ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画10枚目-

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1Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
このスレはXキャラがコズミック・イラにきたらどうなるかを語るスレです
新シャアでガンダムXについて語るならここでよろしく
現在、SS連載中+職人随時募集中
関連サイト等は>>2以降
荒れ防止のため「sage」進行推奨

SS作者には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー
本編および外伝の叩きは厳禁
出来るだけ種キャラのみの話にならないように
ここがクロスオーバースレであることを考慮して下さい
スレ違いの話はほどほどに
本編と外伝、A.W.とC.E.両方のファンが楽しめるスレ作りに取り組みましょう
2Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/14(木) 00:42:20 ID:???
前スレ
ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画9枚目-
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1174678265/

兄弟スレ
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転3周目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1177374737/

ガンダムクロスオーバーSS倉庫
http://wiki.livedoor.jp/arte5/d/FrontPage

X運命まとめサイト 
ガンダムX-Destiny (作品展示・雑談掲示板・絵板他)
http://gx-destiny.x0.com/gx/top.htm

公式サイト
月は出ているか?−機動新世紀ガンダムX Web−
ttp://www.gundam-x.net/

GX-P
http://aw0015.hp.infoseek.co.jp/

3Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/14(木) 00:45:12 ID:???
艦橋にはただ重力に引かれて落ちるストライクとジン改、少し距離が離れた所にデュエルとバスターの姿があった。
数分前、フェイズスリーに移行する前にゼロの回収は終わった。
無事が確認されたメネラオスからも地球への避難シャトルがザフト艦への通達つきで降下された。
だが、ストライクとジン改は予定の時間を過ぎてもいつまでも戻ってこない。
艦橋では彼の友人達が彼の名前を悲鳴に近い声で連呼していた。
「あのまま降りる気か ? 」
ナタルが戸惑いながら言う。二機もこんな時に収容するなぞ不可能だ。
その時、射撃指揮のロメロ・パルが大声を上げる。
「本艦とストライク、並びにジンの突入角に差異 ! このままでは降下地点が大きくずれます ! 」
「キラ ! ガロード ! お願い !! 艦に戻って !! 」
「無理だ。あの二機のどちらの推力でも、もう……」
ナタルはこれ以上何も出来ない事に歯噛みしながらミリアリアに言う。
少し間のあった後、マリューが一つの指示を出した。
「艦を寄せて ! アークエンジェルのスラスターならまだ使える !! 」
「しかし、それでは降下地点が ! 」
「ストライクを見失って、本艦だけアラスカに降りても意味が無い ! 速く !!! 」
操舵をしていたノイマンの意見はぴしゃりと封じられた。
そしてゆっくりとアークエンジェルがスラスターを使ってストライクに近づく。
ジン改の方はイージスのシールドを蓑代わりに、そのまま行くようだが危なっかしいと言えばその通りだ。
ましてフェイズシフトが働いてないシールドが何処までこの突入に耐えられるか……
「降下予定地点を算出して ! 」
「待って下さい ! 今……」
パルが慌てて計算を始める。
「本艦降下地点は……アフリカ北部です !! 北緯35度5分、西経5度5分 !! 」
どこかしら上ずったようなその声の理由は次の瞬間、ブリッジに戦慄を走らせた事ではっきりした。
「ザフト軍、ジブラルタル基地の真正面ですッ !!! 」
4Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/14(木) 00:46:45 ID:???
投下終了します。
投下時間の遅刻とKB飛ばしてホントに済みませんでしたっ !!
竜頭蛇尾な話だなと言われても反論はしません。いつも通りお願いします。
次回はアスランがラスティと共にビッグな事を(ry
では、また後程。
5通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 00:47:57 ID:???
2重の意味で乙でした
6通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 00:52:42 ID:???
同じく乙。
しかしまぁとんでもないトコに落ちるなw
7通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 00:56:11 ID:???
乙です!
ジブラルタルってザフト最大の基地だっけ?
8通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 00:57:30 ID:???
なんと言うか超乙
ところでストライクのシールドはフェイズシフトじゃないと思ったけど、
イージスのシールドはフェイズシフトなのかい?
9通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 01:06:17 ID:???
乙!
凸とラスティが次回で動くとあるが今回ガロに叱られたフレイが気になるな。
悪い方向に作用してとんでもない事するんじゃないか?
例えば凸達を手助けするとか。
10通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 01:11:44 ID:???
「君は大したお嬢さんだ、ザフトに来るか?MSをやるよ」
11通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 01:17:03 ID:???
2人とも重傷の身で無理するのか……(遠い目)
12通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 01:22:21 ID:???
さてと… カ ー ニ バ ル の用意でもしとこうか…ネ?
13通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 01:24:09 ID:???
「君は大したお嬢さんだ、ザフトに来るか?MSをやるよ」
喜び勇んでジンに乗り込むフレイ


直後 D O G E Z A
14通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 01:28:21 ID:???
「アスラン・ザラだ」
「ラスティ・マッケンジー」
「2人併せて…………なんだろう?」
「なんだろうな?」
15通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 01:39:36 ID:???
スレ立て・投下乙

前スレ904
【両四肢を格納庫の床についた彼女は絞り出す様な声で嗚咽を漏らす。 】
両四肢って言葉自体が怪しいが(本来四肢で二対の手と脚を指す)
あえて小難しい言葉を使う必要は無いかと?

以上、素人意見
16通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 02:22:51 ID:???
いちいち添削うっとうしい
17通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 08:55:05 ID:???
添削自体は役に立つぞ
問題はむしろ感想無しで添削だけしてる所だろ
18通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 13:00:53 ID:???
専ブラ入れてあぼんすりゃいいのに。
19通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 13:15:23 ID:???
公転スレの添削人か、それの真似してるだけなのか知らんが
わざわざ余所のスレまで出張るなよ。
20通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 13:38:15 ID:???
あちらでは作者さんが容認されてるようだからまあいいとして、
今のところ確認の取れてないこちらではいかがなものか、
昨晩の廃棄スレといい、何事も先走りイクナイ。自重が肝要だべ。
21 ◆joNtVkSITE :2007/06/14(木) 20:07:34 ID:???
添削事態については本人が何も言っていないのでそのままにしたほうがいいと思います
いらないのならいらないと言っていると思います
スレタイを変えたのは自分にはタイトルが思い浮かばなかったことでもありますし
名前を変える必要はないと前にかかれたので質問しても反対されるのではないかと思い独断でやりました
それと本来のXスレというのは他作品の叩きをしないということです
風景画1枚目からの住人ですがいくら新シャアだからといって本編の叩きをするのは
よくないのではと昔から考えてみました
結局歯止めが利かなくて最近になるまでラクシズ氏ね氏ねが収まらなかったわけですけど

意見をきかなかったった私にも落ち度があるのでこのスレを借りてお詫びします
勝手にスレの名前を変えてしまい皆様にご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんでした
22通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 20:08:33 ID:???
別に潰す必要はなかったと思うがな
せっかくたてたんだし
23通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 20:25:24 ID:???
新スレ立て乙+GJ!ジブラルタルってのは驚いたな
あと添削についているのかいらないのかちゃんと言ったほうが良い、こうやって一々面倒になっちゃたまらん

>>21
このスレの住人全人が本スレや公転スレを見てるとは限らないぞ
てか新スレ建てたのに乙もGJも言わないのはどうかと思うがな
落ち度があったって乙ぐらい言ったっていいだろうに・・・
まあこのスレを一緒に盛り上げていこうぜ、な?
24通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 20:35:45 ID:???
トリップ詳細については本スレ
の意味がさっぱりわからん
25トリップ違うんだし:2007/06/14(木) 20:54:24 ID:???
それ多分過去ログ見ろって事じゃね?9枚目でそういってたうえGX−Pにまだ残ってんし
これを言うと分かっちまうかも、ヒントはシャア専用ブログ(今年から閉鎖されたがまだ見れる
ちなみに今のGX本スレ、今度からテンプレに入れよう

機動新世紀ガンダムX−43
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/x3/1176510623/

夫忘れるところだった、新スレ&投下乙
26通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 22:05:12 ID:???
>>21
すまないが正直あの名前だけは勘弁して欲しかった
古傷を抉られたみたいでかなり痛い
27通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 22:12:57 ID:???
いろいろあったもんなぁ
28通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 23:19:11 ID:???
>>21
同人アヌメ叩くこととラクシズ死ね死ねってのが同じかのように書いてあるがそもそも別の問題だろ
しかもラクシズ死ね死ねなんて今に始まったことじゃない
少なくとも新シャアにはもともとラクシズ死ねって奴が多いんたし
29通常の名無しさんの3倍:2007/06/15(金) 03:02:25 ID:???
>スレタイを変えたのは自分にはタイトルが思い浮かばなかったことでもありますし
>名前を変える必要はないと前にかかれたので質問しても反対されるのではないかと思い独断でやりました

こんなこと言っちゃうヤツまともに相手するだけアホらしいだろうに。
30通常の名無しさんの3倍:2007/06/15(金) 13:39:31 ID:???
反対されるのがわかっててスレタイ変えるとか意味が分からない。
そのまま使ってくれるとでも思ってたのか?
31通常の名無しさんの3倍:2007/06/15(金) 19:25:58 ID:???
この手のスレで一番やっちゃいけないこと

独断

まあ荒れる前に手を打とうじゃないか兄弟?w
32Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/15(金) 20:51:45 ID:???
第二十一話投下します。今回の話は厳密にはこの話とこの後の話の前後編編成になっています。
伏線結構あるので、色々考えても結構ですよ。

機動新世紀ガンダムXSEED         第二十一話「嫌だね。」

その一報が飛び込んだのは二月十四日の朝方だった。
ジブラルタル基地の一室で食後のハーブティーを啜る一人の黒服の青年将校はその報せに驚く。
「ここから南西方向約50km地点に連合軍の新造艦ですか ? 」
「ええ、大方ヴェサリウスから連絡のあった奴でしょうけど、それと前後してMSジンが一機基地の近海に落着しています。」
彼より明らかに年上の士官は彼に報告内容を淡々と告げる。
「大気圏突入時の影響が大きかったようです。機体はかなり損傷していて、メインフレームも大分痛んでました。それとコクピットには少年と少女が二人確認されていて、それも、地球軍のパイロットスーツを着ていました。」
そこまで聞いた時、将校のカップを持ち上げる手が半瞬止まる。
それに気づかない士官は更に続ける。
「意識が無かったのでこちらで回収しましたが宜しかったでしょうか ? 」
「ええ、良いですよ。二人の意識が戻って暫くしたら、こちらから会いに行っても良いですか ? 」
「勿論構いませんが……」
士官は言いよどむが、青年将校は微笑を浮かべて応対する。
「大丈夫です。捕虜への接し方についての注意事項くらいは把握していますから。」
「そうですか。では、また後程。」
士官はそのまま回れ右をして、部屋を出て行く。
青年将校は外の様子を見てふうっと溜め息を吐いた。
彼はフェブラリウスというプラントで、白皙で端正な顔をした三十手前の男に拾われた。遺伝子解析の専門家だと自負する彼が適職だろうと薦めた事もあり、殆ど成り行きでザフトに入隊してから、あちこちの戦場を駆けた。
彼自身今の所それしか食べていく道を知らないからである。
カーペンタリア、カサブランカ沖、スエズ……その時の成績は今自分が纏っている服の色と胸元にある勲章が良い証言者だ。
そして先日やっと終結したビクトリアでの戦いでも活躍した彼は、その日の内にジブラルタル基地にとんぼ返りしていた。
だが事後処理などが急に皺寄せの様にやって来て、ロクに眠る時間も与えられないまま、気がつけば東の空が白みかけていた。
上官になると色々と厄介な事が押し付けられるものだと思う。
実際その事後処理においても、先程来た士官でも十分処理出来る物があったからだ。
取り敢えず今の所自分の生活に文句は無い。
上からかなりの額の給料はしっかり貰っているし、居・食・住に関しても普通の将校より遥かに待遇が上だ。
ザフトの人間にしてみれば羨望の眼差しを一手に受ける存在。
しかし自分には目的がある。
この世界でただ安穏と暮らす事の出来ない大きな目的が。
その時扉がトントンと軽く音を立てる。
「入っても宜しいでしょうか ? 」
「どうぞ。」
部屋の戸が開くと、入ってきたのはやはり自分より年上の女性兵だった。
制服がグリーンだからか姿勢がかなりしゃっちょこばっている。
「報告します。本日未明に報告のあったクルーゼ隊の二名のパイロットが間も無くこちらに到着するようです。それと……こちらが先程捕縛したジンのパイロットの写真が入ったファイルです。こちらに置いておきます。」
「分かりました。クルーゼ隊のお二人は大気圏降下を行って随分と疲れていることでしょう。数日はきちんと休ませてあげて下さい。」
そう言うと、相手は了解しましたと言い部屋を出て行く。
彼は無造作に目の前のファイルに手を伸ばす。
それが彼にどれだけの衝撃を与えるか彼自身露程も知らずに。
33Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/15(金) 20:52:50 ID:???
青年将校が二つの報告を受け取る数時間前の真夜中、アークエンジェルは満天の星空の下、その存在を秘匿せんとばかりに静かにたたずんでいた。
アスランはテクスのいない医務室の中で悪態を吐き続けている。
体の擦り傷等はほぼ治っていたが、両足の骨折の癒え具合は、歩く事は出来ても戦闘に必要とされる機敏な動きは出来ない。
思い返せば何もかもがみっともない戦果だった。
ディンやシグーが配備されているこのご時勢に、前時代のMSで、しかもナチュラルの手によって撃墜されるなぞ、究極的な屈辱だった。
こちらは戦艦を易々と葬り去ることの出来る武器を装備していたMSに乗っていただけに腹立たしさも収まらない。
何より気に入らないのは月面都市コペルニクスで幼年学校時代を共に過ごしたキラが自分達を攻撃してきた事だ。
手も無くナチュラル共に騙されて、連中の争いに加担させられてるのではないかと考える度に、腸が煮えくり返る思いがしてきてならない。
お人よしもあそこまでいけば付ける薬もほとほとないものだ。
何があの船には友達が乗っている、だ。誰とでも仲良くなんかなって……と、内心で毒づく。
その、あの船と言っていたのが、自分の今乗っているこの船なのだが。
一度自分の見舞いに来た時は殆ど断腸の思いでキラを突き放したが、今は彼の境遇に対して塵一つの憐憫さも無ければ友情を感じる事も無い。
そしてついさっきまで自分の隣で高熱を上げて唸っていた。
大気圏降下が余程応えていたのだろうとは思っていたが、その時彼のお友達とやらが語った所によるとザフトからの追撃が降下前にまたあったとの事で、自分を拿捕したパイロットと共にまたも出撃したとの事である。
その時もやはり自分の仲間を討ったのだろう。
こうなるともう突き放すどころの話ではない。
過去の事は何もかも忘れて、キラをメッタ刺しにしてやりたかった。
暫くして彼は自室へ移されたので、そんな衝動に駆られる事も無くなったが。
その次に頭を過ぎるのはこれからの自分の立場に関してだ。
もし本国に戻っても父親が嘆息するのは目に見えているし、レッドからの降格は免れないだろう。
それもこれもナチュラルが母のいるプラントに核を打ち込んだからだ。
あれさえなければ、自分はザフトに入る事があっても今よりマシな生活が送れていただろうに。
休暇になれば、ニコルの所の様に円満な家庭という帰る場所があったはずなのだから。
むしゃくしゃして寝返りを打とうにも、両足は天井から吊ってあるのでそれすらままならない。
大体大気圏に降下する時何の説明も無かったのも苛立たしかったが。
「畜生ッ !! 」
苛々が最高潮に達し怒鳴ると、隣のベッドからクレームがついて来た。
34Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/15(金) 20:54:48 ID:???
「静かにしてくれよ、アスラン。2〜3日前からずっとその調子じゃねえか。」
眠たげなラスティの声だった。
この意外な再会を二人が果たしたのはちょうど3日前の事だった。
彼はラスティがMIAだと聞かされていたので、思いもかけない再会にアスランは嬉しさがこみ上げて来た。
しかし、そんな雰囲気も1日目で潰れる。
アスランが始終この船のクルーに悪態を吐き、現状を打開するにはどうすれば良いかあらゆる権謀術数について考え込んでしまったからだ。
「お前は悔しくないのか ?! ここからさっさと出たいと思わないのか ??! 」
憤怒の形相も凄まじいアスランに怯む事無く隣のベッドにいたラスティは軽く受け流す。
「そりゃー俺だってここから出たいぜ。けど何も今焦る事じゃねえだろ ? お前はそんな身だし、俺だって明日下の独房に移されるから警戒が厳しいってのに。
そもそも捕虜の身柄の引渡しぐらいあるはずだろ ? 」
アカデミーで習った事が正確なら、いかに戦時中とはいえ人道に基づいた捕虜の引渡しが行われるはずである。
ラスティはそれを待っているのだった。
「まさか、むきになって脱走する気か ? 」
半ば冗談でアスランに質問した。二人の間に暫くの間沈黙が漂う。
ややあって、相手が話し出した。
「そうだよ。こんな所でいつまでも腐る気は無い。足は走れないだけだから相当無理しなければ首尾良く行くさ。」
それを聞いてラスティは深い溜め息を吐いてしまう。
「お前なあ、仮にもここは敵軍の戦艦だぞ。格納庫に行きつく前に問答無用の射殺が待ってるぜ ? 」
「ラスティ !! 俺達はコーディネーターだ !! ここはな、俺達にとっちゃ檻から解き放たれた猿がうろついている様な場所に過ぎないんだぞ !! 何を怖がる必要がある !
お前それでもザフトレッドか ?!! 馬鹿野朗 !! 」
「馬鹿はどっちだ ?! レッドでも出来る事と出来ない事がある事ぐらい分からないお前じゃないだろう ?! 」
「お前ッ…… ! 」
そこで二人の口喧嘩は一時的に止まる。
医務室の外に人が近づいてくる気配を察知したからだ。
中の言い合いは聞こえてなかったらしく、気楽な感じで話していた。
「しっかしマジで大丈夫なのかよ ? ジブラルタルから50km位しか離れてねえんだろ ? 」
「艦長も日が出る前に移動を開始するって本気かよ ? ストライクは回収できたけど、あの改造ジンは地中海の方に落ちていったって言うし……」
「どっちにしろ、足止めは確実かあ……」
会話はその後も続いていたようだったが、兵士達の足音は段々遠ざかっていった。
アスランは神妙な面持ちでラスティに話しかける。
「聞いたか ?! ジブラルタルは真正面だ。チャンスは今しかなさそうだ。俺はもうこれ以上こんな所に居たくないし、お前だってそうだろ ?! ……ラスティ、気乗りしないだろうが手伝ってくれ。」
ラスティの方に手がすっと差し伸べられる。
だが、当の彼はそれを冷ややかな視線で見つめた後、きっぱりと言う。
35Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/15(金) 20:57:24 ID:???
「嫌だね。」
アスランはその場で動きを止めてしまう。
そんな彼を見つめながら、ラスティは続けた。
「どう考えたってリスクが大きすぎる。さっきも言ったけどよ、碌な抵抗も出来ずにバァンだぜ。それにアスラン……お前のその目、ここに来る前の俺より質悪ィぜ。
ナチュラルなんか根絶やしにしちまえって感じがギンギンでさ。」
「そう考えて何が悪いっ !! 母を殺して、父を政治事漬けにした連中をそんな風にして何が悪い ?!! そうしなきゃ、コーディネーターにとっての平和なんか訪れるものか !! 」
口泡を飛ばしてまでこちらを捻じ伏せようとするアスランに彼はもう呆れた視線を送るしかなかった。
こんな奴が本当に自分達の仲間だったのか ?
小さな声を聞こうとも知ろうともせず、自分こそが一陣営の代表意見だとばかりにのたまう奴が。
だとすれば、自分の人を見る目のなさをつくづく反省せざるを得ない。
彼は自分で真実が何なのか見ようとも考えようともしないのだから。
その後アスランは足の辺りをごそごそと動かす。
傍で見ていたラスティは、彼が本気で足が重症の状態になっているのをおして、逃げようとしているのに気づいた。
「おい、冗談よせよ !! 死ぬぞ !! 」
「死ぬのが恐くて軍人をやれるかっ !! 」
アスランは十数分の格闘の末何とか両足を吊られている状態から解放する。
そして数分休んだ後、その両足をゆっくりと地面に下ろす。
固定されているとはいえ、かなりの痛みがアスランの体を電気の様に伝わった。
そして、その痛みを振り切る様に医務室の入り口まで、出来るだけ早歩きで移動する。
それから医務室のデスクに近づき、中をごそごそと漁っていた彼はサイレンサー付きの一丁の拳銃を見つけた。
マガジンを調べると中身は25発。
これから相手にする最少人数を頭の中で定めても無駄弾は一発たりとて許されない。
丸腰は流石に不味いので腰の辺りにそれを突っ込んだ。
そっと部屋から顔を出し辺りの雰囲気を確かめる。
怪我をしているとはいえコーディネーターを見張るには無用心だと思った。
入り口の警備には短機関銃を持った兵士二人しかいないからである。
先ずアスランは気配を殺してデスクに近づき、その上にあったペンを部屋の外に投げる。
二人の兵士は銃を構えて中に入るも、彼は有無を言わさず二人を銃で撃ち倒す。
彼らの動きは鈍く、全くの脅威になりえなかった。
彼は兵士達だった物の持っていた銃を奪い、外の様子を伺う。
どちらの通路からも誰も来ていない事を確認したアスランはもう一度だけラスティの方を振り向き、最後の説得をする。
「来い、ラスティ。これが最後だ。」
しかし、当の本人は終始冷ややかな視線を相手に向け答える。
「行きたいのならお前一人だけで行け。俺はこの船でちぃとばかし探し物があるんでな。」
その瞬間、ラスティの目の前には銃が突きつけられていた。
アスランのこの出方には相当驚かされたらしく、彼は目を見開く。
「減らず口を言うのも大概にしろ…… !! これでもか ? 」
「この状況で真っ当な判断した、同窓の人間に銃を突きつけるのがお前の正義かよ…… !! 」
ラスティはきっぱりと言った。
アスランは唾棄する様な目つきでラスティの方を見やり、彼に銃を向けるのは止めたが銃を構えたままそこを出て行く。
ラスティは再び横になり、眠りに落ちていった。
36Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/15(金) 20:59:31 ID:???
シミュレーターの操縦桿はじっとりと自分の汗で濡れていた。
ナチュラルのガロードに出来たのだからという自分でもという意識でやり始めた。
そして十回目の訓練が終わったが、一度も相手に一撃を喰らわせる事も出来ない。
それ以前に碌に機体を動かす事も出来なかった。
しかも難易度を最低にして、OSの反応を最適にしてもである。
背もたれに身を埋め、フレイはある一言を思い出す。
―戦場に一回も出た事のない自分が敵機を一機でも撃ち落せるって……あんたはホントにそう思ってるのかよ ?!!
ガロードが言った事は彼女にとってあまりにも屈辱的な物だったが、こんなに現実味を帯びて感じられるなど思いもしなかった。
あの格納庫での一件の後、彼女はナタルに呼び出され大目玉を喰らう事になった。
そして暫定的に生活班へ属する様に言われ、仕事も先程の事があってか他人より多めにされた。
それでも、空いた時間をこうやって訓練に当てているのに…… !
ガロードもあのティファという子も、はっきりと彼等自身が言った訳ではないがナチュラルだ。
自分達と同じ存在にあれだけ言われて、何も反論出来ないのが堪らなく悔しい。
そしてそれまでの彼等の戦果があれだけ言わせるのに十分な物だったから余計に悔しいし、果ては憎ったらしくさえ思えてくる。
ふと気がつくと、自分の頬に何かが伝う。
目から流れ出た涙だと分かるまでに暫くかかってしまった。
自分がこんなに取るに足らないちっぽけな存在だったなんて……
望む物も、世界も、自身の論拠も今は月にいる父が与えてくれた。
その父に気に入られようと、もっと高みを望んだ。
自分達の平穏を脅かすコーディネーターを追い払える事が出来るならやりたい。
追い払うなんてまだ生温い。
自分の世界から一人残らず消し去りたかった。
一人残らず……なら、キラはどうなる ?
自分達と道を共にし、同胞を撃ち続けるキラはどうなる ? どうなればいい ?
その結論が出る前に横から声がかかる。
37Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/15(金) 21:00:10 ID:???
「フレイ、もうそろそろ休んだらどう ? 」
はっと気がついて横を見ると、サイが気遣う様な視線で見ていた。
自分は心配されている……親同士が話だけとはいえ結婚を決めた仲だからか ?
呆けた調子で彼女はサイを見つめていたが、直ぐにシミュレーターに向かい直す。
それを見たサイはいきなりシミュレーターの電源を切った。
「もうやめろよ。君はMSに乗るわけじゃないだろ ? 何でそこまでむきになってこれをやろうとするんだ ? 」
彼なりに優しい言葉をかけたのだろう。
だが、フレイは凄まじい剣幕で言い返す。
「悔しいのよ !! あの子もナチュラルなのにMS動かせて私が動かせないのが !! 私だって守りたいものがあるのにッ !!! 」
その勢いの凄さにサイは一瞬たじろいでしまう。
どういった言葉をかけようかと逡巡していた時、それは唐突に告げられた。
「非常事態発生 ! 非常事態発生 ! 捕虜が一名逃亡した ! 各員白兵戦に備えよ ! 繰り返す ! 医務室より捕虜が一名逃亡した ! 各員白兵戦に備えよ !! 」
その言葉に二人はギョッとする。
この船に捕虜が二人いるとは聞いていたが、二人とも怪我をしていなかったか ?
内一人が両足をやられていた筈だが、まさかそっちの方が逃亡したのでは…… ?
そう考えると仮定とはいえ言い知れぬ恐怖に襲われる。
自分達はそういった連中を相手にしているのだ。
たちまちその場に足が接着剤で付いた様に二人は動けなくなる。
その時、居住区から格納庫への通路から固い物同士がぶつかり合う音が聞こえてくる。
そしてそれは段々自分達の方に近づいてくる。
やがてそこに現れたのは……顔を上気させ、汗に濡らせたアスランだった。
38Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/15(金) 21:08:47 ID:???
一旦投下終了します。番組ch(NTV)の鯖負荷耐久実験の様子が面白そうなので一時そっち行きます。
あと知っている人がいるとは思いますが一服の清涼剤をどうぞ。
ttp://eg.nttpub.co.jp/news/image/20060823_13_04.jpg
手に入れ方が分からんとです<´・ω・`>。
では、また後程。
39通常の名無しさんの3倍:2007/06/15(金) 21:36:24 ID:???
GJ
ガロードとティファがザフトの手に。
でもこの青年将校って口調からするとまさか……
40通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 00:47:55 ID:???
GJ!しかし…
…凸ランもうだめかもわからんね
41通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 01:19:05 ID:???
>>40
このまま何も無ければご退場確定かもな。
42通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 01:25:08 ID:???
最悪のパターン:サイを撃ち殺して、フレイを人質に逃走
43通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 01:32:25 ID:???
中途半端にウダウダやるよりもよっぽどいいと思うけど
44通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 12:00:31 ID:???
屈辱怨恨空転非撃墜常連ジェリドとなるも
裏切常習自己正当化独善理不尽ホモになるなかれ、
てなところかな。
45通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 12:47:20 ID:???
どうでもいいが捕虜しかいない医務室にサイレンサー付き拳銃置いとくとか、どんだけウカツなんだよw
46通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 12:50:16 ID:???
これだけナチュラル嫌いの凸がフレイを連れて行くかな?
47通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 12:54:32 ID:???
でもナヨナヨアスランよりかは見応えは有るな。
48通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 13:01:23 ID:???
なんかプレデターみたいにナチュラルの脊柱飾ってる凸が見えそうだぜ
49通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 13:24:08 ID:???
まぁプレデター程じゃなくても太平洋戦争時の米兵みたいに
ナチュラルの耳・鼻削いで酢漬けにしたり金歯抜いたりはしそうだな
50通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 13:35:59 ID:???
それをプラントの少女にプレゼントして
さらに少女がお礼の手紙を書くんだな
51通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 13:38:21 ID:???
サイとフレイに危害を加えて脱出、ジブラルタル基地にたどり着いたものの
既に来ていたティファに何やらかしてきたか言い当てられて味方兵からも
ドン引きされる凸の未来が。
あるいはアルスター次官が復讐鬼と化して強硬路線がさらに悪化とか…
52Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/16(土) 23:03:13 ID:???
第二十二話投下します。

機動新世紀ガンダムXSEED 第二十二話「お願いするわ。」

重い足を引きずりながらアスランはここまで来た。
来るまでに自分でも考え付く限りへまはしていない。
見つかりそうになったら反射的に物陰に隠れ、荒い息を必死で押し殺してやり過ごす。
見つかっても、それが一人だったとしても簡単に撃ち殺す訳にはいかない。
そうなれば騒ぎになって蜂の巣になるのは間違いないし、死体を隠すスペースも、血を拭く余裕もありはしない。
なるべく人の通らないような所を通る。
そうやって何とか危機的状況は回避してきた。
ましてや夜明けが近いとはいえこの夜中だ。
元から通路の人通りが少ないというのが彼にとって幸いした。
だが、今しがた自分の事が艦内に知れ渡った。
何故そうなったか。
見張り二人の死体を発見されたか、或いは自分と一緒にいた馬鹿が部屋に通りがかった敵に密告したか。
何れにせよ事態は急を要する事になった。
そして、今新たな逃げる足が自分の目の前に現れる。
それに乗って逃げようかとしていた矢先に、自分とほぼおない年位の人間に見つかった。
逃げようともせずぼうっと自分を見る地球軍の制服を着た連中を見て、彼の頭の中で一つの答えが出る。
討て、と。
彼は反射的に短機関銃を構え、相手を銃撃した。
彼等は咄嗟に身を翻し、何らかの機械の陰に転がり込もうとする。
遅いっ !!!
数発の銃弾が相手のどちらかを捉えた。
跳弾で散る火花がその周辺を数瞬だけ明るく照らし、直後に耳を劈く様な悲鳴が格納庫中に響き渡る。
だが、いちいち構ってやっている事は出来ない。
相手が隠れている以上無駄弾を撃てば、危機的状況が続いた時に上手く回避できなくなる。
両者共に一撃でしとめ切れなかったのは悔しいが。
彼は激痛の走る両足を必死に整備用ハンガーに引っかかっているイージスに向けて走らせる。
その時そのイージスに程近い所から、自分への銃撃が始まった。
それを見ると、とてもその方向に向かうのは無理だと判断して二機ある戦闘機の内の一つに向かう。
53Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/16(土) 23:04:41 ID:???
第八艦隊がこちらに送った大気圏用の流線型の戦闘機の名はスカイグラスパー。
アークエンジェルとストライクの支援用に製作されたこの戦闘機は、ストライクのパワーパックを搭載できるどころかそれを直に使う事も出来る。
実際には、電力消費の激しいストライクに新しいパワーバッテリーを付けるという役割があるのだが。
その戦闘機の動かし方をアスランは勿論知らない。
だが、知らないからと言って、ここまで来ておきながらおめおめと捕まるつもりも無い。
一瞬銃撃が止む。相手がこちらの弾が尽きたと判断したのだろうか。
アスランはタイミングを見計らい、その機体の方に駆け寄る。
当然だが銃撃は再会され、跳弾があちこちに向かって飛ぶ。
機体の陰に隠れながら、一発必中の覚悟で彼は短機関銃を撃つ。
兵士達が次々にばたばたと倒れていくのを確認しながら、ラダーを登り戦闘機のキャノピーを開け中に滑り込んだ。
説明書きは無い。マニュアルも誰かが持って行ったのだろうか存在しない。
目の前に広がるのは簡単な説明しか書かれていないボタンとレバーの付いた金属面だけである。
どれだ ? どれがエンジン始動ボタンなのだ ?!!
そうこうしている間に、あちこちから敵の兵士が出てくる。
その数はざっと50人程。
全員が戦闘機を目指して、威嚇射撃を一定のサイクルで行いながらじりじりと近づいて来た。
彼は半ば自棄を起こしたかのようにあらゆるスイッチとレバーを次々にオン状態にしていく。
その時願ってもいない事が起こる。エンジンの駆動音が聞こえてきたのだ。
あと少しでラダーを登ろうとしていた兵士の一人はびくっとして一旦2〜3m程離れるが、自分の勇気を誇示するかのようにまた登ろうとする。
アスランは落ち着いてもう一度現状把握に努める。
目の前のカタパルトハッチは閉まっている。
この戦闘機の武装でハッチを吹き飛ばさなければ、考えるまでも無く戦闘機ごと吹っ飛ばされる。
どれかが火器に繋がるボタンなんだろうがどれなんだ ?
隅にあるボタンを片っ端から押していくとあるボタンを押した時、機体下部にあるビームライフルが火を噴いた。
そしてその火線はそのままハッチに向かい、強力な爆発が起きる。
但し、爆発が起こっただけであまり目立った損傷は確認されない。
突然の事にスタッフ達は先程より更に後ずさりする。
その様子を見てアスランは図らずも含み笑いをしてしまう。
そうだ。もっと怖がって呆然とそこから見ているが良い。こんな所は早い内におさらばするに限る。
そしてビームライフルを撃つボタンを真正面に向けて何度か押してみる。
始めの内変化は見られなかったが、内部からの火線の発射は考慮されていなかったのか5〜6発撃った後、ハッチは耐えきれ無くなり大きな音と共に吹っ飛ぶ。
後はもう外に出るだけだ。
ふつふつと湧き上がる高揚感を抑えながら、アスランは操縦桿を思いっきり手前に引き機体を発進させる。
機体に取り付こうとしていた者達は皆一様に吹き飛ばされ、格納庫の床に叩きつけられた。
そしてそれっきり動かなくなる者も少なからずいる。
スカイグラスパーは猛スピードで朝日の輝くハッチから出て行った。
そしてあまりの出来事の連続に、濛々と煙のたちこめる格納庫の端にあるシミュレーターの陰にいたフレイは呆然自失状態になる。
何が起きたのだろう ? 自分は出来の悪いB級映画でも見せられているのだろうか ?
思考が元に戻ってきたフレイは自分の両手にぬるりと何かが付いているのに気づく。
真っ赤な……真っ赤な血。この血は誰の ?
そう思って、ふと隣を見ると右の脇腹に銃創を作ったサイが転がっている。
微かに息はあったが、そんな事も彼女の耳には聞こえて来はしない。
そして自分も膝から滲む様な血を流していた。
体は力を失い、操り手を失ったパペットの様にだらんとなる。
やがてそれは痺れた様にがくがくと震えだす。
「あ……ああっっ……イヤァァァッッ !!!! 」
フレイはただただ絶叫するしかなかった。
今自分の目の前で実際に『戦争』の片鱗が垣間見えた事を強く拒否するかのように……
54Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/16(土) 23:06:35 ID:???
「捕虜をいつまでも医務室に置いておいたのが間違いでした。」
ブリッジでナタルはいつもの様に事務的な言い方でマリューを婉曲的に糾弾する。
とはいえ、大気圏降下以降の出来事は殆ど予想の範疇を超えていたのだ。
まさか両足の自由が奪われた為に動けないだろうと思われていた捕虜が、第八艦隊から送られた戦闘機を奪って脱走するなど。
もう一人の方は眠っていたために気づかなかったと主張しているが、この船に乗った時の銃創が癒えてきていた彼の方が寧ろ脱走しやすい状況だった。
両足の自由が一部きかない脱走者が、自分を助けようとさせる為に、そして脱走を教唆する為に彼を起こしもしなかったのは些か疑問に残るが。
その脱走の際にはクルーの数名が死亡し、負傷した者達の中にはあのヘリオポリスの学生達が二名いた。
いや、もう学生ではなくてサイ・アーガイル二等兵とフレイ・アルスター二等兵の両名といった方が良いだろう。
二人とも今はあの医師の処置を受けているとは思われるが。
因みに野戦任官の二人が二等兵扱いになっているのは、今は月基地にいるであろうハルバートン提督の計らいでもあった。
それだけに自分達をあれだけ目にかけてくれていた提督に対し恩を仇で返した気がしてならない。
それに二人の傭兵……ガロード・ラン、ティファ・アディール両名の行方も全く掴めていない。
大気圏降下の最初の内は位置、機体の状況共に把握は出来ていた。
しかし通信は途絶し、自分達も敵が持つ最大の基地の真正面にいるという事が判明してから異常なまでの慌しさに追われる事になり、彼らの存在が頭から消えかかっていた。
だがもしかすると……という淡い期待がマリューの頭に取り付いて離れない。
何しろ、ザフトでも旧型といわれる機体を駆り、敵にかなりの損害を戦闘に出る度に負わせ、更に奪われたXナンバー機の奪還も成し遂げたのだから。
正規兵であれば本部はそれらの活躍を鑑み、二人を揃って士官の位置につけられたキラ・ヤマト少尉よりも高階級に昇進させるだろう。
それも二階級どころの話ではなく。
今の所ジブラルタル基地が近い事もあってか、そこに捕虜として捕えられている可能性もあった。
そうだとすれば、彼らもやはり今回自分達の船から脱走した兵の様に、無茶苦茶をやってここに戻ってくるのだろうか。
そんな考えを吹き飛ばす様にナタルは更に淡々と事実を告げていく。
「ましてやそこを一時でも無人にするとは……あのような事が起こり得ると認識しておくべきでした。」
55Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/16(土) 23:07:34 ID:???
その件に関してはファーゼンバーグ氏から直々に謝罪があった。
医薬品の不足に気づいた彼は艦長にそれを報告する為に、あの時五分ほど医務室を空けていたのだ。
その時、直ぐに戻るつもりだった為、軍から支給された護身用の銃が入った引き出しにロックをかけていなかったとの事である。
そしてその時ある事も言っていた。
捕虜は引き渡される事が条約でも定められているし、リハビリを始めるにはあと2〜3日は安静が必要なのに、どうしてあんな事をしたのかと。
そしてナタルはナタルで自分がいちいち訊いているわけでもないのに、正論を口にし続ける。
「これではまるで捕虜に脱走してくれと言っている様なものです。……この件に関してはこちらから本部に報告しておきます。宜しいですね ? 」
「ええ……お願いするわ。」
最早感情抜きで自分の処理しきれる範囲を超えた事の連続に、つい投げやり気味な対応をしてしまう。
ナタルは怪訝な顔をしたものの、では、と言ってブリッジを出ようとする。
その時気になったことがあったのでマリューはもう一度声をかける。
「アーガイル、アルスター両二等兵の容態は ? 」
「アーガイル二等兵の手術は既に終了しました。アルスター二等兵は軽症でしたが精神的なショック症状が見られます。
両名は現在医務室にいますが、同室にいた捕虜は階下の独房に、同僚の脱走に関する尋問が終了したと同時に送りました。」
ナタルはあくまで事務的な態度を崩さない。
もう少し人間味のある言い方は無いものかと訊いた本人は思ってしまうが、彼女にそれを求めてもそれは詮無い事だと逆に思わされてしまった。
またストライクのパイロットことキラ・ヤマトは大気圏降下の際負った高熱はひいたものの未だに目を覚ましていない。
今回の一件が彼にとってどういった影響を及ぼすか、彼女にも正直な事をいえば想像がつきにくかった。
残酷な話ではあるが、今彼にパイロットを降りてもらっては困る。
頼るパイロットがムウしかいなくなってしまうからだ。
そんな事を気にも留めないかのように今度はナタルの方から質問が来た。
「アークエンジェルは何時発進するのでしょうか ? 」
敵の基地の直ぐ近くにいる事や、パイロットの事を複合してその事を考えようとしていたのに……
マリューは軽い頭痛さえ覚える様な感覚に襲われた。
56Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/16(土) 23:08:46 ID:???
ミリアリアはとてつもない寂寥感を感じていた。
トールが時折側に居てくれているとはいえ、心の中にぽっかりと開いた穴は早々簡単に埋まる物ではない。
先ず避難シャトルでカレッジの仲間であるカズイが地球に向けて先に降りた。
続いてキラが回収されたストライクから医務室が詰まっているという事で自室の方に運び込まれる。
そして今日は今日で捕虜が脱走し、その時サイが銃で撃たれ、連なる様にフレイがそのショックで寝込んでしまう。
宇宙にいた時に軍属に入るという事はどういう事かと覚悟はしていた。
が、まさかこうもたて続けにその覚悟を試すかのような出来事が起こるとは想像もつかなかった。
でも今更軍人をやめる訳にはいかない。
自分達は同じ道を歩む事を決めた仲間なのだから……
57Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/16(土) 23:14:40 ID:???
投下終了します。
次回は基地の一幕をお送りします。
青年将校の正体も明らかにしときますんで……
では、また後程。
58通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 00:03:22 ID:???
GJ!
やりやがったなアスラン…
主要人物に死者こそ出なかったものの、
これはどう転んでも本編のような和解は望めそうに無いな。(それが望ましいかどうかはともかく)
というかアスランがジブラルタルに辿り着く前に抜け出さないとガロティファが危険なんじゃ…
たぶん奴は二人を目の敵にしてるだろうし。
59通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 00:06:35 ID:???
GJ
黒服カリスの正体はともかく、クルーゼと同じ持病持ち
片や望まぬ生に付随の力、片や望んだ力の代償と楽しみな比較ダス
60通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 06:27:28 ID:???
進み具合いによっては、倅の暴走にヘキエキしてかえってパトリックの方が
軟着陸・停戦を模索し始めるという可能性さえ考えられるかも。(そして殺される)
61通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 07:34:24 ID:???
テクスが間抜け過ぎないか?
62通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 08:24:39 ID:???
ティファがいなくなって間抜け時空が発生してるから仕方ないよ。
なんせまともに走れない人間がたった5分で医務室から格納庫に到着して
何人も銃撃してきてるのに無傷で戦闘機に乗れちゃうんだぜ?

医者が護身用にサイレンサー付き、25発装填の拳銃持っててもどうってことないさ。
63通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 08:50:29 ID:???
別スレだがノリで書いてるから多少破綻しててもいい、と言い放って支離滅裂なSS書いてた人を思い出すな。
こっちのはそれに比べれば多少はマシだが。
64通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 12:46:31 ID:???
やっぱし創作でもある程度の一線は守って欲しいな
医者の最後の治療具はリボルバーとかの拘り
サイレンサーを配布する意味(音が出れば他者への警告になる@防衛側が持つ意味が無い)
副長の仕事は艦長チクる前に、艦内雑務全般だろとか
65Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/17(日) 21:01:09 ID:???
    . . .... ..: : :: :: ::: :::::: ::::
        /⌒ヽ. . . .: : :
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . ::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l .
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄
ちと反省会を挟みます。
前スレから検索すると記号の使い方、言葉遣い、表現方法、C.Eの宇宙地理、〜た。文の多用、原作と同部分の簡略化、時系列問題、ティファの力の扱い、バッテリー問題、機体スペック、脱走時の状況…………
今夜は何か特にない限り、投下はせずに回線切って首吊ってきます……
こういったスレでよく「誤字ハケーンって文学賞がかかっている訳じゃないんだから」とありますが、見直すと結構凹みます(苦笑)。
>>副長の仕事は艦長チクる前に、艦内雑務全般だろとか
「捕虜をいつまでも〜」、「ましてやそこを〜」、「これではまるで〜」等の台詞は
種本編でディアッカが発狂ミリィとフレイに襲われた後のマリュー×ナタルの会話を基にしてました。
不味くはないと思ってアテにした自分が馬鹿だった……
66通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 21:48:20 ID:???
公転スレの保守氏もニコラを北米大陸にいかせたりしたし問題ないだろ
まあ気を落とさずに頑張れよ、まだこのスレとお前さんのSSがまとめにのってないんだし
67通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 02:00:05 ID:???
>>65
まあ気を落とすな
取り返しの付くところから取り返していこう
指摘されるのは多分に関心をもたれている証拠だし
68通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 02:20:15 ID:???
突っ込みたい点は数々あれど、25発ってどこのSMGだよと。
69通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 17:37:32 ID:???
Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw の物語をこのスレに入って初めてご覧になった方にお聞きします。
文章的に読みやすいですか?
読みやすくなってるなら、私も最初から読もうと思います。
70通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 18:25:47 ID:???
お前が読みやすいと思うかどうかなんて知らんがな。
71通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 21:01:46 ID:???
凸を脱走させるというストーリー展開のためだけにいろんなもんが犠牲になっとるなー。
連合の兵どもが怪我人相手にここまでボロ負けするほど無能なのは別に構わんのだが、
AWの世界を生き延びてきた医者がこれほど迂闊なのはちょっとw
72通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 23:23:08 ID:???
>>71
だよなー、ありえん。
73通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 23:24:37 ID:???
望む結果を出したいがためとはいえそれまでの過程を完全無視してるな。
74通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 23:29:55 ID:???
P-D.O.M.E「二人とも、ものは試しに別の世界へ行ってみないか?」
ガロ・ティ「「は?」」
P-D.O.M.E「心配はいらない、私も憑いていこう」

P-D.O.M.E「こちらD.O.M.E、ジェネシス、応答せよ」
ジェネシス「こちらジェネシス、感度良好」
P-D.O.M.E「これから2人ほどそちらへ送る。ゲートを開いておいてくれ」
ジェネシス「了解した。諸君らの来訪を歓迎しよう」

ガロード「お、おい……お前人んちでなにやってんだよ!」
ティファ「違う世界に……繋がる……?」


思いついただけでオチはない。
75Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/18(月) 23:30:41 ID:???
_  . ||  _
ヾフ⌒..||⌒くノ
 〈ノリ))||〉)〉  さあ…逝くか… 色々構想あったけど……
  !!! !!⌒ .ヽ
    ∪  Z/
    ∪∪        欝だ死のう……
76通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 23:32:30 ID:???
>>75
どうした?
粗直してたらドツボにはまったか?
77通常の名無しさんの3倍:2007/06/19(火) 00:19:11 ID:???
とりあえずアレだ、新人スレあたりでテキトーにアドバイス受けつつ書いてみれば?
78通常の名無しさんの3倍:2007/06/19(火) 00:39:42 ID:???
>>75
X運命氏は初期の些細な設定ミスや誤解による捏造設定、
悪乗りによる筆のすべりやストーリーの穴といった数々の問題点を抱えながら書き続けました。
そういった問題点を後の話で伏線として生かすことで話に厚みを与えて行ったのです。

ここがXスレだからX運命氏を引き合いに出しましたが、
読者の支持を勝ち得ている二次創作書きはみなそういういい意味の図太さを持っています。

原作と違う点は「伏線だっ!」と言い切るたくましさを持ちましょう。

……おねがいだからもうちっと続けてみて。正直ここ二話ぐらいの展開は支持できないけど、
原作との違いが拡大してく時点で消えられると気になってしょうがないし。
79通常の名無しさんの3倍:2007/06/19(火) 00:53:48 ID:???
時間を巻き戻してリトライもアリだと思うよ
80Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/19(火) 10:00:07 ID:???
今日か明日に21と22話の修正部分出来たらその部分を投下します。
やっぱり銃関連、負傷の具合、時間の経ち具合が粗として上がってきているので。
一応今現在、まとめに載せる際の1〜20話での些細な設定ミス、誤解による捏造設定、 悪乗りによる筆のすべりやストーリーの穴の大修正、23〜26話の再校正、27〜29話の執筆の全てを同時進行で行っています。
時間を巻き戻してってのもアリかとは思ったんですが、さすがに二度手間かつ読んでいる皆さんにはもどかしいかと。
(ほぼ全員の)支持を勝ち取らなければ、常に読者の予想の斜め上以上を行かなければと気負った節もあったと思います。
幸い、今日明日とバイト無いんで行ける所まで行こうと思います。
では、また後程。
81livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g :2007/06/19(火) 10:22:50 ID:???
>>80
今までうpした分なら、修正箇所を書いたメモ帳をうpロダにうpしてもらえればこっちで修正するけど如何?
82Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/19(火) 12:46:56 ID:???
>>81
有り難う御座います。
お気持ちは嬉しいですが、自分もlivedoorID持ちなので自力で何とかしようと思います。
83livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g :2007/06/19(火) 13:51:05 ID:???
>>82
了解です。頑張って下さい
84通常の名無しさんの3倍:2007/06/19(火) 14:51:50 ID:???
エデンの人なんてそれまでの新シャア板のSSスレの流れからして
同人SS痛がヘイトだ、なんだ、と嫌がり叩くと明らかにわかるものを
本スレの支持(とたぶんラクシズや負債、茸堕+同人SS痛への憎悪?)を支えに書き切ってたぞ。
万人から支持されるSSばかりじゃない。
85 ◆L1QckJlrlM :2007/06/19(火) 15:08:05 ID:???
SSが万人向けじゃないってのは私も同意ですね
支持する人がいれば必ずといっていいほど批判する人もいます
私の場合あまりに矛盾が酷い場合を除き殆ど気にしてませんが…

それはそうと結構基本的な質問ですが…
バクゥやラゴゥのコクピットってあの頭の部分で良いんでしたっけ?
いや、どうも記憶が薄れたのか場所を忘れてしまって…

後小説ですが今週中を『目指して』頑張っています…
86通常の名無しさんの3倍:2007/06/19(火) 15:46:14 ID:???
バクゥのコクピットは腹部らしい>wikiより
ラゴゥも基本的には同じ位置でいいんじゃないかな?

……wikiの記述読んでると亀みたく引っくり返してコクピットぶち抜きたくなるのは俺だけじゃあるまいw
87Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/19(火) 19:28:33 ID:???
修正したのをwikiに載せました。
10話と16話がなぜか上手い事行かなかったんで、何とかします。
88Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 02:53:28 ID:???
>>81さん
14話、21話、22話の修正部分をうpろだにうpします。
修正、出来るだけの範囲で良いんでお願いします。
89Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 03:12:28 ID:???
追伸:ファイルナンバーは864675で受信passはtrickです。
ヨロシクお願いします。
90通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 08:30:36 ID:???
うpろだだけじゃ分からんよ。
ttp://www.uploda.org/uporg864675.txt.html
91livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g :2007/06/20(水) 11:08:57 ID:???
>>88
すまないが、現在入社試験を受けるため移動中につき修正できない。
帰宅時間は15時半から16時くらいになると思うので、しばらく待ってほしい
92通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 12:58:42 ID:???
そもそも一度謝絶してんだから
livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g氏に対して二言三言有るべきだろ?
用件いきなり切り出して、氏に対して失礼じゃないか?
93通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 13:20:11 ID:???
>>92
風紀委員乙 お前の知ったこっちゃねーよ
94通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 13:29:21 ID:???
>>93
だまれクズ
95通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 13:33:46 ID:???
待てこれはエセ軍ヲタの罠だ!
96通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 13:35:39 ID:???
あるいはおためごかしのラクシズ厨のかもな
97Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 14:20:46 ID:???
いえ皆さんの仰るとおりです。
◆yb1J9t3X3gさんいきなりで本当に済みませんでした。これからは重々気をつけます。
皆さんにもスレの空気を険悪な物にしてしまい申し訳ございません。

今日これから23話投下して宜しいでしょうか ?
98通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 14:42:50 ID:???
YES!YES!YES!
99Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 14:46:24 ID:???
では第二十三話投下します。

機動新世紀ガンダムXSEED    第二十三話「絶望は愚者の出す結論です。」

ガロードははっと目を覚ます。
ここは何処だろう ?
自分の体はベッドの上にあり、手足は四隅に拘束用のベルトできっちりと固定されている状態だ。
連合軍のパイロットスーツを着ていてこの待遇なら、ここはザフトの基地か連合軍に反旗を翻している組織の本部だろうと容易に想像はついた。
尤も今そのパイロットスーツは着ておらず、いつもの格好になってはいたが。
辺りを見回すと真っ白な壁に真っ白なタイル張りの床しか目に付かない。
天井から射す様な蛍光灯の光は、見ていて正直目と頭が痛くなってくる。
人が生活している雰囲気が感じられない程の殺風景な部屋でガロードは大気圏降下の時以降の事を順を追って思い出す。
そうだ、自分はジンに乗っていて、イージスのシールドを前に構えながら大気圏に突入して、機体が損傷しながら海面に衝突しちまうって時にシステムが次々に死んでいって……
そこまで考えた時重大な事を思い出す。
ティファは……彼女は何処にいるのだろう ? 酷い目に遭っていないだろうか ?
そう思うと、いてもたってもいられなくなりガロードは体を必死にがたがたと動かす。
が、ベルトは全く緩む気配すら見せず、床に固定されているベッドはギシギシと揺れるだけだった。
パイロットスーツの時でも身に付けていた万能道具は全て引っぺがされたのかいやに身軽に感じる。
散々やっても状況は好転する訳でもないので、いい加減じれったくなったがこんな所でぼやぼやしている間は無い。
無駄な努力かとも思われてもいい。
とにかくティファを助けに行かなければ !!
ガロードがそう思っていたその時、部屋の扉がゆっくりと開き自分とおない年くらいの少年が入ってきた。
100Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 14:48:07 ID:???
ガロードが目を覚ます数分前、一機の戦闘機がジブラルタル基地に近づきつつあった。
その機体の接近に基地は動きが慌しくなるになる。
それはザフトには登録どころか存在すらしていない代物だったからだ。
そんな戦闘機スタイルの機体がロールアウトされたという報告も無い。
しかし後続も無しに単機でジブラルタルの様な巨大な基地にのこのこ来るとは、相手が連合軍の人間なら殆ど自殺行為だ。
とはいえここは連合を成している国家の一つ、ユーラシア連邦が近くにあるので偵察や牽制の意味合いがあるなら油断も隙も無い。
直ぐに警報が発令され、管制塔からその機体に向け通信が入る。
『そこの未確認機体 !! そちらはザフト軍ジブラルタル基地の領空を侵犯している !! 直ちに転進せよ !! 転進しない場合攻撃意志のあるものとして迎撃する !! 繰り返す……』
何時でも迎撃出来るようMSの発進準備が整っていく緊迫した状況の中で、戦闘機の側から返信が帰ってきた。
「こちらはザフト軍クルーゼ隊所属認識番号二八五〇〇二、アスラン・ザラだ。現在事情あって連合軍の機体に乗っている。大至急基地責任者へ繋いでくれ !! 」
身元照会で問い合わせの間、焦る気持ちを抑えつつ待っていると、通信機から確認した、着陸を許可するとの連絡が入る。
それを聞いた彼は突進するかのように着陸態勢に入り、やがて滑走路に機体を走らせ、止まらせる。
機体が完全に止まったのを確認した後、アスランは感慨深い気持ちで目を閉じる。
やっと自分はいるべき場所に戻って来れたのだと。
自分は怪我をしているが戦えないという訳ではない。直ぐに治療してもらえば何とかなるだろう。
そんな事を思いつつキャノピーを開け、外に出ようとすると周りの様子に面食らってしまう。
数人の兵士がこちらに向けて銃口を向けているからだ。
いかに認識番号や声紋照合が本部で一致したとはいえ、実際にその本人なのかそうでないか裏が取れなければ安心してはいけないらしい。
相変わらずの厳重警戒だが、アスランは図らずも父から教えられた事を思ってしまう。そういう姿勢でいてこそザフトなのだと。
その時遠くから久しぶりに聞こえる声があった。
「アスラーンッ !! 貴様一体何処で何をしていた ?!! 」
同じクルーゼ隊に所属しているイザークがエレカに乗ってこちらに来ていた。
側には運転しながら、イザークに呆れ顔を向けているディアッカもいる。
その声と言葉に兵士達はアスランに向けていた銃口を下げ、二人の為に道を開ける。
ディアッカがエレカを止めると同時に、仏頂面のイザークがコクピットから降りたアスランの元に駆け寄る。
その表情にアスランは辟易した表情で応対した。
「ナチュラルの船に乗せられていただけだよ。そこから出て来ただけさ。……イージスは取り返せなかったけどな……」
取り返すというのも自分で言っておきながらなかなか笑えてくる表現だ。
元は向こうがこちらを討つ為に作った物をこっちが奪ったというのに。
その言葉を聞いてイザークは相手が負傷している事も忘れて、襟首を掴みながら乱暴に揺さぶる。
「だからこの機体で帰ってきたというのか ?! 」
「ああそうだよ……」
アスランはイザークの言葉を適当に受け流しつつ、ふらふらした足取りでエレカまで行き、座席に身を任せるかのようにどさりと座り込む。
後から乗ったイザークは後部座席に血が付いているのを見てぶっきらぼうに言う。
「後で貴様の冒険譚でも何でも聞いてやる !! 怪我の治療で後回しになりそうだがな !! 今はそこで寝ていろ !! 」
それが彼なりの気づかいの形だと気づくのに大分かかってしまう。
こいつは相変わらず素直じゃない奴だなと改めて思わされた。
101Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 14:50:00 ID:???
そしてアスランは連合軍の船に乗って知り得たもう一つの事実を口にする。
「ナチュラルの船に乗っていて分かった事がある。……ラスティは捕虜になって生きている。」
「「ええっ ?!! 」」
次の瞬間前方の二人の声がかぶり、エレカもぐゎらと大きく左右に揺れた。
当然の反応だ。彼もアスランと同じ様に今の所MIA扱いになっているのだから。
そこでディアッカがアスランに一つ質問をぶつける。
「でもよ、それならどうしてお前と一緒に逃げなかったんだ ? 」
その質問に対しアスランは苦りきった表情をする。
思い出すのも忌々しいあの部屋から出る最後の瞬間に放たれたラスティの一言。
―俺はこの船でちぃとばかし探し物があるんでな。
あの時どれほど何も見つかりはしないと怒鳴ってやりたかったか……
「あいつは捕虜で居続ける事を選んだよ。ナチュラルの連中がさぞかし上手く丸めこんだんだろうな。あいつもあいつだよ。手も無く騙されてさ……」
「そうだったのか……」
ディアッカはやっとその一言だけを言う。
アスランは連合の機体を奪取した時から、仲間が手の中から次々に落ちていく様だった。
同じ隊に配属されたマシュー、オロール、ミゲル。そして生きているとはいえラスティさえも……
もうここに残っている面々しかいない。そう思った時、ある事に気づく。
イザークとディアッカがここにいるのなら同じ様に来ているであろうもう一人はどうしたのかと。
「なあ、ニコルはどうしたんだ ? 」
エレカが走り出すと同時に二人に向けられた質問は、ディアッカの方が答えた。
「俺達がここに来る少し前に近くの海でMSが発見されたっていう報せがあって、今はそこで回収されたMSパイロットに会いに行ってる。……お前がよく知ってる足つきに配備されてた特殊改造ジンのな。」
「何だって ?!! 」
それを聞いたアスランは驚いてしまう。
低軌道の会戦であのジンがこの近辺に落着しているだろうというのは容易に想像がついたが、このジブラルタル基地に収容されているとは……
それと同時に言いしれ様の無い感情が自身の中に渦巻いてくる。
ちらとしか知り得なかったが、あの二人のパイロットに関してはザフトレッドとして自分の持っていた矜持をズタズタにしただけでなく、自身を敵軍の捕虜にするという屈辱的な経験をさせたのだから八つ裂きの候補としてはキラの次に挙がっている。
何かの理由にかこつけてこの基地でさっさと消す事は出来ないか…… ?
「まあ、俺は止めといた方がいいぜって言ったんだけどな。仮にも敵兵だし。」
アスランの思い等全く知らない様にディアッカはニコルの行動が浅慮甚だしいとばかりにふふんと鼻で笑う。
格納庫に入ったエレカは軍施設への通用口の前で停止する。
それと同時にアスランはひらりとエレカから降り、そして脱兎の如く施設内に入っていく。
後ろからイザークが治療はどうするんだとか何か言っていたが、最早今の彼には何も聞こえて来ない。
会う人間に対し、手当たり次第にそのパイロットがいる場所を訊く。
その結果パイロットは男女で二人おり、少年の方が自分の今いる場所から程近いという事でその方向へ向かった。
逸る気持ちを必死で抑え、その部屋のドアの前に立つと先程のディアッカの言葉からある疑問が浮かんだ。
何故ニコルは自分達を何度も窮地に陥らせた敵兵と話がしたいと思ったのだろう ?
窮地に陥らせる事の出来た理由を訊くのなら頷けるが。
そう思いつつドアの前に立ち、インターフォンに向けて話しかける。
「ニコル。いるのなら入るぞ。」
目の前のドアがその問いに応えるかのごとくスライドする。
102Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 14:53:51 ID:???
2〜3歩中に入ってから室内を見ると、その中には寝台に横になっている少年に穏やかな表情で話しかけているニコルの姿があった。
そして、部屋に入ってきた人間が誰かというのをちらと見やった彼は、思わず椅子を勢い良く後ろに倒してしまう。
「ア、アスラン !!! あなた……どうしたんですか ?! 」
部屋の入り口へ振り向いた彼は改めて驚かされた。
MIA扱いになっていた人間が自分の前にひょっこり現れたのだから。
「あんたは……イージスのパイロットじゃねえか !! どうしてここに……まさか、アークエンジェルから脱走してきたって言うのかよ !!! 」
事情を知っているパイロットの少年―確かガロードとかいったか―も、アスランを見て驚かされた。
話しの内容を聞いてみようかという気も起きぬまま、アスランはその場ですぐに腰のホルスターからオートマチックを抜いて構えた後静かに言う。
「そこをどけ、ニコル。そのパイロットに俺達を苦しめた落とし前をつけさせてやる。」
その言葉でアスランがガロードの命を狙っていると分かるニコルはアスランの方に駆け寄る。
「止めてください ! 幾ら敵兵でも今捕虜ならその扱いはきちんとすべきです ! 身柄を引き渡す前に問答無用で射殺なんて条約違反ですよ !! 」
彼とて失った仲間の事を思えば悔しさが出てくる。
だが彼の性格上、今アスランがしようとしている事は絶対にしない。
だから相手の素性を穏やかな姿勢で訊こうとしていたが、それは死んだと思っていた戦友がいきなり表れあっさりと無しにした。
ニコルの言葉を全く意に介していない様にアスランは同じ姿勢のまま、更に険しく冷徹な声で続ける。
「こいつは正確には連合軍の兵じゃなくて、奴らに加担している傭兵だ。正規の軍人で無い者を射殺しようが、上への理由はどうとでも言える。
レッドの俺達、ましてやこいつらと少しでも同じ空間にいた俺の言い分くらいなら通してもらえるはずだ !! 」
そんな無茶苦茶なとニコルは言いかけたが、彼の目を見て言葉を失ってしまう。
その目は仲間を奪われた事による憎悪で輝いていたおり、表情も終始動かす事がなかったからだ。
本気だ。アスランは本気でガロードという少年を射殺しようとしているのだ。
単なる示威行為でも何でもなく、条約無視を知った上で。
103Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 14:56:39 ID:???
その当の本人は同僚の内心に全く気を使う事無く、更に数歩前に出て銃のセーフティを外す。
「俺からすればお前はまだ甘いんだよ、ニコル……何故こいつをさっさと殺しておかなかった ? 尋問でも何でもやって素性を聞き出せば良いものを。」
その言葉と苛立たしげな口調はニコルを慄然とさせた。
やがて彼は今も逃げようと必死になっているガロードの直ぐ横にまでやって来て、こめかみに銃を突きつけた。
「お前も、もう諦めた方がいいと思うが…… ? 」
「うるせえ !! 俺はティファを助けに行かなきゃなんねえんだ。こんな所で時間喰ってるわけにはいかねえんだよっ !! 」
その横暴な言葉にアスランはトリガーに自分の指をかける。
「ナチュラルのくせに無駄な虚勢だとは思うが……一応、驚いておこうか。それはそうと非常に残念だ。お前は白馬の王子になる事が出来ずにここで斃れるんだからな。だが安心しろ。
別室にいる愛しのプリンセスも直ぐに身を緋色に染めてお前の元へ馳せ参じるだろう。あの世で無能なナチュラル同士幸せに暮らすがいい……」
「この野朗ッ !!! ティファに手を出すなァッッ !!! 」
アスランが並べ立てた言葉はガロードの怒りを爆発させるに十分な言葉だった。
状況が状況ならガロードはアスランをたこ殴りにしている所だ。
一刻も早くベッドから抜け出そうと更に身を捩じらせるが、全く効果は無い。
アスランは両の口端をふっと上げ、一片の憐憫さも無い冷徹な声で言う。
「何も出来ない事に絶望するんだな……さようなら……最大限の憐れみをもってお前を葬るよ……」
最後の瞬間が宣告されてもガロードは諦めたくなかった。
こんな所で死んでたまるか……ティファを死なせるもんか……っ !!!!
その時だった。
突然ドアが開き、その方向から銃弾が放たれた。
銃弾はアスランの拳銃を吹き飛ばし部屋の隅に追いやる。
銃弾を放った黒服の青年将校ははっきりとした口調でアスランに向かって言う。
「絶望は愚者の出す結論です。」
その場に居た三人はその方向を見る。
中でも一番驚いているのはガロードだった。
「お……お前……ええっっ ?!! 」
「御久し振りです。ガロード。」
青年将校は極めてにこやかに挨拶をする。
それが視界に入っていないのか、ガロードは相変わらず陸に上がった魚の様に口をパクパクとさせている。
何せその青年将校は、自分の元いた世界で剣を交えつつ解り合い、最後は共闘してくれる事になった頼もしい友なのだから。
アスランは衝撃で震える手を抑えつつやっと一言口にする。
「カリス……ノーティラス副司令殿……」
104Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 15:02:16 ID:???
今の所はここまでにしておきます。
尚アスランの負傷の設定と医務室の一件については
両足の骨折→頭部の負傷のみ
サイレンサー付きの拳銃を奪う→医者と格闘戦をやらかし、勝ちはするもののデスクの下にあった警報機を押され、引き出しは全部ロック状態で得る物無し。
無傷で→銃撃戦の跳弾や流れ弾であちこち負傷。
という風に修正しました。
評価が非常に気になります。
では、また後程。
105通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 15:07:43 ID:???
投下乙です。
何つーか最悪だな、凸さん
これは流石に遺作や炒飯でも引くだろ、常識で考えて…
106通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 15:13:50 ID:???
んで、三人からハブられて孤立している凸にラクスもしくはクルーゼが近寄ってきて
洗脳されるというオチかもしれんw
107通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 15:32:09 ID:???
パパの手となり足となり
アズラエル並みのぶち切れキャラになったりしてな
パトリックが逆にアスランに引いて冷静になりそうだw
108通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 15:49:15 ID:???
パト「お前は知っているか、ウラジーミル・レーニンを」
凸 「レーニン?中世紀の人物ですね、それが何か?」
パト「革命家でな、世界を読みきれなかった男だ、
   お前はそのレーニンの尻尾だな( 特 に 頭 )」
凸 「自分で組んだコーディネートを無視してよく仰る……(殺殺殺!)」

こうですか、わかりません!
109通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 16:19:28 ID:???
>>108
特に頭ワロスw
110通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 18:36:18 ID:???
GJ!
迂闊だな、アスラン・ザラ。
よりにもよってガロードの前でティファに危害を加えることを宣告するとは…
A.Wですらそれをして生き残ったのはたった二人しか居ない(それでも結構な後遺症付き)というのに。

そしてクロススレで初のカリス登場ktkr!
地位からすると少なく見積もっても2、3年前にはこっちに居たんだろうか。
まあシナップス・シンドロームのことをおけば棒立ちだらけのC.Eでは最上位にも食い込めそうな実力の持ち主だし、
手柄立て放題でもっと最近ということもあるかも試練が。
111通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 19:04:48 ID:???
>「絶望は愚者の出す結論です。」
  ↑
これがガロードではなく己に向けられた言葉だという事を理解できるかどうかが
「アスラン」に立ち返れるか「凸」で固定のままかの分水嶺となる…かな?
GJ!
112通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 19:56:30 ID:???
カリスは白服が似合うと思うけどな
113通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 20:00:25 ID:???
>>112
幾らか成長した上で白服だと、
クル−ゼと若干被るからジャマイカ?

まあ今のカリスはガロードとの出会いの結果、
対極とも言える道を歩いているが。
114通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 20:05:47 ID:???
Xでは濃いめのグレーじゃなかったっけか、カリス。
個人的には黒服のほうがしっくり来るかな。
115通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 20:09:24 ID:???
てか評議会員みたいな薄紫。
116通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 20:21:27 ID:???
それにしてもアスラン滅茶苦茶だな・・・
流石にニコルも幻滅するんじゃないか?
117livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g :2007/06/20(水) 20:38:30 ID:???
>Exceed4000氏
思ったより長引いてしまったせいか、さっき見たら流れてたので再うp願います。
あと、ガンダムクロスオーバーSS倉庫にもうpロダがあるので、そっちにうpして下さい。

ttp://www.uploda.org/は流れるのが早いので、お手数ですが宜しくお願いします。
118通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 20:59:59 ID:???
>>116
ここのアスランは何気に心の奥底ではイザーク以上に差別意識が強かったんじゃないかな。
あるいはろくに知らない状態で植え付けられる差別意識や憎しみと、
何らかの実体験によって内から沸きあがるそれとでは根の深さが段違いという事なんだろうか。
119Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/20(水) 22:54:07 ID:???
>>117
ガンダムクロスオーバーSS倉庫にうpしました。
seed_uljp00015.txt
或いは
ttp://www3.uploader.jp/dl/seed/seed_uljp00015.txt.html
です。
パスワードはTiffa 削除はXSEEDです。
前後の文章の脈絡をつける為に長大になってしまいましたが、何卒宜しくお願い致します。
120通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 23:25:48 ID:???
>>108 ソ連以降のロシア国家元首「フサ・ハゲの法則」思い出したw
121livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g :2007/06/21(木) 10:28:31 ID:???
修正しようとまとめ行ったら、
第10話〜第15話、第17話、第19話〜第20話がうpされてないことに気づいた|liorz

というわけで、だれか上記の話のログ持ってたら「ガンダムクロスオーバーSS倉庫」のうpロダに上げて下さいo......rz
122通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 12:35:43 ID:???
>>84
お前は何を言っているんだ?論点はそこじゃないだろ。
明らかに不条理な展開に対してであって、内容の質についてじゃない。
123通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 13:53:19 ID:s1uNDs8a
>>121
第3話が第16話に間違ってうpされてましたよ。
ちなみに第3話は第3話のままですから修正の必要はないです。
124通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 14:03:43 ID:???
変態兄弟とザフトの変態仮面はウマが合いそうだ
125通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 14:55:40 ID:6BzY42kC
s
126通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 20:26:42 ID:???
カナードってプレアに出会わなければ、
行き着く先は変態兄弟だったのかなぁ・・・。
まあ、共通点はどっちも偽物扱いってだけだけどさ。
127通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 22:05:55 ID:???
案外、キラをフツーに真正面から打ち破って
その後種後半の主人公になってたかもよ?

ってか、なれ
128通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 22:14:56 ID:???
おーい、凸やーい。
ティファちゃんに手を出したらガロードだけじゃなくて俺たちティファファンクラブがお前の髪の毛を毛根も残らないほどに全て引っこ抜くからな!
129通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 23:25:00 ID:???
>>128
禿同。だがそれだけで済ますな!!
ピンク色の髪を植毛してやれ。
130通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 23:27:12 ID:???
>>127
確かに。
対デストロイで、キラの馬鹿さは普通に証明されたしな。
アルミューレ・レミエール(だっけ?)を破れるとは思えん。
131通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 23:40:12 ID:???
>>127
しかし、いいのかそれで?
あいつもナチュラルにDQNだぞ。(運命編に入っても)
まあ育った環境と憎しみのみを拠り所にして生きてきた過去がそうさせたのは分かるが…

子供がこうも悉くアレだとヒビキ夫妻の遺伝子にこそ、
種世界の不幸の元凶が詰まっていたような気がしてならない。
132Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 04:47:18 ID:???
第二十四話投下します。

機動新世紀ガンダムXSEED 第二十四話「逃げろ ! 」

カリスはアスランに銃を突きつけたまま静かに続ける。
「そこを退いて下さい。この者の処分は司令官の次に僕がどうするか権限があります。レッドとはいえ貴方に彼をどうこうする権利はありませんよ。」
それは確かな事だった。
いかにアスランが友人を討たれたとか、僚艦をやられたとか個人的な恨みを持っているとはいえ、このジブラルタルでは他にもごまんといるレッドの一人に過ぎないのだ。
アスランは苦々しい表情をしてそこから数歩後ろに下がる。
そしてカリスは銃を降ろした後、ガロードの元へやって来てベルトを外した。
ベッドから降り、肩を2〜3回叩いた後彼はカリスに向かって握手を希望する様に手を差し出す。
「サンキュー、マジで助かったぜ、カリス。流石の俺ももうやべえって思っちまったぜ。」
そういう割には結講明るめに話すガロードを見て、カリスはふっと微笑んで握手に応じる。
「君がここいる事は先程目にした資料で知りました。中の様子は分からなかったのですが、今一度の力を使いました。」
「そうだ !! ティファの居場所は分かるのか ?! 」
「……その話に関してはこの部屋を出た後で……僕自身あまりこの先の事については力を使うのは止しておきたいので……」
その後彼はくるりと振り向き、呆然としているアスランとニコルに対してぴしゃりと言い放った。
「このガロード・ランと別室にいるティファ・アディールの両名に関しては今のところは司令官の代わりに僕が待遇に関しての詳細を決定します !
アスラン・ザラは今すぐ医務室に向かい然るべき処置を受けた後、南方にいる連合軍の新造戦艦の調査をするように ! ニコル・アマルフィは……アスラン・ザラがここまで帰投するのに使った戦闘機の調査及び自機のメンテナンスに向かうように ! 良いですね ? 」
そこまで言い切った時、ガロードがこっそりと二人に聞こえない様に耳打ちを始める。
「チョイ待ち !! 間違いねえとは思うけどさあ……俺その連合軍の新造戦艦にいるんだわ、今。乗ってたジンもそこで改造を受けたんだよ。」
「本当ですか ?!! 弱りましたね……おまけにそのジンはフレームの芯まで破損が見られたのでどの道廃棄処分だとは思うのですが……」
「げっ……」
ガロードがショックで固まるのを余所にカリスは目を伏せてしばし沈思黙考する。
連合軍が極秘開発した新型MSとそれを運用する為に作られた新型戦艦の話は、ここジブラルタルでもそれがあるといわれていたヘリオポリスへの襲撃関係者や、本部との繋がりのあるトップ陣営の間で話され半月ほど前から騒がれていた事だ。
現在あてにしている司令官はビクトリア陥落直前に一足先にここに戻っていたが、ガロード達の乗っていたジンが地中海に落着したとの報告を受けるほんの一時間ほど前に、急用が出来た為ビクトリアの方に十数機のMSを連れて出てしまっていた。
なんでも本人から直に聞いた話では地元のレジスタンスが急激に力を付け始め、陥落に伴ってビクトリア周辺が喧しくなってきているとの事だった。
ここであまり不審がられてしまうのは得策ではない。
そう思っていた時、アスランが鋭い声でカリスに問いかける。
「副司令殿……まさか、とは思いますが、その傭兵と内通していたという事はありませんよね ? 先程から会話の口調や内容に関してそういった事を伺わせる物があるのですが……」
133Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 04:48:26 ID:???
その言葉に二人は一瞬ひやりとさせられた。
そこで咄嗟にカリスは頭の中で既に用意していた上手い言い逃れの台詞を口にする。
「この者が傭兵であるというのは完全に虚偽の報告です。このガロード・ラン並びにティファ・アディールはザフトが連合側に民間人を装って潜入させたスパイなのです。」
そう言った時、ガロードは息をヒュッと吸い込むようにして驚いてしまう。
カリスは知らないのかもしれない……自分が既にそんな言い訳が通じないほどに、ジンを討ったり、アスランの仲間を窮地に陥らせたかを……
ジンに乗っていたという報告を鑑みれば多少は、或いは……
そして案の定、その嫌な予感は的中してしまった。
アスランが更にきつい口調になって続ける。
「スパイですか……では何故彼は私の、いえ、私達の同胞を討ったのですか ? 私が出て捕虜になった戦闘では戦艦まで討とうという雰囲気でしたよ ?
……敵を欺くには先ず味方からです、などという突拍子もない発言は幾ら私でも賛成致しかねますが…… ? 二重スパイであったのなら尚更です。」
カリスの表情は慌てふためいてはいなかったものの、その感情を押し殺したかのような硬いものだった。
恐らく彼としては二人が何事も無く戦闘に参加する事も無しにスパイの任務を終え、ザフト艦に戻ったとたんにその宙域で戦闘が始まり、着替える間も無くMSで戦闘に出てしまった後、そのまま大気圏降下に臨んだと思っていたのだろう。
そしてアスランは飛ばされた銃が転がっている方向に少しずつ足を動かしていく。
もう何の言い訳も効きはしない。
「逃げろ ! 」
アスランが銃を拾おうとしたのと、ガロードがカリスの手を引っ張って部屋の出入り口に向かったのはほぼ同時だった。
二人は出入り口のドアがスライドして自分達が部屋から出た後に、閉まったドアの向こう側から銃弾の当たった鋭い音が聞く。
その後はもう後ろを振り返ること無く、迷路の様な通路を右へ左へ追手を撹乱する様に走り続けた。
そう走り続けながら、ガロードは一番気になっている事をカリスに訊く。
「カリス ! ティファは……ティファは何処にいるんだ ? 」
「この基地の最下層、地下三階にある独房に収容されています ! そこに行くには先ずエレベーターホールまで行かなくては ! 」
「エレベーターホールって……何処にあるんだそれ ?! 」
「待ってください。ここからの最短ルートは……」
カリスは走りながら壁に表示されているプレート等を読み取りつつ、組み上げられたルートを必死で整理する
「この道を真っ直ぐ行って二つ目の角を右に曲がった後、地下一階に通じる階段を下って目の前です ! 」
「オッケー !! そこまで全速力で行くぜ !! 」
二人は通路を一陣の風の如く疾走し続ける。
息が上がってくるのも、人とぶつかりそうになるのももう気に留めたくなかった。
134Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 04:50:32 ID:???
そしてカリスが言った通りの順路を辿ると、急に視界が開ける。
そこはエレベーターホールと言うだけあって、高さや広さだけで言うならさながら大きな教会の礼拝堂くらいはあった。
そして目の前には五基のエレベーターシャフトがあり、制服に身を包んだ人々が忙しなく歩き回っている。
その場で立ち止まっていると、不意にカリスの声が横から響く。
「最下層の地下三階に直通しているエレベーターは中央にあるやつです。着いたら目の前にある道を真っ直ぐ進んで『A-33』という独房に行って下さい !
今は交代の時間で警備は手薄な筈です !! 急いで下さい !! 」
「でもお前は……ッ ?!! 」
「君に加担したとばれた以上ここにいる事は出来ません。独房のキーを解除する為にここのホストコンピューターをクラッキングさせてきます !!
それに、君の手でティファを救い出した方が良いでしょう。彼女もそれを望んでいるようですし……上手くいったら同じエレベーターで一階まで来てください。その時に僕がMSで助けにも行きます。
その時はこのレーザー通信機で外にある格納庫に来るよう呼び出します。さあ、早く !! 」
「すまねえ !! 恩に着るぜ !! 」
言うが早いか、ガロードはカリスが投げた通信機を空中で受け取りながら、扇状になった十段ほどの階段を下り始める。
その時、中央のエレベーターに何人かが乗り込もうとしていた。
いちいち途中で止まっていれば、アスランが追手を何人もこちらにさし向ける。
無駄に出来る時間はなかった。
「そいつに誰も乗るんじゃねえーっ !!! 」
いきなり聞こえて来た大声に、中央エレベーターに乗ろうとしていた全員は数秒の間ぎょっとしてその場に立ちすくしてしまう。
その数秒があれば十分だった。
集まっている人々を掻き分け、最後は滑り込むようにしてエレベーターの中に乗り込む。
それと同時にエレベーターの扉はゆっくりと閉まった。
それを見届けたカリスはホストコンピューターのある中央制御室に向けて再び走り出す。
「ガロード……無事にまた会いましょう…… !! 」
135Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 04:51:48 ID:???
鉄格子の外の天井にある弱々しい蛍光灯の光以外存在し得ない独房に彼女、ティファ・アディールはいた。
目を覚ましたのは今から三十分程前のこと。
着ていたパイロットスーツは誰がそうしたのかは分からないが、今は元着ていた落ち着いた色の服になっていた。
また両腕には彼女の力では絶対に外す事の出来ない頑丈な手錠がかけられている。
足音が聞こえてきたので外を見ると、ひょろりとした保安要員が少しばかり驚いた様な目をしながらこちらに向かって歩いてきていた。
こんな少女が一体何をやらかしたのだろうかといわんばかりに。
今は人が替わったものの、つい先程までは銃を持った厳つい保安要員がこちらを胡散臭そうにじろじろと見ながら警戒に当たっていた。
普通こんな所にいれば誰とて感じる物は絶望感ぐらいしかない。
正直な事を言えば、彼女自身大気圏突入前の戦闘に参加する段で自分がこうなる事は分かってはいた。
だが彼女は強く信じていた。
自分がそうなるというのと同時に、自分を助けに来てくれる存在がもう間も無く目の前に現れる事を……
ニュータイプという形である事を否定された力……ガロードがそう謳われた彼女の力による予見を覆した事は多かったが、今彼女が予見した物は彼以外のほかの誰にも覆されたくなかった。
その予見が間違いでなければ、保安要員がこの人物に替わって間もなくして事態は好転するはずだったからだ。
そしてそれはそう思った瞬間に的中した。
遠い方向からチン ! とエレベーターで誰かが来た事を示す音がなる。
保安要員がその方向を見てSMGを構えて走り出すが、直ぐに彼はティファのいる独房の前まで殴られた音付きで飛ばされる。
低い声で暫く呻いた後、眠ったような表情になった所を見ると、どうやら気絶しただけの様だ。
そして鉄格子の外に待ち焦がれていた顔が、荒い息と共にひょっこりと出た。
「ティファ !! 大丈夫か ?!! 」
「私は大丈夫。ガロードは……怪我とかは無い ? 」
「ああ、俺も大丈夫だよ。」
その時、鉄格子の電子ロックがカシャッと軽い音をたてて外れる。上にいるカリスが上手くやったようだった。
ティファは自分から牢の外へ出る。
その時クスリと笑って彼女はガロードに聞き覚えのある言葉を言った。
「待って……いました。」
紛れも無い。彼女が彼に初めて会った時に彼女から言った最初の言葉。
それにガロードは若干照れた調子で頭を掻きつつ答える。
「二度目だなぁ……それ聞くのさ。」
しかしその時、ガロードはティファの手元を見て表情を一瞬で曇らせた。
「ティファにこんな事……酷い事しやがるなあ……」
かけられていた手錠が金属の鍵を使って開錠する型の物だった為に、いつも手元にあるはずの便利道具が無いのは非常にもどかしい気がした。
だが今はそれに拘ってグズグズしている暇は無い。一刻も早くカリスと合流してこの基地から脱出しなければ。
136Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 04:54:47 ID:???
「こっちだ !! 」
ガロードがティファの身をかばうような姿勢になった後、二人は必死で走り、エレベーターに乗り込む。
しかしその時、気絶していた保安要員が目を覚まし、SMGを構えて直ぐにエレベーターの方向にそれを乱射しながら猛然と走ってきていた。
ガロードは自分の身とティファを、外とエレベーターの死角に入れた後『閉』のボタンを押し、同時に『1』のボタンも押す。
軍配はガロードの方に上がった。
保安要員がエレベーターのボタンに辿り着く前に扉は閉まり、二人を乗せたそれは移動を開始し始めたからだ。
自分達の後ろにある壁が穴だらけのエレベーター内で、二人は束の間の一息を入れる。
「怖かった ? 」
「ううん……ガロードなら絶対、大丈夫だと信じていたから……」
ガロードの何気ない一言にティファの頬がぽおっと赤くなる。ガロードも半瞬遅れて顔が真っ赤になった。
しかしそんな雰囲気は次の瞬間、目的の階に着いたエレベーター特有の現象で終わりを告げる。
扉が開くと目の前に現れるロビーと思しき場所は騒然としていた。
職員らしき者達が重そうな書類を腕にしつつ、顔に殺気を顕にしながらあちこち走り回り、その他の兵士達はレッドもグリーンも関係なく大声で何かを話し合っている。
「ホストコンピューターがコントロール不能になってどれぐらいだ ?! 」
「最新型のウィルス駆除システムがどれも効かないだと ? そんな馬鹿な話がある物か !! 」
「副司令殿の居場所はまだ掴めんのか ?!! 」
切迫したやり取りの雰囲気はその場では明らかに場違いな格好をした二人を隠すのには十分すぎるほどだった。
だがボーッとしていれば捕まるのは時間の問題だ。
その時丁度通信機が振動を始める。外に出ろという合図だ。
「行くぞっ、ティファ !! 」
「ええ !! 」
二人はそこから外へ続く玄関口に向かって走り出す。
137Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 05:26:41 ID:???
しかし、その時後ろからそれを阻害せんと兵士達を「退けっ ! 」と突き飛ばしながら、走ってロビーに出てきた一つの影があった。アスランである。
息も絶え絶えに後ろからは多くの兵士がついて来ていた。
そしてアスランはその場でオートマチックを構え、「止まれ」といった警告も無しに躊躇い無く引き金を三回引く。
「ガロード !!!! 」
その直前にティファがガロードを押し倒す様に倒れ掛かる。
その為に銃弾は二人をほぼ逸れたが、内一発はティファの髪を縛っている紐を千切り飛ばし、更に彼女の頬辺りの髪を幾筋か吹き飛ばし地面に散らせた。
狙いとしてはどちらでも良かったが、結局しとめる事が出来なかった彼はその場で銃を構えたまま、チッと小さく舌打ちをする。
その場に倒れたままになっている二人にアスランは早歩きで近づくが、それがいけなかった。
倒れて気絶していたと思われていたガロードが、信じられないスピードと低姿勢さでこちらに向かって走り出し、アスランの腹に一発のパンチを決めようかという体勢になる。
「このヤロォーッ !! よくもティファをっ !!!! 」
「……女一人ぐらいでギャアギャアと甘ったれがっ !! 」
そう叫んで突っ込んでくるガロードをアスランは軽くひらりひらりとかわす。
しかし、ガロードの狙いはそれではない。
何度かかわされた後アスランの銃を持っている右手に捕まり、そこに下に向かって全体重をかける。
そこにあるのはアスランの右足の甲。
「やめろぉーッ !!! 」
有無を言わさず、ガロードはしがみついている右手の銃のトリガーをアスランの指がかけられたまま引く。
至近距離から足を撃たれたアスランは短く低く呻きその場に倒れた。
彼がもうあまり動けない事を確認したガロードはその場から猛然とダッシュする。
しかし彼等二人を地獄へ引きずり込まんとする声は、苦しさを交えながら周りの人間に命令した。
「何をぼさっとしてるんだ !!! 奴等は連合に買われた傭兵だ !! 躊躇う必要は無い !!! さっさと撃たないかっ !!! 」
明らかに上官とも言える者もいたが、今は気にしているわけにはいかない。
一方、一斉に銃の構えられた音が耳に入り、ガロードはティファに近づこうとする兵士達を押し退け、蹴り退け、踏み退けながら彼女を姫様抱えで抱え上げた後、更に走るスピードを上げる。
そしてガロードが玄関口を出るのと爆発が起こったかのように背後の窓ガラスが自分達に向かって砕け散るのはほぼ同時だった。
その時、抱えられていたティファが目を覚まし、ガロードの服の袖をぐいぐいと引っ張る。
「んあ ? どうしたんだ、ティファ ?!! 」
「あそこに……向かってください。」
ティファはすっとある方向に向けて指を指す。
走ってなら行けなくもない遠めに見えたその場所はMSの格納庫だった。
そしてそこには、今まで使っていたジンがオダブツになったとカリスに聞かされたガロードにとって願ってもいない物があった。
奪取されたXナンバーの機体の一つがあるパイロットの整備下にあったのだ。
138Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 05:54:46 ID:???
投下終了します。連投規制引っかかってしまいました。
よくここのアスランってという意見が聞かれますが、母親を殺されて、父親仕事漬けにされて、おまけに友人や同僚を殺されたとあっては、
ナチュラルにそういう感情を抱かないのが不思議ですし、個人的には軍というシステムに入っているのに途中であっさり陣営を変えるという行為が信じられません。
あと、軍で上官が新兵に罵詈雑言浴びせて罵倒するシーンがありますが、
あれは新兵の人の生死に関する感覚を狂わせてさっさと殺人マシンに仕立て上げる為の正当法なのだとか。
更に数年前にテレビで見た広島の原爆被害者と原爆を落とした飛行機のパイロットとの対談であったのですが、
原爆被害者が慰霊碑に一言の謝罪をと言ったのに対し、パイロット側は我々はあくまで仕事でやったのだと言い、共通の合言葉‘リメンバー・パール・ハーバー'を忘れないと返しました。

ここのアスランがイザーク以上のナチュラルヘイト且つ、旧友のキラについて葛藤するまでも無く突き放した設定になっているのは、
上記の様な人間感情と軍のシステムに則って変えたというところにあります(腐的な要素を極力廃したという事も有りますが)。
ですから、父親も排他的政策を緩める事はないでしょうし、
その息子、凸にしてもここではナチュラルを人質にするなんて事をしないでしょうし、するぐらいだったらさっさと撃ち殺してます。
で、責任追及されたら「軍人の仕事だから仕方ない」と言い切るでしょう。今の彼の前では恐らく戦時国際法は紙切れ同然の代物ではないかと。

あと、凸と髪の毛の関連とか女難とかそういった物は自分の中では一切取り扱わない事を信条にしています。
ここまで折角真面目にやって来てその雰囲気をパーにするのもなんですし。

全くスレの雰囲気らしからぬ話題をして御免なさい。
今回の後盤のティファの一件は書いていて勇気が要りました。色々と……
では、また後程。
139通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 10:19:52 ID:???
GJッス。
しかし凸、流れ弾が他の人に当たる可能性とか考えなかったんだろうか。
……うん、考えなかったんだろうね。完全に視野狭窄に陥ってるし。

まあ、コーディネイター、特にエリート階層の人間は少なからず
「下等なナチュラルごときがコーディネイター様に逆らいやがって。粛正してやる」
みたいな認識をもってるでしょうしねえ……。
とはいえ、ティファに手ぇ出した時点で凸の運命は決まった気がしますが。

ともあれ、今後も期待しております。
140通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 10:58:37 ID:???
「GJ!右足の甲だけですんでありがたいと思いやがりくされ凸」

だけで1000まで行くかもなスレと聞いて飛んできました。GJ!
141通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 11:49:20 ID:???
よかったよ、続き頑張ってくれ!

あと凸はこっちで処分しておくから
142通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 12:01:22 ID:???
次回でたぶんガロティファ、うまくすればカリスも一緒に脱出し、
ザフト側からすれば捕虜脱走、副指令ご乱心で大騒ぎになった所で
凸が反ナチュ感情をあおりつつ自分の都合のいいように事態の掌握を
謀ると見た。んで一応成功はするだろうが、金角銀角はともかく少なくとも
ニコルの不信感だけは逆に深まるとか…
143通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 12:41:55 ID:???
カガリと出会って改心することもなさそうだな>凸
144 ◆L1QckJlrlM :2007/06/22(金) 13:37:12 ID:???
遅レス失礼
>>86
確認しました…
もし機会があれば翼を手足ともどもぶった切ってひっくり返したいですね…
取りあえず現在作成中…
なんとしてもカガリの登場までは!! と頑張っています。
145通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 14:16:58 ID:???
なんという種死並の展開
悪いがGJ出来ない
146通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 14:38:35 ID:???
どの辺りがそうなのかkwsk
147通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 14:45:12 ID:???
なんという厨並の批判
悪いが賛同出来ない


ピンクじゃないんだから批判は具体的にやろうぜ。
種死並みって言うんなら、作者を嫁レベルから引き上げると思ってさ。
と、今さっきSS倉庫でガロード IN DESTINYを読破した俺が言ってみる。
148通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 17:07:23 ID:???
まあどいつもこいつも賢くは生きてらんねぇってなとこで
アスランが多少頭に血の上った行動しても仕方ないといえば仕方ない
ただ、作者の人もあとがきでフォローする必要のないくらいに
本文の描写を頑張っていただけるとありがたい
149通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 18:24:11 ID:???
ガロードも後先考えて話をしろよw
150通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 18:35:52 ID:???
ガロードと話する前に何で凸たち部屋から叩き出さないんだよカリス。
お偉いさんなんだからそれくらい出来るんじゃねーの?
迂闊なヤツがまた一人増えたのかい…。

151通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 18:52:01 ID:???
真面目な話、EXceed氏は一旦時間を置いて推敲してから投下したほうがいいのでは?
少々遅くなっても自分は構いません。
152Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 19:27:04 ID:???
ちょっと投稿を休止します。
盛り上げる場を作るが為にあちこちに穴と言える大ポカをやらかしてしまい、考慮と推敲をやった上で投下したのですが欠陥がやはり目立つ様で……
再投稿は一週間以内に行えたら良いと考えております。
では、また後程。
153通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 20:33:28 ID:???
>>148
後書きは楽屋話程度に留めておくべきで、本編の補完にあるんじゃねえからなあ。
なんで作中でやらなかったの?ってなる。
154Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/06/22(金) 20:52:00 ID:???
次回投稿は2007/07/05(木) 20:10:18に行います。

  _、_     間を取るというのもあるのですが、
( ,_ノ` )     理由はもう一つあります。
     ζ
    [ ̄]'E
      ̄
  _、_     コーヒースレからの住人の方は何と無しの解るとは思いますが、
( ,_ノ` )     
  [ ̄]'E    執筆はコーヒーを飲みながら、とりあえず落ち着きつつやります。
    ̄

  _、_
(  ◎E


  _、_     そして、 2007/07/05(水) 20:10:18以降は一話ずつ隔日で投下します。
( ,_ノ` )     
           皆様が、今以上にこのスレを楽しめる様に……。
    [ ̄]'E
155通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 21:43:59 ID:???
前も言われてたけどさぁ、きっちりした投下予告とか出さないほうがいいんじゃねぇの。
予告どおりに投下出来てないことのほうが多いだろ。
156通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 22:16:06 ID:???
気取るほどのこともなし

傭兵だからこそ知己でもおかしくないのに
わざわざ嘘ついて窮地に陥るカリス萌え

傭兵ならどんな展開ができるだろう?
青枠のコウモリぶりを見るに
ガロティファ捕縛尋問
契約が切れていることの確認
ないし報酬の未払いを盾に契約の無効を立証すれば
ザフト側と契約することにして身柄の安全をとれそうな気がする
157通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 22:28:11 ID:???
>>147
なぜそこでガロIN運命を引き合いにだす?
158通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 22:38:21 ID:???
カリスの微妙な迂闊さが良い感じ
159通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 22:45:15 ID:???
微妙ってレベルじゃねーぞw
160通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 22:48:05 ID:???
引き合いに出てはいない気もするが。
批判は建設的にしろってことじゃね?
161通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 00:58:59 ID:???
明日ランの境遇から考えるに、ここで『悪いほうに変わってしまう』ことに不自然さは感じない。
ただ、キャラクターにはそれなりの『らしさ』というか個性があるはずで、
これがイザークやシンなら感情をむき出しにするだろうし、ディアッカなら表面は軽そうに韜晦するだろう。
ニコルなら冷静に黒いことを考えそうだし、レイならば理詰めで怒りをつのらせるだろう。

そういう意味でアスランらしくないというか種死で見せた『追い詰められたアスラン』とはかけ離れてると感じた。

もちろんTVのアスランを「そんなヤツいねぇ!」と思ったならこの改変もありだが。

……と思った。
162通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 02:13:18 ID:???
そう考えると、ガロIN運命の各キャラはそれぞれのキャラらしかったんじゃマイカ?(レイのキャラは新鮮だったが)
扱いが同人アヌメと違うのはテロリストが賛美されるか否かの違いくらいで。
163通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 02:36:20 ID:???
俺的にはレイのキャラはガロードの熱が伝わったってことでアリかな。
それよりも虎にはカガリを連れてさっさと脱走してほしかった。
164通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 07:13:30 ID:???
私はもう少しアスランにはザフトレッドとして、
また最高幹部の息子として自覚をもった行動をして欲しいです。
なんか反応が末端の兵士のそれと同じように感じられてなりません。

あとカリスもガロード達が傭兵と言われているのだから、
前の仕事で知り合ったとう言えばいいのになぜにそんなばれる様な言い訳を…
と、思うばかりです
165 ◆L1QckJlrlM :2007/06/23(土) 07:15:11 ID:???
何とか期限までに間に合ったか?
投稿します
166 ◆L1QckJlrlM :2007/06/23(土) 07:16:02 ID:???
「あ、あち〜〜!!」
「あふ…」

ガロードとティファはストライクから出るとその場でへなへなと座り込んだ。

「おめえ達、もうすぐたんか持ってくっからちょっと待ってろ!」
「あ〜、頼むわ」
「…」

ガロードとティファは互いにパタパタと風を送りあいながら先ほどの戦闘の事を考えていた。
ストライクはゼロと共に早期に出撃、決死艦を抜けたMSの相手をしていた。
その時イージスのパイロットが色々と通信を繋げていたが、ガロード、ティファ共に無視を決め込んでいた。
しばらくイージスとデュエルの相手をしているとアークエンジェルより帰艦命令が来た。
とはいえこちらは2対1、重力圏に入ってすぐイージスは帰って行ったがデュエルはしつこくガロード

達に付いて行った。
その為デュエルの攻撃を避けている内にアークエンジェルに単身で帰還する事は困難となり、
アークエンジェルが移動、ガロード達を拾う事となる。
その時キラのプログラムが良かったのか、コクピットは少し熱くなる程度で済んだ。
もっともそれが長い時間続いたので二人とも暑さでダウンしているのだ。

「おめえら取りあえず病室行けよ」
「りょ〜か〜い」

ガロードがそう言うとガロードとティファは一つの担架に乗せられて運ばれた。
167 ◆L1QckJlrlM :2007/06/23(土) 07:17:08 ID:???
「マニュアルは昨夜見たけど、なかなかたのしそうな機体だねぇ。
しかしまぁ、ストライカーパックも付けられますってのは、俺は宅配便か?」
「はっはっはっは。大尉なら、じゃねぇや、少佐ならどんなとこにもお届けできますってね」
「それに下手な戦闘機よりも火力が強力ですし」
「ま〜な…ハルバートン提督の計らいとはいえ、この状況で昇進してもなぁ。
給料上がんのは嬉しいけどさぁ、いつ使えんの?」
「この坊主の調整のお陰で明日の朝には…」

マードックはそういいながらキラの頭をぐりぐりと撫でた。

「やめてくださいよ、けどいくら調整しても実際に飛ばしてみないと何とも言えませんね」
「確かにな」
「あ〜、うん…そうだな」

フラガは何ともいえない顔でマードックとキラのやり取りを見ていた。
はたから見てもキラの能力は抜きに出ていたしナチュラルではありえない。
しかしその能力はアークエンジェルに欠かす事の出来ないものだし、
フラガも助かっているのだが人間だからといってすぐ納得できるものではない。
なのにマードックはキラの能力を認めていて、自らもそれに学ぼうという姿勢だった。

「ああいう奴が世の中に多かったら戦争は起きなかったのかねぇ?」
「ふー、少佐!今日はこれくらいにしときましょうや」
「調整はほぼ完璧ですが飛ばしてみないと解らない問題はありますね」
「ガロードも一晩寝てすっかり良くなったのはいいが…」
「あの嬢ちゃんはそうは行かないみたいだな」

フラガやマードックが言うようにガロードは大気圏突入の翌日けろっと直ったが、ティファは今だだる

そうにベットで寝ている。
ガロードはそれでもストライクのOSを宇宙用から陸戦用に切り替える為格納庫へ来ているが、
その間の看病はブリッチ要員をお払い箱になったミリアリアがおこなっている。

「こう言っちゃあなんだが…俺達ってダメな大人だね〜」
「…そうですね」

ガロードはいつものように元気いっぱいと言う風に装っているが、実際は心ここにあらずといった感じ

だ。
それでもこのアークエンジェルにとってガロードの力の重要性は解っているので、
己を奮い立たせて調整をおこなっている。

「そういえばあのジンは使えるの?」

フラガはストライクの横に設置してある鹵獲したジンを指差した。

「取りあえずOSはガロードの坊主用に書き換えてありますがまだ調整が…」
「ふ〜ん…俺でも乗れるの?」
「少佐用に調整すれば乗れない事もないと思いますが…結構慣れるのに時間がかかるんじゃ」
「けど俺も乗れるようにしないとね、MS…坊主達ばっかに戦闘を押し付けてちゃまずいっしょ」
「ですね」

フラガとマードックはそうしみじみと言った。
「ミリィ、ティファの調子は…」
「アハハハ、でねぇ…トール?」

トールが雑用<トール、ミリアリアは雑用係になっていた>を終えて病室に来るとミリアリアとティファの笑い声が響いていた。

「その調子なら大丈夫そうだな」
「はい」
「お医者さんの話じゃサウナに長時間入ってのぼせた状態だってさ」
「ふ〜ん、なら平気か」

トールがそう言うとティファはこくりと頷いた。

「そっか」
「けど大事を取ってしばらく寝てなさいだって、それなら部屋でもいいのに」
「ティファ立てるのか?」

トールがそう聞くとベット端に背を預けていたティファはこくんと頷いた。
その後トールとミリアリアが面白おかしくアカデミー時代の話をして、
それを聞いてティファが笑うという構図ができていた。

「ティファ、大丈夫か?」

しばらくしてMSの調整が済んだガロードが病室に入ってきた。
ここまで走ってきたのか息を切らしていたが、ティファがミリアリア達と笑っているの見てほっと息を吐いた。

「大丈夫よ、ね? ティファ」
「はい、ガロード、私は大丈夫だから心配しないで?」
「そっか、うん」

ガロードはティファにそう言われ顔を赤くしながら頷いた。
それをこの前の逆襲とばかりにミリアリアとトールが攻め、ガロードはたじたじになっていた。
勿論ティファは顔をうつむかせて真っ赤になっていた事も追記する。
『第二戦闘配備発令! 繰り返す! 第二戦争配備発令!』
「とうとう来たか!」
「確かここってザフト圏だったんだっけ?」
「ああ、そんじゃ俺は言ってくっから、ティファはまだ大人しく寝ててくれよな!」
「私も…」
「「「駄目」」」

戦闘準備の放送が来ると病室はにわかに慌しくなった
ティファは今まで同様ストライクに自分も乗る為に起き上がろうとしたが、
それをミリアリア、トールそしてガロードに駄目だしを受けた。
その声が重なった為ティファは一瞬きょとんとしたが、意味を受けとると俯いた。
それに動揺したガロードであるがミリアリアに速く行くよう言われしぶしぶその場を後にした。

「大丈夫だって、ガロードはそん所そこらのザフトになんか負けないって」
「それにティファがここにいるんだから絶対帰って来るさ」

そんなティファをミリアリアとトールは励ました。
ティファはそんな二人を見て微かに頷いた。
「坊主! エールはまだ大気圏突入の時にブースターの回路の一部が焼けちまって使えねえ!」
「了解、そんじゃ…ソードとマシンガンをよろしく!」
「わかった」
「ガロード、一応照準は出る様にしているけど射撃はOSの補助は無いから気をつけてね!」
「俺はそっちの方がなれてっから大丈夫だよ」

ガロードはそういって手を挙げるとストライクのコクピットの中に入っていった。

『敵は戦闘ヘリだ、行けるな!?』
「へ、そんなもん余裕だぜ!」
『先に少佐のスカイグラスパーを出す! 重力に気をつけろよ?」
「俺は元々そっちの方が得意なんだよ」
『ふ、そうか。ハッチ開放、スカイグラスパー、ストライク発進!』
『先に行ってるぜ?』

ブリッチとの交信パネルとは別にもう一つのパネルが開き、フラガがそう言って来た。

「へ、おっちゃんこそ落とされんなよ?」
『お兄さんと呼べ! ああもう、スカイグラスパー、ムウ・ラ・フラガ、出るぞ!』

フラガがそう言うとストライクの横をスカイグラスパーが発信して行った。

『続いてストライク、発進どうぞ!』
「おう! ガロード・ラン、ソードストライク、いくぜ!」

それに続くようにストライクは発進した。
「よっ…は、っと!」

ガロードはフラガと共に難なくアークエンジェルの上に乗ったまま戦闘ヘリを落としていった。

「へへ、こんくらいなら楽勝だぜ」
『そうも言ってられなくなったぞ、お客さんだ!』

フラガがそう言うと、四足のキツネの様なロボットが3機地を這うように高速で来た。

「なんだありゃ?」
『TMF/A-802…ザフト軍モビルスーツ、バクゥと確認!』
「あれがモビルスーツ〜?」
『そうだ! 陸戦用に特化しているから気をつけろ!』
「了解!」

ガロードはそう言うと右手に持つマシンガンでバクゥを牽制、
バクゥは1機がそのまま突進し、2機が左右にわかれた。

「そりゃ!」

ガロードはそんな掛け声と共にアークエンジェルを飛び降りた…が、

「うおっとっとっと…」

着地に失敗し砂に足を取られ、体制が崩れる。
しかしそれでも右手に持つマシンガンは正面バクゥに向けられていた。
そのバクゥは一度右に機体を流すと背中に背負っているミサイルランチャーを撃つ。
ガロードはそのミサイルをマシンガンとバルカンで迎撃すると、
バクゥとストライクの間に煙幕ができた。
バクゥはその場で煙幕の方を向いているとそこから一本のワイヤーが伸びてきて、
バクゥの右前足を掴み、ワイヤーは巻き戻った。
抵抗するように背中のミサイルランチャーを撃つも、
それを無視するかのようにストライクは右手を対艦刀に持ち換え、片腕でバクゥを切り裂いた。
「ますは一つ! ってね」

ガロードがそう言い砂漠を歩こうとするも足を砂に取られ、なかなか上手くいかなかった。

「くそ! どうす…うわ!」

アークエンジェルから離れるようにのたのた歩いているストライクを、
残りのバクゥ2機は取り囲んで攻撃を開始する。
その衝撃でコクピットが揺れたがダメージはさほど無いようだ。

「つってもこれじゃあ…ん?」

砲撃が一時やみ、バクゥが煙を上げている。
よく見るとバクゥの近くにジープが何台書いてバクゥを攻撃しているようだ。

「…にしては威力が弱いな〜」

ガロードの世界では車に積む火器は大抵が対MS用の物だ。
これは総じて威力が高く命中精度も上がっている。
これは装甲が硬いMSの少しでも弱い所を狙えるようにそうなっているのだが…
ジープの攻撃はどう見ても嫌がらせ程度であり、当っている場所も装甲が厚そうな場所だ。
ジープはストライクにワイヤーガンを放つと、

『そこのモビルスーツのパイロット! 死にたくなければ、こちらに指示に従え! 
そのポイントにトラップがある! そこまでバクゥを誘き寄せるんだ!』

そう言ってジープは走り出した。

「…それ以外の手も無いし…いっちょ乗ってみるか!」

ガロードはそう言うと機体をジャンプさせた。
指定のあった場所渓谷でそこまで行くとバクゥもそれを追ってきたが、
ガロードは崖の上へワイヤーを伸ばしてジャンプ、その数瞬後にその場所一体は爆風に包まれた。
「え〜と、空は俺達の知って…いや、知らない空だな」
「え?」
「あそこになんか浮いてる」

ガロードが指差す先には砂時計状のコロニー、プラントがあった。
ガロードとティファは砂漠に抱き合って寝転んでいる。
時間を少し戻して、バクゥを追い払うことに成功したアークエンジェルは、
それに協力したレジスタンス『明けの砂漠』と武器を持ったまま話し合った。
それにより協力体制を一時取る事になったのだが、
話がまとまりガロードがストライクから降りると、

「ガロード!」

という声と共によこから誰かがタックル…もとい抱きつく。
ガロードは反応できず、しかし辛うじてティファと解るとティファが正面から倒れないよう自分を下敷きにした。
これに周囲も唖然となったが、それを無視してティファがガロードを気遣った。
それにガロードが大丈夫と答え、その後まが持たずにガロード達は先ほどの会話をした。
そこに金髪の少女が覗き込むように抱き合っている二人を見た。

「…大丈夫か?」
「平気平気…ティファ、起き上がるからそろそろ」
「…はい」

ガロードがそう言うとティファはしぶしぶという感じに起き上がった。
金髪の少女、レジスタンスのリーダーから『カガリ』と呼ばれた少女はそれを溜息を付いてみていた。
175 ◆L1QckJlrlM :2007/06/23(土) 08:34:47 ID:???
ここまで、途中規制もあったけど何とかできたか…
さて、次は砂漠戦本格化っと…
クライマックスは決まっていても途中がまだあやふや…
次に投稿できるのはいつのことやら…
それではこれで
176Exceed4000:2007/06/23(土) 08:52:41 ID:???
リアルタイムGJです!接地圧の変更抜きでよく頑張った!と言いたいです。
やはり砂漠戦ではソードがメインな様で・・・
これからも頑張ってください!
以上携帯よりお送りします。
177通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 09:54:08 ID:???
GJ!
毎度のがティファのほのぼのもさることながら、
こっちが動き難いのなら相手に来てもらおうとでも言わんばかりに、
本編であまり出番のなかったパンツァーアイゼンをうまい事使ってるガロードはやはり流石だ。

レジスタンスに対し抱いた感想のとこで思い出したが、
考えてみればガロードはいわば生身での対MS戦術のエキスパートなんだよな。
ガロードの指導を受けてレジスタンスがレベルアップしたりしてw
178通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 10:14:34 ID:???
GJ!
砂漠に寝転んで空を見上げる二人……
なんかこそばゆいw
179通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 11:45:54 ID:???
◆L1QckJlrlMさん、GJです。
うんうん、ティファ可愛いよティファ
ガロードから見て、レジスタンスが対モビルスーツ戦が下手なのは、しょうがないですね。
他の人も言っておられるけれど、そういう戦い方はガロードの方がプロだし、
逆に、レジスタンスの方は、対モビルスーツ戦なんて初めてに近いし、
こればっかりは経験したり、戦訓を重ねていくしかないですからね。

Exceed4000さんの話は、皆さんも色々言っておられますが、ちょっとカリスが迂闊すぎると思う。
好意的に見れば、性格的に嘘をつきなれていないカリスが、無理に嘘をついて、
状況を悪化させたともとれますけどね、あれは。
そこでちょっと、あの場面を俺なりに考えてみたのですが、
カリスが上官の権限で、ガロードの処分はこっちで決めると宣言、アスラン、ニコルを退出させる。
だが、その事に不満、納得できないアスランが、意見を言うために戻ってきたら、
カリスとガロードが馴れ合っている。これはどういうことだと詰め寄るアスラン、
咄嗟の事で、うまい言い訳、嘘がつけず、例の嘘をつき状況が悪化、ガロ&カリス逃亡へ

ちょっと面倒かもしれませんが、こういう流れではどうでしょうか?
180通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 13:22:41 ID:???
>178
ティファが小麦色に日焼けしちゃうよヽ(`Д´)ノ
181通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 13:49:52 ID:???
>>180
小麦色のティファ…
麦藁帽子とTシャツとミニスカの見た目活発そうな…
うん、新境地だww
182通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 13:59:55 ID:???
ミニスカよりもキュロットを提案
183通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 14:42:22 ID:???
>>180
グゥレイト!オレとこんがり同盟を結成しようぜ!
184 ◆L1QckJlrlM :2007/06/23(土) 17:33:35 ID:???
う〜ん…調べてみたけど今だ良くわからん
砂漠の熱対流ってビームを曲げるみたいですけど上空からの攻撃もやっぱり曲がったりします?

>>176
いえいえ、砂漠戦がソードじゃなくてヘリに一番有効なのがソードってだけです。
だってあれ切れるしブーメランはエネルギー殆ど使わないし弾ぎれないし…

>>177
後ガロードの世界とこちらの世界ではMSができてからの年数が違いますね
よってMSにする対策が専用のものか別のと同じかでかなり効果が変わりますね。
ガロードの指導…う〜ん、考えてはいますがまだOSなり何なりの問題があるからな〜

>>178
そのこそばゆさは別名ラブラブフィールドの効果の一つであると作者は信じます。

>>179
ガロードがプロと言うよりその世界の人はだれでもある程度対処可能と言うだけでしょう。
そうじゃないと生き残れない世界であったんだし…

>>180−181
小麦色とまでは行きませんが軽く焼けたティファと言うのはかなりおつだと思うのは私だけでしょうか?

>>183
はいはい、あなたはサイ君と同じ振られ同盟ですよ?
185通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 18:01:58 ID:???
>>180-181
一念発起して自ら挑戦するが、元々頑健でもない所へいきなり砂漠の太陽に身を晒して、
たちまち日射病+赤焼けヒリヒリでKO、回復しても無念さと自分の迂闊さを恥じて
しばらく引きこもってしまうティファと、心配で戦闘待機どころじゃなくなるガロード…

というビジョンが速攻で見えた俺はフラッシュシステムに対応できるかも。
186通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 18:38:38 ID:???
>>185
残念だが君はカテゴリーM(妄想、ちょっと萌え)と判定された。
187通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 22:27:37 ID:???
>>184
>ガロードがプロと言うよりその世界の人はだれでもある程度対処可能と言うだけでしょう。
そうじゃないと生き残れない世界であったんだし…

ガロードは、AW世界でも抜きん出てた能力を持ってたよ。
初登場時の街でのシーンで、対MSのための自衛団?の人にも感心されたぐらいだし。
188通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 22:32:58 ID:???
ふと思った。
最初にガロードを明けの砂漠のところに落っことして、
そこで戦い方教えたりMS奪って戦ったりしながら仲間を探す為に各地を渡り歩く…
そんなそれなんてボトムズ?なストーリーもガロードなら可能じゃね?
189通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 22:54:30 ID:???
>>184
因みに、1/144ソードストライクの箱の側面の解説文
「アフリカ脱出戦では『砂漠の虎』率いるバクゥ軍団を相手に大立ち回りを演じている。」
190通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 22:56:29 ID:???
街を焼かれてまたバカな真似をしようとするレジスタンスの末路が見えて彼らを止めようとするガロティファか。
191通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 23:14:05 ID:???
ゲリラが拠点ばれた時点でヤバイしな。
192通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 23:30:38 ID:???
っていうか良くも悪くも敵が軍事行動に出てる時に正面から行っちゃ駄目だろゲリラ
ブルコスよろしくテロで非戦闘時に襲って潰す
ザフトも傀儡立てて武器を与え
民族同士にやり合わせるのが基本戦術だろ
193通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 23:38:35 ID:???
正規軍に正面戦闘挑むゲリラがあるかよ。
194通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 00:03:31 ID:???
>181
ティファにはミニスカではなくホットパンツを!ヽ(`Д´)ノ コレハユズレナイ
195通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 00:05:22 ID:???
お前らほどほどにしとかんと描くぞ、キュロットティファ。
板違いな気もするけど。
196通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 00:22:19 ID:???
ガロがバクゥをハンティングするのか?
で、かっぱらったバクゥはジャンク屋か武器商人にでも売って街の復興に当てる、と。
197通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 00:27:49 ID:???
>>195

     描        け      
198通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 01:12:24 ID:???
>>195
そして投下してくれるとうれしい。
199 ◆L1QckJlrlM :2007/06/24(日) 15:15:39 ID:???
えっと、砂漠の熱対流は…
200通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 15:28:32 ID:???
真上からの射撃でもある程度はやっぱり曲がるんじゃないか?
水平に撃つよりは影響少なさそうな気がしないでもないが、なんとなく。
201通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 17:12:50 ID:???
そもそもレーザーに比べてビームに対する熱対流の影響って少ないと思うんだが。
202通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 21:04:38 ID:???
キュロットティファ…
高いところのものを取ろうと背伸びして、ちょっとスカートの奥が。でもキュロット
というシチュが連想で出てきた。想像は出来るが描き起こす技術は俺に無い
203通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 01:33:32 ID:???
>>199
想像で物言うと
地形・地理・季節・時間が影響するだろうからなんとも・・・
地形・窪地なら熱の逃げ口は南面の斜面方向?比較的冷気は日照の少ない面から進入?
地理・マクロで上昇した空気を補うためにどこかから補う?水がある地形や冷気の多い地形から?対流の方向に影響?
季節・陽光は何処から差しているか?季節風は?気圧配置?
時間・太陽はどの位置?どの面を照らしている?
とかが絡みそうで分からん
でベクトル決まったら計算だろ
対流の方向も素直に上にとは限らんだろうし,影響ありで適当にやれば?
204通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 02:06:26 ID:???
203に同意。
空気をイオン化できる程のエネルギーを持つビームを実際にぶっ放した例なんか無いし、
計算しようにも、量子力学における確率およびカオス理論の領域だ。
細かいことは気にしないほうがいいかも。
205通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 22:27:18 ID:???
ビームが曲がってるんじゃなくて
陽炎みたいに空気が揺らいでる所為で狙いが付けづらいんじゃないかな?
と勝手に思ってた
206通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 22:42:20 ID:???
つかそれらしく聞こえれば大嘘でも全然おk。
207通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 22:43:28 ID:???
>>205
確かに。
有視界戦闘だったら、そっちの方が深刻かもしれない。
下手すれば、目標を見失う可能性が高いと思う。
208 ◆L1QckJlrlM :2007/06/26(火) 12:20:41 ID:???
了解です、でわそれらしく書いて見ます…
…私が思うNTの限界が出てくるやも知れませんね
209 ◆xLCCca1qz6 :2007/06/27(水) 15:26:31 ID:???
「そう言えばさ」
「ん?」

ガロードがストライクのOSを砂漠様に書き換えているキラに話しかけた。

「フラガのおっちゃん、俺があのキツネ野郎と戦ってる間何してたんだ?」
「ガロードが1機目を倒す前にヘリを全滅させて、
その後戦艦からの砲弾を食い止めたり敵艦の位置を特定したりしてたよ」
「敵艦? いたのか? 全然見えなかったぞ?」

ガロードがそういって首をかしげるとキラはプログラムし終わったのか画面からガロードへ視線を移し

た。

「うん、居たみたいだね…なんでも砂漠の…なんだっけ…キツネだったかな? そんな事いってたよ。
さっき襲ってきた部隊もその人の指揮する部隊だって」
「ふ〜ん、キツネってのは同意だな、なんかそれっぽい動きするし背中から砲撃するし」
「そうだね」

そう言うとガロードとキラは笑いあった。
なおそれを横で聞いていたフラガは腹を抱えてピクピクと肩を動かしていた。
どうやらキラの『キツネ』発言が壷に入ったようだ。
210 ◆xLCCca1qz6 :2007/06/27(水) 15:27:35 ID:???
「な〜んか慌しいな」
「こっちだって忙しいんだよ?」

キラはそう言うとエールストライカーパックの再調整をしていた。
なおその横ではキラ用の飲み物を持ったミリアリアと整備員の小間使いされているトール、
ミリアリアと一緒にガロードの飲み物と結局食堂に来なかった二人の夕食を持つティファがいる。

「キラ、そっちはどうなの?」
「あと少し…よし、これで地上ではある程度空を飛んでいられるよ」
「サンキュー、やっぱ空飛ぶとなるとエールが一番いいんだよな?」
「そうだね、ソードやバスターだとジャンプが精々で滞空はできないし」
「ねえガロード、やっぱり空からの攻撃って有利なの?」

ミリアリアはティファと共に夕食をガロード達に渡しながら訊いた。

「ああ、空飛んでるってだけで簡単に相手の死角に潜り込めるし、回避もラクだぜ?
それに相手の真上から落ちるだけでも結構な攻撃になるから」
「へ〜」

ミリアリアはそういって頷くと、

『総員! 直ちに帰投! 警戒態勢を取る!』

とアナウンスがアークエンジェルに響いた。

「一体どうしたんだ?」
「何でもレジスタンスの拠点が攻撃されたんだと…
もしかしたら囮かもしれないから坊主達はこっちで待機だ」
「てことはフラガのおっちゃんが?」
「お兄さんだ! ったく…スカイグラスパー、出るぞ!」

フラガのスカイグラスパーが発進した後、格納庫は静かな緊張感に包まれていた。
「え? 援護?」
『ええ、そうよ…流石にレジスタンスじゃバクゥには勝てないわ』
「そうなの?」

ガロードはそう言うと首をかしげた。
ガロード達の世界では闇討ちすれば武装車両がみっつもいて訓練なり修羅場をくぐるなりしていれば、
旧式ならばどうとでもなる。
もっともこの世界とガロード達の世界とでは武装車両の火力が全然違い、
ここの世界はあくまで対戦車用、ガロード達の世界は対MS用だ。
まあ火力の他にMSが登場してから20年近くたっているのと、
1年以下と言うのならば対策の違いがあって当然である。

『と言う訳だからお願いね?』
「了解っす、ティファはどうする?」
「一緒に行きます」

傍らのティファに聞くともう行く準備万端といった具合で、
ベンチシートに座りシートベルトを装着していた。

『装備は一番速いエールで』
「あとバズーカと予備の弾ね! …うし!」
『APU起動…カタパルト、接続。エールストライカー、スタンバイ。
システム、オールグリーン。進路クリアー。ストライク、どうぞ!』
「ティファ・アディール」
「ガロード・ラン「エールストライクガンダム、行くぜ(行きます)!」」

二人の掛け声と共にストライクは四つの大型ブースターをふかし、
砂漠の夜を高速で飛行していった。

「お、見〜っけ…なんだよまだ全然倒せてないじゃん」
「ガロード、あれ…」

ティファが指を指す先では、バクゥが3機バギー10台に囲まれてからだから爆炎を上げている。
もっともそれに応える様子はなく、そのバギーを潰そうとバクゥ達も必死になっていた。

「よし、チャンスだ!」

ストライクはエールパック装備で高高度を飛んでいる。
それでも備え付けのレーダーでバクゥ達を見つけられたのは、
バギーのロケットランチャーの爆炎があったからこそである。

「ティファ、しっかり捕まってるよ!」
「はい!」

ガロードがそう言うとストライクは右手に装備しているビームライフルを構え、ブーストを切った。
推進力を失ったストライクはそれから数瞬もしない内に落下を開始した。
バクゥ隊はストライクの存在に気が付いたのか上を見るものの、構造上真上への攻撃は難しい。
そうしてのたのたしながらもストライクへミサイルを向けたバクゥのすぐ横をビームが横切った。

「…あり?」

ガロードはそういいながら降下から一転上昇し、ビームライフルを2発撃つが、
しかしビームはことごとく外れた。

「…ビームが」
「曲がった…?」

ガロード、ティファはその現象に首を傾げたがミサイルが接近して来たので考えるのをやめ、
そのミサイルをかわし、打ち落としす。

「仕方ねえな、だったらこれで!」

ガロードはそう言うとビームライフルから持ってきたバズーカに切り替える。

「…く………そりゃ!」

バズーカの弾は再度降下したストライクから撃たれ、
バクゥの内一機がその攻撃によりミサイルランチャーに命中、吹っ飛ばされた。
ガロードは最初機体を上下逆にして降下したが、正位置に戻し足から着地した…
一瞬前までいた攻撃されてないバクゥの位置に。
どうやらキラの砂漠対応は完璧なようで、足が埋まったり滑ったりしなかった。

「ち、惜しい」
「ガロード、後ろ!」

ストライクの着地で砂が舞い上がり視界は見えなくなったが、
バクゥ達はそれを好機とミサイルを放ってきた。
ミサイルアラームもなってはいたが砂の影響かどこから来たのかは解らなかっただけに、
ティファの指摘はガロードにとってありがたい物だった。

「うおっと!」

ガロードはブーストを点火、砂を巻き上げつつ水平に左に移動、
偶然そこにいたもう一機のバクゥにケリを食らわせ、バズーカを撃った。
蹴られたバクゥは回避仕切れず翼に当たり、その爆炎がミサイルに誘爆した。

「おしい! …ん?」

すると今までばらばらに攻撃していたバクゥが前二機、後ろ一機の三角形の編隊を組んだ。
三機ははじめ一直線にガロードへ突進、
ガロードがバズーカを撃つと後ろの一機は後退しつつミサイルを発射。
後の二機は左右に別れ、ガロードがミサイルを迎撃しようとバルカンを撃つと、
後ろと斜め右方向から同時に体当たりをしてきた。
ガロードはそれをジャンプする事でかわしたが、バクゥ二機はお互い上手く交差し、
それぞれぶつからずに着地した。
それと同時にアラートが鳴り響き、ミサイルの第二派が来た。
これに対しガロードはミサイルの横に突っ込み、バルカンで当たるものだけを破壊、
そのままミサイルの持つバクゥへバズーカを向けた。
バクゥはそれに対し左右に蛇行しつつ後退し、当たらないようにしつつミサイルを発射するが、
ミサイルをバズーカをバルカンで相打ちにされ、煙幕ができた。
他の二機のバクゥも食いつこうとするも射撃武器を持っておらず、様子を伺っていた。
ガロードは煙幕を利用してシールドを投擲、バクゥはそれを右に避けると、左足にナイフが刺さった。
反対側にはバズーカの弾が当って爆発したことからこちらの方が正解なのだが、
左腕にビームサーベルを装備したストライクがそのままバクゥの胴体を切り払った。
爆発するバクゥを背に残り二体のバクゥを見るストライクに対し、バクゥは撤退をしていった。
「うへ〜、結構やられたな」

ストライクから降りたガロードは、そうひょうひょうと言った。
これに対しカガリが、

「おい、そんな言い方は無いだろう!?」

と言うも、

「復讐って言っても俺が来なきゃ全滅してただろうし、装備も貧弱…
これじゃ八つ当たりって言われても仕方ないぜ?」

と返された。

「なんだと…貴様!見ろ! みんな必死で戦った…戦ってるんだ!
大事な人や大事なものを守るために必死でな!」
「戦えば良いという物ではありません」
「ティファ?」

いつの間にかティファが怪我人の手当てからこちらに来ていた。

「力がなければどの様な思いがあっても、それを叫んでも無意味な事があります…
勿論力があるからと言ってその思いが達成される訳でもありませんが…」
「それじゃあ…それじゃあ一体私達はどうすれば良いんだよ!」
「解りません」
「「え?」」
「思いは人それぞれであり、その思いによって必要な事は別だったりします。
その伝え方、解決方法は決して一つではありません…
その方法はあなたが自分で考えなければいけません」
「自分で…」

カガリはティファの言葉を呆然と聴いていた。
今日はここまで、最初名前間違ってました、すみません
ティファがカガリへ諭した最初の回ですがどうだったでしょうか?

ラクスと違いティファは自分のやりかたをあまり語らないと思います。
あくまでその人にあったやり方がある、
そしてそれは自分が予見した未来へ必ずしも続かない物であると解っています。
なんせガロードに何度も覆されたのですから…
まあ行動力と言う点でも多少は違いますが…

…砂漠のキツネ、もといトラとの会談、どうしようか悩んでいます。
やりますよ? けどその中身が…
戦争の傷跡は知っていても戦争の終わらせ方は…
217通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 15:56:31 ID:???
乙……なんだけど、いつにも増して文章が雑じゃないか?
218 ◆L1QckJlrlM :2007/06/27(水) 16:16:46 ID:???
>>217
あう…
自分では気をつけているつもりではあるんですが…
今日のように昼間のみ無いというのは珍しく時間がある時に書いてるからどうも
戦闘シーンは頭に浮かべばすらすら行くのですが今回は難産で思いついては書き書いては考えを繰り返し…
結果指摘された通り雑になったやも知れません。
これからもこのようなことは無いようにしたいのですがどうなるかはわかりません
これからもご指導のほどよろしくお願いします
219通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 17:03:59 ID:???
せめて改行はちゃんとしようぜ!
220通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 17:23:09 ID:???
おいおい まずはねぎらおうな。GJってさ。
改行は問題無いようにみえるぜ?てにをはが、ちっと乱れてるけど。

まあとにかく、うpスゲーうれしい。
221 ◆L1QckJlrlM :2007/06/27(水) 17:39:33 ID:???
>>219
あれ?
改行は気を使っているしPCでは問題ないと思ったのですが…
携帯からの場合変に写るのか? どうすれば…

>>220
ありがとうございます

>てにおはが
えっと…タイプミスでしょうか?
222通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 17:47:00 ID:???
てにをは……助詞のこと
223通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 18:12:00 ID:???
あなたを犯人です
こんなんだな、「てにをは」がおかしいってのは。
224 ◆L1QckJlrlM :2007/06/27(水) 18:15:32 ID:???
なるほど…気をつけます
225通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 19:01:51 ID:???
>>221
いや俺もPCで見てるが>>209に変な改行で出来た空白の行がある
226通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 23:37:06 ID:???
虎との対談かぁ……

ここは一つ、「彼女」の活躍に期待するぞ。
227通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 00:06:05 ID:???
遅ればせながらGJ!
>「戦えば良いという物ではありません」
これを字面で見た時ラクスの言い様と被って見えてしまったorz
その後の発言で根本が違うのは容易に理解できたが、
どちらも一応『電波系ヒロイン』という同じカテゴリーに分類されるのだという事を今更ながらに思い出したよ。

そういえばAWでもビームの屈折云々は間違いなくあった筈なわけで…(流石に砂漠戦ほどではないだろうが)
その辺どうなってたんだろう、
地形、気候によって状況は千差万別だろうから自動調整とか付いていたのか?
228通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 01:41:20 ID:???
まあ、OSの精度が段違いだから
Xの方は照準自動補正ぐらいついてても
違和感ないな
229通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 03:15:28 ID:???
話変わるがACEでXと無印種が共演するそうな。
あのDOME行く時の戦闘がヤキン戦みたいに横から乱入して殲滅するとかいう
アホなことにならないか心配だ・・・
その逆でガロードがヤキンでサテライトぶっ放なすのも嫌だ・・・
230通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 07:32:52 ID:???
ジェネシスに向ける分にはいいんじゃね?>サテキャ
艦砲はろくに効いてなかったようだし…
231通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 09:33:19 ID:???
>>229
>ACEでXと無印種
を見てACE COMBAT Xと無印種だと思った俺は間違いなくスレ違い。
232通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 13:31:04 ID:???
<<南十字星を墜とせ!>>
動かせるエアマスターとレオパルドにドキドキが止まりませんぜw
233通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 16:09:30 ID:???
Gファルコンとの合体はあるかな?
あの変形機構と火力を手にしたパーフェクトDXで暴れてーぜw
234通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 17:21:12 ID:???
>>233
何そのまぬけなメル欄
235通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 17:35:10 ID:???
>>234
失礼。最近この業界はいった新人なもので。
236通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 20:27:06 ID:???
ちょwww
デザートロンメルwwwwwww
237通常の名無しさんの3倍:2007/06/29(金) 12:06:05 ID:???
ネタが・・・
238通常の名無しさんの3倍:2007/06/29(金) 17:43:37 ID:???
無いなら振ればいいじゃない。

というわけで一つ。
C.Eの遥か昔にA.Wが存在したとして(∀による文明埋葬等によって)、
それでもなお残っている物があるとしたらどんなのだろう?
239通常の名無しさんの3倍:2007/06/29(金) 17:57:34 ID:???
地球と月。
240通常の名無しさんの3倍:2007/06/29(金) 19:02:10 ID:???
月は何時でもそこにある
241通常の名無しさんの3倍:2007/06/29(金) 20:48:08 ID:???
パソに触ってなかったらSS投下されてた、GJ!ただ少し今回はやっぱり雑だった気もする・・・
砂漠の狐ロンメル元帥(将軍?)か、役でいうとMSVのモーガン・シュバリエだね
戦車隊にエル・アラメインは月下の狂犬と共通してるし
ちなみに生物学者のモーガンと顔が似ている(手かこの人がモデルだろうな、顔と名前は
横にそれたけど投下乙、カガリとティファのシーンはよかったよ

本スレも見たけどACEでXとSEEDが参戦か、Xファンとしては嬉しいね
待遇が良ければいいんだけど・・・楽しみだな
242通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 00:16:01 ID:???
種世界のビーム兵器はビームとは名ばかりのレーザー光線のようなもの。
砂漠の熱対流ごときで曲がったり、ラミネート装甲なんてもので防げる位だし。
ネロブリッツとやらのクリスタル化装備の説明で確信した。
何でもビームを内部屈折させて撃ち返すといった使い方をするものだが、
プラズマ化した金属粒子が固体を通り抜けたり跳ね返ったりするものだろうか?
243通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 01:22:07 ID:???
い、言われてみれば……
244通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 09:00:45 ID:???
確かに粒子ビームなら熱量のみならず運動エネルギーで
ダメージを与えられるはずだし・・・
UCでは粒子ビームがメインで
CEではレーザービームがメインなんだろうか?
245通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 13:03:29 ID:???
だがCEのビームはプラズマだと言う謎。
246通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 13:54:25 ID:???
つまり種のビームは心霊現象と同レベル。
そりゃ簡単に無効化されるわ。
247通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 14:00:17 ID:???
レッドフレームはプラグからびビームに使うエネルギーを直接出して球状にできるし
種のビームは謎が多い。
248通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 15:07:57 ID:???
>>246
大○教授乙

成金ピカツキの「装甲表面でビームを受け止めて、任意の方向に撃ち返す」
なんて超技術を出した種世界で物理を語っちゃいけないような気がするぜw
249通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 16:24:44 ID:???
種のビームは陽電子砲なども含めて、その全てが怪しい光線、すなわち
『怪光線』であるという説をここで発表する
250通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 18:17:01 ID:???
つまり機械獣や戦闘獣と同じか。マジンガーの出番だな。
251通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 19:06:30 ID:???
よし、割れるバリヤーの開発だ!
252通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 20:31:06 ID:???
ゲシュマイディッヒバンツァーやアルミューレ・リュミエールはUCのビームに対しては全くの無力であろう。
最強武器もレーザー対艦刀だからな……
ビームサーベルもビームとは名ばかりのレーザー剣なのだろう。
ところでCEのビームもどきはUC他のMSに通用するのだろうか?
気休め程度のビームコーティングで弾かれてしまうような気がするのだが……
253通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 20:43:17 ID:???
CEの怪光線は粒子ビームの短所とレーザーの短所を併せ持つ!
254通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 21:05:56 ID:???
つまりプロテクトシェードにもミラーコーティングにも無力だと
255通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 21:36:19 ID:???
ああ、そうかだからPS装甲なんて代物が流行ったんだ
実弾技術が恐ろしいほどに発展したからそれに対しての対抗策は進んだけどビームと言うかレーザーには
まったく防御方法を考えていなかったからこそある意味全盛期なわけだ
256通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 22:07:39 ID:???
しかしCEにはチタン系の合金を安く大量に精製する技術がない。
やっとの事で開発された新合金はジャンク屋に奪われ、無駄遣いされてしまった。
257通常の名無しさんの3倍:2007/06/30(土) 22:32:40 ID:???
Ex氏が水曜日から投下する訳だが08スレの三人目よろし大ポカやってド顰蹙食らわなければいいけど
クロスアストレイ氏もDC氏もやっぱり忙しいのかな・・・
258通常の名無しさんの3倍:2007/07/01(日) 15:17:16 ID:???
>>256
いくらチタン合金だろうと負債製のスーパー合金作ろうと、
CEの連中は一枚板の硬くて衝撃をよく通すワケわからん装甲しか作れんよ。
複合装甲を知らないんだから。
259通常の名無しさんの3倍:2007/07/02(月) 22:09:53 ID:???
トランスフェイズ装甲はある意味複合装甲じゃないか?
260通常の名無しさんの3倍:2007/07/02(月) 22:42:49 ID:???
PS装甲を通常装甲(どんなもんか知らんが)で覆っただけだろ。
結局ビームに弱いし圧力センサーおしゃかになったらPS化もしなくなるしな。
通常装甲がよほど衝撃を吸収しないとただ二枚板にしただけで意味なさそうだ。
261通常の名無しさんの3倍:2007/07/02(月) 23:10:08 ID:???
ビームに弱いのは極端に厨臭いヤツ以外どれも一緒じゃん。
262通常の名無しさんの3倍:2007/07/02(月) 23:17:28 ID:???
PS装甲は通常装甲よりはビームに強いとされてはいるんだが……
ビームコーティングの類が出来ないんだろうな。
あれ?TP装甲って、ビームにも強くなれる可能性があるんだ。
263通常の名無しさんの3倍:2007/07/02(月) 23:29:55 ID:???
つーか通常装甲にアンチビームコーティングした方が種前半はともかく
後半と種死以降ならVPS・TP装甲より強いだろ。
264通常の名無しさんの3倍:2007/07/02(月) 23:42:42 ID:???
主任「ええい、わがままな連中だな。ならば基礎となる装甲は発泡金属、その上にTP装甲を重ねようじゃないか。
   さらにビームへの耐性を付けるため、TP装甲の外側部分は通常装甲からラミネート装甲に置き換えてみたぞ。
   なに、MSサイズでラミネート装甲は意味がないだと? 心配するな、強制廃熱装置を大幅に増設して廃熱対策も万全だ。
   次期量産MSを決めるコンペティションで有象無象を蹴散らす日が楽しみだな!」






〜コンペ当日〜

助手「……重過ぎていい的になってます」
265通常の名無しさんの3倍:2007/07/02(月) 23:46:49 ID:???
子供の時に皆が一度は考える、「盾の材質で装甲作ればいいのに」と同じだw
266通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 00:01:24 ID:???
>>265
実際問題盾の欠点である寿命の短さも
一会戦乗り切れる
何十機も落とされている
ことを考えると、コスト的に考えても
優秀なパイロットの機体に付けてもいいような気が駿河
267通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 00:11:56 ID:???
>>264
そこまでしなくても発泡金属にビームコーティングだけで十分。
コーティング量にもよるがアグニクラスまでなら耐えるとみた。
268通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 00:56:50 ID:???
UCのMSは盾も装甲も素材は変わらない希ガス……
但し盾は分厚くできるし、デッドウェイトになりそうなら捨てるなり、最初から装備しないといった選択肢がある。
269通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 01:08:05 ID:???
ベテランならその方が強いかもな。
「当たらなければどうということはない」このためにある言葉だな。
270通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 18:47:32 ID:???
ヤタノカガミの下にPS装甲してTS装甲にすればいいんじゃね?
271通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 19:44:02 ID:???
陽電子リフレクター+PS装甲でFAじゃね?
272通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 21:09:19 ID:???
アルミューレリュミエール常時展開しとけばビーム・実弾
ばっちこーいじゃん。
273通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 21:39:25 ID:???
いい加減スレ違いだぞ、明日Exceed氏が投下するんだしそのくらいにしておけ
274通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 21:54:18 ID:oAyPnaHF
オーケー、コーヒー飲んで落ち着こうぜブラザー。
275Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/04(水) 02:40:55 ID:???
久々にスレの中を見に来ましたが、曜日を間違ったせいか、1日違っているせいか、なかなか大変な事になっているようで……

次回投下を2007/07/05 20:10:18としたのはよく見に行っているX運命氏の第一話が投下されたのが
一年前の2006/07/05 20:10:18だった訳で(X運命氏のサイト、コーヒー過去ログを参照に。まさか気づいていた人板のかな?)。
と言ってもミナさんをこれ以上待たす訳にもいかないので、明日投下します。

一応37話、オーブ近海の戦闘まで書き終わったのでコーヒー飲みつつ一息吐いています。
Xからのキャラも、声ネタ含め更に二人も出して整合性を取るのは結構きつかったなあ……と。
ガロード、ティファ、カリスの脱出行は?ジブラルタルは?ビクトリアは?カガリとは、虎とはどうなるの?アスランたちの動向は?
疑問は尽きないと思いますが、他の種再構成スレを参考に色々と頑張りました。

38話以降の続きは鋭意執筆中ですので、これからも宜しくお願い致します。
では、また後程。
276通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 11:04:02 ID:???
あのままフェードアウトかと思ったが続き書いてたんだ。
今まで散々突っ込まれてたのに、そんなにまとめて書いて大丈夫か?
277通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 18:35:37 ID:???
続き書くのは別に構わんが、
ストーリー展開のためにキャラを不自然なレベルの阿呆に貶めるのは勘弁してくれ。
278Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/04(水) 20:10:25 ID:???
第二十五話投下します。凸とわかめの扱い苦労しました。

機動新世紀XSEED   第二十五話「仕方ありませんね……」

基地内に警報が鳴り響いた時、ニコルは格納庫のメンテナンスベッドにある自分の機体に向かっている途中だった。
あの傭兵が捕えられている部屋でアスランが銃を撃った直後、傭兵と副指令……だった人を追おうと出入り口に向かって走る彼から、直ぐに自分の機体に向かうように直接言われたのだ。
理由は訊く前に相手が言ってくる。曰く、『MSを使って逃亡されたら洒落にもならない』との事。
野暮な事をしてあの状況で彼をあれ以上怒らせれば、間違いなく冗談抜きで脅しの矛先は自分に向いていたのではないかと思うと、ニコルは背筋に僅かばかりの悪寒を感じた。
今彼は正直な事を言えば、アスランに対して良い感情を抱けないでいる。
確かにあの傭兵が乗った機体によって多くの仲間達が散っていき、アスラン自身も先の戦闘に於いて彼等に当たったせいで捕虜となった事は事実だ。
だが、だからと言って問答無用で射殺して良いという事ではない。
尋問くらいは許されているので訊くべき事……あの超能力じみた戦闘能力は一体何なのかと……は訊いておかねばならない。彼らの仕事上自分達が知っていない事を知っていそうだったからだ。
だから出来るだけ人払いをさせて簡単な事を訊こうとしたその時にアスランが来た為にそれは頓挫してしまった。
そうこう考えている内に自分の機体の前にやって来る。
格納庫の中は地球のあちこちに回される数多くのMSの周りを、やはり多くのスタッフがあちこちに忙しなく動き回り、起きている事の重大さを鮮やかに物語っていた。
ニコルはすぐに近くにいたスタッフの一人を捕まえて、自分の機体の状態について訊こうとする。
だがその時、格納庫の出入り口から凄まじい轟音と爆風が襲い掛かってきた。
背後に気を配っていなかった者達は一瞬にして方々に吹き飛ばされる。
彼もやはり同じ様に吹き飛ばされるが、床に身が当たる直前にとった受身の姿勢で何とか手負いにはならずに済んだ。
ふと2〜3m程右隣を見ると、先程自分に応対しようとしていたスタッフがその場に転がっている。
ピクリとも動かない所を見ると、どうやら気絶しているか、打ち所が悪くてこと切れたかのどちらかのようだった。
次に意識が朦朧とした中で濛々と煙のたちこめる入り口付近に彼が見たのは、ノーティラス副司令官が数多の戦場で駆っていたとされているMSだった。
真っ白な色で流線型且つシャープな形のパーツが多く使われている、時代の先鋭を走ったようなデザイン。
正規のザフト製MSではなく極秘開発されていたと噂されていた、そのMSの名前を彼は一度だけ周りの人間から聞いた事があった……ヴェルティゴ、と。
それはゆっくりと中に入って来た後、外部スピーカーを通じて大声を上げる。
『ガロード、ティファ ! 今です ! 』
すると次の瞬間、爆煙の中からあの傭兵二人の影がこちらに向かって走ってくるのが見えてきた。
こちらに向かってくるのを確認したニコルは、その場に立ち込める煙と塵に軽く咽ながらすかさず銃を構え威嚇射撃をするが、全く応えないかのように走り続ける。
威嚇が用を成さないと思った後、次に本気で二人の内少年の方に狙いをすまして撃ってみる。
しかしその一発は少女の方が少年と繋がれている方の手を引っ張った為に、すんでの所でかわされてしまう。
279Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/04(水) 20:11:33 ID:???
やっぱり、とニコルは思った。
戦場でどうしてあんな敵の動きを悉く先読み出来る様な動きが出来たのか、鍵を握っているのはあの少女の方だと。
とはいえ銃弾という物を避けるには距離にも方向にも、そして数にも限度がある筈だ。
そう思って試しに二人に向けて4発ほぼ同時に撃ってみる。
一発目は少年の方の頬を、二発目は少女と繋がれている手の真上を掠めていく。
しかし三発目と四発目はやはり少女の方が先に動き、弾をかわす絶妙のタイミングで咄嗟に少年の方に体を寄せつつ、横っ飛びに跳躍する。
そして若干スピードを落としたものの、自分の目の前にあるブリッツまであと5〜6mという所にまで迫った。
その時になって漸く周りから保安要員や兵士等が銃を構える音が聞こえ始める。その数は一瞬聞こえただけでざっと20くらいだった。
だが全ては遅かった。こんな距離になっては彼にまで当たってしまうかもしれないし、煙と塵のせいで余計に照準が定まらないだろう。
かくなるうえは徒手格闘しかないと思い、ニコルは銃を捨て少年を気絶させるべく下腹の辺りに一撃を喰らわそうと拳を勢い良く前に出す。
だがその時、少女の方が先に半歩程少年の前に躍り出て、真正面からそれを下腹辺りに自ら受け止めた。
次の瞬間、「あうぅっ !! 」という高く小さな呻き声と共に少女はその場に崩折れ、そのまま気を失ってしまう。
まさかの出来事にニコルは刹那の間その場に固まってしまう。
少年はニコルが最初からティファを狙っていた様にでも見えたのだろうか、烈火の如く大声で怒鳴る。
「てめぇっ !!! よくもティファをっ !!! 」
「待って、ふか…… !!! 」
不可抗力だと言おうとしたが最後まで言い切る事が出来なかった。
信じられないほど素早く少年が前に向かって駆け出し、ハイキックで拳を握り締めたままの自分の顔の右側に蹴りを入れてきたからだ。
いつものニコルなら避けられない事も無い、所詮は全く脅威になりえないナチュラルの繰り出す蹴り。
しかし何故か彼はそれをまともに受けてよろめいてしまう。
それはどういった立場にしろ、女性に対してはあまり手を上げる様な乱暴な真似をしたくないというニコルの意識の裏打ちか。
ともかく少年にとってはその一瞬があれば十分だった。
彼は少女を抱え上げ近くにあったブリッツのコクピットに乗り込むべく、幸運にも下に降りていたワイヤーに足をかけ上に昇る。
やがて意識が薄れていき、そしていきなり強く床に叩きつけられたせいか体の節々が上手く動かないニコルが気を失う直前に見た物……それは調整中と言われた愛機のコクピットに吸い込まれていく二人の人影だった。
280Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/04(水) 20:12:48 ID:???
ガロードは頬と右手から流れる血を拭き取りながらブリッツのコクピットに座る。
気絶しているティファは自分の膝元に寝かせた状態にした。
その時、あのアークエンジェルから脱出したザフト兵ことアスランの仲間はつくづく碌な人間がいないのではと思わされる。
当の彼は言うまでも無く、ニコルだとかいった坊ちゃん育ちそうなやつも、理解力がありそうな顔をしてティファの体を思いっきり殴りつけた。
事態が事態だけに一発だけキックをお見舞いするだけにしたが、本当だったらコーディネーターだろうがなんだろうが関係無くボッコボコにしているところだった。
さて奪取されたXナンバーの機体の一つを奪いかえしたはいいものの、ガロードにとってこれは当たり前だが未知の機体だった。
ザフト製のMSしか動かした事のないガロードにとって、イージスのコクピットをちらとも見なかったので連合のMSはどうすれば動きだすのか皆目見当がつかない。
また二人が乗った時にコクピットハッチが閉まったとはいえ早く起動させなければ、敵が無理矢理乗り込んできてあっという間にホールドアップになってしまう。
「ちくしょう ! どれだ ? どれが起動スイッチなんだよ ?!! 」
様々なボタンを押していると、外から短機関銃の音が止む事無しに鳴り始める。
早く何とかしなければ……
そしてそれは恐らく色々なボタンを50回近くは押した後だったろうか、不意にブンという駆動音がして様々な箇所に光が灯りだす。
それに伴いモニターも外の様子を映し出し始めた。
その直後自分の視界の左から右に多数の銃弾が流れて行き、右側でMSにでも当たったのか多くの爆発が起こる。
MSの頭部メインモニターをレバーで動かすと、ヴェルティゴが内蔵ビームライフルを構えていた。
更に外部スピーカーからカリスの声が聞こえてくる。
「ここは一旦僕がくい止めます !! 」
ガロードは無言で頷き、ゆっくりと目の前にあるレバーを動かしだす。
次にエンジンが低く唸るような音を立て始め、両足がぎこちなく動き出した。
全くといって良いほど整備を受けていない様なぎくしゃくとしたその動きに、どこかおかしいと思っていたガロードははっとする。
連合が開発したMSとはいえ、これのOSはコーディネーター用の調整が成されているのだ。
ナチュラルのガロードが動かした所で幼児並みの動きしか出来ないのは仕方がない。
と言った所で、こんな状況で直ぐにOSの書き換えなんか出来る訳が無い。
そんな事が出来るのは彼が知っている人物で思いつく限り、今はアークエンジェルにいるキラぐらいしかいない。
しかし、今は出来るだけの事をしなければ命の保証は無い。
自分でも出来るだけ精一杯の速さで色々なスロットルを動かすが、それでもかなり鈍い動きだ。
コーディネーター達が見れば鈍重とかそう言う前に不器用な方だと断じ切っているだろう。
2〜3歩歩みだすと直ぐによろめいてしまう。
と、その様子を見ていたヴェルティゴが側まで駆けつけて両脇を抱える。カリスにもガロードが機体を上手く動かす事が出来ないと分かったらしい。
それから直ぐに通信が入った。
『ガロード !! 君達の仲間が居る場所はこちらでもある程度掴んでいます。機体の調整はそこに向かうまでに出来るだけの範囲で済ませられますか ? 』
「……やってみる !! 」
それ以上ガロードは答えないようにした。
OSの調整なんてこの世界に来てから片手の指を折って数えるぐらいしかやった事がないし、キラがそれをやっているであろう光景も感心しながら数秒目に留めている程度でしかない。
完全に勘の範疇で調整するしかなかった。
その間にもヴェルティゴはブリッツをその場から引き離し、スラスターを全開にして格納庫から出ようとする。
281Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/04(水) 20:14:11 ID:???
しかしそんな時、目の前に立ち塞がる者がいる。
格納庫の外に出たヴェルティゴとブリッツの視界の前に現れたのは後方に何十機ものジンやディン、シグーやザウート、バクゥを引き連れたバスターとデュエルだった。
多くの味方を引き連れているあたり、恐らく待ち伏せでもしていたのだろう。さすがに敵の地上一大拠点というあたり半端ではない。
そこから逃げる為に間合いを取るカリスと必死になって機体の調整を行うガロードに、耳を劈くような大声が音声通信で入ってくる。
『しれいか……いや、違うっ ! 貴様っ !! よくもニコルを人質にしたな ?!! 』
当然の事だが、バスターとデュエルに乗っているであろうニコルという人物の同僚は、先程の格納庫の顛末を見ていないので、ブリッツには違う人物がいるという事を知らないのだろう。
ガロードがそれは違うと言おうとしたが、それより先にカリスの方が相手に向かって通信を入れる。
『そこから一歩でも動いたり、こちらに向かって発砲したりするような事があればこのMSを破壊します。僕の力は良くご存知でしょう ? 簡単に同僚を失う事になってもいいのですか ? 』
その言葉の後に、ヴェルティゴは内蔵ビームライフルをブリッツのコクピット近くに突きつける。
成程ね……とガロードは納得した。
つまり傭兵である自分達はヴェルティゴにカリスと共に乗っている事にして、このブリッツにニコルという人物を乗せたまま人質にした状態でここから逃亡しようというのである。
それなら下手に相手は手を出す事は出来ない。
カリスの目論見は当たったらしく、敵は武器を構えたままその場に立ちつくす。
それを確認したヴェルティゴはスラスターを吹かして滑走路の方へ向かう。
相手が撃ってくる気配が無い事からガロードは一瞬上手くいったと思った。
ところがその場から飛び立つ直前、一発の砲弾がヴェルティゴの機体の横を掠めた。
ガロードとカリスがぎょっとしてその方向を見ると、一機のディンが空中に上がった状態でこちらに狙いをすましていた。
そしてそのディンから一つの怒号が聞こえてくる。銃で足を撃ち抜かれたはずのアスランのものだった。
『それに本当にニコルが乗っているのか ? なら通信の一つでもこちらに入れてくるはずじゃないのか ? 』
『僕は彼がこの機体の中で気絶しているだけだと思いますが、それが何か ? 』
それにはカリスが凛とした声で反論する。
実際、彼は本当に気絶していた。カリスとガロードのいる所から150m程背後にある格納庫の中でだが。
また、その場にアスランがいる事にやはり味方内も驚いたらしく、心配した同僚と、怒鳴る様なそれへの応対の様子がその場に駄々漏れになる。
『アスラン、お前銃で撃ちぬかれたって……』
『撃たれたのは足の甲だけだ ! それに片足だけででもMSの操縦くらいは出来る ! それと、聞こえなかったのか ! 敵に買われた傭兵と共に副指令殿が逃走したんだぞ ! 』
いや、そうだとしても……
イザーク達はそう思ってその場で判断を鈍らせてしまう。
だが、そんな風にしている者達に対し焚きつける様なアスランの声が再び響く。
『気絶していなければニコルだって伊達に赤を着ている訳じゃないんだぞ ! 反抗できない訳は無いだろう ! ……元副指令殿の乗った機体を落とせ ! 』
しかし、その場に居る全員にとってはいかに彼が赤を纏っているとはいえ、一介の兵士にしか過ぎない彼がどれだけ喚いたとてそこにいる兵が動きはしない。
だがその様子に業を煮やしたディンはその方向に向かって飛び立ち、MMI-M7S 76mm重突撃機銃、MMI-M1001 90mm対空散弾銃、6連装多目的ランチャーの全てを乱れ打ちしてヴェルティゴに迫った。
282Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/04(水) 20:16:33 ID:???
それと同時にアスランは再び全周波で全員に再び挑発する様な通信を入れる。
『人質を取っている敵というのはな……その間にほぼ無防備になる。人質に当たらない様に撃つ事が出来ないほどお前達の射撃の腕は下手なのか ?! 』
『なっ ! 何をーっ ?! アスラン貴様よくも言ったなァーッ !! 』
『落ち着け、二人とも !! ……チィッ !! 言われなくたってやってやるよ !! 』
先ず挑発に反応したのはイザークで高エネルギービームライフルを撃ち出し、続く様にバスターが遅れて高エネルギー収束火線ライフルと6連装ミサイルポッド、更にジンとシグーが重突撃機銃、
ターレットオプション武装を施したバクゥが2連装レールガンか13連装ミサイルポッド、ディンがアスランと同じ武装で、挙句にザウートが全ての砲を乱れ打ちしてヴェルティゴとブリッツを襲い始める。
ブリッツを抱えている為にヴェルティゴは上手いこと素早く動く事が出来ないので、必死で避け続けてはいるもののあちこち被弾していく。
これでは反撃するどころの話ではない。
ガロード達のいた世界では軽く頑丈な事で知られるルナ・チタニウム装甲で守られているとはいえ、このままでは墜とされてしまう。
その時ガロードは通信機越しにカリスの低く小さな、しかし苦々しげな声を聞いた。
『仕方ありませんね……これはあの戦闘の時既に修理は出来ていましたが、体の事もあってこっちに来てから使うのを憚っていました。でも……今また使わせて頂きます !! 』
その直後ヴェルティゴの腕部アーマーの辺りから小さい粒の様な機械が射出される。
それを見た瞬間ガロードはあっと小さく叫んでしまう。
かつて彼自身をA.W世界でカリスと初めて対峙した際、大いに苦しめた小型無人ビーム砲台、ビット。
死角という物が存在せず、全方位の敵に対し、その敵機を中心に全方位から攻撃できる兵器をカリスは使うのだから。
片方の腕から6基ずつ、計12基放たれたビットは非常に正確な攻撃で数多くの敵を撃墜していく。
それは突然前後左右から発射されたビームと言ってもいい。
なす術も無く四散した機体のパイロットは、何が起こったかも分からないまま機体と運命を共にしたことだろう。
目にした事も無い異様な攻撃の様子に敵兵達は一瞬たじろぐが恐れる事無く砲撃を再開する。
そしてあと僅かで真下は滑走路の端だという時、ビットを操っていたカリスは息を飲んでしまう。
味方の砲撃、ビットの攻撃を避け続けたアスランの乗ったディンがビームを発射する寸前のビットの一基を、エネルギーの逆流を利用したのか一発の砲弾で撃ち落としたからだ。
しかし残ったビットも負けんとばかりにディンの武装や装甲を次々に撃ち落していく。
そしてそれが最後と言わんばかりにヴェルティゴは一つ欠けた全てのビットを再び機体の中に格納し、その場から飛び去って行った。
283Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/04(水) 20:17:30 ID:???
ヴェルティゴとブリッツの二機が水平線の彼方に消えたのを見たアスランは、ディンを地上に降ろしコクピットから降りた。
その時になって自分の右足の甲を疼痛が襲い始める。
パイロットスーツの下に着ていたシャツの一部を無理に破って作った、足に巻いた止血用の布は真っ赤に染まっていた。
気づけば顔にもじっとりとした脂汗が浮かんでいる。
よくこんな状態でMSを操縦し、あんな動きをしたものだと自分でも感心してしまう。
元々このディンは足をやられた彼が、ブリッツ等があるところとは別の格納庫で整備員を怒鳴りつけて殆ど無理矢理借りてきた物だ。
整備員は手負いの彼を乗せる事は丁重に拒否したかったが、鬼気迫る彼には無駄であった。
だが冷静になって考えれば、それも含めかなりの無茶をしたと言える。
捕虜の殺害未遂、人質がいる状況でそれの命を無視した敵機への攻撃。
激情に駆られた行動でレッド降格は免れないか……と、ぼんやりと思う。
後ろではヴェルティゴの正体不明とも言える攻撃でやられた機体への消火活動が続いている。
撃墜された機体は全部で20から30、損傷を負わされた機体に至ってはそれ以上に及ぶだろう。
あの攻撃が再びこのジブラルタルになされたらと考えると彼ですら身震いがしてくる。
そうなれば言うまでも無く壊滅は間違いないからだ。
そう考えてふと10m程先を見ると自分が破壊した謎に包まれたヴェルティゴの攻撃端末の破片が転がっていた。
他の破片は海にでも落ちたのだろうかそこにあるのはその一片きりである。
負傷した足を無理矢理動かしてそこまで来たアスランは、その破片に指先で数回触れてみた。
既に熱くはなってない事を確認して拾い上げる。
大きさはCD-R程、厚さは一般的な電話帳くらいあった。
それにも拘らず重さはとてつもない軽さ。同じ形の物で例えてみるならアルミニウムと良い勝負をしているかもしれない。
しかしアルミだとすればMSの装甲に使える訳が無い。使っていたならヴェルティゴは跡形も無く破壊されていた筈だ。
だがあれは大量に被弾しても碌に傷つく事無く飛行し続けていた。ますます不思議な事だ。
そう思いアスランはポケットに手を突っ込んである物を出す。
それは基地の出入り口近くで傭兵を狙撃した際に、散らばった少女の方の毛髪の一筋。
別に彼女に対して危ない趣味が出た訳ではない。自身そういった物を持っている訳でもない。
彼はあの直後少しだけ冷静になって頭をフル回転させていた。
以前ナチュラルが、こちらから鹵獲したジンを戦場にそのまま流用しているのを見た事があった。
だがその動きは敵なりの整備を受けていたとはいえあまりにも鈍重で唯の的だと言ってもおかしくはなかった。
だからナチュラルが自分達と同程度にMSを操るなど出来はしない。
しかしキラというコーディネーターが連合についているという例があるのだから、MSを使って自分達を苦しめた二人の内どちらかがコーディネーターかもしれないという疑念があった。
どちらかといえば少年の方からは言動からあまりそういった雰囲気はしなかったが、少女の方がその雰囲気が感じられた。
その結果として今自分の手の中にその手懸かりがある訳なのだが。
遺伝子を調整していれば必ず痕跡が専門家によって見つかる筈……
アスランは二機の去った方向を忌々しげに見つめた後、再びディンに乗って格納庫に向かって行った。
284Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/04(水) 20:21:56 ID:???
投下終了します。
もう何も言いません。
では、また後程。
285通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 21:45:40 ID:???
GJ!
そしてニコル災難w

>捕虜の殺害未遂、人質がいる状況でそれの命を無視した敵機への攻撃。
激情に駆られた行動でレッド降格は免れないか……と、ぼんやりと思う。

アスラン結局自分の事しか考えてないな・・・
今回の人質がいる状況でのなりふり構わない攻撃に加え、
さらに言えば前にガロード達に発砲した時に一歩間違えば味方に当たってた事に
反省や自己嫌悪するのなら分かるが真っ先に自分の心配とは実に大したご身分だ。
286通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 21:50:26 ID:???
だって、凸だからね
所詮その程度さ


まあ、それは置いておいてニコルよ・・・生きてくれよ〜
287通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 22:00:35 ID:???
>>284
乙です。
凸は今回の件で降格にならなかったとしても
後々同僚や部下からの反感買う可能性大だな。
仮にも一般兵士(緑服)の上に立つ人間が
あれだけの自己厨な真似を衆人環視でやらかしたんだから
288通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 22:07:03 ID:???
GJ!
しかし身勝手云々を除いて見れば寝返り後状態どころか、
どこぞのスーパーコーディネイター様並の芸当をやってのけているんだが…>凸
しかもC.Eの人間に渡っちゃいけないものベストテンくらいの物が二つも手元に転がり込んでるしw
これはあれか、いわゆるラスボスフラグというヤツか?

>>286
大丈夫!
ニコルが命を落としたのはトール同様拙いタイミングで近づいた事ともう一つ、
ミラージュコロイドがあった為に気付かれずに近づく事が出来てしまったのが理由だから。
むしろここは生存率が上がった事を喜ぶべきかと。

最後に、『らしい』活躍を見せてくれたカリスに乾杯。
289通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 22:23:12 ID:???
286の心配は、「ティファに危害を加えてしまう」という
死亡フラグを立ててしまったことじゃないか?
290通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 22:30:06 ID:???
291290:2007/07/04(水) 22:31:40 ID:???
すまん、ミスった_| ̄|○
気を取り直して……

普通なら自分たちの撃った弾が当たるとか以前に、人質がカリスに撃たれること心配するよなw
292通常の名無しさんの3倍:2007/07/05(木) 23:08:45 ID:???
過疎だなぁ
293通常の名無しさんの3倍:2007/07/06(金) 12:03:05 ID:???
か、過疎ってますね
294 ◆L1QckJlrlM :2007/07/07(土) 00:05:24 ID:???
取りあえずできたので投稿します
ここはバナディーヤ、アークエンジェル一同はレジスタンスの提案に従いここで補給物資を調達するこ
ととなった。
武器や水、食料の調達はナタルやトノムラなどの管制官がレジスタンスの幹部と共に、
雑貨は逆に怪しまれない子供でなおかつ腕が立つガロードとティファが案内役のカガリと共に町で買い
込む事となった。

「じゃぁ、4時間後だな」
「ガロード、ティファも気をつけろよ?」
「了解、任せとけって!」
「そちらも気をつけて…」
「解っている」

ナタルがそう返事を返すと互いに笑いあってその場は別れた。
ただその時ティファは片時もガロードから離れなかった為、
一緒に行動するカガリはなんとなくのけ者にされたような気がしてさっさと歩き出してしまい、
それをガロードとティファが追いかける形になった。
「キ〜ラ!」
「ミリィ、トールも…」
「お前は行かなかったのかよ?」

格納庫でジン及びストライクのプログラミングをしていたキラにミリアリアとトールが話しかけた。

「うん、ガロードにさっきの戦闘でビームが曲がって当らないって言われて、
原因を突き止めたのは良いんだけどのプログラムが難しくてね…」
「そんなに難しいの?」
「実際自分の目で見た訳じゃないからね…後で何回か試射して見ないと…」
「それってキラがするのか?」
「それは俺がやんだよ」
「「え?」」

キラ達の会話に突然横から入ってきたフラガがそう応えた。
フラガはストライクのコクピットで今までシュミレーションを行っていたらしく、
頭をかきながらコクピットから出てきた。

「しっかしガロードの坊主ってすげえな、ほんとにあれでナチュラルなのかよ………」
「そんなにMSの操縦って難しいんですか?」

トールが興味本位でそう訊くとフラガは真剣な顔で頷いた。

「ああ、戦闘機やMAにはジャンプや歩行の概念は無いし、
バランスだって殆ど自動だったのがこっちじゃほぼ手動だし、
歩かせるだけながらともかく武器構えたり切り付けたり…
下手に動作をプログラムに頼ると結構隙ができるしでやっぱり腕もある程度は自分で動かさなきゃならん。
坊主がそこいらへんはフォローしてくれてっけどまだまだ俺じゃ扱いきれねえよ」

フラガはそういいながらキラの頭をくしゃくしゃと荒く撫でた。
「ふぃ〜、よっこらせっと」
「ふふ…ガロード、お疲れ様」
「おう!」
「…そうしているとほんっとに夫婦みたいだな」

カガリがそう言うとガロードとティファは互いに顔を赤くした。
それはまさにご馳走様という雰囲気であり、それに当てられているカガリはたまったものではない。

「まあいいや、これでだいたい揃ったがぁこのキャンパスだっけ?
こんなのここじゃまず手に入らないぞ?」
「そう…ですか」

ティファはそう言うとガク〜ンと肩を落として落ち込んだ。

「ま、まあけどスケッチブックは見つかったしな!?」
「それに鉛筆もデッサン用のがあったし…な!」

二人は慌ててティファにフォローした。

「お待たせしました」

ちょうどそこにカガリが注文した3人分の食事が来た。

「ケバブ?」
「そ、ドネルケバブさ! あー、疲れたし腹も減った。
ほら、お前らも食えよ、このチリソースを掛けてぇ…」
「あーいや待ったぁ! ちょっと待ったぁ! ケバブにチリソースなんて何を言ってるんだ!
このヨーグルトソースを掛けるのが常識だろうがぁ!」

カガリが赤い容器を持つと突然隣の席からアロハシャツにサングラスと言う怪しい格好のおじさんが、
白い容器を携えカガリの言葉に割って入った。
「うわ!?」
「え?」
「いや、常識というよりも…もっとこう…んー…そう! 
ヨーグルトソースを掛けないなんて、この料理に対する冒涜だよ!」
「なんなんだお前は!」

カガリはそう言うと自分のケバブに赤いソースをかけ、近くに座るティファに差し出した。

「見ず知らずの男に、私の食べ方にとやかく言われる筋合いはない!」

カガリはそう言うと一口ケバブを頬張り、

「っんまーーーーいーーー! ほぅらお前も! ケバブにはチリソースが当たり前だ!」

と言ってティファに勧めた。

「だぁぁ待ちたまえ! 彼らまで「お前ら何言ってんの?」「え?」」

そこまで黙っていたガロードが口を開いた。

「ケバブにソースをいきなりかけるなんて贅沢こそ邪道だろ? まずは一回そのままで食ってみる!
店によって味が微妙〜に違うんだからまず食ってそれから味を変える為にちょこっとかける!
それで気に入るソースがあればそのままかければ良いんだから…
そりゃ二人はこの店でも食った事あっかも知んないけど俺達は初めてなんだぜ?
初めての奴にいきなりドバッてかけて舌が合わなかったらもったいないじゃん」

ガロードがいつに無く長い台詞を言う傍らでティファはすでにガロードの食べ方を実践していた。
どうやらソースはヨーグルトが気に入ったらしく一口分容器からかけては食べている。

「なんか俺間違ってる?」
「「い、いいえ」」

ガロードがかなりの迫力で二人にそう言うとカガリとおじさんは揃って首を横に振った。
ガロードはそれに納得すると早速ケバブにかぶりつき…
そのまま一足速く食べ終わったティファを抱えてカガリの座る椅子とテーブルを蹴り上げた。
食堂は一瞬前の静けさから一転戦場へと姿を変えた。

「いたた…なんなんだ一体…」
「死ね!コーディネイター! 宇宙の化け物め!」
「青き清浄なる世界の為に!」

カガリが椅子から転げ落ちている間にその掛け声と共に何人かの男が、
さっきまで話していたおじさんに銃を向け、発砲した。

「ブルーコスモスか!?」
「構わん! 全て排除しろ!」

おじさんがそう言うと周りにいた客数人が銃を持ち、
ブルーコスモスと言われた男達と銃撃戦を繰り広げた。
なおカガリがかじったケバブはガロードがしっかりキャッチ、
それをティファに預け自分は片手でケバブを口に押し込みつつもう片手で銃を引き抜いた。
周りではおじさんの護衛が多いようでブルーコスモスは早々に撃滅したようだ。
銃撃が一段落した時にガロードはおじさんを後ろから狙おうとしている男に気付いて、
その男の右肩を性格に撃ち抜き、よろけた拍子に銃が下を見たのを良い事にその男の銃を撃ち抜いた。
その男は遅ればせながらに反応したおじさんの部下らしき人により意識を刈り取られた。

「隊長!御無事で!」
「ああ!私は平気だ。彼のおかげでな」
「ぁ…アンドリュー・バルトフェルド…」
「いやぁ〜助かったよ、ありがとう」

そう言うとおじさん、アンドリュー・バルトフェルドは男臭い微笑を浮かべた。
ガロードがテーブルを蹴り上げた時、
不運にもカガリはお茶をかぶってしまいそれを見かねたバルトフェルドが、
ガロード達を屋敷まで招待した。

「この子達ですの? アンディ」

バルトフェルドの後をついてきた3人を妙齢の美女が出迎えた。

「ああ、彼女をどうにかしてやってくれ、お茶を被っちまったんだ」
「あらあら〜」

美女はそう言うとカガリとさらにティファの手も掴んだ。

「おい、ティファは…」
「まあまあ、彼女に任せたまえ」
「大丈夫、ガロード」

ティファにそういわれガロードはしぶしぶ従った。

「僕はコーヒーには、いささか自信があってねぇ。
「へ〜、知り合いの医者にコーヒーに五月蠅いのがいるんだけどそいつと話し合いそうだな」
「それはぜひ会ってみたいね…まぁ掛けたまえよ、くつろいでくれ」
「はいよっと………うぇ…」

ガロードは一度テーブルにおいてあるコーヒーの匂いを嗅いでからちょっと口と付け…うめいた。

「はっはっ! 君にはまだこの味は分からんかね」
「一生解る気はないよ」

ガロードはそう言うと少し膨れたようにそっぽを向いた。
「これはすまない、機嫌を損ねたかな…っと」
「アンディー」

先ほど出迎えた美女がドアをノックして入ってきて、それに続くようにまずカガリがその部屋に入る。
服装は白と黄色のドレス姿だ。

「ほぉ…」
「へぇ〜」
「ドレスもよく似合うねぇ。 と言うか、そういう姿も実に板に付いてる感じだ」
「つうかなんで似合ってんだ? 違和感がある筈なのにそれが無いし…」
「…ガロード、それはどういう意味だ!?」
「な、なんでもねぇよ」
「おやおや、しゃべらなきゃ完璧」

バルトフェルドがそう言うとガロードはそっぽを向き、
カガリは頬を膨らませながらガロードの近くに寄った。

「それでもう一人のお姫様は………」

続いて入ってきたティファは顔を赤くして部屋に入ってくる。
こちらは薄い水色のドレスで、ティファの雰囲気に良くあっている。

「………」
「………」

二人はお互いに見つめあい、そのままほぼ同時に下を向いた。
しばらく初々しい雰囲気が続くが、バルトフェルドが何か言おうとして美女に止められた。
「あ、あの…その」
「………」
「その…すっげぇ似合ってる、いや、マジでその…なんていったらいいか」
「………」

ティファは頷き、もうしばらくその初々しい空気は続いたが、

「お前ら何やってんだよ!」

その雰囲気はカガリによって壊された。

「やれやれ…もう少し待つって言う事はできないのかい?」
「ふん! 何時もあんなことをしているのか?」

カガリは語気を荒げながら言った。
なおその頃ガロード達ははっと我に返ってお互い顔を赤くしながらもソファーにそそくさと座った。

「あんなこととは?」
「町をうろついたり、警告を出してから町を焼いたりしたことだ!」
「いい目だねぇ…真っ直ぐで、実にいい目だ」
「くっ! ふざけるな!」
「おいおい落ち着けって…」

そのまま掴みそうな雰囲気だったのでガロードがカガリをなだめた。

「君も死んだ方がマシなクチかね?」
「「「は?」」」

しかしガロードがなだめるよりもバルトフェルドのこの一言のほうが効果があった。
「君達の方は如何思うかね? モビルスーツのパイロットとしては?」
「なっ! 何でその事を!」

慌てていたカガリはあっさりとバルトフェルドの鎌に引っ掛かり、立ち上がった。

「はっはっはっは、あまり真っ直ぐすぎるのも問題だぞ」
「くっ!」

カガリは悔しそうにその場に座った。

「戦争には制限時間も得点もない、スポーツの試合のようなねぇ…
ならどうやって勝ち負けを決める?」
「そんなのお偉いさんの仕事だろ?」

ガロードはそう即答した。
ガロード達の世界では戦争を始めようと画策した兄弟や、終わらそうとする自身の先輩達がいた。
ガロードとティファは先輩たるジャミルたちが築いた交渉を少し離れた所で1年見てきた。

「戦争ってのは始めるのはそれこそ少人数でできっけど終わらそうとしたら本気で大変なんだ。
互いの維持やプライドやら文化やら…後それぞれに背負っている人たちもいるし」
「ふむ…確かに」

ガロードの物言いに、一緒に見てきたティファは頷き、
カガリは自分よりも具体的な意見を言っているガロードを驚いたような目で見ていた。

「だから中途半端な、背負っている人達が納得しない成果や条件じゃいつまでたっても終わんねぇよ」
「では君は今回の戦争をどう見るかね? どこで終わりにできる?」
304通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 00:26:38 ID:???
連投規制でも引っかかったかな?
「さぁね」
「「え?」」

ガロードの言葉にカガリとバルトフェルドは驚いたような顔をした。

「今は泥沼って言うか小競り合いばっかなんだろ?
これからどう転ぶかなんて俺は全体を見たり聞いたりしてる訳でもねぇし解る訳無いって」
「では君は何の為に戦っているんだね?」
「過ちを繰り返さない為に…です」
「「過ち?」」
「核とか広範囲無差別兵器とかだよ」

ガロードがそう言うとカガリはバルトフェルドを睨みつけた。

「最初に使ったのは其方なんだがね」
「え? 俺は知らないよ? 
ヘリオポリスがいきなり崩壊して助かるにはあの艦に転がり込むしかなかったんだからさ」
「ヘリオポリス…ということは君はオーブ出身かい?」
「さぁね、それに俺達はあくまで傭兵、オーブに行くまでの間の護衛でしかないからね」
「ほぅ…」

バルトフェルドは感心したような顔をした。

「中々良い話を聞けたよ。
何故君たちが同胞を敵にまわすことを決めたのかは知らないが、
あのモビルスーツのパイロットである以上、私と君は、敵同士だと言うことだな?」
「同胞?」
「君もコーディネイターだろ?」
「俺らはナチュラルだよ?」

これにバルトフェルドは驚いていた。
306 ◆L1QckJlrlM :2007/07/07(土) 01:41:13 ID:???
ここで途中規制が入りつつ終了です。
なかなか書く時間が取れない…どうしたもんか…
307通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 05:12:23 ID:???
ドレスアップティファ光臨。
この日を待っていた。アイシャさんGJ!

虎との会談もガロードの実体験を感じられて、とてもらしいと思った。
この後の展開を期待するぞ。

あとどうでもいいことだけど、食べ物を粗末にしないガロードが印象的だった。

308通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 06:57:38 ID:???
GJ!
ガロードがコーディでない事に驚いてる虎だが、
当時の連合にも反射神経がコーディを凌駕してるような人も居たらしいし有り得ない訳でも無いんだよな。
まあ物凄く珍しい例であることには違いないけど。
ケバブのシーンは食糧事情が厳しい世界で食事を少しでも美味しく摂ろうとする知恵といった所か。

そして虎の質問に真っ当な答えを返すガロード。
確かにこれで正解ではあるんだが本編におけるキラ(及びメインの視聴者層だろう中高生)では返答に困るのも仕方ない気もしたり。

実際問題ガロードにしたって少なくともエスタルド編以前だったら、
そうした事をろくに考えた事も無いだろうしこの答えを出せたかどうか…
まあ結局一番悪いのは大人の癖して碌な答えを持ち合わせなかった虎なんだがw

最後に、銃撃戦のシーンでガロードが射撃の腕を披露して「流石ガロード!」なんて思ったりもしたが、
よくよく考えると脅しやら至近距離からの発砲はあってもその腕前を如実に表すシーンって本編にあっただろうか…?
309通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 07:48:13 ID:???
>>308
ガロード本人の射撃能力か。
X本編で発砲したのって

「あの子、許せない」:エニルに対して。当てるつもりどころか暴発に近い+動揺していたため、外れた。
「愚かな僕を撃て!」:カリスに対して。反射的とはいえ、かなりの至近距離。命中。
「ダブルエックス、起動!」:カトックと共に新連邦軍の兵士たちを相手に銃撃戦。マシンガンだったのであまり参考にならない。

ぱっと思い浮かんだ事例を挙げて考察したが、その腕前はよくわからない。
印象として少なくとも軍の一般兵レベルはあるだろうし、スペシャリストまではいかないだろうけど、それなりの腕はあると思う。
正直、今回の銃撃戦シーンを読んで、特に違和感はなかった。
310通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 11:18:15 ID:???
MS狩りをやってた経歴上、AWの平均(一般人含む)以上の腕はもってそうだな
311通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 12:48:34 ID:???
細かいけどシュミレーションじゃなくてシミュレーションな
312名もなき店主:2007/07/07(土) 15:01:23 ID:???
ケバブGJ
みんなもラーメン屋で、一口も食わないうちからコショウやニンニクぶっこむのはやめようぜ。
313通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 15:22:26 ID:???
GJガロード!食べ物を大事にするのは良い事だぜ(笑)
銃撃戦もサルファのキラみたいに躊躇せずに撃つたぁさすがAW育ちだ。
ドレスティファのお返しってことでアイシャ生存なるかな?
314Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/07(土) 16:34:35 ID:???
先ずは一言、GJです!ガロードの性格や、経験譚がよく生きていて良かったと思いました。

それから二度三度読み直してからビクッとしてしまいました。
キャンバスの件、アイシャに因る御召かえ……こっちの二十九話と展開が酷似してる<゜Д゜>!!!
徹夜で書き直しだな、こりゃ…….._.._φ<・ω・;;>

作者の皆さん、色々とお忙しいとは思いますがお互い一緒に頑張っていきましょう。
いつもこちら作り手に感想を送ってくれる皆さんにも感謝しています。
では、また後程。
315通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 17:57:46 ID:???
射撃の腕ねぇ…的確にコクピット脇にワイヤー打ち込める程度の腕はあるよね。
316通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 22:16:07 ID:???
>>314
自分語りうざい。
しかも自分も思いつきました的なことまで言って。
317通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 23:36:02 ID:???
>>314
と言う輩もいるので、
職人は作品で語った方がよろしいかと

愚痴等は職人スレで名無しで書けば?
318通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 23:43:21 ID:???
>>313
このままだと

ガロード&ティファ VS アンドリュー&アイシャ

による相乗り対決が実現するわけか。

がんばれアンドリュー、アイシャ。
コズミック・イラであのガンダム3大カップルの1柱に対抗できるのは君らだけだ。
319通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 00:29:55 ID:qDAnSQ8y
>>318
あとの2柱のうち1つはドモン&レインだということはよく考えなくてもまるわかりですが、
残りはヒイロ&リリーナですか?
320通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 00:33:10 ID:???
>>320
いや、シロー&アイナ。
321320:2007/07/08(日) 00:35:40 ID:???
ミスった。
>>320において
320ではなく319だった。
322通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 01:34:11 ID:???
シャア
323通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 11:45:41 ID:TzWZJKQC
>>320
おお、そういえばそうでした。
324通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 12:39:00 ID:???
虎&アイシャってシンステに並ぶ
CEで最も普通なカップルじゃないだろうか。
彼らでもガロティファのパワーには勝てんと思うが。
325通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 12:57:07 ID:???
絆を感じるよね、虎とアイシャって。
1stのランバ・ラルとハモンみたいになれる可能性を秘めている。
326通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 14:01:17 ID:Q7mCgPpU
>>298
> 「うわ!?」
> 「え?」
> 「いや、常識というよりも…もっとこう…んー…そう! 
> ヨーグルトソースを掛けないなんて、この料理に対する冒涜だよ!」
> 「なんなんだお前は!」

> カガリはそう言うと自分のケバブに赤いソースをかけ、近くに座るティファに差し出した。

> 「見ず知らずの男に、私の食べ方にとやかく言われる筋合いはない!」

> カガリはそう言うと一口ケバブを頬張り、

> 「っんまーーーーいーーー! ほぅらお前も! ケバブにはチリソースが当たり前だ!」

> と言ってティファに勧めた。

> 「だぁぁ待ちたまえ! 彼らまで「お前ら何言ってんの?」「え?」」

> そこまで黙っていたガロードが口を開いた。

> 「ケバブにソースをいきなりかけるなんて贅沢こそ邪道だろ? まずは一回そのままで食ってみる!
> 店によって味が微妙〜に違うんだからまず食ってそれから味を変える為にちょこっとかける!
> それで気に入るソースがあればそのままかければ良いんだから…
> そりゃ二人はこの店でも食った事あっかも知んないけど俺達は初めてなんだぜ?
> 初めての奴にいきなりドバッてかけて舌が合
327通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 15:52:34 ID:???
>325
ランバラル夫妻(あえて夫妻と言う)をパクろうとして
失敗したのがトラ夫妻だろ?
328通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 17:09:57 ID:???

         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
'"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i


329通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 17:11:28 ID:???
>>327 しかし結果はトラの愛人が「板尾の嫁」になってしまいましたとさ
330通常の名無しさんの3倍:2007/07/08(日) 19:08:37 ID:???
つまり職人の料理しだいでは、ガロティファと並んでも遜色のないカップルにすることも可能だ。
331通常の名無しさんの3倍:2007/07/10(火) 09:13:43 ID:???
保守
332Exceed4000:2007/07/10(火) 11:28:37 ID:???
先日続きを投下しようとしたら丸一日人大杉でしたorz
閲覧は出来るのですが、携帯からしか書き込みが…
頃合いを見て二話か三話ぼつぼつ投下します。
では、また後程。
333通常の名無しさんの3倍:2007/07/10(火) 11:49:34 ID:???
専ブラ使えば。
334通常の名無しさんの3倍:2007/07/10(火) 21:01:41 ID:???
人大杉、いつまで続くのでしょうね。
おかげ様で、昨日今日と、新シャアのスレ読めなかった。
ついさっき、プラウザ入れて、ようやく読み書きできるようになりましたけどね。
そんな訳で、職人さんたちのSS更新、楽しみにしています。
……さて、他のスレのSSのチェックにも行くか。
335通常の名無しさんの3倍:2007/07/10(火) 21:17:07 ID:???
夏が終わるまで続くぞ。
それにまだ人大杉のピークじゃない。
これからだ。
336通常の名無しさんの3倍:2007/07/11(水) 00:07:41 ID:???
やっと人大杉が解除されたぜ・・・
これでもまだピークじゃないのかよ。今年から入ったんだがすげーな。
337通常の名無しさんの3倍:2007/07/11(水) 00:13:18 ID:???
ヒント:夏休み
338Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/11(水) 00:30:18 ID:???
やっと人大杉解除されたんで第二十六話投下します。再構成スレを参考に色々と考えた繋ぎ的な話なので宜しく。

機動新世紀ガンダムXSEED 第二十六話「各員の奮闘を期待する」

「た……助かったのか、俺達…… ? 」
ブリッツのコクピットでガロードは完全に脱力しきったように呟いた。
乗ってからOS調整の為に必死に動かしていた手が汗で濡れている。
脱出する際にいきなり始まった集中砲火は、幾ら自分がフェイズシフトの働く機体に乗っていたとはいえ背筋に寒気が走ったからだ。
『追撃は無いですから……そう思っても良いかもしれません。』
カリスも自身では完璧に抑制した声で応対しているつもりだったのだろう。
が、言葉の端々に隠しきれていない息の荒さが出ていた。
「そうか……それにしてもよぉ……」
一息吐いた後に出てきたガロードの声は彼らしいとても明るい声だった。
「ひっさしぶりだなぁ、カリス !! まさかおめえもこっちに来てたなんて思ってもいなかったぜ !! 」
『それはこちらも同じですよ、ガロード。この世界に来てから僕は元の世界の仲間たちを探し続けていましたから。』
それから彼は、あの最終決戦以降自分の身に何が起こったのか一通りの事を説明し始める。
『僕がこの世界に来たのは今から丁度一年程前のC.E70年、2月13日の事でした。
見知らぬスペースコロニーの近くで漂っていたのを、他のコロニーから帰ってきたある学者に拾われて……勿論最初は何が何なのか右も左もさっぱり分からない状況でしたから、急いで情報を集めようとしたんです。
でも……その次の日に血のバレンタインという出来事があって……分かりますか ? 』
「あ、ああ……アークエンジェルの皆から何が起こったかは聞いたし、実際それがあった場所にも行った事があるけど。」
C.E70年の2月14日、プラントにとって貴重な食料生産地であったユニウス市に属するユニウスセブンに地球連合軍は核ミサイルを撃ち込んだ。
それも何の警告も無しに一方的に、一般人しかいない唯の農業用プラントに。
核による業火で一瞬にして散った人々の数は、アークエンジェルクルーから推計でしかないといわれたがおよそ24万人あまりと聞かされた。
ここに来る前、過去の事とは言っても、一度ばかりそんな事をやった軍に加担している事をアークエンジェルにいた時後悔した事もあったが、
報酬や安全な生活がかかった傭兵稼業、またこの世界でいえば自分もナチュラル且つ乗りかかった船だけに今更陣営を変えるわけにもいかなかった。
しみじみそれを思い出している間にもカリスは話を続ける。
『三日三晩意識を失ったまま寝込みました……とても言葉なんかでは表現できないあんな状態になったのは生まれて初めてです。あの場にティファが居たらと考えると……』
そう。カリスも人工的に付けられた物ではあるがティファと似た力を持っている。
彼女のそれには及ばないまでも他人の心を感じ取る事が出来るのだ。
その彼が三日三晩意識を失うほどの災厄だったのだ。
A.W世界でサテライトキャノンを初めて撃った時、直後に気絶したティファが数日は安静にしなければならなかったと後で知らされたガロードは、そんな瞬間に彼女がその場にいたらと考えてぞっとした。
無意識の内に考えないようにしていたが、あれを初めて撃った時と血のバレンタインの時では、明らかに一瞬で失われた命の数に雲泥の差がある。
数日気を失うだけではすまないだろう。
339Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/11(水) 00:34:09 ID:???
暫く続いた沈黙はカリスの方から破られた。
『ともかく、それからある程度回復した僕は、知り合いにザフトでも高名なパイロットがいた事を使って、僕を正規の手段をやり過ごした方法でザフトに組み入れようとする案を、引き取った学者さんから聞かされたんです。
僕としては知らない世界の争い事に介入するのは不味いと思っていましたし、百歩譲って自分がそれでしか当座の間食べていく道が無いと言われても、そんなずるい事をするのは気が引けたんですが、高官の側で武勲を立てて出世すれば人探しも容易になると言われて……
勿論ちゃんと自分なりにこれが正しいのかと考えました ! 元の世界の、フォートセバーンの事もありましたから余計に慎重にならざるを得ませんでしたが……』
そこで一旦カリスは言葉を切る。
まるで捻り出せる言葉を捜している様でもあった。
やがてアフリカ大陸側の荒涼な岸がモニターに見えてきた。
『でもその時僕はとにかく早く皆と合流したい一心で入隊する事を決意しました。それから事は半月もしないうちに手続きが終わって、ヴェルティゴもそのまま渡されました。
気づいた時にはカーペンタリア、カサブランカ沖、スエズ、そして数日前のビクトリア……確かに出世や昇進を重ねるごとに自分の権限も大きくなっていきました。
ですがそれに合わせて捜索網を布いたのですが、一向に事態が打開に向かわないので困っていたんです。でもまさかこんな形で再会できるなんて……本当に良かった。』
カリスの長い身の上話が終わりを告げる。
ガロードは全く知らぬ世界で各地の戦線を転々としながらも、自分達を探していた事にただ純粋に感心した。
傭兵とはいえ、自身もそれに近い運命を辿る事になるだろうとは薄々感づいてはいたが。
安心した様な表情を浮かべ、ガロードはそれに答える。
「ホントだぜ。俺達の所にもティファとテクスはいるけど、まだ他の仲間たちは見つかってねえんだ。話をすればアークエンジェルの皆もお前がザフトにいたって言っても、俺達の仲間だって説明すれば分かってくれると思うからよ。」
『そうですね……』
それから再びOSの調整に戻ろうとしたガロードはティファの方に一旦目をやる。
髪を縛っていた紐が拭きとばされ、ガロードに道を示したティファは長くたゆたう豊かな栗色の髪を大きく広げたまま、彼の膝元で軽い寝息を立てていた。
それを見ているとふっと頭の中にアスランとその同僚の顔が過ぎる。
アスランはティファに危害を加える事を自分に面と向かって言ったばかりか、実際に銃まで撃ってきた。
当たりはしなかったものの、あと少しずれていたらどちらかの首の直撃コースを辿っていただろう。
おまけにもう一人の方は、自分が捕まっている時に自分達の身の安全の保証を約束するような事をのたまっていた。
それだけにティファの下腹にマジの力っぽい一発まで喰らわせたのが許せなかった。
ついもっと他にやりようがあっただろと思ってしまう。
二人揃って一発殴ったとて気がすまない。
ガロードは直感的に思ってしまう。あの二人、もしかしたらこの世界でのフロスト兄弟みたいなもんになりかねないな、と。
340Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/11(水) 00:36:25 ID:???
「それにしても、っきしょう……次に会ったらあんの二人唯で帰さねえからな ! 覚えてろよ ! 」
腹立ち紛れに呟くその声にカリスが答える。
『君が拘束されていた部屋にいたあの二人の事ですね ? こんな事を言ってはなんですが……アスランの母親は先程話した血のバレンタインの犠牲者の一人です。
もう一人のニコルという少年に関しては純粋に国防の為に尽力したいという雰囲気でしたし、ティファへの一撃も殆ど不可抗力と言っても過言ではないでしょう。』
あっ、という風にガロードはOS調整の手を止め通信機の方に気を取られる。
通信機からは淡々とカリスの語る言葉が出ていた。
『アスランの母親は知り合いのナチュラルにも理解を示していただけに、彼女の死以降、彼のナチュラルに対して生まれた憎悪や不信感は並大抵の物ではなかったでしょう。
裏切られたという言葉でも不似合いかもしれません。』
「それさ、本人の口から直接聞いたのか ? 」
『いえ……心から感じ取りました。染み渡る様に侵入して来たといった方が正しいのか……とても冷たく重い感情でしたよ。』
それを聞いてガロードはしばしの間押し黙ってしまう。
アスランが狂気とも取れかねない雰囲気で自分達を殺そうとしていたのには、そういった経緯があったと改めて思い知らされる。
お互いの立場もあってか、彼とまともに言葉を交わした事など無いにも等しかったが、彼と血のバレンタインについての関係性は大体のあらましをアークエンジェルにいた時にキラから聞かされていたからだ。
その時、荒涼とした大地が広がっていたのを映していたモニターがついに目的の場所を捉えた。
「カリス、あれだ ! あれが俺達の乗ってきたアークエンジェルだ ! 」
周辺に比べて少し窪んだ場所にいる白亜の戦艦。
その後二機は徐々に高度を下げながらそこへ向かう。
だがそれとほぼ同時に、アークエンジェルからそこまで離れていない前方、そして自分達の遥か後方から敵機が飛来している事を、コクピット内の警告音が知らせる。
「 ?! おいおい、やっと皆と合流できるっていうのにこんな所で敵かよ ! どれぐらいいるんだ…… ? 」
『待ってください。今こちらで調べます。』
その間にもセンサーに探知される熱源の数はどんどん増えていく。
後ろから来た機体が自分達を追撃しにジブラルタル基地から発進した機体というのは分かった。パッと見ただけでも結構な数に上る
だが、前方から来ている機体は一体何なのだろうか ?
あっ、という声が通信機から聞こえて来た。
カリスが何かに気づいたのだろうが、ガロードが彼にどうしたんだと訊いても何の答えも返って来ない。
暫くしてから、からからに乾いたような声でカリスはやっと一言だけ発する。
『総司令官殿…… !! 』
間が悪いと言えばあまりにも間が悪い。
レジスタンスの様子を十数機のMSを連れて視察に行った司令官が、道中アークエンジェルの存在に気づいたのだろう。
更に追い討ちをかける様に後方の追撃部隊の大きさがデータとして合わせて報告される。
『戦力は……レセップス級一、ピートリー級二、ザウート三、バクゥ五、ジンオーカー四、アジャイル四、インフェトゥス三……後ろからディン三、ジン四、アジャイル五、インフェトゥス五……』
データを何かに取り付かれたかの如く抑揚の無い声でつらつらと読み上げるカリス。
それは司令官のいる部隊と合わせれば、戦艦一隻と数機のMSで相手をするにはあまりにも不利過ぎる数だった。
分からない単語が並んで困惑するガロードにも自分達が極めて危機的な状況に陥っている事ぐらいは分かる。
「なあ、こっちからアークエンジェルの方に通信を入れてみる。遅いかもしれねえけど二手に分かれるか合流してから両方を同時に迎え撃つかどうするかはその時に決めねえか ? 」
『分かりました。』
一応カリスの反応を訊いたガロードは自分の手で最大限調整したOSを使ってアークエンジェルに通信を入れた。
341Exceed ◆mGmRyCfjPw :2007/07/11(水) 00:38:27 ID:???
そこから遡る事五分ほど前。
アークエンジェルでは今後の方針について、ブリッジクルーも含めた話し合いがなされていた。
ジブラルタル基地の真正面にいる事、ザフト制圧下の北部アフリカにいる事、宇宙で先遣隊や第八艦隊と合流したとはいえ資材や物資は標準から見れば相変わらず少ないままであるという事からプランとしては四つ程が上がっていた。
一つはアフリカの北岸に程近い所を辿りつつ紅海に抜けるといった物。
ユーラシアが地中海を挟んで睨みを利かせている事から、いかにザフトが北部を制圧しているとはいえ、あまり大きなアクションは取れないだろうという算段があった。
しかしその途中には砂漠の虎と称されるザフト軍地上部隊の名将、アンドリュー・バルトフェルドとの拠点とものの見事にぶつかる事になる。
戦闘は必至となるだろうがアークエンジェル、スカイグラスパー、そしてストライクだけで抜け切れるかどうかが怪しい。いや、ほぼ無理と言ってもいい。
それに万が一その後上手くインド洋、太平洋に抜けられたとしても、補給抜きで一気に行ける訳が無い。
何がしかの形でそれを受けなければ、ザフト側に与している大洋州連合の近くをおめおめと通る事は出来ない。
スカンジナビア王国やオーブと同じく中立の立場にある赤道連合が手を差し伸べてくれるのかどうか。
そしてもしそれが不可能だった場合東アジア共同体に向かうか、オーブに向かうか。
カオシュン基地が墜とされた事を考慮するとオーブに向かった方がまだマシなのかもしれない。
元々この艦もG兵器もオーブが所有していたヘリオポリスコロニーで作られた物なのだから。
二つ目のルートは大気圏内では高空を飛べないアークエンジェルではあるが、山岳地帯を避けて何とかビクトリアまで辿り着けないかという物。
確かに現時点では自分達にとって一番近い基地であったが、こちらは砂漠やその先に構えるジャングルを何日もかけて突き進む為に現地協力はとてもではないが得られない。
それどころか、先述の様にアフリカ北部はザフト側の支配下なので完全に敵陣のど真ん中を行く事になる。
砂漠の虎よりは小規模かもしれないが複数回の戦闘が起きるだろう。
回数によれば進軍は途中で破綻しかねない。
おまけに今からルート検索をしなければいけないので何とも言えないが、場合によっては一つ目のルートより長い道程になるかもしれない。
342Exceed ◆mGmRyCfjPw :2007/07/11(水) 00:40:48 ID:???
三つ目に関しては西海岸を辿りつつ、南米に抜けた後南極経由でアラスカを目指すといった物。
こちらも補給が受けられない点、海に出るまではザフトの制圧下を延々と行かなくてはいけない点等については二つ目と似たり寄ったりの具合である。
おまけに南米に当たる南アメリカ合衆国は元々親プラント国家で、傘下のパナマはマスドライバーを保有していたため、血のバレンタインを契機としたコーディネイターとナチュラルの開戦直後のC.E70年2月19日、
地球連合に属する大西洋連邦に併合されたといった経緯を持っている。
その為に連合の支配下というのは殆ど名目上の物となっており、連合に追従しようとする者、プラント側に戻ろうとする者、
そして両陣営どちらにも属さずに分離独立した姿勢を築こうとする者の三勢力が入り乱れ、場所によっては混迷の様相を呈している。
そこに自分達が半ば首を突っ込むという様な形で向かうのだ。
抵抗勢力等もいるだろうから、自軍の基地へ行っても確実に補給が得られる事は保障されていない。
尤もそれを恐れていては戦場では何のアクションも取れない事になるが。
そして密林の多い南米では酸素供給の問題で焼いてはいけない場所が必然的に出る為おいそれとビーム・火炎放射系・ナパーム系・燃料系・爆弾系は戦闘で使用するのは禁止されてる。
戦闘は全て格闘かナイフ、機銃などを用いらねばならない。
更に南極まで出てしまえば敵との戦闘は無いものの、このルート最大の問題は異常なまでに距離が長大だということだ。
寧ろ北に向かってパナマに行っても良さそうだが、目標の地がアラスカなのでそれなりの待遇は受けそうである。
そして最後のルートがジブラルタルを突破しそのまま北大西洋に出た後アラスカに向かうという物。
このルートに関しては無理も無茶もあったものではない。
まともな思考回路で考えたなら、無謀としか言いようの無いルートだった。
最短ルートであるという事だけが唯一の強みで、敵の襲撃に会う事は無いだろうがその代わりに補給も受けられないどころか、その条件の中で近接する陸地が無い大海を延々と進まなければならない。
抜けられれば殆ど無条件で補給と安全を約束されたも同然だが。
いやその前に、ヨーロッパとアフリカ大陸侵攻の足がかりとして存在するザフトの前線基地であるジブラルタルを、アークエンジェル一隻と艦載機だけで突破できる訳が無い。
先述した砂漠の虎が挟撃でも仕掛けてきたら、笑い話にもならないのだ。
343Exceed ◆mGmRyCfjPw :2007/07/11(水) 00:43:04 ID:???
「んで、どうすんの ? 艦長さん ? 」
相変わらず飄々とした感じのムウからマリューに質問が飛ぶ。
自分でもどれが最善かと考えている最中なのに、唐突にどうすんのと訊かれても答えられる訳が無い。
「それを今考えている最中なんです、少佐。色々と八方塞に近い状況だというのは私でも分かります。」
彼女が彼を少佐と呼ぶのには理由がある。
あの低軌道会戦の後月のプトレマイオス基地まで行く事の出来たハルバートン提督が、クルーの階級を軒並み昇進させてくれたのだ。
ザフト相手に大戦果を挙げ、自分達を守りきった者達に対してのせめてもの親心といったところだろうか。
そういった訳で質問に答えたマリューも今では彼と同じ少佐である。
彼女も慕っていた上官から直々に昇進の報せを受け取った時は一瞬喜びもしたが直ぐに現実に引き戻された。
補充要員が追加されたとはいえ、クルーの殆どが実戦経験の無い下士官か兵卒ばかりで、マリューやムウすらもここまで深刻な状況など経験した事が無い。
「ともかく、本艦の目的及び目的地に変更はありません。」
自分の意識をしっかりさせる為の判断とはいえそれは重過ぎる程の判断だった。
茨の道は避けられないという事か……
三人が頭を抱えているとCICからトノムラが一言進言する。
「太平洋に赤道連合っていう頼り手がいるんなら紅海に抜けた方が良いのではないですか ? 」
「中立に属しているだけで頼り手ではない。それに必ずしも我々に援助をしてくれるとは限らんぞ。南からは大洋州連合が睨みを利かせ、東アジアは数日前にカオシュン基地が墜とされたばかりだ。
周囲の不安定な鬩ぎ合いの中で下手にどちらかの陣営に手を貸すような事をすれば今の南米と似た状態になりかねんからな。」
淡い期待とばかりにナタルはその考えを一蹴する。
「それに、向かうにしても暫くは敵陣の真っ只中を進む事になるわ。おまけに海までの道中の中央には砂漠の虎の拠点があるわけだし。現地からの協力も得がたいし。」
「砂漠の虎 ? 砂漠の虎って何ですか ? 」
ナタルの考えにダメ押ししたマリューに対し、レーダーからの警戒を続けていたチャンドラから質問がかかる。
彼等の様な殆ど新兵で構成されているこの場では出てもおかしくない質問だった。
「砂漠の虎っていうのは……」
彼女が説明をしようかといったその時、警告音が鳴り、チャンドラと共に警戒に当たっていたパルが突然声を上げる。
「本艦、レーザー照射されています ! 照合……測定照準と確認 !! 」
その報せに全員がぎくりとしてしまう。
測定照準を使うという事は当然敵に狙われているという事である。大急ぎで自分の持ち場に戻る者達。
マリューは急きこむ様に訊いた。
「数は ?! 」
「待ってください……こ、これは…… !! 」
344Exceed ◆mGmRyCfjPw :2007/07/11(水) 00:45:23 ID:???
「どうした ?!! 」
言葉に詰まったパルに思わず怒鳴り込んでしまうようにナタルが訊ねた。
その答えは震えるような声をもって返される。
「前方よりレセップス級一、ピートリー級二、ザウート三、バクゥ五、ジンオーカー四、アジャイル四、インフェトゥス三……後方よりディン三、ジン四、アジャイル五、インフェトゥス五 !! それと……ブリッツと、アンノウンです !!! 」
一瞬にしてその場の空気が凍りつき、ブリッジクルーには全身を厳寒の海に投げ出された様な感覚が襲う。
兵器の種類の垣根を越えて全て含めれば敵機は38機。死刑宣告も同然だった。
これで終わりなのか…… ? 友軍に消息を知らせる事も出来ず、満足に抵抗する事も出来ずに人知れずこんな地で散るのだろうか ?
だからと言って戦わなくて良いわけでも、逃げても良いわけでもない。
そのどちらをしたとしても何処にも行けない状況が好転する訳でもない。
自分達は軍人だ。戦い続けなければならない。
マリューの頭にはちらと降伏の二文字が浮かんだが、慌てて頭を降ってそれを消す。
この戦闘に勝利し、このアークエンジェルと今格納庫にあるストライクとイージスをアラスカまで無事に届けきり、生産ラインにそれが乗るのを見届けなくてはならない。
だがその勝利というものは何らかの奇跡でもない限り到底起こるものではないというのも彼女の頭にはあった。
彼女は全員に冷ややかに、しかし勢いよくきっぱりと告げる。
「総員第一戦闘配備 ! 繰り返す ! 総員第一戦闘配備 ! 」
その直ぐ後に艦内全体にアラートが鳴り響く。
敗北は許されない。そして降伏も撤退も。
それを意識したマリューは通信機に向かい、再び口を開く。
「艦長マリュー・ラミアスより、アークエンジェル全クルーへ通達します。現在本艦の前方にはザフト地上艦三隻を主とするMS部隊が、また後方からはジブラルタルにて本艦の存在を知ったと思われる同じくMS部隊が接近中である。
我々には両部隊を殲滅する以外道は無い。これより開始される戦闘はこれまでに無い程激しいものになると思われるが、我々はなんとしてもこれを突破せねばならない ! 」
そこで一息入れ、気つけと言わんばかりに大声でその熱弁を締める。
「各員の奮闘を期待する !! 」
ブリッジの空気が完全に張り詰め、一片の油断も許さぬ雰囲気へと変貌した。
口上を言い終えたマリューはふと思う。恐らく艦内全体が今のブリッジと同じ空気になっていることだろう。
冷静に考えれば戦闘ヘリ17機、MS21機そしてそれらを指揮するであろう地上艦3隻……合流すれば大部隊ともなるそれに戦艦一隻と戦闘機とMS1機が敵う訳が無い。
それでも絶望的な状況だから敵に死ね等と言われるのはごめんだ。諦めてはならない !
「ラミアス艦長 ! 」
「……っ、何 ? 」
繰り返しその文言を頭の中で響かせたマリューは通信席からの一報を理解するのに暫くかかってしまう。
「先程からこちらに向けて通信を繋いでいる者がいるのですが……」
「発信元、特定出来る ? 」
「待ってください……出ました !! 後方にいるブリッツからです !! 」
「ブリッツから ?!! 」
今は敵の陣営にいるブリッツが何用でこちらに通信を入れるのだろう。
降伏勧告でもする気なのだろうか ?
しかしその見当は良い意味で外れる。
通信自体は途切れ途切れではあったが、聞こえて来た声に彼女は驚かされるのと同時に確かな希望の光を感じた。
『……えてるか ?! ……こちら、ガロード……アークエ……応答してく……繰り返すっ !! こ……ガロード・ラン !!! 』
345Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/07/11(水) 00:56:20 ID:???
投下終了します。

レセップス級は虎の持ち物でしょ?!→基地の規模からして総司令官も一隻くらいは持ってないと自分的には?なので。

基地から来たには追撃の手が少なくない?!!→いかに大規模基地と言えどMSは戦力ではやっぱり要な訳ですから。
                            それにもっといるように書いたら戦艦1隻に送りすぎだと言われそうなので。

もっと他にルートあるでしょ?!→ご指摘があれば何時でも。

何でブリッツなのさ?!!→色々理由はありますが、少なくともニコル死亡フラグ回避の為ではありません。

続きは今日の内にまた投下できたらと思っております。
では、また後程。
346通常の名無しさんの3倍:2007/07/11(水) 01:37:08 ID:???
なんかなあ〜。
読んでて思ったことは
武勲を挙げまくっているベルティゴがアンノウンだなんて信じられない。
ザフトが宣伝をしているだろうし、連合だって存在くらいは把握しているはず。
少なくとも二つ名で呼ばれててもおかしくないのに、アンノウンはちと……。
347通常の名無しさんの3倍:2007/07/11(水) 02:30:08 ID:???
そんなにむきになって辻褄合わせようとすんなよ。
破綻はともかく少々の齟齬は、後の複線になることもあるし、
その場で全て明かすこともない。
かといって、これ見よがしに
「〜の部分については、後で語ることになります。」
とかやられても、嫌がられるから、黙してその時にあっと驚かせてやればいい。
一番、拙いのは物語がそっちばっかし気になって疎かになることだな。

>>346みたいな突込みには
有名になるのを嫌ったカリスが参戦の条件に喧伝を断ったとか
姿を見せず、皆殺しにしたとか
カリス拾ったギルがどっかのスレの悪人気取りと同じようなこと始めたとか
理由を用意しておいて後で明かすつもりなら、今は無視、後で話の中で種を明かせばよろしいかと?

レセップス級云々は、司令官「○○」の描写のときに艦名をそれとなく出せばいい
追撃数云々も同様、緊急事態で動かせる機体を掻き集めたとか適当に作中で触れとけ
ルートはいいんじゃねぇの?
何でブリッツなのさ?!!答える必要なしだろ

とにかく欄外で補遺するな
348通常の名無しさんの3倍:2007/07/11(水) 06:18:43 ID:???
専ブラぐらい入れろよ
349290:2007/07/11(水) 08:17:06 ID:???
そんなことよりレジスタンスの様子を自分で見に行くような腰の軽い司令は虎だけで十分だ、とか思ったり。
だいたい戦艦3隻引き連れていったら視察じゃねぇだろw
350通常の名無しさんの3倍:2007/07/11(水) 08:18:46 ID:???
おっと消し忘れ。
351通常の名無しさんの3倍:2007/07/11(水) 21:17:08 ID:???
専ブラを未だに導入しないということは、人大杉を助長しているという事。
現在の状況を生み出している原因の一人は貴方自身だ。
352通常の名無しさんの3倍:2007/07/12(木) 14:43:18 ID:???
>>349
敵勢力下の有力な拠点を自身の部隊と現地に展開した部隊で叩き
戦線を安定させて現地部隊に維持させると言う手法をとってるのかも試練
モグラ叩き請負人もしくはいいとこ取りとか言われそうだが・・・
あるいは現地指揮官の下に増援だけつけて、自分は見物とか
そのそも戦略として成り立つかは知らんが
353通常の名無しさんの3倍:2007/07/12(木) 22:26:12 ID:???
>>349
史実のロンメルとかは、「自分で見に行く」という行為を良くやったそうな
虎と比較するのは失礼な話かもしれんがw
354通常の名無しさんの3倍:2007/07/12(木) 23:05:41 ID:???
現地を見に行かないやつはまともな指揮できないんだぜ。日本軍には
いっぱいいるのが悲しい。
355通常の名無しさんの3倍:2007/07/13(金) 00:15:42 ID:???
辻〜んとかな
356CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/13(金) 02:56:34 ID:???
14日になったら投下します。
357通常の名無しさんの3倍:2007/07/13(金) 15:27:10 ID:???
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
358通常の名無しさんの3倍:2007/07/13(金) 17:30:35 ID:???
>>355
辻〜んは現場視察しまくって、
現場の兵隊にはそれなりに人気はあったけど…
参謀の仕事は(以下略
359CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/14(土) 00:01:49 ID:???
「ハイペリオン、出す!」
ブースターを吹かし、一気に広大な宇宙へと飛び出した。
目指す目的地は遺伝子実験コロニー・メンデル。生まれ故郷だ。
正直まったく覚えていないためか、その姿かたちには嫌悪は持たなかった。
だがそこは紛れもなく己の生まれ故郷であり、元をたどればすべてがここへとたどり着く。
そう考えればただひたすら憎たらしい代物に見えてくるから不思議だ。
だが今は、覚えてもいない生まれ故郷を憎むより大事な目的がある。それは、キラ・ヤマトを見つけ出し、殺すことだ。

ずいぶんとメンデルに近づいてきた。そのときレーダーが一体のMSの反応を警告する。
どうやら先にこちらに気づいて出てきたようだ。
やがて姿かたちを確認できるまでの距離になる。
相手は左肩にジャンク屋ギルドのマークをつけ、赤い素体に所々を白い装甲で保護したツインアイのツノつきMS。
機動性重視して作られた代物らしい。キラ・ヤマトの乗る機体の特徴とは違っている。コイツははずれか?
「こちらはジャンク屋ギルドのもんだ。そっちの用件は何だ!」
あちら側から通信が入り、はっきりとした口調で問いかけられる。
用件など唯一つだけ。
「キラ・ヤマトを知っているか?」
その問いに相手は言葉を失い黙る。それは肯定と同じ意味に他ならない。自然と唇の端が釣りあがった。
心臓の音がだんだんと大きく聞こえて来る。
「知っているんだな?答えろ。奴は今どこにいる」
ビームサブマシンガンの銃口を相手に突きつけ、高揚する気持ちを抑えつけ冷静さを装い言った。
360CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/14(土) 00:03:07 ID:???
「…ここにはいない」
期待が大きかっただけに若干曖昧な答えについ舌打ちをしてしまう。
知っていたとしても、おそらくこのままではこれ以上の情報を引き出せないだろう。
「まともに答える気はなしか、ならば…消えろ!」
ハイペリオンのビームマシンガンの光が3つ4つ相手の肩の装甲の端を打ち抜く。
やはりそれほど硬いものではないようだ。もう少し内側を狙ったつもりだが相手の反応はそれほど悪くないらしい。
しかしそうでなくては面白くない。
相手もそのままみすみすやられるわけにはいかないと、反りのついた片刃の実剣を腰の鞘から抜き放ち、向かってくる。
狙いを定め、引き金を引いた。しかし赤い機体の持つ実剣はソレをやすやすと防いでしまう。
「対ビームコーティングでもしているのか」
ぐんぐんと距離を近づけてくる赤い機体に舌を打ちながらつぶやく。思った以上にすばやい。
予想外の強敵との遭遇に、心なしか先ほど削がれた高揚が戻ってきていた。
赤い機体が実剣を振りかぶる。
そのモーションを一瞬だけ早く読み、左手でビームナイフを引き抜き高熱の刃を出現させ実剣を受け止めるように振るった。
二つの刃がバチバチとつばぜり合う。
一瞬でも判断が遅れていれば今頃ハイペリオンの右腕は切り落とされていただろう。
しかし相手がコックピットを狙っていなかったあたりが癪に障る。なんて甘い。
「薄い装甲があだになったな!」
左手はそのままに右手のビームサブマシンガンを相手に向け容赦なく引き金を引いた。
361CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/14(土) 00:04:09 ID:???
「おい、答えろ」
赤い機体は至近距離からビームサブマシンガンを打ち込まれたために、
装甲はところどころ削がれパチパチと電気の花を散らしていた。
パイロットに応答を求めるが、答えはない。
「…死んだか?」
やりすぎたか、と舌を打つ。もともと生かして返すつもりは毛頭なかったが、情報を聞き出せなかったのは痛い。
気を失っているだけなのかもしれないが捕獲したりするにしても手間がかかるだろう。
正直この区域に留まり続けるのはまずい。
銃口を向けたままカートリッジを腰の後ろの予備と交換し、コックピットに向け引き金に手をかける。
たとえ相手が死んでいようが、その機体にこのハイペリオンの姿が記録されていれば機密が漏れるきっかけになりかねない。
それを防ぐもっとも簡単な手段。それは完膚無きまで粉々にしてしまえばいいだけのことだ。
動かない的相手だ、手間もほとんどかからない。
しかしその引き金が引かれることは無かった。
「パルス特務兵。司令からの帰還命令です」
オルテュギアからの通信。声の主はメリオル・ピスティス。
「こんな時にか!…仕方が無い、帰還する」
たとえジャンク屋の様な非合法に近いような組織と言えど、そのネットーワークは侮れない。
特に技術関連等の話題は一時間後にはほとんど出回ってしまうだろう。こうなれば機密も何も無い。
しかし帰還が遅れれば"奴ら"はここぞとばかりに罵倒するだろう。
命令したのはあちらの方であり、命令に従ったに過ぎない。そう自分に言い訳をする。
「俺はどうなっても知らんぞ!」
幸いハイペリオンの特異な装備を見せたわけではない。
姿かたち程度であればまだ、何処かの新型の一言程度で済む。
何よりパイロットが生きているのであれば、次の機会という可能性もあるだろう。
362CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/14(土) 00:05:23 ID:???
墓場までもってかれちまったら再現しようがない
アルコフはそんなことを考えながら、厳重に封をした袋を開く。やや細く挽いたコーヒー粉が顔を覗かせた。
人の手ではやはり密封することはできないためか、持ち出したときよりずいぶんと香りが飛んでしまっている。
最も、密封に近い状態であっても挽いてからかなり時間がたってしまっているのだが。
本当は挽きたてが一番いいのだ。二週間以上たってしまえば美味しくなくなってしまう。
だけれど、この味を再現できる人はこの世にはもういない。だからこうやって一年以上たっても使い切れないでいる。
再現しようにも墓場までブレンドのレシピを持っていかれてしまえばどうにもできない。
おまけに言えば最近の地球は豆を手に入れることすら難しい状況だ。
もっともレシピを持っていたとしても、焙煎時間が少し違うだけで味も香りも変わってしまうため実はそれほど役には立たないのだが。
その味を出せる人がいなくなってしまえば、事実上永遠に失われてしまう。悲しい話だ。
そんなこのコーヒー粉もあと僅か。
フィルタをセットしたドリッパーに残り少ない粉を入れ、湯で全体を湿らせると、ほのかにコーヒー独特の香りがしてくる。
新鮮なものならば膨らんで目にも楽しいのだが。
「すぐに抽出しないのか?」
その様子を見つめるガロードが口を挟む。
「60秒くらい蒸らすのさ、古いものでもしないよりは美味い。
最もできれば湯ももうちょっと高い温度のほうがいいんだがね。宇宙ではそうもいかない」
無重力状態で湯は冷めにくい。
今現在彼のこの部屋は人工的に作られた重力下にはあるが、湯を沸かすにしても80度までしか暖める機能がないのだ。
文句を言っても仕方が無い。宇宙でこうやって本格的なコーヒーを飲めること自体が贅沢なものだ。
363CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/14(土) 00:06:24 ID:???
「へぇ〜。そういえばテクスも言ってたっけな」
「仲間かい?」
「うん。一度だけ教えてもらったことあってさ」
雑談を交わしながら細口のポットで、真ん中から外へ円を描くように湯を静かに注いでいく、
やはり香りがずいぶんとなくなってしまっているのが少し悲しい。
「コーヒーを飲んだことは?」
「あんまりねぇかな」
たわいのない会話の合間にもサーバーに抽出されたコーヒーが落ちていく。
サーバーの形に添って光に透け、コーヒーの暗い黄赤が若干薄く見えた。

「メリオルから聞いたが、一体何の用なんだ」
暖めた二つのカップにコーヒーを入れているうちに、イライラしているといった表現が合うような様子でカナードが入ってきた。
大体いつものことだが、今日はそれ以上だ。おそらく帰還命令と関係があるのだろう。
「いやなに、久々にコーヒーを淹れたくなりましてね。どうせだからご馳走でもしようかと」
そんな風にいいながら、にかっと笑う。
「砂糖とクリーム無いのか?」
一口飲んだ後、ガロードがあたりを見回して言う。
「一応あるが。なんだ、ブラック飲めないのか。」
カナードに適当なところに腰をかけるように勧め、
もう一つのコーヒーを渡しながらアルコフは言う。お子様だな、と笑いながら。
「飲めないわけじゃねぇけどさぁ…。苦いのより甘い方が好きだし、少し贅沢したいし」
少しふてくされた様子で主張が帰ってくる。
「贅沢ねえ。甘いのが良いのはともかく、水と油の産物が贅沢か。苦いのが苦手なだけなんだろう?」
笑いながらグラニュー糖の入った紙のスティックと、クリームポーションを手渡す。
太陽のない世界で生きた経験のあるガロードにとってささやかな贅沢の一種であることは間違いなかったが、
今のはどうやら苦いのが苦手という主張のほうが強いようだ。
そんな二人のやり取りの横で、じいっとコーヒーを飲まずに見つめていたカナードが一口コーヒーを飲んだ。
364CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/14(土) 00:08:22 ID:???
「…う」
うめき声のような、くぐもった声が自然と出た。その声にガロードもアルコフも彼のほうを向く。
ガロードが彼の目の前で手をふってみる。
反応は返ってこない、こういった場合固まっているといった表現がしっくり来るのではないだろうか。
当の本人は、こんなものが本当に飲み物なのか?と初めて口にしたこの飲料を理解することに四苦八苦していたのだが。
「まあ、仕方が無いか」
固まっているカナードを見ながら一人納得したようにアルコフは笑う。
細く挽けば挽くほどコーヒーというものは濃い味となる。
パウダー状まで挽いた物ではないが、飲みなれていない人間にしてみればかなり濃い方だろう。
ましてや初めてでは飲み物だと思えないかもしれない。
結局カナードはそのままでは飲み干せず、悪態をつきながらも砂糖とミルクのお世話になったのだが。


「珍しいですね。あなたが他人にコーヒーを出すなんて」
一休みといった状態の格納庫の中で、メリオルはアルコフに言う。
「女房特製のブレンドなんだ。美味すぎて他のやつに飲ませるのはもったいなくてな」
普段誰にも飲ませることの無くコーヒーを一人で楽しんでいた理由を彼女はこのとき初めて知った。
だが彼等に御馳走した理由にはなっていない。
「…今日は息子の誕生日だったんでね。本人を祝ってやれないダメな親の身勝手な罪滅ぼしさ」
一部を残し落とされた照明は彼の表情を読ませない。
「罪滅ぼしだなんて、そんな大げさな…。もしかして、まだ小さいのですか?」
子供がまだ幼いのであれば、その罪悪感も頷けるというものだ。
親に祝ってもらえないという事は、幼い子供にとって大きな傷になりかねない。
「いや、二人と同じくらいさ」
確かに難しい年頃ではある。
「なら、戻ってからでも…」
言いかけて、初めて見えた彼の表情は、普段他人に絶対に見せる事の無いものであった。
「本人がいないんじゃどうしようもない」
365CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/14(土) 00:10:39 ID:???
彼はぽつりぽつりと語りだした。
「女房はあまり体が強くなくてね、よりによって四月一日が手術日だった。運が悪かったのさ。」
苦労して探しだした名医だった、設備だって整った場所であった。
失敗する要素など、ほとんど無かったはずなのだ。
すべてはエイプリル・フール・クライシスが引き起こした、不運。
四月一日のことだ。核兵器、核分裂エネルギーの供給を抑止してしまうニュートロンジャマーという代物が、
宇宙に住むコーディネイター達の手で無差別に地球の地中深くに埋め込まれたことから始まる。
当時地球は核分裂炉の原子力発電を主としていた。つまるところ極端なエネルギー不足が引き起こされたのだ。
地球では今、世界の人口の十分の一が餓死や凍死、そして二次、三次災害により死に絶えたといわれている。
確かにエネルギー不足により重病患者や丁度手術を受けていた者達は、その多数が死を迎えた。
妻もまたその被害者の一人なのだ。
だが腑に落ちないことが一つある。世界の人口が一割減ったという事。
ユーラシア大陸の北部に住んでいた彼からすれば、
屋根の下にいるかぎりエネルギー不足による凍死などほとんど有り得ない話である。
食料とて生産を完全に機械化しているわけではない。餓死した者がいないとは言い切れないが。
餓死や凍死、二、三次災害を含めたとしても、10分の1は有り得ない数字だった。
おそらく弱体化した情報伝達を利用した反コーディネイター感情をあおるプロパガンダなのだろう。彼はそう考えている。

「とにもかくにも、母親を殺したコーディネイターは絶対に許さないってな。
そういって俺の息子は軍人になっちまった。それが運のつきさ。結局味方に殺されちまった。いや…」
殺したのは止められなかった俺なんだろう。そう言おうとして口を閉ざした。
長い沈黙の中、メリオルは何も言えずただうつむいて彼の言葉を待った。
「俺たちは、どっちを恨めばいいんだろうな」
わからないから、戦争を恨んでそれ以上に自分を恨むことにしているのさ。
とだけ言い、格納庫の何処かを見つめながら、ただただ沈黙した。
366CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/07/14(土) 00:12:40 ID:???
第五話 珈琲の味 
投下終了です。
367通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 00:21:16 ID:???
あぁ……なんかしんみりと胸を打たれた話だった。

可能性としてありうるよな。エイプリルフール・クライシスの被害がプロパガンダで誇張されてるって……
アルコフ氏の息子さんみたいに戦場へ出て、命を落としたケースはたくさんあったと思う。

その想いが凝縮したコーヒーに、乾杯。
368通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 01:16:55 ID:???
……しみじみとGJ
369通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 01:28:07 ID:???
情報を操作しているのは「一族」なんだよなぁ……
奴等は定期的に地球人口の「間引き」をしている訳で。
370通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 01:45:34 ID:???
ロウとの接触がちょっとお座なりなってしまった感があるけど、
コーヒーの逸話と固まったカナードの可愛さがそれを補う以上の働きをした。
今後の展開に期待する。

>>369
むぅ、例の「一族」か……
もしAW世界に「一族」がいたのだとしたら、コロニー落としは計画通りだったのか、そうでなかったのか……
371通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 02:03:11 ID:???
ジョージ・グレンやラクスは「一族」が造ったのかもな。
自分達にとって都合の良い世界の指導者として。
他人の子をこっそり毒電波を飛ばすような指導者になるようにコーディネート。
失敗作は親に捨てられ「サーカス」行き。
ジョージ・グレンは「一族」の意に沿わなかったので殺された。
372通常の名無しさんの3倍:2007/07/16(月) 13:23:53 ID:???
ラクスはともかくキャプテンは一族が作ったかもね
それだけの技術も金も人もあるだろうし
・・・アストレイの本スレはもうどうしようもなくなってるからつらいよ
一応今のX本スレ置いとく
前まで荒らしがひどくて見れるものじゃなかったけど今はそうでも無いかな?
まあまとめサイトに置かれるときは削除されてるだろうけど

機動新世紀ガンダムX−44
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/x3/1183818024/
373通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 07:41:48 ID:???
ジョージ・グレンが一族に造られたとしても、試作品なんじゃね?
裏で暗躍させるんじゃなく、表で色々と活躍させたのも、能力検証のためだったとか
検証の後、政治家にでも立候補させて一族の役に立てよう…としたところで自分のレシピ公開なんぞやっちゃったせいで、始末?
ジョージ・グレン一代記とか書けそうだw
374通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 10:11:29 ID:???
たとえ食料が生産されても
都市部に至る車や飛行機や船や鉄道が使えなければ
そこで展開されるのは、餓死という名の地獄なんだよ

都市の人間なんて
上下水道が死滅して電気が通らなくなるだけで
ライフラインが切断されるだけで容易に死ぬんだ
備蓄食料だってそうそう持つものじゃないし
保存用の冷蔵だって電気がいる
エレベータも動かないから手動で運ぶしかない
そうこうするうちに弱い女子供年寄りから死んでく
目の前に食料があるのに、医療装置があるのに
エネルギーが無くて大勢の人が死んで、
寒さが致命傷になる北半球で体力の問題で脱出できず
さらに大勢が死んで、それらの合計が10億人

そして、それでも連合は大勢の人を救った頑張った方なんだよな
375通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 11:13:21 ID:Xh9MCnk9
……不謹慎な喩えだけど、今回の新潟の地震の後、
何処からも救援物資が届かず、ずっとライフラインが復旧しなかった状態を考えればわかりやすいよな。
しかも、ヨーロッパの冬は日本よりずっと厳しいし……。

376通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 11:22:52 ID:???
>>375
夏は夏でフランスじゃ暑さで体の弱い人が何人も命をおとしてるし

>>374
共産主義者の大量虐殺記録を軽く更新してるコーディネイター…
377通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 12:48:13 ID:???
「誰かの陰謀とプロパガンタ」のせいというのは、実はとても優しい結論だ
その誰かに責任を転化すればよい

「陰謀も無く、世界が現実に地獄」である、というのは実に単純であるように見えて
構造が単純であるだけ、その地獄が強調されて恐ろしく、また悲劇的だ。
失った命の総数という点でも、その総数分の悲劇・苦しみ・恨み・仇・怨恨が生まれるという点でも、
そしてそれらが実に正当なものであるという点から見ても、特に悲劇的だ
378通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 21:31:45 ID:???
しかしその怒りをぶつけるべき正当な相手は遥か宇宙の彼方…
故にそれらの矛先は同じ被害者である筈の地上のコーディに向かい、
更なる憎しみの連鎖を生み出したわけだ。

…もし、地上の指導者の中にコーディ嫌いで無く冷静な者が居れば、
行き場を失った彼等を受け入れ自らの勢力の拡大を図ったのではないだろうか?
具体的にはもしC.Eにもエスタルドがあったらルクスならそれ位やってくれるんじゃないかなぁと。
379通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 21:40:27 ID:???
「受け入れる」って単純に衣食住考えても大変だよね
380通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 21:45:44 ID:???
そもそも通信も交通もNJで途絶してるよね。彼らをどうやって見つけるのか?
見つけてどうやって運ぶのか?
381通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 22:08:56 ID:???
エネルギーだけならオーブの設定(火山を使った地熱発電が主流云々)を流用すればどうにか…
著しく信頼性には欠けるが作中で罷り通っちゃってるしww
通信は地続きなら有線を使えばどうにかなるか?
問題はやはり交通…
MSが電気で動いてる辺り自動車はじめ殆ど電気で動いてそうだし…
本編オーブの様に以前からコーディを大っぴらに受け入れてたなら向こうからやってくる事あるかも試練。
382通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 23:24:53 ID:???
>>378
>…もし、地上の指導者の中にコーディ嫌いで無く冷静な者が居れば、
>行き場を失った彼等を受け入れ自らの勢力の拡大を図ったのではないだろうか?

つ青き正常なる世界の為に頑張る盟主王
その道は既にCE71年1月時点に、我々ナチュラルの国大西洋連邦と
アズラエルの姓を持つ地球の盟主王が踏破した道だッ!!
彼の英断によりコーディネイター技術陣を手に入れた大西洋連邦が
GATシリーズを筆頭にした新鋭機と、独自のナチュラル用OSの開発に成功したことは
意外と視聴者には知られているようで知られていない事実である

たいていの視聴者は、
本来必要な友軍である大西洋連邦側の情報をあえて出さずに
オーブのナチュ用OS開発を見せることで誤認させるという、恐るべき某負債のプロパガンタな演出描写によって、
オーブ…ひいてはキラががナチュ用OSの発生地点だと勘違いしているが、
公式設定ではそうなのである。

彼の英断によって連合が地上からプラントを叩き出す第一歩を踏み出せたと言っても
決して間違いではないのである
383通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 23:43:39 ID:???
その割にどこに使えばいいか迷いそうなくらい有能なソキウス達を、
非常に勿体無い方法で使い潰してましたがw>盟主王
384通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 00:21:08 ID:???
ソキウスはさぁ
ぶっちゃけあの時点じゃ連合視点的にはヴェイアの次なわけよ
俺ら読者視点では、パーフェクト完成品ってわかるけどさ
作中的には安全性と信頼性に難ありだべ?

だから、ブーステッドマン・エクステンデット・ナチュ用OS
そしてスウェン達努力したナチュラル主体にシフトしていって
用済みになったソキウスは破棄されたり払い下げられたりしたわけで

ま、作ってみたら自発的にナチュラルのためになる行動を開始したから
そういう意味でも連合と盟主王は偉大だよね
なんせ、盟主王自らが犯したミスを自発的に修正してくれる完成体ソキウスを
世に放つことになったんだから。しかもメンテナンスフリーかつフォローもばっちり
385通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 00:27:01 ID:???
まさに人類は、自らの「戦友(ソキウス)」を手に入れたわけですね
盟主王スゲーwww
386通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 01:14:26 ID:???
でもそれってあくまで結果論じゃ…
……やべえ、主役その他で結果として良い方向に転んだ事例が思い浮かばねえww
387通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 19:40:29 ID:???
種オンリーの話するなら相応のスレがあんじゃね?
388通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 20:05:01 ID:???
話し変わるがどこのSSでもパーラまだ見たことないな。
389通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 20:22:50 ID:???
三次になるが赤い2連星はダメか?
390通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 20:54:52 ID:???
0
391通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 21:08:48 ID:???
>>388
かつてガロティファパーラinCEのSSを構想したが……
展開が複雑化しそうになって袋小路に陥ったのは記憶に新しい。

ここのスレでパーラが登場しづらい原因は、やっぱり本編の登場回数が少ないからかな?
392通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 22:06:09 ID:???
おっぱいでかいから
393通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 22:10:10 ID:???
パーラ影薄いしな。
それにキャラ増やしすぎても書ききれない。種世界のキャラにガロード、ティファ、ニート、
フロスト兄弟あたり足すぐらいが限界だな。あまり出しても空気にしかならん
394通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 22:16:02 ID:???
トニヤ、シンゴ、サラは出てきてもあまり印象に残らないよな、確かに。

その点、キッドの方がまだ使いやすいか。
395通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 23:24:48 ID:???
まあ、シンゴには、ノイマン並み事ができるかもしてないから、
フリーデンIII(種バージョン)なんてのに乗せてもいいかな?
396通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 23:40:34 ID:???
>>395
X運命では操舵を握っていたが……

最近ではめっきり出番無し。
397通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 09:30:50 ID:???
テクスはいいポジションもらってる事が多いのになあ。えらい違いだ
398通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 09:53:16 ID:???
テクスは種にいなかった「若者を諭す大人」ってポジションに
一番いいキャラだからじゃないかな。
医者ということでどこにでも潜り込ませやすいのもポイントかもしれん。
399通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 11:01:25 ID:???
何気に多芸だし、
400通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 11:18:53 ID:???
Xが類を見ないほどの安心ガンダムであったのも
テクスとジャミルがしっかりと締めてくれていたからだな
401通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 16:54:55 ID:???
テクスがいなかったら、Xの魅力は半分以下だ。
402通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 17:00:24 ID:???
スタトレに喩えるなら艦内バーのおばさん。
ウーピー・ゴールドバーグだっけw
403通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 17:13:08 ID:???
種死もああいう渋くて味のあるキャラがあればましだったな。
そもそもオッサンもオバサンもいない、青二才な面子ばっかだし。
404通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 19:18:03 ID:???
歳をとるぐらいが取り得なおっさんはいたけど
405通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 22:58:41 ID:???
つまり、せめて整備班長さんたちが、もうちょい頑張ってればって事か?
406通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 23:09:39 ID:???
>>405
プロ意識を感じさせるシーンがなかったもんな〜。

キッドみたいにドライバーで足ブッ刺せとは言わないけど、
補給を受けれない中で消耗部品をでっち上げるとかがあればよかったのに……
407通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 23:27:23 ID:???
例えば自由が腕を飛ばされたら
次の出撃時にストライクとかM1の腕だったりって感じとかで
ギリギリ感とかも演出できるよな。

前の出撃から間がなくても物資が不足してても
次の時には全快してる不思議装甲だけど。
408通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 23:30:06 ID:???
>>406
確かにな。08MS小隊やXのようにジャンクパーツを流用するシーンなんか無いしな。
種の連中はほんと工夫や努力が無いな。
409通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 23:41:39 ID:???
1stだって「ガンダムは使い過ぎだ」の台詞があるのに……
410通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 05:02:24 ID:???
倉庫のXSEEDの3話目、16話になってね?
411通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 11:11:37 ID:???
>>406-408

そんなことしたら作画陣が全滅します。
ただでさえ遅い脚本基準でスケジュールいっぱいいっぱいなのに、
バンクが使えない演出なんか不可能です。
アニメーターには罪はありません……たぶん
412通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 11:36:58 ID:???
メカの醍醐味は戦闘シーンだけじゃなくて、

壊れる→直す

にあると思う。特撮だろうがアニメだろうが変わらない。



あまり関係ないが、整備士を主人公にした作品って少ないよな?
4131:2007/07/21(土) 11:37:45 ID:???
どこぞのSSでも「こういう場合、必ず右上から攻撃が来る」とか言って避けてるノイマンいたなあw
414通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 12:26:25 ID:???
>>411
あの程度の練られてない脚本でも、
仕上がってくるのはギリギリだったらしいな。
豊富な予算は納期に間に合わす為に多くが消費されたとかw
415通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 13:40:32 ID:???
>412
リアルメンテ屋からすると…
仕事が増えるから、なるべく壊れてくれるなとか思うわけで(=ω=)
メンテって部署は常に人手足りなさ杉なんです
416通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 13:42:26 ID:???
あ、物資も常に足りてねぇですよ orz
417通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 14:15:18 ID:???
>>413
それタリア艦長。理想郷の完結済み作品にでてた。
418通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 16:12:28 ID:???
>>412
そもそも種で修理中のシーンなんか極端に少ないしな。
砂漠で戦って砂ぼこりで汚れても無いっておかしいだろ。

さらにマードックやヨウラン・ヴィーノといったメカニックもないがしろだし
ラクシズは縁の下でがんばる人のことをわかってるのか?
てめーらの無茶を必死こいて支える人もいるんだぞと言ってやりたい。
419通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 17:45:54 ID:???
>>418
ラクシズだと、縁の下の人たちは「ラクス様のために!」の一言で喜んで働いちゃうから、気にしなくても大丈夫さ orz
420通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 17:48:58 ID:???
ミネルバ組はいつの間にか死んでたな。
421通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 18:04:54 ID:???
宗教だからな。信徒ってすげえぜ、俺らだと金もらわなきゃやりたくねえことを
無料や場合によっては金払って喜んでやるんだぜ。しかも希望者が多くて
選抜すらする、別の生き物だよ、ラクス教徒もそうなんだろ。
422通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 18:07:53 ID:???
>>418
ZZで砂漠では洗浄用のオイルが直ぐ無くなって大変とか、
そんな台詞があった。
稼動部分の多いMSが砂漠で戦闘するって大変なんだろうなぁ。
423通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 20:22:58 ID:???
そういや砂漠専用MSってギレンでもやたらあったなあ
ほぼ使わなかったけど
424通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 20:40:04 ID:???
種死の場合だとMS保有機数に制限があるから、むしろパーツ状態で機体がだぶついているかも知れんな。
基本的に壊れたら手足ごとどんどん交換してしまうとかさ。
インパルスなんてその最たる機体だろう。
一体何機ぶんのチェストとレッグを搭載していたんだか。
425通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 21:01:31 ID:???
しかしベルリンではインパルスしか出撃してないという現実
レストアなんて単語が33話で聞こえるがね

ところでよく目にする単語だが理想郷って何だ?SS投稿サイトか何かなんだろうが・・・
426通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 21:41:01 ID:???
>>425
その言葉を英語に訳してググれば答えは出るさ…
427通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 22:08:00 ID:???
>>425
正直知らなくていい世界だ。
428通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 22:18:17 ID:???
かなりスレ違いなんだが今日OVAのバルドフォースをみたんだ。
そしたら高木氏と鈴村氏が戦ってるじゃないか。鈴村氏主人公でシンみたいな復讐キャラ
高木氏イカレタ戦闘狂で役はまりすぎw

さらにwikiで見たら保志と石田がPC版に出てるし。これ狙ってやってるのか?
429通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 23:16:52 ID:???
>>425
「新品を持ってきた方が早い」
これが答えだ。
430通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 00:08:11 ID:???
高木氏はチンピラ役をやらすと東洋一だとかw
431通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 01:24:18 ID:???
>>424
コアスプレンダーが複数あって、サバイバビリティや継戦能力を度外視するなら、
インパルス複数機出撃とか出来そうじゃねぇか、と思ったもんだ。ランチャー、フォース、ソードが
それぞれ一機ずつでチームプレーとか、そんなことを想像した時期が俺にも(ry
432通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 07:38:05 ID:???
>>431
Vでやってたよな。

コアスプレンダーが複数あれば戦術の幅はかなり広がるのに……他は全てMSVだった。

出撃の度に合体だとか使い方が変だよな、インパルス。
歴代コアブロックシステムは何だったんだろうって首を傾げざる得なかった。
433通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 10:15:44 ID:???
一応最初はシンにしかシステムを使いこなせないって事になってたんだぞ……インパルス
434通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 10:17:00 ID:???
>>433
普通はそれ、欠陥品の烙印を押されるだろw
435通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 10:57:18 ID:???
>>433
ストフリにしろ、なんで特定のキャラにしか使えないって設定が必要なんだ?
しかもまったく根拠がないし。

あるならあるでゾイドみたいに他の奴が乗ったら動かないとか、明らかに能力が落ちるとかの演出がいるんじゃないか?
436DC ◆BLrWQEywWM :2007/07/22(日) 11:27:00 ID:???
 機動新世紀異聞・双星の軌跡
 第三話 『わたし……死ぬの?』 後編

 閃光は、一瞬だった。
 メガソニック砲。ヴァサーゴの腹部に内蔵されたこの大口径ビーム砲は、MS搭載兵器と
して正しく規格外の高威力を誇る。先ほどアーモリーワンの外壁を穿ったのも、この一撃だ
った。
 だが――
「ほう」
 メインモニターに映された情景を目にし、シャギアは呆れたように、あるいは感心したように
呟く。
 インパルスは、いまだ『生きて』いた。
 直撃の瞬間、シンは咄嗟にインパルスのVPS装甲の出力を、最硬の強度を持つ『赤』へと
引き上げていたのだ。加えてシャギアが確実に命中させるため、ビームの収束率を甘くした
拡散モードでメガソニック砲を撃っていた事が幸いした。
 どちらかの要因が欠けていれば、シンとインパルスは宇宙の藻屑になっていただろう。
「う……く……が――」
 とは言っても、インパルスの損傷は甚大なものだった。頭部と両脚は失われ、全身が手酷
く破損している。辛うじて無事なのはシールドで守ったコクピット周りのみ。またその衝撃は、
コクピットのシンにもダメージを与えている。
 ずたずたに引き裂かれた装甲がPSダウンし、ディテクティブモードの暗灰色に戻る。
「さあ、その機体も頂こうか」
 シャギアのヴァサーゴが、インパルスに接近する。だが捕獲しようとするその瞬間、弾か
れたように後退するヴァサーゴ。その眼前を、無数のビーム弾が翳め飛ぶ。
 ようやく追いついたレイのザクの射撃だった。
「シン! どうした、シン!!」
 レイの呼びかけにも、意識を失ったシンは答えられない。
「邪魔をしないでもらおうか!」
 ヴァサーゴの両腕が伸張し、クロービームを連射する。だがその不規則で変幻自在の射
線を、ザクは悉く掻い潜った。
 赤と白、二機のMSが交差する。
「今の動き――」
 シャギアの双眸が細まる。
 ヴァサーゴのストライククローは、その柔軟でフレキシブルな挙動によって、オールレン
ジ攻撃端末に近い形での運用を実現している。それをこうも易々と回避するとは――
「少々確かめさせてもらうぞ、白い坊主君」
437DC ◆BLrWQEywWM :2007/07/22(日) 11:28:09 ID:???
「艦長、インパルスとの交信が途絶えました」
 ミネルバ艦橋、緊迫したメイリンの報告に、タリアは毅然とした表情で自国の議長を振り
返る。
「議長、私は本艦によってなんとしてでも奪われた機体を奪還、もしくは完全に破壊するべ
きだと意見を具申します。発進の許可を」
「無論だとも、グラディス艦長。みすみすアレを取り逃がしては、この後どれほどの脅威に
なるか。私も十分に把握している積もりだ。国家の安全を司る立場としても、ミネルバには
即座に外の母艦を追跡してもらいたい」
 二人のやり取りに、ブリッジが大きくどよめく。
「今からでは、議長に艦を降りて頂く余裕がありませんが」
「艦長、とても残って報告を待っていられる状況ではないよ。私には権限もあれば義務もあ
る。私は君と、話す為だけに来たのではないからね――タリア」
(え!?)
 デュランダルの意味深げな言葉に、メイリンの耳が旧世紀のアニメ映画に登場する空飛
ぶ象のように広がった。
 深々とため息をついたタリアが、軍帽を被り直すと、腹に響く声を上げる。
「メイリン! ミネルバ発進シークエンス開始! 本艦はこれより戦闘ステータスに移行す
る!」
「りょ、了解! 緊急伝達、全艦にコンディションレッド発令、これは演習にあらず! 繰り返
す、これは演習にあらず!」
 栄光と苦闘に満ちた女神の旅路は、こうやってその幕を開けた。
438DC ◆BLrWQEywWM :2007/07/22(日) 11:29:11 ID:???
 結論から述べると、シャギアとヴァサーゴは終始レイのザクを圧倒していた。機体性能、
戦闘経験、操縦技量、その全てにおいて、両者の間には埋めがたい格差があったのだ。
「センスは悪くない、が――」
 右、と見せかけて左。フェイントにかかったザクの右腕が、ストライククローの直撃を受け
てもぎ取られる。コントロールを失ったザクは、錐揉みしながら吹っ飛ばされた。
「見込み違いだったか……ここまでだな」
 ヴァサーゴの腹部装甲が上下に分割され、メガソニック砲の砲門が露になった。
 たかだかMS一機を相手に、非効率極まる過剰殺傷。シャギアは、嗜虐の笑みを浮かべ
ながら白いザクをロックオンする。
 だが――
「上!?」
 天頂方向より、数条のビームが飛来する。回避機動を取ったシャギアが目にしたのは、
二機のゲイツRと一隻の戦艦。
 赤い翼を広げたその姿は、引き絞られた弩を思わせた。

「デイル機およびショーン機、アンノウンMSと接触! 交戦を開始します!」
「インディゴ53、マーク1ブラボーに不明艦1!」
 メイリンとバートの報告に、タリアは頷く。
「それが母艦ね。諸元をデータベースに登録、以降は対象をボギーワンと呼称する」
 タリアはそこで一拍置く。船出即初実戦――ブリッジクルーの緊張は最高潮に達した。
「艦橋遮蔽! 進路インディゴデルタでボギーワンに突撃! 全兵装使用自由!」
 やつばきに命令を出すタリア。同時に艦橋がフロアごと下降し、船体内部の主要防御区
域(ヴァイタルパート)内に設置された戦闘指揮所(CIC)と直結する。
「アーサー、砲戦指揮は任せるわ。操舵は私が指示します」
「りょ、了解――主砲(トリスタン)および副砲(イゾルデ)、全門開け! ランチャーエイト、
1番から4番まで対艦ミサイル(ナイトハルト)装填っ! 砲雷撃戦準備、照準ボギーワンに
合わせっ!」
 次々と艦の武装が起動する中、背後からデュランダルがタリアに声をかける。
「彼らを救助する方が先ではないのかね、艦長」
「そうですよ。だから母艦を撃つのです。敵を引き離すのが早いですから、この場合は」
 少々、うんざりした口調で振り返るタリア。その顔には見えない文字で『素人は茶でも飲ん
で黙っていろ』と書かれていた。
439DC ◆BLrWQEywWM :2007/07/22(日) 11:31:24 ID:???
『兄さん、そろそろ潮時だよ』
『分かっている。少しばかり遊び過ぎたようだな』
 内心で舌打ちしながら、シャギアはオルバに答える。
「欲をかき過ぎては、元も子もなくなるか」
 決断すると、行動は早かった。ヴァサーゴの機体を反転させ、ガーティ・ルーを目指す。
(それにしてもあのパイロット、まさかな……)
 先ほどまでの戦闘を反芻し、小さく頭を振るシャギア。
『どうしたんだい、兄さん?』
『少々気にかかる事があってな。これより帰投する』

 急速に遠ざかる敵機の姿を目にし、レイは大きく息をついた。
「逃げた――いや、見逃してくれたのか」
 一人呟き、乱れかけていた呼吸を整える。常に冷静沈着なレイにとっても、初の実戦がも
たらす重圧と昂揚は相当なものだった。
 と、飛来した二機のゲイツRから、通信が入る。
「無事か、レイ?」
「手酷くやられたな」
 ゲイルとショーン。レイやシン、ルナマリアと同じくミネルバ所属のパイロットだ。緑服だが、
前大戦での実戦経験を持つベテランである。
「俺はいい。それよりシンを頼む」
「おう、了解だ」
 二機のゲイツRは熟練した機動で大破したインパルスに取り付くと、手早く確保する。
「気絶してるが、心臓は動いてるようだな。タフな野郎だ」
「そうか」
 それを見届けたレイも、ザクをミネルバへと向けた。
440DC ◆BLrWQEywWM :2007/07/22(日) 11:32:26 ID:???
 目を開いたシンがまず見たのは、オレンジ色の前髪をした、人懐っこそうな少年だった。
「お、気がついたかシン」
 少年――整備兵のヴィーノ・デュプレは、安堵の笑みを浮かべる。
「ヴィーノ――こ、ここは?」 
「ミネルバだよ。動かない方がいい。直ぐに医務室まで運ぶから」
 そう告げるとヴィーノはシンを抱え、コクピットから飛び出す。既に無重力状態にあるため、
二人は緩やかな動きで格納庫の床に降り立った。
 そこでは、レイとルナマリアがストレッチャーと共に待機していた。
「すまね、後は任せるよ。俺まだ仕事あるんで」
「分かった。さあシン、横になって」
 ヴィーノからシンを受け取ったルナマリアが、ストレッチャーに寝かせる。
「状況は……どうなってるんだ――?」
 ズキズキと痛む頭を抱えながら、シンは問い質した。
「それは――」
 押し黙るルナマリアに代わり、レイが答える。
「件の不明艦――ボギーワンと呼称する事になったが――には逃げられた。奪われた三
機のセカンドシリーズMSごとな。今、このミネルバで追跡中だ」
「そうか……」
 それを聞いたシンが悔しそうに唇を噛み締めると、ストレッチャーに拳を叩きつける。ひど
く弱々しい音が響いた。
「負けたんだな、俺たち」
「だが、まだ生きている」
 淡々と、レイが答えた。
「ならば、次の機会があるという事だ。違うか?」
「だから今はとにかく休む事、分かった?」
 上から睨みつける二人の戦友に、シンは不承不承ながら頷いた。
「分かったよ、レイ、ルナ」
 急速に、再び意識が薄れていく。
 意識を手放す直前、最後にシンが目にしたのは、無残なまでに破壊されたインパルスの
姿だった。

 ――次は、負けない。


 NEXT:第四話『ここで仕留める』
441DC ◆BLrWQEywWM :2007/07/22(日) 11:34:33 ID:???
……ようやく時間が取れた
442通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 11:37:45 ID:???
おお!! 久し振りだ。待っていたよ。

辛うじて生きていたか、シン、インパルス。
気になるのはコアスプレンダーの破損状態だが、頑張れシン!
443通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 11:45:02 ID:???
おお、ひさしぶりです。がんばれシン。
444通常の名無しさんの3倍:2007/07/22(日) 23:33:28 ID:???
お久しぶりです!投下乙!
シン生きてた〜、前回ラストで「あ、死んだ」ってマジ思いましたもん
445通常の名無しさんの3倍:2007/07/23(月) 00:39:42 ID:???
シン「あーよく死んだ」
446通常の名無しさんの3倍:2007/07/23(月) 06:21:53 ID:s5D2FtBt
447livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g :2007/07/23(月) 13:09:41 ID:???
まとめwiki更新しました。
ところで、どなたかCrossASTRAY氏の第四話持ってませんか?
もし持ってましたら、まとめwikiのうpロダに上げてもらえれば光栄です。
448通常の名無しさんの3倍:2007/07/23(月) 13:29:24 ID:???
>>447
ttp://www3.uploader.jp/dl/seed/seed_uljp00019.txt.html

これでいいのかな?
コピペしただけだから修正なんかはお願いします
449通常の名無しさんの3倍:2007/07/23(月) 20:49:23 ID:???
ついでに他のスレの更新もしてほしいな、ドモンスレとかWスレとか
450通常の名無しさんの3倍:2007/07/23(月) 21:01:20 ID:???
何か、原作以上に良いとこなしだな、シン。
あまり踏み台な展開は好きじゃない。
451通常の名無しさんの3倍:2007/07/23(月) 22:22:59 ID:???
そう?また序盤だしこれからシンが成長する為のステップだと思ったけど
452通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 09:53:04 ID:???
一回負けた相手に特訓を経てリベンジってのは王道なんだぜ?
453通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 12:44:13 ID:???
主役はフロスト兄弟だろ?
454通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 17:53:41 ID:???
このままいけばフロスト兄弟、ダーダネルス戦でAAが乱入した時、フリーデンを思い出すかもな。
455通常の名無しさんの3倍 :2007/07/24(火) 18:31:10 ID:???
>>454
なんでだ?
456通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 19:24:23 ID:???
敵対した二大勢力の間に、単艦で割って入る第三勢力という構図は同じだろう。
AAとフリーデン。
457通常の名無しさんの3倍 :2007/07/24(火) 19:38:46 ID:???
>>456
そしてやった事。

フリーデン:サテライトシステムのガイドレーザーで道を開け、DOMEに向かって一直線。戦闘は降りかかる火の粉を払いのける程度。

アークエンジェル:カガリの演説? の後に両陣営に対して積極的に攻撃を行う。

どちらもテロ行為言えばそうなるが、似て非なるものだと思う。
458通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 19:54:09 ID:???
どちらかといえばヤキンのほうが近いな
まあ最終的に主人公勢が権力握るのは同じだが
459通常の名無しさんの3倍 :2007/07/24(火) 20:03:05 ID:???
ヤキンの場合でも対立構図が全く違うよな。

Xの場合は、新連邦軍も宇宙革命軍もフリーデンも最終目的はDOMEであり、同一のものだ。言わば競争相手であり、敵戦力の無力化は二の次。

種の場合は、連合はプラントに、プラントは連合に勝利すること、そして三隻同盟はその戦闘行為の停止を目的としていた。
460通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 21:48:19 ID:???
話を変えるが初代ACEやってみたけど連ザより難しいと思う
ACE3大丈夫かな?不安になってきた・・・もちろんやりきるつもりだが
461通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 23:20:28 ID:???
>>三隻同盟はその戦闘行為の停止を目的 ×
大量破壊兵器(MS含む)と指揮者の殲滅 ○
462通常の名無しさんの3倍:2007/07/25(水) 04:50:41 ID:???
>>460
ACEは機体縛りとかしてるとキツいとこがあるだけで
クリアしたいだけならなんとでもなった気がするな。
もちろん難易度の高いミッションはあったけども。
463通常の名無しさんの3倍:2007/07/25(水) 14:43:52 ID:???
連ザの場合はゲーセンでも出来るからな・・・ACEより優しいのはそこんところがあるのかも
てか俺も理想郷の行き方がわからない、ユートピアでぐぐったんだが・・・
464通常の名無しさんの3倍:2007/07/25(水) 16:06:52 ID:???
一つほど言っておくけどユートピアじゃあ引っかからないぞ
465通常の名無しさんの3倍 :2007/07/25(水) 16:09:14 ID:???
Arcadiaか?
466通常の名無しさんの3倍:2007/07/25(水) 22:23:15 ID:???
まさにスコッパーのアルカディア
467通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 00:36:05 ID:???
何であそこが話題に?
468通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 01:05:23 ID:???
ビックリするほどユートピアだからさ…orz

悪い意味でな
469通常の名無しさんの3倍 :2007/07/26(木) 01:12:27 ID:???
変な流れだから話を戻そうか。

ダーダネルス戦でAAが乱入した場合、カガリの演説を聞いたフロスト兄弟がフリーデンを思い出すよりは単純に呆れて鼻で笑うだけな気がする。
470通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 01:26:42 ID:???
そういう踏み台描写は好きじゃないが種のキャラの行動があまりにも
馬鹿すぎるのが多くて本編どおりのキャラでやるとそういう場面ばかりになるな。
471通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 06:17:39 ID:???
しかし、フリーダムの事を考えると、笑ってもいられないと思うが。
472通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 08:40:19 ID:???
変態兄弟の連携プレーで自由を翻弄するな。
473通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 13:08:54 ID:???
シャギア「ふっ、所詮この程度か」
オルバ「最強のスーパーコーディネーターと聞いていたが」
シャギア「興ざめだな。もういい、雑魚は殺すとするかオルバよ」
オルバ「OK兄さん」
キラ「うわぁぁぁぁ!」
474通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 14:10:38 ID:???
キラといえども1対(名前アリ)複数じゃ苦戦してるからな。
コンビネーションも完璧な兄弟相手にするには分が悪いと思われ
475通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 14:26:18 ID:???
でも、ヴァサーゴもアシュタロンもバッテリー機だし、フリーダム相手だと分が悪いんじゃ?
476通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 14:38:26 ID:???
常夏の3機もバッテリーだったぞ。
477通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 15:25:48 ID:???
あの時は2対3で常夏組は連携とれてなかったのに押され気味だったな。
兄弟に会ったらマジでキラ最期かもな・・・
478通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 15:43:08 ID:???
本命にCBとHCも控えてるからなあ。
あの二機って、CE世界だと、どれくらいの強さだろうか?
479通常の名無しさんの3倍 :2007/07/26(木) 18:30:05 ID:???
CB:戦略兵器に片足を突っ込んでる。トリプルメガソニック砲は威力・使い勝手に申し分無し。
HC:CBを乗っけたままGファルコンDXに追いつける推力。オプションにサテライトランチャー。

ふつうに化け物だろう。
480通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 19:00:29 ID:???
MSの性能は作品世界のバランスの問題だからおいとくとしても棒立ちの雑魚
しか落とせないからな、種のキャラは
481通常の名無しさんの3倍 :2007/07/26(木) 19:08:22 ID:???
名有りのパイロットが少ないよな、本編には。

ムウとバルドフェルド以外に二つ名持ちがいたっけ?
482通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 19:42:59 ID:???
アストレイやMSVにならいたけど、本編は2人だけじゃね
483通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 19:44:22 ID:???
>>481
本編では呼ばれてないが黄昏の魔弾さんとか?
484通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 20:25:34 ID:???
砂漠の虎の名はバルドフェルドが自分で宣伝させたんじゃなかったっけ?
485通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 21:14:39 ID:???
そしてX世界は名は無くとも15年以上の歳月が生んだ熟練パイロットばっか。
486通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 21:16:15 ID:???
XのMSが異常に扱いやすいだけのような気もするが
487通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 21:22:08 ID:???
>>483
いくら操作性は良くても、戦いの組み立て方はパイロット次第だ。
無名のバルチャーだってあの世界生き抜いてきたんだから、それに値する熟練者ばかりのはずだ。
488通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 21:24:57 ID:???
>>486
みんな操縦しやすいならみんな条件一緒だろ。
489通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 21:26:49 ID:???
]世界のバルチャーがみんな15年前からMS乗ってるわけでもあるまいに。
扱いやすいから熟練しやすいというのは当然アリだろ。
490通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 21:28:44 ID:???
X世界のMSとCE世界のMSじゃ、機械としての完成度が違い過ぎるからなあ
491通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 21:39:44 ID:???
俺はCEの人間の能力が異常に低いだけと思っている。
CEで高速タイピングができるのはコーディネーターだけらしい。
それで飯食ってる連中は普通にできるぞ……
俺たちAD世紀の人間にも劣るな。
また、どいつもこいつも負債のような思考回路しか持ちえず、精神的にも大きく劣る。
492通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 23:28:50 ID:???
高速の度が違うんだろ、きっと。
大体あんなテンキーに毛が生えた程度のキーボードでOS書き換えちまうんだぜ?
493通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 23:38:21 ID:???
パラメータいじっただけだろ
あのタイプ音じゃそれが精一杯
494通常の名無しさんの3倍:2007/07/26(木) 23:39:55 ID:???
>474
分が悪いどころか絶望的ジャマイカ?兄弟が冷静なら。
あいつ等、どっちかがすぐに調子に乗ってヘマするからなぁ・・・
495通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 00:42:47 ID:???
ガロードの時と違ってキラには心強い仲間がいないからそのまま死ぬ。
496通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 01:56:19 ID:???
自由はフルバーストとか言っても、あれ前方にしか撃てそうにないしなw
2機いたら、普通に横や後ろから撃たれて終わりだろ
497通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 09:55:10 ID:???
戦い方がワンパターンだからな、キラの場合は。
ガロードやシンと違って意外性ってのが薄いし、あっさり癖を見抜かれそう。
498通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 10:15:25 ID:???
戦闘をパターン化してしまうのはコーディネーター軍人特有の欠点らしいぞ。
キラも超絶的な技量を持っているが、その例に漏れないと。
シンもそうなのかな……?

但し、シンには成長の余地がいくらでも残されている感じがする。
キラは現時点で究極の存在であるが、同時にそれが限界でもある。
499通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 10:27:26 ID:???
何でも出来る奴は何にも出来ないって言葉があるよな。誰の言葉だっけ?

戦闘のパターン化は最も避けるべきだと古代の兵法から言われているのに言われ続けるのは、人間の性質なんじゃないかな?
500DC ◆BLrWQEywWM :2007/07/27(金) 19:53:24 ID:???
ちょいと質問。
ミネルバやガーティって、ラミネート装甲は装備してるんですかね?
501通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 20:05:59 ID:???
>>500
装備しているって話も装備していないって話も聞かないな。

ミネルバやガーティ・ルーで「ラミネート装甲、排熱追いつきません」なんて台詞もなかったし。

不都合がなければどっちでも良いと思うよ。
502通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 22:27:20 ID:???
>>499
マトリフ師匠
503通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 22:31:15 ID:???
>>502
……どなたですか?
504通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 22:37:25 ID:???
>>500
ミネルバはラミネート装甲してないかもね。
あれはAAにしか見られない。
ドミニオンにもあったかどうか分からない。
どうも連合の技術っぽいし。
ザフトにラミネート装甲を採用した兵器はないっぽい。
ガーティはミラコロ採用してるからどうだろ?
505通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 22:39:34 ID:???
>>503
ダイの大冒険のポップの師匠
ちなみに勇者の事を指して言った台詞
506通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 22:48:33 ID:???
>>505
ありがとう。
そうだそうだ。確かに言っていた。
今度ダイの大冒険を読み返してみよ。

ようするに器用貧乏ってやつだよな。
507通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 23:08:01 ID:???
8巻な

ガロードの武器も勇気
508通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 23:14:26 ID:???
確かにガロードも万能タイプに属するキャラだよな。
適応性が高いとはいえ、能力はスペシャリストに劣る。
でも惚れた女のために勇気と根性を振り絞って仲間と共に不可能を可能にする。

まさしく勇者ガンダム。
509通常の名無しさんの3倍:2007/07/27(金) 23:24:53 ID:???
GXもそういう機体。
サテライトキャノンを除けば、機動力でエアマスターに、火力でレオパルドに劣るし。
510通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 00:10:47 ID:???
>>504  自由正義のシールドは?

511通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 00:12:10 ID:???
>>510
あれは確かナスカ級の装甲と同じ素材だって設定じゃなかったっけ?
512通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 00:19:02 ID:???
>>510
あの世界のシールドはビームコーティングされているだけだ。
自由正義のが特別って訳じゃない。
ストライクのと基本は同じだろう。
インパルスから別物っぽいが。
513通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 00:20:18 ID:???
>>510
ラミネート装甲だったような……?本体がPSなんでそれでカバーしてた(一応は)とオモ。
514通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 00:22:11 ID:???
えーと、ラミネート装甲製でシールド表面のダクト状のものが排熱口じゃなかったっけか?
515通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 08:19:01 ID:???
MSサイズでは廃熱が間に合わないって設定だと思ったが、そんなのをシールドに採用しても……
516通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 13:02:05 ID:???
ブルーフレームセカンドのタクティカル・アームズはラミネート製でバックパック部分から廃熱できたはず
517通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 19:40:27 ID:???
あれはサイズが盾よりでかいぶん廃熱スペースと冷却装置に余裕があるからじゃね?
あと積極的にあれで防御しない点もある。
518通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 22:50:17 ID:???
積極的に防御するのはABCアーマーシュナイダーの方でだもんな青枠セカンド
……なんだろ、小さいくせに使えるのかな? こう、材質の違いが適正の違いって事か?
519通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 23:37:36 ID:???
獣と違ってウサギを狩るのに全力をださないってことだろ。
520通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 23:49:56 ID:???
瞬間的なものだし小さいからすぐ冷めるとか?
521名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 00:39:25 ID:???
ラミネートは吸収して熱放出が基本原理

で、ABCはビームを散らして弾き飛ばすコーディング
基本原理的にビームがコーディングに干渉して分散するとかなんとか
PGのインストに書いてあった気がする、トイザラスで店員がいない隙に
パッケージ開けて中身見たから多分そんな感じ、
さすがにプラモに一万も出せないよ
522名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 11:59:48 ID:???
>ラミネートは吸収して熱放出
>ABCはビームを散らして弾き飛ばすコーディング

クラウダの装甲はABCに近いかな?
523通常の名無しさんの3倍:2007/07/31(火) 11:20:21 ID:???
近いといえば近いがあれは元々の装甲の強度で無理やり弾いている印象があるな。
524通常の名無しさんの3倍:2007/08/01(水) 13:07:26 ID:???
ACE3にDX、CB、HC、Gファルコンまで出てる。感無量。

ttp://www.uploda.org/uporg935829.jpg
525通常の名無しさんの3倍:2007/08/03(金) 20:05:11 ID:???
職人さん来ないな〜。
526通常の名無しさんの3倍:2007/08/03(金) 22:20:31 ID:???
保守保守〜
527Exceed4000 ◆gzIb1zS1Ho :2007/08/04(土) 08:57:03 ID:???
近日中にぼつぼつ投下します。
今まで色々あって投下しにくい雰囲気だったので。
よろしくお願い致します。
528通常の名無しさんの3倍:2007/08/04(土) 08:58:11 ID:DOjnz5A5
追伸。
携帯より
529通常の名無しさんの3倍:2007/08/04(土) 10:41:53 ID:???
おお! お待ちしてました。
530通常の名無しさんの3倍:2007/08/04(土) 12:59:16 ID:???
お帰りなさい。
531通常の名無しさんの3倍:2007/08/07(火) 21:52:32 ID:???
保守
532通常の名無しさんの3倍:2007/08/10(金) 18:33:37 ID:???
保守
533通常の名無しさんの3倍:2007/08/13(月) 09:23:44 ID:???
保守でございます
534通常の名無しさんの3倍:2007/08/14(火) 17:25:24 ID:???
保守だね兄さん
535通常の名無しさんの3倍:2007/08/15(水) 13:47:54 ID:???
536通常の名無しさんの3倍:2007/08/15(水) 18:51:38 ID:???
保守だぞオルバよ
537通常の名無しさんの3倍:2007/08/15(水) 20:21:24 ID:???
わかったよタカヤにいさぁぁぁぁぁん
538通常の名無しさんの3倍:2007/08/15(水) 20:50:38 ID:???
シンヤァァァァァ!!!!!!
539通常の名無しさんの3倍:2007/08/16(木) 23:53:59 ID:???
ボルテッカ兄弟自重しろw
540通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 20:41:27 ID:???
ライカァァァァ!
541通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 23:04:56 ID:???
>>540
改造人間・弟も自重しなさいw
542通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 23:29:33 ID:???
ところで職人さんはまだかな〜、みんな盆休みでのんびりしてるのかな〜。
543通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 23:39:01 ID:???
どうやらガロティファが跳ぶのはCEだけじゃなくなったらしい
544通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 23:44:22 ID:???
惑星ZiやUCにも跳んでるな。まあこっちではスレ違いだから
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/x3/1178891136/や
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/x3/1184950156/でやろうな

545通常の名無しさんの3倍:2007/08/18(土) 00:12:54 ID:???
なんか下のほうは人名と機体名ばかりでついてけないw
546通常の名無しさんの3倍:2007/08/22(水) 15:32:02 ID:???
>>540
アイナァァァァァァァ!!!!!!!!!!
547通常の名無しさんの3倍:2007/08/22(水) 20:15:39 ID:???
>>540
>>546
中の人自重wwww
548通常の名無しさんの3倍:2007/08/22(水) 23:29:04 ID:???
そして降臨する

   ア  イ  ナ  ブ  リ  ッ  ジ
549通常の名無しさんの3倍:2007/08/24(金) 12:52:46 ID:???
僕らはガンダムというただのロボットアニメにとらわれた世代なのだから・・・
550通常の名無しさんの3倍:2007/08/26(日) 15:06:37 ID:???
あなたに保守を・・・
551通常の名無しさんの3倍:2007/08/28(火) 13:48:42 ID:???
保守は出ているか?
552通常の名無しさんの3倍:2007/08/31(金) 09:14:22 ID:???
保守
553通常の名無しさんの3倍:2007/09/01(土) 21:16:39 ID:???
保守
554Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/04(火) 05:45:26 ID:???
投下します。

機動新世紀ガンダムXSEED   第二十七話「高くついた寄り道からな」

「こちらガロード ! アークエンジェル応答してくれッ !! くそっ、さっきからうんともすんともいわねえ ! 通信状況が酷すぎる !! 」
『Nジャマーの影響でしょうね……でも大丈夫です。こちらの事は断片的ながらあちらに伝わっているようです。』
通信を入れ続けるも上手くいかない様子のガロードをカリスが宥める。
ザフトが開発し、地球各地に把握しきれないほど落とされたNジャマーことニュートロンジャマーは全ての核分裂を抑制するものであり、
その影響下では核分裂は抑制させられる。そのために核ミサイルをはじめとするかつての最終兵器であった核兵器を始めとする核エンジン、そして原子力発電などは使用不可能となった。
更に電波も阻害するために、影響下では電波を利用した長距離通信や携帯電話は使用不可能となり、レーダーも撹乱される。
自然の中にいる時や戦闘中のモビルスーツとの通信も困難になるケースが多く、長距離通信手段としてレーザー通信が使用されている。
しかし今はそれを一からガロードに詳しく説明している時間は無い。
やがてアークエンジェルが有視界範囲に入った時、彼にとって待ちに待った返事が相手方から返って来た。
『こちらアークエンジェ……マリュー・ラ……ス !! それに乗っ……るのは本当にガロード……のね ?!! 』
それは何度か話した事のあるラミアス艦長の声。
ガロードの声が一気に明るくなる。
「おっ、艦長さんか ?! おーし、本格的に繋がったみてえだな。そうだよ。こっちの黒いMSに乗ってるのは炎のMS乗り、ガロード・ラン様だぜ。
んで、この機体を今持ってくれてんのは俺の頼もしい仲間だ。」
『カリス・ノーティラスです。アークエンジェルの皆さん、お初にお目にかかります。ザフトにいましたがガロードの言った通り僕らは仲間です。
色々とお話したい事は多々あるのですが、後ろからの追手の事もあります。先ずは着艦させてもらえませんでしょうか ? 』
少しの間だけ通信機が静かになる。
ブリッツにガロードが乗っている事は確認出来たものの、詳細が分からないカリスに関しては慎重が要されるといったところだろうか。
調整したモニターの別枠を見ると、追撃隊との差が段々詰まりつつあるのが分かる。
かなり長く待たされたガロードは少し声を荒げた調子でアークエンジェルに再び通信を入れる。
「カリスは味方だ !! 着艦許可だけでも早く下ろさせてくれ !! でねえとハッチに俺が突っ込んででも…… !! 」
『お、落ち着きなさい !! ……分かりました。着艦を許可します !! 』
「よしっ ! サンキュー、艦長さん !! 」
とても穏やかでない発言を抑えつつマリューは着艦の許可を出した。
やがてアークエンジェルの左側のハッチが彼らを受け入れるべくゆっくりと開いていき、ヴェルティゴはそこに一直線に向かっていく。
ものの五分としない内に二機は吸い込まれる様にハッチの中に突っ込んでいった。
デッキに着いた瞬間の下から突き上げる衝撃と見慣れた整備班の面々はガロードに帰ってきたという感情を起こさせる。
555Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/04(火) 05:46:54 ID:???

ガロードはブリッツのコクピット内で一息を吐く。
またしても成り行きとは言えXナンバーの一機の奪還をする事となった。
格納庫にいる皆はその事実に気づき、イージスや艦隊合流前の一戦で勝利した時の様に喜びたい雰囲気の様だったが、今は状況が状況なのでそんな悠長な事は言っていられない。
急いでハッチを開けると、下からいつも世話になっているマードック曹長が両手をメガホンの様にしてガロードに声をかけてきた。
「良くやったな、坊主 !! だけどお祝いは目の前の敵さん追っ払ってからになりそうだ !! 機体の応急処置が終わったら直ぐ出撃できるか ?! 」
「機体は別段何ともねえんだけどよ、OSがコーディネーター用だからナチュラル用の調整が必要なんだ !
自力で何とかしてえけどパソコンとかそういうのまださっぱりだから、キラが一緒にいたらスムーズにいくかもしれねえ !! 」
そうガロードが答えると、マードックは少し渋い顔になる。
「悪ぃがあっちの坊主もこれから直ぐにストライクで出撃しなきゃいけねえ ! けど安心しろ ! ウチんとこの技術班や工作班だってそんなに柔じゃねえさ ! 協力すればある程度は何とかなる筈だ !! 」
「オッケー、わかった !! それから……」
ガロードはちらと後ろの方を見やる。
先程は毅然とした態度でアークエンジェルのブリッジに通信を入れていたが、この状況でカリスはザフトの黒服を着ているのを気にしているのか何の反応もよこしてこない。
不審がっているスタッフを相手にガロードは咄嗟のフォローを入れる。
「こっちの機体に乗っているのはいろいろあってザフトにいた俺の仲間だ。名前はカリス・ノーティラス。」
するとすっとヴェルティゴのコクピットハッチが開く。
全員に姿が見える様に外を出たカリスは格納庫全体に響く様な大きく、そして努めて明るい雰囲気の声で簡単な自分の状況説明を始める。
「皆さん ! 僕は今ザフトの制服を着ています。ですが、ガロードの仲間です !! そしてたった今ジブラルタル基地を脱出し、彼と共にここまで来ました !! もし僕がお役に立てるのなら出させて下さい !! 」
突然の口上に周りの者達は一瞬動きを止める。
だがそこにもう一つガロードにとって聞き慣れた声が響き渡る。
「それでいいのか ? 君は。」
ふとガロード、カリス二人の視線が奥の方に向けられる。
そこには今から一つしかないスカイグラスパーに乗って出撃に向かうといった様子のムウが、カリスの方に真剣な眼差しを向けていた。
ムウは正規の連合軍軍人、そしてカリスは仮にもザフトでは高位の役職の人間が袖を通す黒服を纏っている事から、ガロードはムウが何を言おうとしているのか直感的に気づく。
「外の様子を見れば分かるが俺達は今からザフトと戦闘をするわけだ。今さっきまでジブラルタルで色々な人間に指図出来るほどの権利を持っていた君が、
直ぐに仲間を討つ覚悟がこの戦闘の中で出来るのか俺としては少し厳しい。幾ら坊主の仲間だと言われてもな。
……俺もあまり疑り深い性格だと思われるのは心外だし、来ている制服にとやかく注文をつけるつもりは無いが……本当に良いのか ? 」
カリスはコーディネーターではない。
今のところはガロード、ティファ、テクスしか知らないが、人工ニュータイプであるといった所を除けば彼もナチュラルだから、
コーディネーター達に対して同胞という意識は割合希薄と言った方が正しいかもしれない。
とはいえ、彼はザフトに入って少なからずともある程度の恩恵は受けた。
更に今アークエンジェルを襲おうとしているジブラルタルからの追撃隊にはカリスが昨日今日談笑したり寝食を共にしたりした人間がいるかもしれない。
ここで前線に出て行ってその時になってから迷いや躊躇いが出るようであれば安心してその場を任せるなんて事は出来ないし、勿論自分の背後を守らせるわけにもいかない。
556Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/04(火) 05:47:53 ID:???
しばしの沈黙の後、カリスは口を開いた。
「僕やガロード達は自らの意志でここに来たわけではありません。ですから残りの仲間を見つけた後に全員揃って協力して戻る必要があります。
一人として欠けてはならないですし、こんな世界で敵味方に別れて戦争を続けるなんて愚の骨頂です。
……もしそこまでお疑いなのでしたら、出撃後に僕が妙な動きをした時には即座に撃っても構いません ! 」
その言葉にガロードはギョッとして振り向く。
しかし、カリスの表情は穏やかなものそのもので、言葉にも一片の飾り気は見られなかった。
寧ろそれは心の中の真摯な意見であった。
それを聞いたムウの顔からふっと笑みが漏れる。
「そこまで言ったんならお前さんを信用しよう。但しその代わり、こちらの陣営の人間として戦闘も含めてしゃかりき働いてもらうぜ。それとこれから先の事はもう誰のせいにもできないからな。」
「そのつもりです。信用してくれて有り難う御座います。」
言い終えたカリスの口からも軽く笑みが零れる。
しかし、安心する事は出来なかった。
くぐもった音と強烈な振動が艦全体に響き渡ったからである。
遂に敵方からの砲撃が始まったのだ。
「ともかく艦長達に詳しい話を通すのは戦闘が終わってからだ。相手の数が数だが弱気な事は言ってられねえぞ。ブリッジ ! どうなってんだ ?! 」
ムウは近くにあった通信用パネルまで行き、ブリッジに通信を入れる。
画面には口をこれ以上は無いほど固く真一文字に結んだマリューが映った。
それから神妙な面持ちのまま現状報告をする。
『敵が本艦を捕捉し砲撃を開始しました。出撃準備が整い次第直ちに発進して下さい。……それと、ガロード君と共に来たというあのカリスと名乗る少年については ? 』
「こっちと共闘するとは言ってるぜ。自分の後ろに銃突きつけた状態のままでも良いって覚悟持ったままな。
まあ、あの坊主の知り合いだって言うし、こんな状況だから俺としては信用してやらんでもないが……どうする ? 」
問いかけられたマリューはしばしの間思案にふける。
すると下のCICからナタルの厳しい声が横槍を入れる様に割って入ってきた。
『艦長。いかにこちらに与する意志と覚悟があったとしても、この状況下では信用に欠けます ! やはり一度艦内で勾留した状態にした方が良いかと。』
アークエンジェルの近くでは引っ切り無しに砲撃が続けられている。
マリューの考えとしてはこのまま沈むわけにはいかないというのなら藁にもすがる気持ちでこのカリスという少年の助けを借りたかった。
例えそれが現状にとって焼け石に水程度の事であったとしても。
だが幾ら傭兵にしたガロード達の仲間とはいえ、そして信用が無いなら背中に銃を突きつけたまま戦闘に臨んでもいいとはいえ、元を正せば彼は敵軍の重要ポストにいた人間だ。
早々簡単に信用しても良いものだろうか ?
『敵艦尚も接近 ! 』
ミリアリアの声がその音色も手伝って、自分に素早い処断を求めるベルの様に聞こえてならない。
『艦長 ! 急がなければこちらがやられます ! 』
ナタルは一時勾留を進言しているが、ここで墜とされる様な事があっては勾留も何もあったものではない。
迷った末にマリューは一つの決断を下した。
557Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/04(火) 05:49:56 ID:???
『ストライク、スカイグラスパー発進用意。ブリッツは調整が済み次第発進して下さい。カリス少年の乗った機体については先に述べた三機と同様に処置します。
但し三機の迎撃照準の一部は常に彼に合わせておくように。』
『艦長 ! 』
マリューの判断にナタルは驚きの色を隠せない。
軍門の家で生まれ育った彼女の常識に照らし合わせてみれば、非常識も甚だしい事この上ない事なのだから。
だが近くからブリッジとのやり取りを聞いていたガロードは、そんな空気をあまり意に介さず明るい調子の返事をする。
「おっしゃ、そうこなくちゃあ ! あ……急いでるトコ悪いんだけど、出撃前にキラを少しだけ貸してくれねえか ?
機体はあんまし損傷はねえんだけどよ、こちとらOSの事はそれなりのプロがいねえと殆どさっぱりだし、ザフト製のMSしか動かした事ねえから。な、いいだろ ? 」
『許可します。だけどなるべく急いで ! 敵の接近している距離から判断すればもうそんなに時間的余裕は無いわ ! いいわね ? 』
「りょーかいっ !! 」
ガロードはそう言ってブリッジとの通信を切る。
その時先程より一際大きい振動が艦を揺さぶった。
本当に残された時間は少なさそうである。
直後、格納庫にパイロットスーツに着替えたキラが転がり込む様に入ってきた。
「坊主 ! もう一人の坊主……ガロードが帰ってきたぞ ! 」
マードックの威勢の良い胴間声がキラの耳に入る。
そしてキラは軽く頭を殴られたような衝撃に襲われた。
艦の中にブリッツがある。何故ブリッツがあるんだ ?
確かにあれは元々連合の物だが、あのヘリオポリス襲撃の時にザフト側に奪われ更に今までにも何回か対峙してきた相手だ。
しかもその近くには低軌道会戦の時MIAになったものだと聞かされ続けていたガロードがいる。
生きていた事は純粋に嬉しかったが一体どういう事なのだろう ?
ブリッツのコクピットにはあのティファもいる。
更にそのブリッツの後ろにある白い機体が謎を大きくした。
流線型が特徴的なフォルムのその機体は数日前にとりあえず目を通しておけと言われた連合、ザフト両軍の機体のどれにも一致しなかった。
決定的だったのはそれのコクピットの辺りに見慣れぬ服を着た少年がいる事。
いや、見慣れていなくても彼が一体どういう存在なのかは腕の辺りにあるザフトのマークが雄弁に語っていた。
ザフトの人間が何故この連合の艦にいるのだろうか ? 事情を知らないキラには正に全てが混沌としていた。
そこにキラの姿を確認したガロードが声をかけてくる。
「キラ ! 」
ガロードにとってキラの顔はそんなに長く離れていた訳でもないのに、何故か久しぶりに見るように感じられる。
敵の陣営にいたからだろうか。
やがてキラの目の前に来たガロードは親指をピッと上げて微笑み言う。
「戻ってきたぜ。高くついた寄り道からな。」
キラはそれを聞き一先ず安心する。
どうやら彼自身が何か大きな怪我を負っていたとかそういった事は無かったからだ。
「おかえり。」
キラは笑顔で答えた。
そして、それを聞いたガロードは話を続ける。
「後ろの白いやつに乗ってるのは俺の仲間で名前はカリスっていうんだ。訳あってザフトにいたけど今は俺達の仲間だ。安心してくれ。
それからあのブリッツは俺とティファが捕まってたザフトの基地から逃げる時に取り返してきたんだけどもよ、OSが良くわからねえんだよ。
キラ……これから出撃で時間ねえとは思うけど、出来る範囲で良い ! OS変えるの手伝ってくれねえかな ?! 」
「分かった !! 」
キラは直ぐにガロードの申し出を了承した。
残り少ない時間でどれまで出来るかは分からないが……
それにしても……今まで自分達を執拗に追いかけて攻撃してきたブリッツのOSの調整をやる事になるとは。
心に何がしかむず痒い物を感じたキラだった。
558Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/04(火) 05:51:28 ID:???
投下終了します。
次はいつになるかは分かりませんがなるべく早めにしようと思います。
では、また。
559通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 13:25:28 ID:???
久しぶりの投下、乙です
戦闘終了後のガロードとキラの会話が楽しみだ、特に凸に関してのw
560通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 13:39:28 ID:???
カリス、損な役回りだなあ。相変わらずってとこが泣けるぜ
マリューとナタルがらしいぜGJ
561通常の名無しさんの3倍:2007/09/09(日) 22:41:42 ID:???
ついさっきまで友軍だったのにあっさり戦うんだなと思っけど
カリスも結構盲目的なところがあったんで、らしいといえばらしいか。
562通常の名無しさんの3倍:2007/09/10(月) 01:08:56 ID:???
お久しぶりのGJ!
本編の凸だと裏切り、カリスだとゆるぎない仲間への想いに基づく予定調和
ずいぶんと印象の違いが大きいなあ
563Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/12(水) 17:32:38 ID:???
戦闘関係、機体が多かったのできつかったですが、
今晩辺りにまた一話投下していいですか?
564通常の名無しさんの3倍:2007/09/12(水) 17:41:08 ID:???
どうぞどうぞ
565Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/13(木) 14:20:41 ID:???
昨晩コンピューターがスパイウェアの為一時あぼーんしてしまいましたが、データは無事残っていました。
では、投下します。

機動新世紀ガンダムXSEED 第二十八話「狼退治とキメますか !! 」

「ムウ・ラ・フラガ、スカイグラスパー、発進する!」
「キラ・ヤマト、ストライク、行きます!」
アークエンジェルのカタパルトから先にストライクとスカイグラスパーが発進する。
今回スカイグラスパーはエールパックを装備していた。
ビームライフルとサーベルという組み合わせがマードックを渋い顔にさせたが、これは歴戦を潜り抜けたムウのアイディアによる物だった。
地球では宇宙と違って当然の事ながら重力があるために、機動性で見るならば重い武装は極力避けなくてはならない。
おまけにここは砂漠に程近い場所である。
大気中における熱対流によるビーム兵器の減衰率がどれほどになるものか、それが一体どういう状態になるのかまだよくは分からない。
もし宇宙と同じ様にランチャーパックを装備していればそれらの問題にブチ当たるだけではなく、エネルギー消費問題ももれなく付いてくる。
何の考えも無しにアグニを放てば直ぐにフェイズシフトダウンを迎える事になる。
キラは最初のストライクの戦闘に於いて戦闘中にOSの書き換えを行ったと言うが、
この状況……ほぼ十機を一人で相手にしなくてはならない中でビーム兵器の減衰率計算が出来るかどうかなど本人に訊いたって怪しいものである。
またソードパックにすれば別の問題が浮上してくる。
近接戦闘に特化されたソードストライカーで出撃すれば、当然対MS戦闘も近接戦になる。
という事はそれだけ敵に距離的リーチを与えるという事になる。
捌き切れない敵が母艦であるアークエンジェルを狙い始めたら、蜂の巣になる事は免れない。
加えてガロードが取り戻したブリッツはそれこそ近接戦闘用の機体。
位置的なバランスが崩れてしまう事になる。
エールはその点中距離戦闘はビームライフルで行い、それを逃れてきた敵はサーベルで相手をし、短期戦で決着をつければ遜色は無い。
唯一の問題点、三つのパックの中で最重量である事に関しても四基のバーニアの働きはお釣りが帰ってくるほどにカバーしている。
566Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/13(木) 14:21:42 ID:???
それから遅れる事二分。
「ガロード・ラン、ブリッツ、出るぜっ!」
アークエンジェルのカタパルトから漆黒の機体、ブリッツが発進する。
キラがナチュラル用に調整した事もあってかガロードは直ぐに操縦の感覚を掴んでいた。
しかしブリッツには不安要素が幾つもある。
単機で敵陣に突っ込む様に作られている為に、中距離、或いは遠距離戦用の兵器が搭載されていない事だった。
近接戦と中距離戦にストライクが専念するだけに遠距離用兵器は必要だったが無い物強請りをしたところでしょうがない。
搭載されているレーザーライフルとてストライクのビームライフルと比べれば威力は格段に落ちるし、効果が何処まで効くかそれも分からない。
またブリッツの兵器はピアサーロック グレイプニールを除いて全てレーザーライフルもランサーダートも右に存在している。
頭部にはストライクにも付いているイーゲルシュテルンすら付いていない。
つまり右腕を破壊されればグレイプニールで奮戦するしかないのだ。
そのグレイプニールすらも戦闘慣れしたガロードにとって、使いどころって一体どういうところなんだと思わせる物であるが。
またランサーダートとて三発分しかないので使い所を見極めなければ全部スカで終わってしまう。
またブリッツを魅力的な機体たらしめているミラージュコロイドは熱対流の関係で使えないし、
ストライクの様なバーニアがあってもそこまで高くは飛べないので会敵方法は敵陣までえっちらおっちら走っていかなくてはならない。
地上戦では不自由する事この上ない。
詳細を聞いた時、ガロードは一瞬Xナンバーの機体でも貧乏籤をひいたかなとさえ思ってしまった。
しかし今は戦力の一つでも惜しい所である。出ない訳にはいかなかった。

567Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/13(木) 14:22:43 ID:???
そしてブリッツの出撃とほぼ同時にカリスも発進する。
「カリス・ノーティラス、ヴェルティゴ、発進します!」
ガロード達を救った純白の機体が猛烈なスピードでストライクとほぼ同じ位置に躍り出る。
内蔵ビームライフルとビームサーベルがあるだけにスペックや戦闘方法としてはストライクと同じだが驚異的な武装が一線を画す物となっている。
全方位攻撃とも言われている飽和攻撃を可能とする遠隔誘導端末、ビット。
A.Wにいた時、自身の出身地フォートセバーンでガロードと対峙した時全基打ち落とされてはいたが、第八次宇宙戦争の最終決戦時に修理自体は出来ていた。
死角無しともいえるこの兵器ならこの戦況を覆すどころか戦闘自体も勝利に導く事も容易い物かもしれない。
しかし今のカリスはそれを十分に分かっていたとはいってもビットを使うことに対し相当の自制心をかけていた。
今日はあの症状……シナップス・シンドロームが襲ってくる日ではない。
原因はこの世界のMSを詳細に調べていく仮定で分かった二つの事だった。
一つは材質が全く違う事。
ヴェルティゴの機体を構成しているのはルナ・チタニュウムであったが、この世界ではルナ・チタニュウムは大量生産出来ないばかりか、それ以前に生成する事も出来ない。
A.Wの工業概念に照らし合わせればもっと重くそして脆い金属が使われているのだ。
またビットは小さい故に機体より破損率が高くなる。
どちらかの陣営において微細工学に詳しい人間が手にしたら間違い無くこの世界のパワーバランスは崩れる。
物量で勝る連合が手にしたら尚更不味いだろう。
もう一つはビット攻撃自体がこの世界に存在しない事。
自身が人工的に処置を程された人工ニュータイプだと言う事もビット攻撃が可能になる一つの要因だったがその構造面でも知られてはならない。
しかしずっと自重はしていたが、ガロード達と共に基地から逃れる時に遂にそのシステムを解除した。
既に後戻りは出来ない所まで来たのだ。
568Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/13(木) 14:23:47 ID:???
今アークエンジェルの周囲はそこそこ小高い丘に囲まれている。
元々宇宙での運用を目指していた艦だけに飛ぶにしてもそこまで高い高度は取れない。
降りた場所にしても地形から言えば高度な部類に入るため逃げるにしても平地沿いをずっと進むしかないのだ。
ガロードが発進後直ぐに地面に降り相手を迎える為の位置につくと、通信機から緊張感漂うムウの声が入る。
『相手さんは二手に分かれたままでこっちとやりあう可能性が高い !
発進前に確認したように艦の前方はキラ、後方をザフトの坊主、ガロードは艦自体の防衛に回ってくれ。俺はキラにプレゼント配達し終わったら一旦母艦に戻ってもう一度別のモン付け直して来る ! 』
「OK ! ……9対1だろうとなんだろうとこんな所で負けるわけにはいかねえんだ ! ティファも……みんなも……一人も死なせはしない ! やってやろうじゃねえか !! 」
気合を入れるためにそう叫ぶと操縦桿を握る手に自然と力が入る。
そうでもしなければ、こんな状況を切り抜けなければという感情も沸いて来ないからだった。
やがてそれは丘の向こうにある空から地も震えるような轟音を上げながらやって来る。
艦の後方を向いていた為にモニターに映ったのはジブラルタルからの追撃隊だったが、発進前にあった報告どおり半端な数ではない。
先頭にはテールローターの無い戦闘ヘリと小型VTOL戦闘機が密集陣形で迎撃態勢の用意にはいっているらしく、
その上方にいる6枚の翼を広げたディンは早くも重突撃機銃を携えこちらに狙いを構えている。
またサブフライトシステムに乗ったジンは全機、以前ガロードが改造した練習用ジンと同じ武装、つまりD装備をしてヘリや戦闘機のやや後方からこちらに向かっていた。
最初に挨拶代わりとばかりに戦闘ヘリが対地機関砲、そして戦闘機が25mm機関銃を次々に撃ってくる。
大量の弾がアークエンジェルの周りに着弾し粉塵が舞い上がるもののガロードはそれを何とか回避しながら自分に一番近い位置にいた戦闘機の一つにレーザーライフルの狙いを定め撃った。
レーザー波が到達し狙いの一機が爆散したのは良かったものの、ヘリと戦闘機は密集陣形を解除し、ミサイルまで使いアークエンジェルをあらゆる方向から狙い撃ちし始める。
飛来するミサイルの幾つかは75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルンをフルに使って打ち落とすが捌ききれずに着弾するものも少なくは無い。
なるべくそれを防ぐ為、ストライクがバーニアを吹かしながらビームライフルを駆使しヘリと戦闘機を打ち落とすが、前からもMSが接近している状況の中で気を配れる時間はほとほと少なかった。
またヘリと戦闘機が散開したのと同時にその上方にいたディン、そして前にいる味方などがいなくなった為に迫り出したジンが同時に重突撃機銃を斉射しだした。
大量且つ厚い弾幕にガロードは必死で機体を操って回避しながらレーザーライフルを撃つ。
しかし敵とてロックされている事ぐらい頭に入れて戦闘に臨んでいるのだから、ボーッとしながらその一撃を甘んじて受けるわけが無い。
とにかく狙いをつけてレーザーライフルを撃つものの、バーニアがあっても高くは飛べないという事と中距離戦用の兵器が乏しい事によるリーチの差はあまりに大きかった。
ヘリと戦闘機は相変わらずアークエンジェルにとりついて弾丸の雨を降らせていた。
569Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/13(木) 14:25:34 ID:???
だがそれは炎を上げながら落下する鉄塊と爆発音と共に徐々に止んでいった。
カリスとムウである。
彼の乗ったヴェルティゴは地上辺りからものの数秒で敵機のいる空域に上昇し、直ぐに一機のヘリにビームライフルの狙いを定め正確な一撃でしとめる。
その背後から高度を落としたもう一機のヘリが機関砲を構え接近するが、ランチャーパックを抱えたスカイグラスパーが120mm対艦バルカン砲を横っ面から打ち込みそれを撃墜した。
その時唐突にガロードにカリスから通信が入る。

『ガロード、無事ですか ?! 』
「ああ、今のところはなんとかな。この機体じゃ空は飛べねえし、レーザーライフルや槍以外は接近戦に持ち込むしか他ねえんだ。そっちは大丈夫か ?! 」
『正直な事を言うと、さっきから操縦桿を握る手の震えが止まらないんです。
僕も覚悟を決めて発進しましたがやはり慣れるまでに時間はかかりそうですね……あんな啖呵をきったのに情けないものですね……』

あまり心配する事はないと言うような調子の声だったが、事情が事情だけにやはり本人にはかなりの負担なのだろう。
覚悟するのと実際にそれを行動に起こすというのは全くの別物なのだから。

『ガロード。ヘリや戦闘機、ディンに関しては僕が引き受けます。君は地上に降ちた機体やキラ君の対処に回ってもらえますか ? 』
「分かった ! ……カリス !! 」
『はい ?! 』
「……有り難な。出来るだけ無理するんじゃねえぞ。」
『有り難う御座います。』

礼の言葉を言うが速いかカリスは自分の前に躍り出たディンに向けてビームライフルのトリガーを引いていた。
ディンは右腕と右翼を二枚破壊され地上に墜落するもその攻撃は止む事は無い。
更にジンもミサイルや無反動砲を乱れ撃ちしてくる。
しかしそれに負けじとスカイグラスパーが素早い動きを見せ、敵機が密集している場所に向け再度バルカン砲を打ち込みジンを二機空から引き摺り下ろした。
570Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/13(木) 14:27:07 ID:???
通信機からは相変わらず飄々とした感じのムウの声が聞こえてくる。

『俺も忘れてもらっちゃあ困るぜ !! 』

空の足がかりを失ったジンは、煙をあげるサブフライトシステムのグゥルから飛び降りブリッツに向け素早く重突撃機銃を構えて迫る。
間は自分に近い機体は距離にして約200mで遠い方は約300m程。
間合いとしては申し分無い。
ガロードはランサーダートを構えジンに狙いを構え直ぐに撃つ。
銀色の弾丸と化したそれはジンの胸部のやや上を串刺しにした。
ジンは完全にバランスを失い後ろに向かって倒れ、猛烈な火花を散らして爆散する。
それを確認したガロードはバーニアを目一杯に吹かし、もう一機のジンの方に急速接近する。
その過程においてガロードはトリケロスからビームサーベルを繰り出し爆煙の中に突っ込んだ。
一瞬モニターが真っ黒になり次に光を感じた瞬間、目の前にはやはりこちらに向かってきたジンが視界一杯に入る。
ジンは重突撃機銃をブリッツにありったけ撃ち込み、弾切れを起こしたと気づくやそれを捨て、今度は重斬刀を構えて切りこみにかかる。
しかし、フェイズシフト装甲の為に重斬刀は一つの傷も与える事は出来ない。
お返しとばかりにブリッツはすれ違い様にビームサーベルでジンのコクピットの辺りから真っ二つに切る。
分かたれたジンの両半身は空中で四散し、煙が晴れた頃にはただの鉄屑に変貌していた。

「こちとら2対1の戦闘はお手のもの !! 簡単にやられはしねえぜっ !! 」

爆発を背にしたブリッツの中でガロードは大きく叫ぶ。
だが、気を抜く事も格好を付けている場合でもなかった。
後方、アークエンジェルにとって前方からまたも弾丸の嵐が吹き付けてくる。
前方の防衛には確かキラが当たっているはず。
すぐさまガロードがその方向を向くと、様々な種類のMSとビームサーベルを使って接近戦をしつつ、近づいてくる敵にはビームライフルで応戦するキラの姿が映った。
だが素人目に見たって相手に出来ない数の敵を相手に奮戦している。
実体弾のダメージを受けないフェイズシフト装甲とはいえ、喰らっている数からしてもあと10分もしない内にシステムが落ちてしまうだろう。
迫り来るのは後方から襲ってきたのと同型の攻撃用ヘリと戦闘機、戦車の形をした鈍重そうなMS、黄土色に染められたジン、そして……
571Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/13(木) 14:28:43 ID:???
「い、犬ゥ ?? ちげーや、狼かぁ ? 何だ、あれ ?! 」

それはキャタピラを駆使して荒野を縦横無尽に動き回る野生の獣と言った方がいいだろう。
二足歩行ではなく四足歩行をするそれは見慣れていない事もあってか非常に奇異にガロードの目に映る。
が、その敏捷さは十分驚異になり得た。
動体視力ならある程度はあるといっていいガロードでも目でずっと追っていくのはきつかったからだ。
と、アークエンジェルから一本の通信が入る。マリューからのものだった。

「艦長さんか ?! どうした ?! 」
『ガロード君聞こえる ?!! それはザフト軍の地上作戦用MS バクゥよ !! 』
「バクゥっていうのか……」
『数も八機いるわ。キラ君と協力して迎撃して !! 』

しかしその声すらどこか遠くから聞こえているのではないかと錯覚してしまう。
八機もいるそれはブリッツを確認した後、ストライクを残りの連中に任せておき、一気にこちらに向かってやってくる。
その時ふいにガロードの頭の中にティファと始めて会った夜、彼女の導きに従ってGXを手にした時の事がフラッシュバックする。
あの時も……そう。GXの情報を聞きつけたとても一人では相手に出来ないMSを相手に必死に戦った。
撃墜スコアだって今この場にいるMSと同数くらいいっていてもおかしくなかったかもしれない。
もうこれまでか、と思った時に窮地から脱出出来たのはティファが力を使って発射したサテライトキャノンのお陰でもあった。
しかし、今は違う。
自分の乗っている機体にそんな物はついていない。
近接戦に優れたこの機体を上手く活用し、キラやムウ、そしてカリスらと共に連係しながら地道に倒していくしか他無い。
後ろに目をやるとムウは新たに一機のディンを撃墜し、カリスは素早い動きで戦闘機のコクピットを撃ち抜く。
ガロードは心の底に熱い物を感じ、直後小刻みに機体を動かしつつバクゥに向かっていった。

「へっ !! いっちょ、狼退治とキメますか !! 」
572Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/09/13(木) 14:31:04 ID:???
投下終了します。
今回は一寸した前後編ぽくなってます。続きは鋭意執筆中です。
ではまた後程。
573通常の名無しさんの3倍:2007/09/13(木) 21:42:44 ID:???
>>567
× ヴェルティゴ
○ ベルティゴ
574通常の名無しさんの3倍:2007/09/13(木) 21:52:12 ID:???
Bertigo(眩暈)だからヴェじゃなくてべだな。
575通常の名無しさんの3倍:2007/09/13(木) 23:08:10 ID:???
説明が長すぎ

ブリーフィングの形にして
キャラに説明させる。

最低限の事実のみ書き
図に当たった形にする。

など分散させる手もあります。

詰め過ぎのきらいがありますので打開の一助となればと
576通常の名無しさんの3倍:2007/09/14(金) 00:01:56 ID:???
乙でした
ガロードの奮戦が楽しみです
577通常の名無しさんの3倍:2007/09/14(金) 19:56:23 ID:???
一応突っ込むけどルナ・チタニウムだぞ、チタニュウムじゃない
>今回スカイグラスパーはエールパックを装備していた。
>ランチャーパックを抱えたスカイグラスパー
ストライクの間違いじゃね?明らかに後の文章と矛盾している
最大表示だけどやっぱり見づらい、もう少し改稿を何とかしてくれ
今回は楽しめたと思う、前に比べればなかなかのもの
とりあえずもっと読みやすくして欲しいから下記のスレをおいておく、参考にするしないは自由だがね
あとはX本スレを置いておくわ

機動新世紀ガンダムX−45
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/x3/1188911649/

【ドキドキ】新人職人がSSを書いてみる【ハラハラ】7
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1189087856/

【SS】新シャア板の職人相談室 7部屋目【イラスト】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1178940817/

SS職人がコテ・トリを付けたまま雑談するスレ
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1188215239/
578通常の名無しさんの3倍:2007/09/15(土) 06:07:25 ID:???
乙〜
579通常の名無しさんの3倍:2007/09/18(火) 21:04:02 ID:???
hosyu
580通常の名無しさんの3倍:2007/09/19(水) 22:32:51 ID:???
まとめのX-seed◆mGmRyCfjPw氏の第3話をクリックしたら16話に繋がるんだがどうすれば良い?
581通常の名無しさんの3倍:2007/09/20(木) 01:50:16 ID:???
>>580
修正すれば良い。
582通常の名無しさんの3倍:2007/09/22(土) 22:19:59 ID:???
保守
583通常の名無しさんの3倍:2007/09/26(水) 06:33:32 ID:???
保守あげ
584通常の名無しさんの3倍:2007/09/28(金) 21:25:19 ID:???
保守
585通常の名無しさんの3倍:2007/09/28(金) 22:37:44 ID:???
ガロinの完結以降、ここも寂しくなったな。
586通常の名無しさんの3倍:2007/09/30(日) 17:18:25 ID:???
だれか風景画一枚目のURL分からない?
587通常の名無しさんの3倍:2007/09/30(日) 23:18:48 ID:???
それがどうして必要なのかわからない
588通常の名無しさんの3倍:2007/09/30(日) 23:27:35 ID:qF+IPTqx
わかっている
589通常の名無しさんの3倍:2007/10/01(月) 00:07:29 ID:MREaNRrZ
読みたいからじゃないの?
590通常の名無しさんの3倍:2007/10/01(月) 00:19:18 ID:???
探してやったぞ
ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画1枚目-
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1166096263/
591通常の名無しさんの3倍:2007/10/01(月) 02:33:32 ID:???
d!!
お前のやさしさに俺が泣いた
592通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 23:02:50 ID:???
もしジャンク屋組合にGXかDXが所属していたらどうなるかな?
593通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 11:32:48 ID:???
保守
594通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 16:56:52 ID:???
>>592
機体だけ・・・ロウorターミナルが解析して和田と隠者がパワーアップ。
       サテキャ衛星を開発してラクシズの意のままにならぬ地域にぶち込むように。

ガロファ込み・・・ラクシズに反対して「過ちは繰り返さない!」→DX爆破
         
て感じになりそう。
595通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 20:53:01 ID:???
普通にジェネシスになるだけだろ、お前馬鹿?
596通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 16:58:29 ID:???
兄弟スレがいつの間にか落ちていてビックリした。いったいなんで?
597通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 22:06:15 ID:???
緊急浮上ついで・・・
598通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 22:11:23 ID:???
GX氏がこっちに合流しないかね?これ以上スレ分けてても無駄だろう
落ちたら立て落ちたら立て、このエンドレスワルツだ
599通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 22:16:00 ID:???
ワルツは3拍子だぞ?
600GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/08(月) 22:18:22 ID:???
エー、皆様始めまして(?)
月の公転スレでSS職人やってましたGX1/144です。

私もビックリしたのですが、なんかいつの間にやらスレが落ちてました…orz
以前合流するつもりはないと言いましたが、お願いです。

こ っ ち で 連 載 続 け さ せ て く だ さ い !

つうかあんな話の途中で止めるなんて不完全燃焼過ぎる!


でも皆さんがよければの話ですので、ご検討のほどよろしくお願いしますm(_ _)m
601通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 22:27:10 ID:???
>>600
GX1/144氏、こんばんは。いつもお疲れ様です。
個人的には合流は大歓迎です。
X系のクロススレも外部移転やら完結やらで、良くも悪くも落ち着いたので合流しても問題は無いと思います。
それに、かなり初期の頃から読ませていただいていたので、やはり結末は気になりますね。
これからも頑張って下さい。
602通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 22:27:51 ID:???
お待ちしておりました、GX氏
むしろこちらから連載してくださいと言いたかったです
コーヒー時代から連載を続けてきたあなたをみんな歓迎すると思います
どうかこの風景画で連載してください、お願いします
603通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 22:43:03 ID:???
>>600
続き楽しみにしてますw
604通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 22:55:43 ID:???
ついに一つとなったXスレ、GX氏の合流とともにこれも置いとこう

過去スレ
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転3周目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1177374737/
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転2周目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1165365910/
種・種死のキャラがX世界に来たら
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1153316471/

まとめサイト
GX-P 様
ttp://aw0015.hp.infoseek.co.jp/

GX-P 「ディスティニー in A.W.0015」(作者トリップ:◆nru729E2n2)
ttp://aw0015.hp.infoseek.co.jp/DinAW/DinAW.html#ss2a
ttp://aw0015.hp.infoseek.co.jp/DinAW/DinAW2.html#ss2b

GX-P 「機動新世紀ガンダムXアストレイ」(作者トリップ:◆XGuB22wfJM)
ttp://aw0015.hp.infoseek.co.jp/DinAW/hoshu.html#ho
605通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 23:21:12 ID:???
祝! 合流おめでとうございます。
606通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 23:25:04 ID:???
スレタイどうすんの?
正直前スレに出てた厨くさいのは勘弁してもらいたいが。
607通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 23:48:39 ID:???
カテゴリー○(A〜)
608GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/09(火) 00:00:26 ID:???
スレタイについては…この際風景画のままでいいんじゃないかと10枚目まで来て変えるってのも…
とか何とか言いつつ、さっそくネタ投下。今後は日曜日に投下していきます

第七十話『一体何様のつもりだ!?』(前編)

 一瞬静寂に包まれたコックピットに警報が響く。シンはすぐさま操作パネルを叩き、
接近するMSの姿を正面のディスプレイで確認した。
「!!? くそ、こんな時に!?」
「シ、シン?」
「しっかりつかまって! これから少し荒っぽい操作になる!!」
「え、ちょッ、ちょっとぉ!」
サクラの返事を聞く前にシンは機体を反転させ、機体を雲の中へと躍らせた。


「…逃げたか。しかしこの距離で接近に気づくとなると、やはりこちら同様多少の改良を受けていると言うことか…。」
 ディスティニーにひそかに近づいていたMSのパイロットは静かに口を開いた。月光に浮かぶ整った顔は
どこかうれしそうで、それでいて表情の裏で静かな炎が燃えている。肩までかかる長い金髪を後にまとめ、
緑色の双眸で前方を見つめながら男はスロットルレバーを押し込んだ。
 彼の乗るMSはその指示を待っていたかのように加速を開始する。雲の中を突っ切っていくその中で、
二つのカメラアイがギラギラと獲物を狙う猟犬のそれのように光を放つ。
全身灰色のその機体で、カメラアイの次に目を引くのは背中に取り付けられている大きな円形の物体だった。
その周りにはまるで刃のように八本の突起物が生えており、その姿は戦前の東アジア、それも何百年も前に
描かれた"雷神"の雷太鼓を思わせる。
「逃がしはしない。お前には俺の代わりをやってもらわなければならないからな!!」


「くそ、やっぱり振り切れないか!!」
 レーダーで相手の位置を確認しながらシンは舌打ちをする。この機体のスピードには自信があったが、
やはり自分1人の時と他人が同乗している時とでは格段に差が出ていた。
「もう何なのよ、一体!?」
シンがいつもどおりの操縦をできない"原因"が彼にしがみついたまま耳元で叫ぶ。シンからすればそれほど
たいした速度ではないし、Gもほとんどかかっていないのだが、初めてGを体験する彼女にとってはやはり
苦しいものがあるのだろう。
「地上に着くまでもう少し待っててくれ! できれば君を巻き込みたくないんだ!!」
「巻き込むって、一体何があるって言うのよ!?」
 未だ状況のつかめていないサクラは苦しそうに声を絞り出す。シートに座っているシンに比べて、彼に
抱えられている彼女は無理な体勢でGを受けているせいか、体を完全に彼に押し付けている。
「戦闘になるかもしれないんだ! 君だって嫌だろ!? そんなのに巻き込まれるのは!? だから君を地上で下ろす!!」
「ち、地上まで後どれくらいなの!?」
「後1分もすれば!」
シートとサクラに挟まれた状態のシンも焦りを感じていた。
今はまだ相手が攻撃をしてこないから良い。もし本当に相手が彼の知る"あいつ"であれば逃げる必要は
無かったかもしれない。だが、彼の知る"あいつ"は今立場上敵になっていることも知っていた。
609GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/09(火) 00:05:06 ID:???
第七十話『一体何様のつもりだ!?』(中編)

「一刻も早く降ろしてあげないと…!」
 以前彼の知るあるパイロットは彼の知人をコックピットに乗せて戦闘し、知人にケガを負わせている。
そんな二の足を踏むのは嫌だったし、もし戦闘になったら彼女は間違いなく彼の操縦を阻害する"お荷物"でしかない。
「ただ星を見にいっただけでなんでこんなことにあるのよ!!?」
「俺にそんなこと聞かないでくれ!!」
地上までの距離はもうわずか。シンは一気に減速し、強い衝撃に耐えながら大きな水しぶきを上げて湖に機体を着水させた。
もうもうと水しぶきが舞い上がる中、シンはコックピットのハッチを開く。
「さぁ早く!!」
「で、でも…!」
「下は水だから落ちても死にはしない! 岸までは自分で泳いでくれ!」
シンに促され、サクラはまだ波しぶきの残る湖に身を躍らせる。泳いで岸まで向かう彼女の姿を確認すると、
シンは険しい表情のまま上空に目を戻した。
「…これからが、本番だ…!」
 灰色の雲をバックに円形の物体を背負ったMSが降りてくる。その姿を確認し、シンは通信回線を開いた。
「久しぶりだな…、レイ。」
「ああ。久しぶりだな、シン。」
 レイ・ザ・バレル。シンが元いた世界で共に剣を並べた頼りになる仲間であり、新連邦軍で『灰狼の長』と言うあだ名を持つエースである。
「お前、少し髪が伸びたな。」
「そんなことはどうでもいい。髪など長かろうが短かろうが、さして問題ではない。」
 以前と変わらない淡々とした口調。士官学校時代から変化のないその様子にシンも真顔で話を続ける。
「で、俺に何か用か? 新連邦の兵士になったお前が、ただ俺と話をするためにここに来たってわけじゃないだろ?」
「俺の任務は、フロスト大佐が逃がしたお前の捜索と、そして抹殺だ。」
レイの言っている内容はシンにとってはとんでもないことである。だが、シンはそれを聞いても驚いた様子を見せなかった。
「そんなことだろうと思った。じゃあこれからお前と戦闘になるわけか?」
「任務に個人的な感情は必要ないからな。だが、俺たちにもいろいろと別の理由がある。」
「別な理由?」
 シンも彼の発言に眉をひそめた。レイは淡々と話を続ける。
「この世界は俺たちがいた世界とは明らかに違う。だが議長は、ギルはまだあの計画を諦めたわけではない。」
「! 議長まで着ているのか!?」
 ギルバート・デュランダル、プラント最高評議会議長である彼の名前が出るとは思っても見なかった。
 シンが知る限り、この世界に来ている人物は彼とキラ・ヤマト、アスラン・ザラ、カガリ・ユラ・アスハ、そして目の前にいるレイ・ザ・バレル。
デュランダル議長がこちらにいると言うことは総勢6名がこの世界に飛ばされてきたことになる。
「ギルはこの世界を見て嘆いていたよ。"この世界は、ディスティニープランを導入しなかった我々の世界の末路だ"とな。
第七次宇宙戦争のおかげで地球はこのざまだ。二度とあの時の悲劇を繰り返さないためにギルは今新連邦にいる。」
「新連邦に?」
610GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/09(火) 00:10:29 ID:???
第七十話『一体何様のつもりだ!?』(後編)

「シン、今お前のいるべき場所はそちら側ではない。俺と一緒に来い。」
そう言って、レイは自身の乗るZGMF-X666S"レジェンド"の左手を差し出す。手を取れというのだろう。
「議長のプランを実行していくためには、お前の協力が不可欠だ。」
 彼は手を取るのを静かに待つ。だが、シンはその手をなかなか取ろうとしない。
「…なぁレイ、いくつか質問させてもらっていいか?」
「? なんだ?」
「レイは、"運命"という言葉をどういう風に解釈してる?」
「"運命"?」
 レイはシンの言葉に眉をひそめる。シンがなぜそんな事を聞いてきたのか彼にはその意図する事がわからない。
真剣な表情を浮かべる彼を前にし、レイは考えをめぐらせた。
「…そうだな、"生きとし生けるものすべてが抗うことのできない宿命"といったところか。」
「"生きとし生けるものすべてが抗うことのできない宿命"?」
「そうだ。鳥は当然のように空を飛び、魚は水中を泳ぎまわり、獅子は大地を駆ける。それは生まれ持った宿命であり、
抗うことのできない絶対的な摂理だ。」
 鳥には大海を泳ぐヒレを持たず、魚は陸上で生活をする脚を持たず、獅子は空を飛ぶ翼を持たない。
それぞれが自らの生きるフィールドの中で生まれ、成長し、そして死んでゆく。自然界において、今時分のいる世界で
生きる術を知らなければ滅ぶのみである。
「人間とて、自然の摂理から逃れることはできん。各々の場所で各々の能力を生かし、各々の場所でそのすべてを磨いていく。
進化において、それが一番大切なことだ。」
「なるほど、それが議長の言う"ディスティニー・プラン"と言うわけか……。それは、"今まで"やってきた実績とかって加味されるのかな?」
「さてな。だが、たとえ実力でその地位にいるとしても、適性の無い者がその場所にいるべきではない。俺はそう思うがな。」
「…やっぱり俺、一緒に行けない。」
シンの言葉に、レイは表情を変えた。自分と共に戦い、自分と同じ人を慕い、その人の理想を実現させるために戦うと決意した
仲間が、彼を拒絶した。
「シン!?」
「確かに、議長の言っていることは正しいと思う。適性のある人間が適切な場所に配置されるのは至極当然なことだと思う。」
「ならば、なぜお前は俺と一緒にいこうとしない!?」
「やり方が理不尽なんだよ。」
 シンはそう吐き捨てた。レイは目に怒りの色を浮かべ、操縦桿を強く握る。
「聞け、シン! 人間は自分がどんな風な適性を持っているか誰も知らずに生きている。それを知れば、人生の中でより多くの
結果を形として残す事ができるんだぞ!?」
「結果がよくなればそれで良いのかよ! まだ何にもやっていない子供だろうが、がんばってもぜんぜん結果を残せてない大人だろうが、
要領よくやって結果を残した大人だろうが、"結果がすべて"なんてことは俺は絶対に認めない!!」
「シン!?」
 彫刻のように整った顔が怒りでゆがむ。シンは彼との溝の深まりを感じながら言葉を続けた。
「"適性があるからやらせる"、"適性がないからやらせない"。一体何様のつもりだ!? そんなことで簡単に他人の人生を勝手に強制したり、
一生懸命今までやってきたものを人のものをうばったりしていいわけないだろ!!」
 自ら必死になって作り上げたものを奪われた男。一部の人間の理不尽な考え方によって左腕を失った少女。彼らが抱える
暗い過去は壮絶なものばかりでシンにはどんなものか想像がつかない。
 一つだけ確かなことは、彼らが体験した過去の中には必ず"彼らが望まなかった未来"があるということだけだった。
「"そんなこと"? 適性の無い者がやれるはずのないことをやって、結果がついてくるとでも言うのか!!」
「結果がついてこなくても、がんばった中で"プラス"になることはある!」
「そんな非効率的で自分勝手なことをやっているから、世界から戦争は無くならんのだ!!」
 レジェンドがライフルを構える。シンも火器管制システムを起動させた。
611GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/09(火) 00:21:05 ID:???
はい。と言うわけで本日第七十話「一体何様のつもりだ!」お送りしました。
最初に言い忘れた事があったのでちょっとだけ。

 今現在、私のSSのほうはX世界に来たシンが主人公やっとりますが、
X世界はX世界でも、ガロード達とは今ちょっとした理由で離れた状態になっております。
その辺の細かな事情はGX-Pのほうにある第六十五話前後から読んでいただけると幸いです。
結局の所オリジナルな話になっているわけですが、賛否両論有ると思いますけれども
その辺は容赦のほどをお願いします。

 今回、一度勝手に本スレを離れたにもかかわらず、またこうやって向かいいれていただきありがとうございます。
今後とも頑張っていきますので皆さんよろしくお願いします。m(_ _)m
612通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 00:42:02 ID:???
>>611
ついにレイが出てきたか。
デュランダルまでAWに来ていようとは、正直驚きました。
今後の展開を楽しみにしています。
613通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 00:49:37 ID:???
保守は皆も気にしてるだろうしまあいいやと高を括っていたら…
ともあれこちらで続けられるのならそれはそれでいいか。
添削は荒れる元になるだろうから読者の初心に返って応援続けますね。
614通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 14:51:16 ID:???
おおう 存在すら知らなかった。
今から一話から全部読むぜ!
615通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 19:20:55 ID:???
レジェンドvsディスティニー 本編ではなかった対決カードってのはいいですね。
どちらもAW仕様に改造済みだけどレジェンドはルナチタ製ではないだろうから
耐久力はディスティニーが有利か?
ともあれ続き楽しみにしてますw
616通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 09:28:42 ID:???
新作が始まったし、これからは毎日(土日は半日に1回?)
保守したほうがいいんだろうな
617通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 07:51:18 ID:???
保守
618Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/12(金) 20:43:08 ID:???
大分遅れましたが投下します。

機動新世紀ガンダムXSEED  第二十七話「俺たちもいるぜ !! 」

ストライクのコクピット内でキラは、常人には考えられないスピードで手足を動かし、必死に機体を駆っていた。
戦闘は何回か経験済みだという事を考慮しても、それはあくまで宇宙空間内に於いてという条件がついている。
カタパルトから発進するまで、重力がある地表での戦闘がどうなるものかあれやこれやと考えてはいたが、そんな物は全て無駄に終わった。
計算していた以上に機動性が良くないのがそれの代表とも言える。
ムウが発進直後に届けてくれたエールパックにはスラスターが付いていたが、バッテリーの関係上機体をずっと飛ばし続けておく事は出来ない。
だが敵は大多数で攻めて来ているので、ヒットアンドアウェイの要領で応対しなければ直ぐにアークエンジェルは蜂の巣となってしまう。
それが頭の中で分かっているだけにさっさと対処出来ないこのもどかしさは言いようも無かった。
「くっ !! 皆頑張っているっていうのに……僕もやらなくちゃ !!! 」
戦闘が始まって六分。
キラにエールパックを渡したムウはすぐさま母艦に戻り、モーターレースのピット顔負けの速さでランチャーパックを換装して出撃したが、
やはり大量の機体を相手にせねばならない事からか上手く動けないでいる。
ガロードもレーザーライフルで対応しているが、いかんせんブリッツは近接戦に特化しているだけに苦戦しており、
ザフトから来たというカリスという少年も奮戦はしているが、同じ空を飛んでいるムウとの連係という形は少し、いやかなりぎこちない。
キラも不自由する状況の中でビームライフルを使って既に戦闘ヘリを二機ほど墜としてはいたが、焼け石に水もいいところである。
その隙を突いてそれらの後方から大量のMS群がアークエンジェルに取り付き始める。
「させるかっ !! 」
キラは身近にいたジンオーカーにライフルの狙いを定めトリガーを引く。
しかし相手はそれを鮮やかに避け、逆に極超高初速ライフルを撃ってくる。
とはいえフェイズシフト装甲が施されているストライクには実体弾は効果が無い。
無論、当たり続けていればあっという間にダウンを迎えるものだが。
その時になってやっと機体の調整が終わる。
レバーやペダルを使っての一挙手一投足が確実に反応するのは僅かばかりの安堵を齎した。
その時前方から強力な衝撃が襲ってきた。
撃ってきたのはザウート。敵は二手に別れ、アークエンジェルとMSを迎撃する組に分かれたらしく、正面から来た時の半数の機体がキラに攻撃の牙を向ける。
「アークエンジェルは、沈めさせはしないッ !!! 」
その次の瞬間、急激に視界がクリアになる。
まるで脳内の神経回路が戦闘という行為に対し能率的な行動をとる為に置き換わったかのようだった。
と同時に、大量の弾丸がストライクに厚すぎる弾幕となって襲い掛かる。
だがキラはそれを無言で一睨みし、上に向かってバーニアを吹かして上空に舞い上がると同時にペダルを踏んでザウートが場所をとっている右方向に突っ込む。
それまで鈍重にしか動いておらず、まともな反攻も見せていなかったストライクが急に目の冷める様な動きをとった事に、ザウートのパイロットは一瞬戸惑い動きを止めるがそれが命取りとなった。
キラはその機を逃さず、即座にコクピットをターゲットロックしライフルを撃ち込む。
光の槍に貫かれたザウートは一瞬機体をスパークさせた後爆散した。
敵のMSはストライクの機動の変わりように警戒したのか、一旦散開しフォーメーションを組みなおそうとする。
だがそういった瞬間もキラは見逃さない。
粉塵と爆煙の中から姿を現したストライクは次に近い位置にいたジンオーカーに向けてロックを定める。
しかし相手も軍人だけに戦闘に関しては相当な手練の様で、次々に素早く位置を変えながらライフルを撃ってくる。
それも撃ちっ放しなど野暮な事はせずに何十発かずつ区切りながら。
619Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/12(金) 20:45:04 ID:???
更に側面から撃墜されたザウートの敵といわんばかりに別のザウートが4門のキャノン砲を銃身が焼けつかんばかりに撃ってくる。
キラはそれらの何発かに当たりながらも相手二機のスピードと動き方を分析し頭の中で自分の力とそれを秤にかける。
弾き出された答えは……遅い。
ジンオーカーは通常のジンと違ってバーニアが無い事、ザウートはそれをやや下回るスピードで動いていた事がその結果に繋がっていた。
その時ジンオーカーは弾切れを起こしたらしく、ライフルを捨て重斬斧を構えてストライクに襲い掛かる。
キラはザウートの放つ砲弾を極力かわしつつ接近し、残り数10mというところでバーニアを吹かす。
相手は止めと言わんばかりに重斬斧をストライクのコクピット付近に向け振り下ろすものの、ストライクはその直前に姿勢を滑空出来得る極限にまで下げ、
構えたビームサーベルを敵機のコクピットへ下から上に斬りつける。
ジンオーカーは真っ二つに破断され爆発するが、ストライクはそれには目もくれず直ぐに右手にビームライフルを構え、側面にいたザウートに向けて数発撃つ。
始めはキャタピラを駆使し上手く避けていたザウートだが、徐々にそれが追いつかなくなり7発目で遂に爆散した。
だが新たに三機のジンオーカーがストライクの死角となる場所からフォーメーションを組んで集中的に攻撃を仕掛けてくる。
キラは銃弾を避けながらとにかくMSの移動の要の脚部か、悪くてメインカメラのある頭部を打ち抜こうとライフルを構える。
が、次の瞬間通信機から割れんばかりの大声が聞こえてきた。
「キラ !! そこを退いてくれぇっ !!! 」
その声にキラは反射的に反応し、アークエンジェルの船体の陰へと移った。
ストライクのメインカメラはジンオーカーを追う様にしていたが、それらの機体は後方から来た貫通弾によって一機が破壊される。
ガロードだった。
バーニアを最大に吹かし、ランサーダートで敵機の内一体をしとめたのだ。
「おっしゃあ !! これでイーブンってやつ ? 」
ガロードの快活な声が響くが敵はそんな事などお構い無しに一機ずつ銃撃を行う。
「キラ ! 俺は左の奴、お前は右の奴を頼む。」
「分かった !! 」
620Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/12(金) 20:47:33 ID:???
戦術的に二対二ならインチキではないだろうと踏んだガロード。
攻盾システムからビームサーベルを繰り出し、前方に向かって猛然とダッシュする。
キラもまた船影から身を躍らせビームサーベルを構えて突進する。
ジンオーカーのパイロットはフェイズシフトシステムの事は知らないのか、出来るだけ移動を繰り返しながらライフルを撃ち続けるが、彼らにとってモニターが死んだであろうその時決着はついた。
ガロードは相手機を袈裟切り、キラは先程と同じ切り結び方でしとめる。
お互いに息を合わせたかのような一撃には少しの無駄も無かった。
だが、今度は上空から後方より合流したディンとジンがアークエンジェルに向けて一斉砲撃を行い始める。
また、残されたジンオーカーが地上戦に特化されたバクゥと再度編隊を組みなおしてアークエンジェルの右翼側から攻めてくる。
あまりの状況にキラは低く呻いてしまう。
「ちぃっ !! ……これ以上ダメージを受け続けたらマズいっていうのに !! 」
『落ち着きな ! 俺達もいるぜ !! 』
と、再び通信機から入る頼もしい大人の風格あるムウの声。
それと同時に戦闘ヘリの一つが、スカイグラスパーから放たれたガンランチャーをまともに喰らい、唐突に火を噴出し空中で四散する。
他機は空中で散開し攻撃をやり過ごそうとするものの、その後方から突然現れたベルティゴのマシンキャノンによって次々に屠られていった。
『空は僕達がカバーします !! 』
カリスが少々荒い息を混じらせてムウに追随するように言う。
『お前一人で戦ってるわけじゃあねえんだぜ ? さあ、皆で協力して早いトコ終わらせちまおうぜ !! 』
最後に聞こえてきたのはガロード。
丁度、こちらに向けて始めに撃ってきたザウートをランサーダートでしとめていた。
そうだった。次々に襲い掛かってくる敵との戦闘に必死になってキラはすっかり忘れていた。
頼もしい味方……背中を預けて戦う事の出来る仲間がいる事を。
その時、地を震わす轟音が辺りに轟く。
相手と対峙した状態で睨み合っていた四人ははっと息を飲む。
敵の攻撃が遂にアークエンジェルの機関部を捉えたのか、左舷後方部から赤々と燃え盛る炎と黒煙があがっていた。
次いで同じく左舷側のゴッドフリートも被弾し、爆発に因る大音響が周囲に木霊する。
『って、カッコつけてる場合でもねえか…… ! 俺は連中の近くまで行ってビームサーベルで切りこみをやる。墜としきれなかった機体はそっちがビームライフルで対処してくれねえか ?! 』
「分かった !! 」
その返事を聞くや否やガロードはバーニアを全開にし、驚くべき敏捷さを見せるバクゥの群れの中に突っ込んで行った。

621Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/12(金) 20:49:02 ID:???
「エンジン被弾 !! 48から55ブロック、125ブロックから144ブロックまで隔壁閉鎖 !! 」
「1番、5番、6番イーゲルシュテルン被弾 !! ゴッドフリート1番、バリアント1番沈黙 ! 艦の損害率、30パーセントを突破します !! 」
「推力……50パーセントに低下 !! 高度維持できませんッ !!! 」
戦闘が始まって十分近くが経とうとしている。
アークエンジェルの艦橋では矢継ぎ早に絶望的な報告がなされ、あちこちのコンソールからはワーニングランプが引っ切り無しに明滅していた。
悲鳴にも程近いその声は、敵がじっくりと大天使を空から引き摺り下ろし完膚なきまでに叩きのめすまでの質の悪いカウントダウンのようにも聞こえてくる。
「生きている火器は全て敵機の迎撃に合わせろ ! ヘルダート、スレッジハマー装填 ! 撃ぇーッ !!! 」
ナタルがブリッジクルーの不安を打ち消すように叫ぶ。
だが、マリューにはその言葉の端々に見られる本人の焦りがはっきりと読み取れた。
メインモニターにはミサイルに気づくのに遅れたヘリが一機回避出来ず着弾する様子が映し出される。
だがまだ敵はヘリが計7機、MSが半数近く残っている。
出撃している者達が確実に敵機を迎撃している事は間違い無い。
マリューもその点に関しては彼等の尽力ぶりを良く分かっているつもりだ。
だが決着を早めにつけなければ、敵陣であるこの場で身動きが出来なくなる等の取り返しのつかない事態に陥ってしまう。
完全撃破などという贅沢は言わない。せめて撤退させるだけでもこの状況なら上出来だ。
その時、ディンの放った対空ミサイルが残っていたイーゲルシュテルンを襲う。
至近距離で爆発が起こった為に艦橋が衝撃でビリビリと震えた。
「イーゲルシュテルン被弾 !! 完全に沈黙 !! 」
「何ですって ?!! 」
チャンドラの報告にマリューは思わず唇を噛んでしまう。
頼みの綱とも言えるメインの火器はもう右舷側にしか残っていない。
致命的なダメージを与えたディンはベルティゴの放ったビームライフルを胸部に二発喰らって爆散するものの、
更にアークエンジェルの死角から別のディンが二機、艦前方部に躍り出て再び対空ミサイルを放つ。
「ミサイル、来ます !! 」
「回避ーっ !! 」
だがノイマンの必死の操縦を嘲笑するかのようにミサイルは両舷蹄部で炸裂する。
「両舷フライトデッキ、被弾ッ !! 」
再びチャンドラの報告が入る。
彼もナタルと同じ様に冷静でいるよう努めようとして……失敗していた。
「高度現在5m !! 両舷バランス、著しく不安定です !! 」
敵の攻撃をかわしつつも、高度計から地面すれすれを航行している事に気づいたノイマンが警告する。
「艦長 !! この陣容では対処しきれませんよ !! 」
パルがマリューの方をちらと見やり抗議するかのような口調で叫ぶ。
言われなくても…… ! と怒鳴りつけようとしてマリューはそれを必死で抑えた。
だが戦闘が始まってから今この時までそれを通し続け、やっと相手の戦力の三分の一ほどを削ぐほどに至ったのだ。
今更文句を言ったとて始まるまい。
すると、丘陵地帯の向こうから敵の戦艦が二隻のっそりとした動きで現れる。
恐らく王手(チェック)は近いと踏んで自ら出てきたのであろう。
モニターに映し出される相手の巨体にとめどない恐怖感がブリッジクルーを襲う。
マリューは思う。長い死闘はまだ続くのだと。

622Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/12(金) 20:52:26 ID:???
投下終了します。以前前後編になるかもと言っていましたが三部構成になってしまいましてすみません。
あと二十七話ってなってますけど二十八話でした。すみません。
チラ裏ですが最近00も始まって皆さんの話題も尽きないと思います。
それではまた後程。
623通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 21:48:51 ID:???
投下乙、まあ今回は普通に読めたね
続きは期待しないでまってるから

>>606-608
・そのまま風景画11枚目
・GX氏が合流したので月の公転4週目
・あるいはコーヒー1杯目
・X的にサテライトキャノン1発目
・カテゴリーF1人目
とか考えりゃあるだろーけど
「ガロード達が種・種死世界に来たら」をまず変えなきゃいかんと思うんだがどうよ?
624通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 21:50:56 ID:???
キラが仲間が居ることでだいぶ安定しているのが良いですね。
アークエンジェル大ピンチですけど。
ただ細かい誤字や
エールストライカーって推進剤で飛ばしてるだろうしバッテリー関係ないんじゃ?
等、気になるところも多々ありました。
625通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 21:52:17 ID:???
>>623
「ガンダムXと種・種死のクロスSSスレ」とか?
626通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 21:54:30 ID:???
>>623
機動新世紀ガンダムSEEDとか?
627通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 22:05:52 ID:???
そんなかんじってゆうかなんとゆうか
GX氏が合流してくれたからスレタイを変えた方がいいと思ったんだよ
流石に
Xキャラと種キャラがコラボしました
とかは不味いと思うけど
628通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 22:10:04 ID:???
AWとCEの人間が出会ったら見たいな感じかな?

それとももっと話を広げて、ガンダムXのクロスオーバー全般みたいにして、UCや他のガンダムも取り入れてみるとか?
629通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 22:17:14 ID:???
そういうのは旧板にいくつもあるから
どれもほのぼの路線だったり、シュールなギャグ路線だったりするが
630通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 02:15:34 ID:???
日登町が懐かしいぜ…
631 ◆L1QckJlrlM :2007/10/13(土) 05:02:16 ID:???
皆様お久しぶりです
新たなる道の作者です。

前回投稿の次の日にサブを含めパソコンがクラッシュ、
ネットに繋ぐのに2ヶ月ほど掛かりました
現在内容を思い出してやっているのですが、
まとめサイトのほうが途中で切れていているのですが…
誰かあの切れている部分を持っている方はいないでしょうか?

あ、今ようやくトラとガロの2対2を書いています
投稿は…最悪でも今月中には…

それではよろしくお願いします
632通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 09:13:56 ID:???
投下のペースは気にしなくても良いよ、あんたのSSはおれ好きだからがんばって
後はフロスト兄弟のSSと保守作品(GX−ASTRAY)かな?

>>628-630
てかその話題後日談スレでもやってるんだけどな、あそこでラン家スレネタもやればいいだろとか思ったけど
あとスレタイは容量かレスがやばいときにまた考えよう、公転スレで無駄なレスのつけあいになったから
しかし・・・GX氏が日曜日に投下するがWスレのようにならないように気をつけなければな
633通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 21:36:23 ID:???
OOのOPに出てるティファの育ったの誰?刹那とガロティファやってるの
634通常の名無しさんの3倍:2007/10/14(日) 19:00:32 ID:???
>>633
マリナだろ?てか公式サイトぐらい見ておけよ

>>627
ウッソスレがあるんだし「Xキャラが種キャラと出会ったら」なり
「ガロード達がキラ達と出会ったら」でもいいんじゃない?
サブタイにあたる風景画は別に考えて
635通常の名無しさんの3倍:2007/10/14(日) 21:08:51 ID:???
>>634
「が」と「と」を逆にした方がいいな、それだと「ガロード達が種・種死世界に来たら」と同じで意味がない
「Xキャラと種キャラが出会ったら」か「ガロード達とキラ達が出会ったら」ならどちらの世界にいてもおかしくないし
636通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 00:52:50 ID:???
>>635
添削の人ですか?
どこで会ったか限定されるわけじゃなし、Xキャラメインになるなら
「ガロード達がキラ達と」のほうがなんとなくいいと思うけど……

ってか正直どっちでも(ry
637通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 01:51:38 ID:???
正直どっちでも(ryではあるのだが
別にXキャラメインとは限らないんだぜ
というかXキャラに触れることによって種キャラがうんたらすんたらどうたらこうたらで
その辺にカタルシスを感じるわけなのでむしろメインは種・種死キャラじゃね
638通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 02:05:58 ID:???
確かにどっちメインかはSS次第か。
639通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 11:53:31 ID:???
「キラ達」という表現には引っ掛かりしか感じないので「種・種死キャラ達」にしてくれ
640通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 13:02:31 ID:???
AWとCEが出会ったら
でいいよもう。
641通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 13:29:29 ID:???
>>636
俺は添削の人じゃないが彼がやらないならやってみようかと考えてる
今は亡き向上スレの叩き男氏や新人スレの批評家に比べれば拙いものだがね
まあやるにしても誤字脱字を指摘するぐらいだが

で、スレタイの話だが今のままじゃCEにXキャラがきたらってSSしか書けない訳だ
しかしGX氏が合流したからスレタイを変えないかって話になったんだろ?
俺が言いたいのはガロード達(Xキャラ、もしくはキラ達)がの場合だとガロード(キラ)達がメインになってしまうから
ガロード達、ないしキラ達とガロード達が出会ったらなら問題ないんじゃないかって言ってるだけだ
微妙なニュアンスで説明不足だったから申し訳ないとしかいえんな
642通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 13:40:21 ID:???
>>639
種死って言うのは語呂が悪いし種キャラで十分じゃね?
>>640
よけい意味がわからねーよ
てか一時中断しようぜこの話題、この空気じゃSSの投下もできないぞ
643通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 13:52:04 ID:???
ガンダムXと種・種死のクロスSSスレ
機動新世紀ガンダムSEED
Xキャラと種キャラがコラボしました
AWとCEの人間が出会ったら
Xキャラと種キャラが出会ったら
ガロード達とキラ達が出会ったら
ガロード達と種キャラ達が出会ったら
AWとCEが出会ったら

今のところスレタイの候補はこのぐらいか
この中から職人さん達に選んでもらったら?
あるいはスレを立てる人に任せるとか
しかしいい加減この話題飽きたな
644通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 14:05:29 ID:???
X本スレで曹操ガンダムが良いとか言ってた
三国志好きだから三国伝見てみようかな
645通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 22:24:43 ID:???
ガンダムVSガンダムか・・・
646Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/17(水) 03:57:40 ID:???
投下します。間をかなり開けてしまい済みません。

機動戦士ガンダムXSEED   第三十話「お疲れ様。」

ガロードはトリケロスからビームサーベルを繰り出し、バクゥを切りつけにかかる。
「おりゃああああっ !!! 」
前の右足をもらおうと切りつけると、案の定敵機は一歩引いた姿勢でそれを避ける。
その次の出方は……既に掴んでいた。
バクゥは足をキャタピラに変形させ更に後方に下がって距離を取った後レールガンを発射する態勢に移る。
だがそれは火を噴く事は無い。
ガロードがブリッツの姿勢を下げ、思いっきり前に踏み込みバクゥの様に出来るだけ高速で撹乱する様に移動しながら接近し、目標としていた右の前足を刎ね飛ばしたからである。
正直な話、そこまでコクピットを集中的に狙う必要性はそこまでない。
寧ろ足の一本でも切り落とすか圧し折るかしてやれば機動性に相当な枷が出ると踏んでいたからだ。
それに獣の様な姿で右へ左へと飛び回る動きは、目が慣れてくると案外掴みやすいものとなった。
ザフトの軍人は『このMSに乗った時はこのように動かなくてはならない。』というのを地でいっているのがよく分かるきっかけともなったが。
しかし相手もなかなかにしてしぶとい。
残された足を必死に動かして地面を這いずり、ブリッツに再び狙いを定めようとする。
だがその様子に気づいたキラが後方からビームライフルで上手く撃ち抜いた。
腹部が貫かれたバクゥはその場で一瞬スパークし、爆発する。
そのキラも別の二機のバクゥにとりつかれだしたので身動きが上手く取れなくなった。
その様子はまるでうっかり野犬の群れに襲われだした新米兵といった感じだ。
ガロードはストライクの援護に行きたかったが、あっという間に両側からサブフライトシステムをやられ地上に降りたジンが二機同時に迫ってくる。
先ず左側の一機に向かってグレイプニールを放った。
クローが相手機の頭部を吹き飛ばし、その場に硬直したのと同時に右側の機体は反対側の味方機に当たらぬよう位置を変えて射撃を始める。
クローを戻してその方向を向いたブリッツは直ぐに猛然と走り出す。
そしてトリケロスからビームサーベルを出し、必死に動きで惑わそうとする相手の右腕を切り落す。
そして仕上げとばかりに、ほぼ零距離から上下半身の境目辺りにグレイプニールを撃ちこんで相手機を沈黙させた。
これで前方から来たジンオーカーと後方から来たジンは全て屠った事になる。
そして目的の物……射撃の出来る飛び道具、重突撃機銃も手に入れる事が出来た。
レーザー砲から出されるレーザー波は確かに空気中では見えないが、その波が拡散して味方に当たりでもしたら洒落にもならない。
尤も、右腕に持つのは最初から無理だとして左手に持つとしても、グレイプニールが邪魔にならないか心配だったが。
ふとメインカメラを少し離れた場所にやると、二隻のピートリー級の戦艦が出撃した直後の時よりかなり突出していた。
それぞれは単装砲と連装広角砲の合計9門を絶え間なく撃ち、既に傷だらけのアークエンジェルに更に新たな傷を作っていく。
647Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/17(水) 03:59:31 ID:???
再びモニターを元の位置に戻すと、今度はキラの相手をしていた一機のバクゥが、骨のある相手を見つけたとばかりにこちらに向かって突っ込んできた。
また少し離れたアークエンジェル側からも最後に残されたザウートが駆動系の限界を無視したかのような動きで向かってくる。
ガロードはジンの落とした重突撃機銃を左手に持ち、バクゥにその狙いを定めて思いっきり引き金を引く。
しかし標的は左右に上手く避けながらこちらにミサイルを乱れ撃ちしてくる。
ガロードはここまでにザウートは動きが遅いというのを、キラが戦っていた時に一種の見方として出していた。
そこで、先ず動きの速い相手を優先的にしとめるべくバクゥの方向に時計回りに回り込むようにして接近する。
そしてバクゥとすれ違う一瞬に残された一本のランサーダートをそのボディの首筋付近に撃ちこむ。
流石の威力にバクゥは頭部と胴体部が完全に分離し、胴体部は轟音と共に四散する。
そして火の粉混じりに立ち昇る爆煙の脇からあのザウートが出て来る。
今度はこの重突撃機銃でもどうにかなるだろうと思ったガロードは、相手に狙ってトリガーを引く。
しかし、敵機は当たりそうになる寸前でタンク形態となって回避し、弾丸は虚空を空しく薙いでいく。
次に角度や方向を様々な物にして撃ってみるが、上手く当たらない。
当たったとしてもボディの、それも活動には何の支障もなさそうな場所を掠めていく程度だ。
お返しとばかりにザウートが、両肩合計4門のキャノン砲を殆ど一発の無駄も無くブリッツに発射する。
その命中精度と動きからガロードは被弾しながらも気づく。
乗っているのはかなり戦闘慣れしたプロなのだと。
それの更なる証拠にMS形態の時は鈍重極まりない動きだというのが分かっているのか、殆どがタンク形態での攻撃に絞られていた。
また格闘攻撃を持たないが為に迂闊に近づくといった動作もしない。
なら、そういう人間が出くわした事の無いような戦法を取って対処すればいい。
とは言ってもそうそう簡単にそんな戦法が思いつくわけではないが。
そんな時、ブリッツのメインモニター隅に先程の爆発で吹き飛ばされたバクゥの頭部がちらと映った。
これを使えば、或いは…… ?
その時止めといわんばかりにザウートが全ての砲を撃ってくる。
ブリッツは右方向に前転しながらグレイプニールを開き煙に紛れながら相手に分からぬようバクゥの頭部を掴む。
中距離以上を保ちながら戦っている相手には接近戦を持ちかけるしかないし、意表をつく手段としてはこれぐらいしか無い。
機体にキャノン砲や副砲の弾が度々直撃するのも構わず、ガロードはブリッツのバーニアを吹かし敵機に接近する。
「こいつを喰らってみやがれええっっ !!! 」
互いの距離が20m程をきった時、ガロードはグレイプニールを相手の真正面に撃ちこみ、勢いを付けた状態でバクゥの頭部を相手のメインカメラの辺りに叩きつける。
接近戦を挑んでくると思い込んでいた相手は、いきなり正面に有り得ない物を映し出されたせいか一瞬動きを硬直させる。
その次の瞬間には大質量に因る攻撃の為、ザウートの頭部は大きく拉げスパークを繰り返す回線が機体との間に見え隠れしていた。
その機を逃さずガロードはザウートの前部を踏み台にしながら前転し、空中ですれ違い様にビームサーベルの付け根をその回線の集中している所に零距離で当てスイッチをオンにする。
ザウートは凄まじい音をあげ爆発し、ブリッツはその衝撃の為に上手く着地できずごろごろと転げる。
648Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/17(水) 04:00:40 ID:???
ザウートも、ジンオーカーも、空中を飛んでいたジンも全機連係プレーで墜としきった。
後はキラの援護に回らなくては…… !!
だがその時遂に恐れていた事が起こった。
けたたましい警告音がコクピットに鳴り響き、ブリッツのフェイズシフトがダウンしたのだ。
また時をほぼ同じくしてアークエンジェルも機関部とバランサーが持たなくなったのか、地表に力尽きたかのごとく機体が落ちた。
空中の様子は最早飛んでいる戦闘ヘリと戦闘機はムウとカリスを除けば残り一機になっている。
ガロードは再び右手で重突撃機銃を握りキラの方向へと走る。
キラは丁度その時ビームサーベルをバクゥの頭部に突き刺し、止めとばかりにその胴体にビームライフルを撃って二機目をしとめていた。
だがそこに生まれた一瞬の隙を突いて残された最後のバクゥが、ストライクの死角を突いて突進してくる。
ガロードはブリッツを走らせながら大急ぎで機銃を構えバクゥに向かって撃った。
弾丸はレールガン発射機の付け根を捉えそれと機体とを分けるには至ったが、機体自体を捉える事はなかった。
後方からの攻撃にバクゥはその方向に向かって猛然と走り出す。
ガロードは再び機銃を撃とうと試みたが、最悪な事にトリガーを引いても何の反応もない。
機銃は既に弾を切らしてしまっていたのだ。
「ガロード !!! 」
ブリッツのフェイズシフトが落ちている事に気が付いたキラの大声がガロードの耳に入ってくる。
敵機はどんどん近づいてくる。
その時、モニターに戦闘の最初の段階でジンオーカーをしとめた際に使ったランサーダートの一本が映った。
ブリッツはバクゥの方向に向かって用の為さなくなった機銃を残された力で放り投げ、よろめくような姿勢でその一本を掴みにかかる。
バクゥはその鼻っ面に思いっきり機銃を当てられたせいか、その場で数秒硬直してしまう。
その数秒だけでも十分と言えた。
「うおおおっっっ !!! 」
ガロードが発する、あらん限りの声がその場に響き渡る。
槍の如きランサーダートの一本はその数秒の間にバクゥの機体をメインカメラから首の付け根までの間をあっという間に突き抜けた。
相手機は機体全体からスパークを起こしながらその場にドテッと倒れこみ、次いで強烈な爆発を起こす。
その炎と衝撃は自分を沈めた事への最後の足掻きの如く、直ぐ側にいたブリッツを巻き込んだ。
「ぐああぁぁっ !!! 」
コクピットの中でむち打ちを起こしかねない衝撃に襲われたガロードが呻く。
更に機体は激しく地面に叩きつけられ、ブリッツは後背部のバーニアを大きく破損してしまう。
だが遂に最後のバクゥも沈んだ。
ノイズと砂嵐混じりのブリッツのモニターが映す空を仰げば敵機は一機もいなかったが、やはり機体のあちこちに損傷を負ったスカイグラスパーと、
実体弾の爆発に因る煤で黒ずんだベルティゴが滞空していた。
肝心の敵戦艦は全てのMSと戦闘機、戦闘ヘリが墜とされた事から、砲撃は一種の小康状態となっていた。
「……終わった……のか ? 」
苛烈極まりない戦闘が一時的にせよ終わった事に因る安堵感からか心なしか口にする言葉が震える。
終わったとそう信じたい。
だがそうとは思えていない者が一人いた。

649Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/17(水) 04:01:44 ID:???
キラの頭の中は戦闘に関すること以外は相変わらず穏やかで静まり返っていた。
フェイズシフトダウンしたブリッツの事は気がかりになってはいたが、それ以上に敵戦艦の動きが気になる。
断続的に続いている砲撃は見過ごせた物ではないからだ。
最早ほぼ全ての火器が使用不能になっているアークエンジェルがこれ以上砲撃を受ければ確実に沈む。
次に何をするべきか……決心したキラは二隻の敵戦艦を凄惨な目つきで睨みつける。
そして未だ黒煙を上げ続けているバクゥの残骸から、真っ黒に変色したランサーダートの一本を左手に持ち、バーニアを吹かして敵戦艦に向かった。
通信機からはマリュー、ナタル、ガロード、ムウの声が混線している様にごちゃごちゃになって聞こえてくる。
しかし誰の言葉もキラの耳には入って来なかった。
絶対に守ってみせる……沈めさせるものか……沈められてたまるか…… !!
キラの心ではその言葉が輪の様に何度も何度もやって来ていた。
アークエンジェルに向けられていた砲門が直ぐに自分を捕捉し砲撃を開始する。
しかし、小回りの効くMS専用に作られた代物ではないが故に弾は易々と避けられてしまう。
ストライクは左腕を大きく振りかぶってランサーダートを投擲する姿勢に入る。
狙う場所はたった一箇所……艦橋(ブリッジ)。
だが左腕でそんな所にこれを刺す事など出来るだろうか。
相手との距離がおおよそ100mをきった所でキラはつい自問してしまう。
やるしかないだろ !! でなきゃ皆が死んでしまう !!
ブリッツはフェイズシフトダウンして、且つあの爆発のせいで損傷したからかまともに動く事は出来ていない。
スカイグラスパーもエネルギー切れが近いし、ザフトから来た少年の乗っているあの白い機体も殆ど満身創痍の様なものだ。
アークエンジェルはこれまでの攻撃で全ての火器が死んだし、あの損害状況であと10発でも攻撃を喰らったら轟沈してしまう !!
キラはそれ以外もう何も考えなかった。
そして直ぐにランサーダートが確実に命中するであろう距離に達した。
だが何とも間の悪い事に、そこでキラのストライクもまたフェイズシフトもダウンした。
と言ってもこの距離では最早選択の余地等有りはしない。
「いっけえええぇぇっっ !!! 」
ストライクが放ったランサーダートは、風を切り鋭い矢となって艦橋へ鈍い音と共に突き刺さった。
次の瞬間艦橋が閃光に飲み込まれ、艦の上方部を中心として爆発が起きた。
しかし更に惰性ともいえる力でアークエンジェル側に進もうとする戦艦に対し、キラはそれだけでは済ませようとはしない。
炎が赤々と燃え上がるその場所に向かって弾が尽きんばかりの勢いでイーゲルシュテルンを叩き込む。
その結果、艦全体に大規模な誘爆が引き起こされ、忽ち砲台やMS発進口から勢い良く紅蓮の炎が吹き上がった。
そして遂に機関部にそれが到達したのか戦艦はやっとその場で停止する。
650Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/17(水) 04:04:47 ID:???
キラは自機のフェイズシフトダウンの事も忘れて、次の獲物はお前かとばかりにもう一隻の戦艦の方に目をやる。
しかしそこにあったのは、こちらに向けて砲を構える戦艦の姿ではなく全速で撤退していく戦艦だった。
距離にして3〜400m程離れているが狙えないという距離ではない。
キラは尚もイーゲルシュテルンで相手の機関部を狙おうとしたが、その時に通信機からアークエンジェルの艦橋にいるマリューから通信が入る。
「キラ君、戻って !! 敵は撤退し始めているわ ! 深追いする必要は無いのよ !!
それに、フェイズシフトがダウンして、イーゲルシュテルンしか使えない今の状況じゃどうにもしようが出来ないわ ! 」
その声が聞こえてからキラははっとした。
どこか遠くへ追いやっていた意識が急激に自分の方に向かって引き戻されたかのような感覚だった。
周囲に散らばったMSの残骸、自分の今目の前で原形を残しながらも黒煙と真っ赤な炎をあげて燃え盛る戦艦。
これを自分がやったというのだろうか ?
息はやけに荒っぽくなって視界も一瞬ぐゎら二重三重にぶれる。
体のあちこちからも汗が吹き出し、いやにパイロットスーツがじっとりとした感触を持ってもいた。
「損害は大きかったけどアークエンジェルは何とか持ち堪えたわ。お疲れ様。他の皆は回収したから貴方も早く帰投してちょうだい。」
マリューのその声がやけに心地よくキラの耳に入ってくる。
そしてその先は……何も聞こえなかった。
651Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/17(水) 04:12:29 ID:???
投下終了します。戦闘、ムウ兄さんやカリスの描写が上手くなかったかなあと思っていたり。
次回はメイン:艦内点景、サブ:虎とレジスタンス、そしてあるキャラの登場っぽいものをやろうかと思っています。
それではまた後程。
652通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 17:20:21 ID:???
乙でした
キラの方が活躍してるけど、どうしてもガロードを応援してしまうw
あるキャラに期待
653通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 22:35:14 ID:???
サントラにガロードとティファのキャラソンが収録されてた・・・
654通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 23:26:57 ID:???
あれOPやEDがフルバージョンで入ってるんでお買い得感があるんだよなぁ
655Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 17:42:33 ID:???
保守ついでに投下します。

機動新世紀ガンダムXSEED 第三十一話「戦います。」

キラが次に目を覚ましたのは医務室のベッドの上だった。
目を動かすと、室内には今のところ一応アークエンジェル専属の医師となったテクス以外他に誰も見当たらない。
目覚めると同時にキラの脳裏に様々な事が去来してくる。
ガロードやムウさん、艦の皆は無事なのだろうか、アークエンジェルはどれほど損傷を負っているのだろうか、そしてザフト側から来たと言うあの少年は…… ?
不意に、キラの目覚めに気づいたのか、テクスは書き物の手を止める事無く話しかけてきた。
「目は覚めたかい ? 」
「はい……」
あれ、おかしいじゃないか。
自分はストライクに乗っていた訳で……ラミアス艦長が帰投を命じたからアークエンジェルへと向かおうかとしていた訳で……
じゃあ何故自分はこんな所で横になってるんだ ?
その答えはテクスの方から告げられる。
「君はラミアス艦長が帰投命令を出した直後にその場に倒れた。助けに行ったのは機体の応急処置を済ませたガロードでね。」
そうだったんですか、とキラは小さく呟き視線を天井へと戻す。
後でガロードにあったらお礼を言わなくちゃと思った時、体の節々に疼痛がやって来る。
機体を素早く効率的に操る為に、体も恐らく相当な無理をしていたのだろう。
衣擦れの音と小さな呻き声を聞いたテクスは、特に口調を変えるでも無く淡々と続ける。
「ガロードの方はあれでしぶとい所もあるし、君に比べると体もそんなに悲鳴をあげる様な状態じゃなかったが君の方はまだ動かない方が良い。
今日一日は安静にして動くのはそれからにしても遅くはないはずだ。」
それから彼はやれやれといった感じで上に向かって大きく背伸びをし、首を二、三回横に振る。
無理もない。戦闘で多くの重軽傷者が出た為に、テクス自身にも目の回る様な忙しさに振り回される思いがあったからだ。
そんな彼から目線を少しずらしキラは訥々と語りだす。
「先生。僕……この戦闘でやっと決心がつきました。……戦います。」
やや間が有ってからテクスは書き物の腕を止め、キラの方に体を向ける。
「……何と戦うんだね ? 」
「僕の友達を、いえ、僕にとって身近な人達を死なせようとする敵からです。」
「その敵という一つの括りの中に君の昔の友人が含まれているが、それに関して君自身はどう捉えている ? 」
その言葉を聞いて半瞬体が硬直してしまうが構わずに続けた。
「その事はもう諦めました。前にも言いましたけど、アスランが捕虜になっていた時に物凄い剣幕で色々言われましたから……もう何か考えたりして後れは取りません。
そんな事をしていたら自分は勿論皆まで死んでしまう事になります。もう誰も死なせはしません。」
言い終えてからキラの心に何かすっとする物があった。
そうだ……自分は遂に言いきった。後は言葉の通りの事を実行すればいい。
そんなキラの心境を見透かしたかのようにテクスは短くこう告げる。
「すっとしているところで水を差すようだが、言葉には常に何らかの責任という物が付いてまわるものだ。
ここには艦長も君の友人もいないが君がそう言った以上そういう風に行動しなければならない。常にね。……綸言汗の如しとはよく言ったものだな。」
「あのう……綸言汗の如しって何ですか ? 」
「一度口から出てしまった事は取り消したり無かった事にしたりする事が出来ないという事さ。
……ま、良い言葉かなと思ったら心の片隅にでもピンで留めておいて損は無いと思うがな。さ、気分が落ち着いたらもう一眠りした方が良い。」
言われてキラは視線を再び天井へと戻す。
目を閉じる前に言われた事を自分の頭の中で繰り返してみる。
言葉には常に何らかの責任という物が付いてまわるもの……
自分の選び取った道が如何に茨の道となるかを自覚しながらキラは眠った。

656Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 17:43:44 ID:???
「それで……君もガロード君達と同じ世界から来たのですね ? 」
「はい。」
事情聴取が行われている士官室には重苦しい空気が満ちていた。
臨席しているのは当事者のカリス、尋問する側に艦長のマリュー、副艦長のナタル、戦闘に立ち会ったムウ、そして一種のオブザーバーとしてガロード、ティファ、テクス。
内容は勿論、カリスについての処遇をどうするかである
彼はガロード達と同じ世界の住人であり、更に彼等は旧知の仲とも言える間柄にある。
しかし生きていく為に些か仕方が無かった判断とはいえザフトの軍人になった事、そして仮にもジブラルタル基地の元副司令官であった事が余計に事態解決への道に暗い影を落としていた。
本部に知らせれば絶対に黙ってはいないだろう。
最悪の場合、離反してこちらの陣営に有利になる働きを山とする、あるいはアラスカに着くまでにするであろうという事を考慮に入れたとしても、待っている物は銃殺刑ぐらいだろう。
だがこれまでにも戦闘で尽力を尽くしてくれたガロードの友人という事もあったので、
彼の感情を酌まなかったり、簡単に反故にして処断を決めてしまえば、これからのお互いの関係に歪が生じてしまう。
そんな風にマリューが判断に困りかねていると、横からナタルが一つの提案をしてきた。
「艦長。ノーティラス氏の処遇についてはガロード・ラン、ティファ・アディール両名と同じ位置にし、その引き換えとして氏の知り得る情報……
つまりはザフトがこれから計画している戦略、ジブラルタル基地の詳細等を詳細に供述するという判断は如何でしょうか ? 」
それはつまり一種の取引だ。
必要最低限の行動の自由と生活水準を約束する代わりに情報を洗いざらい話してこちら側に提供せよという物。
それを聞いたマリューは少し眉を顰めてしまう。
確かにこれは看過する事の出来ない非常に重要な戦術の過程におけるワンシーンとも思えてくる。
軍と言う組織に所属する以上そういう処断の方法の一つが出てしまうのは致し方無いものだ。
しかしどちらかと言えば‘手を上げないで済む問題’なら、なるべく仁徳的な方法であらゆる事態の解決を図ろうとするマリューにとってあまり気持ちの良いものではなかったのだ。
彼女はナタル自身から自分は軍人の家系に生まれたと数日前に聞かされた。
その為、こういった状況においても実に四角四面な回答しか出来ないというのは些かしょうがないものだと内心匙を投げかけていた。
思えばその違いはあの苛烈な戦闘の直後から顕著になっていたのかもしれない……
657Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 17:44:46 ID:???
戦闘の後、例によってガロードは整備スタッフから多くの拍手と激励、そして祝いの声を受けたが彼自身そんな事に気を使っている余裕は粉微塵も無かった。
先ず、アークエンジェルの具合は一体どういうものになっているのか、出撃直前に部屋のベッドで寝かせたティファは無事なのだろうか。
そして、ザフトから来たカリスの処遇は一体どうなるのか。
ブリッツがストライクを引き摺る様な形で帰還して間も無くスカイグラスパーが帰還し、ベルティゴが到着する。
その途端、ガロード達が初めてアークエンジェルに来た時の様に銃を持った兵がその場に集まり始める。
「止せ ! あいつは俺達の味方だ ! 俺の仲間なんだよ ! そりゃザフトから来たから警戒するのも無理ねえけど銃くらい下ろしてくれないか ? 」
諭す様にガロードは言ってみるが兵士は同じ姿勢のまま返答する。
「いや、こちらに与した行動を取ったとはいえ、相手はまだザフトの制服に腕を通している。第一、一回の戦闘でそう判断するわけにはいかん !! 」
少しムッとする言い様にガロードは口ごたえをしてしまいそうになるものの、それは外部スピーカーから聞こえてくるカリスの声で止められる。
「ガロード、落ち着いて下さい。いいんですよ。ザフトから来た僕にはこれが正当な出迎えだと思いますから……」
それから直ぐにコクピットハッチが開き、両手を上げたカリスが姿を現した。
先程聞こえた声の口調はいつもの様に丁寧その物だったが表情は硬く、自分に向けられている銃に対しても眉一つ動かす事はない。
そして兵の一人が銃を構えたまま、ベルティゴから降ろされた乗降用ワイヤーに乗りカリスの元へと行く。
兵は無表情のまま簡単な身体検査をし、次いでカリスの両腕を手錠で後ろ手に拘束する。
ガロードにとってはその行動の一つ一つが此処は連合の戦艦なのだという事を頭に入れていても気に喰わない物だった。
そして兵とカリスはベルティゴから降り、多くの視線を集める中、艦の居住区へと向かって行った。
二人が見えなくなった辺りでガロードは隣にいた兵の脇腹を肘で軽く小突き質問する。
「おい、こういう風に対処するように言ったのって、まさか副艦長さんか ? 」
「ん ? ああ。念の為という事でな。」
やっぱり……あの真面目が服着て歩いているような人ならと、つい思ってしまう
内心少し苦々しい思いもしたが、空気も読めないのかとしばしの間呆れてしまった。

658Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 17:47:05 ID:???
そんな事があっただけに、ガロードとマリュー達の間には士官室に入る前から非常に気まずい空気があった。
マリューは自分もそんな目で見られているのだろうかと軽く頭を抱え小さく溜め息を吐いてしまう。
しかしそんな空気を打破するようにカリスがナタルの質問についての回答を出す。
「そこに関しては悩む所ですし、また非常に複雑でデリケートな問題だと言う事も重々承知してはいますが……
いいでしょう。取引に応じます。但し ! そちらもこの場で一度取り決めた事は厳守して下さい。後から理不尽な理由や補填的な説明を基にして取引自体を反故するような事はしないと約束して下さい。」
「心配するなって。連合軍側の人間とはいっても一応軍人なんだからさ。それに……お前さんの心意気はさっきの戦闘の前にしっかりと受け取ったからな。」
回答に対してやはり飄々とした態度で受け応えるムウ。
ナタルは「少佐、少しは真面目に応対して下さい……」と小声で窘める様に言うが、当の本人はやれやれと言わんばかりに肩を竦める。
そのやり取りを見てカリスはほんの僅かばかり口元を綻ばせる。
それを見たマリューはほっとして手元にある小冊子を閉じ、努めて明るい声を出して聴取の終了を告げる。
「ともかく事情聴取はこれで終了よ。カリス君。これから色々と大変な事があるとは思いますが……頑張って下さい。」
「はい。御期待に沿えるよう尽力します。」
それから直ぐに部屋の片隅にいた兵の一人がカリスの両腕にかかっていた手錠の鍵を外した。
それと同時にガロードが左手の親指をピッと立てる。
それを見てカリスは少しきょとんとするが、直ぐにその意味を理解して同じ動作をする。
それ以上言葉も動作もいらない、青年同士のある意味爽やかささえ感じられる間柄。
見ていて微笑ましい所があるものだとマリューは思う。
「あの……もう行っても宜しいでしょうか ? 」
「え ? ええ、良いわよ。但しその服は着替えた方が良いわね。生活班に変わりになりそうな物を直ぐに用意させるわ。」
「何から何まで本当に有り難う御座います。では失礼します。」
カリスはそう言って立ち上がり深々とお辞儀をした後、ガロード達と共に士官室から出て行った。
ナタルも自分が詰めているCICの様子が気になるらしく部屋を出て行った。
部屋に残ったのはムウとマリューの二人きりになる。
「やれやれ、またまた前途多難な事が山と転がり込んできたねえ、艦長さん ? 一度しっかり休んだ方が良いんじゃないの ? 」
「そういうわけにもいきませんわ、少佐。こういう時は今自分がするべき事から手を付けていってこなしていかなければ部下に示しがつきませんもの。」
ムウの提案をマリューは制帽を脱ぎながら軽く受け流す。
しかしムウは少し困った顔をして続ける。
「こういう時だからこそさ。艦長さんがそんなボロボロのクッタクタで仕事に当たってたんじゃ示しも何も無いのと同じだぜ ? それに、こなした仕事の質も落ちちまうぜ。」
「……そうね。」
その言葉にマリューは何も言い返せなくなり、机に突っ伏して目を瞑ってしまう。
悔しいがこの場はムウの勝ちだ。
山積している問題を逐一解決するにはこの体力ではいつか限界が来てしまうだろう。
しかもその山積している内容も内容である。
あの戦闘でアークエンジェルの火器は殆ど使用不能になり、機関部も少なからずやられた為に数日はここ、ザフト制圧下で足止めを喰らうという事になった。
おまけにその修理に必要な資材自体や減りつつある弾薬、燃料、食料も何処から調達すれば良いものか。
更に今後の航路も未だに決まっていない。
そんな事をあれやこれやと考えている内についまどろんでしまう。
ムウはそんなマリューを見やりながら出来るだけ静かに部屋を後にした。

659Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 17:49:15 ID:???
「『噂の大天使』……ねぇ。教義を説く場所を間違えたとみえるな。」
「は…… ? 」
資料に目を通す上官が発した比喩的な意味を持つ言葉に彼の部下、マーチン・ダコスタは少々間の抜けた返事をしてしまう。
「まあ、我々の制圧下の地に単艦で降りてくるなんざ、ちいとどうかしたんじゃないのかっていう行為にも等しいって事さ。」
「はあ……」
ここはアークエンジェルの降りた地より南東に約2270kmの地点。
ザフトの大型陸上戦艦レセップスの中で一人の男が白磁のカップ片手に部下が持ってきた資料を見ていた。
男の名はアンドリュー・バルトフェルド―通称『砂漠の虎』とも呼ばれる、ザフト軍地上部隊における屈指の名将にして名パイロットである……
のだが彼のその肩書きを吹けば飛ぶような存在にしている物がたった一つあった。
手に持っていたカップを口に運んで直ぐ、バルトフェルドは「んっ ?! 」と表情を変える。
「なにか ?! 」
資料の中に注目すべき点でもあったのかとダコスタは身構えるが、そんな彼を茶化す様に相手は楽しげな表情を浮かべて応対する。
「いや、今回はジャワとトラジャを7対3の割合で混ぜてみたんだがね。やはりオールドビーンズよりカレントクロップの方が良かったかもしれんな……」
それを聞いてダコスタはがっくりと拍子抜けしてしまった。
カップの中身は彼がやっているコーヒーの自己流ブレンド。
彼はその結果を子供の様に嬉々として述べただけだ。
コーヒーは黒くて苦い飲み物としか考えていないダコスタにとって、上官のこのあまりの入れ込み様には少々呆れてしまう。
正直な事を言えばこれさえなけりゃと何回か思ったものだが。
「このブレンドはいけると思ったんだがなぁ。8対2でやってみたところでやたら苦味だけが残るものだからそれは避けたんだが……」
しかしそんな部下の思いは何処吹く風といったようにバルトフェルドはコーヒーの感想を述べながらアークエンジェルのデータに目を通していく。
もう何度目か分からない小さな溜め息をダコスタが吐いたその時だった。
660Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 17:50:27 ID:???
「失礼します !! 」
一人の兵士が隊長の前だということも忘れたように大慌てで入ってきて、一つのメモリースティックをデスクの上に置いた。
「先程、ジブラルタル基地よりカリス・ノーティラス副司令官が我が軍より離反し逃亡したとの報せが入りました !! 」
「何だと ?! 」
突然の報にダコスタも上官の前だという事を忘れて驚いてしまう。
その兵士はその後に起こった事の報告を続けた。
「また我々の制圧下に降下した敵新造艦が、先日陥落したビクトリア基地を査察に出発したジブラルタル基地総司令官の乗った艦と交戦したとの事です !! 」
「それで……被害の程は ? 総司令官殿は ? 」
バルトフェルドが神妙な面持ちで出したその質問に、兵士は涙を堪える様に絞り出した声で答える。
「ジブラルタル基地よりも応援が出ましたが、奮戦空しくMS隊、戦闘機部隊は全滅……総司令官殿は……戦死されました…… !!! こちらのメモリーは……撤退した兵が捉えた戦闘の一部始終との事です ! 」
ダコスタは驚きのあまり声も出ないようだった。
無理もない。ジブラルタル基地はたった数時間で総司令と副指令、二人の大きな立場にいる責任者がいなくなったのだから。
一方バルトフェルドは自分の元にもたらされた情報を頭の中で必死に統合していた。
それを踏まえた上で自分達の力と彼等の力を改めて秤にかけてみる。
その結果はじき出された答えは……しばしの間事態を静観していた方が良いというものだった。
何せ何十機というMS部隊と戦闘機部隊を撃墜しておきながら、未だにそれが存在しているのである。
戦闘でかなりの損傷を負っていると見積もっても下手に手出しをしない方が良い。
尤も、手を出そうにも2000km以上離れているここからではそうそう簡単には出せそうにもないが。
「分かった。取り敢えず報告どうも。」
「はっ !! 」
バルトフェルドは軽く労いの言葉をかけて兵を持ち場に戻す。
それを視線だけで見送ったダコスタは重々しく口を開いた。
「隊長……これからどう動きますか ? 」
「それをこれからじっくりと考えるんじゃないか、ダコスタ君。幸い、敵も直ぐにはアクションを取る事が出来ない様だからな。」
かなり深刻な事態といえるにも拘らず、バルトフェルドはどこと無く『面白くなってきた』という雰囲気の口調で答える。
やれやれといった雰囲気でダコスタはあさっての方向を見るが、上官が次に発した言葉で居住まいを正した。
「どちらにせよ、久し振りに手応えのある相手がやって来たという事だ……」

661Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 17:52:43 ID:???
エーゲ海は北方の山脈。
人の気配が感じられない内陸部にそれは確かに存在していた。
それは連合が所有する一種の研究施設であり、近隣住民からは何をしているか分からないという事で気味悪がられていた。
まあ、本当の事を知ったら余計に気味悪がられ追い出されそうな雰囲気にもなりそうだが。
その研究施設の一室で一人の男性研究員が一心不乱にパソコン画面と格闘していた。
今日中に各部署から集められた膨大な量の実験データを纏め上げなければならないのだから無理も無い。
その部屋に一人の女性研究員が気配を悟られないようにあらゆる音を殺して入室する。
彼の方はまだ気がつく気配はない。
我慢出来なくなった彼女は、彼の背中をそっと人差し指で上から下へとなぞっていく。
その瞬間彼は弾かれた様に椅子から軽く飛び上がり後ろを振り向く。
「な、なんだ、君か。お早う。」
「お早う、エディ。……今日、またここに缶詰なの ? 」
「済まないけど所長の命令でねぇ。どうしても今日中にこいつを片付けなきゃいかんのさ。」
エディと呼ばれた彼は自分の両脇に、さながら摩天楼の様に聳えている書類とファイルの山をパンっと叩く。
彼女はそれを見て微笑みながらも不服そうに文句を言う。
「今日はあなたも私も非番だから、気分転換も兼ねて近場の海まで行こうって言ったじゃない、先週。」
それを言われてエディの手は気まずさのあまりぴたりと止まる。
しかし直ぐに何も無かったかのように指はキーボードの上を滑る様に動き始めた。
「あー、無理だよ。見てくれよ、この量。これだけでも大変なのに、今度発表しなきゃいけない例の計画の概要もやらなきゃいけないんだ。」
口調は残念であるという事をアピールしているが行動がそれに伴っていない。
女性は試しに彼の顔を横から目を逸らす事も、瞬きする事も無く見つめてみた。
始めは軽く無視を決め込んでいた彼だったが、やがてその愛くるしい視線と表情に耐え切れ無くなり彼女の方を向いて気弱そうに笑いながら話し始める。
「この計画が採用されれば生体CPUの常識はもう通用しなくなるんだよ ! 最小限の機材と費用で素晴らしい戦士を……」
「ええ、知ってるわ。あなたと知り合った頃から何度となく聞かされてきた事だから。
恐怖やストレスといった戦闘におけるあらゆるマイナス要因を、メンテナンス効果を持つ専用ベッドを使って調整する、通称『幻肢痛計画』。

投薬量や精神操作期間をこれまでの半分以下にし、尚且つ本人達の性格の原形を殆ど留めたままに出来るから、完成すれば直接プラントに侵入させて破壊活動を行う事も可能になる……でしょ ? 」
「ああ……」
自分の頭の中で思い描いている構想をそらですらすらと言ってのけた彼女を、エディは驚嘆の眼差しで見つめる。
と、同時に毎日吹聴していて悪くはなかったなとも思った。
少なくともこの共通の話題で関係は深まり、お互いの事をよく知ろうと思うきっかけになったのだから。
だがその後がいけなかった。
エディは再び何事も無かったかのようにパソコン画面に向き直り仕事を再開したからである。
彼女は頭を軽く抱えつつも、彼の耳元で優しい吐息混じりに囁く。
「私とその仕事とどっちが大事なの ? 」
その言葉にエディは目の前が真っ暗になった様に感じる。
悲しいかな男という生物は疑問形で提示された話題について、ついつい一方的に論理的思考で相手に畳みかけ、感情抜きにさっさと問題解決の為の具体案を出して話を終わらせようとするもの。
他愛もない話も大事だと感じ、感情込みで自分への同情を求める女性にとってはこれ程不愉快な話し方も無いものなのだが。
故にこの質問はどっちに答えても女性の術中に嵌るというある意味酷な質問だ。
それを知っていたエディは悩みに悩みぬいて……パソコンの電源をシャットアウトする。
662Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 17:54:43 ID:???
「僕の負けだ。今日はとことん付き合うよ。」
「寝台の中まで ? 」
「なっ !! それは無いだろ……」
意地の悪い質問に思わず顔を赤らめてしまうエディ。
その時女性研究員は彼の元に来たもう一つの理由を思い出し、俯いてしまった彼に向かって再び話しかける。
「あ、そうそう。あなたの開発セクターから一人配属が決定した子がいるそうよ。」
「うちのセクターから ? まさか。確かにうちのところはかなりの猛者揃いさ。でも皆ステージ4以降の連中だから使い物になるかどうか怪しいんだが……で、誰なんだい ? その子ってのは ? 」
「……ステファン・ヒルパート」
その名前を聞いた瞬間、エディの顔から血の気が一気に引く。
彼はその人物を知っていた。
ここでは一つのセクターで何人かの研究者が数人に分けた生体CPUを、交代で面倒を見るといったシステムを採っている為に、彼もその人物を担当した事があったのだ。
しかし正直言えばその感想は恐怖その物だった。
強化インプラントステージ5にまで差し掛かっていたその人物は、模擬戦に於いて常に刃物を利用して対戦相手の首を切りつけるという戦法を取っていた為に、
関係者からは「3H(スリーアッシュ:Head Hunter Hilpert)」という仇名さえ貰っていたからだ。
おまけに日常生活においても精神状態が常に不安定極まりなく、特定の薬数錠を数時間おきに服用しなければならない上に、
異常なまでに敵味方の区別無い排除行動に移ろうとする為、正直施設も匙を投げかけていた代物なのだ。
そんな人物、いや生体CPUを本気で採用しようというのだろうか ?
エディはその内容に暫くの間呆気に取られていたが、気を取り直して会話に戻る。
「そうか……あの子か。……やっと貰い手が見つかったんだな。」
「満足そうね。その様子じゃ手塩にかけた子だったっぽいけど。」
「人の事言えないんじゃないのか ? 君だってこの間ここから試験採用された子に母さんと呼ばせていたそうじゃないか。お互い思い入れは深くは出来ないな……」
エディは小さく溜め息を吐く。
この行為自体が非人道的だというのは十分に理解している。
この部屋を出て数ブロック先に行けば、これから生体CPUになるであろう子供達の阿鼻叫喚が聞こえてくるのだから。
だが戦闘に勝利する為には手段等選んでいる場合ではない。
相手も同じ様な化け物なのだからそれに比する力を持つ何かをぶつけなくてはいけないからだ。
全ての感情を押し殺して接しなければとても精神が持たない。
「もうっ ! しんみりしている場合じゃないでしょ ! さ、外に出て羽でも伸ばすわよ。」
「お、おい、そんなに腕を引っ張るなって……」
こんな場所でこんなシーンは呆れるほど不釣合いだ。
エディは頭の片隅でそう思う。
本当なら今話題にあがったヒルパートもこういう他人との心のふれ合いを楽しんでも良い年頃だ。
だがそれが許される事はない。
消耗品の一つでしかない生体CPUの彼女にそれを楽しむ時間も余裕も無いのだ。
つくづく自分の陣営が行っている事の業の深さを思いつつ、エディは彼女と共にその部屋を後にした。
663Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/22(月) 18:05:59 ID:???
投下終了します。アークエンジェル降下地点と虎との位置、その間の距離把握にはgoogle earthが一役かってくれました。
最後の部分に関して:エディはオリジナルですが、女性研究員とアークエンジェルに配属が決まった強化人間は
種・種死本編で一応出ています(ホントにチョイ役でですが)。
気になる方は探してみては如何でしょう(コアなファンなら一瞬で分かるでしょうけど(汗))?
それではまた後程。

以前あるサイトにて書かれていた言葉
「男から見た男同士の友情と、女から見た男同士の友情は根本的な所から全て違う物だ。」
肝に銘じながら男キャラの友人との接し方を描いています。蛇足ですみません。
664通常の名無しさんの3倍:2007/10/22(月) 21:59:17 ID:???
女のほうは分かった、強化人間は微妙(名前を気にしなければ多分想像道理かな
ただエディの名前はいらなかったかな、その女の夫にでもすれば辻褄は合うと思うし
まあ投下乙、細かいところはちゃんと見直してくれ
665通常の名無しさんの3倍:2007/10/23(火) 15:19:10 ID:???
遅ればせながら乙!
666通常の名無しさんの3倍:2007/10/23(火) 20:04:17 ID:???
え、どこ?
ヒントキボンヌ
667通常の名無しさんの3倍:2007/10/23(火) 20:48:59 ID:???
ヒントもなにも答えかいてあるじゃん。
668通常の名無しさんの3倍:2007/10/23(火) 22:45:02 ID:???
580 :通常の名無しさんの3倍 [sage] :2007/09/19(水) 22:32:51 ID:???
まとめのX-seed◆mGmRyCfjPw氏の第3話をクリックしたら16話に繋がるんだがどうすれば良い?


581 :通常の名無しさんの3倍 [sage] :2007/09/20(木) 01:50:16 ID:???
>>580
修正すれば良い。


631 : ◆L1QckJlrlM [sage] :2007/10/13(土) 05:02:16 ID:???
皆様お久しぶりです
新たなる道の作者です。

前回投稿の次の日にサブを含めパソコンがクラッシュ、
ネットに繋ぐのに2ヶ月ほど掛かりました
現在内容を思い出してやっているのですが、
まとめサイトのほうが途中で切れていているのですが…
誰かあの切れている部分を持っている方はいないでしょうか?

あ、今ようやくトラとガロの2対2を書いています
投稿は…最悪でも今月中には…

それではよろしくお願いします


誰か過去ログ持ってるはいないんか?あとIDもちとか
669 ◆n/pJcmlREs :2007/10/23(火) 23:20:40 ID:???
支援UPローダーに上げてみました。
おそらく不足分はこれでいいはず。
670 ◆L1QckJlrlM :2007/10/24(水) 01:59:22 ID:???
出来ましたので順次投稿します
「キラ〜、出来たか〜!?」

ガロードとティファは帰って来た後一番にストライクの元へ向った。

「ずいぶん遅かったわね」
「心配したんだぞ?」
「わりぃわりぃ、ちょっとテロに巻き込まれて狐の所にお邪魔してたんだ」

ガロードがそう言うとフラガは一度首をかしげ、
狐と言うのがキラ達の間でバルドフェルドの事を指す事を思い出した。

「大丈夫…だったんだよな、傷はなさそうだし」
「まあな…」
「お帰りガロード、ティファ…今やっと試射が終わった所だよ」
「よし、これでまともに銃が撃てるな!」

ガロードはそう言うとガッツポーズをとり、
その格好をヘリオポリス残留組+フラガが見て笑った。

「なあ、私にもあれのシミュレーションさせてくれないか?」

その笑声の中にカガリが入ってきた。
「ううう…」
「む〜…」
「はぁ〜」
「ま、最初はそんなもんだ」

カガリだけではなくついでにとトールとミリアリアもジンの操縦シミュレーションを行ったが、
全員結果はグダグダに終わった。
フラガはそういって励ますが最初に行ったフラガもあまり変わらない成績だった事を追記する。

「な、ならこいつは!?」

カガリは諦めきれないと言ったふうにスカイグラスパーの方を指差すが、
そのカガリの襟首を屈強な男が掴み、ずるずるとその場を立ち去った。

「ちょ、こら! まだ話は…」
「いい加減にしろカガリ、お前は………」

なにやら言い争っているがどうやってもカガリは勝てないだろう。
まさしく大人と子供の構図である。

「…行っちゃったね」
「…うん」

その様子をガロード達はぽかんと見送った。
「腹ごしらえ腹ごしらえ♪」
「ん〜…やっぱ、現地調達のもんな旨いねぇ」

ガロードとフラガは戦う前の腹ごしらえと言う風にケバブにかぶりついていた。

「すごい…」
「俺達はこれから戦いに行くんだぜ? 食っとかなきゃ、力でないでしょ」
「同感、戦闘中に腹減った〜なんて行ってティファ一緒に落とされちゃたまらないからな!」
「けどこのケバブのソースはヨーグルトのが旨いぞぉ」
「オレはこっちのチリソースの方が好みだな」
「むむ…お嬢ちゃんはあんまり食べてないな?」
「ティファは基本的に小食だからな…食べ過ぎて動けなくなるのもまずいでしょ?」
「確かに、違いないな」

フラガはそう言うと笑った。
その次の瞬間少し遠くの方から爆音が聞こえてきた。

「うわ! 何だ? 爆発!?」
「砲撃…にしては爆発が大きいような」

そう言うと新しく入ってきたブリッジクルーの一人が走りながら来て状況を説明した。
「レジスタンスの罠は最初から解ってたらしいな」
「ま、あったらいいな、レベルだったし、逆に最初に潰してくれてラッキーじゃない?」
「そりゃそうだ」

そういってガロードとフラガは笑いあいながら格納庫へティファと共に向った。

「それで坊主! パックはどうするんだ!?」
「今回は地上の相手中心だから…ソードで! 後マシンガンと予備の弾も」
「解った!」
「それじゃおれは、1号機にランチャー、2号機にエールだ!
なんでって…換装するより、俺が乗り換えた方が早いからさ!」
「空の敵と臨時の補給は任せるぜ?」
「補給の方はともかく空の方は任せなさいって」

二人はそう言うと笑いあい、それぞれの相棒の中へ入っていった。
勿論ストライクの中にはティファがもう入っていて、
ガロードのサポートができるよう予備のキーボードとディスプレイを見て何度も手順を確認していた。
ティファは一度目を離しガロードに微笑むと、急に暗い顔になった。

「ティファ、どうしたんだ?」
「………駄目です」

ティファはそう言うと急いでブリッジへ通信を入れた。
「回り込まれているだと!?」
「はい…私達の背中を狙う殺意を感じます」
「背中…?」
「…レーダー、どうか!」
「撹乱が酷くてはっきりとは解りません!」
「辛うじて前方に大型熱量2……敵空母、及び駆逐艦と思われるものしか…」
「信じてくれよ! ティファはこういうのを事前に察知できるんだ!」
「しかし…」

マリューがそういい悩む中、ナタルが決断した。

「………解った、しかし今の現状ではまず前方の敵に集中しなければならん。
各員は常に後方からの奇襲に注意…今の現状ではこれが精一杯だ」
「いいのか!?」
「ナタル?」
「現状ではこちらの手が足りません。
この場合敵の策に乗ったと見せかけてこちらが動揺しなければ、
相手は戦力を無駄に分散させたと言うまでの事。
まずは目の前の敵を相手が奇襲する前に叩くのが上策かと」
「…解ったわ、
各員は常に後方から奇襲が来る事を警戒しつつ前方の敵の一秒でも早い排除を心がけよ」
「「「「「了解!!」」」」」

マリューがそう言うとそのことが艦内放送で流れた。
今のアークエンジェルはヘリオポリスからの避難民を乗せた船ではなく、
ヘリオポリスで傭兵を調達し、途中で兵を足した船である。
多少の不安は感じてもこの放送でパニックになる事はない。
「フラガ少佐機、発進位置へ。進路クリアー、フラガ少佐、どうぞ!」
「あいよ、取りあえず後ろの敵は見つかるまで無視って事だな!?」
「まずは目の前の敵を!」
「りょ〜かい、ムー・ラ・フラガ、スカイグラスパー出るぞ!」

フラガはそう言うとアークエンジェルを飛び出していった。

「APU起動カタパルト、接続。
ストライカーパックはソード。
ソードストライカー、スタンバイ」
「行こう、ティファ」
「はい」
「システム、オールグリーン…続いてストライク、どうぞ!」
「「ソードストライク、行くぜ(行きます)!!」」

二人はそう言うと相手からの砲弾が降る中アークエンジェルから発進した。
「バクゥは?」
「…5機います」

ガロードがヘリをマシンガンとブーメランで撃ち落としながらティファに聞くと、
ティファはレーダーを見てそう応えた。
バクゥ隊は前に2機、後ろに3機のフォーメイションをとっていた。
そのうちの前衛2機のバクゥが前まではなかったビームサーベルを口に咥えて突っ込んできた。
それに対し右手に持つマシンガンで牽制し、
ガロードは左手のブーメランを戻して対艦刀「シュベルトゲーベル」を引き抜いた。

「ティファ、いくよ!」
「はい!」

ガロードはそう掛け声をかけるとマシンガンを腰に戻し対艦刀を両手に持った。
マシンガンを使う事により温存していたバルカンを牽制に使いつつ、
ガロードはバクゥ隊の中へ突っ込んでいった。
そのガロードへ後ろの方にいるバクゥ3機がこちらも牽制にミサイルを撃つが、
そのミサイルとバルカンが接触、爆発し視界が一時塞がった。
バクゥ達の前衛はその中へ突っ込んでいったがミサイルを装備するバクゥはその様子を見ていた。
しかしそれが仇となり煙から対艦刀を構えたストライクがそのバクゥへ文字道理飛んできた。
あまりの事にバクゥは反応できず、結果胴を対艦刀で両断され爆発した。
これに浮き足立った後ろ2機のうちに右のバクゥにストライクは左腕のアンカーを打ち込んだ。
打ち込まれたそれはバクゥの頭を掴み、振り回され反対側のバクゥにぶつけられた。
それだけで爆発はしないものの両者の衝撃はすさまじく、
動けない所へバルカンが撃たれ背中のミサイルコンテナに直撃、結果2機とも爆発した。
そこでようやく煙は晴れ、前にいたバクゥ二機はストライクへ再度襲い掛かった。
「戦況は?」
「ストライクがバクゥ隊と交戦、フラガ少佐がヘリを掃討後現在も駆逐艦へ砲撃をしています!」
「後ろにいるはずの敵は?」
「今だ発見…いえ、いました! 6時の方向に熱源! これは…駆逐艦クラスのものです!」
「ゴットフリート1番砲塔を後ろ駆逐艦へ限界まで回して!
アークエンジェルを1番砲塔が撃てる角度まで方向転換、2番砲塔は目の前の船に固定、
フラガ少佐に正確な位置のデータを送ってもらって! 狙いが出来た物から順に発射して!」
「りょ、了解!」
「艦長! それではローエングリン、バリアントが使えません!」
「ローエングリンは地表への汚染被害が大きすぎるわ! 
今もなおレジスタンスがいる事を忘れないで。
それに後ろを突れるよりもまだ横からの方がましでしょ!? 
今エンジン部をやられたらそれこそ的になるだけよ!」
「く…了解しました」

ナタルがそう言った次の瞬間後ろの駆逐艦が発砲したが、
マリューの狙い道理エンジン部への被弾は避けられた。

「く…被害状況は?」
「右側のバリアント破損! しかし艦の運航に影響はありません!!」
「ゴットフリートは双方とも砲撃中…あ、10時方向の敵駆逐艦沈黙しました!」
「ストライクがバクゥ隊を撃破! 現在アンノウンと戦闘を開始しています」
「アンノウン?」
「バクゥタイプのカスタム機です!」
「!? 3時方向の艦よりジンタイプ3機がこちらに向っています!」
「く…右側のスレッジハマーで対応して! フラガ少佐に救援を要請!」
「了解!」
「うわ!」
「坊主、大丈夫か!?」

ここは格納庫の中、被弾の振動でよろめいたキラをコジローが支えた。

「はい」
「離せ! 機体を遊ばせていられる状況か!こいつで出る!」
「待て! 死にに行くようなものだ!」

ちょうどその時、アークエンジェルに入っていたカガリがスカイグラスパーに乗ろうとしている。
それを整備員+カガリ付の大男+トール、ミリアリアが止めていた。

「大丈夫、今は皆を信じよう?」

キラも止めるのに加わるが、

「どこが大丈夫だ! 今アークエンジェルは囲まれているんだぞ!
ガロードも虎の相手でこっちまで手は回らないみたいだし、ここは私が…」
「虎?」

カガリの虎発言にキラは首をかしげるとトールが、

「ザフトの親玉の事だよ」

と教えるとキラはぽんと手を打った。

「それにこっち…うわ!」

格納庫がもう一度揺れ、カガリは体制を崩してスカイグラスパーから落ちた。
その時格納庫の扉が開いた。
「ブリッジ! 第一格納庫の扉が…え? フラガ少佐が来る!? 解った、すぐに準備する!」

マードックがブリッジに聞くとどうやらフラガが火力よりも足の速さを求め、
エールパックの付いたスカイグラスパーに乗り換えるのだそうだ。
マードックはすぐに整備員やトール達に再発進の準備の指示を出した。
それに応え整備員達は準備を始め終わる間際になってフラガが着艦した。

「おっさん準備は?」
「もうすぐ出来るよ!」

マードックはそう言うと格納庫内が一時騒然とした。
発射口前方に砂漠型のジン、ジンオーガが取り付いてきたからだ。

「くそ! こんな時に」

そのジンオーガはヘルダートの弾幕を抜けて来たせいで武器は落としているが、
その巨体を生かして道を塞ぎ例えそこで爆発させてもすぐに機体を発進させることはできなかった。

「くそ、どうすれば…」
「あ!」

その時キラはこの船にあるもう一つの存在に気がついた。
ジンオーガがゆっくりと格納庫の中に進入し始めると、コジロー達の後ろから駆動音がした。

「今度は何だ!?」
「あ、あれは…」
「そうか、でかしたぞ坊主!」

そこには実剣を構えたジンいた。

「うおおおおおお!!!」

そうキラが言いながらジンをジンオーガへ向けて突進させた。
素人そのものの動きは本来は簡単にかわせるそれである。
しかしそこは格納庫前の発射口、左右を壁に囲まれ満足にかわす事は出来なかった。
それでもジンオーガはかわそうとしたが、
ジンに捕まれ、ジンオーガは格納庫の外へジンもろとも出て行った。
「でかした坊主!」
「スカイグラスパー出るぞ!」

その隙にフラガは発進すると、まずはキラの援護とばかりに、
キラを囲むように動いていたジンオーガを上から狙い撃った。
熱対流の影響もキラが作ったソフトで修正されたその一撃は正確にジンオーガを貫通した。

「キラ! お前は速くアークエンジェルへ戻れ!」
「だ、だけど」
「こいつらは俺が…ってそうも言ってられないか!」

フラガは駆逐艦を見ながらそう言った。
艦前方の駆逐艦の撃墜はフラガが正確な敵艦の位置をアークエンジェルに送ったから出来たものである。
今も後方駆逐艦へゴットフリートを撃っているが至近弾だけで命中はない。
当れば悪くても中破にはなる一撃だが、熱対流の干渉だけでなく、
熱により光が屈折し、標準自体がずれているのだ。
なのでどうしても駆逐艦の近くによる必要がある。

「くそ…任せてもいいか?」
「はい…シミュレーターでは被弾は無しでしたから」
「…死ぬなよ」
「はい!」

フラガはそう言うと後方駆逐艦へ飛んでいった。
キラは己の腕が震えている事を自覚しつつも自分を奮い立たせた。

「ここは僕が…護る!」
「ティファ! 残弾は?」
「マシンガンは後マガジン1セット分、バルカンは残り30発…
エネルギーの消費は残り30%…そろそろイエローゾーンです」

ガロードとバルトフェルドの戦いはほぼ五分といって良い有様だった。
ストライクは左肩のブーメランを撃ち抜かれ、ラゴゥは右主翼を斬られている。
ガロードはせめて相手の射撃を潰そうとラゴゥの背中に攻撃するも、
マシンガンの弾は僅かにかするだけでその射撃機能は衰えない。

「くそ、このままじゃ…何か手は」

ガロードはそういいながら辺りを見渡し…そして思いついた。

「これなら…」

ガロードはそう言いラゴゥと睨み合いながらチャンスを待った。
そしてそれは意外にもすぐに訪れた。
レセップス方向からリニアレールガンが発射されたのだ。
位置はガロードがアークエンジェルを背に、ラゴゥがレセップスを背にしている。
つまりラゴゥにとってはその弾は完全に不意打ちだった。
当りはしないものの後ろからの至近弾はラゴゥの隙を作った。

「今だ!」

ガロードはそう言うとアンカーを発射、
ラゴゥは隙をつれて態勢を崩すもののそれでもそのアンカーを避ける。
ガロードは体制の崩れたラゴゥに最後の1セット分のマシンガンを撃ちつくした。
直撃こそ免れたまののマシンガンの弾は背中のビームキャノンを食らい尽し破壊する。
「まだまだ、これから!」

ガロードはそう言うとアンカーとその先についている残骸を一緒に引き戻した。
それはバクゥの残骸のようで、大きさはストライクの胴と同じくらいあり、
ガロードはそれをぶんぶんと振り回した。
実はガロードは面白半分でキットが開発したハンマーを練習していた時期がある。
結局実戦では使われなかったが、扱いはいまだに自分の体に染み付いている。
弾の無くなったマシンガンを捨て、ガロードはワイヤーを右手に持った。
ラゴゥはその姿に一時唖然としたが、気を取り直して自身が持つ最後の武器、
ビームサーベルを展開した。
光学兵器対質量兵器、ぶつけ合うと勿論光学兵器が勝つが、今この場では互角だった。
最初に動いたのはストライクのほうで、即席ハンマーをラゴゥヘ横殴りに飛ばした。
ラゴゥはそれを後退する事で避けるが、ハンマーが通り過ぎると同時に右足に衝撃が走った。
ガロードはハンマーを投げると同時に左手にナイフを装備していたのだ。
そのナイフはラゴゥの右足の間接部に食い込み、機能を停止させた。
さらに追い討ちをかけるように今度は真っ直ぐラゴゥへそのハンマーが放たれた。

「まさかこんな攻撃をするとはな、少年…しかし!」

それでもなおラゴゥは動き、そのハンマーをジャンプして飛び越え、
ビームサーベルでワイヤーを焼き切った。
ガロードは残ったワイヤーを巻き戻し、背中の対艦刀を引き抜いた。
両者は少しの間にらみ合うとまるで示し合わせたかのように同時に前へと突き進んだ。
「へへ、俺達の勝ちだな」
「そのようだね」

互いに突進をしたがそれは決して互角ではない。
ビームサーベルだけのラゴゥと対艦刀の他にバルカンさらにナイフが一つあるストライクでは、
突進の仕方も変わってくる。
ラゴゥは最後の一撃と突進したが、ストライクはバルカンを牽制に使いつつ突進した。
それに当りはしないものの、ラゴゥはそれで出遅れて結果頭を首から切断。
返す刃で右後ろ足をも切られ、崩れ落ちた。

「さあ、止めを刺したまえ」
「死にたいの?」
「それはごめんね」

直接通信で離すとどうやらラゴゥにはバルトフェルドの他にアイシャも乗っていたようだ。

「え?」
「アイシャ…さん?」
「おや?」
「あら?」

それに驚いて二人が声を出すと今度は反対にバルトフェルド達が驚いた。
てっきり乗っているのはガロードだけかと思っていたからである。

「おやおや、どうやら1対2じゃなくて2対2だったようだね」
「さながら恋人対決ね」

バルトフェルド達に言われ、顔を赤くしその場で黙るガロードとティファだった。
人生経験による先輩はやはり口がうまい例だろう。
結局この場は白けた為これ以上戦闘はせずに解散、
ガロードは結局止めを刺さずにアークエンジェルへ帰艦、
バルドフェルドはザフト残党と共にこの砂漠の地を脱出した。
685 ◆L1QckJlrlM :2007/10/24(水) 03:30:47 ID:???
ここまで、途中規制もありましたが…
まだ原作通りなとこが何とも情けないですね。
オリジナルの展開はオーブの後になると思います。
取りあえず見放されぬよう頑張るので応援していただければ幸いです
686通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 10:49:59 ID:???
クロスオーバー倉庫がまた荒らされてる
トップから各作品へのリンクがウィルス入りページに飛ばされるように……
687通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 13:22:49 ID:???
>>686
荒らしてるのは手前だろ?
688通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 15:48:59 ID:???
>>686
ああ、確認した。デマだな。ウソだな。この卑怯者めが
689通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 17:07:03 ID:???
>>686
履歴には残ってても今はナントモナイ
よって>>686は荒らし決定
そもそも荒らしを報告した時点で荒らし
690通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 21:02:46 ID:???
ジンオーガって・・・ジンオーカーの事だよね?
えらく強そうなんだけど
691641改め添削人B:2007/10/24(水) 21:13:33 ID:???
>>669-670
まずはお二方にGJ、久しぶりという気がする
まずクロスアストレイ氏、貴方のSSの続きは気長に待ってる
シリアスなシーンの高さはGX氏よりピカイチだと思う、頑張ってほしい
まあGX氏のSSは種キャラが生長していく過程がX世界の流れと同時進行しているのが長所だろう
長く連載を続けていながら内容の質が落ちてないのが凄い、X運命氏が感激するのは当たり前かと今更ながらに思う

それで新たなる道氏へ、今回の投下は誤字が多すぎると感じた
フラガの名前は「ムウ」、砂漠戦のジンは「オーカー」という具合に
SSを全体的に見ると細かい描写が荒くて大雑把な感が否めない
しかし基本的な描写に深みがでれば良質のSSに化けると思っている、更なる飛躍に期待している

後俺のレスが気に入らない人はNGワードであぼーんしてくれ
俺は添削の人と違って配慮も遠慮もしないしできないから
692通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 21:26:45 ID:???
なんで他の職人氏と比較したがるの?
693添削人B:2007/10/24(水) 22:02:32 ID:???
>>692
別に比較している訳じゃない、説明が下手だから比較に見えてしまうだけだ
もっとまともな批評ができればとも思うが…
俺はどの職人諸氏のSSも好きだぞ?優劣を付けるつもりもない
誤解をさせるレスをして申し訳ないがね
694通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 22:04:36 ID:???
そうすることで自分が何かを成し遂げたかのような錯覚を得るのです。
695添削人B:2007/10/24(水) 22:13:59 ID:???
だからさ、添削の人も前に言ったけど結局自己満足でしかないから
気に入らなければスルーしてくれって言ったはずだけど?
696通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 22:25:42 ID:???
SSが投下されてるのにお前らはGJもいえないのか
俺はSSが読めれば添削なんてどうでもいいんだよ
お前ら落ち着けって
697通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 22:29:50 ID:???
久しぶりの投下にGJ!しかし最後のやつはニヤニヤしてたわw
698通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 22:34:00 ID:???
自己満足したいならチラシの裏にでも書いて即シュレッダーにでも突っ込んでろ
699通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 22:34:40 ID:???
それを何で兄弟スレで言わなかったんだ?
700通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 22:37:12 ID:???
>>699
ヒント:こっちにだけ生息している
701通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 22:52:32 ID:???
ということはGX氏のSSも読んでなかったって事だな
いや過去ログすら読んでないのか
とりあえずXスレの歴史
初代スレはただのネタスレ→コーヒー2杯目からGX氏が投下開始→三杯目の末期にX運命氏が連載スタート
四杯目の末期に五杯目がたったがGX氏は新スレを立ててX運命氏に花を持たせる→これが兄弟スレ
そして保守作品スタート→月の公転2週目へ→合流提案が出されて荒れかけたが保守氏がやんわりと抑える
*ちなみにこのころのスレは風景画9枚目
→GX氏が合流しないと発言し三週目へ突入するが00ショックからかスレが落ちる
でこのスレの>596からの流れになるわけだ

てかX運命見たことない人っているのかな、この中に
702通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 23:14:27 ID:???
最近の、それもこっちのしか読んでない人には関係ない話だからな。

そもそも公転スレの添削氏にこっちのも添削してもらうかどうか、って話が出たときに
荒れるからやめとけという声があってこっちのは添削しなかったはず。

その程度の配慮も遠慮もしないと公言するヤツが気に入らないならあぼーんしろとか
荒らしの開き直り以外何物でもない。
703通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 23:17:43 ID:???
とりあえず添削自重しろで言いじゃん
SSの余韻が台無しだ
704通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 23:21:38 ID:???
X本スレとかGX氏のSSをまとめてるサイトの人はこのスレをまとめに置いてくれるのかな?
どうなのまとめさん?みてますか〜?
705通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 23:23:53 ID:???
いつからかGX-Pには保管されないようになってるよ。
なんか有った気がするが覚えてない。

あとX運命系は独立してしまってるのでこっちにもない。
706通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 23:26:00 ID:???
確か、鯖とあぼんの関係でX運命全盛期からこっちは保管されなくなった
じゃなかったっけ?
707 ◆L1QckJlrlM :2007/10/24(水) 23:43:08 ID:???
あれ? てことはここはまとめサイトからも見放されてる?
708通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 23:46:00 ID:???
種クロスオーバー保管庫には作品のみ保管されてるけどな(手動で)。
709通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 23:51:13 ID:???
あうあう・・・
それに種クロスの方も私の奴切れてるし・・・
保存したの失ったから切れてるのが一話位はあるんだけど・・・
710通常の名無しさんの3倍:2007/10/24(水) 23:55:49 ID:???
>>707
GX-Pの管理人さんはX運命の外部掲示板の管理人してたのをご存じない?
あそこの管理でかなり磨り減ったから荒れやすい種世界ベース系のクロスを
収録しないでX世界系ベースのクロスに絞ってるのだよ、多分。

まあご本人の答えが全てだけどね。
711通常の名無しさんの3倍:2007/10/25(木) 07:26:06 ID:???
GX氏がここに投下したSSはGX−Pにおいてあるが
>GX-Pの管理人さんはX運命の外部掲示板の管理人してたのをご存じない?
これはしらなかった
712通常の名無しさんの3倍:2007/10/25(木) 11:07:05 ID:???
前の添削の人も当初はウザがられてたけど、比較的腰が低く
余計な事も極力言わないようにしてたからいつしか黙認されていったが
今度のはダメだろ、上から目線の長広舌や開き直りが臭い過ぎる。
総スルーされるかもという自覚があるんならそれこそチラ裏に書いてろ。
713通常の名無しさんの3倍:2007/10/25(木) 18:54:06 ID:???
おいおい、取りあえずGJを入れないか?
見てると作品ほっぽり出しているように見えるのは俺だけか?

取りあえず>>685GJ!!
後俺もそうだがネタを見てもスルーされるのって
下手な罵声よりも最もこたえるんだぞ?
そこを評価すれば職人ももっと増えると思うのはもしかして俺だけ?
取りあえずキラがなんか素人っぽいのに最初違和感があったがよく考えたら納得
こいつ実戦は幾つかやっても大抵コクピットに一緒にだれかいたもんな
操縦桿を持つ手が震えるのも解るな。
っと、長文失礼
714 ◆AWGx990A9U :2007/10/25(木) 21:37:13 ID:???
SSのまとめについては>710さんの推測でほぼビンゴ
ログ自体は保存してあるのでうpしてきましたが
種ベースのSSは現時点では整理してうpする予定はないです
(ヒント:鯖容量)
715通常の名無しさんの3倍:2007/10/25(木) 21:40:27 ID:???
>まとめさん
このスレの過去ログはまとめに置いてくれるんですか?
716通常の名無しさんの3倍:2007/10/26(金) 20:38:11 ID:???
緊急浮上
717 ◆AWGx990A9U :2007/10/26(金) 20:51:05 ID:???
>>715
風景画スレもうpしてある件
718 ◆L1QckJlrlM :2007/10/27(土) 00:48:18 ID:???
ちょっと皆さんに質問です
原作ではエンジンに被弾したアークエンジェルですが
エンジンの修理にどれくらい掛かったんでしょう?
いや、私の所だと航行に支障がない副砲が一個大破だから
そのまま海に突っ込む事も出来ますし…
その事における時間的なラグも書けるしどうかなと思ったのですが…
ご意見あればよろしくお願いします
719XSEED4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/10/27(土) 11:28:08 ID:???
携帯から失礼します。
32話以降の執筆が嫁並みに遅くなって申し訳御座いません。
続きは鋭意製作中ですので、もう少し待って下さい。
720GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/27(土) 23:19:58 ID:???
>>719
OK、その間は私がネタ投下します…
3週間も間が空いてすいません。
なんせリアルで交通事故に遭いまして…(まぁこっちも相手も物損で済んだのですが)
721GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/27(土) 23:24:03 ID:???
第七十一話『俺は俺のやり方でやり遂げる!!』(前編)

 サクラは空を舞う2機のMSの戦う光景から目を離す事ができずにいた。MS同士の戦闘をテレビで見たことは何度もあるが、
実際に見るのは初めてである。
 その光景は、彼女の現実とはかけ離れたとても幻想的で、それでいて激しいものであった。


「シン! お前は一体何を考えている!? なぜギルの考えがわからない!!?」
「議長のやり方で、本当に皆が笑えるのか!? それで本当に"誰もが幸せで、幸福に生きられる世界"が創れるって言うのか!」
 2機のMSは空中を高速で移動しながら戦っていた。相手がライフルのトリガーを引けば回避行動を行い、すぐに反撃をする。
お互い相手の隙をうかがい、戦況はどちらに傾くことなく膠着していた。
「創れるさ! ディスティニープランの中で人は己を知り、自らのすすむべき道を知る! そして、満ち足りた最高の人生を歩くことになる!!」
 レイの乗るレジェンドはディスティニーの動く先を予測しビームを放つ。
高速で移動しているディスティニーはそれを避ける事ができず、左肩に直撃を受ける。コックピット内を激しい揺れが襲う中、
シンは歯を食いしばってそれに耐えた。
「人間がなぜ戦争をやめられないか? それはすべての人間が己を知らず、道を知らず、自身の最大の"武器"を認識できていないからだ!!」
 身体能力の高い者にはそれを有意義に使うことのできる役目を与え、計算や分析、発想や考え方など頭脳を使うことに
長けた者にはそれに適した仕事を与える。自らが得意とする物の中で同じような仲間と一緒に切磋琢磨し、それを磨く。
そして限界まで磨かれたそれは、本人にとって最大の武器となるのだ。
「獅子のような強い動物は滅多に牙をむかん! 最大の武器であるその牙が絶対に相手に通じると言う"自信"があるからな!!」
レジェンドの攻撃は次第に激しさを増していく。ディスティニーはそれを紙一重でかわしつつ、かわしきれない物は
ソリュドス・ブルゴールを展開して防いでいく。
 徐々に激しくなる攻撃にシンはひたすら回避行動を続けた。
「どうしたシン! なぜ攻撃しない!? それとも、先日のフロスト大佐たちとの戦いで恐怖心でも芽生えたか!?」
「…ああ、怖いさ!」
 シンの返答に、レイは自らの耳を疑った。彼の口から出てきたその言葉が、あまりに予想外だったのだ。
「…本気で、言っているのか?」
「ああ、本気だ。俺は怖い、そして弱い!」
 ゾンダーエプタでの戦闘で機体はほぼ大破、どうにか修復できたものの、昨日のフロスト兄弟との戦いで自分の中にある
"戦いに対する恐怖"という物を改めて認識させられた。
「弱いからこそ、強くなりたいんだ!!」
そう言って、シンは回避から攻撃へ転じた
 シンはレイの癖を考慮し、攻撃のスタイルを少し変化させる。ただ撃ち続けたところで攻撃は命中しない。
"相手の移動方向を予測して攻撃する"、もしくは"よけられない状況を作る"か。シンは後者を選んだ。
「うおおぉぉぉっ!!」
左手でフラッシュエッジ2をビームソードモードで構え、レジェンドに向かって切り込む。瞬間的な加速力ならば背面に
大きなドラグーンシステムを装備しているレジェンドに比べて翼状の推進システムを持つディスティニーが勝る。
 しかしレイはそれを機体一つ分左へよけることで回避した。
722GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/27(土) 23:29:10 ID:???
第七十一話『俺は俺のやり方でやり遂げる!!』(中編)

「なるほど、機体の瞬間的な加速力は上がっているな。だが、そんな使い方では俺には当たらん!」
横を通り抜けたディスティニーが体勢を立て直す前にレイはさらにビームを放つ。ディスティニーはそれを強引に進行方向を
変えることで回避する。再び距離の開いた2機は互いに牽制しながら空中を舞った。
「レイの選別眼はまったく鈍ってない…! だったら!」
 シンは左手にフラッシュエッジ2を持たせたまま、再度機体をレジェンドめがけて加速させる。
正面から猪の様に突撃を試みるディスティニーにレイは先ほどと同じように機体一つ分左へ移動する。
 その瞬間、シンはニヤリと笑った。
「もらった!!」
 ディスティニーはレジェンドの正面を通過する寸前に進行方向に対して直角にスラスターを向けた。それまでのスピードと
別の方向から新たに加わった力により機体はきれいな半円の軌跡を描き、レジェンドの無防備な後ろを取た。
「な!?」
 ディスティニーの予想外の動きにレイの反応は遅れる。
回避行動の成功を確信したあとに、このような形で裏切られるとは彼も予想していなかった。
しかもディスティニーがレジェンドに向けているのは右手に持っているビームライフル。
トリガーを引いてビームが発射されるのが先か、レジェンドが回避するのが先か。答えは明かだ。
機体はディスティニーからの攻撃の衝撃で大きく揺れる。損傷箇所は右ビームスパイクの接続部分。ドラグーンシステム全体に
ダメージを受けたわけではないが、接合部分を破壊された右のビームスパイクは機体から力なく離れ、下の湖へと落下した。
「チィッ!!」
 唇を噛みつつレイは操縦桿を操り機体を安定させる。レイは間髪いれず追撃が来ると予想したが、予想に反して
ディスティニーは距離を置いて動きを止めていた。
「…なぜ今の攻撃で落とさなかった? 確実に仕留められたはずだ。」
「俺はお前を殺したくない。それだけだ。」
「偽善だな。戦士として互いに向かい合っていると言うのに、お前は敵に情けをかけると言うのか?」
「偽善でも何でも、俺は仲間のお前を殺したくないんだよ!」
「…やはりお前は弱くなったな! この世界に着てから!!」
 パイロットの苛立ちをあらわすかのようにレジェンドは自らの僕をすべて解き放つ。
"灰狼の長"と呼ばれる所以、それは群れを成して狩をする狼と同じように、レジェンド自らをリーダーとした
"群れ"を持っているためである。
「今のお前にギルを守りきるだけの力は無い! そして、そんなお前はもう俺の仲間などではない!!」
 8基のドラグーンと1基のビームスパイクがディスティニーに攻撃を開始する。前後左右、
さらに上と下からのオールレンジ攻撃をよけるためにディスティニーは空中を舞う。
「以前のお前は敵に容赦なくトリガーを引けていた。だがそれができなくなった今、お前はもう戦士としては使い物にならない!!」
「敵に銃を向けれる事がそんなにえらいことか!?」
回避行動で全方向に目を配りながらシンは叫んだ。
 自ら望んだこととはいえ、人に銃を発射することは今でも恐ろしい。MS戦においてはそんな風に感じなかったが、
機体を大破させられたことで初めて"死ぬかもしれない"状況を体験した。自分が敵をあんな状態に追い込んでいる。
最後の一線を越えさせていることを思うと、"銃を持って敵を撃つ"と言う行為がどれほど重たく、
心を苦しめる行為かを改めて考えさせられた。
「ギルがそう判断したのなら、たとえ神が相手でも俺は銃を向ける!!」
「…そうかよ! 俺はお前ほど強くはなれない、けどな!!」
 シンの中で、"何か"が弾けた。
「できないことは、できないってはっきり言うことはできる!!」
 SEEDによって静かになった彼に呼応し、ディスティニーが右手のライフルを構え狙いを定める。銃口はまっすぐ上空を向いていた。
「そして、俺は俺のやり方でやり遂げる!!」
右手がトリガーを引く。ライフルから発射されたビームはまっすぐに上空に向かい、上から彼を狙っていたドラグーンに命中した。
723GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/10/27(土) 23:32:24 ID:???
第七十一話『俺は俺のやり方でやり遂げる!!』(後編)

「やっぱり、起きたか…。」
ダイキは湖の方から響く轟音に顔をゆがめた。MSはその存在だけで争いを呼ぶ。乗っているものがどんなよい人間であっても、
"力"を持つということはそれだけで周りの不安をあおり、人々の心に影を落とすものだ。
 2機のMSは上空を飛び回りながら激しい攻防を繰り広げている。ダイキから見て状況は五分と五分。赤い翼を持つ方の機体は
おそらく昼間出会った少年なのだろうが、期待の損傷などを考えると見事な戦いぶりだろう。
「とっととサクラを連れ戻した方がいいな。良い森だったんだが…。」
 戦闘のおかげで森の中で火事が発生しているらしく、あたりに焦げ臭い匂いが充満している。
この森をでてどうしようか考えをめぐらせながらダイキは湖への道を走り出した。


 サクラは空を飛びながら戦う2機のMSをじっと見つめていた。
 外部スピーカーから聞こえる2人の話の内容は彼女の知っているものではない。
彼らの住んでいた地域で一体に何が行われていたのかはわからないが、シンが離反者であることは理解する事ができた。
「"誰もが幸福で幸せに生きることのできる世界"? "ディスティニー・プラン"? 一体、何があったって言うの…?」
 彼女の中で次々と疑問符が浮かぶ中、2機の戦闘は続いていた。
『お前だけでできることなど、たかが知れているということをなぜわからない!?』
『数字で書かれた苦しんでいる100万人よりも、目の前で苦しんでいる1人を助けることほうがよっぽど現実的だよ!』
 空中を飛んでいた金属製の板状のものがまた1基破壊される。これで4つ目、24回の射撃でようやくここまで減らす事ができた。
『世界の調和のために1人を殺すことなんてできない! そいつを殺すことでたとえ100億の人間が救えたとしても、
その1人がつらい思いをするなんて間違ってる!!』
 シンの言葉にサクラの脳裏にある映像がよみがえった。いつの頃なのかよく覚えていない。
靄のかかったその映像の中には笑顔の裏に不安を隠した男の顔がある。


私は100億人の命よりこの子の命をとった…。
本当によかったのだろうか……?


 男の口は、確かにそう動いていた。

724通常の名無しさんの3倍:2007/10/28(日) 02:28:05 ID:???
GX氏更新乙
725通常の名無しさんの3倍:2007/10/28(日) 10:21:23 ID:???
GX氏GJ!
しかし>>723の100万人は100億人の間違いでは?
というか交通事故・・・真面目に気を付けてください
726通常の名無しさんの3倍:2007/10/28(日) 22:57:37 ID:???
GX氏GJ
727通常の名無しさんの3倍:2007/10/28(日) 23:53:20 ID:???
おお! シンも秘技・ビット(ドラグーン)落としをマスターしたのか。
やったぜシン、これでおまえはキラはもちろんクルーゼすらもこえたぜw
728通常の名無しさんの3倍:2007/10/31(水) 15:05:38 ID:???
ドラグーンはベルティゴのビットより大きいから
まだガロードのが上じゃね?
そしてシンよ!さらなる上を目指すのだ!!
729通常の名無しさんの3倍:2007/10/31(水) 23:51:38 ID:???
ぶっちゃけ動かすだけなら誰でもできるドラグーンよりも
NTしか動かせんビットのほうが運動性に優れているだろうしな。
もっともベルディゴ以外でビットを装備しているMSが劇中存在しないので
シンもビット落としができるかどうかはもうわからんが。
730CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/11/02(金) 01:15:43 ID:???
【第6話:些細な変化】

「似合ってるじゃないか」
からかい半分に笑いながら誰かが言う。
周りにいる人達もまた笑いをこらえられない人がいるらしく、笑い声がする。
「まだ伸びるんだからな!…多分、いや絶対だ!」
ずいぶんとあまる袖を振り回し、すねたようにガロードは言った。
多分をつけるあたり自分でも身長が伸びるのか心配らしい。
「まあ、そういうことにしておくさ」
「しておくってなんだよ。伸びるったら伸びるんだからな!」
近くにいたクルー達がガロードをからかい、
それを見ていたティファも楽しそうに微笑む。和気藹々とした雰囲気が周囲を包んでいた。
「困ったわ。いくらなんでもサイズが合わなすぎるわね。でも予備にはこのサイズしかないし」
しばらくの談笑の後、頬に片手を当てながら少し困ったような顔をしてメリオルがつぶやく。
今ガロードが来ている服はオルテュギア内にあった男性用の軍服の予備だ。
一般的な成人男性に合わせて作られたその服は、まだ少年であるガロードにとって大きいものであった。
拠点へと向かう以上部外者だと簡単に悟られないように偽装はしなくてはならない。
いくら上司が節穴とて偽装IDカードがあったとしても私服のままでは騙されはしないだろう。
だから、このだいぶあまる袖はあまり好ましくはなかった。
ほかのクルーたちも考えだす。自分たちの保身のためである以上の何かを胸に。

結局、制服を邪魔にならないように捲り上げ整備班のクルーに紛れ込み、
できるだけ基地の人間と出会わないように行動し、もしもの時はクルーたちがフォローする、という形を取ることとなった。
正直なところあまり安全と言える策ではなかったが、これ以上の案は出ることはなく到着してしまった。

余談だがティファも女性用の予備の制服を着用している。
こちらは成人女性用のサイズ自体がもともと男性用と比べて小さいため、それほど支障はなかった。
普段のゆったりとした服装とは違い、キッチリと着込こんだ彼女の姿はガロードにとってとても新鮮で、
いつもより短いスカートに思わず彼はうろたえてしまう。それは周りを湧かせるに一役買ったのであった。

731CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/11/02(金) 01:17:35 ID:???

地球連合軍ユーラシア連邦所属の宇宙要塞アルテミス。
アルテミスの傘、あるいは傘と呼ばれる光波防御帯を基地の周囲に360度展開させることによって高い防御力を誇る要塞だ。
ハイペリオンに搭載されているアルミューレ・リュミエールはこれをMS用に改良したものである。
しかし、その防御力の高さが慢心を誘いザフト軍に襲撃され陥落し、傘は大破。
おまけに海賊の襲撃に対抗するため傭兵を雇うも、司令官ガルシアの失策―簡単に説明すれば、
雇った傭兵を敵に回してしまった事−により海賊に占拠されてしまう。今の傘はそのとき修理されたものだ。
その後連合の依頼により、アルテミスは傭兵サーペントテールの手で奪回される。
皮肉にも、彼らはガルシアが海賊の襲撃に対抗するために雇った傭兵たちであった。

そんな数奇な運命をたどるアルテミスの司令室において、司令官ジェラード・ガルシア少将は椅子を、
カナード・パルス特務兵は壁を背にピリピリとひどく張り詰めた空気をお互い作り出していた。
「で、キラ・ヤマトは見つかったのか?」
先に口を開いたのはスキンヘッドの中年。ガルシアだった。
「…いや」
呼び戻した理由がそのことを聞くためだけかと思うと、カナードは両腕を組みながら、ずいぶんと不機嫌な返事をしてしまっていた。
「役立たずが!」
司令室の机に叩きつけられたこぶしが大きな音を立て、
ガルシアはなかなか成果の上げられない―最もキラ・ヤマト関連に限定すればの話しだ―カナードを罵倒する。
もし呼び戻されなければ、キラ・ヤマトの情報を聞くことができたかもしれないというのに!
そうカナードは、表情を憎憎しげに歪める。無論、それを悟られさらに罵倒されるのを防ぐために若干うつむいて。
これは彼が学んだ少しでも自分を守るための数少ない方法のひとつ。
こんなときこの長い髪は、表情を少しでも隠しやすくしてくれるのだった。

「お前はユーラシア連邦によって拾われた身だぞ。働いて見せてこそお前の存在価値があるのだ」
恩着せがましいにもほどがある。カナードはそう思わずにはいられない。
ユーラシア連邦の対応は人間を"拾った"などという表現するのは正しいとは思えない。
表現するとすれば八つ当たりにするのにも丁度良い実験動物を"捕らえた"だ。
そう考えはじめてしまうと、理性ではわかっていても連鎖的に拭えない過去の苦しみが思考を満たし、
深く激しい憎悪の炎が燃えていく。油を注いだ火のように激しく容赦なく、全てを焼きつくすといわんばかりに燃え盛る。
この感情を爆発させることがなんの得にもならないことを思い出せなければ、
おそらく10分もしないうちに、この部屋に絞殺体、あるいは無残な撲殺体が転がっていたことだろう
732CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/11/02(金) 01:19:10 ID:???
「わかっている!!」
憎悪に歪んだ鬼のような表情をしながら、彼はいつの間にか近寄っていたガルシアの机に拳を強く打ち付ける。
その表情は鬼と呼ぶにふさわしいものだった。小心者にとってこれ以上恐ろしいものはないかもしれない。
「お前に言われなくても奴は俺の手で仕留めて見せる」
「そ、そうしてくれ、オレもアイツには恨みがある」
ガルシアの声に強い動揺と怯えが混じる。かつて何度もカナードが自分に対して反抗的な態度をとったことはあった。
だがいつもとは違う、狂気的な憎悪が強く目に宿っていた。
だがガルシアがその理由を知ることは無い。
カナードがジャンク屋との遭遇を口にしない限り、己の出した命令のタイミングが非常に悪かったことを気づくことはできない。
カナードはその一件を口に出すつもりは欠片も無いのだ。
そして彼は己の失言にも気づくこともなかった。

「では次の作戦行動についてだが、我々ユーラシアの情報部が……」
机から取り出した資料を手に取り、ガルシアは命令を下そうとするが、
「なっ!何をする!!」
カナードはそれを奪い取ってしまった。冷たい視線を置き土産にして。
「情報だけよこせばいい。どう動けばいいかは俺が自分で決める」
すぐに冷たい視線をガルシアからはずし、カナードは資料に目を通す。
戦闘跡に出向いて新技術が施されたと思わしき残骸が有るので回収してこい、といったようなものだ。
正直たいして苦労するような内容ではない。
「貴様……上官に向かって……」
さすがにここまで自分勝手に振舞われたとなればガルシアのプライドが許さないらしく、怒りを面する。
しかし彼は怒りに任せた言葉をすんでで飲み込み、
「好きにしろ。だがあくまでも隠密行動だ。わきまえろよ!!」
カナードの振る舞いに目をつぶった。
それがガルシアにとって、カナード・パルスという人間を、上手く動かす現時点での最善の方法なのである。
本音としては、もっと言ってやらなくては怒りが収まらなかったが、
続ければおそらく数十分後、あるいは数分後に自分は死体として転がっているかもしれない。
怒りとともにありながら、頭はそんな身の危険を理解していた。
733CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/11/02(金) 01:21:11 ID:???
「まったくコーディネイターというやつは…」
カナードが去り扉が閉まった音を聞き届け、飲み込んだ怒りを吐き出す。
一度飲み込んでしまったおかげか、吐き出しかけた言葉は呆れが混じっていた。
「最高のコーディネイターだかなんだか知らんが、本物を殺したからといって出来損ないは出来損ないだ」
その呆れ交じりの言葉からは、さらに酷く冷たいものが漏れ出す。
「人間というものは生まれ持ったモノを変えることなどできないのだからな」
そう、たとえ失敗作が成功体を殺したところで別々の人間なのだ。
成り代わることなど不可能なことだった。

そして、失敗作というレッテルを剥がそうにも、他人の嫉妬や劣等感により張られたこのレッテルは、
より歪んだ方向に強固なものとなってしまっていて、まず変わる事は無いだろう。

「まあいい…。利用価値があるうちは自由にさせておいてやるさ」



「お前、見ない顔だな」
要塞内部の格納庫の奥、整備点検中のハイペリオンの背中側。
そこで作業中強く肩をつかまれ振り返ったガロードに、一人の男が問いかける。
「え?あ、えーと…」
やはり大人の中に子供がいるという光景は要塞として、特に格納庫にいるというのは、非常に違和感があるものだ。
だからこそなるべく事情を知らない大人達が通る場所に出て行かないように手伝いをしていたのだが。
運悪く彼の目に留まってしまったらしい。
もしもちょうどいいサイズの制服さえあれば、彼は特に気にすることもなくこの場から去っていたかもしれない。
なぜなら仕事の邪魔だから袖をまくっていると言うよりは、子供が大人の服を背伸びして着ているという感じだったのだから。
だが、想定していなかった事態ではない。落ち着いて対処すれば深く探られることもなくこの場をやり過ごせたはずだったのだ。
しかし、いきなり後ろから話かけられると人間というものは焦りを隠せなくなってしまうようだ。
現にガロードの心臓はバクバクと言っているのを感じている。
結局考えていた返事も真っ白になり、変わりの返事もすぐに浮かばずしどろもどろになってしまった。
「IDを見せて貰おうか」
それで怪しいと判断されてしまったのか、ガロードはID提示を求められる、
威圧的なのも子供だと思ってのことだろう。もしこの男がIDを照合する機器やらなにやらを持っていたとすればアウトだ。
むしろそれ以上に、こんな状態ではこの要塞の責任者の前まで連れて行かれかねない。
734CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/11/02(金) 01:23:55 ID:???
「おー、こんなトコにいたのか。探したぞ」
助け舟が出た。近くで作業していたアルコフだ。
近づいてきた彼はガロードの肩に腕を回すと、口の端を吊り上げてニィっと笑いながら言う。
「こいつ、俺の息子でね、この間戻ってきた時部隊に入ったんだ。こんな子供でも腕は確かなんだぜ。はは、親バカなんていうなよ?」
彼はガロードの頭をその大きな手でワシャワシャと撫でながらフォローという名の息子自慢をしていた。
あるいは、彼がやりたかったことなのかも知れない。
「何だ、あなたの息子だったんですか」
少し無理があるんじゃないかとガロードは思ったのだが、男は案外あっさりと納得してくれた。
アルコフが築いてきた信用の賜物だろう。
元の世界の仲間のジャミルもガンダムに乗って戦争に参加した歳が、
今の自分と同じくらいだったということを思えば、そこまでおかしいことじゃなかったのかもしれない。
ガロードは、結局自分のせいか、と思うと少し情けなくて悔しい気持ちになった。
「まあ、確かに最近少年兵が増えてきたとは聞きますけれども」
エイプリルフール・クライシス以来、年少者の軍人志願者が増えていて、最近になり少しずつある程度形になった少年兵が戦場へと出てきているらしい。
「そういうことさ。こいつも国のために戦いたいんだってよ。あんまりにうるせぇからな」
そんなことしたいなんて言ってない、一瞬で頭に血が上り、判断力の鈍ったガロードがそう声を張り上げようとしたとたん、
大きな手で頭の上から押さえつけられ、グリグリとかき乱される。嘘も方便だ、我慢しろといわんばかりに。
そのおかげですぐに判断力が戻り、事態をややこしくする事なく進む。
「でもですねえ、それだけ自慢されれば、親バカともいいたくなりますって。自分の子供を甘やかしすぎて損害を出さないでくださいよ?」
いつの間にか男は息子自慢に付き合ってアルコフと談笑していた。やれやれ、といったように肩をすくめて笑ったりしている。
そんな彼の表情を見ると先ほどまでの威圧的な態度が嘘のようだった。

「…信用されてんだな」
男の去る姿を見届けてからガロードはつぶやいた。
「伊達に長年軍にはいねぇってことさ」
亀の甲より年の功。もっともその言葉で表現するほど歳をとっているわけではないのだが。
年月を重ね彼が勝ち得た信用は、非常に強力な切り札となりガロードを救った。
ガロードもまた彼がオルテュギア内でも非常に信頼されていることは知っていたのだが、
改めて目の当たりにするとやはり本当に凄いことなのだと思わずにはいられない。
しかし今彼は基地の人間を、仲間を欺いたのだ。
それがばれてしまえば彼の信用は底の底まで落ちてしまうというのにガロードを助けるために嘘をついた。
信用とは、勝ち得ることは非常に難しく、失うことはあまりに簡単なものなのだ。
ガロードは罪悪感を感じずにはいられなかった。
「どうだ、どうせなら本格的に俺たちの仕事に混じってみねぇか?」
そんな罪悪感に駆られるガロードに突然アルコフは声をかけた。
今まで片付け程度の手伝いではなく、本格的に自分達の仕事をやらないか、と。
「ほ、本当にいいのか!?だったらやる!やらせてくれ!」
思わぬ申し出に、先ほどまでの罪悪感などどこかへと飛んでいってしまって、やや興奮気味にガロードは即答した。
「おいおい、少し静かにしろよ。俺たち以外の奴らに聞かれちゃまずいだろ?」
この大声を聞かれ、また別の者に怪しまれてはたまらない、と口の前で人差し指を立てガロードを制止する。
何故急にガロードが興奮気味になったのかはわからない。
よっぽどうれしかったのだろうとアルコフは解釈した。それだけで十分であった。
735CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/11/02(金) 01:25:59 ID:???
「ゴ、ゴメン。でも何で」
あわてて謝り、理由を聞き出そうとする。
軍の機密事項であり、中でも優秀な人材たちを集めに集めた中だ。
彼らと出会ってまだ数日しか立っていない自分が、
本格的にそこにまじることを誘われるなど常識的には考えられないことだったからだ。
ガロードにとって実父と同じエンジニアになるという、戦災孤児になり生きるがためにあきらめかけていた夢が、
夢の入り口が、手を伸ばせば届く場所にある。だから彼は興奮せずにはいられない。
しかし、唐突に目の前に転がってきたこのチャンスは、
あまりに常識から逸脱していて飛びついて本当にいいのかどうか、彼は判断しかねていた。

――ダメな親の罪滅ぼしさ。
そう言いそうになりアルコフは、無理矢理咳払いをして止めた。直前に言い表せない罪悪感が頭の中を一瞬にして支配したからだ。
ガロードに対して父親のように振舞ったところで、実の息子が帰ってくるわけではないのだ、罪滅ぼしになどなりはしない。この罪は滅ぼせない。
そして何より、自分の息子と重ねることはガロード・ランという個人の蹂躙に過ぎないのではないかと頭によぎったからだ。
それでも彼は重ねずにはいられない。罪の意識がそうさせていた。
「いやなに、お前さんは教えがいがありそうだからな。ただの気まぐれ、深い意味はないさ」
もっともらしい理由など無いのだ。親として子に自分の仕事を継がせたい、そんな欲からの申し出なのだから。

ノーマルスーツを着用したカナードが戻ってきたのはそれから数十分後のことであった。
メリオルと彼の会話の内容によれば、準備さえ完了すればすぐにでも次の任務へと向かう事になったらしい。
さして他のクルーと話もせず、仏頂面のままカナードはハイペリオンのコックピットへ乗り込む。
その表情から察するに、司令が何か失言したのだろうと、クルーたちも話しかけることは無い。
触らぬ神に祟りなし、といったところだ。
ただ一人、ティファだけが彼の表情に中に隠れた怒りと苦しみ、そして小さな悲しみがぐちゃぐちゃに交じり合った心に気づき、悲しい表情を向けていた。

目を閉じればまぶたの裏に過去が映る。楽しい思い出などひとつも無い記憶が。
走馬灯のようによみがえるのは、後もう少しでこの苦しみを終わらせられる、という期待からなのだろうか?
ハイペリオンという刃を手にしたカナードは、その答えを出ださない。答えの先に自覚してはいけない何かがあったからだ。
「カナード特務兵。準備完了です、いつでも出られます」
声をかけられ目を開ければ、コックピットの外、そのすぐ横にメリオルがいた。
「わかった」
長い髪の毛を布で器用に纏め上げ、彼はヘルメットをかぶる。
「私たちも追って出ます。無茶はしないでください」
一瞬、メリオルの言葉の後半の意味が理解できなかった。
すぐに意味自体は理解はできたが、何故彼女が自分に対してそんなことを言うのかはわからなかった。
まだ彼にとって大人というものは大部分が憎たらしい存在であり、
かつ大人側もまた自分を道具として扱っているのだという感覚が強かったからだ。
勿論、オルテュギアのクルーのほぼ全員はすでに彼を道具として見てなどいない。
カナードの大人への強い不信感が生み出した被害妄想のひとつ。
それから数分のち、会話も思考もそこそこに終わらせ、出撃の準備は全て完了する。
「カナード・パルス。ハイペリオン出す!」

アルテミスから射出されたハイペリオンは、勢いよくバーニアで宇宙に光の線を描いた。

736CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs :2007/11/02(金) 01:28:49 ID:???
投下終了です。
737通常の名無しさんの3倍:2007/11/02(金) 07:25:40 ID:???
>>736
久し振りの投下、GJ!! 

オルテュギアのクルーってCE軍人じゃ珍しくいい人ばかりだな〜。
なんかものすごく和む。
今後の展開が気になって仕方がないです。

あと連合の制服を着たガロード&ティファ、ちょっと見てみたいかも。
738通常の名無しさんの3倍:2007/11/02(金) 08:51:47 ID:???
アルコフとガロードの無くした親と子のやり取りがなんか哀しい
GJっした
739通常の名無しさんの3倍:2007/11/02(金) 22:19:27 ID:???
GJ!です
740通常の名無しさんの3倍:2007/11/03(土) 12:11:46 ID:???
GJ! このスレもまだまだいけるぜ!
741通常の名無しさんの3倍:2007/11/03(土) 21:47:21 ID:???
GJ!
742通常の名無しさんの3倍:2007/11/05(月) 12:05:34 ID:???
保守
743通常の名無しさんの3倍:2007/11/05(月) 12:10:19 ID:???
そういえばオルテュギアのクルーってXASTRAY終了後に軍を抜けて、そのまま傭兵部隊Xになったんだっけ?
744通常の名無しさんの3倍:2007/11/08(木) 00:24:00 ID:???
保守
745通常の名無しさんの3倍:2007/11/09(金) 18:28:21 ID:???
保守
746通常の名無しさんの3倍:2007/11/09(金) 21:13:04 ID:???
そうだよ>743
747通常の名無しさんの3倍:2007/11/10(土) 21:40:03 ID:???
748通常の名無しさんの3倍:2007/11/10(土) 21:49:30 ID:???
また微妙な二番煎じを・・・
749通常の名無しさんの3倍:2007/11/10(土) 22:32:01 ID:???
ってかタイミング合わせとかしろよと
750Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/11/12(月) 10:35:26 ID:???
お久し振りです。では投下します。

機動新世紀ガンダムXSEED   第三十二話「今は今の時間を大事にするよ。」

「何だって ?! サイがアスランの奴に撃たれた ?! 」
それは士官室での尋問が終わった後、与えられた部屋に向かったカリス、着替えの為に部屋に行くと言ったティファと一旦別れたガロードが、食堂でトールとミリアリアと顔を合わせた時の事だった。
アスラン本人と基地の中で顔を合わせたので彼の脱走自体知ってはいたが、そんな事になっているとは思ってもみなかった。
「うん。幸いテクスさんの治療のお陰で何とかなったけど……」
ミリアリアの話によるとフレイが眠る間も惜しんでシミュレーターに喰いついていたのをサイが止めようとした時にそれは起こってしまったらしい。
罪悪を感じたフレイは今サイの側に居るらしい。
「ったくあの野郎……今度会ったらただじゃすまさねえからな ! 」
ガロードは悔しげに拳を鳴らした。
しかし、アスランとて一介の兵士であり人間なのだから、己の身に危険が迫れば自衛行為に至っても仕方ない。
ましてやここは敵艦の中、つまり相手の掌中にいたのだから緊張感もかなりの物だっただろう。
その事が先程から意地汚くガロードの心を攻めたてる。
と、その時食堂のドアが不意にすっと開く。
そこに立っていたのは、そこでの話を聞いていたのか少々気まずそうな顔をしたキラだった。
「キラ !! 」
「キラ !! 大丈夫かよ ? もう体の具合は良いのか ? 」
ミリアリアとトールが心配そうに声をかける。
キラは気弱に笑い、軽く手を振りながらそれに応対する。
「有り難う、みんな。テクスさんがもう戻っても大丈夫だって言ったから……ごめんね、心配かけちゃって。」
「何言ってるんだよ ! お前がガロードやムウさん、それとザフトから来たっていう……カリスって奴と一緒になって戦ってくれたから、俺達は今ここで話が出来るんじゃないか。気にしない、気にしない。」
トールはそう言って隣に座ったキラの背中を軽く叩く。
しかしキラはまたも気弱そうに笑ってトールの方を向いただけで、直ぐに目の前にあるテーブルに向かって思いつめた表情を向ける。
その様子を見ていたガロードには、キラが医務室にいる間に何を思い、そして決めたのか容易に汲み取る事が出来た。
だが死線を掻い潜る戦闘から回復したばかりの彼に今そんな事を訊くというのは野暮な物だ。
取り敢えず、その事には触れずにガロードはキラの労をトールと同じ様に労う。
「そうだぜ。みんなを無事にアラスカの基地まで連れて行くっていう仕事の内の一つをこなせたんだからもっと肩の力を抜いた方が良いと俺は思うけどな。」
「うん……そうだね……」
それでも返って来たのはどこかに意識が飛んで行った様な生返事だけ。
そのことに我慢し切れなくなったガロードは、面倒そうにがりがりと頭を掻いて言う。
「だーっ ! そういう辛気臭いのは一旦ヤメ ! 今は戦闘中じゃねえんだからもっとゆっくりしようぜ。戦闘が起きたら起きたでその時に気持ちを切り替えりゃあ良いんだからよ ! 」
景気付けとも言えるその言葉はキラの心に何がしか暖かい物を照らした。
そうだ。うじうじしてどうしようもない事を一人で考え悩んでいたって解決する事は何一つとしてない。
話す事事態が重い事も、話して余計に暗くなる事も、変わる事など何一つ有りはしない。
ここには仲間がいる。色々な事を打ち明けて、話して、そしていつか共に解決の道を見出す事が出来る仲間が。
そして帰って来る事の出来る場所がある。幾らボロボロになって帰って来ようとも自分を受け入れてくれる場所が。
居場所はここしかないんだ……キラは純粋にそう思う。
そして自然にキラの口から明るい調子の言葉が出る。
「分かった。今は今の時間を大事にするよ。」

751Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/11/12(月) 10:37:07 ID:???
死を覚悟した苛烈な戦闘から半日あまり。
白亜の戦艦は月光に照らされた砂の海を進み続ける。
その前を遮る物は今のところ何一つとして存在はしない。
今のところは……だが。
「異状は無いか ? 」
「はっ、警戒厳にしていますが敵と思しき反応はありません。」
艦長席からのマリューの問いにしゃっちょこばった答えがパルから返って来る。
数時間前、カリスの尋問においてマリュー達はビクトリア基地が陥落したことを知った。
これでもう当座の間どこかで補給が出来るという保障は無くなった。
そこに行けない以上、南極経由などという遠回りをするわけにはいかない。
ジブラルタル基地に関しては、基地をコントロールすべき立場にある人間が二人も抜けた事、
そしてカリスがこちらにやってくる時とその後の戦闘で失った機体の数を考えれば、混乱が起きているであろうという事を考慮すると突破し易くなったかもしれないがそんな危険な賭けには出れない。
更にカリスの心情を汲めば例えそれが可能だったとしても後ろめたい物を感じる事になっただろう。
協議の結果、MSと船体の航行に於ける主要部分を応急処置した後直ぐに、アフリカ大陸地中海沿岸を進みながら紅海に抜ける事となった。
しかしその道が茨の道である事に変わりは無い。
ザフト制圧下のこの地で何らかの支援を受けるということもさる事ながら、このまま行けば確実に砂漠の虎ことアンドリュー・バルトフェルドき下の軍と対峙する事が有り得るからだ。
果たしてそこを突破できるのか。
そう考えながら前面に広がるモニターを眺めていると、CICにいるトノムラから声がかかった。
「しかし変ですねえ。今は月本部にいるはずのハルバートン提督から我々の事に関しての連絡が司令部に伝わっている筈なのに、当の司令部からは援軍や補給どころか連絡一本も来ませんよ。
どうなってるんでしょうか ? 」
「我々が本部よりユーラシアに近い事がその原因の一つと言えるわ。こんな場所にいる以上、積極的にアプローチをかけてくるのはユーラシアの方でしょうからね。」
それに伴う事を考えてマリューは不安を覚えずにはいられなかった。
752Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/11/12(月) 10:38:12 ID:???
地球連合軍とはいっても、それを構成している国家が他国への利権や様々な思惑を持っている為に一枚板ではない状態になっている。
所詮は対プラントという名目で作られた国家の寄り合い所帯に過ぎないからだ。
構成しているのは北米大陸全土、そして中南米を含む諸国を統括している大西洋連邦、
ユーラシア大陸の北部から西部、そして北欧を除くヨーロッパ諸国で構成されたユーラシア連邦、
アフリカ大陸の南部と東部の地域から成り立っている南アフリカ統一機構、
極東地域の集合国家である東アジア共和国の主要四勢力である。
だがマリューの知り得る限りそのいずれの国家も何らかの形で内憂外患を持っていた。
先ず大西洋連邦は先年の丁度今頃の時期に殆ど無理に併合した南アメリカ合衆国の独立に向けての動きが高まっていると聞く。
元々親プラント国家を貫いてきた南アメリカ合衆国にとっては先年の一件はとても許し難い事だったからだ。
またユーラシアは大西洋連邦とは対立関係にあり、互いに軍事面、発言権においてあらゆる面に於いて牽制をかけ続けているものの、
国内では東部と西部で現政権に対する世論の温度差が如実に現れ始めていると人伝いに知った。
更に領土の一部として存在している中東付近の国家は、連邦の大意に対して殆ど無視を決め込み、現在は中立の道をとっている汎ムスリム会議へ積極的に迫っているとの事だ。
東アジア共和国に関しては一触即発の状況ともされている。
表向きこそ連携が取れているかのように見えるものの、一度構成されている国家間に争いの小さな火種が吹き出れば、空中分解は免れないと言われている始末である。
更に一部の国家は旧世紀からユーラシアとの領土に関する確執が絶えないとも噂されていた。
南アフリカ統一機構に関しては目立った問題は特に聞く事は無かったが、強いて挙げるとすれば異状なまでの経済格差と、部族間抗争が小規模ながら断続的に起こっているという事だろうか。
そういった事情の為に客観的に見れば連合軍はお世辞にも足並みが揃っているとは言い難かった。
そしてアークエンジェルと5つのG兵器は、大西洋連邦が他の勢力に対し極秘を貫き通し、総力をつぎ込んで開発した新兵器である。
ユーラシアがこれは好機とばかりに目をつけない訳が無い。
司令部がユーラシアを仲介してこちらに連絡を寄越してこないのは恐らく、そういった事によって引き起こされる情報の漏洩に違いはないだろう。
753Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/11/12(月) 10:39:14 ID:???
「こちらの事を知ったら絶対何か事に及ぶと思いますよ。そうなったら地球軍同士で内紛が起きかねませんね……」
そう言ったのは索敵モニターと睨みあったままのチャンドラだった。
確かに自分達の存在が丸々外交カードの一つに組み込まれる事も有り得ない事ではない。
現に今ではもうかなり昔の事の様に思われたが、宇宙にいた際にユーラシア連邦の所有する要塞アルテミスに補給も兼ねて入港していたらどうなっていたか、
傭兵の一人、ティファが直前に指摘したザフトに因る襲撃が無かったとしても今となれば大体想像がつく。
その事に対してはナタルが深刻な面持ちで返答する。
「ザフト側は案外密かにそういった事態を想定しているかもしれん。敵の敵は味方という言葉があるくらいだからな。」
その言葉に操縦桿を握っていたノイマンが反応した。
「しかしプラントの公式声明では、プラント側は地球に対しては領土的野心を持たないという事だそうですが……」
「別にその地域を政治的、経済的に支配しようと考えている訳ではあるまい。飽くまで対等な外交相手として取り扱うだけに留まるだろうな。」
ナタルの解答も尤もである。
でなければ現在の大洋州連合や南アメリカ合衆国の様な親プラント国家は生まれる筈がないからである。
そんな空気の中、マリューは全員の意識を一つにさせる為に力強く宣言する。
「何れにせよ、この艦と搭載されているXナンバーの機体はザフトの手に渡す訳にはいきません。
我々の任務はそれらを無事にかつ早急に司令部へ持ち帰らなければならない事です。
現在の地球軍内及びそれを構成している国家がどのような状況であれ、その任務を果たさなければ我々が勝利への道を切り開く事は出来ません。
今後も戦闘に関しては厳しい物が展開されると考えられますが、それに伴う各員の奮励と努力を私は切に願います。」
その言葉に全員の身が引き締まる。
マリューは再び正面のモニターに向きなおしたがやはり今後に関しての不安要素は消えない。
運でも良ければ虎と接触せずに紅海に抜けられる事が出来るのだが、それが良いだけでは何の解決にもならないと感じ、改めて小さな溜め息を一つ吐くのだった。

754Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/11/12(月) 10:41:00 ID:???
破壊されたMSが全て撤去され、平穏さが帰ってきたかのように見えるジブラルタル基地。
その司令官室にアスランとニコルはいる。
そして目の前のデスクにはプラントから新たに派遣された新司令官が両肘をつき、両手の指を交差させた状態で座っていた。
年はこの手の仕事に関しては比較的若い方で二十代の後半といった感じだろうか。
その彼が徐に口を開く。
「私はね……今回の件については何も君達だけに責任があるとは言っていない。
だがそこに至るまでの過程に於いて連鎖反応の様に君らの失態が続いた事は紛れも無い事実だ。そうだろう ?
先程連絡を取ったクルーゼ隊長は普段通りの返答を私にくれたが内心は君たちに対し嗟嘆しているんじゃないのかと私は思うが。」
二人に向けられた眼差しは剣先の様に鋭く、氷の如く冷たい。
耐え切れずにアスランは頭を垂れる。
「申し訳有りませんでした。」
「謝罪して済むならこの世には警察は要らないのだよ。ましてや兵も軍も、そして戦争もね。
……報告に因ればここにいたその捕虜二名は改造した練習用ジンを使ってこちらの同型機を次々に屠り、君達の所属するクルーゼ隊に何度と無く煮え湯を飲ませたそうじゃないか。
しかも撃墜した機体の名前の中にイージスが載っている。
これは1月末にヘリオポリスで奪取した機体の筈だが、一ヶ月も経たない内に相手側に奪還されるとはどういう事か納得のいく説明をしてくれないかな、アスラン・ザラ君 ? 」
「そ、その件に関しましては大変恐縮ですが、その捕虜二名が大変MSによる戦闘に慣れていた為かと……」
額に汗を浮かべながら必死に弁解をするアスランを司令官はギロリと睨みなおし、厳しい口調で糾弾する。
「地球軍の主力兵装は未だにMAメビウスであるという事が頭の何処かに残っているのかい ?
我々から鹵獲したジンをまともに動かす事も出来ないナチュラルの連中が、どうしてそんな動きが出来ると言える ?
そもそも連合が開発したMSは報告のあった5機しか確認されていない ! 量産態勢に移ってもいないのにだ。
それと……これは主にニコル君に言える事だが、その機体と数回交戦する事があったのなら何故なんの対処法も考えていなかったのだ ?
攻撃力や癖が分かれば傾向と対策くらいは練れたんじゃないかな、ん ?
まさかそんな事考えてもみませんでしたなんて返答が来る訳ではあるまい ? 一日中忙殺されていたわけではないのだからそれに費やす時間くらいはあったろう。
それとも考えはしましたが良い対処法が思い浮かびませんでしたとでも ? 」
その点に関してアスランは勿論、隣で聞いているニコルも閉口せざるを得ない。
MAしか戦力として存在しないという事は、MAなりの戦い方しか訓練されていない兵士しかいないという事だ。
MAとMSは操縦方法、戦闘方法の何れも大きく異なる。
その技術は一朝一夕で身に付く代物ではないのだ。
更に、ニコルは以前連合軍が鹵獲したジンを試験的に戦線へ投入したという話を聞いた事もあった。
が、実際相対した兵の話を聞く限りでは動きも戦い方も戦力と言うにはあまりにおこがましい物だったという。
恐らく、OSをナチュラル用に緩めきった結果がそれを引き起こしたのだろうとその兵は語っていた。
またあの改造ジンに対しての対策は、自身の睡眠時間を削ってまできちんと練っていた。
ただその理由が、傍から聞けばあまりに抽象的且つ馬鹿馬鹿しい物だったので黙っていたのだ。
あの実際に対峙した者でないと分からない超能力じみた力と、マニュアルには無い戦法をもってして行う戦いへの対策など、話した時点で怪しまれるのが落ちだ。
755Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/11/12(月) 10:43:05 ID:???
二人、特にアスランに対する司令官の詰りはまだ続く。
「そのナチュラルが操縦していた機体に撃ち落され、手にしたイージスすらも奪還されてしまった……
君は今赤を纏っているが今後の査定で降格される事も視野に入れておかなければならないと私は思うんだがね。
まあ、理由はいちいち言わなくても君自身が一番よく知っているだろう。
先述したように敵機に因る撃墜、そして捕虜になった件、機体を奪還された件、私情に駆られての尋問、聴取の怠慢と捕虜の射殺未遂、捕虜の逃走阻止失敗、
基地内で往来の激しい場所における無許可連続発砲、仲間が人質にされた際における戦術ミス ! まだまだ挙げれば他にも有るぞ。
キリが無いのでここで止めておくが、どうだ ? 何か申し開く事が有るのであればこの場ではっきりと述べてくれたまえ。」
「いえ、……有りません。」
淡々と告げられる事実が的確な箇所を突いていただけにアスランには反論の余地さえ無い。
司令官はその様子に小さく溜め息を吐き、机に広げた書類に目をやりながら空々しい調子で続ける。
「まったく……これを見る限り君のアカデミーの成績はトップだったようだがいい加減怪しく見えてくるぞ。
お父上は確か国防委員長だったな。今回の一件は確実にお耳に入っている事だろう。それとニコル君、君のお父上も評議会議員メンバーの一人だそうだな。
プラントの意志を左右する方々の息子達の出来がこれではあまりにお粗末過ぎだと思わんのかね、君達は ? 」
胃がきりきりと痛むような台詞のオンパレードが司令官の口から出てくるが、二人はまともに抗弁する事も出来ない。
抗弁したところで上手く丸め込まれるか、余計に理屈で攻めてきそうなものではあるが。
「今回の件に関し国防委員会本部は君達二人に対し休暇の無期限延期を提出した。この処断が厳しい物かそれとも寛大な物かについては君達自身の判断に任せるとしよう。」
無期限の休暇延期と聞いて二人の胃は地に落ちる様な気持ちになる。
長く会わない事で婚約者であるプラントの歌姫、ラクス・クラインは愛想を尽かしはしないかとアスランはやきもきし、
ニコルは暫くの間家族に会う時間が無くなり、趣味でもあり特技の一つでもあるピアノの演奏が当座の間出来なくなった事に落胆してしまう。
しかし二人はその感情をおくびにも出さずに「はい。」と、だけ答える。
司令官はその二人の感情を覗かんという雰囲気で続ける。
「それに伴い新たな任務が来たのでこれからそれを説明する。
アスラン・ザラ、ニコル・アマルフィ、イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマンの四名はこれより六時間後の一八:〇〇時、北アフリカに駐屯するバルトフェルド隊支援へ向け出発。
翌〇九:〇〇時、タッシル近郊に停泊中の戦艦レセップスに到着の後、バルトフェルド隊のき下に入隊、連合軍の新造艦を迎え撃て……との事だ。
尚それに際して機体を失った君達には新たな機体を受領させよう。」
バルトフェルド……ザフトで知らない者はいないその名前には二人とも聞き覚えはあった。
北アフリカのエルアラメイン会戦において、ザフト地上軍のMS隊隊長として地球連合軍戦車部隊を攻略し撃破した、砂漠の虎の異名を持つザフト北アフリカ駐留軍司令官。
指揮官としてもMSパイロットとしても一流で、同時に本業は広告心理学者で振動工学の権威でもある。
それほどの人物の元に赴けと言われたのだから二人の体は自然と硬くなる。
756Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/11/12(月) 10:44:29 ID:???
そして新たな機体。そう聞いて二人は顔を見合わせる。
一体何が自分達の新しい機体として回されるのだろうか ?
「先ずニコル・アマルフィ君。君には数は少なくなってきたがバクゥを進呈しよう。前の機体を失ったとはいえ、あれは殆ど不可抗力に因る一件だった。
それに一応私は君の戦闘技術は高く買っているのでね。君専用に改修もしておいて悪くはないと思うが、どうかな ? 」
「あっ、はい ! 有り難う御座います ! 」
ニコルの威勢のいい声が部屋に響く。
「それとアスラン・ザラ君。君には、そうだな……ザウートを進呈しよう。」
その言葉にアスランは足元が音を立てて崩れていくような感覚を覚えた。
司令官は慇懃な態度で更に続ける。
「まあ、司令官の私がこんな事を言うのもなんだがね……君にはむやみやたらと高性能の玩具を手放しで渡すわけにはいかないんだよ。
察してくれたまえ、あの正直棺にも等しい機体に国防委員長の子息を乗せるのは忍びないんだよ。だが本来なら君は出撃さえも出来ないほどの事をしでかしたのだ。
……纏っているその制服が親類のコネを辿って得た物でないと証明したいのなら是非、転属先で鋭意奮戦してくれたまえ。」
「はい……了解しました……」
アスランは苦しげに返答する。
だが仕方ない。
これも自らが行った事に対する本部からの決定事項なのだから。
これに反駁する姿勢を見せようものなら自分の軍人としての生命線が危うくなる。
ではそういったマイナス要因をゼロに戻すだけでなく、プラスに転じさせるにはどうすれば良いか。
勿論、軍功をあげるしか他になかった。
757Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw :2007/11/12(月) 11:01:09 ID:???
投下終了します。世界観の所は資料等を何度も見直して苦労しました。
それと基地内のやりとりは「こんな上司いたら絶対腸煮えくり返る」位のやな上司を考えて書きました。
今回の場面の中で案外一番書いていて笑えてきました。
ではまた後程。

チラ裏
家庭用連ザUでザウートに乗り、Lv.8でIルートに突っ込んだら一面で死にました(笑)。
758通常の名無しさんの3倍:2007/11/13(火) 11:34:23 ID:???
GJ
まあ上司ってのは大抵こんなもんだけどね
759通常の名無しさんの3倍:2007/11/13(火) 20:18:02 ID:???
GJ!
本来の軍隊ってのはこういうもんだ。
ここで腐るか這い上がるか、凸の今後が見ものだな。
760通常の名無しさんの3倍:2007/11/13(火) 20:39:54 ID:???
GJ!
真っ当な軍隊ならこうなんだよな……
負債はよくわかってないからZAFTをあんな命令系統曖昧でグダグダな組織にしちゃったんだろうな。
761通常の名無しさんの3倍:2007/11/14(水) 02:04:59 ID:???
腐災補正抜きにして失態重ねればこんなものでしょうよ。
だがくじけるなアスラン、とある平行世界のお前はほぼ一貫してガズウートで
何度か英雄的と言っていい働きを成し遂げているぞ……








………性癖は最悪で下の下の下だったが………
762通常の名無しさんの3倍:2007/11/14(水) 02:39:10 ID:???
>>761
なんだかしらんが尻かせや
763通常の名無しさんの3倍:2007/11/14(水) 20:05:00 ID:???
>761
連ザのザウートとガズゥートじゃ性能がダンチなんだ
ザウートでは中級者には一方的に食われるが
ガズゥートならタイムアップまで粘るどころか勝てるコトだって…(´・ω・`)クソキツイケド
764通常の名無しさんの3倍:2007/11/14(水) 22:25:10 ID:???
くじけるな、アスラン。
とある平行世界では戦闘機に乗って撃墜されてもベイルアウトに成功して某ベイルアウト大隊から勧誘されてるんだからな。
765通常の名無しさんの3倍:2007/11/16(金) 21:53:21 ID:???
上がれ!
766通常の名無しさんの3倍:2007/11/17(土) 19:19:10 ID:???
希望のスレは消さない!!
767GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/11/18(日) 22:07:44 ID:???
消さないために燃料投下(燃料って表現でいいのか?)
あー、今回は最後少し暗めです…。頑張れ俺、次回はアルムタート親子編最終話だ!

第七十二話『"心の底から笑顔でいられる世界"だ!!』

「…相変わらずだな、お前は! 小さなことにこだわりすぎて周りが見えていない
!!」
「なんだと!?」
 レイはそれまでディスティニーの周りを囲ませていたドラグーンを自機の周りに呼び戻す。全部で8基あったドラグーンは半分の4基、
しかしその一方でレジェンドの威圧感はむしろ大きくなっていた。
「確かに、お前の考えも間違いではない。助ける事ができるならすべての者を助けるべきだろう。」
 レジェンドのライフルが上がり狙いが定められる。その先にあった物は、ディスティニーではなかった。
「しかしそれが、己の首を絞めることになる!!」
ロックオンカーソルで着実に狙いを定める。その先には湖の岸、底にたたずむ1人の少女の姿があった。
「サクラ!!」
 銃口が明らかに自分に向けられていないことに気づいたシンは、すぐに機体を反転させてサクラとレジェンドの間に入る。
レイはそれを待っていたかのように攻撃を開始した。


「きゃあぁぁぁぁぁっ!!」
 轟音と閃光にサクラは悲鳴を上げる。それまで2機のMSは彼女とはまったく別の世界で戦いを繰り広げていた。
だが今は、灰色のMSが彼女を狙い、彼女を守るためにシンが体を張っている。ドラグーン4基と共に集中砲火を
浴びせるレジェンドに対して、ディスティニーは左のソリュドス・フルゴールを展開し攻撃を受け止めている。
「シ、シン!?」
『死なせない…! 死なせてたまるか!!』
 デストロイの中で泣き叫ぶ少女を助ける事ができなかった。それにどんな要因が絡んでいようとも、
彼が目の前で救うことのできなかった命に他ならない。あんな思いはもうたくさんだった。
 外部スピーカー越しに互いの言葉が交錯する。
『たいそうな理屈を並べておいて、結局人質をとるのか!?』
『言ったはずだ。シン、おまえ1人で一体どれだけの事ができると言うのだ!!? 俺の手から1人の命を守ることで
手一杯のお前が、一体どれだけの人間を救える?』
 今この星の人口はせいぜい1000万人程度であろう。だが、1人で救える人間の数はその何分の一なのだろうか。
それ以前に、一体どれだけの人と出会う事ができるのだろうか。顔も知らない、髪の色も、服の趣味も正確も知らない人物を
すく事はできるはずが薙いだ。
『お前の言っていることは理想論でしかない。理想で世界が平和になるのなら、俺やギルとて苦労はしない。』
『理想を追い求めることはそんなに悪いことなのか!?』
『悪いことなんだ! そうやってすべての人間が自らの理想を追い求めるから、世界から戦いは無くならない。自らの理想を
実現させるために人をだまし、罠にはめ、落としいれる!!』
 ソリュゴス・フルゴールは受け止めたビームを一切後に貫通させること無く防ぎ続ける。しかし誰が考えても
この状況は圧倒的にシンが不利だ。それがわかっていても、彼は動く事ができなかった。
『そのためにギルは! ディスティニープランですべての人を導く!! 人類すべてがプラン通りに生きていけば、
みなが平等に、健やかに、何事にもかえがたいすばらしい未来をつかめるんだ!!』
768通常の名無しさんの3倍:2007/11/18(日) 22:10:18 ID:???
支援
769GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/11/18(日) 22:14:16 ID:???
第七十二話『"心の底から笑顔でいられる世界"だ!!』 (中編)

『俺はそんな世界を望んだ覚えは無い!!』
 メインモニターから入る強烈な光に目をそらしながらシンは反論する。シンが今まで経験し、思い描くようになった
"本当に望んでいる世界"はレイやデュランダル議長が描いているものとは違って、とても小さなものだった。
『お前は戦争のない世界を望んだ! 人は自らの"理想"と言う名の大儀を振り回し、周りの人間を傷つける!!
そんなものを持たなければ、戦争など起こらんのだ!!』
『プラン、プランって、自分の意見を押しつけているのはどっちだよ! そんなの議長やお前の勝手じゃないか!!』
 操縦桿の握る手に力がこもる。"プラン通りに生きる"。その行為自体に疑念を抱くわけではない。自分で
"プラン通りに生きる"ことを決意したのであればシンも止めるつもりは無い。だが、"プラン通りに生きる"ことを
すべての人間に強制する権利を一体誰が持ち合わせていると言うのだろうか。1人の人間であるデュランダル議長が、
ほかの人間に自らの考えを押し付けて強制することなど、許されていないのだ。
『プラン通りに生きていく事ができれば絶対に幸せになれる? 戦うことを強制させられた人生が幸せな人生なのか!?
生まれて間もない頃に奇形でもなんでもない腕を身勝手な理由で切り落とされた事が幸福なことなのか!!?
他人に強制されて、心の底から笑っているやつを俺は見た事が無い!!』
 ステラは戦いの中で、笑った事があっただろうか? サクラは失った左腕の本当の理由を知ったとき、
笑っていられるだろうか? 少なくとも彼女達は、他人のやり方を押し付けられたおかげで悲惨な目にあっている。
 強烈な光のおかげで白くなっていくモニターを正面に見ながら、シンは攻撃を続けるレイに叫んだ。
『俺の望む"幸せな世界"は、"心の底から笑顔でいられる世界"だ!!』
 シンの言葉を聴いたレイは突然攻撃をやめた。
 それまで絶え間なく続いていた攻撃が止み、シンもその後で目を覆っていたサクラも戸惑いの色を見せる。
レジェンドは空中で静止したまま、動く様子を見せない。
『レイ?』
『…もういい、お前はここで自分の弱さを噛み締めろ。』
 瞬間、レジェンドとは別方向から飛来したビームスパイクが、ディスティニーの左手の甲を貫いた。


 それからわずか数秒が、シンにはとても長く感じられた。左手を貫いたビームスパイクはそのまま直進し、
ディスティニーの右脇をかすめながら後へとすすむ。
機体も小さな爆発を起こす左手の衝撃を受け、徐々に後に倒れこんでいく。
 後に攻撃を通すわけにはいかなかった。一歩後に下がることも、まして機体を仰向けに倒すことも許されない状況だった。
 後には彼が今一番守りたい存在がいる。恐怖にゆがむ顔がはっきりとモニター越しに見る事ができた。
恐怖のために大きく見開いた瞳、ゆがむ顔、縮こまる肩。
「や―――」
ディスティニーは残された右腕を伸ばす。もっと早く腕を伸ばしていたら、腕に伸縮機構が備わっていたら、
もしかしたら止められたかもしれない。
「め―――」
どう足掻いてもうとめることのできない破壊の楔。それが作り出す彼には到底認めることのできない先の未来を、
ただ倒れていく機体の中で見送ることしかできなかった。
「ろォォォォッ!!」

ドオォォオォォンッ…!!

 地面は大きくえぐられ、大きな音が暗雲の立ち込める森にこだました。
770GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/11/18(日) 22:17:41 ID:???
第七十二話『"心の底から笑顔でいられる世界"だ!!』 (後編)

『……結局、お前にできることはその程度と言うことだ。』
レジェンドを着陸させながらレイは静かに呟いた。スパイクの激突した地点からは黒煙が昇り、
周りにはその破片が散乱している。
「あ……あ…。」
サクラがどうなったかはシンのいる位置からでは確認できない。仰向けに倒れたディスティニーの中で、
シンは大きな脱力感を感じていた。
『これでわかっただろう? 自分がどれだけ小さな存在か。』
レジェンドが倒れたままのディスティニーを見下ろす。互いにMSに乗っているため表情をうかがい知ることはできない。
通信を使わず外部スピーカーを通して聞こえてくるレイの声はとても冷たく聞こえた。
『お前は小さな命を守ることもできなかった。お前は自分がいかに無力か、これだけやれば理解できるはずだ。』
「……レイ…!」
 彼の中でいろいろな感情が一気にあふれてくる。それはサクラ・アルムタートと言う女性を失った悲しみであり、
彼女を守れなかった悔しさ、自分への怒りであった。そして、最後に湧き上がり、なおかつそれら
全ての感情を塗りつぶして彼を支配したのは、彼から彼女を奪った"レイ・ザ・バレルに対する怒り"だった。
『だが、ここで終わりでは』
「…黙れ……。」
レイの言葉に割り込み、シンは静かに口を開いた。彼の中ではもう押さえられないほどの炎が燃えていた。
「なんで、なんで殺した? ここまでやる必要があったって言うのか!?」
『必要最低限の犠牲で目的を達しただけの話だ。』
「そうかよ……。じゃあ俺は、お前を殺す!!」
 ビームスパイクを追ったときに既に右手からライフルは離れている。右手のパルマ・フィオキーナに込められるだけの
エネルギーを込め、ディスティニーはレジェンドに襲い掛かった。
 レイが注意してみていれば十分に気づく攻撃だったであろう。ディスティニーは仰向けに倒れており、背中の翼が邪魔で
急な動作は無理だと言うこともわかっていた。しかし、ディスティニーは翼の接合部分にかかること負荷も無視し、強引に攻撃に転じた。
 つかまれた右脚は撃ち抜かれ、脹脛のスラスターは大きく煙を吐き出す。すぐさま機体を上昇させ、
ディスティニーの右腕を引き剥がすと、レイはそのまま戦いが始まる前よりも厚い雲に覆われた空へと機体を向けた。


 シンがコックピットから出てくると、頬に一粒のしずくが落ちてきた。
「雨…か。」
雨は徐々に強くなり、彼の衣服をぬらす。そんな些細なことを無視し、彼は彼女の姿を探す。
「サクラ! サクラァッ!!」
夜の闇で視界は悪く、さらに雨のおかげでさらいに見通しが悪くなっている。必死にそれでもシンは必死に彼女の姿を探す。
 彼が彼女を見つけたとき、彼女は父親と共に血まみれで大地によこたわっていた。
771通常の名無しさんの3倍:2007/11/18(日) 23:17:14 ID:???
GX氏更新乙
772通常の名無しさんの3倍:2007/11/18(日) 23:39:19 ID:???
GJ!

やっぱりこうなったか…
他人の運命を背負うには色々足りなさ過ぎたな
某拳が自慢の男ですら一度は投げ出したくらいだから今のシンには無理もない
773通常の名無しさんの3倍:2007/11/19(月) 00:34:02 ID:???
おいおいおい・・・シンがキラに変わってレイを復讐のターゲットにしそうだぞ。
レイも本気になったシンは、腐ってもスパコディのキラを落とすほどってこと忘れてね?

とにかくGJだぜ! 
774通常の名無しさんの3倍
細かいことだがX世界の地球の人口は1億前後
1000万前後なのはコロニーのほうだよ