今日は刑訴を書いてみました。
【刑訴】 平成10年・第1問
便せんに約600字に及ぶ脅迫文言を記載し、これを郵
送する方法によって害悪を告知した脅迫罪の事実におい
て、検察官は、起訴状の公訴事実に、証拠として請求す
る予定の右文書に記載された脅迫文言の全文を引用して
記載した。
この場合における公訴提起をめぐる問題点について論
ぜよ。
一、起訴状に脅迫文書の全文を記載することは、起訴状一
本主義(256条6項)に反さないか。
起訴状一本主義とは、起訴状に、予断を生ぜしめる虞
のある書類等の添付を禁止する原則である。この起訴状
一本主義が採用された趣旨は、被告人に対する予断を排
除して、裁判官が実体審理に望むことで、第三者的立場
から公平中立な裁判を行い、もって被告人の権利を保護
し、裁判に対する信頼を確保することにある。これは、
現行法が当事者主義的訴訟構造を原則として採用してお
り(298条1項、312条1項)、検察官と被告人が対等の立
場で争い、裁判所が第三者的立場に立ち判断する前提と
して要求されている原則である。
とすると、脅迫文書をすべて引用することは、起訴状
の記載から裁判官が被告人に対して有罪の心証を抱いた
まま実体審理に望むおそれがあり、起訴状一本主義に反
し、違法とも思える。
二、他方、起訴状には、罪となるべき事実を「特定」する
に足りる事実を記載しなければならないとし、特定性が
要求されている(256条3項)。
これは、当事者主義的訴訟構造の下では、審判対象は
一方当事者たる検察官の設定する具体的事実たる訴因で
あり、審判対象である訴因とそれ以外の事実とを区別す
ることで、裁判所の審理及び被告人の防御の範囲を画し、
もって訴訟経済や被告人の防御の利益を保護するために
必要とされているものである。
そして、脅迫文書の全文を引用すれば、それだけ訴因
の特定性に資することになる。
三、とすると、本問起訴状は、起訴状一本主義に反するお
それがあるが、訴因の特定性には資するということにな
る。
そこで、起訴状一本主義と訴因の特定性との調和をい
かに図るか問題となる。
思うに、両者はともに被告人の利益保護を目的とする
側面を有することから、いずれか一方が優先するもので
はなく、個別具体的事情の下で、起訴状にはいかなる記
載が許されるかを考えるべきである。そして、その際は
裁判官に一度予断を抱かせたら排除するのは事実上困難
であることと、訴因の特定性は冒頭手続における釈明(
規則208条)でも達成できることを判断要素として考慮す
べきである。その結果、起訴状一本主義の要請が勝り、
訴因の特定性が多少害されたとしても、それは「できる
限り」特定された訴因として、起訴状は無効とならない
と解する。
では、脅迫文書の全文を引用することは、起訴状一本
主義に反さず、許されるか。
この点、脅迫文書を要約することが可能であれば、い
ずれの事実に基づいて起訴しているか明らかであり、訴
因の特定性に欠けることはないから、文書を要約せずに
全文を引用することは起訴状一本主義に反し、256条6項
に反するといえる。
これに対し、文書を要約することが不可能ないし著し
く困難である場合には、特定性の利益が優越し、起訴状
一本主義は一歩後退するものと解すべきである。例えば、
様々な脅迫事実が文書全体にわたり羅列してあるような
場合である。そこで、この場合には起訴状の記載は適法
であると考える。
本問では、約600字にわたる脅迫文言を要約することが
可能であれば、起訴状一本主義に反し、違法な起訴となる
が、要約が不可能ないし著しく困難な場合には、起訴状一
本主義に反さず、適法な起訴となる。
四、では、違法な起訴とされた場合、裁判所はどうすべきか。
思うに、一度生じた予断を排除することは事実上不可能であ
るから、起訴の手続に違反したものとして公訴棄却判決(
338条4号)を下すべきと考える。
したがって、前者の場合には公訴棄却判決を下し、後者
の場合には審理手続を進めるべきである。
以上
コメント
1500字程度、3ページの後半です。
起訴状一本主義と訴因の特定を趣旨から論じ、調整するまでの流れが難しかったです。
具体的事実の下で判断するという規範を定立し、判断基準を膨らませました。
段落のナンバリングをもっと細かくつけるべきでした。
7 :
氏名黙秘:2005/04/07(木) 12:31:49 ID:???
書いてある内容は悪くないと思います
ただ、流れが今ひとつ
というのも、話を完結させてから次に進むという流れなので
論述が切れ気味になってるんですよ
論証は、まず起訴状一本主義の話を意義、趣旨、結論まで書いてある
そのうえで、訴因の特定の趣旨、結論が書いてあり
最後に、両者の調和、という流れになってる
間違いではないけど、流れが悪い
あと、規範ですが、起訴状一本主義と訴因の特定を並列させている
内容を見ると、どちらも優先させない、という立場なんですよね
でも、よーく見ると、原則は起訴状一本主義を優先させるのかな?とも読める
なんか、そこら辺が曖昧で、すっきりせず、反射効として読みにくい
あと、起訴状一本主義違反の場合の効果については、もうちょい厚く書いて良い
>>7 話の進め方は、論文の森等で学んだものです。
本問起訴は、256-6違反とならないか
↓まず
起訴状一本主義がある→趣旨
↓次に
特定性の要請がある→趣旨
↓そこで
両者の調和が問題となる
↓思うに
起訴状一本主義の要請が優先
↓そこで
要約すべき(できなければ、判例と同じ)
このような流れの方がよいでしょうか。
規範の部分は、書いているときはよかったのですが、後でしっくり来ないことに気づきました。
上の構成の方が無難ですね。
256-6違反の場合について、学説をあまり知りません。
どのように書くのがよりよい答案になるか、検討を重ねてみます。
さて、今日は刑訴2問目を書いてみました。
【刑訴】 平成10年・第2問
捜査官は、偽造の供述調書を唯一の資料として甲方の捜
索差押許可状の発付を受け、同人方を捜索して覚せい剤を
差し押さえた。そして、右覚せい剤を資料として、「甲は
自宅において覚せい剤を所持していた」との被疑事実につ
き、甲に対する逮捕状の発布を得て、甲を逮捕した。甲は、
逮捕・勾留中に右事実について自白し、供述調書が作成さ
れた。公判において、甲は右覚せい剤の取調べについて異
議がないと述べ、自白調書の取調べに同意した。
右覚せい剤および自白調書の証拠能力について論ぜよ。
一、覚せい剤の証拠能力について
1、警察官は、偽造の供述証拠を用いて捜索差押許可状(
218条1項)の発付を受けるという違法な手続を経て、本
問覚せい剤を押収している。
この点、証拠裁判主義(317条)の下では、刑罰権の存
否及び範囲を画する事項について、厳格な証明が要求さ
れる。そして、厳格な証明とは、適式な証拠調手続を経
た証拠能力ある証拠をいい、証拠能力が認められるため
には、@自然的関連性、A法律的関連性、B証拠禁止に
当たらないことが認められる必要がある。
本問では、覚せい剤所持罪という刑罰権の存否を画す
る事項を証明するために覚せい剤を用いていることから
厳格な証明が要求される。
2、そこで、違法捜査により得られた証拠が、B証拠禁止
に当たらないかが問題となる。
ア、思うに、B証拠禁止に当たるとすることで、捜査機関
の違法捜査を抑止し、司法の廉潔性を維持し、適正手続
(憲法31条)を保障して被告人の人権を保護する必要が
ある。
もっとも、軽微な違法があるに過ぎない場合にまで、
証拠能力を否定するのでは、真実発見(1条)という刑訴
法の目的を没却する。
そこで、捜査手続に重大な違法がある場合に限り、証拠
能力を否定すべきと考える。具体的には、捜査手続に令状
主義(憲法33条、35条、法199条等)を没却する重大な違法
があり、これに証拠能力を認めることが将来における違法
捜査を抑止の観点から相当でないと認められる場合には、
証拠禁止に当たり、証拠能力が認められないと考える。
イ、本問では、偽造の供述調書を唯一の証拠として捜索差押
許可状が発付されており、この調書がなければ令状の発付
を受けることができなかったといえる。とすると、本問捜
索差押は、捜索差押に裁判官の事前の審査を要求し、もっ
て対象者のプライバシー権等の権利を保護しようとした令
状主義の精神を没却する重大な違法があるといえる。
3、したがって、本問覚せい剤はB証拠禁止に当たり、証拠
能力が認められない。
二、自白調書の証拠能力について
1、まず、自白調書を証拠として用いるためには、厳格な
証明が要求される。そして、調書は伝聞証拠であり、原
則としてA法律的関連性を欠き証拠能力が認められない
が、本問では被告人が証拠とすることに同意(326条1項
)していることからA法律的関連性は認められる。
2、としても、本問では、違法な捜査活動により得られた
覚せい剤を下に、逮捕状の発付を受け、逮捕・勾留期間
中に自白が得られているという事情がある。そこで、B
証拠禁止に当たり、証拠能力が認められないのではない
かが問題となる。
ア、思うに、先行する捜査活動に違法があった場合に、す
べて証拠能力を否定するのでは、真実発見の要請を害す
ることになる。もっとも、真実発見も被告人の利益や違
法捜査抑止、司法の廉潔性維持の必要性を害してまで、
要求されるものではなく、先行する違法手続と@同一の
目的に基づき、A直接利用して得られた証拠には、証拠
能力が認められないと考える。
イ、本問では、覚せい剤は、被告人の身柄を拘束し、自白
を引き出すために用いられたといえ、@同一目的に基づ
くものといえる。そして、違法に得られた覚せい剤を利
用して逮捕・勾留している間に自白が得られており、違
法手続をA直接利用しているといえる。
したがって、自白調書は証拠禁止に当たる。
3、また、被告人が、証拠とすることに同意していること
をもって、証拠能力を認めることはできないと解するべ
きである。
確かに、326条1項は、同意により証拠能力を認める規
定といえるが、違法捜査を抑止し、司法の廉潔性を維持
する観点から、証拠とすることが相当でないからである。
4、以上より、本問自白調書には、証拠能力が認められな
い。
以上
コメント
1500字程度、3ページ後半です。
いつも厳格な証明までのところが流れを悪くしている気がします。
被告人の同意により証拠能力が認められないかという論点は、時間不足でした。
14 :
氏名黙秘:2005/04/08(金) 05:29:06 ID:???
>>8 個人的には、良くも悪くも、流れが予備校的だと思いました
どうせ、多くの合格答案は予備校的なので、それで良いと思います
なお、自分の考えですが、この論点が生じるは、公平な裁判所と適正手続きという
二つの要請が、形式的にアテハメるとぶつかってしまうところに原因があります。
そこで、両者の趣旨を勘案し、抵触領域を調整していくのが解釈の役目になります
ところが、最初の段階で趣旨を書いてしまうと、論証で書くこと無くなるんですよ
それは大谷さんも気づいたと思います。だから書きにくい
自分なら
本問起訴は、256-6違反とならないか
↓まず
起訴状一本主義がある
もっとも
特定性の要請がある
↓そこで
両者の調和が問題となる
↓思うに
両者の趣旨→両原則の射程を判断
↓そこで
規範定立
個人的な意見ですが、起訴状一本主義と訴因の特定が、譲れない形でぶつかったときは
訴因の特定が優先されると思います。訴因の被告人への告知機能、訴因の特定は具体的な適正手続きに関わるので
ただし、概括的な記載だと即特定なし、とする必要はない。「訴因の特定」は争点形成の段階でも可能
ならば、実は「譲れない形のぶつかり合い」の部分はどこかをはっきりさせて
そこは訴因の特定が優先する。他方、実はぶつかってない(訴因の特定は別の方法でできる)ときは
起訴状一本主義に抵触する方法は駄目、となる
15 :
氏名黙秘:2005/04/08(金) 05:35:16 ID:???
>>12 内容は悪くないと思います
ただ、やはり、被告人の同意により証拠能力が認められないかが薄いのが痛い
合格を争う相手なら、覚せい剤と自白の証拠能力一般については
きっちりかけると思います。すると、ここではなかなか差を付けにくい
そこで、みんなが盲点となりがちな、同意による証拠能力が意外と大きなウェートを閉めると思います
ここでは「被告人の同意」が証拠法上どのような効果があるか、が重要です
しかし、この論証では全く無い。
ありがとうございます。
>>14 ふむ。なるほど。趣旨を後出しするほうが、論証がスマートになりそうですね。
その上で、訴因の特定性をどの程度まで緩和できるか、という話に持ち込むのですね。
筋がすっきりしていて、見やすい答案を作るとすれば、確かにこちらの構成ですね。
本試験で出たときに、覚えていますように。
>>15 同意の法的性質ですか。
簡単に触れておいたのですが、やはり「法的性質」という言葉を出したほうがよかったみたいですね。
読み返してみたのですが、単純に条文を拾っただけという感じでした。
とすると、もう少し違法収集証拠排除法則を削ったほうがよかったかもしれません。
時間不足というのは本当に怖いです。
さて、今日から平成6年、続いて平成14年をやっていこうと思います。
憲法6年1問目を書いてみました。
【憲法】 平成6年・第1問
用地の取得が著しく困難な大都市において、公園および
公営住宅の建設を促進するために、当該都市に所在する私
有の遊休土地を市場価格より低い価格で収容することを可
能とする法律が制定されたと仮定する。この法律に含まれ
る憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。
一、本問法律は、@公園および公営住宅の建設を促進する
ため、A大都市において他の私有遊休土地の市場価格よ
り安い価格で土地を収容することを認めるものである。
そこで、財産権(29条1項)に対し、@このような
目的による収容が、公共の福祉(29条2項)による制
限として許されるか、A補償(29条3項)の内容とし
て許容しうるかが問題となる。
二、@について
1、財産権の補償内容については争いがあるが、資本主義
を採用するわが国においては、29条1項は私有財産制
度のみならず、個人の私有財産権をも保障していると解
する。
とすると、土地の私有することは、個人の私有財産権
の一内容として認められる。
そこで、本問法律が29条1項に反さないか問題とな
る。
2、もっとも、財産権のような経済的自由権においては、
人権相互の矛盾衝突の回避に加え、社会経済的見地より
一定の制約を受けると解すべきである(積極目的規制)。
なぜなら、29条2項は13条とは別に「公共の福祉
」という文言を使用しており、資本主義社会の矛盾が顕
著になった現代において、国家が積極的に社会経済的弱
者を保護することが要請されていると解されるからであ
る。
そして、財産権が積極目的による制約を受ける場合に
は、立法府の裁量的判断が尊重され、他方裁判所は資料
・判断能力に劣ることから、立法目的と目的達成の手段
との間に合理的関連性が認められれば29条1項に反さ
ないと解される。
3、このような見地より、本問法律が29条2項の「公共
の福祉」の範囲内の制約を課すものといえるか検討する
に、公園および公営住宅の建設を促進することは、低価
格での住宅を供給することにつながり、住居を持てない
経済的弱者を保護することになるから、積極目的規制と
して許容される。
したがって、本問法律は財産権を不当に制約するもの
ではなく、29条1項に反さない。
三、Aについて
1、29条3項は、財産権を収容した場合に、補償を要す
ると定めるが、その範囲について規定していない。
そこで、本問法律のような補償でも許されるか、補償
の範囲を明らかにする必要がある。
2、この点、補償が要求される場合とは、特定人に対し、
財産権を実質的に剥奪するような場合をいうのであり、
それ以外の場合は13条の公共の福祉に基づく内在的制
約が許されるにすぎず、補償は要しないと考えられる。
そして、大都市に土地を所有する者に対し、土地を収用
することは、上記要件を満たすため、補償が必要となる。
そして、憲法が財産権を収容した場合に補償を必要と
した趣旨が、個人の財産権を可及的に保護しようとした
ことに鑑み、補償の内容は、所有者にとって公平な補償
でなければならないはずである。
そこで、いかなる補償が公平といえるか検討するに、
収用された財産と同価値の財産を取得できる対価をもっ
てすることが、公平といえると考える。すなわち、収容
される財産の客観的評価額をもって、補償すべきである
と考える。
3、この点、本問において、収用された土地の客観的評価
は、収用される土地自体の内容・性質等にもよるが、原
則として近隣の土地価額との対比により決せられるべき
である。とすると、近隣の土地評価額との割合により補
償すべきことが要請され、それよりも低い価額で収容す
ることは、29条3項による正当な補償とはいえない。
したがって、本問法律は29条3項に反し、違憲であ
るといえる。
三、もっとも、土地収用の目的は正当であり(@参照)、
補償の部分のみが違憲といえるに過ぎない(A参照)の
だから、本問法律を全体として無効とするのは妥当でな
い。そして、29条3項は、補償規定がない場合にも、
国家に対して補償を求めうる具体的権利を保障したもの
と解されるから、補償部分について違憲無効と判断すれ
ば足りるはずである。
したがって、補償部分について、本問法律を違憲無効
とし、その他の収容部分に基づいて土地を収用すること
までは妨げられないと解する。
以上
コメント
1600字程度、3ページくらいです。
補償規定を欠いた場合の措置、一部違憲の場合の措置について、触れる必要はなかったと思いました。
悩んだところは、29条1項に反さないかという点を論じる必要があるかというところです。
近年に見る問題としては、やや抽象的で、仮定的立法を想定していることから、取り組み方が難しかったです。
1問目にはコメントなかった模様ですね。
もうそろそろ択一でお忙しいのでしょうか。
さて、今日は2問目を書いてみました。
【憲法】 平成6年・第2問
国会議員が院内で人の名誉を侵害する発言をした場合,
民事上,刑事上の責任を問われるか。また,所属議院にお
いて,右発言を理由に除名の決議がなされた場合,当該議
員はその決議の効力を訴訟で争うことができるか。地方議
会の議員の場合と対比して,憲法上の観点から論ぜよ。
一、国会議員には、院内で行なった発言について責任を問
われない、とする免責特権が保障されている(51条)。
これは、議員がその発言について責任を負うのであれ
ば、「全国民の代表」(43条)たる議員の活動を萎縮
させることになり、ひいては国政に対して民意の多元的
な反映を図れなくなるため、議員の自由な発言を保障す
るために規定されたものである。
そこで、院内で人の名誉を侵害する発言が行なわれた
場合、議員は免責特権により、いかなる行為につき、い
かなる責任を免れることができるか問題となる。
二、刑事上の責任
1、議員個人が刑事上の責任(名誉毀損罪、刑法230条
の2)を負うとすれば、議員の自由な発言を阻害し、免
責特権を保障した意義を損なうことになる。もっとも、
免責特権が認められた趣旨は、院内で議員の自由な活動
を保障することにあるのだから、議員の職務と無関係に
なされた野次などについては免責特権の保障は及ばない。
2、したがって、議員は原則として刑事上の責任を負わな
いが、議員の職務と無関係になされた発言については、
刑事上の責任を負う。
三、民事上の責任について
1、議員が名誉毀損に基づく不法行為責任(民法709条、
723条)を負うとすれば、やはり議員の自由な活動を
阻害することになる。したがって、免責特権により民事
上の責任も免れると解する。この場合でも、議員の職務
と無関係になされた発言について免責特権は及ばず、民
事上の責任を追求しうる。
2、このように考えると、名誉を毀損された者が侵害を回
復する手段を持たず、保護に欠けるとも思える。しかし、
被害者は国家賠償請求により保護されると考え、議員へ
の求償を認めなければ、免責特権を認めた趣旨が害され
ることはないので、必ずしも保護に欠けるとはいえない。
もっとも、議員に自由な発言を認めようとした憲法の
趣旨から、国家賠償法上議員の発言が違法となるのは、
違法または不当な目的を持って発言した場合に限られる
と考える。
四、除名処分について
1、議院は出席議員の3分の2以上の議決をもって、議員
を除名できる(58条2項)。そこで、このような処分
が免責特権を認めた趣旨に反しないか問題となる。
2、思うに、免責特権は、議員個人に対する法的責任を排
除するのみであり、政治的責任をも負わないとするもの
ではない。そして、除名処分は院内の秩序を乱したこと
を理由に下されるものであり、当該議院の自律的裁量に
より政治的責任を議員個人に追求するものである。
したがって、除名処分を下すことは、免責特権を認め
た趣旨には反さないと考える。
五、他方、免責特権は、国政における多元的民意の反映を
可能とするために保障されたものであり、その効果が法
的責任を免除するという強いものであることに鑑み、免
責特権の保障は憲法が特別に国会議員に認めたものであ
る。そして、地方議会議員は住民自治の観点から、住民
の意思に沿った活動をすべきであり、「住民」という比
較的狭い対象の意見を反映させるものであり、発言の自
由性はそれほど強く要請されていない。
とすると、憲法が地方議会議員に免責特権を認めてい
ない以上、法律上も地方議会議員に免責特権を認めるこ
とはできない。現行法も免責特権を認めていない。
したがって、地方議会議員には免責特権は保障されず、
地方議会議員が名誉毀損発言をした場合、刑事上、民事
上の法的責任、除名処分による政治的責任を追求できる
という点で、国会議員の場合と異なっている。
以上
コメント
1400字程度、3ページの後半です。
段落分けは
一、総論
二、国会議員の場合
1、民事上の責任
2、刑事上の責任
3、除名処分
三、地方議会議員の場合
四、まとめ
の方がよかったかもしれません。
28 :
へっぽこ添削:2005/04/09(土) 20:31:30 ID:5gWYFbrE
>>24 何で免責特権の趣旨を冒頭に書いたのかワカラン。
全然名誉毀損的発言の問題の所在が理解できてないでしょ?
名誉毀損的発言が人権侵害を伴うから,そのようは発言も免責されるのかが問題なんでしょ。
そして,免責されると解すべきかどうかを考えるにあたって,そもそも趣旨は何なんだっけって考えるんでしょうが。
丸暗記もほどほどに汁
29 :
氏名黙秘:2005/04/09(土) 21:40:27 ID:???
>>23 当該議員はその決議の効力を訴訟で争うことができるか。
問いに答えてください。
30 :
氏名黙秘:2005/04/10(日) 00:03:20 ID:???
この問題は、結局のところ
国会と地方の比較問題じゃろ?
(前段)
国会議員→民意の統合(自由委任妥当する)→免責特権あり→民事・刑事責任なし
地方議員→民意の反映(自由委任妥当せず)→免責特権なし→民事・刑事責任あり
(後段)
議院→自律権あり→憲法上明文あり&権力分立原理が妥当→自律権尊重の要請強い→司法審査ダメ
地方→自律権一応ある→憲法上明文なし&権力分立原理妥当せず→自律権尊重の要請弱い→司法審査OK
こういう風に書けば、比較してるように書けないかな?
もう少し整理して書いて味噌
31 :
氏名黙秘:2005/04/10(日) 01:19:05 ID:???
修習でしばらく見てなかった。ちょっと刑法はひどいぞ。
まず,不法原因給付は,民法の条文の引用が必要。
不法原因給付物といえども、没収の
手続を踏まなければ刑法上権利を剥奪されることがないこ
とから、刑法上はなお保護に値する財物といえる。
この論証は意味不明。禁制品の論点と混同している。
財産上の損害
は明文上要求されていないが、詐欺罪が財産犯であること
から、当然に要求されるため問題となる。
財産上の損害不要説はちゃんと存在する。当然なんて言えない。
肝心の,不法原因給付だから問題になることが書いてない。よってここは0点。
丙について,横領罪の刑が免除される余地は全くない。イは全部余事記載。
盗品等罪と不法原因給付の論点落とし。
一見よく出来てるようでGがついておかしくない答案。
だって,メインである不法原因給付の論点が全部書けてないもん。
ちなみに,殺人予備成立の余地は全くない。そもそも一定の抽象的危険がない。
>>28-30 人権の問題とは違うかと思い、免責特権を先に出しました。
しかし、こういう論点飛びつきパターンは失敗する可能性が高いですね。
問題文を見落としていました。
すくなくとも問いに形式的には答えたいところです。
反省します。
構成、参考にさせていただきます。
後段で、地方公共団体とは三権分立の要請が働かないが、国会とは働くというのも一つの視点だと思います。
自律権をそこにうまく絡ませることができれば高得点が期待できたかもしれません。
分析不足でした。
>>31 すみません。
不法原因給付と禁制品の話はごちゃごちゃになってました。
完全に論点丸暗記で一番まずいパターンでした。
財産上の損害の話は、「〜〜と考える」くらいにとどめておいたほうがよかったですね。
免除の余地がないとすると、趣旨から述べることができず、盗品等罪との対比がうまくできない気がしますが、どうでしょうか。
違法状態説と追及権説の対立があったので、やはり盗品等と不法原因給付の論点を落としたのは相当痛いですね。
ご丁寧にコメントありがとうございます。
きちんと参考書等で確認しておきます。
こんなに論点を落とし、嘘も書いてあったら、確実にG答案ですね。
気をつけるようにします。
さて、今日は民法1問目を書いてみました。
【民法】 平成6年・第1問
債権は相対的な権利であるといわれている。そのことと、
債権が第三者により不法に侵害された場合に、債権者が、
その第三者に対して、不法行為責任を追及し、あるいは侵
害行為の差止めを請求することができる場合もあるとされ
ていることとの関係について論ぜよ。
一、債権は相対的な権利であるといわれているが、これは、
債権が物権のような排他的支配性を有さず、原則として
当事者間にのみ主張できる権利であるとの性質から導か
れる。例えば、金銭債権は、債務者と債権者のみに効力
を及ぼし、その他の者には債権の効力が及ばないのが原
則である。
そして、債権が相対的な権利であることから、従来、
債権侵害は不法行為となりえないとされてきた。
しかし、債権も権利の一種であり、不可侵性を有する
のであり、債権侵害に対して何らかの法的救済を与える
べきである。そこで、債権侵害もしくはそのおそれがあ
るときに、不法行為責任の追及、侵害の差止請求が可能
であると考える。
もっとも、債権が物権のような排他的支配性を有さず、
相対的な権利であることに鑑み、一定範囲に限定すべき
である。
以下、@債権の帰属自体を侵害する場合、A権利の行
使を妨げるが債権が消滅しない場合、B権利の行使を妨
げ債権も消滅する場合の3つの場合に分けて、債権侵害
と請求権との関係について検討する。
二、@について
1、@債権の帰属自体を侵害する場合とは、例えば、債権
証書を盗み出して、支払を受けたような場合である。
この場合、債務者は準占有者に対する弁済(428条)
として免責され、債権自体が消滅し、損害が生じており、
もしくは損害が生じるおそれが明らかである。
そして、支払を受けた者に債権者を害する意図があっ
たことは明らかであり、いかなる債権侵害をしたか客観
的に明白といえる。
2、したがって、@の場合、不法行為責任追及、不法行為
の差止請求は認められるという関係にある。
三、Aについて
1、A権利の行使を妨げるが債権が消滅しない場合とは、
例えば、土地の売主に働きかけて売却された土地を譲り
受けた場合である。
この場合、第2買主が登記を備えれば、第1買主は第
2買主に所有権を対抗できなくなるため、債権自体は消
滅しないが権利行使を妨げる事例といえる。
そして、いかなる権利が侵害されているか明白である
ことから、第2買主が悪意有過失であれば、損害賠償ま
たは不法行為差止ができそうである。
もっとも、二重譲渡の事例においては、第2譲受人は
背信的悪意者でない限り対抗要件(177条、178条)
を備えれば、第1譲受人に所有権を取得しうるとされて
いることとの均衡から、第2譲受人が背信的悪意者でな
ければ不法行為とならないと考える。
2、よって、Aの場合、背信的悪意者であるとの立証があ
った場合に、不法行為責任追及、差止請求が認められる
という関係にある。
四、Bについて
1、B権利の行使を妨げ権利が消滅する場合とは、コンサ
ートで演奏しようとホールへ向かっている者を負傷させ、
結果的にコンサートが開催できなかったような場合であ
る。
この場合、コンサートを一定の日時に開くことが債務
の内容となっており、債務は履行不能となり消滅する。
もっとも、契約は当事者間で締結されたにすぎず、侵
害者はかかる債務の内容を知りえないのが通常である。
そこで、権利侵害と当事者に明白といえる場合にのみ、
不法行為責任等を追及できると考える。
2、よって、Bの場合、侵害者が、債務の内容を知りえた
という特段の事情のない限り、侵害者に対して不法行為
責任や差止請求はできないという関係にある。
以上
コメント
1400字程度、3ページの半分くらいです。
よく分からないところでした。
知識として知っていたという問題です。
大体、総論からかけていないです。
よろしくお願いいたします。
問題
>>33 答案
>>34-36
38 :
氏名黙秘:2005/04/11(月) 00:42:54 ID:???
>>37 こういう理論的な問題は、学者出題だろうけど
実務家もどこまで理解しているか怪しいかな
だから、ある程度かけてればいいような気はする
ただ、債権の相対性と物権の絶対性をきっちりかけるかだけど
どうも違う気がする。
債権は「その本質的効力は特定人のみに向けられる」点で相対的だが
だからといって、一切の効力が特定人のみで主張できるわけじゃないからね
>>38 「債権の本質的効力は、特定人にのみ向けられるという意味で、相対的である。」
とすべきだったかと思います。
難しい問題でした。
ありがとうございます。
近い内に、憲法2問目と10年の刑法2問目をもう一度書いてみます。
その際はよろしくお願いいたします。
さて、今日は民法2問目を書いてみました。
【民法】 平成6年・第2問
Aは,債権者からの差押えを免れるため,Bと通謀の上,売買仮
装して,その所有する建物およびその敷地(以下,これらを総称す
るときは「本件不動産」という。)の登記名義をBに移転するとと
もに,本件不動産を引き渡した。その後,Aは,右の事情を知って
いるCとの間で,本件不動産につき売買契約を締結し,代金の支払
いを受けたが,その直前に,Bが,Dに本件不動産を売却し,引き
渡していた。Dは,AB間の右事情を知らず,かつ,知らないこと
に過失がなかった。ところが,右建物は,Cの買受け後に,第三者
の放火により焼失してしまった。なお,その敷地についての登記名
義は,いまだBにある。
以上の事案において,本件不動産をめぐるCD間の法律関係につ
いて論じた上,CがAおよびBに対してどのような請求ができるか
説明せよ。
一、CD間の法律関係について
1、CDはいずれが本件不動産の所有権を対抗できるか。
CDがそれぞれ本件不動産の所有権を取得しているか検
討する。
2、Cについて
Cは、Aから本件不動産をAB間の通謀虚偽表示(94
条1項)につき悪意で譲り受けている。
この場合、AB間の売買契約は無効であるから、依然A
が権利者である。
したがって、Cは、権利者Aから本件不動産を取得して
いるため、所有権を取得する。
3、Dについて
ア、DはBから本件不動産を譲り受けている。
ここで、AB間の売買契約は通謀虚偽表示により無効
であるから、Bは権利者ではなく、Bからの譲受人Dも
無権利であるのが原則である。
イ、もっとも、本件不動産の登記がBに移転しており、B
が権利者であるかのような外観が呈されており、Aには
自らかかる外観を作出したという帰責性が認められる。
とすると、Bを権利者と信じて取引に入った者を、真の
権利者たるAの犠牲の下で保護する必要がある。
そこで、94条2項は、通謀虚偽表示により呈された
外観につき、善意で取引関係に入った第三者に対しては
無効を主張できないと定め、第三者の保護を図っている。
この点、94条2項により保護されるためには登記まで
必要か問題となるが、真の権利者との関係では承継取得
の関係にあるため対抗関係(177条)に立たず、また、
真の権利者の帰責性が大きいことに鑑みると、第三者の
保護要件として善意のみで足りると考えるため、権利保
護要件としての登記も不要であると考える。
ウ、本問で、Cは、Bの無権利につき善意無過失で本件不
動産につき取引関係に入っており、94条2項の第三者
として所有権を取得する。
4、とすると、CDはいずれも所有権を取得していること
になる。
そこで、CD間の優劣をいかに決すべきかが問題とな
る。
思うに、通謀虚偽表示をした当事者の間では実際に権
利移転がないことから、第三者との関係では一体として
捉えるべきである。
とすると、ABを一体として捉えると、CDは、二重
譲渡の関係に立つ。したがって、CDの優劣は対抗関係
(177条)の問題として、登記の先後により決すべき
であると考える。
そして、Cは悪意者であるが、契約自由の原則から悪
意者であっても背信的悪意者でない限り177条の「第
三者」に当たると考える。
5、本問では、登記はいまだBの下にあり、CDはいずれ
も登記を取得していない。また、Cが背信的悪意者であ
るとの事情も見受けられない。したがって、CDは互い
に権利者であることを対抗することができない。
二、CのABに対する請求について
1、CのAに対する請求
ア、Cは、Aから敷地を譲り受けていることから、敷地の
引渡しと移転登記を請求できる。
この場合、AはBから敷地を取り戻し、登記の抹消ま
たは移転登記を受けた上で、かかる債務を履行すること
になる。
そして、BがDに登記を移転して、Cの債務が履行不
能となった場合、契約の解除及び損害賠償を請求できる
(545条)。
イ、次に、建物は、Cが買い受けた後に当事者の過失によ
らず滅失している。そこで、支払った代金の返還請求を
することが考えられる。
この点、民法が意思主義を採用している(176条)
ことから、契約により所有権が移転すると解するため、
危険負担の債権者主義(534条)が適用され、危険は
Cが負担するとも思える。
しかし、危険負担の趣旨は、所有の存するところに危
険も負担すべきという公平の理念にあるところ、契約が
成立しても公平に反する場合には危険は移転しないと解
する。
この点、Cは登記を受けるまで建物に着き完全な所有
権を取得しないのだから、かかるCに危険を負担させる
のは公平に反する。
したがって、534条は適用されず、危険はAが負担
すべきであり、536条の債務者主義が適用され、Cは
Aに対し、支払った代金につき不当利得返還請求(70
3条)なしうると考える。
2、CのBに対する請求
CはBに対し、敷地を直接移転登記するように請求でき、
もしくはAの抹消登記請求を代位行使(423条)してA
の下へ移転登記もしくは抹消登記請求することができる。
この場合、抹消登記した上でAから移転登記を受けるのが
実体に則するが、権利と公示が一致すること、かかる手続
は煩雑であることから、直接の移転登記請求もなしうる。
また、所有権に基づく引渡請求もなしうる。
以上
コメント
1700字程度、4ページの頭です。
問題が基本的だったので、書けるところまで書いてみました。
論点として展開すべきでないところまでじっくりと書いてみました。
1問目が意味不明な問題だったので、サービス問題だったのでしょうか。
CのAに対する建物についての関係は不当利得とすべきか迷いました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>40 答案
>>41-43
45 :
氏名黙秘:2005/04/12(火) 00:21:40 ID:???
C・D間の法律関係について
Dが94条2項で保護されることは、もう少しコンパクトでもよかったような。
あと、登記の要否についてですけど、書き方が論点主義っぽいかも。
なんで本問で要否の論点を書かなければならないのか、
大谷さんの思考過程をもうちょっと示して欲しいな。
Dが登記を具備していない、という問題文の事実を使えばよかったと思う。
問題文の事実→論点、という順番は守ってね。
CのAに対する建物についての関係
本問では危険負担は直接適用できないはず。
Cはすでに代金を払ってるでしょ。
ここで払っていなければ、危険負担の直接適用だったんですけど。
不当利得の問題にして、
危険負担を類推する(債務者主義ね)。
そして、法律上の原因がないことにして、返還請求できる、とすればよかったんじゃないかな。
問題文の事実を大切にしてくださいな。
>>45 ありがとうございます。
代金支払があると、危険負担の適用がないというのは知りませんでした。
こういう事例だと類推適用になるのですね。
勉強になりました。
Dの登記については、触れる必要はなかったかもしれません。
触れるにしろ、短くまとめておいたほうがよかったですね。
登記の論点は、答案構成段階で落としていたので、つけたしてしまいました。
先に、登記がないが、どうか、という話を出すべきでした。
答案を書いている最中に思いつくのは、構成がまだまだ不十分ということですね。
反省します。
さて、今日は商法1問目を書いてみました。
【商法】 平成6年・第1問
取締役が在任中に取締役会の承認を得て会社から金銭を借り入れ
たが、弁済期に返済しないまま退任してしまった。会社および株主
は、どのような措置を採ることができるか。
一、会社の採りうる措置
1、まず、取締役に対して、貸し付けた金銭の返還を請求
することはできないか。
この点、取締役に対して金銭を貸し付ける行為は利益
相反行為(265条)に当たり、取締役会の承認を経ない限
り無効と解されるが、本問では取締役会の承認を得てい
るのだから有効である。
そこで、会社は取締役に対し、貸付金の返還を請求す
ることができる。
2、次に、当該取締役から弁済を受けられない場合に、他
の取締役に対して責任追及することが考えられる。
ア、まず、266条1項3号、4号により、取締役会の決議に賛
成した取締役に対し、会社が被った損害(元本及び利息)
につき、連帯して責任を負わせられる。この場合、異議
をとどめなかった取締役は、決議に賛成したものとみな
される(266条3項)。そして、この責任は、266条7項が
5号の場合に限り過失責任を規定していることを反対解釈
して、無過失責任であると解する。
もっとも、かかる責任は総株主の同意により免除する
ことができる(266条5項)。
イ、次に、貸付を受けた取締役が無資力であり、弁済の見
込みがないにも関わらず金銭の貸付を受けたような場合、
決議に賛成した取締役は、職務を行なうにつき「重大ナ
ル過失」があるといえ、損害賠償責任を負う(266条1項
5号)。この場合、3号、4号の規定と異なり、総株主の同
意を持っても全責任を免除することはできない。
ウ、そして、取締役に対して複数の責任追及手段がある場
合、いずれも要件・効果を異にすることから、請求権競
合となる。
3、さらに、監査役に対する責任追及をなしえないか。
監査役は、会社財産を不当に流出させないように監視
する義務を負っているから、かかる義務を怠った場合は
会社に対して損害賠償責任を負う。
この場合、責任を負う取締役と連帯して責任を負う(
278条)。
本問では、貸付を受けた取締役に弁済の資力・意思が
ないことを知っていた場合に、貸付を止める義務が監査
役にあるから、任務懈怠責任を負うことになる。
二、株主の採りうる措置
1、6ヶ月以上株式を有する株主は、株主代表訴訟(267条)
を提起して、取締役及び監査役に会社に対する上記責任
を追及しうる。
他方、貸付を受けた取締役が退任している以上、267条
により責任追及することはできない。もっとも、株主は、
会社を代位して貸付金の返還を求めることができると考
える(民法423条)。この場合の被保全利益は、会社に対
する会社財産を適切に維持するように請求する権利であ
る。
2、次に、貸付を受けた取締役が弁済しなかったために、
株主が株価下落などの損害を受けた場合、退任取締役、
その他の取締役、監査役に対して損害賠償請求しうるか。
ア、まず、取締役に対し、266条の3第1項による損害賠償
を請求することができるか。同条項の「第三者」に株主
も含まれるか、株主の被った損害は取締役の行為に間接
的に起因するものであるから、「損害」に間接損害も含
まれるか問題となる。
この点、266条の3第1項は、第三者保護のため、権限の
広い取締役に特別の責任を課した法定責任と解される。
そして、広く取締役に対して責任を負わせ、第三者を保
護しようとする趣旨から、「第三者」には株主も含まれ、
「損害」には間接損害も含まれると解する。また、同条
項が取締役に重い責任を負わせた趣旨から、悪意重過失
は任務懈怠についてあれば足りると解するところ、決議
に賛成した取締役には、通常弁済を受けられないことに
つき重過失が認められる。
したがって、取締役に対し、266条の3第1項の責任を追
及することができる。
イ、次に、監査役に対しても同様の責任を追及できる(280
条1項による266条の3第1項準用)。
ウ、そして、退任した取締役に対しても、同様の責任を追及
できると考える。
この場合、既に退任している以上は取締役ではないが、
在任中の自己の行為につき不法行為(民法709条)による
責任を負うのみでは、取締役の責任を重くした266条の3
の趣旨に反するからである。
したがって、「取締役」とは、その職務を行なった取
締役と解するべきであり、退任取締役に対しても266条の
3による責任追及をなしうる。
以上
コメント
1700字程度、3ページくらいです。
メイン論点は、退任取締役に対する責任追及にあると思ったのですが、株主のとりうる手段のところで後出しになってしまいました。
先に、266条の3の趣旨を述べたほうがすっきりすると思ったのが原因です。
問題は、267を退任取締役に対して否定、266の3を肯定するのでは、論理矛盾にならないかという点です。
その他、この時期だけあって、知識が不正確な部分が多々ありました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>47 答案
>>48-50
52 :
氏名黙秘:2005/04/13(水) 09:46:29 ID:???
一1は、契約責任の追及についてだろうけど
ならば条文を出して欲しいし、そのことを明示して欲しい
で、できるか?という問いはナンセンス。出来て当たり前なんだから
メイン論点は、退任取締役に対する責任追及では無いと思います
それなら、契約責任の追及で終わりですから。
むしろ、退任取締役が無資力であることを想定している気がする。
そこで、他から分捕れないかな?と
266条3号4号5号責任の性質はもう少し書いた方がいいかも
過失責任か、というのは結構重要なんですよ。無過失免責が認められないのは
相当重い責任になりますから
>>52 ありがとうございます。
確かに、当たり前の話でした。
契約が有効か無効かによって、契約上の債務の履行を求めるか、
不当利得返還請求となるか結論が分かれるという点も問題提起で
触れたかったです。
確かに、返済できない=無資力ですよね。
とすると、そのことをもっと注意して読むべきでした。
266条3〜5号の責任は、いまひとつ弱いところでしたので、詳しく論じるのは避けてしまいました。
趣旨から述べると、
「もともと禁止されている行為であるのだから、それにあえて賛成した以上は、その結果についても責任を負うべき」
となるのでしょうか。
16年で取締役の責任は聞かれているので、今年は出ないと思いますが、よろしくコメントいただけたら幸いです。
さて、今日は商法2問目を書いてみました。
【商法】 平成6年・第2問
甲は、第三者所有の店舗を賃借りして「甲商店」という商号で
営業をしていたが、これを廃業し、店舗賃貸借契約を解除した。
その後、甲の従業員であった乙が、当該店舗の所有者と新たに賃
貸借契約を締結し、そのままになっていた店舗を利用して、甲に
了解を求めることなく「甲商店」という商号で同種の営業をして
いる。
1 甲の廃業後に甲の営業であると思って「甲商店」と取引をし
た丙は、甲に対して取引上の債務の弁済を求めることができる
か。
2 甲は、乙に対してその商号の使用の差止を請求することがで
きるか。
一、小問1について
1、丙が甲に対して取引上の債務の弁済を求めることがで
きるためには、取引の法的効果が甲に帰属している必要
がある。ところが、丙が取引したのは甲ではない乙であ
り、甲が乙に代理権を与えたという事情も見当たらない
ことから、甲に取引の法的効果が帰属せず、債務の弁済
を求めることができないのが原則である。
もっとも、かかる結論では、甲の営業と信じて取引関
係に入った丙に対して予期せぬ損害を与えることになり、
公平に反する。
そこで、公平の観点から、一定の場合には丙を保護す
る必要がある。
2、まず、名板貸の責任を定めた23条によって丙を保護し
得ないか問題となるが、甲は乙に対して商号の使用を許
諾した事実はなく、23条を直接適用して保護することは
できない。
もっとも、同条は外観法理に基づく規定であり、虚偽
の外観を真実と信じて取引を締結した者を、一定の場合
に本人の犠牲の下で保護せんとするものである。
そこで、実際に許諾がない場合であっても、許諾があ
ったと同視できる場合で、本人を犠牲にしてもやむを得
ないといえる場合には、同条を類推適用して、取引関係
に入った者を保護すべきであると考える。すなわち、@
商号使用の事実(虚偽の外観)、A商号使用を許諾した
場合と同等の外観作出に対する本人の帰責性、B第三者
の信頼(善意無重過失)がある場合には、23条を類推適
用して第三者を保護しうると考える。
3、本問では、@丙は「甲商店」という名で営業を営んで
おり、甲の商号を使用していた事実が認められる。そし
て、B丙は善意無重過失で甲の営業と誤信しているもの
と思われる。しかし、A乙は甲と雇用関係にあった者で
あるが、甲が廃業した以上は乙に対する甲の監視監督義
務は消滅している。また、甲商店と同一場所において乙
が営業を行なっていたとしても、甲に自己の商号を利用
している者がいないかチェックする義務までは生じない
といえる。とすると、甲には乙の商号使用を差し止める
べき義務が認められず、乙が「甲商店」の商号を使用し
ている一事をもって、商号使用を許諾した場合と同等の
帰責性は認められない。もっとも、甲が乙の商号使用の
事実を知りつつ、ことさら放任していた場合など特段の
事情がある場合には、例外的に帰責性を認めうる。
したがって、特段の事情のない限り、A甲には帰責性
が認められず、23条類推適用の基礎を欠き、丙は甲に対
して取引上の債務の弁済を求めることはできない。
二、小問2について
1、甲は「甲商店」という登記をしていないことから、乙
の「甲商店」という商号使用を差し止めるために、19条、
20条によることはできない。
そこで、21条による使用差止が認められるか問題とな
る。
2、思うに、21条の趣旨は、他人が同一の商号による営業
を行なうことで、自己の営業に対する信頼が害されるの
を防止し、既得の営業上の地位を保護することにある。
とすると、21条は、現に営業を営んでいる者が、同一
商号を利用する者に対して使用差止を求める規定という
ことになる。
この点、甲は廃業している以上、現に営業を営んでい
る者に当たらず、21条により使用差止を求めることがで
きないのが原則である。
3、とすると、23条の類推適用により甲が債務を負う場合
にも、甲は商号の使用差止を求めることができず、不安
定な地位を取り除くことができず、甲はいつまでも乙の
債権者から追及を受けるという不安定な地位に置かれる
ことになる。
そこで、23条類推適用により本人が債務を負うなど不
安定な立場にある場合には、本人の地位を保護すべく、
21条を類推適用して商号使用差止を認めうると考える。
4、そして、乙は、同一場所で、同内容の営業を行なって
おり、甲が取得した既得の地位を不正に利用しようとす
る意図が認められる(「不正競争ノ目的」)。
5、したがって、甲が債務を負担するおそれがある場合に
限り、甲の商号使用差止請求が認められると考える。
以上
コメント
1600字程度、3ページの後半です。
小問2は普通に「認められない」と止めておくのは結論的に不当だと思い、修正しました。
小問1,2を通じて、趣旨を考え、そこから論じることを心がけました。
不正競争防止法は、司法試験六法にもないため、触れませんでした。
よろしくお願いいたします。
問題
>>54 答案
>>55-57
商法2問目についてはコメントがないみたいですね。
さて、今日は刑法の1問目を書いてみました。
【刑法】 平成6年・第1問
甲は、対立抗争中の暴力団の組員に襲われた場合に備えて、
護身用に登山ナイフを身に付けていたところ、ある日、薄暗い
夜道を帰宅途中、乙が、いきなり背後から前に回り込んできて、
右手を振り上げて立ちふさがったので、組員が殴りかかってく
るものと思い込んで危険を感じるとともに逆上し、殺意を持っ
て登山ナイフで乙の腹部を1回突き刺し、全治3か月の傷害を
負わせた。なお、乙は、甲を友人の丙と勘違いし、丙を驚かせ
るつもりで甲の前に立ちふさがったものである。
甲について、殺人未遂罪の成否を論ぜよ。
一、甲は、殺意を持って登山ナイフで乙の腹部を刺し、乙
は死亡していないことから、殺人未遂罪(203条、199条)
の構成要件に該当する。
もっとも、甲は乙が襲い掛かってくるものと思い込ん
でかかる行為に及んでいる。
そこで、正当防衛(36条1項)が成立し、違法性が阻却
されないか問題となるが、乙は急迫不正の侵害をしていな
い以上、正当防衛は成立しない。
二、では、急迫不正の侵害を誤信したことから、誤想防衛と
して責任故意が阻却されないか。
1、思うに、故意責任の本質は、規範に直面しつつ敢えてこ
れを乗り越えたという人格的態度に対し、道義的非難を課
すことにある。そこで、違法性阻却事由の存在を誤信した
場合、規範に直面しえたとはいえないため、責任故意が阻
却されると解する。
もっとも、正当防衛の場合、他の要件を満たしていなけ
れば規範に直面しえたといえ避難が可能であるから、誤想
防衛として責任故意が阻却されるのは正当防衛の他の要件
を満たしている必要があると解する。
2、では、甲は正当防衛の他の要件を満たしているといえる
か。
ア、まず、甲はあらかじめ侵害を想定してナイフを持ち歩い
ていたことから、急迫性の要件を欠くとも思える。
しかし、急迫性の要件は客観的に判断すべきところ、甲
の誤信した乙の侵害は、甲にとって急迫の侵害といえる。
したがって、この点では正当防衛の要件を満たす。
イ、次に、甲は攻撃の意思を持って乙をナイフで刺している。
そこで、防衛の意思が認められないのではないか、その要
否とともに問題となる。
この点、違法性の本質は社会的相当性を逸脱した法益侵
害行為にあり、偶然防衛を排除する必要があること、条文
には「防衛するため」と規定されていることから、防衛の
意思は必要であると解する。
ただ、正当防衛は急迫下での法の自己保全が違法性を阻
却するものであり、積極的に防衛行為を意図することまで
要求するのは妥当でないから、防衛の意思とは、急迫不正
の侵害を認識し、これを避けようとする単純な心理状態を
いうと解する。そして、攻撃の意思を伴っていたとしても、
積極的加害意思に出たものでなければ、かかる心理状態を
認めることができるから、加害意思が並存している場合で
も防衛の意思を認めることができる。
本問では、乙は殺意という加害意思をもって侵害に臨ん
でいるが、これは誤信した急迫不正の侵害から自己の身を
守るためにする意思と並存するものである。また、襲われ
た場合に備えてナイフを準備していても、実際に襲われる
具体的な日時・場所についてまでは予期していなかったと
いえ、かかる侵害状態を利用して積極的に加害行為を行な
う意図までは認めることはできない。したがって、甲には
防衛の意思が認められる。
ウ、もっとも、甲は乙が殴りかかってくるものと誤信してナ
イフで刺している。
これは、素手で攻撃してきた者に対する反撃行為として
相当性を逸脱するものといえ、正当防衛の要件を満たさな
い。
エ、とすると、この点において甲は過剰な防衛行為をすべき
でないという規範に直面しえたといえ、加害行為に臨んだ
点に道義的非難が可能である。
したがって、誤想防衛により責任故意が阻却されない。
三、したがって、甲には殺人未遂罪が成立する。
なお、正当防衛と誤信して過剰な防衛行為を行なった
点で責任は減少しているといえることから、36条2項を準
用し、甲は減刑を受けると考える。
以上
コメント
1400字程度、3ページの半分くらいです。
構成で散々迷いました。
ナイフを持っていたことをどうやって利用しようか、迷いました。
反対説を意識した論述にしてみました。
38条2項準用については、念のため軽く触れておきました。
65 :
氏名黙秘:2005/04/14(木) 23:53:09 ID:???
こんばんは。
この問題って、難しいですよね。
本試験ってすごいな〜と思わせる問題です。
さて、本題ですけど、
誤想防衛の論証、「もっとも」以下があんまりわからないです。
う〜ん…どういう意味でしょう?
錯誤論を書く前に、甲の行為が誤想過剰防衛にあたることを書くのも一つの構成ですよね。
これが難しいんですけど…
あと、前の方で急迫不正の侵害がないと書いておきながら、
あとで急迫の侵害があるってどういうことでしょ?
最後の38条2項の準用、この程度なら大丈夫だと思います。
大転回すると、
「成否と科刑もわからんのか!問題文嫁!」と試験委員の逆鱗に触れますしね
66 :
氏名黙秘:2005/04/15(金) 00:13:28 ID:???
>>64 実は大塚説をしらんので、論証については批評できないですな
内容は悪くないかな?ただ、過剰防衛の準用については、法的性質をきちんと論証して
誤想過剰防衛の場合も、その趣旨は妥当するとした方がいいでしょう
個人的には、この問題では重要と思いますので(多くの教科書でも触れている)
急迫性の部分については、かなり痛い勇み足かもしれません
急迫性がないことが、誤想防衛の前提ですから
大塚説では不要なのかもしれないですが、誤想過剰防衛では
過剰性の認識があるか、ないかで処理を分けるてもいい(本問は認識があるのだけど)
ありがとうございます。
>>65-66 誤想過剰防衛を前出しする方法も考えたのですが、どうも苦手なようです。
甲の認識を前提に、急迫不正の侵害があること、という形にしたのですが、論理矛盾と読まれてしまいますね。
他の条件を充足する限り、としておきながら、いきなり甲の認識を基礎に話をすすめるのはよくなかったです。
それよりも、正当防衛の成否を丁寧に検討する過程で、問題文の条件を使ったほうがよかったかもしれません。
38条2項については、どの程度書くかについて議論の余地がありそうですね。
問題文にわざわざ「殺人未遂罪が成立するか」と罪名まで挙げてあるのだから、本来不要と思いました。
大多数の受験生が書いてくると予想されるところなので、もう少し述べたほうがよかったかもしれません。
過剰性の認識について述べるには、頭で「誤想過剰防衛として責任故意が阻却されないか」
と問題提起しておいたほうが流れよくかけますね。
ありがとうございました。
注意すべき点が見えました。
さて、今日は遅くなりましたが、刑法2問目を書いてみました。
【刑法】 平成6年・第2問
甲は、無賃乗車をしようと決意し、乙が運転するタクシーを停車
させ、乗車後、乙に対し、A地点までの運転を依頼したので、乙は
タクシーを発車させた。同地点の一キロメートル手前に来た時、甲
は、逃走するため、「ちょっと電話をかけたい。」と言って停車を
指示したので、乙はこれにしたがって停車した。甲は、タクシーか
ら降りて付近の電話ボックスの方に向かったが、挙動に不審を持っ
た乙が追いかけてきたので運賃の支払いを免れるため、乙を殴り倒
して気絶させた。甲は、更に売上金を奪おうと考え、タクシーの中
から5万円を持ち出して逃走した。
甲の罪責を論ぜよ。
一、タクシーに乗った行為について
1、運送エネルギーを客体とする詐欺罪(246条2項)が成
立しないか。
詐欺罪の成立には、欺罔行為、錯誤、処分行為、財産
上の損害に因果の連鎖が認められ、故意で包摂されてい
ることが必要である。
ア、甲は支払う意思なくタクシーに乗車している。これは、
支払うつもりで乗車していると運転手乙を誤信させる行
為といえ、黙示の欺罔行為と評価できる。
したがって、欺罔行為は認められる。
イ、乙は、甲に支払う意思があるものと誤信しているため、
錯誤が認められる。
ウ、乙は、甲を乗せて運転していることから、運転エネル
ギーにつき処分行為が認められる。
エ、対価なしに財産上の利益を供与しており、財産上の損
害も認められる。
オ、これらは、一連の因果の連鎖によるものである。
カ、当初から無賃乗車を計画していた甲には故意が認めら
れる。
2、以上より、甲に詐欺罪が成立する。
二、タクシーから降りた行為について
1、運賃支払債務を免れる行為として、詐欺罪が成立しな
いか。
ア、甲は、電話をかけると偽って逃げようとしているため、
乙に対する欺罔行為が認められる。
イ、乙は、錯誤に陥っている。
ウ、乙には積極的に債務を免れさせる意思まではなかった
が、甲の真意を知れば降車させなかったであろう。また、
タクシーの乗客は誰であったか事後的に把握が困難であ
り、一次的に降車を認めることも債務を免除すると客観
的に評価できる。
したがって、処分行為が認められる。
エ、タクシー運賃を降車の段階で支払われなかったという
財産上の損害が認められる。
オ、これらは一連の因果の連鎖に基づくものといえる。
カ、甲の無賃乗車計画の一部をなしていたため、故意も認
められる。
2、以上より、甲には詐欺罪が成立する。
三、乙を殴り倒した行為について
1、運賃債務を免れるため、殴り倒して気絶させているた
め、強盗利得罪(236条2項)が成立しないか。強盗利得
罪の成立には、暴行脅迫、財産上の損害が必要だが、相
手方の処分行為も必要か問題となる。
この点、強盗罪の暴行脅迫は、相手方の犯行を抑圧す
る程度が予定されているため、詐欺罪とは異なり相手方
の任意の処分を想定することはできない。したがって、
処分行為は不要であると考える。
もっとも、処分行為を不要とすると利益の移転時期が
不明確となることから、どの段階で強盗と評価すべきか
客観的に明らかにするため、暴行脅迫は債権者の追及を
事実上不可能ないし著しく困難にする程度が要求される
と解する。
以下、検討する。
ア、甲は、乙を気絶させるほど強い力で殴り倒しており、
乙の犯行を抑圧する暴行を加えている。そして、タクシ
ー運賃債務は、面の割れない乗客と運転手との間に成立
するものであることに鑑みると、逃走してしまえば事実
上債権者の追及が著しく困難となる。
甲は、現場から逃走するにふさわしい暴行を加えてお
り、強盗利得罪における暴行を加えたと評価できる。
イ、乙は、運賃を請求できないという損害を被っている。
2、以上より、甲には強盗利得罪が成立する。
なお、気絶させた点について、致傷罪(240条前段)が
成立しないか問題となるも、犯行抑圧する程度の暴行に
軽微な致傷結果は評価されつくしているといえ、成立し
ないと解する。
四、5万円を持ち出した行為について
1、甲は、乙が気を失った後に犯意を抱いているため、財
物奪取に向けられた暴行脅迫はなされていず、強盗罪は
成立しない。
では、窃盗罪(235条)が成立しないか。
この点、窃盗とは、相手の意思に反して占有を奪うこ
とをいう。ここで5万円は乙の運転するタクシーの中に
残されており、気絶していた乙にも社会通念上占有の意
思と事実が認められる。
そして、甲は、乙の意思に反して占有を奪っている。
2、以上より、甲には窃盗罪が成立する。
五、以上より、甲には2つの詐欺罪と強盗利得罪、窃盗罪が
成立するが、2つの詐欺罪と強盗利得罪は同一の経済的
利益に向けられたものといえ、包括一罪として重い強盗
利得罪のみが成立する。そして、窃盗罪は、一連の計画
に基づくものとはいえないため、強盗利得罪と併合罪(
45条)の関係に立つ。
以上
コメント
1700字弱、4ページの頭です。
改行が多かったので、文字数的には多くないと思いましたが、
随分予定より増えてしまいました。
2つ目の詐欺罪を不可罰的事後行為として切ってしまうことも
考えましたが、電話をかけにいく、という行為を欺罔行為と捉
えるかが一応争いあるので、検討の結果、成立させてしまいま
した。
答案のスタイルを少し変えてみました。
これだと行為ごとに要件を出して、当てはめればいいので、答
案構成にはさほど時間がかかりませんでした。
よろしくお願いいたします。
問題
>>68 答案
>>69-71
73 :
氏名黙秘:2005/04/16(土) 01:41:38 ID:???
>>69 「運送エネルギー」という聞きなれない言葉を使っているのがマイナスかな
「労務」というのが一般。そして、ここでは「労務」自体が利益なのか、その対価が問題なのか
学説で争いがある(既遂時期が異なる)。これをすっ飛ばしたのはまずい
強盗で、暴行脅迫が利益の移転を確実にするか、という議論はない
暴行脅迫は、反抗を抑圧するに足りるものか、がというもの
そして、実行行為により、利益の移転が具体的、確実化となったかが
処分行為と対置される。両者は別概念。独自説書いてもマイナスにしかならない
あと、窃盗が一連の計画といえないことと、併合罪にはなんら関連がない
というか、牽連犯なり観念的競合でそんな基準はでてこない。ここもマイナス
ところで、第一の詐欺において、労務が「財産上不法な利益」となるのはなぜか
それが一言も書いてない。そして、書いてあると、二度目の偽もう行為をどのように処理すべきか出てくる
個人的には、相対評価とはいえ、ちょっとまずい答案ではないかな、と思う
一つ一つの知識に「おかしいところ」がある
74 :
氏名黙秘:2005/04/16(土) 08:19:26 ID:???
>>70 >強盗利得罪の成立には、暴行脅迫、財産上の損害が必要だが
殴ってメガネを壊したら強盗ですか?
奪取罪なのだから「利益を得」ること(利益移転)が必要。
そのうえで、利益移転に向けられた暴行脅迫か、という形にするのなら
「暴行脅迫」の中で債権者の追及云々の話を書いても間違いではない。
「暴行脅迫」の程度の問題ではないので注意。
利益移転がない場合に240条が問題となる場合でなければ
債権者云々は「利益を得」の中で書いたほうが書きやすいとは思う。
75 :
氏名黙秘:2005/04/16(土) 11:02:00 ID:???
>>73 というより運送エネルギー云々っていう問題提起ありかよw
各論なんだから普通に要件たてて当てはめ。
それ以外は無駄、使えないと思っていたほうがいいのでは?
前スレちらっと見てても思ったんだが、因果関係も、
1、実行行為あり。
2、結果あり。
3、では因果関係はあるか?
1)条件関係について。
2)では相当因果関係はどうか?
みたいな感じで論じりゃいいと思うけどね。
好みの問題かと思うけどモタモタしてる印象がある。
>>1、まず、取締役に対して、貸し付けた金銭の返還を請求
>> することはできないか。
これも
1、取締役に対する貸金返還請求について。
こんな感じで書くのもありというのを知っておけばいい。
あくまで好みだが。
ありがとうございます。
>>73 労務という言葉は忘れてしまいまして、キセル乗車と同じに考えてしまいました。
あながち間違いではないと思ったのですが、ここで修正しておきます。
強盗利得罪においては、強盗罪の暴行に当たるか、という中で論じていくのが自然だと教わりました。
新たに、利得の移転時期を明確にすべき、という要件を要求すると、既遂未遂の区別と混同してしまうのではないでしょうか。
基本書も見てみたのですが、どの部分で論じていくかについて、明確に書かれていませんでした。
処分行為の代わりに、利益の移転時期を明確にすべきということなのでしょうか。
迷います。よろしければ、コメントをいただけると幸いです(@)。
併合罪とする理由付けは、私もおかしいなと思ってしまいました。
こういう場合は理由付けない方がよかったですね。
「ところで」以下の部分で、なぜ労務が利益になるかを論じなければならないのでしょうか。
労務を得た以上は利益を得たといっていいのではないでしょうか。
よろしければコメントをいただけると幸いです(A)。
>>74 暴行脅迫の程度ではないとすれば、どういうものなのでしょうか。
私の理解としては、
暴行脅迫が財産上の利益に向けられたといえるためには、利益が移転するような暴行脅迫でなければならない
というように理解していました。
どういうものなのか、ご指導いただけたら幸いです(@’)。
財産上の損害ではなく、財産上の利益取得の問題ですね。
勘違いでした。反省します。
>>75 もたもた、というのは、
結論を導くためにごちゃごちゃしている
必要な論点だけ展開して、後は短く済ませたほうがよい
というように理解しました。
この点については、以前よりご指摘を受けている部分で、随分検討してきたつもりだったのですが、まだまだうまく行っていないです。
さくっと答案を終わらせるコツということで、アドバイスを参考にさせていただきます。
ありがとうございました。
さて、今日は民訴1問目を書いてみました。
【民訴】 平成6年・第1問
訴訟告知の存在意義および効果
一、存在意義
1、訴訟告知とは、訴訟の継続中に、当事者が訴訟に参加
できる第三者に対してその訴訟の告知をすることをいう
(53条)。
2、本来、訴訟は当事者間の紛争を解決することを目的と
しており、当事者でない第三者に訴訟継続の事実を伝え
ることは必要とされていない。これは、当事者間の紛争
を解決すれば実効性が図れるし、手続保障の与えられて
いない第三者を訴訟に巻き込むことは訴訟の遅延等の弊
害を生じうるからである。
では、なぜ法は訴訟告知という制度を設けたのであろ
うか。
確かに、当該訴訟における訴訟物に密接な利害関係を
有するのは当事者であるといえるが、訴訟の結果によっ
ては第三者に影響を与える場合も少なくなく、後日第三
者との間で紛争が再発するおそれもあるため、かかる第
三者に当該訴訟の結果を争えないようにすることで紛争
解決の実効性を図るという必要性が認められる。また、
訴訟告知を受けた第三者は、訴訟に参加して(42条)、
当事者の地位を通じて間接的に自己の利益を守る機会を
与えられているといえ、第三者にとって手続保障が与え
られているといえる。
そこで、紛争の合一的解決のために、第三者に訴訟参
加の機会を与えるという訴訟告知の制度が設けられてい
るのである。
二、効果
1、訴訟告知がなされると、第三者は当該訴訟に補助参加
することができる。また、さらに訴訟告知をすることも
できる(53条2項)。
そして、第三者が訴訟参加しなくても、参加できたと
きに補助参加したものとみなされる(53条4項)。
これは、訴訟告知が、第三者を含めた合一的な紛争解
決のための制度であることから、第三者に対して参加の
機会を与えるとともに、機会を与えられた以上は手続保
障が図られているといえ、訴訟の結果を争えないとする
のが合理的であるということから導かれる。
2、そして、ここにいう訴訟の結果とは、補助参加人に対
する裁判の効力(46条)と同一内容である。すなわち、
判決主文に包含された訴訟物たる権利関係についての判
断(既判力、114条1項)のみならず、判決主文を導くた
めに必要な理由中の判断についても被告知人に効力が及
ぶ(参加的効力)。
なぜなら、補助参加は参加人、被参加人間の紛争を合
一的に確定するために認められる制度であり、参加人は
判決理由中の判断に最も利害関係を有することに鑑みて、
理由中の判断にも拘束力を及ぼすべきだからであり、こ
れは告知人、被告知人との間にも妥当するからである。
このように、判決理由中の判断について効力を及ぼす
ことで、紛争解決の実効性が図られている。
3、また、訴訟告知によって効力が生じるのは、告知人と
被告知人との間に限られる。すなわち、補助参加におい
ては、敗訴責任の公平な分担の見地より、被参加人敗訴
の場合に参加人、被参加人との間に参加的効力が生じる
のであり、訴訟告知によって補助参加と同様の効力が生
じるため、同様に解すべきだからである。
このように、被告知人に手続保障が図られている範囲
で訴訟告知の効力が生じる。
この点で、被告知人が告知人の相手方に補助参加した
場合、敗訴した告知人との間に参加的効力が生じるか争
いがあるが、生じないと解する。なぜなら、被告知人は
告知人に補助参加しなかった以上、告知人を勝訴させる
ための活動をなしえないのであり、参加的効力を及ぼす
べき手続保障を欠いているからである。
4、以上のように、紛争解決の実効性、被告知人の手続保
障の観点から、被告知人に対する効果が導かれる。
以上
コメント
1400字程度、3ページの半分くらいです。
存在意義と効果との結びつきを意識しました。
効果のほうは、羅列的になってしまいました。
紛争解決の実効性、手続保障を軸に構成しました。
83 :
氏名黙秘:2005/04/16(土) 22:19:34 ID:???
>>76 1について
強盗罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りるものであるか、というもので
利益の移転を確実にするものか、というものではないです
未遂と既遂の区別云々の話は理解しかねますが、利益の移転という
書かれざる構成要件要素を充足するか、という意味で、これがあるかで
未遂か既遂かが分かれるのは当然でしょう。西田の基本書には独立して論じているはずです
α Xは相続財産を狙い両親を殺害した
Β Xは債務の免脱をねらい、債権者を殺害した
ァ 他に事情を知るものはいないので、殺害により確実に免脱できた
イ 債権証書等はあり、相続人による即時の権利実行も可能であった
両者とも、究極の反抗抑圧手段といえる殺害とおいう暴行です
ここになんら差異はありません。しかし、αとΒイにおいては強盗利得既遂罪は成立しない
他方、Βァは成立するとされます。それは、事実としての利益移転時期が問題となっているからです
むろん、移転が確実化の部分で、暴行の程度が考慮されますが、あくまで両者は別問題です
84 :
氏名黙秘:2005/04/16(土) 22:24:53 ID:???
>>76併合罪の話ですが、
自分は併合罪ではなく、牽連犯の部分が問題かと
労務についてですが
ァ Xは、買う気も無いのに、買うように見せかけて、店員にパソコンの説明を延々とさせた
イ Xは、払う気がないのに、タクシーに乗った
どっちも、(大谷さんの言う意味での)労務の提供はあります。これを得ている点でも同様
では、ァではXは詐欺利得罪なのでしょうか?そうじゃないと思います
ここでの「労務」とは有償的なもの、対価を伴うものである必要がある
そのような労務を得て初めて利得になる
なぜといえば、詐欺罪は財産罪だからです。だます行為を罰するのではない
85 :
氏名黙秘:2005/04/16(土) 22:36:03 ID:???
民訴については、なんか違う気がする
特に2の最初の部分とか
でも、民訴をしてないんで、自信ないのよね
ぱっと見、今の知識じゃ答えようないかなあ
ありがとうございます。
>>83 かかれざる構成要件要素として捉えるのがすっきりしますね。
そのように修正しておきます。
本当、疑問点を解消していただき、ありがたく思います。
>>84 申し訳ありません。
牽連犯の方が問題というのはどういうことでしょうか。
この事案では牽連犯は成立しないと思われるのですが。
私は、
1、行為の個数をいかに解すべきか(2つ)
2、いくつの構成要件を充足したか(2つ)
3、社会通念上目的手段の関係にあるか(ない)
というステップを踏んで、初めて併合罪といえるものと理解しています。
これを答案に示すべきということでしょうか。
理解力不足のため申し訳ありません。
よろしければコメントいただけたら幸いです。
「労務」についての理解はできました。
これを書いてあるのとないのとではだいぶ違いますね。
本問だと
「タクシー運送という対価的関係のある労務を提供させているため、処分行為が認められる」
ということでよろしいでしょうか。
色々ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
>>85 民訴については、後で現場思考を見てみました。
存在意義のところは、@告知者の利益、A被告知者の利益、B裁判所の利益
から論じていくべきでした。
その上で、各論を組み立てていったほうがよかったと思います。
その分、内容的にずれてしまいました。
間違いはないと思うのですが、引っかかったところがありましたら、コメントいただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
さて、今日は2問目を書いてみました。
【民訴】 平成6年・第2問
民法上の組合である甲組合の組合規約では、業務執行組
合員乙がその業務執行に必要な一切の裁判外および裁判上
の行為をすることができる旨が定められている。
1 業務執行組合員乙は、甲組合に帰属する財産に関する
訴訟の原告または被告となることができるか。
2 右の1につき業務執行組合員乙が原告となることがで
きるとした場合において、組合に帰属する財産に関する
訴訟の係属中に原告である業務執行組合員乙が死亡した
ときは、乙の死亡の事実は、この訴訟の進行にどのよう
な影響を及ぼすか。
一、小問1について
1、乙が組合を代表して当事者となる方法としては、選定
当事者(30条)、明文なき任意的訴訟担当が考えられる。
2、選定当事者について
ア、選定当事者となるためには、29条の規定に該当しない
ことが必要である。
そこで、29条により組合に当事者能力が認められるか
問題となる。
イ、この点、権利能力なき社団に当事者能力が認められる
とした29条の趣旨は、権利能力なき社団も社会的実体を
伴って活動していることから、訴訟上も団体に当事者能
力を認めたほうが便宜という点にある。そして、民法上
の組合も、社会的実体を伴って活動していることから、
当事者能力を認めることが便宜であるといえる。
したがって、代表者の定めがある限り、民法上の組合
にも29条を類推し、当事者能力が認められると解する。
ウ、本問で、甲組合は乙を代表者と定めているのだから、
当事者能力が認められる。よって、乙が選定当事者とな
ることはできない。
2、明文なき任意的訴訟担当
ア、乙を訴訟担当として訴訟追行させることができるか。
明文なき任意的訴訟担当が認められるか、認められると
した場合その要件はいかに解すべきかが問題となる。
イ、まず、法は三百代言の跳梁を防止するため、弁護士代
理の原則(54条)、訴訟信託の禁止(信託法)を定めて
いる。そして、民事訴訟が大量の紛争を画一的、迅速に
処理するため、当事者が自由に訴訟形式を変更すること
はできないとされる(任意訴訟禁止の原則)。
そこで、明文なき任意的訴訟担当は認められないのが
原則である。
もっとも、このように解すると組合が当事者となる場
合、組合に当事者能力が認められなければ組合員全員を
当事者としなければならないが、これは当事者及び裁判
所に煩雑である。そこで、明文なき任意的訴訟担当も一
定の場合には認められると解する。
ウ、としても、法が三百代言の跳梁を防止しようとした趣
旨を没却させてはならない。
そこで、@必要性、A三百代言のおそれがない場合に
限り、明文なき任意的訴訟担当が認められると解する。
エ、本問で、組合員全員を当事者とするのは煩雑であるか
ら@必要性が認められるし、乙は組合代表者の地位にあ
ることから真実組合のために行動することが想定されA
三百代言のおそれはない。
したがって、かかる訴訟担当の方法を採ることにより、
乙は当事者となることができる。
二、小問2について
1、訴訟担当者乙が死亡した場合、訴訟手続は中断するか。
明文ないため問題となる。
2、この点、訴訟担当者が死亡した場合、本来当事者とな
るべきその他の組合員が共同して訴訟追行することがで
きるから、訴訟手続は中断しないとも思える。
しかし、124条1項6号は、同じ訴訟担当において、被選
定者が死亡した場合、選定者全員が訴訟を受け継ぐか、
新たな選定当事者が選定されるまで訴訟手続は中断され
るとしている。
そこで、これを明文なき任意的訴訟担当にも類推し、
他の組合員全員が訴訟を受け継ぐか、新たに訴訟担当者
が選定されるまで訴訟手続は中断すると解する。
このように考えることが、訴訟手続の煩雑さを避ける
ため訴訟担当を認めた目的に合致する。
3、以上より、甲組合員全員が当事者となるか、新たに訴
訟担当を定めるまで訴訟手続は中断する。
以上
コメント
1300字強、3ページの半分くらいです。
小問2は応用問題と思い、条文、趣旨から、必要性、許容性を導きました。
小問1は、原則論として組合員全員ということを述べるべきか迷いました。
聞かれていることから多少離れるので、論述の中で述べました。
昨日の総択のせいか、すっかり寂れてしまいました。
さて、雨にも負けず、今日は刑訴の1問目を書いてみました。
【刑訴】 平成6年・第1問
捜査が適正・適法に行われるために、裁判所・裁判官と
検察官が果たすべき役割について述べよ。
一、刑事訴訟法は、真実発見とともに被告人や関係者の権
利侵害を可能な限り防止すべく、捜査が適切に行なわれ
ることを要請している(1条)。
これは、憲法31条の適正手続の保障を受けたものであ
る。
そこで、第一に捜査機関である検察官により、捜査が
適正・適法に行なわれるように要求されている。
もっとも、検察官が捜査機関である以上、これのみで
は権利侵害の防止を達成することはできない。
そこで、第二に裁判所や裁判官による、捜査の適正・
適法が維持できるような要請がある。
二、検察官の役割
1、検察官は、一次的には捜査機関として被告人と対立関
係にあるが、公益の代表者(検察庁法4条)であることか
ら、自ら不適正・違法な捜査を抑止すべき義務がある。
そこで、逮捕勾留における身柄拘束期間を遵守し(203
条以下)、捜索などの強制処分においては令状主義(憲
法35条、法218条等)に従うことが要請される。
そして、接見指定(39条3項)においては、被告人の接
見交通権(憲法34条、法39条1項)を侵害しないように、
配慮することが要請される。
このように自ら捜査に当たる場合に自主的に捜査の適正
・適法を担保している。
2、次に、検察官は二次的捜査機関(191条参照)にあること
から、警察捜査において違法捜査が行われないように監視
する義務を負う。
そこで、一般的指示、具体的指示、一般的指揮を行なう
ことにより、捜査機関のやりすぎを抑制することになる(
193条)。
そして、警察の捜査活動が違法な場合、事後的に勾留請
求しないことや、新たに手続をやり直すなどして、間接的
に捜査の適正・適法を担保する。
三、裁判所・裁判官の役割
1、裁判所・裁判官は捜査機関とは別個の機関であること
から、第三者的立場から捜査の適正・適法を担保する。
ア、まず、裁判官は、令状発付の場面において、捜査に不
適正・不適法がないかを審査する役割を担う。
例えば、別件逮捕勾留や別件捜索差押など、逮捕勾留、
捜索差押の令状請求にあたり、捜査に不適正・不適法が
あった場合、捜査機関の令状請求を却下することにより
捜査の適正・適法を担保する。
このように、裁判官は捜査機関が適正・適法に捜査が
なされるように、主として事前に審査する役割を担う。
イ、次に、裁判所は、捜査手続の適正・適法を事後的に担
保する役割を担う。
例えば、令状主義に違反するような違法捜査により得
られた証拠が提出された場合、違法収集証拠として証拠
排除することや、捜査に重大な違法があり公訴提起が重
大な違法の瑕疵を帯びる場合、公訴を棄却することがあ
る(338条4号類推)。
また、違法捜査に対する国家賠償請求を審理すること
で、捜査機関の責任を明確にし、捜査の適正・適法を担
保することになる。
2、このように、主として裁判官は事前に、裁判所は事後
的に捜査の適正・適法を担保するという役割を担ってい
る。
四、以上のように、検察官・裁判官・裁判所は、それぞれ
が被告人や関係者の権利保護のため、有機的一体として
捜査の適正・適法を担保する役割を担っている。
以上
コメント
1300字程度、3ページの前半です。
制度があまりあがらなかったので、よく知っていることだけを述べ、場面を分けることで整理された答案を目指しました。
論点となりうる場面もいくつかあったのですが、「述べよ」という指示からあえて論じませんでした。
捜査を行なう者と、それを監視する者という大きな枠組みを組み立てました。
前はよく聞かれていましたが、もうこの問題は出ないかも知れませんね。
よろしくお願いいたします。
問題
>>94 答案
>>95-96
98 :
氏名黙秘:2005/04/19(火) 08:45:07 ID:???
>>97 刑訴のうち、つかみ所のない問題なので、そのような内容でいいでしょう
>>86 併合罪は、社会通念上手段目的の関係にならない場合ですが
犯罪計画は考慮されないと思います(具体的な考慮になるから)
そういう意味ですね
労務については、労務が2項詐欺の客体たりうるか(財産性を持つか)で述べるほうが良い
「労務も対価を持つときは、財産的価値を持つので、財産上の利益たりうる」という風に
>>98 ありがとうございます。
刑訴に関しては、裁判官は勾留の段階で事後的に逮捕の瑕疵を審査するということも触れたかったです。
本当につかみどころのない問題でした。
本試験で出たら、怖いですよね。
少し身にしみました。
併合罪にあたるかは、犯罪計画ではなく、客観的一般的観点から判断すべきです。
ここは深く反省しました。
余計なことを書いてしまいました。
労務については、客体の話として頭だししておくとすっきりしますね。
ありがとうございます。
この記述はいただきました。
さて、今日は刑訴2問目を書いてみました。
今回で平成6年度も終了です。
明日以降は平成14年度を書いて、択一本試験にのぞみたいと思います。
【刑訴】 平成6年・第2問
殺人被告事件につき、司法警察職員が作成した次のよう
な実況見分調書を、裁判所は証拠として採用することがで
きるか。
1 被告人の「この地点で被害者を刺し殺しました。」と
の供述を記載した部分
2 刺殺の犯行状況を再現した被告人の動作を撮影した写真
一、小問1について
1、本問実況見分調書を、被告人の有罪を認定するための
証拠(実質証拠)するためには、厳格な証明、すなわち
適式な証拠調手続を経た証拠能力ある証拠である必要が
ある。これは、事実の認定を証拠に基づかせることで、
裁判官の恣意的な判断を排除するという証拠裁判主義(
317条)に基づく。そして、証拠能力が認められるために
は、必要最小限度の証明力があり(自然的関連性)、証
明政策上誤判のおそれがなく(法律的関連性)、証拠禁
止に当たらないことが必要である。
2、ここで、本問調書は公判廷外での供述を録取した書面
であり、伝聞証拠として法律的関連性を欠き、証拠能力
が認められないのが原則である(320条)。なぜなら、公
判廷外の供述については反対尋問によるチェックができ
ず、知覚・記憶・表現・叙述の各過程に誤りが介入して
いるか明らかでないからである。
もっとも、伝聞証拠も、証拠として用いる必要性が高
く、供述の状況的保障が与えられている場合には一定の
信用性が認められるため、伝聞例外(321条以下)として
証拠能力が認められている。
そこで、実況見分調書も伝聞例外として許容できない
か問題となる。
思うに、実況見分は、検証を任意捜査の形式で行なう
にすぎず、両者は類似するものといえるし、検証調書が
伝聞例外として許容されるのは、書面にしたほうが理解
しやすいという理由によるが、これは実況見分調書にお
いても同様である。そこで、321条3項を類推適用しうる
と解する。ただ、実況見分は捜査機関が行うものである
ため、「真正に作成された」との供述は、作成名義のみ
ならず内容も忠実に作成されたことが要請されると解す
る。
以上より、321条3項類推により、実況見分調書に証拠
能力が認められる。
3、もっとも、本問調書には、被告人の供述がその内容と
して含まれている。そこで、この点についても伝聞例外
の要件を満たす必要があるかが問題となる。
思うに、伝聞証拠が原則として証拠能力が否定された
趣旨が、過誤の介入するおそれが高いという点にあるこ
とから、伝聞証拠であるかは要証事実との関係で相関的
に決せられるべきである。すなわち、供述の内容の真実
性が問題となる場合が伝聞証拠となり、そうでなければ
非伝聞となる。
そして、単なる現場における指示説明を要証事実とす
る場合、その内容の真実性ではなく、被告人が当該地点
を指したという事実の存在が要証事実となるから、非伝
聞である。したがって、この場合はさらに伝聞例外の要
件を満たす必要はない。
これに対し、被告人が実際にその場所で被害者を殺害
したという事実を要証事実とする場合、供述の内容の真
実性が問題となるから、伝聞証拠に当たるというべきで
ある。そして、かかる供述は被告人に不利な供述である
から、さらに322条1項の要件を充足する必要がある。
4、以上より、被告人の供述内容の真実性が問題とならな
い場合は、321条3項の要件を充足し、問題となる場合は、
321条3項に加えて322条1項の要件を充足すれば、伝聞例
外として証拠能力が認められるため、裁判所は本問調書
を証拠として採用することができる。
二、小問2について
1、本問調書を証拠として採用するために、321条3項の要
件を満たす必要があることは小問1と同様である。では、
被告人の犯行再現を撮影した写真を証拠として用いる場
合、他の伝聞例外の要件を満たす必要があるか。
2、この点、動作は供述と異なるから、伝聞証拠に当たら
ないのが原則である。
もっとも、犯行再現は、実質的に被告人の動作による
供述という側面を有する。とすると、誤判防止のため、
被告人が知覚・記憶したことに基づき表現できたかとい
う点に反対尋問を行い、過誤が介入しているかをチェッ
クする必要があるため、伝聞証拠が原則として証拠能力
が認められないとした趣旨を及ぼすべきである。
そこで、321条以下の伝聞例外規定を類推する必要があ
る。
ここで、犯行再現が被告人の供述と実質的に同視しう
ることから、322条1項を類推すべきであると考える。
また、写真について伝聞例外の要件を満たす必要があ
るか問題となるが、科学的証拠は、知覚・記憶という過
程を経ない以上、伝聞証拠の趣旨が及ばず、伝聞例外の
要件を満たす必要はなく、関連性を慎重に認定すれば足
りると解する。
3、以上より、321条3項と322条1項の要件を満たす限り、
裁判所は本問調書を証拠として採用できる。
以上
コメント
1800字程度、4ページの頭くらいです。
段階を追って丁寧に説明しました。
厳格な証明、伝聞法則についてはもう少し短くすべきだと思いました。
供述証拠について「一、3」で場合分けしないで伝聞証拠と認定してもよかったかもしれません。
普通に書いたらこれくらいが限度です。
よろしくお願いいたします。
問題
>>100 答案
>>101-103
105 :
氏名黙秘:2005/04/19(火) 20:42:02 ID:U+GEiIZQ
106 :
氏名黙秘:2005/04/19(火) 21:00:55 ID:???
今回はコメントがなかったみたいです。
さて、今日は憲法1問目を書いてみました。
【憲法】 平成14年・第1問
A市の市民であるBは、A市立図書館で雑誌を借り出そうと
した。ところが、図書館長Cは、「閲覧用の雑誌、新聞等の定
期刊行物について、少年法第61条に違反すると判断したとき、
図書館長は、閲覧禁止にすることができる。」と定めるA市の
図書館運営規則に基づき、同雑誌の閲覧を認めなかった。これ
に対し、Bは、その措置が憲法に違反するとして提訴した。こ
の事例に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。
一、A市立図書館長Cは、Bに対し閲覧禁止図書館運営規
則に基づき、閲覧禁止という処分を下している。
そこで、本問規則はBの知る権利を侵害しないか、C
の処分は裁量権の逸脱として違法ではないかが問題とな
る。
二、規則について
1、まず、Bの知る権利は、表現の受け手と送り手が分化
している現状において、表現の自由は受けての側から再
構築される必要があるため、表現の自由の一内容として
21条1項により保障されると解する。そして、図書館にお
いて図書の閲覧を求めることは、知る権利として保障さ
れる。
2、そこで、本問規則は知る権利を事前に差し止めるもの
として、検閲の禁止(21条2項)に当たらないか問題とな
る。
思うに、検閲の禁止は、行政権が主体となって思想弾
圧をしたことに対する反省から設けられたものであるか
ら、行政権が主体となって思想内容等の表現物を発表前
に審査し、不適当なものの発表を禁止することをその特
質として備えることをいうと解する。
この点、図書館長はA市の公務員であるから、行政権
に当たるが、少年法61条に当たる図書が思想内容等の表
現物といえるかは疑問であるし、既に発表済みのものを
図書館において閲覧を禁止するものであるから、検閲に
あたらない。
3、としても、本問規則により、一定の情報を、図書館を
通じて入手する手段が閉ざされている。この点、知る権
利も絶対無制約ではなく、人権相互の矛盾衝突を調整す
る公共の福祉(13条)による制限を受ける。ただ、知る権
利は表現の自由の一内容として保障されるのであり、表
現の自由が自己の人格形成・発展という自己実現の価値
と、自ら国政に参画していくという自己統治の価値があ
り、精神的自由権の中でも優越的地位を占めることから、
その制限は原則として認めるべきでない。
そこで、本問規則が21条1項に反さず合憲といえるため
には、侵害される利益と守られるべき利益とを比較衡量
して決するべきである。
ここで、本問規制は少年法61条に基づき、少年の育成
と保護を目的としている。すなわち、実名報道がなされ
ると、少年の将来における不利益的取扱がなされるおそ
れが高く、精神的に未発達な時代に起こした事件により、
その後の社会的活動を阻害することのないように、実名
報道を禁止視しているものであり、重要な目的に基づく
ものといえる。
他方、知る権利は重要な権利であるが、実名報道によ
り誰がどのような罪を犯したのかを知ることは、表現の
自由の価値に必要不可欠とはいえない。また、図書館以
外から情報を入手することもできるのであるから、知る
権利の制約の程度はさほど大きいとはいえない。
したがって、本問規則は21条1項に反さず、合憲である。
三、処分について
1、このように、規則が合憲であったとしても、Cの処分
が合理的裁量の範囲内といえなければ、21条1項に反する
ことになる。そして、A市民であるBには、A市立図書
館を利用し、本を閲覧する権利が認められるのであるか
ら、規則があることを理由に自由に制約が認められるの
ではなく、不当に制約しない方法でなされる必要がある。
この点、Cの処分は、雑誌の内容が少年法61条に反す
るものであるという客観的事実に基づき閲覧不許可処分
を下したのであり、Cの恣意的な裁量によるものではな
く、Bの知る権利を自由に制約するものではない。
2、したがって、本問処分は21条1項に反さず、合憲である。
以上
コメント
1300字程度、3ページの頭くらいです。
知る権利が抽象的権利であることを示したかったのですが、具体的立法がないから請求権までは認めることができない、としてしまうのでは答案が成り立たなかったので、触れませんでした。
具体的権利説を採用していることを匂わせておきました。
113 :
氏名黙秘:2005/04/21(木) 00:14:24 ID:???
>>112 やはりこの時期に下三法はコメントする側もつらいでしょう。
まいどのことですが一.の導入はどうでしょう?
書いて何か説得的かといえばそうじゃないんですよ
もっと端的に「本件処分は○○により違憲とならないか」でいいと思います
で、知る権利の制限につき、いきなり比較考量になってる
こういう流れの学説も判例もないので、かなり点が引かれる気はします
判例も、立法目的、達成手段の吟味をしたうえで、利益の考量を考えています
また、必要性合理性による判断も、利益考量ではないです。ここら辺だけで採点終えられても仕方ないかも
114 :
氏名黙秘:2005/04/21(木) 00:18:31 ID:N5bMohCt
択一は大丈夫ですか?
大谷さんが拓落ちしないかみんな心配してます。
>>113氏と同意見
問題文の事実をもっと読んで!
「措置が憲法に違反するとして提訴した」
って書いてあるでしょ。
処分の合憲性だけで十分だったと思うけど。
あと、違憲審査基準の論証だけど、知る権利の重要性を説きながら、
なんで比較衡量になるのかな?
大谷さんの書き方なら、もっと厳格な審査基準が妥当しそうに読めるのに。
せめて、反対利益として少年の更生ってのを書かないと!
116 :
氏名黙秘:2005/04/21(木) 00:48:01 ID:???
>>112 つまらんことなんですが「この点」が唐突に出てきて、どの点?と
思ってしまいました。別の言葉に置き換えた方がいいかもしれないです。
受験上はよく使われる言葉ですが、使い勝手がいいためにあまり前後の
文脈のつながりを考えずに「この点」と使ってるように見られます。
余計なお世話かもしれないので、気を悪くしたらすいません・・・
「この点」が3つ出てきますが、1つ目と3つ目は規範を立てた後の
「この点」なので、「これを本問について見てみると」とか「本問の場合」とかの
方が文つながるのではないでしょうか?
そして2つ目の「この点」は知る権利が制約される前提としての公共の福祉を
あげる文につなげる「この点」だと思うんですが、
知る権利が重要であるということを先に書かないと、公共の福祉による制限という
制限の可能性があることの意味が伝わらないのではないでしょうか。
流れとしては 知る権利は21条で保障される → 知る権利は重要 → 公共の福祉
→ けど精神的自由だから厳格な制限 と(比較考量をするならその根拠も)。
あえて今の文のままだとするなら「ただ、」とかの方がいいかもしれないです。
大谷さんの場合、規範を立て急いでいるような気がします。
本問のような論点が少ない問題こそ、丁寧に(自分ではわかってることでも)書いたほうが
沈まず、相対的に浮くのではないかと思います。
以上長々と偉そうにすいません。
ただの一受験生なのであまり参考にならないかもしれませんが・・・
>>113 ありがとうございます。
導入で、規則と処分とを分けて論じるんだということを示したくて、冗長にしてしまいました。
前に書いたときは、規則の合憲性を明白かつ現在の危険の法理を用いて合憲に無理やり持っていきました。
やはり、大事な権利といいつつ比較衡量というのはお粗末に過ぎますね。
LRAないしは厳格な合理性の基準の中で、立法目的、規制手段との緻密な検討をすべきだったと反省しました。
私なら、この答案は落第点をつけてしまいます。
情けないです。
答案構成の段階だと、これでいいと思っていたのですが、付け焼刃はよくないですね。
>>114 ありがとうございます。
私も択一が心配ですが、何とか合格ラインにいると思いたいです。
この時期だけあって、不安たっぷりですね。
全力を出してがんばってみたいと思います。
今でも結構やっているつもりなのですが、5月1日からは、択一のみに専念します。
チャンスといわれる年だけあって、最終合格したいですね。
カキコしている間にレスが増えてました。
>>115 >>117に書きましたが、明らかにおかしいですね。
厳格な審査基準を立てるべきでした。
これだけで憲法を理解していないというのが浮き彫りに出てしまいました。
>>116 「この点」は意味がないと以前このスレで言われた記憶があります。
でも、ついつい使ってしまうんですよね。
ご指摘の点は、大変参考になります。
答案で生かしたいと思います。
ありがとうございます。
119 :
氏名黙秘:2005/04/21(木) 00:54:06 ID:???
>>117 合憲性判断基準は、一番いいのは判例。じゃなきゃ芦部
どちらも正確に。最もまずいのはオリジナルです
明白かつ現在の危険も、これを採用する判例が無く、学説も消極的なので
採用は良くないでしょう。
少年法の意義と目的を、立法目的と手段のときにきっちり読み込む手法でいいです
>>119 とすると、当てはめで使えるのは、厳格な合理性の基準でしょうか。
目的のところで充実した趣旨を出せますし、実質的関連性があるかどうかも緻密に検討できますし。
LRAを使うとどうしても違憲という結論になりかねないので、やはり避けたいです。
ありがとうございました。
さて、今日は憲法2問目を書いてみました。
【憲法】 平成14年・第2問
以下の各訴えについて、裁判所は司法権を行使することができるか。
1 国会で今制定されようとしているA法律は明らかに違憲であるとし
て、成立前に無効の宣言をするよう求める訴え。
2 B宗教の教義は明らかに憲法第13条の個人の尊重に反しているとし
て、その違憲確認を求めてC宗教の信徒らが提起した訴え。
3 自衛隊は憲法第9条に違反する無効な存在であるとして、国に対し
て、自己の納税分中自衛隊に支出した額の返還を請求する訴え。
一、裁判所が司法権を行使するためには、法律上の争訟(
裁判所法3条1項)にあたる必要がある。ここで、法律上
の争訟とは、@具体的権利義務ないし法的地位に関する
紛争で、A法の適用によって終局的に解決できる紛争を
いう。
このような場合に限って司法権の行使が認められるの
は、具体的事件がない場合にまで司法権の行使を認めて
も紛争解決の実効性に欠けるし、裁判所は法を用いて判
断する機関であるから法によらない紛争を訴訟の場に持
ち込まれても無意味だからである。
以下、各小問を検討する。
二、小問1について
A法律の制定前に裁判所に無効の宣言を求める訴えは、@
まだ具体的権利義務に関する紛争が生じる前のものであ
る。
したがって、法律上の争訟に当たらず、司法権を行使
することはできない。
三、小問2について
1、B宗教の教義の内容が、13条の個人の尊厳に反するも
のとして信徒が違憲確認を求めて訴えることは、これが
一般的な確認を求めるにとどまる場合、@具体的な権利
義務や法的地位に関わる紛争とはいえず、小問1と同様に
なる。
2、他方、教義の内容によって信徒の個人の尊厳が侵害さ
れている場合にそれを抑止する手段として訴えを提起し
た場合、個人の尊厳という信徒の具体的権利が侵害され
ているといえ、@の要件は満たす。
もっとも、宗教の教義の内容は、当該宗教における方
針ないし目的を意味するにとどまり、A法を適用して解
決すべき問題でない。
したがって、いずれにせよ法律上の争訟に当たらず、
裁判所は司法権を行使することができない。
四、小問3について
1、自己の納税分中自衛隊に支出した額の返還を求める訴
えは、@個人の財産権を侵害するものとして、具体的権
利に関する訴えといえる。
また、A自衛隊の存在を違憲と解することにより、返
還請求を認めうるといえるため、法の適用により終局的
に解決しうる紛争である。
したがって、本問訴訟は法律上の争訟にあたる。
2、としても、自衛隊の存在について裁判所が判断を下す
ことはできるのか。いわゆる統治行為論を用いて、司法
権の行使を抑止すべきではないかが問題となる。
思うに、統治行為論の論理的根拠は、裁判所が政治的
判断に乏しく十分な判断能力を有さないこと、政治紛争
に巻き込まれることで公正な裁判所でなくなるおそれが
あることにある。
しかし、自衛隊の存否については、憲法9条が戦争放棄
をしていることの解釈問題として判断可能であり、裁判
所の審査能力が劣るとはいえないし、違憲な国家機関や
行政行為を放置することの方が公正な裁判所を害すると
いえる。
したがって、統治行為論の適用する前提を欠く。
3、よって、裁判所は、司法権を行使することができる。
以上
コメント
1100字程度、2ページくらいです。
前に書いたときもこれくらいの分量でした。
総論で趣旨をさらっと触れておきました。
あとは規範に単純に当てはめました。
統治行為論のところは少し工夫してみました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>121 答案
>>122-123
125 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 17:44:44 ID:???
>>108 いきなり知る権利って認定しないほうがいい。
>>123 納税者訴訟は法律上の訴訟には当たらない。
126 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 17:45:07 ID:???
第1審東京地方裁判所昭和63年6月13日判決から引用して、どういう論理から
具体的事件性が否定されるのか、紹介しよう。
「原告は、自衛隊関係費の支出が憲法9条に違反する旨を主張し、これを前提とし
て、同支出の財源となる所得税の賦課、徴収も同支出相当分の賦課、徴収の限度
で憲法9条に違反し、また、右賦課、徴収により、同原告らの平和的生存権が侵害さ
れた旨を主張する。
しかし、憲法は、83条、85条及び86条において、国費は、毎年度の予算の国会にお
ける審議等の手続を経て、国会の議決に基づいて支出すべきものと定め、他方、30条
及び84条において、租税の課税要件及び賦課徴収手続は法律によって規定するもの
と定めて、国費の支出と租税の賦課、徴収についてその法的根拠及び手続を区別して
規定しているから、仮に前者が違憲、違法であったとしても、その違憲性、違法性は当
然には後者に及ばないものと解すべきである。
127 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 17:46:50 ID:???
また、憲法30条及び84条を承けて制定された所得税法は、所得税を、一般的な経費
の支出に充てる目的で課税し、その概念要素として税収の具体的な使途を含まない普
通税として規定しているが、このように使途と無関係なこれから独立した普通税を設け、
その使途については、予算の議決等国会の適正な審理に委ねるとする徴税制度は、む
しろ憲法の予定しているところであって、何ら憲法に違反するものではないというべきで
ある。
そうすると、所得税が右のように税収の使途と無関係なこれから独立した普通
税として規定されている以上、その賦課、徴収段階において、税収の使途の違憲
、違法を問題にする余地はないというべきであるから、仮に憲法に違反する国費の
支出が予算により決定されたとしても、所得税の賦課、徴収が違憲又は違法となる
ことはないものというべきである。また、右のとおり、所得税は、税収の使途と無関
係なこれから独立した普通税であるから、たとえ仮に予算の議決によりその税収の
一部が憲法に違反する使途に支出されることが決定されたとしても、右議決の結果
、所得税の賦課、徴収に税収の個別具体的使途の性格が付加されるものではなく、
したがって、所得税の賦課、徴収自体によって原告らの自由、権利ないし法的利益
が侵害されることはないというべきである。」
128 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 17:51:24 ID:???
コメント
1300字程度、3ページの頭くらいです。
知る権利が抽象的権利であることを示したかったのですが、具
体的立法がないから請求権までは認めることができない、として
しまうのでは答案が成り立たなかったので、触れませんでした。
具体的権利説を採用していることを匂わせておきました。
地方自治法244条。
試験六法にも掲載。
129 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 18:00:31 ID:???
あと請求権的側面の侵害なのか、自由権的側面なのかの指摘は必須。
導入部分でもたもたするのは問題だけど、憲法の場合、問題となってる
行為の性質を丁寧に評価(憲法的に)して、当てはめることが大切。
自分も出来てるとはいえないけど、再現なんかを多く集めて検討した。
配点は当然ある。
130 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 18:34:12 ID:???
営造物の利用権(痴呆自治法244条)は法律上の権利。
図書館、美術館、市民会館その他公共施設の利用権を具体化。
(パブリックフォーラム及びそれに準じる施設)
ただ図書館で本の貸し出しを受けるとうい面に着目すれば知る権利の
侵害という問題になる。これが自由権、社会権いずれを侵害してるかは
考え方によりわかれるかもしれない。
これが例えば公民館での集会不許可が問題になってる事案であれば、
集会の自由の侵害の問題。
そして、その制限根拠。(内容or時、所、方法) 悩みどころか?
それから合憲性審査基準。(もちろん制限根拠をうけて)
あてはめ。
百選34の事例(モーホーの事例)もこんな感じで書ける。
参考に。
131 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 18:38:53 ID:???
あと判例の指摘。
オリジナルなんていらない。
判例踏まえた論理展開がよく出来てれば当てはめが
しょぼくても高評価は得られる。
ありがとうございます。
>>125 「図書の閲覧を求める権利」とすべきですね。
知る権利が認められるか争いがあるのに、頭で出すのは印象悪いと思いました。
地方自治法244条は有名なのでしょうか。
すっかり忘れていました。
>>126-127 とすると、法律上の争訟にあたらない、統治行為論を出すまでもない、ということですね。
この裁判例はすごくためになりますね。
理論の流れがすっきりしていますし、読みやすいです。
わざわざ引用ありがとうございました。
住民訴訟の場合と対比すると、国に対して賠償せよ、ということなら可能性ありですね。
ところで、この判例を利用すると、比較の視点が出せないような気がします。
裁判所の公平・公正から対比を出していくべきということだったのでしょうか。
よろしければご意見を伺えればと思います。
>>129-131 権利の認定からもっと丁寧にしていったほうが印象いいですね。
権利があるから、侵害が問題となって、許される侵害なのか、という話に入れますから。
地方自治法を用いて、利用できる権利があることは示したかったです。
この事件で判例を挙げるとすると、泉佐野事件、少年の家事件でしょうか。
明らかな差し迫った危険という厳格な基準を定立するのは少々気が引けますが、それに類似した規範を定立したほうがよいですね。
参考にします。
さて、今日は民法を書いてみました。
【民法】 平成14年・第1問
Aは、妻とともに、子B(当時18歳)の法定代理人として、
Cに対し、Bが祖父からの贈与により取得した甲土地を、時価
の500万円で売却して引き渡し、所有権移転の登記をした。Aは、
妻の了解の下に、その売却代金を、AのDに対する500万円の債
務の弁済に充てた。Aは、Dに弁済する際、甲土地の売却代金
により弁済することを秘していたが、Dは、そのことを知って
いた。AがDに弁済した時、A夫婦は無資力であった。その後、
Bは、成人した。
1 A夫婦が売却代金をAのDに対する債務の弁済に充てるた
めに甲土地を売却したものであり、Cは、甲土地を買い受け
る際、そのことを知っていた場合において、次の各問につい
て論ぜよ。
(1) Bは、Cに対し、甲土地の返還を請求することができ
るか。
(2) CがBに対して甲土地を返還したとき、Cは、Bに対
し、500万円の支払を請求することができるか。
2 A夫婦が売却代金をBの教育資金に用いるつもりで甲土地
を売却したが、売却後に考えが変わり、売却代金をAのDに
対する債務の弁済に充てた場合において、Bは、Dに対し、
500万円の支払を請求することができるかについて論ぜよ。
一、小問1(1)について
1、BがCに対し甲土地の返還を求めることができるため
には、BがCに対して甲土地の所有権を主張できなけれ
ばならない。ところが、CはBの法定代理人Aから甲土
地を購入しており、Cは所有権を取得し、反面Bは所有
権を失うため、Bは返還を求めることができないのが原
則である(824条参照)。
もっとも、Aは、自らのDへの債務を弁済するために
甲土地を売却している。
そこで、Bは、本問取引は利益相反行為(828条)に当
たり、取引の無効を主張することでCの所有権取得を否
定し、甲土地の返還を求めることができないか問題とな
る。
2、思うに、法定代理人の主観を考慮して利益相反行為に
当たるかどうかを判断するのは、相手方が了知し得ない
法定代理人の内心により法律効果が異なることになり、
相手方の地位を不安定にするため、主観を考慮すべきで
ない。そこで、利益相反行為に当たるためには、客観的
外形的に親と子の利益が相反することが必要であると考
える。
この点、AはBを代理して、Bの土地を売却している
のだから、客観的外形的に法的効果がBに帰属するため
利益相反に当たらない。
したがって、Bのかかる主張は認められない。
3、としても、Aは、自らの債務を弁済するためにBの土
地を売却しており、他方、CはAのかかる意図につき悪
意である。この場合にまでBが取引の効果を争えないと
することは、Bの利益をあまりに害する。
思うに、法定代理人は子の利益のために行動すべきで
あり、自らの利益を図り、子の利益を害することは法定
代理権の濫用といえる。そして、法定代理権の濫用によ
り、法的効果を子に帰属させ、経済的効果を親が享受す
ることは、心裡留保に類似するものといえるから、93条
但書を類推し、代理権の濫用につき悪意有過失ある者に
対して子は取引の無効を主張できると解する。ただ、親
はこの財産につき広範な代理権を有することから(824条
)、取引の客観的安全性を考慮して、代理権の濫用とい
える場合とは子の利益を著しく害する場合に限ると解す
る。
本問では、土地という高価な財産を売却しており、子
の利益を著しく害する場合といえ、Aの代理行為は権限
濫用といえる。そして、CはAの私利を図る意図につき
悪意である。
したがって、Bは93条但書類推により、取引の無効を
主張し、Cに対して甲土地の返還を請求できる。
二、小問1(2)について
1、Bは何ら不法行為を行なっていないため、Cは不法行
為に基づく損害賠償請求(709条)をすることはできない。
また、Aの代理行為が無効とされる結果、BC間に契
約関係は存在せず、債務不履行に基づく損害賠償も請求
することはできない。
2、では、CはBに不当利得返還請求(703条)することは
できないか。
ここで、不当利得返還請求が認められるためには、債
権者の損失の下で、債務者が法律上の原因なくして利得
を得たことが必要である。
しかし、Cの支払った代金は、Aの債務に充当されて
おり、Aの損失の下にBが利得を得たという関係がない。
したがって、不当利得返還請求することもできない。
3、よって、Cは、Bに対し、500万円の返還を請求するこ
とはできない。
このように解しても、CはAに対して不法行為責任を
追及すれば足りるから、Cを不当に害することにはなら
ない。
三、小問2について
1、小問1と異なり、Aは甲土地の売却時はBの利益を図る
目的を有していたことから、権利濫用は問題とならない。
しかし、その後に気が変わり、500万円をDへの債務に
充当している。この500万円はBに帰属すべき財産である。
そこで、BはDに対して500万円の不当利得返還請求す
ることはできないか問題となる。
2、ここで、Bには500万円を失っており、Dは500万円の
弁済を受けている。ただ、DはAに対して500万円の債権
を有していたし、弁済により債権が消滅したことから法
律上の原因なくして利得を得たとはいえないのが原則で
ある。
もっとも、債権者に他人の財産であることに悪意重過
失ある場合、債務者が本来利用できない金銭により弁済
を受けたといえる。とすると、このような場合は、債権
者は信義則(1条2項)上弁済受領を拒むべきであり、法
律上の原因なく他人の債務により利得を得た場合と同視
できる。
そこで、債権者が他人の財産であることに悪意重過失
ある場合は、不当利得返還請求を行使できると考える。
3、したがって、Bは、Dが本来Bに属すべき財産である
ことにつき悪意重過失で弁済を受領した場合、BはDに
対して500万円の支払を請求しうる。
以上
コメント
1800字程度、4ページの頭くらいです。
利益相反に当たるかどうかは規範だけ定立してもよかったかもしれません。
字数に余裕がなかったため、小問2で因果関係があることを前提に論じてしまいましたが、一言触れたかったです。
法定代理権の濫用の論点は忘れていたので、勝手に作ってしまいました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>133 答案
>>134-136
138 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 21:39:16 ID:???
>>132 地方自治法244条は有名。
百選でも解説の中では言及されている。
営造物の利用権が法律で保障され、その具体的内容、制限が
条例ないし規則で規定される。
その意味で具体的権利になってると評価できるはず。
判例は泉佐野の事件。これも244条が問題になってる(解説参照)。
ただし制限根拠が違うので同じ基準は妥当しないと指摘すればいい。
権利の性質(集会と本の貸出し)の違いとかから裁量権の範囲が違う、
したがって、基準を若干緩める、或いは厳しくしても良いとかそういう論
理を使うとか(ここからはセンス)。
判例の指摘は現時点では必須。
営造物の利用権の制限、精神的自由の制限が問題になっている点で共通。
139 :
氏名黙秘:2005/04/22(金) 21:47:51 ID:???
>>ところで、この判例を利用すると、比較の視点が出せないような気がします。
>>裁判所の公平・公正から対比を出していくべきということだったのでしょうか。
これはよく分からない。
司法権の意義をしっかり書かせたうえで、法律上の争訟の要件事実の当てはめ
問題と考えてもいいかもしれない。
当てはめについては要件事実ゼミナール2を読めば分かりやすいと思う。
小問3に関しては、予算と法律の関係を裏から聞いてると考えるのは考えすぎ
かもしれないけど、そういう問題かもしれない。難しすぎる。
ありがとうございます。
>>138 微妙なバランス感覚が問われるセンスですね。
泉佐野市を題材に組み立てていけば、いい感じで理解が示せるかと思いました。
共通点と相違点を出して、基準を示せれば、印象はいいですね。
判例をもっと意識した答案にするよう、心がけてみます。
>>139 要件事実ゼミナールって、そんな本まで読まれているのですか。
すごいですね。
おっしゃるとおりの問題意識だとすると、受験生の大部分は書けないですね。
出題の趣旨も、実際の答案を踏まえたうえでのものということになってしまいますね。
いずれにせよ、基本的な問題に見えて、奥が深いですね。
さて、民法1問目についてはコメントが得られなかったみたいです。
今日は民法2問目を書いてみました。
【民法】 平成14年・第2問
Aは,20歳の息子Bが資産もないのに無職でいることに
日ごろから小言を言っていたところ,BがCから500万円の
借金をしていることを知り,その借金を返済してやりたい
と考えた。しかし,Bは,「親の世話になりたくない。」
と言って,これを拒否している。AがBの上記債務を消滅
させてやるためには,いかなる法律的方法があるか。AC
間に新たな合意を必要としない場合と必要とする場合とに
分けて論ぜよ。
一、合意を必要としない場合
1、まず、Aが第三者弁済(474条)により債務を消滅させ
ることが考えられる。
ここで、第三者弁済は、利害関係を有する者を除き、
債務者の意思に反して弁済することはできない(474条2
項)。これは、他人の助力を得たくないという債務者の
意思を尊重したものである。
しかし、AはBの親権者に過ぎず、利害関係を有する
とはいえず、BはAの弁済について反対の意思を表明し
ていることから、第三者弁済によることはできない。
2、次に、Aが事実上債務を弁済し、Bに対する不当利得
返還請求権を放棄することが考えられる。
法律上債務を弁済できない場合であっても、勝手に弁
済してしまえば債務を消滅させることができるが、債務
者の意思を尊重するという474条2項の趣旨を事実上没却
するものといえる。
二、合意をする場合
1、まず、AはCから債権譲渡(466条)を受け、債権を放
棄することにより、Bの債務を消滅させることができる。
但し、本問債権が譲渡を許すもので、CがBに譲渡の
通知をすることが必要である。
2、次に、Aが委託を受けない保証人となり、もしくは並
存的債務引受をした上で、債務を弁済し、求償権(462条)
を放棄することが考えられる。
この場合、Aは独立した債務を負担するため、利害関
係を有する第三者としてBの意思に反しても弁済するこ
とができる。
3、さらに、免責的債務引受をすることも考えられる。
しかし、他人に自らの債務を弁済してほしくないとい
うBの意思を尊重するため、Bの意思に反して免責的債
務引受をすることはできない。
三、このように、Aが債務を消滅させる方法は、ごく限ら
れた一部の方法によることになり、自由に消滅させるこ
とはできない。
これは、債務者Bの他人の助力を得たくないという意
思を尊重するという474条2項を民法が基本原理として採
用していることに基づく。
しかし、他方では債権者と合意することや、事実上強
制的に債務者の意思に反して弁済する手段が残されてい
る。
とすると、債務者の意思の尊重はそれほど強いもので
はなく、「原則」というほど強力な拘束力を有するもの
ではないといえる。
また、債権者としては、現実に債務の弁済を受けるこ
とを期待しているのであり、債務者の意思を尊重するあ
まり、債権者の利益を害するような態様は妥当でないと
いえる。
したがって、債務者の意思を尊重するという474条2項
の原則は、実際上無意味な規定であるように思える。
以上
コメント
1000字程度、2ページくらいです。
これが私の意見です、ということを、「三」で詰め込んでおきました。
現実の立法を批判するのは怖いですが、少々おかしい規定だと思っています。
手段については、もっと制度を挙げて検討すべき、丁寧に検討すべきだと思いましたが、うまくまとまりができなかったので、無難に羅列しておきました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>141 答案
>>142-143
145 :
氏名黙秘:2005/04/23(土) 23:44:05 ID:???
>>142 ・利害関係の解釈が示されていない
・事実上の弁済というのが意味不明(免除の意思表示があるわけでも
ないのに勝手に支払うだけで債務が消滅するのか?)
・保証人は自己の債務を弁済するのであって,利害関係ある第三者として
弁済するのではない
基本的なことは正確に書かないと沈みますよ
>>145 ありがとうございます。
まず、利害関係について
他の部分とのバランスで削ってしまいました
やはり書くべきということですね
事実上の弁済は、言葉が足らなかったです
債権証書を放棄させるか何なりかの行為が必要ですね
保証人は自己の債務を弁済する、というのは、択一知識ですね
表現方法がいまひとつピンと来ないので、
「保証債務を弁済し、求償権を放棄する」
というように書けばよかったかもしれません。
さて、今日は気分を変えて、刑法1問目を書いてみました。
【刑法】 平成14年・第1問
甲は、Aに電話で罵倒されたため憤激し、A方に赴けば必
ずけんかになるだろうと思いながら、この機会にAを痛めつ
けようと考え、こん棒を用意するとともに、友人の乙に、こ
ん棒を持っていることを隠し、これからA方に話合いに行く
が、けんかになったら加勢してほしいと依頼した。乙は、気
が進まなかったが、けんかの加勢くらいはしてやろうと考え
てこれを承諾し、一緒にA方に行った。甲は、Aを呼んでも
出てこないので裏口に回り、乙は、玄関先で待っていたとこ
ろ、出てきたAが乙を甲と取り違え、いきなり乙に鉄棒で殴
り掛かってきた。そこで、乙は、Aの攻撃を防ぐため、玄関
先にあったコンクリート片をAに向かって投げたところ、コ
ンクリート片はAの顔に当たり、顔面擦過傷を負わせ、さら
に、Aの背後にいたBの頭にも当たり、頭部打撲傷を負わせ
た。なお、コンクリート片を投げたとき、乙はBがいること
を認識していなかった。
甲及び乙の罪責を論ぜよ(ただし、特別法違反の点は除く。)。
一、乙の罪責について
1、乙はAに対してコンクリート片を投げつけ、傷害を負
わせていることから、傷害罪(204条)の構成要件に該
当する。
2、もっとも、乙の行為はAが鉄棒で殴りかかってきたこ
とに起因する。
そこで、乙に正当防衛(36条1項)が成立し、違法性
が阻却されないか問題となる。
ア、まず、「急迫不正の侵害」があったといえるか。
この点、判例は侵害をあらかじめ予期していた場合に
は、急迫性が欠けるとする。しかし、急迫性の有無は客
観的に判断すべきであり、主観により左右されるもので
なく、判例の見解は妥当でない。
本問で、Aは突然殴りかかってきており、「急迫不正
の侵害」は認められる。
イ、次に、「防衛するため」という文言から、防衛の意思
がなければならない。ただ、侵害をあらかじめ予期し、
それを利用して積極的に加害行為に及んだ場合には、防
衛のためにした行為とはいえず、防衛の意思を欠くと考
えるべきである。
この点、乙は喧嘩になるかもしれないという抽象的な
認識を有していたに過ぎず、これを利用して積極的に加
害行為に及ぶ意図まではなかったといえることから、防
衛の意思も認められる。
ウ、そして、鉄パイプで殴られるのを防止するために、近
くにあるコンクリート片を投げつける行為は、「やむを
得ずにした行為」といえる。また、自己の身体の安全を
守るため、Aの身体を傷害したのであるから、「防衛の程
度を超えた」とはいえない。
3、したがって、Aに対する関係で乙に正当防衛が成立し、
違法性が阻却されるため、傷害罪は成立しない。
4、次に、乙はBに対しても傷害を負わせており、客観的構
成要件要素を充足する。
そして、人を傷害するという規範に直面しえたといえ、
故意が認められる。また、構成要件の範囲で故意は抽象化
されるため、発生した結果全てに対して故意責任を問いう
ると考える。
したがって、Bに対する傷害罪の構成要件該当性が認め
られる。
5、次に、正当防衛は「不正の侵害」が必要であるところ、
Bはなんら「不正の侵害」を行なっていないため、正当防
衛は成立しないと解する。
6、では、緊急避難が成立しないか。
ア、まず、「現在の危難」は認められる。
イ、次に、「避けるため」との文言から避難の意思が必要で
あると解するところ、自己の身を守るために行なっている
といえ、避難の意思も認められる。また、補充性、法益の
均衡の要件も満たす。
7、したがって、乙には緊急避難が成立し、Bに対する傷害
罪は成立しない。
8、以上より、乙に犯罪は成立しない。
二、甲の罪責について
1、甲は、乙と共同してAを加害する意思であったことから、
自ら実行に及んでいないものの、傷害罪の共謀共同正犯(
204条、60条)の構成要件該当性が認められる。
また、Bに対する傷害についても、乙と同様に構成要件
的故意が認められる。したがって、Bに対する傷害罪の構
成要件該当性が認められる。
2、では、乙に正当防衛・緊急避難が成立し違法性が阻却
されるところ、甲も違法性が阻却されないか。共犯者間
において違法は連帯的に作用すると解されるため、問題
となる。
思うに、正当防衛も緊急避難も、防衛の意思・避難の
意思が要求されるところ、主観は行為者ごとに判断され
るべき問題である。
したがって、防衛の意思・避難の意思の有無は連帯的
に作用せず、個別的に別途検討を要すると考える。
そして、甲はAの侵害行為を予期し、これを積極的に利
用して加害行為に及ぼうとしていたのであるから、防衛
の意思は否定される。また、避難の意思も防衛の意思と
同様に、侵害を避けるという単純な心理状態を指すとこ
ろ、積極的加害意思がある場合には避難の意思も否定さ
れると考える。
3、したがって、乙の違法性阻却は甲に対して影響を及ぼ
さず、甲にはA・Bに対する傷害罪の共同正犯(204条、60
条)が成立する。そして、これらは観念的競合(54条1項
前段)となる。
以上
コメント
1600字、3ページ程度です。
判例の批判は必要だと思い、書きました。
メイン論点は、乙の正当防衛、甲の違法性阻却事由なので、これにしぼって書きました。
共謀共同正犯については、多少問題があるかと思いましたが、成立することに争いがないと思われるため、流しました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>147 答案
>>148-150
152 :
氏名黙秘:2005/04/25(月) 09:14:42 ID:???
まあまあだと思います。
ただ全体的にあてはめが弱い。
共謀共同正犯もきちっと認定して下さい。
刑法総論なんて当てはめが命ですよ。
なぜ問題文が長いのかよく考えて下さい。
153 :
氏名黙秘:2005/04/25(月) 20:18:44 ID:???
>>151 正当防衛にえらく長く割いてますね。
その後の第三者への侵害結果の発生と比べて
少しバランスが悪いと思います。
>>152-153 ありがとうございます。
メリハリをつけた答案という趣旨で作りました。
満遍なく論点を拾っていったほうがよいということですね。
とすると、もっと出題意図も短く書かなければならないです。
積極ミスをなくすためには、その方がよいかもしれませんね。
さて、今日は刑法2問目を書いてみました。
【刑法】 平成14年・第2問
Aは、宝石(時価100万円)を詐欺によりBから取得したが、
その事情を秘して、宝石を100万円で売却することを甲に依頼し
た。甲は、宝石を受領した当初は、それがだまし取られたもので
あることを知らなかったところ、その後、偶然その事情を知るに
至ったが、そのことを秘してCに売却し、代金100万円を受け取
った。甲は、その代金のうち30万円を自己の借金の返済のために
使ってしまい、Aには、「70万円でしか売れなかった。」と言っ
て納得させ、残りの70万円を渡した。
甲の罪責を論ぜよ。
一、Cに宝石を売却した行為について
1、甲が、Aから依頼を受けCへ宝石を売却した行為につ
き、盗品等有償処分あっせん罪(256条2項)が成立しな
いか。
ア、まず、AはBより宝石を詐欺により取得しており、A
には詐欺罪(246条1項)が成立する。したがって、本問
宝石は、「財産に対する罪に当たる行為により領得され
た物」(256条1項)に当たる。
次に、甲は依頼を受けて、宝石の売却先を探し、Cに
売却していることから、「有償の処分をあっせんした」
といえる。
よって、甲の行為は、同罪の客観的構成要件を充足す
る。
イ、もっとも、甲は当初宝石が詐欺により取得されたもの
であることを知らなかったことから、故意(38条1項)が
認められないのではないか。
思うに、盗品等罪は、本権者の追求権を困難にするた
めに処罰される犯罪である。そして、盗品等であること
を知って売却のあっせんをすれば、追求権を困難にする
ことについての故意が認められる。
とすると、当初は盗品等であることを知らなくても、
途中でこれを知り、あっせん行為を行なえば、盗品等罪
の故意を認めうる。
したがって、甲には、同罪の主観的構成要件を充足す
る。
ウ、以上より、甲に盗品等有償処分あっせん罪が成立する。
2、また、甲は盗品であることを秘して、事情を知らない
Cに、宝石を売却して100万円を受領しているため、詐欺
罪(246条1項)が成立する。
二、30万円を使用し、Aに70万円を交付した行為について
1、甲が、30万円を自己の借金の返済に利用した行為は、
横領罪(252条)にあたらないか。
ア、まず、甲には30万円の「占有」が認められる。
イ、次に、民法上金銭の所有権は占有と一致するが、使途
を定められた金銭については、刑法上保護に値する委託
信任関係が認められることから、「他人の財物」に当た
ると考える。そして、30万円はAに交付することが予定
された金銭であり、「他人の財物」といえる。
ウ、また、自己の借金の返済に使うことは、「横領」とい
える。
エ、さらに、詐取した宝石の売却代金は不法原因給付とし
て、民法上Aに返還請求権が認められないが、社会的秩
序維持を目的とする刑法を民法と同一に解すべき必要は
ないため、刑法上財産上の損害を認めうる。
オ、そして、一連の行為について故意が認められる。
カ、よって、甲には横領罪が成立する。
2、次に、Aに70万円しか渡さなかった行為につき、2項詐
欺罪(246条2項)が成立しないか。2項詐欺罪が成立する
ためには、欺罔行為、錯誤、処分行為、財産上の損害が
生じ、一連の行為が因果の連鎖でつながり、故意で包摂
されている必要がある。
この点、Aを欺き、70万円しか債務がないと誤信させ、
30万円の支払を免れている。そして、不法原因に基づく
債権であり民法上請求が認められなくとも、他人を欺い
て債務を免れる行為は刑法上可罰的といえ、保護に値す
る債権といえるため、Aに財産上の損害が認められる。
また、一連の行為は因果の連鎖でつながり、故意で包
摂されている。
したがって、甲には2項詐欺罪が成立する。
3、もっとも、横領も詐欺も、ともに同一の経済的利益に
向けられたものである。
そこで、両者は包括一罪の関係にあり、重い2項詐欺罪
のみが成立すると考える。
三、以上より、甲には、盗品等有償処分あっせん罪、1項詐
欺罪、2項詐欺罪が成立し、前2者は観念的競合(54条1項
前段)、これと後者は併合罪(45条)となる。
以上
コメント
1400字程度、3ページの半分くらいです。
盗品等罪の部分が厚くなりすぎてしまいました。
論点は落としていないと思いますが、論証に不安が残りました。
160 :
氏名黙秘:2005/05/01(日) 04:08:23 ID:???
択一終了まで待つか、dat落ちしないように定期的に書き込むか
あげて合格者のレスを待つかしてみ。
>>160 ありがとうございます。
とりあえず、保全あげ。
162 :
氏名黙秘:2005/05/01(日) 21:52:51 ID:???
昨年の合格者ですが、ここの大谷さんの頑張りは凄いですね。
この頑張りは報われると思います。頑張って下さい。
163 :
氏名黙秘:2005/05/01(日) 23:06:01 ID:s4XwrrO6
大谷君予備校関係者だね?こんな時期にこんなことできるのは・・・
>>162 ありがとうございます。
全択スレを見たら、こっちがあがっていたので来てみました。
本当に、受からせていただきたいものです。
がんばります。
>>163 予備校関係者ではないですよ。
ただの受験生です。
択一模試の点数は安定していたので、つい4月末まで引っ張ってしまいました。
択一終了後から再開したいと思いますので、その節はよろしくお願いいたします。
択一前日なので、記念をかねて、保全上げしておきます。
受験生の皆様、一緒にがんばってきましょう。
166 :
氏名黙秘:2005/05/07(土) 21:48:46 ID:???
大谷さん頑張って下さい。
明後日から過去問検討再開ですね。
直前期の模試なども受けながらだと大変だと思いますが、
楽しみにしています。
167 :
氏名黙秘:2005/05/07(土) 23:11:55 ID:URa1SFfW
168 :
氏名黙秘:2005/05/07(土) 23:27:39 ID:???
169 :
氏名黙秘:2005/05/09(月) 18:26:23 ID:pUjFUNBl
大谷の択一報告まだ?
170 :
氏名黙秘:2005/05/09(月) 19:22:28 ID:???
沈んだのかな?
報告が遅れ、申し訳ありませんでした。
択一は、無事通っていそうです。
今日から、また、書いていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。
172 :
氏名黙秘:2005/05/09(月) 20:09:22 ID:???
とりあえずおめでとうございます。
僕も通っていたみたいなので、お互いがんばりましょう。
このスレは、覗くだけですが、スレの雰囲気もいいですし
いい気分転換になります。
173 :
氏名黙秘:2005/05/09(月) 20:50:49 ID:???
おめでとう。私も大丈夫っぽいです。またちょくちょく投稿させてもらいます。
>>172-173 ありがとうございます。
お互いおめでとうございます。
論文、がんばって乗り越えましょうね。
さて、択一直後ながら、平成14年の商法1問目を書きました。
タイプながら、少し戸惑いが出てしまった私が情けないです。
【商法】 平成14年・第1問
株式会社A社は、株式会社B社の総株主の議決権の60パーセン
トを有する株主であるが、A社及びB社は、A社を存続会社、B
社を消滅会社として合併をすることとなった。A社及びB社は、
ここ10年間ほど1株当たりの純資産額も1株当たりの配当もほ
ぼ同じであったが、合併契約書におけるB社株主に対するA社新
株の割当てに関する事項(合併比率)は、B社株式3株に対して
A社株式1株の割合となっている。なお、合併交付金はない。B
社の株主総会においては、総株主の議決権の70パーセントを有す
る株主が合併に賛成、総株主の議決権の30パーセントを有する株
主が合併に反対であり、合併契約書は承認された。B社の株主で
あるXは、合併比率が不当だと考えているが、株主総会における
合併契約書の承認の前後を通じて、どのような手段を採ることが
できるか。
一、承認前
1、ABの合併は、吸収合併(409条)に当たる。そして、
A社は新株をB社株主に割り当てることとしているが、
両会社はここ10年間1株当たりの価額が同じであったにも
関わらず、B社株主はかかる割当により実質的に株式の
価値が3分の1に下落するという損失を被る。
そこで、Xは、合併契約書の承認を差し止めるための
方策を講じる必要が出てくる。
2、まず、吸収合併においては、合併契約書につき株主総
会の特別決議が必要であるから(408条、343条)、Xは
3分の1以上の株主の反対を集めることが考えられる。
この場合、Xは株主名簿(223条)の閲覧・謄写を会社
に対して請求し(263条3項)、株主に対して直接働きか
けることができる。
3、次に、事前差止を請求することが考えられる。
ア、まず、取締役が、合併比率が不当な契約書を交わそう
とすること自体を違法行為と捉え、差止請求することが
考えられる(272条)。
この場合、合併比率が不当な合併が違法といえるか問
題となるが、会社の実質的所有者たる株主の権利を可能
な限り害すべきでなく、また、合併により存続する会社
と消滅する会社は一つの法人格を有することになるから、
合併においては両会社に公平な措置が要請されると考え
る。
したがって、比率が不当な合併は違法であり、差止請
求をすることができる。
イ、また、Xの株式の価値が3分の1に大きく下落し、Xの
公正な権利行使を害することが明らかであるから、Xに
事前措置を講ずるまでの間、株主総会開催禁止の仮処分
を求めることができると解する(民事保全法23条1項後段)
二、承認後
1、承認決議により、70%の株主が賛成したことから、形
式的に有効な合併がなされたことになる。
ア、そこで、Xは、合併の有効性を前提に、合併契約に反
対した株主として、株式買取請求権(408条の3)を行使
することができる。
イ、また、上記のように、合併契約自体が違法性を帯びる
ことから、違法な合併をして、株価を3分の1に下落させ
るという損失を与えたB社の取締役に対し、損害賠償請
求(266条の3)をすることが考えられる。
ここで、株主Xの損害は、合併による株価下落という
間接損害を受けているが、同条の趣旨が、広い権限を持
つ取締役に一般不法行為と異なった特別な法定責任を課
すことにより、損害を受けた第三者を広く保護すること
にあることから、「損害」には間接損害も含まれ、「第
三者」には株主も含まれるため、同条の客観的要件を満
たす。また、取締役の責任を広く認めるため、「悪意・
重過失」は任務懈怠についてあれば足りると解するとこ
ろ、違法な合併に賛成した取締役には任務懈怠につき重
過失が認められるから、同条の主観的要件も満たす。
結局、XはB社の取締役に対し、損害賠償請求できる。
2、次に、合併自体を無効としてしまうことにより、損失
を回復することが考えられる(415条)。
ここで、合併の無効原因について法は規定していない
ため、解釈で補う必要がある。
まず、当事会社関係者にとって著しく不公平な比率に
よる合併は認めるべきでなく、損失を受けた者を保護す
る必要がある。他方、合併されたことにより多くの利害
関係者が出るが、合併無効が将来効を有するのみである
ことから(415条3項、110条)、既存の利益、地位に及ぼ
す影響は大きくない。
そこで、著しく不公平な比率による合併であれば、無
効原因となると考える。
本問合併により、Xの株式の価値は3分の1に大きく下
落することから、著しく不公平な比率によるといえ、X
は合併無効を主張しうる。
以上
コメント
1500字弱、3ページの後半です。
論述にメリハリをつけてみました。
思考過程が見えるように、初心に戻り、考えてみました。
Xが私ならどうするか、を常に頭に置きました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>175 答案
>>176-178
【商法】 平成14年・第2問
Aは、平成14年4月1日、Bに対し、同年5月31日を満
期日とする約束手形を振り出した。Bは、同年4月10日、
白地式裏書の方式で、この手形に裏書人(第1裏書人)と
して署名した上、Cに手渡すべく、この手形をBの使用人
Dに託した。ところが、Dは、無断でこの手形の満期日の
記載を「平成14年6月30日」と書き換えた上、Cに手渡さ
ないまま、同年6月10日、この手形に自ら裏書人(第2裏
書人)として署名し、これをEに譲渡した。Eは、平成14
年7月1日、この手形を支払のために呈示したが、Aによ
りその支払を拒絶された。
1 Eは、Bに対し、手形上の責任を追及することができ
るか。
2 Eは、Dに対し、手形上の責任を追及することができ
るか。
一、小問1について
1、Eの所持する手形は、形式的に裏書が連続しているこ
とから、Eは適法な権利者と推定される(16条1項)。
そして、EはAに支払拒絶されていることから、Bに対
する遡求要件を満たす(43条、44条)。
ただ、本問では、@Dが、合意内容と異なる満期を記
入していること、ADが、勝手に裏書人としてEに譲渡
していることから、Bは支払を拒むことができないか。
2、@について
本問手形は、満期日白地で振り出されている。そして、
白地手形が手形要件(75条3号)を欠く無効手形と区別され
るのは、当事者が後日、所持人をして手形要件を補充させ
る意思があるからである。とすると、合意と異なる補充を
した場合、所持人に合意と異なる旨の抗弁を対抗でき、そ
もそも遡求要件を満たさないと主張できるはずである。
ただ、手形は転々流通する証券であり、取引の安全を考
慮する観点から、10条(77条2項で準用)は、白地手形のよ
うな虚偽の外観作出をされやすい手形の振出人の犠牲の下
で、善意無重過失の所持人を保護すべきとしている。そし
て、これは、振出人のみならず、手形を白地のまま裏書譲
渡した者についても妥当する
理論である。
したがって、Eが満期日の合意につき善意無重過失であ
れば、10条によりEに満期日が合意と異なる旨の抗弁を対
抗することができない。
3、Aについて
本問手形は、BDEと譲渡されているが、BD間には実
質的な権利移転がない。そこで、Bは、Dは無権利者であ
り、Dからの譲受人Eも同様に無権利であると主張して、
遡求を拒むことができるとも思える。
しかし、Bの主張を常に認めることは、有効な手形権利
の移転があったと信頼して取引に入ったEをあまりに害す
ることになり、手形の取引安全を害する。
思うに、手形は、高度な流通性が予定されていることに
鑑み、前主が無権利であることにつき善意無重過失で手形
を取得した者を、善意取得制度(16条2項)により保護する
必要がある。他方、無権利者による処分を可能とする帰責
性ある者を取得者の犠牲の下で保護する必要性は低い。
そこで、EがDの無権利につき善意無重過失の場合、B
はかかる背信的行為を行なうDを使者に選任したことから
保護されなくともやむをえないといえ、Eに無権利の抗弁
を対抗することができない。
4、以上より、@Eが満期日の合意、ABD間に実質的権
利移転がないことにつき善意無重過失である場合、Bは支
払を拒むことができず、EはBに対して手形上の責任(遡
求義務)を追及することができる。
二、小問2について
1、EがBに対して手形上の責任を追及できる場合、Dに
対しても同様に手形上の責任(遡求義務)を追及できる。
2、では、EがBに対して手形上の責任を追及できない場
合、Dに責任追及できるか。
ア、@の要件を満たさなかった場合、支払期間経過後の裏
書譲渡であるから、遡求権を有さない手形を取得したこ
とになる。また、Aの要件を満たさない場合、無権利者
Dからの譲受人としてそもそも手形上の権利を取得しな
いことになる。
したがって、Eの遡求権行使は認められないとも思え
る。
ただ、DE間では形式的に有効な手形行為を行なって
いる。
そこで、手形行為独立の原則(77条2項、7条)を裏書
に適用し、EがDに遡求権を行使できないか問題となる。
イ、思うに、手形行為独立の原則は、無効な手形を取得し
た者の取引安全を図るため、法が政策的にその後の取得
者を保護せんとしたものであり、裏書人の担保責任は、
裏書人に遡求義務という特別の担保責任を課すことで、
取得者の取引安全を図るものである。
とすると、両者は取引安全という点で共通するため、
裏書にも手形行為独立の原則の適用を認めることが、法
の趣旨に合致する。
もっとも、政策的に法による保護を図る必要がない者、
すなわち手形の無効につき悪意重過失ある者には、手形
行為独立の原則が適用されないと解する。
ウ、本問で、Bに責任追及できない場合、@、Aのいずれ
かにつきEは悪意重過失があることから、手形行為独立
の原則が適用される場面ではない。
よって、この場合は、Dに対して手形上の責任を追求
することはできない。
以上
コメント
1700字程度、3ページです。
原則から丁寧に述べてみました。
論証としては、手形行為独立の原則が裏書に適用されるか、という論点をもっと短く書いたほうがよかった気がします。
よろしくお願いいたします。
問題
>>180 答案
>>181-184
185 :
氏名黙秘:2005/05/10(火) 23:22:16 ID:???
問題文読み間違えると点は来ない。
満期白地ではなく満期の変造。
>>大谷さん
まずは、択一突破おめでとうございます。
こちらのスレはよく眺めさせてもらっています。
>>185 ですね。白地は裏書ですね。
この答案は書き直した方がいいようです。
まぁ、択一後のご愛嬌ということで。
>>179 答案について、合併の有効性を前提にした議論は、
合併無効が認められなかった場合、あるいはその方法を採らなかった場合ということで、
最後に書いた方が収まりはいいかもしれませんね。
あぁ。
やってしまいました。
この問題、変造の話があったはずなのに、と思ってました。
確実に不合格答案ですね。
手を加えて、後日修正答案を出します。
ごめんなさい。
ありがとうございます。
188 :
氏名黙秘:2005/05/11(水) 00:26:24 ID:???
ちょっと質問
憲法で29条2項と3項を択一的にかんがえるのが通説ですが、
予備校は2項⇒3項ってながれですよね、
みんなどうしてる?
189 :
氏名黙秘:2005/05/11(水) 00:47:19 ID:???
俺は、2項と3項を択一的に考える方。理由は、芦辺の本に書いてある実質的
基準、覚えられないから。ちなみに、2項を検討した上で、3項で芦辺の基準
を書く魔コツの答案はデタラメ。
190 :
氏名黙秘:2005/05/11(水) 00:48:50 ID:???
だめなの?
俺そうやって書いてたよ。
191 :
氏名黙秘:2005/05/11(水) 00:58:39 ID:???
だめです。渋谷先生(確か立教の先生で、試験委員)の演習本を読むべし。
3項で、形式的基準を検討するか否かと、そもそも2項を検討するべかか否かとは
論理的関連性がある、ってことが書いてある。
192 :
氏名黙秘:2005/05/11(水) 00:59:14 ID:???
ありがとう。
読んでみる。
193 :
188:2005/05/11(水) 14:42:43 ID:???
>>189
ってことは2項は無視して、3項→補償の程度の流れでOK?
二分論の論点書かないと論点落としになるとかはないですよね?
194 :
氏名黙秘:2005/05/11(水) 15:16:32 ID:???
今、ローから帰ってきた。昨日の続き。
2項を無視すると、どの予備校でも、論点落としにされる。ただ、それは他校
の部手が書いた参考答案を、違う部手が再生産してるだけだから。俺、予備校でバイト
してましたから。狂牛病の発生原因と似てる。
もっとも、俺は、3項を検討する前に、なぜ2項と3項は、択一関係に立つのか、
という点は書くよ。判例だし。
195 :
氏名黙秘:2005/05/11(水) 15:51:31 ID:???
ごめん。
2項を検討した上で、3項で判例、通説(芦辺説じゃない方)を書くっていう
のが間違いでした(魔コツの答案)。2項を検討する、ということは、当該規制を一般的制限と
捉えていることを意味する。したがって、3項で判例、通説をとると、そもそも
3項の形式的基準を満たすことなどないはず。
お詫びして、訂正いたします。ごめん。渋谷先生の演習本にそんなことが、
書いてあったでしょ。
196 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 15:42:33 ID:???
通りすがりの者ですが…
ええっと、結局、
一般的制約 → 2項=補償不要
特別犠牲 → 3項=補償必要。→ 完全補償必要?
だから、2項か3項どっちか書けばok・・・でしょうか?
197 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 15:47:38 ID:???
>191
それって「日本国憲法の論じ方」ですか?
よろしかったら本の題名を教えて下さいませー。
198 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 15:48:03 ID:???
わけわからん・・・誰か平成6年第1問とかつかって説明してくれないかな?
199 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 15:50:55 ID:???
棟吸えのライブ本読めば分かるよ。
H6−1は3項の要件だけ検討すればいいって書いてある。
2項を検討するのは間違いだとも。
200 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 15:52:58 ID:???
それ、分離説採った場合の話じゃないの?
結合説なら2項検討しなきゃおかしいし。
201 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 15:55:38 ID:???
3項っていうのは財産を召し上げる代わりに補償するわけですよ。
2項っていのはあくまで公共の福祉に基づく制限なわけで、補償はいらない。
2項によって3項で予定されているような収用をやることは不可能。
202 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 16:13:13 ID:???
河川の判例みたいな事例もあるし。
「2項だから補償イラネ。でもコイツにとっては
特別犠牲だね、でも3項でなんとかできるね」
…っていうのは出ないかな?
203 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 16:43:28 ID:???
たとえ補償をしたとしても財産権を制限するものといえるから、
そのような制限も「公共の福祉」の範囲内でなければならない。
だからまずはその制限が「公共の福祉」による制限として許されるかを検討したのち、
それが公共の福祉に反しないとしても補償すべき場合にあたるのか?、を検討する。
俺はこっちの方がわかりやすくていいよ。
204 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 18:25:07 ID:???
うーん?
2項のあと3項も論じる立場は、
2項の「公共の福祉」は人権制約の限界を超えるか超えないか、
3項は超えないとしても一部の人だけの制限で補償がいるか、
というふうに、2項を制限の限界という意味で使ってて、
2項か3項を択一的に論じる立場は、
2項はいってみりゃ全員に適用、だから補償不要、
3項は一部の人にだけ適用、かわいそうだから補償必要というふうに、
2項を適用範囲の問題として考えてる、
だから、両方論じる立場と、一方しか論じない立場がある
ってことなのかなー?
すみません。これ私見なんで、誰か賢い人に教えていただきたいです。
どう論じればいいのか、混乱してます。
205 :
氏名黙秘:2005/05/12(木) 18:57:39 ID:???
お詫びのしるしとして、もう一回。
判例は、2項3項分離論を採る。理由は、2項の予定する制限は、一般的なものに
過ぎないため、3項の特別の犠牲の形式要件を満たすことがないから。
ただ、平成6年1問の規制は、法律と言う一般的形式で制約を課す法律収用である。
芦辺は、このような法律収用は、一般的な制限なのか、特定人に対する制限
なのか、わからないじゃないか、と言ったわけ。形式上は、一般的制限だけど、
実質上は、特定人に対する制限なんだから。芦辺の本に、「規制の対象が
一般人か、特定の者かの区別は相対的なものにすぎないという問題があり」と
いう記述があるけど、これは、まさに平成6年1問のような法律収用を念頭に
おいて書いているわけ。だから、芦辺説でいくんならば、2項の合憲性を
検討した上で、3項の特別犠牲説の論点を実質的要件を中心に考える説で書かなければならない。
これに対して、判例、通説の人は、「法律収用であっても、特定の人(大都市の
遊休土地の所有者)に対し、特別の犠牲を加える場合は、一般的制限とは
言えない。したがって、以下では29条3項違反の問題のみ検討する。」って
書いてやればいいんじゃない。かな。
「日本国憲法の論じ方」(渋谷秀樹)p167参照
すみません。
どうも体調がよくないので、昨日に続き、今日も休ませていただきます。
29条の話は、
1、制約が許されるか
2、許されるとしても、補償が必要か
という2本立てで論じるのが普通ではないかと思います。
そこで、私は、
ため池では、29条の保障が及ばないため、補償を論じる必要はない
砂利採取では、29条の保障が及ぶため、補償を論じる必要がある
というように理解しています。
これは一体論なのでしょうか。
207 :
188:2005/05/12(木) 23:43:37 ID:???
留守にしてる間いろんな方がお答えくださったようですね、
ありがとうございます。
205さんの様な書き方が論点落としにされる心配が低そうですね、
参考にさせてもらいます。
208 :
氏名黙秘:2005/05/13(金) 16:41:34 ID:???
3項の補償の範囲・内容を論じようと思えば1項に触れることは必要でしょ。
予防接種の裁判例なんか見れば分かるじゃん。
生活権補償の話とかもそこに行きつく。
2項はさらっと触れるだけでいい。
全部程度問題だけど論理的には1項がカギかと。
209 :
氏名黙秘:2005/05/14(土) 18:37:04 ID:???
何で刑法以外も大谷なんだが・・・とぐちっちみるテスト
210 :
氏名黙秘:2005/05/15(日) 21:08:30 ID:???
なんでこんな低空飛行なんだぁスレ主はいずこへ?
すみません。
体の調子が悪くて。
明日から民訴、再開します。
よろしくお願いいたします。
212 :
氏名黙秘:2005/05/16(月) 01:42:21 ID:???
>>199に触発されてLIVE本読んだけど、これ読むと統治機構めちゃくちゃ楽しくなるな。
ただ、変に深読みしすぎて自爆する可能性あるから問題の読み方はマネできないけど。
基本事項の理解には非常に便利。
だけど、人権は正直微妙・・・よくわからないとこが多い。
刑法のLIVE本よりはずっと理解しやすいが。
213 :
氏名黙秘:2005/05/16(月) 01:53:19 ID:???
刑法のLIVEはシリーズ最悪との呼び声が高いよ。
憲法と刑訴は評価が分かれるが、漏れはどっちもいいと思う。
民事系はすべて定評あり。
214 :
氏名黙秘:2005/05/16(月) 12:08:53 ID:???
刑法は学説と判例の解説本だからね・・・
つねに反対説に気を配れっていうスタンスっぽい。あと判例の射程とか。
正直、今の多論点型の刑法の傾向をおさえてないんじゃないかと思う。
もう何年も「反対説を批判しつつ」の形式も出てないんだし。
215 :
氏名黙秘:2005/05/16(月) 13:17:38 ID:???
判例で書く刑法とか総研説で書く刑法過去問とかが欲しい。なんでないのかな?
216 :
氏名黙秘:2005/05/16(月) 13:49:04 ID:???
判例は基本的に処罰範囲広げたがるし、理論をきっちり示さないことが多いから使いづらいよ。
217 :
氏名黙秘:2005/05/16(月) 14:44:59 ID:???
>>216 そうそう、だからそういう本が逆に欲しいなーってこと。
特に「総研で書く刑法過去問(総論)」が欲しい。
総研で勉強して、最初過去問始めた頃は面食らったので。
おかげでいまも刑法が一番苦手。
戻ってきました。
平成14年の残り、民訴から書いていきたいと思います。
商法も、この後修正答案をアップしたいと思います。
【民訴】 平成14年・第1問
民事訴訟において手続が公開されない場合について説明せよ。
1、民事訴訟においては、手続の公開が原則とされている。
これは、国民が裁判に対する監視を行なうことで、不
公正・不当な裁判を抑止し、もって国民の裁判に対する
信頼を確保することを目的とする。
そして、憲法82条は裁判の公開を定め、裁判の公開を
制度として保障している。民訴法は、裁判の公開につい
て直接規定していないが、87条の口頭弁論は公開の法廷
でなされることを予定していること、91条が訴訟記録の
閲覧を原則として認めていることから、裁判の公開を当
然の前提にしていると考えられる。
2、もっとも、いかなる場合も裁判手続が公開されなけれ
ばならないとすると、個人のプライバシーや企業秘密が
流出するなど、当事者や関係者に不利益が生じるおそれ
がある。また、手続上の観点からも、迅速な裁判を阻害
するおそれがある。
そこで、公開する利益を非公開とする利益が上回る場
合には、手続が公開されないものとされている。
3、以下、裁判が非公開とされる場合について述べる。
ア、まず、82条1項にいう「裁判」の意味は、個人の権利義
務を確定する純然たる訴訟事件を指すと解する。このよ
うな事件であれば、裁判を国民の監視下におくことが望
ましいからである。
逆に、それ以外の非訟事件(過料の裁判や破産申立て
事件など)については、公平・正当な裁判を阻害するお
それは少なく、他方で個人のプライバシー保護が要請さ
れ、迅速な裁判がのぞまれることから、憲法82条1項の保
障外であり、非公開とされると解する。
民訴法も、判決をする場合、すなわち純然たる訴訟事
件においては必要的口頭弁論を予定しているが(87条1項
本文)、決定・命令による場合は任意的口頭弁論で足り
るとし(87条1項但書)、通常非公開の審尋手続が行なわ
れている。
イ、次に、82条1項で公開が予定されている裁判とは、対審
および判決である。ここにいう対審とは、口頭弁論(証
拠調手続を含む)を指す。逆に、それ以外の手続におい
ては、公開は要請されていない。
例えば、弁論準備手続期日(168条)や和解期日、審尋
期日(民事保全法29条)がある。弁論準備手続期日は、
口頭弁論に向けた争点整理を行うものであり、性質上迅
速性が要求されるものであり、和解期日は当事者の私的
紛争解決の一環として裁判所を利用するにすぎず、審尋
期日は攻撃防御方法を尽くさせるというよりは当事者の
意見を聴取する手続であるという側面が強く、公開に親
しまないことから、非公開とされている。
ウ、さらに、憲法82条2項は、公序良俗に反するおそれがあ
る場合には、対審に限り非公開としうる余地を定めてい
る。ここにいう対審とは、口頭弁論手続を指す。
これは、当事者や傍聴人などに悪影響を与えるおそれ
の大きい事件の場合、公開により裁判を監視させるより
も非公開手続で行なうことが望ましいという理由から採
用されている。
法も、91条2項で、訴訟記録を第三者が閲覧しうる場合
を、公開を禁止していない場合に限っている。例えば、
離婚事件で当事者が社会的地位を有する者である場合や、
企業秘密が問題となっている事件などが、非公開とされ
る場合がある。
もっとも、基本的人権(憲法第3章)が問題となってい
る事件については、公開が要請される。
4、このように、裁判は原則として公開されるが、訴訟の
種類、手続の種類、公序良俗に反する場合には、非公開
とされうる場合がある。
以上
コメント
1400字弱、3ページの頭くらいです。
憲法の条文と対比しつつ、民訴法の条文を引いていきました。
もう少し制度を挙げられるとよかったのですが、いまひとつ思いつきませんでした。
よろしくお願いいたします。
問題
>>219 答案
>>220-221
【商法】 平成14年・第2問(修正版)
Aは、平成14年4月1日、Bに対し、同年5月31日を満
期日とする約束手形を振り出した。Bは、同年4月10日、
白地式裏書の方式で、この手形に裏書人(第1裏書人)と
して署名した上、Cに手渡すべく、この手形をBの使用人
Dに託した。ところが、Dは、無断でこの手形の満期日の
記載を「平成14年6月30日」と書き換えた上、Cに手渡さ
ないまま、同年6月10日、この手形に自ら裏書人(第2裏
書人)として署名し、これをEに譲渡した。Eは、平成14
年7月1日、この手形を支払のために呈示したが、Aによ
りその支払を拒絶された。
1 Eは、Bに対し、手形上の責任を追及することができ
るか。
2 Eは、Dに対し、手形上の責任を追及することができ
るか。
一、小問1について
1、Eの所持する手形は、形式的に裏書が連続しているこ
とから、Eは適法な権利者と推定される(16条1項)。そ
して、EはAに支払拒絶されていることから、Bに対す
る遡求要件を満たす(43条、44条)。
ただ、本問では、@Dが、勝手に裏書人としてEに譲
渡していること、ADが、満期日を書き換えていること
から、Bは支払を拒むことができないか。
2、@について
本問手形は、BDEと譲渡されているが、BD間には実
質的な権利移転がない。そこで、Bは、Dは無権利者で
あり、Dからの譲受人Eも同様に無権利であると主張し
て、遡求を拒むことができるとも思える。
しかし、Bの主張を常に認めることは、有効な手形権
利の移転があったと信頼して取引に入ったEをあまりに
害することになり、手形の取引安全を害する。
思うに、手形は、高度な流通性が予定されていること
に鑑み、前主が無権利であることにつき善意無重過失で
手形を取得した者を、善意取得制度(16条2項)により保
護する必要がある。他方、無権利者による処分を可能と
する帰責性ある者を取得者の犠牲の下で保護する必要性
は低い。
そこで、EがDの無権利につき善意無重過失の場合、
Bはかかる背信的行為を行なうDを使者に選任したこと
から保護されなくともやむをえないといえ、Eに無権利
の抗弁を対抗することができない。
3、Aについて
満期日の記載は、手形債務の内容であり、Dは権限なく
これに変更を加えていることから、変造(69条)に当た
る。そこで、Bは、本来の満期日である平成14年6月2日
を経過した段階でEはAに手形金請求したのだから、遡
求要件(44条)を満たさないとして、支払を拒めないか。
思うに、69条は、変造前の署名者は、変造前の文言に
従って責任を負うと定めるが、これは変造前の文言が手
形上に依然として残っているという趣旨ではなく、変造
前の文言に従って責任を負うに過ぎないということを定
めたものであると考える。そして、変造後の署名者との
関係は、変造されやすい状況を作出した署名者は、白地
手形の振出人と同様の帰責性が認められるから、10条を
類推して、善意無重過失の所持人には対抗できないと解
する。
本問で、Eの主観的事情は明らかではないが、Eが変
造につき善意無重過失で手形を取得した場合、Bは自ら
の手を離し、使用人Dに手形を託すという落ち度がある
ため、Eに対して変造を理由に遡求を拒むことができな
い。
4、以上より、@Eが満期日変造の事実、ABD間に実質
的権利移転がないことにつき善意無重過失である場合、
Bは支払を拒むことができず、EはBに対して手形上の
責任(遡求義務)を追及することができる。
二、小問2について
1、EがBに対して手形上の責任を追及できる場合、Dに
対しても同様に手形上の責任(遡求義務)を追及できる。
2、では、EがBに対して手形上の責任を追及できない場
合、Dに責任追及できるか。手形行為独立の原則(77条
2項、7条)を裏書に適用し、EがDに遡求権を行使でき
ないか問題となる。
ア、思うに、手形行為独立の原則は、無効な手形を取得し
た者の取引安全を図るため、法が政策的にその後の取得
者を保護せんとしたものであり、裏書人の担保責任は、
裏書人に遡求義務という特別の担保責任を課すことで、
取得者の取引安全を図るものである。
とすると、両者は取引安全という点で共通するため、
裏書にも手形行為独立の原則の適用を認めることが、法
の趣旨に合致する。
もっとも、政策的に法による保護を図る必要がない者、
すなわち手形の無効につき悪意重過失ある者には、手形
行為独立の原則が適用されないと解する。
イ、本問で、Bに責任追及できない場合、Dの無権利につ
きEが善意無重過失であれば、手形行為独立の原則が適
用され、Dに対して手形上の責任を追求することができ
る。
以上
コメント
1600字程度、3ページの半分くらいです。
修正といっても手を加えただけです。
満期日の変造と、善意取得のいずれを先に持ち出すべきか少し迷いました。
おそらくは善意取得が先にありだと思いました。
よろしくお願いいたします。
修正版
問題
>>223 答案
>>224-226
228 :
氏名黙秘:2005/05/16(月) 23:15:53 ID:???
そういう筋で書いてる答案多いよね。
予備校の模範答案もそう。
でも創造説ならともかくBの手形行為は交付欠缺。
手形債務発生してない、したがって善意取得もなしだと思う。
ここは権利外観理論の出番のはず。
>>本問手形は、BDEと譲渡されているが、BD間には実
>> 質的な権利移転がない。そこで、Bは、Dは無権利者で
>> あり、Dからの譲受人Eも同様に無権利であると主張し
>> て、遡求を拒むことができるとも思える。
ここらへんは振出人に対する権利を議論してるようにも読める。
本問で聞かれてるのはBに対する権利。
一度Aに対する権利も検討してみるのが良いと思う。
229 :
氏名黙秘:2005/05/17(火) 03:18:09 ID:???
>>224 して、EはAに支払拒絶されていることから、Bに対す
る遡求要件を満たす(43条、44条)。
ここ、形式的には満たすとかしとかなきゃ、意味がわかんないよ。
>2、@について
ここは何をかいてるのか意味がわからない。
善意取得できるなら、それであてはめておしまいでは?
満期後の譲渡だから裏書譲渡できないはず、
善意取得できないのでは、ってのが問題じゃないの?
、変造されやすい状況を作出した署名者は、白地
手形の振出人と同様の帰責性が認められるから、
普通は、変造されやすい記載をしたかどうかに帰責性を求めると思うんだが。
こういう構成もありえなくはないかもしれないが。
A答案の再現見ても、まともにかけてるのはほとんどないような難問だから、
満期の変造や遡及のあたりが書けてれば、そんなに沈まないのかもね。
>>228 そうですね、これは通説からは交付ケンケツですね。
コメントありがとうございました。
交付欠缺は、裏書にも使えるんですね。
少々知識不足でした。
帰責性の当てはめが少しおかしいみたいですね。
予備校の答案などで確認しておきます。
しかし、この問題、難しいですね。
うまくかけませんでした。
231 :
氏名黙秘:2005/05/17(火) 21:29:18 ID:???
この問題、手形の過去問の中では最高レベルの難易度だと思うよ。
確かに基本事項なんだけど、それでも検討することも多いし複雑でもある。
書くこと多いし、たぶん時間ないに終わらない奴が多かったんじゃないか?
>>231 そうですね。
私も最高レベルの難易度と感じました。
これを整理して書けると、跳ねるんでしょうが、落ち着いて書いてみてもこれですから。
論点も多く、ごちゃごちゃしてますし、論じる順番もよく分からないですね。
今年はこのレベルの問題は出さないでほしいと願っています。
さて、今日は、民訴2問目を書いてみました。
【民訴】 平成14年・第2問
甲は、A土地の所有者乙を被告と表示して、所有権移転
登記を求める訴えを提起した。なお、この訴訟には、訴訟
代理人はいないものとする。
1 甲と通じた丙は、乙と称して訴状等を受領して、第1
回口頭弁論期日に出頭し、請求原因事実をすべて自白し
た。
(1) 丙が自白した後、第1回口頭弁論期日において、
出頭したのは乙ではなく、丙であることが判明した。
この場合、裁判所は、どのような措置を採るべきか。
(2) 第1回口頭弁論期日において弁論が終結し、乙に
対する請求認容の判決が言い渡されて、控訴期間が
徒過した。その後、甲は、A土地について所有権移
転登記を経由した。この場合、乙は、訴訟法上どの
ような手段を採ることができるか。
2 乙が訴状等を受領したが、甲と通じた丙が、「口頭弁
論期日には出頭しなくてもよい」と乙をだました上、自
ら乙と称して、第1回口頭弁論期日に出頭し、請求原因
事実をすべて自白した。同期日の後、乙は死亡したが、
裁判所が乙の死亡を知らなかったため、乙に対する請求
認容の判決が言い渡されて、控訴期間が徒過した。この
場合、乙の相続人丁は、訴訟法上どのような手段を採る
ことができるか。
1、小問1(1)
ア、本問訴訟において、丙が訴状等を受領し、第1回口頭
弁論期日に出頭しているが、誰を当事者として扱うべき
か。実質的意味の被告が誰か問題となる。
イ、思うに、当事者が誰かは、管轄(4条)、除斥原因(23
条)、訴状の送達(138条)を定めるに当たり、明確に
定まっていなければならないから、訴状の記載を合理的
に解釈して定めるべきである。
そうすると、本問で被告とされているのは乙であるか
ら、実質的意味の被告も乙ということになる。
そして、乙は訴状を受領していず、訴訟継続すら生じ
ていない。
ウ、そこで、裁判所は、丙が出頭した第1回口頭弁論期日を
取り消し、あらためて乙に訴状を送達した上で、期日を
指定すべきである。
そして、当事者でない丙のした自白は、甲乙間の訴訟
において、何の効力も有さない。
2、小問1(2)
ア、乙には訴訟継続すら生じないまま、乙に対する判決が
確定している。
そこで、乙に対する手続保障を欠いているため、判決
には瑕疵があるが、一応有効な判決として存在している
以上、乙は判決の効力を争うという手段を採りうる。
まず、当事者に対する手続保障を欠いた場合に当たる
として、再審(338条3号類推)によることができる。
次に、控訴(281条)によることができる。
この場合、控訴期間(285条)が経過しているが、乙の
感知しえないところで訴訟行為が行なわれており、乙に
帰責事由なく控訴期間が経過していることから、訴訟行
為の追完(97条)により、乙は控訴することができる。
イ、これらの方法により前訴判決が変更された場合、乙は、
A土地の所有権移転登記抹消登記請求訴訟を提起して、
所有権を回復することができる。
なお、判決が一応有効に存在している以上、これを取
り消さずに判決の無効を前提としてA土地の所有権移転
登記抹消登記請求はなしえないと解する。
3、小問2
ア、本問では、小問1(2)とは異なり、乙が訴状を受領し
ていることから、訴訟継続が生じている。ただ、かかる
判決は、当事者ではない丙が自白したことを基礎に下さ
れていることから、乙に対する手続保障が欠けている。
そこで、乙の相続人丁は、小問1(2)と同様に、上
訴、再審により一応有効な判決を取り消した上で、所有
権移転登記抹消登記手続を請求することになる。
イ、もっとも、訴訟継続中に乙が死亡しているため、訴訟
手続は中断している(124条1項1号)。
そこで、丁が訴訟を受け継ぐことができるときまで上
訴期間は停止することになり、訴訟行為の追完による必
要はない。
したがって、丁は、本問判決に気づいた時より2週間以
内に控訴を提起することができる。
以上
コメント
1000字程度、3ページの頭くらいです。
今解いてみても、今一書きにくい問題でした。
あまりよく分からなかったので、短くコンパクトにまとめました。
嘘がないように心がけました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>233 答案
>>234-235 この問題も相当難しかったです。
237 :
氏名黙秘:2005/05/17(火) 22:08:45 ID:???
訴訟係属「すら」ってのは変。不要。
そもそも訴訟係属の成立時期は?
>訴状の記載を合理的
>に解釈して定めるべきである。
> そうすると、本問で被告とされているのは乙であるか
> ら、実質的意味の被告も乙ということになる。
当てはめになってない。
せめて請求原因くらい明示しては?
>>乙に対する手続保障を欠いているため
手続保障で済ますのでなく具体的中身を。
全般に辛めに評価しました(わざわざ晒してるわけだし)。
でも悪くないと思う。
238 :
氏名黙秘:2005/05/18(水) 15:36:18 ID:???
H13の会社法は答案によって書いてることずいぶん違うな。
難問だよね?
>>237 訴訟継続の時期は、答案構成段階で書いてあったのですが、落としてしまいました。
気をつけなければなりませんね。
訴状の記載事項である請求原因などを総合的に判断して、当事者を確定すべきでした。
そうしたほうが丁寧に述べられますね。
手続保障を欠いているというのは
「訴訟手続に参加していないため、手続保障を欠いている」
とすべきでしょうか。
何にせよ、雑な答案になってしまいました。
>>238 事実上の取締役の責任の問題ですよね。
ほとんどの人が、自分の会社に対する責任追及をある程度述べた上で、事実上の取締役に対する責任を述べると思いますが。
そんなに書いていることが違うとは驚きました。
さて、今日は刑訴の1問目を書いてみました。
【刑訴】 平成14年・第1問
甲がラップに包んだ大麻樹脂の塊を飲み込んで体内に隠匿
している疑いがあるため、捜査機関は、甲の腹部をレントゲ
ン撮影の上、体内に大麻樹脂の塊らしいものが確認できた段
階で、甲に下剤を用いて、大麻樹脂の塊を早期に体外に排出
させ、これを押収しようと考えた。
このような捜査を行うには令状が必要か。必要であるとす
れば、どのような令状によるべきか。
1、令状の要否について
ア、捜査活動は、任意処分として行なわれるのが原則であ
るが(197条1項本文)、場合によっては強制処分による
こともある。そして、強制処分を行なう場合は、法律に
特別の定めがあることを要し(強制処分法定主義、憲法
31条、197条1項但書)、その場合、原則として司法官権
の発する令状によらなければならない(令状主義、憲法
35条、法218条等)。これにより、可及的に人権侵害を防
止することを目的とする。
そこで、本問捜査方法が強制処分に当たれば、令状が
必要となるため、強制処分と任意処分の区別が問題とな
る。
イ、まず、「任意」という言葉から、対象者の意思に反し
なければ任意処分であり、反する場合が強制処分と解す
る見解がある。
しかし、対象者の意思に反しなければいかなる行為を
してもよいというのでは、捜査機関による人権侵害を可
及的に防止しようとした令状主義の精神を没却しかねず、
妥当でない。
他方、対象者の人権侵害が生じるおそれがない場合を
任意処分、ある場合を強制処分とする見解もある。
しかし、軽微な人権侵害が生じうる場合であっても令
状を要求するのは捜査の円滑性を害するため、妥当でな
い。
そこで、対象者の意思に反して重大な人権侵害が生じ
るような捜査活動が強制処分であり、それに至らなけれ
ば任意処分であると区別するのが妥当と考える。
ウ、本問捜査方法が強制処分に当たるか、上記の基準を用
いて判断するに、レントゲンを用いて体内を調べるとい
うことは、個人の外部から見えない部分を調べることで
あり、個人の人格形成発展に重要なプライバシー権を侵
害する。また、下剤を飲ませて体外に排出させる行為は、
個人の身体の安全性を害するため、やはり重大な人権侵
害を伴う。
したがって、本問捜査方法は、強制処分に当たり、令
状が必要となる。
2、令状の種類について
ア、令状の種類には、捜索差押許可状(218条1項、99条)、
検証としての身体検査令状(218条1項)、鑑定処分許可
状(225条、165条)がある。
捜索差押は、捜査機関が5感の作用により人、物等を
発見することをいい、検証としての身体検査は、捜査機
関が5感の作用により人の性状を調べる作用をいい、鑑
定は、専門的知識により得た判断の報告をいう。
イ、本問捜査方法は、レントゲンを用いて体内にある大麻
樹脂の塊を発見し、下剤を飲ませて体外に排出されたと
ころを押収するというものである。
そこで、大麻樹脂が人体にとって無価値物であること
を強調すると、判例が強制採尿において採用するように、
捜索差押許可状によるべきとも思える。
しかし、本問捜査は、レントゲン撮影、下剤の投与と
いう身体に対する侵害作用を有しており、これを物に対
する捜索差押と同視することはできない。
そこで、身体に対する侵害という側面を重視して、検
証としての身体検査令状によるべきとも思える。
しかし、本問捜査方法は、レントゲン撮影を行ない体
内にある物を探すという手法をとっており、これを検証
に含めて解するのは困難である。
また、鑑定処分許可状によれば、身体にある物を調べ
ることも可能であるが、強制的に捜査を行なうことがで
ないため(225条4項の準用する168条は139条を準用せず、
225条は172条を準用していない)、実効性に欠ける。
そこで、いずれか1つの令状によるべきではなく、複
数の令状を併用すべきであると考える。そこで、強制採
血において判例が採用するように、検証としての身体検
査令状と、鑑定処分許可状を併用すべきであると考える。
なぜなら、身体に対する侵害という面につき配慮されて
おり、他方で強制的に捜査を行なうことができるからで
ある。
ウ、よって、本問においては、検証としての身体検査令状
と、鑑定処分許可状を用いるべきである。
以上
コメント
1500字程度、3ページの後半です。
久々の刑訴だけあって、少々雑になり、時間もかかりました。
言葉の使いまわしにやや不安が残りました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>240 答案
>>241-243 よろしければ、民訴1問目についてもコメントをいただけると幸いです。
問題
>>219 答案
>>220-221
245 :
氏名黙秘:2005/05/26(木) 23:07:19 ID:/szbmQeu
アゲ
>>245 すみません。
答練が忙しく、答案を書く時間があまりないので、放置していました。
あげようと思っていたところに、丁度、先にあげていていただき。
感謝しています。
247 :
氏名黙秘:2005/05/26(木) 23:33:31 ID:???
頑張ってね
248 :
氏名黙秘:2005/05/26(木) 23:34:16 ID:???
やっちゃいましたねw
でもどっちにしろ応援してますよ、頑張ってくださいね。
901 :大谷 ◆Dqq8NzOdu6 :2005/05/26(木) 23:25:23 ID:???
>>899 すごく恥ずかしいんですが・・・
やっぱりアップしなきゃだめなんでしょうか?
>>900 すみません
ご期待にそえず、服の上からです
MIYUKIさんのような立派な胸を持っていないので・・・
JOJOだったら
「貧乳、貧乳ぅぅぅ〜〜!!!」
っていわれてますよ、きっと(泣)
どうしよう・・・
902 :氏名黙秘 :2005/05/26(木) 23:25:50 ID:???
あーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
903 :氏名黙秘 :2005/05/26(木) 23:26:24 ID:???
大谷 ◆Dqq8NzOdu6
prada ◆hz0m3dtBOc
904 :prada ◆hz0m3dtBOc :2005/05/26(木) 23:30:33 ID:???
やばった・・・
スレ埋めますかww
>>248 ありがとうございます。
精一杯がんばります。
251 :
氏名黙秘:2005/05/27(金) 00:09:12 ID:???
>>248 同意。
このスレはとても参考になっていました。
頑張って下さい。
252 :
氏名黙秘:2005/05/27(金) 01:15:28 ID:???
popo
253 :
氏名黙秘:2005/05/27(金) 12:17:44 ID:???
応援はしてるけど1号さんあまり実力あがってねーな。
力を維持するだけでも難しいのが司法試験だと改めてオモタ。
もっとも本番は別だから・・・。
憲法、商法で確実にAをとりながら鬼門の民訴、刑法でどう守るか
が課題なのかな?
まあがんばりましょう。
254 :
氏名黙秘:2005/05/27(金) 19:12:47 ID:???
私は憲商Gでした。
これを抑えられるとすれば是非教えを請いたい
255 :
氏名黙秘:2005/05/27(金) 19:18:21 ID:???
難しいことは書かない。当たり前の論点をかけるようにする。
見たことがなくても既存の論点で処理
これで24、5くらい
おおきく失敗するのはあらぬことを考えるから。
とあるスレッドのF1
256 :
氏名黙秘:2005/05/27(金) 20:16:19 ID:???
>>254 憲法の人権はパターンをおさえる。
統治は基本原理の理解をきちんと答案上に示す。
商法も条文・制度の趣旨・意義をきちんと示す。
特に商法は内容的に簡単な問題が多いから、基本的部分を丁寧に書かないと
点数はあがらない。
257 :
氏名黙秘:2005/05/28(土) 09:58:15 ID:???
プラダさん、荒らしはそのうち飽きるでしょうから、放置するのが吉ですよ。
そうだといいんですけど。
259 :
氏名黙秘:2005/05/29(日) 00:17:10 ID:???
260 :
氏名黙秘:2005/05/29(日) 01:22:42 ID:???
どうりでいい答案書くわけだw
261 :
氏名黙秘:2005/05/29(日) 12:45:22 ID:???
刑法総論は論点単純・当てはめ勝負。
すべての事実に配点があるよ。
そういった意味で通説の人でも狭義の因果関係に
ついては前田の3要件で書くといいよ。
262 :
氏名黙秘:2005/05/29(日) 15:04:31 ID:???
ネカマ疑惑も出てるようなのでバラすが、昔の「1号」と、今のプラダは別人だよ。
たしか、「1号」は、掲示板で知り合った奴にパスとか譲ってネット引退したはず。
で、譲り受けた現プラダが、もともと「大谷」のハンドルを使ってた奴。
つまり、大谷=現プラダは、本試験でAなんか取ってないただの目立ちたがり屋。
よく読めば、「大谷」の答案と「1号」の出来が全然違うのが分かるはず。
263 :
氏名黙秘:2005/05/30(月) 01:57:18 ID:???
1 :大谷 ◆Dqq8NzOdu6 :2005/04/07(木) 01:13:41 ID:??? ?
258 :prada ◆Dqq8NzOdu6 :2005/05/28(土) 20:18:44 ID:???
264 :
氏名黙秘:2005/05/30(月) 12:37:54 ID:???
刑法も平成初期に一行出てますね
265 :
氏名黙秘:2005/05/30(月) 12:45:07 ID:???
大谷=PRADAって男なの、女なの?
266 :
氏名黙秘:2005/05/30(月) 13:11:15 ID:???
>>262 そんな事実はない。
あったとしても、本人以外が知りうるはずがない。
事実と主張するなら、それを知った場所を示しな。
2chの過去ログならあさってきてあげるし、それ以外ならアーカイブ探してくるから。
267 :
氏名黙秘:2005/05/30(月) 14:05:00 ID:???
@
268 :
氏名黙秘:2005/05/30(月) 15:20:37 ID:???
141 氏名黙秘 sage 05/02/23 17:55:50 ID:???
大谷さんが、以前の成績とかを公開してくれれば、
俺等も評価しやすいんだけどな。
142 氏名黙秘 sage 05/02/23 18:28:00 ID:???
それじゃあ後付けの危険
143 氏名黙秘 sage 05/02/23 18:29:40 ID:???
成績だすと昔のプラダスレみたいな糞スレ化の危険
269 :
氏名黙秘:2005/06/05(日) 01:04:24 ID:???
大谷こないね
【刑訴】 平成14年・第2問
甲は、平成14年3月20日に任意提出した尿の鑑定結果、友人A
の目撃供述及び自白に基づいて、「平成14年3月18日ころ、東京
都内のA方において、覚せい剤若干量を注射して使用した。」と
の訴因で起訴された。公判において、甲は犯行を否認し、Aは捜
査段階における供述を覆す証言をしたため、検察官は、上記鑑定
結果等から、「平成14年3月上旬ころから同月20日までの間、東
京都内又はその周辺において、覚せい剤若干量を使用した。」と
の訴因に変更請求した。
裁判所は、この訴因変更請求を許すべきか。
1、訴因変更(312条1項)とは、検察官の申し出により訴
因を変更する訴訟の一回的解決を目的とした制度をいう。
そして、訴因には、当事者主義的訴訟構造(256条6項、
298条1項)の下では、検察官が設定する具体的事実たる
審判対象として、裁判所の審理対象及び被告人の防御範
囲を画するという機能がある。
したがって、訴因変更請求が認められるためには、新
たな訴因が審判対象及び被告人の防御の範囲において明
確であることが必要である(@)。そして、訴訟の一回的
解決という訴因変更制度の目的から、「公訴事実の同一
性」の範囲内でのみ訴因変更が認められる(A)。
本問では、変更請求した訴因が抽象的であることから
@の点で、「公訴事実の同一性」の有無が明らかでない
ことからAの点で、訴因変更の要件を満たすか問題とな
る。
2、@について
ア、訴因は犯罪事実を構成要件的に具体的に記載したもの
であり、審判対象となることから、日時・場所・方法に
ついて明確に示されなければならない。
ところが、変更請求された訴因では、日時・場所につ
いてあいまいな記載がなされ、方法についての記載が欠
けている。
そこで、このような訴因変更は、訴因の特定性に欠け、
認められないのが原則である。
イ、もっとも、本問のような覚せい剤事犯においては、密
行性が高く、具体的事情が明らかにならない場合が多い。
にもかかわらず、厳格に特定を要求すると、事実上処罰
が不可能となり、また、自白強要等の人権侵害(憲法38
条1項)、捜査の糾問化のおそれがある。
そこで、起訴状に記載する場合には、訴因を「できる
限り」特定しなければならない(256条3項)とされ、あ
る程度幅のある記載も許されており、これは起訴段階の
みならず、審理の結果訴因を具体的に明示できなくなっ
た場合にも妥当する。
ただ、訴因の機能に鑑みると、幅のある記載がなされ
た場合には、検察官は、事後の手続で訴因たる具体的事
実につき釈明(規則208条)を行なうことで、審判対象を
特定すべきである。
ウ、本問では、検察官は鑑定結果に基づいて起訴・訴因変
更請求しているのだから、鑑定の対象となった覚せい剤
使用として、最終の1回行為について処罰を求める旨の釈
明をすれば、@特定性の要請に欠けることはない。
3、Aについて
ア、訴因変更に、「公訴事実の同一性」が要請されたのは、
訴訟の一回的解決を図る趣旨であるから、「公訴事実の
同一性」が認められるためには、検察官が訴追した事実
と変更請求された事実とが同じであることが必要である。
そこで、「公訴事実の同一性」が認められるためには、
訴因が単一かつ同一(狭義の同一性)である必要がある。
イ、まず、検察官が起訴した覚せい剤使用と、変更請求さ
れた覚せい剤使用とは、同じ鑑定結果に基づくものであ
り、単一性は認められる。
ウ、次に、狭義の同一性の判断基準は、日時・場所・方法
等の基本的事実関係に同一性が認められ、いずれか一方
が成立すれば他方が成立しないという非両立関係が認め
られるかどうかで判断すべきと考える。なぜなら、訴因
変更制度の目的が訴訟の一回的解決にあることから、こ
のような関係が認められれば訴訟の一回的解決という制
度趣旨に合致するからである。
そこで本問を検討するに、日時については、「3月18日
ごろ」から「3月上旬から20日ごろ」に変更されているが、
いずれも近接した日時を指すといえる。また、場所につ
いては、「東京都内のA方」から「東京都内又はその周
辺」とされており、近接した場所を指すものといえる。
さらに、使用方法については、新訴因においては具体的
方法が記載されていないが、覚せい剤使用においては「
注射して」とその他の使用方法とは実質的に異なること
がない。そして、検察官は鑑定書にあらわれた1つの覚せ
い剤使用を起訴している。
よって、基本的事実関係に同一性があり、両訴因の間
に非両立関係が認められることから、「公訴事実の同一
性」の要件を満たす。
4、以上より、検察官が、変更後の手続で最終の一回行為
につき処罰を求める旨の釈明をした場合には、裁判所は
本問訴因変更請求を許すべきである。
以上
コメント
1700字程度、3ページ
答案構成時間15分、作成時間40分
論点の組み合わせをどのように有機的につなげてよいか分からなかったため、総論を設け、特定性と同一性につき個別に検討していきました。
訴因変更制度の目的、訴因の機能からの論述を心がけました。
よろしくお願いいたします。
問題
>>270 答案
>>271-273 しばらく出現せず、すみませんでした。
今回で一区切りです。
275 :
氏名黙秘:2005/06/05(日) 10:15:07 ID:???
反対説、きちんとだしなよ
応援してるんだからさ
しっかりしないと、今年もやばいよ?
ルールから外れた答案は、見る気が起きないよ
276 :
氏名黙秘:2005/06/05(日) 15:11:25 ID:???
後段
> 同じ鑑定結果に基づくものであり、単一性は認められる。
ここの意味がよく分かりません。
あと、非両立を
> 検察官は鑑定書にあらわれた1つの覚せい剤使用を起訴している。
これで認めるのはちょっとキツいですかね
折角前段で最終使用と書いたのだから、それを使用してはいかがでしょう。
総論が少しまどろっこしい上に、総論的なことを更に各論で書いているので
冗長な気がします。
277 :
氏名黙秘:2005/06/06(月) 00:15:21 ID:???
被告人の防御からの視点が欠けてるから、限りなくGに近い評価がくるでしょう・・・。
278 :
氏名黙秘:2005/06/08(水) 00:09:10 ID:???
ここって「大谷 ◆Dqq8NzOdu6」さん以外は書いちゃ駄目なスレ?
279 :
氏名黙秘:2005/06/08(水) 02:13:05 ID:???
いいに決まってるだろ。
ただ、今は添削者の質がかなり低いぞ。
280 :
氏名黙秘:2005/06/08(水) 02:13:42 ID:???
>>278 個人スレ禁止ですから、書いていただいてかまわないと思います。
私も他人の答案を見てみたいので、ぜひ答案を見せていただけるとありがたいです。
直前答練も問題をアップしなければいいんでしょうか。
お時間がありましたら、よろしくお願いいたします。
久しぶりに、答案を書いてみました。
憲法平成13年の1問目です。
少し、構成を変えてみて、問題に素直に応える姿勢を見せてみました。
【憲法】 平成13年・第1問
法律上強制加入とされている団体が、多数決により、
特定の政治団体に政治献金をする旨の決定をした。この
場合に生ずる憲法上の問題点について、株式会社および
労働組合の場合と比較しつつ、論ぜよ。
1、法律上強制加入とされている団体とは、特定の職業を
行なうために団体加入が法律で義務付けられているもの
をいい、具体的には、弁護士会、司法書士会、税理士会
がある。
本問では、まず、団体に政治献金の自由が認められる
か問題となるが、団体が社会的実体を伴い活動する以上、
性質上可能な限り自然人と同一に扱うことが好ましく、
政治献金自体は団体の性質上可能な行為であるから、か
かる自由は認められると考える。したがって、政治献金
をする決定もなしうることになる。
他方、団体内部には構成員が存在し、構成員には思想
良心の自由(19条)が保障される。そこで、構成員には政
治的信条に基づき、いかなる政治団体を支援するかを自
ら決定できる。
とすると、団体が政治献金を行なうことは、構成員の
政治的信条に反するおそれがある。もっとも、憲法が対
国家規範であることから、構成員が私的団体に対して直
接19条違反を主張することはできない。ただ、憲法の人
権理念は全法秩序に妥当するものであるから、民法43条
の「目的」の解釈に取り込み、団体の政治献金が構成員
の思想良心を不当に侵害するような場合には、「目的」
の範囲外として、政治献金をする決定は無効となると考
える。具体的には、@構成員の地位、A構成員に対する
拘束力の程度、B団体の性質を総合考慮して、思想良心
の自由と政治献金の自由のいずれが優先するかを検討す
べきであると考える。
2、では、法律上強制加入とされている団体が、政治献金
の決定をすることは、「目的」の範囲内といえるか。
ア、まず、特定の職業を遂行するためには、団体への加
入が「強制」されている。これは、「任意」加入団体
である株式会社の株主となる場合や、オープンショッ
プ制を採用する会社の労働組合員となる場合とは異な
り、構成員にはいかなる団体に加入するか、団体から
脱退するかの自由が奪われている。
とすると、このような「任意」加入団体の場合と比
べ、構成員の意思による団体選択の自由がなく、構成
員の権利を最大限に尊重する必要があるため、多数決
によっても構成員の権利を侵害すべきでない(@)。
イ、また、ユニオンショップ制を採用する会社の労働組
合員となる場合には、「契約」により団体への加入が
強制されている。そして、「契約」による強制加入団
体においては、構成員が就職するためには団体に加入
しなければならず、団体は構成員の権利を侵害しない
ように行動することが要請されると考える。
とすると、「契約」以上の強制力を持つ「法律」に
より強制加入とされている団体においては、なおさら
構成員の権利を侵害しないように行動することが予定
される(A)。
ウ、さらに、株式会社は営利社団法人であり、終局的に
は構成員たる株主の利益を追求する性質を有し、労働
組合は、使用者と被用者を対等な地位に立たせるため
に、構成員たる組合員の利益を追求する性質を有する
が、法律上強制加入とされている団体は、国民一般の
権利侵害を防止するという公益的性質を有する(B)。
エ、このように、構成員の意思に関わらず(@)、法律
で一方的に加入すべき(A)とされている団体におい
ては、構成員の思想良心の自由が尊重すべきである。
また、政治献金はもっぱら団体の地位向上等の私的利
益追求を目的とするものであり、公益性という団体の
性質に適さない(B)。
3、したがって、法律上強制加入とされている団体におい
ては構成員の思想良心の自由が優越し、団体が政治献金
の決定をしたことは、構成員の思想良心の自由を不当に
侵害し、民法43条の「目的」の範囲外として、無効であ
ると考える。
以上
コメント
1500字程度、3ページの半分です。
図太く書いてみたつもりです。
よろしくお願いいたします。
問題
>>283 答案
>>284-286
>>287 1、法律上強制加入とされている団体とは、特定の職業を
行なうために団体加入が法律で義務付けられているもの
をいい、具体的には、弁護士会、司法書士会、税理士会
がある。
----------------------------------------
怖くないか?冒頭で積極ミスぽい。
職業に限るのか?強制加入団体って。
イ、また、ユニオンショップ制を採用する会社の労働組
合員となる場合には、「契約」により団体への加入が
強制されている。
------------------------------------
具体的には、弁護士会、司法書士会、税理士会
がある。
------------------------------------
と矛盾の悪寒。
でもそうでもないか、「契約」と一応あるし。
しかし微妙。冒頭だし。
3、したがって、法律上強制加入とされている団体におい
ては構成員の思想良心の自由が優越し、団体が政治献金
の決定をしたことは、構成員の思想良心の自由を不当に
侵害し、民法43条の「目的」の範囲外として、無効であ
ると考える。
-----------------------------------------
ラストなんだが、一応「比較しつつ」だから、比較の視点も出ていた方がよい。
全体として「比較」してない希ガス
>>288 確かに、職業に限らないかもしれません。
ただ、思いついたのがそれだけだったので、つい書いてしまいました。
職業以外であるのでしょうか、というのは疑問です。
>>289 この問題は、おそらく
「法律により」「強制加入団体」という2つのテーマが趣旨だと思っています
なので、まずは「任意加入団体」を、次に「法律以外の強制加入団体」を
検討していくのがよいかと思いました。
「契約」と「 」でくくっている以上、出題の意図から外れたものではないと思いました。
でも、
>>290微妙といわれると、確かにそうですね。
どのように書いたらいいか、コメントいただけると幸いです。
>>291 比較は2ア〜エでやったつもりだったのですが、不十分みたいでしたね。
まとめの段階で比較をいれると、文字数が多くなる気がしたので、省略しました。
「比較しつつ」という問題は、「答案の中で触れながら」という趣旨だと思うのですが
いかがでしょうか。
294 :
氏名黙秘:2005/06/11(土) 00:58:12 ID:???
冒頭の4行はいらないと思われ。
それと、普通は43条の「目的」の解釈でなく、「目的の範囲内」の解釈の問題とする。
ちょっと細かいけどニュアンスが違うっぽいから少し気になる。
あとは、政治献金の自由にほとんど注意が払われてないのはどうかと。思想良心側の話ばっかり。
たとえば、法人の人権享有主体性、政治献金の自由が法人に保障されるか、を論じてるのに
政治献金の自由が憲法上の権利かどうかについて全く触れられていない。
八幡製鉄事件では株式会社の政治献金の自由が優越していると判断されてるんだから、
株式会社の場合には政治献金の自由を保障する意味がありますよ、みたいなことを書くべきだと思う。
政治献金の意義の点で株式会社・労働組合と全く比較が論じられていないのは良くないと思うよ。
あと、この書き方だとごちゃごちゃしてわかりづらいと思う。
2イの前半と後半のつながりとか何かわかりづらい。
3、したがって、法律上強制加入とされている団体におい
ては 【そうでない団体と比較して】構成員の思想良心
の自由が優越する。
そこで、かかる団体が、政治献金の決定をしたことは、
構成員の思想良心の自由を不当に侵害し、民法43
条の「目的」の範囲外として、無効であると考える。
ぐらいでいいんじゃないの?
1、法律上強制加入とされている団体とは、特定の目的のた
めに団体加入が法律で義務付けられているものをいい、具
体的には、弁護士会、司法書士会、税理士会がある。
で誤魔化すとか。そういえば会社の健保組合って強制加入団体だったような?
健康保険組合って職業じゃないね。
ア、まず、団体への加入が法律上強制されている。・・・
イ、これに対し、「契約」により団体への加入が強制され
ている団体、たとえば、ユニオンショップ制を採用する・・・・
は、加入が法律上強制されている団体と比較して
ウ、さらに、株式会社の場合は、加入が法律上強制
されている団体と比較して
------------------------------------------
非常にベタだが、こうした方が内容同じでも読みやすい。
297 :
氏名黙秘:2005/06/13(月) 00:16:04 ID:???
最近添削者のレベルが低いと思ったら、この時期人の答案見てる暇あるのは
自称実力者の択一落ちぐらいだもんなw。
298 :
氏名黙秘:2005/06/13(月) 00:25:16 ID:???
木蔭|_・)ノ 見てる中には修習生もいますよー
コメントしないけど
299 :
氏名黙秘:2005/06/13(月) 00:58:25 ID:???
>>297 他人の答案を気分転換に見て自分の理解の確認をしよう、という考えを持つひともいるかと。
俺はそうだが。というか、息抜き程度に2chやる暇くらいは誰にでもあるでしょ。
そんな暇もつくれないなら本番まで持たない。もう大分いっぱいいっぱいだけど。
300 :
氏名黙秘:2005/06/18(土) 15:11:10 ID:+xk3wlkn
憲法H11-1なんですが、
監獄法46条2項を合憲性と刑務所長の措置にわけて書いた方がいいのでしょうか?
再現A答案や予備校解答だと、一緒に書いてるか片方のみというのが多いのですが・・・。
Wセミナーの分析や永山本によると分けた方がいいようなことを書いてました。
分けた場合、監獄法46条2項を違憲とはしにくいんですが、LRAだと違憲になりやすい。
監獄法46条2項を合憲とした場合、刑務所長の措置について違憲とするなら裁量権の濫用で処理するのかな。
両方合憲または違憲なら答案としては書きやすいけど。
301 :
氏名黙秘:2005/06/18(土) 15:20:55 ID:???
どっちか片方なら、刑務所長の措置でしょ。
監獄法のみでは、まずGでしょう。
(辰巳の合格レベル答案集とかいうのは、永山でGのを乗せてるくらいだから、信憑性0)
監獄法は合憲で軽くながして、措置が違憲というのが常識的じゃないですかね。
個人的には、措置のみでも十分だと思います。
302 :
氏名黙秘:2005/06/18(土) 15:23:41 ID:???
レスありがとう。
> (辰巳の合格レベル答案集とかいうのは、永山でGのを乗せてるくらいだから、信憑性0)
これマジですか@@
たしかに、中にとんでもないのが混じってます・・・。
303 :
氏名黙秘:2005/06/18(土) 21:22:08 ID:???
>300
正直どっちでもいい。
そんなところで悩むとGになるよ。
304 :
氏名黙秘:2005/06/21(火) 00:01:23 ID:BuNZ3Iwj
これって、なんで訴因変更の要否を論じるのかよくわからないんですが、
だれか教えてくれない?
小問1は、裁判官が元の訴因通りの心証を得ているのだから、要否自体
論じる必要がない気がするんだけど・・。
305 :
氏名黙秘:2005/06/21(火) 00:44:39 ID:???
大谷さんではありませんが、民事訴訟法H8ー2を書いたので
お願いします。
1小問1について
(1)XのY、Zに対する訴えは、固有必要的共同訴訟か。(民事訴訟法40
条1項。以下条文のみ記す)
本件訴訟の性質が問題になる。
ア・本件訴訟は遺産確認の訴えである。
遺産確認の訴えは財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの
確認を求める訴えである。
イ・固有必要的共同訴訟かは実体法を基準に判断する。
共有者の内部紛争については、共有権(共有関係)は共有者全員にかかわるので固有必要的共同訴訟
、共有持分権は共有者各人の権利であるので個別訴訟と解する。
ウ・本件では甲土地の共有権が審判対象であるので固有必要的共同訴訟と解する。
エ・したがってY・Zの審判分離はできない。
(2)このことは遺産確認の訴えの性質からも根拠づけられる。
ア・思うに遺産確認の訴えが認められるのは既判力で遺産の範囲を確定し、紛争の
抜本的解決が図れるからである。(判例)
イもし本件で手続きの分離(152条1項)が許されるならば、XZ間で認容判決が
出るのに、XY間で棄却される可能性がある。かかる場合にはXは、甲土地持分権を
Zには主張できるのにYには主張できないとの事態に陥る。かかる事態は紛争が抜本
的に解決できたとはいえない。
ウよって訴えの利益レベルで認められたのなら当事者レベルでも固有必要的共同訴訟と
するのが法の要請といえる。
したがって紛争解決の抜本性との遺産確認の訴えの性質から、固有必要的当事者訴訟と
するのが制度趣旨上、不可欠である。
306 :
氏名黙秘:2005/06/21(火) 00:45:21 ID:???
2.小問2について
(1)X勝訴の確定判決の効力について
本件訴訟物はXのYに対する甲土地共有持分権を有することの確認である。
(2)既判力について
ア客観的範囲
X勝訴の確定判決は「Xが甲土地の共有持分を有する」との
主文である。
既判力は「主文に包含するもの」に生じる(114条1項)
既判力とは紛争の蒸し返しを防ごうと与えられた判決の判断に対する
拘束力である。主文とは訴訟物に対応する。
よって本件では「Xの甲の共有持分権の存在」にのみ既判力が生じる。
なお、「共同相続に基づく」との部分、つまり「XYZが甲土地をAから共同
相続に基づき取得した」との部分は理由であって既判力は生じない。
イ・主観的範囲
既判力は当事者にのみ及ぶのが原則である。(115条1項1号)
判決は当事者間の紛争解決のために下され、当事者以外の者には手続き保証が
及んでないからである。
本件Zは当事者ではなく115条2号〜4号の例外にも当らない。
よって既判力は当事者XYにのみおよび、Zには及ばない。
ウ・以上から判決主文について当事者XYに既判力が生じる。
307 :
氏名黙秘:2005/06/21(火) 00:46:21 ID:???
3.小問1と小問2の比較
(1)既判力の客観的範囲の観点から
小問題2では判決理由に既判力が及ばないため、遺産帰属性について
Zが後訴で争い否定する余地があり、紛争の解決が抜本的ではない。
その点、小問1では遺産帰属性が及ぶため、2より抜本的である。
(2)民事訴訟法の相対的解決の原則の観点から
小問2では、既判力の当事者間効力の原則から共有持分権の確認について
すらZには既判力が及ばないので紛争解決には役立たない。
小問1でも弁論の分離を認めてしまうと、ZとY間で異なる判決が下る
おそれがあり、紛争解決には役立たない。
当事者間の相対的解決との民事訴訟法の原則の帰結である。
小問1でこの不都合性を解決するには、既判力を拡張するか、固有必要的
共同訴訟として判決・審判を統一する方法が考えられるが、小問1で弁論
分離を認めないとの私の考え(判例も同じ)は後者に立脚してると考える
以上
308 :
氏名黙秘:2005/06/21(火) 00:48:00 ID:???
本問での私の思考過程
遺産確認の訴えのについては訴えの利益レベルでよく教科書で触れられているが
固有必要的共同訴訟とされてることへの説明は薄い。判例の原審では共有関係を
理由に肯定。最高裁は紛争の抜本的解決との視点から肯定。なぜ最高裁は実体法
を基準に固有必要的共同訴訟としなかったのかが不明であった。そもそも
紛争解決に必要なのだとの理由は法解釈ではないとすら感じた。
しかし、小問1の設例で具体的に考えてみると矛盾判決がでる可能性があることに
気づく。要するに、これは誘導なのだ。
遺産確認訴訟自体、訴えの利益レベルで紛争解決を理由に認められるなら、
当事者レベルでそれが実現不可能になるのはおかしい。当事者レベルでも
統一すべき。つまり遺産確認訴訟を認めた以上、法が予定してる(許容性)
といえる。
小問2も小問1への誘導。
既判力の客観的・主観的範囲で分けて同じ視点で小問1を検討すれば
よい。既判力の拡張との手段は小問1では取れないから、それにかわる
役割を固有必要的共同訴訟がしてることに気けるはず。そして高橋「重点講義」
の既判力の主観的範囲の部分で、同様の記述を見つけ裏を取り安心した。
309 :
氏名黙秘:2005/06/21(火) 00:48:42 ID:???
平成8年・第2問
Aが死亡し、その共同相続人は、X、YおよびZである。
1 Xは、YおよびZを被告として甲土地がAの遺産に属することの確認を求める訴えを提起した。
この訴訟において、YはXの主張を争ったが、ZはXの主張を争わなかった。裁判所は、Zに対する
関係で口頭弁論を分離して終結し、判決することができるか。
2 Xは、甲土地の単独所有を主張するYを被告として、共同相続に基づき、甲土地の共有持分権を
有することの確認を求める訴えを提起した。この訴訟においてX勝訴の判決が確定した場合、この判
決は、どのような効力を有するか。
310 :
氏名黙秘:2005/06/21(火) 17:40:04 ID:???
>>305
よう考えておられるなと感服してます
ただ3(2)の視点が入り込んで来ているせいで読みにくい答案になってるように感じるのです
具体的に言えば1(2)部分は訴えの利益についてもう少し書いた方がいいのでは
結局私は3(1)の視点を問うのが本問の出題趣旨だったように思う訳です
恐らく当時これを書いた答案はぶっちぎりのAだったことでしょう
それとも3(2)の視点って本問の肝なんでしょうかねえ
311 :
氏名黙秘:2005/06/28(火) 16:39:51 ID:???
浮上
312 :
氏名黙秘:2005/06/29(水) 12:54:39 ID:???
再浮上
313 :
氏名黙秘:2005/07/05(火) 21:29:57 ID:???
test
314 :
氏名黙秘:2005/07/21(木) 09:15:38 ID:???
test
315 :
氏名黙秘:2005/08/06(土) 21:01:58 ID:???
age
316 :
氏名黙秘:2005/09/16(金) 10:31:47 ID:???
大浮上
317 :
氏名黙秘:
なぜこのスレをあげるのか意味不明だが、とりあえずあげとく!