ジョニ子と愉快な仲間達の華麗ないちにち 6.1日目
1 :
スポーツ好きさん :
2010/09/28(火) 05:00:33 ID:qUpWg01X フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 6日目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1283869822/l50 「……この名作のどこにご不満があるのかしら?」
ふてくされるジョニ子の前で、編集者が頭を抱えている。
「SFとか壮大でいいんですけど、実在しないキャラとか出てきて、ちっともジョニーさんの
自伝じゃないじゃないですか。もっとこう、日々の暮らしについて読者は知りたいのではないかと」
「言えない事だらけよ。うふふふふ」
「そこをうまくボカして書いてください」
「む〜り〜♪仮名にしてくてくれって頼み込んできたのが一人、いや数十人いるけどねw」
ジョニ子はPCと編集者を放り出して旅に出た。
2 :
スポーツ好きさん :2010/09/28(火) 05:02:38 ID:qUpWg01X
3 :
スポーツ好きさん :2010/09/28(火) 05:04:48 ID:qUpWg01X
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・スケーターたちへの尊敬の念を持って書きましょう。
・書き込む前にリロードして新しいレスがないか確認しましょう。話に矛盾が出てしまいます。
・話に矛盾が出来ないよう、書き込む方は少なくとも5レスは遡って読みましょう。
・気に入らない話の流れを批判するよりも、より面白くする流れを考えましょう。
・特定選手の過剰なage/sage、他選手による持ち上げは自重しましょう。
このスレの主役はあなたのお気に入りスケーターだけではなく、
誰もが彼(女)が一番好きとは限らないことに気がつきましょう。
・妄想カプネタ、ハゲネタ、性別人種差別、宗教系等、世界で「タブー」とされているネタ、は自重してください。
・一人で連続投稿や長文はなるべく控えること。 どうしてもという時はこちらの舞台裏スレ
(
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1278563228/l50 )を有効に使ってください。
・1スレ(500KB)で完結を目指して書いていきましょう。
・本スレが目指すのは大団円です。
・何か意見等ある時は、舞台裏スレを有効活用してください。勿論、ROM専さんの御意見御感想も大歓迎です!
まとめwiki(
http://www23.atwiki.jp/figureskaters/ )
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4 :
スポーツ好きさん :2010/09/28(火) 05:08:29 ID:qUpWg01X
大好きなレディガガにもらったビーフジャーキードレスを噛みしめながら、 ジョニ子はピンヒールで街を練り歩く。とりあえず目指すのは……
5 :
スポーツ好きさん :2010/09/28(火) 07:43:57 ID:mJgPFq/K
エージェントであるタラの事務所だった。 しかし彼女は秘蔵っ子のアボットとレイチェルに逃げられ (レイチェルママに皮肉まで言われ)ぐったりしていてそれどころではなかった。
6 :
スポーツ好きさん :2010/09/28(火) 19:20:49 ID:UhOzEERP
レイチェル・フラットがやって来た。 「ま、気にしないで。それよりコロラドポテトのケーキ作ってきたの。 一緒に食べましょ♪ …あら?変ね。タッパーが空っぽだわ」 「アンタが来る途中に全部食べちゃったんじゃないの?」とジョニ子。 「そんな、ちょっとつまみ食いはしたけど…。これは孔明のわn(ry」
7 :
スポーツ好きさん :2010/09/29(水) 00:13:02 ID:KoWsjJgn
「孔明には困ったものよね。アタシもTwitterで罠を」 「それはエヴァンの専売特許よ、ジョニー」 「ああらごめんなさい。つか、ママに謝っておいてね」 「了解。うちのママも娘の私を大切に思うあまり、スケート始めたての子供時代に リンクの近くに引っ越しちゃうような人で・・・つい熱くなっちゃったのかも」 タラに花束を与え、素敵なグリーンのドレスとタキシード姿で粋なツーショットを撮影。 憂さ晴らしにはオシャレと花束だ。 「さーて、次はどこ行こうかしら」
8 :
スポーツ好きさん :2010/09/29(水) 00:54:31 ID:V93oqqad
バーニーズNYへ。 リック・オーウェンズのブーツの前でトランペットの欲しい少年状態。 「いいわ〜。素敵だわ〜。……サイズは41なんだけど」 誰にともなく呟く。ちょっと不純なトランペット少年(26)。
9 :
スポーツ好きさん :2010/09/29(水) 07:57:34 ID:VVAeb/Vl
ちょいと
>>8 ったら!アタシは二度目の25歳であって、26歳ではなくってよ!
と細かいところにツッコむジョニ子。
「んなこたどうでもいいから練習しろっ!」パトリック・チャン登場。 ジョニ子を抱えて練習リンクへ、氷の上に放り投げる。 「いった〜い。もぉ、どーでもよくないわよー。 あら、パトリックじゃない。どうしたの、ブライアン・ジュベールは?」 「(ピキッ)……何かご不満でも?」
「まあそんなイライラしないで、芸術の秋を満喫しないかい?」
経営者がやってきて、自作の絵を見せてくれた。
レ「なんというか、勢いがあっていい絵ですね」
ジョ「アタシも少々デザイン画を描くのよ(眼球とか)。これは方向性が違うけど、でも元気が伝わってくるわ」
P「芸術は心を和ませたり盛り上げたりするよ。最高!」
大絶賛である。
ttp://a.yfrog.com/img22/9461/ewiy.jpg
ジョ「そっか〜もう秋なのねぇ…芸術の秋…読書の秋…」 経「行楽の秋」 P「スポーツの秋」 レ「…食欲の秋、ってわざとでしょ。わざと私に言わせたでしょ。誘導尋問でしょ」 ジョ「もう、考え過ぎよレイチェル」 経「健康的でいいじゃないか」 そういうと経営者はひょひょいとレイチェルをリフトして滑り出す。 ジョ「わ〜いいな〜。素敵…」 ちらっとPちゃんを見る。 P「……さて、クワドの練習しないと」
ふとリンクの壁を見ると一部岩盤が剥き出しになっており、そこにアボットがしがみついていた。 「ユカから逃げ出す練習でもしてるの?」 「違うよー!ロッククライミングを楽しんでいるのさ」 「どう見ても楽しんでいるように見えないんだけど」 「僕の眉毛が八の字だからかい?とんだ誤解だな」 とりあえず、ジョニ子は自慢のピンヒールの靴底がセクシーレッドである事を自慢したくて、 アボットの前でキュートなヒップを強調しつつ、片足上げポーズをとってみた。 毒気に当てられたアボットがリンクに落ちた。 経営者+レイチェルが悲鳴をあげつつそれをキャッチ。 謎のトリプルリフトが完成してしまった。
トリプルリフトなう(´・ω・`)
「呟いてないで早く降りて!」 怪我からやっと復帰した経営者に、また負担をかけるわけにはいかない、と レイチェルは渾身の力でアボットを振り払う。 「「ふぎゃっ!!」」 アボットの着地点はもちろんジョニ子の背中である。
紫の衣装を着たメリルが通りすがりそっと呟いた。 「ジョニー・・・ものの哀れ・・・・」 「メリル、それはジョニーをただ哀れんでいるだけで使い方間違っているよ」 教えてあげる優しいPチャン。
アボットにぶつかられた反動で、ジョニ子はリンクの壁をぶち破って路上に飛び出してしまった。 そこにバスが! うまい事ボンネットに座り込む形で着地したジョニ子に、運転手は当惑顔。 「あなた……何者ですか?」 「ええと、ファッション関係の仕事をしている、Vanyaという者よ。よろしくね」 ジョニ子は、飛行機で隣の席の乗客に対してやらかす「別人になりすましごっこ」を咄嗟に披露した。 「(演技の勉強だからいいのよ)ところでこのバスどこに行くのかしら」
『つぎは〜さいたまスーパーアリーナ〜 さいたまスーパーアリーナ〜終点でーす』
「あら、日本に着いちゃったわ!」 数週間前、Fukuiでアイスショーをやったわね… あの時は暑すぎるぐらいだったのに今はなんか涼しい…というより寒いわ!! ジョニ子はどこからかソチジャージを取り出し、身にまとった。
同時刻、リッポンも母を伴い日本に到着していた。 「うわっ!なんか今、背中がぞわっとした」 「まあ、風邪かしら」 「いや、そういうのとは違う。何かに巻き込まれそうな悪寒だ。早く宿へ急ごう」
「ついうっかりついてきてしまったわ・・・」 ジョニ子の後ろで頭を抱えるメリル。Pちゃん。アボット。レイチェル。経営者。 そしてジョニ子の前でへたりこむのはリッポン。 「ほら見ろ言わんこっちゃない!」 「ほら見ろってどこを見るのよアダム?あらこちら御母様?どーもー。いつも息子さんをお世話してます」 リッポンの母はひきつり笑いを浮かべながら、ジョニ子の優美な握手に応えた。 「せっかくさいたまアリーナに来たんだし、ジョン・レノンミュージアムに行こうか」 フォローに入る経営者の隣で、メリルがそっと呟く。 「・・・9/30に閉館したばかりよ・・・ああ、残念」
リッポンは巻き毛を指に絡ませながらうつむく。 「ジョニ子さんが嫌だってわけじゃなくて、奇想天外な事に巻き込まれそうになるのが怖い」 「大丈夫、なんとかなるさ」 同じ北米チームとして来日しているバトルが、もぐもぐとお菓子を食べながら励ます。 その後ろで力強くうなずいてみせるファヌフ&ロシェット。心強い仲間だ。
ふとそこに佐藤有香が通りかかる。解説の仕事で来日していたのだ。 「あらジェレミー^^JOには参戦しないはずだけどどうしてここに?^^」 「え、えと、応援に来たのさ!」 「30分限定質問なんでも答えちゃいます大会、って何?^^」 「あー、それは、あの・・・えへへ」 「いい機会だからさいたまアリーナで練習よ^^」 耳を掴んでひきずられていくアボットの背中に、なぜかその場にいた一同、敬礼していた。 「無茶しやがって・・・」
「ま、それはそれとして、アダム男子一位おめでとう。頑張ったわね可愛い坊や♪」 と、ジョニ子はリッポンの巻き毛をくるくるする。 「はしょりすぎです!…でも、まあ、ありがとうございます」 先輩に褒められやっぱりちょっと嬉しいリッポン。 Pチャン「でも、クワドは入れなかったんだな〜。時代はクワドだよ。 クワドをただ語るだけの時代は終わった。あんなエキサイティングなジャンプはないね」 リッポン「(ピキッ)…そうだねぇ、そういえば僕らの友達にクワドの得意な奴がいたね。 確かカナダ人だ。や〜パトリック今シーズンはカナダチャンプ厳しいかもなぁ〜」 Pチャン「(ピキキッ)…ふ、ふふ、アダムは面白いなぁ、ははははははは」 リッポン「いやぁ、パトリックほどじゃないよ、あははははははは」
「まったくもう二人ともかりかりしないで」 「はい、これあげるから。おいしかったから持って帰ってきちゃった。」 ファヌフとロシェットがPちゃんとリッポンにハッピーターンを差し出す。 その横でバトルはにこにこしながらこれまたキスクラから持ってきたバナナをもぐもぐと食べていた。
「リッポンとチャンが怖いです〜」 プルの背後に隠れようとするミハル。彼を振り返りつつ、これまたバナナを食べながらプルは笑う。 「ハハハハ。ロシアじゃこんなもんじゃすまないよw」 何か嫌な事を思い出したのかブリザードが……バナナで釘が(ry
一方その頃。ライサチェクは家族にメールを打っていた。 「スケートを引退したら、建築の勉強をしようと思う。日本建築も学んでみたい。 バナナで釘を打ったり、なぜか薔薇を砕いたり、独特な工法があるらしいんだ」
「アタシもおやつ食べたいー!」 プルたちに駆け寄るジョニ子。しかしブリザードで凍った床ですべって転んでしまった。 「目元に痣ができちゃったわ。そうだ!これを生かしてパンダメイクをしてみるのも小粋ね」 小粋というかちょっと怖い。
「さすがにそのメイクはちょっと・・・」ジョニ子を止めようと駆けよるPチャン。 しかし、Pチャンもブリザードにつまづき派手にスライディングを披露。 バトル「大丈夫〜パトリック?君ってよくヘンなところでコケてるよね〜もぐもぐもぐ」
「ところでみんな、怪我で休んでいるミライのところにお見舞いに行かない?」 パンダメイクのまま、ジョニ子は提案する。 みな怪我の辛さは身にしみているアスリート。全員賛成となった。 「じゃ、バスの運転手さん、アメリカまで戻って〜」
「でもこのバスちょっと煤けててかわいそう。まず洗車しない?」 ジョアニーの提案に、ジョニ子は首を振る。 「いっそ色を塗り替えてしまいましょう。いいわよね?運転手さん」 「・・・はい(逆らったら面倒な事になりそう)」 全面ピンク色でドアには青い瞳の眼球マークがついた、 あ○のりバスもどきができあがってしまった。
ミハル「ピンク最高です!さすがいいセンスしてますね、ジョニーさん!」 Pチャン「・・・・まあ、ジョニーを運ばないですむだけいいか」 リッポン「あ、同感。今のジョニーはちょっと・・・(ムリ)」 Pチャン「『運ぶ』って動詞が妙にしっくりくるよな。ははは」 リッポン「ほんとだねぇ。あはは」 二人はすっかり仲直りした様子。しかしジョニ子が二人の耳を思いきりひっぱった。 ジョニ子「アンタ達っ、聞こえてるわよ!」 二人「イタタタタタすいませんすいません」 メリル「女の子にあんなこと言っちゃダメよねぇ・・・めっ」 経営者「そうだな。アダムとパトリックは、よーく反省しないと」 レイチェル「(女の子というよりマダムだけど・・・私も人のこと言えないから突っ込めないわ)」
高橋「わーっ!あいの○バスじゃんw 乗ってみたいな」 美姫「よし、みんなで乗ろうよ」 真央「私はやめておく……二十歳になって初めての大会でみんなの足引っ張っちゃったし、もっと練習しなきゃ」 しょげる真央の隣で、小塚の白い歯がキラリ☆ 小塚「優勝したんだから、いいんだって!……でも確かに僕らはバスに乗るより前にする事がある」 真央「なぁに?」 小塚「信太朗くんとそのご両親のところに、お祝い送らなきゃいけなくない?」 高橋・真央「そうだー!!!」 美姫「ママと赤ちゃんに負担がかかるから、残念だけど直接訪問はもうちょっと後ね」 4人はさっそく相談を開始。
メリルの「めっ」に、ついついPちゃん&リッポンの顔がフニャける。 「えへへ……おっと、こうしちゃいられない。アダムも乗るだろ?」 「ああ、こうなりゃ乗るさ。ママには先に飛行機で帰ってもらうよ」 別れのハグをしているリッポン親子の横で、バトルは埼玉銘菓十万石まんじゅうと五家宝を買っていた。 「この五家宝って美味しいけど奥歯につまるよね〜もぐもぐ。うまいうますぎる十万石まんじゅう」
高橋達は意気揚々とコクーン新都心へ。 高橋「ベビーギフトの店あるかなあ。雑貨とか」 美姫「ベビー服がいいよ。見に行かない?」 真央「レゴ!レゴあった!」 小塚「あーもう!意見がちっともまとまらないじゃないか」 そこにCOIゲストの本田が通りかかる。 本田「経験者から言わせてもらうと、現金か商品券が一番ありがたいんだよなー」 確かにその通り。4人のテンションが一気に下がる。
「ミハルはいい子ね〜。たっぷり可愛がってあげるわ八重歯ちゃん♪」とジョニ子。 「大丈夫かなぁ…ちょっと新鮮な組み合わせだけど」とアダム。 「まあ、ミハルもいい経験になるよ」と年下のくせに偉そうなPちゃん。そこへ… 「みんな〜待ってよ、僕も乗せてよ〜」 ジョニ子「あら、ジェレミー。ユカから逃げて来たの?」 アボット「ち、違うよ。ちゃんと許可はとったよ。僕だって帰って練習しないといけないし。ね、メリル」 メリル「でもね、ジェレミー。6時間近く呟き続けるのは、ちょっと怖いと思うの・・・」 アボット「大丈夫だよメリル。全然怖くないよ」 レイチェル「メリルが怖いって言ってるのよスカポンタン。もぐもぐもぐ」 バトル「ちょっとレイチェル!僕の十万石まんじゅう勝手に食べないでよね!もぐもぐもぐ」
「ほらもう2人とも喧嘩しないで。これは私がさっき買ってきたんだけど、お口に合うかしら」 サラ・マイアーがさいたま市名物彩果の宝石を差し出す。 天然果汁を生かしたゼリーはその名の通り、彩り豊かで美しい。 「グミみたいでおいしいね、もぐもぐ」 「おまんじゅう勝手に食べちゃってごめんなさいもぐもぐもぐ」 「いいんだよ、どんどんお食べ。もぐもぐもぐ」 ユリア・セベスチェンが差し出すのは川越名物いもせんべい。 「これ、ちょっと口の中の粘膜に刺さって痛いけどおいしいのよ。どうぞ」 もちろんいただく。光の速さで。 そんなお菓子大会を尻目に、荒川静香は一人優雅にガリガリくんを食していた。 「陰の埼玉銘菓といえばこれよ。製造販売元の赤城乳業本社・工場は本庄市にあるの。 ちなみに『ガツン、とみかん』もおすすめ」
その頃ジュベールは「第九」を口ずさみながら犬小屋作りにのめり込んでいた。 THE・日曜大工。しかしできたのはなぜか鳥小屋。
39 :
スポーツ好きさん :2010/10/07(木) 01:22:34 ID:JQ/ifC7H
ランビエールは鳥小屋を造っていた。 しかしできたのはドールハウス。シマウマの周囲を妖精たちがクルクルと回るというおまけつき。 「なんでこうなっちゃうのかなアハンアハン」
靴擦れを起こして困っているアボットに、Pチャンがバンドエイドを差し出す。 「ありがとう :)」 「怪我に備えて、持ち歩くようにしたんだ」 賢明な対策である。
バンドエイドを2枚もらったものの、1枚で事足りてしまったアボット。 残った1枚をPチャンのヘらず口に貼ってみる。
「(恩を仇でー…!!)」と憤慨するPちゃん。 しかしお口を閉じられているのでとても静か。 かわいそうに思ったリッポンが絆創膏を取ってあげる。思い切り。 Pちゃんは涙目になってうずくまり、その後もしばらく静かだった。
Pチャンの痛々しい唇に、ジョニ子が愛用のリップクリームを塗り塗り。
「さあ出発よ!」 動き出したピンクバスの中で、ジョニ子はさっそくマイクを握る。 バスガイドでもするのかと思いきや、おもむろにla vida loca を歌い出す。 喉も嗄れよとばかりに。
急いで飛び乗ったミハルは、手にしていた傘を折ってしまいションボリ・・・・
「次、僕!次、僕ね!」 バスの中ではジョニ子とプルでマイクの奪い合い。 「うへえ・・・やっぱり先にクワドで帰ればよかったかなー。なぁ、パトリック」とリッポン。 「俺、当分お前と口きかない」 とジョニ子に貰ったリップクリームを手にいじけるPチャン。 「何だよ。まだ、怒ってるのか?悪かったって。でも、そのおかげでジョニーの使いかけのリップ貰えたじゃん」 「変な言い方するなっ!!」 レイチェル「あの二人、仲いいわねーもぐもぐもぐ」 バトル「年が近いからかな。僕なんか安心したよもぐもぐもぐ。あ、レイチェルいもせんべいとって」 経営者「オマエラモナー」 ミハル「(バトルさん、かっこいいなぁ・・・)」
COIに出ていた関係で、サーシャ・川スミ・グレボアも乗車している。 グレボア「ジェフリー、私にもおやつ分けてくれない?」 バトル「いいとも!パッケージの鳥の絵がかわいいチョコをみんなに配るよ。幸運のクジ付きなんだってさ」 乗客一同ワクワクしてチョコボールの封を切る。が、なかなか当たりは出てこない。 ジョニ子「あら、サーシャのにはエンジェルの絵が書いてあるわ!当たりよ、きっと」 サーシャ「銀色のエンジェル?かわいい!幸先いいわね」 可憐な花のような笑顔がこぼれる。
「私は今、唐突に閃いたわ」と美姫。 「どうしたの美姫ちゃん」と小塚。 「名前入りのだるませんべいをプレゼントしたらどうかしら、もぐもぐもぐ」 「食べたらなくなっちゃうでしょ!てか、急に何食べてんだよ!」 「試食品の玉ねぎのお漬物よ〜。今、食べろと言われた気がするの。おいし〜ぱりぱりもぐもぐ」 「あ、美姫ちゃんずるーい。じゃあ、真央はミニ鯛焼き串〜♪ おいし〜もぐもぐ」 「じゃあ、俺はもんじゃ焼のもちトッピングでむしゃむしゃ。うん、美味い」 「って、大ちゃんどうやって食べてるのっ?!試食品の域でちゃってるよね?!」
銀のエンゼルを大切そうにしまうサーシャの後ろの席で、クリス・リードは姉のキャシーに問う。 「あれ、5つ集めないとご褒美もらえないんじゃなかったっけ?金のエンゼルじゃないと」 「知らなくていい事もあるのよ。黙っておきなさい」 そのまた後ろの席で、スミルノフはエンゼルの確認などせずバリバリと箱を開けてひっくり返し、一気食い。 すぐ物足りなそうな顔になっている彼に、川口は自分の分のチョコを分けてやった。 試食?に興じる他3人の日本勢の前で頭を抱える小塚。 その肩を優しく叩いて、同情の意を示すのは本田。 荒川は小塚の前にガリガリくん梨味を差し出す。 気苦労の多い後輩を、2人それぞれ気遣っているのだ。
バスの運転手氏が急に腹痛を訴えだした。 ジョニ子の歌のせいではない。急性盲腸炎である。即、近くの病院に入院する事に。 「じゃ、僕が運転するよ。みんな大船に乗ったつもりで寛いでて」 プルシェンコがハンドルを握る。進路は急に北へ。 「ちょ、ちょっと方向違うんじゃないの?」 たじろぐジョニ子にプルはウインク。 「寄り道させてよ。お見舞いに行くんだからおみやげ買っていきたいし」 悠子は心の中でそっと付け足す。 (どうせならあちこちウロウロした方がおもしろいから・・・でしょ?) なお、その頃日本勢(リード姉弟を除く)はさいたま新都心前の広場で、全員揃ってガリガリくんを食べていた。 「猛暑で品薄になったってのがわかるおいしさだよねー」 「いっそこれ信太朗くんに贈る?お腹壊しちゃうかな」 「だーかーらー、現金にしとけって。一番無駄がないんだから」
「ああああ、やっぱりこうなったあああ…素直に帰れば良かった…orz」 「落ち着いてアダム。ここまでは想定の範囲内じゃない」とレイチェル。 「ありがとうレイチェル。あ…えとさ、言うの遅くなっちゃったけど…髪、切ったんだね。凄く似合ってるよ」 「あら、ありがと」 「お前はこの状況下でよく口説けるなー」とPチャン。 「口説いてないよ。女の子に対する礼儀だろ」 「そうか、よかった。俺はお前がいつレイチェルに『僕のジュリエット』とかのたまうかと思ってひやひやしていた」 「だだだだだ誰がそんな恥ずかしい台詞を…!」 「言ってたじゃん(ニヤニヤ)。今シーズン中、いつかは言うだろうとは思ってたが余りの早さに軽くひいたわ〜」 「う、うるさいうるさいうるさい!!」 「そんな事よりパトリック。どうするの?ジョニーに付き合うの?」 「付き合う訳ないだろ。練習だってしたいし、今回は絶対どうあっても逃げる」 「抜け駆けはなしだからね、パトリック」 こそこそと画策する若手三人であった。
ちなみにレイチェルは口紅も真っ赤なものに変えてみたりしている。 18歳の少女なりに、大人っぽさを演出しているつもりだ。 別にそんな事しなくても貫禄はあるのだが、本人だけ気付いていない。 バスはなぜか青森は大間に停車。 「おいしいマグロのお寿司食べようよ」 プルシェンコ……あくまでもマイペース。
「さあ、おいしいお寿司も食べたし温泉も堪能した。じゃ、ロシア行こう」 プルシェンコののんきな発言に一同呆然。 「アメリカに行くんじゃないんですか!?」 「せっかくだから、ロシア名物のキャビアとマトリョーシカをお見舞いに買って行こうと思って」 ―――悪気ゼロである。もはや誰もプルシェンコに逆らえない。 ミーシンの元で熱心に練習に励むガチンスキーは、急にくしゃみを連続させた。 「なーんか嫌な感じがする。風邪ともまた違うような。虫の知らせというか」
そんな中、プル以外にもこの状況を楽しんでいる男がいた。 「メリル、楽しいね、楽しいね」とアボット。 「クスクス。そうね、ちょっと遠足みたい?」 「そういうだろうと思って『旅のしおり』を作ってみたんだよ。ほら」 「・・・・ジェレミー、いつの間に?」 アボットはいつになくのびのびしている。 一方ジョニ子はお土産のお寿司の折詰を見つめ、よからぬ事を思案する。 「マグロの赤身って・・・牛肉に似ているわよね・・・・」
『旅のしおり』の表紙にはまるっこいかわいいキャラクター?が描いてあり、 アボットの浮かれ具合がみなぎっている。 「旅の諸注意:ロストバゲージに注意!」 サラ・マイアーが急に車酔いを起こし、隣にいるグレボアに介抱される。 「窓を開けて外の空気を吸うをいいわ。ほら、素敵な風景も見える」 「まあほんと。ホタテの殻がたくさん積んであって貝塚みたい」 旅を楽しむ美女二人の声を聞き、ジョニ子は「マグロもいいけどホタテの殻も使えるかも」 などとよからぬ事を企み始めた。
ジョニ子がおかしな事をやらかす前に、バスは北海道へ。 「ガッカリだわ・・・アタシのセクシーな着こなしを皆に披露したかったのに」 文句を言いつつ、久々に乗馬を楽しんだりしている。 十数年ぶりとはいえさすがの手綱さばきに、一同拍手。
北海道は美味しいものがいっぱい。 よだれが止まらないレイチェルをリッポン、Pチャンがバスに引きずり込んで ピンクバスはひた走る。野を越え、山越え、海越えて・・・ メリル「ふふ。不思議なバスね。童話の世界みたい」 アボ「じゃあ、僕たち童話の中の登場人物だね、メリル」 P「童話ねぇ、『ハーメルンの笛吹き男』かな」 リッポン「僕たちはどこへ連れてかれるんだろう・・・」 レイ「怪談の要素もあるわね。『恐怖!一度乗ったら二度と降りられないゾンビバスの怪!』」 経「ホラーだったらジェレミーが主役だな。ゾンビバスの運転手役」 ジョニ「うわお。想像したらすっごいぴったり。ノーメイクでいけるわね」 アボ「ちょっと!みんなひどいよ!もっとメルヘンな想像してよ!」 アボットをいじって遊びつつ、ピンクバスはロシア国内を疾走していた。
「そろそろ市場も近いし、マトリョーシカとキャビアを買いましょう」 悠子の提案に運転手・プルは素直に従い、バスを停車させる。 Pチャン「できるだけ微妙な顔のマトリョーシカないかなあ」 経営者「ジャンプ中のジェレミーみたいな?」 アボット「ひどいよ!僕の顔の皮膚はベルベットのように柔らかい。それだけなのに」 レイチェル「女の子へのおみやげでホラーギャグ狙いは賛成できないわね」 バトル「ピロシキおいしいよ。甘いのはないのかなもぐもぐもぐ」 やりたい放題の一行の前に、見覚えのある少年が・・・ 練習終わりで帰宅中のガチンスキーが、泣き笑いのような複雑な表情で立ちつくしていた。
「やあ、アーチャ練習帰りかい」 「あら、アーチャ久しぶり。いい子にしてた?」 二大トラブルメーカーに笑顔で声をかけられ強ばった笑みをみせるガチ君。 「そうそう、フィンランディア杯、優勝おめでとう♪薔薇冠プレゼントするわね」 ジョニ子はにょきにょきと薔薇を生やすと手早く冠を作ってガチ君の頭にのせる。 「あ、ありがとうございます・・・」 リッポンがちょっと不機嫌になった。「僕にはくれなかったのに・・・」 Pチャンも不機嫌だった。「こいつもクワド決めたか・・・」 ミハルは別の事を考えていた。「やっぱりバトルさんはかっこいいなぁ・・・」
ファヌフやジョアニー、マイアー、グレボア、セベスチェンは真剣にマトリョーシカを選んでいる。 同じ女子として、ミライに最高の品をプレゼントしてあげたいらしい。 「アタシが持ってるのはこれよ」 ジョニ子が自慢の「自分にそっくりマトリョーシカ」を写メで披露すると、 気遣いのできる大人な5人は、「ジョニーだからこそ似合う個性的な逸品だわ」と誉め称えた。 ガチンスキーはそろそろと後じさりを開始。 しかしその後ろで、Pチャン&リッポンがブロック。 「君だけ逃げようったってそうはいかないよ」「逃げるなら僕らも手引きしてくれ」 川スミはニセモノキャビアを売りつけようとする怪しい業者を華麗に撥ね付け、 ミハル&レイチェルはバトルにピロシキを分けてもらいご機嫌。 「ほら、やっぱりロシアに寄ってよかったじゃないか」プルが一番ご機嫌。
お見舞いの品も買った事だし、そろそろLAを目指そう! ……という事になるはずが、バスはまたあらぬ方向へ。 「ジェーニャ、どこ行こうってーのよ?」 ジョニ子の問いにプルは「お見舞いにはお花も必要だろ?」とか言い出す。 「花なんてさっきの市場で買えばいいじゃん!」 Pチャンの嘆きに、プルは人差し指を立て、チッチッチ、と左右に振る。 「最高の花を用意してあげたいじゃないか。スケーター仲間で、しかも女の子なんだし」 クリス「つまり、その方がおもしろいから」 キャシー「もうちょっとウロウロするのね」 息のあった二人の呟きに、経営者は感嘆の溜息を漏らす。 「やっぱりペアっていいな……リフトした時、ちょっといい気分だったし」 隣でレイチェルが人知れず頬を染める。
バスの中ではガチンスキーがPチャン&リッポンにがっちりガードされていた。 「なんで僕まで……」 「君の先輩のせいなんだから当然だろ」とリッポン。 しかしシニアに上がったガチ君は少し強気だ。 「…そちらの先輩も問題ありだと思いますけど」 「アーチャの言うことも一理あるな。だが、俺の先輩ではない。アダム、責任とれ」 「あっさり裏切るなよ、パトリック!」 ジョニ子は女性陣の選んだマトリョーシカに不満顔。 「遊び心が足りないのよ。たとえばフリルとか」 女性陣は大人なのでジョニ子の演説をうんうんと聞いてあげる。 「みんなが理解してくれて嬉しいわ。そうだ!貴女達の衣装をデザインしてあげ…」 全員「それは遠慮するわ、ジョニー」 食い気味に断られた。
ジョニ子と付き合いの長いサーシャ・コーエンは含み笑いをしつつ、 ジョニ子の頭をヨシヨシと撫でてやる。さすが苦労人である。
バスに乗らなかったじゃぱんの皆さんは電車に乗って川越へ・・・ 真央「芋ようかんうま〜です〜」 高橋「いや、川越だったら芋せんべいがいちばんっしょ!」 美姫「それより駄菓子屋横丁といかないと!芋まんじゅうとかたいやきとか・・・・」 小塚「正しくは菓子屋横丁だけどね〜」 静雄「みんな若いわね〜急がなくってもお店は逃げないのに」 テケ「芋ソフト3個目の君も十分若いよ!」
サーシャ「で、最高の花ってどこに買いに行くの?」 もっともな問いである。プルはハンドルを握ったまま彼女を振り返り (ちょくちょく振り返る。運転中だってのに危なくてしょうがない) 「なんでもスイスにとても美しい花があるらしい。きっとミライも喜ぶよ」 「え、スイス・・・」 ガッちゃんの脳裏には「真冬の森でシマウマがアハンアハン」という 難解なポエムと不思議語尾がよぎる。 悪い人ではないのだが、なんかわけわからん。不安になる。 サーシャをはじめ、美女軍団は「まあロマンティックね」と盛り上がっている。 いい意味で肝が太い。
「最高の花ってどんな花かしらね」「ミライの喜ぶ顔が浮かぶわ」 「最高の花はアタシの薔薇に決まってるじゃない」 女の子達はキャッキャウフフとガールズトークで盛り上がっている。 「女って花が好きだよなー。あんなの貰っても食える訳でもないのに。なあ?」 というPチャンに、アボットとミハルは同意しかねる様子。 「僕は、女の子らしくて可愛いと思うけど…」とアボット。 「パトリックもそろそろそういう事を覚えたらどうだ?将来、苦労するぞw」 経営者にからかわれ、Pチャンはむう、とやんちゃモードの顔で黙り込んだ。 一方リッポンは弟に、はぴおめメールを送っていた。 「よし、送信、と。もう19歳なんだなぁ。ついこないだまであんなに小さかったのに…」 こちらはお兄さんモードで車窓から空を見上げている。
「食べられる花だってあるわよ。もぐもぐもぐ」 食用菊のおひたしをサラダボウルいっぱいにして食べ続けるレイチェルの横で、 バトルはスミレの砂糖漬けを食べている。 「こっちもおいしいよ。もぐもぐもぐ」 「あー、僕が言いたいのは、ああいうのとはちょっと違う」 複雑な表情の経営者。Pチャンはポカーン。 スミレの砂糖漬けはなかなかロマンティックだが、バトルのように 鷲づかみにしてもぐもぐ食べては台無しである。
「ちょっと疲れちゃった、誰か代わって」 そう言って、プルはロシェットに運転を代わってもらい、客席で一休み…… しようとした所で、たまたま荷物に入っていたUNOのカードを見つけた。 「ねえねえみんな、これやらない?」 ガールズトークに加わっていない男性陣は、否応なしに強制参加。 ジョニ子と女性陣の悪巧み、「罰ゲームの用意」と同時進行で、無駄に熱い勝負が始まる。 ※ルール:下記の番号が、レス秒の一桁の数になった者がビリ。 罰ゲームとして、日付が変わるまで「猫耳カチューシャ」を装着させられる。 1.プル 2.リッポン 3.Pチャン 4.アボット 5.ガチ君 6.バトル 7. ミハル 8.クリス 9.経営者 0.スミルノフ
そんなこんなでスイス到着。 バスから降りるとランビと何故かデニス・テン君も一緒にいた。 「おやおや、僕の可愛いニンフたち、また僕のジャケットを盗みにきたのかな?アハハン」 続々降りてくる女の子達にランビのテンションは上がる一方。 一人ひとりに丁寧にハグ&キス。もちろんジョニ子にもチュ♪ さらにプルシェンコにもしようとして・・・・ 「・・・アハン、ジェーニャ何かの嫌がらせかい?」 「いや、通常営業だ」 ジョニ子「確かに普段のジェーニャとあんまり変わりないわねぇ」 Pチャン「普段の方がもっとあれだし」 レイチェル「肉襦袢やおむつを越えるものってあるのかしら?」
まったく関係ないが、ライサチェクは恋人のナスティアにボコられていた。 「誰にそそのかされて、あんな写真撮ったのよ!アーティスティックすぎて 見た者全てが惚れ惚れしちまうじゃないの!彫像のような筋肉に滑らかな肌、 長い手足に抱きしめられたいって女が世界中にウジャウジャ発生するわ! そいつら全員からあんたを守り抜くなんて、私一人には荷が重すぎるわよっ」 「い、いたっ、骨折れる!やめてくれ!」 「でも世界中の美女がむらがったって、あんたを独り占めしなきゃなんないわ! だって、私・・・もう!バカバカバカバカバカ!素敵すぎるのよ、あんたは!」 「ナスティア、泣かないで。そして殴らないで。意識朦朧としてきた。顔はやめてボディにして」
>>71 みはらじゅんこw
ミハル・ブレジナは煩悶していた。
(立ち位置的にはデニス・テンの左側にいたい。
でも、バトルさんからも離れたくない。ああ!どうしたらいいんだあああ!)
好きにしろ。
「それでだな、ステファン。スイスにそれはそれは美しい花が咲いているという噂を聞いたのだが」
猫耳をつけたままプルは問う。気に入ってしまったらしい。
(僕様、可愛いでしょ?)の、どや顔である。
「は!またーり旅しているのは楽しいけど、アタシったら、また目立たなくなってないかしら!?」
「バックショットに異様な迫力があるから大丈夫だよ。特に腰のあたり」
Pチャンは余計なことを言ってジョニ子にどつかれていた。
どつきついでに、ジョニ子は前々から欲しくてやっと入手したブーツでPチャンを踏んだ。 「ふぎゃっ!!」 「まったくアタシのバックショットがマダムにでも見えるってーのかしら。失礼しちゃう」 プリプリしながらランビ家向かいの公園にあるトイレに行く。 (ランビ家トイレはアボットが使用中だったので) すると掃除おばちゃんがいて、驚愕の表情で叫んだ。 「あんた!ここは男子トイレだよ!女性は隣!」
自分は少々顔立ち(特に睫毛)がフェミニンで仕草がおしとやかなだけで、 生物学的には男性である、と掃除担当の女性に説明し、ジョニ子はトイレを出た。 「そもそもジェレミーがステファンんちのトイレ使ってるからいけないのよー、もう」 ランビエールはプルシェンコの猫耳に、心の中の奥深くに沈めてある悪夢のような 記憶をチクチクと刺激されつつ、世界一美しい花について考えを巡らせる。 「うちの祖父が言っていたあれかな……虹色に輝くっていうエーデルワイス。普通白だよねえ、あれ」 「それ食べると怪力になったり昔の風景が見えたりする?悪の組織とバトル発生?」 「それ前スレ。いつまでも同じ傾向のネタをひきずるのは、他職人やROM専さんに対して失礼だよ」 「うはw」 悪びれず猫耳をピコピコを指で動かして見せる僕様。 あらゆる意味で軸にブレがない。
女性陣はまだ見ぬ美しい花を想像し、ウットリしている。 「早く買いに行きましょう!すぐ行きましょう!」 せかすサーシャ・コーエンに、ランビエールはとまどいの表情で首を振る。 「珍しすぎて街中では売ってない。山岳地帯の野生の花なんだ」 「また珍しい植物ネタかーっ!その花って自分で歩いて山を下りてきてくれないかな」 Pチャンが無茶な願いを口にする。 バトルはランビエール宅のキッチンを勝手に借り、クレープを器用に焼いている。 ひっくり返しそこなったりはしない。無意味にパプリカも刻まない。 ミハルはクレープを分けてもらって夢心地。テンくんは本当に熟睡して夢心地。
女性グループを留守番に残し、男性グループは虹色エーデルワイス探しの旅に。 「バスじゃ五合目までしか行けないんだってさ。でも登山なんてワクワクする」 Pチャン・リッポン・ガッちゃん・ミハルあたりはなんだかんだいって浮かれている。 スミルノフは「いかなる不慮の事態に陥ろうとも切り抜けられるよう」各種防具の準備に余念がない。 そしてバトルのリュックにはお菓子しか入っていないのだった。
テン君はランビの横をちょこちょこ歩く。 「森に住む魔法使いが・・・怪物との戦い・・・蝶々が津軽海峡を・・・」 ランビのポエムを素直にうんうんと聞いている。誰か止めた方がいいかもしれない。 一方、ランビの留守宅には美姫がやって来ていた。 「どうしたのよミキ?」とジョアニー。 「トリノのショーでステフと一緒になってね。遊びにおいでって誘われたから。 あ、これは日本のお土産ね。芋ようかんに芋せんべいに芋ソフトに・・・」 レイチェルの瞳とほっぺがきらきらと光りだす。 「JOの打ち上げで食い倒れツアーをやってねー。楽しかったー! でも、なんか大切な事を忘れているような気がするのよねぇ・・・?」 シンタロー君かわいそす(´・ω・`)
「やはりあいつらに任せておけない」 本田は各ベテラン選手、コーチや連名関係者などと意見調整を済ませ、 滞りなく織田家に出生祝を届けた。 美姫たちはあとで内祝いが届いてキョトーンとするかもしれないが、 おそらくあまり気にもしないだろう。多忙なシーズンに突入するのだし。 その頃、クリス・リードは日本のTVCM「ファイトォー!イッパーツ!」を 夢想して密かにwktk状態だった。 しかし山の斜面はさほどきつくもなく、天気もよく、Pチャンは調子っぱずれの 鼻歌を唸り、リッポンは風景写メ撮りまくり。のどかそのものなのだった。
芋ようかんを一本食いしながら、レイチェルがふと呟く。 「エーデルワイスの開花時期っていつよ?」 さすが学者の娘、ようかんをくわえたまま瞬時に調査、 その開花時期が7-9月である(Wikipedia調べ)と結論づけた。 「高度2000-2900mの高山帯の石灰岩地を好む、だってさ。そこまで行って 咲き終わっちゃってたら、彼らガックリしてしまうかも・・・」
目的の花が咲いていないかもしれない事など露知らず、 男子チームはのりのりで登山を続けている。 当初、「メリルが恋しいなぁ・・・・(´・ω・`)」と大人しかったアボットも、 スイスの雄大な自然や景色に再び興奮してきた。 「わあ、きれいな花だなぁ!うわあ!すっごい岩山!わーわー、凄い見晴らしー!!」 「アイラヴカンフーーーーーーー!!!」テンションが上がり過ぎて思わず叫ぶ。 「アイヘイトパッキーーーーーーーング!!!」つられてPチャンも叫ぶ。 「あら、じゃあアタシも!」とジョニ子。 「マイペn・・・・」 「なんでその言葉をチョイス?!」リッポンが慌ててジョニ子の口をふさいだ。
強引に背後から抱きしめられ、それはそれで悪くないジョニ子は、 両手をパタパタさせて慌てふためいて見せる。 「キャー!なんなのアダムったら。まだ昼間よ」 「そうですね。昼ですね。だからおかしな事叫ぶのやめてくださいね」 「やまびこになったら素敵じゃない?」 「素敵じゃありません!周囲にはファミリーも大勢いるんです」 「子供なんて、親が思っている以上に刺激的でイケナイ事を知っているものよ」 揉める二人の横で、ピッケル片手のクリス・リードが首をひねる。 イメージしていた勇壮かつ過酷な登山ではない。 「ひょっとしてこの山、マッターホルンじゃないのか?」
一方ミハルはデジカメを握りしめ バトルとツーショット写真を撮る機会を虎視眈々と狙っていた
「え、マッターホルンでないとダメなの?いいじゃないか、近所の山で」 ランビの言葉にクリス大脱力。 「まあ、危険な山にあえてアタックする必要もないだろう、な?」 経営者のフォローもクリスの傷ついた冒険心の癒しにはならない。 写メ撮りまくりのリッポンに擦り寄り、ミハルは「僕とバトルさん撮ってよ」と頼む。 「いいよ。バトルさんは気さくでお茶目だから、一緒にいて楽しいよね」 さあ、いざ念願のツーショット!という瞬間、隣にPチャンが割り込んできた。 「クリス!みんなで集合写真でも撮ろう!割り切ってピクニック気分さ!」 そうだそうだとスミルノフも防具をかなぐり捨て、駆け寄ってくる。 結局近くの観光客にシャッターを頼み、リッポンもフレームに収まる事に。 「楽しいなあ!アイラブカンフー!」「そしてペn」「いわせねえよ!」 愉快な写真ができあがったが、ミハルはちょっぴりセンチメンタルな表情だった。
そこへ山羊をつれた山羊飼いの少年が通りかかった。さすがスイス。 「ねぇ、可愛い坊や。この辺で虹色のエーデルワイスが咲いている場所を知らない?」 日焼け対策のしすぎで白塗りパンダメイクのジョニ子に怯えつつ少年は教えてくれた。 「に、虹色も何もエーデルワイスは夏の花だよ。もう咲いてないよ」 一同ランビをじろりと睨む。 「あれ?そういえばそうだっけ。 最近、あちこち飛び回ってたから季節感がなくなってたよ、ははは」 悪びれなく笑うランビ。 全員で抱えあげて記念撮影した後に谷底に放り投げてやろうかと思った。
「じゃ、虹色のエーデルワイスに代わる、美しい花を用意しなくちゃいけないわね」 ジョアニーたちは男性チームの帰還を労いつつ、次の策を練る。 「鉢植えは根がつく=寝付くに通じるから縁起が悪いのよ」 「さすがミキ、日本のマナーがわかってる!でもこの際、花でなくてもいいのか?」 そうつぶやく経営者の視線の先には芋ソフトをすすり食いするレイチェル。 「花より団子・・・って日本のことわざだっけね」
「お団子買うなら日本に戻るの?」 目を丸くする美姫。経営者は慌てて前言を補足する。 「そういう諺もあるって事で、なにか食べ物の方がいいんじゃないかって事さ。スイスだしチーズとか」 「食べ物の事だったらカロリーナに訊くのがいいんじゃないかなあ」 のんきに呟くプルシェンコ。 「婚約したてで忙しいでしょ。大勢で押しかけるのはマナー違反だわ」 ファヌフがもっともな意見を返す。 キャビアだけじゃちょっと寂しい。もう一品・・・ミライが喜ぶ食べ物は何なのだろう?
Pちゃん「日系人ならお寿司が好きなんじゃないかな」 ロシェット「うーん、やっぱりパトリックは、まだこういう事に向いてわね(苦笑)」 ジョニ子「あら、そこがパトリックの可愛いとこじゃない。いいわよ〜そのままの道を突き進みなさい♪」 Pちゃん「(キョトーン)」 美姫「チーズフォンデュはいい加減飽きたわよねー」 ランビ「ミキはなんでもはっきり言うところが魅力だね(はぁと」 ガチ君「(くじけない人だな・・・)」 レイチェル「スイスのデザートといえばチョコレートよね・・・」 リッポン「レイチェル、よだれ拭いて」 サーシャ「女の子だったら誰でも甘いものは好きよね」 プル「僕はピザが好き」 バトル「会話がかみ合ってないよ、ジェーニャ」 そんな中、アボットがおずおずと手を上げる。 「あのさ…手作りのお菓子とかどうかな?みんなで協力してさ。だめ?」
「ジェレミーのクッキーは絶品よ!」 メリルの賞賛にアボットの頬がポワッとピンク色になる。 「僕、結構甘い物好きなんだよね。ドーナツ作ってくれる人とは親友になっちゃうよ!」 「じゃ、クッキーとドーナツを作ればいいんじゃないかしら」 「ああ、やっぱりメリル大好き」 「うふふ。ありがとう」 せめて“あたしもよ”って返してやれw
「じゃ、材料の買いだしに行きましょう」 ロシェット&ファヌフが立ち上がると、レイチェルも二人についていく。 「荷物持ちは多い方がいいでしょ?そうだ、パトリックとアダムもついてきて」 「何キロドーナツとクッキー作るつもりなんだよ・・・」 ぼやくPチャンにレイチェルは冷静に解説する。 「ミライに特別美味しいのをプレゼントしたいじゃない?練習や試作をしなくちゃ」 「さすがはレイチェルね。ねえ、カップケーキも作らない?」 ジョニ子は自分が食べたい物もさりげなく追加してきた。
「じゃあ僕バニラアイスが食べたいな」 リッポンが控えめに好物を呟くと、窓の外を一陣の風のごとく通過する優雅なイナバウアー。 「今のはいったい・・・」 「シズカはアイスに目がないからなあ。でも出しゃばらない、控えめな女性だよ」 「ここで作って持っていくんじゃ溶けちゃわない?」 「アイスクリームメーカーって家庭用の器具あるじゃん、あれ買って現場で作ろう」 お菓子トークは尽きない。バトルのお目々はキラキラ。
メリルは相変わらずランビにくっついているテン君に声をかける。 「デニス、もしかして背が伸びた?私の後輩の女の子もこの夏で随分、背が伸びたのよ。 若い子はどんどん伸びるわね。背も、演技もね」 コロコロとした声で話かけられちょっぴり照れるテン君。 すると、再び窓の外を一陣の風が・・・ 美姫「そういえば私の友達も最近、背が伸びたって。後輩じゃなくて先輩だけど」 ランビ「さすがシズカは規格外だね」 一方、買い出し組ではPチャンが突然、頭痛を訴えだした。 「あああ、頭痛が痛いー。こんな事してる場合じゃないのにー。受験勉強もしなきゃいけないのにー」 「そういえばスタンフォード狙ってるんだってね。ま、頑張って」 すでに入学が決まってるレイチェルは余裕たっぷり、貫禄たっぷりに微笑む。 「君って高校生だったり、受験生だったり、留年したり、忙しい奴だなあ」 「留年、言うなっ!」
Pチャンの首筋や後頭部のツボを、器用に揉みしだくロシェット。 力強さと優しさに満ちたマッサージに、頭痛は次第に治まっていった。 「はー、きもちいい。ついでに足もプリーズ」 「こらこら、調子に乗っちゃダメよ。めっ!」 デコピンでPチャンは5メートルほど吹っ飛んだが、大けがにはいたらなかった。 ロシェットの「めっ!」はメリルのそれとくらべてやや厳しめ? しかし後輩への愛情が滲み出ている事に変わりはない。 「でもほんと、マッサージ上手!」 感動するレイチェルに、ロシェットは軽くウインク。 「慣れよ。うちで彼氏にやってあげてるもの」 大人の余裕である。
「やれやれ・・・・こんな事になってるんじゃないかと思って、後を追って正解だったわ」 悠子が溜息をつく。 小麦粉50kg、卵300個、牛乳1ガロン・・・とすさまじい買い物をしているレイチェル、 それを背負わされている瀕死のPチャン・リッポン。 「私が一人で背負うって言ったんだけど、彼ら、レディーにそんな事させられないっていうのよ」 ジョアニーが肩をすくめる。ファヌフも隣で微笑む。 「こんな時こそ、俺の出番!」 スミルノフは荷物の大半を引き受け、Pチャン&リッポンを救った。 しかしカップケーキのカップとしてドラム缶数十本を検討しているレイチェルを見て、 派手にずっこけそうになった。悠子がそっと肩を貸す。 「想定内よ」「そうだな」
最終的に軽トラックを借りて食材を搬入した買出しグループの前に、黒くて長い男が立ちはだかった。 「チーズケーキを作ると聞いたのだが。俺は工場見学までした製菓経験者だぞ」 「チーズケーキの予定はないけど、追加はいいわね。歓迎するわ!」 レイチェルは喜びのあまりその場で華麗なスピンを繰り広げている。
「は!アタシったらやっぱり目立たなくなってる〜」とジョニ子。 慌ててお菓子作りのコンセプトにあわせ裸エプロンに衣装チェンジ。 「うん、いや、笑いをとりに走らなくていいから」 と経営者がそっと肩にソチジャージをかける。 いや、本気だしと言うジョニ子を気のいい笑顔でかわす経営者。 「でも…目立たなくてもいいのだけど、……ちょっと寂しいかも?」 と、ぽつりと言ったのはユリア・セベスチェン。 「誰もがいつかは通る道よね」 サーシャはユリアをそっと抱き寄せた。 「ショーや振付の仕事も楽しいよ、ユリア」とランビ。 「後輩達の活躍もね」とバトルもウィンク ;)
「やっぱりバトルさんはかっこいいな」 感動するミハル。若手なのに買いだし班に行かなくていいのか。 プルシェンコにお茶を入れているガッちゃんも。
程なくして軽トラックがランビ宅に到着。続々と食材が運び込まれる。 もちろんガっちゃんミハルもお手伝い。 「なんだか大げさになってきたなぁ」と経営者。 「チョコレート工場みたい?w」とレイチェル。 「あら、チョコレートも買ってきたのね。じゃあ、さっそく湯せんにかけて、と」 「あちいっ!ジョニー俺だ!」 「なんだエヴァンだったの。黒くて(ry」 女性陣は思い思いのエプロンをつけて忙しく動き回る。ランビはにこにこ。 「自分ちのキッチンに女の子がいるっていいなぁ。しかもこんなにたくさん。み〜んな僕の可愛いお嫁さんだよ」 妄想の世界へと旅立ってしまった。
ライサはデカい手を生かして、卵の片手2個割りに挑戦。 が、あえなく失敗。両手でチマチマと卵を割ることに専念。 律儀に電石帽(工場見学の時被っていた、髪の毛が落ちないようにするあの帽子)を 被っているため、そこだけなんか異質。 卵を割るために開発された、新型エヴァンゲリオンみたいである。
若手男子達は居間で輪になってスイスチョコの湯せんかけ。 Pチャンは少し飽きていた。ふと、クリスを見ると口にちょび髭が・・・ ミハル「クリス、ひげなんて生やしてたっけ?」 クリス「え?ああ、チョコがはねちゃったんだな」 Pチャンはにやり。 「デニス〜」おもむろに隣にいたテン君の顔にチョコで落書き。 「わはは、ひげ似合うじゃん。カザフの偉人みたいだ」 しかし、テン君は意外と気が強かった。「やったな!」すぐに、やり返す。 「何するんだよ!」「先にやったのはそっちだろ!」 「ちょっと二人とも止めなよ」 仲裁に入ったリッポンの巻き毛に狙いすましたかのようにチョコがぺちょ。 「(ピキッ) ・・・・パトリック、髪の毛はルール違反だろっ!」 若手男子による仁義なきチョコレート戦争が勃発してしまった。
妄想の世界に旅立っているランビ、 居間がチョコまみれになっている事にいつ気づくのか。
「アンタたち何やってんのー!」 ジョニ子はチョコまみれの若手を一喝。 全員バスルームに叩き込んでワシワシと洗った後、采配を奮って掃除をさせる。 「アダムは絨毯の掃除!パトリックは壁拭いて!クリスは窓磨く!ミハルはカーテンの洗濯!」 一人、あからさまに反省して涙ぐんでうつむいているのはテンくん。 彼にはジョニ子も同情したのか 「デニスはみんながちゃんと掃除してるか、監督しててちょうだいね」 なんか優しい。 アボットはメリルと2人きりでクッキー作りに専念しており、幸せいっぱい夢いっぱい。 一方その頃、羽生は壁に飾った衣装を見て、ウットリしていた。 「憧れのジョニーさんにデザインしてもらった衣装・・・チョコケーキみたいかも?」
経営者はチョコレート工場?の惨劇を嘆きつつ、延々と粉をふるう。 そんな経営者の隣でスミルノフは黙々と粉袋を運ぶ。 「やっぱり体力を使う仕事は男性にまかせると安心ね」 ジョアニーが言うと…………不思議。
そんなジョアニーも泡立て「機」を使わずにものの数分でメレンゲを作り上げる。 しかし三回に一回は卵白を叩き過ぎてボウルを破壊してしまう。 因みにファヌフは五回に一回。 レイチェルとバトルは、お菓子を作ったそばからつまみ食いしてしまうので、 とうとう台所から追い出されてしまった。 「味見したらけよーもごもご」「そうらそうらーもごもご」
屑ステンレスと化したボウルの残骸の向こうでは、プルシェンコがのんきにピザを作っている。 アシスタントはもちろんガッちゃん。 「マッサージするように捏ねて捏ねて。で、むかつく奴の顔を思い浮かべてバーンバーン!と叩く」 「そこまでむかつく奴いないんですけど」 「そのうち出てくるさ。世界の頂点を目指すうちには、いろいろある」 複雑な表情で遠くを見つめるプルシェンコ。 やがて、ピザをお菓子作りのみんなに配ろうと言い出した。 「なかなか上手にできそうだ。これなら一枚100ユーロじゃなくて200ユーロは取れる」 「お金取るんですかっ!?」
「せっかくハロウィンの時期だし、いつもにましてセクシーでユニークになってみようかしら」 ジョニ子は黒エナメルのボディスーツを着用。 胸元や股間に切れ目を入れ、きわどいロボットのような風体になった。 「わーっ!その格好で女子の前に出ちゃダメです!」 フライングボディアタックでジョニ子を止めるリッポン。健気である。
「きゃー!何するのよアダム。みんなが見てるじゃない」 正面から押し倒されてそれはそれで悪くないジョニ子。 両手をぱたぱたさせて嫌がって見せる。 「そうですね、みんなが見てますね。おかしな格好は止めて下さい」 「ただのポルノロボットの仮装よ」 「ロボットの要素が薄過ぎですっ!」 「でも、仮装のアイディアは悪くないよね〜」と粉だらけの手で猫耳をピコピコさせるプルシェンコ。 「仮装か・・・」 Pチャンは意味ありげな目つきでリッポンを見る。 「・・・・・何?パトリック」 「ププッ、きらきらロミオ様w」 「君の衣装の背中だって大概だろっ!!」
テンくんはいつのまにか巨大なオレンジ色のカボチャを抱えている。 それをおもむろにPちゃんの頭に被せた。 「うわー!なにするんだ!」 「・・・ハロウィン」 「前が見えない!息が苦しい!」 「あ。顔の部分に穴空けるのを忘れた」 ただの不審なカボチャ頭男である。ちょっとホラー。
「今度はアーチャの衣装をデザインしてあげるわ。触角に羽根ってどうかしら?」 「謹んでお断りします・・・」 「先輩のジェーニャに敬意を表して、よだれかけをするの。かわいくない?」 「生まれたてならともかく、今の僕がやったら不気味ですよ〜。勘弁してください。 それが何だかは記憶にないが、ジョニ子の脳裏には、ゴム以外は何でも食べちゃう天使 (言葉はいつも「クピプー」)がよぎってならないのだった。
Pチャンはカボチャを被ったまま。その方が静かだからと誰も助けてくれない。 仕方ないのでスケパシーでカナダの仲間を呼んだ。やって来たのは… 「だからってなんで僕を呼ぶんだよ」 「(ケヴィン!お前なら来てくれると思ったよ!早くこれ、とってくれ)」 しかしチャッキーは、あっと言う間に皆に囲まれてしまった。 「ケヴィン、おめでとう!」「やったなケヴィン!」「素敵だったわケヴィン!」 プルはチャッキーと固い握手を交わす。 本田「ケヴィン、ぱね〜」 バトル「って、タケシいつの間に来たの?」 レイチェル「凄いわねケヴィン。でも、あなたまた若返っちゃったわね」 リッポン「赤毛率もあがってるし」 ジョニ子「少年の名残があっていいじゃない〜。ね、赤毛ちゃん♪」 チャッキー「あ、ありがとうございます皆さん。…でも、後半の三人は微妙に褒めてくれてないよね」 Pチャン「(こらー!いいから、早く助けろー!!)」
前が見えずにヨタヨタと進むPチャンはバスルームに迷い込み、浴槽にどぼん! 「このまま煮て、パンプキンパイ作る?」 「そうね。あれ簡単だし」 「かぼちゃ羊羹ってできないかしら」 「素敵!おいしそう」 女子一同盛り上がる。いいから誰かPチャン助けてやれ。
結局ジョニ子が犬神家状態のPチャンを助けた。 「デニスに意地悪したからいけないのよ?ちゃんと謝ってらしゃい」 「はーい」 根は素直がPチャンは、お菓子作りでごった返すランビ家で、テンくんを 探してさまよい歩く。カボチャはもう頭から外し、小脇に抱えている。 「テンくーん!さっきはごめん!」 「・・・呼んだ?」 ジェレミー・テンである。ややこしい。
「あー、ごめん。ジェレミーじゃなくって・・・」 「呼んだ〜?」 ジェレミー・アボットである。お約束。
飾り用のカボチャでお菓子を作るのは難しいらしい。 「やはり顔をくりぬいて中に灯りを入れようよ」 J・テンはただ間違って呼ばれただけじゃ悲しい、とここで腕を奮う。 「まず眉毛は八の字にして・・・ほらできた!ジェレミーつながりで君の顔を彫ってみたよ!」 カボチャはいつのまにか、スクリームの怪人のような顔になっている。 それを見つめるアボットは(´・ω・`)こんな顔。
その頃ライサチェクはいいかげん卵割りに飽きていたのだが、 肝心のドーナツ揚げやチーズケーキ焼きは女性陣が取り仕切っており、 仲間に入るタイミングが掴めない。 「孤独だ・・・」 ふとキッチンの隅を見ると、変なカボチャのヘルメットを被っておどけたアボットが、 メリルと仲良くクッキーを作っている。これまた入っていけない雰囲気。 「ヒーローはいつだって孤独なものだ」 ふと隣を見ると、デニス・テンが一緒になって卵を割っている。 その笑顔にライサチェクは癒された。 『…俺はいたい。俺はここにいたい。俺はここにいていいんだ!』 やっぱりエヴァンゲリヲンである。
(それは、碇シンジ。エヴァンはどっちかっていうと初号機に似・・・) と、テン君は思ったがツッコミ体質ではないのでコメントは控えた。 ミハルはちょっと体調を崩して休憩中。お菓子作りを手伝えなくてしょんぼり。 バトルがドーナツとしょうが湯を持って慰めに来た。 「具合が悪い時に無理は禁物だよ。ゆっくり休んで次に備えないとね」 「ありがとうございます・・・」ミハルはうるうる。 「カナダではドーナツは6個セットなんだ。消費税がかかるから。 しょうが湯はミキに教えてもらったんだけど、 カナダアレンジでメープルシロップをたっぷりいれてみたよ。たーんと、お食べ」 やたら甘かった。
ドーナツもクッキーもカップケーキもできた。 さあ!今度こそロスに出発だ! 途中からどんどん人が増えたため、補助席まで使うはめに。 Jテン「補助席やだなー。落ち着かないよ」 Pチャン「じゃ、一番後ろの席行く?」 ジョニ子がバラとオーガンジーで飾り付け、アロマの香りを漂わせた特製サロンができていた。 日本の中学の遠足なら、不良の指定席だが、この場合は耽美の極地。 カップケーキをくわえて、反対側から食べてくれる相手を待っている。 Jテン「「補助席でいいや・・・」
"走っしり〜♪出したら〜♪何か答えが出るだろう〜なんて♪" 前のほうの座席ではカラオケ大会が始まっていた。 もはやラ●ワゴンから一筆書きのエコカーに・・・ 急ぐ旅ではあるけれども?!
後部座席でジョニ子はまだ待っていた。
「誰かいってやれよ・・・」「可哀そうだよ・・・」
リッポン「ここはやはりケヴィンが」 チャッキー「ヤダ。絶対ヤダ」
Pチャン「我儘言うな、誰かが犠牲にならなきゃいけないんだ」
チャッキー「それが何で僕なんだよっ!」
スミルノフ「一番年下という事でデニスは?」
悠子「ずっと、ステファンと一緒よ」
経営者「あれはあれで何とかしてあげないといけないような・・・」
Jテン「でも、今日はナチュラルメイクで普通だよ。ポルノロボットよりずっとましだよ」
全員「じゃあ、やっぱりお前が行けよ!」
一部不穏な空気を醸しつつも概ね平和にバスは走る。が、あれ?微妙に方角が・・・
>>117 元ネタがすぐに分らなくてぐぐってしまったw
Pチャン「そうだ、アーチャ行っておいで。何事も経験だ」 ガッちゃん「そういう経験はちょっと・・・遠慮したいんですが」 そこにプルシェンコが割って入る。 「うちの後輩に過激な事を教え込まないでおくれ。ピザ2000ユーロで売りつけるよ?」 とんでもない!とPチャンは運転席のジョアニーの元へ避難(バトルはドーナツ食べてた)。 「先輩助けて!」 「助けてほしいのはこっちよ!このバス、勝手にあらぬ方向に・・・どこ行くの?」
スイスからアメリカ大陸を目指し大西洋を横断していたバスのタイヤには大王イカの足が絡まりついていた。
サラ「エヴァンが大王イカの墨を浴びて真っ黒に!」 サーシャ「浴びてないわよ。いつもの彼よ」 ガッちゃん「イカを退治しなきゃ!どう攻撃しよう」 プルシェンコ「心臓だ!心臓を狙え!・・・で、大王イカの心臓ってどこ?」 経営者「穏便に話し合いで引き下がってもらえないだろうか」 グレボア「イカの言葉なんてわからないわ」 バトル「何があってもお菓子をまもらなきゃもぐもぐもぐ」 レイチェル「そうよミライに届けなきゃいけないものもぐもぐもぐ」 車内は大騒ぎだが、ジョニ子は最後部の薔薇サロンでエージェントからの電話を受けている。 「ちょっと!dirty loveの発売延期ってどういう事よ!編集中に機材が火を噴いた?なんで?」
スミルノフ「うおおお!クラーケンーー!!」 チャッキー「リアル『海底二万里』!!」 アボット「すごいや!ジュール・ヴェルヌの世界だ!!」 ユリア「全く、少年達は無邪気なんだから…。喜んでる場合じゃないでしょう」 本田「巨大生物は男のロマンなんだよ〜。なんど騙されたことか…orz」 クリス「あるあるw 海底遺跡とかビームサーベルとか」 キャシー「男のロマンで命落としたくないわよ。なんとかしないと」 ファヌフ「みんな待って!アダムの頭を見て!」 リッポン「へ?」 ジョニ子「あら。アダムの巻き毛に大王イカの赤ちゃんが絡まってる」 リッポン「え゛」
「きっと女王イカが王子イカを取り返しに来たのよ。アダム、返してあげて」 ジョアニーの言葉に一同うなずく。 「僕が捕まえてきたんじゃないですよう・・・か、絡まって取れない」 慌てるリッポンの頭に他選手が群がり、王子イカを外してあげようと奮戦。
バトル「焼きイカ」 レイチェル「イカそうめん」 Pチャン「この状況でそんな発言やめて!!」
バトルとレイチェルの言葉に命の危険を感じたのか、王子イカが暴れだす。 「あだだだだだ!」髪の毛を引っ張られてリッポンが悲鳴をあげる。 更に王子イカは墨を吹いたが、狙ったのがライサだったため被害は最小限で済んだ。
せっかくなのでライサの魚拓ならぬ人拓をとってみる。 みんな一旦ブレイクして大王イカをバックに記念撮影。 ライサは表彰台に乗った時のような満面の笑顔だ。
ライサ人拓をとった布で大漁旗を作成。 記念写真が日本酒のCMの○(伏せ字ではない)のようなテイストに。 王子イカはリッポンの頭がお気に入りのご様子。 「生き物の巣材として最適な毛髪って事なのかしら・・・ねえアダム、今度アフリカに」 「行かないよ。断じて」 レイチェルの知的探求心溢れる誘いを、リッポンは急いで封じた。 象やライオンになつかれたら命の保証がない。
「そういえばピピネラ元気?」 すっかり緊迫感がなくなり世間話をしだすチャッキー。 「妹達が実家で可愛がってるよ。てか、僕の髪の毛ネタで遊ぶのやめてよぅ… ;」 「ピピネラってなんだい?ぴーちゃん」と本田。 「えーと、前スレで出てきた動物キャラのカナリヤです」 「そうなんだ。あ、ぴーちゃんスケート上手いね〜よく滑るね〜」 「はあ、ありがとうございます・・・」 (ぴーちゃんって文鳥じゃないんだから。でも褒めてくれてるし、 ここは俺が大人になって聞き流そう)←上から目線。
結局ランビエールが得意のポエムで大王イカに 「かわいい子には旅をさせよ」ってな事を伝え、 王子イカはリッポンの頭上に落ち着く事に。 「ぬめぬめするよー。なんか垂れてくるよー」 「鉢巻すれば?」 嘆くリッポンの頭に、美姫がくるっとねじり鉢巻を締めてやった。脳天にはイカ。 ある意味、ネコ耳よりすごい。ポルノロボットには負けるけど。
王子イカが乾燥しては可哀そうとチャッキーが柄杓で海水をかける。 鉢巻で防ぎきれなかった海水がつつ〜とリッポンの額をつたって・・・ 「あああああ!目があぁーー!目がああぁーーー!!」 処で、全く関係ないが、ブライアン・ジュベールは某所で荒ぶっていた。 「荒鷲のポーズっ!」 来るべき使徒との戦いに向けて、英気を養っているのかもしれない。
数多の冒険をくぐり抜け(?)ついにアメリカ大陸上陸! 「やったぁ!アメリカだー!!」何故か興奮しだすミハル。 経営者「彼はなんで興奮してるんだい?」 リッポン「米国で『パリのアメリカ人』に憧れるチェコ人」 ジョニ子「そっか。『パリのアメリカ人』に憧れている場合、巴里じゃなくて米国に憧れるのね」 ロシェット「でも、彼はジェフにも憧れてるんじゃなかった?」 Pチャン「『雨に唄えば』つながりでカートには憧れないのかな」 グレボワ「それなら今年はチェコの先輩にも・・・」 本田「最近は大輔に憧れてるって噂を聞いたけどなぁ」 メリル「ややこしや〜ややこしや〜・・・」
「で、なぜまっすぐロスを目指さないの?」 訝しむマイアーやセベスチェンの前でランビエールが両腕を広げ、天を仰ぐ。 「この広大な大地からわき上がるエナジーを感じないかい? ここは世界でも屈指のパワースポット、セドナさ」 「ああ、つまりパワーをミライへのおみやげにするんだね」 プルシェンコはあっさり納得してアリゾナの荒野を歩き出している。 そんなもんおみやげにできるのか?と素朴な疑問を抱きつつ、残りの面々もついていく。
ネイティブアメリカンの方々に太鼓を叩いてもらい、それに合わせて舞い滑る。 本来なら大地に横になったり座ったりしてパワーを受けるのだが、そこはスケーター流でアレンジ。 彼等の世界トップクラスの演技に、ネイティブアメリカンの演奏にも熱が入る。 「パワー、溜まるといいな」 ミハルの言葉に、テンくんは黙ってうなずく。 と、そこに急に雨が。ネイティブアメリカン曰く「神の恵み」だそうな。 「雨に踊れば、だねえ」本田がぼそっと呟いた。
荒野を延々と徒歩で往復し、ジョニ子はすっかりへばっている。 「さあ、ミライんとこ行きましょ。すっかり体調はよくなってるみたいだけども」 「ここまで来てアリゾナでドーナツ食べて解散じゃ間抜けすぎよねもぐもぐ」 「レイチェルまだ食べてるのかい!?おどろきだもぐもぐ。こっちのもおいしいよもぐもぐ」 バトルはネイティブアメリカンに伝わる秘伝のスイーツ?をわけてもらい、リュックに詰め込んでいた。
お菓子を食べながらもいつの間か増えていたメープルっ子の世話をあれこれ焼くバトル。 「ジェレミー靴紐がほどけてるよ。ケヴィンそんな端っこにいないでこっちおいで。 ジョアニー、シンシア荷物は僕が持つってばもぐもぐも(ry」 なんだか引率の先生みたい。 けれども、チャッキーは少し不機嫌そう。 「・・・・練習したいな。なんで僕を呼んだの?」 「お前にだけ練習させてたまるか」 「せこいよパトリック!」 「うるさい!クワドの歴史なんか作らせないぞ!ケヴィンは1Aの歴史でも刻んでろ!」 「自分だって人のこと言えないだろっ!」 Jテン「カナダ人同士で、そこで争うなよー。切なくなるよー」
「もう、二人とも喧嘩はやめなさい。めっ!」 ジョアニーはPちゃんに、ファヌフはケヴィンに軽くデコピンをした。 Pちゃんとケヴィンのおでこにはおおきなタンコブができあがった。
たんこぶコンビを見て、自分も同じようにされてはたまらない、と Jテンは靴紐を結び直しダッシュでその場から去る。 その様子を微笑ましそうに眺めていた本田曰く 「鬼の前で上手に踊れば、そのコブ取ってもらえるかもしれないのになあ」 この場合、鬼って誰なのか。
バスは荒野を抜け、一路L.Aを目指す。 サーシャ「もう何もおきないわよね?」 ジョニ子「アタシに訊かないでよ。知らないわ、そんな事」 一方、王子イカはPチャンの鼻歌に合わせて踊るという芸を身に付けた。
王子イカは手(足?)をうねうねさせてのりのりで踊っている。 それにつられてアボットも腕をうねうねさせて踊りだした。 ジョニ子「あら、面白い。そうだアンタ達も踊りなさい。 おでこのタンコブとれるかもしれないし。ほらほら。早く早く」 Pチャン「うう、勘弁して下さい〜(鬼だ…)」 チャッキー「もうケンカしませんから〜(鬼だ…)」 アボット「どおいう意味だよお… (´・ω・`)」
セドナで得たパワーのせいだろうか。鬼wの手を借りずして、 二人のたんこぶは自然に引っ込んだ。 「よく考えたらコブを鬼にむしり取られるって怖いね」 「民話って細かい事気にせず、すごい事してたりするよな」 アリゾナからロサンゼルスはそう遠くない。 このまま何事もなくミライの元にたどり着ければいいのだが・・・
クリス「デビルフィッシュとかいうけど、こうしてみるとかわいいよね」 キャシー「それタコよ」 スミルノフ「大昔にテンタクルスって巨大イカホラー映画があってさ。そっちは怖かった」 悠子「そっちもタコよ」
そのころ未来は、母と二人で駄洒落を考えていた。 未来「このイカ、イカしてるねぇ」 母「あたりめぇよ〜」
「ハッピバースデェー♪アダム〜♪ハッピヴァースデェイ巻き毛〜♪」 ジョニ子は唐突にリッポンの誕生日を祝った。 王子イカがスルメのようにしんなりしてしまった。 が、バトルがネイティブアメリカン伝統のお菓子(干し草のようなもの)を与えたら、元気を取り戻した。 「セドナ、おそるべし」 レイチェルの学究心に火が付いたようだ。
レイチェル「そうだわ。その干し草で、今年流行ったイカ占いやりましょうよ」 どうやら干し草のパワーとイカの関係を研究したいらしい。 悠子「どうして欧米ってタコとイカの区別ないのかしらねー」 サーシャ「え〜っと、じゃあ…この先何かあるか何もないか占いたいわ」 バトル「こっちの干し草を食べたらある、こっちだったらない、ね」 さて…王子イカが食べたのは…
両方むさぼり食った。 「えー・・・なんかあったりなかったり?」 「適当ねえ」 お菓子大好きコンビは懊悩した。
「ともあれ、イカの色が綺麗な白になったし、嬉しいんじゃない?」 イカというのはストレスの有無で色が変わるものらしい。 タンコブが引っ込んだチャッキーが指先で王子イカと軽く握手してみせる。 さあ、もうすぐミライの住む街だ。 「お寿司〜♪」 プルシェンコのご機嫌ぶりをどう諌めたものか、ガッちゃんは頭を抱えている。
王子イカは今度はぴょこん、とチャッキーの頭上へと移動。ごろごろと猫のようにじゃれる。 チャッキーになついたようだ。 「ま、いいわ」とジョニ子はズラを取って後部座席へ。リッポンをアシスタントにヘアメイク。 「あー、長旅で疲れちゃったあ。ミライんちでお風呂、借りられないかしら」 ガッちゃんは意を決してプルに向き合った。 「ジェ、ジェーニャ先輩」 「ん?なんだい、アーチャー」 「イ、イカは食べてはいかんですよ」 ガッちゃんの渾身の諫言に車内は凍りついた。
ノリのいいジョニ子とPチャンとアボットは吉本新喜劇バリの足ずっこけを披露したが、 残りのメンバーはごく控えめなので(そしてバスのシートベルトをきちんとしめていたので) 上手にコケられなかった。リッポンは本気で悔しがっている。 「もうすぐ未来んちだわね」 レイチェルの声に、王子イカはぶるっと体を震わせてチャッキーにしがみついた。 「お寿司やさん一家に着いたら、食材にされちゃうと怯えているのかも」 「大丈夫、ミライだってイカと見るなりいきなり食べるわけにはイカないよ」 今度はプルだ。またしても車内は凍り付く。 「イカにも料理上手そうな子だけどね」 重ねてきやがった。もう車内の気温は氷点下。
とうとう未来の家に着いた!着イタヨ! 着イテ イイヨネ? 皆、肩や髪の毛に付いた薄氷を落としながらバスを降りてくる。 「きゃあ!みんなどおしたの〜!」「アンタのお見舞いに決まってんじゃない〜♪」 きゃいきゃいと再会を喜ぶ未来とジョニ子。「あら、あれは・・・?」 が、どうやら先客がいたようだ。店の片隅でぬいぐるみに埋もれているその男は・・・ 「ふわーはははは!ブライアン・ジュベールッ!ここで会ったが百年目! 見たか!クワド飛んだぞっ!見たかーーーー!!」 急に、張り切り出すPチャン。 しかし、すぐに男性スケーター陣に取り押さえられる。 「空気読めよ」「空気読めよ」「空気読めよ」 「ぐぐ、だってぇ・・・クワド決めたのにぃ・・・・」 経営者「初めて補助輪なしの自転車に乗れた子供か。お前は」
自転車には乗れるのに、とズレた逆ギレをしているPチャンを押しのけ、 兄弟子・ライサは妹弟子・ミライにチーズケーキをプレゼント。 「わぁ!すごく嬉しいですぅ」 アボット&メリルからはクッキー。かわいいラッピングにはしゃぐミライ。 「フライングピッグの包み紙がかわいいですぅ!」 「私たち女子チームからはドーナツよ」 ジョアニーが担ぎ上げてきたダンボール箱3箱を見て、ミライは目を丸くした。 「す、すごくたくさんで嬉しいですぅ」 チャッキーとリッポンはイカと手を繋いでいる。 「き、金魚と一緒に飼おうかな?む、無理かもしれないですぅ」 イカがストレスでエンジ色になった。 カップケーキをくわえて反対側から食べる相手を探しているジョニ子に、 思い切り墨を噴いた。
「おお、みんないらっしゃい」 包丁を手にした、通りすがりのミライのお父さんの顔に墨が命中した。
「ミライ〜セドナで受け取ったパワーを僕の情熱的なハグで君に送るよ〜」 ランビはミライをハグしようとしたが 顔に墨をあびて視界がせばまってよろけてしまったミライパパにタックルをかまされた。 「ア!アハハン!!ミライパパ…包丁!包丁が僕の目の前に…!!」 「あ、ごめんね。ステファン君。思わず転びそうになってね、ハハハ」 「ミライパパ、目が笑ってないわね…」 「転びそうになったのって、まさか…」 「セクハランビだからしかたない」
ランビのつま先をぐりぐりと踏みながら笑っているミライパパの視線の先にはイカ。 そう、墨を思いっきり顔に吹き付けたイカである。 (ヤバい、ピピネラを守ったように僕が王子イカを守らなきゃ…) そう思ったリッポンがミライパパに頭を下げる。 「お父さん、すみませんでした。悪いのは僕なんです。責任は全部僕にあります」 「きゃーっアダムったらいつの間にミライとそんな関係に!? アタシ聞いてないわよっ」 勘違いしたジョニ子の言葉にミライパパの顔がひきつった。
「う、うちの娘はまだ未成年なのだが。まさか君、ショットガンウェディングなんて事に・・・」 出刃包丁ウエディングの予感に気づき、リッポンはやっと自分の失言に気付く。 「あの違うんです、交際とかそういうのではなくて。イカを連れてきたのは僕だから お父さんの顔が汚れてしまったのは僕のせいだって事を謝罪したくて」 「・・・君にお父さんと呼ばれる覚えはないな」 ミライパパ涙目。その墨で汚れた頬を、娘のミライが優しく拭く。 「ボーイフレンドなんて10年早いですぅ。今はスケートで手一杯だもの」 「そうか、いやこの青年があまりに真摯な様子だったから。アダムくん、すまない事をしたね」 娘のフォローで少し気持ちが落ち着いたのか、リッポンに早合点を詫びるミライパパ。 「あれじゃ社交界デビューはまだまだ無理ね」リッポンのオタオタぶりを見て、 女社長のようにレイチェルがバッサリと判断を下す。
「…そしたらね、そこでアダムが飛び出してきて『ミライを大切にします!お父さん、僕とミライの仲を認めて下さい』ですって」 ミライにお土産を渡しリビングでくつろいでいた面々の元に隣の部屋から飛び込んできたジョニ子が 脳内で脚色されまくった一部始終を語っていた。
「ジョニ子姐さん!適当な事いうのやめてください!」 「だぁってアタシドラマティッククイーンですもの」 「自分の中だけのドラマにしておいてくださいよ。ほら、ミライだって困ってるじゃないですか」 リッポンが指さす先には、金魚鉢に王子イカをそうっと仲間入りさせようとしている笑顔のミライがいた。 こっちの方がよっぽどドラマティックだ。
「海水生物のイカを真水に入れちゃダメだー!」 チャッキーがダッシュで止めにかかる。 「イカの飼育ってむずかしいんだよ。水質や水温、水流やエサなどに細心の注意が必要なんだって」 「この王子、アダムの頭の上で海水あびながらセドナの草食べてるだけで元気そうだけど」 ジョニ子のツッコミにチャッキーはなんとも複雑な表情を返す。 「・・・そのセドナの草のせいなのか、アダムの髪のせいなのか、生命力が増しているみたいだね」 「金魚とイカが一緒に泳ぐの見たかったなぁ」 ミライはちょっと残念そう。 ミライパパはイカを捌いていいものか控えたものか、職人魂がうずいている。
「そっ、それに王子イカは僕らの仲間でお土産じゃないんだっ」 「なあんだ。そうなんですか。残念…」 「ごめんね、…ハーマイオニー」和ませる為に無理してギャグをいれるチャッキー。 「だ、誰がハーマイオニー、ヤネン」頑張って突っ込む未来。 アボ「じゃあ、僕はハリー・ポッターだよ!」 Jテン「僕、ハッフルパフ寮生!」 ジョニ子「主役はアタシよ!アタシがハリー・ポッター!」 経営者「いやあ、それは無理があるだろう」 一方、Pチャンはしつこかった。 「ねーねー、ブライアンー。君ってクワドノート?とか作ってるんだよねぇ? あれ、そういえば僕、この間クワド飛んだ気がするぞ?あ、つべ見る?」
「つべでもニコでも見るさ。おや、これか?」 「ふふふ、どれかなー・・・ぎゃああああああ!」 ジュベが見せた画像はPチャンが以前Twitterで披露してすぐ消した傷画像だった。 「自分のでもびびるってば!」 すっころんで王子イカにダイブ。即、墨を噴かれた。 「パトリック、イカをいじめないであげてほしいですぅ。我が家特製のしめさばをあげるから」 「いや、しめさばは遠慮しておくよ。イカとも仲良くするし」 しかし王子イカは心が傷ついたのか、Pチャンが近づくとストレスで赤黒くなる習性がついてしまった。
王子イカに嫌われてしまい、ちょっぴり凹むPチャン。しかし、 「やあ、本当だ。綺麗なクワドだ。うんうん、パトリックはいい子だね」 ジュベに褒められ『ふふん、どんなもんだい』と鼻たかだか。 チャッキー「あれ、絶対、相手にされてないよ!」 リッポン「いいんだよ。パトリックが満足なら。そっとしといておやり」 王子イカはセドナの草を貰って元のきれいな白いイカに戻った。 ばかりか、やたら元気いっぱい!店内をぴょんぴょん飛び回る。 やがて、何を思ったか突然、外へと飛び出して行ってしまった! 「やだっ!こらー!待ちなさーい!!」みんな慌てて王子イカの後を追いかけた。
王子イカを追ってLAの町並みを走りながら、サーシャはミライに詫びる。 「お見舞いに来たのに、こんな事になってごめんなさいね」 「いいんですぅ。皆さんが来てくれた、その気持ちが嬉しいですぅ」 いじらしい子である。サーシャが感動で涙ぐみそうになった瞬間 「ナガスだけにイカを川に流さないようにきをつけなきゃ」 必殺のオヤジギャグをくらい、サーシャは腰砕けになってしまった。
王子イカは墨を噴出しながら華麗な4-4-4のコンビネーションでLAの街を駆けめぐっていた。 「アタシだって練習してるんだから…見てなさいよおっ」 3A-3Tで追いかけようとするジョニ子。 あまりに綺麗に決まったので録画しようと固定カメラを準備しているうちに王子イカを見失ってしまった。
お、王子早すぎ!さすがスケーターになついただけの事はあるイカである。 イーグルで必死に追ってきたリッポンがジョニ子に叫ぶ。 「ジョニ子さん自分録りしてる場合じゃないですー!」 「アタシは美の求道者だからいいのよ」 しかし王子イカはどこに!? なお、ピンク色の悪趣味なバスは、長洲家の庭に放置されている。 長洲家気の毒・・・・
その頃プルはイカを追いかけずに長洲家で寿司を食べていた。 「お寿司おいしいなぁ。イカを追イカけるより食べる方がいいもん」
プルの隣りでお寿司を頬張るがっちゃん その向こうでは一般のお客さんがおあいそをしていた チャリーン☆
お金の音にプルの猫耳がピクピクっと反応する。もはや体の一部なのか。 お寿司を食べ終わった二人は酢飯の混ぜ方やかんぴょうの戻し方などを ミライパパに習い、楽しいひとときをすごす。 「ピザ作りより楽しいな。このイカしたカッパ巻きで100ユーロは取れるよ」 「そういう話やめましょうよー。イカがわしく聞こえてしまいます」
王子イカは路地裏に逃げ込んでいた。 こっそり持ち出したミライのノートPCを開きツイッターにアクセス。 ミライのIDでログインされたままだ。ラッキー。 『パパに会いたい…お家に帰りたいよ……』 涙の代わりに墨を流しながらそう呟いた。
駄洒落無限地獄に堕ちてしまった長洲屋。 店内にはつららが垂れ下がりはじめた。 一方、庭先ではピンクバスのピンクに釣られ、ザワツキー、サムソン、ギルスが集合。 スケカナ女子SP第1グループ、ピンク娘有志によるピンク祭りが開催されていた。 (イベント内容は主に写真撮影会)
ツイッターキング・アボットはミライの『帰りたい。パパに会いたい』をめざとくみつけた。 「おかしいな。本人は僕の隣でニコニコしながらイカスミソフトクリームを食べているのに」 これはもしや・・・そう、あの卑劣でおぞましい犯罪に違いない! 「ミライのIDがのっとられた!ハッカーだ!ストーカーだ!怖いクモに食べられちゃう!」 この種のトラブルにはやたら弱いアボット。ほぼパニック状態に。
バトルとレイチェルにデザートを食い尽くされ プルとガッちゃんに寿司ネタを食い尽くされ 庭先でのピンク祭りはいつのまにかランビのハーレムアハンアハン祭りになって 女性陣が大集合。ミライへのお見舞い品が提供されプチ立食パーティの様相を呈している。 長洲家の食料はもはや底をついていた。 ミライの大切なスケート仲間、ここは笑顔でおもてなしと買い出しに出掛けたミライパパ。 スーパーで買い物をしながら愛娘ミライのTwitterを見てみるとそこには…… (ミライが家に帰れない状況に陥っている!!!!! 庭先のあの破廉恥パーティにミライの姿はなかった!! ミライは一体どこに!!!!)
ミライはメリル+アボット組とカフェで、王子イカ探しをサボってソフトクリームを味わっていた。 「イカスミの味しなーい」 「まあ、こういうキワモノメニューってそういうものよ。ジェレミーのカレーソフトクリームはどう?」 「ガラムマサラがバッチリ効いてる。口の中が燃えるように痛いよ。ってそんな事よりハッカーを退治しなきゃ!」 ID乗っ取りが何より許せないアボットは、カフェの中心で怒りを叫ぶ。 「呟きは自分一人の、誰にも犯されないものだ!」 「とりあえず、こころあたりはあるの?」 メリルは冷静である。しかしミライは首をひねるばかり。
一方ジョニ子はL.Aの道端でPCとにらめっこ。 リッポン「ねえ、早く王子イカを探さないと」 ジョニ「待ってよう。せっかく綺麗に決まった3A動画。つべにアップしなきゃ。三日はかかるわ」 チャキ「おそっ!王子イカ心配だな。アダムの巻き毛で釣れないかな?アダム、ひと房・・・」 リッポン「やだよ!」 Pチャン「お前の髪で居場所わかったりしないの?」 チャキ「え?!そ、そうそう王子イカが近づくと、前髪の部分がピーンと、 って、鬼太郎かっ!・・・・・うわーーーーーーん」 慣れないノリ突っ込みに挑戦し、耳まで真っ赤になるチャッキー。 Pチャン「わはは、やーいやーい」
ミライパパは出刃包丁を持ったまま、血眼になって街を疾走する。 「うちの娘がさらわれたー!ああ、そこのあなた、うちの娘の写真はこれ。見かけませんでした?」 「長洲さん、おちついて。この街であなたのお嬢さんを知らない者はいないし、 みんなオリンピックで見かけてると答えるよ」 通行人に宥められつつ、ミライパパは出刃包丁をサラシに巻いて腹巻きにしまった。 「ああ、未来・・・お前やっぱりあの巻き毛青年と駆け落ちでも?いやそんな事あるわけがない」 不安と疑念と否定が頭の中でグルグルと渦巻く。
「ミライちゃんなら2ブロック先のカフェで見たよー」 通りすがりの中学生がミライパパに声をかけてきた。 「巻き毛の色男と一緒じゃなかったかい!?」 「巻き毛じゃなかったけど、背が高いブロンドの男と一緒だったなあ」 「なんだとー!」 ミライパパ再びダッシュ。 中学生の「すごく色っぽいお姉さんも一緒だったよ」は聞こえてなかった。
『泣いてばかりいちゃいけない。だって僕は大きくなったら立派な大王になるのだもの』 王子イカは墨をぬぐって雄々しく立ちあがった。 気持を切り替え、せっかくだから観光しよう!とサンタモニカへ。 美しい景色にテンションがあがる。さっそくツイート。 『王子子イカです。サンタモニカなう。アナログイカなので画像がアップできません><。』
アボット・ミライパパ・そしてジョニ子と、それぞれほぼ同時にミライのIDのツィートを捕捉。 「イカか・・・そういえば彼、今行方不明中」 さすが王子イカ、ノートPCを使いこなす知性に驚愕を覚える一同。 「とりあえずサンタモニカを目指すわよ!あ、日焼け止め買わなきゃ。サングラスも新調したいわ」 やけにジョニ子は嬉しそう。 「イカくん、PC持ってっちゃってたのね・・・寂しかったのかな」 ハッキング?されておきながらもミライは健気な事を言っている。どこまでお人好しなのか。 アボットは画像うpの方法を教えたくてしょうがないご様子。 ミライパパはもちろんサンタモニカに愛車を飛ばす。店は臨時休業である。
連投ごめん。 ミライパパは2ブロック先のカフェに行ったけど、もうその時はアボット・メリル・ミライのトリオは サンタモニカに向かっていたのだった。で、パパはそれを追う。心配性? リッポンはゲーブルに「焼きそば頭でイカをおびき寄せるコツ」を聞くべく人づてにメールを打ったが 残念ながら返事は来なかった。
「あう、残念。やっぱり曇ってる…。ていうか夏に来たかったわ。 今年は結局、南の島に行けなかったし(行ったのかしら?記憶にないわ)。ぐちぐち」 サンタモニカに到着し急に愚痴り出すジョニ子。 「何言ってるのよ。のりのりで仕事してるじゃない」 「仕事で忙しいのは幸せな事だろ?」 旧友のサーシャ、経営者に諌められ「まあね♪」と笑みを返すジョニ子。 「さあ!王子イカを探すわよ!アンタ達、行ってらっしゃい!」 「って、自分は探さないのかよお?」若手に命令するジョニ子に不満の声をあげるPチャン。 「パトリック!いちいち口ごたえしないっ!でも、そうね。じゃあ、 一番に王子イカを見つけた子にはアタシの復活した3A券(賞味期限あり)を進呈するわ」 ぴくっとチャッキー、Pチャン、Jテンのメープルズ…とリッポンも反応した。
「アハーン僕も頑張ろうかな」 背後から聞こえたその声に一同が振り向く。 「ジョニーがいいものをくれるって小耳に挟んだんだよ、アハン。 女の子も素敵だけど、アハンアハンそっちも魅力的だよね。 もらった暁にはショーで飛びまくっちゃうよアハンアハン」 そしてジョニーとサーシャを残しみんな一斉に王子イカ探しのため 四方八方に駆けていった。 「さて、サーシャ。アタシ達はショッピングに行くわよ〜〜〜。 みんなアタシの買い物に付き合うの嫌がるからアンタがいてよかったわ」
「王子イカといえば栄誉を好みそうよね。 ってなわけでミュージックアワードのトロフィーをエサに釣ってみようかしら」 ジョニ子が引っ張り出したトロフィーを、サーシャは慌てて取り上げる。 「何ほんとに持って来ちゃったのよ!シャキーラに渡さないとだめでしょ!」 「さっき電話したら、いらないからあげるって言ってたもーん」 「嘘おっしゃい!」 さすが付き合いが長いと嘘を見破るのも上手い。サーシャはバッグにトロフィーをしまうと、 華麗なスパイラルを披露しつつ返却に向かった。ちなみにタイツは自前だ。 メープルズ+リッポンはイカ釣り船のオヤジさんたちに船を出してもらえないか交渉中。 プル+ガッちゃんはキャビアの軍艦巻き(ビーチサンダル大)を食べてご満悦。 それおみやげじゃなかったのか。
サーシャに耳を引っ張られながら引きずられ、ジョニ子はぶつくさいいながらトロフィーを返却。 しかしついでにショッピングでご機嫌。 「タニスと違ってサーシャは文句言わないからねー」 「言っても無駄じゃないの」 サーシャ、どこまでも大人である。 ランビ以下、他の参加者は全員イカ探し。 軍艦巻きをほおばるプルとガッちゃんの横顔はカピバラさんのようだが、凛々しい。 ミライパパはサンタモニカに着くなり娘のファンだというスケーター少年少女たちに囲まれ、 身動きが取れず。ミライロールのレシピを教えたりしている。
当事者であるにも関わらず、一番最後にサンタモニカ入りした未来・アボット・メリル組。 アボットは相変わらずTwitter頼りで情報収集している。 「ホットドッグスタンドの前に、ノートPC持った子供イカがいたって!」 「よし!急ぎましょう」 「かわいそうに、お腹空いてたのかしら・・・」 しかし現地についた時にすでに王子イカの姿はない。次はどこに行ったのか。
「全くあいつはよくトラブルを起こす奴だな」 「可愛い子には旅をさせよ、とはいえ、周りの大人はちゃんと守ってやらないとねぇ」 ライサとランビ、そしてテン君の三人は王子イカを探してショッピングモールへ。 ちょっと待ってろ、と二人はテン君をおいてマーケットに入って行った。……… 「うひゃっ」 突然、、両頬に何やら冷たいものを当てられた。 「ほらデニス。奢りだ」 二人から手渡されたのは、「・・・・フレッシュ・・・ジュース」 「焦っても仕方ないぞ。まあ、お前は賢いし、強い男だから心配してないけどな」 「デニスの旅は始まったばかりだよ。この先も色んな事が起こるよ。楽しみだねぇ」 ランビはそう言ってにっこりと笑う。 テン君はジュースを両頬に当てたまま、ちょっと俯き、それから二人にぺこりとお辞儀した。
無限の可能性を秘めたスケート王子・テンくんが先輩の励ましで精神的成長を遂げたころ、 王子イカは浜辺でカニを相手に世間話をしていた。 「実家帰りたいんだけど、すぐ戻るっていうのもなんか子供っぽいというか」 「君子供じゃん。つかPCは持ち主のミライちゃんに返さないと」 「だよね。心配させちゃってるかな。悪い事した。謝ろう」 こっちも微妙に精神的成長を遂げていた。 「おめえはいい目をしている。漁師をする男の目だ。跡継ぎにならねえか」 イカ釣り船のオヤジに熱くスカウトされ、Pチャンは涙目になっていた。 仲間に助けを求める視線を送るが、チャッキーは寝たふり、J・テンは貝殻拾いに熱中、 リッポンはゲーブルが現在焼きそばヘアでない事にショックを受け茫然自失。
孤立無援か、Pチャン? そこへトッド・エルドリッジが、優雅なスケーティングで現れる。 「無理を言っちゃいけないよ。彼、困ってるじゃないか」 「おう、誰かと思えばトッドかよ! 何年ぶりだ?」 何とこのオヤジ、エルドリッジと同じ漁師町出身の幼馴染みだった。 「……た、助かった」 昔話で盛り上がり出す二人の前で、ほっと一息つくPチャン。
未明になるのを待ち、イカ釣り船はいよいよ出航する。 (トッドの計らいで無料だ。素晴らしい先輩に感謝!) 「イカをおびき寄せる灯り?綺麗だね」 感動するJ・テンに漁船親父も自慢げなウインクを飛ばす。 「なんならおめえがこの船継ぐかい?」 「いや遠慮しときます。まだしたい事たくさんあるんで・・・」 出港後5分。リッポンは強烈な船酔いでぐったり。 Pチャンは嫌がるチャッキーを付き合わせてタイタニックごっこ。 J・テンはイカ釣り船の灯りをインテリアに応用できないか検討している。 皆、主旨を忘れているかも知れない。
一方こちらはプルとガっちゃん。 「やったー。ハリウッドだー。アーチャ、写真撮ってー」 「はあ、いいですけど・・・(パチリ) 王子イカ探さなくていいんですか?」 「頼りになる仲間がいっぱいいるんだから、ちょっとくらい観光しても平気だよ」 そこへ・・・ 「きゃー。ハリウッドよー。ふふ、いずれこの街もアタシが制するのよ。サーシャ写真〜」 「あんたったらそんな事考えてたの・・・あら?」 顔を見合すプル&ガっちゃんとジョニ子&サーシャ。 「いや、他にも人はいるし、ね。はは」「そ、そうよね。皆探してくれてるわよね。あはは」 更に・・・ 美姫「あー!マリリン・モンローのTシャツみっけ!パパ買って〜」 本田「パパはそんなにお小遣いないんです・・・・って、あ゛」
意外とやる気を出しているのがピンク娘有志ことザワツキー、サムソン、ギルス。 サンタモニカに着くなり、シュノーケリングの準備をしてビキニに着替える。 ショッピングモールから浜辺に移動していたランビは、幸せで人生薔薇色。虹色。シマウマ色。 「デニス、ああいう形で力を得ていく生き方もあるって事だ」 「鼻血出してみていいですか」 「ああ、盛大にまき散らせばいい」 ライサ&テンくんはランビを微笑ましく見守るのだった。
「全くあなた達は何やってるのよ。情けないわね」 「・・・・面目ない」 サンタモニカの船着き場でレイチェルはお怒りモード。 結局、リッポン以下三人も次々と船酔いに見舞われ、なんの成果もなくほうほうの体で戻って来た。 「アグネス達の情報によればこの近海に王子イカはいないようよ。他をあたりましょ。 ほらほら、ちゃっちゃと立って、とっとと歩く」 レイチェルは4人を待たずにすたすたと歩きだす。 チャッキー「(ヒソヒソ)何かレイチェル一段と恰幅・・・じゃなくて貫禄がついてない?」 リッポン「(ヒソヒソ)またケヴィンはそういう事を。女の子に対して失礼だよ」 Pチャン「(ヒソヒソ)お前は現実を見ろよ」
アボットがTwitterで王子イカ情報を捕捉! 「しかもハリウッドだ。『すげーの見た。なう』とか言ってるよ」 「どう考えてもノートPCパクって地上を旅するイカの方がすごいわ」 「この『すげーの』・・・ジョニーじゃないかしら?」 ミライが指さす先には、ワッサワサな毛皮を身に纏い、ピンヒールで闊歩する後ろ姿が・・・
「ジェレミーから王子イカがハリウッドにいるって情報が入ったわ」 携帯電話を握りしめ、ジョニ子は決意を秘めて立ち上がる。 新兵器のあれを出すのか? ―――そう、背中から飛び出すハート型の投網(着脱可能)だ!
美姫「すごーくどーでもいい話なんだけど、今、急に日本の年末思い出しちゃったわ」 本田「偶然だな。俺もだ。紅白だろ?」 美姫「そうそう。そう考えるとジョニーもまだまだ可愛いもんなのね」 ガチ「(日本の年末って・・・・)」
ミハルもバトルにくっついてハリウッドにいた。 「ハリウッド最中にハリウッド団子に・・・食べたいおやつがいっぱいだ」 「さすがバトルさんは買い物のセンスもいい。あ、ハリウッド煎餅、最後の一袋ですよ」 「欲しいー!」 手をだしたバトルの指にヌルリとからみつく白い触手。そして吸盤。 王子イカである。 あと一歩のところで王子イカが煎餅を横取りしてしまった。 『ハリウッド煎餅買った。なう』 敗北を噛みしめるバトル。義憤にかられるミハル。 「イカの後を追いましょう!煎餅を返してもらうのです!」 イカ追跡軍に、また二人の戦士が加わった(理由は煎餅だけど)。
ミライパパはやっとミライ(とアボットとメリル)に合流、 ハリウッドのど真ん中で愛娘を抱きしめ、無事を祝う。 「大丈夫か?また疲労骨折なんてしてないか?さあ早くおうちに帰ろう」 「その前に王子イカくんからPCを取り返さないと」 数メートル隣では、ジョニ子がハート形の赤投網を背負い、王子イカと対峙。 「逃がさないわよ、坊や」 「あなたに捕まるのは怖い。なう」 かなりのつぶやき好きである。アボットと気が合うのではないか?
「いた!あそこだ!」「いたわ。あそこよ!」 少し離れた場所から王子イカを発見したのは、 メープルズ+レイチェル&リッポンと真面目に王子イカを探していたロシェットとファヌフだった。 「シンシア!俺をあそこまで投げてくれ!」 是が非でも3A券が欲しいPチャンはファヌフに頼む。 「ええ?!いいの?」「ああ!3A券は二人で山分けだ!」 「わかったわ!」 てっきりスロージャンプ方式で投げられると思ったが、ファヌフはおもむろにPチャンの足を掴むと ジャイアントスイングからハンマー投げ方式でPチャンを投擲した。 「ふぎやあああああああああああああ」 綺麗な放物線にファヌフは思わずガッツポーズ。凄く男前。 Pチャンはちょうどジョニ子と王子イカの間にぐしゃっと落ちた(着氷失敗)。
「ギャアアッ」「キャッ…てめぇ何しやがるっ」 2つの声が同時に上がった。 1つはPチャンの襲撃に驚いて飛び跳ねた王子イカの声。 そしてあと1つは… 「ナスティア!」 王子イカがいきなり胸元に抱きついてきてびっくりした通りすがりのリューキンの声だった。 そしてその姿を見てさらに驚きの声をあげるライサ。 「この子を捕まえてくれてありがとう、ナスティア。はい、これ賞品。アタシの華麗な3A券よ」
「なんかわかんねえけど賞品っていうならいいもんなんだろ。もらっとく。ありがと」 リューキンは王子イカをぞんざいにつまみあげ、ぺしっとジョニ子に投げる。 それを受け止め、赤い投網にくるんでジョニ子は赤ちゃんを抱くように王子イカをホールド。 「さあ人騒がせなおチビちゃん?みんなに言う事あるわよね?」 「・・・ごめんなさい。特にミライちゃんごめんね」 当事者のミライももう現場にいたが、「パパと一緒にハリウッド。なう」などとつぶやいており、 まったく恨んでいる様子はなかった。 ただ、PCが粘液まみれなのには閉口しているようで、一生懸命拭いていた。
ジョニ子の胸に抱かれ母の胸に抱かれているかのような安心感を覚えるイカ王子。 リッポン「ジョニ子姐さん、お母さんみたいですね」 Dテン「ジョニ子母さん?」 そう言われ満更でもないジョニ子は調子に乗る。 「やだわ二人とも。しょうがないわね。アンタ達も抱っこしてあげるわ。 さあ!母の胸に飛び込んでらっしゃい!ばっちこい!」 リッポン「い、いえ僕は成人してますし。デニス行っといで」 Jテン「そうだ弟よ。存分に甘えておいで」 面白がってJテンもリッポンと二人でDテン君の背中を押す。 「や、やだやだやだやだーーー!」 いろんな意味で恥ずかしがるDテン君だった。
「イカ王子がイカ王女ならアナスタシアって名前をつけてあげるのに・・・ 男の子用の名前はまだ考えてないのよね。いいのが思いつかないの」 よそんちの子(イカ)に勝手に命名しそうになるジョニ子。 「エヴァンでいいじゃん。漆黒(墨だが)の美学を持つ王子ったらエヴァンだろ」 なぜかリューキンが命名。しかしイカがなものか。
キャビアどんぶりを差し出しながら、プルシェンコは問う。 「エヴァン(イカの方)、どうして逃げ出したりしたんだい?」 「急にホームシックになっちゃって・・・」 いつのまにか喋れるように進化を遂げているエヴァン(イカの方)はキャビアをつまみながら素直に心情をトロ。いや吐露。 「わかるよー!ふいに不安になったりとかあるんだ!エヴァン(イカの方)だけじゃないよ」 がっちゃんはやたら同意。感情移入がすごい。 やたらエヴァン(イカの方)エヴァン(イカの方)連呼され、ライサはイカ墨を噛み潰したような顔をしている。
「イテテ、はあ、俺の3A券が…」 傍らで悔しガリ、いや、がるのはPチャン。 「パトリック大丈夫?ごめんなさい…」 責任を感じ寄り添うファヌフにPチャンは慌てておどけて見せる。 「あ、シンシアのせいじゃないよ。それに俺コケ慣れてるし。腕とか痣だらけ。はは」 チャキ「うわあ、パトリック。コケ慣れてるって…。凄い説得力あるよ」 リッポン「じ、自虐ネタ?」 Pチャン「違うっ!練習でっ!腕の痣は夏のマウンテンバイクでの名誉の負傷だし!」 チャキ「解ってて言ったんだよ〜ん」 リッポン「つか、名誉の負傷って。ぷぷ」 Pチャンはチャッキーとリッポンをしばきたおした。
「じゃ、おうちまで送ってあげる事にしようか」 経営者がもっとも真っ当な案を出す。みなもそれに賛成。 長洲家特製ちらしずし弁当を人数分用意してもらい、再びあいのりもどきバスへ。 リューキンも補助席というかライサの膝の上席に乗り込んできた。 「ねえエヴァン、あ、イカじゃない方。チーズケーキ余ってない?ちょうだいよ」 「レイチェルたちが食い尽くしてかけらも残ってないよ」 「じゃあエヴァン、あ、イカじゃない方。ちらしずしのエビちょうだい。好きなんだ、これ」 「いちいちイカじゃない方って言うなよ」 「あぁん!?なんか言ったか?」「いえ、なんでもないっす……」 3A券はその価値に気付かないまま、リューキンがジーンズのポケットにねじ込んでいる。 それを虎視眈々と狙うPチャンたち。
大西洋の大王イカの元へ向かう一行。 「はい、長旅だしこれでも食べようよ」ピンクス・ホットドッグを配るPチャン。 (これを渡すときにさりげなく足下に落として… 拾うと見せかけて屈み込みながら3A券をゲットだぜ!) 「はい、これどうぞ。あっ」タイミングもバッチリだ。 ホットドッグはそのままリューキンの足下に落ち………なかった。 リューキンの服がソースで汚れたらとばっちりを食うのは俺だ。 その思いが尋常でない反射神経とあり得ない姿勢を生み出した。 人間の方のエヴァンが目にも留まらぬ早さで下に落ちる寸前のホットドッグにかぶりつき完食。 もちろん膝の上のリューキンも落とすべからず。
「なんで私の食べちゃうんだよー!チリたっぷりのがよかったのに!」 「ごめんナスティア、落ちそうになったから反射的につい。新しいのもらって」 「じゃあパトリック、ワカモレてんこもりのちょうだい」 三者三様の思い(言うまでもなくリューキンのが一番明快)がこもったホットドッグが行き来。 しかし3A券は相変わらずリューキンのポケットに。 それを恋人特権で奪いたがらないライサは、真面目なのか間抜けなのかビビリなのか。 「ねえアーチャ、世界一セクシーなホットドッグの食べ方を教えてあげましょうか」 ジョニ子の誘いを涙目で断りプルシェンコの後ろに隠れるガッちゃん。 「じゃあミハル」「次僕!?JテンかDテンじゃないの?」
(待てよ。まだ3A券が余ってるかも。それをバトルさんにあげれば喜んでくれる!) 「バトルさん!俺、バトルさんの為に絶対3A券を手に入れてきます!」 ミハルは決死の覚悟で後部座席へと向かった。 「えーと・・・彼はなんか勘違いしてないかな」 「だよねー。ジェフが欲しいのは3A券じゃなくてクワド券だよね。後輩から貰う?むしゃむしゃ」 「うう、ジェーニャがさらっと酷いこと言うよう・・・苛めるよう・・・ ;」 「メリル。ホットドッグ貰って来たよ。一緒に食べよ」 「わあ、有難う。嬉しいわジェレミー」 しかしエヴァン(イカの方)をあやして遊んでいたので両手が塞がっていた。 困ったメリルはおもむろにエヴァン(イカの方)を膝の間にムニッと挟んだ。 「いや、メリル!それは色んな意味で駄目でしょ!」
ミハルが決死の覚悟で臨んだセクシーホットドッグ教室だが、 開講直前、工事中の道路の段差で、バスが大きくバウンドした。 「もごっ!」 ジョニ子はホットドッグを喉に詰まらせ白目をむいてしまった。 「失神する前に3A券くださーい!」 「いいからまずは助けないと!」 ファヌフがひょいっとジョニ子の足首をつかんで逆向きにぶら下げ、 ロシェットがジョニ子の背中をどつく。 「うぎゃっ!いたっ、痛いってば!」 あっさりホットドッグが飛出した。背中は痣だらけだが命拾い。 「どうせなら王子様のキスで目覚めたかったわ」 そんなジョニ子のほっぺたに、エヴァン(イカの方)が軽くキス。
チャッキー「へったくそだな〜コケ慣れてるって言ってたんだし思いっきりコケればよかったんだよ」 リッポン「そんなことやってリューキンさんが本気で怒ったら・・・」 アダム「エヴァン(人間の方)にいつも犠牲になってもらうのも悪いよね」 Jテン「そんな遠回りしないでさくっと真正面から頼もうよって言っても あのリューキンさんだし、恐いよなあ」 3A券奪取の計画を立てるその後ろで・・・ 「アハンアハン、ナスティア今日も綺麗だね。あんな美しい演技を魅せる君と こうやって同じ時を過ごせるだけで僕は幸せだよ。 これもらってもいいかな?アハン」 いつも通り身をすり寄せいつも通り腰に手をやり実にさりげなく3A券をつまんだ。 「ああ、別に使い道ないしね。使ってくれる人がいるならそれに超したことないよ」
騒々しいバスの中で、ライサはウトウトしていた。 体が大きすぎる彼にとってバス移動はかなりの苦痛で、疲労を伴うのだ。 ふと目を覚ますと、しがみつくようにして最愛のリューキンがうたたねしている。 いつも通り美しい彼女のブロンドを指ですいたりしているうちに、ふとある事に気づく。 「ナスティア、3A券どうした?」 「・・・ん、ステファンがくれっつったからやった」 「な、なんであげちゃうんだよ!君が獲ったって事は自動的に俺が貰えるんじゃないのか?」 「へ?欲しかったの?だったら言えよー。言わないからいらんものだと思ってあげちゃった」 まだまだ意思の疎通が完全にはできてない恋人たちである。
さて給油中のあいのりもどきバス。 プル「エヴァン(イカの方)の実家って大西洋のどこらへんだったっけ?」 ジョニ子「大丈夫よ、アタシがちゃんと目印にアフロのヅラを浮かべておいたから」 そんなのんびりした会話をよそに 同じガソリンスタンドで給油している通りすがりのお嬢さん達の目の前で 華麗に陸上3Aを披露し、賞賛の声を浴びるランビ。3A券を無事に使い果たした。 それに気づかずPチャン達はバスの中でまだ3A券奪還を計画中だった。
Pチャン「こうなったらアグネスたちと手を組むしかないって」 チャッキー「そういう色仕掛けの策略とかかっこ悪いな」 Pチャン「お前には頼んでない!おーい、そこの色男ロミオ?」 リッポン「色男なんかじゃないよ。つか、僕らごときが策を練っても華麗にかわされるんじゃないか?」 Jテン「謎のポエムで煙にまかれるよな。デニス、君の意見はどう?」 Dテン「なるようにしかならないんじゃないかと・・・zzz」 レイチェル「ほら。この子ははなっから他人の券なんてアテにしてないのよ」 Pチャン「うううー、どうしたらいいんだ」 外の空気を吸って、ついでに足腰を伸ばしていたライサ&リューキンが帰ってきた。 「いやあさすがはステファン、すごい技だった」 「あれなら券あげてよかったなー。イカじゃない方のエヴァンは自力でがんばれ」 「がんばるけど、イカじゃない方っていちいちつけるのやめてほしい・・・」 恋人たちの甘・・・くない語らいなど、メープルズ+αには全く聞こえていない。
ミライとアボから指導を受け、Twitterのアカウントを取得した王子イカエヴァン。 「あいのりもどきなう」「ジョニ子姐さんに王子様のキスなう」「みんなで3A券を取り合ってるなう」 目の前で起こったことをどんどん呟いていく。もちろん写真つき。 呟き王子アボも負けてはいられない。
「うーん、どうしよう。そうだ!こんな時は質問タイムだ!」 『みんな何か質問ある?』 すぐに続々と質問が寄せられる。 『あら、ジェレミー。今、何処にいるのかしら? ^ ^』『何してるのかしら? ^ ^』 『どうして帰って来ないのかしら? ^ ^』『あれからどれだけ経ったと思って…… 「うわああああ…!みんな!早く出発しよう!!」
日本のどこぞでの会話 娘「ねえ父さん、私の教え子が最近言う事を聞かなくてこまっているの」 父「その子はもともと素直でいい性質の選手かい?」 娘「もちろんよ!ただ、ちょっとTwitter中毒なだけ」 父「だったら一度パイプ椅子を振り上げて、威嚇してみてごらん」 娘「なあんだ。そんな事でいいのね^^ プロレスみたい。楽しそう^^」 父「本当に投げつけてはいけないよ……って最後まで聞かずに出ていってしまったなあ」
可愛い息子を旅に出し、ちょびっと寂しい思いをしている大王イカ。 そんな彼の日課は愛息を連れ出したスケーター達のツイッターをチェックすることだった。 (大王イカ一家は意外とIT一家。息子の行動チェックはこれでばっちり)
事務用家具店で、超大型パイプ椅子を探すユカ。 付き添うアリッサ・シズニーは不安顔。 「あの・・・大きい方が効果あるってのはわかるんですが、限度ってものがあるんじゃないかと」 「そう?^^」 氷上では弾ける笑顔のアリッサだが、ユカ(とアボット)が心配で、ついこんな顔(´・ω・`)に。 もう一人の(´・ω・`)はついにあいのりもどきバスを降り、デトロイトへ向かう。 「みんなー!僕の分までよい旅を!イカの方のエヴァン、元気でね!」 エヴァン(イカの方)は墨をにじませつつ万感の思いでアボットを見送り、手(足?)を振る。 おかげで車内はダルメシアンのようなブチ模様になってしまった。 人の方のエヴァンは黒すぎて(ry 「つか、俺は元気じゃなくていいのか?イカの方限定かよ」
「いやだああぁぁ… 僕も降りるうぅぅぅぅぅ…」 意外にあっさりバスを降りたアボットを見て抵抗を試みるチャッキー。 しかしその腰に、稲○淳二の怪談話のようにがっしりPちゃんがしがみついている。 「貴様だけは絶対に降ろさんんんんん………!」 そんな二人を尻目にそぉ〜っと逃げようとするガッちゃん。その靴の踵をリッポンが踏んだ。 「ふぎゃ!」 「どこに行くんだいアーチャ?^ ^ 元はと云えば君の先輩のせいだからね^ ^ 逃がさないよ^ ^」 Yuka-Sanばりの天使スマイルで凄むリッポンだった。
Jテン「先輩うんぬん言い出したら、アダムだって他人の事言えないのでは?」 Dテン「みんな賑やかでいいなあ。あれ?メリルさんいないよ?」 サーシャ「保護対象のジェレミーが降りたから、って言ってあっさり帰宅したわ」 ミライ「じゃあ私は帰れないですぅ。兄弟子と弟弟子が乗車中だし」 リューキン「アタシがいるからイカじゃない方に関しては心配すんなよ」 ライサ「イカじゃない方って言うなってば」 経営者「仲が良いほどケンカするって、本当だな」 リューキン「そ、そんなのと違うっ!こいつが勝手にゴチャゴチャいうだけだし!」 他のメンバーは、レイチェルから大王イカの生態について講義を受けたりして、 のんびり旅を楽しんでいる。バス内、各グループの温度差が凄い。
『Yuka-Sanが巨大なパイプいすでなぐりかかってきた。HELPME!』 「ふむ。アボット氏はなかなか大変な目に遭っているようだが、うちの王子は巻き込まれて・・・ないか。ならよい」 大王イカはまずアボットのツイッターをチェック。 『ちびっ子イカの名前が俺と同じエヴァンに決まった。向こうが元祖みたいになってる。ひどい』 「おや、うちの王子に名前がついたのか。なかなかいい名だ」 大王イカは最初こそ王子を誘拐されたと思ってバスを襲撃したが、今ではスケーターズを信頼している。
「そろそろアフロのヅラが浮いてるのが見える頃だわ」 目を凝らすジョニ子。その隣でサーシャは 「流されちゃってるんじゃなーい?」 とごもっともな問いかけを投げた。 「あのヅラにはきちんと錨をつけておいたわ。ぬかりはなくてよ」 「なるほど。じゃ、いよいよ大王イカの元に来たのね、私たち」 美姫は本田の隣が指定席。 「竜宮城みたいに酸素があってタイとヒラメが舞い踊ってご馳走が出るといいのになー」 「タイムスリップの起動スイッチ、いや加齢宝箱トラップをもらうのは遠慮したいぞ」
「金髪アフロのヅラ発見!右前方30°旋回!」 水兵服を着込んですっかり船員気取りのスミルノフ。 ヤマトの実写版がもう公開だっけ?と里心が起きそうになる悠子。
「やったーい。もうすぐご馳走だー」 すっかりおもてなしを受ける気になってるプルシェンコ。 「やっぱり竜宮城のご馳走っていったらお刺身かな〜?」 「そそそそそれは無いと思います…!」 ちょっとホラーというかスプラッタな想像をしてしまいgkbrのガッちゃんだった。
「ねえエヴァン(イカの方)、久々の実家で緊張してるんじゃない?」 マイアーやセベスチェンが彼を気遣う声をかける。が、返事がない。 「ど、どこ?どこいっちゃったの!?」 二人はリッポンの頭をかき回す。 「い、いたたたたた、僕んところじゃなくて、ケヴィンのところじゃないんですか」 それがいないのよ。みな、バス中探してー!!」 イカ宮城を前にして、一転大騒ぎである。 と、ツイッターをチェックしたミライが小さく悲鳴を上げた。 「『優しいジェレミーをいしめないで。僕が助けにいくなう』って。イカの方のエヴァンが!」 「ちょ、だれがジェレミーをいじめたりするのよ」 グレボアが首をひねる。ピンク3人娘も額を寄せ、討議に入る。ランビはテントウムシ占いをする。 「ユカのしごきでしょ。イカの方のエヴァンはそれを誤解して、デトロイトへ・・・」 ジョニ子の推理に賭け、あいのりもどきバスはUターンしてアメリカを目指す。
いつの間にかバスの中には中吊り広告が・・・ tp://publications.asahi.com/aera/nakazuri/image/20101213.jpg
美姫「えーと…、い、いい笑顔ね!」 本田「うん。いい笑顔だ。イイエガオダー」 バトル「大事なことだから二回言いました?」 ジュベ「Très bien!タカイコは衣裳のセンスもレベルアップしたんだね」 Pチャン「久しぶりに喋った科白がそれかよ。ブライアン」 リッポン「パトリックも突っ込みどころが微妙にずれてるよ」 ロシェット「皆、何から目を逸らしているのかしらねぇ」
ランビ「ミキもシズカもマオもこのグラビア経験者なんだねぇ。抒情を感じるよ」 美姫「一緒にされちゃうとなんか複雑な気分だわ」 本田「・・・(無言で安藤の頭をヨシヨシ)」 ジョニ子「タカヒコはまだ地味だから、もうちょっといじってしてあげたいわぁ〜」 でもイカのエヴァン救出をとりあえず優先。 誤解でも生じてユカにノシイカにされてからでは遅い。
227 :
大規模規制辛いsage :2010/12/07(火) 07:06:58 ID:DR2JtaDK
「ユカさんは冷静だし、いきなりノシイカはないと思うなあ」 美姫の分析に、プルシェンコは深くうなずく。 「だからお寿司食べに行こうよ」 「なんでそうなるんですかー!」 ガッちゃん懊悩。 そのころ、アボットは巨大パイプいすに追いまくられながら練習に没頭。 シズニーは柱の陰から涙目でそれを見守る。某有名野球アニメのようだ。 関係ないがそのアニメでたとえるなら、リッポンはきれいな左門豊作だ。 王子イカエヴァンはデトロイトにつくどころか迷子になっている。大丈夫か。
ごめんageちゃった。規制ショックって事で許して。 王子イカ(ことエヴァン)はなぜかニュージャージーにたどり着いていた。 「ああ疲れた赤黒くなっちゃいそう。おやいい匂いのするお部屋がある。ちょっとだけ休ませてもらおう・・・」 そこDIVAの部屋だぞ。墨なんて垂らしたら怒られるぞー!
「にしてもエヴァンは困ったちゃんね。名前が悪かったかしら」 「をい」 ライサに悪態をつきつつもジョニ子は少しお疲れのご様子。 気遣いの出来るPチャンはチャッキーの背中を蹴飛ばしておもちゃに進呈する。 「僕への気遣いは無いのか!…って、何脱いでるんですジョニ子さんっ!?」 待ち構えるジョニ子はパンイチ姿。手にはバトロマ衣裳。 「えぇ〜何となくぅ最近脱いでなかったしぃサービス?w ケヴィンはこれを着るのよ♪」 「い、いやだあぁぁ…くぁwせdrftgyふじこ…… 案外着こなし上手なチャッキーはそこそこ似合う(色合いはレッチリ衣裳と同じだし)。 覚えたての画像うぷをしたくて仕方ない美姫は記念撮影、即、ツイート。 「ミキさん、やめてぇっ!」 Pチャン達若手は大爆笑。Dテン君も顔を俯け申し訳なさそうにクスっと笑った。
>>229 ごめん。レッチリってなんだ。レッドツェッペリンの衣裳と言いたかったのです。
レッチリは昔いた競走馬の愛称だ…
「ユカさん!もう無理だよ。勘弁してよ」
「あらジェレミー。男の子なのにこれぐらいでへこたれたらおかしいわ^ ^」
「で、でも、そのパイプ椅子が怖いんだよー。投げつける気でしょ?」
「まあ、ジェレミーったらそんな風に思ってたの。これは日本の伝統芸のお手玉ならぬお手パイプ椅子よ」
そう言うとユカさんはパイプ椅子三つで器用にお手玉を始める。
漫画でいったら『うる星○つら』の三宅しのぶだ。
チャッキーやアボット(ついでに小塚)がオモチャになっている間、 王子イカエヴァンはすっかり寛いでいた。 「なぜ同じ形のバッグがたくさんあるんだろう?でも色彩が美しいなう」 ベッドによこたわりまどろむ。シーツは少々ヌラヌラだ。
ハクション! くしゃみをした拍子に、」王子イカ(エヴァン)は墨を少々飛ばしてしまった。 壁に貼ってあるジョニ子の巨大ポートレートの眉間部分に。 「つながり眉毛なう」
スン。風邪ひいちゃったかな?少し温まろう。 王子イカエヴァンは墨をぽたぽた垂らしながらバスルームへ。 ジョニ子秘蔵の高級バスソルト(薔薇の花びら入り)を一本、贅沢に投入。 うわあ。これは凄くいい海水だ。 「いい仕事してるなう」
ツイッター王子アボットが下車してからは、ミライがその役割を担っている。 「ジョニー・・・ポートレートがつながり眉毛になってシーツがヌルヌルでバスソルトを1瓶使われてるわ」 「なんですって!デトロイトなんて行ってる場合じゃないわ。ニュージャージーにGO!」 チャッキーはしょせん他人事なので、つい 「木登りカンガルーを抱っこしてみたいなあ」 などと呑気な事を口走ってしまう。 「薄情な子ねアンタは!バトロマ衣装じゃなくてポルノロボット着せるわよ!」 「すみませんでした!ニュージャージーまで全速力でお願いします!」 哀れなチャッキーのために、運転手のロシェットはアクセルを踏み壊しそうな勢いで踏み込む。
踏み壊しそうな……っていうか踏み壊した。 どうにかブレーキを踏んで事故はまぬがれたが、スピンターンを切ってしまい、 どこともわからない街中に急停車。 「ああー!今度は私たちが迷子に」 自責の念で頭を抱えるロシェットを、他メンバーが必死に慰める。 「きっとバスが古くてアクセルが弱っていたのさ」 「ジョアニーの後輩を思う気持ちに、バスが負けただけよ」 全然説得力がない。 「誰か直せないの?」 みんななんとなくイメージでスミルノフを見つめるが、彼は残念そうに首を振る。 「バスを押して進む事はできるかもしれないけど、駆動部分そのものを直すのは無理」
「えーと、ジェフリーは理系よね?直せない?」 「無茶だよ。僕の専攻は化学工学だ。レイチェルは?」 「生化学に行こうと思ってる。車は専門外よ」 困るメンバーの中で、ファヌフがスタスタと車のエンジン部分に近づいてきた。 「はーっ!!!!」 手刀一撃。あっさり直った。 「映りの悪いTVってこうやって直すでしょ。お母さんがよくやってた」 ともあれ、バスは直ったわけだが、この街がどこか、まだ見当がつkない。
「ちょっとケヴィン。ひとっ飛びしてここが何処か確かめてきて」 ジョニ子の言葉を受けてPチャンがまたチャッキーの腰にだらりとしがみつく。 「逃ーげーるーなーよーおぉぉぉぉ………」 「怖いよパトリック!皆をおいて逃げないよ」 「アーチャも一緒に行っておあげよ。あ、ついでにお寿司買ってきて」 ついでの方がメインだろ、とその場の全員が思ったが、 「はい。ジェーニャ先輩」と、ガっちゃんはとても素直だった。 「二人ともいい子ね。戻ってきたらご褒美にアタシの“Dirty Love”のさわりを聞かせてあげるわ」 「それじゃあ、一生帰って来ないよ!」 お口にチャック出来ないPチャンはジョニ子にどつかれた。
寿司の折詰をぶらさげたガッちゃん、腰にPちゃんをぶらさげたチャッキーが戻ってきた。 「ここ・・・アメリカじゃないです。日本の名古屋です」 「なんですって!?味噌煮込みうどんと手羽先がおいしい名古屋ですって!?」 レイチェルの驚き方は独特である。 ニュージャージーの我が家を救いそこなっているジョニ子は、その場に崩れ落ちた。
_ 彡_ _ 彡_ *゜∀゜)ノ コメダ!! *゜∀゜)ノ コメダ!!
バトルのリクエストにお応えしてコメダ珈琲店へ。 レイチェル「シロノワール♪シロノワール♪」 バトル「メープルシロップお替り!」 リッポン「レイチェルは本当に幸せそうに食べるね(ニコニコ」 Pチャン「アスリートの友人として摂生をすすめる気はないのか」 ジョニ「もおっ!こんな事している内にアタシのお城がっ」 プル「でも、ジョニー向きのグルメもあるよ。名古屋コーチンだって」 ジョニ「こーちん?コーチン、コーチン、コーチンk・・・・キャッヤダワ♪…(*ノ∀ノ)イヤン」 チャキ「それはこっちの科白だっ!そういう処が嫌なんだよ・・・orz」 経営者「惜しいな。ジェレミーがいたら大喜びで喰いつきそうなネタなのに(苦笑」
美姫「ちょうどいいから私はうちに帰ろうかな」 本田「このややこしいメンバーを放置してか?騒動を起こすぞ」 美姫「味噌カツの味噌が甘いとか暴れるって事?」 本田「そういうんじゃなくて、もっと面倒な事だよ。特に彼」 本田が指差す先には「世界一セクシーな手羽先の食べ方」を披露して、 名古屋市民に「あれはなんだがや」とびびられているジョニ子がいた。 なお、レイチェルはココイチの「カレー1.3kg食べたらタダ」制度が終了している事を 心から惜しんでいた。「しょうがないわ。シロノワール追加で!」 そのころ王子イカエヴァンは、せっかくだからと壁に墨絵を描いてアート気分。
バトルはシロノワールに飽きたのか、金のしゃちほこに上ってういろうを食べ始めた。 「なんか薄甘い・・・」 「そういうものなのよ」 美姫の説明に素直に納得するバトル。 プルシェンコは金の衣装を着てプルホコを披露。 「まだまだできるなあ。ちょっとしんどいけど」
そこに愛犬のトイプードルを散歩させている少女二人が通りがかった。 「あれ?あのシャチホコ変な形してない?」 「見間違いだよー。舞は視力検査行った方がいいよ」 「ひどーい!でもほんと行こうかな」 仲良し姉妹は何事もなく名古屋城を後にした。
レイチェルの「次は登山よ」の言葉に心が躍るジョニ子。 連れていかれたのはロッジ風味のとある建物。 「ついにアタシも山ガールデビューね。ここで衣装を買うのかしら?」 「ジョニーはバナナと抹茶、どっちが好き?」 「ええそりゃやっぱりアタシはチョコバナ…ぐふっ」 「「言わせねえよ」」 リッポンとチャッキーが口をふさぎ押さえ込む。 鼻と口を塞がれながら『こういうのも悪くないわね』と 新しい楽しみを発見したジョニ子の目の前に見たことのないスパゲティやピラフが並ぶ。 喫茶マウンテンへようこそ。
「日本人ってすごいわね。おしるこスパゲティやメロン生クリームスパゲティを常食しているんだもの」 レイチェルは何か誤解している。 「抹茶小倉スパっていうのもすごいよ。これは食事なの?デザートなの?」 「考えたら負けよ。次は甘口イチゴスパとキウイスパが待ってるわ」 レイチェルとともにバトルも果敢に「登山」に挑んでいる。 隣でバナナスパをつついているジョニ子は涙目である。彼の好きなバナナはこんなのじゃない。 他のメンバーはアイスティーやコーヒーを嗜んでいる。賢明な選択だ。 リッポンに至ってはこっそり店から抜け出し、コンビニでバニラアイスを買って店前で食べている。 「あの店内にいるだけで、独特の空気に脳がやられてしまいそうになるよ。おお怖い」
お昼時になったので(比較的)まともなメニューでランチタイム。 何かにとり憑かれたように貪り喰うカナダ男子達。 「チーズケーキもう無くなっちゃったよ!」「パトリック、ここはアメリカチームのテーブルだよ」 「だって、向こうだと好きなだけ食べられないんだもん」 スミルノフ、美姫、クリスらも負けじと食べる。 キャシー「もう、クリスったら豚さんみたい」 クリス「キャシーは食べられなくてかわいそー…僕がキャシーの分も食べてあげるよ!」 キャシー「…… (−W−)怒」 一方、王子イカエヴァンはマリオカートにはまっていた。 「対戦者求むなう」
「あら、おもしろい坊やが出てきたわ。ちょちょいと弄んであげようかしら」 王子イカエヴァンの呟きを見て、パリス・チルダースがほくそえむ。 ジョニ子がいない間の暇つぶしをみつけ、機嫌よくなったらしい。
パリスが呼び出されて到着したのはジョニ子の部屋。 「ちょっとどういう事?アンタジョニ子の何?ペット?まさか彼氏?」 「彼氏ってほどの仲ではないなう。ほっぺにチュー止まりなう」 「どうでもいいけど壁中すごい墨絵ね。アートだわ。うちの不動産屋で高く売り出したいぐらいよ」 「ほめてくれて嬉しいなう。一緒に遊ぼうなう」 「そうだ。マリカーやるんだったわね。おちびちゃんだからって手加減しないわよ〜」 数時間後、ボロカスに負けてソファに泣き伏すパリスの姿があった。 「このアタシがイカに一度も勝てないなんて。それも手のりサイズの子供イカに」 「たかがゲームだから気にすることないなう」 王子イカエヴァンの方が冷静である。
一方のジョニ子一行。食べ過ぎで少々ぐったり。 「これは適度な運動が必要ね。よし、皆で歌って滑りましょう!」 「わあい、練習出来るって、え?う、歌って…?」 瞬間、喜んだ一同だったが、怪しいワードに空気が凍る。 「これからのスケーターはリンクで歌ってなんぼよ!歌いながら滑らなきゃ生き残れないわよっ!」 んな、アホな、と誰しも思ったがジョニ子はノリノリである。 「そんなの聞いた事ないよ!絶対おかしいって!」 反発するチャッキーにジョニ子は切り返す。 「あらケヴィン。あなたエマを否定するの?悪い子ね〜。もっと先輩を尊敬しなさい!」 「そ、そんな科白を僕が言われるなんて… パトリックじゃなくて……」 「どういう意味だ」 Pチャンの声も聞こえないくらい落ち込むチャッキーだった。
「レイチェル!アンタは歌以外にダンスもがんばりなさい!社交界デビューが控えてるんだから」
「そ、そりゃがんばるわよ。ドレスもオーダーしちゃったし、後には退けないわ」
珍しく動揺するレイチェルの隣で、Pチャンがぼそっと
「あれだけ大量のパスタ食べてたら、ドレスのサイズ直しが大変だろうね」
と減らず口を叩いたからもう大変。
「なんですってー!!」
ファヌフが
>>196 でやらかしたジャイアントスイングを、レイチェルもマスターし、
Pチャンは再度ぶん投げられるはめになった。
「あのさあ、ダンスなら俺が教えようか?少々心得がある」
「そうね。人の方のエヴァンならレディの扱いも丁寧でしょうし・・・ナスティア、彼氏を少々お借りしていい?」
「おう。持ってけ持ってけ。後でちゃんと返せよ」
リューキン公認で優雅に社交ダンスのステップを踏み始める二人。喫茶マウンテンの駐車場で。
歌はなにげにDテンくんが得意。元合唱団は伊達ではないのだ。
Pチャンは綺麗な放物線を描いて飛び続ける。 それを愛犬トイプードルの散歩中の仲良し姉妹が見上げていた。 「あれえ?あそこを飛んでるの鳥じゃなくて人じゃない?」 「違うわよー。あの目を見なさい。あれは獲物を狙う鷹の目よー」 「あ、そっかー。舞は物知りだねー」 王子イカエヴァンは文字通りお手製のイカ墨パスタをパリスにふるまっていた。 「やだ。すっごく美味しい。アンタ、ただ者(イカ)じゃないわね」 そこへ、ドンガラガっシャーン!とPチャンが突入。 「パトリックなう」「ジョニ子姐さんのお家を壊したなう」 「壁に落書きしたなう」「バスソルトを一瓶……」 ここぞとばかりに連続ツイート。着々と進化しているエヴァン(イカの方)だった。
地道にTwitter調査を続けるミライが、歌いまくりのジョニ子に声をかける。 「ジョニーのお部屋を壊して汚したのはパトリックですって!?」 「あらやだ。エヴァン(王子イカ)じゃないの?」 「その呟き、ちょっと前に見た気がしたんだけど・・・みつからないの。見間違いだったのかしら」 そこにレイチェルを軽々と抱き上げターンにつぐターンを繰り返すライサがやってくる。 「ああ、Twitterの混乱はよくある事だからね。そうだよな?ジョニー」 「え、あんたと一緒にしな・・・ま、そうね。混乱だわね」 呟き削除の可能性について、あえて触れない二人だった。 とりあえずDテン率いるスケーター混声合唱団とエヴァン(人の方)+レイチェルは エレガントにピンクバスに乗り込み、ニュージャージーを目指す。 合唱団の中に2,3人音程に問題がある事で、行き先がブレまくるのが難点。
「歌はいいよね。楽しいよ。心のわだかまりを解放して皆を妖精にするみたいだアハン」 ちょっと酒が入っているのか、音量調整が不可能になっているランビの歌声はやたらデカい。 「僕はプロに発声練習の指導を受けた事があるからね。先生、ずっと大爆笑だったよ」 プルはCMで自分の歌唱部分を差し替えられた事を、すっかり忘れているご様子。 「もっとこう、雄大に歌い上げるタイプの曲が好きなんだけど、プロデューサーの好みと合わなくて」 好み以前に無難な選択と可能な限りの音声処理を施したプロデューサーの苦労に、ジョニ子が気づく事はない。 この3人が歌いだすとバスが不安定になる。 ジョアニー「なかなかアメリカに到着できないわ。アマゾン?冗談じゃない!ピラニアに食べられちゃう!」 がんばれ運転担当者。つか彼女が耳栓すれば済む話のような気もする。
三大テノールの執拗な波状攻撃のせいで具合が悪くなってしまうDテン君。 長男リッポンと長女キャシーが慌てて介抱。 ジョニ子「まあ、デニス大丈夫?安心なさい。ジョニ子母さんが子守唄を歌ってあげる」 リッポン「止めて!」
耳栓の有効性にやっと気付いたのはファヌフ。 「さあジョアニー、耳に練り消しゴムを詰め込んで!」 「あなたなんでそんなものを常備してるのよ?まあいいわ。耳栓の代用になるわね」 それまでトルコやらオーストラリアやら放浪していたピンクバスの軌道がやっと定まった。 無事?ニュージャージー着。 ジョアニーは耳穴から練り消しゴムのカスが取りきれないのか、しきりに耳をほじっている。災難だ。 むしろ三大テノールの口に詰め込んだらよかったのに……。
その頃Pチャンは破れた窓をガムテとビニールで適当にふさぎ、 部屋を直した気になって呑気にマリカーをやっていた。 「イカエヴァン強いな!むむむ、手ごわい」 「グランプリファイナルの金メダリストのわりにゲームはイマイチなう」 何気なく本人のプライドをえぐりつつ、圧勝。 「そろそろジョニ子さんたちが来るかも◇うぇるヽ( ̄д ̄;)ノ 」 最近Twitterを始めた某日本男子選手のつぶやきを、さっそく真似している。
「あ、うぇるじゃなくてうぃるだったなう。即訂正うぃる」 「器用な子供イカねー。パトリック、あんた完敗じゃない」 「パリスさん、それを言わないで・・・」
「やだやだー!ロックフェラーのツリー見るー。米国に来たら絶対見るって決めてたのー」 突然、我儘をいいだす美姫。 「あの〜こう言ってるんですけど、如何でしょうか〜?」 何故かジョニ子にお伺いを立てる本田。 「ま、季節イベントは大切にしないとね。パトリックは後でゆっくりとっちめましょ」 という訳でロックフェラーセンターへ。 美姫やピンク娘達や美女軍団はキャーキャーはしゃいで写真をとっている。 処で冬のロックフェラーと云えばスケートリンクが有名ですよね。 リッポン「あの〜(普通に)滑っていいですか?」 ジョニ「いいわよ〜その代りアタシがジャッジ役ね。厳しく採点してあげるわ♪」 サーシャ「あんたまさか個人的な恨みを晴らそうとしてないでしょうね」 ジョニ「だって、アタシもクレイジーなジャッジに酷い点つけられたのよ!さあ、一番手は誰かしら?フフフフ…」 チャキ「否定しないのかよっ!」
「ジョニ子姐ってば自分の家の惨状のこと…もしかして忘れてる?」 「っぽいわね。また思い出させると面倒だからこのまま知らないフリしておきましょ」 サーシャとリッポンがこそっと相談。そしてジョニ子以外のメンバーにスケパシーを送る。 全員ロックフェラーセンターでのんびり楽しむ時間を選択したのは言うまでもない。
「ツリー素敵ねー。ジョニー、写真いっぱい撮りましょうよ」 発案者の責任で、サーシャがジョニ子の注意をそらす。美姫もついていく。 その隙にみんなモリモリと滑るのだった。自分自身のスケートを、心置きなく。
リッポンはここぞと家族へのクリスマスプレゼントを買いまくる。 大家族の長男は大変だ。 弟妹や両親の喜ぶ姿を楽しみに、重たい荷物を抱えひた走る。 やっと全て買い終えた時には、FP1本滑り終えた時と同じレベルの疲労でぐったり。
美姫はツリーに靴下型の短冊を吊るしている。 美姫「日本ではツリーに願い事を書いた短冊を吊るすのよ」 ガチ「えー、そうなんですか?凄い」 本田「美姫ちゃん嘘を教えないようにね」 プル「でも、国によってクリスマスも祝い方が違うよね。ロシアではサンタは大晦日に来るよ」 美姫「日本では大晦日には、お地蔵さんがお正月のご馳走を持ってくるわよ!」 ガチ「ええっ!そうなんですか?!凄いっ!!」 本田「だから美姫ちゃん・・・・」
美姫はかわいらしい手帳をバッグに忍ばせている。 「ネタ帳(外国人向け初級)」と「ネタ帳(外国人向け中級)」だ。 後者はミライなどの日系人向け。ちょっとヒネリが加えてある。 超親日家に出会った時にも使える上級ネタ帳を作るのが、ささやかな夢だ。 「だいたいレイチェルもひどいんですよー。ちょっとからかったのにぶん投げるなんて」 Pチャンは王子イカエヴァンに人生相談をする始末。なぜかいつのまにか正座して敬語。 「みんなにパトリックじゃしょうがないとか早く大人になれとか言われるし」 「あれ?まだ未成年なう?」 「ええまあ。もうじきハタチですが」 「そのうち見た目に実年齢が追いつくうぃる♪( ´θ`)ノ」 「やっぱ見た目老けてんのかー。うーん・・・」
チャッキーはここぞと練習練習また練習。 しばらくなまっていた脚に、みるみる勘が戻ってくる感覚がたまらない。 「ちょっと早いけど、これってクリスマスプレゼント?自分でがんばる自分にプレゼント♪」 Pチャンがいないと邪魔が入らず滑りたい放題。
リード姉弟は衣装もばっちり決めて"アダムズファミリー"を滑っている。 実は点灯式に参加した事もあるのだ。一般のお客さん達は大喜び。 クリス「でもこれじゃ"ナイトメア・ビフォア・クリスマス"だよねー、あはは」 キャシー「"ナイトメア"じゃないわよー。仕方ないじゃない」 ミハル「でも、すっごく受けてたよ。ひげが」 経営者「うむ。良く似合ってたぞ。ひげが」 ジュベ「そう言えばうちのアイスダンスチームも… ひげが流行ってるのか?」 二人「もー、ひげ以外の感想も言ってよー!」
そのころPチャンは王子イカエヴァンに泥鰌ひげを描かれていた。 「無理に若さをアピールするより、いっそ個性を伸ばす方が光り輝くうぃる(⌒▽⌒) 」 「そういうもんかなあ。香港映画の間抜けなオヤジみたいだけど」 パリスはヒクヒク笑いをこらえながら、その姿を写メる。
「ちょっとあいつ何ふざけてんのよ」 パリスのTwitterにアップされたPチャンの写真を見てぷりぷり怒るレイチェル。 「私のデビューの日にふざけたら承知しないんだから」 「そもそもあの子フォーマルな服、持ってるのかしら?バンケでは大抵カジュアルだけど」 「随分前にお父さんから借りてきたみたいなスーツ着てたわね。まあ、似合ってたけど」 ロシェットとファヌフの言葉に不安になるレイチェルだった。
「さあさあお嬢さん方、この下に全員集合してねアハンアハン」 クリスマスツリーの下で呼び込むランビ。 そのの頭上には、大量に小枝を結びつけられたツリーの枝が 今にも折れんばかりにしなっていた。 「ミスルトゥね…」「やると思った」「さっきからコソコソやってるかと思ったらやっぱり…」 呼ばれた女性陣は呆れ気味。そして任せて、とばかりにみんなにウインクをしてランビに近寄るファヌフ。 「アハーン、一番手はシンシアだね……ウワァァァァァハーン」 ジャイアントスイングが見事に決まる。 「安心してーそっちはニュージャージー方面よーーー。先に行っててねーー」 消え去るランビの姿にファヌフが優しく教えてあげた。
「アハン。この墨絵には心動かされるものがあるよ。凍てつく森のシマウマのいななきが聞こえるようだ」 「それは単に海底のおうちを描いただけなう」 「その奥底に秘められた哀愁・孤独・胸を打たれるよアハンアハン」 王子イカエヴァンのファンがまた一人追加。 Pチャンが段ボールとガムテで直した屋根はまた壊れたけど、もはや誰も気にしない。 レイチェルはPチャンの実家に電話をし、デビュタントの衣装について確認。 「曽祖父から伝わる由緒正しい100年モノの燕尾服を用意しているわ。サイズなんて合わなくても威厳でカバーよ大丈夫」 +泥鰌ひげ。本人はおそらく浮かれ気分。 レイチェルは空腹と絶望でその場に崩れ落ちた。
「ひどいわひどいわ。デビュタントは女の子の大切なイベントなのに」 レイチェルはNYの寿司レストランで黙々と空き皿を重ねている。 絶望から立ち直る為にまず空腹を満たそうとしたのだ。 その隣で未来はレイチェルを慰めつつ、目を光らせて敵情視察に余念がない。 買い物を終えたリッポンはスケートリンクでDテンJテンとだべっていた。 「デニスはサンタクロースをいつまで信じてた?」 「えーと・・・」 「駄目だよアダム!デニスはまだサンタを信じてるんだよ!」 「あ、そうだった!デニス、いい子にしてればサンタさんがプレゼントを持って来てくれるよ」 二人にからかわれ、ぷーっとむくれるDテン君。 でも、リッポンもJテンも、Dテン君が本当に弟みたいに可愛いのだった。
美姫「ロシアでもサンタさんは良い子のところにしか来ないの?」 ガチ「(苦笑)ええまあ、そういう事になってます」 美姫「日本では悪い子は無視されるだけじゃなくて、ナマハゲに襲われるの。まあサンタの副業ね」 ガチ「ナマハゲ?副業?」 美姫「仮面をかぶったいかつい闇サンタがナタを振りかざしてくるわ。まず逃げ切れない」 ガチ「・・・・」 美姫「だからね、サンタの服って赤いの。ロシアのサンタの服は何色?」 ガチ「・・・赤、です」 美姫「残酷な歴史が風習となって残るって、たまにあるわね。子消しとか」 本田「スプラッターより厳寒地で強制労働の方がリアルに怖いと思うぞー」
「私は最新のデザインで最高級の生地を使ったドレスを誂えたのに〜。100年前って何?骨董?」 「アンティークともいうでしょ。そんな事より、寿司ネタにハンバーグっていかがなものかしら。私は反対だわ」 「サイズ合わせもしてないっていうじゃない?いかにパトリックが小柄でスリムだっていったって、100年前の 爺さんとフィットするわけないわよ。ツンツルテンなんだわー。虫食いもあるかも。ああ恥ずかしい」 「ところで寿司ネタのシャコって虫なの?パパに聞いたら「子供はまだ知らなくていいんだ」って秘めるのよ」 レイチェルとミライの会話はまったくかみ合っていない。テンションが上がってる女子なんてそんなものか。 もちろんプルシェンコは好き嫌い言わずに、ハンバーグ握りやコーン軍艦も食べている。 「あ、えんがわも追加で!カリフォルニアロールはある?」
空き皿50を優に積み上げたレイチェルの携帯が鳴る。Pちゃんママからだ。
「せっかくのデビューに燕尾服じゃ地味だったかしらね。気遣いができなくてごめんなさい。
うちの子は地味だから、このぐらいゴージャスじゃないとあなたとつり合いがとれないわね」
ttp://eiga.com/movie/43486/goods/p137674105/ レイチェルは口に含んでいたガリを盛大に吹いてぶっ倒れた。
「ファーマルな場にサングラスはどうかと思うわ」
ミライはズレたつっこみを入れる。
「ふわあっ!い、今、急に背中に悪寒が!」ジョニ子宅で悲鳴を上げるPチャン。 「風邪かい?ここは冷えるからねぇ」 「冷えるのはステファンが屋根に穴開けたからだろ。自分で直してよね。 つか、そのせいじゃない…。なぁんか嫌な予感がする……」 一方、アイスリンクのチャッキーは相変わらず練習練習また練習。 華麗に4Lo-3Tを決めるも速過ぎて誰も気付かない。「ま、いつもの事さ」 処が… 「あのぉ、もしかしてケヴィン・レイノルズ?」 何人かのお客さんがチャッキーに気付いてスケカナの演技を祝福してくれた! すっごく嬉しいチャッキーだった。 そして再びジョニ子宅のPチャンは… 「何だろう?また違う嫌な感じが…。信じてた友達に裏切られたみたいな…」
「あらやだ!アタシったらジャッジごっこするんじゃなかったかしら」 買い物袋まみれのジョニ子が嫌な事を思い出した。サーシャの背筋に冷や汗がつたう。 クレイジーなジャッジへの恨みつらみをこんなところで発散されてはたまったものではない。 「買い物しまくっちゃったんだし、リンクに戻るの面倒よ。 パトリック(+ランビ+王子イカ)どうするの?ほっといたら完全に家を破壊されるわ!」 「それはいやー!」 大荷物を抱えてジョニ子はレッドソールのハイヒールで走り出す。 サーシャ、作戦成功。ジョニ子との付き合いは昨日今日の事ではない。 「みんなー!とっととニュージャージーの我が家に行くわよ!」 「えー・・・今更?」 ファンに囲まれアットホームなふれあいを楽しんでいたチャッキーは残念そう。
各々ショッピングや練習やと楽しんでいたスケーター達はぞろぞろとピンクバスへ向かう。 皆、リフレッシュしたので笑顔だ(レイチェルを除く)。 頭にはジュベールサンタがプレゼントしてくれたお揃いのサンタ帽子を被っている。 ロックフェラーセンターのお客さん達はピンクバスを拍手と歓声で見送るのだった。
「つんつるてんの古臭い燕尾服と、ギラギラのラストエンペラー、私はどっちの相手をするのかしら」 レイチェルは浮かない顔をしている。 「あら素敵じゃなーい。アタシだったらどっちでもいいわ。しいて言うならラストエンペラーね」 ジョニ子はお気楽なものである。 「アタシもプロムの時はドレス着ようとして女友達に相談して借りたりしたものよ。黄色と黒のヒラヒラドレス」 「ジョニ子、ちゃかしちゃダメよ」 サーシャがたしなめる。 「今から大急ぎでテーラーに彼を引きずり込んで、似合うスーツを仕立ててもらえばいいわ」 「あの泥鰌ひげ、取ってくれるかしら」 「それは・・・どうかしら。ぶんなぐって気絶している間にふき取るとか」 サーシャは時に乱暴な事を口走る。ジョニ子が舌なめずりしながら割り込んでくる。 「情熱的に顔中キスするふりして、舐めとっちゃいなさーい」 「いやー!!!それだけはいやー!!」 いつになく狼狽えるレイチェルに、乗客一同同情を禁じ得ないご様子。
ジョニ子「やだあああああああああああああああロックフェラーセンターに
戻るうううううううううううううううううう」
ピンクバス内で暴れるジョニ子をサーシャが押さえ込む。
ジョニ子「アタシのミスルトゥ〜〜〜〜〜王子様のキスが欲しいのおおおおおお」
3大テノールの再お披露目をしようと車内を見渡し
ランビの姿が見あたらないことに気づいたジョニ子が
ファヌフから
>>269 の事情を聞いた瞬間の雄叫びだった。
サーシャ「ジョアニー、気にしないで進んで。前進よ。王子様のキスはさっき
エヴァン(イカの方)からもらったでしょ」
ジョニ子「あれだけじゃイヤよ〜アタシの我が儘はなんで誰も聞いてくれないのよおおおお」
車内に響きわたる悲鳴を完全スルーしながら
バスはニュージャージーへ向けて一直線に進むのであった。
3大テノールが実現しなかったせいで、Dテンくんは車酔いせずに済んだ。 「今はこうして心の安らぎが訪れてるけど、いずれまたなんかあるんだろうなあ」 「悟ってるね」 Jテンがクスクス笑う。 行く先には破壊されたジョニ子宅と泥鰌ひげPチャンと王子イカと ポエマーランビと自称世界のセレブパリスだ。何もないわけがない。
半壊したジョニ子宅で、ランビ・Pチャン・パリス・王子イカエヴァンは イカ墨リゾットを啜っていた。 「いやー、体がホカホカに温まるね。イカエヴァンやるじゃん」 「褒めてもらえて光栄なう。で。そろそろジョニ子さんたちが来るうぇる」 「そんな事まで察知できるのかい。さすがは海底の王子だ。イカパシーの神秘を感じるよアハン」 「今から建築屋さん頼んでも間に合わないでしょうねぇ。ま、なるようにしかならないわ」 なんだかんだでテンションの合う4人、いや3人と1匹なのだった。
「パトリいぃぃーックっっ!!!これはどういう事よっっ! 屋根っ!ポートレートっ!バスソルトっ!シーーツーーぅっ!!」 我が家に到着し、早速Pチャンに切れるジョニ子。でも、半分は八つ当たりである。 「だからなんで俺だけ怒るんだよっ!!」 Pチャンも負けじと言い返す。だって、さっきまで一体感のあった二人と一匹は、 さり気な〜く他のスケーター達に紛れてしまったのだ。 「でもパトリックも悪気があった訳じゃないから」 と、たっぷり練習して機嫌のいいチャッキーが間に入る。 「・・・・そういえば、ケヴィンもこの間アタシの部屋を滅茶苦茶にしてくれたっけねぇ」 「その節は本ッ当にすいませんでしたっ!ほら、パトリックも謝って!!」 藪蛇になってしまったチャッキーはPチャンもひきずってフライング土下座。 Pチャン「だから俺がやったんじゃないっつーのにぃ(泣」
見るに見かねた経営者が、建築業者を手配。年末の忙しい時期だが、必死に頼み込み、修理を依頼。 ジョニ子はPチャンに掃除と洗濯を指示。藪蛇でチャッキーもバスソルトを買いに行かされたりしている。 「とんだ災難だな、ケヴィン」Jテンも付き添ってたりする。 王子イカ「ミライちゃん、会いたかったなう」 ミライ「エヴァン(イカの方)、ちょっとやんちゃしちゃったみたいねー。マリカーやろうか?」 パリス「サーシャおひさしぶり〜。不動産でいい出物があるのよ。投資目的で買わない?」 サーシャ「もうちょっとショーで稼いでから考えるわ。ところでステファンは相変わらずねえ」 ランビは美女軍団+ピンク娘チームとシャンパンを楽しみながら、破れた屋根の隙間から星を鑑賞している。 ランビ「みんな寒くはないかい?もっとこっちに寄りなよ。ああここが北極だったらオーロラが見えるのになあ。残念だ」 なんかどさくさに紛れてDテンくんも美女軍団に挟まれて星鑑賞チームに・・・ プルシェンコは暖を取ろうとして?ウォッカをがぶ飲みしながらピザを作っている。 アシスタントはガッちゃんとスミルノフ。そして悠子。 「ちょっともー、トッピングはもっと丁寧にのせてよ。ってまあいいか酔っ払いだし」 ライサはリューキンとこっそり夜のデート。 「ニュージャージーの夜景ってのも結構いいもんだな」 「ちゃんと手ぇ握ってろよ。寒いだろ・・・コートでくるんで抱きしめたりしろよ。気が利かねえなあ」 レイチェルは冷蔵庫のチーズやハンバーグを漁りながら、まだPチャンの社交界デビューの衣装を気にしていた。 「明日朝イチで仕立て屋に駆け込めばいいんじゃない?」 ハリボのグミをむさぼり食いながらバトルが適当に励ます。ミハルも隣で必死に頷いている。
なお、ジュベは星空をママンに写メって送ろうとして失敗していた。 「夜景モードで撮ったんだけどなあ。真っ暗だ」
どんがらがっしゃーん。洗濯かごを持ったPチャンが派手にすっ転ぶ。 「パトリック!アンタは洗濯も満足に出来ないの!」 「だって俺、洗濯なんてした事ないし!」 (洗濯した事ないのと転ぶのはあんまり関係ないと思うけどなぁ…) そんな事を思いつつ「パトリック、手伝うよ」とリッポンは声をかける。 小さい頃から母の手伝いをしてきたリッポンにはお手のものだ。 「助かるよアダム」Pチャンはあからさまにニコニコする。 (こういうとこは憎めないんだけどね…) 「あのさぁ、パトリック。レイチェルのエスコート大丈夫?レイチェルが可哀そうだよ」 「は?何が?」泥鰌ひげのままのPチャンはキョトーン。 (もー、こういうところがなー。大丈夫かなー。不安だなー)
「エスコートって、一緒にダンスすればいいんだろ。へーきへーき」 「そういう・・・ま、そうなんだけどさ、なんて説明すればいいんだろ。 全ての場におて彼女に恥をかかせないよう、快適に過ごせるよう、 紳士的にふるまう事が要求されるわけだよ」 リッポンの説明に、Pチャンは満面の笑みで親指を立ててみせる。 「大丈夫!彼女がボケたらしっかりつっこむから!」 「そういう事じゃないんだー。ああー」
どうにか大至急でタキシードを仕立て上げ泥鰌ヒゲを拭い去り、Pチャン&レイチェルはコロラド・モア・ホテルへ。 「パトリックで大丈夫なのかなあ」 チャッキー他一同が心配する中、ミライがレイチェルのツイートを示す。 「なんか大丈夫そうよ、ほら」 「Waiting backstage for the Debutante Ball! :) 」 余裕綽々である。
「そうだ!ジェレミーを助けにイカなきゃいけないなう」 65レスぶりに使命を思い出した王子イカエヴァンは、破れた屋根の隙間から脱走を試みる。 「エヴァン待って!ジェレミーはいじめられてなんていないわ!コーチにきっちり指導を受けてるだけなのよ!」 王子イカエヴァンを抱きとめてヌルヌルになりながら、ジョアニーが脱走を阻止。 「パイプ椅子でぶたれているなう」 「ぶつフリをするだけよ。大切な弟子に大怪我させる先生がいるわけないでしょ」 「納得なう。ジェレミーがんばれなう」 「しかしこの部屋寒いわねー」 薄着のピンク娘軍団は身を寄り添わせて震えている 「たき火でもする?廃材はいっぱいあるし」 根本的に間違っているプルシェンコの提案に、建築業者と経営者は顔を見合わせてから、それを全力で阻止した。 「工事が済むまでどっか行きましょうよ。そうだわ!アタシもデビュタントしてみt」 「「させねーよ!!」」ジョニ子の左右から、チャッキー&リッポンのWツッコミが夜空に響き渡った
「クスンクスン。アンタ達、最近アタシに冷たくなぁい? アダムはお買い物に誘ってくれなかったし、ケヴィンは練習ばっかりだし・・・」 いじけたジョニ子は巨大な鳥かごの中に籠ってしまう。 リッポン「いや、そういう訳じゃ・・・てか、その鳥かご何処から・・・」 チャキ「パトリックが戻ったら一緒に入れてみようか。文鳥的な意味合いで」 「デビュタントは上手くいったのかしら」「ドレスも見たいわ。写真アップしてくれないかな」 「案外レイチェルの方がパトリックの足を踏んづけてたりして」 ランビ「君達のドレス姿もきっと美しいだろうね。僕は容易に想像できるよ。 大輪を予感させる蕾たちがホールを彩る様を」 夜も更けてDテンはシーツをかえたジョニ子のベッドでぴよぴよ眠っていた。 それをデートから帰ったライサとリューキンが見つめている。 「かっわいいな〜。子供っていいもんだな・・・」 リューキンの言葉にちょっとどぎまぎするライサだった。
「ちょ、ここは普通デビュタントの写真が来るはずなのに、レイチェルったら
ママがラビオリ作ってる写真をうpしているわ!」
ttp://twitpic.com/3j8if4 ミライはあからさまに混乱している。
チャッキー「あー、こりゃあパトリックがなんかやらかしたな」
リッポン「なんかって、なんだろ。現実逃避してラビオリの事しか考えたくなくなるような?」
Jテン「俺たちが想像もできない、なんかすごい事だろうね」
Dテン「案外『誰にも教えたくない素敵な思い出の夜(*ノノ)』だったりしたら?」
全員「それは全く想像もつかなかった!」
いつまでも鳥かごで体育座りして膝に顔を埋めているジョニ子に マイアー&セベスチェンが声をかける。 「クリスマス、ゴタゴタして楽しみそびれちゃったでしょ?ターキー焼いたから食べない?」 「もちろんケーキも焼いてあるわ。サンタさんの砂糖人形はジョニーにあげる」 おいしい料理の香りが漂うよう、うちわであおぐのは美姫のアイデアである。焼き鳥屋か。 しかしその策にあっさり乗った(というよりスネてるのに飽きた)ジョニ子はしずしずと 鳥かごから出てきた。「みんなクリスマス忘れてたものねえ。屋根も直ったしパーティーよ!」 しっかり早朝に実家に帰って弟妹たちの枕元にプレゼントを置いてきたリッポンや 二人きりの深夜デートを楽しんだライサ&リューキンもいるのだが、それは内緒。
リッポン「パトリック……見直したよ」 チャッキー「ほんと、見直した。いままでちゃかして悪かった」 Jテン「俺感動して泣いちゃいそう。パトリック、お前すごい!」 Dテン「ターキーの一番いいところを切り分けるから食べて」 Pチャン「お前ら俺の事今までなんだと思ってたんだよー!」 褒められすぎて居心地の悪い状態のまま、Pチャンは男子一同から胴上げの祝福を受けた。
ちょびっと遅れのクリスマスパーティーを開催し、みな満足。 プル「そんじゃ行こうか。エヴァン(イカの方)んち。送っていってあげるって話だったでしょ」 経営者「そういやそうだ。エヴァン(イカの方)、アメリカは存分に楽しんだかい?」 王子イカ「もう十分なう。みんなありがとうなう」 新年までに無事大西洋にたどりつけるのか!?
しかしバスが動かない。 「シンシア!また必殺チョップをお願い!」 「さっきからやってるんだけどもう効かないのよ。なんか煙出てきてるし」 「このバスいよいよ寿命?結構酷使したし」 王子イカエヴァンは、故郷に帰れずアメリカ移民(不法入国)イカになってしまうのか!?
アグネス「ちょっと疲れちゃったのかしら?機嫌直して」 サムソン「貴方はバスの中のバスよ。ピンクもとっても似合ってる」 ギルス「私達を夢の舞踏会へと誘うシンデレラの馬車みたい」 ピンク娘達はそう言ってバスの車体にチュ♪ すると、バスはぶるんとエンジンをかけた。心なしかボンネットの辺りがほんのり赤く染まっている。 ジョニ子「あらま、このバス、オスだったのね」 プル「なーんか誰かさんに似てるねぇ」 ランビ「誰のことかな?女の子の賛辞は何物にも替え難いよね。だからいつでもお土産は忘れずに」 バトルはファヌフを慰めている。 「いや、シンシアにはシンシアの魅力があるよ。飴と鞭っていうか。 あの手刀の角度は美しかった。好きな人にはたまらないだろうな!」
動き始めたあいのりものどきピンクバスだが、車内がやたら暑い。 「バスの野郎、まだ照れてやがるのか」 ライサは熱気で顔が真っ赤だが元が黒すぎて(ry 原因を作ったピンク娘三人は、元々薄着だからか涼しげな表情である。
プル「なんだかサウナみたいだね〜。・・・サウナか。久しぶりに入りたいな」 ジョニ子「あら、いいわね!冬と言えばサウナよね。ジェーニャのダーチャにはある?」 サーシャ「・・・ちょっとあなた達。また、おかしな事たくらんでないでしょうね」 ジョニ子「ええ〜おかしな事なんてそんなあ」 プル「そおだよー。僕達は世間話をしてただけだよねー(*´・∀・)(・∀・`*)」 サーシャの不審気な視線をキラキラおめめで誤魔化すジョニ子とプルだった。
ガソリン補給で休憩している間に、運転席には久々にプルシェンコが。 「なーんか嫌な予感がする。このままロシア行く気でしょ。そーでしょ?」 詰問するサーシャにプルシェンコは軽く片手をあげてみせる 「神に誓って、そして大晦日のサンタさんに誓って、僕はロシアには向かわないよ」 「信じていいのね?」 「ああ。いつまでもジョアニーに替わってもらったままじゃ申し訳ないしさ」 バスの到着した地はフィンランドだった――― 「やっぱり本場のサウナに入ってみなきゃー!」 パンイチになってバスから飛び出すジョニ子。さっそく深雪にめりこみ、悲鳴をあげる。 「誰か助けてー!できれば王子様的な誰かー!」
「よぉし、逝ってこいロミオ」「ふぎやぁ!」
デビュタントの重責から解放されたPチャンが晴れ晴れとした笑顔でリッポンを蹴っ飛ばす。
「じゃあパトリックはラストエンペラー的な王子様ってことで」「ふぎやぁ!」
今度はチャッキーがPチャンの背中を蹴っ飛ばす。
「
>>229 のお返しだよ!」
「そんなこと言って本当は一緒に遊びたいんだろ?w ほら、行くよっ!デニスもおいで!」
JテンはチャッキーとDテンを両脇に抱えると勢いよく新雪にダイブする。
「うわっ!」「何するんだよ!」とか言いながらなんだかんだでキャッキャウフフと雪遊びしだす5人。
ジョニ子の存在はすっかり忘れているのであった。
「もう、これだからお子ちゃまは!ちょっと〜誰か〜お姫様しもやけになっちゃうわ〜」
パンイチだし。
ランビ「王子様といえばビジュアル的には君だよね?ブライアン」 ジュベ「いやいや君ないしはジェフだと思うよ」 バトル「僕寒いの苦手。ジェーニャが行くべきでしょう」 プル「寒いの得意だけど王子様って照れちゃうよ。アーチャ、GO!」 ガチ「いえ、僕じゃまだキャリアが・・・」 ライサ「zzz・・・(寝たふり)」 本田「zzz・・・(寝たふり)」 スミルノフ「zzz・・・(寝たふり)」 クリス「zzz・・・(寝たふり)」 バス内で男たちがガタガタ言っているうちに、森林の奥から ノルディックスキーで颯爽と現れた誰かがジョニ子をストックで釣り上げた。 「この界隈はよく観光客がはまるのよー。油断も隙もあったもんじゃないわ」 ラウラ・レピスト登場。
まったくもーほんとに気を付けてよね!とプリプリしながら去っていくラウラを見送り、 ジョニ子一行はサウナへ。 「ひどいわー。みんな助けてくれないんだもの」 「『王子様的』なんて制限つけるからだよ。そこで我こそは、と出ていく度胸はないな」 経営者に諭され、ジョニ子はぷっと頬を膨らませた!。 「そうこうしているうちに、俺ハタチ!」 叫ぶPチャンの両手両足をつかんで、リッポン&チャッキーが雪の中に放り出す。 「ギャー!!」「祝福のぶん投げ!ハッピーバースデイ!」 「心臓止まっちゃうだろ!早く中に入れろよ!・・・ああ入ったら入ったで暑い」 暖めて冷やして暖めて、Pチャンの皮膚はどんどん活性化。汗だくだくである。 王子イカエヴァンはスルメになっちゃうので、バスの中でお留守番。
王子イカエヴァンはツイッターをチェックしていた。 「最近、日本人スケーターも続々始めてるみたいなう」 「女子選手かわいいなう。みんなフォローするなう」 「……試合で四回転を果敢に挑戦する硬派な日本男子達が こんな顔文字だらけでキャピキャピしたツイートなんかするわけないなう…」 「!これはきっとなりすましなう!だまされないなう!」 誤解をしたエヴァンは日本男子のアカウントはフォローしなかった。
「あーでも今年も、もう終わりねー。今年も色々あったわねー」 確かにジョニ子は色々はっちゃけすぎだろ、と思わなくもない一同だったが 取りあえず、ふんふんと拝聴している。 「やっぱりオリンピック?そういえば誰が金メダルだったかしら?思い出せないわ」 「をい!」 ライサを無視してジョニ子は続ける。 「でもねアンタ達!シーズンに入ってから怪我とか病気とかしすぎよ! ジョニ子ママをあんまり心配させないで頂戴。母さん命がいくつあったて足りやしないわ!」 いや、おかんじゃねーし、と思いつつも言ってる事は正しいので反論できない。 ジョニ子のお母さんごっこは延々続く。 皆は汗だくだくになりながらもサウナから出られないのであった。
ジュベ「本場のサウナの作法って、枝で体を叩いて刺激するんじゃなかったっけ?俺、取ってくる!」 うまい口実をつけてジュベ脱出。 美姫「枝ってなんの枝かわかってるのかしら。白樺か柊か確かそんなのよ。行ってくる!」 本田「柊じゃ体中傷だらけになっちゃうよー!美姫ちゃん待ってー!」 無事3人脱出。残りのメンバーは逃げそびれつつ、年越しジョニ子トークを聞くはめになりそう? 誕生日だから、と最上段奥猛暑位置に追い上げられたPチャンはぐったりしている。 「こんな時ばっかり最上段って・・・ついてないなあ」
ジョニ子「話の途中だけど今年のこのスレの運勢を占っておくわね えいっ♪」
「きゃー!さすがアタシだわ!大吉ってTOPの運勢なんでしょう?DIVAの頂点よ!」 ジョニ子の引きの強さにびびりながら、サーシャは基本的な質問を口にする。 「1316円って日給?時給?」 「秒給に決まってんでしょー!!じゃ、これからアタシの野望編を語るわねw」 サウナの外ではジュベと本田が白樺の枝でしばきあいを繰り広げている。 美姫「大晦日のごぼうしばきあいがなくなって久しいけど、懐かしいなー」
「はーい、水分の補給ですよー。観光客はムキになって干上がっちゃう人多いから心配だわ」 再度ラウラ登場。よく冷えたジンジャーエールやミネラルウォーターなどをご持参。 干物になりかけていたPチャンはコーラに飛びつく。 「ラウラも話聞いてく?今アタシ、アメリカの半分を制圧したところよ」 「新年早々、壮大な妄想も素敵なんだけど、あちこちで遭難客を救助しなくちゃいけないからごめんね。 さっきも湖で泳いで溺れかけた観光客がいて・・・そっちいってくるわ」 湖畔で焚火に当たりながらガタガタ震えているのはジュベ&本田。 美姫はその焚火でイモを焼いている。「わー。ホクホクでおいしいな」
「は〜生き返る〜助かった〜」コーラを一気飲みして一息つくPチャン。 「もうちょっと最上段にいればよかったのに。だって今年は僕が一番上に行くからね〜」 冗談めかして言うチャッキーにPチャンはしなだれかかる。 「なーにを寝言いってんだあああああ、ごるぁああああ」 「じゃあ、僕も今年は最上段かな?」とリッポン。 「おおっと、ここにも起きたまま寝言を言う坊主がいるなぁ」 経営者がリッポンをヘッドロックしてぐりぐり。 バトル「みんなやる気満々だね。頑張ってねー」 ミハル「バトルさん!俺もユーロで台乗りします!そしてその勝利をバトルさんに捧げます!」 バトル「う、うん、でもミハル君はまず体を戻そうね。怪我をしないように」 やっぱりバトルさんは優しい!と感極まるミハル。 ロシェット「ジェフはあれね。いい保父さんになるわね」 バトル「ありがとう…(でも、保父さんなのかコーチじゃないのかなぁ…)」
グレコローマンスタイルのレスリングのようなものが2組展開して、 ますますサウナ内部は暑苦しい。 ピンク娘+美女軍団は解き放たれたように雪原に飛び出していく。 「きゃー!寒い!肌が引き締まる!」 「雪にダイビングするとおもしろいよ!人型に跡がつくの」 「冷たいのにまだあったかい!あらこんなところに焼き芋!」 美姫の焼き芋を横取りし、アグネスが駆けていく。途中でコケて大爆笑している。 極端な寒暖の差は、人のテンションを変える。 キャシー&クリスは粉雪をまき散らしながら、ぐりぐり回転を始めた。
年が明けてもお手伝いガっちゃん。ラウラの差し入れを湖畔の三人に届ける。 「またミキさんはそういう事をー。ごぼうのしばきあいなんて信じませんよ」 「そそそれはあながち嘘ではないんだなあああ… ブルブル」と本田。 「まじっすか?!日本って…。処でホンダさんもブライアンもサウナに戻っては?凍死しますよ」 Jテンはせっせと雪だるま作り。 「いやー、デニスが喜ぶかと思ってさ」 「子供じゃないってば!でも…、僕はもっと大きいのを作るよ!」 Dテンは雪原に飛び出す。やっぱり子供じゃん、とJテンはにやにや。 サウナは無理でも雪遊びは出来るよね、と未来は王子イカをバスから連れ出してあげた。 こちらはせっせと雪うさぎを作る。 「可愛いなう。でも未来ちゃんはもっと可愛いなう」 誰から学んだのか、また進化している王子イカエヴァンだった。
「今はこんなちびっこだけど、すぐに巨大になっちゃうんだろうね、エヴァン(イカの方)無敵だね」 ミライの言葉に、エヴァン(イカの方)はフルフルと頭をふる。 「マッコウクジラにはかなわないなう・・・パパやママが襲われてないか心配なう」 「大王イカにもライバルっているの?初耳だわ」 新年早々、深海ミニ知識を得てしまったミライだった。 ジョニ子はサウナの中で調子に乗ってピエロメイクをしてドロドロに溶けていた。 サーシャ「この子はどうして目の周りを黒く塗ったり青く塗ったりしたがるのかしら・・・」
サウナや雪遊びでリフレッシュしたスケーターズ+王子イカは ピンクバス(実はオス)で大西洋を目指す。 プル「ついでだからスウェーデンも寄ってく?」 ジョニ子「すっごくくさい缶詰とか食べさせられるから嫌よ」 経営者「どういう偏見の抱き方なんだか」 グレボア「アドリアンのところなんて行ったらヘビ見せられるしね」 チャッキー「冬眠してるんじゃないのかな」 Pチャン「じゃあお前、そのヘビを首に巻いて記念写真撮れ」 チャッキー「どうしてそういう話になるんだ!やだよ!」
「大変なうっ!大変なう!!」 寝静まったピンクバス内でエヴァン(イカの方)の叫び声が響き渡った。 「エヴァンどうしたの?変な夢でも見たの?ママンに話してごらんなさい」 最近母性が目ざめまくっているジョニ子が優しく抱き上げた。 「心配でパパとママにメールをしたら、今日はずっと返事がなかったなう。 そしたらさっきママからメールが来て……」 暗闇の中、大王マーク(くコ:彡)がついたikaPhoneの画面に映る一通のメール。 『大王イカが行方不明なう』
「あらヤダ!今度はパパが家出?」 「黙って家出なんてするパパじゃないなう。家庭円満なう」 「という事は・・・もしや事故?」 首をひねるジョニ子の隣で、ミライの顔が青ざめる。 「まさか、マッコウクジラに捕まったとか・・・」 「それじゃパパ食われて死んじゃううぃる!」 王子イカエヴァンは涙と墨を飛ばしちらし、またしても車内はブチ模様に。
「とりあえず大急ぎで大西洋を目指さなくちゃ!エンジン全開で飛ばして!」 「飛ばして!キャーすごい速い!」「素敵!速いのに揺れないエレガントな走りよ!」 ピンク3人娘の応援で、ピンクバス超やる気。 バテたらファヌフの手刀が待ってるし、そういう意味でも必死かもしれない。 あっという間に大西洋が見えてきた。 「まずはイカママンにご挨拶して、状況を確認しなきゃね」 ここぞとしっかり者モードのジョニ子。 パンイチで雪に埋もれて騒いでいた人物とは思えないほどの頼りがいである。 金髪アフロのヅラが目印。プルも真顔で前方を見つめ、ハンドルを握る。
「息子がお世話になりっぱなしなのに、また夫のことで皆さんにご心配をかけて・・・」 女王イカはやつれてはいたが、つぶらな瞳が美しい大王イカだった。 「奥さん、男というものは不意にふらっと旅に出たくなるものなのです。 そんなに心配してはせっかくの美しい瞳が台無しですよ。さあ、墨を拭いて」 ♀であれば無脊椎動物にも差別をしないランビエールに一同は畏敬の念を抱きつつ、若干、引いた。
「本当に旅だといいのだが・・・周辺の聞き込み調査とかしてみないか?」 経営者の提案に、プルシェンコは深くうなずく。 「それがいいだろう。でもその前に・・・奥さん、お昼ごはんってもう食べました?」 お寿司大好き!な彼の気質を知るスケーターズはみなずっこけたが、 女王イカは墨をぬぐいつつあたふたと女官イカを呼びつける。 「こちらのお客様たちに、十分なおもてなしをしてちょうだい」 かしこまりました・・・と下がっていく女官イカ。 期待たっぷりのプルシェンコ他一同の前に並べられたのは色とりどりの・・・海藻サラダだった。 「これならどんなに食べても太らないよね」 Pちゃんの憎まれ口に、レイチェルはぷいっとそっぽを向く。 デビュタントを華麗にエスコートしてもらった手前、どついたりぶん投げたりは遠慮したらしい。
海藻サラダをもしゃもしゃ一気食いすると、チャッキーは張り切って立ちあがった。 「次は聞き込み調査だね!それからマッコウクジラと対決だっ!」 チャッキーの言葉を受けて、ファヌフとスミルノフが黙々と体をほぐしだす。 バトル「いや、対決と決まった訳じゃ…。てか、シンシアもやる気?やる気なの?!」 「あいつなんであんなに張り切ってるの?」とPチャン。 「さあ?海洋冒険物が好き?少年の心を失ってないとか。 でも、54レス位前にたっぷり練習してたから余裕があるんじゃないのかな」 リッポンの言葉にPチャンは衝撃を受ける。 Pチャン「う、裏切ったなあああ!信じてたのにいぃぃぃッ!」 チャキ「う、裏切ったなんて、人聞きの悪い…」 Pチャン「一緒にゴールしようねって約束したのにぃぃ… ;」 チャキ「何の話だよっ!マラソン大会の小学生女子かっ!」
「もともと大王様は伴の者を連れず、気さくにフラリと散歩に出かけるのを日課となさっていました」 執事イカが説明する。 「しかしたいてい小一時間も深海を遊泳なさると、お戻りになられていたのです。それが今回は・・・」 「戻ってこなかったのね。お忍び散歩が裏目に出たって感じかしら」 ジョニ子の分析を隣で聞く王子イカエヴァンはフルフルと震えて涙をこらえている。 「パパ、どうぞ無事でいてくれますようになう」 「あんたみたいなちびっこと美人の奥さん置いて、トラブルに負けるような大王じゃないでしょ?」 さりげなく王子イカの涙をすくい、ふっと吹き飛ばすジョニ子。 「アタシたちが全力で見つけ出して、救ってあげる。アンタの最愛のパパを」
「これに何か手がかりはないのかな、アハン」 ランビはなぜか残されていた大王イカのikaPhoneを女王イカに差し出す。 だが女王イカは首を…いや身体を横に振った。 「いくら行方不明といえども、勝手に人の携帯を見るような真似はできません」 「アハンアハンさすが女王様。やっぱり僕が見込んだ通り素晴らしい女性だね」 そう言って女王イカの手を握ろうとするが、どれが手か分からなかったので とりあえず足を全部握ってみた。
ランビに逆さまにぶら下げられ、女王イカはもがく。 「ランビエールさん、いけません……息子が、息子がみてます……っ」 その艶めかしい様子に、男性陣はうつむいたりそっぽを向いて見せたり、モジモジと爪先を擦りあわせたり。 「エヴァンだっていつまでも子供じゃないわ。ねえ」 ジョニ子だけマジマジと事の次第を見届けようとしている。 「浮気はダメ!絶対!」 真面目なファヌフの手刀がランビの首筋に決まる。 失神したランビと、そばに崩れ落ちる女王イカ。 「わたくしとした事が……シンシアさん、ありがとう」 「いいのよ。そんな事より深海のみんなを宮殿に集めて聞き込み開始!」 仕切られたせいか、ラブロマンスドラマを中断されたせいか、ジョニ子はつまらなそうに床を踵で蹴っている。
『大王イカ失踪事件対策本部』 ジョニ子「さ〜て、まずは聞き込みから集めた情報をまとめるわよ。まずはブライアン」 ジュベ「ママン。大王イカと頻繁に飲み歩いている、1km先に住んでるマダコ一家に 話を聞いてみたんだが…パウル君のような占い師になるために修行を始めたい、と 飲む度に本気か冗談か分からない独り言を言っていたそうだ」 ジョニ子「フム…新しい商売への欲求、もしくはカリスマ性をさらに高めたいっていうことかしら」 エヴァン「パパは大西洋一帯のネット通信の整備を整えた上に、ikaPhoneの売れ行きも 好調なう。お金もたくさんあるし、世界中の海にその名は知れ渡ってるなう。 いまさらそういうものを求めるとは考えづらいなう」 ジョニ子「それならこの線はなしね。じゃあ、次の報告」
ザワツキー「はーい!私たちはアンコウさんに話を聞いてきました」 ジョニ子「深海を照らすアンコウからの情報は心強いわね。どうぞ」 サムソン「アンコウ青年団でパトロールをしているらしいんだけど、北側の大岩の横で 大王とすれ違ったって情報がありました」 ジョニ子「それは何時?変わった様子はあったのかしら?」 ギルス「早朝だそうです。何か急いでいるようだとか・・・あとアンコウ青年団の代表者に 合コンに誘われました」 ジョニ子「早朝に急ぎの用事って怪しいわね。合コンはアタシも呼んで」
「魚たちの情報じゃないんだけど…」と、手を上げたのはリッポン。 「さっきトッド・エルドリッジに電話して聞いたんだけど、 ここから南の赤道付近に小さい無人島があって、 そこの近海にイカたちが集まって騒いでいた、ってイカ釣り漁船の漁師から聞いたとか」 「あら?あらあら南の島?無人島?やだ、季節外れのバカンスが楽しめるじゃない」 「ちょっとジョニー」 浮かれるジョニ子をサーシャが嗜める。 「わかってるわよ。でも、有益な情報じゃない。一度その島に行ってみない?」 レイチェル「アンコウって…、肝が美味しいのよねぇ〜…」 リッポン「レ、レイチェル、ここはディズニーかまんが日本昔噺みたいなテイストでっ…!」
「引き続き宮殿で情報収集と分析をするチーム、そして無人島探索に行くチームに分かれたらどう?」 セベスチェンの提案に一同うなずく。 「問題はどう班分けするかなんだけど・・・情報分析班はレイチェルをリーダーに推したいの」 「光栄ね。全力を尽くすわ」 「もうしばらく海藻サラダでダイエットに励んだ方がいいよ」 「パトリック!あなたは無人島探索で体力作りに励んでらっしゃい。5年でも10年でも」 それぞれ推薦や立候補で自然と班分けができていく中、一人だけ迷いに迷っている者がいた。 「アタシどっちに行こうかしらー。合コンもあるし、南の島でバカンスもロマンティックだしー」 ジョニ子だ。両脇からリッポンとチャッキーに腕を掴まれる。 「合コンとか寝言言ってないで、実戦部隊に加わってください」 「バカンスとかアホな事言ってるとイカのエサにしますよ」 背後はスミルノフとファヌフとロシェットが固める。もう逃げられない。
「よく考えたら、アタシ鮫苦手なのよ!やっぱり情報分析班として宮殿に残るわ!」 「合コンに行きたいだけでしょう!」 サーシャに叱られ、ジョニ子はペロリと舌を出す。 「そりゃちょっとはそんな気持ちも否めないわ。至上の愛を失ってもう何年にも・・・あ、1/11発売の自伝読んでね」 「さりげなく宣伝してるんじゃないわよ。鮫はね、鼻づらをぶんなぐれば戦意喪失するんだって。さあ行きましょ」 サーシャに耳をひっぱられ、ジョニ子は宮殿の外へと連れ出される。
無人島探索班を乗せたピンクバスは一路南へと海上を疾走する。 チャキ「無人島かぁ… マッコウクジラとの闘いは無いかな。ネモ船長ごっこ出来ないや」 Pチャン「ふん、お前なんかエイハブ船長だ。白鯨に引きずられて海の藻屑となれ」 チャキ「ちょっと!どうしてそんな酷いこと言うの!」 リッポン「まだ怒ってるの?」 「まぁったく男って下らないわねぇ、鯨と闘いたいなんて。アタシは…、男じゃなくて良かったわ。うん」 すると、サーシャがジョニ子を後ろから肩越しにぎゅっと抱きしめた。 「そうよね〜。ジョニ子はジョニ子だもんね〜。素敵よ」 「何よ、急に。気持悪いわね」 「なーんでもなーい。ジョニー愛してるわよ」 「知ってるわよ。馬鹿ね」 ジョニ子も前にまわされた親友の手をきゅっと握った。
経営者「そもそもなんで家族や家来や友人に伏せてまで、無人島まで行かなければならないのか?」 プル「うしろめたい事情じゃないといいけど。でないとエヴァン(イカの方)がかわいそうでしょ」 バトル「マフィアに脅されて・・・って事はないかな」 ジュベ「いずれにせよ、あまり明るい事情じゃない気がしてならないな。ここが深海だからか?」 ジョニ子「そんな時こそ歌よ!」 3大テノール再び。ファヌフがいち早く他メンバーに耳栓を配りまくる。
一方、イカ宮城のピンク娘と美女軍団。 「次はイケメン風のお魚に話を聞きましょう」「例えば?」 「うーん、マグロ?」「おじさんっぽいわ」 「じゃあ、カツオ」「いがぐり頭の野球少年が浮かんだわ」 「アナゴ…論外ね」「マスは優しそうよ。親と同居してくれるし」 「イケメンじゃないじゃない」「でも、優しさは大事よ」「まだ結婚なんて考えてないわ」 セベ「ちょっとあなた達、目的がずれてるわよ」 「はーい」「そうだった」「ごめんなさーい」 時々脱線しつつも、概ね真面目に聞き込み調査に励んでいた。
赤道直下の無人島は灼熱。 「日焼け止め塗って〜」 いきなり水着姿でビーチベッドを広げるジョニ子。 「遊んでる暇ないのよ!」 サーシャが叱咤するのだが、ジョニ子はもうサングラスをかけて寝そべっている。 「自伝の執筆やプロモーションで疲れてるのよ。休ませて〜」 ジャンケンに負けたJテンが恐る恐るサンオイルをジョニ子の背中に塗りたくる。 そこにエヴァン(イカの方)が墨でそっと”Welcome to My World”と書いた。
「やっぱり一番怪しいマッコウクジラさんに聞いてみるのが一番と思いますぅ」 情報分析班の作戦参謀であるレイチェルに提案するミライ。 「…そうね。……アンコウ青年団は……マッコウクジラに……… 怪しい動き…は…なかったって………言ってたけど …本人から……事情聴取するの…が……一番…よね」 アンコウ青年団差し入れの深海饅頭を頬張りながらレイチェルは頷く。 「それは」「私たちの」「仕事ね」ピンク3人娘の息は相変わらずぴったり。 「ゲホッゲホッ…ミライ……お水っ」 「キャー気をつけてくださ〜い。喉に詰まって事件になったら 深海饅頭が発売中止になっちゃいますぅ」
「大王イカとはすでに手打ち・・・が済んでいるわけではないが、暗黙の了解ができていてね。 お互い無駄に血や墨や脳油を流すのはよそう、というスタンスでいるよ。何年も前からだ」 マッコウクジラの長は渋みをおびたダンディであった。 「それはあの、全世界的にですか?」 「よその海は知らんよ。ただ、この界隈であの大王イカにつっかかっていくマッコウクジラはいない。 むろん、私に挑んでくるイカもいない・・・彼に何かあったのかね?」 「えっと、その」 口ごもるザワツキーに替わり、ギルスが答える。 「大王は、ここしばらく失踪しています。何かお心当たりは?」 「ん・・・ないな。残念ながら。美しい御嬢さん方に心配をかけて、大王はとんでもないやつだ」 さりげなくピンク娘3人を褒め、長は若いクジラに彼女たちをイカ宮城まで送らせる。 「食えないオヤジね」 サムソンがポツリとつぶやいた。そりゃシー・シェp(ry
ピンク娘達が予想外の活躍を見せている頃、
ジョニ子はJテンのマッサージが効いたのか、すやすやと眠っていた。
リッポン「やっぱりハードワークで疲れてるのかなぁ…」
Jテン「この隙にもっと落書きしちゃおうか?自称7.5インチとか」
チャキ「そうだね。ばれたら全部パトリックのせいにすればいいし」
Pチャン「そうだな。ばれたらケヴィンのせいにすればいい。全て丸く収まる」
チャキ「なんでだよ!」 Pチャン「そっちこそ!」
リッポン「大声だすなよ…。起きちゃうだろ」
灼熱の太陽で日焼けしすぎては大変、とガっちゃんはいそいそとビーチパラソルを用意。
起きた時のために冷たいドリンク等も用意してかいがいしく働いていた。
>>332 >>333 クジラ渋いなぁw
ピンク娘達がこんなに活躍するとは思わなかった。キャラが立ってきてるw
「さすがアーチャ、気が利くわね。ついでにイカたちに事情聴取してきて」 「ぼ、僕一人でですか」 「パトリックやケヴィンだってついていくわよ。ねえ?」 自分はうつぶせでウトウトしながら、ジョニ子は言いたい放題だ。 なお、事情聴取はすでに川口・スミルノフ組が開始している。 川口がソフトに挨拶して、通用しなければスミルノフが無言で筋肉アピールしつつイカの隣に立つ。 名コンビだ。
「大王さまがー、大王さまがー」「大変だー、大変だ―」 「どうしよう、どうしよう」「おろおろ、おろおろ」 無人島のイカ達はエヴァン(イカの方)と同じくらいの大きさで、数百匹で群れていたが ぷちパニックを起こしているらしく要領を得なかった。 「困ったわね。どうしましょう」と悠子。 「だが、イカ達がここに集まってるという事は近くに大王がいるんじゃないか? 怪我をして動けないとか、自力で抜け出せないところにいるとか」 するとイカ達は、我が意を得たり!とスミルノフにわらわらと群がりだした。 「スミルノフ!スミルノフ!」「スミルノフ万歳!」「スミルノフ!スミルノフ!スミルノフ!」 「どうやら当りみたいね。じゃあ、ジェーニャ達を呼んで・・・ あ!ちょっとー、あなた達ー、サーシャを連れてかないでー。一人じゃ無理よー」
「全世界的にマッコウクジラvs大王イカの対決は回避されてるってわけじゃないのね?」 レイチェルの問いにザワツキーが答える。 「『よその海は知らんよ』って言ってたわ」 「怪しい・・・探索班に、マッコウクジラの線も消えたわけじゃない、って知らせなくちゃ」 オヤツのホットケーキにたっぷりメイプルシロップをかけながら、参謀・レイチェルは呟いた。
「・・・という事です、バトルさん!」 レイチェルから飛び魚メール便で届いた報告書を、 ミハルはピンポイントにバトルに向かって読み上げた。 「あ、ありがとう…。えーと、という事だそうだよ、みんな」 経営者「なるほどな。大王イカとマッコウクジラは海や個体は違えども、 長年に渡る因縁がありそうだな。永遠のライバルって奴か?」 ジョニ子「永遠のライバルって懐かしい響きねぇ。マスコミも喜ぶのよねー、そういうの」 バトル「でも、お互いに切磋琢磨して高めあえるライバル関係はいいよね。 僕はエマとはそういう関係になれなくて、残念だったなぁ」 プル「そうだね〜、ライバルっていいもん…だよ、ね…(何かいろいろ思い出す間)… いや、やっぱり良くないな。あんなもんいないに越したことないよ」 因みにベテラン勢、皆、水着を着て浜辺で寛いでいる。先輩だからいいのだ。
川口・スミルノフ組の帰りが遅いのが気になるリッポンは、チャッキー&Pチャンを伴い深海へ。 すると小さなイカたちが担いでいるイカ神輿が目に入った。 「スミルノフ様!スミルノフ様!」 川口・スミルノフ組が神輿に乗せられワッショイされている。 「アダムー!助けてー!」 「みんなもこっち来いよー!お神輿楽しいよー!」 ペアの間に温度差があるようだ。とりあえず、集っているイカたちに二人が歓迎されている 様子なのを見て、リッポンは安堵。 チャッキー&Pチャンは幻想的?なイカの舞い踊りに興奮。
ガッちゃんはJテンやDテンと一緒にテントを設営。 じっくり腰を据えて調査するなら宿泊・休憩場所を充実させねば、とがんばる。 「砂地はペグがグラグラして落ち着かないなあ」 「もうちょっと内陸側に移そうか」 「でもあんまり奥地行くと虫に刺されたりしない?」 相談しつつキャンプのノリ。結構楽しい。
「問題は食糧なんだけど・・・新鮮なお寿司を食べさせてあげたいけど・・・」 ガっちゃんは、テント設営に興味津々のエヴァン(イカの方)を、ちらっと見る。 「イカ宮城の外なら構わないなう。弱肉強食、食物連鎖なう」 「でも、喋ってる魚って食べにくいような・・・」とJテン。 「『アリス』でそんな話あったね。セイウチと大工がお喋りしてたオイスターを食べちゃうんだ・・・」 「オイスターだって!デニスいいこと言った! ジェーニャ先輩はオイスターが大好物なんだ。よし、今日の夕飯は牡蠣づくしだ!」 張り切るガっちゃん。Dテン君はちょっと涙目。 Jテンはというと、 (祖国の英雄とはいえ先輩にあんなに入れ込むものなのかなぁ?) と、不思議そうにガっちゃんを見つめていた。
焼き牡蠣・生牡蠣・牡蠣フライ・牡蠣炊き込み飯などなど牡蠣尽くしの夕食。 他のメンバーはともかく、プルシェンコは大喜びである。 「日本の牡蠣好きー!でも他の牡蠣も好きだよー!ワタシ・スケート・チョトデキル」 貝は『貝のように口を閉ざす』という言葉通り、無口なので調理しやすかった・・・と ガッちゃんのトラウマは最小限にとどめられた。 「口がデカくて顔が怖いオコゼさんだったら、びびって負けちゃったかも」 「いざとなればジョニ子姐連れてくればいいのさ。たいていの魚介類は迫力負けするから」 夕食作りの手伝いをしたJテンはのんきにそう言い放つ。 Dテンは浜辺の隅に目立たぬよう、牡蠣のお墓を作っていた。
男子勢の中でただ一人、情報分析処理班に残されたクリス。 「僕だって鯨と死闘を繰り広げて、イカたちを救いたいのに・・・」 「しょうがないでしょ。女の子ばかり残していくのは心もとない、ってのが総意だったんだから」 「体調不良のミハルでもよかったじゃん」 「あの子はバトルさんについてないと情緒不安になるのよ。体調復活のためにもそばに置いておかなきゃ」 理不尽である。しかしそれがスケーターズの総意であるなら、とクリスは耐えた。 男の子一人じゃかわいそう、とギルスたちがトランプに誘ってくれるし、レイチェルが余ったお菓子をくれるし、 マイアー・セベスチェンのお姉さん組も洗濯などしてくれて優しい。 「これって・・・ハーレム?(*´Д`*)=3 」
「どうしてこんな事になってるんです?」 リッポンはイカ神輿の上で巧みにバランスをとる悠子に感心しながら聞いた。 「この子たち大王の居場所を知ってるみたいなの。 皆に知らせようとする前に神輿に乗せられちゃって」 「そっか、じゃあちょうど良かったです。まだ無人島からそんなに離れてないから、 場所がわかったら僕らが皆に伝えに・・・」 「うわあ!見てよ、パトリック!!」 リッポンの科白はチャッキーの歓喜の叫びでさえぎられた。 チャッキーの指さす方を見ると、そこには何やら巨大で朽ち果てた様子の・・・・ チャッキー「難破船だー!!やったあー!!!」 Pチャン「だからお前はなんでそんなに嬉しそうなんだ」
グレボアは一人残された女王イカのメンタルケアに時間を割いている。 「熱烈なプロポーズを受けて、二年後にはエヴァン(イカの方)が誕生・・・夢のようじゃないの」 「幸せすぎて怖いの。グレボアさん、わかっていただけるかしら」 「わかるわ。人生の絶頂にいると、ふと谷底が見えてしまうものよ。でもそれは幻。 地に足を踏みしめて、欲張って夫と子を抱きしめていくのが、妻であり、母じゃないかしら」 「ありがとうございます・・・やっと元気が出てきました。 お嬢様育ちの女王イカは、なかなかこうして腹を割った相談ができず、悶々としていたらしい。 その頃、浜辺でバーベキューだの土手鍋だのに興じ、プルシェンコは赤鬼のようになってきた。 「ウォッカ持ってきてー!」「ジャングルのサル酒しかないっすー」「それでもいいや持ってきてー」
難破船探索はチャッキーに任せて(足手まといなので置いていって) リッポンはPチャンは小イカを伴い、より深海へ。 Pちゃん「あー!耳痛くなってきたー!」 リッポン「もうちょっと我慢して」 川口「でもほんと痛い。あなた平気なの?」 スミルノフ「んー。ちょっとボーンってするかな」 各自体質の違いをあらわにしながら、真相究明のために潜る。そこには――― 数十年前に命尽き果てたと思しき、真っ白な大王イカの遺骸があった。 一同沈痛な面持ちで両手を合わせる。 「エヴァンのパパにしては、だいぶお年を召しているような」 「おじいちゃんかひいおじいちゃんじゃないかしら」
難破船からアンティークをしこたま強奪したチャッキー、 深海病でぐったりしているPチャン、そして小イカたちとの別れを惜しむ 川口・スミルノフペアを連れ、リッポンは浪間に浮上。 「あー!オイスター祭りやってる!ずるい!」 「酢ガキならちょっと余ってるよ〜」 プルシェンコはマイペースで牡蠣の軍艦巻きを食べまくり。 「で、深海のイカの状況はどうなの?」 ジョニ子の問いにリッポンは 「スミルノフさんがワッションされてました・・・」としか答えられなかったのである。
トビウオメール便でリッポンからの報告を受けたレイチェルは、二つの仮説を立てた。 1.父(祖父?)を殺されたかたき討ちとして、赤道のマッコウクジラに大王イカが戦いを挑んだ 2.旅先で病死した父(祖父?)の墓参りに大王イカはひっそりとでかけた ギルス「こっそりでかけるって事は、かたき討ちじゃないかしら?」 セベスチェン「一人きりで喪に服したいって気持ちもあるかもよ」 サムソン「その界隈にいる小イカたちは事情を知らずに騒いでいるだけなのかしら」 キャシー「まあ、小イカだからねえ・・・」 作戦参謀として、レイチェルは2の説である事を願ってやまない。 実戦部隊のスケーターに危害が及んだら、と思うと気が気でないのだ。
焼き牡蠣・生牡蠣・牡蠣フライ・牡蠣炊き込み飯などなど牡蠣尽くしの夕食。 他のメンバーはともかく、プルシェンコは大喜びである。 「日本の牡蠣好きー!でも他の牡蠣も好きだよー!ワタシ・スケート・チョトデキル」 貝は『貝のように口を閉ざす』という言葉通り、無口なので調理しやすかった・・・と ガッちゃんのトラウマは最小限にとどめられた。 「口がデカくて顔が怖いオコゼさんだったら、びびって負けちゃったかも」 「いざとなればジョニ子姐連れてくればいいのさ。たいていの魚介類は迫力負けするから」 夕食作りの手伝いをしたJテンはのんきにそう言い放つ。 Dテンは浜辺の隅に目立たぬよう、牡蠣のお墓を作っていた。
プルの牡蠣好きは大切なことなので二度書き込みました(キリッ ってことですか わかりません><
二度も行われた牡蠣祭りに出遅れたリッポン・川口・スミルノフ・Pチャンは、 隅っこに余っていた酢がきをチマチマと食べた。 やたら元気なのはチャッキーである。 「シンシアにはネックレスをあげる!ジョアニーにはイヤリング!ユウコにはブローチをあげるよ!」 難破船からぱくってきたアクセサリーを女子に配りまくり。 そして自分は宝石をちりばめた剣を振り回して海賊気分。
二度も行われた牡蠣祭りのため、プルはすっかりぐでんぐでんに。 プル「あーちゃぁ…僕様の酒が飲めないっていうのぉ…、立派なロシアンになれないぞ!」 ガチ「はい、ジェーニャ先輩!いただきます!」 サーシャ「駄目よ!お酒的な意味で立派なロシアンにならなくていいの!」 ジョニ子は何故かサイン魔に。 「こらぁ、アダムぅ、アタシのサインがいらないっていうのぉ?」 「これ以上は書く場所がありませんっ!」 体中にサインを書きまくられ、リッポンは耳なし芳一のよう。 未だのりのりのチャッキー。海賊の剣をPチャンに突きつけて、 「パトリック!勝負だ!」 「お前はなー、そんな事してるからいつまでたっても演技がジュニアっぽいんだよ」 「む。・・・余裕を見せているのも今のうちだよ。地の利は我にあり!」 「む。あんまり調子に乗るなよ!」 「二人とも怪我しないように頑張れ〜」Jテンはマンゴーアイスも食べながら応援。 「あ、いいな〜。ジェレミー、僕にもちょうだい」バトルももぐもぐ。
チャッキー「いざ尋常に勝負勝負〜!」 Pチャン「お前テンション上がり過ぎなんだよ。落ち着けよ」 そこにプルシェンコがボートのオールを2本放ってよこす。 プルシェンコ「パトリック!二刀流で対決だ!いけー!」 ガッちゃん「ややこしい事しないでください!」 リッポンは足の裏までジョニ子にサインをされ、くすぐったくて悶絶していた。
本田「ケヴィンが鞘を捨てたら負けなんだよねー佐々木小次郎サイドだから」 美姫「あの剣、鞘ないわよ。海の中に捨ててきちゃったんじゃない?」 本田「じゃあ負けかなあ」 経営者「呑気な事言ってないで、戦いを止めなきゃ!」 経営者がダッシュする前に、ガッちゃんがPチャン&チャッキーに牡蠣の殻を投げつけた。 ガッちゃん「おめーら、さっきからうっせーんだよー!こちとら酒盛りしてんだってーの!」 なんかリミッターを超えちゃったらしい。プルシェンコは大爆笑。
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ガっちゃんの投げた牡蠣の殻がPチャンの頭にスコン。「かはっ。こほこほっ」 Pチャンは咳が止まらなくなってしまった。 「やだ、パトリック風邪?早く寝なきゃ駄目じゃない!」 また母性が目覚めてしまったジョニ子、問答無用でPチャンをテントへ引っぱって行く。 「そうそう、無理は禁物だよ。無理はね〜。なんか急にパトリックに親近感わいちゃったなぁ」 ランビがにこにこ近づいてきた。 「かはっ!こほっこほっ!(一緒にするなっ!)」 それをしおに他のスケーター達もテントへ。 チャキ「むう。今日はここまでか。だが、俺達の戦いは始まったばかりだ!」 Jテン「海賊の呪いならぬ、カナダの呪いがとけるように祈ってるよ・・・」 前後不覚となったプルとガっちゃんはスミルノフが抱えて撤収。 サーシャ「全く、もう。エヴァン(イカの方)、御免なさいね。こんな調子で・・・」 エヴァン「大丈夫なう。もう、慣れたなう。 それに…、パパはこの近くにいるような気がするなう。きっと、すぐ見つかるなう」 サーシャ「息子の勘かしら?」 エヴァン「イカパシーなう(笑)」
宴の翌朝、チャッキー&Pチャンのテントの前では、ガっちゃんが土下座。 「酔っていた事とはいえ、お二人に無礼なマネをして申し訳ありませんでしたー!」 「あー、いいっていいって。あのまま決闘するのもシャレになんなかったしさあ」 「そんな事よりケヴィンの剣よく見てみようぜ。美術品としてもすごい価値があるかも」 本田&美姫は ジャングル奥地で果物採集。 「美姫ちゃん、ねこそぎ取っちゃだめだよ。先住動物のぶんも残しておかなきゃ」 「はーい。ところでこれケヴィンがさっきこっそりくれたの。いいでしょ」 精緻な彫刻がほどこされたブレスレットである。エキゾチックなデザインが美姫に似合う。 「サーシャはアンクレットをもらってたわ。これ、情報分析班には内緒ね」
「つまり、この界隈の小イカたちはパニクってて話が要領を得ず、 深海には大王イカのお年寄りの遺骸が安置されているのね」 ジョニ子がまとめた話を、ミハルが大急ぎで書き留めてトビウオメール便でレイチェルに送る。 「イカお神輿・・・羨ましいわねえ」 大王イカ探しよりも、ジョニ子は神輿のてっぺんでセクシーポーズで高笑いしたくてしょうがない。 「大王イカを見つけて事件を収拾させたら、お神輿どころか神として崇められるだろうな」 経営者の一言で、ジョニ子は俄然やる気に。 「・・・でも鮫が怖いから、パトリック・アダム・ケヴィンが護衛でついてきてよ」 変なところで気弱だったりもする。
サーシャ「ケヴィン、気をつけていってらっしゃいね」 美姫「ケヴィン、これ一番熟れてて美味しい果物とっておいたの。途中で食べて」 「ケヴィン」「ケヴィン」 女の子達は皆、チャッキーに声をかける。プレゼントが効いているのだ。 Pチャン「お前、女子になんかしたの?」 チャッキー「さあ?なんかしたっけ?」 しかし、当人は全く気づいていない。 リッポン「あの二人ああいうとこ似てる」 経営者「いや、全く。お前さんとはえらい違いだな」 リッポン「人聞きの悪いことを。僕はリンクメイトやチームメイトと仲良くしてるだけです」 ジョニ子「うだうだやってないで行くわよ〜。ちゃんとアタシを守るのよ〜」
幸い鮫に遭遇する事もなく、ジョニ子たちは深海へ。 そこに横たわる老いたイカの遺骸。 「パパじゃないなう。僕のおじいちゃんなんだろうか?よそのおじいちゃん?謎なう」 「見た感じ、大怪我など派手な損傷は見当たらないから、病死かもしれないね」 周辺を探索していた経営者が何かみつけた。。 「ん?なんか杖が落ちてる・・・ケヴィンが難破船から拾ってきたものとデザインが似てるよ」 また一つ謎ができてしまった。 その頃ジョニ子は深海商店街の井戸端会議奥様イカたちと親交を深めていた。 「あらやだ奥さん、思春期の坊ちゃんがいるようには見えないわ〜お若いわ」 「ジョニ子さんだってきれいよ、ねえ、みなさん」 「そうよそうよ。きっとお手入れには時間かけてらっしゃるんでしょうね〜」 「オホホホホホそれほどでもないのよ〜」
「ん〜、これは難破船がキーワード?調べてみようか」 「あ、そうだ!難破船と言えばこれも拾ったんだよ」 とチャッキーが取り出したのは、何やら一枚の紙が入ったガラス瓶。 「別の宝の地図かも。エヴァンのパパが見つかったら次はこの冒険をしようよ!」 相変わらず暢気なチャッキー。紙を開いて見ると・・・ 『難破船に閉じ込められてるなう 救援、乞うなう 大王イカ』 「こういう大事なものはさっさと出さんかーいっ!!」 「ぐぼわっ!」 Pチャンの水の中とは思えないキレのある延髄切りがチャッキーを襲った。 「やれやれ・・・おーい、ジョニー、行くぞ。次は難破船だ」 ジョニ子らの井戸端会議は掃除談義に発展していた。 「あらやだ、空気の世界も大変よ。すぐ埃は溜るし、爪は割れちゃうし、 鳥たちはアタシのバルコニーにふんをするのよ!」
難破船の船底付近まで潜ると、不自然に新しい板が打ちつけてある柵状の箇所があった。 ジョニ子「きっとここよ!あ〜ん、アタシ一人の乙女力じゃ開けられないわぁ。手伝って〜」 乙女力うんぬんに関しては他メンバーも何か言いたげではあるが、全員力を貸し、 メリメリと板をはぎとる。 すると中から、赤黒く変色しきった大王イカが倒れこんできた。 「すまない・・・君たちはひょっとしてスケーターの」 「そうよ!氷上のDIVAであり天使であり1/11には作家デビューと歌手デビューも果たしたジョニ子です!」 今にも歌いだしそうなのを必死に抑え込んで止め、全員で海上を目指す。
連絡を受けて女王イカとイカ宮城にいたスケーター達も無人島へとやってきた。 赤黒く変色してはいるが大王イカの姿を認めて女王イカはほっと胸を撫でおろす。 「一先ず無事が確認出来て良かったわね。まだ、謎は残っているけど」 「うん、レイチェルも情報分析班、お疲れさま。 あ、それでさ、これ難破船で見つけたんだけど良かったら・・・」 ちゃっかり、チャッキーのぱくってきた宝物からぱくってきたティアラを差し出すリッポン。 「あら、ありがと」 「デビュタントの写真を見て何か足りないと思ったんだ。きっと似合うと思って」 実にそつがない。
愛妻と愛息に再会し、大王イカの体もだいぶ元の白さを取り戻してきた。 枕元ににじりよったレイチェル(ティアラ付)が問う。 「大王、今回の事件についていろいろと気になる事があるのですが、容体はいかがですか?」 「うむ、話すぐらいなら大丈夫」 「では単刀直入に。あなたを拉致・監禁した実行犯はわかりますか?」 「―――太平洋のマッコウクジラと、その配下の者だ」 「なるほど。縄張り争いという事でしょうか?」 「私が先手を打ったと?そこまでの野心はない。向こうはやる気満々のようだが」 「ではなぜ大王はそんな危険な太平洋を目指されたのですか?それも単身で」 「少々長い話になるが、よいだろうか」 ジョニ子がエージェントに電話をかける。 「私の自伝も大ヒットしたことだし、大王イカの冒険ってどうかしら。ビジネスチャンスよ!」
「まず、伴の者を連れず忍んで行動したのは、太平洋の荒くれ者どもを刺激したくなかったから。 そして、そこまでして太平洋を目指したのは、恩師の墓参りをしたかったからだ。 海底に沈む、大王イカの遺体を、君たちはもう見つけたかな?」 「あ、はい。僕らは難破船探索の際に、ちょっとだけ」 チャッキーは答えると、大王イカは深くうなずいた。 「彼は長きにわたって太平洋をおさめた、真の大王と呼ぶにふさわしい大王イカだった。 私もやんちゃな少年時代から、ずいぶんお世話になったものだよ。穏やかだが威厳があり、 知恵と慈愛に満ちたお方だった―――訃報を耳にした時、すぐかけつけたかったが、 地元が少々もめていてね。つい後回しになっていたのだよ。そっちが落ち着いたし、 息子も親離れの兆しを見せてくれている今がよい頃合いか、とひっそり詣でたのだが・・・ この界隈にのさばる悪党どもに見つかってしまった」 そりゃアンタやたらでけえし見つかるわ、とつっこみたいPチャンだったが、さすがに空気を読んでここは黙っていた。
美姫「凄いわぁ、海の世界も色々あるのね。『仁義なき戦い』みたい」 本田「美姫ちゃん、君いくつ?」 未来「ええ〜『仁義なき戦い』くらい知ってますよ〜。 日本人なのに『仁義なき戦い』を知らないなんて信じられない・・・」 本田「未来ちゃん、知ってるの?!」 エヴァン「あのイカのおじいちゃんはパパの恩師だったなうね」 Pチャン「子供の頃からお世話になってた人って一生忘れないもんだよね」 チャッキー「もー、パトリック泣くなよ」 Pチャン「泣いてねーよっ!!」 「・・・続きを話していいかね」 「す、すいません・・・ こら、あなた達、静かにしなさい」サーシャが代表して謝る。 「全く最近の若い者は・・・ 小イカらに助けを頼んだのだが無しのつぶてだったしのう」 集まっていた小イカたちは慌ててスミルノフの陰に隠れた。 ちょっとパニくって忘れちゃったのだ。
小イカのかわいさに目を奪われそうになりつつ、レイチェルは質問を続ける。 「という事は、現在大西洋の守りが手薄になっているという事が、太平洋の悪党どもに知られているわけですか?」 「私がいなくても若い者が縄張りを守るよう、組織作りがしてある。が、早く戻らねばな」 大王イカはぎこちないしぐさで体を起こす。ダメージを受けているようだ。 「あともう一つだけ、よろしいですか?」 レイチェルが人差し指を立てた。 (美姫は慌てて紅茶を入れそうになったが、某テレ朝の刑事ドラマじゃないのでやめた) 「もし太平洋のマッコウクジラが大西洋の・・・現在大王とは休戦中のマッコウクジラと手を組んだら、どうなるでしょう?」 「・・・かなり切れる人物だね、君は。海洋生物だったら、ぜひ大西洋の参謀としてスカウトしたいところだ」 軽く会釈し、レイチェルは女王イカとともに大王イカが立ち上がるのを助ける。 「―――スケーターズの諸君、苦労をかけてすまなかった。ここから先は私の仕事だ」 長く力強い脚をうねらせ、大王イカは猛スピードで大西洋を目指す。
「ここまで来たら放っておけないわ、アタシたちも行くわよ!」 大王イカの後を追うジョニ子・女王イカ・エヴァン(イカの方)他一同。 「ちょ。ちょっと待って」 スミルノフが小イカ大勢を抱っこして途方に暮れている。 「この子たち置いてはいけないよ」 「じゃ、連れてっちゃおう」川口即決。漢らしい。 「でもさその前に」Pチャンが一歩前に出る。 「このご遺体、埋葬していこう。きっと大王もそのつもりで来たと思う」 Pチャンが手にしているのは、遺骸の傍に落ちていた宝珠の杖。 「これが、墓標だ」 小イカたちが墨や涙をまき散らすので周囲はなんか薄暗い。 「難破船の中にスコップありましたよー!」 ガッちゃんだ。数本のスコップを携え、プルシェンコとともにやってくる。 「よし、埋葬だ。悪党どもに見つからないうちに、迅速丁寧しめやかに済ませるぞ!」 威勢よくスコップを掴むPチャンの肩に、チャッキーが掌を乗せる。 「・・・泣くなよ」 「泣いてないってば」
その頃ジョニ子がエージェントに連絡したこともあり 大王の告白は全米で生中継されていた。 全米が泣いた。 そして太平洋のマッコウクジラも愛人のイシイルカと共に 生放送を見ていたのだった。 「やっべえ、あいつ逃げちまったよ。っていうか 俺がやったの全米に放送されてるじゃん」 「うわーっチョー最低。このままいくとアタシもヤバイって感じ? 潮時だしアタシ達、別れた方がいいんじゃね?」
「大王様!よくぞご無事でお戻りくださいました!」 執事イカ以下大勢の家臣が平伏し、大王イカを出迎える。 「現在のところ、大西洋に紛糾は起きていないのだな?」 「はい。パトロールを強化、常時出動できるように軍備を固めてあります」 「苦労をかけた。スケーターズの皆様には寝室を用意するように」 大王イカは執務室にレイチェルを招き入れ、紅茶でもてなす。 「参謀の御嬢さん、我々が思っているより太平洋の荒くれ小僧はオットリ屋さんなのかな?」 「でなきゃなめてかかっているのでしょう。しかしさすがにもう大王の脱出には気づいているはず」 「そろそろしかけてくるだろうか?」 「私なら一度退きます。大王陛下が戻り、厳重警戒態勢下にある大西洋に攻め込むなんて自殺行為だわ」 紅茶を飲みほし、レイチェルは一言付け加えた。 「私なら、ですが」 「つまりあらゆる事態を想定すべき、と」 レイチェルは黙ってうなずいた。
スミルノフはすっかり太平洋小イカたちの保父さんになっている。 「君らのご両親はどうしてるの?」 「まひあにころされたり、てしたになったりしたー」 「太平洋はそんなひどい事になっているのか。せめてお兄さんが君らを守ってあげなきゃな」 ぎゅっと抱きしめると、小イカたちはムニュムニュと腕からすり抜けていく。キャッキャとはしゃぐ。 なお、ごく少数の太平洋小イカはジョニ子(自著のサイン疲れ)の右腕マッサージ係。 「ああ〜吸盤がたまらないわ。何人もの男に(ry」 まひあ、いやマフィアの親玉である太平洋のマッコウクジラは 愛人に逃げられかけてますます機嫌が悪い。 「どんなデカい真珠だって手に入れてやるし、オーロラ見につれてってやるから機嫌直せよー。なー」 「シー・シェ○ードやグリー○・ピースを敵に回したくないってのよ!サヨナラ!」
あまり活躍の機会もないし、3A券も奪い損ねたし、もうここにいる意味はない。 そう解釈したライサはリューキンを連れてイカ宮城を脱出したわけだが、 出口ですぐウミヘビとウツボの集団に引き留められた。 「兄貴!行っちまうんですか!兄貴!」「俺たちどこまでもついていくっす!」 「ついてこられるとすごく困る・・・」 「行かないでください!俺たちに黒長さの美学を伝授してください!」 「やりかたわかんないし。困ったなあ。どうしようナスティア」 頼りのリューキンはタツノオトシゴにバック宙を教えたりして楽しそう。 「・・・じゃ、もうちょっといようかな」 「兄貴!兄貴!エヴァン(人の方)の兄貴!」 「人の方、っていうな!」
一方、何故か寝ざめが悪く凹んでいるのはリッポン。ジョニ子が声をかける。 「アダム、決戦に向けてパッキングしてるの、手伝って〜」 「…いいですけど、…なんでパンイチ姿なんです?」 「あら、水の中だものパンイチに決まってるじゃなーい」 「………駄目だ、突っ込む気力もない。えーと、トランクはどこです?」 ジョニ子のボケ(まじかも)をスルーするリッポン。するとジョニ子は、 「こら!何、凹んでるのよ!ここを乗り越えなきゃ仕方ないでしょ、米国選手なんだから!」 突然の叱咤。 「ここを乗り越えて初めて次の舞台へ行けるのよ。先輩達が皆やってきた事よ。 それがアダムにだけ出来ない訳ないじゃない?」 と、にっこり微笑む。 珍しくまともな先輩らしいまともな励ましに、リッポンは思わず眼を潤ませてしまう。 しかし、潤んだ瞳で見つめる先輩はやはりパンイチ姿なのだった。
思わぬ方面からの支持もあり、軍備が増強していく大西洋イカ宮城。 一方、愛人に逃げられた太平洋マッコウクジラは手下に当たり散らしていた。 「お前ら大西洋一帯潰してこいやー!」 「しかしあの、戦力配備の指示などもらえないと、俺らも動けないんで・・・」 「そこはお前、察しろよ!つかなんとかしてくれよもー!」 イカのおにいさん、ことスミルノフは、今日も小イカのお守り。 紙に墨で絵や字を書かせて遊ばせている。 その様子を微笑ましく見守るレイチェル。 「レイチェルも一緒に遊ぶかい?そうだ、この子たちに算数を教えてあげてよ」 「そうね、あとで時間を作るわ。ちょっと今用事があるから・・・」 笑顔で手を振りその場を離れ、ほっと一息つく。 「どうやら小イカの中に太平洋側のスパイは混じってないようね。もうしばらく監視は続けるけど」 あらゆる事態を想定する―――それが彼女の役割である。
「兄貴!俺達、兄貴のジャンプを生で見たいっす。 飛んでる時の兄貴はいつも以上に黒くて大きくて長くて… 俺達の希望の光っす!」 「ああ言ってるんだし、見せてやれよ」 リューキンに言われたらやるしかない。それにライサ自身も兄貴と慕ってくれる ウミヘビやウツボ達にだんだん愛着が沸いてきていた。 可愛い弟子達のためにライサは宙に舞った。そして空に飲み込まれていく。 「あーあ、あいつ調子に乗ってやりすぎたな」 「姐さん、青い空に吸い込まれていく姿も素敵っすねえ」 「だろ?アタシの見込んだ男だ、黒く長いその姿は人間界一だろうな」 そして調子にのって飛びすぎたライサはバランスを崩し太平洋のど真ん中に頭から着水した。
愛人に去られ、部下の統率もできず、傷心の太平洋マッコウクジラはプカプカ海面に浮いていた。 「大西洋の大王イカオヤジを監禁した時は、一気に領海拡大いけると思ったのに。ついてねーな」 頭頂部の噴気孔からため息をつこうとしたその時。 ズボッ!! 黒長い男が頭からそこに刺さった。 「「うっ、息できない。なんだこりゃ」」 1人と1頭はパニックに。とりあえずマッコウクジラは全力で潮を噴く。 「噴水かこれはー!!!」 ライサはマッコウクジラの頭の上で、綺麗な大の字になって叫ぶ。
「巨大ヒトデだ!」 「妖怪か!?どっから飛んできやがったんだ?」 「とりあえず現場に急ぐぞ!」 ライサの大文字焼き、いや大文字飛びに驚いた太平洋のマグロやカジキが急行する。 「えーと、あんたウミヘビ?」 「違う。人だ。スケートをやっている」 「・・・ひょっとして、バンクーバーで金メダルを獲った?」 マッコウクジラに訊かれ、ライサは胸をそらせて答える。 「ああ、そうだ。忘れられがちだが」 「なんであんたほどの人がこんなとこウロウロしてんだよー?・・・ま、いいか」 現場にたどりついたマグロ・カジキにマッコウクジラが命令を下す。 「こちらのお客様を丁重におもてなししろ!・・・大西洋の御大にご宿泊いただいたお部屋だ」 「へい。かしこまりやした」 マグロとカジキはライサの両脇をしっかりと固め、難破船の底へと進んでいく―――
「おもてなし、ってわりには檻みたいな部屋だな。薄暗いし、ベッドも質素で湿っぽい」 ライサは小一時間考えた結果、一つの結論に至った。 「俺、人質?」 同時刻、イカ宮城にトビウオメール便が届く。 「エヴァン・ライサチェクの身柄は預かった。返してほしくば大西洋の領海権とikaPhoneの利権をよこせ」 大王イカの隣で、レイチェルは忌々しげに首を振る。 「最悪の事態になってしまいました」 「全米が誇る金メダリストを人質に取るとは・・・太平洋のやんちゃ小僧にしては手回しがよすぎる」 「イカ宮城の皆さんにはご迷惑がかからないよう、スケーターズだけで事態を収束させるべきかと」 「今更水臭いじゃないか、参謀の御嬢さん。イカ宮城全軍率いてエヴァン(人の方)を救出に向かうさ」 早耳姐さんのジョニ子はスケーターズ・ノコギリザメ・イッカク・小イカ他に伝令を飛ばす。 「いよいよ決戦よー!エヴァン(人の方)を助けに行きがてら太平洋を満喫してくるわよ〜」 ウツボ「姐さん、とんでもない事になってるみたいです。エヴァン(人の方)の兄貴が!」 リューキン「ほっといても自分でなんとかするだろうけど、ま、ちょっと行ってみるか」 軽やかにバック転を決めながら呟く。 「最愛の彼氏の大活躍ってのを、この眼で見てみたいもんでね」
「ちょっアンタ!もしかしてエヴァン・ライサチェック? バンクーバー見ててアタシの初恋の彼(ウツボ)にそっくりで 気になってたんだよね〜。 アイツがさ、なんかごそごそやってると思ってこっそり見に来たら まさかアンタがいるとはね〜ラッキー。あっサインちょうだい。 イシイルカさんへって書いてね。 アイツと別れるから手切れ金になんかもらおうと忍び込んでたところなんだ。 そう!アタシ愛人やってたのよ。でもあのバカの悪事が 生放送で流れちゃったからさ〜、こっちに手が回るとヤバいのよね〜。 まあ、なにはともあれよろしくね!」
けたたましいイシイルカにすり寄られ、ライサは後じさりする。 「積極的なメスって苦手?アタシここぞって時は尽くすタイプよ。下唇の厚さがチャームポイント」 「いやあのそういう次元の話はおいておこう。サインだな?サインでいいんだな?」 太腿を胸びれでサスサスと撫でられながら、ライサは色紙にサインをする。 「アンタの極太超長マッキーでアタシのボディに熱いサインをくれてもいいのよ〜ん」 「それどころじゃないだろ。俺人質なんだし」 ライサの脳裏ではリューキンがすごい勢いでムーンサルトやバック宙を繰り広げている。
「どーも嫌な予感がする」 ウツボ+海蛇に黒長ウネウネ神輿をつくらせ、その頂点で腕組みしながらリューキンは呟く。 「命に関わるような怪我や、名誉を怪我されるような事じゃなく、もっと下世話なトラブルが起きてる予感」 「姐さん、もっと急ぎましょうか」 「無理しなくていいよ。みんなでバテたら元も子もないから」 リューキンは視線をしっかり前に据える。 「それに私、あいつの事信じてるから!」
「さあ!いよいよ決戦よ!」 巨大トランク3つをカートに載せ、それをPチャンに運ばせながら、ジョニ子は意気揚々と波を蹴立てて進む。 「重いよー!この中何詰まってんだ。武器か?通信機か?」 パッキングを手伝わされたリッポンは、ウンザリした顔でPチャンに答える。 「ある種の……戦闘服だよ」 「服だぁ?なんでだよ」 「なんでって……ジョニ子姐さんだからだろうが」 もちろん化粧品もぎっちり詰まっている。
服といえば、ピンク娘達の間でも一波乱が… サムソン「ちょっとアレクシ、どうして衣裳替えたのよ。ピンク娘じゃなくなっちゃったじゃない」 ギルス「だってレイチェルが衣裳を新調してたんだもの。羨ましかったの」 ザワツキー「えー、ずるいー。私だって新しいの欲しいのにー」 サムソン「もう!ピンク娘としての誇りはないの!」 そこへ通りかかったジョニ子姐さん。 「アンタ達しょうがないわねぇ…。よし!ここはアタシが一肌脱いで、デザインしてあげるわ!」 「「「それは遠慮するわ、ジョニー」」」 ピンク娘達は仲直りした。
ピンクバスはピンク娘たちの諍いを耳にして、気が気でない。 『みんな仲良くしようよー。ケンカしながら旅しても楽しくないよー』 しかしジョニ子がなにやら一言声をかけただけで、また三人娘の結束は固まった。 『なんかわけわかんない人だと思ってたけど、ジョニ子さんってすごいんだな』 この瞬間、また一人(一台)ジョニ子の信奉者(車)が増えた。
ピンクバスの中で海賊の剣を磨きつつも、どうも釈然としない様子なのはチャッキー。 チャキ「おかしいなぁ。僕がネモ船長みたく渋く活躍するはずだったのに・・・ ちょっと想像してたのと違う・・・」 Pチャン「そりゃあお前って、どう贔屓目に見ても、百歩譲ってもトム・ソーヤなんだもん」 チャキ「なんで百歩も譲ってトム・ソーヤなんだよ!僕だってもう二十歳だよ!」 バトル「大人のケヴィンを見せちゃうかい?まあ、チョコでもお食べよもぐもぐもぐ」 レイチェル「ありがとう。いただくわもぐもぐもぐ」 リッポン「レイチェル・・・参謀本部とかに居なくていいの・・・?」
ナッツチョコを音高くかじりつつレイチェルは呟く。 「総力戦よ。現場で臨機応変に指示を出せるようにしなくちゃもぐもぐもぐ」 「そういう事か……なるほど」 ピンクバスの外には、小イカ神輿に乗せられた川スミペア、 そして海蛇・ウツボ神輿に乗せられたリューキンが。 しんがりを務めるのは、大王イカ+エヴァン(イカの方)王子である。 「イカの真の戦い方をおしえてやるなう」 「緊張するけど、パパよろしなう」
総力戦といいつつも、イカ宮城の若いイカやカツオの兵たちは城に待機させられている。 「これはいったいどういう事だ?俺らは足手まといという事だろうか?」 一部で不満の声があがるが、執事イカが説明する。 「大西洋のマッコウクジラとうちは正式に永久停戦条約を結んだわけではない。 太平洋での戦いでこちらが劣勢となれば、やつはあっさり太平洋の小僧と 同盟を組み、こちらを潰しにかかるであろう――というのが、レイチェル嬢の読みだ」 「つまり今は日和見をしているだけ、と」 「そういう事だ。配備に戻れ」 油断も隙もあったもんじゃねーな、と話し合いながら、若い兵たちはそれぞれの持場につく。
ピンクバスの最後尾席で、ジョニ子はサーシャとしばし世間話。 「アタシそろそろ引っ越そうと思うの。もっとお買い物に便利なところがいいかなー」 「ま、今のところも長いし、バルコニーに鳥がやたらフンするようになっちゃったし、潮時かもね」 「でね、次は戸建てにしようか迷ってるのよー。理想の間取り図を描いたりしてるんだけど」 「あら楽しそうね。見せてよ」 そこには戸建てとかなんとか以前に、城?ほぼ要塞のようなものがドーンと描かれていた。 完璧にイカ宮城の影響であろう。門兵の立ち位置まで描いてある。そして巨大なバラ園。 「ジョニ子・・・あんた、買い物に便利な都会に住みたいって言ってたっけ?」 「ええ、できればNYのど真ん中に」 「どこにこんな土地があるってーのよ!ヤンキースタジアム潰してもまだ足りないわ。まったく」 「土地持ちの素敵な王子様が現れないかしら。プリティ・ウーマンみたいな恋したい!」 「勝手にしなさい!。ほんと夢見がちなんだから」
「それでね、庭には池も造って、鶴と亀のオブジェを置いて…って、サーシャ聞いてる?」 「はいはい、聞いてる聞いてる」 呆れたサーシャは傍らにあった雑誌をめくり、おざなりに返事する。 クリス「じゃが、姉上。こうしてまた戦いの場を与えられるとは忍び冥利に尽きるのう」 キャシー「忍びじゃないし。なんであんたはちょいちょい時代劇モードに入るのよ」 美姫「でもキャシーって生粋日本人よりくノ一衣裳、似合うよねぇ。 という訳で佳菜子から借りて来たよ!」 本田「美姫ちゃん…、その部分は鎖帷子じゃないんじゃないかなぁ…?」 ランビ「いよいよ決戦だね〜。でも、僕はレポーターの仕事もしないとなあ。 ブライアン、戦いを前にした今の心境を一言」 ジュベ「あちいっ!ステファンっ!!松明をマイク代わりにするなっ!!」
「キャーッ!ランビ様が松明をもってらっしゃるわー!素敵!」 「炎の貴公子よ・・・焼き尽くされたい」「こっち向いてー!!」 ノコギリザメ娘たちがスピードアップしてピンクバスに並泳。 「おや、僕のかわいいニンフたちがついてきてくれているよ。いじらしいなあアハン」 ランビは余裕のほほえみで彼女たちに投げキス。 生理的に鮫が受け付けないジョニ子は、豪邸計画もそっちのけでサーシャにしがみついている。 「彼女たちはまがりなりにもスケートファンで、しかも有力な味方よ。いちいち怖がるのやめなさいな」 サーシャに諌められるが、クルリン睫毛をシパシパさせながら震えが止まらない。 イッカクボーイズは寒い海域出身なもので赤道に近づくにつれバテ気味。 「ジュベールさんについてくぞぉー!この身が溶けたって加勢するぞー!」 そんな彼らにノコギリザメガールズが冷えピタを分けてあげたりして、爽やかな交流も発生。
ピンクバス他一行は無人島に到着。 浜辺に降り立つスケーターズ、周囲の海で待機するイッカク・ノコギリザメ・ウツボ・ウミヘビ・イカたち。 「さーて一休み」「させないわよ!」 今度はジョニ子のバカンスモードをサーシャが瞬時に阻止。 「じゃ、この地図見て。深海商店街で仲良くなったイカ奥様たちに訊いたのよ。マッコウクジラのアジト」 「これさっきの妄想邸宅間取り図の裏じゃないの。こういう重要情報はもっと大事に扱いなさいよ」 マフィアのアジトの在処がそこいらの主婦に知られているという状況に、経営者は驚愕したのだが サーシャのツッコミにかぶせるのが面倒なのであえて触れずに、隣から地図を覗く。 「エヴァン(人間の方)もこのアジトにいるのかな。退屈してなきゃいいが」 リューキンも地図を見ている。瞳の奥で静かに闘志を揺らめかせながら。
「大王様、ひとつ確認しておきたい事が」 作戦参謀のレイチェルである。 「今回の戦いの最終目的はなんでしょう?太平洋マッコウクジラ1頭の抹殺・ その手下全員をも含むマフィア壊滅・エヴァン(人の方)の救出のみ・・・どうしたものかと」 「まずはエヴァンの救出だ。私は領海拡大に興味はないし、小僧相手に手間をかけて 仲間に危険が及ぶような事は避けたい」 「平和主義なのですね」 「・・・今はな」 「事と次第によれば?」 「マフィア全員ひねり潰す。この海域を海草一本生えないほどの焦土にするかもしれない」 小イカ大勢と川スミを残し、全員が深海へと向かう。 「やっぱり現実的に考えたら、セキュリティ完備のコンドミニアムがいいのかしらー。 ワンベッドルームで、そこそこのクローゼットがついてて、ってこぢんまりタイプ」 ジョニ子は凄まじい緊迫感の中でも、まだ引越し先の検討を忘れない。
ノコギリザメのうち一匹が、美姫のブレスレットに目を留める。 「あ、かわいー。彼氏さんからのプレゼントですか?」 「違うの。あのね・・・」 難破船からの戦利品という事をコッソリ教えると、数匹のノコギリザメが興味を示した。 「行ってみたーい。ちょっとだけ抜けて寄ってきていいですかね?」 「これだけ大勢いたらいいんじゃない?まだアジト突入まで間があるし」 こっそり戦隊から離脱した美姫+ノコギリザメは難破船を注意深く観察するうちに、 不自然な柵状の箇所と、その前で身悶えているイシイルカを発見した。 「エヴァン〜!アタシたち哺乳類同士よ・・・ね、いわんとする事わかるでしょ。ねえったら」 甘い声で誘惑する彼女の背後からそっと美姫が接近。おもむろにスピンで背ビレのあたりを蹴飛ばす。 「ぎゃぁぁぁ!!」 気絶するイシイルカをおしのけ、檻の奥に引っ込んでいるライサを確認。 「私は急いで本隊に知らせてくるから、その間に檻を破ってあげて!」 「お安い御用です!」 アクセサリーの事など忘れ、ノコギリザメたちは大急ぎで頭部のノコギリを振り回す。
「うわああああああああああ」 突然にやってきたノコギリザメの群れにライサは悲鳴をあげる。 ライサからは美姫の姿は見えていなかったのだ。 急にイシイルカがはね飛ばされ、ノコギリザメが必死の形相で 檻を破っているこの状況。 (ヤバイっ俺、食われる… いや、それよりもなによりも俺のことを慕ってくれてたイシイルカが…) そう思うよりも早く身体が動いた。 檻を自分の力でこじ開けノコギリザメの群れを与一スピンで吹き飛ばし イシイルカを抱えて、ライサは飛んだ。
「何人たりとも僕の前は走らせねぇ!」 ネモ船長というより懐かしの某カーレース漫画の主人公状態のチャッキー。 フルスピードで戦隊の先陣を切って進む。 「10年早いんだよ!」 こちらは某格闘ゲームのキャラ状態のPチャン。チャッキーの襟を掴んで引きずり倒す。 「あの二人を先に行かせて、アダムとJテン・Dテン、ブライアンとイッカク部隊が正面から突入。 他はアジト後方に向かって、逃げてくるのを待ち構えるって戦法でいきましょう。で、ナスティア?」 参謀・レイチェルに声をかけられ、リューキンが振り返る。 「ん?」 「あなたはウツボ・ウミヘビ部隊を率いてアジトの真上にいて。異常が発生したらすぐに知らせて」 「見張りかよ。つまんねー」 「自分たちで仕留められるレベルの敵なら潰しちゃってよ」 「りょうかーい」 粋なウインクを飛ばし、リューキンはしなやかに力強く海面目指して急上昇していく。
「なんですって?エヴァン(人の方)がイシイルカと逃げた?!」 美姫からの報告を受けて驚愕の声を上げたのはジョニ子。 全員でアジトを強襲という命令を無視して・・・というかお喋りしていて出遅れて、 そのままちゃっかり浜辺でティータイムをしていた。 サーシャ「どういう事かしら?それはそうとサラ、赤道直下の島でホットチョコはきついわ」 サラ「スイス人はホットチョコしか飲まないのよ(ウソ)」 更にちゃっかりそれに付き合うサーシャとサラ他欧州美女たち。 セべ「レイチェルの情報だと確かイシイルカはマッコウクジラの愛人・・・」 グレボワ「やだ、それって・・・」 ジョニ子「なーんだ、簡単じゃない。ずばり!駆け落ちよ〜!」 ズバッシャーーーーーーーーーンッッッ! 海上に巨大な水柱が立つ。 海水と共に宙へ放られたウツボ、ウミヘビらがぼたぼたと落ちてくる間から、 ゆっくりとリューキンが近づいて来た。 「・・・・・今の話、詳しく聞かせろ」
「ん?女の子分が減った気がする」 水中でもランビの感は鋭い。 欧州美女軍団・サーシャ・ジョニ子・美姫・ノコギリザメ女子の数人がいないのに気づいた。 そこにボロボロに傷ついたノコギリザメ女子数匹が追いついてきた。 「エヴァン(人の方)さんを難破船で見つけたんですけど、なぜか、与一スピンで吹っ飛ばされちゃって・・・すみません」 「なんでそんなひどい事に!?怪我の具合はどう?ノコギリの調子は?」 丹念にノコギリザメたちを介抱し、尾びれのマッサージまでしてやるランビ。 「ごめん、先行ってて。僕は彼女たちの容態が持ち直すのを確認して後を追うよ」 ランビの発言にレイチェルは黙ってうなずいた。 (落ち着かなきゃ。アクシデントも含めての作戦を立て直す余裕を持たなきゃ!)
「ほらっ人類学的にも生物学的にも人間と鯨が結ばれるわけないし…ねっ」 「あら〜子孫繁栄にとらわれない恋愛って素敵よ。パートナー制度もあるし子供だって持てるんだから」 「それは分かってるわよ。とりあえずこの場はジョニーは黙ってて!」 「人類の枠組みなんて常識はとっぱらおうよ、アハン。僕たちが歩んでる広い森の中で出逢えた奇跡を喜ぶべきだよ」 「あ〜〜っステファンはもっと黙って!ノコギリザメの介抱に集中しなさいよ」 怒り狂うリューキンを宥めるサーシャ。 欧州美女軍団は気絶したウツボとウミヘビを優しく介抱中だ。 頼みの綱と思われたジョニ子にしろいつの間にかノコギリザメ同伴で浜辺にいるランビにしろ そんな気持ちを知ってか知らずか好き勝手言いたい放題だった。 誰かリューキンを宥めないと…サーシャは糸の先にお菓子を結び付け海に放り投げた。
「クリスピードーナツ大好き!」 海水でしっとり湿ったドーナツをくわえたバトルが釣れた。 サーシャからリューキンを宥めるよう懇願され、こくりとうなずく。 「別れて他探しなよ。ナスティアだったらいくらでも他の男がついてくる。ファイト!」 かえって暴れて椰子の木を蹴り倒したりしているリューキン。 その後姿を見つめながら、サーシャは人選ミスを悔いた。 「でもジェーニャ呼んだら、もっとシャレにならない事言いそうだし」 すっかりぬるくなってやや飲みやすくなった?ホットチョコをすすりながらぼそりと呟く。 「……本人と話しあってもいないうちに無駄に暴れて、元気だわ」 リューキンの蹴りが止まる。荒い息をつきながらサーシャを振り返る。 「……なんか言った?」 「勢いで別れちゃったら、一生後悔するわよ」 それしか言う事はない。淡々としたサーシャの態度に、リューキンはがくりと肩を落とす。
さて駆け落ち中(?)のライサとイシイルカ。 着地した場所は太平洋のとある小さな孤島だった。 浜辺に穴をほり海水をためてそこに 絶賛気絶中のイシイルカを寝かせる。 (なんで俺、咄嗟に助けたんだろ。 確かに言い寄られて悪い気はしなくなってたけど… もしかして俺本気でこのイルカに?いやいや、違うだろ。 でも俺って気が強い女に弱いからなー) 自分でもよくわからない一抹の不安を感じながら、ライサはじっと イシイルカが意識を取り戻すのを待つことにした。
「探しに行って、納得いくまではなしあってらっしゃいよ」 「ただこのまま略奪されっぱなしでいいの?」 「一時の気の迷いって事もあるかもしれないし・・・それで許せるかはまた別の話だけどね」 欧州美女軍団が、リューキンに優しく語りかける。 「で、でもっ、マッコウクジラのアジトの真上、私とウツボ・ウミヘビ軍で見張らないといけないから」 ここぞと責任感の強さを発揮するリューキンの肩を、サーシャがポン、と叩く。 「レイチェルにおこられる係は私が引き受ける。あなたは全力で彼を探してらっしゃい」 苦労人の貫禄に負け、リューキンの涙腺が緩み始める。 「あらやだナスティア泣かせたの誰よー」 ジョニ子が鼻歌を歌いながらやってくる。 「あんたが来ると話がややこしいからすっこんでて!」 サーシャのキックがジョニ子の妖艶なヒップにジャストミート。 夕焼けに映えるジョニ子のシルエットはまるで羽ばたくスワン。
蹴り飛ばされながらジョニ子は華麗に空を舞う。 ふと眼下に小さな孤島を発見。黒長太い海洋生物と黒長い人間が寄り添うように横たわっている。 「あらやだこれって!キャー、夕焼けの中でなに愛を確かめ合ってるのー!?」 即着地したいところだが、サーシャのキック力は凄まじく、孤島の上をあっさり通過。 ライサはイシイルカの呼吸が止まってないか、顔を寄せて確認していた。 「息はあるようだ。出血はないけど、背中に打撲があるのかな」 「う、うう」 傷の確認をしているうちに、イシイルカが身じろぎし始めた。意識が戻るのか? ジョアニー「なんか人数少なくない?」 ファヌフ「正面突破部隊に間違えて紛れ込んだんじゃない?」 ザワツキー「そうかなあ、最初からジョニ子さんたちいなかったっぽくない?」 ギルス「あの人はねえ・・・('A`)ま、私たちは後方配備に努めましょう」 サムソン「ノコギリザメとステファン、どこ行ったのかしら?まったくもう・・・」
余談だが、夕焼けに舞うジョニ子の衣服はtarzan-style skirtと派手な右手袋のみ。 赤道直下なので寒くない。だいじょぶだいじょぶ。
「は!ここは…?」イシイルカの意識が戻った。 「アンタ…、なんでアタシを助けたの?アタシ達、敵同士なのに…」 「なんでって…条件反射かなぁ?まあ、休んでてくれ」 (イシイルカって何食うんだろう?つか俺、流されてるなぁ…orz) 自嘲しつつもライサは食糧を探しに出かける。一人(一頭)残されたイシイルカは… 「どうしよう、遊びのつもりだったのにどきどきする…この気持は……」 「それは恋よ!」 「ああっ!あなたはロシアのアリョーナ・レオノワさん!」 ばっちり魔女メイクを施したレオノワが現れた。 「そんな貴女に人魚姫印の『人間になれちゃう薬』をプレゼントするわ。 おまけでミライ・ナガス印の花占いキットも付けちゃう!手裏剣キットじゃないわよ! どうするかは貴女の…、自由よーーー!!ほほほほほほ」 豪快にのけぞり魔女笑いで〆て、レオノワは去っていった。 「レオノワさん…、明るくって、なんていい人……」
正面突破部隊は、ジュベ+イッカクボーイズのドリルクワドで扉どころか壁ごとアジトを破壊する。 「なんだ貴様らぁ!」 勢いよく飛び出してくるマグロやカツオに勇者の剣を向けるのはチャッキー。 タノルッツやツルスケのエッジでリッポンとPチャンも応援。 「すごい!俺マグロを三枚にさばいたぞ!ミライパパの店で雇ってもらえないかな?」 「僕はカツオを活造りにしたよ!ほらもう骨だけなのにまだ泳いでる!」 Jテン・Dテンは片っ端から部屋をぶち破り、マッコウクジラとライサの姿を探す。 「さっきサーシャから連絡が来たけど、エヴァン(人の方)はアジトにいない可能性大だって」 「じゃ、ここで探すのはマッコウクジラだけか。エヴァン(人の方)どこにいるんだろう」 Dテンは兄弟子の安否が気にかかって不安げな顔になる。 リューキンの代わりにアジト上に待機するのは川スミ&小イカ。そして欧州美女軍団とサーシャ。 「もしもの時はみんな四方八方に散って逃げるんだ。いいね?」 スミルノフの指示に小イカたちが皆うなずく。
「アーチャ、次はサーモンがいいな〜」 「えーっと、とりあえずこの大トロ食べててください。 今から注文してきます」 次々にさばかれる魚たちをお寿司大好物のプルが見逃すはずなかった。 ガッちゃんがもしもの時に備えた 炊飯器とすし酢の持ち込み大正解。
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スポーツ好きさん :2011/02/13(日) 21:17:22 ID:j1cTD+02
リューキンはウミヘビ・ウツボ神輿に乗り、ただ勘だけで太平洋を駆け抜けていく。 「あいつが私を呼んでるのか、私があいつを求めてるのか、もうそんなもんどうでもいいんだよ!」 眼に見えない力に導かれるように、リューキンは一途にライサを追う。 イシイルカは人魚姫印の『人間になれちゃう薬』を前に迷いを振りきれずにいる。 祖母の代から愛人暮らしで、男にしなだれかかって金を巻き上げる生き方しか知らない彼女に、 成分表だの使用説明書だの読めはしないのだ。 もちろん人魚姫伝説の悲しい結末など知る由もない。 「アタシ、このまま老いて男に相手されなくなって、ボロボロになって死んでいくのかな。 生まれ変わるチャンス?でもリスクがあるかも?でも心惹かれるこの薬……」
ジョニ子が着水したのは沖縄。 海中で目があったウミヘビがオドオドと岩場に隠れる。 「ちょいとアンタ、ここどこ?」 「沖縄です・・・あ、あの、私の事キモくないですか?」 「別にキモくなんてないわ。どうしたの?」 「去年の夏、観光客のロシア人に顔を見るなり逃げ出されて、以来醜貌恐怖症なんです」 「観光客でしょ?見慣れない生き物を見てびっくりしただけよ、きっと。気にしちゃダメ」 喪女属性のウミヘビ少女を励まし、両津眉毛メイクまでサービスしてやるジョニ子。 「コンプレックスを解消していただいたお礼に、ご自宅までお送りしましょうか?」 「そうねえ、赤道直下の無人島でバカンスしてるの。その海域までお願いしていいかしら」 「了解しました!」
「参謀のお穣さん、スケーター達の力は計り知れないものだね」 「有難う御座います。しかし大王様の配下の者たちもなかなかもぐもぐもぐ・・・ あ、味の事じゃないです」 落ち着きを取り戻したレイチェルは 本陣でガっちゃんお手製のお寿司のご相伴にあずかりつつ、冷静に戦況を見る。 「しかしエヴァン(人の方)は自力で脱出したようだね。 何やらややこしい事になってるそうだが…?」 「その辺りは私も門外漢なので。 そういう揉め事が大好きな人物に若干一名、心あたりがあるのでそちらに任せようかと」 「ふむ…、まあ昔から犬も食わないと言うしな」 (ジョニーに任せたら事態が悪化する事はあっても解決する事はないんじゃないかなー?) とプルは思ったがその方が面白いので意見は差し控えた。 それより今はサーモンに夢中もぐもぐもぐ。
「ええいっここで迷うなんてアタシらしくないわ! まずはちょこっと一口…って脂っこいっ濃いっ そのうえウォトカの香りきつっ!さすがロシアン風味ね。 このままじゃキツいからこうしてっと…」 グビグビグビっと海水割りの『人間になれちゃう薬』を一気に流し込んだ。
タニシを山ほど獲って浜辺に帰ってきたライサの前に、 艶やかな黒髪が腰までなびく美しい裸婦が座り込んでいた。 「うわっ、すみません。このへんにイシイルカ一頭いませんでした?」 「アタシよ。人間になれちゃう薬っての飲んだの」 ご陽気な口調で彼女は語る。 「でもさ、まずくて海水で薄めて飲んだらヤバくてw ほらみてマジ人魚ww ウケるw」 波に隠れて見えなかった下半身はイルカのまま。 バシャン!と力強く海面を叩くドルフィンキックに、ライサ呆然。
「さて、エヴァン(人の方)がここにいない以上、長居は無用だな」 大王イカはそう呟き、視線をアジト裏口に据える。 「小僧にちょいとお仕置きをして、おしまいにしようか」 「そうだね。もう満腹だし」 お寿司食べ過ぎでぐったりしているプルシェンコが、ズレた相槌を打っている。 裏口から一番に飛び出してきた太平洋マッコウクジラ。 大王イカはブン!とうなりをあげる蹴りでその頭部に一撃食らわせた。 マッコウクジラの首の向きがありえない角度に歪んだ状態のところに、すべての脚を絡め、 ギリギリと締め上げた。 「いいかなエヴァン(イカの方)。戦いというのは相手が二度と反撃したくないという気持ちに なるぐらい、徹底的に痛めつけるのが基本だ。命を奪うかどうかは状況次第だが」 「パパ、今回は殺しちゃうなう?」 「いや、こんな小僧でも太平洋で臨時の長をしていたわけだから、見所はあるだろう。 お仕置きに留めておいて、以後厳重に監視する。次やらかしたら抹殺だ」 大王イカが脚をゆるめると、太平洋マッコウクジラはピクリとも動かないまま、海底にドウ、と倒れた。
後から裏口から出てきた雑魚どもは、ジョアニー&シンシア&経営者、ピンク娘が華麗に弾き飛ばす。 大西洋から加勢に来た大王イカの部下たちも加勢したため、マフィア軍団はほぼ壊滅状態に。 「ねえ粕漬けとか冷凍とかいろいろ保存本方法はあるけど、どうする?」 ミライは寿司屋の娘として、マフィア軍団の切り身が放っておけないらしい。 「参謀のお嬢さん、私たちはここから先、遠慮した方がいいかね?」 「ええ・・・私がナスティアの立場だったら、あまり大勢に見守られるのはキツいかと」 「青春だな。じゃ、私は息子を連れて大西洋に戻るとしよう。こいつに見せるにはまだ早い修羅場だろうし」 「パパ、僕見てみたいなうー」 「生意気言うな!大人にまかせておけばいいんだ。早く帰らないとママが心配するぞ」 「じゃ、すぐ帰るなう・・・・」 まだまだママに甘えたいエヴァン(イカの方)は大王イカに連れられて大西洋へ。
レイチェルがライサ奪還のキーマンとして頼りにしているジョニ子は、 着々と赤道に近づいていた。 しかし、ウミヘビ少女に教えてもらった沖縄民謡「十九の春」に すっかり感情移入してしまい、涙が止まらない。 「♪ 私があなたに 惚れたのは ちょうど十九の 春でした ♪ ♪いまさら離縁と 言うならば もとの十九に しておくれぇぇぇ♪」 こんな状態で人の恋路のゴタゴタを解決できるのだろうか?
「ちょーーーっと待てーっ落ち着けーーうわぁぁあああ」 人魚に変わっても性格は変わらない。引くことを知らずプッシュしまくりのイシイルカ。 いくら美女に変わったとはいえ下半身はイルカのままだ。 のしかかられたら重いことこの上ない。 「遠慮しなくていいじゃない。人魚のアタシ、ヤバいくらいにイケてね?」 (イケてるから問題なんだろ。顔が俺の好み過ぎる…… …っていうかこのまま流されたらヤバいってーーーって。そうだ!あれだ!) ライサはいちにちスレで出てきた阿蘇山を思い出した。 (だけど人間、イシイルカ…どっちに戻せばいいんだろ…)
ライサの脳内に黒ライサと白ライサが現れた。 黒「人間に決まってるじゃんか。好みなんだろ?きっと豊満ナイスバディのいい女になるぜ!」 白「何言ってるんだ!エヴァン(人の方)はそんな奴じゃないよな。米国のいい人だろ!」 黒「エヴァン(人の方)だって男だぜ?」 白「エヴァン(人の方)からなんとなくいい人キャラをとったら何が残るんだよ!」 ライサ「お前ら・・・本当は両方、黒だろ・・・」
キャシー&クリスはマフィアにこき使われていたイカたちに マッコウクジラ撃退のニュースを告げる。 「お子さんたちはアジトの真上にいます!迎えに行ってあげて!」 喜びの叫びとともに数百匹の大人イカが勢い良く海面を目指す。 「わあ、なんて幻想的で綺麗な光景なんでしょう」 愛する我が子を迎えに来た真っ白なイカたちを真上から眺め、川口が息を呑む。 小イカたちも親の元にヨチヨチと泳いでいく。 中には親を殺された子もいるが、親戚や友達の親イカが面倒を見るようで、 みなそれぞれ大人イカに抱きしめられている。 「スミルノフ様ー!ありがとう!」「ユウコちゃーん!さよならー!」 一番馴染んだ二人に何度も感謝の声をかけながら、彼らは深海へと去っていった。
戦いを終えたスケーター達は一先ず無人島へと戻り、束の間の休息をとる。 サーシャ「まあ、ジョニ子がいないと始まらないしねー。 全くあの子ったら何処ほっつき歩いているのかしら」 いや、蹴飛ばしたのあんただし・・・ チャッキー「はー、面白かったなぁ! ダイオウイカとマッコウクジラの対決も凄かっただろ、パトリック?」 Pチャン「まあ・・・確かに迫力あったよ」 しぶしぶ認めるPチャンにチャッキーは大満足。 美姫「ケヴィンは、日本の怪獣映画とか好きかもねー。『南海大決戦』とか」 本田「美姫ちゃん、君、本当にいくつ? てか、ケヴィンの好みのベクトルはそっちの方角ではないと思うぞ」
黒ライサと白ライサの間に、ノコノコと灰ライサまで出てきた。 灰「とりあえず今ちょこっと試して、いけそうだったらもうそのままでいいんじゃないのかな。阿蘇山遠いし」 ライサ「お前灰色の皮かぶった桃色だろ!一刻も早く去れ!」
「はい、お待ちどうさま〜到着です」 ウミヘビの声に目を覚ますジョニ子。長旅の疲れで熟睡していたのだ。 「まあ素敵な無人島、山の上からはモクモクと煙までって ここ鹿児島じゃないっ桜島じゃないっ!はい、やり直し〜」 「え〜ここも違うんですか〜?」 残念なことにウミヘビ少女は、とんでもない方向音痴だった。 赤道に近づいていたはずなのだが、なぜかインド洋にたどり着き、 その後オーストラリアを経由、もうちょっと北に、と言えば アラスカまで行ってしまい、とりあえず沖縄に戻ろうか、と たどり着いた鹿児島であった。そしてなぜか増えてるショップ袋。 「出発のその前に、当然温泉よ、買い物よ!さあ、行きましょ」 ウミヘビを従えて桜島に上陸。
一方リューキンも赤道直下で迷子になり、困り果てていた。 今まではラブパシーでいつでもライサの居場所がわかった。しかしその能力に陰りが・・・ 「私がヤツを疑ってるから?それともヤツがもう私を必要としてないってこと・・・?」 ウミヘビやウツボの若衆に励まされるが、心折れそうになる。 なお、残りのスケーターズは無人島で寿司&海鮮バーベキューパーティー。 「アーチャの作るお寿司って、ミライのに比べると、やっぱりちょっと大きいね。おにぎりみたい」 キャシーにからかわれ、むっとするガッちゃん。 でもそんなところで自分の手がいつのまにかたくましく男らしくなっている事、 対照的にミライが華奢でかわいらしい女の子である事を意識してしまい、ちょっとドギマギ。
どうもさっきからリッポン・チャッキー・レイチェルが落ち着かない。 ファヌフがさりげなく声をかける。「どうしたの?怪我でもした?」 「えーと・・・あの・・・台北・・・」 「ああそれね。行くわよ。ちゃんとパッキングは済んだ?」 「え、参加するんですか?まだ何もしてないです。」 「40秒で仕事しな!ああもうミライ、軍艦巻きなんてつくってなくていいから早く」 慌ただしく台北に飛ぶ四大陸選手権出場組。 「ジェレミーによろしくねー!」「僕の分まで頑張ってきてください!」 みんなそれぞれの思いを込めて、残留組は彼らを見送った。
ジュベ「欧州選手権の件は1レスも……」 マイアー「ま、いいじゃない。海鮮バーベキューが焦げないうちにどんどん食べてよ」
大王イカ拉致騒動も終わった事だし、とイッカクボーイズ+ノコギリザメガールズは それぞれ地元に戻る事に。さすがに赤道直下の暑さはキツい。 「尊敬するスケーターズの皆様と、いい思い出作りができました!」 ジョニ子は温泉上がりのホコホコ状態でコタツに入り、ミカンを食べながら TVを見てたりする。 「次は男子フリーと女子ショートね。わー楽しみ」 「ジョニ子さん、赤道に行く件は・・・」 「あー今度でいいわ。ウミヘビちゃんもミカン食べましょ」
「次はあそこ行こうよ。アタシ化粧品ってやつ買ってみたいな」 ライサを引き連れて街中を闊歩するイシイルカ。 お姫様抱っこをしてようやくたどり着いた阿蘇山の頂上だったが 火口を見下ろすとそこには『今季の営業は終了しました クリスティ・ヤマグチ』の貼り紙があるだけだった。 仕方なく熊本市内を観光する二人。初めての陸上にイシイルカは興奮しまくりだ。 美女がはしゃぐ姿を見るのは嫌いじゃないので なんだかんだでライサも一緒に観光を楽しんでいた。 「九州新幹線全線開通だって、超ウケるw 形、ヤバすぎww決めた!化粧品買ったら次は新幹線に乗って移動ね」
「新幹線って速いのね。水中でこれだけのスピード出せるヤツはいないわ」 はしゃぐイシイルカ。駅弁を食べようとするが、まだ上手に箸が使えない。 「しょうがないな。食べさせてやろう。はい、アーン」 「アーン」 気が強く妖艶な美女が、子供のように無邪気に口を開けて食べ物を待っている。 ライサのツボはドキュンと射ぬかれた。 「この際だから終点の鹿児島まで行こうな。そういえば鹿児島にも火山があったっけか」 「いきなり噴火したら怖いね。そしたら守ってよ、エヴァン」 またしてもライサのツボがぶち抜かれる。 ライサとイシイルカが一時過ごした孤島に、やっとリューキンがたどり着く。 「ここにエヴァン(人の方)のがいたような気配がしたのに・・・私の勘もここまでか」 浜辺に体育座りして、膝に顔を埋める。 「ナスティア姐さん、元気出してくださいよ」ウツボ・ウミヘビたちがなぐさめにやってくる。 「ごめん・・・しばらく一人にして」 リューキンは顔を伏せたまま、ぎゅっと自分の膝を抱きしめた。
桜島火山の火口までたどり着いたライサは『平成30年営業開始予定 クリスティ・ヤマグチ』と 書かれた立て看板を見てガックリ。 「気晴らしに温泉でも行こう」 イシイルカに浴衣を着せてやり、個室露天風呂のある宿を予約。 「エヴァン、一緒に入りましょ」 「いやそれはまずいって」なんとなくいい人ライサは、無難に答える。 「つまんないの・・・そうそう、さっき中庭の池にウミヘビの女の子がいたわ」 「海洋生物だろ?池なんて泳いで大丈夫なのかな」 のんびりお茶を飲むライサの耳に、廊下を歩く何者かの鼻歌が届く。 「どこかで聞いた事ある声・・・音程が曖昧なわりに自信満々の声量・・・『Dirty』?なんだ?」 なぜか次第に不愉快になってきたので、TVをつけて気を紛らわせる。
個室露天風呂は悲しいほどに狭かった。 平均的サイズの日本人2人が密着して入ってやっとというショボさ。 「アタシのシッポ半分しか入んないよー。ねえ、一緒にこっそり大浴場に行かない?」 「他人にみつかったら大騒ぎになるぞ!ダメ!」 「こんな夜中に入りに来る人いないってばぁ。ね、いいでしょ?」 せがまれてしかたなく、ライサはこっそりと男子大浴場へイシイルカを打き抱えていく。 ぎこちなくも危うげな混浴タイム。 「ねえエヴァン、背中こすってー。そしたらアタシもこすってア・ゲ・ル」 イチャつかれそうになったその瞬間、男湯の戸がガラリと開いた。 「ポポポポポポポーカーフェーイス♪」 ライサが一番会いたくない相手が、腰てぬぐい一丁(in自称7.5インチ)で立ち尽くしていた。 ジョニ子が絶叫しそうになるが、ライサは咄嗟に飛びついて口をふさぐ。 でもスケパシーは止められない。 日付変更線を超え、赤道直下の海鮮バーベキュー&寿司パーティー会場へ。
ウツボ代表とウミヘビ代表が一匹ずつ、サーシャの元にやってきた。 「探しても探してもエヴァン(人の方)の兄貴が見つからなくて、ナスティア姐さん落ち込んじゃってます」 「ここからちょっと離れた孤島の浜辺で、一人ぼっちで泣きぬれてます。助けてあげてください」 そういう状態の時はそっとしておいてあげたい――と逡巡するサーシャの脳内を、ジョニ子のスケパシーが貫いた。 『エヴァン(人の方)が桜島の温泉で女とイチャついてるわー!きゃー!やらしー!』 「敵は桜島にあり!行くわよ!」 サーシャさんいきなりエヴァン(人の方)の兄貴の居場所当てたぞスゲエスゲエ、と騒ぐウツボ&ウミヘビ。 おもしろがりのプルシェンコはもちろん、他のメンバーもピンクバスに乗り込み、桜島を目指す。
四大陸選手権参加組にも、ジョニ子のスケパシーは届いていた。 チャッキー「本当はもう関わりたくないけど、勇者の剣忘れてきちゃったし・・・誰か桜島まで持ってきてくれるよね?」 サムソン「湯治とかいう治療法が膝に効くかもしれないから、行ってみようかしら」 ファヌフ「だったら荷物持ち兼肩貸し係として、私も付き合うわよ」 未来「兄弟子の不始末だし・・・ナスティア来るんだろうし、慰めてあげたいな」 レイチェル「こういうのは疎いんだけど、社会勉強させてもらおうかしら」 リッポン「未成年女子2人の護衛として僕も参加する(社会勉強を兼ねて)」 美姫「じゃ、私は日本語ガイドって事で同行しまーす」 本田「美姫ちゃん一人じゃ大変だろうから、俺も行かなくっちゃなあ・・・(諦念)」
ライサに口を塞がれ、ジョニ子はこれはこれで悪くない・・・ とは今回ばかりは思わなかった。長年の確執のせいか。そこへ、 「天誅ーーーーーーっ!!!」 「ぐはあっ!」 レイチェルを抱きかかえたリッポンがライサの上に着地した。 「見損なったよエヴァン(人の方)!まさかこんな事になってるなんて!」 「あ〜ん、ミキ〜ミライ〜怖かった〜」 ジョニ子は一緒にやって来た美姫と未来にすがりつく。 「エヴァン(人の方)最低!」「もう大丈夫よ、ジョニ子」 美姫は(んな訳なかろう)と思ったが面白いので取りあえずジョニ子に乗っかった。 「やれやれ、ひどい騒ぎね。私達は温泉に行きましょうか」 ファヌフはサムソンをひょいとお姫様抱っこして男湯を出ていく。 「ケヴィン、ありがとね」 「ぜぇぜぇ…、いえ、どう、いたしまし、て…(やっぱりカナダに帰ればよかった…)」 (↑美姫、未来、ファヌフ、サムソン、本田を抱えてここまで飛んだ。リッポンはレイチェルしか運んでくれなかった)
朝焼けに輝く波を切って、リューキンのウツボ&ウミヘビ神輿は超高速で進む。 唇を噛み締めた彼女の思いはひとつ。 「これで終わっちゃう恋ならしかたない。でも、ケリはつけたい。自然消滅なんて絶対嫌だ!」 ピンクバスの美女軍団は全面的にリューキンの味方。 「別れるにしても、最低限の礼儀ていうか、大人としていたわる振る舞いが必要だと思うの」 「いきなりサヨナラは反則よね。男の風上にもおけないわ」 「女の風下にもおいてほしくないわよ。恋する資格ゼロ。恋愛検定不合格!」 若い自分に少々ヤンチャしたor現役でヤンチャ中の男子メンバーは寝たフリ。
「やっベー!なんかめんどくさい事になってるし。ちょっとおいとましまーす!」 イシイルカ(人魚)は窓から中庭の池へ飛んで逃げ、さらに柵を飛んで海へ逃げた。 「ちょいとアンタ待ちなさいよ!ずるいわよっ」 憤るジョニ子。冷たい視線のリッポン。お手並み拝見?といった表情の本田に、へばって床に大の字のチャッキー。 そして置き去りにされて針のむしろ状態のライサ。 「じゃ、私たちも女湯で和んでくる事にするわ。全員で囲んだらさすがにエヴァン(人の方)が哀れだもの」 美姫が大人の対応を見せる。というか、女風呂で心置きなくスキャンダルトークをしたいだけなのであるが。 そこにピンクバスが到着。見事に男湯・女湯にメンバー分離。 サラ「エロスを煮詰めてジャムにしたような女だったわね。もろ愛人タイプ」 セベ「なんかエヴァン(人の方)の好みと違わない?スレンダー好きでしょ、彼」 ザワツキー「でも肌色のメロン二つ抱えたような巨乳してたわよ。あれにはまいっちゃうんじゃない?」 ギルス「私たち全員束になっても叶わない重量ね、あの胸」 サムソン「量より質よ!触感よ!」 ファヌフ「あなたそんな事より膝大丈夫?」 グレボア「話がそれてるわよー。今話すべきはナスティアとどうヨリを戻してもらうかじゃないの?」 未来「ナスティアってプライド高そうだし、『熨斗つけてくれてやるわ!』とかいいそう。で、一人で泣くの」 美姫「あら熨斗なんて言葉知ってるのね。日本語の勉強がんばっててえらいぞー」 キャシー「別れるにしても、イシイルカ人魚ボコボコにするのは確定って気がするwオトシマエつけるって意味で」 レイチェル「正直、ナスティア本人がどう対応するかが謎。私の方程式じゃ解けない難問だわ」
サーシャはジョニ子と廊下でネクターを飲みながら、ため息をついている。 「さっきバスの窓から海に逃げるイシイルカ人魚見たら、下半身がだいぶ強靭そうだった」 「蹴り合いになったらナスティアでもかなわないかも?とんでもない恋敵だわね」 男湯にはライサ・プル・ランビ・本田・ジュベが浸かっている。 ランビ「女の子はみんな平等に愛してあげなくちゃいけないよアハン」 プル「ま、無茶したくなる時ってあるよね」 本田「据え膳食わぬは男の恥って言葉もあるんだよな」 ジュベ「俺は浮気反対派だが、あれだけ誘惑されたら・・・なあ」 ライサ「・・・・・・」 男子脱衣所には衝撃で涙目のD・テン、なぐさめるJ・テン、憤るリッポン。 そして勇者の剣の事でもめているチャッキー&Pチャン。 「なんでバーベキューの下ごしらえなんかに使ったんだ!刃が傷だらけじゃないか!」 「だって貝を開いたり、ロブスター切断したりちょうどよかったんだよ!」 バトル・ミハル・経営者はガッちゃんに寿司職人の道を熱く勧めている。 「酢飯が絶妙な味付けだったよ」「お造りも上手にできてた」「ミライパパに弟子入りだな!」 「もうちょっとスケート極めたいんで・・・すみません」
クリスはここぞと忍者魂を発揮し、破れた柵から海を監視。 すぐ近くに岩場があり、イシイルカ人魚がよりかかって寝ている。 「あの人魚、まだエヴァン(人の方)殿を狙っているでござるな。毒婦め!」
お風呂上がりのネクターガブのみに男子勢も加わった。 「大丈夫よ、エヴァン(人の方)。下半身がイルカだったんだから… ナスティアもわかってくれるわ」 訳の分からない慰めを言いながらジョニーがネクターをライサに渡す。 「でもママン…上半身は立派だったな。あれで一緒に温泉に入るとなると」 「ヤナの方が立派だけどね」 「下半身がイルカだろうが、上半身がイルカだろうが どんな形でも女の子は愛すべき対象だよアハン」 「上半身がイルカの場合、その据え膳を食えるかどうか 大和魂を試される時だな」 「愛の証として、人間の身体とイルカの頭のちょうど境目を見せるのね。 アタシもお返しに自称7.5インチを披露してって、イヤーン、ロマンティックじゃない?サーシャ」 「全っ然!!もうっ!アンタ達ってば話になんないわ!」
女子たちは風呂上りにジョニ子の宿泊する部屋へ。 「オー!これがコタツね」 「ぜひ脚を差し入れてみたいわ」 「でも全員は無理だから交代制にしましょう」 なんか盛り上がっている。そこにネクター片手に男子勢+サーシャも登場。 「部屋狭!」 「人数が人数だからね。エヴァン(人の方)を畳まないと」 「床の間の壷デカいー。入れるかな」 「パトリック。君なら入れるよ。そして二度と出てくるなよ」 「剣の事まだ根に持ってんのかよー。研ぎ直せばいいじゃんか」 ワイワイやってるところで、未来がライサに話しかける。 「さっき、美姫ちゃんに日本の伝統的な謝罪方法っての聞きました」 「何それ教えて!」 「焼き土下座っていうそうです」 本田は『また嘘教えて・・・』という視線を美姫に向けるが、美姫本人は知らん顔でミカンを食べている。
コタツに入ったり壷に入って抜けなくなったりミカンの薄皮を食べるか否かで議論したり 深夜のTVショッピングで買い物しそうになったりしながら、スケーターズはマッタリ。 プル「結局エヴァン(人の方)はナスティアと人魚ちゃんどっちがいいわけ?」 ライサ「もちろんナスティア・・・のはずなんだけど、なぜか人魚の愛嬌を無視できない」 コタツの上で焼き土下座の練習をしながら、ライサは素直に答える。 「この優柔不断男!」 サーシャは容赦なくライサの尻を蹴飛ばす。男子の一部はライサに密かに同情。 そこにクリスが飛び込んできた。 「ナスティア殿が到着したでござる!いよいよ決戦の火蓋が切って落とされる時が来た!」 皆いっせいに中庭に出て、破れた柵から海を眺める。 ウツボ・ウミヘビ神輿の頂点で、朝焼けを背負ったリューキンのシルエットは、 戦いの女神ワルキューレ(ヴァルキリー)のように気高く美しかった。
ジョアニー「闘志がオーラになって輝いてるわ・・・体格やパワーで敵わなくても、人魚を倒すかも」 ファヌフ「私たちは見守る事しかできないわけね」 ジョアニー「そうよ。彼女のプライドを賭けた戦いに、助太刀なんて野暮の骨頂」 D・テン「僕は・・・僕は野暮でもバカでもいいから、ナスティアさんを助けてあげたいです」 俯き震える彼の肩を、ランビが黙って抱える。「ま、もうちょっと様子見ようよアハン」 リューキンは目ざとく温泉の柵の上からはみ出している黒長いライサを見つけた。 「エヴァン(人の方)!先に聞いておくけど、私とここで寝てる人魚、どっちが好きなんだ!? 人魚の方がいいっつーなら無駄なケンカなんてしねえで、うち帰って寝るよ。馬鹿馬鹿しい」 と、その叫び声でイシイルカ人魚が起きた。 「ずいぶん威勢のいい嬢ちゃんが来ちゃったしーwうっせーからとっとと息の根止めてやんよ」 起き抜けとは思えない鋭いドルフィンキックがリューキンを襲う。
寸前のところでドルフィンキックを交わし両者の睨み合いは続く。 リューキンの問いに返答できず迷い続けるライサの目の前に何者かが降り立った。 ライサ「タニスーーーーーっ」 その声に振り向くリューキンとイシイルカ。視線の先にはベルビンにしがみつくライサの姿。 ライサ「い、いやこれは違うんだ。つい習性と言うか無意識にと言うか顔を見たら反射的につい…」 ジョニ子「イヴサンローランの新しいポーチをあげるわって言ってつい呼んじゃった」 サーシャ「あんたって人はー!!事態をややこしくするように面白がってるでしょっ!!」
スミルノフ「もうこうなりゃ博打にするしかないじゃないか!」 川口「いきなり何言い出すのよ!えーと1枠ナスティア2枠人魚3枠タニスね」 ここのところ影が薄かった反動か、暴挙に出るペア。 経営者「不謹慎じゃないか!……ナスティアに10ドル」 ジュベ「大穴狙いで人魚に200ユーロ!」 美姫「2点買いもありでしょ?ナスティアとタニスに5000円ずつ」 ガッちゃん「質問でーす!3連単とかありですか?」 グレボア「何それ。3股かけ続けるって事?でもなくもなさそうだし2-1-3で100ユーロ」 プル「ここにはいないけど4枠でヤナっていれていい?呼んだらきっとすぐ来るし」 ランビ「1ユーロで確実に勝てる情報メモあげるよアハン」情報屋まで暗躍している。 レイチェル「タニス、そもそもなんでエヴァン(人の方)と別れたの?」 タニス「そんな昔の事覚えてないわー」復縁の可能性を探るという頭脳戦。というかほぼイカサマ。
リッポン「最低だ」 Dテン「うん、不潔だ」 女の子には優しく、恋愛そこそこがモットーのリッポンだが若者らしく潔癖さを見せる。 若者全開のDテンは言うに及ばず。 Pチャン「俺はなんの話かさっぱりわからん」 チャッキー「Pちゃんもー?僕もだよー」 キャラに合わない二人はそもそも展開についていけてない。 バトル「うーん、子ども向けの話じゃないかな?僕らは観光に行こうか」 リッポン「僕は子供じゃないですよ!でも、程度ってものがあるでしょう」 バトル「まあまあ、ミライとレイチェルもおいで。あとアグネスとアレクシも。 ジェレミーはー…どっちでもいいよ。あ、ミハルも来るかい?」 拾われた子犬のような笑顔でミハルはついていく。 未来、アグネス、ギルスはほっとした顔で、レイチェルは肩をすくめて、 Jテンは人の悪そうな笑みをリッポンに向けつつ、ついて来た。 リッポンは少しバツが悪そうにしながらも、未来、レイチェルらを守るように温泉宿を後にした。
桜島観光という事で、バトル引率の観光組も火山を目指す。 そして火口のクリスティ・ヤマグチの立て看板を見て半笑い&記念撮影。 朝市で名物の桜島大根の漬物を試食したり、足湯を使ってみたり、楽しく過ごす。 昼前になってやっと宿に戻ってみたら、なんと残留博打組は、ナスティア+イシイルカも交え、 岩場でバーベキューをして盛り上がっていた。 リッポン「あの・・・これどういう事ですか?」 イシイルカは人間の上半身が解除され、すっかり元の姿に戻っている。 「いやー、ナスティアと睨み合ってるうちにお腹痛くなって、岩陰で排泄したら魔法がとけちゃったw いざイルカに戻ってみたら、やっぱり人間と付き合うのかったりぃなーなんて思ってーw」 「もう大爆笑だよ!しかしあんたいい蹴り持ってんじゃん。愛人なんて辞めて格闘家やんな」 土手で決闘して引き分けて『やるじゃん』『おめえもな』と讃え合う不良中学生のような二人。 「って事はあの、勝者・ナスティアさんって事ですか?」 「決着つけてねーから無効試合。だから博打も無効。オッズ締切り前にイシイルカが変身&戦意喪失だし」 タニスはポーチだけもらって帰ったらしい。スミルノフは鉄板で大量の焼きそばをつくっている。 「お昼まだだろ?みんなも食べな。ところでアダムは髪型を焼きそばモードに戻さないのかい?」 脱力しきってその場に崩れ落ちるリッポン他数名。
沖縄ウミヘビ少女は、リューキンのウミヘビ・ウツボ神輿の構成員ウミヘビAとなんかいい感じ。 「僕、エキゾチックな女子って結構タイプなんすわー」 「え、でも私そんなノリよくないですよ?」 「それはそれで、外見とのギャップに萌えちゃいそうっす」 「方向音痴だし」 「じゃ、あの、一緒に大西洋に行きませんか?」 「あ、あ、私でよければ!」 カップル成立。
ちょっぴり顔を赤らめながらリッポンは焼きそばをすすっている。 「うー、何か恥ずかしいな。熱くなっちゃった…」 「いやぁ、おかげで面白いものが見れたよ。君って意外と子供っぽい、おっと、真面目なんだなぁ」 わざとらしく言い直しをしてリッポンをからかうJテン。 「すいませんねぇ。僕は君みたいにTwitterで下ネタ呟くほど大人じゃないんだよ」 ライサ「なんか知らんが助かった・・・」 ジョニ子「そうよ〜アタシのおかげよ。感謝しなさい」 ライサ「お前は事態を混乱させただけじゃないか!」 ジョニ子「毒を以って毒を制す、よ。だいたいねー、アンタがはっきりしないから悪いんでしょ! これだから男ってのは・・・(以下、愚痴とも小言ともつかないものが延々続く)」
「あのー、それで焼き土下座はしないんですかぁ?」 ミライの無邪気な問いにライサの顔は土気色に。本田が慌ててフォローに入る。 「焼き土下座は現代日本ではもう廃れているんだ!仇討も切腹も廃止されてるよね?そういう事!」 「そーなんですか。じゃあオトシマエはどうやってつけるんでしょう。指詰めですかぁ?」 「それは希少民族YAKUZAの風習だしなー。エヴァン(人の方)はアメリカ人だし関係ないんだよ」 汗だくで説明する本田の隣でリューキンがガハハと笑う。 「エヴァン(人の方)が火傷や怪我したら、私が看病しなきゃなんねーじゃん。めんどくせ!すんなよ!」 イシイルカが海面からひょこっと顔を出す。 「アタシの寿命はあとせいぜい7,8年なんだけどさ、人間は5,60年添い遂げられるんだよね、いいなー」 ライサにもらったサイン色紙を大切そうに抱きしめながら、プシーッと潮を吹く。 「エヴァン、ナスティア、末永くお幸せにねーw そんじゃさいならww」 海面から派手に背面宙返りを一発見せてから、彼女は意気揚々と去っていった。
ライサ「ナスティア……本当にごめん。一瞬とはいえ気持ちが揺らいだ俺だけど、もう一度君とやり直したい」 リューキン「やり直すも何も終わってねーよw そんな事より一番大きな焼きホタテよこせ。そしたら許す」 ライサ「あげるよ!!!ほら!アーンして」 リューキン「アーン」 ライサ「熱いからフーフーするからな。許してくれてありがとう。これからは絶対よそ見しないから」 リューキン「いいよもう。とっととよこせこのやろ」 レイチェルは勝手に焼きそばを追加してその大半をすすり込みながら、ふっと笑う。 リッポン「どうしたの?」 レイチェル「私は今恋愛にまったく興味がないし、そんな暇もないんだけど」 リッポン「(興味すらないのか。しかもまったく。やっぱり君すげえよ)」 レイチェル「憎からず想ってる男の人があんなに全力で喜んでくれるなら、恋も悪くないかな、と」 チャッキー「やっぱり社交界デビューのエスコートしたパトリックがその相手なの?」 レイチェル「別に」 Pチャン「別に、ってなんだよ!その無気力感&無機質感!嫌だとかダメだとか言われた方がマシだ!」
「とかなんとかやってる間に
>>449 の段階で263KBです、バトルさん!」
「あ、ありがとう、ミハル・・・(僕に言わなくてもいいんだけどな・・・)」
「お、なんだかんだで折り返しか。話もちょうど区切りがついたし、帰って練習を・・・」
と言うPチャンの腰にチャッキー、リッポンがしがみつく。
「今更それはないだろぉ〜パトリック〜・・・」「そうだよぉ〜最後まで付き合えよぉ〜・・・」
「お前らっ!重い!怖い!はなせっっ!!」
「因果応報ね。でも私もセカンド3Loの練習したいな。帰ろうかな」
「ええ〜だめ〜」「レイチェルがいないとつまんない〜」「一緒に行こうよ〜」
こちらは未来、ザワツキー、ギルスがレイチェルの両腕と背中から抱きつく。
しかし女の子のいちゃこらは微笑ましい。
ジョニ子「ワールドまで約一カ月。アタシもトークイベントあるし、東京までピンクバスで送ってあげるわよ!」
Pチャン「東京まで一カ月かかるっていつの時代だよっ!」
レイチェル「そうそう、エヴァン(人の方)の件、大西洋大王イカ+エヴァン(イカの方)に知らせないと」 ジョニ子「心配してたものねえ〜。こんなあっさり復縁しちゃうなんて」 リューキン「別れてねえっつーの」 ジョニ子「それじゃおもしろくないから、若干の脚色を加え、ドラマティックロマンティックエロティックにして・・・(ry」 レイチェル「事実と時候の挨拶のみ書いたものを、たった今、大西洋に帰るウミヘビ&ウツボに預けたわ」 ジョニ子「なによもー!つまんないじゃないのー!なんでアンタそんなに仕事早いのよ!」 レイチェル「私が特別に早いわけではないわ。ジョニ子の妄想タイムが長いの」
てすつ
大西洋大王イカ一家及び部下たちは、エヴァン・ライサチェクが無事救出された、との 報告を受け取った。 大王イカ「いやー、よかったよかった。元サヤというやつだな」 エヴァン(イカの方)「同じ名を持つ者として安心したなう」 女王イカ「今夜は宮殿でもパーティーしましょうねー」 大王イカ「(小声で)ここだけの話、スケーターズの娘さんで、どの子が好みだった?」 エヴァン(イカの方)「な、な、なんでそんな事聞くなう!?」 大王イカ「お前が伴侶を見極める目をどれだけ鍛えているか、気になってな」 エヴァン(イカの方)「そういう事なうwだったら・・・(内緒話)」 大王イカ「うむ。お前なかなかいい趣味をしている。合格だ!」 息子が次期王者としてふさわしい成長を遂げていると知り、大王イカは満足気にうなずいた。
チャッキーはぶつくさ言いながら海賊の剣の刃先を撫でている。 「こんなにボロボロにしちゃって・・・ほんとに研ぎ直してくれるんだろうな」 「しつこいよ。そんな言うほど欠けてないだろ・・・あれ?」 「欠けてるだろ!」 「いやそうじゃなくて。光の角度でこの剣に模様?文字?が浮かび上がってくるよ」 「え!見せて見せて」 チャッキーだけでなく、他のスケーター全員が駆け寄ってくる。 「うわいきなりすごい人口密度。しかしこれ英語でもフランス語でもないな。なんだ?」 全員がレイチェルを振り返る。 「大丈夫、自分の立ち位置はわかってる。今すぐ調べるから」 未来のノートPCであれこれネット検索を開始するレイチェル。
小一時間ネット検索していたレイチェルは、やがてひとつの結論に至った。 「これ、古代ギリシャ語」 「で!?なんて書いてあった?」 「そこまで解読できてないわよ。ああお腹が減って集中力が途切れちゃった」 チャッキー&Pチャン、猛ダッシュでお菓子の買出しに。 どさくさにまぎれてバトルもリュックしょってミハル連れて後を追う。 コタツに首まで入りゴロゴロしているレイチェルに、美姫が問う。 「だいたいこんな事書いてるんじゃないかなー?って見当もつかない?」 「うん。まだ無理」 「日本刀だと刀匠の銘が入ってたりするんだけど、まさかそういう事だったり?」 「かもしれないかなー。だとしたらケヴィンガッカリでしょうね。壮大な伝説系の夢抱いてそうだから」
レイチェルの予想どうりチャッキーの夢は広がるいっぽう。 チャッキー「次はどんな冒険かな?『指輪』かな『ナルニア』かな『ハリー・ポッター』かなぁ♪」 バトル「『指輪』は一日目にやったよね〜」 Pチャン「そうだなぁ『長靴下のピッピ』とかどうだ?似合うぞ」 チャッキー「女の子じゃん!赤毛しか共通点ないよ!」 ミハル「スウェーデン児童文学の古典じゃないか。よく知ってるなぁ」 バトル「あれ?ミハルも本好きかい?僕もだよ。『トワイライト』面白かったな」 バトルに褒められ(?)天にも昇る心地のミハル。 「ジェフの趣味もな〜。『トワイライト』って女の子向けのラノベじゃん」 「貴様っ!バトルさんになんて口をっ!!」 一言が我慢できないPチャンにミハルは路上でキャメルクラッチをかける。 「ぐえぇ… ぐるじ、やめろ…、お前はジェフに理想を持ちすぎだよっ!!」
ちょっと首の角度が歪んだPチャン、その胸ぐらを掴んで鼻血をだしているミハル、 ドンキの袋いっぱいにうまい棒を買っているチャッキーに、温泉まんじゅうをダンボール買いしている バトルが旅館に帰ってきた。 「で、レイチェル、剣の文章わかった?」 「わかったけど途中までしか書いてないわ。えーと『宝の在処をここに記す、はずがスペースないわ。てへw』ですって」 「なんだそれはー!!!」 「剣に関係する何かに続きが記してあるんじゃないの?」 「だったらそれを探さないといけないよねえ!そうだよね!」 「ケヴィン落ち着いて。私も世界選手権に備えて練習しないといけないし」 「そのついででいいから宝探しにつきあって!」 なんかgdgdな感じの宝探し?が始まる予感。
「宝探しをすると聞いて」 「あら、ハビエルじゃない」 ハビエル・フェルナンデスが現れた。 「そんな皆さんにこれを、あのジャック・スパロウも愛用の『持ち主が欲する物』の在処を指し示す“羅針盤”!」 「うわあ!ありがとうハビエル!」チャッキーは大喜び。 「それではよい旅を、アディオス!」 酔いどれステップで小粋にフェルナンデスは去って行った。 「さあ、みんな!出発だよ!」 ミハル「今度あんな事を言ったらただじゃおかないからな!」 Pチャン「お前なんかめんどくさい奴だなぁ…。鼻血拭けよ」 バトル「まあ、チョコチップクッキーでもお食べ」 ミハル「おいひいでふぅ〜」 Pチャン「…涙、拭けよ」 美姫「温泉まんじゅう〜はむはむ♪」 レイチェル「脳に糖分〜はむはむ♪」 「アダム〜動画の編集して〜」 「ジョニ子姐さん、本当に機械弱いですね」 チャッキー「冒険しようよおおおおおおお・・・・;」
とりあえずレイチェルが羅針盤を持ってみる。 すると針がグイーンと動いて北東の方角を示した。 「宝はあっちの方角!?」 「あらアタシも持たせて〜!」 ジョニ子が持つとやや東にブレる。 「これ”『持ち主が欲する物』の在処を指し示す“羅針盤”って言ってたじゃない? だから持つ人物によって、方角がブレるんじゃないかと」 分析しながら美姫が持つと、すごい勢いでレイチェルと同じ方向へ。 「ちょっとパトリック持ってみてくれる?」 Pチャンが言われた通りにすると、針の角度は変わらないままガクンガクン弾み始めた。 「これさ、東京ワールドの表彰台ど真ん中って意味じゃない?」ジョニーの説に該当者苦笑。 「そういうジョニ子のお宝って何?」 「新しいおうちよ〜!」針はNYを示していた。
「面白いじゃん。アタシにも貸してみろよ」 リューキンが持つと針はライサの方を向く。 「相変わらずラブいわね〜。じゃあこれをエヴァン(人の方)が持つと当然…」 笑いながらジョニ子がライサに羅針盤を手渡した。
羅針盤の針はクルリとリューキンの方を向き、なぜかブルブル震えている。 「びびってんのか?あぁ?」 「いやそんなつもりじゃないんだよ、神に誓って」 「じゃ、心が揺れてんのか」 「もう揺れないよ!信じて!」 そこに経営者が割って入る。 「これ、みなぎっちゃってるんでしょ。武者震い?いい年して少年のように熱すぎだね、君は」 ライサは照れて顔が真っ赤に。しかし黒すぎて(ry 「中国の某熱愛夫婦ペアのところに持ってったら、針がバンバン弾んで爆発したりしてね」 「ありそー!特に旦那のほうが持ったら即爆破w」 盛り上がる枠の外でションボリチャッキー。 「なんだよー。宝の在処は書ききれない、って。計画性ゼロかよ」 さりげなく寄り添い、サーシャがアドバイスをよこす。 「鞘はどうだったの?刀身むき出しで持ってるの危ないし、この際探してきたら?」 「近くに海藻まみれで汚いかたまりが落ちてたんだけど、あれだったのかな」 「あとで有志を募って探しに行くといいわ」
「じゃあレイチェル、鞘を見つけて戻ったらまた調べてくれる?」 「いいわよ。でも私、次はふぐちり食べたいな。下関に移動してていい?」 炬燵でグルメ情報誌をめくり、スケーター達はわいわいやり出す。 「よし決まった。僕達は出発だ!羅針盤よ、鞘の在処を教えておくれ!」 チャッキーが羅針盤を手に取ると針はくるくると南東の方角を指した。 「いや、場所はわかってるだろ」 「パトリック!ごちゃごちゃ言わない!ほら行くよ!」 チャッキーはPチャンをがっしと掴むとクワドを飛んだ。 「って、なんで俺ーーーっ!アーチャ!」すかさずガっちゃんの足を掴む。 「どうして僕ーーー?!」 「ワールド出るんだろおおおおお……」 「そういう理由?!デニスっ!」ガっちゃんはDテンの足を(ry 「うわあ!ステファンっ!」Dテンはランビの(ry 「きゃあ!ミキーーー!!!」(ry 「ちょっとステフ!なんで私?!」「お、女の子成分……」 「ちょいと!ヒロイン枠はアタシでしょ!」 最後にジョニ子が自ら美姫にしがみつき、チャッキー一行は飛び立っていった。
ミハル「騒々しいメンバーが揃ってお出かけだから、落ち着いて夕食が味わえますね」 バトル「騒々しい……という表現も直截すぎる気がするけど、まあ、正直落ち着くね」 本田「なあ、ふぐのヒレ酒頼む?」 ジュベ「いいねえ。あのさ、この白子ってのちょっと怖いな」 リッポン「でもなんかパワーがつくとかなんとか」 本田「ああ……まあ、そういう説もあるが。女の子たち、箸進んでる?」 サラ「ええ、繊細な味を噛み締めているわ」 セベスチェン「さすがミライは真剣に食べているわね。実家の仕事に役立てようと?」 ミライ「フグは内臓に毒があるから、調理するのに専用の免許がいるそうですよぅ」 サムソン「いやーんこわい。私あとは茶碗蒸しだけでいい」 ファヌフ「そんなこと言うと残り全部食べちゃうぞーw」 ジョアニー「鍋は最後の雑炊までキッチリいただかないとね!」 スミルノフ「ステファンの腕がエヴァン(イカの方)なみに多数生えてたら、ここにいる 女の子全員連れていかれちゃってたんだろうなー」 川口「気持ち悪い想像しないで。ポン酢全部飲ませるわよw」 下関の夜はそれなりに和やか〜。
クワドで華麗に海を渡るチャッキー。 しかし一番下のジョニ子はふっとばされないように 必死に美姫にしがみついた。 「ちょっジョニーっどこ触ってんのよ!そこも駄目だって! そこは握る場所じゃないわよ!」 美姫は反射的に足を振り上げてしまい、遠心力のおかげもありジョニ子は遙か彼方へ ひとり飛ばされていった。
羽生は翌日の授業に備え、予習をしていた。 「そろそろ当てられそうなんだよなー。こういう勘に限って当たる」 ふと窓から夜空を眺める。キラリと流れ星が見えた気がした。 「願いごとしなきゃ!明日当てられませんように。いや違う、一流のスケーターになれま」 そこまで言ったところで、窓を突き破って、ジョニ子が尻から飛び込んできた。 「流れ星というか確かにスーパースターだけど・・・なぜ、尻から?」 「ユヅル、アンタの突っ込みポイント、そこ?さすがアタシが見込んだ若手だわ」 「いやあそれほどでも(照)」 「窓破っておいて悪いんだけど、尻にささったガラスの破片抜いてくれる?」 「了解しました。あ、救急箱持ってきますね」 驚いて飛んできた羽生の父母も、手当や掃除に勤しむ。 「ジョニーさん、今夜は我が家に泊まって行ってください」 「あら、でもユヅルのベッドはシングルサイズね。アタシたちお互いスリムだから平気かしらw」 「え……い、いっしょに?」 たじろぐ羽生の隣で、母が微笑む。 「ジョニーさんには客間にフカフカのお客様布団をご用意しました。養生なさってね」 「あーらお気遣いありがとうございます。嬉しいわー」 まったく遠慮せず、ジョニ子は羽生家の客間で熟睡した。うつ伏せ寝で。
美姫「まずい、やっちゃった!ジョニー!ごめーん!」 ランビ「彼ならすぐ追いついてこれるさ。今は残り全員が無事難破船に着く事を優先しようアハン」 チャッキー「もうヘトヘトです〜」 鞘を探しに行けば?とアドバイスしたサーシャは、その提案が軽率すぎたのではないか?と一人で少し後悔。 「サーシャ、どうしたの?」現れたのはプルである。 「若い子を無駄に煽っちゃったかなー、って反省中」 「煽られて強くなるのさ。第一、本人たち楽しんでいるじゃないか。いいのいいの」 じゃ、いいのかな――という事で、二人は深夜の居酒屋で差しつ差されつ熱燗をキューッと飲む。 リッポンは白子を食べ過ぎてうなされていた。「あーなんかウキウキしてしまうー!」 深夜にいきなりジャージに着替え走りこみ開始。 ジョニ子は夢の中でチャームポイントのおしりに細かい傷がついているのを見てしまい、 これまたうなされていた。「あ〜ん!アタシのプリプリで艶やかなヒップが台なし!」
「うわああああああああああ」 ざぶーん、ざぶん、ざぶん、ざ(ry 力尽きたチャッキーは例の無人島の沖合に着水する。 「ぶはあっ、ケヴィン!お前最近クワドが雑だぞっ …て、おい!」 思わず怒鳴りつけたPチャンだが、チャッキーがぶくぶくと海中に沈んでいくのを見て慌てて助ける。 ガっちゃん、Dテンも手伝って取りあえず浜辺へ横たわす。 「ったく、言いだしっぺが何やってんだよ」 「だって…、こんなにくっついてくるとは思わなかったし…」 ランビ「だよねぇ、女の子を掴んだのは僕だけ。全く嘆かわしいよ」 チャキ・P・ガチ「そういう話じゃねーよ!」 Dテン「・・・・・」(←リアクションに困っている) 「まあ、少し休みましょ」美姫はちゃっかり水着(赤ブラ)に着替え、リゾートモード。 誰かさんに行動パターンが似てる、と思いつつも綺麗なお姉さんに若い4人はどぎまぎ。 ランビ「そうそう、いいよ〜、そういう反応が男児として望まれる姿だよw」 チャキ・P・ガチ「いいいいいい一緒にするなっっ!!」 Dテン「・・・・・(////)」(←やっぱりリアクションに困っている)
おそるべき事にジョニ子の尻は一晩で回復した。 「これがトップアスリートの大殿筋か・・・おそるべしです!」 「ユヅル、あなたもそう遠くない未来,この高みに上り詰める才能を持っているわ」 「僕の場合、いきなりひとんちにヒップアタックぶちかまさないんですけどね」 「ふふ、言うわね。ますます気に入ったわよ」 「親戚が牡蠣を大量に送ってきたんです。ぜひ食べていってください」 「まあ素敵!ぜひごちそうになるわ!」 遠くの財宝より目先の牡蠣三昧である。
その日、羽生家の夕餉は牡蠣づくし。 「生牡蠣にカキフライ、カキソテー、あら、これはカキのシチュー?」 「土手鍋です。熱いですよ。気をつけてくださいね」 「土気色なのね、どんなお味・・・あら、おいしー!!」 ジョニ子のスケパシーはわりとダダ漏れ気味である。 『ユヅルんちの晩ご飯おいしい!牡蠣最高!』 牡蠣大好きプルシェンコが反射的にクワドで仙台へ。 これまた本能的な動きでレイチェルがそのプルの腰にしがみつく。 未来・ザワツキー・ギルスが勢いでレイチェルの肩をつかみ、 彼女たちをかばうようにリッポンが覆いかぶさる。 おもしろがってジュベや経営者も後を追い、バトル、ミハルに くっついてジョアニー、ファヌフ、サムソンも飛んできた。 欧州美女組・キャシー&クリス、川スミも一緒だ。ライサ&リューキンも。本田も。 羽生家の玄関前に集結した下関スケーターズ全員は、ニコニコしてドアチャイムを押す。 「ユヅル!遊びに来たよ!ワタシ、ニホンノカキダイスキ」
スケーター軍団うじゃうじゃ。 玄関に出てきた羽生母は卒倒せんばかりに驚いている。 「うわー遅れちゃったよ!みんないきなり行くんだもんなあ」 遅れてきたJテンはうまい棒を大量に抱えており、本田はそれを急いで奪い取る。 「急に大勢で押しかけてしまって申し訳ありません!これは間違いです! 全員すぐ帰りますので、どうかこの件はご内密に!お詫びにうまい棒をどうぞ!」 「いえあの、皆さんどうぞおあがりくださいな。遠慮なさらず」 「羽生さん!こいつら本当に遠慮しないんですよ!」 「え、そうなんですか?」 狼狽する羽生母の後ろで、羽生は冷静にスリッパを並べている。 「ま、ご近所に配る予定だった分の牡蠣をごちそうすれば良いだけの事なんですけどね」
羽生(プルシェンコさんの牡蠣好きはリサーチ済み…、計画通り…っ!)
チャッキー「じゃ、宝探しに行こうか」 ランビ「なんで?」 チャッキー「(愕然)なんで、ってそのためにんでしょうが!」 ランビ「寄せては返す波の音をBGMにして、美姫に見惚れているだけで十分」 美姫「やだ照れるー」 Pチャン「とりあえずお腹へらない?」 Dテン「へってますけど、ここはランビさんに学びましょう。役に立つかはともかく」 ガッちゃんは他の誰のスケパシーを聞き逃す事はあっても(面倒くさいから 聞かないふりする事も実は多かったり)プルのだけは絶対キャッチするのだった。 『土手鍋食べるの初めてだけど、やっぱりオイシイヨー!』 「ああ、ジェーニャ先輩と鍋を囲みたい。ユヅル、ずるい・・・」
Dテンは美姫の正面に正座し、ガン見する。 ランビ「ああ、デニス、もうちょっとリラックスして」 Dテン「リ、リラックス・・・」 チャッキー「Pちゃぁん、冒険〜」 Pチャン「お前、幼児退行してるぞ。今日はもう遅いし明日にしようぜ。アーチャ、飯」 ガチ「何で僕が!お前らに作ってやる飯などない!」 Pチャン「なんだよ、その態度!」 ガチ「なんでジェーニャ先輩以外の人間にご飯を作らなきゃいけないんだよ!」 「なんかまとまりのないパーティねぇ。今のはパトリックが悪いわよ。 ご飯は私が作るから三人は食糧調達して来て。ステフとデニスはテントはって。はい、駆け足!」 モロ組のオカンに成りつつある美姫。テキパキと仕切る。
熱帯魚を大量獲ってきたPチャン・チャッキー・ガッちゃん。 「とりあえず煮魚と焼き魚にしてみたわよー」 「なまじ極彩色だからすげえまずそう」 一言が我慢出来ないPチャンに、オカンモードの美姫は 「あるもんでご飯食べなさい!わがまま言う子は食べんでいい!」 と叱責を浴びせた。 怖いので、残りのメンバーはしぶしぶ食べた。小骨が多すぎた。
Pちゃん「ううっ小骨がノドに引っかかった…」 チャッキー「Pちゃん、なにしてんの〜」 ランビ「はい、あーんしてくださいね〜」 Pちゃんのノドに光る白いモノ チャッキー「こっこれは魚の骨なんかじゃない!これは……!!」
羽生家牡蠣パーティー会場の座席は、なんとなくスケート界の序列というものが反映されていた。 (例外:羽生はプルとジョニ子の間に挟まって、かいがいしく料理を取り分けている) テーブルにいるのはベテラン勢。キャリアの浅い者ほど遠慮して、食卓から遠ざかる事となる。 Jテン「だからって廊下に座布団はないよな」 リッポン「まあ、人数多すぎだから。暖房が効いてるだけマシだ」 ミハル「バトルさんの側に行きそびれた。泣きたい」 未来「ほら、土手鍋の中に残ってた白菜の切れっ端持ってきてあげたから泣かないで」 ミハル「牡蠣じゃないけど牡蠣の風味だけしておいしいなあ・・・やっぱり泣いていい?」 リッポン「そういやパトリックたちはどうしてるんだろう?」 Jテン「これ以上人が増えたら、白菜どころか生牡蠣に添えてあるレモンすら回ってこないよ。 もうしわけないけど、今だけは来ないでほしい」
「ジェレミーーーーーーーーー!!!」 どかんどかんどかn・・・と羽生家の屋根を突き破り、チャッキー一行が舞い戻った。 「今、何か言った、何か言ったよな?!」 着いた早々Jテンに詰め寄るPチャン。Jテンはげんなり。 「あー…、言ってない、言ってないよ。君って本当にうっとうしいなぁ……('A`) 」 「ふん、俺の活躍を聞いたらそんな口聞けないぞ。これを見ろ!」 Pチャンは何やら白く光り輝くものをかかげる。それは・・・ 「あら、鍵?」「古そうね、アンティーク?」「なんか由緒ありげな…」 「宝箱の鍵だ!いや、秘密の庭?謎の洋館の鍵かもしれない。どれだケヴィン?!」 「わかんない、まだわかんないよ!でもお手柄だよ、パトリック!!」チャッキーも興奮しきり。 「ああ、僕のリトルマーメイド達、寂しくなかったかい?」(背中に熟睡Dテン) 「なんで結弦の家なのよ?探しちゃったじゃない」 「ユヅル!なにジェーニャ先輩の横に座ってるんだよ!」 「取りあえずお前ら・・・・・屋根を直して来いっっ!!!」 いつになく怒りをあらわにする本田に、チャッキー達はちょっと静かになった。
デザートのずんだ餅と萩の月をむさぼり食いながら、レイチェルは分析を開始。 「海賊の剣とこの鍵はまったく別口、という前提で考えていたんだけど、 鍵に彫られたレリーフと剣の柄に彫られた模様が似てるのよね」 「剣には古代ギリシャ語が書いてあったんだっけ?」 サーシャが分析に参加する。 「そう。でもだからって古代ギリシャ時代の剣とは限らなかったりして」 「なんですって?」 「この剣を作った職人が、なんらかの事情であえて分かりにくくするために 難解な言語を選んだ、って可能性も否めないと思うの」 「確かに古代ギリシャの剣にしちゃ、保存状態がよすぎる気もする・・・」 肝心の鍵を持ち帰ったPチャン・剣の持ち主チャッキーは、羽生家の屋根を修繕。 P「なんでこんな寒さと空腹に耐えて屋根直さなきゃいけないんだか」 チ「黙れ。お前のせいだろ」 P「一緒に飛んできた仲間じゃないか。冷たい事言うなよ〜、な?」 チ「こんな時ばっかり・・・ああ、牡蠣フライの衣だけでいいから食べたい」 「ついでに窓の修理もお願いしますね」 爽やかな笑顔で、サラリと追加依頼をしてくる羽生。
Pチャン「俺、スケート引退したら建築で起業しようかな」 チャッキー「まずしかるべき会社に勤めて経験を積む、ってプロセスはないのか」 作業を終えて帰ってきた二人に、美姫がそっと紙包みを渡す。 「牡蠣ご飯をおにぎりにしておいたから食べて。お疲れ様」 「「おかあさーん!!。・゚・(ノД`)・゚・。ありがとう」」 「あとカキフライの下に敷いてあったシナシナのサラダ菜も添えておいたわ」 飢えて凍えた二人には、美姫がオカンを通り越して女神に見えてきた。 ライサ「建築業より解体業の方が向いてそうだけどな、あいつら」 リューキン「おめえが言うなw」
出稼ぎでショーの仕事に出かけたプル・ジョニ子・ランビを除くメンバーは 一度下関に戻りピンクバスに乗車。 「宝の件はみんなで例の島行って、腰据えて手がかり探した方が話早いって」 経営者の意見に一同納得。 (仙台のリンクでこっそり練習に励んだりもしたので気分爽快) 久々に出番ありのピンクバスも超やる気。3大テノールいないし。 『宝石みつかったらアタシにも分けなさいよー!わかってるでしょうねー!』 ジョニ子のスケパシーはやっぱりダダ漏れ。
ロシェットが大量のポップコーンを差し入れしてくれた。 未来、ザワツキー、ギルスらは「遠足みたいだね〜」とポップコーンをほおばりにこにこ。 いつも女子の間に割って入るランビもいないのでピンクバスもご機嫌。 ジョニ子指定席の後部座席は、諸先輩方を差し置いてPチャンがナチュラルに座っている。 「君って、やっぱり凄いね・・・」 後ろを振り返り、呆れ半分、感心半分でリッポンが言った。 「へ?何が?」 「……いや、別に。ワールド頑張ってね」 「おう、まかせとけ!」 「(アメリカ人の僕に言われてもなぁ…)」
島についたら、いの一番にチャッキーがダッシュ。難破船目指して潜行開始。 勢いにつられてPチャン・Jテン・Dテン・リッポンも後を追う。 ジョアニー「男の子たちは元気ねー」 ファヌフ「私たちはのんびり行きましょう。ミリアン、あなたはお留守番しててちょうだいね」 後輩の怪我を気遣いつつ、ファヌフは男子顔負けのダイブを見せた。 負けちゃいられない、とジュベ他のメンバーも追走。 サムソン「じゃ、私たちは待ってようか」 話しかけられたピンクバスは、またボンネットのあたりをホカホカにして照れている。
極彩色の熱帯魚たちがゆらゆらと泳ぐ中、スケーター達は難破船へと向かっていた。 グレボワ「うわぁ!綺麗!」 悠子「素敵ねぇ」 女性陣は感嘆の声をあげる。 サラ「この間来た時はゆっくり見られなかったものね」 ガチ「でも、小骨が多くて食べる部分が少なかったですよ。調理方法を工夫しないと」 一瞬の間をおいて皆は大爆笑。 ガチ「え?え?え?」 セベスチェン「やだわ、アーチャったら。そういう話じゃないでしょ?w」 キャシー「ふふ、発想が主婦みたいね〜」 サーシャ「可愛いわねぇ、困ったわw」 自分がおかしな事を言ったのを自覚したのと、美女たちにからかわれたのとで、 ガっちゃんは耳まで真っ赤になってしまった。
ショーの出演を終えて無人島を目指しつつ、ジョニ子は日本の大地震が気になってならない。 「一日も早く復興しますように。トークショーも中止になっちゃったし、アタシにできる事は何もないのかしら」 はらはらと溢れる涙をランビがそっと拭う。 「被災地はもちろん、それ以外の地域でも電力の供給が制限されたり、首都東京も大変らしい。 今僕らができる事は、冷静に状況を判断し、本当に求められている支援をする事さアハン」 「世界選手権も延期だの中止だの、ややこしい事になってるし。ロシアで代理開催できるなら、できるかぎりの支援をする」 プルの言葉にジョニ子はキリキリとハンカチを噛んだ。
久方ぶりかつ急になんですが●オバサン度チェック!● □ 湯船につかって「はぁ〜〜」と思いっきり言っていた。 □ 自分より年下に思える男性からため口を聞かれると、若く見えているのかしら?と嬉しくなる □ 「よっこらしょ」と思わず出てしまったことが一度や二度ではない □ あまりに馬鹿笑いしすぎて周囲から注目を浴びたことがある □ しかもその視線に気づきながらも素知らぬ顔で通した □ 笑うと、なぜか周りにいる人を手首のスナップをきかせて叩いてしまう □ TVに向かって“突っ込み”を入れるようになった □ (自分のことは棚に上げて)人のあらばかりが気になるようになった □ クローゼットから小学校の授業参観の時の匂いがした。 □ 何年か前の自分の写真と比べて、一番違うのは眉毛だ。 □ 化粧品に使う金額が年々増加の一途だ。 □ 鏡を前にして、なぜか鼻の下を思いっきり伸ばした状態で化粧をしている □ 家に帰るとまず真っ先にトイレに駆け込む □ 流行ものの良さが理解できない。 □ にもかかわらず、若く見られたいがため、流行ものを追っている □ 無性に女子高生が憎たらしい □ 買い物に行くと異常に長い時間がかかる □ その上、散々悩んだ挙げ句に買わないこともままある □ ポイントカードに弱い □ 試食は食べても基本的に買う気はない □ 街で配っているティッシュは原則もらう □ 街で「おねえさん」と呼ばれた時にちょっと顔がほころんでしまう。 □ 焼き肉と酒(ビール)の組み合わせは最高に旨い □ 二の腕の気持ちよさには自信がある □ 下っ腹がヤバい。 □ 本当にヤバかったら、男子トイレの個室を使うことも辞さない。 ジョニ子「やぁだ、2つあてはまっちゃってるわ」 サーシャ「正直に言いなさいよ。4つでしょ」 ジョニ子「2つよ!2つ!」
ジョニ子「マダムと呼ばれたら顔がほころぶ、と、男子トイレ個室の2つだけよ」 サーシャ「化粧品代急上昇!買い物が異常に長時間!」 ジョニ子「(目が泳ぐ)いやーね、そんな事ないわよぉ。ね、レイチェルそうでしょ?」 レイチェル「私は二の腕の気持よさに自信がある!日本最強の民族『OBASAN』を継ぐ素質があるかと」 何か勘違い?誇らしげに腕組みし、ジョニ子を振り返る。 レイチェル「OBASANの先輩として、私を導いてね。下っ腹がヤバいってどういう意味かしら」 ジョニ子「さあ・・・('A`)で、お宝探しの方はどう?」 レイチェル「この1ヶ月少々の間に、難破船から剣の鞘が発見されたから文章解読したの」 ジョニ子「宝物は!?宝石は!?貴金属は!?」 レイチェルは『まあまあ、落ち着いて』と言うように、広げた両手でジョニ子を宥める仕草をしてみせた。
「鞘には【何よりも輝く宝石は己の心の内にあり】と書いてあったわ」 レイチェルの言葉に、ジョニ子は激しくズッコケた。 「もうイヤー!!やっぱりロシアの大富豪にダイヤモンド買ってもらうー!!!!」 「そんなあてないでしょ?」 冷静にツッコむサーシャ。セベスチェンやグレボアは同情顔。 「まあ、後は鍵の方の謎が残ってるしさ、気を落とさないで行こうよ」 世界選手権を控えているというのに、余裕の慰めをするPちゃん。 「・・・映画版のジャイアンみたい。かっこいい」 未来は感嘆のため息をもらし、その隣では本田が深々と頷いている。 (この子、なんだかんだいっても日本文化に親しんでるよなあ)
「そんな時こそ、この羅針盤が役にたつよ!」 今日も元気いっぱいのチャッキー、勇んで羅針盤をかかげるが、それをPチャンが横からとりあげた。 「ちょっと!」 「お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの」 リッポン「あーあ、TV版のジャイアンになっちゃった。ワールド前に身を慎んだ方がいいだろうになぁ」 Jテン「まあ、パトリックらしくていいんじゃない。なあ、スネ夫」 リッポン「誰がスネ夫だっ!」
Pチャンはそうっと羅針盤を地面に置き、鍵を乗せた。 羅針盤の針が激しく動き始める。差した方角は―― 全員「北だー!!!!!」
ダウジングロッドと羅針盤を持って、バトルはシベリアをウロウロしていた。 付き従うのはリッポンとJテンの二人。 「本当にここなんですかー?もうヘトヘトです〜('A`)」 「次こそお宝出てくるって!がんばろう」 「先輩じゃなきゃ『自分で掘れ!』って言ってやるのに・・・この人、憎めないんだよなあ」 Jテンはぼやきながらも、バトルの示す氷原にツルハシを打ち込む。 そこに金メダルをぶら下げたPチャン&美姫+他、世界選手権参加者が跳んでくる。 「宝はもう見つかったかなー?」 「そんな甘いもんじゃな・・・っていうか、その」 リッポンは経営者におんぶされたレイチェルや、ファヌフの肩を借りて歩くチャッキーを見つけた。 「・・・みんなお疲れ様でした!今はゆっくり休んで。宝探しは僕らががんばる」
掌がマメだらけになってしまったリッポン&Jテンに代わり、スミルノフとジュベール登場。 「やっと来た俺の見せ場!」 「この勇姿をママンに見せたい!ママン〜!!」 うなれ大胸筋、輝け広背筋。そこらじゅうに削り氷の山ができる。
他の選手が掘ったり探ったりしている間、ジョニ子は草の束を作ってサラに投げてもらっている。 サラ「ねえジョニー、これ何の練習なの?」 ジョニ子「タラが結婚するのよ!式でブーケトスするでしょ?」 サラ「ああ、ブーケ欲しいのねw」 ジョニ子「ええそうよ!なりふりかまっていられないのよ!おまじないだろうと迷信だろうと縋るわ」 ブーケトスを想定した千本ノックに、女子選手一同目頭が熱い。
男性陣の中でやたらとテンションが高いのはミハル。 ニッカボッカ的な衣装に身を包み、張り切ってツルハシを振り上げ振り下ろす。 ミハル「バトルさん!ここから先はこの復活したミハルに全てお任せ下さい! 僕の二種クワド見てくれましたか?この勝利をバトルさんに捧げます!」 Pチャン「勝ってはいないだろっ!」
「ミハルはね、自分自身に勝ったんだよ。きっと」 達観したような表情で呟くチャッキーの声に、Pチャンのツッコミが止まる。 すると背後からレイチェルがヒョイっと顔を出した。 「そうね。私たちが自分に勝つためにしなきゃいけないのはまず休む事。そして――」 ボルシチがなみなみと入ったスープ皿をチャッキーの前にドカンと置く。 「食べる事よー!!ユウコ、お代わりプリーズ!!!!」 モリモリと食べてみるみるうちに元気復活するレイチェルを見て、ボルシチ係の川口の表情も綻ぶ。 「そうよどんどん食べなさい!食べっぷりいいと作りがいがあるわ」 美姫も負けじと味噌煮込みうどんを作り始めた。
「これだけ掘っても出てこないとなると、この羅針盤はアテにならないかも?」 氷原はあちこち穴だらけ+疲れはてて倒れた男子選手だらけに。 「ああ、吹雪の向こうにシマウマが見える……アハン」 ランビエールに至っては疲労のあまり(?)幻覚まで見え出したご様子。 そこに地図とホットチョコ入りポットを持ってミライ登場。 「今、女子のみんなで、掘削済み地点の緯度経度を全て計測してるんですぅ」 「それを順につなぐと北斗七星の形になるのかい?死兆星が見えそうさアハン」 「数値が暗号化できないか、レイチェルが分析するそうですよぅ」 ランビの側に転がる羅針盤が、かすかに震えた。 同時刻、ジョニ子は心眼を研ぎ澄まし、瞼を閉じていてもジャンプ一発で ブーケ(を模した草の束)をキャッチできる境地に達していた。 「……今なら余裕でクワド飛べるような気がするわ」
疲れてしまったプルの為に、ガっちゃんはペリメニを作り出した。 面白そうなのでPチャン達も参加する。 Pチャン「これって中国の水餃子だよな。 でも、アーチャもメダリストになったのにまだ先輩に尽すんだな〜」 ガチ「ペリメニ!僕はジェーニャ先輩とやりあうつもりはありません。 あなたみたいに先輩にやたらめったら噛みつかないんです」 Pチャン「俺だってジェフに噛みついた事はないぞ! それにプルシェンコだって子供の頃のヒーローだったし・・・ブツブツ」 チャッキー「僕のアイドルはエマだったよ。出来た!見て見て、ドーナツ型のペリメニ!」 リッポン「ケヴィン、食べ物で遊ばない。僕の憧れはミシェル・クワンだったな」 ミハル「俺は断然、バト・・・」 全員「うん、知ってる」 羽生「僕はプルシェンコは神で、アイドルはジョニー、エルドリッジが教科書で、 おんぶして貰いたい人がパトリックだよ!」 ミハル「気が多い奴だな、浮気性め!」 Pチャン「・・・最後はどういう意味だ?」 リッポン「てかユヅルいつの間に。でも、ユヅルが一番ペリメニ上手いなぁ。日本人って本当に器用だね」
ジョニ子「アタシとっても素敵な事を思いついたわ!! このボルシチとペリメニをひっさげてジャパンで炊き出ししない? 打倒石原軍団よ!!!」
みんな「別に倒す必要は無いよ!」
チャキ「それに炊き出ししてもレイチェルが作るそばから食べちゃ、ぐはっ!」 リッポン「それでレイチェル、暗号解析は進んでる?」 レイ「ケヴィンは誤解してるわね。私は三度の飯より計算が好きなのよ」 未来「レイチェル、キャロから誕生日ケーキの金魚鉢ティラミスがお裾わけで届いたけど」 レイ「勿論、いただくわ」 チャキ「僕、間違った事言ってないじゃ・・・!わ、分ったよ、アダム、つるはし下ろせよ・・・」 「むぐむぐ解析は出来てないけど一つだけ分ったことはあるわ」 金魚鉢を抱えるレイチェルの周りに一同は期待を込めて集まる。 「掘った穴を線で繋ぐと北斗七星じゃなくて円になるの。その中心に私達は居るもぐもぐ」 その時、ぼこん、と大地が揺れた。 「きゃー!やだ地震?!」 ジョニ子は慌ててジュベール、経営者の脇を確保する(頼りになりそうだから)。 ライサもリューキン、Dテン、未来を傍へ引き寄せ、本田は美姫を、 リッポンは、ぼーっとしているPチャン、チャッキーを蹴飛ばしてそれぞれ女の子達を守らせる。 Pチャン「いちいち蹴るなよっ!今やろうと思ってたのに!」 「地震じゃないわ。計測してて分ったんだけど、どうもこの地下に空洞があるみたいで・・・」 レイチェルの言葉をきっかけに足元の地面が抜けた。 「いやーーー!!!ブライアンがむきになって掘るからああああ」 「俺のせいかっ!」 ジュベの抗議の声と共にスケーター達は地下深くへと落ちて行った。
ジョニ子「タラにブライズメイドやってあげるって、約束したのにー!!!!」 全員「嘘つけー!!!!」
もうじき300KBというところで、地下の空洞に落ちてしまったスケーターズ一行。 各々運動神経のよさを発揮し、奇跡的に全員無傷。 レイチェル「困ったわ。解析に使ってたエニグマ暗号機が壊れちゃった」 Pチャン「そこはこう、理系パワーでチョチョッと直せないの?」 レイチェル「なんでも理系だからって……ってこの会話、以前もしたような」 リッポン「(なぜそんなすごいもの持っているか、誰かつっこまないのか?)」 ジョニ子「ああ、ユリ・ゲラーがいたらいいのにー!」 サラ「超能力頼み?ってそれよりここを脱出する事を考えないと」 全員。はるか上にポッカリあいた穴を見つめ、ため息をつく。 こんな時に限って、見える空は青く澄んでいる。
ザワツキー「ねえ、誰かツッコまないの?」 ギルス「じゃ、あなたいきなさいよ」 サムソン「あまりに堂々としてて、どう声をかけていいやら」 困惑する三人娘の前で、ジョニ子はなぜかウェディングドレス着用。 腰に手を当て仁王立ち。背中がキツキツ。twitterで全世界に発信。
バトルはチャッキー、Dテンの眼を後ろからそっと塞ぐ。 「?ジェフ、なんで?」 「いや、君たちにはまだ早いというか、目の毒というか、R指定というか・・・ごにょごにょ」 「R指定・・・ サイコホラーか、むぐっ、んーっんーっっ!」 リッポンはPチャンの口をそっと塞ぐ。 「余計な事を言わないように」 ランビエールは動じない。 「やあ、ジョニー!良く似合ってるよ。まるで地下深くで輝く水晶の女王のようだ。ねえ、ジェーニャ」 「うん、そうだね(棒)。処で、そのドレスはどこにあったんだい?」 「やだぁ、二人とも♪あっちの奥にいっぱいあったのよ。ドレスだけじゃなくって」 見ると、確かに何やらクラシカルなドレスや調度品が置かれている一角があった。 経営者「これはどういう・・・」 リッポン「パトリックじゃないけど、サイコホラーみたいな…、いや、ゴシックホラーかな?」 Pチャン「んんんーっ!!(鼻っ、鼻も塞いでるっ!第一犠牲者になるっ!!)」
「せっかくだからさ、女子一同ウェディングドレスを着てみたらどうかな?アハン」 ランビの提案に美姫が首を横に振る。 「独身の女性がウェディングドレスを着ると、婚期を逃すという言い伝えがあるの」 「ええっ!そんじゃやめとく・・・」 三人娘+ミライが残念そうにドレスから手を引っ込めた。 「でもネックレスならいいわよね?」 ファヌフがパールのネックレスに手を伸ばした瞬間、チャッキーが叫んだ。 「ネックレスは駄目だ!体が分裂するから!」 「それ前スレ」 リッポンが冷静に突っ込む。Pチャンを呼吸困難に陥れたまま。
ジョニ子「ところで、アタシ今人生で初めてノーパンなのよ」 一同「いちいち全世界に向けて宣言しなくていいよ!」
ジョニ子が脱いだパンツは、一抱えもありそうな巨大な木箱にひっかかっていた。 その木箱はがっちりと鉄の枠がはまっており、少々の衝撃では壊れない強度がうかがえる。 ごっつい南京錠を見て、Pチャンは自分が後生大事に握りしめていた鍵の事を思い出した。 「アダム離せ!きっとあれが宝箱に違いない!」 「ごめん!ジョニー姐さんがいちいちすごすぎて、このスレの初期設定忘れてた!」
ジョニ子「アタシのパンツと宝箱のコラボレーション… これはもしかして、アタシのおパンツが至高の宝物と同価値である事の暗示!?」 Pチャン「離せアダム。一発、殴らせろ」 リッポン「き、気持ちは分かるけど、そう言われて僕の立場で今、君を離すわけには・・・・」
「ま、いいから鍵貸して」 リッポンともめてるPチャンの手から鍵を取り上げ、チャッキーが素早く宝箱の鍵を開けた。 箱の底にはカードが一枚。 『お宝はいただきました! 怪盗エマニュエルより愛を込めて(笑)』 「何が(笑)だバカ野郎!!!!!」 チャッキー大暴れ。Pチャンが泣きながらその腰に縋りつく。 「僕らの大切な先輩じゃないか、バカとか言うな!」 「わかってる!でもこりゃないよー。・゚・(ノД`)・゚・。ひどいよ!」 「・・・ケヴィン、キャラ変わったな」 バトルはとりあえず静観の構え。 ジョニ子は卒倒。白目を剥いたその瞼を、サーシャが掌でそっと閉じてやった。
「ひょんな事でいただいてきちゃったけど……どうしようかしら、これ」 自宅で「お宝」をもてあまし、エマは溜息をついた。
エマが持て余しているお宝の他にも、宝箱?の周辺にはアクセサリーやドレスが溢れていた。 美姫「これだけ乙女心くすぐるアイテムがあったら、十分だと思うんだけどなー」 羽生「ジョニーさんは常に高みを目指す方なんですよ」 本田「高みっていうのか?それ」 女子選手たちはおっかなびっくり乙女グッズを身に付けてみては、頬をバラ色に染める。 ランビ「いいよいいよー。やはり女の子はこうでなきゃ。アハン」 Dテン「(そういうものなのかなあ・・・まあいいや。わかんないから寝よう)」
ジョニ子は乙女本能ゆえに、すぐ失神状態を脱した。 「花嫁のベールもたくさんあるわ〜」 シャンプーハットやブルカまで被り、恐ろしい事にそれを自分流のアレンジで華麗にファッションへと昇華。 サイズアウトの指輪は小指にはめる。 ミライを始めとした若手女子は惜しみない賛辞を送る。 「ジョニー素敵!私達のファッションリーダー!」 洞窟の奥でモデルウォークをしつつ、ジョニ子は宝物への探究心を捨ててはいなかった。 ――エマ、あんたから宝物を取り返してやる!
「ちょいとケヴィン!」 ウェディングドレスの裾を翻し、ジョニ子は洞窟の隅に体育座りをしているチャッキーを振り返る。 「あんたエマんち知ってるでしょ。案内しなさいよ」 「そりゃ知ってるけど・・・ここからどうやって出るのさ」 「飛んで出るに決まってるでしょーが!」 ジョニ子は雄々しくもチャッキーをお姫様抱っこし、クワドを決めた! 「ドレスのパワーね・・・ジョニ子、おそろしい子」 サーシャがぽつりと呟いた。
ドカーン!!!! 毎度おなじみ屋根突き破って登場、ジョニ子&チャッキーがエマ宅に見参! 「キャー!!ドラァグクイーンのモンスターが来たわ!怖いー!地獄に帰れ」 「アンタの方がなんぼか怖いわよエマ!さあお宝どこ!だしなさいよ!」 「ジョニ子にだけは渡したくないわよっ。ひとんちの屋根壊して・・・あら、ケヴィンも一緒なの?」 「先輩、お久しぶりです」 礼儀正しく挨拶するチャッキーに、エマは愛想良く微笑みかける。 「ちょうどよかったわ。シベリアの地下で、アンタにちょうどいいお宝を見つけたの」 エマが持ってきたのは・・・一抱えもあるような、巨大アンメルツヨコヨコだった。
「なんですかこれ・・・?」 戸惑うチャッキーの傍に、本田・美姫・羽生が飛んできた。 「これはアンメルツヨコヨコといって、日本の薬品だ。筋肉痛に効く。ちょっとメントール臭がきついけど」 「でもこんなデカいの初めて見たわ」 「薬局の店頭に置いてある販促用の飾りじゃないですか? エマは日本三人衆を無視し、チャッキーに向き直る。 「ふふふ、これは秘宝よ?筋肉痛どころか痛めた腱や疲労骨折にも効くの」 まさにチャッキーのためのお宝である。
ドカーーーーン!!! レイチェルを抱えてリッポン登場 「そんなに良いものなら彼女にも塗ってあげてよ!」
「そりゃ塗るわよ〜。さあ負傷した選手はみんな一列に並んで! 優しいナースのエマが癒してあげるわ〜」 エマはいつのまにかナース服にコスプレチェンジし、患者第一号の チャッキーの脚にアンメルツヨコヨコを押し当てようとした。 が、この秘宝、すさまじくデカイ。そして重い。 「あらやだ手が滑ったわ!」 「うぎゃー!」 脚に塗るはずのアンメルツはチャッキーの顔面に。 「目がー!!目に染みて涙が止まらない!」 「暴れないで!さあ、今度こそ脚に塗るから」 部屋に充満するメントール臭に、レイチェルは顔をしかめた。 遅れてやってきたサムソンに至っては涙目である。沁みたのか、恐怖か。
「何やってんのよ!ちょっと貸してみなさい!」 ジョニ子はアンメルツヨコヨコをエマから取り上げる。 が、やはりその重さでふらふら。引きつるチャッキー。 「ジョニーさん、手伝いますよ」羽生が慌てて手を差し伸べる。 「ありがとうユズル、いい子ね(はぁと あらやだ、これってケーキ入刀みたい。二人の初めての共同作業?キャッ(*ノ∀ノ)」 ジョニ子の事は尊敬してやまない羽生であるが、本能的恐怖に襲われ、光の速さで手を離す。 ふらついたジョニ子のアンメルツは、咄嗟にレイチェルをかばったリッポンの顔面にヒット。 「あああああ!目がーー!目がーーーー!!」
怪我が治る秘宝、とのスケパシーを受けて咄嗟にサムソンを担いで飛んできた ファヌフ&ロシェットだったが、自分たちの判断ミスに頭を抱えた。 エマとジョニ子が絡んでは、秘宝も台無し・・・どころか、新たなトラブルを産むのだ。 「ミリアン、ごめんね。私達ついテンション上がっちゃって」 「まさか秘宝がこんなにデカいなんて思わなかったの」 「いえ、二人の気持ちだけで嬉しいから・・・」 手刀をジョニ子のうなじにぶちかましてアンメルツを奪う、という策がファヌフの脳裏をよぎった。 しかし基本、暴力は好まない彼女はあえて手を出せずにいる。
タオルでしきりに目を擦っていたリッポンだったが、ふとその手が止まった。 「あれ?近眼治った」 「あなた視力悪かったっけ?」 レイチェルの問いに、リッポンは目をシパシパさせながら答える。 「日常生活に支障はきたさないけど、たまにメガネをかける事はあるよ。 ケヴィンはどう?なんか変化あった?」 「いや、別に」 ほったらかされてチャッキーはぐったり状態。 目の前ではウェディングドレスのジョニ子とナース姿のエマが取っ組み合いだ。 なんかいろいろ毒々しすぎる。たまにジョニ子が両脚全開でひっくり返ったりするし。
「持ち上げて塗ろうとするから、無理が生じるだけじゃない?」 レイチェルはそうつぶやくとアンメルツヨコヨコを部屋の中央に立てる。 テーブルに乗っかり脚を伸ばし、患部をヨコヨコ頭部に押し当てた。 「ほーら治った。さ、ケヴィン、ミリアン次はあなた達の番よ」 レディ・ファーストでサムソンに先を譲り、チャッキーはwktkで順番を待つ。 ドカーン!! 今度はPチャンである。腰にはライサ(の腰にはリューキン)付き。 「エヴァンが俺の足が臭いってうるさい!だからその秘宝で臭くなくしてよ」 「スケート靴履く時にソックス履けば済む話だろ!消臭剤使うとかさー」 せっかくの宝を冒涜されたような気がして、チャッキーは頭をかかえた。
秘宝にこすりつけたおかげで、Pチャンの足臭は見事なミントフレグランスに変化。 しかしチャッキーはぐったり。直後に自分の脚を接触させるのに抵抗を感じてしまう。
チャッキーが迷っているうちにミハルにぶらさがったバトルとJテンが飛んできた。 「足クサ治るって〜?もぐもぐもぐ」 「ぼくは気にしません!」 「気にしろよ!」突っ込んだのはJテン。隅でますます落ち込むチャッキー。
アスリートフットに悩む選手(スケーターじゃないのまで混じってる)が 大挙しておしよせ、エマんちはツルフワ清潔足に生まれ変わった幸せ者でいっぱい。 Pチャン+バトルが問うてくる。 「さーて、ケヴィンはまだ怪我の治療しないの?なんで?」 「今、この状況でできるかー!!せめて消毒とかしないと」 「オキシドールとか塗る?ってあれ?アンメルツの頭部がもうカピカピに乾いてる」 優秀な薬剤ではあるが、容器の形状の関係で、立てっぱなしで使い続けると スポンジ部分が乾いてしまうのだ! 「やっぱり持ち上げて下に向けるしかないわねー。底に溜まった薬液出さなきゃ」 ジョニ子がヨロヨロとアンメルツヨコヨコを担ぎ上げ、チャッキーに近寄ってくる。 また顔にぶつけられたらたまらない。今度こそマジ勘弁して欲しい。 超高速後じさりするチャッキー。追うジョニ子。
「あらやだこんな事してる場合じゃないわ!」
ジョニ子はアンメルツを放り出し某所へ飛んだ。
http://www.youtube.com/watch?v=Fstj2jCQ0SE 「あ、これじゃケヴィンの怪我は後回しかしらねー。一世一台のパレードですもの」
深々とうなずくエマの隣で、ファヌフ&ロシェットは素早くアンメルツの頭部を除菌アルコールで拭き清めた。
「お待たせ。さあケヴィンあなたが復活を遂げる時が来たのよ」
「みんな・・・ありがと」ケヴィン、いよいよ本気モードに!!
ジョニ子の一世一代の晴舞台!そんな面白い見世物、いやイベントは是非応援してやらないと! と一部のスケーター達はLAに飛んだ。 Pチャン「Sugeee ガ━━Σ(゚Д゚|||)━━ン!! 」 本田「(ぴーちゃん・・・その顔文字どこで覚えた・・・まさかまた美姫ちゃんが)」 美姫「(知らんぷり)どうせならウェディングドレスで出れば良かったのにねーw」 グレボワ「結婚パレードになっちゃうじゃない」 ユウコ「しかも一人だし」 セべ「本当にするかもよ?結婚パレードw」 サーシャ「どこの王さまと結婚するのよ」 「可憐なブライズメイド達、実は僕もパレードに参加したことがあるんだよ♪」 そう言ってランビはププーとシャボン玉を噴いてみせる。 「ステフ、あれは“パレード”じゃなくて“デモ”」 突っ込むサラ。
リード姉弟は必死に写真を撮りまくる。 「あの髪型、チョンマゲだよね?そうだよね?」 「現代風のアレンジは加えられているようだけど、間違いないわ」 次の衣装に使うのか!?
ミハル「七五三の御写真、とてもよく似合ってましたよ。お姉さん、お兄さん」 キャシー「やだミハルったら。でも本当はアリソンが一番似合ってたとか思ってるでしょ?w」 クリス「お兄さんって何だよ。バースデーパーティーに呼ばれたからって調子にのるなよ」 バトル「あの…ミハル…、どうして僕は連れて来られたのかな?腕、はなしてくれると嬉しいな……」
消毒済のアンメルツヨコヨコで、無事怪我を治したチャッキーは、 皆の後を追ってジョニ子の晴れ姿とご対面。 「うわ・・・来なくてもよかった」 「何言ってるのケヴィン!アタシの素敵なイヴェントを目に焼き付けて!銀パンツ見て!」 近眼が治ったばかりのリッポンはそっと溜息をついた。 「どうせ回復した視力で見つめるなら、もうちょっと違うものを観たかったな」
その頃のシベリア残留組。 ドレスやらアクセサリーやらで盛り上がるザワツキー・ギルス・ミライ。 「プロムでこんなの着ても良かったなあ」 なぜか一緒になってがさごそしているプル。 「何か探してるんですか?」ガッちゃんがたずねる。 「面白いものがありそうだから。金パンツ二号とか」 それを聞いたジュベ・経営者・スミルノフも服の山に頭を突っ込み始める。
「さーて足クサも治った事だし、練習に戻ろうっと」 嬉々としてホームリンクに帰ろうとするPチャンの首根っこを、エマはガッチリと掴んだ。 「その前に!うちの屋根直して行きなさーい!」 「なんで俺だけ〜」 「ジョニ子にやらせたら、ここぞとわけわかんないオブジェとかつけまくっちまうでしょーが! ケヴィンもいらっしゃい!脚が治ったんだから大工仕事ぐらいできるはずよっ」 「はーい。なんかもう屋根修繕慣れてきた気がしてきた・・・」
再び、シベリア残留組。 ジュベールは財宝の中から金パンツではなく、黒と赤の染め分け衣装を見つけ出し、 洞窟内を微妙な空気にしていた。 経営者「・・・・似合うんじゃないか」 スミルノフ「う、うん、着てみたらいいよ!」 ジュベ「そうか。俺はあんまり気に入らないがな。 衣装なんて飾りだ。偉い人にはそれがわからんのだ」 ガチ「そりゃ…、衣装は飾りでしょうよ」 未来「装飾品ですよねぇ?」 プル「何だか嫌なものが出てきそうだなぁ」
その頃のデトロイト
「ちょっと、
>>530 の画像どういうことかしら?^^」
「おかげであらぬ誤解を受けてるんだけど?^^」
「私はお行儀がいい生徒しか見ないわよ?^^」
まるでジャンプ中の顔をして恐れおののくスケーターがいたとかいないとか。
アボ「本スレの方では僕、夢を漂うシリアス展開なんだよ!?なのになんでこっちでは:(」 ユカ「……メタフィクションな台詞を気取るより、あなたに必要なのは練習よね?^^」 こっそりと新ホーム・デトロイトに滑りに来たリッポンはユカの迫力に凍りつき、そっと退散。 「あとでジェレミーを慰めてあげよう。遊園地かなんかに誘ってあげよう」
シベリア地下。 プル「サイズ41のガラスのハイヒールが出てきたよ」 ジュベ「見なかった事にしないか?」 経営者「賛成」
「だったら後腐れの無いように割っちゃいましょう」 ガッちゃんが頭上にハイヒールを振り上げて、地面に叩き付ける。 がっちゃん! という音とともに、もくもくと煙が! ついでに音でDテンが起きた。
エマ「あのさあ・・・まともな屋根に戻してほしいから、アンタたち信頼できる後輩に工事を頼んだのよ」 P「ダメっすか?」 エマ「なぜ屋根に金のシャチホコつけるの!いや、つけるのはいいとして、巨大すぎ!全長100mって何!?」 チャキ「屋根の強度的にいけるギリギリの線まで大きくしたんですけど」 P「名古屋で見た時、あ、これだ!って」 エマ「これだ!じゃないわよッ。すぐ外しなさい!・・・でも2mぐらいのだったらいいかもー」 一方、マカロワは大阪某所までわざわざやってきて、信成に相談をもちかけていた。 「カナダにスケーターの怪我や病気を治す秘宝があるらしいんですが、ザヤ癖って治るんでしょうか?」 「僕、そういううさんくさいもん好かんわー。癖は怪我とも病気ともちゃうしー」 「御先祖様はリベラルな発想の持ち主だったと聞いていますが」 「ほんでも僕は嫌や。もう妻子持ちやねんで。無茶できるかいな」
ガっちゃんが割ったガラスの靴の中からクリスティ・ヤマグチが現れた。 ヤマグチ「貴方の割ったガラスの靴はこの金の靴ですか?銀の靴ですか?」 ガチ「あの…、なんか色々混じってるし、間違ってます」 経営者「自分で、割ったのはガラスの靴だって言っちゃってるよね」 ヤマグチ「貴方はとても正直な青年ね」 ガチ「まだ、答えてません」 ヤマグチ「ご褒美にこの靴の持ち主と結婚する権利をあげましょう」 ガチ「いらないーーーーーーーー!!!」
Dテン「デキちゃった婚ならぬ、割っちゃった婚でしょうか」 プル「世界初だよ。すごいなー。まあがんばれ」 ガチ「あなた先輩でしょうが!助けてー!」
経営者「助けるってどうやって?」 ジュベ「割れた靴を元に戻したらチャラにならないかな」 ミライ「覆水盆にかえらず、って言いますけどぉ」 ミライの言葉を聞き流して(というか日本語理解不能)必死でかけらを拾い集めるガチ。 気の毒に思ったか、スミルノフがちまちまと協力する。 ザワツキー「持ち主を確認してから考えれば?ウェディングドレスそこにあるし」 ギルス「でもサイズ41よ」
Dテン「靴のサイズは41ってこのスレの最初の方に出てきたような。
>>8 とか」
ガッちゃん「それを言うなー!みんなわかってて黙ってるんんだよ!」
「とうとう…アタシも結婚する時がきたのね…… 思えば去年、パンから強引にでもブーケを奪っておけば、先を越されなかったろうに…」 満を持してジョニ子登場。BGMは『愛の夢』。 ウェディングドレスの裾を持ってつき従うのはPチャンとチャッキー。 が、何故か頭に金のしゃちほこの被り物をしている。 ガチ「パトリック!ケヴィン!無事だったか!よかったっ!その頭はどうしたんだいっ!」 Pチャン「いや…、調子にのって万里の長城やビッグ・ベンを作ったら怒られて…」 チャキ「罰としてこれ被っていけって言われた…(;ω;)」 ジョニ子「アーチャ。心配しなくていいのよ。ロシアはアタシの第二の故郷。きっと上手くいくわ」 ガチ「そうだったのかあ!パトリック!ケヴィン!災難だったな、まあ、ゆっくりしてけよっ! (小声で)アダムはっ!アダムはどこ行った?!あの先輩をなんとかしてくれっ!!」
(たーすーけーてーーーーーー!!!) ガチの助けを求めるスケパシーが世界を駆け巡った。 「あーなんか騒いでるー」 かなり豪華な屋根になったエマ宅で、リッポンはのほほんとお茶を飲んでいる。 「ほっといていいんじゃないですか、プルシェンコさんもいるし」 なんとなく冷たい羽生。
大騒ぎのシベリアに颯爽とリーザ登場 「こんな衣装じゃ駄目よ!アーチャ先輩の着る物は私が選ぶんだから!!」
「しんたろうくんのすこやか成長日記DVD」を8時間に渡って鑑賞させられ、 お好み焼き(大阪風)とたこ焼きと串かつをふるまってもらい、ぐったりしたままマカロワは帰路へついた。 秘薬の件はとりあえずご破産。 「大阪・・・お腹いっぱい・・・ヤネン」 飛行機にうっかり持ち込んでしまった蓬莱の肉まん&焼売の香りがすごい。
「ふー、お客さんやっと帰ったなあ。ほな行こか」 ザヤ癖はともかく痛めた膝はオフのうちに完治させておきたい信成。 早速カナダに跳んだ…はずがジャンプの方向が狂い、着いたのはシベリア。 しかも手にはなぜか先月着たばかりの花婿衣装一式があった。
「なんやもー、バーケル先生へお渡しするんやで、っておかんからお土産
預かってるのに・・・信太朗と妻の写真かて見せ(びらかし)たかったのに。ここどこやの」
迷う信成の前に女神。そう。クリスティ・ヤマグチだ。
「あ、どうも!ご無沙汰してますー。えらいキラキラしたパンプス持ってはりますけど、
靴屋も始めはったんですか?」
「あとで説明するわ。ところであなた今タキシードを持っているのね」
「ええまあ。なぜか先月来た披露宴の時の格好です。これからパーティーでも?」
「ここは去年着た日本男児の正装、紋付袴でいきましょう!その方が威力あるから!」
ttp://www.nobunari.com/image/1007251.jpg 「威力て・・・なんやねん('A`)」
プル「あれっ、ノブじゃないか!今日から日本でショーなんだろ?」 信成「その前に秘宝…いや用事があったんやけど、結婚式会場ってのはここでっか?」 ガチ「ま、まさか!それって新郎の衣装だったりする?そうだよね、そうですよね」 信成「いやタキシードはこっち。僕が着てるのは紋付袴やで」 未来「わかりましたぁ、仲人っていうんですよね。 既婚者が新郎新婦の立会人になる日本の風習で…」 ガチ「カエレ!!!」
(逃げなきゃ、なんとしてでも逃げなきゃ!) >54の予感が当たってしまったガチンスキーの目に、隅っこでハイヒールの破片を ウエストポーチにつめているスミルノフが映った。 (これだ!) ウエストポーチ発掘者のジュベを突き飛ばし、 スミルノフからウエストポーチを奪い取ってガチは4Tを跳んだ! 「あー、行っちゃったよ」 あくまでのんきなプル。 後ろではなぜかウェディングドレスを手にしたリーザが地団駄踏んでいる。 「追うのよ!ケヴィン、パトリック、跳んで!」叫ぶジョニ子。 「はいっっ!」 「…でもどこへ?」
「夜更かしは美容の敵だわー。寝よ寝よっ」 夜、ゲデ子はそそくさとベッドに潜り込む。 すると、そこへ・・・ 「うわああああああああああ!」絶叫と共にガっちゃんが落ちてきた。 「あらま、今回はアーチャなのね」 「え?今回って…?あ、いや、屋根壊してしまってスイマセン…すぐ直しますから」 恐縮するガっちゃんにゲデ子は優しく微笑む。 「いいわよ、そんなの明日で。なんだか疲れているみたいだし、今日はもう休みましょ。 一緒にベッドで、と言いたい処だけど、抱っこして寝るにはちょっと大き過ぎるわねw そっちのソファを使ってね」 そう言ってガっちゃんの頭をよしよし。 子供扱いされてちょっとムッとしたガっちゃんだったが、 一緒に寝るには育ち過ぎてしまってる事にちょっぴり残念な気持にもなった。
「ゲデ子…何か嫌な予感がする…」 ショーのスタンバイ中に急にしかめっ面になった小塚。 そこへ数人のスケーター達が旋風を巻き起こしながら着陸した。 「ただいま〜やっぱLAから横浜は遠いわ」 「間に合うた!これからショー開始やね?」 「せっかくだからプルシェンコさん一緒に来てもらえば良かったなあ」 「あーっ、もう!皆その格好でどこ行ってたんだよ」 「ジョニ子のショーとかよ」「結婚式場とか」「シベリアとかですけど」 "それでは選手の入場です" 「あーもぅ始まるよ…ってナルくん紋付袴でリンク出る気!?」
「アカン!仲人なんやし嫁はん呼ばな!黒留袖似合うやろなー」 いやなんかそういう問題と違う・・・
その頃ジョニ子はまぶたに大きな目を描いていた。 ジョニ子「やっぱりLADY GAGAは最高ね!この芸術的なメイク気に入ったわ〜」 (ああいうメイクは日本のお笑い番組でよく見ますねぇ…) 未来にはどこがどう芸術的なのかが理解できなかった。 ジョニ子「パトリックにもメイクしてあげるわ。顔をお貸し!」 Pちゃん「ちょっ!やめ!うわあああぁぁぁ!!」 Pちゃんの顔には爛々とした目が4つ…
「なんでそれ抱えてるの?ブライアンから預かったとか?」 ウエストポーチを抱きしめてソファに移動したガチにゲデ子が問いかけた。 「これが僕を助けてくれるんです。逃亡じゃない、僕は解決策を求めて跳んだんです」 りりしく断言するガチ。 「何かわからないけどがんばってるのね。じゃ、明日になったら解決策を探しましょ」
ゲデ子の安らかな寝姿をチラ見(二度見)しつつ、ガッチャンはガラスの靴を組み立てる。 「これさあ、うまいことヤスリで削るとかして36〜39インチにできないもんかなあ」 ガッチャン!ズルはダメだぞ!
ユウコ「サーシャ、その欠片は?」 スミルノフ「あの、サイズ41のガラスの靴の、ヒール?かな??さっき全部集めたつもりだったんだけど…」 ユウコ「あら、思いっきり、かかとの部分じゃない!ヒールだけじゃなくて、くるぶしの部分まで残ってるなんて…」 プル「じゃあ、復元無理だね。アーチャ、ここに戻ってくるしかないね」 ジョニ子「もうっ、アーチャったら、そそっかしいのね!可愛い!!」 信成「えーっ、折角嫁はんに黒留袖用意させてるのに!結婚式、お流れ?それとも延期でっか?」 美姫「でも、『果報は寝て待て』っていうし」 未来「えーっとぉ、それって、とりあえず私たち1回休みなんですかぁ?」 本田「いや、双六じゃないし」 Pちゃん「でも、人生ゲームですよね」 ケヴィン「僕たちの番でなくて良かった…」 ジョニ子「まあ、その言葉は一体!?失礼しちゃう、プンスカ!!」 その頃のガチ君 in ゲテ子宅。 ガチ「あ、パーツがない!!っていうか、ガラスの健康サンダルになっちゃったよー;-;…サイズ関係無くなっちゃったよーやっぱり逃れられないのかーT-T」
「いや、そのかけらを届けてあげれば?」 親切に経営者が提案。 「放っておこうよ、ジョニーは勝手に結婚すればいいんだママン」 突き飛ばされた(たいして動いてもいないが)せいかそっけないジュベ。 「持っていってあげましょうよ、穴の中にいるのも飽きたし。 て言うか、なんでみんな戻ってくるの?」 自分も戻ってきたサーシャが問いかける。 「面白いから」 バトルが答えた。後ろにはミハルがくっついている。 「なーんかやっぱり嫌な予感がする!行ってくる!」 ショーが終わっても落ち着かない小塚、ジャンプ一旋。 やっぱり面白がってる他のメンバーも続く。 「なんだか知らないけど、あきらめちゃだめよ」 覗き込んだゲデ子がガッちゃんをはげます。 傍目には立体ジグソーパズルに興じる二人、に見えないでもない。
「てか、アーチャ追うんじゃなかったの?ジョニーさん。居場所なら僕、羅針盤持ってるし」 人が増えて手狭になった地下に、うんざりした顔でチャッキーが言った。 「お前…むごい事を言うな。せっかく皆忘れていたのに。 アーチャが可哀そうだと思わないのかいだだだだだだだ」 相変らず一言が我慢できないPチャンの口をジョニ子は捻りあげた。 「ケヴィンはやっぱりいい子ね。じゃ、早速追いかけましょ。はい、お姫様抱っこ♪」 チャッキーは更にうんざりした顔をした。 一方のゲデ子宅。 「まあ、そうだったの。ジョニ子も困ったものね。…アーチャどうしたの?!」 一通りあらましを説明し終えたガっちゃんが急に震えだした。 「い、今、悪寒と寒気と吐き気とめまいと知恵熱が同時にっ!!」 「落ち着いてアーチャ。分ったわ、ここは一先ず、一緒に逃げましょう」 「え?いや、エレーネは関係ないし」 「うふふ、疑似駆け落ちよ。実は私と付き合ってたって事にすれば?」 (…それって、余計に混乱しそうな。でも一宿一飯の恩義もあるしなぁ) ちょっと躊躇ったガっちゃんだったが、グルジアの豊穣の女神の笑顔にくらくら。 「(ま、まあ、偶にはいいか)じゃあ、すぐに出発しましょう!」 「ええ、逃亡ではなく前向きな解決策に向かって♪」
ジャンプの体勢に入った若い二人。BGM:小さな恋のメロディ そこへ どーーーーーん! と落ちてきたチャッキーとジョニー。 「解決策を探します!」 「屋根の穴が大きくなっちゃったわ、直しておいてね」 言い残して二人は華麗にジャンプ! 「エレーネ!だめぇぇぇぇ!あたしが結婚するのぉぉぉぉ!」 ジョニーの絶叫スケパシーが、イーグルで移動中の小塚を直撃。 「あーもうっ!嘘だろ〜!」 チャッキーはジョニーを姫抱っこして跳んだ疲労でぐったり。 早く帰って脚にアンメルツヨコヨコを塗りたい。
エマ「みんなしてアンメルツ使うもんだから、残り少ないわよっ」 経営者「ハッカオイルとか薬用アルコールで薄めておいたらどうかな」 エマ「そうねー。こういうのって半分ぐらい気持ちの問題だし」 エマはアンメルツの蓋を空けて頭部のスポンジを取り去り、 口に含んだ焼酎(大五郎25°)をプシーッと吹きつけた。 ハッカオイルは見つからなかったのか、庭に生えてたミントを毟って投げ入れた。 「ああいう妙に豪快なところが、彼の魅力だったりもするわね」ジョアニーが苦笑する。
ゲデ子宅のリビングでジョニ子は怒りを隠せない。 ジョニ子「許せない!あのおっぱいおばけ!!」 小塚「お、おっぱいおばけは言い過ぎでしょ」 小塚以外のシベリアの面々は、ピンクバスでゲデ子宅へと到着した。 サーシャ「やれやれ、大変な人数になったわね。忘れてきた子はいないかしら?」 未来「せんせー、ライアンくんがいませーん」 サーシャ「ええっ?!って、こら、誰が先生よ」 Jテン「せんせー、デニスくんが車酔いでーす」 屋根の大穴を確認したPチャンはいそいそと修理にとりかかる。 「今度は何造ろうかなぁ?グルジアの名物ってなんだろう。 俺、本気で建築で起業しようかな・・・。おい、ケヴィン!お前も手伝えよ!」 「勘弁してよ… うう、秘薬が恋しい……」 しかしチャッキーの渇望するアンメルツは、いまやエマと薄荷と大五郎と成り果てた。
人でにぎわう地中海の畔にやってきたゲデ子とガッちゃん。 「木を隠すなら森。この人手なら私達がここにいるのなんて気づかれないわ」 そう言ってあっさり白ビキニ姿になるゲデ子に心臓バクバクになるガッちゃん。 「さ、オイル塗ってあげるからはやく着替えなさい。」 「えええええ!!!ちょちょなんで?」 「ここで少しでも肌を焼いておけばジョニーたちには気づかれないわ。 それに逃避行は楽しく行かないとね。さ、早く!」 「は、はい・・・・」 ゲデ子に急かされて海の家で\1980で買った日本製スクール海パンに着替えるがっちゃんであった。
「とりあえず分かれていると職人さんが面倒くさそうだから、私らもグルジアに来たわよー」 メタフィクション丸出しのエマはアンメルツヨコヨコ(異臭がする)を担いでやってきた。 リッポンや羽生もなんやかんやでついてきている。 苦労人・経営者も一緒だ。これでちょっとは状況が安定するのか? 「ぼ、ぼく車酔い」 アンメルツにすがりついたDテンが強力な臭気(香気?)に失神した。
ゲデ子宅のキッチンを借りてバトルは料理を始める。 プルもピザ生地をこねだし、キャシーは西瓜をぶたさん型に繰り抜きデザート作り。 美姫はケーキを調達してきて、レイチェルは味見に専念していた。 若手らもそれぞれお手伝い。 ミハル「すっごく豪勢ですね。パーティみたいだ」 バトル「ん〜、ちょっとねw」 チャッキー「分った!ジョニーさんの27歳のたん(バキッ)ぐぱぁっ…、なんでっ?!」 アダム「ジョニ子姐さん、ちょっと遅れちゃったけど(三回目の)25歳の誕生日おめでとう!」 ジョニ子「や〜ん、嬉しい!みんなありがとう!!」 一時、ジョニ子の凶行を忘れて和やかに誕生日パーティを楽しむスケーター達。 チャッキーはひとり居間の隅で体育座りでいじけている。 「だって、27歳じゃん… ブツブツ」
ゲデ子とガチもつかの間の平和を楽しんでいた。 「ここならしばらく隠れていられそうですね」 「そうねえ〜・・・あら?」 ゲデ子の視線の先に、美麗なハイドロを披露する男性(でも海パン)が。 「やあ、君たちもロイヤルウェデングを観に来たの?」 ここはモナコの海岸だった。 「結婚式の話はやめてください、頭いたい」
モナコ代表キム・ルシーヌに案内されモナコ観光を楽しむガっちゃんとゲデ子。 「でも、ロイヤルウェディングなんて憧れないかい?特に女の子はさ」 「相手によります!それに僕はまだ17だ。結婚なんて早すぎる・・・」 「おいおい、エレーネは申し分ないじゃないか。こんなに美しいのに。君は贅沢だなぁ。 エレーネ、焼けた肌もとてもよく似合ってるよ」 フランス出身だけあってさらっと口説き文句が出るルシーヌ。 「ふふ、アーチャは私の事を言ってるのではないのよ。 それに私も夢があるもの。グルジアにスケートリンクを作るっていうね。 結婚はまだいいわ」 「ああ、それは僕も同意だ。せっかく国の代表になったんだ。もっと盛り上げたいね」 「それなら僕だって同意です!大国ロシアを蘇らせるんだ!」 国の大小は違えども自国を代表すると自負する三人。 顔を見合わせ決意を新たにした。
一方、グルジアのゲデ子宅で決意を新たにしたジョニ子。 「さあ!ゲデ子を追いかけるのよ!」 「追いかけましょう!」 力強く同意する小塚。 「アーチャを、でしょ」 屋根の修理(だけで済んでるのが奇跡)を終わらせたPチャン。建築で起業する決意は? 「で、どうやって見つけるの?」 「簡単よ。ステファン!」 ジョニ子にいきなり指名されたのはランビエールだった。
「アハン?」 人懐っこい空気をふにゃふにゃと発しつつランビが寄って来た。 「アンタの大事なゲデ子の貞操の危機よ!なんか特殊能力発揮して居場所をつきとめなさい!」 しかしジョニ子の注文に食い付いたのは別の方角から。 「ちょっと待ったー!エ、エレーネは僕のっ… 僕のもn…… いえ、何でもないです……」 食い付いたはいいが結局尻すぼみになる小塚。 美姫「あそこで俺のもの!って言い切っちゃえば、たかちゃんも一皮むけるのにねー」 本田「うーん、だが、そんな崇彦もちょっとやだな」 小塚「で、ですが居場所なら僕が!誰かエレーネのジャージ持ってきて!」 グレボワが手渡したゲデ子のジャージを小塚はくんかくんか。匂いを辿り外へ。 小塚「くんくん・・・ 分った!エレーネは南の方、地中海はモナコ公国にいますっ!」 未来「でかわんこ?」 本田「未来ちゃん、最近のドラマもチェックしてるんだね…」
小塚の嗅覚はの人間の二万倍はある。 その能力で一行はモナコでバカンスを楽しむガっちゃんとゲデ子、そしてルシーヌを発見。 「あーもう!またなんかややこしそうなのが・・・」
「卓球仲間だろ〜ややこしくないよ」
あっさり言いきるブレジナ。モスクワで卓球観戦してたのか。
「モナコで卓球勝負かママン」
なぜかジュベールがアップを始めた。
「じゃ博打に」
「1枠ルシーヌ2枠ガチンスキー3枠タカヒコ4枠ブライアン?」
>>443 に引き続き、胴元になるつもりの川スミ。
「雪合戦したよね、ジュニアの頃」
懐かしいことを思い出すPチャン。
「あたしのためにみんな戦ってくれるのね!すてきだわ!」
ジョニ子、それはちょっと違う。
「ほな、勝者の仲人は僕が務めさせていただきまっせ。ビバ、初仲人!」 「あら、審判も来たわね」 殿、それもちょっと違うw
パン・トン組も中国からやってきて 「卓球結婚式だって。氷上結婚式も素敵だけど、こっちも楽しそう」 素朴な笑顔で見守っている。 それ全然違う。
とかなんとか言っているうちに、たくさんの観光客が集まって来てしまった。 しかも、モナコはカジノの国でもある。 観光客もガンガン賭けに参戦。スミルノフ嬉しそう。 チャッキー&Pチャンはいそいそと卓球台を設置し、興行用テントまで張ってしまった。 もう、後には引けない?
プル「ブライアンがそんなにジョニーを好きだったとは知らなかったなぁ。 アーチャもいるけど、ここは昔馴染みの君を応援するよ。Allez!」 ジュベ「どうしてこうなった・・・ 貴様、絶対面白がってるだろ!!」 ピンク娘たちは水着に着替えてイベントに華を添える。 「レースクィーンみたいねw」「ラウンドガールよ」「卓球にそんなシステムあったかしらw」 リッポン「なんか盛り上がってきたね。 遊園地じゃないけど、ジェレミーも連れて来てあげれば良かったかな」 Jテン「呼んだ〜?なんてね。ジェレミィ〜?アリッサの間違いじゃないの?w」
ライサ「というか、いつから優勝賞品がジョニ子との結婚になったんだ?」 経営者「まあ、その方があの4人以上に被害が広がらないからいいんじゃない?」 スミルノフ「まだまだエントリー可能だよ〜。エヴァンも出る?」 ライサ「誰が出るかっ!」
耳に鉛筆をはさんだスミルノフの後ろに、忍び寄る影ひとつ。 「あの、もしかして靴のヒール、持ってます?」 「なんだアーチャか。君のオッズが知りたいの?」 「そうじゃなくて!ガラスの靴のパーツください!」 はい、と手渡されたヒール部分を靴にはめこむガッちゃん。 「完成!卓球勝負のウィナーがこれを割ってジョニ子と結婚すればいいのね!」 ゲデ子がテントの奥に靴を運び、トロフィーよろしく安置した。
試合の組み合わせはくじ引きで決まった。 一試合目はルシーヌ対小塚。 二人とも素晴らしいハイドロをしながらラリーを続ける。 卓球しながらハイドロがおかしいって? 適当に想像しておいて。
更に小塚はイーグルからのスマッシュを披露。負けじとルシーヌは果敢に3Aに挑む。 激しい攻防に観客もやんやの大喝采。 Pチャン「あの二人、勝ったらジョニーと結婚って理解してるのかな?」 リッポン「結婚はごめんだが、試合はちょっとやってみたいな〜」 Pチャン「・・・確かに。俺の覚えたての4Sを見せつけるチャンス!」 チャッキー「じゃあ僕は年季の入った4Sを」 ミハル「じゃあ俺は高さのある4Sを」 リッポン「じゃあ僕はまだ誰も試合ではやってない4Lzを」 「「「「・・・・・・・・」」」」 4人、睨み合い。
それにしても、タカヒコvs.ルシーヌのラリーは続き過ぎ。 試合開始から10分経過しているのに、まだ1:1。 信成「すんませーん、規定により促進ルール発動でーす!」 この試合、一応3ゲーム先取で勝者とすることに決めていたのだが、 ”10分過ぎても1ゲームが終了しなければ、2レシーブで交代のところ 1レシーブずつ交代” という卓球のルールが。 だいたい、卓球は10分以内に相手が10点先取して次のゲームに移るものなのだ。 ということは… 崇彦「よし、サーブ勝負!」 ルシーヌ「受けて、立つ!」 崇彦は4回転サーブを放った。
「あのアンメルツ、パチモンだったんと違うかー?」 膝の故障が思わしくなく、ショーを休む事になった織田は、 紋付袴のまま卓球大会の審判席に座っている。 手には「仲人の作法〜若き二人の門出を見守る者の務め」なるハウツー本。 こないだ見守られる立場だったのに、もう見守る側に。大忙し。
「それならムヒクルリがあるよ〜」 と未来が織田に渡したのが巨大ムヒ。 「いったいどこで見つけてきたんや〜!」 といいつつ自分の膝にぬる織田。すると・・・ 「いや〜!!!かゆみがどんどん消えてくわ〜!!!」 巨大化されたせいなのか?ムヒの効能もパワーアップ! 審判中に蚊に刺された痕も立ちどころに消えてしまった。 「これはええ薬や〜!これなら信太郎のアセモ対策ばっちりや〜!!!」
欧州美女達はといえば思いがけないリゾートバカンスを満喫している。 ビーチ卓球を横目に浜辺で寛いだり、波打ち際ではしゃいだり。 云うまでもない事だが、ランビも一緒にキャッキャウフフ。 お師匠(?)を見習った訳ではないが、Dテンはゲデ子とお喋りしていた。 「エレーネがアルチュールを好きだとは意外だった」 「あれは狂言よ。アーチャが困っていたから。それになんか面白そうだったしw 折角のオフシーズンだもの、私もまた皆と冒険したかったの」 「なるほど。確かに面白いけどね。みんな強烈、いや、個性的だし」 昔のよしみで二人の間に和やかな空気が漂う。 それを小塚は目の端にとめた。 「エレーネ?!はっ、しまった!」 寸の間、気が逸れたせいで甘いサーブを打ってしまった!
「女性に惑うとは気合いが足りん!」 負けてがっくりと膝をつく小塚に喝を入れるこづパパ。小さい頃から厳しかっただけのことはある。 一方、ルシーヌとルシーヌパパ(ディディエコーチ)は抱き合って喜んでいる。 「ところで、どうしてパパ達が来たの?」誰かがたずねる。 パパ二人「息子に嫁が来ると聞いたので」 どこかで情報がねじ曲がっているようだ。 ジュベール「それならうちのママンも来るな」 ジョニー「うちのママも!ブライアンのママとは仲良しなのよね」
ジョニ母「ほんといつも奥さんのカリフラワーのピュレーは美味しいわあ」 ジュベ母「いえいえそれほどでも。タッパーに詰めてきたからこちらは持ち帰って。保冷剤いれておいたわ」 ジョニ母「んまあお土産まで!奥さんに習ったレシピ通りに作っても、なかなかこの味は出せないのよ〜」 真央父「熱愛だの新恋人だの余計な報道されてますが、娘はそんな不真面目な子ではない」 ロロ「大丈夫ですぞお父上。世界の真央ファンは皆、あんなヨタ記事を信じてはいません」 父母会みたいになっている。 黒留袖におんぶ紐で赤ちゃんを背負っている織田嫁がちょっと異質。 織田嫁「・・・で、結婚するのは誰と誰?うちの人ったら肝心な事教えてくれへん」
信成「それでは、続いての試合、アルトゥール・ガチンスキー対ブライアン・ジュベールでーす」 会場、大盛り上がり。 信成「あ、信太〜あせもできてへんか?未来お姉ちゃんがええもんもってはるから、塗ってもらい」 妻「それより、私があせもつらいねん」 信成「済まんなあ、ここまで来てもろて。まだ結婚式始まらへんし、信太と二人で海で遊んどいてもええで」 妻「いややわぁ、どうせなら親子3人で遊びたいわぁ」 信成「ほな、タカ、審判やってな、頼んだよ」
しんたろうくん「ばぶー(うわーい、りぞーとでびゅーや!)」 小塚「(あーもうなんで僕ばかりそんな面倒な)はーい、行ってらっしゃいー。日焼けに気をつけて」 小塚祖父in草葉の陰「損な役回りでも、こなすうちにいつか自分の身になるものだぞ、孫よ」 隅っこの親子祖父孫トークはともかく、 新人・ベテランマッチョ対決に会場はヒートしまくり。いつのまにか来ていたレニー・ハートが例の巻き舌で コールを始める始末。 レニー「アッルルルルルトゥゥゥゥゥッルルルルルルゥ、バーサス、ブッルルルルルルルァイアーンッ!!!!」 ら行が多いとレニーのコールは熱い。もはや卓球ではなく格闘技だ。 パン「こんな派手な演出、うちの国じゃ考えられないねえ」 トン「でも水泳の時上海でライトアップがすごかったような」 パン「でも卓球の場合・・・ないでしょ。空気的に」
ブライアン「ふふ、若造、わざと負けてもらっても私は嬉しくない。真剣勝負だ」 ガチ「…挑発ですか?」 ガチ君、理性が吹っ飛んだ。 “勝者がジョニ子と結婚”ということをあっさり忘れて。 ガチ「若造と言いましたね?でも、のびしろは僕のほうが断然ありますよ」 そして、試合開始のゴングが鳴る。
ガチのサーブ!ボードの際キリキリを狙ってジュベを翻弄しようとするも、 ジュベの反応の方が0.02秒早い。瞬時に下がり、理想形のポーズで迎え撃つ。 「俺のクワドに酔いな!」 どっかのテニス漫画の主人公みたいな台詞とともに、華麗な4回転を叩き込む。 ガチの頭の中に、今までのスケート人生(っつっても10年足らず?)が走馬灯のようによぎる。 『アーチャは素直だね』『アーチャは覚えが早い』『アーチャは特別だ。別荘に遊びに行こう』 ミーシン先生はいつだって、ガチを励まし、時には叱咤もしたものの、特別な存在として扱ってくれた。 ヴェルタース・オリジナルのCMばりに。 ミーリン先生のためにも(注:彼は完全に趣旨を見失っています)負けられない試合だ(とガチだけ思ってる)。 「ロシア新世代の前にひれ伏せ!」 かろうじて、しかし確実に打ち返す。ボールはネットスレスレを超えた。 「新世代?そりゃまあそうだけど。旧世代の事も忘れちゃイヤだよ?」 プルはいつのまにやらヤナを呼び寄せ。特等席でビール片手に観戦。
Jテン「さあ、始まりました、今世紀最大の決戦!早い!実況はジェレミー・テンでお送りします。 序盤から両者とも激しいクワドの攻防!出し惜しみしません。 こうなるとジュベール選手のスタミナが気になる所ですが、どうでしょう解説陣の皆さん」 ランビ「ブライアンはいい奴だよ〜。ジョニーとお似合いじゃないかなぁ?」 羽生「アーチャばかりがジョニーとプルシェンコの両手に華は許されません」 スミ「ブライアンが人気だなぁ。オッズだけならルシーヌがおいしいよ」 Pチャン「卓球の解説しろよ」 本田「そうですね」
ジュベ「ロシアの新世代がなんだ! ロシアの今も昔も最高のスケーターはリョーシャさんだ!」 ガチ「ジ、ジェーニャさんの方が素晴らしい選手だと思います!」 ジュベ「リョーシャさんだ!」 ガチ「ジェーニャさんです!」 ジュベ「ヤグ!!」 ガチ「プル!!」 リッポン「何コレ、ヤグプルオタ対決…?決着つくの?」 ミハル「僕はバトルさんが一番素敵なスケーターだと思ってますよ! THE ICEのニッカポッカ衣装、似合ってました!」 ジェフ「…ニッカポッカ?」
欧州美女+ピンク娘など女性陣の大半はラウンドガールの役割などおっぽりだして、リゾートバカンスに夢中。 なぜならそこに、彼女たちのニューアイドル・信太朗くんがやってきたからだ。 「あーん、赤ちゃん!かわいい。抱っこさせてー」 「まだミルク?離乳食?アイス食べさせたらダメ?」 「あんまりノブナリに似てないわー。でもサムライっぽい顔よ」 「お肌スベスベ〜。日焼けさせたらかわいそうだから、ベビー用サンカットを塗りましょう」 未来はここぞとバシバシ写メって待受画面に設定している。 バクチの胴元・スミルノフはふと横を見て、相方のユウコがいないのに気づいた。 「赤ちゃんにつられて海行っちゃった・・・オッズの計算、僕一人でするのか?無理だよー」 背後から、ポンと優しく肩を叩いたのはレイチェル。こんなシーンには必ず登場の理系マドンナ。 「はい、パソコン貸してあげる。オッズ算出ソフトはデスクトップにあるから」 ダッシュで水着に着替えながら、彼女も海へ!信太朗くんの魅力はレイチェルすら魅了した!? ちなみにサーシャはジョニ子が暴走しないように監視。損な役どころである。 「代わろうか?」気を使うジョアニーに、サーシャは寂しげに首を横に振った。 「旧友の役目ってやつよ。あなたもファヌフと一緒に浜辺で楽しんでらっしゃいな」
ジュベール対ガチンスキー戦は激しいラリーの攻防と舌戦から一転、今は睨み合いとなっていた。 ジュベ「…よろしい、ならば(代理)戦争だ」 ガチ「僕はジェーニャ先輩のコピーじゃありません。ですが、売られた喧嘩は買いますよ」 プルシェンコは相変わらず高みの見物。 プル「僕は構わないけどね〜。アリョーシャは嫌がったりしてw」 ジョニ子「ちょっとぉ、そんな事言ったらブライアンが泣いちゃうじゃない。 って、何よっ!すんごい久しぶりの台詞なんですけどっ!どうなってんのよっ!!」 サーシャ「いいから大人しくしてなさい」 エマ「あんた存在が18禁なのよ。下ネタばっかり呟いて。小学生のよい子も見てるんだから」 チャッキー「小学生は読んでないと思います」 経営者「それ以前にお前が言うなというか… いい加減ナース服を脱いだらどうだ。 …まぁ、妙に似合ってはいるのだが」
小塚「あーもうっ、まだ1ゲーム目なんですよ!? 促進ルール!サーブ、アルトゥール・ガチンスキー!!」 おい、お前もさっき長い試合してただろう。 Jテン 「試合再開!場内、騒然としております!!…おや、何か新たな動きが生じた模様です。な、なんと本会場にヤグディン降臨だーぁぁ!!!」
ヤグ「戦争とか聞こえたぞぉ?鉄パイプで参戦したらいいのか?ぶちのめすのはどいつだ」 愛妻が手早く武器を取り出して手渡している。阿吽の呼吸である。
まずい、と見た欧州美女が数人戻ってきた。ビキニのまんまで。 「あら〜ここにも可愛い赤ちゃんがいる!」 ヤグの愛妻、トトの右手には鉄パイプだが、左腕にはしっかりと愛娘を抱えていたのであった。 「可愛いだろ〜俺様がおむつも代えたしミルクも飲ませたんだぞ」 威張るヤグディン。
エマ「あらやだイクメンってやつ?なんか意外だわ〜w」 ヤグ「そんな風体の人間に意外とか言われたくないんだが・・・ナース・・・」 意外なんて概念を超越した存在=エマに、ヤグはごく紳士的に言い返した。 振り返ると、そこには背中のファスナーが上がりきっていないウェディングドレスジョニ子がいるわけだが、 そこまでは面倒臭いらしくてツッコミを放棄。見て見ぬふり。
ガチ「とにかく、見ていてください!先輩方!!ミーシンコーチのためにも!!」 気を取り直したのか、それともミーシンコーチへの思いが再燃したのか。 ガチ君は4回転サーブを…
放った!――が、ミーシンコーチへの敬慕の思いが強すぎたのか、ボールは一直線にすっ飛び その頭頂部にぽこーん!ミーシン白目向いて昏倒。 「見に来ていてくださったのですか!先生!」 動揺のあまり、ラケットを放り出して来賓席へ飛び込むガッちゃん。 「お礼より先に謝らないと。指折られたりするよー」 いい距離を保ったまま、プルが冷静なアドバイスを送る。 漫画コブ(丸く膨れて点々がついてるやつ)を頭頂部につけたまま、ミーシンは息を吹き返す。 「……今の件は事故という事にしておこう。で、監督としてあの名文句を言っていいだろうか?」 「名文句?」 ミーシンの背後に回りこんでいたヤグディンが叫ぶ。 「あきらめたら、そこで試合終了だよ!」
そんなごたごたの間に、ジュベールは
>>532 で見つけた
黒と赤の染め分け衣装に着替えている。
「練習からコンボで跳べと、あの人が教えてくれたんだ!」
泣きたいときはコートで泣けと あの人はあの人は教えてくれた ♪ ♪
「遅刻するなとも教えたけどな」
ぼそっとヤグディン。
リッポンはそろそろとジョニ子に近づく。 リッポン「えーとね、ジョニ子姐さん。ウェディングドレスもとても似合っているのだけど、 リゾートには向かないんじゃないかなぁ?そろそろ着替えた方が… 僕ちょうどいいショートパンツ持ってるんだけど」 ジョニ子「あら、気が利くわね、アダム。じゃあ着替えようかしら。 ……このショートパンツ短すぎるわね。これだとアタシの」 チャッキー「下ネタ、ストーーーーーーップ!!!(怒)」 美姫「ドキッ!(自主規制)だらけの水泳大会!ポロリもあるよ ^ ^ 」 本田「美姫ちゃんやめて!」
「リゾート超たのしー。後必要なのははサメが来ても助けてくれる王子様だけね」 リッポン・チャッキー・Pチャンが我先にと逃げ出し、ランビは両脇前後を美女軍団で固め、 相方に逃げられたスミルノフはオッズ計算を終えて、浜辺で焼きそば&焼きイカ屋台を開いている。 プルはヤナとイチャイチャしながらガッちゃんの応援・ヤグは鉄パイプと妻・娘を背負ってジュベの応援(というか冷やかし?)。 岩陰で、経営者は静かに読書にいそしみつつ、ウトウト。 バトルも王子様役は放棄してゼリービーンズを食べながら大学の勉強。 ミハルは恋人にメール「今度は一緒に来たいね。すごい綺麗な海だよ!」 「んもう!誰も王子様いないじゃない!」 地団駄を踏むジョニ子の前でそっくり返って笑うエマ。 「王子様狙いは諦めて、門番と貴婦人の禁断の恋とか大人路線狙えばぁ?だってあんたいい歳」 ジョニ子の持っていたビーチパラソルがエマのこめかみをかすめ、背後の岩に刺さった。
ジョニ子「アタシの歳は25歳で折り返し!いい歳なんてあんたに言わせないわよエマ!」 エマ「あーら屁理屈だけは昔から一人前ねえ、で、王子様のアテはあるの?ホホホホ」 浜辺でえげつないバトルが繰り広げられている間、ガッちゃんは衣装チェンジで威圧してくる ジュベに汗だくで応戦していた。 「負けるものか!ロシアを背負って立つ戦士として負けるわけにはいかない!」 「あのさあ、疲れたら代わろうか?」 プルだけがまるっきりルールを理解していない(というかみんな趣旨忘れてる)。
戻って来て、岩に刺さったビーチパラソルをつついているのは ピンク三人娘とミライ。王子様にされる心配がないから気楽。 「すごい、びくともしない」 「さすがジョニー姐さんだわ」 「でも、パラソル捨てて帰っちゃいけないと思うの」 「片付ける?」 四人で引っ張っても抜けない。 持ち手近くまで突き刺さったパラソルは、まるでアーサー王の剣。
「はっ!新たな冒険の予感!」 地の文の『アーサー王の剣』に反応するチャッキー。 リッポン「なる程。つまりこのパラソルを抜いた者が、ジョニ子姐さんの正統な婿である、と」 Pチャン「ほーう、チャレンジャーだな、ケヴィン。まあ、頑張れ」 Dテン「期待している」 チャッキー「前言撤回します」
焼きそばを売り切って、売上計算も終わったスミルノフは腕力自慢チャンスを目の前に、懊悩していた。 「あんなの一瞬で引っこ抜けるんだけどなあ……ご褒美はいらないし。聞こえないふり〜」
Jテン「長い1ゲーム目でしたが、ブライアン・ジュベールが奪取しました!果たしてこのまま連取するのか!?しかし、疲労は隠せない様子です。 他方、アルトゥール・ガチンスキー、ミーシンコーチに呼ばれています。ミーシンコーチ、どんなアドバイスをしているのでしょう?…おや、意外にも和やかな様子です。あと少しで、試合再開!!」 ビーチとは別の熱気が支配する卓球テント。 ミーシンコーチが何かを取り出した。 ミーシン「さあ、アーチャ。これに着替えよう」 ガチ「はい、先生っ!僕は負けません!!」
休憩中なのをいいことにそっと審判台から降りて逃走を諮る小塚。 「とりあえず、本田君のところへ・・・」 向かおうとしているところでフィギュア美女軍団のビーチバレー大会に遭遇。 コストナーさん・コルピ組とゲデ子・美姫組の対決! 審判は胴元業そっちのけの悠子。 「丁度よかった!あたし本業があるから審判よろしく」「へぇ!」 一難去ってまた一難。
「アイスキャンデーにかち割り氷、冷えた生ビールはいかがですか〜」 羽生はここぞとバイトに励んでたりする。 「地元の復興に役立てたいし、ジョニーさんに衣装をデザインしてもらったお礼をするんだ」 「なんていい子なのかしらぁっ!」 羽生を全力で抱きしめるエマ。その脳天にサザエの殻を何度も叩きつけるジョニ子。 「私のかわいい後輩におかしな事しかけないでちょうだい!」 「やーねハグしただけよ」 「あんたのハグはなんか違うのよ!なんかぬとぬとしてんの!」 もめてる二人からそっと離れ、羽生は小塚にそっとアイスキャンデーを手渡した。 「審判ご苦労さまです。これ、ささやかながらサービスです」 「・・・ありがとう。お互い、なんか苦労多いよね」 小塚はレモン味のアイスを貰った。本当はビールを一気飲みしたかったのであるが。 フィギュア界屈指の美女対決である。本音では浮かれてみたい。 なお、ガチくんの衣装は浮かれるなんて次元のものではなかった。 私服の(北関東のヤンキーでも着るのを躊躇するレベルのゴテゴテ刺繍の)セーターよりすごい。
「やばいw」 小塚の代わりに浮かれているのは、 カメラに抜かれている事も知らず、ゲデ子の水着姿にご満悦の殿。 隣にはいつの間にか高橋と、やはり審判の小塚の代わりにクリスがつきあって3BKを形成している。 今や見ているのはカメラだけじゃないぞ、信太郎くんも見ているぞ。いいのか。 試合中の美女四人は勿論それぞれカラフルなビキニ。 その中でも美姫はトラ柄のビキニできめていた。 サービス?コスプレ? せっかく衣装チェンジしたガっちゃんだったが、観客の耳目はビーチバレーへと移っていた。 このままガっちゃんの衣装は謎のベールに包まれてしまうのか。 衣装には一目置かれる(?)ジュベールでもあったが、夏のリゾート地で女子の水着に勝るものは無し。 まあ、一つだけ勝る方法はあるのだけど・・・・ねぇ・・・
Jテン「関係者と協議の結果、スケーターズ卓球トーナメントは試合中断となりました! ここからは『女子フィギュアの華☆ビーチバレーチャリティ』をお送りします!! このイベントでは東北大震災に対する義援金を募っております。 実況は引き続きジェレミー・テンでお送りします!!!」 いつの間にかユヅルは募金箱を抱えて会場を回っている。 本田「ま、これが無難だね」 プル「まあ、面白ければいいや。あ、僕も寄付するよ」 ヤグ「ホームで練習できないのは確かに辛い。怪我とは別の辛さだな」 スミルノフ「しょうがないか…一応、賭けは続行中だし」 悠子「よくよく考えてみれば、ちょっと浮かれてたかしら、私達」 ミーシンコーチ「アーチャ、今のうちにもっとアーチャのための衣装を揃えるから、安心なさい」 ガチ「コーチ!(感涙)」 小塚「(でもまた審判なんだよなー)」
ニュー3BK(ご丁寧にほっぺたに日本国旗を描いている)をTV画面で見て、 信成妻は能面のような表情に。キャシーは頭を抱えている。 妻「ほんますんまへんな。うちのアホ亭主につられて、マヌケ面晒す事になってしもて」 キャシー「いえもう誰につられたとかじゃなくて・・・ああ恥ずかしい。超鼻の下伸びてるー」 セッボンタイツにバナナを大量にぶら下げた衣装のガチくん、ブリーフ一丁のジュベールも そのままビーチバレー会場へ向かってたりする。 ニュー3BKから彼らにカメラが移った瞬間、信太朗くんはキャッキャとはしゃいだ。 子供番組のおもしろキャラと勘違いしたのかもしれない。またはバナナ好き。
「ちょっとーあたしの結婚式はどうなるのー」 地団駄踏んでるジョニ子。 「まぁ、誰かがうっかりあのパラソル引っこ抜くまで待ってなさい」 スミルノフから買った焼きそばを渡してなだめるコーエン。苦労人である。 「男女混成はないのかな」 うっかり鼻の下を延ばしたライサのお尻をひっぱたきつつ リューキンがつぶやく。 「男子チームはないのかな」 誰と組むんだ。それよりブリーフ一丁で出るのかジュベール。
パントンカップルも卓球会場からビーチへ移動。 パン「ねえ、日差しが強すぎるわ」 トン「おやこんなところにパラソルが捨ててある。引っこ抜くから待ってて!」 トンの腕力ならそんなもんお安い御用である。 「ちょっと待ったー!!あなたがそれ引きぬくとややこしい事になるから。二人に不幸が訪れる!」 コーエンがすんでのところで制止する。 トン「どうしてさ。パンちゃんが日焼けしちゃうよ」 コーエン「日傘なら私の貸してあげるから!その呪いのパラソルにだけは触れちゃだめ!」 呪いと聞いて顔面真っ青になって逃げ出すパントンカップル。素直である。 「まあ、アタシもできあがったカップル引き裂いてまで嫁ごうなんて思ってないし〜」 ジョニ子も納得。しかし視線はキョロキョロ。フリーの豪腕男を見繕っている。
そんな中、スタスタとビーチバレー会場へと近づいて来るジュベールを見てエマが悲鳴をあげた。 エマ「キャー!ブリーフ一丁の変態が来たわー!誰か助けてー!」 経営者「だからお前が言うなというに。頭にサザエ刺さってるし…」 コーエン「あら?ブリーフなのね…… まあ、そうよね! ジュベールといったら白ブリーフだものねぇ!うん!そうよねぇ……」 ジョニ子「…ちょっとサーシャ、貴女なにかよからぬ事を考えてなかった?」 コーエン「な、何を言ってるのよ、ジョニ子!失礼ね!私は別にジュベールと言えば全裸だとか、 荒川の全裸ちゃん再びとか、そんな事少しも考えてないんだからっっ!」 経営者「おーい…、勘弁してくれよサーシャ… 君までそんなになったら誰がまとめるんだ……」
浜辺に仁王立ちになり、短パン一丁でコロナビールをグビグビ飲んでるジョニ子は、 つい先ほどまでのウェディングドレスとはまた違った迫力。 もう自分でパラソルひっこ抜けばいいじゃん状態。
しかし、ニュー3BKはまだいい。基本、見てるだけだ。 女子ビーチバレーは一部カメラオタクの格好の被写体でもある。 「…さっきから、なんで僕の方見てるの?」 「ジェレミー、お前趣味写真だろ?」 彼はつぶやきも趣味だが、公式プロフィールにPhotographyも趣味に挙げているのだ。 片手にパソコン、片手にカメラ。 あらぬ誤解を受けても仕方ないのである。
「ちがうよー。美しい海、そして空を撮影しているだけだよ。ああメリル助けて」 しかし頼りのメリルはビーチバレーに男女混成チームが出場できるかどうか、質問しに行っていて不在。 「乗り物の僕でよかったら話聞こうかー?」 気のいいチャーリーが隣でニコニコしている。 「ほら見て、僕変な写真なんて撮ってないよ。おもしろい形の雲とかカンフーパンダとかだよ」 「いい歳こいてそれはまた別の意味で怖・・・ま、いいんじゃない?」 チャーリーは深く悩まない。爽やかな笑顔で超美人の恋人の肩を抱き、生ビール飲んでゴキゲンである。 もう一人のジェレミーことジェレミー・テンがしゃべりっぱなしで喉を痛め、未来に浅田飴をもらっている。 ついでにもらったバトルは眉をしかめる「名前は素敵なんだけどなあ」
妖艶かつキュートなビキニで浜辺の男性をメロメロにしながら、メリルが駈けてくる。 「男児混成チームありですってー!」 「そんじゃ僕らもでようか」 チャーリーがニコニコして答える。おい、どっちと出るんだ。恋人か?相方か? 「そうと決まれば、今から特訓よ!ジェレミー!^^」 「え、ユカ?」 「何か疑問でも?^^」 「いえ、特には・・・」 首根っこ掴んで連れ去られるアボットを、涙ぐんで見守るアリッサ。彼女は誰と組むのか。
すっかり司会役が板についてしまったJ・テンはレニー・ハートに弟子入りする事を 思いついたりもしているが、懸命にスケーター魂でその野望を抑えている。 隣ではD・テンがビーチベッドで寝ている。日焼けでつらい思いをしないよう、パラソルで日陰を作ってやった。 「でもあのパラソルには触れないようにしなきゃな」 ジョニ子が満面の笑みで立ちはだかっている傍の、岩盤突き刺さりパラソルの事である。 日傘をパントンたちにあげてしまったコーエンは、テントを設営しているロシアチームに合流。 コーエン「すまないわね」 ユウコ「困った時はお互い様よ」 スミルノフ「焼きそば食べる?」 なお、試合はゲデ子・美姫組が1点先取。勢いに乗っている。 コストナーさん「お腹が減って力がでないよー。ティラミス食べたいよー」 コルピ「ああ、こんな時のためにキスチョコでもいいから持ってくればよかった。・゚・(ノД`)・゚・。」
男女混成と聞いてもPチャン達はのんびり焼きそばをすすっていた。 Pチャン「混成だとしてもカナダチームの勝ちは揺るがないよな〜、はむはむ」 チャッキー「なんてったってジョアニーとシンシアがいるもんね〜、はむはむ」 リッポン「いつから国別に・・・。てかさ、男としてそれはどうなの? カナダって伝統的に男子選手が体格で女子に負けてるよね」 チャッキー「う・・・、ヴァ、ヴァネッサには勝ってるよ!・・・多分」 ミハル「アイスダンスの選手じゃん」 Dテン「(テッサには負けてる・・・zzz)」 Pチャン「こ、高校の時よりは筋肉ついたぞ!ほら、俺達女子より年下だし、な!ケヴィン!」 休憩中の美姫がやって来た(コストナーさんのおやつ休憩のため)。 美姫「気にする事ないわよ〜。うちも伝統的に男子より女子のほうが背が高いわよ♪」 羽生「先輩方っ!どうして急に泣いてるんですっ!?」 小塚「し、試合中に砂が目に入って・・・」 高橋「あ、汗が目にしみて・・・」 織田「美姫ちゃんの言葉が心にしみて・・・ ;」
レイチェル「国別って事になったの?エレーネと美姫が組んでるから、そのへん自由だと思ったんだけど」 焼きそばをすすり込みながらレイチェルはPチャンを振り返った。 「じゃ、私のエスコートをしてくれるのは、舞踏会で解消ね、パトリック」 イカ焼きを頬張りながら去っていく後ろ姿に、Pチャンオタオタ。 「あの俺、女の子傷つけちゃった?」 「さあね?」リッポンはフォローすべきはレイチェルだろう、とPチャンを見捨てて歩き出す。 チャッキーとミハルは子ガニをみつけてDテンの鼻の上に乗せて遊んでたりする。
「レイチェル、僕と組もう!」 「あら、アダムはアリッサと組むんじゃないの?」 「アリッサはジェレミーと組むでしょ」 「・・・そうでもないみたいよ」 レイチェルが指さす先には、ユカの1000本ノックを全て回転レシーブで返している、 アボットの姿があった。ユカの姿は競技用のツーピーススイムウェア。 「きっとユカは現役復帰よ!これはこれでテンション上がる!ついでに痺れる憧れるぅ!」 「痺れる・・・ねえ。確かに。優勝候補じゃん、あのコンビ」 「それに、長年兄妹のようにリンクメイトしてたクリスティーナの事はいいの?」 いつのまにか来ていたガオちゃん、羽生から買ったアイスキャンデーを舐めつつ、 ニコニコしながら試合を見ている。 さあ、誰と組むのだ。リッポンよ。
「ちょっと待ったぁーーーーー!」 と、一応追いかけてきたPチャン。 「レイチェル、騙されるな。 おい、アダム!クリスティーナだけじゃないぞ! アレクシもいるからな、忘れるな!前にツーショ写真撮ってたよな。 それにお前、シブタニんとこの妹とも仲良くしてるし、それから、えーとえーと・・・」 「・・・パトリック。確かに僕はアレクシとも写真撮ったし、マイアとも仲良しだけど、 それを言ったら、僕、大概の女子とツーショ写真撮ってるし、仲良いよ」 「自慢かよっっ!!」
他方、バン・トン組は平和そのものであった。 バン「ビーチバレー…やってみましょう」 トン「そうだね、君となら新しいものにも一緒にチャレンジできるよ」 激しく懊悩する北米勢とは対照的である。
ビーチバレーは現役組のチャーリーとメリルに任せて、ベルビンはのんびり応援に回ることにした。 「ジョニ子ってばこんなところで寝ちゃって。日焼けしちゃうわよ」 岩盤に突き刺さったパラソルを見張っていたジョニ子だったが ビールを飲み過ぎていつのまにか照りつける太陽の下、熟睡中。 バキッ。ボキッ。グイィッ。 強烈な音を立てながら、片手でパラソルを引き抜くベルビン。 「仕方ないわねえ。全くもう…日焼けはお肌の天敵よ」 パラソルを広げてジョニ子に傾けつつ、自分もその中に入った。 「ああああああああああああああああああっベル…ビ…うげぇっ」 叫ぶライサ。叫び声を聞いてライサを締め上げるリューキン。 チャーリーは気づかずメリルとビーチバレーを練習中。
不思議な色の泡を口から吹いて痙攣しているライサ、それを締め上げ続けるリューキン。 そんな二人を見つめながら、ジョニ子は淡々と 「そーいやタニスと結婚しようって話、した事あるわよねえ」 などと言い出す。ベルビンは笑顔で 「あれは国籍変更のための偽装結婚だって、お互い冗談だったんじゃないの」 「それもそうね。ただなんか、ご縁ってものを感じたりするわよ」 「うーん、それもそうか。チャーリーがいいって言ったら、ジョニ子と入籍もおもしろいかも」 ベルビンはプルシェンコと同等か、それ以上のおもしろがりかもしれない。
なお、のんきな当事者2人を目の前にして、コーエンは卒倒していた。
そして、お約束の女神クリスティ・ヤマグチが、今度はビーチパラソルが突き刺さった跡の穴から現れた。 クリスティ「あなたが引っこ抜いたのは…」 ベルビン「私、別にご褒美欲しくないので、嘘つきにもなれちゃうんですけど。 女神様、私にどうして欲しいの?」
リッポンの横にはいつのまにかシブタニ妹がいて「ねえ、シュノーケリングしましょ」と 誘ってきたり、ガオちゃんが「わあ楽しそう。エサの食パン撒くと魚寄ってくるんだよね?」と 盛り上がったり、レイチェルが「そこは抜かりないわ」と大量のパンを山積みにしてたり、 アレクシやアリッサもいつのまにか寄ってきて集団を形成。 Pチャン「へ、凹んだりしないぞ。なあケヴィン、ビーチバレー男子部に出ようぜ!」 振り返るとそこにはコーエンを介抱するチャッキー&Jテン。 「バレーどころじゃないんだよ!なんかいろいろ・・・ややこしいんだってば!」 Dテンくんは鼻にツメを立てたカニを振り払おうと、パニックのあまり砂浜でスピン。 結果、巨大蟻地獄もどきのすり鉢状穴を形成。
「それでは趣向を変えて・・・・ あなたが見たいのは、クルクル巻き毛のチャーリーですか? それとも、縮毛矯正済みのさらさらロン毛チャーリーですか? 今なら特別に、黒髪パンチパーマのチャーリーもご用意できますよ」 「私は今のチャーリーが好きなのよ。髪型なんてどうでもいいわ」 「わかりました。それではお望み通り、黒髪パンチパーマのチャーリーにしておきましょう」 「望んでないわよってかもういないしっ!!」 神出鬼没のクリスティ・ヤマグチは逃げ足も速かった。 「うわああああああああああああああ」 「キャーッなにそれ、可愛い〜」 そして響き渡るチャーリーとメリルの叫び声。
「デニスー!今助けに行くからなー!アハン」 欧州美女軍団を岩場に避難させ、ランビが蟻地獄を滑り降りていく。 「ヤバい!砂が思ったより柔らかくて深みにはまっていく!(アハン)」 計算ミスに舌打ちするランビに助けの手が! 「こいつに捕まれー!小僧も忘れずに連れてこい!」 リューキンである。もちろんぶん投げたのは黒くて長い(ry おかげで助かったDテンはランビとリューキンとライサ(絶賛気絶中)に謝意を述べた。 なお、コーエンもどうにか息を吹き返し、タニスの動向を見守っている。 「さーて、ここから先はもう私知らないわよ」 「そんな事言って、収拾つかなくなったらフォローに回るんでしょ?」 背後には経営者。二人で肩をすくめる。 チャッキー&Jテンは大人の苦労人が醸しだすうんざりモードを察し、そっと距離を置く。
メリルに鏡を差し出され、初めての黒パンチヘアーに驚くチャーリー。 しかしすぐ立ち直りダンディに見える角度を探して笑顔。さすがだ。 未来が駆け寄ってきて、チャーリーの鼻の穴を黒く塗り広げた。iPodでかける曲は 「ハールバルーキタゼ ハーコダテー♪」 なぜ即興で歌えるのかチャーリー。メリルは大はしゃぎ。
あまりの変貌ぶりに恋人を正視できない様子のタニスだったが、やがてフッと笑った。 「これはこれで、まあちょっとしたアクシデントなのよね」 伊達に恋愛遍歴重ねてない。強い。 ミライはチャーリーの歌に合わせてちらし寿司を作り出した。
「パンチパーマがどういう意味かは解らないけど、髪は短い方がいいよな」 「だよね〜、短い方が楽だし」 と、Pチャンとバトル。 リッポン「全くこのカナダ人二人は・・・。ファンの子が泣くよ」 Jテン「そうそう、特に日本の女の子のファンとかさ」 Pチャン「何でだよ、男なんだから短い方がいいだろ。お前もその女みたいな髪切れよ」 リッポン「君、いつの時代の人間だよ!」 バトル「だって、日本の夏は凄く暑いんだよ!」 Jテン「そういう問題じゃないと思う」
「泳ぎましょ、チャーリー!」 ニコニコして黒パンチチャーリーに浜辺の水をかけておどけるタニス。 「ハハハハ、やったなー!」 「捕まえてごらんなさーい!」 きゃっきゃウフフの恋人同士を見て、ジョニ子、小さくため息。 「偽装結婚しそこなっちゃったわー」 「あなたに偽装なんて似合わないじゃない。ね?」 メリルの愛くるしい声に、ジョニ子は元気を取り戻す。 「そうよねえ。あれもともと冗談だったんだし。ミライ〜!ちらし寿司頂戴!」 なんだかんだで楽しそうな他のメンバーの視界から、アボットの姿はなかった。 まだ特訓中である。時たま顔の皮膚が寄ってホラー状になるが、対照的にユカさん超元気。
「わ〜ん!!!携帯ナイ!! ◇ミ\(°ロ°\)三三(/°ロ°)/ミ◇ ナイ!!です〜!!」 携帯を何処か経忘れたことに気づいたミライ。 「ちょっと〜!!どこに忘れてきたのよ!」 ヤサグレ気味のジョニ子はエクストラコールド片手に10杯目のちらし寿司に取り掛かる。 「たぶん・・・・・エヴァン(イカ)のところ・・・」 「な ん で す と !」 一同呆然
エヴァン(イカの方)は思い出の品を枕元に置き、思春期ちょっと手前の甘酸っぱい気持ちに浸っていた。 「未来ちゃん・・・いつ取り戻しに来るのかな。僕が届けにいくとしたら、もう行った方がいいのかな」 種族の違いは痛いほどわかっている。でも・・・再会できるのならば、最良の状態でしたい。 「なんか僕、ちょっと変な感じなう。こんな気持ち、初めて」
若手女子をワサワサ従えたリッポンと、 正統派欧州美女をエスコートしているランビ、 それぞれ未来の元にやってきた。 「なにかあったの?」 「遠慮しないで相談してごらんアハン」 「えーと携帯なくしちゃってー」 未来のリアクションはごく普通なのだが、周囲だけ大騒ぎ。 どさくさに紛れてアボットも「大変だー」とユカの元から逃げ出す。
未来ちゃんと再会した時のために メリチャリのインドプログラムを必死に覚えるエヴァン(イカの方) 「リッポンには負けない! 僕の方が手(?)が多いし未来ちゃんをしっかりリフトできるぞ!」
「エヴァン(黒い方)がどうかしたの?」と小首を傾げてマイアが聞く。 「エヴァン(長い方)ならそこにいるじゃない」とアリッサ。 「エヴァン(ナナフシの方)がミライの携帯を失くした、の???」とクリスティーナ。 「そっか、みんなエヴァン(イカの方)を知らないんだね。実は少し前に…」 説明を始めるリッポンの周りに、後から来た女の子たちはキャッキャと群がる。 ライサ「なんだろう… 名前を呼ばれているだけなのに、悪口を言われているような気がする…」 Pチャン「説明なら俺がするぞ!ミライは電信柱(エヴァンの方)の事を言ってるんじゃないいんだ!」 ジョニ子「そうそう♪東京スカイツリー(エヴァンの方)の事じゃないのよ」 ライサ「お前らは、はっきりと悪口を言ってるからな!!!」
ジョニ子「それはおいときましょうよ。名前が同じよしみで、エヴァンこと餓死をしたビッグフットの幽霊 (前スレでおもしろかったから勝手に再利用よ)がミライの携帯を返してもらいにイカ宮城にいけば?」 すでに( )使いの法則が崩壊しているジョニ子を見下ろし、ライサは反論する。 ライサ「名前が同じよしみって・・・勝手にお前らがつけただけじゃないか!」 いつの間にか真後ろでファイティングポーズのリューキン「なんか文句あんのか?あぁ?てめえ折りたたむぞ」 ミライ「でもエヴァン(イカの方)はすっごく喜んでましたぁ」 ファイティングポーズのまま笑顔のリューキン「そりゃあ、氷上の世界王者と同じ名前は名誉だからな」 ライサチェクはキリリと表情を引き締め(しかし黒す(ry)海へ向かって歩き出した。 ライサ「やむを得ないな。じゃ、イカ宮城行ってくる」 コーエン「ああ・・・行ってらっしゃい(だからあんたは「いい人」なのよエヴァン(牛久大仏の方))」
華麗なスケーティングで海上ルートを進むライサ。リューキンをお姫様抱っこしている。 ライサ「二人きりって久しぶりじゃないか?」 リューキン「だって一人で行かせるわけにいかないじゃん」 ライサ「なんで?」 リューキン「なんででもいいんだってば!ああちくしょう、海風気持ちいいなー!」 ぎゅっとしがみついてくるリューキンの、華奢で、しかし女子体操界最強のバネを持つ しなやかな肢体を抱きしめるライサ。至福のひととき。 ライサ「ところで……背後になんか気配が。つかウザい感触が」 背中にもなんかしがみついている。振り向けばそこには―― アボット「ウザいとかいうなよー。同じアメリカ人じゃん」 リューキン「ユカsanの1000本ノックからの脱走か?」 アボット「そ、そんなんじゃないよ!僕だけイカ宮城行ってないから、ちょっと見てみたいなって、それで」 なんかもう必死である。
ユカはこめかみに怒り血管(マンガ表現だと四つ角の+文字みたいなやつ)を浮かべ、 脱走するアボットを見送っていた。 アリッサ「あの、いいんですか」 ユカ「飛べない豚はただの豚よ^^さあアリッサ、アップ開始。アダムと組んでちょうだい」 アリッサ「でもあの、みんなイカ宮城に行く準備始めちゃってて、アダムもどこか行ってしまいました」 プル「ワタシ、ニホンノオスシダイスキ」 羽生「正確には大西洋のお寿司って事になるんですけどね。宮城の魚介もよろしく〜」 地元アピールを忘れない健気な羽生に、エマがまたヨシヨシしに行こうと忍び寄るが ジョニ子がハイヒールで後頭部をヤクザキック! エマ「痛いッ!あんたはとっととプレイボーイだかなんだかのパーティー行きなさいよ!」 ジョニ子「とっくに行ってきたわよ!バーカバーカバーカ」 小学生のケンカである。
「ジョニ子姐さん元気だな。もしかして漸く春が来たとか?だったら嬉しいなぁ(´∀`*)」 若手女子に囲まれ、この世の春を謳歌するリッポンがまったりと呟いた。 「ふん、お前なんか万年春に浮かれて今年も台落ちしろ」 「き、君は何てことを言うんだーーーーーっ!!!」 Pチャンのあまりの暴言に温和なリッポンも思わず逆上。 チャッキー「(パトリックも一応、春が来たんじゃなかったっけ?まあ、どうでもいいや) ・・・エマ先輩に春は来ないのかな?ていうか、エマ先輩の春ってどんなだろう?」 Jテン「・・・想像するの難しいな。でもユヅルが気に入ったみたいだから、 若い子たちを周りに沢山はべらかすとか?あ、似合いそう」 Dテンとガっちゃんがダッシュで逃げる。 エマ「あら、それもいいわね。取りあえずユヅルこっちにいらっしゃ〜い♪」 ジョニ子「ちょっと!アタシのユヅルに何すんのよっ!!」 羽生「いだだだだだだ、お二人とも引っぱらないで下さーい!」 小学生のケンカから今度は大岡越前である。
Dテンとガッちゃんは岩陰に逃げ込んで、ほっと一息つく。 Dテン「ユヅル、大丈夫かなあ」 ガッちゃん「平気でしょ。なんか彼、したたかそうだから」 Dテン「でもさ・・・あ、イカ宮城行く?」 ガッちゃん「ジェーニャ先輩が行くならついてく。お寿司食べたがってたし」 Dテン「うちも兄弟子が真っ先に行っちゃったし、きっかけは姉弟子の携帯紛失だし、行くべきかな」 ガッちゃん「じゃ、行っちゃおうか。あ、でもその前にジェーニャ先輩に挨拶を」 Dテン「僕もランビさんに意見聞いてからにするー。あ、タカヒコも誘おうか」 大岡裁き待ちの羽生はほったらかしで、ベテランチームのテントへ走る二人。 気がつけば女子ビーチバレーは終了しており、ガッツポーズの美姫が浜辺を駆けまわっている。 コストナーさん「お腹へったよ・・・」
キーラ「なんかみんなお寿司食べに行くとか言ってるけど」 コストナー「あ、そんじゃ私も行くよ!」 キーラ「イカグウジョーだかイカミヤギだか、なんか特殊な場所らしいんだけど」 コストナー「どっちでもいいよ!わくわくしてきたよ!」 美人コンビの他愛ないやりとりに、ギャラリーもイカ宮城ツアー参加者が急増。 チャッキー「何、パトリックも行くの?」 Pチャン「行っちゃいけないのかよう」 Jテン「そうは言わないけど(ニヤニヤ)」 Pチャン「なんだよ、感じ悪いな、もう!」 羽生はどうにかエマ&ジョニ子に手を離してもらえたが、無闇と手が伸びてしまった。 「ゴムゴムの木の実を食べた人みたいだなあ。おもしろいから別にいいんですけどね」 根っからの関西人・織田信成は密かに怯えた。 「東北人やのにオモシロ優先て・・・なんやあいつ」
羽生は一瞬、体をブルブルっと震わせた。途端、腕の長さはあっさりもとの長さに。 「首の長さは戻らないなあ」 「それは元々ですぅ」 未来がつっこんだ。ネーベルホルン杯で優勝・SP一位に立った者同士、親近感がわいているのか。 織田「お前らいつのまに試合行ってんねん。って他の連中もそうやけども」
大西洋上を疾駆していたライサ等は、一先ずあの無人島に落ち着いていた。 「わあ、すっごい大きな島だなあ!あ!キャンプの跡もある! みんな僕を仲間はずれにして楽しんでずるいや。 ああ!見て見て、今、飛び魚が跳んだよ!」 子供のようにはしゃぐアボットにライサは苦笑い。 「なんだかデートにこぶが付いてきたみたいだなぁ」 「いいじゃんか、家族旅行の予行練習みたいでさ」 「でかい子供だな、おいw」 「よし、坊主!何して遊ぶ?キャッチボールか?それとも島を探検するか!」 母親というよりは父親のノリでアボットに接するリューキンをライサは眼を細めて見つめている。 「さて、じゃあ俺は家族の為にテントでも、いや待て、美味いもん食わせてやるのが先か? 牡蠣はこないだ食ったからな、何にするか・・・」 早くも趣旨を忘れているかもしれない。
リューキンにフォークボールの投げ方、ジャーマンスープレックスのかけ方、遠くまで響く口笛の吹き方などを 教えてもらい、すっかり童心にかえりまくりのアボット。 「5歳からずっと、スケートばかりやってたからさー。こういう遊び知らなかった」 「それ言ったらうちなんて、物心ついた時から体操の英才教育だ」 「トップアスリートのみんな、たいていそうだよね」 「息抜きを見つけるのもアスリートの甲斐性!坊主はカンフーパンダが好きなんだっけ?」 「うん!あのね、カンフーパンダはすごいんだ!まずね・・・」 嬉々として喋り倒すアボット相手に、面倒がらずに相槌をうつリューキン。 そんな二人の会話を聞きつつ、ライサチェクが作るのは特製ブイヤベース。 「わあい!おいしいや!」 「坊主、しっかり食って大きくなれよー」 「俺ぐらい大きくなっちゃうと、いろいろ大変だけどな」 笑い声の絶えない食卓。 一昔前のホームコメディー(スタッフや観客の笑い声が入ってるやつ)みたいだ。
一番にイカ宮城に到着したのは、ロシア勢だった。 プル「お寿司ー!」 ヤナ「落ち着いて、ね」 ヤグ「俺の方が早くついたから穴子は全て俺様のものだ」 プル「いいよ?牡蠣は僕が全ていただくし。生でよし焼いてよし煮てよし、最高だよ牡蠣は」 途中でモスクワに寄って贈答用高級ウォッカを入手した川スミコンビは、門番に丁寧に挨拶をしている。義理堅い。 ガッちゃんは久々のお城に少々緊張気味。コブの引っ込んだミーシンに付き従うように静々と入城。 その直後、Dテン+日本勢が到着。 織田に担がれて超高速移動の新妻は目を回しているが、信太朗くんは大はしゃぎ。 美姫に嘘日本文化を吹きこまれているDテンに、小塚がいちいち訂正を入れるのも微笑ましい。 三番手はランビ+欧州美女軍団。「やあ、相変わらずこの世のものとは思えない幻想的な風景さアハン」 四番手はアメリカ・カナダ勢。アリッサはユカの隣にいるが、視線を四方八方に飛ばし、先に来ているはずの アボットを探しだそうとしている。 「ミライが教えてくれた焼き土下座をジェレミーに教えてあげなきゃ!」 そんなアリッサの心配など知る由もないアボットは、リューキンとライサに 「金メダルを獲った瞬間の感慨アピールの表情」を教わったりしている。 「本当だったらライバルのお前にこんな事教えないけど、今日は特別な」 「エヴァン(人のほう)ありがとう!習った事ソチで活かすよ!」 「だから、人のほうって言うな!( )の中でも!」
「あれえ、ライサチェックさん達、まだなんですかぁ〜」 のほほんと発言する未来。 そこにエヴァン(イカの方)がお出まし。 「未来ちゃん、久しぶりなう」
チャッキーは海賊の剣をぶんぶん振り回しながら、のりのりで宮城内を探索していた。 「おっまえ危ないな!刃物を振り回すなよ!」 Pチャン達もなんだかんだで付き合っている。 「この間はお城の中はあんまり見物出来なかったからね! 何か面白いもの(冒険)ないかな〜?」 と、イカ宮城の一角を曲がるとそこに現れたものは・・・・ ラーメン屋だった。 チャッキー「・・・・・・・・」 小塚「パトリック、ラーメン食う?」 Pチャン「あ、食う食う」 チャッキー「違うんだああああ、僕の求めているのはこういう事じゃないんだああああああ」 Jテン「まあ、いいじゃない。日本好きだろ?ラーメンは日本のソウルフードだぜ」
ラーメン屋にはいつのまにかジュベがいた。 「とんこつバリカタ背脂多めでよろしくママン!」 これからシーズン本番だというのに、背脂多めなんてゆるされるのか? とか言ってるうちにPチャンは替え玉をオーダー。 なお、エヴァン(イカの方)はモジモジしながらミライに携帯を差し出していた。 「と、届けに行こうと思ってたんだけど・・・忙しそうだったし、あの」 「いいじゃん、せっかくだし写メ撮ろう!」 ミライの気遣いで、北米女子一同+欧州美女軍団に囲まれ、エヴァン(イカの方)は ハーレム状態で記念撮影。 「夢みたいなう・・・」
替え玉をwktkで待っているPチャンに、ジュベは厳しく言い放った。 「JO参加組は今ラーメン食べてたら間に合わないだろ!(うちはフローランががんばるから)」 激しくぶん投げられる。落下地点は日本。替え玉はJテンがおいしくいただきました。 バトル・ロシェット・アリッサが慌てて後を追う。 「あ、僕らも行かなきゃ。ごめんねテンくん」 Dテンに謝りつつ、小塚は美姫の手を引き、ナウシカの主題歌を鼻歌で確認しつつ日本へと跳ぶ。 「あー、ぼくも行かなきゃ」 ガッちゃんも慌ててあとを追う。がんばれ!JO参加組! 「ま、ゲストで僕も滑るわけですが」淡々と言い放ち、羽生も日本へ。
JO悲喜こもごも。 今スレでは常に元気いっぱいだった美姫はちょっと落ち込んでいた。 それをアモディオが慰めている。 「そんなに落ち込まないで下さいよ、姐さん。 ほら見て下さい、俺、姐さんリスペクトで虎柄の衣装にしてみたんスよ。 そうだ!打ち上げしましょう、パーッとね!そのイカ宮城てとこで。俺の4Sでお送りしますよ。 あ、パトリックも送ってやるよ。なぁにいいって、遠慮するなよ(gゝー・)b」 「俺だってコンボは決めてるだろうがっ! てか、何でまたジョニーの所へ戻らなきゃいけないんだ… でも、なんか戻らなきゃいけないような気がするんだよなぁ… orz」
ジョニ子「JO組の帰りが遅いわねえ。迷子かしら。ロストバゲージかしら」 エマ「アンタがうるさいから帰ってこないのよ。今頃キレウリワリやトンダバヤシで羽伸ばしてるわ」 織田「(なんで出てくる地名がいちいち微妙やねん・・・でも面倒やし突っ込まんとこ)」 ジョニ子「うるさいのはアンタでしょー!エマ!腐った昆布みたいにユヅルにまとわりついて!」 エマ「アタシが腐ったコンブだったら、あんたは干からびたイソギンチャクだわねー!クマノミも寄ってこないような♪」 ジョニ子「なんですってぇ!?もーアンタ許さない!」 キーキー叫びながら引っ掻きあい開始。 経営者「止めにいかないの?僕行こうか?」 サーシャ「ほっといてあげましょう。あれもレクリエーションの一つなんでしょうし」
エヴァン(イカの方)が無事、ミライに携帯電話を返し、 プルシェンコ&ヤグディンは競うように寿司を食い倒し、 美女軍団+美少女軍団は真珠をたくさん分けてもらってご満悦。 クリスティーナ「粒が揃って綺麗なパール!こんなに貰っていいのかな」 マイア「せっかくたくさんもらったんだし、みんなでお揃いのネックレス作ろう!」 レイチェル「パールのネックレスはフォーマルに使えるから一生モノよ」 ジョアニー「余ったらピアスにしてもいいわね」 和気あいあいとアクセサリー作りをする女性陣の真ん中に陣取り、 お姉さん座りでチマチマとパールにテグスを通すのはジョニ子。そしてエマ。 不思議と違和感がない。
作業中の乙女達+熟女達+姐さん達に、歓声がどよめく。 「あ、金色の真珠ですぅ〜」 「銀の真珠もあるわ!」 「…真珠で銅ってのも、シブくていいわね〜」 そのみっつの真珠は、普通のパール玉より大きめ。 問題は、それぞれひとつずつしかないこと。
アモの4Sに乗っかってイカ宮城に戻ってきたJO組。 その入り口にある横断幕が・・・ 『エヴァン様(イカ王子)許婚は誰の手に?!御妃候補最終選考会』 「・・・・・なんかすごくやばくないか?」 「そんなこと言ってる場合じゃないよ!急がないと大変なことに!」 あわてて中に入る面々。 そのころエヴァン(人のほう)一家は息子の為に潮干狩りの真っ最中であった。
「ブライアーーン!」 宮城内の大広間にジュベールの姿を認めたアモは勢いよく飛び付いた。 「おお!フロラン!ああ、よしよしよしよし、ああ、よしよしよし・・・」 それをジュベールもしっかりと受け止める。 美姫「ムツゴロウさん?w」 本田「美姫ちゃんよしなさい」 高橋「ふらののごろうさん?」 小塚「大ちゃん、違う・・・・」 女性陣の熱気溢れる中を掻い潜って、Pチャンはレイチェルの元へ辿り着いた。 Pチャン「なんでレイチェルまで熱くなってんの?」 レイ「結婚は興味ないけど、上位入賞者には金銀パールがプレゼントされるのよ。 これは熱くならざろうえないわ」 悠子「金銀パールじゃなくて、それぞれ金銀銅のパールね。・・・これ元ネタわかる人いるかしら?」 ユカ「嬉しい白で〜すぅ ブル〜ダ〜イヤ〜♪」 荒川「金・銀・パ〜ル プレゼントッ♪」(←何となくついてきた荒川さん)
Pチャンは日本で覚えたラーメンの味が忘れられず、 イカ宮城の厨房を借りてこっそり作ってみたりする。 「あー!湯切りが上手くいかない」 結局全部こぼしてしまい、モップを持ってきて掃除するはめに・・・ そんなPチャンに、小塚が近寄ってきてそっとあるものを差し出した。 「ブタメン、って言うんだ。これならお湯を注いで3分待つだけで食べられるよ」 「タカヒコ!日本の食文化ってすごく豊かなんだね!」
ジョニ子「ところで、御妃候補って、誰がどう決めるのよ?」 エマ「どんな基準でもアンタにはならないわよ」 ジョニ子「なんですってー!アンタにいわれたくないわっ!!」
663 :
スポーツ好きさん :2011/10/11(火) 21:47:53.73 ID:jkuC8Bxi
熱気あふれる女性陣の輪から、ゲデ子が抜け出してきた。手に捧げ持つのはあのハイヒール。 「ジョニー!エヴァン(イカのほう)がこれを割ったら、イカ宮城の御妃さまになれるわよ」 「うーん…それも魅力的だけど」 彼氏がいるのに、と懊悩するジョニ子。
「それにまたアタシ、レコーディングのオファー来てるし」 鼻高々のジョニ子。ブタメンをすするPチャンがぼそりと呟く。 「誰トクn(ry」 「ハイハイハイ!外の空気吸いに行こうか!」 みなまで言わせず、リッポンが部屋の外へと速やかに排除。 同時刻、エヴァン(人のほう)一家は、潮干狩りの成果として アサリのバターソテーや魚介スープに舌鼓を打っていた。 3人とも海に出た目的を覚えていない。思い出す日はくるのだろうか。
その頃、イカ宮城の別室では。 エヴァン(イカの方)「ボク、まだ結婚は早いウィル…」 パパ「しかし、エヴァンよ、”早い”では済まされない。 何故なら、種族を超えた愛情を育むには、幾つかの試練が待っている」 ママ「もちろん、あなたのためを思ってのことなのよ。 先日は女子スケーターの皆様の可憐で力強いところに私、 とても感動いたしました。 種族を超えてなおスケーター皆様の中から伴侶をと願うのは、 間違いなのかしら…? パパ「(小声で)それに、エヴァン、お前も実は好きなんだろう?」 エヴァン(イカの方)「それは、そうなう」
ジョニ子「体操すごかったわねー。Uchimura-chan、よくがんばったわー」 ソファに横座りになったまま、男子体操競技を見守るジョニ子。 周囲には他のスケーターもいる。 ジョニ子「あ、そういえばナスティアどこ行ったのかしら」 エマ「アンタが騒々しくてうざいから、彼氏と二人きりのバカンスに行ったんじゃなーい?」 ジョニ子「違うわよっ!彼氏はともかくとして、ナスティアは私と仲良しだもの!」 そこにユカがそっと割って入る。 ユカ「そういえば私の教え子も失踪中なんだけど^^」 アリッサ・リッポンは傍にへたり込んで動けない。
勢いで連れてこられてしまったものの、息子の世話以外する事もなく、手持ち無沙汰な織田嫁。 そこに織田が真珠のネックレスを持ってやってきた。 「待たせてごめんなー。僕不器用やから、時間かかってもーて。いつも陰で支えてくれてるお礼や」 「もう……ほんなら、首につけるところまでやってくれへん?」 頬を染める妻・ドギマギする夫。 モタモタしているうちに真珠を繋いでいた紐が切れた! 「紐ー!!紐がー!!!」 織田のトラウマ噴出。と同時に真珠が飛び散った。 孝行赤子・信太朗がヨチヨチと追いかけ、拾い集める。
アタフタと真珠を拾い集める織田ファミリーを、スケーターズ女子もお手伝い。 どうにか拾い集め、ネックレスを作り直し、メデタシメデタシ――と、その時 レイチェル「金銀銅の真珠がなくなってる……Σ(゚д゚lll)」 残りの女子「(; ・`д・´) なんですってー!? (`・д´・ ;) 」 今度は男子も加わって部屋中大捜索。
信太朗くん「あー(ね、綺麗でしょ?)」 ヤグ娘「ワンダホー」 お子様たち、いつのまにか金銀銅のパールで遊んでいる。 子ども達の微笑ましい様子に誰がいつ気づくんだろう?
「金銀銅パール、なくなったんだって!?」 小塚・ミハル・アモディオ・Dテン・アリッサ・ゲデ子・コストナーさんが戻ってきた。 ついでにコンテスティ、KDVP、アーミン、ラザノ、マルケイ、ジャン、フォートなど GPシリーズアメリカ参加者がドカドカとついてくる。 (コンテ・KVDPにいたっては、奥さん連れである。どんだけ惚れているのか) 今井遥・マカロワはキョトーン。ヘルゲソン姉妹はとりあえずお互いの髪の乱れを直している。 ドーンブッシュ「なんかわかんないけど、一気に掃除機でそこら中吸おう!」 村デー「宝物らしいから、傷ついたらまずい!念のため手作業で!」 しょうがないので、部屋中ギュウギュウになりながら、全員床に這いつくばって捜索。 リーザちゃんは信太朗くんにもらった金パールをトトママに示そうとするのだが、 ママはいつのまにか奥様炊き出し部隊のリーダー格に。キッチンに向かってしまった。 エプロン姿のヤナ・トト・織田妻・ジェラルディン・ジェナの背中に、コストナーさんの悲痛な叫び。 「とりあえず軽めのパスタが食べたいよー!その後ティラミス!」
「だーから、なんでみんな集まってくるかなー、もー」 お腹を空かせたコストナーさんに、ブタメンをわけてあげながらPチャンがぼやく。 「すでに旅が生活の一部?僕としてはもう少し冒険要素が欲しいとこだけど」 と、海賊の剣を磨きながらチャッキー。 「お前は好きなだけスライム退治でもしてろ」 「それドラクエだからっ!間違えないでっ!」 リッポンは女の子たちにそれぞれ手作りの真珠の細工ものを配っていた。 「アリッサ優勝おめでとう。真珠で髪留めを作ってみたよ。ショートの衣装にあわないかな? ハルカも頑張ったね。ハルカはJapaneseだから簪にしてみたよ」 「うわあ、ありがとう、おとっつぁん」 「いや、おとっつぁんじゃないけど… 君、面白い子だね…」 「これもアタシの人徳のなせるわざよねー」 「また何を寝ぼけた事を・・・」 いつもどおり悪態をつこうとしたエマだったが、 ジョニ子から発せられる尋常じゃない量の幸せオーラに言葉を詰まらせる。 「なーんか調子狂っちゃうわぁ」
イカ宮城のバルコニーから遙かNJ方向を見つめ、ジョニ子は呟く。 「アタシ、今度こそ幸せになるの」 「あーら、よかったじゃない?」 エマもさすがに毒舌が鈍る。ジョニ子の一途さを知らないわけではないから。 「でも――またフカシだったら、アンタ承知しないからね!」 「アタシがいつフカシこいたのよ!ちょっと夢見がちなだけじゃない!」 「妄想は自由だけど、Twitterでいちいち呟いて消すんじゃないわよ!人騒がせね!」 引っ掻きあいの間に割って入ったのは大王イカの長。 「まあ、お二方とも、女官たちのサロンでお茶でもいかがですかな?」 「ガールズトークもいいわねー。広間はなんか大勢集まっちゃって暑苦しいし」 暑苦しい顔のエマとホットな気分で瞳ウルウルなジョニ子は女官ルームへ移動。 若いメスイカ女官やメスタコ女官の恋バナに、親身に乗ってやったりする。
ジョニ子「アタシ、もうハイヒールはいらない」 イカ女官「それって……」 ジョニ子「アタシは気にしないんだけど、相手が気を使っちゃって、変よね、もー」 タコ女官「変じゃないですよ!古風だけど、いい旦那さんですよ!」 ジョニ子「いやまだ旦那ってわけじゃないのよ(汗)」 エマはテンション上がりっぱなしのジョニ子を、半分苦笑い、半分微笑ましく見守っている。 一方そのころ、ジャラルディンは「軽めのパスタ+ティラミス」作りに全力を尽くしていた。 ヤナ&トトは作業をまとめ係・揚げ係に分担し、凄まじい勢いでピロシキを作っている。 織田嫁はどうしていいかわからず、織田家伝統のお節を作り始めてしまった。 見かねたジェナは洗い物係を担当。軽く溜息。
ジェラルディン「ペペロンチーノ20kgお待ちどう!あなた!運んで〜」
コンテ「ほい来た!あ、ピロシキも揚がってるね。オセチと一緒に持っていくよ」
黒地に白水玉のスカーフをなびかせ、華麗に食事運び。
KDVPもいつの間にか愛妻の横に来て、甲斐甲斐しくフォロー。
KDVP「重いボウルは俺が棚に戻すし、足りない物があれば買い出しもいってくる。
ちなみにこのスレは
>>673 の時点で396kbまできている。あと100kb少々だ」
ジェナ「やっぱりあなたはデキる男ね。また台乗りするって私ずっと信じてたわ!」
その頃、ヤグとプルは「我が女房のピロシキが世界一」論争を延々と続けていた。
織田は紐トラウマから脱していたが、いろいろ思い出してまたグッタリ。
信太朗「あぅー(おとん、しっかりしてぇな)」
織田「・・・すぐ立ち直るから待っといてー」
抱っこしている愛息が銀パールと銅パールをしゃぶっているのに、気づく余裕がない。
675 :
スポーツ好きさん :2011/10/25(火) 22:48:25.79 ID:8QJ4LiU1
「うちの姪も連れて来たいなあ」 とつぶやいたバトルが信太朗を見て叫び声をあげた。 「だめだよ赤ちゃんにそんなのしゃぶらせちゃ!飲み込んだらどうすんの! …っておねーちゃんに言われた」 子持ちが全員反応、自分の子どもに突進。ちなみに幅39mm、長さ51mm以下は危険。
「うあーん!(この綺麗なの味せえへん。いらんー!)」 信太朗くんは泣きだし、傍の窓から銀真珠と銅真珠をほうり投げてしまった。 バトルは窓の向こうに消え去った異物がキラリと光ったのが気になったが、 我に返った織田が信太朗くんをあやすのを手伝ううち、そっちに没頭してしまった。 一方、ライサ一家は漁船を一隻買い込んで、水産会社を設立していた。 「漁をするからにはイカ宮城にご挨拶に行っておくか。遠洋漁業も視野に入れているし」 本来の目的を完璧に忘れ去ったまま、やっとイカ宮城に到着! その瞬間、リューキンの頭に小粒な何かが2つぶつかった。淡く輝く銀色・銅色で球体。 「変な石だなあ。おい坊主。これで遊んでな。私ら大王様に商売のご挨拶してくるから」 「うん!海難避けのお守りにするよ」アボットは嬉々としてそれをポケットにねじ込んだ。 なお、リーザちゃんは金真珠を放り出したりせず、大事に握りしめている。 「ビューテホー(男の子から初めてプレゼントもらっちゃった。内緒の宝物)」
金銀銅パール捜索も中だるみ状態で、一度食事タイムをとって仕切りなおしに。 ペペロンチーニはもちろん、ピロシキやお節も好評。 奥様エプロン部隊は達成感に満たされ、晴れやかな笑顔である。 ミハルは織田&バトルに張り付き、赤ちゃんのあやし方を懸命にメモっている。 織田「もしかして・・・君も、あの」 ミハル「いえ、将来の参考にしようと思って。あ、バトルさん笑顔いいですねー」 バトル「信太朗くん抱っこさせてもらって、4人で写メ撮ろうか」 ミハル「ぜひ!(感涙)」 一年以上前に、名も知れぬスイスの山でむさ苦しい集合写真を撮ったきりである。 ミハル「あの、僕がんばりました!アメリカですごくがんばってきました!」 バトル「知ってるよ。全部TVで見てた」 感涙にむせぶミハルのほっぺたを、信太朗くんがちょん、とつついた。
ロシアチームのテーブルにそろそろと近づく三つの影が・・・ 「ああっ、僕様のピロシキがなくなってる!」 「俺様のピロシキもねぇぞ!ジェーニャてめぇだな!」 「今、僕のもないって言ったとこだろ!どういう頭の構造してんのさ、アリョーシャ!」 「よーひ、次いくをぉー、モゴモゴ」 「「うぉー、モゴモゴ」」 Pチャンを先頭にチャッキー、Jテンがピロシキを頬張りながらすたこらさっさー、と逃げていく。 ロシェット「(争奪戦に負けて)お肉が食べられないと泣いてた子が立派になって・・・」 ファヌフ「泣いてはなかったと思うけど(苦笑) 合宿で鍛えられたのかしらねー」 ガチ「あの二人の物に手を出すなんて、後で三倍返しされないかなー?まあ、僕には関係な・・・」 タクタミ「アーチャの分はリーザがちゃあんと、とっておいたよ、はい♪」 ガチ「え゙」
Jテン「我がカナダの大先輩・エマ姐さん、ジョニ子姐さんの結婚決まってからおとなしくね?」 チャッキー「先越されてへこんじゃったのかも。日頃騒々しくてアレだけど、元気づけたいよ さっきガメてきたピロシキを献上したら、ゴキゲンになってくれるかな」 Pチャン「簡単じゃん。二人のどっちかがエマ姐さんと結婚すればいい」 Jテン・チャッキー「「( Д ) ゜゜なんでそう安直な発想する!?」」 Pチャン「俺もうカナダ行くわ。どっちか結婚しろよー!じゃーなー!あ、ピロシキ持っていこ」 Jテン「パトリックはハートが強いっていうかさ・・・」チャッキー「雑なところあるよね」 リーザちゃん(タクタミの方)「あ、私も行くんだっけ。アーチャ、ピロシキ食べてね。bye!」 ガッちゃん「ちょ、待って!・・・ジェーニャ先輩、これ盗んだんじゃないんです。違うんです! アリョーシャ先輩も鉄パイプ振り回すの、やめてください!」 リーザちゃん(ヤグ娘の方)は大人たちが忙しい中、優雅に金パールをニギニギ。 信太朗くんはお昼寝タイムだ。
お食事の後はお片づけ。 衣装のまま跳んできたスケアメ組、特に女子は汚れを避けるためエプロンを着用。 ランビめっさいい気分。 「人妻炊き出し部隊の色気もいいけど、乙女の恥じらいも素晴らしいよアハン」 出遅れてエプロンを借りそびれてしまった今井遥は、やむなく織田嫁の割烹着を借りることに。 「似合う……(ゴクリ)」 ランビがアハンを忘れるほどの似合いっぷりである。今井本人は気づいてないが。
化粧室で語らう金髪美女二人。ヘルゲソン姉妹である。 ヘルゲソン姉「ねえヨシちゃん、あなたヘアメイクしてる時の顔怖い」 ヘルゲソン妹「集中しちゃうとマジ顔になるわね。それだけ真剣な証拠」 姉「あのね、こうして二人きりの時はいいけど、いつカメラに抜かれるか わからない客席で、ヘアゴムくわえて必死に髪を梳かすのはやめなさい。自分の 点数待ちで緊張してる時にあんたの仏頂面映されて、吹き出しそうになったわ」 妹「うはw和ませたw まあカメラは気にしなきゃいいじゃん」 姉「あなたのためを思って言ってるのに……今後は気をつけて」 妹「ハーイ。お姉ちゃんを見習います」 姉「本当に?まあ見た目はともかく実年齢は子供みたいなもんだし、しょうがないか」
ライサ&リューキンは「話が長引く可能性もある」と結局アボットを連れて大王と会談。 「イカ宮城周辺100km圏内の漁は朝3時から昼11時まで、20km圏内は終日禁漁、が当国の希望です」 「了解致しました」 長引くどころか5分で終了してしまった。 「ところでそちらの下がり眉の方はどなたかな……?見覚えはあるのですが」 「バンクーバーオリンピックに出ていたジェレミー・アボットですよ。ほら坊主、ご挨拶!」 「はじめまして!イカ宮城はすごくファンタスティック!アイラブイカグージョー!」 「ハハハ。喜んでいただいてなにより。今宵は客室でごゆるりと旅の疲れを癒してください。」 大喜びしながら廊下でステップを踏むアボットの前に立ちはだかったのは―― 「ユカ!……ごごごごごごごめんなさい!」 「十分リゾートを堪能したようね^^その間にアリッサは結果を出してるわ^^」 去りゆくアボットを見送り、ライサとリューキンは家族ごっこの思い出を噛み締める。
深夜。ジョニ子は大王イカに呼び出され、彼の執務室で王妃の供する昆布茶を啜る。 応接テーブル上の紙片を一瞥するなり、ジョニ子は苦笑した。 「皇太子妃選定委員、アタシでいいのかしら」 「即決はしない。ただ事前にあなたの意見を伺っておきたいのだ」 「ジョニ子さんは人を見る目が肥えてらっしゃるから…ご婚約おめでとうございます」 「ありがと。幸せになるわ。では早速候補者リストを拝見…あら、この子は彼氏いるわよ。 この子はソチ代表最有力候補だから、自国のスケ連が手放さない。この子とこの子もそう。 この子は引退後の進路が決まってるし…みんな即お嫁入りなんて無理ねぇ」 「すぐにとは申しません。お友達として交際を始める事すら無理でしょうか?」 イカ王妃の目が潤んでいる。 「うーんどうかしら。王妃様イチオシはこの子で、大王様イチオシはこっちの子でしょ?」 「…一発で見破られましたな。さすがジョニ子さん、あなたは只者ではない」 「そりゃあこのスレの主役ですもの!みんな忘れてるけどね!ホホホホホ!」
「アーチャ!リーザねえ、すごくがんばったんだよ!ねえ見ててくれた!?」 一番に跳んで帰ってきたタクタミシェワは、広間でガッちゃんを探しまわる。 「あれえ?どこいっちゃんだろ。?」 「リーザ・・・こっちこっち」 ガッちゃんはカーテンの陰に隠れ、右手だけ出してそっと手招きしていた。 「なあに?かくれんぼ?」 「あまり大きな声出さないで。君の演技は素晴らしかった。いつかじっくり語り合いたい」 「今じゃダメなの?」 「うん、リーザにしっかり休息をとってもらいたいし、ね?」 納得して笑顔で立ち去るタクタミシェワに見えないよう、ガッちゃんは頭頂部の2段タンコブを撫でた。 「うちの先輩たち怖い・・・でもゲンコツ1つずつで済んだのは、シーズン中だから遠慮してくれたんだろうな」
「また何かお宝探してるんだって?
>>458 であげた羅針盤使えばいいのに」
カナダから跳んできたハビエルが首をかしげている。
全員「それだー!!」
Pチャン「・・・つかその前に俺に何か言う事ない?」
ジョニ子「ああ、アンタが羅針盤持ってるんだっけ?出しなさい!」
Pチャン「ちがーう!!もういい!」
拗ねて隅っこに体育座り。ロシェットとバトルが慰めに行く。
「じゃ、羅針盤出すよ。金銀銅パールの所在はどこですか!?」
wktkモード全開チャッキーの手のひらの上で、羅針盤はクルクルと針を回し始めた。
皆はwktkで針が止まるのを待っていたが… 「…止まらないよ」 「何で?何でだよーorz」 若手、特にチャッキーの嘆きを傍に、冷静な女性陣が意見交換。 「もうお妃候補選定されたのかなー?」 「ううん、質問の仕方が悪かったんじゃない?」 「というか、まだここにあるんじゃないの?」 確かに少なくともひとつはイカ宮城にあるぞ。
大王イカ「ジョニ子さんに相談しても、皇太子妃候補を一人に絞り込むのは無理か」 王妃イカ「先日スケーターズの皆様にプレゼントした真珠の中に、うっかり金銀銅パールを 混ぜてしまいましたの。それを手にした方に皇太子妃になっていただくのはどうかしら」 大王イカ「なるほど。元々は皇太子妃候補上位者に捧げる予定だった宝だったな、あれは。 皆、比べようもないほど素晴らしい女性たちだから、最後は運の強さで選定か」 王妃イカ「皇太子妃が3人なんて一夫多妻制はエヴァン(イカの方)には荷が重すぎますわね」 大王イカ「うむ。金銀銅全てを手にした女性ただひとり、と限定すべきだ」 羅針盤の針はまだクルクル回っている。 金パール所有者はすぐ傍でママに抱っこされてウトウト。銀・銅パール所有者は中国行きの飛行機内。 「なんでまた飛行機トラブル?海難よけのお守りって空路には無効?」とへそを曲げている。 羅針盤は、どちらを指していいかわからずオロオロしているのだった。
「あーじれってーなもー」 チャッキーの手から羅針盤をひょい、と取り上げたのはヤグディン。 「金!」 一言、羅針盤に向けて怒鳴る。羅針盤はびくっと飛び上がり、その針はぴたりと静止した。 「…え?」 全員絶句。針はヤグディンを指して微動だにしない。 実際は背後のトト、に抱かれているリーザを指しているのだが、誰も気づかない。 何人かの脳内には『俺は金』が流れているかもしれない。
「ちょっと!なんでアリョーシャが金なんだよ!貸してっ」 プルがヤグディンの位置と取って代わり羅針盤をかかげて問う。 「金!」 勿論、針はプル(の後ろのリーザ)を指す。 「ほうらね、やっぱり」 「なんだこりゃ。おい、ハビエル!これ壊れてんじゃねぇのか?」 「どういう意味だよ!さっきのがおかしかったんだって!」 ナンデス「壊れてるなんてひどいですよぅ… ;」 Pチャン「泣くなよハビエル、これからはお前の時代だろ?」 Jテン「パトリックは試さなくていいの?“『俺は金』判定器”」 ナンデス・チャキ「そんな名前じゃないよっ!」 Pチャン「ふ…、俺も大人になった…。人生の目標を達成したからな」 リッポン「ああ、パンツの投げ込みがあったんだっけ?ルームナンバーは書いてあった?w」 Pチャン「そこまではいい。まあ、そう妬くなよアダムw」 リッポン「へ?なにが??」 今日も今日とてワグナー、未来をしたがえたリッポンはキョトーン。
「そうだ!あたし中国行かなきゃ!」 未来はすぐさま3ルッツで飛び立ったはずが・・・ 「きゃー!!!!」 自爆。結果何処かへ消えてしまった。 「ミライちゃん!」 悲痛な叫びを上げるエヴァン(時期イカ大王) 慌てふためくスケーターたち 「ここもあと約92kbしかないんだ!手っ取り早く見つけないと!」 「いまこそ羅針盤の出番なんだ!!」 羅針盤に群がり未来の行方を占うスケーターたち。 その針が指した方向とは?
針が指した方向は――南。 ヤグ「で、具体的にどこだ?」 ハビ「そこまではちょっと・・・地道に探していくしかないんじゃないかと」 バトル「あー、シベリアお宝探しみたいに?きつかったよねえ」 Jテン「思い出したくもないです」 涙ぐむエヴァン(イカの方)が10本の足を絡ませながら走りだす。「とにかく行くなう!」 「待ちな!」そこに現れる、ねじり鉢巻姿のリューキン。背後には大漁旗を掲げるライサ。 「そんな時こそ漁船だよ。焦ってウロウロして体力消耗するのは上手くないね」 リューキンに飛びつくエヴァン(イカの方)。船に乗り込む有志一同。 美姫「漁船の名前、まだ決まってないの?だったら信太号ってどう?」 ロシェットは難破船近くの島に置き去りにしていたピンクバスを回収。 「船酔いが怖い人はこっちに乗って!」久々の出番でピンクバスはエンジンを奮い立たせる。
バランスを崩した未来の落下先は南大西洋のど真ん中。 横倒しの姿勢のまま、体勢を立て直す間もなく碧い海に……と、その瞬間、 彼女の体は弾力溢れる何かに包み込まれ、軽くバウンドした。 「アタシ、ナイスキャッチwwwねえ褒めてー!」 「イシイルカさん!」 まさかの再登場である。 一人旅を楽しんでいたイシイルカは、ふとただならぬ気配を感じ上空を見上げたという。 「そしたら女子スケーターが降ってきてビビったwwウケるww試合サボっていいのー?」 「よくないんですぅ!中国に跳ぶ予定だったのに失敗しちゃって」 「そんじゃアタシ中国の港まで送っていこうか?エヴァン(人のほう)の身内じゃほっとけないし」 スレ時間ではちょくちょく歪みや遅れが起きるのだが、それでもイシイルカの泳力で 南大西洋から上海までの大移動、はたして間に合うのだろうか?
イシイルカ「アンタ連戦なんでしょ?疲れてない?」 未来「そういう事、言ってられないんで・・・がんばりますぅ」 イシイルカ「よーしその意気だ。神様はアンタの味方みたいだしwww」 未来「どうしました?」 イシイルカ「ま、いーから後ろ見てみー?」 振り返った未来の目に映ったのは、ライサが大漁旗を掲げる漁船(+ピンクバス)。 ライサ「シューズと衣装届けに来たぞー!」王子イカ「未来ちゃーん!」 未来「・・・エヴァン(人の方)!それにエヴァン(イカの方)!」 イシイルカ「なんかややこしくね?」
一方、銀銅パールの持ち主は表彰台の真ん中にいた。 「2年ぶりのGPS優勝・・・これはきっと」 「あたしのおかげよね?^^」 「はい・・・・・orz」 ユカさんは今日も美しいです。
ピンクバスへ乗り込んでいたマカロワ、ヘルゲソン妹、シズニー、ゲデ子は和んでいた。 シズニー「やっぱりピンクはいいわね」 ヨシ「かわいいよね〜」 マカロワ「女の子だったら誰だってピンクは好きよね」 ゲデ子「もう少し薄くしてベビーピンクも素敵かも」 ピンクバスの体温(?)が上昇する。 サムソン「私達もピンク娘卒業ね」 ギルス「新しい子たちが出てきちゃったからねー。解散総選挙?」 アグネス「なによー、二人とも抜け駆けして途中で衣装替えたくせに。 でも、もっと増えたら楽しいわね。○KB48みたいな?」 一方こちらはPチャンとチャッキー。 「んで、存分にスライム退治は出来たのか?」 「だからそれはドラクエだって…。もう、いいよ…」
チャッキー「第一、今季はクロノ・トリガー推しでないと」 Pチャン「スクエニで鳥山明なんだから、どっちでも同じだろ(ハナホジ」 チャッキー「大雑把すぎ!」 呆れるチャッキーの隣に鎮座するのは、ファンからプレゼントされたかわいいケヴィンくん人形。 Jテンがこっそりとチャッキー人形(殺る気モード)にすり替える。
「ちょうど日本に来たという事で、私たちはこのへんで失礼します」 織田妻が信太朗くんを背負ってピンクバスを降りる。もちろん織田も大急ぎで後を追う。 信太朗くんがぐずっている。かわいいガールフレンド、リーザちゃんとの別れを惜しんでいるのか。 NHK杯参加組もついでに下車。 趣味の1つとして釣りを挙げているガッちゃんは、漁船の縁で釣り糸を垂らしているのだが、 ここぞというところで釣果に恵まれず大魚を逃す。 「やれやれ。30階から飛び降りたい気分だ」 「しょげてないでマグロ釣って」「いーやアナゴを釣れ」僕様&俺様は言いたい放題。
「そろそろリフレッシュ休暇も飽きたし復帰しようかしら。 そうだ!金パールをペンダントにするとアタシらしいわ。貰っちゃいましょ」 「ワールドやソチに繋げるためにも、次のロシア大会で実力100%発揮しなくちゃ。 そうだ!パワーストーンとして金パールをお母さんお手製ブレスに追加しよう」 深夜、ピンクバスの中でぐっすり眠るチャッキーの傍に忍び寄る影2つ。 膝の上に置かれたバッグに手が伸び――「あれ?」×2 月明かりの下、顔を見合わせるエマと羽生であった。 「ちょいとアンタ、子供のくせに何夜這いかけてんのイヤラシー」 「夜這い?僕はですね、彼本人に用があるわけじゃないんです」 「へーそうかしら?まあいいわ。アタシ羅針盤みつかればどうでもいいし」 「僕もです。急いでるんで先に貸してください」 「かわいい顔に似合わず強引ねアンタ。でもそういう子嫌いじゃなくてよ」 「好きですか。じゃあ先に貸してください」←羽生にエマ流の牽制・甘言は通用しない。 小声で言い合っていると、チャッキーはムニャムニャいいながらバッグを抱きしめてしまった。 無言のうちに停戦。エマと羽生はそれぞれ何食わぬ顔でチャッキーから離れる。 「もうこの際銀でも銅でもいいわ。金は宇宙人が絡んでそうでややこしいし」 「今使ってるブレスだと色的に金より銀の方が合うな。ご利益少ないかもしれないけど」
「ふわああああ〜、よく寝た・・・ ん?ケヴィンどうした?」 「いや、なんか凄く夢見が悪くて・・・二匹の妖怪に襲われたみたいな・・・」 Pチャンの隣でぼさぼさ髪のチャッキーが眼をこすっている。 「あれ?妖怪といえば、エマがいないよ」 とバトル。ピンクバス内や漁船の方を探しに行っても姿は見えない。 「復帰するって噂は聞いてたけど、本気だったのかなぁ・・・」 「ねw まさかと思ってたけど嬉しいニュースだわ」 感慨に耽るバトル、ロシェットの隣でPチャンがぽそっと呟く。 「・・・俺、ジョアニーにも期待してるから」 「あら?可愛い事を言ってくれるわねぇ」 ロシェットはかつてのカナダの弟キャラの肩を抱き寄せてよしよしした。 ジョニ子「何よもう、先越されちゃったわ〜。復帰復帰と嘯いてる誰かさんとは大違いね」 ライサ「誰のことだ?その科白そのまんまお前に返すぞ!」 羽生「僕はジョニーさんを信じてますよ。一緒の試合に出られたら嬉しいです♪ あ、ランビエールさんもまた復帰してくれたら嬉しいです(ニコ」 ランビ「ええ〜そんなこと言われたらその気になっちゃうな〜(ニコニコ返し」
「皆さんのおかげで、中国杯に間に合いましたぁ。ありがとうございますぅ」 試合を終えて一段落した未来は、漁船メンバー・ピンクバスメンバーに礼を言った。 「エヴァン(イカの方)が真っ先に飛び出していったのよ」 サーシャの発言に、エヴァン(イカの方)は赤黒くなりながら10本の手足をバタバタさせる。 「焦っちゃったから、あの、漁船出してくれたのはナスティアだし、バスはジョアニーが」 「気持ちが嬉しいんですぅ。あ、キャッチしてくれたイシイルカさんにもお礼を」 「もう旅立っちまったよ。気まぐれな女だ」 リューキンが漁網を繕いながら答えた。「今頃どこの海をうろついているのやら」 「はー、イタタタ。唇に傷がついちゃった。あんなガキにひっかかるなんて、ヤキが回ったかな」 イシイルカはあっさりガッちゃんに釣られていた。 そして「マグロかアナゴじゃないと怒られるんで、お引取りください」とキャッチ&リリースされた。 食べられてしまうよりマシだが、とんだ災難である。
リッポンは有香コーチから「お誕生日祝いをしましょう^^」とメールを貰い、大急ぎでデトロイトへ。 「ではさっそく誕生日用特訓メニューで練習よ^^」 「……そういう事だろうと思ってました('A`)」 しこたま練習を済ませリンクを出た瞬間、アボットと出くわした。 「やあ!これから血ヘドを吐くまで練習なんだ;)」 「僕もう吐いてきたところです。誕生日だってのに」 「今日?なんかお祝いしなきゃ!こないだ拾った綺麗な石あげる」 「小学生ですか、あなたは」 苦笑するリッポンの前に差し出されたのは、銅パールだった。 「こ、これ!?(女の子たちが血眼になって探してたやつじゃないか!)」 誰に渡したものか?リッポンはその答えを出せないまま、取りあえずピンクバスに戻る。 「あ、ポケットの奥にもう一個あった。こっちあげたらよかったのかな」 銀パールを掌で転がすアボット。そこに有香コーチ登場。 「ユカにはいつもお世話になってるから、これあげる」 「あら素敵^^通常より念入りに指導しなきゃね^^」 「オーマイガー!:((((((((((((((((((((((((((((((((((((」 有香もイカ宮城にいたのだが、パール騒動には関与してないので事情を知らない。
迷いに迷ったリッポンは、夜更け、こっそりとジョニ子をバスの外に呼び出した。 「銅パールです。ジョニ子さんが持っていてください」 「まあ!・・・やだ、困るわ。気持ちは嬉しいけど、アタシには心に決めた人が」 頬を染め両手で顔を覆うジョニ子。困惑するリッポン。 「そういうんじゃないですから安心してください。ひょんな事で僕が持つはめに なり、持て余しちゃってます。ジョニ子さんなら最良の判断をしてくれるかと」 「あらラブ度ゼロ?・・・まあいいけど・・・最良の判断、ねえ」 「イカ王妃様に返すなり、ジョニ子さんが認めた女子スケーターに渡すなり」 「アタシがこのまま所有するなり?」 「それもありだと思います」 キッパリ言い切られ、ジョニ子は思案顔。「まあ、しばらく預かるわ」
NHK杯以来、北海道Tシャツを後ろ前に着て手ぬぐい鉢巻をする「マイナーくんごっこ」、 ジャケットの胸元からエイリアンの代わりにエヴァン(イカの方)をチラ見せする 「メンショフさんごっこ」、仰け反るエアギターの「町田くんごっこ」が流行中のピンクバス内。 鉢巻しめてエヴァン抱えてエアギターに興じるPチャンを見て、ロシェットは頭痛を覚えた。 「パトリック、そろそろ出かけなくていいの?」 「どこに?」 「……カロリーナ、この子の引率お願い!」 「承知したよ!ほらエヴァン(イカの方)置いて。いざパリへ!」 エリック杯参加組が続々と飛び立っていく。
パリに到着し、練習も一心地ついたチャッキー。名残惜しそうに羅針盤を手にする。 「本当に壊れちゃったのかなぁ… 羅針盤よ、金パールは本当はどこにあるの?」 すると、針はくるくると回り北東はロシアの方角を指す。ヤグ一家も子連れという事で流石に自宅へと帰っていた。 チャッキー「こ、これはっ!」 リッポン「なるほど。パトリックがエリックで金を逃すという暗示だね」 Pチャン「貴様、滅多なことを言うなーーー!!!」 リッポン「お返しだーーー!!!」 チャッキー「そうじゃなくてっ!やっぱり壊れてなかったんだよ!早く探しに行かなきゃ(喜」 二人「はっ、そうだった」 すぐさま飛び立とうとする三人の首根っこをコストナーさんが慌てて捕まえる。 コス「こらっ、君たち違うでしょ!まずは試合だよ!」 三人「はっ、そうだった」 一方、どこぞの場末のスナックで、エマは独りごちる。 「復帰失敗しちゃって体裁悪いわぁ。手土産にパールの一つでも見つけてかないと帰りにくいわねぇ」 そして、ピンクバスのバトル。 バトル「・・・・みじけぇ夢だったな」 小塚「クロトワ乙」
エマ・羽生「「さすがに今羅針盤見せろなんて言えない。パールに頼らず 自力のみでのし上がらねば!ケヴィンの分までがんばる!」」 冒険小僧・チャッキーの快癒を祈る気持ちは誰だって一緒。 美姫「さあみんな!私の折り方をよく見てね」 経営者「こういうチマチマしたのって苦手・・・三角に折って、それから?」 バトル「本当に鶴を1000個折ればケヴィンは治るのかい?不思議なおまじないだ」 ロシェット「おまじないってそういうものでしょ。パトリックの風邪の分もあるから2000個よ」 グレボア「(ああ、何度やり直しても奴さんになってしまう!どうしてかしら)」 マイアー「(私はだまし舟になっちゃう)・・・と、とにかく祈りをこめましょう」 セベスチェン「(久々の出番がこれ?)クリスの怪我の分もあるから3000個!」 ランビ「トマシュとブライアンとノブナリの分もあるから、もう3000個追加だよアハン」 なんやかんやで1億個がノルマ。
美姫「ジェレミーが怪我して流血してる!折り鶴追加っ!」 未来「了解!」 美姫「……未来ちゃん、なぜ左手だけで折ってるの?」 未来「攻殻機○隊の動画を見たので、マネしてみましたぁ」 あっという間に綺麗な折り鶴が一羽完成。 未来「早く、ジェレミーの掌の傷が癒えますように」
結局2億を超えた千羽鶴がピンクバスの天井からぶら下がり、壮絶な暖簾状態になってしまった パレード(+彼氏との寿司ディナー)帰りでウキウキしているジョニ子は、ここぞと仕切りまくる 「じゃあ千羽づつ怪我した選手に配りましょう。アダム!アンタはジェレミーに持っていってあげて ミハルはもう戻ってきた?トマシュんちへよろしく。あ、ついでにリード家寄ってきたらどうかしらw」 「つまり2軒分僕が担当ですね。でもそれはそれでいい♪」 「よかったわね〜wwwユヅルもいる?」 「います。まだ夢心地です……僕、ファイナルいっちゃう系?」 「おめでとう!帰国するならノブナリんちにこれ、おねがい」 「夢心地のままいってきまーす!!ぼ、僕はやったぞー!」 やれやれ騒々しいなあ、と後部窓際の席で傍観していたJテンに、ジョニ子が千羽鶴を一束差し出した 「アンタが怪我してたの忘れたわけじゃないのよ。長い苦しみの末、着実に歩み始めた事も知ってる」 「ちぇっ。知らん顔してようと思ったのに」 プイとそっぽを向くJテンの頭に、Dテンがそーっと折り紙の兜を乗っけてやった。
「ぼ…僕やりましたよ」 「おめでとうなぁ、ユズ」 「ユズじゃなくてユヅルです、いい加減覚えて下さいね先輩」 「ば〜ぶぅ〜」 「ハブじゃなくてハニュウなんだけどな…あーっプーさんは僕のだからダメ!」 「シンタロー、プーさんなら今度買うてあげるから、今は折り紙で遊んどき」 信太朗がやっこさんとダマシブネで遊ぶ傍らで、信成の奥さんが、そっと窓際に千羽鶴を飾っていた。
比較的時間に余裕のあるメンバーだけ乗せて、ピンクバスはイカ宮城に向かう。 「ごめんなさい。ボクが焦って飛び出してしまったせいで、迷惑かけたなう」 恐縮するエヴァン(イカの方)に、運転席のロシェットは優しく微笑む。 「気にすることないわ。あなたは勇敢な王子よ」 「そうよそうよ!ところでお嫁さん探しはどうするの?」 唐突なジョニ子の発言にたじろぎ、エヴァン(イカの方)はつい赤黒くなる。 「ご両親の希望はともかく、アタシはアンタ自身の意志が最優先されるべきだと思うの」 「・・・・・・」 窓の外を見つめるエヴァン(イカの方)の視線の先には、仲睦まじい漁船カップルがいた。 リューキンが一本釣りしたマグロを、ライサがすかさず引きずり上げる。見事な共同作業だ。 「・・・・・・(お互いを尊重し、信じあえるようでないととダメなう。ボクはまだ未熟なう)」
イカ宮城の大広間で、大王イカ・王妃イカが頭(の菱形のヒラヒラ)を寄せ、悩んでいる 「結局、金銀銅パール全てを備え持った女子スケーターはいない、という事か」 「そのようですわ。どうやって皇太子妃を決めたらいいのでしょう」 そこにジョニ子がシャナリシャナリとモデルウォークで歩み出る 「エヴァン(イカの方)に決めさせちゃいなさいよ。息子の見る目を信じたら?」 「うむ――エヴァン(イカの方)、どうするのだ?」 大王イカの問いに、王子イカは一瞬固唾を飲み、しかしはっきりと答えた 「今の僕にはお嫁さんを選ぶ資格がありません。保留なう!」 大広間に集まったスケーターズが全員足ズッコケをする中、ジョニ子が慌てて立ち上がった 「保留!?好きな子いるんでしょ?言うだけ言ってキープしとけば?」 「言いたいのは山々だけど、そうする事で彼女に負担をかけてしまうなう ……彼女が世界の頂点に立つまで、己を高めつつ静かに見届けたいなう!」
「・・・・エヴァン(イカの方)の気持ちはよぉっくわかったわ」 一拍間をおいて、ジョニ子はもっともらしく頷いた。 「それでこそ男の子よ、イカ王子よ。相手の女の子の立場も尊重して、 そして、自分自身ももっといい男になろう、っていうのね! そうして、成長した暁には白いイルカに跨って彼女を迎えに…あぁんロマンチック!」 未来「なぜ、城みちる」 本田「未来ちゃん、相変わらず日本文化詳しいねー」 「そういう事ならあなたにこれを返さないといけないわね」 と、ジョニ子が懐から取り出した物は・・・ チャッキー「ああっ!銅パール!!」 Pチャン「なぁんだ、やっぱりジョニーが持ってたのか。 そんなにトロフィーワイフになりたいだだだだだだだだ……!」 すかさずリッポンがPチャンの肘関節を決める。 リッポン「あれは僕がひょんな事から手に入れて、ジョニ子姐さんに託したんだよ」 Pチャン「わかった、わかったから!冗談だよ!離せっ、俺、病み上がりっ!!」
リッポン「金パールと銀パールはどこなんだろう?」
Pチャン「推理始める前に関節技を解けー!!(必死にタップを繰り返す)」
ジョニ子「……でもほんと、どこにあるのかしら?」
同時刻、ロシア某所
ヤグディン「せっかくの休日だってのに天気悪いな。リーザ、お絵かきでもしようか」
ttp://thuploader.orz.hm/1mup/dat/1mup_04014.jpg リーザ(ヤグ娘)「……(これ、ネコなの?犬?鬼?まあいいや)プレゼントー」
精一杯の感謝の気持ちを込め、彼女は大切な金パールを父に捧げた。
ショーを終えた愛妻を空港まで迎えに行き、笑顔で帰宅のダンジェン。 「ユカは働き過ぎじゃないかな。氷上の君は最高に美しいけどさ」 「ありがとう^^これからもっと忙しくなるからよろしくね^^」 「(仕事をセーブする気ゼロか・・・)クリーニングに出す衣類はまとめてある?」 「たくさんあるの^^運ぶの手伝ってくれる?^^」 「お安い御用さ!」 衣類の山を運ぶ最中、その中の一着のポケットから、銀色の粒がポトリと落ちた。 「ユカ、これ何?」 「なんかジェレミーがくれたの^^どこかで拾ったんでしょうね^^いる?」 「それじゃいただくよ。おっと、掃除なんて僕がするから座ってお茶でも飲んでて」 包装してなくて剥き出しのままだし、どうせオモチャだろう――とダンジェンは判断した。 しかしなかなかの輝きである。 クリスマスのプレゼントは購入済みだが、これをアクセサリーに加工して添えるというのはどうか? 自分の思いつきにワクワクしつつ、ダンジェンは銀パールをポケットにしまった。
「みんな!突然で悪いけど、真央のママのために鶴をあと一億追加よ!」 イカ王宮でも急遽始まった折り紙大会。 エヴァン(イカの方)が十本の手足を駆使して、一度に折り鶴を三羽量産している。
アーミン「エヴァンに負けじとがんばったら、両手でいっぺんに2羽折れました!」 バトル「勢い余って連鶴ができてしまった!」 キャンデロロ「折った鶴が飛んだー!!!誰か捕まえてくれ!!!」
スケーターズ折り鶴部隊は、ガクリと肩を落とした。 沈黙に包まれる大広間で、色とりどりの折り鶴がふわりと舞い上がる。 静かに空高く飛び、やがて見えなくなった。
その頃、日本のとある場所で… 「それにしても真央、一体何なのかしらね、その折り鶴」 「さあ…でもホントのこと言っても誰も信じないよね? カナダの空港に突然折り紙の鶴が飛んできて、超スピードで名古屋まで運んでくれて おかげでママの最期に間に合いました…なんて、ねえ?」 何のことはない、キャンデロロの折り鶴がひと仕事しただけのことである。 「舞!あれ見て、また折り鶴がたくさん飛んできたよ!」 イカ王宮から飛んできた、スケーターズの思いのこもった鶴の大群。 真央たちのところまで来ると、一斉に色とりどりの花に折り変わって 棺の周りを彩ったのであった。
夜半、サーシャ・コーエンはジョニ子からのメールを受けた。 「今はアトランタで彼氏とラブラブ!じゃないの?ノロケだったらシカトしよう」 メールには 「今度のショー、彼氏のご両親が見に来るって!どうしょうっ!?くぁwせdrftgyふじこlp」 とあった。 いつにない狼狽えぶりに苦笑し、サーシャは直接電話してみる事にする。 「どうしたのよジョニ子、あなたらしくもないw」 「彼氏の両親に挨拶とか、えーと何年ぶりかしら」 「今度は婚約もしてるんだし『不束者ですが末永くよろしくお願いいたします』でいいんじゃない?」 「やぁだ!アタシふしだらじゃなくってよ!」 「そんな基本的なボケはいいから。自然にしてなさい。ありのままの姿が一番素敵だから」 「やぱりそうよね。サーシャに相談してよかったー。あ、彼がお風呂から出るから、じゃーね」 忙しなく電話を切られ、サーシャは再び苦笑する。 「ずっとフォローばかりさせて・・・絶対に幸せにならないと承知しないんだから!」
そして極寒の地ロシアでは・・・ チャッキー「さあ、大団円目指して頑張ろお!金パールを見つけたいかぁー!おー!!」 Jテン「ささささ寒いいいい…」 チャッキー「何だよ、もお!テンション低いなっ」 Pチャン「お前らそれより、俺に何か言う事はないのか」 羽生「二代目イトウミドリ襲名おめでとうございます!」 ガチ「あなたは凄いんだろうけど、毎回、何かしらネタも提供しますね」 Pチャン「・・・・その事は忘れてくれ。自尊心が傷ついた」 チャッキー「へ?傷ついたの?」 Pチャン「いや、つかないけどな」 ミハル「つけよ、少しは」 ベルネル「ミハルも他人のこと言えないよぅな〜」 リッポン「(てか、君たちナショナル…いや何から何まで現実とリンクさせる事はないけど。 それよりも…)」 Dテン「?アダム何考えてるの?」 リッポン「…女の子成分が少ない(ボソッ」 バトル「(ランビエール化してるなぁ…)」
アメリー・ラコステがこそっと顔を出す。 「あ、あの、女の子成分が少ないと聞いて」 「いいから、カナダに戻ろう」 マーヴィン・トランが大急ぎで連れ戻した。後ろで成美が大爆笑。
ダンジェンはさっそく宝石加工専門店に連絡したが 予約がいっぱいだと言われて愕然としていた 「シーズンがシーズンだものなあ('A`)しょうがないか」 しかし、ふと愛妻の誕生日が2/14という事を思い出す 「クリスマスは無理だから誕生日にプレゼントしよう!」 銀パールをハンカチに包み、引き出しにしまった
トトは夫がガラスケースに保管している金パールをみつけ、ギョッとした。 「ちょっと!これイカ宮城でスケーターの皆が大騒ぎしてた宝物じゃない?」 「そうか?どうせオモチャだろ。リーザ(ヤグ娘)が俺の絵に感動してお返しに くれたんだから、俺にとっては大切なお宝だが♪」 「こんなオモチャ、買い与えた覚えが無いわ。返しに行きましょうよ」 その瞬間、ヤグディン家の屋根がドカーン!!! 「おじゃましまーす!!」 宝探し系男子スケーターズが空から登場。 「なんだ貴様らー!!!」 ヤグディンは反射的に鉄パイプを振りかざし、彼らに躍りかかっていった。
「でででですから、僕たちは先輩の大切な宝物を奪いに来たのではなく、…っうわ!!」 必死に説明するガっちゃんの鼻先をヤグの鉄パイプがすり抜けた。 「せせせ先輩っ、落ち着いて!平和的に話し合いましょう!!」 「はあ?!平和的にだぁ?ひとんちの屋根ぶっ壊しといてよく言う…なっ!」 と、今度は頭上すれすれでフルスィング。 「ひぃ!そ、それは責任もってこのケヴィンとパトリックが」 「なんでだよっ!」 「よぉしケヴィン、今度はクレムリンと赤の広場を再現しようぜ」 「なんでそこは前向きなんだよっ!!」 若手らの悶着など意に介さず、ヤグディンはすっと鉄パイプを構え直す。 「…ふん、話し合いだの平和的だの、最近の若いのはなまぬるいな。 男なら拳で解決しやがれ!!」 若手一同「鉄パイプじゃん!!!」
トトがスケーターズの人数分、鉄パイプを用意しはじめた。 バトル「奥さんっ!そういうのはいいです!遠慮します」 トト「あらやだ、釘バットの方がよかったかしら」 バトル「そうじゃなくて」 トト「ごめんなさいね、気が利かなくて」クローゼットから大鉈を取り出す。 バトル「話を聞いてくれー!」 羽生「お寿司を届けに来たのです(小僧寿しの2580円パックを差し出す)」 ヤグディン「よし、まずは話しあおうじゃないか」 ガッちゃん「た、助かった・・・」 へたりこむガッちゃんを、羽生がジャスティン・ビーバーEX冒頭の不敵な笑みで見下ろす。 P&チャキコンビは慣れた手つきで屋根の修復にとりかかる。 「大聖堂の設計図ほしいな」「やめようよ」「レーニン廟再現しよう」「やめようって!」
「――そういう事情なら、俺が金パールを所有すべきじゃねえわ、確かに」 ヤグディンは満腹になると、急に物分かりがよくなった。 ただ、部屋の隅で自分をじっと見つめる愛娘・リーザを振り返り、ため息をつく。 「でも娘が納得するかな。何しろ最愛のパパへの初めてのプレゼントだから」 リッポンがPチャンとチャッキーに背中を押され、ズリズリと前に出てきた。 「なんで僕が説得係?」 「幼児といえど相手は女。王子様キャラのお前が行くのが確実」 「・・・・弟妹の面倒を見てきたから、子供の相手は得意だけど」 「だよね?さあ行こう!ところでなんか、王子ボンバーとか出せない?」 チャッキーのムチャぶりに、リッポンは形だけかめはめ波を撃つようなポーズを取る。 「お、王子ボンバー!」 すると手の中に小さなブーケが出現した。 「「すげー!!!」」 「リーザちゃん、お父さんへのプレゼントはとある国の宝だから、返さないといけない。ごめんね」 騒ぐPチャキを張り倒してからブーケを差し出すと、リーザ(ヤグ娘)はコクンとうなずいた。 リッポン自身、スレも終盤にさしかかった頃に発動した能力に当惑。 「花売り少年ネタなんてもう誰も覚えてないだろうに・・・・」
ヤグから無事に金パールを貰った宝探し系男子スケーターズは、ひとまずジョニ子宅へと向かった。 羽生「おみやげケン○ッキーでよかったかなぁ?」 ミハル「俺はクネードリキ持ってきた」 ベルネル「チェコのお袋の味だね。よかった、ミハルは身も心もアメリカ人になった訳じゃないんだね」 ミハル「いやあ、結婚なんてまだ早いっすよ〜」 ベルネル「うん、結婚なんて一言も言ってないよ」 リッポン「結婚、結婚かぁ… ジョニ子姐さんもとうとう結婚かあああああ」 Dテン「後輩としては感慨ひとしおなの?w」 ガチ「結婚してくれてよかった… 本当によかった… ;」 プル「そういえばアーチャと結婚なんてネタもあったねぇ、あれ、ブライアンとだっけ?」 ジュベ「違うっ!」 バトル「二人ともいつの間に」 美姫「だってウェディングドレスのデザイン見たいもの〜」 未来「お色直し何回しますかねぇ〜」 アモ「俺たちも二次会なら呼んで貰えますかね?姐さん」 チャキ「って、ちょっと君たち!まだ銀パールは見つかってないからね!何まとめに入ろうとしてるの! 僕たちの冒険はまだまだ始まったばかりだっっ!」 Pチャン・Jテン「あきらめろん(・∀・)」
ジョニ子「みんなが来てくれたから張り切っちゃう!存分に聞いてね」 favorite things語り=ノロケは通常の自伝語り以上に濃厚かつ長大なのだった。 バトル「さすがに30時間超えると胸焼けしてきた。嫌なクリスマスだ」 ランビ「いいじゃないか乙女語り。出会った記念日に結婚とかロマンだよアハン」 美姫「箇条書きにしてあとで読ませて。肌荒れ防止のために眠らないと」 アモディオ「了解!我が命に替えても!ところでユヅルどこいった?(代筆させるつもり)」 羽生「中座して全日本選手権で銅メダル獲ってきました。ああ疲れた。寝ようzzz」 チャッキー「(小声)こっそり銀パール探しに行こう。大勢いるからバレないって」 Pチャン「わかったわかった。羅針盤はどこ指してる?」 Jテン「なんかそう遠くないところっぽい。細かく確実に刻進んでいこうぜ」 身代わりぬいぐるみを3つ(サンタ・トナカイ・殺人人形)置いて、メープルズ脱走!
なんやかんやで、どうにかデトロイトまでたどり着いた若手男子メープルズトリオ。 「ここダンジェン夫妻の家じゃないか。羅針盤、ほんとにここでいい?」 チャッキーが問いかけると、羅針盤は針を上下させて肯定の意志を表す。 「うなずいてるっぽいな。訪問してみよう。切り込み隊長パトリック、君が行け」 「なんでだよ。こういう時こそ妙に落ち着きのあるジェレミーが」 「冒険したがってたのはケヴィンじゃなかったっけ?」 「これは僕が望んでいた冒険と違う!なんか訪問販売みたいじゃないか」 3人は面倒な役割をなすりつけあって、ダンジェン家の前でグルグル追いかけっこを始めた。 彼らがバターになる前に、ジェイソン・ダンジェンが買い物から帰ってきた。 「君たち・・・何してるのかな?」
「そうか。だったら本来の持ち主の元に届けてもらおう」 ダンジェンはヤグディン同様、話が早いタイプだった。 単に不審者3人にとっとと帰ってほしかったのかもしれないが。 「パトリックくんは上半身肌着だけじゃ寒くない?」 「いやこれは」 「フクスケとかいうブランドの肌着だね。ユカのパパとお揃いじゃないか! サイズが合わずにしまっていたジャケットをあげるから、着ていきなさい」 ダンジェンが厚意でくれたジャケットは、PチャンのEX衣装によく似合っていた。 「それで滑れば、肌着だけより寒くなくていいじゃん。プププ」 含み笑いがこらえ切れないJテンの首根っこを掴み、チャッキーを従えて Pチャンはデトロイトを後にした。
Pチャン・チャッキー・Jテンは、大急ぎでジョニ子宅に戻ってきた さすがにもう壮大ノロケストーリーは終了していて、スケーターズはジョニ子以外全員爆睡中である チャッキー「銀パールを手に入れてきたよ!」 ジョニ子「おつかれー!アタシこれからブライダルエステ行かなきゃいけないから後よろしく」 Jテン「後よろしく、と言われても…あ、金パール渡されちゃったし」 ジョニ子「パトリックったらいつになく趣味のいいジャケット着てるわねw後でブランド教えて!じゃ!」 Pチャン「知らないってば……行ってらっしゃい」 3人は呆然としたまま、テンション最高潮のジョニ子を見送るしかない
リッポン「ふわあぁ… やあ、おかえり。銀パールはみつかったかい?」 Pチャン「ああ、このとおり。…お前ひどい寝ぐせだな。髪、爆発してるぞ」 リッポン「いつもだよ」 Jテン「くだらないギャグだなぁ…」 「さあ、みんな起きて起きて!パールもみつかったし、イカ宮城へ行くよ! でも油断しないで、まだ敵が潜んでいるかも!ここからまた波乱万丈紆余曲折荒唐無稽の冒険が…!」 「ちょっと待ったー!」 暴走するチャッキーを美姫がさえぎる。 美姫「今日が何の日かわかってるの?」 Pチャン「俺のたんじょう…」 美姫「ジョニーの結婚式よ!私達もお祝いしてあげないと。 買い出しして、部屋を片付けて、飾りつけして、それから余興の準備と… ほら、テキパキ動く!!」 Pチャン「おれのたんじょおび……」
羽生はヘルゲソン妹とロミジュリペアスケートの打ち合わせを開始する。 羽生「僕がまず『ジュリエットはどこじゃー!!』と怒髪天つく感じで叫ぶので 『かかってこんかーい!』と返事して、殺意全開で飛びかかってきてください」 ヘルゲソン妹「私にできるか不安・・・うっかり本当に殺っちゃったらごめんね?」 リッポンは村上佳菜子と一緒に「花売りボンバー」の練習に励む。 リッポン「お願いだからバラ出して。なにタンポポって」 佳菜子「おっかしいな。次がんばる!う、ヒマワリ出しちゃった」 男性スケーター有志を集め、美姫は「木下工務店のCMコント」を伝授中。 美姫「はいみんな、ちょっと照れつつ振り付けは気怠く滑舌はアレな感じで。 『ふぁっしょなぶるあんどりらっくす』英語っぽく発音しちゃダメ!日本語な感じ!」
Pチャン「けいおん!やろうぜっ楽器得意な人募集ー」 アーミン「ピアノできます!」 Pチャン「それなら俺はドラムに回るよ。ギター担当いるー?」 町田「エアギターなら自信あり。なんつって」 Pチャン「音はiPodで出せばいいや。日本にそういうバンドいるし」 アーミン「ベースとリズム・ギターは?」 ――左利き用ベースを(エアでも)弾きこなせる人材が現れず、計画は頓挫―― Jテン「けいおん!って女子高生がバンドやる話だろ?根底から間違ってる」
主役を迎える準備で、大賑わいのジョニ子宅。 「あのぅ、美姫さん、あのぅ」 「うん?未来ちゃんも飾り付けを手伝ってきてちょうだい」 「大晦日に公的結婚手続きを済ませたジョニ子は、夫と二人でバケーションへ」 「それ、ネットニュース?」 「はい。さっきTVでもやってました。なので、あまり急がなくてもいいかもしれないですぅ…」 「大晦日に結婚式じゃないの!?なーんだ」 部屋の飾りつけ班・余興班ともに、焦らずに済むと知りホッと一息ついた。 「時間に余裕ができたのだから、余興の完成度を上げないと。僕はやるぜ僕はやるぜ!」 羽生だけやたらメラメラしている。ヨシちゃんちょっと引き気味。
町田「バンドがダメなら時代劇はどうだろう」 佐々木彰生「いきなり呼ばれて話が見えないんだけど」 町田「侍と忍者の斬り合いって、外国人には受けると思う」 佐々木「そりゃ受けるでしょ」 町田「試しにちょっとだけやってみよう。ちょっとだけ!」 殺陣の練習を始める二人を、ミハルがキラキラした瞳で見つめる。 と、その後ろでベルネルもキラキラしている。
「みんなはジョニ子夫妻が帰宅したら即パーティー開始のつもりらしいが、 新婚旅行から帰ってきたら、夫婦二人きりでゆっくりしたいのではなかろうか。 長旅の疲れもあるだろうし、ジョニ子は荷物の片付けや自宅の掃除をしたいはず」 悩む本田であったが、後輩たちの盛り上がりに気圧され、それを伝える事ができない。 するとそこに調子っぱずれな歌声がかすかに聞こえた――Kiss Me In Publicである。 本田は窓に駆け寄り、部屋の外を見た。 夫に大量の土産物と衣装ケースを持たせ、優雅に歩くジョニ子の姿があった。 「ジョニ子&旦那様のご帰還だぞー!!」 もう撤収は諦め、宴を始めるしかない。本田はヤケになって叫んだ。
最愛の夫にお姫様抱っこをしてもらいながら、ジョニ子は部屋へ入る。 スケーターズ一同が拍手やクラッカーで出迎えた。 「ジョニ子、結婚おめでとう!」 「あら!みんな来てくれたのっ!?やだうれしー!!」 夫の腕から降りると、ジョニ子は皆に駆け寄り、各自に軍手とバンダナを手渡した。 「ちょ、これ何?」 たじろぐサーシャに、ジョニ子はとびきりかわいいエプロンをプレゼント。 「アタシたちの引越しを手伝いに来てくれたんでしょ?今日中にNYの新居へ行くのよ」 パーティー開始の出鼻を挫かれ、スケーターズは膨大な衣装とバッグを運ぶ羽目に・・・
チャッキー「毛皮が、すごく、多いです」 ガチ「バッグも、すごく、多いです」 ジョニ子「そこ!ぶつくさ言わずちゃっちゃと運ぶ」 美姫「ジョニ子のクローゼットの中身を見られるのは貴重だけどねぇ…」 未来「これだけの衣装があるのに、夏場はずっと同じタンクトップでしたよねぇ(ヒソヒソ」 ジョニ子「ん〜?ミライ〜、何か言ったかしら?」 未来「いえ、別にです〜」 お手伝いに勤しむスケーター達を尻目に、Pチャンはレイチェルとお茶を飲んでいた。 リッポン「ちょっと君たち何やってるの?作業、手伝ってよ」 レイチェル「なんか急にパトリックにお茶しに来いって誘われて」 Pチャン「うん。『放課後ティータイム』」 リッポン「まだ『けいおん!』ネタ引っ張るかな。君そんなにガチで好きなの?その趣味はどうかと…」 レイチェル「私だけじゃ寂しいからみんなも連れてきたわ。 クリスティーナにマイアにアリッサにアシュリーにアレクシに…」 リッポン「『けいおん!』って最高だね。映画見に行こうかな」 Jテン「いいから作業を手伝えよ」
荷物の運び込みを終えて力仕事部隊は休憩に入る スミルノフ「もう運ぶ物ない?大きな家具の配置替えするなら今のうちだぞ」 ジュベ「勝手に暖炉とか作っちゃおうぜママン」 経営者「すごくおもしろそうだけど、それは控えておこう、ね?」 旧居お掃除部隊(女子ベテラン勢)は、ジョニ子のハネムーンノロケを 聞かされすぎて胸焼け状態だ マイヤー「なんでもいいからスッキリする物が飲みたい。・゚・(ノД`)・゚・。」 グレボア「ホットチョコじゃなくていいの?」 セベスチェン「炭酸水にレモンを絞ったジュースを持ってきたわ」 荒川(←いつの間に?)「アイスクリームを食べればいいのに」
大人数・長時間に及んだジョニ子の引越しに対して、夫の引越しはあっさりと終了した。 「皆さん、ジョニ子のためにご尽力いただき、ありがとうございます」 スケーターズへの労いも忘れない。 「世界一素敵な新婚夫婦に祝福のプレゼントを届けにきたわ!」 おもむろにゲデ子登場である。 「この・・・ヒビだらけのガラスの靴はなんですか?」 「それを威勢よく叩き壊して。奥様と幸せに添い遂げるためのおまじないです」 「なるほど。でもそれならジョニ子との共同作業にすべきでしょうね」 頬染めて夫に寄り添うジョニ子。見守るスケーターズが立会人となる。 固く心結ばれている二人は、勢いよくベランダに靴を叩きつけた――ガシャーン!
夫の手を握りしめたまま、ジョニ子は優雅に、そして毅然とした表情で宣言する 「アタシ、(来シーズンから)競技に復帰するわ!」 新居いっぱいにスケーターズの歓声が反響した
ジョニ子の復帰宣言で、結婚パーティーはのっけから最高潮に盛り上がる。 「侍vs忍者vsジェダイの殺陣見せまーす!」 「じゃあこっちは火の鳥合戦を」 「ボレロ合戦もやらないとね」 ジョニ子新居最寄りのリンクで世界のトップスケーターが競演しているため、 一般人が押し寄せて写メ撮るわつぶやくわ、大賑わいである。 プレゼントと花束の山の陰で、エマは後輩たちをねぎらっていた。 「アンタら3人仲良く台乗りとはね〜よくやったわ」 「ああやっとこのスレで褒めてもらえた。・゚・(ノД`)・゚・。誕生日すらスルーだったのに」 感涙にむせぶPチャン、照れ笑いのJテン、そしてチャッキーはちょっと落ち着かない。 「真珠返さなくていいのかなあ(ついでに冒険したいー!)」
「ああ、その真珠の件だけど」 Jテンが携帯電話のメールを示す 「ジョニ子さんの結婚祝いとしてお納めください、とエヴァン(イカの方)から連絡来てた」 「そういう大事な事は早く言ってくれないかなあ!ううー、冒険〜」 「わりーわりーw俺も久々の台乗りで浮かれててさ」 あまり顔や態度に出さないものの、Jテンなりに完全復活が嬉しかったらしい 「最高に素敵な形でプレゼントしなきゃいけないわ。これもまた冒険よ」 エマのこじつけにチャッキーは苦笑しつつ、うなずいた
「お菓子と一緒にリュックに詰めて渡したらどうかなあ」 「いーや、ウェストポーチに詰めるんだママン」 いつのまにやら話に加わっている2人。
スルツカヤ「旦那さんに手渡されるのが一番嬉しいでしょ」 シェイ=リーン・ボーン「身も蓋もないけど、そうよね」
「真珠だったらアクセサリーにすればいいんじゃないでしょうか」 パワーストーンブレスレット作成用具一式を羽生が差し出した。
スケーターズ一人一人が、ブレスレット作成に手を貸していく 美姫「水晶の小粒を皆で1つずつ通していくって素敵」 未来「千人針みたいですぅ」 本田「だから未来ちゃんなんでそんな、まあいいや」 エマ「このスレもいろいろあったわー」 チャッキー「まとめに入らないで!冒険終わってないから!」 羽生「ガチくんのエキシ、あれもある意味冒険だよね」 ガチ「それどういう意味?(#^ω^)」 プル「勇者だって事さ。ライバルに讃えられるとは素晴らしい」 ランビ「どんなエキシも、いつかきっといい思い出になる・・・かもねアハン」 各人、それぞれの気持ちを込めて、水晶を追加していくのだった
Pチャン「水晶だけだと変化がないな。よし、アダム、銀メダルを出せ」 リッポン「やだよ!自分の出せばいいだろ、いっぱい持ってるじゃん」 Pチャン「俺のだと希少価値がないだろ」 リッポン「僕のが希少価値ってどういう意味?!」 Pチャン「えー…だってさ…、二年越しの悲願みたいなもんじゃん…(ボソッ」 リッポン「・・・・・・」 ロシェット「パトリックはどうして素直におめでとうって言えないのかしらねぇw」 バトル「ツンデレなんて初期設定みんな忘れてるのにねー」 アモ「僕の銅メダルもあげないよ。そりゃ金も持ってるけど、この銅メダルも特別なメダルだよ〜」 ガチ「・・・俺は供出してもいいかな。金じゃなきゃ意味がない」 アモ「かっこつけるなよ〜。ほうら、もっと笑って笑って〜」 ガチ「なつくな、ラテン系フランス人」 ランビ「若い子は可愛いねぇ、昔の自分達を見てるみたいだよ。ねぇ、ブライアン〜」 ジュベ「なつくな、ラテン系スイス人!」
ごちゃごちゃ言いながらできあがった金銀銅入りブレスレット (参加人数多すぎて二連になってる)を夫にはめてもらい 頬を染めるジョニ子。スケーターと観客から大拍手。 スレも449kb、現実にもスレ内にも色々あったが? 「冒険〜」「次スレに行け!」
チャッキー「嫌だー!冒険するんだー!あーもう!滑ってやる!」 小塚「僕の重要なキャラ立て要素『あーもう!』を取らないで!」 チャッキーはリンクに飛び込み、おもむろにクロノトリガーの演技を開始。 鬼気迫る勢いで観客の視線を釘付けにし、ノーミスで全要素をこなした。 エヴァン(イカの方)「やけくそクロノ大冒険乙なう」 ミライ「あらエヴァン(イカの方)、来てたの。冷凍イカになったら大変よ」 エヴァン(イカの方)「でもストーブの近くに行ったらスルメになってしまううぃる」 羽生「皆殺しロミオも行くべきですかね?べきですよね?」 ヘルゲソン妹「待ってロミオ私もすぐ行くから。お姉ちゃん、髪まとめるの手伝って」 ADSL「皆殺しと聞いたら黙って見ていられないぜ!」 マヨロフ「ちょ、先輩、落ち着いてください」 プル「やけくそと言えばカルメンだけど、今日はロクサーヌのタンゴにしようかな?」 チャッキーに負けていられない、とスケーターズがリンクになだれ込んだ。 なぜかイカやイルカやウツボもいるがご愛嬌。
「ほうらケヴィン、スライムだぞー、存分に倒せー」 Pチャンはなにやら紫色の物体をリンクへ投げ入れている。 「しつこいようだがクロノトリガーにスライムは出ない! そして今パトリックが投げているのはスライムじゃなくてウミウシっ!」 エヴァン(イカの方)「海の生物を乱暴に扱わないで欲しいなう」 ガチ「対クジラ戦の時に思いっきり切り刻んじゃったなぁ」 プル「僕、食べちゃった」 羽生「で、僕がこう、やってやるぜええええって行ったら、 ヨシさんはいつもやってるあのキレのある踵落としでこう・・・」 ヨシ「私、踵落としなんてやってないわよ。あれは振付のハイキックよ」 マヨ「老婆心ながら御忠告しますがユヅルさん、 ヨシの踵落としをまともに受けたら、生きちゃあいられませんぜ」 ヨシ「だから踵落としじゃないってば!」 どすっ…! マヨ「〜 †」
意識を手放しかけたマヨロフに、ヴィクトリア・ヘルゲソンが滑り寄ってくる 「ごめんね、ヨッちゃんはちょっとおてんばさんなの」 「(おてんばで済むかっ)……ああ、はい」 「じゃ、元気出してねー」 「それだけ言いに来たんですか!……って、もう行っちゃったし」 即立ち去ったヴィクトリアの代わりに、ラウラ・レピストが救護班としてやってきた 「このスレじゃほとんど出番なかったなー。来シーズンはがんばるわっ」 熱い決意を呟きつつ、マヨロフの介抱を手早くこなす
サラはリンクサイドでスケーターや観客達にホットチョコをふるまっていた。 サラ「みんな寒いでしょう。これを飲んで暖まって」 グレボワ「やっぱり寒いところで飲むとおいしいわね」 セベスチェン「体の芯まで暖まるわぁ」 美姫「でもサラ気をつけなさい。この時期、日本でチョコを配ると、 それすなわち全て愛の告白の意味となるのよ!」 本田「美姫ちゃんはいつもの冗談のつもりで言ってるんだろうけど、 男にとっては意外と真実だったりするんだよなー、…ズズ」 町田「義理チョコだとわかってても意識しちゃいますよねー、…ズズ」 織田「男はアホやからなー、…ズズ」 リッポン「女の子からのプレゼントは何でもうれしいよねー、…ズズ」 バトル「うん〜、チョコは誰からもらってもおいしいよ〜、…ズズズズズ」
四大陸選手権参加組が戻ってきた。 ほぼ全員が酸素ボンベを吸っている。シュコー、シュコー…… ザワツキー「みんなどうしちゃったの?」キョトーン Pチャン「ダースベーダーみたいでかっこいいぞ。俺にも貸して」ニコニコ リッポン&チャッキー「「ふざけるなっ!」」シュコー 信夫「高地に慣れているなら、使わないでいいものだからね」シュコー 久美子「でももうNYに来たから、必要ないかしら」シュコー 由香「念には念を入れないと^^」シュコー 小塚「お疲れ様でした……(殿堂入り表彰、おめでとうございます!)」
ほぼ全員、に含まれず元気一杯なのはミーシャ・ジー。 酸素酸素、になっているのはナンソン。 膝に手をやってぜーはーしている佳菜子。 彼らにもサラがホットチョコを配る…ズズズズズ リンクの上では「誰が一番イナバウアーで長距離滑れるか」競争が始まっている。 ーーーーーズーーーーーーーーーーーーーーーーズ
プル「シズカが猛スピードでリンクを飛び出して日本まで行っちゃったよ」 レイチェル「さすがに追いつけやしないわ」 ズ---------ぷ プル「とか言ってるうちに、ファッションショーの仕事で帰国してたミキを連れて戻ってきたね」 レイチェル「腰縄つけられて高速で引きずられて、ミキが前のめりに転びそうよ」 涼しい笑顔でイナバウアーを続ける荒川の後方で、桂由美デザインの ウェディングドレスを着用した美姫が悲鳴をあげている 美姫「しーちゃん速すぎ!怖い!今日は私、動きにくい格好!」
やっと荒川から解放されて肩で息をしている安藤に、すかさずジョニーが駆け寄る
「すっごーいこのドレス!あたしもこういうの着たい!ブレスレットにも真珠入ってるし!」
「はぁ…はぁ…着ても…いいけど…6キロ…」
安藤の言葉をそっちのけに、女性陣がわっと彼女を取り囲む
サラがホットチョコを渡そうとしてやめる「こぼしたら大変だわ」
>>504 を見直してため息をつくエマ
「全く、このスレは現実のほうが先走ってるわ」
「おまえが言うな」
>>563 を見直して突っ込んだのは誰だ?
「60kgならまだしも6kgなら余裕だわ!」 心は乙女でも体力は男(しかもトップアスリート)のジョニ子だ 「欲しかったらあのドレス買ってあげるよ」 そんなジョニ子に旦那はデレデレである 「でも日本円にして3500万円ですって」 「仕事増やせば買えるから大丈夫」 「でもダーリンが激務で倒れたら大変!アタシ泣いちゃう!」 「君のためならがんばれるさ、マイスウィートハート」頬にチュ(*´3`*) なんかもう甘々である――いささかウザいぐらいに
「
>>502 で背中キツキツだったくせにむぐぐぐぐ」
余計なことを言いかけたPチャンの口をリッポンがふさぐ。
「もしファスナーが弾けたら安全ピンを使えばいいよ」 美姫が笑顔を取り戻した 「ジョニ子がいつアクシデントに見舞われても、助けてあげるから」 「私もよー♪」 また荒川が一陣の風となって通り過ぎていった
ベルビン「それにしてもジョニ子ったら凄いあつあつぶりね、ねぇチャーリー?」 チャーリー「全くだ。こっちまであてられてしまうよ、タニス」 サーシャ「アンタタチモネー(棒」 ラコステ「あつあつ過ぎてリンクの氷が溶けてしまいそうね、マーヴィン」 トラン「本当だね、君の言うとうりだよ、アメリー」 成美「ナルのマーヴィンとナルのマーヴィンのアメリーもねー(棒」 ミハル「・・・・・・・」 チャッキー・Jテン「(ミハルの肩を叩いて)どんまい!^ ^」 ミハル「なにが?(ビキッ」
「アタシ、練習してたらクワドできちゃったんですけど」 他のスケートラヴァーズに増して、恋愛パワーが成績に結びついてしまうジョニ子だ 「素晴らしいよ、ジョニ子!僕の自慢の奥様だ」 「あーん、ダーリン抱っこしてー!」 最愛の夫に褒められ浮かれ駆け寄るジョニ子だったが、疲れが出て派手にずっこける 倒れ伏すジョニ子、そして駆け寄る旦那さん 「大丈夫か!怪我はないかい?救急車を呼ばないと」 「そんな大げさな事じゃないわ。キスしてくれたら治るわ」 ここぞとKiss Me In Publicな二人に、スケーターズ+観客一同が叫ぶ 「旦那さん!夕食作りを代わってあげて!(そしてちょっとだけイチャイチャを控えて)」
チャッキー「夕食作りとかいってさー、このスレはもう冒険ナシで終わるのかな」 Pチャン「そんな君に!Lets!冒険Cooking!」 チャッキー「マジで!?なんかちょっと強引な気もするけど(いそいそとエプロン着用)」 Pチャン「まず最初に、ワシントン条約に引っかかりそうな動物の肉を用意します」 チャッキー「そういう冒険がしたいんじゃないよ!」
「リンク上に『ワシントン条約に引っかかりそうな動物』いたら、避難したほうがいいよ」 チャッキーとPチャンの会話を聞いたリッポンが、エヴァン(イカの方)に注意を促す 「大丈夫なう、何かあったら僕が守るうぃる」 王者になるべく成長中のエヴァン(イカの方)だが 「ミライちゃんとインドプログラムを踊りたいけど言い出せないなう…」
ミーシャ「僕とデニスがソンブレロ銀河の惑星間戦争を終了させたのは冒険かな」 Dテン「無血革命って形で決着つけちゃったし、たいした事ないよ」 ミーシャ「帰り道にピサロの隠し財宝見つけちゃったけど、すぐ交番に届けたし」 Dテン「さっきプレデターとエイリアンの喧嘩を仲裁したのは冒険?」 ミーシャ「半日で済んだし、話すほどでもなくね?お、プレデターから感謝メール来たw」 Dテン「エイリアンは地元の名産送ってくれるって。楽しみだなー」 銀河王より授けられし『星を統べる勇者の冠』(パッと見ソンブレロにそっくり)を 無造作に被ったまま、2人はノンビリ語り合うのだった
のほほんソンブレロコンビの後ろを、Jテンが通りすぎる
「ジェレミー、これ被ってみる?」
Dテンが『星を統べる勇者の冠』を差し出すも、Jテンは苦笑して顔を左右に振る
「悪いけど前髪の形が崩れちゃうから、遠慮しておくよ」
「どんなに動いても全く乱れないリーゼント、かっこいいね」
「ありがとう。今度髪の立て方を教えてあげる」
Jテンは小さくスキップしながら(BGMはこれ↓)去っていった
http://www.youtube.com/watch?v=ZPWr3A7gN_k
「なるほど、その発想はなかったわ」
>>767 の動画を見て目を輝かせる美姫。何か思いついたようだ。
どこからかメガネを取り出すとおもむろにフェルナンデスを呼んだ。
「ハビエル〜、ちょっと来て〜」
「なんです?」
「うん、そういうギャグいらないから。ちょっとこのメガネかけて」
「ギャグなんて言ってないですけど…(メガネをかける)これなんです?」
「よく似合う〜w これできっと日本の自動車のCM出演間違いなしよ!」
「???」
未来「昨季はジャック・スパロウだったのにひどいですぅ」
経営者「1スレの中で海賊からだめ小学生へジョブチェンジとは落差が大きいな」
ランビ「叙情あふれるメニューばかりの店をみつけたよアハン」
http://sangs.co.jp/soup-ya/menu ジョニ子「素敵だわ『露西亜から愛をこめて』が食べてみたいわ」
ジョニ子夫「まかせておくれ!料理の経験はないけど挑戦してみるよ」
ヤグディン「仰々しい名前だけど、ただのボルシチじゃねえか」
キッチンに一人で籠もり、張り切るジョニ子夫。
――数時間後――
ジョニ子夫「あいにく『露西亜から愛をこめて』は失敗しちゃってね。
『弁護士の気まぐれ野菜ソテー〜熱くとろける愛を銀盤に捧ぐ』になったよ」
ヤグディン「仰々しい名前だけど、ただの中華丼じゃねえか」
似合わない丸メガネをかけさせられ、半ズボンまで履かされてハビエルはしょげまくり 荒川(髪の毛をお下げに結んでミニスカート)「さあのび太くん、中華丼を召し上がれ」 ハビエル「もぐもぐもぐ・・・おいしいなあ。でもこの格好はイヤなんです」 荒川「半ズボンはJテンも一緒よ。しかも彼、エラージ・バルデ選手に『ジャイアンやってよ』って 頼みに行って、即ぶっ飛ばされていたわ」 ハビエル「災難だなあ……よく飛んだだろうな」 荒川「ところでドラえもんはみつかったのかしら。フィギュア界ではむずかしいはずだけど」 振り向いた二人の後ろにはペンキで青く塗られたミーシンと、「誰がこんな酷い事を!」と 必死でペンキを拭うガッちゃんがいた
ガッちゃんにモップを渡す美姫 「えらい人をモップで洗う習慣が日本にはあるのよ」 本田「新春隠し芸大会か…だから美姫ちゃんやめなさいって」 Pチャン「僕のEx.で使ったモップ返して」
ガッちゃんは丁寧にモップを洗い直し、きっちり絞って乾かしてPチャンに返す 「次の青ペンキ被害者が出ないよう警戒を怠らないようにしないと」 ヴォロソジャル・トランコフ組が血相を変えて、自分たちのコーチを避難させはじめた
皆がそれぞれコーチ避難大作戦を敢行している間、Pチャンはのんびり 自分のコーチとトランプをしていた。しかも床に寝っ転がりながら。 ナンソン「ずいぶん呑気なもんだな」 Pチャン「板前さんヘア仲間なのに、冷たい視線を向けるなよ」 ナンソン「(え・・・・僕、彼と仲間なのか?いつの間にそんな事に?)」 コロラドで酸欠に見舞われた時より、激しく動揺してしまうナンソンだった。 そのまま賭けババ抜きに引きずり込まれ、有り金すべて毟り取られる始末。 一方、ジョニ子は美姫主催のアイスショーに出演するため、久々に夫と離れる事が決定。 「ダーリンったらアタシの出張中実家に帰るそうだけど、本当かしら。浮気なんてしないかしら」 「あの旦那に浮気ができるわけがないでしょ」 2人の熱々ぶりに辟易しているサーシャは苦笑するしかない。
JFK空港で夫と涙涙のお別れを済ませたジョニ子は、 飛行機のシートに腰を落ち着けるなり、日経新聞を熟読する 「経済の勉強もして、夫との会話をより豊かなものにしたいのよね」 素晴らしい心がけだが、シートに体育座りってのはいかがなものか
「自分のコーチに青ペンキかける冒険ってのはどう?」 チャッキーをそそのかすPチャン。 「僕は遠慮しとく」 と言いながらペンキ缶をリッポンに渡すチャッキー。 「僕もパス」 そのままリッポンからアボットにスルーパス。
アボットからシズニーへ。シズニーからマルケイへ。マルケイからバルデへ。バルデから今井へ。今井からギルスへ。 そしてギルスからリッポンへ。リッポンからアボットに・・・ ダンジェン夫妻を囲んだ無限バケツリレーが始まってしまった。
ペンキ缶(二周目)を受けとってしまったアボット。 シズニーに渡そうとするがかわされてしまった。 マルケイもバルデも今井もギルスもリッポンも気がつくとなんか距離を感じる。 「そっそういえば遅くなったけど誕生日おめでとう!」 アボットが手に持ったものを咄嗟に渡したのは小塚だった。 ユカさん^^は ニコニコわらっている!
手にしたものをしばし見つめる小塚。そして・・・ 「あ〜っと!手が滑っちゃった!!!」 ペンキ缶を適当に放り投げ、それがある男に命中。その人物は・・・・ 「お前!!!俺に恨みでもあるのか!!!」 「すいませんね〜!!運動神経が悪い息子で!!!」 「あんんだっとこら!!!」 「やるか!!!」 「・・・・・タカはやっぱり頭がいいわね^^」 「つーか親父さん。>583以来どこにいたんすか?」 そんなことは聞ry
やけにスリムでダンディーなドラえもんになってしまった小塚父は、不敵な笑みを浮かべる。 「タラララッタターン(ダミ声で)世界選手権に向けて鬼練習プログラム〜!」 佐藤信夫氏から預かった小塚用特訓メニューをポケットから出し、ヒラヒラさせる。 「お父さん!それ反則・・・」 「やかましい!とっとと来い!」 襟元を掴まれて、引きずられていく小塚に目に涙がキラリ☆ついでに前歯もキラリ☆ ダンジェン&有香は顔を見合わせ、にっこりと微笑む 「僕達のポケットにも素敵なものが詰まってるよね」 「あらジェレミーなんで逃げるの?^^」 サスペンダーをビヨヨーンと掴まれ、引きずられていくアボットの顔がホラー。
ハビエル「サスペンダーワークと言えば他人事じゃないけど」 コンテ「うちはああいう恐怖ってないなー。嫁さん相手だから」 ハビエル「いいですねー。でもうちもノンビリのほほんって感じですよ」 意外な組み合わせの和みビヨヨンコンビ結成? 美姫はペシャラとコルピのために千羽鶴を(ry ベルネルが目を血走らせながら高速で折り上げ、折り鶴はもう山積み状態だ ミハルは一羽ずつ糸に通してスダレ状に拵えていく係を担当する事になった 「あの愛の日々をもう一度・・・」 ドサクサに紛れて、裏にこっそり私的な要求を書き留めた折り鶴も混ぜ込んでいる
「アタシ、ママになったのよ♪ああ幸せ〜」 生後二ヶ月に満たない子犬を抱っこして、ジョニ子は母性本能全開である。 「ジョニ子は犬派なんだよね。僕は猫派」 プルがフカフカな猫の感触と愛らしさを語りだすと同時に、犬派猫派に別れて それぞれペット談義に花が咲く。 「うちはスフィンクスっていう猫を飼っているんだ」 トランコフの言葉に、佳菜子が目を丸くしている。 「毛のない猫ですよね?寒がったりしません?」 「部屋の中暖房ガンガンだしw外には出さない! ほらこれ写メ」 「わーすごい懐いてるー。なんて呼んであげてるんですか?」 「YAKUZAっていうんだ。和風で男らしくて、いいだろ」 「・・・SAMURAIとかSHOGUNは候補に挙げなかったんですか?」 「だってそんなのみんな知ってるじゃん。オリジナルな名前にしたくて、 わざわざ日本語ネイティブの人にアドバイスを貰ったんだよ」 悠子がいつものクールフェイスのまま、そっとその場を離れた。
犬談義・猫談義両方に参加し、ニコニコと相槌を打っていた羽生だが いきなりハッとした顔(演技中の二重瞼モード)になって立ち上がった 「プーさんにティッシュ与える時間だ!忘れてた!」 「何それエサやり?」 「そんなようなものです。そうだ、世界選手権にも行ってきまーす!」 プーさん&ななみ先生を横抱えにし飛び立つ羽生の後ろ姿は凛々しい 他の世界選手権参加者も次々とその後を追った
「じゃあ、撮るよ〜。はい、チーズ」(ピピッ) ここはニース某所の海岸。 「わあ、アダム、綺麗に撮れてるわね」 「うん、アリッサすっごく可愛く写ってるよ、早速ツイッターにアップしよう」 「おのれは初日から何やっとんじゃーーーーい!!」 「ごはっ!」 アリッサと戯れるリッポンの背中にPちゃんのドロップキックが炸裂した。 「・・つつ、いったいなぁ、もー、何するんだよパトリック」 「こっちの科白だっ!ニース初日からリア充自慢かっ!」 「?リア充ってなんだい?日常だよ」 「・・・お前は今、全人類の半数を敵にまわしたぞ」 「まあまあ、パトリックも一緒に写真撮りましょうよ。ケヴィンもジェレミーもね♪」 「え?あ、うん…(〃〃)」(←Pちゃんに付き合ってた律儀なチャッキー) 「わーい、やったーヽ(´∀`)ノ」(←応援についてきてたJテン) 「じゃあ、ジェレミーもう一回シャッターお願いね」 「あ、うん、まかせてよ・・・(´・ω・`)」(←写真係の・・・)
シズニー「パトリックだってリア充なんじゃない?おノロケインタビュー読んだわ」 リッポン「今度のお相手はデザイナーさんだっけ?」 Pチャン「へへ、まあね」 リッポン「しかもパトリックのファッションセンスを尊重してくれるいい人みたいだ」 Pチャン「へへへ・・・ってセンス?なに?」 リッポン「いや、別に何も」 その場にいた全員、PチャンのTシャツに相変わらずカエルマークがある事を 認め(地色こそカーキ色に落ち着いていたが)苦笑いしている
イベントから帰ってきてさっそく愛息・チョーマくんを抱っこしながら、 ジョニ子は世界選手権の録画をガン見するのだった。 「きゃー!アタシのかわいい息子が銅メダルとっちゃったわー!」 「ジョニ子、君は僕が知らないうちに何人子供を拵えてるのかな?」 「細けぇ事はいいんだよwやったわーユヅルおめでとー!」 同時期、当人である羽生はある人物?とミーティング中。 「順調にキャリアを積んでいるようで何よりだ。しかし・・・」 「しかし、なんですか?」 「君のライバルの歴史を追う形なのが気になってね。来年はどうなるかな」 「次からは僕が僕独自の歴史を積み上げていきますよ。ご安心を」 羽生は自らの相談役―――プーさんと呼ばれる黄色い紳士をぎゅっと抱きしめた。
悲喜こもごものワールドを終え、輝くメダルを首から提げたパトリックと羽生を筆頭に、 ワールド参加組がニースからぞくぞくと帰ってきた。 …が、ガチと小塚の姿が見えない。
「たかちゃーん!」「アーチャ!どこ行ったの?」「ちょっと、アリッサもいないわよ!」 大自爆組の名前を次々に呼ぶ待機組の美姫、プル、ジョニ子他一同。 「そろそろ容量的にもフィナーレにさしかからないとまずいなう。でも、このままじゃハッピーエンドにはなれそうにないなう・・」 既に来シーズンを見据えてレイチェルと一緒に練習を始めた未来を熱く見つめつつ、エヴァン(イカの方)も心配そうだ
ガチ・小塚・シズニー、そして川スミの姿も見えない。 「でも危機に陥ってるなどの非常事態ではない気がする。スケパシーでSOSが来ない」 メンバーの中では比較的落ち着いている経営者がつぶやいた。 「危機じゃないのはいいけど、このままじゃたかちゃんの分のクロワッサンが湿気っちゃう」 高橋は唐草模様の風呂敷にいっぱいパンを詰めて背負っている。 そのパンの山からこっそり一つおパクリあそばしてプルはつまみ食い。 「SOSは聞こえないけど、僕様にはノイズみたいなスケパシーが聞こえるんだよねー」 「ノイズ?」 「うん、ズズズズズ、って。なんの音だろう?」
失踪組はみんな温泉宿に潜み、背中丸めて出がらしの番茶を啜っていた ズズズズズ―――涙をこらえるアリッサが、密かに洟をすする音も混じる 「なーんか辛気臭いスケパシーだわ」 多忙ゆえにチョーマくんの検診に行きそびれ、機嫌の悪いジョニ子が顔をしかめた 「アスリートガールが泣いてたら、それを吹き飛ばすのが仲間ってものよっ!」 リッポンの耳を掴んで、ジョニ子はグイッと引っ張った。 「いたたたたたた!耳取れます!やめて!」 「大げさねーとっとと失踪組慰めて連れ帰ってらっしゃい!」 「なんか今日のジョニ子さん気性が荒くないですか?」 それはムダ毛処理に夢中になって必要な毛まで処理しちゃったからかも? Twitter情報でエヴァン(イカの方)は知ってしまっている しかしシモネタはまだ苦手な思春期イカなので、お口チャックである
右肩にテトを乗せ、一人静かに露天風呂に浸かる小塚。 その脳髄を射ぬくように、強いスケパシーが飛んできた。 「休養を十分にとったら、国別対抗までには戻っておいでね」 「僕捻挫しちゃって出場できないんで、よろしくお願いします」 「クロワッサンは冷凍保存しとくけど、早く食べた方がおいしいよ?」 「ティラミスもおいしいよ!食べるといいよ!」 「それ私の決めセリフだよ!でも使うといいよ!」 もう誰が誰だか混線しまくりのスケパシーゆえ、わかりにくい。 「僕には帰るところがある。いや、帰らなきゃいけないところがあるんだ」 勢いよく風呂から上がり、パンパーンと手拭いで体の水気を飛ばし、 温泉浴衣+どてら姿の小塚は空高く跳んだ。
佳菜子「その者蒼きドテラを纏いて金色の野に降りたつべし」 明子「名古屋って金色の野なのかなあ」 成美「金色のシャチホコあるからいいんじゃないっすか?」 マーヴィン「(なんか知らんけど笑っておこう。アメリとテバサキ食べたい)」 クリス「湯治?僕も行きたかった・・・」 キャシー「国別済んだら行きましょうよ。健康ランドでいいわね?」 大輔「ごめん、クロワッサン全部食べちゃった」 日本勢はそれぞれ勝手な事を言っている 「あーもう!―――みんな、ただいま」 いつのまにか、小塚の笑顔が戻った
「国別・・・ズズズズズ」 シズニーがすすり泣きをこらえるのを横目に、ガチンスキーも口半開きで 「国別、ねえ・・・」 どこか遠くを見ている。涅槃か。 と、そこにチビっこい少女の姿が飛び込んできた。 「アーチャ!ユウコ!サーシャ!とっととロシアに戻るよ!」 タクタミシェワである。 ガチンスキー+川スミを一人でひっつかんでロシアに飛ぼうとする。無茶だ。 「そうだね、帰国しなくちゃ。気持ちを切り替えて次を考えなくちゃロシア新世代じゃないよな」 ガチンスキーはタクタミシェワをお姫様抱っこし、サンクトペテルブルグまで一息に跳んだ。 川スミも「補欠とはいえ国別対抗戦にエントリーされてるし、行かねば」と跳ぶ。 一人残ったシズニーの元に、アボット&リッポンが跳んできた。 「僕なんて大事なアクセサリーなくしたけど、がんばってるよ(´・ω・`)」 「それはともかく、戻ろう。みんな心配してるから。ね?」 リンクメイト2人に支えられ、シズニーは泣き笑いの表情になり、デトロイトまで送ってもらう。
「アタシ成功したわ!Quad Training動画を無事UPできたのよ!」 「成功ってそこなの?飛べた事じゃなくて?」 夫に苦笑いされつつも、ジョニ子はごきげんそして有頂天!
「ところでアンタ!」 自宅の片隅で菓子折りを持ったまま直立不動でいたミハルを、ジョニ子は振り返った。 「いつまでうちにいるのよ。なーに?新婚生活を覗きたいの?」 「違いますよっ!改めてご挨拶に伺ったのです」 「何よご挨拶って」 「いえあの、僕もNJでペトレンココーチに・・・」 「あらやだ住むところ決めた?いい不動産屋知ってるから紹介しましょうか?」 「住まいは決まってるんで、心配ないんです」 「まあ、しっかりしてるわね。どこ?」 「そこつっこないでもらえませんか?(ほんともう勘弁して下さい)」
「で、急にお伺いしてなんですが・・・千羽鶴を折るのを手伝っていただけないかと」 菓子折りの包みをバリバリと開け、お茶の準備をしつつジョニ子はウインクを返す 「居候先でお世話になる、義理のお兄さんの怪我とあっては必死に折らないとね」 「まだ義理のお兄さんとかそういうのじゃないですってば!」 うろたえるミハルの隣に、いつのまにか佇む男が一人 「先日はうちの彼女の快癒祈願を手伝ってもらったから、その恩を返しに来たよ」 「先輩〜。・゚・(ノД`)・゚・。」 ベルネルは一抱えもあるような段ボール箱いっぱいに折り紙を持ってきていた
グレイシー・ゴールドは国別対抗戦を前に、自室で少しだけナーバスになっていた アシュリー「どうしたの?浮かない顔をして」 グレイシー「どこから入ってきたんですか?うちのセキュリティーシステムは全米女王には効かないのかしら」 アシュリー「私は魔法を使えるの」 グレイシー「(スルーして)ニッポンで忍者に手裏剣をぶつけられやしないか心配です」 アシュリー「平気よそんなのwもし怪しい人影がいたら、私が空手でぶっ倒すわ」 グレイシー「ああ、なんて頼り甲斐のある先輩なのでしょう」 アシュリー「心配いらなくてよ。楽しみましょう、ニッポンの春を」 2人はガッチリと握手を交わした
ジョニ子はあるフルーツの輪切りを見て、ちょっと大人なつぶやきをぶちかましていた 「やっぱり仲間はリアクションが小粋でおもしろいわwたまにはこういうのいいわね」 その頃、羽生は「もっとすごいのありますよ」と、あくまでも尊敬する先輩に対する サービス精神で、アワビの地獄焼き動画をジョニ子の元へ送信しようとしていた 「編集が上手くいかないや。アワビの縁のウネウネ感を出せない僕はまだまだ未熟者だなあ」 動画送信を断念して、ふて寝する (プーさんは「いいから早く捻挫治せ」と苦笑して見守る)
Pチャン「…という訳で、我がカナダチームの打ち上げはAKIHABARAに決定で異議なしかー?」 チャッキー「異議なーし」 モエ「異議なーし」 Pチャン「よし、じゃあ満場一致で…」 テッサ「こらー!男子だけで勝手に決めない!異議あり異議あり異議ありよー!」 Pチャン「えー、何でだよ、日本観光って言ったらAKIHABARAだろ? 俺、パソコンの部品買いたいなー」 チャッキー「僕、欲しいゲームソフトが…」 モエ「NARUTOのグッズ探したいー」 ファヌフ「ちょっとアメリも何か言ってよ」 ラコステ「え、えーと… ?私はちょっと別行動したいなー?なんて…」 Pチャン「デートにはラーメン博物館がお勧めだよ!おいしいよ!」 デュハメル「パトリック急にキャラ変えないで」 とりあえず日本を満喫する気満々のカナダチームだった。
前夜祭でも弾けるスケーターズ。 ちょんまげかつらを被ってご機嫌なコストナーはもちろん、 ロシアンたちは射的に夢中で、寿司や蕎麦も好評である。 ゴールド「よかったー、ニンジャやノブシがいなくて」 ワグナー「去年はニンジャいたらしいわよ。フフフ」 デニー「もし襲われたらジョンを盾にして逃げればいいわ」 コフリン「なんでそういう事いうかなー?俺一生懸命みんなの似顔絵描いたじゃん」 チャーリー「え、あれ似顔絵だったの?( Д ) ゜゜何かの呪いかと思ってた」 メリル「日本チームのもすごいのよ。後半のやっつけ仕事加減が」 アボット「魔除けにどうかと思ってドラえもんのお面もらってきたよ!」 リッポン「ジェレミーがジャンプかスピンしてくれたら、魔物なんてダッシュで逃げる」 新宿のLOVEオブジェ前でリア充全開写真を撮ったリッポンは、なんか強気。
ホテルの自室へ戻ってからも、ホタレックは国旗さばきの練習に余念がない 「明日はどんな技使おうかな。前夜祭でもらったお面被ってドクガンリュウ・ホタレックでいくか? でも顔見えないんじゃもったいないよ!ってカロリーナに釘刺されたし、選手持ち上げるのはフランスに アモのぼりとして先にやられてしまったし、どうしたものだろう?」 ソトニコワは「明日の投げ込みはメントスばっかりで、『コーラと食べるとおいしいよw』って メッセージが添えてあるんだろうなー('A`)脅威の噴出動画ぐらい私だって知ってるてーの」と 一人で苦笑いする フランスチームはブブゼラを使うタイミングについて、入念なミーティング中
ジョニ子「敏腕マネージャーのタラがついに結婚したわー!!」 ジョニ子夫ことヴィクター氏「今更どうしたの?」 ジョニ子「アタシを支えてくれた大切な人の幸せを叫びたくなったのよ」 ヴィクター「スケーターの同性婚の件について触れなくていいのかい?」 ジョニ子「マシューおめでとー!きゃー!弁護士カップルねー!」 ヴィクター「仲間が増えて心強いよ(´∀`)あともう一つ、大切なお知らせがあるだろう」 ジョニ子「パントンペア!あんたたちいつ氷上結婚式やるのよ!呼びなさい!」 ヴィクター「それも大切だけど、自分自身の競技復帰の事はいいの?」 ジョニ子「忘れてたわ、アタシGPS出るから!フランスとロシアよ!ときめくわー」 ヴィクター「お買い物と観光がしたいんだね?」 ジョニ子「当たりま……ちょ、何言ってるの!連戦だけどがんばるから!応援してねー!」 .o゜*。o /⌒ヽ*゜* ∧_∧ /ヽ )。*o ッパ (・ω・)丿゛ ̄ ̄' ゜ . ノ/ / ジョニ子がんばれ!全スケーターがんばれ! ノ ̄ゝ
そしてジョニ子!にじう…っ歳のお誕生日おめでとうーーー!!! o◇◎。o☆。 。☆゚∧∧☆。◎ /o○(*゚ー゚)◇☆ / | ̄ ̄∪∪ ̄ ̄| / ゚|誕生日オメデト!| ▲ ゚◇o☆____| □▼――-☆∂☆◎