【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 7【統合】

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1通常の名無しさんの3倍
このスレは種系SSスレのうち、まとめサイトのカテゴリで
クロス物とされるスレの統合を目的としています。
種以外とのクロスオーバーを種別問わず投下してください。
種作品内でのIF作品は兄弟スレにお願いします。

過去スレ
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1196339764/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 2【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1208353319/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 3【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1212323601/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 4【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1218203927/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 5【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1226476158/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 6【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1230651332/

まとめサイト
ttp://arte.wikiwiki.jp/

兄弟スレ
【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 7
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1228025594/
2通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 01:29:21 ID:muLZIh5L
ギアス連投スレ乙!
3通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 02:06:16 ID:???
珍しく500k行ったか
4通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 02:44:09 ID:???
ギアス乙!


後、設定に黒歴史を採用すれば、SEED世界もUCも、同じ法則を持つ世界であると言う事に出来る。
SEED世界にはミノフスキー物理学が存在しないだけで、ミノフスキー物理学の理論は問題なく通用するし、
ドモン・カッシュは生身でビルを蹴り上げられるのだ。
5通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 07:25:22 ID:???
>>4
その理屈は判らんでもないが、最後の一行だけはどーも(笑)
6通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 09:08:55 ID:???
納得できんわなw

そーいや、なんかwikiが見れないな。どうしたんだ?
7通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 11:50:58 ID:???
ガンダムファイターの存在を知った科学者が、それを再現しようと足掻いた結果がコーディネイターと言う可能性が浮上してしまう?!
8通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 14:02:57 ID:???
そんな事種の放送されてた頃にも言われてたな
逆にGはSEEDの後の時代で、ガンダムファイターはコーディネイターの子孫じゃないか、とか
9通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 15:15:15 ID:???
火星の開発具合も丁度いい設定の合致だな

ちなみにUCでの火星=まだ手付かずだが基地はある
W=テラフォーミング開始
種=移民と大規模な開発が始まっている
G=温暖な気候のリゾート地

∀=コレンが昔火星の戦争で大暴れした
10通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 16:05:44 ID:???
つまりジェネシスから発展して自由の女神砲とか作っちゃうわけですね
11通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 17:18:58 ID:???
>>9
ただ、UCでは一足飛びに木星を開発してるけどな。
12通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 17:59:28 ID:???
思うんだが、なんであんな過酷な場所で生活圏広げようと思うかね
まー衛星は数多いけど
13通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 18:16:41 ID:???
>>12
ミノ粉文明にとって木星は重要な惑星
14通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 18:26:41 ID:???
木星が重要ってのは覚えてるんだけどなんでだっけ?
資源?
15通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 18:36:57 ID:???
エネルギー資源
UCの主要動力機関である核融合炉に使う
16通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 18:41:02 ID:???
たしか、ヘリウムだったけ?
17通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 19:56:29 ID:???
月に堆積したヘリウムは量が少ないからな

外道のコロニー船のエピソードを利用してUCの技術を知ったラクシズが木星からヘリウムを得る為に〜とか考えた。
18種デスとバルディオス:2009/02/04(水) 19:56:38 ID:???
新スレ乙です
バルディオス投下させていただきたく思います 20時15分ごろから
19種デスとバルディオス:2009/02/04(水) 20:12:53 ID:???
〜海上〜

「注意をこちらに引き付ける、雷太!」
「おぅ!バルディミサイル!砲撃準備完了!」

バルディオスの脚部両側面に装備された大型のミサイル2発が戦艦に向かっていく。
戦艦の機銃弾幕射撃が1発を撃墜するも、もう1発が艦首上部に命中して爆発した。

これに反応したのは、フォースインパルスを駆る指揮官。
後ろを取られて戦艦から攻撃されることは計算外であった。

「セコイ真似をしてくるじゃないかぁ! 226号はまだか!」
戦艦から帰ってくる返信は、彼の期待を裏切るものだった。
「調整にもう20分かかります、もうちょっとだけ持たせてください!」

インパルスが先頭に立って6機編隊で突っ込んでくる。
オリバーの指示がマリンに飛ぶ。
「先にビームを撃たれたら厄介だぞマリン!エネルギー増幅!」
「了解だ!亜空間ビーム、発射!」

バルディオスの額から発射された赤色のビームの光条が編隊を真っ二つに散らせる。
そのまま角度を変えたビームがダガーの胴体を2機同時に切断し、爆発が空に2つ咲いた。

右下に機体を振って回避に成功したインパルス、指揮官はまだ余裕ありか。
「長距離砲も持っていたか、やるな!戦艦以上の火力、ここまでは予想通り・・・距離をつめる!」

再加速をかけた4機編隊、ビームライフルを撃ちながら近づいてくる。
バルディオスのコックピットでは雷太がエンジンの調子をチェックしてマリンに再度指示。
「マリンやったれ!出力は問題ない!」
「行くぞっ!・・・・サンダー・フラーッシュ!」

バルディオス胸部が白く発光した瞬間、これがビーム砲の類であると判断した指揮官は、
「うぉっ、全機回避!」

ストロボの光のような光球。胸部エンブレムに充填されたそれが固まりになって打ち出されると
飛行編隊に向かって飛んで行き、炸裂するように広がる。
反応速度、機動性とも優れたインパルスは回避に成功したが、配下のダガーは間に合わない。
真っ白い光の中、外見がひしゃげ、排気ダクトから煙を吹き、胴体が爆発、間を置かず手足がちぎられ分解・・・
機械の破片と化したダガーが空気と一緒に燃えながら散っていくのを、高度を上げた空中から指揮官が見下ろす。

「あんな隠し武器があるとはなぁ、面白い!」
20種デスとバルディオス:2009/02/04(水) 20:15:10 ID:???
臆することなく向かってくるインパルスは、高エネルギーライフルを3連射。
胸部に全弾命中することを確認する前に、背中のビームサーベルを抜いて再接近。
腕を組むようにガードするバルディオスに遠慮なく一太刀浴びせて急速離脱。

バルディオスの左腕前腕部、装甲板が切り裂かれて内部メカが露出。
マリンは自分の判断ミスを呪う。
「しまった!ダメージを・・・」
雷太は一気に沸点に到達。
「調子に乗りやがって!」
オリバーは、3人の中では頭の中はまだクールな方だ。
「捕まえろ!敵メカは高高度だ!」
「了解だ、オリバー!」

ランドセルを吹かしてバルディオスが上昇する。
これだけの巨体に高い機動力はないとたかをくくっていた指揮官だったが、
「上昇速度に付いてはこれまい・・・んっ!?」

いとも簡単に追いついてくるバルディオス、巨大な顔と両手が迫ってくる。
「なんて出力だ!しかし!」

捕まえようとするバルディオスの両手をかいくぐると、近距離でビームライフルを3発。
バルディオスの上半身はさすがに装甲を撃ち抜かれて胸部中央部からやや左の箇所に小さな爆発、そして煙を吹き始める。

分析のつもりか、勝ち誇った態度か、指揮官の声が開かれた回線から流れ込んでくる。
「脆いなぁ!厚い装甲だが何の特殊加工もない!おおかた、輸送船用のバナジウム鋼が精一杯か!」

「逃がすか!ショルダーキャノン!」
バルディオスの両肩の大砲がリストアップしビームを放つが、これもかわされる。
宙返りでビームを避けたインパルス。

「はっはっは、当てずっぽうな射撃ではなぁぁ!」

さらに接近戦を試みたバルディオス、その直線的な突進をインパルスは軽く避け、頭上から急降下。
背中をすり抜けるように通過しつつ、ビームサーベルで背中を切りつける。指揮官は既に勝ち誇ったような口調の言葉。

「そういうときは、小回りと機動性に優れた、インパルスの方が!」

ランドセルの左半分が縦に切りつけられ、左噴射口からさらに小さな爆発、爆発に押されるようにバルディオスがよろめく。
オリバーは焦りの色を隠せない。

「マリン!何とかならないのか!」
「駄目だ!エンジンまでいかれた!」
21種デスとバルディオス:2009/02/04(水) 20:16:40 ID:???
「ここまでだな!カタパルト、ソード射出!」
指揮官の指示とともに、インパルスが急上昇、
後方の戦艦から発射されたと思われる小型戦闘機、それが投下した大型の剣をインパルスがつかむ。
剣から赤色のビームを展開させると、
それを構えて高高度から全てのブースターを吹かし、重力もプラスされた全速力で突っ込んでくる。

「貴様は持ち帰る、狙いは胸部コックピット!・・・いただく!」

遠くで見守るシンには必敗の流れと映る光景。
「やられるっ・・・!」

それはミネルバのブリッジも同じ。
「これ、駄目でしょ・・・!」
「マリンさん!逃げてー!」


しかし。
「今だ!パル・サーベル!」

バルディオスの胸部から取り出された剣らしきもの。現状は剣の柄に三角の剣先が付いただけの形なのだが、
これを両手で持ち、突きの体制に入る。

驚いたのはインパルスの中の指揮官。既にフル加速が付いてしまって回避できない。
「うぉぉっ!ヤツも対艦刀をぉぉぉぉ!」

22種デスとバルディオス:2009/02/04(水) 20:18:21 ID:???
ガラスが割れたか、金属が砕けたか、激突の音。
剣をかざしてガードしたインパルスの腕ごと、パルサーベルがインパルスの胸部にぶち当たる。
切断するための武器というよりは、むしろ殴る武器のようなものだ。
対衝撃装置とバリアブルフェイズシフト装甲が、
フル加速でカウンターパンチを食った衝撃まで吸収してくれるほど便利なものであるはずがない。
まして絶望的な重量差がある・・・。
指揮官のバイザーにヒビが入り、一部が砕けてコックピット内に飛び散った。

剣部分が伸びたパルサーベルは30メートル近い長大な刃渡りになる。それを上段に構え、

「ふっざけやがってぇぇぇ!」
怒りが込められたマリンの一撃。上段から左斜め下に向かって振り下ろす。
大型剣・エクスカリバーで受けようと試みたインパルスの両腕前腕部を飛ばし、
頭の上半分と飛行ユニットの翼まで削り取って、叩き落してしまった。そのコックピットでは・・・

「インパルスがぁぁぁっ!」
機体とともに技量への自負、コーディネイターとしての自負まで一緒に砕かれた指揮官の姿。

墜落したインパルスは自動落下制御の機能が働き、また落ちた場所の運がよかった。
戦艦の上甲板に叩き付けられ、あちこちのフレームが折れたものの
まだ爆発やコックピットの致命的損壊はしていない。

叩き付けられ半ばもうろうとする意識の指揮官。狭くなっている視界の中には、
全周モニターに映る対空機銃らしき弾幕の光がうっすらと・・・

「なんて・・・なんてヤツだ・・・インパルスがこんなもので、こんなもので・・・っ」
ここで視界がようやく開ける。
「ん!?う、うわぁぁぁぁぁぁっ!」

指揮官の目にしたものは、自分の目の前に突きつけられている巨大な剣先。
空中に浮上しているバルディオスが、戦艦に横たわるインパルスにサーベルを突きつけていた。

一方バルディオスのコックピット。
マリンが半壊したインパルスを見つめる。それまでとは違う、侮蔑し見下すような目つきで・・・。
23種デスとバルディオス:2009/02/04(水) 20:20:55 ID:???
投下終了です
中だるみの回だけど戦闘シーンを気合入れて書いてしまった・・・
憎しみの砂漠編はもうちょい続きます 
せりふでモロバレですが、「指揮官」はブランブルタークをイメージしています
24コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:04:45 ID:???
投下作者乙です。
 予約が無いようなので投下します。
25コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:07:35 ID:???

 エピローグ そして…

 ジェネシスの地球圏に向けての発射が連合軍・ザフト軍の手により止められ、
 ラクス・クラインの平和の歌が世界に響きわたり、ザフトと連合軍は停戦条約を締結し、
 戦後復興に互いに協力すると示し合わせて、幾多の犠牲を出した戦争は終結した。
 勿論、その犠牲の中には行方不明となったムウ・ラ・フラガも含まれている。
 マリューはその事実を知ったとき泣き崩れた。
 戦争犯罪人に対する法廷もまもなく始まろうとしていた。
 核攻撃を行なったムルタ・アズラエルもそれにかけられるということだが、
 ラクスは戦争は1人で始められるものではない、
 みんなが平等に責任を感じるべきだとして、裁判を行なわないことを示唆した発言をしており、
 これには反対意見も出ている。気になるドミニオンの搭乗員であったナタルは戦死扱いとなっている。
 それはマリューの計らいだ。
 ナタルは最後まで嫌がっていたが、彼女を助けるには一度戦死をしたということで軍籍を排除するしか方法がなかったからである。
 ナタルは、今は名前を変えて、マリューの手伝いを行なっている。
 ムウを失ったマリューに対してナタルは恩返しとばかりにフォローをしているようだ。
 また、プラント側では、今もってパトリック・ザラのナチュラル打倒路線を提唱するものも存在している。
 戦争は終わりを告げたが、こういった火種に関しては、地道に解決をしていく必要があるだろう。
 誰もが求めた平和は、まだ最初の一歩を踏み出したに過ぎない。
 ラクス・クラインは、プラントにて二度とこのような戦争が起きないように演説を行なった。
 彼女の平和の歌は…今もなお響いている。

「……もう、僕たちの役目は終わったね」

 プラントにての戦争終結および、戦災復興にかけるラクスの演説が続く中、
 舞台袖でロイドがいう言葉にセシルとスザクは頷く。
「戦いの元凶であり、この世界の終焉にと導いた存在であるラウ・ル・クルーゼは倒しました。
 後のことは生き残った彼女達に任せるべきでしょう」
「……それは、本当ですか?」
 ラクスは、スザクたちを見つめつぶやいた。
 ある程度、覚悟はしていた。だけど…それが本当だとは思いたくはなかった。
「……僕たちは、この世界の住人じゃない。
 僕たちがいることで、またこの世界に混乱が起きることだけは避けないといけないから…」
 そういうスザクの手を握るラクス。ラクスは、寂しげにただ黙ってスザクの手を握り締めていた。
「…ラクス、君の力でこの世界は救われた。その真実だけは変わらない。僕たちは君を助けただけだから。君1人でもきっとやっていけるさ…」
「でも、私は……スザク、あなたがいればこそ、頑張れたのです」
「うぅん。そんなことないよ。君は1人であっても十分できる。それに、君には仲間がいるじゃないか」
 スザクは振り返る。そこにはキラやアスラン…マリューたちもいる。
 ラクスは、そんな彼らたちを見て、心強くも感じたが、そこでアスランの目に輝く赤い光をラクスは見た。
「!?」
 ラクスはそれをみて、怯えた表情をして後ずさる。
「どうしたんだい?ラクス?」
「い、いいえ……なんでもありませんわ」
 スザクを見てラクスは微笑んで答える。
 そう、平和にはなった。だが、自分に架せられた罪は決して消えることはない。
 そして、この平和という場所ではあまりにも不自由な力も残ったままだ。
26コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:09:01 ID:???

『安心して…あなたには私がいるもの』

 ラクスの背後に立ち、耳元で囁く黒き自分に、ラクスはさっと身を引く。
 スザクはそのラクスの行動を不思議に感じる。
 その顔は顔面蒼白だ。
「ラクス?」
「ご、ごめんなさい……ちょっと疲れてしまっているみたいで」
「少し休んで。無理をして体調を崩してしまったら、意味がないから…。
 ラクスはなんか無理をしすぎな感じがするんだ。もっと自分の身を案じて欲しい」
 スザクはラクスを労わりながらそう告げる。
 ラクスはスザクの優しさに感謝しながらも、
 その感謝に甘えてはいけないという気持ちもあり、
 その交錯した気持ちに、戸惑いを感じる。
「いいのです。戦闘はスザクに任せてしまっていましたか、これからは私の出番ですわ」
 ラクスはその優しさに身を委ねそうになってしまう自分を叱り付ける。
「スザク……最後に、一緒に着て欲しい場所があるのですけど」
「?」
 不思議そうにするスザク。
27コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:11:39 ID:???
 
 ラクスがスザクをどうしても連れて来たかった場所は、
 ラクスの今は壊されてしまっている、かつての邸宅であった。
 草木と花々に満ちたその場所の面影はかすかに残ってはいる。
 ラクスはそれらを見つめる。既に、新しくここを立て直す気はない。
 戦意復興のための事業として、病院にしようという案を出していた。

「……覚えていますか?ここであなたと一緒にいた生活」

「覚えています。僕たちを助けてくださり、どこの誰かも知らない僕たちに優しくしてくださったこと……
 そして、時には歌を歌い、心を癒してくださった」
 スザクは、ここで過ごしたラクスとの思い出を振り返りながら、告げる。
 ラクスは、そんなスザクの言葉に、自分もまた今までのことを振り返る。

「……私、本当はずっとここでスザク…あなたと紅茶を飲みながら、
 お話をして、このような人工とはいえ、明るく満ちた中で、草木に囲まれた生活……そんな生活をずっと過ごしていたかったですわ」

「……一度自由を得た鳥は、籠の中にはもう戻ることは出来ない」

「フフ…、厳しいのですね、スザクは」

 ラクスはスザクの言葉に微笑みながら答える。
 だが、その表情にはどこか哀しみも含まれていた。

「ラクス……」

 スザクは、ラクスの手を掴み、優しく包み込む。
 ラクスはその突然のスザクの行動に、はっとして息が出来なくなる。
 高鳴る心臓の音……。
「君には君にしか出来ない力があると同時に、そこには限界がある。
 だから、なんでも1人で抱え込んではいけない。
 人間は、1人ではできる事は限られるけど、
 その力を結集すれば、どんなことだってできるんだ。
 ラクスには……その先頭に立ってほしい」

「……私に、そんなこと…」

「できるさ、ラクスなら……」
 スザクはラクスを見つめ、そのスザクの目を見つめるラクス。
28コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:13:18 ID:???
 スザクはラクスを見つめ、そのスザクの目を見つめるラクス。
「スザク、私……」
 ラクスは覚悟を決めた。彼にすべてを話そう。そして自分の傍にいてもらおう。
 暴走するかもしれない自分を止めてもらいたい。
 そして、そのときはあなたに殺されたい。
 ラクスは、そう考えて思いを告げようとした。
 だが、スザクの身体が光となって消え始める。
 時間が来たのだ。
 Cの世界の願い…この世界の未来を守ることは成し遂げた。
 スザク、ロイド、セシルは元の世界にと戻らなくてはいけない。
 それがこの世界のバランスを保つために必要なことなのだ。
「ごめん、ラクス……時間だ」
「そんな…私、もっと!もっとあなたとお話をしたかった。もっと…あなたと、いいえ」
 ラクスは消えゆくスザクの首に手を回して、背伸びをしてそのスザクの唇を奪う。
 スザクもそんなラクスを支えるように背中に手を回して2人は目を閉じる。
 その時間は、2人には短いものだったのかもしれない。
 そっと離れた2人。スザクの身体は、もうほとんど消えかけている。

「……好きです。スザク」

 スザクの口が動くが、その声はもう聞こえない。
 ラクスの目の前、スザクの姿は消えていった。
 それはラクスの中の心のリミッターが外れた瞬間でも合った。
 彼女のギアスがここまでコントロールできたのも、スザクという存在があったればこそ。
 誰もいなくなった庭園、
 そこは、光が注いでいるというのに、ここまで暗く寒々しい場所だっただろうか。

『これからは、私とあなただけね?』

 振り返るラクス。そこにははっきりともう1人の自分の姿があった。
 黒きドレスを着て、邪悪な笑みを見せる自分自身に、ラクスは後ずさる。
 いけない、彼女に乗っ取られては、ギアスという力に溺れてしまえば、
 それはラウ・ル・クルーゼと同じことになってしまう。
 ラクスは、その危機を感じ、推薦させられていた新しいザフトの議長を辞退。
 行方不明となる。
29コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:14:36 ID:???

 Cの世界……。

 ロイドとセシル、そしてスザクは、長い白い世界の廊下に立っていた。
 自分達の役目は終わりを告げた。
 再びもとの世界に戻りゼロとしてナナリーを補佐しなくてはいけない。
「久しぶりに、スザクという立場に戻れたんだから、よかったんじゃないかい?」
 ロイドはスザクを見てそういう。スザクは微笑み
「どうですかね、僕には僕にしか出来ないことがあります。
 それは仮面を被ろうが被るまいがかわらないとも思いますけど」
「それよりも、私達がいなくなって、あの世界は大丈夫かしら?」
 セシルは不安そうにつぶやく。
「大丈夫〜、スザク君のクイーンが頑張ってくれるだろうからね〜」
「ろ、ロイドさん!そんなへんな言い方しなくたっていいじゃないですか」
「だって、歌姫は、君のことが大好きだったみたいだからね〜
 もしあれだったら、あのまま残ってあげても良かったのに〜〜」
「ロイドさん!」
 ロイドのからかいに、スザクはあたふたしながら答える。
 セシルもそんな2人を見て不安を拭うが、
 振り返りもう一度その、自分たちがいた世界の絵画を見つめる。
 世界の未来は変わった。
 だから自分たちはこの世界に戻った。
 だとするならば、ラウンズである彼らも自分たちと同じく、
 ラウ・ル・クルーゼを止めるために、この世界に現れたのだろうか。
 あれだけの人数を派遣するほどまでに、
 クルーゼというのは危険だったということなのだろうか?
 今となっては、それはわからない。
「よぉ〜し!それじゃ、僕たちは帰ろうか、我が家に」
「……そうですね、Cの世界でやるべきことは成し遂げました。後は、僕達の世界での役割を成し遂げましょう」
 スザクはそうつぶやき、新たな気持ちで、その白い廊下を歩いていく。
 ルルーシュが命を駆けて守りぬいた世界の幸せを、未来を守るために。
30コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:15:55 ID:???
 オーブ首長国連邦

「スザク…スザク……」
 荒々しい息をしながら、ラクスが、そこにいた。
 己の力の暴走を抑えることが出来ない彼女は、
 キラ・ヤマトに自分を監視するよう告げて、
 部屋の一室に自分を監禁することとした。
 誰にも迷惑をかけないためにも。ギアスがおよぼす、
 黒き力は精神を確実に汚染していく。
 それはヤキンドゥーエにて兵士に大量にギアスをかけたのが原因だろう。
『今更、遅いですわ。私と一緒になりましょう?』
「いやぁ!あなたなんかに私はぁ!私は…屈しませんわ!」
『そんなのもう無理。あなただってわかっているでしょう?
 あなたの中でざわめくその気持ちを抑えることなんか出来ないんですもの』
「こないでぇええええ!!」
 ラクスは、その自分自身の影に怯えて部屋の中にある家具を投げつける。
 それは彼女の身体をすり抜ける。ラクスは半ば発狂したような状態であった。
 スザクがいなくなってから、彼女の精神は瞬く間に、崩れていった。
『フフ…フフフ……』
 微笑む声に、ラクスは恐怖を感じる。
 このままでは、取り殺される。
 自分が自分でなくなってしまう。ラクスは、家具のイスを窓ガラスにあてる。
 脆くもひび割れるガラス。ラクスはその割れたガラスの破片を黒き自分の影に向ける。
『どうするの?』
「はぁ、はぁ……あなたに、私の身体を私の想いを奪われるくらいなら」
 ラクスは自分の首にガラスの破片を向けた。
 このまま、苦しみそしてみんなに迷惑をかけるぐらいなら死を選ぶ、そう判断したのだ。

 ごめんなさい、スザク。

 私は……あなたとのお約束を守ることが出来ません。

 ラクスは涙を流しながら、握り締めたガラスを自分の首に向け突き刺そうと力をこめる。

「はああああああ!!」

 鍵が閉まっていたドアを破壊してはいってくるキラ・ヤマト。
「ラクス!?ラクス大丈夫?」
 部屋の惨状を見て一体なにがあったのかわからないキラは、
 その場で倒れているラクスに近寄り抱き起こす。
 何度か声をかけたキラの前、ラクスの目がゆっくりと開く。

『キラ……?』

 その目には赤きギアスの紋章が輝いていた。
31コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:16:47 ID:???

 Cの世界が恐れている人間は2人存在していたのだ。
 1人は世界を破滅に導こうとするラウ・ル・クルーゼ、
 それは枢木スザクの派遣により、見事倒すことが出来た。
 もう2人目は、人間を魅了し世界を独裁しゆるやかな、
 死をもたらすことになるだろう存在、ラクス・クライン……。
 これを止めるためにラウンズを派遣したのだが、
 Cの世界を裏切り、ビスマルクたちは敗北した。
 この世界の終焉は……止められてはいない。



 
 白い廊下を歩くものの音が聞こえてくる。
 そして、2人の人間は、ある絵画で足を止める。

「次の場所はここか?」

「あぁ、大型機動兵器による世界だ」

「……カレンやラクシャータあたりが欲しいところだな」

「手配しよう」

 絵画に手を触れる男と女。

「……世界を壊し、世界を……創るために」

 歌姫を止めるために、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとC.C.の物語が今、始まる。


32コードギアス SEED ◆HxLt3eoqWY :2009/02/04(水) 21:21:06 ID:???
 以上で、全ての投下が終了となりました。
 
 SEEDDESTINYから続いた、コードギアスと種とのクロスはこれで完結となります。
 今回は、少しまとまりが悪かったなというのが悔いが残るところであります。
 ただ、ラクスとスザクの互いに対する感情
 そして人間を信じ続けることができなくなってしまったラクスの挫折感が
 上手く伝わればいいと思います。

 連投となってしまったことに関しては申し訳ありません。
 一気に書いてしまうというのが癖になっているようです。

 最後になりましたが、今まで見てくださった皆様ありがとうございました。
 もしまた書くことがあるときはお邪魔させていただきたいと思います。
33通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 00:14:50 ID:???
うーん、
なんつーかバルディオスはオーバーキルだなあ
MSなんて初期のイデオンみたく殴るだけでいいだろ
34通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 08:06:50 ID:???
アニメのバルディオスだと、
透明円盤とすれ違うだけ、或いはただ殴るだけで破壊したり、
巨大メカを遭遇からわずか1分少々あるいはたった一撃で破壊したりと
その力は圧倒的であった。
ということらししな。

MSなんて透明円盤のほとんど同じサイズで、
大型MAでもバルディオスより小さいからな、
武器もビームも使わないで格闘だけで十分たたきつぶせるだろ。

35通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 10:11:11 ID:???
反動エンジン?それはバルディプライズとキャタレンジャーの動力でバルディオスの動力はパルサビームではありませんか?
エネルギーも弾も補給できないのに亜空間航法や武器をつかいまくってどうするのですか?
17mのインパルスを堕とすのに30mのパルサーベルを使うのは、牛刀で魚をさばくレベルじゃないですよ。
ブルーフィクサーの正規軍との軋轢や世界連盟の統制の及ばない戦力増強を非難されたことを忘れているのですか?
勝手な出撃と攻撃的な言動でさんざん疑われた経験を持つのに同じ行動を繰り返すマリンには学習能力がないのですか?
36通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 15:12:25 ID:???
>>35
もしや、アニメファン世代の方ですか?
浅い人物描写のスパロボZベースの話に
本編の正しい人物像の話されてもw
37通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 16:57:14 ID:???
凄い自演を見たw
38通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 17:56:30 ID:???
何か知らんけどこの二つ投下時間ようかぶるよね。なのに割り込みとか全然起きんとは。
ひょっとして同一人物?それとも対抗意識か何かか。
39通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 18:53:04 ID:???
そういやいまだにMSサイズのナイトメアつくる意味が分からないんだよね。
ギアスパネェでMSとかすでにあるものを鹵獲すればいいんじゃね。
それにさ、つくるなら新型造れよ新型、
ロイドとラクシャータが雁首並べてなぜに過去に造った物をスケールアップしただけの代物しか造れないわけ?
40通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 18:58:59 ID:???
酷い自演を見た
41通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 20:10:15 ID:???
出たな
何かとケチ付けて職人を追い出したくてたまらないクズが
42通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 20:36:49 ID:???
>>38
自分も凄い不思議なんだよなw
行動パターンが似てるのかもしれんが
43通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 20:50:49 ID:???
なんか変なのが出て来たな。

それはそうとバルディオス乙。
こういうスーパー系とのクロスってあんまり無いから新鮮です。
44通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 21:01:07 ID:???
サクサク書ける人が多いのはいい事だ
いつ投下されるか判らない作品を何ヶ月も待ち続けるだけのスレは嫌だし
そのまま消滅したスレもちらほら・・・
投下ペースが極端に遅くなった作品は大抵ヤバくて、完結する事は皆無

バルディオスはガンダムもどきとしてネタにされるだけの存在だったんだけどな・・・
スパロボは偉大だ
45通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 22:15:59 ID:???
>>44
どちらかというと「明日を守れなかった」というネタの方が。
ロボットアニメでの主人公サイドの完全敗北という、走りじゃ?

※イデオン最終回はバルディオス最終回の5日後。
46通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 22:32:13 ID:???
なるほど種死と相性がいいってわけだな…orz
47通常の名無しさんの3倍:2009/02/06(金) 21:01:42 ID:???
種世界にピクルが来たら
正直、このいつまでも調子乗ってるだけのエテ公はビームライフルで消し炭にしてやりたい
48通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 00:54:20 ID:???
>>47
つってもピクルってどう見てもバリー・ホーと同等かそれ以上に強いだろw

種世界のキャラをバキキャラに当てはめると
アスラン=寂海王
シン=愚地克巳(かませ乙)
バリー=烈海王
劾=範馬勇二郎(千葉神の不思議な補正)
ロウ=刃牙(〃)
西川キャラ=末堂
三馬鹿=ジャック・ハンマー
虎=愚地独歩
ラウ=スペック
毒ピンク=源王会会長

キラ=ゴミ捨て場でピクルに服を強奪されたあいつ

だいたいこんな感じか
49通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 01:04:20 ID:???
刃牙の上位クラスは、MSなんて平然と叩き壊しかねないから恐ろしい
50通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 01:40:05 ID:???
>>49
妖怪ジジイ、オーガ、原始人、花山、レックス、オリバ、真マッハ克巳あたりはマジでプロトジンくらいなら素手で破壊しそうだわ
51通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 08:15:30 ID:???
そう言えば「範馬勇次郎がCEに来たら」ってスレあったな
14歳のシンが、自由や他のMS相手に生身で無双する勇次郎を見て、MSに頼らない素手での世界最強を目指すという
52通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 15:56:11 ID:???
>>51
それドモンや東方不敗でも普通に成立するなw
二人とも一応MFにも乗るが
53通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 16:36:11 ID:???
>>52
一応とは何だ一応とはw
54通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 16:54:02 ID:???
αがシリーズ化したのに人間ユニットが一作目しか出番がないことが実に残念だ
アルベルト先生
55通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 18:19:52 ID:???
ニルファの最初の方に獅子王凱が出てなかったっけ?
56通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 18:23:53 ID:???
>>51-52
基本的に清廉な求道者である東方師弟もいいが、シンの場合は勇次郎の
毒気の強い人格にも学んだ方が精神面の強化に役立ちそうな気もする。
あとバルディオスを読み返しててちょっと気になったのは、CEの面々が
バルディオスの大きさをそれほど驚いてないっぽく見えるところかと。
戦闘能力にビビるのはともかく、デストロイの2倍弱なサイズ自体に
肝を潰す人があまりいないんだな。
ラクシズ政権ならどんなビックリドッキリメカ持ち出しても不思議じゃないとか
デカブツはかえって組し易しとか思われてるのだろうか…
57通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 18:48:00 ID:???
>>55
サイボーグじゃねぇかw
あと宙w

>>55
本編のデストロイは200m近かったぜ?
設定身長は完全に無視されてる例
サイコガンダムなんかもそう
ただ、エウティタなんかでは設定に近い大きさになってるのに、連ザのは劇中通りの巨体・・・
スーパーロボットの大きさは劇中では結構曖昧なのはお約束だけど・・・
58通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 20:16:12 ID:???
マジンガー超小さいんだよな本当は
59通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 20:56:28 ID:???
マジンガーが18m、グレートが25m
しかし画面上では同じ大きさw
ただし最近の作品(マジンカイザー)では同じ位になってる
60通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 21:55:53 ID:???
>59
エヴァンゲリオンが、背景を考慮して作画が映えるサイズで50〜200Mという無茶な書かれ方をしているようなものか。
61通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 22:19:12 ID:???
5台のメカに分離する変形する万能ロボットで世界中を旅する6人一家族の生活の場なのに15mしかないんだぜ

アクロバンチ
62通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 00:26:02 ID:???
宇宙戦艦ヤマトの艦橋や艦内は4次元に違いないよな
63通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 04:16:53 ID:???
サザビーの脱出ポッドの大きさが出撃シーンとニューガンダムに捕まれた時では違う点について
64通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 19:13:04 ID:???
テッカマンブレードが毎回キャラの顔が別人な件について。
65通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 20:50:03 ID:???
海馬のアゴが尖っている件について。
66種デスとバルディオス:2009/02/08(日) 21:45:07 ID:???
バルディオス、今日は短いですが投下させていただきます
67種デスとバルディオス:2009/02/08(日) 21:50:50 ID:???
〜海上〜

「今すぐ停船しろ!」

ハンニバル級戦艦の推進装置の光が消え、動きが止まった。マリンの脅しに屈する形で停止する。

「よくも俺たちを実験の玩具にしてくれた!お前らの目的は、バルディオスの技術!そうだな!」

オリバーも、散々苦しめられた相手に対し情け容赦ない。
「いいぞマリン!」

雷太もそれは同じ。
「何もかも聞き出しちまいな!」

指揮官はおびえた口調で言葉を搾り出すだけ。
それまで彼を支えていた鎧が全て砕け散って、丸裸の姿を晒している。

「そ・・・そうだ!衛星軌道から落下する識別不明物体の調査回収を命じられ・・・」

「誰の手引きだ!誰の指示で動いた!」

「・・・AMC7(アーマーツェー・セブン)だ!・・・自動監視ステーション!」

空中に浮いているミネルバ、そこに降り立ったシンのザク。
シンがこの拷問同然の奇妙な尋問を立ち聞きするなか、妙なキーワードに思い当たった。
「・・・アーマーツェー?」

ミネルバのブリッジ、ルナマリアが同じことをつぶやく。
「アーマーツェーって・・・」

メイリンは何か言葉が出てきそうで出ない。
「どこかで聞いたことがあるような・・・」

尋問はさらに続く。
「基地や船、白いメカまで問答無用で狙ったな!」

「AMC7が推測結果を出してきたからだ!
このトラック諸島で兵器の性能試験を行っている可能性が高いと・・・だとすれば脅威になると」

「俺たちはここへ迷い込んできただけだ!性能試験なんぞにきた覚えはない!」
68種デスとバルディオス:2009/02/08(日) 21:53:09 ID:???
「こんなものを!こんな物騒な機体を用意するのがいかんのだ!
せ、先進技術を野放しにしていては、世界の平和は保たれん!
俺たちは、真の平和のためと信じて・・・!」

「平和だと・・・・平和だと!」
突然バルディオスがサーベルを頭上へ振り上げる。

オリバーと雷太が制止する
「待て!止まれ!」
「どうしたんじゃい!」

様子がおかしいことに気付いた瞬間、シンの叫び。
「よせ!やめろぉぉ!」

「た、助けてくれ!」
という指揮官の最後の命乞いも空しく、サーベルがインパルスの首付近へ突き立てられる。
指揮官の最後の悲鳴を押しつぶすような大きな金属音、続いて小さな爆発。
人間で言う首から左肩甲骨にかけての部分を貫通したサーベルは、
おそらくコックピットも間接的に潰しただろう。
一撃では飽きたらず、灰色に変わり果てたインパルスからもう一度サーベルを引き抜き、振り上げる。

「何が平和だ!死ねぇぇぇっ!」
もう一度マリンの叫び。
今度は戦艦のブリッジ付け根部分を打ち抜くようにバルディオスがサーベルを突き立てる。
断続的な爆発と火災が発生し、黒煙を上げながら戦艦が傾いていく。
生き残ったエンジンの生み出す浮力で浮遊しているバルディオスは
爆発のエネルギーに押されるように、黒煙を背にして沈み行く戦艦から離れていく。

マリンの豹変振りに驚きを隠せないのはシンである。すぐさまザクを飛行させ、近くへ駆け寄る。
「何てことを・・・!」

沈んでいく戦艦が噴き上げる水と煙の柱、マリンの目の焦点は水柱に向けられる。
怨念めいたマリンの言葉が続く。
「平和・・・その響きは美しい・・・だがその言葉に踊らされて!・・・人間は何万人だって平気で殺せるんだよ!」

異変に気付いたオリバーに雷太、口々に止めにかかる。
「マリンやめろ!」
「マリンもうよせ!畜生、おかしな病気が出やがった・・・」

シンは背中が張り詰めたような気味の悪さを感じながら言葉を搾り出す。
最初にマリンらと遭遇したときの疑念が頭をよぎる。
「どうしたんだ!あんたって人は・・・何なんだ!?」

「俺は、今殺した屑どもと、同類だ!・・・俺は!・・・影の軍隊だ!」

シンの両手が震え始める。
煙を背に空中に立っている、傷ついたバルディオスの姿。
つい先刻までシンにとって救い主に見えた姿が、化け物に姿を変えたように思えた。
69種デスとバルディオス:2009/02/08(日) 21:55:41 ID:???
投下終了
鬼畜化したマリンが顔を出して、さぁシンはどうする?というところまで。
中途半端ですがいったんココで憎しみの砂漠編を区切って、
次回からサブタイトルが変わります。
70通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 21:59:15 ID:???
ハンニバル級が海の上でエンジンを停止すると自重で沈むんじゃね支援

己の行動で大義名分を与えてどうする実証しちまったら
どう見ても平和を乱す悪魔なのは疑うよちがないだろ支援

頭悪すぎるんじゃね支援
71通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 22:17:51 ID:???
普通にお前らのやってることが滅茶苦茶だろ支援
領域内で未確認の兵器なんて出て来た日には調査に来るわ支援
明らかにお前達が悪者じゃねえか支援
自分が不幸だからって何してもいい訳じゃねえぞ支援
バルディオスってこんなアホな話だったっけか?
72通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 22:45:43 ID:???
S1星の皇帝の格好みりゃわかるだろそんなの
73通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 00:01:02 ID:???
貴様は…!平和と安住の地を知らない可哀相な宇宙の巡礼者だ!
74通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 00:19:19 ID:???
あの皇帝は笑うしかないw
ベガ大王なんかもそうだけど、アレがカッコイイ支配者の図なんだろうな
75通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 00:25:04 ID:???
いかす
76通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 14:13:37 ID:???
>「何が平和だ!死ねぇぇぇっ!」
>「マリンもうよせ!畜生、おかしな病気が出やがった・・・」
キチガイかよw

>つい先刻までシンにとって救い主に見えた姿が、化け物に姿を変えたように思えた。
なあ、常識で考えて命令権のある相手の正当な要請を拒んで原因をつくったのはおまえらだろw

平和条約機構の監察官が兵器とおぼしき怪しい物体を調査するのは当たり前だ、それが仕事なんだからな。
プラントと連合が共同で設立した国際的な組織なんだから監査対象がプラントの所有物であるがなかろうが関係ないだろ。

それに一切の武装保有を禁じた平和条約が発効しているんだよなぁ。3話でそう書いてある。
おい、ミネルバ2の連中はどういう権限で武器を保有してるんだ?
勝手に武装してるなら、おまえらこそ違法な犯罪者集団じゃねえかw無用で掃討されても仕方ねぇ。

己で書いた設定を忘れてやがるなぁ、職人(笑)さんは頭が悪いのか素で馬鹿なのかどちらなんだ。
77通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 14:15:16 ID:???
まずはバルディオスのアニメを全話見よう。
78通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 18:27:36 ID:???
重要なのは…今見れるのか!
79通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 18:44:18 ID:???
バルディオスのDVDBOX在庫ないみたいだな
80通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 20:52:14 ID:???
確かブルーレイで出るんじゃなかったっけ
81通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 21:00:54 ID:???
昔のアニメは今じゃ放送コードに引っかかるような事を平気で言うぜw
82通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 21:18:09 ID:???
バルディオスよりかは、ザンボットとかのほうがやばいな
83通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 21:45:35 ID:???
1stを再放送すると、アムロのセリフに修正が入る事がある
84通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 03:42:24 ID:???
 <(^o^)>
   ( ) とうまー
 //
   <(^o^)> とうまとうまー
    ( )
    \\
  ..三    <(^o^)> とうまー
   三    ( )
  三    //
.   <(^o^)>   三  ねーとうまー
    ( )    三
     \\   三
                       ヘ(^o^)ヘ トウマー
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/ トウマトウマ
                /(  ) 
       (^o^) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三  ネートウマー
 ( /
 / く  トウマー

85通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 08:43:06 ID:???
ゼータでもクワトロの「めくらましか!?」が
前半消されて「ましか!?」にされてた
86通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 09:44:03 ID:???
それぐらい放送しろよと
「めくらまし」なんて普通に使うよな?
ちょっと神経質になりすぎだよな
87通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 09:55:58 ID:???
この場合の「めくらまし」は目を眩ませる為の物であって、目に障害を抱えている人を査閲する言葉ではない。そんなものは誰でもわかるだろうに、本当に神経質すぎる。
88通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 10:13:35 ID:???
1stでも、アムロとランバラルの会話で「こじきじゃありませんから」の「こじき」が消されていたな

まさに言葉狩り
89通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 18:31:53 ID:???
むしろそんな事をすればするほど差別は広がり、悪化していくものなのに
90通常の名無しさんの3倍:2009/02/11(水) 00:19:00 ID:???
放送コードどうたらって注意書きだけアバン前に出してそのまま放送すればいいのに
作品に対して手を加えるって最悪だろ
91通常の名無しさんの3倍:2009/02/11(水) 00:43:04 ID:???
>>90
BS11開局時にやってた劇場版1stガンダムは、めずらしくそれやってた。

その数年前にNHK-BSでやってたのは消されていたと思う。
視聴料なんぞ絶対に払う価値がないと再確認できた。
92通常の名無しさんの3倍:2009/02/11(水) 02:08:39 ID:???
ガンダムじゃないがMXで放送してる新マンでも当時のまま放送してるって注意書き入ってるな
ただこないだの怪獣使いと少年では不自然な空白があったような気がしないでもない
93通常の名無しさんの3倍:2009/02/11(水) 08:17:04 ID:???
こないだ地方局で見たイナズマンでは
「私もライジンゴーにカタワにされてしまったんだ!」
のセリフが修正されてたな
一緒に見てたガキが変な空白に不思議な顔してた
94通常の名無しさんの3倍:2009/02/11(水) 08:42:52 ID:???
今のアニメは、かなり言葉に気をつけてやってるんだな
95通常の名無しさんの3倍:2009/02/12(木) 10:12:41 ID:???
>>84
DFFバッツだな
96通常の名無しさんの3倍:2009/02/12(木) 22:30:04 ID:???
メクラとかカタワとか言わなきゃ障害者が健常になるとでも言うのかよ
バカバカしい
97通常の名無しさんの3倍:2009/02/12(木) 22:48:08 ID:???
「やーい、視覚障害者野郎ー」
これならおkってことだからな
ま、それで差別がなくなると思ってる頭が春な人達のことを話してても仕方あるまい
98通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 03:46:20 ID:???
差別どうこうじゃなくて、蔑称を使うのはやめましょうって事じゃないのか?
99通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 17:45:13 ID:???
めつぶし、めくらましは蔑称じゃないような
100通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 18:12:38 ID:???
釣りキチ三平の「キチ」はキチガイの「キチ」って最近知った。
101通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 19:48:13 ID:???
立てました
新シャア板のSSを語ろう
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1234174049/
102通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 22:03:43 ID:???
>>91
去年末にテレビ大阪が放送した時は、「乞食」はノーカットだった
103通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 15:11:36 ID:???
>>99
目潰し、目くらましは動詞じゃないの?
104通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 16:26:54 ID:???
神経質すぎる言葉狩りで
>>85-87
なことに、おそらく幽白に出てきた「禁句」並みに『め』と『く』と『ら』が続けて発音されると駄目なんだろ
105通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 16:40:54 ID:???
「片手落ち」も「片落ち」なんて言葉に変えられた
「砂の器」が再ドラマ化された時にライ病設定が消されたり
平成版金田一ドラマでなぜか金田一シリーズ最高傑作の「獄門島」が
スルーされてたりするのも「差別狩り」の一環だな
106通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 16:51:19 ID:???
>>104
それNGにしたやつアホとしか思えないなぁ
ワード検索で「めくら」って入れて引っかかったから文脈見ないで消したとしか思えない
107通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 16:56:41 ID:???
>>105
片手落ちの「手」は手間・手数って意味なのにな
頭悪すぎ
108通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 17:10:06 ID:???
そこまでいくと日本人を馬鹿にしようとする工作に見えてくるな
109通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 17:15:50 ID:???
ビートたけし主演の座頭市で「めくらになって暮らせ」ってあったけど映画だとまたちがうのかね?
110通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 17:43:02 ID:???
実際叩かれることはほとんどないけど、その万一のリスクを回避しようとしての狩りだからな。
スタッフ側は狩りたくて狩ってるわけじゃないと思うよ。

>>109
映画は高尚だから低俗なアニメと違って叩かなくてもいいとかそういう理屈じゃない?叩く側としては。
たけしも映画界じゃ世界レベルだし、連中そういうのに弱そうというのは偏見だろうか。
削らなかったたけしの気骨は認める。
111通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 19:27:43 ID:???
審査がテレビ放送だとBPO、映画だと映倫だからその関係もあるのかも。
112通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 21:00:55 ID:???
>>105
>金田一シリーズ最高傑作の「獄門島」
何かまずいの?
113通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 21:29:47 ID:???
>>112
「基地外」という台詞が推理上重要な伏線になってる
昔のドラマではその辺ぼかしたために推理物として画龍点睛を欠く形になってた
今だとぼかしても無理かもしれない
114通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 23:55:14 ID:???
創作作品の中には、差別用語として存在していない造語を使っちゃうケースもあるね。
漫画だけど、H×Hの世界ではアカズってのが差別用語っぽかった。
115通常の名無しさんの3倍:2009/02/15(日) 09:03:24 ID:???
>>114
ああ、あの目の見えない女の子ね

別に差別用語だとは思わなかったが…
116通常の名無しさんの3倍:2009/02/15(日) 10:55:16 ID:???
アカズは完全な造語でないよ
盲目を「開かず」と表現する古文もあるから
117通常の名無しさんの3倍:2009/02/15(日) 12:11:44 ID:???
っていうか、ここのところ投下こないな
118通常の名無しさんの3倍:2009/02/15(日) 13:54:37 ID:???
ギアスの投下が終わったからじゃない?
119通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 21:37:40 ID:???
というよりも段々書き手の敷居が高くなってきたんだと思う。
120通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 22:36:04 ID:???
バルディオス叩かれまくってたからな…、叩きすぎるのも問題だ
121通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 23:04:48 ID:???
目的は批評じゃなくて職人を定着させないための荒らしだからな…
ホント死ねばいいのに。
122通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 23:25:29 ID:???
なんだかんだいいながらも、ここに投下されたものはwikiで数字伸ばしてるしな
批判すべてが荒らし行為ではないと思うけど
123通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 23:37:48 ID:???
今こそ変態仮面無双の≡ガンダムを
124通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 23:59:00 ID:???
ヒーロー戦記やスーパーヒーロー作戦的なSSを書きたい場合は、ここで投下するのがいいのかな
スパロボスレでは特撮はスレ違いっぽいし
125通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 00:05:43 ID:???
旧板の某スレには長編SSの分轄投下禁止なんて言い出す阿呆がいる
しかもその理由が「分轄されるとそれをダシにしたネタを書きにくいから」
126通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 00:20:55 ID:???
>>124
MSが等身大のパワードスーツだということか?
だったらifスレの方が適切じゃなかろか。
127通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 00:22:34 ID:???
ああ、二行目意識から外れてた。それならここでいいんでないか?
ライダー単品だったりするならスレは無いでもないけど、ちょっと趣違うしな。
128通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 00:25:21 ID:???
今は1人でも多くの書き手が欲しいしな
129通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 01:47:17 ID:???
>>125
旧板の某スレとその避難所でどうぞ
ここでグチグチ言っても味方になる人はいません
130通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 03:28:20 ID:???
>>126
あれ変形するやつは中身どうなってるんだろうな
131通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 13:18:23 ID:???
 >>130

 ガイバーみたいに、一度細胞レベルに分解されて機体と融合しているとか……。
 だったら、装着中は無茶な変形も出来るし、
仮に機体が破壊されても脳とデータが残っていれば再構成で無傷な状態に戻る。
132通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 17:05:09 ID:???
デトネイターオーガンのように、一体化するたびに命が縮むというリスクが無い分、上のシステムなんですかね?
133通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 18:12:09 ID:???
MS少女というのが昔あってだな…おそらくあーなるんだろう
134通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 19:53:09 ID:???
ライダースレで可変型MSをどうアレンジすべきかと相談したことがあったが、
この前のディケイドでクウガがガションガション変形してゴウラムになったの見た瞬間、それまで悩んでた事の馬鹿馬鹿しさを悟った
135通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 20:35:51 ID:???
バルディオス続き読みたいなぁ・・・
136通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 21:22:17 ID:???
あれだけ叩かれればやる気もそがれる
137通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 22:43:34 ID:???
昔、ガンダムクロスというマンガがありまして……
138通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 01:37:02 ID:???
>>135
マリンが頭の病気の発作で平和教徒ぶっ殺す話を書いた時点で続き書く気ねえだろ
139通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 01:41:07 ID:???
マッチポンプ荒らしがうぜえ
140通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 04:18:30 ID:???
そういえばAC系とのクロスってあんまり見ないけど需要ないのかな?
特に4系のネクストなら種のエース級と十分張り合えると思うが
141通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 04:40:57 ID:???
>>140
見ないどころか単独スレがあるが
でも、SSは投下されてないな

十分張り合えるどころか、種の機体じゃ勝ち目がないとされてるのが原因かもな
142通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 10:46:48 ID:???
いや、あそこはクロスを免罪符にいかにAC機体が優れていて
種…というかMSが雑魚いかを叩きつつ、かつAC世界を持ち上げて種世界を扱き下ろしつつ
かつACについて語ろうぜ?な場所だから

半端な意思でクロス作品なんて投下した日にはフルボッコされて泣いちゃいますよ?
143通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 11:07:15 ID:???
CCAもそうだが、おそろしいほどの信者がいるスレには手を出さないのが吉だな。
そう考えるとここはかなりまともなスレだ
144通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 15:51:20 ID:???
マクロスもゾイドも似たようなもん
145通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 16:30:53 ID:???
>>142-144
投下がないからって住人ヅラで居座ってんじゃねえよ自演ゴキブリが
146通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 21:38:24 ID:???
バルディオスさん帰ってこないかな
147通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 00:30:28 ID:???
もしもシモ・ヘイヘとハンス・ウルリッヒ・ルーデル、エーリッヒ・アルフレッド・ハルトマン及びゲルハルト・バルクホルンが地球連合軍にいたら
148通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:00:10 ID:???
>>147
あの世界じゃいくら超人軍団投入しても上層部が使いこなせないでしょう
149通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:08:16 ID:???
>>147の超人軍団は、上層部が使いこなすとか関係無しに大活躍する人達だったわけで
連合上層部がどうとかは全く関係ないだろう

ただ、二次大戦の英雄達じゃ、装備の差が有りすぎだろ
150通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:11:54 ID:???
>>147
少なくとも、現代に彼らが蘇っても、戦場で使い物になるかどうか判らないのに(特にパイロット勢)
わざわざSFやファンタジーで「それでも彼らなら何とかしてくれる」って考える軍オタってどうなんだろうね。

シモ・ヘイヘ?最強歩兵?MSの前に踏み潰されるのがオチじゃねえ?

ルーデル?ハルトマン?バルクホルン?スゴイパイロットなんだってね?プロペラ機の
ていうか何でそんな超人兵団抱えててナチスドイツは負けたわけ?
151通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:14:10 ID:???
もしも灰田さんがCEに来たら
152通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:16:40 ID:???
>>151
Mr.グレイはifスレで絶賛活動中
153通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:17:03 ID:???
もしもシャンゼリオンとその関係者一同が一人残らずC.E.世界に来たら
154通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:19:55 ID:???
>>150
ネタに敵意満々にマジレスして空気を悪くしてはいけないよ

負けた理由は単純で、個人の活躍で戦争を覆す事は出来ないから
アムロはそうやって説教されたが、キラは説教されるどころかそれが出来ると期待されとったなぁ
155通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:21:07 ID:???
別に狙撃兵でMSに挑むわけじゃなし、レシプロ機でMSに挑むわけでもないだろうに……


タイラー一味で引っ掻き回してもらうのはどうなんだろう。乗ってくるのは阿蘇と言わず樺太あたりで。
156通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 01:36:58 ID:???
タイラーなんてMSの前に踏み潰されるのがオチじゃねえ?

と、誰か言ってくれるに違いない
157通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 02:02:25 ID:???
>>146-156
投下がないからって住人ヅラで居座ってんじゃねえよ自演ゴキブリが
158通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 02:49:38 ID:???
9時間半無い知恵絞って出来たのはオウム返しだけ、
死んだ方がいいんじゃね?
159通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 04:04:09 ID:???
お前は何を言っているんだ?
160通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 08:33:40 ID:???
アムロとホワイトベース隊はジオンの戦力の1〜3%くらいを彼らだけで壊滅させてるので
作中でなにがどう言われてても戦況に影響与えてるのよね


あと詳細は不明だが格闘ゲームのEXレヴューでは
ラスボスのドルメルが勝利するだけでジオンが勝ってしまう
161通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 16:42:03 ID:rDjOx9Jf
エリアルからクレスト・セイバーハーゲンが来たらでいいだろう・・・
「邪悪な意思を感じる!」でCE勢をフルボッコ。
162通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 21:26:14 ID:???
セイバーは外宇宙にすら達して無い文明な上にあんな低レベルのテクノロジー相手じゃ戦わねえよ
あとエリアルの方がヘタなガンダム作品より高度な機械だったりする(性能云々については兎も角)
163通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 23:01:05 ID:???
自演ゴキブリばっかりだな
164通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 23:22:00 ID:???
>>163
君の心は満たされているか
165通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 23:37:04 ID:???
>>163
ちっぽけな幸せに妥協していないか
166通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 23:50:59 ID:???
>>163
宇宙全体よりも広くて深いもの
167通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 23:57:15 ID:???
ゴキブリと聞くとイチロー松井の煽り哀しか浮かばない
168通常の名無しさんの3倍:2009/02/20(金) 14:49:23 ID:???
連合の情報部が特殊部隊を使って特殊学級部隊の仕業に見せかけて始末する話ならあったな、○キオ。
169通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 12:59:35 ID:???
藤堂家の家系がC.Eに有ったら
きっとオーブに住んでいるのだろう
きっと、兄はコーディーで、弟はナチュラルになるだろう
三隻同盟は、飽和攻撃で沈められ
ジェネシスがその本来の役目を果たす所から物語は始まり
ジェネシスによって外宇宙探索の開始を持って
物語は完結するのだろう
170通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 13:24:52 ID:???
ラクシズ民主主義人民共和国の同志藤堂元帥ですね、わかります
兄貴「それにな、私はアークエンジェルという名の軍艦がこの世に存在していることが許せないのだ」
兄貴(滅んでも良い国と言うのは存在するのだ。そして、俺はその国の軍事力を握っている)
171通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 15:01:28 ID:???
通称最後の大艦巨砲主義者な弟に相応しい巨大戦艦が無いw

172通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 16:29:51 ID:???
UCから戦艦レイテ持ってこようぜ。
……宇宙でつかえなきゃダメか。超イズモ級のムサシあたりでどうだ
173通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 19:11:36 ID:???
逆に考えるんだ!
ジェネシスは巨大な砲をつんだ戦艦なのだと!!
174通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 19:59:03 ID:???
脱線気味になって悪いが、バーミンガムってすごくロマンを感じる戦艦じゃない?
大鑑巨砲主義の権化というか
175通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 20:12:24 ID:???
自分で推進できぬジェネシスなど戦艦に非ず。


つまり、ジェネシスに推進器をつけてだな
176通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 00:55:29 ID:???
>>174
同級がドゴス・ギアとの事だが
177通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 02:52:26 ID:???
>>169
オーブが分断国家ってのはいかにもありそうな話ではあるのです。

たとえば、ラクシズが隠遁するためにカガリを傀儡に据えた北オーブと、
連合占領地域がそのまま横滑りした南オーブ。
178通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 02:56:27 ID:???
アスハが支配する地上のオーブと
サハクが支配するアメノミハシラを中心とした宇宙のオーブ
こういう構図は設定してはあるが・・・
179通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 03:46:06 ID:???
ラクシズの影響下にある地上の楽園オーブ人民共和国
と、
サハクの影響が強いオーブ
地上に兄がいて、宇宙には弟がいる
180通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 04:10:15 ID:???
ミナ「記録にはないが、ラクシズ上層部にこちらの資産が一人いる。名前はA・Zだ」
11「事実だとしたら面白いですね」
ミナ「あまりに大物過ぎて、部内ですら記録できないのだ。知っているものは私を含め4人しかいないだろう」
11「それほどの人物なのですか」
ミナ「その人物が送り込まれたのは先の大戦中だ。情報部の機関が動いたらしい」
ミナ「奴が送ってくる情報は常に正確で、的確だった。イレブン、彼を君の資産にしろ」
11「誰なんです、そのA・Zという資産は」
ミナ「わからん。大戦のゴタゴタで忘れ去られてしまった。それとも、最初からそうだったのか……」
11「ですが、貴女は知っている」
ミナ「そうだ、知っている。君とはあまり、というか全く縁のない男だ」
11「私は性平等主義者なんですがね」
ミナ「歌姫の騎士団副団長、宇宙艦隊司令長官アデラン・ザラだ」
181通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 13:22:58 ID:???
だ・・・誰?
182通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 14:17:54 ID:???
アデランに「ス」を足しただけで、何が言いたいか良く分かる。
多分、ミナ様の頭の中で彼の容姿が適当な単語と結びついたんだろう。
183通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 15:54:24 ID:???
パトリックでない名前の出てこない方のザラ氏には、
名前が間違って呼ばれる呪いがかかっているんですね、わかります
184通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 17:39:52 ID:???
アヅラン・ザラ
アデラン・ザラ
アスラン・ヅラ
アスラン・サラ(カッパの頭的意味で)

他にあるかな?
185通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 20:17:45 ID:???
アデラン・スラ
186通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 20:21:47 ID:???
もし種世界にラーゼフォンのTERRAが来たら
187通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 20:22:51 ID:???
アデラン「コーディネーターなのに禿は納得できん!よって反乱する!」
188通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 00:18:38 ID:???
>>187
むしろ一定年齢を境にハゲになるようにコーディネートされているという悪寒がした。

自分のガキをコーディネートしたがる金持ちに対する技術者の嫌がらせとかでw
189通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 11:26:46 ID:???
いや、ごく普通に男らしく筋肉多めで注文したら、当たり前のように男性ホルモン多めで受注。結果、禿げることに。
190通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 12:28:09 ID:???
カリダさんやキラやニコルやカガリをオカズに自己鍛錬し過ぎたのが原因

男は自己鍛錬し過ぎると禿たりガンになりやすくなるが女には自己鍛錬のデメリットはほとんど無い
191通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 23:26:39 ID:???
他にも不発だったり遅くてウザがられたり
192通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 00:26:45 ID:???
グレイフレームがキット化だそーで



……ウッソスレ元住民にとっては辛いだろーな、あれ
193通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 01:44:52 ID:???
種以外のガンダム作品とクロスするスレってどっかないの?
194通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 01:50:53 ID:???
>>193

Zとクロス
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1219033525/l50

Wのクロス
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1213354452/l50

Xとのクロス
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1215348251/l50

アムロのクロスはどっかにあったけど、ブクマしてなかったから
適当に探して下され。
195通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 01:52:29 ID:???
>>193
旧板行った方が早くね
196通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 01:58:13 ID:???
00ってあったっけ?まだないのか?
197通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 02:01:47 ID:???
種以外(ZやW…)のガンダム作品と、ガンダム以外の作品のクロスのことなんだが
198通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 02:03:47 ID:???
>>195が大正解じゃねぇか
199通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 02:06:42 ID:???
>>197
聞くスレを間違ってるだろと、そう思った。
200通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 02:18:12 ID:???
すまん、それじゃー最後に、00はここ?
201通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 02:20:08 ID:???
>>200
種、種死の世界にダブルオーが来たらって書いてあるじゃん、スレタイ。
202通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 02:28:45 ID:???
すまん、いろいろと申し訳なかった
203通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 03:31:56 ID:???
まったく00厨は……
204通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 03:34:19 ID:???
00は好きだしSSがあるなら読んでみたいけど、
まだ作品が完結してないのと、シナリオに突っ込みどころが種ほど無い所為で
SSそのものが少ないんだよな。

語られてない部分を補完してみようというSSはあったけど(他スレに)、
根っこから改変してやろうというSSは見たことない。
205166:2009/02/24(火) 06:28:00 ID:???
おはようございます。
現在執筆中のエピソード中の表現でで「盲撃ち」を使ってます(苦笑)、
機動戦士ΞガンダムSEED Destiny筆者の166です。


ただいま、ガルナハン攻防戦の終盤のクライマックスシーンを執筆中の状況で、
終わりは見えてきてはいるのですが、ここまでの分量で既に過去最長(3分割にしました)
の(7)を1万字分くらいオーバーしてます(苦笑)

そういう状況ですので完成を待っていますと今月中にも投下が出来なくなってしまいますので、
当初の予定を変更しまして(12)と(13)の二分割の構成にとした上で、
前半分の(12)の分の前編は今夜にでも投下させて頂きたいと思います。

とりあえず、ひとまず生存と状況のご報告まで
206通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 07:41:57 ID:???
>>205
期待してます
207通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 13:18:24 ID:???
>>205
待ってましたーっ
既に数次に渡りザフト地上軍に多大なる出血を強いたローエングリンゲートへの途を、マハムール基地より出撃して来たザフトの第3次攻略部隊が今、再び進撃していた。

中型地上艦ピートリー級のバグリイ≠ェ響導巡洋艦の如くその先頭に立ち、その後ろに旗艦となる大型のレセップス級地上艦デズモント≠ェ続航している。

地面を微細動により液状化させて推進するスケイルモーターを唸らせながら走る両地上艦の更に後方には、本作戦の増援となる二隻のミネルバ級惑星強襲揚陸戦艦、ミネルバとディアナが低空を飛行して続く。
就航時からの塗色のままのミネルバに対して、その真後ろに密着するかの様な超至近距離を保ったまま続航するディアナの方は、その巨体をこの荒野と空に紛れ込む様な迷彩塗装にと全身を塗り替えていた。

『間もなく、ポイントCを通過。各艦、MS隊の発進を開始!』
旗艦デズモントに座乗するラドル司令官よりそう命令が下され、他の各艦ともども、一斉にその艦内に収容したMS各機を続々と発進させ始める。

二隻の地上艦から続々と吐き出されて行く、多種多様なザフトのMSたち。
空戦用MSのディン(レドームを背中に背負ったAWACSタイプを含む)とバビは発進の勢いをそのままに母艦の上空へと駆け上がって行き、
地上戦型のMSであるジンオーカーに、その後継機のゲイツオーカー、MSへの簡易変形も可能なモノアイガンタンクの様な印象のガズウートと言った各機はそれぞれ母艦の艦体上にと陣取り、
そしてある意味ここが異世界≠ネのだと言う事を最強無比の説得力で見せつけてくれる存在であるかも知れない「四足獣型のMS」(!)の群――紺色の豹の様なバクゥたちの中に、
マハムール側のMS総隊長機である、虎を思わせるラゴゥの一回り大きいオレンジの機体が1機だけ混じって見える。

それらザフト地上軍のMSたちの、もう大分目に馴染んで来つつある機影を眼下にしながら、その事実に
(もう、「この世界」に本当に慣れて来てしまっているのだな……)
と言う事をふと実感させられる、2ギャルセゾン機長のシベット・アンハーン。

彼をリーダーとしてこちらの主攻部隊に加勢する、マフティーの支隊のギャルセゾン3機はザフトMS隊の発進開始の以前から早々とミネルバから発進し、艦隊と併走してその上空を飛んでいた。

戦闘継続可能時間がバッテリー駆動のC.E.世界のMSの比ではないメッサーを持つ彼らの場合は、逆にザフト側に合わせる方が却って運用の足枷になるし、
ザフト側としてもマフティーの持つ超高性能なセンサー系の能力を活用出来ると言うメリットがある為、その様にされていた。
――実はもう一つ、別な理由もあるのだが……。

ザフトの各母艦が一斉に自軍MS隊の発艦を始めたのを確認して、
「キャプテン、降りますよ?」
と、シベットの隣の副操縦士席に着くコ・パイロットがそうシベットに声をかけると、操縦桿を操作してギャルセゾンの機体を併走しているディアナの舷側へと降下させて行く。

近付いて来た2ギャルセゾンに向かって、MSの発艦開始の為に展開しているディアナのカタパルトから打ち出されて来た、ブレイズウィザードを増着するオレンジ色の胴体と左肩アーマーを持つザクファントムが放物線を描いて舞い降りて来る。

シベットが絶妙なスラスター操作でその下へと持って行ったギャルセゾンの機体が、柔らかく受け止める感じで見事にザクを上甲板上にと収容した。

『やあ、よろしく頼みます!』
降着の振動の後、接触回線による声で気さくに挨拶を寄越すのは、ハイネ隊の副長格である、グロスと言う青年パイロットだ。

甲板上に佇立していたドラブ・リッドのメッサーが、念の為に自機で制動を掛けられる様にと受け止められる構えでいたのだが、その必要も無いくらいに見事な降着機動だった。

(流石に長年ハイネと組んで戦って来たパイロットだな、いい腕だ……)
シベットやリッド達にもそう思わせるだけの確かな技量の持ち主である彼のザクファントムは、実は新型機グフイグナイテッドにと乗り換えたハイネがそれまで駆っていたザクファントムを譲り受けたものだったりするのだが、
ハイネ隊ナンバー2の技量の持ち主でもあるそのグロスのザクと、同ナンバー3の技量の持ち主であるパイロットが駆るゲイツカスタムの2機だけは、
本作戦においてはミネルバのザク2機が通常そうしている様に、ギャルセゾンにメッサーと相乗りをして戦闘参加する事になっていた。

こちら側の支隊のメッサーが4機なのに対して、ギャルセゾンの方は3機あるのを活かそうと言う事なのだが、それが出来るのも腕利き揃いのハイネ隊ならではと言うところではあった。
その様子を横目に見ながら、こちらの正面攻撃の主攻部隊のMS隊総監を担うハイネのグフイグナイテッドがディアナのカタパルトを飛び出すと、背部のウイングユニットを展開してそのまま飛行して前方へと進出して行く。

「しかし、ザクに加えてグフか……。しかもこの世界のグフ≠ヘ普通に飛べると来る……」
思わずそんな呟きを漏らすマフティーの面々であったが、その上更にドム≠ワでもが実は存在したりすると言う事実を知ったならば、果たしてどんな顔をしたであろうか?
少なくともそれはカーペンタリアから宇宙へと上がった後方支援要員のマフティーのメンバー達しか、まだ知らない話ではあったが……。

ともあれ、2隻のミネルバ級も艦載MS隊の発艦を順調に継続し、ミネルバからは元ニーラゴンゴ空戦MS隊を構成していたディンとバビが、
ディアナからはザフトのMS用空中機動飛翔体グゥルに乗った、各種ウィザード装備のザクおよびエースパイロット達各々個人用にと強化改修を施されたゲイツカスタムから成るハイネ隊の各機が、それぞれ空中にと舞い上がった。

空陸から先行して行くMS隊に続く様に、後尾を飛んでいたミネルバ級の2隻はここで地上艦を追い越して先に立つ。

そして前方にはローエングリンゲート要塞の威容と、その防衛線を構成する多数の地球連合軍MS隊の機影とが見えて来た――。



「センサーに反応あり! エリア1より急速に接近中の敵勢力を発見、……識別は、ザフト軍地上艦レセップス級1、ピートリー級1、それに――これは!? もう1つは、ミネルバ°奄ナすっ!」
「ザフトめ、性懲りもなくまた来たか! 総員、戦闘配置!迎撃のMS隊は直ちに発進せよ!」
驚きも交えて緊迫した声のオペレーター兵がザフト部隊の接近を告げ、既にそれを予想してコンディション・レベルを上げられていた全要塞内に、防衛指揮担当の当直将校は直ちに迎撃命令を出した。


「ほう、あのミネルバ°奄持ち出して来ましたか」
にわかに緊迫の様相を呈し始めたオペレーションルームを見下ろしながら、その上方にしつらえられた指令部用ブースの要塞司令官席の周囲の椅子に居並ぶ幕僚連の一人がそう呟く。

「ザフトも必死と言うわけですね」
それを受けて司令官の傍らに立つまだ若い副官がそれを受けてひとちごちるが、そのやりとりを聞いて司令官は鼻を鳴らして嘲笑〈わら〉って見せた。

「ふん、ザフトの奴らめ。新型艦など繰り出して来たところで結果は同じ事だ。まとめて薙ぎ払ってやる!
ローエングリン、エネルギーチャージを開始だ!防衛隊、ゲルズゲー≠フ発進を急がせい!」

これまでも侵攻を試みるザフトの地上軍を空しく壊滅させて来た二つの切り札を用意させる。
地形を利しての、元々の堅固な守りを持つ要塞の立地のその上に加味される、最強の矛と、無敵の盾。

このローエングリンゲート要塞を難攻不落たらしめているその二つがある限り、我らの勝利は揺るがん!と、そう確信しているが故に司令官には不安などは全く無かった。
故に、そこで一つの懸念要素を口にした幕僚の一人をじろりと睨め付けて見せたのも、また自然な事だった。

そう言えば……と、その幕僚が気にして見せたのは他ならぬマフティーの事だったのだが――
「一つ気がかりな事があるとすれば、噂に聞くマフティーとやら言う連中が、今回はザフトに混じって共に攻め寄せて来る様だと言う情報ですが……」
と言うのをみなまで言わせずに、司令官は、強い口調で遮る様に言いきった。
「そんな心配は無用だ。少しばかり高性能な機体を揃えてはいるらしいが、そう言ったところで、所詮はたかがMS。持てる火力にいかほどの事があると言うのだ?」

「ごもっともですな。何しろ我がローエングリンですら完璧に防ぎ得るリフレクターなのですからな……」
お追従する様に言う幕僚の一人の声に、その他の多くも調子を合わせて一斉に頷く。

「ザフトの奴らどもだけと言わず、むしろ奴らを相手に無様をさらし続けの不甲斐ない宇宙軍や海軍の連中にも、我々こそが地球連合軍の真の実力≠フなんたるかを見せつけてくれようではないか!」
そう煽り立てる様に言う司令官の言葉に、要塞司令部内のボルテージは一気に高まる。

友軍に多大な損害を与えてくれた「仇敵」たる、ミネルバ及びマフティーなるぽっと出のテロリスト共≠烽ワとめて葬り去れば、自分達の武勲は比類無いものであり、叙勲や昇進も確実であろう。
210通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:00:29 ID:???
待ってました支援!
自らの勝利を疑いもしない司令官達の脳裏には、間もなく開始されるであろう戦闘への意識ではなく、この戦いを終えた後に待っているであろう「バラ色の未来」の光景の想像図が満開になっていた。


――そんな要塞首脳部の漂わせる弛緩した空気に関わりなく、その間にも要塞所属の防衛MS隊各機の発進は順調に行われ、防衛戦力の主力を成す、ジェットストライカー装備のダガーLと、こちらは地上に展開するストライクダガーが、
その中に少数の同じくジェットストライカー装備のウィンダムや、ソードとランチャーの両ストライカーをそれぞれ装備のダガー(105ダガー)、数機のバスターダガー等の姿も織り混ぜながら、続々と飛び出して行く。

更にその後方の大型機用の発進ゲートから、地球軍の切り札の一つである「無敵の盾」こと、拠点防衛用大型MAゲルズゲー≠ェのそりとその異形を現した。

ずんぐりとした胴体から生やした六本の脚部に、一対の羽の様な形状の大きく後方に伸びる上部スラスターを持つ昆虫を思わせるフォルムの機体の上部から、まるでケンタウロスの様に人型のMSの上半身が伸びていると言う全体のフォルムは誰の目にもそう見えるだろう。

だが実際にこのゲルズゲーはその見た目の印象を裏切る事のない、恐るべき実力を備えた兵器だった。
そしてその能力を再びザフト相手に見せつけるべく、機体下部のバーニアを吹かして、脚部を折り畳みながらゲルズゲーはその巨体を舞い上がらせた。



『全機、射線上から待避ッ!』
グフに乗って空中から戦場全体を見回しながらハイネが叫ぶ。

その命令を各機が復唱しながら伝達しあい、空陸両面から艦隊の前方へと出て行きつつあるザフトのMS各機は、当初の作戦計画通りに一斉にタンホイザーの射線を避けて待避に移った。

そうして友軍MS隊から開かれた隙間を縫うようにしてぐっと前進し、ミネルバは上昇して決戦兵器である艦首の「陽電子砲」、タンホイザーの発射態勢を取る!

その機動を目にした前方に展開している地球軍MSの間から、呼応して飛び出して来る大型MAの異形の機影が見えた。
自慢のエネルギーシールドで、タンホイザーを防ぎきって見せようと言うのは間違い無い。

(かかったな!)
だが、その動きを見た多くのザフト将兵達は、異口同音に内心でそう快哉を上げていた。

ミネルバのタンホイザーが無効化されるのだとしても、それは最初から織り込み済みの上の事で、
本当の狙いはその盾≠スるMAを自ら前線へと出て来る様な状況に引きずり込む事こそが目的だった――つまり、ミネルバとそのタンホイザーは豪儀な撒き餌なのだ。

臨界したエネルギーの余波が白光させるタンホイザーの巨大な砲口から、猛烈なエネルギーの奔流が迸る。
周囲の世界をそのまばゆさで染め上げながら宙を駆けるそれが、あっと言う間に要塞の前方にと展開する地球軍へと迫り、猛烈な爆発の中にその姿を巻き込んで行った――少なくとも、侵攻するザフト・マフティー同盟軍の側からはそう見えた。

「くっ!流石に……!」
タンホイザー着弾の猛烈な爆風を避ける為に四肢を畳めて地に伏せさせている機体が、それでも猛烈な爆風に激しく揺さぶられる。
ラゴゥに乗るマハムール基地MS隊の総隊長も、部下達と同様に思わずそう声を漏らしていた。

これほどの爆発の中だ。いかにあのMAが化け物じみた防御力を持つ機体だと言っても、これなら倒せるのではないのか?
と、地球軍の開発した対「陽電子砲」リフレクター、シュナイドシュッツの防御力の全てを知らないが故にそう感じていた彼ら、ミネルバの乗員を除いたほとんどの将兵は一様に、
次第に収まって行く爆煙の中から無傷の姿を再び現した地球軍MAと、その後背のMS群を見て、当然の驚きに目をみはらされた。
「……本物の化け物かよ!?」
「いや、まだだ!」
異口同音にそう呟きを漏らしていた多くの将兵達を叱咤する様に、ハイネからの声が飛ぶ。
そう、これで終わりでは無かった。


ザフトが繰り出して来た新手――ローエングリンと同様の「陽電子砲」を装備した新型艦ミネルバ級の存在を確認して、念の為早々と前線に出て行ったゲルズゲーの判断は的確だったな。

要塞内のオペレーションルームの巨大なスクリーンで戦況を見守っていた司令官が、そうゲルズゲーのパイロットの状況判断を内心で賞賛する。

「見たか!ザフトの奴らめ。「陽電子砲」には「陽電子砲」で対抗しようなどと考えたのは、貴様等にしては上出来だとは言ってやろう。だが、甘かったな!」
ことさらに余裕を見せ付ける様に、あえてザフトのコーディネーター達を認めてやろうと言うかの様な態度でもって言う司令官。
もちろん、本音としては揶揄であるのは言うまでもない。

「最強の矛と無敵の盾、その両方を備えてこそ完璧なのだ!」
またもや司令官に追従する様に、幕僚連の中からもそう声が上がる。

だが、その次の瞬間響き渡ったオペレーター達の愕然とした叫びでの報告に、彼らの余裕の表情は一瞬で凍り付くことになったのだった。

「なっ!? ミ、ミネルバ級のその後方に、更にミネルバ級がもう一隻っ?」
「あ、新たなミネルバ級――「陽電子砲」発射態勢ですっ!」

「な、何だとッ!?」
司令官をはじめ、幕僚達の多くが驚愕のあまりに思わず腰を浮かせて跳ねるように立ち上がっていた。

自艦のタンホイザーの発射を終えたミネルバが、地表の側へと向かって艦体をすとんと落ちるかの様な動きで一瞬の内に降下させ、
それまでその後方に接触しそうな程にまでピタリと付けて同軸で飛ぶ事で地球軍の目から隠していたその妹=qディアナ〉の姿をあらわにさせた。

「な、何だとっ!?もう1隻いただとっ! なぜ気付かなかった!!」
今度は地球軍の方が、将兵揃って一様に驚愕させられる番だった。

周囲の荒野と空の風景の色の中にと溶け込む迷彩塗色を施して来たディアナと、原色の艦体塗装のままのミネルバは、同型艦である事を活かしての超至近距離での同軸機動飛行と言う、
操艦の妙技の真髄を求められる、まさに神業的な艦隊機動を実行して見せていた――それが、母艦同士もまた訓練を行っていた理由とその内容だった――わけだが、
無論、地球軍にミネルバ級は1隻と「誤認」させるのに成功していたのも、やはりマフティーの助力によるところが大きかった。

そういった絶妙な連携機動でもって、センサーやレーダーに映る艦影をあたかも1つであるかの様に装わせたその上で、
後方を飛ぶディアナの周囲を囲んで同航するギャルセゾン各機が、自軍の運用には大きな影響を及ばさない程度を測りながら適宜散布するミノフスキー粒子の薄いベールが、
さながら煙幕の様にディアナの存在を地球軍の索敵機器類の目から包み隠していたのである。

マフティーを主力とした奇襲部隊こそが真の本命であるとは言え、基本的には囮役である主攻部隊の側もただ漫然とその役を果たすと言うのでは無しに、
こちらはこちらで編成上可能な戦術的ポテンシャルを最大限に駆使して、本気でローエングリンゲート要塞を陥としにかかっていたのだ。

そしてそれはこの時完璧に成功していた。
213通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:11:42 ID:???
支援!
成程、確かにタンホイザーをも完璧に防ぎきって見せられるシュナイドシュッツの防御力は恐るべき代物だ。
だが、最強の剣たる「陽電子砲」の使用には莫大なエネルギーのチャージが必要であるのと同様に、そのリフレクターもまた展開には相応のエネルギーを必要とする代物である筈。

ミネルバのタンホイザーを無効化した直後のこの今、そのタイミングでもう一撃同じ攻撃を繰り出されたとしたならば――もう一度受け止めきれるだけの出力強度のリフレクト・シールドを展開するのは不可能!

ゲルズゲーも、その後方のMS隊の大半もろともに、今度は要塞はザフト艦の「陽電子砲」に焼かれる――
それが明らかだからこそ、地球軍の側はそれまでの楽勝ムードから、驚愕と共に一瞬の内に絶望の奈落へと叩き落とされていたのだ。

エネルギーの臨界に近付いて白光の膨大さをより増して行くディアナの艦首の彼方に、誰の目にも明らかな程に慌てふためく地球軍防衛部隊各機の姿が見える。
と、その後方にそびえる要塞の一角に小さな爆発が起き、その爆煙の中から高速で飛び出してくる一つの機影があった!

それを確認した艦長副長以下、ディアナCICのスタッフ達は一瞬訝しみを覚えるものの、もはや最終段階に入っているタンホイザーの発射に集中する以外には無く、構わずに続行する。そして――

「タンホイザー、てーっ!」
艦長の号令と共に、艦首から膨大なエネルギーの光を迸らせるディアナ。実戦では最初となる、彼女のタンホイザーの発射だった。

先程のミネルバのものと全く同等のエネルギーの光条が空中を駆け、前方に展開する地球軍を呑み込んで行く――そして再び激しい爆発が巻き起こった。


『やった!今度こそ……』
無意識にそう呟いていた、ミネルバのオペレーター席に着いたアビーの呟きに、
『いや……』
と言うシベットの声が返される。

その声にハッとしたアビー達ミネルバCICのスタッフ達は、タンホイザーの発射の瞬間までの地球軍の動きを捉えている、ギャルセゾンから送られて来ているマフティー側の戦術データ表示に目をやった。

そこに示されていたのは、後方の要塞の中から高速で一気に飛来して、ディアナのタンホイザーの射線のその正面へと突っ込んで来るコースを取っていた不明の大型飛行物体の機影だった。

同様にマフティーからのそのデータを受け取っているディアナ、デズモント、バグリイの各艦のCICでもそれを確認していた。

再び撹拌された大気が吹き散らして行く爆煙の中から現れる、リフレクターのバリアーの光輝。

「馬鹿なっ!?そんなにチャージが早いっ?」
それをゲルズゲーの仕業と誤解した多くのザフトの将兵達が異口同音に驚愕の声を上げるが、直後にそれは違うと言う事が彼らの目にも明らかになった。

ディアナからのタンホイザーの第二次攻撃を防ぎきったシュナイドシュッツを展開させていた機体は、ゲルズゲーとは全く異なるデザインの大型のMA――
偶々このタイミングで前線での実地試験の為に先行試作機が持ち込まれていた、最新鋭機のユークリッド≠ナあった。

ゲルズゲーを凌ぐサイズの機体を持つ大型のMAだが、ゲルズゲーやザムザザーの様な手脚を持ったデザインの新世代型のMAとは異なり、
こちらはメビウスやエグザスと言った、航宙重攻撃機としてのこの世界における旧来からの兵器区分としての方の意味でのそれ――の系譜に連なる新世代型の機体だった。
215通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:17:26 ID:???
ふむ、支援
「くっ、地球軍の方にも助っ人≠ェいたのか!」
驚愕の思いを滲ませながら、舌打ちする様に言うアーサー。

「今度はこちらが撃たれる番よ!総員、回避に備え!」
一拍置いてタリアが、漂う驚愕の空気を吹き飛ばすかの様に声を上げる。
戦術の一つが上手く行かなかったからと言って、彼女らには呆然としている暇などは無かった。


「……ユークリッドの機長に発信。『臨機応変なる出撃の判断、見事なり』……以上だ。私の名で送れ」
まさかの敗北を覚悟させられて、それが予想もしない友軍の1パイロットの勇断によって防がれ、危うく一命を拾ったのだ。
この時ばかりは司令官のその命令を下す声にも本気の安堵がにじみ出ていた。

発進許可も通さずに、自機の持つビーム砲で格納庫のシャッターを中から吹き飛ばして行ってくれたユークリッドの機長だったが、
基地が敵の「陽電子砲」に焼かれる事を考えれば、その程度の「軍規違反」に何ほどの事があろう。

友軍への決定的な損害を未然に防ぎ、そのまま先頭に立ってザフト侵攻部隊へと対峙しているユークリッドの姿を頼もしげに見つめる司令官は、そこへと告げられた待望の報告に大仰に頷いた。

「指令。ローエングリン、エネルギーチャージ完了!いつでも撃てます」
ようやく回ってきた自軍のターンと、司令官は――つい今し方、安堵からヘナヘナと腰を下ろしていた事などきれいさっぱり忘れたかの様に――勇んで椅子から立ち上がる。

「やってくれおったな、コーディネーター共め!肝を冷やしたぞ……。今度はこちらの番だ、たっぷりと味わえ!」
そう叫ぶ様に言い切り、ローエングリンの発射を命ずる司令官は凶相を浮かべていた。

もっとも、油断をしていたせいで危うく本当に死にかける羽目に陥ったと言う屈辱と、そこまで追い込んでくれた相手への逆上的な憎悪の想いは他の将兵達もまた同様で。
彼らのその激情を乗せるかの様に、要塞内から姿を現したローエングリンがミネルバとその妹へと向けて放たれる!

迫り来る「陽電子砲」の光条に対して、まるで示し合わせたかの様に――実際、そうだったのだが――互いに左右にそれぞれ転舵してそれをかわす2隻の姉妹艦。

「ちっ、揃ってかわすとは!」
余裕を取り戻してきた幕僚の一人が忌々しげに舌打ちするが、逆にそれを耳にして司令官は完全に余裕を取り戻した。
「まあよい、時間の問題だ」

2対2≠ネらば、もはや鉄壁を打ち破られる隙は無く、我が軍の勝利は揺るがん!
そう計算した司令官は万が一にもそれに綻びが生じない様にと、守りの切り札たる両MAを死守せよ!との命令を下す。

戦況の展開に士気を盛り返した防衛部隊のMS各機が一斉に、ザフトの迎撃へと前がかりに向かい出した。


眼前で、今度は地球軍の迎撃部隊のMSたちが一斉に左右に分かれ、あるいはその高度を下げる。
明らかにローエングリンの発射態勢だ。

その回避の動きを解析した予想射線上の目標はもちろん、上空のミネルバとディアナ。
脅威レベル最大の標的から狙うのは道理。

「面舵!」
「取舵だ!」
両艦のCICではそれぞれの艦長が同時にそう叫び、その巨体からすれば驚くほどの軽快さでローエングリンの射線からの回避運動に入る両姉妹。
217通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:20:36 ID:???
支援
218通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:20:38 ID:???
ミネルバ・ディアナかっこいいぜ支援
既にそれを予測して、事前に示し合わせた自艦の待避方向への当て舵をしておいた両艦の操舵手の技量が充分に発揮されていた。
――無論の事、それを賞賛する様な余裕はこの時に存在しなかったが。

かわしてくれ!と、祈る様な気持ちでそれを見守るしかないその他のザフトとマフティーの面々の眼前で、
それぞれ左右に分かれて転舵した2隻のそれまで飛んでいた軌道上をローエングリンの光条が空しく走り抜けて行った。

(よし!)
安堵の思いで一つ頷くハイネ。
それは彼以外のほぼ全ての者とも共通したものだったが。

この作戦の戦術上の最大のリスクはひとまず乗り越えた。
後は次の局面≠ワでの間を持ちこたえられるか?と言う、自分達の頑張り次第だ。

『ハイネより、MS隊各機へ!戦闘ステージをフェイズ2に移行だ!俺達の出番だぞ』
そう号令を掛け、こちらもそれまで待機していたMS隊を前進させる。

「陽電子砲」の撃ち合いとなるであろうフェイズ1の段階は、からくも地球軍の側に軍配が上がった。
ならば、MS戦が主体となるフェイズ2の戦闘段階で乱戦の状況に持ち込んで、あのMAたちも下がらせず、またそれでローエングリンの第二射を躊躇させる。
それが正面攻撃の主攻部隊である、彼らの側の戦術目標だった。

『全機、突入せよ!』
総監たるハイネの命令一下、直卒のバクゥ部隊に突撃を命じるラドル隊のMS隊総隊長。
彼自身の駆るラゴゥを中心にした四脚獣型のMSの群が、一斉に大地を蹴って前へと走り始めた。

その後を追うように2隻の地上艦も再び前進し、その大中口径の艦載砲の火力による砲撃を開始し、バクゥ部隊と、その後に続くザク、ゲイツオーカー、ジンオーカーらの突入を援護する。

もちろん上空でもハイネのグフを先頭に、空中にいるSFS使用の各機が、続航する空戦用MS隊とミネルバ級2隻からの援護射撃を受けながら突撃を開始していた。

迎え撃つ地球軍側の方も空陸両面から押し出して来る。
両先鋒のMS同士の白兵激突に先駆けての相互の火箭が飛び交わされ始めるが、やはりこちらの初手は攻撃するザフト・マフティー同盟軍側の方が取っていた。

先陣を切ったハイネのグフにたちまちの内に追い付いた3機のギャルセゾンと、その機上に載る4機のメッサーがザフト機に先駆けてメガ粒子ビームを放ち始め、
ここでもまた、初めてマフティーのその戦闘力の一端を目の当たりにした敵味方双方を驚愕させると言う、今やマフティーが参加する戦場においてのテンプレートと化しつつある情景が展開されて行く事となった。

完璧なアウトレンジ、でありながら正確無比の照準精度と、射撃速度、そして馬鹿げたその威力。しかも、機動しながら平気で撃っていながらのそれだ。
ただ、機数そのものはやはり少ない為に、彼らマフティーの支隊は敵防衛陣の中央に突入口となる穴をこじ開ける事を狙っての、正面中央への攻撃を集中させていたから堪らない。

たちまち地球軍防衛陣の中央隊の先鋒には連続する爆発の華が咲き乱れ、その陣形の中央に大穴を開けられて行く事になった。

「な、何だとッ!」
「馬鹿なっ!? あ、あんなMSが……?」
四度目の驚愕を再び投げ返される地球軍の側に対して、やはり驚愕は感じている事では同じでも、ザフトの側は逆にその頼もしい「同盟軍」の力に歓喜し、士気を一気に上げていたのだが。

「凄ぇや!? なんて奴らなんだ……!」
「し、信じられん!ナチュラルが、自分達だけでこんなMSを作り上げただとっ?」
と言った、驚愕と半信半疑ない交ぜの叫びや呻きが無数に飛び交うが、そんな冗談の様な凄まじい機体が彼らの味方なのである。
戦闘中のこの状況下においては、それを喜び、自らも闘志をかき立てられない者などいる筈が無かった。
220通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:25:58 ID:???
今回新セイバーのお披露目は無しか
『彼らに負けるな!我々も続け!』
マフティーの圧倒的な攻撃力の矢面に立たされ、明らかに怯みが見えている地上の地球軍MS隊のただなかへ、
背負った火砲やミサイルを放ちながら大地を蹴って迫って来たその勢いを乗せたままに、ラゴゥに率いられたバクゥの群が、口部に横向きに装備されたビームサーベルの光刃を伸ばしながら突入して来た。

ビームサーベルと言う牙≠フみならず、前脚のクローを使った加速からのタックルと言った四脚獣形態ならではのトリッキーな攻撃法にとっさに対処仕切れず、翻弄されて行くストライクダガー隊の先鋒たち。

更にバクゥに続いて突撃をかけて来たゲイツオーカーやジンオーカー、少数のザク(ウィザード無装備の軽装基本状態か、スラッシュウィザード装備)と言った通常の人型MS隊も、
バクゥ部隊が打ち込んだ楔の亀裂を更に広げようと、連合の防衛MS隊との交戦へと突入し始める。


無論、地上だけではなく空中戦においても、その構図は全く同等だった。
マフティーの超長距離攻撃で削り取られて行きつつある敵中へと、その射線を妨害しないように回り込みながら一気に接近して行くオレンジのグフイグナイテッッド。

一気に滞空するダガーLたちとの距離を詰めると、手近な1機のその頭部に右腕の内側から伸びた高周波を放つ鞭、スレイヤーウィップを叩き込んで粉砕し、幸先よくそのダガーLを撃破する。

「はあっ!」
気合いの入った叫びと共に、更に一撃、二撃。
瞬く間に3機を戦闘不能に陥れると、左腕のシールド裏面に格納されたテンペスト・ビームソードを引き抜いて構えさせながら、一気に次の敵編隊へと突っ込んで行く。

右手に構えられたMS用サイズのショートソードと言う印象のテンペストの刀身がスライドして伸び、ロングソード大の長さになると、その両刃に沿う格好のビーム刃が発生する。
インパルスガンダムのエクスカリバーや、敵である地球連合軍のソードストライカー用のシュベルトゲベールと言った、実体刃とエネルギー光刃を併用する巨大な対艦刀を、対MS用を主眼にコンパクトに再設計した効率の良い武器だ。

宙を駆けて突進するハイネのグフは次の敵機編隊の隊長機と覚しきウィンダムに斬りかかる。
受けるウィンダムの方も流石にベテランらしい動きは見せ、大型の盾でテンペストの斬撃を受けようとするが、それでもハイネの方が一枚上手。

そうと察っするや、ハイネは素早く実体刃であるテンペストの切っ先での刺突にと繰り出す初太刀を切り替え、突進の勢いも乗った一撃にそれを受けた盾ごとウィンダムがバランスを崩したその隙を、返す一刀で逆袈裟に斬り上げた!

「遅い!」
叫びながら攻撃の手を休めないハイネ。
瞬く間に隊長機を落とされ愕然とする左右の僚機のダガーLを、右側の方には振り向き様にの左腕のスレイヤーウィップ、更には返す刀でテンペストを握った右腕のドラウプニル4連ビーム砲を左の敵機にと叩き込んで、すぐに隊長機の後を追わせる。

先頭に立って単機で前線に突入して来たハイネのグフの圧倒的な姿に、脅威と見た地上側の地球軍MSの一隊が動いた。

「出過ぎたなっ、馬鹿め!慌てふためけっ!」
そう自らへの鼓舞を兼ねての罵声を上げながら、各機が一斉に頭上のグフを狙ってミサイルを打ち上げる。

だが、その直後に慌てふためく羽目になったのは、当の彼らの側であった。

「ちっ!」
ミサイル接近警報を受けたハイネは、普通はそうするだろうと予測する回避機動をではなく、とっさの判断で代わりに何とそれらの追尾を受けたまま一気に急降下をしかけ、
発射元である地上の敵MSの一隊のただ中へと、それらのミサイルを引き連れつつ突っ込んで行ったのだ。

「なっ!?何だとっ!」
驚愕の叫びと共に、予想だにしなかった反応を目にしての硬直で一瞬その動きが止まってしまう地球軍MS隊。
ハイネは地表に激突するかの様な勢いで猛然と突っ込んで来て、そのギリギリ寸前で引き起こしをかけ、そのまま飛び抜けて行く――ご丁寧にも、飛び抜けざまに手近の1機にスレイヤーウィップを叩き込んで見せてまで行った。
222通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:29:47 ID:???
やはりザクとは違うなw 支援
223通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:31:40 ID:???
ハイネ格好いいじゃん
だが、地球軍MSたちの方はそれに激昂し、飛び去るグフに反転して追いかけの反撃をするどころでは無かった。
幾ら敵味方識別の為の信号を発してはいるとは言っても、物理法則に従って重力加速も付けて降って来る活きている<~サイルの、その軌道の矢面に立たされる格好になっていると言うのはどうしようもない。

引き起こしが間に合ってグフを更に追尾し続けて行く事が出来た分を除いたミサイルの大半は、そのまま彼らを撃ち放った母機達の元へと降り注ぐ事になった。

『ッ! おたくの隊長さん、豪快にやってくれるじゃないか……!』
敵のMS一個中隊を、彼ら自身が放ったミサイルの群に撃破される羽目に追いやった、
ハイネのその一連の戦闘機動を目にしたリッドが、自然と口に出た賞賛の思いを相乗り相手のグロスに向かって呟く。

『ああ、ハイネの奴、今日はいつにも増して気合いが入ってるぞ!』
自身もいささかの驚きを含んだ声でグロスもそう返す。
文字通りに目を見張る様なハイネの奮戦ぶりには、長年相棒として共に戦って来た相手である彼をして、そう感じさせる程のものがあった。

自軍の先駆けとなって敵陣に切り込む役目と同時に、自らが奮戦するその姿でもって友軍の士気をも鼓舞しようと言うハイネだったが、
同時に、共に戦う事となったマフティーに対してのまっとうな@ヌい意味での「対抗心」もまたあっての事で。

上空へと再び駆け上がりつつあるハイネのグフは、遅れてなおも追尾してくる数を減じたミサイル群へと向けて、臨時にリアスカートにと携行して来ていた(本来はディン用の装備である)90ミリ対空散弾砲を構えると、
相対させる様にそこから放った散弾で迫り来るミサイル群全てを爆散させて行った。

近接戦用MSにと最適化されているグフイグナイテッドではあるが、FCS(火器管制システム)もちゃんと備えており、固定装備のドラウプニルだけでなく、両腕のマニピュレータに手持ちの火器を持たせての射撃戦にも、当然対応は出来る。

ザフトMSの携行火器の主流もまた他勢力の軍同様に、より破壊力が大きく、PS装甲機であっても問題にしないビーム火器偏重にと移って来ている中で、
マフティーが用いるサンド・バレルの事を知って、そこから(実体弾兵器である)90ミリ対空散弾砲にも同様の「防御用兵装」としての有効性を見出せないか?
と言う事をふと思い付いていたハイネによる、文字通りの「実戦試験」だった。

戦闘を行いながら、同時にハイネはグフイグナイテッドと言う自らが与えられた新鋭機の、想定の内と外それぞれのポテンシャルをも引き出して見る事を試みると言う役目もまた、しっかり果たしていたとも言えよう。


ともあれそうして、マフティーがその猛射でこじ開けた穴≠フ中へと突入したハイネが見事な奮戦を見せ、更にその穴の先端を敵中深くへと広げて行く。

『ハイネに続け!』
2ギャルセゾン機上に乗るグロスが鼓舞する様に言い、3機のギャルセゾンと複数のグゥルに乗ったメッサーとハイネ隊のザク、ゲイツカスタムがその後を追って突入し、
更にその後ろから旧ニーラゴンゴ空戦隊――いや、本作戦においては「ミネルバ空戦隊」と言うべきだろう――を先頭にしたディンやバビらの空戦MS隊が援護射撃を放ちながら続いている。

ハイネが常にも増してけれん味たっぷりに派手な大暴れを決めて見せたのは、友軍が突入する為の穴≠広げながら、同時にそれで敵を自身へと誘引するのも狙いの内だったわけだが、
そうして生み出された隙を衝いて更に前がかりに仕掛けるのが、ギャルセゾンとそれに乗ったMS隊だった。

マフティーのメガ粒子ビーム兵器の長大射程が確実に捉えられる距離まで踏み込んで、そうして狙うのは2機の地球軍MA。
陽電子リフレクターを装備したゲルズゲーとユークリッドに後退する暇を与えない様に、前線に釘付けにしたままにさせ続けられるのは、
この距離でも確実に届いて(なおかつ高精度で当てられ)、しかも間断無く攻撃を浴びせ続ける事が出来るマフティーならではの戦術だった。

驚異的な大遠距離からの狙撃であるのに、命中率も半端無いとくれば、狙われるMAの側に残された手は自機の持つリフレクターのシールドを展開して防ぐ以外にはないが、
もちろんそうやってシールドを張り続ける事を余儀なくされていては、タンホイザーを防ぎ得るだけのエネルギーを溜める事も当然ながら出来なくなる。
つまり、その状況を作り上げられたこの時点で、実質的には主攻部隊は勝利の形を得ていたと言えるだろう。
225通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:38:50 ID:???
なんかこのまま突っ切ってしまいそうな雰囲気だな
成程、一見すると地球軍の側には2機のMAが健在であり、防衛特化型のゲルズゲーの方はともかくとしても、
ユークリッドの方は大口径ビーム砲のデグチャレフを用いての反撃と友軍への援護射撃を行ない続けてもいる状態であった為、
地球軍の側はMAが前線にと釘付けにされていると言う事自体には気付きつつも、
戦況では決して負けていない、故にこのまま踏ん張れば再度のチャンスでのローエングリン発射で押し返せると、そういう認識でもって防衛戦闘を継続していた。

だが、その様な戦況認識を抱かせる事そのものが、この作戦の骨格を組み上げたイラム達マフティー側の狙いそのものだった。

確かに、タンホイザーをも防ぎきる事が出来る地球軍MAの防御性能自体は驚嘆すべきものには違いない。
しかしそれは裏を返せば、その絶大な防御力の故にローエングリンゲート要塞に拠る地球軍の戦術も、いきおいそれに頼りきりになっていると言う事でもある。

この乱戦の状態のまま、攻勢を受けていよいよ要塞本体にと肉迫される様な状況にと陥った場合、
普通ならば友軍機の巻き添えも厭わずにローエングリンを撃ってくる可能性もあり得るだろうし、ある意味それが最大の懸念事項でもあったわけだが、
攻めるこちら側にも同等のタンホイザー装備艦が、それも2隻いると言う状況下で、もはや散開している両艦を一度で沈黙させると言う事は望むべくもない。
であるならば、その生き残った方からのタンホイザーの反撃の脅威を防いでくれる虎の子の「無敵の盾」を、ローエングリンの巻き添えにして自ら潰すなどと言う事は絶対に出来ない。

そして、今その虎の子たちは揃って前掛かりになったまま後退出来ない状況下にある。

つまり、地球軍の側は2機のMAが健在な限りこちらの陽電子砲を封じたつもりになっているわけだが、
それ故にこそ実は自軍の方もまた、攻めの切り札を封じられているのだと言う事には全く気付いていなかった。

いわば、彼らはまんまとマフティーの誘導する流れにと乗せられて、はめられた様なものだった。
イラム達はそういった地球軍側の無意識な驕りと怠慢、「無敵の盾」への依存の心理までをも読み切って、その上での作戦を構築していたのである。

そしてまさにその予測通りに戦況が推移しているのを見て、デズモントとバグリイに乗るラドル隊の参謀連らは声にならない(良い意味での)衝撃を受けていた。

「例え超兵器なんて代物を持っているのだとしても、それを扱うのはどこまでも人間。結局はそれ次第だと言う事ですよ」
そう言っていたナチュラルの<Cラムの言葉に懐疑的な者がほとんどだった彼らは今、現実にその言葉に基づく作戦の予測通りに、状況が推移しているのを目の当たりにさせられていたのだ。

(ナチュラルごときが賢しらに……)
と言う様な無意識を、この作戦が始まるまでの間ずっと、内心では密かに抱いていた者達が大半であったわけだけれども、
自分達コーディネーターが考えつきもしなかった発想と大胆な構築(しかも、それを実際に担保できるだけの驚異的な運用能力と戦闘力も持ちあわせた上での事なのだ!)の作戦を、本当に完璧なまでに展開させて見せられて。
そうした宿痾の様なナチュラルに対しての優越感情と言うものが、ガラガラと音を立てて崩壊して行くのを痛感させられるのを余儀なくされている処だった。

その現実≠ノ接してみての彼らの反応は、見事なまでに二つに分かれた。

ミネルバや旧ニーラゴンゴ隊、そしてこの日までの合同訓練と実際の戦いぶりとを見て素直にマフティーを――即ちナチュラル達の事を、その良い意味でのショックから、素直に事実を認めて今までの認識や向き合う態度を改めようとする事が出来るハイネ隊の面々の様な者達と、
一方その真逆で、徹底的に目の前で見た現実≠ニ言うものから目を逸らし、ナチュラルが我々コーディネーターよりも優れているなどあり得ない!と言う「観念の世界」へと自ら逃げ込んで、頑なに目も耳も塞いで閉じこもろうとする者達とに。
くっきりと、その反応は両極端へと分かれて行く事になるのであった……。


『ええい、何と言うMSなのだ!』
驚きと忌々しさとをない交ぜに、ユークリッドのコクピットに座る副操縦士が吐き捨てた。
噂には聞いてはいた「マフティー」とやらの機体は、確かに噂に聞く以上の化け物MSの様だった。
227通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:44:09 ID:???
この現実逃避がラクシズの付け入る隙にならなければいいが支援
その射撃の距離と精度、威力に射撃速度、それらの全てが凄まじいと言うしかない、全く持って圧倒される程のものだった。
「成程な、こんな奴らを相手にしていたと言う事ならば、海軍連中共がいいように殺られたと言うのも分からなくもないな。面白い!」
だが、それを受けたユークリッドの機長は不敵に笑いを浮かべた。

『いいか、怯むな!下がるな!我々が友軍機の盾になって奴らの攻撃を防ぐのだ!』
そう、叱咤激励の通信を怯みが見えるゲルズゲーにも送って、彼は友軍のMS隊がマフティーの超長距離攻撃の的にされぬ様にと、自ら前線に留まったままあえてその標的となっていた。

「ううむ、何と言う男だ……」
要塞のオペレーションルームでは、そんなユークリッドの戦いぶりを見守っていた司令官が感心の呟きを漏らしていた。

「見ろ、かの様な勇者がいる限り、我が軍の勝利は間違いない。もう少しだ。ローエングリン、第二射の発射準備を急げ!」
勝てる!と、そう確信を抱いて命じる司令官の口調もそうだったが、
そういう状況判断からようやく落ち着きの(主観ではそうでも、客観で見ればただの慢心の域であるのだが……)空気を取り戻した司令部の中では、
早々と緊張を弛緩させた幕僚連が、目の当たりにしたマフティーの卓越した火器性能の論評を始めていた。

「いやしかし、驚きましたな……正直。あんなビーム兵器を持つ量産型MSがあったとは」
「確かに、我々の様な「盾」を持たずにああ言うのを相手にしたのならば、海軍の連中の晒した失態にも、多少の同情の余地は無くもないですかな?」

口々にそんな事を言い合っている幕僚連だったが、それを受けて参謀長の士官が勝ち誇る様に言う。
「ザフトの連中も、陽電子砲装備の新造艦に、超距離狙撃用のMSを用意して、それで勝てると思ってのこのこ攻めて来たと言うわけか。
だが甘かったな。どのみちMSでは無理なのだ。ましてやあんな戦い方、長く持つわけがない!」
「その通りだ。あと少しだぞ!」
参謀長の言葉に頷いて司令官もそう声を上げる。

彼らは一見順調な防衛戦闘を展開している様に見えるその裏で、加速度的に敗北への坂道を転がりだしていると言う事に全く気付いていなかった。

そしてついに、そんな彼らの慢心に再び冷水を浴びせかける、敗北への導き手たる者達の存在が急報となって飛び込んで来たのだった。

「こっ、後方守備隊より緊急電っ!ガルナハン北東方向より、敵襲!!」
「なっ、何だとっ!?」
余りにも信じがたい報告に、三度目の愕然に襲われる要塞司令部。

ザフト・マフティー同盟軍側の「本当の切り札」は、まさに図ったかの様な絶妙のタイミングで戦場にと出現した。

そしてそれは正面攻撃の主攻部隊もまた、見事に役割を果たしきったと言う事でもあったのだ。



(後半へ続く)
229166:2009/02/24(火) 21:57:10 ID:???
大変長らくお待たせしてしまいました(汗)
ひとまず、今年の初投下となります、ガルナハン攻防戦前半となります(12)の前編をお届けさせて頂きました。

今回は基本的に要塞の正面から仕掛ける主攻部隊側の戦いぶりを描くパートと言う事で、
ハイネやミネルバ級に活躍して貰いました。

後編は要塞後方のガルナハンの街と発電プラントに仕掛ける奇襲部隊の戦いがメインとなりますので、
楽しみにして頂けましたら幸いです。

今回の投下中には、楽しいご支援wの数々ありがとうございました!

それでは、また近々
230通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 21:59:39 ID:???
とうとう劣等感を感じる連中が出て来ちゃったか
議長がもうマフティーの力を認めてるわけで、末端の行き場のない感情が今後どう歪んでいくのか気になるわぁ
231通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 22:00:15 ID:???
GJです!
いやーザフトもマフティも地球軍もどっちもいい戦いです。
でもガルナハン陥落すると地球軍リンチに遭うんだよね(´・ω・`)ショボーン
232通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 22:40:52 ID:???
GJでした! 後編も楽しみにしています!

>>231
ミネルバクルーは私刑を止めに入るんじゃないか? 
前回の戦いで色々成長している訳だし
233通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 23:15:46 ID:???
乙でした!
いつもながら描写のレベルの高さが素晴らしくて
早くも続きが気になってしまう。
234通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 23:18:02 ID:???
戦闘の勝利はまず動かないとして、その後の地球軍残党の扱いは
あまたの二次SSでもかなり厄介な部分だからなー。
インド洋基地の件はほぼシン個人の話で、そこから反省や成長を引き出すのは
いささか語弊はあるけど比較的容易なのに対して、こっちの場合は
現地住民の意思や復讐心というものをガン無視できないという事情があるし、
ザフトの一部に芽生えだした軋みも影響しそうな心配が…
しかしそれらも含めてGJ&続きwktk!
235通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 23:29:37 ID:???
GJっすー
しかし現地住民をそこまで追い詰めるほどガルナハンが重要になった大元の原因がザフトだったりするからさらにややこしい
はてさて、どうなることやら
236通常の名無しさんの3倍:2009/02/25(水) 01:26:59 ID:???
来た来た
やっぱり要塞攻防戦とかって燃える
GJ!
大きく変えてあって、それが楽しいから
ifの良い所が存分に出てると思う
後半にも期待
237通常の名無しさんの3倍:2009/02/25(水) 08:28:42 ID:???
ユークリッドの機長も中々の豪傑だが登場した状況と
上司が悪すぎたな・・・
238通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 04:03:49 ID:???
シンがヴァルシオーネを入手したら、という電波が飛んできたんだが。
239通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 10:56:46 ID:???
ビアン博士がなくぜw
240通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 13:58:16 ID:???
仮面ライダーアスカ
様々な平行世界を巡り
今、全てのクロスオーバーSSにシンが降り立つ!
241通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 16:18:55 ID:???
ファーストガンダムのアムロが仮面ライダー一号として、他のガンダムを別のライダーに対応させると、ガンダム同士で戦うGガンダムが龍騎に相当するんだろうか。
242通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 16:25:15 ID:???
ガンダムファイター裁判制度ですね。
243通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 20:33:01 ID:???
そういやミノ粉ばらまいていいのかの?
あれの汚染結構厄介だろ。貯蔵が無限にあるわけでもないだろうし。
244通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 21:38:36 ID:???
>>243
ミノ粉は核融合炉があればいくらでも作れるぞ?
245通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 21:46:11 ID:???
>>243
ミノが増えた時は駆除のためにペットショップに売ってるミノトリ粉を撒くんだ。
246通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 21:46:17 ID:???
汚染も何も、ばらまくの止めたらすぐに効果消えるしな
247通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 22:07:19 ID:???
GN粉と間違えたんじゃないの
00とやらのw
248通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 22:21:41 ID:???
なぜそこで煽る
249通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 22:23:03 ID:???
GN粒子とやらとお間違えになられたのではないですか
かの名作、ガンダム00に登場する名ギミックの
250通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 22:33:22 ID:???
はーチンポチンポ
251通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 23:25:55 ID:???
種・種死の世界に嘘喰いのキャラが来たら
252通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 13:18:23 ID:???
>>251
カガリ「力か。争いが無くならぬから力が必要だと仰ったな、議長は」
デュランダル「ええ」
カガリ「だが!ではこのたびの事はどうお考えになる!」
アスラン「ぁぁ…」
カガリ「あのたった3機の新型モビルスーツのために、貴国が被ったあの被害のことは!」
アスラン「代表…」
デュランダル「だから、力など持つべきではないのだと?」
カガリ「そもそも何故必要なのだ!そんなものが今更!」
カガリ「我々は誓ったはずだ!もう悲劇は繰り返さない!互いに手を取って歩む道を選ぶと!」
デュランダル「それは…しかし姫…」

門倉「おい さっきから何言いよるんかお前
   ゴチャゴチャやかましいのぉ〜
   誰にもの言いよんか分かっとるんか。
   悲劇?強すぎる力?争いを呼ぶだぁ?
   もっともらしく女々しい能書き垂れとるけど
   おどれにそれをほざく資格があると思うとるんかい!!
   おぉ!?
   己の無能を棚に上げて聞くに堪えん理屈やろ
   自分が何をやってきたかその胸に手ぇあてて聞いてみんかっ
   それとも何か?プラントの全てを任されて最高評議会議長しとるデュランダル議長に…
   売っとるんか?
   プラント(議長)に…
   売っとるんか…喧嘩を」

シン「申し訳ございませんでした、門倉立会人(ドキドキ)」
門倉「分かればいいんだよ。以後気をつけるように(不謹慎な笑顔)」

門倉「話の途中に私事で失礼いたしましたお二方…」
カガリ「……もう結構だ、門倉さん」
253通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 13:20:24 ID:???
もし種世界にサラリーマン金太郎が来たら
254通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 13:29:00 ID:???
むしろ『夢幻の如く』の信長にあれよあれよという間に
地球圏まるごと征服されたりとかw
255通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 13:42:08 ID:???
>>253
あの漫画も大概おかしいからな
CEだとガチですぐに殺されそう
256通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 17:03:40 ID:???
もし種世界にイデオンとソロシップがDSドライブしてきたら、なんてネ。
イデオン知らない人はサンライズ作品系列でDVDかビデオ探して見てくだされ。
257通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 18:06:29 ID:???
Z.O.Eとのクロスで、もしもシンの携帯にDELPHIが転移してきたら……
そろそろ、マジで狂ったシンとかもみてみたいんだよね。
258通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 18:24:40 ID:???
>>253
災害救助でてんてこまいな国道を手下に封鎖させて恋人のためにバイクで暴走行為をします。
それで死人が何人でようが何人の人が人生地獄に突き落とされようが知ったこっちゃ無い金太郎でしたとさ。
259通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 18:28:08 ID:???
>>257
そのシンはロボゲ板の変態紳士の一人に加わっちまうぞw
260通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 21:57:18 ID:???
もしもCEにプリキュアが来たら


高度数百mから地面に叩き付けられても掠り傷のあいつらに勝てる気がしねぇ
普通に空飛ぶし
261通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 22:51:38 ID:???
小範囲でボコボコ殴り合ってるだけに見えるが
あいつらあれで世界の代わりに戦う代表選手だしな
262通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 23:01:57 ID:???
それは何故か敵が日本にしか攻めて来ない昔のスーパーロボットによくあるシチュだ
・・・戦隊ものも、ライダーも、何故か日本しか狙われないというか、舞台にならないというか・・・
263通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 23:51:57 ID:???
それは言わない昔ながらのお約束w
264通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 00:08:19 ID:???
ならばパステリオンだ
265通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 00:21:19 ID:???
>>259
携帯もって暗い部屋で「マユ……」とか言ってるよりは健康的だと思うけどな。
女性フラグバッキバキになるけど
266通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 00:29:53 ID:???
>・・・戦隊ものも、ライダーも、何故か日本しか狙われないというか、舞台にならないというか・・・
世界中で色んなヒーローや悪党が戦ってるけどそっちは描かれて無いだけなんだぜ
(平成ライダーとか最近の戦隊はそうでもないが)

実はウルトラマンも世界各地でそれぞれの軍隊が怪獣を退治している
267通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 00:33:20 ID:???
おっと、2号に日本を任せて外国へ行った1号を忘れてもらっちゃ困る
268通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 00:39:29 ID:???
>>262
プリキュアの場合はなんでも願いを叶えてくれる素敵アイテムが異世界から日本に流れ着いたとか
日本が舞台になる理由があるけどな
世界の根元が江ノ島にあるとか素晴らしい設定の時もあった
269通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 00:41:22 ID:???
昭和ライダーに関してはバダンの聖地だったから重要攻略目標になった
という説が最近明らかに…
270通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 00:43:50 ID:???
それ言うなら仮面ライダーXは
ソ連とアメリカが手を組んで経済大国になりつつあった日本を滅ぼそうとしたのを食い止める話だぜ
271通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 00:49:30 ID:???
>>270
え、それマジなん?
272通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 01:41:29 ID:???
最初はそう言われてた…んだが、本編ラストでは一マッドサイエンティストの
私設組織だった事になり、後にストロンガー最終回の段階ではショッカー以来
全ての組織を操ってきた「大首領」の第四の組織だったと結論づけられた。
273通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 04:23:11 ID:???
Xは少し上の年齢層狙ってたからね
ギリシア神話から引用する怪人の名前といい
秘密結社らしい組織形態といい
途中からその路線放棄したけど
「ミラーマン」といい「大鉄人17」といい「ジャスピオン」といい「メタルダー」といい
特撮でそれまでのシリーズより少し上の年齢層狙った作品はみんな途中で路線変更される
274通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 06:18:00 ID:???
今とは隔世の感があるな……
いや、今は一回りして単純になったのか?
275通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 08:34:12 ID:???
>>274
今も昔も大人向け路線(とは名ばかりのオタ路線)じゃ全く視聴率を取れないだけだよ
276通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 09:59:32 ID:???
だけど、その大人向け路線も面白そうだな
277通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 10:21:30 ID:???
メタルダー最終回泣いた
278通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 11:38:02 ID:???
>>276
特撮でこの路線が廃れたのは単純に面白くないからです……。
279通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 11:42:04 ID:???
やっぱり変に作りこみすぎると、独自路線展開で周りがついてこれなくなるのか。
SS作者にも、それがあたる人がいるな
280通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 11:45:19 ID:???
純文と大衆小説って言ったら大上段過ぎるが、そんなもんだと思うよ。
読みとるにも技量を必要とされるような高度なのを読み解けるのは数が限られるから、
ほとんどの場合はわかりやすく浅く広くしないと商業的には成功しない。
映画みたいな一発物ならそれでも広告戦略で何とかなるけど、
連載やTVのように連続型だと浅いところに面白さがないとほとんどはいずれ離れてしまう。
結局そういう通好みなのは、路線変更されるか打ち切られるかニッチな市場でやるしかないんじゃねえかな。
281通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 13:30:19 ID:???
もし種世界に禁書目録のキャラ全部と究極蛮人ダンジョーVのキャラ全部が一緒に来たら
282通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 13:41:57 ID:???
>>279-280
そういう崇高なもんじゃなくて自分の言ってる面白くないってのは単純に雑だったり出来が悪いって意味ですよ。
ウルトラマンでリアル志向を目指したセブンが全然子供に相手にされなかったのに、それ以上にリアルさを求めた帰ってきたの方は受けたりと
単純に大人より子供の見る目の方がシビアで、それをクリアできるだけの技術を持つ製作者が少ないってだけです。
御禿も去年のイベントで特撮を例に出して、大人は嘘をついて褒めるって批判してますしね。
283通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 13:53:26 ID:???
最近のプリキュアも、オタ路線と子供路線で微妙な事になってたな
284通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 13:58:43 ID:???
プリキュアとセラムンの違い
285通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 14:06:36 ID:???
>>284
プリキュア→別に前世が○○ってわけじゃない
セラムン→前世が戦士。主人公は月の女王の生まれ変わりだったり最強の戦士だったり
      今見るとメアリー臭が凄い
286通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 16:59:31 ID:???
大人向けと子供向けの両方に受けるようにつくるには難しい
プリキュアなんてかなり、それに苦労しているんじゃないか?
DVDなんかで金だしてくれるのは、オタクのほうだからな
287通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 18:05:27 ID:???
>>281
とりあえず、禁書だけでもすでに一部ではCE超えたテクノロジー使ってる件について……
洒落じゃなく体細胞クローンの量産とか、厨二病全開の超能力者開発とかC.Eなんて目じゃないぞ。
288通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 19:59:24 ID:???
>>281
ダンジョーVは奇天烈な変態やお下劣なギャグに目がいくけど
戦術や政治的な駆け引きも重要視されている作品で
特にダンジョーは直感だけじゃなくて分析力もあるし
バリー・アズノーは政治的な事にも頭が回るんだよな・・・
この二人は服装はともかく軍人としてはラクシズよりかはかなりまとも
289通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 21:28:59 ID:???
>288
つーか、その二人は為政者としてもかなり上等じゃねーかw
どっちも、物の道理が判っているし……
290通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 22:21:47 ID:???
バリー・アズノーは作者自らによるクロスオーバー作品にも出張ってるしな
291通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 23:55:52 ID:???
オリ主がCeに来るのはここでいいの?
292通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 23:59:27 ID:???
>>291
ジオンのニュータイプエースパイロットがコズミックイラの
兵器会社御曹司に転生するとかでなければここで大丈夫な
気がする。
293通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 00:19:52 ID:???
>>291
まあ、オリ主無双で踏み台じゃなければ何とかならなくも無いような無いような。
基本はクロスだしね
294通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 00:33:34 ID:???
仮に「成長したミネバ・ザビがCEに来たら」というのを立ち上げるとしたら
ユニコーン、逆襲のギガンティス、ムーンクライシスのどこからになるのだろう。
295通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 00:50:15 ID:???
全員出せ
296通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 00:50:45 ID:???
>>295
想像したらカオスだw
297通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 07:09:38 ID:???
ミネバAが現れた!
ミネバBが現れた!
ミネバCが現れた!

クルーゼとレイが何か言いたげな顔をするが
しかし、クローンではなく全て本物
298通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 11:38:51 ID:???
幽遊白書の朱雀みたいだな

「全て本物だ…」
299通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 12:11:12 ID:???
公式ではユニコーン
300通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 12:13:37 ID:???
実際には畏れ多くて書けないのだが、「〇〇が来たら」の所に「兄弟スレの〜」をぶちこんだら
恐ろしくカオスになるんだろうと妄想した

毎回ミンチになっては次の話では復活してるバーニィ(とザク改)とか
301通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 17:50:13 ID:???
もしもシンがカブトボーグの世界に行ったら
302通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 18:27:18 ID:???
姫騎士アンジェリカがカブトボーグの世界に行ったら

というやつを思い出した
303通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 19:09:57 ID:???
>>297
同一人物なのに絵柄が全部違うから、スゴイことになりそう
304通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 20:44:32 ID:???
シン「行けー!俺のインパルス・ストレート・シルエット!」
305通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 23:32:09 ID:???
逆襲のギガンティスはそんな成長してない、幼女だ
306通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 23:43:16 ID:???
どっかのサイトにミネバのSSあったなぁ
シャアからクワトロにもう一回なって
バックアップしてるヤツ。カミーユと共闘したり。
なんかNTのオーラ力TUEE状態でひどかったが
307通常の名無しさんの3倍:2009/03/02(月) 17:25:58 ID:???
それ読んでみたいw
308通常の名無しさんの3倍:2009/03/02(月) 20:40:20 ID:???
>>306
すごく興味あるw
309通常の名無しさんの3倍:2009/03/03(火) 21:24:11 ID:???
僕はヅオンのスーパーニュータイプパイロット、ヒオソ・トラウマ。
何の因果かCE世界に転生しちゃったのだ。
生まれた家は兵器会社の社長の家。つまり僕は御曹司って訳だ。
そんな訳で成人した僕はさっそく会社の工場に初出勤したんだ。
ふと見ると、ハンガーにひとつのMSが立っていた。
「ウホッ! いいMS!」
そう思って見ていると、突然コクピットのハッチが開いた。
「の・ら・な・い・か?」
MSがそう言った気がするんだ。
僕は早速乗ってみたんだ。
「いいのかい?俺にはベテランだって手こずるんだぜ」
MSがそう言った気がするんだ。
「僕、あなたみたいな人(MS)好きですから・・・」
「嬉しい事言ってくれるじゃないの
その時、予期せぬ感情が襲ってきたんだ。
「う、撃ちたい!」
「よし、いい事思いついた。お前ここで重機関銃撃ってみろ」
「い、いいんですか?」
「男は度胸! ほら!」
僕は思いきって射撃をしてみたのだ。
バババババ!
あはは、なんて爽快なんだろう!



――気がついたら僕は精神病院に入れられていた。
こうして僕の初出勤はくそみそな結果に終わったのだった・・・
310通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 02:19:55 ID:???
>>301
次回予告でアスカ一家が「危うく一命を取り留めた」程度の説明で何事もなく生き返る
311【機動戦士ΞガンダムSEED Destiny (12)】後編(1/10):2009/03/04(水) 09:51:42 ID:owxR8VNn
『ポイントFを通過!間もなく出現≠キるっ!』
MA形態で先頭を飛ぶセイバーガンダムからのアスランの声に、イラムが応じて命ずる。
『よし!6ギャルセン、上昇だ!』

「了解!」
頷いた機長のハミルトンが操縦桿を引き上げ、低空を這う様にして編隊を組みながら飛んで来た僚機たちの間から飛び出して上昇する6ギャルセゾンが、地球軍の索敵機器の目の前にと最初にその姿を現し≠ス。

その機上にMSを載せていない身軽さを存分に発揮し、矢の様な勢いで一気に上空まで駆け上がると、
そのまま迫り行くガルナハンの街の付近に展開する地球軍の後方守備部隊の敵MS各機の配置を鳥瞰的に把握する。

それに続いて、地球軍の警戒機器の目を攪乱し欺瞞する為に適宜散布しながら飛んで来た、ミノフスキー粒子のベールのその内側から、散布を止め、その姿を現しに≠サれらの眼前へと一気に飛び出して行く奇襲部隊の各機。


「ばっ、馬鹿な!? いったいどこから現れたっ!」
地球軍の中で最初にそれに気付く事になった、ガルナハンの街と地熱発電プラントを守備している後方部隊の者達は、等しくその驚愕に襲われていた。

地球軍の側にはそれは、まるでワープでもして来たのか?とでも言う様な、文字通り忽然と出現した≠ニしか見えなかっただろう。
こんな処に敵(正確には、現時点ではまだ所属不明機〈アンノウン〉であるが)が現れる筈が無いのだ。
彼らの持つ常識≠ゥらすれば。

バッテリー駆動のこの世界のMSに可能な作戦行動半径は当然として、母艦である陸上艦ごと迂回を図ったとしても絶対に見逃さず、その遙か手前で発見出来るだけの余裕を持たせた警戒態勢を敷いていた筈だった。

その上でなお後方に戦力を回す方策があるとすれば、軌道上からの直接降下だけが唯一の手であり、無論の事それに対しての監視は怠りなくやっていた――そして、この地域上空の軌道上にはザフト艦の影も見えない状態であったのだ。

それなのに、何故?
いったいどこからどうやって、ここまでやって来られたと言うのか?
そして、何故こんな至近距離に近付かれるまでその接近を察知できなかったのか?

余りにも信じ難い現実に衝撃を受け、何かの間違いではないのか?と言う未だに半信半疑の状態のまま、とっさに対応が何も出来ない地球軍の後方部隊。

マフティー側が自分達ならば現実に可能だと、そう具体的な根拠に基づいたプランを示すまではザフト側も納得しなかったのだから、そういう常識≠ェ目の前で覆されている彼らのそんな様子も無理からぬものではあっただろう。

しかし現実に奇襲部隊は存在していて、そうしている間にも恐ろしい程の高速で接近して来る――しかも、その姿を現した地点もまた感覚的には至近≠フ距離であり、態勢を立て直して対応出来る様な余裕などは到底与えられようも無いものだった。

そうして地球軍の防衛部隊が右往左往の状態でいる間に、奇襲部隊は易々と彼らのその頭上にと達していた。

ガルナハンの街と発電プラントの直衛にと当たっている地球軍の後方部隊の展開は、その双方の中間地点の平地にと主力が集まり、
おそらくはそこから交代で配置されているのだろう、発電プラントの前に立ちはだかる様に立つのと、街中の外縁部に近い比較的動きやすいエリアに散開している、各一個中隊規模の直衛MSが存在する。

真っ先に上空へと高度を取った6ギャルセゾンが先駆けて確認したそれらの敵情を受けた奇襲部隊の各機は、街の手前で適宜散開し、一斉に地球軍MS隊の制圧にかかった。


見るからに分かる程のあわてふためき具合を露呈させながら、防衛部隊主力集団の中からジェットストライカーを増着している3機のダガーLが慌ただしく飛び立つと、ガルナハンの街の上空をフライパスしながら迎撃に上昇してくる。

「ッ!? あいつら!」
シンはその敵機の動きにハッとさせられる。
312通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 09:54:20 ID:???
寝起きですが支援
それを狙ったと言う様なことでは――少なくとも意図的にそれをしようとする様な精神的な余裕は――なさそうではあるが、敵機はその後背にガルナハンの街を背負った格好にとなっており、
それ故に誤射や、逆に威力がありすぎて撃破後も残ったエネルギーが更にその後方へと向かってしまう事を懸念すると、火器の使用を躊躇わさせられる状況にとなっていた。

つい先頃までの彼ならば、敵機を見つけたならば何の躊躇もなく――言い換えればその様な状況もろくに考えもせずに、即攻撃に移っていた事だろう。
それが、誰かがそう判断して上げた声を聞いて、なのではなく、自身で普通にそれが見える様にとなっていたのは、紛れもないシン自身の成長の証だった。

『俺が行く!』
そしてシンが思わず口に出して呟いていたそれに、もちろん同様に認識していたアスランが「任せておけ!」と言う風に応えると、MA形態のままのセイバーガンダムを一気にそいつらへと向けて突っ込ませて行く。

大慌てで迎撃にと舞い上がって来たダガーL小隊だったが、上昇して行くその動きは芳しいものでは無かった。
そこに前方上空から赤い敵のMAが、重力も味方にして凄まじい勢いで降下突入してくる。

どういうわけだか一発も撃ちかけて来ようとはせずに、ただ矢の様な勢いで突っ込んで来るその赤い敵MAの動きに、
(まさかっ!体当たりを仕掛けて来るつもりかっ!?)
そう感じ、慄然としたダガーL隊は、それを防ごうとしての過剰反応的な猛射を開始した。

「そんなもので!」
手持ちのビームカービンからのビームに、ジェットストライカー翼下のウェポンラックに懸架されていたミサイルやロケット弾が次々に向かってくるが、
アスランはセイバーガンダムにバレルロールを打たせてそれらをあっさりとかいくぐり、更に突入を続ける。

そして中央のダガーLの直前――あと一瞬でも遅れれば、本当に衝突するギリギリのタイミング――まで急接近するや、そこで機体をMS形態へと戻し、それでもってエアブレーキを掛けながら、
セイバーガンダムはビームライフルをグリップした右のマニピュレータを、ぐいと前方へと突き出した。

射撃をする――わけではない。
そのビームライフルのバレルの真下にはそれと同軸に沿う格好で、両肩のラックに装備されている物と同じ、ヴァジュラ・ビームサーベルが追加で装備される様にとなっており、
そこからバヨネットビームサーベルの格好で伸びている光刃が、そのまま真ん中のダガーLのコクピットを貫いていた。

「なっ!?」
そして両脇のダガーLのパイロット達がそう驚きの叫びを上げた時にはもう、
真ん中のダガーLを斬って捨てたセイバーガンダムが機体をその左手へと流して、自機から向かって左側のダガーLへと肉迫していた。

「うおっ!」
そのまま斬りに来るビームの銃剣を左手のシールドを構えて受け止めようとするダガーLだったが、しかしその動きはすかされる。
アスランは防御の構えを取るダガーLのシールドにバヨネットビームサーベルがぶつかるその前に、機体の動きを変えて引き戻していた。

そしてすかされてまんまと隙を見せたダガーLの機体に、セイバーガンダムは左足の蹴りを叩き込む――その爪先に伸びた板状の突起からやや短めなビームの刃が発生し、
ビームクロウによる蹴りの斬撃≠食らったダガーLの胴体は見事に真っ二つに両断され、墜落して行きながら二つの爆発となって四散した。

「きっ、きさまぁ!よくもッ!」
眼前で瞬く間に仲間を殺られて、それで頭に血が上った残る最後の1機が腰のビームサーベルを抜き放って、自機に背中を見せている格好のセイバーガンダムへと斬りかかって来る。

アスランは冷静に機体を素早く左に半回転だけさせると、今度は空力防盾を構えた左腕の方をそのダガーLへと向けて突き出した。
突き出されたシールドの先端が斬りかかってくるダガーLの正面を襲い、盾のその長さに邪魔されてダガーLのマニピュレータは満足にビームサーベルを振るう間合いを奪われ、封じられてしまう。

「ちいっ!」
慌てて後退をかけようとするダガーLのパイロットはしかし、それすらもさせては貰えなかった。
突き込まれて動きを押さえられていたセイバーガンダムのシールドの先端から、ダガーLが後退し始めて僅かに開いたその隙間を追いかけてビーム刃が伸び、
それに機体を貫かれたそのダガーLも、結局は僚機と同様の運命を辿って終わったのだった。
314通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 10:00:28 ID:???
強い、さすがセイバーの現地改修型強い的な支援
「すっ、凄い!」
瞬く間に敵の小隊一つを一蹴してしまったアスランの早業に、異口同音に驚きと感嘆の声を上げるザフトの面々。

無論のこと技量や機体の差もあっての事だとは言え、瞬時の状況判断から本当に射撃を封印して挑んでの格闘戦のみで完勝してしまった。
(あんな戦い方もあるのか……)
驚きと共に、改めてそう言う事実を認識させられるシンだった。

「見事だ、アスラン」
その戦いぶりを見たハサウェイらマフティーの面々もまた、それぞれの機体の中で呟いていた。

改修後の初実戦となったセイバーガンダムだったが、彼らが指摘し、また改設計のプランニングへの助言も出したり、実際の製作にも協力を行っていた、
近接戦に特に優れた技量を発揮するアスランのパイロット特性にマッチする方向へとセイバーガンダムガンダムのコンセプトを拡張すると言う、改修の要点は見事に成立している様だった。

その機体デザインからは一見すると窺えないが(と言うのは苦笑するしかない点であるかも知れないけれども)、基本的にMSとしてのセイバーガンダムは、
前大戦の伝説となった核動力機フリーダムのデュートリオン化モデルとも言える、高い火力と機動性を持った長〜中距離戦用の機体と言うそのコンセプトを継承する機体であった。

更にそこに航空機型のMA形態への変形能力をも加える事で、かつてのアスラン自身の愛機でもあったジャスティスとは異なるアプローチ法での、高速展開で自機に優位な間合いを取る事を可能としている。

その火力と可変機構の組み合わせにより、セイバーガンダムは長距離から侵攻し、その火力でもって強襲の一撃を加えて素早く離脱すると言う、ヒット・アンド・アウェイの戦法に適した機体となっていた。

アスランは全般的に卓越した技量の持ち主である為、その機体コンセプト通りに運用する戦い方も無論充分にこなせていたわけではあったが、
残念ながらセイバーガンダムと言うMSのそのコンセプトでは、彼自身に最も適正のある近接格闘戦への対応と言う点ではやはり、かなりの不満を覚えざるを得ないものでもあったのだ。

カーペンタリアで重ねていた合同訓練の中で、その辺りの齟齬に気付いて指摘し、改修を勧めていたマフティー側だったが、
それの準備中の段階で起きたインド洋での地球軍の大部隊との遭遇戦では、はからずもその指摘の正しさも証明される事ともなっていた。

たらればの話ではあるが、もしあの時点で改修によって追加されている現在の近接戦用兵装類の用意が一部でも間に合っていたならば、ネオ率いる地球軍部隊が採ってきた、機数を頼んだ緩包囲戦術の壁を文字通りに自力で斬り破る事が出来たであろう。

そのセイバーガンダムに、本来の機体コンセプトを崩す、あるいは干渉させる事なしでと言う条件の下、進められた現地改修とは、
一言で言えば多彩なビームサーベル類装備による、変則的かつスピーディーな近接格闘戦移行能力の付加、と言うものであった。

――具体的にはビームライフルと空力防盾の先端へのビームサーベルと、両足の爪先の部分へのビーム刃発振器の、それぞれ追加装備と言う事になる。

ビームライフルの銃身の下にビームサーベルを増着したのは、銃口から発振するロングビームサーベルとしての運用も可能なマフティーMSの持つビームライフルを目にしての発想であったのだが、
U.C.式MSの物の様にビーム砲をサーベルと兼用させる事は技術的にまだ難しい(現状では対艦刀クラスのサイズになってようやく可能になるくらいだ)なC.E.のMSとしては、
その代わりに銃身のバレルに同軸でビームサーベルのデバイスを銃剣として装備させる事で、同様の使い方を再現させていた。

また、空力防盾の方にも先端にビームサーベルを装備する複合防盾化改造を行うと共に、両脚部の爪先にはMA形態時には補助垂直尾翼の様にも見える(整流効果にも若干は寄与してもいる様だ)ビームクロウの発振器を追加している。

両手の手持ち装備に付属のサーベルと、両足爪先のクロー、四肢それぞれでビーム刃を操るその様は、アスランのかつての愛機のイージスガンダムを再現したかの如き格好であり(実際、マフティー側はそれを意識していた)、
抜剣モーション無しでダイレクトに格闘戦に移行する事ができる能力を付加された事により、今やって見せた様に「セイバーガンダムの特性を活かしてのヒット・アンド・アウェイの格闘攻撃≠ニ言う戦法」も可能になっていたのである。
316通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 10:06:33 ID:???
イージス・セイバーとかカオス・セイバーとか∞・セイバーとかそんな感じの名前でしょうか>改修機 支援
無論、この改修によって得た新たな戦術的特性は従来の基本コンセプトと干渉する事もなく併存出来るものであった為、純粋にセイバーガンダムの能力が拡張したと言ってよいだろう。

ちなみに、それら改修用の追加装備の出元は?と言えば、実に簡単な話で、
本来はミネルバに搭載される予定だった3機のセカンドステージシリーズのガンダムたち、また奪われたその3機に初陣であっさりと撃墜されてしまった2機のゲイツR用にと用意されたまま、
無為に埃を被っているしかなくなっていたそれらの各機の整備用予備パーツ類を流用していたのだ。

ヴァジュラ・ビームサーベルはアビスガンダムを除いたセカンドステージシリーズ機全て(インパルスガンダムはフォースシルエット)に標準装備された武装であり、その分在庫も豊富であったし、
空力防盾に追加されたビームサーベルはゲイツRの複合防盾用の物をフェイズシフト対応化させ、また両足のビームクローはカオスガンダムが装備しているそれであった。

言葉は悪いが、ただの無用在庫と化していただけのものを再利用して有効活用できてしまうと言う事でもあった為、艦内ハンガーの設備レベルでも充分に改修も運用も可能だったと言うわけだ。

余談ながらその辺りの発想の柔軟さ≠アそは、テロ組織であるが故に常に台所事情の苦しかったマフティーの面目躍如(?)だったかもしれないが、
むしろそういった部分こそが、エイブス整備主任らベテランのコーディネーター達には特により大きな感銘を与えていた様でもあった。

本作戦にあたっては、作戦立案や現地潜入と言った立場故の事情で合同訓練には余り時間が割けなくなってしまっていたアスランではあったが、
ハサウェイのΞガンダムを相手に一対一での短時間ながら高密度の訓練を行い、新たな可能性を得た愛機の拡張されたポテンシャルを十二分に引き出せる様にとなっていたのは流石と言うべきだろう。

アスランのその鮮やかな手並みは味方の士気を高めるのはもちろんの事、敵を驚愕させて怯ませ、あるいは気を呑まれての隙を作り出す効果さえも生じさせていた。
そして地球軍の側がそうなっている間にも、攻撃側のマフティー・ザフト合同部隊の方は動きを止めずに各々の攻撃目標へと向かって襲いかかって行く。

侵攻方向の手前側にあたるガルナハンの街中に散開するダガーLやストライクダガーに対しては、その立つ場所が場所だけに文字通りの制圧≠せねばならない。
故に1機1殺の体制で、レイのザクとインパルスガンダムを加えたメッサー4機が取りかかると言う態勢決定も一瞬の内、もはや阿吽の呼吸だ。

街の手前で左右に分かれたギャルセゾン隊と両ザフトガンダムは、上空から見下ろせばX字を描く様に互いに交差しながら街の上空を駆け抜け、その間にギャルセゾン隊からは計5機のMSが離脱し、街中への降下にと移って行く。

残るメッサー2機とルナマリアのザクはギャルセゾンに載ったまま、編隊はそれぞれ街の上空をフライパスすると、
そこで線対称形に互いに変針し、再度X字を描く進路にと共に直進、その軸線上にいる地球軍守備隊の主力へと突撃。

そして発電プラント直衛に就いている一個中隊に対しては、Ξガンダムが単機で向かう。

以上の三派の態勢に分かれて、同時に襲撃に入る奇襲部隊。
地球軍守備隊の側から見れば、何が起きたのかを理解しきるより先に全ては決していた様なものだった。


「うおおおおっ!」
インターセプターに向かってきた小隊をアスランが瞬殺して開いた道を、猛然と突き進むインパルスガンダム。
318通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 10:15:00 ID:???
支援!
自機が受け持った標的のダガーLの斜め頭上から、一気に急角度のダイブをかける。
狙われたダガーLの方もビームカービンを上へと向けて盲撃ちに撃ちかけてくるが、フォースインパルスガンダムの機動性には到底追従できる様なものではない。

シンは一気にガンダムをそのダガーLの眼前の地表スレスレにまで肉迫させると、足裏で路面を蹴って強引に、そして一気に機動を変えてその懐へと飛び込ませる。

機体の左肩をダガーLの右の脇下からぶち当てて、肩のフレームを歪めさせて腕ごとビームカービンを封じ、
続けざまにその跳ね上げた右腕をきめる様にしながら足を払って、ダガーLの機体を腹這いに路上にと組み敷いた。
そのまま馬乗りになって、両腰から飛び出したフォールディングレイザー対装甲ナイフを両手に構えるや、ダガーLの後頭部と左脚にとその刃を突き立てて破壊し、物理的に可動不能の状態へと追いやった。

「はっ、当たるものかよっ!」
そう叫ぶガウマンらメッサー隊の方もまた、レイのザクファントムも交えてインパルスガンダムと同時に頭上からそれぞれの分担するダガーLやストライクダガーへと仕掛けていた。

これまた同様に、それらのダガーLやストライクダガーも必死にビームの火箭を打ち上げては来るが、やはり奇襲部隊の面々にとってはそれらは全て的外れか、簡単にかわせてしまう程度のものだった。

全天周モニターではないC.E.世界のMSたちには、頭上は対応の死角に近くなると言う点を突き、メッサー隊とザクファントムはほとんど直上に近い大仰角から一気に降下をかけていた
――敵機の反撃も受けにくくなると言うのと同時に、そうする事で向けて来られる迎撃の火箭も全て上空にのみ向かうので、
ダガーLやストライクダガーの周囲の街並みに流れ弾が向かうと言うのを防ぐ事にもなる、その両方の狙いがあるわけだ。

エメラルダのメッサーは標的としたストライクダガーの頭上からその機体の真後ろにと降り立つや、
ストライクダガーが慌てて機体を反転させてくるその途上でもう、抜き放ったビームソードアックス(ビームピック状態で発振)を交叉法でその頭部にと叩き込んで粉砕し、
やはりそのまま敵機へと自機をぴたりと密着させて押さえながら片足を取って、うっちゃる様にその機体を路上にと押し倒すと、その機体各部を付属のヒートナイフで無力化する。

他のメッサーやザクファントムもほぼ同様のやり方で、それぞれの担当したダガーLやストライクダガー。を制圧して行った。

街中にと立つ事で、ある意味住人や街の建物を盾に取った様な格好でいる敵機である為に、爆散させない様に撃破せねばならないのは当然として、
また無力化した機体が建物へと倒れ込む事の無い様に、何もない道路上へと倒れ込ませる――無論、圧倒的な性能と技量の差があっての事だが、そんな芸当が普通にこなせるのもまた、彼らくらいのものだった。


『アスラン!こっちも全機、射点確保だ!』
反対側の編隊をリードする1ギャルセゾンのレイモンドからの声に、アスランも間髪入れずに返した。
『了解!全機、攻撃開始!』

命令一過、二編隊に分かれて左右斜め前方から同時に迫る各機から、一斉にアウトレンジの猛火が飛び出した。

互いに斜め前方から突撃している為、敵部隊の後方に発電プラントの施設を背負わせる格好になるのは外しており、今度は遠慮なく撃てる。
320通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 10:22:25 ID:???
エイブス「改修してもまだ予備パーツ余ってるな」
アスラン「じゃあガイアの下半身とアビスの肩パーツ、カオスのポッドをインパルスに移植しよう」
シン「あんたって人は──っ!」

支援です。
セイバーガンダムにガナーザクウォーリア、モーリーとロッドの2機のメッサーと、各2門のメガ粒子砲を持つギャルセゾンが全部で4機。
これらによる十字砲火の交点に地球軍守備隊主力を捉える位置を押さえるのを確認しあってからの射撃開始。

狙われた地球軍の側こそ災難だった。
ドッペルホルン連装無反動砲のストライカーパックを増着した砲戦仕様のダガーL2機は、ある意味当然ながら真っ先に狙われ、
セイバーガンダムのアムフォルタスと、ガナーザクのオルトロスの初撃で隣の機体も巻き込んで撃破される。

『敵に時間は与えられない!一気に制圧するんだ!』
レイモンドとアスランが異口同音に叫び、魔弾の射手達が放つ破壊の矢が迅速に繰り出され、それに見合った結果を立て続けに現出させて行く。

奇襲を受けた事に慌てふためいたまま、悪夢の様な迅速さで繰り出されて来る奇襲部隊の戦闘スピードの奔流の中にと呑み込まれ、そのまま為す術なく彼らはただ壊滅していった……。


「一気に決めてやるッ!」
地熱発電プラントを背にして展開する、直衛の地球軍MS一個中隊へと正面から仕掛けるハサウェイ。

こちらもまた、あえて真っ正面から挑む事で敵機の攻撃を誘引し、同時にその巨体での超音速の進行速度による心理的圧倒で、敵パイロット達に発電プラントを盾に取ろうなどと思いつく様な余裕をも奪うと言う狙いだった。

全身に光輝をまとって、通常より二周りほども大きいMSが低空を超音速でまっしぐらに自分達の方へと突っ込んで来る。
対するダガーLおよびストライクダガーから成る中隊は、目に見える程に明らかな動揺の渦中にいた。

恐怖感にと襲われながら、そこから逃れようとする反射的な反撃の猛火が浴びせられてはくるが、もとより浮き足だった攻撃である上に、
Ξガンダムの速度が余りにも早過ぎて(そもそもからして「超音速で地表スレスレを飛んで来るMS」など、彼らの常識の範疇外であった)照準も定まらない盲撃ちでは、Ξガンダムの影すら踏めない。

一気に敵中隊へと肉迫したハサウェイは、急減速をかけながらガンダムの右腕に背面のビームサーベルを抜き放たせた。
実はこの世界へと導かれてから後、Ξガンダムがマニピュレータにサーベルを構えて使うのは実戦では初めての事だった――戦い方に余裕があったと言う事の証明でもあるが、
今回はハサウェイも近接戦で一気に片を付けてしまうつもりでいたと言う事だ。

そして、Ξガンダムの方も自機からの攻撃を開始する。
その初撃は敵機まではまだ届かない段階で、サーベルを握った右腕から放たれた重機関砲による実弾射撃だった。

基本設計のルーツであるνガンダム(Hi-νガンダムとも呼ばれる、アムロ・レイ最後の戦いとなったアクシズ攻防戦のその最終局面で完成が間に合い、乗り換えた「本当のνガンダム(RX-93-ν-2)」)
の設計を継承して右の前腕部のフレームに同軸で装備されている重機関砲で、向かって右側にいるダガーLを狙う。

ドドッ!と言う発射音も一瞬しか続かない、僅か一連射。
だがそれだけで狙われたそのダガーLは腰から下の両脚部を爆砕され、残った上半身が真正面から大地にと勢いよく倒れて落ちる。

頭部バルカン砲よりも大口径で、威力も射程も大きい重機関砲――ヘビーマシンガン、あるいはメガガトリング砲と呼ばれる近〜準中距離用の火器の、本来の有効射程距離のその手前≠ゥらハサウェイはそれを発射していた。

装甲の水準で遙かに劣っているC.E.世界の一般型MSに対しては、U.C.世界では標的にダメージを与えられるだけの威力を無くす上限距離を越えて後でもなお撃破できるだけの威力があるのと、
低伸性に優れているとは言え、その弾道は既に物理法則に従って地面へと落下して行く曲線を描いているが故に、機関砲弾は敵機の下半身部分にのみ集弾し、それより後方へ流れ弾になる事は無い。
その絶妙な距離≠見定めて、ハサウェイは初撃にこの武器を選択していたのだ。
322通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 10:27:19 ID:???
ハサウェイへ支援
更にもう一度、重機関砲からの火箭が伸びて、右側に展開していたストライクダガーが同様にその上体を地面へと叩き付けられる。
足を止めていなければまともに命中を期待できる射撃も行えず、その上肝心のその射撃の方もただ盲撃ちにする事しか出来ないMSなど、ハサウェイとΞガンダムの前ではただの標的も同然だった。

恐るべき早業であっと言う間に戦力を1/3減させたΞガンダムが、そして近接格闘攻撃を仕掛けられる間合いにと残りの敵機を捉える。

『うっ、うわあああッ!』
地球軍パイロット達がそれぞれにそんな絶叫を上げる時にはもう、Ξガンダムが構えたビームサーベルの蒼い光刃に自らの機体の頭部を、続けて脚部を薙ぎ払われている。

オートリミッターの働きで、斬撃動作に入ってからそのビームの刀身を発生させる省エネ型の基本仕様は、同時にその光刃の長さを隠す働きもしている――言わば、ビームサーベル版の居合術とでも言えようか。

こちらもかつてのνガンダム系MSが採用していた設計思想を引き継ぐものである両肩のメイン・ビームサーベルは、通常のビームサーベルを上回る出力を持つハイパービームサーベルだが、
柄尻の側からも同時に(こちらは通常のビームサーベルと同等の形状、威力となる)裏側のビーム刃を形成する事も可能であり、
ザフト製ガンダムの多くに装備される、柄尻で結合して1本のナギナタ型〈アンビテクストラス・ハルバード〉を取るビーム刀剣類と同様の使い方を、単体で実現する事ができる。

その状態でサーベルを振るう右腕を素早く切り返して、センサー・カメラ類の集中する頭部と、MSを佇立させる脚部をほとんど同時に薙ぎ払い、爆散させる事なしに無力化して行くハサウェイ。

殺さずに〜などと言う気取りや、お子さまの単なる不覚悟の具現化でしかない不殺≠ネどとは全く次元の異なる、
「巻き添えを絶対に出さない事」と言う命題を背負って、戦闘目的達成の為の「手段であり、またその結果としての不殺=vだと言う事にそれは過ぎないわけだが。

とは言え、マフティー側が行動を共にするミネルバのザフトパイロット達にも徹底させ、そしてその彼、彼女らも見事にそれに応えて見せていたそんな戦い方は、
期せずして後に対峙する事となる大いなる思い違い≠している者達の歪なそれとの根本的な差異と言うものを、実戦の中において自ら学び取らせると言う結果にも繋がっていたと言うのは、やはり運命の神の差し金と言える様なものであったかも知れない。


「よおし、行くぜっ!」
「おおっ!!」
三派に分かれた奇襲部隊が、それぞれの担当した敵群を制圧完了したのを示す信号弾を打ち上げる――それが3つを数えるのを確認するやいなや、その瞬間を待ちわびていたレジスタンスのメンバー達も行動を起こした。

ガルナハンの街中の幾つもの家屋にと少人数ずつのグループに分かれて潜伏していた者達が、一斉に蜂起する。
地球軍のMSが上空から降ってきた`Sにと攻撃され、無様に路上へと倒される――しかもその助っ人のMSたちときたら、
街の家屋には被害が出ない様にと大して広くもない道路上へと、きっちり倒すなどと言う離れ業をやってのけるのを見せ付けられては、彼らのボルテージも一気に上がるのも当然だった。

その中にあって、リーダー的な役目を担わされている者達は興奮の中にありながらも気付いていたが、助っ人に来てくれたそのMSたちは同時にそうやって倒した地球軍MSの機体を、言わば即席の壁に仕立ててくれてもいたのだ。

街中にいる地球軍歩兵達にとっては動きの妨げとなるだろうが、幾らでも抜け道を知っている自分達の方はそれでより有利になる戦い方が出来る。
気付いたその事実を皆にと教えながら、街中で蜂起したレジスタンス達はそれぞれ地球群が歩哨所等に接収して居座る各所に向けて一斉に攻撃を開始する。
324通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 10:34:21 ID:???
支援!
そういうわけで、勢い込んで駆け込んで来たレジスタンス達は拍子抜けをさせられる事になったわけだが、
その彼らの中に同行していた、ガルナハンへと隠密裏に入り込んでの諜報活動や今日のこの日の為の連絡、武器の手配等に従事していたラドル隊派遣の工作員らが心得たもので、
早速レジスタンス達が感情のままにそれら地球軍兵士、関係者達に手を出す事のない様にと制し、拘束して捕虜にする手順を進めて行く。

かくして、強制徴用されて発電プラントで憎むべき侵略者地球連合軍の為にと働かされていた、元からの技師達とレジスタンスの面々が手を取り合って解放を喜び合う中、
なんとそこにおいては一人も死者を出す事も無しに、発電プラントは無傷でガルナハンのレジスタンス達の手にと奪還されたのだった。

ザフトのエージェント連とレジスタンス達のリーダーに以後の処置は任せると、ハサウェイはΞガンダムをローエングリンゲート方面にと回すべくΞガンダムを再び飛び立たせる。

奇襲の成功によって戦闘目的の半分は達成したが、もう一つ、ローエングリンゲート要塞と言う障害物が残っており、それはこの地域の為にはならない排除しておくべき存在だった。


『すっ、凄すぎる!奴らは化け……うわあああッ!』
そんな絶叫を最後に、後方守備部隊との最後の通信も途絶した。

無論、それまでに同種の魂消える様な悲鳴や、絶叫する様に至急の来援を請う声の数々が、短時間にローエングリンゲート要塞の司令室に木霊しては次々と消えて行っている――後方部隊の陥っているであろう状況は、誰の耳にも明らかだった。

そんなまさかの状況に、要塞司令室内は大混乱の坩堝と化していた。
後方部隊と同様に、どこからどうやって現れたのか?と言う、常識≠ゥら考えれば当然の疑問に驚愕しているその間にも、
状況表示スクリーン上には恐ろしい速度で後方部隊を示すシグナルが途絶して行く様が刻々と映し出されている。

何かの間違いではないのか?
初めはそんな願望混じりの(ある意味自然なものではあるかもしれないが)意識でいた彼らは、遅れてそれが意味する事実に気が付き、愕然とする。

「ッ!? は、発電プラントがっ!」
敵によって破壊される。
と、それ以外の可能性を考えられぬと言う辺りにこそ、この地域をその力でもって制圧している彼ら地球連合軍の他ならぬ本質≠ェ端的に現れていたとも言えるだろう。

そんな彼ら地球連合とは違う対し方をもって臨むと言う今現在のザフト側の姿勢は、当然ながら政治的な意味合いも考えての事ではあるが、
この地域の人々をその圧制から解放すると言う「大義」を掲げて戦っているわけで、
それをただのお題目では無い実践として行うと言う事は即ち、事後(戦後)の復興やその為の援助と言った体制作りの事までも含めたビジョンを定めて、それに基づいての戦闘の方策も定めている――
その辺りの再確認と、より深化させての構築。そして意識の徹底に大きく関与していたのが、戦争は政治の一形態であると言う事を良く理解しているマフティーの者達だったわけだが。

それまでの歴史的な経緯を考えれば無理からぬ事ではあるかも知れないが、2年前の大戦の頃には欠落も同然だったものを、
だからこそ今次の戦争においては自戒の意味合いからも重視しようと言うドクトリンでもってやっている現在のザフト側が、
後先考えずに純粋な軍事目的のみ(敵勢の覆滅のみを目的として)でただ単に破壊などするわけが無いのである。

つまり、そんなザフト・マフティーの側はもう、
未だに2年前と何も変わらない、「殲滅の為の(手段としての)戦争」――その先にあるのは、果てしなく続く「戦争のための戦争」しかなくなるわけだが――と言う感覚でもって未だに戦っている地球軍とは、
全く違う次元の意識でもって戦争を行うと言う方向へと、確実に舵を切っているのであった。

この世界に濃厚に漂っている、末期的な精神病理と言うべきそれをこそ打破すべきものであると言う認識において一致できたからこそ、
マフティーの側はこの異世界に関わる上で、デュランダル議長率いるザフト――プラントとの同盟を選べたのだとも言えよう。

そんな「新しい道」へと向かう為の戦い、と言うスタンスでの戦争を選んでいるマフティーに加勢された現在のザフトはつまり、
新たな時代をもたらす「歴史の見えざる流れ」に乗った者達なのだった。
326通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 10:42:41 ID:???
ああ、やっぱ主人公側がちゃんとしているのはいいなあと思いつつ支援
そんな彼ら地球連合とは違う対し方をもって臨むと言う今現在のザフト側の姿勢は、当然ながら政治的な意味合いも考えての事ではあるが、この地域の人々をその圧制から解放すると言う「大義」を掲げて戦っているわけで、
それをただのお題目では無い実践として行うと言う事は即ち、事後(戦後)の復興やその為の援助と言った体制作りの事までも含めたビジョンを定めて、それに基づいての戦闘の方策も定めている――
その辺りの再確認と、より深化させての構築。そして意識の徹底に大きく関与していたのが、戦争は政治の一形態であると言う事を良く理解しているマフティーの者達だったわけだが。

それまでの歴史的な経緯を考えれば無理からぬ事ではあるかも知れないが、2年前の大戦の頃には欠落も同然だったものを、
だからこそ今次の戦争においては自戒の意味合いからも重視しようと言うドクトリンでもってやっている現在のザフト側が、後先考えずに純粋な軍事目的のみ(敵勢の覆滅のみを目的として)でただ単に破壊などするわけが無いのである。

つまり、そんなザフト・マフティーの側はもう、
未だに2年前と何も変わらない、「殲滅の為の(手段としての)戦争」――その先にあるのは、果てしなく続く「戦争のための戦争」しかなくなるわけだが――と言う感覚でもって未だに戦っている地球軍とは、
全く違う次元の意識でもって戦争を行うと言う方向へと、確実に舵を切っているのであった。

この世界に濃厚に漂っている、末期的な精神病理と言うべきそれをこそ打破すべきものであると言う認識において一致できたからこそ、
マフティーの側はこの異世界に関わる上で、デュランダル議長率いるザフト――プラントとの同盟を選べたのだとも言えよう。

そんな「新しい道」へと向かう為の戦い、と言うスタンスでの戦争を選んでいるマフティーに加勢された現在のザフトはつまり、
新たな時代をもたらす「歴史の見えざる流れ」に乗った者達なのだった。

神の視座でと歴史を見た時に、勝利者の立場がその天の時を得ていない者へと与えられる事は決してあり得ない。

それを想像すらも出来ないと言うのが、地球連合のその限界と言うものを端的に示していたと言ってよい。

即ち、この地域に生きる住人達の事など、地球連合の頭の中にはこれっぽちも無い――即ち、過去のプラントに対する理事国の態度と同様、その義務を果たさぬ(果たせぬ)統治者などに、その権利や正当性を主張する資格は無い――と言う事であったし、
更に本質的に踏み込んでみるならば、それは自分達がそう≠ナあるからこそ、相手も同じくそうであるのに違いないと勝手に決め付ける――
彼らの様な末端≠ヘおろか、故ムルタ・アズラエルやロード・ジブリールと言った自分達の独善的な正義≠振りかざし、その実現の為の戦争を望み、煽っている者達の多くがそうであるわけだが
――と言う、この世界そのものに以上に強く漂っている「悪しき集合無意識」の現れであったろう。

なんの事はない、そんな彼らが真に怯えているのはそんな己自身の心の鏡に写った鏡像≠ノ対してであるのに過ぎないのだが……。


ともかく、その様な事情も内包している事もあって地球軍の側は司令部以下、純粋な軍事的見地以外の部分も併せての再びの大混乱にと見舞われていた。
ローエングリンを筆頭にする、要塞の大需要を賄っていた地熱発電プラントが破壊されてしまえば、いかに友軍が防衛に奮戦しようと、この要塞の命脈は尽きる。

どんな手品を使って奇襲をかけて来たのか?などを考えるのは後回しにして、とにもかくにも直ちに後方へ増援兵力を送り、敵を追い払わねばならない!

そう考えて司令部が一部戦力への後方転進命令を出す事で、当然ながら正面攻撃の敵主力との攻防戦の真っ最中の友軍に大混乱を生じさせると言う悪循環に陥る地球軍だった。
『後方にも敵!? ええい、何をやっているかッ!』
まさかの急報と、それに対して右往左往している友軍司令部の姿の両方に、舌打ちする様に叫ぶユークリッドの機長。

敵がこちらの都合で動いてくれるわけがないのだから、どうであれ対応する方策を考えておくと言うのが司令部の仕事である筈だと言うのに。

混乱の原因は、その要塞司令部がこちらの戦線は維持させたまま、兵力を引き抜いて後方へと差し向ける部隊を用意しようなどと、安直に考えるからそうなっているのだ。

本来は戦術予備でもある筈の、要塞の至近でその直掩の格好になっている部隊を動かそうとはしないのは、要塞の上の連中の無自覚な我が身かわいさの意識の現れだろう。
現状では遊兵となっているそちらだけを動かしていれば、こんな混乱に陥る様な事はない筈だ。それを……。

愚劣な味方(特に上層部)は、敵よりも遙かにタチが悪い。
その事実に舌打ちはしながらも、前線で戦う友軍の将兵達の為にと自らもそこに立ち続けながら的確に指揮を続けているユークリッドの機長だった。

『ゲルズゲーはこちらの戦線に固定!姿さえあれば敵を釘付けに出来る。MS隊は攻勢よりもゲルズゲーを守りつつ防げ!敵の足が止まるまで持ちこたえればいい!後方部隊は転進に備え!』
そう、矢継ぎ早に指示を下して行く。

本来ならば、ガルナハン駐留部隊の所属ではない彼が(司令部が健在の状況下であるにも関わらず)指揮を下すのは完璧な越権行為ではあるのだが、
前線に身を晒して戦っている将兵達からすれば、自身もそこに立つ前線のその空気から、戦いの流れを肌で感じ取りながら的確な判断が下せる才能を持った者は、
後方から好き勝手に的外れな命令ばかりを乱発して足を引っ張ってくれるだけの無能な上層部よりも、余程頼もしい存在であった。

そうしてユークリッドはデグチャレフ・ビームキャノンを三連射して迫る敵軍を牽制するや(その内の一射でバグリイの前部主砲を見事に吹き飛ばしていた)、自ら後方へと向かうべくその機体を反転させて、後背側へと転進を始める。

驚いた事に、声をかけられずとも独自の判断で、要塞司令部の許可も求めずにユークリッドにと従って転進して行く直掩部隊も複数あった。
それらの者達も無能な司令部の、余りにも遅過ぎる命令など待っていられなくなったと言う事だった。


――そう言った小さな事実の一つ一つは、彼ら地球連合軍の中にも前線に立つレベルではそれぞれに優秀な者達はちゃんといたと言う事の証明だったであろう。

惜しむらくは、彼らのそんな奮戦もマフティーの前においては状況を覆すには至らないと言う点だった。
彼らはその状況下で充分以上に迅速に対応をしていた――ただ、その奇襲を掛けて来る方が尋常でなかった≠セけなのだから。

距離は短いものの、要塞の後方から更にしばらく――ガルナハンの街や地熱発電プラントの置かれた平地に出るまで――続く峡谷を、そちらの方向へと急ぐ彼らの側面を衝くように、
機数は少数ながら、第三の敵部隊が戦線にと新たに姿を現した。

後方部隊の主力を得意の長距離射撃で一気に壊滅させた、セイバーガンダム及びガナーザクと2機のメッサーを載せた1・3ギャルセゾンから成る奇襲部隊ブラボーグループの3機編隊が、
戦術統制機の任に就いているとは言え、要塞への攻撃にと移行したこの段階においては上空からの支援攻撃程度は行う様にもなる6ギャルセゾンを加えた戦力で、真っ先に要塞攻防戦の渦中へと加勢に到着したのだった。


(13)へ続く
329通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 10:57:08 ID:???
ユークリッド機長男前だなあ
惜しい人を亡くしたものだ(まだ死んでません
330166:2009/03/04(水) 11:02:41 ID:???
こんにちは。機動戦士ΞガンダムSEED Destiny筆者の166です。

昨夜、帰ったら(12)後編を投下しよう〜と思っていましたら、
突発的な残業をやる羽目になり、帰って来たら雨が雪に変わってました……
帰れなくならずに済んで良かったとです。

……なんて思っていたら、プロバイダが規制中でした……orz

そんなわけで、今日になってからちょっとあまりほめられないとこから
(12)後編の方、こそっと投下行かさせて頂きました(苦笑)

とりあえず、改修した新生セイバーガンダムをやっとお披露目できました。
ちなみに「現地改修」なので、呼称は何も変わらずにセイバー(ガンダム)ですw

投下中のご支援をありがとうございました。
戦いはまだ続きますので、よかったら続きも見てやって頂けたら嬉しいです
331通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 11:06:54 ID:???
GJ! お疲れ様でした!
会社からの投下でしょうかw

次はアスランとルナ大活躍かな?
いずれ来るであろうラクシズとの対決も楽しみにしております!
332通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 11:15:10 ID:???
GJっすー
マフティーじゃあ仕方ないとは言え、本編以上に無双ですなあ
圧倒的な安心感というか、ちょっと緊張感に欠けるというのは贅沢かねえ
333166:2009/03/04(水) 11:33:59 ID:???
うわ、やっぱり投下に重複&欠けのミスありますね;
後で訂正します。サーセン
334166:2009/03/04(水) 13:33:27 ID:???
すみません、(7)と(8)の間で欠けさせた部分を、(7.5)として訂正投下させて頂きます。

【機動戦士ΞガンダムSEED Destiny (12)】後編(7.5/10)

「よおし、行くぜっ!」
「おおっ!!」
三派に分かれた奇襲部隊が、それぞれの担当した敵群を制圧完了したのを示す信号弾を打ち上げる――それが3つを数えるのを確認するやいなや、その瞬間を待ちわびていたレジスタンスのメンバー達も行動を起こした。

ガルナハンの街中の幾つもの家屋にと少人数ずつのグループに分かれて潜伏していた者達が、一斉に蜂起する。
地球軍のMSが上空から降ってきた`Sにと攻撃され、無様に路上へと倒される――しかもその助っ人のMSたちときたら、
街の家屋には被害が出ない様にと大して広くもない道路上へと、きっちり倒すなどと言う離れ業をやってのけるのを見せ付けられては、彼らのボルテージも一気に上がるのも当然だった。

その中にあって、リーダー的な役目を担わされている者達は興奮の中にありながらも気付いていたが、助っ人に来てくれたそのMSたちは同時にそうやって倒した地球軍MSの機体を、言わば即席の壁に仕立ててくれてもいたのだ。

街中にいる地球軍歩兵達にとっては動きの妨げとなるだろうが、幾らでも抜け道を知っている自分達の方はそれでより有利になる戦い方が出来る。
気付いたその事実を皆にと教えながら、街中で蜂起したレジスタンス達はそれぞれ地球軍が歩哨所等に接収して居座る各所に向けて一斉に攻撃を開始する。

「返って来る、やっと返って来る!取り戻すぞ、発電所を!俺達の暮らしをっ!」
同時にガルナハンの街の外の方でも、口々にそんな叫びを上げながら発電プラントへとひた走るバギーやバイクに乗った一団がいた。

直衛に就いていた地球軍のMSが撃破された事で、地熱発電プラントを制圧して取り戻す為にと編成されていたこちらの一団も勇んで車を走らせる。

彼らは眼前に背中を向けて仁王立ちしているΞガンダムの勇姿に向かって口々に歓声を上げ、拳を突き上げながら銃を手に手に発電プラントの敷地内へと次々と駆け込んで行く。

しかし、幸いな事に発電プラントの施設内での銃撃戦が〜と言う事にはならなかった。

眼前で守備隊の味方MS隊が一蹴され、しかもそれを為してのけた巨大なMSは、威嚇する様にビームライフルを手にして自分達の方を睨みつけるかの如く立っている。
Ξガンダムのそんな姿にと圧倒されていた拳銃程度の武装しか持たない地球軍の工兵・軍属らは、
『降伏せよ!我々、マフティー・ザフト同盟軍は″~伏した諸君の生命の安全は保証する』
とのガンダムの機外スピーカーからのハサウェイの呼びかけに、あっさりと両手を上げていたのだった。

――巧妙だったと言えるのは、自分達にさっさと降伏するならば捕虜としての正式な待遇を約束するが、拒むのならばこの地域の住民達の組織したレジスタンスを相手にそれを要求してみるか?
と言う、単純明快なな事実をにおわせての脅し……もとい、説得≠していた点だった。

かくして、勢い込んで駆け込んで来たレジスタンス達は拍子抜けをさせられる事になったわけだが、
その彼らの中に同行していた、ガルナハンへと隠密裏に入り込んでの諜報活動や今日のこの日の為の連絡、武器の手配等に従事していたラドル隊派遣の工作員らが心得たもので、
早速レジスタンス達が感情のままにそれら地球軍兵士、関係者達に手を出す事のない様にと制し、拘束して捕虜にする手順を進めて行く。

335通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 14:19:06 ID:???
相変わらずいい作品だね
主人公側が王道を歩んでるから安心して読めるよ
336通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 22:49:47 ID:???
Saver(救世主)GundamならぬSaber(刃)Gundamに生まれ変わったのか……。
殺さずに〜などと言う気取りや、お子さまの単なる不覚悟の具現化でしかない不殺
を振り回す、自由と無秩序を履き違えたスーパーコーディ様も一刀両断するんだアスラン。
337通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 23:26:33 ID:???
>>336
はぁ?Saberって騎士だよwwww
知ったか乙wwwww

【馬鹿はエロゲ出展の知識をひけらかした】


↑はどうでもいいんだが、同じ「不殺」でも黒冨野の「不殺」はえぐかったな
「死よりも厳しい制裁を」てカテ公の目を潰して生かしておいたんだから……
338通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:01:14 ID:???
十字軍の頃「キングセイバー」というやたらと中坊センスな苗字をもらったやつがいたそうだ
339通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:08:20 ID:???
>>337
お前馬鹿か?
340通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:11:29 ID:???
>>337
Fate作中でも設定集でもそんなことは一言も語られてない。
341通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:20:46 ID:???
>>339
>>340
ネタニマジレス(・∀・)イイカンジ!!
自分が馬鹿だつってるじゃん、>>337
342通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:21:15 ID:???
>>337
Knightの意味知ってる?
ビームサーベルのサーベルはSaberって綴るんだけど、ビーム騎士って意味なのか?
343通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:24:30 ID:???
本来の表記はSAVIOUR GUNDAMなので「救世主」の意。
そこへビームサーベル大量追加でSABER GUNDAMの
ダブルミーニングにもなったと。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=SABER&stype=0&dtype=1
ま、騎兵という意味もないわけじゃないようだが、>>337はおおかた

>後に対峙する事となる大いなる思い違い≠している者達

の記述から、ラクシズに成長や善玉化の望みが薄い?と思い込んで
キレて言い掛かりと荒らしに走りかけた可哀相なタイプの子なんでしょ。
他のスレでもそっくりな現象が起きてるし。
344通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:24:53 ID:???
いや、そんな337に続々と釣られなくても
345通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:26:00 ID:???
あれ?>>337はボケかましたんじゃないの?(;・∀・)
346通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:27:34 ID:???
>>337がエロゲ馬鹿扱いしたのは>>336の事だろ
なんでこんな奴庇うんだ?
347通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:56:22 ID:???
337はセイバーは刃じゃなくて騎士だろとふぁて知識でつっこみ
↑でネタは置いといてと言ってるんだろ?
348通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 00:57:23 ID:???
つかFateでもセイバーは「剣士」だからネタとしても間違ってるぞw
349通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:00:37 ID:???
出て来なけりゃ、討たれなかったのにw
350通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:01:32 ID:???
でもふぁてに登場するのは騎士王様だからその意味では間違いとはいえないw
351通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:03:04 ID:woLaluc8
>>350
別に「セイバー」はあの食っちゃね、いや騎士王様固有の名前じゃないし
352通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:07:41 ID:???
別に座のセイバーのことしか示しちゃいけないことはないでしょ
ふぁてのセイバーは?と聞かれて金髪さんと答えたら不正解とする気ですか?
353通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:10:42 ID:???
つまりお前はふぁてのセイバーは金髪で騎士だからSaberの意味も騎士だと主張する訳だな?
354337:2009/03/05(木) 01:12:26 ID:???
み……皆、落ち着いてくれ!?
本当に自虐ネタのつもりだったんだ!
「本編もカテ公みたいに黒い意味で『不殺』だったらな〜」的な軽い気持ちでレスしただけなんだ


【煽りっぽく書いてしまったことと>>336を侮辱しているかのように誤解させてしまったこと
なにより、職人さんのSS投下にケチをつけてしまったことを深くお詫びします
本当に申し訳ありませんでした
今回の件は全て私に責任があります。皆様どうか水に流していただけますよう。。。

最後に、SS職人の皆様に、心からの声援と謝罪をさせて下さい。
本当に申し訳ありませんでした。】
355通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:14:59 ID:???
ふんどし!
356通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:21:23 ID:???
>>353
ちゃうちゃうw
最初の騎士だろってのをセイバーさんは金髪さんのことだろJKと解釈してくれ
そして意味もなにもネタとその場で宣言してるのに意味の正しさをもとめんなよ
357通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:24:39 ID:???
>>354
気にすんな
頭悪いやつが勝手に勘違いした上に>>345が指摘してるのに
まだ馬鹿レスしただけだろ
358通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 01:35:22 ID:???
酷い自演を見た
359通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 06:13:59 ID:???
そんなことよりくうくうおなかがすきました
360通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 07:30:17 ID:???
種とOOが合体したら、どんな作品になるのだろうか・・・?
361通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 09:00:31 ID:???
『種OO』か『OO種』か『O種O』のどれかだな>>360満足したか?
362あいうえお:2009/03/05(木) 21:03:58 ID:HlxS5Lmj
ストライダー飛竜が以外と合いそう
363通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 21:05:04 ID:???
>>360
機動戦士ガンダムS○○Dになる。
364通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 21:08:27 ID:???
運命とOOライザーの魔合体ねえ……それなんてアルティメットグラヴィ(ry
365通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 21:39:59 ID:???
運命スレにデスティニーライザーの画像があるよ
普通に似合ってて吹いた
366通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 22:46:46 ID:???
コーディネイターって00勢が見たらどう思うんだろう
デザインベイビーとどう違うの?って感じになるんだろうか
367通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 22:52:38 ID:???
遺伝子デザインは自分の子供に施すカスタムじゃない世界観だから、
どっかの組織で何らかの目的を持ってデザインされたと思われるだろう。

再生医療が一般的になってるようだから、自分自身の細胞を
治療目的でクローニングすることには抵抗ないみたいだし。
368通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 23:41:01 ID:???
357 :通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 05:52:28 ID:???
>>356
えっ・・・
俺、これから『C.Eの長嶋巨人軍』ってのを書こうと思ってたのに駄目なの? (´;ω;`)ウッ…

IFスレにてこんなネタ発見
369通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 22:31:11 ID:???
もしも中の人(マリューならセーラームーン)が覚醒しまくったら
370通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 22:34:21 ID:???
>>368
それは口述筆記にしないと駄目だw
371通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 22:36:43 ID:???
>>369
マリュー(セーラームーン) vs アスラン(渚カヲル) の世界系な戦いになる
372通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 22:39:20 ID:???
>>371
そこにシェルブリッドのキラと、ガリアンソード装備なオトメカガリが参戦して
分熱い種世界になる。
373通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 22:47:01 ID:???
>>372
あやまれ!
カズマとシズルにあやまれ
374通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 22:49:48 ID:???
おっと、流派東方不敗のシーゲルとイザークを忘れないでもらおうか
あとは冥王クルーゼ・・・似合いすぎだなおい
375通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 23:09:12 ID:???
「種&種死の人物が中の人繋がりだったら?」に話題がシフトしてるなw
376通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 23:19:02 ID:???
節操なく全部中身繋がりで総入れ替えでいいんじゃね?
377通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 23:46:48 ID:???
盟主王が勇者王になるだと?w
378通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 23:54:23 ID:???
鉄道王でも良いんですね
379通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 00:00:58 ID:???
タリアは車に撥ねられて死んでしまうのか・・・
380通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 00:05:49 ID:???
>>379
車を撥ねてまわる方かもしれないじゃないか
381通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 00:06:06 ID:???
キラはあれだろ。

常に黒マントにバンダナでやたら喧嘩っぱやく、直ぐビームかレーザーっぽい剣を振り回す。
そして議長は忍者っぽい元某国特殊部隊で現在賞金稼ぎ、キックやマシンガンを使いこなし、盗むを使う。
382通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 00:22:59 ID:???
>>380
そっちにすんべ
383通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 00:46:47 ID:???
真面目にやるならホテルモスクワのボス
ギャグに走るなら車を撥ねるキャラだな、タリア

いやAKを撃ちまくりつつ、突っ込んできた車を逆に吹き飛ばすキャラでもいいがw
384通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 00:49:05 ID:???
レクイエム攻略戦の時に岩を投げて月ごと破壊するのか・・・w
385通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 00:50:21 ID:???
プラント割りは外せないよな?
386通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 01:31:03 ID:???
ザフトのドクタースランプタリアちゃん強すぎw
アラレちゃんは地球割るのが得意
地球割りに比べたらエイプリルフールクライシスなんてしょぼいわw
387通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 01:36:11 ID:???
>>386
地球割りは人的被害的にを出さない平和的な技
ギャグ補正により何度でも地球を割れますので脅しに最適

タリア「年増と仰ったのはどなたかしら?」
???「待て、話せば分かる、だから地球を割らないでくれ!」
388通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 01:48:20 ID:???
せめて蛇遣い座の聖闘士の方にしようぜ・・・
389通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 02:03:15 ID:???
>>368
これは超期待だな!
後はシン・アスカが前世の記憶を残したまま過去に転生する「紺碧のガンダムSEED DESTINY」や
幻実の世界の撃墜王の書いた戦記「プラント運命空戦録」、
内容は想像がつかないが「共和国の守護者」などなども読んでみたいな
390通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 02:11:34 ID:???
>>389
こことは別のifスレで似たようなのやってるぞw
391通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 02:27:45 ID:???
>>389
大逆転!C.E.71年戦艦「ミネルバ」
392通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 02:41:03 ID:???
>>390
そろそろ伊賀忍者が出ます。ご期待ください。
393通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 03:48:35 ID:???
>>388
アニメのシャイナさんはちょっとアレ気味だったな
星矢と沙織が見つめ合ってるの見て、私の星矢とイチャついてんじゃねーとかキレだすし
394通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 05:30:55 ID:???
アムロとララァが見つめ合ってるの見て、私の白い悪魔とイチャついてんじゃねーとかキレだすんだ
キシリア様が
395通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 08:41:35 ID:???
>>389
むしろ激烈!連邦大戦とか孔明のオーブとかだろ、>>368の元ネタの作者的にw
396通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 11:06:12 ID:???
タリアにバズーカ砲をぶちかます議長
397通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 11:12:34 ID:???
キャッチして投げ返すタリア
398通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 13:21:41 ID:???
葵のコズミック・イラ

混迷の地球圏に、今、上様の下知が下る!
399通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 14:11:50 ID:???
>>398
炸裂するパンジャンドラム、とどろく巨大車輪、唸るエレキテルですねわかります
400通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 14:13:21 ID:???
「征途」ネタは何度か出てるな
401通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 22:23:51 ID:???
アルカディア号が来たら
402通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 23:05:49 ID:???
Nノーチラス号とレッドノアが来たら
403通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 23:11:14 ID:???
バスターマシンが来たら
404通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 23:17:46 ID:???
もしもナタルとカティが入れ替わったら
405通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 12:27:12 ID:???
もしも種世界にKOS−MOSが来たら
406通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 12:56:15 ID:???
もしも種世界にマティス・ニルソンが来たら
407通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 16:36:37 ID:???
グラーフとカレルレンを種世界に投入したい
408通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 18:38:48 ID:???
>>407
方向性は違えど二人とも行動原理がエリィ(ソフィア)とデウスありきだからなあ…
加えて言うならグラーフに力を与えられそうな禿(予備軍除く)がいない気が…
409通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 18:48:47 ID:???
ゼノギアスのソラリスが種世界に来たら
410通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 19:30:23 ID:???
紅蓮氏のStrikerS the EDGEってSSは未完なんですか?
411通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 20:21:43 ID:???
>>408
ザラ議長あたりは適任ではカツラ疑惑的に
412通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 20:38:57 ID:???
皇国の守護者の新城直衛がオーブにいたらというのはちょっと見てみたいな。
最後はカガリを自分の嫁にしてしまうかもしれないがw
413通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 21:46:43 ID:???
>>412
ヤツが来たら、虎やキラや凸が死んだ上にラクスやカガリまで情婦になりそうな……



ブロントさんがCE入り
黄金の鉄の塊のMS
カガリ「オーブは停戦しろ!理念を忘れたのか?!」
キラ「カガリは今泣いているんだ!!」

ブロントさん「おいィ?お前らは今の言葉が聞こえましたか?」
連合兵「聞こえてない」
ザフト兵「何か言ったの?」
オーブ兵「俺のログには何も無いな」
414司祭:2009/03/10(火) 22:15:33 ID:???
ステラを沈めた湖の底に
再生の卵があって女神ステラが大増殖
なんてヤツを今書いてます。
DODファンとガノタってあんまりかぶってなさそうだけどね
415通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 22:19:15 ID:???
湖に沈んだステラにバオーが寄生
416通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 22:38:43 ID:???
粒子ひとつに触れても人間は即死でありますから
417通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 23:00:55 ID:???
>>414
DOD好きでガノタ程じゃないけどガンダム好きですが、何か?
418通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 09:35:16 ID:2C4JRNr5
>>389
「C・Eの長嶋巨人軍」
419166:2009/03/12(木) 10:14:32 ID:???
おはようございます。
機動戦士ΞガンダムSEED Destiny筆者の166です。

今回も同様に、こっそりと(13)前編の投下に参上いたしました(苦笑)
その前回の(12)後編の投下では終盤に重複と欠落のミスをやらかしてしまいましたので、
その修正分と併せて、投下させて頂きます。

今回の投下分は、BGM:「MEN OF DESTINY」
って感じですかね(笑)
「返って来る、やっと返って来る!取り戻すぞ、発電所を!俺達の暮らしをっ!」
同時にガルナハンの街の外の方でも、口々にそんな叫びを上げながら発電プラントへとひた走るバギーやバイクに乗った一団がいた。

直衛に就いていた地球軍のMSが撃破された事で、地熱発電プラントを制圧して取り戻す為にと編成されていたこちらの一団も勇んで車を走らせる。

彼らは眼前に背中を向けて仁王立ちしているΞガンダムの勇姿に向かって口々に歓声を上げ、拳を突き上げながら銃を手に手に発電プラントの敷地内へと次々と駆け込んで行く。

しかし、幸いな事に発電プラントの施設内での銃撃戦が〜と言う事にはならなかった。

眼前で守備隊の味方MS隊が一蹴され、しかもそれを為してのけた巨大なMSは、威嚇する様にビームライフルを手にして自分達の方を睨みつけるかの如く立っている。
Ξガンダムのそんな姿にと圧倒されていた拳銃程度の武装しか持たない地球軍の工兵・軍属らは、
『降伏せよ!我々、マフティー・ザフト同盟軍は″~伏した諸君の生命の安全は保証する』
とのガンダムの機外スピーカーからのハサウェイの呼びかけに、あっさりと両手を上げていたのだった。

――巧妙だったと言えるのは、自分達にさっさと降伏するならば捕虜としての正式な待遇を約束するが、拒むのならばこの地域の住民達の組織したレジスタンスを相手にそれを要求してみるか?
と言う、単純明快な事実をにおわせての脅し……もとい、説得≠していた点だった。

そういうわけで、勢い込んで駆け込んで来たレジスタンス達は拍子抜けをさせられる事になったわけだが、
その彼らの中に同行していた、ガルナハンへと隠密裏に入り込んでの諜報活動や今日のこの日の為の連絡、武器の手配等に従事していたラドル隊派遣の工作員らが心得たもので、
早速レジスタンス達が感情のままにそれら地球軍兵士、関係者達に手を出す事のない様にと制し、拘束して捕虜にする手順を進めて行く。

かくして、強制徴用されて発電プラントで憎むべき侵略者地球連合軍の為にと働かされていた、元からの技師達とレジスタンスの面々が手を取り合って解放を喜び合う中、
なんとそこにおいては一人も死者を出す事も無しに、発電プラントは無傷でガルナハンのレジスタンス達の手にと奪還されたのだった。

ザフトのエージェント連とレジスタンス達のリーダーに以後の処置は任せると、ハサウェイはΞガンダムをローエングリンゲート方面にと回すべくΞガンダムを再び飛び立たせる。

奇襲の成功によって戦闘目的の半分は達成したが、もう一つ、ローエングリンゲート要塞と言う障害物が残っており、それはこの地域の為にはならない排除しておくべき存在だった。


『すっ、凄すぎる!奴らは化け……うわあああッ!』
そんな絶叫を最後に、後方守備部隊との最後の通信も途絶した。

無論、それまでに同種の魂消える様な悲鳴や、絶叫する様に至急の来援を請う声の数々が、短時間にローエングリンゲート要塞の司令室に木霊しては次々と消えて行っている――後方部隊の陥っているであろう状況は、誰の耳にも明らかだった。

そんなまさかの状況に、要塞司令室内は大混乱の坩堝と化していた。
後方部隊と同様に、どこからどうやって現れたのか?と言う、常識≠ゥら考えれば当然の疑問に驚愕しているその間にも、
状況表示スクリーン上には恐ろしい速度で後方部隊を示すシグナルが途絶して行く様が刻々と映し出されている。

何かの間違いではないのか?
初めはそんな願望混じりの(ある意味自然なものではあるかもしれないが)意識でいた彼らは、遅れてそれが意味する事実に気が付き、愕然とする。

「ッ!? は、発電プラントがっ!」
敵によって破壊される。
と、それ以外の可能性を考えられぬと言う辺りにこそ、この地域をその力でもって制圧している彼ら地球連合軍の他ならぬ本質≠ェ端的に現れていたとも言えるだろう。
そんな彼ら地球連合とは違う対し方をもって臨むと言う今現在のザフト側の姿勢は、当然ながら政治的な意味合いも考えての事ではあるが、この地域の人々をその圧制から解放すると言う「大義」を掲げて戦っているわけで、
それをただのお題目では無い実践として行うと言う事は即ち、事後(戦後)の復興やその為の援助と言った体制作りの事までも含めたビジョンを定めて、それに基づいての戦闘の方策も定めている――
その辺りの再確認と、より深化させての構築。そして意識の徹底に大きく関与していたのが、戦争は政治の一形態であると言う事を良く理解しているマフティーの者達だったわけだが。

それまでの歴史的な経緯を考えれば無理からぬ事ではあるかも知れないが、2年前の大戦の頃には欠落も同然だったものを、
だからこそ今次の戦争においては自戒の意味合いからも重視しようと言うドクトリンでもってやっている現在のザフト側が、後先考えずに純粋な軍事目的のみ(敵勢の覆滅のみを目的として)でただ単に破壊などするわけが無いのである。

つまり、そんなザフト・マフティーの側はもう、
未だに2年前と何も変わらない、「殲滅の為の(手段としての)戦争」――その先にあるのは、果てしなく続く「戦争のための戦争」しかなくなるわけだが――と言う感覚でもって未だに戦っている地球軍とは、
全く違う次元の意識でもって戦争を行うと言う方向へと、確実に舵を切っているのであった。

この世界に濃厚に漂っている、末期的な精神病理と言うべきそれをこそ打破すべきものであると言う認識において一致できたからこそ、
マフティーの側はこの異世界に関わる上で、デュランダル議長率いるザフト――プラントとの同盟を選べたのだとも言えよう。

そんな「新しい道」へと向かう為の戦い、と言うスタンスでの戦争を選んでいるマフティーに加勢された現在のザフトはもはや、
新たな時代をもたらす「歴史の見えざる流れ」に乗ろうとし始めている者達なのだった。

神の視座でと歴史を見た時に、勝利者の立場がその天の時を得ていない者へと与えられる事は決してあり得ない。
それを想像すらも出来ないと言うのが、地球連合のその限界と言うものを端的に示していたと言ってよい。

即ち、この地域に生きる住人達の事など、地球連合の頭の中にはこれっぽちも無い――即ち、過去のプラントに対する理事国の態度と同様、その義務を果たさぬ(果たせぬ)統治者などに、その権利や正当性を主張する資格は無い――と言う事であったし、
更に本質的に踏み込んでみるならば、それは自分達がそう≠ナあるからこそ、相手も同じくそうであるのに違いないと勝手に決め付ける――
彼らの様な末端≠ヘおろか、故ムルタ・アズラエルやロード・ジブリールと言った自分達の独善的な正義≠振りかざし、その実現の為の戦争を望み、煽っている者達の多くがそうであるわけだが
――と言う、この世界そのものに以上に強く漂っている「悪しき集合無意識」の現れであったろう。

なんの事はない、そんな彼らが真に怯えているのはそんな己自身の心の鏡に写った鏡像≠ノ対してであるのに過ぎないのだが……。


ともかく、その様な事情も内包している事もあって地球軍の側は司令部以下、純粋な軍事的見地以外の部分も併せての再びの大混乱にと見舞われていた。
ローエングリンを筆頭にする、要塞の大需要を賄っていた地熱発電プラントが破壊されてしまえば、いかに友軍が防衛に奮戦しようと、この要塞の命脈は尽きる。

どんな手品を使って奇襲をかけて来たのか?などを考えるのは後回しにして、とにもかくにも直ちに後方へ増援兵力を送り、敵を追い払わねばならない!

そう考えて司令部が一部戦力への後方転進命令を出す事で、当然ながら正面攻撃の敵主力との攻防戦の真っ最中の友軍に大混乱を生じさせると言う悪循環に陥る地球軍だった。
『後方にも敵!? ええい、何をやっているかッ!』
まさかの急報と、それに対して右往左往している友軍司令部の姿の両方に、舌打ちする様に叫ぶユークリッドの機長。

敵がこちらの都合で動いてくれるわけがないのだから、どうであれ対応する方策を考えておくと言うのが司令部の仕事である筈だと言うのに。

混乱の原因は、その要塞司令部がこちらの戦線は維持させたまま、兵力を引き抜いて後方へと差し向ける部隊を用意しようなどと、安直に考えるからそうなっているのだ。

本来は戦術予備でもある筈の、要塞の至近でその直掩の格好になっている部隊を動かそうとはしないのは、要塞の上の連中の無自覚な我が身かわいさの意識の現れだろう。
現状では遊兵となっているそちらだけを動かしていれば、こんな混乱に陥る様な事はない筈だ。それを……。

愚劣な味方(特に上層部)は、敵よりも遙かにタチが悪い。
その事実に舌打ちはしながらも、前線で戦う友軍の将兵達の為にと自らもそこに立ち続けながら的確に指揮を続けているユークリッドの機長だった。

『ゲルズゲーはこちらの戦線に固定!姿さえあれば敵を釘付けに出来る。MS隊は攻勢よりもゲルズゲーを守りつつ防げ!敵の足が止まるまで持ちこたえればいい!後方部隊は転進に備え!』
そう、矢継ぎ早に指示を下して行く。

本来ならば、ガルナハン駐留部隊の所属ではない彼が(司令部が健在の状況下であるにも関わらず)指揮を下すのは完璧な越権行為ではあるのだが、
前線に身を晒して戦っている将兵達からすれば、自身もそこに立つ前線のその空気から、戦いの流れを肌で感じ取りながら的確な判断が下せる才能を持った者は、
後方から好き勝手に的外れな命令ばかりを乱発して足を引っ張ってくれるだけの無能な上層部よりも、余程頼もしい存在であった。

そうしてユークリッドはデグチャレフ・ビームキャノンを三連射して迫る敵軍を牽制するや(その内の一射でバグリイの前部主砲を見事に吹き飛ばしていた)、自ら後方へと向かうべくその機体を反転させて、後背側へと転進を始める。

驚いた事に、声をかけられずとも独自の判断で、要塞司令部の許可も求めずにユークリッドにと従って転進して行く直掩部隊も複数あった。
それらの者達も無能な司令部の、余りにも遅過ぎる命令など待っていられなくなったと言う事だった。


――そう言った小さな事実の一つ一つは、彼ら地球連合軍の中にも前線に立つレベルではそれぞれに優秀な者達はちゃんといたと言う事の証明だったであろう。

惜しむらくは、彼らのそんな奮戦もマフティーの前においては状況を覆すには至らないと言う点だった。
彼らはその状況下で充分以上に迅速に対応をしていた――ただ、その奇襲を掛けて来る方が尋常でなかった≠セけなのだから。

距離は短いものの、要塞の後方から更にしばらく――ガルナハンの街や地熱発電プラントの置かれた平地に出るまで――続く峡谷を、そちらの方向へと急ぐ彼らの側面を衝くように、
機数はごく少数ながら、第三の敵部隊が戦線にと新たに姿を現した。

後方部隊の主力を得意の長距離射撃で一気に壊滅させた、セイバーガンダムとガナーザク及び2機のメッサーを載せた1、3ギャルセゾンから成る奇襲部隊ブラボーグループの3機編隊が、
戦術統制機の任に就いているとは言え、要塞への攻撃にと移行したこの段階においては上空からの支援攻撃程度は行う様にもなる6ギャルセゾンを加えた戦力で、真っ先に要塞攻防戦の渦中へと加勢に到着したのだった。
『来たか、アスラン!』
セイバーガンダムらの機影を確認したハイネやアーサー、シベット達が異口同音に声を上げる。
彼らがこうして現れたと言う事は、奇襲による敵後方の制圧成功を意味している。

奇襲部隊からの先遣分戦隊グループたるセイバーガンダムらの出現は、今度は要塞防衛の地球軍に対しての再びの奇襲成功の格好となっていた。
ゲルズゲーを中心に対主攻部隊の戦線を維持しようとする側にとっても、ユークリッドに従って後方へと駆けつけようとしていた者達にとっても、共にその前に無防備な横腹を晒す格好となっていたからだ。

「なっ!?」
と言う驚きの声を彼らが一様に上げた時にはもう、セイバーガンダムやメッサーたちの射程内へと捉えられている。

そこから放たれる火箭に、前後それぞれの敵勢にと向いている地球軍MS隊の中に幾つもの被弾の爆光が華咲いて行く。

中でも圧巻だったのはセイバーガンダムで、航空機型のMA形態時には双胴型の機首部となる一対の後背部砲撃モジュールの二種類のビーム砲――
速射性にも優れたスーパーフォルティスと、大威力のプラズマ収束砲アムフォルタスを連続で発射しながら猛然と突入して来る。

正面攻撃の主攻部隊を迎撃している地球軍防衛MS隊の左斜め後背から襲いかかる格好になっていたが為、その奇襲効果をより増大させていた。

そして敵中のただ中でそのまま上空へとぐんと駆け上がって高度を取るや、MS形態へと戻して滞空。堂々と友軍艦――ディアナにと通信を入れるアスラン。

『ディアナ!デュートリオンビームをっ!』
『了解。デュートリオンシステム、追尾開始!』
いきなりそう要求を入れられたディアナCICのオペレーターの側も、それに対して動じる事も無しに対応して行くのは、その状況自体もまた本作戦上の想定内容の内であり、それに応じての訓練も行っていたからだった。

インパルスタイプのガンダムはもちろん、セカンドステージシリーズに属する高性能型MSの配属すらも現状では受けられていないディアナではあるが、
同級艦〈妹〉である以上は、デュートリオンビーム照射システム等のセカンドステージシリーズMSの母艦たる特有の専用機能は全て、姉のミネルバと同等のものを当然備え持っている。

それを活かさない手は無いと言う事で、この時はたまたま自機からより近い位置にいたディアナの方へと躊躇無くアスランはコンタクトし、
ディアナの側もその本来持てる機能の一端を発揮する機会として、遺漏無く応えたと言う状況であった。

『セイバーガンダム、照準捕捉!デュートリオンビーム、照射!』
先程のローエングリンの様な派手さでは無いが、やはり実戦においては初となるデュートリオンビームの発射を行うディアナ。

右舷艦橋脇から照射されるデュートリオンビームをその額の受光部で受け止めるセイバーガンダムは、それを自機内部でエネルギーへと変換し、これまでの戦闘機動で消耗していた分のバッテリーを超急速充電して行く。

『な、なめやがって!』
戦場のど真ん中へと奇襲をかけて来て、そのただ中で見せ付ける様に棒立ちになってエネルギー補給だと?
余裕を見せ付けて挑発をして来ているとしか思えない、その行動に激昂した幾多の地球軍パイロット達が一斉にセイバーガンダムへと向かい始めるが、
無論それは想定の内の事――アスランの、そしてこれを共に企図したマフティーらのまさに思う壷だった。

必然的に無防備となるデュートリオンビームの受光動作を素早く終え――
実際、バッテリー自体はまだ半分も消耗してはおらず、緊急性自体は無い、短照射で済む程度の補給≠ナあったのだから、
わざわざ戦闘中に敵前でそれを行って見せたのも、敵を激昂させ自身の方へと誘引させる為の身体をはった挑発の意味合いの方が強かった
――狙い通りに向かって来る多数の敵機に向けての攻撃態勢を取るセイバーガンダム。

アスランは、コクピットのセンターコンソールの中央下部にと埋め込まれた、「半球状のディスプレイ」を起動させる。
セイバーガンダムが、フリーダムとジャスティスの両ガンダムのハイブリッド型デュートリオン化モデルである事の証明――多数目標を同時に捕捉、攻撃できるマルチロックオンシステムだ。
実際には、火力と門数(精度は問わなければ)と言う意味ではアビスガンダムと言う存在があったが故に、
セカンドステージシリーズの開発陣は、むしろセイバーガンダムの方こそがそれをより持ち得ていると言う事に当初は誰も気付かなかったのだが、
高機動性と共に、ビームライフルと併せて最大同時5門の精密一斉発射が可能(原設計時で)な火力も併せ持つセイバーガンダムは、
その意味では間違いなくフリーダムの後継機になり得る、またそう呼び得るポテンシャルは持った機体だった。

機体のロールアウト後に、前大戦でジャスティスを駆っていたアスランをそのパイロットとしたいと言う、議長からの内意を受けてみて後、
ようやくそれに思い至った開発陣によって後から急遽追加装備されたのが、アスランにとってはある意味懐かしいとも言えなくもない代物でもあるこのシステムだった。

どうも、それらの人々の中に「アスラン・ザラが乗る!?」と言う事で、
やたらと熱心にもっとスペシャルな機体に!と言う音頭を取り出した――と言うよりも、異常な執念を燃やしていたと言う方がより適切だった様だが――人物がいたらしい。

ともあれ、アスランにとっては、かつてのジャスティスにおいてはミーティアを増着運用している際にのみ使用するシステムだったが、
機体特性的にはフリーダムよりのセイバーガンダムの場合は、MS単独でその運用が可能だ。

もちろん相応にエネルギーの消費もあるだけに、バッテリー駆動機のセイバーガンダムではその機能があるからと言って無闇やたらと撃てるものでもないのだが、
デュートリオンビームを受けてエネルギーをMAXにした今ならば、多数の敵機を引き付けていると言う状況からもその機能を発揮出来る、そして発揮すべきタイミングだった。

背部に背負った一対の砲撃モジュールを両脇下から跳ね上げ、右腕のビームライフル、左腕の空力防盾と共にフルバーストアタックの態勢を取るセイバーガンダム。

砲撃モジュール内のスーパーフォルティスと、射角を偏向させて同軸のそれとは別目標を狙うアムフォルタス、右腕のビームライフルの合計5門のビーム砲に、
ミネルバでの改修に伴いシールド裏面に装備されるようになったファイヤーフライ誘導ミサイルが、殺到して来る地球軍MSたちへと向けて、一斉に撃ち放たれる!

地球軍MSたちにはその猛撃が破壊の豪雨となって真正面から浴びせられていた。
それでなくとも動きの鈍る上昇機動を、頭に血を上らせてのまっしぐらにセイバーガンダムを狙うと言う単純な飛行をしてしまっていたのだ。

多数の敵機を引き付け、一気に殲滅する。
比喩ではなく、その凄まじい一撃≠ノよって地球軍の要塞防衛部隊の布陣の一角が深々と断ち割られていた。

比較的各機相互の距離が狭かった事も災いして、連鎖被弾・誘爆も多発し、
地球軍MS隊の布陣展開の只中には、それがただ一度だけの攻撃によるものだとはとうてい信じられない程の大ダメージがもたらされていた。

この戦いの趨勢を見守っている者達≠フその眼前で、セイバーガンダムのフルバーストアタックはさながら、
地球軍のこれまでの圧政の数々を咎め、そして自らの機体が持つその名の通りにそんな圧政者たちの魔手からこの地の人々を解放する為の鉄槌となって、彼らの頭上に降り注ぐ。
それは純粋に劇的であるのはもちろん、この戦いの「意義」と言うものを満天下に知らしめる、象徴であるかの様な光景だった。

その大損害に一瞬愕然となり、自失する地球軍MS隊の横合いから、
更に他のメッサーとギャルセゾンのメガ粒子ビームに、ルナマリアのガナーザクウォーリアのオルトロスからの射撃が浴びせかけられ、幾何級的に打撃が更に拡大する。

『よし、あと一押しだ!要塞を陥とすぞ!』
セイバーガンダムらの鮮やかな活躍を目にして、否応にも高まる自軍の士気をより煽るようにハイネやシベットらが叫び、
勢い付く主攻部隊の側も逆に怯みを見せている地球軍防衛部隊を各所で押し込んで行く。
目まぐるしい状況の変化に付いて行けず、周章狼狽して右往左往するだけの恐慌状態になっている司令部を流石に見限った要塞直掩部隊が、
麻痺状態の命令系統はもはや無視して、相互連絡を取り合いつつそれぞれの判断で行動を開始し、ゲルズゲーを中心とした強固な最終防衛ラインを構築して行く。
彼らにとっても、ここが最後の正念場であった。



「くっ、新手か!ええい、タイミングが悪過ぎる!」
そうユークリッドの機長が忌々しげに言うのは、セイバーガンダムらの出現がこれまた予想外の真横側からのものとなったが為に、
ちょうど絶妙なタイミングで、前線を維持する戦力と、彼に従う後方に転進を始めた戦力との間に生じた、戦力展開の分水嶺に当たる部分を直撃される格好になってしまっていたからだ。

奇襲を仕掛けて来た敵勢は少数だとは言っても、対する地球軍の側も戦力的には疎の状態の部分であり、ましてや恐るべき戦闘力を持った少数精鋭の連中である――それは、すぐに察せられる事だった。
脆い防御線をあっさり突き崩されれば、そこはもう要塞にと直接攻撃をかけられる事になる場所なのだ。

ここまでの戦いの展開を眺めて見ていても判る事だが、今度の敵軍は相当周到に作戦を練りあげて攻めて来ているのは明白だった。

(自慢の対「陽電子砲」リフレクターの、絶大な防御性能のみにただあぐらをかいて来ただけの要塞司令部のこの狼狽ぶりも、必然だと言う事か……)
そう内心で嘆息するユークリッドの機長だが、無論の事それを口に出す様な事などしない。

不屈の闘志のみが、過酷な状況の中においてもそれを打破し、あるいはその中を生き残って行く為に何よりも必要不可欠なものであるのだと、彼はそれを自然と理解し、そして自ら体現して見せている様な勇猛な戦士であった。

そして彼は一瞬の逡巡にも捕らわれる事なく、そのまま後方への転進を継続する――
無論、転進の為に行き足が既に付いているこの時点での再反転など馬鹿げた判断であると言う事もあるからだが、無論それだけでは無かった。

側面に現れた敵勢は機数的には僅か数機であり、敵の別働隊の主力は後方から峡谷に進入して挟撃すべく、こちらへと向かって来る事だろう。
僅か数機でもあれ程の戦闘能力だ。その主隊となれば、それを放置しておけばそれこそ後背からの止めの一撃を喰らって総崩れになるのは明白だ。

幸い、司令部の事は最早無視してでも自らの判断で動けた直掩部隊の多数が、的確に対抗して動いて強固な最終防衛ラインを作り上げていたし、
ここで彼らが後方側をもしっかり固めれば、まだどうにか持ちこたえられる筈であった。

敵も長駆の攻勢に出て来ているのだ。
いかにその中に化け物じみた高性能機を交えてはいても、全体で攻勢をいつまでも続けていられる筈はなく、その限界点に達するまで持ちこたえる。
そう言う常識的な判断¥繧ゥらも、最早彼らの側に取り得る戦法はそれしかなかったわけだが。

まだ自分達は決して(戦場レベルでは)負けてはいない。
願望などと言うのでは無しに、普通にそう闘志を燃やして戦い続けている事に一片の曇りも無い状況ではありながら、
しかし、同時に彼の中の冷静な戦略眼は裏腹な事実もまたしっかりと見据えてはいた。

(要塞直掩の戦力自体はまだ充分に残ってはいるが、我々がいかに奮戦しようとも、ここでの戦いの帰趨はもはや覆せまい……)

要塞を守るのと言うのは、単にハードウェアとしての要塞を守る事のみに留まらず、そのエネルギー源を確保すると言った事等も全て含めてが、そうである。

その意味では後方の発電プラントの重要性も、それへの敵襲をやはり放置してはおけないものであるわけだったが、
敵の別働隊がそちら側から更に転進して要塞の方へと攻撃をかけに現れたと言う事は、もはや既に発電プラントはザフトに破壊されている≠ニ言う事を意味している――
それは純粋に軍事的な観点≠ゥらの判断であり、元からこの地域に圧制者として君臨していた要塞部隊の連中の様な、この地域に生きる人々に対しての差別感≠フ様なものは彼には無かったのだが、
そんな彼でもやはり、今のザフトは大きく変容しつつあると言う事実を、この時点ではまだ理解出来てはいなかった。
故に、彼がその時、ザフト側が発電プラントの破壊と言う手段を絶対に行わず、また制圧している地球軍側にも行わせない事を目的としての不利な戦い方を、
あえて自ら選び取っていると言う事実などは想像の範疇外だったと言う事もまた、無理からぬ話ではあっただろう。
――即ち、ローエングリンゲート要塞の命脈は、その陥落を待たずして実質的には最早尽きていると言う事だった。

自軍の抵抗が、ザフト側の攻勢限界に達するまでこのまま持ちこたえる事が出来たなら、敵を撃退≠オ、失陥を免れる事そのものはまだ十二分に可能だろうが、
どのみちこの戦いで大きく戦力を削ぎ取られ(おそらく要塞自体も無傷とは行くまい)、その上肝心のエネルギー源まで絶たれたとあっては、「次」を持ちこたえる力は最早無い。

再度の攻勢を仕掛けられそうな暁には、この地域の地球軍の防衛線は一気にスエズまで後退する事を余儀なくされ、そしてそのスエズも半ば敵中で孤立する。

そう、彼らは既に「負けた」のだ。この地においてはもはや(戦略的には)。
前線で自ら身体を張って奮闘している兵士達のせいではなく、慢心で自らそれを招き寄せた、司令部連中の明白な怠惰と無能とによって。

だが、それ故にこそ、彼は後方への転進継続を選択した。
負けるのならば負けるなりに、その「敗れ〈負け〉方」と言う考えるべきものがあった――敵へと一矢を報い、その戦略の今後に負の影響を与え得る、せめてもの対抗手段をと言うものが。
それは友軍がこのまま敗北を喫し、スエズへの撤退を余儀なくされる事になってしまった場合の為の、撤退路を確保しておくと言う事にもなりうるからだ。

その様に思考し、行動している辺りは、良くも悪くも、彼――前大戦ではエールストライカー増着のスカイグラスパーに無理矢理ランチャー装備まで組み付け、
それでザフトの地上用MS群破壊王の名を奉られる程の戦果を積み上げた、地球連合軍屈指のパイロットの一人である――は純粋な軍人≠セったと言う事だろう。

余談ながら、前大戦でアークエンジェルの副長代理、更には同級ドミニオンの艦長を務めた故ナタル・バジルールなどは、アズラエルごときではなく彼の下でもし戦えていたならば、あるいは幸せだったのかも知れない。

そして、際どいところで防衛線の構築を終えた彼らの眼前に、案の定そちら側から峡谷へと侵攻をかけて来る敵部隊の機影が遠望された。



『正面に、敵MS隊を確認。うち1機は、バンクにない新型のMAだよ!』
早々と敵影を望遠で捉えた4ギャルセゾン機長のカウッサリアが、声を上げて友軍各機に注意を促す。

ガルナハンの街中の地球軍MSたちの制圧を終え、ジャンプフライトで先に峡谷の裏口側へと転進を開始し、その途中で反転して追い付いてきたギャルセゾン隊に合流したメッサーとレイのザク、
それにインパルスガンダム達の奇襲部隊主力グループも峡谷へと突入を始めていた。

Ξガンダムも間もなく追い付いて来るだろうが、その前に彼らもローエングリンゲート要塞を目指して、立ちはだかる最後の壁となるユークリッド以下の展開する防衛陣の突破を狙う。

再び高度を取っての戦術統制機の任にと戻った6ギャルセゾンからのデータリンクで、彼らにもこれまでの主攻部隊の戦況展開のあらましや、現状の敵味方の配置と言った戦術状況は遅滞なく伝えられている。

正面攻撃の主攻部隊をメインに、それとアスランらの先遣分隊による側面側からの攻撃に対しては、地球軍の防衛隊もその持てる残存戦力のほぼ全力を結集しての最終防衛ラインの縦深陣形を構築しているが、
時間的な状況――こちらの侵攻速度がそれだけ速過ぎると言う事を意味してもいるが――から後方のこちらに対しての防衛線は、眼前の敵部隊だけで構成されている格好だった。

それ故に、彼らの対抗選択はほとんど瞬時に為されていた。
即ち、持てる全戦力を一点に叩き付け、敵要塞本体に喰らい付く者を突破させる――その他の者達は敵戦力をここから先へは戻さじの、正面からの殴り合いだ。

そして、その突入役を務めるべきは――


『シン、行け!お前が決めて来い!』
そう言ったガウマンは、その時にはもうギャルセゾンの甲板を蹴って地上への襲撃降下機動に移っている。

(!?)
予想外のその言葉に驚いたシンは、始めたばかりの射撃戦をただ機械的に継続するだけになってしまう。
『あのコニールって子に約束したんだろ? しっかり決めておいでよ、男の子!』
エメラルダが、そう背を押す様にと言いながらガウマンの後を追い、
『お前の突破口は、俺たちがちゃんと切り開いてやるからよ』
『ああ、任せとけ!』
ゴルフとフェンサーが、同じく口々にそう言いながら、こちらは空中にあるジェットストライカー装備のダガーL達を最初に狙う、高い飛び上がりで離脱して行く。

『シン、お前に任せるぞ』
更に、白いザクファントムに乗る友人からも同様に背中を押される様な声がかかる。

『レイ、俺は……』
『シン、分かっている筈だろう? あの人達は皆、お前に前回の失敗から学んだ事を見せてみろと、そしてお前にならそれが出来る。そう言ってくれているんだ』

『皆が……俺に……?』
戦闘機動は続けながら、シンはまだ半信半疑の気分で聞いたその事実を噛みしめる様に呟く。

『俺も、あの人達と同じ思いだ。隊長やルナマリアも、ここにいたらきっと同じ事を言う筈だ。行ってこい、頼んだぞ』
そう言って、レイも自らの推力強化型ブレイズウィザード装備のザクファントムをギャルセゾンから離脱させて行く。

それを見送るシンの眼前で、早くもガウマンのメッサーが戦端を開いていた。

これまでの地球軍相手の戦場が二度とも海上をその舞台としていた為に、それを見せる機会は無かったのだが、
大地の上で行われる戦闘では、ギャルセゾンにその役目を頼らずとも着地しての再跳躍も可能になる為に、ジャンプ・フライト戦法で使用出来る空間高度の幅もそれだけ大きくなり、
よりワイルドな機動を見せて来るメッサーたちの動きに、地球軍の側は完全に翻弄されていた。

チェスで言うところのクイーンよろしく、敵陣の中央に位置して奮戦している大型MAこそ見事な攻防を見せて来て、自慢のバリアーを展開して降下中のメッサーからの攻撃を防ぎ、
また自機の背負った大口径のビームキャノンでの反撃でメッサーを捉え、その防御にとシールドを使って受けさせたりもしてはいたが、いかに単機で奮戦した処で限度がある。

ガウマンとエメラルダのメッサーと、レイのザクが眼下の地上に展開する地球軍MSとビームライフルを撃ち合いながら――こちらは敵機の攻撃を全てかわすかシールドで受けきるかしつつ、自身の攻撃では確実に相手を屠っていた――地上にと降り立ち、
その瞬間に大地を前へと蹴って各自手近な地球軍MSへと突進、持ち替えたビームサーベル(ザクはビームトマホーク)でもって斬りかかって行く。

ガウマンのメッサーは、右手にはメインビームサーベルであるヒートナイフ付きビームソードアックスを、左手にはシールド裏面に装備したままのサブビームサーベル(マラサイが採用していたモデルの発展系で、シールド懸架時にはビームガンも兼ねる長柄型の物)を発振させて、
二刀流の構えで踊り込んだ敵陣のダガーLやストライクダガーたちを、当たると幸いの勢いで次々と両断して行く。
ミノフスキー物理学方式のビームサーベルの威力の前では、この世界のビーム兵器に対してならば充分な防御力を持つ対ビームコーティングシールドも、文字通りの一刀両断にされるだけだった。

『クッ、くたばれよ!この化け物がッ!』
ソードストライカーを増着したダガーが、その主兵装の巨大な対艦刀、シュベルトゲベールでエメラルダのメッサーを狙う。
『なんのっ!』
エメラルダもソード状態で発振するビームソードアックスを構え、その大剣の斬撃を真っ向から受け止める。

『なっ!? 馬鹿なっ!』
ダガーのパイロットの驚愕は二重のものだった。
シールドを用いずに(とは言っても、巨大な対艦刀の慣性を乗せた斬撃では、それを受けたシールドは堪えきれずに破壊されてしまう事が多いのだが)、見た目は普通のものにしか見えないサーベル≠ナ軽々と受け止めた!
しかも、その状態で鍔迫り合い宜しく力比べの状態になっても、全く力負けせず押し込めない――こちらはシュベルトゲベールを両手で握っているのに、向こうは片手握りのサーベルで軽々と止めているではないか。

ダガーのパイロットには知る由もない話だったが、バッテリー駆動機と核融合炉駆動機のそのパワーの桁の違いはもちろんとして、
それだけでなくフレームの剛性や柔軟さと言った「総合的な越えがたい技術水準の壁」が、この様な場面で端的に現れると言う処だった。
――とは言え、質量差と言うファクターも有る事だし、ましてや継続中の戦闘機動の中でいつまでも1機のみを相手にしていられるものでもない。
エメラルダは拮抗の状態から素早く機体を左手の足下にと畳みながら流すと、バランスを崩してたたらを踏むダガーの右足と右手を、伸び上がる動きのままに側面から斬り払い、
その戦闘力を一瞬で奪い去るや、早くも次の敵機へと攻撃を切り替える。

レイのブレイズザクファントムも、メッサーの様に華麗に――とは行かないが、
いやむしろ、ショルダータックルやキックを多用するラフファイトと言う感じの、常の彼からは想像も付かない様なスタイルを見せながら戦っていたが、
そんな激しく荒々しい戦い方をしていると言う事自体が、彼の変化(本人が自覚しているのか?は未だ未知数だが)を物語っている様にも見えた。
――実際には、一見粗野にしか見えないそう言う駆動も、実は「赤い彗星」よろしく乱戦状態の中での機体の効率良い機動を計算してやってのけている、
むしろこの世界のMSの機動としてはより高度なものだったのだが……。

一方、ジェットストライカーパックの翼で上空に展開するダガーLたちにとっても、頭上から受ける攻撃にほとんど防戦一方で、地上の友軍機の援護どころではなかった。

上空から制御落下≠ナ降下しつつ攻撃を仕掛けるフェンサーとゴルフのメッサーが、今やお得意の形となりつつある、
右手のビームライフル、左手の76ミリ重突撃機銃に左腕シールド下のサブビームサーベル転用のビームガンを駆使した矢継ぎ早の交互射撃で、
恐るべき高精度かつ、たった2機によるものだとは到底思えない程の勢いの猛攻撃を繰り出して、あっと言う間にダガーL隊を圧倒して行く。

まだ当分は余裕があるとは言え、消耗の事もきちんと考慮してはいる結果として、エネルギー供給系の違い等の問題も生じ様の無い、ザフト製の実体弾兵器を積極的に導入する様にもしていたマフティー側だったが、
そのフレーム剛性の高さ故にジンやシグー、ディンと言った本来の使用機であるザフトMSでは不可能な、人間用の銃弾で言うところの「強装弾」の仕様にした独自の機関砲弾を用いる事が出来る為、
同じ火器を使ってはいても当然により強力な攻撃を繰り出している事になる。

ビーム兵器が普及して以降は、ザフトの新型機は大半が右へ倣えと言う感じに一気にビーム兵器偏重の様相を呈しつつあったのだが、
そもそもがデタラメな(様々な意味で)フェイズシフト装甲などと言う代物を持っているごく少数の機体を別にすれば、別段ビーム兵器でなくとも堅実な実体弾兵器で充分であるわけで、
こうしたマフティーの実際の運用法や、ここでの戦闘でハイネがコロンブスの卵を割って見せた「実体弾兵器の新たな可能性」などの戦訓――
机上の空論では無く、実戦と言う実践でもって(まさに汗血により)検証された結果である事に基づいて事後の修正と発展をはかると言う、コーディネーターが陥りがちな悪弊への痛烈なカウンター
――はやがてザフトの内部にも徐々にと浸透して行き、そのバランス感覚を揺り戻す働きをする事となるのであった。

そうやって降下しながら攻撃をしていたフェンサーとゴルフの機体が地上付近の低空にと舞い降りてくると、
今度は入れ替わりにエメラルダとガウマンのメッサーがバーニアを吹かして空中高く跳び上がり、空中と地上との分担を交代して地球軍への攻撃を続行する。

無論、その間ずっと変わらずに上空のギャルセゾン隊からもメガ粒子砲の援護射撃が放たれていたが、
わけても片や機敏な回避、片や回避とバリアーでの防御と言う対照的なスタイルでの攻防を交わすユークリッドとのやり合いは、なかなかの見物だった。

空荷になっても単独で戦闘を行えるギャルセゾンは、機体サイズやその火力・運動性など、空中機動飛翔体の範疇は軽く飛び越えて、もはやユークリッドと同等以上のMAとして見なされる方が妥当な印象であった。
――事実、この戦いのそれ以降、地球軍側ではギャルセゾン(その頃には機体の呼称も判明していた)の事を敵軍の強力なMAとしてカテゴライズすると共に、
その機上に載せたMSとの連携と言う戦術的特性を見せ付けられた事による、ジェットストライカーの普及に比例して廃れつつあったレイダーガンダム(正式採用型)の特性が
にわかに再び見直される様になると言う影響も生み出すのだが、無論それはここではまだ未然の話だ。
マフティーの各機とレイのブレイズザクファントムの猛攻は、シンのインパルスガンダムにこの防衛陣を突破させる隙間をこじ開ける為に、狙いを付けた敵陣の一角に集中していた。
攻撃の集中は無論効果的ではあるが、反面でその他の健在な敵機多数に下手をすれば包囲されてしまう危険性をも孕んでいる。
個々の性能では優越しているとは言え、単純な数としてならばやはり地球軍側の方が圧倒的に機数は多いのだ。

しかしそんなリスクはよく理解しているその上で、彼らは何の躊躇も無しにその戦術を選択していた。
昨夜の一時の語らいで、シンやアスラン達のその「理由」をより深く理解した彼らマフティーの面々は、そんな少年の為に(文字通りに)道を開いてやろうと言う想いでいたのだ。
それが、今この瞬間に彼らが大人として∴ラすべき事だった。

シンがインド洋で犯してしまった過ちを、直接的に償う事はもう出来ない。
時計の針は戻らず、喪われた命もまた、還る事は無い。
だが、その苦過ぎる経験を糧にして今度はその「想い」を、正しい形でやり通してみる事でこの地の人々を救う事が出来たなら、それがある意味では犯した過ちへの償いにもなり得ると言う事はあるかも知れない。

汚名の返上と言うのは無論あるわけだが、それ以上にシンが自分自身の在り方〈戦い〉と言うものを本当の意味でもう一度考える、その為に必要な事でもある筈で。
だから、「ここから先はシン」だったのだ。

そして、彼らのその勢いは鮮やかに地球軍の防衛陣のただ中を見事突き破っていた。

『シン、何してやがる!とっとと行きやがれっ!』
ガウマンの声がシンの耳朶を叱咤する。

『そうだよ、行きな!』
『お前の背中は、どいつにも撃たせないぜ!』
エメラルダが、フェンサーがそう叫ぶ。

『シン!』
ゴルフの、ギャルセゾンに乗るマフティーのメンバー達の、そして友〈レイ〉の、共に戦う人々が異口同音に自分の名を呼んで背中を押してくれる、幾多の声、声、声。

かつて味わった事のない、熱いものが胸の奥底から湧き上がって来て。
それに突き動かされ、シンは絶叫する様な雄叫びを上げながらインパルスガンダムのスロットルをいっぱいに押し込んでいた。

『シン・アスカ、行きますっ!』
そう言葉を残して、戦友達が拓いてくれた途へとまっしぐらにインパルスガンダムに宙を駆けさせる。

「おのれっ、通すものかよ!」
何者も通さじと、立ち塞がろうとする地球軍の各機。
「邪魔をするなあっ!」
そうはさせじと更に攻めかかるメッサーたちとザクファントム。

双方の意地と意気とが激しく激突するその中を、インパルスガンダムはこじ開けられた回廊の中へと一直線に突入し、そしてそこを突破して要塞の方へと向かって一気に飛び去って行った。

『よぉし、よくやった!』
快哉を叫ぶように言いながら、慌ててインパルスガンダムの後を追おうとする敵機に自らのメッサーを躍り掛からせるガウマン。
「必死に頑張ってる坊主のなぁ、邪魔をするんじゃねぇよッ!」
そう叫びながら斬りかかるガウマンの攻撃も、更に熾烈に火を噴いて行く。
『アスラン!シンが行ったよ! 援護、頼んだよっ!』
6ギャルセゾン経由で、そう彼方の友軍に通信を入れる4ギャルセゾン機長のカウッサリア。
彼女らにしてやれる事はもはやそれまでだった。後は信じて託したシン次第。
その背中から襲わせる事が無い様に、ここで地球軍の部隊を足止めする事に専念するだけだ。

ガウマンらと入れ替わって、地上でやはりビームサーベルを両腕に発振の構えでの近接戦に入るフェンサーとゴルフのメッサー。
ビームサーベルと共に、ザク系のMSとしては比較的珍しい装備(採用はマラサイやザクV改くらい)である頭部のバルカン砲も、それと併用で威力を発揮していた。

その口径はU.C.世界では標準的な60ミリのものだが、威力と射程は地球軍の75ミリ砲イーゲルシュテルンやザフトの76ミリ砲ピクウス等を軽く凌いでおり、
また発射速度の面でも、各勢力ともに現在主流化しつつあるCIWSとしての機能に特化の小口径高速機関砲にも見劣りしない。
装甲防御力の差異を考えれば相対的に、接近戦においては牽制用どころか立派なメインアームにもなる道理だ。

折しもフェンサーの駆るメッサーが、手近なストライクダガーの構えたシールドをビームピック状態のビームソードアックスで叩き割り、無防備になった機体へと頭部バルカン砲の追撃を叩き込んで蜂の巣にする。
ストライクダガーが爆発を起こした時にはもう、次のソードストライカー付きダガーへと斬りかかっているメッサーだったが、シュベルトゲベールごとダガーを斬り払ったその後背へと、上空から急降下で襲撃を仕掛けようとするダガーLがいた。

(!)
フェンサーがそれに気付き、迎撃すべく機体を素早く反転させ終えた瞬間、しかしそのダガーLは後背から打撃を喰らったつんのめる様な姿勢でその頭部を粉砕されて、そのまま大地へと叩き墜とされる。

『フェンサー!』
そう通信を送って来たその狙撃の射手は、大型の狙撃用ライフル(本来は長距離偵察用副座型ジンの装備で、ミネルバ内で強化改良が施された物だ)を構えたディン――ミネルバから出撃したアリシアの駆る空戦MS隊の内の1機だった。
改修に伴ってセンサー系も強化された結果、そういうスナイパー型の運用法が可能となった彼女のディンカスタムを含むミネルバ空戦隊の各機の他にも、複数のディンやバビの機影が見える。

『アリシアか!助かった』
そう応じるフェンサー。本当はそれが無くても充分に迎撃は間に合っていた筈だが、純粋にそういう援護があり、またこうしたやり取りが出来ると言うのは嬉しいものだ。
それに、こうして主攻側から攻めかかっていた筈の彼女ら空戦MS隊がこちらにとやって来ていると言う事は、戦況の方もおして知るべしと言う事でもあったし。

峡谷の中をまっしぐらに要塞の方へと飛ぶインパルスガンダムとはちょうど入れ違いに、
空戦MSである特性を活かしてセイバーガンダムらの逆コースを行く格好で回り込んで支掩にと駆け付けて来てくれたわけだが、
ミネルバ空戦隊の各員がそうして自身の戦況判断でその様な機動を選んで来られた辺りが、マフティーからの薫陶を早速実際の行動にして見せて来たと言える処だったかも知れない。

主攻部隊と対峙している防衛部隊主力が、その状態で背後にアスラン達からの奇襲を受けて混乱し、被害を増大させられていたのと同様の格好が、反対側のこちらの防衛線においても現出する事になったのだった。


『くっ、こいつらは……!正真正銘の化け物≠セったか!』
さしものユークリッドの機長が、そう声を上げていた。
一流は一流を知ると言う道理の通りに、かく言う彼自身が傑出したパイロットであるからこそ、今こうして対峙している敵手が並々ならぬ脅威である事を、まさに肌で感じさせられている処であった。

(機数の少なさに惑わされていた!本当の主攻は、こちらの方だったのだ!)
肌がひりつく様な戦いの空気を読む感覚と共に、それを悟るユークリッドの機長。
そしてその本能的な感覚≠フままに、いきなりシュナイドシュッツを展開させる。

「中佐!?」
副操縦士らが訝しむ次の瞬間、展開されたそのバリアと相殺する程の強烈な一撃が彼らの乗機を襲う!
彼方より駆け付けて来つつあるΞガンダムからの、最大出力にしたビームライフルの一撃だった。
Ξガンダムのビームライフルもνガンダムのそれと同様、最大出力で撃つと戦艦(無論、U.C.世界の)の主砲にも匹敵する威力を発揮する程のものだ。
防御にこそ成功していたものの、その一撃だけで展開したシュナイドシュッツのバリアーの方も相殺されていた。

『なんと言う一撃だ!これがMSの火力だと?』
流石の機長が呻く様に言う。
ユークリッドこそは耐えきって無傷だったものの、周囲にいたMS数機がその一撃で(その余波だけでも)爆散させられている。
その威力もおして知るべしであったが、実はΞガンダムにとってはそれが最大火力と言うわけではない≠ニ言う事実をもし知ったならば、果たして彼らはどんな顔になったであろうか?

この世界に来てからまだ一発も使っていないファンネルミサイルなど、言わば飛車角落ちで戦っている様なものであるΞガンダムは、まだまだその超絶的な戦闘力の一部しか見せてはいなかったのだが。

『ええいっ、墜ちろ!化け物めっ!』
なお猛スピードで一直線に迫り来るΞガンダムに向けて、デグチャレフ連装大型ビームキャノンの連射を浴びせ掛けるガンナー兼任の副操縦士。

さすがに長年機長と組んで、多数のザフトMSや陸上艦を潰してきた射撃の名手が繰り出す火箭だ。
その機体が大きいと言う点に関しては、的が大きくなっていると言う事でもあるわけだし、またハサウェイの方が回避機動を行っていなかった℃魔熨鰍ワって、超音速で飛ぶΞガンダムをしっかりとその照準内に捉えてはいた。

「喰らえっ!」
狙いすまして、エネルギーも溜めた必殺の一射を放つ。
そしてその二本の火箭が見事に迫り来るΞガンダムへと吸い込まれて行く。だが――

『なっ!?』
次の瞬間、一様に驚愕で満たされるユークリッドのコクピット内。

完璧に敵機を捉えたデグチャレフのビームが、その巨体の周囲を覆う閃光≠ノぶつかった瞬間に煌めきを発して空しく拡散され、何のダメージも与える事が出来なかった。

『バリアーだと!』
『まさかっ!? 奴にもシュナイドシュッツが?』
交互に声を上げる機長と副操縦士。
光壁のエネルギーシールドでビームを無効化するのを目の当たりにしては、彼らがそう思ったのも無理は無い。

無論、本来この世界の機体〈存在〉ではないΞガンダムが展開しているのは対「陽電子(砲)」リフレクター・シュナイドシュッツではなく、ミノフスキー物理学の産物、ビームバリアーなのだが。

ハサウェイがことこの場に限っては回避機動を一切行おうとしなかった@摎Rもつまり、それだった。
両側を切り立った崖に挟まれた峡谷の内部と言う特殊な地形の故に、元より回避機動に使える「空間的余裕」が限定されると言う地形的制約が有ったわけだが、
ことミノフスキー・システムを持っているΞガンダムの場合には、反面でその地形的な条件が逆に有利に働くと言う部分も有るのだ。

機体の下面に発振したミノフスキー粒子同士の反発力で重力を相殺し、機体を浮揚させるミノフスキークラフトだが、
峡谷の様な地形下においては周囲の壁面にぶつかって跳ね返って来るミノフスキー粒子が多数存在する効果により、通常よりも少ない発振量で機体を浮揚させる事が可能になる。

Ξガンダムが搭載するミノフスキー・システムは、ミノフスキークラフトの単機能だけを持つものではなく、同一原理の別機能であるビームバリアーを形成するシステムとも機構的に一体化させた代物であり、
ミノフスキークラフト用のシステムは、それを反転させればそのままビームバリアー発生システムの補機としても働くと言う仕様になっている。

つまり、ミノフスキークラフトが使用されない、もしくは低出力運転の状況下の場合においては、その余剰エネルギーを利用してビームバリアーの出力を強化する事が可能になるのだ。
故に、未使用時のミノフスキークラフトの機構が単なるデッドウェイトになるなどと言う事はない――搭載した機構全体を指して「ミノフスキーシステム」と誇称される所以だが、
コスト性にはあえて目をつぶるハイエンド機なりの「合理性」はきちんと追求が徹底されてもいる、そう言った辺りこそが、真の意味でU.C.世界のMS設計概念がC.E.世界のそれを卓絶していると言える点であったかも知れない。
そしてミノフスキークラフトの機能自体はもちろん使用している処ではありながらも、地形的条件によって通常よりもそのエネルギーを押さえる事が出来るここでは、
そうして浮いた分のエネルギーを使ってビームバリアーの威力を高める事でその防御力をより引き上げ、敵機の攻撃の大半を無力化する事が可能だと言うわけで、
ならば回避機動を省いて一直線に飛ぶ事で、より速い飛行(移動)をこそ選択すべきと言う事になっていたのである。

『くっ、この! 墜ちろ!墜ちろッ!!』
そう叫びながらΞガンダムへの攻撃を続行する副操縦士。
確実に捉えていながら墜とせないと言う、悪夢の様な存在を相手に、それでも恐慌に陥る事には抗いつつ、命中弾自体は更に出してもいた辺りは歴戦の兵士たる者の最後の矜持であったろう。

今までも、そしてこの先にも繰り返される状況ではあるのだが、本当に相手が――そして、そんな相手と対峙する羽目になった運が――悪過ぎたと言う以外には言い様が無い事だった。

ユークリッドから浴びせられる猛射の中を突っ切って、肉迫するΞガンダム。
展開されたシュナイドシュッツの光壁へと、ハサウェイは瞬間的にミノフスキークラフトを止め、バリアー前面への出力を一気に偏向させて高めたガンダムの機体を正面からぶち当てる。

シュナイドシュッツとビームバリアーが衝突し、壁状に展開されるシュナイドシュッツの光壁に
円錐形に展開するビームバリアーの先端が突っ込んで来た勢いを乗せての一点突破で突き刺さり、そして突き破った!

「馬鹿なッ!?」
その信じ難い現実にユークリッドのコクピット内が凍り付く暇すらも与えずに、肉迫を果たしたΞガンダムが攻撃にと移っていた。
万が一の防御用にと機体の前に構えていたシールドを肩側へと引き戻して、鋭角的なその先端をユークリッドへ向けて一気に突き込む。

「ぬうッ!」
とっさに操縦桿を左に押し込むユークリッドの機長。
こちらの反応速度も驚愕と尊敬に値するものだったが、結果的にはそれが彼らの運命を決してしまったかも知れない。

攻撃を仕掛けたハサウェイは、シールドの先端にツインビームスパイクとなるビーム刃を発生させ、それをユークリッドの右舷側のデグチャレフの基部に突き立てようとした。

こちらもν/Hi-νガンダムの設計に倣って、シールドの裏面には独自のジェネレータを持ったビームキャノン(一年戦争時のビームライフル程度に相当する威力)を装備しているΞガンダムだったが、
原型機のそれに比べてやや小口径化した代わりに連装化しているのは、連装ビームキャノンのその砲身のカバーを
そのままシールド裏に懸架して携行するファンネルミサイルのラックにも用いる設計であるからだ。
そしてもちろん連装ビームキャノンも、砲口からビームランサーとして発振して接近戦でのビームスパイク状の打突攻撃が可能となっている。

可能ならばだが、虜獲できれば今後に役立つ事だろうと言う狙いもあってユークリッドの戦闘力のみを奪って行動不能に追い込もうとしたハサウェイだったが、
ユークリッドの側もなまじパイロットの腕が立つだけに、回避しようと言う反応が出来てしまったせいでその当ては外れ、
その結果として突き出されたシールドビームランサーはユークリッドの右の機関部を直撃する事となった。

『ちッ!』
二重の意味で狙いが外れた事にΞガンダムのコクピット内で舌打ちするハサウェイの後方で、一瞬で飛び抜けたユークリッドが回避を試みた機体の体勢を崩したままの状態で、右舷側で小爆発を起こす。

そこから黒煙を吐き出しながら峡谷の出口側の方へ、ユークリッドは機体を不安定に揺らしながらゆっくりと高度を下げて行く格好で墜ちて行く――
その姿が手前の断崖にと隠されて直には見えなくなる彼方から爆煙も、その衝撃波も来なかったと言う事は、恐らく不時着には成功したのだろうと思われた。

無論、今はわざわざそれを確認しに行っていられる様な状況では無いが、
要塞を――ひいては地球軍将兵達の士気をも難攻不落たらしめていた、守りの要だったMAの片方が墜ちたと言う事実、ただそれだけで充分だったのだ。
433通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 11:28:51 ID:???
支援!
434166:2009/03/12(木) 11:33:07 ID:???
ご支援ありがとうございます(^^;
と言うわけで、(13)前編の投下の方、行かさせて頂きましたー!

やっぱり受けはいいだろうなぁとは思っておりました、
間違いなく地球軍随一の勇者(笑)でありますユークリッドの機長には、
名残惜しいながらもここで一旦ご退場を頂きましたが、
彼のモデルが誰か?は、分かる方には大体想像付くのではと思います(苦笑)

次回は(13)中編となります。
いよいよガルナハン・ローエングリンゲート要塞攻防戦も終盤ですが、
また見てやって頂けましたら幸いです。

それではまたです
435通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 16:00:09 ID:???
GJ!
436通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 21:42:38 ID:???
戦術面での連合ザフトの変化フラグは立ったけど、技術協力による結果は何時頃でるんやろ?
437通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 21:51:30 ID:???
「未知の性能」を持った相手の
「奇襲」がまるっとハマった状態だもんなあ
ユークリッド機長はじめとした乗員はまっとうな能力もってた故に返ってキツかったってことか
438通常の名無しさんの3倍:2009/03/13(金) 17:58:33 ID:???
ただ、ミネルヴァがいる方面での戦いは優勢でも、確か他の戦線は空が飛べる連合のMS部隊によってザフトは劣勢を強いられていたはず。
局地的にはザフト優位だけど、全体的には連合優位だったのをひっくり返したのがデュランダルのロゴス批判演説。
439通常の名無しさんの3倍:2009/03/13(金) 18:02:00 ID:???
ユダヤの仕業なんですよ!
陰謀論乙。
とならなかったのはなんでだろー。
440通常の名無しさんの3倍:2009/03/15(日) 10:48:00 ID:???
鯖移転か
441通常の名無しさんの3倍:2009/03/15(日) 22:45:10 ID:???
マフティー13話前編がまとめに登録されてなかったんでやっといた
初めてなんで間違いないかチェックヨロ
12話後編の方は新しい修正版にした方が良いのかわかんなかったんでやってない
442通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 07:08:59 ID:???
保守
443通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 22:58:45 ID:???
もし種世界に黒マントにバンダナのトラブル・コントラクターが来たら。
『ちゅ、中佐がっ!』
まさに頼もしき守護神として最前線に自ら立ち続けて身体をはって戦い、敵軍の侵攻をくい止めてくれていたユークリッドが喰われた。
その事実を数瞬遅れて認識したその瞬間、地球軍将兵達の闘志を支えていた最後の砦もまた、事実上崩れ落ちていた。

『も、もう駄目だ!俺達は皆殺しだっ!』
とうとうパニックに陥った幾名かのパイロットが、操縦を放り出して自機のコクピット内でそう頭を抱えて叫ぶ――もっとも、戦闘中にそんな事をした者達は、その直後に攻撃を浴びて爆散して行く事になるのだったが。

これまでとは全く次元の異なる怯みに襲われて、完全に浮き足だっている地球軍に対して、攻めるマフティー・ザフト両軍の方は反比例していよいよ勢い付く。

ユークリッドを墜とした化け物MS〈Ξガンダム〉が留まって加勢に入った後部防衛線は、背後から狙い撃つミネルバ空戦隊らからも挟撃を受けた事も相まって、恐慌状態の只中に驚く程の短時間で粉砕されて行った。

要塞前面の主攻部隊が詰める正面戦線の方でも、素人目にも明らかな程に比我の勢いは決定的になりつつあった。

そして、そんな地球軍に止めとなる最後の一撃を叩き込むべく、その裏側からシンが一人、インパルスガンダムで征く。


シンの前方から無数の攻撃が、雨あられと襲いかかって来ていた。
かたくなに持ち場を離れなかったと覚しき点在するMSや、地上や峡谷の岩壁に設置されている機関砲やユニット型のミサイル発射機と言った要塞の防衛システムがインパルスガンダムを狙って来るが、
それらをかわし、かいくぐり、シンは一心不乱に機体をひたすら前へと駆けさせていた。

(くそっ、まだ遅いッ!もっと……もっと機敏に動かさないとっ!)
そうあせる気持ちを必死に押さえようとしながら、シンは懸命の操縦を続けている。

ビーム攻撃は仕方ないとして、実体兵器の攻撃ならばVPS装甲を持っているインパルスガンダムには恐れる必要性は基本的には無い。
それでも直撃を受ければ衝撃に機体を振られたり、爆風に押し戻されたりと言う状態までは避けられず、その分だけ行き足が鈍る。
時間が勝負のこの状況下ではその「無駄な時間」の積み重ねこそが惜しいから、そう言った直接的な意味での脅威度が低い攻撃をも徹底的に回避しているのだ。

シンが狙うのは、再度の発射のチャンスを窺おうとしてエネルギーをチャージしたまま戦況の推移にその機会を逸していながら、漫然と露頂展開されたままでいるローエングリン。

万が一、自軍を巻き添えにしてでもの苦し紛れの発射が敢行されようものなら、至近まで押し込んでいる友軍主攻部隊に甚大な被害が出るのは確実だった。

それ故にシンは急ぐ。
その前に一気に肉迫して、発射や要塞内への格納が行われるその前にローエングリン砲塔を破壊する――この地に圧政を敷いている地球軍の傲慢な力のその源泉を叩き潰して、コニールやあの少年達に「明日の自由」を取り戻すのだ。

しかし、だからこそシンは焦燥を覚える。
目と鼻の先に、手を伸ばせば届きそうなくらいに間近に迫っているのに、まだあきらめようとはしない地球軍の抵抗線に邪魔されて、その「あと一歩」が遠い。

見れば、ようやく要塞側も気が付いたのか、ローエングリンの発射をあきらめ、分厚い岩盤のシェルターの中へとその砲台を格納しようと言う動きを始めている様だった。

「約束したんだ!任されたんだ! ここであきらめてっ……たまるかよおッ!」
自らを叱咤し、鼓舞する為にシンはそう叫びながら突撃を継続する。

と、その眼前に散開して配置されていて激しく撃ちかけて来る地球軍のMSや防衛システムたちへと、斜め上方から絨毯爆撃をするかの様なビームの豪雨が浴びせられ、一瞬遅れて猛烈な爆発が巻き起こる。
――それら立ちはだかっていた敵の陣容が各所で寸断され、炎上していた。
『シン!そのまま進めっ!』
自身も当然戦闘中のアスランが、自らの相対する敵機群にと隙を見せる事になるのを承知しながらセイバーガンダムに再度のフルバースト攻撃を敢行させて、インパルスガンダムへの援護射撃を放ってくれたのだ。

『はいっ!』
シンもそれだけを応じて、そうして造られた敵陣の混乱から生じた隙の中を縫うように愛機を飛ばす。

「そうだ……。行け、シン!」
迷いを振り払ってまっしぐらに飛ぶインパルスガンダムの姿に、シン自身の強い決意を感じ取りつつ、アスランもそう呟く。

『隊長!』
(!)
その次の瞬間、6ギャルセゾンに乗るメイリンからの警告の通信と同時に、セイバーガンダムのコクピットにもセンサーからの敵機急接近の警報が鳴り響く。

『くたばれっ、この野郎ッ!』
シンへの援護の為に背中を見せる事になっていたその隙を狙って、正面から仕掛ける事には躊躇を覚えていた数機の地球軍MSたちが、チャンスと見て襲いかかって来ていた
――もっとも近い1機は既に、その手にビームサーベルを抜き放っている距離にまで迫っている。

MA形態に変化して離脱する余裕は無い。
そう判断するや、アスランは逆に機体を反転させながら自らも、逆に迫る敵機へと前掛かりに踏み込んで迎え撃つ。

「何っ!?」
シールドを構えようとも、肩口のサーベルを抜こうともせずにそんな機動をするセイバーガンダムの動きに、瞬間戸惑ったそのウィンダムのパイロットは、
その隙に自らの方が逆に間合いを詰められている事に気付いて愕然とする。

こちら側の戦線では初めて見せる脚部ビームクロウによる蹴斬撃に、ビームサーベルを構えた右腕を斬り飛ばされ、
返す勢いで更に斬りつけられたシールドビームサーベルにジェットストライカーの片翼のあらかたを斬り裂かれて、そのウィンダムは返り討ちで墜落して行った。

それを横目で一瞥して、アスランは向かってくる他の敵機へと、今度は逆に自らの方から迎え撃ちに突っ込んで行く。

『ルナマリア、頼む!』
そう叫んで促した通り、そうする事で自身で敵機を引き付け、ルナマリアのガナーザクとそれが載る1ギャルセゾンにシンへの援護射撃役を引き継ぐ為だ――
もっとも、1ギャルセゾン機長のレイモンド辺りならば、黙っていても言わずもがなでそう動いてくれる事ではあろうが。

そしてアスランが動いて確保した援護の可能な進路を、代わってインパルスガンダムへの援護を行うべくガナーザクウォーリアを載せた1ギャルセゾンが前進する。

『シン……』
単機で敵中の低空を駆けているインパルスガンダムの機影を目にして、今や大切な存在となった相手の名を無意識に呟くルナマリア。

『おお!アイツ、やるじゃないか!』
『汚名返上のチャンスだぞ! 気張れよっ、シン!』
そんな彼女を励ます様に、1ギャルセゾンに乗るマフティーの面々が口々にシンを鼓舞する様な声を上げた。

(皆さん……)
荒削りだけど、本当の真情が素直に込められた彼らの気遣いに、ルナマリアの胸の奥にもあたたかな気持ちが湧き上がる。
例えそれらの声自体が届くことが無くても、そんな彼らからの気持ちはシンにも必ず届いている筈だ。

自分も彼〈シン〉と同じ、そんな彼らに気付かせてもらった様々な事への想いをもって、今この時を戦う。それのみだった。
446通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 15:33:07 ID:???
支援
ルナマリアは周囲の戦場を見回し、ローエングリン砲台へとひた走るインパルスガンダムを長距離射撃で狙おうとしている2機の砲戦型MSの存在に気付く。

「まずいっ!」
ランチャーストライカーパックを装備したダガーに、バスターダガー。
どちらも長射程・大威力のビーム砲を装備する、PS系の装甲を持った機体であっても侮れない存在だ。
ルナマリアは急いで腰だめに構える長大なオルトロスの砲身をそちらへと振り向け、照準を開始する。

『っ!ロックされた!?』
それらに狙われたインパルスガンダムのコクピット内に警報が鳴り響いた瞬間、そのロックオンをかけたランチャーダガーに向かってのオルトロスの一撃が放たれていた。

『当たれええぇっ!』
自らが遠い間合からの狙撃を目論んでいただけに、逆に自身が狙われている可能性に対しての警戒が無意識に薄くなってしまっていたランチャーダガーは、その分だけガナーザクウォーリアからのロックオンへの反応が遅れ――
おそらく、そのままインパルスガンダムを撃つか、それとも新たな脅威にと目標を変えるか(と、思った処で間に合う筈が無いのだが……)をとっさに迷ったらしい
――腰だめに構えていたアグニを放つ事も出来ずにそれごとオルトロスのビームを浴び、発射態勢にあったアグニもろとも爆散する。

『ルナ!』
遠く、滞空するギャルセゾンの機上に巨大なビーム砲を構えて立つ赤いザクの姿が見えた。

『シンっ!そのまま飛んで!』
『ここは任せろ!』
ルナマリアから、そして彼女のザクを載せる1ギャルセゾン機長のレイモンドからの通信が、連続して飛び込んで来る。

『……ああ!』
口に出しては、ようやくそう言うのだけで精一杯だった。

今、戦っているのは自分自身だけれど、それは自分一人のだけのものではなく、共に戦ってくれる人々の有形無形の助けを借りて為しえている事なのだと、
インパルスガンダムを駆りながら、シンはその事実をひしひしと実感させられていた。

『中尉っ! くそおっ、邪魔者がぁ!』
確率1/2の狙撃を免れたバスターダガーが、こちらは躊躇無く攻撃の目標を僚機を屠った上空の敵MSへと変更する。
同じ長距離砲戦型MS同士、今度は不意打ちではない正面からの一機打ちだ。

「中尉の仇だ!喰らえっ!」
先手を打ったのはバスターダガーの側。両肩のミサイルポッドに格納された3連装ミサイルを、同時に上空のガナーザクとそれを載せた敵軍MAへと一斉に撃ち放す。

接近するミサイルに対して、ガナーザクが自らの大型ビーム砲からの射撃で迎え撃ち、直撃コースを飛び来るミサイルたちを殲滅する。

攻撃失敗。だが、バスターダガーのパイロットには舌打ちも落胆も無い。
ミサイルでの攻撃はむしろ牽制であり、また敵機にこちらに向けられるのではない射撃を行わせてしまう事が狙いであったからだ。
むしろその意味では、(かかったな!)と言う快哉を上げても良いくらいだった。

その意気のままに本命の攻撃に移るバスターダガー。
右腰の脇で連結した超高インパルス狙撃ライフルが、ギャルセゾン機上のガナーザクウォーリアを狙う。
448通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 15:38:33 ID:???
再び支援
ロックオンのマーカーが空中のガナーザクを捉えた。
『墜ちろっ!』
その瞬間、躊躇無くトリガーを落とす。
超高インパルス狙撃ライフルから放たれた、敵機の大型ビーム砲にも匹敵する強烈なビームの奔流が一直線に上空へと駆け上がる。

『ロックオンされたわっ!』
『ルナマリア!』
今度は自らの側が狙われた警報音に声を上げるルナマリアに、その名を呼ぶ事で合図を送るレイモンド。

『了解!』
そう応じたルナマリアが取った待避行動は、バスターダガーのパイロットの予想を遙かに上回るものだった。

ルナマリアはオルトロスを構えさせた格好のそのままに、ザクウォーリアのバーニアを吹かせると、その甲板上を蹴って上空へと跳び上がる。

『なっ!』
驚愕するバスターダガーのパイロットの眼前で、ギャルセゾンの方もまた、ザクが離脱する反動も利用して一気に機体をストンと落とす格好の急降下を行い、
上下の空中にしばしの分離を行う格好で、超高インパルス狙撃ライフルからの高出力ビームをその間の空中に空しく行き過ごさせた。

『今度はこっちの番よっ!』
何度も繰り返した訓練の成果。レイほどではないにせよ
ルナマリアもまた、取り回しの大きいガナーウィザードを装備した状態でもジャンプフライト戦法による、この程度の回避機動が行える様になっていた。
そしてそんな機動が出来れば、回避機動中も再びの攻撃に移る為の照準も継続できる。

今度は空中から地上へと、狙い澄まされたオルトロスの野太いビームが迸り、バスターダガーを襲う。
咄嗟に回避に入っていたバスターダガーだったが、半分程度しかかわしきれずに超高インパルスライフルを構えた右半身側が、その構えていたメインアームともどもオルトロスの強烈なビームの奔流に削ぎ取られていた――
そしてその次の瞬間に起こった爆発をもろに受けて地面にと薙ぎ倒された。

もはや戦える状態にはないだろうと言うのは明白なので、それ以上に攻撃は加える事はしないルナマリアとレイモンド達。

重力に引かれて降下して行くガナーザクウォーリアのその真下へとレイモンドがギャルセゾンを回し込み、
再び機上にと両足を付けたルナマリアは、次の脅威となりうる対象の存在へと意識を配るのだった。


目の前に、一筋の道≠ェあった。
峡谷の中、左右下面から自らに向かって飛んで来る無数の砲火の中を、目指すローエングリンへとひた走るシンの前方に、それが拓けていた。

向かい来る弾雨の中を、まっしぐらに愛機を前へ前へと駆けさせながら。
シンは今、かつて抱いた事が無い言いしれぬ熱い想いの中に在った。

ここに至るまでの様々な出来事が、どこか覚醒している様な不思議とくっきりした意識の中で、立て続けに想起されている。

ある日突然に、自分の生命以外の大切な全てを踏みにじられ、奪われた二年前のあの日の事。
余りの理不尽さと、己の無力とを嫌と言う程に味わわされた、今こうしてザフトのMSパイロットとして戦っている生き方を選ばせた、その原点を。
親身になって世話をしてくれたオーブ軍の士官、トダカさんが行かせてくれた、異国の地≠ナあったプラント。
そこでアカデミーに入った異分子≠フ自分にも分け隔てなく接して来てくれた、そのまま一緒にミネルバの乗員となった同期の戦友のみんな――
つまり、レイやメイリン、ヴィーノ達はプラントと言う「生き慣れない社会」で得る事が出来た、かけがえない友人〈仲間〉達なのだ
――遅まきながらもそれに気付かされた時に、自身の未熟さに恥ずかしさを覚えつつも、同時に心の内にあたたかいものが満たされるのを感じた。

そして、その中でも一番大切な存在となった彼女――ルナマリアの事。
自分が独りよがりを極めた果てに大きな過ちを犯してしまった、どうしようも無くなってしまっていたその時に、彼女が自分の傍にいてくれた。
知らずに多くの人々を傷付けてしまっていたと言う現実≠ノ、自身もまた深く傷付いて慄えていた自分の心ごと抱きしめて、温もりを与えてくれた。
今、生きていると言う事のあたたかさを教えてくれた。
それがあったから、どうにか自分はそのまま崩れ落ちてしまわずに済んだ。

だからこそ、その後の二つの出会い≠きっかけに、もう一度パイロットとして戦いの場に立つ、その決意も付けられたのだと思う。

マハムール基地で出会った難民キャンプの少年達と、今それぞれのこの戦場で一緒に戦っている¥ュ女、コニールとの出会いが。
もう一度、自分自身の戦うその理由を見つめ直させてくれた……。

かつて自分の家族を奪ったのと同じ様に、手前勝手な理屈を一方的に押し付けて、そんな人々の平凡でささやかな幸せを壊して恥じない理不尽な圧政者達から、そんな人々を助けたい。
自分が味わわされた様な想いを、他の誰かにはして欲しくない。

それが、自分が本当にしたかった事。そしてその為に、それを成す為の力≠自分は求めていたのだ――いや、その筈だった。

けれども自分のその想いは、気付かぬ内に歪なものにと変わってしまっていた。
つい先日のインド洋での戦いで犯してしまった許されざる過ちを頂点として、そこに至るまでの己の姿と言うものを振り返ってみれば、その事実に暗澹とせざるを得ない。
それ程までに自分は、気付きもせずにその想いを際限なく歪な方向へと深めつつあったのだった。

その結果としての、あのインド洋の戦いでの暴走と、それにより自ら惨禍を友軍と罪無き人々にもたらしてしまった、痛恨と言うも生温い過失があった。

それを厳しく叱責し、自分が間違っていると言う事を気付かせてくれたガウマンらマフティーの人達と、ザラ隊長。
自分には見えていない≠烽フを、ちゃんと見えて理解している彼らに、何も見えていなかったくせに幼稚な感情のままに反発していた自分が恥ずかしい。

そんな彼らは皆それぞれに、やはり様々な苦い記憶や経験を背負っている、そこから自分へと言ってくれていたのだと、今はもう理解させられていた。
そして一度それを理解出来る様にとなれば、素直に耳を傾けて聞いてみようと言う想いになりもするし、その言ってくれている言葉の奥にあるものも、おぼろげにでも感じられる様にもなる。

だからこそ、そうやって隊長のアスランをはじめとして、彼らが自分を諭しつつ、「やり方を間違えはしてしまったが、お前のその想いそのものが決して間違っているわけではない」と言う、
芯の部分の肯定もしてくれていた事、それを心底からありがたい事だったと感じていた。

間違えてしまったのなら、それに気付いた後には今度はもう間違わなければいいと。
その想いをもって、これからはやり方を間違えずに守られるべき人々――
自分が守ってやりたいと思う人々の為にその力≠使えばいいと、そうやって背中を押して貰った。
いいや、今この時にもそうやってこんな自分の為に身体を張って、自らの危険を犯してまで「行け!」と、背中を押して貰っている。

シンは自分自身≠今ここに在らしめさせてくれる、多くの人々からの有形無形の支え≠フ存在を感じていた。
それが彼が得た、皆から与えられた「絆」だった。
生き続けたその先で、ようやく見つけ出せたものだった。
451通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 15:51:10 ID:???
何はなくとも支援
それを自覚した時、シンは初めて気が付いた。
これまでの己の在り方を自ら歪めさせたものの、その正体を。

(そうだったのか……俺は……)
ただ闇雲に「強さ」を、力≠セけを求めていた、ついこの間までの自分。
そうしてひたすらにただ力≠、より強い力≠!と、求めて求めて、求め続けて。
それで自分が本当は何が欲しかったのか?と言う事に、シンはようやく気が付いていた。

(俺が、本当に欲しかったのは……、「あの日」を覆す力≠セったんだ……!)
それは「夢」などと呼べる様な代物ではなくて、決して不可能な、ただの妄執≠燗ッじだった。

それに気付かずにいた、馬鹿な自分。
際限なく求め続けて、それなりには手にする事も出来てはいた力=B
けれども、手にするそんな力≠フそのステージを上げても上げても、いつだってどこか満たされる事のない空しさを感じてもいた。

そんなのは当たり前の事だったのだ。
そうして手に入れたその力≠ナ本当に守りたかったものは、とうの昔に奪い去られていてどこにも無い。
だけど、その喪失こそがそうやって力≠欲するようになった、そもそもの原点で。

ぐるぐる回り続ける、矛盾のループ。
自分は「あの日」から一歩も進めていなかった事に、決して覆る事の無い過去≠ノと捕らわれ続けていたままだったのだと言う事に、シンは今ようやく気が付いていた。

積もり積もったその歪みの噴出が、あのインド洋での自分が犯してしまった過ちだった。
そうして過去に捕らわれ続けている限り、自分は何も守れやしないのだと――それどころか、真逆に自分自身もまた、それらの人々を踏み潰す側になってしまう――だけなのだ。

理不尽な過去への憤りと、喪った――奪われた痛みは自分の中に刻み付けられたまま、決して消える事はないだろう。
だけど……だからこそ、自分は他の誰かにはそんな想いを味わわせたくない。自分の様な生き方を、しなくても済む様であって欲しい。

自分の原点だった筈のその想いに、シンはもう一度向き合っていた。
それは単なる感傷、ただの代償行為、そんな代物でしかないのかも知れない。でも……それでも!

――脳裏に再びコニールや難民キャンプの少年達の顔が浮かんだ。
(俺は、奪われているあいつらみんなの今≠取り戻してやりたい!)
シンは素直にただそれだけを思った。

力が欲しい!
その願いが、強く強く想いの奥底から沸き上がっていた。

怒りに任せて敵を踏みにじる為の力をでなく、自分自身の渇望を満たす為の力をではなく。
ただ素直に自分が助けたいと、力になりたいと願う「誰か」の為の力≠。
そんな誰かの「今」を守り、そして「明日」〈未来〉へと活かす為に。
その為の力≠ェ、今欲しい!
そう思った。
それは、これまでの自身を突き動かして来た、理不尽と、それに対して無力な自身、その双方にと向けられ続けて来た激しい怒りよりもなお強く、そして純粋な感情だった。

激しく沸き上がるその想いがシンの内を満たし、全てを染め上げたその瞬間、シンの中で何か≠ェ音を立てて弾けた――


唐突にインパルスガンダムの動きが変わった。
誰の目にも明らかなくらいの変わり様に、それを目撃した者達は皆等しく目を見張らされる――それ程までにその変化は劇的だった。

前へとまっしぐらに空中を駆けているその姿自体は変わらない。
しかし、その速さ≠ェ格段に違っている。
周囲の者達にはそれこそブースターでも使ったのか?とでも言う風に、唐突にインパルスガンダムの速度が一気に上がった様に見えただろう。

しかし、実際にはとうにインパルスガンダムは「最大速度」で飛行していた。
それが急に一気に加速をしたかの様に見えたのは、回避を行いながらの飛行機動の変化のその故に……であったのだ。

ハサウェイ達がいた「宇宙世紀」の歴史にはかつて、通常の3倍速い≠ニ形容された伝説のパイロットがいた。
その「3倍速い」は≠乗機の推力3倍であって、実際にエース用にチューンされた3割増し程度の推力は保持していたとは言われているものの、
多少の誇張〈戦場伝説〉はあるとしても、確実に平均の倍以上に速かった筈なのは、その機動が常人にはまず真似の出来ない様な意味合いでの「合理的な」代物だったからだ。

今のインパルスガンダムの取っている一連の動きは、本来はそちらの世界の住人であった筈のマフティーのメンバー達には自然とその伝説を想起させる様な、そんな機動だった。


――突然に、世界≠フ見え方が変わった。
脳裏で何かが弾ける様な感覚を突如として覚えたその瞬間、シンの目に移る周囲の世界のその全てが、一変する。

恐ろしいくらいに視界がクリアになり、視野が広がる感覚があった。
そしてその感覚が捉える周囲の敵味方のそれぞれの動きというものが、さながら微速度撮影を見るかの様に不思議とスローに見え、動こうとしているその先≠フ事が判る。

だから、もう回避はほとんどする必要が無かった。
ローエングリンへとひた走る自分にと向けて放たれて来る無数の敵弾も、その中には火線と火線との入り組む中にと出来た「空白地帯」となる安全な空間が、トンネルの様に続いていた。

刻々と変化するそれを、同様に見切り続けて常にその中へと機体を飛ばし続けていさえすれば、当然回避機動は要らず、そのロスが無い分だけ速く#べる道理だ。

さながらボクサーがインファイトで相手のパンチを皮膚の薄皮1枚だけを削ぎ取らせる様な感覚でかわす≠フにも似た、MSで行う極限の見切りだろうか。

その回廊¥繧フ所々にある切れ目――進路を閉塞している格好の火線を放っている敵機や砲座がある時にだけ、
インパルスガンダムはビームライフルのただ一射のみで確実に沈黙させる攻撃だけを繰り出しつつ突撃して行く。

(大丈夫だ。間に合う!)
先程までの焦りは、既にどこかにと消えて無くなっていた。
ローエングリン砲台はもう、エレベーターシャフトの中へとその巨体を沈めて行き出している状態だったが、
それでも比我の距離と現在の自機の飛ぶ速さ=A敵機や防衛火器群からの妨害に対して要するであろうタイムロスと言った種々のファクター全てを瞬時に計算して、
冴えきった頭がそう結論を出していた。

それに――
(援護が、来る!)
全天周モニターでは無いながらも、一瞬後方にと意識を向けただけでシンはそれを悟る。
454通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 16:02:41 ID:???
こまめに支援
後方上空から放たれて来た、見た目からして力強い奔流の様なビームの一線がインパルスガンダムを一瞬にして追い抜き、
そのまま前方のローエングリン砲台のやや前方上方にある断崖の壁面にと命中、そこに設置されていた迎撃用のミサイル砲座ごと派手に爆発を引き起こす。

それによって崩落した大小多数の岩塊がローエングリン砲台の方へと転げ落ちて行き、
その中でも一際大きな岩塊が、降下収容されて行くローエングリンを覆い隠す為に閉じ始めていた分厚い装甲隔壁の天蓋シャッターの間にと見事に挟まって、その動きを強制的に押し止めていた。

後方からの、再度の最大出力でのビームライフルの発射を行ったΞガンダムの援護射撃だ。


「これが、君が秘めていた力≠ゥ!シン……」
そう呟くハサウェイには、「今のシン」の動きが別次元に踏み込んでいるものだと言う事が誰よりも良く見えて≠「たかも知れない。

ニュータイプ的な共振の感覚こそないので、それは(この世界ならではの)異質な力≠ネのだろうと判断させられもするが、
彼をして目をみはらされる、それだけの力強さ≠ェ、「SEED能力」を覚醒させた者が戦うその姿から受ける感覚には有った。

故にハサウェイも、普段ならそうしている様にその旨の通信も送る事もせずのダイレクトに援護射撃を放っていたわけだが、
もちろんシンの方も瞬時にそれを理解して動いていると言うのは明白だった。

何故、戦士〈MSパイロット〉としてならば明らかに完成度が上のレイ――
ニュータイプ能力と同質の力=iとは言っても、磨かれざる原石の様なものだったが)を持っているレイの方が、トータル的に優れていると言うのもある意味では自明の理だったかも知れないが
――を押さえて、シンが現状でザフト最高性能のMS≠ニ言って良い機体であるインパルスガンダムのパイロットなのか?
と言う、多くの者が感じるであろう疑問のその理由は、これだったのか……。

眼前に、何かのスイッチが入ったかの様な動きをしているシンの姿を見て、そうハサウェイは理解する。
政治の世界に身を投じる以前には遺伝子工学の研究者だったと言うデュランダル議長が、
彼にはこの様な秘めた資質の因子が潜在していると言う事を見抜いて、あえて荒削りなままのシンにと最新鋭機を託したのかも知れないと。

確かに、この様な「爆発力」だけは、ほぼ全ての面において高い水準で、なおかつ安定しているレイには無いものだった。

ハサウェイは、「ニュータイプ能力を上乗せして持つ傑出したパイロット」と言う、自身がある意味イレギュラーな存在であるからこそ、彼自身も実戦においてのそういう存在の必要性と言うものをよく理解できる。

ここ最近の出来事と、それを通しての自身の成長も相まって、元より戦友であったシンとはより深く、良き親友〈とも〉としての関係を強めつつあると判るレイだったが、
恐らく本人も自覚はしていないだろうその心の奥の片隅には、「インパルスガンダムのパイロットが、何故自分ではなくシンなのか?」と言う疑問や不満――つまり、嫉妬に分類される類の感情が在る事を、ハサウェイは感じ取っていた。

もっとも、そんな感情が在ると言う事自体はむしろ喜ばしい事だと、ハサウェイは思ったのだったが。

レイは余りにも完成され過ぎて≠「る……――良い意味ではもちろんの事、悪い意味でもだ。
あの歳でそうだと言うのは、逆に不自然と言うか、歪なものだと言う事になるだろう。

だからこそ、例え無意識下にではあっても、レイにもそう言った人並みの(自然な)感情≠ニ言うものがちゃんと働いているのを感じられたのは、
彼の「未熟な師匠」――などと言うとそれこそ偉そうなので、「未熟な先達」だとしておこう――として、ハサウェイにとっても喜ばしいものであったのだ。
456通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 16:08:39 ID:???
またぞろ支援
未熟であるのは当然ながら、良くも悪くも真っ直ぐでひたむきな少年少女達の姿に、眩しさとどこか羨望を感じながら、
そして自分達はもうとっくに喪ってしまった様に思えるそんな若さ=q過去〉をほろ苦く想い返させられながら、
そんな彼ら彼女らの為にも、自分達大人≠熏。はただ、この異世界で身を投じたこの戦争を戦い抜くのみだった。

急速に迫るインパルスガンダムの存在に気付き、ようやく危険を覚えた(遅すぎるが)らしい要塞側がローエングリンの発射をあきらめた様で、
エネルギーをチャージしたまま再び吼える事無く、要塞内への下降を開始するローエングリン砲台。

砲座と砲本体が完全に要塞の内部へと沈み込み、そのシャフトを覆う分厚い装甲シャッターの天蓋が両側から閉じ始めている状況だったが、
そこへと肉薄するシンのインパルスガンダムの動き(の速さ=jを見て、ハサウェイもまた、シンが間に合う事を確信していた。

最悪、装甲天蓋が閉じきるその前に、ファンネルミサイルをその隙間から中へと撃ち込むと言う事も一瞬考えはしたのだが、どうやら無用の心配の様だ。
シンに任せておいて大丈夫だと言う事で、ハサウェイはその天蓋装甲の閉鎖を妨害する為の間接的な援護の一撃を放つや、
そのまま機体をアスラン達の正面戦線側の支掩にと回して飛び去って行くのだった。


そのハサウェイが向かう正面側の戦線も、いよいよ大詰めの局面を迎えている。

攻めるザフト・マフティー同盟軍の猛攻に損害は続出させながらも、狭隘な地形にその大兵力を集中させているその分だけ地球軍の防衛戦は縦深を大きなものとしており、
「面」を制圧する兵器であるタンホイザーとローエングリンとが互いに使えない状況では、必然「点」の攻撃とならざるを得ない――
圧倒的な攻撃力の高さを持つマフティーでも、その攻撃はあくまで「線」(を貫くと言うレベル)に留まる話であるからだ。

唯一、セイバーガンダムのフルバースト攻撃だけはある程度「面」で制圧可能な攻撃ではあったが、それとて繰り返し乱発出来るような性質のものではない。

故に、攻撃側は圧倒的な勢いで攻めかかりつつも、地道に前線での潰し合いを続けながらその先鋒を敵陣の奥へとじわじわと押し込んで進めて行く、必然そう言う構図となっていた。

しかし、こちら側の戦線においてもやはり、ユークリッドの撃破は守る地球軍将兵達の士気を喪失させる、決定的な一打となっていたのだ――
それをきっかけに、明らかに地球軍防衛陣には潰走へと向かう方向への行き足がじわじわと付き始め、
一度そうなれば一気に押し込んでくる攻撃側の勢いを受けた玉突き状態になって行くのは必然の帰結。

ついに地球軍の正面側の最終防衛ラインは自壊を始めた。
戦いのただ中に身を置いている者達にその流れの変化は直ぐに察せられるものであり、
それは攻める側の勢いの急上昇と言う格好でもって傍目にも見える程に具現化する。

こちら側でもギャルセゾンから離脱してのジャンプ・フライト機動による攻撃を開始する支隊のメッサーたち。
正面側の戦線の彼らもやはり敵機を圧倒して行くのは言うまでもなかったが、
その彼らに倣って機動性を高く発揮しての攻撃にかかるハイネ隊のメンバー達の動きもまた、充分に見事なものだった。

メッサーの後を追って自身も地上へと降下を選んだ、グロス達ハイネ隊のナンバー2とナンバー3の乗り手二人の愛機もその両脚を大地へと着け、
着けるやいなや、間髪入れずに手近な敵機へと近接攻撃を仕掛けて行く。

両腕にそれぞれビームトマホークを構えたブレイズザクファントムは、左腕からの斬りかかりで眼前のウィンダムが構えるシールドを釘付けにしておいて、
そのまま素早く機体をその右手側にと流すと、シールドを構える敵機の左腕を右のビームトマホークで斬り落とし、再度の左で仕留めた。

一方、ゲイツカスタムの方は、通常のR型とは異なりシールド固定のビームサーベルが連装になっている、その倍の威力を活かした一点突破の鋭い突きで、ストライクダガーをその構えたシールドごとぶち抜く。

また空中の方でも、グゥルに乗ったそれ以外のハイネ隊の各機が、ギャルセゾン隊からの援護射撃を受けながら、自分達の隊長に続いてそれぞれジェットストライカー装備の敵機にと一気に間合いを詰めている。
458通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 16:12:40 ID:???
やっぱり支援
互いにビームライフルを撃ち合いながら接近して、共にビーム格闘武器の間合いに入る――その寸前の距離で大きな威力を発揮したのが、
ゲイツカスタムの腰アーマー側面に装備されている可動式ビームアンカー、エクステンショナルアレスターだった。

グフイグナイテッドのスレイヤーウィップと言う武器に特性の一端は受け継がれているかも知れないが、
(その使いどころ等も含めた全般的な意味合いで)基本的に扱いが難しい&衰であった為に、
ザクに徐々にその座を譲りつつあるとは言え、現状においてはなおザフトMS中で最大の機数を揃える「主力機」たる、
型式番号に「Reinforce」を示す頭文字R≠追加した標準型のゲイツ(ゲイツR)ではレール砲・ポルクスWにと換装されたその武器を、
両腰共そのままか、片側のみクスィフィアス2改レール砲に換装しているかの違いはあれども、
ハイネ隊のゲイツ乗り達は全員がそんなR型と同等の性能向上改修自体は愛機に受け入れながら、あえて残して愛用し続けていたのである。

それは「並の腕では使いこなせない」に、自分達は当てはまらないと言う自負の証でもあろうが、
確かに自在に使いこなせるのであれば、トリッキーな戦い方が実際に可能な有効な武装となるのもまた事実。

使いこなせる者が少ない――は、敵機の側もまたそんなクセのある武装の相手をし慣れていないと言う事でもあり、
ビーム刀剣類の間合いの外側から、それも有線誘導≠ナ敵機の構えたシールドの横合いから、
弧を描く機動で回り込んで攻撃できるエクステンショナルアレスターの噴進打突が次々と、面白い様に決まって行く。

その辺りも狙って行けると言う辺りが、「エース級の腕利き揃いのハイネ隊」の、まさに面目躍如であったろう。

面白い事に、この状況下におけるハイネ隊の中では旧世代型の主力機たるゲイツタイプの方がむしろ派手に活躍をしており、
新しい世代の主力機であるザクタイプの方が、近接戦用のスラッシュウィザードを装備している1機以外は後方からの支援役を務めると言う構図となっていた。

もちろん、ビームガトリングを唸らせつつ大型のファルクスG7ビームアックスを振り回すスラッシュザクウォーリアの暴れっぷりもゲイツカスタムたちに劣るものではないし、
援護に回るブレイズ/ガナーザクウォーリア各機の射撃もやはり的確に、隊の僚機やメッサーたちの動きを更に効果的に高めている。

ラゴゥ以下のマハムール隊の動きとも巧く歩調を合わせて、マフティー支隊とハイネ隊から成る正面攻撃部隊の主力の、その卓絶した戦闘力がこちら側にもぐいぐいと最後の一押しをかけて行く。

そして、側面からはアスラン達が敵陣の弱所を的確に狙い撃って、更に損害を増大させて行き、地球軍の正面側防衛線も緩やかに潰走しかけながらその戦力を撃ち減らされ続けている状況だった。

その流れのただ中に踏みとどまる格好となっていたのが、いまやメッキが剥がれたかの様な存在へと落とされかけている「無敵の盾」のその片割れ、ゲルズゲーだった。

逆境の中にあっても揺るがぬ闘志を漲らせて戦っていたユークリッドとは異なり、ゲルズゲーのパイロットの方はその様な強い意志があってそうしていたのではなく、
あまりにも速過ぎる状況の展開に付いて行けず、気が付いたら戦線の全体で突貫をかけて来ている敵軍の攻勢のただ中に取り残される様な格好で孤立しかけている状況だったと言うだけなのだが。

しかし、無論攻める側にそんな事情が判る筈もなく、むしろ「無敵の盾」を潰して要塞を丸裸にしようと言う狙いの下、攻撃目標として優先されるゲルズゲー。

半ばパニック状態に陥り掛けているゲルズゲーのパイロットはもう、しゃにむにご自慢のシュナイドシュッツの光壁を展開して自らを℃轤うとする。

苦し紛れの行動であるのは間違いないのだが、確かにシュナイドシュッツのバリアーに守られるゲルズゲーの機体には、数々の攻撃も全く届かなかった。

『ちっ、コイツは!』
舌打ちするハイネ。
自機の突進に対抗して展開された光壁に阻まれて、またしても接敵を眼前で止められる。
こちらの要たるMAを落とそうと攻撃をかけていたのだが、対MS戦においても守りに徹しているゲルズゲーはそれなりにしぶとい。
この地球軍が開発したバリアーは、本当にやっかいな存在=q相手〉だった。
幾ら得意の近接戦を仕掛けようにも、自機の間合いにと踏み込めるその寸前でそれ以上を強制停止にさせられると言う、先程からもう何度もそれの繰り返しだった。

(やっかいなヤツめっ! さぁ……どうするよ、俺?)
内心で自問するハイネ。
無論、倒せない相手ではないだろうが、現状ではそうやって「かかずらわっている時間」の方が惜しかった。
しかもそうやって長引けば、敵が全面潰走にならないその理由でもある、なお旺盛な士気を保ってる一部の連中がMAを援護に来るだろう。
その前に片を付けたい処なのだが……。

『ハイネっ!』
(!)
そんなハイネに向けてのアスランの声と共に、敵MAの側面後方からビームが数条飛来し、狙われたMAの方も慌てて機体を1/4回転させて、展開したままの光壁でそれを防いだ。

『アスラン!』
その攻撃の彼方から、こちらへと接近中のセイバーガンダムの赤い機体が見えた。
その側面を衝こうかと言う様に、未だになお戦意を失ってはいない地球軍の部隊も移動しつつあるが、
セイバーガンダムの更に後方に現れたΞガンダムの特徴ある機影がそちらにと向かって行くのを確認して、ハイネはそいつらの存在は無視する事に決める。

今回はあえて突撃の中途で早めにMS形態に戻して来たセイバーガンダムは、
突入をかけながら左右の背負い式火力モジュールを交互に発射し続けて、MAが展開させる光壁の表面を叩きまくっていた


立て続けに繰り出されて来るその攻撃を、MAの方は光壁で完璧に防御し続けるが、
必然的にその行き足は釘付け状態にされて止められてしまっている。

その隙を衝いて後背を取ろうと狙うハイネだが、さすがにMAの方も側面や後背の火器類を駆使してグフを近付けまいとする。
正面から仕掛ける分には、逆にある程度距離を詰めてしまえばゲルズゲーのその巨体が壁にもなって、影響されなくなるのだが、
後背から近付こうとするとなるとまともにその前に姿を曝す事になってしまう、ゲルズゲーを直援するダガー部隊からの攻撃も合わせると、流石のハイネであっても迂闊には近付けない。

(なら、先に護衛隊の方から片付ける!)
ハイネはそう判断して邪魔なユークリッドの護衛MS隊へと先にグフの機体を向けて行く。

『調子に乗るなよ!このザクもどきがっ!』
真っ先に狙いを付けた、リーダー機とおぼしきダガーLが迎え撃ちで仕掛けて来るビームサーベルの斬撃を左腕のアンチビームシールドで受け止めた時、敵パイロットのそんな叫びが聞こえた。

それをシールドで受け、逆に自分から反撃のテンペストを繰り出しながら、ハイネも叫ぶ。
『ザクとは違うんだよっ!ザクとはなぁッ!』
461通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 16:21:59 ID:???
とにかく支援
まさにその名の如くに唸りを上げるテンペストが華麗に地球軍MS隊の間を駆け巡り、その数を撃ち減らした直後、再度のアスランからの通信が飛び込んで来た。
『ハイネ!ウィップでっ!』
そう言うやアスランは、セイバーガンダムの右手にグリップするビームライフルの持ち手を銃本体へと握り替え、ライフルを勢いよく前方上空へと投擲する
――そのバレル下に装備されたヴァジュラ・ビームサーベルのバヨネットを発振させたまま≠ナ。

『OK!任せとけ!』
即座にその意味≠了解してニヤリと笑みを浮かべたハイネは、ゲルズゲーの頭上を飛び越えて放物線の下降曲線にと入りだしている投擲されたビームライフルめがけてスレイヤーウィップを飛ばし、
伸びたウィップの赤熱化していない$謦[がそのライフルにと巻き付いた。

『なっ!?』
予想外どころの話ではない攻撃を喰らって、ゲルズゲーのパイロットがそう愕然の声を上げた時にはもう、ビームサーベルの銃剣に機体の後部を左から右へと綺麗に一薙ぎされた後だった。

一瞬遅れて、斬り裂かれた破孔全体が小爆発の爆炎を吹き上げ、
急速にその出力を失ったゲルズゲーはホバリングを維持できなくなって、緩慢に墜ちて行く。

自慢のリフレクト・シールドもかき消されてしまったそこへと、前後から一気にアスランとハイネが距離を詰めていた。
正面から左側を狙うセイバーガンダムと、左背面から攻撃するグフイグナイテッドとが、ゲルズゲーの人型上半身の部分ですれ違いの軌跡を描き、
ゲルズゲーの両腕と頭部が斬り飛ばされて宙にと舞った――両肩のシュナイドシュッツの発生器も、同時にそれぞれ潰されている。

かくして、ゲルズゲーもまたその戦闘力を奪い去られて大地にと叩き伏せられていた。
2人がかりで連携して攻撃する事で、確実に無力化しつつ破壊を狙わなかったのは、やはり彼らも虜獲を考えに入れていたからだ。
そういう辺りもまた、ゲルズゲーを落とした攻撃法などと併せての「マフティー」側から受けた薫陶の現れだった。

そして地球軍にローエングリンの発射を躊躇させる役目も果たさせていた<Qルズゲーへの、墜とす為にの攻撃は即ち、もうその必要が無くなったと言う事を意味していた。

(シン!)
ルナマリアが、アスランやハイネが、ハサウェイ達もなお残敵との戦闘機動を継続しつつ、要塞へと肉迫を果たしたインパルスガンダムの姿を追った――
そして、戦闘には加わる事無しにこの戦いの経過をじっと見守り続けていた者達も。

463166:2009/03/19(木) 16:29:28 ID:???
おっと、最後の最後で抜けが;
訂正再投下します

【機動戦士ΞガンダムSEED Destiny (13)】中編(12/12)


まさにその名の如くに唸りを上げるテンペストが華麗に地球軍MS隊の間を駆け巡り、その数を撃ち減らした直後、再度のアスランからの通信が飛び込んで来た。
『ハイネ!ウィップでっ!』
そう言うやアスランは、セイバーガンダムの右手にグリップするビームライフルの持ち手を銃本体へと握り替え、ライフルを勢いよく前方上空へと投擲する
――そのバレル下に装備されたヴァジュラ・ビームサーベルのバヨネットを発振させたまま≠ナ。

『OK!任せとけ!』
即座にその意味≠了解してニヤリと笑みを浮かべたハイネは、ゲルズゲーの頭上を飛び越えて放物線の下降曲線にと入りだしている投擲されたビームライフルめがけてスレイヤーウィップを飛ばし、
伸びたウィップの赤熱化していない$謦[がそのライフルにと巻き付いた。

『そぉらああっ!』
そしてハイネは間髪入れずにウィップを手繰り、ビームライフルを掴んで≠「るその先端を大きくしならせて、ゲルズゲーの機体後部へと叩き込んだ!

『なっ!?』
予想外どころの話ではない攻撃を喰らって、ゲルズゲーのパイロットがそう愕然の声を上げた時にはもう、ビームサーベルの銃剣に機体の後部を左から右へと綺麗に一薙ぎされた後だった。

一瞬遅れて、斬り裂かれた破孔全体が小爆発の爆炎を吹き上げ、
急速にその出力を失ったゲルズゲーはホバリングを維持できなくなって、緩慢に墜ちて行く。

自慢のリフレクト・シールドもかき消されてしまったそこへと、前後から一気にアスランとハイネが距離を詰めていた。
正面から左側を狙うセイバーガンダムと、左背面から攻撃するグフイグナイテッドとが、ゲルズゲーの人型上半身の部分ですれ違いの軌跡を描き、
ゲルズゲーの両腕と頭部が斬り飛ばされて宙にと舞った――両肩のシュナイドシュッツの発生器も、同時にそれぞれ潰されている。

かくして、ゲルズゲーもまたその戦闘力を奪い去られて大地にと叩き伏せられていた。
2人がかりで連携して攻撃する事で、確実に無力化しつつ破壊を狙わなかったのは、やはり彼らも虜獲を考えに入れていたからだ。
そういう辺りもまた、ゲルズゲーを落とした攻撃法などと併せての「マフティー」側から受けた薫陶の現れだった。

そして地球軍にローエングリンの発射を躊躇させる役目も果たさせていた<Qルズゲーへの、墜とす為にの攻撃は即ち、もうその必要が無くなったと言う事を意味していた。

(シン!)
ルナマリアが、アスランやハイネが、ハサウェイ達もなお残敵との戦闘機動を継続しつつ、要塞へと肉迫を果たしたインパルスガンダムの姿を追った――
そして、戦闘には加わる事無しにこの戦いの経過をじっと見守り続けていた者達も。

464通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 16:33:23 ID:???
GJ!&対あとがき用支援
ところで>>460ですが
>邪魔なユークリッドの護衛MS隊
⇒邪魔なゲルズゲーの護衛MS隊
ですよね?
465166:2009/03/19(木) 16:54:58 ID:???
こんにちは。機動戦士ΞガンダムSEED Destiny筆者の166です。

この物語ではマフティーの面々の乱入により、オーブ沖の海戦ではフラグが立つ事無く終わりましたシンの初種割れの
(13)中編の方を投下させて頂きました。

本編の様な「怒りのスーパーモード」の種割れではなく、
こちらのシンのは、真の意味で己の為ではなく誰か≠フ為にの、
「我が心、明鏡止水 されどこの手は烈火の如く」な種割れになりました。
何だかんだ言っても、種死にの主人公≠ヘシンだった筈で、
こんなシンを見たかったな……と言う自分の想いの具現化でもありますが(苦笑)
※ちなみに「怒りの種割れ」の方は方で、別のキャラがいずれ見せる予定ですが。

ともあれ、週一投下モードも次回の(13)後編で最後になりますが、
また見て頂けましたら幸いです。
今回も投下中のご支援ありがとうございました。


それと、追記ですが
>>464さん
はい、うっかりミスです;
×ユークリッド→○ゲルズゲーに要訂正ですね(すみません;)


>>441さん
まとめサイトに登録の方ありがとうございましたm(__)m

(12)後編の方ですが、ほんの少しだけですが細かい部分で二、三書き換えてる部分もありますので、
後ろの方を修正版の方にして頂けたら〜と、お願いさせて頂けますでしょうか?
今回もミスしてしまっておりますが、気を付けたつもりでもやっぱりどうしてもミスしてしまう事もありますので;
なるたけやらかさない様に気を付けたいと思います……;
466通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 22:18:51 ID:???
>ザクとは違うんだよっ!ザクとはなぁッ! 
本編では「はいはい、ランバラルね」と寒かった台詞を展開上無理なく効果的に使ってる
非凡さを感じます
467通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 22:28:05 ID:???
ハイネとアスランが共闘して光ってるのがいい
こんなにマトモになるんだよね、書く人が書くと
と、種の二次創作でよく思う事をまた思ったw
468通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 23:31:26 ID:???
「怒りの種割れ」は、
乱入を繰り返し身勝手ぬかすばかりで話聞かないキラクスに対するアスランと、また
都合よく言う事を聞かなくなったアスランに対するキラとでぶつけ合うと見た。
しかしそれぞれの怒りの格の違いを考えると…
469通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 04:43:19 ID:???
アスラン、ルナ、ハイネの三人がかっちょええ!
……ってか、シンがシャアかよw
470通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 11:03:11 ID:???
シン「コニールは賢いな」
こういうことですかわかりません
471通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 21:41:44 ID:???
>>465
乙ー
戦いもいいけど次は議長との政治的駆け引きも楽しみだなー
そしてその後のラクシズとの戦いも楽しみに待ってます
頑張ってー
472通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 20:15:53 ID:???
新人来ないな…
473通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 03:05:33 ID:???
AC4と00のクロス書いたのに規制中にACスレ死んでもうた…orz
474通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 03:26:38 ID:???
立てれば
475通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 13:42:34 ID:???
IF統合があるさ
476通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 17:22:59 ID:???
理想郷が出てこない辺りに優しさ(?)を感じるなw
477通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 17:52:53 ID:???
扱ってるのが00で、しかもクロスなのにIF統合を勧める、優しい人
478通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 17:58:59 ID:???
AC4って…エスコン4?
479通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 19:05:52 ID:???
アーマークラスだろう
480通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 22:02:51 ID:???
エンジェルコアだよ
481通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 00:19:57 ID:???
このエロゲ脳め
482通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 00:22:08 ID:???
流れがTRPGにw
483通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 00:28:23 ID:???
今月で00が終わると00と〜のクロスものが増えるんだろうか?
484通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 00:46:51 ID:???
ぶっちゃけ今の00に対しては、刹那厨を除くと一期のファンとかは相当イラついてるんじゃないかね
特にグラハムとかアリーとかアレルヤとか
種もそうだけど、こういう原作に不満募らせてる比率が多い作品は、二次創作増え易いと思う
485通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 01:12:04 ID:???
とりあえず終わらせ方次第だな。
ちょい前までは黒トミノかと思ったが、いきなり逆転したから何とも言えん。

まぁ、種・種死ほど乱立しないんじゃないかというのが個人的感想。
486通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 02:08:45 ID:???
あまり興味無い>00
487通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 12:32:28 ID:???
今回ので種死以上のクソ作品と化したからな>00
488通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 13:32:28 ID:???
>>487
失せろ
489通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 16:32:51 ID:???
>>487
00がクソ作品に見えるのはお前がバカ野郎だからだバカ野郎
490通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 17:08:23 ID:???
00厨乙www
491通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 21:34:23 ID:???
糞作品の厨同士、仲良くしろや
492通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 12:05:15 ID:???
ファーストシーズンの頃から悠々と続いてるコーラサワーがOO二次創作での勝ち組
493通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 17:45:36 ID:???
バルディオス読みたいなぁ・・・
494通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 20:19:54 ID:???
続けて、またここで叩かれるのが見たいのか?なかなかの鬼だな
495通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 22:00:06 ID:???
OOの二次創作は最終話が終わったら書き始めようと思ってる。あまり光の当たらなかった連邦軍の
視点でやっていこうかなと。ま、クロスじゃないからIF系統合で落とすが
496通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 22:30:05 ID:???
つーか、ここもIF統合も種・種死用なんだから、OO用は別に総合スレを立てたら?
497通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 22:36:59 ID:???
こうして職人がまた1人追い出されたのでした
498通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 22:53:10 ID:???
IF系統合に、「シンが西暦に武装介入した」と言う話が
499通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 23:25:04 ID:???
専用スレの方が、OO好きだけが集まる分、楽しみやすいし発展もしやすいと思うんだ
OOのSS総合スレは無いんだし、この機会に作っても良いんじゃないか?
別にスレ立てられると困るという事も無いだろうし
500通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 23:33:00 ID:???
立てるなら最終回直後より落ち着いてからのがいいだろうね
どんな最終回になるかはまだわからんが凄まじいショックで板やスレが吹き飛ぶ可能性もあるし
立ったら見に行くよ
501通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 23:55:54 ID:???
>>499
けんど種より人気ないからなー
過疎らないか心配
502通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 00:01:52 ID:???
ほう、種のアレを人気と申すか
503通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 00:16:37 ID:???
つかこのスレが「種好き」の集まりとは初耳だ
歪んだ愛はありそうだがw
504通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 00:23:27 ID:???
種があまりにも駄目駄目だから手を加えたくなるだけってのが理解できていない者がいるようだ・・・
設定も穴だらけで有って無きが如しだから、いかようにも弄れるってのもあるがw
505通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 00:33:52 ID:???
>>504
種の設定は「細かいのに穴だらけ」という特殊パターンだよw
506通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 00:51:07 ID:???
>>501
頑張って盛り上げてね
507通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 12:25:38 ID:???
CEの大西洋連邦にツバロフが来たらとか妄想が来た
奴ならきっとナチュラル用OSをかっ飛ばして無人MS用OSを開発してくれる
それができなくとも大幅に自動化された操縦系統をくんでくれるはず
って、ただの連合軍MS早期実戦投入ルートやん
508通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 14:39:51 ID:???
バカヤロウ。

ひし形宇宙戦艦投入だろう。
装甲シャッターの隙間に挟まり込んでその閉鎖を妨害する格好になっている大きい岩塊を取り除け!とでも命じられたのだろう、ジェットストライカーを増着しているダガーLの一個小隊3機がその天蓋上にと移動して、
1機が迫り来るインパルスガンダムにと背を向け、両腕にビームサーベルを下向きに構えて起動させて足下へと振るい始める一方、残りの2機がインパルスガンダムへの迎撃の砲火を放って来る。

しかしそれらの必死の迎撃も、今のシンの前では空しいあがきに過ぎなかった。
シンは迫る火線の全てを寸前に見切ってかわしながら、ビームライフルを素早く連射。一発必中の射撃でそのダガーLたち2機をいとも容易く葬り去って――そして、ついに彼はローエングリンへと辿り着く!

『く、来るなっ!来るなあぁッ!!』
猛烈な勢いで迫るインパルスガンダムのプレッシャーに屈し、半ば狂乱したかの様な形相で叫びながら、残ったダガーLのパイロットは機体を振り向かせ、迎撃を図ろうとしたのだが――
その彼の視界いっぱいに映ったのは、自らへと向かって突き出されて来る、既にその間合いにまで飛び込んで来ていたインパルスガンダムの右手に握られた、巨大な対MS用ナイフの切っ先だった。

シンは岩塊を破砕しようとしていたダガーLだけはあえてビームライフルで撃ち抜いて爆散させずに、
懐まで飛び込んでそのコクピットへと対装甲ナイフ・フォールディングレイザーを突き立てて無力化しながら、左肩でその機体を抱え込んで運ぶ様にして最後のひとまたぎを飛び、
ローエングリンを収容するシャフトをついに、その眼下に見下ろした。

インパルスガンダムの右手に再びビームライフルを握らせると、眼下で装甲天蓋の閉鎖を妨げている岩塊へと連続してビームを撃ち込む――
SEED能力が覚醒した状態でならではと言う感じの、ピンポイントに同一箇所へ連続で撃ち込むと言う離れ業だ。

それで強度を失った岩塊がせめぎ合う装甲天蓋からの圧力に屈して砕け、再び閉じ行きを再開する天蓋の、その閉じ行く隙間にとシンは運んで来たダガーLの機体を投げ込む。

天蓋の両端に引っかかったジェットストライカーの翼端の破砕を兼ねて、至近距離から胸部CIWSの20ミリ機関砲弾をこれでもかと浴びせかける。

そうして全身を蜂の巣にされたダガーLの機体本体が、シャフトの中へと落ちて行ったその直後に、装甲天蓋の方も完全に閉まりきった。

それを見届けるインパルスガンダムは既に、素早く崖下の空中へと離脱を始めている。
飛ぶのでは無く、跳び降りて急降下。
その途中でスラスターを吹かして落下速度を相殺、地表間近で自由落下から制御緩降下へと切り替わった処で、シンの時間(感覚)は≠モっと元通りの速さに戻って行くのだった……。

そしてその直後、分厚い装甲天蓋を中から吹き飛ばす程の大爆発の火柱が、さながら噴火の様に立ち上った。

エネルギーをチャージしたままでいたローエングリンが、閉鎖された分厚い装甲隔壁内と言う密閉された空間で、ダガーLの爆発による誘爆を引き起こしたのだ。

そのエネルギーの奔流は凄まじく、巨大な岩塊の内部をくり抜いて造られた要塞の内部のほとんど全てを駆け巡り、
外に開いた大小無数の開口部の穴という穴全てから爆炎となって吹き出した。

それ以上、もう何も手を下す必要もない、ローエングリンゲート要塞の凄絶な最期だった。


大爆発を起こして果てた要塞の姿を眼前に見て、生き残っていた地球軍のほとんどが戦意を喪失したであろうを見越しての降伏勧告が全方位通信で呼びかけられ始め、
残存していたMS隊の大半がライフルやシールドを投げ捨て、あるいはストライカーパックを排除しての武装解除に応じて両手を上げて行く。

戦闘中は容赦せずに苛烈に戦っているのだとしても、作戦目的が達成された後にはそれ以上無駄に血を流す必要はないと言う事だ。

もちろんここでも、中には断固としてコーディネーターたちへの降伏≠拒み、インド洋での戦いの時と同様に降伏しようとする友軍を裏切り者呼ばわりして虐殺しようとする者達は存在したが、
当然ながらそんな手合いに対しては何らの容赦も必要ない。
この期に及んでもなお諦め悪く、なおも他人に無駄な血を流させようとする℃メこそが断定して良い明確な「悪」だった。
そんな情景が周囲で展開されているのもオートのサブカメラ群で記録し続けてはいるが、メインである手持ち式のガンカメラはずっと正面に向け続けている――
爆発のエネルギーの余波で炎上している要塞をバックに佇立する、3機のガンダム・タイプMSに。

「野次馬」の通り名で知られる、MSに乗って戦場を取材するフリーのジャーナリストであるジェス・リブル達の眼前に立つ、機体・パイロット共に見知っているトリコロールのガンダム〈インパルス〉と、
それに並びたつ赤いガンダム、そして初めて目にする(他のMSと比べて頭二つ程も大きい)白のガンダムたちの雄姿に、彼らの目は釘付けになっていた。

『本当に、やりやがった……!』
『凄い……!シンも、ここまで……』
ジェスが思わず口にした感嘆の呟きに応じる様に、機体の頭部ユニットに増設しているサブコクピットに座るベルナデット・ルルーからもそんな呟きが聞こえて来る。

インパルスを始めとするザフトの期待を一心に背負って計画・建造されたセカンドシリーズのMSには、彼女も報道側の代表としての宣伝*として深く関わっていたと言う縁もあり、
取材で引き合わせたジェス以上にシンとも顔なじみになっていた分だけ、眼前にそのシンの凄まじい活躍=q成長した姿〉を見た彼女にも感慨深い気分にさせられるものがあった。

『…………』
そして彼らが乗るガンダムアウトフレームDの傍らに並んで立つ、兄弟機のテスタメントガンダムに乗る護衛役であるフリーの傭兵、カイト・マディガンの方は、
たった今目の当たりにした眼前のガンダムたちの動きに、声にならない呻きを発していた。

『いくら何でも……ありえん……! どうなっているんだ、あのMS≠ヘ?』
ようやく絞り出すようにして発せられたその声には、腐れ縁〈相棒〉とでも言える程に付き合いが深くなっているジェスをして意外に思わさせる程の、自然な驚きの感情がにじみ出ていた――
否、実際には隠しきれずにその程度には滲み出させてしまっていたのだが、マディガンはその視線の先に彼にも見覚えのあるインパルスと、
それとセイバーの両ガンダムと並び立つ格好であるが故により顕著に判る巨体(登頂高22メートル級)を持つ、Ξガンダムの姿を見つめていた。

インパルスの方は、彼自身もまたジェスの供〈護衛役〉として、就役を目前にしての訓練と運用データ収集にいそしんでいる時期を目にしており、どんな動きをしていたかは良く覚えている。

この戦場で戦う姿を遠望しての再会となったわけだが、無論の事そこまでの間の実戦を通して鍛え上げられたのだろう、その技量が相当に向上している事は一目で判った。
しかし、終盤に単機でローエングリンへと突貫をかけた際の、その途中からの劇的な変貌ぶりは明らかに異常≠ネレベルであった。

言うなれば、そう豹変する前までの技量の発揮自体は相当なものだとは言え、それでも予想出来る進境の範囲の内ではあった。
だが、一瞬で激変したその後の機動のレベルは――まさに異次元まで一気に跳躍したと形容しても良い程に、根本的に懸絶した世界へと行っていたのだ。

だが、それだけでも充分以上に驚きに値すると言うのに、事はそれだけでは収まらない。
そんな異次元へと、ワープして踏み込んでいたインパルスの動きとも遜色ない機動をずっと続けていたのが、
インパルスやセイバーと似通ったシルエットを持った見慣れない大型のMSだった。

頭長高でおおよそ22メートル級と言う、通常のMSを二周り程も上回る雄大なサイズを持つ巨大MSでありながら、
その機動は他のどんなMSよりも速く、そして真似が出来ない程に滑らかだった。

自身もスーパーエース級の技量を持つマディガンだけに、眼前に見たインパルスガンダムと(更にそれ以上かも知れない)Ξガンダムのその機動の異次元ぶり≠ノ気が付いたのだ。

『凄いじゃないか、シン・アスカ!まさかこれ程までとはなァ……』
相棒〈マディガン〉の内心も知らずにルルーの呟きに自分も同意を返すジェスだったが、
無理もない話ではあろうが、彼らの目には派手な活躍を決めて見せたインパルスガンダムの勇姿こそが目立って見えているのもおかしくはなかった。

普通では見えない様なものが視える=i視えてしまう)からこそ、気が付くものもあるのだと言う事なのだろう。
それこそが、この異世界に紛れ込んで来てしまったハサウェイ達マフティーの、真に凄い処であったと言えるかも知れない。
ともあれ、この地においてのザフトの――その頼もしき「同盟軍」と共闘しての――鮮やかな戦いぶりは、両軍の戦闘記録のみならず、
前日に出発した奇襲部隊と入れ違いに到着し、ロンド・ミナ経由でデュランダル議長から改めて出された「取材許可証」(単なるパスではなく、最大限便宜を提供すべしと言う一筆でもある)を提示して
前線での同行取材を黙認させたフリーのジャーナリストの眼≠ノよっても記録される事になり、
それがやがてはプラント社会のみならず、全地球規模での人類の社会全体≠ヨの影響を生み出して行く様になる、その第一歩となるのだった……。


作戦成功!
信じられないような大勝利に沸きかえる合同攻略軍の陣中。
艦艇の中では手近な乗員同士が手を叩き合わせて歓喜の声を上げる。
各MSやギャルセゾンのパイロット達もまた、快哉を上げていた。

長きに渡ってマハムールのザフト地上軍の将兵達に多大な出血を強いてきた、難攻不落を誇っていたローエングリンゲート要塞がついに陥ちたのだ。
安堵やそれまでに犠牲となった者達への悼みをない交ぜにした、歓喜の波が拡がって行く。

そのただなかで地上にと降り立ったインパルスガンダムのコクピット内で、シンはまだ実感が追い付かない半信半疑の戸惑いの中にいた。
「やったのか……? 俺は、本当にやったのか……」
ヘルメットを外して大きく一つ息をつきながら、無意識にそう呟いている。

さっきまでの異様な感覚≠ヘ一体何だったのだろう?
自らが本当に成し遂げていた事だとは、当の自分自身が到底信じられぬ思いでいた。

『シン!』
そんな想いを吹き飛ばす様に、ルナマリアの声が聞こえた。
『ルナ……』
低空に降りて来た1ギャルセゾンから離脱して、ルナマリアのガナーザクウォーリアの赤い機体が舞い降りて来る。

『やったわね、シン!あんまり凄すぎてびっくりしちゃったわよ。いったい、どうしちゃったわけ?』
そう、屈託無くいつもの調子で声をかけて来てくれた事で、ようやくシンもいつもの自分を取り戻した様な気分を覚えた。

『うん……いや、俺も自分でびっくりだよ……。何か、突然こう頭ん中がさ、パアッとなって……』
そう呟きを返すシンの周囲に、共に戦い勝利を手にした戦友=q仲間〉達が集まって来ていた。

『シン、よく決めたわ』
『お見事!大したもんだ』
『凄かったよ、シン!』
口々にそう言った声をかけて来てくれる、メッサーやギャルセゾンに乗るマフティーの面々やメイリン達。

ハイネ以下、新たな戦友達からの多くからも口々に賞賛の声が浴びせられ、シンは照れくさいやら気恥ずかしいやらで困惑していた。

『よくやった、シン』
『やり遂げたな』
そして機体を並び立たせながらそれぞれそう声をかけて来てくれるアスランとハサウェイ。

シンは嬉しい戸惑いを振り払う様にとゆっくりと頭を振った。
『いいえ、みんなが力を貸してくれた……そのおかげです。俺一人じゃ何にも出来なかった。……それが、よく判りました』
そう言って顔を上げたシンの表情は、憑き物が落ちたかの様な晴れやかな顔だった。
モニター越しにそんな彼の顔を見た仲間達にも、この戦いを通してシンが大きく変化した事を明確に感じさせる――そんないい表情を、シンは浮かべていた。

この戦いの経験を通じて、シンは確かな何かを見出した様だった。
それを感じた彼の仲間達もまた笑顔を浮かべる。
彼らは、やり遂げたのだ。



……しかし、そうしてそんな余韻をゆっくりと味わう事は、まだ許されないところだった。
直接的な戦闘行為はひとまず終わったが、ならば(現場レベルにおける話での)その後の始末を行っていかなければならなかったからだ。

ラドル司令官以下、主力部隊は一旦ここで足を止め、自軍の損害の把握と必要なものへの応急対応を行いつつ、
半ば自爆する様な格好で果てたローエングリンゲート要塞の検分へも手を着けねばならない。

必然、解放した筈の後方へと再び舞い戻り、撤退に移っている敵勢の確認と、そちらでの攻撃に投降した地球軍部隊の収容の為の処理などの初動は、
それを成してのけた彼ら奇襲部隊の側にと委ねられる格好になったのだった。

そうしてガルナハンの街の方へと舞い戻った彼らは、そこで現実≠ニ言うものの過酷な一側面を目の当たりにする事になる。


どうしてここにいるのか?と言う詳細は不明ながらも、
シンに対しては『久しぶりだな!』と気さくに通信を入れて来た、
アーモリーワンでの事件の直前まで取材を受けていて、旧知の仲であるジャーナリストのジェス・リブルと、その相棒の乗る兄弟機であるガンダム・タイプのMS2機も、
グラディス艦長やラドル司令官らとの幹部同士のやり取りの為に後発するアスランやハサウェイ達に入れ替わるかの様な格好で同行して来ていた。

旗艦デズモントからも、グラディス艦長からも、二重に『その許可は出している』との指示が出た以上は、マフティー側がノーを突き付けでもしない限りは断れない話ではあるし、
逆にルナマリアとメイリンの方などは、そのジェスと言うジャーナリストに「あのベルナデット・ルルー」が同行していると知って、相当びっくりしてもいたのだが……。

ともあれ、再び来た道を引き返して飛ぶシン達奇襲部隊の面々が一様に驚かされたのは、
峡谷を抜けたその先に、この戦いにおいて間違いなく一番の雄敵だった、あの地球軍の新型MAの残骸が見当たらないと言う事実だった。

Ξガンダムの攻撃をくらって、エンジンをやられて墜ちて行った筈なのに……!
そう驚きを覚えるのはある意味当然の話ではあっただろう。

――この少し後の偵察を兼ねた探索で、墜落したその残骸は発見されたものの、その位置から考えると敵の新型機〈ユークリッド〉は、
撃破されたとは言え片肺飛行のその状態でなお、信じられない程の距離をスエズ方面に向かって飛び、ようやく不時着。
事後、機体を自爆させた様であった。

その状況から考えても、パイロットはスエズ基地へと落ちのびた可能性も高いだろうと言う予想だった――無論、そちらの地球軍から回収の為の迎えも出る筈だろうし。

そして、その予想は正しかった……。
ユークリッド機長の奮戦は、間違いなく彼自身の生命を救ったのみならず、同乗の部下達、そして要塞攻防戦を生き延びて脱出を選びえた将兵達を逃れおおさせる途を拓いていたと言えたのである。
奇襲部隊の側は、少数精鋭だった事もあり、敵の直接的な戦力に対しての無力化にのみ傾注しての速戦即決で行っていた為に、
一定規模の敵兵力の逃亡自体は防げなかったのだ。
――基本的には、防ごうともしていなかったからでもあるわけだけれども……。

つまり、最高の脅威対象(たる人的要素)≠ヘ、むざむざと取り逃がしてしまったと言う事であった。
だが、終わった事は後からはどうしようも無いことであるし、所詮は「結果論」なのだから、それは深刻なものではない。
むしろ大事なのは、目の前に在る人々≠フ事の方なのだから。


そう気を取り直してそこから更にと飛行し、ガルナハンの街へと近付く。
奇襲部隊の攻撃に呼応して蜂起したレジスタンス達の作戦成功の証だろう、街の各所には幾つもの火の手が立ち上っている。

これまでの間ずっと力≠ノ任せての圧制と暴虐を欲しいままにして来た地球軍への、当然の怒りが爆発していると言う処であったろう。

地球軍が接収していたとおぼしき幾つもの建物から上がる火の手は下火になっている様だったが、
他にも街の各処に集っている住民達の輪の中で、引きずり降ろされた地球軍の旗などが燃やされている。

それらの人々の輪の中に、シンはあのコニールの姿を見出した。
自分達の生活を取り戻す為に戦った勇敢な少女は、大人に肩車されてちょっと恥ずかしそうに、でも満面の笑顔を浮かべながら周囲の大人達からの喝采を浴びていた。

シンはそれを1ギャルセゾン上のルナマリアに教え、二人がその近くへとガンダムとザクの機体を降ろして行くと、
それに気付いたコニール達が一斉にその足下へと集まって来る。
そして今度はその喝采が並び立った二機のMSから降りて来る二人に向かって浴びせられる。

『シン!』
シン達の両足が大地を踏むよりも早く、待ちきれないと言う感じでその足下へと走り出て来るコニール。
『コニール!』
『おめでとう。本当に頑張ったわね!』
そう口々に言うシンとルナマリアと互いに手を取り合って健闘を讃え合い、喜び合う。

『本当にありがとうよ』
『凄かったぜ!あんたらみんな』
そんな風な喜びの声と共に、周囲の人々もまた二人の肩を叩いたり、握手を求めて来たりと言った喜びの感情を爆発させていた。

その輪の中にあって、シンは胸の中に静かに沸き上がる喜びを噛みしめる。
やっと、自分は「やり方を間違えずに」戦う事が出来た――自分の戦う「理由」でもって、矛盾する事無く誰か≠救う事が出来た。
その人達に笑顔を、現在〈いま〉を取り戻せた。

その事実が、歓びとなってシンの内を満たしていた。
シンは今、本当の意味で誰か≠フ為に戦うと言う己の決意を、我がものとしたのである。

そして、その傍らに立ってそんな彼の表情を、ルナマリアも本当に嬉しそうに見つめていたのだった……。


――パァン!
そんな、満ち足りた想いでいた彼らの耳を、ほど近い場所から聞こえた乾いた音が叩いた。
「銃声!?」
まだ抵抗している地球軍の兵士がいるのか?
そう思って顔を見合わせるシンとルナマリアに向かって、
「ああ……」
と、複雑な表情になってそう呟くコニール。

怪訝に思って、その銃声のした方にと数歩を進めて注意を向けたシン達の目に、重い現実≠フ光景が飛び込んで来た。

「なっ!?」
思わず声を上げるシンとルナマリア。

そこ――街の裏手では、後ろ手に拘束された多数の地球軍の兵士達が一列に並ばされ、順番にひざまずかされてはその後頭部を撃ち抜かれて処刑されていた。
それだけではなく、思わず見渡すその手前や周囲の路上にも――
袋叩きにされたのだろう、倒れたままぴくりとも動かない地球軍兵士達のずたぼろな姿が無数に散らばっている。

そうして今や惨めな敗者の立場へと引きずり降ろされた彼ら地球軍の兵士達への裁きにかかっている街の男達の表情には、一片のあわれみも浮かんではいなかった。

それも無理のない話ではあっただろう。
彼らはそれまで暴虐を極める地球軍が自分達に対して行って来た事を、そっくりそのままに彼らへと返しているだけなのだから。

それ程までに地球軍は彼らを虐げていたのだと言う事を、その怒りの噴出が何よりも雄弁に証していたと言えよう。

凄惨な情景であるのには違いはないが、不当に虐げられていた彼らの気持ちを考えれば誰にも止められない、仕方のない事だ……

頭ではそう判っている筈なのに――

「やめろ! もうやめろッ!」
気が付いた時にはもう、シンの口はそう制止の声を上げていた。

「シン!?」
異口同音に驚きの声を上げる、ルナマリアとコニール。

「ザフトのパイロットさんか……」
止めろってのは、どういう意味だ?
そういう声と表情で、突然現れて制止の声をかけて来たシンの事を見る、男達からのうろんげな目が一斉に向けられる。

「戦いは、戦闘はもう終わったんだ!幾らそいつらが敵だからって、そんな事は……」
内心の想いを言いあらわすには余りにも言葉が見つからず、それでも必死に訴えかけようとするシンの言葉は、みなまで言わされぬ内に激しい口調で遮られる。

「関係ない奴はすっこんでてくれ! こいつらが俺達にどんな事をしたのか、あんたに判るのかよっ?」
だが、シンはひるまずになお叫び返した。
「判るさ!俺だって、オーブで地球軍のせいで家族をみんな殺されたんだからな!」

(っ!?)
そんなシンの叫びには、流石に住民達の間にも一瞬驚きの波紋が広がる。
だが、なればこそ地球軍への復讐に逸り立っている住民達の納得は逆に得られなかった。
「何でだよ? そんな目に遭ったんだったら、あんたにだって判るだろうが!」
「それは……」

止めなくては!
その気持ちだけで矢も楯も溜まらずに飛び出して行ってしまったシンは、そこで言い淀みの行き詰まりを覚えてしまう。

確かに彼らのそんな気持ちは、シン自身にも良く理解出来ることだった。
なぜならばかく言う彼自身もまた、本当につい少し前までの間、彼らと同様の復讐者≠ナあったからだ。

何の罪咎も無い筈なのに、ある日突然に外からやって来た誰か≠ェ、全く手前勝手な理由で一方的に自分の大切な全てを踏みにじり、奪い去って行った。

その残酷な事実に対しての怒り――その相手を憎むのは当然として、その対象はそれに対して無力であった自身に対しても実は向くものだったわけだが――は人として、ある意味当然の事だろう。

愛憎は表裏一体のものだと言われるが、大切なものたちへの自然の愛情があるからこそ、
それが理不尽に踏みにじられ、奪い去られた残酷な事実への怒りや、それを為した者への憎悪が生まれるのだから。

だから、彼らの言い分も、行動も、その意味では決して間違ってはいない当然のものではある。
それはシンにも良く判る事だった。
(だけど……だけど、違う!)
けれどもシンは今、そう思っていた。

それは決して間違ってはいないのだ。
いないのだけど、でも違う。
もっと大きな意味で(大きな視野で)見た時に、
「正しいのだけれども、でもやっぱり間違って≠「る!」

そういう、まさに逆説的に〜と言うしかない事実の別の側面を、
マフティーやアスラン達と出会ってからのこれまでの「経験」と、この戦いを通して真に実感≠ウせられた事を通じて、本当の意味で理解したからこそ、
シンにはそんな人間の根源的な矛盾と言うものが、(直感的な意味合いで)見えて@てもいたのだ。

「そうやって、殺されたからって殺し返して、それで最後は平和になるのかよ!」
よりにもよって、家族の仇の片割れでもあるあのアスハ≠フ者が口にしたと言う言葉に頷かされると言うの自体は皮肉でもあるし、正直不愉快な話ではあったのだけれど、
確かにかつてアスランがそれを投げかけられて衝撃を受けたと言うカガリのそのセリフが、(少なくともそれだけは、そこだけは)「言っている事自体は正しい」と認めさせられざるを得なかった。

だからこそ、シンは今この瞬間に目の当たりにしている現実≠前にして、矢も楯もたまらずに動いていたのだった。
そう、その行動の表層だけを見たならば、さながら彼が心底忌み嫌うアスハ――カガリの様に。

そして当然ながら、ある意味余りにも純粋であり、理想的なその想いは、
相手に受け入れられると言うそれ以前の、まず自身がそれだけの発露が出来てもいないと言う事実に、
ただもどかしさと、そんな現実への苛立ちだけを募らせると言う処までも相似形を描いていた。

ただそれが決定的に違うのは、シンのそれは長い精神的な彷徨と挫折、そしてそこから本当の葛藤を経たその上に、
確かな「現実」のその上に築き上げ、そして見出した本物の(自身の)「真実」であったと言う点だったわけだが。

シンは今、その話を聞かせてくれたアスランがその時に感じたと言う精神的な衝撃と言うものを、自身も実感を持って共感出来る様な気がしていた。
だが、そんなシンの言葉が幾ら正しかろうとも、残念ながらその「正論」でもって眼前の現実≠押し止める――影響を与えうるだけの力≠ヘまだ伴わず、未だ持ち得ないものだった……。

なぜならば、それは彼自身にとってもようやくその端緒に付いたばかりのものであったからだし、
そもそも彼自身がそこに辿り着くまでに経験した、様々な出来事の故にようやく辿り着いた境地を、条件が違う他人にも求められるものではないからでもあった。

その想いも、そしてその発露たる行動そのものは間違いなく「正しい」ものではあったのだろうけれども、
惜しむらくは、それは「そのやり方」としては正しいとは言えないものだった事である――
無論その未熟さ≠ヘ、決して彼の責任に帰せられるものでは無いのだが。

故に今はまだ、彼とは違いそれだけのものを持ち得ている大人の――ハサウェイ達の力〈助け〉が、その辺りの事を成す為には必要なのだった……。


シンと対峙する格好となっている街の男達の頭上に巨大な人型の影が落ち、かすかな駆動音が聞こえて来る。

(!)
それに気付いて頭上を見上げた彼らの視線の先に、あの白い巨大なMSが浮かんでいた。
状況を知って、駆け付けてきたハサウェイやアスラン達が到着したのだった。

『ガルナハン住民の方々にご報告申し上げる。この地の地球連合軍の将兵は、我々ザフト・マフティー同盟軍に降伏し、既に戦闘は終結を迎えている。
我々は地球軍とは異なり″~伏した敵兵に対しても「人道的な処遇」を約束しており、既に戦闘行為を中止し降伏の意志を示す地球軍将兵は、例外なく捕虜として受け入れるものである。
よってガルナハンの住民の方々におかれても、生き残った地球軍将兵の全員を速やかに捕虜としての収容手続きを済ませ、ガルナハンよりマハムール基地へと移送する為の「協力≠要請」させて頂きたい』

Ξガンダムから響き渡るハサウェイの声。
戦闘終結を告げるその第一声には相応の歓声が湧き上がるが、続いて出された要請≠ノ、その波が一気に引いていく。
そしてそれはその後に続いた通告によって決定的となる。

『繰り返し申し上げる。戦闘は既に終結した。故に現時点でも抵抗を止めた敵兵に対しての暴力行為≠ヘ、地球軍の蛮行と同様のものとなると言う事をご理解頂きたい』

ハサウェイのその要請≠ノ、納得が出来ない多くの者達が拳を突き上げ、口々に不満の声を上げる――
「ふざけるな!こいつらに殺された俺の女房と娘の恨みを忘れろって言うのか!」
「人道だ?奴らが俺達にした事を棚上げにして、奴らの方はそんなもんでのうのうと赦されるってのかよ!」

そう言った声に応える様に、ハサウェイは更に言葉を紡ぐ。
『どうか誤解をしないで頂きたいが、「捕虜としての正式な待遇を約束」すると言うのは無論無罪放免≠ネどを意味するものではない。
彼らそれぞれの戦争犯罪行為については、彼らを収容するマハムール基地に於いて、厳密な調査と軍事法廷での公正な裁判が行われる事を、ガルナハンの方々には確約する。
当然、あなた方にも証言等の協力をお願いするのと共に、それに見合った補償としての支援も準備させて頂く事になるだろう』

どうやら最後のその一言がてきめんに効いたらしく、ざわめきは大分静かになって来ていた。
ハサウェイはなおも、畳みかける様に続ける。

『我々は捕虜の地球軍将兵の供述と、あなた方の証言と併せて、地球連合の圧制下にあったこの地であなた方が被った惨禍の実体を全世界に発信したいと考えている――
それ程の理不尽な圧制を受けながらなお、地球軍に対しては彼らとは対照的に理性を持って敗れた彼らを扱った≠ニ言う「事実」と共に。
その為に、世界的に有名なフリーのジャーナリストにも、こうしてこの地へと来て貰っている』

そう言うハサウェイのΞガンダムが指で指し示す先には、ジェスとルルーの乗るガンカメラを構えているガンダムアウトフレームDの姿があった。
『我々が全世界にと伝えるこの事実≠ヘ、必ずや世界中の多くの心ある人々に届くだろう。
そして、今この時も世界中の各地で地球連合の圧制の元にあるあなた方と同じ立場の人々を勇気付ける筈だ。
願わくばそれらの人々の為にも、今度は力≠用いないやり方で、あなた方もどうか我々と共に「戦って」頂きたい』

「………………」
決して強い口調でないが、マフティーらしく培ってみたやり方を活用して語りかけるハサウェイの言葉には、逸り立つ人々の心を冷まして沈める効果はあった。

そして、それらの人々の輪の中にいたあの「長老」は、ハサウェイのその言葉に頷いていた。
「あの者の、言う通りじゃな……。もう、止めよ」

「長老!」
彼がそう言うのであれば従わざるを得ない。
それは充分に承知していてなおそう声を上げる者達も当然ながら多くいたが、

「儂とて悔しい想いはある……。じゃがのう、儂らは明日=qこれから〉の事も考えなければなるまいて?」
そう言う長老の様な、経験から冷静に物事を考えられる人間には判っていたのだ。
ハサウェイが正論と併せて言外に示して来ていた、「利」の側面についても……。

まず、今はザフト(と、マフティーとやら言うその同盟軍もだが)の方が地球軍に対して勝利をおさめて自分達にと「解放」をもたらしてくれたわけだったが、
それが永続する保証などはどこにも無く、もし再びザフトが追われてこの地が地球軍の手に落ちる様な事があれば、その時は更に苛烈な報復が降りかかるのは必定だった。

そしてこれから彼らは地球軍によって滅茶苦茶にされた生活の安定を取り戻す為に、あらゆる面において再建に向けて頑張らねばならないわけだったが、
その為にもザフト(プラント)と、それに追随してくるであろう大洋州連合の様なその友邦からの軍事的・経済的な支援が不可欠である以上、彼らの方針を無視する事は出来ない。

少なくとも、自分達の証言に基づいての「公正な裁判」を確約すると言われた以上は、それを信じて世界の同情を得る方が得策であった……。

「くっ……!」
生き残った以上は、そして生きている以上は、まず生きている者達の事を第一に考えねばならない。
長老の口からそう言う認識に基づいて言われては、なお納得はいかない者達であっても不承不承ながらも矛を収めざるを得ない。

かくして、それ以上の非戦闘員(正式な軍人ではない)たる者達による戦闘員への武力行使と言う、法治の原則的には問題となる行為は差し止められる事となったのだった。


そしてそれは、その様をつぶさに見ていたザフトの者達の心へと生じさせた波紋もまた、大きかったのである――とりわけ、シンとアスランの二人に対しては。

「理≠セけでなく、利≠も説いて止めて見せた……」
その事実を目の前に見て、アスランは良い方の意味での大きな衝撃を受けていた。

シンが必死に訴えかけていた「正論」に――そういう事が自然と出て来ると言う事そのものには、彼の確かな変化と成長を感じつつ――
しかしそうであるが故に、それは通じまいと言う事もまたアスランには理解出来てしまう事で。

だからこそ、それが現実であり、仕方のない事だ……と言う諦観≠ニも言える様な感覚に、無意識に甘んじてしまっていた。

だがそれを、ハサウェイはそのまま是としはしなかった。
戦うその時には「仕方がない」と割り切っている事ながら、決着が着いたその後にもなお無駄な血を流す事は否と考える――そしてその対象は、敵に対しても向けられているのだ――
と言う事をハサウェイは実践していると言うその事実に、アスランは脳天を殴りつけられた様な衝撃を覚えさせられていた。
確かに、事は感情に根ざした問題であり、
ましてやその感情(の発露としての行動)は、ブルーコスモスの様な甚だしい考え違いをしている者達のそれとは違う、
「間違っている」と簡単には言えないものだった。

だからこそ、必死に止めようとするシンが口にした「正論」だけでは、それを止める事が出来なかった。
それに対してハサウェイは理≠ニ利≠ヌちらもその通りである両方の要素を取り混ぜる事によって、その言葉に「現実的な説得力」を与えていた。

彼らと出会う前の自分だったならばきっと、利≠もって説くと言う事をただ汚らわしいものの様に考え、
シンと同じく理=i理想・理念)と言う「綺麗なもの」だけでもって考え、そして相手に対していたのだろうなと、アスランはそう思わされる。

だが、目の前にこうして現実の結果としてのそれを見せ付けられてみて、アスランは改めて痛感させられざるを得なかった。
真に大切なのは、「結果」であるのだと。

ハサウェイはそうやって、この地の住民達が後々後ろ指を指されたりする様にもなりかねない可能性を食い止めつつ、同時にそれによって地球軍の兵士達をも救ったのだから。

ただ正論をぶつけるだけではどうにも出来ない事を、清濁併せたやり方でもって実現してみせる。
ミニマムなものではあったが、それはまさしく政治的な配慮と行動であり、政治とは何の為にあるのか?と言う事を、
それがまっとうに行われれば出来る事――言い換えれば、それがなければどういう事になるのか?と言うのを、明確に示していたと言えよう。

アスランが、為政者の側に近い立ち位置の思考でもってそれをひしひしと実感させられている時に、
シンの方も逆に一般市民の視点と気分とに近い立ち位置から、その現実と言うものを見つめていた。

そんな彼の耳に、周囲の街の人々には聞こえないような落とした声でのコニールの呟きが届いた。
「あたしだって、納得はしてないよ。…………だけどさ、……やっと平和が戻ってきたんだもんね……。
だからさ、それが憎いあいつらのもんでも、もうこれ以上人間〈ひと〉が血を流すところは、見たくないかな……」

複雑な表情で少しだけ笑いを作って見せて、コニールは頭上のΞガンダムの姿を見上げた。
「あの人、あんたらのお仲間なんだろ?」

「ああ……」
そう頷いたシンに向かって、コニールは更に声を落として呟いた。
「……後で伝えておいてくれるかい? …………止めてくれて、ありがとうって……」

そう言ったきりコニールは黙り込んで、もう何も言わなかった。

復讐に逸る空気の中では思っても誰も言えなかったであろう、多分彼女以外にも多くの人々が密かには抱きもしただろう、そんな想いの欠片をそっと落として。

シンも、ルナマリアと共に、痛い程のそんな人々の想いを肌で感じさせられながら、何も言わずに――そして言えずに――ただその場に立ち尽くしていた。



その激しさの中で芽ぶかせ、確かなものとした成長と、だがそれ故に目を開かされる事にもなった新たな苦みをも同時に味わわされる事にもなりながら、
幾多の声無き慟哭たちがこだまする、ガルナハンの地における戦いはひとまず終結を迎えたのだった……。
519166:2009/03/25(水) 17:33:06 ID:???
こんにちは。機動戦士ΞガンダムSEED Destiny筆者の166です。
週一投下モード最終週となります、(13)後編を投下させて頂きました。

これまで出遅れの感がありましたシン君の、成長エピソードともなります
ガルナハン編もひとまず終わりましたが、
それにしても最後は長かったですね……;
長丁場にお付き合い頂きまして、どうもありがとうございました(苦笑)


今回はアストレイ勢から野次馬のジェスとその相棒のマディガンが登場し、
(幕間2)で登場予定ライン上にと乗せたキャラクター達は、
これでとりあえず、全員登場と相成りました。

3機のガンダム揃い踏みの構図は、
GFFのΞと、MIAのセイバー&フォースインパルスを並べると感じ出そうかな?
と言う気がします(笑)


次回は(幕間3)を予定しております。
それではまたです
520通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 18:44:27 ID:???
>>519
乙ー!
次の幕間でいつもながらの細かい世界情勢の描写にも期待しています
頑張って下さい!
521通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 18:53:24 ID:???
演説だけで見事に悲劇を止めてしまったなぁ。
これこそ政治家!

本来武力は交渉のための道具であって使用は最小限に抑える物なんですけどね。
特に近代軍隊は兵器の値段が高価になりすぎてしまって、
戦費そのものが抑止力になってしまっている状態ですし。

Ξガンダムの戦闘が放映されたら、
デストロイガンダムの小型化と、オーバークルーズ機能の追加をするように命令されて、
デスマーチを強いられる連合の技術者の皆さんが見える………
522通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 18:55:57 ID:???
GJ!
Ξは22m程度にしたのね
あれ正確な全高が良く判らんし
よく見る30mって明らかにでか過ぎだし
523通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 19:15:11 ID:???
乙です
>>地球軍とは異なり″~伏した敵兵に対しても「人道的な処遇」を約束しており
ビクトリア大虐殺やパナマ大虐殺やった口でどの口がこの恥知らずな言葉を吐くかと思ったらマフティーの台詞だったんですね。
早くマフティーがザフトとは立場が違うまともな地球連合側の人物と会う事を祈ります。
524通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 19:20:21 ID:???
まあ種に比べての種死の連合軍の素行の悪さは幾ら負債補正でも酷いからなあ
アフガンのアメリカ軍だって基本的には捕虜虐待や対ゲリラ戦で民間人を気にしないくらいでなのに、
種死の連合軍はお前らどこの北斗世界の住民だってレベルだし
いくらNJがあるからってマスメディアの発達した近代戦で、
どこにジャーナリストの目が光ってるかもわからないのにその辺で安易な虐殺とか連合軍がするわけないじゃん
525通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 19:39:35 ID:???
連合の中核となっているのが、20世紀の共産主義かと言うぐらい虐殺しまくるからな。
526通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 21:14:33 ID:???
>>519

タイミング的にはディオキア入り〜大天使との初接触だけど、ジェスらが登場してマフティーとの共闘の映像を流すとなると
ミナの様に調べていた側の反応がはっきりして来るわけで、次辺りから本編の展開から大きく外れだすのかなと思ったり
まあ、一番気になるのはミーアの存在意義だけどw

それにしても説教ではなく自らの行動で道を示すってのは良いね〜
見てて格好良いよ
527通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 00:00:17 ID:???
>>524
>>525
まぁ戦争はファッション(笑)とか言っちゃう人達が作ったらそんなもんだろ
やっぱ夫妻は勧善懲悪のスーパーロボットものを
528通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 03:31:22 ID:???
もし魁男塾の江田島平八が来たら…
529通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 03:50:32 ID:???
逆シンじゃなく逆シャアの方だけど昔ファンロードで、
宇宙空間でクェスがαアジールから生身で飛び出して
サザビーのコクピットに転がり込むくだりを、塾長の人工衛星脱出風に
描いてるのは見た覚えがある。
530通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 09:14:40 ID:???
もし種世界に753、邪神モッコス、地獄兄弟が来たら……


スーパーカオス大戦の幕開けだ!!
531通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 10:01:49 ID:???
>530
つまり、新番組「機動戦士ガンダム ディケイド」が始まるのですね?
532通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 10:27:33 ID:???
>>531
Gジェネオリ軍でも向かわせとけ
533通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 12:35:34 ID:???
>>529
昔のファンロードのネタはどんな作品でも北斗や男塾やジョジョにしちゃってたなw
534通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 13:32:09 ID:???
アスラン:アミバのトップ阻止
535通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 20:27:25 ID:???
>>531
122 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2009/03/25(水) 00:37:12 ID:???
機動戦士ガンダムディケイド
真のイノベイターとなった刹那が様々なガンダム世界を旅する物語
最初に訪れる世界はUC0079
以降、アムロと共に異世界を巡る

127 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2009/03/25(水) 00:41:15 ID:???
「ちょっとくすぐったいぞ」は前に出てたザク←→マゼラアタックのプライズで実現してるなw

128 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2009/03/25(水) 00:41:53 ID:???
ガンダムALIVEを思い出す

129 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2009/03/25(水) 00:41:56 ID:???
アムロの声優は蒼月じゃなくて、若月

146 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2009/03/25(水) 00:49:22 ID:???
奇麗なカミーユのいるUC0086とか、ガンダムがカトキデザインのAC195とか・・・

155 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2009/03/25(水) 00:53:20 ID:???
>>146
スパロボでいいような気がしてきたw





536通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 21:15:35 ID:???
>>535
イノベイダーになっても、Gガンダムの世界で絶望するのが目に見えるようだ。
537通常の名無しさんの3倍:2009/03/27(金) 00:56:41 ID:???
もしゴルゴさんがきたらやっぱりMSを狙撃で大破させるんだろうか
ということを装甲兵SDR2を見ながら思った
538通常の名無しさんの3倍:2009/03/27(金) 01:04:28 ID:???
>>536
いやきっとディケイドのそれぞれのライダーの世界なみにトホホなGガンワールドになっているんだよ・・・
539通常の名無しさんの3倍:2009/03/27(金) 19:45:50 ID:???
そういえば昔あったキンゲクロススレは楽しかったなあ
と、スパロボでシスコンアスハムとシンやら総士やらが絡んでるのを見て思い出した
ちょっとSSネタでも考えてみるかな
540通常の名無しさんの3倍:2009/03/30(月) 14:56:20 ID:???
新作こない…
541通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 23:01:29 ID:???
保守
542通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 15:37:16 ID:???
保守がてらガンソクロス

「ケバブにはチリソースだろう」
「いいや、ヨーグルトソースだ」

「両方。全部だ」

「「・・・は?」」
「うまーい!!」
543通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 17:54:33 ID:???
おいおい何言ってるんだ。

「調味料全部」

に決まってるだろ? たった二つきりなんて少なすぎるだろ。
544通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 18:36:25 ID:???
それでも足りずに、サラドレやゴマ油までかけたりするんだよな・・・
545通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 20:19:42 ID:???
中東の飯屋にドレッシングとかそんなんあるんだろうか
546通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 20:26:35 ID:???
そもそも中東の食卓に生野菜があるとは思えないんだが・・・
547通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 21:07:47 ID:???
ミルクはどうなんだろう
548通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 21:22:56 ID:???
あるけど山羊や羊のやつだと思われる
向こうで調達出来るのは肉と果物の類が多いんじゃね?
穀物類は交易品かと
549通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 22:05:30 ID:???
最近になってガンソードを見たんですが、カギ爪とラクスが重なってしょうがないんですよ。
そしてシンがヴァンの立ち位置に……
550通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 00:21:22 ID:???
スパロボKでヨロイの宇宙適応が軒並みBなので
迷うことなくダン&ヴォルケインにスラスターモジュールSを
装備させる俺がいる。
551通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 08:40:08 ID:???
キラ「やめるんだ! こんな事をしていたら、いつまでも、ラクスが悲しむじゃないか」
シン「俺の、話を、聞けぇぇぇぇぇぇえええええ!!」
552通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 10:17:32 ID:???
思想は真逆だけど、言動は大して変わらないんだよな
553通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 11:06:30 ID:???
ラクス「シンさん、お友達になりましょう」
シン「殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやるっ!!」
しかしこのシン、エレナの代わりにマユかステラの名前を叫び続けそうだな。
554通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 16:57:03 ID:???
>>537
なんか頑張って過去スレ見る方法でも探してくれ

もしもCEにゴルゴ13が居たら…
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/shar/1166111345/
555通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 19:29:37 ID:???
>>524
ザフトは捕虜を銃殺するわ
オーブは市民を巻き添えにしながら戦闘するわ
種世界の軍隊は碌なものじゃないねえ。
連合が徴用した現地人を働かせていたのも謎だよな。いつの時代の話だよ。
556通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 22:45:50 ID:???
好意的な視線で見れば現地雇用によるインフラ活性とかなんだが(自衛隊もイランとかでやってた奴)、
負債の手にかかるとそれが何故か強制徴用による奴隷労働へと早変わりだからなあ
マスコミの恐ろしさを知らんのかと小一時間(ry
むしろマスコミが味方してくれる方だったか?
557通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 22:51:25 ID:???
>>555
素人の人力じゃいつまでたっても基地なんか作れねえよな。
558通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 10:41:59 ID:???
if要素が混じってる話ここで連載してもいーい?
もちろん他作品他作品ロボが出てくるんだけど
559通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 10:57:34 ID:???
篠原重工が、C.Eに来たら

とりあえず、MSが使い物になると思う
560通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 13:46:00 ID:???
ジ・オリジンでは、最初ザクは建設機械として開発されていて、開発チームのパイロットは後の黒い三連星でした。
CEの戦闘用ロボットの開発を篠原重工に任せたなら……最初は警察用(98式)、次に軍事用(99式)の開発になるのかな?
しかしハイマットフルバーストを見て興奮する太田巡査の姿しか思いつかないな。
561通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 14:59:01 ID:???
>558
問題ないかと。
562通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 15:57:44 ID:???
>>560
むしろM1アストレイかストライクダガーでフルバーストをかわしきり
間合いに入り込んで体術だけでフリーダムを取り押さえてのける熊耳おたけさんとか。
563通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 19:31:20 ID:???
パイロット乗せないで、HOSの自律制御に任せた方が、優秀かもしれないな。
564通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 23:37:44 ID:???
少なくとも種版強化人間よりは優秀な希ガス
565通常の名無しさんの3倍:2009/04/05(日) 09:01:08 ID:???
もしも、オーガスタ研とムラサメ研とフラガナン機関がCE世界にやって来たら

オーガスタ研とムラサメ研は元の位置に。
フラガナン機関はプラントに。
566通常の名無しさんの3倍:2009/04/05(日) 15:24:44 ID:???
ムラサメ博士は基地外
567通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 01:59:03 ID:???
>>565
コーディネーターは、人外専用機のギャプランを使えるのだろうか?
普通?の人間のヤザンが平気な顔で操縦している横で、
コーディネーターがブラックアウトしていそう………
568通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 02:13:16 ID:???
ヤザンを普通のパイロット扱いって、ルーデルを普通のドイツ人扱いするようなもんだろ
569通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 22:01:00 ID:???
>>568
そして“普通のドイツ人”にあこがれるシャア。
もちろん嫁さん的に。
570通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 12:42:13 ID:???
シャア
「思うに、ドイツ人種とは早すぎたニュータイプの人々だったのではないか?
故にこそ、戦争に利用され、一人で戦車500以上を破壊し、5歳の美少女と
入籍する」

シュタイナー
「ないないない」
571通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 13:13:01 ID:???
つ フィンランド
572通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 17:22:44 ID:???
コツを聞いても「練習だ」で返される予感。
573通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 13:50:48 ID:???
そこで、撃墜されても撃墜されても生還するカタヤイネン
「大佐ぁ〜」
574通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 18:39:16 ID:???
>573
ガルマ「わめくなよ、兵が見ている」
575通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 22:29:59 ID:???
保守アゲ
576通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 22:38:54 ID:???
ドロンボー一味が来たら

ジェネシス直撃してもアラスカでチンされても次の瞬間にはボロボロになりながら3人乗りチャリンコこいでるw
577通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 07:56:39 ID:???
>558
そういやコードギアスクロスのヤツ
アレなんで単純にスケールアップしたナイトメアをつくってたんだろうな

機体持ち込みじゃなくて種世界で新規開発建造したなら
勇者クロスに出てるガオーMSのような技術融合させた機体になるだろにな
578通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 08:06:02 ID:???
それやったらナイトメアっょぃできないじゃん
579通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 10:07:19 ID:???
ふと妄想

某所、男二人の会話
「MS?……ああ、あの化け物が作っている物ですね。大した役には立たないでしょう」
「ですが、研究だけは進めておいた方が宜しいかと……化け物を毛嫌いすることと、侮ることは別の問題です」
「サザーランド君、キミがそう言うのだからすでに当たりは付けてある。そう見ましたが?」
「……理事、名前を出されるのは……何分どこに耳があるか判りませんので……
実は、ShinoharaHeavyIndustryなる企業が過去に人型汎用作業用機械を作っていたので基礎研究はほぼ終えていると」
しばし考えると、こう言った
「なるほど!化け物共が開発している物を我らが先に実用化する……ナチュラルの有能さを示すには丁度良い!」
「しかも、民生用から、一部軍用まで……後、知将と名高いあの方も別ルートで研究を進めているようです」
「それより先に実用が出来れば、色々面白くなりそうです……良いでしょう、研究開発を進めて下さい」



続かないw
580通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 10:42:43 ID:???
確かにレイバーがあのまま開発続けられてたらMSなんかはるかに越えた存在になってると思うけどさ
現実世界でもサイコミュ完成しかけてるし
581通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 13:18:46 ID:???
>579
話の流れからすると、レイバーは一度途絶えた存在なんですね。
設計図か現物が残っていれば復元はそう難しく無いでしょうが、問題はやはりOS……発掘に成功したOSがHOS(劇場版)だけ、それが種クオリティだとか。
582通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 13:55:41 ID:???
私は三次元人(嫁)だ。
お前達(シン・アスカ)は、私の手のひらで踊らされていただけの存在なのだ
583通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 13:57:39 ID:???
Gクロスの続きまだかなぁ…
584通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 17:20:59 ID:???
じゃあラクスあたりが「だからドリルは取れと言ったのだ」って死ぬわけですね
585通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 20:59:01 ID:???
Gクロスってなに?
586通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 21:06:38 ID:???
Gガンとのクロスじゃね?
何故か途中から映画撮影の話になったが
587通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 21:14:12 ID:???
なったというか、ある時期からドモンと種キャラでGガンを演じさせる人しか作家が居なくなったってだけだな。
588通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 22:28:52 ID:???
Gガンとのクロスはかなり難易度高いよな
ゴッドガンダム1機でCE世界を制圧しかねないので匙加減が難しい
あれも結局シン達をファイターとして鍛える話だったし
ユニウス7を単機で消滅させるような奴相手じゃ誰も歯向かえん
逆にGガンの世界に種キャラが行っても、出来る事など何もありはしない
これは種に限った話じゃないだろうけど
589通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 22:56:05 ID:???
作品間で技術力や戦闘力が違いすぎる作品同士は、異界戦記カオスフレアと混ぜるといい具合に誤摩化せる
何しろ剣と魔法で戦う中世風ファンタジー戦士、近代兵器で戦う軍人、侍、武侠、龍、機械生命体、ノーライフキング、人型巨大機動兵器、光の巨人、宇宙怪獣、邪神etcetc
……が一同に介して互角に戦ってても、全部「コロナのおかげだ」の一言で済むステッキーな作品
590通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:02:19 ID:???
ディケイド並みに元ネタから外しとけばいいんじゃね
ガンダムファイトだけ残しといてガンダムファイターの設定抜くとか
591通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:06:11 ID:???
ガンダムファイトで裁判するとか?w
592通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:08:23 ID:???
他のガンダムならなんともない「ちょっとくすぐったいぞ」がGガンだと本当にくすぐったいんですね、分かります
593通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:12:29 ID:???
ガンダムの破壊者00
九つの世界を巡り、そのデュアルアイは何を観るのか

00除いて九つの世界って、どれを選べばいいんだ?
宇宙世紀が多すぎる・・・
594通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:21:21 ID:???
ガンガルとかガルダンとかあるじゃないか
595通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:23:09 ID:???
初代、Z、ZZ、逆シャア、V、G、W、X、種死でいいんじゃね?
596通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:26:58 ID:???
∀は外したくないな
種を入れるかどうか、F91わすれるな、0083とかのOVA作品はどうするか
ほぼ繋がってるZ、ZZはひとくくりでもいいんじゃないかとか、色々迷う・・・
597通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:29:01 ID:???
むしろ9つの世界を巡るのが∀に似合ってると思うが
文明の埋葬者ですし
598通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:31:38 ID:???
文明の埋葬者∀
九つの世界を巡り、そのデュアルアイは何を観るのか

ロランはそういう事しないだろうし
刹那と00ならぴったりなんだがなぁ
599通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 00:44:25 ID:???
>>598
元ネタのディケイドからして世界を滅ぼしてるように見えないから
ターンAinロランでも問題ないと思う

むしろターンAの能力だけが伝わっていたせいで破壊者だと思われててロランと親身になって和解とか
600通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 00:48:15 ID:???
色んな世界で仲裁して回るロランはしっくりくるな
601通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 00:52:40 ID:???
んー
刹那は紛争介入って理由があるけど、ロランはムーンレイスとの和解しか考えてなかったからね
他所の世界に行くには理由が弱すぎるなって
最後に00を止める役なら∀がクウガアルティメットフォームのポジでもいいかな

ディエンドにあたるのは何だ?
ストフリか?
他所から物を奪うのはラクシズの十八番だし
602通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 22:58:24 ID:???
ちょっと趣旨とずれるかも知れないが、ぼくらののジアースが来て
種種死キャラでぼくらのを演らせてみてはどうだろうか。
生々しい面が見たい。
603通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 23:41:08 ID:???
種キャラに生々しさなんてねーだろw
考えるのを止めたようなキャラしかいねーじゃん
604通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 23:42:58 ID:???
と、考えるのをやめたかわいそうな人がやって来たわけだが
605通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 23:43:54 ID:???
種における生々しさというと、エロ・嫉妬・優越感のような人間の暗黒面で出来た世界観と死亡シーンくらい?
606通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 23:51:07 ID:???
だからそーゆー連中をあーいう状況に追い込んで剥き出しにさせるのだよ。
607通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 23:53:03 ID:???
味方が何をされても「キラは悪くない!」としか言えない奴が考えて物を云っていると?
凸に限らず脊髄反射でしか物を云えない連中ばっかじゃねーか?
608通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 00:19:52 ID:???
ようはもっと泥沼に落ちやがれと
609通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 00:26:01 ID:???
ミネルバ・デイズ、主人公凸。


nice Minerva.
610通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 00:40:12 ID:???
                         わっほい
                   ,。、_,。、 わっほい
          _      .く/!j´⌒i.ヾゝ      _
        ((( ι ヽ     / ハハハハ ヽ     ノっ ))))
           | .|      | ! 0 、0 ! |     | .|
           | |     >人 ▽ 人<    .| .|
           | i____ _ハ|  |ハ_ ___ノ i
           ヽ __||_l  |  |  l _||__ ノ 
                  |  |.∞|  |
                  |  .|  |.  |
                 |__|  |__|
                 ./____丶 _
                 .|   | | /   ヽ
                 .|    /   |===
                 |__ ノ / .|  |
                  |  |    .|  |
                   }  {    .| |
                   |  |   (  ヽ
                   |===|   ヽ __)
                    .|   | 
                     .|  |
                    | |
                    / )
                   (___/


611通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 21:18:01 ID:???
ディケイドは平成ライダー巡るから
同じネタでV以降のガンダム盛り沢山でいいと思うんだ
612通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 22:32:24 ID:???
UCまとめて一つの世界だろ、と言いたいところだがアギトとクウガがパラレルワールド扱いだからなぁ
613通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 00:55:43 ID:???
1stは外せないというか、クウガポジで最初に巡りたい処
ところがそうなるとCCAの世界を出せなくなる
年季入ってるだけで同じアムロだもんなぁ
単純にクウガとアギトみたいにパラレルワールド扱いにはできない
CCAアムロはアルティメットフォームのクウガみたいな扱いかな?
614通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 01:04:01 ID:???
あねさんだかなんだかみたいな同じアムロって名前の別人にすればいいのさ
615通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 01:15:41 ID:???
あねさんポジがブライトか・・・
616通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 23:34:57 ID:???
ブライ子・ノア
617通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 13:28:45 ID:???
>>612
UC自身、すでにパラレルな設定になってるような
1stの公式に近い作品だけでテレビ版、劇場版、小説版、オリジンとあって
Zもテレビ版、新訳版があるしひとくくりでUCは難しいような
618通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 15:16:56 ID:???
ターンエーで黒歴史は統一されたはず。
まさかUCの他媒体作品も『似て非なる歴史が繰り返された』扱いじゃ有るまいな。
619通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 18:20:03 ID:???
ディケイトが00だったらディエンドはリボンズ(ルイス泥棒、GNドライブ泥棒等)
ディケイトが∀だったらディエンドはターンX(天下の武器泥棒)
これでいいんじゃねぇの?



勿論ラクシズは敵(ラクスが謎の女でキラは"造られだ存在)
620通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 19:30:28 ID:???
何が勿論だ馬鹿
621通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 16:06:51 ID:0GPOaDhd
610>>
ホメ春香さんが来たので・・・
アイドルマスターの765プロのアイドルが種世界にいたらどうなるんだろうか?
二コ動では三国志や信長の野望の世界にいたりして活躍してるんだが。
622通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 16:30:07 ID:???
>>621
その昔、シスプリキャラが一年戦争をするフリーゲームやひぐらしのキャラが一年戦争をするフリーゲームがあってだな
623通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 16:59:06 ID:???
>>615
Xのサラだな
624通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 00:02:33 ID:???
種系世界にDr.ヘルが来たら
625通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 00:13:03 ID:???
古代宇宙世紀のMSを発掘して世界征服の野望を抱く
626通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 00:26:17 ID:???
>>625
Dr.ヘルがドアンザクを発掘してイヨネコ式ジオン獣で大暴れしたら楽しいな
627579:2009/04/19(日) 00:54:37 ID:???
一応訊いてみる
需要はある?
628通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 01:11:01 ID:???
俺らが読みたいかどうかは関係ない、あなたが書きたいかどうかだ
629通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 10:42:23 ID:???
基礎技術からして全く違うのに何故かマジンガーに似てる機械獣もいたから
ヘルがザクとかグフを繰り出して来ても違和感は無いな

問題は部下だが
やっぱりラルとハモンを半分づつくっつけたやつとか出てくるんだろうか
あと首を片手に持ったキシリアとか
630通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 12:59:53 ID:???
>>629
ジョージ・グレンの頭をサッカーボールに
631通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 13:14:56 ID:???
そういやストフリは光子力で飛ぶんだっけ?
632通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 13:14:58 ID:???
昨日ブラスレイター見直してて思ったんだけど
もしジョセフや隊長が種世界に来たら……

オーブ攻防戦で融合体出現→感染拡大で地獄絵図、数名ブラスレイターに覚醒するものが出て
世界中に融合体が広がっていって........なんと言うか地獄絵図?
コーディとナチュラルの戦争は無くなるかも知れないけど人類自体がやばくなるな
633通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 13:23:12 ID:???
超技術で対応策が即練られるような世界でも無い限り
ブラスレイターがクロスしたらどこでも人類大ピンチだよ
634通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 13:35:47 ID:???
シンやキラ達がブラスレイター化してガンダムと融合すんのか
超見てえ
635通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 15:12:08 ID:???
ブラスレイター化するにしてもシンは感染の機会多いのにキラは全然無いな
イージス自爆位じゃないか?

シンなら家族で逃げてる際に融合体に襲われてとかガルナハンでとか色々やれそうだ


むしろブラスレイター化するのはマユで生身のシンが庇いながら生きるアマンダ系の話とか
ザット系の組織入りとか色々やれそうだ
636通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 15:53:04 ID:???
ブラスレイターとのクロス……流石にコーディネイターの正体がデモニアック、という妄想だけは問題がありすぎるか。
637通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:07:03 ID:???
最終回で死んだ凸の幻が「すまなかったな。許してくれ」って言うんだな
638通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 23:22:20 ID:???
無理やりマルキオを白くしてシンにジョセフ街道を歩ませるのも有り
639通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 23:55:17 ID:???
>>638
寝てばっかで種死以上の空気になるので却下

つかブラスレってヘルマンとジョセフのダブル主人公にして、ジョセフをライバル&物語の核心に居るキャラとして設定した方がしっくり来るな
640通常の名無しさんの3倍:2009/04/20(月) 23:49:39 ID:???
むぅ…ゲルトをキラ、ヘルマンをアスランのポジションにしても良いかもしれん
ゲルトォォオオオオオオオッ!!の叫びだけ考えるとだけど
641通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 11:07:54 ID:???
>640
種の時、憎しみあってオーブで戦った頃のキラとアスランなら丁度良い感じかも。
642通常の名無しさんの3倍:2009/04/23(木) 20:29:50 ID:???
ふと思ったんだがMSにエレアが入ってたらもの凄いヤバい事になりそうだ


インパルスに入ってたらシルエットシステムの完成系であるドラグーンで各シルエットを引き連れたインパルスとかやりかねんぞ……
643通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 20:41:57 ID:???
もしも、CE世界の火星にジオン独立火星軍が出現したら
644通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 21:43:28 ID:???
刄Aストレイの話が無くなるんじゃね?
ロウが火星に来た時には核融合炉搭載のRFシリーズが暴れまわってる訳で・・・
645通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 22:51:02 ID:???
つかジェガン以上の量産チート機体が種終了時に火星にいるってもう
原作破壊しかないぞそれw
646通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 16:23:07 ID:???
アニメ見てて思ったが種キャラでアスラクラインとかやりやすそうな気がする
647通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 16:40:00 ID:???
>646
種のラストで出てきたフレイ。魂なのか幻なのかはさておき、確かに射影体っぽく見えますね。
でも機巧魔神を動かすために生贄として捧げられるのは「副葬処女(べリアル・ドール)」なので、ある意味不適合?
648通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 22:10:39 ID:???
それなら、ドンパチやってる最中(ボッシュ大尉が正体を表した辺り)のジオン独立火星軍と連邦軍艦隊(プラス「デフと愉快な仲間達」)を出現させてですね(ry
649通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 00:06:13 ID:???
IF要素のあるクロス物やっていい?
650通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 00:47:30 ID:???
>>1の通りクロスなら何でもどうぞ
最近投下がなくて飢えてるんだぜ
651通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 09:19:49 ID:???
多少の設定改変は許容範囲だろう。

やってみろ
652通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 20:04:43 ID:???
パラレルワールドなんだけど・・・IF総合でクロスがあるならこっちって言われちゃって(;´▽`A``
いいかな?
立場変更、
事件の挿入
性格の改変
こんなところかな
653通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 22:00:21 ID:???
>>652
ここの住人はネタに飢えてるからやっちゃって
654通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 23:45:11 ID:???
好きにやっちゃって〜
655166:2009/04/27(月) 00:03:54 ID:???
楽しみにしております^^;
656通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 00:06:26 ID:???
>>652
色々混ぜ込む傾向の作者さんだったと思うけど、クロス先のジャンルの傾向は?
657通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 00:24:30 ID:???
>>656
田中光二さんの仮想戦記シリーズの灰田さんがやってまいります(^-^)
後は面白そうだな―と思った物を適当に・・・
今回は前作の反省を生かしてオーブ主に。
658通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 00:32:39 ID:???
「ここがヘリオポリスか……」
私はつぶやいた。
初めての宇宙、初めての宇宙コロニー。
頭上に見える、人口の地上。
思わず口を開けてぽかんとなる。
首を振って観光気分になりそうな気持ちを引き締める。
だって……地球では、仲間達が、待ってるんだから。今もザフトに殺されてるんだから……!
サダム。フセイン。バラク。オバマ……
もう、なん人死んだだろう。死んだ仲間を思い出し、胸が痛くなる。
それに、メイリン。
憎しみの思いが湧き上がる。

カトーからの手紙を広げる。
もう、何度も読んだ手紙。
その手紙は、
「ともあれ、プラントは滅ぼされるべきである」
と結ばれていた。
思わずくすりと笑ってしまう。
カトー教授――フルネームをマルクス・ポルキウス・カトー・ケンソリウス――のポリシーなのだ。なにかにつけて
「プラントは滅ぼされるべきである」と言うのは。
……無理もないかな。
カトーの祖父母は、あの『エイプリル・フール・クライシス』――ザフトによりニュートロン・ジャマーが地球上に打ち
込まれ、世界中の原子力発電所が停止した春、ようやく救助隊が彼らの住んでいた高層ビルに派遣された時、す
でに餓死していたと言う。
ニューヨークと言う大都市だっただけに、電気が止まるのは大打撃だったのだ。
ともあれ、今用事があるのはその続きの方だ。地図が書いてある。
私は地図を見ながら、カトーのラボへと向かった。


659紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:34:10 ID:???
連合軍輸送艦艦橋――
「軸線修正、右6コンマ51ポイント、進入ベクトル良好」
「制動噴射、停止。電磁パケットに制御を移管する」
「減速率、2.56。停船する、待機せよ」
「これでこの船の最後の任務も無事終了だ。貴様も護衛の任、ごくろうだったな、フラガ少佐」
輸送艦の艦長は言った。
フラガと呼ばれた男は、眼光鋭い目を油断無くスクリーンに注ぎながら答える。
「いえ、航路なにもなく、幸いでありました。周辺にザフト艦の動きは?」
「2隻トレースしておるが、なぁに、港に入ってしまえばザフトも手は出せんよ」
「……ふっ。中立国、でありますか。聞いてあきれますな」
「はははは、だがそのおかげで計画もそこまで来れたのだ。オーブとて地球の一国と言う事さ」
「では、艦長」
上陸する予定のパイロットが艦長に挨拶に来た。
「うむ」
「上陸は本当に、彼らだけでよろしいので?」
フラガは少し眉をひそめた。
「ひよっこでもGのパイロットに選ばれたトップガン達だ。問題ない。貴様などがちょろちょろしてるほうがかえって目
立つぞ」
フラガは苦笑した。


ザフト艦ヴェサリウス内――
「そう難しい顔をするな、アデス」
高速戦艦ナスカ級、ヴェサリウスともう一艦、ローラシア級のガモフからなるクルーゼ隊を率いるラウ・ル・クルー
ゼは艦長のアデスに言った。
「はぁ……いやしかし、評議会からの返答を待ってからでも遅くはないのでは……」
「遅いな。私の勘がそう告げている。ここで見過ごさばその代価、いずれ我らの命で支払わねればならなくなるぞ。
地球軍の新型機動兵器、あそこから運び出される前に奪取する!」


660紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:34:34 ID:???
「ここかしら?」
地図に従い、たどり着いた扉の前。
私はちょっとためらうと、ドアをノックした。
「どうぞ」
部屋の中から声がする。教授じゃない、若い男性の声だ。
私はドアを開けた。
「こんにちは、こちらはカトー教授のラボでしょうか」
「ええ、そうです」
眼鏡をかけた学生らしい男性が答えた。先ほどの声だ。
「教授と、約束をしてるのですが……」
「そうですか! いやぁ、教授も忙しくって、どこにいるやら……。まぁ、座ってください。おっつけそのうち来るでしょう」
「ありがとう」
「何か飲む?」
「あ……えと……」
「ああ、僕は、サイ・アーガイル。あっちにいるのがカズイ・バスカーク。君は?」
「あ……」
ちょっとためらったが、私は言った。
「ルナ……ルナマリア・ホークです」

「いい名前だ!」
サイは私に笑いかけた。
「ルナって呼ぶけどいいかい」
「あ、はい」
「とりあえずコーヒー入れるよ。豆だけはいい奴揃えてるんだ」

661紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:34:56 ID:???
コポコポ……コーヒーメーカーが音を立てる。
そして、私の所にコーヒーを入れたカップが運ばれてくる。
その時、ドアが開いた。

ドアから、3人の男女が入ってきた。彼らも学生らしい。
「ちーっす」
「待ってたぞ。ほれ、キラ。教授からの宿題だ」
「うへー。またぁ? この間のだってまだなのに」
「あら、この人は?」
女性が言った。
「ああ、教授のお客さんだ」
「そう! 初めまして。私はミリアリア・ハウよ。ミリィって呼んで」
女性は気さくに言った。
「私は、ルナマリア・ホークです。よろしく」
「じゃあ、ルナって呼ぶね。いい?」
「ええ……」
「そんな他人行儀な。うん、でいいのよ。同じような年でしょう? 何歳?」
「16だけど」
「ほら同い年だ」
ミリィは嬉しそうに笑った。
それから、他の二人の名前もわかった。
茶色の髪でショートシャギーのがキラ・ヤマト。
もう一人がトール・ケーニヒ。ミリィの彼氏だそうだ。
一当たりおしゃべりすると、彼らは普段の作業に戻っていった。

コーヒーを飲んでしまった私は、パワードスーツを身に着けてるカズイを見物する事にした。
だって、キラとかはパソコンに向かってて見てても面白くないし。
「ん? 興味ある?」
カズイが話しかけてきた。
「ん、うん」
「じゃあ、着てみる?」
「いいの?」
「いいさ」
カズイは笑った。

「……へぇ、なかなかうまく動かすじゃない」
カズイが感心したように言う。
「ちょっとばかし、コツがあんだけどねぇ」
「ん、似たようなの、身に着けた事あるから」
「へぇ! どこで?」
「……」
まさか、戦場で、とは言えないか。

662紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:35:16 ID:???
――突然、衝撃が来た。
「キャー!」
ミリィが悲鳴を上げる!
「何? 隕石でもぶつかった?」
「まさか! 衝突しそうな隕石やらデブリやらは、とうの昔にわかっているはずだ!」
部屋の明かりが消え、そして非常灯に切り替わった。
「とにかく、避難しよう」
「ええ!」
私も急いでパワードスーツを取り外すと、部屋から出る!
部屋を出ると、職員の人たちもぞくぞくと階段を上がって避難していた
「いったい、どうしたんです!?」
「知らんよ」
「ザフトに攻撃されてるんだ! コロニーにモビルスーツが入ってきてるんだよ!」
「「「「え!?」」」
「君達も早く!」
……なんで? ザフトが?
いや、カトーには会えなかったけど、こうなったら、私だけで確認だけでもしなきゃ!
私はカトーからの手紙をちらりと見て地図を確認すると、走り出した!

「おおい! そっちは逆だ!」
キラだ。
「私に構うな! お前は逃げろ!」
「そんな事言ったって……」
「おーい、キラ! ルナ!」
向こうでサイが叫ぶ。
だけど、私にはやらなくちゃならない事がある!
「後から行くよ、僕はルナに着いてく!」
「おい! 別に着いて来なくてもいいって!」
「だって、心配だろ」
「……しょうがないな」
私はキラを連れて、地図にあった、工廠の方へと走る!

――!
「うわぁ!」
爆発が起こった!
ふと後ろを振り向くと、通ってきた通路が瓦礫で塞がっていた。
「これじゃ、戻れないね」
「……急ぐ。行くぞ」
私は再び走り出す。

663紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:35:36 ID:???
走って走って。
「どうやらここのようね」
大きな空間に出た時、下に大きなロボットが横たわっていた。
「こ、これは一体……!?」
キラが驚いている。
だけど、私はキラの方に気をかけてやれる余裕がなかった。
自然と笑みが浮かぶ。
モビルスーツ。これがあれば……。

チーン!
ラッタルが甲高い金属音を立てた。
下から兵士が撃ってきた!
「おい、ルナ! ここあぶないよ!」
「……そうね、行きましょう」
目的地はまだ先だ。私は頭の中の地図を素早くチェックすると、走り出す。

しばらく走って、ようやくたどり着いた所。それは――
「……埋まってる?」
私は瞬間呆然としてしまった。
「おい、なんだってのさ」
キラの声で我に返る。
「……戻るわよ」
「ええ!? あぶないよ! 早くシェルター探して避難しようよ」
「行きたいなら、あなた一人で避難しなさい」
言い捨てると、私はまた元来た道を走り出した。

「あ!? 危ない!」
私は咄嗟に声を上げた。
ザフトらしい兵士が、オレンジ色の作業着を着た女性に銃の狙いを付けている!
彼女は私の声で危機に気づいたのか、振り向かずに後手に銃を放ち、ザフトらしい兵を撃つという妙技を見せた。
ザフト兵の頭はざくろの様に割れた。
……その女性が持ってるの、デザートイーグルじゃん!
その女性が私達に声をかけてきた。
「来い! お前達!」
「え……あ……」
追いついてきたキラが、戸惑っている。
「早く! ここら辺のシェルターを探しても無駄よ! ザフトの奴らに潰されたわ!」
「今、行きます!」
すばやく私は考えると、その女性に言葉を返す。そして、下に降りる階段を探す。
「ええと、階段……」
「この方が早いよ」
キラが言った。
「え?」
そしてキラは私を抱え上げると下に飛び降りた!

664紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:35:59 ID:???
あ、あの女性が撃たれた!
あわてて駆け寄ると、赤いスーツで身を固めたザフトの兵士がナイフを持ってこっちに来るのが見えた!
く、私だって伊達に戦ってきた訳じゃ……
こんな事もあろうかと、武器を身に着けてきたのは言うまでもない。
私は落ち着いて、愛用の柘植久慶デザインナイフの最高峰、柘植スペシャルホーク(4・6・1)(問い合わせはスペ
シャル・フォース――)を取り出す!
「ウィ、ムッシュ、カピタン!」
だが、その私の誘いの台詞を無視して、そのザフト兵士が驚いたように叫んだ!
「お、お前! キラ!?」
「あ、アスラン!?」
キラも、驚いたように叫んだ。
「え? ええ!?」
「くっ……」
ダーン!
銃声が、二人の会話を引き裂いた。
作業着の女性がそのザフト兵士に銃を向けたのだ。
ザフト兵士は素早い動きで、身を躱すと、隣のモビルスーツに乗り込んだ。
そして。作業服のその女性はいきなり私達をモビルスーツのコクピットに落とすと、モビルスーツを起動させた。
「シートの後ろに! この機体だけでも! 私にだって動かすくらい!」
「……GUN、DAM?」
キラがつぶやく。
表示される画面に表示される文字が縦読みでそう見えた。
そして、スクリーンにパッと周囲の光景が映し出され、このモビルスーツは立ち上がったのだ!


665紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:36:30 ID:???
2話


「……ちょっと。ただ歩いてるだけじゃないか。大丈夫なんですか?」
キラが心配そうに言う。
確かにぎこちない。ほんとにぎこちない操縦だ。
「私は戦艦の副長よ! パイロットじゃないの! だから言ったじゃない、動かすぐらいならできるって! 無理に走
って一般人巻き込むよりいいでしょう!? 戦うわけじゃない、安全な所にこの子を逃がしたいのよ」
「あ、ちょっと! ふら付いた! 足元に人がいた!」
「ちょっと、黙って!」
私達をコクピットに押し込んだ女性は、コクピットのあちこちをいじっている。
――! あるスクリーンが拡大される!
「サイ! トール! カズイ! まだ避難し終わってなかったんだ!?」


「アスラン!」
ザフトの緑服、トモアキ・オグラはイージスを強奪したアスランに呼びかけた。
「オグラ、トモコは失敗だ」
「なに!? 『他に面白い事が無いんでしょう』とかえらそーに人の事笑っておきながらそれか! あの***女!」
説明しよう。
戦争が始まってしばらくした時、ザフトのネット世界で、クライン議長を応援する気持ちを表すために彼の著書(『と
てつもないザフト』『自由と繁栄のザフト』などである――)を購入しようという動きがわき上がった事があった。それ
を、トモコ・フジタは『他に面白い事が無いんでしょう』とあざ笑ったのである! それに、一度カツラの事で笑われた
事があるのをオグラは忘れた事がなかった――
「 向こうの機体には、地球軍の士官が乗っている」
「ちい!」
オグラは敵機に発砲した!
「ならあの機体俺が捕獲する。お前はそいつを持って、先に離脱しろ!」
「!……」
アスランは頷きながら思った。
キラ……いや、違う。あいつがあんなところにいるはずが……


――ガーン!
突然、大きな音と共にモビルスーツがふら付き、コクピットを衝撃が襲う!
「きゃー!」
「下がってなさい! 死にたいの!?」
正面のスクリーンにはどうやらザフトの物らしいモビルスーツ――おそらくジンが映っていた。
そいつは重斬刀を抜くと切りつけてくる!
「まだ終わらないわ! ええい、このスイッチよ!」
副長と名乗った女性は、ひとつのスイッチを入れた!

666紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:36:56 ID:???
――ガシィーン!
スクリーンから見ると、どうやらまともに重斬刀でぶったたかれたらしい。でも、衝撃はあったけど。
このモビルスーツはやられていなかった!
「PS装甲――フェイズシフト装甲よ。実体兵器ならほぼ完全に無力化できるわ!」
作業服の女性が自慢げに言う。
「よかった……!」
キラがほっとした声でため息をつく。
私は……なんとかPS装甲の技術を盗めないかなと頭の中の醒めた部分がつぶやいていた。カトーからの知らせ
では、オーブはまたPS装甲の秘密を探り出せていないのだ。

――ガシィーン! ガシッ! ガシッ! ガシッ! ガシッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガガガガガ!
……安心したのは早かった。ザフトのモビルスーツは何度も重斬刀を叩きつけて、叩きつけて。
その度に衝撃が襲い、ふらついて。とうとうこのモビルスーツは倒れてしまったのだ!
「う!……ぅ……」
作業服の女性がぐったりとなった!?
あ、額から血が!
こうなったら!
「キラ、悪いけどこの人、どけてくれる?」
「え、どうすんだよ?」
「いいから早く! モーレン、ディー! ディー!」
「ちょ……なに……を」
作業服の女性に構わず、空いたパイロット席の隙間にすばやく私の身体を滑り込ませる。
モニターには重斬刀を構えた敵が迫って来るのが見える!
でも、まだ余裕はあるはず!
振り下ろされる重斬刀!
襲う衝撃!
でも幸いな事に、地面に背中をつけているからか。衝撃はふらついていたさっき程ではない。
「規格は同じはずよね、教授からの情報によると……」
私はメモリースティックを取り出す。
「ほんとはこの子に使うはずじゃなかったんだけど」
コンソールの差込口に挿す!
プログラムが自動的に立ち上がる! OSが見る間に修正されていく!
そして
【完了】の表示。
「よおし! これで! モッ! ハイ! バー!」
667紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:37:17 ID:???
わたしは一気にスラスターを吹かす!
モビルスーツはまず上体が起き上がり、重斬刀を振り下ろそうとしていた敵に、カウンター気味に頭突きを食らわす!
そして、このモビルスーツは再び立ち上がる。
「X-105ストライク……か。この状態じゃ、武器は……」
モニターに、立ち上がりかけた敵機が見える。
「させない!」
アーマーシュナイダーを取り出すと、立ち上がったばかりで無防備な敵機の肩関節に突き刺す!
重斬刀を取り落とす敵機。
「やった!」
その時、作業服の女性が叫んだ。
「あぶない! 耐ショック防御!」
え……
モニターに敵機を脱出していく人影が見える。
咄嗟に私はイーゲルシュテルンを放った!
ズタボロになって消し飛ぶ人影!
そしてモニターに、一瞬光が満ち、すぐに遮光モードに入ったのだろう、暗くなる。
そして、衝撃!
「くっ!」

くそう、モビルスーツを後に倒してしまった!
「なんたる阿呆だ、この私は!」
「いてっ」
「あ、キラ。大丈夫か? その人も」
「……僕ならなんとか。この人気絶しちゃってるみたいだ。……まぁ頭は僕の腹の上だったから大丈夫だと思うけど」
「ふん、役得だな」
「え、ええ?」
「ちょっと見せろ」
私モビルスーツを待機状態にすると、その女性を軽く診察する。
「……ん。大丈夫そうだ」
ドッグタグに目をやる。
「ふん、名前はマリュー・ラミアス。地球軍の大尉さんか」
「経験あるんだ? 手つきが慣れてる」
「ん。戦場でな。戦場では誰が医療専門だとか言っていられんから」
「戦場……」
驚いたようにキラはつぶやいた。
「教官だったんだ、特殊部隊の――」
そう言うとキラは納得して何度も頷いたのだった。
「ふ……む。デザートイーグルかか。なかなかじゃないか」
私は拳銃を見つけると、身に着ける。
「ハッチを開けるぞ」
「あ、うん」

668紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:37:45 ID:???
ハッチを開け、周りを見渡す。
モビルスーツの周囲に、サイ達の姿が見えた。
「ルナ!?」
「なにやってんだ!?」
「……お前らここから離れろ! 今からこいつを動かす!」

私はコクピット内に戻る。
「キラ、このラミアス大尉を頼む。私は今から行くところがある」
「え、どこへ行くのさ!」
「いいから早くしろ! ここはザフトの攻撃を受けた。また奴らが戻って来たら知らんぞ!」
「でも……」
「また戻ってくるから!」
私はキラを追い出すと、再びこのモビルスーツ――ストライクを起動させた。

「……着いた。コクピットだけでいいんだ。そうすれば……」
私は、先ほどキラと訪れた場所にとって返す。
慎重に、瓦礫を取り除いていく。と、赤い装甲板が見える。
「レッドフレーム!」
私の顔に笑みが浮かんだ。
「戻るだけのエネルギーは残しておかないとね」
私はストライクから降り、赤い装甲版のある箇所のスイッチを入れる。
パフン!
軽い音と共にコクピットのハッチが開く。
そこのパイロット席には人が座っていた!
「――カトー!」
私は慌てて近づくと、様子を見る。
「ぁ……」
「大丈夫ですか!?」
「ぁ……ぁ……」
だんだんカトーは正気付いてきたようだった。
「あ、あなたは! ルナマリア様!」
「……よかった!」
「よくぞご無事で! ザフトの攻撃が……」
「わかっています。地球軍のモブルスーツで無事なのは、X-105ストライクだけかもしれません。残りは破壊された
か、強奪されたか」
「なんと!」
「ちょうど、強奪された場面に居合わせました。それより、これを。託された物を。ネットの巨大掲示板、オーブチャ
ンネルUNIX版に助けを求めて改良されたモビルスーツ用OSです」
私はカトーにメモリースティックを渡した。
「おお、ありがたい!」
カトーはこのモビルスーツ――レッドフレームを起動させると、メモリースティックを差し込む。
先ほどと同じ光景が繰り返され、【完了】の文字が浮かぶ。
「ブルーフレームもやってしまいましょう。ザフトがまた来るかも知れない。戦力はあった方がいいです」
「そうですな。では……」
カトーはレッドフレームを立ち上がらせると、ブルーフレームのコクピットの上にある瓦礫をそっと除ける。
私はブルーフレームに入り込み、OSを更新する。
っと……
私は思い出して手近な所にある通信機を見つける。
669紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:38:08 ID:???
「ヘリオポリス防衛本部!」
『……こちら、防衛本部!』
「状況は!?」
『あなたは誰です!?』
「国民番号を述べる! OBAAA1133546」
『……ちょっと待って……え、ええー! ふ、符丁を確認する!』
「了解した」
『K―113203』
「Y−432210」
『ルナマリア・ホーク・アスハ准将殿! 確認しました! 現在の状況、ザフト軍の奇襲により混乱中、港外にて防
衛隊メビウス20機喪失!』
「了解した。私はこれより地球軍の新造戦艦を接収し、行動を共にする。ザフトをコロニー内に入れるなよ!」
『了解しました!』
私は通話機を置いた。
「あ、カトー。あの瓦礫で塞がってる扉の向こうは? まだ見ていませんが」
「あー。モルゲンレーテじゃなくてどっかがなんかやってたようだけど。よくわからんし時間がない」
「わかりました。さて、と。カトー、とりあえず、戻らなければなりません。気絶したラミアス大尉……ご存じですか?」
「ああ、もちろん!」
「彼女と、あなたのラボの子達を待たせているんです」
「わかった。では行こうか!」


「どうすんのさ」
「どうすんのって言っても、カズイ、このまま待つしかないだろ」
「あ、起きた」
「大丈夫ですか」
キラはマリューの顔をのぞき込んだ。
「あ、ああ……ありがとう……」
「よかった! お水、飲みます?」
ミリアリアがペットボトルを差し出す。
「ありがとう……ん? んー? そう言えば、私、ストライクに!」
周りを見渡す。……無い!
マリューは慌てた。
キラの顔を見つけ出すと、くっつかんばかりに言った。
「君! 一緒にストライク乗ってたわよね!? あれ、あれどこ行ったの!?」
「は、はぁ……。ルナが、行くところがあるって、乗って行っちゃいました!」
「な、なんですってぇ!?」
マリューは卒倒しそうになった。
「どこに! 私も行くわ! あれは人に見られていい物じゃないのよ!」
「いや、そう言われても、どこへ行ったか定かでは……」
「ええー!?」
再び卒倒しそうになったマリューの耳に天使の声が聞こえた。
「あ、戻って来た」
「でも、増えてるぜ」
その通り。マリューの目に見えたのは、ストライクと、見知らぬ赤いモビルスーツであった――


670紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:38:32 ID:???
「これは……」
息を飲むマリューの前で、二体のモビルスーツのハッチが開く。
ルナマリアとカトーが降りてくる。
「あ、あなたは、カトー教授!」
マリューはカトーの姿を見ると叫ぶ。
カトーは軽く頷くと、マリューの腕をつかみ、物陰に連れて行く。
「ともかく無事でよかったラミアス大尉」
「ええ、あなたも。それにしてもあの赤いモビルスーツは……」
「ふ……オーブで開発していたのですよ」
「え、それって技術盗用!」
「ふ、ここで開発する以上、暗黙の了解だと思いましたが。それに、ストライク以外のモビルスーツを失ったそうですな」
「ええ……」
「結果オーライです。戦力は多い方がいい。とりあえずあなたが黙っていればよい。あとは上層部同士の交渉で決
まるでしょう」
「ええ……。あ、あのルナマリアとか言う少女は! 機密が!」
「そう騒ぐな。後にいる」
後から、少女の声が聞こえた。
マリューが振り向くと、あの印象的な赤い髪の少女が強い意志を秘めたまなざしでこちらを見つめていた。
「ラミアス大尉」
カトーが言う。
「はい?」
「くれぐれも、ルナマリア様にご無礼のないように」
「ルナマリア、様?」
「私はルナマリア・ホーク・アスハ。オーブの現代表首長、ウズミ・ナラ・アスハの娘だ」
「ええ!?」
「この事は他言無用」
驚くマリューにルナマリアは言葉を繋いだ。
「ラミアス大尉。貴様の経歴はカトーから聞いた。憎いか、婚約者を殺したザフトが」
671紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:38:51 ID:???
一瞬、マリューの瞳に憎悪の光が灯った。
「ええ、憎いわ」
「ならば」
ルナマリアは笑みを浮かべた。
「我らは同志だ」
「え」
「ザフトによるニュートロン・ジャマー無差別投下。オーブも小なりといえど被害も出た。……妹のメイリンは、キャ
ンプに出かけていた時に、ニュートロン・ジャマーの直撃を受けた。妹の身体は跡形も残らなかった。私はザフトを
許さない」
淡々とした口調でルナマリアは語った。
「誓約を立てよう」
ルナマリアはマリューの手を握る。それにカトーが手を重ね合わせる。
「我ら、必ず」
その言葉をカトーが引き継ぐ。
「ザフトを滅ぼす」
「蒼天我らが上に落ち来らぬ限り」
「緑なす大地引き裂けて我らを飲み込まぬ限り」
「泡だつ海押し寄せて我らを溺らしめぬ限り」
「この誓い破らるることなし」
ルナマリアとカトー、二人の口が紡ぎ出す誓約の言葉を聞きながら、マリューは自分が何か大きな運命の渦に捕
らえられたのを感じていた。


672紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:39:16 ID:???
3話


ヘリオポリス防衛本部――
彼らは混乱の極にありながらも必死で目の前の状況に対応しようとしていた。
「どうします! ヘリオポリス防衛隊、損害80%!」
「あの情報屋め! ぎりぎりになってから知らせてきおって!」
「とにかく、増援を! 周囲の資源開発衛星からかき集めるんだ!」
「ザフトめ! メイリン姫様の仇を!」
「俺、ここを生き残ったら地球軍に義勇兵として参戦してやる! ザフトの奴らをぶっ殺す!」
「こうなったら、名目を宇宙海賊襲撃にして、地球軍にも応援を要請しろ! いいか、ザフトなんて名前すらもった
いない! 奴らは賊だ!」
「傭兵がいる? 早速雇え! 会計? 本土に回せ!」


「教授!」
「無事だったんですか!」
「いや、もうどうなる事かと!」
カトーの周りにサイ達が群がる。大人の知り合いに会えて安心したのだろう。
「ははは。私も危ないところだったがね、ルナマリア君に助けられたよ」
「やっぱり知り合いだったんですか」
「ああ、本土のね。ところで、君ら、協力してくれ。ここらのシェルターは皆もう入れなかったろう?」
「ええ、困ってしまって……」
「近くに地球軍の船がいるはずなんだ。そいつに救援を頼む。いいかい?」
「わかりました!」
「了解」
「では、紹介しておこう、私の仕事の同僚、みたいなもんかな。地球軍のマリュー・ラミアス大尉だ」
「よろしく、皆さん」
「よろしくー」
「よろしくお願いします!」
「じゃあ、サイ、このストライクに乗って通信を試みてくれ。トール達は地球軍の大尉さんとこの場所へ行って運搬
車で……」

「で、ストライクはどうする?」
私はラミアス大尉に話題を振った。
「え、どうするって、ルナマリアさん?」
「オーブのモビルスーツ、2体あるが、ストライクに比べればまだまだ未完成だ。さすが大西洋連合の技術力だな」
「そうでも……」
そう言いながらマリューは嬉しそうに顔をほころばせた。
「僭越ながら、今、ここにいる中で一番うまくモビルスーツを操縦できるのは私だと思う」
「ええ」
「できれば、ストライクに乗らせて欲しい」
「……ええ、判ったわ」
「ありがたい! で、付けるストライカーだがエールを。ソードは対艦攻撃するわけでもあるまいし、ランチャーはコ
ロニーの中で使うには物騒すぎる」
「了解! トール君! 7番のコンテナを持ってきて!」

673紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:39:35 ID:???
「あ!」
サイが驚いたような声を上げる。
「どうしたの!? サイ君」
「通信が! 繋がりました!」
「なんですって!」
マリューはストライクのコクピットに駆け上がる。
『…ちら…ク……ジェル……ちらアークエンジェル!』
微かだけど、途切れ途切れだけど、呼びかけて来る艦名は確かにアークエンジェルだ!
マリューはマイクを取ると呼びかける。
「繋がった! こちらX-105ストライク。アークエンジェル、応答願います!」

――!
爆発音がした!
エアミアス大尉が嬉しそうに声をあげる。
爆炎から現れたのは一隻の戦艦だった。
見上げると鮮やかに赤と白に塗られた戦艦が飛んでいる。まるでペガサスのようだ、と思った。

着陸してきたアークエンジェルから黒髪のショートの髪型の女性が降りて、駆け寄ってきた。
「ラミアス大尉! 御無事で何よりでありました!」
「あなた達こそ、よくアークエンジェルを……おかげで助かったわ」
「……艦長以下、艦の主立った士官は皆、戦死されました。無事だったのは艦にいた下士官と、十数名のみです。
私はシャフトの中で運良く難を逃れました」
「艦長が……そんな……」
「よって今は、ラミアス大尉が最上級者であります。ご命令を、お願いします」
「……わかりました。奪われなかったこのストライク、なんとしても本部へ届けましょう!」
「ところで、この子供達は?」
「ああ……。オーブ側の、モビルスーツ開発協力者であるカトー教授と、その生徒です。危険な中を手伝ってくれ
ているわ。……失礼の無いように」
「了解であります! で、困った問題ですが……ストライクのパイロットがいません。と、言いますか護衛のメビウ
スすらありません。モビルスーツのパイロット候補生達は皆、先程の攻撃で艦長に挨拶していたところを……」
「そう、とりあえず、ストライクのパイロットはルナマリアさんに頼んであるわ」
「ルナマリア?」
「ええ、カトー教授の知り合いでね、オーブでモビルスーツの操縦訓練を受けていたそうよ。私よりずいぶんましな
腕前よ。先程もジンを一機撃退したわ」
「ええ!?」
「教官だったんだ、グリンベレーの――」
そう私が言うと、バジルール少尉は納得したように何度も頷いたのだった。
「それはすばらしい! で、あの赤と青の見慣れぬモビルスーツは……」
「……オーブが、作っていたそうよ」
「え?」
「ふふ。私達は素直に戦力が増えた事を喜びましょう。後は上層部が交渉なりなんなり、するでしょう。オーブの
OSは私達の物より優れていました。すでにストライクにインストールしてあります。ここはオーブと大西洋連合、

お互いに協力し合いましょう」
「了解しました!」


674紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:39:55 ID:???
その頃ザフト艦――ヴェサリウス艦内

「オグラの奴遅いな」
アスランはつぶやいた。
自分と代わるようにコロニー内に残ったオグラ。帰還が遅れているのが妙に気にかかる。
「ああ、しかし、ベテランだ。そう、遅れを取る奴でもないだろう」
「ん、そうだな」
「ふむ。オロール機が大破か。どうやらいささか五月蠅い蠅が一匹飛んでいるようだぞ」
「はっ」
「ところで紅茶の入れ方にはゴールデンルールと呼ばれる有名な入れ方がある。しかしその前に重要なポイント
について教えよう。紅茶の三大要素として『香り』、『色』、『味』がある。このうちの『色』と『味』はポットで決まってし
まう。これは何故かというと単純に、抽出時間やポットでの茶葉の動きに起因するからという訳だ」
「はぁ…」
「厳しい理想としては、できるだけ丸いものを選ぶ。保温性の高いものを選ぶ。ボーンチャイナ製が大変好ましい。
鉄製のポットは絶対使わない。そんな所だな」
「はぁ…」
「では次に……新鮮な紅茶葉、茶摘みされてから余り日数の経っていない物を使うのはもちろんだ。そして新鮮な
美味しい水。これは、水により紅茶のまろやかさが全然変わってしまうためだ。
「はぁ……」
「お湯は緑茶と違い、100℃の空気を充分に含んだお湯を使う事。これはジャンピングを起こすためだ。ペットボト
ルの水や湯沸かしポットでの時間の経ったお湯はジャンピングが起きにくいので、水道より出したての空気を含ん
だ水を沸かした物を使う。そんなところか。ん、そろそろいいかな。注いでやろう」
「はぁ……頂きます」
「オグラからの連絡が遅いが、まぁ彼の事だ。うまくやるだろう」

ラウ・ル・クルーゼはアデス艦長相手に優雅にお茶を楽しんでいた。
「――む!」
クルーゼは何かを感じた。うっすらと汗が吹き出るのを感じる。
「……容易ならん相手かも知れん、出るぞ!」


675紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:40:16 ID:???
「おい、少年」
「え、俺の事?」
「ふふ、そうよ。カズイ」
私はカズイに声をかけた。
「なんだよ」
「ふふ。君、モビルスーツに乗ってみたくない?」
「え、そりゃあ、乗ってみたいけど、なんでさ」
「ん。ストライクは私が乗る。レッドフレームはカトー教授が乗るわ。でも、ブルーフレームが、乗り手がいないのよ
ね。もったいないでしょ」
「でも、なんで僕に」
「んー。ラボでさ、君、パワードスーツ動かしてたでしょ。見込みあるかなぁって」
カズイの顔が緩んだ。
「でも、危険なんだろう?」
「そりゃそうよ。でも最前線は私が受け持つわ。君にやって欲しいのは、私を狙ってる敵を見つけ出して、私が攻撃
されないうちに、牽制のためにビームライフルを撃つ事。エネルギーはアンビリカブルケーブルでアークエンジェ
ルと繋ぐから、危ない時は弾切れの心配なく弾幕張っていいわ。どう?」
「んー……」
「やれるよ、君なら――」
私はカズイの肩に手を置く。
一瞬逡巡した後、カズイは言った。
「よし、僕も男だ! 見込まれたなら、やってやる!」

「ところでキラ君、これ、やっといてね」
カトーはキラにまた宿題を押し付けた。
「ええー!? またですか? 教授?」
「ははは。いいじゃないか。プログラミングの腕はラボで君が一番だからね」
「はぁ……」
「そうだ! これはオーブのモビルスーツ開発と言う大事業だ。ボーナス出そう、ボーナス」
「教授のポケットマネーですか?」
「馬鹿言っちゃいけない。モルゲンレーテからたっぷり分捕ってやるさ!」
「むむ……」
「そうだなぁ。月に3000ドル出そう」
「……僕だけにですか?」
キラは自分だけ金をもらう事が心配だったのだ。
「いや、手伝ってもらう学生にはそれなりに出すさ」
「最後にもう一つ。……ジンバブエドルじゃありませんよね?」
「君も突っ込むね。もちろんオーブドルさ!」
「んん……じゃあ、いいかなぁ」
だが……もはや天文学的な数字の額面となったジンバブエドル紙幣にはコレクターによりプレミアが付いていた
りするのだ。
ちなみに筆者も一枚持っている――


676紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:40:46 ID:???
「くっ、こいつは!」
クルーゼは、たった一機のメビウス・ゼロによって追い込まれていた。
「この私とした事が! オロールがやられるのも頷ける!」
相手のメビウス・ゼロは、4つのガンバレルを縦横無尽に使い、クルーゼのシグーを追い込むように動く。
「こいつはムゥ? ムゥなのか!? しかしこのプレッシャーは!?」
クルーゼはシャフトに逃げ込み、コロニー内へと退避する。
「む、あれか? 地球軍のモビルスーツとやらは! ……数が多い!」
地球軍の新造戦艦らしき物のブリッジに3機ものモビルスーツがある。
しかし、何とか当たってみなければわざわざ自分が出撃してきた意味もない。
メビウスにはできない、モビルスーツならではの小回りの機動で一時的にメビウス・ゼロを振り切ると、地球軍の
モビルスーツらしき物へと突っ込む!
稼いだ時間はわずかだ。
クルーゼはこちらへ向かってくるトリコロールカラーの一機に狙いを定めると、シグーの重突撃機銃を撃つ!
「効果無しか!」
クルーゼは素早く判断を下すとシールド裏面に設置されたバルカン砲で強化APSV弾を撃ち放つ!
「こいつもだめか! む!?」
敵モビルスーツが、こちらに突進してくる!
ビームライフルの光がシグーを掠める!
「ビームライフル? ビーム兵器か! これではこちらに分が悪い!」
「む!?」
殺気を感じて、クルーゼはシグーを急加速させる!
今までシグーがいた場所を、メビウス・ゼロのリニアガンの弾丸が通り過ぎていった。
――!
「うっ! ぬかった!」
危険を感じ、慌ててシグーの腕を盾にする。
その腕を、地球軍のモビルスーツは、ビームサーベルであっさり切り飛ばす!
「く、まだまだ、まだやられんよ!」
それにしても……どうやらバックアップらしい赤と青二機の機体からもビームの弾幕が上がっている。
どうやら地球軍はビーム兵器を本格的に運用し始めたらしい。
――!
クルーゼはまたしても紙一重のところでメビウス・ゼロの攻撃を避けた。
「潮時か! にしても地球軍にこれほどのパイロットがいたとは!」
目的は達した。
クルーゼは撤退に掛かる。
だが、それを見逃すメビウス・ゼロではない。ガンバレルを本体に合体、ブースターとして使用! クルーゼのシ
グーに追いすがる!
――!
クルーゼのシグーは、右足に被弾する!
「くっ、私とした事が! 足なんて飾りに過ぎん!」
クルーゼはシグーの両足をパージする!
軽くなった機体はスピードが上がり、どうやらメビウス・ゼロを振り切りシャフト内に逃げ込めた、
クルーゼは一目散にコロニー内から脇目もふらず撤退していった。


677紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:41:07 ID:???
地球軍の戦闘機――メビウス・ゼロは、余裕のある様子でアークエンジェルの周囲を一回りし、着艦してきた。
降りてきたのは……険しい顔立ちをしたくせ毛の金髪の青年だった。
「地球軍、第7機動艦隊所属、ア……ムウ・ラ・フラガ少佐だ。よろしく」
「第2宙域、第5特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です」
「同じく、ナタル・バジルール少尉であります」
「私の乗ってきた艦は残念ながら落とされてしまった。乗艦許可を貰いたい。この艦の責任者は?」
「……艦長以下、艦の主立った士官は皆戦死されました。今は私がその任にあります」
マリューが答えた。
「ふぅ。あちらもこちらも大騒ぎだな。ともかく許可を。ラミアス大尉」
「わかりました。乗船を許可します」
「ところで、地球軍のモビルスーツを操縦していたのは?」
「私ですが」
コクピットから降りると私はそのフラガ大尉に言う。
「オーブの、ルナマリア・ホークだ」
「……そうか。不躾な質問をするが許してもらいたい。君はコーディネイターか?」
周囲に緊張が走る。
「ふ。ナチュラルですよ。それはマリュー大尉とカトー教授が証人だ」
「ふむ……」
フラガ少佐は自分のあごをつまんだ。
「すまん。他意はない。私はただ聞きたかっただけなのだ。なにしろ、ここに来るまでの道中、これのパイロットに
なるはずだった連中の、シミュレーションをけっこう見てきたが、奴等、ノロくさ動かすにも四苦八苦してたものでな」
「ふ……血反吐を吐くような訓練をしただけだ。文字通りな。それに、モビルスーツの原型のバトルスーツはコーデ
ィネーターが創ったと言うわけでもあるまい」
「確かにな。だが、それだけではなさそうだが」
秘密を探り出そうとでも言うように、フラガ少佐は強いまなざしでこちらを見つめてくる。
「ふぅ。ま、別に隠す事でもないが。OSは、オーブで開発された物に更新されている。ナチュラルでも使える物に
だ。先程はモビルスーツには素人の学生でも銃撃戦が出来たぞ。もちろん彼はナチュラルだ」
「そうか。それは心強い。ところで、奪われなかったのは1機だけか? あの2機は? 私のの知ってるデータには
ない機体だが?」
「ああ、なんと言うか、オーブの作っていた秘密兵器さ」
カトーが口を挟んだ。
「秘密兵器! そりゃなんとも頼もしそうな響きだな。ところで、外に居るのはクルーゼ隊だ。あいつはしつこい。こ
んなところでのんびりしているより、早く出航した方がいいと思うがね」
そう言ってフラガ少佐はアークエンジェルの中へ入っていった。
私はカズイの姿を見つけると、「上出来だったね」と握手を求めた。
彼は嬉しそうに照れた。


678紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:41:39 ID:???
4話


無様だ! 着艦などと言えるものではなかった。両脚、片手を失い、かろうじて着艦補助ネットに受け止められた
だけだった!
「隊長、ご無事ですか!? 早く降りてください!」
「ああ! わかっている!」
『クルーゼ隊長機帰還。被弾による損傷あり。消火班、救護班はBデッキへ』
機体から降りると、つい膝を突いてしまう。胸が酸素を求めてあえぐ。
なんなのだ、あれは! メビウス・ゼロのパイロット。ムゥとは感じるプレッシャーが段違いだ! ザフトの次期主力
機として開発されたシグーとこの私を持ってすらこの始末とは!
ざわっと背筋が凍るようなあのプレッシャー……それは彼に過去の幸福だった日々と裏切られた日を思い出させ
た。
まさか! 彼は自分が……焼死したはずだ! それに生きていてもパイロットなどが務まる歳ではないはずだ。
ふ。埒もない事を考えた物だ。地球軍は層が厚い。ムゥ以外にもパイロットは居ようよ。
思わぬ強者に出会って気弱になってしまったか。
クルーゼは苦笑して気持ちを切り替えた。
それにしても、地球軍の新型モビルスーツ。すでにあれだけの動きが出来るとは!
「ヴェサリウスの動けるパイロット全員に招集をかけろ! すぐにブリーフィングだ! 奴らを逃せばプラント百年の
禍根になるかも知れん!」

「ブリーフィングを始める。言い訳はせん。大笑いしてくれてもかまわんよ
しかし、シグーの記録画像を見た者で笑う者は誰一人としていなかった。
「だがメビウス・ゼロのパイロット、ここで逃せば先々どんな災いをザフトにもたらすか判らん。それもモビルスーツ
もだ! オリジナルのOSについては、君らも既に知っての通りだ。ナチュラルでは碌な動きは出来んはずだ! 
なのに何故! この機体だけがこんなに動けるのかは分からん。だが我々がこんなものをこのまま残し、放って
おく訳にはいかんと言う事は、はっきりしている。捕獲できぬとなれば、今ここで破壊する。戦艦もな。侮らずにか
かれよ!」
「は!」
「オーブが出てくるかも知れんが遠慮はいらん。地球軍のモビルスーツを開発していた奴らだ。中立など嘘ごとだ!」
「はっ」
「フルタチ、トリゴエ、フクザワは直ちに出撃準備! D装備の許可を出す。今度こそ完全に息の根を止めてやれ!」
「「はい!」」
「アデス艦長!私も出撃させて下さい!」
「ん? アスラン、君は機体が無いだろう」
「いいだろう、アスラン。機体は君が奪取したイージスを使え。君ならできるな? 確実に仕留めて来い」
「……は!」
キラ……
アスランは思った。きっとキラが乗っているんだ、あのストライクには。
幼年学校いらい何年が経つだろう。
キラと再会した時の様子を思い出す。
私服で、モビルスーツの上にいて。
たぶん、あいつ気がいいからそのまま……
だって、モビルスーツでクルーゼ隊長を追い詰めるなんてナチュラルにはできやしない!
きっとナチュラルにたぶらかされているんだ!
俺が……話せばきっと……

679紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:41:58 ID:???
「これで、概ね運び込んだかな」
教授が言った。
「そうですね。予備パーツ状態の二体分も収容できました。なにかあっても、安心は出来ます」
「ああ」
「ですが、ゴールドフレームが……片腕だけしか見つからなかったのが変ですね」
「もしかしたら……サハク様が持ってザフトの襲撃の前に脱出したのかも知れんな?」
「サハクが?」
「ああ、よくここを訪れていた。最初に地球軍との提携の話を進めたのはサハク家だからね」
「ふむ」
「いい事を思いついた! この際だ、いっそゴールドフレームのように連合規格のプラグを使えるように改造して、規格も
地球軍用のに合わせてしまおう。つぶしがきく」
「ああ、それは構いませんが、これからどうします? ザフトがこのままあきらめると思いますか?」
「いや、あきらめんだろうなぁ」
「しかし、このままではヘリオポリスに被害が及びます。ラミアス大尉と話してみましょう。カトー、着いて来て下さい」
「はっ姫様!」

「あ、カトー教授、ルナマリアさん」
ブリッジにラミアス大尉を見つけると、私はにこっと笑った。
「モルゲンレーテの、価値ある物も大方運び込む事ができました。礼を言います」
「そんな……こちらこそカトー教授とルナマリアさんのおかげでストライクだけでも守れる事ができました」
「で、さっそくですが。ザフトはこのまま襲撃をあきらめると思いますか?」
「……いいえ!」
「でしょうね。このままこの艦がヘリオポリスにいては、コロニーに害が及びます。出航の準備を……」
「わかりました。ちょうど出航しようと思っていた所です」
「それで、相談なのですが、この艦、接収させて頂いてもよろしいですか?」
「え? せ、接収!?」
「名目上だけでも、オーブ艦だと言う事にすればザフトは攻撃を躊躇うかもしれません」
「……」
「いい手かも知れんな。やってみて損な事は何もない」
隣で聞いていたフラガ少佐が言った。
「しかし、接収させてもらうだとか、君は一体何者だ?」
フラガ少佐が鋭い目で見つめてくる。
「……ここではなんですから艦長室へ。あ、バジルール少尉も呼んでください」

680紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:42:19 ID:???
「え!?」
「ほう、オーブのお姫様とはねぇ」
私がルナマリア・ホーク・アスハだと打ち明けた時、フラガ少佐とバジルール少尉はさすがに驚いた。
「信じていただけますか?」
「ああ、信じる」
「しかし、そう言う事であればもう戦闘には出ないで頂きたいのですが」
バジルール少尉だ。
「ご心配なく。オーブは私がいなくなったところでつぶれるような国ではありません」
「しかし」
「『羊として100年生きるか、それとも獅子として一日か』ですわ、あなた――」
その時、オペレーターから艦内通信が入った!
『オーブ防衛軍より連絡あり! シャフトより敵モビルスーツ侵入!』
マリューはきっとなって命令する。
「第一戦闘配備! アークエンジェル発進! ……と、で、いいかしら? フラガ少佐?」
「ああ。私はパイロットだ。気にせず艦の指揮を取ってくれ」
「了解しました」
そしてマリューはルナマリアに振り返ると言った。
「すまないけど、戦闘、お願いできるかしら?」
「もちろんです。カトー!」
「はっ」
私達はモビルスーツデッキに向かって走り出した。

「あ、ルナマリアさん」
「カズイか」
「ま、またザフトが襲ってくるって!」
「ああ。……また、一緒に戦ってくれるか?」
「え……」
「無理には頼まん。時間が無い。行くぞ!」
「ええい、畜生! 俺も男だ!」
カズイはルナマリアの後を着いて走り出した。


「く、こいつ、動きが! うあわぁぁ!」
また一つもはや残り少なくなったヘリオポリス防衛隊のメビウスは爆散した。
「くはははは! やはり私は強いのだ!」
クルーゼは哄笑した。
予備のシグーを駆り、メビウスを次々に葬っていく。
「クルーゼ隊長!」
「ん、アスラン、君も早くコロニーの中へ行き給え」
「はっ」

「くそう、中にはルナマリア姫様が! やらせるかー! 皆、命を捨てろ!」
「「おおー!」」

681紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:42:42 ID:???
「む。これは!」
四方八方から、シグー目掛けて、衝突の怖れなど無いように、メビウスが突進する!
「うが! こいつら!」
クルーゼは焦った。
「く、上に! 足はくれてやる!」
すばやく頭上のメビウスを破壊すると、両足をパージして脱出を図る。
「仕方が無い、帰還するとしよう。ふ……また足を失ってしまうとは。ほんとに飾りだな……」


私はコクピットに入って、状況を把握する。
アークエンジェルからミサイルが放たれ始めたようだ。敵のモビルスーツはそれを躱し……ミサイルは皮肉にもコロニ
ーのシャフトに当たっている! このままじゃコロニーが!
『ストライク! 敵のジンは拠点攻撃用の、重爆撃装備だ。コロニーに遠慮する気は無いらしい。頼むぞ!』
「はい!」
『更に別部隊侵入! 一機はX-303、イージスだ。ストライクと同じくPS装甲でビームライフルにビームサーベルも
持っている! 気をつけろ!』
「じゃ、ルナマリア・ホーク、ストライク、出るわよ!」

「ホーク義勇兵」
戦場に出ると、冷静な声が私を迎えた。
「え、私の事?」
「ふ。なんと呼べばよいのかな。呼び方が無いと面倒なのでな。とりあえずだ」
フラガ少佐だ。
「私のメビウス・ゼロは実体兵器しかない。X-303イージスとは相性が悪い。そちらは任せる」
「はい!」
「ふ。残りは任せろ!」
「言いますね!」
大丈夫だ。フラガ少佐なら大丈夫。そんな気がした。
私はPS装甲を赤く発光させているイージスに突っ込む!

『ザフトに告ぐ! こちらはオーブ艦、アークエンジェルである! ザフトに告ぐ! こちらはオーブ、ルナマリア・
ホーク・アスハ姫座乗のオーブ艦アークエンジェルである! 攻撃を即刻止められたし!』
アークエンジェルからの緊急帯域を使った通信がザフト、地球軍関わりなく響く。

「へ、騙されるかよ!」
フルタチはM69バルルス改特火重粒子砲を構え、ビーム砲を放つ。
しかし、その威力は取り回しの悪さに比して弱い。アークエンジェルのラミネート装甲ならば耐えきってしまえる物だった。
だが……流れ弾がコロニーに被害を及ぼすには十分の威力でもあった。

「これで、先に手を出したのはザフトだな。遠慮なくやらせてもらう!」
フラガはカッと目を見開くとそのジンの方に向かって行った。

682紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:43:06 ID:???
「うわあ!」
フルタチは悲鳴を上げた。
敵艦から発進してきたメビウス・ゼロはモビルスーツには不可能な速度でフルタチのジンの後に回り込む。
慌てて後ろを振り返る。
しかし、バルルス改特火重粒子砲で対抗しようにも、なんとも取り回しが悪い。

「さぁ、豚のような悲鳴を上げろ!」
いったん後ろへ回った事でアークエンジェルを安全にしたフラガは、急速にジンに突っ込んでいく。
すれ違いざま、瞬間ガンバレルを分離し、四方八方から攻撃する!
「まずは一匹」
再びガンバレルを合体し、速度を上げる。
肉食獣のような笑みを浮かべながら、フラガは次の獲物を探した。

「ひぃぃ!」
トリゴエは悲鳴を上げた。
M69 バルルス改特火重粒子砲を構えた僚機が、瞬く間にあのメビウス・ゼロにやられてしまったのだ。
「こんな重いもん持ってる場合じゃない! 来るなぁ!」
マシューは装備した大型ミサイルを次々に発射した。
だがそれらは、敵艦に躱され、コロニーのシャフトに向かって突き進む!
――!
大きな衝撃がコロニー全体を襲う!
「これだ、これだよ!」
トリゴエは敵艦とコロニーのシャフトが重なる位置に移動すると、残りのミサイルも発射する!
「ほうら、逃げるとコロニーが壊れるぞ!」

「回避!」
ナタルが叫ぶ。
「ふぅ、なんとか避けたか」
ブリッジに安堵の溜息が聞こえる。
「ああ!?」
「どうした!?」
「外れたミサイルが! コロニーのシャフトに!」
「なにぃ!?」
「敵、大型ミサイル、本艦を狙ってきます!」
「くっ」
マリューは歯軋りした。
そして戦闘が始まってから初めて命令を出した。
「今度は避けるな! イーゲルシュテルンにて敵ミサイルを破壊せよ」
「ええ!?」
「命令よ!」

「卑怯者めが!」
「あ」
自分の策に悦に入ってアークエンジェルを眺めていたトリゴエが気がついた時、トリゴエはガンバレルに包囲され、
機体の爆散と共に意識を虚空に散らせた。
「さぁ、残り一匹!」

683紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:43:32 ID:???
「こいつ、すばやい! アスラン! アスラン! どこにいる!」
フクザワは必死になって援軍を探した。
「キラ! キラ!」
「アスラン! 何を訳のわからない事を言っている! 早く助けろ!」
「キラ! キラ!」
「ちっくしょう! ええい、こんなもの! アスランなんか知るか!」
フクザワは大型ミサイルを発射し、身軽になって逃走を図る。

「ふ……」
フラガは機首のリニアガンと4つのガンバレルを駆使し、大型ミサイルを破壊する事に成功する。
「さぁ、お帰りはまだまだ早いが……」
ガンバレルを合体してブースターとして使用する!

「ひいぃぃ!」
必死に進入してきたシャフトまで逃走を図るフクザワ。
しかし、シャフトからメビウスが数機現れた!
フクザワのジンのスピードが鈍る。
ヘリオポリス防衛隊のわずかな生き残りの意地であった!

フラガは急加速して、逃げようとしているジンに追いつく!
「そんなに帰りたいなら地獄へどうぞ」
リニアガンとガンバレルが無防備なフクザワのジンの背中を狙う!
フクザワのジンは爆散した!

私はイージスに向かって突っ込む!
相手は全身ビームサーベルだ。近づきたくは無いが、なかなかビームライフルが当たってくれない。
『キラ! キラ・ヤマトだろう! 答えてくれ! キラ!』
ん? キラヤマト?
イージスから通信が入った。私は咄嗟に音声オンリーに切り替えた。
『俺だよ、俺俺』
オレオレ詐欺かよ。
『コペルニクスの幼年学校で一緒だったアスラン・ザラだよ!」
ザラ!?
『俺達が戦わなきゃいけない事なんてないはずだ! 一緒にプラントに行こう! お前はナチュラルに騙されてるんだ!』
なんだこいつ。
「……おい、イージスのパイロット!」
『な、女? キラじゃないのか!?』
キラ、あなたの名前を利用させてもらうわ……
「キラは死んだ!」
『なにぃ!?』
「お前達ザフトに殺された! ジンに殺された! 先程の襲撃の時にな!」
私はさっぱり当たらないビームライフルを仕舞うと、ビームサーベルを抜き放ち、イージスに切り付けた!
見事、私はイージスの片腕を切り落とした!
『ちっくしょーーーーー!!!!』
変形!?
あ……
変形されたイージスから放たれた光は、もうぼろぼろになっていたメインシャフトに最後の打撃を与えた――
684紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:43:58 ID:???
5話


「私のコロニー……」
ヘリオポリスは崩壊した。私の目の前で。
『X-105ストライク! X-105ストライク! ルナマリア! 聞こえていたら……無事なら応答しろ!』
あ。気がつくと、私はコロニーの残骸の中を漂っていた。
もう何時間も経った気がしてたけど、ほんの5分前。
「……こちらX-105ストライク、……ルナマリアです」
『はぁ……無事か?』
バジルール少尉の安心したような溜息と共にこちらを気遣う言葉が返ってきた。
「はい」
『こちらの位置は分かるか?』
「……はい」
『ならば帰投しろ。……戻れるな?』
「……はい」
また、ちょっと気遣わしげなバジルール少尉の言葉。
なんか、不謹慎だけど嬉しい。

アークエンジェルに戻ると、ちょっとした騒ぎになっていた。
カズイが救命艇を拾ってきたというのだ。
「だって、推進部が壊れて漂流してたんだぞ。ほっとけるわけ、ないじゃないか」
「すぐに救援艦が来る!アークエンジェルは今戦闘中だぞ! 避難民の受け入れなど出来る訳が……え? あ、
はぁ。ではそのように。ルナマリア、どうする?」
「なんで私に聞くんですか?」
「ラミアス大尉が、あなたの判断に任せるそうだ。一応、あなたがこの艦の艦長だ」
「むぅ」
私は考えた。
「よし、中の人に聞きましょう!」

685紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:44:16 ID:???
「……と、言うわけで本艦はザフトに狙われています。それでもいいですか?」
『いいからはやく出してくれ!』
『もうこの狭い中にいるのはいやぁ!』
『助けが来なかったらどうするのよ!』
了解。
アークエンジェルに収容して、ハッチを開く。
「あ、あー、貴方! サイの友達の!」
不安だったのだろう。冷や汗でかきれいな赤い髪が肌に張り付いている。
その女性がカズイに飛びつくようにして言った。
「は、はい。あのう、僕、カズイ・バスカークです」
「ねえ、どうしたのヘリオポリス! どうしちゃったの? 一体何があったの?」
彼女は心配で混乱した様子だった。
「ヘリオポリスは、ヘリオポリスはね……」
カズイは言葉に詰まってしまった。
「あたし、あたし……フローレンスのお店でジェシカとミーシャにはぐれて、一人でシェルターに逃げて、そしたら……」
「ヘリオポリスは崩壊したわ」
ここで、私は口を出した。
「とりあえず、早く中に入って。話は後で」
「いやっ! これほんとはザフトの船なんでしょ? あたし達どうなるの? なんでカズイ、あなたこんなところに居るの?」
そうか、それでそんなに心配して……
「安心して。これは少なくともザフト艦ではないわ」
「うそっ!? だってモビルスーツが!」
「オーブの試作品だよ。僕が操縦してたんだぜ?」
「え? ほんと?」
「うん。この艦にはサイも、ミリアリアもいるんだ。心配しないで? ね?」
カズイにうん、と頷き、彼女は中に入っていった。

「カズイ、知り合いか?」
「あ、うん。フレイ・アルスターってんだ。サイが、ラブレター出したとか、婚約者だとか、言ってた」
「ん……アルスター……。大西洋連邦事務次官ジョージ・アルスターの関係者?」
「娘だよ。よく知ってるね」
「まぁな」
確か、本土のパーティーで会った事があったかな。
その時、下士官が声をかけてきた。
「ルナマリアさん、艦橋へおいでくださいとの事です」
「ん。わかった。じゃぁ、またな! 頑張れ男の子!」


686紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:44:36 ID:???
ヴェサリウス艦内――
「このような事態になろうとは……いかがされます? 中立国のコロニーを破壊したとなれば、評議会も」
艦長のアデスは心配そうに言った。
「地球軍の新型兵器を製造していたコロニーの、どこが中立だ?」
クルーゼは皮肉そうに言った。
「し、しかし」
「住民のほとんどは脱出している。さして問題はないさ。……血のバレンタインの悲劇に比べれば」
「……!」
「敵の新造戦艦の位置、つかめるかな」
「いえ、この状況では……」
ヴェサリウスのオペレーターが答える。
「まだ追うつもりですか。しかし、こちらにはすでにモビルスーツは……」
「あるじゃないか地球軍から奪ったのが4機も」
「あれを投入されると……!? しかし……」
「データを取ればもうかまわんさ。使わせてもらう。宙域図を出してくれ。ガモフにも、策敵範囲を広げるよう打電だ」
「大変です! メビウスと思われる機体多数接近! 戦艦らしき反応もあり!」
「くそっ、ここは一旦宙域を離脱する!」


687紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:44:53 ID:???
「来ました。なにかありましたか?」
私は艦橋に来た。カトーも一緒だ。
「ありがとう。実はね、これからの進路の事で相談したいと思って。あなたが避難民を受け入れた事にも関係があるわ」
ラミアス大尉が言った。
「なんです?」
「計算よりね、物資が足りなくなりそうなの」
「私はアルテミスへの寄港を具申します」
バジルール少尉が具申した。
「ユーラシア連邦所属の基地、アルテミスか。別名『傘のアルテミス』」
「そうです」
「しかし、すんなり受け入れてくれる物かな。こっちは大西洋連邦の極秘艦の上に友軍の識別コードすらないのだ」
フラガ少佐が疑義を唱える。
「しかし、同じ地球軍です。事情を話せば受け入れてくれます」
「ん……。意見を言わせてもらえるなら、それは却下したい」
「ルナマリアさん?」
「ヘリオポリスの近所にあるので情報は流れてきている。アルテミスの司令官、ジェラード・ガルシア。あまり言い
噂は聞かない。同じ地球軍とはいえ、ユーラシアとは違う所属で極秘開発された艦とモビルスーツ。どうするか
な。おそらく難癖つけて引き止めている内に調査して自分達の手柄にしようとするのでは? 脅かす訳ではない
が、私達がその被害者になるのは明日かも知れないのよ――」
「そうですね」
カトーも言った。
「その危険を冒すべきではない」
「では、どこで補給すると言うのだ?」
ナタルが反駁する。
「デブリ帯……」
フラガ少佐がぽつりと言った。
「デブリ帯!?」
「ふふ。やはり私は天才かな。何でもあるぞ。ジャンク屋の糞どもはそれをあさって生計を立てている者もいるくらいだ」
「わかりました」
ラミアス大尉が断を下した。
「デブリ帯で補給、早急に友軍と合流を図りましょう!」


688紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:45:13 ID:???
ザフト艦 ヴェサリウス――
「いやぁ。どうやら逃げる事ができましたね」
「ああ」
「奴等はヘリオポリスの崩壊に紛れて、既にこの宙域を……」
艦長のアデスが心配そうに言う。
「いや、それはないな。どこかでじっと息を殺しているのだろう。網を張るかな」
クルーゼが答える。
「網……でありますか?」
「ヴェサリウスは先行し、ここで敵艦を待つ。ガモフには、軌道面交差のコースを、索敵を密にしながら追尾させる」
クルーゼは地図を指し示す。
「アルテミスへでありますか?しかしそれでは、月方向へ離脱された場合……」
その時オペレーターが叫んだ。
「大型の熱量感知!諸元解析予想コース、地球スイングバイにて月面、地球軍大西洋連邦本部!」
「隊長!」
「そいつは囮だな」
「しかし、念のためガモフに確認を」
「いや、やつらはアルテミスに向かうよ。今ので私はいっそう確信した。ヴェサリウス発進だ! ゼルマンを呼び出せ!」


689紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:45:36 ID:???
「それにしても……」
ヘリオポリスが崩壊してしまうとは。
いつもならヴァランタインの30年物でも一杯ひっかけて「悪い夢だったんだ――」とばかりに忘れてしまうのは言う
までもないが、ここではそうも行かない。
私はモビルスーツの格納庫へ行った。
「ようし、いいぞ!」
カトーと、アークエンジェルのメカニック、コジロー・マードックさんが指揮してモビルスーツをいじっていた。
「どうですか、カトー」
「いや、喜んでください。3体目が……グリーンフレームが組み上がりました! 後、アストレイ全機、地球軍と共通
プラグ使用可能にしましたし、ビームサーベルを初めとするビーム兵器も、要するにアストレイの物は威力が強す
ぎました。ストライクレベルに威力の低減を図る事により稼働時間の延長が見込めます」
「そうですか! よかった……。では、あの話を進めるべきかも知れませんね」

「え? ストライクを、フラガ少佐に?」
ラミアス大尉は少し驚いていた。
「ええ。グリーンフレームも組みあがりましたし、オーブの物はオーブの者が、大西洋連邦の物は大西洋連邦の
者が乗るのがいいと思うのです。その方が、後々やっかいな難癖もつけられにくいでしょう?」
「確かに。だが、フラガ少佐は生粋のモビルアーマー乗りだ。メビウス・ゼロで戦果も上げ続けている。承知するかな?」
バジルール少尉は首を傾げた。
「……ザフトの技術力を力侮ってはいけません。ヘリオポリスの戦いでは、彼らはイージスを投入して来ました。
実体兵器しかないメビウスでは、倒す事はできません」
「そうね。モビルスーツに機種転換してもらう事もいいでしょう」
「しかし、誰が説得する?」
「それは」
私はにっこり微笑んだ。
「私が致します」

「なに? 私にモビルスーツに乗れと?」
私が、フラガ少佐にストライクに乗ったらどうかと勧めに行くと、フラガ少佐は軽く眉を上げた。
「ええ。G兵器は奪われました。PS装甲も、ビーム兵器も早晩彼らは自分の物にしてくるでしょう。その時、実体兵
器だけのメビウス・ゼロでは力不足になるのでは? 実際、彼らはすぐにイージスを投入して来ました」
「……よかろう」
意外とあっさりと、フラガ少佐は頷いた。
「で、教官は誰が務めてくれるのかね」
「私が、務めさせていただきます」
「くっくっく。いいだろう。では、行くぞ!」


「キラ……」
アスランは一人心の中でつぶやいた。
本当に、お前は死んでしまったのか?
ザフトのせいで!?
「俺は……どうしたらいいんだ……」
ストライクのパイロットの話からすると、オグラのせいか?
「オグラ、死んでたらいいのに……」
アスランは毒々しくつぶやいた。

690紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:45:51 ID:???
「あ、また命中! 私よりうまいですね、射撃」
アークエンジェルのモビルスーツシミュレーション室である。
G兵器が搭載される予定だった本艦にはこのような施設が充実している。
「戦闘機乗りだからな」
「コツを教えてください!」
カズイが意気込んで言う。
「コツか…・・・」
フラガ少佐はいきなり拳銃を抜くとカズイに突きつけた!
「ヒッ……」
時間が止まる。
と、フラガ少佐は拳銃を仕舞った。
「今の集中力を忘れるな」
「……は、はい!」

ふう。やっぱりすごい。フラガ少佐。さすがに『エンデュミオンの鷹』だけはある。
あ、食堂に……フレイ・アルスターがいる。
私はトレイを取ると彼女の隣に座った。
「お一人ですね」
「あ、他の人達はカトー教授の手伝いとかでずっと……」
「そっか……」
「あの……」
フレイが恐る恐ると言った感じで聞いてきた。
「あの……本当にあなたナチュラルなんですか?」
「ふ……」
私は社交界用の笑顔を浮かべた。
「本土で、お会いした事がありますね。私は、ルナマリア・ホーク・アスハです」
「え? ええ!?」
「ふふ……驚きました?」
「ええ……」
「でも、秘密ですよ?」
私はウインクする。
「でも、なんであなたのような人がパイロットなんか……」
「……一番大切な物を奪われた事がありますか?」
「え?」
「ザフトは私から妹を奪いました。私はザフトを許さない」
「……あ……」
メイリンが死んだ事件を思い出したのか、フレイはうつむいたまま黙ってしまった。
私は黙々と食事を食べた。

691紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:45:58 ID:???

「ヘリオポリス崩壊だと!? くそっ こうまでされて、まだ中立を守らねばならんとは!」
オーブ首長国代表首長、ウズミ・ナラ・アスハは吼えた。
「首長……」
宰相のウナト・エマ・セイランが気遣うように声をかける。
「判っておる、ウナト。まだ、オーブには力が足りない! 地球軍頼りだと言う事をな。だが地球軍が力を整えた時
こそ、見ていろ、ザフトめ! ……モビルスーツのOS、地球軍に売りつけろ。只でも構わん」
「よいのですか?」
「その方が早く、メイリンの復讐ができよう。そのためなら私は悪魔とでも取引するぞ!」
その時、空気が変わった。
「む?」
突然、暗闇が実体化するようにして、一人の人物が現れた。
「やぁ。こんにちは。私は灰田と言う者です。ウズミ様のお気持ちよーくわかります。些少ながら手助けをしたいと
思いまして……」
692紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 00:46:50 ID:???
続く。
ふぅ。やっと灰田さん登場です(;´▽`A``
ではこれからよろしくお願いします。
693通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 01:23:35 ID:???
んん?改訂版?
694紅き鷹よ、空を駆けろ! ◆Lna0TEvcJM :2009/04/27(月) 01:35:54 ID:???
微妙に修正とかありますが以前投下したのを読んだ方は読んだ部分飛ばしてくださって大丈夫です(^-^)
695通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 05:40:51 ID:???
前のに輪をかけてカオスだなw

>ヴァランタインの30年物でも一杯ひっかけて
奇人変人w
>フラガ少佐はいきなり拳銃を抜くとカズイに突きつけた!
○チガイw
696通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 17:48:23 ID:???
また実在の人物ネタかよ
サダムフセインとか出たあたりで読む気失せたわ
ifで言われた事全然分かってないのな
697通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 19:04:53 ID:???
>>696
またってwサダムってw
その時点でIFスレに投下された作品ろくに見てなかった事がわかるわw
698通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 19:56:51 ID:???
たぶん古館伊知郎、鳥越俊太郎、小倉智昭のファンがいるんだろう。
偏向発言で有名なキャスターw
699通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 21:06:46 ID:???
興醒めするので出来ればそういうのは使って欲しく無い
700通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 21:21:41 ID:???
ちなみに死にキャラがエーワン(仮)、エーツー(仮)等だったとして、感想は?
701通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 22:04:24 ID:???
某スレの某作品では死にキャラも重要キャラも本編キャラでなければ
殆どがそんなノリの名前だったけど、それでもスレ住民の絶大な支持を受けていたよ?
702通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 00:09:11 ID:???
>>696
そもそもifで言われてたのは、ネタの噛み砕きが足りないって事であって、実在人物の名を使う事を否定する様な話じゃなかった件
こいつifでの話の流れも見てないんだなぁ
703通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 00:31:45 ID:???
職人育てようと思えば批評するとこは批評してほめるとこはほめるがなぁ。
IFスレから叩いてばかりで凹ましてんの何?
704通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 00:51:54 ID:???
>>703

ここはそゆとこ。難癖付けるだけで、新人や職人はすぐいなくなる。
705通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 01:08:25 ID:???
こりゃあデッカイ釣り針だ
706通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 04:59:27 ID:???
…?
ここってクロス統合だよね?
コレSEEDと何のクロス?
707通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 07:39:37 ID:???
708通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 08:07:05 ID:???
>>706
それに、実在の人物でも名前が出たらこちらと言う事になりました。
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1236622903/731-732
731 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2009/04/25(土) 23:17:57 ID:???
キャラに限らず、原作との相違点が「特定の創作物から引っ張ってきた要素」だってのがクロスだと思うが

732 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2009/04/25(土) 23:22:01 ID:???
他作品(現実世界含む)の固有人名出した時点でクロスだと思う
伏せ字とか、もじっていても
709通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 08:38:18 ID:???
ごめん、改定前のも読んでたけど正直に言って面白くない
710通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 08:38:37 ID:???
>>706
>>657 もそうだがクルーゼがムゥを感知できなかったのと作中での会話でクロス元が判るぞ
711通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 08:43:45 ID:???
それも変な話だな。そもそも救済したスレがifスレとクロススレどっちかって別け方じゃなかったか?
今回なら「もしもルナマリアが主人公だったら」な。
なんかifスレの連中勘違いしてない?
もちろんifスレ追い出されたなら喜んで受け入れるけど。
712通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 08:48:15 ID:???
>>709
そうやってマイナスの評価ばかりつけてると職人もやる気無くすぞ。
そもそも「面白くない」だけじゃ職人は伸びない。へこむだけだ。どこがどうだと言ってやれよ。
同じレス内で批評するところは批評して、同時にやる気を出させるような事も言わなきゃ。
713通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 09:06:06 ID:???
>>711
>そもそも救済したスレがifスレとクロススレどっちかって別け方じゃなかったか?
違うよ? 作品内容で分けるんであって、救済したスレとやらは関係ない

仮想戦記物とのクロスだと言ってるんだから、ここで良いでしょ?
714通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 11:09:37 ID:???
しかし灰田さんがオーブを手助けする理由がさっぱりわからん
日系が多いという理由かもしれんが、それなら日本が大西洋連合なり
極東なりに飲み込まれないようにその前の時点でコミットしてくるだろ
715通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 11:13:57 ID:???
>>712
職人には悪いがそんな気力も起きないレベルの内容だし、
指摘したところで面白くなるとも思えない。
716通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 11:25:28 ID:???
>>715
だったらスルーしとけと言われてなかったか。
スレの雰囲気悪くして職人のやる気を削ぐ百害あって一利無しだ。
717通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 11:39:47 ID:???
ちょっと前まではこんなことなかったんだよな。
今でもマフティーの作者は好評だし、バルディオスあたりから批判増えた
718通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 12:00:37 ID:???
>>717
その二つを並べたら理由がはっきりわかるだろw
719通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 12:05:19 ID:???
ギアスは多かったなー
720通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 12:06:28 ID:???
問題は「批判」の多寡ではなく
「激励・感想」の多寡
721通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 12:10:16 ID:???
趣味が違うと割り切る度量もなくレベルが低いと見て育てる気もなく自分には合わないのは拒否するだけって
どれだけお子様だ
722通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 12:13:50 ID:???
>>721
ひとつ上のレスくらい嫁
723通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 12:21:12 ID:???
顔文字使いまくってるあたりで育てる気が出ません
724通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 12:29:05 ID:???
んん?まだ数字付きが粘着しているのか
725通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 13:22:33 ID:???
>>716
俺がこの作品が気に入らなかった事実をこのスレ住人すべてが知るべき
同意する住人はもちろん、作者も読んで楽しんだ住人、無関係な住人も全員例外なく
わざわざ見せつけられて不快になる住人の気持ちも俺には一切関係ない
スレの雰囲気なんて知ったことじゃない
改善? どーせ無駄だから指摘しないし、そんな気にもなれなかったんだ
でも俺はこう思ったんだってのは、聞け

そういうつもりなんだろ? 多分
726通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 13:24:35 ID:???
職人職人言うけど、ぶっちゃけ自己満職人とかいらないし
727通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 13:37:43 ID:???
>>725
言いたいことは解るがもう少し穏便に穏便に(大事なことなので二度ry)
自分の書き込みが読む人にどう受け止められるか考えてから書き込む癖を付けるのは大切だと思うんだ
なんにしろ職人さん達が書き込みにくい状況を作るのはスレのためにならない
728通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 13:41:34 ID:???
>>727
よく嫁
729通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 13:43:30 ID:???
良作が投下されればスレの流れは正常化し
一人二人のバカが何言おうと感想レスや今後の展開予想の流れの前に
惨めに押し流されるだけなんだから一々つまんねえ自治すんなって
730通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 14:26:44 ID:???
良作と言う言い方はなんなので好む人が多い作品としよう。それはいいさ。
では、好む人が少ない作品が投下されたらどうなのよって事でしょう。
批評と激励、それができなきゃせめて黙ってて。
レベルの話も。最初はみんな初心者よ。
731通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 14:41:53 ID:???
>>730
>批評と激励、それができなきゃせめて黙ってて。

はぁ?
煽ってるバカじやねーんだからどうでもいい作品に一々レスなんかしないけど?
732通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 14:43:24 ID:???
つかやめろと言ってやめる様なやつならとっくの昔に作者叩きなんてなくなってるよ
またバカが騒いでるなと思ってスルーしてろ
733通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 20:47:24 ID:???
  。。
 ゚●゜ 。。
    ゚●゜
  。。
 ゚●゜ 。。
    ゚●゜
734通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 20:49:30 ID:???
ズレてるし誤爆しましたね。ごめんなさいm(_ _)m
735166:2009/04/30(木) 12:49:43 ID:???
こんにちは。
機動戦士ΞガンダムSEED Destiny筆者の166です。

年度末〜年度初めの多忙さもあってまたまた間が空いてしまいましたが、
今朝ようやく幕間(3)の下書きの方が完成致しました。

帰宅したら清書と投下の為の分割の作業に移りますので、
自他それぞれで何事も無ければ(苦笑)GW中に投下に参ります。

先ずは予告のご挨拶まで
736通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 13:52:30 ID:???
>>735
44旅団支援開始!
737通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 15:20:24 ID:???
そういや166氏がここで復活してからもう1年か
月日が経つのは早いもんだな
738通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 09:52:38 ID:???
>>735
待ってたぜ!
739通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 22:49:19 ID:???
>>735
支援射撃準備完了!!
740通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 15:12:44 ID:???
全裸待機
741通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 17:02:54 ID:???
変身!
カメンライドゥツツツツッツヨシ!
  人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。
  多くの人は、見たいと欲する現実しか見てはいない。

                               ――ユリウス・カエサル



マハムール基地近辺、荒野上空

『中央カタパルト、オンライン。進路クリアー! マルチフライヤー、発進!』
現在は艦内に収容されていない<uリッジのオペレーター席に着いたアビー・ウィンザーのナビゲーションに従って、
ミネルバの中央カタパルトから無人自律操縦式の飛翔体――フライヤーユニットがカタパルトのリニア・レールで加速され、合成風速の向かい風を受けながらスラスターを吹かして飛び出して行く。

通常はインパルスガンダムの上半身〈チェストパーツ〉と下半身〈レッグパーツ〉、それに各タイプの追加装備モジュール〈シルエット〉とそれぞれ合体して自律飛行による運搬能力を付加する為の装備であるが、
今射ち出されて来たフライヤーユニットは通常のそれとは異なり、ガナーザクのオルトロス(あるいは前大戦の主力機であるジンが対大型目標に用いたバルスス改・特火重粒子砲)を思わせる格好の大砲≠その機体にと抱いていた。

オルトロスと異なるのは、折りたたみ構造を採用する程には全体の長さは無く(とは言っても、MSの全高に迫る程には長いのだが)、
全体的には流線型を取るその後部には火砲でありながら独自にスラスターをも装備して、フライヤーユニットのスラスターと同調して飛翔している点だった。

上下両パーツやシルエット以外にも、被弾による破壊や手放す事によって戦闘中に失われる事も往々にして想定される、ビームライフルやシールドと言った装備類の予備を運搬する用途も想定されているフライヤーユニットではあったが――
基本呼称がマルチフライヤーであり、合体して運搬するパーツに合わせて呼称が変化するのもその為だ
――そうして飛んで行く運搬相手≠フ方にも、この場合は自前の十二分な推進力が付加されている点だけが異なっていると言う事だ。

その意味では合成推力により通常よりも速く飛べるフライヤーユニットが今、まっしぐらに向かうその先には、ギャルセゾン機上に立つフェンサー・メインのメッサーの姿があった。

そのまま接近したフライヤーユニットから切り離された大砲≠ヘ、自らのスラスターの力でその先の短距離をひとまたぎに飛んで、そしてメッサーにがっちりとキャッチされる。
『フェンサーよりミネルバ、マルチフライヤーによる運搬・空中受領は成功!続けてこれより試射に入る』

『ミネルバ、了解。標的機群の誘導を開始します』
アビーからの返信と共に、ミネルバのブリッジがコントロールする無人の標的機たち――
先日のガルナハンでの戦闘で破損した状態で虜獲されたジェットストライカー装備のダガーLを、ストライクダガー等他の機体からのパーツ移植で一応の修理を施した格好のものが2機
――が、それまでの旋回待機を止め、ランダム飛行パターンの格好での空戦機動を開始する。

それらのMSも、フライヤーユニットと同じく簡易型のドラグーン・システムにより、母艦から誘導でこの程度の飛行も可能になっていた――
より正確に言えば、それ自体もまたドラグーン技術の発展運用実験の一環をも兼ねていたりもするのだが。

ともあれ、会敵の格好を作った上で、手にする新兵器≠構えて標的を狙うフェンサー。
その威力の検証と言う意味で、1機ずつ狙うのではなく2機いる標的の、その機動軸線が接近するタイミングを狙っての見越し射撃の照準を付け、そして――
『よぉしっ、ハイパーメガランチャー=I 行けッ!』

射点確保!
フェンサーの指がトリガーを落とし、彼のメッサーが抱える新兵器〈ハイパーメガランチャー〉の先端の砲口から猛烈なエネルギーが飛び出す。
放たれた白光するエネルギーの幅広の奔流が、ほとんど正面から2機の標的機〈ダガーL〉を巻き込んで、爆発させた。

『おおっ!流石!』
まさに一石二鳥にする様を目の当たりにして、副長のアーサーが喝采する様に声を上げる。
『本当に、MSでタンホイザーを……!』
それを後目にするオペレーター席のアビーや、滞空して至近に同行しながらテストを見守っていたカスタムディンに乗るアリシアら、ザフトの軍人達は眼前の現実に軽い驚きの声を上げていた――
もっとも、本来ならばもっと驚いても良さそうなものである筈なのだが、流石にマフティーとの同行にも馴染んで来ると、大小無数の驚き≠ノ接するのはもはや、当たり前の事になってしまっていると言う事もあり、
ある意味で驚きの感覚が鈍麻してしまっている様なきらいがあったりもするのは微苦笑すべきところであったかも知れない。

『全く、もう少し早くこれが届いてくれていたなら、もっと楽に戦えたでしょうにね……』
そこでそうやって冗談めかして言うタリアの言葉に、ミネルバのブリッジ内と、それと通信を繋げた先の全てから笑いが起き、互いにいい雰囲気にと包まれて行った。

艦長らしく上手くまとめては見せながら、そういうタリア自身とて内心ではやはり驚きは覚えているのであったが。

(「マフティー」〈彼ら〉との技術協力の研究のその成果……。試作品でこれだと言われては、それが軌道に乗り出したらどうなる事かしら? 楽しみと言うよりは、いささか怖い気さえするくらいね……)
部下達には決して気取られないように、そう心の内でだけ呟く。

フェンサーが試射を行い、問題なく成功させたのは、MS用にダウンサイジングされた「陽電子」砲、タンホイザーを発射するランチャーであった。

冗談めかして愚痴って見せた通り、結局ローエングリンゲート要塞の攻略戦には間に合わなかったわけだが、
こうして現在、奪取した要衝を中心に地歩固めと言う感じで、その一つ一つは小規模な制圧行を続行中の彼女らの下へと送り届けられて来た新装備――その試作モデルだ。

ザフト側――つまり「この世界」の側からマフティー側へと合わせると言う格好でもって開発が行われている系統の研究成果の、まずその一つ目(比較的、即効性の有るものとしての)だと言えるだろうか。

小型化されているとは言え、威力の方もMSが用いる火力としてならば反則級に高い代物ではあるのだが、当然の事ながら必要とするエネルギーの方も大きくなる。

本来ならば、動力源として核融合炉を持っている戦闘艦――実質的にはそれも、出力も比例して高くなる大型で高性能のものに限られるが――にのみ、(余裕があればこその)運用が可能になる兵器なのであり、
威力、消費エネルギー共、比例的に幾ら小型化≠ウれているとは言え、それをMSに使わせるのにはニュートロンジャマーキャンセラーが必要になる処なのだが、
マフティーのMSが用いる分には、彼らの機体が装備している(戦闘艦のものをそのまま超小型化した様な)核融合炉のエネルギーをドライブする事で使用が可能では?
と言う着想――つまりマフティーのMSの事は、MSとしてではなく「MSの形(とサイズ)をした戦闘艦」だと見なすと言う事だ――の処から開発がスタートし、
更に合流したマフティー側の技術スタッフが自分達の世界の装備――Zガンダムのハイパーメガランチャー等の設計思想を提示し、加味する事で、
元の「宇宙世紀」の世界のモデルに似た自前の推力付与等の改設計を行った上で完成した、言わば両世界の技術の合作だった。

「艦長の言われるとおりですよ!まだ試作品だと言う事ですが、運用性も良好な様ですし、これが量産化された日にはマフティーの方々との連携で本艦の戦力も更に劇的に強化されますね!」
良くも悪くも、タリア程には深刻には考えていないアーサーはそう言って嬉しそうに頷いて見せる。

そこだけならば良かったのだが、アーサーが更に続けた一言には、流石にタリアも密かに軽く溜息を付かされるのだったが。

「しかし、あれ程の装備なのにどうしてこう、カッコいい名前≠ェ付けられていないんでしょうね?
パラケルススとかミストルティン、ブリューナクとか……イイ!と思うんですけどねぇ……」
そんな感じでぺらぺらとひとりごち続けるアーサーだったが、内心ではどうあれ流石に懸命にも他の艦橋スタッフはそれを聞いても何も言わなかった。
(ゲームのやり過ぎですよ、副長……)
くらいの事は、多分みんながそう思っていた可能性が高いけれども。
無論、アーサー自身は預かり知らぬ事ながら、
実はこの武器はザフトの正式な開発局を通しての代物ではなく、議長直属の特命チームが密かに試作したものだったので、
「メガ粒子砲(メガ粒子砲方式ビームライフル)を上回る威力のランチャー≠ニ言う意味で、そのまま『ハイパーメガランチャー』でいいよ」
と言うマフティー側の感覚≠ェ、にびもなくそのまま意見として通っただけだったりするのだが。
――もっとも、その設計思想とネーミングにはマフティー側の人々の無意識的な「元の世界」への郷愁の様なものも、あるいは含まれてもいたのかも知れない……。

ともあれ、今はまだ「非公式に〜」であるにせよ、プラント――この世界の技術を元にしてのマフティー側への新たな専用装備の開発の、その第一陣は無事に目途が立ったと言う処であった。



プラント、デュランダル私邸内

『ギル……。宇宙=qそら〉が、視えました……』
もう幾度も繰り返し繰り返しして見ている、レイからのその私信=\―
いつも同様のメッセージ形式とは異なり、わざわざ音声までをも添えて送って来たと言う事実そのものが、その送り主たる少年の常ならぬ興奮を示していた
――を今も再び見返しながら、デュランダルは束の間の休息の時間を沈思の中に過ごしていた。

レイが送って寄越したこの私信自体は、初めてだとも言っていい彼の言葉と表情をも写したビデオレターの形式を取ってはいたのだが、
そこは長年の仲でもあり、デュランダルにとってはその声音を耳にするだけで手に取る様にその時のレイが浮かべている表情を脳裏に思い描く事が出来る――
その意味でもむしろ実際の表情を写した映像は逆に見ずに、その口調からのみで感じ取れるもの≠こそ判断したいと考えて、音声のみで聞いているのだった。

『これを……なんと言ったらいいのでしょう? 彼と、マフティー氏と握手を交わした時に、脳裏に……それがイメージとして本当に、視えた≠フです……。
あの人はラウと同じ……いいえ、ラウよりも遙かに強い力≠持っていると、それをはっきりと感じさせられました……』

興奮を必死に押さえようとはしながらも、やはりそれが充分には出来ていないレイの声。
あの子がそんな姿を見せるのは余程の事なのだなと、そう思わされたのが彼ら――
「マフティー」〈異世界からの客人たち〉の存在に実質的に$レした、その始まりだった……。


奇貨と言う言葉がある。
さしずめ「マフティー」〈彼ら〉と言う存在はそれなのだろうなと、デュランダルはそう想う。

時空を超えて、「この世界」とは別の歴史の歩みを辿った世界から、突然にこの世界にと現れ出たと言う彼ら。
余りにも突拍子も無さ過ぎて信じ難い事ながら、どう考えても「この世界」の技術力や概念(基礎理論)を軽く跳び超えている、その彼らの持つ装備の数々を目の当たりにすれば、信じるより他には無い。

多分に偶然の要素の重なりに依る処も多いながらも、そんな彼らを「味方」として得る事が出来たのはまさに望外の僥倖だったと言えるだろう。
それがデュランダルの偽らざる本音だった。

前大戦におけるアークエンジェルの様な役割を担わせたいと期待していたミネルバに同行する事になった、彼らマフティーの実戦部隊の活躍ぶりは想像以上のものとなっていた。
インド洋での会戦にせよ、終結したばかりのガルナハン解放作戦にせよ、後の分析から見れば普通であればまず勝てる筈が無い様な状況を、
彼らの存在とその懸絶した戦闘力でもって見事切り抜ける事が出来たのだと言う事が如実に示されている。
比喩では無しに、地球連合のその国力とマンパワーと言うものを今更ながらに見せつけられている様な状況下でありながらも、どうにかそれに互して行けているのは、
ひとえにそんな彼らの加勢を受けた武勲艦ミネルバと言う、まさに比類無い象徴≠ニなる存在を擁しての華麗なる戦果――
その後に後詰めをする事によって、地球連合の暴政から守ってはくれない赤道連合の統治下からの離脱を希望する多島海の島嶼群らも吸引しつつ、いまやインド洋の大部分の制海権を自陣営のものとし、
カーペンタリア及び大洋州連合とマハムール間のルートを確立すると共に、要衝ガルナハンの拠点をついに陥落させ、西アジア方面への橋頭堡を築いてスエズ方面の地球連合軍陣営を遮断する勢いとなっていたが
――の数々による、もはや戦略レベルにすら達している現在の「主戦線」での優勢の賜物で。

素人目には華々しい軍事的成果のみが(突出して)見える℃魔セろうが、
デュランダルを筆頭とするまともな感覚を持った政治家、軍人、アナリストらと言った玄人の人々の目にはむしろ、それ以外(それ以降)の部分においてこそ
「マフティーの存在による作用〈働き〉」こそが真に大きいものだと言う事を実感させられるものであった。

ガルナハンでの戦闘終結後の地球軍将兵に対しての処置などが象徴的であったが、
それに先立つインド洋東端での会戦での戦闘の最中と事後、双方での彼らマフティーの献身的な姿勢と水際だった対処は、ガルナハン周辺での慰撫行動と言う現状における軍政面でもやはり存分に発揮されている。

「異世界人である」と言う微妙な事実≠こそ伏せてはいるが、それを置けば彼らの存在は
「同じナチュラル」が、ザフト(コーディネーターたち)と対等に――いや、むしろ実際にはリードしているくらいだが――手を取り合って、
地球連合の圧制下に苦しめられているナチュラルの人々を、その状況から救い出そうとしていると言う、

『今次の戦争は、前大戦の様なナチュラルとコーディネーターの間に行われる、相手を殲滅対象としてしか見なさない「人種」間の対立戦争なのではなく、
今なお旧態依然としたそんな一方的不寛容による絶滅戦争を実行しようとしていて、
そしてその為に敵≠ナあるコーディネーターを〜と言う以前に、同じナチュラル全てを無理矢理に巻き込んで犠牲を強いている「圧政者」である地球連合〈ナチュラルの内の、あくまでも一部〉と、
その逆に今や過去の誤謬と蒙昧からは目覚め、互いに寛容の精神を持ってコーディネーター、ナチュラルの別無く手を取り合い、自由と平和を希求しての「平等な共存」を目指そうとしている
新生したプラントと、その友好勢力〈同盟者〉≠スちとの戦いである』
その新しい対峙軸を確立し、強化する方向へと舵を切って行くその為の、それを最前線で体現してもくれている強力な味方だった。

ただ単に卓越した技術と戦闘力を持っていると言うのに止まらず、「元の世界」では政治的な面までも含めての闘争を行っていたと言うだけあって、マフティー側はそんな現在の戦略的な状況を的確に判断して動いてくれており、
「同じナチュラル」(の組織)が〜と言う部分がそのまま、赤道連合から離反したインド洋の群島に暮らす人々や、ガルナハンとその周辺地域と言った、
新たに反地球連合の体制側へと身を寄せようとするナチュラル達との間に立つ適切なワンクッション≠ニもなってくれていた――
その意味合いでも、彼らをザフトに編入するのではなく、あくまで「対等な」同盟軍として遇すると言う判断は正解だったと言えよう。

もちろん、そうやって「コーディネーターをすら凌ぐ能力を発揮するナチュラルの集団」と言う組織〈マフティー〉の実在は、ブルーコスモスの論拠を突き崩すものであるのみならず、
同時にコーディネーター達の中に潜在するナチュラルに対しての(実は根拠は大してない)優越感情をも同時に揺さぶる事が出来るものとなるのだった。


ブルーコスモス(を中心としたナチュラル達の側)からしてみれば、マフティーと言う「コーディネーターに優越するナチュラル」の存在自体は、誠に愉快な事実となるであろう。

自らを優等種であると任じ、ナチュラルを愚かで野蛮な劣等種と見下すコーディネーター達の多くの内に見られがちな悪癖である、無意識的なその感覚――
もっとも、それ自体はナチュラルの側からの偏見や差別に曝され続けて来ている事への当然の反作用が根源でもあるのだが……
――それを根底から覆してくれるナチュラルが、それも天才的な一個人が〜と言うのではなく、「集団」として存在すると言う事実。
言うなれば、マフティーの実在はコーディネーター達の寄って立つ、ある種の信仰≠ニ言っても良い幻想を粉砕するものであり、
そんな状況に晒されるのを余儀なくされたコーディネーター達の姿を見るのは、ブルーコスモスの連中には大いに愉快を覚える事実となる筈だ。

しかしながら同時に「そんな同胞」〈マフティー〉達は、ブルーコスモスに正当な理は無い――それどころか、そんな連中こそが争いの真の原因だとして、
コーディネーターの側に立って同じナチュラル≠ナある自分達に敵対して来ていると言う、皮肉な現実があると言う事でもある。

「さしずめジブリール氏辺りにしてみれば、痛し痒しと言う事になるのだろうな……」
デュランダルはそう微かな苦笑を浮かべながら、グラスの中身を一口呷った。

多分に偏見や妄想に根ざしてもいる「コーディネーター(と言う存在)の脅威」と言うものがナチュラルたちの多くの内に根強く存るのは事実だが、それを利用しての
「あれは危険だ。放ってはおけない。戦おう!(=間違った存在≠浄化しよう!)」
と言う、それを実像以上にことさら過大に煽り立て、その脅威≠排除する為に〜のプロパガンダでもって実際に戦争を望み、引き起こしている者達の、
そのマッチポンプなイデオロギーの論拠自体がマフティーの存在と言う事実一つで崩壊させられてしまう事になるのだから。

感情的、心情的な部分での歓迎とは裏腹に、陰謀的なプロパガンダ、大義名分の方面では非常にまずい状況にも陥ると言う、二律背反のジレンマにさらされる事になるわけだった。


(もっとも、事は無論ナチュラルの側だけの影響に留まるものでは無い……)
そう内心で呟きを続けるデュランダルは、微かに口元に皮肉な微笑を浮かべる――ただの偶然ながら、それは彼の今は亡き友人、ラウ・ル・クルーゼの仕草とどこか似ていた。

それも当然の事であったかも知れない。
現在のこの状況を、今は亡き彼〈ラウ〉が目にしたら果たしてどう思うであろうか?と、デュランダルはそんな事を考えていたからだ。

最先端の技術水準を持っている筈≠フ自分達コーディネーターを、軽く凌ぐ水準の装備や運用能力を持っているナチュラルの集団が実在する。
その事実は同時に、反転してコーディネーターの側の方に対してもまた、投げ掛けられるものともなるのだ。

イメージ的にはほとんどそのままブルーコスモスと=で見られている地球連合を筆頭とする敵対的なナチュラルたちが、痛し痒しの状況であると言う事自体は、
コーディネーターの側から見れば溜飲が下がる様なものであるのは事実だろうが、
それは「コーディネーターを凌ぐナチュラルの集団、マフティー」と言う現実の存在に担保されるものであると言う事実≠、どう受け止めるか?
そういう話だ。

実際に、ガルナハンでの戦いを通してもそんな現実に対しての両極端な反応の流れは兆候を見せだしてもいる様だった。

現在、彼らマフティーと行動を共にしているミネルバ乗艦の将兵達は、日々間近に接してのその薫陶を受け、深い心酔を見せている様子だと言うし、
インド洋会戦にて沈んだボズゴロフ級ニーラゴンゴ乗組だった者達もまた、そこにて示された彼らの奮闘と献身的な姿勢に打たれ、すっかり認識と態度が改まると言う実例となっている。

そしてその拡大再生産として、先日のガルナハンでの戦いにおいても同様に、
デュランダル自身が深く信任するハイネ・ヴェステンフルスと彼の率いる隊員達を筆頭に、司令官のヨアヒム・ラドル以下多くの将兵達が良い意味での衝撃を受け、無意識の蒙を開かされると言う事にもなっていた。

「少なくとも、前線と言う「現場」に身を晒している者達ならではの感覚的な柔軟さ≠ヘ、やはり現状認識とその受容の最大の下地と言う事か……」
その意味では、観念論を弄んでいる余裕などは無い、文字通りの「戦争の最前線」と言う舞台に立っている者ならではの現実感覚が、良い方に作用していると言う実例であろう
――無論、それ自体は何とも皮肉な「人間の現実」と言うものを証明する話でもあるのだろうけれども。

しかし、手放しでそれを喜んでもいられない様な事情もまた散見され出している事もまた――そろそろだろうとは確定的に予測されていた事ではあったが――デュランダルは把握していた。
ハイネや彼の部隊員達の様に、現実を受容し自らの意識の方を柔軟に変化させられる者達も存在するその一方で、
その真逆に観念の呪縛に自ら囚われ続けたまま、その現実にただ反発だけを見せ、現実を否定するのみの空気もまた間違いなく存在し、くすぶり出し始めてもいる。

ラドル隊の幕僚達の内の一部の様な、(この場合は悪い意味の方で)感覚を鈍麻させ「頭でっかち」になりがちな者達を中心に、そんな反作用の流れもまた生まれて来ているのは間違いない。

いつの時代でもそうだが、そう言った者達の声ばかりが大きくなる事でもって対立の火種は煽り立てられ、容易に燃え上がってしまうものだ。
その点においては、コーディネーターにもナチュラルにも大差はあるまい。

(結局は、同じ人間≠フする事だ……と、言うところかな……?)
デュランダルはそう内心で苦笑混じりにひとりごちた。

だからこそ自分はそれを――「仕方がない」と言う現実を、ただ(後ろ向きに)許容したくはない……。
それがデュランダルの偽らざる本心で。
なればこそ、マフティーと言う奇貨の存在は彼にとってはある意味まさに天佑であった。

「変わらなければならない」のは、なにもナチュラルの側だけが〜と言うのではなくて、
同時にコーディネーターの側にもまた、同じ事が言えるのだから。

その意味においてはプラントの側もまた、本当の意味で生まれ変わるその為の痛み――膿を出し切るための出血は避け得ぬだろうと、
だが、そうでなければ本当の意味では変われない≠フだと、既にデュランダルはそれだけの腹をくくってしまっていたのである。


心情的には無理からぬ事である事だろうが……と言う、理解そのものはまだ抱ける余地もあるとは言え、
やはりただ単に「狭義的な意味合いでの、人種間の対立戦争」の枠内へと自らもまた進んで舵を切って行ってしまうと言うやり方をしてしまった前大戦の展開は、
政治的には非常に拙いものだったと、前大戦時の最高評議会の戦争指導については失格と評価せざるを得ないデュランダルだった。

上≠ェそんな調子では、戦争と言う狂気に加速された憎悪の感情を制御する事無く、捕虜を取らずに虐殺行為を行った事に代表される、末端〈前線〉の暴走なども現出するのはむしろ当然の帰結である。

もっとも、戦争の狂気に加速された憎悪や差別感からの虐殺、非道行為を言うのならば、ナチュラルの側もいいとこ勝負ではあろうが――
(そう言えば、あのラクス嬢も、ユニウス・セブンの慰霊使節団として乗っていた非武装シャトル〈民間船〉を地球軍に、遊び半分に問答無用で撃沈されて危うく死にかけたのだったな……)
そんな出来事を思い出すデュランダルはふと、彼女はそんな九死に一生を得た経験から何かを得たのだろうか?と、そんな事を考えた。

前大戦の後半に、そんな狂気の掌の内にと自ら呑み込まれて行きつつあるパトリック・ザラの下、加速度的に状況的な狂気の方向へと傾く一方だったプラントの現状に対して立ち上がり、俗に「三隻同盟」などと呼ばれる、そんなプラントと、
先鋭化する一方のブルーコスモス思想に支配された地球連合、どちらも互いを不倶戴天の殲滅対象としか見なさずに殺し合いを続けるだけの双方に等しく異を唱え、武力介入して際限なき殺戮行為を止めさせようと言う第三勢力の、
その象徴的存在となった彼女、ラクス・クライン。

ユニウス・セブン慰霊使節団の虐殺の難に遭ったラクス自身のその実体験もまた、彼女の大戦終盤の行動の、遠因のその一つにはなったのかも知れない。

そんな彼女はしかし、自身らの働きもあって戦闘行為がどうにか停止する≠フを見届けるや、静かにその行方をくらましてしまっていた。

状況的には、そのままアイリーン・カナーバ前(暫定)議長らと共に、パトリック・ザラ亡き(ザラ派も一掃された)後のプラント最高評議会の後を襲い、
終戦交渉などとも並行・連動した、戦場での非道行為の温床ともなったコーディネーター側の意識改革の為の啓蒙活動等の、「政治的な面での働き」が期待されるべき(またそれが出来うる)立場にはあった筈なのだが、
その途を行くと言う事を、彼女はしなかった……。

その事自体は、本質的に彼女は「政治的な人間」では無い≠ニ言う事実の証明でもあるのだろうが、
元よりアイドル的な存在≠ナあった彼女は、その枠内には留まらずに、
ただひたすらに憎しみをぶつけ合い、その果てに互いを滅ぼし合いかけると言う処まで行ってしまった世界≠フ有り様にと敢然と異を唱え、現実的な――まっとうな方向への影響を実際にもたらした。
――それは間違いなく必要な行動であった。少なくとも、あの時点においては。
誰かがやらねばならなかった事を、彼女は自ら行った。その事実に関しては、確かに彼女は偉大だった。
ただ、結果的にはその行動によって、彼女は「生ける偶像〈アイドル〉」へと、
彼女自身の意思やその意識の有る無しはもはや無関係に、自らの存在と言うものを昇華させてしまってもいたのだ。

戦闘の¥I結を見届けるや、直ちに姿を隠したと言う行動には、恐らくは無意識的に、そんな現実を忌避したと言う部分もあった筈だろう。

無論それは、個人の心情としてならば理解できない話では無かったが、見方を変えればそれはある意味
「呷るだけ呷っておきながら、その当人は途中でそれを放り出して後の顛末には頬かむり」と言う格好にもなってしまっていたとも言えるだろう。

そして彼女は、そうやって熱狂したままでそのまま放置された者達の、悪い方の意味での偶像≠ニ化してしまってもいたのだ。
むしろ、突如それらの前から行方をくらます事で、却ってそれらの者達の間においては神秘性を高める結果となるのと共に、
それらの者達の脳内においての自己妄想的に都合の良い「偶像」≠ニして、勝手な神格化すらされている部分すらも見受けられると言う域に達しているのだった。

そこまで来ると、もうこれは立派に政治的に放置は出来ないものに成りうる、と言うレベルの話である。

「私自身もまた、ある意味貴女によって生きながらえさせて貰ったかも知れない立場である事を考えれば、「恩知らず」な言葉だと言う事になるのかも知れないが、
それにしてもラクス・クライン嬢、まったく貴女はとんでもない置き土産を残して行ってくれたものだ……」
そう嘆息するかの様な言葉を口にしながら、デュランダルの表情自体はしかめ面ではなく、むしろ苦笑混じりに楽しげな表情さえ浮かべていた。

結局の処、デュランダルはこの世界においては誠に希少な、真の意味での政治家であったと言うことだ。

理想は理想として自らの行動原理として確実に保ちながら、今ある現実は現実として率直に認識し、正すべきは正すと言うその為に清濁併せ呑み、硬軟織り交ぜて対処しつつ、
まずは自らの属する集団の事を〜と言うのは当然として、更により普遍的な意味合いでのより大多数の幸福と言う方向へと現実を変えて行きたいと言う意志と情熱を持つ――
自身もかつて、とある現実≠ニ言う痛恨事にまみえた処から立ち上がった彼にとっては、それがある種の(自身なりの)戦い≠ネのだから。

本人にはそんなつもりは全く無かったのかも知れないが、客観的に見ればラクス・クラインは放り投げる格好ともなっていた、正されるべきコーディネーター側の悪弊――
前大戦が落ち着いてその後も、後々まで響く汚点となる幾つもの痛恨事は、
こうして今、いい加減そんな不毛な応酬だけを繰り返す様な状況から脱却すべきなのだと言う意志を持っているデュランダルにとっても、全くもって足を引っ張ってくれる負荷≠ニなっていた。

だからこそ、今次の戦争においてはその真逆を行くべし!と言うのを大方針としているわけだったが、
新しい対立軸の確立と言う政戦両略の部分でこそ概ね順調に推移浸透を見せてはいたのだけれども、
やはり現場レベルにおいての人々の意識の改革≠ニ言うものは――それも予想されていた事であるとは言え――そう簡単には進まないものであった。

そんな現状の中での、実際の行動でもって体現される「マフティー」の面々のその姿勢。
コーディネーターだナチュラルだと、そんな観念論ばかりこね回して(それも多くは無自覚にだ)ばかりいるだけの者達のその眼前で、
淀みも躊躇いもなく淡々と、ただ己に出来うる事の全てを実践するその姿は、まさしく鏡≠フ様なものだったかも知れない。

そんな姿を目の当たりにしてみれば、あのアスラン・ザラや、インパルスを託す事にしたオーブから来た少年、シン・アスカと言った心ある若者達にも良き影響が出ない筈が無い。

また現に、そんな彼らの存在によって救われた多くの人命――撃沈されたニーラゴンゴから生還した乗員達や、ガルナハン戦線の軍民双方の人々と言った存在もある。

配属MS隊パイロットを除いたニーラゴンゴの元乗員達には等しく、プラント本国へ帰還させての一時休暇を与える措置を命じておいたのだが、
「マフティー」と言うとんでもないナチュラルの集団のおかげで生命を救われて、こうして生きて還れたと言う各々が持ち帰ったその事実は、口コミとなってじわじわとプラント社会の内にも浸透しつつあった。
749通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 00:09:52 ID:???
支援じゃー!
当の生還者達本人が、余りにも劇的だったその体験に著しい興奮と感動を覚えているのだから無理もない事だが、
そう言った目には見えない部分から事実を浸透させて行けると言うのは、デュランダル自身の政治の目的とその為の手段の上からも、まさに願ったり叶ったりな話でもあったのだ。

それと同時に、彼らマフティーが持ち込んで来た技術の結晶や概念もまた、今次の戦争の行方のみならず「その先」〈戦後〉の事までも視野にと入れているデュランダルからしてみれば、
それこそ開けてびっくり玉手箱とでも言うべきレベルのものであると言えた。

外部は無論の事、例え内部の者に対してでも容易に漏洩は出来ない程の「核爆弾」(比喩的な意味での)級の代物である。
それ自体は何とも皮肉な話ではあるが、むしろプラント内部側に対しても、おいそれと迂闊には開示出来ないものである為、
現状ではまだごくごく限られた範囲の完全に信頼が置ける一部の技術者・研究者らの選抜チームにのみ対応させるに止められてはいたのだが、
その範囲内においてすら、この世界でも実在が確認〈改めて発見〉されたミノフスキー粒子や、チタニウム系の合金を用いる冶金技術等のオーバーテクノロジーの数々は、
この世界――一義的にはプラントだが――の総合的な技術体系そのものに対してすら、大きな衝撃と新たな発展をもたらしうるモノである可能性は確定的だと予測されると言う結論が出ている。

最先端の技術力を誇り、また売りともしているプラントの中でも、特にその最前線を行く選抜メンバーの様な者達からすれば、
一歩間違えればそれらの人々もまた、現実の否定と観念論(と言うよりは盲信に近いだろうが)の方向へと向かわせかねない程のインパクトがあるものであるのは間違いないだろうが、
やはりミネルバの者達と同様に、大きな衝撃は受けつつもその事実を受容し、良い意味で自身の無意識の鼻をへし折られて目覚め、積極的に受け入れて学ぼうと言う姿勢を一様に示している辺りは流石と言うべきであったろう。

「一流は一流を知る」と言う言葉もある様に、
真に優れている者は自身が優秀であると言うだけでなく、例えそれがどんな異形であれ、同様に優れた他者と言う存在にも気付くものであるのだから。
その意味ではある意味その辺りも、様々な意味合いで「信頼のおける」メンバーの選抜の基準としては明確な指標の一つにはなり得た。

目の前に、専門家としての自身を心底驚愕させ得るほどの代物が実際に転がっているのである。
真の意味で$齧蜑ニであるならば、それがナチュラルの手になるものだ〜などと言う出所などには全く拘泥せずに、飛び付かない筈が無い。

無論の事、慎重の上にも慎重を重ねての白羽の矢を立てられた全員がそう言う反応でもって事実を受け入れ、宇宙にと上がって来たマフティー側の技術者〈後方支援要員〉達から熱心に教えを請いつつ、共同しての基礎研究にと入っていた。

マフティー側からしてみれば、技術の一端を開示する事により自らの存在価値を担保しつつ、この世界でも調達可能な補給品の研究・検証(可否の見極め)と、入手・代替可能なものの確定と開発の必要があったし、
逆にプラント側から見れば、「パテント料」的なものとして彼らを受け入れつつその研究・開発に協力しながら、同時に彼らから開示されたものを如何に自らの技術体系の中にとフィードバックさせて行くか?と言う話になる。

「この世界」でも実在が確認されたミノフスキー粒子や、フェイズシフト系装甲技術の概念自体を一気に廃らせ得る可能性すら含む画期的な冶金技術など、専門家ではなくともインパクト絶大なものが数多くあったが、
わけてもある意味でデュランダルの選抜眼の「確かさ」を証明する結果だったかも知れないと言えるのが、上がって来た中間報告に明記されていた『ローテクと言うものの見直し』と言う要素だった。

流石に選び抜かれたメンバー達は見落とす事は無くしっかりと気付いていたのだが、
『マフティーの方々の持つ超越的な水準の技術体系を支える要素の中核が、最先端技術の追求を目指したものでは無く、信頼性が高いローテクをあえて用いていながら、しかしそのローテクは驚く程に洗練されたものであると言う事実は見逃す事は出来ない』
中間報告ではその点に付いて見落とす事無く、はっきりと触れられていた。
――実のところそれは、「宇宙世紀」の世界においてはミノフスキー粒子の影響から免れる為に、
その状況下でも安定して機能するローテクの方がミノフスキー・ショック以後には逆に見直され、発展する事になった〜と言う歴史的な経緯があった為なのだが、
ミノフスキー粒子のそれに比べれば「かわいいもの」と、言う事になってしまうのだろうが、やはり電波障害や電子機器への影響を及ぼすと言う特性に置いては同一ベクトルであるニュートロンジャマーに対しての方策が、
それを更に凌ぐ最先端技術で対抗を〜と言う発想以外に出てこなくなっていた、自分達――ひいてはこの世界の人間達全体的な有り様そのものに対しての、根底からの疑問を投げ掛けるだけの力が、
「マフティーの存在と言う事実」には備わっていたのである。

枯れた筈の技術〈ローテク〉でありながら、その性能は技術立国を自認するプラントやオーブ(選抜メンバーの中には前大戦後にオーブから移住して来た者も含まれていた)が送り出す最先端のシステムと同等以上の性能を持っていたし、
しかもローテクであるが故に、その安定性やメンテナンス、交換の容易さなどと言った、トータル的な意味合いでの「信頼性」の点では端から勝負にすらさせて貰えないレベルであった。

やはり、現物として超越した技術力の結晶たる代物が、しかもそれを構成する未知の理論・概念も伴って存在すると言う「事実」ほど雄弁なものも無いであろう。

「この『マフティー・ショック』は、間違いなくこの世界≠大きく変える……」
そう確信するように呟くデュランダルの口元には、何とも楽しげな笑みが浮かんでいた。

(ハサウェイ・ノアか……)
と、彼自身も政治家としてのみならず、一人の人間としても大いに惹き付けられている人物の名を思考の内で呟いて、
そしてデュランダルは不意にとある事にと気が付いた。

「そうか……!」
その発見≠ヨの驚きに、思わず本当に声を上げていた。

(つまりは、箱船≠ネのだな……。そんなマフティー〈彼ら〉の存在は……)
まるでこの混迷する世界へと、それをもって閉塞感にのみ覆い尽くされた状況を打破してみよと送り込まれた、運命の神≠フ見えざる手による、その為の使者であるかの様ではないか!

異世界より到来したが故に、彼らは――彼らだけは「この世界」に存在する〈生きる〉者達のそのほとんど全てが囚われてしまっている観念や、過去の因縁からは初めから自由であり、
先の見えない対立の観念と言う、そんな不可視の檻の中にと囚われたままのこの世界の有り様を、その健全な感覚のままに客観的に俯瞰し、
そしてその意志に基づいてそれらに対しての行動する事を通じて、そんな「世界」を覆う閉塞を打破し、未来へと繋がる風穴をこじ開ける事の出来うる存在であるのが、「マフティー」〈彼ら〉だった。

そんなカード≠得て、それをもってお前は何を成す?
「運命の神」からそう問われている様にも思える、現在の状況だった。

この状況を打破するには、「この世界」の人間だけでは無理だと、運命の神からまるでそう宣言されたかの様な事実があったわけだけれども、
その事実そのものにはやはり複雑な心情を抱かされつつも、ならばそこからやってみせよう!と言う意志もまた、不屈に湧いて来ていた。


ただ、そんな政治家としての現状認識とそこからの発想は当然の事として、
同時にその事実は一人の人間≠ニしてのデュランダル自身にとってもまた、大きなものだった。

その一個人としての立場で考えた時に、今こうして声だけを聞きながらその表情を脳裏に描き出しているレイ――
彼自身にとっても今や弟、あるいは息子の様な存在である、今は亡きラウ〈友人〉の、背負わされた宿命≠ワでも共有するその「弟〈分身〉」
――が、これまで覚えが無い程に活き活きとしている、その事実は驚きの一言だった。

かたやコーディネーター、かたやクローンと言う、どちらも自分の意志が初めから介在する事も無しに
生まれついての「不合理な宿命」を背負わされた者同士の――そんな者達同士にしか判るまい共感とでも呼ぶべきものを互いに抱き合っていた
今は亡き友人、ラウ・ル・クルーゼが遺して行った少年、レイ。

彼もまたラウと同じ、クローン故の短いテロメアにより初めから常人の1/3程の寿命しか許されてはいない命だった。
752通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 00:18:41 ID:???
砲撃支援
否応なしにそんな宿命を背負わされた彼の「保護者」――養父、兄代わり、後見人、どの言葉を用いるのが適切になるのだろう?――として、
前大戦の最後、ラウが戦いの中にと(半分は自ら)斃れ還らなくなった後、レイには「君もラウだ」と、そう告げねばならなくなった。

そんな二重に残酷な真実さえも、亡き者となったが故に実際には何らの関与も責任もない事までも汚名をひっかぶせられたラウへの周囲の声を耳にしながら、その現実の中で生きて行かねばならないレイにとっては、
そんな現実に対してのやり場のない静かな憤り以外には、生きて行くための意志を保つエネルギーは無かろうと思えたからだ。

だが、そんなレイが今見せているこの様子は何だろう?
まるで初めて恋をした少年でもあるかの様な、率直な驚きと歓びの感情を見せているレイの姿がそこに在った。

不思議な共振≠ニでも言うべき感じだと言う、レイがハサウェイとの間に感じたと言うもの。
ハサウェイの言葉を信じるならば、そう言った感覚を互いに及ぼし合える者同士は死してなお後にも変わらずにそうやって共鳴し合う事さえあると言う。

それが本当の話であるのかどうかは判らない。
元よりレイとラウの間には(と言うよりは、彼らを形作るフラガ家の遺伝子にか)あったと言うそんな感覚の話は、デュランダルにはそれこそ確かめようの無い話ではあったし、
よしんばそれが本当だったとして、レイがそんなハサウェイ達のいた世界の同類£Bの様にそうなれるかどうかさえも定かではないのだから。

だが、問題はそこでは無いのだろう。
例えそれが他者からは眉唾ものとしか見られない様な、理解を受けられない様なものではあろうと、あるいは幻想であろうとも、
あのレイがそうやって(その中身は置くとしても)普通の人≠ェ誰でも当たり前に持つ事の出来る前向きな希望〈生きるよすが〉を、
普通の人と同じ様に抱くと言う事が出来る様にと変わった。

その事実こそが、デュランダルにとっては良い意味での衝撃と共に重大なものだったのだ。
「保護者」だ〜などと言いながら、自分はレイにはそんなものを与える事が、そう言った何かしらのものへの途を示す事が出来なかった。

自分自身もまたその事実にある意味で愕然もさせられ、自省を強く促されながらも、
デュランダルは同時にハサウェイ達に対して一個人としての深い感謝の念をもまた、抱かされていたのだった。

『――ギル。俺は今、やっと……』
連続再生になっているレイからのビデオレターはその間にも進み続け、その後のものへと内容は変わっていたが、
そうして繰り返し送られてくる度にレイの声はますます明るさを増して行き、精気が漲って来るものを感じさせていた。

それ程までに彼は今、充実を感じながら日々を過ごして〈生きて〉いると言う事だった。

「私も今、そう思わされているよ。レイ……」
デュランダルもまた、そう返すようにとひとりごちる。
彼自身もまた、ハサウェイ達との出会い≠通して、忘れていた大切な事を思い出した様な気がしていた。

「これは、やはり直に会いに行かなければ、なるまいな……」
自身の想いを確認する為に、そう口に出して呟いてみて、一つ頷く。
既に幾つかの「手土産」の準備は進みつつあり、その内の二つ程は先発させてもあるのだが、
デュランダルは今度は「公式の」ものとしての、自らの地球への降下〈訪問〉をあらためて決意するのだった。



ミネルバ艦内、ラウンジスペース

「あれ?メイリン! 戻ってたのね?」
出撃から帰艦して来たルナマリアが、人がいないとやはり広さを感じさせられるラウンジスペースの中に一人でいた妹の姿に気付いて声を上げる。

「あ、お姉ちゃん!お帰りなさい」
数日ぶりの再会≠ニなる姉の顔を見て、メイリンも嬉しそうに笑顔を返した。

「お、メイリン。珍しいじゃんか?」
更に続けて姿を見せたシンもそうやって声をかけて寄越す。
「シンも、お帰りなさい」
メイリンがそうやって友人をやはり笑顔で迎えた後にも、イラムとミヘッシャ、ロッドにモーリーと言った、シンとルナマリアの二人と共に出撃をしていたマフティーの1個戦闘小隊の面々と、
ミネルバにと滞在したまま取材を続けていて、今回はシン達に同行していたジェスとルルーも続いてラウンジにと姿を現して、
数日ぶりに顔を合わせたメイリンと互いに笑顔で挨拶を交わし合う。

「そっちも忙しそうね。大丈夫?メイリン」
互いにオペレーターとして席を並べて戦いを支援する役目を担う者同士であり、またガルナハンへの潜入行の様な事までも含めての、副官役も務めていると言う点でも同様の立場でもある処から、
そう言うミヘッシャとはマフティーの面々との中でも特に親しくなっていた為に、彼女から掛けられる気遣いの声にもメイリンの頑張りぶりへの理解に根ざした優しさが溢れていた。

「ええ、ありがとうございます。ミヘッシャさんの方も、大変そうですね」
笑顔と共に謝意を示しながら、逆に自身の方からも気遣いを見せるメイリン。

彼女らが互いにそうやって気遣いを見せ合うのも、ザフト・マフティー同盟軍側が置かれているこの方面での現状≠ニ言うものにその理由があった。


要衝であるガルナハンの陥落は、それに伴ってこの地域のパワーバランスにも急激な変動をもたらしていた。

地球連合軍はこの西アジア方面に睨みを効かせていた戦略上の拠点を失って、この地域に対してのその影響力を一気に低下させられる結果となり、
そのせいで陸路上では半ば孤立の格好になってしまったスエズ基地だけは死守せねばならないと言う事でその防備を固める意味合いもあって、
この地域に展開させていた戦力の大半がスエズ方面を中心とした各後方£n域への戦略的後退を余儀なくされていたのである。

そしてガルナハン解放戦の状況が口コミで伝わって一気に広まる様になって(無論、そこにはマフティー側が情報戦として積極的にそれが広がり伝わる様にと後押しもしていたわけだが)伝わるや、
ガルナハンと同様に一方的に支配され搾取されるだけの地球連合軍の圧制の下に喘いでいたこの地域全域での抵抗運動が一気に勢いを増し、
一つ一つの規模は小さいながらも、地球軍との間の衝突がさながら雨後の筍の様に各所で発生していた。

本来ならば地球連合軍の勢力の前には抗すべきも無かったのだが、地球軍側にも退き足が付いている様な格好で展開している兵力を一気に減らしていると言う状況があった事で、
逆に抵抗運動にもそれだけ勢いを与える格好にもなっていたのだ。

旗艦デズモントをガルナハン付近に滞泊させ、地域住民との復興支援の折衝及び対地球軍の軍事的対応の拠点として軍政にあたっていたラドル司令官とフェイス達のザフト側、それにハサウェイ達マフティーとの協議の結果、
それらの抵抗運動を支援し、ドミノ倒し式に一気にこの地域から地球連合軍の勢力を駆逐し、解放すると言う短期的戦略目標が決定され、現在はそれに基づいての短時日の作戦行動――
マフティー及びミネルバ、ディアナ両艦所属の卓越した戦力でもって合同した少数ずつのチームを複数編成し、
そこにラドル隊(マハムール基地部隊)からの部隊をそれぞれ指揮下に付けた格好の、機動性のある小規模戦力を多数編成して係争中の各所に派遣する
――と言う格好を取っていたのだった。
一つ一つの戦力単位の「規模」そのものは一見小さくも見えようが、
文字通りに一機当千≠フマフティーの1個戦闘小隊(メッサー2機とギャルセゾン)に、それぞれフェイスの隊長に率いられるミネルバ、ディアナ両艦のMS隊からのメンツが加わって中核が構成されている。
彼らのみでも、5倍以上の規模の敵勢力を容易に駆逐出来る程の戦闘力を持っていた。

無論、見た目の「数」と言うものを軽視しているわけでは無いので、数的な意味での「主力」はマハムール基地部隊になるわけだが、
ローエングリンゲート要塞での戦いを経た後の現在では、マハムール基地部隊からのメンツも「真の主力」は何であるかは理解している。

結局この方針は、戦略戦術の両面上の必要性は当然ながらも、同時にそうしてマフティーと言う存在に(また、それを屈託無く素直に認めている同胞のエース達にも)多くのコーディネーター将兵をより間近に接させると言う狙いもまた、あるのだった。

もっとも、マフティーとの共同戦闘行動自体が戦闘行為そのものに限らず、ガルナハン解放においても示された=uマフティーの存在」と「ザフトの変化」は、
隠蔽をはかる上層部の無駄な努力をあざ笑うかの様に、迅速な口コミで当の地球連合軍の兵士達の間にも知られる様になり、その士気にも多大に影響を及ぼしていた。

流石に、オーブ沖、インド洋、そして今回のガルナハンと、マフティーが姿を現した戦場で地球軍側が(ほとんど一方的に)被った損害の程度は、およそあり得ない程の領域に達していたからだ。

全滅≠竍壊滅≠ニ言う言葉の意味するところは、一般の感覚と軍事上の用語とではその意味合いがいささか異なるのだが、
マフティー相手の戦闘における自軍の損耗はもう、全滅≠竍壊滅≠ニ言うレベルを軽く通り越して文字通りに、繰り出した戦力がきれいさっぱり消滅≠キるのだ。

「砂嵐とマフティーに出合ったら、逃げ帰っても恥ではない」

現状では戦略的守勢に回らざると得ないと言う現実が見えている地球連合軍の中級指揮官達の中には、そう公言してしまう者さえいたくらいだった――
もっとも、そうやって物が見え過ぎていた有能な者達の多くが、逆にそれが故に軍上層部に巣くっている、兵士達の命をただの消耗品としか考えていないロード・ジブリールの腰巾着の様な手合いに睨まれて左遷されると言う様な結果をも生んだりもして、
結果的に言えばマフティーは、それも予測して仕掛けている情報戦の狙い通りに、間接的にも地球連合軍にじわじわと損害を与え続けていたと言えるのかも知れないが……。

ともあれ、そんな化け物みたいな連中〈マフティー〉がザフトにくっついて一緒に攻めて来る。
その事実だけで、守る地球軍側の士気は一気に阻喪せしめられていた。

もちろんマフティー側としても、文字通りの異邦人≠ナあるが故に「実績」として自分達の力≠あえて示す必要性があった為にこれまでは容赦ない戦いぶりを見せて来ていたが、
そろそろ実績としては充分に見せ付けて教えた筈だと言う事で、名乗りを上げ、「無駄死にをしない様に」まず警告を行うと言うスタイルを行い始めて、効果を生んでいた。

そもそもからして体の良い死守命令などと言う損な役目を押し付けられた立場――早い話が捨て駒だ。

しかも攻めて来るザフトも、ガルナハンでは敗軍となった地球軍将兵を虐殺したりするどころか、自ら降伏を勧告し、それを受け入れた者達を現地住民による私刑からも保護して捕虜としての待遇を与えていると言うではないか!
ガルナハンに続いて陥落していく各地でもやはり同様の状況であるらしいと言う話も伝わってくれば、残る地域を守らされている者達も、尚更抗戦の意志など無くなると言うものであった。

前大戦での相互の応酬がそうだった事から、(人道的に〜などと言う意味合いだけを持ち出す以外の部分においても)「捕虜として敵兵を遇する」と言う発想自体が、この世界の人間達には何故か稀薄な様だと判断せざるを得ないマフティー側だったが、
故に彼らがザフト側に強く働きかけ、自分達も加わったこの主戦線において徹底させる様にしたその措置は見事に、
「かつてとは根本的に変わりつつあるザフト」(ひいては、プラントそのものもだが)と言うものを何よりも雄弁にアピールする政治的な効果≠も生み出していた。

そしてその政治的な効果はそのまま、敵の戦意が低下し抵抗が弱まり、またそれを早々と断念して降伏してくる様にもなると言う軍事面への影響となって実際に返って来る。
756通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 00:38:23 ID:???
弾持って支援
そう言った現実を目の当たりにし、肌でもって感じさせられているアスランやシン達――もちろんハサウェイやイラムからその意味合いや効果を教えられもしつつだ――が、そこから学ばない筈が無かった。

そんな刺激≠ニ、先日のガルナハンでのハサウェイやシンの姿を目の当たりにしての自身への内省は、アスラン自身にも相当その心に期するものがあった様で、
現在の彼は自身の側から積極的にハサウェイやイラムへの相談をし、助言も得ながらの、この地におけるザフト――プラントの上級権者になるフェイスとしての自身の立場を積極的に活用した、政軍両面からの宣撫活動にも積極的に取り組んでいたのである。

無論、地球軍の中には真正のブルーコスモス主義者も根強く存在し、宇宙の悪魔〈コーディネーター〉共に対する為ならば全ては許される!などと言うお決まりの身勝手な理屈で、
同胞=qナチュラル〉達をそれで苦しめ、死なせる事になってもお構いなしでの頑なな抵抗をし続ける場合もままある為に、戦闘行為自体はやはり避け得ずにはおけなかったのだが、それらへの制圧軍事行動の指揮も行いつつ、
並行して解放された地域各地の軍政の監督者としても奔走するアスランに、メイリンも副官役として同行していた――それこそ、セイバーガンダムのサブシートにも乗り慣れてしまうくらいに――のだった。

「そう言えば、珍しく一人なのね。ザラ隊長は?」
アスランの姿無しで、副官役の彼女一人で休憩していると言うのを訝しんで尋ねるルルー。
逆にもうそれが不思議に思えるくらいに、メイリンがアスランの副官役として良く務めていると言う事の証明かも知れない。

「ええ、今はちょっと……お一人になりたいのではないかなと思って、休憩を頂いて来たんですよ」
そう言ってメイリンは隔壁越しにアスランのいる執務室(に使っている部屋)の方にと視線を向けつつ、意味深な事を口にする。

(?)
表情でそう示すルルーやジェス、姉達他の皆にメイリンは微笑を浮かべながら左右に頭を振って見せた。
「プラントから、何か嬉しいお知らせが届いたみたいです」
あるいは、後で隊長ご本人からお話しをして下さるかも知れません。
そう言うメイリンは、眼前に見て気を利かして出て来たアスランの浮かべていた表情を思い返しながら、自身も自然な微笑みを浮かべていた。

プラントから届けられた物資の中にあったある物≠ノ添えられていた、一通のメッセージ。
デュランダル議長経由でアスラン宛に直々に届けられた、知らない人からだと言うそのメッセージを目にして、当然ながら初めはまず訝しんだアスランは次いで驚きの表情を浮かべ、
そして読み進んで行く内にやがてその表情は変わっていった――驚きと嬉しさと、そしてこみ上げて来るものを必死に押さえようとするのをない交ぜにした表情に。

そんな彼の姿を、遠くを見るような表情で思い返しているメイリンの横顔に、気遣いや敬意以上のものもにじみ出ている事に気付いた面々は、何も言わずに互いに微苦笑だけを交わし合っていた。


と、そこにラウンジの扉を開けてそのアスランが姿を現した。

「あ、隊長。お疲れさまです」
「おや、やっと一息かい?お疲れ!」
シンとルナマリア、ロッドやモーリー達、居合わせたミネルバとマフティーの面々とジェス達から、口々にそんな声が掛けられる。

「ああ、ありがとう。そちらも皆、ご苦労さまです」
もはやそれがデフォルトになりつつある、部下達と年長の同盟者や軍属達が混ざっているので、そういうない交ぜ気味にの言い方で返しつつ、
アスランは数日ぶりに顔を合わせた仲間達≠ニしばし互いの報告を交わし合った。

小戦力単位による身軽な戦闘部隊復数でもって、それぞれが適宜各係争地点へと赴いて軍事・非軍事両面の一時的対応に当たっている状況であった為、
アスランやハサウェイ、ハイネ、イラムと言った各単位の指揮者は無論こうして帰艦して報告を上げては、以降の二次的・三時的な対応をラドル司令官の方へと委ねているわけだが、
各自が別々に動いているせいですれ違ったまま、互いにしばらく顔を見ないと言う様な状況にもなっていた為に、こうして久しぶりに顔を合わせられた時には互いの情報交換にも花が咲くと言う事だ。

「アスラン。ここの処ずっと勢力的に飛び回っているが、地域住民相手の折衝はどうだ?」
イラムがそう言う聞き方をするのは、軍事的な部分では全く心配していないと言う事の証明でもあるが、そう聞かれたアスランの方も苦笑気味に頷いた。
「はい、やはりこれがなかなか……難しいものですね。ただ戦っている事の方が遙かに楽なのだと今はつくづく思い知らされています」
「そうか。だが、状況を見ていると君は十二分に成果を上げていると思う。流石だよ」
イラムはアスランの努力を認め、労う様に言う。
「ありがとうございます。それがこの地域の人々の助けになっていれば……そうであれば、嬉しいのですが」
照れた様に軽く頭を振るアスラン。

そんなやり取りを間近で聞きながらシンもまた明るい表情であるのは、
もちろん同レベルまでの理解力では無いとは言え、彼自身もまた実感させられつつある現実≠ヨの認識と、それに基づいた思考の前で今や素直に認め、敬意も抱くようになっているアスランが
(より深く)自分と同じ様な想いで考え、その実現の為にと頑張っている姿を見られるのを嬉しく思っているからだ。

状況の展開はまだ、ガルナハン作戦当日の出撃前の約束を果たさせてはいないものの、
それでもこうして慌ただしい合間に短時間でも顔を合わせられれば、互いに以前よりもずっとうちとけて来ている事を実感出来る。

オーブの事と言う、今なお微妙な部分が残っているのも確かだったけれども、
今はもうそれに関しても割合楽観的な見通しでいられる様にすらなっている、シンなのだった。

「ああ、そうだ……」
と、そんなシンの眼前でアスランがそう切り出しながら、同時に手元に一通の封筒を取り出して見せた――
それはメールの文面をプリントアウトした紙束ではなく、きちんと古風にも仕立てられた手紙≠フ体裁を取っている、
それだけにその送り手の気持ちが本当に込められて送られたものだと容易に推測が出来るものだった。

「いいのか?」
アスラン本人宛に送られたのであろうその手紙を、皆にもと差し出してみせるアスランにイラムがその場にいる皆を代表する格好で確認する様に尋ねる。

「はい」
晴れやかな表情を浮かべて頷くアスラン。
彼自身がこの場にいる皆――自らが信頼し、日々心を許しつつある戦友〈仲間〉達――にも、見て貰いたいと思っていると言う事なのだ。

「そうか、ならばまずメイリンからだな」
「えぇっ!?」
了解して、そうするやあっさりと最初にそれを見るべき相手として、アスランを内心で慕いながら副官として良く支えている少女の事を指名してやるイラム。
そうとは知らずにメイリンの方は驚きの声を上げるが、イラムからそう言われたアスランの方も屈託ない笑顔で頷いて、自らの副官役の少女にとその手紙を差し出した。

彼自身が、先程も彼女が示してくれた真情ある気遣い≠ノ感謝していたし、だからこそ落ち着いた後は真っ先に彼女に見て欲しいと思っていたからでもあるのだが。

すっかり恐縮し、遠慮のそぶりを見せるメイリンだったが、アスランも屈託なさそうにそんな態度を保っていたし、他の皆もそれでいいと言う表情を送って見せていた為、
恐縮するようにしつつ、アスランの手から受け取った手紙を開いて読み始める。そして――

「………………っ!? 隊長!これは……!」
読み進めていたメイリンが、驚きの表情でそう言って顔を上げる。
アスランも本当に嬉しそうな微笑を浮かべて頷きを返す。
そして読み終えたメイリン自身もまた、アスランのその表情の理由を納得しての晴れやかな表情を浮かべながらアスランを見やるのだった。

そのやり取りを見て、ルルーがそこで提案を出して言った。
「それだったら、メイリン。あなたが読み上げてくれないかしら?」
皆に聞かせると言うだけでなく、ジェスの構えるカメラにもその内容が〜と言う事でもあるわけだが、確かにその方が良さそうでもあったので、
アスランが再びそれに頷くのを見て、メイリンは一度読み終えたその手紙を再び、今度は皆に聞かせる為にと朗読し始める。
759通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 00:53:34 ID:???
支援
そうしてその手紙の内容に耳を澄まして行く、イラム、ミヘッシャらマフティーの面々や、シンとルナマリア、それにジェスとルルー。
その手紙を呼んだ誰もが、やはり先程のメイリンと同様の表情で顔を上げてアスランの方を見やる。
その場にいる誰もが皆、今のアスランの表情のその理由≠理解し、そしてその事実をまるで我が事の様に喜んでいた。


その手紙の送り主は、今現在もプラントの農業用コロニーで穀物の研究に従事している、ある一人の研究者であった。

今回、直接的な軍事用の物資と共に、地球連合軍の支配下から解放されたこの地域の住民達の為にと、
人的要員と共にプラント本国から送られて来ていた、食料や医薬品と言った支援物資群の中に加えられていた、とある物にと添えられていたその手紙を書いたその人は、
亡きアスランの母のレノアと共にプラントの食料問題を解決する為の穀物の研究にと取り組んでいたナチュラルの研究者で、レノア亡き後もプラントに留まったまま、変わらずにその研究にと取り組み続けていた人物だった。

そんな人から送られて来たものとは――

『――親愛なるアスラン・ザラ。亡きレノア女史のご子息である貴方が今、またかつての様な戦争の悲劇を繰り返させまいと、自らも再び立ち上がられたと言うお話をデュランダル議長より伺いました。
今現在は、西アジア方面で地球連合の圧制下に苦しめられているナチュラルの人々を解放する為に、フェイスとして日々奮闘されておられるとの事、嬉しくうかがっております。
そんな現在の貴方のお働きの一助にもなるかも知れないこれ≠、今この時に貴方の下へとお届けする事が出来る事を、本当に嬉しく思います……』

そんなメッセージを伝える手紙を添えられて送り届けられて来た物は、この地域の様な土地でも栽培が可能である様にと品種改良を重ねられた様々な種類の穀物の種子だった――
それも、サンプルと言うにはいささか量が豊富すぎる程の。

『――これらはみな、貴方のお母様が始められ、取り組んでいらした事の、その成果です。
レノア女史が亡くなられた後も、共に取り組んでいた我々がその遺志を引き継いで研究を続け、ようやく地球上にもこれだけのものをお送りできる様にとなりました……。
それが今こうして、我々とはまた違った形で亡き女史の想いを継がれようとなさっている、ご子息の貴方の助けとなるかも知れない形にもなったと言う事実に、まるで亡き女史のお導きであるかの様な思いになります……。
「コーディネーターが、その名の通りに人々の間の調停者≠スるべく在るその為に優れた資質を与えられて生まれて来た存在であるならば、それをもって多くの人々の幸福の為に生きる事が使命であると思います」
女史は折に触れて、その様におっしゃっていました……』

今も尚変わらない、レノア・ザラへの尊敬と親愛の想いが滲み出ている手紙が語る、それらの種子に託された今は亡き彼女の抱いた想いと理想は、
その忘れ形見である息子のアスランは勿論の事、それを見聞きするその場にいる誰の胸の内にも静かに染み入っていた。

『これらの種子は、過酷な環境条件下、痩せた土壌でも生育する強さと、一粒からの安定した収穫量の多さを合わせ持つ、プラントの技術力の粋を尽くして開発されたハイブリッド種です。
食べられない部位もバイオマス燃料の素材等として余すところ無く利用できる――非先進地域に暮らす人々の生活の安定と向上に寄与する事、まさにレノア女史が目指された理想です』

それを、この地域の人々への復興支援の一環として供与すべしと言う事だった。

レノアが成そうとしていた事は、無論一義的にはまずプラントの平和的な自立の為の食の安定の確保が目的ではあった。
しかし彼女が真に非凡であり、偉大であったのは、初めからただプラントの事だけを考えていたのでは無く、こうしてそれを地球上の人々――特に発展途上の地域に対しての貢献とする事をも目的としていた事なのだ。

イデオロギーに沸騰し、武器を手に睨み合う事を通してでは無く、多くの人々の幸福に寄与する事、それをもって平和と共に自分達コーディネーターの寄る辺(としてのプラントの存立)を守る。
それが、彼女の願った理想だったのだと、今ようやくそれを知ったアスランは激しい衝撃と感動とを同時に味わわされていた。

だから、そんな姿を見せている彼を傍らで目にしたメイリンは、しばらくアスランを一人にさせておこうと気を遣ってくれていたわけだったが、
衝撃が徐々に落ち着いて来るのに比例して、アスランの胸の内には初めてと言ってよい熱い想いがふつふつと湧き上がって来ていた。
(母上……感謝します。俺は今、あなたの息子である事を心から誇りに思います)
自分がアスラン・ザラである事の、そんな母の子であると言う事実の素直な肯定――あるいはアスランはこの瞬間に、自身がザラ♂ニの子であると言う事実の負の側面の呪縛から、解き放たれたのかも知れない。

亡き母の、死してなお残され生き続けているその良き意志が、あらためて自分にと己が行くべき信じる途を指し示し、「信じてお行きなさい」と背中を押してくれていた。

自分がザラ≠ナあると言う事実にちゃんと向き合えるのならば、それは――と言う、ハサウェイ達から言われていた事の意味が、今ようやく理解できた気がする。
もちろん彼らがこの事実自体を知っている筈がなかったが、経験や考察によって導き出された大人としての予測≠フ、その正しさも。

『今、戦争の前線にと立ちながら、敵を憎みただ滅ぼす為にではなく、かつてのプラントと同様に強者に虐げられている人々の為に戦っている――
その手段は違えども、目指すその先は亡きお母様が願い目指された先と繋がっているであろう貴方に、喜びの想いと共にこれらの品々をお贈りします。
どうぞお母様をお偲びください』
手紙はそう締めくくられていた。

「隊長!」
「良かったな、アスラン!」
その場にいる者達が皆口々に、笑顔を浮かべてアスランを見やる。

それを受けるアスランもまた、吹っ切れた様な晴れやかな表情を見せた。
互いの境遇を知った後であれば尚更であろうが、この事実を我が事の様に喜んでくれる仲間達♀Fの気持ちが嬉しかった。

そして、その上に更にもう一つ。
イラムがぽつりと呟いた一言にも、アスランの心にあった最後の澱に対しての自然な感情からの気遣いが滲み出ていた。
「君のお母上は本当に素晴らしい方だったのだな、アスラン。お会いする事が出来なくて、本当に残念だ……。
そしてそれ程の人を、ある日突然、理不尽に奪われてしまったわけだものな……。君のお父上が怒りと絶望に狂ったのも、心情としては理解できる気がするよ……」

「イラム参謀……」
そう呟いたきりアスランは何も言えない想いにさせられた。

今はもう、彼自身が政治と言うものを学びつつあるが故に、公人としての亡き父が批判や非難を受ける事を甘受するのが、その息子である自分に貸せられた義務だと言う事を本当の意味で背負って行く、
その覚悟を既に決めてはいたわけだったけれども、だからと言って、やはりそれはとても辛い事であるのには違いない。

ハサウェイやイラムらマフティーの面々は、それが事実でもあり、また政治的にも必要であるからこそ、公的にはやはりパトリックの事を手厳しく批判せずにはいられない立場ではあったが、
ただやはり、彼らにとっても同志的連帯感を抱いている好感を持てる青年のその父親を、それも本人のその眼前で糾弾する格好になってしまう事自体には、やはり心苦しいものを覚えずにはおられない処でもあった。

だからこそ、折に触れてそうせざるを得ない現実に対しては常々、アスランに向かって済まないなと言い続けてもいたのだったが、
それを受けるアスランの方もまた、複雑な心情で居ざるを得ない立場だった。

しかし、今こうしてイラムが、私人――一人の人間としてならば、あるいは自分も彼と同じ境遇にと置かれたならばその様になるかも知れないと言う、ポーズではない惻隠の情を見せてくれている辺りから、
やはり彼らの本当の意味での優しさや度量と言うものも感じられるからこそ、アスランもまた彼らに対しての信頼と尊敬の念を日々新たにし続けながら、余り無理する事無しに心情的に折り合いを付けていられたのである。

「隊長、この種子は…………お母さんが隊長に遺してくれた形見なんですね……」
よかったじゃないですか?
恐らくは無意識の羨望をも微かに滲ませながら、シンが喜ばしい気持ちを湛えた表情で言う。
「ああ……」
そしてアスランの方もまた、万感を湛えた表情で静かに頷くのだった。



「………………」
そんな彼らの様子をカメラに収めながら、無言のままに視線を交わし頷き合うジェスとルルー。

(「素晴らしいもの≠ェ見られると思うぞ?」と言うマフティーからの誘いは、本当の事だったな……)
アイコンタクトを交わし合いながら、その事実を改めて実感させられている二人だった。

ガルナハン解放後、議長の肝いりで最前線へと真実を追う取材にと赴いた彼らを驚かせる申し出が、ミネルバへの帰艦の後に待っていた。
――即ち、彼らを自軍の専属広報役として雇いたいと言う、マフティー側からの打診である。

「俺は――いや、このベルもそうだが、俺達は真実≠知り、伝えようとしている人間だぜ?
そんな俺達を迎え入れるって言う事がどういう事なのか?を、本当の意味で理解しているか?」

それを聞いて、ジェスはほとんど脊髄反射の様に尋ね返したものだ。
彼らの立場からすれば当然の問いでもあったわけだが、それに対してのマフティー(ハサウェイ、イラム)側からの回答と言うものは驚くべき事に、
速答だと言ってもよい程に実にあっさりとした、「それで結構だ」と言う肯定だった。

無論、MS用の超小型核融合炉や異世界からの時空転移と言った、そこだけはまだ隠しておくべきと判断された核心≠フ部分自体はやはり若干存在はするものの、
それ以外の部分に関しては包み隠そうとするのでは無く、逆に全部あけっぴろげにしてしまおう!と言うのが、インテリジェンスの部分での戦い≠ノ関してマフティー側が選んだスタイルであったのだ。

もちろんその密着取材≠ェ、文字通りに作戦会議等にすら同席してその内容を知ると言う処までもが許されると言う破格の条件――
マフティー側が正式に雇ってそうして欲しいと要望して来ている存在であると言う事で、ザフト側としても本音では嫌であってもまず断れないと言う状況にもなる
――であるからと言って、次の作戦内容にその目標など、直ちに開示出来るわけではない類の部分も在ると言う事をジェス達とてちゃんとわきまえてはいる者達ではあったので、
それならば積極的に信を置いて見せると言う、ある意味では(この世界においては)画期的なやり方を、マフティー側は選んでいたのだった。

そして、そんなジェスとルルーが現在、ミネルバに共に乗り組む密着≠して取材を続けながら見聞きした事柄をまとめたレポートが、やがてプラント社会を――
ひいては地球連合やオーブと言った地球上の諸国までをも含めたこの世界全体にすら
――良き影響を与えて行くと言う、ある意味でジャーナリストとしての冥利を彼らに帰す事にもなるのだが……。


マフティーの来訪≠ニ言う「超常的な」出来事をきっかけに変わり始めたこの世界の道行きは、こうしたささやかな日々の積み重ねの中に、静かにその芽を伸ばし続けていたのだった。
763通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 01:13:21 ID:???
GJ!!
相変わらず、良い物を読ませていただきました。
764166:2009/05/03(日) 01:14:25 ID:???
こんばんは。機動戦士ΞガンダムSEED Destiny筆者の166です。
ついに(?)、あのCCAアムロスレを眺めていて憧れだった全裸待機(笑)までをも頂きつつ、
分割無しでは過去最長となってしまいました(苦笑)、幕間(3)の方を投下させて頂きました。

投下中のご支援の方も、ありがとうございました。


今回、自分なりに考えてでっち上げましたレノア・ザラ像ですが、
ぶっちゃけ言えば、アスランを所謂凸と化さしめない為の布石の一つとして、ですね。

アスランを、まっとうにアスラン≠フままでい続けさせる為の、
彼にとってのマランビジー(尽きせぬ水脈)だと言う事でしょうか。

やっぱりC.E.世界の側にも自立と言うか、良き因子は少しは無いとなぁ……と言う事でもありますが

(苦笑)。
こういう改変は、いかがでしょうか?


しかし、>>737さんにご指摘頂いて気が付きましたが、
確かに自分がこちらでまた書き始めさせて貰うようになってからもう1年なんですねー!

何だか凄く充実していて楽しくやらせて貰っているおかげさまで、本当にあっと言う間に感じます

(^^;
C.E.のみならず、U.C.のものに関しても、あんまり「設定」は気にしないで自分の好き勝手にやらせ

て貰っていますが、
寛大にそれを許容して受け入れて読んで下さっている皆さんのおかげだと、本当に感謝しています。

ちょうど年度末〜年度始めの多忙さとぶつかっちゃって、時間をかけて書く格好になってしまいまし

たが、
アニメ本編で言う処の総集編(苦笑)に当たる格好の幕間も、楽しんで頂けておりましたら幸いです。


次回からはディオキア編に入ります。
原作(アニメ、及び同準拠の各種ノベライズ&コミカライズ)からどんな風に変えているか?
と言った辺りも見てやって頂ければ幸いです。

それでは、またです。
皆様、良いGWを!
765通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 01:14:26 ID:???
乙です!
766通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 01:24:52 ID:???
なんてまっとうなアスラン!
と思っていたらそれになんてまっとうなご褒美!w
良かったなあ

CEの
超技術だ!
ならこっちはもっと超技術だ!
なにを!ならばもっと超技術だ!ってのはあるよなw
UCも割とそうなんだけどより目立つというか
あと兵器名w
767通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 01:27:05 ID:???
>>764
お疲れさまです。
相変わらず世界の息吹を感じさせる物語に
マフティー対ラクシズとの第一ラウンドが楽しみでたまりません。
これからも頑張ってください!
768通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 01:57:22 ID:???
この作品では狂信者に踊らされる形になっているラクス達がどうなるかですね。

狂信者と決別できればいいのですが。
769通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 01:57:45 ID:???
ミーアも出てないし報道を見てラクシズもマフティー入りしないか本のちょっと期待
ないかな
770通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 02:19:42 ID:???
ミネルバ隊はじめザフトや各解放地域の住民はもとより、現場レベルの連合一部将兵までも
マフティーの強さと公正さに認識を改めつつある状況で、ラクシズが再旗揚げするなら
オーブ軍やクライン派の他には選民思想を捨てきれない両軍のタチの悪い連中ぐらいしか
兵隊として糾合できないんじゃないか…それはあまりにも救いがないが。
それまでにクチコミやジェスの報道とかで少しでも感化されてくれればいいんだけど。
771通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 04:51:41 ID:???
このお話のレイなら、「君は君だ!」が通用しなさそうですね。
772通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 15:57:32 ID:???
UC世界からの転移物だと賞賛の嵐だなw
773通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 20:41:00 ID:???
GJ!
レノアのしてきた事もまた崇高な戦いだったんだな・・・
手にしているのが武器じゃなくてペンと紙だったり時に鍬だったりしただけで。
アスランも実に誇らしいだろう
774通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 22:50:07 ID:???
現地住民云々で思い出したけど、この世界のBTWの被害ってどんなもんだったんだろ
連合が圧政敷けるってことは原作通りの海岸地帯全滅とかはなかったのかな
775通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 23:22:30 ID:???
>>770
原作でも連合の圧政下のナチュラルとの融和はそこそこ成功してたのに
ラクシズは奇襲して来ましたよw
776通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 23:25:31 ID:???
幕間とは思えない豪華さだな
複線を回収しながらレノアの話に繋げて行ったのは本当に上手いと思う
777通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 00:50:10 ID:???
>>775
TV版から判断する限り、ラクシズは自分達以外の主導による世界情勢の変化が許せない、
それも悪化より好転の方がもっと許せないという風にしか見えなかったからな。
変革の主役になりつつあるマフティーに喧嘩売ってくる事は十分あり得るか。
もっともフリーダムじゃクスィーどころかメッサーにすら及ばないかもだし、
ラクスの洗脳波にしてもマフティー組には鼻で笑われ、更に今のアスランにも
ちっとも響かないだろう事は目に見えてるし、どう攻めてくるかむしろ見当つかんな…
778通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 00:53:58 ID:???
>>774
そもそも、『圧政』と言うほど『圧政』だったのか『地域格差』レベルの差を『圧政』と言っていたのか
779通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 01:05:49 ID:???
>>774
海岸地帯全滅なんてあったっけ?
スタゲで北京沈んだって話は聞いたけど
780通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 01:32:00 ID:???
作中に出てきた「圧政」って感じなのはあれかな
現地住民を連合が徴用して基地作らせてた、っての
んで基地フルボッコしてるとき一般人が逃げようとしたら連合兵が何故か撃ち殺す
781通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 05:39:17 ID:???
>>777

地球連合軍が敗戦続きとはいえ、戦争になっているのは数の暴力があるからなんですよね。
ここに少数のラクシズが出てきたところでどうにもならないような気が………・
口先介入と工作員よる内部工作ぐらいじゃないか。

流石に虎が止めるだろ。
実力行使は………

実際、戦闘になったら、UC仕込みの戦訓に強化されたミネルバ搭載MSに、タコ殴りにされる光景しか浮かばないし
むしろ、足止め要員のやられキャラがいないおかげで、逃げても追って来る可能性が………

超音速で追っかけてくる戦艦級の火力を持ったジャミング付きMS。
キラはこの先生き残れるか?
782通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 10:19:16 ID:???
同人アヌメじゃその口先介入とよくわからない内部工作でトントン拍子に
勝ち上がってきたわけだけどな。
しかし当初安易に連合と組んで勝ち馬に乗り損ねたオーブがいまさら
「強すぎる力は争いを云々」とか言い出しても聞く耳持たれんだろうし果たして。
783通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 12:52:05 ID:???
ボンボンで連載してた原作は本当良かったよなぁ
784通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 21:41:33 ID:???
>>775
>変革の主役になりつつあるマフティーに喧嘩売ってくる〜

だとしたら世間一般ではラクシズは阿Qの同類の
集団にしか思われないな・・・下手をするとザフトからはジャギの、
連合からは阿Qの同類がやってきて溜まり場になってある意味で
原作以上にヤバイ集団になるのでは?
785通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 23:18:56 ID:???
共同開発兵器が陽電子砲と考えるとハイパーメガランチャーというよりメガバズーカランチャーと言った方が適当かもと思った
786通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 23:31:47 ID:???
自前推進持ちの手持ち火器だから
名前出る前からハイパーメガランチャーだなあと思ってた
メガバズーカの方は手持ちでは収まらないというか
まあ勝手なイメージだけどw
787通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 01:07:01 ID:???
Ξガンダムのジュネレーター出力はドムのジュネレーターのちょうど三倍

トンデモ兵器アプラサスVと同等なんだよなぁ
共通点多いぞ。
両方とも、目が粒子砲搭載しているし、ミノフスキークラフト搭載しているし。
788通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 01:08:35 ID:???
目からビームか
789通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 01:12:15 ID:???
>>787
ようやく連邦の技術がギニアスに近づいたな!
Vの時代には軽自動車サイズで自我のあるアプサラスも完成出来るかな?
790通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 10:50:28 ID:???
>>789
ザンネックにハロ乗っければOKでない?
791通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 11:04:47 ID:???
>>789
ギニアス大百科乙
792通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 13:26:47 ID:???
アプサラスVは厳密に言うとMAというよりも
最初から砲撃と自力での移動が可能な軍事衛星っていうコンセプトだから
汎用性を考えず砲撃にのみ資金と技術を費やした分、
試行錯誤的な余分な機能の追加や武器とか無いのがかえって強みだったのでは?
793通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 15:08:55 ID:???
CEは突出した性能の機体(自由正義)が数機あれば戦局を支配できるのだからまさにギニアス向けの世界だよな
794通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 15:14:06 ID:???
戦局を支配できるのは負債の加護があるからです
現実ならあんなこと出来ませんよ。軍をなめてるとしか言いようがありません。
795通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 15:24:39 ID:???
あのコピペ思いだした
お前ら無能すぎるだろ…って頭抱えてるユウナのやつ
796通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 15:34:29 ID:???
>>785
メガバズーカランチャーはバズーカを飛ばす兵器という変な意味なので、どうかと・・・
そういう意味ではCEの厨臭いネーミングよりも酷い
797通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 15:38:04 ID:???
>>796
考えるな、感じろ!
798通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 16:02:53 ID:???
>>796
GNを冠詞につけただけのダブルオーよりはマシ
799通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 16:49:59 ID:???
実際、GN粒子を使うと固くなったり出力があがったりするから問題ない
800通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 17:36:24 ID:???
>>795
    カオス→・ ・←フリーダム 
           ・ 
           ↑セイバー 


● ● 
 ● ● 
  ● ●     ・     ●←ミネルバ 
 ● ●      ↑インパルス 
● ● 
 ↑地球軍&オーブ艦隊 


トダカ「敵の守りが厚くてムラサメ隊がミネルバに攻撃できません」 

. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::: 
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::: どこまで無能だ貴様等… 
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : :::::::::::::::::: 
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄ 
        ↑ユウナ 
801通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 17:40:08 ID:???
そもそも「バズーカ」はM1ロケットランチャーの形状からついたあだ名だからな
ザクバズーカやハイパーバズーカは形状的に「バズーカ」と言っていいかもしれんが
つかフィンファンネルも「ファンネル」の形してないからおかしいよな
「フィンビット」じゃ駄目だったのかw
802通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 19:59:06 ID:???
コードネームだった「タンク」が後に正式名称になった戦車みたいなもんじゃねえのか
803通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 23:00:07 ID:???
0距離でバズーカぶっぱして撃破とかの描写もあるし(ロケランでそれはねぇよ)、あれはバズーカとは名ばかりの
無反動砲なんじゃねえかと思ってる。
804通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 23:45:03 ID:???
>>800
ムラサメいないじゃん
805通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 23:49:54 ID:???
ウィンダムもいないな
806通常の名無しさんの3倍:2009/05/06(水) 01:04:25 ID:???
>>801
初期のじょうごの形したファンネル以外全部駄目だな
その理屈でいくと
>「ファンネル」の形してないからおかしいよな
807通常の名無しさんの3倍:2009/05/06(水) 06:48:23 ID:???
ニューガンダムのファンネルは、その辺りを考慮したのか『フィンファンネル』という名称になってますね。
808通常の名無しさんの3倍:2009/05/06(水) 22:35:48 ID:???
気づいたら容量が480いってるな
そろそろ次スレの季節か?
まあまとめに載るのも数日遅れなくらい遅いスレだからまだいいか
809通常の名無しさんの3倍:2009/05/06(水) 23:00:21 ID:???
鰭漏斗
810通常の名無しさんの3倍:2009/05/09(土) 07:45:19 ID:???
保守
811通常の名無しさんの3倍:2009/05/09(土) 18:53:35 ID:???
>>780
あれは実は犯罪者の懲罰施設じゃないかって説があったな
民間人に基地の建設なんか出来る訳ないから
812通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 00:46:00 ID:???
その説だと家族らしき女子供はなんだ
813通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 00:55:51 ID:???
「犯罪者」とされた者の関係者もその一味として収監したってところだろう
もっともその犯罪とされた行為が、連合を批判した事なんてのはありうる
814通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 12:14:39 ID:???
もしもサイド7脱出直後のホワイトベースがCE世界にきたら
CE世界に毒されて、痛い成長するホワイトベースクルー達
815通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 12:16:51 ID:???
でもカイとハヤトとリュウさんは全く成長出来ないでいつのまにか消えている
君、CE世界では顔で勝敗が決まるのだよ
816通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 12:20:15 ID:???
>>815
そうなるとホワイトベースクルーはほとんどモブになるぞw
設定上も、描写上も、美男子は一人もいないからな

ジョブジョンだけ大活躍とかはあるかもだが
817通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 12:26:30 ID:???
面食いな15歳のアムロは、だれに惚れるだろ?
818通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 12:32:28 ID:???
ナタルあたりじゃね? マチルダさん的に考えて
819通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 12:44:49 ID:???
美人の年上に囲まれて、頑張って戦うアムロ
ウッソ並にスペシャルな男に成長しそうだw
820通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 13:55:48 ID:???
あの女どもエースには甘いからな
821通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 14:10:49 ID:???
>>816
カイさんは木馬を降りた後新聞記者になってるんだったっけかなぁ
確かそんな外伝作品あった気がする
あとリュウさんって死んだんじゃなかったっけ
822通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 14:23:43 ID:???
知らないなら黙ってろ
823通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 14:26:49 ID:???
なぜ>>821>>816にレスしてるのかがわからないw
第一なんでサイド7脱出直後前提で話してるのに戦中・戦後の話になってんだw
824通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 00:11:18 ID:???
逆(AA→1st)なら予想はつきやすいが、WB→種は・・・
825通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 11:33:18 ID:???
>>824
予想は、すんなりラクシズ化で4隻同盟誕生じゃないかな?
種1話に転移→AAの無線傍受→連合だけど、とりあえずAAと合流
→WBの戦力+で低軌道会戦勝利?→ハルバートンと月に移動?
ごめん予想つかんね
826通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 18:03:45 ID:???
えり〜な(キャナァーリ倶楽部)がCEに来たら

参考動画
http://www.youtube.com/watch?v=oThNdKK2IK4

ラクスなんか目じゃねー
827通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 18:50:14 ID:???
低軌道回戦勝利で月基地到着してしまったら核融合エンジン搭載のMSが登場しそう。
828通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 21:00:28 ID:???
>>825
ホワイトベースは、ブライトが何処まで行っても軍の一部として動くから、ラクシズ化はしないだろう
ラクスは、アムロとニュータイプとして分かり合える相手でもないし

むしろ、ドミニオンのポジションじゃね?
829通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 21:36:57 ID:???
しかし、アラスカでAAみたいに囮にされたらさすがにわからんぞ。
830通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 21:46:30 ID:???
どう考えても、異世界技術満載のホワイトベースを囮に使うという選択は無いだろ
ミノフスキー粒子散布装置だけでも、戦局をひっくり返しかねないんだし

アラスカで囮にされてラクシズ行きの展開にするには、その辺を上手く片づけないと
831通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 22:20:52 ID:???
>>828
分かり合えるニュータイプのいないCE世界でアムロは覚醒するかな?


832通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 23:44:17 ID:???
>>829
アラスカでAAが囮になったのはろくに連絡もせず作戦決行数日前というあほな時期に飛び入り参加してきたからであって、
ザフトの一部からは特に狙われているって事もあっての配置だろ
ついでに言えば低軌道会戦で部隊全滅させた知将様の派閥だし、ブルーコスモスの発言権が大きくなってる当事だと扱いづらい
軍の一員としてもっと真っ当な行動をとっていれば別に囮やんなくてもすんだんじゃない?
てか連絡入れてないならMIA、悪けりゃ脱走兵扱いで、むしろ戦力としてカウントしてくれたあたりAAは優遇されてると思うが
833通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 00:04:23 ID:???
>>832
AAの扱いは、実はむしろ優遇だったから、生き延びたとしても連合軍に弓引くのは有り得ない
と言いたいのか?

あんなん優遇とはいわんし
仮に優遇だったとしても、AA側にしてみたら感謝する気にはならんだろう
834通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 00:28:48 ID:???
>>833
あの待遇で優遇扱いって言いたいんじゃなくて、

「トップが変な作戦取って艦隊もろとも全滅した落ち目な派閥に所属している」
「地球に降りてから何度もチャンスが有りながら連絡も取らなかった」実験艦が
「作戦ギリギリ」に到着したんだぞ?
その上、肝心のMSは連絡を取っていなかったお陰でMIA。
「作戦前の忙しい時に土産も無しで何しに来たんだ」と言われても仕方がない

有用な人材だけ別部隊に異動させて、残りの人員は生き残れる可能性がある殿を任されるだけ扱いはマシな方。

低軌道会戦時に取った所属艦隊を見捨てるカタチの敵前逃亡を問われたり
長期間の連絡不通でMIA扱いになっていなかったんだから
835通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 00:38:27 ID:???
>残りの人員は生き残れる可能性がある殿を任される
ギャグで言ってるんだよな?
836通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 00:41:31 ID:???
>>835
やだなあ。捨て駒が生き残れないと誰が決めた?生き残れる可能性が1厘でもあればマシでしょう?
軍法会議の上で「死刑」になるよりはね。
837通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 01:11:14 ID:???
>>836
通常の捨て駒ならな
だがサイクロプスがある限り、命令どおり遅滞戦闘してたらあぽーんだよ
838通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 01:23:43 ID:???
>低軌道会戦時に取った所属艦隊を見捨てるカタチの敵前逃亡
ハルバートンの指示通りだから、敵前逃亡にはならない

>長期間の連絡不通でMIA扱い
仮になっていても、戦線復帰した段階でMIA扱いは解除される
復帰しても、MIA扱いなんてするわきゃーない

>「作戦前の忙しい時に土産も無しで何しに来たんだ」と言われても仕方がない
戦力を持ってきただけで十分に土産だし、砂漠の虎とかモラシムとかの首は上げてるし

つーわけで、めちゃめちゃに的外れなんだが
冗談で言ってる?
839通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 10:38:09 ID:???
>>838
AAの建造目的からいくと、「艦載機になるはずのMS5機中4機奪取された挙げ句、残りの1機も失い(MIAし)ました。でもMAと武装セットは残ってます」じゃあ話しにもならない件
840通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 12:20:12 ID:???
種の軍事描写って、リアルっぽい演出を放棄したようなのばっかりで討論に向いていないようなw
841通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 13:22:00 ID:???
演出としては、不当に低い扱いを受けたあげくに囮として使い捨てにされたって事で、AAの反乱に理由付けをしてるんだろうしなぁ

>>839
それ、AAクルーの責任の範疇外
ハルとか上層部が背負うべきもんだから
842通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 14:15:31 ID:???
なんか本気で馬鹿なのか、脚本を擁護したいのか分かんないのが沸いてるね
843通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 14:24:08 ID:???
おっ、煽り屋さんも湧いたぞ
844通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 14:28:44 ID:???
というか話にならないとかそんなレベルで戦艦を扱おうとする軍人さんって……
845通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 15:10:56 ID:???
中立コロニーで居住区画の状況不明なのに、ローエングリンぶっ放すナタル少尉が軍人一家の才媛とか
波動砲もどきで、障害物を吹き飛ばすってのはカッコいいよね

話それるけど真マジンガーZ編で、住民巻き添えが怖くて市街地戦闘不可能になるリアルっぽい演出におどろいたw
846通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 18:23:04 ID:???
アラスカは戦術的には失敗(最高司令部の放棄)
ただし戦略的には大成功なんだよ、ザフト地上軍の約八割を殲滅できたしな
それに838はAAは戦果を挙げたといってるが虎やモラシムの部隊はせいぜい
一個中隊ぐらいしかないから戦略的にはなんの影響もないんだよ
だからアラスカは立派な軍事作戦、そんな大事なところにひょっこりやってきた
AAのほうに問題があるんだよ肝心のMSもないしな

それに問題云々だったらウズミのほうが問題があるぞ
外交に失敗して、戦争に負けそうだから国の重要資産を自爆させるなんて
キチガイとしか思えん
847通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 19:02:48 ID:???
MSが無いからって、最新鋭戦艦一隻を随分安く見てるんだな
MSよりも金かかってる筈なんだが

あと、北アフリカ支配してた虎を撃退したのに影響がないとか、本気か?

きっとネタに違いない
848通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 19:31:35 ID:???
アークエンジェルはMS運用を前提に開発された艦艇だからMS搭載してませんじゃ話にならないだろ
849通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 19:42:31 ID:???
アラスカ到着の頃には、MSは既に生産段階に入ってたから、新しくそれを積めば良いだけじゃね?
そしたら、MS搭載艦として使えるわけだし

と言うか、アラスカ到着の頃には、ストライクとかの方がいらない子になっていたような
850通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 19:55:46 ID:???
虎は北アフリカを支配していません、虎はあくまでもバナディーヤに
駐留している前線指揮官です。支配しているのは上位組織であるジブラルタル基地と
なります。年表を見ればわかると思いますが現にアフリカ戦線にはなんの変化もありませんでした。

そしてAAはあくまでも試作艦で月には二番艦のドミニオンが存在します。
つまりMSを積んでいないAAには一部の乗組員(ナタル・フレイ・フラガなど)を
除いて何の価値もありませんでした。これだけ条件がそろえば捨て駒にされてもおかしくはないかと
851通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 19:59:40 ID:???
立派なアークエンジェル級の1番艦であって試作艦だなんて話は初めて聞いたし
試作艦だから捨てゴマにしてもいいとか頭沸いてんのってしか思えないし
852通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 20:13:01 ID:???
武蔵がいるから大和は捨て駒になんて考えない
853通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 20:43:10 ID:???
あんなスーパー武装な戦艦を捨て駒とかあり得んだろ。
そもそもMSなんて後からいくらでも載せられる。
854通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 20:48:53 ID:???
サイクロプスで始末した全てのザフトをAAその他で撃破できるかを考えれば捨て駒としての有用性というのは分からなくもないが…
でも別にザフトはAAを追ってきたわけじゃないしな…
有効利用したかったけどザフトに気付かれずアラスカから出航させる方法が無かった、が正解か?
ザフトはAAが高性能艦であることを嫌というほど知ってるし、ならばその行き先には何かあると考えるだろう。
そうなるとアラスカ攻略軍の幾らかを割いて追撃をかけるかもしれない、
その結果サイクロプスによって敵に与える損害が目減りするのを嫌ったとか。
855通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 20:56:46 ID:???
1000パーそこまで考えてない
856通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 21:17:14 ID:???
>真マジンガーZ編で、住民巻き添えが怖くて市街地戦闘不可能になるリアルっぽい演出におどろいたw
実は最初のマンガ連載時からそういった描写はあったのよね
アニメではあえて切り捨ててた
857通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 21:24:23 ID:???
連合上層部が全員脳に蛆が湧いた連中だから仕方ない
・・・本編観る限りじゃそうとしかとれない
狂信的なブルコスだったし
858通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 21:27:23 ID:???
ウズミとシーゲルのほうが蛆が湧いていそうだが
859通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 21:28:17 ID:???
連合は実は絶対的な悪の組織でした
こんな酷い事を平気でやってのけるんですよ
だからどのように始末しても構わないよ

そういう70年代子供向けロボットアニメみたいな製作側の意図しか汲み取れないんだが
860通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 21:29:34 ID:???
一番の問題は負債の脳に蛆が湧いてる事なんだけどなw
861通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 23:39:50 ID:???
良く生きてるなw
ま、冗談は置いといて、組織が腐るには時間がかかるはずなんだがな。寄合い所帯になる為に梃入れされてるはずの連合の腐敗ぶりはなんじゃこりゃだった
862通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 01:04:08 ID:???
>>856

 第一話の時点でマジンガーは暴走してるし、甲児はそのコクピット内で止まってくれと祈りながら色々試行錯誤してたからねー。
863通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 02:09:35 ID:???
個人的にはAAは旧態依然の戦艦として運用しても、そこらの雑魚MS乗せても使えるザフトからみたら凶悪な艦だと思うんだが
おまけに、宇宙なら陽電子砲だか陽電子さん砲だか撃ちまくっても問題ないし


そんなAAをマリュー達から没収しないあたりが「急にAAやってきて混乱説」はあっても良さそうに思える。

脚本書いた奴の意図はところは「ブルコスにいじめにあってAAごとき(MS抜き)でザフト様と戦わせられる
マリュー達かわいそう、だからキラ様が助けに来たよ」ってレベルだろうけどw
864通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 02:11:38 ID:???
もったいなくて捨てられないよなあ。

最前線を独力で潜り抜けた実績と経験付き最新鋭艦だもん。
865通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 03:53:57 ID:???
クルーは囮にしてあぼん、としてもAAは持っていくと思うんだw
それかナタルが艦長になって持って行って、他クルーは異動してアラスカ守れ
とか
866通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 10:49:54 ID:???
マリューも本来の部署に戻した方が良かったろ
いらないのってフレイ以外のヘリオ組ぐらいじゃないか?
867通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 12:41:49 ID:???
少なくとも、ノイマンも一緒に処分しようとした時点で連邦上層部はカス
868通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 13:23:57 ID:???
AAがバレルロールできるのって、操舵手が凄いからって話ではないよね?
869通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 13:30:44 ID:???
だが、ビームを
「回避ー!」
と言われてから回避できる腕は惜押井
870通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 14:54:57 ID:???
AA、ドミニオン、ガーディ・ルー、ミネルバ、ヴェサリヌス、エターナル、その他
ランダムで操舵手トレードして、どれが生き残るか賭けようぜ
俺はノイマン乗ったやつに賭けるわw
ホワイトベース含めるならミライさんに賭ける
871通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 15:14:54 ID:???
ノイマン単勝で。
872通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 15:48:49 ID:???
立って操舵するミライさんは、ハーロックと並んで別格でしょ
400mの巨体でドッグファイトするAAとミネルバも別格だけど

873通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 17:01:20 ID:???
ガーティはミラコロで奇襲できるぞ
874通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 18:11:36 ID:???
乗るならミライさんだろ。乗られても良いけど。
875通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 21:03:02 ID:???
>874
龍が…龍が
876通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 21:22:17 ID:???
俺、ベラ艦長のマザーバンガードがいい。
877通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 21:25:13 ID:???
某日
「この間のことですが、少し時間がありますかね?」
「これは理事、ええ、若干なら」
「先日のSHI――ShinoharaHeavyIndustry――ですが何か要求はありましたか?
見返り無くこちらの要求を受け入れるほど企業という物は甘くないはずですからね」
しばしの沈黙
「要求は……要求は、日本の独立」
いっそうの無音が広がる
「それはまた……大きく出た物です
それだけの価値があるならやぶさかではありませんが」
「ですが事実です」
大きく手を開き、答える
「彼らにそれほどの力があるなら、約束しようではありませんか!
東アジアからの日本独立!
独立国家とは常に甘美なのだから!」
男は答える
「では……」
「進めて下さい、彼らがそれを望むなら」

878通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 22:00:44 ID:???
レイバーktkr
879通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 15:19:16 ID:???
SEEDの物語の開始時において、ZAFTのOSはコーディネイターの能力に依存したものであり、連合のOSはGの能力を全く引き出せないお粗末なものだった。
後にキラが改良して経験をつんだデータが連合のOSに転換されるのですが……この『キラが作ったOS』にH偶然にせよ劇場版のOSのようなバグがあったとしたら?
なんて想像をしてしまった。
880通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 16:27:56 ID:???
連合OSはキラお手製のスパゲティではないというオチ
強いていうならオーブのOSがキラ製だが、それも他人の手が入って最適化されてるという
881通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 16:44:39 ID:???
ラクスの声に反応して全MSが暴走すると予想
882通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 17:19:11 ID:???
キラの作るプログラムは、動くけどかなり強引なプログラムだって設定のはず
883通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 18:53:20 ID:???
何となく思いついたネタを投下する
884通常の名無しさんの3倍
 地上……シン・アスカの知らない、もう一つの地上を舞台とした戦いは、ナの国とラウの国との決戦を迎え混迷の渦の中にあった。
 空は、自軍のドラムロと、敵軍のボゾンやボチューンが入り乱れて飛び交い、剣を交わらせ、炎を撃ち合い、時に討たれた兵が砕け散りながら落ちていく。シン・アスカもまた、自らの乗るダンバインを戦場に飛ばせていた。
「退け! 邪魔をするな!」
 行く手を遮ろうとするボゾンがオーラソードを上段に構えて切り込んで来るのを、ワイヤークローを射出して牽制し、一瞬の隙が生まれたと見るや肉薄してオーラソードで腹を横薙ぎに切り捨てる。
 シンにあったのは焦りであった。
 戦無き世界を作るには、強き真の王が世界を統べなければならない。そう信じて戦ってきたが、忠誠を誓ったアの国の王ドレイク・ルフトは討たれ、シンが信じたドレイクの覇道も潰えた。
 ドレイクを討ったボチューンは、直後にドラムロに落とされている。
 ウィルウィスプに近衛としてついていながら、それを防げなかったシンの不覚。自らの手で仇も討てなかった不甲斐なさ。
 その後悔と、信じた道を見失った事への絶望が、シンを戦いに駆り立てていた。
「シン! 落ち着かないとダメよ!」
 戦場だけを見据えるシンの頬を小さな手がペチペチと叩き、少女の声が兜越しに耳を打つ。
「フレイ、黙ってろよ!」
 シンは、コクピットで騒ぐミ・フェラリオの少女に、苛立ちも露わに声をぶつけた。
 それを真っ向から受け止め、ミ・フェラリオのフレイはシンを怒鳴りつける。
「オーラ力が膨らんで弾けちゃうわよ!?」
「それで戦いに片が付くなら本望だ!」
 フレイの言う通り、オーラ力がシンの全身から溢れ出すようだった。
 ハイパー化というものと、それがもたらす結末は知っている。巨大化して強くなる事は確実……その後の戦いを生き延びた者はまだ居ない為、戦いの後にどうなるかはわからない。
 しかし、今は最終決戦だ。自らの命が代償であっても、力が欲しい。
「もう嫌なんだよ! この手で誰も救えないなんてのはさ!」
 故郷で妹を失い、そして忠誠を捧げた主君を失った。まるで、守りたいと思う者を守れない運命にあるかのように、命は全てシンの指の隙間をこぼれ落ちていく。
「だからって……もう、シンってば!」
 フレイはまだ不満そうに騒いでいるが、シンは気にせず新たな敵を探す。直後、味方のブル・ベガー型オーラシップがボチューンに追われているのを見た。
「戦場を離脱しようとしてるのか?」
 オーラシップは、戦場の外へ逃れようと移動をしている。しかし、オーラバトラーの追撃から逃れられるわけもない。
「そこの! 戦場から逃げるな!」
 通信機を使い、オーラシップに向けて怒鳴りながらシンは、オーラシップを追う事に夢中になって背を見せているボチューンに向かう。
 高速で接近するダンバインに、ボチューンはオーラシップに攻撃を仕掛けようとした直前になって気付く。しかし、遅い。ダンバインがオーラショットを撃ち放つと、背に直撃を受けて炎を背負い、ボチューンは墜ちていく。
 それを見送る事もなく、シンはオーラシップに向けて声を荒げた。
「まだ、戦いは続いているんだぞ!」
「いや、もう終わりだ聖戦士殿! 国王陛下が倒れた今、するべきは戦力を集め、立て直す事だ!」
 通信機越しに聞こえたのは、凛とした女の声。その声の強さに、シンは一瞬たじろぐ。
「聖戦士と呼んだ……俺を知っている?」
「訳有ってな。聖戦士シン・アスカ殿には、興味があった」
 そう言う女の声が、僅かに軽くなった気がした。すると、肩の上のフレイが途端に気を悪くする。
「まーた、シンってば!」
「そんなじゃないだろ!? 黙っていてくれよ!」
 マイクだけを切って、フレイを黙らせる。いつもの通り、あまり効果はないのだが。