*:.。.:*:.。.:* 寄 附 行 為 *:.。.:*:.。.:*
一、よくかんで味わうこと
一、途中で吐かないこと
一、食べ過ぎないこと
*:.。.:*:.。.:*:.。.:*:.。.:*:.。.:*:.。.:*:.。.:*:.。.:*:.。.:*:.。.:*
本の評価、裏話、誤植情報、問題検討など、何でもおじゃれ。
*検索用目次(以下の各タイトルで下から検索をかけると最新情報が手に入る)
【憲法】【民法1】【民法2】【刑法】【商法】【民訴】【刑訴】
*関連情報
>>2-5あたり
2 :
氏名黙秘:03/11/17 18:09 ID:???
3 :
氏名黙秘:03/11/17 18:09 ID:???
【憲法】★は最近の受験生がよく使っているもの
★芦部信喜『新版 演習憲法』(有斐閣、1988)
・・・55問。少々古いが参考書としての利用価値は高い。
★浦部法穂『事例式演習教室』(勁草書房、2版、1998)
・・・45問。設問の形式は古いが、理論的に重要な問題を扱う。
★小林武『演習講義 憲法』(法学書院、1995)
○小林武『法曹への憲法ゼミナール』(法学書院、2003)
○浦田賢治『演習ノート 憲法』(法学書院、3版、2000)
★江橋崇・戸松秀典『基礎演習 憲法』(有斐閣、1992)
・・・60問
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1055413243/
4 :
氏名黙秘:03/11/17 18:10 ID:???
【民法1】★は最近の受験生がよく使っているもの
★伊藤進『民法の底力』(辰已法律研究所、2003)
○遠藤浩・川井健編『ワークブック民法』(有斐閣、1995)
○川島一郎・遠藤浩編『法学基礎演習〈1〉民法』(有斐閣、1986)絶版
○半田正夫『事例式演習教室 民法』(勁草書房、2版、1997)
○森泉章『民法演習基本問題集』(学陽書房、1992)絶版
★池田真朗ほか『基礎演習民法〈財産法〉』(有斐閣、1993)
・・・60問。法学教室の演習をまとめたもの。基礎と名乗りながら実は結構難しい。
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1055413243/ ○石田喜久夫・湯浅道男『判例演習民法〈1〉民法総則』(成文堂、1988)
○石田喜久夫・湯浅道男『判例演習民法〈2〉物権法』(成文堂、1993)
○石田喜久夫・湯浅道男『判例演習民法〈3〉債権総論』(成文堂、1996)
○三和一博編『演習ノート 民法総則・物権法』(法学書院、全訂版、2001)
○石川利夫編『演習ノート債権総論・各論』(法学書院、改訂版、1994)
○小野幸二編『演習ノート親族法・相続法』(法学書院、全訂版、2002)
・・・なんと120問。網羅性抜群だが、各解説は簡潔。
○田山輝明『民法演習〈1〉民法総則』(成文堂、1987)
○田山輝明『民法演習〈2〉物権法・担保物権法』(成文堂、1991)
○田山輝明『民法演習〈3〉債権総論』(成文堂、1996)
○半田正夫『民法演習―総則・物権・担保物権』(三嶺書房、1992)
○平井一雄編『民法演習〈2〉債権』(三嶺書房、1993)
5 :
氏名黙秘:03/11/17 18:10 ID:???
【民法2】★は最近の受験生がよく使っているもの
★平野裕之『考える民法T・U・V・W』 (辰已法律研究所)
・・・入手不可。T、U32問、V48問、W。俗称は「考えすぎの民法」。
主要な論点を網羅し、それぞれ深堀して解説し、模範答案の構成例も掲載。解説は予備校本風。
辰巳に著者本人による講座がある。
○平野裕之『法曹への民法ゼミナールT〔総則・物権〕・U〔債権〕』(法学書院、2003)
★安永正昭・道垣内弘人『民法解釈ゼミナール (2)物権』(有斐閣、1995)
★山田卓生ほか『分析と展開民法TU』(弘文堂、2版増補、2000、4版、2003)
・・・T31問、U28問。芦部演習、浦部事例式と並んで受験生の使用率が高い。
解説は非常によく練られていて簡要だが、問題文の一部に配慮のなさも見られる。
辰巳に貞友による読込講座があり、民法好き受験生の期待を裏切らない?
○泉久雄『演習親族・相続法』(有斐閣、新版、1989)
○『民法例題解説1、2』(法曹会、1994、1994)
○道垣内弘人・大村敦志『民法解釈ゼミナール5 親族・相続』(有斐閣、1999)
・・・16問。親族相続の中でも理論的に難しい問題を扱う。
○『親族法・相続法 例題解説』(法曹会、1995)
○「演習民法」『法学教室』(連載中)
○「誌上答練C民法」『受験新報』(連載中)
*解釈ゼミナール1は山本敬三が執筆中との情報有り
6 :
氏名黙秘:03/11/17 18:10 ID:???
【刑法】★は最近の受験生がよく使っているもの
○福田平・大塚仁『基礎演習刑法』(有斐閣、新版、1999)
○川端博『刑法判例演習教室』(一粒社、1995)絶版
○川端博『事例式演習教室刑法』(勁草書房、1987)
・・・45問。少々古いか。
★木村光江『演習刑法』(営利財団法人東大出版会、2003)
・・・41問。近時の判例を使った良問多し。初刷における誤植の量は他の追随を許さない。
意地でも2刷を捜して買うべき。辰巳に亀井による解説あり。
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1055258116/ ○前田雅英『刑法演習講座』(日本評論社、1991)
★前田雅英『Lesson刑法37』(立花書房、1997)
○大塚仁『刑法演習問題総論』(成文堂、2版、1987)
○岡野光雄『刑法演習〈1〉総論』(成文堂、1987)
○斉藤誠二『演習ノート刑法総論』(法学書院、3版、2003)
★佐久間修『演習講義刑法総論』(法学書院、1998)
・・・24問。理論面で難しい問題を扱う。良問多し。
○立山 龍彦『刑法総論演習』(北樹出版、1996)
○大塚仁『刑法演習問題各論』(成文堂、2版、1985)
○大野真義『演習刑法各論』(晃洋書房、1998)
○岡野光雄『演習ノート 刑法各論』(法学書院、全訂版、1996)
★佐久間修『演習講義刑法各論』(法学書院、1997)
・・・24問。理論面で難しい問題を扱う。良問多し。
○『設題解説刑法1』(法曹会、1990)
○「誌上答練C刑法」『受験新報』(連載中)
○「演習刑法」『法学教室』(連載中)
7 :
氏名黙秘:03/11/17 18:11 ID:???
【商法】★は最近の受験生がよく使っているもの
○服部栄三・蓮井良憲編『ワークブック商法』(有斐閣、1991)
○石山卓磨『商法総則・会社法』(中央経済社、1996)2003年1月現在改訂予定なし
○奥島孝康・中島史雄編『商法演習1会社法』(成文堂、1999)
○奥島孝康編『演習ノート会社法』(法学書院、1998)
○倉沢康一郎ほか『考える会社法』(弘文堂、1983)
○末永敏和『会社法演習ノート』(日本評論社、1997)
○西脇敏男・丸山秀平編著『判例に学ぶ会社法演習講座』(八千代出版、1997)
○奥島孝康・中島史雄編『商法演習2手形法・小切手法』(成文堂、1993)
・・・28問。共著にて少々解説にばらつきあり。
○倉沢康一郎ほか『考える手形・小切手法』(弘文堂、1983)
★丸山秀平『演習講義 手形・小切手法』(法学書院、2001)
・・・37問。理論面で難易度が高い。通説・創造説とも配慮のきいた記述。
誤植あり→P31、P33の手形上の指図文句。
○堀口亘編『演習ノート 手形法・小切手法』(法学書院、1992)
○稲田俊信編『演習ノート 商法総側・商行為法・保険法・海商法 』(法学書院、1992)
・・・66問(海商・保険のぞく)。学部試験で出されたものを集めたもので、
司法試験に出にくい問題を省くと40問ぐらいに圧縮できる。解説は簡潔すぎ。
○「演習商法」『法学教室』(連載中)
○「誌上答練C商法」『受験新報』(連載中)
8 :
氏名黙秘:03/11/17 18:11 ID:???
【民訴】★は最近の受験生がよく使っているもの
○飯倉一郎編『演習ノート民事訴訟法』(法学書院、1997)
○井上治典『ケース演習民事訴訟法』(有斐閣、1996)↓に承継さる。
★井上治典『実践民事訴訟法』(有斐閣、2002)
・・・27問、著者の興味や独自の見解が強く出ている。
★小林秀之『ケーススタディ 新民事訴訟法』(日本評論社、1998)
★小林秀之『プロブレム・メソッド新民事訴訟法』(判例タイムズ社、補訂版、1999)
・・・94問。基本書と演習書をミックスした感じ。網羅性、情報量抜群。良問多いが、解説は簡潔。
○桜井孝一編『争点ノート 民事訴訟法』(法学書院、2003)
○鈴木重勝・上田徹一郎『基本問題セミナ−民事訴訟法』(一粒社、1998)
・・・入手不可
○中村英郎編『民事訴訟法演習』(成文堂、1994)
○納谷広美『事例式演習教室 民事訴訟法』(勁草書房、1987)
○『新民事訴訟法 例題解説 (上)(下)』(法曹会、2001)
・・・入手不可
○「演習民事訴訟法」『法学教室』(連載中)
○「誌上答練C民事訴訟法」『受験新報』(連載中)
9 :
氏名黙秘:03/11/17 18:11 ID:???
【刑訴】★は最近の受験生がよく使っているもの
★上口裕ほか『基礎演習刑事訴訟法』(有斐閣、1996)
○椎橋隆幸編『基本問題 刑事訴訟法』(酒井書店、2000)
・・・32問。共著の読みにくさが少々出ている。文献引用に若干の偏りあり。
○高窪貞人編『演習ノ−ト刑事訴訟法』(法学書院、2002)
○田口守一編『争点ノ−ト刑事訴訟法』(法学書院、1997)
○田口守一『基本論点 刑事訴訟法』(法学書院、1989)
○長沼範良ほか『刑事訴訟法演習』(有斐閣) 未刊
○松本一郎『事例式演習教室刑事訴訟法』(勁草書房、1987)
・・・入手不可。かつてかなりの受験生に使用されていたらしい。
○光藤景皎・田宮裕編『ワークブック刑事訴訟法』(有斐閣、1989)
・・・入手不可
○平野龍一・松尾浩也『新実例刑事訴訟法(1)(2)(3)』(青林書院、1998)
・・・種本と噂される本。
★安冨潔『演習講義刑事訴訟法』(法学書院、2版、2001)
・・・43問。解説は判例通説ベース。論点の網羅性抜群。詰め込みすぎて解説が簡潔すぎる。
○『刑事訴訟法例題解説1〜6』(法曹会)
○「演習刑事訴訟法」『法学教室』(連載中)
○「誌上答練C刑事訴訟法」『受験新報』(連載中)
>>1 乙curry
【弥永論点講義シリーズ01会社法-11講】《議決権代理行使資格の制限》
第1 (1)
甲会社は定款にて議決権行使の代理人資格を制限しており、
このままではAの代理人たるBは議決権行使が出来ないが、
そもそもこのような定款は有効なのか問題となる。
一般的に定款による議決権の制限は、いわゆる総会屋等による議事妨害を
防止して、株主総会を円滑に運ぶことが主眼として定められ、
目的は正当といいうるが、網羅的に代理人資格を制限するのは
逆に有意義な株主総会を阻害する要因ともなり妥当ではない。
上記の目的からして、一般的類型的に議事妨害がなされる危険が
ある場合に限って代理人資格の制限を認めるべきであり、
株主の使用人や親族、弁護士などおよそ議事妨害をすると思われない
者の議決権の代理行使を制限することは認められないと解する。
本定款はこの限りにおいて無効である。
→これについて、・・・認める。
第2 (2)
同様にBは株主の使用人たる従業員であり認められる。
この場合、Bは総会屋の従業員であり、議事妨害が予想されるが、
このような危険はA本人(法人の場合はその代表機関)が出席しても
同じことであるからあえて考慮することは出来ないと考える。
こう解しても、実際に議事妨害が起きたときは、
議長の議場整理権にて対処すれば十分と考える(237条の4第2項、同3項)。
(まあ与党総会屋となしをつけるのが通常だろうけど。
(余談)
一勧の小池総会屋事件をもとにした「金融腐食列島・呪縛」はそこそこ面白かった。
漏れとしてはもうちょっと法的で技術的な部分を出しても良かったように思うが、
一般向けだとあんな感じかな。
再生の方は少々歯切れがわるかったが、日本の銀行をよく表しているのかな。
11 :
26:03/11/18 23:27 ID:???
>>外野手さん
向こうのスレからやってきますた。
あとでコメントつけさせていただきます。
前スレが死にそうなのでコピペ。
<発起人の法律行為の帰属等(暫定)>
(注!)内容の真偽は激しくあやしい。
発起人組合
┠────────┼─→(目的達成・清算結了)
:
設立中の会社: 会 社
┠──────╂──────→
発起人の法的地位:組合の業務執行者+設立中の会社の機関
1.既払いで権限内
(1)組合名義→組合に帰属→168条の範囲で会社に求償
(2)設立中の会社名義→設立中の会社に帰属→168条の範囲で会社の負担、超過分は組合に求償
2.既払いで権限外
(1)組合名義→無権代理→善意無過失にて組合に帰属(表見代理)
→会社に求償できず(168)
(2)設立中の会社名義→無権代理→善意無過失にて設立中の会社に帰属(表見代理)
→会社に求償できず(168)
(最判S33・10・24百選5大映スターズ事件は開業準備行為につき
民117類推にて無権代理人の責任を認める
3.未払いで権限内
(1)組合名義→組合に帰属→168条の範囲で会社に求償
(2)設立中の会社名義→設立中の会社に帰属→会社に承継(当然承継説)
→186超過分を組合に請求
4.未払いで権限外
(1)組合名義→無権代理→善意無過失にて組合に帰属(表見代理)
(2)設立中の会社名義→無権代理→善意無過失にて設立中の会社に帰属(表見代理)
→会社に承継(当然承継説)→186超過分を組合に請求
20日からの予定。外野手先攻。異論なくばレス不要。
【小林プロブレム・メソッド新民訴】
5 宗教団体の内部紛争
19 法定訴訟担当(債権者代位権)
22 法人の代表者と表見代理
25 合意管轄
26 訴えの利益
34 弁論主義
58 訴訟上の和解
67 既判力と執行力の主観的範囲
71 反射効
72 訴えの変更
83 独立当事者参加
84 任意的当事者変更
85 訴訟承継
87 不服の利益
89 不服の範囲と審判の限度
14 :
外野手:03/11/19 01:24 ID:???
>>1 まじ乙
>>10 特に問題とすべき点はありません。
ただ、株主の議決権行使の機会確保という、代理人資格の制限と対立する利益について、
代理人による議決権行使を認める、239条2項にも触れた方が
基本から考えてるようなふりができるかと思うのですが、如何でしょう。
15 :
外野手:03/11/19 01:28 ID:???
【弥永論点講義シリーズ01会社法-12講-2】《総会決議が取消された場合、その決議に基づく行為の効力》
第1.株主総会決議の取消判決判決の効力は、会社関係の画一的処理を図るため
当事者以外の第三者に対しても及び、対世的効力を有する(247条2項、109条1項)。
そして、その効力は遡及すると考える。
なぜなら、商法が合併無効の場合(415条3項、110条)には遡及効を生じない旨を
規定していることから考えると、それ以外の場合には、遡及効を認めざるを得ないからである。
したがって、決議取消の訴えが認容されている本問において、
第16回定時株主総会決議の効力は遡って無効になる。
そこで、それを前提に@ABについて以下検討。
第2.
1.@について
取締役選任の決議も遡って無効となるので、A、B、Cは取締役でなかったことになる
→法律上の原因なくして報酬を受け取った
→報酬の返還を求めうる(民法709条)。
2.Aについて
Aは遡って代表取締役でなかったことになる。
→したがって、Aが会社を代表してDとの間で締結した契約の効果は会社に帰属しないのが原則(民法113条1項)。
→しかし、Dが、Aを代表取締役であるとのなんらかの外観を信頼して契約を締結した場合は、
その信頼を保護する必要がある。
→不実の登記を信頼(14条)、表見代表取締役(262条)、民法上の表見代理(民法109、110、112条)等でDを保護。
(もう少し丁寧にか)
→Dとの契約が有効となる場合もある。
16 :
外野手:03/11/19 01:32 ID:???
3.Bについて
Aは遡って代表取締役でなかったことになる。
→当該臨時株主総会は、代表取締役以外の者が招集した株主総会における決議といえる。
→商法上、株主総会の招集手続は法定されており(231条、232条)
招集権者でない者が招集した場合には法律上の意義における株主総会とはいえず、
総会決議があったものとはいえず、不存在というべき。
→しかし、それでは法的安定性が害される。
→思うに、そもそも株主総会において招集通知を発すべきとされているのは、
株主に出席の機会と準備の余裕を与えるため。
→株主総会の目的を明らかにした招集通知が会日の2週間前に発せられる等、その他の手続において
瑕疵がなければ、その総会は有効と考えるべきである。
→したがって、当該臨時株主総会においてなされた決議の効力も有効と考える余地がある。
なんとなく不安な構成。
Aでは取締役選任決議についての遡及効を否定する説のついても一言あるといいのかな。
Bはちょっと書き方が悪いな。百選37、25事件のあたりが少し混乱してるので詰め直します。
あの薄い神田本において意外と記述が厚いところなので気になるところです。
17 :
外野手:03/11/19 01:35 ID:???
>>11 どうもどうも。
冷シャブタンの暫定まとめもありますので、コメントお待ちしてます。
(12を訂正)
>(2)設立中の会社名義→無権代理→善意無過失にて設立中の会社に帰属(表見代理)
> →会社に求償できず(168)
(2)設立中の会社名義→無権代理→善意無過失にて設立中の会社に帰属(表見代理)
→組合に求償
*おそらく考えられる事例は、発起人の個人名義は除いて
>>12のパターンが全てだと思われます。
意見を集約したら作り直したいと思います。
19 :
26:03/11/19 02:06 ID:???
僭越ながら前スレの「設立費用の帰属」部分にコメントさせてもらいます。
設立費用の帰属の論点は、設立費用をどう定義するか、また、168条1項8号に
対外的な効力を認めるかという二つの論点の組み合わせで成り立っていると考えて
います(私見)。
まず、定義については「会社の設立に必要な一切の費用」と捉える立場(A説)、
「設立に必要な費用で発起人が支出したもの」と捉える立場(B説)があり、B説が
多数説です。
ここで、A説(判例もこれか?)を採ると、未払い賃料も設立費用に含まれることになる
(=168条の解釈論で処理することになる)のに対し、B説ではこれに含まれないことに
なります。この場合、当該債務の帰属は会社に契約が帰属するかどうかに運命をゆだねることに
なります(168条の問題にならない。これはご指摘の通り)。
次に、168条1項8号の対外的効力ですが、これを否定すると、定款記載の有無はもっぱら
求償権の問題になるにすぎません。全額会社負担説に親和性があります。
他方、これを肯定すると、定款記載の有無が会社への債務の帰属とモロに関連する
ことになります。重畳負担説に親和性があります。判例もこれに近いです。
整理すると、
1.設立費用=設立に必要な費用の一切(A説)→未払い賃料もこれにあたる(168条1項号で
処理すべき)→同号に対外的な効力あり→重畳的負担説、というのが判例的な考え。
2.設立費用=発起人が支出した費用(B説)→未払い賃料はあたらない→債務負担は
当該契約が会社に帰属するか否かで判断(同号は関係ない)。なお、168条を内部的な
関係を規律するものと考えるべき。そして、この場合も同号の趣旨は妥当するので
定款超過額については会社から発起人への求償を肯定すべき。とするのが多分多数説です。
ちなみに、B説で168条1項8号の対外的効力を肯定すると、発起人への求償を根拠づける
ことができなくなるので、この組み合わせはほとんど存在しないと思います。
長文すんませんでした。
20 :
26:03/11/19 02:17 ID:???
補足します。
>ちなみに、B説で168条1項8号の対外的効力を肯定すると、発起人への求償を根拠づける
>ことができなくなるので、この組み合わせはほとんど存在しないと思います。
この部分は発起人の権限の範囲につき、「設立に経済上・事実上必要な行為」とする
立場を前提にしてます。説明不足ですいませんでした。
21 :
26:03/11/19 02:33 ID:???
3連発になりますが・・・
>>冷シャブタン
>>12のまとめ拝見しました。すばらしい出来ですね。参考にさせていただきます。
>>19-20 丁寧な説明ありがとうございます。
参考にして、以下のように大枠の問題点を整理してみました。
1.取引名義は?:@個人、A発起人、B設立中の会社
(通常、答練ではBの趣旨で出てくるから、あまり考える必要はないか。
2.発起人の権限は?:@事実上経済上必要な行為まで、A開業準備行為も
3.168条1項8号の法的性質は?:@外部的効力、A内部的効力
4.相手方保護は?:@発起人も含める、A含めない
けっきょくこの手の問題が複雑なのは、1が明確に指摘されてない点と
3が加わっている点でしょうね。
大きな利益衡量の天秤としては、発起人がオケラになった場合に、
会社と取引相手のどっちがババを引くかってことでしょう。
【弥永論点講義シリーズ01会社法-20講】《株主代表訴訟の訴訟条件》
第1 (1)
Bが株主代表訴訟を提起するにあたっては、
会社に回復すべからざる損害を生じる虞(267条4項)はないと認められるので、
同条3項によるところとなるが、まず同条1項の手続を履践する必要があり、
そこにおいて、「取締役の責任」に本問のような取引行為に基づく責任が含まれるか問題となる。
→一切の債務が対象と解する
∵主たる理由は、文言とほっとくと取締役が請求を怠ることがあるという点だろう。
次に3項の要件で、会社への請求から60日以内に会社が訴えを提起しなかった
ことを検討→8月15日が請求日なので10月1日はまだ早い。ダメ。*
第2 (2)
・・・・・・であり、
同様に「取締役の責任」(267条1項)に取締役就任前の個人として会社に負った債務が
含まれるか問題。
→一切の債務が対象。
∵この場合も取締役間のなれ合いで会社が請求をおこたる可能性がある。
しかし、60日を超えていない。(以下ry *
第3 (3)
・・・・・・であり、
取締役就任中に負った債務が取締役辞任後も追及できるのか、
即ち267条3項の対象とする「取締役」は元取締役も含むのかか問題。
→同様に会社が請求を怠る可能性があり肯定。
しかし、60日を超えていない。(以下ry *
第4 (4)
冒頭の通り、本問は267条4項の・・・・・・の要件をみたすと認められないので、
3項に基づく株主代表訴訟が考えられるが、1項所定の・・・・・・の手続を
履践しておらず認められない。
*:さすがに改正についていけなかったようだ。w
解説は「30日以上」になっているが、13年に改正されてる。
読み替えようか迷ったけど、問題文の事情のまま処理した。
(事情を整理)
H6・10・1 Bが株主になる
H14・3・1 Aと甲鰍ェ土地の売買契約を締結
4・1 土地引渡し予定日
8・15 会社に対してAの責任追及をする訴えの提起を請求
9・20 未だ会社は訴えを提起せず
10・1 未だ引き渡されず
取締役の責任制限や訴訟費用の引き上げで表向きは出そうもないが、
代表訴訟関係の議論も落ち着いたようだし、
最近、小林=近藤『株主代表訴訟体系』も出たから、そろそろくるかな。
(余談)
ひらめいた。改正関係の条文を拾い出して置換できるソフトを
シェアウェアとしてうPしたら学者や出版社に売れるかも。
でも、そんな暇ないな。そのうち岡口裁判官がつくってしまうかも。
(でも、法制局にはあるんだろうな・・・
(23を訂正)
> 即ち267条3項の対象とする「取締役」は元取締役も含むのかか問題。
取締役の「」をはずす。
(制度として元取締役を対象とするかの問題で、文言からくる要件ではないようだ。
>>14 御意。
>>15-16 ちょっと出だしが冗長な気がします。
取消については遡及効が原則なので、一言で済ませても良いと思います。
>2.
外観作出の形態がよく似ているので、
262条の類推適用に絞っても良いと思います。
民法の表見代理は取引通念上、包括的代理権をもっていると考えられる
主体の法律行為には適さないでしょうし、帰責性あるいは基本代理権
という面倒な問題がでてきます。
14条も同様に恋過失要件との整合性が厳しくなります。(p78注参照
まあ単なるバランス論でしかないですが。
>3.
解説に流されすぎていませんか?
本質的問題点は商法版の毒樹の果実をどうするかですな。
まあ招集資格のない者が株主総会を招集したとしても
招集手続上の瑕疵がなければ有効として良いのでしょう(大隅=今井)。
そうでもしないと、閉鎖会社の場合などは、
いつまでも放っておいて、気づいた頃に不存在とか言い出して
法律関係が滅茶苦茶になってしまうので、
現実に妥協せざるを得ないと思います。
しかも相続絡みで血生臭い事案が多いし。
27 :
外野手:03/11/21 02:03 ID:???
>>23-24 これはまったく指摘するとこがないです。
全部同じ理由でなんとなりそうで。
しかし、これくらいの誤植はあの方のに比べれば(ry
>>26 >取消については遡及効が原則なので、一言で済ませても良いと思います。
確かに他の本にはあまり理由付けが載ってなかったりします。
>262条の類推適用に絞っても良いと思います。
なるほど。参考になります。
>解説に流されすぎていませんか?
仰る通りで。
28 :
外野手:03/11/21 02:10 ID:???
>>19 26氏、どうもご足労頂きまして。
冷シャブタンのさらなるまとめもあり、ほとんど付け加える点がありませんな。
ご両人のまとめでよろしいかと思います。
今まで「168条1項8号の対外的効力」の視点が欠けていたように思います。
よろしければ、たまにこのスレを覗いてコメントを下され。
29 :
外野手:03/11/21 02:11 ID:???
それでは、民訴へ突入します。
【小林プロブレム・メソッド新民訴-5】《宗教団体の内部紛争〜審判権の限界》
1.裁判所は法律上の争訟(裁判所法3条1項)を裁判する権限を有する。
法律上の争訟があるといえるためには、
@具体的な権利又は法律関係をめぐる紛争であって、
A法令の適用により終局的に紛争解決することができることを充たす必要がある。
これを前提に、審判権の限界が問題となる各小問において、
裁判所がいかなる審理をすべきか検討する。
2.小問1について 代表役員であることの確認(本門寺事件)
(1) @本文の訴えは、住職のような宗教上の地位の確認を求めるものでなく、
寺の代表役員であることの確認であるような法律上の地位の確認を求めるもの
→法律関係をめぐる紛争であるといえる。
(2)では、A法令の適用により終局的に紛争解決することができることいえるか。
思うに、代表役員であるかどうかの判断は宗教上の教義や信仰内容に関する問題に踏み込むものではない。
そこで、裁判所は、確立された住職選任手続が存在する場合には、それに従って判断し、
確立された住職選任手続が存在しない場合は条理に適合しているかどうかで判断すべきである。
(3) 本問では、・・・
(4) したがって、裁判所は訴訟物たるXの代表役員の地位の有無について審理して裁判すべき。
30 :
外野手:03/11/21 02:12 ID:???
3.小問2について
(1) @は充たす。Aが問題
(2) 思うに、前提問題が信仰の対象の価値や宗教上の教義に関するものであって、
その判断が訴訟の帰趨を左右する不可欠なものと認められる場合は
その実質においてA法令の適用による終局的な解決に適さないものというべき。
このように解することで、宗教に対する裁判所の中立性が守られる。
(3) 本問では、金員の返還請求の当否を判断する前提問題として、
募金の趣旨である正本堂建立の本尊「板まんだら」が偽物であるかどうかが問題となっており、
その真偽が当事者間の紛争の本質的争点をなすとともに、
信仰価値や宗教上の教義に関する事項と深く関わっており、
しかも、その真偽の判断が訴訟の帰趨を左右する不可欠なものと考えられる。
以上より、Aを充たさず、法律上の争訟にあたらないと解するべき。
(4) したがって、審判権は及ばず、裁判所はXの訴えを不適法として却下する判決をすべき。
4.小問3について
(1) @は充たす。Aが問題。
(2) 同上
(3) 本問では、Yは教義に異説を述べ改めないとして破門にされており、
建物の明渡請求の当否を判断する前提問題として
宗教団体内部においてなさた処分の効力が問題となっており、
その効力が当事者間の紛争の本質的争点をなすとともに、
信仰価値や宗教上の教義に関する事項と深く関わっており。
しかも、その効力の判断が訴訟の帰趨を左右する不可欠なものと考えられる。
(4) したがって、審判権は及ばず、Xの本訴もYの別訴も不適法として却下する判決をすべき。
高橋重点講義にあるので一応はずせない論点ともいえるのか。
しかし、本論点は深入りしてみればみるほど難問です。大まかには
宗教に対する裁判所の中立性⇔紛争解決の必要性(裁判を受ける権利)を意識しないといけない。
(これがあんまり構成に出てないのが問題。しかし、憲法問題だろ、これ。)
小問2についての寺田意見、高橋先生の見解、全般的には新堂先生の分析等があるので、触れた方がいいのか。
一応構成は最小限度にしておいた。反対説への言及は消化しきれてないので保留だす。
【小林プロブレム・メソッド新民訴-19】《債権者代位訴訟》
第1 設問1
設問は、特定物債権保全の転用型のみならず、金銭債権保全の本来型においても、
相殺を用いることで事実上、他の債権者に優先して債権回収が出来る点で
相殺権者の利益を図るという制度本来の役割を逸脱していることを問題としている。
このような便宜的な使われ方は確かに立法の予定していたところでは無いと
考えられるが、他方で優先的に回収できるようないわば「うまみ」がないとなれば
実際、利用価値がなくなってしまうおそれもあり、また総債権者のためとはいっても
配当をする制度も確立されていないことからすれば、債権者代位制度の
許容しうる利用形態にあるといえる。*1
なお、本来型の債権者代位制度につき債権回収機能を積極的に肯定する見解もあるが、
上記趣旨からしたら疑問を禁じ得ない。
第2 設問2
債権者代位訴訟における既判力は債務者にも及ぶとともに(115条1項2号)、
告知により処分権を失うことで(非訟事件手続法*2)、訴えの利益を欠き
当事者適格を失うが、ここにおいて債務者に充分な手続保障をすることが
必要となる。
それには事前に債務者に対して何らかの告知をして、参加の機会を確保する
ことが適切と考えられ、まずは訴え提起前において債権者は債務者に対して
相当な期間を定めて権利行使の催告を求め、それが功を奏しない場合に
当事者適格を取得すると解すべきである。*3
このように解することで第1で述べた債権者代位訴訟の制度とも整合する。
そして、更に代位訴訟が提起された場合に訴訟告知(*4)を要求することで
債務者には独立当事者参加(*5)もしくは補助参加が可能となり手続保障は充たされる。
*1:そもそも債権者代位訴訟を残しておく意味を疑問視する向きもあるが(三ヶ月、高橋)、
司法試験でそんなところには踏み込めない。
*2:非訟法は法文にないので、これでよかろう。
適用条文は77条。なお、裁判外の代位行使に類推適用。
*3:池田準拠
*4:53条の訴訟告知とは少々ちがうことになるようだ(重点講義p228注23参照)
*5:「債権者と債務者は相互に牽制しながら相拮抗して訴訟追行権を持つという
扱いのほうが妥当」(p140)とするが、そんなに割り切れものなのかな。
(関連情報)
池田『債権者代位訴訟の研究』
(余談)
重点講義を買った。
学説には必ずしも賛成できるわけではないが、かゆいところに手が届いてなかなか良い。
雰囲気が曽根重要問題に似てる。
34 :
氏名黙秘:03/11/21 21:39 ID:???
>>29-30 ここはまだきちんと押さえきれていないところですが、
おそらく司法判断が「できるかどうか」と「やっていいかどうか」を
意識して裁判所法3条1項を解釈していくことになるでしょうな。
特に自由主義型の現行憲法下では、なるべくお家の事情には踏み込むべきではなく、
司法判断が可能でも、それは制限的な方向で解釈するということになろうとおもいます。
そういう意味で、住職という宗教上の地位を訴訟物に据えることを避けるのでしょうが
(重点講義P285)、住職の地位を訴訟物としても(伊藤)、
見かけの違いだけで、実質はあまりかわりませんな。
(高橋・伊藤の両説分析につき山本『民事訴訟法の基本問題』P33以下
まあ受験上は、制限的に解して、紛争解決の要請が強い事案について
内部手続に踏み込んでいくということになるかと思います。
特に小問1については紛争解決の必要性を押し出しても
良いと思います。(重点講義P287L4以下
>宗教に対する裁判所の中立性⇔紛争解決の必要性(裁判を受ける権利)を意識しないといけない。
これは判例規範の字面にあまり出てきてないから、わかりにくいんでしょう。
この点は重点講義の分析が一番良いと思います。なお争点6(高橋執筆)も参照。
>しかし、憲法問題だろ、これ。)
これはかぶるところでしょうね。
公開主義のように出るときは出るでしょうし、
従来のような学会の蛸壺的発想を脱しているようで大いに結構だと思います。
受験上も一見勉強量が増えたかに見えますが、
憲法と関連させて論じてくれるので思考経済に資します。
これはまたもっと細かい事情の入った問題で扱いたいところですな。
36 :
外野手:03/11/23 00:47 ID:???
>>35 >住職の地位を訴訟物としても(伊藤)、見かけの違いだけで、実質はあまりかわりませんな。
プロメにも書いてありますが、「裁判所が宗教上の問題に直接介入したという印象を与えるのを避けられ」
ってな感じですものね。印象だけで実質は変わらないと。
>特に小問1については紛争解決の必要性を押し出しても良いと思います。
問題文からそれが読み取れるようなら可能ですね。
>受験上も一見勉強量が増えたかに見えますが、憲法と関連させて論じてくれるので思考経済に資します。
同意。ここら辺の判例を押えるのはまずは択一対策になるかと。
37 :
外野手:03/11/23 00:48 ID:???
【小林プロブレム・メソッド新民訴-22】《法人の代表者と表見法理》
1.Xは登記簿上の代表取締役AをY社の代表者として訴えを提起したが、
Aは代表取締役でないことが証拠上認定されている。
とすれば、Aを相手として行った訴訟行為は無効となるのが原則である。
しかし、それでは登記を信頼したXの利益を損なう。
そこで、実体法上の表見代理規定(民法109、110条・商法12条、14条等)を適用し、
登記上の代表者を相手方とする訴訟行為を有効とできないかが問題となる。
この点、
@相手方の信頼保護、手続の安定
A登記を怠った法人の裁判を受ける権利の保障のため、
登記を信頼した相手方を犠牲にするのは公平に反する。
Bすべての手続をやり直すのは訴訟経済に反する。
→肯定説
確かに、手続が進んだ場合に表見法理規定の適用を否定すると、
B訴訟経済に反し、※1またA登記を信頼した相手方が犠牲となる面があるのは否定できない。
しかし、
@そもそも表見法理規定は取引の安全を図るもので、取引行為とは異なる訴訟手続には適用されない。
これは取引の相手方の保護を図った規定たる商法42条1項が本文において、
表見支配人のした行為について一定の効果を認めながらも、
その但書において表見支配人のした訴訟上の行為について本文の規定の適用を除外してることからも明らか。
A代表権の欠缺は絶対的上告理由(312条2項4号)再審事由(338条1項3号)となっている
B法人の背後には多くの人間がいるのであるから
真正な代表者によって訴訟を追行される法人背後者の利益を重視すべきである。
C肯定説によると、相手方の善意悪意が問題となり、手続の安定を損なう。
したがって、否定説が妥当。
本問についてみると、・・・
このように解しても、本問では訴訟は始まったばかりで、
B訴訟経済、A公平の観点から見ても不都合はないと解される。
38 :
外野手:03/11/23 00:48 ID:???
2.以上のように表見法理の適用は否定され、
裁判所はXに訴状の補正を命じ、真正な代表者が不明ならば特別代理人の選任を申立て、
真正な代表者に対して改めて訴状を送達する等の補正手続をしない場合には訴えを却下すべきである。
3.したがって、真の代表者、又はそれが不明ならば特別代理人を選任(35条)して
その者をY社の代表者とすべき。
※1:訴訟費用等を法人に負担させるという手段はあるけど、一応後半につながるので書いておいた。
法人の裁判を受ける権利(否定説)⇔登記簿を信頼した相手方(肯定説)が大きな視点。
この問題文の問い方だと、書きにくいな。
すでになされた訴訟行為の効果が覆されるかどうかで両説の違いはでるけど、
真正な代表者じゃないと分った場合に、誰を代表者とすべきかはどっちの説でも変わらない気がするんだけど。
39 :
氏名黙秘:03/11/23 03:06 ID:???
保守
40 :
外野手:03/11/23 22:31 ID:???
>>32-33 設問1については端的にまとめられていると思います。
>債権者代位訴訟における既判力は債務者にも及ぶとともに(115条1項2号)、
三ヶ月説を書くかどうかは別として、債務者への既判力の拡張が必要である旨を
強調するといいのではないでしょうか。
(判例は勝訴敗訴を問わず既判力を及ぼす→三ヶ月先生の問題提起・手続保障)
いやいや既判力の拡張は是非とも必要→じゃぁ手続保障は?→例えば、池田説とかどう?
ってな流れということです。
>*4:53条の訴訟告知とは少々ちがうことになるようだ(重点講義p228注23参照)
権利告知とした方がいいのでしょうかね。「訴訟告知(53条)」と勢いで書かないようにしないとな。
【小林プロブレム・メソッド新民訴-25】《合意管轄》
第1 1
Xは11条に基づく合意管轄を根拠に移送の申立てをしていると認められるが、
この合意を尊重し移送すべきか、当事者の負担の格差が大きいと思われるため
裁判を受ける権利(K32)との関係で問題となる。
即ち、本件は保険会社と個人であり、両者の訴訟追行の負担は
多大な差があり、さらに訴訟合意自体が約款という画一的なもので
あることからすればXの確定的な意思を前提としているとは思われず、
実質的に当事者の衡平をはかるべきである。
この点、現在は通信機器の発達により遠離地の当事者も
事件の係属する裁判所に出頭せずとも容易に訴訟追行が可能となり
(通信機器による弁論準備手続につき170条3項、同じく証人尋問につき204条)、
また書面による準備手続につきも可能であり(175条ないし178条)、
更に交通機関も発達して安く早く移動することも可能であるから
移送してもとりたてて不衡平とはいえない。*1
従って、裁判所は管轄合意を尊重し、本件を東京地裁に移送すべきである。
第2 2
同様に甲は11条に基づく合意管轄を根拠に札幌地裁へ訴訟を提起したと認められるが、
本件で尋問が予想される証人が大阪在住であり、「訴訟の著しい遅延を避け」(17)るため
乙の申立ての通り大阪地裁に移送すべきか問題となる。
この判断においては、「当事者・・・・・・事情」(17)から総合的に
考えていくことになり、本件の証人尋問のみを取り上げれば大阪地裁に移送した方が
至便であるが、甲は同種の訴訟を100件提起しており、
それら事件と並行した訴訟追行で訴訟活動の迅速化が期待でき、
また併合の可能性も否定できないことから、現在のまま札幌地裁に係属する方が
訴訟の促進に期し得ると考える。
更に、第1で述べたように、証人尋問は通信機器の使用により大阪地裁でも
可能であり(規則123条1項)、とりたてて考慮すべき事情とも思えない。
従って、・・・許されない。(「扱うべきか」で聞いてほしかった。
*1:実際は1回行けば済むらしい。本当の狙いは認容されやすい裁判官を選ぶことにあると聞く。
さすがにSLで移動していた時代の札幌高決S45・4・20はあまり参考にならんだろう。
42 :
外野手:03/11/24 00:11 ID:???
いろいろ検討した結果、明日UP予定の
【小林プロブレム・メソッド新民訴-26】《訴えの利益》
を
【小林プロブレム・メソッド新民訴-29】《確認の訴えの利益》
に変更させてください。
>>40 上段:どうでしょうね。条文で充分な気もしますが。
三ヶ月の見解は手続保障面があまいから既判力を限定的にしようという発想だと思いますが、
手続保障が充たされた説を提示する前提なら踏み込む必要が無いと思います。
下段:権利告知って言っている人いますかね。
これは要するに本来の訴訟告知(53条)で参加的効力を及ぼすこととは違って、
既判力が及ぶことが前提で、そのための手続保障として訴訟告知という手段をとる
わけですが、手続の外形は同じなので訴訟告知でさほど問題ないと思います。
(口述で聞かれそうですな。
主査:「根拠条文は?」
受験生:「う〜、ありませんが、53条に準じた方法で行うべきと考えます」
って感じでしょうか。
こう考えると、依然として参加的効力に比べて手続保障は充分とはいえませんね。
まっ、政策的要素が入ってるんで、既判力と参加的効力の差分は相殺ですな。
>>37-38 これは問題が簡単すぎましたね。
結審間近で判明したとかの事案の方が良かったかも知れませんな。
(これは用意しておく必要有りと思われ。
大筋としては、表見法理を限定的につかって、
本人側と相手側を利益衡量していけばいいんでしょう。
構成ですが、なんだか学説提示が予備校チックに思えますので、
もうちょいシンプルにしても良いかと思います。
要は実体法と手続法の違いを意識した規範提示をすれば良いだけだと思うので。
(12/5-10の予定)
受験新報1月号、漏れ先攻。異議なくばレス不要。
47 :
氏名黙秘:03/11/25 01:11 ID:???
保守
48 :
外野手:03/11/25 02:37 ID:???
【小林プロブレム・メソッド新民訴-29】《確認の訴えの利益》
第1.小問1,2における確認の訴えが適法かどうかは、「確認の利益」の有無に関わる。
確認の訴えは確認対象が形式的には無限定であるから、
→確認の利益によって、訴訟物たる権利又は法律関係の存否の判決をすることが
有効・適切である場合に認められる場合にだけ、訴えを絞り込む必要性がある
そして、確認の利益の判断は、右の視点で行われるべきである。
@確認訴訟によることの適否
A確認対象選択の適否
B即時確定の現実的利益の有無
以上を前提に各小問を検討。
第2.小問1について
(1) 本問で問題となるのはAである。
Aの視点から導き出させるものとして「現在の法律関係の確認を求めるべきであるという」という考えがある。
→これは、過去の法律関係の存否を確認しても、
確認判決が紛争解決に有効・適切とはいえないからである。
とすれば、過去の法律関係の確認であっても、
それが現在の法律関係をめぐる紛争の直接かつ抜本的な解決にもっとも有効・適切と認められる場合には、
確認対象選択の適切性、ひいては、確認の利益を認めるべきである。
(2) 本問は形式的に見れば、過去の法律行為である、Aの遺言確認を求める訴えである。
しかし、X1らとY1らの紛争の直接的な対象である遺言の無効の当否を確認することが、
紛争の直接かつ抜本的な解決にもっとも適切・必要といえる。※1
したがって、確認の利益があるといえる。
(3) 以上より、X1らの訴えは適法である。
49 :
外野手:03/11/25 02:41 ID:???
第3.小問2について※2
(1) 本問でもAが問題となる。
思うに、本問のような遺産確認の訴えは、当該財産が現に被相続人の遺産に属すること、
すなわち、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えである。
なぜなら、原告が確認して欲しいのは遺産分割の対象となる「現在」の遺産の範囲であるといえるからである。
そして、このように解して、遺産の帰属性について既判力を及ぼすことにより、
後に続くと予想される遺産分割の協議・調停・審判において当該財産の帰属性を争うことを防ぐことが出来る。
とすれば、・・・・※3
したがって、Xの提起した「本件不動産はBの遺産に属する」という遺産確認の訴えには確認の利益があるといえる。
以上より、Xの訴えは適法である。
問題選択を変えたのは小問1が口述で聞かれた箇所だから。
※1:あてはめが薄いか。問題文からもう少し事情が掴めればそれを書きたい。
遺産分割の調停をしてるとか。
※2:この小問をどうするかでかなり悩んだ。
共有持分確認の訴えがあるじゃないか、という問題点は@の問題といえるのかな。(百選p131上から2段目左)
それとも、紛争の直接・抜本的解決というのを押し出すべきなのか。
※3:ということで保留
50 :
外野手:03/11/25 03:20 ID:???
>>41 構成は一貫してると思います。
専属的合意かどうかということを書かないのは意識的なのかが気になるところです。
>実質的に当事者の衡平をはかるべきである。
余談ですが、以前答練で「衡平」と書いたら「公平の間違いです。」と講評されますた。
>>50 >専属的合意かどうかということを書かないのは意識的なのかが気になるところです。
これは意識的です。
社会通念上、専属的合意が通常でしょうし、
日動火災事件は付加的合意としてますが、あれはたぶん移送するために苦し紛れで
やったような節があるのでこのようにしました。(でも、書いた方がいいのかな。
>余談ですが、以前答練で「衡平」と書いたら「公平の間違いです。」と講評されますた。
これは間違いではないでしょう。
井上治典も講義でどちらでもいいと言ってました。
最近は比較衡量が比較考量、衡平が公平という使い方で統一されつつあるので、
なるべくお上に合わせるべきという添削者の配慮でしょう。
私は相対的なバランス論という色彩を出すために衡平をつかっております。
52 :
外野手:03/11/25 21:38 ID:???
>>51 >これは意識的です。
やはりそうでしたか。
>(でも、書いた方がいいのかな。
まず約款の合意をどう解釈するかによって道筋が分かれると思うので、
専属的合意だとの認定があった方がいいのでは。
【小林プロブレム・メソッド新民訴-34】《主要事実と間接事実》
第1
1.主要事実・間接事実と弁論主義の適用範囲
各設問は当事者の主張しない事実は裁判の基礎にしてはならない
という弁論主義の第1テーゼとの関連で弁論主義違背かどうか問題となるが、
前提として弁論主義の適用範囲について述べる。
@まず主要事実は原則としてすべて弁論主義を適用させる。
∵必ずしも当事者にとって重要でなく、訴訟の勝敗に影響するもの
ばかりではないが、明解性を確保するため、全て弁論主義を適用すべき。
訴訟手続の円滑化。
A規範的要件を基礎づける具体的事実は主要事実とする(もしくは準主要事実)。
∵実際上、当事者の攻撃防御方法を考えるのに影響する。
B訴訟の勝敗に直接影響するような重要な間接事実にも弁論主義を適用させる。
∵同様
以下これに沿って各問をみていく。
2.設問1について
違法 ∵上記B
3.設問2について
違法 ∵上記@
但し、法律効果に変わりがないので、実質的に当事者に不意打ちでなければ、
弁論主義違背としない。*1
第2 設問3について
本問における建物売買の事実は、AからDへの債権譲渡を推認しうる
相手方の主張と一致する自己に不利益な事実の陳述と認められ、自白が成立する。
よって、自白の撤回は、Aの同意や刑事上罰すべき事情もないので、
反真実性の証明および錯誤により許されるものと解する。
なお、判例は本問のような間接事実について弁論主義を適用しないことで
裁判所も当事者も拘束されず、自白の撤回を許していると思われるが、
訴訟の円滑化や禁反言ないし相手方の信頼保護の観点から妥当でない。*2
*1:妥協の余地を残しておく。
要するに行為無価値性を結果価値性で救うってことか。
*2:垂直方向と水平方向を整合的に考えないといけないと思う。
下手に判例に乗っかっていると頭を混乱させることになりかねない。
これは良問。直前見直し問題にエントリー。
弁論主義の適用範囲は何度か突っ込んで考えた結果、
加藤新太郎の意見(争点)が適切と考え、それにそっている。
高橋の意見も理論としては分からないでもないが、実務上の行為規範として動かすことを考えたら、
何でも実質化すればいいってもんでもなかろう。
(前スレ277および前々スレ658参照
>>52 どうでしょうね。
合意が専属的だろうと付加的だろうと、移送するときは移送しちゃいますからね。
考えておきます。
56 :
外野手:03/11/27 00:33 ID:???
【小林プロブレム・メソッド新民訴-58】《訴訟上の和解》
第1.小問1について
1.(1) 乙は強制執行を避けるために、訴訟上の和解の錯誤無効を主張することができるか。
このように、訴訟上の和解に実体法上の瑕疵がある場合、
当事者は再審の訴えを経由しないで、その瑕疵を主張し訴訟上の和解の無効を主張できるか。
「確定判決と同一の効力」(267条)に既判力が含まれるかが問題となる。
確かに、267条の文言からすれば、既判力肯定
→乙は再審事由(338条)がなければ無効の主張できないことになる。
しかし、請求の認諾放棄と異なり、訴訟上の和解には判決における主文中の判断に対応するものがないから
既判力を認めるとその客観的範囲が不明確となり妥当でない。
そもそも、訴訟上の和解は当事者間の自主的紛争解決手段であり、
強制的終局的な紛争解決手段である判決とは異なる。
したがって、「確定判決と同一の効力」に既判力が含まれないと解するべき。
(2) このように、訴訟上の和解の効力として既判力を否定すれば、
乙は、再審手続を経由しないで、訴訟上の和解の錯誤無効を主張できることになる。
2.では、乙はいかなる方法で無効の主張をできるか、
(1) 訴訟上の和解に錯誤がある場合の主張方法が問題となる。
・期日指定の申立ての方法によるべきとする見解
→従前の訴訟資料は流用できるという利点はあるが、上級審で和解がなされたとき、
和解無効の審理に三審級が保障されない。
・和解無効確認の別訴または請求異議の訴えの提起によるべきとする見解
→三審級は保障されるが、旧訴の訴訟状態・訴訟資料の維持利用が困難となる。
・当事者の便宜で競合説
申立人の選択が不適切な場合は、釈明(149)、移送(17)で調整すればよい
(2) したがって、乙は・・・
57 :
外野手:03/11/27 00:33 ID:???
第2.小問2について
1.甲は本件和解を解除することができることに争いはない
2.(1) では、甲はいかなる方法で解除の主張できるか。
別訴提起によるべきか、それとも期日損定の申立てによるべきかが、
解除が訴訟上の和解の訴訟終了効にどのように影響を与えるのかと関連して問題となる。
競合説略〜(第1の問題と「ほぼ」パラレルに。
解除の場合は和解自体に付着した瑕疵でなく、新たな紛争である点で期日申立て説にさらに難点がある)
(2) 本問についてみると、甲は当初の建物収去土地明渡しを求めたいのであるから、
期日指定の申立てをするべきである。
ヤマヤマと言われるところなのでみんな十二分に用意してるとこだろう。
当事者の採りたい主張方法について具体的に書いてある小林解説は参考になった。
判例についても触れた方がいいのかな。
>>48-49 >※1:あてはめが薄いか。問題文からもう少し事情が掴めればそれを書きたい。
> 遺産分割の調停をしてるとか。
あんなもんで良いんじゃないですかね。
もともと「現在の法律関係」ってのも条文要件じゃなくて、
単に訴訟を限定するために出てきただけなので、
むしろこれを堅持する姿勢を砕いて紛争解決の実効性を
前面に押し出しても良いような気がします。
p187の注3よりの記述ってことです。
>※2:この小問をどうするかでかなり悩んだ。
これは問題の質からしたら、いらないと思いますが、
突っ込んで考えておく必要のある論点ですね。
しかも評釈は中西で、他にも名だたる人がいっぱい書いてますから、
重要判例に入れておきましょう。
基本的に構成じたいは問題ないと思いますが、
p189中にあるように、現在の法律関係にとらわれないような
柔軟な記述につとめる方が、解釈の妥当性のみならず、
予備校答案仕込みという推認をされないためにも良いかと思います。
【小林プロブレム・メソッド新民訴-67】《既判力と執行力の主観的範囲》
1.本問における承継執行文付与については、
「その者・・・・・・提出したときに限」(民事執行法27条2項)るものであり、
その判断において口頭弁論終結後の承継人(115条1項2号)として
既判力がZに及ぶか問題となる。
実体法の請求権の法的性質を反映させる旧訴訟物理論が妥当
→既判力も同様に解すべきと思われる。
しかし、紛争解決の実効性、訴訟経済等(*1)から
形式的に解し原則として本問のような目的物の譲受人のような特定承継人にも
及ぼすべきである。
2.しかし、上記のように既判力を認め、それに従って執行力を認めると、
Zは執行文付与に対する異議の訴え(民事執行法34条)あるいは
請求異議の訴え(35条)という迂遠な方法をもって対抗せざるを得なくなり酷である。
むしろ執行力に関しては固有の防御方法を有する特定承継人には及ばないと
すべきと考える。これはそもそも書記官が実質的な法律関係を判断することは
事実上無理であることからしても妥当である。
よって、認められない。
*1;更に詳細な理由につき重点講義P586
あっちいって、こっちいって、筋の悪い構成になった。
ここはもっと詰めないといかんな。
>外野手
所用により次のレスは月曜の朝となります。
61 :
外野手:03/11/27 23:59 ID:???
さて、留守を守らないと。
>>53-54 冷シャブタンの基準でいけば、設問3については
建物売買の事実が「重要な」間接事実であるという指摘があった方がいいかと。
さて、本問のような問題においては、前々スレ658のまとめ
> @まず大前提として主要事実はもれなく弁論主義を適用させる。
> A規範的要件を基礎づける具体的事実は主要事実とする(もしくは準主要事実)。
> B訴訟の勝敗に直接影響するような重要な間接事実にも弁論主義を適用させる。
に全面的に賛成します。仰る通り、頭に負担がかからず、実務的だから。(書研p104参照)
大まかなに言えば、不意打ち防止の観点から大前提を実質化していくという感じでしょうか。
ここら辺の解説では、争点が一番よくまとめられてる気がします。
62 :
外野手:03/11/28 00:07 ID:???
>>58 >p189中にあるように、現在の法律関係にとらわれないような
>柔軟な記述につとめる方が、解釈の妥当性のみならず、
>予備校答案仕込みという推認をされないためにも良いかと思います。
上田説ですね。始めそういう記述にしてみようと考えました。
小問2をうまく論じるためにはその方が楽な気がしたので。
この判例は要チェックですね。
63 :
30:03/11/28 21:09 ID:???
冷シャブdecidendi ◆vCK8.7oLawさん、外野手さん。はじめまして。
日頃から、スレを読ませていただいている者です。
本来ですと、
>>19の26さんのところでカキコしたかったのですが、
時機を逸してしまいました。
少し落ち着いているようなので、記念カキコしています。
26さんのコメントについては、法学教室No.271(4月号)p.26-
の記述によって解決されますよね。判例も、実は、意外に説得力が
あるようにも思いました。
出典がよく分からなかったので、みなさんに確認をとりたいと
思ったのですが、いかがでしょうか。
あと、発起人の取引名義の件ですが、昔の司法試験シリーズに記述が
ありましたよね。オレンジ色のやつです。いま手許になく、うろ覚えで
カキコしてますが、確かだと思います。みなさんが御覧になっていたら、
すみません。
あと、差し支えなければ、今後とも、カキコなどさせていただければ
光栄です。
スレ主がいない時にカキコする失礼をお許し下さい。
64 :
外野手:03/11/28 22:25 ID:???
>>63 どうもはじめまして、こちら外野手です。
さて、早速本題へ。
>26さんのコメントについては、法学教室No.271(4月号)p.26-の記述によって解決されますよね。
ご指摘の法教を読みましたが、該当する記述がないように思えるのですが。
申し訳ありませんが、今一度ご確認頂ければ。
>あと、差し支えなければ、今後とも、カキコなどさせていただければ光栄です。
是非ともお願いします。
危うい構成をUPしているので、厳しいご意見お待ちしてますよ。
そして、たまに褒めてください。
65 :
外野手:03/11/28 22:27 ID:???
>>59 問題検討の時間がなかったことと推察致します。
1:Zが「口頭弁論後の承継人」にあたるかどうかを論じた方がよろしいのでは。
そして、固有の抗弁がある場合でも?という論点につなげるということですが。
2:とはいえ問題文からすると、執行力の拡張についてのみを論じればいいのではないかとも
思います。まぁ既判力についても詰めないといけませんが。
3:「それに従って執行力を認めると、」この表現は少し危ういかと。
66 :
30:03/11/28 23:44 ID:???
外野手さん。こんばんは。
ページ間違ってましたね。p.16です。
>>63 時間が出来たのでカキコ。
いい感じですね。過去レスでもかまいませんので、どんどん叩いてください。
法教のは読みましたよ。あんなところに解説があるとは思いもしなかったです。
で、判例規範も分からないのではないのですが、
学説は債権者保護の効果を意識した価値判断の産物ですね。
大きな会社の場合は、債務を出来るだけ会社に帰属させた方が良いし、
法人なりのような小会社なら発起人の帰属させた方が良いし、
両方を考えると重畳的というのが一番債務者保護に厚くなりますな。
ただ、個人的にはここまでしなくても、登記されるまでまったらええやないかとも
思うんですが、結局登記はいちいち見ないという実務上の慣行を
規範に反映させているのでしょうな。
なお、故・岩崎稜は私の好きな商法学者の一人ですが、
『セミナー商法』p142の中で、「特殊ドイツ団体法理に毒されて、
(中略)この同一性説こそ会社設立構造を理解不能にしている元凶である」と批判してます。
(この本は結構面白いですが、司法試験的には即効性はないようです。
>外野手
一件訂正です。
確定日付けある債権譲渡通知の優劣問題については到着時間も考慮するようです。
ビジ法のテキストにでてました。
69 :
30:03/11/29 11:13 ID:???
冷シャブたん。おはようございます。
>>67 判例の「設立費用」の定義の方が素直だと思いますよ。そして、その後の処理も、条文に忠実だし。
あと、取引の安全というものに対する考え方の違いがありますよね。やはり書いているか書いていないか
というのが重要だ、という考えも成り立つと思います。そして、書いたのなら責任を負え、って理屈も
納得できるんですよ。まあ、あんまり見ないものですけどね。当時の大審院の裁判官たちが一所懸命に
考えたんだなあ、と思われる判例ですよ。
そして、こんなゴタゴタしている会社なんて、形式基準でバサっと切ってしまった方がいい。という
感覚が小気味いい。
この判例を勉強して、いままでの判例批判がいかに学者の思惑に左右されていたか気付かされました。
ステレオタイプな批判を検討してこなかった。反省ザルでした。
なお、この理屈、某答案練習会で書いた漏れ。ガクガクブルブル。
あと個人的には、同一性説批判は納得。こんな理屈、最小限でいい。結構、学者さん達の本音は、
こういうところにありそうなんですけど。まあ、これ以上は止めときます。
>>68 そうですよね。確か時間帯が出るんでしたよね。同時到達って、この時間帯まで同じ場面だった気が
します。で、御存じの事情から、現実には一杯起ってると。貞友マンセー!
>おまけ
30のネーミングの由来ですが、1さんこと冷シャブたんと90さんの衝撃の出合いからはじまって(実は
その瞬間も見てました。感動した。)、新たな勇者こと外野手さんが参加しましたよね。みなさんに、
ふさわしいのは、三銃士(30氏。ダジャレかい!)ってことでした。つまらなかったら、スルーの方向で、
よろしくお願いします。
70 :
30:03/11/29 11:30 ID:???
>>67 あと、もう少しだけ。なお、判例の理屈は、その時代を反映しているという性格は否定できません。やはり当時の会社は小さかった。
だからこそ、この理屈も通用するような気がします。でも、今の会社の設立費用は、かなり高額ですよね。小さな会社ならいざ知らず、
大きな会社には判例の理屈は難しいかも。でも、慎重な設立手続を設立関係者にさせるためのインセンティヴにはなりそうですよね。
このあたりは冷シャブたんが偉い学者になって、吠えまくってほしいな。スレ汚しスマソ。
>>69 そうでしたか。あっしはてっきり三十路なのかと思ってました。
そういえばよく分からないうちにもうすぐ1年経ちますわ。
最初はスタンスレみたいに、誰かが散発的に問題提起して
何人かが答えるという形式を考えていたのですが、
いつの間にか定期になってしまいました。
最近は勉強スレッドもすっかり少なくなったので、
あと1年は老舗の看板をまもっていきたいと思ってます。
よろしければのメーリングリストもどうぞ。→
>>31
72 :
30:03/11/29 12:59 ID:???
>>71 いやあ。それは実は三十路なのだ。。。鬱。復活組。
あまり言うと、いじめられるので、そのところは隠しコマンドにあたる
部分ですた。
メーリスのお誘い、ありがとうございまつ。ただ、今年は情報を絞り込む
のがテーマなので、とりあえずは保留しまつ。
あと、このスレは結構、優良スレということで、わたしの周りの実力者も
見てますよ。一応、わたしも含めて論文経験者ばかりです。
ただ、わたくしは非実力派宣言しておきます。白旗でつ。
>>56-57 構成上の問題ではなく、実践答案にする方向の補足を提案したいと思います。
まず1問目の反対説への言及ですが、「便宜的すぎる」という
あまり説得力のない理由なので、流して良いのではないでしょうか。
次に、読む進めていくなかで
>解除が訴訟上の和解の訴訟終了効にどのように影響を与えるのかと関連して問題となる。
ここでちょっと躓いたので、
遡及するかしないかという具体的な表記の方が読み手に優しいと思います。
(二者択一でそれ以外のバージョンは無いので
>>65 1.あの書き方だとまずいですかね。
条文上は口頭弁論終結後の承継人かで、
実質は既判力が拡張できるかだと思いますが。
(なお、構成は2号となってますが、3号の間違いでした。
2.執行力の範囲を既判力にかからしめる形の立場をとれば(P385L4以下)、
いちおういるのではないかと。そういう意味から3の点を書いたのですが、
書き方が安直すぎましたな。
75 :
外野手:03/12/01 19:18 ID:???
>>72 30氏レスが遅れて失礼しました。ご指摘の法教読みました。
判例の考えだと「どの債権者が会社に請求できるかに関して」不明確だと指摘して、その後、
従来多くの受験生が書いている流れに持っていくというステップがあるかどうかで
どのくらい評価が違うのか気になるところです。
>あと、このスレは結構、優良スレということで、わたしの周りの実力者も
>見てますよ。一応、わたしも含めて論文経験者ばかりです。
正直申し上げまして、この部分を読んでからUPするのが恐いですね・・・
是非30氏周辺の実力者の皆様からのレスもお待ちしています。
>>73 >まず1問目の反対説への言及ですが、「便宜的すぎる」という
>あまり説得力のない理由なので、流して良いのではないでしょうか。
これはどの部分のご指摘でしょうか。
>遡及するかしないかという具体的な表記の方が読み手に優しいと思います。
まったくその通りで。改訂しておきます。
76 :
外野手:03/12/01 19:29 ID:???
>>74 >条文上は口頭弁論終結後の承継人かで、
>実質は既判力が拡張できるかだと思いますが。
承継人にあたるかどうかと、承継人に固有の抗弁がある場合は
別と考えた方がいいのではと思ったのです。
既判力の拡張を認めたのちに、次の話(形式説、実質説)が出てくるものと理解していたのですが。
77 :
外野手:03/12/01 19:34 ID:???
>>72 30氏。とその周辺の実力者の方々。
私からもMLへ参加をお願い致したいです。
>>31 そんなに重い話をしている訳でもなく、気軽に考えて頂いて結構ですよ。
例えば、俺自身、最近投稿できてなかったりして・・・ゴメンナサイ・・・
>>75 >・期日指定の申立ての方法によるべきとする見解
>→従前の訴訟資料は流用できるという利点はあるが、上級審で和解がなされたとき、
> 和解無効の審理に三審級が保障されない。
>・和解無効確認の別訴または請求異議の訴えの提起によるべきとする見解
>→三審級は保障されるが、旧訴の訴訟状態・訴訟資料の維持利用が困難となる。
ここのことなんですが、
判例有力説とも固まっている部分を今更ほじくりかえすのも、
なんか予備校答案っぽいなと感じたんですわ。
あまり深堀する部分ではないような気も。
むしろ近時の傾向からすれば、
「申立人の選択が不適切な場合」がどんなものか
判例等で類型化しておく方が実践的なように思います。
79 :
外野手:03/12/01 19:58 ID:???
>>78 >判例有力説とも固まっている部分を今更ほじくりかえすのも、
>なんか予備校答案っぽいなと感じたんですわ。
なるほど。両者の利点を理由付けにして、結論を出すだけの方が
エレガントですね。
>「申立人の選択が不適切な場合」がどんなものか
>判例等で類型化しておく方が実践的なように思います。
そうですな。
事例式の問題文に沿わないのに、(例えば、本問のように強制執行されそうな場合等)
「どちらでも当事者の便宜でどっちでも」と結論付けるのはよくないかもしれません。
>>76 >既判力の拡張を認めたのちに、次の話(形式説、実質説)が出てくるものと理解していたのですが。
う〜ん、いるのかな〜。
執行力の範囲を定めるための前提として、必要な既判力の範囲を検討するだけなので
関連性が薄いと思って省きました。
つまり、
既判力
(A)全ての特定承継人に及ぶ→(B)固有の防御方法は後訴で提出
執行力
(C)全ての特定承継人、但し(D)固有の防御方法を有する第三者には及ばない。
まず既判力はAの範囲で、それを前提とするとCになりそうだが、
Dを執行力段階で新たに考慮するという流れです。
またどっかで扱えると良いのですが、執行力の問題が出るかどうかは怪しいですね。
81 :
外野手:03/12/01 21:12 ID:???
>>80 あぁ。そういうことでしたか。
申し訳ない。
>>65からの流れで、本問は措いておいて、
既判力の場合について述べてました。
82 :
外野手:03/12/01 21:12 ID:???
【小林プロブレム・メソッド新民訴-71】《反射効(争点効の拡張)》
1.(1)丙が乙勝訴の判決を援用できるかは、
甲乙間での乙勝訴の判決の拘束力が甲丙間にも拡張されるかどうかに関わる。
(2) ところで、本問で、丙が援用したい甲乙間の訴訟における主債務不存在の判断は理由中の判断である。
とすれば、その点に既判力は生じない(114条1項〜「主文に包含するもの」)
そこで、まず主債務の不存在という判決理由中の判断に拘束力が生じるかどうかをまず検討する。
2.争点効理論→批判
@既判力の範囲、一事不再理効の範囲を明確化するために訴訟物であるか否かという基準を維持するべき。
A中間確認の訴え(145条)は既判力を判決主文中の判断に限ることの代償。
そこで、信義則(2条)の適用により、具体的な事案に応じて、
理由中の判断に拘束力を認めるのが妥当。
3.そして、この理由中の判断の拘束力は、既判力の拡張と同じく第三者に対しても拡張されると解する。
なぜなら、前訴で敗訴した者が恣意的に相手方を変えて同一紛争を蒸し返すのは信義則に反するし、
また、その者の手続保障は前訴で尽くされており、
第三者については前訴判決の援用を望む場合には手続保障は放棄したとみなされるからである。
この結果、実体法上保証債務には付従性(民法448条)があり、主債務の不存在は保証債務の不存在を帰結する
という結論を訴訟上にも反映させて、統一的な紛争の解決を図ることができる。
4.あてはめ略
丙は乙勝訴の判決を援用できる。
小問1についてのみの構成。当初の構成を思いっきり変えた。
旧訴の立場から本問を見れば、こういう問題提起になるとはたと気づいたから。
関係各位のご意見激しく求めたい。
本問は措いておくとして、反射効、特に最判昭51.10.21の処理は押えておきたい。
既判力の主観的範囲についてはしばらく出題されてないし、プンプンしますし。
83 :
外野手:03/12/01 21:17 ID:???
>>80 >まず既判力はAの範囲で、それを前提とするとCになりそうだが、
>Dを執行力段階で新たに考慮するという流れです。
では、本問に沿って検討しますと、
既判力の範囲について述べる必要がありますかね。
「承継人の範囲について一致させる見解もあるが、その必要はない」
って流れの中で述べる程度でもよろしいのでは。
>>83 まあその程度に圧縮できるにはできますね。
でも、ちょっと怖いので現状で落ち着かせますわ。
【小林プロブレム・メソッド新民訴-72】《訴えの変更の要件》
1.訴えの変更については、143条所定の各要件が必要とされるところ、
本問においては口頭弁論終結前であり、Xの申立てを認容しても
訴訟手続の遅延も予想されないことから、
請求の基礎に変更がないかどうか問題となる。
2.
請求の基礎の同一性は、被告の防御への配慮と訴訟経済(不経済の防止)のために
設けられている要件といえ、この点からすれば、
当事者は請求の前提となっている社会的事実を念頭において
攻撃防御を繰り返しているわけであるから、
請求の基礎とは、社会生活上または一連の紛争であり、
これの同一性をもって判断すべき。*1
→本件
旧請求:家屋所有権に基づく明渡請求
新請求:土地所有権に基づく家屋明渡請求
対象不動産は異なるが、同一の土地についての紛争であり、
上記規範に該当すると思われる。
更に、本訴えの変更の申立ては被告の陳述を前提とするものあることからすれば、
被告の防御への配慮は希釈され、なお許容性が高い。
よって、桶。
*1:ここは和田ライブ本P260以下が一番分かりやすい。
ちょっとまとめてみた。
旧 請 求
旧訴┠──────╂───┬───┨(兼子)
: : : :
:← A → :←B→:←C→:
: : : :
新訴┠──────┴───╂───┨(三ヶ月)
旧 請 求
A:旧訴訟物理論における訴訟物
A+B:社会生活上又は一連の紛争≒新訴訟物理論における訴訟物
C:訴訟資料の利用可能性
結局、相手方の信頼の問題だから、弁論主義の適用範囲とパラレルに理解することで
良いのではないだろうか。
>結局、相手方の信頼の問題だから、弁論主義の適用範囲とパラレルに理解することで
>良いのではないだろうか。
86内のこの部分削除。全然違うわい。
またまた訂正。
旧 請 求
旧訴┠──────╂───┨(兼子)
: : :
:← A → :←B→:←C→:
: : : :
新訴┠──────┴───╂───┨(三ヶ月)
:旧 請 求
新訴┠──────┼─┨(新堂)
→:D:←
A:旧訴訟物理論における訴訟物
A+B:社会生活上又は一連の紛争≒新訴訟物理論における訴訟物
C:訴訟資料の利用可能性
D:社会生活上又は一連の紛争∩訴訟資料の利用可能性
たぶん新堂が一番狭いが、実際上の差はほとんどないと思われる。
89 :
外野手:03/12/02 00:04 ID:???
【小林プロブレム・メソッド新民訴-83】《独立当事者参加〜補助参加との関係》
1.独立当事者参加が許される場合には詐害防止参加と権利主張参加がある。
2.詐害防止参加→「訴訟の結果によって権利が害される場合」(47条前段)
どのような場合に、訴訟の結果によって権利が害されるといえるか。
補助参加の場合の「訴訟の結果について利害関係を有する」(42条)より狭いということに争いはない。
(1) 判決効説(判決の効力が第三者に及ぶ場合に限定)
:補助参加との対比から、補助参加の利益に比べてより差し迫った必要がある場合に限定
判決の効力が第三者にも及ぶ結果、訴訟を放置するとその判決の効力によって
第三者の権利が侵害される場合に認める。
→判決効を受ける者を保護しようとする共同訴訟参加、共同訴訟的補助参加とが設けられているので、
47条前段の適用範囲を判決の効力を受ける者に限定すると、本条の趣旨が曖昧
(2) 利害関係説(第三者の地位が当事者間の訴訟物の存否を論理的前提としているため、
実質的に第三者の権利が侵害される場合に認める)
→補助参加との区別が曖昧
(3) 詐害意思説(当事者が第三者を害する意思を有すると客観的に認められる場合)
→補助参加とは異なる次元の制度
(4) 思うに、本条の趣旨は第三者に、詐害的な訴訟の防止をする手段を与えることにある。
とすれば、当事者がその訴訟を通じて第三者を害する意思を有すると客観的に認められる場合に
参加を認めるべきである。
もっとも、詐害意思を有している場合であれば誰でも独立当事者参加ができるとすると、
その範囲があまりに広がりすぎため、一定の利害関係を有している第三者に限定すべきである。
そこで、利害関係説と詐害意思説との折衷。
3.権利主張参加「訴訟の目的の全部または一部が自己の権利であると主張する場合」(47条後段)
・・・
以上より、補助参加と独立当事者参加とはまったく別次元の制度ではなく、
競合しうる関係にある。
権利主張参加の場合の補助参加との関係についてはうまくまとめきれない。スンマセン。
該当部分の高橋解説がないのが切ない(法教のは随分と前過ぎ)。
かと言って新しくまた分厚いの出されるのも辛い。そういう複雑な気持ち。
90 :
冷シャブdecidendi ◆vCK8.7oLaw :03/12/02 13:18 ID:VxSQK3tv
>82
この構成が判例にも親和性があるし、一番シンプルで良いですね。
>3.そして、この理由中の判断の拘束力は、既判力の拡張と同じく第三者に対しても拡張されると解する。
ここですが、対世効みたいになるんで実体法上の依存(従属)関係とかつけた方が良いと思います。
ところで小問2も肯定といういうことで良いのでしょうか。
私は債権者の手続保障の状況は同じなので肯定しました。
【もう半歩前へ】
さて、でそうな事例を松本=上野から拾ってみたいと思います。
(論旨を変えない限度で要約しています)
1.保証債務(H1A出題済み)
2.合名会社の社員(出にくいだろう)
3.★連帯債務(共同不法行為につき最判S53・3・23、ゆ185、百U157)
連帯債務者の一人に対して債権者が相殺を理由に敗訴判決を受け、これが確定したとき
他の連帯債務者は援用できるか?
4.★転貸借
賃借権の存在を確定する判決を、賃貸人と転借人の訴訟で援用できるか?
5.一般債権者(倒産法の債権確定手続がらみで出にくいだろう)
一般債権者は債務者が第三者との間で受けた判決の効力を自己の有利または不利に受けるか?
6.配当異議訴訟(出にくいだろう)
7.破産手続における債権確定訴訟(出にくいだろう)
★の対策が必要と思われる。
とりわけ本間が百選判批を書いているところからすれば3の対策が急務である。
91 :
30:03/12/02 15:19 ID:???
こんにちは。
プロメソ自体を持ってないのですが(はやく改訂しないかな)、感想などをカキコ。
>>73 >次に、読む進めていくなかで
>>解除が訴訟上の和解の訴訟終了効にどのように影響を与えるのかと関連して問題となる。
>ここでちょっと躓いたので、遡及するかしないかという具体的な表記の方が読み手に優しい
>と思います (二者択一でそれ以外のバージョンは無いので
なんですが、
なるほど!と思いました。
ただ、わたくしは、旧訴が復活するか、という問題提起をします。判例ですし、効果に
直結すると思うからです。まあ、全般的にみて、冷シャブさんは理論志向だなと思ってます。
さすが流浪の院生さんだと思います。 ただ、好みの問題かもしれませんね。わたくしは、
どちらかというと、90さんや外野手さんと近いかも。
>>80-81>>83-84 執行力のところは、なかなかうまい答案が転がっていませんね。少し探してみます。
92 :
30:03/12/02 15:19 ID:???
>>86-88 もがいてますね。論理的な図にするのは難しいですね。一応論理図上は利用可能性の
ないことを、逆向きのベクトルで描くしかないのでしょうね。ただ、そうなると基本書
の表現から離れてしまいますし、他にもまずくなりますし。う〜ん、法律は難しい。
>>90 まとめ、ありがとうございます。
なお、類似必要的共同訴訟における合一確定の必要は、既判力の拡張の場合だけでなく、
反射効の場面もありますよね。この側面から訊いてくることも考えられると思います。
今年の民訴の第2問のように、反訴から入っていくみたいな感じで。
>外野手さん
>>77の件ですが、連絡してみます。ただ、あまり期待はしないで下さい。
まあ、月に1〜2回位は見てるはずなんですが、なにしろ、年齢層が高いので、PCを
最近使いはじめた人が多いんですよ。メールで四苦八苦してますし。ちょっと酷かも。
なお、わたくしについては、
>>72で。今、答案練習会で死にそうです。
たまにしか書き込めませんが、こんな感じで。ではまた。
>>91 執行力はどうでしょうね〜。
争点は上野が書いてますけど、執行法領域という感じもしますから、
基本だけ押さえておけば守れると思うのですが。
>>92 まあ法律問題は数値化するのには適していないですからあれが限界でしょう。
一応の目安と思っていただければ良いかと思います。
ちなみに学説がごちゃごちゃしている部分は、
和田ライブ本のレジュメをみると見事に解決します。
あれは良い本ですよ。
MLはロム専の人も結構いますよ。
>>89 1.まず出だしですが、畳句になってるんで、
単純に詐害防止参加(47条1項前段)、権利主張参加(同後段)で良いでしょう。
(書研p265参照
2.学説選択に関しては、判決効説は出さなくても良いような気がしますね。
沿革を理由に詐害意思説を書いて、それだと広すぎだし、判別が難しいから
+利害関係説÷2=補助参加に近づいちゃいましたが、
それでもいーーーんです(川平慈英調)って流れでどうでしょうか。
つまり利害関係という土台では同じなのだが、独立当事者参加は
詐害意思の要素も入っていて、結局はある程度当事者に任せて
ケースバイケースで対処すればいいんだということではないかと。
権利主張参加の方は「論理的に両立しない関係」というテーゼを
設定しても、紛争の一挙的解決を目指すなら、
多少ゆるめないと補助参加では現実的に不具合が生じるということでしょう。
この点での難問はS59Aですが、これも補助参加だと二度手間になりますね。
ということで、大きな視点はあまりガチガチの要件を設定すると、
用もないのに無駄に当事者に手間をかけさせることになるから、
できる範囲内で緩和しても良いんでネーノって問題意識かと思います。
96 :
30:03/12/03 04:31 ID:???
寝る前にカキコ。
>>82 そうですね。あまり深く読んでいませんでした。済みません。
主債務の不存在は主文に包含されますね。なお、釈迦に説法ですが、
保証人を相手に訴訟をやった場合には、主債務の不存在は理由中の
判断になるのですけど。和田LIVE本p.492
>外野手さん
>>72のカキコが、プレッシャーになったのも。わたくしは、以前の
伸びやかな構成が好きです。あまり気張らない方がよいかも知れま
せんよ。
>ALL
なお、意欲的な構成(ちょっと従来の構成とは違うもので、みんなに
叩いて欲しい構成)のときは、何かマークを付けてみるのはいかがで
しょうか(例えば、☆☆☆とか)。すぐ検索できますし。
構成をupしないのに、言いたい放題に言ってしまってごめんなさい。
おやすみなさい。
>>96 基本的にはどの構成も叩いてほしいんですよ。
最近マターリ感が出てきているので、
このあたりでベンチサイドから叩いて貰って
2ちゃんらしくもう少し殺伐感をだしたいところです。
98 :
外野手:03/12/03 20:22 ID:???
>>90 >ところで小問2も肯定といういうことで良いのでしょうか。
>私は債権者の手続保障の状況は同じなので肯定しました。
H1-2の問題と違って、小問1も2もまったく同じことになると思い、省略しました。
結論は肯定です。これは分けて論じる意味があるんでしょか。
> 3.★連帯債務(共同不法行為につき最判S53・3・23、ゆ185、百U157)
これ気になりますね。
>>95 >主債務の不存在は主文に【包含】するものですね。
むー。当初の構成を変えた原因はここでした。つまり主債務不存在は理由中の判断なんじゃないのと思ったから。
高橋重点講義p531の記述を見て、そう決断したのですが違いますかね。
債務不成立と債務不存在とでは異なるのでしょうか。分らん。
(小林p397には主債務不存在は理由中の判断だとしてますね。)
99 :
外野手:03/12/03 20:23 ID:???
>>85 問題ないかと。
>社会生活上または一連の紛争であり、これの同一性をもって判断すべき。*1
細かいですが、この文章では「社会生活上の紛争」という意味になってしまう気がします。
「利益主張が社会生活上同一または一連の紛争といえるか」が正確かと思うのですが。
100 :
外野手:03/12/03 20:29 ID:???
>>94 > 1.まず出だしですが、畳句になってるんで、
まったく。
> 沿革を理由に詐害意思説を書いて、
> それだと広すぎだし、判別が難しいから+利害関係説÷2=補助参加に近づいちゃいましたが、
> それでもいーーーんです(川平慈英調)って流れでどうでしょうか。
それいいかも。下手に自分から学説持ち出して論理の流れを悪くする傾向がありますな。
>>96 >主債務の不存在は主文に包含されますね
↑のように少し迷っています。
>
>>72のカキコが、プレッシャーになったのも。わたくしは、以前の伸びやかな構成が好きです。
> あまり気張らない方がよいかも知れませんよ。
気張らず頑張ります。でも気合入りましたよ。期待された方が頑張れるので。
>なお、意欲的な構成(ちょっと従来の構成とは違うもので、みんなに叩いて欲しい構成)のときは、
>何かマークを付けてみるのはいかがでしょうか(例えば、☆☆☆とか)。すぐ検索できますし。
私の場合は※印を使ってますが、検索に不便ですかね。
冷シャブタンが仰るように、全ての構成は思いっきり叩いてくだされ。遠慮なしで。
外野の定位置に慢心してる感がありますので。
>>98 >高橋重点講義p531の記述を見て、そう決断したのですが違いますかね。
>債務不成立と債務不存在とでは異なるのでしょうか。分らん。
>(小林p397には主債務不存在は理由中の判断だとしてますね。)
謎が解けました。重点講義p532の注45を見てください。
従って、判例に従えば82の前段の構成は小問2に妥当しますね。
>>99 御意。
なお、スレが嵩張るので、今後単純承認はレスをしないことにしようと思います。
【小林プロブレム・メソッド新民訴-84】《任意的当事者変更と表示の訂正》
第1 小問1について
1.Xは被告を「A社ことY」として訴えを提起しており、まず被告の特定が問題となる。
実質的表示説*1が妥当。
→「A社ことY」からA社とYを同視していると考えられ(法人格否認の法理)、
また手形振出人の「A社代表取締役Y」は通常A社の機関としてYがおこなったものとされるから、
XはA社を被告とする意思があると認められる。*2
2.では、A社からZ社へ被告を変更する旨の申立ては任意的当事者変更か表示の訂正か述べる。
形式的にはA社とZ社は別人格と認められるが、本件においては商号変更を
しただけであり、実質的には同一人格と認められる*3
よって、表示の訂正。
3.もっとも、訴訟は進行しており、れまでZ社と関係のないYが訴訟追行した結果を
引き続きZ社に帰属させるのは手続保障面で問題が残るといえるので、
このような場合は自白の撤回や、
時機に後れた防御方法を許すことで柔軟に対処すべきと考える。
ただし、Z社に訴訟の事実を知っていたにもかかわらず敢えて
放置したなどの何らかの帰責性がある場合は、
表見法理(商14条類推*4)を用いてXを保護すべきである(Xには無過失も要求すべき)。
第2 小問2について
1.同様に実質的表示説を前提にみていくと、甲は「乙株式会社」と
思いこんで訴訟を追行しており、本来意図した「株式会社乙」は
何ら訴状に表れてないと考えられ、両主体は別人格であることからすれば
任意的当事者変更であるといえる。
*1:大阪地判S29・6・26ゆ28
但し、認定要素はより客観要素に絞ってみた。
*2:基本的には手形客観解釈と同様の形で、訴状上の事情について社会通念を
加えて判断していくことになるのだと思う。
*3:最判S48・10・26ゆ11、百T-14は
日本築土開発割氛氈i商号変更)─→石川地所
│
└──営業はこちらに─→日本築土開発梶i同じ商号を使う、商号続用者ではない)
下段について法人格否認の法理を用いることになるだろう。本件は上段の事情と思われ。
なお、基礎演習商法5および商法演習T(前スレ529-535)参照。
*4:どれを使うか非常に迷う。
商262を使って外観法理の一般原則から帰責性を解釈で加えるという
やり方もあるかも知れない(表見代理における四宮流)。
なお
>>37-38>>45参照。
本問は14年の2問目に絡むので出にくいかも。
(関連情報)
上野「当事者の変更」(争点旧版)
上野「当事者確定基準の機能―死者名義訴訟の場合」『名城大学30周年記念論文集』
(↑14年に出ちまった。
予告
12/7〜 受験新報1月号(6問)
12/13〜 刑訴 安冨演習講義+新実例刑訴(14問)
12/27〜 刑法各論 佐久間演習講義+木村演習刑法(14問)
106 :
外野手:03/12/04 23:43 ID:???
>>103 1:第1.2.のところで、表示の訂正か任意的当事者変更かの区別は、
同一性の有無による旨を述べた方がすっきり流れる気がします。どうでしょう。
2:第1.3.は本問ではいらないかもしれませんが、問題によっては大事な指摘になると思います。
ここでも、訴訟状態が引き継がれる旨を述べた方が流れると思います。
3:>本問は14年の2問目に絡むので出にくいかも。
確かに、関連する問題ですから重要度は下がりますな。
107 :
外野手:03/12/04 23:46 ID:???
【小林プロブレム・メソッド新民訴-85】《訴訟承継》
1.(1) 本問のように承継人との間の新請求の内容(建物収去請求)が
旧請求の内容(建物収去土地明渡し請求)と異なる場合にも、引受承継(50)が認められるか。
どのような場合に承継が認められるかが条文上不明確なので問題となる。
(2) そもそも承継制度は紛争の主体たる地位が訴訟外で変動することに対応して、
すでに形成された紛争解決の過程または結果を
新たな紛争の主体との間の争いにも通用させ、これによって、主体が変動したにもかかわらず、
訴訟による紛争解決の実効性を確保し、訴訟経済、当事者間の公平を図ろうとする制度。
そこで、承継が認められるかどうかは、紛争の主体たる地位の移転があるかで判断すべき。
そして、前述の趣旨からすれば、その判断においては、
・新請求と旧請求とが主要な争点を共通にしているといえるか
(従前の訴訟資料の利用を認めることが訴訟経済、当事者間の公平に合致するか。※1)
・承継人との紛争が旧当事者との紛争から派生ないし発展したものと
社会通念上みられる場合といえるかどうか、という観点から考えるべきである。
(3) 本問についてみると・・・(略、判旨をたくさん使う)
XはZに対して訴訟引受けの申立をすることが許される。
2.従前の訴訟資料はZを拘束するか。
(1) 訴訟承継が認められると、承継人ZはYの追考した訴訟の結果をそのまま承継し、
その結果に拘束されるのが原則である。
それは承継人の利益が従来の当事者によって代表されていることに求められる。
とすれば、従来の当事者によって承継人の利益が反映されていない場合には、
承継人に独自の主張・立証の機会を与え、承継人は従前の訴訟資料に拘束されない
と解するのが妥当である。
(2) 本問についてみると、XはZに対して建物収去請求という新たな請求をたてていくことが考えられる以上、
Zの利益がYによって代表されていたとはいえず、
従前のYの行為と矛盾するZ独自の行為を認める必要がある。
(3) したがって、従前の訴訟資料はZを拘束しないと解するべき。
基準は新堂説で。あまりここが正面が問われることは考えにくいけど。2.の問題意識は持っておかないと。
※1:このファクターはここに関連するものだと判断。
108 :
外野手:03/12/04 23:46 ID:???
110 :
外野手:03/12/05 00:26 ID:???
>>109 私の謎は「主債務の不存在は主文に包含するもの」だという結論です・・・
あの事例が消費貸借だとしたら、貸金返還請求権の不存在について既判力が生じるだけだと
考えていたのですが、主債務の不存在についても同様なのでしょうかね。
>>110 これは兼子が特殊なんでしょうな。
登記請求権を例に取れば、判例は「登記請求権」について既判力が生じるだけとしており
(最判S30・12・1)、これに従えば、
主債務者に対する「貸金返還請求権」のみ既判力が生じますね。
保証人に対する場合は「保証債務履行請求権」のみ既判力が生じて、
主債務と保証債務の存否は判決理由中の判断で既判力は生じませんね。
で、棄却の場合は主文だけだと分からないので、
理由も使って、何請求権なのか確定していくということでしょう。
プロメの記述の通りでした。ちゃんちゃん。
つーことで
>>95は撤回です。 うー眠い。寝るかな。
112 :
30:03/12/05 03:37 ID:???
>>110>>111 う〜ん。わたくし、プロメソの事案が分からないので、傍観してました。
で、平成元年第2問をベースに書いてみます。
小問1 甲→乙で、甲が敗訴の場合が反射効の場面ですよね。で、請求棄却で、貸金請求権
の不存在について既判力を生じる、と。
そのため、主債務の不存在は主文に包含される、という表現になるのではないですか?
その後、甲→丙で、保証債務について訴えを提起。ここで反射効の話になる、と。
小問2 甲→丙で、保証債務についての訴え提起。で、判決確定後に甲→乙の訴え提起。
これは、
>>96で述べたように、
>保証人を相手に訴訟をやった場合には、主債務の不存在は理由中の
>判断になるのですけど。和田LIVE本p.492
ということではないかと理解してました。
113 :
30:03/12/05 03:37 ID:???
>>98 重点講義の当該部分p.531および引用元の新堂p.372を見たのですが、
新堂先生の記述は、事実上の主張についての項目で書かれていますよね。
そして、同じ目的で主張された数個の主張が提出されたときに、裁判所はそのうちのどれを
とりあげて主張者を勝たせてもよい。それは、どちらの主張事実を認めるかは、理由中の判断
であり、既判力は生じないからである、というふうに書かれています(正確な引用ではない点
御容赦下さい)。
で、重点講義p.531なんですが、「貸金返還請求訴訟において、被告が債務不成立を主張し
予備的に弁済を主張した」というのは、そもそもそんな金借りてないよ、と主張して、予備的に
借りた金は返した、と主張した場面ですよね。この部分は当然、理由中の判断ですし、裁判所が
どちらを容れて被告を勝たせてもいいはずですよね。
でも、主文では貸金返還請求権が不存在ということが請求棄却という形で示されるのではないですか。
わたくしは、こんな感じで考えていました。ただ、壮大な誤解の可能性も限り無くあります。
ただ、ひるがえって考えると、新堂先生、小林先生が書かれているということは、主文の捉え方が
訴訟物論によって異なることがある、ということかも知れません。でも、新説からは、広がる可能性
こそあれ、狭くはならないように思います。
まあ、新説からは、反射効の場面は既判力の拡張の場面(p.632の()の中の記述)なので、この
問題も全然違う構成になるのかも知れません。
114 :
30:03/12/05 03:38 ID:???
>>111 それ、思い出しましたよ。昔、講義でやってました。兼子理論は、所有権に基づく登記請求の場面で、
登記請求権だけでなく、所有権も訴訟物とするんですよね。特殊なんですよね。
もしかして、こんなこと前提で議論されていて、わたくしがついていけてないだけの感じもします。
激しく批判的に検討してください。
115 :
30:03/12/05 03:46 ID:???
>>112に追加。
なお、このように考えても、既判力の相対効の原則(115条1項)からすれば、当事者ではない保証人
には判決の既判力は及ばない、という前提を加えて下さい。
>>112 (全て判例実務に準拠)
>そのため、主債務の不存在は主文に包含される、という表現になるのではないですか?
これが判決理由中の判断であって、主文に包含されないかと。
で、保証債務履行請求権の場合は、この請求権が訴訟物であって、
保証債務の存否に加えて前提となる主債務の存否も判決理由中の判断ではないでしょうか。
>>113 (全て判例実務に準拠)
>で、重点講義p.531なんですが、「貸金返還請求訴訟において、被告が債務不成立を主張し
>予備的に弁済を主張した」というのは、そもそもそんな金借りてないよ、と主張して、予備的に
>借りた金は返した、と主張した場面ですよね。この部分は当然、理由中の判断ですし、裁判所が
>どちらを容れて被告を勝たせてもいいはずですよね。
ちょいと復習をすれば、
借りてないというのは理由付け否認で、原告に請求原因事実(権利発生事実)の立証責任が生じ、
返した(権利消滅事実)というのは抗弁で、原告が否認すれば被告に証明責任が生じることに
なりましょうか。
これらの判断は訴訟物ではないので、それで良いと思います。
>でも、主文では貸金返還請求権が不存在ということが請求棄却という形で示されるのではないですか。
>わたくしは、こんな感じで考えていました。ただ、壮大な誤解の可能性も限り無くあります。
認容の場合、主文は「被告は原告に対し、金何円を支払え。」(元本部分)となり、
このままだと、ただの支払い請求権ですが、「金銭消費貸借契約」に基づくということを
「事実」(253条1項2号)および「理由」(同3号)から導き出し、
「金銭消費貸借契約に基づく元本返還請求権」が訴訟物として既判力が生じるということでしょう。
(新判決書は事実と理由が一緒に書いてある。
「貸金返還請求権」といった場合は別の訴訟物である「利息金支払請求権」と
「遅延損害金支払請求権」が加わることになる。(加藤=細野『要件事実の考え方と実務』P188以下
棄却の場合の主文は「原告の請求を棄却する」なので、何請求権が棄却されたのか分からず、
同様に事実および理由から請求権を確定していくのでしょう。
つまり要件がそろっているかどうかの判断(債権債務関係の存否)に既判力は生じないが、
効果があるかどうかには既判力が生じて、その効果の法的性質を確定するために
主文以外も使わざるを得ないということだと思います。
で、上記の金消契約が成立しているかどうかについて既判力を及ぼすには
中間判決を用いることになるんでしょう。
>>106 >2:第1.3.は本問ではいらないかもしれませんが、問題によっては大事な指摘になると思います。
難しいところですね。
注に入れようか迷ったのですが、「なお書き」という意味で付け加えました。
無益か、ほんのちょっとの加点でしょうか。
なお、レスが錯綜するので、87は明日の朝にうpします。
119 :
30:03/12/05 20:25 ID:???
冷シャブdecidendiさん、こんばんは。カキコ読ませていただきました。
>>116 >これが判決理由中の判断であって、主文に包含されないかと。
そうですね。まさにこれが議論の対象ですよね。それ故、冷シャブdecidendiさんは、
>>117で
棄却の話をされているのですよね。こういうふうに理解してます。(これについてのコメント
は下で書きます。)
>で、保証債務履行請求権の場合は、この請求権が訴訟物であって、保証債務の存否に加えて
>前提となる主債務の存否も判決理由中の判断ではないでしょうか。
これは当然。保証債務履行請求訴訟では、訴訟物は訴訟債務履行請求権でしょう。これは大前提です。
そうしないと、和田LIVE本p.492 の説明はつきません。これが分からないという人は、たぶん民訴を
全く知らない人でない限り、ありえません。冷シャブdecidendiさんからすると、わたくしの当該カキコが
そうでないように読めるのでしょうか?
>>117 復習の部分は、その通り。理由付け否認と抗弁です。それを想定しています。
あと、認容の場合の記述も全くそのとおりです。ここまでは全く異論がありません。
120 :
30:03/12/05 20:26 ID:???
>>117(続き)
で、問題は次の部分ですよね。すべての核心部分です。
外野手さんの問題提起であり、冷シャブdecidendiさんが、
>>111で重要な指摘をされているところです。
>で、棄却の場合は主文だけだと分からないので、
>理由も使って、何請求権なのか確定していくということでしょう。
および、
>>117の、
>棄却の場合の主文は「原告の請求を棄却する」なので、何請求権が棄却されたのか分からず、
>同様に事実および理由から請求権を確定していくのでしょう。
の指摘ですよね。
そうしますと、逆にお聞きしたい。貸金返還請求権が不存在という点について理由中の判断であるとすれば、
後に同一の請求権を請求した場合に既判力に抵触するのはどの部分でしょうか?もう一回訴訟を提起できる
わけではないですよね。
>で、上記の金消契約が成立しているかどうかについて既判力を及ぼすには中間判決を用いることになるん
>でしょう。
この部分なんですが、貸金返還請求権がない、ということと、金銭消費貸借契約が成立していない、
ということは同値ではありませんよね。
貸金返還請求権がない場面として、少なくともそもそも成立していない(借りてないぞ)という場合と、
弁済した(借りた金返したぞ)の場合があると思います。
ここでの議論では、金銭消費貸借契約が成立したか否かではないと思います。請求権の存否です。
この点についてまで既判力を及ぼすには、御指摘の通り中間判決を用いるはずです。
とりあえず、
>>116>>117を読了した感想です。実は、見解の相違は最後の部分だけなんですよね。。。
とり急ぎカキコしました。言い回しが気に触ったらごめんなさい。
121 :
30:03/12/05 22:46 ID:???
最後の部分で誤解を招きそうなので、念のため。失礼を承知で書きます。
貸金返還請求の場合
訴訟物の段階 貸金返還請求権の存否
法律上の主張 貸金債権の発生 貸金返還債務の消滅
の段階 (原告) (被告)
事実上の主張 返還約束と金銭 弁済(被告)
の段階 授受(原告)
立証の段階 消費貸借契約書 領収書
訂正は、
119の訴訟債務>保証債務、120のこの点、は発生の点について。
なお、「借りてないぞ」というのは、金銭の授受がない場合と、返還約束がない場合。
「弁済した」というのは場面であって、厳密には消滅。弁済は事実上の主張ですから。
当たり前すぎて、釈迦に説法でした。わかりやすく書くつもりが逆にまずかった。
一応、この程度でしたら、御心配なく、わたくしも大丈夫分かってますよ、というつもりで
書きました。
とりあえず、再度、検討してみます。長文済みません。
122 :
外野手:03/12/05 23:06 ID:???
>>120 30氏、解説を頂きまして有難うございます。
ところで冷シャブタンと30氏の間に食い違いはないかと思います。
>>116での冷シャブタンの
>これが判決理由中の判断であって、主文に包含されないかと。
との指摘は、
>>112での
>で、請求棄却で、貸金請求権の不存在について既判力を生じる、と。
>そのため、主債務の不存在は主文に包含される、という表現になるのではないですか?
という文章を「主債務の不存在は理由中の判断ではない」と解釈したのだと思われます。
(私もそう解釈しました。)
ですから、
>>120 >貸金返還請求権が不存在という点について理由中の判断であるとすれば、
貸金返還請求権の不存在が理由中の判断だという結論は三者間に異論はないかと思います。
ただ、私自身が
>>98の下で書いたような疑問を持っていたということになります。
123 :
外野手:03/12/05 23:08 ID:???
>>122 ああ、さらに混乱を招く誤記が。
×貸金返還請求権の不存在が理由中の判断だという結論は三者間に異論はないかと思います。
○ 主文に包含されるという結論
私の間違いは以下の点にあります。
これは信義則とか争点効、反射効とは別に単純な勘違いです。
>>そのため、主債務の不存在は主文に包含される、という表現になるのではないですか?
>これが判決理由中の判断であって、【主文に包含されないかと】。
(
>>116)
→「主文に包含される」ですね。
>つまり要件がそろっているかどうかの判断【(債権債務関係の存否)】に既判力は生じないが、
(
>>117)
→削除 (債権債務関係の存否は既判力を受けますね)
従って30氏の通りで良いと思います。
結局
>>95で良かったということですわな。
なお、答案としては対話のものが判例ベースでうまく出来ているので、
これを参考にするのが良いと思います。
125 :
30:03/12/05 23:38 ID:???
>>122 こんばんは外野手さん。
わたくしも、
>>120にあるように、違いはないと思っています。だから、ちょっと書き過ぎました。
みなさん、ごめんなさい。冷シャブさんもせっかく教えてくれたのに、恩を仇で返したみたいです。
反省してます。(実は、結構、熱くなる性格です)
で、
>>98なんですが、
貸金返還請求の場合
訴訟物の段階 貸金返還請求権の存否 ← 不存在
レベルが違う。
法律上の主張 貸金債権の発生 貸金返還債務の消滅 ← 不成立
の段階 (原告) (被告)
事実上の主張 返還約束と金銭 弁済(被告)
の段階 授受(原告)
立証の段階 消費貸借契約書 領収書
と見ているわけです。
ただ、難問は小林p.397の記述です。訴訟物の捉え方が異なることから、
レベルが下がっているのではないかと推測したのですが、よくわかりません。
誰か教えて下さい。
だだ、ここまでこだわったのは、本試験で4段階レベルの間違いをやってしまって、
その年を棒に振った人を、たくさん見てきました。ある人は、半行足らずの記述で
Gとなって落ちました。本当に恐い。だから、どうしても過剰に反応してしまった
ようです。実は、わたくしも確信を持っていないのです。ですから、冷シャブさん
の指摘をもう一度検討し考え直したいと思っています。
126 :
外野手:03/12/05 23:56 ID:???
>>124>>125 となると主債務の不成立と不存在は別物なのでしょうね。
30氏の↑図の通りだということです。おかげさまで整理できました。
残るは小林先生の指摘がどうなのかということになりますね。
あっしはまだモヤモヤとしたものが残っておりますので、
しばらく自分でゆっくり考えたいと思います。
128 :
30:03/12/06 05:06 ID:???
寝る前にカキコ。
本当に済みません。
>>125における
>>98の説明は、「明らかに」間違いです。
この図でいう不存在は、貸金返還請求権の不存在であって、貸金債権の不存在の説明には
なりません。ですから、この図は間違いだし、説明もおかしい。全面撤回します。
ということで、外野手さんの
>>98の説明はできませんでした。
その上で、「主債務の不存在は理由中の判断であるが、主文には包含される」という
>>124 が正しいということを再確認します。
わたくしの論述をたどると、主債務の不存在が理由中の判断ではないかのような記述が散見
しており(もっというと、主債務の不存在と貸金返還請求権の不存在とを混同したような
記述がある。慎重にカキコすべきでした。)、この概念の曖昧さが冷シャブさんの「もやもや」
だと思います。冷静な対処をしていただいた関係各位に陳謝します。ごめんなさい。
おそらくこれで、冷シャブさんもモヤモヤは晴れたのではないでしょうか。
すごいショックです。バカなヴェテが一匹暴れただけでした。ああ、この部分を本当に削除したい!
しょぼ〜んです。わたくしのこの問題についての投稿は、これでひとまず終了します。
>連絡事項
しばらく私用につき、カキコができない状態になりそうです。(今回の事とは関係ないですw)
では、おやすみなさい。
129 :
30:03/12/06 06:21 ID:???
もう本当にだめだ。わたくしが全面的に間違ってた。
やはり主文にも包含されない。。。皆さんが正しかった。
主債務の不存在という言葉を使ったのが、そもそもの間違いだった。
請求棄却の場合、主文に包含されるのは、貸金返還請求権の不存在でした。
>>111(冷シャブさん)
>>110(外野手さん)
がきちんと答えをだしていたのに。自分でも分かっていたのに(
>>112)、主債務の不存在ということばと同義的に
いつのまにか使ってしまい、まぜかえして、大混乱をもたらしただけでした。
また、勝手に冷シャブさんが「貸金返還請求権が不存在という点について理由中の判断である」と言っていると
決めつけてるし(
>>120)。
さらに、主債務の不存在が理由中の判断だということも、雲散霧消してしまっているし、頭に血が上っていたと思います。
よく読んでいたはずだったのに。無駄にスレを消費した罪は重いです。解決済みでよいかと思います。
>>128-129 まあこのスレではいつものことですので、、、
それより私自身も何か重大な勘違いをしてそうなので、
じっくり考えてみたいと思ってます。
この問題は単に反射効にとどまらず、他の問題を考えるにあたって
極めて重要な部分だと思いますので、
一度各自でじっくり考えて、また議論しましょう(択一後になるかも知れませんが)。
もし30さんの方で総まとめが出来るようでしたら、お願いします。
あるいはMLの方に移しますかね。
【小林プロブレム・メソッド新民訴-87】《上訴要件と不服の利益》
第1 上訴については上訴の利益が要求されるところ、
基準の明確性から形式的不服説妥当→判決主文を比較(詳細略
以下検討
第2 設問1
本問の場合、判決主文に不服はないので、上訴の利益無しともいえる。
しかし、相殺の抗弁については判決理由中の判断ながら、
対抗した額の債権の成立不成立について既判力を有するので(114条2項)、
手続保障の観点から例外的に上訴の利益を認めるべき。*1
第3 設問2
同様に主文を比較すると、棄却と却下ではどちらも既判力は有するものの、
却下だと訴訟要件を具備した場合に再訴の可能性があるので、
当事者の申立てより小といえ、上訴の利益あり。
第4 設問3
同様に主文を比較すると、申立てた請求が満額認められているので、
上訴の利益無しとも思える。
しかし、
・一部請求であることを明示した申立て
→既判力は債権の一部にしか及ばない*2ので上訴の利益無し。
・黙示→残部請求についても既判力が及ぶ*3→上訴の利益あり。
第5 設問4
省略*4
*1:差戻審の理由の件は受験上、省略してええやろ。
*2:最判s37・8・10
*3:最判s32・6・7
*4:状況がよくわからん。棄却後に離婚したくなったばあいとかかな。
いずれにしても代表的基本書に触れてないので、考えるだけ時間の無駄と考え省略。
ここは明確性といってもあまり形式的不服説に分があるとは思えないので、
受験上、新実体法説(上野ほか)をとるのも一考か。
>107
1問目は改正で没問ですね。
>(1) 訴訟承継が認められると、承継人ZはYの追考した訴訟の結果をそのまま承継し、
>その結果に拘束されるのが原則である。
ここで訴訟承継主義を当たり前のように出すのは少々唐突感があります。
(通説が肯定するのは参加承継の場合だけかと)
次に基準は良いと思うのですが、
あてはめの点で少々疑義があります。
>(2) 本問についてみると、XはZに対して建物収去請求という新たな請求をたてていくことが考えられる以上、
>Zの利益がYによって代表されていたとはいえず、
確かに主観的にはZの利益は関係なくYは訴訟追行してきたわけですが、
客観的に結果を見た場合はそうも言い切れないような気がしています。
むしろすべて承継人の援用待ちとした方がスッキリするように思います。
>基準は新堂説で。あまりここが正面が問われることは考えにくいけど。
さすがにここは来ないでしょう。
どの本をみてもほとんど書いてないですし。
後段の問題は井上実践民訴18(初代スレ650以下、特に654の後段参照)に関わりますね。
(関連情報)
高見「訴訟承継主義の問題点」・争点旧版
『注釈民法2』関連部分は池田執筆
133 :
30:03/12/07 04:18 ID:???
冷シャブさん、こんばんは。
少し時間ができたのでカキコ。
>>132 >(通説が肯定するのは参加承継の場合だけかと)
なんですけど、実は、はじめて聞きました。
確かに、当然承継には、訴訟承継主義は関係ないのですが、特定承継(参加承継、引受承継)
についての立法例ではないかと考えていました。一応、法学教室No224(1999.5)p.111の
高橋民事訴訟法講義ノート第68回も見ました。誤記ではないですか?
そうだとすれば、外野手さんの構成でも良いのではないでしょうか。
懲りない性格なので、時間があれば、カキコは続けますよ。w
ではまた。
>>133 いやー助かります。間違えたまま本試験に突入するほどアホなことはないですから。
確かに間違いです。
正確には、訴訟原因の発生から訴訟承継の部分の微調整として
承継人の援用をまつとするものでした。
それ以前については当事者を拘束しますね。
【刑訴】★は最近の受験生がよく使っているもの
★上口裕ほか『基礎演習刑事訴訟法』(有斐閣、1996)
○椎橋隆幸編『基本問題 刑事訴訟法』(酒井書店、2000)
・・・32問。共著の読みにくさが少々出ている。文献引用に若干の偏りあり。
○高窪貞人編『演習ノ−ト刑事訴訟法』(法学書院、2002)
○田口守一編『争点ノ−ト刑事訴訟法』(法学書院、1997)
○長沼範良ほか『刑事訴訟法演習』(有斐閣) 未刊
○松本一郎『事例式演習教室刑事訴訟法』(勁草書房、1987)
・・・入手不可。かつてかなりの受験生に使用されていたらしい。
○光藤景皎・田宮裕編『ワークブック刑事訴訟法』(有斐閣、1989)
・・・入手不可
○平野龍一・松尾浩也『新実例刑事訴訟法(T)(U)(V)』(青林書院、1998)
・・・全71問。種本と噂される本だが、もうおそいか。全て実務家の執筆による。
★安冨潔『演習講義刑事訴訟法』(法学書院、2版、2001)
・・・43問。解説は判例通説ベース。論点の網羅性抜群。詰め込みすぎて解説が簡潔すぎる。
○平川宗信=後藤昭『刑事法演習』(有斐閣、2003)
○『刑事訴訟法例題解説1〜6』(法曹会)
○「演習刑事訴訟法」『法学教室』(連載中)
○「誌上答練C刑事訴訟法」『受験新報』(連載中)
田宮 裕, 多田 辰也「セミナー刑事手続法(証拠編)」啓正社
田宮 裕, 多田 辰也「セミナー刑事手続法(捜査編)」啓正社
これはどうですか?
>>136 こんな本あったんですね。
いちおうぐぐったら、感想を書いている人がいました。
こんど一覧表に入れておくので誰か感想を書いてください。>all
138 :
30:03/12/07 19:28 ID:???
>>137 これは実務家向けの雑誌に連載していたものを纏めたものだったと記憶してます。
田宮、多田両先生のわかりやすい解説がありますし、確か、捜査編は簡単な答案が
あったように記憶してます。そして、証拠編の出版前後で、田宮先生がお亡くなり
になったと。置き土産ですね。当時の受験生はけっこう見てました。ただ、現在は
どうなのでしょうか。使えるのかどうかは判断しかねます。
わたくしは、徹底した判例ベースの答案を書いていますが、これは田宮先生の影響
です。クラスルームの連載のはじめのところは、すごい衝撃でした。当時の受験生
の合言葉は、「ウエルカム、トゥ、アワー、クラスルーム、オブ、刑事訴訟法!」
でした。(なぜかカタカナ。刑事訴訟法だけは日本語。不思議でした。)
あと、基礎演習の後に連載された法学教室の演習(
>>135)についてですが、今年、
出版されるはずだったのですが、まだのようですね。これは、究極の試験委員本に
なりそうなんですが。誰が(ry。。。
そうそう、前から思っていましたが、一粒社の『基本問題セミナー』は、絶版に
なったから表に載ってないのでしょうか。古い話ですが、民法のやつは、分析と
展開とともに、よく使われていたような気がします。辰巳で合格者の講義もあり
ましたし。
試験委員の発表もされましたけど、いずれにしても、時代の流れを感じます。ふぅ〜。
139 :
外野手:03/12/07 20:21 ID:???
【小林プロブレム・メソッド新民訴-89】《独立当事者参加のおける1人の上訴と上訴審の審判範囲》
1.独立当事者参加訴訟では、合一確定の要請(47条3項、40条1項)より、
敗訴者1人のした控訴によって全請求の確定が遮断され(116条2項)、
控訴した当事者間のみならず、控訴をしない当事者間の請求も控訴審へ移審する。
とすれば、本問において・・・
2.移審を前提に。
では、YZのような控訴をしない敗訴者は控訴審でどのような地位につくか。
40条2項準用→被控訴人の地位※1
3.問題は、控訴審でXの請求が認められると場合、ZのYに対する請求をどのように扱うべきかである。
(1) 控訴審の審判対象は原判決に対して不服申立がなされた限度に限る(304条)
上訴の一般原則たる不利益変更禁止の原則→処分権主義の控訴審における現れ
(2) とすると、本問においてZのYに対する請求については、YZともにいずれも控訴をしていない以上、
審判の対象にならず、そのまま確定してしまいそう。
しかし、このように不利益変更禁止の原則を貫くと、
ZのYに対する請求を認容した1審の判断がそのまま確定し、
これにXのYに対する請求を認容した2審の判断が加わると、
Yが二重払いを強いられるという結論となってしまう。
これでは、三当事者間での矛盾のない紛争解決を目的とする独立当事者参加制度の目的を達し得ない。
140 :
外野手:03/12/07 20:23 ID:???
(3) そこで、不利益変更禁止の原則を修正し、
Yの控訴(281条)・附帯控訴(293条1項)の有無にかかわらず、
合一確定のために必要な限度で一審判決中のZのYに対する請求を
Yの不利に扱うことができる解するべきである。
この場合、Xの不服申立ての中にはZY間の判決部分に対する不服も実質的に含まれていると
構成するのが妥当である。※2
(4) 以上により、控訴審でXの請求が認められるという結論に達した場合、
一審判決を取消し(305条)、ZのYに対する請求を棄却する判決を下すべきである。
主にゆうゆを参照して作成。※1はもう少し納得いく理由付けがした方がいいかな。
※2判例は結局理由付けが甘いという問題意識があるようなのでこの文を付け足す。
ここでも伊藤眞先生は少し特殊かな。しかし、この本使うのって難しいな。
手を抜く部分だけど不利益変更禁止の原則(プロメ設問88等)については押えておくべきなのではないか。
これにてプロメの構成UPは一応終了。完璧に仕上がりましたな(タモリAA略
141 :
外野手:03/12/07 21:45 ID:???
>>131 特にないです。
>ここは明確性といってもあまり形式的不服説に分があるとは思えないので、
>受験上、新実体法説(上野ほか)をとるのも一考か。
理論として新実体法説が優れている(高橋曰く)としても
ここらへんはもう形式的不服説で本設問のみっつを押えておくレベルで
十分とも思えます。総論→各論を形式的不服説の根拠とされる処分権主義で
つなげると一貫性がでそうですな。
>いずれにしても代表的基本書に触れてないので、考えるだけ時間の無駄と考え省略。
同意。
【刑訴】★は最近の受験生がよく使っているもの
○川端博=田口守一『基本問題セミナー刑事訴訟法』(一粒社、1994)入手不可
★上口裕ほか『基礎演習刑事訴訟法』(有斐閣、1996)
・・・法学教室の演習をまとめたもの。
○椎橋隆幸編『基本問題 刑事訴訟法』(酒井書店、2000)
・・・32問。共著の読みにくさが少々出ている。文献引用に若干の偏りあり。
○高窪貞人編『演習ノ−ト刑事訴訟法』(法学書院、2002)
○田口守一編『争点ノ−ト刑事訴訟法』(法学書院、1997)
○田宮裕=多田辰也『セミナー刑事手続法(証拠編)』(啓正社、1990)
・・・実務家向け雑誌に掲載したもののまとめ。
○田宮裕=多田辰也『セミナー刑事手続法(捜査編)』(啓正社、1997)
・・・同上。簡単な答案付き。
○長沼範良ほか『刑事訴訟法演習』(有斐閣) 未刊
○松本一郎『事例式演習教室刑事訴訟法』(勁草書房、1987)
・・・入手不可。かつてかなりの受験生に使用されていたらしい。
○光藤景皎・田宮裕編『ワークブック刑事訴訟法』(有斐閣、1989)
・・・入手不可
○平野龍一・松尾浩也『新実例刑事訴訟法(T)(U)(V)』(青林書院、1998)
・・・全71問。種本と噂される本だが、もうおそいか。全て実務家の執筆による。
★安冨潔『演習講義刑事訴訟法』(法学書院、2版、2001)
・・・43問。解説は判例通説ベース。論点の網羅性抜群。詰め込みすぎて解説が簡潔すぎる。
○平川宗信=後藤昭『刑事法演習』(有斐閣、2003)
○『刑事訴訟法例題解説1〜6』(法曹会)
○「演習刑事訴訟法」『法学教室』(連載中)
○「誌上答練C刑事訴訟法」『受験新報』(連載中)
>合一確定の要請(47条3項、40条1項)
47条1項(独立当事者参加の親規定)
47条4項(共同訴訟規定の準用)
40条1項乃至3項(合一確定の必要がある場合の効果)
の三つですね。
構成に関しては、設題の順と判例を中心に据えるなら、
一旦、控訴審における当事者の地位を切り離して、
合一確定の要請から先に各訴訟物の扱いを確定する方が無難じゃないかと思います。
で、地位の方は割り切って被控訴人ということで同意です。
(小林見解をとっていたら時間がたらん。
>※2判例は結局理由付けが甘いという問題意識があるようなのでこの文を付け足す。
この判例自体「政策的決断の問題」(霜島・百177)なんで、
あっしは、特に理由付けはありませんわ。
合一確定の必要性を前面に出して、目的に必要最小限度の規制を
かけていくニュアンスですかね。
変にこじつけの理由を挙げると現場で頭が混乱して墓穴を掘りますし。
【受験新報635-C憲法】《衆議院の解散》
第1 設問1
条文上まず69条による解散があり得る。
次に7条3号は天皇の国事行為として衆議院の解散を規定するものの、
天皇は国政に関する権能を有せず(4)、他方、天皇の国事行為には内閣の助言と承認が
必要であることから(7条柱書)、内閣に実質的解散権が存すると解すべきである。
即ち、これを69条による解散に限ると解せば、国民意思を問うべき国政運営上の重要問題が
生じた場合にも解散できず、国政を硬直化させ、ひいては国民主権原理から乖離した政治が行われる懸念も
あるからである。もっとも、内閣に一般的に広範な解散権があると解することは
衆議院議員の資格を失わせるという効果に鑑みて妥当ではなく、
真に国民意思を問う必要性が生じた場合に限るべきで、
与党の政治戦略の一環として用いるようなことは許されない。(ってかこれがほとんどだけど・・・
また、権力分立の観点からも、強大な国会の権能を抑制するものとして理解することができる。*1
第2 設問2
本問における解散は、違憲とされた議員定数配分規定により行われるものであるが、
違憲判決の個別的効力からすれば(敢えて詳述しない)、とりたてて影響はないとも思える。
しかし、内閣としても、三権分立の観点から最高裁判所の判断は尊重すべきであり、
違憲とされた本規定は早期に是正すべき政治的責任があるものと考えられる。
このような状態で解散を行うことは、違憲の上塗りであり、
裁量権の逸脱として許されないというべきである。
もっとも、違憲規定の是正が間に合わない状態で、国民意思を問うべき
重大事が起きた場合は例外的に許されるものと解する。
第3 設問3
本問と同様の事案について最高裁大法廷判決(苫米地事件)は統治行為論を
採用し、・・・・・・とするが、
衆議院の解散について一般的に司法権を及ぼさないとするのは
三権分立の観点からして妥当でない。
むしろ敢えて統治行為論だすまでもなく、内閣の裁量権を前提にして、
明白に濫用逸脱した場合に違憲とすべきである。
従って、原則として有効・無効の審査は可能である。
*1:伊藤
設問3は浦部事例式33に関わるが、今回はじっくり判例を読んで考えてみた。
(関連情報)
長谷部「内閣の解散権の問題点」じゅり868
岩間「解散権の限界」『別冊法セミ司試シリーズ』
【もう半歩前へ】
出にくいが、関連論点として衆参同日選挙の是非がある。
・違憲性:
@参議院の独自性を希薄にし、二院制の趣旨を否定する
→(反論)選挙制度が大きく異なっているので、
参議院の存在理由が損なわれることはない(内田)。
A参議院の緊急集会を著しく困難にする
→(反論)通常選挙も同じ(長谷部、小林=向井)
まあ@を中心に、濫用事案について「民意の多元的反映」を
困難にするという点(浦部)で違憲方向に持っていくべきかな。
146 :
外野手:03/12/09 22:37 ID:???
>>143 >構成に関しては、設題の順と判例を中心に据えるなら、
>一旦、控訴審における当事者の地位を切り離して、
>合一確定の要請から先に各訴訟物の扱いを確定する方が無難じゃないかと思います。
控訴審における当事者の地位を先に書くべきかと思っていたのですが。
控訴人説だとその後の扱いが変わりますよね。
「各訴訟物の扱いを確定する」というのはどういうご趣旨でしょうか。
>>144 設問2.3については特にありません。
設問1について:
7条説の理由付けに国事行為の性格についての理解も加えてもよろしいのではないでしょうか。
とはいえ、予備校っぽく各説を挙げて批判していく形でないのは読みやすくていいと思われます。
衆参同日選挙の是非についてはあまり基本書に載っかってないですな。
@Aの理由付けにはともに隙があるので、民意の多元的反映→特に時間的多元性(浦部)を阻害する
という方向でいいのではないでしょうか。
147 :
外野手:03/12/09 22:50 ID:???
【受験新報635-C民法】《賃貸人たる地位の移転等々〜履行期前の解除、177条の第三者、解除の法的効果》
第1.小問(1)
1.(a)について
代金の支払期日を徒過していない→履行遅滞による解除(541条)はできないのが原則
しかし、履行期になっても不履行が確実に予見される場合には、期日まで当事者を拘束するのは無駄である。
そこで、担保を提供するなどの信用不安の解消措置が採られない限り、契約解除を認めるべきである。
(541条類推)※1
2.(b)について
(1) CはBに自分への賃料の支払を請求できるか
ア Cの賃料請求は賃貸人の地位に基づくものであるから、
当該ビルが売却された本問において、Cが賃貸人の地位を有するかが問題となる。
イ 賃貸中の不動産の所有権が譲渡された場合に、賃借人の賃借権が対抗要件を備えていれば、
新所有者は前主の賃貸人としての地位を当然に承継し、前主は賃貸借契約から離脱する。
そして、この場合、賃借人の同意も不要である。
契約当事者の地位の譲渡については、通常相手方当事者の承諾を要するが、
不動産賃貸借における賃貸人の地位の移転の場合には、
目的物を使用収益させるという賃貸人の義務は新旧両所有者間に差異はなく、
不動産所有権の移転とともに賃貸人たる地位も移転するとした方が賃借人にとっても利益となるからである。
したがって、不動産所有権が対抗要件を備えている場合には、賃借人たる相手方の承諾がなくとも、
新所有者が賃貸人たる地位を有すると解する。
ウ 本問についてみると、Bはビルの引渡しを受けているから、
Bの賃借権は対抗力を備えている(借地借家法31条1項)。
したがって、Bは賃貸人たる地位を有する。
148 :
外野手:03/12/09 22:51 ID:???
エ では、賃貸人としての地位を承継したBが、賃料請求という
賃貸人としての権利を行使する場合に登記が必要であろうか。
確かに、賃貸人としての権利行使が行われる場合には、
不動産上の物的支配を争うという関係はなく、177条が本来予定している対抗問題ではない。
しかし、不動産所有権が移転したという事実の確実な証明として登記を要求することにより、
所有権が二重に譲渡された場合の二重払いの危険から賃借人を保護することにつながる。
したがって、賃貸人としての権利を行使するには権利行使要件としての登記が必要であると解する
オ 本問のCには移転登記がされているので、Bにビル譲渡の事実が通知がされていなくとも、
Cは賃貸人の地位をBに主張しえ、賃料の自分への支払いを請求することができる。
(2)
ア 移転登記前
575条1項→「引渡」を「登記」と読む」→法定果実たる賃料は買主に属する
もっとも、前述のごとくCは権利行使要件を充たしていない→BのAへの支払は有効※2
→CはAへ不当利得の返還請求(703、704条)ができる。
イ 移転登記後
移転登記後はCはBへの対抗要件を充たす→Aへの支払は無効、478条のよる保護の可能性
149 :
外野手:03/12/09 22:53 ID:???
第2.小問(2)
1.(a)について
(1) A・DのBへの賃料請求のうち、どちらが認められるか。
直接効果説(略→解除による物権の遡及的復帰は、物権変動と類似する。
解除後の第三者DとAとは対抗関係→登記で決着
Dへの移転登記は未だなされていない→建物所有権の取得をAに対抗できない
したがって、Aが所有権者であり、賃貸人たる地位にあるといえる。
そして、Aは権利行使要件として登記も備えている。
→Aの賃料請求が認められる。
(2) BのA・Dへの賃料支払は有効か
前述のごとく、Aが賃貸人たる地位を有するので、Aへの賃料支払は有効。
これに対して、Dは賃貸人たる地位を有しないので、原則無効。
但し、478条により有効の可能性もある。
2.(b)について
BはDに対して既払賃料の返還を請求できるか
登記必要説を前提
→移転登記の抹消を受けているAは賃借人Bに賃貸人たる地位を対抗できる
これに対して、抹消登記後はDは賃貸人たる地位を対抗できない。
→したがって、BのDへの3ヶ月分の賃料の支払は無効→返還請求できるのが原則
→478条の問題(略
相変わらず書くことたくさんある問題だ。
※1:履行期前の解除で541条類推ってのはきつくないかなぁ。
※2:賃貸人たる地位は移転してるけど、Aへの支払は有効ってことでいいんだよね?
>>146 >控訴審における当事者の地位を先に書くべきかと思っていたのですが。
>控訴人説だとその後の扱いが変わりますよね。
論理構造としては確かにそうですね。
ただこの説は両方の請求権をセットで移審させる効果のために
先手をうったような技巧的な感がありますし、、、
被控訴人説だと、切り離すことになるからどっちでも良さそうですね。
>「各訴訟物の扱いを確定する」というのはどういうご趣旨でしょうか。
単に両債権者の請求権が、認容される方と棄却される方にわかれるって点を
言い換えただけです。
しかし、そもそも本来的にここまで合一確定の必要があるのか疑わしいですな。
と思うけど、これ以上は司法試験で突っ込む必要はないので、
判例でサクッと書いてしまいましょう。
(なんか択一が近づくと考えるのが面倒になってきた。
151 :
30:03/12/10 05:40 ID:???
みなさんこんばんは。以前とは随分違う環境から初カキコです。
>>143については、
外野手さん
>>146に賛成。一応、論理関係をアピールした方が無難なような気がします。
>>144ですが、
設問1では、最低限どこまで書くかという観点から、69条説との分かれ目(設問2との
リンクがあるから。)と、7条説の理由づけ(国事行為の性格)は書きます。
そして、設問2では、実質的解散権の根拠と、解散権の限界とを、多少リンクさせます。
つまり、69条説だと、問題が生じないから。ここでは論理性をアピールするつもりです。
その上で、解散権の限界について規範を立てます。保利見解でも芦部基準でも何でもよい
と思います。一応、解散の自由主義的意義と民主主義的意義の点から基準を導き、あとは
本問の問題を処理する予定です。民主主義的意義のところで、
>>144へとつなげます。
たぶん、冷シャブさん、外野手さんも分かって省略されているとは思いますが。ただ、
この問題は、基準は必ず書くのが、わたくしの主義です。まあ、問題だけで構成したので
間違っているかも。
設問3の判例紹介は難しいですね。これは、ある程度何を書くか決めておかないと、即興が
難しいところ。統治行為論なのか、よく分かりませんから、この部分は、採点者に自分の
理解を伝えるにはどうするかという観点を意識しています。
以後、手許に殆ど資料のない状況からのカキコになりますので、ウソが増えるかも知れません。
まあ、そんな奴でも置いてやって下さい。ではまた。
>>151 設問3については、苫米地のはてはめ部分を主に批判する形をとることを目指しています。
あの判旨は前段で統治行為論を持ち出して、後段で衆議院の解散がそれに
あたるかという点を述べているので、統治行為論という理論はの存在は
肯定しつつも、衆議院の解散は該当しないという方向に持っていこうと思っています。
これは背景として、司法チョー消極主義から、プチ消極主義方向に
ベクトルを変えるというニュアンスを出したいと思ってます。
>>147-149 > 1.(a)について
これって大きな利益衡量としてそもそも解除を認めるべき事案とは思えないんですがね。
確かに利息のとりっぱぐれはあり得ますけど、財産が減る訳じゃないですし、
下手に解除を認めるとレンダーライアビリティ(適当にぐぐってください)の
変形バージョンとなる可能性もあると思うんですわ。
ここで解除を認めるのはバランスを欠いているように感じますな。
継続的供給契約の例ですが、「実際の事件では、約定解除権(中途解除権)の行使で
あるとされているにもかかわらず、その行使の理由として、買主の義務違反が
問題とされていることから、実質的には【債務不履行解除の問題】として
裁判所が評価していると見ることもできる」(【】は漏れ)
(マルチラテP318〔松本〕)との見解もありますから、
いわんや一回の履行においてをやですな。
せいぜい先履行の場合に、不安の抗弁権が認められるのが関の山という気がします。
あとは継続的供給契約の場合に一時的に履行を止める程度でしょうか。
私は信用不安はあるが解除できずとしました。
>(541条類推)※1
信義則もセットにすれば据わりがいいでしょう。
ア〜ウが少々冗長に感じます。
判例通説とも確立しているところなので、
「個性が希薄」であるとか「賃借人に不利益がない」などとかいって、
あっさり流すのが良いと思います。
(もっとも、対抗要件を具備しない賃借人の事案ではそうもいきませんが。
>※2:賃貸人たる地位は移転してるけど、Aへの支払は有効ってことでいいんだよね?
これで良いと思います。
賃貸人ではないけど、法定果実を受け取るべき地位は残っているこということでしょう。
ただ、引渡しと登記の移転を同視できるかという問題は残るかと思います。
この場合、登記に合わせて処理をして、それ以外のタイムラグは478で救うのが
手っ取り早いでしょう。
(2)(a)ですが、
登記は依然Cにありますので、
結局ADのどちらに支払っても478で救うことになるでしょう。
構成とは関係ないのですが、事実認定の問題として
(b)でBがAの請求に応じて支払ったことで478条による保護は放棄したと
認めて良さそうですね。
(構成上は敢えて出しませんが。
【受験新報635-C商法】《新株発行不存在確認の訴え・無効の訴え》
1.本問における一連の株式発行手続は・・・・・・として、法令違反が認められるところ、
これらの違反行為が新株発行の無効原因となりうるか、手続の性質および
動的安全の観点から問題となる。(時間があれば個別規定も挙げるべきだな。
@取締役会決議なし:授権資本制度により新株発行は資金調達としての業務執行であり
無効とすべきではない。
A通知・公告なし:株主の差止請求の機会を奪うため原則的には無効とすべきであるが、
なんら差止め請求の事由が存しなかった場合についてまでも認める必要ない。*1
以上からAを前提に各状況に分けて述べる。
2.株金の払込と株券の発行が行われていた場合
この場合、新株発行無効の訴えをもって争うことが考えられるが、
本制度は動的安全、法的安定性のため一定の制限を設けており(280条の15)、
提起期間が新株発行から1年ということで、要件の6月内をみたさず、
訴えを提起できない。*2
3.株金の払込も株券の発行も行われていない場合
同様に、提起期間の要件が欠け、不可。
しかし、本件の場合は株金の払い込みも株券の発行も行われておらず、
動的安全を考慮する必要が無く、他方で増資の登記という外観の存在が
あることを考慮に入れると、対世効のある新株発行不存在の訴えを
認めることが妥当といえる。
この際、事案の同質性から新株発行無効の訴えの規定(208条の15)を
類推適用するのが妥当と考えるものの、提起期間制限については
類推適用する合理性が見いだせず否定すべきである。
*1:最判H9・1・28(判時1592の方)は証明責任を会社に求めるが、あえて書かなくてもよかろう。
*2:起算点は払込期日の翌日から(最判S53・3・28)。
まあ信義則で知ったときとかを起算点に出来るかも知れないが、これは立法論だろう。
本問でなんで仮処分の話が出てくるのか分からないので、省いた。
作りにくい問題だった。
(関連情報)
小林量・最判SH9・1・28(判タ931の方)判批・民商1176号
刑訴の予定。直前に変更あり。
新実例5 任意取調べの限界
安冨11 逮捕に伴う捜索・差押
安冨25 公訴時効
新実例24 犯罪事実の一部の起訴
新実例25 被告人の確定
新実例39 必要的弁護事件と弁護人の不在
新実例44 証拠開示命令
安冨30 科学的証拠
安冨31 違法収集証拠排除法則
安冨32 自白の証拠能力と証明手続
安冨36 証明力を争う証拠
新実例50 刑訴法326条の同意
新実例53 証拠の関連性
安冨40 裁判の効力
(156に補足)
新株発行無効の訴えは対世効あり(280の16・109)。
新株発行不存在確認の訴えは、登記などの外観を除去するために認めるとする。
(最判H9・1・28)
なお、菊池・判解・受験新報3年11月号、12月号参照。
159 :
30:03/12/11 07:06 ID:???
みなさん、おはようございます。早速、コメントに入りたいと思います。
>>147>>153 >履行期前の解除
私は解除を認めるべき事案ではないかと考えました。これで認めないと、離れを貸して母屋取られる、の場合
になってしまいそうです。レンダーライアビリティー変型バージョンの可能性といっても、これは仕方がない。
ただ、問題は法律構成です。541条類推とか信義則でよいのでしょうが、ちょっと法律構成の荒さが気になる
ところです。不安の抗弁権の話は書きます。ただ、それ以外はないか、といわれるならは、何とか期限の利益を
喪失させる方向がありうるのではないかと考えます。
>賃貸人たる地位の移転
外野手さんの構成は非常に素直なよい構成だと思います。受験生一般もこのように書くと思います。
ただ、本問で考慮すべき点は、いろいろありそうです。
>賃貸中の不動産の所有権が譲渡された場合に、賃借人の賃借権が対抗要件を備えていれば、
>新所有者は前主の賃貸人としての地位を当然に承継し、
のところ。外野手さんは合理的意思によるのですか。ここはH11判例以降(例の留保のやつ)、困難になって
います。本問も留保の裏返しの場面とも読めるように思います。
で、所有権移転時期との調整も必要です。少し曖昧なような気がします。書かなくてもよいところですが、
詰めて考えていらっしゃるのでしょうか。代金完済ではなくても、登記移転で考えているのでしょうか。
160 :
30:03/12/11 07:07 ID:???
>賃料をめぐる問題
あと、宙ぶらりんの賃料の問題。および、誰に払うか。575条の処理には賛成。これしかない。
また、※2の登記の移転は「引渡」とみるのが多いと思います。ただ、この処理は所有権移転時期と重大な
齟齬が生じかねないところです。
>>154の法定果実を受け取る地位というのは、どうなんですか?
やはり、宙ぶらりんなのでは。あるとすれは、その外観であって、478条で解決するしかないような気が
します。いずれにしろ、最終調整は478条なのは間違いないと思います。
>まとめ
本問は過去問の問題意識と共通しますよね。物権と債権の交錯。整合的な説明は難しいですね。
ではまた。
161 :
外野手:03/12/11 19:21 ID:???
>>153-154 >>159-160 >履行期前の解除
まず本問ではAの債務は先履行ではないので不安の抗弁権の話は不要と考えました。
法律構成としてはどれをとっても苦しいかと思います。
特に本問では同時履行の抗弁権がある以上、解除を認める必要もないともいえるのかもしれません。
>ア〜ウが少々冗長に感じます。
くどかったですね。賃貸人の地位の移転の部分について
冷シャブタンご指摘のように賃借権に対抗要件がない場合と異なり、
本問ではさほどの記述は不要だと考えていますが(状態債務うんぬんは書かないとして。)
「受験生一般もこのように書く」との配慮から一応もろもろ付け足しました。
>ここはH11判例以降(例の留保のやつ)、困難になっています。
>本問も留保の裏返しの場面とも読めるように思います。
この部分敷衍して頂けますでしょうか。
>で、所有権移転時期との調整も必要です。少し曖昧なような気がします。
>書かなくてもよいところですが、詰めて考えていらっしゃるのでしょうか。
よっぽどのことない限り、所有権移転時期は契約時で考えていますが、本問で問題となりますかね。
やはり複数方向からの指摘があるとおもしろいですな。
162 :
外野手:03/12/11 19:21 ID:???
【受験新報635-C刑法】《不能犯と未遂犯の区別・未遂の教唆》
第1.Xの罪責
1.小問(1)
Xが室内に充満させた都市ガスによって、人がガス中毒死することはありえないことから、
XのAに対する殺人未遂罪は成立せず、不能犯として不可罰なのではないか。
未遂犯と不能犯の区別基準が問題となる。
未遂犯の処罰根拠→法益侵害の具体的危険であるところ、
その具体的な区別基準として具体的危険説と客観的危険説が対立している。
具体的危険説とは@行為時にA行為者が特に認識していた事情及び一般人が認識し得た事情を基礎に、
B一般人を基準として判断すべきとする見解である。
しかし、これでは行為者の事実の認識の有無によって具体的危険性の有無が左右されることになり妥当でない。
これに対して、@裁判時にA客観的な全事情を基に、B科学的に具体的危険性の有無を判断するという
のが客観的危険説である。
思うに、法益保護が刑法の任務である以上、違法性の実質は
法益侵害及びその危殆である。そして、危険性の程度を未遂犯の違法性の問題として捉えるならば、
A客観的な事情がその判断の基礎とされるべきであり、その点は妥当である。
としても、事後的に見れば結果の不発生には理由があり、具体的危険を認めることができなってしまう。
これでは結果発生と区別された危険の独自の意義を否定することになる。
そこで、@判断の基準時は行為時にすべきである。
以上により、A行為時に存在する客観的全事情を基礎に、
@行為時を基準にB裁判官が一般人の視点で科学的、合理的に具体的危険性の有無を決するべき。
(修正された客観的危険説)
→中毒死の危険のない都市ガスであっても、漏出が長時間にわたればガス爆発や窒息死の危険性がある。
(判旨を参考にもっと詳細に)
→そのような場合には、行為時に一般の視点で科学的、合理的に判断したら、
死の結果が発生する危険性があるといえる。
→殺人未遂罪(199条、203条)(短時間であれば不能犯となり、不可罰となる)
163 :
外野手:03/12/11 19:22 ID:???
2.小問(2)
Xが・・・した行為とガス爆発によってAが死亡したこととの間には相当因果関係が認められる。
よってXの行為は殺人罪(199条)の客観的構成要件に該当する。
では、殺人の故意(38条1項)があるといえるか
本問でXは当初ガス中毒によってAを殺害しようとしていたが、結果的にはガス爆発が原因でAが死亡している。
このように行為者があらかじめ認識予見していた因果経過と現実に発生した因果経過とに食い違いがある場合
にも結果に対する故意が認められるかが問題となる。
→略(今年ので→殺人既遂罪(199条)
第2.Yの罪責
1.小問(1)
Xに殺人未遂罪が成立
結果が発生しないことを認識して教唆を行ったYに殺人未遂罪の教唆犯が成立するか。
教唆犯の故意に結果発生の認識まで必要かが問題となる。
→因果的共犯論→教唆犯の故意には法益侵害という結果を発生させる認識が必要
→結果発生の認識まで必要→Yは不可罰
2.小問(2)
Yの予期に反してAの死という結果が発生している
→過失の教唆が認められるか→否定
→前述のごとく、都市ガスであってもガス爆発の危険はある以上、
YにA死亡の予見可能性が認められるので、過失致死罪(210条)が成立。
特にない。「未遂犯と不能犯との区別」は説の羅列にならないように書くのが難しいな。
岐阜地裁昭和62.10.15は百選にも掲載されている(斉藤信治解説、4版では佐伯仁志解説)
164 :
外野手:03/12/11 19:36 ID:???
>>155-156 3.の「しかし」以降の流れはいいと思います。
私は始めから無効と不存在で分けて構成しました。
>対世効のある新株発行不存在の訴えを認めることが妥当といえる。
これは誤解を生むかと。まぁいいのかな。対世効のある判決が望ましい→新株発行無効の訴えを類推→でも
不存在の場合は期間制限に関する規定は類推できないって流れかなと考えました。
>>164 無効訴訟に対世効がなくて、不存在確認訴訟に対世効があると間違えてました。
うPしたあとで、重版の判例動向のところを読んでいて気づいたので急いで訂正した次第です。
条文の読み込みがあまかったというお粗末ぶりでした。
【受験新報635-C民法】関連
三者に共通する大凡の争点としては以下のようになりますでしょうか。
1.信用不安の際の解除→これは価値判断の要素が大きいので、
新たな法律構成が見つからない以上、特に議論は要らないでしょう。
2.登記の賃料債権の帰属について
登記をもって所有権移転+賃貸人の地位の移転としても、
575条の「引渡し」との関係で現実の引渡しがずれた場合どうするのかという点が
残るかと思います。
つまり、
〔売買契約〕─@→〔登記移転〕─A→〔引渡し〕
において、@は黙示の合意や取引慣行等で所有権の移転時期を登記移転時期に
もっていけます。しかし法定果実についてはCからの利息を受け取れない代償として
定められているものですので、Aにおいて、賃貸人ではないが賃料を請求できる地位は
残っているものと解します。これをCが履行遅滞にも関わらず、
移転登記時期をもって法定果実を取得できないとすれば、
Cに対して遅延損害金を請求できないと不公平となり、
かえって法律関係が煩雑になるように思います。
もちろん478条でBの保護はするのですが、賃料を請求できるかどうかは
また話が別になってきます。
167 :
30:03/12/12 02:09 ID:???
>>161 当事者の合意によって、賃貸人たる地位を留保した場合でも、地位が移転したとみるときがあると
解釈できる判例だったと思います。つまり、地位の移転の時期が当事者の具体的意思とはズレる
可能性を認めたことになると思います。
そして、当事者の具体的意思があらわれるのは契約時であることが通常ですから、契約即移転とは
ならない可能性を指摘しただけでした。
>>161>>166 所有権移転時期と登記がズレることで、賃料請求の場面での宙ぶらりん状態が発生すると考えています。
まあ、賃料請求には登記が必要との判例の立場が前提です。
これを解消するには、2つの方向性が考えられます。一方で、賃料請求において登記不要説を採用する。
他方で、所有権移転時期について、有償性説を採用、あるいは契約時説で特約を認定する。
過去問では、登記不要説を意識した出題例がありますが(出題者をみると分かりやすすぎw)、
この立場だと、どんどん転売された場合に、その者が債務超過に陥った場合を考えると、賃料まで
もっていかれることになって、まずそうです。
次に、所有権移転時期について有償性説によると、登記での一元判断が可能になって、調整は簡単です。
この立場は、575条とも整合します(むしろこれが目的の1つだった、広中先生がそのように
おっしゃっていたような記憶があります)。この立場では登記の移転も575条の「引渡」とみるはずです。
ただ、この立場では有償性説における「引渡」の処理が残ります。冷シャブさんの疑問はこれに関わります。
なお、この場面において、所有権移転時期の調整および575条による処理というのは、ある物権法の
大先生も賛同して下さいました。あと、特約認定の処理は、575条との関係は解消できなさそうです。
168 :
30:03/12/12 02:10 ID:???
>>161>>166(つづき)
うだうだ書きましたが、実際には、判例で書いて、宙ぶらりんになって、悩んで、最終調整の478条を
使ってスジを通します。つまり、外野手さんの構成です。これでいいかと。ただ、現場で悩まないように、
ちょっと考えてみた、ということでした。
最後に、
>>166ですが、登記移転と引渡のズレです。これは理論的な問題としては残ると思いますが、
現実の場面では、考えなくてもよいかと。土地の売買では、最終の残金精算時で現場にも行きますし、
書士さんを介して登記に入ります。さらに、銀行で振り込みの確認も皆の立ち会いの下、やりますし。
(抵当権をはずす。)借家やテナントでは、カギの引き渡しですよね。あまりズレなさそうです。
169 :
30:03/12/12 02:11 ID:???
>>161>>166(つづき)
うだうだ書きましたが、実際には、判例で書いて、宙ぶらりんになって、悩んで、最終調整の478条を
使ってスジを通します。つまり、外野手さんの構成です。これでいいかと。ただ、現場で悩まないように、
ちょっと考えてみた、ということでした。
最後に、
>>166ですが、登記移転と引渡のズレです。これは理論的な問題としては残ると思いますが、
現実の場面では、考えなくてもよいかと。土地の売買では、最終の残金精算時で現場にも行きますし、
書士さんを介して登記に入ります。さらに、銀行で振り込みの確認も皆の立ち会いの下、やりますし。
(抵当権をはずす。)借家やテナントでは、カギの引き渡しですよね。あまりズレなさそうです。
170 :
30:03/12/12 02:44 ID:???
>>169 誤爆した。スレ汚し、すみません。
>>155-156 これは
>>164の流れがよろしいかと。
>>156 >なんで仮処分の話が出てくるのか
おそらく、新株発行差止の訴えとそれを本案とする差止の申し立てと仮処分。その上で、
新株発行無効の訴えへと訴えの変更をする、というのが実務の戦略としてセットなのでしょう。
まあ、本問ではあまり意味がないというのは賛成。
結局は、
>新株発行不存在確認の訴えは、登記などの外観を除去するために認めるとする。
>(最判H9・1・28)
で解決するのですね。へえ〜。
刑法は皆さんとは立場が違うので、別のレスにします。大作になるか?
171 :
30:03/12/12 03:19 ID:???
外野手さんは、前田説だと思いますが、体系が答案に表現されていて、とてもよいと思います。
たぶん刑法が得意なのではないですか。
>>162-163 わたくしは、書研です。不能犯と未遂犯の区別については、実行行為性の話として書きます。
あと、あの判旨は使えますよね。
>Xの罪責 小問(2)
「一連の行為」とみるかどうかは書きますか?
>略(今年ので
なんだか悲哀が感じられます。。。
で、ここの結果に対する故意というので実質的には因果関係の錯誤を扱うのですよね。
ただ、その前提として、客観面の因果関係についても、しっかり認定するのが大切ですよね。
この立場でも、実務でも、ほぼ客観面で処理している感がありますから。「実務に因果関係の
錯誤なし」らしいですね。実は、この実務の書き方が一番楽な気がします。立場が違うので、
言っても仕方がありませんが。
>Yの罪責 小問(1)
外野手さんは、未遂の教唆は不可罰なんですか?
ちょっと時間がないので、残りは後日。
>>168 >最後に、
>>166ですが、登記移転と引渡のズレです。これは理論的な問題としては残ると思いますが、
>現実の場面では、考えなくてもよいかと。
まあこれはそう聞きますね。
たいてい午前中に登記して、すぐに振り込んで、そのまま現場に行って鍵を引き渡すらしいですね。
ただ、私が気になったのは本試験の緊張状態で条文に「引渡し」とあるのを
さすがに登記移転のところまで持っていける勇気があるのかどうかという点です。
それを考えると、技巧的なことをするより条文に忠実に対応しておく方が
試験戦略としては優れているのではないかと思った次第です。
信用不安による解除、新株発行無効の訴えにおける提訴期間なども、
論文本試験で短時間に対応するには、多少非合理でも条文に忠実な
解釈で押さえておこうという政策判断もかなり入ってます。
【受験新報635-C民訴法】《専属管轄と移送》
1.専属管轄とは一定の事件について特定の裁判所のみが管轄権を有する場合であり、
原則的に普通裁判籍による管轄(4)は選択できず、また合意管轄も排除される。
更に遅滞を避ける等の移送(17)、簡易裁判所の裁量移送(18)、
必要的移送(19)もなされない(20T)。
それぞれ職分管轄、事物管轄おいて規定されているので、この分類に沿って
以下で移送との関係を論ずる。
2.職分管轄
(1)現行法は公益性の観点から、各裁判所の職務権限の違いを設け、専属管轄としている。
@判決手続によるものとして、審級管轄と判決裁判所と執行裁判所の違い(民事執行法3)の
違いがある。A次に判決手続の中でも手続の簡易性、迅速性についてに資するため
簡易裁判所による少額訴訟(368以下)、起訴前の和解(275)、
公示催告手続(公示催告・・・764条2項)がある。
(2)そして、これらの管轄違いによる提訴は16条1項により申立て又は職権で
移送されることとなる。
3.事物管轄
(1)同様に公益性の観点から、@事件について密接な関係を有することから
再審における管轄(340条1項)、A判決が多数人に及ぶ場合について
統一的な判断を可能とするための管轄(商88など*1)、B専門的な事件を
集中させて迅速に処理するための管轄(6)がある。*2
もっとも、Bにおける特許権等に関する訴えに係わる訴訟については
冒頭に記述した17条ないし19条の移送は例外的に可能となる(20U)であり、
また当該訴訟において・・・・・・必要があるとき、東京高裁・・・・・・
のときは申立てによりまたは職権で移送することができる(20条の2)。
これらは必ずしも専門的な部分が争点となっていない場合については、
他の事件と同様に遅滞を避けたり、当事者の実質的衡平をはかる必要が
残っているからである。
(2)そして、職分管轄と同様にこれらの管轄違いによる提訴は16条1項に基づいて
申立てにより又は職権で移送されることとなる(特許権等に関する訴えを除く)。
*1:人訴の規定もあるが、現場で手っ取り早く引ける条文は商法88だろう。
*2:今年改正。旧規定は「にも、その訴えを提起することができる」になっていた。
これは書きにくい。
焦点が定まらないから、知識羅列型にならざるを得ない。
解説を書いてから、適当に問題を決めたのでは無かろうか。
条文操作に若干自信がないので、全て一度追っていただきたい。
基本的に20条2項と20条の2が専属管轄としながら例外として外した
という条文構造を理解しておけば十分と思われる。なおP107右下参照。
175 :
冷シャブdecidendi ◆vCK8.7oLaw :03/12/13 15:01 ID:5SZN3j34
>>162-163 まず、私も同様に実行行為性という観点から論ずるべきと考えます。
本問では中止犯の成否は争点とならないので、さほど問題ではないですが、
S48年1問目のように、後に中止犯の成否を論ずる必要のある問題で、
「未遂犯と不能犯」という設定をすると、犯罪認定をしているというより
そこだけ「注」の話を本文に入れ込んだような流れの悪さを出す可能性が出てくるように思います。
つまり構成要件該当性の話をしているという意識を前面に押し出した方が
印象が良いように感じるのです。
具体的にはここ以降です。
>未遂犯と不能犯の区別基準が問題となる。
もっとも、それが本試験の採点に影響するかは定かではありません。
それから、これも唐突すぎて論点ブロック吐き出しの印象を持ちました。
>その具体的な区別基準として具体的危険説と客観的危険説が対立している。
むしろ
行為規範性か裁判規範性のどちらを重視するかという点から始めて、
各要件を掲げて、・・・・・・(具体的危険説)、・・・・・・(客観的危険説)
→前田で修正か、
具体的危険説を省いて前田で修正という形があると思います。
ここは他説を出しても、哲学の違いが大きいので、
ただの知識の羅列になる可能性が高いと思います。
それならば、あてはめを丁寧におこなった方が裁量点との関係から
消費時間に対する最大投資効果が引き出せるのではないかと予想されます。
小問2は特にコメント無しです。
176 :
外野手:03/12/14 00:23 ID:???
>>171 >実は、この実務の書き方が一番楽な気がします。立場が違うので、 言っても仕方がありませんが。
そうですね。刑法が得意という訳でもないので最近では
そういう楽な書き方が一番だと考えるようになってきました。
もっとも楽は楽でも因果関係認識不要説は書かないことにしていますw。
>外野手さんは、未遂の教唆は不可罰なんですか?
そうです。
>>175 >つまり構成要件該当性の話をしているという意識を前面に押し出した方が印象が良い
そうですね。意識してみます。
>それから、これも唐突すぎて論点ブロック吐き出しの印象を持ちました。
むー、そういう印象になりますか。あてはめ重視の方向を探ってみます。
177 :
外野手:03/12/14 00:24 ID:???
【受験新報635-C刑訴法】《訴因変更命令義務》
1.現行法上裁判所は審理の経過に鑑み適当と認めるときは、
訴因を変更することを命ずることができるとされている(312条2項)。
ここで裁判所に訴因変更を命令する義務があるかは、
刑訴の手続構造を考えるうえで当事者主義、職権主義のどちらを基本とすべきか、
さらには審判の対象をいかに解するかによって左右されるので、以下検討。
2.(1) この点、刑事訴訟の手続構造は職権主義にあると考え、
審判の対象を公訴事実とみる見解がある。(公訴事実説)
この見解によると、裁判所は公訴事実を同一にする範囲で審判の請求を受けていることになるので、
審理の過程で訴因と事実認定との間に食い違いが生じた場合には
裁判所には訴因を変更してそれを是正する義務があるという結論となる。
(2)ア しかし、現行法は、起訴便宜主義(248条)を採用し起訴、不起訴の決定を検察官の権限としている。
そして、起訴をする場合にも訴因の設定・変更は検察官が行うこととした(256条3項、312条1項)。
さらに起訴状一本主義(256条6項)の採用により、検察官の手持ち証拠が裁判所に引き継がれることがなくなり、
事前に証拠に接する機会がなくなり、その結果、証拠による立証の責任は当事者に委ねられることとなっている
(298条1項、304条2項、規則199条の2以下など)。
このように、訴因と証拠という公判手続の重要部分に当事者の主導権が認められていることから、
現行法における刑事訴訟の手続構造は当事者主義を基本としていると解するべきである。
178 :
外野手:03/12/14 00:25 ID:???
イ かかる構造の中で、審判の対象についてのみ職権主義を前提とした公訴事実説を採用することはできない。
そこで、現行法における審判の対象は、訴因であると考えるべきである(訴因説)。
この見解によると、審判の対象の設定は検察官の任務であり、
裁判所は検察官の設定した訴因についてのみ審判すべきであり、
原則として、裁判所に訴因変更命令義務はないと解することとなる。
(3)もっとも、裁判所は、実体的真実を明らかにすべき義務があり(1条)、
検察官が不注意で訴因変更を請求しない場合にはその不注意を放置しておくべきでない。
そこで、@訴因変更をすれば有罪であることが証拠上明らかであり、
Aそれが相当重大な罪である場合には、訴因変更命令義務を肯定してよいと考える。
3.以上により、原則として裁判所に訴因変更命令義務はない。
枝葉を取り除いてあっさりしてみた。
傾向的にはこういう1行問題はでなそうですな。
179 :
外野手:03/12/14 00:26 ID:???
イ かかる構造の中で、審判の対象についてのみ職権主義を前提とした公訴事実説を採用することはできない。
そこで、現行法における審判の対象は、訴因であると考えるべきである(訴因説)。
この見解によると、審判の対象の設定は検察官の任務であり、
裁判所は検察官の設定した訴因についてのみ審判すべきであり、
原則として、裁判所に訴因変更命令義務はないと解することとなる。
(3)もっとも、裁判所は、実体的真実を明らかにすべき義務があり(1条)、
検察官が不注意で訴因変更を請求しない場合にはその不注意を放置しておくべきでない。
そこで、@訴因変更をすれば有罪であることが証拠上明らかであり、
Aそれが相当重大な罪である場合には、訴因変更命令義務を肯定してよいと考える。
3.以上により、原則として裁判所に訴因変更命令義務はない。
枝葉を取り除いてあっさりしてみた。
傾向的には1行問題はでなそうですが。
181 :
30:03/12/14 04:08 ID:???
こんばんは。早速コメント。
>外野手さんへ
>もっとも楽は楽でも因果関係認識不要説は書かないことにしていますw。
>>171>>175に対する
>>176のコメントを読んで、ちょっと不安が過りました。違っていたら、
大変申し訳ないのですが、仮に今年の刑法の評価が不本意だった場合で、刑法2問目において、
詐欺や窃盗(近時の判例のところ。免許証、スキャナーはどうでもいいのですが)の論点に
ついて書き漏らしていないとき、1問目を再検証したほうがよいかもしれません。体系の答案
への表現という側面で、>略(今年ので の部分が、採点者に、ひっかかったかもしれないから
です。もし問題なければスルーして下さい。ちなみに、わたくしの周りで、生死を決したのは
2問目。。。(泣
>冷シャブさん
>>175 冷シャブさんは、堀内+曾根ットですよね。この人たちって、実行行為概念について、単なる
因果関係の起点以上のものを認めるのでしたでしょうか?もし認めない人たちなら(厚たんとか)、
未遂犯の処罰根拠を実行行為性という形で論じられるのでしょうか。実質的行為説的立場(何と
表現すればいいのか)と間違われそうな気がしました。結果説ないし結果無価値的思考方法と
なじむのか、ということです。
182 :
30:03/12/14 04:31 ID:???
>>177-178 へなちょこなわたくしですが、一応、こう見えても+2の人(専攻してました)でしたので、
イチャモン度はupします。
>現行法における刑事訴訟の手続構造は当事者主義を『基本としている』と解するべきである。
この表現はいいと思います。『現行法は当事者主義だから』と言い切るのは、採点する側からは
違和感があるということらしいです。
ただ、全体として、具体例が欲しいところ。ないと大変、淋しい感じがします。日大事件の判例は
必須だと思います。ご存知とは思いますが、一行のセオリーとしての具体例は外せないと思います。
そして、とにかく判例書いて欲しいみたいです。あまり細部は言えません。
判例の扱い方については、
>>138に挙げたクラスルームの序章が大変参考になります。もし読まれて
いなければ、ぜひおすすめします。なお、クラスルーム≠有斐閣テキストです。あと、個人的には、
クラスルームの方が好きです。(テキストでは省略された部分があったような。。。)
>>181 >未遂犯の処罰根拠を実行行為性という形で論じられるのでしょうか。
これは私の勘違いでした。
結果(法益侵害の危険性)で論じることになりますね。
【新実例刑訴T-5】《任意取調の限界》
1.本問の被疑者の態様においては、特に取り調べを拒否している様子は窺われないことから、
「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を
実現する行為など」*1の強制手段とは認められず、
198条1項にもとづく任意取調べによるものと思われる。*1
2.もっとも、任意取調べであっても全てが許容されるわけではなく、
「事案の性質・・・・・・許容される」*2と解するべきであり、
→否定事情
監視付き、宿泊、連日、長時間
→許容事情
強盗殺人と重大、3日
許容事例だろう。
*1:主題ではないと考え、規範とあてはめを敢えて分けなかった。
*2:風船
*3:高輪グリーンマンション
構成は実質逮捕かどうかという外枠から論じていくのが王道だろう。
本問は捜査機関側の事情しか明示されてないが、被疑者の態様加えたときの
対処を考えて置く必要があると思われる。
基本的には規範的判断なので判例を読み込んでバランス感覚を
身につけるしかないだろう。
なお、安冨25は受験新報634とかぶるので別の問題置き換えたいと思います。
185 :
外野手:03/12/14 22:26 ID:???
>>181 >
>>171>>175に対する
>>176のコメントを読んで、ちょっと不安が過りました。
むむ。それは気になるところなのですが、どういうことでしょうか。
体系的に矛盾が生じるような書き方をしたのでは?というご指摘でしょうか。
恐らく大丈夫だと思うのですが、結局は私も2問目でやられた人なので・・・
>>182 > ただ、全体として、具体例が欲しいところ。ないと大変、淋しい感じがします。
まったく仰る通りで。判例をうまくまとめてみます。
186 :
外野手:03/12/14 23:03 ID:???
>>173-174 >条文操作に若干自信がないので、全て一度追っていただきたい。
追ってみましたが、今のところ間違いはないと思われます。
しかし、この問題はさぞや苦痛だったかと推察します。
>もっとも、Bにおける特許権等に関する訴えに係わる訴訟については
>冒頭に記述した17条ないし19条の移送は例外的に可能となる(20U)であり、
細かいですが、文章的にもう少し洗練できるかと思われます。出ないでしょうが・・・
>基本的に20条2項と20条の2が専属管轄としながら例外として外した
>という条文構造を理解しておけば十分と思われる。なおP107右下参照。
そうですね。それくらいで十分でしょう。
これからはこのような論文対策として効率的でない問題は飛ばしましょう。
>>180 ゴメソ
187 :
30:03/12/15 04:58 ID:???
おはようございます。早速コメント。
>>184 >198条1項にもとづく任意取調べによるものと思われる。*1
とても細かいですが、ここは「本文」まで書いた方がいいですよ。
>本問は捜査機関側の事情しか明示されてないが、被疑者の態様加えたときの対処を考えて置く必要がある
>と思われる。
>基本的には規範的判断なので判例を読み込んでバランス感覚を身につけるしかないだろう。
全面賛成。反対意見なんかも参考にできますし。
>>185 論理矛盾ということとは、ちょっと違います。答案の項目等に体系的位置付けが表現されているか、という
ことでした。結構、評価が違ってきているみたいです。まあ、今年は客観的構成要件のレベルで因果関係を
きちんと書けば、合格点が付いたようですね。あまり詳しくは書けません。原因解明がまだ進んでいない人
がいたとの連絡を受けたので、ちょっと書いてみただけです。2問目というのが、はっきりしていれば、
問題なしですよ。
>>173-174>>186 そうですね。受験新報の民訴は、ちょっと論文対策という点からは、外れた問題も散見されるところ。
見ていないかもしれませんが、先生、基本原理を問いながらも、受験生の盲点を突くような問題を、よろしく
お願いいたします。
>処理済み案件
わたくしの周辺の者にも呼び掛けて、という話でしたが(
>>92)、連絡済みです。ただ、関心を持った人は、
とりあえず1人で、その人も、直接カキコではなく、わたくしが代理でカキコすることになりました。みんな、
ラストチャンスに賭けているんですね。必死みたいです。負けずにがんばりましょう。
>>177 間違いではなく読みづらさという点で指摘しますと、
>(2)ア しかし、
という文頭の逆説は
>2.(1) この点、
を受けているものだと思いますが、
それならば、むしろこれ(↓)を「しかし」のあとにもってきて
その後に「すなわち」で開いていく方が読みやすいと思います。
(カトシンで言うところの「もっと言いましょうか」です。
>訴因と証拠という公判手続の重要部分に当事者の主導権が認められていることから、
>現行法における刑事訴訟の手続構造は当事者主義を基本としていると解するべきである。
読む方としては、「しかし」以下の5行について趣旨を予測できずに
読まされた感があり、再度「しかし」まで戻らされることになりました。
>>182 >>現行法における刑事訴訟の手続構造は当事者主義を『基本としている』と解するべきである。
>この表現はいいと思います。『現行法は当事者主義だから』と言い切るのは、採点する側からは
>違和感があるということらしいです。
これは同意です。
民訴でいうと、自由心証主義と弁論主義の領域争いと似ていると思いますが、
これらの背景哲学を頭の中で定量化して、事案解決に結びつける
過程をうまいこと表現できればいいと思ってます。
ところで30さんは刑訴先攻のマスターなんですか?
189 :
外野手:03/12/16 02:45 ID:???
>>184 >構成は実質逮捕かどうかという外枠から論じていくのが王道だろう。
1.における、強制手段がないから任意取調べだ、という流れは
実質逮捕かどうか、とは別問題というとらえ方なのでしょうか。
>基本的には規範的判断なので
>判例を読み込んでバランス感覚を身につけるしかないだろう。
まったく。前にも書きましたが、ここは出題予想として前々から◎ですが、
そうだからこそ、判例の読み込み具合で差が出そうですね。
>>187 了解です。
>>188 仰せの通りで。さっそく改訂しておきました。
190 :
外野手:03/12/16 02:56 ID:???
【安冨演習講義・刑事訴訟法11】《令状によらない捜索・差押え》
第1.1.逮捕に伴う捜索・差押えが許される理由はなにか。
逮捕に伴う捜索・差押えが許される理由として、
@逮捕者の安全確保、A被逮捕者の逃亡阻止が挙げられることに争いない。
2.(1)対立するのは、@Aの理由に基づく処分を超えた証拠保全が認められる理由についてである。
(2)この点、逮捕に伴う捜索・差押えは令状に基づくものと並ぶ合理的な捜索・差押えの一種であり、
逮捕現場には証拠の存在する蓋然性が高い点にそれが許される理由があるとする見解がある。
(3)しかし、そもそも令状主義の趣旨は、強制処分を行う際は司法官憲の発する令状を必要とすることによって、
捜査機関の権限濫用を防止し、もって国民の人権に対する侵害を避けようとしたことにある。
とすれば、無令状で実施される逮捕に伴う捜索・差押えを令状に基づくものと並べて考えることはできない。
そこで、捜索・差押えは令状に基づくのが原則で、逮捕に伴う捜索・差押えは例外だと考えるべきであり、
逮捕に伴う捜索・差押えが@Aの理由に基づく処分を超える範囲で許される理由は、
被逮捕者の身体やその支配下にある証拠物件が散逸、破棄されるおそれがある場合に限り、
それを防止するためであると解する。
第2.1.ロビーで現行犯逮捕されたAの宿泊するホテル自室における大麻たばこ10本の捜索・差押えは適法か。
ホテルの自室が「逮捕の現場」(220条1項2号)といえるかが問題となる。
2.逮捕に伴う捜索・差押えが許される理由を前述のように(第1.2.(3))解すれば、
逮捕者に危害を加えるような物、逃走用具、手の届くところにある証拠をとりあげる趣旨である。
したがって、「逮捕の現場」とは、被疑者の身体及びその支配下にある場所を意味すると解する。
もっとも、証拠の散逸・破棄の蓋然性が高い場合には、逮捕の場所に接続する被疑者の管理する場所にも広げてよい。
そして、それが第三者が同時に管理する場所であっても、
222条1項、102条2項によって「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」があれば、許容されうる。
3.あてはめ(タバコなんて簡単に捨てられる→証拠隠滅の蓋然性は高い→Aの自室も「逮捕の現場」・・・)
4.適法
191 :
外野手:03/12/16 03:00 ID:???
第3.1.1キロメートル離れた警察署で行われた右差押えが適法といえるかは、
「逮捕の現場」における差押えといえるかによる。
「逮捕の現場」の意義(↑参照
もっとも、被逮捕者の名誉の保護、混乱の防止→現場と同視できる
→問題文が簡略なのであてはめ略
2.問題文からは明らかでないが、「逮捕する場合において」(220条1項本文)といえるか。
→原則として同時併行→現実の実態を見て少し緩める
→被疑者が目前にいる限りで、逮捕の直前、直後の差押えならば許される。→あてはめ(略
3.結論→時間によるかと
第4.緊急捜索・差押えは許されるか
渥美説:220条1項2号を準用→210条を類推
しかし、そもそも憲法35条は令状主義の例外を「33条の場合」に限定しており、
その例外の要件を強制処分法定主義(197条1項但書)により220条で法定しているのである。
→明文規定のない緊急捜索・差押えは許されない
192 :
外野手:03/12/16 03:02 ID:???
第5.1.承諾による捜索・差押えは許されるか
捜索は原則として令状に基づくが、任意捜査として承諾による捜索・差押えが許されるかが問題となる。
2.(1)この点、承諾は捜索機関の求めに応じてなされれるものである以上、強制的な要素があることは否定できない。
憲法35条が厳格な令状主義を採用している以上、強制的要素の否定できない処分について
法の規定しない捜索・差押えを認めることは許されないとも思われる。
(2)もっとも、承諾による捜索・差押えを受ける側が被害者的な立場にある場合には、
進んで無実を証明しようとする場合などには積極的に承諾する場合もありうる。
このような場合には捜索・差押えを受ける側に特段の弊害もなく、捜査の便宜にも資すると考えられる。
(3)そこで、自らの自由な意思で真意に基づき承諾を与えた場合には、
承諾による捜索・差押えも許されると解する。
3.この点、Aの覚せい剤取締法違反事件について、Bの住居の捜索がBの承諾に基づいて行われた事案で、
下記@〜Bの理由を挙げて、Bの承諾に基づく捜索は適法な捜索とはいえないとした判例がある。
@Bが20歳前後の女性であったことA父親代わりのAが数名の警察官に連行されてBの住居に来た上、
Bのバックの中から覚せい剤が見つかったことB覚せい剤を隠しているなら出すように告げられたこと
前回がH9出題ならば、そろそろ危ないかと思い選択。
193 :
30:03/12/16 06:23 ID:???
おはようございます。早速カキコ。
>>190 > 逮捕に伴う捜索・差押えが許される理由として、
> @逮捕者の安全確保、A被逮捕者の逃亡阻止が挙げられることに争いない。
> 2.(1)対立するのは、@Aの理由に基づく処分を超えた証拠保全が認められる理由についてである。
ここは、普通に、合理説と緊急処分説を書いた方がよいかもしれません。
それと、「直接の支配下」の基準については、普段から結果の妥当性について考えておくことが必要だと
思います。「合理説+同一管理権」の答案も見ておくと参考になったりします。
>もっとも、証拠の散逸・破棄の蓋然性が高い場合には、逮捕の場所に接続する被疑者の管理する場所にも
>広げてよい。
>そして、それが第三者が同時に管理する場所であっても、222条1項、102条2項によって「押収すべき物
>の存在を認めるに足りる状況」があれば、許容されうる。
ここで、こそっと範囲を広げるのは、ちょっとズルイ感じがしますよ。ここで念頭にある「証拠の散逸、
破棄の蓋然性」というのは、被逮捕者によるものではなく、共犯者等を念頭に置いてますよね。1とズレて
いませんか。
それと、ちょっと異質な議論を加えて広げるのも。。。とはいえ、今、演習書が手許にないので、安冨先生
がそのようにおっしゃっているのであれば、仕方がないのですが。逆らいません。はい。
194 :
30:03/12/16 06:51 ID:???
>>191 で、続きなんですが。
>渥美説:
わたくしが勉強をはじめた頃は、渥美先生の教科書もけっこう読まれていました。懐かし〜。
>220条1項2号を準用→210条を類推
それで、この部分ですが、渥美先生は210条を類推しますか?
>しかし、そもそも憲法35条は令状主義の例外を「33条の場合」に限定しており、
この理屈だと、逮捕に伴う捜索、差押えで、先行する逮捕が緊急逮捕の場合もダメになっちゃい
ますよ。
>その例外の要件を強制処分法定主義(197条1項但書)により220条で法定しているのである。
>→明文規定のない緊急捜索・差押えは許されない
で、まとめです。試験委員の説(椎橋先生が復帰しましたね)について、基本書に書かれている
以上のことを書かない方が安全ではないでしょうか。『明文規定のない緊急捜索・差押えは、
強制処分法定主義(197条1項但書)に反し、許されない』くらいでよいかと。
>>192 承諾による捜索、差押えを認めることの危険性は、令状主義の規制の潜脱の可能性にあると思い
ます。ですから、絞り込む感じが欲しい気がします。
あと、(3)のところで、>自らの自由な意思で真意に基づき承諾を与えた、とあるのですから、
3でも、自らの自由な意思で真意に基づき承諾を与えたものではない、という形で判例を評価
してみてもよいかと。判例が宙ぶらりんになっている感じがします。
判例の扱いは難しいですね。判例点をもらうのも、結構、難しいらしいですし。
>>188 そうです。ちょっとヤバイ状況になりつつあります。
ではまた。
>>189 >1.における、強制手段がないから任意取調べだ、という流れは
>実質逮捕かどうか、とは別問題というとらえ方なのでしょうか。
これは単に総論的言い方(強制捜査)か、各論的言い方(実質逮捕)の
違いじゃないですかね。
>>194 それは心強い。
私は刑事法に弱いのでちょうど良いですわ。
ちょいと探し出してきた。
【慶応答練H14 刑訴 総合1 1問目】《緊急逮捕・一罪一逮捕一勾留の原則》
出所不明の高級カメラを質入れに来た甲を司法警察員Aが職務尋問したところ、返答が
暖昧であったのでカメラの窃盗を犯した嫌疑(まだ充分とは言えない)があるとして、緊急逮捕した。
(1) 司法警察員Aは甲を警察署に引致後、引き続き取り調べたところ、甲が犯行を自
白したので、その自白調書を(充分な嫌疑の)疎明資料として添付し、逮捕状の発付
を請求した*1。請求を受けた裁判官はどうしたらよいか。
(2) 仮に逮捕状請求が却下されたとせよ。そこで、司法警察員Aは、同一事実につい
て甲に対する通常逮捕状の発付を請求した。請求を受けた裁判官はどうしたらよいか。
_____________________________________
第1 小問(1)
1.本問におけるAの逮捕行為は長期3年以上の懲役に該当する窃盗罪(刑法235条)の
嫌疑に基づくものとして救急逮捕に根拠を求めたものと認められ(210条)、
引き続き逮捕状の発付を裁判官に請求したものである。
このとき、裁判官が逮捕状を発付するには、
例外たる緊急逮捕が正当に行われたか審査をする意味から、
@逮捕時に緊急逮捕の要件が備わっていたかどうか、
通常逮捕と同様に引続き身体の拘束を承認する意味から、
A逮捕状請求時に通常逮捕の要件(199条)が備わっていたかどうかを
みていくことになる。
2.
@:犯した嫌疑が充分とは言えない→「犯した・・・・・・充分な理由」(210条1項)がない。
A:違法な逮捕に続く取調べにより得た自白調書を疎明資料として提出しており、
これは排除されるべきであり、結果として通常逮捕に必要な
「罪を・・・・・・理由」(199条2項)が欠ける。
3.
また緊急逮捕における逮捕状請求は「直ちに」(210条1項)なさなければならないが、
本件は逮捕し警察署に引致後、さらに取調べを行った上で逮捕状請求をしており、
この点も違法である。
4.よって、却下、釈放(210T)。
第2 小問(2)
1.本問におけるAの逮捕状請求は先に却下されたものと同一事実に基づくことから、
いわゆる一罪一逮捕一勾留の原則に反し、裁判官は却下すべきではないか問題。
一罪一逮捕一勾留の原則とは、明文はないものの、刑訴法が被疑者の逮捕勾留に
ついて厳しい時間制限を設けていることから(203条ないし206、208、208条の2、211、216)、
この趣旨を没却しないため求められる原則である。
もっとも、捜査機関のいかなる違法行為があっても本原則に反するとして
再度の逮捕状請求を却下すべきではなく、
上記のような厳格な規定を設けた趣旨を没却しないようなものであれば、
例外的に許容しうる余地はあると解する。*2
2.以上をもとに本件を見ると、先行する逮捕行為は
緊急逮捕における嫌疑が不十分であり、更に逮捕後取調べのために時間を要したという
重大な違法が認められるから、とうてい治癒されるものではなく、
裁判官は本逮捕状請求を却下すべきである。
*1:検察事務官と司法巡査にも緊急逮捕状請求権あり(S24・3・4最高裁刑事局長通達)。
(↑あくまで通達。
なお、実務上は、緊急逮捕した者の請求が原則のようである(安西・刑訴上)。
通常逮捕はたいてい署長(警視正or警視)が請求すると聞く。
*2:歯切れが悪くなった。
うまい言い回しと、許容の事例をいくつかメモっておく必要ありと思われる。
198 :
30:03/12/17 04:07 ID:???
こんばんは。今日も早速カキコ。
>>196-197 よく入手しましたね。
で、構成なんですが、これって解説とか優秀答案ってありますか?わたくしが読んだ感じでは、
かなり違う論点を書きそうです。
小問(1)
う〜ん。違法な手続きによる自白ということにして、自白法則についての違法排除説だと、
うまくいきそう。そういう趣旨ですよね。引致の話は書かないと思います。
小問(2)
これなんですが。。。再逮捕の禁止の原則ではないでしょうかねえ。。。それも、先行逮捕が
違法なバージョン。これって日曜答練や某大学の法職でも出たような悪寒がしまつ。。。
今日はちょっと筆が進みませんでした。ではまた。
>>190-192 特に問題は無いと思いますので、実践答案化の提言のみにしておきます。
1問目の出だしは、おやっと思ったのですが、争点を浮き出させるには良いのかも知れませんな。
4問目の渥美説はいらんでしょう。
これは勉強の検討材料であって、本試験会場に持っていくのは負担になると思います。
5問目の事例判例(実務だと裁判例という言い方が多いかな?)も
勉強材料であって、答案に挙げる必要は無いと思います。
>前回がH9出題ならば、そろそろ危ないかと思い選択。
どうでしょうか。
H9年は和光大の内ゲバと大阪のシャブの判例が出た影響だと思いますから、
まだ口述用じゃないですかね。
必要最小限の対策に止めておきます。
200 :
外野手:03/12/17 23:07 ID:???
>>198 >それと、「直接の支配下」の基準については、
>普段から結果の妥当性について考えておくことが必要だと思います。
みなさんは判例よりの相当説でいくんですかね?
>ここで念頭にある「証拠の散逸、破棄の蓋然性」というのは、
>被逮捕者によるものではなく、共犯者等を念頭に置いてますよね。
やはり共犯者等を念頭に置いてるんですかね。
それはおいてといても、ここで範囲を広げるのは確かに辛いなと思いながら書きました。
そう仰る先生もいるようですが、如何せん一貫性に欠けるかと。
>それで、この部分ですが、渥美先生は210条を類推しますか?
こちらは安冨本を参照しました。渥美先生はなんと言ってるのかは不明です。
>>199 > 1問目の出だしは、おやっと思ったのですが、争点を浮き出させるには良いのかも知れませんな。
恐らくここはお二方から何かしら言われると思ってました。
個人的にはこれが一番納得のいく整理なのですが。
>勉強材料であって、答案に挙げる必要は無いと思います。
無理矢理挙げた感がありますな。
>H9年は和光大の内ゲバと大阪のシャブの判例が出た影響だと思いますから、
>まだ口述用じゃないですかね。
なるほど。あまり出て欲しくはないのですが。
201 :
外野手:03/12/17 23:08 ID:???
>>196-197 > @:犯した嫌疑が充分とは言えない→「犯した・・・・・・充分な理由」(210条1項)がない。
この要件が「逮捕時」に必要だという記述があるとさらにいいと思われます。
> いわゆる一罪一逮捕一勾留の原則に反し、
30氏との指摘と重なりますが、同一事実による身柄拘束は1回しか許されないという内容を述べた方がよろしいかと。
(「一罪一逮捕・一勾留」という言い回しは先生によって内容が違いますからね。)
> 捜査機関のいかなる違法行為があっても本原則に反するとして
ここでいきなり捜査機関側に違法行為があった場合を出すと流しにくいような気もします。
再逮捕再勾留の原則禁止→必要性から例外を認める→違法行為が先行している場合の特殊性(事情変更がない)
などなどと流していくのはどうでしょうか。
202 :
外野手:03/12/17 23:09 ID:???
【新実例刑訴2-24】《犯罪事実の一部の起訴》
1.(1)について
(1)検察官が公務執行妨害罪(刑法95条1項)が成立すると思われる事件で、
暴行罪(刑法208条)のみで起訴した場合、このような公訴提起は適法といえるか。
一罪の一部起訴の可否につき条文上明らかでないことから問題となる。
(2) この点、審判の対象を公訴事実と捉え、検察官は最初から事件全体を起訴すべきであり、
また、実体的な真実発見を無視することになる一罪の一部起訴は許されないとする見解もある。
しかし、そもそも審判対象は訴因であると解されるところ、(
>>177-178参照)
裁判所による実体的な真実発見も重要ではあるが、
それは検察官の設定した主張の範囲内で探求されるべきものである。
また、現行法が公訴提起する権限を検察官に独占させ(247条)、また、
訴追の必要性について検察官に裁量の余地を認めている(248条)ことからすれば、
一部起訴は検察官の訴追裁量権の範囲内といえる。
すなわち、本問のような公務執行妨害罪が成立するとも思われる場合には、
職務の範囲、適法性等についての立証の難易や訴訟経済等の諸般の事情を総合的に考慮して、
合理的裁量に基づき、暴行の事実のみを取り出し、これを構成要件要素として訴因を構成して
訴追し、その限度で審判を求めることもできると解するべきである。
(3)したがって、原則として、一罪の一部起訴も認められる。
(4)本問についてみると・・・
203 :
外野手:03/12/17 23:10 ID:???
2.(2)について
(1)検察官は脅迫の事実のみで起訴できるか。
前述のように、一罪の一部起訴が認められることすると、この場合も起訴できるとも思える。
(2)しかし、強姦罪は親告罪である(刑法177条、180条1項)ところ、被害者の告訴がない場合に
暴行の審理において強姦事実の審理が行われれば、
被害者の感情、名誉を尊重して強姦罪を親告罪とした趣旨に反する。※
(3)したがって、告訴がない場合に、一罪の一部起訴をすることは
検察官の訴追裁量権を逸脱し、違法であると解すべきである。
(4)本問についてみると・・・A女の告訴がない場合には起訴できない。
※:親告罪の一部起訴が違法となる場合を認めると、被告人が強姦であることを立証すれば無罪となる
という不当な結果になる、という肯定説からの批判への反論も必要かな。これ説得的なんだよね・・・
小問(2)の事例で暴力行為等処罰に関する法律の第1条が適用されるかどうかわからんのではないかね。
解説が検事なので肯定説ばりばり。少し揺らいだが受験界で一般的な書き方で。
(2)と関連して、住居侵入の事実の起訴が許されるかも押えておくべきだろう。
右の場合も含めて本問はH14年口述出題範囲。
なお、前々スレ
>>727 >>740参照。90氏はお元気でしょうか・・・
204 :
30:03/12/18 10:43 ID:???
おはようございます。遅くなってしまいました。
>>200 >みなさんは判例よりの相当説でいくんですかね?
緊急処分説で書きますよ。w
ただ、十中八九は不都合な事例になると思いますから、どのように切り抜けるか考えておく必要があるかと。
ただ、あまりにも強引なあてはめになる場合には、相当説でも書けるようにしてます。その研究の素材として
答案を持っているにすぎません。なお、「直接の支配下」の基準ですが、アメリカでは下級審において徐々に
広がってきているみたいです。
>やはり(以下略
以下、適当に空白を埋めて下さい。。。○○先生は××説を基本にしておられるようですが、あまりそれを
表に出すのが支障があると考えておられるのではないか、と勘ぐってしまいそうです。教える立場の方は、
よいのでしょうが、受験生がこれを書くと、不一致を突かれそうではないかと思った次第です。
なお、××、椎橋両先生は、210条類推は言っていないと思います。○○先生のこの部分の記述は、実は、
よく分からないというのが本音です(わたくしだけではないです)。どうでもよいことでした。
>1問目の出だし(以下略
現在からみて、外野手さんの記述は、ほぼ正しいと思います。
一応、田宮先生が、この議論を日本に紹介されたので(『捜査の構造』所収論文)、田宮(新版)p.109に
沿って書けばいいと思っていました。以下、実は、いきさつを纏めたのですが、公の掲示板では書けそうも
ないことなので、本当にごめんなさい。やめておきます。これまた、どうでもいいことでした。
>>201は全面賛成
>>202-203は次の機会に。
余談だらけで有益カキコができませんでした。ごめんなさい。なお、90さん、消息カキコをキボンヌ。
>198
>小問(1)
>う〜ん。違法な手続きによる自白ということにして、自白法則についての違法排除説だと、
>うまくいきそう。そういう趣旨ですよね。引致の話は書かないと思います。
趣旨はそうなんですが、視点が令状審査の裁判官に置かれていたので、
単純に緊急逮捕状発付の話にかためてみました。
引致については、取調べのために時間を使っていて、
「直ちに」の要件を潜脱するという捜査機関の意図が見て取れるので加えました。
ただ、ここは違法排除説的な記述に沿うと
無益的記載事項になる可能性もありますな。
(つまり緊急性の要件を充足してから問題になる論点ともいえるということです。
>これなんですが。。。再逮捕の禁止の原則ではないでしょうかねえ。。。 >
>>201 確かにそうですね。
ちょっと頭を整理しておきます。
>>202-203 >それは検察官の設定した主張の範囲内で探求されるべきものである。
ここで当事者主義的構造からおろして書くと体系的理解が示せるかも。
>すなわち、本問のような公務執行妨害罪が成立するとも思われる場合には、
>職務の範囲、適法性等についての立証の難易や訴訟経済等の諸般の事情を総合的に考慮して、
>合理的裁量に基づき、暴行の事実のみを取り出し、これを構成要件要素として訴因を構成して
>訴追し、その限度で審判を求めることもできると解するべきである。
>(3)したがって、原則として、一罪の一部起訴も認められる。
ちょっと長くないですか?
「本問のような」以下は少し抽象化した形で書けそうです。
>※:親告罪の一部起訴が違法となる場合を認めると、被告人が強姦であることを立証すれば無罪となる
> という不当な結果になる、という肯定説からの批判への反論も必要かな。これ説得的なんだよね・・・
説得的ですかね。
単なる教室事例であって、事実上は捜査の過程で判明するように思いますが。
>解説が検事なので肯定説ばりばり。少し揺らいだが受験界で一般的な書き方で。
解説読んでいて、ちょっと人権感覚ちがうなと思って経歴見たら、やはりでした。
国賠があるから良いって話ではないわけで、、、
失われた名誉は金で根本的に解決できるもんじゃないですから。
こういのは実際に事件を担当した女性検事の話を聞いてみたいところですね。
まっ、ここは修習で考えるところなんでしょうね。
207 :
30:03/12/19 09:32 ID:???
おはようございます。だんだんカキコが遅くなってきている。
>>202 >(3)したがって、原則として、一罪の一部起訴も認められる。
では、例外はどうですか?そして、例外を認める要件はどうしますか?わたくしは、光藤先生
(うろ覚え。手許に資料がない)の基準を立てます。以前も述べましたが、とにかく、要件を
立ててあてはめる、というのが、わたくしのスタイルになってます。要件がないと、しっくり
こないんですよ。好みかも知れませんが。
そこで、
>(2)すなわち。。。以下の部分
を、あてはめ叉は例外の要件定立に使えばよいかも。冷シャブさんの
>>206も同じ趣旨か。
>肯定説への反論
あえて反論するなら、親告罪にした趣旨から書くだろうと思います。国賠の話も、起訴裁量と
国賠の判例で反論できるかもしれません。ただ、答案(あるいは口述)で、実務家と喧嘩する
つもりはないので、あえて書かなくてもよいかも。
>全体
外野手さんの構成はとても参考になります。すごく立派。わたくしがいうことではないですが、
バランスがよいと思います。
とりあえず、こんな感じで。
ではまた。
【新実例刑訴2-25】《被告人の確定》
1.まず、住居侵入・窃盗罪被疑事件については指紋照会で本名「甲」と
判明しているのであるから、甲として通常の事件処理をすべきである。
起訴後においては氏名の訂正をする。
2.次に、先の詐欺罪被告事件において氏名冒用であったという事実が裁判確定後に判明していることから、
検察官の措置を論じるにあたっては先の裁判の帰属主体を確定する必要がある。
明確性の観点から実質的表示説(表示+Pの意思と被告人の挙動等)*1
→表示上は「乙」だが、Pは「乙」と称する者を被告人として訴追する意思が明確であり、
甲も「乙」と称しているが、自ら被告人として行動している。
よって、裁判の効力は甲に対して及ぶこととなり、
前科調書の訂正をすることになる。*2
3.更に、先の執行猶予判決の取消は請求できるであろうか、26条3号における
「猶予の言渡し前」が問題となる。
→原則として検察官の過失の有無で決すべき。
ただし、本件においては甲は殊更に検察官の錯誤を誘発すべき行動に
終始しており依然として取消請求権は失わないと考える。*3
*1:審理の進行に起訴状以外の事情も判断基底に入ってくるということかな。
(民訴もその傾向が出ているようだ。
*2:ここがよく分からないのだが、裁判所を通さなくても良いものだろうか?
*3:たぶん判例はこのような趣旨で捉えていると思うが、
判例教材刑訴にこの部分は引いてないからさすがに出ないと思う。
さって、略式手続はどうすんべーか?
(余談)
そういえば、赤カブ検事で氏名黙秘の被疑者が出てきて、起訴状に写真を添付していた。
209 :
外野手:03/12/20 00:45 ID:???
>>206 >ここで当事者主義的構造からおろして書くと体系的理解が示せるかも。
そうですな。本問ではそこを丁寧に書かないと。
>ちょっと長くないですか? 「本問のような」以下は少し抽象化した形で書けそうです。
判旨の写しがうざいかもしれません。改めます。
>>207 お褒めに与りまして恐縮です。
>では、例外はどうですか?そして、例外を認める要件はどうしますか?
本問では使わない部分でしょうが、一般的に問われた場合には必要ですね。
本問は「他の制度の趣旨を潜脱する場合」ということで、他は実体的真実に著しく反する場合等でしょうか。
本問、いや刑訴に限りませんが、基準の定立がしにくいところはやっかいですね。
結論を先取りしたような基準だとどうも陳腐に思えて。と言いながら↓でやってますが。
210 :
外野手:03/12/20 00:45 ID:???
【新実例刑訴2-39】《必要的弁護事件と弁護人の不在》
必要的弁護事件とは・・・(289条1項)
被告人の防御の利益の擁護と
公判審理の適正を期し、ひいては国家刑罰権の公正な行使を確保するための制度
原則→必要的弁護事件において、弁護人なしで審理することはできない。
それでは、弁護人なしで審理することは常に許されないのであろうか。
被告人については、勾留中の被告人が出頭を拒否した場合(286条の2)
許可を受けないで退廷した場合や裁判長から退廷を命じられた場合(341条)
→弁護人について同様の規定ない。
そこで、289条1項の例外を認め、弁護人なしで審理することができる場合があるかが問題となる。
確かに、※1被告人本人が弁護人は不要である旨述べたとしても、本条により弁護人の在廷が義務づけられる点で、
本条項は一切の例外を認めないものとも思える。
しかし、常に弁護人の在廷が必要であると解すると、それを悪用し、訴訟引き延ばしの手段とされる場合もあり、
かえって必要的弁護制度の趣旨である公判審理の適正を害することも考えられる。
思うに、裁判所が弁護人の出頭を確保するために方策を尽くたのに対して、
被告人が弁護人不在の審理の原因を作った場合には、
もはや被告人は、被告人の利益擁護を目的とする必要的弁護制度の保護を受ける資格はない。
また、被告人自身が弁護人不在の審理の原因を作り、その状況を解消することが極めて困難な場合には、
もはや実効性のある弁護活動は期待できず、公判審理の適正や刑罰権の公正な行使を確保できないといえ、
必要的弁護制度の前提を欠くといえる。
211 :
外野手:03/12/20 00:47 ID:???
そこで、
@裁判所が弁護人出頭確保のための方策を尽くしたこと
A被告人が弁護人の公判期日への出頭を妨げるなど、
弁護人が在廷しての公判の審理ができない事態を生じさせたこと
Bその事態を解消することが極めて困難であること
の要件が充たされる場合には、当該公判期日に限り、
289条の内在的制約としてその適用がないと解し、289条1項の例外を認めるべきである。
この点、暴力行為等処罰に関する法律違反等と起訴された被告人が、
不出頭や出廷拒否、弁護人に対する解任請求を繰り返し、さらには、
裁判所が選任した国選弁護人に対して暴行や脅迫等を行った事案について、
289条1項の適用を否定した最高裁判例がある。
以上により、弁護人なしで審理することができる場合とは、前述した極限的な事態である。
※1:ここを悩んでいるように見せる書き方を迷った。諸氏の見解を賜りたい。
この問題はH7の決定を知ってるかどうかだけだろう。
憲法37条3項との関連を書こうとしても流れが悪くなりそうなので断念。自分から議論を難しくしそうだし。
例外を認める根拠についての反対説もカット。
ちなみにこの判例については試験委員である(だよね?)寺崎先生がいろいろ書いているよう。
212 :
30:03/12/20 10:12 ID:???
遅くなりました。さっそくカキコ。
>>208 >*1:審理の進行に起訴状以外の事情も判断基底に入ってくるということかな。
ここは民訴と刑訴の違いがあるところですよね。
刑訴は、いわば併用説みたいなものでしょう。
>*2
よさそうんですが、よくわからないです。誰か教えて下さい。
>3.
はじめて聞いた。わからない。調査官解説を読むべきか。。。
とにかく、わたくしは、へたれだなあ〜って思った瞬間でした。資料もないし。
>さって、略式手続はどうすんべーか?
一応、制度を軽く押さえて、答案を準備します。覚えた答案以外が出たら、どうせ皆
即死するでしょうし。つくづく答案頼みの、へたれ受験生でした。
>そういえば、赤カブ検事で氏名黙秘の被疑者が出てきて、起訴状に写真を添付していた。
そうなんですか?
名前欄に「氏名不詳」と書いて、留置番号などを書くのではないですか?田宮(新版)p.177
>>209 了解しました。
>結論を先取りしたような基準だとどうも陳腐に思えて。
その通りですね。でも、その陳腐なのを書いてしまうんですよ。
つくづく思う。わたくしは、へたれ受験生だなあって。。。w
残りは、明日。ではまた。
213 :
外野手:03/12/20 22:16 ID:???
>>208 住居侵入窃盗事件の方の処理が抜けてませんでしょうか。
また、先の裁判の帰属主体を確定された後の記述は項目を分けて
論じた方が読みやすいかと思いました。前科調書の話が唐突に思えたので。
さらに*3の記述が問題提起と結論が一致していない気が。
>*2:ここがよく分からないのだが、裁判所を通さなくても良いものだろうか?
うーむー、私にも分りません。前科調書自体は特に法的効力を持っていない(と思う)ので、裁判所を
通さなくても良い・・・ということじゃないですかね。
>さって、略式手続はどうすんべーか?
本問関連は一応新実例のとこはまとめておく程度で、出ないことを祈ります。ナムナム
本問と関連する、身代わり犯についてもH13口述で出題されてますね。
良スレの予感
215 :
30:03/12/21 08:50 ID:???
おはようございます。
>>210 今回の外野手さんの答案は、いわゆる某「公式系」に近い感じですね。で、
>※1:ここを悩んでいるように見せる書き方を迷った。諸氏の見解を賜りたい。
なんですが、この問題で「悩みを見せる」書き方は、かえって整理されていない、あるいは迷っている
という感じにとられるかもしれないように思っていました。わたくしは、逆に、すっきりと分かりやすい
答案にすると思います。
つまり、スッと原則から問題提起をし、貞友先生のいう「問題の所在の所在」のところ、すなわち、
>被告人については、勾留中の被告人が出頭を拒否した場合(286条の2)
>許可を受けないで退廷した場合や裁判長から退廷を命じられた場合(341条)
>→弁護人について同様の規定ない。
>そこで、289条1項の例外を認め、弁護人なしで審理することができる場合があるかが問題となる。
まで、否定説に組み込んでしまうだろうと思います。
さらに、思うに、〜で、趣旨を書きます。
これだとブロックぽいですが、刑訴の規範はありきたりのものでよいかと思っています。悲しいかな、
判例の規範ないし要件をきちんと再現できるかという点で、差がついてしまうでしょう。刑訴は不思議と
若手の方が評価がよいみたいです。これは、あてはめをこねる前の規範が正確という点もあるみたいですし。
>>213 >本問と関連する、身代わり犯についてもH13口述で出題されてますね。
ここ大ヤマですよね。直前に必死で答案を覚えますよ。w
>>212 >名前欄に「氏名不詳」と書いて、留置番号などを書くのではないですか?
詳しくは覚えてないんですが、留置番号を書いて写真も貼っていた気がしました。
なにぶんおやつの時間にボケーと見てたんで詳しくは覚えてないです。
>>3.
>はじめて聞いた。わからない。調査官解説を読むべきか。。。
>とにかく、わたくしは、へたれだなあ〜って思った瞬間でした。資料もないし。
>>213 >さらに*3の記述が問題提起と結論が一致していない気が。
たぶん実質的利益衡量で条文を超えていると思うのですが、よくわかりまへん。
ここは出ないでしょう。
(漏れ、刑事法に深入りする気ないし、択一シーズンなんで調査はご勘弁。
>>213 >うーむー、私にも分りません。前科調書自体は特に法的効力を持っていない(と思う)ので、
>裁判所を通さなくても良い・・・ということじゃないですかね。
前課調書は良いんですが、判決書の被告人欄がそのままなので、どうかな〜と思ったんですよ。
まあ深入りしても意味がないと思いますが、
民訴257条1項に準じて更生決定を促す申立てでもするんでしょうな(田宮P422参照)。
【新実例刑訴2-44】《証拠開示命令》
第1 小問(1)について
1.現行法における証拠開示命令を発する根拠規定としては299条1項、
300条・321条1項2号にあるが*1、これらは取調べ請求のなされたものに限り、
本問における検察官に対する供述調書(以下本検面調書という)や
司法警察職員に対する供述調書(以下本員面調書という)根拠とはなりえない。
しかし、実質的当事者主義の観点から被告人側が充分な防御をなせるよう
Pが有する証拠の開示を求める必要性は高いから、
直接の明文なきも、裁判所の訴訟指揮権をもって可能とすべきである。
ただ、全ての開示を認めたのでは証拠隠滅、証人威迫の虞も出てくるので、
両利益を衡量し、合理的な範囲に止めるべきである。
具体的には、@事案の性質、審理の状況、閲覧を求める証拠の種類及び
内容、閲覧の時期、程度および方法、その他諸般の事情を勘案し、
その閲覧が被告人の防御のために特に重要であり、かつAこれにより
罪証隠滅、証人威迫等の弊害を将来するおそれがなく、相当と認めるとき
(*2)と解するのが基本的に妥当であり、以下で設問に即して述べる。
2.(a)について
被告人・弁護人としては、確かに早期に本件検面調書および本検面調書を
閲覧できることは充分な防御方法を考えるには有益であるといえるが、
この段階では裁判所として具体的に証拠開示の必要性を判断することが出来ず、
やむを得ず否定すべきである。
これは形式的な当事者主義にちかい理解となるが、致し方ない。
3.(b)について
同様に証拠開示の必要性はあり、しかも、@この段階では主尋問を
控えていることから、被告人の防御方法を具体的に考える上で特に
重要といえ、A証人威迫、罪証隠滅のおそれについても既に証人の
採用決定により具体的に住所氏名や立証趣旨が明らかにされていることから
取り立てて危険性が増大するとは考えられない。
さらに、防御方法としては反対尋問前に開示されれば充分ともいえるが、
主尋問が適正に行われるよう監視し、不適法な証言が公判廷に提出されることを
防ぐ意味も大きい上、被告人側に早期に事前準備をさせることで
円滑な審理にも資すると考えられる。
よって、この段階では証拠開示命令を発してしかるべきである。
4.(c)について
3と同様の趣旨で、反対尋問をするに際しては本検面調書・本員面調書が
重要な資料となるから、より開示の必要性は高い。
よって、3と同様に証拠開示命令を発してしかるべきである。
第2 小問(2)について
異議申立てについては、309条1項により可能と解すべきである。
なぜなら、開示命令が発せられた場合の検察官側からの不服申立てが可能であると
一般に解されているところ、被告人側に不服申立てができないとなれば
実質的に衡平性を欠き、冒頭で述べた当事者主義に反することにもなるからである。
また職権不発動の判断に違法性・不当性の可能性が存する場合もあり、
このような場合に異議申し立てが出来ないとすれば、デュープロセス(K31)違反との
そしりを免れなくなるからである。
*1:40条は命令を出す筋合いの規定ではないので省いた。
*2:最決S44・4・25
なお、この判例は証拠調べの段階という時期的なものを限ったものではないと
いう評価が正当と思われる(P328L1参照)ので、総論部分にもってきた。
(関連情報)
酒巻『証拠開示の研究』
多田「証拠開示」争点
長沼・百選判解・
>>210 >確かに、※1被告人本人が弁護人は不要である旨述べたとしても、
>本条により弁護人の在廷が義務づけられる点で、
言い換えれば、
人権保障の見地(1)からは被告人本人が不要である旨を述べたのであれば、
弁護人不在で実体審理は可能ともいえるが、真実主義の見地(1)からは弁護人も出廷し、
刑事訴訟の目的達成に努めるべきであり、
でどうでしょう。(長いかな?
で、上記で大きく左右に振ったので、
「ただ、常に弁護人の在廷が必要であると解すると、・・・」
とするとスッキリするかも知れません。
221 :
30:03/12/22 08:10 ID:???
おはようございます。
>>218-219 問題が分からないので、間違っているかも知れませんが、
検面調書と検面調書とは、分けて扱うのが通常ではないでしょうか?
>閲覧を求める証拠の種類及び内容
にあたるところです。検面調書は証拠破壊への対応がなされていますから。
>*2:最決S44・4・25
>なお、この判例は証拠調べの段階という時期的なものを限ったものではないと
>いう評価が正当と思われる(P328L1参照)ので、総論部分にもってきた。
そうですね。ここは好みの部分があるのでしょうが、一応、判例は証拠調べの段階のものですし、この
「評価」というのは判例の射程にかかわるものですから、わたくしならは、判例が直接言及していない
場合には、「〜の判例がこの場合にも妥当する。なぜなら、〜」という感じにするかもしれません。
まあ、合格者でも何でもない1受験生の戯言です。
時間がなく、あまり書けませんでした。
あとは外野手さんに任せました。ではまた。
>>221 前段
確かにそうですね。
あまり解説読まずにさらっと作ったんですが、この問題はそこも論点ですね。
検面調書よりプライバシー侵害や捜査機密情報の漏洩が類型的に高いので、
一次的に検面で、補充的に員面という序列をつけるべきでした。
223 :
外野手:03/12/23 10:09 ID:???
>>217-219 >検面調書と検面調書とは、分けて扱うのが通常ではないでしょうか?
ここの部分はその通りですが、非常にうまくまとまっていると思います。
先頭で立てた基準とうまくつながって構成されているので読みやすかった。
>*1:40条は命令を出す筋合いの規定ではないので省いた。
私は書いてもいいかなと思っています。旧法との比較で起訴状一本主義採用により
検察官の手元に証拠書類等が残ったまま→事前準備には40条が意味なしになった
→証拠開示命令の必要性がある、という流れにもっていくと思います。
224 :
外野手:03/12/23 10:11 ID:???
【安冨演習講義・刑事訴訟法30】《科学的証拠》
1.科学的証拠の証拠能力を認めるには、証拠との間に関連性が認められなければならない。
関連性は、自然的関連性と法律的関連性とに分けられ、
科学的証拠の場合は、自然的関連性が問題となると考える。
では、科学的証拠に自然的関連性、すわなち、
その証拠に要証事実の存否を推認させる最小限度の証明力があるといえるだろうか。
@専門の知識・技術を有し、経験のある資格者によって
A真正に鑑定に適した資料について
B性能・作動の面で誤りのない装置・器械を用いて
C適正な手法・手続によって実施され、
Dその経過と結果が正確に書面に記載されているかどうかを検討し、
類型的・定型的に鑑定の正確性・確実性の保証が認められれば
科学的証拠には要証事実の存否を推認させる最小限度の証明力があるといえる。
なお、検査の科学的原理の確かさ、検査技法の妥当性という
いわゆる一般的承認の基準を採用する見解もあるが、
職業裁判官制度を採るわが国では、検査の科学的原理・根拠が合理的に説明でき、
検査技法がその原理・根拠に基づき妥当であると判断できれば足りると考える。
したがって、科学的証拠に証拠能力が認められるには、以上の要件が必要
2.証拠能力について
(1)警察犬による臭気選別結果
@専門的な知識と経験を有する指導手の関与
A臭気選別能力に優れ、選別時において体調等が良好でその能力がよく保持されている警察犬による実施
B臭気の採取、保管の過程に不適切な点がないこと
→を充たせば自然的関連性を肯定できる(以下略
(2)ポリグラフ検査結果
@使用器機の性能、操作技術等から見て検査結果に信頼性が認められること
A検査者が検査に必要な技術と経験を有する適格者であること
B回答書は自らが実施した検査の経過・結果を忠実に記載して作成したものであること
C被験者者の心身の状態が正常であること。
225 :
外野手:03/12/23 10:12 ID:???
(3)声紋鑑定
@検査の実施者が必要な技術と経験を持つ適格者であること(実施者の適格性)
A使用器具の性能・作動が正確であり、検定結果に信頼性が認められること(器具の正確性及び結果の信頼性)
B検査の経過・結果の忠実な報告であること(報告の忠実性)
(4)筆跡・毛髪鑑定→(うまくまとまらん
筆跡鑑定→
比照するのに十分な数の文字が取り出されているか
鑑定に予断がないか、
作為筆跡の可能性はないか、等を考慮して決するべき。
毛髪鑑定→
@毛髪鑑定者が経験と知識を有すること
A毛髪鑑定の正確性及び結果の信頼性
B毛髪の収集、管理に問題はないか→報告の忠実性
3.DNA型鑑定結果を、被告人の犯人との同一性や被害者の特定のために証拠として用いるには
同様に自然的関連性があることが必要。
@鑑定実施者が十分な専門的知識と技術水準を有すること
A鑑定資料の保管・保存に問題がなく、質量ともに資料が鑑定に適していること
B一般に確立した鑑定の手順、手法に基づいて実施されていること
この点、DNA型鑑定について、
科学的原理が理論的正当性を有していること
具体的な実施の方法が技術を習得した者により、科学的に信頼される方法で行われたことを
要件として証拠能力を認めた最高裁判例がある。前述(1.)した自説と同様に一般的承認を不要とするものといえる。
4.DNA型鑑定を捜査に利用する上での配慮
・原資料の採取、管理、保存での取扱いが慎重さ(資料の取り違え、混入、変質の危険)
・再鑑定の可能性の担保があるか
・判例上においても、DNA型鑑定結果のみで被告人と犯人との同一性
を認めたものはなく、あくまで他の証拠との総合認定が必要
レジメみたいになったけど勘弁。基準を導く理由付けをUPするレベルまで練りきれないや。
法律的関連性の問題(鑑定書について321条4項準用することなど)は構成が膨大になるので省略した。
今年の供述に出題されたという実況見分調書と絡めることができる判例が気になる。
暗記がすべてですな。結局1.の要素をそれぞれにうまく合わせて論じ、あてはめれば、最低限は守れるのかな。
(217に補足)
Fishing Expedition防止のため「具体的必要性」の提示を
総論部分の要件に加える。
(これもうっかり忘れてた。
227 :
30:03/12/24 11:57 ID:???
どうもです。規制がかかって、なかなか書き込めませんでした。
>>224-225 あまり言うことはありません。
証拠能力にかんする要件のいずれに位置付けるかを明確にするのがポイントですよね。
要件については、暗記の要素が強いのですが、強いて言えば、人、モノ、方法の3つで
仕分けすれば良いのかもしれません。
ここのレヴェルだと、田口先生のポリグラフ検査の位置付け(例の法律的関連性に位置
付けるという話)や、DNA型鑑定にかんする判例(H12)は、当然、押さえているで
しょうし。特に、DNA型鑑定については、受験生は、しっかりと検討しているでしょう。
この問題自体、新版化に伴って、あれこれとくっつけたもので、網羅的なものになって
います。整理のための問題と位置付けるのが相当かと思われます。
なお、フライ原則は書かなくてもよいかもしれません。
とりあえず、このあたりです。ではまた。
228 :
30:03/12/24 12:12 ID:???
>>227 >田口先生のポリグラフ検査の位置付け
これDNA型鑑定でしたよね。あせって間違えてます。
あと、再鑑定の問題もありました。どちらに位置付けるか。
うろ覚えで書いていますので、激しく批判的に。
この状況があと1ヶ月以上は続きそうです。困った。
>>224-225 これは箇条書きにならざるをえんでしょうな。
あとはどれが来るかって問題でしょうか。
警察犬は古くなった感もありますし、
和歌山砒素カレーなんかを例に取れば、
ポリグラフとスプリング8(だっけか?これは出ないな)とかでしょうかね。
まあ、とりあえず重版H12のDNA(三井・判解)の対策は急務ですな。
>今年の供述に出題されたという実況見分調書と絡めることができる判例が気になる。
これを使った問題でも捜してきて、択一後に扱いましょう。
【安冨演習講義刑訴31】《違法に収集した証拠の証拠能力》
第1 小問1
317条は「事実の認定は、証拠による。」と証拠裁判主義を規定し、
本証拠は証拠能力をもったものを指すと解されるところ、設問のような
違法収集証拠については明文なく許容されうるのか、許容されるとして
いかなる要件によるべきか問題となる。
これについては上位規範である憲法31条および35条のデュープロセスから
導くのが妥当であり、
@違法捜査による司法の廉潔性の維持
A将来の違法捜査抑止
の観点から許容性を考えていくべきである。
この点、S53年最判は刑訴法1条を援用し、刑訴法上の解釈論(*1)として上記二点の観点を
導き出していると思われるが、上位規範たる憲法の解釈として可能であるから、
私見のように解すべきである。*2
上記趣旨に鑑みて以下の要件をもって許容できると考える。
から許容性の要件としては
@′証拠物の押収等・・・(S53最判)
A′これを証拠・・・(S53最判)
第2 小問2
同様にこの場合も証拠能力の是非が問題となり、当該証拠の収集過程では
違法がないものの、糸口となった証拠の収集過程で違法行為があったことで、
いわゆる「毒樹の果実」の扱いの問題である。
→上記趣旨を貫徹するためには原則違法にて排除が妥当。
但し、違法性が希釈していれば許容の余地はあると解する。
(本番でこれ以上詳しく書くのはきっちいなー。
現場でっちあげ要件でええやろ?
第3 小問3
1.前段 本問は違法収集証拠を排除する趣旨に係わるものであるが、
私見は前述の通り憲法の要請するデュープロセスを前提とするものであるから
違法捜査が被告人の放棄可能な権利や利益に関するものであれば可能。
但し、公共の利害にかかわる重大な違法行為については不可。*3
2.後段 被告人本人の利益ならば桶。
第三者だとダメ。但し、公共の利害にかかわる重大な違法行為については可。*4
第4 小問4
上記趣旨から弾劾証拠としても原則として許容するものではない。
(この問題は田宮で1行。さすがに出ない。
*1:1条の解釈論ではなく、刑訴法全体の精神から導き出した解釈というのが
適切な評価だろう(田宮p401など)
*2:田宮p402によった。こういう趣旨で良いと思うが・・・。
*3:ねつ造された供述調書によるもの(福岡高判H7・8・30)は
もうでてしまったので、法教264P116の表を参考に予想される事例への
対策をする必要があろうか。
*4:思考過程は浦部事例式41、あるいは
新株発行無効確認の訴え適格に準ずるといえようか。
ここは何度読んでも、何を読んでも、どれだけ時間を使ってもよくわからん。
思考方法みたいに明確にまとまっている本があったら教えてほしい。
小問3・4は出にくいかな。
小問1が重要なるも自信がないので精査いただきたい。
(関連情報)
三井「違法収集証拠の排除」法教263〜267
三井「所持品検査の限界と違法収集証拠の排除」じゅり680
加藤「違法収集証拠排除法則」法教245
長沼・最判S58・7・12の判解・百選(5版)
桶スレ
>>225 最近の声紋鑑定の精度は非常に高く、刑事事件における証拠能力は、筆跡鑑定よりも高い。
適切なサンプルが得られれば、発声者の性別、身長、年齢等もほぼ正確に分かる。
…と、ニュートンに書いてあった。
234 :
30:03/12/25 11:04 ID:???
こんにちは。やっと時間ができた。で、カキコ。
>>230-231 >小問1
ちょっと、繋がりがよく分かりません。
排除法則の位置付けについては、証拠能力の要件(=証拠の許容性)としては、証拠禁止に位置付ける
のが田宮先生だと思います。田宮先生は、マコーミックに従って、「憲法上の特権」という位置付けを
されました。これをドイツ流の証拠禁止と近いものと『捉え直して』おられたのだと考えます。
ですから、田宮先生は、他の一般の先生方と同様に、排除法則を「証拠法則」と理解しておられたと
いうことになります。これが安冨先生が「証拠法則」という表現を使うときの真意でしょう。
渥美先生や安冨先生は、キャミサーやアレンに従って、排除法則を「憲法原理」と捉えており、これを
証拠法で引き直して、「法律的関連性」の要件の問題としています(これは、排除法則と自己負罪拒否
特権を別に捉えることと関連しています)。ここは全くの余談です。
次に、根拠の点ですが、田宮先生は、教科書ではあまり出ていませんが、どちらかというと、「司法の
廉潔性」の面を重視されていたと思います。なお、>@違法捜査『の抑制』による司法の廉潔性の維持<
は、脱字してますよ。相対的排除論は現在有力ですが、試験対策としては、書きづらいかも知れません。
また、受験界では正しく理解していないものが多いので(根拠とのつながり、および、適性手続き違反
の場合の自動排除)、激しく批判的に検討した方がよいと思います。余談ですが、京大の鈴木先生は、
排除法則を317条の要請と捉えておられるようです。
235 :
30:03/12/25 11:36 ID:???
理解のためのおまけです。
排除法則についてはアメリカ流のアプローチについて若干書きましたが、ドイツ流の
ものもあります。違法の波及効の話です。
昔は、訴訟行為はユニットごとに考えられて、個々の違法は後のユニットには影響し
ないとみられていました(團藤先生などの考えの基本はこうだと理解しています)。
しかし、訴訟行為論の研究が進むと共に、「違法の波及効」という形で、瑕疵の後の
行為への影響を肯定するようになってきました。この理論を排除法則に相当するもの
として紹介されたのが、光藤先生の『刑事訴訟行為論』でしたでしょうか。ただ、
こうなると、どこまで影響するかが問題となりますね。で、アメリカの「毒樹の果実」
の理論をもってきて紹介されました。
このようにドイツの話とアメリカの話が、いろんな学者によって、錯綜して紹介され
たのが、議論の混乱の原因だと思われます。なお、ヴィグモアは排除法則を否定して
いました。これが伝統的理論というやつです。全くの余談です。
以上、ものすごく大雑把ですが、方向性を示したつもりです。
あと、検討すべき場面としては、答練で頻出の、私人による収集、の話があります。
排除の根拠との繋がりが重要ですよね。
さらに、判例としては、すでに皆さんご承知でしょうが、S53(大阪覚せい剤事件)
およびS61(同一目的、同一利用の基準。かなり重視されていますよね。)に加えて、
H15の判例(令状主義の精神を没却する重大な違法があり)ですか。
早速、今年の学者答練でも出ていますね。
冷シャブさんのいうように、法教264P116の表はよくできています。
このあたりは念のために書いただけです。
ではまた。
>>234 >ちょっと、繋がりがよく分かりません。
自分でも分かってないです。
目標とするところは、規範を判例のにして、根拠を憲法から直接導き出す形を
とりたいんですわ。
判例の場合は刑訴法の解釈論の過程で憲法理念を埋め込むという
間接適用の形をとっていると思うのですが、
それだと強行法規性の強い憲法規定をないがしろにする感があって
どうも好きになれないんですよね。
予備校の答案は判文のコピペでお茶を濁しているものばかりで
趣旨からの論証とはほど遠いし、
実務本は判例以外にほとんど触れてないし。。。
(こういうところにこだわっているとベテになるのかな・・・
238 :
30:03/12/25 19:54 ID:???
>>236 >目標とするところは、規範を判例のにして、根拠を憲法から直接導き出す形をとりたいんですわ。
>判例の場合は刑訴法の解釈論の過程で憲法理念を埋め込むという間接適用の形をとっていると思う
>のですが、それだと強行法規性の強い憲法規定をないがしろにする感があってどうも好きになれ
>ないんですよね。
判例を憲法学の視点で引き直してみれば、間接適用の形になりますよね。あくまで憲法とは切り離さ
れた、「刑事訴訟法上の」証拠法則にすぎませんから。(このような感じの分析は、カトシン風味が
しますね。w)
もし憲法規定を強行法規的に使うのであれば、渥美先生などの規範説(井上先生の相対的排除論の
うちで、適正手続き違反の場合などもそうなるのでしょうが。)に帰着しそうです。
で、ここからは、あくまでも私の推測ですが。。。
ご存知のように、この時期には、判例による法創造がなされています(S55の強制採尿とか。田宮
先生がよくおっしゃっていました)。ただ、やはり「法創造の限界」を認識していたのではないで
しょうか。さすがに排除法則は、文言との関係から、憲法規範に読み込むことができないと認識して
いたのでしょう。また、刑事訴訟法上の明文がない以上、法創造をするにしても、刑事訴訟法レベル
に留めたかったと。こんな感じではないでしょうかねえ。う〜ん。答えになっていない気もしますが。
とりあえずは、この辺で。
>>238 まあそんなところでしょうね。
判例・実務は明確性や具体的な正当性の側面からなるべく条文を求めますからね。
例えば、前にやったかすがい現象でも、前田は平気で量刑から条文を越えますけど、
判例は立ち止まっていますし。
手形の転得者にしても学説は平気で動的安全から条文を越えますけど、
判例は直接の第三者でとどまりますからね。
めずらしく法人格否認の法理みたいな規範的な法理をうち立てていると思ったら、
裏で大隅・松田判事が関わっていたというオチがありますし。
受験上も実務寄りの方が楽といえば楽なんですが、、、
240 :
外野手:03/12/26 02:07 ID:???
>>230-231 >規範を判例のにして、根拠を憲法から直接導き出す形をとりたいんですわ。
うーん、そう仰られるとコメントしにくいw
私は@Aを理由付けにもってきて、そのまま規範として使うという、
陳腐な論証でお茶を濁しています・・・理由付けではそんなに差が付かないのではないかとの
思いもありますので。しかしH15判例の分析は必須ですな。
まず、@重大な違法A違法捜査の抑制の要件を重畳的に考えるのかどうかをまとめておきたいです。
また、H15の判例は初めて派生証拠の判断をしたものでもあるので、小問2が重要だと思われます。
因果性の程度、二次証拠の重要性、事件の重大性等を衡量して決すべきとする見解を軸にして
考えようと思っています。
しかし、証拠法も時間かかるな。
241 :
外野手:03/12/26 02:21 ID:???
【安冨演習講義・刑事訴訟法32】《自白の証拠能力と証明手続》
第1.1.黙秘権を告知せず、逮捕されている被疑者を取り調べた場合の自白に証拠能力が認められるか
自白の証拠能力をいかなる判断基準で解するかをまず検討する。
(1)ア まず自白の証拠能力は憲法38条2項により制限され、これを受け319条1項が規定されている。
右規定は虚偽排除と人権擁護の両方を根拠とするものである。(任意性説)
なぜなら、強制、拷問、脅迫などに基づく自白は、虚偽のおそれがあることから、
誤判防止のために排除する必要があり、
また、虚偽でなくとも、供述の自由を中心とする被告人の人権を保障するために
任意性のない自白も排除するべきだからである。
イ また、不任意とは言えない自白であっても、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、
証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合には、
自白の証拠能力は否定されるべきものと解する。(理由付けは省略・陳腐なやつねw
以上を要するに、自白の証拠能力については、
@任意性(319条1項)とA一般的な違法収集証拠の排除法則とを併用して判断すべきである。
(2) 被疑者の黙秘権は189条1項により保障される
→黙秘権が憲法上の権利である以上、この権利の存在を知る権利も憲法上のもの
→黙秘権告知も憲法上保障される(憲法38条1項)
(3)本問についてみれば・・・※1
2. 被疑者から弁護人の立会要求があったのに、これを無視して取り調べた場合の自白
被疑者に弁護人の立会を要求する権利はないと解する。
なぜなら、そもそも立会権を認める規定は存在しないし、
捜査機関の行う捜査処分一般に弁護人の立会権を保証していない(222条は113条、142条を準用せず)からである。
また、弁護人の立会権を認めると、捜査機関に認められた被疑者の取調べを過度に制約することとになり、
捜査の目的を達し得ないともいえる。
とすれば、被疑者から弁護人の立会要求があったのに、
これを無視して取調べをしたとしても、なんら違法とは言えない。
→したがって、Aにあてはめ・・・、@に問題がなければ、証拠能力肯定
242 :
外野手:03/12/26 02:22 ID:???
3. 反復自白
黙秘権、弁護権の侵害→重大な違法→証拠能力なし
反復自白については毒樹の果実論※2
→因果性の程度、第二自白の重要性、事件の重大性等を衡量して考える
→司法警察員と検察官は同じ捜査機関であり、被疑者には区別がつかない
身柄拘束場所は検察官送致後も警察の留置場である場合が多い
→司法警察員の取調べにおける違法と第二自白との因果性は強い
→証拠能力がない方向かな(他の事情が不明
第2.自白の任意性の存否についての証明手続は自由な証明で足りるか
1.317条は「事実の認定は証拠による」として証拠裁判主義を規定する。
これは、一定の「事実」については、厳格な証明すなわち、証拠能力のある証拠によって、
適式な証拠調べを経た証明によらなければならないことを意味する。
そして、ここでいう「事実」とは、刑罰権の存否及び範囲を画する事実をいうと解する。
刑罰権の存否及び範囲を画する事実が確定されてはじめて刑罰権が発動する以上、
これらの事実の認定は適正に行われるべきだからである。
以上より、刑罰権の存否及び範囲を画する事実については厳格な証明が要求され、
それ以外については、原則として、自由な証明すなわち、厳格な証明を要しない証明で足りると解する。
2.とすれば、自白の任意性の存否についての事実は訴訟法的事実であり、
原則として、自由な証明で足りるのが原則である。
しかし、自白の任意性に関する事実は刑罰権の存否の認定に重大な影響を与えることが多く、
被告人に争う機会を十分に与えないと、適正な事実認定が行われないおそれがある。
そこで、任意性の存否についての証明手続には厳格な証明が要求されると解するべきであり、
自由な証明では足りない。※3
※1:ここで仮に憲法上の権利としてしまうと、自説からは即違法排除となってしまいそう。
やめといた方がいいかな。
※2:自説からするとこういう流れでいいかなと考えた。
※3:問われていることに答える形で最低限にしてみた。
>>241-242 >→黙秘権が憲法上の権利である以上、この権利の存在を知る権利も憲法上のもの
>→黙秘権告知も憲法上保障される(憲法38条1項)
ここはちょっと・・・
基本的に被疑者・被告人側の権利としてみていく方向のものと、
捜査機関側の義務としてみていく方向のものにわけられると思うのですが、
ここは義務の話じゃないですかね。
そうすれば令状主義の潜脱と同じように、違法性が重大でない場合に
排除しない余地が容易に出てくると思います。
逆パターンでは、取調べの権利という形でのみ理解するのか、
取調受認義務まで認めるのかという議論に重なってくるでしょう。
つまり法的性質として彼我を区別する思考が有効なのではないかと思うわけですわ。
小問2の厳格な証明の話は半分に縮めても良さそうです。
【安冨演習講義・刑事訴訟法36】《証明力を争う証拠》
第1 1
本問における供述調書は伝聞証拠と認められるところ、
同一人たる証人W1の供述の証明力を争うため328条に基づいて
採用可能かというものである。
文言上は採用可能ともいえるが(*1)、
私は法が伝聞証拠を原則として排除した趣旨を踏まえて詳細に検討すべきと考える。
即ち、伝聞証拠は類型的に誤りが混入しやすいことから原則として排除している
趣旨からすれば、たとえ証明力を争う目的であっても事実上、
裁判所の心証形成に影響する蓋然性があり、この弊害を除いて
限定的に採用するならば、供述の証明力を減殺する方向でのみ用いるべきと考える。
これについて、・・・・・・可。
第2 2
同様に上記の観点から考えると、
別人たるW2の供述を用いることは証明力の増強につながりかねず、
否定すべきである。(あてはめでもうちょい引き延ばし。
第3 3
328条は供述証書を作成した時期を限っておらず、
上記と同様に伝聞証拠の排除法則及び公開主義・口頭主義・直接主義に
価値を見いだす公判中心主義の観点から解釈すべきである。
前者からは供述の証明力を減殺する方向でのみ用いることが
できるが、後者からは再度、公判廷で証人から供述を得るのが
原則といえ、死亡等の物理的に出廷が不可能な場合を除いて
採用されないとすべきである。
*1:反対説批判などやっている時間はない。
(余談)
あ〜最近調子悪い。脳が動きが悪すぎる。バイオリズムの谷だな。
245 :
氏名黙秘:03/12/27 12:36 ID:zUZ4QwEC
分析と展開(民法)を読んでいるのですが、以下の方法でいいでしょうか?
使用方法について、なにかポイントがあれば教えてください。
問題文を読む→なにも見ずに答案構成→答え合わせ→間違っていた
ところを検討→もう一度問題検討
>>245 漏れの私見ですけど、分展は問題があまり練れてないですし、
近年の事案分析に重きを置く傾向からずれているので、
答案構成に重きをおかない方が良いと思います。
むしろサブテキスト的な使い方で学説の争点や判例分析の種本として
使うのが良いかも知れません。
あの本は問題はいまいちですが、解説は抜群に優れているので
じっくり読み込んで損はないと思います。
(問題も本試験のような考えさせるものに変われば、
民法の演習書の中では他の追随を許さない名著中の名著に変貌するだろう。
その際は、暗記より
「どの要件」が「なんで問題になるのか」という点を中心に
頭に焼き付けて、あわせて判例や貞友ライブ本を読み込んでバランス感覚を
身につけていくのが効率的と思います。
なお、過去問の射程と見比べてみたところ、
〔分析〕部分はほぼ100%の理解が必要と思いますが、
〔展開〕部分はマニアックな論点が多いので
頭の体操レベルに留めて置いた方が無難なようです。
ではお勧めの民法演習書はどれでしょうか?
>>547 過去問はおくとすると、基礎演習と民法の底力だと思う。
平野は最近、重箱の隅をつつきすぎ。
■法曹への民法ゼミナールT[総則・物権]
■法曹への民法ゼミナールU[債 権]
明治大学教授 平野 裕之著
各A5判・各本体価格2200円+税
発売中!
これですか?>248
250 :
30:03/12/27 14:34 ID:???
>>241>>243 >1.について
被疑者への黙秘権の告知については、法198条2項ですね。そして、判例は、
最判昭25・11・21刑集4・11・2359です。
これは、黙秘権の告知は憲法上の要請ではないから、事前に告知しないでも任意性
に欠けることはない、とするものです。手続き上の軽微な違反と理解しているのか
どうかは分かりません。
ただ、この判例はかなり古いので、今後、変更される可能性もないわけではないと
思います。また、自白法則についての違法排除説からは、「任意」性が欠ける可能
性もあるでしょう。
冷シャブさんの議論についてですが、
>基本的に被疑者・被告人側の権利としてみていく方向のものと、
>捜査機関側の義務としてみていく方向のものにわけられると思うのですが、
>ここは義務の話じゃないですかね。(中略)
>逆パターンでは、取調べの権利という形でのみ理解するのか、
>取調受認義務まで認めるのかという議論に重なってくるでしょう。
>つまり法的性質として彼我を区別する思考が有効なのではないかと思うわけですわ。
わたくしは、黙秘権が「本体的」権利だとすれば、告知は「派生的な」権利であると
思います。これは、実はタネを明かすと、ミランダ告知違反についての合衆国最高裁
の立場だったりします。ドゥオーキンの話をベースにしているようにも思います。
ですから、告知違反は、「事情の総合説」(任意性説)で処理してます。これは法律
になっています。全くの余談です。
251 :
30:03/12/27 14:35 ID:???
>2.について
弁護人依頼権との関係がちょっと明確ではないように思いました。ミランダの会とか
渡辺先生の立場もありますから。どうしますか。
なお、反覆自白はこの程度でよいかと思います。
あと、訂正ラッシュ。
>>228は間違い。
>>227でよかった。田口先生の特殊性は『ポリグラフ』です。
>>235のS61判例は、同一目的、『直接』利用です。
余談。
>>239 そうですね。実はS40年代って最高裁における「民事法の革命」
だったのかも知れません。
とりあえず、ここまで。
252 :
245:03/12/27 16:20 ID:zUZ4QwEC
>>246 レスありがとうございます。
最近の出題傾向にあわせた演習書を選択せよとのご助言、
参考になしました。
>>249 それは読んでないですが、受験新報の誌上答連とか日練の問題のことです。
一定程度の突っ込んだ問題は確かに思考のトレーニングには良いのですが、
最近ちょっと方向性がずれているように感じるんですわ。
個人的には関西系の学者が演習書を出してくれるとありがたいんですが、
まあその前に受かりたいですね。
254 :
外野手:03/12/27 21:40 ID:???
>>244 >あ〜最近調子悪い。脳が動きが悪すぎる。バイオリズムの谷だな。
確かに構成にいつものキレがないような気がしますな。たまには休んだら如何ですか。
小問2、3に問題提起がないので流れが掴みにくいです。
「証明力を争うため」の証拠の範囲の問題と「供述の証明力を争う」の意味の問題が
ごっちゃに書かれているのはどうかと思います。分けて論じた方がいいのでは。
255 :
外野手:03/12/27 21:43 ID:???
【新実例刑訴3-50】《刑訴法326条の同意》
1.刑訴法326条の同意の意義は、反対尋問権の放棄でなく、証拠能力を付与することであると解する。
@現行法が当事者主義を基調とする以上、当事者には訴訟行為を処分する権限があるといえる。
とすれば、証拠能力に関しても、当事者は一定の処分権限を持つというべきだからである。
Aまた、刑訴法326条1項は文理上、被告人の供述調書(322条)についても同意がありうるとしていることが明らかであり、
刑訴法326条の意義を反対尋問権の放棄と捉えるのは無理がある。
Bこのように解することは、明文の「検察官及び被告人が証拠とすることに同意した」という文理にも一致
すなわち、右条項が同意をなし得る場合について特に限定を付していないことからすると、
当事者の処分権を肯定したものと解するのが自然。
Cさらに、判例が、同意のあったポリグラフ検査結果回答書の証拠能力を肯定しているのも、
刑訴法326条の同意に証拠能力付与の効果を認めたものと考えられる。
2.違法収集証拠について、同意がなされた場合、その違法収集証拠の証拠能力に影響はあるか。
前提として違法収集証拠に証拠能力が認められるかが問題
違法収集証拠排除法則の論証(略・司法の廉潔性の方を意識して→認められない。
そして、そもそも同意の意義は前述したごとく、当事者の処分権を認めるもの。
→とすれば、被告人の同意によって処分可能な、被告人本人の権利・利益に関する場合や
軽微な違法の場合ならともかく、司法の廉潔性を害するような重大な違法が問題となる場合には、
当事者の処分は許されない
→以上により、原則として違法収集証拠についての同意がなされた場合、
その違法収集証拠に証拠能力が認められるという影響を与えると解するが、
司法の廉潔性を害するような重大な違法が問題となる場合には、なんら影響は与えないと解するべきである。
本試験では1.のような問い方はされないだろうけど、一応長めに書いてみた。
2.についてはまぁ現場で書きやすいのは、趣旨から考えて重大な違法の場合には×という
流れかなと考えた。あんまりひねっても時間がかかるだけかなと。最近突っ込み過ぎて疲れてる。
刑法各論の予定
【現代刑事法53-論点講座刑法1回】《危険運転致死傷罪と危険の引受》
【受験新報618-C刑法】《監禁致傷罪・強姦致傷罪・窃盗罪・器物損壊罪》
【佐久間演習講義刑法各論10】《死者の占有と住居侵入罪の数》
【木村演習刑法2-8講】《詐欺罪における損害》
【受験新報612-C刑法】《二重譲渡と横領罪・買戻しと横領罪》
【川端集中講義刑法各論11講】《二重売買・二重抵当と横領罪・背任罪》
【川端集中講義刑法各論13講】《事後強盗罪の問題点》
【川端集中講義刑法各論15講】《毀棄罪》
【川端集中講義刑法各論20講】《業務妨害罪・監禁罪》
【川端集中講義刑法各論27講】《常習賭博罪》
【木村演習刑法2-13講】《放火罪の客体と焼損概念》
【木村演習刑法2-17講】《公務執行妨害罪と職務の要保護性》
【法学教室270-2】《証拠偽造教唆罪・偽証教唆罪》
【木村演習2-19】《賄賂罪》
257 :
30:03/12/28 14:07 ID:???
>>244 外野手さんの
>>254に概ね同意。
残念ながら、構成から問題文が推測できませんでした。ある人に教わったのですが、
答案あるいは答案構成だけから、その問題文が推測できるようなものが、良い構成
なのだそうです。構成自体が簡潔でも骨組みがしっかりしていれば、問題文が分かる
らしいです。以前、感心したことでしたので、ちょっと書いてみました。
>>255 なるほど。証拠能力付与説と排除法則のセットというのはおもしろい。考えさせら
れました。この筋でも準備します。
>2.についてですが、証拠能力付与説から筋を通すと証拠能力を肯定できそうなので、
原則・例外パターンに持ち込めそうですね。そうすると、議論の緻密さは失われる
かもしれませんが、すっきりするかもしれません。
とりあえず、このあたりです。
>>254 本質的争点は同じなんで、省略したんですが、やっぱ本番は書いた方がいいかも知れませんね。
疲れたときは、丸1日勉強しないと復活しますね。
ただ、漏れの場合、通風みたいなもんで、秋になると脳の動きが鈍るんですわ。
これはガキの頃からまったく変わってないです。
【新実例刑訴3-53】《証拠の関連性》
1.設問前段
本問においてPの証拠調べ請求自体は適法と考えられるので、
Bの異議は規則190条による証拠決定に際しての意見と認められ、
Cとしては採用に値する関連性をもつ証拠かどうか検討すべきである。
この際、裁判所としては、
@事実の推認力を高めたり低めたりする属性の有無たる自然的関連性と、
A事実認定を誤らせるなど訴訟上の不都合の有無たる法律的関連性の2点から
判断することになる。ただ、Bの異議意見は抽象的であり、
Cとしてはまず釈明によりBの意図を明らかにすべきである。
以上の点を検討し、
関連性あり
→採用決定
関連性なし
→却下 (*1)
2.設問後段
(田宮、光藤、安冨演習講義、椎橋基本問題及び過去問との対照において、
受験上の射程を超えていると判断し、省略。出ても漏れを叩くなよ>関係各位)
*1:ここは受験上深入りする必要はにゃーな。
VTRはでちまったから、余罪と量刑(S60@)、前科(百66)の対策ぐらいか。。。
口述に出てないところから察すれば、格付けは若干低めだな。
これは解釈上の問題というより、実務における運用の妥当性を考えさせるものだろう。
どちらかといえば、合格後に復習したい問題。
>>255 これは単なる実務家をターゲットに据えた戦術なんですが、
排除法則について「司法の廉潔性の維持」:「違法捜査の抑止」
=6:4ぐらいのニュアンスで書く方が良いかも知れませんね。
潔癖性を捨てて、実利的効果に重きを置く判例に妥協できるなら
4:6で書くと学説と判例の中庸がとれそうです。
それにこの方が柔軟性が増すので、あてはめでボーナス点がねらえます。
(憲法の審査基準で判例に日和るときの技ですね。
前に30氏が述べたことを参考に法解釈としての妥当性ではなく、
試験戦略型に再考してみました。
261 :
外野手:03/12/30 23:11 ID:???
>>258 俺は3月くらいに大きな谷が来る傾向があるので気を付けないと。
谷を小さくする術が大事ですな。
>>259 >これは解釈上の問題というより、実務における運用の妥当性を考えさせるものだろう。
ちーとまんまでは出にくい問題ですね。出そうなとこをかすめてはいますが。
とはいえ、読んでて面白い解説でした。構成は簡略なので特に言うことはありません。
>受験上の射程を超えていると判断し、省略。出ても漏れを叩くなよ>関係各位)
関係者の1人であるわたくし外野手としても、省略してます。
デモデタラタタクヨ
262 :
外野手:03/12/30 23:53 ID:???
【安冨演習講義・刑事訴訟法40】《裁判の効力》
1.(1)裁判所はどのような裁判をすべきか
形式裁判たる公訴棄却の決定(339条4号)に一事不再理効は生じない。
もっとも、後訴に対する拘束力は生じる。
とすれば、再訴は許されない→公訴棄却?
(2)この点確かに、死亡の事実について拘束力→前訴の判断に拘束され、公訴棄却とも思える。
しかし、本問のように死亡を偽装することによって処罰を回避することを認めるのは、
真実発見の要請に反する(1条)
思うに、そもそも拘束力は後訴における真実主義の保障と被告人の法的安定性の保障との
比較衡量から、被告人の法的安定の保障を重視すべき場合に認めるべきである。
すわなち、被告人の法的安定を保障するには訴追側に矛盾行為の禁止が要求され、
ひとたび被告人に利益な判断がなされた場合は、
訴追側はこれと矛盾する主張はなしえず、結果的に、裁判所を矛盾した判断をなしえなくなる。
その反面、被告人側にもある種の禁反言が要求され、被告人には拘束力を要求する資格が必要である。
(3)とすれば、本問のような公訴棄却を受けた被告人本人が自分の死亡を偽装工作したような場合に
もはや拘束力を要求する資格が欠けているというべき。
したがって、拘束力は生じない
(4)以上より、再訴可能であり、裁判所は実体裁判をすべき。
2.(1)裁判所はどのような裁判をすべきか。
本問では、同一被告人の別事件に対する拘束が問題である。
(2)前述のように、被告人の法的安定性の保障を重視
→前訴の有罪判決の拘束力を認められ 前訴を再審手続で破棄しない限り、
犯人隠避罪で起訴することは許されない
→裁判所は公訴棄却の判決を言い渡すべき。
1.:形式裁判の内容的確定力の効果として、同一判断の繰り返しか、再訴を遮断するか
という点については省いてみたけど、必要かな。
2.は過去問と類似するが、一事不再理効を書くべきですかね?どうもよくわからない。ご教授願いたい。
一事不再理効が気になって仕方がないが、どうもしっくりいかないねぇ。むー。
みんなどれくらい詰めてるんだろうか。もう少し時間掛かるな。
263 :
30:03/12/31 19:57 ID:???
こんにちは。今年、最後のカキコです。
>>259 問いへの答え方の勉強になる問題のような気がしました。参考になります。
新実例刑訴は本試験前にもう一度、自分で見ておくつもりです。
>>262 まず、この構成の全体を読んでの感想ですが、
1については、田口説をベースにしているように感じられました。難しい説ですが、きちんと
書かれていると思います。これに対して、2については、田口先生とは違っているように思え
ました。また、註の中の用語についても、別の立場の用語があるような気がしました。
で、私の見方なんですが、
裁判の効力については、次のような基本方針を立てています。
1 単一の説から書くこと。この際、他の学者の用語を『混ぜない』。
2 他説については言及しないこと。
これは、予備校レベルの採点では、スルーされかねないミスであっても、学者などの専門家が
みれば、致命的と考えられかねないものが、特にこの分野に多いからです。
推測にすぎませんが、合格者レベルの人でも、おそらく学者の目から見てきちんと書ける人は
ごく少数だと思います。ほとんどが自滅すると思います。それも自滅を意識することなく。。。
学説選択として、田口説(禁反言という説明)はそれなりにリスクを負っているとは思います
が、正確に書けば、通用すると思います。
とりあえず書けるのは、こんなところです。
みなさん、よいお年をお迎え下さい。
新年にまたここでお会いしましょう。
【現代刑事法53-論点講座刑法1回】《危険運転致死傷罪と危険の引受》
1.Cの死亡結果についてのABの罪責
Cの死亡結果は、A及びBによるいわゆる「チキンゲーム」における自動車を「走行」させた
行為によるものであり、危険運転致死罪(刑208条の2)の成否を検討する。(*1)
(1)Aについて
(ア)まず、Aは「ほろ酔い」程度であったことから、
同罪における「アルコール・・・・・・の影響により正常な運転が困難な状態」(1項前段)と
いえるか問題となるが、量刑の点からいってもいわゆる酩酊状態以上を予定されていると
解され(*2)、この要件は否定すべきである。同様に、「その進行を制御する技能を
有しない」(1項後段)ともいえず、この要件も否定される。(*3)
では、「その進行を制御することが困難な高速度」とはいえないだろうか。
これについて本件をみると、時速40`メートルと法定速度による走行であることから、
当てはまらないようにも思えるが、Aの前方500bからBが対向して走行している
状況下においては客観的に正面衝突の危険が差し迫っているものであり、
本要件を充足すると認められる。
よって、Aは危険運転致死罪の構成要件に該当する。
(イ)次に、本罪は責任要件として危険運転の故意及び致死の結果に対する
過失を必要とするとするところ(判例は後者を不要とす)、故意については
ほろ酔いながらも対向するB車の存在を認識しつつ運転しており、
危険運転ついての少なくとも未必の故意は認められ、
致死結果についての過失も公道上であることから肯定できる。*4
(ウ)よって、Aに危険運転致死傷罪が成立する。
(2)Bについて
(ア)Bについては泥酔状態による運転をしていることから、
「アルコール・・・・・・の影響により正常な運転が困難な状態」(1項前段)と
いえ、危険運転致死罪の構成要件に該当する。
(イ)しかし、Bは行為時に泥酔という心神喪失状態であり、責任を阻却しないか
問題となる(39条1項)も、原因において自由な行為の理論をもって
原因行為時に責任能力を有することから阻却しないと解する。*5
(ウ)よって、Bに危険運転致死傷罪が成立する。
(3)なお、ABは意思を通じて実行行為たる上記運転を開始しており、
共同正犯を認めうる(60条)。(頭にもっていった方がいいかな。
2.A及びBの傷害結果についてのAの罪責
(1)A及びBの傷害結果はA・B両者の危険運転行為によるものであり、
危険運転致傷罪(208条の2)の成否を検討する(共同正犯)。
まずAの傷害結果については自己犠牲であることから構成要件に該当しない。
Bの傷害結果については構成要件該当性を認めるものの、
互いにゲーム内容を理解していることから、危険の引受があったとみて
不可罰とならないか問題となる。
これについては違法性について法益侵害ないしはその危険と解する自説からは
法益主体たる被害者の同意をもって違法性が阻却されるというべきであるが、
本件は傷害という法益侵害結果まで認識して同意しているわけではないので
違法性を阻却するまでには至らないと考える。*6
(2)よって危険運転致傷罪が成立する。
3.A及びBの傷害結果についてのBの罪責
Bの罪責もAと同様の処理により、危険運転致傷罪の成立を認める。
4.まとめ
以上から、AについてはCの死亡結果につき危険運転致死罪(208条の2)、
Bの傷害結果につき危険運転致傷罪(208条の2)が成立し(共同正犯)、
観念的競合となる(54条1項)。
BについてはCの死亡結果につき危険運転致死罪(208条の2)、
Aの傷害結果につき危険運転致傷罪(208条の2)が成立し(共同正犯)、
観念的競合となる(54条1項)。
*1:掲げる罪名は解説のように細かくする必要があるのだろうか。
*2:要検討。求む資料。
*3:実践答案化にはここを省く。
*4:ここは関連性が薄いので、時間がなければ、責任主義に目をつぶり
過失不要として論じてもよかろう。
*5:時間的にはこれが限界。
引き延ばすとすると、「即ち、本理論は原因行為時の責任能力を用いるとともに、
法益侵害結果の発生する確実性と認識をもって限定するものであり、
本件においてBの飲酒時は後に自動車に乗ることを認識していたのであるから、
酩酊運転の故意は肯定される」。
*6:結果無価値的視点からは、スポーツや族の行為(チキンやゼロヨン)、
カルトな行為(SMやパナウェーブの傷害事件)で質的区別をつけるべきか
考えておかないといけないだろう。特に未遂の場合にどうするか。
このあたりに山口と佐伯(仁)、前田の視点の違いが見られると思われる。
ここは今年の論文にはさすがに出ないと思うが、
真岡のひき逃げ事件(注8参照)についての宇都宮地検の対応に対する署名運動が起きており、
訴因変更やPの裁量とのからみで口述にでるかもしれない。
なお、今月控訴審判決が出ている(東京高裁12月11日)
本問は木村演習T-12と似ているが、事案が複雑な本問の方が面白いと思って選んだ。
この連載は本試験用の事案分析のトレーニングに良いかも知れない。
>>262 ここは被告人の確定(
>>208)とあわせてH13の口述4日目に出ていて、
質問事項を読んでいたらビビッたので選んでみました。(扉2002年P384以下)
ただ、よく読んでみたら、論点が違ってましたね。
で、ここからはかなりの部分を推論で書きますので、激しく烈しく批判的に読んでください。
小問1
まず大阪地判S49・5・2(教材192)が形式裁判との一事でをもって【原則として】
再起訴は妨げられないとしている点について批判すべきは変わらないと思います。
(まあ昭和40年代ぐらいまでの裁判例にありがちな形式的に整合性がとれていれば
実質的利益衡量をいちいち述べる必要はなかろうという雰囲気のものでしょうが。
そのあと、@判例寄りに近づけるか近づけないか、A近づけるとしてどういう理論構成でいくか
という二点で差が出てくるものと思われます。
@については一切妥協しないものとして田宮・能勢・松本・白取が挙げられますが、
おそらくこれは条文+人権保障型ですんなりもっていったものでしょう。
別の見方をすると、実質的当事者主義を堅持するのか、司法を愚弄した被告人に対しては
下駄を外し形式的当事者主義に近づけるのか、という利益衡量が影響してるように思えます。
そうしますと、Aについては、形式的当事者主義に近づき、民訴の自白の撤回などの
思考方法が応用できますので、上記の下駄分がPに要求された禁反言と考えれば、
「下駄を外す=Pに禁反言を要求しない」ことで落ち着くように思います。
(学説の大勢としてはこれですかね?
他方、テキスト引用の大コンの方は、英米法的発想をとらず実質的な利益衡量で
限定的に実質的当事者主義を砕いたように思います。
(背景として職権主義的雰囲気が強めかも?
出たとして、理論もしくは哲学的背景に整合性がなくても、周りが自滅するので
思考形式がしっかりしていれば大丈夫かと思います。
小問2
別事件なので一事不再理効はいらんでしょう。
最後にヤマハリですが、
小問1は1行問題時代に関連して出ているだけですが、
百選100と関連して、訴因の特定から公訴時効の停止(前スレ565)とセットで
くる形も考えられますね。
小問2については、口述問題に鑑みれば、
以下のように前訴の扱いを一通り押さえておく必要がありそうです。
(口述再現を読むと、条文を挙げられない受験生に主査は少々不機嫌な様子。
網羅的に条文を挙げさせる可能性があるかと。
@事実審審理途中(控訴につき382条)→Pの無罪論告(実務)・無罪判決
A控訴審判決後→411条3号(上告)・無罪判決
B確定後→435条6号(再審)・無罪判決
↑口述絡みはこんな感じで扱いましょう。
270 :
外野手:04/01/01 23:41 ID:???
【受験新報618-C刑法】《監禁致傷罪・強姦致傷罪・窃盗罪・器物損壊罪》
1.監禁罪
(1)甲地点→乙地点まで強姦目的と認識せずに自動車に乗っていたことについて、
X、Yの行為は監禁罪(220条)に該当しないか。
監禁罪の成立に監禁の事実の認識が必要かが問題となる
→論証略→必要→本問についてみると・・・→監禁罪不成立
(2)しかし、逃走したAを再び車に押し込んだ行為は監禁罪に該当する。
そして、監禁場所から逃亡しようとして致傷の結果が生じている→監禁致傷
(3)また、XとYはそれぞれがAを姦淫するために自己の犯罪として行為しているので、
以下2.3.4の各行為を含めて、共同正犯にあたるというべきである。
(4)以上より、XYには監禁致傷罪の共同正犯(60条、221条)が成立。
2.強姦罪
隙を見て社外の逃走したAの頭部を殴打して、密室である車内に押し込んだ時点で、
強姦に至る具体的危険性が認められるので、強姦罪の実行の着手が認められる。
そして、その後Aは車外に飛び降り姦淫目的を達成していないが、
すでに姦淫の手段たるXの暴行により、また、逃走のための車外への飛び降りにより傷害を負っていることから、
X・Yには強姦致傷罪の共同正犯が成立(60条、181条、179条、177条前段)※1
271 :
外野手:04/01/01 23:41 ID:???
3.窃盗罪
Xがハンドバックの返還請求を拒絶したことは窃盗罪(235条)に該当しないか。
Xはハンドバックの内の携帯電話によりどこかに連絡されることを恐れて返還を拒絶しているので、
不当領得の意思に欠けるとも思える。そこでそもそも窃盗罪の成立に不法領得の意思が必要かが問題となる。
→論証略(利用処分意思の方ね)→必要
→本問についてみると・・・利用処分意思なし→窃盗罪は成立しない
4.器物損壊罪
損壊とは隠匿行為も含むので、Xがハンドバックを川に投げ捨て、容易に発見できなくする行為は
器物損壊罪に該当する。
したがって、X・Yに器物損壊罪の共同正犯(60条、261条)が成立する。
5.まとめ
X及びYには監禁致傷罪、強姦致傷罪、器物損壊罪の共同正犯が成立し、
前の二つの犯罪は一個の行為であるから、観念的競合(54条1項前段)
それとあとの犯罪とは併合罪(45条)となる。
特に難しい論点もないので、初UPは簡潔に。解説の通り、人で分けるより犯罪で分けた方がいいと書きやすいだろう。
本問はまだいいけど、同一人が正犯になったり従犯になったりする事例は書き方注意だな。
「俺たちはエッチしたいだけや。」っていう問題文はオリジナル?
※1:正直こうやって書くとは知らなかった。
〔余談〕このスレをご覧になっている皆さんも最後のこの一年に懸けてらっしゃることと思います。
共に頑張りましょう。タマニハコメントクレヨ
272 :
30:04/01/02 14:25 ID:???
あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。
早速、コメント。
>>262 御質問の意味を取り違えていました。2.について、一事不再理効は書かなくてよいと思います。
>>264 >Cの死亡結果は、A及びBによるいわゆる「チキンゲーム」における自動車を「走行」させた
>行為によるものであり、危険運転致死罪(刑208条の2)の成否を検討する。(*1)
完全に好みの問題ですが、『A及びB』で一括りにしてスタートするのは、あまり好きでは
ないんですよ。ここは書き方をもう少し考えてみます。
むちゃくちゃ細かい話ですが、
>これについては違法性について法益侵害ないしはその危険と解する自説からは
ですが、『ないしは』ではなく『と』でしょう。ここは平野先生門下のテキストはすべて
このようになっています。ドイツの本家では『ないし』なんですけど。昔、答案練習会で
斉藤誠二先生がおっしゃっていました。
危険の引き受けの処理は、同意なし→違法阻却せず、成立。という形ですか。違法性を阻却
する場面はありうるのですか。
全体として、構成が難しいですね。練習の素材に使えますね。
273 :
30:04/01/02 14:35 ID:???
>>270-271 よい構成だと思いました。犯罪で分ける方法でよいでしょうし、行為を時系列に沿って拾う方法でも
うまくまとまるでしょう。人で分けると難しい場面かもしれません。行為もきれいに拾っているし。
外野手さんの構成は、これくらい簡潔でもいいかも知れません。わかりやすいですし。
>本問はまだいいけど、同一人が正犯になったり従犯になったりする事例は書き方注意だな。
これは全くもって賛成。構成で決まってしまう問題の典型ですね。
あと、どこかの問題集でこの問題に似たのをやったことありませんか?
過去問にも似てるし。
とりあえずは、このあたりで。
>>272 >完全に好みの問題ですが、『A及びB』で一括りにしてスタートするのは、あまり好きでは
>ないんですよ。ここは書き方をもう少し考えてみます。
漏れも最初は主体別にしようと思ったんですが、
この事例は塀とか岸壁に向かって走る通常のチキンではなくて、
「A→←B」という対向形のチキンなんですわ。
それでセットにしないとどうにもうまく書けないんで、こうしました。
その点の事例分析の面白さもあって選びました。
なお、佐久間『現代社会と刑法』P96は壁に向けたチキンの事例を扱っています。
ただ、チキンは何となく古くなった感もありますね。
今の族はゼロヨンかローリングが旬じゃないかと思うのですが、これは走り屋の領域ですかな。
>違法性を阻却する場面はありうるのですか。
SMの裁判例(大阪高判H10・7・16、重版H10年・佐伯判解)が好例じゃないですかね。
これを傷害罪もしくは傷害致死罪の形に変えて出してくる可能性があろうかと思います。
>『ないしは』ではなく『と』でしょう。ここは平野先生門下のテキストはすべて
>このようになっています。ドイツの本家では『ないし』なんですけど。昔、答案練習会で
>斉藤誠二先生がおっしゃっていました。
ほんまでっか?ひょっとして、逆じゃないですか?
「法益の侵害あるいはその危険」(堀内P142)、
「法益を侵害ないし危険にさらすこと」(問題探求総論P46)なんですが。。。
これは未遂犯で法益侵害の危険性を【結果】と捉えることとのニュアンスの違いで
「or」が最近のトレンドのような気がするのですが、よく分かりません。
(まあこういう部分にこだわってはいかんのでしょうが。
【佐久間演習講義刑法各論10】《死者の占有と住居侵入罪の数》
1.第1にXはYを殺害する目的でY宅に侵入しており、住居侵入罪が成立する(130条)。
2.第2にXは殺意をもってYを所携のナイフで殺害しており、殺人罪が成立する(199条)。
3.第3にXは壁に埋め込まれた金庫を発見し、その中の金品を奪って逃走資金に充てようとの
意図をもってこじ開けようとしたものの、ひどく動揺していたこともあり、
「金員窃取の目的を遂げられなかったことから、@強盗未遂罪(243条、236条)が
成立するのか窃盗未遂罪(243条、235条)が成立するのか、Aあるいは不可罰か問題となる。
@については結果として見た場合、暴行又は強迫を用いて他人の財物を強取したと
評価できなくもないが、本罪は暴行・強迫行為から財物奪取行為に至るまで
財物奪取の意思に貫かれている場合を予定していると解され、死亡後に財物奪取の
意思を生じた本件はあたらない。
Aについては、「他人の財物」(235条)といえるか、すなわち死者たるYの占有が
存するかという点での違いである。これについて判例は時間的場所的接着性をもって
全体として評価し窃盗罪を構成しているが、事実上死者に占有を認めることは
不可能であり、それは法的評価においても変わることが無いと解され、
死者の占有は否定すべきである。従って、不可罰となる。
なお、占有離脱物横領罪(254条)に未遂はない。
4.第4にXは犯行から1週間後の某日、前の犯行から係属した金品奪取の意図の下、
Y宅に侵入しているが、既にYは死亡していることから住居侵入罪(130条)が
成立するのか問題となる。
この点は住居侵入罪の保護法益を各居住者の住居権と考えるのが妥当であり(新住居権説)、
既にY宅はYの死亡により住居権者が不在となっているのであるから、否定される。
5.第5に、その後用意していた道具を使って、金庫の錠を破壊したことにつき、
器物損壊罪(261条)が成立するか、すなわち所有者が死亡しているので、
「他人の物」といえるか問題となる。
これについては、本罪が所有者の財産を保護法益としていると解されるところ、
本件においては、Yの死亡により相続が開始され(民法882条)、上記金庫の錠は
Yの相続人に属することから、本罪を肯定できる。
6.第6に、更にYは錠を破壊した金庫の中にあった宝石類を奪ったことにつき、
占有離脱物横領罪(254条)が成立する。
7.以上から、住居侵入罪と殺人罪及び器物損壊罪と占有離脱物横領罪が手段・結果の関係に
あたることから、それぞれ牽連犯となり(54条1項)、両者は併合罪の関係になる(45条)。
二度目の住居侵入罪、窃盗罪を認めないと面白くない問題になってしまう。
277 :
外野手:04/01/02 21:41 ID:???
>>264-266 この問題は事案の絡まり方が本試験のようで面白いですな。
項目分けについては特に気になりませんが、(私も死亡と傷害で分けましたが)
危険運転致死傷罪の成否と危険運転についての同意で分けるとスマートなのかもしれません。
また、それぞれの自己傷害については省いてもいいかなとも。
>*1:掲げる罪名は解説のように細かくする必要があるのだろうか。
細かすぎるように思います。
>量刑の点からいってもいわゆる酩酊状態以上を予定されていると解され(*2)、
アルコールの接種が病気疲労とあいまって正常な運転が困難な場合も含むとされているようなので、
少しあやうい表現かもしれません。ただ、ここはそこまで細かい知識は要求されてないと思えますね。
278 :
外野手:04/01/02 21:50 ID:???
>>268 >>272 >周りが自滅するので思考形式がしっかりしていれば大丈夫かと思います。
そう思いながら構成してました。この問題が出たら差が出そうな気がします。
>別事件なので一事不再理効はいらんでしょう。
> 2.について、一事不再理効は書かなくてよいと思います。
と、私も思うのですが、Wの過去問集ではそっちから書いてあるんですよね。で、拘束力の話は省略だって。
前提として書くのもありかなとも思えますが、省略ってどうなのよって。
一番気になるのは白取先生が「一事不再理効の問題としても解決できる」と書いてあること。
突っ込む時間もないので流してくだされ・・・
>>277 確認のため裁判例を検索してみました。
「危険運転致傷罪」「危険運転致死罪」でいいようです。
>>270-271 確かに特に難しくもなかったですね。
こういうのは本番前にサクサク罪責を認定していく訓練用でしょうな。
>「俺たちはエッチしたいだけや。」っていう問題文はオリジナル?
ネタ元がどっかにあるんじゃないでしょうか。
281 :
30:04/01/03 21:12 ID:???
>>274 >この事例は塀とか岸壁に向かって走る通常のチキンではなくて、「A→←B」という対向形のチキン
>なんですわ。 それでセットにしないとどうにもうまく書けないんで、こうしました。
>その点の事例分析の面白さもあって選びました。
大丈夫。対向形で考えていましたよ。構成で悩んでいるところをみて、たぶんそうだと分かりましたよ。
ご配慮、感謝です。そして、書き方で勝負ですよね。自分で構成出していませんが、おそらくこの場合
でも、いずれか一方を『決め打ち』しようと考えてます。
282 :
30:04/01/03 21:13 ID:???
>>274 >ほんまでっか?ひょっとして、逆じゃないですか?
この点へのお答えですが、厳密にいうと平野門下『すべて』とまでは言い切れないのかもしれませんが、
少なくとも平野、前田先生については、『と(and)』のはずです。ちょっと古くて恐縮ですが、前田
(第1版)ですと、p.72,p.83などです(古い倉庫を探して見つかったもの。平野はあったはずなのです
が、どの箱に入れたのか忘れた。スマソ)。あと、斉藤誠二先生のものとしては、受験新報の連載で
あった「刑法の争点」のうち「いわゆる「旧過失論」と「新過失論」-概念の混乱とその整理」p.20以下
で触れられています。(ただ、これも号数の部分を複写し損ねてしまい、不完全な紹介しかできません。
重ねてスマソ)。
より厳密にいうと、最初の定義と後の定義を突き合わせてみると。。。この『と』のマジックは過失犯で
修正旧過失論を採用するところで出現します。「or」とした上で、後者を未遂と捉えると、過失の違法性
を結果無価値により基礎づけることができなくなり、構成要件のレベルを考えることができません。
そこで、『と』とされているのではないか、ということです。ただ、山口先生や堀内先生は、確か、修正
旧過失論ではなかったはずので(とはいいつつも、堀内先生の結論は完全に失念。いつか暇なときに教え
て下さい)、「or」でよいはずです。
そして、ここからはわたくしの推測ですが、『と』にしたことで、法益侵害の危険性に行為の危険性を
実質的に読み込んでしまい、それによって、未遂犯以外の多くの場面で危険性の概念を用いることが可能に
なった、と。このアイデアによって、平野先生は、刑法理論の新たな世界を開かれたのではないかと思って
います。深読みしすぎかもしれませんが。ただ、文献が余りにも不完全すぎるので、保留にして下さい。
全くの余談でした。
>>282 なるほどーーーーーーーーーーーーー!!!
確かに堀内、山口は構成要件該当性段階で故意・過失はわけないですね。
曽根の「・」が一番無難な気がしてきました。
あっしは受験戦略上の都合により、構成要件該当性で犯罪を識別するため
ここだけ変えてたんですが、思わぬ落とし穴でした。(というほどでもないか。
いや、しかし30さんが受験生だとは摩訶不思議。
284 :
外野手:04/01/03 22:42 ID:???
>>275-276 簡潔かつ正確な指摘で構成要件該当性を認めていく流れは非常に読みやすいと思います。
以下気になる点だけ。
>死亡後に財物奪取の意思を生じた本件はあたらない。
3.の部分の書き方が少し読みにくかったです。本件はあたらない、という指摘も少し曖昧かと。
>すなわち所有者が死亡しているので、「他人の物」といえるか問題となる。
上と同様に「他人の物」といえるかという問題提起に対して答える形がいいのでは。
285 :
外野手:04/01/03 22:44 ID:???
【木村演習刑法2-8講】《詐欺罪における損害》
1.甲の罪責
(1) 虚偽の汚泥処理報告書の提出で工事代金の支払を早めた行為
ア 1項詐欺罪に該当しないか。損害の有無が問題。
この点、形式に詐欺行為に基づいて財物が移転すれば損害を認める見解もある。
しかし、詐欺罪も財産罪である以上、支払をわずかな期間繰り上げただけでは
詐欺罪成立を肯定するだけの実質的な損害は認められないというべき。
そこで、社会通念上別個の支払にあたると言いうる程度の期間、支払時期を早めたといえる場合に
損害を認めるべきである。
本問についてみると・・・損害があるというべき。※1
したがって、1項詐欺罪(246条1項)が成立する。
イ 後述するように、乙には背任罪が成立することから、
甲にも背任罪の共同正犯が成立する。
(2) 乙に謝礼として金員を渡した行為
乙はを供与しているので贈賄罪(198条)が成立する。
2.乙の罪責
(1) 虚偽の検査合格書を作成する行為(略
ア 虚偽公文書作成罪(156条)
イ 1項詐欺の幇助(246条1項、62条1項)
ウ 背任罪(247条)
(2) 謝礼を受け取った行為
乙は虚偽と知りつつ書類を担当者に渡すという不正な職務行為を行い、その後100万円の謝礼を受領しているので、
加重収賄罪(197条の3第2項)が成立する。
3.解説通り
詐欺の財産上の損害については新しい判例も出ており危ないと思い選択した。
詐欺罪の因果関係については構成時に気づかなかったという意味で省略。やっぱり必要なんかな。
また、1項詐欺か2項詐欺かという点についてをもっと意識して書くべきなのかなぁ。
※1:具体的にどの程度の期間支払時期を早めれば肯定されるのかについては詰めておかないとな。
良スレ
憲法は何がいいですか?
288 :
30:04/01/04 09:52 ID:???
おはようございます。
>>278 外野手さん。これはすごく勉強になりました。ある程度、きちんと詰めておかないと、現場
で迷うところ。この疑問は、自説の確立に役立ちました。ありがとうございます。
わたくしも古いW過去問集を調べてみましたが、昭和52年度第2問(平成7年版!)では、
最初に一事不再理効があって後に既判力が書かれていますね。
この原因をさぐると、
(イ)先に既判力を書くと、一事不再理効が書けなくなり、論点が1つ減るので順番を入れ
替えた(昔はこんなことをやっていた。論点主義の弊害かも?)、
(ロ)解説者が渥美説の影響を受けており(妙に触れられている。。)、通説をよく解って
いなかった(実は渥美説もよく分かっていないような解説でした。よく分からん)、
くらいでしょうか。(イ)が原因だと思いますけど。で、その後の改訂で、既判力の部分が
省略されたのではないでしょうか。
白取先生のコメントのように一事不再理効の問題としても解決できるとは思いますが、一定
の立場に立つことが前提かも知れません。まだ説明が煮詰まっていないので、意見を公表で
きませんが。
とにかく裁判の効力は、学説が百花繚乱で難しい。他説はよく分かりません。概念が違うし、
その『概念の位置付け』が違うので、同じ言葉でも違うし、同じことの説明が違ってくるの
だと思います。中途半端なことを書くと
>>263のコースになる見本のような気がしました。
田宮一本で行きます。
289 :
30:04/01/04 10:54 ID:???
わたくしの刑法各論の論文スタイルは、行為を拾って、構成要件を1つ1つ、ちくちく
と検討していくものです。論点はあまり書きません。まあ、皆さんとあまり違いはない
のかも知れませんが。
>>275 いわゆる「死者の占有」の論点を否定すると、あまり面白くない問題になってきますね。
一定の立場からは面白くなるタイプの問題ですよね。
外野手さんのいうように(
>>284)、>3.の部分は、ちょっと再検討を要すると思います。
窃盗罪について問いが立てられていないのに「他人の財物」で窃盗罪の構成要件を検討
しているのは、マズイと思いました。
>>285 秘かな大ヤマでしたね。わたくしは、個別の構成要件について一応触れる方針ですので、
因果関係についても触れると思います。論点展開はせず、認定していく形ですが。だから、
論点を書く余裕がなくなってしまうんです。。。※1については、判例をきちんと押さえ
ておきますよ。甲の背任罪の共同正犯のところは書き方が詰まってしまうところですね。
でも、これだけのために乙から書きはじめるのもどうかと思うし。さらに身分犯の問題も
生じてくるように思いました。細部では結構、書きにくいところもあるような。。。
とりあえず、このあたりです。
>>287 あくまで私見ですが、まずは浦部事例式がいいでしょう。
出題形式は古いですが、理論上難しい部分を扱っていて
他の事例問題を考える基盤が出来ると思います。
その後は、小林演習講義か小林法曹へのゼミが妥当でしょう(なお立ち読みしただけの評価)。
これで近時の判例を事例問題として押さえることが出来ます。
あるいは受験新報の答練を2年分ぐらいコピーするのもありでしょう。
【憲法】★は最近の受験生がよく使っているもの
★芦部信喜『新版 演習憲法』(有斐閣、1988)
・・・55問。少々古いが参考書としての利用価値は高い。
○岩間昭道=戸波江二『司法試験シリーズ 憲法1・2』(日本評論社、3版、1995)
・・・入手不可。過去問、新問の混合。
○浦田賢治『演習ノート 憲法』(法学書院、3版、2000)
・・・学部試験用という色彩が強い。司法試験向きではなさそう。
★浦部法穂『事例式演習教室』(勁草書房、2版、1998)
・・・45問。設問の形式は古いが、理論的に重要な問題を扱う。
★江橋崇・戸松秀典『基礎演習 憲法』(有斐閣、1992)
・・・60問。簡潔な問題が並ぶ。難易度は標準的。
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1055413243/ ○大須賀明『争点ノート憲法』(法学書院、改訂版、1997)
○甲斐素直『憲法ゼミナール』(信山社出版、2003)
・・・一行問題っぽいものが多く、最近の傾向からは少々外れるか。
○小林孝輔『憲法演習自習セレクト50』(一粒社、1998)入手不可
★小林武『演習講義 憲法』(法学書院、1995)
○小林武『法曹への憲法ゼミナール』(法学書院、2003)
○和田英夫=清水睦『基本問題セミナー憲法』(一粒社、1989)入手不可
○「演習憲法」『法学教室』(連載中)
○「誌上答練C憲法」『受験新報』(連載中)
292 :
外野手:04/01/04 22:42 ID:???
>>287 演習本ってことでいいのかな?
冷シャブタンと同じように、浦部事例式を勧めます。
議論の根っこからときほぐして説明してるところが気に入ってる。
今までわたくし外野手が取り組んだ演習本の中では1番の評価だす。
法曹への憲法ゼミナール。学者が書いたもっとも新しい演習本だろうな。
まだつぶしてないので評価は保留。
293 :
外野手:04/01/04 22:46 ID:???
>>288 >(イ)先に既判力を書くと、一事不再理効が書けなくなり、
>論点が1つ減るので順番を入れ替えた(昔はこんなことをやっていた。論点主義の弊害かも?)、
なるほど。論点が減るという意識が過ぎるとこうなってしまいそうです。
いまだにすっきりとしない分野ですが、30氏の仰るように、最低限統一した書き方ができるようにしたいですな。
それだけでも評価されると思うので。
>>289 すっぽりと抜けてました。共犯と身分。参ったな。
「後述のように・・・背任罪が成立するが、甲には事務処理者という身分がない」
ってな感じで行きます。あんまりスマートじゃないのかな。
この問題は結構気に入ってます。
【受験新報612-C刑法】《二重譲渡と横領罪・買戻しと横領罪》
第1 (1)*1
1.XはAに土地を譲渡し代金も受け取り、Aのために移転登記義務を負うところ、
Bのために抵当権を設定し、後に代物弁済として同土地を移転していることから、
横領罪(252条)の成否を検討。
これについては@「他人の物」といえるかどうか、
A「横領した」時期が問題となる。
@:民法上は所有権の移転時期に争いあるも、
本件は代金を支払っており、既にAにあるといって良い(民法176条参照)。*2
A:抵当権設定契約時?、設定登記時(*3)?、代物弁済契約時?土地移転時期?
→客観的に判別するため不法領得の意思が確定的に外部に発現したときが妥当
→抵当権設定登記時
よって、横領罪成立。代物弁済については土地移転時期(引き渡し時期)をもって
既遂となるも、不可罰的事後行為。
2.次に、XはAのために登記移転義務を負うところ、自己の利益を図る目的で
その義務に反し、Bのために抵当権を設定し、もってAに損害を加えたことから
背任罪が成立する(247条)。しかし、本罪は横領罪に吸収される。
3.更に、XはBに詐欺罪・・・
(と解説では論じているが、省略でよかろう。
4.以上から、
第2 (2)
1.YはC所有の自動車を預かっていたところ、
Pに買戻し特約付きで売却し、後に買戻し権を行使して、
今度はQに売却をしており、横領罪(252条)の成否を検討。
まず買戻し特約付き売買による譲渡は本罪における
「横領した」といえるか問題。
→(1と同じ理由)→いえる
次にQに売却→いえる
ところで、Qへの売却は別罪となるか?
→不可罰的事後行為*4
2.次に詐欺罪・・・ *5
3.以上から、
*1:複数の罪責を論ずる場合は量刑の重い方から、
同じ量刑の場合は関連性の薄そうな刑から論じていくという手法でいいのだろうか?
要するに前者は検事の脳内を再現して、後者は論証テクとして
メインディッシュを後にもっていくというということで妥当な気がする。
*3:解説は移転登記となっているが、正確には抵当権設定登記だろう。
*4:解説読んだが、柏村見解は書けない。。。
時間がないから絶対本試験でここまで分析できない。
*5:これも異論あり。
自動車登録は土地登記に準じて考えていくべきで、
対抗要件を具備するまでは負けてもそれは予見可能であって、
(刑法的評価に値する)錯誤とはいえんだろう。
大塚の見解は、即時取得の適用がないという点を強調しすぎて
土地の二重譲渡の場合と整合性がとれていない気がする。
【もう半歩前へ】
*2:
・代金未払いの場合はどうするか考えておく必要があろう。
→損害がないから不可罰かな。
・まさか来ないとは思うが、代金が未払いで引き渡しだけ済んでいる場合も
いちおう考えておくべきか。
→まあ所有権が移転しているということでいいか。
ここはチョーオオヤマだが、来るとしたら、
確実に第二譲受人の教唆とかの共犯がらみでくるだろう。
(関連情報)
佐伯=道垣内『刑法と民法の対話』p112〜 (この本はなかなか面白い。
上嶌・判解・百54(4版)
上嶌『背任罪理解の再構成』
296 :
30:04/01/05 10:31 ID:???
おはようございます。
とりあえず分かるところだけカキコ。
>>294-295 >*2:
>・代金未払いの場合はどうするか考えておく必要があろう。
> →損害がないから不可罰かな。
未払いの場合には横領罪不成立というのが一般ですが、わたくしは、その説明として、以下のように
考えました。川端、事例式p.256以下
(イ)まず、「他人」性の解釈につき、所有権移転時期についての有償性説を採用するという方法が
あります。川端先生などがこの立場ですよね。このように考えれば、「他人の」物とはいえないので、
横領罪は否定されます。
(ロ)次に、刑法の独自性を強調し、刑罰を用いるだけの要保護性がないとして、横領罪の客体とは
ならないとする方法があります。前田先生などがそうでしょうか。
>*3:解説は移転登記となっているが、正確には抵当権設定登記だろう。
そのとおりだと思います。既遂時期については、抵当権設定登記を完了した時ですね。同p.264
>代物弁済については土地移転時期(引き渡し時期)をもって既遂となるも、不可罰的事後行為。
そうですね。Xの横領行為が既に完了しているからですよね。同p.264-265
以上の点について、川端『事例式演習教室 刑法』第39問(および第38問)を参考にしました。
あと、何か気付いたら後でカキコします。
平野の新刊良さそうですね。
>>285 これは思考方法P220と同じですね。
>(1) 虚偽の検査合格書を作成する行為(略
>ア 虚偽公文書作成罪(156条)
どうでも良い点ですが、解説の間違いに流されましたね。
問題文に乙が文書作成したことは表れてませんわ。
構成に関しては、時系列で犯罪別に並べてそれぞれ正犯から
書いていく方がシンプルじゃないですかな。
なおヤマハリですが、本件の題材となった判例が支払時期が不確定なものなので
(百選P93右下参照)、このあたりの要素をつけて攻められる可能性も
あるかと思います。あとは何らかの業界慣行が存在したとか。
(関連情報)
林・判解・現代刑事法44
木村・判解・法教258
>>297 よかったら感想を書いてください。一覧表に追加します。
>>296 >(イ)まず、「他人」性の解釈につき、所有権移転時期についての有償性説を採用するという方法が
>あります。川端先生などがこの立場ですよね。このように考えれば、「他人の」物とはいえないので、
>横領罪は否定されます。
まあこっちでしょうね。
ただ、裏事情として、譲渡人が無資力になる危険を介在させた間接損害を
念頭においているようなところもありますので、
実質理由に事実上の負担とか(対話P122下、佐伯発言参照)、
損害賠償が支払われるまでのタイムラグも考慮する必要がありそうですね。
【もう半歩前へ】法教612-C関連
刑法と民法の対話から難易度の高いパターンを拾ってみた。
A → B
↓
C
T
@A⇔B 売買契約(未払い)
AA⇔C 売買契約(支払い)
BA⇒B 登記移転
BでCに損害、横領罪成立(佐伯)。
U
@A⇔B 売買契約(支払い)
AA⇒C 売買契約(支払い)
BA⇒B 登記移転
・Bに登記を移転する意図:Aで詐欺罪(佐伯)
・Cに登記を移転するする意図あるも、
気が変わりBに移転:不可罰(佐伯)
V ABの契約が贈与だった場合:引き渡し時で所有権移転(佐伯)
以上から考えると、試験戦略としての所有権移転時期は「支払い時」に
固定化することでひとまず落ち着こう。
302 :
外野手:04/01/06 02:33 ID:???
>>294 背任罪についても検討必要ですかね。横領が否定される場合に検討すれば足りるのでは。
>・まさか来ないとは思うが、代金が未払いで引き渡しだけ済んでいる場合も
> いちおう考えておくべきか。
> →まあ所有権が移転しているということでいいか。
所有権は移転していないので横領否定→背任成立でいこうかな。
>(イ)まず、「他人」性の解釈につき、所有権移転時期についての有償性説を採用するという方法が
>あります。川端先生などがこの立場ですよね。このように考えれば、「他人の」物とはいえないので、
>横領罪は否定されます。
私は↓の構成の通り(ロ)です。西田先生もこれかと思います。
所有権移転時期についてはあんまりいじらないでいこうかと。
理論としてつらいのかもしれませんが、他人性が完全じゃないという構成ですね。
>>298 >構成に関しては、時系列で犯罪別に並べてそれぞれ正犯から
>書いていく方がシンプルじゃないですかな。
それが一番混乱しないでいいかもしれません。
303 :
外野手:04/01/06 02:34 ID:???
【川端集中講義刑法各論11講】《二重売買・二重抵当と横領罪・背任罪》
第1.小問(1)
1.Aの罪責
(1)Aが、Xに売却した土地をYに二重に譲渡した行為について横領罪(252条1項)が成立するか。
「他人の物」といえるかが問題
横領罪の保護法益は所有権であるので、保護に値する所有権の実質を備えたことが必要である。
→代金の決済が終了するか、代金の大部分の授受が終了してることが必要と解するべき。
→本問でも右のような場合であれば「他人の物」といえる
(2)「占有」しているかが問題
奪取罪の場合と異なり、事実上法律上物に対する支配力を有する場合に認められる
→Aは登記を有していることから法律上土地を「占有」しているといえる
(3) 横領罪における「占有」は、遺失物等横領罪より法定刑が重い点に鑑みて、
委託信任関係に基づくことが必要であると解されている。
そして、Aは売買契約に基づく義務として買主への登記名義移転に協力する義務を負っているので、
それまでの間登記名義を買主のために保存すべき義務があると言えるので、
Aの占有は委託信任関係に基づくものといえる。
(4)そして、AがYに対して土地を売却して移転登記をした行為は、不法領得の意思の実現する行為と言えるので、
「横領」にあたる。
(5)以上より、Aには横領罪が成立する。
2.Yの罪責
(1) YはA・X間で売買契約が締結されていた事実を知りながら土地の買い入れた行為について
盗品等有償譲受け罪(256条2項)が成立するか。
→(略・否定
(2) 横領罪の共犯が成立するか。
→単純悪意者である場合には、民法177条の「第三者」あたり、Yは有効に所有権を取得できる
→そして、YはAX間で売買契約が締結されている事実を知っているに過ぎない
→したがってYに横領罪の共犯は成立しない。
304 :
外野手:04/01/06 02:38 ID:???
第2.小問(2)
1.Bの罪責
(1)詐欺罪(略・二つの説とも書く?
(2)背任罪
そこで、背任罪の成否が問題。
ア 「他人の」事務にあたるか
確かに、抵当権の登記に協力するのは抵当権設定契約上の自己の義務とも思える
登記協力義務は、「自己の」事務ではなく、「他人の事務」にあたる。
イ 「任務に背く行為」にあたるかあるか
「任務に背く行為」とは、誠実な事務処理者としてなすべきものと法的に期待されるものに反する行為をいう。
Bは最初の抵当権者Cに対して登記に協力する義務を負うところ、登記に必要な書類等を
引き渡す前に別の抵当権を設定し、先に登記する行為は
誠実な事務処理者として法的に期待される、登記に協力する義務に反する行為といえる。
したがって、「任務に背く行為」にあたる。
ウ 「財産上の損害」があるか。
背任罪における財産上の損害は、法律的見地からではなく経済的見地において判断すべき。
とすれば、一番抵当か二番抵当かは経済的な見地からは大きな違いがある以上、
「財産上の損害」があるといえる。
エ そして、図利加害目的もある(情報不足)
オ 以上より背任罪(247条)成立
2.Dの罪責
背任罪の共犯が成立しないか。※1
身分と共犯の問題(略
結局は二重抵当をやりたいがために選択。
事例式でも抽象的な問題なので、いろいろな要素を含めて検討すべきだろう。
(2)でいえば、担保価値が十分な場合とか、すでに登記に必要な書類を渡しあった場合とか。
※1:横領とパラレルに考えるというけど、それでいいのかな。あんまり考えてなかったや。
305 :
30:04/01/06 11:33 ID:???
こんにちは。
外野手さんの深夜の投稿、ご苦労様です。
あまり無理しないで下さい。
>>303-304 わたくしの答案は、こんな感じです。ちくちく型。とりあえず、落ちない答案になるらしいので。
あと、各論でも、「罪を犯す意思」(38条1項、故意)に触れますけど。ここは好みです。
背任罪は、構成要件を1つ1つ検討できるかという実務的な能力を試すのに格好の素材ですよね。
また、非常にホットな論点であり、受験生も、ものすごく準備しています。
ただ、近時の議論として、二重抵当否定説(これは背任の論点の全体に影響が及んだ結果にすぎま
せんが。山口、探究などが詳しい)、消極的動機説(百選の今井解説参照)等が非常に有力であり、
また、財産上の損害の話等もあって、非常に悩みます。
しかし、これらは完全に無視して(といいますか、わたくしの能力では、これらを整合的に書けま
せん)、ちくちく型で書いて行くつもりです。ダメ受験生です。
背任罪の共犯は、横領とパラレルとはいっても、真正身分犯ですから、自ずと違いもあろうかと。
ここも、おまけで聞かれるのでしょうね。
あまり中身のない話を書きましたが、とりあえず、これくらいです。
ではまた。
【川端集中講義刑法各論13講】《事後強盗罪の問題点》★H13年口述3日目
第1 (1)について
1.A
(1)住居侵入罪()
(2)窃盗に着手
その後、Bと共謀の上、逮捕行為に及んだXに対し、これを防ぐため
殴る蹴るの暴行を加えており、
事後強盗罪の共同正犯が成立する(60条、238条)。
2.B
(1)BはAと共謀の上、Aの犯した窃盗に基づき
現行犯逮捕に及んだXに対し、これを防ぐべく殴る蹴るの暴行を加えているが(共同正犯)、
この行為につき事後強盗罪となるか、暴行罪となるか検討。
事後強盗罪は構成身分とみる→文言性から65条1項処理→事後強盗罪の共同正犯
第2 (2)について
(1)住居侵入罪()
(2)Cは、窃盗の実行に着手したものの既遂に至らず、逮捕に及んだ
Cに対し、これを防ぐべく模造のピストルでもって脅しており、事後強盗罪()?
本罪が予定している時間的・場所的な継続性が問題。
→Cは「泥棒、泥棒。」とのYの叫びを聞いて追ってきたのであり、
Yの逮捕行為を引き継いだものと認められるから、
犯行現場との継続性を認めて良い。
第3 (3)について
(1)住居侵入罪
(2)Dは窃盗の意図で目的物に手をかけたものの、Wに発見されて既遂にいたらず、
その後、逮捕を免れるために暴行を加えており、事後強盗未遂罪()?
そもそも実行の着手は?
→強盗罪と同じく財産犯にて窃盗を基準にすべき
第4 (4)について
(1)住居侵入罪()
(2)Eは窃盗の意図の下、人に見つかったら脅すためナイフや拳銃を所持していたものであり、
事後強盗予備罪()?
条文位置からは事後強盗罪に予備は予定されて無いともいえるが、
法益保護の観点からは強盗未遂と同様に処罰する必要性があり、
違法性においても同様と考えられるから、事後強盗予備罪は認められるべき。
よって、
第5 (5)について
(1)住居侵入罪
(2)・・・、第4と同様に窃盗行為で実行の着手を判断。事後強盗未遂罪。
(関連情報)
事後強盗罪における窃盗の機会継続性―最二小決平成14・2・14(重版掲載)
(林・判解・法教265など)
308 :
30:04/01/07 03:16 ID:???
こんばんは。深夜に登場です。
>>306-307 内容的には問題がないと思います。
>(2)について
>(1)住居侵入罪()
>(2)Cは、窃盗の実行に着手したものの既遂に至らず、逮捕に及んだ
> Cに対し、これを防ぐべく模造のピストルでもって脅しており、事後強盗罪()?
事案を見ればすぐ分かるのでしょうが、ちょっと日本語としてよく分からないかも。
「泥棒、泥棒。」と叫んだのはYでしょうけど。Cは被害者?犯人?
長く引用することなく(これが難しい)、かつ、事案を見ていない人にも直に分かるというのが理想かも。
とはいえ、単に問題を見れば分かる話ですし、怠慢な人間に合わせる必要は全くありません。スルーの方向
で。ただ、意外と試験の本質に関わる事柄なのかも知れません。冷シャブさん故、かなりハイレベルな注文
をしてみました。
>(5)について
これも同じことなんですが、(3)との違いはどこなのでしょうか?
余談ですが、窃盗基準説で注意すべきことは、取り返しを防ぐために暴行、脅迫をする場合は、常に既遂と
いう点だけでしょうか。まあ、皆、知っていることですけど。
しばらくカキコをしてきて、徐々に皆さんの特徴が分かってきたような気がします。内容とは関わりのない
意見も何処かで役に立つかも知れませんから、いつか改めてカキコするかも知れません。
とりあえず、こんな感じで。
ではまた。
>>308 答練のときにもよく感じるのですが、
間接正犯や結果的加重犯、身分犯、継続犯とかの序文は
相当トレーニングしておかないと余計な時間をとられますね。
つーことで、ちょっと書き直してみました。
(実際は「」をはずします)
Cは、「窃盗の目的」*1でY宅にて「物色中」*2、Yに発見され、
「既遂に至らないまま」*3急いで屋外に出て逃走し、
---(ここまでが身分についての記述)---
「Yの「泥棒、泥棒。」という叫び声を聞いて逮捕に向かってきたZに対し」*4、
「逮捕を免れるべく」*5「模造のピストルを突きつけ
『見逃さないとぶっ殺すぞ』と脅した」*6ものであるが、
この「行為」*7について事後強盗罪の成否を検討する。
*1:不法領得の意思
*2:実行の着手あり
*3:未遂
*4:窃盗の機会か→本問ではこの要件が論点である
*5:暴行強迫の目的
*6:暴行強迫
*7:結果無価値だと「結果」と書くべきなのだろうが、
このような時系列を追う必要のある事例や、
未遂犯の場合は行為から見ていく方が書きやすい。
平野説・曽根説に対応するなら行為という書き方で良かろうか。
基本的にCの行為を見ていくことにあるから、
全ての事実について主語をCとして記述していけば良いのだろう。
>>308 >>(5)について
>これも同じことなんですが、(3)との違いはどこなのでしょうか?
たぶん(3)が未遂の基準で、
(5)が暴行・強迫の程度を問うているのだと思います(口で強迫しただけ)。
(5)の方は判断材料が少ないので、良い問題ではないです。
(310を訂正)
全然違った。(5)は居直り強盗の事案だわ。
(5)は強盗罪。
312 :
外野手:04/01/07 22:40 ID:???
>>306-307 >本罪が予定している時間的・場所的な継続性が問題。
省略かもしれませんが、理由付けが必要ですね。
また、本罪が予定している、という言い方は少しおおざっぱかも。
>本罪が予定している時間的・場所的な継続性が問題。
>法益保護の観点からは強盗未遂と同様に処罰する必要性があり、
理由付けが処罰の必要性だけだときつくないでしょうか。
>第5 (5)について
の結論は強盗既遂じゃないでしょうか。
>>311はその訂正かな。
313 :
外野手:04/01/07 22:41 ID:???
【川端集中講義刑法各論15講】《毀棄罪》
1.小問(1)
Aに器物損壊罪(261条)が成立しないか。
・・・放尿した行為が「損壊」といえるのか、「損壊」の意義が問題となる。
この点、財物の物理的損壊をいうとする見解もある。
しかし、物理的損壊に限定すると処罰範囲が狭くなり、
物理的損壊によらずに物の効用を害する行為を罰することができなくなる。
思うに、窃盗罪が成立しない、不法領得の意思なくして物の占有を取得する行為を
器物損壊罪で捕捉することが必要である。
そこで、「損壊」とは物の物理的な損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為をいうと解するべきである。
本問についてみると、・・・「損壊」にあたる。
以上より、Aに器物損壊罪が成立する。
2.小問(2)
Yの所有する借用証書と小切手を・・・したBに私用文書毀棄罪(259条)が成立しないか。
Bは文書を権利者に返還しないで使用を妨げるという隠匿行為を行っていることから
隠匿行為が「毀棄」といえるかが問題となる。
効用侵害説→(1)と書くことは同じ略
以上より・・・
>>303 >横領罪の保護法益は所有権であるので、保護に値する所有権の実質を備えたことが必要である。
債権の場合も考えると財物とした方が良いと思います。
>→本問でも右のような場合であれば「他人の物」といえる
この部分は通常の問題であれば、未払いで強引に処理していく場面が多いでしょうか。
本問の場合、それをやると共犯を論ずる余地がなくなるので、
所有権移転を仮定して論ずるしかなさそうですな。
>→単純悪意者である場合には、民法177条の「第三者」あたり、Yは有効に所有権を取得できる
これはちょっと変じゃないですかね?
177条は対抗力の定めた上で、解釈でもって背信的悪意者を「第三者」から除いているので、
単に対抗されないって話かと。
315 :
外野手:04/01/07 22:45 ID:???
3.小問(3)
会社ビルへのCのビラ貼り行為が建造物損壊罪(260条)を構成するか。
効用侵害説
→建造物の効用が害されたといえるかが問題。
ビラの枚数、貼付方法等を総合衡量して判断するべき。
→あてはめ結論
4.小問(4)
自己名義の文書に変更を加える行為は有形偽造でない
→そこで、私用文書毀棄罪が成立しないか。
効用侵害説
→あてはめ結論
論文的にはあんまり詰めてこなかった問題なので選択。
川端構成のように大上段に信書隠匿罪の本質論まで書くべきなのかな。不要だよね?
H14択一では飛ばしたなぁ・・・
それから、以下の点は私の個人的見解ですので、必要なければ流してください。
まず、303中の文章を改造したものを以下に掲げます。
「(3) 横領罪における「占有」は、遺失物等横領罪より法定刑が重い点に鑑みて、
委託信任関係に基づくことが必要であると解されているところ、
Aは売買契約に基づき買主への登記名義移転に協力する義務を負っていることから、
Aの占有は委託信任関係に基づくものといえる。」
予備校答案全体にも言えることですが、
接続詞を多用しすぎではないかという疑問を常々感じております。
つまり、文章には主張レベルに応じた表現法があるべきであって、
読み手としても一般的に通用している接続詞や助詞、形容詞の使い方や文頭・文末表現、
倒置表現などから内容の重要度を予測してエネルギーを配分しますので、
その点に十分配慮してあげるべきだと思うのです。
それにも関わらず、短文でブツブツ切られた上に、
ところどころにインパクトの強い接続詞がちりばめると、
ダチョウクラブのコントみたいに
間の悪い強調で「くどさ」を与えるのではないかと感じるのです。
さらにいえば、試験委員の脳のバッファは我々よりたくさんあるでしょうから、
起訴状のように、並列的な事実提示がならぶ文はつなげても
それほど問題ないのではないでしょうか。
そうすると、付加的強調の意味をもつ「そして」を使う場面も
自ずと限られてきて、多くは助詞をつかった順接で対応すべきと考えます。
(なお、野矢『論理トレーニング101題』p15以下参照。
以上に鑑みて、委託信任関係について本問全体に占める必要度から
冒頭のように文章を改造してみました。
>>304 >(1)詐欺罪(略・二つの説とも書く?
自説書いて、あっさり否定して終わりでしょう。
S企画刑法(1/14〜17)
【木村演習刑法U-18】《犯人蔵匿罪と共犯》★H13年口述4日目
【川端集中講義刑法各論4講】《窃盗罪の限界事例-他罪との関係》★H14年口述3日目
【川端集中講義刑法各論8講】《無銭飲食・無銭宿泊・つり銭詐欺と詐欺罪》★H14年5日目
【木村演習刑法1-17】《共犯と身分》★H14年口述1日目
S企画憲法(1/18〜22)
【受験新報614-C憲法】《表現の自由(少年事件関連)》★H13年口述1日目
【Article195-設例で学ぶ-1憲法T】《表現の自由(ロス疑惑配信関連)》★H13年口述1日目
【受験新報621-C憲法】《住民投票》★H13年口述2日目
【受験新報611-C憲法】《参議院の特殊性・複選制》★H14口述2日目関連
【浦部事例式28】《条例による罰則制定と罪刑法定主義》★H14口述4日目関連
S企画民法(1/23〜28)
【Article172-設例で学ぶ-3民法T】《転貸借》★H13年口述1日目
【民法解釈ゼミ5-12】《遺産の管理・共有》★H13年口述2日目
【Article172-設例で学ぶ-4民法U】《買戻し特約》★H13年口述4日目
【民法の底力13】《不法占有と物権的請求権及び抵当権設定登記の不法抹消》★H14口述1日目
【民法の底力24】《土地または建物共有と法定地上権》★H14口述2日目関連
【民法の底力12】《時効援用権者と抵当権の消滅時効》★H14口述3日目関連
319 :
外野手:04/01/08 00:12 ID:???
>>314>>316 > 177条は対抗力の定めた上で、解釈でもって背信的悪意者を「第三者」から除いているので、
> 単に対抗されないって話かと。
まったくその通りで。対抗できる点で民事法上許容されているので共犯成立否定、ということですな。
> 接続詞を多用しすぎではないかという疑問を常々感じております。
問題における論点の比重によって書き方を考えようと思います。
ご指摘感謝します。
320 :
30:04/01/08 09:33 ID:???
おはようございます。
>>313>>315 特に問題はなかろうかと。冷シャブさんは物理的損壊説なのでしょうか。
>3.小問(3)
>会社ビルへのCのビラ貼り行為が建造物損壊罪(260条)を構成するか。
佐久間先生の特別講義にもあったと思いますが、この問題は、真法会の答練でリアルに受けてまし
た。。。憲法でも出てくるところです。
>4.小問(4)
>『自己名義の』文書に変更を加える行為は有形偽造でない
択一で押さえるとこですね。
そろそろ気になる季節になってきました。
>川端構成のように大上段に信書隠匿罪の本質論まで書くべきなのかな。不要だよね?
そもそも、本番でそこまで書ける人はほとんどいないと思いますが、整理しておく必要があるので
困ってしまいますね。択一向けの知識でしょうね。
ただ、小問(2)では若干、触れるべきなのかもしれません。保留です。
現代刑法論争IIにもある有名論点ですから、やらないといけないのは『間違いない』のですが。
う〜ん。この論点を放置してきたツケが回ってきた感じです。この機会に勉強します。
あまり書くことがないので、ちょっと雑談気味ですが。
とりあえず、ここまで。
321 :
30:04/01/08 11:16 ID:???
コメント忘れてました。追加。
>>314 >>303にかんするコメントなんですが、
>>横領罪の保護法益は所有権であるので、保護に値する所有権の実質を備えたことが必要である。
>債権の場合も考えると財物とした方が良いと思います。
保護法益という言葉からすると、財物という表現にはちょっと抵抗があります。わたくしは外野手さん
の言い回しでよいと思いました。
で、ここの表現なんですが、無理に保護法益から論証しようとしなくてもよいような気がします。外野
手さんの表現を活かしつつ、
>「他人の物」といえるかどうかは、民法上の所有権の概念から形式的に決まるのではなく、刑罰を用
>いるだけの要保護性の観点から実質的に決せられるべき→代金の決済が終了するか、代金の大部分の
>授受が終了していれは、刑法上の要保護性があるといえ、「他人の物」→本問では。。。
なんてのを考えました(ちょっと長いですが)。何の捻りもないです。
翻って考えてみると、ここは刑罰を用いる必要がないので客体にあたらない(=要件がない)といって
いるわけですよね。効果から逆算して。でも、効果から要件が規定されるというのは『刑法』では多少
違和感がありますけど。前田先生の見解を納得するには、ここが受け入れられないとダメなのでしょう。
試験の論証として全く問題のない立場です。これは疑う余地のないところです。
322 :
30:04/01/08 11:17 ID:???
>>→本問でも右のような場合であれば「他人の物」といえる
>この部分は通常の問題であれば、未払いで強引に処理していく場面が多いでしょうか。 本問の場合、
>それをやると共犯を論ずる余地がなくなるので、所有権移転を仮定して論ずるしかなさそうですな。
別に強引に処理することにはならないと思いますよ。つまり、想定されているようなズレは生じないの
ではないでしょうか。『未払いは横領にしない』という結論から逆算しているはずですから。また、刑
法の独自性を強調している立場の人たちは、おそらく外野手さんと同様、民法上は売買契約時に所有権
が移転していると考えているはずですが、刑法の解釈においては、1つの視点として加味されるだけに
なりますよねえ。前田(相変わらず第1版ですがw)p.314。そして、横領が成立しない以上、共犯も
成立しないのは当然ということになるのでしょう。
この思考方法に賛成するかは別にして、結論に整合性はあると思いますし、理屈としては成り立ってい
るのでしょう。わたくし自身は違和感がありまくりですけどねえ。いいんじゃないですか。
『対話』を読んでしまうと、どうしても発想が従属性の立場になりますよ。また、緻密な佐伯仁志先生
の立場に魅力を感じてしまいます。でも、論文では書けません。口述では佐伯説で答えてみようかな。
>外野手さんへ
前田先生の見解を無茶苦茶貶しているようですけど、気にしないで下さい。
ではまた。
【川端集中講義刑法各論20講】《業務妨害罪・監禁罪》
第1 (1)
1.業務妨害罪
・・・(定義等)
2.公務執行妨害罪
・・・(定義等)
3.業務妨害罪に含まれる公務はあるか
(1)業務妨害罪の保護法益は個人の業務活動
→公務にもその側面はあり、条文文言との親和性、処罰の間隙防止。
全ての公務を含む。
(2)保護法益は同様に解するも、公務は国家的事務であり含めない。
(3)以上の説はどちらも硬直的であり、公務の性格が多様化している
現代国家(行政国家化)において刑法における適切な法益保護が
はかれるとは思えず、公務の内実を詳細にみていくべきである。
これについてS41年大法廷判決(旧国鉄青函連絡船摩周丸事件)をみると、
非権力的公務につき業務妨害罪の
「職務」に含めるとともに、公共の福祉を根拠にして公務執行妨害罪の
「職務」にも含めるという二重の保護を加えているが、
「公共の福祉」という一義をもって処罰の拡大をすることは刑法の謙抑性の
観点から望ましくないといえる。なお、この判例は権力的公務を一切「業務」に
含めないかまでは明らかではない。
次に、S62年最決(新潟県議会事件)をみると、強制力を行使する権力的公務を
『業務』から除外としているが、依然として二重の処罰の範囲は残る。*1
(4)そこで、二重の処罰となる領域をなくしうる妥当な基準を求めると、
判例の通り強制力を行使する権力的公務かどうかでまず判断し、
その上で、これに該当すれば「公務」、該当しなければ「業務」とするのが妥当である。
なぜなら、通常、警察官、海上保安官などのように、
強制力を行使する権力的公務は、威力や偽計を自力で排除できる力をもっている
ことから業務妨害罪が予定している手段について処罰をする必要はなく、
また公務執行妨害罪が「暴行又は強迫」と手段を限定している趣旨にも
合致するといえるからである。
*1:判例の経緯については、「公務も業務妨害罪の対象となりうることを前提としつつ、
業務と認められる公務の範囲に限界を画するための基準が求められ、暴行・強迫に至らない
妨害を排除しうる自力執行力が付与された公務か否か、妨害を排除しうる強制力が付与された
公務か否かを問題とする態度(威力業務妨害罪に関する)判例において採用されていると
することができる」(山口・探求各論P264)が適切な評価だと思われる。
第2 (2)
1.監禁罪は個人の移動の自由を保護法益としているところ、
客体が現実に@行動能力を有している必要があるのか、
@あるとして行動意思を有している必要があるのか、
という点で問題となる。
2.@について
乳児や泥酔者などが例としてあげられるが、
このような場合、現実に移動することは類型的に不可能であるから
保護法益が欠け、含めるべきでない。
3.Aについて
偽計による場合などが例としてあげられるが、
可能的自由か現実的自由か?
→謙抑性の観点から法益侵害の現実危険性を重視すべきであり、現実的自由。
これは違法性の判断を結果無価値に求める自説からも妥当する。
なお、判例は可能的自由を前提としているが、
これは行為の一般的類型的危険性に着目しているものと思われる。
【木村演習刑法2-13講】《放火罪の客体と焼損概念》は
【佐久間 現代社会と刑法 第6節】に変更したいと思います。
佐久間先生のその本は良問揃いなのですか?
>>326 問題自体は良問といえますが、
司法試験的に見た費用対効果という面では演習講義の方が良いと思います。
この本は現代社会における特殊な要因が絡んだ犯罪を中心に15問の
解説をしていますが、うち2問(電子マネーの偽造、
インターネット賭博)は司法試験向きではないですし、演習講義の焼き直しが多いです。
それに演習講義の方は各論であっても総論の要素を加えて事案が
複雑になっているので、本試験用のトレーニングに役立つように感じます。
329 :
30:04/01/09 14:49 ID:???
こんにちは。ようやく時間ができたのでカキコ。
>>323-324 >(2)保護法益は同様に解するも、公務は国家的事務であり含めない。
吉川先生の理由づけはこれでしたでしょうか?保護法益は同様でしたっけ?
で、この先の問題については、皆さんにご意見を伺いたいところなのですが、素材はS62年最決(新潟県
議会事件)ということで。
まず、冷シャブさんの立場は、公務区別説で、振り分けの基準を、判例と同様に、強制力の有無に求める
立場だと理解しました。この立場だと、二重の保護の問題は解決されます。
しかし、S62年最決(新潟県議会事件)のような事例、すなわち、強制力を行使しないが、民間類似性が
ない場面(その他、消防署の執務など)においては業務妨害罪しか成立しえないことになってしまいます。
でも、議会で暴力行為を行ったとか、消防署の執務を暴力で妨害したという場合は、素直に考えると公務
執行妨害罪の場面のようにも思えませんかねえ。ひるがえって、公務区別説の立場を考えると、民間類似
性あたりで基準を立てているものが多く、この場面を公務執行妨害罪で処理するものが多いように思いま
す。必ずしも全ての論者が判例の基準を採用していないのは、結論の妥当性についての考慮もあるのかも
しれません。全くの推測ですが。若干、悩むところです。
この場面の問題が、いずれの立場によっても、最も解決が困難な問題になりますよね。判例自体、S62年
最決(新潟県議会事件)および最決平12.2.17刑集54.2.38などは威力業務妨害罪で処理していますが、最
決平1.3.10刑集43.3.188は公務執行妨害罪で処理しています。前者は威力業務妨害罪で起訴されていると
いう事例であり、また判断も「なお」書き以降という面もあります。判例も統一されていませんよね。
限定積極説の立場で書かれる方は、この問題をどのように処理するつもりなのでしょうか。誰か教えていた
だけませんか。
こんなところです。では。
>>329 >>(2)保護法益は同様に解するも、公務は国家的事務であり含めない。
>吉川先生の理由づけはこれでしたでしょうか?保護法益は同様でしたっけ?
ちょっといい加減に書いてしまいました。業務妨害罪の保護法益は同様に解するも、公務に業務性の側面を認めないことから
含める余地がないと考えているかと。
>でも、議会で暴力行為を行ったとか、消防署の執務を暴力で妨害したという場合は、
>素直に考えると公務執行妨害罪の場面のようにも思えませんかねえ。
この点は新潟県議会事件と熊本県議会事件をそのまま比較すれば良いと思ってます。
新潟の場合はプラの名札で机を叩いた事案で、熊本の方は議長に体当たりとか足蹴りとかを
した事案なので、おそらく手段の社会的不相当性の多寡で区別したのではないでしょうか。
従って、判例規範だと依然として強制力を行使しない公務については二重の保護をしていると思います。
その意味を含めて、
>判例の通り強制力を行使する権力的公務かどうかでまず判断し、
↑ここまで判例の規範を使う(強制力を行使する非権力的公務はありえないだろう)
>その上で、これに該当すれば「公務」、該当しなければ「業務」とするのが妥当である。
↑ここで重なり合いを無くす。
という形で持っていきました。
これに熊本県議会事件をあてはまれば、判例と違って威力業務妨害罪となります。
(330の続き)
まあ条文配列自体に戦前の感覚を残しているところに、憲法に適合した形の解釈に
を持ち込んだのですから不自然さは否めないでしょう。
官尊民卑の発想をもつ一般的な日本人の感覚からはまさにその通りだと思います。
これから「『公務』=『御用』」というニュアンスを抜いて、綺麗な言い方をすると
西田のように「公共の福祉」ということになり、憲法でいう外在的制約説に
近い理解になると思います。
それでも、「公共の福祉」というだけで片づけるべきではないというあたりから
迷走が始まっているようです。
たぶんこのような理解で間違いとはならないと思いますが、
念のためきちんとした答案を書いて、刑法の先生に見て貰おうと思っています。
今のところはこの程度の理解ですが、択一などを解きながら気づいたことがあったら
また書き込みます。
そういえば、これってS54年2問目と同じでしたね。
どこかに気の利いた答案が転がっているかも。
>>313>>315 >この点、財物の物理的損壊をいうとする見解もある。
>しかし、物理的損壊に限定すると処罰範囲が狭くなり、
>物理的損壊によらずに物の効用を害する行為を罰することができなくなる。
>思うに、窃盗罪が成立しない、不法領得の意思なくして物の占有を取得する行為を
>器物損壊罪で捕捉することが必要である。
>そこで、「損壊」とは物の物理的な損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為をいうと解するべきである。
>本問についてみると、・・・「損壊」にあたる。
>以上より、Aに器物損壊罪が成立する。
何となく流れが悪い点が気になります。
それから財産として利用を減殺する点(P255)についての記述がほしかったところです。
>ビラの枚数、貼付方法等を総合衡量して判断するべき。
最近は規制が厳しくなってきましたが、ビラ貼りが盛んな左系大学だと、
エレベータの扉(詰まって壊れる)や非常口表示、消火栓は
禁止といった必要最小限度の規制が多かったみたいですね。
某大学は天井とか外壁(たぶんロッククライミング系サークルが張ったと思う)にも
張ってあってびっくりしましたわ。
これもLRAかと思った覚えがあります。
334 :
外野手:04/01/10 20:08 ID:???
【川端集中講義刑法各論27講】《常習賭博罪》
1.常習性(「常習として」186条1項)が行為の属性なのか、行為者の属性なのかについては争いがある。
行為の属性→違法性の程度が高い
行為者の属性→責任の程度が高い
そもそも常習性があることにより非常習者より重い刑罰課せられるのは、
刑罰による特別予防の必要性から、責任が加重されることに基づくものと解される。
したがって、「常習として」とは反復して賭博行為を行う習癖をいう
また、判例は1回の行為であっても本罪にあたるとしている。
以上より、常習性は行為者の属性である解すべき。※1
2.(1)A・Bの罪責※2
賭博常習者たるAには常習賭博罪が成立する。
Bの罪責については、共同して賭博を行ったAに常習者という身分があることから、
65条1項、2項の解釈が問題となる。
1項は真正的身分犯の成立・科刑に関する規定で、
2項は不真正的身分犯の成立・科刑に関する規定であると解する。
なぜなら、実務上、真正身分犯と不真正身分犯との区別が確立しているし、
65条の文言にも忠実な解釈と言えるからである。
常習者としての身分は不真正身分→A・Bには65条2項が適用される
以上より、身分のあるAには常習賭博罪の共同正犯(60条、186条1項)、
身分のないBには単純賭博罪(60条、185条)の共同正犯が成立する。
335 :
外野手:04/01/10 20:09 ID:???
(2)Cの罪責※3
ア Cは賭場の外で見張りをしているがA・Bはそれを認識していない。
では、A・Bと意思の連絡ないCに賭博罪の幇助犯(62条1項)が成立するか、
片面的幇助犯の肯否が問題となる。
共犯の処罰根拠は正犯の実行行為を通じて間接的に法益侵害・その危険を惹起することにある。
とすれば、危険の惹起があれば必ずしも意思の連絡は必要ない。
また、幇助とは実行行為以外の行為で正犯の実行行為を容易ならしめることをいうので、
意思の連絡はなくともを正犯の実行行為を容易にすることは可能といえる。
したがって、幇助犯の成立には意思の連絡は不要であり片面的幇助犯も認められると解する。
イ また、幇助犯が成立するためには、正犯行為を促進したといえる必要がある。
なぜなら、幇助犯が成立するには幇助行為と法益侵害結果との間に因果関係が必要であるところ、
前述した共犯の処罰根拠からすれば、法益侵害の危険を促進したといえる場合には、
幇助行為と法益侵害結果との間に因果関係を認めることができるからである。
ウ そして、Cには常習者という不真正身分があることから、前述のごとく、65条2項が適用されると解する。※4
エ 以上より、Cの見張り行為が賭博行為を促進したと言える場合には
常習賭博罪の幇助犯が成立する(65条2項、186条1項)。
※1:詳細を述べた文献が見つからず。だからそんなに詰めなくてもいいかとも思う。
※2:必要的共犯との関係は書かない。いいだろうと。
※3:共同正犯についても必要かな。殺人等と違って、賭博の見張りなら幇助でよくないですか?
※4:解説では、Bの友人Cは、非身分者Bに加功したとあるが、身分者たるAに加功したとも思えるのだが。
友人のために見張りをしたらそう認定すべきということなのかな。
解説通りならば、非身分者に身分者が加功した場合として書くこともあるのだが。
336 :
外野手:04/01/10 23:23 ID:???
>>323-324 構成は問題ないと思います。やはりここは業務妨害罪の方を中心に見ましょう。
>公務区別説の立場を考えると、民間類似性あたりで基準を立てているものが多く、
>必ずしも全ての論者が判例の基準を採用していないのは、
>結論の妥当性についての考慮もあるのかもしれません。
確かに。私は公務振り分け説の中で判例と同様の基準を採用する見解を知りません。
権力的公務といえるかどうかの基準の要素の1つとして、「強制力」の有無を考えているのかもしれません。
これに対して、限定積極説はその名の通り、積極説から派生したものですね。
とすれば、やはり公務の保護が前面にあると思えます。その立場の採用する基準を
公務振り分け説で採用することが整合するのか気になるところです。
もっとも、木村を読んでいると、公務振り分け説と判例の基準と融合させてもなんら問題はなさそうにも思えます。
判例の分析を踏まえた構成なので説得力を持っていると考えます。
ところで、「偽計」の場合に公務に対する業務妨害罪を認めた最決H12.2.17についての処理も気になります。
また、最決H14.9.30は本件工事を業務にあたるとしましたが、1審、2審で判断が分かれていましたね。
問題文で与えられている要素によってどう判断するべきか考えておきたいところ。
個人的にはあれは強制力持ってるように思えるんだけど。
また、強制力を有する警察官と密接に連携しているなら同じく業務からはじいてもよさそうにも思える。
あくまで思うだけで書かないが。さらには業務妨害罪の要保護性についての判断も要注意ですな。
>>336 各論の思考方法p377下から9行目以下を読んでもらえますか?
漏れとしてはいろいろと考えた結果、これが一番いいんじゃいかと思ったんですわ。
で、この基準でいくと、例えば、ガサ入れのマルサを殴れば暴行罪と公務執行妨害罪の観念的競合で、
税務調査の税務署員を殴れば暴行罪と威力業務妨害罪の観念的競合といった処理にできて
いい感じじゃないかと思うのですが。
338 :
外野手:04/01/11 01:21 ID:???
>>337 いえ俺もいいと思いますよ。
よくよく考えてみると冷シャブタンの説は前田とほぼ同じ見解なのかもしれません。
非権力的公務について公務執行妨害罪が成立するかについては
近時の最高裁判例がありませんからどうなるか分りませんね。
実際にはあんまり問題にならないのかな。
先ほど挙げた最決H12.2.17の原審はこの問題について否定的に読めます。
339 :
30:04/01/11 02:29 ID:???
>>337>>338 >ひるがえって、公務区別説の立場を考えると、民間類似性あたりで基準を立てているものが『多く』、
>『必ずしも全ての』論者が判例の基準を採用していない
という表現を
>>329で使っていたのは、具体的には、前田先生、木村光江先生あたりを念頭に置いた記述
のつもりでした。そして、公務区別説で『判例の基準を融合』させる立場があるみたいです。実は、木村
光江先生が試験委員になる前に、この点について直接、講義を受ける機会がありました。そこでは冷シャ
ブさんの説で説明されていたと記憶しております。
ただ、公務区別説の論者が皆、判例の強制力基準にシフトしたかというと、そうでもなさそうです。ここ
が疑問だったんですね。そして、それは何でだろうと考えていて、それらの先生方は、結論の妥当性など
について考えていらっしゃるのかなあ、と思いを巡らしていたわけでした。
より具体的にいえば、
>>330において冷シャブさんが示されている、
>これに熊本県議会事件をあてはまれば、判例と違って威力業務妨害罪となります。
という結論をどのように考えるのかということでした。これを納得するかどうかです。わたくしは、判例
の結論にバランスを感じたというわけなんですね。
なお、新潟と熊本の判例の分岐点は、
>>330でよいと思います。
まあ、個人的な疑問を書いただけでして、深入りする必要はなさそうです。
340 :
30:04/01/11 02:30 ID:???
>>336>>338 >「偽計」の場合に公務に対する業務妨害罪を認めた最決H12.2.17についての処理も気になります。
>先ほど挙げた最決H12.2.17の原審はこの問題について否定的に読めます。
外野手さん、助かりました。「偽計」の事案だったんですね。判旨自体は、233条と234条について
書いていますので、それ以上調べていませんでした。最高裁のHPなどにも事案がなく、放置してたww。
新しいテキストないしは判例集には載っていそうですけど。詰めが甘かったな。ははは。
いずれにしても、かなり詰めて検討できたので、良かったです。関係各位、多謝!
なお、明日の午前中くらいまでには、何とか
>>334-335のコメントを付けたいのですが、できるかなあ?
ではまた。
341 :
30:04/01/11 04:10 ID:???
>>334-335 > 1.常習性(「常習として」186条1項)が行為の属性なのか、行為者の属性なのかについては争いがある。
> 行為の属性→違法性の程度が高い
> 行為者の属性→責任の程度が高い
> そもそも常習性があることにより非常習者より重い刑罰課せられるのは、
> 刑罰による特別予防の必要性から、責任が加重されることに基づくものと解される。
> したがって、「常習として」とは反復して賭博行為を行う習癖をいう
> また、判例は1回の行為であっても本罪にあたるとしている。
> 以上より、常習性は行為者の属性である解すべき。※1
>※1:詳細を述べた文献が見つからず。だからそんなに詰めなくてもいいかとも思う。
このあたりについて、かねてよりの疑問を書いてみます。
外野手さんのこの部分の記述は、択一過去問H8-60にかんする辰巳短答過去問詳解刑法2No.430(p.679)
とほぼ同じ理解ですよね。で、このような説明も多くみられるところです。
ただ、団藤先生(古っ!)の教科書では、「常習性という身分は行為定型の要素ではなく、行為者定型の要素
であって、厳密にいえば常習犯人はあっても、常習犯というものはない」として、本罪の身分犯性を否定し、
65条の適用を排除すべきである、とされています。p.347
このように見ると、常習性を行為者の属性とみる立場の中には、共犯と身分による処理をしない立場もあると
思われるんですよね。そして、択一の出題者の頭には団藤綱要がある、というのを、以前、修習生から聞いた
ことがあります。まあ、聞き方が「矛盾しない」とあるので、正解に問題はないのでしょうが、解説は再検討
しないといけないのかなあ。。。なんて思っていました。とはいえ、現在では、これを採用する受験生は皆無
に近いと思われますから、気にしなくても良いのかも知れません。
342 :
30:04/01/11 04:42 ID:???
>>334-335(つづき)
>※3:共同正犯についても必要かな。殺人等と違って、賭博の見張りなら幇助でよくないですか?
幇助でよさそうですね。いずれかに決め打ちするのも受験技術として必要かもしれません。
>※4:解説では、Bの友人Cは、非身分者Bに加功したとあるが、身分者たるAに加功したとも思える
>のだが。友人のために見張りをしたらそう認定すべきということなのかな。
事案がよく分からないので何ともいえませんが、友人のための見張りなら、Bに加功したとの認定で
よいと思います。ただ、問題自体が相当強引な感じがします。一緒に賭博をしたAに常習性があって、
見張りをした友人Cにも常習性ありとしながら、常習性がないといえる人Bがいるのでしょうかねえ?
かなり考えにくい事例のような気がしませんか?
あと、外野手さんの、
>ウ そして、Cには常習者という不真正身分があることから、前述のごとく、65条2項が適用される
>と解する。※4
の部分は、
>解説通りならば、非身分者に身分者が加功した場合として書くこともあるのだが。
のつもりで書かれたのではないですか?読み方が違ってましたか?ちょっと混乱しています。
いずれにせよ、事案の不自然さは否定できません。でも、この分野の問題は少ないので貴重ですよ。
おもしろいと思いました。とりあえずは、このあたりです。疲れた。。。
【佐久間 現代社会と刑法 第3章 第6節】《化学物質による放火と耐火構造物の焼損》★H11年口述
第1 設問1文目
窃盗罪
第2 設問2文目
1.甲は、自宅の物置において常温で瞬時に気化して強い燃焼力のある化学物質を
散布した上、これに点火しようとしたものの、通報により駆けつけた警察官に
より阻止されたことから、この行為につき非現住建造物放火未遂罪(112・109)を検討する。
これについては実行の着手の有無で本罪の成立不成立が決せられるところ、
法益侵害の現実的・具体的危険性発生時(主観要素も加味)
→(客観要素)「常温で」「瞬時に気化して」「強い燃焼力」のある化学物質を散布
(主観要素)「点火しようとした」*1
→点火しようとした時点で実行の着手を認めうる。
従って、
2.よって、窃盗罪及び非現住建造物放火未遂罪が併合罪の関係となる。
第3 設問3文目
1.本問では、第2と違い、甲がくわえていた煙草の火が引火したものであるが、
この場合、煙草の火がある状態で該化学物質をまいたことで放火罪の実行に
着手したものとみとめられ、客体の違いから罪責が異なるので以下で検討する。
(1)B病院への放火の意図:現住建造物放火罪(108)?未遂?
→「焼損」か?独立燃焼?
・火炎が病院を包み込んだだけでは無理
・有毒ガスは?単なる客体における特殊事情であって、
焼損のいち評価事情にすぎず、これをもって決すべきではない。
(2)物置への放火の意図:非現住建造物放火罪(109)+延焼罪(111)
2.よって、
*1:具体的には、チャッカマンを取り出してボタンに手をかけたときや、
ジッポーのふたを開けて指をヤスリにかけたぐらいだろうか。
着手時期の問題として軽急便名古屋支店事件に似ていたので、本問を選んでみた。
既遂時期については、百選77と交通会館事件を比較すれば適度な視点が出てきそうだ。
(関連判例)
最決H15・4・14(松原・判解・受験新報03/12)
冷しゃぶたん、ロー受ける?
>>345 一切受けない。大学救済に出すような寄付金はない。
現行でダメなら素直にあきらめて、借金返済生活に入る。
以上
347 :
30:04/01/11 23:29 ID:???
こんばんは。
>>343-345 今回も、なかなか面白い論点だと思います。「放火罪における実行の着手」という論点にかんして、
学説の一般的な帰結は冷シャブさんの書かれたとおりだと思います。そこで、趣向を変えて、判例
の傾向について注目してみました。
本問のような化学物質による放火の判例について、直接の先例を見つけることができませんでした
が(あったら教えて下さい)、焼損の意思の下にガソリンやプロパンガスなどの引火性物質を撒い
たり放出する行為を放火罪の実行の着手とする裁判例があります。この裁判例と同じように考える
と、本問においても、散布の段階で着手になる可能性があるのかもしれません。ただ、ガソリンを
撒いた後に「直ちに」点火する意思をもたなかったような場合には、実行の着手を認めず、予備に
すぎないとする裁判例もありますよね。つまり、裁判例は、点火行為以前における実行の着手の問
題にかんしては、被告人の意思をかなり重視して、焼損を惹起する「切迫した危険」を判定してい
ることになるといいうると思われます。具体的なあてはめにおいて、これらの裁判例も参考になる
かもしれません。以上は、百選I(第3版)63事件における塩見淳先生の解説を参考にしました。
余談ですが、わたくしは昔、灯油の事例で、ガソリンの判例を引用してしまい、大恥をかいたこと
があります。事案の読み間違いは、常に気を付けなくてはならないところですよね。ははは。
ではまた。
>>347 これはある程度行為者の意思をくわえざるを得ないでしょう。
本問の場合は、故意が明確でないので難しいのですが、煙草をくわえていたことを
注意せずに該物質をまいたことで、両行為が相まって実行の着手を認めました。
これは灯油の場合も認めて良いと思います(犯意は継続中)。
他方、灯油をまいて、「放火しようか一服してから考えよう」と何気なくライターで
煙草に火をつけた場合、更に吸い終わって足でつぶして消そうとして
地面に落として引火した場合などは、否定すべきと思います。
(福岡地判H7・10・12とも整合するか。なお木村演習p316参照
ただ、後者の場合、「さて、火をつけるかな」と決意して、
何気なく火のついた煙草を捨てたときは、早すぎた構成要件の実現とからみ
非常に難しくなります。(横浜地判S58・7・20は認めています。
おそらく木村が作れば、実行の着手を中心に緻密なあてはめを要求してくるでしょうし、
井田が作れば既遂の判定を複雑にしてくるものと思われます。
まあ、出たときは、両方難しくした上に、公共危険の認識と現住性の論点を入れてくるでしょう。
なお、口述では着手時期を細かく答えさせる問題は出てないようです。
【日本国のしくみ】
∧_∧
(・∀・ ) 東大 様
⊂ \
(⌒__)ブリッ
(_) 人
(__) 東大のウンコ
(___) 早慶 クン
(・∀・ )
⊂ \
(⌒__)ブリッ
(_) 人
(__) 早慶のウンコ
(___) MARCH 駅弁クン
(・∀・ )
⊂ \ ↑ ↑ 人間 ↑ ↑
↑人間 (⌒__)ブリッ ==========================
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(・∀・ ) 日東駒専クン
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(⌒__)ブリッ
(_) 人
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(___) 日東駒専のウンコ
高 卒
>>334-335 ここは共犯と身分の勉強用に選んだのですが、マニアックに選びすぎましたわ。スマソ。
>なぜなら、実務上、真正身分犯と不真正身分犯との区別が確立しているし、
これは明確性(あるいは迅速処理)が基本にあると思うのですが、
学者試験委員の問題意識を考慮すると(などというゲスな理由ではなくて、刑法哲学ね)
前面に出すのはいかがなものかと。
特に刑法の場合における実務上の明確性というのは、
罪刑法定主義を考慮に入れた解釈から遠ざかるときもあるので、
バックグラウンドにするにしても、書くのはちょっと躊躇します。
まあ口述でなければ、そんなにウエイトがおかれる部分でもないですし、
更に出ているのは川端時代のみのようではありますが。
>※4:解説では、Bの友人Cは、非身分者Bに加功したとあるが、身分者たるAに加功したとも思えるのだが。
そうも言えると思います。事実が少ないので判別不能ですな。
351 :
外野手:04/01/13 00:46 ID:???
>>341-342 >択一過去問H8-60にかんする辰巳短答過去問詳解刑法2No.430(p.679)とほぼ同じ理解ですよね。
私は辰已の過去問本を使っていないのでどのような解説がなされているのか分らないんですが、
とにかく団藤先生が常習性を身分と扱わないことは初耳でした。
西田p394によると、肯定しているとも読めたのですが。
当該択一問題の解答については、仰る通り、問われ方からして問題ないと思われます。
>>ウ そして、Cには常習者という不真正身分があることから、前述のごとく、65条2項が適用される
>>と解する。※4
>の部分は、
>>解説通りならば、非身分者に身分者が加功した場合として書くこともあるのだが。
>のつもりで書かれたのではないですか?読み方が違ってましたか?ちょっと混乱しています。
言葉が足りませんでした。構成では解説通り、非身分者に身分者が加功したことを前提にしています。
そして、そう解するならば、罪名従属を認める説についても書くべきかなと思った次第です。
>>350 >学者試験委員の問題意識を考慮すると(などというゲスな理由ではなくて、刑法哲学ね)
>前面に出すのはいかがなものかと。
ここは大谷から拝借した理由付けでした。
本来ならばこの説の時は、因果的共犯論から書く(前田)のですが、
西田は同様に因果的共犯論から違法身分・責任身分で考える見解を導いている点に疑問を持った次第です。
私としては頭に負担がないのは後者なのですが。後日私の担当予定の
【木村演習刑法1-17】《共犯と身分》★H14年口述1日目 で再考します。
352 :
外野手:04/01/13 00:46 ID:???
【木村演習刑法2-17講】《公務執行妨害罪と職務の要保護性》
1.適式な逮捕状を呈示して自らを逮捕しようとした警察官Aに対して暴行を加えて、
もって警察官Aの職務の執行を妨害している甲に公務執行妨害罪(95条)が成立しないか。
以下問題となる点を検討する。
2.(1)令状の一部が読みにくかったことから、そのような逮捕行為が公務執行妨害罪により保護されるのかが問題となる。
本条は公務の適性かつ円滑な遂行を保護法益にするところ、
職務の執行が違法である場合にまで刑法で保護する必要がないので、
本条の職務は適法であることを要し、この適法性は書かれざる構成要件要素であると解するところ
職務の執行が適法といえるには、
@当該公務員の抽象的職務権限に属すること
A当該職務を行う具体的職務権限を有すること
B公務としての有効要件である法律上の手続・方式の重要部分を履践していることが必要である。
また、右要件は、行為時を基準に裁判所により客観的に判断されるべきである。(論証略
(2) 本問についてみると、逮捕状が嫌疑に基づき適式に出されたものなので、@Aの要件は充たす。
問題はBであるが、※1逮捕状を所持しているにもかかわらずこれを被疑者に示さなかった事案と異なり、
本問では逮捕状を示しており、刑法で保護する必要がある「適法な職務」というべきあることから、
当該要件も充たすと解する。したがって、Aの職務は公務執行妨害罪により保護されうる。
353 :
外野手:04/01/13 08:55 ID:???
3.(1)もっとも、甲は身に覚えがないため警察官Aに対して暴行を加えて抵抗していることから、
職務の適法性に錯誤が生じていると解される。
そこで、故意が認められないのではないかが問題となる。※2
思うに、故意の認識対象は構成要件該当事実であるところ、
「適法性」自体は刑法的評価に関係する要素であって、故意の認識対象でなく、
その錯誤は違法性の錯誤となるといえる。
すなわち、故意の対象となるのは、適法性を基礎付ける「事実」であって、右事実について錯誤があれば、
規範の問題に直面しないので、事実の錯誤として故意を阻却し、
これに対して、適法性の評価を誤った場合は、規範の問題に直面するので、
違法性の錯誤として故意が認められると解するべきである。※3
(2)本問についてみると、甲は逮捕状を示されており、一応適式な逮捕であると
認識していると考えられ、※3適法性を基礎付ける事実について錯誤はなく、
適法性の評価を誤った場合であるといえる。
したがって、故意は認められると解する。
4.以上により、甲には公務執行妨害罪が成立する。
事案を少しいじれば「職務行為の適法性」に関する最判S42.5.24をベースに
業務妨害罪との関係をも問う問題が作れそうである。
※1:逮捕状の執行に際して逮捕状を所持しているにもかかわらずこれを被疑者に示さなかった事案
(大阪高判S37・7・22)緊急逮捕に当たって被疑事実の要旨を告知しなかった事案
(東京高判S34・4・30)について適法性が否定されているが、
これと比較したら肯定でいいだろうと。しかし令状の一部が読みにくいっていうのはどういう状況なんだろ。
※2:前田説を採らない方々はどのように書かれているのだろうか。この構成では2分説で書いてみた。
※3:やはり錯誤に相当の理由がある場合は責任が阻却される旨も書くべきか。
忘れてたw。そして
>>351 1.を以下のように訂正。
甲は適式な逮捕状を呈示して自らを逮捕しようとした警察官Aに対して暴行を加えており、
もって警察官Aの職務の執行を妨害したとして公務執行妨害罪(95条)が成立しないか。
以下問題となる点を検討する。
354 :
30:04/01/13 13:38 ID:???
>>352-353 こんにちは。このあたりは、わたくしも学説をちゃんぽんしているところなので、慎重にならなくてはならない
分野です。
>しかし令状の一部が読みにくいっていうのはどういう状況なんだろ。
不動文字以外の部分が判読できない文字だったとか。。。でしょうか。
>そこで、故意が認められないのではないかが問題となる。※2
>思うに、故意の認識対象は構成要件該当事実であるところ、「適法性」自体は刑法的評価に関係する要素であっ
>て、故意の認識対象でなく、その錯誤は違法性の錯誤となるといえる。すなわち、故意の対象となるのは、適法
>性を基礎付ける「事実」であって、右事実について錯誤があれば、規範の問題に直面しないので、事実の錯誤と
>して故意を阻却し、これに対して、適法性の評価を誤った場合は、規範の問題に直面するので、違法性の錯誤と
>して故意が認められると解するべきである。※3
> ※2:前田説を採らない方々はどのように書かれているのだろうか。この構成では2分説で書いてみた。
2分説ですか。理論は正しいのでしょうが、書きにくいですよね。わたくしは、事実の錯誤として処理しますが、
問題によっては(小問形式で違う結論が求められている場合)には、2分説を書きます。これは大塚先生が概説
で2分説を支持されながらも、他方、『犯罪論の基本問題』(でしたっけ?)では事実の錯誤として処理されて
いるところから、自分なりの処理手順として確立したものです。矛盾にはならないだろうと。
355 :
30:04/01/13 13:39 ID:???
> ※3:やはり錯誤に相当の理由がある場合は責任が阻却される旨も書くべきか。
※2 を前提に、この部分を読むと、外野手さんは、責任説ということになるのでしょうか。前田説ではなかった
んですね。このあたりの論点はむしろ前田説が書きやすいと思っていました。で、責任説を採用するのでしたら、
妥当な結論を導くためには、2分説を採った方がよいような気がしますね。このあたりは結論からの逆算でしょ
うか。相当の理由のある場合については、書いた方がよいかもしれませんが、余裕がなければ書かなくてもよい
のかもしれません。まあ、1受験生のひとりごとですから、通用力はまったくありませんが。
いずれにせよ、総論と各論にまたがる論点は、論理矛盾や、体系の表現の失敗
>>187が生じやすいので、無茶は
しません。
今回はこのへんで。
356 :
外野手:04/01/13 18:27 ID:???
>>343-344 構成は簡略なので特にコメントはないです。
ところで、主観要素も加味とありますが、これは故意を考慮する説でしょうか。
どのように書かれるのか興味があります。
ガソリンの事案と比較して考えると、物置内で、常温で瞬時に気化して強い燃焼力のある化学物質を散布した時点で
着手を認めてもいいのかなと思います。結論に違いはないですけど。
実行の着手時期の問題も重要ですが、
本来はヤマと言われ続ける放火罪について突っ込もうと思い木村演習を選択しました。
特に建造物の一体性(複合建造物の現住性)については福岡地判H14・1・17があり、注意が必要かと。
この事案は難燃性の建造物についてであり、焼損概念も絡めて木村演習よりもスマートな問題が作れそうです。
>>356 現住(病院を狙う)か非現住(物置のみ狙う、公共危険あり)かという
犯罪を識別する点でまず(構成要件的)故意を用いる必要があると思います。
(もっとも「病院に燃え移ってもしゃーないわ」という未必の故意を
認定できる余地は残ると思いますが。
次に実行の着手時期を決めるため(未遂犯かどうか)、
限定的に主観的違法要素(平野)
あるいは主観的構成要件要素(曽根、前田)として
用いらざるをを得ないと思います。
本件でいうと、気化実験かなんかを自分の家の物置で行おうとして
該物質をまいただけだという場合もありますので、、
「放火の意図(あるいは故意)」でまいた時点か、
「更に放火の意図」+「点火しようという行為」がセットになって
法益侵害の現実的危険性が生じたとみることが出来ると思います。
これが灯油なら、放火の意図でまいたとしても引火性が弱いので、
まいた時点で実行の着手を認めることは出来ないと思います。
山口だとどうなるかよくわかりませんが。
建造物の一体性の論点については佐久間各論18にてこなしていたので、
もうしわけなく急遽こちらに変更してしまいました。
択一後に外野手さんの起案担当で木村演習U-13をくわえたいと考えております。
【法学教室270-2】《証拠偽造教唆罪・偽証教唆罪》★H12年口述2日目★H14口述2日目
1.Xは・・・・・・証拠のねつ造しをYに指示し、YはXの被告事件において
ねつ造した写真を証拠として提出したものであり(Yには証拠偽造罪が成立すると認められる)、
このXの行為につき、証拠偽造教唆罪(104・61T)を検討する。
・自己の証拠を偽造することとはちがい、教唆罪においては期待可能性が欠けないとし肯定。
・しかし、共犯は正犯を通じて法益侵害に関与するとする因果的共犯論を前提とする
自説においては、正犯を通しても期待可能性の欠如は変わらず、否定。
(前田はかかんでええやろ。
なお、判例は実質的理由づけなく犯人による証拠隠滅教唆罪につき肯定するが、
上記理由から同様に妥当とはいえない。
よって、構成要件該当性が欠け、不可罰。
2.Xは・・・・・・虚偽の陳述を指示し、YはXの被告事件において
宣誓の上、虚偽の陳述をしたものであり(Yには偽証罪が成立すると認められる)、
このXの行為につき、偽証教唆罪(169・61T)を検討する。
・1と同様に期待可能性は欠けないとし肯定。
・また、1で証拠偽造教唆罪を否定しつつ以下の点で肯定する見解有り。
本罪については104条のように他人の刑事事件に限定されていないにもかかわらず、
自らの被告事件についての偽証が処罰されないのは、刑事訴訟法上、
被告人は証人たりえないという制度の表れにすぎずないだけで、
期待可能性が欠けるわけではない。
さらに憲法38条は黙秘権を認めるも、虚偽の供述を
することまで認めていない。
・なお、判例は理由の一致をみないが(*1)いちように肯定。
・しかし、1と同様、依然として期待可能性が欠如するといえるし、
黙秘権との関係においては虚偽の供述を認めてはいないものの、
禁止しているわけでもないので説得的理由づけにはなりえないと考える。
よって、構成要件該当性が欠け、不可罰。
*1:曽根重要問題各論P335
特段裁判例もないし、はてはめの妙味もないし、これって論文で来るのかな?
択一に周期的に出るぐらいで、口述プロパーってイメージが強いんだが。
(関連情報)
野村稔「被告人による偽証教唆の可罰性」現代刑事法55
伊東研祐「参考人の虚偽供述と証拠偽造罪」現代刑事法55
橋本正博「虚偽告訴等の罪の保護法益と危険概念」現代刑事法55
360 :
30:04/01/14 16:33 ID:???
こんにちは。
>>356 放火罪にかんしては、『刑法各論の思考方法』が出版され、分かりやすく解説されていますし、
また、よくできた答案も多くなっているので、受験生のレベルは高くなっていると思います。
着手時期は、塩見先生への対策のつもりでした。
さて、建造物の一体性につき、延焼可能性の概念をどのように扱うかという点がポイントかと
思われます。とはいえ、『思考方法』以上の説明はできませんから、疑問が生じた時点で後で
カキコするつもりです。
>>358-359 構成には特にコメントはありません。
近時の「証拠偽造」の概念自体についての議論(山口探究各論など)については、よく分かっ
ていないので、分かりやすい資料などがあれば、教えていただきたいところです。探究以外で
w。
とりあえず、このあたりで。
>>353-354 >もって警察官Aの職務の執行を妨害している
客観面を論じているというのはまあまあ分かるのですが、
なんとなく主観面も含めていきなり肯定しているような感じを受けます。
少々再考の余地ありかと。
>緊急逮捕に当たって被疑事実の要旨を告知しなかった事案(東京高判S34・4・30)
これは最近の事件でいうと、誘拐犯の嫌疑でATMの前でいきなり押し倒されて、
何も告げられずに連行された関学教授の例が挙げられますね(HPに詳細あり)。
これを刑訴の問題として捉えれば、任意捜査の限界云々ではなくて、
実質逮捕として論じていく事案かと思います。
さらに、ここで強盗と間違えて警官を殴れば、
事実の錯誤として論じていくことになりましょうか。
こういうので難しいのは外国人相手の麻取や入管の逮捕でしょうね。
言葉が通じなくて、逮捕状が読めなくて、制服は着てない上に身分証は警察のと違うから、
いきなり早朝に押し掛けられたら寝ぼけて殴ることは十分あるでしょう。
こんなような事案で(受験戦略上!!)二分説が威力を発揮するんでしょうが。
>令状の一部が読みにくいっていうのはどういう状況なんだろ。
ちゃんと見せてないとかじゃないですかね。
実際は警察密着24時の収録時とは違って、ちゃんと呈示してない例も結構あるみたいですよ。
そういえば、裁判官が印鑑を押し忘れた逮捕状ってのがありましたな。
362 :
外野手:04/01/15 02:12 ID:???
>>354-355 >この部分を読むと、外野手さんは、責任説ということになるのでしょうか。前田説ではなかったんですね。
>このあたりの論点はむしろ前田説が書きやすいと思っていました。
ここらへんは前田で準備してあるのですが、あえて2分説を書いてみました。どんな反応が来るのかなって。
前田だとほんと楽です。呪文を唱えるって感じです。
>総論と各論にまたがる論点は、論理矛盾や、体系の表現の失敗
>>187が生じやすいので、無茶はしません。
このご指摘の通りなのですが。
>相当の理由のある場合については、書いた方がよいかもしれませんが、
あまりそこまで書かれてるものを見かけてたことがないのですが、やはり私も必要だと思います。
>>357 >もうしわけなく急遽こちらに変更してしまいました。
>択一後に外野手さんの起案担当で木村演習U-13をくわえたいと考えております。
重複してたんですな。今後も同様の場合は遠慮なく変更してくだされ。
>>361 >なんとなく主観面も含めていきなり肯定しているような感じを受けます。 少々再考の余地ありかと。
お分かりだと思いますが調子に乗って書いてしまったので
>>353で訂正したのですが、どうでしょう。
363 :
外野手:04/01/15 02:15 ID:???
【木村演習刑法2-19講】《@恐喝罪と賄賂罪A横領罪と背任罪の区別B共犯と身分》A・B★H12口述2日目関連
第1.甲の罪責
1.収賄罪の成否※1
甲は手抜き工事の摘発を見送った見返りに丙を通じて200万円を受領していることから、
収賄罪の成否が問題となる。以下各要件を検討する。
(1)ア 甲はA県土木建築課の係長であり、A県の河川改修工事の監督の任に当たっていることから、
工事についての具体的職務権限を有している。したがって、「職務上」といえる。
イ しかし、甲が200万円を収受した時点では、他の県の外郭団体である住宅供給公社に異動しており、
一般的職務権限が変更していることから、それでもなお「職務上」といえるのかが問題となる。※2
そもそも収賄罪の保護法益は職務の公正とそれに対する国民の信頼であるところ、
抽象的職務権限が変更した後に賄賂を収受した場合でも、およそ公務員である以上
職務の公正に対する信頼は害されるといえる。
とすれば、賄賂と対価関係に立つ具体的な職務権限を有する職務の公正に対する信頼のみならず、
収受時に担当している職務の公正に対するそれも収賄罪の保護法益に含まれるというべきである。
ウ したがって、なお「職務上」といえると解する。
(2) さらに甲は本来行うべき手抜き工事の摘発を見送っており、「相当の行為をしなかった」といえる。
(3) また現金200万円が「賄賂」にあたるのは当然である。
(4) 以上より、甲に加重収賄罪(197条の3第2項)が成立する。
2.恐喝罪の成否
もっとも、甲は「・・・それなりの金を用意しろ」と金員の交付を要求し、
この要求に応じなければ手抜き工事を摘発をすると脅迫し乙を畏怖させて、
よって、乙から現金200万円の交付を受けてこれを喝取していることから、恐喝罪(249条1項)も成立する
3.恐喝罪と収賄罪の関係について
右のように脅迫行為により賄賂を収受した場合の、恐喝罪と収賄罪との罪数関係については争いがあるが、
両者は観念的競合になると解する。なぜなら恐喝罪は個人的法益に対する犯罪であるのに対して、
収賄罪は国家法益に対する犯罪であるところ、両罪の罪質が異なるからである。
364 :
外野手:04/01/15 02:16 ID:???
第2.乙の罪責
1.贈賄罪
乙は手抜き工事の摘発を見送る謝礼として甲に現金200万円を供与し、もって甲の職務に関して贈賄していることから、
贈賄罪(198条)が成立する。確かに乙は恐喝罪の被害者と言えるが、瑕疵はあるものの任意で金員を交付している以上、
公務の公正に対する侵害とその認識が認められるからである。
2.業務上横領罪と背任罪
(1)乙は会社の信用維持と自己の保身を目的として
自己が占有する会社の工事資金の中から甲に200万円を交付しているが、
右行為は業務上自己の占有する他人の物を領得したとして業務上横領罪が成立するのか、
任務に違背して本人に損害を与えたとして背任罪が成立するのか、両罪の区別基準が問題となる。
権限逸脱・権限濫用で区別する見解→客体が利益で権限逸脱の認められる場合に基準として妥当しない。
また、委託物横領罪は単に財物についての背信行為ではなく、背信的領得行為と解するべきであるから、
単に権限逸脱があったことをもって委託物横領罪の成立を認めるのは妥当ではない。
そこで、自己の占有する他人の物について不法領得の意思を発現する行為が横領罪で、
事務処理者によるその他の背信行為が背任罪である解するべきである。
(2)ア ところで、例え両罪が成立したとしても法益侵害は1つだから、
両罪は法条競合の関係に立ち、重い方の犯罪つまり(業務上)横領罪のみが成立する。
そこで、業務上横領罪が成立するのか、つまり
業務上自己の占有する他人の物について不法領得の意思を発現する行為といえるかを検討する。
イ 業務上・占有・他人の物→充たす
不法領得の意思とは委託の趣旨に反して、その物の経済的用法に従い利用処分する意思である。
確かに乙は会社の信用を維持する意図があったといえるが、
他方で自己の保身という意図で賄賂として金員の供与を行っていることから、
委託の趣旨に反して、その物の経済的用法に従い利用処分する意思があるというべきである。
したがって、甲には業務上横領罪(253条)が成立する。
365 :
外野手:04/01/15 02:19 ID:???
第3.丙の罪責
1収賄罪の共同正犯
収賄罪は公務員の身分を有する者のみが主体となりうる真正身分犯ところ、身分のない丙にも収賄罪が成立するか。
丙は甲と相談して、金員の受領をさらに受領した200万円を甲と共に費消していることから、
単なる幇助ではなく、共同正犯の成否が問題となる。(略)65条1項→成立。※3
2.恐喝罪の幇助
脅迫行為は甲が単独で行っており、丙は金員の交付を受けたに過ぎないので、幇助にとどまると解する。
第4.まとめ略
※1:まず本来は「要求」があるから単純収賄が肯定でき、その後相当の行為をしなかったのだから
197条の3第1項に該当すると思う。けど、木村解説のように「収受」を基準に考えると、
(そう考えないと転職後の職務権限についての論点が書けないからそれでいいと思うが)
相当の行為をしなかった後「収受」したとして197条の3第2項となるのだろうか。やはり実際に賄賂を受け取った場合には
「収受」を基準に考えますって感じに決め打って書くのがいいのかね。なんかわからんくなった。
※2:ここは争いが激しいからもう少し論述すべきかな。条文が違うので少し書きにくいが正しい?
※3:後日【木村演習刑法1-17】《共犯と身分》にて
〔余談〕大法廷判決がでましたな。判決文を読みたいがどこに行けばいいのでしょうか。
366 :
30:04/01/15 13:14 ID:???
こんにちは。
今回の構成の内容には質問がいっぱいありますよ。覚悟して下さい。
>>363-365 > (1)ア 甲はA県土木建築課の係長であり、A県の河川改修工事の監督の任に当たっていることから、
> 工事についての具体的職務権限を有している。したがって、「職務上」といえる。
> イ しかし、甲が200万円を収受した時点では、他の県の外郭団体である住宅供給公社に異動しており、
> 一般的職務権限が変更していることから、それでもなお「職務上」といえるのかが問題となる。※2
う〜ん。お気持ちは分かるのですが、「職務上」といえる。といってから、さらに、それでもなお「職務上」と
いえるのか、という問題提起をするのは、いかがなものですかねえ?
> ※1:まず本来は「要求」があるから単純収賄が肯定でき、その後相当の行為をしなかったのだから
> 197条の3第1項に該当すると思う。けど、木村解説のように「収受」を基準に考えると、
> (そう考えないと転職後の職務権限についての論点が書けないからそれでいいと思うが)
> 相当の行為をしなかった後「収受」したとして197条の3第2項となるのだろうか。やはり実際に賄賂を受け取った場合には
> 「収受」を基準に考えますって感じに決め打って書くのがいいのかね。なんかわからんくなった。
贈賄側の「供与」があるから収賄側は「収受」なのではないですか(対向犯だから)。仮に、贈賄行為がなければ、
対向犯ではない「要求」罪の検討でしょうけれども。「供与」があるかどうかが、「収受」と、「要求」「約束」
の違いだと思いますので。ですから、実際に賄賂を受け取っているかどうかが基準になるように考えていました。
>甲は手抜き工事の摘発を見送った見返りに丙を通じて200万円を受領している
とありますから、確かに、「要求」行為を別に考えたくなりますけどねえ。
367 :
30:04/01/15 13:30 ID:???
>>363-365(つづき)
>2.業務上横領罪と背任罪
横領と背任の区別ですが、わたくしは、大論点として聞かれない限り、区別基準は書かないという戦略を
立てています。山口探究各論をみてそう判断しました(ただ、探究の該当頁を調べられない状況なので、
後日、報告します)。仮に、書かなければならない場合、まず、大塚『思考方法』の前提を書いてから、
次に両者の区別へと進むつもりです。
外野手さんは、領得行為基準説ですよね。より明確に基準を書いてもよいかもしれません。ただ、ここで
書かれている横領罪における不法領得の意思の定義は判例とは異なりますので(ここは全体的に西田先生
がベースでしょうか)、留意が必要かと思いました。確か、大谷先生はここで判例の基準で横領罪の不法
領得の意思を定義付けて(例の権利者排除意思ベースの定義です)、領得行為を決めていたという記憶が
あります。うろ覚えですが。
368 :
30:04/01/15 13:39 ID:???
とりあえず、わたくしのコメントは以上です。
これからなんですが、今までのように、毎回、カキコするのが難しくなってきましたので、
出現がランダムになるかもしれません。区切り毎に書き込みをする予定です。
また、どうしても書き込みが困難になってきた場合には、例の冷シャブさんの捨てメアドに
わたくしのメールアドレスを送ります。
ではまた。
369 :
外野手:04/01/15 23:50 ID:???
>>358-359 構成に注文はありません。うまくまとめられていると思います。
私は因果的共犯論は肯定説への批判として使い、そして期待可能性の欠如を述べるという
形を採ろうと考えています。(思考p470)
他に気になるのは択一にも出題された千葉地判H7・6・2、千葉地判H8・1・29関連で、
証拠偽造罪の成否あたりでしょうか。
>特段裁判例もないし、はてはめの妙味もないし、これって論文で来るのかな?
周期的に今年の択一にでそうな気がします。
【木村演習刑法U-18】《犯人蔵匿罪と共犯》★H13年口述4日目
1.乙
乙は、甲の殺人未遂罪(3年以上の懲役、203、199)
による訴追及び処罰を免れることを目的とする教唆に基づき、
甲の身代わりとなって警察に出頭し、もって隠避させたものであり、
犯人隠避罪(103)が成立。
しかし、乙は甲の実弟であることから、刑が免除される(105)。
2.甲
甲は、の殺人未遂罪(刑の種類は上記)による訴追及び処罰を免れることを目的として
乙を教唆し警察に出頭せしめたものであり、犯人隠避教唆罪(61T、103)を検討。
・甲は自身が隠避するために教唆したものであり、期待可能性が欠けるのでは?
→本罪の保護法益が刑事司法作用の確保にあることを重視して、
期待可能性の欠如を否定する見解あり。
また、判例は一貫して防御範囲の逸脱として可罰的に解している。*1
しかし、他人を教唆したからといっても、依然として期待可能性が欠如する
状況はかわらない。(単なる価値判断だから他に書きようがないな・・・
よって、不可罰。
3.丙
丙は、・・・・・・犯人隠避罪()?
真犯人たる甲を逮捕した後の行為であることから、実質的に
法益侵害の危険がなく不可罰のではないか?
→上記の通り本罪は刑事司法作用の確保を主眼におくことから、
たとえ真犯人の逮捕後であっても、捜査を混乱させることになるとして可罰。
判例も同趣旨。
しかし、その程度の負担は捜査機関が自ら排除することが予定されているといえるから*2、
本罪の危険性を肯定する理由とはなりえず、相当程度の現実的な危険の発生を
まって成立すると解すべきである。*2
これについて本件の場合、、、
よって、不可罰。
*1:判例からは予審判事時代の雰囲気が感じられる。(気のせいか・・・
*2:日高
*3:福岡地小倉支判S61・8・5と最決H1・5・1の中間値をとってみた。
重判H元P163四以降(井田執筆←読みやすい)を参考に、
犯人逮捕前は抽象的危険犯と捉えて、逮捕後は具体的危険犯とした。
落としどころとしては悪くないと思う。
ふと思うのだが、判例を(形式的)当事者主義の視点で見た場合、
違法収集証拠で捜査機関が違法行為をしてもほとんど排除されないことや、
接見交通権を制限しても実害が無ければ国賠認められないことと
バランスがとれない気がするな。
微妙に糺問型に寄っているようだ。
>>368 メーリングリスト経由で送ってくださるとありがたいです(匿名可)。
メールをいただければ、案内を送付します。
>>365 >※1:まず本来は「要求」があるから単純収賄が肯定でき、その後相当の行為をしなかったのだから
> 197条の3第1項に該当すると思う。
これは単純に行為から見ていくか、結果から見ていくかという違いじゃないですかね。
各論の場合は、行為から見ていかないと答案が書きにくいですが、
本問のような場合は結果的加重犯とならんで、一気に加重結果まで見ていかないと
余計な負担がかかるように思います。ですから、序文は
加重収賄罪が成立するか?ではじめて、
単純収賄の事実を組み込んでしまえばいいようにおもいます。
この点、少々余談に踏み込めば、S57年1問目について
中里和伸『司法試験論文の力をつける本』P251において
基本犯の認定→加重犯の認定という順にしている
予備校答案の弊害が書かれていますが、
これも過度に行為無価値的視点に立ったが故の弊害じゃないかと思います。
>〔余談〕大法廷判決がでましたな。判決文を読みたいがどこに行けばいいのでしょうか。
最高裁のHPに出てましたが、総択の付録に載るでしょう。
(370に補足)
ここはH9年2問目に出てましたな。
ただ、犯人逮捕後の身代わり自首は争点になっておらず、
H7年択一48問目で福岡地小倉判と福岡高判を聞いているので、
思考方法33-3に書いてあることは全て押さえておく必要がありそうです。
ひょっとしたら、択一の出来が悪かったからこの論点を外したのかも。
(推定正答率60%
375 :
30:04/01/16 23:20 ID:???
>>341-342および
>>351の補足
団藤綱要各論(改訂版)p.347で確認したのですが、正確には、「共犯の関係で、65条の適用上、
一般の身分犯と異なる取扱を要求する」とあります。ですから、65条の適用を排除、という表現は
ミスリードでした。ちなみに、この部分は前田各論(第1版)p.491の紹介をそのまま載せたのでし
たが、孫引きは良くない見本ですね。そして、「たとえば、賭博常習者に賭博を教唆した者は、常習
賭博罪の教唆ではなく単純賭博罪の教唆になる」とされています。ですから、西田各論の理解が穏当
ではないかと考えます。ただ、取り扱いが特殊だということでしょう。まあ、65条についての団藤
先生の立場が前提ですので、このような修正をすることになったのでしょう。
冷しゃぶたん、質問があるんだけどいいかな?
と、いっても下らないことだけど
ケーススタディ刑法の新版がでるらしい。
大塚の思考方法って必ずつぶす必要ある本なのかな?
なんか2ちゃんで絶賛されてて不安なんです。
田舎にすんでるもんで、実物がみれないで判断できません。
刑法の勉強は、シケタイ、前田、前田250
で勉強しています。
どうかアドバイスお願いします。
>>379 総論は絶対買った方がいい。
各論は、、、必要な部分でええんとちゃうん。
まあ買っても損した気分にはならないよ。
それにいらなくなっても高値で売れる。
なんで絶対買ったほうがいいのですか?
具体的に聞きたいのですが?
>>381 漏れが択一刑法の迷路に迷い込んでいたときに
いろいろ読んでこれが一番役に立ったから。
具体的には学説の対立点と対立する理由が明確になっていて、
よく使われる文献の文がそのまま引用してあるからわかりやすい。
択一過去問を解きながら読んでみると良いよ。
いままでイライラしていた部分の骨組みがしっかり形作られる。
うーん、じゃあシケタイや前田を使って勉強していても
更に必ず必要と感じるぐらいの本なんですか?
原告 : 加藤愛
被告 : 株式会社ぶんか社
事件番号 : 平成15年(ワ)第24199号
事件名 : 損害賠償
期日 : 平成16年1月19日月曜
東京地方裁判所民事第41部 民事41部書記官室
裁判官 : 佐藤重憲
裁判所書記官 :
開始 : 15:00
終了 :
係名 : 合議2
事件進行状況 : 弁論準備
代理人 : 野村裕ほか3
代理人 : 酒井正之
>>383 頭の中に体系構造が出来てなければ読んだ方が良いと思う。
前田は、、、読みにくくない?
うーん、僕的にはヒットしましたけど
択一も15〜17点はとれますし
ていうか前田読んでると択一は強いな!てな感じです。
このスレを読んでて冷しゃぶたんはスゲー実力あって、本も沢山読んでいるので
どーしても聞いて見たかったんです。
僕は少数の本をこれでもかと回すタイプなので、正反対の貴方の意見を聞いてみたかったんです。
ケーススタディ刑法って誰の本? いいの?
>>386 それなら総論はいらないかも。
各論で判例の争点を明確にする形の読み込みで威力を発揮するかな。
もう論文過去問つぶしでいいんじゃん。
なるほど、わかりました。
ありがとうございました。
391 :
外野手:04/01/17 00:10 ID:???
>>366 >「職務上」といえる。といってから、さらに、それでもなお「職務上」といえるのか、という問題提起をするのは、
そうですね。木村解答に流された格好です。↓のように加重収賄からの結果から遡って書けば、
アは不要かもしれません。
>>373 >ですから、序文は加重収賄罪が成立するか?ではじめて、
>単純収賄の事実を組み込んでしまえばいいようにおもいます。
「収賄罪の成否が問題」と曖昧に切り出すのはよくないかもしれませんね。
その後「職務上」と書いてるし。
仰る通り、結果からの決め打ちが落ち着きがいいですね。
>基本犯の認定→加重犯の認定という順にしている予備校答案の弊害が書かれていますが、
みなさんここらへんは問題によって適当に使い分けてんですかね。どうなんでしょう。
392 :
外野手:04/01/17 00:10 ID:???
【川端集中講義刑法各論4講】《窃盗罪の限界事例-他罪との関係》
★H14年口述3日目《占有概念》★H15年口述4日目《死者の占有》
第1.(1)略※1
第2.(2)
1.Cの罪責
部屋の金庫内にある財布に対する占有が誰に帰属するかによってCの罪責が異なるので検討。
窃盗罪の占有は財物に対する事実上支配のことをいうところ、
旅館の客の遺失物は旅館内にある限り、旅館主の事実上の支配が及んでいる。
したがって、財布の占有はDに帰属すると解するべき。
なお、その部屋に掃除にきたCにも占有が認められるのでないかとも思われるが、
上下・主従の関係にある者の占有が問題となる場合、下位者は占有補助者に過ぎず、
占有は上位者に認められると解されるので、従業員に過ぎないCに占有は認められない。
したがって、財布の占有はDに帰属する。
以上より、窃盗(235)。
2.Dの罪責
旅館主Dが財布の存在を知らない場合にも、占有があるといえるか。
占有は財物に対する財物に対する事実上の支配という客観的要件の他に支配意思という
主観的要件をも総合して判断されるべきであるが、主観的な支配意思を推認できる状況にあれば、
足りると解するべきであり、なお占有があるというべき。
また、Dは旅館主として業務に基づいてその占有を取得したといえ、業務性肯定。
→以上より、Dには業務上横領罪(253)成立。
第3.(3) Eの罪責
(1) EがYの財布をすろうと新聞で手を隠してポケットに触ろうとした時点で窃盗罪の実行の着手が
認められれば、その後の暴行によって事後強盗罪を成立する可能性があるので、その点をまず検討。
(2) 刑法の目的は法益保護にあるので、未遂の処罰根拠は法益侵害の危険を生じさせた点にある。
そこで、実行の着手(43条)は、法益侵害の具体的危険が生じた時点に認めるのが妥当である。
本問についてみると、Eは新聞で手を隠してポケットに触ろうとしており、
手を隠すことによって、より確実に財物を窃取することが可能になると考えられ、
法益侵害の具体的危険が生じていると解するべきである。
なお判例においても窃取の意思で他人のズボンのポケットの外側に触れる行為を
実行の着手にあたるとしている。
したがって、ポケットに触ろうとした時点で窃盗罪の実行の着手が認められる。
393 :
外野手:04/01/17 00:11 ID:???
(3) では、その後隣の客を突き倒して逃走した行為について事後強盗罪が成立するか。
・強盗として扱われる以上本罪の暴行は窃盗の現場または窃盗の機会の継続中に行われることを要する
→隣の客であり、窃盗の現場といえる。
・私服警官からの逮捕を免れるために隣の客を突き倒したものであり、逮捕を免れる目的もあると解される
・事後強盗における暴行脅迫は強盗罪と同様に相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要があり、
窃盗罪の被害者以外の第三者へ対するものでもよい→※2
(4) 以上より、Eに・・・
第4.(4) Fの罪責※3
・客体の財物性→情報自体は財物ではないが、秘密情報を化体した資料自体の財物性は肯定される。
・占有の帰属
刑法上の占有は原則として上位者に帰属→「無権限」で持ち出していることから、
資料の占有は、A会社にあると解する。
・では、秘密資料がZ社の占有に属する財物であるとして、
Fが当該資料を社外でコピーした行為につき窃盗罪が成立するか。
営業の秘密を競争会社に売却するために当該資料を持ち出し、
コピー後に元の場所に返却していることから、不法領得の意思が認められるかが問題となる。
利用処分意思・権利者排除意思の有無をそれぞれ検討・・・
以上より、Fには窃盗罪(235条)が成立する。
ちーと問題選択誤ったかな。(1)過去問まんま(4)はH13Aでよりご時世にあった問題(とはいえFD)が出題されてますね。
構成も(1)省略(4)簡略にした。
(4)は百選掲載の新薬産業スパイ事件(東京地裁S59・6・28)とほぼ同じ事案でH1@の方に近い事案。
※1:死者の占有は否定。判例書いて批判。
※2:通常逮捕しようとしてきた警察官や追跡してきた第三者への暴行が問題となるんだけど、
まったく無関係の第三者への暴行でもいいのかね。あんまり書いてないんだけど、否定してもいい気がする。
※3:(4)で背任の検討はいらないのかな。本問は問題文が簡潔なので要件を充たすか不明だが、
一言書いておくべきなのか。
>>391 >>基本犯の認定→加重犯の認定という順にしている予備校答案の弊害が書かれていますが、
>みなさんここらへんは問題によって適当に使い分けてんですかね。どうなんでしょう。
これは一気にいって良いでしょう。
やりにくいのは基本犯の故意と結果的加重犯の過失の
認定に争いがある時じゃないですかね。
過失の方は判例に従って省略するという現場錬金術があると思いますが。
395 :
30:04/01/17 04:43 ID:???
おはようございます。時間があるので、多少、カキコ。
>>370-371 特にありません。
>2.甲については、最判昭60.7.3の谷口少数意見が注目されていましたね。
>>365>>373>>391>>394 わたくしは、この問題は一気にいきます。やはり行為の全体像を捉えて評価しなければならないタイプ
の問題なので。ミクロの視点とマクロの視点を融合させる分析が重要だと考えています。なお、近時の
予備校の答案でも、基本犯の認定→加重犯の認定、というパターンではないものもあるようですよ。
>>367の修正
>確か、大谷先生はここで判例の基準で横領罪の不法領得の意思を定義付けて(例の権利者排除意思ベー
>スの定義です)、領得行為を決めていたという記憶があります。うろ覚えですが。
詰めが甘かった。大谷は、窃盗罪では判例の基準ですが、横領罪では横領罪の判例の基準とは異なり、
窃盗罪の規範を若干修正して使っているんですね。本当にダメだな、こりゃ。勉強しよ。
396 :
30:04/01/17 05:00 ID:???
>>392-393 >※1:死者の占有は否定。判例書いて批判。
う〜ん。みなさん、死者の占有について、判例に反対するんですか?
確かに、判例の立場は、理論的には詰めが甘いとは思いますが。
なお、死者の占有が主観面で問題になるパターンが難しいですし、重要ですよね。
>※2:通常逮捕しようとしてきた警察官や追跡してきた第三者への暴行が問題となるんだけど、
>まったく無関係の第三者への暴行でもいいのかね。あんまり書いてないんだけど、否定しても
>いい気がする。
暴行、脅迫行為の相手方は窃盗の被害者に向けられなくてもよいのですから、第三者への暴行
でもいいのでしょうね。ただ、まったく無関係の場合には、窃盗の機会とはいえない場面も考
えられるように思います。京都地判昭51.10.15の裁判例は、現場から200メートルの場所で、
たまたま警邏中の巡査から職務質問され、この者に暴行を加えた事例ですが、事後強盗は否定
されていますよね。窃盗とは全く無関係な場合には窃盗の機会とはいえないのでしょう。この
裁判例から考えますと、全く無関係の第三者への暴行の場面でも、否定の余地があるのではな
いかと思われます。
今日は何とか書けました。ではまた。
【川端集中講義刑法各論8講】《無銭飲食・無銭宿泊・つり銭詐欺と詐欺罪》★H14年5日目
第1 (1)
Aは、所持金がないにも関わらず、Xレストランにおいて食事を注文し、
食事を食べたものであり、かかる行為について詐欺罪(246T)を
検討するに際しては、@欺く行為とA錯誤による処分行為が
認められるか問題となる。
@:通常、レストランにおいては食事前もしくは直後に支払うことが予定されており、
本件のように、所持金無く食事を注文している場合は
黙示によって支払いの意思があるかのごとく欺いていると認めてよい。
A:これにより、Xレストランの給仕(*1)がAに支払い能力も意思もあると誤信し
食事を提供していることで、錯誤に基づく処分行為と認められる。*1
よって、
*1:既遂はテーブルに出したときでよろしいか?
*2:苦しいか?
本当はXレストランにしても良いのだが、キセルと比較して直接の処分行為者を
見ていくとこうなるだろう。
(余談)
前から思っているのだが、なんで運転士を処分行為者とする学説があるんだろう。
乗越しのときは、鉄道営業法と旅客営業規則でもって
車掌への乗車変更申告義務があるとみるべきで、
旅客扱いの処分行為者は車掌だと思うのだが。
これに従えば、乗り越し時に故意が生じたときは、
車掌への欺罔(無銭飲食と同じ黙示)+車掌が見逃したという処分行為で
いけるはずなんだが、誰も言ってないわな。
車掌がまわってこなければ、降車駅の駅員への申告義務があるから
2項詐欺でいいだろうし(下車駅基準説)。
自動改札機にしても、駅員が設定を変えることによって
キセルの捕捉とかが出来るようになっていたり、パネルを監視しているから、
完全に自動とは言い難い面が多いし。
どうも鉄道旅客営業の実態を分かってない学説が多い気がすると
思うのは私だけであろうか。
第2 (2)
2項詐欺検討。*1
・・・・・・で、店主は支払い免除の意思表示はしていないので
処分行為が欠け不可罰。
*1:食後とあるので、いきなり2項詐欺の検討に入る。
第3 (3)
2項詐欺検討。
・・・・・・で、旅館主は支払い免除の意思表示はしていないので
処分行為が欠け不可罰。
第4 (4)
Dは、・・・・・・1項詐欺?
信義則上(民法1条2項)告知義務あり
→不告知にて不作為による詐欺。
第5 (5)
1.不作為による1項詐欺罪?
気づいたのは既に店員Mによる処分行為が終了した後であり、
前提となる欺く行為がそもそも存在し得ない。
2.占有離脱物横領罪(254)
(397に追加)
口述再現を見ると処分意思を一つの鍵にして突っ込んで聞かれてるが、
これは口述プロパーと見るべきだろうか。
(単純に自説の一貫したあてはめを問うているようだ。
論文対策的には強盗罪との関係がやや重要といえるのかな。
どうでもいいが、口述では使ってる本を結構聞かれてる。
シケタイですって答えた再現とかはないのかな。
400 :
30:04/01/18 03:08 ID:???
こんばんは
>>397-398 >前から思っているのだが、なんで運転士を処分行為者とする学説があるんだろう。
全区間の乗車という利益にかんして、実際に運送の役務を提供するのは、運転士だと考えたのでは
ないでしょうか?
>>399 >どうでもいいが、口述では使ってる本を結構聞かれてる。
>シケタイですって答えた再現とかはないのかな。
噂では、いたらしい。
ただ、みんな知っている基本書を答えているようですが。
とりあえず、こんな感じです。
>>400 前段
こだわっても意味がないんでしょうが、
車掌の出札・改札業務を見落としてるんじゃないかと思うのですわ。
レストランの例に引き直せば、
コック:運転士(ウテシ)、給仕:車掌(カレチ)で、
客と直接関わるのは車掌なんですがね。
まあ中央線でゴルフとかハイキング帰りの客を
集中的に検札するような例とかですね。
402 :
30:04/01/18 13:34 ID:???
>>401 それを入れたいがために、鉄道企業体という説があるのでは
ないでしょうか?
やはり、A駅からD駅まで実際に客を運んでいるのは運転士
と考えているのでしょう。おそらく。
>余談
鉄の匂いがしますぞw。
>>402 まあそうですね。
実態からすれば、個人タクシーの運ちゃんの仕事を
駅員と運転士、車掌が分担してるようなもんですから
「企業体」とするのが一番良いとおもうですが、答案に書く段になると迷いますね。
本問にしてもレストランの営業主が被欺罔者・処分行為者・被害者で
一括してしまって良いと思うのですが・・・。
この説の障害は、直接性と、法人の被欺罔者能力の点になりますか。
ただ、前者はクレジットカードについて考えてみても、
直接欺罔されるのは会社ではなくて、
審査担当者にもかかわらず、会社を相手にしているので別段問題ないような気がします。
(実際はバッチ処理になっているので、実態は自動改札と変わらない上、
更にオフライン処理もあるので一概に論じられないが。
後者は不法行為と同様に履行補助者の錯誤を法人の錯誤と
同視してしまえば済むんじゃないかと思っています。
法人実在説を持ち出す手もあるが、刑法の答案では危険かな。
以上について、論文では怖いのでやりません。口述では言ってみる価値ありか。
要するに観念(契約関係)に近づけるか、具体的事実に近づけるかの違いでしょうかね。
で、これら背景には法人の犯罪能力と受刑能力の関係から
刑法では擬制説に近い思考方法が採られていることが
背景にあるようです。以前刑法の教授とこの話題で話したことがあります。
起訴状にしても未だに「被告人」となっているのは
社団概念なり法人制度が普及する前の残滓に感じますね。
>鉄の匂いがしますぞw。
ばれましたか。
知り合いが読んだら一発でわかるネタがちりばめてあります。
404 :
外野手:04/01/18 21:11 ID:???
>>370-371 >他人を教唆したからといっても、依然として期待可能性が欠如する状況はかわらない。
前の【法学教室270-2】《証拠偽造教唆罪・偽証教唆罪》では因果的共犯論から
結論を導いてらっしゃいましたが、「正犯として期待可能性がない」という前提を
書くとよりよいのではないかと考えました。
>(単なる価値判断だから他に書きようがないな・・・
まったく、水掛け論ですな。
>犯人逮捕前は抽象的危険犯と捉えて、逮捕後は具体的危険犯とした。
なるほど。これは逮捕前後で本罪の性質が変るという理解なのでしょうか。
「本罪の危険性を肯定する理由とはなりえず」とありますが、
逮捕前後で危険性の性質が変る理由を付された方がよろしいのでは。
>→上記の通り本罪は刑事司法作用の確保を主眼におくことから、
> たとえ真犯人の逮捕後であっても、捜査を混乱させることになるとして可罰。
本論点では、「刑事司法作用の確保」からもう一歩踏み込んで書かないと、(身柄確保限定vs特定作用包含)
肯定説の論拠にならないと思うのですが。
ところで百選掲載の旭川地裁S57・9・29「共犯者による犯人蔵匿罪の成否」とも
絡められそうですね。主に択一かなぁ。
>>392-393 >まったく無関係の第三者への暴行でもいいのかね。
>あんまり書いてないんだけど、否定してもいい気がする
これは京成のスリの事案(最決S34・3・23、判例刑法244)がベースですね。
30氏に付け加えてもう少し詳細に分析してみます。
あり得るケースとしては
@同じ車両の乗客(列車走行中)
Aホームの乗客(駅到着時)
B無線による応援で駆けつけた鉄警(駅到着時)
C捕まえてくれと言われて応じた駅員(駅到着時)
D不正乗車を止めようとした駅員(改札を突破しようとしたとき)
あたりでしょうか。
該判例における「現行の機会の状態」かどうかで判断すれば、
@BCは肯定ADは否定ですかね。
>※3:(4)で背任の検討はいらないのかな。
いるにはいるでしょう。
406 :
外野手:04/01/19 02:24 ID:???
【木村演習刑法1-17】《共犯と身分》★H14年口述1日目
第1.(1)
1.乙は、・・・建築資金としての寄付金の受領・保管及びその会計事務を掌握していたが、
業務上保管している寄付金230万円を費消して横領しているものであり、業務上横領罪(253)が成立
2.では、乙と共同して寄付金を費消した、占有者・業務者という身分を有さない甲に何罪が成立するか。
(1)共犯者に身分がある場合65条1項・2項の適用が問題となるため、まずその解釈を検討。
同条項の解釈については、団藤説→批判※1
1項は違法身分・2項は責任身分→自己堕胎(212条)のように両者を截然と区別するのは困難
同意殺人(202条)のように違法身分がすべて真正身分と限らず65条1項の文言と乖離
1項は真正身分・2項は不真正身分について定めたものと解するべきである。
因果的共犯論からすれば、
@身分がなくても身分者を介して犯罪結果に因果的影響を与えた者は可罰的
A身分に応じて刑罰の重さが変更される規定がある場合はそれに従うべき
そして、1項は真正身分について@を、2項は不真正身分について@を前提にAを規定したもの。
(2)もっとも、業務上横領罪は占有者→真正身分、業務者→不真正身分という二面性を有することから
具体的な適用条文をどう解するかが問題
判例は類似の事案について、非身分者は65条1項により業務上横領罪の共同正犯として論じるべきであるが、
65条2項により単純横領罪の刑を科するべきであるとする。
→しかし、犯罪の成立と科刑は分離するべきでない。
前述した自説からすれば、業務上という不真正身分があるので、
端的に65条2項により単純横領罪が成立すると解するべき。
なお、行為共同説からすれば、自説のように共犯者間の罪名が異なってもなんら問題はない。
3.以上より、甲には単純横領罪の共同正犯(60条、252条1項)が、乙には業務上横領罪の共同正犯が成立する。
407 :
外野手:04/01/19 02:25 ID:???
第2.(2)※2
1.業務上横領罪の客観的構成要件には該当するが、
・・・ことから、甲は身分者であることが認識していなかったと考えられ、
業務上横領罪にあたる事実を知らなかったといえ、同罪の成立は認められない(38条2項)。
2.しかし、甲には乙が業務上保管していた寄付金を費消している認識はあることから、
単純横領罪の認識はあると思われる。そこで単純横領罪の成立を認めることはできないか。
(1)抽象的事実の錯誤→ここは前田で。略
構成要件は法益侵害を生じさせる違法行為の定型であるから、
行為態様の類似性・保護法益の共通性で判断。
業務上横領罪は業務者であることから責任非難が増大することに鑑みて規定される加重類型であり、
それ以外の行為態様、保護法益の点では両者とも共通している。
→重なる。
(2)以上より、甲に単純横領罪(252条1項)が成立。
※1:団藤説への記述はやはり必要だろうか。
※2:(2)は判例もないし、どうなんだろうねぇ。
「共犯と身分」はこの説でいいだろうと思っている。深入りしても(一時期はまった)近時の傾向から離れるばかりだと。
ということでまんま前田(木村)で失礼します。
とはいえ、この業務上横領罪の問題(最判S32・11・19)については西田説あたりで書きたくなる。
冷シャブタンはやはり平野系ってことでやっぱり・・・また、30氏はどうされるのでしょうか。
408 :
30:04/01/19 03:02 ID:???
>>407 > 第2.(2)※2
> 1.業務上横領罪の客観的構成要件には該当するが、
> ・・・ことから、甲は身分者であることが認識していなかったと考えられ、
> 業務上横領罪にあたる事実を知らなかったといえ、同罪の成立は認められない(38条2項)。
> 2.しかし、甲には乙が業務上保管していた寄付金を費消している認識はあることから、
> 単純横領罪の認識はあると思われる。そこで単純横領罪の成立を認めることはできないか。
> (1)抽象的事実の錯誤→ここは前田で。略
> 構成要件は法益侵害を生じさせる違法行為の定型であるから、
> 行為態様の類似性・保護法益の共通性で判断。
> 業務上横領罪は業務者であることから責任非難が増大することに鑑みて規定される加重類型であり、
> それ以外の行為態様、保護法益の点では両者とも共通している。
> →重なる。
> (2)以上より、甲に単純横領罪(252条1項)が成立。
え〜っと、これは前田だと、客観的な構成要件該当性の問題ではなかったでしょうか?
> ※1:団藤説への記述はやはり必要だろうか。
いらないと思います。やはり団藤先生のお立場だと、論証責任が課されそうだからです。
> ※2:(2)は判例もないし、どうなんだろうねぇ。
> 冷シャブタンはやはり平野系ってことでやっぱり・・・また、30氏はどうされるのでしょうか。
65条の解釈については判例の立場で。そして、複合的身分とします。ここは大谷です。
実は、用いているのは、予備校で使われている短い論証です。(ボロを出さないため。)
とにかく論証は条文ベースかつ短文というのがポリシーです。
わたくしの方針からすれば、ここは判例といきたいところですが、他との矛盾が生じかね
ないので、無理しません。論証点は、ここでは必要以上に取りにいく予定がないです。
ではまた。
>>404 >なるほど。これは逮捕前後で本罪の性質が変るという理解なのでしょうか。
>「本罪の危険性を肯定する理由とはなりえず」とありますが、
>逮捕前後で危険性の性質が変る理由を付された方がよろしいのでは。
気持ちはそうなんですが、一般論として具体的危険犯と書くのはきついので
もうちょっと弱めですわ。
つまり、前提規範は最高裁(刑事司法作用)を使った上で、
真犯人逮捕後における身代わり自首ついては、
限定解釈(≒二重の絞り?)を加えて、
具体的危険が生じるまで待つということです。
その理由は身代わり自首における捜査の混乱ぐらい
自ら排除する力があるだろうってことです(なお日高見解)。
別の見方をすれば、偽計業務妨害が警察・検察に向けられたような
感じでしょうかね。
従って、福岡地小倉支判は実際に身柄解放に至ったことを挙げていますが、
私はそこまで厳しくはしていません()。
具体的には、巧妙な身代わりで大規模な裏付け捜査が展開された場合とかですかね。
【受験新報614-C憲法】《表現の自由(少年事件関連)》★H13年口述1日目
1.本問における少年はプライバシーの権利を前提に、
不法行為を根拠とする損害賠償請求権および
原状回復措置として謝罪広告を求めていると認められるところ(民法709条、710条、723条)、
私人間において憲法が適用されるのかが、まず問題となる。
→間接適用説→違法性判断(詳細略
2.では、プライバシーの権利は憲法上保護されるか?
→13条→自己情報コントロール(詳細略
3.次に本月刊誌の発行については表現の自由が前提となるところ、
これは21条1項によって保障される。
4.さて、冒頭で述べた違法性要件においては、上記のプライバシーの権利と表現の自由が対立し、
相互に調整をし判断する必要があるが、両権利とも人権カタログにおいては、
非常に重要な権利であり、等価値的な利益衡量をもってなすべきである。
なぜなら、
プライバシーの権利:人格的生存に不可欠
表現の自由:自己実現*1、自己統治*2。
従って、このような役割に鑑みれば、一般に実名や顔写真は必ずしも不可欠な要素ではなく、
原則として匿名とし、顔写真の公開も避けるべきであるが、
犯罪事実と並んで社会の重要な関心事であるから(*3)、
@犯罪の重大性(*4)、A被疑者・被告人の地位(*5)、B被害者感情等から緩和すべき。
→@:「通り魔」「殺人」
A:少年といっても19歳
B:不可解な事件なので詳細を知りたいと思うのが通常(ちょっとむちゃなあてはめかな
5.よって以上のような憲法上の判断をもって本訴えは棄却。
*1:出版者側と読者。
*2:適切に司法制度が運用されているか監視、少年犯罪について政策判断をするための情報提供、
ってところかな?
*3:関心事といっても、はっきり言って覗き見趣味の要素が強い気がするから、
個人的には使いたくないフレーズである。
社会的制裁を加えるという意味なら、リンチを禁止した近代憲法と整合しなくなるし。
(少なくとも権利として捉える必要はないとおもう。
*4:社会契約違反の程度と解すればよかろう。
*5:パブリック度
口述再現には、無罪推定の原則との関係について質問があったが(扉2002P5)、
これは司法手続きの時間軸との関係を聞きたかったのかもしれない。
即ち、通常のケースだと、
@参考人取調、A逮捕、B勾留、C起訴、D判決で、
Aの段階で実名が公開されるが、ちょっと早すぎじゃネーノ?って問題意識だろう。
しかも、冒陳段階でさも真実のごとき報道がなされているし。
松本サリン事件の報道が好例だろうか。なおこれについて中井貴一の映画あり。
ところで、ひょっとしたら、犯罪被害者の報道という角度から来るかも知れない。
特に死亡した被害者の憲民刑での扱いが気にかかる。
刑法は条文があるとして、民法は底力36・基礎演習54の通りだが、
憲法問題としてはどう考えるか用意しておく必要ありか。
(余談)
昼のワイドショーはひどいな。
ああいう単なる視聴率狙いの過剰報道をしていたら、
報道規制の口実を与えるだけだろうに。
412 :
30:04/01/20 03:39 ID:???
こんばんは。今日も何とか書けそう。
>>410 > 1.本問における少年はプライバシーの権利を前提に、
> 不法行為を根拠とする損害賠償請求権および
> 原状回復措置として謝罪広告を求めていると認められるところ(民法709条、710条、723条)、
> 私人間において憲法が適用されるのかが、まず問題となる。
> →間接適用説→違法性判断(詳細略
昔、答案練習会で阪本先生が、この場合に間接適用説は問題にならないと言ってたのを憶えています。
おそらく司法的執行の場面と考えられたのでしょう。ただ、当時から受験生同士で議論になり、結局、
書いた方が安全と言うことに落ち着いた、ということがありました。余談でした。
> 2.では、プライバシーの権利は憲法上保護されるか?
> →13条→自己情報コントロール(詳細略
> 3.次に本月刊誌の発行については表現の自由が前提となるところ、
> これは21条1項によって保障される。
その上で、今なお受験生の間で議論になっているのは、
(イ)間接適用説→人権の確定→違法性(等価値的な利益衡量)のパターンか、
(ロ)人権の確定→間接適用説→違法性(等価値的な利益衡量)のパターンか、
ということ位でしょうか。いずれでもよいですが、わたくしは(ロ)で書きます。
ただ、(イ)の魅力は、人権の確定から
> プライバシーの権利:人格的生存に不可欠
> 表現の自由:自己実現*1、自己統治*2。
ときて、
> 等価値的な利益衡量をもってなすべきである。
の基準に落とし込めることができる点です。対立する人権→両者の調整、というのが点が伸びるみたい
です。
413 :
30:04/01/20 03:39 ID:???
> 5.よって以上のような憲法上の判断をもって本訴えは棄却。
この結論の部分は結構、慎重に書かないといけないところですよね。下手を打つと間接適用説の理解を
疑われて、とんでもないことになることがあるみたいです。
>(余談)
> 昼のワイドショーはひどいな。
そうですね。でも、大下さんは、わたくしの心のオアシスなので、ちょっと複雑。めちゃ和んでます。
ではまた。
>>412 二段目
これは出題形式の違いでしょう。
昔は純粋に憲法論として出題されていたものが、
最近は損害賠償(不法行為、国賠)、差止め請求、無効確認(90条)等というような
形から入って憲法論に踏み込むようになっているので、(ロ)が妥当と考えます。
ちなみに最近はネットの名誉棄損問題で、何年かぶりに憲法の基本書を読み込んでいる弁護士も
多いようです。
>>412 三段目
人権パターンというものが出てきた趣旨を考えれば、こうなるでしょう。
そもそもどちらが優越とか言う話じゃないですから。
少々敷衍すれば、LRAと合理性の基準の使い方も考えた方がいいように思いますね。
予備校系統だと
第1期:『判例を読む』P103の表のような基準で人権パターン処理
第2期:@結論が不自然になるので規範を砕く。A若しくは緩やかな基準を採用。
という流れで、いまは第2期にあると思うのですが、
@Aを憲法理念などから規範を変えて良いかどうかという検証がなされてない
答案が多いように感じるのですわ。
もともと予備校答案の弊害は第1期において、
違憲審査基準を条文の如き扱いで機械的に処理をしていた段階で、
それだと不都合なので(受験戦略上!!)第2期において緩やかにしたという
流れだと思いますが、安易にそういうことをやって良いかどうかの悩みが
答案に表れずに、単に妥当な結論を見据えて規範を動かしているんですわ。
LRAを合理性の基準にすれば、あてはめが楽になるのは当然の話であって、
受験テクニックでも何でもなく、そもそも審査基準を金科玉条のごとく捉えていた
受験生側がおかしかっただけに思うのですわ。
(その点の弊害につき、中里・前掲書P77
更に、仮に出てきた結論が国民一般の常識からはずれているとしても、
憲法理念から考えたら安易に妥協すべきでないという場合も多々あるわけであって、
単に常識論(長い物には巻かれろ?)で片づけるべきではないと思ってます。
このような視点で最高裁判例を見ていくと、学者や弁護士出身の判事の反対意見は
なるほどと感じるときがあります。
ゲスな言い方をすれば、『犬になれなかった裁判官』度でしょうか。
>>413 前段
そこは悩んでいるところなんですよ。
本問は「認められるか」とか「裁判所はどうすべきか」ではなくて、
「論ぜよ」なんで、どうしよっかな〜と思ってそのように落ち着かせたのですが、
「なお、本訴は棄却されることとなる」あたりが無難でしょうかね。
ひとまず継続審議事項としておきます。
417 :
裕子:04/01/20 15:32 ID:???
>>410 あのー部外者なんですけどいいですか?
ちょっと、利益考量の要素がひっかっかるんですけど、
プライバシー権と表現の自由の調整の問題ですから、それを反映した考慮要素にするべきだと思うのですが。
この二つの権利の調節なのに、被害者感情を問題に持ってくるのは、あまりよろしくないかと思います。
もしいれたいのならば(私は不要だと思いますが)、表現の目的あるいは重要性の要素の中で考慮すべきなのではないでしょうか。
>>471 鋭いでんな。適当に書いた部分を見抜きましたね。概ね同意です。
これは大阪高判を読んでいてどうしようか迷ったのですが、
国家訴追主義の影響から被害者側に情報提供がなされないので、
被害者側の知る権利(もどき)の一環として考慮する必要があるのではないかと推論したわけです。
(↑これを言っている学者は今のところ見つかってないので取り扱い注意。
ただ、よく読んでみると、読者の覗き見趣味なり社会的制裁(凶悪犯を晒す)の意味で、
表現の自由の側ではなく、プライバシーの権利が減殺される要素として用いているようですな。
報道機関側の行為としてみれば、実名報道を憲法上、積極的に認容することはできないが、
事案によっては許される(違法阻却)というニュアンスで述べられているようです。
まあ社会通念を加味したといえましょうか。
そう考えると、憲法論としては確かに重要ではないですね。
許容性としての付随的要素と見るべきでしょうか。
なお、大阪高判は以下を参考にしていると思われる。
「結局は@犯罪事実の態様、程度A及び被害者の社会的地位、特質(公人たる性格を有しているか)
、B被害者側の被害の心情、読者の意識、感情等を比較考量し、かつ、人権の尊重と報道の自由ないし
知る権利の擁護とのバランスを勘案しつつ、慎重に決定していくほかない」
(名古屋高判H2・12・13、最高支持、なお本文は一部改変)
よかったら、今後もご指摘ください。本スレは叩いてなんぼなので。
>>406-407 >共同正犯(60条、252条1項)
未遂や予備と違って、総則修正型なので条文の摘示順序が逆じゃないですかね。
>※1:団藤説への記述はやはり必要だろうか。
ここは規範部分がメインで出てくることはないので、省略ですね。
書いても加点は望めないと思います。
>※2:(2)は判例もないし、どうなんだろうねぇ。
口述再現を読んでみましたが、おまけで聞いている感じですから、
ちょっと格付けは低めですね。
>冷シャブタンはやはり平野系ってことでやっぱり
いや、判例です。西田、平野は択一対策用です。
420 :
裕子:04/01/20 22:39 ID:???
>>418 最高の新判例がでてますね。
H15年3月14日です。
421 :
外野手:04/01/20 23:11 ID:???
>>397-399 処分意思の内容に関する記述が見たかったです。
> 黙示によって支払いの意思があるかのごとく欺いていると認めてよい。
第1(1)@欺く行為については告知義務を問題にしなくていいという意味で、「作為」による詐欺行為とした方がよりよいかと。
>*1:既遂はテーブルに出したときでよろしいか?
よろしいかと。
422 :
外野手:04/01/20 23:15 ID:???
>>410-411 >>417-418 >この二つの権利の調節なのに、被害者感情を問題に持ってくるのは、あまりよろしくないかと思います。
>表現の目的あるいは重要性の要素の中で考慮すべきなのではないでしょうか。
被害者感情を考慮する以上、前文と後文は結局同じことになると思うのですが如何でしょうか。
「被害者感情」を大阪高裁の言い方に直しますと「被害者側の心情等」となりますが、
>まあ社会通念を加味したといえましょうか。
と、冷シャブタンが仰る通り、これは社会一般の意識に配慮しているものと考えられているようです。
とすれば、社会一般が実名を晒すべきと考えているようであれば、(表現行為に重要性があるとして)
少年のプライバシーを差し置いても実名報道が許容されると。これがいいのか悪いのか。
(もちろん他の要素も加味して考えることになりますが。)
結局、利益衡量の要素としてこれを考慮すべきかどうかはそれぞれの考え方次第になってしまいそうです。
例えば、目的効果基準のところでも判例は「社会通念にしたがって」としますよね。
(信教の自由という特に少数者の人権保護が問題となるところで社会通念出すのはまずかろうと思うですが)
この点をプライバシーと表現の自由の衝突の場合にはどう考えたもんかなということです。
結局は裕子氏はこれを考慮すべきでないとお考えということで。
よろしければ、これからもお気付きの点をご指摘頂ければと思います。叩きどころ満載のUPしてますんで。
>そう考えると、憲法論としては確かに重要ではないですね。
>許容性としての付随的要素と見るべきでしょうか。
比較衡量となると、憲法論として重要かどうかの判断が難しいと思われませんか。
423 :
外野手:04/01/20 23:15 ID:???
>>422 余談ですが、H14@で「少年法第61条」という記述にひっぱられて
(本問のような方向にもっていき)評価を落とした方もおられるようで。
ヤマが当たったなんて思った時は気を付けないといけませんね。
424 :
外野手:04/01/20 23:16 ID:???
【Article195-設例で学ぶ-1憲法T】《表現の自由(ロス疑惑配信関連)》★H13年口述1日目
1.XはYの記事により名誉が毀損されたとして損害賠償請求をしているが(民法709条・710条)、
名誉は個人の人格価値と結びつくものであり、憲法13条により保障されているものである。
これに対して、Yが当該記事を掲載した行為は報道の自由として表現の自由(21条)によって
保障されているものである。(もっと詳細に
2.(1)本問においては、Xの名誉とYの表現の自由が対立しているが、
上述のように両者とも憲法上保障される人権であることからどのように調整すべきか。
(2)刑法上、名誉毀損罪の規定により名誉の保護
しかし、公共の利害に関する問題についての表現については、
名誉を毀損するものであっても保護されると解するべきである。
なぜなら、表現の自由の民主政における重要性(公共性に関する問題は、自己統治の価値を前面に出した方がいいか
そこで、刑法230条の2は「@AB」・・・として調整しており、
さらに表現の自由に対する萎縮的効果に鑑み、判例はBがない場合でも
行為者が事実であると誤信し、その誤信したことについて、
確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、
刑法の名誉毀損罪は成立しないとして緩和されている(「夕刊和歌山時事」事件)。
これは民事上の不法行為としての名誉毀損にも妥当するとされ、
故意過失がなく、不法行為は成立しないものとされている。
2.(1)では、Yがわが国の代表的な通信社の1つが配信したXの名誉を毀損する虚偽の内容の記事を
そのまま報道した場合、「配信記事が事実であると誤信し、その誤信したことについて、
確実な資料、根拠に照らし相当の理由がある」といえるのか。
425 :
外野手:04/01/20 23:17 ID:???
(2)ア 代表的な通信社の場合、人的物的に取材体制が整備されており、
その配信記事の信頼性は高く評価されるべきであり、その内容の正確性については
その通信社側がもっぱら責任を負い、加盟報道機関は裏付け取材を要しないという前提で
報道体制が組み立てられている。
このような報道体制によって、地方紙などは物理的、経済的、人的制約を超えて
世界的、全国的なニュースを掲載することが可能になり、
報道の自由、ひいては地方の住民の知る権利を確保することになることにつながる。
したがって、わが国の代表的な通信社が配信した虚偽の内容の記事をそのまま報道した場合であっても、
新聞社には相当の理由があるというべきである。
このように解しても被害者は、通信社に対し不法行為責任を追及することができるから
被害者の救済に欠けるとまではいえない。
イ 以上により、Yは例え真実性の証明に失敗したとしても「配信記事が真実であると誤信し、その誤信したことについて、
確実な資料、根拠に照らし相当の理由がある」といえ、不法行為責任が免責される。
(3)
この点、類似の事案について最高裁は、
社会の関心と興味をひく私人の犯罪行為やスキャンダルにおける報道に限定しつつ、
定評のある通信社からの配信記事であっても、記事内容の真実性について高い信頼性が
確立しているとはいえないとして、相当の理由があるとは認められないとした。
確かに、本問のような著名な刑事事件などの社会的に関心に高い事件では過熱した報道合戦が繰り広げられ、
定評のある通信社であっても取材に慎重さを欠くことはありうることである。
しかし、右のように解すれば、配信記事を掲載する新聞社に確実な資料、根拠を得るための裏付け取材を
義務づけることにつながり、これは本問のような地方新聞社にとっては不可能を強いるものである。
その結果、独自の裏付け取材のできない地方新聞社に配信記事の利用に対する萎縮効果が生じ、
地方新聞社の報道の自由を制約し、ひいては地方の住民の知る権利をも侵害することになり、
妥当でないというべきである。
426 :
外野手:04/01/20 23:20 ID:???
この「配信サービスの抗弁」については名誉毀損の免責に関する従来の判例の枠組み(相当の理由があるか)
の中で考慮していくのがいいと思う。あとは、高裁と最高裁どっちに乗るか。
なお、最高裁は「私人」の「犯罪やスキャンダルを内容とする報道」についてのものであることは注意を要するかと。
(余談)
法教270p30によれば三浦氏は500件近くの提訴をして、判決が下ったのが200件。
その勝率は5割をはるかに超え、さらには大部分の事件が本人訴訟だったというから凄いわな。
427 :
裕子:04/01/20 23:31 ID:???
>>422 > >この二つの権利の調節なのに、被害者感情を問題に持ってくるのは、あまりよろしくないかと思います。
> >表現の目的あるいは重要性の要素の中で考慮すべきなのではないでしょうか。
> 被害者感情を考慮する以上、前文と後文は結局同じことになると思うのですが如何でしょうか。
結果として一緒なのですが、憲法論としての枠組みとしてどうか、といことを問題提起させていただきました。
二つの権利の対立構造を示したほうがよりよいのではないかと。
>>420の判例はその点でより優れていると思います。
428 :
外野手:04/01/21 00:05 ID:???
>>427 ご指摘の判旨読みました。ノンフィクション「逆転」事件をひいているようですね。
「公表時の社会的状況」というのに置き換えられてるのかなとも思いました。
確かに被害感情というのは二つの権利の対立構造を示すには弱いというのは
もっともなご指摘だと思います。
判旨まんまで書くよりも、二つの権利の対立を示し衡量していく方が評価されるとも思えます。
この辺は悩ましいところですね。
429 :
30:04/01/21 04:42 ID:???
>>420>>422>>427 >>420の判例は、辰巳の最新判例集p.17以下にあるものですよね。これが出たときに、今までの
答案ファイルの答案をどうするか悩んだことがありました。優秀答案の多くは高裁ベースのもの
でして、書き換えるべきか?と。ただ、審理不尽で原審差戻になっているので、被侵害利益ごと
に違法性阻却事由の有無を具体的に判断した部分がないですよね。そこで、答案化の便宜を考え
て、まだそのままになっています。高裁の判断の方が使い易いかと思いましたので。
とはいえ、高裁も複雑で書きにくいので(流れに乗せにくい)、どうしようかなと思っていたと
ころでした。
>>423 これは、某直前答練の話ですね。本試験で論文受験生を多数、即死させたやつでした。。。
>裕子さん
はじめまして。わたくしは、他の2人と違い、構成はupしていません。いちゃもんを付けている
だけの参加者です。過去ログを読んでいただければ、すぐ分かると思いますが、結構、内容の吟
味がゆるゆるです。
わたくしのカキコは主として、答案や論点の書き方の方針についてのものです。また、いままで
いろんな人に教えてもらったこととか、疑問に思っていたこととかを書いたりしています。現行
も、あと僅かなので、議論しながらまとめになればいいと思っています。
今後ともよろしく。
ではまた。
430 :
30:04/01/21 05:37 ID:???
>>424-425>>426 「配信サービスの抗弁」ですか。まだ自分の整理ができていないので、不十分なカキコになりそう
ですが、ご容赦下さい。
まず確認ですが、先例は最判昭41.6.23民集20.5.1118および最判平14.1.29ですよね。で、本件
の最判平14.3.8も相当の理由なしとしており、これは「配信サービスの抗弁」を認めない立場で
あると理解しました。
>この「配信サービスの抗弁」については名誉毀損の免責に関する従来の判例の枠組み(相当の理
>由があるか)の中で考慮していくのがいいと思う。
で、外野手さんは、「配信サービスの抗弁」を認めて、これを「相当の理由」に位置付けています。
ただ、最判平14.1.29にいう「損害賠償義務を負わない」というのは、「配信サービスの抗弁」を
違法性阻却事由と捉えているようにも読めなくもないような気がしました。なぜここに位置付けて
いるのかを教えて下さい。諸事情により、最新の資料が不足しており、困っています。
よろしくお願いします。
431 :
裕子:04/01/21 15:55 ID:???
>>430 こちらこそよろしくお願いします。
> ただ、最判平14.1.29にいう「損害賠償義務を負わない」というのは、「配信サービスの抗弁」を
違法性阻却事由と捉えているようにも読めなくもないような気がしました。
どの辺りからそのように読めましたか?わたしは相当性の抗弁と考えているとしか読めなかったのですが。
大雑把に言えば、
相当性の抗弁は、故意過失が阻却される場合で、加害者の内心領域において止むを得ない事情があった場合、
真実性の抗弁は、違法性阻却の場合で、客観面で加害者に正当化自由があった場合、
だと理解しています。
民法論になりますが。
432 :
外野手:04/01/21 22:25 ID:???
>>430 >「配信サービスの抗弁」を違法性阻却事由と捉えているようにも読めなくもないような気がしました。
両判決ともに「相当の理由」という言い方ですから、素直に従来のように責任阻却事由と
位置付けて良いと思います。
なお、最判平14.3.8の梶谷反対意見は配信サービスの抗弁を
憲法21条の要請による新たな違法阻却事由として認めるべきとされています。
【受験新報621-C憲法】《住民投票》★H13年口述2日目
1.本問における各説は、
Aは・・・・・・とするもので、いわゆる裁可型、
Bは・・・・・・とするもので、いわゆる必要的実施とする諮問型、
Cは・・・・・・とするもので、いわゆる任意的実施とする諮問型としている。
以上の差異による各説の当否は、地方自治体における議会の法的性質、
すなわち直接民主制と間接民主制の関係に関わるので、まずこの意味を明確にする。
2.憲法92条→住民自治・団体自治(詳細略
このような見地からすれば、直接民主制が原則で、間接民主制は
専門性・即応性を要求する問題等に対処するため議会に意思を付託し、
直接民主制を補完ないし補正する機能を有していると理解できる。
この点は、地方自治法の町村総会の制度からも推知でき、
また93条は後者の意味で議会の設置を規定していると解される。*1
3.以上の観点から各説の当否を検討すると、本問で住民投票の対象とする内容は
市町村合併という自治体の根幹に関わる事項なので、自治体内部で充分な議論を
尽くすべきであり、 議会のみの採決にはなじまず、なるべく住民の直接的な
総意をまつべきであると考える。
従って、諮問型のB・Cは当然許容範囲となり至当である。
次に裁可型で過半数の同意を要するとしているAの場合、合併の手続は迂遠な
ものとなるが、前述のとおり自治体の根本に関わる事項なので、
法律でこのような住民意思をなるべく反映させるような措置を施しても
問題ないと考える。
4.もっとも、A説については団体自治の観点から、自治体の自主的な市町村合併を
国家が阻害するという点が指摘されうるが、A説の趣旨は直接自治を促進するもので
あるから、批判として妥当しない。
むしろ、地方自治制度として歴史の浅い日本においては、政治的アパシーを防止し
民主主義の学校として活かすためには望ましいともいえるだろう。*2
*1:どれも見てもよく分からないんだが、
直接民主制を原則とした場合、93条は1項はどないな理解になるんやろ。
これでええんかのー?
*2:ここまで書いていいものか悩むが、ど田舎出身の漏れとしては
これぐらいせんと地方に民主主義は根付かないのではないかと思ってる。
(余談)
受験新報02/07のP53の答案だが、2(1)で間接民主制を是とする
論証が弱すぎる気がする。
また(2)でちょっと日和すぎじゃなかろうか。
原発は国家政策といっても、安全上の問題などもあるわけだから、
完全に排除するというはいかがなものか。この部分は自爆っぽい。
435 :
30:04/01/22 04:44 ID:???
>>431>>432 >大雑把に言えば、相当性の抗弁は、故意過失が阻却される場合で、加害者の内心領域において止むを得ない事情が
>あった場合、真実性の抗弁は、違法性阻却の場合で、客観面で加害者に正当化自由があった場合、だと理解してい
>ます。民法論になりますが。
これは当然の『大前提』です。すでに引用してある最判昭41.6.23民集20.5.1118の判旨のとおりです。
>どの辺りからそのように読めましたか?わたしは相当性の抗弁と考えているとしか読めなかったのですが。
>両判決ともに「相当の理由」という言い方ですから、素直に従来のように責任阻却事由と位置付けて良いと思います。
これは素直に見ればそうなんでして、基本的には、このように理解してしまえばいいと思っています。
ただ、わたくしの抱いていた疑問というのは、次のとおりです。
最判平14.1.29の判例は、最判昭41.6.23を先例とし、これを適用していますが、ただ、最判平14.1.29は、その後に、
「仮に,その他の報道分野の記事については,いわゆる配信サービスの抗弁,すなわち,報道機関が定評ある通信社か
ら配信された記事を実質的な変更を加えずに掲載した場合に,その掲載記事が他人の名誉を毀損するものであったとし
ても,配信記事の文面上一見してその内容が真実でないと分かる場合や掲載紙自身が誤報であることを知っている等の
事情がある場合を除き,当該他人に対する損害賠償義務を負わないとする法理を採用し得る余地があるとしても,私人
の犯罪行為等に関する報道分野における記事については,そのような法理を認め得るための,配信記事の信頼性に関す
る定評という一つの重要な前提が欠けているといわなければならない。」という判断があり、これはなぜかと考えまし
た。相当性の抗弁と考えるのであれば、このような付加的な判断をする必要がないのではないか?ということでした。
そして、わたくしは配信サービスの抗弁について「相当の理由」とは別個の事由と想定しているが、適用の前提を欠く
と考えるのが論理的ではないか、と考えたのでした。判例だけを読んで、論理の筋を追って、自分なりに考えてみたわ
けです。
436 :
30:04/01/22 04:45 ID:???
ただ、
>なお、最判平14.3.8の梶谷反対意見は配信サービスの抗弁を憲法21条の要請による新たな違法阻却事由として認める
>べきとされています。
とありますので、配信サービスの抗弁を違法性阻却事由と捉える立場も1つの立場なのではありましょうが、多数が支
持するところではないというこということですね。最終的には正しくなかったわけですが、いい頭の訓練になりました。
次の問題についてのコメントは後日ということで。ではまた。
437 :
裕子:04/01/22 09:53 ID:???
>>434 > 直接民主制を原則とした場合、93条は1項はどないな理解になるんやろ。
> これでええんかのー?
私は、この手の問題の場合は、代表民主制の問題と議会の権限侵害とわけて、二つの論点として考えています。
代表民主制の問題は、直接民主制が許容されるかの問題。
議会の権限侵害の問題は、国民の介入が権限侵犯にならないか(地方議会なら中央からの介入の問題が加わる)の問題。
前者が憲法上の許容性を論じ、許容されるとしても(別の観点から)禁止されないか、という流れです。
こう考えると、93条1項の解釈問題が理解しやすいと思うのですがいかがでしょう。
国法でみとめれば地方議会への不当介入で違憲。
地方議会の自治的判断なら合憲。って感じでしょうか。
438 :
裕子:04/01/22 10:04 ID:???
>>437 あ、でもこのような思考は代表民主制が中心で、直接民主制は補完、という考え方でないとでて来ませんね。
地方議会設置を憲法が要求している以上、 直接民主制が原則と捉えるのは厳しい気がするのですが・・・
>>438 あったあった。ホーンブック憲法p286(渡辺康行)。
「93条2項が『議会の議員』の選挙という議会制民主主義の制度を
規定するのと並んで、『地方公共団体の長』が直接公選されるべきとする、
直接民主主義的な制度をも規定している。」
「地方自治の主権者は住民である。現行法が間接民主制を採っているのは、
直接民主制の実施が技術的に困難だからである。」
「住民自治を尊重するにしても、高度に専門分化した現代社会においては、
それぞれの分野を専門家に委ね、一定期間、総合的視野に立って行政に
あたらせるという、代表制の技法が不可欠である」
結局、漏れの答案の通りでだいたいよかろう。
考え方としては会社法における所有と経営の分離が発展してきた過程を
想起すればよいと思われる。93条については全体をみて、
憲法が直接・間接民主制のどちらを原則としているかは
俄に判別できないといったところだろう。
434*2に書いたように、漏れは、「恩給が増額されるからもう一期議員をやらせてくれ」とか頼み込む間抜けな地方議員を目の当たりにしているので、
経験上、通説に乗るわけには行かない。
それに、最近の住民投票の流れを見ていると、機会さえつくれば
住民は容易に政治参加し、真面目に考えるようになってきているから、
衆愚政治の危険も少ないと思う。
もっとも、浦部『憲法学教室』p581が指摘するように、
大した議論もなく、いたずらに賛否を問うようなものだと
多数者支配の弊害が出てくる可能性(*1)も否定できないので、
包括的な裁可型住民投票条例などは否定すべきという落としどころは
用意しておくべきだろう。本件のような合併という自治体の重大事に
ついては裁可型でも許容されると考える。
*1:少数者の権利義務関係について多数決原理で決められてしまうことや
投票に伴う住民間の対立など(扉2002p27参照)。
ちょっと遅くなりましたが、原点に戻って、受験テクを踏まえる形で
配信サービスの抗弁をまとめてみました。これで30さんの疑問は解けませんでしょうか?
1.名誉棄損における真実性の錯誤を違法性で考慮するか責任で考慮するか?
・民事:最判S41・6・23→「故意もしくは過失がなく」(北方ジャーナル承継)
・刑事:最大判S44・6・25(和歌山時事)→「犯罪の故意がなく」
*ここにおいて、判例にしては珍しく違法は客観、責任は主観という形で民刑事とも
平仄を合わせているように思えるが、単に正当化要素としての主観を違法性レベルに
上げなかっただけかも知れない。なお、対話P296(道垣内)は「刑法に引きずられたと
いうだけでなく、公益に関することであって真実であるならば、その摘示によって、ある人の
社会的評価を低下させてもよい、そういった社会的評価は法的に保護されるべきではないのだと、
明確に枠組みを明らかにしたかったのでしょうね」と述べる。
この判例を前提に憲法の地平から民刑事を眺めると、以下の視点に分かれる。
@表現の自由の優越性をどの程度及ぼすか(憲法理念をどの程度民刑事に容れるか)
A主観的正当化要素を考慮するか(結果無価値・行為無価値に関わる)
*@について自分なりの天秤を作っておく必要があると思われる。
Aについては刑法における体系的思考から自分なりの天秤を作っておく
必要があると思われる。おそらく憲法の立場を固めてから、民刑事の
要件のなかに自身のバランスを組み込むという形が脳に負担がかからないだろう。
2.配信サービスの抗弁の位置づけ
・違法要素:3月判例における梶谷反対意見。
・責任要素?:1月判例における「仮に」以下。
認める余地はあるが、「配信記事の信頼性に関する定評」が欠ける。
*梶谷は大きく表現の自由に傾斜していると思われる。
他方、多数意見としては1月判例におけるメイン部分で一貫して単なる責任要件における
「相当の理由」の中で述べていることと、上記1における明確化に鑑みれば、違法性にまで
上げて更に一般的に配信サービスの抗弁を認めることはおよそ予想できず、受験においても、
せいぜい責任要素として配信サービスの抗弁を認めるぐらいだろう。
442 :
外野手:04/01/23 03:49 ID:???
【受験新報611-C憲法】《参議院の特殊性〜地域代表制論・間接選挙制》★H14口述2日目関連
1.(1)日本の参議院のように全議員が公選される第2院は例をみないが、
その独自の存在理由は衆議院とは違った角度から国民の多様な意見・利益を代表させうることにあると解されるが
現行法上参議院の選挙制度が衆議院のそれとほとんど異ならないものことから
参議院の独自性をより発揮するために右改正を行うものと考えられる。
(2)しかし、当該改正のように・・・・方式に改めるのは以下の点から憲法に反すると解する。
ア 14条1項、15条1項3項、44条但書→投票価値の平等が要求される(S51判決の言い回しで
これを本問についてみると、選挙区たる各都道府県の人ロにかかわりなく同一の数の定数を配分するものであリ
人ロ比例原則が考慮されておらず、選挙区によって1票の持つ価値が異なることは確実である。
当該改正を肯定する立場は、衆議院と異なる参議院の独自性を発揮するには、
参議院については人口比例を基準としないことを認めるものと考えられ、この結論を肯定するものと考えられる。
しかし、憲法43条1項の規定、また参議院の役割からして、
投票価値の平等が参議院議員の選挙についても同様に適用されるべきである。
また、選挙人の1票の持つ価値が異なれば、選出された議員が国民を正当に代表しているとはいえず、
その結果構成される議会ももはや「全国民を代表する」(43条1項)ものとはいえないというべき。
すなわち、憲法14条1項等が定める投票価値の平等は厳格に貫かれなければならないず、
投票価値の平等を損なってまで参議院の独自性を追及することはできないと解するべき。
イ また、当該改正の趣旨として地方自治推進への寄与が挙げられているが、
わが国の地方自治は市町村を基礎とした二層制の構造をもつ以上
参議院を各都道府県の代表者で構成することがこれに寄与することにならないというべき。(これは蛇足か?
(3)以上より、この法改正は14条1項、15条1項3項、44条但書、43条1項に反し、許されない。
443 :
外野手:04/01/23 03:52 ID:???
2.国会議員の選挙については93条2項のように直接選挙を要求する条文がないため、
参議院への間接選挙制導入の可否は解釈に委ねられる。
・選挙委員の選挙方法において、1.と比較して選挙人の投票価値の平等を害するものでない。
・とすれば43条1項の「全国民を代表する選挙された議員」といえる。
・複選制と比べれば、国民による選挙が行われる点で国民との関係が希薄になるとまでは言い難い。
前述した参議院の独自性を見出す点でも、
参議院議員選挙において間接選挙制を採用することも許されるというべき。
以上より・・・
本問はH14口述2日目でそのまま聞かれている問題である。1.はまだ要検討。
投票価値の平等と43条1項とは分けて述べた方がいいのかな。スマートにまとめようとして自滅か。
また、求められていないのだろうが「参議院の独自性」をキーに1.と2.を関連付けてみた。
参ったな、思ったより時間掛かったよ。
444 :
30:04/01/23 09:09 ID:???
>>433-434>>439 >>437-438 > 私は、この手の問題の場合は、代表民主制の問題と議会の権限侵害とわけて、二つの論点として考えています。
> 代表民主制の問題は、直接民主制が許容されるかの問題。
> 議会の権限侵害の問題は、国民の介入が権限侵犯にならないか(地方議会なら中央からの介入の問題が加わる)の問題。
> 前者が憲法上の許容性を論じ、許容されるとしても(別の観点から)禁止されないか、という流れです。
> こう考えると、93条1項の解釈問題が理解しやすいと思うのですがいかがでしょう。
> 国法でみとめれば地方議会への不当介入で違憲。
> 地方議会の自治的判断なら合憲。って感じでしょうか。
わたくしも、これとほとんど同じ分析枠組みを使っています。そして、前者は民主主義の原理、後者は自由主義の原理に
関わる問題として扱います。民主主義の原理では、民意の反映と統合という観点から検討します。自由主義の原理では、
機関の相互関係という観点になりましょう。なお、国民についても、国家機関としての国民、つまり有権者団として捉え
れば、機関相互の関係として考えることができますよね。ありきたりの分析ですが、これで評価がよかったりします。
なお、有権者団の権能とその行使の問題としてこの論点を扱うこともできます。この扱いをすると、機関の相互関係とい
う観点から考える「前提」を補強することができましょう。このあたりも、しっくりこなければ放置してください。
直接民主制が原則と捉える立場とは、人民主権説あたりの考え方に近いのでしょうか?詳しくは知りません。ただ、以前
その筋の優秀答案がございましたので、誰か提唱されているのでしょう。まあ、憲法上、不可能ではない立場ではないか
と考えます。答案化の判断は、その人の危険においてなされればよいところかと。
445 :
30:04/01/23 09:35 ID:???
>>444(つづき)
その上で、地方公共団体の場合なんですが、その分析が、地方自治の本旨、すなわち住民自治(民主主義の原理)
と団体自治(自由主義の原理)に置き換わるだけです。また、有権者団も地方有権者団と扱うことになります。
ただ、地方有権者団は、より能動的、積極的に活動ができるという違いがありますから、この点を示せばよい、と
いうだけです。このように分析手法が定型化されていれば、現場で扱いやすく、脳に負担が少ないと思います。
とりあえず、この問題については、こんな感じです。
446 :
河童:04/01/23 10:47 ID:???
はじめまして。別のスレで「外野手」さんにご指導いただき、ここを案内していただいたものです。
どうも私にはレベルが高いようですね。学者さんより世間レベルの話で勝負というのが私のスタンスですから。
しかし、見るからに有益なスレですから、たまにお邪魔させていただきたいと思います。
>>443 参議院の選挙についてですね。最近、新聞で読んで問題意識を新たにしました。
まず都道府県単位で選挙区とすること自体は、選挙に選挙区がつきものない以上,問題ないでしょう。
問題は投票価値の不平等ですね。鳥取県民60万・東京都民1200万ですので、投票格差を2対1までとすると、
鳥取2議席対東京20議席(参議院ゆえ偶数)となり、むしろ事実上の平等に反するといえそうです。
しかし、建前上は、参議院議員も地域に縛られることなく自由委任された「全国民の代表」(42,43条)ですから、
憲法上の明文なくも、たとえば「事実上の都道府県代表たる性格がある」として、
憲法上要請される投票価値の平等を犠牲にしてよいということにはなりますまい。
つまり、憲法を素直に読めば、参議院議員はみな「全国民の代表」ですから、
鳥取1対東京20の議席数となっても格差ゼロを目指せばよいのです。
しかし、現実的にそれでは常識に反するということから,最高裁は現実的に1対5も容認しています。
建前と現実の攻めぎ合いですよね。最高裁は相変わらず政治機関(現実)に弱腰ですが。
ところで、もし参議院で人口格差を無視した地域代表的な選挙方法を採用する場合は,
衆議院の優越を更に強化しなければ憲法が予定している適正な状態を害すると考えなくてはならないと思います。
結局、参議院選挙を抜本的に改革することは,憲法改正を伴うしかないのでは?
また、そうすると憲法改正をする必要がある条文の範囲を考えなくてはいけません。
私はそういう問題意識を論文に出せたらいいと思っています。
……私の書き込みは全然スレの流れと噛み合いませんね。すいません。勉強不足です。
447 :
河童:04/01/23 11:48 ID:???
すいません。どうも舌ったらずでした。
つまり、私が言いたかったのはですね、あっちのスレでも言いましたが、
現在政治的に議論が盛んなものとして、道州制はともかく、二院制の廃止・参院選の大改革や、
首相公選論がありますが、それらは憲法改正とセットで論じられていることです。
(昨日も小泉が憲法改正と参院についてテレビで語っていました)
ですので、是非とも答案にそれを反映させるべきだと思うのです。
(例えば,首相公選制の採用は67条を改正するだけでは無理である、とか)
また、参院選を大改革するときは,14条1項、15条1項3項、44条但書、43条1項のみならず,
59条(一応60条・61条)との関係でも問題があることを意識すべき(参議院の権限が大きすぎる)で、
やはり憲法改正を考えなくてはならないのではないでしょうか。
憲法改正すべきか否かを常に意識した論述の仕方もあると思いますので、
それをどこまで答案に出すかはともかくとして、ご提案したかったのです。
あまり凝りすぎても仕方ありませんが,「憲法改正が必要か否か」を越えて、
それを必要とした場合の「範囲」について踏み込んで考えるのも有益な気がします。
>>444 まあ多くの人は間接民主制を原則として書きますけど、
自由主義的観点からの均衡抑制は地方レベルでそんなに大事なものなのかなって
疑問が常々あって、理論のための理論としか思えないんですわ。
ただ、漏れのように書くと、最大の鬼門は93条ですけどね。
とりあえず、浦部、伊藤がとってるようです。
(浦部は、直接民主制を原則に据えて、地方議会について
「ミニマム」の制度と捉えているようだ。
>>446 盛り上がってきましたな。
このスレッドは、単に答案を作成するだけではなくて、
情報を持ち寄って選別していくような部分もあるので、
書き込んでいる内容は過去問の1.5倍ぐらいと捉えていただければ結構です。
ですから、一見マニアックですが、書き込んだものの、
議論の結果いらないと思われた情報は切っています。
基本的に勉強のモチベーション維持と情報収集の効率を考えて、
自分の苦手な分野は素直に叩かれて、
得意な分野は饒舌に語るといった感じのバランスをとりながらやってます。
これからしばらくは択一時期で書き込みの量が減るかと思いますが、
気づいた点などご指摘くださればと思います。
449 :
裕子:04/01/23 13:28 ID:???
>>442>>443>>446 私は合憲の方向で考えてみます。地域代表制論に限りますが。
勝手に、問題といていいのかしら。だめだったら言ってください。
地域代表制には1投票価値の平等と243条1項「全国民の代表」に反しないかという問題あり。
一投票価値の平等について。
0地域代表制は、必然的に投票価値の不平等をもたらす。
1もっとも、投票価値の平等が保障されるか明文の定めは無い。
(1)判例は14、15、44但を根拠にする。
しかし、15条3項、44但しは、普通選挙の規定するものであって、既に選挙権が与えられている本問とは別問題。
また、14条は、後段列挙事由からして、歴史的に社会に偏見を生じさせてきた不合理な事由に基づく差別を禁じる眼目。本問はこのような事由は無い。
(2)むしろ、15条1項オンリーの問題とすべき。
影響力の平等まで保障しないと選挙権の保証も無意味だから、同条の一内実として考えるべきだから。
2では、15条1項に反するか。
(1)「公正かつ効果的な代表」は代表民主性が前提としている原理であり、15条1項の保障する選挙権も当該原理に沿う形で解釈すべき。
そして、投票価値の平等は、選挙の効果が選任に有効に作用する配慮として「公正かつ効果的な代表」に不可欠かつ重要な要素である。
(2)しかし、それだけが唯一の「公正かつ効果的な代表」の要素ではない。
例えば、憲法は選挙区制を前提としており、選挙区を適切な規模に定めることも憲法の要請。
効果的な代表選出の機能確保や責任追及の方法を実効的に確保するための制度として重要である。
また、選挙区の恣意的な区分(ゲリマンダリング)を防ぐための行政区画主義も憲法上の要請。
(3)地域代表制は規模の適正の要請や行政区画主義の要請にかなうものである。
以上より、人口比例にならないからといって、直ちに15条1項に反するわけではない。
450 :
裕子:04/01/23 13:30 ID:???
>>449(つづき)
3(1)しかし、地域代表制を導入すると大きく投票価値の平等を損なうおそれは否定できない。
投票価値の平等をを15条の要素とする以上、そこには限界があるはず。
その限界に反しないかという問題は確かにある。
(2)しかし、人口比例を厳格に要求すれば、両院で似通った選挙制度にならざるをえず、かえって二院制の趣旨に反する。
二院制を導入した以上、衆議院とは異なる性格を参議院に持たせるべき。
特に、半数改選、長期の任期、解散が無い、ことに鑑みると、
憲法は参議院に対しては、衆議院のダイナミズムを緩和する保守的な役割を期待しているといえる。
そこで、その期待される役割にそう形で、衆議院に比較して人口比例を緩和させることは憲法上許容されていると考えるべき。
(3)地域代表制はその役割にそうものである。
4以上より、極端に投票価値の平等が損なわれない限りは、15条1項に反しない。
判例が6倍程度の格差を許容しているのも、このように考えることで正当化できると考える。
二「全国民の代表」について。
1「全国民の代表」とは「特定の選挙民の代表」であることを否定する意味を持つ。
地域代表制は特定の選挙民による選出を意味するから、反しないかという問題はある。
2しかし、「全国民の代表」であることすなわち「特定の選挙民の代表」であることを否定する意味は、
選挙人の指図に拘束されること無く独立して全国民のために行動すべきことを要求する意味。
地域代表制が選挙人の指図に拘束されることを意味するのではない以上「全国民の代表」であることには反しない。
3以上より43条1項には反しない。
投票価値の平等を絶対だと考えている方には、許すまじき答案かもしれませんが、
まあ、判例の結論を正当化するために頑張ってみたということで見ていただければと思います。
>>443 > 投票価値の平等と43条1項とは分けて述べた方がいいのかな。
判断要素がかなりちがうと思ったので、私は分けてみました。
>>449 何でしたら、うP会員になりますか?
今月中の予定は、
>>318の通りですので、
担当できるものがあったらお知らせください。
2月3月については半分のペースで民法のみをやっていくことに
決まっていますが、3人か4人なら1日1問ペースでも可能と考えます。
主に底力、基礎演習、分展を使います。
4月は休みで、5月11日から再開する予定になっています。
なお、事務連絡等はメーリングリスト(匿名可)でも行っていますので、
こちらもどうぞ。→
>>31
452 :
裕子:04/01/23 14:32 ID:???
>>451 うP会員・・・そんなのあったんですか。なれるものならぜひ。
底力はもってますし、どれでも担当OKです。
>>452 それでは、申し訳ないですが詳細なスケジュールを組みたいんで、
適当に捨てアドレスを作って、
>>31までメールをください。
折り返しMLの案内などをお送りします。
454 :
河童:04/01/23 20:50 ID:???
冷シャブさん、今後たまにお世話になります。よろしくお願いします。
>>450 裕子さん、
> (憲法が参議院に)衆議院のダイナミズムを緩和する保守的な役割を期待しているといえる。
> そこで、その期待される役割にそう形で、衆議院に比較して人口比例を緩和させることは憲法上許容されていると考えるべき。
> (3)地域代表制はその役割にそうものである。
「保守的な役割」を担うことと、「地域代表制」や「投票価値の格差」は関係ないように思えます。
民主主義制の下、6倍の格差を正当化することは、この理論では(というかどの理論でも)難しいでしょう。
結局、参議院(参院選)については大改革が必要ということは間違いないと思います。
しかし、実際問題として、参議院に自殺、あるいは大幅な権力削減を迫るような憲法改正は、
その手続を考えてみたとき、まずもって参議院を通るはずがない。
そうすると、現行憲法をなんとか解釈して参議院(参院選)をなんとかしなくてはいけない、
というのが、ありのままの現実でしょう。ここまでくると、司法試験の枠から逸れてきてしまいますよね。
私は脳みそが現実的過ぎて、時々この試験に向いてないと思ってしまいます。
(先日も「教科書検定を違憲とするなら、漫画を教科書にする学校だって出てきますね」という趣旨のことを別の板でいいました)
それから、受験テクニックからは投票価値の平等につき判例の「14条、15条、44条但書説」を否定するのは無益でしょう。
このような論点にスペースを割くなら、もっと重要な論じるべき点は沢山ありますからね。
以上、僭越ながらご意見させていただきました。
入り組んでまいりましたので、【浦部事例式28】は明日うpします。
>河童さん
メーリングリストもありますので、こちらもどうぞ。
>>31
456 :
30:04/01/23 22:56 ID:???
こんばんは。
議論が入り組んできましたので、まとめておきます。専用ブラウザの方は、レスアンカーでポップアップ
しますから、見やすいと思います。
>>442-443(構成1、外野手さん)
>>446-447(河童さんa)
>>449-450(構成2、裕子さん)
>>454(河童さんb)
これらにコメントを打つことが困難な事態に陥りました。そのため、参考になる文献をあげることにより、
これに代えます。
>種本と思われるもの
『ファンダメンタル憲法』p.160-(14 参議院の制度改革)
※ 裕子さんの立論
>>449-450は、これを参考にしていると思われる。
>参考にした教科書
佐藤幸治『憲法』(新版)p,109
平等原則との関係について書かれているが、背景は『現代国家と司法権』p.247に詳しい。
1 平等原則との関係−S51判例の考慮要素との関連
※ 比例代表選出議員が存在すること→厳格な平等原則が妥当しないとみる余地があるのか?
2 全国民の代表
※ 都道府県代表機能=地域代表的第2院
a 本問の制度のうち、前者はアメリカ合衆国の上院を参考にしている。
b 後者については、問題文が不明なために、保留。ただし、地方議会議員を選挙人とする場合
であれば(フランスの元老院の制度)、地域代表的第2院と考えることができるが、狭義の
間接選挙と複選制との複合型となる。
なお、この制度の採否の問題であれば、前者との共通性が地域代表的第2院となる。
いずれにしても、答案練習会でもよく出題されており、優秀答案も出揃っているので、入念な準備が必要
かと思われます。
ではまた。
457 :
30:04/01/23 23:06 ID:???
>河童さん
はじめまして。
投稿オーバーで、コメントと分かれてしまいました。
非うp会員は、弱点を鋭く抉るのが腕の見せ所です。シャープなコメントをよろしくお願いいたします。
なお、当然のことながら、わたくしのコメントも叩く対象です。存分にやっちゃって下さい。
ではまた。
>>433 通りすがりだけど、ちょいと気になったのでレス。
町村総会を、直接民主制の根拠とするのは適切じゃないと思うんだけど。
実質的にも1回使われただけの規定だし(町村制の下でも町村総会はあったみたいだけど)、
形式的に見ても89条という原則的な規定に対する特例的な規定だからね。
459 :
裕子:04/01/23 23:37 ID:???
>>454 > 「保守的な役割」を担うことと、「地域代表制」や「投票価値の格差」は関係ないように思えます。
すみません。ここあてはめをはしょってます。
また、おっしゃるとおり論理に飛躍があるのは否めません。
そこで「その期待される役割にそう形で」の後は、
「衆議院とは異なる独自の合理的制度を導入し、その結果人口比例を緩和させることは、それが極端に投票価値の平等が損なわない限りは、憲法上許容されていると考えるべき。」
くらいに修正したほうがいいでしょうか。
> 民主主義制の下、6倍の格差を正当化することは、この理論では(というかどの理論でも)難しいでしょう。
私の理論はともかく、正当化される先生もいますし、なにより最高が正当化してますから・・・
まあ、価値判断としては、おっしゃることはわかります。
> それから、受験テクニックからは投票価値の平等につき判例の「14条、15条、44条但書説」を否定するのは無益でしょう。
私が尊敬する先生が、14条の問題ではないとした上で、判例の結論を支持されていたのでそれに従いました。
論理必然ではないのでしょうが、15条オンリーにした方が合憲に持って行きやすいのは確かです。
もちろん、その意図を条文選択の理由と表現するのはまずいですが。
最高がいろんな条文を引き出してるのは、いろんな考慮要素を持ち出して論じたいからかな、と思っているのですが、
かえって論じにくいので15条一本にしぼって見ました。
判例の立場でももちろん論じられないことはないんですけど、このほうが「公正かつ効果的な代表」に集中した議論がし易いんですよ。
それでも判例に合わせたほうがいいのかしら。
ちなみに、15条一本にしぼる論じ方は松井先生の基本書を参考にしました。
460 :
裕子:04/01/23 23:43 ID:???
>>458 おっしゃるとおりだと思います。
私がより気になるのは、法律から憲法の基本的枠組みを演繹する手法です。
>>458 間接証拠(「推知」と書いた)なので証明力が弱いのは認めますけど、
優秀答案等でも散見されますし、書いても減点はされんでしょう。
加点は望めないかもしれませんが。
この説にたった場合は、本来的に直接民主主義で、
「多くの自治体が技術的に困難であるから議会の設置で良いですよ」っていう
理解で(地方自治法89条)、94条は念のために「もちろん町村総会が
可能なら大いに結構で、禁止するものではないですよ」というニュアンスになるようです。
実際に一例しかない点は技術的に困難であったという理由付けをすれば、
理論的に問題になる部分ではないと思います。
・・・みんな通説なんだな・・・
>>460 ・・・さって、孤軍奮闘するかなっと。
いやー説得力はあまりないですけど、
法解釈の手法としてたまに使う方法じゃないですかね。
株主平等の原則について総則規定がないにも関わらず、
散在する各則から推知して上位概念を強固にするのと同じですわ。
そこから導くわけではなくて、氷山の一角として証左が出ているというだめ押しです。
463 :
裕子:04/01/24 00:15 ID:???
>>462 その例は同じ法律の次元だから許されるのではないでしょうか。
法律で憲法の内容を規定する(ように読める)のとはまた別問題かと。
「これもその一つの現れである」くらいが無難かと。
>>463 う〜ん、まあその辺に落ち着かせておきますかね。
ただ、上位規範と下位規範ってつながりだけでしょうから、
憲法か法律かってのはあまり関係ないと思いますがね。
465 :
裕子:04/01/24 11:50 ID:???
>>464 > ただ、上位規範と下位規範ってつながりだけでしょうから、
> 憲法か法律かってのはあまり関係ないと思いますがね。
すみません。よくわからないのですが。
その意味するところは、何でしょうか?
>>465 @「上位規範=憲法、下位規範=法律」という関係になって、
それぞれ憲法の中にも法律の中にも
A「上位規範≒上位規定≒総則、下位規範≒下位規定≒各則」
という形式的関係があって、
上位規範の意味内容を確定させる作業(法解釈)において
下位規範に表れている内容を一つの手がかりとするという手続が同じということです。
本件に即して述べると、92条、93条の文言からは明らかではないので、
解釈によって憲法が地方自治について間接民主制を原則とするのか、
直接民主制を原則とするのかという規範の意味内容を確定しなければ
なりませんが、地方自治法の規定を一つの手がかりにすると
直接民主制が原則とみることもできるという論証手順です。
別言すれば、地方自治法にこれまで是とされてきた憲法の解釈が表れているともいえます。
もっとも、形式に着目すれば間接民主制が原則なのは明らかですが、
人民主権論を強調したいという価値判断が働いて
形式論理的には無理な方向にもっていくことになります。
株主平等の原則については、それを示す総則規定がないので、
会社法における抽象規範の確立という形をとります。
概念法学大好きな人や理系出身の人だと、
何か喉に奥に物が詰まったままという感想を述べますが、
このような煙に巻くがごとき論理が法解釈の真骨頂であり、
面白い部分だと思います。
まあ背景となる価値判断がボロボロだとどうにもなりませんが、
経験とともに妥当な路線に定まってくるといわれています。
ただ、司法試験の場合は時間的制約がありますので、
点数稼ぎのために日和らないといけないことも多々あります。
こんなところですかね。とりあえず時間がないので即答のみにて失礼します。
467 :
裕子:04/01/24 18:08 ID:???
>>466 長文のご説明ありがとうございます。
うーん、おっしゃる大枠はよくわかるんですけどね。
その枠組みを憲法と法律の間に持ち出してきてよいのか、ということがどうも・・・
ただ、私は「地方は直接民主制が原則」ということの意味がわかってないので、あまり深くつっこんでも仕方が無い面があります。
その点を理解してからまた考えてみます。
468 :
裕子:04/01/24 18:35 ID:???
>>442>>443 1については、
投票価値の平等がなぜそれほど大事なのか、ということの論述がなされていないことと、
どの程度の不平等まで許容するのかという点が書かれていない(完全比例でしょうか?)こと、
参議院の独自性が失われてよいのかという問題への解決策が示されていないことが気になりました。
最後の問題は悩ましい問題だと思いますが、この点に配慮できると大きなアドバンテージになるかと思います。
2については、
参議院の独自性を見出す点がおまけのように書かれているのですが、やはりここが一番のポイントなのではないでしょうか。
積極的理由としてプッシュする必要があると思います(1でいってるから略されたのかもしれません)。
「参議院の独自性」をキーにすることは非常によいと思います。というか必須なのではないでしょうか。
一応人権が問題になっているのですが、本質は統治の理解を問うているような気がしました。
469 :
30:04/01/24 18:42 ID:???
470 :
30:04/01/24 18:42 ID:???
>>467 この論点は択一でもそこそこ出てきたように思いますので、
そのときにでも考えたらいかがでしょうか。
予備校の択一問題は良質の文章をパクッてますんで、
論証とかの参考にしたりします。
(問題作成者が論理構造を詳細につかんだ上で問題化しているので、
受験生としても論文用の効率的な勉強ができちゃったりします。
>30
私人間適用の話ですが、ちょっと引っかかったので調べてみました。
これはステイトアクションの理論を使って直接適用する場面ではないかという
問題意識じゃないでしょうか。
こうすれば、憲法の実体法という形で論じられるので事実行為も憲法論で議論できる上、
弱者側を容易に嵩上げできるので、妥当な規範が定立できるという利点があろうかと思います。
そうすると少年側に重きをおいた大阪地判の処理に親和性が出てくるようです。
ここからは私の予想ですが、
ひょっとしたら今年の問題は「公立」ではなくて、
「私立」として、場合によっては私人間適用もプチ論点にしたかったんじゃないですかね。
H9、H10と口述に断続的に出てますし、2001年1月号で青柳が熱心に語っているのが
少々気になりました。
たぶんステイトアクションの理論が学問チックな点で実務家試験委員に反対されたか、
口述の出来が悪すぎてやめたんじゃないかと思います。
いかがでしょう?
473 :
30:04/01/24 23:42 ID:???
>>472 そうです。芦部分類の司法的執行の場面ということです。そのため直接適用する場面では?
ということです。わたくしのレスは、通常、かなり極限まで切り詰めています。気になった
方だけ使って貰えたらいいようなことも書いてます。やはり、試験のための検討という限界
がありますので、みんなが使えるところだけ、自分のリスク・テイクで使ってもらえればと
思っています。ではでは。
>裕子
今更、うだうだ書くのはなんですが、6倍を許容とはびっくりですわ。
口述で辻村にあたったら激戦になりますよ。w
15条一本主義の点は、併せて判例を掲げれば問題ないと思われます。
ただ、受験テクとしては河童氏の通りですな。
まあ多少の硬骨もいいんでしょうし、説得的に論じられれば
加点評価につながるやもしれません。
表現方で気になった部分があります。
>二院制を導入した以上、衆議院とは異なる性格を参議院に持たせるべき。
これは脳内の思考なら適切だと思いますが、論証としては逆じゃないですかね。
論理としては、参議院の独自性があって(現実にはなくても)、
二院制が出てきたものとして論ずるべきかと。
【浦部事例式28】《条例による罰則制定と罪刑法定主義》★H14口述4日目関連
1.地方自治法15条4項(以下本規定という)は、法令に特別の定めがあるものを除いて、
独自に罰則規定(2年以下の懲役・百万円以下罰金等*1)を包括的に設けることが
出来る旨規定しているが、このような白紙委任ともとれる規定が
憲法上許されるのか罪刑法定主義との関係で問題。
2.罪刑法定主義
31→実体の適正→罪刑法定主義→明確性の原則。(詳細略
このような観点からすれば、本規定は白紙委任に近いものであり、
違憲無効とされるべきとも思える。
3.これについて判例は、条例が国会によると同様の民主的手続を経て制定されることを
根拠に、授権内容が相当程度具体的で限定されていればよいとし、
命令等より緩和した授権要件をもって許容する。*2
しかしながら、憲法は94条で地方公共団体における条例制定権を定めており、
これは地方自治の本旨を前提にした授権によらない独自の条例制定権と捉えるべきで、
実質はむしろ議会という民主的手続を
経るからこそ条例における罰則が許容されるとみるべきである。
従って、本規定は罪刑法定主義との関係で問題となるものではなく、
制定される条例そのものについて罪刑法定主義の縛りがかかることになると考える。
もちろん別途、法律の授権に基づく条例による罰則もあり得る。
*1:口述で聞かれてる。
*2:最大判S37・5・30
口述再現を読んでいると、法律の範囲内かどうかを様々な事例で聞いている。
特に条例が先にあって、それより抑制的な法律が出来た場合
(結果として横だし・上乗せ状態になった場合)が注意かな。
476 :
30:04/01/25 02:35 ID:???
こんばんは、今日は時間があります。多少、詳細な検討をします。
>>475 > 1.地方自治法15条4項(以下本規定という)は、法令に特別の定めがあるものを除いて、
条文が改正されたのですか?14条3項ではなかったのでしょうか?
> 独自に罰則規定(2年以下の懲役・百万円以下罰金等*1)を包括的に設けることが
> 出来る旨規定しているが、このような白紙委任ともとれる規定が
> 憲法上許されるのか罪刑法定主義との関係で問題。
罪刑法定主義の憲法上の位置付けと関連しますよね。31条の解釈との関係が問題となり
ますし、難問です。この問題は実はかなり深いですね。松井先生あたりだと、全く別の筋
になりますよね。どなたかこの筋で構成してみてはどうですか?おもしろそうです。
> 2.罪刑法定主義
> 31→実体の適正→罪刑法定主義→明確性の原則。(詳細略
むしろ法律主義のレベルの問題のような気がします。浦部もそう書いているような感じが
します。
> このような観点からすれば、本規定は白紙委任に近いものであり、
> 違憲無効とされるべきとも思える。
白紙委任かどうかは、憲法73条6号との関係で議論するのが通常でしょうが、浦部は、
違う立論をしていますよね。参考になりますが、混乱しそうですね。
ではまた。
>>476 >条文が改正されたのですか?14条3項ではなかったのでしょうか?
そうです。司試六法を読み間違えた。
でも、昔は2項だったし、浦部の5項っていつだろう。
>むしろ法律主義のレベルの問題のような気がします。
そうです。
ここは私の間違いです。
正確には「構成要件の明確性」であって、国公法102条1項の人事院規則への
委任(猿払参照)とかで問題となるものであって、包括的な授権では
法律主義との関係ですね(「法律」は形式的意味の法律)。
判例もその意味で捉えているので、私の答案のまま書いたら減点ですわ。
どうでもいい話ですが、30さんは早起きじゃなくて、遅寝なんですか?
MLで話題になってました。
478 :
裕子:04/01/25 16:01 ID:???
>>476 > 罪刑法定主義の憲法上の位置付けと関連しますよね。31条の解釈との関係が問題となり
> ますし、難問です。この問題は実はかなり深いですね。松井先生あたりだと、全く別の筋
> になりますよね。どなたかこの筋で構成してみてはどうですか?おもしろそうです。
こうおっしゃられると松井フリークの私としては黙っておれないのですが。
31条が罪刑法定主義を要請しているとの見解がある。
しかし、人権を制約することになる刑罰の法定は当然41条が要請する(条例だと94条か)ものであり、
あえて、31条の内容とする必要はない。
また、同条は、その文言から「手続き」に関する規定であることを示しており、実体の法定まで読み込むべきではない。
以上より、罪刑法定主義は41条により導かれると解するのが相当である。
こんな感じでしょうか。
ただ、本問ではここにこだわっても仕方ないので、素直に通説にしたがっておくべきでしょう。
479 :
裕子:04/01/25 16:03 ID:???
ちょっと本問からはずれるのですが、
31条に関する松井説についてまとめて見たので、ご参考まで。
松井は、行政手続きその他あらゆる手続きのデュープロセスは13条の要求とし、
31条は刑事手続きに関する特別規定とする。(この点は佐藤幸と同じ)。
刑事手続きの適正は31条の要請(手続的デュープロセス)。理由は、手続きの適正がなければ、手続きの法定も無意味だから。
実体の法定(罪刑法定主義)については前述のとおり。
一方、実体の適正に関しては、刑罰法規の適正さまで憲法で要求すると、司法に対し、その期待される役割を超える役割を与えることにつながるとの理由で、そもそも憲法上保障されるものではなく、個別の人権侵害の問題とすべきだとします。
(この点につき、有ヒ閣憲法と似ている。ただ、有ヒ閣憲法は31条を手続的デュープロセスと解しながらも罪刑法定主義を31条に読み込む点で松井とは異なる)
既に議論があったように、本問では罪刑法定主義の内実としての明確性の原理は、直接問題にならないですが、
より面白いのはこっちです。
松井は、明確性の原理は、罪刑法定主義のコロラリーとして41条の当然の要求であるとともに、
31条の手続き的デュープロセスの要求だとも考える(適正な告知の欠如)。
以上より、明確性原理の憲法上の根拠を論じるやりかたとしては、
1、31条が罪刑法定主義を要求している見解をたたいた上で、
41条が罪刑法定主義を要求しており、そのコロラリーである明確性原理は41条から導かれる。
2、31条が手続き的デュープロセスを要求しており、
その内実たる「適切な告知」の要求から明確性原理が導かれる。
3、両方論じる。
との3種の方法が考えられる。
なお、表現の自由規制法規の明確性については21条の問題にもなる(31条のみの場合より厳格な要請となる)。
480 :
30:04/01/25 17:53 ID:???
>>478-479 そうですよね。いい感じです。では、その先はどうなりますか?41条のレベルで法律主義について論じる
ことになりますが、どのようにしますか?詰めをお願いしますよ。
481 :
裕子:04/01/25 18:17 ID:???
>>480 41条が法律による規律を要求していることには反しないのか、という問題となり、
あとは
>>475の3以下の流れと基本的には同じになると思うのですが・・・
ただ、最後の
「制定される条例そのものについて罪刑法定主義の縛りがかかることになると考える。」は、
「制定される条例そのものについて31条の適切な告知の要請に反しないか問題になると考える。」ということになるのでしょうか。(これは本問では書く必要ないのかな?)
実は問題文知らないんですよ。
>>475から推定できる範囲ではこれが限界です。
まだなんか問題あります?
482 :
30:04/01/25 19:50 ID:???
>>481 わたくしが考えたのは、こんな感じです。
(本に書いてません。結構、適当です。激しく批判的に。)
・41条について「国の立法」―・条例は所轄が異なる
↓
94条レベルの解釈論?…3以下の流れ
・条例も「立法」
↓
法律の委任の話?…国会中心立法
・31条によって基礎付ける立場と41条(および94条)によって基礎づける立場とで、
授権ないしは委任の幅が生じないのか?要件に差が生じないか?
どうでしょうか?まだ考えるところは、いろいろありそうな感じがしますよ。詳しくは分か
りません。松井先生のゼミの方に聞くしか方法はなさそうです。
>冷シャブさんへ
そろそろ512KB規制にかかりますかねえ?
次スレはどうしますか?区切りとかは?
>>481 「条例による罰則制定を包括的に認める地方自治法14条5項(漏れ注、現3項)と
『罪刑法定主義』の関係を論ぜよ」です。
ですから、まあ関係ないってのが結論になります。
(この点、漏れの答案はちょっと最後の締まりが悪いですね。
浦部事例式はなかなか良いですよ。
ヤマ論点だけつぶしても効果はあると思います。
>>482 そのうち立てます。
区切りは赤色が出たあとの構成うpから移行しましょう。
484 :
裕子:04/01/25 22:31 ID:???
>>483 わざわざありがとうございます。この問題ならたしかに明確性原則に触れる必要はないですね。
ということで、
>>482ですが、
松井先生は条例を憲法が直接与えた自主的立法権と考えるので、法律の授権・委任の話は考えなくてよいですよね。
したがって
>>481でよいのではないでしょうか。(
>>482の上図か)
31条と41条の差異は、松井説を前提にする限り考える必要はないと思います。法律の授権・委任は不要ですから。
一般的な話だとすれば、論理必然に結論が出てくる問題ではないように思います。
485 :
外野手:04/01/26 00:23 ID:???
>>433-434 まず。非常に冷シャブタンらしい構成ですなw
・直接民主制と間接民主制の関係について述べるところでは、
国政レベルとの比較があるとなおよろしいのではないでしょうか。
また、今更蒸し返すのもなんなので、「直接民主制が原則」の部分の意見を簡単に。
浦部、辻村を見てもどうも地方レベルでは直接民主制が原則だという言い方をしてないように
思います。直接民主制をどの程度導入できるかという立論をしているのではないでしょうか。
・「また93条は後者の意味で議会の設置を規定していると解される。」
「後者の意味」というのが意味が取りにくいと思います。
もう少し開いた方がよろしいのではないでしょうか。
486 :
外野手:04/01/26 00:25 ID:???
【Article172-設例で学ぶ-3民法T】《賃貸人の承諾ある場合の転貸借》★H13年口述1日目
1.YがXに対して転貸借契約に基づく5ヶ月分の転貸賃料を支払うべきかどうかは
いつ転貸借契約が終了するのかに関わるので以下検討。
2.まず前提として転借人Yに対して通知を行う等の代払いの機会を与えないでした
賃貸借契約の解除の有効性が問題になるが、この点に問題はないと解する。
なぜなら、転借人になんらの義務を負うものでない賃貸人に過度の負担を与えるべきでないからである。
したがって、Yは転借権を賃貸人たる甲に対して対抗することができない。
3.(1)転貸借は賃貸借とは別個の契約であるから、賃貸借の終了によって終了せず
転貸人の転借人に対する債務が履行不能になったときに終了する。
(2)では、どの時点で転貸人の転借人に対する債務が履行不能となるといえるのか
ア 転貸人の転借人に対して「目的物を使用収益させる義務」を負うところ、
賃貸人の承諾のある転貸の場合には転借人が賃貸人に転借権を対抗できることが
重要である以上、右使用収益させる義務には、単に目的物を転借人のもとで事実上
使用させることにとどまらず、賃貸借契約を有効に存続させて
転借人が賃貸人に対して転借権を対抗できるようにすることも含まれると解するべきである。
イ とすれば、Xが甲に対する賃料支払債務の履行を怠り、賃貸借契約を解除され
転借権を対抗できない状況を生じさせることはYに対する債務の不履行である。
487 :
外野手:04/01/26 00:26 ID:???
(3)ア 賃貸人が目的物の占有者たる転貸人に目的物の返還を請求した場合には、
再び賃貸借契約を締結するなどして賃貸人に対して転借権を対抗しうる状態に回復することは
もはや不可能だと考えられる以上、転貸人は転借人に対して、
「目的物を使用収益させる義務」の履行をすることは期待しえないので、
社会通念上、右債務は履行不能というべきであり
イ とすれば、賃貸借契約解除後、4ヶ月後に甲からYに対して建物の明け渡し請求をした時点で履行不能となる。
(5)したがって、転貸借契約は終了しており、転貸賃料債務は発生しないと解するべきである。
(6)以上より、YはXに対して5ヶ月分の転貸賃料を支払う必要はない。
4.甲とXの解除が合意解除の場合は、原則として解除をYに対抗できない
合意解除は賃借権の放棄と解されるところ、398条、538条が第三者の正当な権利を害する権利の放棄を
認めていないことからして、同様に解するべきだからである。
以上より、・・・
以後怒濤の民法潰しに突入です。
本問はH10で出題された範囲。出題可能性は低いか。
冗長との指摘も予想されるが、3.の部分の判例の論理を整理すべく丁寧に書いた。
また「現実の使用ができなくなった時に履行不能となる」等の説への言及はしていない。
この説だと賃料と転貸料に300万もの大きな差額がある本問では改良を加えた転貸人の保護を
図れることになる。(その必要はないという反論が可能)
このあたりが問われたときに書くとこかと。
488 :
河童:04/01/26 01:09 ID:???
>>475 すいません。朝見て書き込みをしようと思ったのですが、時間がなくてとんだ時機に後れた攻撃防御になってしまいました。
しかも、自分の頭で考えたため、以下の考え方の価値は疑問なうえ、疲れていることを言い訳にかなり大雑把に書かせてください。
*まず、刑罰権の発動は本来的に国家専属事項である。憲法から直接に条例に刑罰権が授権されているというのは妥当でない。
しかしながら、条例制定権は憲法で認められているところ、これを実効的なものにするためには罰則が必要であり、
憲法は条例で罰則が定められるように国会に条例への刑罰権委任に関する委任立法を要求している。
その憲法上の要請によって、地方自治法14条3項は規定されたとみることができる。
では、委任の程度はどの程度にすべきか。
この点について、内閣は福祉国家理念の実現等のために法律案提出権(議案)を有しているところ、
国会に委任立法を促せるが、地方自治体には法案提出権がなく、イニシアティブがとれない。
ということは、地方自治の本旨の達成のため、個別具体的な委任を要求したのでは、
地方自治に対して、国家=国会がかなり深く入りこまざるを得ないことになり、
これでは地方自治の本旨を達成できない。
よって、ある程度包括的な委任が「許容」されるのではなくて、「要請」されているといえる。
そして、条例は民主的基盤を持つ議会によって制定されるからある程度包括的でも許される。
また、各都道府県の罰則を伴う条例にいちいち個別具体的な委任立法をすることは現実的に不可能。
*判例は、14条3項をなお個別具体的というが、あれをもって個別具体的というのでは、
行政権に対する委任立法も緩やかな基準で許されることになりかねず、現実的に幾つかの委任立法は違憲の疑いが強いだろう。
うーん。ひどい文章ですが、要点だけ。極限状態なもので平にご容赦ください。
>>485 前段
確かに浦部は軸足は間接民主制において、なるべく直接民主制に
近づけるべきというニュアンスですね。
それから、
>>439の以下は削除してください。
これは間接民主制を原則とする立場における前提であって、
直接民主制を原則とする立場の理由付けではないので、文意を変えて引用してしまいました。
(これは著者に大変失礼なことなので、訂正しお詫びしておきます。
「住民自治を尊重するにしても、高度に専門分化した現代社会においては、
それぞれの分野を専門家に委ね、一定期間、総合的視野に立って行政に
あたらせるという、代表制の技法が不可欠である」
>>488 面白い構成ですね。
判例が許容性を論じているのとは違って、必要性を強調して論じていると思うのですが、
そうなると罪刑法定主義の縛りも一緒についてくる点を強調すべきでしょうね。
つまり、嫁入りに例えれば、自由に使える土地と家(罰則制定権)はあるけれど、
口うるさい姑(罪刑法定主義)ももれなくついてくるということでしょう。
土地付き、家付き、ばばあ付きですね。
491 :
30:04/01/26 08:19 ID:???
492 :
30:04/01/26 08:20 ID:???
>新たな考察
>>488(河童さん)
>>490(冷シャブさん、コメント)
・罰則を設けることによる条例の実効性―・罰則を設けることの必要性
・刑罰権の発動は国家専属事項 ―・自主法としての条例の限界
・地方自治の本旨―・住民自治―・包括的委任の許容性
※民主的基盤をもつ議会
・団体自治―・包括的委任の必要性
※地方自治への介入の危険
*但し、罪刑法定主義との調整が必要(罰則の名宛人たる個人の自由との関係)
こんな感じでまとめレジュメにしてみました。どうでしょうか?
ではまた。
>補足
477への返信として、この時間帯にカキコしてみました。
実は、忙しかったりする。。。
493 :
河童:04/01/26 10:14 ID:???
>>490 冷シャブさん、
おもしろいといっていただけると、大変嬉しいです。
もちろん、罪刑法定主義の縛りは常に強調する必要がありますよね。
>>492 30さん、
レジュメ化、どうもありがとうございます。
おかげさまで私の頭もスッキリしました。
この時間まで寝てた私が言うのもなんですが、
どうぞお身体を大切に。
*板のみなさま時機に後れてすいませんでした。
民法頑張りましょう。
494 :
外野手:04/01/26 21:00 ID:???
>>487 以下のように訂正。
(5)したがって、甲からYへの建物の明け渡し請求時点でXY間の転貸借契約は終了しており、
その後5ヶ月分の転貸賃料債務は発生しないと解するべきである。
495 :
裕子:04/01/26 21:08 ID:???
>>486>>487 転貸借契約に基づく債権のみ検討されていますが、
やはり不当利得(もしくは不法行為)請求権は検討したほうがよいのではないでしょうか。
問題文が「転貸賃料」としてるのでちょっと微妙ですけど。
あと、3の部分はとてもよいと思うのですが、それまでの1,2の流れが少し悪い気がします。
「いつ転貸借契約が終了するのかに関わるので」といいつつ「まず前提として」のところでつっかかりを感じました。
もう少しあっさり、時系列に沿って論じればよいのでは、と思います。
現実の使用ができなくなった時に履行不能となる等の説への言及は私もいらないと思います。
判例の結論を展開するので十分でしょう。
参考答案って、尻切れトンボですよね。法律関係が全く書いてない。
あと、この問題と他人物賃貸の場合の法律関係を比較すると、いい勉強になるかなと思いました。
496 :
30:04/01/26 22:19 ID:???
こんばんは。さっそくコメント。
>>486-487>>494 最初は、事案がよく分かりませんでした(問題文が手許に無いため)。訂正の後、少し分かってきま
した。
裕子さんのコメントはかなり的確だと思いました。確かに1〜2の部分は改善の余地がありましょう。
問いとの対応が不十分という感じを受けました。何について論じているのかが分かりにくいし、その
繋がりが掴みにくいような気がしました。
> 2.まず前提として転借人Yに対して通知を行う等の代払いの機会を与えないでした
> 賃貸借契約の解除の有効性が問題になるが、この点に問題はないと解する。
これって、借地借家法34条類推の話ですよね。
> 4.甲とXの解除が合意解除の場合は、原則として解除をYに対抗できない
この場合には甲はYに転借権を対抗できず、XY間の転貸借が残り、Xの立場を甲が引き継ぐことに
なるんでしたよね。ここは事後処理まできちんとするべきだと思いますよ。ここの問題意識は、確か、
トライアル民法にあったような。。。うろ覚えですが。
>>495 > 転貸借契約に基づく債権のみ検討されていますが、
> やはり不当利得(もしくは不法行為)請求権は検討したほうがよいのではないでしょうか。
> 問題文が「転貸賃料」としてるのでちょっと微妙ですけど。
については、その趣旨を今一つ捉え切れていませんが、これが「5ヶ月分の転貸賃料相当分」という話
であれば、その帰趨は書いた方がよいかと思いますので、賛成です。
497 :
30:04/01/26 22:20 ID:???
>何を書いて何を書かないかという指針について
問題文が分からないので、的外れかもしれませんが、わたくしは賃料などは具体的にどうなるのかを、
きっちり答案に表現します。この処理も実は重要な要素らしいので。そうしますと、結論に差が生じる
説であれば、書くことになります。
> この説だと賃料と転貸料に300万もの大きな差額がある本問では改良を加えた転貸人の保護を
> 図れることになる。(その必要はないという反論が可能)
> このあたりが問われたときに書くとこかと。
この指摘には賛成です。つまり、転貸借契約が履行不能となる時期にかんする論点についても、これに
よって結論(賃料の帰属および具体的な額)に差が生じるのであれば、書きます。まあ、判例が確定し
ていれば、他の論点との兼ね合いで、書かないこともありますが。
なお、付属の参考答案については、やはり書き直しが必要なものも散見されるような気もします。
とりあえず、このあたりで。
498 :
裕子:04/01/26 23:23 ID:???
あと、
改良を加えたことと、賃貸料と転貸料に非常に大きな差がある点の特殊性は、何らかの形で悩みをみせるべきだと思います。
賃料請求だと関係なくなってしまうのですが、不当利得まで考えると、その辺の事実も拾って評価することは可能になるのではないでしょうか。
ありがd
>>475に関してトリビア。
実務上は、条例において刑事罰を定める場合には、地検への事前協議が必要とされています。
(法的根拠があるわけではないけど、たしか通達かなんかが出ていて、実際はそれに従っています。)
そうでもしないと、せっかく悪いやつを捕まえても、条例に法的瑕疵があるため起訴できないってことにもなりかねないからです。
特に小規模自治体の立法技術ってのは、そんなに高いわけではない(むしろめちゃくちゃw)なので、こういったチェックの必要があるのでしょう。
あと、刑事罰というのは、首長に処分権限があるわけではないため、自治体から見るとちょっと使いにくいものでもあるようです。
また、自治体の条例及び規則において秩序罰たる過料を科することもでき(自治法14条3項15条2項)、
これは首長の独自の権限となっています(自治法第149条、180条の6)。
しかし、これも特別の場合(自治法228条3項、国民健康保険法127条、介護保険法214条など)を除き、
最高額が5万円と低く、徴収のコストを考えると、払わないもの勝ち(ゴネ得)というのが実情であまり実用的とはいえないようです。
>>501 なるほど。ひょっとしてどこかの実務家さんですかね。
こういうネタは歓迎なので、また何かあったら書き込んでください。
503 :
30:04/01/27 01:32 ID:???
向こうのスレを少しでも節約するために、慣例に背きますが。。。こちらのスレでですが、
>>499のスレ立てた人(たぶん冷シャブさん?)、ありがと〜&乙かれ〜!
こちらのスレですが、尻番取りまでに、なるべく議論整理のためのレスアンカーを付けたい
と思っていますので、それまで待って下さい。
次の問題がうpされていましたので、早速、検討してコメントを付けますよ。
504 :
30:04/01/27 01:46 ID:???
>>498 そうですね。では、その最終的な処理は、具体的にどうなるのでしょうか?
どなたか解説して下さいませんか?
>>501 なるほど。活きた勉強になりました。
教えて下さって、ありがとうございます。
>>503 >それまで待って下さい。
舌足らずです。誤解を招きそうです。それまで『尻番取りは』待って下さい。の意味でした。
書き込みは自由になさって下さい。すみませんでした。
>冷シャブさん
演習書のテンプレが、そろそろ基本書スレ並みに巨大化してきましたね。どこかの掲示板(メガビか
bs1あたり)にスレッドでも立てますか?オープンソースにすれば、皆で補充できるかもしれません。
ただ、落ちてしまう危険がありますかねえ?まあ、他の掲示板は結構、書き込みがなくてもそのまま
になっているような感じはしているのですが。
とはいいつつも、自分の使っている専用ブラウザだと、読むことはできてもカキコができないんです
よ。何とかならないものか?IEでカキコすべきかなあ?
>裕子さん
お願いがあるのですが、書き込みについて、適当なところで改行していただけませんでしょうか?
どうやら、わたくしの使っている専用ブラウザの1つは、改行のないカキコをポップアップすると、
フリーズしてしまって、再起動しなくてはならないようなんですよ。作者には、エラーの報告をする
つもりなんですが、すぐには対応できないと思いますので、ご配慮のほど、よろしくお願いいたしま
す。結構、勝手なお願いですが。。。
>定期告知事項(?)
1 進行予定表
>>318>>325 2 次スレ
>>499 ±? 学者系演習書についての千考察―巻之四 ±?
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1075130797/ 【民法解釈ゼミ5-12】《遺産の管理・共有》★H13年口述2日目 の構成がうpされています。
506 :
30:04/01/27 11:58 ID:???
インデックス(民事訴訟法以下のみ)
*最初の構成のレス番号のみを表示しています。
>民事訴訟法【小林プロブレム・メソッド新民訴】
5 宗教団体の内部紛争 >29-30
19 法定訴訟担当(債権者代位権) >32-33
22 法人の代表者と表見代理 >37-38
25 合意管轄 >41
29 確認の訴えの利益 >48-49 *変更済み
34 弁論主義 >53-54
58 訴訟上の和解 >56-57
67 既判力と執行力の主観的範囲 >59
71 反射効 >82
72 訴えの変更 >85
83 独立当事者参加 >89
84 任意的当事者変更 >103-104
85 訴訟承継 >107
87 不服の利益 >131
89 不服の範囲と審判の限度 >139-140
>受験新報・誌上答練Cコース
【受験新報635-C憲法】《衆議院の解散》 >144-145
【受験新報635-C民法】《賃貸人たる地位の移転等々〜履行期前の解除、177条の第三者、
解除の法的効果》 >147-149
【受験新報635-C商法】《新株発行不存在確認の訴え・無効の訴え》 >155-156
【受験新報635-C刑法】《不能犯と未遂犯の区別・未遂の教唆》 >162-163
【受験新報635-C民訴法】《専属管轄と移送》 >173-174
【受験新報635-C刑訴法】《訴因変更命令義務》 >177-178
507 :
30:04/01/27 11:59 ID:???
>刑事訴訟法【安冨演習講義刑訴、新実例刑訴1-3ほか】
新実例5 任意取調べの限界 >184
安冨11 逮捕に伴う捜索・差押 >190-192
【慶応答練H14 刑訴 総合1 1問目】《緊急逮捕・一罪一逮捕一勾留の原則》
>196-197
安冨25 公訴時効 *受験新報634とかぶるので別の問題置き換え
新実例24 犯罪事実の一部の起訴 >202-203
新実例25 被告人の確定 >208
新実例39 必要的弁護事件と弁護人の不在 >210-211
新実例44 証拠開示命令 >217-219
安冨30 科学的証拠 >224-225
安冨31 違法収集証拠排除法則 >230-231
安冨32 自白の証拠能力と証明手続 >241-242
安冨36 証明力を争う証拠 >244
新実例50 刑訴法326条の同意 >255
新実例53 証拠の関連性 >259
安冨40 裁判の効力 >262
508 :
30:04/01/27 12:00 ID:???
>刑法各論【佐久間演習講義、木村演習刑法、川端集中講義ほか】
【現代刑事法53-論点講座刑法1回】《危険運転致死傷罪と危険の引受》 >264-267
【受験新報618-C刑法】《監禁致傷罪・強姦致傷罪・窃盗罪・器物損壊罪》 >270-271
【佐久間演習講義刑法各論10】《死者の占有と住居侵入罪の数》 >275-276
【木村演習刑法2-8講】《詐欺罪における損害》 >285
【受験新報612-C刑法】《二重譲渡と横領罪・買戻しと横領罪》 >294-295
【川端集中講義刑法各論11講】《二重売買・二重抵当と横領罪・背任罪》 >303-304
【川端集中講義刑法各論13講】《事後強盗罪の問題点》 >306-307
【川端集中講義刑法各論15講】《毀棄罪》 >313>315
【川端集中講義刑法各論20講】《業務妨害罪・監禁罪》 >323-324
【川端集中講義刑法各論27講】《常習賭博罪》 >334-335
【佐久間 現代社会と刑法 第6節】《放火罪の客体と焼損概念》 >343-344 *変更済み
【木村演習刑法2-17講】《公務執行妨害罪と職務の要保護性》 >352-353
【法学教室270-2】《証拠偽造教唆罪・偽証教唆罪》 >358-359
【木村演習2-19】《賄賂罪》 >363-365
509 :
30:04/01/27 12:00 ID:???
>S企画刑法
【木村演習刑法U-18】《犯人蔵匿罪と共犯》★H13年口述4日目 >370-371
【川端集中講義刑法各論4講】《窃盗罪の限界事例-他罪との関係》★H14年口述3日目
>392-393
【川端集中講義刑法各論8講】《無銭飲食・無銭宿泊・つり銭詐欺と詐欺罪》★H14年5日目
>397-398
【木村演習刑法1-17】《共犯と身分》★H14年口述1日目 >406-407
>S企画憲法
【受験新報614-C憲法】《表現の自由(少年事件関連)》★H13年口述1日目 >410-411
【Article195-設例で学ぶ-1憲法T】《表現の自由(ロス疑惑配信関連)》★H13年口述1日目
>424-426
【受験新報621-C憲法】《住民投票》★H13年口述2日目 >433-434
【受験新報611-C憲法】《参議院の特殊性・複選制》★H14口述2日目関連 >442-443
【浦部事例式28】《条例による罰則制定と罪刑法定主義》★H14口述4日目関連 >475
>S企画民法
【Article172-設例で学ぶ-3民法T】《転貸借》★H13年口述1日目 >486-487
***(以下、次スレ)
【民法解釈ゼミ5-12】《遺産の管理・共有》★H13年口述2日目
【Article172-設例で学ぶ-4民法U】《買戻し特約》★H13年口述4日目
【民法の底力13】《不法占有と物権的請求権及び抵当権設定登記の不法抹消》★H14口述1日目
【民法の底力24】《土地または建物共有と法定地上権》★H14口述2日目関連
【民法の底力12】《時効援用権者と抵当権の消滅時効》★H14口述3日目関連
以上。
す、すごい、、、
<不当利得の点>【Article172-設例で学ぶ-3民法T】関連(>>486-)
>>495 (裕子)
>転貸借契約に基づく債権のみ検討されていますが、
>やはり不当利得(もしくは不法行為)請求権は検討したほうがよいのではないでしょうか。
>>496 (30)
>については、その趣旨を今一つ捉え切れていませんが、これが「5ヶ月分の転貸賃料相当分」という話
>であれば、その帰趨は書いた方がよいかと思いますので、賛成です。
>>498 (裕子)
>改良を加えたことと、賃貸料と転貸料に非常に大きな差がある点の特殊性は、
>何らかの形で悩みをみせるべきだと思います。
>賃料請求だと関係なくなってしまうのですが、不当利得まで考えると、
>その辺の事実も拾って評価することは可能になるのではないでしょうか。
問題文からすれば転借料に限って議論すれば良いと思いますが、
これが不当利得にも言及する問題だとするとチョー難問に変身しますね。
私なりに分析してみます。
1.5カ月分の転貸料
甲の承諾による居住もしくは甲がXの地位(転貸人)を承継したものであり、
Xが請求する筋合いではない。(法律上の原因ありor因果関係なし)
2.改造費
転貸料に折り込み済み。(損失ではないor因果関係なし)
→あるいは造作買取請求権として甲に請求すべきもの
(ここにおいて利得の押しつけが登場する。処理法は過去問のとおり。)
*ここにおいては、住宅用ではなく事業用のサブリース事案を念頭においた方が良いと思われる
【もう半歩前へ】 【Article172-設例で学ぶ-3民法T】関連(
>>486-)
なんで合意解除と債務不履行解除で転借人への効果が違うんじゃ?
という疑問をいつも抱いていたのだが、これはどうも【観念上】、の転借人保護として
規範に載っけているか、時代背景が違うだけなんじゃないかと思えてきた。
んーなもん、賃貸人と転貸人で債務不履行を偽装したら実際上はなんもかわらんだろうし。
と、思ったら平野が書いてた。さすが考えすぎる民法だ。
「むしろ論理的整合性を貫けば、合意解除でも解除を転借人に対抗できるというべきであり、
賃借人への損害賠償によって転借人を保護するしかない。(中略)やはり、転借人の占有が、
賃借人の家族などと同じレベルにすぎない子亀であるこを考えれば、やむをえないところであろう」
(平野『考える民法W』p191)
住宅難の時代じゃアルマーニ、これで良いと思うのだが。
それに転貸はほとんどがサブリース事案だし。
>>505 >演習書のテンプレが、そろそろ基本書スレ並みに巨大化してきましたね。どこかの掲示板(メガビか
>bs1あたり)にスレッドでも立てますか?オープンソースにすれば、皆で補充できるかもしれません。
それは期待できないでしょう。
全国的にも学者の演習書を使っている受験生は相対的に少ないでしょうし。
基本書のテンプレをうPしてあるスレを使えば落ちる心配はないとも思えますが。。。
まあ5本目を立てる段階で考えましょう。
(関連判例)サブリース
最判H14・3・28、金山・判批・重版、河内・判批・判評531
最判H14・3・28、武川・判解・受験新報02/12
最判H15・10・21
最判H15・10・23
515 :
外野手:04/01/27 23:40 ID:???
>>495>>498 >>496-467 >>511 まとめて。
問題文からして不当利得請求権等甲への請求に関することは不要だと判断しました。
仮にこれを問う問題だとしたら、費用償還請求権(権利金や賃料額で織り込み済みか)
などについて述べることになるでしょう。
まさに過去問の通りって感じで。
516 :
外野手:04/01/28 00:49 ID:???
>>475>>477 >制定される条例そのものについて罪刑法定主義の縛りがかかることになると考える。
条例そのものについて法律主義が問題になるのは
長が規則中に過料を科する規定を設けることができる(地方自治法15条2項)との規定
もありますね。
>>488河童氏
>内閣は福祉国家理念の実現等のために法律案提出権(議案)を有しているところ、
>国会に委任立法を促せるが、地方自治体には法案提出権がなく、イニシアティブがとれない。
ここらへんは非常に参考になりました。相変わらず面白い構成をされますね。
ええっと、ついででなんですが某スレへのコメントはもう少し時間くだされ。
517 :
30:04/01/28 04:56 ID:???
>雑感
転貸借にかんする親亀と子亀の理論って、実は分かったような分からんような理論だったりする悪寒。
平井先生のいう「悪い」解釈論の見本のような感じもする。なお、敷金にかんする理屈にも、同じく
違和感がある。解釈に都合の悪いところだけ別個ってところ。まあ、受験レベルなので、これで良い
のでしょうけれど。
>>512 合意解除にまつわる論点は、結構複雑だし、あちこちに散らばっているから、整理しないと混乱する
ところかも。あまり書いていない基本書もありますし、穴になりやすいところですよね。ここを法定
解除と比較させながら、横断的に聞いたら、出来ない受験生も多そうですよ。実は、みんな既に整理
しているところかも知れませんけど。
何となく書いてみた。ではまた。
518 :
30:04/01/28 05:04 ID:???
519 :
30:04/01/28 08:05 ID:???
>>486-487 合意解除にかんして、
>>512や
>>517とは別の点で、ふと悩んでしまったことがあります。
それは、甲がXの立場を引き継いだ場合(
>>496)に、その賃料の額は転貸賃料の額になると思う
のですが、合ってますでしょうか?でも、甲X間の合意によって、賃料が300万も増額する結果に
なるのは、いいのでしょうかねえ?何だか唸ってしまいました。逆に、賃料の額が甲X間の賃貸料
の額の範囲ということになれば、いきなり安くなっちゃうんですかねえ?
その差額は本来、Xに帰属させるべきものなのでしょうが、合意解除の場合には、甲かYに帰属す
る結果になってしまいそうですよね。これでいいのでしょうか?
なお、事案をまちがっていたら指摘して下さい。構成とやりとりから推測していますから。
ではまた。
520 :
冷シャブdecidendi ◆vCK8.7oLaw :04/01/28 12:31 ID:Y0Qoj73j
>>517 結局、時代背景をどこまで解釈の原則論に読み込むかって違いでしょうけど、
これほどまでに転貸借の事案が複雑になったなら、
原点に戻って、主体的で自立的な一市民を基点にするしかないですね。
その上で、賃借権の物権化を考慮して、あとは個別に信義則で
対応するってことなんでしょう(憲法理念の間接適用)。
特にサブリースの場合は、個人から借り上げる場合と事業者から借り上げる場合があるし
(大東建託とかレオパレスとかかな?)、その上再転貸借(14年重版参照)になっていたり、
更に最近だと賃借料と転貸料の逆ざや(転貸のテナントが入らない)になっているものもあるので、
もはや一般規範は立てにくいでしょうね。
ここ100年ぐらいで高度に分化した経済活動がよく分かりますよ。
>>519 問題は以下のような関係で、Xが改造を加えています。
賃貸人甲――(80万円)―→賃借人/転貸人X――(380万円)―→転借人Y
この問題の複雑なのは、賃貸借が債務不履行解除となり、Yに対し明け渡し請求を
したものの、事実上現実に明け渡すまでに時間がかかってしまった点です。
要するに、バランスとして債務不履行解除と合意解除の中間をいっているのですわ。
(H10@は転貸人失踪から明渡請求までの事案
したれば、判例・通説によりつつも、甲の好意で転貸人は5ヶ月間とどまる
猶予が与えられたのだから、利益衡量として差額は甲に帰属すべきと考えるのが
一般でしょう。もっとも改造による利得等の微調整は必要ですが、それは甲とXで
決着をつけるべきでYとの関係で持ち出すべきではないと思います。
契約法のレベルの法律構成としては、あくまで債務不履行である以上、
Yに対抗できないとすることは難しいので、@Xの地位をYが引き継ぐか、
AXの地位を甲が引き継ぐか、B甲Y間に新たな賃貸借契約(黙示)があったとみるしかなさそうです。
(なお、平野『契約法』P419が参考になる。
あるいは割り切って不当利得返還請求でしょうね。
前者の方が学者には受けるとは思いますが、本試験における時間的制限を考慮すれば
不当利得が無難なようです。
H10@より落としどころはわかりやすい問題だと思います。
522 :
30:04/01/28 22:11 ID:???
>>521 > 問題は以下のような関係で、Xが改造を加えています。
> 賃貸人甲――(80万円)―→賃借人/転貸人X――(380万円)―→転借人Y
> この問題の複雑なのは、賃貸借が債務不履行解除となり、Yに対し明け渡し請求を
> したものの、事実上現実に明け渡すまでに時間がかかってしまった点です。
ご配慮、ありがとうございます。ここまでは、だいたい把握していた事案と同様です。
>>519で挙げたのは、甲X間が合意解除された場面を想定していました。
> したれば、判例・通説によりつつも、甲の好意で転貸人は5ヶ月間とどまる
> 猶予が与えられたのだから、利益衡量として差額は甲に帰属すべきと考えるのが
> 一般でしょう。
この点についてですが、少なくともYに帰属させるべきではないというのは賛成です。ただ、甲が猶予
を与えたということが、最終的な「差額」の帰属に反映させるべきことなのかは、結論を保留します。
> もっとも改造による利得等の微調整は必要ですが、それは甲とXで決着をつけるべきで
> Yとの関係で持ち出すべきではないと思います。
そして、
>>519の段階で考えていたのは、甲に一応帰属させておいて、甲X間で調整するという方向性
でして、同じように考えていました。「合意」ということが前提にありますから、甲X間で調整される
のが通常ではないかと想定されます(例えば、増加分を甲に帰属させるかわりに、延滞賃料を減じると
か考えられませんでしょうかねえ?)。
523 :
30:04/01/28 22:12 ID:???
>>521(つづき)
> 契約法のレベルの法律構成としては、あくまで債務不履行である以上、
> Yに対抗できないとすることは難しいので、@Xの地位をYが引き継ぐか、
> AXの地位を甲が引き継ぐか、B甲Y間に新たな賃貸借契約(黙示)があったとみるしかなさそうです。
> (なお、平野『契約法』P419が参考になる。
> あるいは割り切って不当利得返還請求でしょうね。
本件から少し離れるかも知れませんが、合意解除の一般論について感じること。それは、この矛盾の根源
は、合意解除をYに対抗できないという結論にあると思われます。そのため、理論的な3パターンのうち、
(1)か(3)(マル付き文字の代わりとして下さい)が選択肢になってくると思われますが、(3)という悪魔の
選択はちょっと躊躇われます(やはり、意思によらない義務づけの問題が生じると思います。事実的契約
関係の理論なんて論外!)。(1)については、
>>496を参照。
そうしますと、やはり冷シャブさんのいうように、合意解除をYに対抗することを許容して、あとは不当
利得で処理するのが手っ取り早いのかもしれません。こうすると、法定解除とほぼ同じ結論になると思い
ます。ただ、そうすると、今までの各分野における合意解除にかんする判例理論との齟齬が決定的となっ
てしまって、困った状況になってしまうかもしれません。
あと、合意の拘束力が第三者にも及んでいる点をいかに考えるかという点も難問として残る気もしました。
ちょっと深入りしすぎですかねえ?
まあ、悩みは尽きません。。。ではでは。
524 :
裕子:04/01/28 22:59 ID:???
>>523 > そのため、理論的な3パターンのうち、
> (1)か(3)(マル付き文字の代わりとして下さい)が選択肢になってくると思われますが、
(1)→(2)ですよね?
> あと、合意の拘束力が第三者にも及んでいる点をいかに考えるか
すみません。これはどういう場面を想定しておられるのかわからないのですが。
(1)の場合ってことでしょうか・・・
次の底力の解答は明日うpします。遅れて申し訳ありません。
>>523 >そうしますと、やはり冷シャブさんのいうように、合意解除をYに対抗することを許容して、あとは不当
>利得で処理するのが手っ取り早いのかもしれません。
私は、合意の場合は判例に従って対抗できないとします。
本問は前段の設問が債務不履行解除で、後段の設問が合意解除ですが、
債務不履行解除の後にYが居座ることを事実上許容しているので
甲Y間についてのみ合意解除の事案に近づけて処理を
する方法はないかと模索しました。(設問はXY間の関係だけを問うてます。
しかしまあ何ですね〜。
択一シーズンに入ったからかもしれませんが、
判例以外の解釈を採用するのはもの凄く脳に負担がかかりますね。
まったく司法試験で徒に事務処理能力を求めるのはよしてほしいですわ。
じじいには辛すぎます。
526 :
30:04/01/29 02:35 ID:???
>>524 >> そのため、理論的な3パターンのうち、
>> (1)か(3)(マル付き文字の代わりとして下さい)が選択肢になってくると思われますが、
> (1)→(2)ですよね?
そうです。う〜ん、ヤキが回ったか?
>> あと、合意の拘束力が第三者にも及んでいる点をいかに考えるか
> すみません。これはどういう場面を想定しておられるのかわからないのですが。
> (1)の場合ってことでしょうか・・・
合意解除を第三者に対抗しうるという結論自体で、そのように考えたのですが、これは合意
解除の効力ではなく、前提行為の覆滅によるものですから、関係ないのかもしれません。
書いてはみたものの、さっそく保留です。
> 次の底力の解答は明日うpします。遅れて申し訳ありません。
±? 学者系演習書についての千考察―巻之四 ±? のスレの方ですよね?
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1075130797/ こちらはもうすぐ書けなくなります。
分かっているとは思いますが、念のために書いてみました。
>>525 > 判例以外の解釈を採用するのはもの凄く脳に負担がかかりますね。
> まったく司法試験で徒に事務処理能力を求めるのはよしてほしいですわ。
> じじいには辛すぎます。
頭の体操ということで、時間を区切っていろいろなパターンを考えるようにしています。
深入りしないように注意してます。まあ、ボケ防止の意味しかないような気もしますが。
わたくしの周りは40すぎの元気なオサ〜ンばかりで、択一の事務処理もサクサクやって
しまいます。ヴァーチャルの事務処理(パソのスキルw)なら彼等には勝てるかも。とは
いいつつも、大したことないし。底辺の争いではありますが。。。
ではまた。
527 :
30:04/01/29 04:05 ID:???
528 :
30:04/01/29 04:06 ID:???
529 :
冷シャブdecidendi ◆vCK8.7oLaw :04/01/29 12:13 ID:lgKr95gi
さて、10KBほど残っているので、関連カキコ。
貞友ライブ本を読んでいて、間違いじゃないかと感じた部分あり。
最判H9・2・25についての理解で
「判例の、不当利得返還請求ができるから、BC間の契約が終了するという論理の流れ」
(B:転貸人、C:転借人)(P497L15)とするが、
判例をよく読むと、不当利得と転貸借の帰趨は連動させてないんじゃないかと思う。
つまり、賃貸人が明渡請求をした時点で転貸借は履行不能に陥るが、
不当利得としては賃貸借が解除された時点から(理論上は)すでに生じる
ことを述べているのではなかろうか。その上で、一般的には不当利得や不法行為の
要件が欠けることが多いので、「遅くとも」と判示したのであろう。
要するに、親亀がこけた時点で子亀もすでに観念上はこけて、転貸借契約の基盤を失い、
不当利得返還請求権が生じる余地はあるが、たいていの場合は要件が欠けて不成立となると
いうことだろう。
従って、仮に賃貸人と転借人が親密な関係で、明渡請求前に「賃借人の失踪宣告が下りたら
漏れは賃貸借契約を解除するで」みたいなことを言っていれば、明渡請求ではなく、
賃貸借の解除の時点から不当利得返還請求権が生じることになるとおもう。
いかがざーます?
530 :
外野手:04/01/29 18:59 ID:???
>>529 そうざますね、不当利得返還請求ができるから転貸借が終了ってのは変じゃないですかね。
不当利得があるかどうかは転貸借がいつ終了するか(法律上の原因がいつ消滅するか)に関わるということじゃないかと。
また逆に解除した時点で不当利得が観念的に発生するってのもどうかと思う訳です。
(まぁ観念的には発生してるとも言えるのかなー。よく分らん。)
つまりはいつ転貸借が終了するかで不当利得がいつ発生するかが決まるんじゃないでしょか。
531 :
外野手:04/01/29 19:16 ID:???
>>530 前言撤回だわ。どうも判旨のいいっぷりを見ても、判例解説見ても、
明渡時の不当利得発生が先にあってそれと転貸借の終了を一致すべきという感じですね。
なると貞友の言い方はむしろ正しいってことに。うーむ。混乱してきてたよ。
>>531 >明渡時の不当利得発生が先にあってそれと転貸借の終了を一致すべきという感じですね。
賃貸借が解除されても、転貸借は存続しているので、たぶん法律上の原因は
あるとみて不当利得は発生はしてないんでしょうけど、
なんらかの事情(
>>529「従って」以下など)があれば
明渡請求以前に不当利得となる余地を示しているだけじゃないかと思います。
別の角度から見ると、親亀がこけた時点で子亀は不法賃貸借になって、
不当利得や不法行為の萌芽がみられるが、元々は適法な子亀なんだから
現実に履行不能になるまでを不当利得とするのはちょっと待てと
言いたいんじゃないかと。
連動してないともいえるし、親亀子亀理論に忠実に連動させた上で、
個別事情を加えて判断してるともとれますね。
まっ、受験上は貞友答案の通りで良いんでしょう。お騒がせしました。