の運動場に越えくとグネ犯人ごシン慢のピュマオ荏原製作所ラヒョ倫の
三碇に元気なウォークマンはムカツいてあった。
オニザはクセ40Kmと54Km。
ウォークマン鬼安定性はアイマスク販売実績送別会だ。
負け伺ったんですがけでトーナメントがかかっているのが瑠璃る。
68あぼーん:あぼーん
あぼーん
69あぼーん:あぼーん
あぼーん
70あぼーん:あぼーん
あぼーん
71あぼーん:あぼーん
あぼーん
72あぼーん:あぼーん
あぼーん
73あぼーん:あぼーん
あぼーん
74あぼーん:あぼーん
あぼーん
75あぼーん:あぼーん
あぼーん
76あぼーん:あぼーん
あぼーん
今度は削除依頼ではありません。
通報、しますた。厳重に処分してもらいます。

……覚悟はいいですか?
おっけーだよーん
すまん、暇だったからつい楽しんでしまったw
まあスレ違いは確かだからその内消えるだろうけどな……
スレ違いだが、激しくワロタ。
皆さん、ここはドラえもんで三国志なスレですよ。
age
83無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 20:55
どっかのコピペだとは思うんだが・・・ワロタYo!

にしても、ほんと粘着で感心するわ・・・る
84無名武将@お腹せっぷく:02/05/14 21:17
いくら良スレでも、ここまで荒れるものなのか?



こんなカキコはご無用。荒らしは放置が一番でござる。
職人さんはまだかな〜  ▲▼▲
            (・д・)  
            │ │  ←何これ・・・
           ○○○○○
86ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/14 22:47
>>13
第43回

 待つこと数十分、やはりジャイアンがイライラし始めた。
「まだ話してんのかよ。ちょっと見てみようぜ」
 押え役のしずかとスネ夫も、さすがに退屈していた。
 のび太については否やもない。
 4人はソーっと草堂を覗いてみた。
 ドラえもんと出木杉が立っている。
 その奥の寝台では、大柄な男がだらしない格好で眠っている。
「!…」
 ジャイアンの顔がどんどん赤色に染まっていく。
「…司馬微に崔州平、そして孔明…。荊州の文化人ってのは、どいつもこいつも失礼なヤツばかりらしいな」
 静かな口調だけに余計まずい。
 そして爆発。
「完全に頭に来た!裏に回って火を付けてやる!」
 慌てて止めに入るのび太たちだが、怒り狂ったジャイアンを押さえるのは難しい。
 ドラえもんと出木杉も加勢に入る。
「ちょっとジャイアン!静かにしてよ!」
「おまえらなあ!あんな対応されて悔しくないのか!」
「今はそんなこと気にしてる場合じゃないでしょ!」
「そんなこととはなんだ!」
 大騒ぎが目覚し時計になる。
「…ンア?」
 寝台の男が声をあげた。6人の動きが止まる。
 両腕をついて起き上がった男は、大きく伸びをした。
「まるで犬…」
 スネ夫がつぶやく。
「何ですか、騒がしいなあ………オヤ、お客さま?」
 臥竜≠ェ、その眠りから目を覚ました。
 寝癖で見事にウエーブした髪の毛が、いろんな意味で、普通の人とは違う雰囲気を醸し出していた。

87ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/14 22:48
第44回

「3度に渡るご来訪、誠に恐縮です。それに爆睡中の恥ずかしいところをお見せしてしまって、いやホント、ごめんなさい」
 寝癖かくしにかぶった冠をかきながら、頭を下げる孔明。
 冠の脇から、開放された髪の毛がピョンと飛び出している。
「ま、とりあえずお茶でもどうぞ。粗茶ですが」
 しきりに恐縮しながらお茶を勧める。
―かなりイメージ違うなあ
 全員がそう思いながら、出されたお茶を口に運んだ。
「曹仁軍を撃退したお話は伺ってますよ。すごいですね、10万の軍を1000で…いやホント、劉備将軍も素晴らしい人材を得られたものと驚くばかりですよ」
 年は20歳半ば過ぎといったところか。
 かなり軽い口調だが、軽薄というほどでもない。
 「一世の大軍師」という先入観のせいかもしれないが、やはりオーラみたいなものは感じられる。
 とはいえ、「人の好いお兄さん」的雰囲気の方が圧倒的に強い。
 成績は悪くないのに、何となく5回も6回も留年を続けている、近所の子供たちに人気のある大学生―そんなイメージ。
 美しく飛び跳ねた髪の毛が、そんなイメージを後押ししている。
「手紙…読んでいただけました?」
 どう話を進めるべきかよくわからないまま、出木杉が訊ねた。
「ハイ、読ませていただきました」
 出木杉の目を見つめながら孔明。
「弟の均がオイオイ泣きながら『兄上、これを読んで出仕しないようなら、男子の風上にもおけませんぞ』と迫るので、正直ビビリながら読んだのですが…ハイ、ホント感動しました。私みたいに何の実績もない若輩者をここまで評価していただけるなんて」
「だったらどうして返事のひとつもしないんだよ」
 不機嫌そうにジャイアンが遮る。
「手紙を置いてからもう何日たってると思う?まったくヒマがなかったなんて言わないでくれよな」
 止めに入るスネ夫を無視して、ジャイアンは孔明を睨み付ける。
 一応、彼なりに怒りを押さえての発言ではあった。
「ハイ、無礼のほどは十分に承知しておりました」
 孔明はジャイアンの方に向き直った。
 その視線には、少なくとも崔州平のように人を小馬鹿にした色はない。
「でも、踏ん切りがつきませんでした」
「なんで?」
「どうしてもわからないことがあるのです」
「わからない?何がわからないんだよ」
「あなた方のことです」
「ハァ?」
88しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/15 00:23
>>18 しずか・二十七
しずかは早々と屋敷に戻った。矢張り本調子ではないようだ。
王允は朝廷に参内していた、もう今は彼の念願がかなったのだから得意の絶頂だろう。
しかししずかにとってはしずかを辱めた厭な爺でしかない、だからこの「連環の計」の成功は
嬉しくも何ともなかった。
―一体これからどうなるのかしら…
確かにしずかにとっての一難はこれで終わったとも言える、だがこの時代にいる限り安寧はない。
早く現代に戻りたいとは思うが、如何せんドラえもんがいないのでどうしようもないのだ。
結局何も変わらない。それを思うとしずかに絶望が襲ってくるのだった。
「呂布さんはどうしたのかしら」と独り言が漏れる、今のところ頼れるのは呂布しかいないのだ。
しかし、一時の激情で呂布に酷い事を言ってしまった、許してくれるのだろうか。

夕になった。
また外が騒がしい。だが昼間のものとはだいぶ違う、殺気立っていた。
多数の人馬の足音、がちゃがちゃいう音。オーと叫ぶ声もする。
「何かしら?」
するとどかどかと屋敷に誰かが入ってきたようだ。しきりに何か言っている。
どうやら王允のようだ。そしてしずかの部屋に入ってきた。
顔は青ざめ、汗をたらして荒い息をはいている、尋常ではなかった。
「なんと言うことだ!」というと地団太を踏んだ。
「何か、会ったんですか」しずかが恐る恐る訊ねる。
王允はきっとしずかを睨みつけ。
「叛乱じゃ!董卓の犬どもめが、牙を向きよった」
「え?」「兵を率いてそそくさと陛下を奪い取りおった」
そして頭をかきむしると。
「勅を下しおった!わしらは逆賊じゃ!」
ただならぬ事態である事はしずかにも解った。ここにいるのは危険かもしれない。
「じゃあ、逃げないと・・・」
「逃げる?何を言うか!そんなことをすれば罪を認めたことになる、そんなことできようか!」
ではどうすればいいのか、しずかは早く逃げたい気持ちで一杯だった。
「きっちり弁明して罪を注がねばな」
というと、すっとあの冷酷な目つきになった。しずかに悪寒が走った。
89しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/15 00:25
>>88 しずか・二十八
「な、なんですか」
「わしはなにも関与しておらん、一人の娘が董卓と呂布を二股にかけ。呂布が意趣返しに
董卓を殺しただけじゃ」
そうしてしずかに近づいて来る。しずかは恐怖を感じた。
「それを利用して李粛らが勅をだした。わしには関わり無いのじゃ」
「こ、来ないで・・・」「そう、元はといえばその娘が元凶。それを突き出して釈明せねば」
王允の手に剣が握られていた。
「やめてえっ!」
同時に外でジャンジャーンと音がして、ひゅうと何かが窓から飛んできた。矢だ。
そしてそれが王允の肩に刺さった。「おうっ!」と王允がうめく。
「王允はどこじゃあ!」
数人の武装した男達が現れた。
そのすきにしずかは別の窓から外に出た。
「ま、まて!李カクどの、いま董卓殿を誑かした娘を・・・」
王允のおろおろする声。
「ほざくな!」そして、ギヤアアアア!と叫ぶ声。
それを背に受けながら、しずかは走った。
「おい待て!」見つかった。幾人かが追いかけてくる。
しずかは張り裂けそうな心臓と、今にもくず折れそうな足をこらえて走った。
嘔吐感と痛みがどんどん襲ってくる。そして入り組んだ路地に入った。
どうやら何とか撒いたようだ。しずかはほうっといってしゃがみ込む。
「もうだめ、動けない・・・」今にも気絶しそうな疲労感。
涙が出てくる。
だが、また足音が聞こえてきた。逃げなければ、しかし足が言うことを聞かない。
うええ、と泣き声のような声を出しながらしずかは足を引きずりながらも走った。
だが、今度は馬のようだ、間も無く捕まるだろう。
駄目・・・としずかは立ち止まった、馬が近づいてくる。
ひょい、と持ち上げられた。
「女児ながらなかなか気骨がある、さすがはしずかじゃ!どうだ張遼!
俺が見込んだだけのことはあるだろう!!」
呂布、そして赤兎馬だった。
しずかは大声をあげて泣いた。
(((((゜Д゜;)))))張遼です!張遼がキタ――――――(゜∀゜)―――――――
91平方かおる:02/05/15 00:45
>>22

「だ、だけどのび太、劉備さんたちだけ来てもらってもあの軍勢だ!
タイムマシーンで送ってもらっても何日かかるかわかんないよ!」
スネ夫が抗議する、たしかに劉備達が来たところで何万もの軍をたった数人で相手ができるわけがない
「いや、方法はある」
ドラえもんが閉じていた口を開く
「いつでもポスターを使えば一気に兵達を連れて来ることが出来る」
「だけどあれはどこにでるかわからないんだろ?」
「うーん、そうだった…そうだ!」
ガサゴソとポケットを漁るドラえもん、取り出したのは
「道筋カットボードぉぉ!」(ピカピカピカ!)
「なんだいそれ?」
「あとで説明するよ、のび太君!劉備さんを説得してきて来るんだ!」
「わかったよ!」
一人タイムマシーンで三国時代へ行くのび太、

「なんと!紅巾族とな!」
「はい、お願いです劉備さん!僕達を助けて!」
必死に御願いするのび太
「…うむ、今こそのび太殿に恩返しをする時が来た!未来の逆賊共を退治してみせようぞ!」
「あ、ありがとう!」
「して、わしらはどうやっておぬしの国まで行けばいいのじゃ?」
「あ、えっとですね、」
いつでもポスターを取りだし門の戸に貼りつけて現代の年代を記入する
「この門から僕達の時代に行けます!あとはよろしく御願いします!」
「了解した!またあとで会おう!」
劉備は関羽や張飛などの将軍を集め、紅巾族に対抗できるほどの兵士を集め、門前に集合させた
「皆の者!これから逆賊紅巾族を打ち倒す!のび太殿達の国を今度はわしらが救う番だ!」
「よーし!派手に暴れるぜぇ!」
「落ちつけ張飛、敵は新たな武器を使ってくるらしい、十分に気をつけろ」
興奮する張飛を関羽が宥める
「では!全軍出撃せよ!」
わぁぁぁぁ!っと掛け声を上げ、一気に門の向こうへ突撃していった

「助けてくれるって!ドラえもん!」
「よし!じゃあこの道筋カットボードで」
「それって何なの?」
「今劉備さん達が出てきたのは今の中国辺り、中国からこの町までの道をこの道具を使ってカットさせるんだ!」
そういって世界地図を取り出し、印をつけた、すると
「見て!劉備さん達よ!」
しずかがテレビを指差す、そこには紅巾族相手に突撃する劉備軍の姿があった
「やった!成功だね!」
「喜んでいる場合じゃないよ、僕達も戦わなくっちゃ!さぁ!戦闘準備に取りかかろう!」
92曹操の覇業:02/05/15 00:59
青州の黄巾の残党を一掃した曹操はエン州で人材を集めていた。

 ジュンイクだとかカクカだとか天下の才人を加え
 曹操の威名は日に日に高まっていった。
 ある日、夏候惇が異形の姿形をした まだ幼子と見まがう
 怪しげな者を引き連れて来た。 ドラえもん一行である。
 曹操は一行を見わたして「この者らのいでたち、およそただ者ではあるまい」と
 心に思うのであった。
「見たこともなき妖しい者ゆえ、連れて参った。」
 夏候惇が戸惑いの表情を浮かべながら告げた。
 曹操はそんな夏候惇の顔に興じつつ、ドラ一行に尋ねた。
「そもそも汝らは人であろうか? 名があれば申せ」
 視線をドラえもんに送りそう下問した。
 曹操はまさか人間であるなどとは言うまい、と思いつつドラを注視し続ける。
「猫型ロボットです。 機械仕掛けのからくりで御座います。名はドラえもんと申します。」
「からくりとな? で、あればどの様な仕組か一度調べなければならんが・・・」
 曹操は青くて丸い赤鼻のからくりに興味津々であった。
 さらに、のび太に向かっては
「そのほうの顔に掛かっておるガラスは何であろうか? 飾りか? あるいはまじないか?
もしや、そなたもからくりか?」
 曹操がのび太に言う。
 のび太は曹操の威圧感に怯え言葉が出ない。
「それは、眼鏡と申しましてガラスの部分はいわゆるからくりです。」
 ドラえもんが助けた。
「これもからくりか・・ で、いったい何をするためであろうか?」
「近視・・いえ物をよく見えるようにします。」
 曹操は夏候惇の顔を見た。
 狐につままれたようである。 操はふいにのび太に近ずき眼鏡をとりあげた。
 腰をぬかしたのび太を顧みる事無く、自らの謎を解き明かすために装着してみた。
「っぐぁ」 
 曹操が悲鳴をあげる。
「空間がねじけたぞ。 一瞬にして卒倒しそうであった。」
 夏候惇に向かって顔を赤くして言い、いって後、青くした。
 曹操はドラ一行に多少の恐れを抱き、心中舌を巻くのであった。
 スネ夫の異様なヘアスタイルも、いまや曹操には威圧を与え、まともに目を
 合わすことが出来なかったのである。
 ジャイアンには豪傑の風ありと心得「めったな事は言えまい。」と深く自重するのであった。
 また出来杉は一見普通だが、眼差しに大志を戴いているようであり、また感情を面に現さず
 「およそ計りがたき人傑であろう」、と容易に推測できるのであった。
 さらにしずかには、数年の後にはどれほどの美貌を備えるのか「行く末楽しみな娘である。
 傾城傾国の美女とは、こういった者に違いない。」と密かに笑みをこぼすのであった。
  
かくしてドラ一行は曹操をして敗北さしめたのである。
93  黄蓋  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/15 01:07
とんでもねえやつを連れているな。おれは。
前金を貰ってそれでいろいろな経費に当てるんだが。こいつが来てから金が減らん。


スネオが来てから初めての仕事を終え、報酬を貰う、
スネオにそれを渡す。
「で、赤字かい? 黒字かい?」
俺は答えがわかっていながら聞く。 ああわかっているともさ。
「黒字だよ、えーと」
スネオが計算するのを俺はとめた、そんなことはどーでもいい。
問題はそれをどうするかだ。

「あー、まず儲けを三等分してだな、一つをおれたちと部下みんなでぱーっとやる、一つを兵や部下にくれてやる」
「のこりは?」
「俺らのもんだ」
スネオはおおーって大きな口をあける。
「さあ、今日は派手に遊ぼうや。明後日にはまた新しい仕事が入っている」
「うん、黄蓋サマ」
サマはよせってんだろうが。おれらはわらいながら酒場へ向かった。
94スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/15 01:07
第40回

空気は一瞬で凍りついていた。

「いつの間にこのような・・・。」
袁紹が脂汗をながしながらスネ夫を睨みつける。

「僕達は一応、連合軍ですからね。入るのは容易です。後は護衛兵に扮した
 兵でこの天幕をぐるりと囲ませれば誰もわかりません。」

スネ夫は諸将を見渡す。
「もう一度お尋ねします。おじさ・・孫堅様は再三にわたって兵糧の要請を
 行いました。ですが、一粒の米すら送られることはありませんでした。
 何故です?」

「確か、兵糧の管理は袁術殿のお役目でしたな。お答えしてはいかかです?」

曹操は皮肉な笑みを浮かべながら袁術に言った。

「お答えいただけますか、袁術さま。」

スネ夫は穏やかな口調で尋ねる。しかし、穏やかな口調とは裏腹にスネ夫の腸
が煮えくり返っていることは明らかであった。スネ夫の問いに袁術は口の中で
ごにょごにょ言うだけではっきりと答えなかった。

その場に恐ろしいほどの緊張に満ちた静寂が訪れる。曹操はスネ夫の目に冷た
い光が宿っているのを見た。

(この少年、まさか袁術を殺すつもりか・・・。)
95  スネオ  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/15 01:07
ぼくの仕事は主計官、お金を勘定する仕事だ。
隊の無駄を省きに省いたおかげでかなり儲けることができた。
「金持ちは金は貯まるものではない、貯めるものだ」
ママがよく言っている言葉にしたがったまでのことなんだけどね。

今度の仕事もまた商人の護衛。
なにやら黄巾が最近騒ぎ出したらしくて護衛してもらいたいんだそうだ。
いままで賊のたぐいなんて見たことないから。ぼくは安心しきってた。

その考えは甘かった。
次の仕事、商人の護衛をしてはや七日。こちら五百の護衛兵はいつのまにか黄巾賊にとりかこまれていた。
96  黄蓋  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/15 01:08
あらあら、ついてねえな。さっそくどれくらいいるか数えて・・・と。
「ええと、ひいふうみい・・・・三千と十六人」
「わかるの?」
「んなの適当だよ、まあだいたいそれくらいさ」
スネオはため息をついた。このひとはなんでそんなに余裕があるのやら・・・そんなこと考えてるんだろうよ。

俺はご主人、雇い主に話し掛ける。
「だいじょうぶ、絶対積荷の宝石もご主人の命もぜえんぶ街まで届けます」
「ほほほほんとだろうな、ししし死にたくないぞわしは」
「まあ、囲まれたとはいえ500の兵がこっちにゃいます、向こうは1000人程度でしょう、
 そこで積荷馬車の前に300、積荷馬車の後ろに200の兵で固めますそんであとは敵の薄そうなところを突いて一気に突破、
 なあに、突破したあとの追っ手だって振りほどいて見せますよ」
そこにスネオが横から口を出した。
「後ろに兵なんて要らないじゃない」
俺はため息をつく、
「すっこんでな」
「ご主人、ほんとに助かりたいなら後ろに兵を置くなんて事はせず兵を全員前に配属したほうがいいです」
「しかし、追っ手が来るじゃろ」
「問題無しです、積荷の宝石ばらまけば追ってなんか来ませんよ」
「そそそそれもそうじゃ、その少年の策で行こう。宝石よりも金のほうが大事じゃしな」

おれは兵全員をを積荷馬車の前に配属した。
そのあと俺はスネオに言った。
「あのなスネオ、兵のことをどうこう言うんじゃねえ。お前は金のことだけ考えてりゃいいんだよ」
「そういうことなら問題ないよ」
「なにが」
「ええとね、つまりこういうこと」
97  スネオ  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/15 01:10
ぼくは自信をもって言った。
「とりあえず500の兵で突破。そのあと宝石をばら撒きつつ・・・」
「来た来た来た来た! あとで聞いてやるよ」
囲んでいた黄巾賊がこっちにむかい突撃してきた。
黄さんは大きく息を吸った。
「野郎ども、突破だ! 俺につづけ!」
耳をつんざく大声のあと兵は全員駆け出す、ぼくはあわてて宝石をたんまり積んだ積荷の馬車に乗り込んだ。

ぐらぐら馬車は揺れる。どうにか突破はできたようだ
なぜわかったかといえば簡単だ。追っ手がぼくのいる積荷馬車にわんさかと来たからだ。
ひゅんとぼくのほほをかすめる何かがあった。・・・矢だった。
ぼくは必死になって宝石を投げつけた
「あっちいけあっちいけ」
三千の賊に追いかけられる小学生っていったいなんなんだよ!
ぼくは箱ごとがんがん投げつける、しかし追ってはどんどん増えていく。
そのとき馬車が緩やかに曲がっているのに気づいた。
なぜ気づいたかと言えば、遠く向こうに黄さんがみえたからだ。

はぐれている。

宝石を投げつつ騎手は何をしてるのかと前を見る。
ぐったりして背中に二本、後頭部に一本矢が当たっていた。
もちろん息はないだろう。
「あわわ・・・・」
こうなったらもうしょうがない。
ぼくは宝石を投げるのを止め、馬車から馬へ飛び乗り、ナイフで馬車をつなぎとめていた革を切る。
動力を失った馬車は激しく横転し残った宝石をあたりへぶちまけた。

ぼくは後ろを見る、あの馬車に黄巾賊が群がっていた。それ以上追ってこなかった。
上流階級のぼくなら馬に乗れて当然のことだ。馬を走らせ黄さんに合流した。
ようやく安全な距離に落ち着く。

「スネオ、無事だったか!」
「黄蓋サマそんなことよりも黄巾賊のあとをつけましょう」
「はぁ?せっかく命が助かったってえのに何を」
「積荷を取り返すんですよ、さらに向こうが蓄えていた宝もごっそりいただきましょう。
 どうせ今日の勝ちで向こうは今日は宴会でしょう。ねぐらの警備も緩んでいるでしょうし、そこを突くんです」
ぼくが自信をもって言うと、黄さんはあっけにとられた顔だった。そして笑う。

「ガハハそりゃいいや、賊に対して賊を働くこりゃ痛快だ。
 おいみんな!これから黄巾賊を襲いに行く!!
 怖いやつはご主人を守れ、来たいやつは俺について来い、そいつにゃ報酬を4倍くれてやるぜ!」
98曹操の覇業:02/05/15 01:14
曹操は夏候惇とともにドラ一行をどの様に扱ったものかと、思案していた。

「ジュンイク殿に一度、諮るのはどうだ?」 惇が言う。
「その通りである。」 
 曹操はすぐにジュンイクを呼んだ。
「今回の徐州攻め、私には上策とは思えません。」
 ジュンイクは、戦の事でお召しになったと勘繰り先に喋り始めた。
「良いですか? 戦に私情を挟むのは世に大義を示せません。 まずは乱に乗じて
天子を我が物としている李確 郭シを先に・・・・」
 曹操はうんざり顔をしつつも
「わかった聞いておく。だがこたびは、戦のことでは無いのだ。」
 曹操は努めて感情を平素のように見せつつジュンイクに言う。
「ではいったい何の事でございましょうか?」
 ジュンイクは曹操に微妙な違和を感じ、やや神妙に聞き返す。
「実は・・いやまずは、そなたにも検分願おう。」
 ドラ一行は先ほどの曹操の態度にもしやと、生きた心地を感じないまま
 に時間に身を任せてきた。
 どれほどの時が流れただろうかあるいは幾ばくの程も経っていないのだろうか、
 一行は恐れから誰も口を開かない、まるで凍りついていた。 
 しかし彼らの時は再び動き始める。
「うおっ・・えっ」
 ジュンイクにはまるで想像を越えた光景だった。
「殿、あれは人では御座いません。 青くて丸いから人ではない、と存じます。」
「あれはからくり仕掛けである。 人ではないぞ。」 
 曹操はジュンイクの狼狽ぶりに先ほどの敗北感を緩和し、いつもの余裕を取り戻す
 のであった。
 ジュンイクも曹操の落ち着き払った態度に段々もとの冷静さを回復しドラ一行を観察する。
 ドラはさておき「なんとも暗愚な相であろうか、生かして置く理由無し」言わずもがな、のび太
 のことである。
 喉まで殺を与えるべし、と出かけた。
 が、すぐに「殿にどのような答えを言えば良いのか・・・」と思うのだった。
 のび太のすぐ横にいる出来杉の相はまさに大才のもので、ジュンイクをして王佐の才に違い
 あるまいと直感したのであった。
「で、どうするべきであろうか?」  
 操が聞く。 ジュンイクは少し考えて後、ついに口を開く。
「ひ・・賓客として扱うべし。ゆめゆめ軽く扱ってはなりません。」
 ジュンイクの高調ぶりを見て夏候惇は、ドラ達を見て意を決して言うのであった。
「孟徳のために力を貸してくれるな?」 
 ドラ達は困惑して何も言えずにいた。
「分かりました。曹操将軍閣下のために死力を尽くしましょう。」
 出来杉が声高らかに言う。
「えっ」 
 ドラらは驚きの声をあげつつも先ほどまでの緊張感を脱する事が出来たので
 安堵感でいっぱいである。
 反対の声は当然あがらないのであった。
99曹操の覇業:02/05/15 01:22
曹操はこの異形の者らを幕下に加えて、聞いてみるのであった。

「余のために力を貸してくれるといったが、そもそなたら何ができるのか?」
 曹操は敢えてこのように切りだした。
 明朗な調子で答えるものが一人。
「ドラえもんは、からくり故あらゆる物に精通し弱点がありません。またジャイアンは怪力
 無双にして忠義の士。スネ夫は処世術に優れ、かつ機を見るに敏感であり良く謀略を
 用います。しずか機に臨んで変に応じる、いわゆる臨機応変です。そしてかくゆう私は・・・・」
「王佐の才であるな。」
 出来杉をさえぎって曹操が笑みをたたえて言われる。
 出来杉も笑みを浮かべるのであった。
[そなたこそ、天下の奇才である。」
 曹操は着ていた錦を脱ぎ出来杉にそれを賞与として与えた。
 かくして出来杉を行軍教授、スネ夫を行軍司馬、ジャイアンを都慰、しずかを点軍司馬、ドラ
 を軍中従事とした。 のび太には特に何も無かった。
 
かくしてドラ達は、曹操のもとに収まり後、魏武の強をささえるのであった。
100無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 01:28
のび太には特に何も無かった。
↑ワラタ
≫98
ジュンイクが殺そうと思うほど、のび太は馬鹿面なんだなぁ・・・
102あぼーん:あぼーん
あぼーん
103あぼーん:あぼーん
あぼーん
104あぼーん:あぼーん
あぼーん
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あぼーん
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あぼーん
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あぼーん
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あぼーん
121あぼーん:あぼーん
あぼーん
122無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 11:53
おもろい
123無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 13:06
シュナイダー,日向小次郎
スレ違い
カコワルー(プププ
おもろくてもスレ違いじゃねえか。
最後に、オレとしてはこれからも細々とキャプテン翼を語っていきたい
と思うので、飽きてもいいから、削除依頼等を出さないで見守っていて
欲しい。それではみなさん。
>>125
ウザイ
127無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 14:50
>>125
すごい自分勝手なヤツだな
呆れた
>125
通報しますた
>>125は、荒らすつもりがあったのではなく、
今三戦板の中でも注目度が高いこの目立つ場所で作品発表したかったのかもしれん。
ただ、激しくスレ違いというか、板違い。
>>125が書いた事によって空気が悪くなり、職人さんが来なくなる事も考えられる。
まあでも、やってしまった事は仕方ないから、これ以上書きたいのならこのスレには書くな。
三戦板の住人にどうしても見てもらいたいっていうんなら、他のスレ立てれ。
特にこの板の人達に見てもらいたいって訳でもないのなら、サッカー板辺りに行って立てて来い。
130無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 16:37
んじゃあ気をとりなおして職人さん待つべな。
・・・といってもたいてい来るの夜ごろだが。
131無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 16:41
>>129
翼の日記関連のネタはただのコピペだが?
しかし粘着の凄さたるや凄いな。
132あぼーん:あぼーん
あぼーん
133あぼーん:あぼーん
あぼーん
キャプつば読んでないんでよそへ行ってもらえないか?
135あぼーん:あぼーん
あぼーん
136あぼーん:あぼーん
あぼーん
137あぼーん:あぼーん
あぼーん
138無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 16:54
・・・・・
139無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 17:02
私は、自分の立てたスレがここまで育ったのは初めてだったんですけど
ここまでひどい粘着も初めて見ました(苦笑
彼(もしくは彼女)は、前スレの荒らし文から察するに、
もしかしてマトリックススレの創始者なんでしょうか?もしくは熱狂的ファン?
それで、このスレがそのスレに似ててしかもそこそこ注目されたんで、
悔しかったんでしょうか?
悪いですが、自分はマトリックススレなんぞは、前スレへの書き込みで始めて知りました。
真似なんてしていませんし、もちろん前スレのtopの文も自分で作りました。
そのあと盛り上げてくれたのは職人さん達ですが・・・^^;

そんなわけで、このスレを荒らすのはどうか勘弁してもらいたいです。
私個人に文句があるのなら、ファンページの方にも名無しで顔はだしてるんで、
スレを立てて言ってください。
憶えよう、放置
ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Cell/9919/youiti.html
ここだろ。いいかげんやめてくれんか。
142郭図公則 ◆2getuhmE :02/05/15 17:06
サッカーネタ飽きた
>>140
すいません。次からは放置します。
144あぼーん:あぼーん
あぼーん
145あぼーん:あぼーん
あぼーん
146あぼーん:あぼーん
あぼーん
とは言うものの、もはや放置で済む被害量ではないだろう。
通報、削除、規制。これ最強。



以降、何事も無かったかのように続けてください。
148あぼーん:あぼーん
あぼーん
149あぼーん:あぼーん
あぼーん
わかった。
わかったよ。
俺の負けだ。
パクってくれ。
パクりまくってくれ。
でもさー。
他人が読んで面白いものにするってことできない?
レベル低いんだよ。
なんつーかさ。
好きなもの同士があつまってただきゃっきゃして書き上げた
同人誌みたいなんだよ!

せめてこれを一回読んでから書き込め!
自分のレベルの低さを思い知れ!
http://stella.pizzica.to/create/cydora/cydora.html
151 ◆S4wU3WBM :02/05/15 17:38
かつてガキ大将として君臨したジャイアンは、歌手になるという夢を抱きつつ中学校に進学した。
しかし、所詮彼はお山の大将に過ぎなかった。
中学に入って早々、3年の番格に目をつけられたジャイアンは、徹底的なヤキをくらう。それは、彼にとって初めて味わった大きな敗北であった。
中学の3年間を敗北感の中で過ごし、打ちひしがれたまま定時制の高校に進学した彼を、さらにバブルの波が襲った。
バブル経済による空前の地価高騰により、彼の家「剛田雑貨店」は地上げ屋の執拗な嫌がらせを受けた。ヤクザを使った執拗な嫌がらせのため、ジャイアンの母
は心労で入院、断固として立ち退きに応じない彼の父は、夜道で何者かに刺され、その怪我がもとで全身不随となり入院。やむなく立ち退きすることになったが、
なけなしの立ち退き料は、母と父の入院費でまたたくまに消えてしまった。
両親の入院費を稼ぐため、高校も辞め、昼夜を徹し身を粉にして働くジャイアン。
だが、そんなすさんだ環境の中、妹ジャイ子はグレ始め、ジャイアンが稼いだ金を盗みだしては、夜通し遊び廻る。そして、そんな妹をジャイアンは徹底的に殴りつ
け、生活はますますすさんでいった。
そしてついには、ジャイ子は覚醒剤に手をだし、ヤクザに多額の借金を作ってしまう。 絶望の中、ジャイアンは再び歌を唄うことを決意する。

「この悲しみを唄うんだ!」

だが…現実は厳しかった。はたして、誰がジャイアンの音痴な、あまりに音痴な歌などに耳をかすだろうか?

「君のは歌なんかじゃないよ。騒音だ!いや、公害だ!!」

とあるレコード会社のプロデューサーに罵られたジャイアンは、思わずそのプロデューサーを殴り殺してしまう。
まだ未成年とはいえ、殺人罪をおかしたジャイアンは少年刑務所へと入れられた。
そして獄中に彼がいる間に、母が死に、その後を追うように父も死んだ。
ヤクザに借金を返済できないジャイ子は、その体を売ろうとするが、その容姿ゆえにどの風俗産業からも断られ行き場がなく、しまいには本当に体を、まずてはじ
めに腎臓を売り、角膜を売り払い、最後にはヤクザの手によって東南アジアの彼方に売り飛ばされ、消息不明となった。
それにもかかわらず、彼には依然として多額の借金が残り続けた。
入獄中、風の便りでのび太としずかちゃんの結婚の話しを聞いた。
しずかちゃん?かつてジャイアンが憧れた女性。はじめてのマスターベーションは、彼女の裸を思い描いてした。中学校1年の時だ。
そのしずかちゃんが、よりによってのび太と。あの、何もできない泣き虫で、弱虫だったのび太と結婚とは…。
ジャイアンはのび太を憎んだ、のび太の幸せを憎んだ。今のジャイアンには、あらゆる幸福が激しく憎かった。

のび太としずかちゃんが結婚した翌年の冬、ジャイアンは長い刑期を終え、少年刑務所を出獄した。
もはや「少年」と呼ぶには、彼は年をとりすぎていた。
刑務所の前に、一台の高級車が止っていた。彼の目の前でドアが開いた。

「やあ、ジャイアン久しぶりだね」

スネ夫だった。
スネ夫はジャイアンを車に乗せると、話しはじめた。
ジャイアンは黙って彼の話しを聞いていた。

「??金の事なら僕がなんとかしよう。いや、それ以上のモノを提供しようじゃないか。どうだい、僕に、手をかしてくれないだろうか?」

しばらく沈黙が続き、ジャイアン言った

「いいだろう」

そう、もうどうでもいいのだ、何であろうと構わない。そうジャイアンは思った。
どうせ、どうせ失うものなど何一つないのだから…。
ここまでされて放置というのも逆にどうかと思うが。
まあ、こういうこと書くと荒らしが喜ぶだろう。
でも、荒らしが喜ぶかどうかなんて事は、このスレの存続に関係ない。
要は、どうやってこのスレを守るか。
まあ、守るなんて書くと、「お、熱くなってんなこいつ(ププ)」なんて思うだろう。
そうやって思われて馬鹿にされることは悔しいが、スレの存続には無関係。
で、削除依頼だしたほうがいいと思うんだけどどう?
>>152
すでに出してます。
さらに彼奴へのアク制の要請もしました。
これでジ・エンドだ。

ただ、削除人が全然反応してくれないのが気になるが。
154 ◆2.gyGoVU :02/05/15 17:59
思春期を迎えたのび太たち。
当然だが、中学でひどいイジメに遭ったのび太の精神は崩壊している。
ジャイアンとスネ夫は不良となり、しずかちゃんは凄い美人、出来杉くんはあいかわらず秀才でモテモテ…
かんじんのドラえもんはどうかというと、未来からやってきた猫型ロボットという設定じたいそもそも、都落ちならぬ過去落ち。
出稼ぎか不法就労者の身分に近く、猫のくせに耳のない欠陥品すなわち片輪ロボット。
しかも妙にオッチョコチョイでドジな面があるのはようするに馬鹿で、4、5年の歳月が流れれば故障も出るだろう。
もちろん未来の連中からは見捨てられているのは言うまでもない。
いまやドラえもんはのび太同様、廃人(廃棄物)と化していた。

不良グループが行なう悪さのひとつに不純異性交友があり、相手が清純であった場合は、これは暴行(強姦)となる。
幼なじみだからといって気をゆるす汚れなき乙女、源静香。
校舎から少し離れたところにあるテニス部の部室で、彼氏の出来杉くんと楽しくお喋りをしている最中に、ジャイアンとスネ夫は懐かしいBGMを鳴らしながらやってきた。
「おーれは、ジャイアーン!おう出来杉、しずかとイチャイチャ、何やってたんだ?しずかのマンコでもいじってたか?」
「ひひっ。こいつら、いっつも部室でふたりきりで遅くまで残ってんだよね。ひひっ。なあにやってんのかなー?」
スネ夫の家が金持ちであることを思い出そう。
高校生よりも強い腕力をもったデブ・ジャイアンの暴力と、スネ夫の金銭力を合わせれば、この二人に怖いものはないのだ。
そしてジャイアンの家は彼が小学生の頃はただの八百屋にすぎなかったが、親が町内会の役員となり、裏でさんざ金ばらまいて父親が市長になってしまったという、虚
構にふさわしいご都合主義な成り上がりをみせたのだ。
もはやこの悪魔たちを止めるものは誰もいない…
「な、何を言うんだ、剛田くん!」
「けっ、ガキの頃からすましたツラしやがって。俺はなあ、てめえのその秀才ヅラが前から気に食わなかったんだよっ!」
ジャイアンの拳が出来杉の腹をえぐるようにパーンチ!
「ぐぶっ。う」
あっけなく倒される貧弱な出来杉。
「ひひっ。ねねねジャイアン、もうみんな帰って誰もいないはずだから、この際しずかを姦っちまおうよ。ひひっ。しずかのおっぱい、やわらかそうなんだよねえ。ひひひひ
ひひひひひっ」
「へへへ、おいしずか、ちょっとこっちこいや」
「た、たけしさん、やめてっ!」
155 ◆2.gyGoVU :02/05/15 18:00
ジャイアンが、しずかの正面に立ち、ゆっくりとしずかの身体を眺めまわしながら、両腕をつかんだ。
むろん、細身のしずかの力では抵抗はおろか、身を動かすこともできない。
すでにジャイアンの出っ張った腹の下は大きく前にふくらんでおり、小学生の頃からほとんど伸びていないスネ夫の小さな身体も、しかし、ズボンの股間だけは斜めに盛
り上がっていた。
「むかーし、おめえが風呂入ってるとこ覗いたことあんだよ、俺ら。おっぱいがふくらみかけてた頃な。今じゃけっこう、ボインちゃんじゃねえかよお。なあスネ夫!」
しずかが着ていたブレザーの前ボタンははずされ、予想どおり白の、いまどきめずらしい混じりけのない純白のブラジャーも強引に引きずり降ろされ、金具がぷちっと
飛び跳ねた音がしたと思ったら、はずむようにしておっぱいがジャイアンたちの前に現われた。
「うおー!乳首、ピンク色!うわ、やわらけえなあ」
「ああ、最高だねしずかのおっぱい。ジャイアン、僕にも触らせてよ!」
「うるせえスネ夫!おめえはちょっと待ってろ!」
「ねねね、今のしずかはさあ、たぶん毛も生えてると思うよジャイアン。ひひっ」
「いや、いや、やめてっ!助けて、のび太さんっ!」
恐怖に表情をこわばらせながら、必死に助けを求めようとするしずか。
「のび太?おめえ、あんな駄目人間がまあだ好きなのか?あいつのチンコ、この前ズボン脱がせてやったら、ものすげえ小さかったぜ。ははは!あんなんじゃセックス
できねえよなあ」
「そそ、やっぱりジャイアンの、ぶっといチンコじゃないと、しずかは喜ばないよね」
「んあー!もう、たまんねえよ。おいしずか、ちょっと咥えろよ」
「や、やだ…」
目の前に突き出されたジャイアンのたけり狂った陰茎から顔をそむけようとするが、後ろからスネ夫に腕をつかまれているので(ちゃっかりスネ夫は、おっぱいを揉みし
だきながら羽交い締めにしている格好)どうしようもできなかった。
「んんっ、んっ!」
「おう、たまんねえや。気持ちえー。しずか、おめえ、前にもフェラチオしたことあんのか?」
「んんんっ、んぐっ、んっ」
「ねねねジャイアン、濡れてるよしずかのマンコ。こいつ興奮してるみたい。ひひっ」
「やっぱり出来杉とやってたんだな、こんなかわいいツラして」
「むうーっ!」
「そりゃそうだよお、出来杉ってさ、隣の中学の女、かたっぱしから手つけてるって有名じゃん。しずかもうまくだまされてやられちゃったんだよ。ひひっ」
「このメス豚め!」
と、ジャイアンが陰茎をしずかの両頬にぶちあてる。
「の、のび太さん…ドラちゃん…助けて、たすけ…」
「さ、そろそろ入れるか。おいスネ夫、ちゃんと両手おさえとけよ」
「わかってるって、ジャイアン。終わったら僕にもやらせてね」
156 ◆2.gyGoVU :02/05/15 18:01
その頃、主役ののび太は、実はこの様子をさっきから部室の窓ごしに見ていたのだが、ジャイアンたちの陰湿ないじめですっかり精神的に追いつめられ、登校拒否・自
閉症・自殺未遂・要カウンセリング・現在は登校拒否児などが通う文部省非公認の学校もどきの負け犬学校へ通う始末・でもそこすら友達できなくて行ってなくて毎日部
屋の中に閉じこもりカタツムリの日々という笑うしかない人生であり、さらにはのび太ママが鬱病になり、のび太パパはアル中となり、家族崩壊、ついにこの3カ月後には
完全に発狂したのび太ママが家に灯油まいて家族3人とも焼死するのだが、今はまだ誰もその運命を知らない。
分厚いメガネをかけたのび太の心理描写。
(しずかちゃんが、ジャイアンたちに犯されている)(助けなきゃ)(助けなきゃ)(でもどうやって)(ドラえもんは壊れているんだ)(四次元ポケットの道具はみんな消費期限
が切れた)(僕にはもう何もないんだ)(僕はドラえもんがいないと駄目な人間なんだ)(かわいそうにしずかちゃん)(あっ)(ジャイアンが上に乗った)(しずかちゃんが叫ん
だ)(スネ夫が口をおさえた)(しずかちゃんが泣いている)(しずかちゃんが泣いている)(僕と結婚するはずだったのに)(僕のお姫さまになるはずだったのに)(ジャイア
ンなんかにやられちゃった)(でもどうすることもできない)(今度はスネ夫が上に乗った)(ジャイアンがしずかちゃんの口にオチンチンを)(しずかちゃんの顔が真っ赤だ)
(スネ夫はもうイッたらしい)(またジャイアンが後ろから入れようとしている)(助けないと)(でももう遅いや)(どうしようもないんだ)(僕がジャイアンに喧嘩で勝てるわけな
いよ)(ドラえもんが悪いんだ)(ドラえもんが壊れるから)(ドラえもんなんか嫌いだ)(大嫌いだ)(しずかちゃんがHな声を出している)(レイプされてても感じるのかな)(感
じてるみたいだ)(感じてるみたいだ)(うっ)ガール・フレンドが目の前でレイプされているのに、そのあいだずっと覗き見ながらオナニーをしていたのび太くんっていった
い…
157 ◆2.gyGoVU :02/05/15 18:02
「あー気持ちよかった。またやろうな、しずか!」
「ひひっ。今度は家からビデオカメラ持ってくるから、ハメ撮りしようねジャイアン」
例の歌をがなりながら、ゆうゆうと去っていくジャイアンたち。
静かに泣き崩れるしずか(しゃれにあらず)。
ここでのび太が部室に入ってくる。
「し、しずかちゃん…大丈夫?」
「…」
しずかは何も言わない。
あたりまえだ、レイプされたあとに返事ができるかのび太!
「ねえ、しずかちゃん…あそこ、消毒とかしなくて、いいの…?」
「…」
「しずかちゃん…おっぱいのあいだのとこ、アザできちゃったね…しずかちゃん、しずかちゃん、しずかちゃあああああああああん!」
「きゃああっ!」
しずかの半裸に欲情し、襲いかかるのび太!さ、最低にもほどがあるぞっ!のび太!
「や、やめてっ!」
「うあ、うあ、わああああっ!いいじゃないか、出来杉にも、ジャイアンにも、スネ夫にもやられたんだろ、僕にだって、やらせてくれたって、いいじゃないかっ!うわあああ
ああああああああああああああああああああっ!」
「何をしてるんだおまえら!」
「せ、センセイッ!」
仕事を終えて下校しようとした先生が、妙な声をきいて不審に思いやってきたのだった。
「きさま、のび太か、な、なんてことをしたんだおまえっ!」
「ち、違うんです、僕はまだやってません!」
「この期におよんで、何を言う!」
その後、のび太の必死の弁解もむなしく、のび太は警察で犯罪者扱いされ(登校拒否の自閉症の少年の言うことなど、誰もまともにききませんね)ジャイアンとスネ夫は
親の権力のため何も問われることなく、しずかちゃんも現代っ娘らしくけろっとしたもので、レイプされた当の相手のジャイアンたちと毎日3Pをする始末。
「だって、たけしさんたら、凄いんですもの…」
そして学校にはふたたび平穏が訪れたが、のび太は数カ月間の少年院生活を余儀なくされ、クラスメイトたちからはその存在を忘れられ、少年院でもひそかに陰湿な
いじめに遭い、この頃からのび太ママは鬱病が進行してドラえもんよろしく押入で寝るようになったのでした。
チャンチャン。
三国時代も、戦国時代も、自然災害には皆悩まされた。
俺たちがあの英雄達にあこがれるなら、これくらい耐えなければならん。
嵐が過ぎるのを静かに待とう・・・・・。
この手の粘着にしては珍しく感情の揺れが浮き出ている。
「無視かよ!(プッププッ!」とか言ってる辺りが本当にかまって欲しくて堪らない感じがしてチョト可愛い。
>>159
その類の発言は火に油だからやめとけ。
まったくだ。
>>158-162
とか言いつつ反応してる俺達に萌え。
163無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 18:45
>>148

>オナニー文章って感じで

カキコしている時点で同レベル
>>163
つまり君か?
165163:02/05/15 18:49
>>164

そのとうりですが何か?
166あぼーん:あぼーん
あぼーん
167あぼーん:あぼーん
あぼーん
168あぼーん:あぼーん
あぼーん
>>164
コピペ厨を相手にするな。
170あぼーん:あぼーん
あぼーん
171あぼーん:あぼーん
あぼーん
172あぼーん:あぼーん
あぼーん
173あぼーん:あぼーん
あぼーん
おーい。文句があるなら上の専用BBSで聞くから来てくれん?
175 :02/05/15 19:26
クソスレ満開だな
176郭図公則 ◆2getuhmE :02/05/15 20:07
     _      ,./" ̄ ̄ ̄`y
   ,. " `、 ,.-−'":、      i`=- .,,__,i` 7
  i   ヽ'"     i      ,i    .;;; i ,"
  ヽ ヽ  i::.     i  __ ,i    .:::: i .,'
   ヽ ヽ i::.     i_,.'"  `ヽ、  .:::: i y
    丶  i:::.   ,. '      ヽ、.::::: i i
     ヽ,.-ー'_=二二二二二二=._-.,ヽ
     ,r"-' ̄      t二フ      "χ
    ,.i_  ,.-────────- ..,_-.,_r ヽ
    i  ヽ i _,.-=-._      _,..-=- l l / i
    ヽ  i  ,. ー、_`-  r-",.y-ー, i i   /
     ヽ i   `−'-"   l `"ー'"   l_,.'"
      `-.i         i ::.      i
        i      ,.   ヽ::.      i      ____________________
    ,_     i   _,..`-=- ..,_  .:::: i     /
   i 丶   i.,_  "-ー ,___、-~`   ,i.   < 職人殿、今こそ新作を披露するべきですぞ。
    i .l   l' iヽ、    ..::::..   ,.. '∧     \
   i  l   ,' i 丶.      ,. -' ./ ヽ      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_,. i  l,.._  /   i-.  ` −─ ",."' /   `v-ー-.,_
 / ~__..~`i _  i `、    r'"  /    /i
./ ~_ ., `Y'"冫 ヽ "i  r'   /    / i
  " ,_, ` i /   ヽ  i i.   /    /  i
177無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 20:14
このカキコもだが、荒らしは無視しといて削除依頼だけしてけばいいと思われ。
>>176
専用BBS行くとわかるかもしれないけど、もはや災害となったこの事態が去るまでしばらく休憩タイムという案がでちょります。
まあ今は削除人さんをマターリ待とう。といっても忙しいだろうからなかなかこないかもねぇ。
それまで職人さんも先のネタを考えたり休憩したりマターリとしませう。
179 :02/05/15 21:05
荒らしにレスしてる厨は誰だ?
専用BBSへ誘導sage

http://jbbs.shitaraba.com/sports/2068/
181あぼーん:あぼーん
あぼーん
182無名武将@お腹せっぷく:02/05/15 22:43
>>125
DQN
タダの馬鹿
皆さん、一度は見てあげてください、この馬鹿を
そして、けなしてあげて下さい
彼はMなのです
刺激を求めて2ちゃんに行き着いたんです
そして、煽られることを望んでレスを書き込むのです
ああ、今日も彼は机の前で自慰にふけりながらこう言うでしょう
「煽りがたんねーよ。もっとボクに突き上げるような欲情を与えてくれ、2チャンネラーよ!」
そうして>>125はSMクラブへ行く金を節約してるのです。
そんな>>125をもっと煽ってやってください
スレの一つや二つは彼の欲情には代えられません。
どうぞ>>125を煽ってやってください
マトリクススレもコピーしただけのものなのにな。
元スレの「FTPって?」を知らない厨の癖に何荒らしているのだか。
ていうか専用BBSあるならそこでやればいいんでないの?
凄いことになってるな…削除人が来るまでマターリ待つか…
>>184が今いいことを言った!
>>186
いや、そーすると荒らしに屈したみたいで悔しくないか?
>187
でも、荒らし=カスはほっといて、専用BBSでやったほうが
よくないです?
あらされたら、削除&ホスト規制くらいかけてやればいいかと・・・

所詮荒らしはお山の大将気取りですから
荒らしに屈したという前例を作ると
荒らし全体がつけあがるかも
190187:02/05/16 13:39
でもまあ私は読ませてもらう立場でしかないんで、
結局は書き手の書きやすいほうでやってもらうのがいいのかな。
専用BBSでやろうよ
くっしたくっしないの
くだらない観念で考えないで
一番いいほうほうでさ
テロには妥協しない。
この後もいろんなスレが荒らされるだろうから
その時このスレが悪しき前例となって、専用BBS作れば?
みたいな風潮が生まれることを怖れる。
荒らしの書き込みは見なかった事にして通常進行=反応しないレスしないと言う昔から2ちゃんでの荒らし対応。
幾ら荒らしても職人の文章が消滅する訳でも無く、荒らしに出来る事はここでひたすらコピペ書き込みや駄文投稿を続ける事のみ。

目障りなだけの無毒な芋虫は見なけりゃ良いのです。
ほっときゃ他に相手してもらえるスレにいっちまいますし、ここに何時までも居ても見なきゃ良いだけ、延々ここで続けて度が過ぎればそれ相応の制裁が待っているだけ。
長引けば長引くだけ荒らしの方が不利なんだから、ほっとけほっとけ。
>>193
一番最初の看板ロゴ決めスレでも同じようなこといって屈服してませんでした?
195あぼーん:あぼーん
あぼーん
196あぼーん:あぼーん
あぼーん
197あぼーん:あぼーん
あぼーん
198あぼーん:あぼーん
あぼーん
199あぼーん:あぼーん
あぼーん
200あぼーん:あぼーん
あぼーん
201あぼーん:あぼーん
あぼーん
202あぼーん:あぼーん
あぼーん
203あぼーん:あぼーん
あぼーん
204あぼーん:あぼーん
あぼーん
>>176 郭図だ。すげー
206あぼーん:あぼーん
あぼーん
こんなヒデエ粘着初めて見た・・・
208スネオ続戦国日記1:02/05/16 16:42
スネオは自分の力を認めさせたかった。
いつもジャイアンを手なずける努力をし、のび太から道具を奪う単調な日々、
スネオ「もう嫌だ!僕の力を歴史に残すんだ!」

スネオは盗んだタイムマシンで走り出した。目指すは戦国時代!
>>208
展開が早いって言うか内容がないね。
強引っていうか。
そんな強引な展開で
見ている人は納得できんのかいな。
俺は誰にも好かれたことはないんだ!
211無名武将@お腹せっぷく:02/05/16 17:27
俺に必要なのは買い物袋なんかじゃなくて遺体袋だ!
212無名武将@お腹せっぷく:02/05/16 17:35
>208 コレの続き?
史上最強の天才軍師スネオ!
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1015912408/
>212見れないよ
まあ、↑のはほとんど粘着の自作自演だと思うけど、一応。

■■■■■■■■■■■■■■■■第一部・完■■■■■■■■■■■■■■■■

〜期が熟するまでは、一般人はなるだけ書き込まないようにしましょう。
終わっちゃったよ。
216無名武将@お腹せっぷく:02/05/16 19:34
アクセス規制食らうくらいエスカレートするまで見守りますか。
串が無駄だって事、その時分かるでしょ。
◆スクリプト&コピペ(乱立)荒らし報告スレ5
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi/accuse/1021470540/l50

ここに報告した方がいいのでわ?
困った時の駆け込み寺
かなりの頻度でアクセス規制かかります。
関連スレを覗くと色々と面白いよ。
今2chにどういうたぐいの荒らしが居るのかわかって。
218無名武将@お腹せっぷく:02/05/18 12:54
第42回

 さらに数日後、3度目の来訪。
 さすがにジャイアンがむくれた。
「俺たち2回も顔を出したのに留守だったんだぜ。お詫びがてら向こうが訪ねてくるのが道理ってもんだろう」
 ジャイアンが道理を説いても説得力はないので、メンバーはそのまま孔明の庵へ。
 ジャイアンもしぶしぶついていく。
「思うんだけどさ」
 歩きながら出木杉。
「結局三顧の礼≠チていう出来事を…僕たちがやろうとしているんだよね」
 一同はアッと小さく声をあげた。
 それからは会話が弾んだ。
 劉備休場後の歴史を自分たちが支えているという実感に、ささやかな満足感があった。

 庵の前では、お手伝いの少年が庭をホウキで掃いていた。
「あ、ジャイアンズの皆さん」
「アリャ、そっちで覚えちゃったの?」
「孔明様なら今日は在宅ですよ。ご案内しましょう」
 少年について行ったのは、出木杉とドラえもんの2人。
 のび太はまた口を挟んで交渉を頓挫させるかもしれないし、ジャイアンは文字通り交渉を破壊する可能性がある。
 スネ夫としずかには、2人の見張り役及び押え役として、庭に残ってもらった。
 
 案内された草堂の寝台には、1人の男がうつ伏せになっていた。
「あー、孔明様ったらまたあんな格好でお昼寝などなさって…」
 孔明を起こそうとする少年を出木杉は止めた。
「そのままで…起きるまで待ってますから」
「いいんですか?わかりました、私は家事に戻りますから、何かあったら呼んでくださいね」
 ドラえもんと出木杉は、だらしない格好で眠っている男に視線を注いだ。
 背丈は180センチ近くはありそうだ。
 顔は見えないが、片腕と片足は寝台から滑り落ち、時々指が床を引っかいている。
「この人が諸葛亮…」
 出木杉の声は感動で震えている。
 どんなにだらしない格好をしていても、歴史上の大人物であることには違いない。
「でも…本当に起こさなくてもいいの?」
 小声でドラえもん。
「劉備将軍も、起きるまでじっと待ってたんだ。僕たちも待とうよ」
 ドラえもんとしては、庭で待っているジャイアンたちの根気が心配だったが、出木杉がそう言うのなら従った方がよい。
 何といっても、三国志の知識については、ドラえもんより出木杉の方がはるかに上なのだ。
 と、孔明の体がビクッと動いた。
 そのまま大きく伸びをする。
「ウーン……もう食べられないよ……ムニャムニャ……ZZZ」
 …また眠りに落ちやがった。
219無名武将@お腹せっぷく:02/05/19 16:01
さぎょうあげ
220無名武将@お腹せっぷく:02/05/19 16:30
復帰おめでとう。
221無名武将@お腹せっぷく:02/05/19 16:31
では心を新たに頑張るか。
222あぼーん:あぼーん
あぼーん
223あぼーん:あぼーん
あぼーん
224あぼーん:あぼーん
あぼーん
225SupportDESK ★:02/05/19 16:47
もうそれくらいにしておきましょ、、
さぽーとですくだ! はじめて見たYO!
>>226
ねえ、なんか荒らしが全部あぼーんされて書き込めるようになってるけど
これがサポートデスクってやつかい?
だとしたら・・・これでやっと復活ってことか?
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
すべてあぼーんされて水の泡か・・・

時間ムダにして一生懸命コピペしてた荒らしさん
ご苦労さま(プ
>>228
こらそこ、煽らないw

削除人さん、どうも有難うございました。
このスレ、ひいては三戦板を愛するものの一人としてお礼を言わせて頂きます。

職人さん達。これからまたがんばって下さい!
230スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/19 18:31
おおーーー!!ついに復活ですか。もう来ないといいけど・・・。
231物見:02/05/19 18:57
>>230
今度来たらIP抜いて晒しあげ・・・か、どうかはわかりません。
何はともあれ復活おめでとうございます。職人の皆さん、期待しています。
頑張ってください!
待ってました♪
続き、楽しみにしております!!!
やったー!復活だー!
削除人さん、ありがとー!
234ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/19 20:30
祝・スレ復活!
235ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/19 20:31
>>87
第45回

 自分たちのことが理解できないと告げる孔明。
「…どういうこと?」
 のび太の目が点になっている。これまでいろんな世界で冒険してきたが、理解できないなんて言われたのは初めてだ。
 でも、考えてみれば当たり前のことかもしれない。
 見たこともない衣裳、考えられない行動、理解の範ちゅうを超えた道具…。怪しまれるのも当然だ。
 そう告げた孔明は、全員を見回して言った。
「ですから質問させていただきたいのです。よろしいですか?」
 大軍師からの質問。どんな鋭い突っ込みがなされるのかわかったものではない。
 だが、のび太らにそれを拒否することはできない。
 拒否したら、孔明を味方に引き入れることができない。
 不承々々肯くのび太らに、孔明は微笑んだ。
「それではまず最初に…あなた方はどちらから来られたので?」
 それに対する口裏合わせはできている。出木杉が答える。
「倭の国から」
「倭の国…初めて聞きます」
「中国の東、海を超えたところに浮ぶ島国です」
「そんな遠くから何のために?」
「漢皇帝に献上品を贈るため」
「皇帝陛下は現在、許昌におわします。新野ではありませんよ」
「………」
 もっともな質問だが、今までそんな突っ込みはされたことはない。
 言いよどむ出木杉の横から、スネ夫が助け舟。
「地理がよくわかんなかったんだよ」
「出会う人々に道を聞くことはなされなかったので?」
「…え、えーと……観光だよ!そう、せっかく来たんだからいろんなところを見ていこうと思って…」
「倭の国では、朝貢とは観光のついでで許される任務なのですか?」
「……おおらかな国なもので」
「まあ、お国柄というものはそれぞれでしょうから、それについてはもうお伺いしません」
 ホッとしたように一同。
 だが、孔明の追求はまだ続いた。
236ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/19 20:32
第46回

「先日、あなた方は見事な奇略でもって曹仁軍を撃退されました」
「俺様の働きもあってな」
「ハイ、ジャイアン殿のご活躍も聞いております」
 相変わらず人の好い笑顔を浮かべながら孔明。
 だが、質問は容赦ない。
「倭の国のあなた方が、劉備殿の部隊として曹仁軍と戦ったのはなぜなのです?」
「……そりゃあよう…ドラえもんのヤツが劉備将軍にけがさせちまったから…男の責任の取り方ってやつだよ、ウン」
「あなた方は漢帝国へ貢ぎ物を届ける使者なんですよね?」
「最初にそう言ったろ」
「漢帝国への友好の使者たるあなた方が、漢帝国の軍隊と戦ったのだという認識はお持ちで?」
「漢帝国?魏じゃないの?」
 スネ夫のすっとんきょうな声に、孔明は怪訝そうな顔をした。
「魏?戦国の七雄の魏ですか?」

 魏・呉・蜀で語られる三国時代。
 しかし、曹操が魏公に奉じられるのは赤壁の戦いから5年後、魏王となるのは8年後のこと。
 この時期の曹操の軍隊は、名目上「漢軍」だった。

 魏の話は置いといて、孔明は問い掛けた。
「あなた方は漢の軍隊と戦い、これを撃退した。つまり、漢とは敵対する立場となったわけです」
「まあ…そういうことになっちゃうのかな」
「漢帝国への朝貢の任はどうされるのです?」
「……将、戦場にありて、君命を受けざるところあり……駄目?」
 困り果てたように出木杉。
 孔明はその答え方が気に入ったようだ。笑いながら言った。
「駄目なんてことはありませんよ。あなた方の選択ですから、私がどうこういう話ではないでしょう。とにかくあなた方の素性はわかりました。色々と聞きだてしてごめんなさい。もう質問は終わりです」
237ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/19 20:33
第47回
 ホッとする一同にあって、今一話の内容を理解できていなかったジャイアンが孔明に迫る。
「これで終わりかい?じゃ、劉備軍の軍師になってくれんだな」
「それはちょっと待ってください」
「なんだよ、ちゃんと質問に答えたじゃないかよ」
「あなた方は、名もない私を三度に渡って訪ねて来てくれました。ありがたいことです。任官については否やもございません。ただ、確認したいことがひとつ」
「あーもう!まだあんのかよ!」
「大事なことです」
 孔明の顔から笑みは消えていた。真剣な表情となっている。
「私はこの庵を出たのなら、二度とここには戻らない覚悟です。主君と仰ぐ方に死ぬまでついていく所存です」
 一人一人の目を見据えながら孔明は続ける。
「つまり、死ぬまであなた方についていくということです」
「……僕たちに?劉備将軍じゃなくて?」
「それは当然です。三顧の礼でもって私を迎えようとしてくれたのはあなた方です。劉備将軍ではない」
「いや…あの…僕たちはずっと中国にいるわけじゃないから…」
「承知しています。あなた方はこの国の方ではない。ですが、それは私には関係のないことです。私のことを心から必要と思ってくださること。これが私にとって重要なのですから」
238ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/19 20:33
第48回
 21世紀の日本に帰る。孔明を連れて。
 のび太は、懐かしい自宅の食卓で、自分と両親とドラえもん、そして孔明が一緒になってご飯を食べている場面を想像した。
「母上殿、今日のお味噌汁のダシはカツオでございますね」
「さすが孔明さんね。じゃお煮付けの隠し味はわかる?」
「酢みそでございましょう」
「なんでもお見通しねぇ」
 宿題なんかも、頼めばやってくれそうだ。
「殿の御意に沿うが臣下の務め。命に代えましても、この宿題をやり遂げてごらんにいれます」
 お使いだって…。
「殿には、もっと対極的な視点から日々お過ごしいただかなくては。お使いなど些細な用事は私にお命じください。」

 夢見ごこちでのび太が口にする。
「………ドラえもん、別にいいんじゃない?」
 ドラえもんがのび太の頭を小突いた。


「三顧の礼で諸葛亮を軍師に迎え入れる」
 ドラえもんたちは、ひとつの歴史を成立させることに失敗した。

239スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/19 20:58
復活記念
第41回

曹操はスネ夫の右手がゆっくりと上がっていくのを見た。それが上がりきった
時、袁術の身体に矢が突き立つのは誰もがわかっていた。
右手が肩まで上がった時、袁紹が立ち上がった。

「スネ夫殿!なぜ兵糧が届かなかったのかはこの袁紹本初が責任を持って調べ
 よう。私の顔に免じてこの場はなにとぞ・・。」

スネ夫は尻餅をついたままの袁術に目をやる。スネ夫と目があった袁術は
「ひっ」と悲鳴をもらした。
スネ夫は短く息を吐くと右手を下げた。

「分かりました。」

そういうとスネ夫は天幕の出口へと歩いていく。その途中で、
「ああ、そうだ。」
スネ夫は立ち止まった。
「皆さんの軍の中にそれぞれ10人ほど僕達の兵を紛れ込ませました。もし、
 僕達をだまして討ち取ろうとすれば、その兵が皆さんのお命を狙うこと
 になりますから。」

スネ夫はうやうやしく一礼をした。

「では、これで失礼をいたします。」



スネちゃま、し、しびれる〜〜〜♪
241しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/19 21:31
祝復活、そして削除人さんご苦労様でした!
>>89 しずか・二十九
呂布はしずかが泣き止むまで待っていた。
周りでは将兵達が動き回っている、報告が飛び交い、掛け声が響く。
「もう、涙は涸れたか?」顔を上げ、涙を拭うしずかに言った。
「はい、大丈夫です」
「これからは泣く暇もなくゆくぞ、流すは汗だけにせい」
というと、呂布はしずかの肩に羽織をかけてやった。
「あ、あの・・・」「何じゃ」
「この間は、ごめんなさい…」
呂布はぽかんとした顔になった、がすぐに笑い出し。
「何のことじゃと思うたがそんなことか、もう忘れたわ」と言った。
その笑い声を聞くと、何だか自分がおかしい事を言ったような気になってしずかは
恥ずかしくなった。

「呂布殿」隣にいた張遼という男が声を掛けた。
体格は呂布に比べれば細いし背も小さい、だがその眼光と低く落ち着いた声は、
周りのものを畏怖させるのに十分だった。
「おお張遼、なにか」呂布は振り返った。
「李カクほかの者どもは徐々に兵を増やしている模様、張済らも集まっております」
「蹴散らせるか」
「難しいかと、向こうは涼州の兵、多勢でもあり梃子摺るは必至。それに」
ちら、としずかを見て。
「呂布殿も身動きは取りづらいかと」といった。
呂布は、はははと笑い。
「確かに、女児を馬に乗せたまま矢の中で戦うわけにもいくまいな」
そうして屈託のない声で。
「退却じゃ、退却じゃ、長安は住み飽きた」といい、赤兎馬を駆った。
242無名武将@お腹せっぷく:02/05/19 21:45
>>スネちゃまカコ(・∀・)イイ
243連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/19 21:56
復帰!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ジャイアン伍長さんサイコー!
スネ雄さんシビレル!
しずか連環さん続き気になるマジで!


いずれも再スタートに相応しい名文・・・流石ですね!
245 :02/05/19 22:33
>>241
もっとしずか萌えにさせろ〜
萌え〜
246 :02/05/19 22:34
あと俺にしずかいじめさせろ〜ハァハァ
247曹操の覇業:02/05/19 23:25

董卓の酒池肉林の夢を終わらせた呂布は、李確 郭シの乱に逃げ出し諸侯の間を右往左往であった。

 エン術 エン紹に始まり至る所で追い出された呂布は、今や張バクに身をよせていた。
 折りしも曹操、徐州攻めの真っ最中である。 
 これこそは、天の与えたる好機と曹操の本拠地であるボク陽 エン州を呂布が空き巣する。
 このため曹操軍は徐州を撤退、即時エン州に兵を向け呂布と対陣となったのだ。
「おのれ呂布、わが覇道を阻むか」
 曹操は早速野外に兵を並べ、自ら正面に立ち決戦の意気を見せる。
 が、緒戦は呂布の縦横無尽の活躍により曹軍の敗北であった。
 曹操は陣地で諸将と会議を開く
「呂布は勇あって知恵無しです。わが軍がこのたび敗れたので必ず油断のはずです。
夜討ちをかけるのは如何でしょうか?」
 スネ夫が自信満々である。
「む・・そうか・・」
 曹操はとっさに目をそらす。
 ジャイアンも進言? する。
「呂布のくせに生意気だ!!」
 曹操は2人の勢いに気圧されこの献策を受け入れざるおえない。
 
かくして夜討ちとあいなったわけだが、はたして呂布の方では備えがあった。
 
 陳宮が「曹操は用兵の達人であり、油断は出来ません。」
 こうして夜討ちに来た曹軍は窮地に陥ってしまった。
 正面から呂布、背後から高順、魏続、候成、左右から張遼、ゾウ覇らである。
 激しい乱箭の最中、曹操はついに悲鳴をあげる。
「誰かある! 余を助けよ!!」  
 するとその声を聞き駆けつけて来た将が1人。 ジャイアンである。
「御主人! 心配御無用」
 たちまち周囲をなぎ払い血路を開く。
「まさに獅子奮迅! 見事だ。」
曹操はなんとか重囲を突破する。
この後、曹操はジャイアンの事を「余の悪来である。」と群臣にこぼすのである。


こうして夜討ちは失敗に終わり、さらに蝗の大量発生等も重なり何の戦果も上げられぬまま、ひとまず戦を収めるのであった。



祝復活!!
先生方 最高です。 続き楽しみにしてました。
248曹操の覇業:02/05/19 23:29
蝗の発生により軍を引いた曹操は、この飢饉により窮していた。
 
「米がないのである。どうしたものか?」
 ジュンイクがでしたら、と
「汝南には元黄巾の可儀が食料を山と掠奪三昧です。彼を討伐し食を
軍に回せば 人民、朝廷も共に喜び,いわゆる一石三鳥と言えましょう。」
 曹操はすぐに攻略に着手する。
 こうして汝南で賊を平らげると、しずかが曹操に近付く。
「私の放った忍びの者の知らせによれば、エン州にはセツ蘭、李封しかおらず
また、部隊が掠奪をするので城内の統制がとれておりません。」
 攻めるのは今だとしきりに説いたのである。
 曹操はしずかの接近にドキドキしつつ、しずかの軽やかに動く唇、しなやか且つ
 あでやかな肢体を見つめ、思うのであった。

 なんたる可憐さか!!
 
 曹操はしずかを視姦し続ける。 
 表情は涼しげに保っている、だが下半身は欲情の嵐である。
 まだまだ孟徳も若い、そう曹操は心得るのであった。
 そして、いつか必ずしずかを・・・とこの時誓ったのである。


曹操、しばし戦を忘れ淫ら色に染まるのであった。
249  閑話休題  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/19 23:55
またちょいと書き方変えてみます。
それぞれの視点で書いたり、普通の小説風にしたり。
それを混ぜつつやっていこうと思います
スネオの策を受け入れ、部下の一人に敵のあとをつけさせる、
夕方頃に部下が戻り、黄巾賊のねぐらの場所を報告した。
ここからそれほど離れておらずすぐにでも向かえそうだ。

その日の夜、敵のねぐらを前におれは攻撃の時期をうかがっていた。
商人の護衛に百人を配備した結果、黄巾賊に対して戦うのは四百人あまりといえる。
「相手は三千人ほど、ギリギリのところだな」
―どうだ、やれるか? 引き返すならばいましかない―
おれが思案しているといきなり背後で声がした。
「ひとりあたま7人と半分倒せばいいってことさ」
「てめえスネオ、商人の護衛のほうにまわれって言ったろうが」
スネオはすまなそうにしながら言った。
「だって、どうしても来たかったから」
おれはため息をつくと。
「おれはもう知らん、てめえに身はてめえで守りやがれ」
と言った。

「で、さっき言っていた七人と半分を倒せばこちらの勝ちって言うのはなんだ?」
「四百人全員が敵を何人倒せばいいってこと、つまり・・・」
「あーもういい、お前の算術を聞いてると頭が痛くなるからいい」
そう?、と言いこのいくさについてスネオが聞く。
「勝てそう?」
「おそらくな、酒の匂いがかすかにする。連中酒宴をしていたな」
―お前の予想どうりにな、スネオ―
「さて、そろそろ攻めるぜ・・・おまえはここにいろ」
「黄蓋サマ、ぼくも・・・」
「ここにいろってそりゃ無理か、好きにしな」
黄蓋は部下に攻撃命令を出す、部下はさっと散らばり兵に作戦を伝える。
やがて月が雲に隠された、黄蓋はそれを好機とみて全員に作戦開始を命じた。

奇襲、火攻めに黄巾賊は大混乱を起こす。
酒が抜けていない上にあまつさえ裏切り者がでたという言葉まで飛び交う。まさに修羅場であった。
スネオは黄蓋の後ろに控えていた、戦いがどういうものかをじっとみているだけである。
黄蓋の鉄鞭は敵を見事に打ち倒していく。おそろしく強かった、

して戦いは意外と早く決着がつく
明け方には黄巾賊は全滅していた。

スネオらは敵が貯めこんだと思われる武器、食料、宝の前に歓声を上げた。
「おまえら、全員でこいつを運んじまいな」
黄蓋は兵に命じた、商人に返してもまだまだあまるほどの料だ。
よろこんでいるところに一人の兵が駆け寄る。
「黄蓋様!、外をご覧下さい!!」
「なにぃ・・・」

黄蓋は外を覗いた、すっかり囲まれている・・・官軍に。
「もしかして僕ら黄巾賊に間違えられてはいないよねぇ」
スネオは皮肉めいた言葉を言った。
「そんなことがあるもんかよ、ちょっくら話をつけてくるぜ」
黄蓋は単身官軍のほうに向かった。その将に向かって言う。
「なんちゅうか、その、誤解だよ。おれたちゃ黄巾賊を討ったところでさぁ。それじゃ失礼するぜ」
黄蓋が去ろうとすると。官軍の将が言った
「まて、お前等は黄巾賊だな?」
「だから違うって言ってんだろうが!」
「嘘を突くな、おおかたこちらの五千の兵を見て怖気ついたんだろう」
「いや、黄巾賊じゃねえって」
「そういって逃げてまた徒党を組み、民を襲う。違うか!」
「だから違うって言ってんだろうが! なんで信じてくれねぇんだよ」
キッと黄蓋は官軍の将をにらむ。
「ははーん、さてはお前等、俺等に手柄を横取りされたのひがんでるんだろ?」
その問いに官軍の将は笑いだした。
「てめえ、なにがおかしい」
「いやいや、そのとおりだからさ」
黄蓋はハァ?と言った顔で固まった。

「黄蓋サマ」
そこにスネオがやってきた、黄蓋はため息をついた。
「子供はすっこんでな、そんであんた俺達をどうするつもりだい?」
「そんなのはあとだ黄蓋殿、その子供は何もんなんだ?」
官軍の将はまったく黄蓋の話を聞いていないのかスネオのほうに気をとられている。
「おい、なぜ俺の名を知っている?」
「有名だぞ、私利私欲に走る役人を処刑した黄蓋殿」
―俺もそこまで有名になっちまったかい―

「で、その少年は・・・」
官軍の将の問いにスネオが答える。
「えっと僕は黄蓋サマのところで主計官をしているスネオというものです」
「ほうほう、主計官のスネオ君ね」
うんうんとうなずく官軍の将。さらに言う
「うちのところも主計官若いやつを任せてんだよ。おーい周瑜!」
「父上呼んだか?」
スネオと同い年ぐらいの子供が返事をする。
「違う孫策、周瑜呼んできてくれ」

―なにやらすごいことになってる―
スネオはそう思っていた。
253無名雑兵:02/05/20 00:07
>>前スレ858

「まあ解りやすく例えるなら、迷子がお巡りさんに家まで送ってもらうようなものだね」
のび太にも理解しやすいように、と出木杉が説明した。

「のび太君、のび太君」ドラえもんが小声でのび太に呼びかける。
「ほぇ?」と、まぬけな返事をしたのび太は、出木杉の視線に気付いた。
「あ、あぁ、歴史を変えるんでしょ。歴史を」ちゃんと聞いていた、と言わんばかりに口を開く。
「うん、ボクはそれがいいと思うんだけど、一応みんなはどうするのがいいか聞いて…」出木杉の話が終わる前にのび太が再び口を開く。
「孔明さんを助けて蜀に天下を取らせよう!」とんでもない事を言い出す。

「ずるいぞのび太。俺様はジャイアン王国を創るんだからな!」
「ちょっと待ってよ。そんな非現実的な事より、晩年の孫権をもう少しマシにさせた方が良いんじゃない?」
「そういうのよりも、お腹を空かせた人たちにご飯を配って回るのがいいと思うわ」
のび太の提案を始め、それぞれ無茶な事ばかり言う。しずかを除いては。

「み、みんなのはちょっと過激すぎるかな…しずかちゃんのが一番良さそうだけど。ねえ、ドラえもん」
助けを求めるようにドラえもんに話を振る出木杉。
「う、うん。歴史を変えてタイムパトロールを呼び出すのがいいって言うんなら、しずかちゃんのが一番妥当だね。第一、下手な事をしたら時空犯罪者として一生を過ごす事になるかもしれないんだからね」

さすがにドラえもんにそう言われると納得するしかない。
こうして今後の方針が決まった。

困っている人、飢えに苦しむ人々を助ける、だ。
>>238
第49回
「そりゃ孔明さんの助けはほしいよ。でもそうなると、孔明さんを21世紀の日本に連れて行くことになる。そんなことできるわけわけないでしょ」
「どうしてさ?」
「どこに孔明さんを泊めるの?」
「うちでいいじゃない」
「押し入れは僕だけの寝室、僕だけの空間だよ。孔明さんと一緒に寝るなんて、プライバシー侵害も甚だしい。それに孔明さんの体格見た?180センチ近くあった。押し入れで寝れるわけないだろ」
「まぁ…それはそうだけどさ…」
「それに、だ。ママに何て説明するのさ。『ママ、こちらは一緒に住むことになった孔明さん。職業は軍師だよ。ご飯は一緒に食べるから、これから食事は1人分増やしてね』って言うのかい?犬を飼うことさえ許さないママが、人間1人の食い扶持、笑ってあてがうと思う?」
「ウ……ママ、怒るかも……ね」
「ある意味、大丈夫かもしれないさ。孔明さんは若いし、美男子だからね。でもそうなると、さらなる懸念事項が発生する。もしもママと孔明さんが………アアァ、考えるだけでも恐ろしい…」

 論点が完全にずれている。
 そうは思ったが、出木杉は突っ込む気にもならなかった。
 孔明を迎え入れることができない最大の理由は、「三顧の礼」という歴史イベントを守っても、三国志の中心人物である軍師・諸葛亮を歴史の舞台から消してしまっては、歴史を守るも何もあったものではないからだ。
「まったく…もう少し考えてから発言してよ。一応僕は君の保護者的立場にあるんだから、恥ずかしくてしかたがないよ」
 君もかなり恥ずかしいこと言ってるよ、ドラえもん
 ため息をつくにしても、2人に気付かれないようにするあたりは、出木杉の人間性を示すものかもしれない。
 とにかく、自分が頑張らなければ。
 さもないと、本当に僕たちは死んでしまうかもしれない。
 ドラえもんとのび太の会話を聞くに及び、出木杉は決意を新たにした。
>>231
>今度来たらIP抜いて晒しあげ・・・か、どうかはわかりません。
>>225は警告でしょうな。次はhttp://teri.2ch.net/sec2ch/ここ
別名「晒し首板」に場が作られるかもしれませんね。
256無名武将@お腹せっぷく:02/05/20 15:29
良スレ復活age!!
257無名武将@お腹せっぷく:02/05/20 21:40
祝着至極age!
258ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/20 22:10
ああ、よかった。荒らされてない・・・
>>225
>もうそれくらいにしておきましょ、、
このスレ最大の名セリフのような気がします。
259しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/20 22:38
しずか・三十
怒号や悲鳴が鳴り響く長安の中を、しずかと呂布をのせた赤兎馬を始めとして、
騎馬の一団が駆け抜けていく。
「張遼!」と呂布は呼ばわった。
は!と張遼が馬を寄せる。
「どうすればいい」と聞く。
「申し上げます」張遼は一礼すると。
「我等が身を寄せるに、渤海の袁紹、南陽の袁術どちらかがいいでしょう。呂布殿はかれらの
一族の仇である董卓殿を殺したわけですから、袁家たるかれらも無碍には出来ますまい」
「しかし、董卓を討った証しが無ければな」
「心配召されますな」張遼は後ろの兵に合図を送った、兵は何かを持ってきた。
しずかには西瓜みたいな物の入った包みに見えた。
「これは、董卓のく・・・・」
張遼は言葉につまった。しずかの姿が目に入ったからだ。
それは、董卓の首であったからだ。
「・・・手土産にござる」
張遼は言葉を濁す。
「うむ!袁家のものも高く買うであろう」
呂布も気が付いたのかそう云うと、すぐにそれを下げさせた。
幸い、しずかはこのやり取りの真意に気付かなかった。
疲労によって、意識が散漫になっていたからでもあったのだろう。
「渤海は遠い、袁術の元へいくぞ」
「承知いたした」
「張遼、任せたぞ」そう云うと呂布は赤兎馬の速度を上げた。
張遼は魏続を右翼、宋憲を左翼に、高順をしんがりに付け、残りは己とともに呂布を守るよう命じた。
260しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/20 22:39
しずか・三十一
―怖い、これが戦い・・・
飛び交う矢、突き出される槍、断末魔。
しずかにとって想像だにしない光景に怖気がくる。
「よいか!武関さえ越えればよい。それまで耐え忍べ!」張遼の声。
刃と刃が合わさる音、どす、ぐしゅ、という鈍い音。
これがジャイアンが興奮し、出木杉が興味深げにみるいくさというものなのか。
やはり男の子達とは感性が違う。
しずかには全く理解の外だった。
無論しずかも今まで数々の冒険に参加し、武器を持って戦ってきた事もあった。
ただ、これまでは相手が機械であったり、異星人であったりと多分に非現実的な物であった。
無論恐怖は感じたし、興奮にもほど遠かった。
だがそれにはゲームをしているような感覚も多分にあったのだ。
だが、これは違う。自分と同じ人間が血を流し、死んでいくのだから。
ひしひしと伝わる殺意、狂気。
圧倒的過ぎるリアリティ。
―何でみんなこういう事するの?
しずかはこの現実に正視できる気力は無くただ赤兎馬の首に顔をうずめる事しか出来無かった。
261しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/20 22:41
しずか・三十二
敵兵たちは、赤兎馬の速さもさることながら、呂布の堂々たる威圧感、そして唸りを上げる方天戟
に怯む者が多かった。
だが、呂布が子供らしき者を庇いつつ戦っているのにじき気付くと、俄然勢いを増して襲ってきた。
―矢張り多勢に無勢、なかなか思うようにはいかんようじゃ。
いつもの自分であれば、一騎当千もものともしなかったのだが。そう思うと苦笑いがこぼれる。
しずかが不安げに呂布を見上げる、しずかも不利であることをおぼろげに感じているのだろうか。
「何陰気な顔をしておる、わしが負けると思うてか」そう豪快に笑い飛ばす。
しずかも首を振った。
「さて、腕もようやっとほぐれたわい、そろそろ身を入れるか」
というと、ぶるん、と方天戟を一振りした。
敵は声をあげる間も無くばたばたとなぎ倒されていく。そのさまに敵は皆怯んだ。
「如何じゃ!」と呂布は得意げに周りを睨みつける。
するとまた別の一団が来た、弓部隊だった。
雨のように矢が降り注ぐ。
「しずか、顔を下げよ!」そう云うが速いか、矢を片手で掴み、戟で弾き飛ばす。
おお!と自軍からも声があがる。
しかし休まず矢は飛んでくる。呂布は猛烈な勢いで打ち落としていった。
その時。
「きゃっ!!」としずかは叫んだ。
急激な動きについて行けなくなったかしずかは一つ大きな赤兎馬の揺れに誤って手綱を放してしまったのだ。
ぐらりと体が傾く。しずかはぎゅっと目を閉じた。
「たわけ!」呂布はすばやくしずかの襟首をがしりと掴んだ、そうして勢いよく引っ張り挙げた。
「何をやっておるか!」「ごめんなさい・…」しずかは動悸を堪えながら言う。
「呂布殿!」誰かの声が聞こえた、と同時に。
とす、と呂布の足に矢が一本打ち込まれた。
262しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/20 23:54
スパートかけます。
しずか・三十三
「呂布さあん!」
しずかが叫ぶ。呂布は眉を僅かに顰めた。
「抜かったわ!」そういってぐい、と口の端を上げる。
それに勢いづいた敵が、いっせいに呂布に襲い掛かって来た。
しずかが両手で顔を覆う。

かかっ、と蹄の音が聞こえた。
同時に複数のうめき、悲鳴。どさどさ何かが落ちる音。
しずかは恐る恐る手をどけた。
目の前に一人の武将が立っていた。張遼だった。
戟には赤い血が滴り、身体にも返り血らしきものが飛び散っている。
張遼は無表情な顔で、戟を一振りして血を飛ばした。
「おのれ!」
と別の兵達が向ってくる、だが、瞬く間も無く次々突き落とされ、なぎ倒されていく。
しずかはその見事な技に何か、身内に浮き立つものを感じた。
張遼はその鋭い眼光を行き渡らすと。すう、と大きく息を吸って。
「邪魔だぁぁぁぁ!!」
と鼓膜が震えるほど大喝した。
敵は皆その声と呂布に劣らぬ武を持ったこの張遼という若者に怖気づいた。

「流石は張遼!」
呂布が言う。そうして矢をぶすっと抜いた。
「大将たるあなたが前に出られてはいけませんぞ、戦は我等にお任せを」
と張遼はむっつりした顔で言う。
「俺にじっとしてろというか、無理な注文じゃ」
「大事なものを抱えてその言葉は無いでしょう。さあ、後ろにお引きなされ」
呂布は、しずかをみると。
「あはは、確かにそうじゃ。解った解った」
そうして赤兎馬の速度をさげ、後ろに引いていった。
「しかしその仏頂面はどうにかならんか、辛気臭いわ」と憎まれ口を叩きつつ。
張遼はそれにふん、と鼻を鳴らすのみで答え、戟を掲げると。
「涼州兵なぞ物の数ではない!一気に突破せよ!」
と叫んだ、味方の軍もそれに習い声をあげた。
そうして一斉に速度を上げ、進んでいった。
263しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/20 23:56
しずか・三十四
しずかはもう怯えてはいなかった。
何故なのだろう、自分でもわからなかった。
思えばこの時代にきて、仲間とはぐれてからは恐怖の連続で、心の休まるときが無かった。
今だってそうだ、周りではばたばたと人が死に、またいつ自分が振り落とされるのかわかったものではない。
もしかしたら、立て続けの恐怖に神経が麻痺してしまったのかもしれない。
とにかく、呂布の傷と、張遼の武を見てから何かが吹っ切れたように感じたのだった。
「傷は大丈夫ですか?」呂布に聞く。
「そんなことを気にしておったのか、こんなもの蚊に刺されたようなものじゃ」
とその傷をばん、と平手で叩いた。
―凄い人だわ
しずかはくすっと笑った。
「やはり見込んだとおりじゃ」「え?」
「しずかよ、落ち着いたら馬の乗り方を覚えよ!」
「ええ!?」
「弓矢もじゃ、槍、剣一通りな」
しずかはあ然とした、いきなり何を言い出すのだろう。
「俺の元で武を極めるのじゃ!お主ならできる」
「そ、そんな・・・」
「手土産をかたに袁術のうつけから領土をぶん取ってやる、そしてそこから一旗上げるのじゃ!」
「けど、何で私に」
「この呂布の傘下に入るならば、武を誇るものでなければいかんのだ」
―やっぱりこのひとおかしい!
しずかはげんなりした、この呂布という男。完全に自分を女扱いしていない。男女の別もわかっていないのか。
―これじゃ全くの子供じゃない!
「さあ行くぞ!俺達は天下をとるのだ」
あははは・・・・笑い声が響く。それは本当に屈託が無かった。
周りの兵たちは怪訝な顔で呂布をみた、張遼はちらと一瞥しただけだった。
しずかは次第に滑稽になってきて、噴き出してしまった。そうして終いには呂布と同じく大笑いし始めた。
―わたしもおかしくなったみたい。
殺伐とした光景に二人の場違いな笑いが響いていった・…
264しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/21 00:01
と、一応ここで、しずか編を一段落にしたいと思います。
ご拝見ありがとうございました。
続きも考えておりますし。他のキャラのネタもあります。
というわけで、できればまだもうちょっと続きますので。
よろしくおながいします。
良かったです。感動しました。
最後までしずかちゃんオンリーで締めるとは。
思い切りが良くってあっぱれです。
266 :02/05/21 00:16
イヤダ〜!まだしずか編が読みたい〜!
267スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/21 00:46
第42回

「おい、スネ夫。見たか、奴らのあの顔を。どいつもこいつも縮みあがって
 おったぞ。」

黄蓋はスネ夫の肩をバシバシ叩きながら大笑していた。スネ夫はそれに苦笑で
応える。

スネ夫は今回のことに対して袁紹がどのような反応をするか大体読めていた。
おそらく、誰かしらの首をもって、「今度の事は全てこいつの責任です。」
と言ってくるだろう。

「それにしても、スネ夫。いつの間に奴らの軍に兵を紛れ込ませたのだ。」

「あれはただのハッタリですよ。」
「なにっ?」

「ああ言っておけば、手出しできないでしょ?」

呆気にとられている黄蓋を横目にスネ夫は先ほどのことを思い出した。
268無名武将@お腹せっぷく:02/05/21 00:50
しずか連環ちゃんと完結させろよ。中途半端。
269スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/21 00:53
>>267

あの時、スネ夫は袁術を殺すつもりだった。しかし、不意に孫堅の顔が脳裏を
よぎった。

(こいつを殺してもおじさんは帰ってこない・・・。)

もし、袁術を殺せばスネ夫だけでなく黄蓋達もただではすまない。自分のせい
で孫堅が命を懸けて遺したものを失わせるわけにはいかなかった。

無様な姿でがたがたと震える袁術を軽蔑することでスネ夫の復讐は終わった。

(これでもうやり残したことはないな。)

スネ夫は洛陽に行くことを決心していた。
270スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/21 00:58
自分も次が最終回です。
スネ夫の最後の雄姿ごらんあれ。
271連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/21 21:25
しずか連環さん(・∀・)イイ!
真ムソ張遼グッドです!
スネ雄さんもう最終回なんすか?
まだ見たい…
明日なんか書こっと…
272ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/21 22:42
>>254
第50回
 孔明招聘に失敗して以来、ドラえもんたちは夏侯惇軍襲来に備えて、それぞれ日々を送っている。
 ドラえもんは使えそうな道具の総リストアップと修理。22世紀の道具も、手入れなしで使えるほど便利ではない。
 ジャイアンと出木杉は張飛から武術と馬術の指導を受けている。張飛によると、2人とも相当に筋がいいそうだ。
 のび太は射撃のイメージトレーニング。ドラえもんの道具の大半はメンテに出されていたが、幸いなことに空気ピストルは残っていた。とはいえ量には限りがあるので、もっぱら架空の敵に向かって「バン!バン!」と叫ぶ毎日だ。
 しずかは斐妹という劉備軍の女細作から、懐剣の使い方を教わっている。しずかが懐剣を使う場面を想像するのは困難だが、こちらの命を狙う敵がいる以上、しずかも最低限の護身術をマスターしなければならなかった。

 スネ夫は1人で行動している。
 ドラえもんからもらったノートとペン(ともに普通の道具)を携え、朝早く新野城を出る。
 帰って来るのは、いつも日が暮れてから。
 そしてものすごい勢いで夕食をかきこみ、そのまま死んだように眠る毎日。
 スネ夫がどこに行っているのか、何をしているのか、誰も知らない。
「スネ夫、毎日どこ行ってんだよ」
 ジャイアンの問いかけにも、スネ夫はあいまいな答えを返すばかりだった。
273ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/21 22:43
第51回
「夏侯惇軍来たる。その数10万」
 数日後、劉備軍の細作から報告が届いた。
「いよいよだね…」
 緊張した面持ちでドラえもん。
 夏侯惇軍10万を迎え撃つのは、曹仁軍と戦った時と同様、ドラえもんたち6人と張飛率いる1000騎。それだけ。
 負傷した劉備は、劉表の居城・襄陽で現在も治療を受けており、関羽、趙雲、そしてその手勢4000は、劉備の護衛役としてやはり襄陽にある。
 荊州刺史の劉表は、劉備を同族として迎え入れているが、家臣の中には劉備の排除を公然と叫ぶ者も多い。
 そんな連中が血気にはやり、いつ襲ってくるかわからないのだ。
 そんな状況だから、当然劉表の援軍も期待できない。
 ろう城策の大前提である援軍がない以上、ろう城しても落城の日を数日遅らせるだけ。意味はない。
 しかし、ほかに有効な作戦もなかった。
 ここ数日、誰もが夏侯惇軍を撃退する方法を考え続けたが、答えは見つからなかった。
 ドラえもんの道具で曹仁軍を撃退したとはいえ、あれが望外の幸運による賜物だったことは全員が承知している。
「アラ?そういえばスネ夫さんがいないけど…どこかしら?」
 ふいにしずかが声を上げ、のび太たちは初めてスネ夫の不在に気付いた。
「あいつ、こんな大事な時にいったい…あ、スネ夫!」
 不機嫌そうにジャイアンが口を開くのと前後して、スネ夫が張飛とともに部屋に入ってきた。
 妙な組み合わせ、とみんなが目を丸くするのもかまわず、スネ夫はノートを貼り合わせて作った1メートル四方の大きな紙をテーブルに置いた。
「ほう…こりゃすごい!」
 覗き込んだ張飛が感嘆の声を上げた。
 それは新野城周辺をこまかく記した精巧な地図だった。
274ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/21 22:43
第52回
「今度の戦いのことで、みんなで相談したいことがあるんです。ぜひ張飛さんにも来ていただきたいんです」
 スネ夫からそう話しかけられた時、張飛が驚いたのも無理はなかった。
 倭の国からやってきた5人の子供と1匹のタヌキ。
 この中で、もっとも自分と仲がいいのはしずかだ。毎晩のように夜這いをかけ、交流を深めている。
 21世紀の日本ならストーカー規制法違反で逮捕されるところだが(逮捕容疑に公務執行妨害が加わる可能性大)、ここは3世紀初頭の中国。さらには劉備不在の新野にあって、張飛そのものが法律となっている状態なので、何ら問題はない。
 念のため。
 「もっとも仲がいい」というのは張飛の認識であって、相手は全然そう思っていないということは、しずかの名誉のためにも付け加えておかねばならない。
 次に仲がいいのがジャイアンと出木杉。この2人は馬術と武術の指導を通して、愛弟子のような感覚を抱いている。特にジャイアンなど、他人のような感じがしない。
 その次がドラえもんとのび太。彼らはもっぱら張飛のからかい相手。特にドラえもんは「タヌキ」という言葉に過敏に反応するので、実にからかいがいのある相手となっている。
 そしてその次に、というかまったく接点がなかったのがスネ夫だ。
 理由は単純、スネ夫が自分に話しかけてこないから。どうも自分のことを怖がっているらしい。
 かといって、自分からスネ夫に話しかけようとは思わなかった。
 その理由も単純、スネ夫が嫌いなタイプの少年だったから。
 張飛とて、伊達に戦乱を生き抜いてきたわけではない。人を見る目は鍛えられている。
 その目を通して見た「スネ夫」という少年から、張飛は彼がもっとも忌み嫌う2つのものを感じ取った。
 「臆病」と「卑怯」だった。
 嫌いなタイプの子供をいじめるような不健全な意志を張飛は持たない。
 同時に、嫌いなタイプの子供に話しかけるようなボランティア的意志も張飛は持たない。
 それが、張飛とスネ夫に接点がなかった理由だ。

 だが、スネ夫は1人でやってきた。「話がしたい」と。
 その時のスネ夫から、張飛は「臆病」や「卑怯」とは正反対のものを感じ取った。
 張飛は短く答えた。
「承知した。参ろう」

 そして今、地図を見下ろしている。
 主要な道は、平野、山を問わずすべて網羅されている。
 幅や土質が細かく表示され、どの道を通ればもっとも騎馬隊に負担が少ないか、どの道を通れば歩兵隊の優位を生かせるかなど、一目でわかる。
 それだけではない。
 平野のどの部分にどれだけの葦が生え茂っているとか(伏兵戦法を取る時に多いに役立ちそうだ)、騎馬で全力で駆けた場合、どのくらいの時間で平野を横断できるかなど、張飛が考えたこともなかったデータが詰まっている。
 スネ夫が毎朝城を出て新野一帯を歩きまわっていることを、張飛も知っていた。
―フム…見誤ったか
 小柄でひ弱そうな少年が足を棒にして作り上げた1枚の地図を前に、少し反省する。
 張飛はスネ夫の肩を叩いた。
「まったくたいした地図にござるな、スネ夫殿=v
 張飛は手加減したつもりでも、子供にとってはちょっとした一撃。
 スネ夫は痛そうな顔をした。
 でも、嬉しそうな顔もした。
なーんか、皆様スネオ君いじりやすいんですかねぇ。
大活躍!そして素晴らしい!!
続きが楽しみです。
276スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/22 00:06
第43回

洛陽に向かうスネ夫の見送りに黄蓋、程普、韓当の三人が来ていた。

「のう、スネ夫。もう一度考え直さんか?」
「黄蓋殿、もうよしなされ。スネ夫殿にはスネ夫殿の考えがあるのですから。」

言い争っている黄蓋と韓当の2人を横目に見ながら、スネ夫は程普に言った。

「程普将軍、おそらく連合軍の人たちは今頃、血眼になって、潜伏した兵を
 捜しているでしょう。今なら、安全に長沙まで撤退できるでしょう。」

「うむ。しかし本当に行かれるのか。洛陽は危険だぞ。」

「行きます。友達が待っていますから。」

いずれ連合軍は虎牢関に進軍する。そうなれば、洛陽がさらに危険な状況にな
ることは判っていた。だが、今のスネ夫には他に選択肢がなかった。

「おしいな。若君にお主を引き合わせてみたかった。」

程普の言葉を背中に受けながらスネ夫は馬に乗った。その馬はかつて孫堅の乗
っていた馬であった。遠慮するスネ夫に三人が半ば強引に譲ってくれたものだ。

「スネ夫!長沙に来たならば必ず訪ねて来い!」
黄蓋が声をかけてくる。心なしか黄蓋は涙ぐんでいるようにみえた。

スネ夫は笑顔でそれに応えると、馬の腹をけって走り出す。
馬の背で風をうけるスネ夫の顔に不安や怯えの色は存在しなかった。

初平元年、西暦にして190年。
世に言う虎牢関の戦いが始まるのはこれからわずか2週間後のことである。

                          孫堅編 完
277スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/22 00:09
とりあえず、終わりです。今まで読んでくださった皆さん
どうもありがとうございました。
スネ夫(・∀・)イイ!!
スネオは周瑜そして孫策と名を交わす。
孫策はスネオの想像通りの暑い・・・いや熱い少年である。
それに対して周瑜は物静かな少年である。
孫策が太陽なら周瑜は月と言ったところか。
どちらも若いながらただならぬ存在感をもっている。

「で、俺達をどうするつもりだ?」
黄蓋が官軍の将に聞くと同時にスネオが彼の袖を引っ張る。
「孫策が父上って言うことは…黄蓋サマこの人、孫堅さんだよ」
「何を言ってやがるまさか・・・」
「本物ですよ」
と周瑜。心なしか笑顔だ。
「まさか・・・そんな」
「有名になったもんだな、私も」
口元に笑みを浮かべる孫堅。
どうやら彼が本物だとわかると、黄蓋は言う。
「噂はかねがね、あんたが十七んとき海賊団を一人で平らげたってやつなら飽きるほど聞いたぜ」
「そりゃそうだ、父上はすごいんだからな」
えらそうにしている孫策の頭に拳骨をくらわすと孫堅は言った。

「あの少数で賊を討った黄蓋殿にお願いする、私の元で兵を率いてほしい」
「黄巾賊を討つ手助けをしろっていうの?」
スネオは言った。
「そんなとこだ、もっとおっきなことだがな」
その大きなことが何かスネオにはわかる。
―天下を手に入れる―
そういうことだろう

孫堅にすればよい人材を登用しただけのことである・・・が続けて。
「申し出をもし断るなら黄巾賊とみなし処刑しますが、よいか?」
言った。孫策は笑いながらうんうんとうなずいた。
「がっはっは。なんだい選択の余地がねえじゃねえか」
黄蓋はつられて笑った。

こののち黄蓋とスネオは、商人を無事街まで送ったのちに孫堅の黄巾賊討伐軍に力を貸すことになる。
しかし、ふたりは仕方なくではない。孫堅の人柄に惚れたのだ。自ら仕官したといってもよい。

ただしスネオが活躍するのはもっと後になる。
今はまだいくさを遠巻きから見ているに過ぎない。
それは孫策、周瑜とておなじであった。
天下を目指して、なにが悪い。
人として生まれ、男として生まれたからには、誰だって天下を志す。天下など、一瞬たりとも夢見たことがない、そんな男は一人としてこの世に存在しない。
それが真理だ。
ある者は生まれてすぐに。ある者は父親のゲンコツに。ある者はガキ大将の腕力に。ある者は覇王に。それぞれが天下をあきらめ、それぞれの道を歩んだ。

しかし、諦めなかった英雄と呼ぶべき彼等。
劉備、曹操、孫堅、袁紹、劉表、孫権、呂布、董卓、袁術、孫策、司馬懿・・・・
彼等は偉大な大馬鹿野郎どもである、

そして新たに一人の男を同格に扱わねばならない。

出木杉 英才
紅蓮に燃える野心を抱いたその男を。
時は西暦184年
中華の大地

雨が降る、永安の街。
少年は地べたに座り込んでいた。
人はそんな少年には目もくれない。
おりしも漢帝国の威厳は底を突きかけていたころである。
黄巾賊などにいつ襲われてもおかしくないこの時代。
雨にずぶぬれのみすぼらしい少年に、声をかけるものはいなかった。

空腹に耐えかねて今朝方雑草を食べた。
そのツケはいま胸焼けとなって襲ってきている。

歩けなくてもう三日もこうしている。
ただ座りながら、待ち行く人を見ているだけの日々。
理由はない、こうしなければいけない気がするからこうしてるだけ。
このまま終わるのか
それもかまわない。
―天下を取れないのであれば、この命に価値はない―
ここで死ぬならばその程度の人間、所詮天下の器ではないと言うことに過ぎないのだ。
さらに数刻
ひどい空腹に胃液を吐く
上を向き雨を口に入れ、口をゆすいだ。
雨水を吐き出すと同時に、前を見ると路の向かいで男が手招きしていた。

引きずるように歩き、少年はその男の隣に座った。
「いつからそこに?」
少年は聞く。
「昨日だ」
喋る気力がない、おたがいに。
男は懐から小さな。木の棒を取り出して ―それの大きさはタバコに似ている― 口にくわえた。
「なぜずっとそこに座っていた」

「あてがないからさ」
下を向きながら少年は答える。それに一呼吸間を空けて男は続ける。
「何のためにそこに座っていた」

少年はゆっくりと指をさした、天を。

「何のために・・・・」
雨雲の切れ間から太陽が差し込んだ。それは二人を照らし出した。
「・・・天を欲するのか」
いつのまにか男は少年の喉下に短刀をつきつけていた。
少年は少しも動揺せず言う。
「僕が僕であることを証明するために」
男が手を離したおかげで短刀がべちゃりと地面に落ちた。
微動だにしない少年。
「若造!・・・軽々しく天を語るな!!」
男の怒号が響いた。
男は少年をみた。
少年はまだ十歳そこらであろう。若さがにじみでている。
その野心にたぎるひとみさえなければ、あるいはその体から発する覇気がなければ。
ここに手招きすることはなかったであろう。

「時に。もし俺が天下だとしたらどうする?」

刹那男の喉元を刃物が襲う。
先ほど男が少年に突きつけた短刀を拾い、それで切りつけてきたのである。
ガツッと金属音。
男はもう一つ持っていたのであろうか、短刀で少年の刃を受け止めた。
―この若造、本気で俺を殺す気だった―
この少年の行動すなわち、これが答えであった。


いつのまにか、辺りは晴れ上がっていた。
男は立ち上がり、自分の座っていたところを掘り返す。
そしてそこから袋を取り出した。

じゃらじゃらと鳴る袋を少年に手渡す。中身は金だろう。
「拙者は管亥、字は靖進。お主の天下にこの命をあずけよう」
頭を下げる管亥。
「僕は出木杉 英才。よろしく頼む」

「で、出木杉殿これからどうする?」
「あてはないけど、とりあえず何か食べようか」


英雄、あてのない天下に向かって歩みだす。 ただ真っ直ぐな信念を持って。
284無名武将@お腹せっぷく:02/05/22 01:41
すねおに抱かれたい・・・ハァハァ
285無名武将@お腹せっぷく:02/05/22 01:45
のび太スナイパーさん
グラップラーイィ!!
なんか普通にすげぇな…
287連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/22 13:59
祝!復活。そして2スレ初UP
孫堅の下に居候をして1週間ほどたったある日、しずかは孫策に呼ばれて孫堅邸にきていた。
(伯符様遅いわ…。一体何をしているのかしら?)
しずかはどちらかというと、孫策が嫌いではなかったので多少またされても平気であった。
もし、これがのびただったら張り手一発で即帰っていただろう。
さらに待つこと数分、扉の向こうで激しい足音がした。
「はあっはあっはあっ…しずか殿待たせてすまない…」
何をそんなに急いでいたのか孫策は肩で息をしていた。
「いえ、私も今来た所です。気になさらないでください。」
本当は1時間近く待ったのだがそれは伏せておこう。
「ならよいのだが…、俺はあなたに言いたい事があるのだ…。」
「えっ…?」
突然の孫策の申し出にしずかはドキッとした。
「実はな…」
そう言いかけた所で再び扉の向こうで複数の足音が聞こえた。
ドタドタドタ…バン!
乱暴に開かれる扉。その向こうにはまだ年端もいかない女の子がたくさんいた。
「あーっ!伯符兄さまみっけ!」
そう叫んだ女の子は走るなり孫策に抱きついた。
「げえ!尚香!何すんだ!」
孫策は孫尚香を叱りつけるがそうは問屋が卸さない。
「あ、尚香ずるい!」
「姉さま!私も!」
すると部屋の中にわらわらと女の子が入ってくる。
「おまえら!仲謀の所へ行け!」
「だって仲謀兄さま虎さんと一緒に居るんだもん。おっかないよ」
「〜」
しずかは改めて人数を確認した。
(1…2…3…4…………12人!?)
(今日はもうダメね…)
しずかはため息を大きく吐くと部屋から出て行ってしまった。
「待ってくれーしずか殿―!」
孫策の空しい声が邸内に響いた。

>>287
孫策と孫権に妹が12人…??

(゚∀゚)アヒャ
289ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/22 18:06
>>274
第53回
 沈黙が流れる。
 地図を前にスネ夫が語った、彼が考えに考えて絞り出した作戦。
 その沈黙の意味を把握しかねて、不安そうにスネ夫は張飛に尋ねた。
「張飛将軍、この作戦て…やっぱり駄目ですか?」
 対する張飛はニッと笑ってみせた。
「一介の武辺者たるわしには、かような策はとても思いつかぬ。良いではないか、これ以上の策が今の我らにあるとは思えぬ」
「僕もそう思う」
 地図を見下ろしながら出木杉。
「ただ…この作戦を遂行するには、囮役が必要だよね。その役は誰に?」
 一同が沈黙していた理由は2つある。
 1つはこの策が成功した場合、おそろしく悲惨な光景が展開されるだろう、ということ。
 自分たちがそんなことをやってもよいのか、という気持ちは、どうしても捨て切れなかった。
 もう1つは、出木杉が語った囮役の問題。
 下手すれば、真っ先に血祭りにあげられる危険な役目だ。
「それはわしに任せよ。夏侯惇ごときには少々高価なエサだが、あの見栄っ張り野郎ならば喜んで飛びついてくるわ」
 何の躊躇もなく、張飛が立候補した。
 どんな大敗北になろうとも、自分が討死する可能性など考えたこともないのだろう。
 だが、スネ夫は首を振った。
「せっかくですけど、この役は張飛さんにはお願いできません」
 張飛が目を剥く。かなり怖い。
 ビビリながらも、スネ夫は説明する。
「この作戦を実行するには、部隊を率いる武将が3人必要です。囮以外の役として」
「3人、とな?」
「はい。張飛さん、ジャイアン、そして出木杉君の3人を考えています」
「フム……ウン、確かにそうなるわなぁ」
 一瞬の内に怒気を引っ込める張飛。
 瞬間湯沸器を地でいっている。
「じゃあ誰が囮役になるの?」
 のび太が尋ねる。
 対するスネ夫は、意識的に地図の方へ視線をやりながら答えた。
「前の戦いの時、僕としずちゃんは城の中にいた。曹操軍に顔が割れていないから、囮の役をなさないと思う…」
「エ?…ということは…」
 のび太とドラえもんは、お互いに顔を見合わせた。
290ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/22 18:07
第54回
 博望坡に陣を敷いた夏侯惇軍は、悠然と進軍を開始した。
 小細工はなし。圧倒的な兵力差で、一気に新野を攻め落とす意志にあふれている。
 進軍が止まったのは、その先に1人の少年が立っているのが見えたため。
「あれはドラ軍の……確かのび太と名乗る者にございます」
 目を細めて確認した季典が、夏侯惇に告げる。
 前回の攻略戦で、季典は曹仁の副将として参戦。陣営に乗り込んできたドラえもんとのび太の姿を覚えている。
「ほう、あれがのび太か」
 騎馬にも乗らず、槍らしきものを1本持っただけで姿を見せたのび太を、夏侯惇は気に入ったようだ。
「たった1人で我らと対峙するとは、よほどその豪に自信があると見える。叶うものなら、わしの股肱に迎えたいものじゃ」
「ハァ、ただ何と申しますか……どうも雰囲気が違いますな」
「雰囲気?どういうことじゃ?」
「目がイッております」
「ナニ?」
 さらに季典は説明を続けようとしたが、それはすさまじい金切り声でさえぎられた。
「能力ゼロのくせに曹操の親せきというだけで将軍となっている史上最強の勘違い男、夏侯惇!そんなおまえのためにありがたくもこののび太様が、人の道ってやつを講釈してやる!よく聞け!」
「………………………………」
「筋を通して曹操の元を去る関羽将軍を追いかけたその呆れた執念深さ!おのれはヘビか!しかも、ようやく追いついて一騎打ちに及ぼうとすれば、『手を出すな』のお達しに諦める!だったら最初から追いかけるなっつーの!恥ずかしいんだよ、その一貫性の無さがよお!」
「………………………………」
「曹操に感謝するこった!あのまま一騎打ちしてりゃ、関羽将軍の青龍堰月刀のサビとなっただけ!運が良かったな、その幸運だけがオマエの武器!とっとと武将なんか辞めて、宝くじ購入に専念すれば?一獲千金、その金で家庭農園でも造って土いじりやってな!」
「………………………………」
「そういや片目はどうした?ナニ、食べた?もうね、アホかと。バカかと。おまえな、片目射抜かれたからって目玉食ってんじゃねぇよ!『よーし、パパ自分の目玉食べちゃうゾー』とか言ってるの。もう見てらんない!(中略)」
「………………………………」
「あのな、目玉食うなんて今日日はやんねえんだよボケが!得意げな顔してなにが『これぞ父の精、母の血』だ!本当に目玉なんかうまかったのかと問いたい、問い詰めたい、小一時間(中略)」
「………………………………」
「何にせよ、出自の卑しいオマエにふさわしいメニューだ、次いでにもう片方の目も食べやがれ!蛋白質がいっぱいで体にいいぞ!ナニ、もう食べられない?だったらこっちに提供しろ!ネタ代わりにこののび太が食べてやる!そして吐き捨ててやる!ついでに踏み潰してやる!」
「………………………………」
「やることなすこと全て的外れ!そんなおまえは逝ってよし!バーカアーホチンドンヤ、オマエの母ちゃんデーベソ!もひとつおまけに大根足!」
 のび太の声が、博望坡に響き渡る。
291ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/22 18:08
第55回
 あまりにヒドイ……。
 季典は呆れた。
 目の前で絶叫している少年に比べれば、狂士・禰衡の方が何億倍も可愛気がある。
 隻眼は夏侯惇のコンプレックスだ。
 呂布との戦いの最中に矢で片目を失って以来、鏡を見るたびをそれを叩き割るほど、彼にとって大きな恥辱となっている。
 それをこうも脚色豊かに表現…いや、罵倒のネタにするとは。
 チラリと夏侯惇を盗み見る。
 人間の顔にはこんなにも太い血管がたくさんあるのか、と思うほど、夏侯惇の顔には怒筋が浮き上がりまくっていた。
―のび太………死んだな
 憐れみを感じることもなくそう思う季典。
 そして腹に力を入れる。
 これからすぐ隣りで発生するであろう、怒号に耐えるため。
「あ…あ…あやつの首を……ここに持って参れ!……いや!わしが殺る!絶対殺る!何度でも殺る!殺しても殺る!」
 最後はまともな言葉になっていなかったが、そんなことどうでもいい。
 夏侯惇は怒りの塊と化して突撃に転じた。10万の兵も一斉に駆け出す。
 季典も駆ける。自分の大将をこうもひどく罵倒されれば、はやり頭に来る。

 もう少しで夏侯惇の槍がのび太に達するという瞬間、「イッていた」のび太の目は、いつもの温和で善良なものに戻った。
 ジキルハイドの効果が切れたのだ。

【解説・ジキルハイド】
 錠剤状の道具。これを飲むと、性格が正反対なものとなる。効果は10分間。

 夏侯惇の槍を間一髪でかわしたのは、のび太の身体的能力によるものではない。
 のび太が携えていた1本の棒―ウマタケ―の好判断のおかげだ。
 のび太に抱き着かれたまま、ウマタケはピョンピョンと跳ねるように逃げていく。
「逃げるなのび太ぁ!その首置いてけ!」
「ド…ドラえも〜ん!だずげでぐでえぇぇぇ〜」

【解説・ウマタケ】
 22世紀のバイオテクノロジーの産物で、馬と竹のあいの子。自分の意志を持ち、ものすごいスピードで走る。馬糞も排泄する。
292ue ◆/y6vW.eo :02/05/22 20:27
誤字です
季典→李典
>>292
げ、またやってもた。
ご指摘ありがとうございます。
>290

のび太のいかれ振りにワロタ
295無名武将@お腹せっぷく:02/05/23 00:01
age
296曹操の覇業:02/05/23 00:11
ジャイアン伍長先生すごい! 

2chテイストバリバリなのび太のセリフおもろい。
 
>290
ワロタ。惇兄かわいそう
298無名武将@お腹せっぷく:02/05/23 10:49
「蛋白質がいっぱいで体にいいぞ!」もイイ!
299ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/23 18:57
>>291
第56回
 新野城近くに森がある。
 意外と大きな森で、道幅も馬4頭が並んで走れるほど広く、けっこう長い。
 ただし、道幅があるとは言っても、突進する騎馬隊がすぐさま方向転換することは不可能。
 のび太はその森へと逃げ込んだ。
 夏侯惇の騎馬隊は、それを追撃している。

 総大将に比べればはるかに冷静だった李典が、危険な臭いを嗅ぎ取った。
 囮を使っての部隊誘因、陣形を崩されて前後に伸び切った部隊、方向転換が難しい道、左右は木々に覆われて状況確認不能…。
―伏兵策か
 しかし、特に慌てる必要はない。
 新野に1000程度の兵しか残っていないことは承知済みだ。こちらは10万。
 夏侯惇の身辺に気を配りさえすれば大丈夫。適当にあしらって突破すれば、こしゃくな伏兵など後続部隊が蹴散らすだろう。
 そう思ったところで、歴戦の将は自分の馬が踏み潰している何かの音を聴き分けた。
―落ち葉?それも大量の……
 李典の馬が駆けているのは、夏侯惇のすぐ後ろ。道の中央。
 そんなにたくさんの落ち葉があるわけもなかった。普通なら。
 目を前方の地面に転じる。
 逃げるのび太ばかりに注意が向いて気付かなかったが、彼らが進む道には落ち葉が敷き詰められ、茶色の絨毯となっていた。
―まずい!
 道が急に狭くなった。騎馬2騎が並ぶのが精一杯。
 李典は急いで夏侯惇の横に並びかける。
「将軍、罠にございますぞ!…」
 李典の進言は遅きに失した。
「放てぇ!」
 聞き覚えのある声を、李典ははっきりと耳にした。
300ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/23 18:58
第57回
 なるべく多くの敵部隊が森の中に侵入し、指揮の伝わる余地がなくなった瞬間を見計らっての攻撃命令。
 スネ夫が待ち伏せ部隊の指揮官として出木杉を指名したのは、まさにこの判断力にある。
 この間≠フ捉え方は、張飛やジャイアンのような猛将タイプには望めない。
 出木杉が指揮する400の弓隊は、数こそ少ないが、火矢を放つためだけの装備に身を固めていた。
 戦闘前、落ち葉など燃えやすいものを道に用意するなど、準備も怠りなかった。
 そして出木杉の命令一下、夏侯惇軍はあっという間に炎に包まれた。

 目を血走らせながら振り返る夏侯惇。
 森が燃えている。
 自分が手塩にかけて育て上げた騎馬隊の火葬場だ。
 自分や李典が脱出できたのも奇蹟としかいいようがない。
―まだ負けたわけではない
 夏侯惇は自分自身に言い聞かせる。
 騎馬隊はほぼ壊滅したが、移動速度と数の関係で森に入っていなかった歩兵隊は無傷だ。
 ただし、森から漂ってくる人肉の焼ける臭いに、歩兵らは動揺している。
―立て直さねば
 だが、劉備軍はそんな時間を夏侯惇に与えてはくれなかった。
「夏侯惇は息災か!燕人・張飛があいさつに参ったぁ!」
 もっとも聞きたくないヤツの怒声が響く。
 夏侯惇は血がにじむほど唇を強く噛んだ。
 陣形が乱れ、動揺している歩兵隊に、張飛率いる400の鉄騎隊を止める術はなかった。

 夏侯惇とて一軍の将。曹操陣営の武の筆頭だ。
 台風のような張飛隊が離脱した後も、まだ戦意を無くしてはいない。
 第一、兵の数では依然としてこちらが圧倒的しているのだ。退却する理由はない。
 ただし、一旦陣を下げねばならない。戦いはこれからだ。
 そこへ、顔を引き攣らせた李典が駆けてきた。
 これまで必死に自分を奮い立たせていた夏侯惇は、李典の報告に危うく落馬しそうになった。
「兵糧を襲われました…全滅にございます!」

 出木杉の火攻めと張飛の急襲で大混乱となった本隊を救うべく、兵糧を守っていた部隊は押っ取り刀で前線へ向かった。
 存在を気取られぬよう大きく迂回していたジャイアン率いる200騎は、何の妨害も受けぬままおびただしい量の兵糧にたどりついた。
「全部燃やすのはもったいないな…まあ、しょうがない。さっさと仕事を終わらせよう」
 スネ夫の期待通り、ジャイアンは全ての兵糧を焼き尽くした。
 武将のまね事をしているとはいえ、元は小学生。
 火遊びは嫌いではない。
戦いの描写がリアルだ・・・
302無名武将@お腹せっぷく:02/05/24 00:20
あげ
303連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/24 15:54
>>287
夏のある日。
よく考えれば孫堅の命はあとわずかしかなかった。
黄祖を討伐する際に殺されてしまうのをしずかは思いだした。
(例え歴史を変えることになってもお義父さまを死なせはしないわ…)
居候を始めて数年、しずかは15歳になっていた。
孫堅の洛陽行きを阻止すべく、今夜も孫堅邸に赴いていた。
「孫堅さまはいらっしゃいますか?」
しずかは警護の兵に孫堅の所在を尋ねたが兵士は首を横に振った。
「いえ…殿は今頃一人で散策されてるはずです」
「そう…」
とりあえず、一人での夜歩きは止めさせなければ…。でもここは戦場ではない。ひとまず安心だろう。しずかは汗を流すためお風呂を借りることにした。
「やっぱいつの時代でもお風呂はいいわ〜♪」
得意の鼻歌を歌いながらご機嫌で体を洗うしずか。
その時、しずかは嫌な視線を感じた。
「だッ誰!?」
鋭く叫ぶと壁の向こう側で何か思いものが落ちる音がした。
「うわあ!」
これは明らかに人間の声、と、すると誰かが覗いていたに違いない。
「いやああああああああ!!!!」
しずかの叫びが邸内に響く。間髪入れず孫策が入ってきた。
「しずか殿!だいじょう…ぶっ!」
つい、しずかは条件反射で孫策にお湯をかけてしまった。
「はっ伯符さま!ごめんなさい!大丈夫ですか?」
しずかは自分が裸なのにも関わらず孫策に駆け寄った。
「ああ…だいじょうぶだ。それよりしずか殿、何か着てもらえぬか…目のやり場に困って仕方がない…」
「えっ!? きゃあ!伯符さまのエッチ!」
しずかは小さな手で要所要所を隠した。そんな仕草がまだ15歳の孫策にはたまらなかったようだ。
わずかに残った理性で孫策ははやる気持ちを抑えながらしずかに犯人の行方を聞いた。
しかし、しずかには行方がわかるはずも無い。
「よし、俺が犯人を捕まえてこよう!」
孫策は部屋から駆け出した。
(そう言えば伯符さまは部屋に入ってくるのが異常に早かったわ…。どうしてかしら?)
しずか本人は気づいていないようだが、孫策本人も覗いていたのだ。それをしずかに悟られないためにも孫策は犯人を確実に捕まえなくてはならなかった。
304連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/24 15:56
>>287>>303
―数刻後。孫策は犯人を無事捕まえてきた。今、しずかや孫堅達の前で尋問中である。
「じゃあお前はしずかの入浴を覗いてたんだな!」
孫策は自分が疑われないようにしなければと必死だ。
「ブツブツ……ブツブツ……」
男は中年でやせこけており、終始ブツブツ呟いている。
「あ〜!? 聞こえねえよ〜!」
孫策は本当に必死だ。
「……できた……ミニに…タコが……できた…」
「はあ〜!? みににたこができた〜あ!?」
男は気が変なのか同じことを繰り返している。
「奇人か…。じゃあ首を刎ねるか…」
孫策がポツリと呟くとしずかがすがりついてきた。
「伯符さま!たかが…たかがわたしの風呂を覗いていたぐらいで死刑は惨すぎます!」
しずかの目には涙が浮かんでいた。
「しかし、お前の風呂を覗いたのだぞ!許せるものか!」
自分のことを棚に上げておめでたい奴である。
「いいのです…。この者を許してあげてください」
しずかは首をフルフル振って答えた。
大好きなしずかに泣きつかれては孫策はどうすることもできない。
「むうう…ならよい…。さっさとどこかへ消え失せろ!」
縄を解かれた男は夜の闇に消えていった。
(さすがだしずか…やはりワシが見込んだだけある…)
内心ほくそ笑む孫堅だった。
しずかの情により難を解かれた男だったが、翌日また覗きを犯し、たまたま入浴中であった韓当が覗かれ、韓当は全裸でこの男を追まわしその場で締め殺されたのはいうまでもない。
305無名武将@お腹せっぷく:02/05/24 18:01
田代かよ!(藁
孫堅と韓当ワラタ
307ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/24 20:20
>>300
第58回
 騎馬隊を殲滅され、歩兵隊にも少なからぬ損害を受け、さらには兵糧をすべて焼き尽くされた。
 だが、夏侯惇は諦めなかった。諦め切れなかった。
 諦め切れない夏侯惇が、撤退を具申する李典に激昂することなく黙したのは、それが当然の進言であることを理解しているから。
 ここまで戦局が悪化した中で、攻撃を進言する男を副将にすえるほど、曹操軍の人材は不足していない。
 夏侯惇とてわかってはいるのだ。
 一朝一夕では養えない多数の精強な兵を失い、軍の規律を維持する手段たる兵糧も失った。
 撤退こそが、最悪の状況下での最善の選択だった。
 しかし、味方にこれほどの損害を被りながら、敵にはほとんど被害を与えていない。
 猛将にとって、それは耐え切れない屈辱だった。
「新野城へ参るぞ」
 夏侯惇の言葉に、李典が目を剥く。
「しかし兵糧が…」
 有効な攻城兵器が存在しないこの時代、城攻めにはおびただしい損害と時間を要する。
 兵糧なしで城を攻めるなど、可否を論ずる以前の問題だ。
「食い物なら新野城にある。猛攻に次ぐ猛攻で攻め立てる」
「将軍!」
「いや、そういう言い方を卿にすべきではないな…つまりこういうことだ。ここまでコケにしてくれた敵を、心に刻みつけておきたいのだ」
 李典は何も応えなかった。
 絶望ゆえではない。
 夏侯惇の口調から、李典は総大将の心中を察していた。
―きっかけを見に行く、というわけだな。御自身を納得させるためのきっかけを
 城に近づけば、それだけ敵に追撃の機会を与えることになる。
 だが、李典はそれもやむなし、と思った。
「新野城へ進軍する!」
 李典の命令に、地面にへたり込んでいた軍兵たちが立ち上がる。
 動きはのろい。それもやむなし。
 夏侯惇は、馬上でピンと背筋を伸ばしている。
 李典もそれにならった。
308ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/24 20:22
第59回
 そして夏侯惇はきっかけ≠見た。
 「劉」の旗、「張」の旗、そして「銅鑼」の旗。
 火攻めを行った出木杉隊も、急襲を仕掛けた張飛隊も、兵糧を焼いたジャイアン隊も、すべて城内に戻ったらしい。
 城壁の上では一糸乱れぬ様の兵たちが、弓をつがえてこちらを見下ろしている。
 戦意の高さがピリピリと伝わってくる。
 これで納得できた。
 夏侯惇はかたわらに控える李典に話しかける。
「李副将」
「はっ」
「撤退じゃ」
「御意」
「卿に全軍の指揮を委ねる。しんがりはわしが担う」
「!……将軍、それは……」
「命令じゃ。さっさと行け」
「………御意!」

 いっそのこと、劉備軍が追撃を開始してくれれば…。
 そんな想いもチラリと胸をかすめる。
 生きて許昌に帰っても、敗軍の将としての恥辱が待っている。
 討死する方がまだましだ。
 どちらにせよ、胃の痛い話ではあるな、と夏侯惇は思った。
 粛々と徹底する夏侯惇軍を見て、城壁上の劉備軍兵が慌ただしく動いている。
 張飛の姿が見えた。
 手を目の上にかざし、こちらを凝視している。
 やがて、勝鬨の声が城から上がった。
「エイエイ、オー!」
「エイエイ、オー!」
 夏侯惇は、火攻めを突破できた子飼いの騎兵隊―100余りに減っていた―を整然と並べ、劉備軍の追撃に備え続ける。
「エイエイ、オー!」
「エイエイ、オー!」
 夏侯惇は身を震わせながら、その声を聞いていた。


「博望坡の戦いで夏侯惇軍を撃破」
 ドラえもんたちは、ひとつの歴史の成立に成功した。
309スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/24 22:19
サポートBBSの中でしばらく書き込まないといってましたが
ドラえもん・のび太の大魔境でのジャイアンの活躍を見て、
むらむらと書き込みたくなりました。

勢いだけで書いた文ですがよろしければどうぞ。
310スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/24 22:38

焼き尽くされた村の跡に馬に乗った2人の男が立っていた。

「このようにおおっぴらに賊が暴れておるとは皇室の威信も地におちたものよ
 な。」

2人の男のうち、背の高い方の男が声を発した。

2人の周りには頭に黄色の布をつけた者の死体がいくつもあった。
黄巾賊である。
大賢良師と呼ばれた張角の起こした乱は瞬く間に中国全土に広がり、大陸全土
を巻き込んだ大乱となっていた。これに対し、長い安寧のはてに腐敗した漢王
朝はこれに対し効果的な手を打てずにいた。

2人は黄巾賊討伐のために派遣された官軍である。ただし、他の官軍が苦戦し
ている中で彼らの軍だけは快進撃を続けていた。

今回も黄巾賊に襲われている村があると聞き、駆けつけて賊を打ち破ったが、
すでに村は焼き尽くされていた。

「夏候惇!あれを見ろ。」

不意に話しかけられていたほうの男が前方を指差す。夏候惇と呼ばれた男がそ
の方向をよく見てみると、その方向にあった瓦礫の隙間から人の手が出て、
さらにそれは動いていた。



311スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/24 23:00
>310

瓦礫をのけると少年の姿が現れた。

「まだ息があるな。孟徳、どうする?」

「さて、このままにはしておけんが、どうしたものかな。」

二人があれやこれやと話していると、少年の口がわずかに動いた。

「ん?何か言っておるな。」

夏候惇が耳を少年の口元に近づける。

「おーれはジャイアーン・・がーきだいしょーう・・」

少年は楽しい夢でも見ているのか気を失ったまま笑みを浮かべていた。

「こやつ、このような目にあいながら歌っておるぞ!」
「大物だな。」

2人は顔を見合わせて笑った。
夏候惇は少年を抱えると馬に乗せる。
「こやつはわしが預かる。いい兵士になるじゃろう。」

2人が馬を走らせる。馬上で揺られながら少年はまだ歌っていた。

「それにしても下手糞な歌じゃ。」
「全くだ。」

2人は少年が目覚めるまで耳を押さえなければならなかった。
ファンサイトに行けない・・・
313無名武将@お腹せっぷく:02/05/26 00:04
期待してます
314ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/05/26 01:49
>>308
第60回
 青い顔ではあったが、何とかスネ夫は気持ちを落ち着けていた。
「スネ夫さん、大丈夫?」
「…ウ、ウン。ありがとう。何とか大丈夫」
「だから見るなって言ったんだ」
「ウン…でも、僕の作戦だったからね。どうしても見ておきたかったんだ」
 戦場跡を見ることは、スネ夫にとっての精一杯の責任の取り方だった。
 そこには、黒焦げとなった死体が何千体も転がっていた。
 丸くなって身を縮めている者。
 少しでも火から逃れようとしたのか、穴を掘って首だけ土中に突っ込んでいる者。
 手を天空に突き上げている者もいる。その指は、何かをつかもうとしているようにも見えた。
 そして火攻めの立案者たるスネ夫は失神し、火攻めの現場へ夏侯惇軍を導いたのび太も失神、火攻めの実行者の出木杉は吐いた。

 スネ夫は弱々しく笑った。
「劉備さんのけがが治らない以上、まだ僕たちは戦わなくちゃいけないんだから…参っちゃいられないよ」
 こういう事態はこれからも起こる、と言外に語る。
 曹仁軍撃退後、鬱状態となった経験を持つジャイアンと出木杉もその言葉に肯く。
 それをもってして、彼らが成長したとは言うまい。
 だが、乱世に生きる人間としての強さは身につけつつある。
 21世紀の日本で生きるための強さとは異なる意味の強さ≠セが、今の6人に求められているのは、まさにそれだった。
 全員がそのことを理解している。
 そして全員が理解≠オていることを、全員が認識≠オている。
 正直泣きたくなるような状況ではあるが、わかりあえる仲間がいることは嬉しかった。
 6人は照れ臭そうに笑う。
「とにかく、だ!夏侯惇はやっつけたんだ。今夜は張飛の兄イたちと一緒に騒ごうぜ。前の宴には俺たち参加しなかったしな」
 そう叫んでジャイアンが駆けていく。
 5人はジャイアンを追うように大広間の方へ走り出した。
「今夜は久々のジャイアン・リサイタルだ!朝まで歌いまくるぞ!」
 5人はジャイアンから逃げるように大広間の反対の方へ走り出した。

 驚くべきことに、ジャイアンの歌声にダメージを受けない生き物が、ここ新野には存在した。
 燕人・張飛。
 「宴の席から出る者は切る!」と物騒なことを言い放ち、張飛とジャイアンは肩を組んで歌い続けた。
「おうれぇは張飛ィ 侍大将ゥ」
 軍兵たちの受けたダメージは大きく、新野の劉備軍はここに戦闘力を失った。

 約半月後、おびただしい数の軍兵が許昌を出発した。
 第一軍・曹仁、曹洪
 第二軍・張遼、張コウ
 第三軍・夏侯惇、夏侯淵
 第四軍・千禁、李典
 そして第五軍は漢丞相・曹操
 100万を号する大部隊の目的地は荊州九郡。
 中原を押さえた曹操の目は、今や完全に南へと向けられている。
 南征の始まりだった。
315無名武将@お腹せっぷく:02/05/26 10:59
赤壁キターーーーー(・∀・)ーーーーーー!!
316無名武将@お腹せっぷく:02/05/26 13:00
ジャイアンの歌はほんとすごいわ
317コピペ厨房2号:02/05/26 20:05
この話はドラえもん、のびた一行が魏呉ショックのミスでパラレル三国志へ迷い込むお話である。
道に迷い込んでしまったのびたたちは公孫讃に助けられ劉備、関羽、張飛、趙雲と対面する。
そして董卓撲滅連合軍を結成して問う卓を懲らしめるが、実は董卓は悪魔に操られていて
未来へと逃げ出してしまう。ドラえもんたちはジャンプステッキを使って215年までワープする。
そこで見たものは、曹操の子、曹否に取り付いてしまって曹操を投獄し、他の武将たちを
操って呉を滅ぼしてしまっていた。かろうじて逃げ延びた孫策、孫権と上陽で待機していた
劉備、関羽、張飛、趙雲、孔明と再会を果たす。孫策と劉備はこれまで同盟と言う立場であったが
みんなであわせて一つの国とすることを約束した。孔明の指示でドラえもんたちは曹否がいる洛陽まで劉備、関羽、孫策と行くことになった。あとの人は長安で曹否の逃げ場をシャットアウトする作戦で
ひとまず漢中を目指した。


2 名前: ドラえもん。のび太と公孫讃(嘘 投稿日: 2002/05/26(日) 15:13

ドラえもんたちは洛陽を攻略し、後方も長安を占領し、曹否は挟み撃ちにされた。
ドラえもんは投獄されている曹操を救出し、事情を話すと
曹否の呪いを解こうと曹操は直に曹否のいるところへ向かう。
曹操は説いた。曹否は目覚め自分を討つように言った。
曹操は悩んだが、ドラえもんには全てが分かっていた。
あれはヤドリだということが。真空ソープ銃をだし、曹否に向かって撃った。
どうやら機械の故障で地球とそっくりの星にきていたらしく、
ヤドリはその星を侵略しに来ていたのであった。
曹否を救出したがその宮殿にヤドリの小型宇宙船があった。
ドラえもんたちはヤドリをやっつけるために船に乗り込んだ。


3 名前: ドラえもん。のび太と公孫讃(嘘 投稿日: 2002/05/26(日) 15:23

ドラえもんたちはヤドリたちを全滅させた。
操られていた武将たちは全員元に戻った。
曹操は劉備ら、ドラえもん一行に感謝し、国を一つにしようと言い、
劉備、孫策、曹操の国家「隋」ができた。
こうしてめでたく天下平定された隋をみて、ドラえもんたちは
救命ボートで地球に戻った。
そしてのびたは三国志の小説を買ってきて読み、初めて読書感想文を
提出したのであった。その作品はとてもすばらしく、はじめて賞状を受け取った。



ファンサイトで発見
318無名武将@お腹せっぷく:02/05/26 21:00
はい、では読書感想文を夏休みのウチにひとつ書いてきてください。終わります。
キリー津、レー医。
キーんコーンカーンコーン ・・
ああ、やだなぁ。。どうしよう。
のびたさん。大丈夫よ。
がははははh・・・
のーびた。またお前廊下逝きだな。
のびたって一回も感想文書いたことないもんな〜。
すねオサン。たけしさん・・・。
くっ・・・・
いこいこ〜。
のびたさん・・・
ううううっ・・・・
だだだだだだだだだだだだ・・・!!
どらえもーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
ぱぱ〜。僕読書感想文の本がいるんだけど・・・。
よし。今パパが面白い本を持ってきてあげよう。歴史小説だぞ?
なんていうの?
三国志って言うんだ。名前くらいはしってるだろ?
わかるけど・・・。
がさ後祖がサ語ソ・・・・
あった。ありゃ。まんがだった・・・。
え〜。
ま、これよんで面白かったら小説物も買ってきなさい。
わかった。ありがとうパパ。
夏休みの読書感想文に三国志を読み始めたノビタ。
最初はいやいや読んでいたのだが、いつの間にかすっかり
三国志にはまり込んでしまう。
それを見て驚きつつも喜んでいたドラえもん。「これで国語の宿題はばっちりだねノビタくん」。
が、そうは問屋が卸さなかった。最後まで読み終えたノビタが「三国志時代の中国に行きたい」と
言い始めたのである。
「正義の味方の蜀が滅亡するなんて間違ってる! 僕たちの手で歴史を正しくしなきゃ!」
開いた口のふさがらないドラえもん。歴史に干渉することがどれほど危険か
ノビタに説こうとするのだが、無論のことながら馬の耳に念仏。
「仕方ないなあ・・・じゃあ見るだけだよ」

319無名武将@お腹せっぷく:02/05/26 21:00
ギゴショック〜〜〜〜。
なぁにこれ。
未来デパートの新製品、三国志キットさ。これで三国志のせかいが体験できるんだ。
へぇ〜。逝ってみようよ。ドラえもん。
まった。皆も呼ぼう。皆のほうが楽しいし。。。

みんな、集まったね。
OK.。出発〜〜〜〜〜。

ぴーぴーぴーぴーぴー

・・・

・・・・
・・・

ここは・・・・

どうやらミスで北のほうに出てきたみたいだ。。。


わぁぁぁぁぁぁぁ
あぶない!!!
ひひ〜〜〜ん。「誰だ!」

ああああああの・・・僕たちはその・・・。

わしの名は公孫讃。字は伯珪。ぬしたちは?

僕ドラえもんです。のびたデス。オレハじゃ慰安。僕すね尾。阿多氏静かチャンです。

旅の物か?
はい、ちょっと迷ってしまったみたいなんです・・
ほうそれはそれは・・。

わしの家に招待しよう。着いてきなさい。
わぁぁぁl。すっごい。大豪邸だ〜〜〜
320のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/27 00:46
適当に食事を済ませる。管亥から貰った金で二人のための装飾の派手な鎧や服を買っているところだ。
「管亥さんは元は黄巾賊だっけ?」
「いや、違う・・・管亥さんと呼ぶのはよせ。靖進(せいしん)でいい」
オーダーメイドゆえ、体の大きさを測ってもらいながら管亥は答える。

姓は管、名は亥、字を靖進。
のちの世の評価からは考えられないほどの武人ぶりであると出木杉は感じた。
出木杉にとって戦いは手段である。 しかしこの男にとっては戦いとは目的であった。
戦うために生き、戦って死ぬことを望む・・・そういう男である。
この時代珍しいタイプの人間ではない。
しかしその戦いに対する思いの体積、密度はかなりのものであることは見て取れる。、


「靖進、この金はどうやって手に入れたの?」
「かつて賊をしていた。 それを辞めた手切れ金のようなものだ」
「ふぅん」
しばらく考えるような顔をし、やがて靖進は言う。

「おそらく…あんたに会わなかったら俺はまた賊にでもなっていたんだろうな」


測ったサイズよりも大きめに作ってほしいと出木杉は仕立て屋に言った。そう成長して何度も作り直すのも面倒だし金がかかるからだ。
321出木杉  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/27 00:47
靖進(管亥)と出会い十数日後、ようやくできた絢爛な鎧を着込んだぼくらはは夜。 古寺を訪れた。
たいした理由なんかないが、気持ちに踏ん切りをつけるためのものだ。
一度天をめざしたからには後には引かない。そんな二人の門出を祝うようなものだった。

適当なところで腰をおろし、酒と干し肉を出して二人で食べた。
僕は酒なるものを始めて飲んだ。思いのほかまずいものではない。
ふと空を見上げた、きれいな星空だった。
「あれは・・・」
―何か意味があるのだろうか―
星の流れでわかることなどあるのだろうか。僕には知らないことが多すぎる。

しかし、知らないことは知ればいいのだ、今からでも遅くはない。

そう

まだ始まったばかりだ。 先は長い。
しかし、必ず天下を取る。そのために生きる。

その言葉は深く深く、僕の胸に刻み込まれた。
322しずか  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/27 00:47
三国志のゲームに入ってみたけど。どうやら故障したみたいで戻ることができない。
たしかここは平原と言う街に来るようにセットしたはずなんだけど・・・なぜかここは山の中だった。

あたしどうしたらいいの? ドラちゃん。
そんなことを考えていた。

「ほや、なにをしておる」
ふと、後ろで声がした。
「どなたですか?」
「ふむ、人に名を聞くときにはまず自分から名乗ると言うのが・・・」
「あたし、しずかといいます」
「何を隠そう、わしは許ショウというものじゃ」
と、言われても誰だかわからない。
あたしは三国志はさらっと読んだだけだから。

「して・・・わしはじゃな、人相を見るのが得意なんじゃよ」
「人相? 顔占いですか?」
「まあそんなもんじゃ、これも何かの縁、どれどれみせてみよ」

その人はわたしにこう言った。
「なかなかの相、波乱に満ちた人生になるだろうて」
そういうと、ふところから出した紙に一筆したため、
「向こうの方角にひたすら行くと家が一件ある、そこの老人にこの手紙を見せよ。しばらくそこの厄介になるがよい」

なにもあてがないあたしはその方向へ行くしかなかった。
323しずか  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/27 00:48
歩く事数日。ふらふらになってたどり着いたそこはなかなか見栄えのよい家である。
しずかは戸を叩きながら言った。
「もしもし誰かいますか」

しばらく待つと老人が一人で出てきた。
「ほうほう遅かったのう」
「え、遅かったって…?」
「まあええ、手紙のこともわかっとる」
「は、はぁ」



老人は自称、それはそれはすごい人だったらしい。
家の地下室にある書庫をみれば一目瞭然である。

しずかはそこにある書を読んだり、武術書を見ながら独学で体を動かしたりしていた。


許ショウのいう「波乱に満ちた人生」が何のことかはよくわからないまま、しずかはここで暮らしている。
用は当てがないからなのだが。
324ジャイアン  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/27 00:48

やってきたぜ三国志の世界に!
俺は三国志を読みながらずっとこう思ってたんだ。

ああなんて俺は不幸なんだ、生まれてくる時代を間違えた。三国志の時代に生まれていれば!
ってな。もちろん今、その夢はかなったんだが。

俺がこの三国志体験ゲーム「ギゴショック」で指定したのは
西暦194年
洛陽北50キロ。
もちろん俺様、武力100!
これで・・・グヘヘ。
思う存分三国世界を堪能してやるぜ!!

ふと、目の前に目つきの悪い大人が・・・三人・・・いや四人?
黄巾賊ではなさそうじゃん、黄色い布つけてねえもん。でも・・・なんか悪い人だってのはわかる。
どろぼうかなんかだろうよ。

「なんか食いもん持ってねえか?」
「来たばっかだからなんもないぜ」
「何も持ってないって・・どうします?」
「見られたからにゃ生かしちゃおけんなあ」
「なるほど、それもそうっすね」

なにやらこっちにじりじり近寄ってくる。
へ、いい度胸じゃねえか。
逆らうものは死刑!俺はおもむろに木のそばに駆け寄った、そして抱くようにして木をつかむ。
「おりゃ――――――――!」
あれ、抜けないぞ? 武力百なのに・・・。
おかしいな・・・と思い俺はポケットからギゴショックカード(いろいろな情報が載るゲームの付属品だ)を取り出してみる。


通信機能不能
帰還機能不能
セーブ機能不能
ロード機能不能
なお、変更した能力値はデフォルトに戻ります。


あわわ・・・どうなってんだ!?
せまりくる悪人に俺は・・・逃げた。
325ジャイアン  のび犬スナイパー ◆nobiF2XA :02/05/27 00:49
はぁ、はぁ・・・。
もう走れねえ・・・。
後ろを見てだれも追ってこないことを確かめ速度を落とす。

しかしまたなんでこんなことに。
おれは三国志の世界に来て…それで、それで。
「いたぞ!」
後ろで声がした。
俺はまた走り出した、後ろを見るとみんな剣や槍などを持っていた。

どどどどーなってんの、おかーちゃーん!!


逃げる俺は前を見て愕然とした。
敵の一人が棒を持って待ち伏せしていたんだ。

えーい、ままよ!
俺は思い切ってその男に体当たりした。
相手は俺の意外な行動に戸惑い、もろにそれを受けた。

よし、この隙に逃げよう・・・としたとき。俺は足をつかまれて転んだ。
さっき体当たりをした男がすごい顔で俺をにらむ。
怒ってる・・・いやそれを通り越した殺意みたいなものを感じた。

俺はそいつに腹を殴られ倒れ、頭を踏まれた。
俺は死ぬ。そう思った。
ああ・・・かあちゃん。俺は・・・。

何度も踏まれ、蹴られ続けていた。
ふと、指先になにか感触があった。これは・・・あいつの持っていた棒?

そう、そいつに触れて思い出した。
棒術の師。イシマル先生のことを。
326無名武将@お腹せっぷく:02/05/27 01:04
管亥に許ショウ・・・
個人的にマイナーキャラが大好きなので、のび犬スナイパーさんの作風はすごくうれしい!
327しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/27 01:23
新シリーズはじめさせていただきます。
皆様、また宜しくおながいいたします。
328しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/27 01:25
  のびすぎ・一
「うわあああん!」辺りに響き渡る声。
「足痛い、疲れた、お腹すいた、喉渇いた、もう歩けないいいい!」
大きなめがね、涙と涎と鼻水まみれのだらしない顔。のび太である。
「のびたくん!あんまり大きな声だしちゃダメだよ!」
それを小声で咎める知性的で目鼻立ちのきりりとした顔。出木杉だ。
「だってぇ、もうだめだあ、三日間も飲まず食わずで歩きっぱなしだもの」
「仕方ないじゃないか、いつ何時襲われるかわかったもんじゃないんだよ?」
「いーやーだ!もう歩けない!ボクもう絶対動かないぞ!」
そう云うとのび太は傍の木の下にどっかり座り込んでしまった。
「そんな聞き分けの無い・…」
「お腹すいたよお、ラーメン食べたい、ジュースが飲みたい」
仰向けに倒れこんで喚き散らしている。
出木杉は溜息をついた。
これで何度目だろう、のび太の駄々こねは。

タイムマシンで三国時代にタイムスリップする。
のび太の一声から始まった夏休みの時間旅行。
だが、不意の事故でこんな事になってしまった。
気が付くとドラえもんたちは消えていて、出木杉とのび太の二人が取り残された。
それについて出木杉ものび太もはっきりした記憶が無い。
荒くれ者の集団―多分盗賊か何かだろう―に襲われたことまでは二人も覚えて
いたのだが、それから何があったのかとんと見当がつかない。
ショックで記憶がとんだのだろうか。
タイムマシンで最初についたのが黄巾党の乱の頃だ、それからジャイアンが劉備三兄弟
と呂布の討ち合いを見たいと言い出したから反董卓連合と董卓軍の争う虎牢関へ向ったのだった。
移動の途中の洛陽。そこで事故が起こった。
出木杉が気が付くと、洛陽は火に包まれており、人々が兵に取るものもとりあえず追い立てられていた。
つまり二人が気絶している間に虎牢関の戦が終わり、そそくさと董卓が長安への遷都を始めたわけだ。
そして出木杉たちも例外なく他の人々とともに長安へ連行されたのだった。
329しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/27 01:26
 のびすぎ・二
二人は隙を見て脱出した。
兵達の横暴が目に付き、身の危険を感じていたからだ。
だが、さりとて逃げ出したはいいが安全とはいえない、盗賊や獣の類を避けなければいけないのだから。
それよりなにより行く当てがないのだ、千年以上前の中国大陸。どこへ行けばいいというのか。
全くのどん詰まりに、流石の冷静沈着な出木杉にも焦りがみえていた。
そして出木杉のもう一つの蹉跌。
―野比のび太。
正直出木杉にとってのび太は足手まといでしかなかった。
まず体力がない、気力がない、意気地がない、先の展望がない、知能がない。ないないづくしなのだ。
すぐべそを掻くし、休みたがる、怯えているのにそのくせ切迫感がない。
で決まって駄々をこね始めてしばらく其の場にとどまってしまう、遅々として進まない。
ただ、その気持ちを表に出すことは彼には出来ない。
彼は、出木杉 英才。クラス一の人格者、優等生なのだから。

出木杉はどうせならば荊州に行こうと考えて始めていた。
そこならば、これから先の戦乱の時代に、しばらくは安寧を見出せるだろうと考えたのだ。
文治主義の権化たる劉表が徹底して戦を遠ざけ、この時代稀に見るアカデミズムを作り上げた荊州ならば。
そしてあわよくば、出木杉が初めてタイムマシンに乗り、三国時代にきた目的の一つ。
諸葛亮・孔明。この時代のスーパースターに会いたかったからだ。
―しかしそれには・…
出木杉は寝転がってむくれているのび太をチラッと見た。
―まだ時間が掛かりそうだな・・・・
330無名雑兵:02/05/27 03:49
>>253

「本当は、戦国乱世にジャイアンあり、と大暴れしてやりたいところだが、まあガマンしといてやるか」とジャイアン。
「ま、孫権が歳を取るのを待ってるなんて、とてもできないからね。しょうがないや」こちらはスネ夫。
「えぇ〜、やっぱり蜀を助けられないの?それじゃ孔明さんがかわいそうだよ」イマイチ諦めきれていないのび太。
「まったく、のび太君ったらそんな事ばっかり言って」ドラえもんがたしなめる。

「とにかく」話が進まない事を懸念する出木杉が口を開く。
「明日さっそくこの辺りの村を廻ってみないかい?」
「そのためにも今日はみんな早めに寝ることにしようよ」そう言って締めくくる。
「そうね、そうしましょ」しずかが同意し、みんなもうなずいた。

日はようやく沈んだばかりであったが、もう寝ることとなった。


馬を走らせる一団がある。
その数およそ50騎。いかにも敗残の軍といった様相だ。
どうもこの先にある城を目指しているようだ。
その城は名を「麦城」という。
331無名雑兵:02/05/27 05:38
>>330

先頭を行く男がどうやらこの一団を率いているようだ。
かなりの大男で赤ら顔、脇に携えているのは青龍刀だ。
見事な長く美しい髭を蓄えたその姿は、得も言えぬ威厳を醸し出している。
知らぬ者が見ても名のある将であると思うであろう。

馬を走らせながら会話がなされている。

「将軍、あれが麦城でござる」
「ふむ。確かにずいぶん古い小城のようだな」
「それにいたしましても呂蒙、いや呉は許し難いですな」
「ぬう、まさか曹賊どもと結んでワシの居らぬ荊州を襲うとは…」
「どうも麋芳殿、傅士仁殿も既に呉に降ったようにござります」
「あの腰抜けどもが! これまで苦楽を共にしておきながらあっさり降るとは、麋竺殿が嘆いておるわ!」
「ともかく麦城にて態勢を整えましょう、父上」
「うむ、敵はまだしばらくは追い着かぬであろう。城で小休止じゃ!」

日は既に落ち、夕闇が辺りを包んでいた。
332無名武将@お腹せっぷく:02/05/27 15:58
関羽〜〜〜

じゃな。ばいばい。

孟達は援軍を出さずににげだした。
>>314
61回
 いかに猛将とはいえ、1000の部隊で100万相手に決戦を主張するほど張飛はおろかではない。
 新野放棄は当然の措置として決定され、張飛らは退却の準備を急いでいた。
 問題が発生したのは、その前後のこと。
 新野の長老が「一緒に襄陽へ連れて行ってほしい」と張飛に懇願してきたのだ。

「駄目だ駄目だ!おぬしらを連れて行くなどまかりならん!」
「あまりに無慈悲な仰せ……曹軍来たれば、女子供に至るまで皆殺しにされてしまいます!」
「心配いたすな。いくら曹操とはいえ、さような非道に走るものか」
「何をおっしゃいます、将軍!徐州にて曹操が犯した行為をお忘れか!」
「そういやそんなこともあったな……だが駄目だ。おぬしらを連れて行けば、行軍の速度が極端に鈍る。受けずともよい損害を受けては、大兄に申しわけがたたん」
 そんなやりとりが交わされているところへ、ドラえもんたちが通りかかった。
 長老は、すがるような表情でドラえもんに懇願した。
「どうか…どうかドラ様からもお願いくださいませ!我らをお守りくださいませ!」

 長老は話した。
 曹操軍が新野に入城すれば、そこに住まう民はすべて殺されるに違いない。劉備様の軍は襄陽へ退却すると耳にした。ぜひ我々も連れていってほしい、と。
 10年ほど前、曹操は徐州の民約10万を虐殺する事件を起こしてる。
 その話は中国全域に広まっており、「漢室をないがしろにしている」と並んで、曹操と対立する勢力が曹操を罵倒する際の決まり文句として頻繁に使用している。
「殺されるなんてかわいそうだよ。張飛さん、一緒に連れてってあげて」
「お願い、張飛さん。この人たちを見捨てるなんてあんまりよ」
 のび太としずかが張飛に頼む。
 しかし、頼まれた張飛は素っ気ない。「聞けぬ」と一言だけ発し、首を振った。
 しずかに惚れ込んでいる張飛とはいえ、部隊の生き死にをかけた問題となれば、話はまったく別だ。
 ジャイアンとスネ夫は張飛に賛成した。民衆を伴っての退却行など、考えただけでもゾッとする。
「出木杉さんはどう思うの?ねぇ、この人たちを見捨てるなんて言わないわよね」
 すがるように出木杉に話しかけたしずかは、思わずギョっとした。
 出木杉の顔は、能面のように無表情だった。
 しずからに「ちょっと待ってて」と告げると、出木杉は張飛を少し離れたところに誘い、何か話しかけた。
 苦虫を潰したような張飛の顔色が変わった。ポンと手を叩く。
 やがて、出木杉は長老の元へ歩み寄り、優しく告げた。
「張飛将軍も納得してくださいました。一緒に襄陽へ向かいましょう」
「おおおっ、ありがたい!出木杉様、本当にありがとうございます!」
 長老は出木杉の手を握った。
 出木杉はぎこちなく笑った。
第62回
 ドラえもんたちと張飛率いる1000の兵は新野を放棄、主君・劉備のいる襄陽へと向かった。
 その移動速度はひどくのろい。
 新野の民を引き連れての退却行ともなれば、それも当然のこと。
 群集には女、子供、老人など、体力の弱い者も多い。

 群集の最後方を進む出木杉のもとへ、ジャイアンが馬を走らせてきた。出木杉と轡を並べる。
「おう、出木杉。ホントに良かったのかよ?」
 民に聞こえないよう、ジャイアンは小声で話しかけた。
 対する出木杉の口調には、不機嫌さが溢れている。
「いいもなにも…一緒に行きたいって言うのを見捨てるわけにいかないだろ」
 珍しいことだが、新野を放棄してからの出木杉は、万事この調子だった。
「まぁおまえの言うことだから、信じてはいるけどよお」
「信じているなら、何度も同じことを言わせないでくれよ」
「……すまねぇ、すまねぇ!忘れてくれ!」
 不満と不安の色は消えていなかったが、ことさら明るい口調でペロリと舌を出したジャイアンは、馬に気合を入れて前方へと走っていった。
 乱暴者のジャイアンも、出木杉だけには一目置いている。
 なんといっても共に馬を駆り、曹操軍との死闘をくぐり抜けた仲なのだ。

 共に死地を駆け抜けた戦友―それは出木杉にとってももちろん同じこと。
 だが今の出木杉は、戦友の後ろ姿を見ることができない。
 彼は嘘をついていた。
 いや、大事なことを話していなかった。
また、イイところで「次回に続く」ですかぁぁ
いつも楽しみにしてます。
次が待ち遠しいよ!
>>335
 1日1〜2本をノルマにしているのですが、なかなか…
 末永くお付き合いくださいネ。
分かっております・・・わがままを言いました。
お体に気をつけて、末永く頑張ってください。
応援しております!
338連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/27 21:55
――夜。幕舎の中で孫策達が楽しそうに話をしている。
ここは荊州。孫堅は洛陽で玉璽を手に入れエン術の命により劉表を攻めている最中だ。
しずかは心底後悔していた。孫堅に洛陽に行くことを止めるように言ったのだが
「しずかは心配性だな!ははは」
と言われてしまった。まあいい、孫堅の一人歩きさえ阻止すれば…。
しずかは孫堅の死を防ぐため辛い従軍に志願した。
「今ならまだ間に合うぞ?」
そう何度も気を使ってくれる孫策の言葉も聞き飽きた。
しずかは今、孫堅を探している。
「あの…殿はこちらにおられますか?」
孫策達が談義している幕舎に入っていった。
「あ〜?父上なら今頃一人で散策されてるだろうよ。それよりしずか殿も一杯やらないか?」
ほろ酔い気分の孫策がしずかを見上げながらいった。
しずかは孫策の言葉を聞いて顔から血の気がひくのを覚えた。
(ま、まさか…)
「どこに…どこにいかれましたか!?」
孫策の肩に手を置き、ガクンガクンと揺さぶる。
「う…、気…気持ち悪い…しずか殿…」
今度は孫策の顔が青ざめていく。しずかは乱暴に孫策を突き放すと見張りの兵から剣を奪い孫堅の下へ走った。
339連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/27 21:57
もうどれくらい走っただろう。
しずかは大きく息をしながら漆黒の闇を駆け抜けた。
途中、木の根に躓く。しかし痛くはなかった。走らなければ…孫堅のために…大好きな男の父のために…。
走ること十数分。人影が見えた。孫堅だ。同時に草むらの方を見る。不自然に蠢く草はどうしても風ではない。むしろ満月が眩い…風一つない夜…。そう、とても綺麗な夜だった。
「お義父さまッ!!!」
しずかがそのまま孫堅に跳びつく。同時に矢が空を切った。
地面にもんどりうつ二人。
「むッ…。なんだ…?」
うつ伏せになる孫堅の鼻を甘い匂いがくすぐった。
―これは、しずかに上げた香の匂いではないのか?
「しずか!?しずかなのか!?」
とっさに孫堅は隣に転がるしずかを抱きかかえると青くなった。
「ううっ…お義父さま…よかった…」
蚊の鳴くような声で答えるしずか。だが不自然なほど息を荒げていた。
月明かりに照らされたしずかをよく見ると、足に矢が刺さっていた。そして手元には剣が転がっていた。それらを見た孫堅は全てを理解した。
落ちていた剣を拾い、立ち上がる。剣にはしずかの温もりがまだ残っていた。
「そこの者!隠れてないで出てきたらどうだ?」
孫堅は自分でも驚くくらい冷静になっていた。
愛するものを傷つけられた怒りが孫堅を支配していた。
再び草むらが蠢く。
矢が音も無く孫堅に向かって放たれた。
「甘いわ!小童ども!」
孫堅は矢を全て叩き落とした。そう、自分に向かってくる矢は…。
「ああう!」
しずかが何ともいえない声をあげる。
右腕に数本、しずかの着物を朱にしていた。
「しずか!」
孫堅はしずかを気づかいしずかの前に屈む。
それがまずかった…。
340連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/27 21:58
「今だ! ありったけの矢を放て!」
初めて敵が声をあげる。
もうよけきれないと判断した。孫堅はしずかを抱きしめた。
せめてこの娘だけは守ろう。我が息子の嫁だけは守ろう。
そう思う前に自然に体が動いていた。
「う、うおおおおおおおお!!!」
孫堅の背を次々と矢が襲う。何本も…何本も…。しかし矢は孫堅の背を貫いたものの、孫堅の固い意志までは貫けなかった。
「お、お義父さま!」
しずかが精一杯の声で話かける。目には涙が浮かんでいた。
「泣くでない…しずかよ…。おまえには笑顔が似合っておる…」
孫堅はしずかの涙を指で拭ってやった。
「そんな…お体に…矢が…」
嗚咽をもらすしずか。
「気にするでない……ぐッ」
孫堅は吐血した。吐いた血液がしずかの顔に降り注ぐ。
「おお…しずか…すまない…せっか…くの…綺麗な顔が…台無しだ…」
「かッ構わないわ!お義父さま!死なないでえ―――!!!!」
「息子を……伯符を…たの……む…」
手に握られた刀が力を失い、地に落ちた…。
しずかの絶叫が満月の夜に響いた。
それはとても綺麗な夜だった…。
341連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/27 22:01
しずか編 しばらくお休みします
呉郡攻略戦までお待ちあれ!
ここのスレを見るともれなく孫堅が好きになれます。
良スレ!
しずか連環もう全然面白くないよ。
なるべく作品以外の書き込みは専用BBSにしたほうがいいと思いますが・・・
ジャイアンは棒を掴むと男の股間に棒を打ち込む。
相手がひるんでいる隙に立ち上がり頭を殴る、倒れたところをさらに追い討ちをかける。
数回叩きつけたところに後続の三人がやってきた。
彼等は動かなくなった味方を見て驚いた様子を見せた。

三対一、大人三人に対して子供が一人。
しかし賊の三人は油断はしなかった。仲間が一人やられているのだ。

「小僧、よくも俺たちの仲間を・・・」
「生きて帰れると思うなよ!」
「死ねい!」
ドスの聞いた声だった。しかしジャイアンは三人を見たまま動揺する様子はない。無表情だった。

悟られないようにしている、しかしジャイアンは怯えているのだ。

戦うということに。自分の身を守るということに。
ガキ大将の俺は、みんなから疎まれ蔑まれ続けていた。
わかるんだよ近所の、郷田さんちの息子はどうとかこうとか。

お前はいい目をしている・・・そういわれた。
イシマル先生だけだ、大人で俺を理解してくれたのは。

信じろ、俺、信じろ、学んだこと。 そして俺自身を。
ここで死んだらイシマル先生に教わったことが嘘になっちまうもんよ。
おれは吹っ切れたように大声をあげた
「こい! 俺様がギッタンギッタンにしてやる!!」

にやりと笑った敵がほぼ同時にこちらに突っかけてくる。

―来やがれ!―

俺は一人の攻撃を伏せるように避けた。

攻撃の後、体が泳いでいるところに俺は棒を叩き込む、こめかみの辺りだ。

そのまま崩れ落ちるやつを尻目に俺は敵の一人に駆け出す。

相手は仲間に一瞬気をとられたようだ。俺は棒の長さを利用しみぞおちを突く。

―まだまだ!―

さらにおれはそのあと鼻の下の急所「人中」を突こうとした。失敗して突いた棒は口の中、喉の奥を突き抜けた。

抜けねえ、刺さった棒が抜けねえ。

残った一人が手には剣を持って俺にじりじりと近寄ってきた。 が、急に顔色を変えた。


「おしかったな、あと一人だったんだが・・・」
その声は…イシマル先生!?
振り返るとそこには、一人の男が立っていた。
「い、イシマル先生!? ・・・いや、違う?」
「おまえの戦い見せてもらった・・・」
男は残った一人の賊を一刀両断した。
「お前はいい目をしている・・・強くなりたければついてこい。」

似ていた、似すぎていた。イシマル先生に。
おれはかつて失った先生の面影を見たからか。一緒に行くことを決意した。


それがおれと夏候淵先生の出会いだった。
夏侯淵!カコ(・∀・)イイ!
たしかに。面白くない
なら見なけりゃええやんw
ここは作品発表の場をメインに使いたいので、
感想やご意見などはこちらの専用BBSにどうぞ。

専用BBS
http://jbbs.shitaraba.com/sports/2068/
おもしろくない理由を言ってもらったほうが職人さんにはいいと思われ。
352連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/28 21:48
ボクってほんとついてないよね?
あの夏侯惇って人の目を矢で貫いてからロクな事ないよ…トホホ…
あれから三日ほど追いかけられたなあ…。我ながらよく体力が持ったもんだ…。
小学校にいた時なんてクラスで一番遅かったのになあ…。馬で追いかけられてよく捕まんなかったよ…。関心関心、ははは…。
ここどこだろう?無我夢中だったからわかんないや。
お腹減ったなあ…。
あの時、ラーメンの汁のんどきゃよかったなあ…。
そういえばどうしてこの時代にいるんだっけ?
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チ―ン。
そうだ!これも僕のワガママから始まったんだっけ?
今思いだすと恥ずかしいよ…ほんと…。
タイムマシンから降りた時、イナゴの大群に襲われたのが痛かったなあ…。
ドラえもん、とっさにどこでもドア出すから何処にタイムマシンの穴あるかわかんなくなったんだよなあ…。
で、喧嘩してる時に黄巾族に襲われたんだよなあ…。
はあ…。 
皆無事かなあ?
ドラえもん大丈夫かなあ?きっとドラ焼きが食べたい!って言ってるんだろうなあ…。
ジャイアン…。今ジャイアンの歌聴きたいくらいだよ…。きっと感動して泣いちゃうなあ…。
スネ夫…。あいつはズル賢いからきっと生きてるよ…うん。
そしてしずかちゃん…。ボクの未来のお嫁さん…。他の人好きにはなってないといいなあ…。ボクは子供2人作ちゃったけど…。
あとボクの子供2人…。お父ちゃんはもう帰れないけど元気でやってくれよ…。

ふぅ…。疲れたなあ…。

あッあの旗は…もしかして張繍さまの軍じゃないの?
助かった…。味方だあ…。しばらく厄介になろうっと。
353連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/28 21:48
>>351
何が面白くない理由?
354連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/28 21:49
あと次回 虎牢関一騎打ち
こうご期待!
>>334
第63回
 騎馬武者・出木杉が、力なく歩く民衆の最後方をしずしずと進む。
 不安と恐怖に怯える彼らにとって、唯一といえる頼もしい光景。希望の星。
―ほらごらん、あの方が出木杉様だよ
―ああして後ろから、わしらを守ってくださる
―ありがたや
―ありがたや
 退却の最中だ。わざわざ後ろに下がってまでして、出木杉に語りかける余裕はない。
 ただ、思い出したように振り返っては、自分たちを守ってくれる℃癜錘メの姿をそこに認め、安堵の吐息とともに再び歩き出す。
 民からの最大限の感謝の視線。
 出木杉はそれをまともに受けることができない。
 その視線に必死に耐えているうちに、襄陽城の城壁が視界に入ってきた。
 出木杉の計算通り―歴史通り―曹操軍は追いつけなかった。
 民の間から歓声が上がる。
 だが、出木杉は知っている。
 間もなく、これが悲鳴に変わるのだ。
 味方であるはずの劉表軍からの矢によって。
 そして、悲劇はそれだけに終わらないのだ…。
 だがその惨劇が起こる前に、出木杉はもちろん、張飛らにとっても想像外の光景が目前に広がっていた。
 城の前に数千の兵がたむろしていた。
 ちょうど城から出てきたところらしく、城門がゆっくりと閉じられている。
「大兄?……なんだ、一体どうした?」
 行軍の先頭を進んでいた張飛が素っ頓狂な声を上げ、脚速を上げる。
 城前に集まった約4000の兵は「劉」と大書された軍旗を掲げている。
 劉備の軍旗だ。
第64回
「おおっ、張飛か!久方ぶり、と言いたいところだが…その民衆たちはいったい何だ?」
 目を丸くして張飛の前に現れたのは、美髭公・関羽。
 目を丸くしているのは張飛も同じだ。
「曹操が怖いとか言ってついてきたんだよ!それよりもこの軍容はどういうことだ?まさか新野への援軍か?新野放棄の早馬は送ったはずだぞ」
「あの小城で100万と戦うための援軍?ゾッとする話だが…」
 関羽は苦笑しながら、そしてため息をつきながらかぶりを振った。
「実はそれよりも状況は悪い。何といっても襄陽から追い出されている真っ最中なのだからな」
「な……に?」
「張飛さん!いったいどうしたの?」
 ドラえもんたちも駆け付ける。
 呆然とする張飛の横で、関羽は懐かしそうな顔をしてみせた。
「おお、ドラ軍の諸将方…息災か」
 重傷の劉備が襄陽へ退いて以来の再会だが、ドラえもんらの活躍は襄陽にも響いているのだろう、関羽の表情は柔らかい。
「追い出されたって…どういうことなの?」
 スネ夫が顔を引き攣らせて尋ねる。
 ようやく一息つけると思っていたのに、とてもそんなことを期待できる雰囲気ではない。
「おお、これはドラえもん殿とその御一行!久しぶりだな!」
 妙に間の伸びた、愛敬のある、そして重みの感じられる声がした。
「大兄!……もう歩けるのか?」
 呆然としていた張飛の表情が歓喜で弾けた。
 後の蜀皇帝・劉備が、松葉杖を付きながらこちらへ歩いてきた。

―これならもう少しで…
 わけのわからない状況ではあったが、劉備の姿を見てドラえもんたちは少しホッとした。
 けがの経過は順調なようだ。
 これなら、間もなくバトンを劉備に渡せる。
 渡してしまえば、後は簡単だ。
 何とか倭の国にわたって、壊れたタイムマシンを設置すればよい。
 21世紀の日本へ帰れる!
 だがそんな儚い希望は、それから間もなくして、文字通り儚い夢へと変わる。
「何をボヤボヤしておる!即刻立ち退けというのがわからんか!」
 城壁の上から大声が響く。
 振り向くと、1人の武将が劉備に向かって叫んでいた。
「佞臣が…」
 苦々しげに劉備がつぶやいく。
「関羽将軍、あれは?」
 出木杉の質問に対し、関羽はその名を口にするのも嫌な顔をした。
 唾を吐くように関羽は答える。
「蔡瑁。兄者の言う通りの佞臣よ」
第65回
「亡き劉表様の命を奉じて新野の守りに就きながら、私事でもって職守を離れる!さらには留守部隊も曹操軍に恐れをなし、勝手に城を捨てて逃げてくる!わしの危ぶんだ通りじゃ!劉備、そなたは疫病神以上の何者でもない!」
 蔡瑁の声が響く。
「命を取らぬは武士の情なれど、いつまでもこの地を離れぬというのであれば、ひとつ忠告しておいてやる!わしの堪忍袋は残念ながら長くはない!」
 罵倒された劉備は、怒りで身を震わせながら、蔡瑁を睨み付ける。 蔡瑁の周りには、おびただしい数の兵が弓をつがえていた。
「殿、ここは忍耐にございます!速やかに江陵へ!」
 趙雲が素早く劉備に告げた。
 その声に、劉備も少しは落ち着いたようだった。
「うむ……しかし、この無念はいつか晴らしてみせようぞ」
 だが、「今すぐ」その無念を晴らそうとする男がいた。
 もちろん張飛だ。
「蔡瑁!劉皇叔は劉表閣下の同族にして、荊州の要たることを知らずや!何の理あって皇叔にかような仕打ちを致すか!返答次第ではただではおかぬぞ!」
 蔡瑁の返答はすぐになされた。
 数百本の矢となって。
 新野から逃げてきた民衆は、助けてもらうはずだった襄陽の兵が放つ矢で、次々に倒れていった。
 そしてその内の1本が、全快目前だった劉備の腹に深々と突き刺さった。
358しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/29 00:12
 のびすぎ・三
のび太は全く動く気配がない。
こうなってくると梃子でも動かないと心に決めているらしい。
「ねえ、ここでじっとしててもお腹は満腹にならないよ。早くどこか人気のあるところに行かないと」
出木杉がいくら言い聞かせても、のび太は「やだ」といってそっぽを向いてしまう。
ムカッとする、出木杉は理の通らない人間に腹がたって仕舞う性分だが、ここで怒ってもしょうがないと堪えた。
「ドラえもん、早く来ないかな。なにやってるのかしら」
のび太はそう呟く、これもまたいつもの口癖だった。
―ドラえもんがこないと、ドラえもんがいてくれたら、ドラえもんが…
二言目にはドラえもん、だ。いったいのび太という人間はドラえもんがいないと何も出来ないのか。

自覚がなさ過ぎる。
いや、それはドラえもんを含めたみんながそうだった。戦乱の三国時代に来るのだから余程の覚悟が必要ではないか。
なのに、護身用器具もアウトドア用品も準備してこない、まるでちょっとした国内旅行だと思っているとしか考えられない。
出木杉は行くときちゃんと、食料や水などの必要な道具をリュックに詰めてもってきた。
それをジャイアンやスネオ達にからかわれたのだ。
―大層な荷物だな、いらないぜそんなの。
―そうそう、ドラえもんが全部用意してくれるからね。
―気楽にして良いんだよ、心配しないで
それがどうだ、この状態はどうなんだ?出木杉の道具がなければこの二人は間違いなくのたれ死んでいただろう。
他の皆は生死も定かではないのだ。
それより腹が立つのはしずかのことだ、女の子をこんな危険な場所に普通連れて行くのだろうか。
ドラえもんは皆を保護する監督責任があるにもかかわらず、気楽に構えていたのだ、ふざけている。
359しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/29 00:14
 のびすぎ・四
大体何なんだ、あのロボットは、青い狸とか言われてるらしいが狸どころかどう見たって異形のモノにしか見えない。
それが人間の言葉を喋るのだ、それも人外としか思えない声で。
で、未来から来たとか言っている。出木杉には理解不能だった。小一時間問い詰めたいぐらいだ。
そのうえ彼の存在をのび太の両親をはじめ殆どの人が簡単に受け入れているのだ。
理解不能だ、出木杉は悩んだ、初めて三日間学校を欠席してしまったほどだ。
若しかしたら何か特殊な電波を使って皆を洗脳しているんじゃないか、などと電波な妄想まで出てくる始末だった。
しかし今では彼も皆と同じくドラえもんの存在を受け入れているのだった。
閑話休題、そんな事はどうでもいい。
兎に角もう何もかもだらしがなさ過ぎる。それでいて、強硬に自分の意見を言わないまま唯々諾々とついて来てしまった
自分にも出木杉は猛然と腹が立っていたのだ。

「さあ、いい加減いこう!」出木杉は気を紛らわせる為に大きな声で言った。
「やーだー」のび太は出木杉の懊悩を知る由もなく、相変わらずだった。
「何回も行ってるでしょ、ここにいたら余計に危険なんだよ」
「けど、疲れた」
―それは僕だって同じだ!
「死にたいの?」
「死にたくないよ、そりゃあ。けどこれ以上歩いたら死んじゃうよお」
「そのくらいの疲労で死ぬわけないじゃないか、そんな情け無い事言わないでさ」
勤めて明るい顔で、自信に満ち溢れた顔で言った。自分がしっかりしなければ。
「あのさあ」のび太は膨れ面で起き上がった。じっと出木杉をにらむ。
「なんだい?」
「偉そうに指図しないでくれる?」刺のある響きだった。
「・・…へ?」
「なんか、やーな感じ」
出木杉は頭が真っ白になった。なんだ?何故こんな悪意を向けられなくてはならないんだ?
そういえば確かにのび太とは余りなじみが無い、しかし今の言葉はそれ以上のものがあった。
―こいつは僕を嫌っている・…
だけど、今ここでそんなこというなよ!
気づくと出木杉の拳がのび太の左頬に飛んでいた。
数日後、俺は師匠(先生とは呼ぶなと言われた)の紹介で曹操に会うことになった。
なにやら時間がないとかで別なやつも一緒に・・・ということだ。

その俺と一緒に曹操にあうやつは意外にも、おれと同い年くらいのやつだった。
体が小さくてきゃしゃな感じがする。もやしみたいなやつだ。
そいつとともにさっそく曹操の部屋に入る。
「失礼します」
「こんちゃ」
と、もやしと俺はあいさつした。
しかし部屋の中央に座っているやつは俺らがあいさつしても黙ったままだった。こっちを見やしない。
「お目にかかれて光栄にございます」
「おうよ」
俺らがそういってもなんだか巻物でも読んでるのか、何を言っても聞いちゃくれない。

黙って立つこと数分。ついに俺はキレた。
「てめえ俺らがあいさつしているのにそっちはなんで何も言わねえんだよ!」
「曹孟徳ともあろう人がそのような人だとはおもいませんでした」
「俺、もう帰るもんよ」
「失礼させてもらいます」
俺らが部屋を出ようとしたとき。目の前の扉が開いた。
扉から入ってきた男を見て、ジャイアンはしりもちをついた。
だからといってその理由は怖いという感情ではない、ジャイアンの感じたそれは尊敬という言葉が一番近かった。
もやしのような少年もなにやら目の焦点が定まらないようである。

人が巨大に見えるとはこういうことか。
ジャイアンの中の冷静な部分がつぶやく。
さっきそこに座っていたやつは違う。
―――こっちが本物。 本物の・・・曹操様―――

少年の心はすでに感服している。
一目見ただけでどうしてここまで、心を崩されるのか・・・

曹操。
壮大、偉大。雄大。
武に優れ、智は湧き出でる泉の如し。
すべてのものを兼ね備えた、まさに乱世の奸雄。

それが、今・・・目の前にいる。

歯を食いしばり冷静さを取り戻したジャイアンはすぐさま立ち上がる。
「俺はジャイアンです!」
頭を下げてそう言った。そして遅れて。
「私はジュンイクです!」
と言う声が部屋に響き渡る。

「曹操だ」
と言うと先ほどまで部屋にいた男(どうやら曹操のかわりに書を鑑定していたらしい)を外に出してその席に座った。
「話は聞いている。ジュンイクに・・・ジャイアン」
少年のような顔で曹操は言った。

――論ずるに、術がござらぬ――
のちに董卓の将、華雄がいう言葉。
曹操を表現する最も的確な表現。


曹操を知るに手っ取り早いのは曹操を体験することであろう。
百聞は一見に如かず。まさにそれである。

ジャイアンはそれを体験したのだ。
「はー、すごい人だったもんよ」
「フン」
「フンってなんだてめえ、俺を馬鹿にしているのか?」
「馬鹿も何も…お前に曹操様の凄さがわかるのか?」
「わかるに決まってんだろ!」
「ではそれを十文字以上二十文字以下で説明せよ」
「ええと・・・うーんと・・・」
「どうした」
「すごいすごいすごいすごいすごいすごいすごい!」
「二十一文字だ、馬鹿とは話したくないんで失礼させてもらうよ」
ジャイアンは何も言い返せずジュンイクとわかれた。

「ああくそ! 腹が立つ!!!」



夏候淵のもとに帰り、曹操に会ったことを伝える。
「只者じゃなかっただろう?」
ジャイアンはうなずく。確かにすごい人だった。

「さて、準備をしろ」
「え? なんの?」
「近々いくさがある。その訓練だ」
「どこの国と?」
「馬鹿、黄巾賊だ」

曹操と会ったその日から、夏候淵のもとジャイアンは猛特訓を開始した。
早朝から夕方までほかの兵隊と合同に練習。夕方より深夜まで夏候惇とマンツーマンで。
日々の厳しい訓練に耐る。
武の才能があるにつけ、なおかつイシマル、そして夏候淵の両師匠の教えがいいからであろう。
ジャイアンは恐ろしいスピードでメキメキと才能を開花していく。

ジャイアンの成長の早さを語る逸話がある。
ある日兵の練習風景をふらっと見に来た夏候惇がジャイアンの練習を見て
「ほう、あいつは少々粗削りだが見所あるな」
といった。
数日後またも夏候惇が練習風景を見たとき。運動しているジャイアンの後姿を見た。
「新しく来たやつか? 雑兵にしておくのはもったいないほどのすばらしい動きだ」
と、評した。それに対し夏候淵は。
「そいつは惇、あなたが見所があると言っていたあの少年ですよ」
といった。
「馬鹿をいえ。あれから二日三日であのような動きができるか。俺の目をあまく見るなよ」
そう言った矢先向こうをむいていたジャイアンがくるりと体を返し棒を振るう。
まさか数日前に誉めたやつだとは思わない夏候惇は、
「がっはっは、恐ろしいやつがいたもんだ!」
と言い、間違えた恥ずかしさを一生懸命ごまかしたという。



それから数ヶ月後。ついに曹操に黄巾賊討伐の命が下った。
みっちり鍛錬をつんだジャイアンはついに初陣を向かえることとなるのであった。
戦場、その名はエンセン。
黄巾賊最強の軍団がいるという、
かくある官軍大軍勢を敷いても決して落ちることはなかった・・・そこは地獄の激戦区。
ジャイアンの初陣はそこであった。

エンセンに程近く陣を張る曹操隊。ジャイアンもそれを手伝った。
今夜すぐに夜襲するという作戦である。
早いうちに体を休めるために作業は急いで進められた。

ジャイアンは曹操をみかけ、声をかけた。訓練を何度も見に来てくれ、あまつさえ声をかけてもらったこともある。
なにか、自分の意気込みを伝えたかったのかもしれない。
「おれがんばる!絶対頑張るもんよ」
「はっはっは、肩に力が入りすぎているぞ。気を楽に持て」
「もし曹操様を倒そうとするやつがいたらおれがギッタンギッタンにしてやる!」
そんなやりとりがあった。

「やあ、ひさしぶり筋肉だるま君」
その声には聞き覚えがある。
「ジュンイクか」
ジャイアンのこめかみに血管が浮かび上がる。
「このたび、このいくさで軍師の役目を任されることになってね。それの報告だよ」
「ああ、そうかいそうかい」
あの日のことを思い出し、ぐぐぐっと拳を握り締めるジャイアン。
「ああ、もしも一時の激情に流されて僕を殴ったりしたら…」
ジュンイクは自分ののどに手刀をあてて、
「死刑だからね。 あははははは、せいぜい僕の手足として頑張ってくれよ」
「てめえ!」
しかし、殴ることはできなかった。
初陣前に死ぬことだけは避けなければならない。
「それじゃあせいぜい生き延びてね、筋肉だるま君」
そういうとジュンイクは去っていった。


その夜、なかなかジャイアンは寝付けなかった。
考えることは初陣のこととジュンイクのことである。
ぼーっとしている間に、作戦開始の時間が来た。
俺は、騎馬に乗って隊列を組んでいる。
まもなく、曹操様から夏候淵師匠、そして俺たちへ進軍の命が下る。
そんなときでも考えるのはジュンイクへの怒りだった。

ふざけやがって、ジュンイクの野郎!
あのやろう、なーにが死刑だ。
「・・・・・・・・ン」
なーにが僕の手足になれだ。
「ジャ・・・・・・ン」
おれはお前のためには戦わねえ。
「・・・・・・イアン!」
おれは曹操様のために・・・
「ジャイアン!!」

俺は槍の柄で殴られた。夏候淵師匠に。
「ボーっとするな、いつでも五感を集中させろ!」
俺はハッとして、頭を下げた。
「師匠、すいませんでした」
そしてさらにもう一発。今度はふっとばされ馬から落ちた。
「ジャイアン!」
おれは「はいっ」と殴られた頬をおさえながら言った。
そんなおれを見下ろし、夏候淵師匠はこう言った。

「戦場で余計なことを考えていると、死ぬぞ」


その言葉を聞いて、俺はすっと落ち着きを取り戻した。
もう頭の中にはジュンイクはいなかった。ただ、敵、黄巾賊を倒すことしか考えなかった。
やがて進軍命令が下る。
みな一気にエイセン中央部まで騎馬を走らせる。
あと半分ほどで敵の陣付近と言うところで、不思議な光景が見えた。
夜なのになぜか敵陣が輝く赤に染まっている。
「火攻めか・・・」
夏候淵師匠が言った。
「別働隊だな。曹操はそんな司指示をだしていないはずだ」
「なら、誰がいったい」
「まあ待て、今斥候が見てきている」

新たな命令がとどいた。それは逃げる黄巾賊を討伐せよというものだった。


逃げる賊、挑んでくる賊。
どう戦ったかはあまり覚えていない、なんというか本能に従ったままだ。
いつのまにやら戦いは終わっていた。
やけにあっさりしていたが、戦いとは案外こういうものかもしれない、ジャイアンはそう思った。


俺はかなり遠くまで賊を追いかけていたせいか、ひどく苦労して本陣に戻る。
仲間の一人に聞くと先ほどまでなんとうちの陣に劉備が訪問に来たそうだ。
なんとあの火攻めも劉備の策だということ。
くそう、一目見たかったぜ!

帰ってきた俺を曹操様はねぎらってくれた。
おれは感謝の言葉をなんどもなんども曹操様に言った。
「おれ、もっともっと強くなるもんよ!」
「たのもしいな、これからも頼むぞ!」
俺は天にも上る心地だった。しかし、そのあとあいつがすべてぶち壊した。


あいつとは、もちろんジュンイクのことだ。
ジャイアンを見つけるとジュンイクは言う。
「やあ、生きていたのか筋肉だるま君」
しかし、ジャイアンは何も言わない。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あまりに戦いが怖くて口もきけなくなったのかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ちょうどよかった、君なんかね喋る必要ないんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「軍師の手足になって、ただ行動すればいいんだからね」
「・・・・・・・・れだけか」
「それに・・・うん? 何か言った?」
「・・・・・・・それだけか」
「聞こえないよ」
「いいたいことはそれだけか!」

ぽーんとジュンイクの体が浮く。
やがて、弧を描き・・・着地。というより墜落か。
なんのことはない、ジャイアンに殴られ吹っ飛ばされたのである。
ジュンイクは地べたに這いつくばって気絶したのである。



その後、いくさが終わり洛陽に帰ってきて十数日。経てども経てどもジャイアンがジュンイクを殴ったことについてはなんの通達もなかった。
殴ったあとになって少々ジャイアンはドキドキしていたのだが。

しかし、一通の手紙が届いた。

差出人、ジュンイク
題名、果たし状。

翌日、ジャイアンは指定された場所に赴く。

ジュンイクと雌雄を決するため!・・・と、そんな勢いで。
ここ初めて覗いたんですが、みなさん面白すぎです!
でも出来杉君ですぎかなぁ・・て
元ネタのほうのドラえもんの映画って、
事件を起こすきっかけ(その時代に興味を持たせる、等)になることは多々あっても
一緒に行動するってのは、少なくとも僕の記憶の中にはなかったなぁ、て思うんですよね
369368:02/05/29 13:06
っとぉ!
改めて自分のカキコみてみたら
正史正史、て正史にこだわりまくってる人達の事思い出してしまった!
すいませ。スレ汚しでした。逝ってきます・・・
>>357
第66回
 うめき声を上げて崩れ落ちる劉備。
 その周りにはさらに矢が降り注ぎ、関羽と趙雲が慌てて間に割って入る。
「おのれ、蔡瑁!」
「関羽殿!今は殿の御身をお守りいたすが先決ですぞ!」
「ぐむむ……是非もなし、兄者を馬車へ!」
「承知!」
 矢を振り払いながら、関羽と趙雲は傷ついた主君の体を運ぶ。
 一方、張飛は完全に頭に血が上っていた。
「腐るところまで腐り切った匹夫がぁ!そのそっ首今すぐ刎ねてやる!全軍、城門をぶち抜けー!」
「張飛!状況を見ろ!今はこの場を離れるのじゃ!」
「こんな仕打ちを受けて、おめおめと逃げられるか!」
 その時、途切れなく放たれていた矢が弱まった。
 そして城内からは、明らかに戦闘のものと思われる怒声が聞こえてきた。
 いぶかしむ間もなく、音を立てて城門が開かれ、1人の武将が躍り出た。
「蔡瑁、張允ら売国の賊の所業、天人ともに赦すべからず!」
 仁王立ちになった武将が叫ぶ。
 張飛に引けを取らない大声だ。
「待たれよ、劉皇叔!いざ城内へ入られたまえ!」
 武将の姿を認め、張飛が歓喜の声を上げた。
「おおおお!魏延か!」

 義陽の人、魏延。字は文長。
 数百の兵を任された部隊長である。
 腕には自信がある。彼なりの信念もある。陰謀少なからぬ蔡瑁を嫌っている。そして劉備を敬愛している。
 となれば、この時彼が取るべき道はひとつだった。
 一刀のもとに城門の兵を切り捨てると、配下に開門させ、大音声で呼ばわる。
「劉皇叔、いざ早く!ただ今より、襄陽は皇叔の城にござるぞ!」
 そこへ1人の将が目を怒らせて迫った。劉表軍の武将・文聘だ。
「魏延!血迷うたか!」
「その言葉、倍にして返す!何の故あって、人民に徳厚き皇叔に矢を放つか!」
「劉表様の御遺言である!」
「浅慮、話にならず!これは御遺言にあらず!佞臣・蔡瑁の謀略となぜわからぬ!」
「黙れ、この謀反人がぁ!」
 大剣を抜いた文聘が怒声を発しながら魏延に切りかかり、魏延は槍でそれを弾き返す。
 それを契機に、城門付近で荊州軍の同士討ちが始まった。
>>368
出木杉は趙雲や張遼の知力がさらに上がったような万能キャラなので、何かと使いやすいんですよ(w
372無名武将@お腹せっぷく:02/05/29 17:56
保全age
373無名武将@お腹せっぷく:02/05/29 22:00
負けられん・・・負けられんのだ!
魏延キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
375しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/29 23:53
 のびすぎ・五
其の場が一瞬固まった。
余りの勢いにのび太はひっくり返ってしまった。
しばらく頬に手を当てぽかーんとしていたが、じわっと目に涙が滲んで来た。
「な、なにすんのさぁ・…」
「もういい加減にしてくれよ!」
出木杉は腕を振り上げて怒鳴った。
「ドラえもん、ドラえもんって、ドラえもんがいなきゃ何も出来ないのか!?こんなトラブルも
予測しないで危険な時代に来ておいて、全部人任せなのか?甘ったれるんじゃないよ、だらしなさ過ぎるよ!」
のび太はただあうあう口を動かすだけだった、出木杉がこんな激怒したのは初めてなのでショックだった。
あの冷静沈着、激する事がなかった出木杉が、唾を飛ばす勢いで捲くし立てている。
「偉そうに、ってなんだよ!いままで僕が言わなきゃ何も出来無かったじゃないか、洛陽から出るときも
しばらく食料があったのも、みんな僕任せだったじゃないか。僕がいわなければ何が出来たって言うんだ?
何が気に入らないんだよ!?」
その言葉にのび太もぎくっとしたようだった。
「準備も何もしない、危なっかしい所にためらいも無く降りてしまう、何かあるかもと思うのが当然じゃないか。
僕たちはまだ小学生なんだぞ!ドラえもんだってそうだ、それぐらい考えないでなにが心配しないで、だ、
それに!それに・・…」
ぐっと拳を握ると。
「しずかちゃんだっているのに」
それにはまた違った感情が見えていた。
自分はしずかを守れなかった、露骨に言えばしずかの安全がこの旅行の一番の気がかりだったのに。
そんな深刻なことになっているのに、こののび太という奴は弱音を吐くばかりでどうしようもない。
出木杉の怒りの一点はそこにもあった。
376しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/29 23:54
 のびすぎ・六
のび太は俯いてしまった、今までは何度も危機に会い、それを無事乗り越えてきた。
だんだん慣れてきたことは否めない。
それを第三者たる出木杉に指摘され、事の重要さに改めて気付いた形だった。
そして、出木杉に対する一寸した反感、嫉妬を言われた事も衝撃だった。
ただ、出木杉のしずかに対する微妙なニュアンスにまでは考えが廻らなかった。
気付いていれば、また違った感情が交差する事になるのだが、今ののび太には頬の痛みで
事を冷静に判断する事は出来無かった。
うううう・・・とうなだれたまま、のび太は泣いた、先ほどまでの「甘ったれた」涙とは違うものだった。

出木杉は拳の痛みを漸く感じて我に帰った、場を見やると自分のした事に気付いた。
「あ・…ご、ごめん。僕・…」
そう震えた声で言って、出木杉はのび太に手を差し伸べようとした。
だがのび太はその手を振り払って立ち上がった。
「ほんとにごめん、何でこんなことしちゃったのか」
出木杉の言葉の途中でのび太は反対方向につかつかと歩いていった。
「のび太くん!」
出木杉が追いかけようとする。のび太はごしごし目を袖でこすると、大きな声で。
「ちょっとおしっこしてくる。川があったから序でに顔を洗うよ」
「のび太くん・…」
「その後、出発しようね」
出木杉は去っていくのび太の後姿をじっと見て、どさっと地べたに座り込んだ。
377無名武将@お腹せっぷく:02/05/30 04:42
このあいだ、三国時代行ったんです。タイムマシンで。
そしたらなんか事故でドラえもん達とはぐれてしまったんです。
で、よく見たらなんか軍勢が集まってて、反董卓連合、とか叫んでるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、反董卓連合如きで普段来てない中原に来てんじゃねーよ、ボケが。
反董卓だよ、全員集合。
なんか親子連れとかもいるし。一家4人で義勇軍か。おめでてーな。
よーしパパ呂布と一騎討ちしちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、横山三国志見せてやるから熟読しとけと。
三国志ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
Uの字テーブルの向かいに座った袁術がいつ兵糧を遅らせてもおかしくない、
勝つか飢え死ぬか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。しずかちゃんは(;´Д`) ハァハァされてろ。
で、軍議が始まったと思ったら、隣の関羽が、酒は華雄を討ち取った後で、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、酒は華雄を討ち取った後でなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、討ち取った後で、だ。
お前は本当に華雄を討ち取りたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、デビューしたいだけちゃうんかと。
三国志通のボク、スネ夫から言わせてもらえば今、三国志通の間での最新流行はやっぱり、
孫堅、これだね。
呉の始祖孫堅軍師スネ夫。これが通の三国志ライフ。
孫堅ってのは英雄度が高めに入ってる。そん代わり寿命が少なめ。これ。
で、それに軍師スネ夫。これ最強。
しかしこれをやると次からスネ夫=呉とイメージされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前、ド素人は、このスレでも読んでなさいってこった。
>>370
第67回
 劉備軍を引き入れようとする者がいる。
 そして、これを拒む者がいる。
 荊州の大都市・襄陽は、その無防備な城内をさらしていた。
 大混乱のおまけ付きで。
 張飛は狂喜した。
 こちらの兵は少ないが、混乱に乗じて蔡瑁を斬り殺すことは十分に可能だ。
 そうなれば、情勢は一気に変わる。
「ジャイアン、出木杉、わしについてまいれ!」
「合点だぁ!」
 張飛の弟を自認するジャイアンも、声を弾ませる。
 しかし、張飛とジャイアンが馬の脇腹を蹴ろうとした瞬間、2人の前に立ちはだかる者がいた。
 出木杉だった。

「なんだぁ出木杉!邪魔するな!」
 ジャイアンが怒鳴る。
 出木杉はそれにひるむことなく、腹の底から声を振り絞った。
「将軍!今はそれどころじゃないはず!」
「それどころとは何だ、小僧!このような好機、二度とあるものではないぞ!」
「劉備将軍は負傷しているんですよ!」
「わかっておるわ!だからこそ城を落とすのだ!さすれば落ち着いて治療もできようが!」
「陥落できなかったらどうするんです!手後れになりますよ!」
「何をぉ!この程度の城、わしに落とせぬと申すか!」
「絶対に落とすと約束できますか!天に誓えますか!」
「くだらぬことを申すな!勝敗は時の運じゃい!」
「義兄の命を博打の元金にするつもりですか!」
「!………」
「今は劉備将軍の安否を……お願いします!」
「………」
「見ての通り、魏延さんが敵を混乱させています!これならしばらく追撃はないはず!今しかありません!」
 張飛はうめき声をあげた。
 二度とあるとも思えない好機と、かけがえのない義兄の命。
 天秤にかけるものでないことは承知しているが、無視するにはあまりにも大きな獲物だった。
「張飛殿!殿を乗せた馬車が出発した!お早く!」
 趙雲の叫び声で、張飛は己の心に踏ん切りをつけた。
 馬首を返す。
 だが、やはり未練は隠せない。
 上半身を襄陽城に向け、無念さを爆発させる。
「なぜだ!……なぜわしらは…こうも運がない……!」
第68回
 魏延は、荊州へ流れ込んでから日が浅い。
 その膂力を認められ、ほどなく数百の部隊を任されるようになったものの、それでも数いる部隊長の一人に過ぎなかった。
 文聘は魏延よりも格上の立場にある。
 曹操軍襲来を控えるこの大事な時期、内部からその結束を崩そうとする動きを見て、文聘は強い怒りを覚えた。
 そして、騒ぎの張本人が魏延と知り、鼻を鳴らした。
―魏延か……小者が煩わしい真似を!
 だが、ほんの一太刀交えただけで、文聘は己の認識を改めざるを得なかった。
 たかが部隊長クラスと侮っていたが、この男、相当できる。
 いや、はっきり言って自分より強い!
 魏延のすさまじい槍をかわすのが精一杯で、とても部隊の指揮など臨めない。
「どうした文の字!その程度の腕でよくも将軍を名乗れたな!」
 魏延は文聘の馬の首筋を、つま先で力いっぱい蹴りつけた。
 馬が暴れる。文聘は慌ててしがみついた。
「ほうれ!思う存分駆けて行け!」
 哄笑しながら、魏延は馬の尻を槍で突き刺した。
 馬は悲鳴を上げ、見当違いの方向へと走っていく。
 こうなると文聘も制御のしようがない。

「口ほどにもないわ…」
 槍を一閃して魏延。
 彼は500の兵を任されていた。
 何の予告もない突然の謀反劇(本人は謀反とは思っていないが)だったにもかかわらず、そのほとんどが魏延に従い、つい先ほどまで味方だった荊州軍と戦っている。
 あるいは家が隣り合っているなど、身近な者同士で刃を交えている兵もいるかもしれない。
 だが、戦っている。俺が命令したから。
 そう考え、魏延は自分の兵を掌握する力に自信を持った。
 とはいえ、兵数が少ないのは事実。
 戦場は城内、城門付近。決して広くはない。
 だからこそ五分近くの戦いを展開しているのだが、それにも限界がある。
―劉皇叔は?
 とりあえず文聘を撃退して余裕ができた魏延は、門の外に目を転じ、そして自分の目を疑った。
 劉備軍はいなかった。
 代わりに、数百人の民がオロオロと逃げ回っているだけ。
 訳がわからない。
 こんな好機、そうあるものではないはずなのに…
 だが、劉備軍が消えた理由について考えている余裕はなかった。
 先刻まで味方だった現在の敵は、次々に兵を繰り出して、魏延隊を押しつぶそうとしている。
「やむなし!……ずらかるか」
 思い切りの良さも、軍人としての魏延の美点。
 すぐさま馬首を返し、城門を突破していく。
 ただし、配下の部隊には何も指示は送らなかった。
 一緒に逃げ出せば、必ず追撃隊が出てくる。
 自分が安全圏へ逃げるまで、兵には時間稼ぎをしてもらわなければならない。
 魏延は全力で駆けた。
 振り返ることはしなかった。

 魏延はここで過ちを犯した。
 劉備がどこへ落ち延びたのかわからなかったが、同じく逃げる民衆を追っていけば、いずれ劉備に追いつけるものと考えていた。
 しかし魏延が目印とした民衆は、方角を完全に見失い、自分たちがどこへむかっているのかもわからない状況にあった。

 決して善人とはいえない、しかし極めて有能な武将。
 一面だけで評価することのできないこの男は、後に蜀最後の猛将として歴史に名を馳せる。
 彼が歴史の表舞台に再び登場するのは、この日から約2年後のことである。
魏文長〜!!
スネ夫の台詞の前には是非
 買jコ
  (゚Д゚ )
を付けて下さい(w
382スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/31 00:14
のび犬スナイパーさんと内容がかなりダブることになると思いますが、
一応、別の話としてお読みください。
383スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/31 00:47
>>310
曹操編 第二回

鈍い音と共にジャイアンの持っていた戟が空中に舞い上がった。

「踏み込みが甘い!そんなことで敵が倒せると思っておるのか。」
夏候惇の鋭い叱咤が飛んでくる。
ジャイアンが曹操と夏候惇に拾われてから1ヶ月余り、その間ジャイアンは
夏候惇から徹底的に武術の訓練を受けていた。

「ひぃ、ひぃ、俺・・もう・・だめ・・。ちょっとタンマ。」
ジャイアンが息を切らしてその場にへたり込む。その様子を見て夏候惇は大
きくため息をついた。

「もういい、今日はここまで。見張りに行け。」

ジャイアンは大きく息をつくと後ろに寝転がった。

「なあ、惇兄、いつになったら戦に出ていいんだ?」

ジャイアンは従軍するようになってから、ずっと見張りや飯炊きなどの雑用
ばかりやらされていた。それらの仕事はほとんど危険は無かったが、やはり
ジャイアンも男の子。戦の度に華々しい手柄を立てる曹操や夏候惇を見て血
が騒がないはずがなかった。
しかし、「戦に出たい。」と言う度に「10年早い。」と却下され続けてきた
ので今回もあまり期待はしていなかった。

「明日、この地方の賊の主力に対して攻撃を仕掛ける。その時、わしの槍持ち
 として連れてってやる。」

「ま、ま、マジ!?本当に?やった!」

「早く見張りに行かんか!」
ジャイアンは飛び上がって走っていった。


384スネ雄 ◆a2dRUG0o :02/05/31 01:05
>>383

ニヤニヤしながら歩いていると誰かが話しかけてきた。

「たけし、なんだかずいぶんご機嫌だね。」
「おう、辛か。たりめーだ、なんせこのジャイアン様がついに歴史の表舞台
 に躍り出るんだからな。」

辛はジャイアンと歳が同じぐらいの少年である。ジャイアンと同じように
黄巾賊に襲われた村で途方に暮れていたところを曹操に拾われていた。
2人は何かと気が合い、よく一緒に雑用に回されることもあって、とても仲
がよくなっていた。

「聞いて驚け!俺は明日、ついに戦に出るんだ。」
「ああ、それなら僕もそうだ。」

辛の言葉にジャイアンの目が点になった。
「は?」

「だから、僕も明日の戦に参加する・・って、たけし?」
辛はうつむいてブルブルと震えるジャイアンを怪訝そうにながめた。

「だーー!!てめぇ!!辛のくせに生意気だぞ!」
喚きながらジャイアンは逃げる辛を追いかけまわした。

「なんで、怒るんだよ〜〜。」
「うるせーー!!」

この後、2人は夏候惇から仕事をさぼったことで大目玉を喰らった。
385しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/31 01:24
 のびすぎ・七
―大きな川だなあ
のび太の目の前には今まで見たことの無いほど広い川が流れていた。
飲めそうに無い茶色の水が悠々と流れ、所々木片や草が浮かんでいる。
ちょっとこれでは顔を洗う気にはなれない。
そんな事をぼんやり考えながら。のび太は川の流れを眺めていた。
じんじんと出木杉に殴られた頬が痛む。
だがのび太は、常日頃ジャイアンの理不尽な暴力に晒されているので左程こたえてはいない。
それよりは精神的な打撃が痛みを増幅させていた。
ショックだった、出木杉の罵倒一つ一つがのび太の心を打った。
それに対して反駁する事も出来無かった。全てが至極尤もだったからだ。

のび太は出木杉が嫌いだった。
勉強が出来、スポーツも万能で、ルックスもいい。
性格は明るく、聡明で誰からも頼られ、何でもそつなくこなす。
全く自分と正反対だった。
それが言い様もなく不条理だった。出木杉の存在自体がのび太を否定しているように感じた。
しかもしずかと仲がいい。しずかはのび太と会っているときよりも出木杉のほうが嬉しそうに見えた。
しずかは未来で自分と結婚するはずだ、なのにこの光景を見ると自信がなくなってしまう。
ドラえもんが言っていた。「その人の行動で未来が変わる事もある」と。
ジャイ子と結婚するはずだったのを、ドラえもんとの出会いでしずかと結婚する事になった。
だったら、出木杉と結婚するように変わるかもしれないという事だ。絶対ならないとどうしていえよう。
だから、のび太は出木杉を嫌った、疎んじていた。
386しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/31 01:25
 のびすぎ・八
―けど、今はそんな事を言っているときじゃないよね。みんなを探して、無事に現代に帰らなきゃ。
この一件で、のび太の出木杉を見る目が変わった。彼の感情の発露が完璧人間のイメージを
緩めさせ、のび太の心の鬱屈をだいぶ和らげたようだった。
泣いてばかりいられないのだ。未来の許婚を助けずに怖気づいてなにが男か。
二人で協力して事にあたらなければならないのだ。
「よぉーし、やるぞォ!!」
のび太は目の前の流れにむかって叫んだ。
そしてブルッと一震えした。
「あーおしっこおしっこ」
ファスナーをおろして盛大にじょぼじょぼやった。はああ、と恍惚の表情を浮かべる。
茶色い水に黄色い水が落ちていくさまを何気なく見ていた。
すると、なにやら水面が盛り上がったようになった。
「・…え?」
それはゆっくりと浮かび上がってきた。
「ギニヤァァァ!」
それは顔だった。髭を生やした傷だらけの男の顔、死んでいるのか目を瞑っている。
のび太は逃げ様にも尿が止まらないので動けない。
そうしている間にものび太の黄金水は男の顔に間断なく注いでいく。
「臭い!」
男はくわっと目を開けた。そしてがっしと水際に手をかけた。
漸くタンクが空になるとのび太はモノをしまわず、振り回しながらこけつまろびつ逃げていった。
387しずか連環 ◆lysLIIeg :02/05/31 01:29
のびすぎ・九
「んあ!何だったんじゃこの水は、温いし臭う、おかしな味じゃ」
男はずるずる陸に半身ほど上がるといぶかしげに顔をぬぐった。
「しかもあの童、面妖な装束をしておったな」
のび太の後姿を見やりながら男は呟いた。
―しかし、あの童のお蔭で命拾いしたか…
すると男は自分の足を誰かが掴んでいる事に気付いた。
疲労と傷の痛みを堪えて引き上げてみると。
「おお!子廉!」
そう云って引き上げた男の頬をべしべし叩いた。
「うう・…、あ!曹操殿、ご無事で・…」
「なんと、おぬしが徐栄からの追撃からわしを助けてくれたか」
曹操と呼ばれた男はそう云ってぼろぼろ涙をこぼした。
「殿、その御姿、某が不甲斐ないばかりに…」
子廉(即ち曹洪)という男も嗚咽を漏らした。
「何をいうか、お主はわしの恩人世に並びなき忠心者よ」
しばらくすると数人の騎馬武将が近づいてきた。
「ここにおわしましたか殿!ご無事で何より!」
「元嬢!妙才!子孝!お主たちも何も無かったか!」
曹操は曹洪を抱えあげるとよたよた部下達に寄りかかった。
―しかしあの童、気になる。もう一度会いたいものよ。
疲労困憊した頭で曹操はそう思っていた。そして手を振りかざすと。
「さあ行くぞ!我等は連合軍の中で唯一義を示したのじゃ!」
と意気揚揚と叫んだ。
息荒く寄りかかっていた曹洪がひくひく鼻を動かした。
「何か臭いますな」
>>381
上手いな。その調子でのび、ドラ、剛田、しずの分も頼む(w
作者の皆さん!
「見知らぬ国のトリッパー」とヤフーかなんかで検索してください!
トリップが任意のものになります!スネ雄さんなど、
「suneo」も可能になります!
>>379
第69回
 劉備軍は、新野の民ともども襄陽にたどりついた。歴史通り。
 劉備軍は、襄陽入城を許されなかった。歴史通り。
 劉備軍は、蔡瑁指揮する荊州軍の攻撃で遁走した。歴史通り。
 そしてそう遠くない未来、もっと大きな惨劇が起こる。それもまた、歴史通り。
「歴史通り……歴史通り……歴史通り」
 馬上の出木杉は、呪文のようにその言葉を繰り返している。
 出木杉の周囲では、恐怖で顔を引き攣らせた新野の民衆が、必死に劉備軍本隊を追っている。
 彼らの多くは、間もなく命を落とすことになる。やはり歴史通り。
 その原因のひとつを作ったのは、ほかならぬ出木杉自身だ。
 だからこそ、出木杉は死に行く民衆を守るように馬を進めている。
 自己欺まんであることを承知しながら。
 歴史通り
 崩壊しそうな精神を唯一支えているその言葉を、出木杉はつぶやき続ける。
「歴史通り……歴史通り……歴史通り」
 
 新野放棄直前―。
 ともに襄陽に連れていってほしいと懇願する新野の長老と、それを拒否する張飛。
 その現場に出くわした出木杉は、すぐに張飛を連れ出し、説得した。
「劉備将軍の襄陽での立場は弱いのでしょう?だったら、新野の民衆を一緒に連れて行くべきです。民衆の数は兵士の数に比例しますから、劉備将軍の発言力もきっと大きくなるはずです」
「そして、曹操から民衆を守ったという評判は、今後劉備将軍が行動する上で、大きな影響力を持つでしょう。義の将軍≠ニして」
「もしも曹操軍に追いつかれても………結果的に民衆が壁になります。兵の損害は最低限に押さえられます」
 張飛は情に厚い男だ。
 ただしそれは、心を許し合った極めて狭い範囲の人間に対してのみ注がれる愛情であって、兵や民衆に向けられる種類のものではなかった。
 出木杉の進言を、張飛は聞き入れた。
 彼は出木杉のことを、「頭が切れる」と褒めた。
 もしこの話をのび太らが聞いていたのなら、出木杉に投げかけられたののは、張飛とはまったく正反対の言葉と眼差しだっただろう。

 自分は、歴史の流れを守るために考え、決断し、行動した。
 決して新野の民を生け贄にするのではない。
 こうすることが、自分の務めなのだ。
 出木杉は、自分自身を洗脳しようとしていた。
「歴史通り……歴史通り……歴史通り」
第70回
 のび太たちがたどり着く前に、いったい襄陽で何があったのか。
 小休止を取っている間に、劉備の養子・劉邦がのび太らに説明してくれた。
 ドラえもんに踏み潰されて負傷した劉備が襄陽に避難した時、荊州刺史・劉表はすでに臨終の床にあった。
「もっとも重要な時に、我々は襄陽にいたわけだが…」
 武将の苛烈さより、温和さの方を強く感じさせる劉邦は、ポツリポツリと話した。

 刺史・劉表には、2人の息子がいる。
 長男の劉gは、劉備と良好な関係にある。
 次男の劉jは、劉gの異母弟。劉jの母・蔡婦人の兄は蔡瑁だ。
 元々、劉表の後継者は長男・劉gとなっていたが、それを覆そうとする蔡瑁一派の陰謀が活発化していた。
 蔡瑁にしてみれば、甥にあたる劉gを後継者とした方が権力の強化につながる。
 蔡瑁らの陰湿なイジメ≠受けた劉gが逃げるように江夏へ赴任すると、蔡瑁は妹の蔡婦人らを通じて、しきりに劉gを後継者とするよう劉表に働きかけた。
 病気が進み、判断力が無くなりつつあった劉表は、どうすればよいのかわからなくなった。
 劉備が襄陽へ転がり込んできたのは、ちょうどその時期だった。

「劉表殿は、何度も義父上をお呼びになったのだ。義父上もけがを押してそれに応えようとなさった。だが、あの蔡瑁めが…」
 劉表は劉備を信頼している。
 後継問題について、劉表が劉備に相談しようとしたのも当然のことだった。
「いや、義父上と劉表殿の信頼関係から考えれば……劉表殿が義父上に、荊州を譲ることだって考えられた」
 しかし、そんな夢は実現しなかった。
 それ以前に、劉備は劉表と会うことすら叶わなかった。
 蔡瑁一派の妨害のためだ。
「いつもの義父上であったなら、蔡瑁など討ち払ってでも、劉表殿の元へ赴いたであろう。しかし、けがも癒えぬ状況ゆえ…」
 結局、一度も面会する機会を得られぬまま、劉表は他界した。
 すぐさま劉表の遺言として、劉gを後継者とする旨が発表された。
 同時に、荊州へ進軍中の曹操に降伏することも。
 孫権の父・孫堅を討ち取った実績を持つ萠リ良が、劉備に告げた。
「劉j様は、同じ劉姓同士で相討つことをお望みではない。直ちに襄陽より退去されたい」
 暴れん坊の張飛がそこにいれば、あるいは状況も変わったかもしれない。
 だが、盟友の死に打ちひしがれていた劉備は、その通達を受諾した。
 失意の劉備は、関羽、趙雲以下4000の兵を引き連れて、襄陽城を出た。
 ドラえもん一行と張飛隊は、ちょうどその最中に襄陽へ到着したのである。

「さあ、そろそろ出発するぞ」
 関羽が声を上げた。
 兵が難儀そうに腰を上げる。
 ちょうどそのころ、曹操の第一軍と第二軍が襄陽へ到着した。
 劉jの降伏を確認した第一軍大将・曹仁と第二軍大将・張遼は、顔を見合わせた。
「荊州降伏となれば……如何する?劉備軍を」
 曹仁の問いかけに、張遼は短く答えた。
「追うのみ」
>>391
 訂正です。
誤)すぐさま劉表の遺言として、劉gを後継者とする旨が発表された。
正)すぐさま劉表の遺言として、劉jを後継者とする旨が発表された。
 
劉備の養子は劉邦でなく劉封です。伍長殿。
>>393
ま……またやりおったか……不覚!
395連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/31 23:24
お金持ちの、ボンボンの、「四世三公」なんてほざいてる男が総大将となり、董卓に牙を剥いた。
彼らの士気はそれはそれは凄まじく、今や猛将呂布(ジャイアン)の守る虎牢関にまで押し寄せた。
「呂布将軍!味方が押され始めています!このままでは虎牢関が落とされるのも時間の問題です!」
窓から外の戦況を伺う呂布(ジャイアン)に兵士が報告した。
「・・・・・・・」
しかし、呂布(ジャイアン)は外を見つめたまま微動だにしなかった。
「あの…将軍?」
兵士が怪訝な顔で呂布(ジャイアン)を見る。無言の呂布(ジャイアン)から発せられるプレッシャーは尋常ではなかった。
旗色が悪いのを報告をしたからか?たかが戦況を報告しただけで機嫌を損ねたのか?
このままでは殺られるのか?まがりなりにも目の前に立ってる男は天下無双。どうあがいても勝てる訳がない。気分を沈めるために自分は死ぬのか?そんな悪い方向にばかり考えている兵士に呂布(ジャイアン)は意外な言葉を口にした。
「せ 赤兎をひけ…」
「はーッ!」
兵士は満面の笑みで部屋を出て行った。
396連ドラ ◆Am7DdtsA :02/05/31 23:25
「来る!なんか来る!」
兵糧を積んでる車に寝そべった劉備が叫ぶ。
傍らにいた関羽と張飛が軍の先に目をやる。
連合軍が、人間の塊が、不自然に持ち上がり、血が噴出した。
その中心部から一体の人馬が飛び出してくる。馬は見たこともないような、真紅の体をしていた。男は8尺はあるかというような体躯であり両手に槍を携えていた。その槍からは切り捨てた人間の血が尾を引きまるで赤い翼のように思えた。
先ほどの荒々しい跳躍とは裏腹に呂布(ジャイアン)は優雅に着地した。
その場にいた兵士が敵味方問わず息を飲む。
「ヒュオオオオオオ…」
呂布(ジャイアン)が空気を吸い込みながら辺りを見回した。
「ヒイイイイ!」
「お〜れは〜ジャイア〜ン!天下無双〜!!」
この世のものとは思えない大音声が響く・
呂布(ジャイアン)の戦慄が布陣を切り裂いた。
うずうずうず…。
「旗揚げの祝いじゃ!そのボロ旗をあやつの首級で飾ってやるわい!」
張飛が馬を走らす。劉備がはっと起き上がり叫んだ。
「だめだだめだだめだ!関さん関さん関さん!だめだ!益徳が死ぬ!止めてくれい!」
哀願な表情で関羽にすがった。
「益徳とどまれい!あの敵はこの雲長に譲ってくれい!」
劉備が関羽の襟袖にしがみつく。
「関さんでもだめだ!あの敵は異常だ!異常を数倍にしたもんだ!…それにオイラたちとは違う匂いがするって第6感がいってるんだよ!」
劉備が感じたのは呂布(ジャイアン)が未来からきたため、出来杉と同じ匂いがしたのだろう。
しかしその匂いはあまりに微弱であり、また戦場を縦横無尽に駆け回るその姿は恐怖を与える武神にしか見えなかった。
「長兄…。あなたの徳の器は計り知れない!それに敬意を表して私の武の器をお見せしよう!」
関羽は背後の旗持ちを見た。
「劉旗を拝借いたす!」
関羽は馬首を呂布(ジャイアン)に向けた。
397曹操の覇業:02/05/31 23:47
>>247

汝南を攻略した曹操は、呂布によって奪われた失地を回復すべくエン州に向かった。


 しずかの進言は完璧に当った。
 セツ蘭、李封は完全に不意をつかれ、あわてて城を出て防戦にあたるものの
 あっというまに蹴散らされる。
 そしてボク陽向けて落ちて行こうとする途中、李典・呂虔らが射殺したのである。
 こうして曹操はエン州をとり返し、さらにボク陽にせまって行った。
 呂布はエン州を失った、さらに曹軍せまると聞いて 「もう一度とり返すだけだ。」
 と応戦の構えである。
 陳宮が呂布に提言した。
「お待ちくだされ。 まずは兵をまとめ大将を集めるのが先決でございますぞ。」
「わが輩は呂布である。 誰が来ようとも関係あるものか。」
 呂布は陳宮に向かって強がる。
 そして 「開門!」 と、言うやいなや飛び出して行くのであった。


呂布一人が戦場の中、踊るように駆け抜けてゆく。
戦況がまるで変わった。
呂布の画戟の一振りごとに呂布軍は、精強さを増していく。 

  
「万夫不当とは呂布のためにある言葉に違いない。」
 曹操が諸将を顧みため息まじりに言う。
 その曹操の言葉を聞いたジャイアンはいてもたってもいられない。
 うなり声をあげて呂布に向かって突進して行く。
「待て! ジャイアン」
「たけしさん, だめよ、今はまだ・・・」
 スネ夫としずかが止めようとするが、ジャイアンは構わず突き進み
 兵卒を蹴散らし呂布の前に踊り出た。
 

呂布は突っ込んで来たジャイアンを目前にして呼ばわった。

「俺は呂布、字は奉先。」
 威圧しにかかったのである。
 だが、ジャイアンは意に介さず槍を高くあげ、そして呂布に槍先を向けて吠えた。
 呂布は 「こしゃくな!」 と思いつつも一騎討ちに応じたのだった。
「ゴルァ!!」
 ジャイアンが呂布の頭を狙い、突く。
 さしずめ威嚇といったところだ。  
 呂布はその一撃を際どく受けとめた。
 そして聞く。
「貴様、名は?」 
 


呂布はジャイアンが自分同様に、武神が憑いているという事を悟ったのであった。


398曹操の覇業:02/05/31 23:47
呂布からエン州を取り返した曹操は、その勢いのままにボク陽の城に攻め寄せていた。


 名乗れといった呂布の顔つきが変わったことに気付いたジャイアンは、槍を真一文字
 に掲げ呂布を見据えた。 
 そして歯を剥き出して言う。
「我こそは20世紀のガキ大将にして、美声をもって将来世界のミュージックシーンに君臨する
ジャイアンなるぞ!!」
 咆哮してすぐに呂布に飛びかかる。
 呂布も応戦する。
「オラァ!」
「ゴルァ!!」
 五十合、百合と打ち合うが接戦で決着がつかない。
 が、少しずつだがしだいにジャイアンは押されぎみになる。
 その理由はジャイアンには分かっていた。
 馬の差である。
 呂布の騎乗は馬中の赤兎、千里を駆ける馬と称されている。
 このままじゃヤバイな。 
 業を煮やしたジャイアンが勝負にでることを決意する。
「ゴルァ! グォルァ! グゥゥオォォルゥァァ!!」
 必殺の無双乱舞である。
「くっ、ならば」
 呂布も無双乱舞、そして激しい鍔迫り合いである。


後方でこの一騎打ちを見守っていた出来杉・スネ夫は、呂布と伍して戦うジャイアン
に頼もしくも心強くも思っていた。 
だが。


「スネ夫君、どう思う?」
「やばいかも。 あの赤い馬とジャイアンの馬じゃ性能が違いすぎる。」
 二人は顔を見合わせ意を決してうなずく。
 そして急いで助太刀に向かったのだった。
「ジャイアン怯むな!」
「あきらめるな」
 呂布は前方に二騎の新手を認めた。
 が退こうとはしなかった。
 なぜなら赤兎に跨っているからであり、いざとなったら一ムチいれればいいだけだと。
 そう考えた。



人中の呂布は馬中の赤兎をどこまでも信頼しているのであった。
399曹操の覇業:02/05/31 23:48
ボク陽の城を攻める曹軍は呂布を今、まさに追い詰めているのであった。


「呂布、このスネ夫の眼に捉えられた者は明日がない事をしらないか」
「この出来杉がいる限り天下は曹操孟徳と共にあることを知るがいい。」
 出来杉・スネ夫は左右から呂布を攻めたてる。
 ジャイアンも疲れを見せず槍を突き出す。
「ゴルァ!」
「シャッ シャッ シャッ ホゥ」
「ママ−ン」
 出来杉・スネ夫の助太刀で3方向から圧迫するが、呂布にはいまだ余裕があった。
 ジャイアンの馬は赤兎との何度ものせめぎあいで消耗し、使い物にならなくなっていたし
 また、赤兎馬の強さ、俊敏さはけっしてジャイアン等に完全に取り囲ませること
 はなかったのである。
 

しずかはジャイアンに続いて出来杉達まで行ってしまった事で考えを変えた。
今、呂布を討っとかないと後に禍を残す事になる。
逆にチャンスだ、と。


 しずかはすぐに曹操から賜った名馬、双黄飛電に飛び乗り呂布を討つべくさらに助太刀に
 向かったのである。
 そのしずかの行動を見ていたドラえもんが曹操のもとに近付く。
「呂布は4人目に囲まれれば必ず城に逃げようとします。わたくしに精兵をお与え下されば
先回りしてボク陽の城を落として見せましょう。 今、城には陳宮だけしかいないはずで、
呂布が4人にかかりっきりになっている時が好機です。」
「むむ・・なるほど」
 曹操が納得する。 
 さらにドラは続ける。
「呂布はボク陽城に入れないと分かれば定陶の城に向かうはず。その道に伏せ勢を置けば
一網打尽でしょう。」
 ドラえもんの献策はすぐに実行に移された。
 ドラえもんは精兵500を率いボク陽の城へ向かい、楽進・李典は定陶方面に伏せたのである。




こうしてボク陽攻略のしたごしらえが着々と整いつつあるのだった。
400曹操の覇業:02/05/31 23:50
ボク陽の攻略の糸口を見つけた曹軍はその準備を整えつつあった。


 曹操はジャイアンに続き出来杉・スネ夫さらにしずか・ドラと続々と活躍
 するのを目の当たりにして、いたく満足していた。
 だがその気分をぶち壊す者がいる。
 のび太のことである。
 まるで落ち着きなくかさかさ動きまわり、何故かキョロキョロしている。
 そして意味なく転んだりもする。
 非常に目障りである。 
 何故お前はチョロチョロ余の視界に入って来るのか、何故そんなまぬけ顔なのか
 、と小一時間と言わず自害するまで問い詰め・・・・
 そう脳裏によぎりかけた時、のび太と目があった。
 曹操がやさしく話しかけてやる。
「足下は皆の様に先陣を争わないのか?」
「せんじん?」
 まるで要領を得ない。
 貴様の頭はかざりか?かぼちゃか? 小一時間・・・と、思いつつも堪えて聞き直した。
「汝は戦に出ないのか?」
 さっきよりは厳しい調子で問う。
 のび太は先ほどとはうって変わったかのような曹操の態度に、恐れをなしたが
 半ベソをかきながらもなんとか答えた。
「ぼ・ぼぼくは・・・う後ろのほうから・・ゆ弓とかで・・・」
 ヘタレが・・・
 くるくるパーとは貴様にこそある言葉に違いない。
 曹操はそれっきり何も喋らなかった。
 実はのび太が ”ウエスタンゲーム”で世界最高記録を出した、
 射撃の名人だとは当然知る由もないのである。


曹操とのび太のそんなやり取りがあった時、しずかが呂布の所に到着した。
「しずかちゃん!」
 ジャイアン達三人が口を揃えて声をあげた。
 しずかは三人に軽く視線を送ってその後、呂布を見据えて言う。
「下賎の輩め、慎みなさい。」
 呂布はドキっとした。
 血塗られた戦場の中で不意討ちを喰らったかっこうだ。
 呂布は一目でしずかに心を奪われてしまったのだ。
 その姿に、その声に、その態度、そのセリフに。
 チョウセンですら裸足で逃げ出すに違いない。
 そう直感した。
「禽獣!人でなし!できそこない!」
 しずかの罵倒が呂布の心に突き刺さる。
 呂布はもう戦どころではなくなっていた。
 普通なら激怒するべく言葉の連呼だが、何故か別の感情が湧いてくる。
 そう、気持ちいいのだ。
 情けないような、腹立たしいような、でも気持ちいいような、その複雑な感情に
 混乱する。
 しずかには、到底抗うことが出来そうもない。
 呂布は4人に背を向け、ボク陽の城を目指すべく赤兎馬にムチを入れる。
 みるみるしずか達を引き離す。
「腰抜け−」 
 最後に聞こえたしずかの声だった。
 呂布はもっとしずかに罵倒されたい、叱られたい、そう思いつつも気力を振り絞り
 今はボク陽城を目指して行くのだった。


こうして呂布はしずかにより新たな悦びを知ってしまた。 そして今日より、しずかハァハァな呂布であった。
401無名武将@お腹せっぷく:02/06/01 00:10
>>385
もうだめぽ。
                  □ □
    _| ̄|_    / ̄└―‐┐  
    |     |   / ┌┐ ┌ __ 
      ̄|  | ̄  └‐┘ /  /  |_  _| ___ 
   | ̄|. |  | | ̄|    /  /    _| |_  |   |
    ̄ .  ̄   ̄    ̄ ̄    |___|  ̄ ̄
   
   mm        __‐⊂⊃‐__
   | 川 |      ⊂     l    ⊃
   |   |      | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
   L__」      | |  ∩_∩  | |
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   |   |     |L__―――――_」|
   |    L____/\_ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/\
   |            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   \    
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          |        ∈三  |    |
          |            \|____/

403無名武将@お腹せっぷく:02/06/01 23:58
age
ジャイアンはジュンイクと勝負するために馬を走らせる。
指定された場所は普段ジャイアンらが住む洛陽に程近いところにある、だだっ広い野原であった。

「野原に一本大きな木が生えている。そこで待っている」
と書かれていたその手紙を再び読み返すジャイアン。
「ガハハ、俺と戦おうなんざいい度胸じゃねえか」

しばらくのちにジャイアンは場所に到着した。
ジュンイクは待ちくたびれた様子で木の上で寝そべっていた、手には棒っきれを持っている。
「おう、来てやったぜ!」
「遅いよまったく」
「どーでもいいから早く降りてこい、勝負だ」
「やれやれ、落ち着きなよ筋肉だるま。そこを見てごらん」
ジュンイクが手に持つ棒のさすほうを見ると、地面に彼の持つのと同じような棒っきれが地面に刺さっている。
「棒で勝負しよう」

「いいのか? 俺が勝っちまうぜ?」
「大丈夫、筋肉だるまに負けはしないよ」
「いい度胸だ、ギッタンギッタンにしてやるからな」
勇んで地面に刺さっている棒を取りに行こうとするジャイアン。
しかし、このあととんでもないことがジャイアンを襲った。

あと3歩で棒が取れるというところで、ジャイアンが消えた。
消えたと言うのは少々語弊がある。
ジュンイクのしかけた落とし穴に引っかかったのだ。
正確には、地面の下にジャイアンはいるのである。

その落とし穴の底でもがくジャイアン。
「てめえジュンイク! やりやがったな」
そういいつつもジャイアンは吐きそうだ。腰あたりまで馬の糞やなにやらでいっぱいだったのである。
やがて穴をジュンイクが覗き込む。
「おえ、いやあ臭いね」
「降りて来い! 勝負できねえだろうが!」
「勝負ってなんのこと?」
「俺とお前の勝負だ!」
「それならもう終わったよ、落とし穴に落ちた君の負けだ」
「落ちたら負けだ? わけわかんねえこといってんじゃねえ!」
「じゃ、早く負けを認めてくれ」
「認めるもんか、認めるもんかよ!」

勝負はまさに持久戦になった。
「負けを認めろ」
「認めねえ!」
何十回と続けられるこの問答。ジュンイクは少々いらだっている。
なぜならジャイアンがあっさり負けを認めるものだと思っていたからだ。


穴に落ちて数時間、だんだん雲行きがあやしくなってきた。

「おおい、ジュンイク!」
とうとう負けを認めるのかとは思いジュンイクは穴を覗き込む。
べち。
何かがジュンイクの顔に当たった。
それは数時間前に地面に刺さっていた棒であった。しかも糞尿まみれ。
ジュンイクは顔についた汚れを袖で拭きながら、言った。
「それじゃ僕はもうこれで帰るから、達者で死ねよ」
「好きにしやがれ!」

そのとき、ジュンイクの背後で声がした。
「で、どっちが勝ったんだ?」
ジュンイクは体をビクッとさせゆっくり振り返る。

立っていたのは曹操であった。
「はは、私の勝ちにございます」
深く頭を下げジュンイクはそう言った。
「馬鹿野郎、俺は負けてねーぞ!」
それを聞いた曹操、首をかしげたポーズをする。
「あやつが負けを認めていないだけです、この状況では私の勝ちも当然ですから」
「負けてねえったら負けてねえんだよ!」

曹操は穴を覗き込む。
ジャイアンはようやく曹操が来ているのに気が付いた。
「曹操様、おれは負けてねえぞ!」
「おお、元気だなジャイアン」
「俺は戦いに勝つ! 絶対ジュンイクに勝ってやるもんよ」 
それを聞いた曹操は、急にに険しい顔をしだした。
「ほう、この状態からどうジュンイクに勝つのか言ってみよ」
「え、それは・・・・・・」
「出来もせんことをほざくな!」

しゅんとするジャイアン。
それを聞いていたジュンイクが口を開く。
「惨めだなジャイアン、ただ前に出るだけが戦いではない、頭を使え頭を」
「なにい、おまえが卑怯な手を・・・」
「卑怯だと? 笑わせるな。 戦いとは欺くことだ、そんなことも知らずに何を言うか!」
「ぐ・・・・」
「戦いとは予期しないことも起こりうる、猪武者ではやっていけんのだ!!」
ガーンとショックを受けるジャイアン。 そして曹操が口を開く。
「そのとおりだ、ジュンイク」
「はい、曹操様!」
「戦いには予期しないことも起こりうる」
「はっ」
「たとえばこんなことも」
「ち、ちょっと・・・曹操様?」

曹操はジュンイクを小脇に抱えるとポイっと落とし穴に投げ込んだ。
「あ、あいやー!」
ジュンイクは、ぼちゃんと派手な音をたてた。
さいわい落とし穴の底には糞尿がたんまりあるせいか怪我はない

しかし、ジュンイクの顔は真っ青だ。
落とされたことよりも、ジャイアンと一緒にいることが怖かった。

「ではジャイアン、ジュンイク。達者でな」
と曹操が言う。
ジュンイクは助けてと、心の中で叫んだ。
407スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/02 02:56
実験をかねてあげ
「おいジュンイク!」
ああ、殴られる。 ジュンイクはそう思った。



ジュンイクは妙なコンプレックスを持っている。

名門の家に生まれ、ありあまる才能をもって生まれた少年。
周囲の期待も尋常ではないほど高い中、彼が自信をつけていくのは当然だった。
頭のよさでは誰にも負けたことがない、
しかし、それだけである。

ジュンイクは痩せてて体が貧弱である。
そしてふと、自分と他人と比べて思うのだ。

僕は彼等よりも頭がいい、しかし彼等は僕より体の面で優れている。
弁ではぼくが勝つだろう。しかしいざ殴り合いになったら僕が負けるだろう。
ぼくは、みんなが言うほどすごい人間なのか?
頭脳では勝てても体では勝てない。

ジュンイクはジャイアンを見ていると特にそういう気持ちになる。
自分に自信が持てなくなるのだ。

やがてそれの心境はジャイアンを罵倒、なじるといった行動に表れる。
そういうことをして、自分がジャイアンよりも優れているような気分に浸るのだ。
まだ、十もそこらの少年なのだ。



またジャイアンが吼える。
「ジュンイク、聞いてんのか!?」
ジュンイクは放心状態だ、まさかこんなことになるとは。

殴られるよりも死ぬよりも、負けるほうが辛い。
いくら予期せぬこととはいえ、こんな筋肉だるまに負けるとは。
ジュンイクは覚悟を決めた。
「ジュンイク!!おい、話を・・・」
「ジャイアン!」
「・・・・おう」
「さあ、好きにしろ」
ジュンイクは黙って目をつむる。 さあ殴れと言わんばかりに。
「誰がお前とチュウなんかするか! そんなことよりこの穴から出れんのか!?」
ジュンイクの胸倉をつかみ、ジャイアンは大声を出す。

「おい僕を殴らないのか?」
「あん、なんでお前を殴るんだよ」
「いや、だってさっき・・・」
「殴ってここから出られるんなら殴ってやらあ」
「僕がやったことに、怒ってはいないのか?」
「んなことはどうでもいいんだよ! 出れるのか出れないのか!」
「・・・・・・」

あるにはあるんだが言うにいえないジュンイク。
その策は決してジャイアンにうなずいてはもらえないだろうから

「ない・・・・」
「そうかい、じゃあ考えてくれよ」
「ああ、わかった」
「それとよ」
「なんだ」
「さっきションベンしたんだ、そのあたりで」
「バ・・・馬鹿、なんでそれを・・・」
「とかいってもあたり一面くそだらけなんだよなぁ・・・」
「・・・・・・・」

さらに数時間が経つ。
ジャイアンはなんで怒らないんだろうかとジュンイクは考えていた。
「出れねえのかな、俺たち」
「・・・・・・方法はある」

ジュンイクはさっき言い出せなかったあの策を言った。
まず穴の周りの土をかき集め山にする。
その上にジャイアンが立ち、さらに上にジュンイクが立って穴から出るというもの。
そのあとでジュンイクが用意しておいた縄でジャイアンを助けるというもの。

問題は、ジャイアンの上にジュンイクが立つというものだ。
しかも糞尿にまみれた足で、先ほどまで憎みあっていた間柄のやつが自分の上に立つ。
さらに、穴から出た後のジュンイクがジャイアンを助ける保証はどこにもないということもある。

「いいぞ、乗れ」
「あっさり言うんだな」
「助かるんだったら、なんでもしてやらあ」
「もしも僕が、穴から出たまま帰ってこなかったらどうするつもりだ?」
「だいじょうぶ、お前はそんなことしねえ。 さあ乗れよ」

二人は落とし穴の回りの土を掘り、山にした。
そしてジュンイクはジャイアンの肩に立ち、落とし穴の淵に手をかける。
ジュンイクは急いで縄を取りに行った。
縄の片方をを木に結んで、片方を落とし穴にたらす。

その間に、ジュンイクは考えていた。
先ほどまで戦いあっていたのになぜ僕を信じたのだろうかと。

ジャイアンが穴から出てきた。
ジュンイクはずっとそれを見ていた。
「おい、ジュンイク」
「なんだ?」

ようやく僕を殴る気になったか。
さあ、殴れ。 気の済むまで。
「この勝負、俺の負けだ」
ジュンイクは驚いた顔でジャイアンを見る。
「なぜだ! このまま僕を殴ればお前の勝ちだろう!? なぜそれをしないんだ!」
「うるせえ、負けといったら負けなんだ!!」

ジャイアンにしてみれば、あの穴から自力で出れなかったから負けを認めたのだろう。
もしもジュンイクが逆の立場なら、殴り倒して勝ち名乗りをするのではないだろうか。
ジュンイクはここに来て、ジャイアンの人間としての大きさに気づいた。
自分はなんとちっぽけなものの考え方しか出来ないんだろうか。
この男はなんと器が大きいのだろうかと。

智ではジュンイクのほうが秀でている。がしかし。
武と度量、二つでジャイアンのほうが秀でている。
一対二でジャイアンの勝ち。
ジュンイクはひょっとしたらこういう考え方をしているのかもしれない。

「ちがうジャイアン、僕の負けだ」
「何言ってんだよ、俺が負けたんだぜ」

その後、水掛け論のような負けた負けたの言い合いは遅くまでつづいた。



数日後。

洛陽のとある兵訓練場。
「素振り100回始め!」
「ジャイアンもうだめ。休憩を・・・」
「強くなりたいっていたのはお前だろう、いいから早くやれ!」


洛陽のとある書庫
「では、まずは兵法。孫子からにしよう」
「やめようぜジュンイク、文章読むと眠くなるんだよ俺」
「僕のことは文若と呼んでくれと・・・まあいい、さっそく・・・って寝るな!」
あの落とし穴の件から一週間後、ジュンイクは曹操に呼ばれた。

曹操はジュンイクに問う。

「今のこの時勢、どう思う?」
「漢の威信は地に落ちています、これからは乱世となりましょう」
「乱世になったらどうすべきか?」
「優れたものが漢を復興させるべく、尽力すべきです」
「そうか、では俺は無理だな」
「何をおっしゃいますか、曹操様意外にはありえません」
「俺は天下が欲しい、漢の復興などどうでもいい」
「はっ・・・それは・・・」
「役人あがりにしては大それたことを言う、と思うか?」
「いや・・・なんとも・・・」
ジュンイクは汗を拭いた。
曹操は大きく手を広げ、さらに述べる。
「数年後にはさらに世は乱れるだろう、それに乗じて俺は天下を取る」
ジュンイクは曹操のはつらつとしている顔に見とれた。
「しかし、まだ期は熟してはいない」
そういうと同時に、ジュンイクの背後で扉が開いた。
「こんちゃ」
ジャイアンが入ってきた。

「ジュンイク!、ジャイアン! 共に旅に出てお互いに足りないものを知れ!! そして秀でたところを伸ばして来い!!」

二人はかしこまって礼をする。
ジャイアンはなんだかよくわかってないようだが。



数日後。
たくさんの人が見送る仲、二人の少年は旅に出る。
どこへ行くかもわからないまま、ただ自分の成長を信じて。
413しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/02 19:38
のびすぎ・十
さてのび太がフリチソで出木杉の元へ帰ってきたので、出木杉は当然驚いたが特に何も言わなかった。
のび太が顔を真っ赤にして、その事に触れたくないような素振りだったからだ。
そして二人は何事も無かったかのように出発した。

道、道、又道。御互い喋る余裕もなく、喋ろうにもまだわだかまりがあるのかだんまりと歩を進めていった。
のび太は相変わらずハァハァ息を切らして歩いていた。出木杉が「休もうか」と言っても首を振って進んでいく。
出木杉も休みたかったのだがさっきの手前、あえて強いることも出来無かった。
そうして、頂天にあった太陽が山間に沈み始めた頃・…
「ちょっと待って」のび太が声をあげた。
「何?休むの?」
「違うよ、聞こえない?」
出木杉は耳を澄ました。
時折流れる風の音、野鳥の声に混じって、確かにガラガラ…と音がする。
「何だろう・・・・わだちの音かな?」
「わだち?」
「うん、結構スピードを出してる・・・・近づいてるみたいだ!」
そう云うと出木杉はのび太の腕を掴んで近くの茂みに隠れた。
二人は現代の服装をしている、当然目に付けられやすくいらぬトラブルに巻き込まれるかもしれないので、
出木杉はなるべく目立たないように行動したかった。

わだちの音がどんどん近づいて来る。
「馬車だ」のび太が小声で言った。
その馬車はぼろぼろで、馬も置いており、ギシギシよたよたと頼りなさそうに走っていた。
そして、手綱を持っている男・…それは。
「ねえねえ、あの運転手見てよ」のび太が発見したというような顔で出木杉を揺さぶった。
「すごいね、馬が馬車に乗ってるよ!」
414しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/02 19:39
のびすぎ・十一
確かに御者は馬だった、いやいや馬面だった。目の離れ具合、顔の長さ、鼻の間延び具合、
見事なまでに人外だった。
「いや、ちょっとロバに近いような・・・」
「あっ!あの馬車誰かに追われてるみたいだよ!」のび太は出木杉の言葉を遮って前に乗り出した。
必死に鞭打って走る馬車の後方に、数人馬に乗った男達がついていた。
野蛮な身なりや抜き身の剣からして盗賊に違いなかった。
「大変だ!あの馬車の人たち襲われてるんだ!」
「そのようだね、ここでしばらくじっとしてよう」
「何いってんの!?」のび太が振り向く。
「助けなきゃ!」
「のび太君、声が大きいよ。・・・・無理だね」
「何でだよ!死んじゃうじゃないか」
「考えてもみなよ、小学生二人で何ができるっていうんだい?向こうは盗賊だ、人殺しなんてざらにやってる
奴等だよ?助けに言ったって返り討ちにされてしまうのが落ちだ」
「だって!」
「いいかい、僕らは生きなきゃならない。そしてみんなを探して帰るのが第一の目的なんだ。僕らが死んだら
元も子も無くなるんだ。家族やみんなが悲しむんだよ」
のび太はぐっと詰まって黙り込んだ。
「解るでしょ?僕だっていい気はしない、後悔するだろうけど仕方ないんだ。ね?」
「けど・・・・」
のび太は無言で出木杉を睨んでいた。
「あの人たちの家族だって悲しむよ!」
「あ!のび太君!!」
のび太は出木杉が止める間も有らばこそ、猛然と盗賊たちに向っていった。
415スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/03 00:21
第三回

太陽はその姿を隠し、辺りは闇に包まれていた。街灯など存在しないこの時代
夜になればほとんどまわりの様子をうかがう事は出来ない。
その漆黒の闇の中にポツンと取り残されたようにかがり火が焚かれており、そ
のまわりに黄巾賊の男2人が見張りに立っていた。

「おい、何でも近々、敵が攻めてくるそうじゃねえか。」
「ああ、若いが凄え用兵家に率いられてるそうだな。そいつらと戦った仲間は
 皆殺しにされたそうじゃねえか。」
「おっかねえ話だぜ、全く。」

2人が不安を押し隠す為に虚ろに笑った時、前方でガサッと何かの物音がした。

「だれだ!?」

2人がそれぞれの武器をつかんで音のしたほうを睨みつける。
やがて、闇の中から小柄な人影が姿を見せた。

(子供・・・?)

男達の前に進み出てきたのはまだ、年端のいかない少年2人であった。

416スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/03 00:37
>>416

男達は物音の正体が子供のせいであったことにほっとした様子を見せる。男の
一方が無造作に少年達に近づいていった。

「おい、がき共。こんなところで何をしている?」

男の問いに少年達が答えることは無かった。男もまた、それ以上問うことは
できなかった。少年の持っていた棍が男の鳩尾に突きこまれたからである。
男は声も出せずにその場に崩れ落ちる。

残ったもう一人の男は同じように腹に棍を打ち込まれるまで何が起きたのか
理解することができなかった。

「うまくいったな。」
「子供だと思って油断したみたいだね。」

「よし。惇兄に合図を送るぞ。これで奇襲は成功だぜ。」

気絶した男達を見下ろしてジャイアンと辛はウフフと笑いあった。
>>391
第71回
 的盧。
 劉備が劉表に請われて江夏の賊を討伐した際、賊の頭領・張武から奪ったこの駿馬に、今、ジャイアンがまたがっている。
「なるほどねぇ、こういうのが名馬ってやつなんだな」
 その歩様を楽しみながら、ジャイアンは納得する。
 これまで彼が乗っていた馬は、襄陽から逃げる際に矢を受け、道中で捨てた。
 それを聞いた劉備が「自分は当分馬には乗れそうもない」とジャイアンに的盧を贈ったのだ。
「こんないい馬もらっちゃったんだから…次の戦いではいいトコみせなくっちゃな」
 そうつぶやくジャイアンだったが、「次の戦い」は実は目前に迫っている。

 6人の中で最初にそれに気付いたのは、最後方にいた出木杉だった。
 こういう事態になることははじめからわかっていた。
 それでも、足が震える。
 何の罪もないはずの新野の民衆たち。
 この人たちは、これから死ぬのだ。

「民草ばかりのようだが…」
「うむ…新野の民は襄陽に入れられなかったということか」
「哀れなことだ」
「民は殺したくない。わしは全軍にそのことを触れてまわる。卿には劉備攻めを頼む」
「良いのか、張遼殿?」
 同僚の問い掛けに答えず、張遼は周囲に怒鳴る。
「劉備軍は民草を伴っている!民には手を出すな!禁を破った者は切る!」
 張遼はそう叫びながら、馬を走らせていく。
 その後ろ姿を見やりながら、張コウはどこまで守られるものやら、と肩をすくめた。
 いずれにせよ、張遼の申し出はありがたい。
 袁紹軍を寝返って曹操陣営に入ってからこのかた、特に戦功を挙げていない彼にとって、悪い話ではなかった。
 さあ、夜の追撃戦…いや狩りの始まりだ。
「曹操軍が将、張コウ見参!劉備はいずこか!その首もらいに参った!」
 張コウの馬は、民衆を蹴散らしながら劉備軍本隊へと突入、配下の兵もそれに続く。
 陣を組む余裕もなく、ひたすら逃げるのみだった劉備軍は、その一撃でもろくも崩れた。
第72回
「のび太!…しずかちゃん!…スネ夫!…ドラえもん!…出木杉!…どこにいる!返事しやがれ!」
 悪態をつきながら的盧とともに疾走するジャイアン。
 夜だけに視界が利かない。
 ただ周囲にむらがっている将兵が、味方でないことはわかる。
 こちらの力を計っているのか、一気に襲いかかろうとはせず、遠巻きに並走しながら少しずつ包囲の輪を縮めてくる。
「させるかよ!」
 ジャイアンは包囲の薄い方向へと的盧をいざない、槍を振り回しながら簡単に包囲を突破した。
 その力強い武者振りに、曹操軍兵の間からどよめきが起こる。
 一人の武将が奮い立ち、ジャイアンに一騎討ちを挑む。
「我は曹仁が部将にて淳于導なり!新野での恨み、いざ晴ら…」
 名乗り終わる前に、淳于導はジャイアンの槍に貫かれ、馬から叩き落された。
 それを振り返ることもなく、ジャイアンと的盧は走り続ける。
「のび太ぁ!どこだぁ!」

 一人でも多くの民衆を守るつもりだった。
 だが出木杉は今、己の認識の甘さと非力さを痛感させられている。
 視界に入っている民衆は「つい先ほどまで生きていた」死体ばかり。
 守るべき民は、四散してどこにも見えない。
 見えるのは、敵ばかり。
 民を守る以前に自分を守るのが精一杯という現実に、出木杉は呆然となった。
 殺意に目をぎらつかせているのは、以前新野で出木杉らに打ちのめされた曹仁率いる第一軍だろう。
 そして、手柄を上げんと意欲満万でいるのは、張遼と張コウの第二軍…。
 そんなどうでもいいことを分析をしている自分に気付き、自分自身が情けなくなる。
―僕はいったい……何をしているんだ?
 解答はない。
 だから、出木杉は叫んだ。槍を振り回した。襲いかかってくる曹軍兵を何人も返り討ちにした。
 曹軍兵にとっては、ある意味やつあたりのようなものだった。

 曹操軍兵の槍がスネ夫の胴体に迫る直前、「バンッ!」
「スネ夫!しずちゃんを連れて早く!」
「の、のび太〜!」
 別の兵がうなり声を上げて刀を振り上げると、今度は「ドカンッ!」
「神様ステッキを持っていって!…ないよりはマシでしょ」
「ドラちゃん!」
 のび太は空気ピストルの容器を腰に括り付け、鮮やかな両手撃ちで曹操軍兵を倒していく。
 ドラえもんは腰だめに構えた空気砲。数人単位で敵を吹き飛ばしていく。
「早く!…ここは僕たちに任せて!」
 のび太の絶叫。
 それを聞いたスネ夫は、意を決したように頷いた。
「のび太さんたちを見捨てるの!」
 半狂乱のしずかがスネ夫を責める。
 スネ夫はそれには一切答えず、強引にしずかの手を引っ張り、走った。
 彼の右手には、ドラえもんから受け取った神様ステッキが握られている。
「のび太!ドラえもん!………死なないでよ!」
 走り間際叫んだスネ夫に、のび太が怒鳴り返した。
「バンッ!…そっちこそ!……バンッ!バンッ!…」

第73回
 かなり早い段階で馬術を習得できたジャイアン、出木杉は特別だ。
 特別でないスネ夫としずかは、自分の足以外に移動する術を持たない。
 息を切らせて走る2人に、曹操軍の騎馬隊が迫る。

 スネ夫が神さまステッキをかざす。
 まばゆい光が放たれ、驚いた軍馬が立ちあがり、武将は落馬する。
 その隙に逃げる。
 敵が追いつく。
 また神さまステッキ、そして逃げる。
「スネ夫さん、わたしたち今どの辺にいるのかしら?」
 何度かその行為を繰り返したところで、しずかが不安そうに口にした。
 さっきまで劉備軍と思われる兵がちらほら見えていたが、今はどこにもその姿はない。
 初めて足を踏み入れる地。そして夜。
 やみくもに逃げ回り、完全に自分たちの位置を見失った。
 そもそも、自分たちはどの方向に走っているのか。
 驚くほど多くの星が天空にまたたいているが、あまりにも星が多過ぎて、北極星を見分けることができず、方角もわからない。
 小川が何本か流れ、ところどころに葦が生い茂り、遠くには森もある。
 さっきから同じ所をグルグル回っているだけではないのか、という気にさえなってくる。
「よくわからないけど…とにかく今は、敵から遠く離れることだよ」
 意識的に低い声でスネ夫は答える。
 声が震えているのを悟られないためだ。
「大丈夫。夜明けごろには劉備さんたちと会えるよ。のび太たちも…きっと大丈夫…大丈夫だよ」
 しずかはそれに答えない。恐怖と不安に脅えている。
 スネ夫は、そんなしずかをなるべく見ないようにしている。
 男である自分が、不安に脅える女の子を安心させてあげられない悔しさ、もどかしさ。
 ジャイアンや出木杉は、自ら槍を持って戦っている。
 のび太とドラえもんは、スネ夫たちが逃げられるよう圧倒的な数の曹操軍を食い止めている。
 じゃあ僕は?
 僕は逃げている。しずちゃんと一緒に。みんなが命を張って戦っているというのに。
 約30の曹操軍騎馬隊が視界に入ってきた時、しずかに「先に行って」と叫んだのは、日本にいた時には抱いたことのなかった男≠ニしての意地とプライドを、スネ夫が自覚したからだった。
「スネ夫さん!」
「早く!僕なら大丈夫、うまく逃げてみせるから!」
 スネ夫はしずかの背中を強く押した。
 しずかはヨロヨロと走っていくが、もはや自分の意識による動きではないらしい。
 自分がここで踏ん張れば、捕まるのは1人だけで済む。
 心の中でそう口にすると、スネ夫は曹操軍騎馬隊の前に仁王立ちとなった。
 戦車のような地響きが大きくなり、それに比例して体の震えが激しくなる。
 それでも、スネ夫は神さまステッキをふりかざした。

420無名武将@お腹せっぷく:02/06/03 12:40
 
公式のところでがっつりまとめて読むのもいいですが、こうやって1日1日少しづつ読むのもええですなあ
422カ二道楽 ◆Am7DdtsA :02/06/03 22:10
この戦場で彼の敵はいなかった。右手の槍を一振りすると10人単位で首が飛び、左手の剣を振るうと兵卒の臓腑をえぐった。
敵味方入り乱れるも皆恐れるのは呂布(ジャイアン)のみ。
右を見ると兵が一気に引き下がる。
左を見るとこれまた兵が引き下がる。
兵卒の顔は恐怖に歪んでおり、戦闘意欲が失っているのが伺えた。
見回すと自分の周りにはちょっと大きい広場ができた。
まるで無人の野を駆けてるがのごとく闊歩する呂布(ジャイアン)。
このまま単騎で駆けても蹴散らせそうだ。
呂布(ジャイアン)が赤兎を進めようとしたその時、一人の男が立ってるのが見えた。
男の背後にはボロ布で描かれた『劉』の字の旗が掲げられていた。
背筋を伸ばし、目の前の武神を恐れることなく歩みより声高らかに名乗りを上げた。
「我こそは!河東より立ち上る義侠の積乱雲、劉備玄徳が腹心!関羽!字を雲長!お手合わせ願おう!」
呂布(ジャイアン)はニヤリと笑い、赤兎を走らせた。
(まさかあの関羽と槍を交える事ができるとはな…。どれ、このジャイアン様に敵うか見てやろう)
423連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/03 22:11
名前間違えました。そして短くてゴメンなさい

劉備と別れて以来、友を探すたびに出たのび太。
めんどくさがりな性格からか捜索はあまりはかどっていない。
そこがまたのび太らしいといえばそうなのだが。


中平4年(西暦187年)  并州の都市 シン陽


ふらふらとこの街にやってきたのび太。
あたりそこらに、これこれこういう人はいますかと聞いてはがっかりしている。
なかなか見つからないものだ。とはいえそれほど多くの都市をまわったわけではないのだが。
いろいろ周り北の市場でも聞いてみるがまったく成果はなかった。
もうあえないのかな・・・そう思った矢先、グゥと腹が鳴った。

「あ、そういえば・・・」
路銀が少なくなってきたところである。銭袋を調べると残りわずか。
「これじゃ今日食べただけで終わりじゃないか」
と、いいつつ全額払って出店でしるかけご飯をかっこんで食べるのび太。
「ふぅ、おなかいっぱい」

一息つくとのび太は背負っていた弓を持って立ち上がった。
「さあさおたちあい、みんな見て−!」
いきなり大声を出すのび太。そこらにいる人みんなが注目する。
「ほろ、ほら、凄いもの見せてあげるよ!」
のび太はパッと駆け出すと果物売りの前でとまり、りんごを一個とりあげる。
「あ、なにすんでい!」
「ごめん、ちょっと借りるだけだから」
そういうとのび太店の親父をそのままに。 なんだなんだといっている野次馬の男に声をかけた。
「ねえ、おじさん。これ上に高ーく高ーくたかぁく放り投げてよ!」
「へ? 上に投げればいいのかい?」
「うんうんうん、なるべく真上にお願いね」
「おいおい! 金をはらって・・・」
店の親父が言うもむなしく、りんごは空高く上がった。

みんながぽやーっと空に浮くりんごを見ていた、
「あああ、誰か落ちる前にとってくれよぉ」
店の親父が泣きそうな声で言う。
りんごが上まで登りきったとき、ぷすっと矢が刺さった。
そして落下。 のび太ナイスキャッチ。

「てめえ! 俺のりんごをよくも!! よくもぉー!!」
と言った親父の罵声は大きな歓声でかき消された。
もちろんみな、のび太の弓の芸に感動したのである。
拍手喝采の仲、お金持ちなのか、みなりのいい人が言う。
「おいおい、もう一度見せてくれよ!」
「でも、りんご買うお金がもうないんだよ」
と、のび太。
「俺がりんごの代金を出すから、ぜひもう一度見せてくれよ」
「うん、いいよ」
身なりのいい男は親父からりんごを買い、それを上に放り投げる

そして、またしてもりんごに矢が刺さった。
北の市場はにぎやかな雰囲気に包まれた。
りんごが上がり。
矢が刺さる。
拍手喝采。

「みなさんすんません、りんごこれで最後でさぁ」
果物売りの親父がいった。もっと仕入れとけばよかったと言いたげな顔で。 
相当な数を射ったにもかかわらず失敗はゼロ。
そして、これが最後の一個。
「最後は、りんご売りのおじさん頼むよ」
「わかったぜ・・・そしてありがとよ、今日は儲けさせてもらったよ」
「あはは、僕もだよ」
のび太の足元には小銭がじゃらじゃら落ちている、小銭とはいえ集めればかなりの額になるに違いない。
とはいえ、のび太はいうもこうやって旅の資金をひねり出しているわけなのだが。

「それじゃあ最後の見納めでさぁ! いきますぜ!」
親父がそう言いながらりんごを空高く放り投げた、りんごは空高く舞い上がる。
最後の矢芸を見逃すまいと固唾を飲む観衆。 矢がりんごにぷすりと刺さる。


しかし歓声はなかった。

大空のりんごには矢が二本刺さっていたのだ。

ポトリと地面に落ちるりんご。
もちろん、のび太は一発しか射っていない。


「やるな、小僧」

いつのまにか、のび太の隣には大柄の男が立っていた。
これほどそばに近づいたのに、のび太は気配すら感じなかった。
この男、何者か。 答えは意外にもすぐに出る。
やがて観衆の中の一人が、のび太のそばに立っている男に気づいた。
「みんなー! 見ろ! 呂布様だ!!」
そして、みながその男の存在に気づく。それは大歓声へとつながった。
集まったみんなが呂布の名を口に出す。
「呂布様!」
「もう一本の矢は呂布様だったのか」
「さすがは呂布様だ、やることなすことすごいぜ」
「あーん、呂布様ステキ!」
先ほどまでのび太に対する歓声だったのが一転して、呂布への歓声へと様変わりしたのである。

無論、のび太にしては面白くない。
いきなり来て、良いとこ取りとはひどいじゃないか。
のび太はムキーと怒った。
「僕と、弓で勝負だ!」
のび太の発言と同時にピタリと歓声がやむ。

呂布はのび太を見ながらしばらく黙っていたが。やがて口あけた。
「魏続!」
弓芸の観客団よりやや離れていた男が大声を出す。
「はっ!」
「弓兵練習用の矢を持って来い! 赤矢を二箱、緑矢二箱!!」
「わかりました!!」
魏続と呼ばれた男は一目散に駆け出した。
「高順!」
「はっ!」
「寺の改修に使うための角材を一つ持って来い!!」
「はっ!」
高順と呼ばれた男も一目散に駆け出す。

そして、呂布はくるりと振り向きのび太を見る。
「小僧、勝負に乗ってやろう」
そう言って笑みを浮かべた。
428無名武将@お腹せっぷく:02/06/04 01:49
魏続とはまた渋いなこりゃ
429無名雑兵:02/06/04 18:02
>>331

こちらはみんなが眠る麦城の城内。
寝ていたのび太がムクリと起きた。

「ねえ、ドラえもん。ドラえもん」のび太が小声で呼びかける。
「むにゃむにゃ。どうしたんだい、のび太君?」
「あの…その…お、おしっこ」
「なんだい、そのくらい一人で行ってきなよ」
「えー、そんなぁ。ここって何だか古くって暗くって。その…お化けが出そうなんだもん」
「そんなの出やしないよ。サッと行ってサッと帰ってきたらいいんだよ」

そう言うとドラえもんはそっぽを向いて寝始めた。

「うう…仕方ないなぁ」
そうブツブツ言いながらみんなを起こさないように、用を足しに外へ向かった。

のび太は寝ぼけた眼のまま城の外へ出た。すぐ目の前には門がある。
門は用心のため閉めてあるが、かんぬきは掛けていない。

「ワー、漏れちゃう、漏れちゃう」
漏れそうな股間を押さえながら、城壁へ駆け寄るのび太。
尿意のため、顔はうつむき加減だ。

と、門が開き始めた。

のび太はドキリとして思わず動きが止まってしまった。
うつむく視線の先には馬の脚がある。
ゆっくりと顔を上げると、そこには憤怒の形相をした赤ら顔の大男がいた。
その目は真っ直ぐのび太を見つめている。

「ぎゃ―――――っ!!」
その男のあまりの形相に、まともに目線を合わせたのび太はそのまま気絶してしまった。
430無名武将@お腹せっぷく:02/06/04 20:07
無名雑兵さん久々だな
あげてみる
>>419
第74回
 今までの馬だったなら、とっくにやられていたかもしれない。
「さすがは的盧!ホントいい馬もらっちゃったな」
 そう口にする余裕も出てきた。
 的盧は正真正銘の名馬だった。
 強引なジャイアンの指示に寸分違わず答え、それどころか戦闘というものがわかっているかのように、自分から最適の場所へ、最適の速度で、そして最適のタイミングで鞍上を誘導してくれる。
 余裕ついでに、三尖両刃刀を振り回す武将の胸板を刺し貫く。
「晏明様がやられたぞ!」
 配下の兵に動揺が走ったのを見逃さず、ジャイアンは再び囲みを破る。
 その獅子奮迅な戦い振りに、曹軍は完全に尻込みとなった。
「さて、迷子探しに本腰を入れるか」
 兵たちを睨み回して、ジャイアンはそうつぶやく。
 もちろん迷子とはのび太たちのこと。
 自分は保護者気取りだ。
 だが、再びその行手をさえぎる部隊が現れた。
 旗印には「河間張合β」と大書されている。
「またかよ、懲りねぇな」
 ため息をついたジャイアンは、槍を握り直し、大将首めがけて突進する。
 三国志の知識が限られたものだったジャイアンは、張合βという男の名を知らない。
 当然、この男の強さも知らない。

 たった1人ではあったが、生きている新野の民を見つけた時、出木杉は涙が出そうになった。
 出木杉の姿を認めた民―女だった―は、ヨロヨロと逃げようとする。
 その足取りからして、傷を負っているらしい。
「味方です!大丈夫、安心して!」
 出木杉の呼び掛けに、女は放心したように崩れ落ちた。
 馬から飛び降りた出木杉は、急いで女を介抱しようとし、そして知った。
 一目でわかる。この女は、明日の朝日を見ることはない。
 女は目を細めて、自分の元へ駆け寄ってくれた&随ォの顔を確認しようとする。
「出木杉……様?」
 女の顔に安堵の表情が浮んだ。
 全幅の信頼を寄せているからこそ浮かべることができる眼差しが、出木杉に注がれる。
 出木杉にとって、どんなに鋭い刃よりも深くその胸をえぐる眼差し。
 女の傷は深かった。よくもここまで逃げてきたものだった。
 彼女をそこまで生に執着させたものは、彼女の腕に抱かれ、スヤスヤと寝息を立てている。
 赤ん坊だった。
 出木杉は狼狽した。
 いったいどうすればいい?
 仮に馬に乗せて脱出に成功したとしても、この女は間もなく死ぬ。
 いや、赤ん坊までいる状態で、脱出できると考える方がどうかしている。
 ならば見捨てる?
 出木杉は身震いした。
 自分のせいでこんな目にあった人を見捨てる?
 生を受けて間もない、これからいろいろな未来が待っているはずの赤ん坊を見捨てる?
 子供である出木杉に下せる二者選択ではなかった。
 いや、こんな状況に陥れば、大人だって何も考えられなくなる。
 そんな出木杉を救ったのは、他ならぬこの女だった。
「出木杉様………私はここで死にます………ですが、どうかこの子だけは……お願いします、出木杉様……どうかこの子だけは」
 女の息がさらに荒くなり、胸が大きく波打つ。
 それに合わせて揺れた赤ん坊が、パッと目を覚ました。
 赤ん坊―無限の可能性を秘めた小さな生き物。
 何色にも染まっていない、かけがえのない未来。
 「邪気」というものを微塵も持たない黒い瞳が、出木杉を見た。
 その瞳を見た時、出木杉の心から迷いは消えた。
「…わかりました。この子は僕が預かります。安心してください」
 哀願調だった女の口元に、微笑が浮んだ。
 女から赤ん坊を受け取った出木杉は、鎧の紐をとき、胸当てをはずして赤ん坊を懐に入れた。
 そして、懐剣で女の胸を刺した。
432しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/05 00:14
のびすぎ・十二
「やーい!何やってるんだあ!」
のび太は盗賊らの後を追いながら叫んだ。大体向こうは馬でこちらは足なのだからどんどん抜かれていく。
「まーてー!」息切れして、声も上ずってきた。
すると盗賊の一人がのび太に気付いた、なにやら仲間内で話した後、その内二人が馬首を返し向ってきた。

「何だ、お前」
賊の一人が声をあげた、ガラガラとどすの利いた声だ。髭だらけで真っ黒に日焼けた顔、目じりに傷がある。
どう見ても悪党面、それがギロリと睨むのだからたまらない。
のび太は先ほどまでの意気込みはどこへやら、一瞬で縮み上がってしまった。
「ひぇっ?あ、いや、その・・・・」
脂汗がどっと出てくる。
「ぼく・・・のび太・・・」
「ハァ?」
賊はもう一人と顔を合わせた。
「何か様か?」
「はい、あのですね・・・やめて頂きたいんですよ、その、馬車を襲うの」
ぐわっはっはっはっは!
それを聞いた途端賊二人は腹を抱えて笑った、ひーひーと引き攣ったりしている。

「な、何がおかしいんですか!」
「おい、ガキ」
ぴたりと笑いを止めると賊はまたすくみあがるような睨みをきかせた。
「嘗めたこと言ってんじゃねえぞ?俺等は昔、黄巾被って暴れまわった筋金入りだぜ。
ガキの癖に俺等に説教垂れるとはいい度胸だ。なあ?」
と連れに顔を向ける。
「おうよ、テメエのお蔭で獲物を取るのてこずっちまうぜ。償ってもらわなきゃなぁ」
「な、何をなさるんでしょうか?」
「そうだな、金目のモンもなさそうだしな・・・・そういやなんか腹減っちまった。
ちょっとスジ張っちゃあいるが・・・・」
じーっとのび太を見る、手にもった剣をペタペタ叩いて舌なめずりした。
―まさか、僕を食うって!?
のび太は知らなかった、中国では伝統的に人肉を食べる風習があることを。
だが知らずとも、本能的にそれは察知できたのだった。
じんわり、股間が湿って次第に勢いよくジョバーっと失禁してしまった。
「ど、ど、ドラえもおおおん!!」
433しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/05 00:16
のびすぎ・十三
のび太の悲痛な、それでいて情けない声がこだました。
「ほら、言わない事じゃない」
チッと出木杉は舌打ちした。こうなる事は簡単に予想がつく筈なのに、のび太の思慮の浅さには
改めてうんざりさせられる。
出木杉は目立たぬよう隠れつつ、のび太について来たのだった。
のび太を見殺しに出来ない、だが出木杉自身も正攻法で行けばのび太と同じことになってしまう、
だから何とかのび太を救う機を隠れて窺っていたのだ。

「のび太君、君はほんとに馬鹿だよ」
馬鹿だ、馬鹿なのだが、とんでもなく善人だ。それに比べれば自分達の保身のみを考え、他人の
危険を無視しようとした自分はもっと馬鹿だ、質の悪い馬鹿だ。
頭のよさ、運動神経、そんなもの関係ない。のび太の思いやりと勇気の前ではすべてがかすんでしまう。
自分と比べればのび太は間違いなく漢であった・・・・

「うわああああっ!」
賊がのび太に掴みかかろうとした、のび太は足がすくんで動けない。
「あぶないっ!」
出木杉は飛び出した、傍らの木片を大きく振りかぶってのび太を羽交い絞めにした男の脳天に打ち込んだ。
男はぐっと一声漏らすと頭を抑えて倒れこんだ。
「なんだテメエ!このガキの仲間か!?」
もう一人が剣を構える。
「のび太君!下がってて!」
そして出木杉は撃ちかかった。
「クソッタレが!!」
だが、やはり小学生と屈強な男では力の差は歴然だった。一振りで棒が手から払われ、出木杉の腹に
強烈な蹴りが打ち込まれた。出木杉は膝を突くと腹を抑えてうめいた。
「テメエも焼いて食ってやる」
賊は剣を振り上げた。
「やめろぉ!」のび太が男の腕にかじりついた。
「のび太君!」その隙に出木杉も足にタックルをする。
「このヤロウ、てこづらせやがる!」
しばらくは放そうとする賊と離れまいとするのび太、出木杉で攻防していた。

しかし、それも束の間だった。
「・・・・いてて、テメエらただで済むと思うなよ」
先ほどまで倒れていた男が正気を取り戻したのだった。
434ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/05 20:26
>>431
第75回
 南征第二軍副将・張合β。
 天下分け目の官渡の戦いで、ひょんな事から主君である袁紹を裏切ることとなり、以来曹操に仕えている。
 第二軍大将の張遼は、「飛将」と称された呂布の元配下。
 ともに降将ということもあり、2人の「張」は気が合った。
 義兄弟ではないが、兄弟分≠ニいう言い方はできるかもしれない。
 6歳年上の張遼は分別ある兄貴で、威厳より野心が勝っている張合βは、ヤンチャな弟といったところだ。
 張合βは後に征西車騎将軍となり、司馬懿の片腕として中原回復を目指す諸葛亮と対戦。
 諸葛亮を徹底的に苦しめ、曹魏の至宝的将軍へと成長する。
 とはいえそんな張合βも、この時期はまだキラ星の如き曹操軍の中の一武将に過ぎない。
 そこへ訪れた千載一遇の好機。
 張遼が部隊の指揮を自分に預けたのならば、遠慮なくそれを駆使し、劉備の首級を上げてみせよう…
 野望に胸を高鳴らせた張合βとその手勢は、曹操軍をたった1騎で切り切り舞させている騎馬武者と遭遇した。
「肩慣らしといくか」
 張合βは愛馬の脇腹を蹴った。

 理不尽、とジャイアンは思った。
 こんなに強いヤツがいるなんて聞いていない。
 新野の戦いも、博望坡の戦いも、さほど身の危険を感じることなく、大勝を収めることができた。
 今度の撤退戦だって、何度も敵の包囲網を突破し、「ジャイアン」の名を存分に曹操軍に刻み付けた。
 それなのにどういうことだ?
 相手の攻撃は鋭く、そして重い。
 かわすのに精一杯で、なかなか攻撃に転ずることができない。
 わずかながらに見出した隙目掛け、渾身を込めて槍を突き出すも、いとも簡単にいなされる。
 張飛が評したように、ジャイアンの武将としての素質は極めて高い。
 しかし、張合βを一騎打ちでねじ伏せるには、圧倒的に経験が不足していた。
 常に戦場を生活の場としてきた一線級の武将と、10年程度の人生を平和な国で過ごしてきた小学生。
 差はそれだけ。しかし、とてつもなく大きな差。
 張合βの槍がジャイアンの頬をかすめた。
 焼けるように熱い、痛み。
「拍子抜けじゃな」
 敵手は首を傾げて言った。
「曹仁殿や夏侯惇殿を退けたというその武。さぞや、と期待しておったのだが」
 屈辱的な呼び掛け。
 だがそれに応える余裕はジャイアンにはなかった。
435ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/05 20:27
第76回
 完全に方角を見失った状態で、しずかはヨロヨロと走っている。
 いや、本人は走っているつもりだが、その速度は歩いているのとさほど変わらない。
 とにかく、曹操軍から離れること。
 そして、仲間たちの無事を祈ること。
 しずかの頭の中にあるのは、この2つだけ。
 夜の平野。
 遠くでは、戦闘の怒声。
 それがどの方角から聞こえてくる音なのか、まったくわからなかった。
 前?後ろ?右?左?
 いや、彼女を中心としたすべての方角から聞こえてくるような気さえする。
 走りながら、ふと心の底から嫌っていた虎ヒゲの顔を思い出した。
 毎晩のようにしずかに夜這いをかけてきたセクハラ男。
 そして、戦場の武神。
―張飛さん……助けて!
 そのころ、張飛、関羽、趙雲ら劉備軍の将たちは、傷ついた主君を守りながら、しずかより遥か前方のところを進んでいる。
 彼らの目的地は、劉表の長男・劉gが駐屯する江夏。
 結果的に新野から逃げてきた民衆とドラえもんたちが、劉備軍本隊の防波堤となっていたのだが、それはしずかの関知するところではなかった。

 脚が痛い。
 息が苦しい。
 しずかはとうとう座り込んだ。
―もういいや…もうどうでもいいや
 そんな想いが強くなる。
 このままここで眠ることができたら、どんなに素晴らしいだろう。
 その後のこと?
 知らない…どうでもいいわ……。
 それでも、生に対する執着が完全に消えたわけではなかった。
 明らかにこちらへ近づいてくる軍馬の蹄の音が聞こえた時、しずかは急いで周囲を見回した。
 10メートルほど離れたところに、葦が生い茂っている。
 あそこに隠れれば何とかなる。
 しずかは立ち上がろうとした。
 しかし、体が言うことを聞いてくれない。
 ガクガクと両足が振るえ、しずかはしりもちをついた。
 極限状態にあったしずかの体は、一度気を抜いたことで、立ち上がる力を失っていた。
 恐怖と絶望を抱きながら、しずかは這うように進む。
 あそこに隠れることができれば…あそこに隠れることができれば
 あと8メートル、あと5メートル、あと……
 だが、間に合わなかった。
 数騎の騎馬武者がしずかを囲む。
「おやおや、女ではないか! ちょうど良い!」
 隊長と思わしき男の声。
 ……ちょうど良い?
 しずかは、全身の毛が総毛立つのを感じた。
436ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/05 20:28
第77回
 突き出される槍の速度が増した。
 切れも増した。
 破壊力も増した。
 この時の出木杉は、間違いなく武神≠セった。
 左右から2騎ずつ、名のある武将と思われる曹操軍将が出木杉に襲い掛かってくる。
 右方から来たのは、馬延と張覬。
 左方から来たのは、焦触と張南。
 いずれも袁紹の配下として名を馳せた男たちだ。
 出木杉の強さは承知している。
 だからこそ包囲同時攻撃を敢行した。
 だが、今の出木杉は冴えに冴えている。
 四方からの攻撃を本能の素早さでかわし、受け止める。
 そして反撃。
 1騎ずつ順番に、馬から叩き落としていく。
 最後に残った張南の首が吹き飛んだ時、その名状しがたい勇猛ぶりに、包囲している曹操軍兵から感嘆の声が上がった。
 出木杉にしてみれば、そんなことはどうでもよかった。
 今、自分の胸の中で泣き声を上げている赤ん坊。
 この子のためにも、そして自らがとどめを刺したあの女のためにも、何としても突破してみせる。生き残ってみせる。
 そこへ、1騎の武将が出木杉と距離を置いて並走してきた。
 武将は叫んだ。
「そこに斬りなびけて通る敵の戦将は何人ぞ?」
 チラリと横を見て、出木杉は怒鳴り返した。
「銅鑼軍が将、出木杉!」
 三国志時代へやってきて数ヶ月。
 出木杉のセリフも時代がかってきた。
「承った!」
 そう叫んだ武将は、出木杉から離れていった。

 やや小高い丘の上から、出木杉の奮戦をつぶさに見つめている男がいた。
 その男の前に、さきほどの騎馬武者―曹洪―が駆け寄ってきた。
「申し上げます! かの者は銅鑼軍の出木杉にございました!」
 曹洪の言葉に、男は大きく頷いた。
「さもあらん…雲霞の敵陣をものともせず、単騎をもって駆け抜けようとは、あっぱれの者よ」
 男は目を細め、命令した。
「あの者に矢を射掛けるな! 生け捕りにせよ! 生け捕りがかなわずば、行かせよ!」
 男の命令に、曹洪は心の中でため息をついた。
 矢を射ることなく生け捕れ、と?
 あれは死兵だ。生け捕るなど容易ではない。
 また例の人材収集癖が出てきたな…。
 曹洪の想いなど気付かぬように、男―曹操―は目を輝かせながら、出木杉の武者振りに見惚れていた。
 夏侯惇配下の鐘兄弟が出木杉に襲い掛かる。
 出木杉はそれをいとも簡単に返り討ちにした。
 その場面でも、曹操の口から漏れたのは感嘆のため息だった。

 出木杉の戦い振りを、後人は次のようにうたった。
   血は征袍を染めて甲を透かして紅なり
   当陽誰か敢えてともに鉾を争そわん
   古来陣を衝いて幼子を扶く
   ただあり 銅鑼軍の出木杉

 出木杉は再び包囲を突破した。
437ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/05 20:29
第78回
 ジャイアンと張合βの打ち合いは数十合に及んだ。
 力の差は歴然としている。
 張合βも手を抜くことなく、全力の攻撃をジャイアンに見舞っている。
 だが、ジャイアンの防御もまた、非凡なものだった。
「どうした! 守るばかりではどうにもならんぞ!」
 業を煮やして叫ぶ張合β。
 張合βが目指すものは、劉備の首。
 ジャイアン一人にてこずっている暇はないのだ。
 しかし、完全に守りに徹しているジャイアンは粘り強い。
―埒があかんな
 張合βは戦法を変えた。
 頭ではなく、手首に向かって突き出された槍に、ジャイアンは対応できなかった。
 ジャイアンの槍が宙を舞い、地面に落ちた。
 
 終わった、と思ったが、それも瞬間的なこと。
 槍を弾き飛ばした張合βは、そこで勝利の余韻に浸ることなくすぐさま槍を振りかざす。
―ああ、今から刺し殺されるんだな
 張合βの動きが妙にゆっくりと見えるが、自分の体の動きもおなじくスロー。
 張合βの槍の刃が、キラリと光ったのが見えた。
―あれに刺されるのか、俺は
 不思議と「怖い」という気持ちにはならなかった。
 ただ、これで終わりということが残念ではあった。
 ジャイアンは目をカッと開いた。
 自分が殺される瞬間、この世で見る最後の場面を目に焼き付けておきたかった。
 だから、殺意にあふれる張合βの瞳が、急に焦点を失った瞬間も見ることができた。
「………?」
 張合βの動きが、さらにゆっくりとなった。
 いや、完全に止まっていた。
 グラリ、と張合βの上体が揺れる。
 そして倒れた。
「副将!」
 曹操軍将兵の悲鳴で、ジャイアンの時間感覚は通常のものに戻った。
 ただし、張合βに何が起こったのかはわからない。
「貴様ーっ!」
 副将が倒れたのを見て、配下の将兵が一斉にジャイアンに襲い掛かる。
 今のジャイアンは槍を持っていない。
 倒すことは難しくはない。
 しかし、それは叶わなかった。
 ジャイアンの目の前で、武将らは次々に落馬していく。
「何だ? 何だ? 何だ!」
 曹操軍と同じくらい狼狽するジャイアン。
 その耳に、妙に懐かしい声が響く。
「ジャイアーン!」
 この声は…
「遅くなった! ゴメンね!……バンッ!」
 こんな殺伐とした状況で「ゴメンね」などと言い放つ能天気さ…
「のび太っ!………心の友よ!」
 ウマタケに掴まったのび太と、軍馬にまたがったドラえもん。
 それぞれに空気ピストルと空気砲を放ちながら、曹操軍をなぎ倒してくる。
 ドラえもんがジャイアンに槍を投げ渡す。
 受け取ったジャイアンは、歓喜の叫び声を上げながら、曹操軍の中に突撃していった。
438連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/05 22:46
関羽の大音声により戦場が一瞬静まりかえる。
まさかあの呂布に一騎打ちを挑むなんて愚かな奴もいたもんだ。そう考える諸将も少なくない。この場にいる者全員が戦をしていることも忘れ、二人の一挙一足に目を向ける。
万を越す人が居ながらも二頭の蹄の音が異様に響く。そしてだんだんに早くなる。
呂布(ジャイアン)が奇声を上げ振りかぶる。
関羽は腰を落とし、構える。
――先に仕掛けたのは呂布(ジャイアン)だ。力任せに右手の槍を打ち降ろす。
かきぃぃぃぃぃんん!
甲高い音が戦場に響く。関羽はこれを刃の部分で受け止めた。
続けて第二撃。左手の剣で唐竹割にかかる。
がしぃぃ!
先ほどとは打って変わり鈍い音が響く、青龍刀の柄の部分で受け止めたのだ。
二撃とも弾かれた呂布の手が宙に遊ぶ。関羽はその一瞬を見逃さなかった。
「フン!」
気合一閃。関羽の重い一撃が呂布の右袈裟に襲い掛かる。
しかし呂布(ジャイアン)は軽く左手の剣で受け止めたが頬を何かが掠めた。
顔に生温かいモノが滴る。それは呂布が、ジャイアンが、この戦場で初めて流した血だった。
戦場にどよめきが走る。
武神に、誰も寄せ付けない剛の者に、あのヒゲは互角に渡りあっている。
二人は吼え、猛獣と化した。
打ち合うこと数合。異変が起こった。
曹操が兵を動かしたのである。
純粋な武人である二人はこれに納得がいかない。
(我らの一騎打ちをないがしろにするか?)
しかし、戦には流れがある。流れを変えるのは一人の武人によったりするが、大抵、兵が決めるものだ。
二人はお互い睨みあいながらもその場を後にし、おびただしい犠牲を払いながらも董卓軍を追い払った。
ちなみに董卓はこの戦闘の後、一夜にして長安へ遷都した。
439連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/05 22:47
―――天気のいいある日。二人の男が碁を打ち合っていた。
年老いた男が一手。
「のお〜孟徳よ〜。世の群雄は躍起になって人を集めているのに、こんな事をしておってよいのか〜?」
二人は曹親子だった。
今度は曹操が一手。
「おまえは苛烈な評判ばかり立てておるから人が寄ってこんのではないのか〜?人は厳しいだけではいかんのだよ〜」
曹操は父の顔を見ながら涼やかに答える。
「父上、人はいずれ集めます。だがその前の用意がいるのです。」
曹嵩が指を突き出し冗談まじりに声を出した。
「金かー?今度はワシの金を狙っておるのかー?」
「一つは金。そしてもう一つは策です。」
「なんと!誰よりも策に富んでる男がまだ策を求めるのかー?」
曹嵩がひとしきり言い終えると門の所に人影が見えた。
「父上。私の策が帰ってきました。」
門の所にいる男の姿はみすぼらしく、また後ろに大きな荷車をおいていた。
「曹操殿――!!荀ケ文若ついに!あらゆるものを見聞し!そしてそれらを見事に忘れ、二体の置き人形をもってまいりました――!」
久しぶりに荀ケをみた曹操は顔をほころばせる。
「うむ!お前の頭の中も気になるが、後ろの人形はもっと興味をそそられるぞ!よく最高の状態で帰ってきた!遠目に見てもお前のままだ!」
「か、変わっておりませんかー!」

久方振りの再会を喜ぶ二人だが、この二体の人形が暗雲をもたらすことは誰も知らなかった…。
なんで蒼天航路のセリフそのままなんですか?
441連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/06 12:51
>>440
ゴメンね…。早く次にすすみたかったからそのままなの。
勘弁してください
>>441
焦らなくてもいいよ。マターリには慣れてる三戦板の住人だから。
ゆっくりでもいいから、作品が壊れないようにがむばって。
443連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/06 21:26
>>442
ありがとほ…
>437
「心の友よ!」の台詞に悶絶しました。
ウマイ!!
>>444
 いつか使おうとずっと温めていた(?)セリフなので、そう言っていただけるとものすごく嬉しいです。
>>437
第79回
「先に行っておれ、わしもすぐ参るによって…」
「しかし夏侯恩様、今は劉備を追撃するが何より肝要かと」
「やかましい! すぐに参ると言っておろうが!」
「…ハッ、それでは」
 夏侯恩と呼ばれた男の部下たちは、律義に走り去っていく。
 その場に残されたのは、夏侯恩。そして、しずか。
 夏侯恩は馬から下りると、何も言わずにしずかの襟首を鷲掴みにし、ズンズンと葦の茂っているところへ歩いていく。
 しずかには、抵抗する力も、声を上げる気力も残されていない。
 しずかは、葦の中に投げ出された。
「ホウ?」
 しずかを見下ろした夏侯恩が声を上げる。
「なかなか見目よき娘ではないか……なに、殺しはせん。楽しませてもらうだけじゃ」
 特に興奮した様子も、かといって残忍な様子も感じられないその口調。
 この男がしずかに対して為そうとしている行為は、これまで被害者となってきた女、そして童女にとって、その人格をも変えかねない悪行だ。
 だが、戦場で決して珍しいことではない。
 それが現実だった。

 しずかが着ている服は、劉備軍の女細作・斐妹と同じ、軽くて動きやすい作業衣だった。
 しずかの体力では、鎧は重過ぎた。
 甲冑を外した夏侯恩は、横たわるしずかのズボンをずりおろした。
 少し息が荒くなっている。
 しずかの恥部に顔を埋める。
 ピチャピチャ…
 舌を動かす音が聞こえる。
―今、何が起こっているのだろう
 その音を聞きながら、ぼんやりとしずかは思った。
 懐に手を入れたのは、まったく無意識の動作だった。
 堅い感触がある。
―ああ、これは確か…
 やはりぼんやりと、しずかはそれを取り出した。
 新野で斐妹から何度も何度も繰り返し教わった行為。
 しずかはそれを、無意識に実行する。
 夏侯恩の頭髪を左手で軽くつかむ。
 右手に握った物が、夏侯恩の首筋にそっと当てられた。
 その冷たい感触に夏侯恩がビクッと動いたが、遅かった。
 懐剣を一気に引き上げる。
 鮮血が吹き出した。

 放心したように腰を落としたままのしずか。
 その隣りには、夏侯恩の骸が転がっている。
 もうひとつ、転がっているものがある。
 それを見てしずかは、きれい、と思った。
 鞘に宝石が散りばめられた美しい剣。
 両手でようやく持ち上がる重さで、しずかには使いこなせない。
 しずかは力を振り絞ってそれを振り上げると、そばの沼に放り投げた。
 ポチャン……
 そしてしずかは歩き出す。
 目的地も方角もわからぬまま。

 南征に際して曹操が特別に作らせた二振りの宝剣、倚天と青コウ。
 青コウは人知れず、荊州の沼の底へと沈んでいった。
勿体無い・・・
448連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/07 16:07
曹操の下に帰ってからというもの、荀ケは引きこもっていた。
それもそもそのはず、途中で見つけてきた二体の人形をキレイにしていたのだ。
しかし、見れば見るほど変テコな人形である。一体は青いタヌキだしもう一体は骨みたいだし…。でも殿が気に入ったから良しとするか。みたいな気分で磨いていた。
遠くから声が聞こえる。荀ケは始め空耳だと思っていたため放置しておいた。
が、だんだんその声が大きくなると気になり始めた。
(一体何だろう…?)部屋から顔をひょっこり覗かせると何かが飛んできた。
――曹操である。余りのスピードに荀ケはひっくり返ってしまった。
「たはは…。スマン荀ケ。」
苦笑いの曹操だが荀ケの顔は真っ赤である。
「何をなさるんですか殿!人形が壊れたらどうするんですか!?」
せっかくキレイにしてから持っていこうとしたのにその前に壊されては堪らない。
「悪いな。だが俺は実のところお前の頭の中よりこの二体の人形が気になってるんだ。」
さらりと爆弾発言をしてしまった曹操。荀ケのいままでの旅で培ったモノが音を立てて崩れ去る。
呆然としている荀ケをよそに曹操はまず青いタヌキ…もといドラえもんに興味を持ち始めた。
人間の手では作れないような頭の曲線美。見事なまでに伸びきった6本のヒゲ。目に星がうかんでいるその姿は滑稽の二文字に尽きた。
触ってみるとひんやり冷たい。全身くまなく触ってるとやがて尻尾に赤い球体がついてるのが伺えた。
このなんともいえない球体が曹操の好奇心をおおいにくすぐった。
曹操が手の中でドラえもんの尻尾を転がしていると正気に戻った荀ケが悲鳴に似たような声をあげた。
「とッ殿―!むやみに触るのは止めてください!」
曹操に掴みかかろうとする荀ケ。だが武の才乏しい荀ケは簡単にいなされてしまった。
が、よけた際に尻尾を握ったままだったので、思い切り引っ張ってしまった。
カチッ!
何か音がしたのを皮切りに荀ケが泣きつく。
「殿がふざけてらっしゃるから壊れてしまったではないですか〜!」
まあまあといった感じで曹操は荀ケをなだめた。
「おまえは俺のために持ってきてくれたんだろう?ならいいじゃないか。」
「よくありません!」
延々と言争う二人。だがそんな二人を止めたのは他でもない…ドラえもんだった。
フイイイイイン…。
「だから!殿のせいですよー!」
荀ケ、怒り爆発。
「荀ケ…見ろ…。」
「なにをで…!」
曹操に言われるまま振り向いた荀ケは顔が青ざめた。
ガタッガタガタ…ゴゴゴゴゴゴ…!
ドラえもんが大きな音を立てて振動していた。

本来のネコ型ロボットはこのような音はしないのだが、いかんせん中古品の上のびたの扱いがひどいがためにこのようになってしまっていた。
ポヒー!プシュウウン!
電源が入ったドラえもんは大きなあくびをし辺りを見まわした。
「くあああ…。ここ一体どこだろう…?」
そんなドラえもんの目に入ってきたのは見たこともない男ふたり。
一人はみすぼらしく、もうひとりは危険ともいえるような男。
尻餅をついた荀ケは口をパクパクさせていた。
「タ…タヌキが…しゃ…喋った…?」
449ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/07 20:07
>>446
第80回
 再び曹操軍と遭遇しても、別に思うことはなかった。
 切り崩し、突破するだけだ。今までのように。
 懐の赤ん坊に目をやる。
 スヤスヤと眠っている。
「また少し揺れたりするけど……大丈夫だからね」
 そっと出木杉は語り掛けた。

 部隊長、斬り込み隊長、そして謀臣。
 部隊の先頭にある3人を見て、出木杉はそう当たりをつけた。
 まずは最初に挑んでくるであろう斬り込み隊長を倒し、そして部隊長を斬る。
 あとは狼狽した敵陣を突破すればよい。
 だが、出木杉に襲い掛かってきたのは、配下の軍兵たちだった。
 次から次へと刃を突き出してくる軍兵をなぎ倒しながら、少しずつ部隊長の方へ近づく。
 3人の幹部は、馬上で身動きもせずその戦いを見守ったまま。
 妙な違和感を感じる。これまでと勝手が違う。
 特に部隊長の横に影のように従っている軍師風の男が、何ともいえない不気味な空気を放っている。
―あいつを先に倒した方がいいのかもしれない
 意識が別の方向へ飛んでいるのを見逃さず、軍兵が鋭く槍を突き出す。
 慌ててそれをかわす出木杉。
 生き残ることさえできれば、部隊長、あるいは将軍にまで出世する力を持つ軍兵もいるのだ。
 出木杉は、そんな「未来の将軍候補兵」の頭を甲冑ごと叩き割った。
 その瞬間、「今だ!」と叫ぶ甲高い声を聞いた。
 胸に衝撃を受け、馬から振り落とされる出木杉。
 天性の身の軽さでクルリと着地し、槍を一閃して軍兵たちを牽制する。
 そして、気付く。
 自分の胸から棒が1本、飛び出している。
 矢だ。
 だが、痛みは感じない。
 なぜだろう、と考え、慌てて懐を開く。
 矢は、赤ん坊に突き刺さっていた。

 ペタリと腰を落とす出木杉を見て、張繍が心配そうに言った。
「本当に良かったのか、賈ク?あの者には矢を射るな、と丞相からお達しがあったばかりだが」
「禍根となるものは、早いうちにその芽を摘んでおくことが肝要にござる」
 賈クと呼ばれた鋭利な顔立ちの男は、表情一つ変えず答えた。
「それはそうだが…しかし、丞相は」
「ご案じめさるな。丞相への説明はそれがしにお任せいただければ」
「頼むぞ。わしには恐ろしゅうて、とても丞相に合わす顔がない……お、そうであった。胡車児よ、相変わらず見事な腕よの」
 張繍からそう言われ、胡車児は黙って頭を下げた。
「されど、まだ致命傷ではない様子。今なら生け捕りにすることも可能でしょう。さすれば、奴に矢を放ったなど些細なこと。丞相に対する面目も立ちます」
「そうじゃな……ん?」
 矢傷を負った出木杉が、ゆっくりと立ち上がった。
 こちらを見ている。
 その目を見て、張繍も胡車児も、そして賈クも、背筋にゾッとするものを感じた。
450ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/07 20:08
第81回
 ドラえもん、のび太、ジャイアンの3人は東へ向かう。
 しずか、スネ夫、そして出木杉の3人を見つけることと、曹操軍から逃げ切ること。
 両立の難しい目的ではあったが、彼らの頭の中にそれ以外の考えはない。
 だから、約30騎の曹操軍にひったてられているスネ夫を発見した時、3人の動きは早かった。
 あっという間に曹操軍を蹴散らし、スネ夫を救出する。
「ジャイア〜ン! のび太〜! ありがとう〜!」
 涙と鼻水で顔をクシャクシャにしながらスネ夫。
 殴られたらしく、痛々しいアザが浮んでいる。
「スネ夫、しずちゃんは? 一緒じゃなかったの?」
 のび太が尋ねると、スネ夫は申しわけなさそうに応えた。
「先に逃げてもらったんだ……その後、僕は捕まっちゃったから…」
 うなだれるスネ夫。
 のび太らも黙り込む。
 スネ夫はよくやった。
 しずかを守り切れなかったのは、スネ夫個人の力ではどうにもならないこと。
 それをわかっているが故の沈黙。
 その沈黙に耐えられないように、スネ夫はドラえもんの方を向いた。
「ドラえもん、ごめん。神さまステッキなんだけど…叩き折られちゃった」
 その言葉に、ドラえもんは胸が熱くなるのを感じた。
 腕に自信があるわけでもない少年が、たった1人で屈強な曹操軍と戦い、そして捕虜となった。
―恐ろしかったろうに…
「気を落とすな、スネ夫! 大丈夫、しずちゃんはおまえより強いんだから!」
 慰めているつもりらしく、ジャイアンがスネ夫の背中を強く叩く。
 スネ夫は弱々しく笑った。
 だが、感傷に浸っている暇はない。
 行動しなければ。
 一秒でも遅れれば、しずからの危機もそれだけ大きくなる。
「どうする? 別々になって捜すか?」
 ジャイアンが口を開く。
 確かに、その方がしずかを発見する確率は高くなるが、同時に身の危険も大きくなる。
「4人一緒で行動しよう。バラバラになるのは危険過ぎるよ」
 ドラえもんの言葉に、全員が頷く。
 ただし、4人がひとかたまりでいられた時間は意外に短かった。
 再び曹操軍が追いついたのだ。

 中央に「曹」と大書された軍旗。赤色で縁取られている。
 曹仁のものでも、曹洪のものでもない。
 漢丞相・曹操の大軍旗だ。
「逃げるぞ!…あの橋を渡れば、少しは時間を稼げる!」
 ジャイアンが指差した方向には、幅の狭い橋のかかった川が流れている。
 その橋の名は「長板橋」。
 だが、曹操軍の展開は早かった。
 ドラえもんたちは、圧倒的多数の軍兵に包囲された。


 話は第1回へ戻る。
451ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/07 20:09
第82回
 閑話休題
 えっちらえっちらとカキコしているうちに、80回を超えてしまいました。
 数えたわけではないのですが、だいたい全体の半分を過ぎたかどうかといった所だと思います。
 後半突入前の息抜き代わりというわけではありませんが、ここでちょっと閑話休題、皆さんにお知らせとお願いがあります。


 まず、わかりづらい展開となっているので、これまでの流れを時系列でまとめます。
 カキコを始めたのは前スレ>50の第1回ですが、時間的に見た話のスタートは第17回(前スレ>127)です。
 17回以降は「新野の戦い」「三顧の礼」「博望披の戦い」「襄陽からの逃避行」、そして「曹操軍に追いつかれる」…といった流れが81回(>>★)まで続きます。
 その後は、第1回から第16回(前スレ>109)まで、離れ離れになったジャイアン、出木杉、しずかのそれぞれの様子。
 そして次回から新しい話へ移る、という形になります。
 時間的な流れを掲載番号順で並べると、
  @第17回〜81回
  A1回〜16回
  B83回〜
…という感じです。
 掲載番号は公式ファンページに準拠しています。
 ところで、前スレが「そんな板orスレッドありません」状態になっているのですが、これってもう見られないのでしょうか?

 次にお願いというかお詫びというか…
 そもそも、こんなに長くカキコすることになるとは夢にも思っていなかったため、気の向くままに続けてきた結果、所々で話のつじつまが合わなくなっています。
 第1回だけでも、曹操がドラえもんの弱点(ネズミ)を知っていたり、離れ離れになっているしずかがメンバーの中にいたり、ジャイアンが鎮西将軍だったり、既に赤壁でジャイアンと夏侯淵が戦っていたり、と突っ込み所満載です。
 この手の不整合はほかにもいろいろあるのですが、訂正したい部分を一覧にするのもお目汚しの上塗りと思いますので、お気付きになられた方は暖かい目で見逃していただければ幸いです。

 残り半分(多分)、今後ともお目通しの上、ご批評のほどよろしくお願いします。
のび太はちらりと横にいる男、呂布を見る。
本で読んだときには獰猛で野獣のようなイメージだったが、こちらは(本物は?)なかなか落ち着いた風貌である。
背が高く体はきゅっと締まっており、その腕はのび太の腰ほどはあるだろうか。

のび太は呂布を、張飛に似た粗暴な男だと想像していたのだが、それは見事に裏切られたかたちになる。
目の前にいる男はそこはかなげと無く知的な雰囲気すら漂っている。

まあ、このときのび太の心は嫉妬にも似た怒りに満ちているので、あまり深く考えなかったのだが。


やがてのび太の視線に気づいた呂布は、口元にかるく笑みを出す。

こうして待っている間にも呂布への歓声は鳴り止まない。
まかりなりにも呂布はこの街の英雄である。
彼の活躍のおかげでここ、シン陽一帯では賊などの被害はほとんどないのだ。
この歓声はいままで平和に生きてこられた恩返しでもあるのだろう。

しばらく待つと大声をあげる男が来た。 呂布の指示で矢を持ってきた魏続だ。
「緑矢二箱、赤矢二箱もって来ました!」
「ご苦労」
それだけいうと魏続は数歩下がった。おそらく二人の試合を見るつもりであろうか。

さらに待つことわずか、
「か、角材もって来ました!」
太さにして電信柱ほど、長さは4メートルほどの木材を高順は持ってきた。
さすがに重く三人がかりでここまで持ってきたようだ、
額に汗を浮かべながら運んできた高順に呂布はいう。
「ご苦労だ」
呂布はその木柱を片手でわしづかみにすると、野球の投球ホームのような動きで地面につき刺す。
ドスっという音が辺りに響く。
さらに突き刺した木柱に小刀で

「さあ、始めよう」
のび太に向かって呂布は言った。
「あの柱に向かって交互に矢を射る。外したほうの負けだ」
のび太はその柱を見た。4メートルほどの柱は半分が地中に埋まっている。
呂布とのび太の立ち位置からは20メートルほど離れているといったところか。
「簡単だろう?」
そういうと呂布は赤い矢を射る。そしてそれは当たり前のように命中した。
「うん、簡単だね」
のび太は緑の矢を射る。かつっという音をたててそれもまた命中した。


客は二人が命中させるたびにやんややんやの拍手喝采をあびせる。
しかしのび太にすればこれは茶番だ。勝負を続けているうちにのび太は馬鹿にしてると思った。
まかりなりにものび太である。この距離、この的。
外す要素が見つからない。

ビュン・・・ガツッ

何もいわず黙々と射る二人。

ビュン・・・ガツッ

客は命中するたびに歓声を上げる。

ビュン・・・ガツッ

客は客を呼び、あたりは祭にも似た活気が出た。

ビュン・・・ガツッ

しかし、そのざわめきは二人の耳には届かない。
茶番、そう思いながらも交互に射ること約百回。
髪をとかす櫛のようになった柱を見てのび太はこのルールの意味をようやく理解した。


「だんだん射るところが無くなっている」


そうなのだ。
矢を射ればそれだけ次の矢を当てることが難しくなっていく。
方眼紙を一マス一マス塗りつぶしているようなものだ。


「今ごろ気づいたのか」
木材という方眼紙を一マス、矢で塗りつぶして呂布はいう
「うん」
負けじとのび太も塗りつぶす。
「でも負けないよ」



のび太にしてみれば負けたくないから射る。
ただそれだけにすぎない。
呂布は何を考えてこの勝負に望んでいるのだろうか。
当時、この矢仕合を見ていた観客の一人はこう語る。

最初は呂布様も若いのも慎重に射ってたんだけどね。
なんなのかな、慣れてきたのかな。二人ともすごい早さで射りはじめたんだよ。
ん、あーいやいや矢の速さではなく、矢を射るまでの時間だよ。
呂布様がが射る。次にのび太が射る。この繰り返しが非常に早かったんだ。



一時間程度で二人あわせて三千五百近い矢を射っている。
戦いは終盤にさしかかっていた。



残り三百六十八。

ビュン・・・ガツッ

残り三百六十七。

残りの射れる矢の回数をのび太は心の中で唱える。

木柱は横30センチ、縦は2メートルといったところ。
うち、横五センチは危険なのでのび太は射るつもりは無い。
呂布が角材・・・つまりは直方体を持って来いと言ったのに魏続が円柱のような木柱を持ってきたからである。
円柱の左右両端のは案外もろいものだ。そこを射って木が割れ、当てたはずの矢が落ちたりしたら負けになってしまう。
単純計算、つまりは20×200。矢が直径1センチとして四千もの矢がこの木に刺さる計算だ。

・・・などということは無論、のび太は考えていない。

ただ目で見て射れる数を理解しただけである。
やがてだんだんペースが遅くなる。
双方射る所がなくなっているのだ。
客からすればとうの前から射る所などない。
呂布とのび太だけにわかる、

隙間。


木柱という方眼紙、残ったマスはあとわずか、
のび太の目測では・・・百。

九十、七十、五十、四十、三十、二十、十。

ビュン・・・ガツッ
残り、九。

長時間の仕合にのび太と呂布。
剣を交わした戦士のように。お互いに実力はもう理解しあっていた。
おそらくどちらにおいても失敗はありえない。
弓の力は互角だろうか。

ビュン・・・ガツッ
残り、八。

ビュン・・・ガツッ
残り、七。

ビュン・・・ガツッ
残り、六。

しかし、負けたくない。
のび太をつき動かすのは単純な言葉。
となりにいる男に負けたくない。
のび太は弓に矢をかけ、あとわずかしかない隙間に向けて、射る。

残り、五。

精神的に追い詰められているのはのび太といったところか。
呂布の顔にはまだ余裕みたいなものが見える。

残り、四。

のび太がさあ射るかというときに、遠くから馬の蹄の音がした。
それはだんだんこちらに近づいてくる。

「呂布様!」
「どうした張遼!」
「丁原様より、上党に三千もの賊が出没したとの注進です!」
「父が・・・ふむ、出兵の準備をしておけ。すぐ終わらせて行く」
>>451 ジャイアン伍長様

前スレはHTML化されるのを待っている状態ですので、
気長に待つしかないです。
お金を払って専用ブラウザを使えばすぐ見れますが。

いや、ファンサイトがあってよかったですね、過去の話がいつでも読める。
あらためて職人様&管理人様に多謝。

ジャイアン伍長様、残り半分、焦らずがんばってください。
ドラえもんっぽさと重さの絶妙なマッチングが大好きです。
>>457
 そのうち見れるようになるんですか。
 良かった、ホッとしました。
 今後は若干ペースが遅くなるかもしれませんが、よろしくおねがいします。
459無名武将@お腹せっぷく:02/06/08 12:38
ageとく
460連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/08 22:53
目の前に現れた青いタヌキは人間の言葉を話していました。
怖かったかって?それは初めてみた時は怖かったですよ。でも、もう今となってはもう曹操軍の顔役ですよ。
ドラえもんなくして曹操なしってね。
あいやいや!でも曹操様の王佐はこの私ですよ?そこんとこよろしくお願いしますね。
それにしてもなー。曹操様にゃーホント参ちゃいますよ。
ドラえもんにすぐ興味を示すんだもの…。
あの人の方が怖いよ…。まったく…。
461連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/08 22:54
目の前の得体の知れない物体に曹操は興味津々だった。
人間でないのに人間の言葉を話す。それでいて頭がよい。タヌキとからかえばムキになる。
ドラえもんはかっこうのおもちゃになった。
そんなレベルの低いやり取りをしているとドラえもんはある重大な事に気づいた。
(この人は誰?ボクを助けてくれたんだろうけど…)
悩むドラえもんの顔を見た曹操はドラえもんのことを見透かしたように声をかける。
「どうした?何を黙りこむ?…何かきになることがあるのだろう?」
「え…あの…その…」
ドラえもんは口篭もる。さらに曹操は追い込みをかける。
「そうか。俺が気になるか…。俺はな…曹操だ。」
ドラえもんは愕然とした。まさか目の前にいる男が歴史上最悪の魔王、曹孟徳とは。
ここで一つ考える。このまま逃げる事の可能だ。のびた達の事も気になる。だがそれはアテのない旅。この広大な中華で数人の人と会うなんて事は不可能に近い。
ましてこの男は恩を仇で返すようなことをした場合地獄の底まで追いかけてくるに違いない。
考えたドラえもんは一つの答えを出す。今はこの男に従うしかない。そしてスキを見て逃げ出そう。幸い道具はタンマリある。そう考えているとまた新たに疑問がうかんでくる。
一体今は何年だ?たしか電源が切れたのは黄巾族に襲われた時。ドラえもんは傍らにいる荀ケに話かけた。荀ケは名乗ってないのにどうして?と言った感じだったが渋々、「黄巾が鎮圧されてから8年」と答えた。
ドラえもんの青い顔がさらに青くなる。もはやのびた達の存在すらもあやうい。こんな時代で無事なんだろうか?ドラえもんはまた考え込んで辺りに目をやった。
あるモノに目が止まる。それを見たドラえもんは声を無くした。
462無名武将@お腹せっぷく:02/06/09 23:35
age
僕の邪魔をするな。
のび太はそう思った。
そんなにこの勝負終わらせたいのなら・・・
のび太は矢を四本手に取ると、弓にかけ一度に打ち出した。
唸り声を上げながら走る四本の矢は、みごとに木柱に刺さる。

「これで、僕の勝ちだ」
のび太はそういうと満面の笑みを浮かべ、呂布を見る。
木柱という名の、マス目はびっしり矢で埋まった。
この状況で、呂布が射るところなどない。のび太はそう思った。
のび太でさえ無理だというその状況。 しかし呂布は射った。
ざくっという音を立てて矢は刺さった。

観客は失敗したと思った。
木柱というよりも地面に斜めに刺さったかたちだったからだ。
ようは土に隠れた部分の木柱を射ったというところか。
「苦し紛れにそんなことをするなんて・・・」
観客の一人が言った。それはみんなの言葉を代弁したものといえる。

呂布はくるりと反転すると歩き出した。 賊を倒すための準備をするのだろう。
のび太は呂布の射った矢を見た。 しばらく睨み、そして振りむくと大声で叫んだ。
いや、叫ぼうとしたのだがそれはかなわなかった。 背後の音がのび太の口をふさいだ。

最初はピシッという小さな音だった。
続いてメキメキというなにかが割れるような音。
最後にズンという地響きのような音。

ありえない、しかし信じるしかない。なぜならそれ以外には考えられないからだ。
呂布が矢で木柱を折ったのである。

あの細い矢で。あの柱をである。
目の前の出来事に回りは信じられないというか、理解できなかったというか。
ともかく、拍手歓声が巻き起こるのはしばらく後になってからであった。
しばらく放心していたのび太だったがやがて呂布のほうに駆け出した。
足が長いからか、呂布はずいぶん遠くを歩いていた。
はぁはぁ息を切らせながら追いついたのび太、呂布に話し掛ける。
「あれ、狙ってやったの?」
「さあな」
「どうやるの?」
「知らん」
「けちけちけちんぼ、教えてくれたっていいじゃんいいじゃん」
「・・・・・・・・」
「なんだいなんだい凄いことしたからって黙り込んじゃって」
「これからいくさだ」
「えっ? ああそういえばそうだったね」
「来い」
「うん・・・ええ? ぼくが?」
「そうだ」

どうしようかとしばらく考えたが、のび太はなんとも「のび太」らしい発想に落ち着く。

まてよ・・・
これはこれでおもしろいじゃない。

戦いに面白いとは不謹慎、とはいえのび太は心の底から賊を憎んでいる。
のび太のとって賊を退治することは現代の警察の役割と同じである
「この時代には警察が少なすぎる、だから悪い賊がはびこるんだ」
のび太の頭の中ではそういう結論に達しているのであった。

「うん、いくよ!」
そう答えたのび太は自己紹介し、呂布と共にシン陽軍の賊討伐隊と合流する。


行軍中、のび太はぼそっとつぶやいた。
「呂布って三国志でどんなことをした人だっけな。強い人としか覚えてないや」
465無名武将@お腹せっぷく:02/06/11 06:39
age
466スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/11 22:29
>>416

第4回

戦闘はあっけなく終わった。奇襲を受けた黄巾賊はなす術もなく突き崩され、
曹操軍に散々に打ちのめされた。

槍を抱えて座っていたジャイアンはハァとため息をついた。すでに戦闘は終わ
り、あたりには手当てを受けている負傷兵や祝杯を上げている兵もいた。

「たけし、どうしたの?そんなにむっつりとした顔して。」

「なんでもねえよ。」
ジャイアンは返り血を浴びた辛の顔から目をそらした。

ジャイアンはどうしても人が殺せなかった。相手を追い詰めても止めをさす
ことがどうしてもできなかったのだ。

しかし、辛は違った。
辛は多くの敵兵を仕留めていた。普段の温厚な様子からは想像もできないほど
凄まじい勢いで敵陣に突撃する辛にジャイアンは敗北感を感じていた。

ジャイアンの機嫌が悪い理由はこれだけではなかった。ジャイアンはこの戦い
の中で敵の武将を追い詰めながら逃がしていたのだ。

467スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/11 22:46
>>466

―助けてくれっ!!俺には養わなければいけない家族がいるんだ!

家族という言葉に母親と妹のことを思い出したジャイアンが躊躇っているうち
に敵将は逃走してしまった。

そのことを夏候惇に報告したが、「そうか。」と言っただけでそれ以上は何も
言われなかった。ジャイアンはむしろ叱って欲しかった。自分自身が許せなか
のだ。

「辛、お前は何のために軍にいるんだ?」
ジャイアンは辛の顔から目をそらしたまま、聞いた。

「・・・父さんと母さんに会うためかな。」

「なんで、軍隊なんだ?人を探すなら他にも方法はあるだろ。」

辛はそれには応えなかった。
ただ、傾きかけた太陽をじっと見つめていた。

西暦184年に発生した中国史上最大の農民反乱である黄巾の乱はこれ以後
首領である張角の死、鎮圧軍の活躍などにより急速に勢いを失っていく。
468曹操の覇業:02/06/11 23:46
>>397 398 399 400

曹操軍の勢いに押された呂布は、一時ボク陽城に引き返そうとしていた。

 
 呂布が後ろを見せたため、曹軍は歓声をあげて喚きたった。
 士気が逆転し呂布軍は崩れ始める。
 呂布は味方が浮き足立つのを見て戻りかけたが、ジャイアン・しずか等の奮戦が目に入り
 今日はもうまずい・・と、城を目指すのだった。


呂布が敗れた頃、それを予見したドラはボク陽の城へ迂回して先回りしていた。

 ボク陽城には陳宮だけが守っていた。
 新手の部将が寄せて来たと報告を受けた陳宮は
「数は? わずか500程か・・・ならば矢を射かけてればよい、相手にするな。」
 他に大将がいないとはいえ、曹操の本隊ならともかく、と全然心配には及ばないと
 思っていた。
 甚だ安心していた。
 

 ドラえもんは城門まで来ると兵を抑えただ1騎で門の前まで来た。
 そして手に何かを掲げ叫ぶ。
「開門!」 
 すると ギギギと門が開く。
 ”オールマイティーパス”の効力だ。
 そしてすぐさま500騎で城になだれ込んだのである。


 ( 城内がちょっと騒がしいが・・・だが錯覚に違いないな。 )
 陳宮がそのようにぼんやりしていた時、火の手があがる。
「しまった! 内通者がいたのか?!」
 悟るやいなや陳宮は大声で周りに呼ばわる。
「呂布殿の家族を保護し定陶の城を急ぎ目指せ。 呂布殿に早馬を送り
急変を伝えろ!」
 自身は兵を取り纏め呂布本隊に向けて合流を目指した。


陳宮と合流してボク陽が落とされた事を知った呂布は、陳宮と共に仕方なく定陶
に向けて進むのだった。
 
 その時である、ジャーン ジャーンと李典・楽進率いる伏兵が登場した。
 さらに曹軍本隊も追る、挟み討ちの様相である。
 呂布軍は大混乱に陥り、ここで兵の三分の二を失う。
 そしてなんとか定陶に逃げ込むも、いかほども支えきれず結局
 徐州方面に落ちてゆくのだった。


曹操は呂布を追い払うことに成功したが、2年もの歳月を要した。 その間に徐州では
陶兼が死に、劉備が後を引き受けたという事が伝わって来た。
 

469曹操の覇業:02/06/11 23:49
呂布を撃退した曹操は定陶の城に入城した。 そして諸将を前にして言葉をかけるのだった。


 戦勝の酒宴の席で曹操が言う。
「呂布により失った地は此度全て奪回した。 ひとえに諸君等の働きによるものである。
ご苦労であった。」
 この様に切り出して将達の労をねぎらった。
 そしてドラ・ジャイアン・スネ夫・出来杉・しずかを特別に呼び寄せて声をかける。
 もちろんのび太は呼ばない。
「今の余があるのは、そなた達の活躍がおおきい。 そなた達は余の宝である。」
 曹操の言葉に一同は感激の面持ちである。
 ジャイアンがうれしさのあまり飛びあがって唄うと言う。
「うわぁ またにしてよー」
「今はやめてくれよー」
 ギクッとしたドラ達が止めようとする。
「いや、殿のために唄わせてくれ! ぜひ!!」
 ジャイアンは止まらない。
 それを見た曹操はニコニコ顔で押し留めようとしたドラ達を制した。
「まあ、よいではないか。 聴かせてもらおう。」
「では!」
 ジャイアンが息を吸い込んだ。

ボエー!! ホゲェー!!

 ( た・・たまらん!! 我が心中の天下が・・・崩れて・・ゆく・・・・・ )
 曹操の意識が一瞬の内に遠のいた。
 群臣達が席を立ちだす。
「も・もうよい。 分かった。 た・堪能したぞ。」
 今度は曹操が必死で押し留める。
 そして無理やり話題を変えようとする。
「み・皆の衆、呂布はどうであったか?」
 精気を失った顔で曹操が問う。
 ドラ達が唄い続けるジャイアンをなんとか止めた。
「どうもこうもねぇ! 次会ったらたたっ斬るだけだ!」
 途中で止められたジャイアンが不機嫌そうに言い放つ。
 ジャイアンの勢いに曹操は「左様か」と一言であった。
 見かねたスネ夫が続いて語る。
「呂布は評判通りの勇者でした。 ただ呂布が騎乗している赤い馬が想像以上で、
まるで通常の三倍です。 呂布とは、そう ”ニュータイプ”なのかも・・・・・・」
「むう、 ”ニュータイプ”か・・・」
 曹操がそぞろ恐れを抱く。
 さらに出来杉が続く。
「然り、あの赤兎馬は脅威です。 タニノギムレットにも勝るかもしれません。
呂布が赤兎馬とある限り、戦場では彼を討てないでしょう。」
「むう、ダービー馬よりもか・・・」
 曹操が感嘆の極みだ。
 そして押し黙ってしまう。
 突然後ろから何者かが語りだす。
「呂布は虎の如く勇猛ですが、軽率、狡猾で英雄の才略とはほど遠いものです。
目先の利益だけに捉われて裏切りを繰り返す、この様な人物が成功したためしは
古来より例がありません。 わが君にはお心を患わし無きよう。」
 これまでの問答を密かに聞いていたジュンイクであった。
 曹操は安心して意気を取り戻し、
「呂布にはいずれふさわしい死を与えてやろう。 今は乱世をかき乱しておるがよかろう。」
 そう言って高らかに笑うのであった。
 
 
呂布を撃退した曹操軍は山東において勢力を確立し、朝廷にこの業績を奏上するのだった。
470ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/12 01:23
>>451
第83回
 出木杉は感嘆のため息をついた。
 彼は今、雄大なる大河・長江を前にしている。
 対岸がまったく見えない。これが川。まるで海だ。
「話には聞いていたが…ここまで広いとはな」
 出木杉の傍らでつぶやくのは、漢丞相・曹操。
「丞相も初めて見られたのですか?」
 驚いたように出木杉が尋ねると、曹操は軽く肯いた。
「これまで戦場はもっぱら中原だったからな。黄巾賊、董卓、青州兵、呂布、袁紹、そして劉表。敵を全て片づけてようやく……いや、劉備がまだだな。まあ、とにかく初めて見た」
「初めて……水上戦もそうですね」
 出木杉の言葉に、曹操はニヤリと笑った。
「何が言いたい、出木杉?」
 笑みの中から漏れてくる威圧感。
 それに必死で耐えながら、出木杉は答えた。
「丞相がご懸念のはずのことを」
 その答えに、曹操は笑った。子供をあしらうような軽やかな笑みだ。
 そんな曹操の態度にムッとして、出木杉は突っかかった。
「中原の兵は水上戦には不慣れのはずです。不安ではないのですか?」
 なぜこんなに自分がムキになるのか、出木杉にはよくわからなかった。
 今に限った話ではない。
 曹操と話をする時、なぜか背伸びをしている自分がいる。虚勢を張っている自分がいる。
 同年齢の子供はもちろん、下手な大人よりも遥かに大人びている出木杉だが、曹操と接する時だけはなぜか自分を制御することができない。
 もちろん、そんな出木杉の内なる疑問には、曹操は答えてくれない。
「それでは逆に問うぞ。卿はその若さで戦場に出ているが…初めて戦場に出た時、不安は感じなかったか?」
「それは……もちろん感じました」
「卿は不安を感じた。それでも華々しい戦功を上げた。そして今、生きている。なぜだと思う?」
「それは………仲間の助けがあったから」
「その通り、と言いたいところだが、それだけでは不足だ」
「不足ですか?」
「不足だ」
 曹操の顔から笑みが消えている。目も出木杉ではなく、長江のはるか南、呉を見据えている。
 曹操の言葉に反発を覚えながらも、出木杉はその表情を「まぶしい」と思った。
「何より肝心なものは、意思だ」
「意思…」
「不安よりも意思の方が心の中で大きく占めるならば、そもそも不安を感じる暇もない」
「まあ、それは確かに…」
「そして強い意志を持つ者は、目的を達成するためにあらゆる努力を傾注するようになる。仲間の協力を得ることはその努力の中のひとつ。後は天運だな」
「…」
「ただし、天運は意思云々とは関係ない。祈って事が為るのであれば、これほど楽なものはないが、現実は違う」
「…」
「ただ、意思を持つ者は様々な事態を考えて手を打つから、例え天運に恵まれずとも、目的を達成する場合もある。失敗に終ったとしても、再び盛り返すこともできる」
 いつの間にか出木杉は、曹操の言葉にいちいち頷くようになっている。
 今でこそ強大な勢力を誇る曹操だが、決して順風満帆な平坦路をたどってきたわけではない。100万の軍勢を率いて南征に乗り出すまでに、数々の失敗・敗戦を経験している。
 特に敗戦を喫した時の曹操は、戦勝を収めた時以上に派手だ。完膚なきまでに叩きのめされ、命を落としかけたこともしばしば。
 しかし、曹操はそこで終らない。再び盛り返し、最後には勝利を収める。
 そんなサクセス・ストーリーの背骨となっているのが意思≠セとしたら、この人の意思≠ニは、具体的にはどんなものなのだろう。
 天下を統一すること?皇帝になること?
 曹操は、尋ねて良いものか迷っている出木杉の方に再び顔を向けた。
「と言ってみたものの、此度の意思≠達成するための努力≠ヘ、まだ終ってはおらぬ。意思≠語るのはその後でよかろう」
 曹操は馬首を返した。
「出木杉よ。まずはその努力≠見るがよい。そして覚えておけ。戦さに限らず、あらゆる事を為すためにもっとも重要なのが前準備、すなわち努力≠ネのだ」
 愛馬の脇腹を蹴った曹操を、慌てて出木杉も追う。その後ろに許猪の馬が続く。
 許猪の視線を背中に強く感じる。
 ほんのわずかでも出木杉が不審な行動を取った瞬間、許猪の大剣が自分に向けて振り下ろされるであろうことを、出木杉は知っている。
曹操の覇業さんののび太の扱いがやっぱり面白い。
472連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/12 22:58
―――先行者。21世紀初頭に中国の某機関が開発。同年発表。発表当時は秒速2歩と言う滑稽な記録を叩きだした。
しかし、これは中国側の世界に対する布石だった。
ここに至るまでを少し話したほうがよいだろうか。
神秘の国中国。4000年の歴史を誇る大国。何があっても不思議ではない。
19世紀後半、ある遺跡調査団体が空を飛ぶ人の戦う様子の描かれた壁画を発見。その存在を信憑づける文献が次々に発見。国は先行者発掘を命じた。
20世紀初頭。ついに先行者を数体発掘。調整、稼動に尽力するも起動せず。
数年後、日中戦争が始まり劣勢に立たされる中国はまだ目覚めぬ大器、先行者に国の運命を託すがまたもや起動せず。日中戦争は中国側の敗北に終わり、数十年間敗北の時を味わう。
20世紀後半、某機関が先行者を自分達で作ろうと提案。製作に取り掛かる。
翌年発表。上記の結果になる。
自分達の手では作れないと判断し、発掘された数体の整備に取り掛かる。暗中模索の時が過ぎる。
21世紀なかごろ。先行者起動に成功。気機関(タオシステム)という地球の竜脈からエネルギーを得ることのできる機関の修理、改善の成功。この機関により外観からは想像できない守備力を誇る。
先行者は恐るべき無限機動兵器と化す。しかし、自我を司る機関が大破していたため、先行者有人計画を発動。
21世紀後半。有人化に成功。数名の精兵を投入し、中華機甲陸軍の発足。
中国は全世界に宣戦布告。まず、北のロシアの核の貯蔵庫、原始力発電所などを襲撃。ロシア陥落。使用先行者1体。
同時刻。アメリカのホワイトハウスを襲撃。F16戦闘機に空戦を挑まれるがあえなくこれを撃破。その後物量で戦いを挑まれるがアメリカ軍を全滅。使用先行者2体。
2強が倒された時、西欧諸島は次々と降伏。世界に赤い旗が掲げられるのはそう遠くなかった。
ただ、ただ1国だけ屈しなかった国があった。日本である。
中国はアメリカに庇護された日本を甘く見ていた。日本はASHIMOとAIBOを兵器化。
共に数万単位で投入。対し先行者3体。
一騎当千の先行者も戦闘ロボ数万には息が切れ、日本方の秘密兵器TEM500が介入。
先行者3体と激戦を繰り広げ、ついに先行者を撃破。
―――のちに中華大戦と称されたこの戦争は日本側の勝利に終わった。
と、ドラえもんのハードディスクには記録されている。しかも目の前のブリキの塊は完全なオリジナルである。これが起動すれば中華大戦時より凄まじくなるのは必至だろう。
「なあ、お前これ知ってるみたいだが直せないのか?」
曹操がドラえもんの顔を覗きこむ。…やっぱ直さないわけにはいかないか。
そう判断したドラえもんはタイム風呂敷を取り出し、先行者に被せる。
「はい!」
うやうやしく風呂敷を取り払うと先ほどまでくず鉄同然のボディがツヤツヤの新品に変わっていた。製造当時に時間を戻したのだ。
曹操とジュンイクは目を丸くした。
(こいつは一体…なにをした…?)
イマイチ気がのらないドラえもん。背後で先行者のヘラがピクリと動いた。
473しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/13 23:30
のびすぎ・十四
―もうだめだ!
出木杉は思った、賊にしがみついている腕も痺れ、堪えきれなくなっている。振り放されるは時間の問題。
その上もう一人が復活したとあれば、この場から生還する望みは無くなったも同然だった。
「うぜェぞ!」
ぶん、と男が身体を大きく振るった、うわっとのび太が飛ばされる。
「出木杉ぃ・・・」のび太は背中から強く地面に叩きつけられうずくまりそのまま動かなくなった、気絶したようだ。

「なめたことしやがって、観念しな」
もう一人の賊は頭をさすりながら剣を持った。
出木杉は首筋をぐいとつかまれるとそのまま持ち上げられた。
「ぐああ・・・」声が漏れる。
喉が圧迫され脳が酸欠していく、じわじわと視界が黒い靄で覆われていった。
必死に足をばたつかせて抵抗を試みるが力が入らない、嗚咽と嘔吐したときのような咳がでてくる。
―これで死ぬのかな
苦しさは遠くなり、あわい頭痛と眠気、吐き気がどんよりと意識を蝕んでいく。
「さあて、どう料理しようか」
卑しげな含み笑いが聞こえる。
―のび太君、ごめん、偉そうな事言って、僕は何も出来無かった…

何かが聞こえる、出木杉の鼓膜を微かに震わすその音。
―歌?
確かに抑揚と旋律がそれにはあった。しかしこんな場面で歌など聞こえよう筈がない。
死の間際の幻聴、若しくはばかげた事かもしれないが天国からの呼び声か。
―きれいな歌だなあ、けどイイや、もうどうでも…
出木杉はそんな歌よりも、急激な快い眠気に身をゆだねようとしていた。
474しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/13 23:32
のびすぎ・十五
その歌は幻聴でも何でもなかった。現実の歌だった。
声は若い男のもので、低音ではあるがよく透き通った流れるような旋律を奏でていた。
「誰だ!」賊が呼ばわる。
しかしそれには応えず、歌は続いている。
そうして一人の男が現れた。

まだ少年のような幼さがその顔にはあった、髭も細く申し訳程度に生えている程度で、背も伸びきって
いないような、二十歳にもならない男だった。
使い古したような白い頭巾と布衣を着、帯に飾りも無い長剣をさしていた。
「うるせえぞ!歌を止めやがれ」
しかし歌はやまない、若者は気持ちよさそうに薄目をあけてうたいつづける。
「てめぇ!」
賊が胸倉を掴む、それでも意に返さない。
この!とばかりに賊の拳が振り上げられる。だが。
「があっ!」驚愕の表情とともに賊のうめきが漏れた。
いつの間にか、腹に剣が深深とめり込んでいたのだ。

「なな、何しやがる!」
剣を抜かれ地べたに倒れる仲間をみて、もう一人の賊は出木杉を放すとあたふたと剣を構えた。
若者は刃の血を振るった、そうしてその剣をそのまま歌にあわせて動かしていく。
それは剣舞だった、歌は相変わらずとめどなく続く。
賊はポカーンと呆れたように見ていたが急にがくがく震えだした。
「まさか・・・あんたは・・・・」
しかしそれも束の間、若者が躍動感溢れる剣舞を舞いつつすばやく賊に近づきそのまま切りつけた。
賊は呆気にとられた顔をしたまま膝を尽きくず折れた。
最後に
「単、福・・・」という言葉を残して。

ようやく舞と歌が終わった、もう一度剣の血を振るうとかちりと鞘に収める。
ふう、と大きく息を吹き出すとぐるりと周りを見。
「良い詩作が出来たのに、今日は賊に何度も妨げられる。さっきの道でもだ」
とぼそぼそと呟いた。
475無名武将@お腹せっぷく:02/06/14 00:03
age
476無名武将@お腹せっぷく:02/06/14 00:06
徐庶来た
477無名武将@お腹せっぷく:02/06/14 08:19
徐庶元直
478何となく徐庶好き:02/06/14 20:51
ジョジョォォキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
出発前、呂布はのび太に高順の隊の副将を命じた。
あまりに突然のことに反論したが、当然聞き入れてもらえなかった。
のび太は馬を一頭もらい、その馬に矢筒を山ほど積む。

多くの民衆に見送られながら、呂布率いる賊討伐軍がシン陽の街を出たのは夕暮れ間近だった。

黙々と道を行く討伐隊、その兵士の士気は高い。
表情には出ていないが闘う意志のようなものが体から立ち込めているようだ。
そんな彼等を見てのび太はジャイアンを思い出す。
暴れん坊で、荒くれ者。 でも情に厚いあのジャイアン。
しかしのび太はもう、ジャイアンを思い出して泣くことは無かった。

時の流れとはそういうものなのか、ただ懐かしさだけがのび太の心を揺らす。

のび太は空を見あげる。 もうすっかり星が瞬いている。
ドラえもん、しずか、ジャイアン、スネオ、出木杉。
いろんな顔が浮かび上がっては星屑の中に消えてゆく。
「どうした、若造」
おもむろに声をかけられた、振り返ると高順がいた。
「若造じゃないやい、のび太だよ」
「ああこりゃすまんね、副将殿」
のび太はふくれた顔をしてみせた、そして高順と一緒になって笑った。


のび太は星空を見上げるついさっきまで、疑問に思っていたことを高順に聞いた。
「ねぇ、なんで呂布・・・様が僕を隊の副将になんか命じたのか、わかる?」
それに対して高順、考えるまでも無いといいたげな顔で
「そりゃ見所あると思ったからだろう」
「僕に? そんなまさかぁ」
「前にもそんなことがあってなぁ、ほら、あそこ見てみな」

高順が指さした先には一人の男がいた。多くの兵を引き連れたその男・・・良くみると、どこかで見たような気がする。
「あの人はさっき、弓矢で仕合をしていたときに呂布・・・様になにか伝えに来た人じゃない?」
「うむ、あいつは張遼っていうんだが、そいつもお前さんと同じような感じでさ」
「同じって言うと?」
「あいつも五年くらい前に呂布に見出されたクチだからな」
「へぇー・・・」
「ちょうどお前くらいの歳だったかな、そんときの張遼は」
「ふぅん・・・」

星空に照らされたその男、張遼。 見たところ十八、十九くらいだろうか。
筋肉質な腕で手綱を持ったその姿、キッと前を見つめているその目。
戦いの前だからか厳しい顔をしていたが、なかなかもって男前である。

「なんか強そうだね」
「ああ、ほんっとに強いぜ。 昔ならともかく、もう俺じゃ勝てん」


なんとなく呂布に見出されたことに誇りのようなものを持ち始めたのび太。
しかしそれはだんだん不安に変わっていった。
「ぼくに兵を指揮すること、できるのかな?」
そう独り言をつぶやくのび太。
「あん、なんか言ったか?」
「えっ、いや、僕のような子供に他の兵を指揮することができるのかなぁ・・・って」
それを聞き、豪快に笑う高順。
「がっはっは、俺たちは兵の指揮なんざ考えることなくってもよ、ここでそんなこと言ってんのは張遼くらいなもんさ」
「ん? 張遼だけって・・・?」
「まぁどーでもいいから、俺たちの仕事はほかの誰よりも勇敢に戦うってことだ]
笑顔で言うその言葉にのび太はうなずく、そしてこれから始まる戦いのことを考えた。
行軍すること十五日、ようやく賊の砦付近にたどり着いた討伐隊、
賊のほうは砦にたてこもり戦うつもりであったが、こちらの数が多いとわかるとと真っ向面から対峙した。

真昼間、平野にずらりと並んだ両軍、数では賊のほうがかなり有利だ。
呂布軍千五百に対して賊軍三千。いやもっと多いか。
のび太はいきなり乗っていた馬にの鞍に立ち上がる、そして敵のほうを見る。
太陽でまぶしいせいか、千八百年後の軍人が敬礼するようなポーズで敵軍の左端から右端までぐうっと見回す。
「三千四百・・・三千六百五十・・・三千八百・・・三千八百六十・・・くらいかな?」
「おいおい、なにしてんだよ」
隣にいた高順がのび太の奇怪な行動を見て口を出す。
「敵の数を数えていたんだ」
「数なんかどうでもいいんだよ、勝ったもんの勝ちだ」
「そういうものなの?」
「そういうもんだ!」
高順は力説してのび太を説き伏せた。




さて、呂布率いる賊討伐軍。各隊の兵数は以下のとおり。
魏続隊に兵五百
張遼隊に兵五百
高順隊(副将のび太)に兵五百人。 


おや?と思われる方もいるかもしれない。
呂布が兵を一人も率いていないのである。
無論、誤植でもなんでもなく、本当に誰一人率いてはいない。

魏続隊に兵五百
張遼隊に兵五百
高順隊(副将のび太)に兵五百人
そして呂布、ただ一人。
以上これが賊討伐軍、各隊の兵数である。
さて、その呂布。
この戦場で見る呂布は、シン陽でのび太がみたあの男とはまったく別人のような雰囲気である。
顔や手の甲に血管が激しく浮き出ているせいもあるが、それだけではないのは確かだろう。
背中に二本の大きな槍を背負い、手に同じ種類の槍をもう一本持っているその姿。
異様な光景であるのだが、なぜかそれが似合っているのである。


じりじりと陣を構えにらみ合うこと数十分。唐突に呂布は馬を歩ませた。
かっぽかっぽと小刻みなリズムを歌いながら馬は進んでゆく。
それを見たのび太、たまらず高順に質問する。
「どうしたの、あれ」
「むう・・・」
「まさか、一騎打ち?」
「・・・・・」
高順は何も答えずにただじっと呂布を見ている。


単身一騎。呂布は賊の総大将の前まで来た。
そして、なにごともなくその横を通り過ぎた。
まだ前進をやめない呂布。
馬は歩みに歩んで、とうとう敵兵集団のなかに入り込んでしまったのである。



「ねえねえ、これどういうこと?」
「うるさいわい、ちっとはだまらんか!」
呂、呂布〜!
いったい何するの〜!
先を早く知りた〜い!
>>470
第84回
 「斐妹」と名乗った少女―しずか―は、曹操軍の筆頭軍師・郭嘉の天幕にいる。
 やっていることは、もっぱら家事手伝い。
 「落ち着くまでここにいて良い」と郭嘉から言われてはいるが、一体今の自分にとって、「落ち着く」とはどんな状況を指すのだろう。
 既に何人かの人間を殺めてしまったしずかではあるが、小学生の女児であることに変わりはない。
 ドラえもんたちの所在もわからず、自分は辛うじて素性を隠して敵軍の陣営に生きているというこの場面を、どう乗り超えていけばいいかなどわかるはずもなかった。
 しかし、望みがないわけではない。ドラえもん一行の中でもっとも頼りになる出木杉が、ここ曹操軍陣中にいることはわかっている。
 もちろん、接触は容易なことではない。
 下手に出木杉のことを詮索しようものなら、鋭利な郭嘉のこと、簡単にしずかの素性を見破る恐れがあった。

 夜となり、郭嘉が天幕に帰って来た。
 曹操軍は呉侵攻の準備を着々と進めており、筆頭軍師たる郭嘉の帰りはいつも遅い。
 天幕に入った郭嘉は、黙って椅子に腰掛け、しずかから酌を受ける。あとは鯨飲。これがいつものパターン。
 酒が入ると、郭嘉は途端に饒舌になる。ただし、話す内容は同僚に対する愚痴ばかり。
 荀ケは腐れ儒者だの、曹仁はノロマだの、賈クは根暗だの、夏侯惇は猪武者だの、満寵は口ばかりだの、荀攸はエエカッコシィだの、程cはジジィだの……。
 酔っ払いがぶちまける同僚への悪口など、聞いていて気持ちの良いものではないが、今のしずかにとっては貴重な情報源だ。これが後にどの場面で効果を発揮するかわからない。
 何より、冷徹な印象の郭嘉に話しかけることができないしずかにとって、話を聞く以外に何もできない、という面もあった。
 だが、この日は違った。
「御辺はいつも黙って聞いているばかりだな……たまには何か話せ」
 何か嫌なことでもあったのか、今日の郭嘉は妙にしつこく絡んでくる。
 ここで絡まれても困るが、「話せ」と言われるのであれば仕方がない。しずかは必死に頭の中で言葉を組み立て、言った。
「あ、あの……郭嘉様は…大変なんだなぁ、と思います」
 その一言に、郭嘉は目を剥いた。
 マズイことを言ってしまったのだろうか、と身を縮めるしずか。
 だが、郭嘉は目を潤ませ、盃をしずかに突き出した。
「わかってくれるか! 嬉しいぞ、我が心情を察してくれる者がおったとは! さぁ、わしの盃を受けてくれ!」
―なんで私は、こうも酒癖の悪い人ばかりに絡まれるんだろう………
 張飛の顔を思い出し、しずかは内心ため息をついた。
第85回
 しかし、今のしずかは郭嘉の盃を断れる立場にはなかった。
 郭嘉から受け取った盃を、やけくそで飲み干す。
 カッ、と体中が熱くなった。
「まったくその通りなのじゃ。わしがかように必死になって曹軍を支えておるというに、連中はそのことをまったくわかっておらん! 此度の南征だけではないぞ、袁紹の馬鹿息子どもを討伐する時もだな……お、良い飲みっぷりじゃ。さ、もう一献…」
 グビッ!
 勧められた盃をまたも一気にあおるしずか。そんなしずかを、郭嘉は嬉しそうに見つめている。
「なんだ、いけるではないか。お、そうだ! 孫権降伏の折りに、と取っておいた上質の酒がある。今宵はそれを空けようぞ! 誰か、持ってまいれ」
 グビッ!
 取って置きの酒の味を楽しむ風もなく、ただ体内に流し込むしずか。
 その飲みっぷりに郭嘉は慌てた。
「おい、斐妹。この酒はな、滅多に手に入るものではないのだぞ。もう少し味わってだな…」
 正しい酒の楽しみ方を教授しようとする郭嘉。
 しかし、愛くるしい顔立ちの娘が発した毒舌に絶句する。
「うるさいわね、おっさん!」
「お……おっさん?」
「あんたが飲めって言うから、こっちも飲んであげてんでしょうが!(ヒック)男のくせにケチケチしてんじゃないわよ!」
「あ、あの…斐妹……」
「気が利かないわね!(ヒック)盃が空っぽになってること、わからないの! さっさと注ぎなさいよ!」
「ハイ、ただ今……」
「少ない! もっとナミナミと注ぐ!」
「ハ、ハイ!」
 グビッ!
「あんたねぇ、『乾杯』の意味知ってるの?(ヒック)『杯』を『乾かす』と書いて『乾杯』なのよ! あんたも乾かしなさいよ!」
「ハイ、いただきます…」
「その前に私に注ぐ!」
「ハ…ハイ」(涙

 翌日、激しい頭痛に悩まされているしずかに、郭嘉が語り掛けた。
「それでは行ってくる。今日はゆっくり休むがよい」
 天幕をくぐりかけた郭嘉は、思い出したように振り返り、言った。
「また良い酒を捜してくるによって、楽しみにしておれ」
 郭嘉は愉快そうに笑いながら、天幕から出ていった。
 まったく応えることができないしずかは、寝台の上でウンウンうなっていた。
第86回
「これで最後だからね。ゆっくり食べよう」
 ドラえもんから差し出された堅紙を、のび太とスネ夫は黙って折り曲げた。
 ほどなく、紙製のショートケーキとドラ焼きとセンベイが出来上がる。
 ペーパークラフトセットの食べ物は、味はいいが音がうるさい。
 周囲を見回し、曹操軍がいないことを確認して、3人はメリメリバリバリ音をたてながら、最後の食料≠食べた。
 のび太が声を上げたのは、食べ終わった直後のこと。
「ドラえもん、ふえるミラーはないの?」
「ふえるミラー? えーと、あ、それは持って来てるよ」
「それでペーパークラフトセットを増やしてから食べれば、いつまでも食べ物の心配しなくても良かったんじゃない?」
 のび太の指摘に、目が点になるドラえもんとスネ夫。
「……なんでそれを早く言わないんだよ、のび太!」
「僕に言うな! 道具を管理しているのはドラえもんだ!」
「何言ってるんだい! 僕は君たちを守ることで頭がいっぱいなんだ! そういうこと思いつくなら、もっと早く言ってくれなくちゃ困る!」
「人のせいにするなよ!」
「なんだと、そっちこそ!」
 ペーパークラフトセット製お菓子を食べて回復した体力の数%が、この不毛な言い争いで消費された。

 長板橋の戦いでジュイアンが行方不明となってからというもの、ドラえもんとのび太、スネ夫の3人は、ただ曹操軍から逃げ回るだけの日々を送っている。
 逃げる以外に自分たちがなすべきことがわからなかった。
 3人が知っている三国志の知識は、極めて大雑把、あるいは限定されたものだった。
 間もなく発生するであろう赤壁の戦いで、曹操軍が大敗を喫するという「歴史」は知っているが、戦闘に至る経緯や戦闘の内容などは知らない。
 さらに、彼らにとって何より重要な劉備軍の動向もわからない。
 劉備軍がどのような状態となれば「歴史通り」といえる流れになるのか。それどころか、今劉備軍がどこにいるのかすらわからない。
 実際には、劉備軍は劉表の遺児・劉gが駐屯する江夏に逃げ込んでいるのだが、仮にそれを知っていたにしても、江夏がどこかすら知らない彼らにとって、知識の源泉的存在だった出木杉の不在はあまりにも大きかった。
第87回
「みんな無事かなぁ…」
 ケンカするのも馬鹿らしくなり、不て寝していた3人。横になっていたスネ夫がポツリとつぶやいた。
 少なくとも、ジャイアンらが曹操軍に殺されていないことだけは確かだ。
 道中ですれちがった商人から、出木杉が曹操軍に捕われたらしい、という話を聞いたが、確認しようがない。
「これからどうしようか」
 のび太が口にしたが、別に答えを期待して語ったわけではない。すでに何百回も3人の口から発せられた問いかけなのだ。
 実際、ドラえもんも何か答える気はなかった。
 彼が身を起こしたのは、こちらへ向かってくる馬の蹄の音が聞こえたため。
「誰か来る!…」
 3人は隠れていた葦の間から、そっと覗いてみた。
 十騎程度の騎馬隊が進んでいる。旗印は……
 ここで、先頭を進む武将とのび太らの目が合った。
「何者!」
 誰何の声が鋭く響く。
「見つかった! 逃げろ!」
 アタフタと3人は走り出すが、騎馬隊の動きはそれより遥かに速かった。あっという間に囲まれる。
「ドラえもん、空気ピストルを!」
「はいよ!」
 のび太は空気ピストルの液体をつけ、騎馬隊に人指し指を向けた。10人程度なら、すぐに片づける自信がある。
 だが、のび太がその射撃術を発揮する前に、「待たれよ!」と叫ぶ声がした。
 いぶかしむのび太らの前に、1人の文官が立ちはだかる。
「青きタヌキを従える貴殿らは……もしや銅鑼軍の将軍方ではござらぬか?」
 ある単語に過敏に反応しようとするドラえもんを押さえ、のび太が答えた。
「そうですけど……おじさんは誰?」
 のび太の答えに、男は満面の笑みを見せた。
「それがしは東呉の孫権が配下・魯粛と申す者。ずっと貴殿らを捜しておりました。お会いできて光栄にござる」
488しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/15 22:53
すみません、番号間違えました。

のびすぎ・十七
「…ょうぶですか、もしもし!」
―もうちょっと寝させてよ、いまいいとこなのにぃ…
のび太は漸く意識を取り戻した、といってもあの時気絶してからいつの間にか眠っていたのだが
そんな事をすっかり忘れてラーメンをたらふく食っている夢を見ていたのだ。
「ううん、あと五分…」
「ああ、良かった気が付かれたようだ」
三国時代にいる事を忘れて、いつものように朝母親に起されていると思い込んでいたのび太は
今まで聞いた事の無い声が聞こえたのでびっくりして目を開けた。
「大丈夫ですか?」
「ロバ!!」
目の前にロバの顔が大写しで現れたのでのび太は大声を揚げて飛び起きた。
よだれを拭いつつきょろきょろ見渡すとのび太の部屋ではなく、草木の生えた大地、
そしてしょんぼりしている服を着たロバ…いやロバ顔の男がいた。
「ろ、ロバ・…」
男はうなだれてそうぶつぶつ呟いた。

きゃははは!
と子供の笑い声がする、みるとろーば、ろーばといいながら色白のまだちびっこい子供が現れた。
「うう、よしなさい!均、行儀の悪い」
ロバ男がそうたしなめる。
「兄さままたロバって言われちゃったねーやっぱり似てる!」
均と呼ばれた子供はそう云って、またはしゃぎだす。
のび太の寝ぼけた頭も漸くはっきりしてきてこれまでの状態を思い出せるようになってきた。
そういえばこのロバ顔の男は盗賊に追われていたはずだ、そしてそれを助けようとして・…
「そうだ!盗賊は!?」
「え?ああ、そうです先ほどは私どもの為にあなた方が怪我をされてしまい、真に申し訳なく、
お詫びをするとともに感謝を…」
「ぼくらがやっつけちゃったの?」
「はあ、いえいえあちらのお方が皆打ち倒されまして」
ロバ男が指す先には大きな石に腰掛けながらぼけーっと空を見上げている男がいた。
「単福、と申されるお方だそうです」
「へえ・・・」
と口をぽかんと開けたままのび太は頷く、どうもよく事態が飲み込めない。
自分は気絶してしまったがそのあと出木杉はどうしたのか。
「あれ、えーっと・・・ロバさん、じゃあ出木杉は・・・?」
「ロバ・…あの、お連れの方ですか?それが・・・」
そう言葉に詰まる。すると男の脇にいた均少年が、
「お兄ちゃんのお友だちねえ、まだ寝てる」といった。
489しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/15 22:55
のびすぎ・十八
「寝てるって、どうしたの?」
「はい、ただ眠られているのなら何の差し障りも無いのですが…まずご覧になられてからご説明しましょう。
あとそれに、わたくし姓は諸葛、名は謹と申します。この子は末弟の均でございます。ほら、御挨拶なさい」
諸葛謹がそう促すと均はぴょこんとお辞儀した。
「僕はのび太、野比のび太。で、ロバ・・・諸葛謹さん出木杉は?」
ロバと言おうとすると諸葛謹の顔が真っ青になるのでのび太は慌てて言い直した。
まだ若い彼はよほど顔のことを気にしているらしい。

ところでのび太は諸葛謹ときいても全くピンとこなかった。のび太は三国志にはまってはいたが、
登場人物で覚えているのは劉備とその義兄弟、趙雲、諸葛孔明、曹操に孫権とあとごく僅かで、
孔明に兄弟がいる事すら忘れてしまっていたのだ。
だからこのとき単福が徐庶の変名である事も全く気付かなかったのである。

それはさて置きのび太は諸葛謹につれられ、馬車の中にはいった。
中にもう一人いるらしい気配がする。
「亮、ご容態はどうだね?」
諸葛謹がそう呼びかける先には、横になり掛け布をしているどうやら出木杉らしき者。
その傍でじっと見詰めているもう一人の人間。
小さな顔に細い眉、すっきりした鼻筋、色白で髪を結い上げたさまは中性的といおうか、
兎に角浮世離れした少年であった。
年はのび太達と同じぐらいだろうか、ただこちらを向いた目は金属的な無機質な光を放っていて、
何かしらのび太の心をひんやりさせるものを持っていた。
「さあ…」亮と呼ばれた少年は高音の声でそっけなく言うと目をそらした。
「これが次弟の亮でございます、亮、こちらがのび太さんだ。この方たちに助けられたのだよ、お礼なさい」
しかし諸葛亮はソッポを向いたまま返事もしない。
「申し訳ありません、礼儀を知らぬもので」といい諸葛謹は襟足を掻いた。
490しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/15 23:00
のびすぎ・十九
さてここでも情け無い事にのび太はピンとこなかったのである。この亮少年が言うまでもなく後の
蜀の大黒柱たる諸葛孔明その人であるのに、のび太は字の孔明でしか覚えておらず、亮が名前だと
とんと気づかなかったのだった。

のび太は失礼な奴だなと思ったが、それよりも眠っている出木杉が心配でそばに近づいて行った。
「出木杉?出木杉!」
そう呼びかけるが、出木杉はか細い寝息を立てるのみで全く反応が無い。
顔に生気が無く尋常ではないほど真っ白であった。
「ねえ!出木杉どうしちゃったの?何でこんな風になってるんだよ!」
のび太は逆上して諸葛謹にくってかかった、じんわり涙が滲んで来る。
「落ち着いて。先ほどの単福殿が賊を退治したときにはこうなっていたそうです。
どうやら強く首を絞められたようで、あれからずうっとこのままで・…」

「そんなあ・・・」
のび太は信じられない気持ちで肩を落とした。
「一緒に生き延びようっていったじゃないかぁ。それなのに・…ねえ、助からないの!?」
「うーん、医術に疎いのでわたくしにはなんとも・・・・」
諸葛謹も気の毒そうに言う。
のび太は今にも泣き出しそうになった、この中国大陸のど真ん中で唯一頼れる存在である
出木杉がこうなってしまった。まっさかさまに絶望の淵に立たされたような気持ちであった。
「助かるよね?まだ息してるんだもん、助かるでしょ?」
そう諸葛謹につめよる。
「ねえ!諸葛謹さん!」
「…ごちゃくちゃうるさいなあ」
とつめたい声がのび太の耳に響いた。
「見れば解るでしょ、助からないよ、もう手遅れだ」
諸葛亮であった。
491無名武将@お腹せっぷく:02/06/16 18:09
age
492ドケチ光秀 ◆fWgA/BCw :02/06/16 18:15
はー・・
すご・・・
493 :02/06/16 18:53
>>488
あなたのだけ、つまらないです。
494換☆羽 ◆6vBoCMx6 :02/06/16 19:26
トリップつけました。
495連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/16 21:26
ジャイアンが賊を掃討する戦から帰ってまもない夏のころ、夜歩きしている時にある女に声をかけられた。その女ははっきり言って内山○奈にクリソツであった。
でも現代で小学生だったジャイアンはそんなことに興味はなかった。今はただ戦をし、勝ちつづけ、名と顔を売り、この世界で生きているはずのドラえもん達を探すことであった。
(俺は出来杉のように頭も良くなければ、スネ夫のように都合のいい時だけ悪知恵が働くわけでもない。ましてドラえもんの道具を持ってない。俺は喧嘩…戦しかできないんだ…。ただ、のびたと…しずかちゃんだけが…気がかりだ…)
「聞いているのですか!」
いきなり大きい声をあげられてジャイアンはビックリした。
「え…ああ…な、なんの話だっけ…?」
話を聞いていなかったので適当に言葉を濁す。
目の前の女―――貂蝉は顔を紅潮させていた。
「だから、呂将軍は董卓公をどう思っているかということです」
貂蝉は周りを確認しつつヒソヒソ声でジャイアンに話し掛ける。
(董卓か…。確かにアイツは酷いことしてるな…。でも俺に戦場を与えてくれるからな…。何ともいえねえよ…。戦場こそ俺の生き甲斐…。のびた等を探す方法…。昔はガキ大将だったのに今は侍大将か…。笑っちまうぜ…。)
夜空を見上げながら含み笑いをするジャイアン。
「りょ、呂将軍!?」
いきなりニヤつかれたので貂蝉は少々面喰らった。こいつは変人ではないんかと。
しかしそうではなかった。
いろいろな考えを巡らせるうちジャイアンの頬に涙が伝ってきた。涙を指で救ってまじまじと見る。
(涙を流すなんて何年ぶりだろうか…。はじめて人を切った時以来だ…)
初めて人を切った日の夜。ジャイアンは泣いた。人を殺したと言う自責の念に。殺した時の人間の目の恐怖感に。そして自分が変わってしまったという畏れに…。
ジャイアンの心中を悟ったのか貂蝉が声をかけてくる。
「あの…呂将軍…何か…辛いことでも…。私でよければ…お話を聞き…ますが…」
貂蝉の優しい言葉にジャイアンの涙は堰を切ったかのように流れ始めた。
「き…聞いて…くれるか…お…俺の話を…」
まさか戦場で恐れられたこの人がこんな顔をするなんてと思った貂蝉だが、今は董卓を討つことより目の前の子供のように泣くこの人をどうにかしてやりたいという気持ちのほうが打ち勝った。
つまり、貂蝉の母性本能をジャイアンがくすぐったのである。
「さ、呂将軍…。もうここは危のうございます…。私の部屋へ…」
貂蝉はジャイアンの手を引くと屋敷の中に消えていった。
496連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/16 21:31
「ぐッ…えぐッ…うッ…おお…お…」
ジャイアンの殺した泣き声が部屋の中に響く。この部屋は二人だけ…。取り巻きの女共は出払った。
貂蝉は取りあえずジャイアンを慰めることに専念した。
「呂将軍…落ち着きなさいませ…」
声を掛けて見るもジャイアンは泣くのを止めない。この様子を見て貂蝉は少々骨が折れると思い始めた。
「お…俺の話を…聞いてくれるか…。」
ジャイアンが嗚咽混じりに口を開いた。
「はい…なんなりと…」
「いいのか?…お前には絵空事に聞こえるけど…いいのか?」
貂蝉は優しい目でジャイアンを見据えるともう一度うなずいた。

何万言語ったのだろう。ジャイアンはこれまでの経緯を貂蝉に話した。
自分が1800年後の人間であること、ふらッと遊びに来て事故にあい帰れなくなりこの世界で生きていく羽目になったこと、
友達とはぐれてしまい生死も定かではないこと。
貂蝉は始めこそはホラ話と高をくくっていたものの、あまりの生生しさに信じずにはいられなくなっていた。
再びドラえもん達とはぐれた話になると、泣き止んでいたジャイアンの目に涙が浮かんできた。
ジャイアンの頬を涙が伝うと貂蝉は立ち上がりジャイアンを抱きしめ、自分の胸にジャイアンの顔を埋めた。
「落ち着きましたか…。」
貂蝉の心音を聞いているうちにジャイアンは落ち着きを取り戻していった。
(なんて暖かいんだろう…母ちゃんをおもいだすよ…)
貂蝉は自分の子供に話し掛けるような優しい口調でジャイアンに話かける。
「呂将軍…さぞかし辛かったでしょうね…。よくここまで頑張ってきました…。」
ジャイアンが貂蝉の胸から顔を上げ口を開く。
「俺は…これから…どうしたら…いい…?…まだ…人を…殺さなくては…ならないか…」
続けて貂蝉は優しく言葉をかける。
「人は自然に死にます…。呂将軍は…龍です…龍は…こんな所でくすぶっていてはいけません…。
私は…呂将軍と共に天下を見とうございます…。
そのためには…逆賊董卓を討たなくてはなりません・・・。
董卓を討ち、呂将軍が天下に号令をかければ…お友達も自然に見つかりましょう…。」
貂蝉本人はどれが本心を言ってるのかがわからなかった。董卓も討ちたい。目の前の哀れな男を救ってあげたい。1800年後の未来を見てみたい。それはこの男を好きになってしまったからなのか、わからない。
そしてジャイアンの顔を見る。がっしりとした渋い顔であった。小学生時のデブデブなジャイアンの顔ではない。ただその顔に似合わぬ丸い目が哀愁を誘っていた。
「呂布さま!」
貂蝉はおもむろにジャイアンの唇に自分の唇を重ねる。
「ぷあ!私を天下と1800年後の世界を見せてくださいまし!」
「ああ…。ドラえもんに頼んでみるよ…」
貂蝉はジャイアンにしなだれかかった。
あげます
敵の集団の中に入ってくるという呂布の意外な行動に、賊はただそれを見守るだけである。

呂布は賊の集団を縫うようにかき分け、やがて集団の中央で止まる。
そして、あたりをぐるりと見回すと、突然。吼えた。

その声は離れた所にいるのび太の鼓膜を揺さぶる。
余りの音量に耳をふさいでいたのび太であるが、やがてそれ終わったと知るとすぐに高順に質問した。 
「な、なにいまの?」
「狼煙だよ」
「のろしってなに?」
「合図だ・・・心と体をあっためろっていう意味のな。 そのうち別な合図がある、そのときは突撃だ」
劉備といたときには戦はこんなものではなかった。
ここでやる戦いはなにか別なもののように感じる。
とりあえず体を温めろと言う事なので、馬の上で柔軟体操をするのび太であった。


その向こうでは呂布がなにやら賊の一人に話し掛けられている。
「でけえ声出しやがって、うるせえなあこのやろう」」
「・・・・・・・・・・」
「んでよ、おまえ一人でここに来るってことは・・・こっちに寝返るのか。賢いじゃねえか。ひっひっひ」
「・・・・・・・・」
「まあ寝返るっていうんなら、とりあえず俺の部下になんな」
「・・・・・・・・」
「あん、なんか言えや」
そういうとその賊は呂布の乗っている馬に蹴りを食らわした。 ひんっ、と馬がいななく。
呂布は表情を変えぬまま、片手で槍を天高く空に掲げた。
その姿は真っ直ぐで、剛直で。 愚直。しかし美しい。 

大勢の賊はそれを見てなんだなんだと声をあげる。
おろかな賊は、これから身に起こる不幸を知らない。

ざわめく賊に対し。それを討伐しにここまで来た千五百の軍勢は声一つあげないのである。 ただ一人を除いては。
「ねえねえ、かっこいいね!」
そう話し掛けるのび太であるが、相手の高順は何も答えない。
「どうしたの?」
「・・・・・・・・・・・」
高順はただ黙って一点を見つめている。 その顔は赤く、血にたぎっており、まさに闘志はちきれんばかりである。
のび太が周りを見ると、はたしてすべての将、そして兵がこの高順と同じ状態である。
ただ戦うことに集中している彼等。 その目はただ呂布に注がれていた。
そして、のび太も呂布をみる。

遠く離れているが呂布をみることは出来る。 馬に乗ってるせいでもあり、賊軍の大半が歩兵のためだ。
ゆっくりと槍を下ろし、突然踊り始める呂布。

槍を持つ手を。
右へ薙ぎ。
切り上げ。
袈裟切り。
馬を反転させ。
吼え。
振り下ろし。
突く。

優雅ではない、可憐でもない。
しかし、その動きは無駄のない、引き締まった動き。

のび太は対して芸術のわからない男であるが、遠く先、呂布の踊りが凄いことはわかる。
賊が歓声を上げている。 それほどまでに美しいのかと思った。
なぜか興奮している、男としての血が騒ぐ、この気持ちはなんだろう。
額から汗がにじむ、それもぬぐわず、たた魅了されたように見つめる。

だんだん、舞のスピードが速くなる。
呂布の回りに霧のようなもやが出ているように見えた。
賊があげる歓声もだんだん大きくなる。



それは、すべて偽りであった。
呂布は槍で賊兵を殴りつける。 その賊兵は首から上をふっとばし、ぶざまにひざから倒れる。
そして、槍を持っていない手で別の兵の頭を掴み、握力で頭骨を一気に砕く。
槍の切れ味など最初に斬りつけた十人に持っていかれてしまった。
しかしそれにかまうことなく、さらに敵を見つけて槍を振る。
敵を突き刺し、殴り倒す。
たった一人。三千人を相手にしてのいくさであった。


そう、呂布ははなから踊ってなんぞいない。

ただ戦っているだけである。

賊軍は呂布に対して恐怖という叫び声をあげていただけだ。歓声などあげてはいない。
霧に見えたものはただの血煙だったのだ。


やがてのび太もそれに気づく。しかし、体のなかに破裂寸前の心臓があった。血のたぎりは止められない。
気づいたのにもかかわらず、呂布の動きをかっこいいと思う気持ちは止められなかった。

どんっ、っと凄い音がした。
何かが宙を舞っている。 ・・・人だ。 人が宙を舞っている。
まるでトランポリンで激しく飛んだように、空高く上がっていった。 
それに賊兵の一人が、呂布の振り上げた槍に直撃したからである。



「突撃!」
それを見た高順が大声で叫ぶ。その指示は宙を舞う兵が地面に落ちる前に全軍に響き渡った。合図とはこれだったのだ。

討伐隊の高順隊、魏続隊が賊軍へまっしぐらに向かって行った。
張遼の部隊は、敵の後方から攻撃するため突撃をしなかった。 大きく円を書くように賊軍を回り込んで攻撃するつもりである。
のび太は高順といっしょに突撃した。 のび太は剣を持たず、至近距離でも弓を使って戦った。
呂布の一騎当千とまでいわれた実力をみせられ、敵はなかなか士気が上がらない。


真中に呂布。 正面に高順隊と魏続隊、賊軍の敗色が濃くなってきたところに張遼が後方より攻め立てた。

戦はあっという間に終わりを告げる。
呂布率いる賊討伐軍はほとんど被害もなく、この戦に勝利した。
501読者:02/06/19 17:49
あげ
502しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/19 23:50
のびすぎ・20
「亮、なんと言う事を!」
諸葛謹がそうたしなめるが、亮は意に関せずつん、と顔をそむける。
「だって、段々冷たくなってるし、息も静かになってるんだもの、見込みは無いよ」
「おい!いい加減にしないか!」
「兄上だってわかってるんじゃないの?気休め言ったってしょうがないよ。僕間違ったこと言ってる?」
そう云って冷たい瞳を謹に向ける、謹は何故かぐむむとうめいて言い返さなかった。
「…すみませぬのび太殿、後でよく言っておきますゆえお許しを・・・・のび太殿?」
謹がそう詫びようとしたがのび太の様子に言葉を詰まらせた。
のび太は真っ青な顔でぶるぶる震えていたのだ。
「・…ほんとにダメなの?」
亮はのび太の様子に少々気圧されたように身を引いた。
「出木杉はもう助からないの?」
「そ、そうさ、君だってうすうす感づいているだろう?未練がましくしないできっぱり諦めなよ」
「亮!お前という奴は・…!」
謹が亮に掴みかかろうとしたが、二人ははっとしてのび太を見た。
のび太は誰にとも無く呟いていた。
「僕のせいだ、僕のせいで出木杉がこうなっちゃったんだ、僕が・・…」

―あの時妙な正義感で賊に立ち向かわなければ
―出木杉は何度も止めようとしたのに
―その出木杉のほうがこんな事に
―ほんとは僕が出木杉の変わりにこうなってなきゃいけなかったのに

「のび太殿・…?」
謹が心配そうに訊ねる、亮も訝しげにのび太を見ていた。
―この人たちが賊に追われてなければ!
それは逆恨みであった、だが今にのび太には出木杉に対する呵責の念が強すぎて発狂せんばかりで
あったから、こういう風に考えなければ、はけ口が無ければ遣り切れないほど耐えがたかったのだ。
それに亮の恥知らずとも言うべき倣岸な言い草が余計にのび太を打ちのめしていた。
のび太はいきなり立ち上がった、そうして馬車の出口を遮る位置にいた謹を突き飛ばすと、
謹のとめる声も聞かず馬車から飛び出した。
503しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/19 23:52
のびすぎ・二十一
その瞬間、目の前に人がいてのび太は衝突して尻餅をついてしまった。
見るとあの単福とか言う男であった。先ほどまで一緒にいたのか均少年と手をつないでいた。
「お兄ちゃんどうしたの?」
均がそう言うが、のび太は無視して黙りこくっている、彼もまた謹たちの一族だからだ。
均は首をかしげて単福を見上げた。謹がぶつけた腰をさすりながら馬車より顔を出す。
単福はじっとのび太を見たまま、これまたずっと無言であった。
が、突然。
「華佗」
とよく透る声で言った。

突然訳のわからぬ言葉が飛び出したので、のび太ははっと顔を上げた。
謹兄弟も何事かと単福を見る。
「うん、そうだ華佗、これだ」
何か知らぬが単福はそう独り言のようにいい、一人で相槌を打っていた。
しばらく単福の他は呆気に取られたようにしていたが、謹がおお!と声をあげた。
「聞いた事があります、方術士で名医と名高い方ですね。確か沛のほうのお方だったような・…
兎に角その人であれば、出木杉殿も助かるかも知れませんよ!」
のび太はそれを聞くと顔が明るくなった、そうして立ち上がると。
「それほんと?そんな凄い医者がいるの!?」
と単福に咳き込むように訊ねた。
「華佗はすごい、なんかしらんがすごい」
単福はまた上の空でそういった。どうも反応がおかしい、だが今ののび太には単福がどんな奇矯な
ふるまいをしようが今はどうでも良かった。

「のび太殿!善は急げです、沛に参りましょう。元はといえば私たちのまいた種、最後までついて行きますぞ。
ご自由に馬車をお使いください、亮、均!私たちも一緒に行くぞ」
謹の呼びかけに、はい!と均ははしゃぐ、亮はご自由にと言った風にふんと鼻息をだした。
のび太は先ほどまでの怒りはすっ飛んでしまい、感謝の言葉を言うとさっさと馬車に乗り込んだ。
「単福殿はどうなされます?」
謹がそうたずねると。
「ん、酒、ある?」単福は唐突な質問をする。
「ええ、少量ならございますよ、それが何か」
「じゃあいこう」
そそくさと単福も乗り込んだ、謹は首を傾げつつも馬の手綱を取ってそれを振るった。
「出木杉、待っててね、すぐいいお医者さんに直してもらうから・…」
意識の無い出木杉にのび太はそう呟いた。
>>487
第88回
 総勢100万の大軍勢だけに、本陣周辺にいる人間の数も半端ではないが、軍中という印象があまりないのは、文官の姿が異様に多いからだろう。
 戦さの臭いを感じさせない文官らは、書類や竹簡を抱えながら、忙しそうに曹操がいる天幕に出入りしている。
「丞相おわす所、すなわち丞相府だからな」
 曹仁の言葉に、出木杉は軽い違和感を覚える。
 例えて言うなら、戦場で局地戦の指揮を直接とっている総理大臣のもとへ、官僚が書類の決裁をもらいに来るようなものだ。当然、その期間の行政機能は著しく停滞する。
 もちろんその感想は、21世紀の日本に住む出木杉だからこそ感じたものだ。
 政治と軍事を司る人間が明確に区別されるようになったのは、比較的最近のこと。
「皇帝親征」もありえた乱世において、政治家と軍人を兼ねる人物は決して珍しくない。
 ただし、政治家と軍人、その双方において非凡な能力を発揮した人物となると、やはり数は限られてくる。
 カエサル、ナポレオン、そして曹操・・・とりあえず出木杉が思いつくのはそれくらいだ。
 なんといっても曹操は「治世の能吏、乱世の奸雄」なのだ。
「政治と軍事のみではないぞ。丞相は一流の風流人でもあらせられる」
 得意げに語る曹仁。
「時折詩を吟じられることもあるが、これがまた胸を打つ。丞相の詩の前では、宮中のヘボ詩人など顔を青ざめる以外になす術を持たぬ」
 曹操について語り出すと、曹仁の話は止まらなくなる。


 名もない女から託された赤ん坊が死んだ後のことを、出木杉はよく憶えていない。
 その時の出木杉の心を支配していたのは、絶望感と敵に対する怒り、そして自分自身に対する怒り。
 張繍隊に切り込んだ出木杉は、暴れまくり、そして殺しまくった。
 最後は力尽きたところを捕らえられたが、それまでに張繍は討ち死にし、胡車児も再起不能の重傷を負っていた。
 同郷の元℃蛹Nを失い、怒りで我を失いそうになりながらも、賈クはやはり生っ粋の軍師だった。
「丞相の命令がある。ここで命は取らぬ」
 混乱する戦場で即席の罠を作り上げ、出木杉を生け捕りにした賈クは、縛り上げられながらも自分に襲い掛かろうとする出木杉に、冷たい口調で言った。
「だが忘れるな。いつか貴様を殺す。わしの計でもって、必ず殺す」
 普通の人間なら、確実に背筋が凍ってしまうような賈クの表情と口調。
 だが出木杉は、手負いの獅子のように暴れ続けた。
第89回
 殴られて顔が大きく腫れ上がった出木杉を見て、曹操は殊勲の賈クを叱責した。
「馬鹿者! これが勇者に対する仕打ちか!」
 大事な同僚を失い、自分自身も危うく死にかけた賈クにしてみればとんでもない言い草だが、賈クは黙って頭を下げた。
 曹操は急いで出木杉に駆け寄ると、出木杉を封じていた縄を剣で切り捨てた。
「我が股肱が申し訳ないことをした。どこか痛むところはないか?」
 よってたかって殴られたため、体中に激痛が走っている出木杉だったが、何も答えなかった。
 あの女の意志に添えてやれなかった虚脱感、これから殺されるかもしれないという恐怖、そして、一世の傑物・曹操と対面しているという興奮…。
 黙っている出木杉に気を悪くした様子もなく、曹操は言った。
「卿の戦さ振り、存分に見せてもらった。銅鑼軍はもっぱら奇術を用いると聞いていたが、卿の勇戦は呂布に勝るとも劣らぬものであった」
 曹操はジッと出木杉の目を見据えて続けた。
「卿ほどの勇者を死なせるのはあまりに惜しい。戦さの帰趨ももはや決まったからには、卿にもこれ以上余と戦う理由はあるまい。今後は余の右腕として、天下安寧に力を尽くさぬか? 我が覇業を成し遂げるには、卿のような人間が必要なのだ」
 出木杉は体が震えた。
 曹操が、自分を迎え入れようとしている! 自分のことを「必要」と言ってくれている!

 曹操の申し出を受ける振り≠すれば良かった。命さえ助かれば、隙を見つけて逃げ出すなど、出木杉には訳のないことだ。
 そもそも、自分はこの時代の人間ではない。21世紀の日本に帰らなくてはならない。ここで死ぬわけにはいかなかった。
 だが、出木杉は即答できなかった。
 その理由はわかっている。曹操に嘘をつくことができなかったから。いや、嘘をつきたくなかったから。
 つい先程まで命のやりとりをしていた敵手に対する寛容な態度。自分のことを「必要だ」と言ってもらえた喜び。しかも、そう言ってくれたのはあの¢qなのだ。
 少年であるがゆえの純粋さは、一時の方便とはいえ、ここで嘘をつくことを出木杉自身に許さなかった。
「僕は………この国の人間ではありません」
 気持ちを落ち着けて、それでも振り絞るように出木杉は言葉を発した。
「いずれ倭の国に帰らなくてはならない身です。丞相のお言葉は本当にありがたいのですが、僕はこの国に留まることはできないんです」
 出木杉の言葉に、曹操は不思議そうな顔をした。
「何を言っておる。卿らは劉備軍の一部隊として、余と戦ってきたではないか。劉備の味方はできて、余の味方はできないと申すか?」
「いえ、違います、そういう意味じゃないんです」
 慌てて出木杉はかぶりを振った。
「僕たちが劉備将軍と一緒に戦ったのは、僕たちの不注意で劉備将軍にけがをさせてしまったからです。劉備将軍の傷が癒えて、また戦列に復帰したら、僕たちは倭の国に帰ります」
「フム…余は倭の国をほとんど知らぬが、義理堅い人情を持つ者たちであるようだな」
「それが僕たちにできる唯一の責任の取り方だったんです」
「では聞くが、劉備が全快し、卿らが倭の国に帰った後、余が劉備を攻め滅ぼすことについては関知せぬのか?」
「自分たちが犯した過ちに関しては、その罪を詫び、責任を取らなければならないと思います。でも、僕たちはこの国の人間ではありません。責任を果たした後のこの国の行く末については、口を出してはいけないと思います」
 この国の行く末、すなわち歴史。
 それを守るために、自分は戦ってきた。何の罪もない新野の民衆を殺戮の場へと追い込んだ。
 歴史を守るために、出木杉たちは人を殺してきたのだ。
第90回
「責任の取り方、と卿は言うがな」
 曹操は言った。
「卿が劉備への義理を果たそうとした結果、余は大事な忠臣を失ったのだぞ。そして劉備も捕らえ損なった。卿のおかげで余は得るべきものを得られず、失わずともよいものを失った。このことについてはどう責任を取るのか」
 駄々をこねる子供のような表情の曹操。どうやら、本気で理不尽と感じているらしい。
「それに妙な話ではないか。卿はこの国のことに口を挟むどころか、のっぴきならぬ影響を与えている。だが、責任を果たした後ならばそれはしないという。もう既に、漢帝国の事情に深く関わっているというのに、だ」
 もう既に、深く関わっている……。
 何気ない曹操の一言だったが、出木杉は動揺した。
 違う、と叫びたかった。自分はあくまでも、歴史を変えないために戦ってきただけだ。
 だが、曹操の言葉は、妙に彼の心にしっくりとくるところもあった。
―ここまで関わっておいて、劉備将軍全快後は関われないっていうのは、確かに妙な話かも…
 ほかの人間からそう言われたのであれば、出木杉は自信をもって「そうではない」と断ずることができただろう。
 だが、出木杉に話しかけているのは、曹操だった。
 黙り込んだ出木杉を見て、曹操は確認した。
「まあ何はともあれだ、卿の申し分をそのまま聞くなら、劉備の傷が癒えるまでは、卿はこの国に留まるということだな?」
 それは間違いではない。出木杉は肯く。
「劉備の容態については、余にも知らせが入っておる。再び戦場に出るのは、しばらく先のことらしいな」
 これにも出木杉は肯く。もう少しで完治するはずだった劉備は、襄陽退却の折りに矢を腹に受け、再び重傷を負っている。
「よい。それではしばらく我が陣中にいるがよい。卿を客人として扱おう」
「丞相!」
 曹操の意外な言葉に、賈クが鋭く反応する。曹操は軽く手を振り、それを押さえた。
 そして、賈クと同じくらい憎悪のこもった目で出木杉を睨みつけている曹仁の方を向いた。
「曹仁」
「はっ!」
「卿に出木杉を預ける。何かと面倒を見てやれ」
「ハ?…それがしが…でござるか?」
「頼むぞ」
「じょ…丞相ぅ〜!」
 新野の戦いで銅鑼軍に敗れ、雪辱の日を夢見ていた曹仁は、曹操の思い付きとしか思えない命令に泣きそうな顔をした。
第91回
 初めて曹操と出会った時のことを思い出しているうちに、曹仁の「曹操談義」はようやく終わった。
 満足そうな顔をしている曹仁。とにかく、曹操のことを他人に話したくてたまらないのだ。
―よっぽど曹操のことが好きなんだな
 曹仁の満ち足りた顔を見て、出木杉は思った。
 確かに傑人だ。実際に接してみて、その大きさはひしひしと感じることができた。
 小柄な体全体から形容できないオーラを放つ曹操の姿を、出木杉は思い浮かべる。
 曹仁が出木杉の世話役を嫌々ながらも引き受けたのは、それが曹操の命令だったからこそだ。
 もっとも、生来の人の好さからか、最初は出木杉に対して敵意をむき出しにしていた曹仁も、ほんの数日で出木杉に優しく接するようになった。
 実は、若干の下心もあったらしい。
 初めて出木杉に柔和な態度をとってきた時の曹仁の言葉は、「あの青いタヌキが持っていた珍しいカサだが……卿は持っておらぬのか?」だった。
 今の出木杉の立場は、呂布亡き後の徐州争奪戦で捕虜となり、しばらく曹操の元にいた関羽と似ている。
「さて、そろそろ調練の時間だ。出木杉、ついてまいれ」
 思い出したように告げる曹仁に、出木杉は「はい」と答えた。
 馬を軽く駆けさせる。
 不意に曹仁は出木杉の名を呼んだ。
「何ですか、曹仁将軍?」
 曹仁の方を向く出木杉。曹仁は意識して出木杉の顔を見ず、言葉を選ぶように言った。
「丞相を………失望させてくれるなよ」
 何の前触れもなく逐電するようなことだけは止めてくれ。そうなったら、丞相がかわいそうだ―言外にそう言っている。
 出木杉は答えた。
「曹仁将軍に迷惑をかけるようなことは、絶対にしません」
 その言葉に、曹仁はチラリと出木杉を見て、そしてニッと笑った。
 それだけで十分だった。
 曹仁は男として、出木杉を信頼するようになっている。
最近、相変わらず面白いけれど、皆さんちょっと趣味に走りすぎ、かな?
一度落ち着いて「エンターテイメント」を考えてみてはいただけないか・・・?
509無名武将@お腹せっぷく:02/06/22 00:29
age
>>508
私の話に関していえば、確かに趣味に走りすぎやも知れません。
いろいろじっくり考える必要がありますね。
貴重なご意見ありがとうございます。

こちらのほうもよろしければどうぞ。

専用BBS(感想、雑談、サポートetc...)
http://jbbs.shitaraba.com/sports/2068/
ファンサイト
http://dora3594.do-asap.com/
511無名武将@お腹せっぷく:02/06/23 23:32
じっくり考えすぎてDAT落ちしてしまう罠age
512読者:02/06/24 18:18
今までどおりでいいから連載打ち切りは勘弁w
513スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/24 18:23
最近、忙しくてなかなかカキコできませんでした。
とりあえず、今夜カキコします。
打ち切りはしませんよ。一人でも読んでくれる人がいれば(^_^)
514読者:02/06/24 19:14
楽しみにしてます。ありがとうございます。
515無名武将@お腹せっぷく:02/06/24 20:04
でもしずか連環はつまらない。
>>515
じゃあ来るな。ウゼエんじゃ、ボケ!
>516
荒らしの目的はそういうレスを増やしてスレの雰囲気を壊すことだと思うのですが・・・。
無視の方向で。
>>517
すんまそん。つい・・・
まあ、感想はサポートBBSのみで受け付けるということで。
ここに書き込まれた感想の類は内容を問わず無視しても構わないと思います。
520スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/24 21:39
>>467

敵主力部隊を壊滅させてから三日後、曹操軍は再び黄巾賊と激突した。すでに
大勢は決していたが狂信的な信仰に支えられた黄巾賊は執拗に攻撃を仕掛けて
きた。

この戦いにおいてもジャイアンは敵兵を倒すことができなかった。辛はジャイ
アンとは対照的に多くの敵を討ち取っていた。

ジャイアンはイライラしていた。これまで、辛と稽古をして負けたことはなか
ったし、多少無理なことを頼んでも辛はそれに従っていた。

しかし、いざ戦いに出てみるとジャイアンは敵を倒せず、辛は大活躍している。
ジャイアンがイライラするのも無理は無かった。

「なあ、たけし。今日の奇襲には驚いたね。」

戦いが終わった後、何故か辛は必ずジャイアンにしきりに話しかけてきた。
最初はそれに応えていたジャイアンもイライラが募るにつれて辛に対して
そっけなくあたるようになっていった。

「味方にもかなり被害が出たんじゃないかな。」
「・・・。」

ジャイアンは黙って立ち上がるとその場から離れようとした。
521スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/24 21:55
>>520

辛が追いかけてきた。
「何だよ、たけし、何怒ってるんだ?」

「・・・うるせえ。」
「たけし?」

「うるせえってんだよ!活躍してるからってそんなに自慢してぇのかよ!」
「そ、そんな・・・。」

「お前は立派だよ。俺なんかよりも何倍もな!もう・・俺に構わなぇでくれ。」

ジャイアンはそう言って、辛に背中を向けると一気に走り出した。

「待ってくれ、たけし!僕は・・・。」

辛は走り出したジャイアンを呼び止めたがジャイアンは足を止めなかった。
走り去るジャイアンの背中を眺めながら辛はポツリとつぶやいた。

「たけし、僕は立派な人間なんかじゃない。最低の人間なんだ・・・。」

その時、稲光と共に雷鳴が轟いた。続いて大粒の雨が降り出す。周りの兵士が
慌てて物陰に隠れるなか、辛は一人その場に立ち尽くしていた。
522ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/24 22:39

 最近中ダレ¥態になってるなあ、と自覚し始めていた時期だっただけに、508さんのご指摘は、いろいろと考えてみる良い機会になりました。
 最初は純粋に「とにかく面白いものを! みんなにウケるものを!」という考えだけでやっていました。
 しかし、自分が書いたものを読み直してみたのですが、50回60回と連載を重ねていくうちに、作品の中に自分の世界観みたいなものが出てくるようになってきていました。
 それが508さんのおっしゃる「趣味」なのかな、とも思いました。
 そんな文章が、ただの自慰的文章になってしまう可能性も多いにあるでしょう。
 そんな時にこそ508さんのようなご指摘を頂ければ、書く人間としては本当に助かります。
 ただ、そんな「趣味」満載の書き物は、「みんなに楽しんでもらえるものを」という大前提のもとで、自分自身の味付けでもって書いたものであることは間違いありません。
 それは「趣味」であると同時に、書き手の「カラー」ではないか、とも思います。
 もちろん、「自分のカラー」を隠れみのにして、文章や構成の稚拙さを言い訳する気はありません。
 皆さんに楽しんでもらえなければ、それこそ「自慰文章」となってしまうこともわかっているつもりです。
 しかし、私はプロの書き手でもなんでもありませんが、自分が書きたいものを書かなければ、そもそも書く意味もない、とも考えています。
 その上で、あとは自分の文章を楽しんでくれる人がいれば、と願うだけです。
 そして「今度の掲載分のギャグのつもりみたいなヤツは寒かった」「話の流れが強引すぎ。もっと三国志を勉強せい!」などのご指摘をいただけるなら、それがさらなる発憤材料となり、同時に皆さんが書き手を育てることにもつながると思います。
 508さんには本当に感謝しています。
 あのタイミングであのご指摘がなかったら、それこそ私はこのスレから自然消滅していたような気がします。
 ジジィがジジくさいことをだらだらと述べましたが、早い話が「自分はこれまで通りやってくつもりですが、脱線してたら速攻でケリ入れて下さい」ということです。
 何せ、反応がないことが一番へこむもので(w


 三国志世界ののび太たちに話を戻します。
 久々なので、ageちまうぞゴルァ!!
523ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/24 22:41
>>507
第92回
「降伏を主張する一派が、日に日に力を付けてきておるのです。弁の立つ文官ばかりゆえ、口下手な武将どもではとても太刀打ちできない」
 ドラえもん、のび太、スネ夫の三人は深い森の中にいる。
 ここなら、曹操の軍兵に見つかる可能性も少ない。
 三人に話しかけているのは、呉の魯粛だ。
「孫権様も激しい気性を持ち合わすお方ゆえ、内心では曹操との決戦を考えておられるのです。しかし、衆議が降伏と決してしまえば、もはや選択の余地はなくなってしまいます」
「ちょっと待ってよ、魯粛さん」
 のび太が口を挟む。
「孫権さんってお殿様なんでしょ? お殿様が戦うっていうのなら、それで決まりなんじゃないの?」
 のび太の質問に対し、魯粛は呉国の成り立ちを説明した。
 先々代の孫家当主・孫堅が戦死して以降、長男の孫策は袁術の元で飼い殺しの状態にあった。
 結果的に孫策は袁術から自立を果たすのだが、その過程において孫策に力を貸したのは、江南一帯の豪族たちだった。
「今の呉は豪族による連合体、という面も否めないのでござる。よって如何に家臣とはいえ、孫権様も彼らの意向を無視することはできないのです」
 かく言うそれがしも豪族の一人ですが、と魯粛は付け加えた。
「呉の状況はわかったけど…それと僕たちとどういう関係があるの?」
 スネ夫が注意深く尋ねると、魯粛は逆に質問してきた。
「曹操軍と激しい戦いを展開された貴兄らにとって、曹操が我が呉を制圧するという事態は如何?」
「そりゃ困る」
 ドラえもんが即答した。
 そんなことになっては、歴史が完全に変わってしまう。
「ならばそれがしと貴兄らの立場は同じのはず」
 得たり、という表情で魯粛は一気にたたみかけた。
「ぜひ貴兄らに力を貸していただきたいのです。我が呉の世論が、曹操との決戦に傾くように」
 ドラえもん、のび太、スネ夫。
 三国志の歴史に詳しいわけではない三人は、魯粛の申し出に目を点にした。
524ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/24 22:41
第93回
 「冷静で感情を表に出さない人」というのが、暴漢から助けられた後しばらく、しずかが抱いていた郭嘉評だった。
 実際、郭嘉は寡黙だった。
 酒が入らない限りしずかに話しかけることもほとんどなかった。
 それだけに、あの「飲み合戦」以降の郭嘉は、まったく別人のように感じられる。
 天幕に帰ってくる時間は相変わらず遅いが、果実や菓子などを土産に戻ってきては、しずかがおいしそうに食べるのを嬉しそうに見ている。
「良い食べっぷりじゃ。そろそろ酒が飲みたくなってきたのではないか?」
 果実などはありがたく食べるしずかだが、酒の誘いだけは頑として断っている。
 頭が割れるような、そして腹の中がひっくり返るようなあの苦しみ。
 二度とごめんだった。

 名もない農民の娘で、親兄弟は曹操軍の南征ですべて死んだ、ということになっているしずかは、郭嘉の話し相手という日々を送っている。
 もっぱらしずかは聞き役だ。
 下手にしずかが話し手になれば、どこでボロを出してしまうかわからない。
 郭嘉は色々なことを話した。
 幼少期のこと、志を抱いた時のこと、袁紹に仕えていた時のこと、曹操に任官した時のこと、呂布との戦い、袁紹との決戦、そして袁紹の遺児たちを追って駆け回った北辺の地…。
 しずかは相づちを打ちながら、時々質問する。
 そのたびに郭嘉は嬉しそうな顔をして丁寧に答える。
 いつしかしずかは、郭嘉の喜ぶ顔を見ることが楽しくなっていた。
525ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/24 22:42
第94回
「こたびの孫権攻めが終われば、天下の帰趨が定まる」
 しずかの酌を受けながら、郭嘉は言った。
「残るは劉表の遺臣や益州の劉樟、漢中の米賊、涼州の馬騰だが、さして恐ろしい敵ではない。まあ、張魯や馬騰は最後まで抗戦するだろうが」
「劉備将軍もいますよ」
 しずかの言葉に、郭嘉は皮肉っぽい表情をしてみせた。
「やはり劉備の人気はここらでも高いようだな」
「よそで人気があるかどうかなんて知りませんけど……左将軍でしょう? 関羽さんや張飛さんもいるし」
「劉備は先に言った劉表の遺臣に含まれておる」
 郭嘉は盃を飲み干した。
「今は要害の江夏に潜んでいるが、孫権を降した折りには何程の脅威にもならぬ。ま、ひともみであろうな」
 郭嘉の見通しは極めて常識的なものだったが、数ヶ月にわたって劉備軍と行動を共にしてきたしずかにとって、おもしろい見通しではなかった。
 不満そうに頬を膨らませているしずかを、郭嘉は一民衆の劉備贔屓と受け取った。
 なだめるように話す。
「誤解するでないぞ、斐妹。わしは劉備を高く評価しているのだから」
「そうおっしゃているようには聞こえません」
 へそを曲げるしずか。郭嘉は苦笑する。
「つまりこういうことだ。丞相と戦ってきた者は、そのほとんどが命を落とすか、配下となってきたが、劉備だけは例外だ。我が軍は何度も劉備軍を撃破してきたが、そのたびに劉備はスルリと逃げ出し、別の地で勢力を築いては我らと対峙するのだ」
「曹操軍と戦ってきたのに生き残ってるのがすごい、ということでしょう? そんなの嫌みな自慢です」
「ハハハ、手厳しいな」
 郭嘉は笑った。
526ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/24 22:43
第95回
 この日の郭嘉は、いつもよりさらに機嫌が良かった。
 そんな郭嘉の笑顔を見て、しずかは前々から抱いていた疑問を質問にして郭嘉にぶつけた。
「郭嘉様は、どうして曹操様の元で働こうと思われたのですか?」
 極めて限定された三国志の知識しか持っていないしずかは、「劉備=善人」「曹操=悪人」というイメージを抱いている。
 郭嘉はいい人だと思う。かなりクセは強いが。
 そんな郭嘉がなぜ「悪人・曹操」の手助けをしているのか―
 世の中を白と黒でしか判断できない、子供らしい発想だった。
 だが郭嘉は、怒ることも、冷やかすことも、無視することもせず、まじめな表情で答えた。
「丞相なら、わしが夢に描いた国を造ることができるからじゃ」
「夢?」
「そう、夢だ」
 郭嘉は盃を置いた。
「卿は優しさと美しさに秀でている。これは能力じゃ」
 突然話が変わったように感じて、しずかは面食らうとともに照れた。
「そんな……顔なんて能力でもなんでもないでしょう」
「いや、能力じゃ」
 郭嘉は断言した。
「世の中には、様々な能力を持つ者が大勢いる。腕力が強い者、兵を率いる能力に優れた者、文章を書かせれば天下一品の者、
民を安んじる力に長けた者、農の道に秀でる者、詩を吟じるのがうまい者、大工として素晴らしい腕を持つ者……わしのように謀略に長けた者もその一人じゃ」
「…」
「生まれながらにして得た才能は、さらに切磋琢磨することによって極に近い境地へと達することができる。容姿もまた、生まれながらにして得た才能。卿も精進して磨けよ」
 郭嘉は笑い、そして言った。
「わしの夢とは、かような才能を持った者たちが、その才能にふさわしい場を得ることじゃ。それが実現できたのなら、天下はますます発展し、安泰の時を迎えるであろう」
 しずかに話しかけるというより、自分自身に確認しているかのように、郭嘉は言葉を続けた。
「そのような天下を造ることができるのは、丞相をおいて他にはいない。丞相は才を愛するお方だからだ」
527ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc :02/06/24 22:44
第96回
「そういえば、こんなことがあったな…」
 郭嘉が語るのは、七年前の出来事。
 当時、曹操の最大の敵だった袁紹軍に、文才に長けた者がいた。
 曹操軍と袁紹軍が対決する際、袁紹はその男に曹操を誹謗する文章を書くよう命じた。
 こうして出来上がり、ばらまかれた檄文には、曹操の父や祖父を誹謗する一文があった。
 親想いの曹操の怒りは尋常なものではなかった。
 その後勃発した官渡の決戦で、曹操軍は大勝利を収めた。
 檄文を書いた男は捕らえられた。
 当然斬首。
 誰もがそう思ったが、曹操は悲しそうにこう言っただけだった。
「わしのことはともかく、わしの親や祖父の悪口を書かなくてもよかろうに」
 男は斬首を免れ、現在も宮中で文書作成の仕事にあたっている……。

 しずかは何も言えなかった。
 悪人だと思っていた曹操に、そんな一面があったなんて。
「丞相は才を愛するお方だ」
 郭嘉はもう一度繰り返した。
「あのお方なら、わしが思い描いていた夢を現実のものとしてくださる。だから、わしは丞相に尽くすのだ」
 郭嘉は盃を取ると、「酌を頼む」というようにしずかに突き出した。
 慌てて酒を注いだしずかは、そっと郭嘉の顔を見た。
 郭嘉も自分を見ている。
 なぜかしずかは眼を伏せた。
 胸の鼓動が聞こえる。
 自分より20歳は年上である男が、まぶしく見えたのだ。
528しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/25 00:34
のびすぎ・二十二
さてのび太達一行は、名医と呼ばれる華佗を探しに一路沛に向かっていた。
「ところで、諸葛瑾さんたちはどこ行くつもりだったの?」
のび太は馬に鞭を走らせている諸葛瑾に聞いた。
行程は今のところ順調に進んでいる、賊などの障害もなく、出木杉も辛うじて小康を保っていた。
最初ははらはらしていたのび太たちだったが、幾分かは安心したようで雑談も飛び交うようになった。
といっても、亮は高慢ちきな感じで気に食わなかったし、単福はぼーっとしているか突然歌いだしたりであまり
話し掛けられる雰囲気ではない均はまだ幼児と言っていい、よって自然と諸葛瑾と話すことが多くなる。

「はい、私たちは徐州に住んでおりましたのですが、近頃は随分物騒になりましたもので母の親戚
のいる江東へ難を避けようと思っていたのです、けれど・・・」
といってちらりと亮を見る。
「亮がどうしても荊州の叔父の下へ行きたいと申すもので、一先ず母と妹をのこし亮と均の二人を送るために
荊州に向っていたのです。叔父の玄は近頃荊州太守になった劉表というお方と親交がありまして、安全であろう、と」
諸葛瑾は母、といったが実際は継母である、実母は均を生んだ後鬼籍に入っていた。
妹というのは鈴と言う名で、亮の一つ上にあたるそうだ。
「だって、江東なんて田舎行ったってしょうがないよ」
亮がいう。すると単福がポツリと、
「水鏡、善哉、善哉」
と呟いたので、亮はぎょっと目を凝らした。
「ああ、単福どのはお解りですか?この子は高名な司馬徽先生に教えを請いたい様なのですよ」
ふん、と亮はしかめ面をした、どうやら妖しげなこの単福という男に考えを見透かされて
気を悪くしたようだった。
529しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/25 00:36
のびすぎ・二十三
「へえ、そうなんだ。そういや僕らもその荊州に行く予定だったんだよ」
のび太がいった、すると亮が待てよとのび太の方を向いた。
「どういうことだ?何故荊州に?」
「え?そんなのわかんないよ、出木杉がいってたんだもん。そこなら何とかなるって」
亮は無言できっとのび太を睨みつけた、それから眠っている出木杉を神妙な顔で見詰めた。
―なんなのさ、やな奴!
のび太はそう思った、二人はとことん性格が合わないようだった。

「たんふくさんはなにしてたの?」
均が単福の膝の上でそう尋ねた、なぜか均は単福がお気に入りのようで頻りに懐いてくる。
ただ、単福は何時も白昼夢を見ているような感じなので、懐かれても素っ気無かった。
単福は馬車の荷物の中にあった酒を杯に注いで飲み干してから、
「足の向くまま、気の向くまま、酒を楽しみつつ、詩を吟じ歌い舞う」
と節をつけていった。そして腰に帯びた剣の柄を叩いて、
「そうして、剣を磨くのだ」
ふうん、と均はうなずいた、皆だんだん単福の奇天烈さに慣れてきたようだった。

のび太はドラえもん達のことを考えた、無事なのだろうか、果たして再び会う事ができるのだろうか。
今回は今までの冒険とは違い生々しい危険なものだ、出木杉の怪我が一番の原因だった。
出木杉がもしも取り返しのつかない事になれば・…そのときは例え仲間達と再会し現代に戻れたとしても、
もう現実には戻れないだろう。一生償いきれない、癒えることの無い傷がのび太の心に出来るのだから。
そんな事を考えるとどうしようもない不安がこみ上げ、叫びだしたくなる。
だが、そんな弱音をいってはいけないのだ、頬の痛み、それが今ののび太の心に張りを持たせている。
また単福の歌が響く、ほろ酔いでいい気分になったらしい。
その優雅な調べを聞きつつのび太は決意を新たにした。
戦の勝利に沸く賊討伐隊は敵殲滅の報告を済ませるべく、一路丁原のいる上党へに向かう。
道中は行きのときとはうって変わって和やかな雰囲気であった。

数日後。
「父上、戦に勝ちましたことを報告します」
「うむ、よくやった我が息子」

まじまじと丁原を見つめる呂布。

「・・・ちとやせましたか?」
「はっはっは解るか。 最近は体にいろいろガタがきてな」
「父上が弱音を吐くなど、らしくもない」
「弱音だと? 父に向かって何を言うか。まだまだ若い者には負けんぞ」
笑顔で言う五十過ぎ男、その名は丁原。
背は高くないが体は締まっており、手の甲に昔に負った刀傷がちらりと見える。
若いころは武勇でとどろかせた男であった。

「して、その子供は何者じゃ」
「のび太という弓達者な少年です、なかなか見所があると思いましてな」

呂布はのび太を新たに部下にしたいと伝え、丁原もそれを許可した。
のび太は別に呂布の部下になるなどとは一言もいっていない。
しかし、これから旅を続け友と会えるのかと思うとあまり自信がなかったので、
のび太はそれを受け入れることにした。

「うむ、お前が呂布のもとで働くことを許そう」
「うん、じゃない。 はい・・・あ、ちょっとまって、ちょっと待ってったら」
「なんじゃ、なにか不満でもあるのか?」
「ええとね、実は・・・」

その際にのび太が言ったことは
「僕には友達がいるんだ、その友達に会えたらそのときは辞めるよ」
と、いうのと。
「玄徳さん(劉備)が城をもったら、そっちのほうに行く」
ということであった。
無論丁原も呂布はそれでも良いといった。

その後、宴が開かれ夜の帳は落ちてゆく。
十数日後、シン陽に帰ってきた呂布軍を迎えたのは民衆であった。
みながめいめい、歓声を送る。
呂布は、そして呂布の軍はこの付近では憧れの的だった。
誰しも呂布のようになりたいと思い、呂布の兵士になることを望むのだ。

呂布には人望がある。
普段は気がやさしく、そしていざ戦いになるとずばぬけた武で敵を屠る。
弱気を助け強気をくじく。 呂布にはそういう印象があった。
老若男女。シン陽の街の誰もが憧れる男であった。

のび太はこの歓声を浴びていい気分だ。
他の兵もみな笑顔で手を振っている。
「みんな、こうやって手を振るためにに戦っているのかな」
のび太がそうつぶやくと、そばにいた張遼はうなずいた。

「僕らは、ここにいるみんなのために戦っているんだよね」
「ああ・・・しかし、それだけではない。 半分は民の笑顔ため、半分は呂布様のためだ」
「奉先さんのためか・・・わかるような気がする」

ちなみに呂布を字(あざな)の奉先で呼ぶのはのび太だけである。
のび太が呂布様といいずらいので奉先さんでいいかと聞いたところ、呂布がよいと言ったためだ。

「奉先さん・・・か、恐れ多くて俺はその名で呼ぶことは出来ないな」
はははと笑う張遼。
「そう? 言いやすいよ?」
「七年前、貧民区でどぶねずみみたいな生活をしていた俺を救ってくれた。
 大切なものすべてを呂布様から教わったんだ。感謝しても足りないくらいなんだ」
「ふぅん・・・」
「・・・おいおいそんなに辛気臭くなるな、これから宴だぞ」
「えっ、宴はここに来る前にやらなかったっけ?」
「あれは前祝だよ、本番はこれからさ」
「お酒が無ければいいんだけどなぁ」

のび太は丁原の宴で水だと思って酒を一気のみし、そのまま気絶したのである。
それゆえなかなか乗り気になれないのであった。
さて、宴会である。

丁原のところでやった宴は割とおごそかなムードだったのだが、今回は違った。
騒ぐこと騒ぐこと、町の飲み屋の雰囲気であった。
俺はなん人斬ったぞ、などといった声がそこかしこから聞こえる。

「のび太、酒は急いで飲むな。 ゆっくりと、じっくり飲むんだ」
始めに張遼に言われたことをしかり守っているせいか、のび太はしだいに気分が良くなってゆく。

「ねえ文遠さん(張遼の字)お酒ってホンワカキャップでジュース飲んだときに似ているね」
「本和歌? なんだそれは?」
「あ、そうか知らないんだぁ。そりゃそうだね」
「・・・おいのび太、飲みすぎるなよ」
「うん、大丈夫だって」

主席に座っている呂布がのび太に声をかけた。
「楽しんでいるか?」
「うん、ふらふらするけどね」
「はっはっは、まだまだ若い証拠だな」
「だって、実際若いもん」
そりゃそうだと呂布はうなずきながら笑った。
「のび太、ここの料理人は腕は確かだぞ、食いたいものががあったらなんでも言え、」
「うーん、食べたいものかぁー」
「好きな食べ物はなんだ」
「しるかけごはん」
「よしわかった、料理長しるかけごはんを頼む!」

しばらくしてしるかけごはんがのび太の卓に来たころ、酔った高順が突然奇声をあげて立ち上がり自身の最強最後の宴会芸、「げんこつを口に入れたり出したり」を披露した。
宴会は大爆笑に包まれた。のび太も一緒になって笑ったのだった。
がんばれ職人保全sage!
ガンガレ
535読者:02/06/27 23:48
次回作求む・・・一日三回は確認w
536スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/28 02:03
>>535

それは見すぎでは・・・(^^;
自分のやつは土曜辺りにうpする予定です。
此処のペースなら1日一回で充分かと
538連ドラ ◆Am7DdtsA :02/06/28 12:43
そろそろウプせねば
ついついオヅラ祭りに逝ってるんじゃあるまいな?
hozen
>>527
第97回
 魯粛に連れられ、のび太たち3人が紫桑城内に入った時、ちょうど文武百官が集まっての大評議が開かれていた。
「すごい熱気だね……」
 緊張した面持ちでのび太。
 無理もなかった。
 明らかに高官と思われる武官文官が50人近く、喧喧諤諤に議論を戦わせている。
 最上段に座って議論の模様を眺めているのは、東呉の主・孫権。
 退屈そうな表情をしている。
 少なくとも愉快な気持ちでこの評定に臨んでいるのでないことは確かだ。
「魯子敬、ただ今帰参いたしました」
 諸将に聞こえるように、魯粛が声を張り上げた。
 喧燥が一瞬にして静まり返る。
 みんなこちらを見ている。
 文官たちが忌々しそうな表情で、そして武官が目を輝かせているように見えるのは、おそらく気のせいではあるまい。
 孫権は……やはり退屈そうな顔のままだった。
「役目ご苦労。して、江夏での首尾は如何であったか?」
 孫権の言葉に、魯粛は胸を張って答えた。
「先の荊州における戦さにて、二度に渡って曹操軍を撃退した銅鑼軍の方々をお連れすることに成功しましてございます」
 その言葉に、諸将の間からどよめきが上がった。
「僕たち意外と有名人らしいね」
 雰囲気を感じ取って、ドラえもんがのび太らにつぶやいた。
第98回
「ところで殿、この評議は何ゆえの集まりにございますか?」
 魯粛の質問に、孫権は黙って一つの書状を差し出した。
 孫権の脇に立つ小姓がそれを受け取り、魯粛に手渡す。
 それを一瞥した魯粛は眉をひそめた。

我、詔を奉じ南を指して下れば、荊・襄の民は風を望んで帰順せり
いま、我が雄兵百万上将千員は、将軍とともに江夏を攻め、劉備を伐って土地を分かち、永く同盟を結ばんと欲す
いたずらに観望することなく、すみやかに回答あるべし

 曹操からの書状だった。
 限りなく脅迫に近い文章、と魯粛は受け取った。
 文官も、武官も、そして孫権も、そう理解していることは間違いなかった。
「受諾、拒否―いずれに決した次第にございましょう?」
 魯粛の問いに、孫権は相変わらず退屈そうに答える。
「すでに三刻を費しておるが、いずれにも決せぬ」
 その言葉に、かなりの年配と思しき文官が声を上げた。
「殿! 多くの者は戦わざることを望んでおりますぞ!」
「ああそうであったな、すまぬ張昭」
 年齢からは想像もつかない張りのある鋭い声に、孫権は面倒そうに手を振った。
「これはまた…長老殿は何ゆえ曹賊に降伏せよと申されるのか?」
 わざとらしく魯粛が質問すると、張昭はその顔に敵意をむき出しにして叫んだ。
「子供でもわかる道理がわからぬと申すか! よろしい、ならばこの老人が教えてしんぜよう!」

 魯粛の背後に隠れるように立っていたのび太が、ドラえもんに耳打ちした。
「ねえ……僕たち、これから何をやらされるんだろう?」
「僕だってわからないよ、とにかく魯粛さんに任せよう」
「ウン……でも、あのおじいさん、怖いなあ。ほら、スネ夫。僕たちが野球でガラスを割っちゃった時、雷落とすおじさんがいるじゃない」
「ああ、禿頭でヒゲがこわいあのおじさん?」
「そうそう、あのおじさん……僕がこの世で一番怖いのはママで、その次があのおじさんだったんだけど、張昭っていうおじいさん、下手したらあのおじさんよりも怖いよ」
 倭の国からやってきた子供たちに怖がられていることなど関係なく、張昭は声を張り上げた。
第99回
「曹操は天子の名を借りて、四方を制しておる! これと決戦するは順にあらざる儀! また、曹操は目下、三十余里の間に巨万の陣列を敷き、呉の国境を脅かしておるが、我らがこれを防ぐとすれば、長江を頼みとするのみ!
しかるに、すでに荊州を手中に収め、水軍の力も増した曹操にとって、長江を突破するなど赤子の手をひねるようなものであり、その勢い、まさに敵すべからず! よってこたびは一時、曹操の条件を呑んで和議を図るが得策である!」
 一気に張昭が叫びおえると、文官を中心に「その通り!」「ここは和議もやむなし!」という声が上がった。
 一方、魯粛は張昭の勢いに正面からぶつかるように断じた。
「長老殿の申されることは、己が保身のみを考えてのこと。論ずるに及ばず!」
 目を剥く張昭を睨み付けたまま、今度は魯粛が声を張り上げる役に回る。
「殿、お聞きください! 衆官諸将が曹操に降りますれば、それぞれ郷里に帰ることを許され、やがては官位を得る道も残されましょう。しかし、殿はどうなりましょうや?
殿が降伏されれば、曹操は獅子からその牙を抜き、鷲からその翼をもぐがごとく、殿からあらゆる物を奪いましょう。曹操が殿に与えるは、わずか一乗の車と一頭の馬、そして従者数人に過ぎますまい」
「何を申すか!」
 頭に血が上った状態で張昭が怒鳴る。
 額に太い血管が浮き上がっている。本気で怒っているらしい。
「聞き捨てならんぞ、魯粛! わしの殿への忠義を愚弄するか!」
 ものすごい剣幕で突っかかってくる張昭だが、魯粛は涼しい顔をしている。
「このような状況で降伏を申し出るなど、保身の心情なくばできぬこと。それがしは当然のことを言ったまでにござる」
「な……な…なんじゃとぉぉぉぉ!」
「お聞きください、殿!」
 完全に切れた張昭を無視して、魯粛は孫権の方を向き直った。
「降伏は一時の策という考えも確かにありましょう。しかし、一度降伏してしまえば、再び呉の孫権≠ニしてその名を天下に轟かせることは叶いませぬぞ!」
第100回
 ふと見ると、魯粛は涙を流している。
 演技か誠かはわからないが、その様子に一同はシーンとなった。
 静まり返った室内に、魯粛の声が響く。
「この地は殿一代でもってまとめ上げたものではございません! 先代・孫策様……そして先々代・孫堅様から脈々と続いた意志によって、ようやく築き上げたものにございます! それを戦わずして放棄なさいますか?」
 孫権はじっと黙っている。ほかの文官武官も同様だ。
 そう、呉は一朝一夕に出来上がったものではない。
 反董卓連合軍の一翼として歴史の表舞台に登場した初代・孫堅は、その堂々たる戦い振りで全土に名を轟かせ、次の飛翔に移る直前、その生涯を閉じた。
 二代目・孫策は袁術の元で飼い殺し状態にあり、そこを自力で飛び出し、「小覇王」として東呉に君臨。そしてやはり、さらなる飛翔を目前にして、その短い一生を終えた。
 孫権配下の大半は、これまでの苦難を骨身に染みるほどよく知っている。もちろん張昭も。
 孫堅や孫策の名が出るに及んで、降伏派の文官たちも下を向いた。
 ただし、張昭だけは別だった。
 もちろん張昭とて、自分かわいさに降伏を主張していたわけではない。
 それなのに「保身」と決め付けられ、完全に頭に来ていた張昭は、制止しようとするほかの文官らを振り切って、魯粛の胸に指を突きつけた。
「わしは孫策様の代から孫家のことを第一に考えて生きてきた! ここで曹操との和議を進言するも、それが孫家を存続させる唯一の方法だからじゃ! わしのことをかくも卑怯者呼ばわりしおって、貴様には曹操を撃退する策でもあると申すか!」
 すると魯粛は、敢然と胸を張って答えた。
「もちろんございます」

 完全に蚊帳の外状態だったのび太たちは、身を硬くして耳を傾けた。
 100万の曹操軍を撃退する―のび太たちにとっても至上命題だった。
 しかし、その手段がまったく思いつかない状態だった。
 魯粛は、いったいどんな方法で曹操軍を倒すというのか・・・
「ほう、よう言うた! ぜひその策とやらを聞かせてもらおうか!」
「その策は、それがしがたてるものではありませぬ」
「なに…?」
「こちらにおわす銅鑼軍の諸将が立てられます」
 魯粛は横に移動して、自分の後ろに立っている者たちを指し示した。
 もちろんそこにいるのは、のび太ら三人である。
 ただし、まったく予想していなかった成り行きに、のび太たちは目を丸くしたまま硬直している。
第101回
「ささ、のび太殿。ここで策を披露してくだされば、衆議は決まります。気合い入れてどうぞ」
 魯粛が小声で話す。
 のび太も小声で返す。
「あの、魯粛さん」
「なんでしょう?」
「曹操を倒す策って……何?」
「のび太殿、この期に及んで出し惜しみなどされてどうされる? 新野などで曹操軍を震え上がらせた貴殿らのこと。百万の軍を撃退する策などいくらでもお持ちでしょう?」
 のび太たちは、自分らが置かれている状況も忘れ、呆れた。
 魯粛、字・子敬―なんという楽天主義者! なんという無責任男!

 魯粛の顔をまじまじと見つめながら、のび太は言った。
「僕たち、策なんてないんだけど…」
「ハハハ、冗談はこの評定が終わった後にでも……さあ、のび太殿。あの口うるさい老人を黙らせてやってくだされ」
「いやだからぁ………ホントに策なんてないんだよ」
「のび太殿、今はさような冗談を言っている時ではござらぬぞ」
「冗談じゃないんだって。ホントに僕たち、曹操を倒す方法なんて知らないんだ」
「あ、殿、今しばらくお待ちくださいませ。これより…………エ?……………のび太殿、何とおっしゃった?」
「だ か らぁ」
 のび太は小声のまま、語気を強めた。
「曹操を倒す方法なんて、僕たちが知ってるわけないでしょ!」
「………ウゾ」
「ホント」
 今度は魯粛が硬直した。
第102回
 魯粛の慌て振りに最初に気付いたのは、張昭だった。
「如何した、魯子敬よ?」
 意地悪な口調で声をかけてくる。
「まさかとは思うが………卿が連れてきた子供らは、実は策など持っておらなかったなどとは言うまいな?」
「しょ………少々お待ちを…」
 情けないほど卑屈な調子で魯粛。
 額には脂汗を浮べ、完全に狼狽している。
「そ、そんな……貴殿らは機略でもって曹操軍を2度も撃退したではないか。なぜこたびに限って策はないと申されるのか?」
 これほどまでに無責任な男というのも珍しい、とのび太たちはため息をついた。
 確かに「力を貸してほしい」と言われた。
 自分たちもそれを受諾した。
 ただし、できないことはできないし、知らないことは知らない。
 第一、魯粛と出会ってここ紫桑に着くまでの道中、曹操と戦うための方策など、一回も話したことはなかった。
「わしを不忠呼ばわりした魯子敬よ。いつまで殿を待たせるつもりだ? もしや、自刎の段取りについて話し合っているのではあるまいな?」
 張昭のトゲだらけの声が、魯粛に突き刺さる。
「それなら及ばぬぞ。この評定が終わりし後、わし自らの手で斬り殺してやるによって」
 張昭は本気らしいが、それも仕方あるまい。
 これだけ人が集まった所で「保身のために降伏を唱えた」と罵倒されたのだ。
 この時代の価値観からいって、十分に相手を殺す理由になる。
第103回
「の、のび太殿! ドラ殿! スネ夫殿! なんとかしてくだされ! わしゃ殺されたくない〜」
 小声で泣き付いてくる魯粛。無責任な男ではあるが、悪人ではないことは確かだ。
「ドラえもん、何とかしてあげられない?」
 のび太の言葉に、ドラえもんはため息をつきながら、四次元ポケットに手を伸ばした。
パパパパッパパー!
「ニクメナイン!」

【解説・ニクメナイン】
錠剤状の道具。これを飲んだ人は、誰からも怒られたり叱られたりしなくなる

 ドラえもんは魯粛の口の中にニクメナインを放り込み、魯粛を張昭の方へ押しやった。
「ちょ…ちょっと、ドラ殿! 何するの〜?」
 魯粛は張昭の前に立たされた。下を向く魯粛の肩に、張昭が手を乗せた。魯粛は傍目にもわかるほどビクビクしている。
 そして張昭は言った。
「魯粛殿、気にしないでくだされ。わしも全然気にしてはおらんによって。いやホント」
 思いもよらぬ言葉に喜色を浮かべて顔を上げた魯粛は、慌てて下を向いた。
 魯粛がニクメナインを飲んでいるにもかかわらず、張昭の顔に憤怒と笑顔がまぜこぜになっている。
 この老人の怒りの大きさを示すものだった。
 まあ、当面の危機は乗り越えられたことは確かだった。

「ついでに、孫権軍が曹操と戦うようにできない? 歴史ではそうなるんでしょ?」
 調子に乗ってのび太。ドラえもんも異論はない。
パパパパッパパー!
「コベアベ!」

【解説・コベアベ】
見た目は普通の笛。笛から出る音波で神経の働きを変え、頭で考えてることとあべこべのことをやらせる

 ドラえもんは張昭だけに聞こえるように、小さくコベアベのメロディーを奏でた。
 途端に張昭は孫権の元へ駆け寄り、大音響で告げた。
「殿、曹操からの書状を持って参った使者はまだおりますな!」
 突然の剣幕に驚きながら、孫権は小さく肯く。
「今すぐ斬首に処すべきです!」
「ハァ?」
「東呉の盟主たる殿に対する曹操の理不尽な要求、決して許すことはできませぬ! 使者の首を刎ね、我らの決意を曹操に知らしめるのです!」
「あ……あのな、張昭よ。そなたは今まで、曹操と和議を結ぶべきと言っておったような気がするが…」
「何をおっしゃいます、殿! かくも軽く見られた上、尻尾を振って降伏したとあれば、地下の孫堅様と孫策様に申し訳がたちませぬ! 殿、今すぐご決断を!」

 孫権軍の衆議は「曹操と決戦する」ということで決した。
 ただし、使者の首を刎ねることについては、今後の外交の扉を閉じることになるとして、実施されなかった。

 孫権、曹操との対決を決意。
 ドラえもんたちは、ひとつの歴史の成立に成功した。
548スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/29 23:56
>>521

正面からぶつかっては敵わないと見てか、黄巾賊は戦法を変えてくるように
なった。夜襲をしかけてきたり、進軍先の川や井戸等に毒を投げ込んだりする
などのゲリラ戦を仕掛けてくるようになったため曹操軍はこれに頭を悩ますこ
とになった。
この日、進軍する予定の渓谷に賊が隠れていないかを確かめるため、ジャイア
ンと辛は偵察に出ていた。


「・・・・。」
ジャイアンは無言で険しい岩道を進んでいく。少し、遅れて辛がそれを追いか
けていた。

辺りは霧が出てきて視界がかなり悪い。奇襲を仕掛けるには絶好の場所だと
ジャイアンは思った。

「わっ!」
背後から足をとられて転倒する音が聞こえてきた。見ると、辛が尻餅をついて
照れ笑いを浮かべていた。

(そういや、こいつはのび太によく似てるな・・・)

ジャイアンは離れ離れになったのび太達のことを思い出した。無事でいるのか
どうか、今のジャイアンには知る由もない。しかし、

(戦いで活躍して偉くなればのび太達を捜すことができる。)

ジャイアンはこのように考えていた。稚拙な考えであった。しかし、ジャイア
ンは頑なにそれを信じていた。それが、三国時代に行くというのび太の提案に
賛成し、半ば強引にそれを実行したジャイアンなりの責任のとり方であったの
だ。



549スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/06/29 23:58
ペース遅いですがどうかお読みください。(__)
550しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/30 01:13
のびすぎ・二十四
「沛に近づいてきましたぞのび太殿、もう少しです」
諸葛瑾の声がしたので眠っていたのび太は跳ね起きた。
出発してから数日たっていた、長く馬車に揺られ、同乗者との会話の種も尽きてきて大分調子が悪くなって
きた所だったので、のび太の嬉しさはひとしおであった。
「出木杉!もう着くんだって!」
そう昏睡状態の出木杉に声を掛ける。幸いにも症状も悪化せず無事ここまでこれた、これならもう大丈夫だろう。
「近くの村で聞いてみますか、多分皆知っているでしょうしね」
そうして馬車は小さな集落に入っていった。

住民達に聞いてみると、矢張り華佗の高名さは隅々に知れ渡っている様であった。
人々は口ぐちに華佗の腕前を褒め称え、ある者はわざわざ手術された後をもろ肌脱いで示したほどだ。
兎に角どんな怪我、疾病もたちどころに治してしまうらしい。
どうやら華佗はそう遠くない先の、ここより少し大きな村で開業しているとのこと。
のび太はそれを聞くと急かすように馬車に乗り込んだ。

沛に着いた辺りから所々で武装した兵卒が行進しているのが見えた。兵卒と言っても付けている武具は
ちぐはぐで、中には賊かと思うような柄のわるいのも大分いた。
いらぬトラブルは無用と馬車は陰のほうをこそこそ進んでいた。
「何だろうね、物騒な感じ」
のび太は隣の亮に言った。亮は小馬鹿にしたような顔で。
「なんだい、君今まで田舎にでもいたのかい?洛陽の反董のいくさのあと天子様は長安に遷都して、
今世の中は袁術、袁紹の争いになってるんだよ。ここいら辺は物騒で当たり前さ、何も知らないんだな
本当に洛陽から落ち延びてきたのかい?」
「そんな事聞いてないよ、どういう人たちかなと思っただけだよ」
いちいち刺のある言い方をする諸葛亮にむかっ腹を立てつつものび太は再び聞いた。
「さあね、見る限り正規の軍隊と言う感じじゃないな。かといって黄巾賊の生き残りと言うわけではなさそうだし
義勇兵かなんかじゃないの」
551しずか連環 ◆lysLIIeg :02/06/30 01:17
のびすぎ・二十五
「ふうん、義勇軍ねえ」
「・…劉玄徳」急に隅っこで転寝をしていた単福が声をあげた。
「へっ?劉玄徳、ってもしかして劉備?」のび太が驚いたように聞く。単福は頷いた。
「ああ、虎牢関であの呂布を義兄弟と共に退散させた男だね。今は諸国を廻って雇われ護衛みたいな
ことをしてるらしいけど、成る程それならあのやくざ者達も説明がつくね」
亮はそう一人ごちた後。
「それよりよくそんな事が解りましたね、単福さん」
挑むような目つきで単福を見た。
単福の方でもお前もな、と言う風に一瞥すると口笛を吹き始めた。

「それに君も何だって劉備の事を知ってるんだ?」とのび太にも聞く。
「え?だって僕そんけーしてるんだ」
「尊敬?知り合いかなんかなのか?」
「会った事は無いけど、本で読んで・…」と言いかけてはっとのび太は口をつぐんだ。ついついくちをすべらせてしまったのだ。
亮と単福さえもが怪訝な顔で見ていた。
「いや、その・・・・」
「本だって?どういうことだ?それに君は字が読めるのか」
どうしよう、のび太は冷や汗を流した、余計な事を言って怪しまれたらどうするんだ!
未来から来たことがばれたりしたらどんなややこしい事になるか。
「おい、応えろよ」
亮がにじり寄ってきたとき。
「お兄ちゃんたち、ついたよー!」
馬車が止まり諸葛瑾と一緒にいた均の声が響いた。
「ああ!ついた!さあはやく出木杉を連れていかなきゃ!」
と大声でいってのび太はあたふたと立ち上がって、出木杉を抱えあげた。
それを諸葛亮は懐疑の眼差しでじっと見詰めていた。
呂布は高順の芸を見て笑いながら言う。
「やるな高順、しかしなんというか品が無いではないか」
テレ笑いする高順を尻目に呂布はパンパンと手を叩く。

しばらくすると小さな女の子が宴場にあらわれ、みなに踊りを披露した。 年齢はのび太より二つか三つ若い程度だろうか。
それほど上手とはいえないものだったが、その女の子があまりにひたむきなせいか目が離せない。
たまに失敗したり転びそうなところがあるのだが、それはそれでほほえましいと思えてしまう踊りだった。

「あれは呂布様の娘だぞ」
「ふぅん・・・・え、えええ!」
のび太は呂布を見、そのあと踊っている娘を見た。
「そういえば、目の辺りがちょっとだけ似てるかな?」
「高順の芸と呂延様の舞は、ここの宴の定番だからな」
「呂延(りょえん)?」

のび太が誰かと聞こうとしたとき、女の子の踊りが終わった。 宴場に拍手が鳴り響く。
一番大きく拍手をしたのは呂布であった。
「見事だ、延」
「は・・・はい」
延と呼ばれた女の子は顔を赤らめながらぺこぺこと回りにおじぎし、小走りで宴場からでていった。

女の子がでていったあと、呂布がのび太に聞く
「のび太、今の舞いはどうだった?」
「うん、目が離せなかったよ」
転びそうになったり失敗しそうになるのが、というニュアンスが含まれているのだが呂布は気にしない。
「はっはっは、そうであろう、そうであろう。 あれは俺の一人娘で呂延というんだが、なかなか舞いに才能があってなぁ」
そんなに上手じゃなかったと言いそうになるのをのび太はじっとこらえた。
長々と笑顔で娘の自慢話をする呂布。

それを見てのび太は思う、目の前にいる呂布は本当に戦場にいた呂布なのかと。
桁外れの武力(ぶりき)で戦場を縦横無尽に駆ける男。
そして見ていてあきれるほどの子煩悩。
むしろそれが呂布の魅力なのである。
完璧な人間ではない。 呂布のそういう部分がのび太は好きなのだ。


「でも、あまり呂布さんと似てないね」
「延は妻に似たからなぁ・・・その妻はもう亡くなってしまったがな」
呂布は一瞬悲しそうな風に顔をしかめる。
のび太は悪いことを聞いてしまったと思った。 



勝利の宴は一晩中つづくのだった。
翌日。 呂布の家に泊めてもらったのび太はぐったりしていた。 飲みすぎである。
何もする気が起きないまま、庭を望む縁側のようなところでひなたぼっこをしている。

のび太はいろいろなことを考えていた。
パパとママと、そしてドラえもんとの生活。
ギゴショックでやってきてからの劉備たちとの生活。
友を探す旅。 そして今。 そしてこれから。

しかし、のび太である。 物事を深く考えるのは苦手である。
なぜなら眠くなるからだ。 





歌を歌いながら、女の子はちいさな花を見ていた。
大きな木の木陰に咲く、黄色い花。 この花が女の子は好きだった。
なんとなく自分に似てると思うのだ。
まるで大きな木が父、そのそばに咲く花が自分だと。

女の子の日課。花の観賞は予期せぬ出来事に中断される。 
ドサリという音がして、ふと横を見てみると少年が寝ているのだ。
気が動転したせいか女の子は固まったように動かない。

「いたたたたたた・・・・」
少年は頭を抑えながら立ち上がるとそばにいる女の子に気づいた。
「ええと、呂延って名前だっけ?」
確かに呂布の娘。呂延であった。
昨日の宴で見たのだ、酔っていたとはいえ間違いは無い。
「は・・・・」
「なんだか木登りしたくなっちゃって。 昔はできなかったんだけど、今ならできるかなぁ。
 そう思ってやってみたんだけど。 なんだかスルスルスルって簡単だったんだ。
 それでね、景色いいんだよ。 見ているうちに眠くなってそしたら寝ててそして落ちて・・・」
「う・・・・」
「昔は本当に運動がダメだったんだけど、何でかな。登れるように・・・

長々とのび太の話を聞く呂延。
聞いてるというより、自分の置かれている状況がわからない。そんな感じである。
「それでぼくは決めたんだ、一生カナヅチで通すって。
 人間が魚の真似をするなんて・・・・・・」

呂延はのび太の話を聞いている間、どうしていいかわからない。
混乱と不安からか、なにやら泣きそうな顔である。
ようやくその表情に気づいたのび太。
何か自分が悪いことをしただろうか・・・と思うのだが、ここは何とかしなければならない。

のび太はふところをもぞもぞとまさぐり取り出したのは一本の輪になったのひも。 

それを器用に指に絡ませる。
紐は指をつたい、流れ、走り出す。
まるでなにか生き物ががのび太の指を駆け巡っているようであった。
さっきまでただの紐であったものは一つの画を描き出す。

「ほうき!」
そして
「橋!」
まだ続く
「東京タワー!・・・ってこれは知らないよね」

目の前のさまざまな妙技に、さきほどまで涙目だった呂延はもういない。いまは好奇心の塊である。
のび太の操るその紐、そして指に興味は注がれていた。

いろいろな技を披露しているのび太は唐突に、ぱちんと手を叩く。
「やってみる?」
「え・・・」
少し悩んだようすで、恐る恐る首を縦にふる呂延。

紐を渡され。 呂延はのび太にあやとりのやり方を教わる。
指がふれるたびにすこし、ほんのすこしぴくんと体が震える。 そして顔が真っ赤になる。

その呂延の微妙な変化にのび太は気づかない。

気づいたのは、二人からやや離れた柱の影にいる男。 張遼であった。
張遼はのび太に槍でも教えてやろうかと思いここまで来たのだが、やめた。
「明日にするか・・・」
そういって張遼は去って行った、彼の心が、なぜかちくりと痛んだ。
555読者:02/07/01 13:50
のび犬スナイパーさんの作品が自分は一番すきです。頑張ってください!
がんがれ職人sage保全。
今まで全部読んでます。

>>555
うす、頑張ります!
558しずか連環 ◆lysLIIeg :02/07/03 23:30
のびすぎ・二十六
何の変哲もない屋敷である。
庭は鶏や犬が駆け回り、隅のほうには何か薬草のようなものを植えている畑があった。
ここが華佗の家らしい。
「御免ください」
諸葛瑾が呼ばわる、その後ろには出木杉を背負ったのび太、亮、均、単福が続いている。
はいはい、とひどく若やいだ女性の声がした。
諸葛瑾ははっと息を呑んだ、出てきたのは目の覚めるような美しい女性であったからだ。
西施かくやあらんといえば言い過ぎか、けれどもまれにみる美女なのはいうまでも無い。
「何か御用?」
といやに艶かしい声で言う、諸葛瑾は長い顔を真っ赤にさせながらも、
「あの、華佗先生に御目通り願いたいのですが」
ともごもご尋ねた。
「はい、左様ですが」と言ってから出木杉を目に留めて、納得したように頷くと入るよう促した。

「師父、患者さんです」
おう、と声がする。美女が呼びかける先には、薬草やら怪しげな干物やらに囲まれた部屋の中に
向こうをむいてしきりにごそごそやっている白髪の老人がいた。
「華佗先生でいらっしゃいますか?わたくし諸葛瑾と申すもので、ぜひ診療していただきたく・・・・」
「ほうか、どうれ診ようかい」
と華佗は振り返った。

「ふうん、強く気が塞がれておるな、首を絞められたか」
華佗は寝かしつけられた出木杉の脈を取り、体のあちこちに指を当てていった。
「ええ、じつは賊に襲われまして」
のび太達は傍で固唾を飲んで見守っていた。
華佗は例の美女を呼ぶと、近くにある薬草を選んでいってそれを渡した。
そして袖の下からなにやら丸薬を取り出しそれを飲ませて、うんと頷いた。
「いいか、その薬草をつぶして膏薬とし、首にようく擦り込むのじゃ」
美女が去ると華佗は首をこきこき鳴らし傍の壺を引き寄せた。
「さあて、一杯やらんか?」
559しずか連環 ◆lysLIIeg :02/07/03 23:32
のびすぎ・二十七
「ちょ、ちょっとお爺さんそれで終わり?」
のび太が食って掛かる、余りにも速すぎる。
「そうじゃ、終わりじゃ」
「だって、出木杉死にそうだったんだよ、そんな簡単なのでいいの?」
「めんどい童じゃのう」
そういって、華佗は酒を口に含むと勢いよく出木杉の顔にぷーっと吹きかけた。
・…げほっ、げほげほっ!
すると出木杉が咳き込んだ、今までうんともすんとも言わない昏睡状態だった出木杉が。
余りの出来事に皆呆気にとられていた。

「凄い!凄いよ!ほんとに直しちゃったんだね」
均がわっと声をあげる。
亮や単服も目を見張っていた。
「ああ、ありがとうございます、なんとお礼申し上げたらいいか」
諸葛瑾も声を震わせて頻りに頭を下げた。
当ののび太ははしゃぐ事も無く、ただ泣いた。
「よかった、出木杉…」
そう云って酒で濡れた出木杉の顔を拭きながら泣いていた。
「なんじゃさっきはえらい剣幕で、いまはめそめそ泣いておるのか。現金な奴じゃ
お蔭で酒を一口損してもうたわい」
ははは、と華佗の笑い声が響いた。
hosyuってハニー
561dfnbp[an:02/07/07 03:17
age
>>547
第104回
 長江に浮ぶ何百もの軍船。
 圧倒的にして壮観な眺めだ。
 この船団を作り上げたのは劉表だ。曹操ではない。
 しかし、この地に全船団を集め、今にも進軍するかのように準備させたのは、ほかならぬ曹操である。
―これが曹操の力……
 出木杉は自分より離れたところに立ち、船団を見下ろしている男に目を向けた。
 不意に曹操は詩を吟じ始めた。

  酒に対して当に歌うべし
  人生幾ばくぞ
  たとえば朝霜のごとく
  去りゆく日々の苦多し・・・

  山は高きを厭わず
  水は深きを厭わず
  周公ははみしものを吐きしかば
  天下の人は心をよせぬ

 天才だ、と出木杉は思った。
 気がつくと、全身に鳥肌が立っている。
「余の詩を周瑜に送っておけ。やつも風流深き男と申すではないか。返詩が楽しみじゃ」
 曹操は笑いながら、側近の者にそう申し伝えた。
 天下分け目の決戦を控えた身でありながら、人間の匂いのこもった詩を吟じる余裕、人としての大きさ。
 出木杉の曹操への視線は、「見る」から「見惚れる」へと変わっている。
 叶うものなら、このまま曹操の一挙一動を見つめていたかった。
 そして、できることならこのままずっと……
「出木杉殿、しばらく」
 そんなささやかな想像を破る冷たい声が、出木杉の背後から響いた。
 やや不機嫌そうに振り返った出木杉は、相手を認めるやサッと緊張の色を浮かべた。
 動揺を気取られまいと、努めて出木杉は冷静に答えた。
「なんでしょうか、郭嘉殿?」
第105回
 曹操軍一の切れ者・郭嘉。
 この男と話をするに、慎重になりすぎということはない。
 出木杉は郭嘉の天幕へ案内された。
 道中、郭嘉は一言も言葉を発しない。
 息苦しさにクラクラしながら、出木杉は必死の努力で背筋を伸ばし、郭嘉と並んで歩いた。
 天幕に入ると、郭嘉は奥の方へ声をかけた。
「斐妹、客人じゃ。茶を入れてまいれ」
 ほどなく、入れたての茶が出木杉と郭嘉に出された。
 緊張しきっている出木杉には、自分の前に茶を差し出した少女の顔を見る余裕もなかった。
 当然「斐妹」と呼ばれた少女が、出木杉を見て驚いたことも、そしてそれを郭嘉に気取られぬよう、瞬間的に無表情に戻ったことも見ていない。

「孫権が丞相の申し出を突っぱねたことはお耳に入っていると存ずるが?」
 茶に手もつけず、郭嘉が切り出した。
 出木杉は固い顔のまま、その言葉に頷いてみせた。
 抗戦か、和平か。
 孫権軍内部が、ふたつの選択肢に揺れていたことは、曹操軍にとって周知の事実だった。
 呉は降伏するのではないかという楽観論も、実際のところ、かなりの信憑性をもって伝えられていた。
 しかし、孫権は抗戦を決意した。
 そんな孫権の意志を後押ししたのが銅鑼軍の一派だということも、すでに曹操は掴んでいる。
「現在呉陣中には、ドラえもん殿、のび太殿、スネ夫殿の三将がおわすという」
 ドラえもんらの名に殿≠付けるのは、あるいは出木杉に対する気遣いなのか、それとも……
 身構える出木杉を尻目に、郭嘉は言葉を続けた。
「新野にて、曹仁と夏侯惇の軍勢を打ち破り、呉においては降伏論に傾いていた孫権陣営の世論を抗戦へと導いた。戦さのみならず、弁舌においても見事なものをお持ちのようだな、銅鑼軍の諸将は」
 うっかり返事をしようものなら、どこで言質を取られるかわからない。
 出木杉は、やはり黙って肯いた。
「最初は劉備軍の部隊として戦い、こたびは孫権の尻を叩いて降伏論を一蹴する」
 出木杉の態度を意に介した風もなく、郭嘉は続ける。
「なぜだ?」
 郭嘉は問うた。
「なぜ銅鑼軍は、我らとかくも敵対しようとする? 聞けば、卿らははるか東、倭の国の使者だというではないか。我らは倭の国に対して、かような仕打ちを受けるほどの行いをした覚えはない。いや、そもそも、倭の国の存在すら知らなかった」
 出木杉を見据える郭嘉の目。
―だんまりは許さぬぞ
 その目はそう語っている。
第106回
 小さく深呼吸してから、出木杉はかつて曹操に答えたことと同じ返事をした。
 自分たちの不注意で劉備にけがをさせた。その責任を取って、劉備が全快するまで戦う。そして劉備が全快した後は、倭の国へと帰る―
 だが、郭嘉はその返事に納得した様子もなく、再び問い掛けた。
「新野にて卿らが戦った理由はそれで説明もつこう。だが、なぜ今度は孫権を煽るのだ? 劉備は江夏にいる。卿らの論理からいえば、江夏へ赴いて劉備を補佐するのが筋ではないか?」
「劉備将軍が壮健であるなら、強大な曹操軍と戦うために、孫権との和を求めたでしょう。本来、劉備将軍が取っていたであろう道を、銅鑼軍が代行している、ということです」
 出木杉の返事に、郭嘉は眉をしかめた。
 完全に納得していないことは明らかだったが、郭嘉は別の質問をぶつけてきた。
「曹仁将軍と夏侯惇将軍から聞いたが、卿らは不思議な道具を使うらしいな。話によると、呉が抗戦を決意したのも、その不思議な道具によるものらしい。出木杉殿もその道具を持っておられるのか?」
 ドラえもんの未来の道具のことだ。
「僕は持っていません。ドラえもんだけが持っています」
「ドラえもん殿だけ? ほかの将は?」
「持っていません」
 ここで郭嘉はしばらく黙り込んだ。
 いったい何を考えているのだろう……
 出木杉には、郭嘉の脳裏を読み取ることができなかったが、ただ何とも言えない漠然とした不安だけははっきりと感じることができた。
「急に呼び立てして申し訳なかったな」
 長い沈黙の後、郭嘉は話の終わりを告げた。
「斐妹、客人がお帰りになる。お見送りいたせ」
 奥の方にそう告げると、郭嘉はすでに出木杉の存在など眼中にないかのように、じっと考え込み始めた。
 憮然としたものを感じながら席を立つ出木杉。
 振り返ると、天幕の出口に一人の少女が立っていた。
「!………」
 出木杉は危うくその少女の名を呼びかけ、慌てて口をつぐんだ。

 天幕からだいぶ離れたところで、出木杉としずかは再会を喜んだ。
「良かった、無事だったんだね」
「郭嘉様に助けられたの。郭嘉様は私の正体を知らないんだけど」
「うん、それでいいよ。ところで……」
 長くなると郭嘉に怪しまれる。
 出木杉は手短に自分が抱いている不安をしずかに話した。
「郭嘉さんが? ドラちゃんたちを?」
「確信はないんだけど………何か考えているようなんだ。新野での戦いや、孫権軍を徹底抗戦に導いたりと、僕たちは何かと曹操軍の邪魔になることをしている。郭嘉がドラえもんたちを取り除こうと考えたとしても不思議じゃない」
「そんな、あの郭嘉様が……」
「とにかく、何とか僕たちの連絡手段を作るから、何か不審なことがあったら知らせてほしいんだ。ドラえもんやのび太君たちが危ない。そんな気がしてならないだ」
 出木杉の真剣な表情に、しずかはためらいがちに肯いた。
565連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/07 21:25
歴史。
歴史に名を残した男は数えきれないほど存在した。
対し、歴史に名を残した女は数える程度しかいない。
妲己、呂后、楊貴妃。彼女らはいずれも美しく、時の皇帝に寵愛された。
そして国を傾けていった。国を創るには万の犠牲と多大な労がかかる。
しかし、一人の女で国を崩壊させることは極めて容易なことである。
史実にはそんな連中が多い中、一人で新しい国のきっかけを作ろうとした女――貂蝉。
彼女は誰も成しえなかった董卓誅殺の野心――いや大義を胸にここ、長安にいる。
大きな保険、最強の武人――呂布(ジャイアン)を味方にすることもできた。
とはいえジャイアンといえど、ムゲに董卓には近づけない。
そこで貂蝉は自分が董卓の部屋で舞をして、ジャイアンはその音曲につられてきた。という設定で董卓誅殺をより確実なものにしていった。
そしてついにその日がきた。
566連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/07 21:26
薄絹の衣を纏い、琵琶を持ってしなやかに貂蝉は足を進めた。
眼前には不倶戴天の敵、董卓仲叡が肘をついて横たわっている。
部屋には誰もいない。董卓と貂蝉の2人だけ。途中番兵に止められたが難なくやり過ごせた。
董卓は眠っているのかいないのか目を閉じている。
とりあえず貂蝉は音曲を奏でることにした。
その音は清く、迅く、暴の匂いがしたかと思えば優しく美しく。貂蝉が奏でているのは董卓そのもの。16歳にしてそのスキルは達人の域まで達していた。
貂蝉はジャイアンに何時に来い。など正確な時間の指定はしていない。あくまでも音につられてこなければならない。
だからジャイアンがくるまで延々と舞っていなければならない。ちょっとした耐久レースである。
―――半刻後。
まだジャイアンはあらわれない。内心貂蝉は焦っていた。琵琶を弾きつつ踊るものだから体力の消耗が激しい。足はふらつき、腕はつり始め、額には玉のような汗が滴り始めていた。
(くッ…まだですか…呂布さま…)
もうだめなんじゃないかと、あきらめようかとしたその時、扉が開いた。
返り血で着物を少し汚したジャイアンが入ってきた。おそらく番兵に止められたのを振り切ってきたのだろう。ジャイアンは貂蝉と視線を絡ませ、ため息を一つ吐くと近くの壁に寄りかかった。そして目を閉じ、貂蝉の音曲に耳を傾ける。
時間こそ遅れたものの、ここまで予定通りに事が運んだのを察知した貂蝉は疲れた体に鞭入れ、さらに音を奏でる。
(あとは時機を計るだけ…)
ジャイアンが入ってきてすぐ実行に移しては意味が無い。せめて30分は舞っていなければ…。
自分が打ち漏らした場合、ジャイアンが仕留めてくれるだろう。いかに董卓といえど天下無双の呂布には敵うはずがない。オマケに董卓は丸腰。ジャイアンは帯刀している。
貂蝉はジャイアンの方へ何げなく近寄った。ジャイアンの目が開き視線が交わる。
目が合ったあと着物のスリットからチラリと艶かしい太股が覗いた。
太股には懐剣が忍ばせてありジャイアンはその懐剣を見ると小さく頷いた。
貂蝉は『今から行動する』の意識をジャイアンに見せた後、寝ている董卓ににじりよっていった。
567連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/07 21:27
たぶん一ヶ月ぶりです
568スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/07/07 22:22
連ドラさん、お久しぶり!お待ちしてましたよ。
569スネ雄 ◆SUNeoqvs :02/07/07 23:52
>>548

「おら、立てよ。」

辛は眼前に突き出された手を見て、それから手の主の顔を見上げた。

(しょうがねえ野郎だ。)

嬉しそうに自分の手を握る辛を見ながらジャイアンは思った。何かと自分
を頼ってくるこの少年を何故か放っておけなかった。

「さて、行くか。」
二人は再び歩き出す。辛の足取りは先ほどよりも軽かった。

歩き出してしばらくして、再びジャイアンの背後で辛が転倒する音が聞こ
えた。

「おい、辛!お前、また・・」

笑いながら振り向いたジャイアンの顔がそのままの表情で固まる。
辛は倒れていた。背中に矢が突き立った姿で。

「辛!?」
ジャイアンの叫びに答えるかのように、霧につつまれた岩道の陰から
いくつもの人影が現れた。その数、五十余り。ジャイアンはいつの間
にか完全に包囲されていた。



あれから二年。
出木杉英才、管亥。

中平4年(西暦187年)  冀州勃海郡。

空は蒼く、高く。 そしてことさら深かった。 

出木杉はぶつぶつ言いながら歩いている、隣には管亥が無表情で荷物を背負った馬を引いている。
いまだ、書を求めての旅の途中であった。
旅先の商人の食客になり、昼は武の鍛錬、夜はその商人の持つ書物を借りて勉学にはげむ。
商人の持つすべて書を読みつぶすと、またそこを出て旅を続ける。 それはまるで書物を食むいなごのようであった。

「ふぅ、ようやく孫子を言い終えたよ」
どうやら出木杉は、頭の中にある孫子を最初から読んでいたようだ。
笑みを浮かべる出木杉に対し、それを聞いた管亥はややうんざりしたようにつぶやく。
「ほう、やりますな」
「せちがらい、もっと誉めてくれてもいいのに、お師匠さん」
「俺は学問の面では、おまえの師になるつもりはない」
言うが早いか管亥は馬を引いてた手を離し、出木杉に殴りかかる。
拳は出木杉の顔があった所を的確に ”通り過ぎてゆく” 当たる寸前に出木杉が低い姿勢でそれを避けたためだ。
出木杉はその姿勢のまま前進し、空振りで隙だらけな管亥の横腹に、肘を突き刺す。

甘かった、そう出木杉は思った。
肘が己の横腹をえぐると同時に管亥は、出木杉の髪の毛を片手でわしづかみにした。そして顔をめがけて膝蹴りを放つ。
近づく膝を目前に出木杉は歯を食いしばり全力で背を反らす、彼の背筋が悲鳴をあげた。
この状況、無論出木杉に逃げ場は無い、しかしこの行動は被害を最小にとどめることが目的であった。
出木杉の顎に膝が入る。 ぎちっ、という音が出木杉の脳にこだました。

髪の毛が抜け出木杉が宙を舞った。
吹き飛ばされながら、出木杉は空を見た。
空は蒼く、高く。 そしてことさら深い。 

出木杉はネコのように体をひねり、しっかり両の足で着地。
そして一足飛びに間合いを詰め、管亥の懐に入る。

殴りあい、蹴りあいながら出木杉と管亥は会話を始めた。

「俺は孫子は好きになれそうに無い」
「なんで?」
「なんどか読んだことはあるんだがな、内容がトンチンカンだからな。
 小さいところに気を配れ。そして細かいことは気にするな。
 そういうどっちつかずなところが、どうも好きになれん」
「たしかにそんなところもあるよね、漠然としてるから」


数分後、勝負は決した

管亥の拳が出木杉の前で止まっている。
ジャンケンのグー、それの小指と人差し指がピンと立っている。
指の先には出木杉の両目があった。 実戦だったらとうに出木杉の目は潰されていただろう。

「ともあれ、まだまだ未熟だな」
「・・・・・だね」


なお、これが出木杉の武の鍛錬である。
戦いとはいつ始まるかわからないもの、いざ勝負、 などという準備された戦いはまれである。
大半は唐突に戦わざるおえない状況になるものだと管亥は言うのだ。

それゆえ、管亥は唐突に出木杉に殴ったり、斬りかかったりする。
ときには夜遅く、寝込みを襲ったり寝ている出木杉にかめの水をかけたりする。 
ふいの敵にも対処できるように、いわば体に覚えさせるようなものだろう。

そのような生活をしているためか、出木杉は多少の危険なら察知することが出来るようにまでなっていた。
その日の夕方、足の向くままに旅する二人は街道はずれの村にたどり着いた。
村の広場に朽ち果てたような首吊り死体があった。 おそらく罪人か何かだろう。
それを横目に出木杉らは、今日泊るべき宿を探した。


宿を見つけた数分後、出木杉と管亥は酒屋にいた。
旅にさなかにこういう集落や村を見つけては、一杯ひっかける、二人にとってこれはもはや習慣に近い。

酒屋の中に入り、そこの親父に管亥は言う
「すまんが酒を頼む」
親父は二人の事を見て
「一人前ですね、あいよ、ちょっとまってくだせーませ」
と言う、どうやら酒を飲むのは管亥だけだと思ったらしい。
「一人前じゃないよ」
出木杉が口を挟む。
「二人前だよ、僕も飲むから」
「へえ、そうですか、わかりました」

そういうと親父は店の奥に行き、ずいぶん待たせたのち酒を持ってきた。
「どうぞごゆっくり」
「ありがとう」
二人は椀を酒で満たす、そして小さな声で
「天下に」
と、乾杯した。

二人は椀を口元まで持っていく。 そして飲まずに卓に置いた。
酒とは別の不思議な匂いがしたためだ。
出木杉は椀の酒に小指をちょんとつけて、口に入れた。 えぐ味が強い。
そんな出木杉の動作を見ながら管亥はちいさな声で言う。
「しびれ薬だな、これは」
「僕もあやしいとは思ったよ、でもよくわかったね」
「俺も元は賊だからな」
「ということは、靖進(管亥の字)も昔はこんなことしょっちゅうしてたの?」
「そんなことよりこの状況をどうするつもりなのか、聞きたいですな」


出木杉と管亥の卓。 それを中心にして、棒を持った男たちがぐるりと囲んでいたのである。
とはいえ、二人が囲まれたのに気がついていなかったわけではない。
囲まれるとわかってて、黙ってかこまれてあげたのである。

二人を囲んでいる男たち、その服装を見るにどうやら農民である、
立つ姿が隙だらけなので、訓練の受けた人間でないことはわかる。
よくよく見ると店の外にまで人が立っている。こちらは女が多い。

「ここの村人か・・・」
そういう管亥に対して、出木杉は
「四面楚歌ってこういうことなのかな」
と、すこしおどけたことを言う。
「まあ、そんなとこだろうな」
管亥がそう答えると。しばらく酒屋に静寂が訪れた。


しばらくのち、村人の一人が静寂を破る。
「か、か、金目の物を置いてどこかへ行っちまえ」
と、大声で言った、しかし・・・
「ち、ちがう、着ているもんも全部脱いで素っ裸でどこかへ行っちまえ」
ほかの奴が声をあげる。
「殺さないとだめだ、もし役人にこのことを話されたりしたら・・・」
「いいや殺すことはねえ、そしたらあいつらと同じになっちまう」
「じゃあどうしたらいいんだ」
「殺さずに牢にでも入れちまうか?」

村人たちは出木杉たちの処遇でもめている。
それを見た管亥は、彼等のあまりの手際の悪さにため息をつく。


白熱する議論、やがて老人が入ってきた。
「皆のもの、黙らんか!」
そういうと、出木杉らを囲んでいた人々は話すのをやめた。
574無名武将@お腹せっぷく:02/07/08 06:50
ジャイアン伍長 ◆JfNHCMgc さん、そのほかの皆さん、

いつも楽しく読ませてもらってます。

ただ、かくかは赤壁のときにはすでにこの世になかったのではと
記憶しておるのですが、その辺のとこはどーなってるんでしょうか。

記憶違いならすいません。これからも期待してます。

>>574
それについては、またいずれ・・・
>>564
第107回
 呉の主・孫権は、不機嫌の真っただ中にある。
 希有な存在感に溢れた父・孫堅と小覇王≠ニ称された兄・孫策の血を引く孫権だけに、当初から曹操に対する抗戦意欲は十分にあった。
 その意志を明確に示さなかったのは、家臣団の意見が降伏論に大きく傾く中で、内部分裂を恐れたため。
 だが、それも解決した。
 呉は「曹操との決戦」という方向でまとまり、合戦準備が着々と進められている。
 それでも孫権は今、不機嫌だった。

「魯粛、参上いたしました」
 孫権の私室にやってきたのは、抗戦派の急先鋒・魯粛。
 孫権は軽く肯くと、魯粛に席を勧めた。
「火急の御用件とお聞きしましたが、如何いたしました?」
「銅鑼軍について聞きたい」
「はぁ、銅鑼軍について…」
「あやつらは一体何者じゃ?」
「倭の国からやってきた使者と聞き及んでおりますが」
「さようなことを聞いているのではない」
 気が長い方ではない孫権だが、愚かな老人でしかなくなった晩年と比べれば、この頃は十分に分別がある青年だ。
 魯粛ではなく銅鑼軍にぶつける形で、苛立ちを発散させる。
「あの者ども、まったく理解できぬ。評議の場に現れ、笛らしきものを吹いた。すると降伏を主張しておった張昭が、あっさりと抗戦論に意趣代わりしおった……おかしいとは思わぬか?」
「はぁ……それはおっしゃる通りにて」
 そんな魯粛の様子を見て、孫権は内心でため息を吐いた。
 この男、行動力は非凡なものがあるが、どこか抜けている。
「思うに、あのドラえもんと申す者、倭の国の術師か法師ではござらぬでしょうか? 鍛えた神通力によって、他者を思いのままに動かすことができるのでは、と思案いたしますが」
「タヌキがか。そういう類は術師ではなく、妖怪か化け物というのだ。とにかく」
 孫権は魯粛の顔を見据えた。
「この東呉が曹操との開戦を決意するに当り、怪しげなタヌキによってその筋が決せられたとあっては、父上や兄上に面目が立たぬのだ」
「ああ、そのことをご懸念であられましたか」
 合点がいったように魯粛が手を叩いた。
「もっともなお考えと存じます。銅鑼軍とはまったく関係なしに、我らの意志が曹操との決戦へと至る。そのような形となればよろしいのでございますな」
「まあそういうことだ。何か良案はないか?」
 抜けているようで、意外なところで魯粛は気が利く。
「もちろんにございます。殿がもっとも信頼を置かれている将に相談されればよろしいのです」
「もっとも信頼を置く将………周瑜か」
「御意」
第108回
 曹操の南征が始まってからというもの、周瑜は都督として、翻陽湖で水軍の訓練に打ち込んでいた。
 曹操軍を迎え撃つ主力が水軍である以上、周瑜にとって最優先の仕事は水軍の戦闘力向上であり、結果、彼は一度も評議に出ていない。
 しかし、先主・孫策の義弟にして、孫策の覇業に大きな力となった周瑜の存在感は、呉陣内にあって圧倒的なものがある。
 周瑜来たる―
 その報に、紫桑の呉家臣団は色めきたった。
 特に張昭を中心とする降伏論主張者の鼻息は荒い。
「周瑜なら殿を説得できるはずじゃ」
 ドラえもんの道具によって、自分の意志とは無関係に孫権を焚き付けることとなってしまった張昭は、周瑜という新たな、そして強力な要素の登場に挽回を期した。
 周瑜が紫桑の自館に到着するや、間髪を置かずにこれを訪ねた張昭は、曹操に対する周瑜の考えを問うた。
 張昭の次は、程普や黄蓋ら武官が訪れ、同じく周瑜の存念を聞き出そうとした。
 さらに諸葛謹、呂範らの文官が、そして甘寧、呂蒙らの武官が現れた。
 その日の周瑜邸は、次から次へとやってくる呉の家臣たちで、ちょっとした賑わいとなった。
 だが、周瑜はそれぞれの主張に耳を傾けながらも、「殿の前にて事を決したく存ずる」と答えるばかりで、自分の考えを示そうとはしなかった。

 最後の来訪者は、夜にこっそりとやってきた。
「おう、来たか。待っておったぞ」
「降伏派の目が厳しく、かような時刻となってしまいました。御無礼のほど……」
「よい。承知しておる。では早速」
 周瑜の言葉に供手した魯粛は、振り返って声をかけた。
「お入りください」
「どーも、こんばんわ」
 最後の来訪者は、ドラえもん、のび太、スネ夫の三人だった。
第109回
「すでにお聞き及びのごとく、曹操の南侵にあたって、紫桑城内は和戦二策に評議が別れておりましたが…」
 魯粛が現状を改めて周瑜に説明した。
「こちらにおわす銅鑼軍の諸将の説得もあり、張昭殿も一度は曹操との決戦を決意されたのでございます。されど、また考えが変わったものか、再び降伏を殿に進言されるようになった。殿はそれで悩んでおられるのです」
 事実を微妙に置き換えて、魯粛。
 そのことを知っているのか知らないのか、周瑜は落ち着いた調子で答えた。
「曹操に勅命があるならば、その兵と戦うは叛賊のそしりを受けよう。さらにその勢い大とあれば、これと軽々しく敵対するは無謀以上の何物でもない。張昭殿の進言は的を得ておる」
「な、なんと!」
 予想外の反応に、魯粛は仰天した。
「都督は和議を主張されるか!」
「戦えば必ず敗れるとわかっている以上、降って無事を求めるは人情」
 微少する周瑜と気色ばむ魯粛。
 一方、ドラえもんたち三人は、一心不乱に美味な江東料理をかきこんでいる。
―おい、わしはおのれらに言い聞かせておるのだぞ!
 魯粛の方に顔を向けながら、周瑜は心の中でドラえもんたちに毒ついた。
 周瑜は元々、主戦派である。
 それなのに、自分の意志とまったく逆のことを述べているのは、銅鑼軍の反応を見るため。
 魯粛はそれに気付いていないようだが。
「この魚、前に食べたことあるよね」
「うん、でも味付けが全然違うよ」
「僕はこっちの方が好きだな」
「僕もそう思ったんだ」
 銅鑼軍の様子を横目で盗み見する周瑜。
 こちらを試しているのか、とも思ったが、ワイワイガヤガヤ魚を食べているその姿は、どうも「素」のものっぽい。
―あ、あのな………
 東呉切っての知恵者美周郎≠焉Aこの三人をどう扱えばいいのかまったくわからなかった。
第110回
 周瑜に代わり、魯粛が声を張り上げた。
「ドラえもん殿! 呑気に魚の味を語らっている時ではありませんぞ! なんとか言われよ!」
 魯粛に怒鳴られ、キョトンとした表情で顔を上げる銅鑼軍三将。
 口の周りについた米粒が、ある意味なんとも微笑ましい。
 怒鳴られた三人は、さすがにハシの動きを止め、お互い顔を見合わせた。
 やがて、ドラえもんが申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさい。お魚がおいしすぎて、話聞いてませんでした」

 周瑜が激昂しなかったのは、魯粛が代役を務めてくれたため。
 それから10分ほど、血管がはち切れんばかりの勢いで、魯粛は銅鑼軍の諸将に状況を説明≠オた。
 途中、再び魚にハシをつけようとしたのび太は、魯粛からしこたま怒鳴られた。
 ようやく話が飲み込めたのび太が、周瑜に質問した。
「周瑜さんは曹操と戦うことに反対なの?」
「さよう。勝敗は明らかにて」
 さあ、ようやく本格的な言葉による切り合いが始まるか。
 周瑜は心の中で身構えた。
「えー?魯粛さんは、周瑜さんはきっと曹操軍と戦うつもりのはずって言ってたよ」
「魯粛殿がどのようにお考えかは知らぬが、わしの存念は決まっておる」
 もう少しまともな問答はできんのか! と心の中で罵りつつ、周瑜はあくまでも見かけ上は冷静に答える。
「孫権軍が曹操軍を撃退してくれないと、僕たち困るんだ」
「貴殿が困ろうがなんだろうが、呉には呉の立場というものがござる」
 本当にこれが噂に聞く銅鑼軍か?
 周瑜は呆れた。
 これではただの子供ではないか。いや、実際に子供なのだが。
「ドラえも〜ん、何とかしてよぅ」
「もぉ、しょうがないなあ……」
パパパパッパパー!
「Yロウ!」

【解説・Yロウ】
見かけはY型のロウソク。これを渡して頼みごとをすれば、相手は絶対にその頼みごとを断れない。
第111回
 翌日、呉家臣団が見守る中、周瑜は孫権に謁見した。
「漢賊に降るなどもってのほか!」
「これに打撃を与えるは、天下広しといえども三代呉王をおいてほかになし!」
「曹操が率いる北軍は水戦を知らず!」
「荊州の水軍は曹操に心服しておらず!」
「まさに曹操を虜にする好機!」
「願わくはそれがしに精鋭3万を授けられんことを!」
 頼みとする周瑜の主戦論に、孫権はようやく己のプライドを満足させた。
「まず曹操の首を刎ねる前に、逡巡した我が過ちを断つ!」
 孫権は剣を抜き放ち、目の前のテーブルを一閃両断した。

 謁見を終えた周瑜は、張昭ら降伏派の文官に取り囲まれた。
「さては銅鑼軍にたぶらかされたか!」
 弾劾する張昭ら。
 それに対して周瑜は、「知らぬ」「記憶にござらぬ」「秘書がやったこと」など、約1800年後の某国の政治家のようなセリフを連発し、張昭らを煙に巻いた。
 これもYロウの効果のひとつだ。

 元々主戦論を抱いていた周瑜にとって、この結果は別に不満とするものではなかった。
 ただし、結果的に銅鑼軍の思う通りになったこと、しかも怪しげな道具によって自分自身が踊らされたこと、その二点は周瑜の記憶の中にしっかり刻み込まれた。
―銅鑼軍………恐るべし!
 魯粛を味方に取り込んで、一兵も帯びずに呉へ乗り込み、和平の面々を翻弄し、さらにはこの周瑜をも巧みに動かした。
―いずれ我が軍の禍いとなろうな
 銅鑼軍は劉備軍の一翼として戦ってきた部隊だ。
 劉備のため、今後も呉を丸め込もうとするに違いない。
―除くにしかず
 周瑜は決意を固めた。
581連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/09 14:00
とはいえ董卓を始末することは並大抵のことではない。
普通に斬りかかってかてるものかどうか…まして貂蝉は女である。
ジャイアンにやらせようとも考えたがいかんせん、ジャイアンは殺気が多すぎる。
近づいた所で気づかれてしまうだろう。やはりここは自分でいくしかない。
そこで貂蝉はふと閃いた。董卓は右肘をついて寝ている。何かあったら左手で対処するだろう。そしたらその分遅れが出るわけで、その遅れこそが貂蝉の勝機なわけである。
そういうわけで貂蝉は持っていた琵琶を董卓の顔面に投げつけた。
「!」
飛んでくる琵琶で一瞬視界が閉ざされるが何てことはない。董卓は鼻クソを飛ばすがの如く、琵琶を左手で弾いた。
バシッ!
琵琶の軌道がそれ、視界が明ける。
が、董卓の目に飛びこんできたのは懐剣を握りしめた貂蝉だった。
「お命頂戴!」
憤怒の顔で貂蝉は飛びかかった。
「くッ!」
苦し紛れに董卓は右ストレートを放ったが、体勢が悪かったためか貂蝉の剣が一瞬早かった。
貂蝉の手に固いとも柔らかいともいえない妙な感触が伝わる。貂蝉の剣は董卓の左目に突き刺さっていた。
「こおんの、女狐があぁぁ――!」
左目を刺された董卓が力任せに貂蝉のわき腹を殴る。
子供の頭ほどある董卓の左拳が貂蝉のボディを正確にえぐる。
「かッ…かはッ…」
激痛に悶える貂蝉。思わず全身の力が抜け、剣を放してしまった。
董卓は自分の目に刺さっている剣を右手で握り、目玉ごと引抜いた。痛みを一瞬感じたがそれはもうどうでもいいことだった。
勢いよく剣を振ると刺さっていた目玉が床に転げ落ちる。
さすがにどこかの武将のように食べるようなまねはしないらしい。
「くたばれ、クソガキが!!」
董卓は貂蝉から奪った剣で貂蝉の腹を突き刺した。
「ああう…」
貂蝉は積み木が崩れるように床に崩れ落ちた。
582無名武将@お腹せっぷく:02/07/09 14:56
暇そうだね。
よくこんなつまらないものを提供し続けてるね。
>>582
少なくともジャイアン伍長殿とスネなんたら殿の作品は面白いぞ。
のび犬とかいうヤシの作品は超最悪。文章からしてこいつリア厨?と思ったほどだよ。
他のは・・・あたりハズレが激しいって感じかな。
584無名武将@お腹せっぷく:02/07/09 17:46
>>583
のび犬のはお前には分からないかもしれないがおもしろいと思うぞ。
>>582-584

まあまあ、マターリしましょう。
586連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/09 21:19
>582
暇だよ。別に道楽でやってるからいいのよ。
>>586
連ドラさん相手にすることありませんよ。
感想はサポートBBSに、という原則すら読まない手合いは無視に限ります。
588連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/09 21:27
>587
スマソ 漏れが浅はかでした
589無名武将@お腹せっぷく:02/07/09 22:27
>>587
スレに何書こうが自由だろ( ´,_ゝ`)プッ
590あひゃひゃ:02/07/09 22:47
ドラえもんはウンコふいた手で、ドラ焼きを貪り食っていた。
そこにのび太がしずしずと廊下を歩いて、その様子を見た。
「ウンコとドラ焼きのどちらがおいしいんだろう。ママ答えて。」

そんだけ
591しずか連環 ◆lysLIIeg :02/07/09 23:59
久方ぶりです、一話だけですが・…
のびすぎ・二十八
出木杉は日に日に快方に向っていた。
血色もよくなり、呼吸も生き生きとしてきてもう大丈夫だろうと思われた。
のび太の喜びはひとしおである。出木杉が完全に復帰するまで華佗邸で住まわせて
もらっているかたちだったが、いつものぐうたらな姿と全く違い進んで家事労働を始めたのだった。
掃除、洗濯、家畜の世話、薬草の採取、あんなにめんどくさがりの彼が庭の草むしりまでもした。
それくらい出木杉を治した華佗に対する尊敬の念が強いと言えよう。

諸葛瑾はある日、自宅に一度戻ると言い出した。
「どうせ近くにきたのですから、荊州行きにもうしばらく掛かると母への報告もかねて行って見ようとおもいます」
ただ、行くのは彼一人で亮と均の弟たちはここに残すと言う。
のび太は快く応諾した。
そして諸葛瑾は単福と華佗に弟達を頼むと馬車にのリ出発した。
彼は少々しょんぼりしていた。なぜなら惚れたあの佳人が華佗の親子以上に年の離れた妻だと聞いたからだ。
何と儚き初恋の香り、そして驚くべきは老人のたぐい稀なき精力か。

そんなある日、珍しくのび太と亮が二人して歩いていた。
のび太は頼まれて薬草を取りに行く途中、亮は同じ方向の道具店へ行こうとしていただけなのだが。
二人は黙ったまま並んで歩いていく。
「君の友達・…」亮が口を開いた。
「ん?」
「治って良かったな」
のび太は一瞬詰まった。あの毒舌家の亮からこんなねぎらいの言葉が出るとは思いもよらなかったからだ。
「うん、そっちこそここまでお世話してくれてありがとうね」
のび太の言葉には応えず亮はソッポを向いていた。
―なんだ結構いいやつだね
のび太はそう思った。
幾分か気がほぐれたのか、のび太は亮にあれこれ話し掛け始めた。
「君のお兄さん、いい人だよね」
だが亮はふんと笑うと。
「確かにそうだ、いい人だよ。けどそれだけさ、人の問題を見逃せないから全部引っかぶってしまって
いらぬ責任を負わせられるのさ、お人よしなんだよ」
「そんなやなこと言わなくたって…」
やはり亮は亮だ、生来のペシミスト、不平の権化だ。
いったいこいつは何でこんなにひねくれているのか。
592無名武将@お腹せっぷく:02/07/10 02:50
文才のかけらもねーな
>592
こいつ若しかして前スレとこのスレの前半を荒らしていたアフォじゃねえか?
やっと削除人に泣いて謝ってお許しを貰ったならまた規制喰らう前に
尻尾巻いてべそかいて逃げて糞して回線切って氏ね。
594無名武将@お腹せっぷく:02/07/10 17:10
>>593
別人ですがなにか?
被害妄想激しいですね。
事実を言ったら切れられるとはね。
>>594
>切れられるとはね。

ピンとこない尊敬語を使う貴方は、>>592で「文才のかけらもねーな」とのたまったヤシと同一人物れすか?
>>595
心情的にはお前の味方をしてやりたいところだが、
594は尊敬ではなく、「自分が」593に切れられたと
受動の意味で「られる」を使ってるんだと思われ。

まあ「切れられる」なんておかしな日本語使ってる時点で
594の文才も人を馬鹿に出来るような大層な代物とも思えんが。
そもそも「感想は本スレに書かない」というお約束も守れない奴だから仕方ないか(w

おっと失礼。
マターリいこうや。sage。
597無名武将@お腹せっぷく:02/07/10 21:36
>>596
お約束とは、ローカルルールに乗ってませんが?
>597
初心者ハケーン。
ついでの本スレに書く漏れモナー。
>>580
第112回
 調練を終え、その日の仕事から解放された出木杉は、彼にあてがわれた天幕をくぐった。
「お帰りなさいませ」
 従兵が恭しく頭を下げる。
「お食事はいかがいたしましょうか?」
「済ませてきた。今宵はもう休んでよいぞ」
「御意。御用の際は……」
「承知しておる」
「ははっ。それでは」
 退出していく従兵の背中を見送った出木杉は、たった今の自分の態度と口調を省みて、苦笑した。
 半年以上にわたって劉備の居城・新野に滞在していたが、その間に出木杉の口調が変わることはなかった。
 ドラえもんやのび太ら5人の仲間がいつもそばにいたし、なにより従兵が付くようなたいそうな身分でもなかったから。
 だが、曹操の「客人」となって一月近く。
 出木杉の態度と口調は、急速にいっぱしの武将と同じものに変わってきている。

 付添人≠フ曹仁とともに、水軍の調練に明け暮れる日々。
 「客人」のはずなのに、どう見ても曹操軍の武将と同じ扱いだ。
 だが、出木杉は自覚している。
 自分がそんな状況に何の不満も感じていないことを。
 いや、不満どころか、ある種の喜びと充実感を抱いていることを。
 その理由を考えることはなかった。既にわかっていることだから。
 だが、「不安」はあった。ふたつほど。
 ひとつは、郭嘉がドラえもん達をおとしめる陰謀を画策しているのでは、という不安。
 それを暴き出し、阻止することが、今の出木杉、そして郭嘉の天幕にいるしずかの最大の目的だ。
 そしてもうひとつの不安………疑似¢q軍武将という現状に満足している、いやそれどころか、やりがいを感じるようになっている自分。
 それについて、出木杉は意識的に考えないよう努めている。
 つまり、先延ばしだ。
第113回
 机の上に封書が置いてあった。
 斐妹―しずか―からの手紙。
 封は切られていない。
 ただし、裏面の右上にあるはずの極めて小さな点が、その封にはない。
 出木杉は封を切りながら、「またか」とため息をつく。
 これが曹操ではなく、郭嘉の意志によるものであることを出木杉は祈りたかった。
 郭嘉ならまだしも、曹操からも疑いの目で見られているかもしれない、という想像は、出木杉にとって愉快なものではなかった。
 手紙を取り出した出木杉は、それを灯かりに透かす。
 真ん中の行の下から三番目の文字。その文字には、極めて小さな穴が空いている。
 普通に見ただけなら墨に隠れてわからないが、灯かりに透かして慎重に目を凝らせば、何とか識別できる。
 間違いない、手紙はしずかの直筆だ。
 ただし、封書は誰かがしずかの字に似せて作り直したもの。
 つまりこの手紙は、既に誰かが目を通している。
 おそらく、あの従兵だろう。
 大した感慨もなく、出木杉はそう思う。

 文面は、恋焦がれる異性に宛てて綴った書。
 ラブレターだ。
 だいたい2、3日に1回の割合で、出木杉と斐妹―しずか―は恋文を交換している。
 郵便役となっているのは、出木杉の従兵。
 細作とわかってはいても、ほかに方法が思いつかなかった。
初心者?ローカルルールに乗ってないのは事実だろ。

sage進行でお願いする。このスレを快く思ってない連中もいるようだし。
第114回
 改めて、今日届いた手紙に目をやる。
 ただし、注視するのは手紙の内容ではなく、黒く塗りつぶされた文字の数。
 五回数え直した出木杉は、ホッとため息をついた。
 今日の訂正文字は四文字だ。

 しずかの文書は、いつも何文字かが墨で塗りつぶされている。
 傍目に見れば、学のない少女の書き損じに過ぎない。
 ただし、訂正文字が六つあった時、それはしずかが何らかの情報を得たことを意味する文書に変わる。
 訂正文字が三つの時は「緊急を要する情報を得た。すぐに動かなければ大変なことになる」という意味だ。
 しかし、仮に合図を受け取ったとして、それからどう動けば良いものか、出木杉はまだ考えていない。
 その時にならなければ、考えようがなかった。

 恋文で偽装した状況確認を行うようになって、二週間近くになる。
 これまでのところ、一度も六文字抜け、そして三文字抜けの手紙が届いたことはない。
 今日は四文字抜け……寝ても大丈夫だろう。
 昼間の激しい調練で、出木杉は疲れきっていた。
 出木杉が寝台に横になった時、パッ、パッと天幕を何かが叩く音がした。
 まばらだったその音は、すぐにとてつもないオーケストラへと変わった。
―明日の調練は中止かな。せっかく水軍の技量が向上してきたのに……
 降り始めた大雨からそんなことを連想し、まぶたを閉じる出木杉。
 自分が完全に曹操軍の武将≠ニなりつつあることを自覚しながら、出木杉は深い眠りに落ちていった。


 しずかが手紙を出した後に、緊急を要する情報をつかむ。
 そんな事態も当然ありうる。
 出木杉もしずかも、どうすればそのような状況に対処できるか、と考えた。
 しかし、結局良案が浮ぶこともないまま、その日はやってきた。


 出木杉がまどろみ始めていたその時刻、しずかは足をわななかせていた。
 呼吸を気取られぬよう、必死で口を押さえる。
 郭嘉の低い声と旧劉表軍武将・蔡瑁の太い声が、天幕内のシートを通して聞こえてくる。
「殺の手段は?」
「任せる。事故と見せかけることができれば最上だ」
「されど、このような手段、丞相は……」
「周瑜の手によるものと偽装せよ。卿の細作もそれくらいのことはできよう」
「実行日時は?」
「速やかに指令を出せ。いつ何時、ヤツらが何かしでかすかわからぬ。早ければ早いほど良い」
「御意。して軍師殿、事成功の暁には……」
「承知しておる。卿の地位はわしが保全しよう」
「できれば荀攸殿への圧力も。かの仁はそれがしら旧荊州軍武将を毛嫌いしております」
「荀攸はわしが押さえる。任せよ」
「御意。ドラえもん、のび太、スネ夫ですな。銅鑼軍三将の命、必ず絶ってごらんにいれまする」
「期待している」
第115回
 雨はいよいよ激しくなってきた。
 一人、自分の天幕へ戻る蔡瑁。
 10メートルほど離れたその後ろを、音もなく尾行しているのは、しずか。

 自分はこれからどうすべきなのだろう?
 出木杉に知らせることができればベストだが、そんな時間はなかった。
 蔡瑁が自分の天幕へ戻り、呉陣中にいる自分の細作へ命令を出してしまえば、もはや手のうちようはなくなる。
 この状況を打開できるのは、自分だけ。
 そう自分に言い聞かせたしずかは、歩調を速めて声をかけた。
「蔡瑁様」

 振り返った男、蔡瑁。
 旧劉表軍の中心人物にして、故・劉表の義理の兄。
 「誰か?」と尋ねる蔡瑁に、しずかは供手して告げた。
「郭嘉様の召し使いにございます。郭嘉様より言上があり、急ぎ参上いたしました」
「軍師殿から言上? 何とな?」
「重要な議を伝え忘れたため、蔡瑁様におかれましては、今一度天幕へおこし願いたいとのことにございます」
「やれやれ……かくも雨が激しくなっておるというのに、軍師殿も人使いが荒いものよ…」
 つい1月前までは、襄陽の最高実力者として並ぶ者のなかった蔡瑁だが、曹操陣中にあっては、気骨のある曹操軍武将から「裏切り者」呼ばわりされるなど、肩身の狭い思いをしている。
 ブツブツ言いながらも、蔡瑁は再び郭嘉の天幕へと歩き出す。
 その男が自分の前を通り過ぎた瞬間、しずかは懐剣をきらめかせた。

 郭嘉がなかなか寝付けなかったのは、激しい雨音のせいだけではない。
 頭が冴えまくっていた。
 考えていることは、対呉戦術。
 呉陣内にいる銅鑼軍諸将を始末すれば、もはや訳の分からぬ奇略に怯える必要はない。
 もちろん、周瑜率いる呉水軍は脅威だが、劉表軍から編入した新曹操水軍の技量も着々と上がっている。
 ただし、曹操軍武将の中で水上戦の経験がある者はいないから、やはり蔡瑁を陣頭に上げるしかない。
 保身のみを考えるいけ好かない男だが、まだまだ利用価値はある。
 いや、今の段階では、利用しなければこちらが困る。
 蔡瑁が首尾よく銅鑼軍を始末したのなら、さりげなく蔡瑁の立場を強くしてやる気持ちに嘘はなかった。
 少なくとも、この戦いが終わるまでは。
 周瑜水軍をすべて灰と化すまでは。
 それ以降?
 不用となった裏切り者に興味はない。
第116回
 誰かがそっと部屋に入ってきた。
「斐妹か?」
 素早い誰何に、呼ばれた相手はギクリとした様子で答えた。
「は、はい、さようにございます」
「如何した?」
「お水を取り替えに………」
「そうか」
 斐妹は、寝台の横のテーブルに置いてある飲み水の瓶を置き換えた。
―気の利く、優しき娘じゃ
 暗闇の中、かいがいしく自分の世話をする少女の影をチラリと見て、郭嘉は思った。
―この者が「しずか」であるわけがない
 郭嘉は心の中でそう断じた。

 斐妹と出木杉が文書のやりとりをしている、という話は、ほどなく郭嘉の耳に入っていた。
 銅鑼軍六将にあって唯一の女将、「しずか」。
 見目良き娘、との風評はあったが、曹操軍にあってそれを確認したものはいない。
 斐妹と出木杉の件を知った郭嘉は、自分が助け出した少女が実は「しずか」だったのではないか、という疑問を持った。
 斐妹を気に入っている郭嘉だけに、それは愉快な疑問ではなかったが、郭嘉は自分の感情よりも公務を優先する。
 細作を手配し、手紙の内容を逐一確認させた。自分も何度か現本を確認している。
 たわいのない恋文と思ったが、念のため、数回にわたって手紙の閲覧は実施させた。
 結果、恋文以上でも以下でもない、という結論に郭嘉は達していた。
―斐妹をわしの養女に迎えるか
 目を閉じて、郭嘉はそう思った。
―そして出木杉を婿として迎えても良い。やつもまた、一騎当千のつわもの。丞相の覇業、そして自分の夢を実現させる大きな力となろう……
 そう考えていたところで、郭嘉は誰かが自分の枕元に立っていることに気付いた。
 誰? もちろん斐妹に違いない。
 だが、いつもの斐妹とは明らかに違う雰囲気に、郭嘉は思わず目を見開いた。
第117回
「どうした、斐妹?」
 直立状態でこちらを見下ろしている斐妹に、郭嘉は横になったままで尋ねた。
 なぜだろう、妙に自分が緊張しているのがわかる。
 目の前に立っているのは、自分が助け出してやった斐妹だ。
 しかし―しかし、本当にこの娘は斐妹か?
 普通に考えればおかしな自問自答だが、郭嘉にはそれが変だとは思えなかった。
「なぜ銅鑼軍の将を殺そうとなさるのですか?」
 郭嘉の動揺など意に介さぬように、斐妹は口を開いた。
 抑揚のない、機械的な声色。
「蔡瑁との話を盗み聞きしおったか……国家の問題に口を出すでない。さっさと下がれ」
 郭嘉はわざと怒ったように言った。
 どうしようもない不安が胸を渦巻くがゆえの、郭嘉の態度。
 このまま斐妹が恐れ入って、謝罪の言葉とともに部屋から出ていってくれれば、どんなによいか。
 だが、既に郭嘉は確信している。
 斐妹はここを立ち去らないだろう。
 なぜなら斐妹は―。

「なぜ殺そうとなさるのですか?」
 斐妹は同じ口調で、同じ質問を繰り返した。
 郭嘉がそれに答えない限り、いつまでも同じ質問を続けることは明らかだった。
「以前、わしの夢を話したことがあったな、斐妹?」
 ため息をついた郭嘉は、横になったまま口を開いた。
「わしの夢は、それぞれの才を持った者が、それぞれの才を活かせる国を造りあげることじゃ」
 斐妹が軽く肯いたのが見えた。ただし、言葉は発しない。
「その夢を実現するにあたって、呉は何としても制圧せねばならぬ地域。だから我が軍は、ここに陣を構えておる」
 雨が激しく天幕を叩いている。
 しかし、郭嘉の寝室内は、恐ろしいほどに静かだった。
 郭嘉のかみしめるような言葉だけが、室内に広がっていく。
「だが、呉陣内には銅鑼軍がいる。やつらが何をしでかすかは、過去の例を見ても予測不可能だ。やつらの存在によって、呉制圧が失敗に終わる恐れも十分にある。よって、銅鑼軍を消す。それが理由だ」
 そう答えた瞬間、枕元に立っていた斐妹の気が変わるのを、郭嘉は感じた。
第118回
「失敗に終わる恐れも十分にある、ですって?」
 斐妹は激昂していた。
「そんな理由で……そんないい加減な理由で人を殺すのですか!」
 激怒する斐妹に、ある意味郭嘉は安堵した。
 斐妹の正体が何であろうと関係ない。
 こうして感情を爆発してくれるなら―無機質で機械のような斐妹でないのなら、そちらの方が遥かにマシだった。
「考えられるあらゆる事態に備え、あらゆる手を打つ。わしはこれまで、自分の夢を実現するために、一貫してそうしてきた」
 郭嘉は答えた。
「これからもそうする。だから、此度もそうする」
「話を聞いてください!」
 ほとんど泣きながら、斐妹は叫んだ。
「劉備将軍のケガが治れば……そうすればドラちゃんたちは日本に帰ります! 郭嘉様の邪魔はしません!」
―ドラちゃん、か
 郭嘉は苦笑した。
 郭嘉がもっとも忌み嫌っていた予想が、事実と判明した瞬間だった。

 しかし、郭嘉はそのことには触れなかった。
 もしも一生触れずに済むのであれば、ずっとそうしてもいい。
 まだ、しずかが「斐妹」であり続ける可能性は消えていないはずだ。
「出木杉もそのようなことを言っておった」
 郭嘉は別の角度からの説得に入った。
「だがな、かくも輝かしき戦歴を飾った将が、劉備が全快するやいなや、その戦歴を放棄して国へ帰る、だと? さようなこと信じろという方が無理だとは思わんか?」
「どうして無理なんですか! 私たちは、戦争がしたくてこの国に来たんじゃありません! 本当に……本当に劉備さんのケガが治ったら、日本に帰ります! 信じてください」
 斐妹は完全に頭に血が上っているようだった。
 「私たち」―自分で正体をばらしてしまっていることに、まったく気付いていない。
 郭嘉はなだめるように、辛抱強く斐妹に言い聞かせる。
「仮にそうであったとしよう。しかし、劉備のケガが治るのは、早くても2月後という報告が入っている」
 事実だった。
 劉備は襄陽脱出の折りに受けた矢傷が未だに癒えていない。
「早くて2カ月、だぞ。とっくに我が軍の出撃準備は終わり、戦闘も終わっておろう。勝つにせよ、負けるにせよ」
 ここで郭嘉は、言葉に力を込めた。
「そして、銅鑼軍の存在によって、我らが敗走することも考えられるのだ。そうなれば、我が軍の兵が、将が、そしてわしの夢が、あたら潰えることになる。誰であろうとも、そんなことはさせん」
 我ながら下手な説得だと思った。
 果して、こんな言葉で斐妹は納得してくれるのだろうか。
 しばらくの沈黙を経て、斐妹が口を開いた。
「どうしても………ドラちゃんたちを殺す、と?」
 斐妹の声は、再び無機質なものとなっていた。
 郭嘉は、雨の降りしきる音がさらに激しくなったような気がした。
第119回
 斐妹は腰をかがめ、郭嘉の顔に自分の顔を寄せ、もう一度尋ねた。
「ドラちゃんたちを殺す、と?」
 郭嘉は斐妹の顔を見た。
 美しい、しかし、表情のない斐妹の顔。
 自分が愛した、あの弾けるような笑顔は、二度と自分に向けられることはないのだろう。
 それは予想というより、確信だった。
 しかし、郭嘉は諦め切れなかった。
 まだ道はあるはずだ。何とかこの場を取り成すのだ。
 そうすれば、例え時間がかかったにしても、斐妹はきっとまた、自分の媒酌に付き合ってくれるはず。
 あの笑顔を見せてくれるはず。
「なあ、斐妹よ。聞いてく……」
 郭嘉の言葉は、途中で途切れた。
 彼の首に、冷たい何かが当てられている。
 懐剣だと気付くのに、若干時間がかかった。
 冷たいだけではない。ヌルリとした感触もある。
 血だ。
「斐妹……」
 ため息をついて、郭嘉は言った。
「その懐剣で………蔡瑁を亡き者としたか?」
 斐妹はその問いには答えなかった。
 それが答えだった。
「そして、今度はわしを亡き者とするか?」

 斐妹が懐剣を抜いたのは、おそらく無意識のものだったのだろう。
 郭嘉を殺す。自分が。
 郭嘉の言葉に初めてその可能性に気付いたのか、斐妹は動揺したように言った。
「約束してください。ドラちゃんたちは殺さないって。約束してくれれば……あっ!」
 斐妹の動揺を見逃す郭嘉ではなかった。
 素早く懐剣を払いのけると、そのまま斐妹に飛び掛かった。


 無我夢中で斐妹は―しずかは―抵抗した。

 郭嘉。
 大きな夢をしずかに聞かせてくれた男。
 その横顔を見て、まぶしい、と思った男。
 自分の仲間を殺そうとした男。
 そして、今自分に襲い掛かっている男。
 すべて同一人物。曹操軍筆頭軍師・郭嘉、字は奉孝。

 激しいもみ合いは、ほどなく終わった。
 赤黒いものが、床にじわーっと広がっていく。

 立ち上がったのは、しずか。
 右手に握られた懐剣は、郭嘉の血で鈍い光を放っている。


 斐妹≠ヘ、曹操軍陣営からその姿を消した。
第120回
 蔡瑁はまだしも、自身の片腕と見込んでいた郭嘉を殺された曹操の怒りは、尋常なものではなかった。
 徹底した下手人捜しが行われ、ほどなく郭嘉の召し使いが姿を消していることが明らかになった。
 もちろん、出木杉はその関与を疑われた。
 出木杉がその召し使いと恋文を交換していたことは、曹操の耳にも入っていた。
 しかし、ほどなく出木杉は放免となる。
 召し使いと交わされた数通の手紙には、二人が内通していることを示すものは一切なかった。
 アリバイもあった。
 郭嘉が殺されたのは、出木杉が昼間の調練に疲れてぐっすり眠っている間の出来事。
 出木杉の従兵も、出木杉は寝台で寝息を立てていた、と証言した。

 放免されたとはいえ、出木杉が受けたショックは大きかった。
 自分があんなことを言わなければ、しずかが人を殺すことなどなかったはず。
 しずかを殺人者としてしまったことに、出木杉は自責の念にかられていた。
 襄陽退却戦の折り、しずかが夏侯恩を殺したことを、出木杉は知らない。
 その後、わずかな金を得るために、もう1人の男を殺したことも。
 
 郭嘉は病死として扱われた。
 筆頭軍師が名もない女細作に殺されたとあっては、郭嘉の名誉に傷がつく。
 曹操はそう考えたらしかった。
 後に曹操は、荀ケに宛てた手紙の中で、郭嘉を失った悲哀を綴っている。

  奉孝こそがすなわち我を知るものなり
  天下にあい知るものは少なく、以ってこれを痛惜す
  如何にすべし
  如何にすべし

 その内容を伝え聞いた時、出木杉が抱いた心情は「嫉妬」だった。
 郭嘉はそれほどまでに曹操の信頼を得ていた。
 死んだ郭嘉を、出木杉は「羨ましい」と思った。
>>574
こういう次第でした
チャンチャン(w
610無名武将@お腹せっぷく:02/07/10 22:49
>>610
何勝手に殺してるの?
出木杉風情を、郭嘉がうらやむはずはねーだろ。
文才無いやつが先人侮辱するのいい加減やめろ。
文才無い云々はどうでもいいが、先人侮辱反対には同意。
>>610
ネタ?
先人侮辱に関しては…このスレのみならずゲーム及び演義を含む小説も
含まれるので何ともいえんが。
まぁ、一種のネタスレとして十分成り立つスレなので寛大な心で勘弁すべきかと。

このスレを楽しんでる人、お騒がせしました。マターリ流してください。
610、611もマターリ寛大な心で勘弁。
614君主・呂砲 ◆WFnCXgeU :02/07/10 23:21
>>610

( ´,_ゝ`)プッ
>610
おまえホント文才ないな!「出木杉風情を、郭嘉がうらやむはずはねーだろ。」だと?
どこにそんな描写があるんだよ、能無しが!
>>613
同意
>>610>>611
じゃなんでこのスレに来てんだ?
617無名武将@お腹せっぷく:02/07/10 23:51
必死さがにじみ出てるな。
ここの住人は惨めだな。
>>617
今度は文章に変な部分がなかったよ
良かったね
>>616
>>611に対してのレスとして変じゃないか?
>>618
煽るのはやめれ

てか皆さげろ。あげるから荒らされたりするんだろ。
620616:02/07/11 00:39
>>619
?
俺は>>613
>一種のネタスレとして十分成り立つスレなので寛大な心で勘弁すべきかと。
に同意し、その上で>>611に対して
>なんでこのスレに来てんだ?
とレスしたんだが・・・
621自治マニア ◆srGaGbT2 :02/07/11 11:36
論争はここまで。以後、悪意を感じる遠慮なき批判は無視して可。
622連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/11 14:35
「ち 貂蝉――――!!!」
ジャイアンが悲痛な声をあげた。
自分の数メートル先には貂蝉が血を流して倒れている。
計画を念入りに練った貂蝉のこと、きっと自分が死なない方法を考えていたものばかりと思っていた。
しかし、相手は董卓。腐っても董卓。暴虐の限りを尽くした董卓。一筋縄ではいかなかった。
貂蝉がジャイアンを連れてきたのは、理由がある。例え自分が殺したところで女がやったというだけで誰も信じてはくれないだろう。
だから、ジャイアンを連れてきた。ジャイアン(呂布)が董卓を殺したと言う事実を残せばよいのだ。
自分の手で董卓を殺せばそれでよし、また討ち損じても猛将呂布がいるのだから彼が討つ。
どう転んでも結果は同じになるはずだった。
…そう、自分が死ぬことを除いてしまえば…。
ジャイアンは無意識の内に剣を抜き放ち、董卓の方へ走っていった。
「このよくも貂蝉を――――!!!」
怒りの声に混じり、声が少し震えた。この世界にきて初めて自分に心を開いてくれた人を…たった数日だけど心休まる日が送ることができた人…。
そして自分が初めて愛した人を…。
許せなかった。そんな大事な人を手にかけた事が…ただ董卓が許せなかった。
「小僧!貴様もかあ―――!!」
座臥(ベット)に腰掛け、左手で目を覆い隠した董卓が吼えた。
「うおおおおーーー!」
ジャイアンは力に任せ董卓の右袈裟に斬りかかった。
「うおッ!?」
とっさに董卓は左腕でガードする。
ボドッ
女の胴ほどある腕が床に転げ落ちる。
斬られた個所から血が勢いよく吹き出る。
ジャイアンは一撃目で仕留められない事がわかると右側に体を沈め、董卓のみぞおちを狙い突きを繰り出す。
「くたばれ―――董卓―――――!!!!」
「このビチグソがあぁああぁ―――!!」
董卓は貂蝉から奪った懐剣で横薙ぎに斬ろうとした。
が、一瞬董卓の視界からジャイアンの姿が消えた。
「な…」
それ以上は声にならなかった。
ジャイアンは董卓のみぞおちに剣を突き立てると力任せに董卓ごと座臥に突き刺した。
剣で体を固定され、董卓はもがいた。もはや剣の柄の部分しか出ていない。
その無防備な董卓にジャイアンは馬乗りになった。
魔王と呼ばれ畏れうやまれた董卓もこのときばかりは恐怖の色を隠しきれなかった。
623連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/11 14:36
――ほんの数分後。ジャイアンは体中返り血を浴びて真っ赤になっていた。
肩で息をし、自分に言い聞かせるようになにやらブツブツ言っていた。
足元にはもはや原型を留めてない、それがついさっきまで人間だったものとは思えない―――董卓が横たわっていた。
これほどの惨事があったとは思えないほどの静寂が辺りを支配していた。
「…け…し…さま…」
消え入るような声がジャイアンの耳に届いた。
「貂蝉!?貂蝉かッ!?」
ジャイアンは急いで貂蝉の元に駆けより、そっと抱き起こした。
「よかった…たけしさま…ご無事で…」
貂蝉は蚊の鳴くような声でジャイアンに話かけた。
「ばッバカッ!しゃ 喋るんじゃねえ!」
ジャイアンは貂蝉を気遣い声をかけた。
ジャイアンは貂蝉と仲良くなったため、本名を教えていたのだ。しかし周りにばれるとマズイので本名で呼ぶのは2人きりの時だけにしていた。
そんなジャイアンの不器用な気遣いにも貂蝉は力なく首を横に振った。
「たけしさま…貂蝉は…あまり…長くないようで…ございます…」
あきらめるような貂蝉の告白にジャイアンはショックをうけた。
涙を流しながらジャイアンは少しでも希望をもてるようにいった。
「なに言ってんだよ!前にもはなしたろ?ドラえもんだよ!ドラえもん!あいつならきっとお医者さん鞄でなおしてくれるよ!」
「いいえ…たけしさま…自分の体のことは…自分が一番…わかります…かはッ!」
一気に長く喋ったのか貂蝉の口から血が噴き出た。
「貂蝉、貂蝉貂蝉―――!」
ただジャイアンはおろおろするばかり。そんなジャイアンを貂蝉は諭した。
「いいですか…たけしさま…天下人である呂布奉先…いや剛田たけしは…このようなことで動揺しては…なりません…最後まで…あきらめては…いけません…」
「わかった!わかったから!もう喋るな!」
ジャイアンの顔は涙と鼻水にまみれ、かなりだらしない顔になっていた。
「たけしさま…そんな顔をしてはなりません…わたくし…たけしさまの笑顔が…見とうございます…」
貂蝉は腕を伸ばし、着物の袖でジャイアンの顔を拭った。ジャイアンはその手をしっかりと握った。
「あ…ああ…すまないな…」
ジャイアンは右手で顔をゴシゴシこすると泣き出したい気持ちを抑え貂蝉のほうを見やった。
貂蝉の顔はとても幸せそうな顔をしていた。
しかし、彼女が動くことはもう無かった。
「貂蝉?どうしたんだよ?なんで目開けてくんないんだよ?貂蝉?一緒に天下獲るんだろ?未来に行くんだろ?貂蝉?」
ジャイアンは貂蝉の体を揺さぶるが彼女は力なく揺れるだけ。
「〜〜〜〜貂蝉――――――――――――――――!!!!!」
悲しい叫び声が深夜の都に響いた。
624連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/11 14:37
ジャイアンは貂蝉を手近な布で包み辺りを見回した。
ここもそろそろ危ない。早いところ退散しなければ…。
かといってこのまま貂蝉を置いていくわけにはいかない。
キョロキョロ見回すジャイアンの目に一本の剣が目に止まった。
董卓を暗殺する際に貂蝉が用いた剣である。
これは貂蝉の形見にしよう。そうジャイアンは思い肌身離さず持つことにした。

なんとか他人にみつかることなく赤兎馬の厩舎の前まできた。
深夜なので誰もいない。赤兎を連れ出すなら今の内。

「赤兎…大変かもしんないが頼むぞ…」
ジャイアンは赤兎の顔をはたくと赤兎は
『まかせろ!旦那!』
みたいな感じで軽くいなないた。
「ではいくぞ!」

呂布 董卓を暗殺し、流浪の身となる。次の朝、都が大騒ぎになったのはいうまでもない。
この後漢末期の太師暗殺するという騒動を起こした人物は。
歴史には名も残さないような少女 貂蝉16歳
1800年後から来た未来人 剛田たけし このとき19歳
彼の末路は…
625無名武将@お腹せっぷく:02/07/11 21:07
>>621
お前に指示されるいわれは無いな。
自治はあってなきものよ。
>>610-625
は全て連ドラの自作自演と言う罠w
627連ドラ ◆Am7DdtsA :02/07/12 22:14
>>622>>624までは自作自演だよ 藁
誰かに煽られる前に。

連ドラさん、それは自作自演とは言いませんぞ(w
629無名武将@お腹せっぷく:02/07/14 05:44
age
630無名武将@お腹せっぷく:02/07/15 16:08
age
631無名武将@お腹せっぷく:02/07/15 21:26
age
sage
「着ているもの以外をすべて置いて、この村から出てゆけ」
老人はそう言った。 どうやらこの村の長のようだ。

「なんで?」
と出木杉は聞く。
「金がいるのじゃ」
「なんでって、聞いているんだけど・・・」
「知らんほうがよいことが世の中にはたくさんある、これはその一つじゃ」


そんなやりとりの中、管亥は席を立った、
囲んでいた男らが座るように言ってきたが睨んで黙らせると、店の奥へ行き今度はまっとうな酒を持ってきた。
店のカウンターのようなところに腰をかけながら 老人と出木杉のやりとりを肴にし。酒を飲む。


出木杉はなにもいわずただ。老人が話してくれるのを待っている。

やがて老人が根気負けをした。
「知ってもいいが、口外せぬと約束せねば・・・」
約束する、と出木杉は言った。



老人は出木杉に説明を始めた。

この村に、1年ほど前から賊が来るようになった。
その賊はこう言った。
”俺たちがお前等をほかの賊から守ってやる、そのかわり毎月金と食い物をよこせ” と。
”もし断ったり、役人に報告したり、毎月の金や食い物をよこさなかったらお前等は皆殺しにされる”とも。
もちろんこの脅迫を拒否できるわけが無い、この村はそれを泣く泣くうけいれた。

数ヵ月後、村の蓄えがなくなった。
足りない食料や金を補うべく村の若い娘などを替わりに差し出したりして、しのいでいた。

辛い生活が続く中、ひとりの村の男が賊にやめろと懇願しにいった。
そしてその男は、今も村の広場に吊られている。
そして”もしもこんなバカなことをまたいいに来たら、そいつだけじゃなくその隣の家の奴も殺す”という言葉を体に刻まれていた。
それを見たわしらは逆らう気をなくした。

話し終わった後、老人はため息をついた。
「さあ、わかったなら金を置いていけ、命はいらん」
「いやです」
物分りの悪い・・・そうつぶやきながら老人は、管亥のほうを向く。
「そこの男・・・酒を飲んでるあんたじゃ」
管亥は酒の入ったひしゃくから口を離す、そしてその中でゆらめく酒を眺めながら答えた。
「・・・なんだ」
「金を置いていけ、それ以上は望まん」

「ふむ・・・出木杉は・・・・」
管亥は首を傾け、こきり、と鳴らす。
「・・・出木杉は何と言った?」
「この少年のことか、 少年は金は出さんといった」
「じゃあ・・・出さん」
「何をいっておる、若造の言うことなどどうでもいいんじゃ、はよう金を置いて・・・」
「やかましい!」
老人そして周りを囲む村人らは全員体をビクッと揺らした。

「俺は出木杉の生き様を見届ける、もしも俺がこいつの生き様に口を挟んだら、その時点でそれは出木杉の生き様ではない」
ひしゃくの酒を飲み管亥は続ける。
「出木杉に聞け、それ以上もそれ以下もない」
それを聞く村人に声は無い。 静寂を破る老人の声。それはまた出木杉に向けられる。
「金を出せ」
「・・・・・・・」
「この村のことを聞いていただろう? 金を出すんだ」
「ことわる」
「・・・・・やむおえんな」

老人は周りのみんなに目配せをする、 囲んでいた村人がじりじりと管亥に、そして出木杉に近づいていく。
やがて二人の喉元に、何本もの木を削っただけの槍、そして切れ味の悪そうな剣を突きつける。
「さあ、金を置いていけ! 死にたくなければな!」
出木杉は目をかっと開いた、
「ことわる! 賊にやる金なんて僕はもってはいない!」
その言葉を聞いた村人の一人が叫ぶように言う。
「・・・このガキ! ぶっ殺してやる!!」

喉元の武器が二人をつらぬくと思われたそのとき、
「待つのじゃ!」
という声が皆を止めた、またもや老人である。
「賊に渡す金は無いといまいうたな」
「言ったよ」
出木杉はうなずきながら、そしてややぶっきらぼうに言う。
「確かに、この金は賊に渡す。 しかしこれは我々が生きるためのものだ、仕方の無いことだと思わんか」
「・・・・・・・・」
「我々が生きるためなのだ、金がいるのだ」
老人が悲壮な声をあげる。

しばらくの沈黙の後、出木杉は皆に聞こえるように大声で、そして凛とした声で言った。
「賊に渡す金は無い! あなた方にも渡す金は無い!」
その声を聞き、ため息をつくと老人は、 村人に”殺せ”という合図を送る、
先ほどの合図は威嚇、しかし今度は本気で殺すための合図である。
殺気の満ちたこの状況で、出木杉はただ一言、先ほどの言葉の続きを述べた。

「なぜなら、あなた方が賊だから」

「・・・!!」 
村人は、武器にこめた力を抜いた。 ざわざわとした言葉があたりを駆け巡る。
あたりを見回した老人は出木杉に、大声で問う。
「我々が賊じゃと! なにをいうか!!」
「こんな武器を僕らに突きつけといて、何をいっているのか・・・・」
「それは・・・やつらに渡す金のため、しかたなくやっているのじゃ」
「しかたなく、ねえ」
「そうしなければ我々は死んでしまうんじゃ」
「同じだよ、同じ」
「何がじゃ、いうてみよ!」

「それはここを襲う賊もそうなんじゃないの そうしなければ死んでしまう、っていうのは。
 生きるために仕方なく、聞こえはいいけどやっていることは賊と一緒だよ」



出木杉の発言後、武器が地面に落ちる音が店に響いた。
636無名武将@お腹せっぷく:02/07/16 22:40
age
漢はだまってsage保全!
638sage:02/07/18 09:14
保全マリオ
639しずか連環 ◆lysLIIeg :02/07/19 00:46
のびすぎ・二十九
「で、なんで荊州いこうとおもってたの?」
のび太は気を取り直して質問を変えた。
「前兄に聞いただろう?司馬徽先生に教えを請うためさ」
「司馬徽ってだれ?」
諸葛亮は忌々しそうに溜息をつくと。
「あのお方は水鏡とも呼ばれている、人物を澄み透った水面に映したように見通す眼力を持っていると
言われているほど人物鑑定に優れているんだ。水鏡先生は弟子の教育をなさっていてその門下も
先生の教えで一角の人物になれるという」
へえ、といまいちよく解らないながらのび太はうなずく。
「そっちこそ何で荊州に行こうとしてたんだよ」
今度は亮が質問してきた。
「だからさ、出木杉がいってたんで、僕は何故だか知らないんだよ」
「ふん、そういやあの出木杉というのはどんな人なんだ?」

顔よし、頭よし、性格よくてスポーツ万能。
のび太は出木杉の美点を思いつくまま列挙した、と言うより美点しか浮かばないのだが
それが少しだけのび太の自尊心をうずかせるが、根があっけらかんとしたのび太は左程気には
していないようだった。
しかし亮には大いに競争心をくすぐられるらしい、単福のたまに見せる才覚にも反応するぐらいだから
この少年は余程自意識が強いのだろう。
亮は早速出木杉を「好敵手」と認識したようである。
「じゃあ、彼も司馬徽先生に教えを請うつもりでいたんだろうか・…」
と一人言めいた口調でいった。
「けどさ、そんなに勉強してどうするつもりなの、テストがあるわけでもなし」
のび太の頓珍漢な質問は無視して。
「これからの時代は荒れていきこそすれ、安泰になる事は無いだろう。何らかの実力、武か智、
これがなきゃあ到底わたっていけるもんじゃない。それにまして乱世ともなれば、覇を唱えんとするもの
は才人を誰もが欲しがるだろう、いまこそ世に名を知らしめる好機さ」
いつもの冷笑的な顔つきと違い亮は目を爛々と輝かせ、白皙の顔を上気させ鼻息荒く語っていた。
のび太とそう歳の変わらないこの少年の中に、功名心が溢れ返らんばかりに燃え滾っている。
こんな熱気ある亮を見るのは初めてだ、とのび太は思った。
640しずか連環 ◆lysLIIeg :02/07/19 00:48
のびすぎ・三十
亮いわく、今のこの中原で一番覇者たり得んとするのは曹孟徳、即ち曹操であると。
「曹操!?」
のび太は声をあげた。のび太の漫画による偏ったそしてあやふやな知識のなかでは曹操とは、
三国志一の極悪人、冷酷非道の奸賊だった。対する劉備が正義の味方、そんなある意味ステロタイプな
三国志観しか持ち合わせていなかったので意外としか思えなかった。
しかし興奮した亮にはのび太の驚きも感知せず。
「たしかに曹操はまだ一介の豪者に過ぎないだろうけど、反董での采配は総大将の袁紹でさえも
色あせる程だったよ。それに連合軍が内部分裂でごたごたしている中、ただ一軍率いるのみで董卓を
追撃していった所なんかも、無謀を越えたものがあるように思うんだ」
なんとも熱烈な賛辞である。
彼に言わせれば一大派閥を擁する袁紹、袁術は単なるボンボン。江東の虎孫堅は田舎の荒くれ。
劉備に至ってはやさぐれた雇われ武将で、その他大勢は一緒くたにどうでもいいという。
ここまで来ると信者の域である。
子供は一度は何かに猛烈に打ち込むと言うが、そんな若さの成せるわざか。
「だから、ぼくは曹操の片腕となって覇を唱え、この中原の鹿を追うんだ」
そんな亮の言葉は、確かにこましゃくれてはいるが、子供のそれだとも言えよう。

「しかしすごいね、虎牢関ってとこの戦いのそんなくわしいことまで何で知ってるの」
分かれ道で、のび太は亮の熱情に気圧されながらも、じつはよくわかっていないようでそんな質問をした。
「簡単だよ、そこにいたからさ」
そう云って、亮は別れた。
子供の利点か、彼は連合軍陣中をちょこちょこ動き回っては断片的ながら情報を集め、危険区域
すれすれに数々の合戦を眺めていたのだった。
―そういえば・…
亮はある奇妙な光景を思い出した、董卓の遷都のとき、彼はあるものをみたのだ。
―敷布のような四角いもののうえに、人みたいなのが乗ってたような・…
それがのび太たちの乗っていたタイムマシンであろうとは、その時亮には知る由も無い。
sage保全
怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅
怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅怒羅ぁぁ━━━━━!!!
sage 保全
643無名武将@お腹せっぷく:02/07/21 21:57
age
荒れてるねこのスレ。職人さんの三国志面白いけど。
sage保全
645しずか連環 ◆lysLIIeg :02/07/23 00:25
のびすぎ・三十一
買い物が一段落して、のび太は生活用品やら薬草やらが詰まった荷物を抱えてヒイコラ帰ってきた。
均と水を汲んでいた華佗の奥さんが出迎えた。
奥さん(斉という)に水を薦められ、飲むと生き返った気分になった。
「ごめんなさいね、こんな大変なことお願いしちゃって。私は女だし、主人もあのとおりの歳ですから」
「いいんです、僕すんごいお世話になったから、こんなのへいちゃらです」
と言いつつものび太の足は筋肉痛でがくがくしていた。
家の中から陽気な笑い声が聞こえる、華佗と単福が酒盛りをしているのだ。
二人は何が無くても酒ばかり飲んでいた、飲んでる途中で患者を診ることすらしばしばであった。
一日に酒壺数個を飲み干してしまうと言うのに、単福は全く顔色を変えず、華佗も老人だというのに陽気には
なるがつぶれたりはしない。全くのび太たちは呆れるほかは無い。
―ほんとは力のある単福さんにもやってもらいたいんだけど・…あの人は恩人だから
それにまさか小さな均にさせる訳にもいかず、こうなると何もせずぷらぷらしている亮が恨めしくなってくる。
結局は自分がやる羽目になるのだが、不思議といつものような不平不満がのび太の口からは出てこなかった。

「出木杉」
「やあ、買い物いってきたのかい?」
のび太が声をかけると、横になっていた出木杉は上体を起した。
大分やつれてはいるが、通常の会話をするに支障がない状態にまでになっていた。
彼が目覚めて後、のび太は今までのいきさつを話した。
単福が賊を退治した事、諸葛瑾兄弟と出会った事、華佗に怪我を治してもらった事。
出木杉はすぐに単福は徐庶の仮名であることに気付いた、だが、徐庶がある犯罪に関わる事情のため
名を変えている事を知っていたので何も言わなかった。諸葛兄弟についても彼らが歴史の表舞台に立つ
のはもっと後の事であるため、また何も言う事は無かった。
ただ、華佗についてだけは「あなたが噂に聞く名医の華佗先生ですか」というに留めた。

「いやーつかれた、あんな重いい荷物とは思わなかったよ」
「頑張ってるね、僕も元気になれば手伝えるんだけど・…」
「何言ってんの、出木杉の治療代としてやってるんだから出木杉が回復したら終わりだよ。それにそんな
ことを考えないで元気になるよう休まなきゃ」
とのび太は胸を張っていった。
成長したな、と出木杉は思う。あれからのび太は目に見えて逞しくなっていた。弱音を吐いてばかりで
べそをかいていたあの時とは殆ど違う。出木杉を助けるためにここまで頑張ったことに出木杉は心底
感謝したかった。
そうして二人はしばらく談笑した。
646しずか連環 ◆lysLIIeg :02/07/23 00:28
のびすぎ・三十二
均が外へ駆け出していった、亮が帰ってきたという。
のび太は、掃除があるので出木杉のもとを離れた。
すると均一人がはいってきた、亮ではなかったのか妙な表情をしている。
「なんか、おっかないおじちゃん達がきた」
と言った直後、外から。
「お頼み申す!お頼み申す!」
と鼓膜が破れんばかりの大音声が響き渡った。
斉が慌てて出て行く、のび太もその後についていった。

それを見たときのび太はアッと声を上げずにはいられなかった。
そこには三人の男がいた、一人を両側の二人が抱え込むようにして立っている。
三人とも筋骨隆々とした威風堂々たる大丈夫であった、が驚いたのはその為では無かった。
右側にはぎょろりとした目玉に顔中刺のような髭がびっしりと生えた男。
左側には赤ら顔に切れ長の目、そして胸の辺りまで伸びた髭を持つ男。
―関羽と張飛だ!
見間違う筈はない、漫画で読んで網膜に焼きついた特徴を兼ね備えたものが目の前にいるのだ。
と言う事は中央で青い顔をしている少し耳の大きい男は劉備その人であろう。
劉備玄徳、関羽雲長、張飛翼徳。
彼らの義侠と大儀、そしてその雄姿にのび太は憧れ、この時代へ来る発端となった。
のび太は感激で震えが来た、だが。

彼らの様子は尋常ではなかった。先ず劉備が傍目にも具合が悪そうで今にも其の場に崩れ落ちそうだった。
それを支える両者も切羽詰った表情をしている。
「こちらに医者の華佗老師がおられると聞いたが」
関羽がただならぬ調子の声で言う。
「はい、そうでございますが」
「ではお頼み申す、わが大哥がこのとおり病にかかっておられる故、診て頂きたい。御免」
と言ってのしのしと中に入ろうとする。斉は慌てて。
「申し訳ございません、唯今主人は立てこんでおりまして・…」
確かにほろ酔い気分になっている状態で応対すれば、気の立っている彼らに機嫌を悪くさせる事にもなりかねない。
「何ぃ!こっちは火急の用件なんだぞ!!ふざけた事抜かしてねえで出しやがれ!」
張飛が大口から唾を飛ばしながら獣のような声で怒鳴りつける、その声はのび太一同震え上がらせるに十分だった。

「止めぬか翼徳」
関羽が張飛を抑える、しかし彼自身も眼光鋭く斉を睨みつけると。
「無理はお察し申せども、此方とてそう悠長な事を言ってはおれぬのです。何卒先生をお願いいたす」
言葉は丁重だが、最早一刻も猶予ならぬという気概がひしひしと込められていて、斉はたじたじとなった。
のび太もさっきまでの感動は引っ込んで、彼らの剣幕の凄さにちびりそうになっていた。
均も怯えてのび太の後ろに隠れて様子を窺っている。
「何とか言えッてんだよ!」
斉が黙っているのに痺れを切らして張飛がまた吠える。
そうしてその場の緊張が頂点に達したとき。
「ぐえーっふ、何じゃ騒がしい。家がみしみし音立てとるぞ」
げっぷの音と共に当の華佗が単福をつれて現れた。
翌日、出木杉と管亥、そして数人の村人は、賊の住むねぐらへ向かうべく歩いている。
村人は全部で十名、みんなそれぞれ車を引いており、その車には酒の入ったかめが乗せられていた。
十の車に十のかめ。 そして出木杉と管亥は徒歩であった。

賊の住処と村の間には広大な森があり、それをつなぐ一本の小道(と、言っても幅10メートルはあるのだが)があり、彼等はそこを進んでいるのだ。

数時間歩く、村人に出木杉は聞いた。
「目的地へはあとどのくらいですか?」
「へぇ、あとしばらく行けばやつらの見張り小屋があります、そこからまたちょっといったところです」 
それを聞き、出木杉は自分のあごをさすりながらいう。
「見張り小屋へはもうすぐか・・・じゃあ、そろそろいいかな」
そういうと、出木杉は村人の一人が押す車の車輪をおもいきり蹴りつけた、
がつっという音がした。車輪はへこみ、かろうじて動くことができるような物体になる。
「あ、なにするんですか!」
「まぁまぁ、心配しないでいいから、予定どおりだよ」
「動きませんぜ、こりゃあ」
「そこの見張り小屋まででいいから、運んで欲しいんだ」
「はぁ・・・わかりました」

壊れた車輪のせいで進むペースは落ちている、 
時間をかけ、やがて見張り小屋のそばまでたどり着いた。見張り小屋というよりも検問のような雰囲気である。
「なんじゃお前等は?」
いかにもあたまの悪そうな男が小屋から出てくる。 村人、そして出木杉、管亥をいぶかしげに見た。
「えー、話せば長くなりますが、私、出木杉とこちらの管亥をあなたがたの仲間に入れて欲しいと思いここまで来ました」
「はぁー仲間かい、そいつはここの何儀の親分に会って話せばいい。 ところで・・・」
「なんです?」
「そこのかめに入っているのはなんだ?」
「ああ、これは酒です。 ここの頭領にわたす手土産です」
夏が近いせいか喉が乾いているのだろう、酒と聞き、ほかにも小屋の中からぞろぞろと賊の男どもが出てくる。

すると唐突に管亥がかめのなかの酒を飲みだした。
「こら、なにをしている!」
出木杉は烈火のごとく管亥を怒った。 それに対して管亥はいう。
「しかし・・・、このかめを運んでる車の車輪がもうダメになってる、これじゃ運ぶことは無理でしょうだから飲んで・・・」
「バカ! 自分でご進物を飲むやつがあるか! まったく・・・」
出木杉は照れ笑いしながら賊のほうを向き直る
「すいませんが、このかめをしばらく置かせてくれませんか、またあとで村人頼み、頭領へ持って行かせますので」
「むぅ、それはかまわんが・・・」
と、いいながらよだれをたらす賊の男ども。 心の底から飲みたいと思っているのだろう。

管亥が軽いノリで口を挟む
「いやぁ、どうせならここに置いたままにしましょうや」
「何を言うか、何(何儀)頭領に渡す大切な酒だぞ!」
「酒があったら飲んでしまう、それが男心でしょう、
 ここの一かめを彼らに渡してあげませんか」
「いいや、だめだ!」
「村人が行って戻ってくる間に、酒なんてきっとなくなってますよきっと」
「むぅ・・・」
「村人もこう、何度も往復させるのは大変でしょうしな」
「ふむ・・・おまえのいうことにも一理あるかも知れん」

そんなこんなで酒の入ったかめを一つ見張り小屋に渡し、出木杉一行は賊の頭領、何儀に会うべくさらに歩むのであった。
649無名武将@お腹せっぷく:02/07/23 04:44
                      
650無名武将@お腹せっぷく:02/07/24 02:05
呉蘭を御覧
651無名武将@お腹せっぷく:02/07/24 02:09
杜預ってどーよ
hosyu
容量からいってそろそろ次スレを立てた方が宜しいかと。
>>608
第121回
 ジャイアンは左手に槍、右手に握り飯を握って、街道を東へ進んでいる。
 握り飯は曹操軍の雑兵から奪い取ったもの。
 長板橋の戦い以降、ジャイアンは大部隊の曹操軍を見つけたら隠れ、少数の部隊を見つけたら食料目当てに襲う、ということを繰り返している。
 握り飯を食べ終わったジャイアンは、汚れた手を甲冑で拭く。
 そして無意識に、すっかり伸びた自分の髪の毛を結んでいる紐状のもの―的盧のたてがみ―に触れた。

 的盧を失ったことは、今でも心が痛む。
 劉備から授かってわずか1日の短い付き合いだったが、その間、ジャイアンと的盧は間違いなく相棒≠セった。
 のび太たちが曲がりなりにも曹操軍の追撃から逃れることができたのも、そしてその後ジャイアンが敵中を突破できたのも、すべては的盧の俊足のおかげだった。
 「乗り手に災いをもたらす凶相の馬」
 そう評されたこともある白い駿馬は、そんな風評を嘲笑うかのように戦場を駆け、傷つき、ジャイアンの懐剣によってその生涯を終えた。

 どれだけ悔やんでも、今の状況を改善する力にはならない。
 それに、後悔することは性に合わない。
 だが、的盧のことは一生忘れない。
 彼の髪の毛を結ぶ白いたてがみは、そんな自分への誓いだ。
 的盧は凶馬ではなかった。素晴らしい軍馬≠セった。
―いつか劉備将軍に伝えよう
 ジャイアンはそう思っている。
第122回
 ジャイアンが目指す地は紫桑。
 ここには、呉の大都督・周瑜を総大将とする大船団が舳先を並べている。
 もっとも周瑜に用があるわけではない。
 この地には、のび太、スネ夫、そしてドラえもんがいる(食料を奪った曹操軍の将校から聞き出した)。
 早いうちに連中と合流しよう。
 とりあえず、自身の命の心配をするような状況ではないものの、今後自分がどのような行動を取るべきなのか、まったくわからない。
 とはいえ、曹操軍大部隊を見かけては隠れ、さらには馬のない徒歩行とあって、その移動速度は遅い。
―早くしないと、赤壁の戦いが始まっちまうかも
 出木杉の巧みな話術で心踊らせた世紀の戦いは、目前に迫っている。
 なんとしてもこの目で見てみたい。
 いや、参加したい。
―そして、俺が曹操を倒すんだ
 ジャイアンが出木杉から聞いた「三国志」の話は、赤壁の戦いまで。
 さらに付け加えると、曹操がその戦いに生き延びたことをジャイアンは知らない。

 蹄の音を耳にし、隠れる場所を探しかけ、やめた。
 音から察するに、馬は1頭だけ。
 付き従う歩兵の数もたかがしれているようだ。
 ならば、明日以降の食料を提供してもらうのみ。
 ただし、正面から現れたそのいでたちを見て、ジャイアンは若干の侮蔑の感情を込めて「野盗か」とつぶやいた。
 平服のまま、槍を携えている騎馬1人と徒歩1人。
 明らかに曹操軍の者ではない。
 一方、ジャイアンの姿を認めた野盗は、ドスの効いた声を投げかけてきた。
「劉備軍の落ち武者か?」
 甲冑姿のジャイアンを見て、そう判断したようだ。
 まあ当らずといえども遠からず。
 質問には答えず、ジャイアンは不遜な笑みを野盗に向けた。
「俺に何か用か?」
 ジャイアンの態度が気に障ったようだが、それでも野盗は手順を遵守した。
「なかなか良さそうな甲冑だ。置いていけ。そうすれば命は取らん」
「この甲冑が欲しいのか?」
「そうだ」
「やってやらないこともない」
「なかなか聞き分けがいい」
「おまえの馬と交換でな」
「前言撤回」
「そう簡単に撤回するなよ」
「フン?」
「1対2で戦ってやるから」
「このやろ……」
 野盗は槍を振り上げて、馬の脇腹を蹴った。
 子分と2人がかりでかかってこない辺りは、それなりに腕に自信、心にプライドがあるということだろう。
 もちろん、見境がつかないだけ、という見方もできるのだが。
第123回
 野盗の突き出した槍を顔色も変えずにかわす。
 馬上でつんのめった野盗の脇腹に、槍の把を横殴りに叩き込む。
 それで終わり。
 野盗とその子分は、主従の関係よろしく同時に悲鳴を上げた。
 野盗は馬から転がり落ち、そして子分は逃げていく、という違いはあったが。
 ジャイアンは、興奮して後ろ足で立ち上がっている馬の手綱を握り、なだめた。
「どうどうどぅ………いい子だ、落ち着きな」
 ジャイアンに鼻面をなでられた鹿毛の馬は、すぐにおとなしくなる。
 ジャイアンの馬の扱いも、相当手慣れたものとなってきた。
 野盗は地面に横たわったまま、苦痛のうめき声を上げている。
「意外といい馬だ。的盧と比べたらかわいそうだが」
 ジャイアンが野盗に言葉を投げかける。
「こいつの名は?」
「………馬に名を付ける趣味はない」
「無粋なヤツだな」
 苦し気に答える野盗に、ジャイアンは鼻を鳴らした。
「よし、俺が名を付けてやる。おまえの名は………『シンガー』にしよう」
「しんがあ?……なんだそりゃ?」
「歌手という意味だ」
「カシュ?」
「とにかくこの馬はもらっていくぞ。ついでに食料も」
「ひでえ……やむなく野盗となり、あまつさえ子分にまで逃げられた男から食い物まで奪うのか」
「俺のモノは俺のモノ。おまえのモノは俺のモノ」
「ホントひでえ」
「命はとらん。それだけでも儲けものだと思え」
 そう言って「シンガー」にまたがるジャイアン。
 なかなか頑丈そうな馬だ。
 これならそう簡単に潰れることもあるまい。
「ちょっと待て!」
 ようやく立ち上がった野盗は、立ち去ろうとするジャイアンを呼び止めた。
「名前だけでも教えろ!」
「聞いてどうする?」
「いつか殺す」
 自分より10歳以上年上であろう男のセリフに、ジャイアンは苦笑し、答えた。
「銅鑼軍が将・ジャイアン」
 その瞬間、フラフラしながらも何とか立っていた野盗は、すぐに両手を地面についた。
「げぇっ、貴方様があのジャイアン様!」
「なんだ、俺のこと知ってるのか?」
「それはもう……新野での奮戦、こたびの戦さでの敵中突破……その武名はわしのようなチンピラの間でも轟いてございます!」
「へえ」
 もともと自己顕示欲は旺盛なだけに、そう言われて悪い気分はしない。
 だから、野盗が「自分を子分にしてくれ」と言ってきた時も、簡単にそれに応じた。
「おまえの名は?」
「へい、王典と申します!」
「赤壁がどこか知っているか?」
「へい、知っております」
「俺は今、赤壁に向かっているところだ。案内しろ」
「へい!」
 鹿毛の馬「シンガー」にまたがったジャイアンと小走りにそれを追う王典の2人は、一路赤壁へと向かう。