1 :
氏名黙秘:
2 :
氏名黙秘:04/03/04 22:19 ID:???
3 :
30:04/03/04 22:36 ID:???
>設立趣意書
>絶対量的に勉強時間が足りてない気がすると、 添削・模範解答ほど有用な勉強資料はないはずなのに、
>論文の添削はまったく役立たずなものばかりで、しかもボロクソの「模範解答」がついてくる。
>そうすると「こっちは本番まで時間がないんじゃ、ボケ」と思って、メチャクチャ腹が立ってくるんですよね。
>ここにいるみなさんのなかに、添削や「模範解答」を評価してる方なんて全然いません。
>だから、それらに対する「怒り」がこのスレの存在理由であるというのは、
>その「怒り」は表現する必要もないくらいの大前提ということなんです。
>どうしようもない(と思える)採点者や救いようのない「模範解答」に対する不満は、
>このスレではもう少し具体的な論文・論点に関して語ることが有益だと思います。
4 :
30:04/03/04 22:38 ID:???
309 :河童 :04/03/03 01:20 ID:???
*前置き
案外早く刑法の論文が書けました。去年の夏以来、刑法論文の第一号です。
民法同様アップはやめようと思っていましたが、民法同様、早々とみなさまのお世話になることにしました。
というのも、刑法は民法と違い、妥当な結論を導くために判例が理論的根拠を明らかにしないことが多い科目です。
私は問題文を読むたびに「コイツは重い罪で有罪にしてやる」とか「コイツは既遂だ」とか、決めてかかるため、
理論を優先しないで(理論が難しくて理解できないので…)、フィーリング重視で書くことにしています。
それだけに、あまりに基礎がおろそかになっているところは厳しくご指摘いただきたく、早めにアップしました。
しかし、刑法論文に登場する人物は、民法以上にキャラが濃くてやりやすいといえば、私にはやりやすいのかも……。
問題は論文の森1問目です。
問題
以下の小問における甲、乙、丙の刑法上の罪責について論ぜよ。
(1)甲は、部下Aの勤務態度があまりに悪かったので、これを懲らしめようとAの頭部に素手で暴行を加えた上、
水深の浅い小川に突き落としたところ、Aは強度の脳震盪を引き起こし、
よろけながらようやく反対側の岸に這い上がった。ところが、これら一部始終を物陰から密かに見ていた乙が、
前前から気に食わなかったAに意地悪をしてやろうと、Aを小川に突き倒した。
Aは強度の脳震盪から回復していなかったため、立ち上がることができずに溺死してしまった。
(2)医師でないにもかかわらず風邪等の治療行為を反復継続していた丙が、風邪の症状を訴える患者Bに
治療法を指示したところ、その治療法が間違っていることが明らかであるにもかかわらず、
Bは医師の診察治療を受けることなく忠実に指示に従ったため、脱水症状を起こした上、肺炎を併発して死亡した。
5 :
30:04/03/04 22:48 ID:???
*後述
刑法に至っては、基本書はおろか判例百選すら持っていない私…。(さすがにこれは今週中に買いに行きます)
小問(2)は有名な判例がベースなので、百選も確認しないで書くのは恐縮ですが、お許しください。
*行為後に特殊事情が介在した場合の因果関係については、前田説が私の感覚に近いようですが、あえて回避しました。
刑法は一番学説にこだわるのが危ない科目だと思いますので。
去年は「手も足も出ない」という危険で一杯でしたが、今年は「自滅」の危険を管理できるようになりたいです。
314 :河童 :04/03/03 01:29 ID:???
**繰り返しになりますが、私はできる限り、学説・論理よりも妥当な結論を重視したいと思っています。
本問では、甲のヤロウは「勤務態度の悪さ」で「部下Aを小川に突き倒す」とんでもないヤツなので、
模範解答では傷害罪に留まるとされていますが、断固、傷害致死罪を成立させました。
模範解答では、「水深の浅い小川」ゆえ危険性が少ないと解して当て嵌めをしていますが、溺死の可能性を別にすれば、
常識的に逆ですよね。岸から川底までの深さにもよりますが…。それを利用して逆の結論を導きました。
最高裁もこの事件ならおそらく甲に傷害致死罪の成立を認めるでしょう。(…かな?)
6 :
30:04/03/04 22:49 ID:???
憲法の議院定数不均衡問題や、刑訴の任意捜査の限界、違法収集証拠の証拠能力の有無などに顕著ですが、
判例が妥当・穏当な結論を導こうとかなり苦心している以上、この苦渋の結論を容易に肯定するのは疑問ですが、
これに追従するのは効果的な手段だと思うのです。
判例は学説より、妥当な結論を導こうと、刑法・刑訴においてかなり必罰主義的色彩が濃いですよね。
判例より必罰的な論文答案はバランス感覚として絶対にいけない気がしますが、判例に近い分にはセーフでしょう。
(**向こうのスレで、憲法・議員定数不均衡につき「6倍以上でも全然OK」という論述が出たときに、
そのことを書こうと思ったのですが、難しい学者さんの話だったので尻込みしてしまいました。
学者さんは長い時間と分厚いページをもって学術的なことを書けますが、論文答案はそうはいきませんから**)
長くなりました。基礎がおろそかでは、妥当な(と思った)結論も虚しいだけです。よろしくご指摘・指導ください。
317 :氏名黙秘 :04/03/03 02:28 ID:???
>>314 妥当な結論というのは一般予防の見地から妥当な結論だろうね?
悪いやつだから刑務所に入れちゃえなんて発想じゃないよね?
320 :224 :04/03/03 10:48 ID:???
河童さん、私も基本書といえばやっとセミナーのフェアで
民法買ったばかりです。民法は私の課題ですから。
ちなみに去年の択一もこれに引きずられて落ちてます。
大学では専攻だったのになんででしょ(T_T)
しかし憲法も刑法も基本書持ってません。
デバイスと120選と判例で十分だと思ってるのですが、どうでしょうか?
ただし判例は百選ではなく前田250選です。
商訴にいたっては、デバイスと「判例で書く」シリーズだけです。
今買っても読むヒマないし、何がいいのかわからないし・・・・
7 :
30:04/03/04 22:50 ID:???
321 :224 :04/03/03 10:52 ID:???
それと論文の森小問2ですが
医師免許のない治療行為は
傷害の故意があるし、業務上ではないはずですが。
後は死亡との因果関係を論ずるのかなと・・・・
小問1は事実認定をどうするかだけですね。
322 :河童 :04/03/03 11:02 ID:???
>>317 私は100%弁護士志望なのですが、刑法は裁判官の気持ちで書いています。
実際、親族を含めた被害者感情や遺族感情が重視される今日ですから、
事実上はそういう発想に近くても許されるのではないでしょうか。
(だから、私のような男は裁判官になっちゃダメなんですね)
最近よく30さんにおこしいただき、224さんも登場されましたが、
久しぶりに131さんにビシッと基礎の弱さを指摘してほしい気が…。
323 :河童 :04/03/03 11:20 ID:???
あっ、224さん、おはようございます。
まず、私の論文について。
傷害の故意の認定は、本人が治療行為だと思って行っている限り、なかなか難しいでしょう。
「治療法の単なる指示」を傷害の実行行為として認定しなければならなくなりますし。
8 :
30:04/03/04 22:53 ID:???
329 :224 :04/03/03 11:59 ID:???
>傷害の故意の認定は、本人が治療行為だと思って行っている限り、なかなか難しいでしょう。
>「治療法の単なる指示」を傷害の実行行為として認定しなければならなくなりますし。
私は「脱水症状を起こした」点から、その治療法は
医師でもないのに、ヘンな薬物を飲ませたと問題文を読みました。
とすれば、十分に傷害の故意を認定できると思いますよ。
あと業務については
自動車運転については無免許でもそれ自体が業務と認められますが
薬物投与は免許がない以上、業務とはいえないし、
それがないと危険な行為であることは客観的に明らかですから
やはり傷害の故意が認められます。
但し、河童さんご指摘の通り
問題文の治療法が何なのかがわからないというのが悪問ですね。
これがヘンな体操をさせただけというのであれば、
それが過失(そもそもムリがあるが)だとしても
脱水症状を起こすことに因果関係は認められず
無罪としかいいようがありません。
この場合、民法のように
「善意無過失ならば〜」というように場合分けしろって
ことですかね。しかし、刑法の事例問題はあてはめ勝負の
ところがありますからねえ・・・・・
ちなみに私は新保先生はビデオでしか見れないんですよ。
でも別の先生もなかなかいいですよ。
先生はいいんだけど添削者がねえ・・・・・
9 :
30:04/03/04 22:55 ID:???
あと勉強方法について。
224さんみたいにあまり時間がとれない方には、有効かどうかわかりませんが。
私は(ここまでくるとバカ自慢のようですが)上三法は基本書どころかデバイス・シケタイ等、
予備校の参考書も持っていません。(下三法はC−book…)。
ひたすら択一の問題を解いて解いて解きまくって基礎を理解し、
判例を読んで(刑法除く)、論文の問題を解くことにより理解を深めてきました。
(そんな私でも刑法・民法論文は大丈夫でしたから、あまり過度にご心配なさらずに)
論文の場合、自分で一番有効だと思うのは、新保先生の問題集ならそれを徹底的に批判的に検討することです。
私は全科目、一日で新保問題集を半分くらいをザッと読みながら、たまに判例を確認しつつ、
自分で納得できないところを鉛筆を使って問題集にそのまま汚い字で書き込んでいます。
そのなかで自分で一度書いておきたくなったものを問題集をベースに答案化しています。
224さんでしたら、直接新保先生に質問できる機会もあるでしょうし、大変有効な手段かと。
330 :氏名黙秘 :04/03/03 11:59 ID:???
>>322 被害者や遺族の感情は犯罪の成否には関係ない。これは当たり前のこと。
それさえもわかってないのは基本がわかってないということだよ。刑罰は
復讐の代行じゃない。
361 :河童 :04/03/03 18:28 ID:???
うーん。参った。やや荒れですね。
ここは過去を見ていただければわかりますが、もう誰もいなくなったスレだったんですよ。
それでもいまになって論証が晒したい人は晒せばいいと思いますが。
優秀な方が沢山いますので、大変有益だと思いますよ。
しばらくおやすみしますか…。
10 :
30:04/03/04 22:56 ID:???
364 :131 :04/03/04 06:41 ID:???
おおー・・荒れている。。びっくり
>>河童さん>309-313とりあえず気になる部分を挙げておきます。
>(1)強度の脳震盪を引き起こしているので傷害罪(204条)の罪責を負う。
生理的機能障害を惹起し、くらいの定義を入れてもいいと思います。
余裕があれば暴行の結果的加重犯の認定をしてもいいかもしれません。
>(エ)以降の当てはめ
一般にこういうあてはめがされるみたいですが、個人的には規範に対応していない感じがします。
基礎事情の確定をした上で、相当性の評価にはいるべきでしょう。
> 物陰に隠れていた乙の本問行為は行為当時の甲及び一般人にとって
予測不可能な事情であることを重視すれば、因果関係を否定することになろう。
予測不可能、でいったん切ってしまうといいと思います。
ここが分離していないため、
> そのまま水を飲んで溺死することも十分にあり得ただろう。
という部分は仮定因果付加みたいな印象を受けました。
それと、行為後の特殊事情の規範を別立てしておいたほうが分かりやすいと思います。
(「認識」の部分を「予見」ないし「表象」にするだけですが)
あと、私が書くなら乙には殺人、丙には傷害と認定するかも知れません。
ちょっと恣意的すぎるとは思いますが‥。
11 :
30:04/03/04 22:58 ID:???
366 :河童 :04/03/04 10:55 ID:???
131さん、ありがとうございます。
ご指摘いただいた点をみてみると、刑法も基礎で131さんに遠く及ばない模様。
刑法勉強期間はとりあえず4月まで。よく精進します。
しかし、224さんも丙に傷害を真っ先に考えていますが、
やはり判例をベースにした問題で、もちろん具体的事情が曖昧ではありますが、
判例以上に厳しい結論というのはどうなんでしょうか。故意と実行行為の認定の問題もあります。
(一回だけ)「治療法を指示した」という様態を考えると、何度もイタズラ電話をかけてノイローゼにした、
という事案とは、実行行為の態様(電話は音が鳴るうえ、反復性がある)に大きな質的差異があって、
むしろ、故意の認定はやはり困難でしょうが、「自己傷害教唆」というほうが近いような…。
もっとも、そんな無理な解釈・認定は実際的ではありませんが。
131さん、ありがとうございました。しばらくおやすみします。
367 :河童 :04/03/04 11:15 ID:???
*おやすみを前に、はじめて「書き直し」をアップしてみました。すごくよくなりました。
131さんをわざわざお呼びたてさせていただいた甲斐がありました。多謝。いつもほんとうに助かっています。
(エ)これを本小問についてみると、物陰に隠れていた乙の本問行為は行為当時の甲及び一般人にとって
予測不可能な事情である。しかしながら、甲は「水深の浅い小川」にAを突き倒しており、
川底や岩に頭を強打する等、Aの生命に危険な行為をなしており、実際にAはかなりの期間「回復」しないほど
強度の脳震盪を起こしている。また、Aはようやく反対側の岸に這い上がっているが、
甲はその事実(Aの生命の安全)を確認せず、川に落ちたAを放置している。
そうであるとすれば、一般人であれば、Aを川に突き落とせば強度の脳震盪を起こして、
そのまま放置すれば、水を飲んで溺死することも十分に予測し得ただろう。
よって、甲の行為からAの死亡という結果が生じることは、予測不能な乙の行為を考慮せずとも、
社会通念上相当といえ、両者の間に因果関係を認めるべきである。
12 :
30:04/03/04 22:59 ID:???
368 :131 :04/03/04 20:04 ID:???
>>366 >むしろ、故意の認定はやはり困難でしょうが、「自己傷害教唆」というほうが近いような…。
>もっとも、そんな無理な解釈・認定は実際的ではありませんが。
そういうニュアンスの方が近いと思います。
はっきりいって、出題意図は前段後段で因果関係を比較させることにあるので
傷害認定はそれだけでG食らうかもしれません。
にもかかわらず傷害といってみたのは、本試験でそういう無理な認定をしないようにするための
防波堤みたいなものを作っておいた方がいいと思うからです。
本問はともかく、横領と背任の区別とか幇助と正犯の区別とか、
他の人がしないような無理な認定をしたのなら、なぜしたのかを明確にする意義はあると思います。
本問での傷害は、論点出しの意味と、こいつが過失犯か?という疑問に端を発しています。
ちなみに、傷害認定とすると流れは
@故意ありA実行行為性あり(被害者利用)B死亡結果との因果ありC治療行為の違法性阻却なしD法律の錯誤
みたいになりましょうか。盛りだくさんではあります。
が、小問間の比較からして、やはりベターではないですよね。
自分で気づけばいいのですが、得てして私は強引に論じてしまうので、、反省しきりなしだいです。
13 :
30:04/03/04 23:08 ID:???
>>1 スレ立て乙。 以後、設立趣意書の方向で議論をしましょう。
14 :
河童:04/03/05 00:24 ID:???
30さん、猛烈感謝。あと1の方は、30さんとは別人の模様。1の方にも感謝。
大変ご丁寧なスレ立てありがとうございました。
素晴らしい新居(共同住宅?)を建築していただいた気分です。
せっかくの新居ですので、答案アップなさる方はどうぞなさってください。
ここにはとても有益な添削者が多数いらっしゃいます。
なお、現在はとりあえず刑法ですが、択一迫る時期だけに上三法ならOKという雰囲気だと思います。
15 :
30:04/03/05 00:53 ID:???
>結論を導く理論の当否
この問題、もし河童さんのように因果関係を肯定するのであれば、
a 大阪南港事件の論理を採用する(ただし、かなり難しい)
b 条件説に依拠する(とはいえ、実は、条件説の論者も、たぶん認めない。傷害致死の事案で、
この事例の処理は特殊。条件説の処理は受験上全く必要なし。「正門から追い返し裏から引き入
れる」)
くらいでしょうか?
いずれにせよ、故意行為の介在の場面なので、かつては因果関係の中断論(これ、口述で聞かれ
てますよね。過失行為は含みません。)が論じられた場面ですし。難しいですね。
>答案について
ちょっと、判断基底となる基礎事情をきちんと洗い出したら、その結論になりますかねえ?
こんなこと感じました。ではまた。
16 :
30:04/03/05 01:04 ID:???
忘れてました。
それと、死の結果についての処理も問題になると思います。
河童さんの結論だと、1人しか死んでないのに、死の結果を2人に帰属させているように思えます。
二重評価の問題です。どうしますか?131さんは、これを考えていると思います。
なお、昨年の問題でもここはかなり問題になってましたので(泣)、これ以上は。。。勘弁して。
17 :
河童:04/03/05 01:28 ID:???
30さん、ご指摘どうもありがとうございます。
いまは眠くてよく考えられないため、またじっくり考えてみます。
私はA(でしたっけ)に傷害致死罪が成立させたいために色々考えたのですが、
至極シンプルな構成でこじつけでも妥当な(だと思った)結論というスタンスで、
書いてみたつもりです。しかし、どうも論理的におかしいようですね。
論文の森の解説では、前田説ならば傷害致死の結果を導くことも可能としてあったので、
この結論に無理はないと思ったのですが。
ふたりの人間がひとりの人間に致死量の半分ずつの毒を飲ませて殺した場合、
ふたりに死の結果を帰属させるのは確かOKでしたよね。
…夜中にこれ以上おかしなことを書くとまた恥の上塗りになるので明日また考えてみます。
>なお、昨年の問題でもここはかなり問題になってましたので
…確か、昨年は共犯でしたよね。それで私は迷いなく、2人ともに殺人罪を肯定した覚えが。
もっとも、理論もなにもなくて、子供の作文のようなものを書いてしまいましたが…。
18 :
131:04/03/05 02:20 ID:???
>>1氏 丁寧なスレ立て禿乙です。なんて作業が早い…。
>>30氏 誘導等禿乙です。なんて親切な…。
あっちのスレの行く末が気にならなくもありませんが、
スレタイの面目躍如といくといいですね。
>>16 >二重評価の問題です。どうしますか?
…悩みどころですよね。私も単純に
>ふたりの人間がひとりの人間に致死量の半分ずつの毒を飲ませて殺した場合、
>ふたりに死の結果を帰属させるのは確かOKでしたよね。
というくらいの帰属論をかませていいわけすればいいかなと思ってました。
また、そもそも結論の当否については相当性の判断基底資料は類型化されてはいても、
相当性自体は社会通念というブラックボックスによる以上、どっちでもアリかと思います。
いずれにしても強引ですね。まさに初学者丸出しかも…。
19 :
30:04/03/05 09:55 ID:???
大阪南港事件の論理を採用するのであれば、「死因となった傷害が形成された場合」といえるか
どうかがポイントになると思います。(大谷先生もこの論理を支持していらっしゃったかと記憶
しています。)
で、本問ではどうか。「Aの頭部に素手で暴行を加えた上、水深の浅い小川に突き落とした」と
いうのですから、「死因となった傷害が形成された場合」とは言い難いのではないか?
大阪南港事件ですと、洗面器等による殴打行為により、被害者の死因となるのに十分な脳内出血
が生じているので、かかる認定になったように思います。
なお、前田先生は、介在事情の異常性は小さく、結果への寄与度は小さいとして、大阪南港事件
の判例を支持されていますが、ここは非常に異論の強いところです。かなり強引ではないか、と。
まあ、こんなことを考えていました。参考になるかもしれません。
20 :
河童:04/03/05 10:24 ID:???
30さん、131さん。おはようございます。
一晩寝てから考えましたが、やはり傷害致死は無理のある結論だと思うようになりました。
30さんがご指摘のように、突き落とす行為が直接の死因とはなりえないからです。
例えば、アホみたいな事例で考えてみました。
車ではねた相手が崖下に転落して、普通は死んでもおかしくないが、幸運にも足の骨折ですんだ。
@しかし、そこで熊に襲われて、足の骨折のために逃げ切れずに死んだ。
Aしかし、そこは川になっていて、足を骨折していたために泳げずに溺死した。
Aの場合、過失(傷害)致死が成立しても、@の場合、それはさすがに難しいというのが本音です。
本問は、@類似の上、熊でなく人の故意の行為が介入している以上、更に死の結果の帰責は無理ですね。
どうも、私の感覚でいうと、井田説というのが一番近いようですが、本試験で論述する気にはなれません。
井田説だと大阪南港事件は判例を支持し得るでしょうが、本問では傷害止まりで間違いないでしょう。
本問では一晩で自分の妥当だと思う結論が変わりました。
当面は井田説をベースにして、妥当な結論を考えていこうかなと思います。
私の刑法論文はシンプルな説でこじつけですので、妥当だと思う結論を決定する方針こそ命です。
自分の結論が妥当でなかったことを知れたことが今回の最大の収穫でした。
みなさまありがとうございました。
21 :
河童:04/03/05 10:46 ID:???
…結局は、条件説でないと因果関係を肯定できないから、過失犯にも問えないということでしょうか。
以下のようにも考えてみました。
まず最初に不作為犯的構成を考えてみましたが、作為義務は肯定できても、
甲がAの安全を確認しないで立ち去った行為が、作為と同価値とは評価しがたい。
そこで、小川にAを突き落として強度の脳震盪を引き起こしながら、そのまま安全も確認せずに立ち去る、
という不作為を非難すべきことに目をつければ、重過失致死は認定できるかもしれない。
すなわち、強度の脳震盪を引き起こしたAが脳震盪から回復するまで不慮の事故にあわないようにするという、
注意義務に違反して甲はAの死を招いたといえないか。
これなら予見可能性は肯定できると思いますが、やはり因果関係の存否は故意犯と同じことになるのでしょうか。
「不慮の事故」にあわないようにする注意義務違反&故意犯より緩やかな相当因果関係の認定……。
過失犯の因果関係の問題はまだ勉強不足。少し考えてみます。
刑法は頭が大混乱です。択一の問題を解きながら3月中に基礎を鍛え直していかないと。
22 :
氏名黙秘:04/03/05 11:43 ID:???
おまえ、司法試験やめたほうがいい。
23 :
30:04/03/05 11:43 ID:???
この問題での、わたくしの処理は、いわゆる1段構えの構成、つまり相当因果関係説から、いきなり
あてはめるというものです(シケタイ参照のこと)。そして、あてはめのファクターとして前田先生
の3要件の要素を使います。そして、判例の内容も適宜、盛り込んでいます。答案を探せば、かなり
このタイプのものがあります。
井田先生の説は、山口問題探究に書かれている程度しか判っていないので、ちょっと言及できません。
過失犯のところは、ちょっと考え過ぎかも。ふつうに認めていいと思いますけど。ただ、考え出した
ら難しい論点を含むので、ちょっと困りました。この問題では深入りしません。ではでは。
24 :
裕子:04/03/05 12:18 ID:???
学者系演習書からきました。ここもなかなか良スレですね。
議論を蒸し返して申し訳ないんですが、
>>11のあてはめ、私はすばらしいと思うんですけどね・・・
ただ、少し気になるのが、
「川底や岩に頭を強打する等、Aの生命に危険な行為をなしており、」
ここを強調するのはまずいのかな。「死」には関係ないので。むしろ、
甲の行為によって、強度の脳震盪が惹起され、
それが直接の「死」の引き金になっていることを強調すべきだと思います。
そうすれば、相当因果関係説からも肯定も可能だと思うのですが・・・
大阪南港との整合性は難しいですが、
「死因となった傷害が形成された場合」とはいえないまでも、
「死因となった溺死の直接の原因となった脳震盪が形成された場合」とはいえますから、
そんなに乖離しているとまではいえないのではないかな…
まあ、結論ははどちらでもいいんではないですかね。判例も類似の事例で肯定してますし。
問題は議論の筋道ですね。相当因果関係説に立つ場合は、
基礎事情の判断と相当性の判断をきっちり分けること(この点
>>11はもう一歩ですかね)、
生じた結果の抽象化をどう考えるのか(極端に具体的に考えると常に否定されかねない)、
という点がポイントのように思います。
ともするとフィーリングで結論が導かれたようにみえるところなので、
そこをどう緻密に評価しているようにみせるかが問われているのではないでしょうか。
>>20 > @しかし、そこで熊に襲われて、足の骨折のために逃げ切れずに死んだ。
> Aしかし、そこは川になっていて、足を骨折していたために泳げずに溺死した。
> Aの場合、過失(傷害)致死が成立しても、@の場合、それはさすがに難しいというのが本音です。
> 本問は、@類似の上、熊でなく人の故意の行為が介入している以上、更に死の結果の帰責は無理ですね。
「熊」か「人」かどちらにしても、基礎事情から除くことを前提にしている以上、
「熊」か「人」かは因果関係の成否に問題とはならないと思います。
本問は、実行行為者の危険な行為が直接の死因になっているか否かの点で@とは大きく異なるのではないでしょうか。
25 :
裕子:04/03/05 12:37 ID:???
>>21 傷害致死の因果関係を否定しておきながら、
過失犯を認めるのは、
傷害行為と放置行為が別個の行為と見られる特段の事情がない限り、
評価矛盾のように思えますが・・・
26 :
30:04/03/05 13:07 ID:???
>>24 端的に問題点を指摘されていると思います。
>大阪南港との整合性は難しいですが、
>「死因となった傷害が形成された場合」とはいえないまでも、
>「死因となった溺死の直接の原因となった脳震盪が形成された場合」とはいえますから、
>そんなに乖離しているとまではいえないのではないかな…
う〜ん。行為の危険性についての評価が違っているんですね。たぶん。
>判例も類似の事例で肯定してますし。
そうだったんですか。知りませんでした。反省。
で、裕子さんは、因果関係を肯定したとして、乙の行為と結果との因果関係はどうしますか。
最終処理に関係しますよね。
>>25 ちゃんと考えるべきでした。
>>23の後段は撤回。迂闊に認めては、まずいですね。
因果関係を否定した場合、甲の行為は傷害、乙の行為は過失致死、ということになると
思います。
27 :
裕子:04/03/05 13:52 ID:???
>>26 > う〜ん。行為の危険性についての評価が違っているんですね。
そういうことでしょう。
浅い川なので、突き落としても死ぬこたーない、と評価するのか。
浅い川でも、打ち所が悪いと溺死する危険もある、と評価するのかだと思います。
本問題文からはどっちにも転びうるのではないでしょうか。
> >判例も類似の事例で肯定してますし。
大判昭和5・10・25です。
> で、裕子さんは、因果関係を肯定したとして、乙の行為と結果との因果関係はどうしますか。
> 最終処理に関係しますよね。
乙の行為と結果との因果関係は認めるのに支障はないので、
問題は最終処理ですか。二重の評価ってやつですね。
まあ、批判はあるところでしょうけど、さらっと流してもかまわないと思います。
>>17-18のご指摘で問題ないと思うのですが。
> 因果関係を否定した場合、甲の行為は傷害、乙の行為は過失致死、
過失致死→傷害致死ですかね。
28 :
30:04/03/05 14:57 ID:???
>>27 以下の部分以外は同意。乙は傷害致死でしたね。
>>判例も類似の事例で肯定してますし。
>大判昭和5・10・25です。
これ、そうですかぁ?第1暴行で頭蓋骨骨折等の傷害を負わせている事案ですよねえ?
行為の危険性が、かなり違うような気がしますよ。
とはいえ、この判例の事案は、行為の危険性の面では、大阪南港事件に近く、因果関係
を肯定したのも納得できますけど。
また、第2の行為も被害者の面部を下にして浅い川に投げ込んでいますよね。溺死の結
果に向けられた行為として、単に突き落としたのとは違うような。
まあ、このあたりは人によって評価が異なりうるところなのでしょうか?
29 :
河童:04/03/05 16:09 ID:???
30さん、裕子さん、こんにちは。
裕子さんはお久しぶりです。拙い答案に様々なご指摘ありがとうございます。
まず過失犯うんぬんについて。
>傷害致死の因果関係を否定しておきながら、
>過失犯を認めるのは、
>傷害行為と放置行為が別個の行為と見られる特段の事情がない限り、
>評価矛盾のように思えますが・・・
裕子さんのいうところの特段の事情が認められると思いました。
(1)甲の小川に突き倒す行為と、(2)強度の脳震盪を引き起こしたAを川に放置して立ち去る行為は、
やはり刑法的に別個の行為として非難の対象としていいような気がしまして。
ただ、択一迫る時期が時期ですので、この問題はいろいろ考える切っ掛けとして、
みなさまが自分なりの納得を得ればよいと思います。(私の納得は一通り刑法の復習を終える今月末の予定…)
30 :
河童:04/03/05 16:29 ID:???
しつこいようですが、刑法は学説が百花繚乱ながら、判例は緻密な理論よりも、
ギリギリのところを「守って」妥当な結論を導こうとしているような印象を抱きます。
昨年は我ながらひどい論文でしたが一定の評価はもらったので、私は自分のスタンスでいきます。
すなわち、試験論文レベルで考えたとき(現在の私にはそれが全てです)、前記の例でいえば、
@熊に襲われて死亡の場合は、行為者に「帰責し得ない」ではなく、「帰責しない」。
A川で溺れて溺死なら行為者に「帰責し得る」ではなく、「帰責する」。
というふうに、論理でなく、自分の意思で決められた結論をもとに論述していくつもりです。
(批判がある方は大勢いらっしゃるでしょうね…あくまで試験目的なので反論しませんが)
これは一種、刑法の理解を深める放棄宣言のようですが、
勉強を進め、判例・学説を学んでいくうちに、妥当と思う結論自体が変わっていくでしょうし、
また避けるべき微妙な論述や表現がわかるようになって、論述にも矛盾がなくなってくるでしょう。
そういうことで一生懸命頑張ります。
>学者系演習書からきました。
裕子さんのご挨拶で、自分は「学者系」からは遠いところにいる人間だなぁと改めて思いました。
なにせ勉強が大嫌いで、ついこないだ生まれて初めて勉強する気になった人間ですから…。
31 :
131:04/03/05 17:40 ID:???
裕子さん、初めまして。学者スレで拝見しております。
>>24 >生じた結果の抽象化をどう考えるのか(極端に具体的に考えると常に否定されかねない)、
>という点がポイントのように思います。
こういうことなんでしょうか。
@死の結果を具体的にとらえる
(エ)物陰に隠れていた乙の本問行為は一般人にとって予見できず、甲も予見していない。
そこで、かかる事情は判断基底とならない。
その上で甲の行為から本問具体的な死の結果が生じる相当性があるかを検討するに、
甲の行為から「乙に突き倒され脳震盪の危険性が増大したことで惹起されたAの死亡」
という結果が生じることは、社会通念上相当といえない。よって因果関係は否定される。
A死の結果を抽象的にとらえる
(エ)物陰に隠れていた乙の本問行為は一般人にとって予見できず、甲も予見していない。
そこで、かかる事情は判断基底とならない。
その上で甲の行為から本問具体的な死の結果が生じる相当性があるかを検討するに、
甲の行為により脳震盪に陥ったAがそのまま小川に倒れ伏すことは、脳震盪が人の
肉体的機能を正常なからしめる作用を有することを考えれば社会通念上あり得る。
とすれば、甲が脳震盪に至らしめたAが小川に倒れた状態で小川に流れる水を吸引し、
およそ「溺死」するという結果が生じることは、いかに当該小川の水深が浅かろうとも、
そこに水が流れている限りにおいて、社会通念上相当といえる。
よって因果関係は肯定される。
死因の同一性を論じているようにも見えますが…。
32 :
氏名黙秘:04/03/05 18:51 ID:???
理論からアプローチすると、
本番ではとんでもない点数がつきますよね。
対立利益を考慮しながら妥当な落としどころを見極め、
結論を確定し、
あとから説得的な論理・論証を考えるのが、
実務家のアプローチですもんね。
私はこれを理解するのに4年もかかりました。
河童さんは賢い。
33 :
河童:04/03/05 19:47 ID:???
>32さん、私のは初学者の苦しまぎれに近いです。
ただ、例の新潟監禁事件で最高裁は下着万引きを4年分で評価して14年の判決…。
極めて形式的に法文の解釈を貫くことによって極めて実質的な内容の判決を下しています。
さすがに「えっ、いいの?」と思いましたが、あの「ラフプレー」は私には印象的でした。
>31
さて、131さんの
>A死の結果を抽象的にとらえる、
という部分の論述は疑問があります。
「死の結果を抽象的にとらえる」というのは、Aの死因が「溺死」ではなくて、
冬の水が冷たい小川に落ちたことによる「心臓発作」でもOKということをいうのでは。
「死因」ということを重視し過ぎては、乙が脳震盪を引き起こしているAを取っ捕まえて、
用意していた水を張ったタライにAの顔を浸け続けることによって溺死させても、
「死因」は「溺死」だということで同一性があることになってしまいませんか。
34 :
河童:04/03/05 20:10 ID:???
ちなみに、論森の井田説の解説は、問題になる事案を
@行為の高度の危険そのものが具体的結果として直接実現したと見得る場合と、
A行為は高度に危険であっても具体的な結果発生の一条件を与えたにすぎない場合とに区別し、
前者については「死因の同一性」の範囲内で結果を抽象化して、
後者については介在事情と結果発生の具体的態様について予見可能性を基準に、相当性を判断する。
となっています。
つまり、今回の問題では、Aのケースにあたり、具体的様態について予見可能性はありませんので、
Aの死の結果については甲に帰責できないでしょう。
しかし、仮にAが小川に突き落とされた後に、強度の脳震盪により自力で立ち上がれず、
数分うつ伏せに倒れていたところ、乙が更に殴るなど「ダメ押し」をした場合には、@のケースにあたり、
甲にAの「溺死」について帰責できることになるでしょう。
当面はこの説をあてはめて、妥当な結論としようかなと。
*この説でも「死因の同一性の範囲内で抽象化」ということで、
やはり「抽象化」するのは「死の結果」でなく、「死因」となっていますね…。
35 :
131:04/03/05 23:52 ID:???
>>33 >「死の結果を抽象的にとらえる」というのは、Aの死因が「溺死」ではなくて、
>冬の水が冷たい小川に落ちたことによる「心臓発作」でもOKということをいうのでは。
>「死因」ということを重視し過ぎては、乙が脳震盪を引き起こしているAを取っ捕まえて、
>用意していた水を張ったタライにAの顔を浸け続けることによって溺死させても、
>「死因」は「溺死」だということで同一性があることになってしまいませんか。
河童さんのおっしゃる通りだと思います。
極端に抽象化すれば、小川にまつわる死のみならず寿命死も因果の範囲内となってしまいそうです。
もちろん、刑法的な因果関係としてこれではアバウトすぎます。
そこで、「溺死」という部分で死因の同一性を限定することが井田@の判断でしょうか。
そうすると、相当性評価の際にそういった論述をする必要がありますね。
わたしの論証だとアバウトなままなので、確かにおかしい具合になっています。指摘ありがとうございます。
井田Aの相当性判断の中に@の抽象化を取り込んでもいいような気もしますが、どうなんでしょう。
理論はよく分からないもので…。
36 :
裕子:04/03/06 00:38 ID:???
>>31 具体化・抽象化といってもいろいろバリエーションがあると思うのですが、
その一つの例として、
>>31のあてはめは良くできていると思います。
でも、本問では溺死の危険という点では、行為と結果がずれないので、
「結果の抽象化」というのは説明しにくい事例ですね。
米兵ひき逃げ事件とかで考えるとよりはっきりしますかね。
>>33 > 「死の結果を抽象的にとらえる」というのは、Aの死因が「溺死」ではなくて、
> 冬の水が冷たい小川に落ちたことによる「心臓発作」でもOKということをいうのでは。
こういう立場の学説もありますし、一方で死因の同一性を重視する考え方もあると思います。
死因の同一性までの抽象化に留めようという考え方ですね。
判例はこの考え方に近いというのが私の理解です。
> 「死因」ということを重視し過ぎては、乙が脳震盪を引き起こしているAを取っ捕まえて、
> 用意していた水を張ったタライにAの顔を浸け続けることによって溺死させても、
> 「死因」は「溺死」だということで同一性があることになってしまいませんか。
するどいご指摘だと思います。
「死因」といっても医学的な分類ではなく、法的規範的意味からの「死因」であり、
別物であるから相当性否定、という感じですかね。
37 :
裕子:04/03/06 00:45 ID:???
>>28 > これ、そうですかぁ?第1暴行で頭蓋骨骨折等の傷害を負わせている事案ですよねえ?
> 行為の危険性が、かなり違うような気がしますよ。
暴行自体の激しさは違いますが、
溺死への結びつきの強さとしてはそれほど変わりないと評価できないでしょうか。
「強度の」脳震盪ですから。
そのまま溺死してもおかしくなかった点ではあまりかわりないようにも思えます。
38 :
河童:04/03/06 01:16 ID:???
131さん、裕子さんどうもありがとうございます。
だいたい感覚的に掴めてきました。(私は結論的には30さんの感覚に近いようです)
(ちなみに記述するか迷いましたが、米兵ひき逃げ事件については自衛隊ひき逃げ事件だったら、
さらには暴力団ひき逃げ事件だったらどうなっていたか…と私などは思ってしまいます。)
*前置き
どうも私は「ウダウダ」が長くてスレがだれてしまわないか心配になります。
なにぶん131さん・30さん・裕子さんのように法律論が語れないものですから……。
そこで、新作をアップすることにしました。
ほぼスタンダード100そのままの過失犯の問題です。(まだ勉強が違法性まででして)
例の非加熱製剤の監督過失の問題を検討したいのですが、判例集をまだ買っておらず、やむなく……。
問題
甲が長年にわたって代表取締役を努め、かつ経営及び管理上の実質的な権限を掌握していた大型ホテルFにおいて、
深夜、宿泊客のタバコの不始末が原因で、客室から出火した。
しかし、甲はこのホテルにスプリンクラー等の防火設備を施さず、
また、従業員に対する平素の消防訓練もまったく行っていなかったため、延焼が短時間で拡大し、
従業員による消化活動及び宿泊客等に対する適切な通報・避難誘導が行われなかった結果、
逃げ遅れた宿泊客が死亡した。甲の罪責を論ぜよ。
39 :
河童:04/03/06 01:17 ID:???
1 本問では、長年にわたってホテルFの管理上の権限を掌握していた代表取締役である甲の不注意・怠慢から、
火災による宿泊客の死亡という結果が生じたと思われるため、
甲に業務上過失致死罪(211条前段)が成立するか問題となる。
2 まず、同条にいう「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務で、
かつ他人の生命・身体に危害を加えるおそれのあるものをいう。この点について、ホテルの管理如何によっては、
宿泊客の生命・身体の安全に危害を加えるおそれもあるため、甲のホテル管理事務は「業務」にあたる。
3 では、甲は「注意を怠」ったといえるか。
本問では、甲に、監督過失の一態様であると解される管理過失責任が認められるかが問題となる。
管理過失とは、管理者等の物的・人的設備、機構、人的体制等の管理の不備自体が過失を構成することをいうが、
以下、順を追って検討していく。
4 まず、甲に過失犯が成立するためには、管理過失も過失犯の一類型である以上、
結果発生に対する予見可能性がなければならない。そして、管理過失の予見可能性の問題について、
まず過失の構造を明らかにした上で、それを検討していくのが有用である。
(1)この点、現代の社会では例えば車の運転のように社会的に有用な行為であっても危険な行為が少なくなく、
これらの行為を禁圧するような解釈は妥当でない。思うに、刑法の目的が法益の保護と並んで、
社会秩序の維持にもあることに鑑みれば、違法性の本質は社会的相当性を欠く法益侵害をいうと解されるところ、
ある程度予見可能であった法益侵害が発生したとしても、当該行為をなすに際して社会的に相当とされる注意義務を
尽くしているときには過失犯は成立しないものと解すべきである。そこで、過失が成立するためには、法益侵害結果を
回避するために社会生活上必要となる適切な態度をとるよう注意する義務(結果回避義務)が必要であり、
予見不可能な結果については回避することができないから、その前提として予見可能性が必要であると解する。
よって、過失とは予見可能性を前提とした、結果回避義務違反と捉えるべきである。
40 :
河童:04/03/06 01:18 ID:???
(2)では、客観的結果回避義務の前提となる、この客観的予見可能性をどのように捉えるか。
この点については、客観的予見可能性は、客観的結果回避義務を導くものであるから、
何が起こるか分からないといった単なる危惧感・不安感では足りず、
一般人を結果回避義務へと動機付ける程度の具体的予見可能性が必要であると解する。
ただ、発生する結果の詳細な内容を予見できなければならないとすると、
そもそも法益侵害の発生の予見を欠く過失犯では成立可能性をほとんど否定することになる。
よって、過失犯では故意犯以上に法定符合説をとる必要性が高いといえ、
過失の予見可能性も、構成要件的結果を対象とすべきである。
(3)では、本問甲に具体的予見可能性が認められるか。
この点について、宿泊客のタバコの不始末等が何時どの場所で起こるかということを
具体的予見可能性の対象とするならば、甲には具体的予見可能性は認められないことになろう。
しかしながら、前述の抽象的符合説をとる以上、本問のように大型ホテルが防火設備もなく、
従業員の防火訓練等もせずに不特定多数の宿泊客相手に営業をしていたような場合、
実際に火災になる原因について具体的に予見可能性がないからといって、
代表取締役等管理責任者の過失責任が否定されることにはならない。
なぜなら、頻繁に不特定多数人が出入りし、通常昼夜を問わず火気・ガス類を使う調理場が稼動している
大型ホテルでは、宿泊客のタバコの不始末や調理場の事故により火災が発生することは、
ホテルの管理者のみならず一般人であれば容易に予測し得るため、
防火設備等がなければ人の死傷という構成要件的結果が発生することについても容易に予測し得るからである。
この点に関して、過去における同様のホテル火災の悲惨さは衆知であり、その苦い教訓を活かすべきことを考えても
甲が自己に具体的予見可能性がなかったとして責任を免れることは許されないと解すべきである。
41 :
河童:04/03/06 01:20 ID:???
5 では、甲には客観的結果回避義務違反、すなわち過失行為が認められるか。
この点について、防災体制がまったく確立されていないとはいえ、
ホテルに客を宿泊させるという作為自体を過失行為とするのは不自然であり、妥当でない。
そこで、防災体制をまったく確立していなかった不作為を過失行為と解すべきである。
そして、甲は大型ホテルの管理者責任者として、火災になった場合に人の生命身体に危害が及ばないよう、
被害を最小限に食い止められるように防災体制を確立しておくという客観的注意義務を負っていたにもかかわらず、
不作為によりこれに違反したことは、過失行為といえよう。
6 最後に甲の不作為による過失行為と、宿泊客の死亡という結果との間に因果関係があるか問題となる。
この点について、本問では、防火体制がまったくなされていなかったため、短時間で延焼が拡大し、
従業員の行動も不適切だった「結果、逃げ遅れた宿泊客が死亡した」という事情があることから、
相当因果関係を認めることができよう。
7 なお、本問では従業員が期待された宿泊客の誘導や消化活動等をなしていたならば、
宿泊客の死亡という結果はなかったとして、いわゆる信頼の原則の適用も考え得るが、
本問のような管理過失が問題となる場合、そもそも従業員に期待できないという客観的状況自体が
管理過失の一要素となっているため、信頼の原則の適用は問題とならない。
8 以上より、甲には、管理過失に基づく業務上過失致死罪(211条前段)が成立する。
*後述
スタンダードの「模範解答」では、甲に予見可能性なしとして不可罰としています。
「そんなバカな!!」と鉛筆で自作のコメントがあったため、じゃあ自分ならどうするのか、と答案作成してみました。
類似の判例があるはずですが、例によって確認していません。日曜日に予備校にいくので入手するつもりです……。
また基礎がおろそかになっていないか、それが一番心配です。
42 :
河童:04/03/06 01:32 ID:???
*追記
Lec択一六法によると、学説には「中間項」(でしたっけ?)という概念があるようですね。
その概念によって、監督過失の予見可能性に幅をもたせて妥当な結論を導こうとしているのでしょう。
私の場合、この理論も実戦投入=本試験で実際に論述することは無理でしょうが、
肝心の内心的「妥当な結論の決定」には役に立ちそうですね。
43 :
30:04/03/06 01:32 ID:???
>>37 なるほど。いい勉強のきっかけになりました。
百選Ip.27にもあるように、「「危険性」の有無は、現実に生じた具体的結果に対して行為者の行為が
実際に及ぼした寄与度(影響力の大きさ)を考慮したうえで決定」され、「被告人の行為による影響力
が圧倒的に強固である」から、仮にその後に異常な介在事情があっても因果関係は肯定される、という
点が示唆されています。
とすると、裕子さんは、「強度の」脳震盪ということから、第1行為の具体的結果に対する影響力が大
きいとみているわけですよね。
これに対し、わたくしは、頭蓋骨骨折等の傷害を負わせているような第1行為であれば、影響力が圧倒
的に強固であると評価できるが、本問はそこに至っていないと評価したわけですね。
まさに、ここが評価の分かれるところなのでしょう。とりあえず、本問はこの位でしょうか。
44 :
30:04/03/07 00:07 ID:???
こんばんは。
監督過失は個人的に苦手な論点。ただ、皆、ここ書けるんですよね。困った。
>>38-42 過失犯の書き方なんですが、
>甲は「注意を怠」ったといえるか。
から過失構造論への開き方ですけど、わたくしは塾の書き方を使っています。
セミナーは、ここで論点の問題提起をするんですけど。趣味の問題かも。
なお、後の展開から考えると、ここまで書くことができるスペースはないかもしれません。
具体的予見可能性説なら、内容を書かないとまずいと思います。「特定の構成要件的結果の発生および結果の発生
に至る『因果関係の基本的部分』についての予見可能性」ということです(なお、具体的には、火災事故の場合に
は「火災発生の可能性とその予見あるいは予見可能性」「火災が発生した場合における人の死傷の予見可能性」で
す。で、本問では「火災の発生についての具体的な認識、予見可能性」が必要かが問題でした。)。
残りの部分は、河童さんのような立場(防火管理体制についての不備を認識、予見している以上、宿泊客などに死
傷の危険の及ぶ恐れについての予見可能性が認められる。よって、火災の発生についての具体的な認識、予見可能
性は必要ではない、との考え)もありますから、問題ないような気がします。
あと、論じるべき論点は結構、沢山あったと思います。ちょっと、網羅する時間がないので、誰かよろ。
中間項理論の答案は、これまた塾で見たことがあります。参考になるかも?たぶん、塾出身と思われる131さんが
詳しいかと思います。この論点、塾でホントよく出てますよ。好きなのかな?
いずれにせよ、構成要件ごとに書いていくスタイルは同じなので、参考になります。とはいえ、わたくしは論証の
部分が本当に少ない答案を書きます。実はへなちょこです。ではまた。
45 :
河童:04/03/07 00:25 ID:???
30さん、こんばんは。
ご指摘ありがとうございます。
>具体的予見可能性説なら、内容を書かないとまずいと思います。
まさにこの部分の私の論述の弱点が知りたかったので、非常に有益でした。
*この問題、本試験で出るとしたら、おそらく名目取締役みたいなヤツが出てきたりして、
「共犯」が絡むんでしょうね。過失犯・不作為犯と共犯の関係もありますし。
そうなると、個々の論述は短く短くしていかないといけませんし、厄介この上ないような。
どこかに良問(できれば「模範解答付き」)はないものか…と思っています。
46 :
131:04/03/07 01:44 ID:???
こんばんは。またも苦手分野です…。
>>38-42 河童さんは予見可能性につき前田説に立たれるようなので、
>>44 >具体的予見可能性説なら、内容を書かないとまずいと思います。「特定の構成要件的結果の発生および結果の発生
>に至る『因果関係の基本的部分』についての予見可能性」ということです
因果関係の予見可能性は対象としなくてよいでしょう。その分を中間項理論で埋めるのだと思います。
ちなみに塾で中間項答案を見たことはありません。判例だと中間項の出る幕はないように思いますが…。
30さん、出題時期等ご存知ですか?
論ずべき論点は(予見可能性に限っていえば)、
@予見可能性の対象
判例:結果+因果関係の基本部分
前田:結果のみ(中間項を設定・加味)
A因果関係の基本部分の範囲(@判例からの派生)
生駒トンネル判決一審:具体的な基本部分
生駒トンネル判決最高:抽象的な基本部分
B予見可能性の程度
多数判例(北大電気メス判決等):具体的予見可能性説
森永ミルク事件差戻審:不安感説
C具体性の程度(B具体的予見可能性説からの派生)
法定的符合説:認識可能性は不要
具体的符合説:認識可能性が必要
というところでしょうか?訂正よろしくお願いします。
47 :
30:04/03/07 02:15 ID:???
こんばんは。
>>46 ありゃ、そうなんですか?河童さんはどっちですか?
違法性の本質は、結果無価値、行為無価値二元論だし、構成要件レベルで結果回避義務とか書いてるし、
前田ではなくて、通説だと思って指摘したんですが。
なお、学者スレは結果無価値(前田、堀内)が主流なので、わたくしには、ちと辛いです。
書研の過失犯の記述は本当に目からウロコです。また、弥彦神社事件の判例も大変参考になります。
>131さん
今、答案ファイルが手許にないんですが(これだけ置き忘れてきた)、確か、数年前のペースメーカー
叉は直前答練だったと記憶してます。2通あったやつです。ただ、貰い物の答案なので、記憶が不確か。
でも、そうすると、わたしが入手したのは凄い偶然?ではまた。
48 :
河童:04/03/07 09:22 ID:???
131さん、30さん、おはようございます。
模試前なので、手短にて失礼します。
私は、キャラクター的におわかりいただけると思いますが、
バリバリの倫理刑法に近い「行為無価値」人間です。(偶然防衛絶対許すまじ)
ただ、刑法学的にどのような評価を受けているのか知りませんが、
(許すまじ)結果無価値ながら、前田説はこまごまと規範を立てるので、
私も不完全ながら借用させてもらうことがあります。
私は確固たる学説を理解した上で統一的に書けませんので…。
単なる過失犯については、間違いなく大谷説がベースのはずなのですが。
管理過失については、かなりアバウト(非法律論文的という意味で)に書いたので、
我ながら情けないことに、自分の説がわかりません。
49 :
河童:04/03/07 09:27 ID:???
ちなみに。
管理責任の場合は、「災害対策」等が問題となることも多いので、問題のような「人災」に限らず、
「地震」とかでも防火対策が確立されていなかったために、被害が発生した場合には過失責任が問題となるはずです。
そして、火災の原因が「地震」であっても島国日本であれば度々起こるので、予見可能性ありとできる解釈が必要だと思います。
そうすると、「因果関係の基本的部分」に触れるべきなんでしょうか。。
では、また。
50 :
裕子:04/03/07 13:29 ID:???
>>39-41 ホテル・ニュージャパンですね。なかなか書きにくい問題だと思います。
答案表現といいますか、書き方として気になった点を。
1、の1・2行目は不要でしょう。既に結論を決めてかかっているような印象を受けるかも。
2、は丁寧です。もっとあっさりでもいいと思いますけど。
3、4、はナンバリングが気になります。要件ごとの割り振りでいいのでは。
4(1)の過失構造論は、私はいらないとおもうんですけどね。予備校では点が振られているのかな?
過失の定義だけ示して、あとは体系に沿って論じていく方向で十分だと思うんですが…
4(2)(3)が本問の急所ですね。山場を作っている点は評価できると思います。
ただ、反対説への配慮が少し足りないと思います。ここは批判が強いところですから、
(悩んでいなくとも)悩みを見せるべきだと思います(というか悩むべきとこなんでしょう)。
抽象的符合説→法定的附合説ですかね。
5,6、もっとあっさりでいいと思います。ただ、きちんと認定している点は評価できると思います。
7、は書く場所が不適切かな。4で触れておくべきことだと思います(内容に疑問がありますが)。
4(2)(3)をもっと膨らませて、逆に他の部分はもっとあっさりと、
というメリハリをつければ、さらに良くなるかと。
51 :
裕子:04/03/07 13:33 ID:???
>>50 > (内容に疑問がありますが)
>>39-41でかかれていたのは、管理過失ですよね。
7、の内容は狭義の監督過失を問題にしているように見えるんですよ。
管理過失は他人を介さない自己の過失が問題になっているので、
信頼の原則はそもそも問題にならないのではないでしょうか。
52 :
131:04/03/07 20:32 ID:???
>>47>>48 あ、すいません。規範だけみて前田だと決め付けてました。
結果無価値と行為無価値の筋がどう違うのかとかよく知らないもので…。失礼しました。
数年前のペスメと直前ですね。
どっちも受けてないので(去年まで基幹講座生)、知人に声かけてみます。
それにしても、最近過失の問題はほとんど見ないですね。
53 :
河童:04/03/07 23:12 ID:???
裕子さん、大変ご丁寧な添削ありがとうございます。
確かに、かなりメリハリのない答案ですよね。
ツラツラと基本を復習しながら書いていますので、どうしてもメリハリがなくなってしまいます。
既述ですが、おそらく本試験で出たら共犯が絡むでしょうから、全体的にもっとスッキリさせないとダメですね。
ご指摘のように反対説批判も必須でしょうしね。
信頼の原則については、思いついたので書き足してしまいました。
これに触れる必要はない上に、勉強しないでいい加減に書いてしまいました。反省。
*本日、刑法判例本をようやくゲット。
薬害エイズとホテルニュージャパンの判例が載っていますので、
ちょっと落ち着いたら勉強しなおしてみます。
54 :
30:04/03/08 04:43 ID:???
過失犯の書き方についての若干の補足を。
わたくしの方針ではなりますが、過失犯の問題において反対説は書かないつもりです。ただ、
個々の問題点の体系的な位置付けに十分に留意して項目を立てるという点が重点ポイントに
しております。
実は、過失犯の理解を示す上で、確かに、反対説を取り上げて論点を浮かび上がらせて理解
を示すという方法もありますが、答案全体で理解を示すという方法が有効だと考えています。
わたくしの周辺では、これを「体系の答案への表現」なんて言ったりしています。
まあ、当たり前過ぎることなんですが、答案を数多く見れば分かると思いますが、間違いが
多いんですよ。再現答案でもそうです。これが評価にどのようにつながるかは、再現答案集
をご自分の目で見て判断するのが一番かと思います。
で、この方針で考えた場合に、過失犯において最大の問題となるのは、因果関係の取り扱い
です。構成要件の客観面である因果関係がなぜ過失行為の後に検討されるのか?これは随分
前から受験生の間で議論された問題で、かなりの難問です。自分なりの方針を立てることが
大切かと思われます。
わたくしは、書研のとおり、最後に書きますが、ただ、因果関係を機能的に捉えていまして、
処罰範囲を限定する機能という面から考えますので、絞り込みの場面には必ず書きますが、
そうでない場合に、体系の混乱という印象を与えるような書き方になりかねないときには、
本当に最小限ないしは書かないという方針にしています。この見切りはかなり訓練している
つもりです。参考になれば幸いです。ではまた。
55 :
裕子:04/03/08 09:05 ID:???
>>53 > ご指摘のように反対説批判も必須でしょうしね。
すみません。
>>50「反対説への配慮」というのは、反対説批判必須というつもりではありませんでした。
もちろん反対説批判してもいいんですけども、
直接しなくとも、反対説があるのは知ってるな、とか、
自説の弱点がよくわかってるな、という論述の仕方はあると思うのです。
そういう意味で「反対説への配慮」というのを申し上げました。
>>54にもご指摘があるように、私もあまり反対説たたきというのはしないですね。
なんか読んでてまどろっこしい気がするんですよ。たたくと。
たたいて、論理的に結論が出るのならいいですけどそうではないですから。
56 :
裕子:04/03/08 09:08 ID:???
>>54 > 構成要件の客観面である因果関係がなぜ過失行為の後に検討されるのか?これは随分
> 前から受験生の間で議論された問題で、かなりの難問です。
新過失論なら、当然の気がするんですが、どんな議論があるのでしょうか?
ちょっとよくわからないのですが…
57 :
30:04/03/08 10:20 ID:???
おはようございます。時間がなくちょっとだけしか書けませんが。
>>56 新過失論で過失の客観化が進んだとはいえ、構成要件的過失というのは主観面の問題をも含む
ように思われるからです。その後に客観面の問題である因果関係を検討するのはどうなのか?
という疑問を提起した人がいました。まあ、これは、客観面と主観面とを構成で厳密に書き分
ける人が直面した問題点です。主観的な要素を含ませたくないと思っていたわけです。
かといって、過失行為自体は客観的なものなので(それはそれで正論なんですが)、分析的に
捉えて、過失行為だけを取り出して、これと結果との因果関係を検討するというのができるか
というと、これは不自然だということです。構成要件的過失を論じる際に、主観的な不注意と
客観的な過失行為とを切り離して論じることが難しいと思われませんか?ですから、わたくし
自身は書研でいいんじゃないの?と思っていました。根が大雑把な人なので、気にはしません
でした(厳密に分けたいのなら、新過失論は採らない方がよいのかも?と言いそうになりまし
たw。)。
たた、この書き方ですと、どうしても「因果関係の基本的部分についての予見可能性」の論点
を因果関係の検討よりも先に論じなければならないので、主観面が先行して議論しているよう
に受け止められることがあります。これをどうするか?ってことです。
いずれにせよ、きちんと対応できればいいだけですけどね。
これと類似する問題は、方法の錯誤の場面で、大谷先生が錯誤を論じた後に、相当因果関係で
絞りをかけようという主張をされている(されていた?現在は不明。)ところでも生じます。
じゃあ、錯誤を論じるより前に、因果関係で絞れよ、という突っ込みです。
まあ、結構、書き方にもこだわりを持った人がいたんですね。採点者がどのように考えるのか
を試行錯誤した末のお話でした。とりあえず、こんな感じで。
58 :
河童:04/03/08 13:34 ID:???
うーん。議論が難しくて自称中級者の端くれにはついていけません。
しかし、反対説批判うんぬんと関連していえば、私は、例えば本問の場合でいえば、
「代表取締役にとって、宿泊客の当日深夜のタバコの不始末で火災となり、
死傷者が出ることについてまで予見不可能であるとして過失責任を否定する考え方もあろう」
「しかし…」というふうに、真正面からの「反対説」批判でなく、「反対結論」批判をするつもりです。
その「反対結論」を例によって新聞レベルで攻めますが、どこまで反対説を意識したものにできるかが課題です。
因果関係は、どうも私みたいな自称中級者はサラリと論じるのがよいのでしょうね。
*問題文を読んで結論として、過失犯の成立を否定する場合には、
→新過失論からすれば、「社会通念上標準以上の防火対策」をしていたなら、そもそも注意義務違反を否定。
→過失犯も不成立→因果関係について論述は必要なし。
*問題文を読んで、結論として「過失犯」を成立させるつもりならば、相当因果関係の認定を冒頭に持ってきてしまう。
例えば、本問の場合であれば、
本問ホテル火災では、防火体制がまったくなされていなかったため、短時間で延焼が拡大したことに加え、
消防訓練が行われていなかったことから従業員の行動が不適切だった「結果、逃げ遅れた宿泊客が死亡した」
という事情があることから、防火体制の不備と宿泊客の死の結果に相当因果関係を認めることができる。
そこで、甲に業務上過失致死罪(211条1項前段)が成立するのではないか、すなわち、
Fの防火体制の不備が長年にわたってFの管理上の権限を掌握していた甲の過失といえないか問題となる。
みたいな感じでしょうかね…。甲に犯罪が成立するとしたら、業務上過失致死罪だけですからこういう書き方もセーフかなと。
59 :
河童:04/03/08 13:58 ID:???
監督過失や管理過失について、問題文をみて過失犯成立の答案結論を決定するような問題文の場合、
とりあえず「相当因果関係」を肯定してしまえるような問題文が出そうな気がするんですけどね…。
(例えば、本問の場合はそうだと思います)
「相当因果関係問答無用肯定→予見可能性重視型」とでもいうべきでしょうか…。
「さーて、相当因果関係認定はOK。本問出題趣旨である管理過失、予見可能性について、おおいに論じるぞ」みたいな感じで、
読み手としても、サラリと読み流してくれるのでは(私の場合、こんな期待ばっかですが)。
*一連の書き込みが見当外れだったら申し訳ありません。
60 :
裕子:04/03/08 18:54 ID:???
>>57 > 新過失論で過失の客観化が進んだとはいえ、構成要件的過失というのは主観面の問題をも含む
> ように思われるからです。その後に客観面の問題である因果関係を検討するのはどうなのか?
> という疑問を提起した人がいました。
うーん、よくわかりませんね。どうも私には新過失論を誤解してる問題意識に思えます。
故意犯の実行行為性の認定のところで行為者の認識が影響するように、
客観的注意義務違反行為の認定で行為者の予見可能性が影響することは、
なんの問題もないと思うんですけど。
しかも、新過失論の通常は、主観的構成要件要素を要求しないはずですし。
ということで、30さんご指摘の書き方で問題ないと思うんですけどね。
どうも先の問題意識は、(修正)旧過失論の体系と混同した誤解のような気がするんですが。
> たた、この書き方ですと、どうしても「因果関係の基本的部分についての予見可能性」の論点
> を因果関係の検討よりも先に論じなければならないので、主観面が先行して議論しているよう
> に受け止められることがあります。これをどうするか?ってことです。
「主観面」が先行するのは、前述のように、別にいいと思うのですが、
因果関係の認定の前にその予見可能性を論じるのが気持ち悪いのはよくわかります。
まあ、その辺は気にしなくともいいのではないでしょうか。
厳密な因果関係の予見可能性を問題にしているならともかく、違うわけですから。
私は故意犯につき因果関係認識不要説にたつので、
ここも因果関係予見可能性不要説にたとうかなと思っています。
この立場なら、先の問題は生じませんけどね。ただ、実際どう書くかは今検討中です。
61 :
131:04/03/08 18:58 ID:???
>>56-57 勉強になります。
「一般人基準の予見可能性」といってみても、
確かに予見可能性の評価には主観が交じってしまう印象がありますね。
>>59 >読み手としても、サラリと読み流してくれるのでは
河童さんは基本部分を押さえつつ、自分なりの論じどころを厚くしているので、
その感覚が採点者と合致するとベストですよね。
だんだん予備校も出題意図との合致を至上命題にしつつあるような気がしていますが、
裕子さんのおっしゃるように、やはりメリハリと、あとバランスを見たいんでしょうね。
62 :
河童:04/03/08 19:23 ID:???
* 少し雑ですいませんが、過失について考えてみました。(全然見当違い?あるいは当たり前?)
例えば、震度3の地震でも倒壊するような建物があって、そこに十数人の人がいたとします。
しかし、震度7の大地震に襲われて建物が倒壊してそのうちの十人が死んだとします。
この場合、震度7の大地震は予見可能性がないとして、建物の所有者兼管理責任者「A」は
建物の現状をよく認識していたにもかかわらず、過失責任を免れるのでしょうか。
震度3で建物が倒壊して人が死傷した場合には、Aは問題なく過失責任に問われるでしょう。
そう考えてみると、震度7なら大災害であることが免罪符となって、Aが過失責任を免れるのはおかしいと思います。
なぜなら、死亡した十人の中には、建物の地震対策が甘かったために死ななくてもよい命が失われている蓋然性が
高いからです。そうであるとすれば、死亡した十人の中の誰の死と相当因果関係が認められるかは別の問題として、
地震対策の甘さと幾人かの死亡の結果との間には相当因果関係が認められるはずです。
では、Aに予見可能性はあるか。この予見可能性については、
たとえば震度3・震度4の地震がくることについては珍しくなく、予見可能性を認めるべきなのですから、
「震度3以上の地震」がくることに関して予見可能性を認めるべきで、それは当然震度7の大地震も含むはずです。
よって、具体的に震度7の大地震がくることに予見可能性はなくても、「震度3以上の地震」がくることについては、
十分に予見可能性があるため、Aに予見可能性も認められるということになりませんか。
そもそもこのような場合、具体的な災害の予見可能性でなく、「災害対策の不備」と
「一般的に予期し得る災害が発生した場合に人の死傷の結果が引き起こされることの予見可能性」及び、
「災害対策の不備」と「人の死傷の結果」との間の相当因果関係が認められれば、よいと考えられないでしょうか。
*結局、同じことをいっているようですが、「災害」と「結果」の結びつきでなく、
「災害対策の不備」と「結果」との結びつきを重視しないといけないんだな、と一人確認した次第です。
63 :
30:04/03/08 20:49 ID:???
>>60 別に、こう書くというのが決まっていれば問題はないのですが、少しだけ。
>故意犯の実行行為性の認定のところで行為者の認識が影響するように、
これは構成要件的故意の話ですか?構成要件の客観面において行為者の認識が影響するとされる
問題の典型は、折衷的相当因果関係説を採用した場合に起こりますけど。
>しかも、新過失論の通常は、主観的構成要件要素を要求しないはずですし。
ここは大塚先生や大谷先生の本を調べていただければ、すぐに分かりますが(大塚概説総論〔改
訂版〕p.124など、大谷講義総論〔第3版〕p.149など)、故意、過失は主観的構成要件要素で
すよ。
正直言って、この話は受験レベルを超えているような気がします。笑えない後日談ですが、これ
を議論していた人は、理論肌の人物で、現在、大学で刑法を教える人になりました。修正旧過失
論でw。で、わたくしに賛同してくれた人は、実務家(任官しました)です。当然、判例サイド
ですよね。何か不思議な感じもします。
>>62 「合義務的行為の代置」といわれる問題が生じていますよね。大塚思考方法p.307以下。トレー
ラー事件が有名ですし、かつて口述試験にも出題されました。また、この問題は管理、監督過失
の場面でも問題になると指摘されています。同p.314。
この問題の処理としては、因果関係の問題(条件関係、相当性の判断)を検討してから、過失論
(予見可能性、回避可能性)へと進んでいくとされています。同p.313。
とりあえず、こんな感じです。
64 :
30:04/03/08 20:59 ID:???
>>63 下段の部分は間違い。撤回。何書いてんだろ?全然違うじゃん。
65 :
裕子:04/03/08 22:35 ID:???
>>63 > >故意犯の実行行為性の認定のところで行為者の認識が影響するように、
> これは構成要件的故意の話ですか?
そうともいえますかね?不能犯で顕在化してくる話です。
> >しかも、新過失論の通常は、主観的構成要件要素を要求しないはずですし。
> ここは大塚先生や大谷先生の本を調べていただければ、すぐに分かりますが(大塚概説総論〔改
> 訂版〕p.124など、大谷講義総論〔第3版〕p.149など)、故意、過失は主観的構成要件要素で
> すよ。
私は、大谷の体系を除外する意味で「通常は」と申し上げました。
(手元にあるのは新版なのでひょっとすると改説しているのかもしれませんが)
前田も認めるんでしたっけ。大塚はよく知りません。
30さんの立場なら、故意に対応する意味での主観的構成要件要素は認められないのでは?
過失を大谷の体系で書く人はいるのかな?見たことないです。
66 :
裕子:04/03/08 22:40 ID:???
>>64 まあ、似てないこともないのでは。
>>62はそもそも行為と結果の条件関係がないですね。
かなり特殊な体系をとらない限り、不可罰でしょう。
それよりも気になるのが、前述の答案と体系が変わってるように見えるのですが。
その点は大丈夫なのでしょうか。
67 :
河童:04/03/08 23:34 ID:???
>>66 62について。
「防災対策の不備」がなければ、すなわち防災対策が水準以上になされていれば、
幾人かの死の結果はなかった、として条件関係が認められるのではないでしょうか。
もちろん、どの死亡者と防災対策の不備との間に因果関係があるか、はっきりとはわかりませんので、
本試験でこのような問題が出るとは思われません。それゆえ、あまり深く考えないことにします。
ただ、過失犯の場合、「相当因果関係」の認定は、故意犯より更に「ゆるゆる」でいいと思うようになりました。
30さんと、特に裕子さんにご説明いただき、前問で故意犯の相当因果関係がかなり柔軟に認定できるとわかりましたが、
過失犯の場合は、判例も故意犯以上に相当因果関係は「ゆるゆる」認定のようなので。。
*体系についてはご心配いただき恐縮です。私は「体系・論理」より「結論」先にありき、
という論述方法ですので、嘘と矛盾だけ書かないようになんとか勉強しようと思います。
68 :
裕子:04/03/08 23:42 ID:???
>>67 > 「防災対策の不備」がなければ、すなわち防災対策が水準以上になされていれば、
> 幾人かの死の結果はなかった、として条件関係が認められるのではないでしょうか。
そういう意図でしたら結構なんですが、
震度7だったら普通建物は全壊ですから…問題設定に難ありということでしょうか。
69 :
30:04/03/09 00:29 ID:???
>>65 こんばんは。
裕子さんは、おそらく思考方法p.302あたりを念頭に置いてお話をされているのだと思います。
この論旨ですと、新過失論の多くの立場では、構成要件レベルで客観的注意義務、責任レベル
で主観的注意義務ということが書かれています。それはそのとおり。で、大谷先生は、主観的
注意義務の問題を構成要件の主観面の問題とされているというのも、そのとおり。ここまでは
異論がないところです。
ただ、いろいろと本を読んでみても、掲げられている構成要件的過失の要件を1つ1つ吟味し
て割り振ろうとしても、できないんですよ。ここは、記述がごちゃついてる。つまり、位置付
けが明確ではないんです(わたくしができないだけかもしれませんがw)。
また、客観的注意義務といっても、本当に客観的なのか?といっても、言い切れませんでしょ
(過失なんだから仕方がないと言われれば、それまでなんですが)。
そのため、新過失論の多くの立場といわれるものが、過失犯では、構成要件レベルで、客観的
要素と主観的要素とを混然一体と論じている、というのが実情かと思われます(少し穿った見
方ですが、大塚裕史先生は客観的注意義務を「構成要件要素」とはされていますが、その属性
については、あえて書かれていないようにも読めます。)。
で、これに引きずられて、書き方を迷ってしまうと困る、という話なんですよ。ここは感覚的
な気持ち悪さなので、人によって重要度が違うとは思います。
ですから、故意に対応するという意味での主観的構成要件要素の位置付け云々というわけでは
ないのですよ。あえていうなら、これを実際にやろうとすると破綻しますよ、ということです。
70 :
30:04/03/09 00:30 ID:???
ちなみに、前田先生は、主観的構成要件要素を肯定しますが、責任要素です。これは過失犯で
も同様です。ただ、修正旧過失論ですから、実行行為は「実質的に危険な行為」(平野先生と
同じ)なんで、まさしく客観的構成要件に位置付けるのにふさわしいものだと考えます。こう
いう点もあるので、上記では、前田先生の教科書は「外して」紹介しています。
まあ、ここでは書き方についてあまり問題はなさそうなので(皆、書き方が確立しているから)、
先に進んでよいのではないかと考えますが、いかがですか。
書き方で迷う可能性があるものとして、もし考えておくならば、監督過失で「合義務的行為の
代置」の問題が生じる場面とかでしょうかね。他の問題は因果関係を最後に論じておけば十分
だと思いますし。ではまた。
71 :
裕子:04/03/09 01:51 ID:???
>>69 うーん、どうも30さんは悩まんでいいところを悩んでいる
(というか悩ましい指摘をされているのかな)ように見えるんですけども。
> また、客観的注意義務といっても、本当に客観的なのか?といっても、言い切れませんでしょ
これは言い切るべきなんだと思いますよ。
言い切れない、というのは結果無価値論からの(司法試験レベルでは)タメにする議論であって、
違法性二元論に立つと思われるここの人々の立場なら、客観的だと断言すべきだと思います。
それはもうそういう体系なんだと理解していいのではないでしょうか。
もちろん行為者の認識を加味して「客観的」というのは気持ち悪いんですけども、
それは二元論の前提ですから。そこは所与の前提として捉えとくべきなのではないでしょうか。
いや、ここは重要なんですよ、という話になるならば、
おっしゃるとおり、すでに受験レベルを超えているところに踏み込んだ話なんでしょうね。
結果無価値の体系か、行為無価値も加味した体系か、どちらをとるかの話でしょうから。
ということで、↓同意です
> 先に進んでよいのではないかと考えますが、いかがですか。
>>70 前田は責任要素でしたか。失礼。まあ、前田の体系なら何でもありな気もしますが。
72 :
河童:04/03/09 12:01 ID:???
自分なりに過失犯と因果関係についてまとめてみました。
>>43 >百選Ip.27にもあるように、「「危険性」の有無は、現実に生じた具体的結果に対して行為者の行為が
>実際に及ぼした寄与度(影響力の大きさ)を考慮したうえで決定」され、「被告人の行為による影響力
>が圧倒的に強固である」から、仮にその後に異常な介在事情があっても因果関係は肯定される、という
>点が示唆されています。
「はっ」と思って確認したのですが、やはり、これはあくまで「過失犯(監督責任)」についてのお話ですね。
故意犯の場合には、相当因果関係が否定されるような「結びつき」しかない、あるいは「切断」がなされる事案でも、
監督過失犯の場合には、相当因果関係がかなり緩く認定されて肯定されています。
これは、監督過失の場合には、「不慮の事故が起こらないようにする義務」に違反しているから認められやすく、
(ですから「危険性」だの「誘発」だののといった言葉が出てくるのだと思います)
これに比して故意犯の場合には、「故意行為」と「結果」についての相当因果関係が認められにくいのだと思います。
(ですから「危険性」はともかく、「誘発」という言葉は、故意犯においては相応しくないと思われます)
相変わらず舌足らずですが…、私の考え方でいくと、
甲がAを小川に突き落とす行為とAの死の結果との間の相当因果関係は、乙の行為の介入によって切断されます。
しかし、甲が小川に落ちて強度の脳震盪を起こしているAをそのまま放置する行為(不作為による過失行為)の場合、
乙の介入行為によっては、なお甲の過失行為とAの死との間の相当因果関係が切断されないということができます。
73 :
河童:04/03/09 12:18 ID:???
結局、Aの死亡は「甲が小川に突き落とす行為」とは相当因果関係は認められなくても、
「甲がAの安全を確保しない行為」とは相当因果関係が認められる。
これは、現実的に妥当な結論を決定するに際して非常に重要なファクターだと思います。
例えば。
北海道の深い森の奥でAが子供Bを殴って脳震盪を引き起こさせた。
その後、Bは熊に襲われ、脳震盪から回復していなかったために抵抗できずに死んだ。
北海道の深い森の奥でボーイスカウトの責任者Aが深夜に肝試しさせるという過失により子供Bを迷子にさせた。
子供Bは熊に襲われて死んだ。
私の感覚では、上段の事例では相当因果関係を否定しても、後段の事例では相当因果関係を肯定できます。
30さんが言及した判例は、夜間のスキューバダイビングという極めて危険な事案についてのものですから、
監督過失について、死の結果が発生すれば、相当因果関係が「ゆるゆる」認定になるのは頷けますが、
論森の問題である小川突き落とし事案では、「ゆるゆる」認定は避けるべきだと思いました。
*相変わらず法律的な考え方が苦手な私ですが、なんとなく自分の論述方針がまたひとつ定まった気がします。
74 :
30:04/03/09 13:16 ID:???
>>72-73 一応、確認だけ。
>>43の話は、夜間潜水事件の解説にありますが、大谷直人先生の大阪南港事件
評釈の部分です。ですから、傷害致死の成立が問題になってます。なお、夜間潜水事件は業務上
過失致死です。
次に、過失犯と因果関係については、百選I〔第5版〕(8事件)p.18にありますが、河童さんの
疑問に答えを出すものではないと思います。
で、故意犯と過失犯とで因果関係の認定が異なるのかという問題には明確なお答えができません。
感覚的な違いは理解できなくもないんですが。どなたか学者さんにでも聞いてみて下さい。ただ、
河童さんのお話は、受験生のテリトリーではなく、正直、学者の独自説に近いものを感じます。
わたくしならば、保留にして先に進みます。たぶん本番でも即死したりはしないと思うところな
ので。まさに「自由演技」の部分ではないでしょうか。なお、司法試験の世界における「自由演
技」は、「規定演技」で水準をクリアしないと評価が来ないので大変なんですよね。結構、規定
演技で失敗しているわたくしとしては、そこまで余裕がないというのが本音です。では。
75 :
裕子:04/03/09 14:14 ID:???
>>72-73 ちがう方向に行きかけておられるようなのでちょっと修正をした方がよいかと思います。
(まあ、時には回り道も必要でしょうが、ほっておく必要もないので)
> 結局、Aの死亡は「甲が小川に突き落とす行為」とは相当因果関係は認められなくても、
> 「甲がAの安全を確保しない行為」とは相当因果関係が認められる。
これは前々問のことですよね。
前述のように、このように二つに分割して評価すること自体が妥当でないと思います。
さもないと、行為と結果発生に一定の時間を要する犯罪の多くは過失犯が成立してしまいかねません。
最初の作為で、後の不作為は(原則としては)評価されつくしていると見るべきです。
どんな場合に例外的な評価となるかは、いろんな事例に当たってから考えられるといいと思います。
あんまりないはずです。
76 :
裕子:04/03/09 14:14 ID:???
>>72-73 > 北海道の深い森の奥でAが子供Bを殴って脳震盪を引き起こさせた。
> その後、Bは熊に襲われ、脳震盪から回復していなかったために抵抗できずに死んだ。
> 北海道の深い森の奥でボーイスカウトの責任者Aが深夜に肝試しさせるという過失により子供Bを迷子にさせた。
> 子供Bは熊に襲われて死んだ。
> 私の感覚では、上段の事例では相当因果関係を否定しても、後段の事例では相当因果関係を肯定できます。
問題は、なぜこの二つのケースで結論を異にするかです。
もし、それが内心の「故意」か「過失」かだけの違いなら、それは行為無価値一元論、心情刑法論となってしまい
(しかも結論が逆)妥当でありません。
河童さんの頭の中で、前提が違うのにあたかも同じ条件だと(無意識に)考えていはいませんか?
熊に襲われる危険性が、二つの行為で違う問題設定をしているのではないでしょうか。
もし故意犯と過失犯の因果関係を比較するのなら、結果に向けられた行為の危険性が等しい事例において、
故意があるかないかで比較しなくてはいけないと思います(いい例は思いつきませんが)。
因果関係の判断基準は故意犯も過失犯も基本的には同じだと思います。
ただ、過失犯は、基本が不作為犯であること、明確な意思がないのに行為自体は危険性がある場合が多い、
という点で(ほかにもあるかもしれませんが)、あたかも違うように見えるだけで、
因果関係の基本的な判断枠組みは同じはずです。
また、判例は相当因果関係説であるとは限りませんよ。むしろ条件説、せいぜい客観説だと評価されていると思います。
判例の結論が、相当因果関係説から当然に導き出されるわけではないです。
ご存知かもしれませんが、一応念のため。
77 :
河童:04/03/09 18:11 ID:???
30さん、裕子さん、論理的ご指摘ありがとうございます。
私は、論理として上述のことを論文答案に論述する気はありません。
(理論的脆弱さ、というか、端的に「誤解」がよくわかりましたので、なおさらです)
>因果関係の判断基準は故意犯も過失犯も基本的には同じだと思います。
>ただ、過失犯は、基本が不作為犯であること、明確な意思がないのに行為自体は危険性がある場合が多い、
>という点で(ほかにもあるかもしれませんが)、あたかも違うように見えるだけで、
>因果関係の基本的な判断枠組みは同じはずです。
まさにその通りで、私は問題文を読んだときに自分なりの結論をどうするか、
ということの「内心的な決定」のためだけに72・73のように思ったわけでして、
30さんのいうところの「自由演技」をしようなどと大それたことは考えていません。
難しいことがわからない私のような論文の戦い方をする受験生(この板にいるのは私だけ?)のために、
「結論」の妥当性についての私なりの結論を出しておいたまでのことです。
この話はこれでおしまいにしますが、判例は過失致死罪の法定刑の軽さもあって、
死の結果を伴うと一気に法定刑が重くなる故意犯の場合よりも因果関係の認定を緩くしていると思えます。
それこそ感覚的なものに基づく、私の誤解なのかもしれませんが…。
判例が条件説から相当因果関係説と思われるものまで幅広いのは、事案に応じた「匙加減」のためだと、
私は理解していますし、答案レベル上にそれを現すことにします。
78 :
河童:04/03/09 22:22 ID:???
>どなたか学者さんにでも聞いてみて下さい。
30さんの知己の方たちは、学者さんに大学教官等等。
裕子さんもかなり明晰な頭脳を持つ理論家肌の方とお見受けします。
私は、前の仕事(人に言えません)の関係で、弁護士先生は数人懇意にしていただいていますが、
刑事事件も手がけられているのはそのうち一人しかいません。
明日、ちょうど私に弁護士の道を勧めてくださった方と食事をする約束をしていますが、
他の方を含めて弁護士先生とは具体的な勉強の話なんて一度もしたことがありませんので明日もそうなるでしょう。
(前の仕事に関連する話が多いのです)。
もっとも、刑事事件を手がけられている先生にしても、もう60過ぎで、
「刑法なんてのは受験生時代が一番勉強した」という方ですから、
実際のところ、刑法理論では30さんや裕子さんに到底敵わないでしょう。
ただ、弁護士の先生の話で「なるほどな」と思ったのは、資格試験の採点者が評価するのは
車の免許試験(実技)と同じで、「こいつはうまい。よく練習しているな」と思った人間と、
「こいつはちょっと不安はある。しかし免許をやっても大丈夫だろう」と判断した人間だといいます。
司法試験でいえば、30さんや裕子さんは前者の部類を目指すべき方たちだと思います。
私はタイプ的に後者を目指しています。すなわち、運転でいえば、ヘタクソでも速度は出さない。
カーブを曲がるときや狭い道路で走るときは、更に慎重になって速度を落とす等々。
司法試験でいえば、極めて簡単な理論をベースにして、対立利益を指摘した上で、
当て嵌めでやや無理にこじつけてでも現実的に妥当な結論を導くということになりましょうか。
ですから、議論はなんとなく噛み合いませんが、勘弁してください。
私のほうは弱い理論的な部分をご指摘、ご説明いただき大変助かっていますので、
利益関係が一方的なような気がして恐縮ですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。
79 :
氏名黙秘:04/03/10 05:38 ID:???
80 :
裕子:04/03/10 09:15 ID:???
>>78 > 利益関係が一方的なような気がして恐縮ですが、
いや、そんなことないですよ。こちらも勉強になります。
ところで、河童さんの考える「現実的に妥当な結論」ってなんですか?
国民、あるいは自分の報復感情が満たされる結論?
それとも、判例に近い結論?ケースバイケース?
81 :
河童:04/03/10 09:43 ID:???
私の考える「現実的に妥当な結論」とは…。
逃げの答えのようですが、勉強を深めながらそれを探している気がします。
例えば、前前問の小川突き落とし甲は、みなさまに色々ご指摘いただいた上で、
傷害致死→傷害致死までは問えない、に変わりましたし。
とにかく、問題文に応じてケースバイケースは間違いありませんが、
報復感情うんぬんは極めて小さなファクターだとは思います。被害者が犯罪者を裁くわけではないですから。
ですが、「法が犯罪者を裁く」というよりは、「人(裁判官)が人を裁く」という感覚なのは否定できません。
とにかく、もしこの問題文の事案を最高裁が裁けばどういう結論になるか…ということを念頭に置いています。
試験レベルでいうと、理論は受験生それぞれでも、問題文の人物・事案の書かれた方から、
犯罪の成否・成立する罪名については、どうしても「模範結論」に近いなものがあるような気はしています。
結局、あくまでケースバイケースですし、抽象的ですが、いまのところ私が「現実的に妥当な結論」だと思うのは、
「判例より決して必罰的にならず、しかし判例と同等あるいはそれに近い程度には必罰的な結論」でしょうか。
(刑訴や刑法で、判例より必罰的な学者さんは逆の学者さんに較べて相対的にかなり少ないですよね。)
82 :
河童:04/03/10 09:56 ID:???
ちなみに、前問の過失の問題でオーナー兼代表取締役に過失犯を成立させなかったら、
それは相当説得力のある論文を書いていないと厳しい評価になると思います。
よく覚えていませんが、昨年の刑法では、殺害しようとした被害者が生きていたのに既に死亡したと誤信して、
共犯者と一緒に埋めたヤツには、共犯の成立はともかく(私は否定しました)、殺人既遂罪を成立しない場合、
やはり相当説得力のある論文を書かないと厳しい評価になったと思います。
2問目の公文書偽造罪及び同行使罪についてもそうです。(特に行使罪は絶対成立させるべきだと思いました)
私は、私文書偽造罪にして即死だと思いましたが、「致死率」としては犯罪不成立のほうが高かったようです。
「罪刑法定主義の重視」が、一般的に「現実的妥当性」より評価されない試験なのか、
はたまた採点者によってひどく好み・評価の仕方に差がある試験なのか、
受験経験一回、受験生の友達が一人もいない私にはわかりませんが……。
83 :
氏名黙秘:04/03/10 19:52 ID:???
良
84 :
氏名黙秘:04/03/10 19:54 ID:???
85 :
30:04/03/10 23:26 ID:???
こんばんは。
>84さん
わたくしから若干のお願いがあります。
まず、
>>1にもありますように、実質的な論評、議論をするという趣旨ですから、議論の相手方としての
同一性を確保するため、何らかの方策を採っていただけませんか(例えば、以後、84と名乗るとか。これ
は1つの議論が終了するまでのものでもいいです。)。そうしませんと、刑法という論理の一貫性が重視
される科目で、混乱を招くからです。
ですから、当然ながら、「自分の考えは〜であり、…と書く」というものを提示していただくことになる
と思います。ここのスレですと、行為無価値を加味する立場で書く人が多いのですが、結果無価値論の方
の場合には、まるっきり違うという場面もありますので、ご注意下さい。これはいわゆる「行為無価値と
結果無価値との不毛な議論」を避けるためにも重要かと思われます。
さらに、答案の書き方等、受験生の領域の議論である、ということも留意していただいたいと思います。
これを超えるものについて、ああれこれ議論しても不毛ですので。答案にいかに表現するかという点から
かけ離れた議論は御遠慮下さい。超えそうな話題については、「先に進みませんか」ということで、進め
てきています。
加えて、択一前の忙しい時期ですので、答案をうpするという労力を払っていただいている方に対しては、
十分に敬意を払った応対をお願いいたします。一定の社会経験を経た方であれば、十分お分かりかと思い
ます。これは合格者の方であってもお願いしたいと思います。批判的検討は、丁寧な言葉遣いでもできま
すから。
最後に、以後、議論に参加をなさるのであれば、今までの議論、つまり相当因果関係説の危機、監督管理
過失、過失犯の因果関係などのテーマについて、84さんからの短いコメントをお願いします。
面倒なお願いもございますが、よろしくお願いいたします。
86 :
30:04/03/11 10:12 ID:???
87 :
裕子:04/03/11 11:14 ID:???
>>81 > 結局、あくまでケースバイケースですし、抽象的ですが、いまのところ私が「現実的に妥当な結論」だと思うのは、
> 「判例より決して必罰的にならず、しかし判例と同等あるいはそれに近い程度には必罰的な結論」でしょうか。
では、前前問の小川突き落としで、判例と異なる結論をとり、
前問の過失の問題では、判例と同じ結論をとった、
この違いは、どのように説明づけられますか。
>>82 > 「罪刑法定主義の重視」が、一般的に「現実的妥当性」より評価されない試験なのか、
> はたまた採点者によってひどく好み・評価の仕方に差がある試験なのか、
> 受験経験一回、受験生の友達が一人もいない私にはわかりませんが……。
私の感覚からすれば、結論そのものは、はっきりいって、なんでもよい、
問われているのは、その結論にいたるまでの思考プロセス(それを法的に表現する)だと思っています。
もっとも、プロセスのありうるパターンは限られているので、
このプロセスからだとこういう結論にしかなりえない(あるいはこんなプロセスなんてありえない)、
という意味での結論の妥当性の問題はあると思います。
(最悪なのが、その思考プロセスが見えないもの。この場合は結論がなんであれ点はつかないと思います)
そういう意味で、結論そのものの「現実的妥当性」自体が評価の対象となるものではないと思っています。
ということで、説得的だ(すなわち法律家の間で共有しうる)と思える法的思考プロセスを表現できるか、
が重要だと思っております。
ところで、河童さんはテキストは何を使っておられるのでしょうか。
88 :
河童:04/03/11 12:22 ID:???
>>82 >では、前前問の小川突き落としで、判例と異なる結論をとり、
>前問の過失の問題では、判例と同じ結論をとった、
>この違いは、どのように説明づけられますか。
私は、現実に小川突き落とし事件があったとして、判例が傷害致死にとるかはわからないと思います。
私が使っているテキスト……というと、既述ですが、基本書はおろか予備校参考書も持ち合わせていません。
択一の問題を解きながら刑法理論を学んできたつもりです。あとは論文の森……。択一六法……。
(そういう人間ですので、あまり対等だと思ってお相手いただいても…)
結論の「現実的妥当性」うんぬんの話は、のってくる人もいないので、このヘンでいいことにしましょう。
私は私なりに何の理論もなく、知識もなく(免許を私文書)、文章もメチャクチャだったのに、
昨年の試験で思わぬ高評価が得られたのは、そこにいきつくのではないかと思ったゆえに、
私のような受験生のために少し情報の提供と意見の提出をしたまでのことです。
歴とした実力がおありで、確固たる理念をお持ちの方にはもともと無用のものだと思います。
(もちろん、「受験テクニック」とも言えぬものだと思いますしね)
89 :
河童:04/03/11 12:32 ID:???
すいません。トリップ間違えました。82→87
*前置き
やはり具体的な答案がないと私は法律理論が語れないので、スレが締まりませんね。
答案の書き方・作成方針は人それぞれで、万人にとってなにがベストということはないのでしょうが、
正確な理論と知識は豊富に持っていれば持っているだけ有利なはずのものだというのは確かですよね。
今後も私の弱い部分である、その強化を目指したいと思います。
今回はほぼ辰巳の問題そのままです。問題文が長ったらしいですね。
複雑な正当防衛の事案でも「社会的相当性」の一点でゴリ押しする行為無価値な(というか、安易な)私だけに、
結果無価値の方や刑法理論をしっかり理解している方からよくご批判いただきたく思います。
どうぞよろしくお願いします。(理解が浅くて、行為無価値の方からも怒られそうです…)
問題
甲は歴史あるモータースポーツのラリー選手権大会に初出場するため、
同大会に何度も出場経験のある乙に助手席に同乗してもらい、練習コースにおいて、
高速走行で下り勾配のヘアピンカーブを曲がる練習を行うことにした。
試合で上位の成績を得るためにはそのカーブを最低60キロメートルで通過しなければならないが、
ベテランの乙も相当緊張するほどの高度のテクニックが必要なコースであった。
甲は未熟なため大変不安を感じており、また乙も初心者の甲には危険な運転走行で壁に激突するおそれがあることを
認識予見していたものの、試合に勝つためには一段上の技術に挑戦する必要があると考え、
乙が甲に対して技術と隔絶した運転をしないことと走行上の基本的ルールを守ることを注意した上で、
甲は60キロ走行にチャレンジすることになった。甲は、ハンドル・ギヤ・ブレーキ等の微妙な操作について
同乗した乙のアドバイス通りにヘアピンカーブを曲がろうとしたところ、運転操作を誤り急ブレーキを踏んだため、
走行の自由を失い、車をスピンさせて転倒させ、自らはからくも脱出し軽傷で済んだが、
乙を頚部骨折及び胸部圧迫により死亡させるに至った。甲の罪責はどうか。
90 :
河童:04/03/11 12:35 ID:???
1 甲は運転操作を誤り乙を死亡させていることから、
甲に業務上過失致死罪(211条1項前段)が成立するのではないか。
2 まず、甲による車の運転は@社会生活上の地位に基づきA反復継続して行われる行為であって
B他人の生命・身体への危険を含むものであり、同条項にいう「業務」にあたる。
3(1)それでは、甲に過失があったといえるか、それを論じる前提として過失犯の構造について検討する。
この点について、現代の社会では例えば車の運転のように社会的に有用な行為であっても危険な行為が少なくなく、
これらの行為を禁圧するような解釈は妥当でない。思うに、刑法の目的が法益の保護と並んで、
社会秩序の維持にもあることに鑑みれば、違法性の本質は社会的相当性を欠く法益侵害をいうと解されるところ、
ある程度予見可能であった法益侵害が発生したとしても、当該行為をなすに際して社会的に相当とされる
注意義務を尽くしているときには過失犯は成立しないものと解すべきである。そこで、過失が成立するためには、
法益侵害結果を回避するために社会生活上の適切な態度をとるよう注意する義務(結果回避義務)が必要であり、
予見不可能な結果については回避することができないから、その前提として予見可能性が必要であると解する。
よって、過失とは予見可能性を前提とした、結果回避義務違反と捉えるべきである。
(2)これを本問についてみると、甲は高速でヘアピンカーブを曲がる際に急ブレーキを踏むと車の制御が困難になり
同乗者乙の生命に危険が及ぶことは予見し得た。にもかかわらず、
右行為を行うことは結果回避義務違反が認められ、過失犯の実行行為性を有するといえる。
4(1)しかし、被害者乙は運転技術の未熟な初心者甲が危険な運転走行をすれば、
壁に激突するおそれがあることを認識していた。そうでるとすれば、自己の生命に危険が及ぶことも
認識・予見していたといえる。そこで、いわゆる被害者乙の危険の引受けにより
甲の過失行為は違法性が阻却されるのではないか、危険の引受けに基づく違法性阻却の判断基準が問題となる。
91 :
河童:04/03/11 12:36 ID:???
この点について、前述のように社会的相当性を有する行為であれば違法性が阻却されると解されるところ、
被害者の危険の引受けにより、被害者に対する関係で行為に社会的相当性が認められることにより、
違法性が阻却される場合もあり得ると解する。
もっとも、過失犯において問題となる危険の引受けの場合には、被害者が危険の内容・程度等を正確に認識した上で
引受けを行っているとは限らない。そこで、法益保護の要請も加味して、危険の引受けについて、
@被害者が結果発生の危険性を正確に認識した上でこれをなし、かつAその引受けにより当該危険行為が
社会的相当性を有するに至ったと評価される場合にのみ、違法性阻却事由として有効となると解する。
(2)これを本問についてみると、@乙は、甲の未熟な運転技術やチャレンジしようとする高速走行練習の危険性を
十分に認識し、壁に激突するという実際に発生した結果についても事前から予見した上で、甲の車に同乗している。
そして、A甲の行為は「歴史あるモータースポーツのラリー選手権」という社会的認知度の高いスポーツの練習であり
十分な安全設備があるであろう「練習コース」においてなされ、また甲はそれをなすに際して走行上の基本的ルールを
守っていたと考えられる。また、行為そのものがいかに危険とはいえ、
試合でも実用される運転技術の練習にすぎず、無謀というほどのものではない。
そうであるとすれば、甲の行為は、乙の危険の引受けにより乙に対する関係で
社会的相当性を有するに至ったと評価でき、その違法性が阻却されると考える。
92 :
河童:04/03/11 12:37 ID:???
6 以上より、甲の行為は違法性が阻却され、甲に業務上過失致傷罪は成立しない。
なお、かかる結論に対しては、生命侵害の場合、被害者の確定的明示的な法益侵害に対する承諾がある
同意殺人(202条)でさえ犯罪が成立するのに、被害者が確定的に法益侵害の承諾をしていない
危険の引受けにおいて何らの犯罪も成立しないとすることは均衡を失するという批判もあろう。
しかし、同意殺人の場合には行為者の殺意・法益侵害の結果も確定的であり、
一定の要件を満たした安楽死のケースを除けば、社会的相当性を有するケースは考えられないという点からすれば、
かかる結論は同意殺人の場合と較べて均衡を失するものではないと解する。
**後述
3(1)過失犯の構造論が長いのは、論述の練習のためですので、勘弁してください。
モータースポーツの運転者で焦って急ブレーキを踏むような男には問題がありますが、あえて無罪にしました。
最後の部分で、同意殺人との刑の均衡の問題意識を出しましたが、法益侵害に対する承諾の有無を強調しても、
過失致死罪と同意殺人罪で刑の均衡がとれているとすれば、これは問題ないと思うのですが。
(もっとも、過失致死罪が軽過ぎるから、危険運転致死罪とか厳罰化されているような気もしますが)
93 :
131:04/03/11 21:06 ID:???
こんばんは。
>>89-90今回も過失ですね。内容面の議論は他の方におまかせして、形式面について。
・3(1)…いきなり違法性?と思いました。(練習用だったようですね)
・ (2)…予見可能性・回避義務とも行為者基準ですか?
個人的には、責任過失との区別の観点から一般人基準がベターかと思います。
(帝京大事件一審は予見・行為者、回避・医師たる地位にある一般人基準としているみたいですが、
ここら辺は新旧過失論の領域なので指摘にとどめます。)
・4(1)…ちょっと書き直し案を提示します。
そこで、いわゆる被害者乙の危険の引受けにより甲の過失行為は違法性が阻却されるのではないか。
この点、(前述のように)社会的相当性を有する行為であれば違法性が阻却されると解するところ、
被害者の危険の引受けによって、被害者に対する関係で行為に社会的相当性が認められることにより、
違法性が阻却される場合もあり得ると解する。そこで、危険の引受けに基づく違法性阻却の判断基準が問題となる。
思うに、過失犯において問題となる危険の引受けの場合には、被害者が危険の内容・程度等を正確に認識した上で
引受けを行うとは通常限らない。
そこで、被害者にとって不測の危険については行為者に帰責するという法益保護の要請も加味して、
@被害者が結果発生の危険性を正確に認識した上でこれをなし、かつA被害者が引き受けをなした理由・状況、
B行為者の引き受けに対する態度・行為状況などを総合的に考慮し、引受けにより当該危険行為が
社会的相当性を有するに至ったと評価される場合にのみ、違法性阻却事由として有効となると解する。
あてはめを見越した規範定立をすることが狙いです。
・4(2)…「十分に認識」→「正確に認識」(規範と形式的に対応)
94 :
河童:04/03/11 23:55 ID:???
>>93 131さん、こんばんは。ご指摘どうもありがとうございます。
3(1)は、反対説である構成要件該当性阻却の評価を論じるべきでしたね。(ということですよね…)
学説の対立が激しいところのようですからね。
そうは思ったのですが、過失犯の構造に余計なスペースを使ってしまった分のしわ寄せです。
この点については、構成要件該当性阻却説をとるにしても結局のところ犯罪成否の結論は答案作成者次第で、
あまり理論によっては変わらないのかな、と思いまして、「反対結論」批判がうまくできないし、
今回は「まぁいいや」と思ってしまいました。本試験で出れば、余裕があるときは、多少なりとも触れるつもりです。
3(2)は無自覚でした。情けない…。
「危険の引受け」にばかり目がいって、「過失犯」がおざなりになってしまいました。
基準は、生命に危険のあるモータースポーツに携わる人間一般か、あるいは当該モータースポーツ競技者一般か。
それこそ、後述4(1)のところでご指摘いただいたように、自分のとりたい結論にあわせて選択することにします。
>帝京大事件一審は医師たる地位にある一般人基準としているみたいですが、
私は、これが問題に出れば、百選54にありますが、血友病の権威として薬事行政にまで携わる者一般を基準にしようと思います。
この事件について、私は許し難いものを感じていますから。(……。こういう発言が余計なのでしょう。以後、控えます)
4(1)については、>あてはめを見越した規範定立をすることが狙いです。
まったくもってその通りです。これは普段は結構意識しているのですが、失敗してしまいました。
特に私のように当て嵌めだけで勝負しようとするような人間にとって、決して忘れてはならないことです。
大変有益なご指摘&ご丁寧な書き直し案のご提示に感謝。
95 :
河童:04/03/12 00:21 ID:???
過失犯成立に関する予見可能性とは別に、よく考えてみると、
危険の引受けに関する問題における予見可能性は、大変重要ですね。
改めて軽視し過ぎていたような気がしてきました。
結果発生の予見可能性の大小は、過失行為者・危険引受人・当該行為に関わる一般人という、
三者を基準とする視点のすべてが重要であるような気がします。
過失行為者と当該行為に関わる一般人の視点は、特に危険行為の社会的相当性判断において、
また、危険引受人基準の視点は、危険の引受けの有効性の程度(とあえて言ってみます)において、
それぞれ重要な要素となるように思われますからね。(あくまで私の考え方・答案からは、ということですが)
そう考えてみると、本問で過失行為者はかなりビビリが入っていて、危険についての予見可能性が高く、
初心者が挑戦するには極めて危ない練習であり、危険の予見可能性は当該競技者一般からしても高いはず。
ということは、危険引受人の予見可能性が高いことは過失行為者に有利に働くとしても、
本問の場合、「せいぜい違法性が減少する程度」(辰巳模範解答)とするのが妥当なのかもしれませんね。
**実は本問に関しては、「妥当な結論」が決定できなかったため、一応裁判例と同じく犯罪不成立だし、
結論部分である6(5の間違いです)の「なお書き」の部分をみなさまにご批評いただきたかったために、
犯罪不成立の結論にしただけの話なのです。
危険の引受けの問題が本試験で出た場合、「なお書き」部分は実戦投入を考えていますので。
96 :
30:04/03/13 20:34 ID:???
こんばんは。問題選択のセンスがイイ!
過失犯における危険の引き受け、千葉地判平7.12.13判時1565.144ですね。
問題の所在は、法益侵害の結果についてまで同意しているとはいえないので、
結果無価値論のアプローチからすると、被害者の同意の法理が適用できない
のではないか、という点ですよね(なお、死亡結果ではなく、傷害結果であ
れば、同意による処理は問題がない)。まあ、こちらは下級審判決の立場を
ベースに書く人たちでしょうから、楽ですよね。
で、「直接的な原因となる転倒や衝突を予測しているのであれば、死亡等の
結果発生の危険をも引き受けたものと認め得る」とありますけど、このよう
にいえるためには、「転倒や衝突から生ずる死亡結果発生の蓋然性が高く、
そのことを被害者が認識していなければなりません」(以上、大塚、思考方
法p.332)とされています。
あてはめで危険の引受を認めるのであれば、千葉地判の事案と比較しつつ論
じるのが説得的だと思います。これはかなり解答者の力量が必要だと思いま
すが、判例重視の方向性の方ならば、一考に値すると思います。『歴史ある
モータースポーツ』の「ラリー選手権大会」と「ダートトライアル競技」。
社会的認知度は確かに違いますからねえ。
そんでもって、なお書き以下なんですが、同意殺処罰規定(202)の存在か
ら均衡を欠くという点に対しては、やはり何らかの答えをすべきだと思いま
す。まあ、百選にもあるような「同意殺人罪の保護法益を、生命以外に求め」
るというのは、あまりにもアクロバティック過ぎますからw。何か言い訳を
書いておけば良いところかと。自由演技の部分だと思います。批判は強いと
ころなので、「何か」書いて、法律家として考える力があることを示せれば
良いのかも。
なお、3(2)は、下手すると即死しかねないかも。わたくしも書いてしまい
そうで、自戒を込めて。ではまた。
97 :
河童:04/03/14 09:21 ID:???
おはようございます。30さん、的確なご指摘どうもありがとうございます。
>で、「直接的な原因となる転倒や衝突を予測しているのであれば、死亡等の
>結果発生の危険をも引き受けたものと認め得る」とありますけど、このよう
>にいえるためには、「転倒や衝突から生ずる死亡結果発生の蓋然性が高く、
>そのことを被害者が認識していなければなりません」(以上、大塚、思考方
>法p.332)とされています。
ここが私の足りない部分ですね。高速で車が壁にぶつかれば死ぬだろう、という
「わかってくれますよね?」的な考え方というか論述はこの試験では禁物でした。
法律的な思考が身についてない証拠ですね。(行為無価値な頭もほどほどにしないと…)。
*向こうのスレの過去分をざーっと読ませていただきました。
択一の恐ろしさを改めて知ったような気がします。
これでも今年の私は去年の私の倍以上の実力があると思っていますが、
今年の私の倍以上の実力を持っているような方でも危険はある、と。
しかも、やはり去年の本試験を受けていない方の中にも、
すごい実力者はゴロゴロしてるんだな、と思うと、身が引き締まりました。
98 :
河童:04/03/14 18:15 ID:???
本日、辰巳の答練で受けた「危険の引受け」の答案が返却されました。
答練を受け始めた去年の5月以来初の「27」という高評価を得ました(嬉しいです)。
慌てて131さんと30さんにご指摘いただいた部分を確認してみましたところ、
…無意識のうちにキッチリ書いていたのかと思いきや、やはりまるで無自覚(悲しいです)。
ほんとにそのまま見過ごしていたら危ういものがありました。
改めてお二方に感謝。択一の差し迫った時期に「添削」、ほんとうにありがとうございました。
99 :
河童:04/03/15 23:19 ID:???
共犯の勉強をしましたので、早速一問アップさせていただきます。
*前置き
さすがに詰め込み過ぎでしょう。この問題。昨年の辰巳の直前模試の付録問題です。良問だとは思いますが。
なんでも直前模試は公表できる本試験の的中率を上げるために論点過多になるのは仕方ないのだとか。
というわけで、出題者(大学教授)のありがたい「模範解答」に対する添削も参考にして書いてみたところ、
分量を数行分オーバーしてしまいました。それでもだいぶ削ってみたつもりですが……。
それこそ引越し前の前スレで短く優れた「論証」が多数存在していれば活用させていただきたいものですが。
ところで、大学教授の添削はさすがです。拍手に値します。やはり正規に法律を学んだ人は強いはずですね。
(ちなみに、「模範解答」が誘拐罪を既遂と評価しており、教授添削で訂正されていませんでしたが…?未遂では?)
問題
甲は、サラ金の返済に困り、かねて顔見知りのA女(20歳)を売春に従事させ自己の債務を弁済させる目的で
同女の誘拐を企て、知人の乙に協力を求めた。乙は、甲の意図を知り最初は協力を断ったが、
甲から執拗に頼まれて断り切れず、何の見返りの期待もないにもかかわらず甲に同行して
A女の見張りを担当することになった。ある日、甲は「よいバイト先があるから紹介する」といってA女を誘い出し、
新幹線で東京駅まで連れていった。同駅で乙がトイレに行っている間、不安に思ったA女が
突然「帰りたい」と言い出したため甲と口論になり、甲はA女の胸倉をつかんで数回小突いた。
A女の悲鳴を聞いて駆けつけたBが、A女を助けようと思い甲の左腕をつかんだので揉み合いとなり、
甲はBの腹部を数回殴打した。ちょうどそのとき、乙が戻り、甲は乙と意思を通じて2人でBに更に暴行を加えた。
Bは腹部を殴打されたため肝臓破裂の重傷を負い病院に運ばれたものの死亡したが、
それが乙の加工前の暴行によるのか、加工後の共同暴行によるものかは不明であった。甲及び乙の罪責を論ぜよ。
100 :
河童:04/03/15 23:20 ID:???
一 甲の罪責について
1 甲は売春させて自己の債務を弁済させる営利目的で、A女を誘い出しており、
営利目的誘拐罪(225条)の実行の着手があるが、東京駅で騒ぎになっているため、
いまだその実力支配に移したといえず、未遂罪(228条)が成立するにとどまる。
2 また、甲はA女の胸倉をつかみ、数回小突いていることから、暴行罪(208条)が成立する。
3 更に、甲はBを数回殴打した後、乙とともに更に暴行を加え、Bを死亡させているがいかなる犯罪が成立するか。
(1)甲に暴行罪(208条)が成立するのは問題ないとしても、甲はBの傷害・死亡の結果についても責任を負うか。
(2)この点について、仮に乙の加工前の暴行によりBの死因となった肝臓破裂が生じたのであれば
甲に傷害致死罪(205条)が成立することになろう。
(3)では、仮にそれが乙の加工後の暴行により生じたものであった場合はどうか、
傷害罪、また傷害致死罪という結果的加重犯の共同正犯が成立するかと関連して検討を要する。
この点について、基本犯について共同すれば、これと相当因果関係のある重い結果も当該行為によって
惹起された結果といえるので、共犯者に共同正犯として重い責任を負わせても責任主義には反しないと考える。
これを本問についてみると、甲乙の強度の暴行とBの脾臓破裂の結果との間には相当因果関係が認められるため、
この場合には、甲に傷害致死罪の共同正犯(60条)が認められる。
(4)このように、いずれにしても甲はBの死の結果について責任を免れることはできない。
4 以上より、甲にはA女に対する営利目的誘拐未遂罪(225条、228条)・暴行罪(208条)・
Bに対する傷害致死罪の共同正犯(60条、205条)が成立し、併合罪(45条前段)となる。
二 乙の罪責について
1 まず、乙は、甲のA女誘拐の見張りを担当し実行行為は分担していないが、いかなる罪責を負うか。
101 :
河童:04/03/15 23:23 ID:???
(1)思うに、刑法の最大の目的は法益保護にあることから、正犯と従犯の区別は法益侵害に関与した程度・様態に
よって区別すべきである。そして、その区別にあたって実行行為を分担したか否かということが重要な要素となろう。
本問では、乙は甲に執拗に依頼されてA女誘拐の見張りを担当したのであり、分け前の約束などはしていない。
また、A女誘拐に関しては単に見張り行為をしただけであるから乙を幇助犯(62条1項)とすべきであろう。
(2)としても、乙は「営利…の目的」(225条)を有していないため、乙に同罪の成立を認めることができるか。
この点について処罰の範囲を不当に縮小させることなく、
また共同行為者の犯罪の成否が客観的になるよう「目的」は「身分」(65条)に含まれると解すべきである。
なぜなら、65条にいう「身分」とは、一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位または状態を
総じていうものと解されるところ、「目的」もこれに含まれるからである。
この点について、「目的」のような一時的心理状態は身分にあたらないとする批判もあるが、通常の場合、行為者は
自己の犯罪を完成させるまで「目的」をある程度の期間継続して有するのであるから、批判はあたらないと考える。
(3)そして、本問のように非身分者が身分者の犯罪に加工した場合に65条の解釈が問題となるが、
この点については文理に忠実に解釈して1項は真正身分犯に関する規定、2項は不真正身分犯の規定と考える。
であるとすれば、営利目的誘拐罪は真正身分犯であるため、65条1項が適用される。
(4)したがって、乙には営利目的誘拐罪の幇助犯が成立する。
2 次に、 乙は甲とともにBに暴行を加えているが、Bの傷害、更には死亡の結果についてまで責任を負うか、
乙の行為とBの死という結果との間の因果関係の存在が不明のため問題となる。
(1)まずBの死因たる肝臓破裂発生が乙の加工の前後にかかわらず、傷害致死罪の承継的共同正犯が成立しないか。
この点について、60条が共同正犯について一部実行責任の原則を定めた趣旨は、
行為者が相互利用補充関係にたち犯罪が実現される点にある。
102 :
河童:04/03/15 23:25 ID:???
そうであれば、後行者が先行者の行為・結果を
自己の犯罪手段として積極的に利用する意思で犯罪の途中から関与し、
自己の犯罪として実現するような場合には例外的に承継的共同正犯を認めるとしても、
原則として、後行者は関与前の行為・結果について責任を負わないと解すべきである。
これを本問についてみると、乙には右のような積極的意思は認められないため、承継的共同正犯は成立しない。
(2)もっとも、B傷害の結果と乙の行為との間に因果関係が存在するか不明であっても、
同時傷害の特例を定めた207条により、乙はB傷害の結果について責任を免れないのではないか。
思うに、同条のいう「その傷害を生じさせた者を知ることができないとき」には、本問のような場合もあてはまる。
そうであれば、同条は「共同して実行した者でなくても」、すなわち意思の連絡が全くない場合でも「共犯の例による」
というのであるから、本問のように途中から意思の連絡があった場合には当然に適用されると解してよい。
(3)では、乙はBの死の結果についてまで責任を負うか、同条が傷害致死罪の場合にまで適用されるか問題となる。
この点について、同条はあくまで責任主義の例外規定であり、「傷害した場合」と規定されているのであるから、
安易に拡大して解釈すべきではないと解する。確かに、死亡したBに対し、
甲とどちらの暴行で死亡したかわからないほど強度の暴行を加えた乙の責任は重い。しかしながら、
傷害罪の法定刑は決して軽くないのであるから、かかる事情は量刑判断に際して十分に考慮すれば足りると考える。
(4)よって、乙には傷害罪の共同正犯が成立する。
3 以上より、乙には営利目的誘拐罪の幇助犯(62条1項、225条)と
傷害罪の共同正犯(207条、60条、204条)が成立し、これらは併合罪(45条前段)となる。
103 :
河童:04/03/15 23:26 ID:???
**後述
乙に傷害致死罪を成立させるべきか……。乙のキャラクターが問題文から掴みづらいため迷いました。
もっとも、本問の乙は併合罪ですから15年まではブチこめるわけで、内心チラリと、それなら十分すぎるかなと。
「執拗に誘われて」という問題文がある場合に、私は、「執拗に誘われたくらいで重大犯罪の共犯になっちゃダメ」
といつも思うのですが、やはり共同正犯よりは幇助犯にすべき問題になっていますよね、大抵の場合。
読むのも面倒かもしれませんが、どうぞお時間があって、気が向いたみなさまはご指摘・ご指導・ご意見ください。
よろしくお願い致します。
択一模試で、合格推定点を切りました……。しかし、今年は論文で悔しい思いはしたくないので、
4月までは刑法論文を勉強します。刑法は論文と択一の勉強が最も密接な気がしますしね。
そろそろ択一で忙しい時期ですので、どうぞみなさまもご無理のない範囲でお願いします。
104 :
131:04/03/16 21:02 ID:???
こんばんは。
>>99-103多論点型だけに、バランス勝負になりそうですね。
・一1(2)…展開不要でしょう。結論・単一理由(処罰範囲確保)だけで十分だと思います。
・ 3(1)…暴行罪「成立」といってしまうと後で面倒なので(罪数)、
「傷害罪まで成立するか」とか濁すといいのでは。
・ (3)…ここはもう少し論理を出してもいいかも知れません。(メインなので骨太に)
基本犯に結果惹起の危険大→相当因果内の結果発生も類型的に予定済み
→因果あるか→(あてはめ)→予定された危険の範囲内→帰責できる
・二2(1)…「相互利用補充関係」のキーワードは規範定立時に再言したほうがよいと思います。
→原則として、相互利用補充関係がないので、後行者は〜
・ (2)…>本問のような場合もあてはまる。
→問題文の「不明であった。」をひとこと引用するといいでしょう。
・**後述…>やはり共同正犯よりは幇助犯にすべき問題になっていますよね、大抵の場合。
問題文中に >知人の乙に協力を求めた。乙は、甲の意図を知り最初は協力を断ったが、
>甲から執拗に頼まれて断り切れず、何の見返りの期待もないにもかかわらず
幇助で認定しろ!といわんばかりの事情がてんこ盛りですので、共同正犯で認定するのに比べて、
幇助認定の立証責任(とでもいえるでしょうか)はかなり軽くなっていると思います。
どっちともとれそうなときは、河童さんのおっしゃのように、やはり問題文に乗っかるのが無難なのでしょうね。
以上、いろいろケチをつけましたがいい答案だと思いました。よくまとまってますよね。
私は択一落ちなので…(いろいろ偉そうに指摘してきましたが)首絞めないように頑張ります。。
105 :
河童:04/03/16 23:26 ID:???
げっ、131さんも昨年は択一で苦杯でしたか…。驚きました。
とても堅実な知識をお持ちの方だけに……。
今年はお互いに頑張ってなんとしても一緒に論文を受けましょう。
昨年の論文試験の成績なんてやはりアテになるものではありませんね。
ほんとに数多くの実力者たちが(不運にも)受験していなかったとわかると、
論文試験が極めて難関であるとともに、択一試験が極めて危険な試験であると自覚できます。
昨年の私のように、両訴の勉強時間がゼロに近くても、択一については臨戦態勢が整っている、
というような迷惑な(?)新参者の数が増えているのかもしれませんね。
択一は、2択・3択にまで絞った後の「運」が極めて大きいですし。
ともあれ、様々な有益なご指摘ありがとうございました。
次回作が既にできていますが、もう少ししたらアップするつもりです。
(とりあえず、択一終了までそれが最後でしょう)
106 :
裕子:04/03/17 17:04 ID:???
>>99-103 ・一3(3)…ここはコレくらいで十分(できればもう少しあっさり流したいところ)だと私は思います。
むしろ、ツボを抑えたよくできた記述と言えるのではないでしょうか。
それよりも「(2)(3)という結論になるから、たとえ因果関係不明でも死について帰責させてもよい」
という説明(問題提起)がない(ように読める)のが気になります。この論理は明示すべきかと。
・二2(1)…ここは簡単に切っちゃてもいいんでは。結論は明らかですし、207条の前提問題にすぎないですし。
・ (2)(3)ここはちょっと流れが悪いかな。思いつく論点を表現した、という感じになってます。
例えば、207条の文言に引っ掛けて、要件を検討していく、というスタイルとかどうでしょうか。
一部でも共同したものが「共同して実行した者でなくても」といえるか、
(いえたとして)「傷害」に傷害致死が含まれるか、という感じで。
107 :
30:04/03/17 17:33 ID:???
>>99-103 「共犯と身分」や「結果的加重犯と共同正犯」については、超短文で対応します。これ論森にもある
はずです。特に、後者ですが、わたくしは長く書くことはないです。
承継的共同正犯から207条へのつなぎとして、207条が承継的共犯の場合にも適用されるか、という
点について触れなくていいんでしょうかねえ?わたくしの勘違いなのかな?省略されるんですか?
成立しない場合なのだから、なおさらという感じがしますけど。う〜ん、現場で判断するかな。
あと、要件ごとに吟味という方針
>>106は賛成です。こちらを重視するならば、前提の論点であれば
多少、削るかもしれません。そうだとすると、二段目の論点は、その類いでしょうか。ではでは。
108 :
裕子:04/03/17 17:56 ID:???
>>107 > 承継的共同正犯から207条へのつなぎとして、207条が承継的共犯の場合にも適用されるか、という
> 点について触れなくていいんでしょうかねえ?
二2(2)で触れられてますね。たしかにちょっとわかりにくいですが。
109 :
河童:04/03/17 20:52 ID:???
なるほど。裕子さん、30さん、ご指摘どうもありがとうございます。
やはり、207条の部分の論述が甘いようですね。もう少しまとめないといけませんね。
次の問題は、叩き甲斐のある答案だと思います。
*前置き
*今回は論文の森の問題ほぼそのままです。
*刑法ではじめてアップできた私の納得の答案といえます。(理論的には?な部分もあると思われますが…)
*これをアップしたのは、「模範解答」で「同意殺人が成立する」とされている小問(2)について、
私がぶつぶつ言い続けてきた「現実的に妥当な結論」というのを具体的に体現することができたと思えたからです。
*また、類似問題でもほとんど必ず「模範解答」ではだいたい「同意殺人が成立する」とされていますが、
本試験で同様の結論を採る人間の答案が多ければ多いほど効果が大きいと思われる、「反対結論批判」をしています。
問題
以下の事案における甲・乙の罪責について論ぜよ。
(1)甲は、不倫相手のA女に別れ話をもちかけたが、同女はこれに同意せず、かえって心中しようと言い出した。
狼狽した乙は、心中する意思もないのに、表面上は同意を装い「自分も君の死を見届けてから後で死ぬ」といって
A女を騙した。同女がこれを真に受けて乙も追死してくれるものと誤信し、自ら青酸ソーダを嚥下して死亡した場合。
(2)乙は、日頃からB女と心中したいと考えていたところ、
あるときB女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして刺殺した場合。
110 :
河童:04/03/17 20:53 ID:???
一 小問(1)について
1 甲はA女と心中する意思もないのに、表面上は同意を装って同女を騙し、同女は甲が追死するものと誤信して、
青酸ソーダを嚥下して自殺している。このように、自殺者が瑕疵ある意思表示によって自殺を決意した場合、
行為者には自殺教唆罪(202条前段)が成立するとすべきか、あるいは殺人罪(199条)が成立するとすべきか。
両罪の区別基準が問題となる。
2 思うに、自殺関与罪は、被害者が自らの意思によって保護法益である自己の生命を放棄している点で、
同じく保護法益を生命とする殺人罪に較べて違法性が少ないことから、殺人罪より軽い刑が設定されているのである。
そうであるとすれば、自殺を決意する際に、被害者に自殺関与罪の保護法益に関する自己の生命処分に関する
主要部分に錯誤があれば、それは法益関係的錯誤といえる。よって、かかる場合には、
被害者に自発的意思がないものとして自殺関与罪は成立せず、被害者の行為を利用した殺人罪が成立すると解する。
これに対し、保護法益たる被害者の生命と希薄な関係にある事情について錯誤があるにすぎない場合には、
被害者に自己の生命に関する錯誤がない以上、その自発的意思に基づくものとして自殺関与罪が成立すると解する。
3 これを本問についてみると、A女は甲が追死する気はないと知っていれば自殺しなかったと考えられることから、
自己の生命処分に関する主要部分に錯誤があるとして、甲に殺人罪が成立するとすることも可能であろう。
しかし、本問において心中をもちかけたのはそもそもA女であって、また最も重要な要素である自殺の方法や
その時期については何らの錯誤もない。更に、A女は甲と同時に死ぬということでなく、甲が自己の死を見届ける、
すなわち甲が自己の死亡後も生存するということについて認識・認容している。そうであるとすれば、なお
A女の生命処分に関する主要部分に錯誤があったとはいえず、乙の欺モウ行為は自殺教唆にとどまると解してよい。
このように解しても、本問における諸諸の事情は、量刑において考慮すれば不都合はない。
したがって、甲には自殺教唆罪(202条前段)が成立する。
111 :
河童:04/03/17 20:55 ID:???
二 小問(2)について
1 本問B女の「刺し殺してもいいよ」との言葉は真意から出たものではないから、乙の刺殺行為は、
客観的には重い殺人罪の結果を生じさせている。しかし、乙はB女の言葉を本気にしていることから、
その認識は軽い同意殺人罪(202条後段)にすぎないとも考えられるため、問題となる。
2 この問題を論じるにあたっては、その前提として故意責任の本質につき論じておくことが有用であるが、
故意責任の本質は、違法な事実を認識すれば、規範の問題に直面して反対動機が形成できるにもかかわらず、
あえて犯罪行為に出るという反規範的人格態度に対する重い道義的非難の点にあると考える。
3(1)そこで、私見と同様に故意責任の本質を解する立場から、本問は抽象的事実の錯誤の問題であるとして、
行為者には、殺人罪と同意殺人罪との規範的に重なり合う部分についてのみ故意責任が認められ非難し得るとして、
乙に同意殺人罪を限度として犯罪が成立するとする見解もあろう。
しかし、乙はその妄想に近い願望が高まって、いわば積極的に錯誤に陥ってB女を殺害している本問において、
近年のストーカー犯罪の増加などに鑑みるとき、かかる結論は著しく妥当性を欠くといわざるを得ない。
(2)思うに、同意殺人の成立には「嘱託」あるいは「承諾」(202条)が必要であるところ、「刺し殺してもいいよ」
というB女の冗談の言葉は自己の死に対する「認容」とは評価できても、「嘱託」とは評価できない。
また、乙の申込に対する「承諾」があったわけでもないため、本問では同意殺人の成立要件を欠くというべきである。
(3)実質的に考えてみても、同意があったものと誤信して違法行為をした者に対して、安易に故意が成立しないと
するならば、著しく法益保護に欠けることになる。例えば、前述の丙に同意殺人を限度に故意を認める見解によれば、
B女の「刺し殺してもいいよ」という言葉の有無にかかわらず、乙が錯誤に陥いてさえいれば、
殺人の故意が阻却されるということになるはずであるが、かかる結論が不当であることは言うまでもない。
112 :
河童:04/03/17 20:57 ID:???
(4)違法性阻却事由としての同意及び本問同意殺人のように「違法性減少事由」としての「同意」の錯誤の場面は、
誤想防衛及び誤想過剰防衛の適用場面に似ているとも思われるが、誤想防衛・過剰誤想防衛のように
緊急行為としての特性を備えていないという点で大きく異なる。そうであるとすれば「同意」の有無の錯誤、
とりわけ刑法上の最たる保護法益たる生命の処分に関する「同意」の有無の錯誤については、
具体的ケースに応じて行為者の故意を阻却するものか否かを厳格に判断すべきである。
本問において、乙は極めて軽率にB女の冗談を真に受けて同女が殺人に同意していると誤信したのであり、
かかる様態での同意の存在に関する錯誤については、責任故意を阻却する余地はないと解すべきである。
4 以上より、乙には殺人罪(199条)が成立する。
*後述
*甲には、殺人罪でもよかったのですが、乙に殺人罪を成立させることに決めたため、あえて同意殺人にしました。
*乙は日頃からB女と心中したいと思っていたため、誤信を招きB女を殺害したのに、
B女殺害後、自分がまったく死ぬ気がなかった(と思われる)ことは結論を決める上で大きな要素でしょう。
どうやら判例もほんとうの心中未遂には量刑のみならず、成立する犯罪についても寛容な様子。
行為者の行為当時の主観のみならず、行為後の行為をも考慮して(妥当な結論を導いて)いるとも思えますが、
行為後の事情により行為者の行為時の主観を推量している結果と考えることは可能かもしれませんね。
*同意の錯誤について
初産で出産が不安である旨の言動をなした妊婦に対して、医師が軽率にもそれを暗示的な堕胎の嘱託と錯誤し、
妊婦に無断で堕胎した場合、業務上堕胎罪(214条前段)しか成立しないとすることは
やはり著しく妥当性を欠く結論といえますよね。「模範解答」は結論まで論点主義になっているような気がします。
113 :
河童:04/03/17 20:58 ID:???
*実は、まだ理解が浅くてわかりません。例えば、生きている人間が普通に公園で寝ているだけにもかかわらず、
死んでいると誤信したAが窃盗行為をした場合、Aには遺失物横領罪しか成立しないのでしょうか。
*もちろん、現実的に「死んでいると誤信した」ことを裁判で証明することは不可能でしょうね。仮に本試験で、
そのような問題が出た場合には、微妙に訴訟法を絡めた論述で結論として不当ではないとアピールすべきでしょうか?
(「Aが錯誤に陥いていたことを裁判で証明する限りにおいて、責任主義の見地からかかる結論も…」みたいな感じ)
それも考え過ぎですか。。
*一応、私の言う「現実的に妥当な結論」がどのようなものか、責任をもって具体例をアップしてみました。
どうぞ、具体的な答案を通して、未熟な点をご指摘・ご指導ください。論理的におかしいところもあるかと思います。
114 :
裕子:04/03/17 21:46 ID:???
>>111 小問(2)について
38条2項と正面から抵触する結論だと思うのですが、同条はどう解釈されるんでしょうか。
ここをクリアしないと厳しい評価になるかもしれません。
もう少し事例が詳しければ、ごまかす余地も出てくるでしょうが、
これだけシンプルな問題だと、同条を回避するのは難しいですね。
私が思いついた理論構成は
> しかし、乙はその妄想に近い願望が高まって、いわば積極的に錯誤に陥ってB女を殺害している本問において、
この「積極的に錯誤に陥って」という事情があれば、
原因において自由な行為の構成に持っていけないこともないかな、とも考えたりしたのですが、
どんな事情があればいいのか、正直思いつきません。
とくに何も具体的事情がかかれてない本問では厳しいですね…
>>113 > 死んでいると誤信したAが窃盗行為をした場合、Aには遺失物横領罪しか成立しないのでしょうか。
38条2項によるとそうならざるを得ない(もしくは無罪)と思います。
> *もちろん、現実的に「死んでいると誤信した」ことを裁判で証明することは不可能でしょうね。仮に本試験で、
> そのような問題が出た場合には、微妙に訴訟法を絡めた論述で結論として不当ではないとアピールすべきでしょうか?
> (「Aが錯誤に陥いていたことを裁判で証明する限りにおいて、責任主義の見地からかかる結論も…」みたいな感じ)
事実が問題に書かれている限り、「ありえない」と思っても、それは所与の前提として考えざるを得ないでしょうね。
まあ、仕方がないとこでしょう。
115 :
131:04/03/18 00:52 ID:???
こんばんは。
>>109-113自らの理解の浅さを恐れずにコメントさせていただきます。
・一2…法益関係的錯誤というキーワードは唐突かなという印象です。文意は通じるので
>これに対し-という部分で対比するといいかと思いました。
・二…裕子さんが指摘されるように、そもそも199条の故意がない場面なので
>殺人の故意が阻却されるということになるはずであるが、
というときの阻却されるべき故意があるか疑問です。
同意殺人にとどまるのが不当だという価値判断はアリだと思うので、
>具体的ケースに応じて行為者の故意を阻却するものか否かを厳格に判断すべきである。
「厳格な」判断基準を立てておけば38条2項を言い逃れできる余地もあるでしょうか。
具体的にはちょっと考え付かないですが、考え違いを承知で規範立てするとすれば、
@被害者の真意の程度A真意を誤信すべき客観的状況B行為者の状況・当初の意図
などを総合考慮して、以前から行為者に殺意があったといいうるのであれば同意アリと誤信した後においても
なお未必の抽象的故意があるとか(胡散臭い規範ですいません)。
> 死んでいると誤信したAが窃盗行為をした場合、Aには遺失物横領罪しか成立しないのでしょうか。
これにやや関連して、死者の占有の疑問点があるのですが、
・Aが死者→遺失物横領(占有なし)
・Aが生者→遺失物横領(38条2項・法定的符合説)
として、前者でA殺害者が時間的場所的に密接な窃取をなした場合、客観的に占有侵害が認められますよね。
この場合、窃盗の故意に法律の錯誤があるにすぎないのか(客観的には占有侵害あるので、死者との誤信は事実認識に影響しない)、
それとも遺失物横領の故意しかないのかです。
認定の問題にすぎないのかもしれませんが、よろしければみなさんのご意見を賜りたく。。
116 :
30:04/03/18 08:15 ID:???
>>109-113 おはようございます。問題選択のセンスの良さに、本当に感心します。前回の復習をしつつ、総論の
残りの問題をこなし、さらに、総論と各論の融合をする。おまけに予想論点だし。
>小問(1)
欺罔に基づく承諾の問題ですね。承諾の有効性が問題(位置づけは、「真意に基づく」)なので、これ
を明確にした方が良いような気がします。
なお、判例の立場に立って、「自殺」ではなく殺人とする場合には、殺人罪の実行行為性の有無も認定
しなければならない、という点が重要、と。つまり、そのファクターは、(1)心中を申し出たのは誰か、
(2)毒を準備したのは誰か、(3)実際に口に入れたのは誰か、という点(仙台高判昭27.9.15)、と。
これは専ら自分の確認事項です。
>小問(2)
抽象的事実の錯誤の問題から逃げられるかどうかは分かりませんが、殺人罪にしたいのなら、同意殺人
罪において、被害者の同意に対する認識は必要だという立場に立たないとダメなはず。そして、同意殺
人罪は成立しないとして、殺人罪の実行行為性の検討ですが、ここでは不能犯における具体的危険説を
前提にする必要があるかと思います。
以上の立場は、大谷各論(第2版)の立場です。今は改説されていますけど。
ただ、ここの論点は、詰めて考えると実は、凄い難問なんですよ。まだ検討すべき点があります。学者
さんも矛盾しているのでは?と言われている程の論点です。昔、口述で聞かれたことがあります。です
から、普通に書いた方が無難です。論理矛盾の可能性が大きいです。
117 :
裕子:04/03/18 09:11 ID:???
>>115 > この場合、窃盗の故意に法律の錯誤があるにすぎないのか(客観的には占有侵害あるので、死者との誤信は事実認識に影響しない)、
> それとも遺失物横領の故意しかないのかです。
どういう事例を想定されてるのか、よくわからないので、
もう少し説明いただけないでしょうか。
118 :
裕子:04/03/18 09:13 ID:???
>>116 > >小問(2)
> 抽象的事実の錯誤の問題から逃げられるかどうかは分かりませんが、殺人罪にしたいのなら、同意殺人
> 罪において、被害者の同意に対する認識は必要だという立場に立たないとダメなはず。そして、同意殺
> 人罪は成立しないとして、殺人罪の実行行為性の検討ですが、ここでは不能犯における具体的危険説を
> 前提にする必要があるかと思います。
これって、客観同意殺・主観殺人の場合ではないですかね。(本問と逆)
119 :
30:04/03/18 09:20 ID:???
>>118 あ、ホントだ。読み間違えてる。恥ずかし〜。ないのにあると思った場合だから、
38条2項ですね。
>>114で38条2項ってあるから気付くべきだった。
120 :
30:04/03/18 09:55 ID:???
なら、ちょっと立て直して。
この場合ですが、38条2項の問題は、客観的構成要件の問題であるとする見方が有力ですよね。
河童さんは、この立場によっているんですよね。
で、ここで同意殺人罪において承諾の認識が必要かどうかという点において、必要でないとする
立場に立つとどうなるのでしょうか?実は、ここにおいて殺人罪になってしまうのでは?という
疑問を出した人がいます。
>202条後段
客観面 殺す行為 嘱託・承諾の存在
主観面 殺人の故意 (嘱託・承諾の存在の認識)
で、本問のような場面ですが、
客観面 殺す行為
主観面 殺人の故意 (嘱託・承諾の存在の認識)
こう考えると、実は、主観面で故意が認められるか、という問題になり、錯誤を問題にすること
なく、殺人罪が成立する、と。なお、承諾の存在の認識は、主観的正当化要素なので、これを否
定する結果無価値論の立場だとどうなるのでしょうか?
では、逆に、認識必要説だとどうなるか。主観面の方が超過してますが、この立場ですと、殺人
の範囲で重なり合ってしまい、やはり殺人罪になってしまうのでは?と。
ちょっと、立論が変な感じがしますよね。1度見たら忘れてもらいたい話なんですが、頭の体操
を兼ねたお遊びということで。
そこで、話が戻りますが、ここは厳密には論じられないところだと思うんですよね。
ですから、単純に抽象的事実の錯誤として論じた方がよいかと思いますよ。では。
121 :
河童:04/03/18 10:10 ID:???
おはようございます。みなさん、一晩で大変多くのご指摘ありがとうございます。
>(2)同意殺人の成立には「嘱託」あるいは「承諾」(202条)が必要であるところ、「刺し殺してもいいよ」
>というB女の冗談の言葉は自己の死に対する「認容」とは評価できても、「嘱託」とは評価できない。
>また、乙の申込に対する「承諾」があったわけでもないため、本問では同意殺人の成立要件を欠くというべき
私も裕子さんのおっしゃるように最初は「原因において自由な錯誤」みたいなものを考えたわけですが、
本問ではむしろ「違法性の錯誤」として取り扱うほうが、殺人罪を成立させるためにはいいと思いました。
すなわち、乙は「同意殺人」の要件を満たしていると主観的には思ったが、客観的にはなかった。
なぜなら、乙はBの「刺し殺してもいいよ」という言葉で、「同意殺人」の要件が備わったと誤信したが、
実際にはBの「刺し殺してもいいよ」という言葉のみでは、「同意殺人」の要件は揃わないからです。
結局、Bは純主観的にも202条の要件は認識しておらず、199条の認識しかなかったことになります。
もし仮に、乙がBが「刺し殺してよ」と言ったと誤信したならば、事実の錯誤でやむを得ないかもしれませんが。
(もっとも、本問の状況的に確認もせずに刺し殺したら、私は断固殺人罪を成立させるつもりです)
刑法においては特に判例はときに難解な場面を理屈抜きの「力技」で切り抜けていますね。
学者さんがあとでイロイロと解釈して、刑法の解釈が発展し、あまりに苦しいと新法ができたりします。
今回はあえて違法性の錯誤にソフトランディングしないで、「38条2項」をぶっとばせ、と思ったのです。
もっとも、違法性の錯誤論も理論的におかしいですか…? こじつけるには悪くないと思ったのですが。
122 :
河童:04/03/18 10:21 ID:???
30さん、殺人罪の成立に苦心ありがとうございます。
>ここは厳密には論じられないところだと思うんですよね。
いつもの調子ながら、私は厳密に論じなくてもいいと思っています。
とにかく、本問で「殺人罪」を成立させないという結論ばかりの答案のなかで、
「同意殺人」成立を世間の常識の立場からおおいに批判して「殺人罪」を成立させ、かつ、
採点者に、コイツはよく自分の頭を使っているな、と思わせる答案を作成できれば、
刑法はかなり武器になると勝手に思い込んでいます。採点者の好みにもよりましょうが。
そのための練習をここでさせていただいているわけでして。
理論がボロクソだと法律を知らないアホだと思われてしまいますからね…。
123 :
30:04/03/18 16:13 ID:???
>>121(河童さん)
>もっとも、違法性の錯誤論も理論的におかしいですか…?
>こじつけるには悪くないと思ったのですが。
傷害罪と被害者の承諾の問題において、同意の有無について錯誤がある場合には、
被害者の同意を違法性阻却事由と捉える立場から、違法性阻却事由の錯誤(正当化
事情の錯誤)と考える余地があると思います。
ただ、この場合の嘱託・同意の存在というのは、構成要件該当事実だと思いますの
で、構成要件的事実の錯誤の問題として捉えるべきだと思っていたんですが。
だからこそ、38条2項で論じているように思いますけど。どうなんでしょうか?
違っていたらごめんなさい。
>>115後段(131さん)
わたしも、ちょっと何を論じているのかが分からなかったので、ちょっとだけ説明
を加えて貰えませんか?
124 :
裕子:04/03/18 17:57 ID:???
>>121 > すなわち、乙は「同意殺人」の要件を満たしていると主観的には思ったが、客観的にはなかった。
> なぜなら、乙はBの「刺し殺してもいいよ」という言葉で、「同意殺人」の要件が備わったと誤信したが、
> 実際にはBの「刺し殺してもいいよ」という言葉のみでは、「同意殺人」の要件は揃わないからです。
> 結局、Bは純主観的にも202条の要件は認識しておらず、199条の認識しかなかったことになります。
うーん。よくわかりません。
現実に生じた事実が該当する構成要件は殺人罪、
行為者が認識していた事実が該当する構成要件は同意殺人罪、
問題文からはこうとしか読めないと思うんですよ。
> すなわち、乙は「同意殺人」の要件を満たしていると主観的には思ったが、客観的にはなかった。
ここもそのことを確認しておられるのだと思います。で、次に
> なぜなら、乙はBの「刺し殺してもいいよ」という言葉で、「同意殺人」の要件が備わったと誤信したが、
これも前述の問題文の客観的な分析と合致すると思います。問題は次からです。
> 実際にはBの「刺し殺してもいいよ」という言葉のみでは、「同意殺人」の要件は揃わないからです。
これも客観的にはそのとおりです。しかし、内心は違うんですよね。よって
> 結局、Bは純主観的にも202条の要件は認識しておらず、199条の認識しかなかったことになります。
なぜこうなるかがわからないんです。
客観が殺人なのは明らかですよね。その明らかさが、なぜ行為者の主観まで変えることになるのか、
その点が河童さんの論述からは不明なんです。
問題文を読む限り、同意があったと認識していたとしか読みようがない
→同意殺の故意しかない。と条文上はならざるを得ないと思うのです。
「違法性の錯誤」の問題はここをクリアしてからですよね。
125 :
河童:04/03/18 17:59 ID:???
>傷害罪と被害者の承諾の問題において、同意の有無について錯誤がある場合には、
>被害者の同意を違法性阻却事由と捉える立場から、違法性阻却事由の錯誤(正当化
>事情の錯誤)と考える余地があると思います。
この観点からは答案で触れたとおり、同意殺人自体が違法なので、過剰誤想防衛に類似するかな、と。
そうだとすれば、殺人罪も問えるかな、と考えたわけですけど。
>ただ、この場合の嘱託・同意の存在というのは、構成要件該当事実だと思いますの
>で、構成要件的事実の錯誤の問題として捉えるべきだと思っていたんですが。
そして、私は構成要件的事実の錯誤でなく、あくまで構成要件的事実の評価の錯誤であって、
むしろ規範的構成要件要素(でしたっけ?公務執行妨害罪における公務の適法性等)の錯誤
に類似するのではないか、とも考えたんですね。
どうなんでしょうか?
126 :
30:04/03/18 19:06 ID:???
>>125 う〜ん。河童さんは、職務の適法性の問題と同じように捉えるわけですか。それで、
「評価の誤認」とみるんですか?同意がないのにあると思っていた場合ですから、
やはり「基礎事実の誤認」とみる方が素直な気がします。
127 :
河童:04/03/18 23:21 ID:???
職務の適法性でなく、作為義務の錯誤(父親が溺れている子供を見て助ける作為義務はないと思った)
のほうがイメージ的に近いような気がしますが、どっちもどっちですね。
>問題文を読む限り、同意があったと認識していたとしか読みようがない(裕子さん)
>やはり「基礎事実の誤認」とみる方が素直な気がします。(30さん)
それは私もまったく否定しません。その上で殺人罪を成立させようと思うのです。
これは(あくまでこういう問題が出たらの)私の個人的な戦略ですので、
みなさんはあまりご自分のスタンスを崩されないように(崩すはずもないですよね)。
最終的には、とにかく同意殺人が成立するための有効な同意がなく、
殺人罪の故意は「同意なく人を殺すこと」でなく、「人を殺すこと」なので、
乙は殺人罪の故意に欠けるところはないみたいな感じでいきます。
ところで、裕子さんや30さんの見解を徹底すれば、本問(1)の甲にしても、
「自殺教唆罪」の故意しかないから「自殺教唆罪」しか成立しない、ってことになりませんか?
128 :
河童:04/03/18 23:59 ID:???
いま風呂に入ってきて、その間に決めました。
同じことの繰り返しに過ぎませんが、やはり、
乙が同意殺人の規定を知っていた場合→「刺し殺してもいいよ」というBの言葉を、
202条の「同意」「嘱託」と評価した乙の錯誤は、違法性の錯誤にすぎません。
乙が同意殺人の規定を知らなかった場合→「刺し殺してもいいよ」というBの言葉は、
客観的に202条の「同意」「嘱託」と評価できず、また乙に何らの錯誤はない以上、
人を殺そうと思って殺したわけですから殺人罪が成立します。
もし本問で乙が「殺人罪の同意があった」と錯誤したとするならば、
すなわち事前に乙のB女に対する「刺し殺してもいいですか?」の申込が一切ないにもかかわらず、
「刺し殺してもいいよ」といういきなりのB女の冗談を殺人の同意があったと錯誤したのなら、
それは乙が内心と現実の区別がつかない人間で、むしろ乙の責任能力(心神喪失等)の問題の気もします。
本問の場合は、答案の理論(と呼べるか?)はやめて「違法性の錯誤」でいきます。
もし問題文でB女の言葉が「刺し殺してください」となっていたら、答案の「理論」でいきます。
いろいろご指摘いただいて、とりあえずの決心が着きました。どうもありがとうございました。
129 :
裕子:04/03/19 00:20 ID:???
現実の裁判では、被告人が「同意があったはず」と発言しただけで、
被告人の内心(同意ありとの認識をもっっていた)が認定されるわけではないでしょう。
さまざまな事情を考慮して、被告人の内心を探求するはずです。
例えば、そのときの会話の状況(文脈)、その会話に至るまでの経緯、その後の被告人の行動、
被告人や被害者の性格等々あらゆる事情が考慮されるはずです。
その意味では現実には極めて微妙な判断になるはずです。
現実に同意があると思うことは非常にまれでしょうから。
しかし、本問ではその検討の過程はすっ飛ばしてるわけですよね。全く書いてない。
で、その結果だけをを引用してくれと問題文に書いてるわけです。
そしてその結果は規範的評価が働きようがない「本気にした」ってことだけです。
これはだれが見ても「同意があった」と評価するしかない。
規範的構成要件の認識の問題とは質が違うと思います。
逆に言えば、「本気」にしたとの認定も客観的に様々な事情を評価した結果であるから、
そう認定されるにふさわしい事情があったとの推測が働きます。
例えば、日ごろから悲惨な貧しい暮らしを送っていて、常に心中をしようという会話がなされていたとか、
事前にいざとなったら殺してくれと約束していたとか、そういう事情があったのかもしれません。
生活につかれて、昔の楽しかった思い出を話しつつ、その会話が途切れたときに、
冗談で「刺し殺してもいいよ」といったのかもしれません。
(判例の事件はこんな感じですね。しかも追死を試みたが死にきれなかった)
それでも、同意殺とするのは「世間の常識」に反しているでしょうか。
「本気」にするのも止むを得ない客観的事情があるのにも関わらず、
「本気」になったことがけしからんとして殺人罪にする方が法の常識に合致しないのではという疑問があります。
さらに裏をかけば、仮にこのような本気にするのにふさわしい事情がないにもかかわらず、
本当に本気になったのなら、責任能力がないのではという推定が働きます。
130 :
裕子:04/03/19 00:24 ID:???
>>128 なんか内容が一部かぶってしまいましたね。失礼。
>>127 > ところで、裕子さんや30さんの見解を徹底すれば、本問(1)の甲にしても、
> 「自殺教唆罪」の故意しかないから「自殺教唆罪」しか成立しない、ってことになりませんか?
本問では客観と主観のズレはありませんよね。
客観的な事実が殺人ならば、主観も殺人のはずです。
ご指摘のようにはならないと思います。
131 :
河童:04/03/19 00:38 ID:???
裕子さんのおっしゃることがよくわかりました。
結局、私は問題文になにも触れられていないがゆえに、
乙という男が勝手に日常の冗談を錯誤したと決めつけているわけですが、
裕子さんはそのようには決めつけていないということですね。
すなわち、問題文に書いてあること以外は極力持ち出さない主義とお見受けします。
(それが当然なでしょうね)
私はこういうスカスカな問題文の場合に、純粋に問題文のみを読まない人間ですから…。
もっとも、最近の本試験では長文でキッチリ事件の背景も書き込まれているため、
余計な想像力を働かせる場面は極端に減っているとは思いますが。
結局、→
「本問ではBが乙に対して「刺し殺してもいいよ」と冗談で言ったのが、
客観的状況としても冗談にしかとれない場合と思われる」
ということを一言言及しておけば、なんとか違法性の錯誤でもいけないことはないと。
また問題文の受け止め方論・答案の書き方論になってしまいそうなので、私めはこのへんで。
裕子さん、択一の近づく時期に大変ご丁寧にどうもありがとうございました。
132 :
河童:04/03/19 00:44 ID:???
失礼。すぐ上の私のレス。
>結局、私は問題文になにも触れられていないがゆえに、
>乙という男が勝手に日常の冗談を錯誤したと決めつけているわけですが、
>裕子さんはそのようには決めつけていないということですね。
>すなわち、問題文に書いてあること以外は極力持ち出さない主義とお見受けします。
(それが当然なでしょうね)
ちょっと語弊がありますね。
裕子さんは問題文に書いてあることのみを確固たる固定された事実として受け止めるということですね。
それは裕子さんに限らず、まともな勝負をしようとなされている方はみなさん、そうなのでしょう。
私はどうも違うようです…。
今年失敗したら来年は基礎と論理で戦える戦力が整うでしょうし、改めようと思っています。
133 :
30:04/03/19 00:44 ID:???
>>127-128 なるほど。河童さんの考えをある程度理解しました。つまり、単純に同意があったと認識していると
考えるのはどうなのか、ということですね。
つまり、「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして」という認識であれば、
一般人ならば、(殺人罪の)違法性の意識を喚起する可能性があるといえるのではないかということ
ですよね。このように考えることによって、問題とされる領域が「法律の錯誤」のテリトリーになる
ということですね。これを
>>126に引き直すと「評価の誤認」だということになりましょうか。
そうだとしますと、仮に、河童さんの立論でいかれるのならば、事実の錯誤か法律の錯誤かを論じる
ことになりますね。その上で、38条3項の検討になる、と。
わたくしは恐くて書けませんが、ただ、ちょっと考えておく余地はありそうなので、検討させて下さ
い。
なお、
>>127の点について、お答えしておきますが、ここは、同意殺人罪と自殺教唆罪との構造が違
っているという点が看過できないと考えます。つまり、
自殺教唆罪 教唆行為 ----→ 自殺
同意殺人罪 承諾を得て ----→ 殺人
なので、先ほどの積み木の話
>>120が使えないと思いますよ。
また、欺罔による心中の場面では、抽象的事実の錯誤は発生しませんから、問題はなかろうかと思い
ます。法益関係的錯誤等の理論は承諾の有効性を決するための議論であって、故意の議論ではないと
思いますよ。では。
134 :
131:04/03/19 00:59 ID:???
>>117>>123 意味不明ですいませんでした…。
念頭に置いていたのは以下のような事例です(塾の公開答練での出題)。
「甲は、以前交際していたA女がしつこくつきまとうのを疎ましく思い、A女を殺してしまおうと考え、
同女を山登りに誘い出して山中において殺害した。その直後に甲は、A女が高価な指輪を身につけている
ことに気付き、A女から指輪を外して自分のポケットにしまい、そのまま下山した。その三日後、甲は、
一人暮らしであったA女宅に侵入し、金品を盗もうと考え、A女宅に向かったが、勘違いしてA女宅の
隣のB宅に侵入し、現金50万円と宝石類を持ち去った。」
>>115の疑問というのは、この事例でいう窃盗についてではなくて、住居侵入についてです。
指輪の窃取行為については甲との関係では生前の占有を保護し、窃盗罪を成立させるとして、
B宅に侵入した行為については、普通は死者の住居に侵入する認識では「人の住居」に侵入する認識がなく、
結局、住居侵入罪の故意なしとすると思います。
これに対し、死者の占有とパラレルに、死者の生前の住居権が甲との関係では保護されると解した場合、
甲には「死者の住居」への侵入の認識しかないとしても、そこには客観=甲との関係で保護される住居権侵害の認識ある以上、
Aの住居に対する住居侵入の故意があり、たとえ甲が「死者の住居」への侵入だから住居侵入罪は成立しないと考えていたとしても、
それは評価の誤信、すなわち法律の錯誤があるにとどまるのではないかと考えた次第です。
(その後はB宅侵入への錯誤論を展開することになります。)
以上の構成で答案を書いたところ、「住居侵入の故意なしと認定せよ」と添削されたので、
自分の故意や法律の錯誤への理解が誤っているのかと危惧しています。やはりおかしいのでしょうか?
>>河童さん
議論のお邪魔をしてすみません。。
135 :
30:04/03/19 02:07 ID:???
>>134 解説を知らないので、激しく批判的に検討して下さい。
いわゆる死者の占有の論点については、ご存知のとおり。
次に、窃盗罪の「占有」にかんして、これは福岡高判昭43.6.14(窃盗罪の成立を肯定)。事実上の支配の存否
の検討ですよね。屋内においては排他的支配が強い、と。『思考方法』p.82以下。
さて、本題の死亡後の住居侵入ですが(同p.314以下)、新住居権説からは「人」の住居ではなく、住居侵入罪
は成立しませんよね。この立場ならば、B宅への侵入については、死者の住居に侵入する認識で、「人」の住居
へと侵入した場合になると思います。つまり、住居侵入の故意がなく、不成立と。
これに対し、大塚仁先生などは「私生活の平穏には、死者の占有がもっぱら殺害者との関係で論じられるのとは
異なり、より広範な行為者を対象とする保護の必要がある」として住居侵入罪を認めています。この立場からす
ると、B宅への侵入については、「人」の住居に侵入する認識ということですから、方法の錯誤ということにな
りましょうか。「甲が「死者の住居」への侵入だから住居侵入罪は成立しないと考えていた」という点は、評価
の誤信ということですよね。これは「死者の占有」を主観面で論じる問題のパターンと同じですから(あれだと、
窃盗という点で一致するという流れで書く場合ですが)、合っていると思いますよね。
なお、裁判例も死者の住居も「人」の住居としてますよね。東京高判昭57.1.21。
このように考えるのであれば、131さんの流れで合っているような。ここは塾の立場がどの立場なのかによって
採点者がこれに沿って採点したとも考えられますけど。塾(他の予備校でも同じ)の添削では仕方がないのかも
しれませんけど。ただ、大塚説は今の採点者に通じるのかな?他の方の意見を求めます。
これ、結構、昔からある問題ですけど、「死者の占有」の串刺し比較でしたでしょうか。
>補足
あれ、こう考えると、裁判例って矛盾していますね。東京高判昭57.1.21よりも新住居権説の最高が後だから、
変更されるのかな?よく分かりません。ではまた。
136 :
131:04/03/19 04:53 ID:???
>>135 30さん、ありがとうございます。
>東京高判昭57.1.21
を念頭に置いていたのですが、判例変更との関係にはちょっと…考え至りませんでした。
採点者の方にも
>「死者の占有」を主観面で論じる問題のパターンと同じ
という点は承知していただけたようで(解説にも指摘があります)、問題は法律の錯誤を論じた点にあるようです。
というのも、法律の錯誤を論じるのであれば、死者の占有(前段)でも死者の住居権(とでもいいますか、後段)でも
同様に問題となるところ、私の場合は後段でしか触れていなかったからです。
問題文からは甲が評価の誤信に陥っていたという事情が読み取れないわけですから、
一方で触れ、もう一方で触れないのはまさに>純粋に問題文のみを読まないということになりますよね。
前段では当然に窃盗の故意ありとしておきながら、矛盾する付加事情を読み込んでいました。猛省。
>「死者の占有」の串刺し比較
が主眼だったようです。住居侵入はさらりと故意なしで流しておけばよかったと後で思いました…。
自戒を込めて答案をうpしておこうかと思います。スレ汚しご容赦下さい。
137 :
131:04/03/19 04:54 ID:???
>>134の事案における甲の罪責について
1 A女を山中において殺害した行為
甲は、「A女を殺してしまおう」という殺意(199条・38条1項)の下、同「人を殺し」ているので、
殺人罪(199条)が成立する。
2 A女から指輪を外して自分のポケットにしまった行為
(1)まず、甲はA女を殺害した「直後に」右指輪の存在に気付き、事後的に奪取意思を生ぜしめている以上、
強盗罪(236条1項)は成立しない。
なぜなら、同罪の処罰根拠は、暴行・脅迫を手段として財物奪取をなす点に、生命・身体に対する類型的な
高度の危険性がある点に存すると解するところ、事後的に奪取意思を生ぜしめたにすぎない場合にはかかる
手段性を欠くので、同罪の処罰に値しないからである。
(2)としても、窃盗罪(235条)は成立しないか。
ア 確かに、死者には占有の意思・事実が欠ける以上、占有が認められず、占有者の意思に反する占有侵害行為
たる「窃取」をなし得ない以上、死者からの財物奪取については占有離脱物横領罪(254条)が成立するに
すぎないのが原則である。
イ しかし、被害者を死に至らしめた者との関係では、法益保護の観点から、死者が生前に有した占有がなお
規範的に残存していると解すべき場合がある。
そこで、自由保障との調和の見地から、@被害者を死に至らしめた者との関係では、A奪取行為が殺害行為と
時間的・場所的に密接な場合になされている限りにおいて、かかる奪取行為が被害者の生前の占有をあらためて
「窃取」したものと評価すべきと解する。
ウ 本問では、甲は@Aを死に至らしめた者であり、かつ、指輪奪取行為は殺害現場たる「山中」で、殺害「直後」
というA時間的・場所的に密接な場合になされている以上、生前の占有の「窃取」が認められる。
エ また、甲は自己が「窃取」をなし得る者であるという事実につき認識ある以上、窃盗罪の故意(38条1項)
に欠けるところもない。
(3)以上より、窃盗罪が成立する。
138 :
131:04/03/19 04:55 ID:???
3 B宅に侵入した行為
(1)右の行為は「金品を盗もう」という意図でなされているため、B宅の住居権者の意思に反する立ち入りに
あたり、住居侵入罪(130条前段)の客観的構成要件に該当する。
(2)もっとも、甲はA女宅に侵入するつもりのところを、勘違いによりB宅に侵入しているため、構成要件的故意
(同条段・38条1項)が阻却されるのではないか。
ア まず、甲の認識対象として、客観的にA宅の住居権が存在するといえるか、「一人暮らし」のA宅における
本来の住居権者たるAはすでに死亡していることから問題となる。
この点、占有と住居権とは内容を異にする概念ではあるものの、死者にとって事実上観念し得ない概念である
という点においては共通するものと考える。
そこで、住居権が住居という、占有に比して通常移転を観念しにくいものに対する権利であるという特性を
加味し、前述の規範@Aに加え、B殺害者と被害者との関係、C住居の態様等を総合考慮し、社会通念上
被害者の生前の支配がなお継続されていると評価される限りにおいて、生前の住居権が保護に値すると解する。
イ 本問では、甲は@Aを死に至らしめた者ではあるが、殺害から三日も後に、殺害現場たる「山中」から程遠い
民間住宅においてなされた侵入である以上、A時間的・場所的に密接であるとはいいにくい。
そうとしても、B甲はAと以前交際していた以上、まったくの他人の住居に侵入する場合に比して無断侵入に
ついての反規範意識が生じにくいともいえ、通常より住居侵入に至る客観的危険性が高いと思われる。
さらに、CA女は「一人暮らし」であるところ、三日程度家を無人にすることは普段の生活からしてありがち
である以上、住居についての生活状況は変化していない。
以上を総合考慮すると、社会通念上住居に対するAの生前の支配がなお継続されていると評価されるため、
A宅の生前の住居権はなお保護に値する。
したがって、甲がこれらの事実を認識している以上、A女宅への住居侵入の故意に欠けるところはない。
139 :
131:04/03/19 04:56 ID:???
ウ としても、甲はB宅に侵入しているため、同一構成要件内での具体的事実の錯誤があるが、これによって
B宅への住居侵入の故意は阻却されないか。
思うに、故意責任の本質は反規範的人格態度に対する責任非難にあるところ、およそ同一構成要件内にある
事実についての認識があれば、規範に直面でき、責任非難が可能であるし、また、構成要件内で故意を抽象化
する以上、故意の対象の個数は問題とすべきでない。
本問では、「一人暮らし」の「A宅」への住居侵入の事実を認識していた以上、およそ住居侵入の規範に直面
しており、住居権者が複数存在したとしても「B宅」への住居侵入の故意は阻却されない。
(3)以上より、住居侵入罪が成立する。
4 B宅から現金50万円と宝石類を持ち去った行為
(1)右の行為は、窃盗罪の客観的構成要件に該当する。
もっとも、前述の@AのみでAの生前の占有が保護に値するかを検討すると、これは否定される。
そこで、甲にはA女の生前の占有を侵害する認識はなく、窃盗罪の故意は阻却される。
(2)もっとも、甲には占有離脱物横領罪(254条)の故意があるため、同罪が成立しないか。
思うに、法益保護の観点から構成要件該当性の有無は実質的に判断すべきであり、保護法益・行為態様が
具体的に重なり合う限度で、軽い故意に応じた客観的構成要件の充足を認めるべきである。
本問では、窃盗罪と占有離脱物横領罪とは財産権という保護法益・財物領得という行為態様が具体的に
重なり合うため、軽い占有離脱物横領の限度で客観的構成要件の充足が認められる。
(3)よって、占有離脱物横領罪が成立する。
5 罪数
住居侵入罪と占有離脱物横領罪とは牽連犯(54条1項後段)となり、それ以外は併合罪(45条前段)となる。
※ 法律の錯誤は2(2)エ、3(2)イで問題となると考えていました。
※ スレ汚し申し訳ありません。
140 :
裕子:04/03/19 09:11 ID:???
>>131 > 「本問ではBが乙に対して「刺し殺してもいいよ」と冗談で言ったのが、
> 客観的状況としても冗談にしかとれない場合と思われる」
こういう状況で「本気にした」と認定されることがありえるのかという疑問はありますが、
それはおくとして、やはり「本気にした」と問題文にある以上、同意殺の故意になりそうです。
ただ、前田説なら、殺人の故意ありと認定するのも不可能ではないのかな…
前田説よく知らないんで、正確にはわかりませんが、その余地はでてくるかも。
>>133 > つまり、「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして」という認識であれば、
> 一般人ならば、(殺人罪の)違法性の意識を喚起する可能性があるといえるのではないかということ
> ですよね。
「『本気にして』という認識」のところがちょっとよくわかりません。
例えば次のような問題文だったら、法律の錯誤の問題になるでしょうか。
もちろん殺人罪になると思います。
「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を、
冗談だと薄々わかっていたものの「そのような発言をした者は殺されてもやむを得ない(あるいは
「そんな発言を聞かされた者が殺しても罪は軽いだろう」)と思い、刺し殺した」
>>130 > 客観的な事実が殺人ならば、主観も殺人のはずです。
これよりも次のように説明すべきでした。
「客観的な事実が「自殺教唆」ならば、主観も「自殺教唆」のはずです。」
141 :
30:04/03/19 09:50 ID:???
142 :
30:04/03/19 10:21 ID:???
>>140 あっと、誤解を与えそう。あてはめの錯誤で、相当の理由がない場合だと思ったんですが。
法律の錯誤の「問題」にはなりますが。意図がよく分かりませんけど。
143 :
30:04/03/19 10:52 ID:???
>>140 う〜ん。分からなくなてきた。違法性阻却事由の要件や限界の解釈を誤った場合かも。
これは行為の違法性自体に関する錯誤であるから、法律の錯誤にあたるはず。
朝食後は、頭が働かない。困った。
144 :
河童:04/03/19 11:02 ID:???
>>140 最終的に、私は問題文の文言のせいにしておきます。
刑法問題としての意識の低さがゴチャゴチャの原因ということで。
裕子さんのように明快に(法律問題的に?)読み取れば、おっしゃるとおりです。
本試験では過去問を見ても、本問のような問題文は重要論点においては見ませんので、
あまりこだわりすぎないことにします。
>>137 131さん、ちょうど新しい素材が欲しかったところです。
私の知らなかった問題と論点で、非常に勉強になります。
願わくば、今後もお時間さえおありならイロイロな問題文と答案例を拝見したいものです。
*何も知らないで本試験でこの問題をみたら、住居侵入罪、少なくともBの住居における窃盗罪を
成立させようと散々頭を悩ませて、時間を浪費して自滅気味になっていたかもしれません。
それでも私は十分に準備して、例によって住居侵入罪+窃盗罪の両者を成立させたいところですね。
たぶん現実の裁判でも両方とも成立させると思います(またいい加減なことを言っているかもしれませんが…)
「現実的に妥当な結論」は両方とも成立だと思うのですが…。
>屋内においては排他的支配が強い
ところで、30さんのこのご指摘は、死者の住居内の財物についてのことでしょうか?
145 :
河童:04/03/19 11:04 ID:???
*常識的に、一人暮らしの人間が自然死して、その家には誰もいなくなったとしても、
3日後にそこに侵入して盗みを働けば、住居侵入罪+窃盗罪でしょう。
むしろ、自分で殺しておいてその被害者の家に盗みに入るというのは、それより当罰性がよほど強いと思います。
*すなわち、具体的には、何も知らない泥棒が一軒家に盗みに入って盗みを働いたという場面を想定して、
実は三日前に独居していた老人がひっそりと風呂場で死んでいたという場合、
住居侵入罪は不能犯、占有離脱物横領罪のみが成立するという結論は明らかに不当です。
これは死亡した老人に相続人がいれば、間違いないはずでしょう。
問題は、「一人暮らしのA」という問題文から相続人の存在を前提にしてよいかですね。
これは、ここのところ裕子さんと私がだいぶ論じ合ってきました(?)が、
私は人が死亡した場合、相続人がないケースのほうがごくごく稀だと思うので、一言触れてそれを前提にします。
(あるいは、相続人がいなくても住居や財物の他人性は異ならないようにも思えますが…これは無理がありますか…)
*以下、財物の占有について。
刑法の保護法益たる「占有」の領域が、民法のそれより狭いのは知っていますが、
住居内という排他的支配の強い場所における財物の占有については、相続人が即承継するとしてよいのでは。
刑法の規定の文言的にも「占有を離れた他人の者」というよりは「他人の財物を窃取した」といえると思います。
このように考えると、理論的には被害者でなく、相続人の占有や住居権を問題とすべきですが、
実質的には、居住状況が変わっていないなど、被害者の占有を基準に考える方向性になるというのが悩みどころです。
146 :
河童:04/03/19 11:13 ID:???
念のために極論しておきますが、
本問で窃盗罪が成立しないとした場合、
いまにも寿命が尽きそうな金持ちな老人が一人暮しをしていていた場合に、
隣の住人が老人が死ぬのを心待ちにしていて、その財産を付け狙っており、
死んだとわかった瞬間に、老人宅に侵入して財産を荒らした場合にも、
住居侵入罪や窃盗罪が成立しないことになります。
これはどうにも不当な結論で、相続人がいる場合には、なおさらですね。
本問におけるいまのところの私の問題意識は、
保護法益の帰属主体は死亡者か相続人か、ということです。
147 :
30:04/03/19 11:26 ID:???
>>140(前段)
>>133の書き込みが不正確だったので、ちょっと混乱させたようです。
「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして刺殺した」場合であれば、
一般人ならば、(殺人罪の)違法性の意識を喚起する可能性がある程度の事実の認識がある
ともいいうるのではないか、ということです。(なお、前田だと()内が必要ですが、書研
なら必要がありません。だから、書研説の方が構成要件的故意は認められる可能性が高いと
思われます。)つまり、
>>131の理論的な説明にすぎません。
具体的には、
>>131のように、
> 「本問ではBが乙に対して「刺し殺してもいいよ」と冗談で言ったのが、
> 客観的状況としても冗談にしかとれない場合と思われる」
ような場合です。わたくしのイメージした例は(今どきあり得ないかも?)、以下の通り。
一般に、愛憎の縺れがあり、女性の側が、「もう殺してちょうだい。どうにでもして。」と
言ったとしましょう。本気ではなく、男の気を引きたいと思っていたような場面です。この
とき、男がじゃあこれ幸いと女を殺し、裁判で、殺人罪に問われたところ、これは「女の同
意があったから、同意殺人です」と言いうるものなのでしょうか。普通に殺人とすべきよう
な場面かと思うんですよ。感覚的には。河童さんは、こんな感じで考えているはずです。
ただ、本問の事案からここまで読み込むのはちょっとまずいかもしれません。
河童さん、ちょっと想像力が凄すぎるかも。
148 :
30:04/03/19 11:30 ID:???
149 :
30:04/03/19 11:57 ID:???
>>145 >住居内という排他的支配の強い場所における財物の占有については、
>相続人が即承継するとしてよいのでは。
これはまずいです。以下が通常の解釈だと思います。すなわち、
「相続による占有の承継ということも認められないのである」(西田p.141)
ここは即死しますよ。
150 :
裕子:04/03/19 13:15 ID:???
>>141-143 >>140中段は、本問では事実の錯誤にしかならないと思ったので、
仮に法律の錯誤になるとすればどんな事例かあげてみた、という趣旨です。
>>147 > 「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして刺殺した」場合であれば、
> 一般人ならば、(殺人罪の)違法性の意識を喚起する可能性がある程度の事実の認識がある
> ともいいうるのではないか、ということです。
同意殺の違法性の意識の喚起の問題についてはどうなりますか。
ベン図にすれば、殺人の認識が同意殺の認識に包摂されるような形になるので、
殺人罪の違法性の意識の喚起だけ問題にするとへんなことになってしまいそうなのですが。
151 :
30:04/03/19 15:08 ID:???
>>150 まあ、
>>147は、わたくしが採用する立場ではないのですが、以下の記述は、あくまでも頭の体操
位のつもりで、気楽に読んでみて下さい。
同意殺人罪(202条後段)
客観面 殺す行為 + 嘱託・承諾の存在
主観面 殺人の認識 + 嘱託・承諾の存在の認識
このうちで、「嘱託・承諾の存在の認識」というのを違法性を打ち消す認識だと捉えることができる
と考えられないか、と。そうして、打ち消す認識が十分とはいえないのであれば、故意の違法性の意
識の喚起機能(提訴機能)により、殺人罪としての事実の認識があると考えられると思ったわけです。
何だか、全体の立論が変になってはいますが、即興なもので、あまり突っ込まれると、アウトでしょ
うけど。以上は、取り扱い危険です。念のため。
>>140中段
すごく悩みましたよw。法律の錯誤なのでしょうが、裕子さんは、あてはめの錯誤と捉えるのですか、
それとも、違法性阻却事由の錯誤のうちの、違法性阻却事由の要件や限界の解釈を誤った場合と考え
ているのでしょうか?答えをぜひ教えて下さい。
でもって、そろそろ次の問題の検討が進んでますので、こちらの方へ行きませんか?では。
152 :
河童:04/03/19 19:39 ID:???
>B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして刺殺した場合
先の「同意」の問題に関して、私の問題文の読み方は、この「本気にして」の文言を捕まえて、
法律用語の「同意」があると誤信して、と読むのではなく、現実の言葉レベルの「本気にして」ととるわけです。
少し本題から外れた話になるので、ほんとに最後にしますが、
本試験で本問題文が出た場合、法律試験の問題文の読み方としては、
「法律用語の同意があったと誤信した」と読むのが「素直な読み方」・「明快な読み方」でしょうが、
これを小学校の国語の試験などで読むように「本気にして」をそのまま読めば、
私のような解釈も可能だと思います。このお話はこれでお終いにします。
占有の相続について。
>これはまずいです。以下が通常の解釈だと思います。すなわち、
>「相続による占有の承継ということも認められないのである」(西田p.141)
>ここは即死しますよ。
ご存知の通り、私は即死の危険もおそれぬ人間ですから。(今年は、です)
例えば、人のいない夜間における商業ビル内の財物の占有は誰にあるとすべきでしょうか?
所有権者が変わったら、あるいは現場の社員が変わったら、あるいはビルの管理人が変わったらどうなりましょう?
こじつけないといけないときには、あくまで住居内の財物に限定して、占有の相続承継も可能だと思います。
西田先生の本が言及しているのは、屋外の死体に付属する財物に関する占有についてでは?
153 :
河童:04/03/19 23:41 ID:???
*なお、百選のP55に「一般人の立場からみて財物が外形上他人の支配を排除する状態にある場合には窃盗罪が成立する」
(野村稔)との記述がありますが、これはやはり死者の占有を保護すべきという考え方を前提にしていると考えられますよね。
この見解でも、死者の住居内の財物については、刑法的保護に値することになるますが。
これなら、住居内の財物については、正面から例外的に相続人なり生者の占有を認めたほうが、スッキリすると思いました。
154 :
30:04/03/20 00:16 ID:???
>>152 西田同頁というのは、民法上の占有概念と刑法上の占有概念との比較の部分です。
(1)自己のためにする意思が不要、(2)代理人による占有を認めない、(3)相続によって
当然に移転しない、という点であり、より事実的(現実的)支配を意味する、と。
>例えば、人のいない夜間における商業ビル内の財物の占有は誰にあるとすべきでしょうか?
>所有権者が変わったら、あるいは現場の社員が変わったら、
>あるいはビルの管理人が変わったらどうなりましょう?
個々の社員の持ち物については、各人の占有があると認められるはずです。また、商業
ビル内のテナントの財物であれば、法人の代表者が占有(なお、観念的な存在である法
人は事実上の支配をなしえない、とするのが多いかと思います(大谷は反対))。更に、
置き忘れた物であれば、他人の事実的支配が推認できる場合にあたる(商業ビルの管理
者が占有すると思います。ただ、占有補助者とみられる場合もありますから、一概には
言えないかもしれません)と思います。
>こじつけないといけないときには、あくまで住居内の財物に限定して、
>占有の相続承継も可能だと思います。
本問は、「一人暮らしであったA」というのが前提ですが、刑法上の「占有」は、相続
によって当然には移転せず、「相続人が当該財物を事実上支配しているかを個別的に検
討」とするのが通常です。ここにいう「占有」の概念は、財産罪において犯罪の個別化
をする機能を果たしますから、過度の観念化は構成要件の弛緩を招きます。相続による
承継を認める立場は、ほぼ無いといってよいと思います。
ここで、「ほぼ」と言ったのは、戦前のこんな議論です。財物奪取の意思で殺害した場
合(死者の占有の第1類型)において、強盗殺人罪(240条後段)を認めるのが一般で
すが、ここで、大審院の時代に「死亡と同時に占有が相続人に移転する」と説明した人
がいました。しかし、これは民法上の占有概念に拘泥し、刑法上の占有が財物に対する
事実上の支配である点を看過すると批判されました。この見解をとる判例、学説は現在、
皆無です。既に克服された議論かと思います。
155 :
131:04/03/20 00:18 ID:???
みなさんの暖かい反応に感謝しつつ。
>>146のようなケースまでくると、さすがに不当に思えますね。
ただ、刑法における占有は、ご存知の通り、民法におけるより現実的なものです。
それを貫くと、
>>152の
>所有権者が変わったら、あるいは現場の社員が変わったら、あるいはビルの管理人が変わったらどうなりましょう?
まず、所有権者が変わっても現実的支配には影響しないことになり、
これに対して、社員が変わった場合、現実的支配(法律的支配は度外視)の観点からみると、
新旧社員の入れ替わりの間にはペンディングな状態が生じているのではないかと思います。
この間は、あえて刑法で財産としての占有を保護する必要はないのではないでしょうか。
可罰的な財産としての占有は、人の現実的な支配が及んでいるからこそ可罰的とされるのであって、
その意味では、いかに当罰性が高いにせよ、前述の老人宅の事例についても同様なのではないかと考えます。
こう考えると、現実の相続による相続人の支配が及ぶまでの間はやはり
(相続人のもとにおいても)占有は否定されるのもやむを得ないことになります。
ただ、死者の占有では殺害者との関係で、規範的には相対性な占有を認めるのが通常ですし、
占有の相対性を認めるということ自体はやはり法益保護にとって必要なことだと思います。
としても、老人宅事例での隣人は、殺害者と同様に、規範的に罰すべき程度の悪人なのでしょうか?
狙っていることと着手することは別ですし、もとより占有がなくなった時点での犯罪を企図していたわけですから。
…けしからん奴ですね。以上、原則論に終止した場合の不当性の確認ぽくもありますが。
156 :
河童:04/03/20 00:49 ID:???
どうも論理的には私にはまったくもって抵抗しようがないですね。(いつもながら)
もっとも、私は純論理的に抵抗しようとは思いませんので、問題文を読んであまりに当罰性の高い行為は、
やはり死者の占有を保護するなり、相続人や建物管理人の占有を保護するなりすることにします。
例えば、最高裁が老人宅事例で占有離脱物横領罪のみにするとは到底思えませんしね。
また、老人宅に3日に1度は息子夫婦が介護等にきていた場合には、息子夫婦に保護すべき占有があるか、
なんて更に微妙な事案も考えられなくはないような気もしますし、もう少し考えてみます。
実によく刑法の「占有」概念について理解を深めさせていただきました。
財産罪は狙われやすいところ、131さんの問題提示とそれに続く一連の議論ほんとうに有益でした。
ご丁寧なレス、どうもありがとうございました。
157 :
30:04/03/20 01:00 ID:???
>>153 引用の百選IIp.55の当該記述の部分は、一定の範囲で「死者の占有」を認める立場だと思います。
おっしゃるように、この見解でも、死者の住居内の財物については、刑法的保護に値することに
なります。
では、なぜ、このような説明をするのかを考えると、相続人に占有の承継を認めないからだとは
考えられませんか?
相続人への占有の承継を認めれば、死者の占有の論点は、ほぼ吹っ飛びます。これはこれですっ
きりしますが、犯罪の個別化という点で、「深刻な」影響を及ぼします。つまり、この「占有」
の概念(占有の有無、限界)の機能は、遺失物等横領との区別を果たす点にありますが、相続人
に占有の承継を認めるのであれば、占有は非常に観念化したものとなり(相続人への承継を認め
るのであれば、財物に対する事実的支配や占有の意思が「極度に」弱いものを認めてしまうこと
になる)、この推論からすると、遺失物等横領の成立場面が極度に限縮されてしまうのではない
でしょうか。ここでは民法と異なる要請、つまり明確性の要請や刑法の謙抑性とかの要請が働く
のでしょう。
ちなみに、一般に全体的考察説というのは、百選の当該部分にも記述がありますが、ご存知のよ
うに、「被害者の『生前』有した占有が、被害者を死亡させた『犯人との関係』では、被害者の
死亡と時間的、場所的に近接した範囲内にある限り、なお、刑法的保護に値する」とするもので
す。一応、生前の占有の刑法的保護であり、犯人との間の相対的な関係で保護に値するとするも
のにすぎないんですよ。これは占有の範囲を拡大するとともに、占有の相対化を図ったものだと
いえると思います。批判の強い見解ではありますが。なお、この点からすると、当該評釈者の引
用は省略しすぎており、非常にまずいです。ではまた。
158 :
河童:04/03/20 01:34 ID:???
>>157 おお! 30さん、どうもありがとうございます。
ちょうどいま風呂に入りながら、まったく同じことについて考えていたのです。
(風呂が一番考えがまとまります)
結局、一定の場合に死者の占有を認めるとした上で、「住居内の財物か」・「相続人の有無」も、
その判断にあたって重要な要素になると考えることにしました。
原則として死者の占有を否定しながら、領得行為をなす相手により相対的に死者の占有を保護する、
というのが受験生の通説ともいえますよね。
学者さんの間では批判が強いのでしょうが、妥当な結論を導くためには仕方ない、と。
私も基本的にこの考え方に乗っかった上で、
「一般人の立場からみて財物が外形上他人の支配を排除する状態にある場合には窃盗罪が成立する」(野村稔)
に近い見解をとり、「住居内の財物か」・「相続人の有無」・「死亡後の経過期間」等の基準を重視します。
であれば、殺人罪の犯人のみならず、単なる窃盗者相手にも死者の住居内の財物は保護に値することになるかと。
相対化対象の拡大で、やはり「明確性の要請や刑法の謙抑性」には反しますが、先刻の私の見解よりはマシです。
つまり、野ざらしの死体が装着する財物であれば、相続人がいても死者の占有は刑法上の保護に値しない。
しかし、住宅内の財物であれば、死者の財物であってもなお刑法的保護に値する(相続人いればなおさら)
という感じになりますね。また明日考えてみます。
159 :
河童:04/03/20 01:43 ID:???
「相続人の有無」という要素を死者の占有を保護するかどうかの要素に飲み込んでしまう。
「住居内の財物かどうか」という要素や「死者の死亡時期と領得行為との時間的ギャップ」も同じ。
妥当な結論を導くために、気になる要素はなにか上位概念に全部飲み込んでしまった上で、
あてはめから逆算した規範を定立するというのは大事な武器ですよね。
繰り返しますが、私の理論もだいぶマシになりました。感謝。
良スレ
161 :
30:04/03/21 10:48 ID:???
以上の問題と比較して検討するべきものとして、現住建造物等放火罪における「人」の概念が
あります。「人」は犯人以外の者をいいますが、この点に関連して次の問題があります。
たとえば、「居住者全員を殺害した後に放火する行為は本罪ではなく、109条にあたる」とす
るのが大判大6.4.13です。西田p.286。
ただ、この点については、かねてより団藤先生が異論を唱えておられ、108条だとされていま
す。「人の住居に使用されている状態は、…人の死亡によってすぐに変更を受けるものではな
い」ということです。団藤p.197。この部分は、叙上の議論と繋がるように思われます。
なお、この点で、不能犯における具体的危険説からは、この立場を支持する余地があると思わ
れます。これは、シケタイにも書いてありますけど。
でもって、前述の判例の立場からすると、「たまたま外出者がいても、居住者全員を殺害した
と誤信して放火した場合には、38条2項により、…109条が成立する」ことになるとされてい
ます。西田p.286。
まとめて整理した方が、便利かなと思いましたので、ちょっとだけ書いてみました。ではまた。
162 :
裕子:04/03/21 15:54 ID:???
>>151 時機に遅れてすみません。
> このうちで、「嘱託・承諾の存在の認識」というのを違法性を打ち消す認識だと捉えることができる
> と考えられないか、と。そうして、打ち消す認識が十分とはいえないのであれば、故意の違法性の意
> 識の喚起機能(提訴機能)により、殺人罪としての事実の認識があると考えられると思ったわけです。
よくわかんないですけど、まあ、仮にこう考えたとしても本問では厳しいでしょうか。
「打ち消す認識が十分とはいえない」かどうかわかんないですしね・・・
>
>>140中段
> すごく悩みましたよw。法律の錯誤なのでしょうが、裕子さんは、あてはめの錯誤と捉えるのですか、
> それとも、違法性阻却事由の錯誤のうちの、違法性阻却事由の要件や限界の解釈を誤った場合と考え
> ているのでしょうか?
法律の錯誤というと普通は責任ありかなしか、の話なんで、
ここでの、殺人か同意殺かという話にスライドさせようとするとなんかややこしいですね。
極端な厳格故意説を想定して、同意殺の違法性の意識まではあるが殺人まではない、
という事例を想定したつもりなんですが。
まあ、通常の立場からすると、結論は殺人であきらかなんで、
分類してもあまり意味ないでしょうが、強いていえば、
行為者が法律を知ってたなら、あてはめの錯誤と考えることもできるんではないですかね。
163 :
裕子:04/03/21 16:46 ID:???
>>137 > イ しかし、被害者を死に至らしめた者との関係では、法益保護の観点から、死者が生前に有した占有がなお
> 規範的に残存していると解すべき場合がある。
「残存している」と表現していいんでしょうか。こういうと前田説っぽい印象なんですが。
「規範的に保護されると解すべき」くらいが無難な気がしますが、どうでしょう。まあ、いっしょかな・・・
> エ また、甲は自己が「窃取」をなし得る者であるという事実につき認識ある以上、窃盗罪の故意(38条1項)
> に欠けるところもない。
「なし得る者であるという事実につき認識」これは不要でしょう。身分犯でもないですし。
「窃取」の認識でいいと思います。まあ、当然あるので書かなくていいでしょうが。
ここで「とっても窃盗にはならないだろう」と思っていたのなら、法律の錯誤が問題になるんですよね。
(もちろん責任阻却されませんが)
問題文にそんなことかかれてない以上、スルーしていいんではないでしょうか。
164 :
裕子:04/03/21 16:49 ID:???
>>138 > この点、占有と住居権とは内容を異にする概念ではあるものの、死者にとって事実上観念し得ない概念である
> という点においては共通するものと考える。
> そこで、住居権が住居という、占有に比して通常移転を観念しにくいものに対する権利であるという特性を
> 加味し、前述の規範@Aに加え、B殺害者と被害者との関係、C住居の態様等を総合考慮し、社会通念上
> 被害者の生前の支配がなお継続されていると評価される限りにおいて、生前の住居権が保護に値すると解する。
ここちょっと思考の流れがわからないです。
前述の規範@Aは死者の生前の占有が保護される要件ですよね。
で、ここはさらに要件を加えている、すなわち死者の生前の住居権が保護される要件が
よりきつくなりそうなんですが、結論は逆ですよね。
あと、「住居権が住居という、占有に比して通常移転を観念しにくいもの」ここの意味がよくとれないこともあります。
占有→動産ですかね。それとも占有→占有権でしょうか。
おそらく、住居権のほうをより広く保護しようという趣旨なのでしょうが、それがもう一つ伝わってきませんでした。
また、この価値判断はどうなんでしょうか。こんなんなし、とは言い切れないんですけども、
住居権と、占有と、どっちが死後にも保護されるべきか、なんて比べようがない気がするんですが…
住居の中にあるものと、外のものの占有の比較ならわかるんですけれども。
あんまりここにこだわっても仕方ない気がするんですけども、こういう学説でもあるんでしょうか。
>>135でご指摘のように、単純に、住居侵入罪の保護法益論から結論の分かれ目の理解をみせる、
という形で十分だと思うんですが…
> したがって、甲がこれらの事実を認識している以上、A女宅への住居侵入の故意に欠けるところはない。
後で具体的事実の錯誤を論じる以上、この結論を出すのは早いですね。
「死んだA女宅への侵入であるからといって、直ちに故意が否定されるわけではない」くらいですかね。
読みにくいな
166 :
河童:04/03/21 17:58 ID:???
>>164 >前述の規範@Aは死者の生前の占有が保護される要件ですよね。
>で、ここはさらに要件を加えている、すなわち死者の生前の住居権が保護される要件が
>よりきつくなりそうなんですが、結論は逆ですよね。
これは、死者を法益帰属主体とするために、窃盗罪の場合はダメでも、
住居侵入罪の場合には「有利に考慮できる要件」を加えているわけで、
手法としてはアリだと思います。
>おそらく、住居権のほうをより広く保護しようという趣旨なのでしょうが、それがもう一つ伝わってきませんでした。
>また、この価値判断はどうなんでしょうか。こんなんなし、とは言い切れないんですけども、
>住居権と、占有と、どっちが死後にも保護されるべきか、なんて比べようがない気がするんですが…
そこで、この問題になるわけですが、確かにこれは考えれば考えるほど微妙ですね。
例えば、東京の資産家が、北海道の辺境に別荘を建てて、
家財道具一式も同じ職人に一緒に作らせてその別荘に備えつけた。
(もちろん、鍵がついており、戸締りは万全だった)
その資産家が管理人も置かず、実際にその別荘を見ることもないうちに、
ドロボウがその別荘に侵入して家財道具一式を盗んでいった。
この問題は生者の占有と住居権の侵害が問題となっていますが、
住居侵入罪と窃盗罪の成否はどうでしょう?
住居権のほうを広く保護しようという価値判断はなんとなくわかる気がします。
(私は両方とも成立です、念のため)
ただ、これが死者にも妥当するかというと、また違う問題のような気もします。
167 :
裕子:04/03/21 18:31 ID:???
>>166 > これは、死者を法益帰属主体とするために、
ちょっと問題がずれるんですけども、
131さんの論じ方は、「死者を法益帰属主体」にする考え方ではないですね。
死者は法益帰属主体にならない(少なくとも窃盗は)ことを前提に、
「生前の」占有を侵害したと評価できないか、という考え方だと思います。
この点、河童さんはどのように考えてるのかが明確ではないですね。
168 :
河童:04/03/21 19:13 ID:???
>>167 >死者は法益帰属主体にならない(少なくとも窃盗は)ことを前提に、
>「生前の」占有を侵害したと評価できないか、という考え方だと思います。
あっ! なるほど。そのご指摘をいただいて私の理解の浅さがようやくわかりました。
ほんとに理解の深い方にご指摘いただくと大変勉強になります。ありがとうございます。
いやー、どう考えるべきなのか、また全然わからなくなってしまいました。
てっきり死者を法益帰属主体として認めてよいのかと思っていたために、
「相続人の有無うんぬん」ということまでファクターのひとつとして考えたのですが。
「生前の占有を侵害したと評価する」、そういえば択一の問題で散々みてきた文章なのに……情けない。
もはや人でなくなった死者を法益帰属主体とすることは、やはり抵抗がありますよね。
そういう学説もあるとは思いますが、もう少し考えてみます。
いつも理解が深まったと思うたびに再び突き落とされる…法律(司法試験?)はおそろしいですね。
169 :
131:04/03/21 20:54 ID:???
こんばんは。いろいろと有益なご指摘、ありがとうございます。
>>163 >「残存している」と表現していいんでしょうか。
うーん、たしかに誤解を招きかねない表現でしょうか。死亡によって消滅したはずの生前の占有を、
事実的には侵害できないはずの「行為時に」規範的には侵害できることをいいたかったのですが。
>「なし得る者であるという事実につき認識」これは不要でしょう。身分犯でもないですし。
なるほど。ここはこんがらがって書いていたので、よく分からなかったのです。参考になります。
>ここで「とっても窃盗にはならないだろう」と思っていたのなら、法律の錯誤が問題になるんですよね。(もちろん責任阻却されませんが)
>問題文にそんなことかかれてない以上、スルーしていいんではないでしょうか。
おっしゃる通りです。書いた後で気付きました。(
>>136)
>>164 >占有→動産ですかね。それとも占有→占有権でしょうか。
動産の趣旨です。ここも表現がまずいですね。答練中にでっちあげたもので…。
要件BCは絞りではなく、むしろ処罰拡大方向の要素です。総合考慮を用いることで相当甘くしています。(
>>166ご指摘の通りです。)
>住居権と、占有と、どっちが死後にも保護されるべきか、なんて比べようがない気がするんですが…
窃盗罪の既遂時期で取得説にたった場合、考慮要素として財物の大小・軽重などを考えますが、
単純に不動産としての家=でかい、だから動産よりも処罰拡大すべき、という考えに至った次第です。
ただ、この考えは住居権を保護法益とする考えと矛盾しかねないですね。とすると、
>単純に、住居侵入罪の保護法益論から結論の分かれ目の理解をみせる、という形で十分だと思うんですが…
このやり方の方がベターですね。保護法益への根本理解を示せますし。
>後で具体的事実の錯誤を論じる以上、この結論を出すのは早いですね。
「A」への故意はあるが、「B」への故意はあるか?ということの前提として、この時点で確定しておくべきだと思うのですが。
170 :
裕子:04/03/22 00:08 ID:???
>>169 > >後で具体的事実の錯誤を論じる以上、この結論を出すのは早いですね。
> 「A」への故意はあるが、「B」への故意はあるか?ということの前提として、この時点で確定しておくべきだと思うのですが。
まあ、ちょっとした表現のもんだいですかね。
問題提起との関係から、ここで故意ありか?と思ってしまうんですよ。
例えば、故意の検討のところは、こんな流れはどうでしょうか。
死人A宅への侵入を「侵入」の認識といえるか問題となる。と問題提起して、
結論として、よって「侵入」の認識といえる。
そうだとしても、「A」宅に侵入した認識した点につき客観的に生じた事実「B」とズレある。
故意と評価してよいか→具体的事実の錯誤
あと、いま気づいたんですが、
「構成要件的故意が阻却」っていう表現はおかしくないですかね。
構成要件的故意は阻却されるものではなく、存在するか認定していくもんだと思います。
構成要件的故意が認められるのか、構成要件的故意と評価できるか、
とかいう表現になるのではないでしょうか。
171 :
131:04/03/22 03:22 ID:???
>>170 >問題提起との関係から、ここで故意ありか?と思ってしまうんですよ。
納得。流れというか、落ち着きが悪いですね。
そもそも一つの犯罪を成立させるための故意が、あたかも分断されるような書き方かもしれません。
本問ではBに対する犯罪成立を検討しているにすぎないのですから、これではまずいですね。
提示していただいた流れだと、あくまで「認識」の問題と「Bへの故意」の問題を
区別していることが分かりやすいです。
>構成要件的故意は阻却されるものではなく、存在するか認定していくもんだと思います。
言われてみれば、違法性阻却とか責任阻却は、あくまで構成要件該当性が認められることで
推定された違法性・責任が覆されるから「阻却」になるのですよね。
基礎中の基礎ですが、スポーンと抜けてました。ご指摘ありがとうございます。
172 :
30:04/03/22 05:59 ID:???
>>170>>171 あの。「構成要件的故意が阻却される」という表現ですが、錯誤論においては、通常使われている表現だと
思います。大塚概説p.185以下(多すぎて全部挙げられない)。ただ、故意論においては、阻却ではなく、
「認められるとか、認められない」という表現になると思います。なお、Tbで事実的故意(これは犯罪事実
の認識+実現意思。責任説が前提)とされる大谷先生も事実の錯誤は故意阻却(責任故意を認めないから、
上述の意味での「故意」の阻却)です。大谷p.201。なお、抽象的事実の錯誤で、重なり合いが肯定される
場合には「故意が認められる」ということになります。
ちなみに、具体的符合説というのは、錯誤論をほぼ故意論として理解するものであり、これに対して、法定
的符合説は錯誤論と故意論とを峻別する立場であるというのが「大まかな」方向性だと思います(てな感じ
で習った。ちょっとトリビアですが、ローマ法の時代からあったのは具体的符合説で、法定的符合説という
のは近代の理論なのだそうです。なにせ奴隷が動産の時代には「人」の範囲で云々とは言えませんから)。
ところが、近時は、至る所で錯誤論を故意論として扱おうとする考えが強くなってきています。重なり合い
について、分析的に捉える立場、例えば、書研、前田など(ただ、山口先生が、この分析を主唱されていた
と思いますけど。とはいえ超法規的構成要件云々は…)は、まさに故意論だと思います。
このあたりの表現は、正直言って再現でも無茶苦茶というところでしょうか。こだわるわたくしは古い人間
ですから。なお、本問は、
>>170の裕子さんの流れでよいと思いますよ。あと、裕子さんは責任説のはずで
すから(法律の錯誤が責任阻却なので)、構成要件的故意とは言わない方がいいと思いますよ。131さんの
立場に立って、書いているのだと思いますけど。ではまた。
173 :
裕子:04/03/22 09:28 ID:???
>>172 なるほど。錯誤論では「阻却」といってよいが故意論ではだめってことでしょうか。
そうだとすれば、
>>170の流れに沿っていえば、
「侵入」の認識の論述のとこでは「阻却」といってはだめだが、
具体的事実の錯誤の論述のとこでは「阻却」といってもかまわないってことでしょうか。
174 :
30:04/03/22 09:58 ID:???
>>173 そう考えていました。「犯罪事実の表象・認容」(大谷先生だと、犯罪事実の認識+実現意思ですが)
というのは「認められるかどうか」であって、「阻却」されませんから。これに対して、錯誤という
ものが故意を阻却するというテーゼが昔からあったのだと思います。これらは日本語的に考えても、
感覚的に理解しうるところだと思います。
なお、抽象的事実の錯誤において、法定的符合説だと、原則として(構成要件的)故意「阻却」で、
例外的に重なり合いが認められる範囲で故意が「認められる」というのが正確だったと思います。
つまり、重なり合いの理論というのは、故意論だということです。ここは錯誤論からシフトしている
わけです。あまりきちんと説明してくれる人がいないんですが。
ただ、書研においても、あまり厳密に書き分けられていませんし、気にしなくてもよいのかも知れま
せん。昔、大塚先生の本で勉強していた実務家などは、結構、厳しいこと言ってましたけどw。
板全体のこと考えて短文でお願いします
176 :
河童:04/03/22 23:28 ID:???
ちょっと遅くなりましたが、死者の占有について自分なりのまとめ。
「一般人の立場からみて財物が外形上他人の支配を排除する状態にある場合には窃盗罪が成立する」(野村稔)
に近い見解をとり、「住居内の財物か」・「死亡後の経過期間」等の基準を重視することにしました。
例えば、東京の資産家が、北海道の辺境に別荘を建てて、
家財道具一式も同じ職人に一緒に作らせてその別荘に備えつけた。
(もちろん、鍵がついており、戸締りは万全だった)
その資産家が管理人も置かず、実際にその別荘を見ることもないうちに、
ドロボウがその別荘に侵入して家財道具一式を盗んでいった。
別荘の家財道具一式は資産家が排他的支配空間といえる別荘内に自らの意思で備えつけさせたものです。
であるとすれば、この場合には刑法的保護に値する占有を認めて差し支えないでしょう。
これと完全にパラレルに考えることはもちろんできませんが、
死者が生前に自らの意思をもって排他的支配空間に置いていた財物については、
その生前の意思(=現実の占有)がしばらく刑法的保護に値するということに
それほど無理はないと思い込むことにしました。
*この板では十分に有益なご指摘をいただいたので、あとは自分で考えることにします。
*どうせこの話をこの方向性でウダウダ考えているのは私だけでしょうから。
177 :
131:04/03/23 00:03 ID:???
>>132-134 広義の故意論=狭義の故意論+錯誤論、
表現としての「阻却」もまあ明らかな間違いとはいえない、
くらいでしょうか。厳密に両者の議論が区別されることも知りませんでした。
すでにとらえ方が違ってたら情けないですが…。
>>176 >死者が生前に自らの意思をもって排他的支配空間に置いていた財物については、
>その生前の意思(=現実の占有)がしばらく刑法的保護に値する
「占有意思」が強ければ、「占有事実」が多少微弱な場合でも現実的支配ありと評価できると考えると、
住居権者の意思を保護法益とする住居権(新住居権説)については、より保護されやすくなりましょうか。
死者の占有・住居権認定に際して規範は一緒でも、結論を変えるという自説の方向付けに使えそうです。
178 :
河童:04/03/23 23:00 ID:???
*前置き
「死者」について一段落したようですが、まだ多くの書き込みがありますので、アップさせていただきました。
論文の森の問題ですが、アッサリした模範解答に納得できず、去年時間がない択一後にこれをウダウダと悩んだため、
去年の消費者金融詐欺の論文問題もなんとなくうまくいったような気がします。
懐かしくなったので(懐かしくても困りますが)、いまの私ならどこまで書けるのかと改めて答案を作成してみました。
問題
以下の事案に関し、甲の罪責について述べよ。
金に困った甲は、Aに対し返還する意思がないのに「50万円貸してくれ」と持ちかけたところ、
Aは「忙しいので、これで50万円を引き出してくれ」と言って、甲にキャッシュカードを渡し暗証番号を教えた。
そこで、甲はB銀行のCD機から50万円を引き出し、その後直ちにキャッシュカードをAに返却した。
同様の事案で、甲が60万円引き出した場合はどうか。
179 :
河童:04/03/23 23:01 ID:???
一 設問前段について
1 甲は返済する意思がないのに、Aに借入を申し込み、キャッシュカードの交付を受けているので、
かかる行為につき詐欺罪(246条1項)が成立しないか。
(1)まず、キャッシュカードが「財物」にあたることは、今日のカード社会においては疑いがない。
(2)次に、甲の返済の意思がないのにあるように振る舞う行為は「人を欺」く行為にあたり、
Aはこれにより甲が貸した金を返還する気があると錯誤に陥り、キャッシュカードを「交付」している。
なお、この点について、甲は50万円という「財物」を詐取しようとして
キャッシュカードという「財物」を交付させているので、甲には抽象的事実の錯誤があるが、
財物詐取について故意がある以上、詐欺罪の故意は阻却されない(法定符合説)。
(3)もっとも、甲はキャッシュカードを使用した後、直ちにCに返却していることから、
このような一時使用目的の場合にも詐欺罪が成立するか。不法領得の意思に要否及びその内容が問題となる。
思うに、詐欺罪についても不法領得の意思が必要であり、その内容は権利者を排除して他人の物を自己の物として、
その経済的用法に従い利用処分する意思をいうと解する。なぜなら、財物の占有移転が権利者の意思に基づかない
使用窃盗が不可罰とされていることとの均衡上、いわば使用詐欺ともいうべき行為は、不可罰とすべきだからである。
本問では、甲はキャッシュカードを直ちに返還する意思があるが、
それを利用して返還の意思のない現金を引き出そうとしているため、権利者排除意思と利用処分意思が認められる。
(4)よって、甲には不法領得の意思があり、詐欺罪(246条1項)が成立する。
180 :
河童:04/03/23 23:02 ID:???
2 次に、甲がB銀行のキャッシュカードを使って50万円を引き出している行為をいかに評価すべきか。
(1)この点について、キャッシュカード詐取とは別個の新たな法益侵害が発生するとして、CD機内の現金は
事実上銀行に占有があることを理由に、B銀行に対する窃盗罪(235条)が成立するとする見解もあろう。
しかし、本問では錯誤に基づく意思表示とはいえ、権利者たるAが甲に自己のキャッシュカードを使用して
50万円を引き出すことを許諾している以上、銀行の占有をなお刑法的保護に値するとすることは、
銀行の免責を絡めて考える必要はないにしても、外形上の事実を不当に軽視するもので必罰的にすぎる解釈と考える。
(2)思うに、詐欺罪の成立に処分行為が必要とされるのは、処分行為者にとって自由な意思決定が
侵害された財産移転か否かを確認するためであり、主に窃盗罪や強盗罪との区別のためと考えられる。
そうであるとすれば、詐欺罪の成立に必要な処分意思は、
被害者の財産的法益が詐欺者によって一定以上侵害の危険に晒されるという認識で足りると解する。
(3)これを本問についてみると、Aはキャッシュカードと暗証番号を甲に教えれば、
50万円という自己の預金についても甲の自由になることは認識していたはずである。
よって、甲にキャッシュカードを交付し、暗証番号を教えることにより、
50万円についてもAの処分行為があったと考えてよく、甲には銀行に対する窃盗罪ではなく、
Aの50万円に対する詐欺罪(246条1項)が成立すると考える。
3 そして、キャッシュカードと50万円という2個の詐欺罪の関係をいかに考えるか問題となるが、
実質的には同一主体に帰属する50万円という同一法益に対する侵害であるため、
甲には包括して詐欺罪(246条1項)一罪が成立すると考える。
181 :
河童:04/03/23 23:03 ID:???
二 設問後段について
1 前述のように、甲はAに50万円でなく、キャッシュカードを交付させているが、詐欺罪の故意は阻却されない。
2 では、設問前段同様に60万円についても、甲に詐欺罪の成立が認められないか。
この点について、前述のようにAはキャッシュカードと暗証番号を甲に教えることにより、
自己の預金全額が甲の自由になるということを認識していたはずであるから、60万円に対する処分行為を認め、
Aに60万円に対する1項詐欺が成立するとしても無理はないように思われる。
3 しかし、本問の甲はAから50万円という現金を詐取しようとして、思いもよらずキャッシュカードという財物を
詐取したことによって、50万円でなく60万円を引き出そうという悪心を生じたのである。
そうであるとすれば、50万円を詐取するという1個の故意があった設問前段と異なり、
設問後段ではキャッシュカードに対する詐取行為と60万円を引き出した行為は、
別個の故意に基づくものであるから、刑法的にも別個の行為として評価すべきである。
よって、甲にはCD機から60万円引き出した行為についてB銀行の60万円に対する窃盗罪が成立すると解する。
なお、Aが許諾した50万円に対しては詐欺罪、残額の10万円につき銀行に対する窃盗罪とする見解もあろうが、
前述のように甲の故意はキャッシュカード詐取時と現金引き出し時で連続していないため、かかる見解は妥当でない。
5 よって、甲にはAのキャッシュカードに対する詐欺罪(246条1項)と、
銀行の現金60万円に対する窃盗罪(235条)の成立を認め、両者は併合罪(45条)となる。
182 :
河童:04/03/23 23:05 ID:???
**後述
論理的には、どこまでみなさまの読むに堪えるものなのかはわかりません。
しかし、設問前段と後段とも詐欺+窃盗で、10万円分しか甲の罪責が変わらないのは、
私的な評価として(こればっかですが)、設問前段の甲に酷なような気がしたものですから。
類似問題だけに出題可能性は低いように思われますが、財産犯には常に最大の注意義務が課されていますのでご一考。
もちろん、択一の勉強がありますので、みなさまご無理のないようにどうぞ。
*そういえば、去年の問題では、免許書偽造を私文書「変造」とまでしていた
(しかも何を考えたか、最初に偽造とたのにわざわざ×マークして訂正していた)ことを急に思い出しました…。
問題をみて15分ほど固まって、更に即死と思われることを書いても大丈夫な場合もあります。
実力が大幅にアップした今年は、それだけに大きな希望が湧いてきます。
ヘンな希望の持ち方ですが。頑張りましょう。
183 :
131:04/03/25 05:02 ID:???
>>178-182 この時期の答案うp、河童さんご苦労様です。
この辺も弱い分野なので的を射ない指摘になるかもしれませんが、ご容赦を。
>いわば使用詐欺ともいうべき行為は、不可罰とすべきだからである。
これは2項詐欺で可罰的ではないですか?
窃盗の場合は占有者の意思に反する占有移転行為があるにすぎないのに対し、
詐欺はの場合は瑕疵あるとはいえ占有者(ないし利益保有者)の処分行為がありますよね。
行為態様の違いから、不法領得の意思なくとも偽もう行為の認識あれば詐欺の故意ありでは?
>しかし、本問では錯誤に基づく意思表示とはいえ、権利者たるAが甲に自己のキャッシュカードを使用して
>50万円を引き出すことを許諾している以上、銀行の占有をなお刑法的保護に値するとすることは、
>銀行の免責を絡めて考える必要はないにしても、外形上の事実を不当に軽視するもので必罰的にすぎる解釈と考える。
甲に50万円についての法律上の占有があるということですよね。法律上の占有あれば窃盗の実行行為性が否定されますが(銀行預金はまさに典型)、
法律上の占有の移転は瑕疵ある意思に基づく場合でも認められると。
とするとやはり、後段でも
>自己の預金全額が甲の自由になるということを認識していたはずであるから、60万円に対する処分行為を認め、
ということを徹底すると
>Aに60万円に対する1項詐欺が成立する
のが素直でしょうし、これと反対に、処分行為はやはり50万円の範囲にとどまると考えるなら、
60万円全体についての事実上の占有はB銀行の下にあるものの、
Aの許諾した50万円の部分についてのみ法律上の占有が甲に移転し、
@Aに対する50万円の1項詐欺が成立、A10万円についてはB銀行に対する窃盗罪が成立(10万円の法律上の占有はA)
という結論になります。二重処罰ではないですし、観念的競合になります。
>設問前段の甲に酷なような気がしたものですから。
という河童さんの問題意識にも応えやすい気がしたのですが、理論的に正しいか確信がないので…参考までに。
184 :
河童:04/03/25 10:08 ID:???
>>いわば使用詐欺ともいうべき行為は、不可罰とすべきだからである。
>これは2項詐欺で可罰的ではないですか?
>窃盗の場合は占有者の意思に反する占有移転行為があるにすぎないのに対し、
>詐欺はの場合は瑕疵あるとはいえ占有者(ないし利益保有者)の処分行為がありますよね。
>行為態様の違いから、不法領得の意思なくとも偽もう行為の認識あれば詐欺の故意ありでは?
これは、書いた後に「おかしいな」と思ったのですが、あえてそのまま載せてみました。
不法領得の意思の内容が考えものだと思うのですが、不法領得の意思自体は必要かと。
なぜなら、例えば、旅行先でちょっと自転車を使いたくなったAが、見ず知らずの自転車の所有者Bに、
「その自転車壊れているからボクが直してきてあげるよ」と欺モウしたところ、
Bが「じゃあ、頼む」と言って自転車をAの自由にさせた、という事案において、
Aが1時間ほど乗り回してから自転車をBに返却した場合にも詐欺罪が成立するとすれば、
無承諾で自転車を持ち出したという使用窃盗の場合と較べて不均衡ではないかと思うんですよ。
>法律上の占有の移転は瑕疵ある意思に基づく場合でも認められると。
これについては、甲がAの預金の引出権限を銀行との関係で有しており、銀行の意思に反する占有移転ではない、
と漠然と考えていたのですが、「法律上の占有がある」としたほうがスッキリするのでしょうか?
>(後段は)観念的競合になります。
詐欺罪はキャッシュカード詐取時に既遂。銀行に対する窃盗は預金引出時に既遂ですから、
観念的競合とはならないと思います。それとも、前段でキャッシュカード&50万円詐取を包括一罪としているので、
現金を引き出した時点で50万円に対しては既遂となるので、観念的競合もありなのでしょうか?
*お忙しい時期にご指摘ありがとうございました。議論もご無理のない範囲で。
185 :
30:04/03/25 10:29 ID:???
>>178-182 > なお、この点について、甲は50万円という「財物」を詐取しようとして
>キャッシュカードという「財物」を交付させているので、甲には抽象的事実の錯誤があるが、
>財物詐取について故意がある以上、詐欺罪の故意は阻却されない(法定符合説)。
ここは錯誤は書かなくてもいいと思います。これ抽象的事実の錯誤でしょうか?
>設問全体
参照すべきものとしては、最判平14.2.8(百選未掲載)があり、木村演習第9講p.267です。この事案は、
ローンカードの事例で、昨年の問題と同じです。これが書けたか否かで評価が分かれたところです。
で、河童さんは、詐欺一罪説のようですが、詐欺窃盗二罪説との相違点は、一言で言って、カード入手行為
と現金引出行為との一体性・連続性を強調するか、それとも社会通念上別個の行為類型とみるか、だと思い
ます。つまり、詐欺一罪説は、現金引出行為について、カードを交付した係員がその場で現金を交付する行
為と同視できるとみているわけですよね。
で、罪数なんですが、カード入手行為と現金引出行為とを社会通念上一個の連続した行為であるとみるので
あれば、行為を分けて考察することなく、全体として詐欺一罪にするような気がします。それとも、犯意先
行型の無銭飲食と同様に考えて、後者が前者に吸収されると考えるのでしょうか。なお、後者が不可罰的事
後行為だとする予備校の解説がありましたが、ちょっとそこまで言えるのかは疑問です。
これ以上は能力の限界のため、よく分かりません。誰か教えて下さい。いずれにせよ、河童さん!最高裁の
判例を採りましょうよ、ここ。なお、この論点は、受験生の論文の出来が、あまり芳しくなかったようなの
で、今年の択一ないし口述あたりが危ないかもしれません。ではまた。
186 :
30:04/03/25 11:56 ID:???
>>185の修正
改めて問題文を読み直しましたが、これは最高裁の事案とはかなり違っていましたね。訂正します。
で、この問題文の事案では、おそらくカード入手行為と現金引出行為とを社会通念上一個の連続した行為である
とみるのは難しいと思います。みることができるとしても、ちょっと理由は考え直さないといけないと思います。
そして、翻ってこの問題に沿って考えてみますと、これは木村演習p.269にあるように、カードについての1項
詐欺罪と、金銭についての銀行に対する窃盗罪(自動支払機から引き出す行為)が成立すると考えます。併合罪
です。
引き出し行為について詐欺だと構成するのであれば、実質的な損害を被るのはAであって、カードを交付したA
が、実質的に自動支払機内の現金を甲に交付するという処分意思があったと考えることになるはずです。しかし、
『銀行預金の占有について、キャッシュカードを取得した段階では、この現金は、銀行の占有に属する』とする
見解を前提にして、このように考えることができるのでしょうか?
で、罪数としては、吸収されるとみることになるのでしょうかねえ?よく分からないです。。。
この銀行預金の占有について矛盾なく説明するというのは、平成11年第2問の問題意識ですが、判例は、かなり
緻密に考えて結論を出しているので、説明が必要になってくると思います。とはいえ、あまりよく解っていない
論点なので(詳しいことは忘れてしまった)、批判的に検討して下さい。では。
187 :
30:04/03/25 12:08 ID:???
>>186の補足
平成11年第2問の問題意識は、甲と乙とで、預金の占有について取り扱いが違うことになる(一方で銀行に
預金の占有がないとしながら、他方であるとすることになる)が、これは矛盾でないのか。この違いを説明
できるか、ということです。つまり、既遂時期を決するための占有の移転の問題と、侵害の対象としての占
有が問題になっている場合との違いです。ではでは。
188 :
131:04/03/25 21:24 ID:???
>>184 >「その自転車壊れているからボクが直してきてあげるよ」と欺モウしたところ、
>Bが「じゃあ、頼む」と言って自転車をAの自由にさせた
この欺モウ→処分行為という因果の流れが、不可罰な使用窃盗と可罰的な利益詐欺との違いだと思うんです。
「黙って盗った」という場合より「騙して借りた」というほうが違法性が大きいと感じるので、不均衡でもないのかなと。
ただ、財産罪である以上、たしかに不法領得の意思が必要というべきなのかも知れません。
>甲がAの預金の引出権限を銀行との関係で有しており、銀行の意思に反する占有移転ではない、
「銀行との関係での引出権限」が法律上の占有なのだと思うのですが、なにぶんソースが講義なもので確証がないです。
キーワードを出すより、その場でたとえ「漠然」とでも考えた筋を素直に書いたほうが理解が伝わると思います。
>観念的競合とはならないと思います。
ええと、ごめんなさい。私が考えた筋では、@カードにつき1項詐欺A50万円につき1項詐欺B10万円につき窃盗
を検討し、Aを成立させて@をAに吸収させようと思っていました。(Aは銀行の交付時点で既遂)
@Aをともに成立させるとしたら、二重処罰でしょうか?妥当な処理かよく分からないです。。
>>186 >引き出し行為について詐欺だと構成するのであれば、実質的な損害を被るのはAであって、カードを交付したA
>が、実質的に自動支払機内の現金を甲に交付するという処分意思があったと考えることになるはずです。しかし、
>『銀行預金の占有について、キャッシュカードを取得した段階では、この現金は、銀行の占有に属する』とする
>見解を前提にして、このように考えることができるのでしょうか?
預金全体の事実上の占有は銀行Bにとどまるとしても、Aの処分により50万円の法律上の占有が移転していることから、
この処分行為に基づいて銀行に財物を交付させた行為が詐欺に当たるんではないかと思うのですが。
いささかあやしいので、よろしければご批判お願いします。
189 :
30:04/03/25 22:44 ID:???
>>188 あまり考えたことのない筋なもので、違っていたらごめんなさい。
>>186もあまり考え抜かないで書いたもの
なので、きわめて怪しい記述です。そこで、少しだけ考えてみました。
とりあえず、引き出し行為について詐欺罪を成立させるとすると、以下のようになるのではないかと思います。
被詐欺者 処分行為者 被害者 客体 罪名
131さんの考え (?) A A 50万の法律上の占有(?) 1項詐欺
考えられる筋 B B(?) A 現金 1項詐欺
で、疑問点なんですが、131さんの筋ですと、被詐欺者は誰になるのでしょうか。また、1項詐欺だとして、
50万の法律上の占有というものが客体となりうるのでしょうか。ここは横領罪との違いかと思います。
また、わたくしが考えた筋ですが、処分行為者はBなのか。Bならば三角詐欺の問題になります。そうすると、
BにはAの財産上の処分権限を有していることが必要になります。とはいえ、銀行預金(現金)の占有はBに
あるわけで、AとBとの間には債権債務関係しかないような気がします。なお、東京高判平6.9.12参照。
これに対し、カードを交付したAが処分行為者だとみるのであれば、この場合は、被詐欺者と処分行為者とが
異なる場合であり、訴訟詐欺における通説のように、AがBに従わざるを得ない必然性のある関係であること
が必要とされると思われます(これは被詐欺者≠処分行為者という点について、訴訟詐欺と並ぶ例外を認める
ことになる)。でも、これはちょっと厳しいか。
ただ、あれこれ考えても、よく分からないんですよ。素直に窃盗罪としておけば良いのではないでしょうか。
ではまた。
190 :
河童:04/03/26 00:50 ID:???
消費者金融では、カードさえ発行してもらえば、すぐに現金を引き出せる。
消費者金融の窓口のお姉さんは、カード発行権限を持っている。
消費者金融会社は、カードさえ発行されれば現金がすぐに引き出せるのを承知で、
窓口のお姉さんにカード発行権限を与えている。
とすれば、窓口のお姉さんを詐欺してカードを詐取することは、
消費者金融会社から現金を詐取したも同然である。
よって、カードと現金に対する詐欺一罪のみが成立する。
去年の論文試験で私が現場思考した筋です。
ただ、本問の場合は去年の論文試験と違ってキャッシュカード詐取と現金引き出しが
時間的・場所的に密着していないので、行為自体を一連の行為とみることは難しいかもしれません。
しかし、侵害法益でいうと、小問(1)の場合、キャッシュカードは「金庫の鍵」にすぎないような
気がするので、侵害された法益を重視した結論にしたかったんです。
>ここは錯誤は書かなくてもいいと思います。これ抽象的事実の錯誤でしょうか?
現金を詐取しようとしてキャッシュカードを詐取してしまったという事案の特殊性をピックアップすると
おもしろいと思ったのですが。よって、小問(1)ではキャッシュカードは「金庫の鍵」にすぎませんが、
小問(2)では、キャッシュカード自体が財物性を有していると考えてみたわけです。
例によって、法律的視点を欠いて事実(素人)的視点から論じてしまっているとは思いますが。
191 :
30:04/03/26 08:18 ID:???
>>190 >昨年の問題
詐欺一罪説で、ここまでこなれた論述は見事です。うまいと思います。結構、論文の常連でも、きちんと
分かって書けた人が少なかったようですし(書いていない人もいた)、また、詐欺窃盗二罪説が多かった
ようです。河童さんのように、全体的な考察ができているというのは、かなり評価されたのだと思います。
平成13年第2問で、2項強盗ではなく、事後強盗でもAになったというのと同じだと思います。
>錯誤について
「金庫の鍵」という表現はわかりやすいです。ただ、鍵でもやはり「財物」でしょうし、詐欺の筋なら、
仮に錯誤とするにしても、具体的事実の錯誤なのではないでしょうか?で、法定的符合説だと、「財物」
の範囲内で符合しているということになりそうな気がします。
これに対し、キャッシュカードが「財物」ではないというのでしたら、これは客体の不能になるのでしょ
うか(おそらく、より相応しいのは、大塚先生のいう(客体に関する)「事実の欠缺」の事例だと思うの
ですが、これは現在では廃れた議論なので、無視して下さい)。よく分かりません。
論文試験の問題において、このような「食い違い」をどのように評価するかは、1つの戦略になります。
ただ、かなり軽微なズレだとも評価できるわけです。
ちょっと話は脱線気味ですが、平成5年第2問で、当時、封筒の中のカードについて、どのように処理すべ
きか議論されたんですが、錯誤は書かなくてよかったみたいです。これに対して、平成11年第1問だと錯
誤が重要論点であったようです。最も難しいのが、平成10年第1問タイプで、主観面で種々の錯誤があり
ますが、これをどうこなすべきなのか(錯誤を論じる筋もありますし、論じない筋もあるようです)。
各人が過去問を研究して、一定の判断基準を作っておくべきだと思います。ここは公の掲示板なので、残
念ながら、わたくしの基準は公表できませんw。
192 :
河童:04/03/26 11:05 ID:???
>錯誤について
やっぱり「50万円」という財物を交付させようとして、思いもよらず「キャッシュカード」という財物を交付させた
というのですから、「財物」の範囲内で符合しているような気がします。
これが「50万円の小切手」を交付されたとしたら、錯誤うんぬんはいらないとは思いますが。
ただ、キャッシュカード・クレジットカードの場合、去年は直ちに限界額まで引き出していますから、
1項詐欺一罪でも通用したとは思いますが、直ちに限界額まで引き出さなかった場合は、
クレジットカードはもはや単なる「金庫の鍵」とみるのは極めて困難なわけでして、
どうしても、事後的な「後づけ」の考察(よくいえば、全体的な考察)になってしまうのが弱点だと思いました。
今回もキャッシュカードを交付させて、小問(1)では結果的に甲が約束の50万円のみ引き出して、
直ちにキャッシュカードを返還しているため、事後的にみればキャッシュカードは「金庫の鍵」に
すぎないことになりますが、ここまで「後づけ」的な考察は却って悪印象でしょうね。
*また、昨年のクレジットカードの場合は、カードの発行者も現金の被害者もカード会社のわけで、
今回のようにAと銀行という別個の法益主体が絡む場合には、素直に窃盗罪を成立させるべきですね。
昨年はスッポリと私の思考にハマる問題が出て運がよかっただけだと思っていますが、
つまらないと思われることに頭を悩ませていると、たまにハマることもあるのかな、と味をしめて、
刑法はつまらないことに頭を「ああだ、こうだ」と悩ませることにしています。
もうそろそろそんな時期でもありませんが。
193 :
裕子:04/03/26 13:17 ID:???
カードを交付させた行為については詐欺が問題。
クレジットカードについては
返しているので「損害」なし(受け取るときに返すつもりだったのでそもそも実行行為性無し)、
50万については、
カードの交付によって現金の占有が移転と同視
→50万に対する詐欺
引き落とした行為については、詐欺行為なく詐欺罪不成立、自己に占有ある以上窃盗罪も不成立
60万円の場合、
60万とるつもりで「50万円貸してくれ」といったら50万と同じ処理、
最初は50万のつもりで10万よけいにとったら横領罪になる
こんな感じになると思ったのですがどうでしょうか。
カードに対する詐欺については、詐欺罪成立しないので、そもそも錯誤は問題になりませんが、
かりに成立したとして(返さないつもりだったとして)、
カードを詐取する認識認容があった以上、錯誤の問題にはならない気がします。
194 :
裕子:04/03/26 13:20 ID:???
195 :
30:04/03/26 16:50 ID:???
>>193 > カードを交付させた行為については詐欺が問題。
> カードについては
> 返しているので「損害」なし(受け取るときに返すつもりだったのでそもそも実行行為性無し)、
カードそれ自体が重要な「財物」だというのが前提ですが、処分行為に向けられた「欺く」行為があり
ますし、錯誤、処分行為、財物の移転はあるといえますでしょうし、また、カードの交付は欺罔がなけ
れば交付されなかったであろう財物の喪失があるとみることができなくもないので、「損害」も認めて
よいかと思いますけど。
なお、この場面で、一時使用目的ということのみで、「欺く」行為がないとか、不法領得の意思を否定
するのは、難しいような気がします。何となくですけど。
> 50万については、
> カードの交付によって現金の占有が移転と同視
> →50万に対する詐欺
う〜ん。カードの交付で現金の占有が移転するんですか。キャッシュカードを取得した段階で、預金の
占有が移転というのは、これまた大胆な構成ですね。でも、これくらい構成を変えないと、詐欺という
説明は難しいのかも。
あと、この場合に「欺く」行為は誰に向けられていますか?ちょっと分からなかったのですが。
> 引き落とした行為については、詐欺行為なく詐欺罪不成立、自己に占有ある以上窃盗罪も不成立
窃取した預金通帳を使用して預金を引き出す行為は詐欺罪となりますけど、この場合とは違って理解さ
れているというわけですか。
196 :
30:04/03/26 16:51 ID:???
> 60万円の場合、
> 60万とるつもりで「50万円貸してくれ」といったら50万と同じ処理、
> 最初は50万のつもりで10万よけいにとったら横領罪になる
カードの交付によって現金の占有が移転したのと同視するとしても、これは50万の範囲であって、残り
の10万については、移転していないとは思います。
ただ、横領罪については、法律上の支配を観念するのでしょうけど、これは甲にあるんですかねえ?A
にありそうな気がしますが(横領罪において、預金による金銭の占有を認める立場が前提。窃盗とは異
なって、B銀行ではないと思うのですが)。そうすると、横領罪も不成立になりませんか。
とはいえ、正当な引出権限のある預金名義人には法律上の支配があるとするのが判例ですから、暗証番
号を知っているカードの所持人には法律上の支配があり、甲の「占有」があるとするのでしょうかねえ。
> カードに対する詐欺については、詐欺罪成立しないので、そもそも錯誤は問題になりませんが、
> かりに成立したとして(返さないつもりだったとして)、
> カードを詐取する認識認容があった以上、錯誤の問題にはならない気がします。
そうでしょうね。まあ、欺く行為は50万の交付に向けられており、その結果、キャッシュカードの交付
を受けたのですから、食い違いがあるとみられなくはないと思いますが、ただ、やはり軽微なものだと
思われます。ここは故意のレベルで処理できると思います。
いろいろな構成に触れることができて、面白いですね。ではまた。
197 :
河童:04/03/26 18:07 ID:???
ん?
僭越ながら、裕子さんの理論構築にいつもの鋭さ・迫力と緻密さがないような…。
昨年と類似する問題であまりいまの時期に考えても益はないからかもしれませんね。
みなさま(私も)択一の勉強が忙しい時期ですので、私も本問について深入りは避けます。
それで最後にもう一度考えて見たのですが、本問の小問(1)においては、
AがB銀行で50万円を引き出した時点ではなお、その引き出し行為はAの外形上の意思に反していない。
それでも銀行の占有を保護する必要があるのかは疑問がある。
(たとえば、引き出し時点で銀行が本人Aに確認をとっても甲の50万円引き出しを許諾するはず)
誤振り込みの場合と対比すると、誤振り込みの場合、外形上も引き出し行為が誤振り込み者の意思に反し、
それゆえにまた銀行の意思にも反するのに対して、本問では事情が異なっていると思われる。
またA50万円詐取するという故意がキャッシュカード詐取時から連続していること。
これらを強調すれば、1項詐欺一罪説もあながち無理はないような気もします。
これに対して、小問(2)の場合は、
@60万円という現金の引き出し時に既に外形上もAの意思に反すること(普通に考えれば60万円全部)、
ということはまた、現実的な占有者である銀行の意思にも反すると考えられること。(=誤振り込み引き出しと類似)
Aキャッシュカード詐取時と現金引き出し時とでは故意の内容が異なること。
それゆえに刑法上も別個の違法行為として別個に評価すべきであること。
これらを強調すれば、小問(1)と異なり、キャッシュカード詐取+窃盗罪としてよいような気がします。
結局、アップ答案通りの結論と理論ですね…。
>いろいろな構成に触れることができて、面白いですね。ではまた。
これが私には一番の勉強になります。感謝。
198 :
裕子:04/03/26 23:28 ID:???
>>195 > なお、この場面で、一時使用目的ということのみで、「欺く」行為がないとか、不法領得の意思を否定
> するのは、難しいような気がします。
すぐ返すつもりで交付させ、そのとおりに返してるのに詐欺罪成立させるのも変だと思うのですが。
ということで、カードに関しては実行行為性がそもそもないのかなと思うのです。
> う〜ん。カードの交付で現金の占有が移転するんですか。
東京地判59.10.25がこんなんらしいです(ただ予備校の資料の記述。信頼性低)
> あと、この場合に「欺く」行為は誰に向けられていますか?
Aです。
> 窃取した預金通帳を使用して預金を引き出す行為は詐欺罪となりますけど、この場合とは違って理解さ
> れているというわけですか。
そうなりますね。窃取行為と詐欺行為が交叉してるってことで、異なるのもありかと。
> カードの交付によって現金の占有が移転したのと同視するとしても、これは50万の範囲であって、残り
> の10万については、移転していないとは思います。
なぜでしょうか。引き出せる範囲(で故意ある分)全部でいいと思うのですが。
> とはいえ、正当な引出権限のある預金名義人には法律上の支配があるとするのが判例ですから、暗証番
> 号を知っているカードの所持人には法律上の支配があり、甲の「占有」があるとするのでしょうかねえ。
前述東京地判59.10.25の立場だと、こう考えるのが自然ですよね。
199 :
131:04/03/27 00:01 ID:???
ひじょうに遅レスですが…
>>189 > 被詐欺者 処分行為者 被害者 客体 罪名
>131さんの考え (?) A A 50万の法律上の占有(?)1項詐欺
>考えられる筋 B B(?) A 現金 1項詐欺
被詐欺者はA、処分行為者はB、客体は現金と考えていました(多分ツッコミには耐えられません)。
処分行為者Bは規範的に被詐欺者Aと同視します(タンスのような引き出し道具だと思ってください)。
Bは法律上の占有者の引き出し要求に応じる義務がありますので、甲が一時的に意図したのは
Aを欺もうすることによる法律上の占有の取得ですが、右の意図は究極的には50万円という現金自体の
奪取に収束しますので、客体は法律上の占有を超えて現金(事実上の占有という必要はなく、単に
Aの意思に反するBの交付)といえるのではないかと思った次第です。
個別財産罪ですから、Aの意思に反するBの交付がAに対する損害となり、1項詐欺が成立します。
>これに対し、カードを交付したAが処分行為者だとみるのであれば、この場合は、被詐欺者と処分行為者とが
>異なる場合であり、訴訟詐欺における通説のように、AがBに従わざるを得ない必然性のある関係であること
>が必要とされると思われます(これは被詐欺者≠処分行為者という点について、訴訟詐欺と並ぶ例外を認める
>ことになる)。でも、これはちょっと厳しいか。
200 :
131:04/03/27 00:06 ID:???
ちょうどこれの反対な考えになるのでしょうか。
論理もぐちゃぐちゃですね。
>>198 >すぐ返すつもりで交付させ、そのとおりに返してるのに詐欺罪成立させるのも変だと思うのですが。
河童さんも答案でこの点を検討されてますね。
やはり、交付させる意思を超えた不法領得の意思が必要、というのが正しいのでしょうか。
201 :
30:04/03/27 11:16 ID:???
>>198 > > なお、この場面で、一時使用目的ということのみで、「欺く」行為がないとか、不法領得の意思を否定
> > するのは、難しいような気がします。
> すぐ返すつもりで交付させ、そのとおりに返してるのに詐欺罪成立させるのも変だと思うのですが。
> ということで、カードに関しては実行行為性がそもそもないのかなと思うのです。
例えば、金庫の鍵を使い終わったから返しましたといっても、やはり無罪なんでしょうか?
> > カードの交付によって現金の占有が移転したのと同視するとしても、これは50万の範囲であって、残り
> > の10万については、移転していないとは思います。
> なぜでしょうか。引き出せる範囲(で故意ある分)全部でいいと思うのですが。
処分意思が必要ないという立場ならば別ですが、何らかの形で必要だとすると、やはり50万の範囲ではないか
と考えました。なお、Aは「忙しいので、これで50万円を引き出してくれ」と言っており、移転する財物につ
いての認識はありますから、意識・無意識の話ではないと考えました。
それとも、たとえ移転する財物についての認識があっても、引出限度額まで無意識的処分行為があると考えて
おられるのでしょうか。たぶん後者なんでしょうけど。
202 :
30:04/03/27 11:39 ID:???
>>199 ぐちゃぐちゃとは思いません。ちょっとわたくしの検討が不十分だっただけです。
現金の引き出し行為というと、どうしても、被詐欺者がBという考えが、頭から抜けなかったので。
普通にいけそうな感じがします。ただ、これなら詐欺一罪説を採った方が楽かもしれません。
>>200 交付させる意思というのは、詐欺罪における故意の内容のはずです。不法領得の意思は主観的超過要素
なので、故意に加えて必要なものです。なお、不法領得の意思は、当然のことながら、詐欺罪において
も必要です。これは大谷にも書いてます(西田各論は省略。ちょっと不親切か)。
で、わたくしも当然のことながら、「その後直ちにキャッシュカードをAに返却した」という点を捉え
て不法領得の意思についての検討はしますよ。ただ、河童さんと同様、不法領得の意思はありとします
けど。これに対して、裕子さんは、詐欺罪としての実行行為性がない(あるいは不法領得の意思がない)
とされています。
203 :
裕子:04/03/27 12:35 ID:???
>>201 > 例えば、金庫の鍵を使い終わったから返しましたといっても、やはり無罪なんでしょうか?
鍵については不成立、金庫の中身につき詐欺罪成立だと考えていました。
> 処分意思が必要ないという立場ならば別ですが、何らかの形で必要だとすると、やはり50万の範囲ではないか
> と考えました。
Aの処分意思の範囲で決まるということですね。
Aが預金が50万以上あるのに50万と限定してたら、50万の限度、
預金額には曖昧で、預金を全部下ろす、という処分意思なら、60万まで含まれるのかな?
> それとも、たとえ移転する財物についての認識があっても、引出限度額まで無意識的処分行為があると考えて
> おられるのでしょうか。
そういうことです。ただ、50万円に限定する趣旨なら、30さんのおっしゃるように考えるべきなのかも。
204 :
裕子:04/03/27 12:36 ID:???
あと、預金返還債権取得に対する二項詐欺とも考えられますね。
というか、この方がすっきりしていい気がしてきました。
保守
206 :
131:04/03/28 00:32 ID:???
>>202 >不法領得の意思は、当然のことながら、詐欺罪においても必要です。
恥ずかしながら知りませんでした。
窃盗罪と横領罪くらいでしか検討しない主観的超過要素なのかと。
財産罪全体を通じて要件にあたるのですね。勉強になります。
207 :
30:04/03/28 10:04 ID:???
>>206 具体的には、財産罪のうち窃盗罪、不動産侵奪罪、強盗罪、詐欺罪、恐喝罪および横領罪です。
これらは領得罪のカテゴリーです。つまり、不法領得の意思が必要になるわけです。
意外と盲点みたいですね。ここ。特に独学だと。言われてみれば当たり前なんですけど。では。
208 :
河童:04/03/30 14:59 ID:???
本問の論議も一段落したみたいですね。
なんだか勉強してからはじめて理由のわからない脱力感に襲われて、
しばらく択一の勉強をツラツラとやっていました。
幸い択一の成績は安定しているので、4月上旬までは商法の勉強も並行していこうと思います。
(商法のみ自分なりの模範解答をつくってこなかったので、いまになってひどく後悔しています。)
それにしても、自分なりの模範解答をつくっていくという勉強方法が、
自分が期待した以上の成果をあげられたのは、まぎれもなく皆様のおかげ。
ほんとうに感謝しています。
まずはこのスレ(死にかけの前スレ)を見つけてくださって、コメントをくださった131さん。
偶然のきっかけから素晴らしい成果をあげさせていただきました。感謝。
また、同じく最初にコメントをくださった外野手さんにも感謝です。
そして、外野手さんのおかげで、30さんに巡り合えたことにも大変感謝。
30さんは、自らこのスレ(死にかけの前スレ)を見つけてくださいました。
更には、30さんのおかげでご参加いただけた裕子さん。
いつも鋭く論理的なご意見と解説、ご指摘は大変有益でした。感謝。
学者系スレの方達の凄まじい実力を目の当たりにするたびに、学問的に勉強になることはもちろん、
常に法律や司法試験に対して謙虚になれるのが私には何よりよかったように思えます。
私はひとまず感謝の嵐で、択一前の(答案)書き込みを終了したいと思います。
もし宜しかったら、択一終了までは法律的な質問+論議&試験情報含む雑談スレとして活用しましょう。
209 :
裕子:04/03/30 18:42 ID:???
>>208 こちらこそいろいろ勉強させていただきました。ありがとうございます。
210 :
131:04/03/30 19:34 ID:???
>>208 こちらこそ有益な場を提供していただき、感謝に耐えません。
択一目前にひと段落ですね。一ヵ月後の択一に向けて続けて頑張っていきましょう。
キリがいいので、これまでの流れを整理しておきます。
・憲法
前スレ125@地方自治
136A選挙運動の自由
156B首相公選論
159C憲法判断における合理的期間論
・民法
171@時効と登記
191A177と424
208B将来債権の譲渡
227C請求問題@
232D抵当権の実行
270E地上権・地役権・賃借権
287F請求問題A
・刑法
309@因果関係
本スレ38 A管理過失
89 B危険の引き受け
99 C承継的共同正犯
109D同意殺人
137E死者の占有
178Fカード詐欺
けっこうたくさんありますね〜。河童さん、ありがとうございました。
211 :
30:04/03/30 20:46 ID:???
>>208(河童さん)
>>209(裕子さん)
>>210(131さん)
憲・民・刑、終了おめでと〜 !!
いままでホントありがと〜 !!
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
o o o o o o
* * * * * *
∵+∴+∵ ∵+∴+∵
∧_∧\ξ/ ∧_∧ \ξ/∧_∧
( ・∀・) ∇ ( ・∀・ ) ∇ (・∀・ )
(((つ───つ ( ) ⊂───⊂)))
( (\ \ | | | / /( (
(__) (__) (__)_) (__) (__)
お疲れ様でした。択一、がんばりましょう。ではでは。
212 :
30:04/03/31 11:54 ID:???
>ALL ちょっと不穏な雰囲気です。以下、荒らしは徹底放置でよろ。
このスレも択一明けまで小休止?
では適宜保全の方向でよろ(ry
215 :
河童:04/04/05 21:46 ID:???
保全ありがとうございます。
せっかく30さんと1さんにご用意いただいたスレですから、
なんとか択一後まで保全しないと申し訳ありませんからね。
択一は刑法がコンスタントに点数がとれるようになって、成績が安定しました。
去年の本試験では刑法はかなり簡単に思えたのですが、フタを開けてみれば14点。
一番時間を使ったのに(当然ですが。過分に、という意味で)、一番足を引っ張りました。
実際に、憲法や民法は、怪しげな問題(主観的に、ですが)が数問ずつ出ると、
2択・3択まで絞れてから運次第みたいな感じで(真の実力者にはそうではありますまいが)、
冷や汗ものだけに刑法の底上げはかなり大きいです。
去年は「運がよければ合格」レベルでしたが、今年は「運が多少悪くても合格」というレベルで臨めそうな感触。
また択一後には全員で勉強会をさせていただきたいと思いますので、頑張りましょう。
216 :
30:04/04/09 01:23 ID:???
保守
>河童さん
保守自体は、sageカキコでもOKなので、
とりあえずは、4〜5日位で1レス付ければ
十分だと思いますよ。
こちらは、ちょっと点が伸びないので、
焦っています。
ただ、やるべきことをひたすらやるだけです。
ちょっと、余裕がなくなっているので、
以後、あまり書き込みができそうもありません。
では。
>>217 なかなかいいね。ここのスレの基礎版ってかんじかな
219 :
131:04/04/11 12:00 ID:???
こんにちは。ちょっと分からないところがあるので、論文用ではないのですが書かせていただきます。
民法・混同の問題です。一ヶ月きって皆さんお忙しいと思いますが、よろしければご批判お願いします。
以下の場合にBの賃借権は消滅するか。
1. 土地賃貸人Aを賃借人Bが相続した場合。
2. C所有土地の無権限賃貸人Aを賃借人Bが相続した場合。
1.について
この場合、@Aの賃借債務とBの賃借権、AAの所有権とBの賃借権、が混同している。
@については520(債権の混同)あるが、Aについては明文ない。
しかし、賃借権は物権化しているため、179「物権」に賃借権を含めてよいと解する。
そこで、Aについては179準用で処理すべきである。
そして、物権の効力は債権の効力に優先するので、本件では520の適用は排除されると解する。
以上より、本件では179T本文準用により、Bの賃借権は消滅する。
2.について
他人物賃貸借の事案であるので、1.と異なりAの混同はない。
そこで、通常の債権の混同の場面であることから520の適用は排除されない。
そして、所有権者Cには他人物賃貸借の追認権がある(116類推)。
Cの追認があれば他人物賃貸借における債権債務関係がBC間に遡及的に帰属することになるため、
かかる賃貸借関係を存続させることの実益もある。
よって、かかる追認権は「第三者の権利」(520但)にあたるため、Bの賃借権は消滅しない。
※ 辰巳詳解H8-25の解説では179準用を対抗力ある賃貸借に限定しているようですが、
H11-31解説では限定ないように読めるので混乱しています。
物権化は対抗力付与の前提なので無制限の方がベターでしょうか。では。
220 :
30:04/04/11 16:19 ID:???
>>219 > ※ 辰巳詳解H8-25の解説では179準用を対抗力ある賃貸借に限定しているようですが、
> H11-31解説では限定ないように読めるので混乱しています。
> 物権化は対抗力付与の前提なので無制限の方がベターでしょうか。では。
まず、判例ですが、最判昭46.10.14ですよね。
http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/VM2/649A3021FDABD44D49256A85003121EC?OPENDOCUMENT 「 特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、その賃借権が対抗要件を具備
したものであり、かつ、その対抗要件を具備した後に右土地に抵当権が設定されていたときは、民法一七九条一項但
書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきである。そして、これは、右賃借権の対抗要件が建物保護に関
する法律一条によるものであるときであつても同様である。したがつて、以上と同旨の原審の判断は正当であり、原
判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を非難するものにすぎず、採用すること
ができない。」
これによると、対抗力ある賃借権に限定して理解した方がよさそうです。
H11-31は、ウは対抗要件を具備している賃借権だとみたほうがよさそうです。
あの問題のウは、勉強した人の方が引っ掛かって迷うという質の悪い奴だと思います。そういうときには条文の要件
をガチガチに検討して、確実な正誤をもとに、肢との関係で正解を導くしかない、というのは受験生の共通認識だと
思います。そして、この方針で正解を導きうるので、(アが○、イが×(Cの権利の目的が乙建物)、エが×(素直
に考えて)くらいで肢1になってしまいますから。ウも○っぽいし。)、131さんも、あまり気にしない方が良いよ
うな。また、詳解の解説も、問題解決に必要とされる以上に詳しすぎるんですよね。でも、勉強にはなるから、わた
くしも使ってます。ではでは。
221 :
131:04/04/11 21:21 ID:???
>>220 30さん、即レスありがとうございます。
判例の射程は対抗力ある場合に限って及ぶと読むのがすなおですね。
この時期にテキストに手を加えていくのはどうなんだろう…とふがいない今日この頃です。
>詳解の解説も、問題解決に必要とされる以上に詳しすぎるんですよね。でも、勉強にはなるから
そうですよね。ほんとは消去法に必要な最低限の知識だけが重要なのでしょうが、いかんせん細かくて。
考える素材になっておもしろいのですが、本筋を外れないようにしないといけませんね。
おかげでオープンは惨憺たる結果でした(みっともなくも他人に罪のなすりつけ)。
いや、感謝してます辰巳さん(いいわけ)。なんのこっちゃなスレ汚し失礼しました。
お忙しいなかお疲れ様です。30さん、131さん。
>確実な正誤をもとに、肢との関係で正解を導くしかない
30さんのおっしゃるとおり、精神的に気持ち悪くても、この方法でマークを塗りつぶすしかないんですよね。
本番でも精神的に気持ち悪いのをおそれず、マークを塗り潰せるか、という問題があると思います。
「これで間違えていても悔いはない」という気持ちで、自分の思ったとおりにマークするとだいたい不正解。
「気持ち悪いけど、これが正解なんだよな、結局」のほうがだいたい正解。
不本意ながら、私はテクニックのほうを重視しています。 試験に落ちればやはり悔いが残りますから……。
ただ、あまりこの方法に頼ると、論文の実力がつかない…去年の私がこのタイプです。
みなさんのおっしゃるとおり、こういう問題で悩むことが論文の実力につながると思います。
また、なにかありましたらアップしてください。
223 :
河童:04/04/13 22:25 ID:???
ついに寝ぼけてやってしまいました……。
みなさま、お気になさらずに。
224 :
河童:04/04/17 15:56 ID:???
保守。
気象ヨホ牛の野郎、ようやく見つけたぞ・・・っと
まさかこんな良スレに・・・
∧_∧
∧_∧ 煤i´<_` )!! 一週間も捜索してたのか、兄者よ
/lli´_ゝ`ヽ / ⌒i
/ ヽ | | 〃'´⌒`ヽ
/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ | 〈((リノ)))iヽ レス番222とは流石博徒なのじゃ
__(__ニつ/ FMV / .| .| リ.・∀・ ノ!リ
\/____/ (u ⊃ ̄ ̄ ̄ ̄⊂二) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
227 :
:04/04/21 10:24 ID:???
age
229 :
131:04/04/27 18:03 ID:???
法主
230 :
:04/05/03 10:10 ID:???
231 :
河童:04/05/07 22:29 ID:kue8IdSZ
いよいよなんとなく落ち着かなくなってきました。
来年の母の日までは長い……。みなさん頑張りましょう。
232 :
河童:04/05/09 23:28 ID:???
みなさま、お疲れ様でした。
とりあえず商法からまた頑張りましょう。
ただ、商法・両訴は絶対的に勉強量不足ですので、
私のアップの時期・内容は微妙です。
どなたかアップしてくださっても大変助かりますので、よろしくお願いします。
233 :
131:04/05/10 02:09 ID:???
択一お疲れ様でした。
今年も微妙な結果で、死刑執行を待つ既決拘禁者のような気分です。
力不足な自分が言うのもなんですが、論文向けてまた頑張っていきましょう。
234 :
30:04/05/11 02:23 ID:???
235 :
河童:04/05/13 01:20 ID:???
昨年は6月から答錬を受けて論文の作成不足(そもそも勉強不足ですが)を痛感したので、
今年はなるべく多く誤魔化しの利かない模試形式で本数を書くべく、辰巳と併用の形をとり、
明日からLecの答錬を受けに行くことにしました。
ということで、明日から商法の模試なので、題材を探してボチボチ書き込めると思います。
そのときは皆様、どうぞ宜しくお願いします。
学者系スレでは裕子さんが早くも論文に向けてリスタートなさっていていい刺激になりました。
知識と実力で負けている分、気持ちで負けないように頑張らなくては、と自分に言い聞かせたところです。
昨年は択一の点数が微妙な上、勉強量の関係で5月に商訴の模試を受けられる状態ではなく、
模試には6月からの参戦・・・いまにして思えば、その時点ですでに気持ちで負けていたのかも。
今年は悔いのないように明日から気を緩めずに模試を受けていきます。
236 :
河童:04/05/14 13:11 ID:???
*前置き
みなさん、こんにちは。このスレも今日からリスタートさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
まずは手形法から。(恥ずかしながら会社法の100選がどこにも売っていなくてまだ入手できていません……)
昨年は商法を勉強する時間がなく、手形法に山を張って総則の答案を一本も作成せずに、論文試験に臨みました……。
今年こそ手形法だと期待しています。(昨年は試験後ぶつぶつ言っていたら隣の席の方に同情されてしまいました)
本問はレックさんのファイナル答練1の問題なので、これから受講される方はご承知おきください。
もちろん、すでにご受講されていらっしゃる方は、積極的にご参加いただければ幸いです。
また、優れた問題であり、レックさんの宣伝にもなると思ってアップさせていただきますが、
問題アップに不都合がおありの場合には、一言いただければ幸いです。
問題
甲会社の代表取締役Aは、手形の振出人欄に「甲株式会社A」と署名し、
甲株式会社代表取締役の印を押捺した上で、取引先Bに対し、手形金額が1000万円の約束手形を振り出した。
Aが手形を振り出した真の意図は、Bと通じ、自己及びBの利益を図ることにあった。Aが手形金額を記載する際、
Aが100万円と記載するつもりで、誤って1000万円と記載したことにBは気づいたが、
甲社の信用を利用してできるだけ多額の融資をCから受けたいと考えていたBは、「これは都合がいいぞ」と思い、
そのまま右手形をCに裏書譲渡した。
Cは甲社に対し、手形金を請求することができるか。
237 :
河童:04/05/14 13:12 ID:???
1 まずCが甲社に対し手形金を請求できるか検討する前提として、
甲社が本問手形における手形上の責任を負い得るかが問題となる。
この点について、本問手形には「甲株式会社A」と記載されているのみであるが、
甲株式会社代表取締役の印が押捺されている以上、手形面上から社会通念上Aが甲社を代表して
振り出したものであるとみることができるので、甲社は本問手形上の責任を負い得るというべきである。
2 しかし、本問において、AはBと通じて自己の利益を図るために甲社の代表権を濫用しているのであり、
甲社はかかる代表権の濫用を理由に、手形上の責任を否定し得るのではないか。
この点について、代表者の私利を図る内心と本人のためにする外観の間に不一致があり、
心裡留保(民法93条但書)に類似する構造が認められる。
そこで、民法93条但書を類推適用し、相手方が濫用の意図を知り又は知り得た場合には、
代表者の権限濫用になる手形行為は無効になると解する。
本問では、AはBと通じて代表権濫用による不正な手形振出行為をなしているのであり、
Bは当然悪意であるので、本問手形振出は無効となる。
3 もっとも、本問のように外形上まったく真正に振り出されたものと変わりがない手形にもかかわらず、
これを一律に無効としたのでは、本問Cのような第三取得者の取引の安全を著しく害し、
ひいては手形取引の促進を妨げる結果となる。
そこで、本問Cのような第三取得者は、権利外観法理により保護され得るとすべきである。すなわち、
@虚偽の外観が存在し、Aその虚偽の外観に手形面上の債務者の帰責性がある場合には、Bその虚偽の外観を
善意・無重過失で信頼した第三者に対して、手形法10条を類推適用して、手形上の債務を負うと解する。
なお、実際には@ABの要件に関する事情を総合的に考慮した上で、真の権利者の犠牲の下に、
第三取得者が保護に値するか否かを慎重に判断することが必要となろう。
238 :
河童:04/05/14 13:13 ID:???
(1)本問では、甲社が責任を負うべき手形金1000万円の手形という@虚偽の外観があることに問題はない。
(2)そして、私利を図るため不正行為を企て、さらには「100万円と記載するつもりで1000万円と記載」する
ようなAを代表取締役に選任し十分に監督していなかった手形面上の債務者たる甲社の帰責性は小さくない。
(3)よって、Cが善意・無重過失でかかる虚偽の外観を信頼した場合には、
Cは甲社に対し、1000万円の手形金を請求できることになる。
なお、Cの善意・無重過失を判断する上で、Bは甲社の取引先であることから
本問手形の流通経路に不審な点がないことはCに有利な要素となろう。
他方で、Aは100万円を振り出そうとしたのであり、甲社の規模やBとの取引の内容を考えた場合に
1000万円という手形金額が不相当に過大な場合は、Cに不利な要素となろう。
本問からは具体的事情は明らかではないが、前述の要素に加え、
甲社・ABCの人的関係などをはじめ周辺事情を取り込んで妥当な結論を導くべきである。
4 以上より、CがAB間の事情について善意・無重過失である場合には、
Cは甲社に対して1000万円の手形金を請求できるが、悪意・重過失ある場合には手形金の請求はできない。
**後述
いきなりチャレンジングな問題と答案になってしまい、どうも相変わらずの邪道答案のような気がして恐縮です。
レックさんの模範解答では「やはり」というか手形金額の一部錯誤が重要論点のようですが、
かかる間抜けな不正行為をする代取Aの存在する事案において、手形金額の一部錯誤を論じることは、
「Aの不正行為・錯誤」と「甲社の責任」との相関関係がスッキリしないような気がします。
そこで、代表権の濫用において判例理論をとって無効とし権利外観法理で強引に押してみました。
Cは17条により害意がある場合のみ保護されないとしても、本問ではAB間の事情につき「単純悪意」でも
「害意あり」と認定されるでしょうから、オーソドックスに答案作成すべきで、
手形法だけにABとCがグルでなければ保護するとしてよいような気がしつつも……。
見開き・30分で書き終えてしまえる答案でした。
239 :
131:04/05/14 18:56 ID:???
こんにちは。
>>236 シンプルで読みやすいですね。内容について、
・L3.>手形面上から社会通念上Aが甲社を代表して振り出したものであるとみることができるので
Aは代取なので実質的にも手形振り出し権限がある、といっておく。
(本問は機関方式なんでしょうか。よく分かりません。)
・>手形法10条を類推適用して
細かいですが、77条2項・10条、の約束手形引用条文も。
・個人的には、Cが悪意重過失でも、甲は100万円の限度では責任を負ってもいいかと思います。
Aに損害賠償請求できるでしょうし。
民法適用否定説・人的抗弁説をとらないと、民法の答案に近くなるきらいがあります。
決して邪道ということはないと思いますが、商法の答案である以上、
せめて手形の特殊性(流通性とか)にひとこと触れていいわけをしておくといいのでは。
240 :
河童:04/05/14 22:32 ID:???
>>せめて手形の特殊性(流通性とか)にひとこと触れていいわけをしておくといいのでは。
的確なご指摘ありがとうございます。これには気をつけないといけないと思っていたところです。
今日の模試で「重過失」についての判断を記述する際に、
「取引安全の保護の要請が高く、とりわけ外観に対する信頼が重視される手形取引において、
Aになお重過失が認められる場合には、〜〜。」みたいな記述をしました。
これについては、本試験までに決まった表現を用意しておこうと思っています。
>>Aは代取なので実質的にも手形振り出し権限がある、といっておく。
これは模範解答でかなりスペースを割いて強調してあったので、ヘソを曲げてみたのですが、
やはり一言触れておかないといけないみたいですね。ご指摘いただいたことで、再確認できました。
やはり、ここでイロイロご指摘いただけるのは大変助かります。
レックさんは、添削者のレベルはまだわかりませんが、答案返却が2週間もかかるということなので・・・。
*会社法の100選も今日購入。ボチボチ会社法もアップしていきたいと思います。
241 :
裕子:04/05/14 23:34 ID:???
おひさしぶりです。論文にむけて頑張っていきましょう。
>>236 記名捺印のとこですけど、
記名のとこは肩書きだけだが捺印はちゃんとしてるって問題ですよね。
こんな問題といたことないんでよくわからないんですけども、
著名は手形記載上から客観的に、っていう基準を出して、
記名だけ見たら、判定不可能、けど、
捺印部分まであわせたら法人のための手形行為といえる、
っていう流れになるんでしょうか。
ちょっと出題意図がはっきりとはつかめないんですけども。
242 :
河童:04/05/15 00:06 ID:???
>>241 裕子さん、お久しぶりです。
また、ご参加いただけて嬉しいかぎりです。
さて、ご質問のことですが、まったくもっておっしゃるとおりです。
(というか、レックさんが決めることですが、出題意図はまさしくそれです)
私の答案でそれが表現できていないとなると問題ですね・・・。
確かに、改めてみると微妙といえば微妙な気がします。
こういう短い答案で「わかるでしょ?」的な記述はご法度で、
上述いただいた流れを追うくらい丁寧に論述すべきかもしれません。
これも貴重なご指摘、どうもありがとうございます。
相変わらず基礎がおろそかなことを自覚して、丁寧な答案作成を心がけなければと肝に銘じます。
243 :
30:04/05/17 03:11 ID:???
こんばんは。
>河童さんへ
水を差すようで心苦しいのですが、
直前答練の問題を、ネタバレスレよりも早く全文うpして検討するのは、
さすがにマズイかと思います。
そんなこともありますので、わたくしのレスは火曜以降で。
ただ、コメントも、あまり期待しないで下さい。
こちらは何とか民訴までファイルを一回し。
近日中に、居所をまた移転するので、それまでに一区切り付けたいところです。
ではまた。
244 :
河童:04/05/17 22:25 ID:???
>>243 30さん、おっしゃるとおりのような気がしたこともあってアップは控えています。
もともと、商法は答案アップしてみなさまの意見を聞くより一行問題の知識を増やさないと、
どうも知識不足な状態なので、しばらくおやみすしようかとも・・・。
ちょっと身辺もごたごたしていまして。
しかし、この時期にお引越しとは大変ですね。影ながらうまく勉強が進むように願っています。
245 :
30:04/05/19 12:04 ID:???
こんにちは。
まず、答案全体の方向性ですが、一方で、Cの手形金請求が認められるためには〜という要件が……。
というタイプがあり、他方で、要件事実論ベースのタイプつまり形式的資格と実質的権利という流れ
で書くタイプがありますけど、ただ、後者のタイプで書ければかっこいいんですが、無理して嘘を書
くのも恐いし、ということで、わたくしは、ありきたりの前者のタイプの答案を書いています。
>>241 この記名捺印のところは、ちょっと意図が掴めませんね。同感です。
>>237-238 Cの保護なんですけれども、判例と同様に、民法93条但書類推適用説に立った場合、権利外観法理に
よるというのは聞いたことがなかったです。人的抗弁としていると思うんですけど(理論的におかし
いという批判は強いですが)。これに対して、94条2項類推説があるというのが、一応の学説状況で
あったように思います。まあ、詳しく言えば、判例は、裏書譲渡の場面では人的抗弁ですが、差押え
を受けた場面では94条2項類推だったように記憶しています。
(ただ、手許に資料の全くない状況で書いているので、激しく批判的に。)
錯誤の論点と権利濫用の論点を、どのような順序で書くかは手形行為のどの要件のレベルなのかが
問題になるところなので、注意が必要かと思います。
一部錯誤の問題において、一部無効にするか全部無効にするかは、かなり戦略的に検討する必要が
あります。一部無効とする立場が一般ですが、これは下流の人間が登場した場合に複雑化する危険
がありますので(善意取得との関係)、全部無効とする方が書きやすいことが多いかもしれません。
>「Aの不正行為・錯誤」と「甲社の責任」との相関関係
という点ですが、こんな署名をして手形を振り出したAについて、リスクを負担すべきなのは、甲
会社の側なんでしょうね。甲社の代取なんですから。仕方がないんじゃないでしょうか。
とりあえずは、こんな感じで。
246 :
30:04/05/19 12:41 ID:???
>>245 思いっきり間違えました。。。
「錯誤の論点と権利濫用の……」×
「錯誤の論点と代表権の濫用の……」○
こんな書き間違いしてたら落ちるな。 orz
247 :
河童:04/05/20 13:53 ID:???
>Cの保護なんですけれども、判例と同様に、民法93条但書類推適用説に立った場合、権利外観法理に
>よるというのは聞いたことがなかったです。人的抗弁としていると思うんですけど(理論的におかし
>いという批判は強いですが)。これに対して、94条2項類推説があるというのが、一応の学説状況で
>あったように思います。まあ、詳しく言えば、判例は、裏書譲渡の場面では人的抗弁ですが、差押え
>を受けた場面では94条2項類推だったように記憶しています。
>(ただ、手許に資料の全くない状況で書いているので、激しく批判的に。)
手元の資料で調べる限り、おっしゃるとおりです。
現在では私もやはり17条によるべき気がしています。
(レックさんの添削者の評価=レックさんの添削者に対する評価や如何に、といったところです)
ところで、私は予備校で高校時代の友人とバッタリ会いまして、
こいつが実力は私より下だと思いますが(笑)、なかなか堅実なので、
ファイナル答練の検討会は模試が終わった直後に、そいつとやることにしました。
商訴はやはり自分の知識不足を補うのが先決なため、アップは控えさせていただき、
6月以降、学者系スレはお休みのようですから、その頃から上三法をアップしたいと思っています。
248 :
河童:04/05/20 14:00 ID:???
ちなみに、どなたかの答案アップや質問・検討論点等のアップがあれば大歓迎です。
131さんにご提示いただいた「死者の占有」関連の問題が択一に出て、
決して難しい問題ではありませんでしたが、
「一般人の立場から見て、財物が外形上他人の支配を排除する状態に置かれている場合に
死者の占有を肯定する」という説を見てニヤリとしたものです。感謝。
どうぞよろしくお願いします。
249 :
131:04/05/20 19:10 ID:???
お邪魔します、基本的なところで躓いてしまいました。実質的逮捕の論点です(塾問から引用)。
かなり端折り気味ですが、よろしければ流れについてご批判ください。
「殺人事件を捜査中の警察官4名が深夜甲のマンションに赴き、警察署への同行を求めた。
甲は同行を拒んだが、「来ないのであれば殺人容疑で逮捕する。」と言われたため、やむなく
同行に応じ、4名の警察官に両腕を抱えられ、前後を固められた上で警察車両に乗せられ、
警察署へ連行された。その後逮捕状請求がなされ、発布を受け通常逮捕がなされ、送検され
た検察官は勾留請求した。この勾留請求は認められるか。
なお、勾留請求に先立つ期間制限につき違反はないものとする。」
1 甲に対する勾留請求が認められるためには、適法な逮捕が先行している必要がある。
(被疑者勾留についての逮捕前置主義、207条1項本文)なぜなら、逮捕に瑕疵があれば、
そもそも身体拘束を正当化する根拠を欠くからである。
もっとも、捜査の必要性(1条参照)から、軽微な瑕疵ある逮捕は適法な逮捕と解すべき
である。 そこで、令状主義に反する重大な違法ある逮捕ある場合に限り、逮捕前置主義に
反し、勾留請求が認められないと解する。以下本件につき検討する。
250 :
131:04/05/20 19:11 ID:???
2 通常逮捕(199条)自体には瑕疵がないとも思えるが、これに先行して司法警察目的の
任意同行がなされていることから、任意同行の適否が問題となる。
ア 強制処分は法定されている必要がある(197条1項但書)ところ、強制処分とは、個人の
意思に反して重要な権利侵害を伴う行為をいうと解する。とすると、任意同行も、真に任意に
なされた場合には意思決定の自由(憲法13条前段参照)の侵害のおそれがなく、任意処分
(197条1項本文)にあたり原則自由であると解する。
これに対して、任意になされなかった場合、意思決定の自由という重要な権利の侵害が
あることから強制処分にあたり、任意同行は実質的に逮捕と態様が類似することから、
逮捕そのものとみなし、強制処分法定主義には反しないが、令状主義に基づき、逮捕手続
(199条、210条、212条等)を経る必要があると解する。
イ では、本件において意思決定の自由の侵害があったといえるか。具体的には、時間・場所・
方法・被疑者の態度等を総合考量して決する。
この点、甲は深夜自宅マンションを訪問されており、近隣住民への配慮が必要な状況にあり
おのづから自由な意思決定は抑圧されやすい。加えて甲は当初同行を拒んでおり、警察官の
脅しとも取れる言質に屈して「やむなく」同行に応じたものであり、さらにパトカーに乗るまで
屈強の警察官らに行動を支配されている。これらを総合考量すると、意思決定の自由の侵害
があったといえ、本件任意同行は実質的逮捕に当たる。
ウ とすると、右実質的逮捕の時点で逮捕要件を充足する必要があるが、甲は現行犯ではなく、
自宅マンションに滞留していたことから緊急性もないため212条、210条の各場合にあたらない。
そして、この時点では通常逮捕状(199条)の発布も受けていない。したがって逮捕要件を
欠き、令状主義に反する。
3 以上より、逮捕手続に令状主義に反する重大な違法があるため、逮捕前置主義に反し、
本件勾留請求は認められない。
251 :
131:04/05/20 19:26 ID:???
>>248 河童さんの二ヤリ、という気分がよく分かります。
いろいろ考えを知って、さらにこねくりまわした考えは血肉になると実感しました。
論文に向けて、しっかり自分の頭で考えていかねば、と思っています。でわ。
252 :
30:04/05/20 23:12 ID:???
こんばんは。
>>249-250 この場合の流れというのは、「この勾留請求は認められるか。 」という問題提起がなされている
場合に、「先行する逮捕手続の違法と勾留請求の可否」という論点から先に書いて、任意同行が
許されるか、という論点や、任意同行の限界を超えた実質的逮捕といえるか、という論点に流し
てよいのか、という趣旨でしょうか。
わたくしの感想に過ぎませんが、述べさせていただくならば、問題はなかろうかと思います。この
流し方で書く受験生もかなりいるはずです。手許にある資料ですと、1998年度論文講座(後期)
1-1の優秀答案がそれにあたります。
これは、証拠能力から開いていくパターンと同じような感じですけど、問いに答えているような感
じで、いいんじゃないですか。ただ、この書き方ですと「2」以下の部分が、もたつきやすい部分
だと思いますので、バランスが肝心かと思います。この答案ですと、「ア」の部分はかなり圧縮し
て書かないと、焦点がボケやすいところだと思います。
個別的に気付いた点は、形式面なんですが、「1」の文末の、
>そこで、令状主義に反する重大な違法ある逮捕ある場合に限り、
という表現よりも、「3」の、
>逮捕手続に令状主義に反する重大な違法があるため、
という表現の方が分かりやすいような気がします。
う〜ん、何だか塾の添削みたいなコメント・・・。わたくしは所詮このレベルなんで、あくまでも
ご自分のリスクで、よろしくお願いいたします。
>おまけ
河童さんや131さんは学者系MLには参加されているのでしょうか?
わたくしは、先日、登録しました。なかなか充実していますね。すでに登録されていたら、スマソ。
ではまた。
253 :
131:04/05/21 00:33 ID:???
>>252 2の部分はこれ以上重すぎないほうがよいということでしょうか。
この問題のように、形式的には勾留請求の可否に関する問いでありながら、
実質的には任意同行の限界を聞いているときにバランスで迷うもので、参考になります。
>>逮捕手続に令状主義に反する重大な違法があるため、
>という表現の方が分かりやすいような気がします。
おっしゃるとおりですね。表現で悩んだ部分なんですが。
書きはじめに全体像というかバランスが見えてないせいかも知れないです。
アの論証のとこがちょっとあやしいので(いまいち何の問題なのか見えてません)、
ツッコミどころがありましたらお願いします。
学者スレの方はしばらく覗いていなかったのですが、ちょといってきます。
254 :
河童:04/05/21 00:47 ID:???
>>252 >そこで、令状主義に反する重大な違法ある逮捕ある場合に限り、
>という表現よりも、「3」の、
>逮捕手続に令状主義に反する重大な違法があるため、
>という表現の方が分かりやすいような気がします。
さらに、細かい表現についてで恐縮ですが、30さんのおっしゃるとおり、
「令状主義に反する重大な違法ある逮捕ある場合に限り」という表現は避けたほうがよいと思います。
なぜなら、「令状主義に反しない重大な違法がある逮捕だったときも」勾留請求は許されないはずだからです。
私は、『令状主義に反する「ような」重大な違法が逮捕手続にある場合』のように「ような」を多用しています。
これは、「原則〜〜、ただし例外として〜〜のような場合」という131さんにご提示いただいた書き方につながりますので、
ご恩返しと思って一応書かせていただきました。→流れは全然問題ない気がします。
*学者系MLには登録させていただいていません。どうもパソコンに疎くて・・・。チャレンジを考えてみます。
255 :
131:04/05/21 18:32 ID:???
>>254 >なぜなら、「令状主義に反しない重大な違法がある逮捕だったときも」勾留請求は許されないはずだからです。
なるほど、そうですね。重大な違法が排除要素ですから、よくない表現ですね。
「ような」という例示は使いやすそうなので、拝借させていただこうと思います。
不安材料だった流れは大丈夫っぽいのでこれでいくことにします。30さん、河童さん、ご助言多謝。
学者系の皆様の議論にはあいかわらずとてもついていけなそうですので、MLは断念。
ROMらせていただいて刺激を受けようと思います。(それだけでも情報量がすごいですね。尊敬。)
憲法に入ったようで、非常に面白いです。
257 :
河童:04/05/22 18:04 ID:???
>>256 おお、冷シャブさん、わざわざお越しいただいて恐縮です。
私は初学者卒業のつもりですが、基本書の一冊も持っていない人間なので、
ついつい尻ごみしていたのですが、ではチャレンジさせていただきます。
[email protected] このメアドに自宅のパソコンからメールを送ればよろしいのでしょうか?
冷シャブさんでなくとも、ご親切でパソコンに詳しい方(というほどのものでもないのかもしれませんが)
どうかご教授お願い致します。
>>257 それで良いです。
折り返し案内メールをお送りします。
259 :
河童:04/05/25 16:38 ID:???
民訴は一番勉強して日が浅く、また苦手でもあるため、私に重大な勘違いがあるかもしれませんが、
予備校の「模範解答」に大変疑問がありますので、みなさまにご教授いただきたくアップさせていただきました。
*お世辞抜きに「良問」揃い!*レックさんのファイナル答練からの抜粋です。
**一応の民訴期間は終わりですが、ネタバレにご注意ください**
*問題
甲は乙に対して自己が所有する建物を賃料額と半年間分の前払い特約を交わした上で、貸す契約をして引渡したが、
乙が前払賃料を支払わないため、不払賃料の支払請求を提起した。乙は訴訟を面倒と思い甲の主張を全面的に認めた。
そこで、甲は乙に対して賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除して乙に対して家屋の明渡し請求を求めようと考えている。
甲はいかなる手続によってかかる請求をなし得るか。
「模範解答」では、単なる「訴えの変更」として要件や手続が淡々と論じられています。
しかし、「前払賃料額の支払請求」をしていたのに、「賃貸借契約解除・建物明渡請求」に変更するということは、
解除する以上、「前払賃料請求」はもはやなし得ないはずですから、「訴えの追加的予備的変更」になると思います。
結局、追加的変更的に主位請求として「契約解除・明渡請求」をなすべきと考えられますが、そんな用語はあるのですか?
260 :
河童:04/05/25 16:40 ID:???
もう一問ファイナル答練から。
*問題
甲は乙丙の共同不法行為により損害を被ったため、まず丙を相手に損害賠償を請求した。
乙は甲丙間で行われた訴訟において丙側に補助参加したが、丙が敗訴した。
その後、丙が乙に対して求償訴訟請求を提起した場合、乙は前訴で認定された過失割合を争うことができるか。
*「模範解答」では、「参加的効力」によって不可となっています。
しかしながら、共同不法行為(民法719条1項)の場合、共同不法行為者の損害賠償債務は
@不真正連帯債務となるため(判例に同旨)、甲丙間の訴訟において主要な争点となるのは、損害額の総額だけである。
また、A甲丙間の訴訟において仮に丙・乙の過失割合が問題となった場合、
(丙の過失の有無ならわかりますが、なぜ乙丙間の過失割合が問題となるかは?ですが、これも私の勘違い…?)
乙が丙に不利益となるような訴訟行為=乙丙間で丙の過失割合を増加させる主張はできない以上(45条2項)、
乙に参加的効力は生じない(46条2項)ということになる。
よって、「本問では乙丙間の求償訴訟で、乙は前訴で認定された過失割合を争える」と考えられると思うのですが。
*両問とも私のまったくの理解・勉強不足ならば恥ずかしい限りですが、みなさまのご教授お待ちしております。
261 :
裕子:04/05/25 19:43 ID:???
>>259 別訴提起(で二重起訴が一応問題)と訴えの変更の二つがある、という結論になりますでしょうか。
> しかし、「前払賃料額の支払請求」をしていたのに、「賃貸借契約解除・建物明渡請求」に変更するということは、
> 解除する以上、「前払賃料請求」はもはやなし得ないはずですから、「訴えの追加的予備的変更」になると思います。
> 結局、追加的変更的に主位請求として「契約解除・明渡請求」をなすべきと考えられますが、そんな用語はあるのですか?
追加的変更後の訴えが予備的併合となることはありますよね。
ただそれを「訴えの追加的予備的変更」と呼ぶかどうかは聞いたことないです。あってもよさそうですけどね。
まあ、一般人に従ってたほうが無難でしょうか。
追加的変更により、両請求は(その性質上)予備的併合となる、ということでいいんではないでしょうか。
ただ、本問では本当に予備的となるかは微妙だと思います。
解除しても明渡までの賃料は取れるはずですから。単純併合でもいいかもしれません。
(厳密には一部予備的、一部単純併合なのかな)
262 :
裕子:04/05/25 20:00 ID:???
>>260 これは実体法の解釈によって問題文の意味が変わってきそうですね。
河童さんの疑問ももっともだと思います。
> (丙の過失の有無ならわかりますが、なぜ乙丙間の過失割合が問題となるかは?ですが、これも私の勘違い…?)
判例の立場なら前訴の乙丙間の過失割合は傍論にしかならないように思います。勘違いではないと思います。
一方、過失割合で減額するという学説によれば、判決理由になりますよね。
ひょっとすると解答例は後者前提なのかもしれません。
それとも「過失割合」って過失相殺の割合のことでしょうか?
でもちょっとそうは読めないですよね(実体法上ますますややこしい問題が出てきそう)。
で、前者の立場にたった場合には傍論にまで参加的効力が及ぶか、という問題になると思います。
判例は及ばないとしてます(H14・1・22)。
結果、判例を前提にするならば、河童さんとは違う理論構成ですが、
参加的効力は生じないという結論になるように思いますが。
「模範解答」の理由付けはどうなってるんでしょうか。参考までに教えていただけるとありがたいのですが。
263 :
河童:04/05/25 22:51 ID:???
>>261・262
さすが裕子さん、明快なご解答をいただけて大変助かりました。
どうもありがとうございます。
>「模範解答」の理由付けはどうなってるんでしょうか。参考までに教えていただけるとありがたいのですが。
これはひどいんですよ。問題は良問だと思うのですが・・・いずこの「模範解答」も・・・。
すなわち、被参加人敗訴の場合だから参加的効力が及ぶ→参加的効力は主文の判断のみならず判決理由中の判断にも生じる→
よって、乙丙間の過失割合は前訴の理由中の判断であるから乙丙間に生じた参加的効力により過失割合は争えない、という具合です。
*なお、
>>236の代取Aが「甲株式会社A」という手形を振出した場合についてですが、
代表行為の形式的要件は@法人の表示A代表者の署名B代表関係の表示が必要であるところ、
「甲株式会社A」で@Aは認められる。またB代表関係の表示についても代取印の押捺により認められる、ということでした。
264 :
裕子:04/05/26 10:29 ID:???
>>263 > すなわち、被参加人敗訴の場合だから参加的効力が及ぶ→参加的効力は主文の判断のみならず判決理由中の判断にも生じる→
> よって、乙丙間の過失割合は前訴の理由中の判断であるから乙丙間に生じた参加的効力により過失割合は争えない、という具合です。
これを見る限り、どうも
>>262学説の立場を前提としてるように見えますね。
しかも、この立場を前提にしても
>>260A以下の論述の方が説得的なように思います。
ただ、「過失割合で減額する」という実体法上の立場に立ったとしても、
考え方によってはいろいろな結論がとりうるかもしれません。
例えば「過失割合」の認定を、過失相殺の割合認定でされてるような議論とパラレルに考えて、
主張が不要で証拠資料から認定して構わない(職権主義的)という考え方に立てば、
45条2項の問題ではなくなって、参加的効力及ぶってことにしてもよさそうです。
もっともこの立場に立っても、参加的効力につき争点効的な捉え方をして、
争ってないんだから、参加的効力及ばないという逆の結論もありかもしれません。
結局、「過失割合で減額する」という立場に立つと、補助参加ってあまり良い方法ではないんですかね。
独立当事者参加がベストの方法となる気がします。
争点ごとの補助参加(過失の有無では被告側に、割合の争いでは原告側につく)という方法もありでしょうが、
これって実際どんな攻撃防御方法をとるんですかね。ややこしそうです。
265 :
河童:04/05/27 13:54 ID:???
*民訴の一応の仕上げに過去問など解いてみました(平成3年第2問目の小問(3)のみ)。
*過去問の「模範解答」もロクに調べないで、書いたものなので不安ですが、お時間あおりの方はどうぞ宜しくお願いします。
問題
甲は、乙に対して500万円を貸しつけたとし、乙を被告としてその支払を求める訴えを提起した。乙は、甲の請求を争っていたところ、訴訟の係属中に丙にこの債権を譲渡した旨の通知が甲から乙になされた。
丙がこの訴訟に引き込まれた後に、甲丙間の債権譲渡の事実が存在しないと判断された場合には、裁判所はどのような裁判をすべきか。
1 引受承継後の審理で甲丙間の債権譲渡の事実が存在しないと判断された場合、裁判所はどのような裁判をなすべきか。
2(1)この点について、紛争の蒸し返しを防ぐべく後訴を拘束するために、
丙に当事者適格が欠けるとして訴え却下の判決をするのではなく、特に被告たる乙の請求棄却判決を得る利益保護のため、
本案判決をすべきとする見解もある。
(2)しかし、@甲が脱退しておらず甲乙間の訴訟が係属中であれば、乙は甲乙間の当該債務が不存在であることについて
甲に勝訴すれば後訴の負担はないため(基準事後に債権譲渡がなされても115条1項3号によって丙にも既判力が及ぶ)、
裁判所が丙の訴えを却下してもなんら不都合はない。
(3)他方で、A甲が脱退していた場合、乙は甲の脱退に同意(48条)を与えたのであり、
さらに裁判所が当該訴訟において当事者適格を欠くとして訴えを却下するためには、
乙による甲丙間の債権譲渡が不存在であるとの主張が必要であると解されるところ(抗弁事項)、
乙が当該債務の不存在自体を争うのではなく、訴え却下の判決を求めるためにかかる主張をしたとすれば、
やはり訴え却下として不都合はない。
3 以上より、裁判所は、これ以上審理を進めることなく、丙に当事者適格が欠けるとして、訴え却下の判決をすべきである。
266 :
131:04/05/28 19:33 ID:???
>>265 結論は本案判決・却下判決どちらでもいいと思うのですが、
当事者適格は職権調査事項(ただし弁論主義)なのでAの理由は…?
あと、本案判決は乙の丙に対する債務不存在確認請求の認容判決と考える立場もあるので、
(1)のような「棄却判決を得る利益」より積極的な利益があるかもしれません。
つっこんだことは分からないのでこの辺で。
267 :
河童:04/05/29 00:26 ID:???
>>266 失礼しました・・・。抗弁事項と弁論主義を間違えてしまいました・・・。
ただ、乙丙間の債権譲渡の事実がなかった、という事実はどこから法廷に出てきたんでしょう。
私が考えるに、その事実は乙が出したとしか考えられないわけで、
乙が訴え却下判決を求めている(ということになると思うのですが)以上、
処分権主義からは裁判所が請求認容なり棄却なりの判決をするのはおかしいと思ったのです。
あまりワケのわからない攻め方をすべきでないと思いながらも、
一番の苦手科目だけに「いちかばちか」で書きたくなってしまいます。
とにかく6月中に基本を固めたいと思う今日この頃。
268 :
裕子:04/05/30 09:45 ID:???
>>265 > (2)しかし、@甲が脱退しておらず甲乙間の訴訟が係属中であれば、乙は甲乙間の当該債務が不存在であることについて
> 甲に勝訴すれば後訴の負担はないため(基準事後に債権譲渡がなされても115条1項3号によって丙にも既判力が及ぶ)、
> 裁判所が丙の訴えを却下してもなんら不都合はない。
丙への債権譲渡の事実と甲乙間の債権の存否は一応別問題なので、ちょっとかみ合ってないように思います。
また、仮に債権なしとなったとしても、その点丙には既判力は及ばないと思うのですが・・・
>>267 > ただ、乙丙間の債権譲渡の事実がなかった、という事実はどこから法廷に出てきたんでしょう。
> 私が考えるに、その事実は乙が出したとしか考えられないわけで、
> 乙が訴え却下判決を求めている(ということになると思うのですが)以上、
乙が丙を引き込んだのですから、これはちょっと考えにくいのではないでしょうか。
丙が主張するのが通常だと思います。
269 :
氏名黙秘:04/05/30 09:46 ID:/PqyWZ6I
270 :
河童:04/06/02 19:11 ID:???
>>268 >また、仮に債権なしとなったとしても、その点丙には既判力は及ばないと思うのですが・・・
債権そのものがないと判断されれば、基準事後に債権譲渡がなされても115条1項3号によって、
丙にも既判力が及ぶと思うのですが。よって、乙丙間の紛争は解決するのでは。
271 :
131:04/06/02 21:47 ID:???
今年もだめでした。う〜ん…実力不足。
河童さんと裕子さんの合格を心よりお祈りします。
債務不存在確認請求中では、債権譲渡の事実の不存在は理由中の判断にすぎないような。
272 :
裕子:04/06/02 23:39 ID:???
>>270 基準時前の譲渡のときはどういう法律構成なのでしょうか。
273 :
河童:04/06/03 00:55 ID:???
>>272 具体的事情によっては、甲乙間の訴訟が確定するまでは、
信義則によって甲は乙に対して債権譲渡の主張を認められないとすべきでしょうか。
(安易過ぎますか・・・)
しかし、そもそも甲乙間の債権関係の訴訟が確定しなくては、乙は甲から、
丁にでも戊にでも債権譲渡が改めて行われたと主張されてはたまらないですよね。
274 :
河童:04/06/03 01:14 ID:???
>>271 131さん、大変残念でした・・・。
論文試験より運が大きくモノを言うマークの試験ですからね・・・。
131さんの実力からすれば、択一さえ乗り切れれば、
来年の論文試験の見通しは決して暗くないと思います。
是非頑張ってください。
なんだか今日は眠れなそうです・・・
275 :
裕子:04/06/03 10:22 ID:???
>>273 >
>>272 > 具体的事情によっては、甲乙間の訴訟が確定するまでは、
> 信義則によって甲は乙に対して債権譲渡の主張を認められないとすべきでしょうか。
これだと二重起訴になりますよね。
そうではなくて、確定後にベッソ提起して、終結前の事情を争うことができるか否か、
ということが問題となっているのだと思うのですが。既判力ですから。
276 :
裕子:04/06/03 10:26 ID:???
>>275すみません
> > 信義則によって甲は乙に対して債権譲渡の主張を認められないとすべきでしょうか。
「甲は乙に対して」を
「乙は丙に対して」と読んでました。
「甲は乙に対して」だと、どういう事例を想定されてるのか、ちょっとわからないのですが・・・
277 :
河童:04/06/03 22:06 ID:???
>>276 バカヤロウですね、私は。
少し落ち込んでいて、裕子さんや131さんの書き込みを理解する気力に欠けていました。
このスレにいながら失礼極まりない話で反省しています。どうぞお許しください。
つまり、私が言いたかったのは、
甲が乙に「丙に債権譲渡した」という通知を行っています。
しかし、これが嘘だった、ということになりますよね。
そうであるとすれば、甲がこの手の嘘をつくたびに、
いちいち乙が煩わされるのは妥当でないと考えたのです。
しかし、よく考えてみると信義則は甲乙間のみ主張可能なわけで、
甲が今度は「丁に債権譲渡した」として通知してきた場合、実際に債権譲渡が行われていれば、
乙は丁に対しては、その債権譲渡は信義則に反し(あるいは権利の濫用であるとして)無効である、
とは主張できないんですよね・・・。
なにを書いているのか自分でもわからなくなってきていますので、
時間の無駄だと判断なされたなら、どうぞスルーしてください。すいません。
河童さんたちがブログでも作ってそっちメインでやったほうが効率的かもね
2ちゃんとちがって自分の投稿の編集もきくし
このスレにはそこへのリンクだけをはればいい
とりあえず乙
279 :
131:04/06/05 23:12 ID:???
>>277 >書き込みを理解する気力に欠けていました。
2ちゃんですし、あまり気にしない下さい。
その分論文に集中していただけると嬉しいです。
信義則の人的拡大というたわごとも吐いておきます。
>>278 >ブログでも作ってそっちメインでやったほうが効率的かもね
時間的に余裕がないかもしれませんが、胴衣。
このスレの方々は人格者ですし、おもしろくなるのではないかと。
引越しやなんやかやでしばらく来れないかもしれませんので、あらかじめお断りしておきます。
ほんとうに、河童さんや裕子さんたちには(278氏も合格しておられましたら)頑張って頂きたく思います。
280 :
河童:04/06/05 23:20 ID:???
みなさま本当にお世話になりました。
なんとか論文で頑張ってきたいと思います。
私はパソコンはまったくのオンチでして、
30さんに何から何までお世話になってしまいました。
どうもありがとうございました。
今後のことはしばらく経ってから考えましょう。
やはり模試の後にでも直接会ってゼミ形式で検討会ができるのが一番だと、
アナログ人間の私は思ってしまいますが、なかなか適当な人材はいないものですね・・・。
みなさまのありがたみが骨身に染みます。
では、また。できれば、遠からず・・・。
勝手に終わらせるなよ
>ブログでも作ってそっちメインでやったほうが効率的
激しく同意
だれか作って栗
一応保守。。。
H12ー1問
甲は友人乙、丙に対してAが旅行中にA方に忍び込んで、金品を盗むことを唆す。
乙丙は忍び込んだが、予期に反してAが在宅
包丁で脅して金を奪おうと相談、Aに包丁つきつける。Aは抵抗
乙はAを殺そうとして、丙に持ちかけたが丙は「やめろ」と言いながら乙の腕ひっぱる。
乙はAの腹部をさして現金奪い逃走。
丙はAの命救おうと、救急車呼んで放置。救急車きてAの命たすかる。
甲乙丙の罪責
超初学者 m(_ _)m
1 乙の罪責
1)乙は丙と共謀してAの意思に反してA宅に侵入しているから、住居侵入罪の共同正犯
2)乙は丙と共謀して、Aに包丁つきつけて、Aを脅迫し、金品を奪おうとしているから、
強盗罪の着手あり、
3)さらに、Aを殺害して現金を奪おうと腹部を刺している。そこで、乙に強盗殺人罪成立しな
いか?
本問では、Aは殺意まで有している。そこで、「死亡させたとき」と規定する240条に殺意あ
る場合含むか?
思うに、 殺意ある場合刑事学上顕著
とすれば、 除外していない趣旨と考えるの相当
よって、 含む。
従って、 乙に強盗殺人罪成立
もっとも、 Aに死亡結果なし
したがって 強盗殺人未遂罪
4)以上により、乙には住居侵入と強盗殺人未遂、両者は牽連犯
2 丙の罪責
1) 乙とともに住居侵入罪共同正犯成立
2) 乙とともに強盗罪共同正犯成立
3) としても、乙はAを殺害する意思を有してない。そこで、乙にも強盗殺人罪未遂が成立
するか?
本問では、共同関係からの離脱の問題になるようにも思える。しかし、そもそも丙は乙と強
盗の意思の範囲でのみ、共同しているのであって、強盗殺人の共同意思はない。そして、
強盗殺人の現場共謀の誘いを断っているのであって、強盗殺人の共同意思がない。従って
、丙に強盗殺人罪は成立しない。
4)としても、Aには傷害の結果が生じている。そこで、強盗傷害罪が成立しないか?
本問では、丙は強盗にしか関与してない、そこで、強盗傷害の罪責を丙に負わせることは
責任主義に反しないか・
思うに、、結果的加重犯は、基本行為の危険性に鑑み重く処罰する規定
とすれば、基本行為につき共同意思と共同実行あれば、その結果について、責任負わせ
ても、責任主義に反しない。
したがって、丙には強盗傷害罪が成立
なお、 丙がAの手当をした点は情状にて考慮
5)以上により、丙には住居侵入と強盗傷害の共同正犯、前者と後者は牽連犯、
3 甲の罪責
1)甲は乙丙にA宅への住居侵入教唆
2)本問では甲は窃盗を教唆し、教唆された二人は強盗に及び、甲の教唆の主観面と生じ
た結果の客観面に食い違いがある。そこで、甲には、客観的に生じた犯罪に対する教唆の
故意を及ぼして良いか?
思うに、 故意責任は反規範的態度に対する非難
そして、 規範は構成要件で
とすれば、重なりの限度で規範に直面
本問では、窃盗の教唆の故意で重なり。
従って、乙丙に対する窃盗の教唆成立
>>285 まず自分でコメントつけてくれないかな?
やっぱやめます。ありがとうございました。m(_ _)m
290 :
河童:04/06/16 22:04 ID:???
>>285-286 どうも、アップお疲れ様です。
こちらは自分の勉強にアップアップ(……。)で、コメントする時間がありません。
どうかお許しください。
印象として、予備校のレジュメみたいなアップ答案ですが、
私は刑法については問題文の文言のひとつひとつを捕まえて、
あてはめに活かすのが「面白味」だと思います。
だからこそ、ここでは他ではやっていない「答案全文アップ」を試みてたわけでして、
貴方もお時間があって面倒でなければ、全文アップしてみてください。
>刑法については問題文の文言のひとつひとつを捕まえて、
>あてはめに活かすのが「面白味」だと思います。
はげどー
ただしやりすぎは採点者に嫌われる
292 :
氏名黙秘:04/06/17 00:39 ID:rreUYUmn
age
293 :
河童:04/06/17 17:21 ID:???
**前置き
まだ見ていてくれる人がいることを知り、なんとなく答案をアップしてみたくなりました。
去年の辰巳さんの論文公開模試に若干手を加えた問題です。
辰巳さんの論文公開模試は、去年受けた感じでは、レジュメを含めて考えても最も本試験で役に立ちました。
アップする見返りに、少し営業活動を……。今年も辰巳さんの論公を受けようと思います。(特に学者編は秀逸)
**特に考えるべきは、乙の罪責についてです。**
問題
A会社の出入業者である甲は、同社研究所員Bが管理する製品開発のノウハウを入手し、
高値で転売することを計画し、研究所のBの部屋を訪れた。甲は、Bに対して、
「新製品開発のノウハウをちょっと見せてくれ」と言い、Bは35枚の秘密書類を渡した。
そこで、甲は、「そういえば近くのデパートでアイドルXがサイン会をやっている」と虚偽の事実を告げると、
Xの大ファンであったBは、サインをもらうため外に出ていった。その間に、甲は書類を室外に持ち出し、
研究所前のコピー屋でコピーし、約10分後に研究所に戻り、それらの書類をBの机の上において立ち去った。
翌日、甲は、A会社のノウハウを入手した場合は高値で買い取ると約束していた乙と、
このコピーが30枚入った封筒を渡すため喫茶店で会ったが、
その際、乙は、甲がこの封筒を自分の椅子の上においてトイレに立った隙に、
甲がカバンの中に入れておいた残りの書類のうち5枚を封筒の中に突っ込んだ。
戻ってきた甲は、それと知らずに、この封筒を乙に渡し、30枚分の代金として1000万円を受領した。
しかし、その後、5枚分を紛失したと思い、探しまわっていたところ、
喫茶店の店長から乙の行為を聞いた甲は憤激して、その5枚の書類の返却を請求したが、乙はこれを拒んだので、
「コピー買い取りの事実を公にして会社を辞めさせてやる」と脅かして、5枚の書類を取り返した。
甲・乙の罪責を述べよ。
294 :
河童:04/06/17 17:22 ID:???
一 甲の罪責について
1 Bに虚偽の事実を告げた行為について
甲がBに「Xがサイン会がやっている」という虚偽の事実を告げた行為に、
詐欺罪(246条1項)が成立しないか問題となるが、これは否定すべきである。
なぜなら、詐欺罪の「欺」く行為とは、人を錯誤に陥らせて財物を「交付させる」ことに向けられるものであるが、
本問の場合は、確かにBの財物(後述)占有状態を弛緩させるものではあっても、
財物を「交付させる」ことに向けられた行為ではないからである。
2 書類を室外に持ち出した行為について
甲が秘密書類についてコピーを作成する目的で室外に持ち出した行為につき、窃盗罪(235条)が成立しないか。
(1)まず、本問の秘密書類は「財物」にあたるか。
思うに、財産罪の客体である以上、「財物」は財産的価値があることを要するが、本問秘密書類は、
情報と紙片が合体したものであり、その情報が高い財産的価値を有すると考えられる以上、「財物」といえる。
(2)そして、甲は本問秘密書類を持ち出し、
占有者の意思に反して自己の占有に移しているといえることから、「窃取」にあたる。
(3)しかし、甲は約10後に本問秘密書類を返却していることから、
不法領得の意思がなく窃盗罪は成立しないのではないか、不法領得の意思の要否とその内容が問題となる。
この点について、@窃盗罪の主観的要件として不法領得の意思が必要であり、Aその内容は権利者を排除して
他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い利用・処分する意思であると解する。
なぜなら、@に関して窃盗罪と不可罰的一時使用との区別、Aに関して窃盗罪と毀棄罪との区別は、
客観的な占有侵害の有無のみでは困難だからである。もっとも、@Aの要件は、
窃盗罪の限界付けという上記の趣旨から、それに十分な程度であれば緩やかに解してよい。
これを本問についてみると、@秘密書類のコピーは権利者でなければ許されない行為であり、
またA甲はこのコピーを高値で売却する目的を有していたのであるから、不法領得の意思を認めることができる。
(4)以上より、甲に窃盗既遂罪(235条)が成立する。
295 :
河童:04/06/17 17:23 ID:???
3 甲が乙から5枚の書類を取り返した行為について
(1)甲が乙を脅かして書類を取り返した行為につき、恐喝罪(249条1項)が成立しないか。
甲は、自己の所有物を取り戻したにすぎないとも考えられるため、
恐喝罪は成立しないのではないか、その保護法益と関連して問題となる。
思うに、刑法の目的は法益保護を通じた社会秩序の維持にもある以上、
究極的には本権の保護が目的であるとしても、社会の複雑化により所有と占有の分離が顕著である現在においては、
財産的秩序の保護に重点を置くべく、一応適法な占有を保護すべきである。
本問では、甲との関係で乙の窃取した(後述)5枚の秘密書類の占有はいまだ一応適法と評価できるだけの
状況にないといえ、財産罪により保護されるべき法益は存在せず、恐喝罪は成立しない。
(2)では、甲に脅迫罪(222条1項)が成立するか、自救行為による違法性阻却の余地があるか問題となる。
思うに、甲の脅迫の度合いは乙の身体・生命に対するものではなく、決して程度の強いものとはいえないが、
甲の「コピー買い取りの事実を公にする」という脅迫内容自体が甲の不正行為にも関連するものである以上、
社会的相当性を欠き、自救行為として違法性は阻却されないと解する。
4 以上より、甲には窃盗罪及び脅迫罪が成立し、両罪は併合罪(45条)となる。
296 :
河童:04/06/17 17:24 ID:???
二 乙の罪責について
1 甲にA会社のノウハウを入手したら高く買い取ると約束した行為については、資本主義的競争社会においては、
具体的な犯罪的入手方法を示唆したわけでもなく、窃盗罪の教唆犯・幇助犯は成立しない解する。
2 乙が、甲が自ら乙に交付するであろう甲の封筒に書類を突っ込んでおいて、
計画どおりにそれを取得した行為について、詐欺罪とすべきか窃盗罪とすべきか。
この点について、甲が任意に問題となる5枚の秘密書類ごと封筒を「交付」したことを強調して、
詐欺罪の成立について無意識の処分意思があれば足りるとして、詐欺罪の成立を認める見解もあろう。
しかし、当該行為における主たる違法性は、甲を誤信させて無意識のうちに財物を交付させたことでなく、
甲の鞄という排他的支配領域の中にあった5枚の秘密書類を無断で封筒に突っ込むという
甲の占有する財物の占有状況に対して直接的な侵害(干渉)をした結果、当該財物を領得したことにある。
そうであるとすれば、当該行為は、交付罪たる詐欺罪でなく、盗取罪たる窃盗罪と評価すべきであろう。
3 よって、乙には窃盗罪が成立する。
**後書き
最後の乙の論点について、学者さんのレジュメでは、「詐欺罪でいいのだ」となっており、大変説得的でしたが、
(もちろん「模範解答」も詐欺説で書いてありました)、
私は例のごとく「それなら窃盗罪にしてやる」という気持ちになって書いてみました。
なんとも無責任な話で、私自身あまり議論する時間はなさそうですが、よろしかったらどうぞお願いします。
よくできていますね。一点。
>本問では、甲との関係で乙の窃取した(後述)5枚の秘密書類の占有はいまだ一応適法と評価できるだけの
状況にないといえ、財産罪により保護されるべき法益は存在せず、恐喝罪は成立しない
←の部分で、一応適法と評価できる状況にない、ことの理由を一つほしかったです。
298 :
河童:04/06/19 23:21 ID:???
>>297 良心的な添削者のようなコメント・・・肝心の答練では見かけないものです。
どうもありがとうございます。
私はようやく調子が上がってきましたのでこのまま頑張ります。
がんばれ
河童、次の問題アプしろ!!
301 :
河童:04/06/21 22:17 ID:???
**前置き
レックのファイナル答練で死者の占有、あるいは空家への侵入についての問題を見ました。
過去に131さんがご提供くださった問題意識であり、私には結構衝撃的だったので、よく覚えています。
模試仲間に「占有離脱物横領罪のみ成立では結論として妥当性を欠くのではないか」と聞かれ、
小一時間ほど語ってやろうと思いましたがやめました。やっぱり語るに足りる仲間は何よりの宝ですね……。
今回は、わざわざ普通の問題を見繕って、自分なりのオリジナリティを大事にした大胆な答案を試みてみました。
確か辰巳さんの問題です。批判的に批判してください。問題とすべきは乙の罪責です。
*問題*
甲は、強盗及び強姦の目的で、1人暮らしのA女宅に入り込み、いきなり手拳でAの腹部を殴り、
「静かにしろ。金がほしい」などと申し向け、更に殴る蹴るの暴行を加えて失神させ、強いて姦淫した。
その後、続けて金員を強取しようと物色し、タンスの中の現金を奪った。
その後甲は被害者に顔を見られたのではと不安になり、被害者を殺害するしかないと考え、
A女の首を絞め、窒息死させた。A女の妹B女は甲が立ち去った後たまたまA女宅に遊びにきたが、
殺害されているA女を見て失神してしまった。隣人乙は騒がしいと思って様子を見にきたが、
A女とB女の姉妹が倒れているのを見て両名とも死んでいると誤信した。
多額の借金があった乙はB女の金の腕時計を見て、これを盗もうと思い、腕から外して懐にいれて持ち帰った。
甲及び乙の罪責について述べよ。
302 :
河童:04/06/21 22:18 ID:???
一 甲の罪責について
1 甲は強盗強姦の目的であり「正当の理由がないのに」、A女宅に「侵入し」ており、
住居侵入罪(130条前段)が成立する。
2 次に、甲は強盗及び強姦の故意で暴行をなし、
かつA女を姦淫していることから強盗強姦罪(241条前段)が成立し得る。
3 では、Aの死亡の結果をいかに評価すべきか。
(1)この点に関して、240条後段は、「よって」という文言がなく、
また強盗殺人は強盗の典型的様態であるとして故意ある場合を含むが、
241条後段は、「よって」という文言が使われており、また強盗強姦には殺人を伴うことは稀であるとして、
故意ある場合を含まないとし、刑の均衡を考慮して、強盗強姦罪と強盗殺人罪の観念的競合とする見解がある。
しかし、241条は240条と同様の規定の形式となっているし、
また確かに強姦犯人に殺意が伴うのは刑事学上顕著とはいえないが、強盗強姦犯人の場合には、
未必的にしろ殺意が伴うことは、特に犯罪の凶悪化が進む近年において、それほど珍しいことではない。
よって、241条後段は、殺人の故意ある場合を含むと考える。
(2)もっとも、甲は姦淫・財物奪取後にはじめてAに対して殺意を抱いてAを殺害しているため、
同条後段が適用されるためには死亡結果が強盗の手段たる暴行・脅迫
あるいは姦淫と関連して生じることが必要かが問題となる。
この点について、240条・241条は、強盗には殺人などの残虐な行為が伴いやすいことから、
特に重く処罰する趣旨の規定であると解されるところ、強盗の機会になされた行為のうち、
強盗と一定の関連性のあるものから死傷の結果が生じた以上、同条後段が成立すると解すべきである。
本問では、甲は犯行現場で犯行直後に犯行の発覚をおそれてA女を殺害しており、
その死亡結果は強盗強姦と密接な関連性があるといえる。
(3)よって、甲に強盗強姦致死罪(241条後段)が成立する。
4 以上より、甲は住居侵入罪(130条前段)及び強盗強姦致死罪(241条後段)の罪責を負い、
両者は牽連犯(54条1項後段)となる。
303 :
河童:04/06/21 22:20 ID:???
二 乙の罪責について
1 乙は、A女宅に侵入しているが、「騒がしいと思って様子を見にきた」のであり、
「正当な理由がないのに…侵入し」たとはいえないため、住居侵入罪は成立しない。
2 しかし、乙は失神しているB女の腕時計を盗んでいる。そこで、乙に窃盗罪(235条)が成立しないか。
(1)この点に関して、被害者が生前に有した占有は被害者を死に至らしめた犯人に対する関係でのみ
一定の場合に刑法的保護に値するとする立場を前提として、乙に窃盗罪の故意たる占有侵害の認識がないため、
錯誤の問題として扱い、軽い故意内容に応じて占有離脱物横領罪(254条)が成立するとする見解もある。
しかし、窃盗罪と占有離脱物横領罪とは法定刑に著しい差異があり、
本問乙の行為は通常の窃盗よりむしろ非難度合が高いと考えられるため、
刑法の目的が社会秩序の維持にもあることを考えたとき、かかる結論は妥当性を欠く。
また、実質的に考えて見ても、例えば一人暮らしの老人が死亡した場合において、
その住居内の財物については老人の死亡直後から刑法的保護に値しないとすることは不都合である。
(2)ここで、本問では、乙はA女宅という他人の住居に無断で立ち入りながら、
そこに存在していたB女の腕時計という財物を領得している。そうであるとすれば、
B女が死亡していると乙が誤信していたとしても、そもそもA女宅内の財物一般について
「他人の占有」が認められるとするならば、乙に窃盗罪の故意に欠けるところはなく、窃盗罪が成立するはずである。
(3)この点に関して、確かに窃盗罪が占有者の意思に反して財物を窃取する犯罪類型である以上、
本罪の客体たる財物について占有があるといえるために、原則として占有者の支配の事実と支配の意思が必要である。
しかしながら、屋外と異なり、個人の住居内のような排他的支配の強い場所に存在する財物については、
死亡占有者と領得者の人的関係、領得行為の時間的近接性等を考慮して、
例外的に死者にも刑法的保護に値する生前の占有が認められる場合があると解すべきである。
304 :
河童:04/06/21 22:21 ID:???
(4)本問では、A女宅内という排他的空間において、A女の妹たるB女が身につけていた金の腕時計は、
仮にA女のみならずB女が乙の認識どおりに死亡していたとしても、
騒ぎを聞きつけていた乙にはA女及びB女が死亡直後という認識があることを考慮すれば、
なお部屋の主A女あるいは占有者B女の生前の占有は、乙との関係で刑法的保護に値すると解すべきである。
とすれば、B女の腕から腕時計を外して領得した乙は「他人の財物を窃取した」という認識に欠けるところはない。
よって、乙には窃盗罪の故意に欠けるところはなく、窃盗罪(235条)が成立する。
*後書き*
いまさらですが、このスレでは本当にいい勉強をさせてもらいました。みなさんありがとうございます。
おそらく類似問題が出たときには、ここまで玉砕覚悟で攻めるかどうかは、問題文をよく読んで、
死者の占有が最大の論点なのか否かや、文言の細かい要素のひとつひとつを捕まえて判断します。
本問は、私の感覚で言うと、攻めにいけるギリギリの問題文ですね。
結論の妥当性として、最高裁がどうするかをイメージしても、乙には窃盗罪を成立させるような気が……。
>>302 > また確かに強姦犯人に殺意が伴うのは刑事学上顕著とはいえないが、強盗強姦犯人の場合には、
> 未必的にしろ殺意が伴うことは、特に犯罪の凶悪化が進む近年において、それほど珍しいことではない。
予報・・,いや,河童さん。
これ(↑),気になりますね・・・。
刑法240条後段は故意犯を含むとする見解は,
刑法240条は,強盗の機会における人の殺傷が刑事学的に顕著な類型であることに鑑みて規定されたもの(立法趣旨)
↓
かかる立法趣旨からすれば,当然故意犯も含む
という思考をしています。
河童さんの論証は,
強姦犯人に殺意が伴うのは刑事学上顕著とはいえない
=241条後段のそもそもの立法趣旨は,故意犯を除外する趣旨
↓
しかし,今日では犯罪凶悪化→故意犯も含めるべき=趣旨が変化した
と読めてしまいますよ。
>>305 読み誤っていました。すまそ。
> 特に犯罪の凶悪化が進む「近年において」、それほど珍しいことではない。
この言葉から,
強姦強姦犯人に殺意が伴うのはかつては刑事学上顕著とはいえなかった
=241条後段のそもそもの立法趣旨は,故意犯を除外する趣旨
↓
しかし,今日では犯罪凶悪化→故意犯も含めるべき=趣旨が変化した
と読めてしまいますよ。
>>303 > 本問乙の行為は通常の窃盗よりむしろ非難度合が高いと考えられるため、
ちょっとよく意味が分かりません・・・。
どのように非難の度合いが高いのか,具体的に書くべきでしょう。
> また、実質的に考えて見ても、例えば一人暮らしの老人が死亡した場合において、
> その住居内の財物については老人の死亡直後から刑法的保護に値しないとすることは不都合である。
判例の立場でも,占有離脱物横領の限度で財物について刑法的保護が図られていますよ。
ここでは,「占有」の保護が問題です。
> (2)ここで、本問では、乙はA女宅という他人の住居に無断で立ち入りながら、
> そこに存在していたB女の腕時計という財物を領得している。そうであるとすれば、
> B女が死亡していると乙が誤信していたとしても、そもそもA女宅内の財物一般について
> 「他人の占有」が認められるとするならば、乙に窃盗罪の故意に欠けるところはなく、窃盗罪が成立するはずである。
> (3)この点に関して、確かに窃盗罪が占有者の意思に反して財物を窃取する犯罪類型である以上、
> 本罪の客体たる財物について占有があるといえるために、原則として占有者の支配の事実と支配の意思が必要である。
> しかしながら、屋外と異なり、個人の住居内のような排他的支配の強い場所に存在する財物については、
> 死亡占有者と領得者の人的関係、領得行為の時間的近接性等を考慮して、
> 例外的に死者にも刑法的保護に値する生前の占有が認められる場合があると解すべきである。
A女の住居内→A女の強い排他的支配→A女の死後の占有も(場合によっては)保護すべき
なら理解できますが,
住居内→(誰の?)強い排他的支配→B女の死後の占有も保護すべき
との流れは,排他的支配の主体が明らかでなく苦しい気がします。
また,河童さんの筋では,なぜ
> 死亡占有者と領得者の人的関係
という要件が出てくるのか,明らかではありません。
住居内にある財物一般に強い排他的支配を認めるなら,それは領得者が誰であっても保護すべきですから,この要件は不要と思います。
> 4 以上より、甲は住居侵入罪(130条前段)及び強盗強姦致死罪(241条後段)の罪責を負い、
> 両者は牽連犯(54条1項後段)となる。
細かいですが,「手段結果の関係があるから」と書くと,ひと味違います。
> また確かに強姦犯人に殺意が伴うのは刑事学上顕著とはいえないが、強盗強姦犯人の場合には、
> 未必的にしろ殺意が伴うことは、特に犯罪の凶悪化が進む近年において、それほど珍しいことではない。
私見で恐縮ですが,強姦に殺人が伴うケースが少ないのは,
強姦の被害者は女性→恥ずかしくて警察に言えないだろう→犯行が発覚しにくい→殺す必要性が低い
からだと思います。
これは,強盗強姦であってもあまり変わらない気がします。
強盗強姦致傷は比較的多いですけどね。
311 :
河童:04/06/22 01:07 ID:???
氏名黙秘さん、どうも今晩は。
まずは素直に深くお礼を申しあげなくてはいけませんね。
様々気になっていた点(特に強盗強姦致死・死者の占有)に関して、
非常に的確なご批判をいただき、よくよく納得できましたし、
本試験で実戦投入するには甘過ぎる理論であることがわかりました。
危機管理能力というか、危機管理感覚が高まった気がします。
何より本試験前の貴重なお時間をいただいたことに感謝しています。
> 死亡占有者と領得者の人的関係
を考えたのは、相続人云々を意識してのことなのですが、理論自体に問題がありますし、
論文試験でそこまで論述している時間的・スペース的余裕は絶対にありませんね・・・。
>>311 自分の頭で何とか考えようとする姿勢はいいと思います。
しかし,要件は,主張理由から論理的に出てくるものでないと一発あぼーんの危険があります。
河童さんの思考は,
生前に強い排他的支配→(場合によっては)死後も生前の占有が保護される
ですから,
> 死亡占有者と領得者の人的関係
との要件を導くには,これだけでは足りませんね。
なお,判例のポイントは,
「一連の行為を全体的に考察」して,死者の生前の占有を保護した点にあります。
論文刑法は難問が出ることが多いです。
受験生は,個々の行為を分断して考えがちですが,
「全体的に考察」することで,比較的簡単に書けるケースがあるということを知っておくと良いでしょう。
河童、いいぞ、きみの法律に対する好奇心が伝わる作品だった。
じゃ、つぎいってみよう!!
>河童さん
仮に,論文本試験で強盗強姦殺人の適用法条の論点が出た場合,これがメイン論点になることはおそらくないでしょうね。
ベタな論点ですから,反対説はせいぜい択一で聞かれるくらいでしょう。
論文試験で出た場合,反対説には一切触れず,判例に立った上で,
241条後段の立法趣旨→故意ある場合を含まない
「強盗」が強姦,殺人→強盗殺人,強盗強姦の観念的競合
とあっさり終わらせた方が良いでしょう。
本試験の場合,勝負どころ(=現場で考えさせるところ)は別にあります。
各論の問題の場合,
@直感で○○罪成立→しかし,よくよく考えると成立ビミョー
A××罪と△△罪,どっちが成立??
がメインになるパターンが結構ある気がしますね。
315 :
河童:04/06/22 21:36 ID:???
なんというか、みなさまのご好意には本当に頭が下がります。
様々な有益なご指摘、どうもありがとうございます。
どうしたわけか、急転直下の調子下降・・・。
模試ばかり受けて勉強時間が減っているのが原因かもしれませんが、
今週末で模試も一段落するので、一通り基礎から勉強し直すつもりです。
模試を受けまくって知識が入り過ぎている状態ですが、
本試験までの半月間でそれが消化できればよい具合に仕上がりそうです。
河童さんは択一受かってたんだね。がんばれ!!
317 :
河童:04/06/23 11:55 ID:???
*前置き*
みなさまに暖かい添削をいただけるので、もうひとつアップしてみました。
これは、過去に一度アップしたのですが、ひどいデキでしたので、リベンジのつもりで手直しました。
実は「薬害エイズ」における過失犯の問題を考えてみたいと思ったのですが、適当な材料がなかったので、
なるべく「薬害エイズ」でも通用するような理論にしようと意識して書きました。
論文を控えている方はお忙しいでしょうから、あまりご無理をなさらない範囲でお願いします。
もともと8割は自分のためですが、2割はご覧になられているみなさまのためになればと思っていますので。
私もアップするのをやめようと思ったのですが、Yさんにヤラれ過ぎたので、もう一本と思いまして……。
(でも、Yさん、無理しないでくださいね)
*問題*
甲が長年にわたって代表取締役を努め、かつ経営及び管理上の実質的な権限を掌握していた大型ホテルFにおいて、
深夜、宿泊客のタバコの不始末が原因で、客室から出火した。
しかし、甲はこのホテルにスプリンクラー等の防火設備を施さず、
また、従業員に対する平素の消防訓練もまったく行っていなかったため、延焼が短時間で拡大し、
従業員による消化活動及び宿泊客等に対する適切な避難誘導が行われなかった結果、逃げ遅れた宿泊客が死亡した。
甲の罪責を論ぜよ。
318 :
河童:04/06/23 11:56 ID:???
1 本問では、長年にわたってホテルFの管理上の権限を掌握していた代表取締役である甲の不注意・怠慢から、
火災による宿泊客の死亡という結果が生じたものと思われるため、
甲に業務上過失致死罪(211条前段)が成立するか問題となる。
なお、甲に問われるのは管理過失責任であり、管理過失とは、管理者等が自己の支配領域内の危険源について、
人的体制・物的設備等を十分に整えず、法益侵害結果防止のための管理・監視義務を怠ることをいう。
2 まず、ホテルの管理如何によっては、宿泊客の生命・身体の安全に危害を加えるおそれもあるため、
甲のホテル管理事務は「業務」にあたる。
3 では、甲に過失があったといえるか、管理過失も過失犯の一類型である以上、
過失犯の構造について検討しておくことが有用であろう。
思うに、現代社会では、例えば車の運転のように社会生活上必要かつ有用であっても、
常に一定の危険を伴う行為が少なくなく、これらの行為を禁圧しかねない解釈は避けるべきである。
そこで、刑法の目的が法益保護のみならず社会秩序の維持にあることに鑑み、
違法性の本質は社会的相当性を欠く法益侵害行為であると考え、ある行為をなすに際して
社会的に相当とされる注意義務を果たしていた場合には、過失犯は成立しないとすべきである。
したがって、過失が成立するためには、法益侵害結果を回避するために社会生活上必要となる
適切な態度をとるよう注意する義務(結果回避義務)が必要であり、
予見不可能な結果については回避することができないから、その前提として予見可能性が必要であると解する。
すなわち、過失とは、予見可能性を前提とした、結果回避義務違反ということになる
そうであるとすれば、過失行為は、客観的注意義務違反の行為として、
違法行為を類型化した構成要件段階においても検討すべきと解する。
そして、客観的注意義務違反の内容は、ある行為をなすにつき注意義務を負うべき者一般の能力を基準として、
客観的予見可能性を前提にした客観的結果回避義務と構成される。
319 :
河童:04/06/23 12:00 ID:???
4 次に、管理過失における客観的結果回避義務の前提となる、客観的予見可能性をどのように捉えるか。
この点については、管理過失の場合に問題となる注意義務は、自己の支配領域内の危険源に対する管理義務である。
そうであるとすれば、同種の危険を管理する者一般を基準に、その危険源から
一定以上発生する可能性が予見できる危険に対しては、客観的予見可能性を認めるべきである。
5 では、本問で甲に予見可能性が認められるか。
この点について、具体的に宿泊客のタバコの不始末等が何時どの場所で起こるかということを
予見可能性の対象とするならば、甲には予見可能性は認められないことになろう。
しかしながら、自己の支配領域の危険源を包括的に管理すべき管理者の過失が問題となる場合において、
かかる解釈が妥当でないのは前述のとおりであり、また結論としても妥当性を欠くことになる。
思うに、頻繁に不特定多数人が出入りし、昼夜を問わず火気・ガス類を使う調理場や、
大型ボイラーが稼動している大型ホテルでは、宿泊客のタバコの不始末や調理場の事故により火災が発生することは、
ホテルの管理責任者たる立場の者一般であれば容易に予測し得る。
とすれば、ホテルの管理責任者として自己の支配領域内の危険源を管理・監視する義務を負うべき甲にとって、
予見可能性の対象となるのは客室からの火災の発生であり、甲がこれに欠けるところはないというべきである。
この点に関して、過去における同様のホテル火災の悲惨さが衆知であることを考えても、
甲が自己に予見可能性がなかったとして責任を免れることは許されないであろう。
320 :
河童:04/06/23 12:02 ID:???
6 更に、甲には客観的結果回避義務違反、すなわち過失行為が認められるか。
この点について、甲は大型ホテルの管理者責任者として、火災が発生しないように、
また火災が発生した場合には人の生命身体に危害が及ばないよう被害を最小限に食い止められるように、
人的・物的防災体制を確立しておくという管理義務を負っていたといえる。
にもかかわらず、不作為によりこの管理義務に違反したことは、客観的注意義務に違反する過失行為といえよう。
7 最後に甲の不作為による過失行為と、宿泊客の死亡という結果との間に因果関係があるか問題となる。
この点について、本問では、防火体制がまったくなされていなかったため、短時間で延焼が拡大し、
従業員の行動も不適切だった「結果、逃げ遅れた宿泊客が死亡した」という事情があることから、
相当因果関係を認めることができよう。
8 以上より、甲には、管理過失に基づく業務上過失致死罪(211条前段)が成立する。
* 後書き*
この時期は答練の資料が増え過ぎて、見たことのない問題を見るたびに自信を喪失していくような気がします…。
もっとも、私の場合、みなさんが苦戦する問題ほど相対的に時間内に「作文」するのは得意なので、
むしろ本番では事例難問が希望だったりしますが、「基礎の基礎固め」が課題ですね。
なお、今度こそ、これでおやすみだと思います。(こちらのスレは……。)
,、,、
('!_`)
3→過失の論証が長すぎるように思います。
4→規範の一定以上発生する可能性」をあてはめでも堅持すべき。
6→過失行為(6)→予見可能性(5)の方が論理的では?
7→因果関係あるか→「相当」因果関係あり、では多少唐突な気がします。
最後まで頑張ってください。
323 :
河童:04/06/23 22:07 ID:???
>>321-22 どうもありがとうございます。
過失犯の構造については、どう短くしようか考えています。
他は、スペースと気分次第ですね。
どうせ、一筋縄ではいかない問題が出るでしょうから・・・。
私は最後まで頑張ります。
貴方もどういう状況であれ頑張ってください。
このスレの関係者全てに幸多からんことを願っています。
保守
革新
自民党対社民党
327 :
:04/06/30 00:29 ID:???
フツーのリーマンが痴漢事件起こしても、
保釈するのにそんなに慎重になる必要はないからな!
 ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧
( ・∀・) ニヤニヤ
( )
| | |
(__)_)
河童は禿?
いわゆる「オレオレ詐欺」は模倣犯が出やすいからな!
 ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧
( ・∀・) ニヤニヤ
( )
| | |
(__)_)
331 :
河童:04/07/02 00:47 ID:???
>>329 いたく心外なことを・・・。
このハンドルネームは芥川龍之介の短編小説からとりました。
その短編小説に出てくる本の中に、
「自分の弁護をすることは他人の弁護をするよりも難しい――弁護士を見よ」
という記述があるんですね。
弁護士になろうなんて露ほども思っていない頃に読んだのですが、
なんとなく記憶に残っていまして。・・・などとマジレスしてみました。
よく考えてみると、長くお世話になっているのに、
ハンドルネームの由来が明らかでありませんでしたね。
誰も興味ないでしょうが、最後の最後で言う機会があってよかったです。
329に感謝はしませんが。
s
333 :
河童:04/07/08 21:04 ID:???
暑いですね。なんとも暑いです。
クーラーに入りっぱなしでハナミズが出るし、
どう健康を管理したものかと困っています。
*苦手な民事訴訟法が、なんとなくうまくいくようになってきました。
民事訴訟法で最重要ともいえる「当事者の意思の尊重」に対立する利益を、
一言でうまく言い表す概念が私には見つからなかったのですが、
辰巳の学者の指摘した「公共性の空間」という言葉でピンときました。
「なんなんだよ?」と言われてしまえばそれまでなのですが、
なんとなく苦手科目の克服の糸口を掴んだ気がしたので、ご報告を・・・。
論文受験生のみなさんは、あと少し頑張りましょう。
踏まれても踏まれても麦のように
民訴のどこに糸口みいだしたんだ?民訴って簡単じゃん。
踏まれて麦になっちゃった。
337 :
河童:04/07/14 22:56 ID:???
いよいよ、という時期になってきましたね。。。
民訴は仕方ないとして、なるべく一行問題が出ないことを祈っています。
あとは基礎力不足を補うため、事例問題で長打を何発打てるか・・・。
辰巳の直前模試は2度とも平均点(やや割れ・・・)がやっとでしたが、
昨年は1000人中980位だったことを思えば大躍進かもしれません。
去年は絶望的な気分でしたが、今年は緊張してきました。
みなさん頑張りましょう。
338 :
131:04/07/15 23:40 ID:???
えー、お久しぶりです、131です。ネット復活しました。
直前期ということで、みなさん張り詰めた気分でおられることでしょう。
いまさらだとは思いますが、よく言われる論文の心構えを書いておきます。
・みんな書けることを落とさない(原則論をきっちり書く)。
・嘘を書かない(わからなかったら思考過程を丁寧に示す)。
・答案構成が終わってから気付いたことは書かない。
いわゆる3ないです。実力がついたことの導く落とし穴ではないかと思っています。
河童さんをはじめ、このスレの関係者のこの一年の努力は並々ならぬものだということを知っています。
一年間、苦しかったでしょうし、障害にさらされたこともあったでしょう。でも、それを乗り越えて今日がある。
だからこそ、自信を持って本番にぶつかってきて下さい。やればでき(ry
みなさんのご健闘をお祈りします(`・ω・´)
339 :
河童:04/07/16 00:58 ID:???
>>338 お久しぶりです。131さん、お元気そうで何よりです。
>みんな書けることを落とさない←これは大事な心構えですね。
なんとか頑張って悔いのない二日間を送りたいと思います。
去年は、初日から惨敗かと思いきや民訴を受けるまでは余裕で合格ペース・・・、
とにかく「諦めない」ということが大事だと念じて、刑訴の終わりまで全力を尽くします。
去年はひどかった憲法をかなり磨いたので、これで勢いに乗れるとよいのですが。
*直前期になって、だいぶ予備校レベルを超えた論文ノウハウが確立できてきましたので、
試験後に時間ができたらお目汚しにアップしたいと思います。
まってるよおおお
341 :
河童:04/07/17 00:10 ID:V5sFgT1x
保守。
>>340 結局、予備校の「模範解答」は、特に憲法と刑法でお決まりの論証があるわけでけど、
全然問題文に即してないことが多いんですよね。
これは、好意的に理解すれば、受験生に早くお決まりの論証を覚えてほしいからでしょう。
しかし、問題文に即していない抽象的な「人格的生存」だの「構成要件が違法有責の類型」だの、
そういった文言を無闇に使っていては、吐き出し答案そのもので、
問題文を読んで、自分の頭で考えていないとみなされて仕方ないでしょう。
そういったことを踏まえて、
週末は「オリジナリティ」に加えて「リアリティ」を出していけたらいいな、
というふうに思っています。
>>341 > 「人格的生存」だの「構成要件が違法有責の類型」だの、
> そういった文言を無闇に使っていては、吐き出し答案そのもので、
> 問題文を読んで、自分の頭で考えていないとみなされて仕方ないでしょう。
自分の頭で考えていないとは,そういうことではないでしょう。
それらの言葉(予備校的に言うとキーワード)は,普通に使いますよ。
> そういったことを踏まえて、
> 週末は「オリジナリティ」に加えて「リアリティ」を出していけたらいいな、
> というふうに思っています。
むしろ逆かと。
キーワードを使いつつ,自分の頭で考える。
1から10まで自分で考えると,一発アボーンの答案を書いてしまう危険があります。
大事なのは,しっかりした基礎力と,ほんの少しの応用力です。
・・・などと言ってみる。
∧_∧
∧_∧ (´<_` )
( ´_ゝ`) / ⌒i まぁ,河童者を信じて生暖かく見守ろうじゃないか。
/ \ | |
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343 :
:04/07/17 06:15 ID:???
もうすぐ熱い2日間ですね。よほ者もやく者もがんばって下さい。
アプローチとしてはやく者の方が確実というのが定説かもしれません。
よほ者の方法で合格する方もいらっしゃいますけど、
なかなか「土俵の内」に「着地できない」っていうのが実情かもしれません。
規範の部分での「自分の言葉」というのは、キーワードが「にじむ」ものなんですよ。
にじんでこないと、読み手が分からないんですね。これ結構難しいです。
読み手は「自分達の仲間(法律家の仲間)に入れていいかどうか」という観点から
答案を見ていますから、ひとりよがりな答案だと一発あぼ〜んになってしまいます。
よほ者の真価はむしろあてはめのところで活かされるべきものだと思います。
ですから「読み手の側に立って」答案をまとめてみるという気持ちで書いてみて下さい。
採点をすれば分かるんですが、変な答案を沢山読まされるのは本当に「苦痛」なんですよ。
よく言われていることなんですが、
・条文から離れない(法律家の共通のフォーマット)、
・当たり前の事をきちんと書いて(原則論とか。法律家仲間の常識を知っているか。)、
思考の流れを素直に表現する(ひとりよがりな人は仲間に入れたくない。)、
・少数派にならない(常識のない人は仲間に入れたくない。)等々。
実は、いずれも一点に集約されるんです。
この気持ちで臨んだ人には、結果は必ずついてきます。まちがいないです。
>おまけ
平野先生がお亡くなりになりましたね。偉大なる先人に合掌。
とまれ、みんながんがれ。遠き地より応援しています。ではでは。
344 :
河童:04/07/17 17:22 ID:???
Fさん、お忙しい時期にご返信に感激しています。
そして、私に法律に対する愛を感じさせてくださった方にも大変感謝。
残念ながら、私にはいままでの勉強で法律に対する愛情は育ちませんでした。
しかし、法律に対する愛情を感じる方と少しの時間ご一緒できたことで、
うまくバランス感覚を保ちながら勉強してこれました。
明日は全力を尽くします。
*ご心配いただいている模様ですが*
今年の私はそんなに基礎をおろそかにしない答案が書けるつもりですので、その点はご心配なく。
ホームラン狙いはせず、強くミートすることを心がけた結果の長打を狙っていきます。
>>344 キーワードという表現は,その言葉を考えなしに使っているような感じがしてあまり好きではないのですが,
基本の理解をアピールするためにキーワードを理解して使うことが大事かと。
例えば,先の「人格的生存に不可欠」なら,問題となっている権利がどういう点で人格的生存に不可欠なのかを具体的,かつ,コンパクトに書く。
それをすっ飛ばして,単に
○○は,人格的生存に不可欠だから・・・
などとやってしまうと,
お前は,人格的生存の意味を分かっているのか,と。
単に人格的生存に不可欠という言葉を使いたかっただけとちゃうんかい!
と,小一時間ほど説教されかねません。
キーワードを使わない論証がダメとまでは言いませんが,キーワードに代わる言葉を現場で考え出すのは困難です。
説得的に論じられるのであれば,キーワードを出さなくても問題はないんでしょうが。
・・・などと言ってみる。
∧_∧
∧_∧ (´<_` )
( ´_ゝ`) / ⌒i 河童者は,強いミートを心がけるようだし問題ないんじゃないか?
/ \ | | むしろ,ポテンヒット狙いの兄者の方が不安だぞ。
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346 :
131:04/07/18 04:27 ID:???
論文初日あげ。悔しいので答案うpしてみます。
民法の底力39
『共同不法行為における「各自連帯にて其責に任ず」の性質につき、連帯債務と解する見解と不真正連帯債務と
解する見解とがあり、後者と解する方が被害者に有利であるという考え方がある。この考え方について、共同
不法行為の成立、被害者からの損害賠償請求、共同不法行為者の一人が賠償額2000万円(実損害3000万円)で
他の損害を免除する和解をしている場合、及び共同不法行為者間の求償の各場合から検討しなさい。』
347 :
131:04/07/18 04:28 ID:???
1. 連帯債務とは、多数債務者相互間に連帯関係のある債務のことをいう(432条以下)。これに対して、
不真正連帯債務とは、明文ないが、多数債務者相互間に連帯関係に準ずる関係のある債務のことをいう。
また、不法行為制度(709条以下)の趣旨は、被害者の救済にある。そこで以下、設問の各場合に即して、
設問の考え方が妥当かどうか、すなわちいずれの債務関係がより不法行為制度の趣旨にかなうのか検討する。
2.共同不法行為の成立
共同不法行為(719条1項)の成立要件として、判例は行為者各人の行為と損害との間に因果関係、
及び客観的共同関係を要求する。この立場からすると、行為者間に連帯債務のように密接な関係が
なくても共同不法行為が成立しうることになるため、「連帯」(同条項)債務というよりは、
不真正連帯債務といいやすいと考える。
もっとも、この立場からすると公害訴訟のように証拠が偏在し、被害者側の知識が不十分な場合等、
必ずしも因果関係の立証が容易でない場合には共同不法行為の成立が困難となり、被害者に不利である。
そこで、因果関係は各人の行為と損害との間に要求せず、共同行為と損害との間に要求すれば足りる
と解する。そして、同条項前段は「共同の不法行為」と不法の関連性を予定していることから、主観的
関連共同ないし強い客観的関連共同あれば因果関係を擬制する規定と解する。これに対し、同条項後段は
「共同行為」と不法の関連性は予定していないようにも読めることから、弱い関連共同しかない場合に
因果関係を推定し、寄与度の反証による減責を認める規定と解する。
このように解すると、因果関係の立証の面で被害者に有利となり、不法行為制度の趣旨にかなう。
もっとも、かく解すると、前段からは連帯債務、後段からは不真正連帯債務との親和性があるため、
両者間の矛盾があるとも思えるが、いずれと解するかは論理必然の問題ではなく、被害者救済の観点から
政策的に判断すべきと考えるため、以下の場合の優劣を考慮して決する。
348 :
131:04/07/18 04:29 ID:???
3.被害者からの損害賠償請求
この点、連帯債務と解すると、相対効(440条)の例外として、請求(434条)を除き被害者に不利な
絶対効規定(435条ないし439条)が広く認められることになるので、被害者に不利である。
これに対して、不真正連帯債務と解すると、絶対効規定の適用がないため、被害者に有利である。
4.共同不法行為者の一人が実損害に満たない賠償額で免除する和解をしている場合
この点、連帯債務と解すると、前述のように負担部分の限度で免除に絶対効が認められるため(437条)、
被害者に不利である。
これに対して、不真正連帯債務と解すると、絶対効規定の適用がないため、免除の絶対効は認められず、
被害者に有利である。
もっとも、民事訴訟等による不法行為責任の追及には時間も金もかかり、また精神的疲労も重なる
場合がある。このような実情に鑑みると、被害者としては、その和解をめどに当該不法行為責任追及を
終了させようと思う場合もあろう。とすると、かかる場合に固定的に免除の絶対効を認めないとすれば、
被害者は別途和解をなす等の煩を強いられ、逆に不利を被るおそれがある。そこで、例外的に、被害者の
便宜を尊重する観点から、免除の効果を他の共同不法行為者にまで及ぼす意思が明示ないし黙示に表現
されていると解される場合、絶対効を認めるべきと考える。
このように柔軟な解釈が導けることからも、不真正連帯債務のほうが連帯債務よりも被害者に有利である。
349 :
131:04/07/18 04:32 ID:???
5.共同不法行為者間の求償
この点、連帯債務と解すると、負担部分における求償が認められる(442条1項)ため、不法行為者が
自分だけが賠償責任を負担することを嫌がり弁済を渋るリスクを可及的に排除でき、被害者に有利である。
これに対し、不真正連帯債務と解すると、連帯債務のような密接な関連共同性ないことから、必ずしも
求償は認められないようにも思える。しかし、それでは被害者救済という不法行為制度の趣旨に反する。
そこで思うに、寄与度や過失割合等の共同不法行為者間の実質的な関係を考慮して負担部分を認定する
ことは可能である。とすれば信義則(1条2項)上、求償を認め被害者救済を図るべきと解する。
したがって、連帯債務・不真正連帯債務のいずれと解しても被害者にとっては有利・不利は生じない。
6. 以上を総合的に考慮すると、連帯債務と解するより不真正連帯債務と解するほうが被害者に有利であり、
設問の考え方は妥当である。
*アンケートテンプレ…よかったら本試験終了後に書いて下さい。
@本試験成績自己予想
憲法・民法・刑法・商法・民訴・刑訴
Aもっとも成功した点
Bもっとも失敗した点
350 :
河童:04/07/19 21:43 ID:???
131さん、お疲れ様です。
失礼ながらアップ答案については、今日はご容赦いただきます。
@本試験の予想は、
憲法1問め=無難に書きました。情報公開が一般的・包括的に過ぎて違憲。
憲法2問め=無難に書けた・・・? 憲法が二院制を採用している趣旨。後段は違憲。
民法1問め=無難に書けなかったかも・・・?
民法2問め=無難に書けなかったかも・・・? 信義則が債権者代位訴訟の場合にどうなるか、が問題?
とにかく憲法と民法はホームランを狙って準備万端も、凡打の山。基本的知識重視?
商法1問め=ホームラン狙いは、利益供与として乙社にも財産返還請求可能。これは長打?
商法2問め=致命傷。手形の基本が書けませんでした。・・・
甲が自己が手形上の債務を負うつもりで本件手形を振り出したか否か、場合分けすればよかった?
刑法1問目は不作為犯。
試験後話をした見ず知らずの人によると、乙が甲を去らせた欺モウ行為が作為犯の可能性もあるとか。
その人は「山口先生は」と言っていました。確かに。しかし、無難に書けた・・・?
刑法2問めは、答連で3回見た問題。判例の射程を含めて、受験生には難し過ぎる問題。
とにかく、2重売却の2回めは、構成要件該当性そのものがないのでは、という問題意識を出した。上々。
民訴1・2問め=一番苦手な科目でしたが、しのげた模様・・・。ひと安心。
刑訴1・2問め=基本重視の問題。無難に書けた・・・?
351 :
河童:04/07/19 21:47 ID:???
正直、去年は絶望的でしたが、今年はまったく手応えがわかりません。
全体的に基本重視で、上位はおそらく団子状態・・・。
あとは、採点者との巡り合わせかもしれません。(早々と言い訳めいていますが)
一応、当該掲示板で最もお世話になった者として、ザッと書かせていただきましたが、
あくまで当該掲示板は答案を叩き台に議論する板ですので、大転回はしないようにしましょう。
しばらくおやすみさせてください・・・。本試験の個別掲示板ともども、あまり見ないようにします。
352 :
荒巻:04/07/19 21:58 ID:???
いやーすごいっすね。
僕は、民訴なんて、両方とも何書けばいいのか、わかりませんでした。
Gが6つ、そろいそうです。_| ̄ ̄|○
353 :
131:04/07/19 23:35 ID:???
>>河童さん>>荒巻さん
おふた方とも、お疲れ様でした。しばらくゆっくりなさって下さいね。
(しかしそうすると過疎スレに逆戻りの悪寒…)
河童さんの感想を見る限り、憲民刑は応用、商訴は基本という傾向は変わっていないようですね。
論文受験者が戻ってくるこれからまた仕切り直しだと思って私も頑張ります。では。
354 :
河童:04/07/21 01:01 ID:???
131さん、せっかくアップしていただいたのに申し訳ありません。
・・・今日になって自分の中で商法のGがほぼ確定。
去年は、意味もわからず総則書いてAだったのに・・・。
実力者は大失敗する科目がないだろう今年の論文で、
一科目丸まる大失敗は致命傷でしょう・・・。
お盆前くらいまで法律のことを考えたくないので、
本格的にしばし隠遁します。すいません。
>>354 論文試験乙カレー。
いわゆる実力者であっても,大失敗している科目が複数あるのが通常かと。
それは毎年恒例のことで,平易と言われた年でも同じです。
一見何の変哲もない問題のように見えても,流石は本試験なのですよ・・・っと。
∧_∧
∧_∧ (´<_` )
( ´_ゝ`) / ⌒i 兄者は実力者じゃないのに,毎年大失敗してるよな。
/ \ | |
/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
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河童さん合格間違いなしですよ。大丈夫。
357 :
河童:04/07/21 12:45 ID:???
>>355 あちらで見かけないので心配していたのですが、どうやらお元気のご様子。安心しました
暑い中、大変お疲れ様でした。口述でお会いできる一筋の希望は捨てておりません。
とにかくしばらく休んだら、また頑張りましょう。
131さんが答案をアップしてくださっているので、
私は気持ちが入ったらまずその検討から勉強を再開したいと思っています。
>>356 ありがとうございます。
手形法は特にメチャクチャなことを書いたので、G確定の答案ながらも、
採点者の好意的解釈次第では大幅減点は免れるかもしれません・・・(GはGかも)。
しかし、今回は下三法を固める重要性を改めて認識しました。
特に、上三法で徹底的に長打を狙って、下三法を守ろうと思っていた私としては、
6問中1問(刑法2)くらいしか好球に思えなかったので、決定力に欠けそうです。
追記。この夏から遂に基本書を読み始めようと思っています。
358 :
131:04/07/21 20:17 ID:???
>>河童さん
確実に受かる人がいないように、確実に落ちる人もいないはずです。
これからしばらく何をするにしても、発表まで自信を持ってお過ごし下さい。
あと、基本書、けっこう新鮮だと思います。
しばらくは勉強したくないでしょうが、読み物代わりに読んでも面白いと思いますよ。
そうだ!!!本試験答案アプしたら?
360 :
河童:04/07/22 12:21 ID:???
頭が論文のことから離れません。それで個別スレを徘徊していますが、
なんとなくココの住人さんもいらっしゃるような、そんな親しみをたまに覚えます・・・。
そして、商法さえ人並み(DEF)ならば、大きくは沈んでないようなだけに辛いです。
>>359 再現答案は遠慮します。この板の趣旨からして、
チャレンジするなら、模範解答だとは思いますし。
保守
河童さん、最近元気?
河童生きてんのか?
河童さんはただいま川で行水してます。
河童さんはただいま川でおぼれております。
救ってあげてください
367 :
河童:04/08/02 09:44 ID:???
みなさん、消息をお気にかけていただいてありがとうございます。
今年は、ほんとにショックでした。簡単かつ重大な部分で、幾つもミスをしました。
去年Aだった、商法・刑法・民法が軒並み、かなりデキが悪いことが判明。
去年FGだった憲法・両訴はまずまずのデキだと思います。
調子に波があるのは実力不足のせいとしても、本試験の恐ろしさがわかりました・・・。
昨年は一年にも満たない程度の勉強量(商法は2ヶ月程度)でAとった科目が、
更に一年間必死に勉強したのに、ボロボロなのは泣けてきます。
ただ、原則と例外を書くとか趣旨と定義を書くとか嘘を書かないとか問題文を見て狼狽しないとか、
今年実践できなかったことを来年(もちろん受けなくていいといいのですが)に絶対に活かします。
なんだか本試験前に「開眼」したような気になっていたのですが、
中途半端な「悟り」は、むしろ短期的には実力の低下を招いたかもしれません。
この夏からは一回りパワーアップして復活しますので、板を盛り上げていきましょう。
まだわからんじゃないか。案外受かってたりすることもある。
まあ、いずれにせよ、口述もあることだし、勉強頑張ろうね。
369 :
河童:04/08/03 10:32 ID:???
>>368 はい。勉強頑張りましょう。
微かな希望は抱いているのですが・・・ごく微かです。
>>346 131さん、せっかくアップしていただいたのに、遅くなって申し訳ありませんでした。
>同条項前段は「共同の不法行為」と不法の関連性を予定していることから(以下、略)
2の共同不法行為の成立の段で、因果関係の立証負担について触れている部分は、
正直私には難し過ぎて本番はおろか、答練でもとても書けません。
民法で(民訴でなくても)立証負担は重要な問題点だと再認識するに留めておきます。
アップいただいたレベルでは、論証を用意していないと書けないと思われるうえに、
共同不法行為は一昨年出題されていますので省エネさせてください・・・。
>被害者は別途和解をなす等の煩を強いられ、逆に不利を被るおそれがある。
4の部分について、免除の絶対効を認めないことが被害者の「不利」は言い過ぎのような気が。
サラリと「それ以上の訴訟の負担を回避したい場合には」などでいいと思います。
『民法の底力』いいですね。
8月は「判例読み込み月間」にするつもりなので、9月になったら探してみます。
>>367 まぁ民訴2問目小問3で,
相殺の再抗弁なんて超スーサイド級Gショックをやっちゃった漏れに比べれば,
何とかなってんじゃないの?
371 :
131:04/08/03 20:01 ID:???
>>369 や、ご検討ありがとうございます。
>省エネ
ごもっともです。いまだにどうも力配分がうまくいきません。
>被害者の「不利」は言い過ぎのような気が。
いちおう形式的に不利・有利で白黒つけてみたのですが、当事者意思からすると
おっしゃるように不利とはいいきれないですよね。ご指摘ありがとうございます。
>『民法の底力』いいですね。
総則・債権をつぶした感想でいうと、あまりよくないような気がします。
解説のツメが甘いと言うか…。思考の訓練にはなるかなぁ。
省エネの観点からすれば、スルーしてもよい一冊かも知れません。私がへっぽこなせいもありますが…。
カッパさん択一の勉強法のアドバイスください。
373 :
河童:04/08/04 09:29 ID:???
>>372 私は文学畑出身なので、本来的には(法律に関係のない)論文が得意なのですが、
択一は必ず時間が余る上に、神懸り的に点数がとれます。
司法試験を受けている唯一の友人と話したのですが、
(コイツも私以下ですが択一は凄いレベルです)、
択一は脊髄反射みたいなもので、問題文を読んで検討していてはダメ、
問題文(特に長文)を読まないで眺めて、問題の選択肢を見て答えを出す、
みたいな方法で意見が一致しました。(これが正しいとは言えませんが)
感覚的な表現でいうと、択一(憲法・民法)で大事なのは、
相互に密にリンクされた知識・思考力でなく(論文で必要)、
箇条書きの知識だと思います。
そして、それを身につけるためには、とにかく反復して問題を解くことです。
例えば、「内閣総理大臣は国務大臣を自由に任免できる」という肢は、一見正しいとも見えますが、
反復練習をしていると、「免」はできても「任」は制限があるということが瞬時に浮かんできます。
結局、択一に王道なし。反復練習がいいと思います。
374 :
河童:04/08/04 09:53 ID:???
択一の反復練習は単調で苦痛ですが、論文の勉強とも密接に関わるため、
とにかく択一は論文のためにやるという意識でやると苦痛は和らぐかもしれませんね。
例えば、今年の刑法でいえば、他人に売却した不動産に抵当権を設定する行為で、
抵当権を設定される者に対する詐欺罪が成立するかについて、
「事情を知っていたなら購入しなかった」→「詐欺罪成立」というのでは、択一レベルに達しません。
択一頻出ですが、成年雑誌を買おうとした16歳の少年Aに対して、本屋の主人がAが未成年であれば、
それを売らなかったであろう場合に詐欺罪が成立するとしたのでは、処罰範囲が不当に拡大するからです。
そこで、財産上の観点から「欺モウ行為」「錯誤」の有無や「財産上の損害」を論じなくてはなりません。
論文の問題でいえば、民法177条により抵当権が第一譲受人に対抗できなくなるおそれがあるため、
登記の移転なくして代金を受け取る行為について、詐欺罪が成立するのだと思います。
また、横領罪の成立時期について、
不法領得の意思の発現とともに既遂となり、未遂犯はないという択一的知識があります。
同じく今年の論文でいえば、すでに他人に売却した不動産について、二重譲渡する行為は、
契約締結自体は不法領得の意思の発現といえず、登記の移転をメルクマールにすべきです。
よって、登記の移転のない場合、不法領得の意思の発現がなく、横領罪は不成立となります。
このように、択一的知識を丁寧に論じていくだけで、論文は必ずAがくるはずです。
まったくそういったことができていなくてもAがくることもありますから・・・。
私は、今年こそ上記のように択一的知識を丁寧に論じようとしましたが、
結局実践できませんでした。(横領罪は未遂とか書いてしまいました・・・)
それが悔しかったので、得意な択一の勉強にも論文の勉強だと思って、
真剣に取り組むつもりでいます。
ありがとうございます。
答練って択一と論文で何を受けたらいいでしょうか?
河童さんは文学部ってなに勉強してたの?
378 :
河童:04/08/06 09:45 ID:???
>>376 わたしは一年間ひたすら辰巳の択一詳解を解くだけで、
論文でもBをとるまでになりました。
とにかく、勉強の仕方は大事かもしれませんが、勉強の質・量が大事です。
そして、論文と択一の勉強はすごく密接なものとして意識を高めて取り組むべきです。
論文を一通りやらないと択一は解けないし、択一を一通りやらないと論文も書けません。
個人的には、択一に関しては、問題集・模試とも辰巳がよいと思っています。
>>377 私はあらゆる人文学に通じるように勉強してきましたが、学部は文学部ではないのです。
非法学部ながら、民法の試験がある学部で、『177条の「第三者」について論ぜよ』という問題で、
『民法上の不動産をめぐる関係における、私と貴方でない誰か』と書いただけで単位がきました・・・。
そんな学生時代からよくぞここまできたと思います。千里の道もまず一歩から。
最後に恐縮ですが、私個人の板ではないので個人的な質問と、勉強方法の質問は控えめにお願いします。
(まだ板が休養中みたいな感じなので、一応お答えしていますが・・・)
ここより上級者クラス向けの板が8月20日(私の2X歳の誕生日!)あたりから再開するそうなので、
ここの板もそれに合せる感じでしょうか。
131さんなどどなたか答案をアップしていただければ、すぐにでも休養期間を終わらせますが。
>>374 > 論文の問題でいえば、民法177条により抵当権が第一譲受人に対抗できなくなるおそれがあるため、
> 登記の移転なくして代金を受け取る行為について、詐欺罪が成立するのだと思います。
これはいいのかな?ちょっと違う気が・・・今年の問題ですよね?
380 :
河童:04/08/06 20:52 ID:???
>>379 今年の問題について論じたつもりです。
なにか不都合がありますでしょうか?
損害の有無とからめた告知義務は問題にしないの?
382 :
河童:04/08/06 21:19 ID:???
>>381 379さんですか?
損害の有無と絡めて告知義務を問題にすべきだと思いますよ。
私は、第一譲受人の存在を秘して取引すること自体を欺モウ行為としました。
この問題に関しては、むしろ故意の有無が問題かもしれませんね。
解除後に金をちゃんと返しているので、そもそも詐欺の故意がなかったような気がします。
しかし、問題文から詐欺罪の成立を「故意なし」で否定するのはどうかと思いまして・・・。
感覚的な感想ですが、一問目で乙が刺されたB子を発見できた事情も明らかでありませんし、
個人的には例年に較べて問題文が「緩い」気がしました。
383 :
河童:04/08/06 21:48 ID:???
そういえば、批判はいままでも散々受けてきたので、それを承知でいいますが、
刑法はいかに適正な処罰範囲を確保するか、あるいは、適正な処罰範囲に制限するか、
ということが大事だと思います。(第一問目はCに殺人未遂罪を成立させるべきだと思います。)
また、2問めのC(銀行)に対する詐欺罪はどちらでもよいと思います。
なぜなら、同じ行為についてCに対する詐欺罪に関わりなく、Aに対する横領罪が成立するからです。
(甲の背信的行為について、適正な処罰範囲を確保できる)
私は、誤振込の問題について銀行に対する詐欺罪(窃盗罪)を認める理由として、
「銀行が無用の紛争に巻き込まれるおそれがあるから」ということが頭をかすめたため、
抵当権を第一譲受人たるAに対抗するためには、裁判になった場合に手続的負担があり、
しかも裁判に負ければ抵当権をAに対抗できなくなることを理由に、Cに対しても詐欺罪を成立させました。
問題はむしろBに対する詐欺罪ですが、これを成立させないと、Aに対する横領罪が成立しないため、
甲の背信的行為が不可罰となってしまいます。(適正な処罰範囲が確保できない)
そこで、Bに対する詐欺罪は成立させるほうがバランスがいいと思いました。
あまり掲載すべき理屈ではありませんが、これが私の刑法のスタンスといえます。
384 :
379:04/08/06 21:58 ID:???
告知義務ありという認定をされるたのですかね・・・
いずれにしても
> 登記の移転なくして代金を受け取る行為について、詐欺罪が成立する
というより、
登記を移転しないおそれ?があることを秘して契約する行為について、詐欺罪が成立する
とすべきだと思ったのですが。
385 :
河童:04/08/07 00:18 ID:???
刑法においては、常にどの要件について論じているかを明確にしなければなりません。
にもかかわらず、私は批判をおそれて、少し曖昧に書き過ぎたようですね。
(・・・余談ながらこのことと関連して、いまでも眠れないほど悔しいのですが、
横領罪について登記について「財産上の損害」として論じてしましました。
それで、横領罪の未遂・・・。当然、「不法領得の意思の発現」についてですね。
いまだもって悪魔に憑依されていたとしか思えません・・・)
それはともかく、>「登記を移転しないおそれ」(379さんも?をつけていますね)として論じるなら、
詐欺の「故意の有無」について論じることになると思います。
「登記を移転できないおそれ(=先にAに登記移転請求を受けた場合など)」として論じるなら、
告知義務の問題と絡めて、「欺モウ行為」があるかどうかでしょう。
これについて、私は後者にしたわけです。 (詐欺の故意の有無について拾えていませんね・・)
そして、財産上の損害について、「民法177条の関係でBが土地の所有権を主張できなくなるおそれ」があるため、
登記を具備しない状態で代金支払が完了すれば、「財産上の損害」を認めてよいと思うのです。
河童ちゃん、元気?
河童ちゃんって若いんだね。
うざい
388 :
131:04/08/09 23:24 ID:???
保全うp。スタンダード100刑法T第50問より引用です。
>AはCから「知り合いを連れて行く」と連絡を受けたため、マンションの自室で待っていると、CがBと共に身代金を要求する目的で
甲を略取し甲を連れてやってきた。Cは、Aに、甲の身代金を甲の弟である乙に対して要求する計画を打ち明けるとともに、甲の手足を
縛り、ABCが交互に監視するなどして、甲をAのマンションの部屋から脱出不能の状態にした。数時間後、Cは、携帯電話で乙に
身代金を要求し、Aには、身代金受渡場所へ赴くように指示した。Aは、乙との約束の場所へ赴いたところ、張り込んでいた警察官に
現行犯逮捕され、直ちに捜査に協力する行為をした。
その後、3時間待ってもAが帰ってこないため、BCは、Aが逮捕されたと考え、甲をそのまま車に乗せ、B宅に移動しながら、乙に
電話をして、さらに身代金を要求したところ、乙が数時間待ってくれ等と言うため、BCは乙との交渉をあきらめ、甲の殺害を共謀し、
これを実行する為に、B宅近くの山林で車を止めた。そして、Bが甲を取り押さえ、Cが甲に日本刀で切りつけたところ、甲は取り乱して
命乞いをし、解放してくれれば後で送金するというので、哀れに思ったBは、犯行を中止し、Cにも、犯行を断念するように説得した。
Cは、これに納得し、甲を近くの駅で解放すると約束したので、Bは、Cから日本刀を取り上げ、そのまま帰宅した。
しかし、Bがその場を立ち去った直後、命を助けてもらって浮かれてしまい、急に馴れ馴れしくなった甲の態度に腹を立てたCは、
所持していたピストルで甲を射殺した。
A、B及びCの罪責を論ぜよ。
389 :
131:04/08/09 23:24 ID:???
1.Cの罪責
(1) 結論として、Cには@身代金目的略取罪の共同正犯、A逮捕監禁罪の共同正犯、B身代金要求罪の共同正犯、
C殺人未遂罪の共同正犯、D殺人罪が成立する。DはCを吸収し、@とBは牽連犯となり、ADとは併合罪になると解する。
以下理由を述べる。
(2) CがAの逮捕後に身代金を要求した行為は、Aの逮捕前の身代金要求と時間的場所的に近接するため、包括一罪として
身代金要求罪が成立する。
(3) また、Bとの殺人の共謀の限度では日本刀による斬撃行為は殺人結果不発生に終わっており、Bの罪責において
後述するように、共謀の因果性はBの説得により切断される。
その後、Bの帰宅後の新たな射撃行為により殺人結果が発生しているが、これはCに単独に帰責される。
また、殺人未遂罪について、CはBの説得により犯行継続を断念しているが、必ずしも説得により犯行が断念されるわけ
ではないため、Cは外部的障害の影響を受けずに「自己の意思により」犯行を中止したと解され、中止犯が成立する。
もっとも、殺人未遂罪は殺人罪に吸収されるため、科刑には影響しない。
2.Bの罪責
(1) 結論として、Bには@身代金目的略取罪の共同正犯、A逮捕監禁罪の共同正犯、B身代金要求罪の共同正犯、
C殺人未遂罪の共同正犯が成立する。@とBは牽連犯となり、ACとは併合罪になるが、Cにつき中止犯が成立し
刑の必要的減免を受けると解する。以下理由を述べる。
(2) まず、BはCと甲の殺害を共謀し、結果的に甲は死亡しているが、結果発生前にBは犯行を中止しているため、
殺人既遂の共同正犯が成立するのか問題となる。
390 :
131:04/08/09 23:26 ID:???
この点、共同正犯が「すべて正犯」とされ、一部実行全部責任の原則が妥当するのは、共同実行の意思の下に相互に
利用補充しあって犯罪を実現することが、単独犯同様の有責性を有する点に根拠がある。とすれば、実行の着手後であっても
相互利用補充関係が切断され、共犯からの離脱が認められれば、共同正犯としての責めを負う理由はない。
そして、相互利用補充関係が切断されたというには、@共犯からの離脱の意思を表明し、A他の共犯者の了承を受けた
のみならずB当初の共謀に基づく結果が発生しないように積極的かつ真摯な努力をする必要があると解する。
本問では、@BはCを説得し、ACも納得している。またBCと犯行中止の約束を取り付け、日本刀を持ち帰るなど
積極的かつ真摯な努力もみられる。よって、相互利用補充関係が切断され、甲の死亡結果との因果性が切断されるため、
殺人未遂罪の限度で共同正犯が成立する。
また、Bは甲を「哀れに思って」Cとの相互利用補充関係を解消しているため、外部的障害の影響を受けずに
「自己の意思により」犯行を中止したと解され、中止犯が成立する。
3.Aの罪責
(1) 結論として、Aには@身代金目的略取罪の共同正犯、A逮捕監禁罪の共同正犯、B身代金要求罪の共同正犯が成立し、
@とBは牽連犯となり、Aとは併合罪になると解する。以下理由を述べる。
(2) まず、Aは略取行為に関与していないため、身代金目的略取罪の共同正犯の罪責を負うか、承継的共同正犯の成否が
問題となる。
思うに、前述の一部実行全部責任の根拠からすれば、後行者が先行者の行為及び結果を自己の犯罪遂行の手段として
利用した場合には、後行者と先行者との間に相互利用補充関係が認められるため、共同正犯の成立を認めてよいと解する。
本問では、Aが利用したのは確かに略取の結果として拉致された甲にすぎないが、甲を身代金要求のダシとして用いる
ためには事実上略取行為が不可欠であったことから、AはBCの行為及び結果を自己の犯罪遂行の手段として利用した
といえるものと考える。
したがって、身代金目的略取罪の承継的共同正犯が成立する。
391 :
131:04/08/09 23:30 ID:???
(3) 次に、Aは逮捕された後にも継続されたBCによる甲の監禁についても罪責を負うか。監禁罪は継続犯であり、
A逮捕後も当初の共謀に基づく監禁の継続が続けられているにすぎないともいえるため、共犯からの離脱が認められるか問題となる。
前述の離脱の要件にあてはめると、確かにAは@離脱の意思を明示に表明していない。しかしBCは「Aが逮捕された」
と考え、以後の犯行継続についてAからの利用補充を期待していないことから、事実上Aは離脱の意思を黙示に表明したと
いいうると考える。そして、BCはAAからの利用補充を期待していない以上、右の離脱意思を了承したものと言える。
加えて、BAは被疑者であり、捜査に協力する義務はないにもかかわらず、逮捕後直ちに捜査に協力し、他の共犯者BCが
当初の共謀結果を実現しないよう積極的かつ真摯な努力を行っている。
したがって、Aは逮捕された後のBCによる甲の監禁については罪責を負わない。
(4) さらに、Aは逮捕された後になされたBCによる身代金要求についても罪責を負うか。
この点、監禁罪と異なり身代金要求罪は継続犯ではないことから、当初の共謀の射程は逮捕後の行為には及ばず、
かかる行為にAの共謀の因果性は及んでいないことから、相互利用補充関係は認められない。
したがって、Aは逮捕された後になされたBCによる身代金要求については罪責を負わない。
※ 承継的共同正犯の処理、監禁共同正犯からの離脱の処理がすこぶる怪しいです。
なお、スタンでは承継共同には触れておらず、離脱は否定です。
392 :
河童:04/08/10 00:22 ID:???
131さん、アップお疲れ様です。
まず、形式面ですが、
私は特に刑訴などで「結論→以下、理由を述べる」の書き方をしていたことがありますが、
この書き方はやはり実戦的でないというのが個人的な結論です。
なぜなら、やはり本試験は限られた時間の中で、構成を考えて勝負しなければならないのに、
この構成方法は、構成が完璧である必要があるばかりではなく、途中修正が困難だからです。
内容面について、
Cの罪責については、最初の殺人未遂行為と後の殺人既遂行為の故意・態様は別異のものですので、
時間的な接着性・同一法益に対する侵害行為だからであるという理由が書けるといいと思います。
Bの離脱については「甲の態度が馴れ馴れしくなった」という、Bが去った後の関与しない事情によって、
CがBと共謀したのと別に、甲に対する新たな殺意を抱いていることを強調するのがいいと思います。
Aの罪責について、監禁共同正犯からの離脱・身代金要求罪と共謀の射程は論じる必要があるのでしょうか?
・・・そもそも2度の身代金要求罪の処理が明らかでないため、論文にブレがあるような気がします。
393 :
河童:04/08/10 00:25 ID:???
2度の身代金要求罪について考えているうちに、ちょっとなんだか急に眠くなってしまって・・・。
申し訳ありませんが、日を改めてもう少し詳細に検討させていただきたいと思います。。。
読みづらい、司法委員なら最後まで読まないな。
>>394 最後まで読まないと採点できないので,必ず読みますよ・・・っと。
∧_∧
∧_∧ (´<_` ) 試験委員は,今頃部屋に籠もって
( ´_ゝ`) / ⌒i 大量の訳のわからん内容の答案を採点してるんだろうな・・・。
/ \ | | そう思うと,にわかに試験委員が可哀想になってこないか,兄者?
/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/ FMV / .| .|____
\/____/ (u ⊃
いや,訳のわからん答案を書いた漏れの方がどう考えても可哀想だろう。
また1年もあの生活が続くのかと思うと・・・。
∧_∧
∧_∧ (´<_` )
( ´_ゝ / ⌒i それは自業自得だろ,兄者。
/ \ | |
/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/ FMV / .| .|____
\/____/ (u ⊃
河童くんが眠くなるのもわかるような気が致します。
397 :
131:04/08/10 20:24 ID:???
>>392河童さん
>「結論→以下、理由を述べる」の書き方
私も普段は絶対にこの形式はとりません。書きづらい・読みづらいですよね。
PCであることと、ほとんどスタンの焼き直しであることからこの形式にしてみました。
条文とか、ずいぶん手抜きも多いです。眠気を誘発して申し訳ありません・゚・(つД`)・゚・
>Bの離脱については「甲の態度が馴れ馴れしくなった」という、Bが去った後の関与しない事情によって、
>CがBと共謀したのと別に、甲に対する新たな殺意を抱いていることを強調するのがいいと思います。
共謀結果の阻止が実際に阻止効果を発生させる必要があるということでしょうか?
私は、とりあえず真摯な阻止行為があれば必ずしも阻止効果の発生は必要ではないと考えるのですが。
>Aの罪責について、監禁共同正犯からの離脱・身代金要求罪と共謀の射程は論じる必要があるのでしょうか?
成立する犯罪には変化がないですが、科刑上の違いが生じるので、論じる必要があると思います。
>そもそも2度の身代金要求罪の処理が明らかでない
そうですね、Cのところでいったん2罪の認定をしておくべきでした。
>>394>>396 どのへんがだめぽですかね。日本語と論理の流れがひどいのは自覚していますが…。
>>397 > >「結論→以下、理由を述べる」の書き方
> 私も普段は絶対にこの形式はとりません。書きづらい・読みづらいですよね。
も一回普段やる形式でうpし直したら?
このままじゃ見る方も負担かかるし。
399 :
河童:04/08/10 23:30 ID:???
131さん、申し訳ありません。私の不用意な言葉が誤解を招いたようです。
論文後は日課の昼間をしていないから夜になって眠くなっただけで、他意はありませんでした。
もっとも、わざわざこんな釈明をしなくともよいだけの信頼関係があると思いっていますので、
この件についてはお返事不要に願います。
>>Bの離脱については「甲の態度が馴れ馴れしくなった」という、Bが去った後の関与しない事情によって、
>>CがBと共謀したのと別に、甲に対する新たな殺意を抱いていることを強調するのがいいと思います。
>共謀結果の阻止が実際に阻止効果を発生させる必要があるということでしょうか?
>私は、とりあえず真摯な阻止行為があれば必ずしも阻止効果の発生は必要ではないと考えるのですが。
「Bの関与した共犯行為とCが発生させた甲の死亡結果との因果性が切断されている」ことを強調するためです。
共犯の離脱と中止犯については、出来合いの答案があったと思いますので、探してアップするかもしれません。
身代金要求罪は、逆探知をおそれて5分間に10回くらい電話したりすることもあるので、単純一罪でしょうか。
あまり考えたことがありませんでしたが、併合罪とするのはセンスがないような気がしますよね。
Aの罪責についてはわかりました。
400 :
河童:04/08/10 23:36 ID:???
>>395 Fさん、そのAAで乗り込んでくるのにすっかり慣れていただけたようで嬉しい限りです・・?
スレに常連の方が減ってきたので、是非実力者の貴兄にも参加していただければ幸いです。
401 :
131:04/08/11 00:14 ID:???
>>398 けっこうスペースをとってしまうので、申し訳ないですが再構成はご容赦下さい。
>>399河童さん
>「Bの関与した共犯行為とCが発生させた甲の死亡結果との因果性が切断されている」ことを強調するためです。
なるほど、了解しました。強調するとメリハリがついていいですね。
>身代金要求罪は、逆探知をおそれて5分間に10回くらい電話したりすることもあるので、単純一罪でしょうか。
冒頭では包括一罪にしているのですが、分かりにくいのでここだけ再構成を挙げておきます。
1(2) CがAの逮捕前・逮捕後に身代金を要求した行為にはそれぞれ身代金要求罪が別個に成立する。
もっとも、2罪は時間的場所的に近接するため、結局包括一罪としての身代金要求罪が成立する。
(なお、A逮捕前にはABとの共同正犯、逮捕後にはBとの共同正犯がそれぞれ成立しているため、
量刑上は逮捕前後の事情も考慮されうる?)←自信ないため書きません
402 :
131:04/08/11 00:17 ID:???
あっ、あと眠気うんぬんは軽い冗談のつもりでした。すみません>>河童さん
というか私は問題文を眺めただけで眠くなったのは別の話。
403 :
河童:04/08/11 00:19 ID:???
>共犯の離脱と中止犯については、出来合いの答案があったと思いますので、探してアップするかもしれません。
スタンダード(違うかも……)で見た一行問題です。
論文前にこれで、共犯からの離脱と中止犯について自分なりにまとめたつもりです。
少し読みにくいかもしれませんが、ご興味おありの方はどうぞお読みください。
*問題
共同正犯における中止未遂につき論述せよ。
一 中止未遂について
1 中止未遂とは、犯罪の実行に着手したが、自己の意思により犯罪を中止した場合をいい、
刑が必要的に減軽または免除される(43条但書)。
2 では、まず共同正犯(60条)の中止未遂について論じる前提として、単独犯の中止未遂について論じておく。
(1)思うに、中止犯による刑の必要的減免の根拠は、行為者の中止行為に向けられた自発的な人格態度により、
道義的非難の可能性が減少する点にあるものと考える(責任減少説)。
(2)では、いかなる場合に「自己の意思により」犯罪を中止したといえるか。
この点について、中止犯の刑の減免根拠を責任減少の点に求める私見からは
広義の後悔に基づく中止の動機が必要とも思われるが、刑法的非難は道徳的非難とは異なるから、
中止の動機が外部的障害の表象に基づいていないことをもって足りると解する。
具体的には「たとえ成し遂げることができるとしても、成し遂げることを欲しない」場合に
自己の意思によるといえると考える。
(3)そして、いかなる場合に「犯罪を中止した」といえるか。
思うに、中止犯の根拠が責任減少にある以上、「中止した」といえるには、
結果発生防止のための十分な努力が必要である。
具体的には、@実行行為が終了していない場合には、更に実行行為を行わないという不作為で足りるが、
A実行行為が終了した場合には、結果発生を積極的に防止する作為が必要である。
404 :
河童:04/08/11 00:20 ID:???
二 共同正犯における中止未遂について
では、共同正犯において中止未遂の要件はいかなる場合に満たされるか。
1 まず、「自己の意思により」(任意性)の要件については、中止行為者の内心の問題であるから、
単独正犯の場合と共同正犯の場合とで異ならない。
2 これに対し、「犯罪を中止した」(中止行為)の要件は、単独正犯の場合と異なる。すなわち共同正犯では、
実行中止の場合だけでなく着手中止の場合においても単に中止者が犯行をやめることでは足りず、
他の共同者の実行を阻止したり結果の発生を防止することにつき十分な努力が必要である。
具体的には、@実行の着手前であれば共謀から離脱すれば離脱者に犯罪は成立しないため、
問題となるのはA実行の着手後・結果発生前において、B共同した犯罪に未遂罰の規定がある場合であり、
この場合、他の共同者の実行を阻止したり結果の発生を防止することにつき十分な努力をなすことが必要となる。
なぜなら、共同正犯では共謀のもとで相互に他人の行為を利用・補充することによって、
一体となって犯罪を実現する現況が作出されているからである。
(*注意=ただし@の場合でも、予備罪は成立し得る。そうすると、予備罪の中止犯について論じる必要あり……)
405 :
河童:04/08/11 00:21 ID:???
三 共犯者が結果を発生させた場合
それでは、共同正犯者の一部が犯意を放棄した上で中止行為をしたにもかかわらず、
他の共犯者により結果が引き起こされてしまった場合、中止未遂は適用されないのか。
1 この点について、中止犯も未遂犯の一種である以上、結果が発生した場合であって、
それが当初の共謀に基づくものであると評価される場合には、中止犯は成立しないと考える。
2 しかし、実行の着手後・結果発生前に、中止者に共犯からの離脱が認められれば、
離脱中止者にとって結果発生は自ら関与しない結果であると評価されるところ、
離脱中止者は既遂の罪責は負わず、したがって中止犯が成立し得る。
3 そして、具体的に中止犯成立の前提となる共犯関係からの離脱が認められるためには、
離脱者において共謀及びそれに基づく行為による犯罪結果発生への影響を除去するに足りる行為、
すなわち離脱者の関与が他の共犯者の犯罪行為・結果に対して心理的因果性の面でも物理的因果性の面でも
取り除かれたと評価できるだけの行為が必要である。
4 以上より、「犯罪を中止した」(中止行為をした)と評価でき、かつ共犯関係からの離脱が認めらた者には、
結果発生は離脱中止者とは関係なく引き起こされた結果であると評価できる。
したがって、離脱中止者においては、その離脱の時点で前述の中止未遂(43条但書)の要件を満たす限り、
中止犯が成立するのであって、たとえ以後に犯罪結果が発生したとしても既遂犯の罪責を負うことはないと考える。
それだけに、共犯関係からの離脱の要件、すなわち離脱者がなすべき共犯者による共犯行為・
犯罪結果に対する影響の除去という要件は、厳格に判断されるべきといえよう。 以上
406 :
河童:04/08/11 00:22 ID:???
以下、論文に対する自分の注意書きから抜粋(具体例など)
**離脱と中止犯の領域
離脱は、実行の着手前(そもそも犯罪自体が成立するか)や
傷害致死(未遂犯規定なし)で致死の結果について責任を負うか否かでも問題となるから、中止犯とは別物。
**離脱と中止犯の要件
これも別物。すなわち、Aが共犯者Bに対する影響を除去せずに、
共犯者Bに黙って警察を呼んで犯罪を中止させようとした場合、結果が発生しなければ、中止犯が成立し得る。
なぜなら、結果発生防止に向けて十分な努力をしているからである。
(Bに口で言っても聞かないと思って黙って警察に通報することもあろう)
もっとも、警察を呼んだけど、Bにより結果が発生した場合、Aは離脱が認められない限り、
すなわちBに離脱の意思を伝え、AのBがなそうとする犯罪に対する影響を除去していないと中止犯は成立しない。
なぜなら、BはまだAと共犯関係であると思って、犯罪行為をしているのであるから、
Bの犯罪行為に対するAの影響が除去されていないからである。
また、逆に、離脱が認められた場合には、既遂結果が発生しても未遂で留まり、ゆえに中止犯も成立し得る。
例えば、Bが気の進まないAを無理矢理誘って甲を殺そうとしたが、
現場にきて実行に着手した段階で、やはり良心が痛むAはBを羽交い締めにして甲の殺害を中止させようとした。
しかし、BがAを振り切って甲を殺した場合、Aに離脱が認められれば、Aは未遂犯となり中止犯も成立する。
407 :
131:04/08/13 00:19 ID:???
>>404 >2 これに対し、「犯罪を中止した」(中止行為)の要件は、単独正犯の場合と異なる。すなわち共同正犯では、
>実行中止の場合だけでなく着手中止の場合においても単に中止者が犯行をやめることでは足りず、
>他の共同者の実行を阻止したり結果の発生を防止することにつき十分な努力が必要である。
ここはけっこうミソですね。
離脱に関連してひとつ、「離脱と承継的共同正犯は因果性の表裏の問題」という視点を提起しておきます。
離脱は因果性の有を無、承継は無を有とそれぞれ評価する理論ということです(あまり使途はないかも…)。
これから帰省するのでしばらく離れますが、帰ってくるくらいには学者スレも復活でしょうか。こちらも頑張りましょう。
408 :
河童:04/08/13 14:34 ID:???
>>407 私の
>>404の答案からの引用部分は、「中止犯」についてですよね。
そして、
>>407後段で131さんがご指摘の部分は、「離脱」についてですね。
この「中止犯」と「離脱」は成立要件・効果が違うので、きっちりと区別する必要があると思います。
すなわち、131さんがアップした答案の場合でいえば、
>>390のBの中止犯についての論述につき、
>また、Bは甲を「哀れに思って」Cとの相互利用補充関係を解消しているため、外部的障害の影響を受けずに
>「自己の意思により」犯行を中止したと解され、中止犯が成立する。
としていますが、「相互利用補充関係を解消」というのは、共同正犯からの離脱についてのキーワードですから、
中止犯の検討については、「自分の意思で日本刀で切り付ける=実行行為を中止した」ことを出すべきでしょう。
刑法は、どの要件について論述しているかを明確に意識して、それを答案に反映させるべきだと思います。
131さんのアップなさった答案は、「離脱」と「中止犯」について、明確に区別されていないような気がします。
それが、私がなんとなく感じた違和感の正体だと思いますので、一応指摘させていただきました。
たたく台が最近ねえじゃなねええかよ!!!
>>409 パチンコや池
がんがん台を叩いた後は
気持ちよく叩かれるぞ
かつおたたいて、食べマスタ。
河童=2重人格?
413 :
河童:04/08/21 00:30 ID:???
保守。
バースデーウィークなのに長らく熱発してました・・・。
明日は親友の結婚式なのに、ついてないです・・・。
来週からは定期的になんらかの答案をアップできたらいいな、と思っています。
よっしゃああ!!!
415 :
131:04/08/21 23:55 ID:???
>>408 納得。ついつい筆がすべるというか、、理解不足なんでしょうね。気をつけます。
>>413 誕生日おめでとうございます。答案うpもよろしくお願いします。新規の方もぜひどうぞ。
バースデーウィークだから、長らく発狂しています。
417 :
河童:04/08/24 14:38 ID:???
お待たせ致しました(?)。
さて、実質的に復活第一弾となりますが、まずお断りしておくのは、このスレタイは「叩き台」ですが、
これは30さんが主に政治的な理由から極めて適切なスレタイを選んでくださったもので、
もともとの個人的な動機は、理想的な答案(言ってしまえば、ホームラン答案)を追及しようというものでした。
そこで、これからしばらくは僭越ながら、私なりに身についたテクニック論みたいなことを具体的な答案を通して、
ここで発表させていただき、みなさまの批判・議論を通して取捨・修正・改良していきたいと思っています。
(今年の論文で、改めて「ミスはしょうがない。確実な合格にはホームランが必要だ」と思ったこともあります。)
今回の素材はご存知、平成15年の憲法1問目小問2です。
問題
女性のみに入学を認める公立高等学校の受験を希望する者が、
男性であることを理由として願書の受理を拒否された場合に
含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。
418 :
河童:04/08/24 14:39 ID:???
1 本問は、女性のみに入学を認める公立高等学校(以下、公立女子高と記す)という存在自体が、
性別による不合理な差別として14条1項の規定する平等原則に反するのではないか、
という問題に行き着くことになろう。
2 そこでまず、同条項が規定する「法の下」の「平等」の意義が問題となるが、法適用が平等になされても、
法内容が不平等であれば個人の尊厳が軽視されることになりかねないため、
「法の下」の「平等」には法内容の平等も含まれると考えるべきである。
そして、例外を許さない絶対的平等は、社会が複雑化した今日
かえって個人の尊厳を軽視する結果となりかねないため、「平等」とは合理的な区別を許す相対的平等である。
したがって、本問で問題となる公立女子高について、その制度に合理性があれば、14条1項には反しない。
3 では、公立女子高の制度が合理的か否かは、いかなる合憲審査基準によって審査するべきか。
思うに、差別的取扱いが合理的か否かは、@差別の事由と、A対象となる権利の性質の違いを
考慮して判断するのが妥当であると考える。そして、@差別の事由に関しては、
14条1項後段に列挙されているか否か考慮しつつ実質的にその性質を考慮すべきであり、
A対象となる権利の性質の違いは、Aいわゆる二重の基準の理論を考慮しつつ実質的に考慮すべきである。
419 :
河童:04/08/24 14:40 ID:???
4 これを本問で問題となる公立女子高についてみると、@差別事由とされているのは性別であり、
14条1項後段事由にあたり、また女性軽視という過去の風潮に対する反省から
24条2項に繰り返し男女平等の精神が強調されている以上、できる限り別異の取り扱いは避けるべきである。
次に、A対象となる権利の性質は、公立高校に入学する自由という社会権的側面を有するものであるが、
学習権(26条)の有する精神的自由としての側面を看過することは妥当でない。
よって、公立女子高の合憲性を判断するにあたっては、@性別による区別によって
A男性の入学(学習権)を制限する公立女子高の制度が、(a)制度目的として正当であるか、
(b)その目的を達成するための手段として制度が必要不可欠なものであるか、
を審査するいわゆるLRAの基準が妥当すると考える。
5(1)まず、高校も事実上義務教育の延長となっている今日、
基本的には義務教育期間たる初中等教育に準ずるものと捉えるべきであり、
国家は公教育制度を実現する責務を負っていることを確認しておく(26条)。
そのことを前提に、(a)公立女子高の存在目的を歴史的に就学の機会が男性に較べて少なかった女性に、
就学の機会を積極的に与え、もって実質的平等を図ろうとする積極的差別是正措置にのみ求める考え方もあろう。
しかしながら、むしろ女子高の今日的な存在意義は、女性と男性では成長過程が異なること、
少なからず比重を置いて学ぶべきこと・指導方針などが異なること等から、
学習権、親の教育の自由を充足させるべく、女子生徒のみの就学環境を確保することにあるといえる。
特に当該就学期間において、女性は生理的な変化に伴ない、男性に比して心身ともに不安定な時期であることから、
女子生徒のみの環境で就学させたいという、女子本人及び親の信条・心情は尊重されてしかるべきであろう。
してみると、実際に女子高に進学する者が多数存在している現実と考え合わせると、
女子高そのものの制度の存在意義、正当生は疑いようがないというべきである。
420 :
河童:04/08/24 14:41 ID:???
(2)としても(a)公立女子高の制度に正当性があるか。
これについて(b)女子高を存在させるという目的を達成するために、
公権力が公立女子高を存在させることは必要不可欠と絡めて論じる。
この点について、東京都その周辺地域などをはじめ、都市部には、極めて多数の私立女子高が存在しているため、
公立女子高は必要ないと考えてしまうことは、我が国の現状を見誤るものである。
なぜなら、県単位で見ても私立の女子高がまったくない地域も少なからず存在しており、
そのような地域において公立女子高の存在すること、言い換えれば経済的利益が見込めず民間が参入しない教育事業を
公権力が補完することは、正当かつ必要不可欠な重要なことといえるからである。
(3)したがって、公立女子高の制度は、LRAの合憲審査基準からも、14条1項の平等原則に反しない。
6 よって、本問で、公立女子高が男性の願書を不受理としたことは憲法14条1項に反しない。
結局、都市部に在住する者とそうでない者との間に女子高に就学できる、できない(ないし極めて困難である)、
あるいは親が娘を女子高に就学させることができる、できないという状況を公権力が放置することになれば、
公立女子高に男子が就学できないことと比して、より深刻に、平等原則に反する結果を生ぜしめると考えられる。
すなわち、公立女子高は、26条のみならず、14条1項の要請によって存在するものとすら評価できるのである。
421 :
河童:04/08/24 14:43 ID:wzWHkeP5
*表現したかったテクニックは、公権力により制限されていると思われる人権や原則を、
逆手にとって実はより深くその人権や原則の精神にかなうという結論を導く手法です。結論も現実的に妥当です。
本問では平等原則を「男女」でなく、実質的には「都市部・地方」で対立させて、視点をぐるりと一転させました。
類似のものとして、信教の自由など。例えば、「全世界の平和を祈ります」という宗教に対して、
「私は世界の破滅を祈る宗教を信仰していますからそういう祈りはやめてください」という場合に、
国家が後者の信教の自由を保護し過ぎることは、前者の信教の自由を不当に制限することになりかねませんよね。
また、怪しげな新興宗教が社会に蔓延すれば、現実的な意味で信教の自由が侵害されかねません(言い過ぎ・・?)。
後は、憲法の直接・間接適用説ですね。憲法を無制限に直接適用すれば、むしろ人権保障に資さないという論法です。
*後述
本問は、本試験では…評価だったので、偉そうなことは言えませんが、「いま書けば…」という気分です。
小問1を省いたので、実戦的には必要ない部分も書くことになりましたが、そこはご容赦ください。
この問題は、司法試験を受けている唯一の生身の友人と話しをしていて考えさせられたこともあってアップしました。
実際に、女子高違憲説は常識外れのような気がします。また、男子校育ちの私としては、
後に優秀解答例にAAが並べられているのを見て、アファーマティブはないだろ、とも思いました。
しかし、生まれも育ちも都市部という私の狭い視野では地方の現実に目を向けるのは難しく、友人の話は新鮮でした。
特に憲法は「社会勉強が必要だな」と思わされる一問でしたね(受験後、1年後にようやく思わされたんですけど)。
最後に、まだ答案論述感覚が十分に回復していない現状で、敢えてご批判が多そうなものをアップしました。
また、誰もが真剣に考えたことのある問題を選んだつもりですので、どうぞ十分にご批判ください。
>>374 横領罪の未遂か…
これは痛すぎるな…
罪刑法定主義に真正面から反してるし,大幅減点は免れないな。煽りじゃなくて。
>>421 >本問では平等原則を「男女」でなく、
>実質的には「都市部・地方」で対立させて、視点をぐるりと一転させました。
でも,出題趣旨から離れていってしまうね。
これじゃ本試験じゃAの隣人のGの可能性もある危険なテクニックだと思うぞ。
憲法は当たり前に考えつくことを当たり前に書くことが評価高い答案得る秘訣だぞ。憲法連続Aより。
>>422 そんなことないだろ。一生懸命書いてるんだし。
>>424 おいおい,一生懸命書いてるなんて,受験生みんな一緒。
でも6000人近く落とすのがこの試験。
どんな答案をホームランと思っているのかいまいち分からん。
あてはめを厚くしたいというのは伝わってくるけど。
上で、離脱の話があったから質問させてください。
離脱と中止犯の話が別個ってのは理解してるんですが、
離脱(着手前の離脱)と、共謀の射程の話の関係ってどうなってるかわかります?
例えば、「甲乙丙が×宅での窃盗の共謀をした。×宅に向かう途中で乙がやっぱやめる
といってびびって逃げちゃった。甲は×宅に侵入すると、予想外に×がいたので
甲丙間でそこで、瞬時に強盗を共謀し、強盗をした。丙は傷害に至らない程度
での暴行を加えたが、甲が暴行をしすぎて×は全治1ヶ月の怪我負った。
しかし、結局、財物は窃取できなかった。甲乙丙の罪責如何。」という事例で。、
僕は
「1.甲丙に強盗致傷の共同正犯が成立を認定
(結果的加重犯の共同正犯の肯否を論ずる)
2.乙の罪責について
ここで、共謀の射程をまず論じて、強盗の共謀は乙には及んでないので、
窃盗未遂の共同正犯にとどまる」って書きました。
解答には着手前の離脱の論点がその後に続くのですが、そもそも、財物奪取
ができず、結果が生じてない本問にて、離脱を論じなければいけないのですか?
また、論じなければならないとしても、着手前の離脱の論点は共謀の射程前に書
くのか後にかくのか、どちらが論理的ですか?よくわかりません。。。
>>427 論文後はじめて頭使うから間違いがあっても許して呉よ。
まず,離脱は,結果が発生してなくとも問題になるよ。
あと,共謀の射程ってのは,故意の有無の問題でしょ。主観的Tbのレベルの問題。
対して,離脱の可否は,実行行為性の有無の問題。客観的Tbのレベルの問題。
よって,論理的には,後者を先に書くはず。
よって,離脱が認められた場合には,共謀の射程を書くまでもない。
離脱が認められない場合に,共謀の射程を書いて故意なしとした場合に,抽象的事実の錯誤の処理が問題になる程度かな。
さっそくれすどうもです。
>まず,離脱は,結果が発生してなくとも問題になるよ。
僕も前までそう思ってたんですが、大谷刑法講義総論P495に「そもそも離脱は
共犯関係に基づく犯罪的結果が成立した場合にのみ問題となるのである」
ってかいてあるんですよ。
>よって,論理的には,後者を先に書くはず。
そうすると、具体的にどうやって、問題提起すればいいのですか?
共犯関係から離脱=以後の責任負わず
とすれば、そもそも、何についての共犯関係からの離脱なのかを
先に決定しておかなきゃならんようなきもするのです。
430 :
427:04/08/24 15:57 ID:???
↑の429は427です。つけわすれました。
>そうすると、具体的にどうやって、問題提起すればいいのですか?
乙は甲丙と共に窃盗の共謀をなしている(窃盗の共謀共同正犯を認定)
しかし,甲丙は強盗の実行行為に出ており,強盗未遂成立。
乙も右行為について「共同し」たといえるか。
犯行前にびびって逃げてることから共犯関係からの離脱により強盗については「共同し」たとはいえないのではないか?
↓
共犯関係からの着手前離脱
↓
(あてはめで仮に離脱否定した場合)
としても,乙には強盗の故意はなく,窃盗の故意しかない。
38Uより重い強盗は不成立。(←共謀の射程はこんな感じで切ればいい。)
としても,軽い窃盗の客観的Tbが認められれば(ry
432 :
427:04/08/24 16:22 ID:???
>431
なるほど!
そうやって書けば確かにスッといけますね。
「共謀の射程」なんていう風に、一つの論点みたいに
捉えすぎちゃってたのかもしれませんね、。
ありがとうございました。
>>418-420 全般的に文章が冗長かつ非論理的であり、読みにくく感じました。
条文解釈・あてはめを中心に、簡潔かつ論理的な表現にしたほうが良いと思います。
> 「法の下」の「平等」には法内容の平等も含まれると考えるべきである。
法律は示されてないので不要ではないでしょうか。
> 思うに、差別的取扱いが合理的か否かは、@差別の事由と、A対象となる権利の性質の違いを
> 考慮して判断するのが妥当であると考える。
芦部説に立つのだと思いますが、
後段列挙事由に当たらない場合でも、二重の基準の考えも考慮する、という立場なので、
列挙事由に相当する本問では、Aは不要でしょう。
なにより、@の場合の厳格審査の理由がかかれてないのが痛いです。
> 5(1)まず、高校も事実上義務教育の延長となっている今日、
4とのつながりが不明です。何を何の目的で論じているのかわかりませんでした。
> (2)としても(a)公立女子高の制度に正当性があるか。
> これについて(b)女子高を存在させるという目的を達成するために、
> 公権力が公立女子高を存在させることは必要不可欠と絡めて論じる。
ここで議論がずれてしまった印象です。
女子高存続の為に公立女子校を作る、という文化財保護的?な目的は
明らかに当該制度の主たる目的ではないでしょう。
書くとしても補助的なものとして軽く触れるべきです。
>>418-420 なにより痛いのが
河童さんの憲法観・14条に対する考え方が見えてこないことです。
> 24条2項に繰り返し男女平等の精神が強調されている以上、できる限り別異の取り扱いは避けるべきである。
としているにもかかわらず、
> すなわち、公立女子高は、26条のみならず、14条1項の要請によって存在するものとすら評価できるのである。
とするのは、評価矛盾と考えざるをえません。
435 :
河童:04/08/24 19:05 ID:???
千客万来ですね。嬉しい限りです。
ところで、2チャンネルは匿名性の支配する空間ですが、
このような板では、どなたがどのような発言をしているのかわからないと、
なかなかまとまった議論が発展しません。
そこで、お手数ではありますが、特に不都合のない方は、
自分で書き込んだ番号をハンドルネームにするなどの措置をお願いします。
433・434は同一の方の書き込みでしょうか?
これはなかなか手厳しい、しかし有益なご意見をいただきました。
>全般的に文章が冗長かつ非論理的であり、読みにくく感じました。
これは答案を書くモチベーションと感覚が回復とともに解消するはずですのでご容赦ください。
>高校も事実上義務教育の延長となっている今日、
これは、公権力が公教育制度を実現する責務を負っていること、
この公教育制度に高校教育が含まれることを記述するための呼び水です。
これを論じておかないと、高校教育では「教科書検定制度」なども違憲となりそうですし。
>河童さんの憲法観・14条に対する考え方が見えてこないことです。
これは、情けないことに基本書すら読んだことのない私に憲法観がないからでしょう・・。
「公立女子高の必要性」及び、「公立女子高に入りたいという男の願望は保護に値しない」
という明確な意見はありますが。
最後の部分は、本論文が「評価矛盾」とは思いません。
つまり、公立女子高は、「男女平等」<「地域格差の解消という意味での平等」でな捉えるべきである、
というのが私の論文の結論ですから。(それが伝わり切らないのは、冒頭にご批判いただいたせいですね)
436 :
河童:04/08/24 19:12 ID:???
今回の答案は「Aの隣はG」という答案ではないと思っています。
やはり、このような答案の場合、他の受験生がAAを書いてくることを予測して、
それに対する見解を紹介しておくことは必要不可欠だと思いますが。
あと、今回「横領罪の未遂罪」とやってしまったのは、ほんとうに無念の極み。
・・・なにがなじょしてこうなったかはいまだにわかりません。
それさえなければ、準備していた問題だったので、ホームランを打てた自信があるんですけどね・・・。
もっとも、昨年は「私文書変造罪」でA。(特に一問目もできていませんでした。)
刑法はAでないと合格は厳しい見通しですが、希望は捨てていません。
>>418 細かな点かもしれませんが教えてください。
>そして、例外を許さない絶対的平等は、社会が複雑化した今日
かえって個人の尊厳を軽視する結果となりかねないため、「平等」とは合理的な区別を許す
相対的平等である。
1)社会が複雑化すると、なんで、絶対的平等だと、個人の尊厳を軽視することになるんで
すか。
普通の論証の、個人的差異を無視して、絶対的平等を貫くとかえって個人の尊厳を無視す
る、というのはわかるのですけど・・・
さて、次にあてはめについてです。河童さんの論証の骨組みは、私見によると、
1)制度目的が正当といえるか?
目的=学習権、親の教育権を充足して、女子生徒の就学環境を確保
正当性 肯定
∵公権力が女子校設置は必要不可欠
∵女子校全くない地域もあり、、公権力によって補完することは必要不可欠
→ここらへんはわかりにくい。
後述によると、地域不平等と絡ませたい、とのことですが・・・
そもそも、公権力が補完する要請があるとするのは、女子校設置する目的が正当である
ことが前提ではないですか?とすれば、論証が循環しているように思えます。
2)手段が必要不可欠か?
→これについてあてはめが散見できません。
3)結論
女子校設置は14条による要請とも評価可能
∵地域差が生じれば平等原則違反
(多分、個人に合わせた学習権の実現の要請と相まって?)
→もしそうなら、もっと厚く論じるべきではないでしょうか?
加えて、女子校設置が26条14条の要請だというのは現代的にいって妥当な結論で
しょうか?
個人的にいって、現代社会で、仮に、事実上女子校がなくなっても、なんら憲法上問題
を生じないように思いますが・・・
ご教示よろしくおねがいします。
>>418 つーか、こんなの本番で書けたら余裕でホームランだろ。
目からウロコだ。
俺は公立の女子高が実際にあるのか知らんかったし、
公立の男子高があるのかいまだに知らん。
去年現場で考えてて、公立の男子校があって公立の女子高が違憲なら、
極論すれば公衆便所の女子便所も違憲だろ・・・と思ったが、
公立の女子高・男子校が実際に存在するかを知らなかったのでうまく書けなかった。
もっとも、AAで書いてAがきたわけだが。
441 :
河童:04/08/24 21:02 ID:???
>>437・438
433・434とは別の方みたいですね・・・。
これもまた的確なご指摘をいただきました。
>社会が複雑化は、別の論証を「切り貼り」してしまいました。
あまりに抽象的・間接的な表現・理由付けは反省しなければなりませんね。
社会が複雑化すると、それを構成する個人間の差異が拡大することになるという程度の意味です。
>そもそも、公権力が補完する要請があるとするのは、女子校設置する目的が正当である
>ことが前提ではないですか?とすれば、論証が循環しているように思えます。
これはおっしゃる通りで、LRAの基準を採用したこと自体に問題があるように思います。
今年の一問目で反省しましたが、LRAの基準を安易に使ってしまうことは禁物ですね。
>女子校設置が26条14条の要請だというのは現代的にいって妥当な結論でしょうか?
これは、個人的には絶対に妥当な結論だと思います。
ただし、女子高がなかったら個人の尊厳が維持できない、というほどのことはないので、
社会福祉国家主義(25条以下、具体的には26条)の理念の下、要請されるということですね。
私の個人的な視点としては、現実に私立の女子高に多額の援助金を与えているのだから、
既に存在する公立女子高を維持して何が悪い、という価値判断があります。
まぁ、時代の流れとしては共学みたいですけどね。男子校は最高におもしろかったですよ。
442 :
河童:04/08/24 21:07 ID:???
>>439 公立の男子校というのは私も聞いたことがありませんね。
やはり、公立女子高は当初アファーマティブアクションという意味合いがあったのでしょうか。
>極論すれば公衆便所の女子便所も違憲だろ。
というのは確かに極論ですが、示唆的です。
公衆便所が男女に分かれていることに合理性が否定できない以上、違憲の疑いはないでしょう。
やはり、公立女子高もLRAでなくて、十分な合理性があるかどうかで書くべきだったような気がします。
>>441 結論は筋が通っていれば、どちらでもいいわけですけど・・・
現代的潮流としては、学校教育の領域で男女間の差をもうけるのはあまり妥当ではない、
にもかかわらず、
公立の女子校から男子生徒が拒否されるのは問題ではないか?というのが本問の背景にあるようにもおもわれますが・・・
このような背景のもと、
女子校の設置が許されるとしても、全廃すれば違憲となる(∵要請)とまでするのは、かなり勇気のある結論であり、かなり強い論拠が必要となる、と思います。
もっとも、最初に申し上げましたように、河童さんの結論自体は尊重いたします。
女子大は違憲論も有力。女子高ならよけいでしょ。
にもかかわらず、合憲説を飛び越えて、
憲法上要請は確かにぎょっとする結論でしょ。
問題は、解釈上の根拠が十分示されてるかどうかだが・・・
そんな価値判断のところばかり突っついても、ホームラン答案には直結しないと思うんだが…。
そもそも小問2だけ分離してやってもなあ。
446 :
河童:04/08/24 23:23 ID:???
>>443 >現代的潮流としては、学校教育の領域で男女間の差をもうけるのはあまり妥当ではない、
これはただの流行であって、文部省(といっておきます)や石原都知事・中田横浜市長などは、
あまりに教育に関して見識が狭いような気がしますし、私は政治的な教育者をあまり信頼していません。
まあ、なんとも言えませんが、女子高なり男子校なりに通ってそれなりに楽しい青春を過ごし、
後悔のなかった人間ならば、女子高・男子校の魅力は捨て難いと思いますよ。
逆に、男子校時代は憧れていた共学(「耳を澄ませば」とか「海が聞こえる」の世界・・)ですが、
大学生になって男女ともに「共学に通ってよかった」という人間の少なさにはビックリした記憶があります。
・・・余談ですね。
>>444>女子大は違憲論も有力。女子高ならよけいでしょ。
女性にとって(だけではないと思いますが)高校生という時期は、
最も多感な時期ともいえますから、>女子高ならよけいでしょ、
ということはないと思います。
それを書いたつもりなのですが、>解釈上の根拠が十分示されてるかどうかだが・・・
という部分で、やはり答案のほうに問題があったのでしょう。
「憲法上の要請があるからこそ合憲」という結論は、ぎょっとされるほどのことでもないと思います。
なお、女子大と女子高は少なくとも現代的な存在意義が違うでしょう。
前者はなおAAの性格が強いように思えます。
また、女子大は都市部に私立があるので上京してくれば十分とも言えます。
(今日の高校は義務教育の延長という性質が強調されるべきだという前提ですね)
447 :
131:04/08/25 00:47 ID:???
>>418-420 5(1)(2)のあてはめを分ける、ないし>絡めて論じる必要がよく分かりませんでした。
価値観自体については四の五のいうことはありません。
ただ、河童さんご自身も
>>408で
>刑法は、どの要件について論述しているかを明確に意識して、それを答案に反映させるべきだと思います。
とおっしゃっている趣旨からすれば十二分に理解はされているとは思いますが、
>公権力により制限されていると思われる人権や原則を、逆手にとって実はより深くその人権や原則の精神にかなうという結論を導く手法
は一層読み手には伝えづらいと思います。事実、(a)はなんで二度出てきたのだろうと頭をひねりました。
問題提起を分かりやすくして、女子高・公立女子高の正当性を分けるなどすればよいのではないかと思います。
>>446 結局は価値判断ですよね。そして、もし、要請だとすれば、
公立女子校設置は憲法上の要請である。∵・・・・
としても、 絶対無制限でない、
そこで、 違憲審査基準が問題となる。
あるいは、 男子生徒の女子校入学する自由(?) との比較衡量、
といったほうが論述として、すっきりするのではないでしょうか?
余談ですが、私はずっと共学、共学もよかったですよおお!!
男子校出身者はやっぱちと歪んでる気がする。
と、無意味に煽ってみる。
>>449 漏れは中高6年一貫の男子校出身者です。
煽りじゃなくて,男子校出身者はどこか歪んでる香具師多いと思うよ。
漏れは大学入って,周囲の連中から男子校出身とは思えない,と言われたが,
心の奥底ではどこか歪んでると自覚してる。
ついでに,女子校出身者も結構歪んでる香具師多いよ。
我が子には,必ず共学に行って欲しいと心底思うよ。
>>448 > 結局は価値判断ですよね。そして、もし、要請だとすれば、
> 公立女子校設置は憲法上の要請である。∵・・・・
> としても、 絶対無制限でない、
> そこで、 違憲審査基準が問題となる。
これおかしいね。憲法上の要請だったら、女子高が違憲のはずがないからね。
当然審査基準を論じるまでもない。
その意味で、河童氏の答案は最後の4行でそれまでの論述をぶち壊してる感がある。
審査基準とか立てる意味なかったジャン、って感じ。
452 :
河童:04/08/25 20:25 ID:???
>>451 >その意味で、河童氏の答案は最後の4行でそれまでの論述をぶち壊してる感がある。
>審査基準とか立てる意味なかったジャン、って感じ。
まさにその通りです。
ですから、繰り返しになりますが、公立女子高を存在させることに対して、
「十分な合理性があるか」という審査基準にしなければいけませんでしたよね。
「やむを得ない・最低限度の規制」か否かではなく、「要請」があるわけですからね。
審査基準の「選び方」というより「設定の仕方」で、憲法=人権の論文センスを問われるということを痛感。
秋から答練を受けなければならなくなった場合には、特に意識を高めていきたい部分の一つです。
*論文試験後、ほとんど勉強をやる気にならず、本を読んだりビデオを見てばかりいましたが、
これだけ多くの有益なご指摘をいただけて少しモチベーションも上がってきました。
みなさまには大変感謝しています。
どうぞ不都合ない方はアップなさってください。ほんとうにタメになりますよ。
>>452 > ですから、繰り返しになりますが、公立女子高を存在させることに対して、
> 「十分な合理性があるか」という審査基準にしなければいけませんでしたよね。
> 「やむを得ない・最低限度の規制」か否かではなく、「要請」があるわけですからね。
すんません。ここよくわかりません。
憲法上の要請があれば、なぜ「十分な合理性があるか」
という審査基準にしなければならないんでしょうか。
憲法上の要請があるなら、女子高は絶対に合憲なのではないでしょうか。
454 :
河童:04/08/25 23:38 ID:???
>>453 >憲法上の要請があれば、なぜ「十分な合理性があるか」
>という審査基準にしなければならないんでしょうか。
この疑問は予期されたものです。
>憲法上の要請があるなら、女子高は絶対に合憲なのではないでしょうか。
この点について、私は司法試験論文を書く場合は「結論ありき」で書いています。
となれば、憲法上の要請がなくても合憲にして論文を書こうと思えば、「絶対に合憲」です。
(屁理屈のようですが、そうなります)
ですから、審査基準の「選び方」というより「設定の仕方」で、憲法=人権の論文センスを問われる、
と表現しましたが、私はご質問の点をあくまで憲法・人権の論文の書き方の問題として捉えています。
つまり、私は「基準先にありき」ではなく、「結論先にありき」の思考順序で論文を書きました。
となれば、「憲法上の要請があるからこそ合憲にする」という結論で書こうと思った、
にもかかわらず、LRAの基準を選択=設定することは、憲法のセンスというよりは、
(本問の場合、書き方・結論によってはLRA基準を採用すること自体はOKでしょう)
憲法論文の書き方としてなお一層センスがなかったということです。
結局、十分に合理性があるか、という基準であれば、自説を書きやすかったということですね。
ちなみに、当てはめを決めた後に逆算して規範を定立する、という話と共通する点があるかと思います。
455 :
河童:04/08/25 23:43 ID:???
・・・なんだかわかりにくい文章になってしまいましたね。
結局、私のレスが舌っ足らずで453さんに疑問を抱かせてしまったということです。
すいませんでした。わかりやすく言い直すと、
つまらない、しかしとても重要である論文を書く技術的な観点から、
合憲基準を設定・選択するセンスを磨かないといけないな、と痛感している次第です。
456 :
453:04/08/26 00:28 ID:???
すみません。さっぱりわかりません。
女子高が14条からの憲法上の要請だとすると、
14条を機会の平等でなく結果の平等と考えてることになりますよね。
そうだとすれば、女子高制度は14条の趣旨にかなうことはあれども、
そもそも14条に反しえないものなのではないですか?
もし反してる面があるとするならば、機会の平等と考えてることになる、
これは、憲法上の要請すなわち結果の平等と考えることと矛盾するように思います。
14条に反するどころかその趣旨に沿う制度を、
審査基準を立てて審査すること自体おかしいと思うのです。
審査基準を選びかた云々よりも、
14条の意義自体を考え直す必要があるのではないでしょうか。
>>454 河童さんの考え方だと、女子高は憲法上「許容できる」ように思えるが。
「要請」というのは不適切かと。
河童さんは14条の要請というより、14条、26条と相まって要請だ、といってるみたいね。
いずれにせよ、女子校設置は憲法上の要請ってのは、かなり、少数説になると思うけどね。
>>458 河童さんだけだろ。
女子大違憲説ならともかく,
女子高要請説なんて,聞いたことがない。
>>457の言うとおり,「許容」できるかどうかの問題じゃないと,そもそも憲法上の問題にすらならない。
よって,違憲審査の問題が出てくるはずがない。
筋悪過ぎだと思うよ。
460 :
河童:04/08/26 12:02 ID:???
453さん他へ
この問題に関するここでの議論は、最終的には価値観の差になると思います。
ですので、新しい答案アップにもとりかかりたいですし、後は各々で考えることにしましょう。
>>456 >14条に反するどころかその趣旨に沿う制度を審査基準を立てて審査すること自体おかしいと思うのです。
>審査基準を選びかた云々よりも、14条の意義自体を考え直す必要があるのではないでしょうか。
私の書き方に問題があるためでしょうが、スレ・答案の流れを追っていただけば、
文脈としては公立女子高からは「男女平等違反」=「違憲」の問題があって、
それを克服する形で、「男女平等」<「地域的平等」という価値判断があります。
(答案の最後の文章参照)更に、そこ(最後の文章)に至る過程に問題があったことは議論の通りです。
>>458・459
>女子大違憲説ならともかく,女子高要請説なんて,聞いたことがない。
このような問題に関して、法律的にたいして論じている学者さんもいないでしょうし、
そのような意見を出すのに、それらをどの程度きっちり拾っているかは知りませんが、
教育の現場やそれに携わる良識者、理念的指導者の声は別にあります。
お節介でしょうが、法律家が「おまけ」で書いたようなものが全てだと思っては、
論文試験(特に憲法)では必要な視野の広さが確保できなくなると思います。
というか、
最初は「許容できるか」という筋で書いといて、
最後の最後で実は「要請である」としてるんだね。
14条論が最後でねじれてるって感じ。矛盾してるでしょ。
>>460 > この問題に関するここでの議論は、最終的には価値観の差になると思います。
そういうことが問題になってるのではないってことに気づかないと、進歩はないと思いますよ。
法律概念や法律論の進め方が問題になってるのだと思います。
まあ、ご本人がもういいとおっしゃてるので、お節介でしょうが。
男女平等の要請VS地域的平等の要請の図式にして、
14条VS14条+26条だから後者の勝ち、というイメージなんだろうか。
なんとなく両要請は次元?が異なる気がするが、成り立ちえなくはない議論かもしれない。
とはいえ分かりにくいのは確かなので、ホームラン可能性どころかGにさえなりそう。
もっとシンプルにしつつ、戦略転換を勧める。
どういう答案を目指してるの?
>>463 端的にGだろ。
こんなのオナニーとしか思えない。
>教育の現場やそれに携わる良識者、理念的指導者の声は別にあります
ってそんなの現実から作り上げた作文じゃん。法律の答案じゃないよ。(しかもその「声」のソースはどこよ?)
少なくとも高い評価を得られるような答案でないことは確か。
河童さんは学者になった方がいいんじゃね?
戦略的に論文「試験」に向いてない気がする。
てか、事実に基づく内容評価はみんなのためになるけど、
その評価に基づく河童氏個人の決断に対する評価は無意味、失礼、不快、非論理的、
>>465 日本語が不自由な香具師がまた一人…
ぬるま湯スレ認定。
>>465 ここは2ちゃん。
いかなる評価されても仕方ないのは承知の上のはず。
覚悟がないならこんな一部の人間だけの独占的なスレは立てずに,
個人でHP作ってその中でやればいい。
過去ログでもブログ使ってやる方がいい,って案が出てたろ。
468 :
河童:04/08/27 13:51 ID:???
第二弾です。今回の問題に関して、出典は秘密にしておきます。
なんとも完成度の低い予備校の答練的な雰囲気を醸し出していますね……。
実は、本問を含め、今年の論文は29条を狙ってある程度準備していたのですが、当然のように「スカ」でした。
詰め込み過ぎて答案が長くなりました。読むに堪えない方は、途中で見捨ててください。
問題
いわゆるBSE問題に起因して、全頭検査を実施していないアメリカ産の牛肉を
全面的に輸入禁止する法律が成立したとして、@畜産学部の大学教授XがBSEの研究のために
BSEに感染しているアメリカ産の牛1頭を輸入しようとした場合、
及びA全国的に牛丼(アメリカ産牛を使用)のチェーン店を展開するY社が、国に対して何らかの主張をなすにつき、
憲法上問題となる点について論ぜよ。
469 :
河童:04/08/27 13:52 ID:???
一 @の場合について
1 本問では、BSE問題に関連して、畜産学部の大学教授が研究のために
BSEに感染しているアメリカ産牛を輸入しようとした行為が問題となっている。
仮に、本問法律を適用し当該輸入行為を違法とするならば、
憲法23条の保障するXの学問の自由を不当に制約するものとして違憲となるのではないか検討を要する。
この点に関して、学問の自由は、民主制の健全性の維持・発展に必要不可欠であるため、
特に憲法上明文をもって保障されたものである。
よって、その規制は他の憲法上の利益と対立する場合に「公共の福祉」(13条)に基づく
必要最小限のものに止められるべきであると考える。ここで対立する憲法上の利益は、
国民の生命・身体の安全を確保すること(13条)ということになろう。
2 では、アメリカ産牛の輸入を全面的に禁止する本問法律は、
国民の生命・身体の安全を確保するために、必要最小限度のものといえるか。
確かに、BSE問題は人の生命・身体の安全に関することであることから事後的規制では目的を果たせず、
慎重を期して全面的禁止をなすことが必要最小限度の規制といい得るようにも思われる。
しかし、いわゆるBSEは、感染力の強い伝染病とは異なり、食用として消費しない限り、
人の健康に悪影響を及ぼすことはないし、その他の牛に空気・接触感染したりすることがないことも判明している。
よって、農学部の大学教授Xという輸入主体、BSEに感染した一頭の牛をわざわざアメリカから輸入するコスト、
食肉の流通経路等を考えれば、これが食用として市場に出回る危険性はないと考えられる以上、
Xの本問行為については、国民の生命・身体、あるいは財産に悪影響を及ぼす具体的危険性は皆無といってよい。
3 以上より、アメリカ産牛の輸入を全面禁止する本問法律を適用して、
Xの当該輸入行為を禁止することは必要最小限度の規制とはいえず、Xの学問の自由を不当に制約することになる。
なお、BSE問題の抜本的解決のために、民間の研究者がBSEについて研究することの必要性は否定できず、
その観点からもXがBSE感染牛を研究のため輸入することは、学問の自由の一環として保障されるべきである。
470 :
河童:04/08/27 13:52 ID:???
一 @の場合について
1 本問では、BSE問題に関連して、畜産学部の大学教授が研究のために
BSEに感染しているアメリカ産牛を輸入しようとした行為が問題となっている。
仮に、本問法律を適用し当該輸入行為を違法とするならば、
憲法23条の保障するXの学問の自由を不当に制約するものとして違憲となるのではないか検討を要する。
この点に関して、学問の自由は、民主制の健全性の維持・発展に必要不可欠であるため、
特に憲法上明文をもって保障されたものである。
よって、その規制は他の憲法上の利益と対立する場合に「公共の福祉」(13条)に基づく
必要最小限のものに止められるべきであると考える。ここで対立する憲法上の利益は、
国民の生命・身体の安全を確保すること(13条)ということになろう。
2 では、アメリカ産牛の輸入を全面的に禁止する本問法律は、
国民の生命・身体の安全を確保するために、必要最小限度のものといえるか。
確かに、BSE問題は人の生命・身体の安全に関することであることから事後的規制では目的を果たせず、
慎重を期して全面的禁止をなすことが必要最小限度の規制といい得るようにも思われる。
しかし、いわゆるBSEは、感染力の強い伝染病とは異なり、食用として消費しない限り、
人の健康に悪影響を及ぼすことはないし、その他の牛に空気・接触感染したりすることがないことも判明している。
よって、農学部の大学教授Xという輸入主体、BSEに感染した一頭の牛をわざわざアメリカから輸入するコスト、
食肉の流通経路等を考えれば、これが食用として市場に出回る危険性はないと考えられる以上、
Xの本問行為については、国民の生命・身体、あるいは財産に悪影響を及ぼす具体的危険性は皆無といってよい。
3 以上より、アメリカ産牛の輸入を全面禁止する本問法律を適用して、
Xの当該輸入行為を禁止することは必要最小限度の規制とはいえず、Xの学問の自由を不当に制約することになる。
なお、BSE問題の抜本的解決のために、民間の研究者がBSEについて研究することの必要性は否定できず、
その観点からもXがBSE感染牛を研究のため輸入することは、学問の自由の一環として保障されるべきである。
471 :
河童:04/08/27 13:53 ID:???
(2)では、本問では、いかなる合憲性の基準を用いるべきか。
思うに、経済的自由に対する規制は、その種類や性質及び規制を要求する社会的目的・理由が多種多様である。
よって、経済的自由に対して加えられる規制が「公共の福祉」に適合するか否かは、規制の目的や必要性、内容、
その規制によって制限される経済的自由の性質及び制限の程度をより慎重に総合考慮した上、それが国会との関係で
能力的・役割的に裁判所の審査になじむかを加味して、合憲審査基準を決すべきである。
これを本問についてみると、確かに、アメリカ産牛の中でもBSEに感染した牛の数は極めて少数であり、
その人体に与える悪影響の程度(極めて潜伏期間が長く、病気が発症する可能性は必ずしも高くないといわれる)と、
それまでの我が国におけるアメリカ産牛の地位の重要性、一定の外食産業に与える影響の大きさを総合考慮すると、
全面禁止は行き過ぎであるようにも思われる。
しかし、本問法律の目的は国民の食の安全を確保することにあり、BSE問題に関連して、
相対的に危険性の高いアメリカ産牛の輸入をいかにすべきかは、他ならぬ消費者たる国民が決すべき性質の事柄である。
そうであるとすれば、裁判所としては、アメリカ産牛の輸入の規制については
国民代表機関たる国会(43条1項)の判断を尊重すべきであり、規制手段が明白に合理性を欠く場合以外は、
本問法律を合憲とすべきである。
(3)本問では、全頭検査をしていないアメリカ産牛についてBSEの危険性が相対的に高い以上、
その輸入を全面禁止することにまったく合理性がないとはいえない。
よって、本問法律は合憲であり、Yの当該主張は認められない。
472 :
河童:04/08/27 13:54 ID:???
よって、本問法律は合憲であり、Yの当該主張は認められない。
2 次に、Yとしては、本問法律によって営業上重大な損失が生じることから、
29条3項に基づく「補償」を求めることが考えられるが、この主張は認められるか。
思うに、結局のところ、財産権の補償は国家予算でなされるものであるから、
国家の政策により特別の損害が生じた場合に、それを被った者(=Y社)に受忍させるとすべきか、
その者の損失を国民全体に転嫁すべきとするかの判断により、保障の要否を決するべきと考える。
本問では、本問法律によって、Y社以外の企業や国民全体も牛肉の値上がり等により不利益を被るにもかかわらず、
Y社のような特定の業者の損害のみ国民全体に転嫁することを許せば、
Y社のような業者は負担を負わず、国民が二重の負担を負う結果となり、妥当でない。
3 よって、Yの当該主張も認められない。
*後述
詰め込み過ぎて、分量オーバーになってしまいました。
特に、正直自分でも「一4=適用違憲はいらないか」とも思いましたが(これがないと4Pジャスト)、
過去にも繰り返したように、もともと本番では実力不足、時間不足、緊張、準備した問題と本試験との相違等により、
準備していたことの半分程度しか書けないので、分量には敏感になり過ぎないことにしました。
読んでいただくのは億劫だったしょうが、幸い小問間であまりリンクさせていないので、
(一応、小問間で問題となる人権の種類に気を遣ったつもりです)前回ほど読み苦しいことはないと思っています…。
最後の部分については、集中力が切れてグダグダになっていますね。
おそらく問題によっては、Y(吉野家?)の主張として、適切な代替措置がないことは違憲であるとして、
29条3項の補償でなく、国家賠償法に基づく賠償を請求することを書くほうがよいと思います。
しかし、そうすると立法行為と国家賠償との問題も出てきて手に負えなくなるため、グダグダのまま断念しました。
473 :
河童:04/08/27 13:57 ID:???
なお、本答案の最後の部分のようにオールオアナッシングの考え方をするならば、
「一般的規制か特定人への規制か」というキーワードを出して書いたほうがよい気もしました。
近時の有力説は、そのキーワードは好きでないとも耳にしますが、私は学説に疎いものですから。
……こんなとき、学者さんの言葉や学説、学会の主流等を語る場合、必ず学者名・出典・関連裁判例、
その要約などを明らかにしてご教授くださった方の不在が残念でなりません。
確かな知識と文献に裏打ちされ、それを惜しみなく顕出させたご批判・ご批評をこそ懐かしみます。
個人的な心情で、少し私のイライラがスレに伝染したようですね。
不快に思われた方には失礼しました。ご容赦ください。
>>467 正当な批判をうけると「ここは2ちゃんだから、何言ってもいいんだよおおお」!!って涙ぐむ・・
お前自身、何言われてもいい覚悟してないから、
>>467のような反応してるんじゃないんか?
477 :
河童:04/08/27 14:43 ID:???
失礼。ミスりました。
>>474・475
「叩く」答案をアップしましたので、よろしければ、
どうぞこちらを叩いて実質的な議論をお願いします。
469と470同じですよ。
>>474・475
↑この「・」は、「-」にしてね。
っていうか、kappaさん、2CH用ブラウザ導入してないの?
(小問1) あてはめ(規範=生命身体の安全確保のため必要最小限)
端的に○○の手段も安全確保のためあり得るから、必要最小限といえない、とすれば、
もっと、すっきりするとも思えますが・・・
>なお、BSE問題の抜本的解決のために・・・
これは最初に書くべきではないでしょうか?
(小問2)
>>よって、経済的自由に対して加えられる規制が「公共の福祉」に適合するか否かは
、規制の目的や必要性、内容、 その規制によって制限される経済的自由の性質及び制
限の程度をより慎重に総合考慮した上、それが国会との関係で 能力的・役割的に裁判
所の審査になじむかを加味して、合憲審査基準を決すべきである。(あ)
←この部分と
>国民代表機関たる国会(43条1項)の判断を尊重すべきであり、規制手段が明白に合
理性を欠く場合以外は、 本問法律を合憲とすべきである(い)
←この部分が2重に規範をたてているようではじめわかりにくったです。
(あ)は明白性の規範を導出する前提なのでしょうけど、それならちとくどい印象をうけました
>2 次に、Yとしては、本問法律によって営業上重大な損失が生じることから、
29条3項に基づく「補償」を求めることが考えられるが、この主張は認められるか
←この部分は私は、普通の切り張り論証ではなく、抽象的な規範ではありますが、
案外いいかも、と思いました。
全体)規制される権利の性質、重要性により、同一の法律が違憲、合憲とわかれるのですから、
小問1では精神的自由権、小問2では経済的自由権が問題となっており、
その重要性、回復可能性、ないし、裁判所の判断能力などとの関係をもっと前面に
だしたほうがよかったような気もします。(どうやってだすか迷いますけど)
、
>>468>>470-472 他にも細かいとこで気になるとこはいくつかありますけど、
>>480さんとだいたい同じ感想を持ちました。
> (あ)は明白性の規範を導出する前提なのでしょうけど、それならちとくどい印象をうけました
というか、だいぶくどいですな。書きすぎでしょ。
あてはめで書くべきことを前倒ししている印象ですね。
審査基準は、もっと抽象的な権利の性質のレベルで考えるべきことだと思われます。
あと、二分論(消極的規制)はやはり触れるべきではないでしょうか。
> ←この部分は私は、普通の切り張り論証ではなく、抽象的な規範ではありますが、
> 案外いいかも、と思いました。
私はちょっとこれでは物足りないな思いました。
29条3項の文言解釈をもっときっちりすべきだと思います。
482 :
280:04/08/27 17:02 ID:0mt71lgo
29条3項については,損失補償の要否の枠組みとして1特別の犠牲か否か
であることを論じそれが平等原則に由来することを指摘し(特別犠牲論の論証),
2特別の犠牲の具体的要件として,一般的か否か,財産権そのものを奪うか
他の目的のためのものかそれともそれが財産権の内在的制約に入るか否かを
論ずる必要があると思う。
本問で言えば,一般的な制約であるようにも見えるが実は特定の人の制約であること
しかし牛肉という危険性を内包した商品であることを考えるとそのような制約は内在的
制約の範囲内であるとして補償不要とすることが可能ではないか。
また前提として輸入禁止がどのような損失になるのかを説明する必要はないのか。
とも思う。
憲法の平等権の昨年の本試験で
憲法は14条で平等を保障している。
けだし、至極当然のことであり、当たり前のことを
条文に載せてこそ、13条の個人の尊厳を達成できるからである。
ですから、当然のことなので、どちらとも解釈でき、
利益考量によって主観的に決することも許されるというべきである。
主観に決することが、真の平等であり個人の尊厳に繋がるのだから。
本問をみるに、、、、、明らかに違憲である。
条文に照らしても14条に反するのは絶対である。
けだし、主観的に前述のように決めてよいからである。
↑を書いてA評価だった。
やはり予備校論証と違うのを使用したから評価されたと思うな。
おめ
>>483 また日本語が不自由な詐欺師が一人…
糞スレ認定。
↑糞スレと思っても来てしまうお前は糞バエだな?
うまい!! ( ^o^)ノ◇ ザブトン1マイ
489 :
河童:04/08/28 20:12 ID:???
>>486 これは、ボブサップとボンヤスキーの試合前の記者会見のやり取りですね。
私はプライドが「凄く」なってから、どうもK1は見ていることができません。
なお、前東大学長(という肩書きほど、この方に相応しくない肩書きはないように思えますが)
蓮見重彦の『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』は、めちゃくちゃお勧めです。
以上、余談でした。
さて、
>>480‐481
(あ)は潜在的に考えればよいことで、確かに答案に顕在化させるとくどいですね。
>>480‐481‐482
それまでの論述が長くなり過ぎて、29条3項が窮屈になりましたね。
これについては、時間があればまた丁寧に論述したいと思います。
>>483 ・・・「主観」って、どなたの主観のことを言っているのでしょうか?
公立の女子高が「主観」的に絶対に違憲・・・?
答案の詳しい内容はわかりませんが、本試験の「懐の深さ」ですね。
余談のほうが長くなってしまいました。反省。
二 がなくない?
492 :
河童:04/08/28 22:03 ID:???
風呂に入って一通り考えました。
> 普通の切り張り論証ではなく、抽象的な規範ではありますが、
> 案外いいかも、と思いました。
>私はちょっとこれでは物足りないな思いました。
>29条3項の文言解釈をもっときっちりすべきだと思います。
あてはめを厚くしようとして、時間とスペースがない場合、規範が緩くなります。
しかし、規範とあてはめはワンセットで考えてよいものかもしれませんね。
規範をきっちり立てれば、あてはめはその定立した規範を一問一答的に面倒見る程度で十分。
逆に、規範を緩くすれば、あてはめできっちりと濃密に論じて理解を示す必要がある。
(すなわち、「二重の基準」というキーワードであっさりと規範を定立する場合、
「二重の基準」を理解していることを示すために、(あ)のようなことをあてはめ部分で書く必要がある)
してみると、前記(あ)がくどいという印象があるのは当然ですね。
>経済的自由に対して加えられる規制が「公共の福祉」に適合するか否かは
>規制の目的や必要性、内容、 その規制によって制限される経済的自由の性質及び制
>限の程度をより慎重に総合考慮した上、それが国会との関係で 能力的・役割的に裁判
>所の審査になじむかを加味して、合憲審査基準を決すべきである。(あ)
二重の基準をしっかり書いたほうがよいという方がいらっしゃいましたが、
これは、ほとんど二重の基準の内容を書いたも同然のことですから、
このような規範を定立した場合は、あてはめをやり過ぎては、なるほどくどくて当然だと。
493 :
河童:04/08/28 22:29 ID:???
480、481両氏がご指摘くださったことは、まさしく492のことですね。
よく理解できた気がします。
さて、「二重の基準論」のようなキーワード一撃で規範を定立して、
その内容を理解していることを当てはめで示す、という手法が王道でしょうか。
規範を厚く書いて、あてはめはその面倒を見る程度、という書き方も捨て難いと思います。
結局、問題によって戦略的に選択していくものでしょうから、引き出しの多さが大きな武器となるのでしょう。
例えば、手前ミソですが、今年の2問目(統治ではありますが)において、
裁量論で論じた私としては、問題となる人権(統治ゆえ、事項、といってもよいでしょう)の性質から論じ、
「国民代表者を選出する選挙に関しては国民の総意に基づいて決すべき事項であるから、
国会の判断能力の高さ・使命(役割)を考慮して、裁判所は国会の決定を尊重すべき→設問前段合憲。
ただし、議員定数不均衡問題・選挙運動の自由の問題などを見れば明らかのように、
国会の組織自体に関わる選挙に関する事項について国会にあまりに広い裁量権を認めれば、
民主制の過程で是正が困難である。
そこで、過度に広い裁量権は与えず、裁判所がある程度厳格に判断。→設問後段違憲。」
としましたが、最初の科目であることと限られた時間を考えれば、よく書けたと思います。
その伏線として、辰巳さんの直前模試で、「経済的自由権」に関する問題が出たことがあります。
それは産業廃棄物の処理について、処理業者の処理の仕方を通して経済的自由を制約する問題でした。
この問題について、二重の基準→しかし、消極的規制であるから、厳格な基準を採用→違憲
というスジは、あまり評価されませんでした。予備校にしてはたいしたものです。
私は、環境に関する問題については、自分たち及び後世の人間にどのような環境を残すか、
あるいは国際社会でどのような地位を得るか(京都議定書にまつわる事態を想起せよ)は、
国民の総意に基づいて決せられるべきであるから、裁判所は国会の判断を尊重すべき、として高く評価されました。
>>493 これで三度目なんだけど・・・
アップした答案で二に該当する部分が欠けてないですか?
二Aについて
495 :
河童:04/08/28 22:45 ID:???
結局、「二重の基準論や規制目的二分論」等がストレートに妥当するような問題は、
本試験ではおそらくお目にかからないでしょうから、現場で問題を見て、
それらの理論の根拠となるべき事情をなるべき詳細に意識した上で、
自分の結論を導くのに都合のよい要素だけを引っ張り出して答案に書く、
という技術を身につける必要があるでしょう。
これは憲法に限られませんが、私は、論文の技術のひとつとして、
「二重の基準論」とか「規制目的二分論」とか、
メジャーな名前のついた原則として一括りにまとめられてしまう前の、
それを支える個々の根拠をしっかり意識して、
それらをいつでも答案に個別利用できるようにしておくことは、
大変重要なのではないかと思っています。
手前ミソの上、あまりまとまった論述になりませんでしたが、今回の答案では、
「アメリカ産牛の全面輸入禁止」は「二重の基準論」で「消極規制」、
ゆえに「厳しい合憲基準」を採用するというのではなく、
「消費者たる国民が決すべきこと」から「国会の判断を尊重すべき」、
ゆえに「緩い合憲基準」を採用してよい、ということを表したかったと言っておきます。
無用に饒舌でしたか・・・。
496 :
河童:04/08/28 22:52 ID:???
>>494 4 では、仮に、輸入不許可処分を受けたXが本問法律の違憲性を主張して処分取消を求めて出訴した場合、
裁判所はどのように対処すべきか。
この点について、民主的基盤の薄い裁判所が国民代表機関たる国会(43条)が制定した法律を
簡単に違憲とすることは、権力分立(41条、65条、76条1項)や民主主義の理念にも反する。
また、本問法律は、本質的には営業の自由(22条1項)、財産権(29条1項)を制約するものであり、
萎縮効果のおそれに配慮する必要性は大きくない。
よって、裁判所は本問法律をXの輸入行為について適用する限りにおいて違憲であるとし、
国会の政策的判断を尊重した適用違憲の手法を用いるべきであると考える。
二 Aの場合について
1 まず、Yとしては、本問法律がY社の営業に極めて重大な不利益を与えることになるため、
Yの営業の自由(22条1項)及び財産権(29条1項)を不当に制約するものであるとして、
違憲であると主張することが考えられる。
(1)この点について、確かに、職業選択の自由及び財産権行使の自由の保障は、
何人も原則として自由な市場で各自の欲する場所からその欲する原料を輸入して
生産活動を営むことができる自由を含むと解することができる。
しかし、営業の自由、財産権は他の憲法上の利益と対立する場合には
「公共の福祉」(13条、22条1項、29条2項)に基づく制約に服することになる。
・・・・・・・・申し訳ございません。めちゃくちゃ読みにくくなっていまいました。
ほんとに申し訳ございません。しっかりしろよ、俺・・・。
497 :
481:04/08/28 23:35 ID:???
>>493 > 480、481両氏がご指摘くださったことは、まさしく492のことですね。
いえ、私が言いたかったことはそういうことではございません。
もっと、根本的な理論面に関することです。
答案例や
>>493>>495を見る限り、二重の基準論に対して
根本的に誤解なさっている疑いを禁じえません。
まずは基本書をじっくり読まれた方がよいのではないでしょうか。
>>493 今年の2問目前段と後段で判断基準を変えたということ?
それは逆鱗に触れると思うけど・・・
判断基準はいっしょで、あてはめで差をつけるべきでしょ?
499 :
河童:04/08/29 01:09 ID:???
>>497 二重の基準論については、基本書を読むまでもなく、
参考書・予備校の資料でさすがに正確に理解できていると思います。
もっとも、
>二分論(消極的規制)はやはり触れるべきではないでしょうか。
というのはおっしゃる通りだと思いますが。
>>498 あてはめで差をつけるべきです。
結局、裁量の幅の話を書いたわけですが、設問前後段で判断基準を明確に変えてはいません。
国会に一定の範囲で裁量を認めるべきであるが、裁量の幅を判例のように広く認め過ぎてはいけません、
ということを書いただけです。前段は、裁量の範囲内。後段は裁量の範囲外。ということですね。
(ただし、人権の問題としての側面を考えると、被選挙権を与える「=設問前段」と、
被選挙権を奪う「=設問後段」で、両設問の間で裁量の幅に差をつけてもいいと思いますけどね)
まあ、本試験については近い将来成績が出るわけで(それは必ずしも絶対的な基準ではありませんが)、
498さんのように実質的なご意見であれば歓迎ですが、「逆鱗だ。高評価だ」という議論はやめましょう。
なお、自分のスジを書いて主観的な評価を示していただくのは歓迎です。
500 :
481:04/08/29 13:22 ID:???
答案例や
>>493>>495を見る限り、かっぱさんは二重の基準論を肯定し、
二重の基準論に立脚して論述しているつもりでおられるように見えます。
しかし、
>経済的自由に対して加えられる規制が「公共の福祉」に適合するか否かは
>規制の目的や必要性、内容、 その規制によって制限される経済的自由の性質及び制
>限の程度をより慎重に総合考慮した上、それが国会との関係で 能力的・役割的に裁判
>所の審査になじむかを加味して、合憲審査基準を決すべきである。(あ)
これは二重の基準論ではないのではないでしょうか。河童独自説のように思われます。
総合考慮説とでも言いましょうか。むしろ二重の基準論を否定する考えに近いように見えます。
(あるいは二重の基準論は飛ばして目的二分論の発展説を展開されてるのかもしれませんが
これまでの文脈を見る限りそういうおつもりでもなさそうです。)
すなわち、
二重の基準論は「権利の性質」に着目し、
抽象的な裁判所の取るべき態度にダブルスタンダードを設けるものであるのに対し、
河童独自説は、「権利の性質」に着目するのではなく、
その権利を制約する「国家行為の性質」等に主として着目し、
抽象的な裁判所の取るべき態度を決定しています。しかも具体的な判断はまた別にある。
わたくしが、二重の基準論に対して根本的に誤解なさっている疑いを禁じえない
理由は、以上のようなところにあります。
本問で、「権利の性質」に着目した二重の基準論は必須ではないでしょうか。
それが答案から全く抜け落ちているように読めるのです。
501 :
河童:04/08/29 14:02 ID:???
>>500 なるほど。481さんのご親切なレスは的確で、大変有益です。
>二重の基準論は「権利の性質」に着目し、
>抽象的な裁判所の取るべき態度にダブルスタンダードを設けるものである
この二重の基準論は、「経済的自由」のときに緩い基準を採用する根拠とされる一方、
肝心な「精神的自由」のときに厳格な基準を採用する根拠とはあまりされていないことから、
効果的に運用されていないという批判がありますね。
(同じような危険性は、パブリックフォーラム論などにもあると指摘されていますよね)
私には、このような二重の基準論に対する批判は非常に重要なことと思われ、
「二重の基準論」そのものについての論述を求められている問題以外では、
特に「経済的自由」に対する問題で、あまり明示的に用いたくないと考えています。
してみると、今回の問題は「二重の基準論」そのものについての論述が求められているともいえ、
総論として二重の基準論を出してから、@学問の自由A経済的自由を論じるべきでしたか。
そうすると、ますます480さんにご提示いただいたように、
>(小問1) あてはめ(規範=生命身体の安全確保のため必要最小限)
>端的に○○の手段も安全確保のためあり得るから、必要最小限といえない、とすれば、
>もっと、すっきりするとも思えますが・・・
ということになりますね。
502 :
河童:04/08/29 14:10 ID:???
・・・実は、今回の問題は、夏前に論文用に私が勝手に考えた別個の@Aの問題を、
アップ用に合体させたものなのです。(答練にありそうな形式に整えました)
別個の問題であったという流れで、@とAでリンクさせない形で書いてしまいましたが、
よく考えたら全面的に「二重の基準論」について論述させる問題になっていましたね。
答練に似せた結果、典型的な問題になっていたということに自覚的でありませんでした・・・。
自分でつくった詰め将棋の詰め方を忘れてしまったようなものですね。
お恥ずかしい限りです。
非常に参考になりました。次のたたき台おねがいします。
憲法平成10年1問を、教えて下さい。問題と答案をうpしておきます。
答案構成で25分ぐらいかかった。というか悩みすぎて時間がたりなかった。残された時間で
圧縮に圧縮を重ねた答案。
公立A高校で文化祭を開催するに当たり、生徒からの研究発表を募ったところ、キリスト教の
ある宗派を信仰している生徒Xらが、その宗派の成立と発展に関する研究発表を行いたいと応募した。
これに対して、校長Yは、学校行事で特定の宗教に関する宗教活動を支援することは、公立学校
における宗教的中立性の原則に違反することになるという理由で、Xらの研究発表を認めなかった。
右の事例におけるYの措置について、憲法上の問題点を指摘して論ぜよ。
一、公立A高校の生徒であるXらが、文化祭において自己の信仰する宗派の成立と発展に関する研究発表
をする自由は、信教の自由(20条)・学問の自由(23条)・表現の自由(21条)の複合的な人権である。
いずれも精神的自由権であり、個人の人格形成にとって必要不可欠であるから、他者の人権を侵害し
ない限り最大限に保障されるべきものである。
しかし、公立高校における教育目的を達成するために必要最小限度の制約に服する。その根拠は、憲
法が公教育の存在と自律性とを憲法の構成要素として認めていることにある(26条)。
二、本問の校長Yは、公立高校における教育目的を達成するため、Xらの研究発表が公立高校の宗教的中
立性の原則に違反することを理由に不許可にしている。これが必要最小限度の制約といえるかが問題と
なる。
思うに、公権力の宗教的中立性(政教分離原則)とは、信教の人権の保障を完全なものにするために
規定された制度的保障である(20T後段・3項・89条)。公権力と宗教とが結びつくと、権力の絶対化
と宗教の堕落とを招き、民主主義に適合しないばかりか、少数者の信教の自由を圧迫することから規定
されたものである。
憲法は国家と宗教との厳格な分離を要求しているが、公教育においても生徒の宗教的寛容性を育成す
ることは必要であるから、行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助・助長・促進
又は圧迫・干渉になる場合に、政教分離原則に反する行為として違憲になると解する。
本問では、校長Yが、Xらの研究発表を不許可にすることがXらの信仰する宗派への圧迫・干渉にな
るか、あるいは反対にこれを許可することが援助・助長・促進になるのかが問題となる。
この点、Xらは、校内において布教活動をしようとしたものではなく、自己の信仰する宗派の成立と
発展に関する研究発表という、Xらの知的好奇心を充足させる行為を行おうとしたにすぎない。確かに、
Xらがその宗派を信仰していることが、研究発表の動機にはなっているが、それが直ちに布教活動につ
ながるものではない。あるいは、Xらの意図が仮に布教活動にあったとしても、文化祭という短期間に
どれほどの成果があがるのか疑問である。
それゆえ、校長YがXらの研究発表を許可しても、特定宗教への援助・助長・促進にはならないし、
また不許可が圧迫・干渉にもならないと考える。反対に、宗教的寛容性を育成にとって有害ですらある。
よって、校長Yの措置は、裁量権の範囲を逸脱しており、教育目的を達成するための必要最小限度の
制約とはいえないから、Xらの信教の自由(20条)・学問の自由(23条)・表現の自由(21条)を侵害
する違憲な措置であると考える。
以上
〔本人の感想〕特に目的審査基準、手段審査基準に分けなかった。時間がなかったのだ。まず、Xらの侵害された
人権でなやんだ。次に、法律により一般的に人権が制約される場合ではなく、在学関係という特別の法律関係に
おける人権制約であるから、その視点は出さざるをえない。さらに、政教分離は必須。しかし、玉ぐしや地鎮祭の
ように国家からの給付の合憲性ではなく、純粋にXらの自由権侵害の問題。それらを考えているうちに時間がなくなった。
しかし、厳密にいうと、在学関係においても、人権の性質に応じて厳格な審査、緩やかな審査はある。ところが、
校長Yが教育目的から頭髪やバイクについて規制した場合とは異なり、ダイレクトに宗教的中立性を理由としている
ところで、さらに悩んでしまった。そうしているうちに時間もなくなるし、政教分離原則をどのような形で書けばいいかも
難しいので、目的審査、手段審査にまで頭が回らず、急遽、短めの答案に軌道修正するほかなくなった。
508 :
河童:04/08/29 21:02 ID:???
>>505 >いずれも精神的自由権であり、個人の人格形成にとって必要不可欠であるから、
>他者の人権を侵害しない限り最大限に保障されるべきものである。
・・・前前から聞きたかったことなのですが、これは有名な基本書に載っているフレーズなのでしょうか?
問題によっては「他者の人権」でなく「他の憲法上の利益」としないと、
例えば広告条例など「表現の自由」と「都市の美観」等を対立させることができないと思うのですが。
当該問題に関して実質的にいえば、法律が前提でないので校長の「裁量論」一本で論じてはいかがでしょうか。
(私が個人的に思うに、「公立高校」も「私立高校」も実質的にあまり差異はないと思います。
私立であれば「私人間効力」になり裁量の幅がやや広くなるだけの話で、同じような問題が生じるでしょう)
さて、真の意味で「宗教的中立」というのであれば、本問で問題となるキリスト教でいえば、
「カトリック」と「エホバの証人」との間で扱いに差異を設けるべきではないでしょう。
しかし、「エホバ」(これがカルト的な新興宗教であればなおさら)とカトリックのと間では、
社会的認知度や認知のされ方に埋め難い差異があるのはもはや明白な事実といえます。
(よって、合憲性の判断がそれぞれの宗教でブレるのはやむを得ないことでしょう。)
また、例えば仏教に置き換えれば「日蓮宗の成立と発展に関する研究発表」であれば、
学問性が宗教性を上回ることもあるでしょうが、オウムはダメでしょう。
これはもはや、「宗教」というよりは「政治」の問題ですね。
結局、本問がどの程度いかがわしい「キリスト教の宗派」に関する「研究発表」であったか
問題文からは明らかでない以上、妥当な結論は主観的にも客観的にも容易に決定できません。
そこで、私が論文を書くとするならば、「校長には学校内の事務について一定の裁量権がある」→
「研究発表の内容や態様を一切問題とすることなく、不許可処分にしたことは裁量権違反」とでもすると思います。
裁量権の幅を決する場面か、あてはめの場面でうまく政教分離を入れるべきでしょうね。
509 :
河童:04/08/29 21:04 ID:???
実際には、この宗教・生徒たちの現実と企図していた活動の内容などを総合考慮すれば、
あっさりと現実的に妥当な結論は出ると思います。
教育の現場にいる者に聞くと、こういう「出し物」にはかなり融通しているそうですが、
中には「それはさすがに勘弁してよ」というものもあるのだとか。
(「アイドルの変遷」ならOKでも、「ヘアヌードの変遷」はダメとか、そういうレベルですが)
>>504-
>>506 (規範 )目的が宗教的意義、かつ、効果が促進、または圧迫⇒政教分離違反⇒必要最小限の制約
>>校長Yが、Xらの研究発表を不許可にすることがXらの信仰する宗派への圧迫・干渉にな るか、あるいは反対にこれを許可することが援助・助長・促進になるのかが問題となる。
+
>>それゆえ、校長YがXらの研究発表を許可しても、特定宗教への援助・助長・促進にはならないし、 また不許可が圧迫・干渉にもならないと考える
←
許可しても、圧迫しない⇒政教分離違反なし、⇒必要最小限といえない。
ここまではいいと思うのですが、貴兄は
校長の措置=不許可⇒政教分離違反なし⇒必要最小限といえない
としています。
これは一見正しいように思えます。しかし、校長の措置が政教分離違反なければ、それは、
校長の措置の妥当性を補強する論拠といえるのはないでしょうか?
511 :
131:04/08/30 02:25 ID:???
>>504-506 > いずれも精神的自由権であり、個人の人格形成にとって必要不可欠であるから、他者の人権を侵害し
>ない限り最大限に保障されるべきものである。
>しかし、公立高校における教育目的を達成するために必要最小限度の制約に服する。その根拠は、憲
>法が公教育の存在と自律性とを憲法の構成要素として認めていることにある(26条)。
制約根拠のブレについては、この段階ですでに混同が見られます。
悩ましい問題だと思いますが、
>在学関係という特別の法律関係における人権制約
これは、公務員ではないのですから公共の福祉ないし内在的制約(ないし他の憲法上の利益)の範疇なのではないかと思います。
校長は信教の自由を有する他の生徒・教師の人権保護を目的としているわけですから。
河童さんの言うように現実的妥当性を前提に裁量論に絞るのもひとつの手でしょう。
政教分離を書くなら、他の憲法上の利益との対立の問題とするのがベターだとは思うのですが。
結論は
>>510氏ご指摘のように逆になっていると思います。
俺は、この問題事前抑制の問題にした。河童さんの裁量権構成に近いかな。
結構書きやすいと思う。
>>510に追加、
政教分離違反⇒必要最小限といえるかもしれませんが、このことから、論理的に、
政教分離原則違反がない⇒必要最小限でない、とはいえません。
(∵A⇒Bから〜Aならば〜Bは導出されない)
とすれば、論理の流れとすれば、厳密にいえば→
政教分離原則に反せず、宗教的中立性がないという、校長の不許可の理由は妥当性に欠ける。
よって、
制約すべき理由がなく、
従って、
制約は必要最小限とはいえず、違憲である、
とすべきではないでしょうか?
なお、余計なことかもしれませんが、私見では、この場合校長の裁量は相当広いと考えます。
たしかに、 教育の一環
しかし、 メインのカリキュラムに付随するものにすぎない。
また、 1年のうち、2,3日程度の文化祭にすぎない。
かつ、 退学や留年処分といった重い処分とはいない、
からです。
そして、 感覚的には、高校の出し物に関して憲法違反の大なたをふるうのはなじまないよう
な気がするのです。
514 :
河童:04/08/30 09:26 ID:???
最後にひとつ。
本問は、私の公立女子高についての考え(=教育の自由・学習の自由をフィルターとした平等原則)
に通じるものがあると思いますが、「公立」と「私立」で大きな差異をつくることは、
信教の自由をフィルターとした平等原則から問題だと思います。
私学にいけば、信教の自由は保障されやすく、公立にいけばそうでない、ということでは・・・。
例えばミッション系・仏教系の私学等に関しては話しは別ですけどね。
もっとも、税金で運営されている公立は一般に私立より学校側の裁量権の幅が狭く、
しかも政教分離原則の問題もある、ということは問題意識としてあるべきかもしれません。
>信教の自由をフィルターとした平等原則から問題だと思います。
>私学にいけば、信教の自由は保障されやすく、公立にいけばそうでない、ということでは・・・。
何だかこれはズレてるような。
私学に行けば信教の自由は保障されやすいのか?本当に?
>>508 >>いずれも精神的自由権であり、個人の人格形成にとって必要不可欠であるから、
>>他者の人権を侵害しない限り最大限に保障されるべきものである。
>・・・前前から聞きたかったことなのですが、これは有名な基本書に載っているフレーズなのでしょうか?
>問題によっては「他者の人権」でなく「他の憲法上の利益」としないと、
>例えば広告条例など「表現の自由」と「都市の美観」等を対立させることができないと思うのですが。
「表現の自由」はともかく,「都市の美観」は憲法上の利益(要請)と言えるか?
516 :
481:04/08/30 16:17 ID:???
>>504-507 > 二、本問の校長Yは、公立高校における教育目的を達成するため、Xらの研究発表が公立高校の宗教的中
> 立性の原則に違反することを理由に不許可にしている。
「公立高校の宗教的中立性の原則に違反することを理由に不許可」にすることは
「公立高校における教育目的」達成に役立つのでしょうか。よくわかりません。
教育目的と結びつける必要はなかったのではないでしょうか。
端的に「政教分離のため」ってことでいいのでは。問題文にもそう書かれていますし。
あとこれとの関連ですが、
>>511 > 校長は信教の自由を有する他の生徒・教師の人権保護を目的としているわけですから。
これも疑問です。他の生徒・教師の人権を持ち出すのは、ちょっとずれてるのではないでしょうか。
人権を余りにもナイーブに捉えすぎてるのでしょうか。制約理由が問題文に書いてますし、
「信教の自由VS政教分離」というのが本問の中心的問題だ考えるべきだと思います。
>>513 たしかに、退学とかになったのでないから、剣道事件よりも、日曜参観事件に近いような気が
しました。たぶん訴訟になれば校長の裁量権の範囲内で合憲だと思ったのですが、最終的
に裁量の範囲→合憲という結論となると、それ以前の論述とつながりをつけるのが難しいので、
一応裁量権の問題は無視してやりました。ただ、裁量権が広いだろうということは感じとれたので
あてはめの中でペロッとひとこと「裁量の逸脱」みたいなことは書いてしまったのですが・・・
それと問題文に「宗派の成立と発展」とあったので、そこは素直に「成立と発展」についての
研究なんだろうと思いました。とすると、世界史の授業で教えていることと同じだろう、見方
によっては世界史の勉強成果の発表ともみれるわけで、たまたまそれをしたのが信者だか
らといって不許可にまでする必要はないじゃないか、と思いました。文化祭でお化け屋敷を
展示して、女の子のケツ触っている椰子よりはマトモではないかと。
>>516 >「公立高校の宗教的中立性の原則に違反することを理由に不許可」にすることは
>「公立高校における教育目的」達成に役立つ
でしょ。公教育の中立性を図る目的には資するといえる。
それよりも問題なのは,
520 :
481:04/08/30 16:41 ID:???
>>508 > >いずれも精神的自由権であり、個人の人格形成にとって必要不可欠であるから、
> >他者の人権を侵害しない限り最大限に保障されるべきものである。
> ・・・前前から聞きたかったことなのですが、これは有名な基本書に載っているフレーズなのでしょうか?
> 問題によっては「他者の人権」でなく「他の憲法上の利益」としないと、
> 例えば広告条例など「表現の自由」と「都市の美観」等を対立させることができないと思うのですが。
「他者の人権を侵害しない限り」ミルの他害原理ですね。
内在的制約説の説明として、どんな基本書でも書かれてることではないでしょうか。
ただこれでは美観維持のための制約が根拠付けられない、というのはよく言われる指摘だと思います。
本問でも、他者との人権の調整が本題ではない
>>516 ので、少し考えておかないとダメなところかもしれません。
ただ、「他の憲法上の利益」にしたら「都市の美観」等を対立させることができるというのは???
>>515下と同様の疑問。
521 :
481:04/08/30 16:42 ID:???
>>508 > 「カトリック」と「エホバの証人」との間で扱いに差異を設けるべきではないでしょう。
> しかし、「エホバ」(これがカルト的な新興宗教であればなおさら)とカトリックのと間では、
> 社会的認知度や認知のされ方に埋め難い差異があるのはもはや明白な事実といえます。
> (よって、合憲性の判断がそれぞれの宗教でブレるのはやむを得ないことでしょう。)
この最後の指摘は疑問です。こんなことがあっていいのか、「やむを得ない」で済ましていいのかは
(結論としてどう考えるかは別にして)大問題でしょう。
> また、例えば仏教に置き換えれば「日蓮宗の成立と発展に関する研究発表」であれば、
> 学問性が宗教性を上回ることもあるでしょうが、オウムはダメでしょう。
これも同様です(結論としてどう考えるかは別にして)。
> これはもはや、「宗教」というよりは「政治」の問題ですね。
「政治」の問題としてしまうのは反対です。十分憲法問題になるでしょう。
> 「研究発表の内容や態様を一切問題とすることなく、不許可処分にしたことは裁量権違反」とでもすると思います。
内容を問題にしてないからこそ裁量内、という方向性が導かれることはないでしょうか。
内容を加味する、すなわち、特定の宗教だから発表を禁ずる、となると、
宗教差別という大きな問題が生じてくると思います。
>>519 宗教系の高校は教育目的達成できないでしょうか。そんなことないでしょう。
宗教的中立性と教育目的達成は一応別々に達成できるのではないでしょうか。
全く関連性がないとはいえないので、間接的に影響しあう問題ではあると思いますが、
ただ、少なくとも、より直接的な問題を中心に考えるべきとはいえないでしょうか。
いろいろ参考になる意見をありがとう。書き直してみた。
一、公立A高校の生徒であるXらが、文化祭において自己の信仰する宗派の成立と発展に関する研究発表
をする自由は、信教の自由(20条)に含まれると解する。信教の自由は、内心における信仰の自由を基
本とするが、それが外部に現れた布教の自由や、自己の信仰する宗派についての歴史的研究の発表も、
内心の信仰に基づくという点では、同根だからである。もっとも、研究という知的作業の発表であるこ
とから、表現の自由(21条)をも根拠として挙げてもよい。
信教の自由は精神的自由権であり、個人の人格形成にとって必要不可欠であるから、他者の人権等の
他の憲法価値を侵害しない限り、最大限に保障されるべきものである。
しかし、Xらの信教の自由も、公立高校における教育目的を達成するために必要最小限度の制約に服
する。その根拠は、憲法が公教育の存在と自律性とを憲法の構成要素として認めていることにある(26
条)。
二、本問の校長Yは、公立高校における教育目的を達成するため、Xらの研究発表が公立高校の宗教的中
立性の原則に違反することを理由に不許可にしている。公立高校の校長には、文化祭への研究発表の許
否に関して一定の裁量権が認められるとしても、その裁量権の行使が人権に対する必要最小限度の制約
の範囲を超えれば、違憲の問題が生ずる。
思うに、公立学校の宗教的中立性とは、信教の人権の保障を完全なものにするために規定された制度
的保障である政教分離原則を意味する(20T後段・3項・89条)。これは、公権力と宗教とが結びつく
と、権力の絶対化と宗教の堕落とを招き民主主義に適合しないばかりか、少数者の信教の自由を圧迫す
ることから規定されたものである。
憲法は国家と宗教との厳格な分離を要求しているが、公教育においても生徒の宗教的寛容性を育成す
ることは必要である。そこで、公務員の行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助・
助長・促進又は圧迫・干渉になる場合に、政教分離原則に反する行為となると解する。
とすると、本問で、校長Yが、公立学校の宗教的中立性の原則に反することを理由に不許可処分をな
しうるのは、Xらの研究発表を許可することが宗教的意義をもち、Xらの信仰する宗派への援助・助長・
促進になる場合ということになる。
この点、Xらは、校内において布教活動をしようとしたものではなく、自己の信仰する宗派の成立と
発展に関する研究発表という、Xらの知的好奇心を満足させる行為を行おうとしたにすぎない。この行
為は高校の世界史の授業の延長と考えてもよい。
確かに、Xらがその宗派を信仰していることが、研究発表の動機にはなっているが、それが直ちに布
教活動につながるものではない。あるいは、Xらの意図が仮に布教活動にあったとしても、文化祭とい
う短期間にどれほどの成果があがるのか疑問である。
それゆえ、校長YがXらの研究発表を許可しても、許可決定自体に宗教的意義はないし、特定宗教へ
の援助・助長・促進にもならない。反対に、宗教的寛容性の育成にとって有害ですらある。
よって、校長Yが公立学校における宗教的中立性の原則に違反することになるという理由で、Xらの
研究発表を認めなかった措置は、裁量権の範囲を逸脱しており、教育目的を達成するための必要最小限
度の制約とはいえないから、Xらの信教の自由(20条)を侵害する違憲な措置であると考える。
以上
>>522 書き直し答案をうpする直前だったので、
>>522君の参考意見を取り入れる時間がなかった。
そのとおりだ。俺は、在学関係のことを書かないと校長の裁量権を導き出せないと、思い込ん
でいたフシがあるが、そうではない。文化祭への出展について校長に裁量権があるのは当然
のことだから、べつに教育目的云々は書かなくてもよい。
そこで、書き直し答案の一、の最後の三行を削除し、かつ最後から二行めの「教育目的
を達成するための」も削除する。
>>524-
>>527 >>それゆえ、校長YがXらの研究発表を許可しても、許可決定自体に宗教的意義はないし、特定宗教へ の援助・助長・促進にもならない。
←ここは前半の議論とつながりません。参考
>>510 >>517でおっしゃっているように、合憲となるだろう、とお考えならば、
文化祭での研究発表の自由を学習権(26条)の不当な侵害の有無として、検討すべきだったかもしれません。(たしか、柴田はそうしている)
529 :
河童:04/08/30 21:40 ID:???
>>481さん、その他
本問でも結局のところ、価値観(現状認識)の差ということに行き着くみたいですね。
批判は多いかもしれませんが、私は憲法はそれでよいと思っています。
文化祭において、真に政教分離や信教の自由が問題になる場面は、
A宗教に関する研究発表はOKで、B宗教に関する研究発表はNGという場面だと思います。
それに較べて、本問の場合、たかだか文化祭の日に一つの教室を提供する程度の行為で、
政教分離を盾にとって研究発表を禁止する処分は、公立中高を悪くしている事勿れ主義の結果でしょう。
その意味で、目的効果基準によって妥当な結論を導こうという新答案は、
私の考えを表現するのに極めて都合のよい方法ですね。(528さんご指摘の点は改めて考えます)
目的効果基準の場合、一般人の意識を問題としますから、481さんに正当な批判を受けましたが、
>合憲性の判断がそれぞれの宗教でブレるのはやむを得ない。ということにもなりましょう。
>内容を問題にしてないからこそ裁量内、という方向性が導かれることはないでしょうか。
また、481さんのいう以上の考え方には反論があります。
なぜなら、学校が多大な援助金を出すのではなく、文化祭に出展を許可する程度のことは、
原則NGではなく、原則OKとした上で、不適当なものを裁量の範囲内でNGとすべきだからです。
そうでなくば、「宗教」というものを運動・芸術・その他趣味一般と区別して、タブーとすることになり、
これこそむしろ信教の自由を侵害する結果となると思われますがいかがでしょうか。
530 :
河童:04/08/30 22:02 ID:???
510・518さん(同一人物?)のご指摘を考えてみると、
つまるところ、答案アップしてくださった方は、「必要最小限度の制約」にこだわりすぎている、
ということが言えそうですね。私もよく安易にもたれかかってしまう基準です。
「裁量権の逸脱」がない限り合憲とした上で、その裁量の幅を設定(制限)する場面で、
「信教の自由」の重要性を論じればよろしいかと思います。
あとはよく言われ、よく批判されているようですが、529の最後に書いたように、
「宗教ゆえに他のジャンルと差別するのでは、政教分離原則が信教の自由を制限する方向性に働いてしまう」
という不都合性を指摘してもよいのではないでしょうか。
個人的には、校長・教師の裁量は、少数生徒の信教の自由等を保護するためにこそ存在しているはずで、
政教分離原則に反するかどうか際どい場面で、生徒に出展させてやる方向で働かせるべきだと思います。
(もっとも、既述のように黒ミサをやるような宗教を保護するために裁量権を行使する必要はありますまいが)
なお、私の発言を誤解されている方がいらっしゃいましたが、
>(政教分離原則ゆえに)私学にいけば、信教の自由は保障されやすく、
公立にいけばそうでない、ということでは(妥当でないでしょう)・・・。ということです。
531 :
481:04/08/30 23:04 ID:???
>>529 > 本問でも結局のところ、価値観(現状認識)の差ということに行き着くみたいですね。
私は、現状認識の差で済ましてしまうには、余りにも乱暴すぎるように思います。
政教分離に対する根本的な考え方を示すことが求められている、
憲法理論的に非常に難しい点を含んだ問題だと思います。結論はどっちでもいいのです。
> >内容を問題にしてないからこそ裁量内、という方向性が導かれることはないでしょうか。
> また、481さんのいう以上の考え方には反論があります。
> なぜなら、学校が多大な援助金を出すのではなく、文化祭に出展を許可する程度のことは、
> 原則NGではなく、原則OKとした上で、不適当なものを裁量の範囲内でNGとすべきだからです。
> そうでなくば、「宗教」というものを運動・芸術・その他趣味一般と区別して、タブーとすることになり、
> これこそむしろ信教の自由を侵害する結果となると思われますがいかがでしょうか。
>>521の趣旨はそういう意図ではありませんでした。
あくまで「方向性」の話です。判断要素の是非の問題に過ぎません。結論の問題ではありません。
宗教「内容」を取り出さずに、校長が政教分離を考えてること自体は正当では
(他に非があるかは別問題)、ということです。
「この宗教だから政教分離だ」という方がより不当性が高いのは河童さんも
認められているとおりで、それと同じ趣旨です。
>>530 > 510・518さん(同一人物?)のご指摘を考えてみると、
> つまるところ、答案アップしてくださった方は、「必要最小限度の制約」にこだわりすぎている、
> ということが言えそうですね。
そういう問題ではないのでは?言葉が足りない、説明不足ってことでしょ。
裁量逸脱であろうと、制約の最小限であろうと、結局裏表の関係で、言ってることは同じだから
どっちでもいいんじゃないでしょうか?書きやすいほうでかけば。
533 :
481:04/08/30 23:43 ID:???
>>528 >
>>517でおっしゃっているように、合憲となるだろう、とお考えならば、
> 文化祭での研究発表の自由を学習権(26条)の不当な侵害の有無として、検討すべきだったかもしれません。
これは、どういう趣旨でしょうか。
学習権vs校長の裁量として、利益衡量したほうが、合憲に導きやすいのではないか、
ということです。
ところで、柴田の過去問集をみましたら、面白い指摘がありました。
信教の自由の侵害として違憲とするのはおかしい、というのです。
彼の主張を私なりに要約すると、
生徒の研究発表が信教の自由で保障
⇒
生徒の研究発表は(多かれ少なかれ)宗教活動である。
⇒
政教分離原則に違反する。
⇒
校長の主張は正しい。
535 :
481:04/08/31 01:03 ID:???
>>534 > 学習権vs校長の裁量として、利益衡量したほうが、合憲に導きやすいのではないか、
なぜでしょうか。そもそも学習権を持ち出すこと自体よくわからないんですけども。
> 生徒の研究発表は(多かれ少なかれ)宗教活動である。
> ⇒
> 政教分離原則に違反する。
この筋自体はあると思うのですが、問題はこの議論の中身です。
中身が本当にこれだけなら、点のつけようがないでしょうね。
1)学習権を持ち出すことについて、
「高校の文化祭における特定のテーマによる調査、研究、発表という学習の機会を校長の
処分によって奪われている。そこで、学習権を侵害し、違憲ではないか」となります。
2)要は、信教の自由を持ち出しておいて、結論を違憲とする構成はおかしいのではないか、
という問題意識です。この法律構成の不当さを示すために、流れをしめしたのが以下の構成です。
生徒の研究発表が信教の自由で保障
⇒
生徒の研究発表は(多かれ少なかれ)宗教活動である。
⇒
政教分離原則に違反する。
⇒
校長の主張は正しい
⇒違憲
とするのは、
まずいのではないか、という問題意識です。
537 :
河童:04/08/31 11:14 ID:???
私の考えに関して私なりにまとめておきます。
私の意見>答案アップしてくださった方は、「必要最小限度の制約」にこだわりすぎている、
532さんの意見>そういう問題ではないのでは?言葉が足りない、説明不足ってことでしょ。
「必要最小限度の制約」と「一定の裁量がある」はなかなか両立しないものです。
「必要最小限度の制約でない→裁量逸脱」ということだと「裁量なんてないじゃん」と読まれそうです。
そこで、「裁量権一本」で書けば、断然書きやすいと思うわけです。
なにも「必要最小限度の制約」というキーワードを出して、その基準を使わなくてもよろしかろう、と。
532さんも「どちらで書いても」と言っていますが、両方書いては持て余すこともあるということです。
>>536に関しては、>政教分離原則に違反する。 の部分がおかしいですね。
目的効果基準でいけば違反しない、ということで、答案は書かれています。
よって、>校長の主張は正しい ではなく、校長の主張は不当である。
ということになり、結論として違憲となっています。
繰り返しになりますが、「必要最小限度の制約」という基準と、
政教分離原則についての目的効果基準が、答案を錯綜させているという印象があります。
私は苦し紛れに「必要最小限度の制約」か「LRAの基準」を採用することがあるので、
これについては再考しなければならないと改めて思わされる一問でした。
>>537 >>
>>536に関しては、>政教分離原則に違反する。 の部分がおかしいですね。
いや、問題点は
生徒の活動が信教の自由で保障される活動であれば、
その活動は宗教活動であろうし、そうであれば、政教分離に違反するということです。
そして、
生徒の活動が政教分離原則に違反しない非宗教活動であれば、それは信教の活動で保
障される類ものでない
ということだと思います。
539 :
481:04/08/31 12:01 ID:???
>>536 1)について、
では、なぜこのように学習権を持ち出せば合憲に導きやすいのでしょうか。
法律構成によって違憲合憲の判断が分かれる合理性はないと思うのですが。
(もし異なるのなら、どちらかの法律構成が不適当だったとのことでは)
2)について、
まずいのはあまりにも明らかですね。ご指摘の趣旨がわかりかねます。
540 :
481:04/08/31 12:15 ID:???
>>539、2)について、
すみません
>>538を読まずに書き込んでしまいました。
>>538 > 生徒の活動が政教分離原則に違反しない非宗教活動であれば、それは信教の活動で保
> 障される類ものでないということだと思います。
混乱のもとはここではないでしょうか。
「生徒の活動が政教分離原則に違反」することはありえません。
生徒の活動につき政教分離原則違反の有無を問うこと自体がナンセンスです。
政教分離は国家行為につき考えるべきものですから。
学校において宗教活動を放置している(あるいは援助してる)
ないし、そうならないように宗教活動を否定することは正当か、という、
その学校の態度について政教分離原則違反を考えていくべきなのではないでしょうか。
>>法律構成によって違憲合憲の判断が分かれる合理性はないと思うのですが。
(もし異なるのなら、どちらかの法律構成が不適当だったとのことでは)
←すいません、ご指摘の趣旨がわかりかねます。
1)学習権は精神的自由としての側面ががある一方、専門家である校長の裁量が広い、ということから、合憲と導出しやすいのではないか、ということです。
2)おっしゃるとおりです生徒の活動でなく、校長の処分政教分離原則に違反するかどうかですね。以下のように訂正します。
生徒の活動が信教の自由の侵害として違憲なら、その活動は宗教活動であろうし、そうであれば、校長が発表を許すことは、政教分離に違反するという校長の主張は
むしろ妥当であり、とすれば、校長の措置を違憲としにくいのではないか、、ということです
>>541 > 生徒の活動が信教の自由の侵害として違憲なら
?
はい、たいへん勉強になりました。次ぎどうぞおおお!!
河童様、つぎの論文楽しみです。
都道府県知事の長期在職は、地方自治の固定化ないし沈滞を招き、地方自治の発展を
阻害するとして、知事の連続四選禁止の規定を公職選挙法に設けたと仮定する。そのような
立候補の資格制限は、憲法第14条、第15条第1項、第22条第1項、第92条に違反するかどうか、
論ぜよ。
後段の各条文の使い方が、難しかったです。
一、知事の連続四選禁止規定を、公職選挙法で禁止することは、法律によって「地方自治の本旨」(92
条)を侵害することにならないか。
地方自治の保障は制度的保障であり、制度の核心を法律によって侵害することは違憲となる。制度
の核心とは「地方自治の本旨」であるが、それは団体自治と住民自治を意味する。
本問では、住民自治の侵害が問題となる。
この点、憲法15条1項は、公務員の選定罷免権を国民固有の権利と規定し、特に地方公共団体の
長については住民の直接選挙を保障している(93条2項)。
この住民自治の権利は、制度の核心に当たることは疑いない。公職選挙法は、知事の長期在職が地
方自治の固定化ないし沈滞を招き、地方自治の発展を阻害することを立法目的としているが、そのよ
うな弊害の有無は、住民自治を保障された住民が判断すればよいことである。弊害があると思えば、
三選された知事が立候補しても、投票しなければすむことである。
以上により、公職選挙法による知事四選禁止規定は、憲法第92条に違反する。
二、同法の規定は、連続三選された知事の立候補の自由の侵害として捉えることもできる。
立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏をなすものとして、15条1項で保障される。その制限
の合憲性は、立法目的の正当性と、規制手段の必要最小限度性を厳格に審査すべきである。なぜなら、
立候補の自由は、立憲民主主義を支える重要な権利だからである。
設問公選法の立法目的は、地方自治の発展の阻害の防止であり正当である。しかし、その手段とし
て連続三選された知事の立候補を一律前面的に禁止する必要はない。前述したように、弊害が生ずる
か否かの判断は、憲法92条により住民に委ねられているから、住民が連続三選の知事に投票しなけ
ればすむことだからである。
したがって、設問公選法の規定は、憲法15条1項に違反する。
三、連続三選された知事に対する不合理な差別として14条違反が主張された場合も、同一の審査基準
で同一の結論となる。
したがって、設問公選法の規定は、憲法14条に違反する。
四、さらに、立候補する連続三選の知事からすると、職業選択の自由(22条1項)の侵害が問題となる。
この場合は、地方自治の発展の阻害の防止という政策的制約であるから、目的の正当性と、手段の
合理的関連性によって合憲の結論となりそうである。
しかし、広義では「職業」に含まれる公務就任権であるが、経済的自由権である職業選択の自由に
含めるべきではない。国家統治にかかわる職業であるから、あくまで参政権として考えるべきである。
したがって、公務就任権の根拠として15条1項と同時に22条1項を挙げるとしても、その違憲審
査基準は、前述した立候補の自由の制限の場合と同一であり、結論も同一である。
それゆえ、設問公選法の規定は、憲法22条1項に違反する。
以上
550 :
河童:04/09/01 17:06 ID:???
・・・どうやら先を越されてしまいましたね。
さて、今回の答案は本試験においては、この程度でよいのかもしれませんが、
どうも物足りない答案に思えます。 具体的には、
@「地方自治の本旨」に関して、もう少し趣旨から論じる必要性があると思います。
また、A被選挙権の性質について、「選挙公務説」云々まで触れる必要はないにしても、
本答案では少し一方的過ぎる論述になってしまっていませんか。
それを含めて、全体として対立利益に対する配慮が欠けているという印象を受けました。
私も今年の憲法1問目で、ガラにもなく人権擁護派的色彩の強い論述になってしまい、
対立利益に対する配慮が欠けてしまったことをかなり反省しています。
やはり憲法(全科目そうですけど)は対立利益に対する配慮がかなり重要で、
実際に、本問のような法律の必要性も無視できないと思います。
(埼玉県=土屋知事の事例を想起してください)
・・・しかし、立法目的と必要条文まで明示してあるとは、かなり親切な問題ですね。
551 :
131:04/09/01 19:37 ID:???
>>546-549 やや論述が薄く、書き負けるとの印象を受けました。
(もっとも、あえて端折っておられるなら問題ないのですが)
具体的には、諸学説ある論点につき、「制度的保障である」等の断定が散見されること、
住民自治等について、キーワードだけになっており内容の説明がないこと、
人権制約根拠についての指摘(公共の福祉、相対的平等等)がないこと、等です。
今の憲法論文では理由づけが重要視される傾向にあると思いますので、くどくならない程度に触れるべきではないでしょうか。
あと、私にはちょっと分からないのですが、
> 地方自治の発展の阻害の防止という政策的制約
経済的目的が(仮にまったく)ない場合にも政策的制約といってよいものなんでしょうか。
二分論でいうところの「政策的制約」はあくまで経済的目的達成を企図する政策的制約であって、
経済的目的達成を企図しない政策的制約は「内在的制約」というべきような気がします。矛盾感もあるのですが…。
あと、> 広義では「職業」に含まれる公務就任権であるが、経済的自由権である職業選択の自由に含めるべきではない。
これは15条・22条併用適用説と矛盾するように読めます。併用説では一応含めるべきことになるだろうと思います。
この問題、いかに短くまとめるかがむずいよね。
いくつかの条文を一括処理できるんじゃないかなーと思っているが、
まだちゃんと詰めてない。
>>550-551 確かに、答案構成に若干時間をくって、実際に書く時間は少なかったんです。
答案構成の段階では、14条の論点がたくさん出てきて、書く段階になって
これじゃ書ききれないやと思って、コンパクトにと心がけたのです。
そうしたら、ご指摘のとおり、反対説への配慮が足りないとか、重要なテクニカル・
タームを定義もせずにそのまま使うといった欠点が出てしまいました。
全体の書き直しは今はできないので、@92条関連で利益衡量をしていない。
A14条があまりにおそまつ、の二点だけを補充しておきます。
あと、地方自治の発展の阻害の防止が、内在的制約か政策的制約かは、再考してみます。
一、の結論「以上により」の前に、次の一文を挿入
確かに、同一知事の長期在職が、固定的な利権階層を作り、汚職の温床となったり、不明朗な政治
過程を作り出すといった弊害はなくはない。しかし、それらは、政治過程を明朗化する法令や、刑事
上の処罰に委ねれば足りることである。「地方自治の本旨」である住民自治を犠牲にして確保すべき
憲法上の利益ではない。
三、は以下のように訂正
三、連続四選された知事に対する不合理な差別として14条違反が主張された場合も、同一の審査基準
で同一の結論となる。なぜなら、差別立法の目的と差別的取扱いの合理性の審査は、人権の性質に応
じて、審査基準を選ぶべきだからである。
したがって、設問公選法の規定は、憲法14条に違反する。
>>551 > 広義では「職業」に含まれる公務就任権
ここは、自分で読み直して、文意が上手く伝わるか、ちょっと自信がなかったところです。
自分としては、公務就任権は、22条1項と15条1項とで保障される。ただし、いかなる
審査基準を用いるかは、権利の性質に応じて決まる。公務就任権は経済的自由の側面も
あるが、主として参政権なので、厳格審査でいく。経済的自由の積極規制に用いる合理性
の基準(明白の原則)は使えない、という趣旨でした。
>>555 公務就任権の根拠を、15条と22条に求めると、ややこしいことになるから、15条一本で行く
ことにしました。
四、さらに、立候補する連続三選の知事からすると、職業選択の自由(22条1項)の侵害が問題となる。
確かに、広義では「職業」に含まれる公務就任権であるが、ひとたび公務員になれば、全体の奉仕
者(15条2項)という特殊な地位に就く。22条1項の「職業」は営業に限らず、弁護士等の公共の
職務を含むが、これらが全体の奉仕者でない点で、決定的にその地位が異なる。
したがって、公務就任権の根拠は15条1項に求めるべきである。
それゆえ、知事は、設問法律が憲法22条1項に違反することを主張できない。
以上
557 :
131:04/09/03 01:42 ID:???
> 答案構成に若干時間をくって、実際に書く時間は少なかったんです。
>>552氏もおっしゃっていますが、多論点型はやはりまとめ方が難しいですよね。
>>556のようにするとシンプルでよいと思うのですが、もうひとつ考えていることがあって(スルー上等です)、
15条の問題になる以上あえて14条を検討する必要はないのではないかということです。
個別の人権規定違反あれば当然に平等権侵害も起こっているとして、
14条をいわば補充規定的にとらえると、このような構成も可能となるでしょう。
メリットは、15条侵害のあてはめにスペースを割けるという点にあります。
ただ、わざわざ武器を減らして訴える例はないでしょうし、題意にも反するかもしれない点で書きづらいですね。
スタンダード100の分析もこの点に触れていますので、興味があればご参照下さい。
>>557 そういう視点はあっていいと思うんだよね。実際、14条違反の主張が役にたつのは、
法律がなければ話にならない社会権(堀木訴訟)、参政権(議員定数訴訟)、
侵害される人権が何だかよくわかんない税法関係(サラリーマン税金訴訟)。
その他の自由権については、本体となる人権の審査基準と同じだというのなら、
訴訟はともかく、答案では、本体だけでいいんじゃないかと思ってしまう。
この答案の15条と14条のところ書いていて、ふと思ったのが、
因果関係の認識必要説に立った場合のウェーバーの概括的故意の問題。
ただ後段列挙事由による差別的取扱いについて、違憲の推定をはたらかせる
という立場をとれば、本体たる人権の制約立法は合理性の基準で審査される
けれど、後段列挙事由だから厳格審査という場合もあるよね。
560 :
30:04/09/03 20:08 ID:???
そろそろ次スレの季節ですね。現在466KB位です。
ご存知の方も多いでしょうが、
・480KB以上=980レス以上
→一定期間(24h?)書き込みがないと、dat落ち
・512KB以上=1000レス以上
→書き込み不可。鯖設定時間経過後dat落ち
になっています。
では、ごきげんよう。
561 :
河童:04/09/04 10:12 ID:???
新しくアップする答案は用意してあったのですが、
勉強しているうちに今年は民法でもあまりに酷いミスをしていたことに気づいて、
今更ながら大きなショックを受けて、ここ数日頭を抱え込んでいました。
(というか、現実逃避して遊び歩いたり本を読んだりしていました)
・・・はぁ、どうやら今年はG確定と思しき商法がEくらいに収まるか、
大失敗の判明した民法を除いた他4科目がAでないかしない限りは、合格は不可能みたいです。
(しかし、刑法は横領未遂罪を「成立」させているし、憲法・民訴・刑訴は去年軒並みFG・・・)
答練の添削者で、いい加減かつ甘い採点をする人間が一番の犯罪者に思えます。
事前に答練で指摘されて気づいていれば、あんな失敗はありえなかったはずなのに・・・。
・・・醜くも自分の勉強不足を棚に上げていますが、やはり厳しく添削してもらえる場は、
ほんとうに必要不可欠ですね。
このスレにいつまでお世話になるかはわかりませんが、予備校添削者に対する怨嗟と後悔の念を、
このスレの参加者の方に対する感謝の念と変えて、また頑張っていく所存です。
ところで、新スレを立てる技術を有しており、かつ親切な方、
どうかパソコン音痴な私に成り代わって、新しい議論の場を供給してください。
お手数をおかけ致しますが、よろしくお願い致します。
>>561 > 勉強しているうちに今年は民法でもあまりに酷いミスをしていたことに気づいて、
どんなミスですか?
もうここには書けないの?
564 :
河童:04/09/04 22:59 ID:???
>>562 詳細は勘弁していただきますが、同時履行の抗弁に関する信じ難い誤解です。
27点という過去最高の点数をつけられ、「抜け出たホームラン」とおだてられた答練(L)の問題こそ、
「請負と同時履行の抗弁権」の問題だったわけで、それだけに愚痴がこぼれてしまいました。
(幾度か触れていますが、添削はLより辰巳が相対的にですが、かなりマシな気がします)
>>563 アップされている答案に対する書き込みはもちろん、雑談などでスレを埋めてはいかがでしょう。
・・それとも、私にはあまりよくわからないのですが、
雑談で消費するような段階にはまだ至っていないのでしょうか?
とにかくスレの運営はどなたか十分な能力を持った方にお任せ致します。
なこといわず、継続すればいいじゃん。
かっぱさんが答案だしてくれると
勉強になるのよ、みんな
期待してますよ。
566 :
30:04/09/05 14:29 ID:???
>>566 憲法ばかりですが、平成2年第1問をお願いします。
ある市において、一般職員の採用に関し、身体障害者については健常者に優先して一定の割合
で採用すること、男性については肩までかかる長髪の者は採用しないこと、を内容とする条例を定
めたとする。
この場合の憲法上の問題点について論ぜよ。私企業が同じ取扱いをした場合についても論ぜよ。
一、本問では、ある市の一般職員になろうとする者の公務就任権の侵害が問題となる。
1.まず、本問で比較の対象とされている私企業が、設問のような採用条件を設け、健常者あるいは
長髪の男性の採用を拒否したとしても、憲法違反ではない。
そもそも私企業に対して採用を要求する人権は存在しない。私企業は、契約自由の原則により、
自由に従業員の採否を決定できる。
もっとも巨大企業の場合、その社会的影響力にかんがみ、私法の一般条項を通じて、人権規定が
間接的に適用される。しかし、採用拒否は契約前の事実行為にすぎないから、法律行為の無効に
関する民法90条違反の問題は生じない。また、不法行為(民709)の権利侵害を認めることも困難である。
このように私企業の場合、憲法違反の問題は生じないが、採用に当たり不当な差別をした企業は、
世論の非難を浴び、自由競争のメカニズムの中で淘汰されていくから、不都合は生じない。
2.これに対して、自由競争のメカニズムのはたらかない公務員の採用の場合、差別的な採用が行われ
ないように、法律(設問では条例)で採用条件を定める必要がある。
なぜなら、公務就任権は、公務員の選定罷免権を保障した憲法15条1項で保障された人権だからである。
二、本問の条例では、身体障害者について健常者に優先して一定割合で採用することが定められている。
1.このように社会的弱者に優先枠を設けるアファーマティブ・アクションも、健常者に対する逆差別に
ならない限り憲法14条に違反しない。問題は、逆差別となるか否かの判断基準である。
思うに、後段列挙事由による差別は、歴史的に差別が行われてきた事由を列挙したものである。
したがって、それに該当するときは、違憲の推定をはたらかせ厳格に審査すべきである。それ以外の
事由による差別は、人権の性質に応じて二重の基準によって判断すべきである。
この点、健常者たる身分は、自己の意思によって脱却できない地位ではないから、「社会的身分」に
当たらない。そうすると、合憲性の推定がはたらき、緩やかな審査基準で審査すれば足りるのか。
思うに、公務員の採用決定について身体障害者に優先枠を設けるということは、社会的弱者の救済
を国民全体のコストとするのではなく、採用試験のボーダーライン上にある受験者のコストにおいて
弱者救済を図ろうとするものである。トップクラスで合格する者には影響はないから、結局、ボーダー
ライン上にある一部の者の公務就任権を侵害する制度である(丙案も同様−括弧内削除)。
それゆえ、公務就任権が自己統治の価値にかかわる重要な人権であることに鑑みると、逆差別に
あたるか否かは、厳格に審査すべきである。
したがって、条例の目的が正当であること、その目的を達成するための必要最小限度の差別措置
であるかどうかを、社会通念に照らして判断する。
2.思うに、就職の困難な身体障害者(司法受験生のバカ手も同様−括弧内削除)の救済を図るという
条例の目的は正当である。また、優先枠が社会通念上合理的な範囲にあるならば、必要最小限度の
差別措置といいうる。本問にいう一定の割合が社会通念上合理的であれば、逆差別とはならず合憲
となる。
三、肩までかかる長髪の男性の採用を拒否することは、歴史的に差別されてきた女性の
公務就任を促進するためのアファーマティブ・アクションではない。したがって、後段列挙
事由である「性別」による差別ではない。単に公務員に清潔感をもたせるとか、住民感情
に配慮するといった、およそ憲法で保護されない利益により差別しているにすぎない。
このような憲法上保護されない利益によって、公務就任権という自己統治の価値を有する
重要な人権を侵害する条例は、後段列挙事由による差別でないとしても、違憲の推定を
はたらかせ、厳格に審査すべきである。
思うに、毎日シャンプーしていれば、長髪が特に不潔というわけではない。また、住民感情
の測定は、統計のとり方にもよるが、一般に正確性をもつとは思えない。少なくとも全住民が
長髪を仇のように憎んでいるという事実は、現代社会においては考えられない。
したがって、目的において正当でなく、14条に反する不合理な差別であると考える。
以上
571 :
131:04/09/05 17:53 ID:???
>>567-570 > 一、本問では、ある市の一般職員になろうとする者の公務就任権の侵害が問題となる。
14条をメインに検討するなら、この問題提起は不適切だと思います。
> 差別は、人権の性質に応じて二重の基準によって判断すべきである。
ここもそうなのですが、公務就任権の侵害=不合理な差別という関係には必ずしもなくて、
国・国民という縦関係の侵害は人権侵害、国民間の横関係の侵害はそれ自体平等権侵害ですよね。
その点を混同しているように読めますので(基本的には=の関係に近いでしょうが、一応区別)。
また、前回の検討と同様、制約根拠(条文解釈による相対的平等)が抜けている点は危険です。
> 2.思うに、就職の困難な身体障害者の救済を図るという条例の目的は正当である。
> また、優先枠が社会通念上合理的な範囲にあるならば、必要最小限度の差別措置といいうる。
このあてはめは、一段抜けていると思います。例えば、
目的:就職の困難な身体障害者の救済
条例の意義:公金による社会的弱者の可及的救済
∴目的は条例の意義にかない正当
というように一段かませると三段論法的なあてはめになるかと。ご一考下さい。
>>571 >14条をメインに検討するなら、この問題提起は不適切だと思います。
→了解しました。
>国・国民という縦関係の侵害は人権侵害、国民間の横関係の侵害はそれ自体平等権侵害
→わかりやすい。サンクス。
>条文解釈による相対的平等
→やっぱしないとまずいか?
>条例の意義:公金による社会的弱者の可及的救済
→ちょっと意味がよくわからない。
>>567-570 @私企業の場合を先に検討した根拠はなんですか?
A>しかし、採用拒否は契約前の事実行為にすぎないから、法律行為の無効に
関する民法90条違反の問題は生じない
なるほど・・・・微妙ですが、709条の問題にはなりえるのではないでしょうか?
Bまた、一で公務就任権という題目をあげながら、その小項目で私企業への採用を要求する権利、を論じるのはちょっとちぐはくなような気もします。
C>それ以外の事由による差別は、人権の性質に応じて二重の基準によって判断すべきである ここに2重の基準の具体的規範を入れるべきようにも思えます。
○○の人権の場合は▲▲
◎◎の人権の場合は△△
のように。
D三は多少わかりずらかったです。
まず、規範は公務就任権という重要な人権だから、厳格な基準ですべきであり、
具体的には、目的が正当か、否か、手段が必要最小限か、でよいですか?
そして、目的は公務員の清潔感を保ち、住民感情に配慮する、ことにある、でよいですか?
つまり、規範の根拠、規範、あてはめ、のならびが多少乱れているような印象をうけました。
この次が私にとっては疑問なのです。
仮に規範が、目的はやむにやまれぬ必要不可欠なものである、という、厳格な審査基準というのであれば、
公務員の清潔権を保つことはやむにやまれぬ必要不可欠でない、とすんなり受け入れられます。*
しかし、目的である、公務員の清潔感をもたせ、住民感情へ配慮する、ということは正当ではないですか?
そして、シャンプーしていれば清潔である、というのは目的達成に必要最小限でないことの例示であり、また、住民感情も長髪に嫌悪的でない、というのは、目的と手段が連関してないということを示しているのではないかしら?
(*わたしも疑問があるところなのですが、目的の正当性で切るとすれば、
その目的を達成する社会的必要性に欠ける、ということを説得的に論述するべきのように思えるのですが・・・)
574 :
131:04/09/06 00:18 ID:???
>>572 >>条例の意義:公金による社会的弱者の可及的救済
> →ちょっと意味がよくわからない。
細かく考えれば、あてはめにおいても、必要性・許容性をそれぞれ示す必要があります。
すなわち、必要性…条例の目的:就職の困難な身体障害者の救済→個人の尊重の理念からして雇用機会均等が必要
許容性…条例の意義:公金による社会的弱者の可及的救済→憲法が上記目的達成を地方公共団体に要請
∴目的は正当(条例における必要性・許容性あり)
というように、いわば「あてはめのあてはめ」として評価を加えるのが丁寧なあてはめだと思っています。
ここは
>>573氏のいう
> 目的の正当性で切るとすれば、その目的を達成する社会的必要性に欠ける、ということを説得的に論述するべき
という指摘と共通しているのではないでしょうか。
575 :
131:04/09/06 00:22 ID:???
あっ、忘れてましたが
>>566 30さん、スレ立て依頼ご苦労様です。助かります。
576 :
30:04/09/06 08:21 ID:???
577 :
30:04/09/06 09:11 ID:???
>検討問題一覧
・択一前までの整理(131さんによるまとめ)
>>210 ・択一終了後
>219(民法)
>236(手形法)
>249(刑事訴訟法)
>259(民事訴訟法)
>260(民事訴訟法)
>265(民事訴訟法(平成3年第2問小問(3))
>284(刑法(平成12年第1問))
>293(刑法)
>301(刑法)
>317(刑法)
>346(民法(民法の底力39))
>388(刑法(スタンダード100刑法T第50問))
>403(刑法)
>417(憲法(平成15年第1問小問2))
>468(憲法)
>504(憲法(平成10年第1問))
>546(憲法(平成5年第1問))
>567(憲法(平成2年第1問))
ご苦労
579 :
河童:04/09/07 10:18 ID:???
>>566 お久しぶりです。どうにも怠惰であるというか、手のかかる人間で申し訳ありません。
またしてもスレ立てでお手を煩わせてしまいました。ほんとうにありがとうございました。
私はショックから立ち直ってようやくあと一年間、頑張る心構えができました。
さて、
>>568 2
>これに対して、自由競争のメカニズムのはたらかない公務員の採用の場合、
>差別的な採用が行われないように、法律(設問では条例)で採用条件を定める必要がある。
>なぜなら、公務就任権は、公務員の選定罷免権を保障した憲法15条1項で保障された人権だからである。
これは、やや問題でしょう。自由競争のメカニズムの不存在は、あくまで周辺理由のひとつです。
最も核心的な問題点としては、公権力が、例えば「長髪」、例えば宗教、例えば性別を理由に、
国民の公務員就任権を否定することが13条、14条、19条、20条等との関係で許されるか、ということでしょう。
この点について、「外国人=非日本国民」を理由に公務員就任権を否定することは、
国民主権という重大な制約根拠があって、一定範囲で許されていますよね。
それとの比較上、「長髪=公務員就任権を全否定」の正当化根拠はあまりに脆弱ということになりましょうか。
(131さんの最初のご指摘はここまで含んでいるのかもしれませんが)
580 :
河童:04/09/07 10:23 ID:???
続きを新スレでやっていたのですね・・・。
では、ここは本格的に埋め立て=雑談スレにしましょう。
581 :
30:04/09/07 10:54 ID:???
>>580 480KBを超えていますから、
埋め立てなくても、ちょっと放置しておけば落ちますよ。
仮に埋めてしまうのなら、
(2KBいっぱい位の)大きなAAを10個程度貼らないと。
雑談だけだと、なかなか埋まらなかったり。
雑談でなかなかうまらないなら、雑談してればいいじゃないですか。
それでデータ落ちしたら、それはまた、それで・・・ということで。
河童、落ち込んでないで頑張ってね。
583 :
30:04/09/07 18:31 ID:???
>>582 だったら、以後、流石兄弟のAAで雑談するとか・・・
昨日は地震、大変でしたね。
今日は台風すごいし。
それもいいね。
だれか勉強日誌など書いてくれると刺激になるのだが・・・
わたしはH16年合資刑法これから読む。
削除してしまえ
ある日ひとりぼっちの
>>585に
手紙が届きました・・・
_____
/ ヽ____//
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/ 小 / /
/ 野 / /
/ 真 / /
/ 弓 / /
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/ 借りたもんは /ヽ__//
/ ちゃんと返すのが / / /
/筋ってもんじゃろうが!/ / /
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/ /真 / /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ 弓 / /
587 :
河童:04/09/08 12:12 ID:???
痛タタタ・・・舌の根も乾かぬうちに、また愚痴・・・。
なんと民法でまたしても大変なミスをしていたことが判明しました。
昨年は、こういうことがあると「合格が近づいた」と思ってウキウキしたものですが、
今年は、「これでまた合格が遠のいた」と思って物凄くションボリします。
自分も「偉くなり過ぎたな」と思いますし、もう少し勉強に対する謙虚さを取り戻したいですね。
それにしても、本試験の緊張感をもって実戦意識で一回一回の答練を受ける、とか、
択一(知識・勉強の仕方・勉強時間等)を大事にするとか、当たり前のことを痛感しました。
(択一知識の基礎の基礎的な部分で信じられないミスを連発してしまいました)
まあ、終わったことはしゃあない。
がんばろ!!
589 :
30:04/09/08 23:46 ID:???
とりあえず、次スレも立ったことですし、
しばらくは、スレに書き込まずに
事態を静観したいと思います。
みなさん頑張って下さい。
まあ、個人的な希望ですが、
できれば三通目はどなたか別の方が
工面して頂けると嬉しかったりします。
今回はたまたま覗いてみて
気付いただけだったので。
なお、発言が活発になっているのは
嬉しい限りですが、
議論の延長戦などには
避難所を有効活用するのは
どうでしょうか。
では、ごきげんよう。
ご機嫌いいっす。
591 :
河童:04/09/09 12:06 ID:???
>>589 たまにでも覗いていただけていたことを嬉しく思います。
答案アップなさる方も増えてきましたし、このスレもなんとか軌道に乗ってきていますので、
3通目は見知らぬどなたかが立てて、見知らぬどなたかがアップしているかもしれませんね。
こうした性質の板は、いま現在は数が少ないので、30さんはじめ皆様のお力添えがあって、
少しは各方面のお役に立てたかな、と思います。
実際問題として、このような板に書き込めば書き込むほど実質的な勉強時間は減りますので、
答練を受け始めることになったら、生身の人間と現実に答練で自分が書いた答案を叩き台にして、
ゼミをすることを考えています。そうなれば、答案アップ頻度もかなり落ちると思います。
やはり、自分のことを第一に考えて戦わなくては勝ち目のない厳しい試験ですからね。
この板の中では、30さんに一番お時間をいただいていたようで、それがいまなおやや心苦しく思えます。
重ね重ねどうもありがとうございました。
芦部以外でなによんだらいいじゃろほい?
戸波
>>593 lニ|ニl | ヽ ノ ー十┐┌ー┐ , 、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ー十一 三l三 .| / | | ー十一 ー十一, ヽ' '
|二二| /|ヽ ヽ| ノ / | | | ー十一 | |
|二二| / | ヽ ノ| ヽ < / | | 、 l / |
_ノ ヽ_ | 、| メ └一┘ ヽ__, / 、l
, - - 、 /ヽ
/ O \グヒャッ ! /ヽ、 / ヽ
,, : ,ー, O | / _,;, -'''"~~ ヽ
'' ; ∴_ノゝ ゝ /o O ヽ
ヽ ,;''"~"'';, / ┌─┐ ノ( ヽ
_ノ| ;;'';;'';;'';;'' | / | ⌒ |
ゝ、ヾ ヾ | ト、 | /
/ ヽ ヾ ヾ ヾ、 \ノ ノ
ノ\_ヾ ヾ /⌒ヽ、 ___/、
ノヾ ヾ_ _/ ノ, ヽ
ヽ、ゝ ノ ノ ハ ヽ
ゝ、 ノ ノ、 ノ ゝ | )
ー─一'´ ゝ、 l'´
) /
| |
| ー十一 ヽ、 ーナ一 ー一 ┬  ̄フ 十-
|--一 | ヽ、 '⌒メ⌒  ̄三 ̄ニlユ く / |ヽ
| / ヽ、 (_ ロ ロ O_) .α
|
satoko-で十分。
芦辺じゃ薄すぎて話しにならん。
芦部先生の教科書を佐藤幸治先生のもので補充するのは
ちょっと抵抗があるような・・・
とりあえずは芦部先生の他の著述で補充した方がいいと思う
『憲法判例を読む』とか『演習憲法』等があるし
『憲法学』などは極めて詳細
なお法教の高見拾遺は例外かな
# 昔の受験生は講義案や三部作まで読んでました
とはいえこんなことをしていると受からなくなってしまうので
あまり深入りしないのが吉か・・・
まあ『憲法判例を読む』位なら
分かりやすいし暇な時間に手軽に読めていいんじゃないの
4人組はどう評価されますか?
受験生の多くが補充に使っているはず
手頃でがっちりって感じ
ただ記述の濃淡がある点(例えばT先生の担当部分は濃くN先生のそれは薄いとか)と
頭が切れるが凡人を寄せつけない表現をなさる先生(言わずと知れた某先生)
がいらっしゃる点などについて
気をつければいいんじゃないでしょうか
いずれにせよ調べるのに便利な本だと思います
ご丁寧にありがとうございます。
河童さん、なにがあったか知らないけど、がんばろうな!!
あっちスレに自分に負けるな、とありましたが、
自分に負けた場合、勝った自分がいるわけで、
結局、負けた自分と勝った自分でせいぜい引き分けになるわけです。
あるいは、
自分に負けた瞬間、あるべき自分を勝った方に同一化すれば、結局自分は勝ったことになるわけです。
とすれば、
自分に負けるな、という言説の意味はかなりパラドクシカルなものである、と言わざるえませんね。
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|・∀・) ダレモイナイ・・オドルナラ イマノウチ
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,__ | 河童タソが早く元気になりますように・・・
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http://school4.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1094412923/ http://choco.lv3.net/test/read.cgi/sihou/1094361201/
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ・・・によって
>>1 にはこのスレを最後まで育てることを命ずる!
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─────┐ ,∧_∧
∧_∧ | ∩_∩ ∂ノノハ)))
( ´Д`) | <`Д´> |ハ^∀^ノ _______________
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|. A_A. | \
| ( ´D`) |  ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ノ~, iO)、 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄
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∧|_∧ | ┌─┬┴⊂ 〇 ) ,,'⌒丶、 (゚Д゚ )< 当然なんだが
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