1 :
通常の名無しさんの3倍:
SEED及びSEED DESTINYはいい素材がいっぱいあるのに…それが生きていない!
または、ここでこうやってたら面白かったんじゃないか?
などを思ったことはありますか?
ここは、そんな人たちで理想の種及び種運命を生まれさせるスレ。
リライトでも話を変えても今の本編からの「もしも〜」や、
設定を生かした全く違うSEEDなどを書いてくれればいいです。
SEEDでの主人公を変えて作るなどもやれるのならば!
※職人さんは感想などをちゃんと聞きましょう。
特に「ここはこうすれば良いんじゃない?」と言うような言葉には出来るだけ従いましょう。
それこそがあなたを職人として成長させるのです。
職人さん、頑張ってください。みな応援しております
前スレ
【運命を】SEED DESTINYでSSを作るスレ6【変えろ】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1151320028/
キラがアムロ
アスランがシャア
ラクスはラクスのまま
カガリいらない
シンはドモン
レイはヒーロ
サイはカミュー
SEED DESTINYでSSを作るスレ
>>1さん乙!!
107
混乱する地上。
それを見向きもせず、背を向けて、遠い星の彼方を見つめる人物が居た。DSSDのトップである。
「・・・・・もうすぐ、もうすぐ会いに行く。必ず居るはずだ、君達は。そう・・宇宙鯨よ」
人をより遠くへと飛ばす事を目的とした組織DSSD。
だが、その裏側には、個人の純粋過ぎる欲求が渦巻いていた。
海を侵攻するザフト軍の艦隊達。
アスランの指揮の下、各々が自分を信じ、自分の信じたザフトを信じ、血塗られるその場所へと進んで行く。
連合、ザフト両軍の動き、オーブへと派兵について、
人々は何も知らされてはいない。
両軍によってそれぞれ行われた大規模な報道規制、操作によって、オーブの危機は無い物とされていた。
人々はオーブが悪の国家であるという、公表された情報以外、何も知る由も無い。
「タロウサン ガンバリマショウ」「ああ、もちろんだよ、モグラグーン」
ザフトの一パイロットであるタロウと、AI式MSモグラグーンも、何も知りはしないのだ。
アスランの劣等感によって、今自分達は戦場に向かおうとしている事など。
「アスラン!」「どうしたんだ、アーサー?もうすぐ出撃だぞ?」「これを」「・・・・・そうか。間に合ったんだな」「これでアスランの勝利は120%だ」
嬉しそうに親指を立てるアーサーと、不敵な笑みを浮かべるアスラン。「これさえあれば。シン、お前の最後だ!!!」
アスランの手には一つのディスクが渡されていた。これが、アスランとシンの運命を左右する。
108
「マリュー!俺が出る!」「ムウ!」
半壊したフリーダムをモニターに映しながら、ムウが艦長に出撃を促す。
「ストライクルージュ、発進準備完了しました!」各種設定を調整し、通常のストライクの色となったルージュ。
「やっと終わったぜ!これなら行ける」「ムウ・・・・・お願い。キラ君を」「おう!まかせろ!」
気合十分に答えたムウは、顔付きをきりりと変え、両手を機器の上に力強く置く。
そして、モニター越しに確認できるファントムペイン達を見詰める。
「(あいつら・・・・・何だかんだで俺の事、結構慕ってくれてたな・・・。だが、今日は・・・・落とす!)」
胸の内に複雑な思いを抱えつつ、今は彼らの敵に徹する事を決意する。
知らなければそれまでだが、知ってしまえば目を叛ける事は出来ない。思いの逃げ場は無い。
「ストライクルージュ、発進どうぞ!」
「ムウ・ラ・フラガ、ストライク、出るぞ!」
「ストライカー、射出しました」リニアカタパルトで宙へと飛び出したエールストライカー。
ノワールストライカーの予備を積んでいないため、スローターダガー用のエールを代わりに使うのだ。
確認したスウェンは、機体を中空へと浮き上がらせながら大破したノワールストライカーを基部から切り離し、
それと同時にストライカー用の簡易設定プログラムを用いてエールへと設定を切り替える。
そして、ストライカーとノワールの素体、ストライクEが直線状に並ぶ。連結する。「!?」
連結しかけたその時、ストライカーにビームが。爆散するストライカーと、爆発に飲み込まれて吹っ飛ぶストライクE。
「っ!何が」「何よ?いったい」ビームが放たれた方向を見ると、そこには他と変わらずムラサメが居た。だが、そのムラサメは他とは違う。
「キラ様!ここは我々にお任せくだされ!」「っえ!?君達は」「大丈夫です。ですから!」「行くぞ!ゴウ、ニシザワ!!」
タケミカヅチより渡ったあの時のムラサメ隊員が、今こそ本当にオーブのためにと駆けつけてくれたのだ。
職人GJ
スウェン頑張れよ
保守
109
「早く、キラ様!」「でも・・・・・っ。分かりました・・・」
ムラサメ隊に任せ、キラはAAへと踵を返して飛び去る。
ストライカー連結を失敗したストライクEは近くの連合艦の上に何とか着地する。
「乗るな馬鹿っ!!」
着地の衝撃で船は思い切り揺れて、船体をみしみしと軋ませる。中のクルーが激しい揺れで何人も倒れる。
「くっ、奴等は・・・・・うっ!!」
着地した船ごとストライクEをビームが襲う。ムラサメ隊の一斉射撃。
スラスターを全開して大きくジャンプし避けるスウェン、船の方はビームの雨を受けて大爆発を起こす。
飛んだストライクEをさらにライフル攻撃。
「ちょっと!スウェン!」「ちっ!」
推力に乏しいストライカー無しの状態。このままではムラサメの餌食である。
「イケヤ!ゴウ!今だ!!!」「おう!」「行くぞ!」
三機のムラサメのライフル集中攻撃がさらに激しくなり、ストライクEの装甲を何箇所もかする。
ブルがムラサメを追い払おうと撃つも、三機は交互に避け、撃ち、ストライクEへの攻撃を途切れさせない。
これなら行けるとイケヤ達が核心したその時、
突如ストライクEが機体を大きく揺らしながら左足を曲げ、そして思い切り蹴り出した。「!?」
蹴り出された足のつま先からアンカーが撃ち出され、少し遠くの連合艦の甲板にガスンと突き刺さった。
刺さった区分に居た連合兵を巻き込んで、アンカーがしっかりと突き刺さった。
そしてリールを高速で巻き取って、ストライクEは勢いよくその中空から、アンカーを刺した船の方角へ引き寄せられる。
逃がすまいとライフルを撃つも当たらず、逆にストライクEが引かれながら両手にライフルを持ち撃ち付けて来る。
軽量重視された機体には威力が弱いショートビームでも致命傷となる。溜まらずムラサメ隊は全力で回避。
ノワールは安全圏へと逃げ遂せ、アンカーの突き刺さっていた船はゆっくりと炎上し、クルーが急いで脱出。アンカーの犠牲者は除いて。
110
「ストライカーの再射出を」「了解しました」
逃げたストライクEを唖然としながら見詰めるイケヤ達。
「何て奴だ」「くっ!」「何を呆けておる、お前達!まだ・・・ぬっ!」
ブルが凄まじい早さで接近してサーベルを振り上げ、ムラサメが変形しつつ避ける。
逃げるムラサメを、さらに大量の量産機らが追撃する。
「ぬおぉぉぉ!」「おのれぇっ!」「ふぅんぬううう!」
戦闘機形態で避け続ける。
避けられてはいるが、完全に攻撃体制を取れなくなり、どうにも手も足も出ない。
遠方から高出力ビームが時折撃たれ、擦れ擦れを逸れる度に凍り付く。
キラに任せろと言ったはいいものの、これでは同じくどうにもならない。
他のムラサメ隊らも気後れしてなるものかと必死に戦うも、徐々に彼らも回避一色になって行く。
「何逃げてるのよ。怖いなら戦わないで、大人しく死んだらっ!!?」
ブルのサーベルが数少ないムラサメ隊を次々撃破して行く。そして、ニシザワの眼前にも立ちはだかる。
「はっ?!し、しまっ」「じゃーねー」
爆発が起こり、海上を強く照らす。
「ニ、ニシザワー!!!」「ニシザ・・・・ニシザワ?」
爆発が起こった物の、ムラサメは無事。逆にブルの右肩が大破し、盾とレールガンを海に落しながらその場から緊急回避。
「なっ、何よー!?」
何事かと叫びながら宙を見渡すミューディー。そして、一機のMSが目に映る。「なっ!あれって」
それはフリーダム同様、かつていやと言うほどデータを見せられた機体、ストライクであった。
ミューディーは驚き、スウェンは再射出されたエールを丁度装着完了し、
シャムスは「中尉、エネルギー補給のため一時艦内に」「くそっ!何で俺だけこっからザコをちまちまちまちまと!!」腹が立っていた。
111
「しっかりしろ、馬鹿!気持ちで負けてちゃ話にならねぇ!」「御主は・・?」
気後れするパイロット達に檄を飛ばすムウ。
パイロット達はムウの言葉ではっと気持ちを取り戻し、身を奮い立たせる。
真っ直ぐ直進するストライクは
前線へと飛び出て、ブルを正面に、対峙する。
「何なの?何なんのよ!!」ブルがサーベルで斬りかかる。
ストライクもサーベルを抜き、盾で攻撃を受けながら突き付ける。
「よせっ!ミューディー!」
「なっ!!え?何?大佐!?」
ミューディーが油断した隙を突き、サーベルで右手を肘関節から斬り落す。
「ちょ、ちょっと待」「らぁっ!!!」
さらに左手も同じように切断、バルカン以外腕に依存した武装のブルは、一瞬で攻撃の手段を奪われてしまった。
どうしようも無くなったブルを蹴り飛ばして海に落し、飛翔してムラサメに群がる量産機を次々と撃破する。
「すごい数だな、こりゃ」
射撃武器に依存した戦い方の量産機達を、射撃の隙を突いて素早く接近しサーベルで斬り倒して行く。
「が、数だけ居たってね!!ほらっ!!お前らもぼさっとするな!」「はっ!行くぞ皆!」
各小隊に指揮をし出すムウ。ムラサメパイロットらの気持ちが強く持たれる。
ムウは連合パイロットの、ファントムペインらの戦い方を熟知している。
対応パターン、攻撃法、そして、精鋭者らの癖も。ムウとして、ネオとして、それぞれ連合で学んだ物を今、駆使して戦う。
ムウは彼らの事を知っている。行いも、力も。そして、今殺している相手の笑顔も。ムウは鋭い眼差しで目の前の敵を斬り続ける。
112
「おい、嘘だろ?ミューディー!!」
「少尉は無事です、コーザ中尉。戦闘続行不能に尽き、水中より退避させた後、収容します」
「あの白いの・・・・・ゆるさねぇ。絶対にゆるさねぇ!!」
快進撃を続けるストライク。が、その快進撃もすぐに終わる。
突如アンカーが量産機の間を走り、ストライクを貫かんと襲い掛かる。
咄嗟に避けたムウがその方を見ると、
道を譲る量産機の間から、黒いストライク、ストライクEが姿を現す。
「ノワールか。スウェン・・・」
「ストライク?何故旧式がここに」
アンカーを巻戻しながらエールのサーベルを抜き、白いストライクへと斬り掛かる。
その頃、シンは国防周辺をゆっくりと歩いていた。
兵以外誰も居なくなったオーブを、悲しい紅い瞳で見渡しながら歩いている。
逃げる事もなく、ただ何か、途方に暮れているかのようだった。
「お前、こんな所で何を」「・・・・・あ、キサカさん」
何か慌てた様子のキサカが、避難もせずにこんな所に居るシンを不審に思い声を掛けた。
「何故こんな所に居る!AAは既に出航している。今からでは避難するにしても」
「どうでもいいですよ、俺の事なんて・・・。急いでるんじゃないんですか?俺の事なんていいですから」
「馬鹿を言うな!くそっ、カガリも・・・・・・どうすれば!」
カガリという言葉にシンはぴくりと反応する。「・・・・・あいつが、如何かしたんですか?」
シン、アカツキ搭乗フラグ?
113
俯いていた顔を上げ、キサカの目をしっかりと見ながら問うシン。
キサカは軽く顔を顰めながら重そうな口を開く。
「カガリがムラサメで出撃したそうだ」
「・・・・・へ?な。何、え?何で、何でですか!?」
「わざわざお前に説明している時間は無い。私は」「待ってくれ!」
シンを引いて強引に歩き出そうとしたキサカを、シンが踏ん張りながら止める。
「どういう事何ですか?お願いだから、教えてください!」
「お前・・・」
微かに潤んだ目を見開いて迫るシンに、キサカは向き直りすっと顔を落ち着かせて言う。
「分かった」「・・・・・・」
「・・・・・・少し前に、避難民を乗せた船が連合の別部隊に襲われていると情報が入った」「!!」
「奴等の標的はどうやら避難民そのもののようだ。航路を変更した避難船を、追ってまで攻撃しているらしい。」
「(な・・・そんな・・・・・・・なんで)」
「護衛のムラサメ隊が何とか攻撃を食い止めようと試みているが、はっきり言って何時までも守り切れはしない。」
「(だって・・・逃げ・・・・・・・えっ!?)」
「情報では例の、
以前ミネルバがオーブを出航して網を張られた際、連合が用いていた巨大MAが、襲っている部隊の中にあるらしい」
「(駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ、駄目だ!!そんな・・なんで!!!)」
「襲われているのを知ったカガリが、自身が行かねば意味が無いと、兵数名を連れてムラサメで・・・・」
114
シンは頭の中が真っ暗になった。
真っ暗になって、そして、暗闇だからこそ微かに明るく見えてくるのは、あの少年の顔。
少年のお母さんに、オーブの人々、昔やさしくしてくれたトダカさん。
ここに来た時、複雑な顔をしながらも受け入れてくれた人達。
自分の事を気にせず笑顔で受け入れてくれた人達。自分の事を仇だと睨み付けた人達。そして、カガリ。
求めていたのか、逃げたかったのか、
今も心の中で混沌とする彼らへの思い。
その彼らが、今まさにこの時、永遠に失われようとしているのだ。
自分を縛り付けていた物、自分が縛り付けていた物。カガリ・・・・・そうだ、カガリは。
「おい、どうした。しっかりしろ!」
「・・・・・あいつが行ったのは、俺のせいかもしれない」
「何を言っているんだ?おい!ほら、ちゃんと立て!」
みんな、死んじゃう。早く何とかしないと死んじゃう。助けないと、死んじゃう。
そうだ。俺が力を手に入れようとしたのは戦うためだ。戦わなくちゃ守れないから戦うんだ。
なら今戦えばいいんだ。そうすればみんな助かる。あいつだって。そうだよ。
俺が戦って、敵をみんな倒せばそれで解決するんだ。俺もみんなも喜ぶんだ。幸せになれるんだ。
そうだ。そうだよ。そうに違いない!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・違うや。
そうじゃない。そうやって来たからみんな泣いたんだ。カガリも、あいつも、俺の撃った人を知ってる、俺の知らない人達も、俺も、みんな。
誰も幸せになんてなれなかった。泣いてる人が増えただけだ。俺も、戦うのが上手くなっただけ。
銃を撃つのが上手くなった。MSを動かして人を殺すのが上手くなった。出来るようになったのは、こんな事ばかりだ!!!
115
もう奪いたくない
「なら、俺に出来る事なんて・・・」
少年やカガリを助けるために自分が行く、そんな選択をシンは選べやしなかった。
選びたくなかった。
彼らが失われる道だって選びたくない。だからといってもう一つの道を選べるわけではない。どっちも選びたくない!
分かれ道の前で、シンは足を運ぶ事を止めてしまった。
「ほら、自分の足でちゃんと歩くんだ。ここに何時までも居られない」
「・・・・・う・・・ん」
シンはゆっくりと足を建て直しキサカも支えていた手を離し、道を小走りに進み出す。
「カガリ・・・・・・・・馬鹿な事を。ウズミ様の言葉も聞かないまま死ぬ気か!」
ぱた
シンの足が再び止まり、キサカの背中をきょとんとした様子で見る。
「へ?」
「またか!いいか、時間が無いんだ!
こんな所でいつまでもうろうろとしている暇は無いんだ!」
「ウズミの言葉って何だ!?」「おい」キサカの胸元に詰め寄り問い詰めるシン。ウズミは死んだはずだ。カガリの父は死んだ。
「だからそれって何なんだよ!」「だからっ」亡き父の言葉、それがシンを深く突き動かした。そして
「頼む!・・・・・・お願いです。教えてくださいっ!」
116
シンが聞かされたのは二つの事だった。
一つは、カガリの父、今亡き元オーブ元首ウズミ・ナラ・アスハの遺言の事。彼は死ぬ前に自らの遺言を、カガリへと残した。
もう一つは、力。
開発が中止された強大なMSのプロタイプが、ウズミの意向を継いだ者達によって、カガリのために密かに建造されていた事。
その二つは同じ場所、オーブ諸島の一つにあり、扉を開けるのはカガリの声だけ。
カガリがそこへ行かなければ絶対に伝わらない、父の愛娘への最期の言葉。
カガリが戻ってこれなければ二度と伝わらない、父の愛。
それを知ったシンは、吠える。
「そこ何所だ!!!」
「隊長!もう、エネルギーが」「お前は一端下がれ!補給艦が避難艇にくっ付いてるはずだ!」
避難艇を守るべく戦うムラサメ隊の戦力も最早危うい状況になっていた。
奮闘によりウィンダムは相当減ったが、
肝心のザムザザーが傷一つ付けられない。ザムザザーのビームが、またムラサメを撃墜した。それを見詰める隊長。
「・・・・・お前達。お前達に言って置きたい事がある」「な、何を。隊長?」「何ですか!?それどころじゃあ」
隊長はふぅと息を付き、素早く手を動かしながらもゆっくりとした口調で言う。
「俺は、俺はな。カガリ様が大好きだったんだ。小さい頃の事もよく知っている」「隊長!?」
「カガリ様の成長だけが俺の楽しみ、生甲斐だった。若くして妻と子を、コーディネイターという理由で殺された俺の、命より大切な娘だ」
「隊長・・・まさか!」「俺は、もう十分過ぎる程幸せにさせてもらったよ。だから今度は彼女に幸せになって欲しい」「隊長ー!」「お前達にもだ!w」
隊長機は戦闘機形態で旋廻しながらザムザザーに特攻を掛ける。攻撃を交わし、交わし切れず傷つきながら。
「いくらバリアを張ろうとも、これだけの質量。丸ごと直撃すれば無事では済みまい!」「たいちょうー!!!」「カガリ様のおっぱーーい!!!ボイン!!」
117
ボイン!?ボイン?ボインボインボインボインボイン!!??
隊長の放った言葉が連合側にも流され、ザムザザーのコックピット内も凍りつく。
「・・・・・ひ、ひゃぁっ」
そう、そうなのだ。隊長がたった一言で、敵の時間を止めたのだ。
一瞬敵を凍りつかせられればいい、それで十分だ。隙あり!
ムラサメがザムザザーに激突する、そう思われたその時。
「・・・違う!アスハはボインという程胸は無い!!」
今まで沈黙を続けていたザムザザーに乗る三人のうちの二人が、真実をあまりにも逸脱した言葉に覚醒する。
「だってあれは小振りだもの!凡乳だもの!顔だってブサイクだもの!」
「あんなマニアックな顔の奴、胸がでかくても好けるかー!!!」
凄まじい早さで操作し、巨大な機体を強引に横に、そしてムラサメを見事避けた。
「な、なにぃぃぃ?くっ、くっそぉ!!」離脱を試みる隊長。
「お前は!ふざけるなぁ!!!」逃がすまいとザムザザーの豪腕なクロー攻撃。直撃する!?
「よせー!」
一線のビームが海上を走り、隊長を襲うクローを貫き爆破した。「なんだと?敵の増援か!」
「もうやめろ、お前達!」この場に居る者達全てに届くその声。カガリだ。カガリらのムラサメが到着したのだ。
隊長は何とか無事離脱し、増援のムラサメ部隊へと近づく。「カガリ様!」嬉しさに涙を溢れさせる隊長。だが
「お前・・・・・さっきの・・・」「へ?」「・・・・・」「あの・・・・・聞いておられましたか?」「・・・ボイン、か」「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
隊長はあまりの苦痛に意識を失い、ふらふらと落ちそうになる隊長機は他のムラサメに支えられて戦場を離脱させられる。
「さっき死ねていれば・・・・・・・さっき死ねていればーーーーー!!!!!あ゛ーーーーー!!」
118
侵攻開始から数刻が経ち海上防衛線も削られ尽くし、陸地への侵攻まであと僅かとなっていた。
連合本部隊が侵攻する側ではAAやムラサメの大部隊が応戦し、
反対側から出た避難艇を追い詰める小部隊には護衛で付き添っていた数少ないムラサメと
今し方援軍として到着したカガリらムラサメ部隊が防衛に当たっていた。
連合本陣は広く、物量に勝り、
量産期の数多くの小隊が、AAらが防衛している海上から遠く離れた側面を、貧弱なムラサメを蹴散らしながら侵攻している。
いくらAAが連合の強力なエース部隊を抑えても、脇腹を突かれればオーブが陥落するのは時間の問題なのだ。
戦況がより厳しくなる中、ラクスは行政府用の船の中で何か、通信と思しき事を試みている。
「では、お願い致します」
「お任せ下さい、ラクス様」
「ですが・・・そちらから確認して困難だと思われた場合は、決して無理はなさらないで下さい。私達は大丈夫です」
「お気遣い感謝します。それでは」
会話が途切れ、その場はひっそりと静まり返る。遠くから小さな爆発音が聞こえる。
「ラクス殿。すでにオーブは・・」「分かっております。ですが、ここで今何もしない事は、選べません」
「ふう。あんな風に言われちゃ無理でも行くしかないよ」「なんだ?嫌なのか?」
「馬鹿野郎。そんな訳無いだろう?」「だろうなw」
「まったく、お前達は。ほら、そろそろ時間だ」
「ああ。行くよ、野郎共!」暗い宇宙に孤立する一隻の船。地球圏のすぐ近くを航行するその船からもう時期、
地球に向けて強大な嵐が打ち出される。
119
「ボイン・・じゃなくてカガリ様、隊長は無事離脱しました」「そうか・・・」
到着した部隊と残り僅かの護衛部隊が強力し、ザムザザーを何とか倒そうと奮戦する。
カガリの到着に兵達はすぐに「お帰り下さい!」「お馬鹿!」「何で来たのです?!危ないじゃないですか!!」散々色々言っていたが、
全然戻ろうとしないので、結局一緒に戦う事になった。
「うわぁ!」「カガリ様!サーベルはこの場で扱い切れません!ライフルを!」「だから下がれつってんだろがバカガリ!!!」「バカガリって言うな!!」
増援に少し焦り出したものの、ザムザザーは一歩も引かない。
「蚊蜻蛉がいくら増えようとも・・・・・お前ら、さっきのは」
「・・・・・」「・・・・・」沈黙するザムザザーの二人。
「すまない。何でもない。よし、攻撃行くぞ!!」
防衛線が後退を余儀なくされ、AAもほぼ地上に面した場所へと追いやられる。
離れた前方の海上では、ストライクとストライクEが激戦を繰り広げている。
「ちぃっ!!」「くっ!」
サーベルをお互い構え、すれ違い斬り合いながらも、お互い致命傷を全く受けてはいない。
量産期が時々二機に攻撃を掛けるも、あっさり交わされてしまう。
ストライクとストライクE。いくつかの武装の差と開発時期を考えるとストライクが不利に見える。しかし
「そこだ!!」ビームガン攻撃を盾で受けるストライク。盾を構えている所をスウェンは突く。フリーダムの時のように。
爪先アンカーが蹴り出され、ストライクの盾を砕かんと突撃。フリーダムの二の舞か?
「当たらんね!」読んでいたのか、軽く横に移動して避け、さらに伸び放たれたアンカーのワイヤーを掴んで引っ張る。
「何!?」機体を思い切り引き寄せられる。「悪い。スウェン」引っ張るその先でストライクはサーベルを、敵機をすれ違い斬らんと構える。
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このままでは真っ二つにされる。されて成る物か。
ストライクEはサーベルを、自機の爪先より伸びるワイヤー目掛けて振り下ろす。
「何!?あいつ!」
ワイヤーが切れ、ストライクEは自由に。
そしてスラスターを全開して、敵機に向けて一直線だった機体を横に流し、真っ二つにしようとしていたストライクから何とか逃れる。
「スウェン中尉。ブルデュエル及び、少尉を収容しました」
「了解・・・」
「中尉・・・・・大丈夫ですか?」
「っ・・・・・ああ。問題無い」
平静を装いつつも、スウェンは少し焦っていた。まるであの、ストライクに手の内を読まれているようだ。
あいつは一体何者なのか。
ムウの方も焦っている。
「あいつ、腕上げてるなぁ。こりゃおじさんもおちおちしてらんないな。・・・・・っ」
「馬鹿!戻れ!お前が行っても扉は開かんぞ!!」「っ!!」
キサカからウズミの遺言が封印されている場所を聞いたシンは、ムラサメを勝手に動かして、
引き止めようとへばり付くキサカも巻き込んで、その場所へと飛んで行く。
幸いその航路には連合は侵攻してはいないが、もし居たら、シンはどうしていたのか。撃てるのか?
キサカの怒鳴り声と遠くの爆音と共に、ムラサメは小さな孤島へと向かった。
GJ
ボインネタワロス
GJだが…エールストライカーを装備してるんなら
ストライクEのカラーリングはトリコロールだぜ
>>24 それを言うなら「他のストライカーパックを装備してるんなら」だろ
んー?
今一人しか職人いないのか。
昔日記スレがあったときは結構いたんだけどな。
ちょっと寂しいな
保守
>>24シランカッタorz
黒いストライクとして既に書いてしまったので、この舞台でのストライクEはあくまで黒という事で御願いします。(調整等も黒に準じた物で)
121
カガリらのムラサメ部隊が加わるも、依然としてザムザザーを抑える事は出来ない。
何とか避難艇の方へ近づけさせまいとしていたが
「駄目だ!抑えられない!」「抜かれたっ?!」
ついにムラサメの防衛線を突破される。元々付け焼刃の防衛体制、数も乏しく、脆い所を突かれれば抜かれてしまう。
止めに掛かるムラサメもウィンダムに阻まれ、ビームを放っても巨体に似合わぬ機動力で避けられる。
このままでは避難民が無抵抗のままに焼かれる。
「やめろー!!!」
その時、戦場一面にカガリの大声が響いた。
周辺の通信機器ほぼ全てから、カガリの声が響く。
避難艇のそれからも。
「私は、私はオーブ首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ。地球軍、直ちに避難艇への攻撃を停止しろ!」
「カガリ様っ!!?何を!?」「なんて事を・・」「馬鹿野郎!!」
「あの船に乗っているのは何の抵抗の力も持たぬ、ただの民間人である!
そんな彼らを襲う事は、断じて罷りならない!
オーブの元首として、このカガリ・ユラ・アスハが断じてそれを許しはしない!地球軍!避難艇への攻撃を直ちに停止しろ!」
その声は避難艇の中の人々皆にまで届いていた。船に乗っていた兵が、皆にも聞いて欲しいと流したのだ。
カガリは身を挺して皆を守ろうとしているのだと。
カガリの行動に兵は感涙し、民は聞いて、余計動揺した。「アスハが死んだらこの後誰が俺達をry」「やっぱりあいつ駄目だー!!!」
「カガリ様!!自らを囮にする御積りですか?!」「地球軍!このカガリ・ユラ・アスハが相手だ!!」「お止め下さい!お止め下さい!」「止めろ馬鹿!!」
122
カガリは「私は代表だぞ!」と、わざとらしく連呼しながら、ザムザザーへと接近する。
連合軍は代表と思しきそれに狙いを変え、集中攻撃を開始する。
ザムザザーのパイロットも、たとえそれが本当に代表であっても、無視してまずは避難艇を撃破するつもりであったが、
あまりにそれが接近したため、それの排除に移行する。
「カガリ様!!!」パニックする者
「お逃げ下さい!お逃げ下さい!」蒼褪めた顔をする者。
「お前はやっぱりバカガリだっーーー!!!」絶叫する者。
「このカガリが相手だぞ!」海上は混乱に満ちていた。
AAに収容されたフリーダム、キラは、モニターの前で憔悴し切った顔で立ち尽くしていた。
「やっぱりあれは、ストライク・・」
酷く気持ちが悪い。目の前がよく見えない、手足が震えて、止まらない。
着艦してコックピットから降りてからずっと体がおかしい。いや、頭の中が混乱しているからなのか。
キラは目を瞑ると眠るように意識を失った。
ストライク同士の戦いはまだ続いている。死を分かつような想像も付かないやり取りのせいか、
次第に決定打を意識しない、見ている分には酷く単調な戦いとなって行く。
しかし、戦っている本人達には決して単調でも何でもない。微妙な角度、早さを変化させてぶつかり、戦う、高度なやり取りの連続。
二機の装甲は浅くも確実に削られ、二人の精神力も確実に削られて行く。
「中尉!」「何だ?!」いつもは冷静の塊のスウェンの、攻撃的な感情を感じる以外な声に思わず怯む。
「っ・・・・・中尉、今し方少尉の方から・・」報告を聞き、疲れ切ったスウェンの顔から急にそれが感じられなくなる。「・・・・・大佐」
123
「分かっただろう。扉は開かん」
封印された扉を何とか開こうと四苦八苦するシン。扉にへばり付いたり、押したり引いても開かない。
自動ドアなのでは?と、上の方にセンサーが無いか調べるも見当たらず、カガリの声真似で「カガリです」と言っても開かなかった。
「もうよせ!私はいつまでも
パァン チュンチュン
行き成り銃声が響き、弾がそこら中を跳ねる音が聞こえる。
「うあっ!ば、馬鹿者!何をしている!!」「くそっ!銃じゃ駄目か」「跳ね返った弾で死ぬ気か!!いい加減にしろ!!」
こんな所で無駄に時間を費やしている暇などないのにと、キサカは顔を真っ赤にして苛立たせる。
「・・・・・・・・なんで開かないんだよ」
「開かない物は開かん!もういい!お前はここに居ろ。ここなら安全だ。私は一人で行く」
「・・・あんたの娘が大変なんだぞ・・・・・なのに、何で開けてくれないんだよっ!!」
「シン・・・もう」
「戦ってるんだぞ!あんたに置いてかれて、一人で押し付けられたのに!あいつ馬鹿みたいにっ!!
あんたの分までいっぱい責められて、苦しんで、頑張ってるんだぞ!!
なのに何で、何であんたはこんな所で閉じこもってるんだよ!何で開けてくれないんだよ!!!」
「やめるんだ、シン!」
「だったら・・・・・だったらっ!!!」
シンは踵を返し、駆け足で元来た通路を行く。キサカが急いで後を追うと
「こんのぉ、引き篭もりやろーーーーーう!!!!!」ムラサメに乗ったシンが、キサカが出た途端、隠れ施設へと思い切り攻撃を加えた。
「なっ何をする!」「おぉぉぉぉぉ!!!」ライフル、サーベル、手、足、シールドの先端、あらゆる物を使って施設を、掘る。「馬鹿な真似はよせ!!」
GJ
バカガリとシン必死だなwww
保守
124
必死に施設を掘り上げる(破壊する)シン。
飛び散る、土、岩石、鉄片、コンクリート。キサカは両手を挙げて慌てふためきながら、それらに当たらないよう必死に逃げる。そして
「あった・・・」
さっき目前として立っていた扉が、シンの目に映った。シンは短く、すぅっと深呼吸をし、機器を弄り
「だから無理だって言って
「うおぉぉぉー!!」
ライフルを扉に向けて、撃った。
ドッゴーン バガバガバガバガガーズドドーン
威力を最低にまで調整して放たれたビームが、扉を一瞬で赤く染め溶かし尽くし、
最低の威力でもやっぱり強すぎたのか、扉の辺りが爆発して激しく崩れる音が響いた。
凍り付いて立ち尽くすキサカ、立ち上る煙。
シンは崩れた扉部の瓦礫をムラサメの手で急いで取り除き、それを終えると、危険極まりない火の気を感じるそこへと、
コックピットから飛び出て駆け足で近づく。
白い硝煙と短い火気が覆う元扉だったそこを、シンは潜り抜けて入る。
それを見てキサカも、少し躊躇いながらも急いで後を追う。
扉だった場所は色々な機器が散乱して炎上しており、地面も崩れていて通るのも命懸けであった。
何とか無事通り抜けて追いつくと、そこには「・・・これ、が」
暗闇の中、淡い焔に照らされて、煤で汚れた顔を遥か上へと向けて呟くシンと、
暗闇の中、淡い炎に照らされて、黄金の肢体をちらちらと輝かせてこちらを見下ろすアカツキの、立ち尽くし向き合う姿が合った。
125
「よかった、機体は無事だったか・・・・・・・・・って違う!!おい!シン!!お前何て事を!
おい!聞いているのか?シン!おいっ!」
「・・・・・・アスハの、アスハの遺言は、何所だ?」
「これだけ無茶苦茶にしたんだ!遺言が録音された機器が無事かどうかも分からないだろう!
連動していた扉が吹っ飛んでいるんだぞ!?」
「えっ!?遺言って、カセットテープに録音して頑丈な箱とかに入れて置いてあるんじゃないんですか!?タイムカプセルとかそういう」
「そんな訳無いだろう!!!
というか、頑丈な箱に入れててもこれだけ壊せばどちらにしろ吹っ飛ぶわ!!」
「そんな・・・」
体中から力が抜け、膝を付いてその場に崩れ落ちるシン。
カガリへの、父からの大切な遺言。
亡き父の言葉、どれだけ大切な物なのか、同じく父を亡くしたシンには痛い程分かる。
それを、自分のせいで永遠に失わせてしまった。
何とかしなくちゃと焦って、焦り過ぎて、無くしてしまった。取り返しの付かない事を。
「・・・・・・あ、ああ・・」
「シン・・・・・」掛ける言葉も無い。
まるで全てを失ったような絶望感に包まれるシン。
もう、何も取り戻せないのか・・・・・。
シンの心が音を立てて消えて行く。壊れるのではなく、自分の中の全てを否定して消えて行くような、やさしい思いでさえも飲み込んで。
シンの中の全てが消え去ろうとした。その時
『カガリ・・・カガカガカガガカカカカカカカッカガカガリ』「え?」闇の中に壊れたラジカセの音のような声が響いた。
126
『もっもも、もしし、お前が力を欲するるるるる』「アスハ?アスハなのか!?」「ウ、ウズミ様!!」
壊れたようなというか、壊れたウズミの声が鳴り響く。
ウズミの遺言が、機器が損壊して不完全な形を取りながらも、こうして生き残っていたのだ。
『欲するっるるるもっもしもしっもししももももも』
「な、ど、どうしたんだよ!何が言いたいんだ?ちゃんと言ってくれよ!」
『もしもしっおまるるるるるっる』
「駄目だ・・・機器が破損していて正しく再生出来ない」
「くそぅっ!何でこんな・・・・・・・・
これじゃあ声のデータを持ってあいつの所へ行っても、ちゃんと聞かせてやれないじゃないか!」
「お前・・・そんな事考えていたのか。
しかし、どちらにしろこの音声データはコピーは不可能だ。カガリがここへ来なければ聞く事は出来ない」
「なっ!何でそれ早く言ってくれないんだよ、あんたはー!!だったら意味無いじゃないかー!!」
「私のせいにするな!!」
『おまおまおまままままままるるるるっ』
「うるさい馬鹿!!」
ドカッ 怒りで頭が一杯だったキサカは、横に転がっていた機器を思い切り蹴っ飛ばしてしまった。
『っるる、前が力を欲する日来たれば、その希求に答えて、私はこれを送ろう』
「な゛?!」「直った!!」
127
『教えられなかった事は多く―――』
正しく再生され出した遺言。
変にギスギスしていた二人だったが、遺言を聞いているうちに、次第に二人の顔は真剣な物となって行く。
「・・・・・」「カガリはな・・」「っ?」「カガリは、ウズミ様の実の子供ではないのだ」「!!」
ゆっくりと、流れる遺言と共に語り出すキサカ。
「アスハ家では代々、養子として引き取った子供を跡取りとする事が普通とされていた。この事は国民の中にも知る者は結構居る。
カガリは、ウズミ様に実の子として育てられていた。
ウズミ様はカガリを本当に愛しておられ・・・・・・その事は、ご自身が墓の中まで持って行くと仰られていた。言わずも、と」
「・・・・勝手だよ、そんなの。
本当に愛してるなら本当の事教えてやるもんなんじゃないのかよ・・」
「そうかもな・・・・・。
が、結果的に、真実を伝える事になった」「っ?・・・なんで?」
「地球軍が攻めてきて、見据えていた先が変わったからだ」「あ・・」
「侵攻は止められず、オーブの力は奴等の手中に収められようとしていた。
ウズミ様はお悩みになられ、そして、一つの道をお選びになられた・・・・・・それについては、お前もよく知っているはずだ」
「・・・・・」
「ウズミ様は皆をオーブより脱出させ、自らの命をせめてもの償いとし、全てを、連れて行く道を選んだ。
そしてその際、カガリとの別れの時、真実をお伝えになられた。実の親子ではない、だが一人ではない、兄弟、キラも居ると」
「・・・・・っ」
GJ
シンガンガレ
128
「カガリは必死に叫んだ。ウズミ様を、父親を、死ぬと分かっている場所に残して行けない、自分も残ると。
が、カガリはウズミ様と無理矢理引き剥がされ、そして別れた。゛そなたの父であれて、幸せであった゛と、それだけを最後に。
死に行く父親を目の前にして、別れを強要されたのだ。私が、連れて行った。私が・・」
「そんな・・・・・あいつ、自分の父親と・・そんな」
「最後カガリは、扉越しにウズミ様の姿をいつまでも見詰めて叫んでいた。お父様、と」
「なんで・・・・あいつ・・・俺、あいつに散々・・・・なのに、そんな事、俺には何も・・・・・」
「言えなかったのだろう、お前には。自分と同じく、父親を、肉親を失う気持ちを知る、
悲しい目で、埋められない心を必死に埋めようと悲鳴を上げるお前には、そのような事。
憎しみを、悲しみを受け止めようと決めた、カガリには」
キサカの言葉と、流れ続ける遺言。
「・・・俺は・・・・・・俺はあぁ!!!」
何も分かっていなかった。自分は、何も分かっていなかった!!
いや、分かっていたんだ。でも、目を逸らしていなくちゃ、つらくて、押し潰されてしまうと、ずっと逃げていたんだ。
どれだけ俺が自分自身で恐くて苦しくても、今、そこに君達は居るのに、
今、そこに泣いたり笑ったり、落ち込んだり苦しんだり、話し合う事が出来る君達は居るのに、恐くて目を瞑って見ていなかったんだ。
自分が、自分の思う、一番ひどい人間なんだって、君達に言われるのが恐くて。
゛本当に欲しかった物゛なんて、最初からこれっぽっちも変わってないのに。
欲しがっちゃいけないって、俺が欲しがったら、俺が苦しめた人達が・・って。誤魔化したって、何にもならないのに俺、恐くて。
ステラ・・・君が俺を必要だって言ってくれて、ほんと、すごく嬉しかったんだ。
でも、それと一緒に、すっごく君の事が恐かったんだ。自分が必要とされちゃ、絶対にいけないって思ってたから。
俺が居るのは、絶対認められちゃいけないって思ってたから。まるで、君の気持ちなんてどうでもいいみたいに、俺・・。
129
『――力はただ力。多く望むのも愚かなれど、無暗とうとうのもまた愚か。
守るための剣、今必要ならばこれを取れ。道のまま、お前が定めた成すべき事を成す為ならば―――』
「うっうぅ・・・うっく」泣き崩れるシン。
カガリ、少年、オーブの皆、そして、ステラ。
みんなが、大切なみんなが消えてしまいそうなのに、俺、そんな時まで、自分の心が一番大事で。みんなの気持ちからも逃げて。
もう傷つきたくないって、逃げてれば傷つかないって、思い込もうとして。
自分の゛力゛はみんなを幸せに出来ないって、゛力゛まで言い訳にして。
『――が、真に願うはお前がこれを聞く日の来ぬ事だ。今、この扉を開けしお前には、届かぬ願いかもしれないが―』
確かに・・・・・確かに俺に出来る事なんて、ただ戦う事だけなのかもしれない。
戦って、戦って、ただそれだけなのかもしれない。
でも!俺の゛力゛で出来る事がそれだけでも、たとえそれが俺の運命でも、
俺が本当に欲しい物は、俺が本当にしたい事は、そんな物じゃないんだ!!!俺が本当に望んでいるのは、゛力゛を恐れて大切な物から逃げる事なんかじゃない!!
俺が本当にしたいのは、大切な人達を守る事なんだ!!! 『どうか、幸せに生きろ、カガリ!』
どんなに見っとも無くても、どれだけ咎められても、自分の全ては、それだけ!
「・・・なら、俺が今する事、したい事は、一つしかないじゃないか!!」「シン・・・・・」シンは立ち上がり、涙で濡れた顔でアカツキを見上げる。
「キサカさん。俺を、これに乗せて下さい!」今までに無い真剣なシンの眼差し。キサカは目を一度瞑り、何かを思い、そして開く。
「アカツキに・・・乗るのか・・・・・・・・・・・」「お願い、します!」「・・・・・いいだろう!」
揺れる焔が小さくなって行く中、それに照らされ、一機のMSの瞳に確かな光が灯る。そして、一人の少年の、真紅の瞳にも、確かに。
「ORB-01アカツキ、発進準備完了・・行け、シン!」
「(カガリ、父親の声を聞かないまま死なせたり、俺が絶対にさせない!!みんなも、俺が絶対に守る!!!)シン・アスカ、アカツキ、行きます!!」
GJ
シンのアカツキ搭乗来る
GJ
シンがアスハの遺言を聞くって展開がいいね!
チカラを持つことの葛藤やアスハとの因縁がからんでアツイ感じだ。
保守
>>14大当たり。当てられて最初どきっとしたよ。
予定の4倍近く掛かってしまっているので(本当は100以内のはずが、まだトリックスター、ラスボスにも行き着いてないので。)、
ここからは今度こそ、出来る限り飛ばします。
130
焔に燃える扉を飛び立ち、今もまた人々が嘆き争う空へと舞い戻ったシン。
皆が待っている、待ってはいないかもしれない、その場所を目指して飛び行く。
黄金の翼を屠り行くその機体の中で、ゆっくりと目を開き、そしてポケットから妹の形見の携帯を取り出す。
「マユ・・・俺、やってみるよ」
細めた瞳でやさしくそれを見詰めて、そして、今見据えるべき目の前へと視線を戻す。
レーダーに映る複数の敵機の反応、自分を死に連れて行こうとする攻撃。モニターに姿がはっきりと映し出される。
携帯をポケットに戻し、シンは、手馴れた操作でアカツキを動かす。攻撃を交わす。
敵機はサーベルを抜き、複数の連携によってアカツキに襲い掛かる。そして
「・・・・・」
アカツキのライフルから放たれたビームが、接近した彼らを貫き、殺した。
炎上する残骸を通り抜け、アカツキは飛び去ってゆく。
爆発の音が金属の仕切り越しに聞こえてくるだけで、彼らの願いや叫び、悲鳴は聞こえない。
彼らが誰であったのか、何を思って戦っていたのかも分からない。
コックピットの、この冷たい感覚が、自分が受け取るはずの物から遠ざけていって、自分の意識を奪って行く。
そんな場所に、自分の意思で戻って来たのだ。
シンは振り返る事も無く、今はただ、行きたいと願った場所へとアカツキを飛ばすのだった。
131
「おい!しっかりしろって!」「うっ、うぅ。・・・ここは」
クルーによって起こされたキラ。
フリーダムから降りてふらふらとしていて、そのまま気を失ってしまっていた。
気分は落ち着き、体の震えも止まっている。
「・・・」「どうしたんだ?何所かやられたのか?」「いえ。大丈夫です」
キラは一人で立つと、駆け足で艦長らの元へと急いだ。
「裏切り者めがっ!」「くっ・・・!」
二人の戦いはまだ続いていた。
ただ、さっきまでとは違い、今はお互いが誰であるのかを認識している。
目の前のストライクに乗っているのが大佐であると伝えられたスウェンがムウへと言葉を掛け、
それが発端となって、戦いは決定打を意識した見た目にも激しい物へと変わっていた。
最初ムウは説得?しようとスウェンの言葉に嘘偽り無く答えていたのだが、
途中でミューディーの時のように油断させて不意打ちしようとして、でもやっぱり失敗して、スウェンを怒らせてしまって今に至る。
「やめるんだスウェン!お前は操られている(?)んだ!」「黙れ!」
「思い出すんだ!前に俺とお前とで、一度だけ、満点の星空を見ながらコーヒーを」「消えろ!」
「いい加減にしろ!お前を落したくはない!」「なら、貴様が落ちろ!!!」
ムウの(騙し討ちのための)説得は届かず、スウェンは自分を抑えながらも怒り憤る。
スウェンは決して熱くなり過ぎたり、感情を表に出したりはしないが、敵に対する内に秘めた怒りだけは凄まじい物がある。
微かに顰めながらも冷静染みた顔で、目の前の敵、裏切り者の大佐を殺さんと迫り行く。
GJ
シンガンガレ
ネオはやはりムネオ化しますたwww
保守
132
連合艦隊の勢いは止まらず、部分的に陸地への侵攻も開始されている。
AAも後退しながら防衛し、全ての避難が終わるまで時間を稼ごうとしているが、肝心の避難艇の方がどうなっているかが分からない。
襲撃されたという事だけが確かであり、果たして今も無事で居るか。
「おい!避難の方はどうなってる?このままいつまでも抑えてはられんぞ!」
「駄目、国防本部の方も状況を把握し切れていないみたい」
「おいおいおいおい!もう持たないってのに!」
「ムウさん!」
「キラ君!?」「キラ、お前無事か?」
「はい、すみません。それよりも状況は?」
「見れば分かるだろ!これ以上はどうにもならねぇ!こっちだって・・・・・くそう!」
「別部隊がオーブ市街域に突入。
本部隊は引き続きAAを抑えつつそれを撃破し、侵攻せよとの事です」
「了・・解」ムウとの戦いはまだ続いている。
エース級同士の戦いに他人が付け入る隙は無いかのように思われたが。
「退いてろ、スウェン!!」
突然響き渡る叫びと共に、二線の細いビームと一線の太く強力なビームが、ストライクEの真下を通ってストライクへと襲い掛かる。
「なんじゃっ!?」難とか交わすムウ。
交わした先に連合の甲板上を見ると、そこにはまたしてもよく知るそれ、ヴェルデバスターが立っていた。
「どうなってんだよ、どういう事なんだよ!大佐ぁぁ!!」「くそっ、お前も、やっぱり居るよな、シャムス・・」
133
「中尉、中尉は後方支援のはずだ、どうなっている?」
「うるせぇんだよ、この野郎!!お前は黙ってろ!それより、大佐!てめぇ!!」
大佐の事を聞いて、前線まで船を伝って何時の間にか移動して来ていたシャムス。
後方からの火力支援に徹するようにとの命令を無視している。
「コーザ中尉、前に出過ぎです!中尉の機体では!」「下がれ、中尉」
「あの野郎!!」
シャムスは仲間の言葉を無視し、ストライクへと四つの砲門を全て向けて撃ちまくる。
これには溜まらず、ストライクは避けながら後退、
ムラサメの間を縫ってとうとうそこまで来ていた陸地まで逃げ仰せ、踵を返し盾を構えながら撃ち返し始める。
「あの野郎・・・よくもミューディーを。ふざけるなよ・・裏切り者が・・・・ゆるさねぇ、ゆるさねぇ!!!」
乱射するシャムス。
前線へと出て来たそれを、ムラサメ隊らも黙って見逃しはしない。
イケヤらのムラサメ隊がヴェルデの乗る船へと集中攻撃を加え大破させる。
ヴェルデは少し離れた他の船へと飛び乗り、そしてまた、移った船が他のムラサメらの攻撃を浴びて行く。
「お前らもふざけんなよっ!!」
群がるムラサメに激怒、こちらを狙うムラサメを片っ端から撃ち抜いて黙らせて行く。
邪魔な奴等が消えたと思いきや、今度は目と鼻の先の陸地からM1とムラサメのビーム攻撃。
ピューンピューンピューン
ちまちまと放たれるM1の攻撃に、シャムスは怒りを爆発させる。「中尉!早く戻
「糞雑魚がっ!馬鹿にしやがってぇ!!」シャムスは怒りに任せて機体を動かし、陸地へとヴェルデを飛び移らせる。
そして、目の前のM1とムラサメを手当たり次第撃ち倒して、単機で侵攻して行く。
一機で先へ行かす訳にも行かず、スローターダガーがヴェルデに付き、小隊の形を取って侵攻して行く。
134
ストライクから少し離れた場所より侵攻し始めたヴェルデ。
ムウは食い止めるべく向かおうとするのだが、そこをスウェンに阻まれる。
「邪魔するな!」「・・・・・」
ストライクE、ウィンダムも上陸し、戦いは建造物に隠れながらの陸上戦へと移行して行く。
量産機はライフルの撃ち合いとなり、
ムウとスウェンも市街の陸戦では移動に制限が出て、量産機からの攻撃により注意を払う必要があるため、距離を取った銃撃戦となる。
AAは高度とルートに注意しながら市街脇の開けた中空を後退、追撃するウィンダムをムラサメが難とか追い払う。
「マリューさん。僕もムラサメでもう一度出ます」
「キラ君!駄目よ、そんな体で!」
「今は、カガリ達がみんなを無事避難させてくれるのを信じて待つしかありません。
今は、僕達がここを抑えなくちゃならないんです。だから、僕は、行きます」
「カガリ様早く逃げて下さい!」「大丈夫だ!まだ、やれる!!」「だからそうじゃなくて、邪魔だって言ってんだろ!!」
避難艇から地球軍を離す事には成功したカガリ。が、完全に逃げ道を塞がれてしまっている。
カガリを守ろうと兵達が奮闘するが、ザムザザーの前に手も足も出ず、成す術もなく散って行く。
「カガリさ、がぁっ!」「うあー!!」「お前達ー!!!く、くそっ!なんでこんな、なんでこんな事!!」
無残に散ってい行く兵達の姿に耐え切れず、カガリは溜まらず護衛らの間を抜けて前面へと出てしまう。
そしてライフルを撃ち当てながらザムザザーへ急接近し、サーベルを抜いて真正面から突き立てる。
「うおあおぉぉぉぉぉ!!!」渾身の攻撃。しかしバリアに完全に遮断され、本体にサーベルは届いていない。「な、そんな・・・馬鹿な」
攻撃が効かずたじろぐカガリ。「カガリ様ー!!!」「馬鹿野郎!!!」ムラサメらが助けようとするが、ウィンダムがそれを阻む。
ザムザザーのクローがカガリのムラサメを捕え様と振られ、それを必死に避けるのだが、逃げようとした先にはウィンダムが待ち構える。
「これで御終いだな、カガリ・ユラ・アスハ!」クロー攻撃がカガリ機を横薙ぎ、激しく機体を砕かれて吹っ飛ばされる。「カ、カカ、カガリ様ー!!!」
135
左翼と、左腕を盾ごと破壊され、その他各部にも複数の亀裂が走るカガリのムラサメ。
飛行するのが精一杯で、もはや戦う術も無く、ザムザザーに背を向けて逃げる。
「これじゃ、これでは・・くそっ!!」
逃げるカガリ、もちろん彼女を逃がす訳も無く、ザムザザーは逃げるムラサメに照準を合わせ、ビーム砲を撃ち出す。
「避けて下さい!避けて下さいー!!」「避けろー!!!」
無理だ、避けられない。ザムザザーのビームの軌道は完全にカガリを捉え、間違いなく飲み込む。
「う、うわぁあああああああ!!!」
私は、こんな所で死ぬ訳には、絶対にそんな訳にはいかないんだ。そんな、訳には。
でもやっぱり、私は死ぬのか。約束も何一つ守れぬまま、皆を裏切って。お父様・・・・・・ごめんな、さい。私はやっぱり・・・・・・・・。
激しい閃光が海上に生まれ、カガリのムラサメはその光の最中に。
オーブ兵らは目を剥き出して叫び、その眩しい閃光に全ての希望を奪われて行く。
そして、モニターから溢れる光が海上の皆の視界を奪い、激しい爆発音だけが、今この時の全てを物語っていた。
死んで、しまった。
光が止み、閃光が途切れて、麻痺した視覚が次第に戻って行く。
「・・・・・・カガリ様」「・・・・・だから、だから行っただろうが・・・早く、逃げろって。この、馬鹿野郎めが・・」「あ、ああ、カガリ様、カガ、ああ」
目の前に映るのは、爆散した機体から生まれた黒煙。そして
「・・・・・・・へ?」「・・・なっなななななな」「ああ・・・ああぁ!!」
黒煙を生むウィンダムの残骸の先に見える、半壊したカガリのムラサメと、それを守るように構える一機のMS。
「馬鹿な!!確かに直撃させたはずじゃ・・・?!」「なんだ、あのMSは!?」驚愕する連合兵、そしてオーブ兵。
136
カガリは呆然と目の前のそれに目を奪われていた。
陽光で機体を照らして、大きな翼を広げる、その眩いばかりの黄金色のMSに。
死を覚悟したカガリの心、彼女は死んだのだと、全ての希望を失い掛けたオーブ兵達の心、
それらをその果てしない黄金の輝きが照らし、絶望を消し飛ばして行く。
ウズミが残した娘への最後の゛力゛が、彼女へその思いを伝えたいと願う少年の手によって、今、この場所へ降り立った。
「何やってんだよ!!死にたいのか!?」
「シ、ン・・・・・・・・シン!!シンなのか!?」
「何でこんな馬鹿な事するんだよ、あんたは!!
こんな所で足手纏いみたいに。あんたがしなきゃ行けない事はこんな事じゃないだろ!!」
「そ、それは・・・・・私は」
何が起こったか分からない連合兵達。
確かにビームが直撃したはず、なのに撃破している所かビームで損傷した所も見られず、逆に味方が一機撃ち落されている。
一体何故かは分からない、が
どちらにしろ呆然としている訳には行かない、あの正体不明のMSと代表を落しに掛かる。ザムザザーのビームが再び撃たれる。
「っ!!シ、シンー!」「・・・・・・くっ!!」
シンは自機でカガリ機の前方をビームから守るように空中で仁王立つ。「駄目だっ!シン!!」
ビームが黄金のMSを直撃、カガリが大声でシンの名を叫ぶ。
「今度こそ・・・・・何!!?」
ビームが効いていない。ビームが直撃したにも関わらず機体は無傷、おまけに直撃したビームが跳ね返り、
ザムザザーへと真っ直ぐ戻って来た。咄嗟に展開した陽電子リフレクターで防ぐも、あまりの事態に兵の顔が驚愕一色に染まる。
「ビ、ビームを跳ね返した?!」
137
「ビームを跳ね返した・・」
驚きのあまり再び呆然とするカガリ。
「何ぼけっとしてるんだよ!早く後退しろ!」「あ、う、シン」
「あんたがしたい事は、もう分かったから。こんな所まで来たあんたの気持ちは、もう十分伝わってるから。
だから、今度はあんたが選んだ、しなくちゃ行けない事をしてくれよ!あんたの事、待ってる奴等がいるんだから・・・」
「・・・シン」
「あんたの気持ちは・・・・・間違ってなんかいないから。だから、今は戻ってくれよ。
こんな所で死んだら、あんたの親父の遺言だって・・・」
「遺言・・」
「これと、アカツキと一緒に・・・・・・。
だから待ってるんだ、みんなも、あいつも!だから今は逃げろ!早く戻れ!ここは、俺が何とかするから」
「シン・・・・・・分かった」
ウィンダムが警戒しながらこちらへ近づいて来る。
「シン」「早く行け!」「うん・・・・・シン・・・ありがとう」「・・・・・・・(そんなの、俺の方が・・)」
ムラサメ数機がカガリ機へと近づき無事を確認、カガリ自らが数名に護衛をお願いした。
「・・・・・カガリ!」「え?」
シンはアカツキの盾をカガリ機へ向け投げ、カガリはムラサメの右腕でそれをキャッチした。
「親父に、守ってもらえ」「・・・・・ああ!」そしてカガリとムラサメ数機はその場を後にした。
アカツキを取り囲むように散開するウィンダム、どうしてやろうかと接近するザムザザー。
連合側有利の中、アカツキとムラサメ達対、ザムザザーとウィンダム達との戦いが、始まる。
GJ!シンガンガレ!
GJ!
続きwktkして待ってます!
138
散開し、ムラサメとウィンダムが拮抗した戦闘力でぶつかり合い、アカツキとザムザザーが睨み合う。
先発の避難艇は大分遠くまで逃げ仰せ、後から出た数々の避難艇も順調に進んで行く。
避難する先にはスカンジナビア王国の盟友達が待っており、今はとにかくそこを目指す。
「何故効かない、何故効かない!!」
効かないビームを必死の思いで撃ち続ける少尉。
「やめろっ!このっ」
アカツキの黄金の表装甲、ヤタノカガミに撃ち込まれるビームが全て、センサーで捉え、ロックした対象へと跳ね返って行く。
「ああっ!しょっ、少尉ー!!」
太いビームの中に飲み込まれ、爆散するウィンダム。反射ビームはロックしたウィンダムらに次々に襲い掛かる。
余りにも特異なその装甲にザムザザーのパイロットは焦り、周りが見えなくなっている。
近づこうとしても逃げるそれに怒り、
引切り無しにビームを撃ち続ける。そして反射される。
「一端攻撃を止めて下さい少尉!これでは我々が」「我々のミサイルで何とかする!だから・・・・・少尉ー!!うあぁっ!!!」
ザムザザーの攻撃は撃てば撃つほど跳ね返されウィンダムを撃破し、
跳ね返れば跳ね返る程少尉が熱くなって攻撃が激しくなる。そしてウィンダムが犠牲に。
「無茶苦茶だ、あいつ」
シンは、ザムザザーの状況を考えているとは思えない無茶苦茶な戦い方に、
味方が撃破されるだけでも撃ち続けるそれに顔を顰めつつも、冷静に、
状況を有利に出来るように今は撃ち込まれる攻撃をウィンダムに反射し続ける。
連合の編隊に乱れが生じており、ムラサメは連携攻撃で確実にそれをし止めて行く。
139
その頃、本島へと戻って来る事が出来たカガリ。
途中数機のウィンダムと交戦したが、護衛と、シンがくれたヤタノカガミの盾が守ってくれたため、無事辿り着く事が出来た。
カガリは急いで行政府と連絡を取り合い、状況を把握。
スカンジナビア王国への受け入れの確認、民間人の避難艇の脱出が完了した事を確認し、
次は本部の者達や政府関係者の脱出を指示する。
連絡を取り合い、本土防衛線を維持しつつも後退させ、残りの全ての者達も避難させるのだ。最終的には軍も全て国外へと撤退させる。
それはつまり、国を、オーブを捨てて逃げるという事である。
予め想定して、外部協力も考慮に入れた数々の準備は整えてあるとはいえ、現実としてこの先待っているのは地獄である。
そして、たとえ生き延びたとしても、オーブという国は、事実上攻め滅ぼされた事となる。
意思が残っていたとしても、思いだけでは何も守れはしない。
それでも、カガリは信じていた。一人一人がオーブの意思を忘れさえしなければ、きっとまた、オーブは蘇ると。
でも、それでも、時代の中で飲み込まれ、消えて行ったとしても、
皆が生きているという事を、今は何よりも確かとしたい。
「抑えつつ後退命令!?今さら言われたって意味無いでしょ」呆れたように吐き捨てるムウ。「私達にも状況を見つつ後退しろと来てるけど・・・」
「今俺達が下がったら一気に雪崩れ込まれるよなぁ。ムラサメだけじゃ抑え切れんだろ。それに・・・」「逃げるな!」
ストライクEが建物の影より飛翔して近づき、機体とサーベルを縦に思い切り振り下ろす。
ストライクは交わし、急いで離れて影へと身を隠す。「これじゃ、逃げられん!!」
「マリューさん、AAは出来るだけ後退を。いざという時母艦が動けなくなったら如何にもなりませんから」
「分かったわ。キラ君も無理だけはしないで」「分かってます。イケヤさん達には出来るだけ離れないよう言って下さい。離れると状況が不利です」
140
ザムザザーの乱射により、戦力を大幅に失ってしまった地球軍。
「落ち着いて下さい少尉!」「うるさいっ!こんなはずは無い、俺は、俺は八浪してまで、なのに・・・・・落ちろ!落ちろっ!!」
「少尉、落ち着いて・・・・・落ち着いて下さい!
そんな事ではモーミング娘のゆりっぺが泣きますよ!!!」
「はっ!!!?」
部下の言葉に、暴走していた少尉がぴたりと止まる。
「っ!?攻撃が、止んだ・・?」ぴたりと攻撃を止め沈黙するザムザザーを不審に思うシン。やっと状況を理解したのか?
少尉は手をぶるぶると震わせ、両手にそれを当てて懺悔するかのように頭を下げる。
「ゆりっぺ・・・」
「落ち着いて下さい少尉、そんなに取り乱してしまっては、いつも少尉を励ましてくれているゆりっぺに申し訳が立ちませんよ」
「あああ、あっ」頭を上げ、乙女のように顔をふりふりする少尉。
「少尉の愛しているゆりっぺは、そんな余裕を無くした少尉なんて見たくないはずです。
きっと、もっと勇敢で凛々しい少尉を望んでいるはずなんです!だから今は状況をちゃんと見て!立向かって下さい!
さあ、大好きなモーミンソングを歌って、リラックスしましょう」
「・・・ありがとう、ダルシム、いつもお前には助けられてばかりだな」
「いえ。それより敵はこちらの様子を伺っていて動かない様子です。さあ、今のうちに歌って心を落ち着かせましょう」
全く動きを見せないザムザザーに、得体の知れない恐怖を感じるシン。「一体、一体どういう事なんだ!なんで何もしてこないんだよ!」
未知の戦略にシンの顔に汗が浮かぶ。
「モーミン、モーミン、君もモーミン♪何時でも何所でも胸をモーミン♪」「特撮出て居た、老けたフーミン♪」
「カバじゃないだろ、あれはムーミン♪」「何時でも誰でも知らん顔ー♪」ダルシムは歌いながらウィンダムを操り尽くしていた。
141
歌っていたのはほんの十数秒であったが、少尉の心は大好きなアイドルユニット、モーミング娘への愛情によって立ち直された。
「少尉。ゆりっぺの出ているダイバスターが深夜枠なのは、きっとあいつのせいです。実力があるのに深夜なのはそのためですよ」
「何!?あのやろぉ〜ふざけた真似しやがって!」
「そうです、怒りを力に変えて下さい。そしてゆりっぺへの愛で冷静に戦いましょう。そうすれば、勝てます!」
ザムザザー出撃。動きを止めていた機体を急発進させ、
止まり尽くしていたアカツキへと全速前進、バリアを張りながらクローを突き出して突撃する。
「うぁ!しまった!!」
いきなりの急接近にシンの反応が追い付かない、集中し過ぎて逆に反応が遅れてしまった。
両手のクローがアカツキ目掛けて突き出て、そのまま突き潰さんと猛進。
「うぅああ!!」スラスターを全開して上空へ逃げる。
「こいつっ!交わした?!だが、しかし!」上へと交わしたアカツキを追い、右のクローを目一杯伸ばして掴みに掛かる。
「こいつ、ビームが効かないからって・・・っ!!」唸りを上げてクローが横振りされる。
機体を放り出すようにして避けるシン。ザムザザーの攻撃は正確だ。シンの確かな腕が無ければ避けられはしない。
シンは避けながら、上を向くザムザザーの側面に流れ、サーベルを抜いて突き刺そうとする。
「こやつぁ!!」
少尉は右側のスラスターだけを高出力で放射し、機体の向きを咄嗟に変更、
サーベルはバリアに当たり激しく弾かれ、予想外の敵の動きにシンは思わず敵機から全力で離れる。
そして、離れようとした所を、勢いよく機体を回したザムザザーのクローでなぎ払われる。寸での所で翳め、避けられた、
そう思った次の瞬間、ザムザザーが機体を乱暴に放り出し、アカツキに機体側面を激しくぶつけて来た。「がっ!」「ふぐぅっ!」
アカツキは装甲の一部を損壊しながら弾き飛ばされ、それでも何とか離れ逃げ切る。
「くそっ、何て奴だ。さっきまでとはまるで別物だ!こんな・・・・・・・!?な!ライフルが」アカツキのライフルが海へ。どっぼんと音を立てて落ちた。
弾き飛ばされた衝撃でライフルを落してしまったのだ。さらに「バックパックのビーム砲が、何時の間に!?」
オオワシのビーム砲ニ門までもが先端、中心から先をそれぞれ削り取られて使えなくなってしまっている。横薙ぎでやられたのか。
142
サーベルとバルカン以外の武装を失い、あれ相手の接近戦も厳しい状況に。
焦るシンをさらにウィンダムのミサイル攻撃が次々と襲い、近づかれてはサーベルで斬られそうになる。
カガリに盾を渡してしまったので防御も出来ない。シンは殆ど避ける以外何も出来なくなってしまう。
ウィンダムはアカツキを集中攻撃しだし、ザムザザーは再びその強大な力でムラサメを襲いに掛かる。
「ビーム砲以外で攻めれば大した相手ではない。怯まず攻めろ!」「このままじゃ・・!!」
その頃ザフトはやっとオーブの近くまで辿り着き、先発のグーン隊らから情報を得て確認しつつ進行していた。新しい情報が入る。
「アスランさん、大変です。グーン隊からの報告で・・・・・現在オーブ領内を、地球軍と思われる部隊が!」
「何だって!?・・・・・地球軍がオーブに・・」
「どういう事かしら・・・。議長と、その・・彼方が公表した、オーブはロゴスだというのは誤解だったという事かしら?」
睨みつけるように、疑いの眼差しでモニター越しのアスランを見る艦長。
「・・・・・いいえ、それはありません。議長が入手した確かな情報を元にしています。間違いありません。
恐らくは地球軍とオーブの内乱という事でしょう。
こちらが揺さぶりを掛けた事を切っ掛けにお互いにずれが生じて、ここに来て仲間割れを起こしたのだと私は考えます」
「・・・どちらにせよ状況が分からないわ。ここは一端様子を
「このままオーブに向かい攻撃します」「アスラン!?」
「ほら、今光学映像も入ったようです。どうやら両軍の戦力は大分削られているようです。今がチャンスです。
横から戦闘に介入して、両軍とも叩きます。」
「何を言っているの?この戦闘は
「敵なんだ!彼らは!世界を弄び、子供達を戦いの道具とし、常に戦乱をこの世に生み続けてきたその元凶なのです!
その彼らを今、ここで見て見ぬ振りをして野放しにするなんて、私達は決してしてはいけないんです!」
143
「アスラン、だからオーブが
「撃たなければならないんです!でないと戦争は無くなりません!何故艦長は今攻めるなと言うのですか?」
「話を聞
「・・・勘違いしないで下さい。艦長がフェイスと云えど、軍を動かせるわけでは無いんですよ?
攻撃命令は撤回されません。艦長が個人的に気に入らないという理由で覆る程、軍は甘くありません」
「だから話
「そうだ・・・・・あそこにはシンが居るのに・・何故撃つなと言うんだ・・・・・
撃たなければならないんだ!撃たれる前に!シンは滅ぼさなければならない!何故それが分からない!!」
艦長はアスランに何も言わなくなった。
「はい、はい、了解しました。・・・どうやらこのまま戦闘になるようだ」
「タロウサン ナンダカイッパイデス」
「本陣が出るまでは周りを沿うようにして待機しよう。警戒頼むな、モグラグーン」
行政府の者達が避難のために次々移動し、連合が目指す奥の建物には人の気配が無くなっていた。
地下を通って集まり、カガリもそこに合流する。
「確認急げ。まだ残っている者は・・・・・・・・」カガリは兵に指示を出しながら、ふと遠い目になる。
あの時の、自分達の命を責として、国と一緒に身を焼いた者達の事を思い出す。
「ご心配無く、カガリ様。我々は彼方を置いて国と一緒に滅びようなどと考えてませんよ」
「へ?あ、いや、私は別に・・」
「我々にはまだ、やるべき事が山ほどありますからw」カガリは複雑な顔をしながらも、内心どこかほっとした。
GJ
アスランが壊れたレコードw
144
連合の市街進行は大分進み、複数の部隊がムラサメを押して奥へと突き進んでいた。
シャムスも高層ビル街を進行し、ファントムペインの仲間らと共に、街を破壊しながら驀進する。
立ち並ぶ高層ビル、豪奢な施設やお店がたくさん目に入る。
「随分と羽振りがいい国だな。他所がどうなってるか何てお構いなしかぁ?」皮肉を込めて笑う。
意地悪そうな顔で街を見詰め、そして、急に寂しそうな顔になる。
一瞬思い出されるのは幼き頃の、父親と質素な街で笑いあった、貧困に喘ぎながらも笑顔でいれた過去。
そして、コーディネイターに襲われて、目の前で消えた父親の・・・。
「・・・・・・・・(ここの奴等は・・・くそっ、なんだよ・・・)気にいらねぇ、気にいらねぇよ、こんな国!」
ビームを撃ち出し、ムラサメを建物と一緒に吹き飛ばす。目の前の現実を無かった事にするかのように。
「ミューディーの代わりの分までぶっ殺してやるよ!!」
必死に後退するAAはウィンダムの強襲に必死に抵抗する。
キラのムラサメが素早く敵機を撃ち落し、そしてすぐに次が来る。イケヤらも奮闘してはいるがムラサメだけでは厳しい。
キラは敵の攻撃が襲う度に過度に死を意識し、精神をどんどんすり減らして行く。
「はぁ・・はぁ・・・・・・・」今は戦うしかない、その一心だけで戦っている。
余裕を無くしている事を、仲間達は気づいてはくれなかった。キラが戦う事が、今では当たり前の事となってしまっている。
誰も気にも止めない。気に掛けていた者達も、気に掛けていたからこそ、無意識にそれが当たり前となってしまっている。
また敵が近づき、作業的にキラが接近したウィンダムにライフルを向ける。そして撃った。
「っは・・・」外れた。すぐに二発目を撃ち、それも外れる。当たらない。撃っても撃っても当たらない。「・・・?・・・・・っ!?」
キラの目の前が翳み、急に吐き気が襲う。
そこをウィンダムがサーベルを振り下ろした。「何故避けない!」「キラ君?!」
145
混乱しながらもキラは難とかサーベルを避ける。避けはした物の動きが明らかにおかしい。
「どうしたの?キラ君、返事をして。キラ君!」
もはや自分でもどうなっているのか分からない。ただ無茶苦茶な感覚だけがあって、何も考えが付かない。
動きがおかしくなったキラのムラサメの脇をウィンダムが素通り、AAの直前へと接近した。
「しまった!!」「まずい!マリュー殿!!」
キラが守っている事で安心し切っていた他のパイロット達が、その場がウィンダムに接近されているのを見て驚愕する。
ライフルが艦長らの目前に突きつけられ、一同が凍り付く。
「ひっ!」
撃たれる、と思ったその時、一線のビームがライフルを撃ち抜いた。
そして、素早い一機のMSがウィンダムに一瞬で近づき、一撃で真っ二つに斬って爆散させた。
「・・・・・キラ、君?」
艦長はかつて、アラスカでの戦闘で危機一髪の所をキラに助けられた時の事を思い出す。
目の前に降り立った一機のMS、あの時と同じ、じゃない。
「へ?キラ君じゃ、ない?」キラのムラサメは向こうに居る。
目の前のMSをよく見ると、やっぱりそれもムラサメだった。誰の機体なのか。
「こちらサイ・アーガイル。ムラサメ、援護します。今のうちに退艦を」
「サイ・・君?サイ君!?」「なんで彼が」「ちょっと!なんでサイが?」呆然とするクルー達、ミリアリアが一番驚く。
驚いていると次はレーダーに一隻の飛行する戦艦が映り、周りにはムラサメが付いている。
「驚きました。外の任務から返ってみたらオーブが攻撃されていて。あ、あれは自分の所属している母艦です。
行政府に連絡を取ろうとしたんですが、繋がったと思ったら行き成り切られてしまって。何にせよ、我々が援護します!安心して・・・・・あれ?」
あまりの有り得ない事態に艦長達は凍り付いていた。
土下座事件から、頑張ったんだなサイ…(´;ω;`)ブワッ
次スレがどこか分からず、今日ここを見つけて一気に読んだら
サイが、あのサイが…
サイ、ガンガレ!
あとはカズィだけだよね…
ごめんよ。最後まで既に考えてあるんだけど、その中にはカズィを出す予定は全く無いんだ・・。
146
AAと合流したサイの部隊。
味方の応援によって一気に士気が上がる。サイの操縦は正確かつ素早く、襲い来るウィンダム部隊を次々蹴散らす。
味方の声にようやく意識を取り戻して来たキラは、歪んだ視界の先に敵を見て、
何とか自分も戦わなくてはと無理をして攻撃をする。
バルカン発射。バルバルバルバルガガガガガ サイのムラサメに誤射。「こちらは味方です、撃たないで下さい!」
追い詰められたアカツキとムラサメ達。この危機を乗り越えるには如何してもあのMAを倒さなければならない。
ここで負ける訳には絶対にいかない。シンはオーブ兵らに呼びかける。
「聞こえますか?俺はこの、金色のに乗ってるパイロットです」「なんだ?」「お、お前は・・・」
モニターに映るのはザフトの放送で残虐な悪魔と名指しされたシン・アスカ、オーブ兵達は動揺を隠せない。
「このままじゃあいつらに遣られます。どうか、その・・・力を貸して下さい!」
シンの呼び掛けにオーブ兵らは答えるべきか迷う。残虐な悪魔、ザフトのパイロット、何故ここに居るのかも分からない相手。だが
「分かった・・・」「力は貸すが、お前の力もこちらに貸すのだぞ?w」「・・・・・・・っ、ありがとうございます!」
たとえシンが何者であろうと、今現に連合を相手に戦っていて、カガリの命を救ってくれた恩人である事には代わりはない。
オーブ兵達はシンと共闘する事を決めた。
「ビームを弾くあれは任せて下さい!」「ダルシム!無茶をするな!」ダルシム機がアカツキを倒すべくサーベルを抜いて前へ出る。
「少尉はムラサメをお願いします。大丈夫ですよ・・・自分は、アイドルとかに全く興味が無いですけど、
無事戻ったら少尉の好きなライブコンサートに一緒に行きたいとか思ってたりしますから。だから絶対に死にません!」「ダルシム・・・」
147
「御願いします!」「任せろ!」「その作戦、悪くは無いぞ!」「失敗するなよ!」シンとオーブ兵の間で言葉が交わされ、そして散る。
ダルシムのウィンダムが、ムラサメ達と大きく距離を空けて来たアカツキに接近、サーベルを振り構える。
「喰らえ!金色のっ!!」「させるかぁー!!」
振り下ろす直前、ウィンダムに自分から接近してしがみ付いた。敵機の腕を掴み、腕を動かせなくした。
「こんな真似をぉ!」「うおぉぉぉ!!」手首を動かしサーベルを、可動が制限されながらも乱暴に動かす。
アカツキの右肩アーマーにサーベルが接触し、一瞬だけビームを弾いて、そしてすぐに金色の装甲が焼き切れてしまった。
いくらビーム回折格子を纏っていようとも、集圧したビームを連続して当て続けられれば焼き切られてしまう。
このまま斜めに斬り落そうと腕に力を入れたその時、
黄金の左膝が振り上げられて、ウィンダムの腕が真上へと弾かれた。
ダルシムは手から離れたサーベルを一瞬見、そして次の一瞬にはアカツキがサーベルを抜き振るのが見えた。
ビームの刃が生まれて自分の視界を光が包んで
「あ・・・」そして、自分の全てが光の中に包まれて行った。
ああ・・・少尉・・・・・すみません・・・・やられちゃいました・・・・・・・・・・・でも、後悔はありませんよ・・
少尉・・・・・自分が好きなのは・・・アイドルなんかじゃなくて・・・・・・・・・可愛い、可愛い・・苺ましま・・・・・・
爆発した。
爆炎が機体を包み、その姿を残骸へと変えて行った。
「ダ・・・ダルスィムーーーーー!!!」
「大丈夫か?」「はい」「大丈夫ならば早く仕掛けてくれ。エネルギーが残り少ない機体も多い」
「くそぅ!くそっ!ダルシム!!ダルシムー!!・・・・・よくも、よくもダルシムを!!!」
148
大事な部下を死に追いやったアカツキへと、怒りのザムザザーは一直線に突っ込む。
「ダルシムの仇がー!!」「なっ!!」
突如飛び込んで来た相手の声にシンは目を見開く。
「お前がダルシムを!ダルシムを殺した!!」「ダル・・シム。・・・・・・・・ヨ、ヨガフレイムを使う、あ、あの!?」
シンの声も相手に届き、そしてその言葉に少尉は激怒した。
「貴様ー!ダルシムがずっとその名前のせいで゛インド人゛とか゛手伸び人間゛とか虐められていたのを・・・・・
死んだ後にまで、お前までダルシムを侮辱するのかー!!!」
「違うんだ!俺はただダルシムって聞いてあの
「死ねーーーーー!!!」
バリアを張りながらザムザザーが機体をぶつけに掛かる。
シンは一瞬相手の事を考えて躊躇したが、迷いを振り切ってレバーを動かす。
アカツキがザムザザーのバリア展開部に自らぶつかるようにして突っ込み、機体を傷付けながら大きく弾かれる。サーベルも落す。
「血迷ったか!?」
自機の上を後方に向かって弾かれ、飛ばされる敵機を見て少尉は叫ぶ。その直後、ムラサメが一斉にビームを撃って来た。
奴はもう機関砲以外の武器は持ってはいない、目の前のムラサメを先に始末してから弄り殺してやる。
バリアに弾かれてもビームを撃ち続けて来る目先のムラサメを標的とし、アカツキに背を向けて仕掛ける。
ウィンダムとザムザザーのビーム攻撃がムラサメを襲う。次々と倒れて行くも、ザムザザーへのビーム攻撃を止めようとしない。そして
「ふん、当たりさえしないぞ!」ムラサメのビームの幾つかがザムザザーを大きく外した。
もはや勝利を確信した少尉がクローでムラサメを薙ぎ払おうとしたその時。行き成り大きな爆発音が聞こえ、ザムザザーを大きく揺らした。
「何?馬鹿な。一体何が」如何いう事か、ザムザザーの後部が破壊されている。
キラを早く収容してあげて下さい……限界です
苺…まし…ま……
149
武器が無いと思ってアカツキに全く注意を払っていなかったのが問題であった。
ムラサメが撃った、近づけば近づく程外すわけが無いのに外れた、意図的に後方へと送られたビームを
アカツキが装甲で反射させ、ザムザザーをバリアの無い後方から撃ち抜いたのだ。
「は?は、はは」眉を潜ませながら信じられないという顔で苦笑する少尉。
ザムザザーはバリア発生機器を損傷してバリアを失い、ただ大きいだけの的となってムラサメの集中砲火を浴びる。
そして、機体のセンサーから光が失われ、巨体をふら付かせながらゆっくりと降下して、
「どうやらここで一緒に逝けそうだ、ダルシム」「・・・・・・・お供します」「自分もです」
「ふっ・・やっと、しゃべってくれたなw」「人見知りなんですw」「すみません。一緒に乗ってるのに、あんまり話せなくて」
「いいや、いいんだ。いいんだよ」「はい・・」「逝きましょう」
爆発した。
その後、避難艇を襲っていた部隊はこの場は不利と判断して艦隊方面へと撤退し、その海上にはシン達と、
ここで儚く散った者達の残骸だけが取り残されていた。
シンはオーブ兵らに賞賛されたが、その顔には喜びと呼べる物は何も浮かばなかった。
代わりに、今にも泣き出しそうな悲痛な表情だけが浮かんでいた。
ついさっきまで、ほんの少しだけど言葉を交わした相手の声が、シンの心の中に今も生々しく響いている。
「やるって決めたから・・・決めたんだから・・だから」
守るためにと願った気持ちは、戦場に立つシンの心に虚しさだけを募らせるのだった。
>>67 >カズィを出す予定は全く無いんだ・・。
「そ、そんな…」w
GJ
ザムザザーのキャラ達にワロス
保守
保守
150
「どうしたんだキラ?しっかりしてくれ」「サ、サイ?」
かつての仲間の声でようやく正気を取り戻したキラ。
サイはキラの普通じゃない様子を心配し、早くAA内に戻るよう促した。
「大丈夫だ。ここは俺達が抑えるからキラは早く中へ戻ってくれ」「サイ・・・・ありがとう」
キラが甲板へ降りAAの中へと戻ろうとした時、
急にキラの中に激しい感覚が飛び込んで来た。
「こっ、これは!?」「どうしたキラ?」
キラは戻ろうとした機体を翻し、再び中空を舞い出す。「どうしたんだ!?キラァ?」「この感じ・・・・・・・そんなはず無い・・彼はもう」
「この感じ・・・・・奴か?」
同じ時ムウも頭の中に激しい感覚を感じていた。
ムウはAAとは少し離れ、ムラサメらと共にスウェン達とまだ戦っていた。
「何所までも・・・!」スウェンはムウをとことん狙う。
「くっ!流石にそろそろ不味いか・・・?おい、AA!」
「ムウ、如何したの?」
「そろそろこっちの部隊が・・・・・・それと、この近くにザフトが居る!俺の勘が言っている」
「なんですって?ザフトが?」
「(この場所を単機で奴が居るとは思えない)・・・・・居るとすれば奴等は複す、ぐわぁっ!」
「ムウ!?ムウ!!」
151
「待ってくれキラ!如何したって言うんだ?」
「それは・・・・・・サイ・・・サイ?あれ?なんでサイがこんな所に?
駄目だ・・・・・しっかり気を・・・サイがMSに乗れる訳が無いし・・・・・・・駄目だ僕、しっかりしないと」
「乗れるよ!俺MS乗れるよ!」
追い詰められ、アンカーを右腕に突き刺されて引っ張られるストライク。
建物に何度も叩き付けられながら引き寄せられ、腕が砕けてアンカーが取れやっと離される。ライフルが腕ごと落ちる。
そこをストライクEが接近され、盾を投げつけて接近を拒みながら距離を難とか取ろうとする。
「下手な小細工ばかりを!」「うるせぇ馬鹿!何が小細工だ。小細工何て俺の性分じゃねぇ!」
「盗んだ機体で騙し討ちにしようと考えた者が何を言う・・・」
「盗んだ機体?・・・・・!
おい!お前、インパルスは、スティングを如何しやがった!」
逃げるストライクをビームガンを打ち鳴らして追いかける。
「(スティング・・・?)あれは始末した。貴様もすぐにああなる」
言葉を失うムウ。
予想はしていたとはいえ、スティングが彼らの手によってやられていたなんて。
「お前!あれに乗っていたのは、お前の仲間だぞ!」
「理解出来ない」「お前!!」
「貴様がしている事と言っている事は矛盾し、かつ状況を説明する言葉は足らず。よって理解できない。無駄話が過ぎた、いい加減撃破する」
飛び上がり踵のアンカーをビルの上方に打ち、それを用いてターザンのように中空を大移動しながらビームガンを乱射、
ムラサメを一掃しながらストライクの上を飛び越えて後に回り込んだ。
逃げ道はストライクEが、来た道からはウィンダムとスローターダガーが。挟み撃ちにされたストライクへ集中砲火が放たれる。
152
「ちくしょー!!」建物の合間に入り込み全力で逃げ出すムウ。
追撃の放火は避けられず、ストライカーを爆破し、左腕も貫いて抵抗する術を全て失った。
「フラガ殿!」「!!」
AAに付いていたムラサメ隊、イケヤらが逃げる先に現れた。マリューの指示でこちらに遣されたらしい。
「AAから離れ過ぎです!御主らだけでは」「すまない。一緒に居た奴等は、もう・・・」「・・・・・とにかくAAまでお引きを」
「もっ、もう駄目だぁー!!」「諦めるな!何としても、ここから避難されるまでは!」
要人の居る施設の前で防衛に当たっているムラサメ隊とM1隊。
避難が遅れた要人達がまだ施設に残っており、地下から安全な所まで逃げるまで何とか持たせようとしているが
「敵機尚も増え続けてます!増援は来ないんですかぁ?」
「何所も彼処も手一杯だ!我々だけで何としても・・」「無理です!!!」
ムラサメもM1も次々に撃破され、ウィンダムとスローターダガーの群の前でもはや処刑されるのを待っているような状況である。
「何としても守るんだ!!」「ひっ、ひぃー!(嫌だ!死にたくない!死にたくない!!)」
覚悟してここに居るとはいえ、自分が死ぬ事が確定の状況に幾人もの兵達が内心半狂乱である。
それでも強がって、自分に何かを言い聞かせて必死に抵抗する。そして撃たれる。
「駄目です!エネルギーが、もう!」
絶対絶命で兵達の心の悲鳴が叫ばれる中、突如、遥か上空から黒い塊が地面へ向けて雲を突き抜けて来た。
「なんだ?」「これは?」謎の降下物体にどよめく連合兵達。
「あれは?」「まさか!連合の降下部隊なのか!?」更なる危機を思わせるそれに顔を顰めるオーブ兵達。
塊が空中で割れて周りを覆っていた外装が吹き飛び、その中から3つの黒い塊が、一つのそれを割ったかのように姿を表した。
153
黒く大きく重厚な装甲に覆われた謎の機体が、ずしんと重い音を起てて大地へと降り立った。
モノアイを点灯させ、大きなバズーカを豪腕で構えた。
「くっくそっ!これ以上は、これ以上はやらせんぞぉー!!!」
敵機と思しき三機に攻撃しようとするが、向けた瞬間、ライフルが轟音を響かせて爆発した。「!?」
黒いMSが放ったバズーカのビームがライフルを撃ち抜いた。「ああっ!!」
それを見て連合兵はそれを味方なのだと認識、注意をムラサメらへと戻し、武器を失ったムラサメへとカービンを構える。
「もらったぁ!」「ひっひぃー!!」自分へ向けられた銃を見てオーブ兵は死を覚悟する。ところが
「喰らいや、ふぐぅぁ!!」
カービンを構えていたウィンダムが爆発した。
さらに立て続けにウィンダムらが撃破され、部分的に連合機の姿が無くなる。あの謎の三機の攻撃であった。
「へ?へ?」訳が分からず混乱するオーブ兵に黒い機体から声が届く。
「馬鹿野郎!こっち向けて撃とうとするんじゃないよ!」「へ?」
「退いてな!ここはあたしらが何とかしてやるよ!!」
黒い三機は機動、巨体からは想像も出来ない早さで移動し、次々に連合のMSを撃破し出した。
「・・・・・彼らは、一体・・・?」その光景に呆気に取られる。
連合機の群は勢いよく削り取られ、増援を予期していなかった布陣はぼろぼろとなる。
「やはり鬱陶しいな、地球の重力は」「肩こりになりそうだぜw」
「下らない事言ってんじゃないよ!ほら!あれ行くよ!!」「おう?」「行くのかよ?!」
三機は縦に並び先頭の、黒い機体ドムの腹部からビームバリアを展開して敵の群へと突っ込んで行く。『ジェットストリームアタック!!!』
のりのりの三人が発した声と共にドムが驀進、敵のビームを押しのけて爆炎の嵐が戦場を焼き尽くす。
「ラクス、ザ、ファイヤー!フォー!!」「うるさいって、マーズ」「きちっとしな!きちっと!」元ラクス様ファンクラブ会員、現ラクス親衛隊が駆る。
GJ
ドムはオーブの味方かw
所々にギャグが散りばめられている所がいいなw
154
「あれは・・・くっ!」
ムラサメらと共に補給間へと向かおうとしていたシンは、艦隊で押し寄せる彼らに気づいてしまう。
「どうした?」「なんでこんな時に・・・・それ貸して下さい!」「おい!」
シンは近くのムラサメからライフルを奪うと、一機でその場から離れた。「どうしたんだ!?戻って来い!!」
ザフト艦隊がオーブへと迫る。
「・・・レイ・ザ・バレル。レジェンド、発進する!」「ルナマリア・ホーク。グフ、出るわよ!」
ミネルバより発進するザフトのエースパイロット。ルナはグフの色を赤にする時間が無い事にがっかりしている。
「アスラン・ザラ。デスティニー発進どうぞ」
「了解した。アスラン・ザラ。デスティニーセイバー、出る!!」デスティニー発進、PS展開で装甲が赤に。
「・・・・・・え?」
メイリンの口から疑問の声が漏れる。
「どうしたんだ?メイリン」
「いえ、その。デスティニー・・・セイバー、て・・???」
「なんだ?君は目が悪いのか?今日はコンタクトをしていないんだな。なら仕方が無い。
デスティニーセイバーの色は赤で、頭部はセイバーの物を使っている。だからセイバーなんだ。分かるか?」
「あ・・・その。え?」混乱するメイリンに艦長は小声で言う。
「デスティニーのままで認識していればいいわ。彼の言う事は、その・・・受け流して頂戴」
「・・・・・はぃ」
それでも混乱するメイリンを尻目に、アスランはセイバー?を駆って驀進する。「復活したセイバーの力を見せてやる!」
155-A
「何?あの機体」遠くに映るドムトルーパーズの姿に驚くマリュー。
「艦長!ラクスさんより通信です!」何時の間にか脱出艇でオーブを離れ始めていたラクスからAAに通信が入る。
「マリューさん。降下ポットのMS隊は敵ではありません。私達にお味方して下さる方達ですわ。どうかそのように」「分かったわ」
「あ、それと。もう一方降りて来て下さると思いますので」
何かに呼び寄せられるようにAAから離れようとするキラを必死に止めるサイ。
「どうしたんだ?向こうには何も」「まだサイの幻が見えるなんて・・・・・それよりも彼が、もし生きてるなら」「キラ!」
ごたごたしている間にも敵は接近し、勢いは依然変わらない。このままでは艦を完全に撤退させられない。
「如何にか足止めだけでもしないと・・」『だったら俺に任せな!!』「!!」
突如聞こえてきた謎の通信、聞き覚えのある声がマリューに伝わり、そして上空からその声の主がポットに守られ降下して来る。
「その声!まさか!」「ふっ!」「バルトフェルドさん!!」
ドムトルーパーズと共に宇宙より応援に来た、砂漠にその名を馳せた伝説の砂漠の虎アンドリュー・バルトフェルドである。
「真打の登場だ!!下がっていろキラ!」「へ?バルトフェルドさん!?」「俺に任せろ!!」
宇宙からの虎が華麗に降臨し、横領したガイアで敵機から大切な人達を守り抜くべく今、その姿を表す。
「とうっ!・・・・・・・・・・・あれ?」はずだったが、降下ポットの不具合でポットが開かず、虎は折の中から抜け出す事が出来ない。
「ていっ!この!おのれ!なかなかやるな。最新鋭のポットだけの事はある。だが俺に掛か・・・・・・・・な?!うあああああああ!!!」
巨大な着水音と飛沫を上げて海へと落ちてしまった。
「バルトフェルドさあぁあぁぁぁぁぁん!!!」キラの叫びが激しく揺れる海面に響き渡る。
「そんな・・・バルトフェルドさんが。・・・・・マリューさん・・」「悲しいけど仕方が無いわ。放って置きましょう」「えぇ!!」「それよりムウが心配だわ」
海に散ったバルトフェルドの顔がすうっと浮かび、キラの心に悲しみを生む。「バルトフェルドさん・・」
155-B
オーブ本島の周りを縫うように巡回していたモグラグーンだったが、何時の間にか仲間達と逸れてしまった。
「テキノハンノウガ タクサンアリマス
コチラヲネラワレタラ カイヒスルコトハ ムズカシイデス」
「何でこんな所まで来てしまったんだ・・・操縦してたのは俺だけど、まさか途中で引き返せなくなるとは思いもしなかった」
「トニカク ココカラニゲルコトダケヲ ダイイチニカンガエマショウ」
「何しに来たか分からないけどな・・」
「ホントウヘモグッテ ホンブヘコウゲキスルコトガモクテキデシタガ
コノランセンダトワタシタチガ ヤラナクテモ モクテキハタッセラレルカノウセイガトテモタカイデス」
「そういう問題じゃない気がするけどね・・・・・・でも、如何しようもないか・・・」
この身が危ういにも関わらず呑気に会話するタロウとモグラグーン。
水中をのろのろと進んでいる一人と一機だったが、突如
ばっしゃーーーん ごーん
「うわぁっ!なっななな、なんだぁ?敵襲かぁ!?」「ナニカオチテキマシタ!」上から落ちて来た謎の物体がモグラグーンに当たり、グーンの頭がちょっとへこんだ。
そして、落ちて来た物体、黒い塊は水中で外装らしき物をばら撒き、
オレンジ色の装甲を持つ中身を露にして浮かぶ。
「これは、MS?!」「コウカポットノザンガイラシキ モノガアリマス!」
これが虎と土竜の出会いであった。
GJ
モグラグーンカワユス
155-C
ここは、どこだろう。
すごく気持ちが良い。こんな気持ち感じたのは、ものすごく久しぶりな気がする。
自分がすごく自由な、そんな気がして・・。
俺は、誰だっけ?俺今まで何を、していたんだろう?分からない、思い出せないや。
・・・・・・・あ・・・あれは、アウル。
そうだ。あいつはアウルだ。
いつもうるさくて、いい加減で、しょっちゅう余計な事して困らせられたっけな。
なんで忘れてたんだろう。忘れるはずが無いのに。
そうだ。ステラも居る。そこに居るんだな。
一番危なっかしい、いつも俺が何とかしてやらないといけなくて。・・・・・・何で何とかしてやらないといけないんだっけ?
俺達、何をしていたんだ?駄目だ。思い出せない。
あいつ・・・・・キラ。
あいつはすごく腹が立つ奴だった気がする。
シン・・お前はどうでもいい。
ネオ・・・お前の事は何だかぶん殴ってやりたい気がする。
・・・・・・・・・・・・・・・・え?なんで・・・だって・・・・お前は俺の目の前で・・・・・・・・・俺の弟・・・
コックピット ハ ブジノヨウデス こっちのオレンジのと一緒に引っ張れるか? ヤッテミマス!
何か声が聞こえる。誰の声?分からない。分からない、別にそれでも・・・
と、虎あぁぁぁアァァァっッ!?wwww
何はともあれGJ!w
オクレ兄さん助けてもらえそうだ
GJ
保守
ムウって新シャアではムネオで定着してたのね。知らずにムウのキャラを漏れは。。
156
「なんだ!?」「後からだと?ザフトか!?」「横からもだ!くそぅ、あいつらぁ!!」
突如現れたザフト軍に襲撃される連合軍。
MSが殆ど出払っていて抵抗する術が無く、簡単に接近されて艦が沈められて行く。
デスティニー、レジェンド、グフは艦隊を破壊しながら本島へと迫り、オーブ、連合両方を壊滅させるべく圧倒的な力を振るう。
「何所だ、何所に居るんだ?シン!出て来い!シン!シンー!!!」
「(・・・これは?オーブは国を捨てたのか?)アスラン。オーブ軍は既に戦力の殆どを消失している。ここは連合の
「隠れているのは分かっているんだぞ?早く出てくるんだ!シン!お前は間違っている!!」
「・・・そうですね」
「無事だったのねムウ!」「ああ、何とかなっ」無事帰艦したムウに歓喜するマリュー。
その声をキラは冷やかに受け取る。そして、海に散った虎から目を離し、何か一瞬考えてから再びAAから離れようとする。
「キラ君!」「どうしたんだキラ!?」
「ムウさん・・・感じる、感じるんです。彼が・・・・ラウ・ル・クルーゼが生きて・・・・・っ!」
「クル・・・おい、違う!奴じゃない!この感じ・・・・・奴じゃなくて」
キラはムウの声を聞かず、止めようとしていたサイを振り切って単機で飛び去って行ってしまった。
「キラァ!!くそぅ!止め切れなかった!」「あいつ・・・・・違うぞ。奴は・・」
近い。さっきよりも強く感じる。行かなくちゃ。僕が行かなくちゃ。
キラが一人ムラサメで行く姿を見詰め、一人だけ喜ぶ者が居た。「(これで万が一消えてくれれば、彼と、あの人の計画に近づく!)」
「ふぅっ・・・!!この感じ・・・・キラ・ヤマト!!!」レイもキラを感じ、顔に憎しみを募らせる。
157
「ザフト・・・了解。すぐに帰艦する」
ムウの逃げた方向へ追おうとしていたスウェンに戻るよう命令が下りる。ザフトの襲撃に艦隊が大打撃を受けているためである。
ファントムペインの艦は襲撃されている所から距離を取り、本部隊だけは確実に逃げ帰れるよう考慮されている。
一部の部隊が命令を受けて艦隊側にきびすを返す中、シャムスは相変わらず大快進撃を続けていた。
ほぼ中心部まで通って来た場所を壊滅させ、たくさんのムラサメを葬った。それがまだ続くと思われていた、が
「随分派手に!」「やってくれるじゃないか。だが」「あたしらが来たんだ、終わりだよ!!!」
瓦礫を貫いてシャムスの前に、
マーズ、ヘルベルト、ヒルダの三人が派手にぶち破って現れた。
スローターダガーらが現れた三機にビームを撃ち付ける。しかし、ビームバリアが展開され、全てをあっさりと弾き飛ばす。
「何だと!?ビームが効いてねぇじゃねぇか!!」
驚くシャムス。ドムは縦に並んで驀進し、サーベルを構えて掛かろうとしていたダガーらを近づく前に次々撃ち落として行く。
お付のダガーは殆どが撃破され、次はお前だと言わんばかりにドムがヴェルデへと突き進んで来る。
「ちくしょっ!!」
ヴェルデのビームも撃ち付けてみたものの効かず、シャムスは仕方なく残存機と共に迎撃しながら建物を割って逃げて行く。
「何寝ぼけてんだい!逃げるくらいなら戦場に来るんじゃないよ!」
「わざわざ追うのか?w」
「あんなの無傷のまま放って置けないだろ!余計な事言ってないで追うよ!」
「なぁ・・・今言うのも何だけど・・・・・マーズが考えた技名いちいち叫ぶあれ、止めにしないか?」
「却下だ。行くよ!」「おうよ!」「・・・・・」
158
オーブ軍は場所によって大きく差がありながらも少しずつ撤退して行き、裏側から島を離れるオーブ軍艦も多数出る。
「逃げ出したオーブ軍は放っておけ!どうせ奴等にもう力は無い!
それよりも連合の部隊を、体勢を立て直される前に叩くんだ!残りのグフ、バビ隊も出せ!このまま一気に叩く!」
「アスラン司令からは依然、特に指示はありません。
ミネルバからは、攻撃開始前に出された指示の通りにと」
グフ、バビ、グーン、ゾノ、アッシュ、ザク、そして艦隊の総攻撃により連合は一気に戦力を失って行く。
オーブ侵攻に費やされた連合の戦力はもちろん全てでは無いが、
この戦闘での損失は連合に取っては予想外、かなりの痛手である。
ロゴスのオーブだけではなく、議長の呼びかけに賛同しなかったロゴス寄りの連合にまで大打撃を与えられる。
ザフトの将兵達は、アスラン・ザラはそこまで見越していたのかと、彼に対して大きな尊敬の心を抱いた。
が、アスランは連合が侵攻している事など全く知らず、
単にシンやキラ、カガリが気に入らなくて侵攻を決めたのだった。レイ達以外、誰もそれを知らない。
「実弾も効かないんかよ!!」追い詰められ、海岸まで来てしまったシャムス。既にお付は全滅。
ミサイルや対装甲弾等の実弾も加えてみたが、腕に備えられたビームシールドが展開され、全てドムには当たらない。
「なんでだよ・・ずるいじゃねーか・・・こんな所で、死ねるかよ!」
「シャムス!!」「はっ?!ミューディー!!」シャムスの元にミューディーの声が届く。カメラを動かすと遠くの海上に母艦が。
「シャムス、あんた!」ヴェルデにどんどん近付いて来るドムの姿。画面越しにミューディーの目にも見える。
「へっ!・・・・・・黙って見てろよ、ミューディー。俺がこいつらをぶっ潰す姿をよ!」
「馬鹿!強がってないで早く逃げてよ!あんた一人じゃ!」
159
海岸に仁王立ち、ドムに向けて砲身を構え、全く動こうとする気配が無いヴェルデ。
「覚悟を決めたね!取って置きのお見舞いしてやるよ!」「あれ行くって訳だな!」「やる必要無いだろ・・」
ドムトルーパーズは止めを刺すため必殺技を決める体制に移る。
「ふざけんじゃないわよ!!あんたそんなに死にたいの!!?」
「・・・・・・死なねーよ!」「え?」「死なねーんだよ、俺は!!」
ドムは相変わらず一列に並んでいる、しかし、ヒルダらの出そうとしている技はジェットストリームアタックではないのだ。
「死なないって・・・・・・・・・死なないでよ!シャムスっ!!!」「死なねーさ・・・・・俺は死なない。だから、また一緒に・・・」「シャムス・・・」
シャムスはライフルを連結させ、最後の、二連装ビーム砲を発射した。
強力なエネルギーが地表と空間を焼き、ドムへと真正面から激しくぶつかった。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」『ライトニングスラッシュ!!!!!』
ビームバリアが莫大なエネルギーとぶつかり合い、先頭のヒルダ機が激しい抵抗エネルギーで失速する。
しかし、ビームを弾くヒルダ機を盾にして左右側面から、マーズ、ヘルベルト機が飛び出し、
ビームの両側面を高速で走って、ヴェルデへと接近した。高出力のビームを発射していて曲げられない。
「・・・・・ミューディー」「シャムス!!!」「愛してるぜ!!」
左右のドムは共にサーベルを、通りすがりにヴェルデへと切り払って抜けて行く。
「シャムスゥウゥゥゥゥウゥゥゥ!!!!!」涙と悲鳴のような叫びに包まれながら、ヴェルデはライフルから、センサーから光を失って
「・・・・・ごめん・・パパ・・・・・・・・僕・・・パパのかた・・・・・・取れ・・」爆発した。
「流石はヒーローを参考にした必殺技だ!駄作だなんて言わせないぜ!」「最終回の永遠の切り札は泣けるからね!」「・・・・・」
「・・・・・シャムス・・シャムス。・・・あいつら・・・・・・・・許さないっ!!!!!」ミューディーの瞼に焼き付けられるドムの姿。
いつか、必ずあいつらを、自分の手で八つ裂きにしてやる。ヒルダらが楽しく笑う中、今戦う術の無い彼女は、そう誓った。
「選ばれなかった未来」番外編・見上げる空はグレイト
オーブ侵攻から時間が幾らか過ぎた。連合の最終兵器が完成した。もはや゛やつら゛を撃つにはこれしか方法は無い。
「これが連合の技術の全てを結集させて作り出した地上最強の兵器」
「我々の希望」
砂漠に一列に並んだ、バスター。
バスター、バスター、バスター、バスター、バスry
百機のバスターが並び、宇宙に浮かぶ敵を撃つために連合の戦士達が家族と涙の別れを終えて機体へと乗り込んで行く。
連合の技術部から理論上可能として発案され、今実現されようとしているバスター連結兵器。
バスター、スーパーバスターアタックで敵を撃つんだ。
用意されたバスターの連結武装を、百機全部繋げて放つ、宇宙の果てまで届く最強の超ロングライフル。
出来っこない。違う。出来る出来ないじゃない。出来なきゃいけないんだ。
兵達が希望と愛を胸に、司令の合図と共に連結開始。
そして、連結が完了し、再び合図が放たれて、全てのバスターの力が一つになる。
「バスター!」「バスター!」「バスター!」『バスター!!!!!』百身一体、スーパーバスターアタック。
愛と勇気と友情の超パワーが爆誕、爆誕して、大爆発した。
「そんな馬鹿なっ!理論上可能だと技術部からは・・・」
大爆発を起こし、兵達の家族は涙を流しながらその場へと一斉に駆け寄る。
すると、兵達は皆無事だった。爆発したのはライフルばかりで、機体が爆発するまでには至らなかった。
涙を流して抱き合う人々。
この計画が、技術部に潜り込んだ゛やつら゛の手によってもたらされたとは誰も知らず、今はそんな事は如何でもよかった。 グレイト終り
156のほくそえんでるのはダレだ!?サイか!?黒くなりやがって・・・
彼と、あの人って何だよ!?
続きwktk
age
160
「しかし、ロード・ジブリールを捕まえると言って軍を率いていたはずだったのに、
彼が乗っているかもしれない避難艇の群をあのまま行かして良いのだろうか?」
「仕方あるまい、今は本島付近の部隊へと攻撃をせよと、それだけだ。それに避難艇を襲撃するのは・・・・・」
「だが我々が戦う目的は・・・」
オーブ軍が逃げ出しているため、ザフトの攻撃は抵抗する連合に集中されている。
一部の連合部隊はここからの撤退を指示され、
ファントムペインもMSを収容、一部のMSを見捨てて島から離れる。
「ストライクE、帰艦した」「バヤン中尉!・・・・中尉・・・コーザ中尉が・・」「・・・・・?」
「ザフト軍が侵攻との情報が!・・・・・オーブ軍、連合軍両方へ攻撃を仕掛けていると!」「本当にザフトがっ!?」「早くAAも撤退を!」
「駄目よ!キラ君が戻っていないのに逃げるなんて!」サイの部隊がAAに逃げるよう促すが、艦長がそれを拒む。
「(バルトフェルドさんは見捨てた癖に・・・)」ミリアリアの顔がひく付く。
「そうです!キラを見捨てるなんて絶対に出来ません!」「サイ君・・」
「俺達の部隊がキラを連れ戻しに行きます。必ず連れて来ますから、AAは海岸を沿いながら撤退の準備を!」
「サイ君・・・・・・お願いね・・」「任せて下さい!俺は、キラに何度も助けられて・・・・・・だから!」
サイは仲間達と、キラが飛び去った方へと向かって行った。彼の母艦も距離を取って後に続く。
「・・・AA、全速前進!離れているムラサメ隊を本艦に呼び戻して!」マリューの指示の下ムラサメが集まり
「私らも乗せて貰おうか!」「彼方達は・・・・分かったわ」ドムもAAへと合流をした。
「おい!本当に行くのかよ!・・・・・あそこで遣り合ってるのザフトじゃねーか?」「ホシノ・・・・・でも、キラを放って置くなんて俺には出来ないんだ!」
「・・・・・勝手にしろ」「ありがとう・・・」「俺は構わない。一緒に行こう」
「コクシ・・・よし!ムラサメだけだし、何だかすぐ死にそうだけど頑張ろう!」「死にそうって言うなっ!!」「まったく・・・・・しかし、方角こっちなのか?」
161
ザフトと連合の乱戦の中をムラサメで突き抜けるキラ。
駆け抜ける攻撃の雨を全て交わし、この感覚の答えを確かめるべく一心不乱に突き進む。
揺れる心を抱いたキラは、その全てを今は、この感覚で埋められているのだ。
「・・・・・(そんなはず無い。だから、確かめなくちゃ行けないんだ。僕が・・・だって、僕が!!)」
一際激しい乱戦を抜け、青々とした海の上へと抜けたキラの目の前に、姿を表した。
「・・・・っ・・・・・・これは」
あの時の、ヤキンデゥーエでクルーゼが駆っていたあの機体、
それに酷似した姿を持ち、それよりも陰り、澱んだ色を持つ機体、それが目の前に有った。そしてこの感覚。
「ラウ・ル・・クルーゼ」
「アスラン・・・」「なんだ?レイ」「あの機体・・・・・・あれに乗っているのは・・・キラ・ヤマトだ!!」
唸るような声で、カメラに映る一機の量産期を見ながらアスランに言うレイ。
悲しき因縁の相手が目の前に姿を表したのだ。
「大丈夫か、レイ?君は一端ミネルバに戻るんだ。休んだ方がいい」「アスラン!?」
「大丈夫だ。俺が君の分まで戦う。俺達は仲間なんだ。だから分かり合える。すまなかった・・君がそんなに疲れていたなんて、
俺は、全く気づかなくて・・・」
「何を言っているのです?!あれはキラ・ヤマトです!彼は
「キラがあんな雑魚MSに乗る訳無いだろ!!!
キラは高慢で!高飛車で!いつも人を見下して!自分が一番だと常に思っている最低のコーディネイターなんだぞ!
そんなあいつがあんな、被弾して一発で落ちるようなMSで出る訳が無いだろう!!」
162
「本当ですっ!!私には分かるんです!彼は」
「何だ?もしかして、君は俺の事を馬鹿にしているのか?そうなんだな?
なるほど。俺と親しくなった振りをしていただけで、君は俺を騙そうとしていたのか。」
「誤解です。話を聞いてくださ
「誤魔化すな!どうせ今も゛最低のコーディネイターはお前の方だ!!゛と、悪態を付いていたんだろう?
馬鹿にするな!君は今が戦闘中にも関わらず、オヤジフェチの変態にも関わらず俺を馬鹿にするのか?
君の異常さは尋常じゃない!自分を偽るな!本当に最低なのは自分だと認めるのが恐くて俺を馬鹿にして誤魔化しているだけだ!!」
「・・・・・・う゛ぅ゛・・・うぅぅぅぅぅっ」レイは唸りながら泣き出してしまった。
カメラに映る涙目のレイにアスランの態度が急変する。
「いや、違うんだ。決して君を変だと言っているわけでは無い。本当だ。
大丈夫、君はとても正常だ、俺が保障する!君がキラという名前を出すから、少しどうかしてしまったようだ。すまない。
大丈夫だ。君は大丈夫だ」
アスランは自分を見下す、上から見下ろして来るような人間が嫌いだ。徹底的にそのような人間は倒す。
だが、自分よりも明らかに弱い人間に対しては腰が低くなり、何とかして守ろうと四苦八苦する男なのだ。
泣いているレイがあまりにも弱そうに見えた(自分より下に見えた)のでアスランは彼を守りに掛かった。
自分を擁護するアスランを見て、レイは心を開いて、そしてアスランの性格を改めて考えて話出す。
「アスラン・・・・あれはキラ・ヤマトです。間違いありません。
彼があのような貧弱で不細工なMSに乗っているのは、自分の力を誇示するためだと思われます」
「・・・なんだと?」
アスランの目の色が変わる。
163
「彼は恐らく、゛こんな量産期で沢山のMSを相手に出来る自分は一番格好良くて強い゛と言いたいのでしょう。
見て下さい、あれの通って来た所を。
あんな乱戦の中を、あんな量産期で無傷で通り抜けてきたのです。
彼はさぞ満足感で満ち溢れている事でしょう。普段の彼の行動を見ればそれが確かであると分かるはずです。
彼はフリーダムによって手当たり次第にMSを破壊していた。彼の優越感の自慰行為です。その犠牲にハイネは・・・。
そして、わざわざアスランの居るここまで来たのは、
アスランを倒すのにフリーダムは必要無い、量産期で一発だ、そう言いたいのだと思います。
彼はアスランを見下すためだけにやって来たのです!」
「キイィィィィラァァァァァ!!!」
アスランは激怒し、キラへの憎しみで顔中が汗で溢れた。
そして、目の前のムラサメ、キラを殺す事を決意する。
「見て下さい。今も我々が止まっているというのに、奴は全く仕掛けて来ません。
我々を見下しているのでしょう」
「見損なったぞ!キラ!」
キラは目の前のそれと、クルーゼの感覚で混乱していた。
本当に彼は生きていたのか。
キラは自分が今、どうすればいいのか、分からずに膠着していた。
その時、一機のMSがキラに目掛けてすごい早さで飛んで来た。
ムウやシンを助けた時に対峙した、あの時のMS。「あれは!?・・・・・・・アスラン?!」
そろそろ「量産機」として欲しいです。
一つ聞きたいんだが、死種 終戦月日って何時だ?
メサイア攻防戦が74年って事はわかるんだが……。
GJ
アスランがレイを手玉に取っているようで、実はその逆なんだな。
それから話は面白いのに「量産期」は萎え
原点、誤字が多すぎる
申し訳ありません。量産機の誤字全く気づいてませんでしたorz
164
お願い アスランを 助けて
「へ?何・・・今の声」
アスラン達から少し離れた場所で連合軍を相手にしていたルナの中に、優しげな少年の声が響いた。
誰からも通信は無い、声が聞こえる訳が無い。それに、アスランだなんて・・。
不思議な声に首を傾げるルナ。
彼女の肩の上には何時の間にか、緑色の縮れた髪の毛が数本くっ付いていた。
「お前ぇぇ!!」接近したデスティニーは素早く取り出した対艦刀でキラに思い切り斬り掛かる。
キラは素早い動きでそれを交し距離を取って、急いでそれに向かって話掛ける。
「アスラン!アスランなの?」「何を分かり切ってる事を!馬鹿にするな!」
ムラサメにライフルを撃ちながらアスランは叫ぶ。
「そうやって俺を見下しているのも今日が最後だぞ!俺がお前を倒し、今度こそ戦争の無い平和な世界を作ってみせる!」
「何を言ってるの!?何で君が・・・・・何で君は僕に!」
撃ちながら追い掛けて来るアスランから逃げるキラ。レイは攻撃せず無言で見ている。
「お前達が世界の真の敵、ロゴスだからに決まっているだろう!!しらばくれるつもりか?!
お前達が連合と手を組んで、戦争を意のままに操っている事実を、世界の人々は皆既に知っている!
お前達が戦闘に介入し暴れ、残虐破壊の邪悪で凶悪な悪魔シンと手を組んで人々を苦しめている事を!
俺がシンの上官だという事を知って、お前はわざとシンを選んで仲間にしたんだろ?
下の人間に見下される苦痛を与えるために、シンと一緒に俺を二人で見下して、お前は、何て最低で心の無い人間なんだ!!」
165
「何を言っているんだ!アスラン!ちゃんと僕の話を聞いて!」
「お前はまたそうやって!!お前はいつもいつも、冷静に取り合っているような口調で俺を見下す!
また油断させて俺に勝つ気なのか?無駄だぞ!
見ろ、この赤い俺の機体、セイバーを。お前の人の心を弄んだ醜い攻撃でばらばらになったセイバーが、俺のためだけに蘇ったんだ。
デスティニーもだ!
俺が本気を出そうとした瞬間に汚い先手でばらばらにされたあの機体だ。俺のために二機のMSが力を繋いで・・。
なのにお前は何もこれについて俺に言って来ないな。眼中に無いという事か。
自分の力の前ではどんなMSでも同じと、そう言いたいのか?そうなんだな、お前のその傲慢な目が言っている。
ああ、そうだな。お前はいつもそうだった。月の幼年学校の頃から、ずっと!」
アスランの口調があまりにも激しいため何も言い出せないキラ。
それでも胸に秘める思いを強く持って語り掛ける。
「違うよ。僕は君を見下してなんかいない。ただ君と話がしたいだけなんだ。
それも・・ごめんね、君がそんなに機体を大事にしていたなんて。赤いね、うん、すごく。
アスラン、確かにシンがしてしまった事は本当に、取り返しが付かない事だと思う。それは僕も同じ気持ちだよ。
だけどそれには理由があるんだ。理由があっても許されない事だけど、
でも彼は君が放送で言っていたような人間じゃ絶対に無いんだ。オーブも、ロゴスの仲間だなんて話は違うんだ。誤解だよ。
・・・・君があの放送であんな事を言ってすごくショックだったんだ。だけどシンが、自分の事も大変なのに、僕と君の事気遣って、
また話せる時がきっと来るって言ってくれて。彼、君の事きっと信じてると思う。僕も、カガリだって。
君がザフトに戻ってからずっとすごく心配してたんだ。君、大切な事を忘れて昔みたいに戻っちゃうんじゃないかって。
戦うしかないじゃないかって、それ聞いて、すごく不安で。
僕と君は同じ平和を目指しているはずなのに、どんどん外れて行っちゃう気がして。僕と君が戦うなんて、絶対におかしい事なのに」
166
キラの言葉を黙って最後まで聞くアスラン。画面に映るキラの顔を見詰め、ゆっくり深呼吸をしている。
「アスラン、僕の気持ち分かって欲しいんだ」キラの真剣な訴えにアスランの心に熱い感情が込み上げて来る。
「言い訳はそれだけかキラ?」「アスラン!?」
まさかの一言にキラは口をぱかぱか開けて固まる。
「いつまでも俺が騙されるだけの人間だと思ったら大間違いだぞ、キラ!
シンが俺を信じている?ふざけるな!あんな最低な悪魔が俺を信じている訳無いだろ!!シンなんだぞ!!
オーブがロゴスか如何かなんて、如何でもいい!問題なのはシンだ!!お前とカガリもだ!
俺が指輪を渡した途端に他の男と結婚だと?罠か!最初から罠だったんだな!?俺を希望から絶望に叩き落すための!
あんな奴、俺の方こそ最初っから好きでも何でもなかったんだぞ!本当だぞ!(アスランの瞳にじわりと涙が浮かぶ)
シンは如何し様も無い、屑だ!悪魔だ!見下し魔だ!それは俺が一番よく分かっている!
そんなあいつを守ろうとするお前もオーブも悪だ!何が違う!何故違う!それが事実だろうが!」
「アスラン・・・君は!」
「ほら見ろ!またお前は明確な反論もしないままそうやって人を変な物を見るみたいな目で見下して来る!
お前はそうやって人の弱い所を見る事しか考えられない哀れな人間なんだ!
俺の機体が何体も駄目になった気がするけど全部シンが細工してたせいだろうから俺のせいじゃない!!当たり前だ!俺がへまする訳無い!
ジャスティスを核爆発させた時にたくさんのザフト兵を巻き込んだとか言われたけど
キラが頑張ってなかったせいだから俺のせいじゃないんだよ!!お前だよお前!
カガリが俺と居るせいでコーディネイター寄りだとか批判されてたけどナチュラルが馬鹿で俺を僻んでるだけだから別にいいんだよ!!
ヨウランが心に深い傷を負ってレイに俺のせいだとか言われたけど
本当はシンの虐殺にヨウランのやさしい心が傷ついたのが理由だろうから俺は別に悪くないんだよ!!シンのせいだろほら!
女に捨てられて戦いにも負けて何だか俺すごく惨めで悲惨だった気がするけど全部シンのせいだからシンを倒せば全部上手く行くんだ!!」
>>104間を特に表現したくて原点を多用してしまう癖が。
167
「どうしたんだアスラン?!君はそんな事を言う人じゃないはずだ!」「うるさい黙れ!」「くっ!」
大型スラスターによってムラサメにいとも簡単に接近したデスティニー。左手がキラを手ビームの餌食にしようと突き出される。
「くそっ!」キラは思わずムラサメの足でデスティニーを蹴っ飛ばしてしまう。
がっ ぴゅーー
「ちぃっキラめ!
・・・・・ん?あ、ああ!うわ、わ、うわあぁあぁぁぁ!!」
突如叫び出したアスランにレイが心配して声を掛ける。
「どうしたんです!?何所かやられたのですか?!」
「あ、ああ、レイ!そ、それが・・・」おどおどとした口調で言うアスラン、彼の機体をよく見ると「デスティニーセイバーの頭が無いだと!?」
そう、キラが放ったムラサメの蹴りがセイバーの頭に直撃し、首の根元から取れてしまったのだ。
「どどどっどうしよう?!こ、これじゃあ、これじゃあセイバーじゃ無いじゃないか!!」
「しかしアスラン。メインカメラが無くても私と二人で奴を攻撃すれば」
「そうじゃない!!カメラなど如何でもいい!
そんな事じゃなくて、セイバーの頭が無くなってデスティニセイバーじゃなくて、ただの赤いデスティニーになった事が問題なんだ!!」
「落ち着いてアスラン!」「キラ!そんなに俺を馬鹿にしたいのか!頭が取れた俺の機体をそんなに笑いたいのか!」「ち、ちが」
キラをすごい目で睨みながらもアスランは恐怖していた。「セイバーの頭が無いと俺は、俺は!!」
その時、アスランの元に反撃の声が。
「大丈夫だぞアスラン!やれる!アスランならやれる!」アスランを熱烈に応援する熱い声。
「アーサー!!」ミネルバからのアーサーの声を聞いた瞬間アスランの戸惑いと恐怖は一気に消え去る。そして、顔に自信と勇気が蘇る。
「セイバーの頭は飾りだアスラン!頭は、アスランの背中を一押しするための物だったんだ!アスランの真の力はアスランの中にある!
自分を信じて戦うんだ、アスラン!君ならやれる!君だからやれる!」「アーサー・・・俺、俺、大切な事を忘れていたよ!」アスランが蘇る。
やっべぇ、すっげぇ笑える・・・
ブーステッドマン並みに職人さんに弄られたアスランを思うと…
アスランの幸せを祈らずにはいられない。
>>105のオカルト展開にガクガクブルブル
凸の壊れたテープレコーダーにワロタ
保守
本編の凸がここまでのアホだったら、俺はきっと凸厨になっていたw
アスラン大好きでこんな事になっちゃってるんだけど、やり過ぎだというアスランファンが居たら本当にスマソ。
ちょっと駄目なアスランが好きなんだ。
168
「くそぅ!キラを完全に見失った!」「どうすんだよ・・・」キラを連れ戻すため追い駆けていたサイ達だったが、
完全に見失って今は連合とザフトの乱戦の手前で途方に暮れていた。
「うぅ・・これじゃあ如何し様も無い。キラを信じて今はここを離れよう」
「だったら最初っから追うとか言うな!!まあ、この先行くのは流石に不味いからな。さっさと退こうぜ!」「・・・・」
「如何したコクシ?」「いや・・・(最初から・・・いや、そんな訳は無いな)」「キラ。無事で居てくれ・・無事で」
「キラ、お前を殺す!もう誰もお前の力で傷つけさせやしない!俺が世界を守る!」
「やめるんだアスラン!君は間違っている!」
「ついに本音を漏らしたなキラ!やはり俺を説得する振りをして俺が間違いだと、悪だと決め付けたかっただけなんだな!
くそ!少しでもお前を信じていた俺の気持ちを・・・・・ニコルの事も本当は如何でもよかったんだな!?」
「ニコル・・・・・誰それ?」無垢な子供のような顔で聞き返すキラにアスランは激憤する。
「キィラァァァ!!お前が、お前がニコルを殺したぁぁ!!」
「ニコル・・・・・・・あっ!違う、違うんだ!忘れていただけで、如何でもいいだなんて」
「まだ十五で、いつも俺より下手で、ものすごく慕ってくれてて、チン毛頭だって苛められてるのを助けるのが俺の生甲斐で!
あのまま俺の舎弟にしようとしたのにーーー!!!!!」
怒りを翼に込めて光の翼を展開したアスラン。今亡き友をその光の中に見せてくれそうな、美しい輝きの翼。剣を構えてキラへ。
ピーピーピーピー 「!?」
デスティニーのコックピット内に突如鳴り響いた警告音、エネルギー切れ?馬鹿な、そんな筈は。だって核エンジンだし。
アスランが混乱しているとアーサーから通信が入り「大変だアスラン!デスティニーのハイパーデュートリオンシステムに欠陥が!!」
169
「なんだと!?」
デスティニーに元々有った核エンジンの欠陥によって一時帰艦を余儀なくされたアスラン。(アニメオーブストフリ戦を参照・・・)
友情の熱い力を今まさにぶつけようとしていたアスランは、あまりの間の悪さとばつの悪さにコックピット内で手足をばたばたさせる。
「ニコル・・・ニコルゥー!!!くそう!俺は、俺はー!!!」
「アスラン、ここは私に任せて下さい。アスランが戻るまで私が時間を稼ぎます」自分が倒すとは言えないレイ。
「レイ・・・・・分かった、頼む。
キラ、命拾いしたな」
アスランは少し遠慮がちな捨て台詞を吐いてミネルバの方へと飛んで行った。「シンめ!こんな所にまで罠を!」
残されたキラとレイ。落胆、呆然としていたキラだったが、二人になって改めて目の前の相手を意識する。
デスティニーが遠くに去った瞬間、今まで沈黙していた影色の機体がその牙を急に剥き出した。
「なっ!」「えいぃっ!!」影色の機体レジェンドの背部の突起が前方に可動し、ムラサメに向けて十数本のビームが放たれる。
避け逃げるキラ、空かさず追い駆けビームを引切り無しに撃つレイ。
「君は、君は誰なんだ?!本当に、ラウ・ル・クルーゼなのか!?」
キラの声にレイは押し黙り、無言で憎しみを顔に募らせる。そしてすっと顔からそれを消して、無表情で別人のように語り出した。
「お前には分かるだろう。そうだ・・・・私は、ラウ・ル・クルーゼだ!」
「そ、そんな!?如何して君が、如何して君がまた!!」
「如何して?それはお前自信が一番よく知っているのだろう?」
「なっ、何・・・を」
「人の夢、人の未来、その素晴らしき結果、キラ・ヤマト!お前は今度こそ消えなくてはならない!今度こそ、私の手によって!!」
「あ・・・ああ・・」今再び突きつけられようとする彼の言葉、クルーゼの言葉。
戦後、世界から離れ、ラクス達と共に海岸から空を眺めても決して消えなかった彼の答え。彼の言う通りになった世界。
一時の安らぎを偽りであったと突きつけられるように、彼がまたキラの前に立ちはだかる。
170
「・・・・・僕は」何も言えないキラ。
あの時も、ヤキン戦の時もキラはクルーゼに何も言えなかった。いや、一つだけ言えた。
守りたい世界が、人達がいると。理屈なんかじゃない、一人の人間として絶対に譲れない願いがそれなのだと。
だが、目の前の彼に再びそれを叫ぶ事などキラには出来なかった。世界が辿った彼の言葉のままの道、それを知っては願いがあっても。
「お前の存在は、私のこの未来も無い私自身の苦しみを肯定する!」
「そんな・・・」
「私が、我々がどれだけ苦しもうとも、これから先どれだけ我々と同じ子供が生まれ様とも、
お前が夢の形である事、成功で、未来である事、最高のコーディネイターであるという事が、それは間違いでないという事を証明する!
お前は完璧だ。
夢だ、希望だ、未来だ!だから人はお前を正しいとする!
そして、未来に行き着くためには夢も、希望も、未来も奪うしかないのだと、未来を用いて未来を作るのだと!」
「・・・・・・君は」凍り付いていた表情が溶けるキラ。姿を映さず声だけを流す相手に心の中で呟く。君は違う。
「そして人は、お前の証明するその未来を得るために、戦い続ける。永遠に、永遠に終わらない。
誰が嘆き、誰が悲しもうとも、お前が証明している。それが正しい道なのだと、輝かしい未来のためなのだと。人は泣き続ける。
だから終わらせる・・・・・今度こそ、お前をこの手で葬って!!」
「君は・・・・・・誰なんだ?」「・・・・・ラウ・ル
「違う!君は、ラウ・ル・クルーゼなんかじゃない!゛彼゛じゃない!僕には分かる、君と彼は違う!」
そう言い切り、キラはただ逃げるだけなのを止めてムラサメのライフルで反撃する。
「・・・違うものか」「・・・」「違うものかぁ!!」消えていた表情を呼び戻し、恐ろしい形相で叫ぶレイ。自分の姿を流し、キラに自分を見せて叫ぶ。
「俺は!俺は同じだ!出鱈目を言うなぁ!!お前が、お前が俺をそうさせたんだ!!」「君・・」
「俺は、ラウ・ル・クルーゼ。そして、レイ・ザ・バレル。お前を生み出すために作られた、試されし夢生みの失敗作だ!!!」
GJ
壊れたテープレコーダーがいなくなって急に話が締まったなw
171
「君は・・あの人と同じ・・・クローンの」「夢生みの・・いや、ただの資金でしかない俺の!俺のぉ!!!」
レイは冷静さを完全に欠いていた。
最初はクルーゼを演じてキラの心を捕え、確実に葬るつもりだった。
だが、語り掛けているうちに抑えていた感情を漏らし、遂には抑えきれなくなった。
もはや奴を殺したいと思う憎しみだけがレイを取り巻き、キラに凄まじい勢いで攻撃を繰り出す。
「待たせた、レイ!行くぞキラ!!」「アスラン!!」
そこに簡単な修理を終えたデスティニーが参戦、相変わらず頭が無いそれとレジェンドがキラを襲う。
「やめろぉ!アスラーン!」「終わりだぁキラ!!」「・・・・・(これで完全に終わりだ!!)」
光の翼を展開したデスティニーがムラサメを翻弄し、素早く斬りかかられて必死に避けてはそこをレジェンドに撃たれそうになる。
ムラサメは掠った対艦刀とビームで見る見る傷付いて行き、キラは戦力的にも精神的にも、もはや抵抗する力は残されてはいない。
アスランが、無二の親友のアスランが自分を殺そうとしている。分かり合っていたはずなのに。
彼が、僕を生み出すために犠牲になった彼が自分を殺そうとしている。彼の戦う理由はきっと、とてもつらい物だ。
「(このまま僕は本当に、死んでしまった方がいいのだろうか。僕は、誰にも望まれていない。
望まれているのは僕がここで消える事)」
そう思ってしまう。そう思ってしまうけど、それでも目に浮かんでくる人達がいる。自分が何故戦っているのか、それは
「やめるんだアスラン!僕はここで君に撃たれるつもりは無い!!」
「死ぬ間際でも俺を見下そうとするのか?まさかそこまでだとは思わなかったぞ!」
「君は・・・君は何で戦っているんだ!!!」「何で、て・・・・・」
「アスラン!僕が言いたかったのは、君が本当に欲しかったのはそんな君じゃないはずだって事だ!!君が本当に欲しかったのは」
「もちろん力だ!俺は最初から力が欲しくて軍に戻ったんだ!」「アス・・ラン」「終わりだ!!!」振り下ろされるアロンダイト。キラは思った。
もう皆何もかも信じられない、もう嫌だ、こんな現実嫌だ、死のう。キラが自ら死を選択しようとしたその時、一人の男がその運命を曲げた。
「やめろぉー!!!」「!!」一線のビームがデスティニーの右腕を貫いた。爆発し、対艦刀を落しながらデスティニーが仰け反る。
「うおっ!・・くっ!だ、誰だ!?」「何だ?あれは?」キラの死を選ぶ運命を許さない男がそこに居た。黄金の半壊した機体で。シンが。
現実にもいる。
人の言うことを聞かず、人が言ったなりに屁理屈で反論し、
人の言ったことで相手に対する反発をますます増幅するような人が。
結末はどうなるんだ?
キラとレイ…、ちょっとだけ同情する。
って…、キラが鬱だ氏のうしてる!、思いとどまれキラ!
シンの活躍に期待だな
こんなアホに乱暴に乗り回されたあげく、本来の持ち主に破壊されるデスティニータンが哀れでならない
172
「もう止めろっ!!オーブはもう逃げ出してるんだ!これ以上一体何をしようって言うんだあんた達はー!」
「ふぁっ・・・あっ・・ああ!あああ!!!」「馬鹿な・・この声は」「・・・・・シン?君、どうして」
響き渡るシンの声。
因縁深きその男の出現にアスランらの視線は全てそこへと注がれる。
「そこのムラサメ何やってんだ!こんな所で一機で。早く離脱しろ!」「あ・・シン。シン!」「へ?キ、キラ!?」
何故キラがムラサメに。フリーダムは?
困惑がこの場を支配する中、アスランとレイの心には各々に深い激情が沸き上がって来る。
「シン・・・(見つけた・・・・とうとうあいつを、見つけた)」「・・・(シン・・・・・生きていたんだ、本当に、生きていてくれた)」
シンは早く逃げるよう促すも、キラは逃げ出す気配が無い。
「シン、君どうして・・・・・MS」「そういう話は後だ!それよりあんた何でそんな機体に。フリーダムは?」「それは・・!!危ないシン!!」
デスティニーのライフル攻撃がアカツキを襲う。が、あっさり装甲に反射されて明後日の方向へ飛んで行った。
「くっ!こいつ!」
「ビームを弾く?なんだ?そんなに自分は優れていると自慢したいのか、シン!!そんなに俺の邪魔をしたいのか!!?」
「はっ!?アスラン・・・・・アスラン!?」有り得ない相手に驚くシン。
「金色でぴかぴかだ・・・すごく目立っているな・・・・すごいMSだな・・・・・すごいな、格好いいな、優越感だな!!ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!」
怒りのままにライフルをすごい勢いで連射するアスラン。全部当たって全部反射され、最後の一撃だけ自分の方に飛んできて避けた。
「そんな・・・・・何であんたが・・・。キラ、如何いう事だよ?!何でアスランが・・・・・何であんたを」
「余裕だなシン。その金色のMSを自慢しているのか。流石だなシン!くそめ!
まるでオーブそのものだな、お前は!そうやって周りばかりを着飾って、邪悪な本性をその中に隠しているんだろう!!」
「何を・・何を言っているんだあんたはー!!」
ザフトアスラン&デスティニーで連ザII PLUSやりたくなってきたw
173
違う、まるで別人だ。何が、一体何があったんだ。いや、一体今何が起こっているのか。
シンの知るそれとはあまりにもかけ離れているアスランの言動に頭の中が少し混乱する。
「何であんたが・・」
「何を言っているんだ?お前こそ!
俺はキラを、オーブ、ロゴスを、そしてお前を撃つためにここへ来た。そんな事も分からないのか!?」
「・・・・・ふ、ふざけんな!何であんたがそんな事するんだよ!キラを撃つってあんた・・・・・」
「何も分からない振りをしても無駄だぞ!お前が俺を馬鹿にするために仕掛けた数々の罠を、俺が気づかないとでも思ったか!!
ミネルバでの俺を馬鹿にした態度!命令を無視して俺が無能な指揮官であるという印象を植え付ける罠!
俺がキラにやられた途端に本気を出して俺を利用してヒーロー気取りか!?あの後のお前の態度が一番許せない!
何も出来なければ意味が無いだと?俺をはめておいて何を言う!全部お前の計画だろう!
さらに俺に止めを刺そうと、次は拘束中の連合兵を連れて脱走だ!アスラン隊長、監督不行き届きで大失態?ふざけるな!!
レイは信じていたが結局お前はインパルスを手土産に連合に寝返って、挙句の果ては大量破壊兵器で街を一掃だ!
顔にモザイク掛けられて゛人々を苦しめた脱走兵の元上司゛としてテレビで放送された俺をお前はにやにやしながらあざ笑うんだろう!?
゛上司との心の通わない記号化した関係が若い兵士の心に闇を〜゛とか期待してるのか!期待してるのか!
ああ!駄目だ!もっとお前に言いたい事があるのにあまりに多すぎて言葉に出来ない!駄目だ!多すぎて言葉に出来ない!
こうなったのも全部お前のせいなんだ!だからお前は俺に惨めに敗北して俺が強いという事を議長や世界に見せなければならないんだ!
分かるか?お前は俺に敗北して俺が強いんだ、俺が強いんだ、分かるか?だからお前を倒す!」
「・・・・・・・・」目が点になるシン。一緒に聞いていたキラとレイも顔に汗を垂らして複雑な顔をしている。
「・・・・・(うっ、駄目だしっかりしろ・・・)ア、アスラン。そんな話が聞きたいんじゃない!俺は何でオーブを、キラを撃つんだって聞いてるんだ!」
「俺の話を聞けっ!!!お前俺をどれだけ馬鹿にすれば気が
「オーブがロゴスに組しているからだ。だから俺達はそれを滅ぼすべく来た」レイが割って答える。「レ、レイ・・」
174
あの時、ステラを助けようとした俺に力を貸してくれて、俺が戻らない事で事実上見捨ててしまった彼、レイが目の前に居る。
「久しぶりだな、シン」「レイ・・・」
「言った通りの事だ、オーブがロゴスに組しているから俺達ザフトはそれを撃つべくここへ来た」
「・・・・・でも、それは」「お前も理由となっている」「!!」
「お前はあの巨大MSで街を焼き払い、そのお前をAAが助けた。そしてAAはオーブに属し、連合にも接触している。それは事実だろう」
「・・・・・」
「お前の感情や理屈が如何在れ、オーブは撃たなければならない国だというのは世論の証明する事実だ。そして世界の人々は皆」
「邪魔をするなレイ!シンは俺が」
「アスランは先にキラ・ヤマトを!俺がシンを抑えています」「何!?」
「シンは一番最後です。一番倒したい相手は一番最後に倒すのです。
自分のせいで仲間が死ぬ様を見せ付けて、絶望の中で殺すのです。アスランもそれをお望みでしょう。
それにシンを相手にしている間に奴が逃げる可能性があります。奴等のお馴染みの手段です。
ですから先に奴を。あなたの奴との遺恨に決着を付けるのです!シンは俺がそれまで全力で抑えます!」
「レイ、君の俺に対する理解はアーサーとまでは行かないまでもかなりの物だな・・・ありがとう。
シンは仲間の死を悼むような人間ではないと思うが、自分の非力さを噛み締めさせるには丁度いい。分かった、任せる!」
「レイ!何を?!」「シン、黙って俺と一緒に来い」
「死ねーキラ!!」「アスラン!くそっ、シンー!」
シンとレイ、キラとアスラン、二つの組に分かれて戦いが始まった。キラに近づこうとするシンをレイが阻み、
サーベルで斬り掛けてどんどん追い込んで行く。キラとアスランから遠ざけるように。
「もう誰もお前を助けてはくれないぞ!覚悟しろ、キラ!」「シン!シン!!(くそっ!こんな・・・助けに来てくれたシンを置いて死ねるもんか!)」
175
キラと遠ざかりレイと二人きりになったシン。
「何をするんだレイ!くそっ、キラが!」「俺の話を聞け、シン」「早く・・」「聞け!シン!」
レイの怒鳴り声に思わず口を閉じるシン。レイはサーベルのビームを切り、攻撃をはたりと止める。
「レイ?」「・・・・・・・生きていてくれたんだな、シン」「レイ・・・」
シンの目にはカメラ越しに軽く笑うレイの顔が見えた。普段笑顔を見せないレイの笑顔。
「シン。俺は、お前を信じている、今でも。だから聞かせて欲しい、お前は本当に裏切ったのかを」「・・・・・」
シンは手短に、今までの経緯と理由をレイへと語った。
レイは無言でそれを聞き、何度かやさしく「そうか」と頷いてくれた。
「レイ・・・ごめん。俺、約束したのに戻れなくて・・・・・。俺が戻らなければレイに全部責任とか行くって分かってたのに・・」
「しょうがないさ、連合がお前を裏切ったんだ、お前のせいじゃない」「でも俺!レイが、殺されるかもしれないって分かってて・・・・・」
「俺は今生きている。今ここでお前と話せている。俺はそれでいい」「レイ・・・」
「あの少女を助けるのを手伝ったのは俺の私的な感情が手伝ったのもある・・・・・だからお前は気にするな。・・・・・あの少女は?」
「生きてるよ。今はたぶん避難艇で無事脱出できてると思う」「そうか。よかったな・・」「レイ・・・・・俺」
「俺は・・・・・あの少女をお前が助ける事で、自分も救われようとしていただけなのかもしれない。
シン。お前はあの少女を必死の思いで救おうとしていた。他の者が当たり前のように見捨てる中、お前だけは。
捻じ曲がった命でも、お前はそれを見捨てたりはしなかった。それは、嫌だ、と・・。嬉しかった、お前のような奴がいる事が」
「レイ?」
「シン、俺の全てを聞いてくれるか?お前に取ってはただ醜い世界を晒されるだけかもしれない俺の話を。
お前の信じていた物を否定するだけかもしれない話を・・・聞いてくれるか?」
「・・・・・・・俺が聞いてもいい事なのか?」「お前にしか話せない」「・・・うん」
176
キラ・ヤマトという夢のたった一人を作るための資金として自分は作られた。
レイから語られた、彼とキラの出生の秘密、運命を呪って最後まで一人で戦って死んだもう一人の彼。そして、もうすぐ死ぬであろう自分。
シンは目を見開き、息を小刻みに震わして聞いていた。信じられない、認めたくない現実。
彼から聞かされた現実はシンにはあまりにも重過ぎた。
「俺のような子供はこれからも生まれて行くのだろう。今の世界が、それを認めているのだから」「・・・」
「俺は世界を変えたい、自分が死ぬ前に、もう二度と俺のような子供が生まれない世界に、変えたい。
俺は変えてみせる、俺はそのために今戦っている。
シン、お前の力を貸してくれ。ギルの、議長の計画を持ってすれば、この世界を変えられる」「え?」
「逃げるな!卑怯だぞ!」「止めてくれ!」キラがアスランの攻撃を交わし続け、二人は何時の間にか追いかけっこになっていた。
メインカメラが無いデスティニーはキラの素早い動きを追い切れない。
量産機相手に梃子摺っているという意識がアスランを益々熱くさせ、攻撃を単調にさせていた。
オーブ軍は殆どが島から逃げ出し、島には連合とザフトばかりが残されていた。
AAは島から少し離れた海上で浮かびオーブ艦と合流、キラの帰りを待っている。
「シン君が?そんな、彼まで」「流石にそろそろ行かなきゃまずいだろ。何時までも待ってられん」ムウの言葉にミリアリアが後から睨む。
しばらくすると一隻の艦がこちらへ近づいて来た。サイの部隊だ。
「サイ君!キラ君は?」「すみません!敵の数が予想以上に多くて俺達には如何にも・・・すみません、必ず連れ帰るって言ったのに」
「別にいいじゃねーか!あんな野郎綺麗さっぱり消えてくれた方が好都合よ!」ドムから降りてやって来たマーズが大声で叫ぶ。
「何ですって!?」激怒するミリアリア。「キラってのは、ラクス様を誑かす糞野郎だろ?あんな野郎
「馬鹿野郎!!!」ヒルダの拳がマーズの鼻を圧し折る。「ぷぽっ!」鼻を押さえ床をごろごろ転がり、すぐに大人しくなって動かなくなった。
「まったく、馬鹿野郎めが!ラクス様が悲しむ事は何であっても許されないんだよ!」蹲るマーズをヘルベルトがいつものように撫でてあげた。
GJ
レイが自らの出生の秘密を話し出したということは終わりが近いね。
しっかし、この板の中でもトップクラスにカオスなSSだよなコレw
シン中心の時のシリアスさと、それ以外の暴走ギャグ部分は、とても同じ作品とは思えないw
暴走ギャグの中心は凸
保守
もうすぐ一区切りは付きますが、その後も結構続きます。これでも結構削ったのですがオーブ編長くなり過ぎました。
177
「・・・・・それが、デスティニープランだ」「・・・・・」
レイから聞かされた議長の計画するこの世界の行く末、デスティニープランに言葉を失うシン。
人の全てを遺伝子によって決め、管理する世界。
人の争う理由そのものを封じ込め、人が個である事を捨て、人が世界で世界が人である世界。
議長は絶対に争いが起こらない、起こせない世界を作るべく、それを計画したという。
世界の絶対的な悪を作り、それを撃つ事で人々を導く主導者となる。打倒ロゴスによって他の指導者を一掃し、人々の頼りを自分達に。
そして世界の復興のリーダーとなり、少しずつ時間を掛けながら人々のあらゆる事柄の中にプランは深く根付いて行く。
人々の中に知らずプランの示す世界が浸透して行き、気づいた時にはもはや誰も抵抗する術は無い。
プランの事は人々には伏せ、行動を全て管理した世界になって始めてその全貌は人々に明かされる、いや、明かす必要も無い。
最終的には完全な管理社会となり、そこには娯楽はもちろん、生活全てに至るまで個人の選択は無い物とされる。
これを食べて、これを着て、これをして、ここに住んで、この時間に寝て覚めて、これだけを知る。
嫌だという選択は無い、最初から分かっている、君の遺伝子が全てを決めている、そういう世界。
戦争が絶対に起こらず、誰も幸せにも不幸にもならない世界。誰も富まず誰も飢えない世界。それがデスティニープランだ。
議長は言う、それが真の平和だと、誰も苦しまない世界だと。
誰かが泣いている時に誰かが笑っている何て事は絶対に無い、本当にやさしい世界だと。
それを必ず実現させる。だから、だからレイ、君はもう苦しまなくていいんだよと。運命が人を救う、そう議長は言った。
「・・・何で、そんな・・・・・そんな世界、そんなのは!」「狂っている。そう言いたいだろうな・・・・・でも、俺はそうは思わない」
レイは瞳をやさしく閉じてシンに言う。
「お前の感じるその気持ちは正しい、そして、議長の目指す世界も正しい。だから俺達は戦わなければならないんだ」
178
「何を言ってるんだよレイ・・・そんなんじゃ分からないよ。それに、力を貸してくれって・・」
「言った通りの意味だ。お前の力を、議長に貸して欲しい」
「なっ!何言ってるんだ!俺がデスティニープランのために戦うなんて」
レイの目がゆっくりと開く。「戦うはずだ」「!!」「何故ならお前が誰よりも、プランの目指す世界を望んだ者だからだ」
レイの言っている事が分からない、自分が誰よりもプランの世界を望んでいる?・・・・・そんな馬鹿な。
「何言ってるんだ!俺はそんな世界なんて一度も」「望んでいただろう」「っ?!」
「お前は誰よりも強く願ったはずだ。戦いの無い平和な世界を、誰も悲しまないやさしい世界を。
お前は家族を失って強く望んだはずだ、戦争の絶対に無い世界を。強く望んで、お前は力を手に入れた。分かるか、シン」
「俺は確かに望んださ!だけどそれは」
「お前は戦争を無くすためなら、大切な物を守るためなら、戦争をする事が出来る人間なんだ。大切な物を奪う事が出来る人間なんだ」
「!!?」
「お前は誰よりもやさしい世界を望んでいる。だからあの少女を助ける事が出来た、あの少女を守るために人々を焼き払う事が出来た」
「お、俺は・・・」自身で何度も悔いた自分の行いの罪深さ。見失ってやっと気づいた自分のして来た事。
自分でそれを認める事で立向かおうと心に決めたはずだった。なのに、今こうしてレイに突きつけられて、決めたはずの心は揺らいでいる。
「お前は本当に望んだ一番大切な物のためなら、何とでも戦い抜ける心を持っているんだ。
お前は・・・人々の悲しみを無くすためなら何だって出来る人間のはずなんだ」
「・・・・・」「そうだろう、シン!」
シンは何も言わなかった。真紅の瞳でレイを見詰めるだけで。
「あの赤い翼のMSデスティニーは本当は、あんな馬鹿のために作られた機体じゃない。運命の担い手、お前のために作られた機体だ。
議長がプランの守り手として選んだお前が居なくなったために、仕方なく奴に預けられたんだ。」
179
「議長はアスランにお前の代わりをさせようとしていたが、俺は絶対に認めない。あんな馬鹿に未来を託す事など出来る物か!
お前でなければ駄目なんだ、シン!誰よりも強く、誰よりも弱さを知ったお前でなければ」
「・・・・・」
「頼むシン、俺と一緒に来てくれ!
お前が戻る事に異を唱える者も居るだろうが、俺が議長に掛け合えば如何にでもなる!
・・・アスランの放送については本当に済まなかった。
あれはアスランが単独で行った事で、議長も俺も全く知らなかった事だ。止められなくて本当に済まないと思っている。
シン・・・・・・・・お願いだ、俺を救ってくれ。
俺は、議長の目指す世界に救いを求める事で、今まで死の恐怖も抑える事が出来たんだ。
だが、俺が死んだ後に残り世界を守る者があんな者では、俺は安心する事など絶対に出来はしない!
怖い、怖いんだ!俺は・・・本当はとても弱い人間だ、とても。
俺はずっとお前の事を考えていた、お前のそのやさしさにずっと救われたかった。お前になら全てを任せられると思っていた!
俺はもう、苦しみも悲しみも本当に終わりにしたい。終わらせなければならない!でなければ、人は救われない・・!
俺達は皆、この世界の結果の子供だ・・・・・。だから全て終わらせて消えたい、もう二度と俺達のような子供が生まれないように。
だからその未来は、お前が守れ。俺は一緒には行けないから、お前が守れ。選ぶんだ、人の、未来を!!」
レイの思いはシンの心の奥まで伝わった。レイの全てをシンは聞いた。
レイの望んでいる物は自分のそれと何ら変わりは無い。自分とレイは同じ願いを持った、共に行くべき者なのだと。
レイは核心した、シンは必ず俺の一緒に来る、来てくれる。シンは誰よりも自分を分かってくれると。そう思っていた。
「・・・俺は、選ばない」
「・・・・・・・・・は?」「俺はその未来を、選ばない!」レイの顔が絶望に凍り付く。
180
「な、何故だシン!!何でお前は選ばない道を選べる!!お前には俺と一緒に来る以外無いはずだ!」「・・・」
「今俺と一緒に来なければお前は残虐な殺戮者としてたださ迷う事しか出来ないんだぞ!!」「・・・」
「お前には帰る場所など無いんだぞ!!」
「・・・そうさ。俺にはもう帰る場所なんて無いんだ、きっと・・。今レイと行かなくちゃ、俺が夢見た未来は掴めないと思う」
「なら!」
「でも!それでも!!俺には守りたい人達がいるんだ!!
きっと俺はもう会っちゃいけないんだろうけど、会えなくても、あの人達を最後まで守りたいんだ!!!」
「それが結局は悲しみしか生まないと、何も救う事にならないと分かっているだろう!!」
「分かってるよ!!でも、レイだって分かってるじゃないか!俺が、自分が守りたい者のためなら何だって出来るって!!」
「詭弁に逃げるな!」「逃げるさ!俺は本当に欲しい物のためなら、何度だって逃げてやる!」「矛盾に気づくんだシン!」「嫌だ!」
「ぐっ!」「当たった!」デスティニーのライフルがやっと当たり、ムラサメの左足を爆散させる。
「っ!キラっ!!」「うっ!行くな!シン!!」ムラサメの足が破壊された事に気づき、シンはキラの元へと行こうとする。
「行かせてくれレイ!キラは!」「何故俺ではなく奴の所へ行く!!知っているだろう!奴は存在する事さえおぞましい・・」
「違う!そんなんじゃ無い!」「!?」「レイ・・何であいつを憎むんだよ、何であいつが悪いんだよ・・・」
「・・・シン!!何を言っている!!奴はっ」
「同じじゃないか!キラだって!レイと同じで、勝手に押し付けられて勝手に背負わされて、なのに何であいつを憎む必要があるんだよ!!」
「あいつの存在は否定しなければ成らない!!でなければ俺が」
「ふざけんな!!あいつを否定したらレイの事まで否定しなきゃ成らなくなるじゃないか!!俺はそんなの嫌だ!!
レイもあいつも居ていいはずだろう!!」「シンっ!!」
181
シンは本当はレイと一緒に行きたい気持ちで一杯だった。
ステラや少年達の事を守りたい自分とレイの気持ちに答えたい自分がぶつかり合って、本当はどっちか何て選べなかった。
だが、一つの決定的な事のせいで如何してもレイの気持ちに答える事が出来なかったのだ。
ムウに飲まされた薬、あれがもし死ぬ可能性のある薬なら、自分はレイから託された未来を守る事が出来ない。
レイの気持ちに答える事が出来ないんだ。
「(レイ・・ごめん、ごめんよ。だけど・・・俺にも未来が)」
「あれ?何よ・・この緑の縮れた・・・」ルナの目に付いた緑の縮れ毛。
何だろうと首を傾げていると急に耳元に呻き声のような物が聞こえてくる。
『助けて、アスランを助けて、早く助けて、ひどい事をする前に止めてあげて』
「な、何!?」確かに聞こえてくる少年の声にルナは恐怖で身を竦ませる。如何しよう、い、言うとおりアスランの所へ行った方がいいのかしら?
『早く!』「わ、分かったわよ!!行く、行くから!だからやめて!」アスランの方へ向かうルナ。その機体に、海から出てきた幾つもの何かが、付く。
「今度こそお前をー!」デスティニーの手ビームがムラサメの背中を掴み掛かるように伸びた。
「やめろっ!」「ぶはっ!」駆けつけたアカツキの蹴りがデスティニーを直撃し、危機一髪の所をキラは助けられる。
「いい加減にしろよあんたは!」「この・・また邪魔する気なのかシン!!もう少しでキラを倒せた所を!」
「ふざけんなっ!あんた、キラがどんな気持ちだったか全然考えもしないで・・・。
キラはなぁ!キラは、あんたの事ものすごく心配して、あんたの事友達だって、戦いたくないって、ずっと一人で悩んでたんだ!」
「嘘を言うな!!キラがそんな事を考えるはず無いだろう!キラの事をよく知りもしないで何を」
「分かってないのはあんただ!何であいつの事を信じてやらないんだよ!親友じゃないのかよ!?」「親友なものか!」「!?」泣きそうな顔になるキラ。
「いい加減な事ばかり言うな!何も分かっていない癖に。裏切り者の癖に!」「アスラン、すまない!」
「レイ!大丈夫か?シンの凶暴さを抑えきれなかったんだな」「(キラ・ヤマト、お前は俺の全てを奪って行く)・・あの二機を何としても落しましょう」
GJ
シンとレイは同じ苦悩を持つが故に、共に歩めないわけだね
139 :
1/5:2007/04/07(土) 22:01:17 ID:???
アウル主人公&シリアス路線で書き始めたのに何故かギャグ路線一直線に。
メモ書き状態ですが投下します。
「アウル君の『母を訪ねて三千里』 その1」
アーモリーワンから脱出する際、ステラにブロックワードを使ってしまうアウル君。
錯乱したステラの流れ弾にあたり、機体を損傷。(自業自得)
更に追いつかれたレイにハッチを破壊され、宇宙空間へ出ることも出来ず、ミネルバの捕虜になってしまう。
捕虜の取調べに来たタリアを見て「お母さん!?」と騒ぐアウル。
驚くタリア「私はこんな大きな子供がいる年齢じゃありませんっ!」
冷静なデュランダル「あれは、タリアの子ではない。あれがタリアの子だとすれば、私と付き合っている間に
妊娠したくらいの年齢ではないか」
しかし。「待てよ、私と別れた直後に妊娠が発覚していたら? タリアのことだ、今更私のところには
戻れない、と考えて一人で生み育てたかもしれん。いやそうだ、そうに違いない。あれは私の子だ!」
少しどころじゃないくらい年齢が合わないのに、隠し子(?)発覚に一人で盛り上がるデュランダル。
当然レイのことは見向きもしない。
パニくるレイ「ギルが、ギルが僕に冷たい。何故? どーして?」
置いてけぼりの(一応)主人公のシン、ルナ、アスラン、カガリ。
140 :
2/5:2007/04/07(土) 22:03:25 ID:???
「アウル君の『母を訪ねて三千里』 その2」
そうこうしているうちにボギーワンに追いついたミネルバ。
タリア「捕虜と強奪したGとを交換よ!(冗談じゃないわ。あの子とは無関係だって証明しなくちゃ!)」
エクステンデットの機密漏洩を恐れたネオは、G1機とアウルの交換に応じる。
宇宙空間で行われた捕虜交換。双方モビルスーツが一機ずつ。ミネルバからはレイ、B1からは名も無き兵士A。
レイ「あー、これでやっとギルが元のギルに戻る。ほっ」
ところが、アウルは名も無き兵士Aを蹴り飛ばしモビルスーツを強奪、ミネルバへ戻ってしまう。
「お母さんのそばがいいっ!!」(短時間&無傷なため まだ元気なアウル)
デュランダル「うんうん。やっぱり子供は両親のそばが一番だ!」
レイ「ハッチだけでなく、コックピットごと殺るべきだった。今からでも遅くないかも。でもギルが見てるし…」
やっぱり置いてけぼりのシン、ルナ、アスラン、カガリ。
141 :
3/5:2007/04/07(土) 22:04:30 ID:???
「アウル君の『母を訪ねて三千里』 その3」
アウルが強奪したのはB1のモビルスーツなので、当然通信はB1へつながる。
アウル「お母さん、今帰るからね〜」
それを聞いてしまうステラとオクレ兄さん。
ステラ「あのお船(ミネルバ)に、お母さんが乗ってるの?」
オクレ「まさか、そんな筈あるわけないさ」
ステラ「でも、アウル、そう言ってる。アウル行っちゃったよ?」
オクレ「まさか…でも…」
ステラ「お母さんいるところがお家。ステラもお家に帰る!」
オクレ「…そうだな、そうしよう」
ステラとオクレ兄さん、残ったGに乗ってB1から離脱。
ステラ「お母さん、ステラも帰るからね〜」
タリア「お母さんなんて、ここにはいませんっ!」
アウル「そんなことないよ、お母さんここにいるよ〜」
タリア「ここにはいません。いませんってば!!」
デュランダル「そうか、三つ子を産んでいたんだな…」
タリア「産んでませんっ!!」
アーサー「出生率が低下しているのに、三人、いや本国にいるお子さんも入れて四人の母ですか。流石は艦長!」
タリア「…銃殺にするわよ?」
完全に置いてけぼりのシン、ルナ、アスラン、カガリ。
142 :
4/5:2007/04/07(土) 22:05:48 ID:???
「アウル君の『母を訪ねて三千里』 その4」
三人組「お母さん、ただいま〜」
デュランダル「お父さんもいるぞぉ」
タリア「違うってばぁ(半泣き)」
B1からネオが出撃するも、八つ当たりモード全開のレイのピキーンの前にあっさり敗北。
イアン・リーが白旗を振り、B1はミネルバの捕虜に。
タリア「強奪されたG3機も戻ってきちゃったし…これって任務完了?」
最後まで置いてけぼりのシン、ルナ、アスラン、カガリ。
−完−
143 :
5/5:2007/04/07(土) 22:07:00 ID:???
「アウル君の『母を訪ねて三千里』 追記」
こうして任務を終えたミネルバはアーモリーワンへ帰還しました。
なのでユニウスセブン破砕にはまったく間に合わず、地球は莫大な被害を受けました。
怒ったロゴス幹部たちにたきつけられた大西洋連邦はプラントへ宣戦布告しましたが、
無傷のプラントと勝負になる筈も無く、あっという間に負けてしまいました。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY 終
ワロタw
しかし、とられたGが速攻で全部帰ってくるんじゃそうなるわなw
ちょw議長バカスwwwwww
つかユニウスがそのまま落ちたら、その時点で地球壊滅だろw
禿ワラタ!w面白すぎるw<アウル君の『母を訪ねて三千里』
描写省略した上にだらだら長くなる俺には、これだけ笑い所抑えていて纏められてる作品絶対書けないな。
182
アスランとレイの激しい攻撃が始まり、ライフル一つで苦心しながら応戦するシン。
キラを連れて何としてもここを早く離れたいが、肝心のキラが殆ど動こうとしない。
「何やってんだよ!死にたいのか!?」「シン・・・僕は」
「落ち込んでる場合かよっ!!こんな所で大人しく死んでやった方がいいとか思ってるのか!?」「・・アスランが」
「馬鹿野郎!!あんたが死んだってアスランはあのままなんだぞ!!
友達とか言ってた癖に、あんな訳の分からないまんま残して逃げる気かよ!!」「!!」「諦めるな!今は、戦え!!」
シンの一括に、キラは悲しみで澱んでいた瞳に僅かながら光を取り戻し、今はアスランに立向かう事を決意する。
ムラサメのライフルがデスティニーを狙い、放たれる。
「馬鹿め!」あざ笑いながら避けるアスラン。まるで自分の力を誇示するように軽々と避ける。が
「馬鹿はあんただ!!」避けたビームが射線上に移動していたアカツキの装甲に当たり反射し、デスティニーの右翼の先端を貫いた。
「なっ、くっ、シンお前はぁ!!!」
怒ったアスランはライフルをアカツキに撃ちまくり、そしてやっぱり全部跳ね返されてしまった。益々激怒。
「キラ・ヤマト!!」レイの憎しみの募った叫びが轟き、キラ目掛けて無数のビームが集中して今すぐ消えろと吠え叫ぶ。
レイの怒りの篭った叫びに耳を刺され、アスランは急に冷静になってレイへ語り掛ける。
「駄目だレイ!憎しみで敵を撃つな!」「アスラン!?」「何故熱くなっているかは知らないが、冷静に敵を撃つんだ。そうすれば確実に倒せる」
「分かりました、アスラン!」「よし!俺も・・・・・うおぉぉぉ!シン!お前が憎いぃぃ!!!」
アスランは役に立たないライフルを海に投げ捨て、肩のビームブーメラン兼サーベルを抜いてアカツキに迫る。
「うおぉぉ!!!」「このおっ!!」不用意に接近したデスティニーにアカツキの鋭い蹴りが入り、
デスティニーはサーベルを落しながら海老反りで吹っ飛ばされた。
183
アスランは体勢を立て直すと、急にだらりと機体の四肢から力を抜いて、シンに向いて真剣に話出した。
「シン、やはり君は強いな」「アスラン、何であんたは・・・・・。俺、あんたに言われた事ずっと考えてて」「・・・」
「あんたの言ってた事、ずっと分からなかった。分かってなかった。だけど、ここに来てやっと、ちょっとでも分かる事が出来たんだ!
なのに!なのに何で!何で俺に言い続けて来たあんたがこんな事してんだよ!!」
「シン。俺と、拳と拳を交えないか?」「!?」
「ライフルを捨てろ」アスランはそう言いながら、自機のもう片方のブーメランと高エネルギー砲を取り外して海へと捨てた。
「ちゃんと語り合おう、拳で。俺とお前は拳でしか語り合う事が出来ない」「アスラン・・」
武装を捨てたアスランの、真剣かつ誠意の感じる言葉に。アスランはきっと本気だ。「・・分かった!」
シンはライフルを捨て機体の拳を強く握って、アスランに向かって黄金の体で殴り掛かる。
「来い、シン!拳で語るんだ!」「アスラン!」
アカツキの拳の一撃がデスティニーに激しい金属音を立てて入る。
デスティニーは仰け反った機体を軋ませながら戻し、拳を握ってアカツキに殴り返す。
「熱い!お前の拳は熱い!シン!!」「ぐっ!う、うおぉぉ!!」
アカツキとデスティニーの殴り合いが始まり、キラとレイは一瞬呆然とそれを見詰め、すぐ何事も無かったように二人で戦いを続ける。
「きっと分かる!こうやって拳と拳で語り合えば、アスランの本当の気持ちが!!
そうだ!アスランが本当にあんな馬鹿な理由で戦ってるはずない!きっと何か深い理由があるんだ!
俺がそれを受け止めなくちゃならないんだ!アスラン、俺があんたの本音を聞き出してやる!!」
184
「馬鹿め!より戦況を有利にするために俺が計画した作戦とも知らずに!シンはやはり馬鹿なんだなっ!!!馬鹿めっ!
軍人とは私情に流されず、常に自軍に有利に事を進められるよう知恵を絞る物だ。
そんな基本的な事も忘れているようでは、やはりシンは俺には届かない未熟な軍人という事だな。俺より下という訳だ。
MSで殴り合えば、当然PS装甲の俺の機体は損傷する事など無く、お前のその当て付けがましい黄金の機体だけが傷つくという訳だ。
さらに俺の機体には拳に隠されたビーム砲がある。
お前が殴る事に夢中で隙を見せ切った瞬間、お前の居るコックピットに思い切り叩き込んでやる!
どうだ!お前の浅はかさを考慮し尽くした俺の計算高い作戦は!お前は気づいた瞬間には既に死んでいるんだ!馬鹿め!未熟が!
俺が本気を出せばこんな作戦を立てる必要も無かったが、お前に合わせてやっているんだ。感謝しろ!感謝して涙を流して死んでしまえ!
シン!お前は俺には勝てないんだ!お前の姑息な言葉や策略も俺の計算高さには叶わないんだ!分かるか?シン、お前は俺には叶わないんだ!」
「アスラン!あんたの本当の思いを!」「シン!」荒れ狂う拳、アカツキの装甲はボコボコとなり、デスティニーは無傷。シンは気づいて居ない。
シンは完全に拳で殴り合う事に意味があると思い込んでおり、もはや今別の攻撃をされて対処する事は出来ない。
「アスラン!!」「シン!!(よし!今だ!!)」
振られた拳がぶつけられる直前で開き、その掌から一瞬でビームが生まれてコックピット部へと叩き込まれる。
「死ねー!!!」「!??」ピカッ バババババッボーン
激しい閃光がアカツキの腹を包み、激しい破壊音と共に、デスティニーの拳が砕け散ってばら撒かれた。
「なにぃ!?」アカツキの腹が爆発すると思いきや、何と自機の拳が爆発してしまって鼻の穴を大きく広げて驚くアスラン。
急いでアカツキから離れて砕けた拳を見ると、夢でも幻でもなく本当に拳が破壊されていた。
「・・・・・あんた」シンの呻くような声が聞こえ、びくっと体を震わせてそちらを見てみる。
するとアカツキの腹からは煙が上がり、部分的に黄金の装甲が拉げて内部装甲が露となっていた。
反射されたビームと負荷によって拳は破壊されたが、高出力のビームを押し付けた事によってアカツキにもダメージを与えられたのだ。
185
「アスラン・・・」「どうだシン!俺の作戦の・・・・・・・ひぃっ!!」
画面に映し出されるシンを見てアスランは思わず悲鳴を上げる。
頭から血を流して顔を真っ赤に染め、ものすごい形相でこちらを睨んでいる。怯えるアスラン。
コックピット部の装甲側の機器が拉げ、その破片や向き出し物がシンに刺さって血だるまに。
「あんた・・・・・・俺の事・・・俺、あんたの事信じて・・・・・・・あんたは・・あんたはー!!!」
「(ど、如何すれば?!何て恐ろしい顔なんだ。あんな恐ろしい奴に襲われたら死んでしまう!怒ってるぞ!?ど、どど、如何しよう?!)」
アスランがシンに呪い殺される事を覚悟した時、又しても反撃の声が。
「アスラン!今こそあれを使うんだ!」「アーサー!?」「シンを倒すにはあれを使うしかない!あれさえ使えばシンを完全に倒す事が出来る!」
アスランはあわあわしながらコックピットの隙間から一枚のディスクを取り出し、それを握り締めて深呼吸する。
アーサーが出撃前に何とかギリギリ間に合わせた、アスランが頼んでおいたこの戦いの゛鍵゛。
「そ、そうだ!これさえ使えば大丈夫だ!俺は大丈夫だ!」「そうだアスラン!今こそアスランの真の力を見せる時だ!」
アスランは冷や汗を掻きながらも、手に握られたディスクを精神安定剤に気持ちを落ち着かせた。
「シン!君!大丈夫なの!?」「・・・大丈夫だよ。・・・・・・大丈夫、大丈夫」血まみれで頷くシン。
顔は怒りでおぞましい形相となり、もはやアスランに対する今までの気持ちは全て消え失せた。
「アスラン!・・武装が。それではもう戦闘続行は不可能です。早く撤退を」「レイ。大丈夫だ。俺に考えがある!」
アスランは唾をごくりと飲んで、どきどきしながらシンとキラに向かって話し掛ける。
「聞こえるか?シン、キラ」「・・・アスラン(こいつ・・こいつ!)」シンの頭からは戦いへの悩みとかそういうのは消えてアスランへの憎しみだけに。
「今から俺はその黄金のMSのコックピットに攻撃を加える。が、決して逃げる事は許されない」
「何を言ってるの?もう止めてアスラン!これ以上は!」「お前は黙れ!」レイがビームを撃ってキラを威嚇する。
「ふざけんな・・」「ひっ!・・・・・シ、シン。て、抵抗は許さないぞ。抵抗すればお前はさらに地獄に落ちる事になる!」
アスランはディスクをセットし、はらはらしながら必死に強がってシンへと言い放つ。
GJ
続きが気になる
まとめサイト更新されてないなあ・・
186
「これを聞けば流石のお前も黙って俺に殺されるしかなくなるだろう」
機器を弄り、ディスクの中のデータを発動、アスラン、キラ、レイ、シンの耳に音声が鳴り響く。
『お兄ちゃん達〜こんにちはー!私マユって言いまーす!』
「マ、マユ!?」今亡き妹の声が聞こえてくる、そんな馬鹿な。
「アスラン?」「一体何をするつもりですか?この声は一体」
「これはシンのいつも持ち歩いていた携帯の中の音声をたまたまコピーしていたという、アーサーに作ってもらった物だ」
「!?」
「アーサーの優秀な技術によってこの声はデータ化され、自由にプログラムした言葉をこの声で言わせる事が出来る。
そう、つまりシン、お前の妹に好きな言葉を俺は言わせる事が出来るという事だ」
「な、そんな事して一体何を!」
「今から俺はお前を殺す。が、もし少しでも抵抗したり逃げようとすれば・・・」「っ!?」
「この声で作った妹エロゲーのサンプルを全世界にばら撒く!」
「あんたって人はーーーーーーー!!!!!」
『早く!間に合わない、早く!』「急いでるの!急いでるわよぉー!!だからもう止めてよぉー!!」
もはやはっきりと聞こえてくる声に大泣きしながら答え、急ぐルナマリア。気が付くとコックピットの下半分が緑の縮れ毛で埋まっている。
怖い!怪奇現象かぁ〜?まさか!今まで撃ってきた敵の怨霊が私に取り付いて・・・・・いやぁ〜!!!
187
『はーい、マユでーす!でもごめんなさい!今マユはおしゃぶり出来ません!
続きが気になるお兄ちゃんは次のURLからry』
「どうだシン!もうお前には選べる道は無いだろう」「この野郎!!ぶち殺すぞてめぇっ!!!」
「おお怖い!ついにそのおぞましい本性を曝け出したな!」
形勢逆転によって気後れてたアスランの心は立て直され、強い調子でシンを追い詰める。
「既にザフトのコンピュータにお前の妹のエロゲデータがインプットされている。
ここから俺が信号を送れば一瞬で全世界にお前の妹の痴態がばら撒かれる。
今の人々はとても飢えている。データが出回ればお前の妹は確実に世界中の人々の餌食だ。
゛悪魔シン・アスカの妹は兄と同様に愚かな、変態痴女だった゛と世界中の人々が知る事になるわけだ。」
『お兄ちゃーん!もっとぉ!もっと触ってほしいの!』『マユまだ子供だけどお兄ちゃんにだけ良い事いっぱいしちゃうよ!』
「どうだシン、お前はもう俺に逆らう事は出来ないだろ!大人しく俺に殺されろ!」
「絶対許さないっ!!!死んだ妹を弄びやがって!!!!今すぐ俺が殺してやる!!!!!」「おおっと!抵抗するとお前の妹は永遠に変態だぞ?」
今すぐぶっ殺してやりたいシン。しかし妹を人質に取られていて手が出せない。
アスランは勝利への核心に高揚し、必死になるシンを嘲笑っている。
「アスラン止めろぉ!!何でそんなひどい事が出来るんだ!?」「止めてくださいアスラン!流石にこのような手段は!」
「シンなんだ!!シンがそこに居るのが分からないのか!?だから俺はシンを撃つ!!!」もはや会話にもならない。
「アスラン・・・・・止めて」「い、や、だ!」「なら僕は・・・・・・君を撃つ!!」許せない行為に耐え切れず、キラはアスランへ襲い掛かる。
「何度も同じ事を!そんな機体で一体何が出来る!」とは言ってもデスティニーも武装が全部無くなっているのでバルカンぐらいしか無い。
それでも性能の差は歴然、接近したムラサメをひらりと交わし、後に回り込んで貧弱な装甲に蹴りを放つ。
「こんのぉ!!!」「何!?」振られた足を割って入ったアカツキがしがみ付くように受け止め、キラの身代わりとなって装甲をへこませる。
「抵抗するな!!分かっているのか!?お前の妹が」「黙れ!!!」「シン!!!」「黙れぇっ!!!!」叫びと共にアカツキの拳がデスティニーを叩き飛ばした。
188
「お前・・・抵抗したなぁ!!
いいだろう!そんなに妹のエロゲをばら撒きたいならばら撒いてやる!」「本当にもう止めるんだアスラン!!」
「キラ、分かっているんだろう?シンは本当に愚かな人間なんだ。
今シンを裏切って俺の下に来るならお前だけ助けてやらない事もないぞ?どうだ?
シン、キラはお前を裏切って俺の下へ来る。どうだ、一緒に見下す仲間だった人間に裏切られ、
見下していたはずの人間に逆に見下される気分は。もうお前は終わっているんだ。さあ、絶望するんだ!」
「勝手な事を言わないでアスラン!僕はシンを裏切ったりしない!」
「何を言ってるんだ!裏切るんだ、あいつを!!あれは姑息で残虐非道な悪魔なんだぞ!俺はあれが憎いんだぞ!俺の敵なんだぞ!
あいつはロゴスだ!ヘリオポリスが崩壊したのもあれのせいだ!ユニウスセブンもあれがわざと落したんだ!」
「聞くな、キラ!」「シン!?」
「今のアスランは錯乱してる!!」「っ!?」「ふざけるなっ!!俺は錯乱してなどいない!!!」
(してるよ・・・)とは流石に口に出して言えないレイだった。
「このっ・・もういい!ならば本当にお前の妹のエロゲをばら撒いてやる!!」「なっ!!」「送信ー!!!」「やめろー!!!」
その時、一機のグフがその場に駆けつけ、デスティニーへと手を伸ばして飛び寄って来た。
『早く止めて!(駄目ですアスラン!そんな事は!)』「(今のアスラン達の会話・・・シン!?)ア、アスラン!何だかよく分からないけど止めてー!!」
ルナが謎の声に言われるままにアスランを止めに掛かる。アスランはボタンを押す指を寸前で止め、近づくルナに振り向く。
「なっ・・・・この、邪魔だーーー!!!」「へっ!?」邪魔された事に怒り鋭い蹴りを、止めようとするルナに向かって振り出す。
「きゃぁー!!」「ルナー!!」シンがルナに当たる直前で身を挺して守り、グフの代わりにアカツキの脇腹が激しく砕ける。
「こんのぉ、ばかやろうーーー!!!!!」グフの盾に装備されたビームソードを引き抜き、シンは全ての怒りを込めてそれをデスティニーの腹、
アスランの居るコックピット部へと思い切り叩き付けた。
「ぐぴっ!!」剣がめり込んで腹部は破裂。アスランの小さな悲鳴と共に、デスティニーは腹部を炎上させて落下、海に落ちて爆発した。
189
海から上がる煙を背に、シンはキラを連れてその場を後にした。その気になれば二人を始末できたが、レイは黙って二人を見逃した。
「・・・アスラン」死んでも全然悲しくないレイ。
「(シン・・私を助けてくれた?)アスラン・・」死んでもぜんぜん悲しくないルナ。二人が複雑な心境でその場に漂っていると
「おーい!アーサー、助けてくれ!」アスランの元気な声が聞こえる。「アスラン・・生きていたんですか」「・・・」
ルナは今すぐ海に潜って止めを刺してやろうかとも思ったが、やっぱり仕方ないので助ける事にした。
「アスラン大丈夫か?」「アーサー・・・大丈夫だ。少し怪我をしたが心配いらない。アヒルのCMの保険にちゃんと入っているから大丈夫だ」
アスランはそう言って笑い、砕けたコックピットの中で鼻提灯を作りながら仮眠を取った。
やがて戦いに決着が付き、
オーブは国を捨てて敗北逃亡、連合はザフトの攻撃で大多数をやられ残りは撤退、ザフトは最小限の犠牲でその場の勝利者となった。
シンとキラはAAへと無事辿り着き、血まみれのシンはすぐさま手当てを受けたが見た目程酷い傷では無かった。
オーブ本島にはザフト軍が降り立ち、その全てを掌握した。残されている情報からロゴスと関係する物を洗い出す。
オーブの難民はスカンジナビア王国他に移り、そこでこの先の不安を感じながらも疲れて皆眠りに付くのであった。
「・・あの国は消えたか。どの道消える事となっていた国だ、民が逃げられた分益しであろう。あのような愚かな国、消えて当然なのだからのお」
一人の老人は闇の中呟き、画面に映るオーブの荒れ果てた姿を細いつぶらな瞳で見詰める。
「あの二人にはもう少し働いてもらう事にしよう。彼らと、私の夢が叶うように・・・」
老人は呟きながら振り向き、目の前に佇む電子の塊を弄り始めた。
「もうすぐだ。もうすぐしたら、お前は私の願いを乗せて星を見詰める。お前のすべき事、私が託そう」
星達が空を彩る帰路の夜空、スウェンは艦の中でそれを見るでもなくただ無言で寝転んでいた。目の前には無機質な天井。
彼の忘れられた夢、星はまだ見えない。 選ばれなかった未来 シンVSアスラン編完結
アーサーがシンに殺されかねんな
アスラン外道だな
選ばれなかった未来番外編・さよならオークレー
1
ここは何処だろう・・
ここはとても温かくて気持ちが良い場所だ・・・そうだ!
あいつは?俺の、俺の大切な弟は?何処に居るんだ?何処に行ったんだ?ぐっ!頭が・・・・・
「お兄ちゃん大丈夫!?」「・・・?」
ひどい頭の痛みを感じて目を開くと、眩しい蛍光灯の光が目を突き刺した。
顔を顰めて薄目を左右へ動かすと、ぼんやりと小さな人影が浮かんだ。誰だろう。
「お兄ちゃん何処か痛いの?」「・・誰?」「痛いの?」「・・・・痛くない、です」
そう聞くと少年はほっと胸を撫で下ろし、すぐに満面の笑顔になってしゃべり出す。
「やっと気が付いたんだね!ずっと眠ったままだったから心配したよ?」「君は・・?」
「僕はヒコスケ!ちょっと前にここに来たんだけど、お兄ちゃん一度も起きてくれないから・・・・・あ、お兄ちゃんの名前は?」
「名前・・・・・うっ!あ、あれ?名前・・・思い出せない、私は、誰?」「えっ!?思い出せない・・・・・お兄ちゃんってもしかして記憶喪失!?」
「そう、なのか?」「そうなの?」「・・・そうかもしれません」「そうなんですか〜」
「(さっき何か夢を見ていたような・・)あの、所でここは何処でしょうか?」「あ、えっとここはね」
ここはオーブから少し離れた場所に位置する小さな小さな無人島にも一見見える孤島。
一応オーブのものではあるが、島の住人に殆ど全てが委託されている(放置されている)人口100人前後の小さな集落。
連合やザフトが訪れる事もなく、民間の物資業者が屋台で好き勝手に品物を売りに来るだけの場所である。
少年ヒコスケは最近ある理由で母親とこの辺りまで来ていたらしい。
今二人が居るのは島の南側であまり開拓されていない、住民がちょこちょこ勝手に家を作って住んでる場所。
北東側には港や市場、西側にはこの島の殆どの住人が住む村があるらしい。何処も一昔、二昔前の赴きで、まるでこの島は生きた化石だ。
2
「何も思い出せないんだね・・・如何しよう」「俺の名前・・・・・何でしょう・・・オ、オ、オク・・」「お兄ちゃん?」
「何だか咽喉の奥に引っかかってるんですが、確か私の名前はオク・・・・・オ、オク・・」
「オクラ!!」「オクラァ!???」
「うん!きっとそうだよ!お兄ちゃんの名前はオクラなんだよ!」「オクラ・・」
「お兄ちゃんの髪の毛緑だもん!だからきっとオクラって名前だったんだよ!オクラって知ってる?緑でねばねばでおいしいんだよ?」
「オクラ・・・・・。そうですか、私はオクラという名前で
ピピピピピ
オクラの乗っているベッドの横の、小さな木のテーブルに乗っている小さな機械が電子音を少し煩く鳴り響かせた。
「何ですかこれは?」「あっ、お兄ちゃんちょっと待ってて・・・・・・・はい、これ飲んで」
少年が差し出したのはオブラートに包まれた白なんだか黒なんだか茶色なんだか色々混ざっている粉のような物だった。
「これは?」
「島のお医者さんのおばあちゃんがお兄ちゃんに飲ませなさいって。お兄ちゃん体悪いみたいだから必ず飲ませるようにって。
眠ってる時は大人の人が注射を使ってたんだけど、起きたら飲ませなさいって言われてたの」
「そうだったんですか。すみません、お手数お掛けします」
「謝る事ないよ。お兄ちゃん怪我してるし病気なら治さなきゃ駄目だもん!
おばあちゃんが最初はひどかったけど今は大分良くなって来てるって言ってたよ!きっとすぐに良くなるよ!」
「・・・」「どうしたの?」「いえ・・・(何だろう、なんだか懐かしい気持ちが)」
少年を見詰めるオクレの目はやさしくて、そして何処か寂しげだった。
記憶を失って何も分からない自分、この先如何なってしまうのだろうか。ああでも、早く体を治してこの分を恩返ししたい。
恐らく見ず知らずであろう自分を介抱してくれていたという人達に恩返しを。オクレはそう思いながら再び目を閉じたのだった。
3
変わって島の西側住宅地。
(何だろう、俺の頭をやさしく撫でてくれる大きな手、懐かしい。少し臭くてザラザラしてる。)
薄っすら目を開けると、大きくてまるで自分を丸ごと包み込んでくれるような人影が。
(うっ、目が痛い。そうか、目を怪我しているのか。見えない、この人が誰なのか確かめたいのに見えない。)
人影は大きい臭いザラザラの手を離すと立ち上がって部屋から出て行った。
(今の人懐かしい、懐かしい人、懐かしい人?それは、そんな、そんなのは一人しかいない。そうか、あの人は。)
「パパァ!!」
がばりと飛び起きると体に激痛が走り、その痛さに思わず手足をばたばたぴょんぴょんさせてしまう。
「あ痛ぃ!」蹲ってぷるぷるし、落ち着いてから辺りを見回すとここは、色々なインディアン風味なインテリアが凝縮されたちょっと引いて
しまう異様な部屋だった。日の光がいっぱい入ってくる窓が一方向に付いていて、不気味な部屋を神聖な感じに照らしてくれている。
目が痛くてよく見えないが大体そんな感じだろう。
(あれ?俺・・・死んだろ俺!何で俺生きてんだ?訳分からないっての!体中痛てー!!
さっきの人・・・パパ?そんなはずは・・・・・・でも、あんなに大きくてやさしい手はパパしか居ない。・・・・パパ)
しばし無言で窓の光を眺め、何だか目がもっと痛くなって来たので目を閉じ食い縛り、
痛む体を丸めて再びベッドに倒れこんだ。
俺の名はシャムス・コーザだ。ファントムペイン最強のMSパイロットで、俺専用のヴェルデバスターを駆っていた。
駆っていたのだが、黒い一つ目のMSにやられて死んでしまった。死んでしまった、はずだったんだけどな。
信じられねぇ、何で生きてるんだ?ワープか?蘇生能力か?降霊術で呼び寄せられただけでもう死んでるのか?
分からねぇ、分からねぇが、生きてるならラッキーって事で納得しとこ。・・・ミューディー死んだと思ってるよな、俺の事。
4
「と、いう訳で、そのでか物持ってくのは無理だ!」「そ、そんなぁ〜」
港で船乗りのおっさんと話しているのはザフトのパイロットタロウさん。
モグラグーンをこの島から運んで早く軍へ戻ろうとしているのだが、モグラグーンが大きすぎて島を行き来する船じゃ運べないようだ。
「スミマセン メイワクバカリカケテ」「ううん、気にしないでいいよ。それにしてもこんな事になるとは。軍に置いてかれたし」
経込んだ頭を修理されながら佇むモグラグーン。
島の子供達が装甲に゛モグラ参上゛とか゛モゲラ゛とか悪戯書きしている。「ウンチノ エヲカクノハヤメテクダサイ」「これ直すの結構掛かるなぁー」
タロウさんが溜息を付いていると、港の賑わっている方から一人の男が手を振ってこちらにやって来た。
「どうだ、直りそうか?」「それが全然。直せないわけじゃないけど時間掛かりすぎるよぉ」
やって来たのは元砂漠の虎アンドリュー・バルトフェルドさん。悲しい事故で海へ落ち、味方にも見捨てられた彼を、
タロウさんとモグラグーンが荒れ狂う戦場から助け出してくれたのだ。
「俺も出来るだけ支援はするが、なんせ場所が場所だからなぁ・・・あんまり期待せんでくれ」「はぁ」
タロウさんはもう一度溜息を付くと、モグラグーンの横に立つオレンジ色の虎MSを見上げた。
「土竜と虎、どっちも海を泳げない、空も飛べなきゃ船にも乗れず」「ア ダメデス ソノ タイヘンキケンナネズミノエダケハ カイテハイケマセン ヤメテー」
虎は買い物を済ませるとタロウに挨拶してからその場を去り、今住んでいる住宅街へと帰っていった。
家に入り奥の部屋に行くと、そこに横たわるシャムスの体に薬や新しい包帯を付け始めた。
(ああ、この人は俺を助けてくれている。やっぱりパパなのか?分からない、分からないけどきっとパパだ、パパであってくれ)
「よしっと!終わったぞ。ここに食事置いとくから、もし食べられるなら食べてくれ。って、まだ目も覚ましてないか」
虎はシャムスの頭を軽く撫でると再び部屋を出て行った。
「・・パパ。ありがとう、パパ」
162 :
通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 17:23:37 ID:JdZkFfxd
age
大昔にオルガの過去に関する捏造話を投下した者ですが
衝動的にまたそういう話が描きたくなったので勢いのままに実行。
題して『或る生体CPUのレポート ページ2』
* * *
自分で言うのもなんだが俺は、物心付いた頃からとても内気で陰気だった。
同年代の子供に限らず大人にまで無愛想で、たまに喋ったかと思えば「うざーい」
という拒絶の一言。
当然、誰からも好かれず親ですら俺を持て余すようになっていた。
そんな生意気なガキが唯一心を落ち着かせられるものは、音楽だった。
ガキなりに好みがあって、ヘビメタ等の激しい曲調を好んで聞いていた。それらは
もはや百年も昔に殆ど廃れてしまったジャンルで、一回ではおよそ韻律など感じ取れない
打楽器の乱打や電子弦楽器の爆音と、それに乗った歌詞も聞き取れないような歌声が
どういうわけか歌手の狙った層より遥か未来のちびの心を捉えちまった。
大人たちや同級生に言わせればそれは耳障りなノイズに過ぎなかったが、俺から
してみれば周りの連中が発する音全てがノイズなワケで。今にして思えば、脳みそを揺さぶる
不協和音の激流がそうしたノイズをかき消してくれるからこそ、俺はうるさい曲に
特別の思い入れを持ったのかもしれないな。
俺は音楽以外の全部が嫌いだったが、とりわけ同級生の女の一人を避けていた。
あっちも音楽好きでやたらと話しかけてくるのだが、奴が近くにいると音楽を聴いていても
世界のノイズが消えなくなる。拒絶の言葉を――ときには辛辣すぎる言葉も吐いたのに
この女はまるで気にせずニコニコしていた。こんな奴は扱い方も解らないし避けるに限る。
俺の人生が変わったあの日も、ただ授業を受ける為『だけ』に向かう通学路で
その女はいつものように俺の肩を叩く。
「おはよう、今日は何の曲聴いてるの?」
「……アトランティス・バードの『パラダイスロスト』」
「へぇ、ちょっとはソフトな曲も聴くようになったんだ」
そういえば、最近は普通の音楽でもノイズが消えるようになっていたような気がする。
その理由を考えようと、ずれたヘッドホンを最適な位置に戻しかけた時だ。
聴覚や音感には絶対の自信を持つ耳が捉えた、何かが空を切る音。
「! あ……」
声を出す暇も無かった。身じろぎ一つできなかった。上空から降ってきたカプセルが
弾けるように割れ、そこから身を乗り出した一つ目の巨人達が手にした得物を眼下の街へと向ける刹那に。
煌く荷電粒子が地表を撫で、気が付くと周囲は火の海と化していた。
ザフトの『オペレーション・ウロボロス』。赤道に沿って配置されたマスドライバーを
全て制圧することで連合軍を地球に閉じ込める作戦。この街はど真ん中に連合の駐屯地があり、
ザフトの連中はその戦力を無視し得ないとして降下カプセルによる奇襲を仕掛けた。
そして最悪なことに、攻撃目標の駐屯地は俺の家や学校から至近距離にあったのだ。
熱風に身体を放り上げられながら、ノイズの発信源だった顔見知りの連中がそこら辺に
血まみれで転がっている光景を目にして、俺は大いに喜んだ。そう、喜んだのさ。
自分は奴らが嫌いだったし、あっちも俺が嫌いだった。そんな連中の死を悲しむ義理は無い。
しかし、あの変わり者の女がそうした連中の一人に加わっているのを発見した時――
俺はどういうわけか、理解しがたいことに、“落胆した”のだ。
「……死んだのか」
周りに生きた人間の姿は見えなかった。幸運にも、吹っ飛ばされたおかげで
死を免れたらしい。しかしその時、直前まで感じていた底意地の悪い喜悦は
風船が割れるように消えてしまっていた。
ノイズが聞こえない。モビルスーツと戦車が撃ち合う爆音なんて、もはや耳に入らなかった。
誰一人喋らず、動かず、不気味な静寂に満たされた時間。あちこちで燃え上がる炎は
沈黙の氷を溶かしてはくれなかった。
俺はあの女の亡骸の前に立つ。
「ノイズが……ノイズが聞こえないんだ。お前のノイズも聞こえない!」
独り沈黙の世界に放り込まれ、ようやく俺は解った。俺が見下し、遠ざけていた
雑音まみれの世界は羨望の裏返し。そこに溶け込めず、一匹狼を気取る俺自身が
己の孤独さを意識せずに済むよう作り上げた幻想のノイズだった。
「聞こえない、声が聞こえないんだ。聞かせてくれよ、お前のノイズを……」
砲弾飛び交う戦場の只中、俺は座り込んですすり泣いた。人目をはばかる必要は無い――
そもそも誰も生きていないのだから。あれほど求めた静寂が怖くて、このまま死にたいとさえ思った。
だが、運命の女神とやらは俺の楽譜に「Fin」と書き込んではくれなかった。
気が付くと戦闘は終わり、連合の増援が来てザフトは撤退した後だった。
事後処理の過程で俺の両親は死亡が確認され、いわゆる『戦災孤児』がこの世に一人増えた。
連合軍に引き取られ施設に預けられたが、そこが孤児院ではなく特殊な兵士を作り上げる場
であることはまもなく解った。
そこで特に優秀な成績を出したとかで、俺はここに居る。もうすぐ肉体に最終段階の
強化が施され、記憶を消去され、俺はブーステッドマン――いわゆる強化人間になる。
兵器になることが怖くはなかった。だが、記憶をなくされてしまうのは嫌だ。
世界を雑音として否定した俺は、その取りとめもない音の乱舞の中にも美しい旋律が
織り込まれていることに気付かなかった。世界は楽譜無き音楽であり、俺が雑音だったのだ。
忘れたくない――失って初めて気付いた最高の音楽の記憶を。失いたくない――
主旋律から零れ落ちた雑音に微笑んでくれた笑顔を。
俺はあの変な女に惚れていたのか? 今となってはもう解らない。ただ、何より
忘れたくないのは好きなバンドの曲でもギターの弾き方でもなく、あいつの顔と声だった。
戦いがなくなる日はきっと来ない。でも、俺が戦場に出てさっさとその場の戦闘を終わらせる
努力をすれば、少なくとも『消される謂れの無い音符』が消される数は減るのだ。
だから俺はコーディネーターという、世界の雑音を消してやる。
もしシャニ・アンドラスがこの日記を読んで『誰のことだ?』とか思うようなら
脳みそひっくり返してでも記憶を取り戻せ。これは『お前の』ことだ。
――とりあえず明日から俺は人間ではなく、モビルスーツの……兵器のパーツになる。
俺の新たな名は『フォビドゥン』。
ノイズを消し去るために殺戮を演奏する、禁じられた楽器だ。
<了>
GJ!!
シャニ・・・
これはロドニアで見つかったのかねぇ
せつねー
5オクラ
数日間俺は体の痛みで動けなかったが、パパとその知り合いらしき奴のお陰で何とか動けるまでになった。
パパ、のような人は俺がしゃべれるようになっても特に何も聞いて来なくて、ただただ俺の体を気遣ってくれた。
「俺のオリジナルブレンドだ、上手いぞ」「ありがとう・・・」
不思議な気持ち、ずっと腐れていた自分の気持ちが嘘のように無くなって、何だか素直で居られる。それはきっと、パパだからだ。
俺は変わった、パパが死んでからかなり変わったはずだ。パパが死ぬまでは俺は人を殴る事さえ恐かったから。
パパもよくオリジナルブレンドを、ホットチョコを飲ませてくれた。溶け切らないチョコのやわらかな塊を噛む感触が好きだった。
ああ、俺はもういいや、このままここに居よう。ここがいい・・・どうせ、俺は戻れない。ファントムペインに失敗は許されないのだから。
「まさかこんな所にMSがあるとはな。しかも二機、グーン・・・ザフトのだ」「早く上に知らせよう」
「いや、ここは俺達だけであの二機を強奪、もしくは破壊する。どうせ美味しい所はファントムペインに持ってかれるんだ。
このチャンスで上の目に止まらなければ、俺達は一生下級パイロットのままだ」「だ、だが・・」
「今やらなきゃならないんだよ!じゃねーと家族は・・・一生あんな生活のままだ。お前だってそうだろ!?
軍人以外仕事が無くて、軍人になったらなったでこの様だ・・・、だから俺達で手柄を」「分かったよ」「マルコス」「やろう、俺達の手で・・」
「じゃあ家が如何成ったか確かめるには至らなかったわけですね」「うん、ザフトが居るって。あーあ、僕の家無くなっちゃったのかな」
「でも、もし残っていたとしても、もうそこには住めないのでしょう?」
「うん。だけど・・・それでも一目でいいから確かめておきたかったんだ。僕とパパの大切な思い出の場所だから・・・」
「・・・・」「ごめんね、オクラ。おもしろくない話しちゃって」「い、いいえ!私の方こそ無暗に聞いてしまって済みません」
オクラが目を覚ましてから数日が立ち、オクラの体は驚く程良くなって少年や島の人々のお手伝いをするまでになった。
「よう、オクラ!今日もねばってっか?w」「え?あ、はい!」「ははははは!冗談だっての!ちっとは冗談覚えな、ほんと真面目なんだから」「はぁ」
生真面目な性格が手伝って島の人々と短い間ですっかり仲良くなり、オクラと少年は毎日市場や港の手伝いを朝から晩までやっていた。
6オクラ
「もうしばらくしたら出歩けるよ。それまでの辛抱だ」「はい」タロウに食事を貰ってすごい勢いで頬張るシャムス。
もし傷が治ったらここを追い出されるのだろうか?いや、きっとパパは俺を一生居させてくれる。きっと。
「あの人は今日も仕事かぁ。この島では数少ないコーディネイターだからってみんな仕事押し付け過ぎだなぁ。
いくら能力が有っても疲れるのはナチュラルと同じなのに」
「・・・・へ?」何?へ?パパが、何だって?
「あの人があの砂漠の虎、アンドリュー・バルトフェルドだって知ったら皆ぶっ飛んじゃうかもなぁ。
あ、俺はもう行くからゆっくり食べててな。片付けは、出来ればして貰いたいけど無理だろうから食器はそのまま置いといてね。それじゃ」
タロウは小走りで部屋を去り、残されたシャムスはスプーンを握ったまま凍っていた。
「こっちこっち」「待ってください、疲れました」「ほら、これがタロウさんとアンドリューおじちゃんのMS!」
オクラが息を切らせて追い着き少年の指差す方を岩の影から見上げると、そこには夕闇に溶ける二機のMS。
「・・・これは」キュピピーン ビバッ
佇むMSの片方、オレンジガイアを見た瞬間オクラの頭に鋭い衝撃が走った。
「あうぅ!」「どうしたのお兄ちゃん?」「い、いや・・何でも無い」
何だ、このMS何所かで、確か何所かで一緒に・・・・「ス、テラ?」「お兄ちゃん?」「いや・・・、そうだ、もうすぐご飯の時間ですね、帰りましょう」
首を傾げる少年を連れてオクラは早足にその場を去る。
その時オクラの脳裏には幾つかの見知らぬ光景が浮かんでいた。金髪の少女と何か食べている光景、
金髪の仮面の人物とバトルえんぴつを転がす光景、そして、目の前の少年と同じ黒髪を持つもっと幼い子供と楽しく遊ぶ光景。
「・・・(俺は誰なんだ?)」オクラは何だかものすごく恐くなって、少年の手をぎゅっと強く握った。
ちなみに今晩の食事はカレーだ。はちみつは早く入れるんだ、じゃないとトロトロに成り過ぎる。チョコは隠し味で最後に。
いかん!ヨーグルトをそのまま入れては混ざりきらない、ちゃんとスプーンで解してから入れるんだ。シナモンも入れろ。
くそっ!NJキャンセラーさえ手に入れば無限にカレーを煮詰める核コンロが造れるのに!「バルトフェルドさんコーヒーは入れないで下さい!」
7オクラ
オクラや少年達とカレー祭りを終えて帰って来た虎、真っ暗な部屋に入りお気に入りの椅子に満足そうに座る。
カシャリ
「?」「動くな!」暗闇に何か硬い音が響き、その後誰かの大声が虎に向けて放たれた。小さな薄暗いオレンジ色の灯が灯る。
「・・・コーディネイターを、排除する!」「君は・・」
明かりが灯ると、虎に向けて銃を両手で構えるシャムスの姿がはっきりと浮かび上がった。彼の顔には苦渋を飲んだような
表情が浮かび、ずっと握り締めていて体温で温まった銃を握る手は汗ばみ、小刻みに振れて汗が揺れる。
「うーむ、どうやら傷はもう良いようだな。これなら近いうちに君も
銃声が鳴り響いた。
乾いた破裂音と何かが砕ける音が重なるように部屋を反響し、一瞬後には静寂が部屋を包んだ。虎の後の肖像画に穴が空いた。
「お前、コーディネイターだったのか!!」「そうだが?」「よくも、よくも俺を騙してくれたなぁ!!」
「人聞きの悪い事言わんでくれ。俺は別に何も君を騙したりした覚えは無いんだが?」「うるさい!コーディネイターの癖に!!」
「コーディネイター、コーディネイターねぇ。うーん・・・・・コーディネイターと交尾寝ーた」
再び銃声が轟く。今度は虎マネキンが粉砕。
「ふっざけんな!!てめぇ俺を馬鹿にしてんのか!?ぶち殺すぞ!!」「・・ふう。殺す、ねぇ。・・・・・何でかねぇ?」
「コーディネイターだからに決まってんだろ!!糞が!残虐な空の化け物め!!俺が一人残らず始末してやる!!」
シャムスは銃を向けながら近づき、虎の顔を睨みつけながら引き金を絞る。「コーディネイターが!」
「まあ、そういう物なのかねぇ」引き金が引き切られようとした瞬間、虎は自分の頭を突き出し、向けられた銃にぴったりと額をくっ付けた。
「な、何しやがる!」「殺すなら出来れば一撃で送って欲しいんでね。ほら、君怪我してるでしょ?狙いが逸れたら大変だ。弾が勿体無い!」
「ふ、ふざけてんのか!?」シャムスが一瞬見せた隙、虎は右手を銃の真下から垂直に叩き上げ、汗まみれの銃を宙へと叩き出す。
「なっ」銃は空中で回転し、虎はそれを右手で素早くキャッチして見せる。そして、その銃をシャムスへと向けた。
「まあ正直俺は死にたくないんだがね」「ちっ・・・こ、殺せよ」「んー?」「・・・」「そりゃ無理だ」「!?」
虎は銃を下ろし弾を抜いてから、玩具に飽きた子供のようにそれをソファーへぽいっと投げ捨てた。そして何事も無かったかのように
シャムスの肩をぽんと叩いて部屋を出て行った。「早く寝ないと早起き出来ないぞ?」「・・・あいつ、何で」
馬鹿な、自分を殺そうとした奴を置いて平然と出て行った?馬鹿な。そうだ、きっと今からコーディネイターの仲間に連絡を取りに・・・。
シャムスは虎の後を気づかれぬ様に付いて行き、虎の行き着いた部屋を隙間から覗いて確認してみると「・・・・う〜ん、まりゅぅ〜」
寝てた。寝言を垂れて寝てた。「・・・・・何なんだ、こいつ」「まりゅぅ〜、ムウなんて忘れろ〜」
8オクラ
「おーいオクラー!そっちも頼むー!」「分かりましたー」今日も荷物運び等をしているオクラ。きびきび働いて清々しい疲労感、最高です。
オクラが大きな箱を抱えて通路を行こうとした時
「おおう!」「あっ、すみません!こんな狭い所でこんな大荷物運んでしまって」「いいや・・」すれ違い様の男は軽く頭を下げて去って行く。
「お兄ちゃん!そろそろタロウさんの修理のお手伝いー!」「はい、すぐに行きます」
楽しそうに仕事をするオクラ、その横顔をすれ違った男は鋭い目付きで睨む。「・・・奴は」
「部屋の中で銃を撃つのは関心しないな。跳ね返って自分に当たる可能性があるだろ?」「・・・」
今日も修理に向かう前に食事を届けに来たタロウ。虎から何があったか聞いたようだが、それでも特に変わりなくシャムスと接する。
「何で」「ん?」「何でお前らはそんな平気な顔してんだよ・・。俺は殺そうとしたんだぞ」
「あ、うん。でもバルトフェルドさんは全然気にしてないし」「だから何で気にしないんだよ!!」「気にしてないからだよ」「だから!・・・・っ」
シャムスは疲れたように溜息を付いて押し黙ってしまう。タロウは運んできた食事のパンを一個取って食べ始めた。
「そんなにコーディネイター嫌い?」「・・」「俺もコーディネイターなんだけど」「・・・」「それが理由で殺されるのは嫌だな」
「・・・・・お前ら、俺が誰だか知っててそんな態度取ってるのか!?俺はシャムス・コーザ!地球連合ファントムペイン所属のMSパイロットだぞ!」
「うん、知ってるけど」「はぁ!?」
タロウはパンをよく噛んで消化良くして飲み込むと、一人オクラダンスをしながら話し出す。
「シャムスの事はバルトフェルドさんから最初に色々聞いてたよ。君を海で拾った時にコックピット内のデータが生きてたとか。
それで色々分かったらしいんだけど」「馬鹿な!敵だって分かってて何で助けたんだ!?その場で殺せばよかっただろ!!」「何で?」
「ファントムペインの事知ってるならそれがブルーコスモス直属の部隊ってのは分かってんだろ?!だったら俺が
お前らを殺そうとするのは考えなくても分かんだろ!敵だぞ!お前らコーディネイターは俺達を殺すんだろ!!」「そんな、偏見だって」
「騙されるか!どうせ、どうせお前も俺達を殺すんだ!パパを殺したみたいに・・・俺達を殺してげらげら笑うんだろっ!!俺は知ってるぞ!
コーディネイターは俺達を殺すんだ!パパを殺すんだ!パパを・・・くっ、うくっ・・くそぅ!パパを返せよ・・・・・返してよ・・パパしか、駄目なんだよぉ」
「パパ・・・」「糞っ!パパだと思ったのに、あの野郎!砂漠の虎?ふざけんな!そんなの最悪の敵じゅねーか!パパ敵じゃねーか!」
「お、落ち着いて」「敵だっ!俺の敵だ!なんだよ・・・俺にパパを殺せって言うのかよ・・・・あれ?パパ?駄目だ訳分かんねぇよ。パパって誰だよ?」
9オクラ
シャムスは瞼から、遥か昔に枯らしたはずの涙を頬へと伝わせていた。もう何が何だか分からない。
ずっと閉じ込め、理屈で自分をこり固める事で思い出さないようにしていた過去が溢れ出て来る。
次から次へとパパとの楽しい思い出が蘇り、死の光景と交互に何度も浮かぶ。そしてそれに虎の姿が重なってしまってつらい。
ふと、すすり泣くシャムスの前に一枚の手拭いが差し出された。
「何か、つらい事があったんだな。ほら、これで涙拭いて」シャムスは受け取らない。ぐいっと差し出す。ばちんと払われる。
「バルトフェルドさんが言ってたよ。死んでほしくないなぁって」「・・・」
「・・・・俺、さっき全然気にしてないとか言ったけど、あれは嘘だ、気にしてる、ファントムペインなんてすんごく怖い。
ナチュラルはコーディネイターを平気で殺そうとするって、正直俺も思ってるよ。君と同じようにね。でも」「・・・でも、何だよ?」
「俺はナチュラルだからだとか、コーディネイターだからだとか、そういうの大嫌いなんだよ。そういう事いちいち言う奴が嫌いだ!腹が立つ。
俺の両親はナチュラルだった。ものすごく立派な人達で、自分の子供もすごく優秀にしようって考えたんだろうな。
それで俺はコーディネイターにされた」「自分の子供をコーディネイターなんかにする奴の気が知れねえな」
「俺は生まれた。生まれて、ものすごく立派になるように色々させられた、色々喜んでした。
自分が優秀だって言われるのは気持ちが良い事だし、両親がそれで大喜びしてくれるのが何よりも嬉しかったから。
ナチュラルよりずっと優秀で、例え同じコーディネイターの仲間に勝てなくても、
ナチュラルを見れば自分は上だって思えた。だから不満なんて無かった、幸せだった。だけど、そう思えなくなった。開戦した。
世界はナチュラルとコーディネイターに分かれて殺し合いが始まった。行く先々で俺がコーディネイターだって理由で、
一家ごと迫害された。何処へ行っても拒まれて、何度も命の危険を感じる出来事にあった。そして、ついに両親は・・・。
些細な事だった。日常生活の、両親の出来ない事を俺がちょっと手伝っただけだった。俺が軽々とやってのけたら、両親は俺に軽蔑の
眼差しを向けながら言った゛あんた自分の方が私達より上だからって調子に乗るんじゃないわよ゛って・・。
最初何言ってるのか分からなかったよ。両親が俺に対して劣等感を持っていたなんて思いもしなかったから。
俺が不思議そうに何なのと問うと両親はヒステリーを起こして、いきなりコーディネイターは間違ってるとかおかしいとか言い出して、
最後には゛気持ち悪い・・コーディネイターの癖に近寄らないで!!゛、そう言われた。それですごくナチュラルが嫌いになった。両親も。
でも、その両親はすぐに死んだ。コーディネイターに襲われて、俺の目の前で集団で虐殺された。両親を殺す奴等の顔は笑ってて、
それを見て俺はコーディネイターも嫌いになった。ナチュラルを殺す奴もコーディネイターを殺す奴も大嫌いだ。許せない。
そういう奴等だけ皆殺しにして、そんなの関係無いって言える人達だけの世界を作ればいいんだって、そう思った。
でも、俺が同胞だって理由で助けてくれてプラントでもよくしてくれた人の事を考えるとそれも何か違う気がして、結局何も憎めなくなった」
ありとあらゆるSSのオリキャラやら設定やらを詰め込んだグダグダなSSが読んでみたい。
ザフト所属の逆ハートリッパー女兵士と地球軍のU−1最強パイロットの殺し愛宇宙だとか、
アズラエルとパトリックが両方憑依キャラで和平を目指してるはずなのにすれ違いまくったり、
ヘリオポリスからはでるはでるは、大量のガンダム。
Gの試作型から、アストレイの試作型やら、誰が作ったかわからない謎のMS。
そんなグダグダな中進む話が読んでみたい・・・。
そして激突する平行世界の種死キラとトリーズナーキラを横目に決着をつける連合軍人キラと駄目人間アスラン
キラはデルタストライクを、アスランはジャスティスを使い戦う
端っこでシンが魔眼を暴走させつつロアの転生体であるラクスの死の点を突き殺し
ラスボスとなったマルキオがその目を開く時、世界は滅ぶ
テスタメントガンダム
で検索かけたらグダグダなSSが出た
まあ個人サイトだったらそういうのが多いと思うけど
保守
最初の原因は、ほんの少しの歪みだった。
その歪みがやがて大きくなり、世界を覆うほどの混沌を生み出していった。
それは異世界の住人だった。それは相沢祐一と呼ばれる少年だった。それは平行世界の人間だった。
ありえざる可能性が闊歩し、ありえた物語は終焉を迎えることになる。
「私はザフト軍フェイス所属、戦技教導官の高町なのは。よろしくね♪」
――――――魔法少女という可能性、誰もが認める無敵のエース・オブ・エース、高町なのは
「オレの望みはたった一つだ、ユウナ。お前を殺して本来のオレに成り代わる―――!」
――――――殺人鬼という可能性、七夜の一族の末裔、ユウナ・ナナヤ・セイラン
「カガリ・ユラ・アスハ……あんたはこの場で消えなはれ。あとはうちが終わらせたるからな!」
――――――HiMEという可能性、異世界のアスハ家の後継者、シズル・ユラ・アスハ
「テメェの好き勝手にゃやらせねぇ! 断罪のシェルブリットォォォッ!!」
――――――アルター使いという可能性、反逆者の異名を持つ男、異世界のキラ・ヤマト
「オレの能力は知っているだろう? この世に存在するモノならば、全てがオレの仲間になりうるッ!!」
――――――ハーレム王という可能性、時系列すら超越して全宇宙を支配する男、異次元のシン・アスカ
「目覚めの時です――――この世界を滅ぼす私という存在の!」
――――――邪神という可能性、ルルイエに眠るガタノゾーア、ラクス・クライン
その舞台で再び復活する別世界の者達がいた。
「再びこの夜を演じることになろうとは――――因果なものだな、シオン?」
――――――タタリの根源、ズェピア・エルトナム・オベローン
「老い先短いあなたは寝たらどうです? もはやタタリは私のモノなのだから――――!」
――――――タタリの後継者、シオン・エルトナム・アトラシア
「アリシアを取り戻す為なら、私は悪魔とでも手を組むわ。」
――――――強大な魔力を持つ異世界の大魔導師、プレシア・テスタロッサ
「設定年齢19歳蟹座のB型ッ!!」
――――――美形なHOLY部隊隊長、マーティン・ジグマール
その世界の宇宙を舞う、無数のMS達。
――――――平行世界でシン・アスカに魅了されたラクス・クラインが生み出した機体、エターナルデスティニー
――――――直死の魔眼に覚醒したユウナの駆る機体、ムラサメ・オオツキガタ
――――――ユーラシア連邦の手により復活した、この世界のキラの愛機、ハイペリオンストライク
――――――アスラン・ザラが受け取った、プラントの同胞の想いを込めた機体、ジャスティスセイバー
――――――カガリ・ユラ・アスハの手によって、鮮血に染められた呪われた機体、紅姫
――――――ザフト軍がプレシアの協力を得て開発した最終兵器、エルハザードプロヴィデンス
――――――世界の混沌を修復し、本来の流れへと導く存在、エターナルフリーダム
混沌とした世界の行く先は、まだ誰も知らない。
機動戦士ガンダムSEED IF 〜混沌の世界〜
第一話「偽りの平和、真実のオーブ」
自らの民、守り抜け! ゴールドフレーム!!
>>178-179 これは素晴らしいカオスですね!
良い意味でカオス!、なんか強そうな厨MS達!、平行世界とか王とか魔女ッ子とか超能力とか反逆者とか溢れんばかりの厨設定!
続き書いてください、ある意味読みたい
保守
10オクラ
「分かった、お前の親はカスだ。コーディネイターを作ったナチュラルも死ねばいいんだな」何時の間にか平然とした顔に戻って皮肉を言うシャムス。
「いや、そうじゃなくて・・ただ、生まれて来た時には決まってた、自分じゃ選べない事で憎み合うとかそういうのが嫌だって。それだけ」
「・・・しっかし、お前なんでザフトなんてやってんだ?」
「モグラグーンを作るためかな、たぶん。ナチュラルもコーディネイターも嫌だから、だから人じゃないもっと違う何かに縋りたかったんだと思う。」
「ロボットに縋んのか?・・アホか」
「AIを自分で作ってモグラグーンに載せたんだ。自分で考えて自分で色々思ってくれる、人じゃない何かが欲しくて」
「アホだな」「うん。でも、それでも俺はモグラグーンと楽しく話せてそれだけで幸せだ」「・・・」
「間違いない。奴はファントムペインの一人だ」「何故ここに?脱走したのか?」「分からん、が、だとしたらこれはチャンスだ」
二人の男が暗闇の中で細々と声を上げながら何かを企んでいる。「奴を殺し、MSも奪い、俺達は人生を変える」
「そんなに怖い顔ばかりしてると体に悪いぞ?」「うるせぇ・・」シャムスの部屋で何故か食事をし始めた虎。唾を飛ばしながらシャムスに話掛ける。
「うあ!汚ねっ!・・・くそ、お前、何なんだよ。お前訳分からねーよ!俺はお前を殺すぞ!分かってるのか?」
「殺す、ねぇ」「何だよ、俺が恩を感じてお前を殺せないとか思ってるのか?」「いいや」「じゃあ何なんだよお前!」
「俺、ねぇ・・・実は君に殺されてもいいと思ってたのよね」「!?」「俺ねぇ・・・・・う、うぅ」「な、何だよ。何泣いてんだよ」
「俺ね、捨てられちゃったの。ずっと一緒に居て、かなりいい感じになってた女にあっさり捨てられちゃったのよ。命賭けた事もあるのよ。
なのにあの女ったら、俺がやっとの思いでオーブの避難先まで辿り着いたらみんなと話してたの!
『へ?バルトフェルドさん?そうね、残念ね。でもムウは生きていたわ。キラ君も♪』姿見せないでそのまま帰ってきちゃったわよ!もう!
何でなんだよマリュー!!俺の事嫌いになっちゃったのぉ!?だってムウがいない間ずっと俺が守ってたのよ?飯食わしてたでしょ?
一緒に家に住んで、笑って、遊んで、なのに!ああもういいや。ほらお前俺の事さっさと殺しちゃってよ。もう生きるのやめた、はいやめやめ」
11オクラ
虎は拳銃を取り出すとシャムスの手に持たせ、自分を撃つよう促す。「ほら、はやくはやくぅ」
「ば、馬鹿!そんな簡単に生きるの諦めるなよ!」「えぇ?どうせもう俺終わってるし、生きてく自信無いし。ほらピストルピストル」
「な、何言ってんだよ!ほら、お前にだって死んだら悲しんでくれる家族とか居るだろ?」「家族居ないし、結婚したかった女に捨てられたし」
「でもほら、何かお前にだって夢とかあるだろ?」
「ああ夢?子供の頃ヒーローになるって夢あったけど、此間ヒーローのように登場したら何か失敗しちゃってそれで見捨てられたし」
「うっ。な、なら、友達!友達は居るだろ流石に!ほら、お前が死んだら泣いてくれる友達が」
「居・な・い!居ないわいボゲッ!!何が友達だ失せろカス!!隊長だからって人寄ってきたけど皆一度も誘ってくれたしなかったぞ!
下っ端の時も、他は同期同士で楽しくしてたのに俺だけ仲間外れだ!オーブ来てからも何か俺だけ浮いてて、誰も話掛けてくれないし、
何時の間にか俺専用ムラサメがキサカとかいうアホに勝手に譲られてたんだぞ!俺専用じゃないじゃん!
友達だぁ?ぬるいんだよカス!友達なんて全部馴れ合いの脳内麻薬の糞味噌なんだよ!俺が友達居ないの全然寂しくないもんねカス!」
「・・・」「はぁ・・はぁ」何かに取り付かれたように溜まった物を吐き出した虎。吐き出したのに全然すっきりしてないようだ。
「あ・・」「なんだよっ!俺の事可哀想とか言うの!?砂漠の虎とかもうみんな殆ど忘れられてる俺を!」「い、いや・・・・・何でもない」
「俺を殺せぇ〜」「・・・なんかもう俺、嫌になってきたんだけど」「コーディネイター憎いでしょ?」「え?えーと」
「ほら美形の黒人の兄ちゃん、今が一番の狙い時だよ!今なら脳味噌ぶちまけ出血大サービスだ!生きが良いよぉ!
ほら、根性見せい!ほら、ここ当てて!一発でどかんだ!今なら俺の所持金を強奪して盗人に再就職可!ニートはまずいよぉ!」
「ふざけんな!そんな事したら露骨に犯罪者で追われる事になんだろ!」「じゃあ証拠隠滅で埋めちゃいな!俺が保障する!」
「・・・俺そろそろ出てっていいか?」「根性無し!何で俺殺さないの!そんなんじゃお前一生大物に成れないよ?」「成りたくない・・」
「モグラグーン・・」土竜にもたれ掛るタロウ。「ナンデスカ?」
「ごめんな、俺の勝手でお前をこんな風にしちゃって。心とか与えたせいで一杯お前に辛いとか悲しいって気持ち感じさせちゃって」
「イマニナッテ ナニイッテマスカ」「今になって、か・・」「ワタシハ ココロヲモラエテ トテモ シアワセナンデスヨ? ヒトノシアワセヲ ヒテイスルナンテ タロウサンラシクアリウマセンヨ」
「ごめん、モグラグーン。・・・・ありがとう!」ズーン その時、大きな音と共に島を揺らす大きな揺れが「何だ?」「コノユレハ」
もう色々と一杯一杯なんで全力で終わらせます。自分には短編書ける程纏める能力ありませんでした。ギャグも変だ。
12オクラ
「大変だぁー!島の南側にMSが出たぞー!」「何だって!?一体何所の?」島の南、オクラ達が住んでいる所にMSが現れた。
「くそう大変だ!行くぞモグラグーン!MSから島の人々の平和を守るんだ!」「ワカリマシタ!!」土竜出撃、砂浜を全力で駆ける。時速20キロの豪速。
虎にも出動命令が下ったぞ。「助けて下さいアンドリューさん!貴方のMSを!」「ああん?ああ俺今駄目だから」「そんな!」「やる気無いんだよ」
「MSのパイロットは゛ファントムペインの脱走兵を渡せ゛と言ってます!訳分かりません!ですから軍人のアンドリューさんが是非!」
「嫌だって言ってんだろ?もう皆一緒に死んじゃえば?」虎はもう駄目だ。それを見たシャムスがついに立った。
「(狙いは俺かよ!)こうなったら俺が出る!」「何だ?憎きコーディネイターの俺も殺せない腰抜けがMSと戦えんの?」
「うるせぇ!何かもうコーディネイターとか如何でもいいんだよ!お前ら見てたらそういうの全部馬鹿らしくなった!
このままじゃMSに襲われて糞みたいに死ぬだけだ!だったらもう何でもいいからお前のMSでも使って戦って生き延びてやる!」
「その後どうすんの?何かあてあるの?勢いだけで生きてける程人生甘く無いよ?」「知るか!勝ってから考えてやるぜ!!」
バゴーン「さあ出て来いファントムペイン!」強襲MSストライクダガー二機が島の南を襲撃だ。オクレ達の家も無茶苦茶にされちゃったぞ。
「僕達の家が!」「何て事を!(でも、私には何も出来ません。何の力も無い私には)」オクレが非力さに悔しがっていると
「止めろ悪党共!」「何奴!」ついに辿り着いたモグラグーン。土竜のシルエットが輝き、島の愛する者達を守るためいざ立向かう。
「とりゃー!」「トリャー!」モグラストレートパンチだ。すごい、当たったぞ。「うわぁ。何て強さだ」ストライクダガーが殴り飛ばされたぞ。だが
「しまった!ここに来るのにエネルギーを使いすぎた!」「コノママデハウゴケマセン!」時速20キロで頑張ったせいでエネルギー切れになったぞ。まずいぞ。
「ははは!馬鹿め!俺達の勝ちだ!」びしばし 「うわぁ!」「イタタ!イタイデスヨ!」モグラグーン大ピンチ。このままじゃやられちゃうぞ。
「うらー!!」ばごーん「うぎゃ!やられたぁ!」ダガーが一機爆発して戦闘不能に。パイロットが投げ出されて椰子の木に引っかかったぞ。
「お前ら倒して訳分からなねぇ気持ちを晴らす!」シャムスの乗るガイアだ。格好良いぞ。「虎さん?」「俺だよ」「シャムス!」「そっちはタロウか」
虎がダガーへ飛び掛った。「たあ!」「とう!」すごい迫力だ。「やるな!しかし・・これならどうだ!」ダガーが動けない土竜に攻撃を。卑劣だぞ。
「ちっ!」シャムスが土竜を庇って攻撃を受けてしまった。「うあー!」「がははは!馬鹿め!」ガイアは腕を爆発させて吹っ飛んでしまった。シャムス!
最終オクラ
「シャムス、どうして!」「お前言ってたじゃねーか。そいつはお前の大切な奴なんだろ?」「お前・・」「ちっ・・体が痛くてもう動けねぇや」
動けない土竜とパイロットが動かせない虎、もう何も手は無いのか。「もう止めて!」その時ヒコスケが叫びながら戦場に。
「お願いだからもうやめて!もう誰も傷つけないで!」「うるさい!この糞餓鬼め!」ダガーの凶悪な拳が唸る。「ひっ!」「ヒコスケ君!!」
少年を狙うダガーの拳、ゆっくりとスローモーションでオクラの目に映った。何だろう、この感じ、この光景前にも・・はっ!
その瞬間オクラの封印された記憶の全てが蘇った。少年の、かつて目の前で瓦礫の中へと消えた自分の弟と重なる光景。
自分の今まで消され続けて来た連合での記憶や子供の頃の記憶の全てだ。それが全部一瞬で蘇った。
ドガーン ダガーの拳は砂の大地を打ち付けた。そして、そのぎりぎり横には少年を抱きかかえ助けたオクラが。
「お兄ちゃん・・」「大丈夫か?」「お兄ちゃん?」オクラの感じの違いをすぐに感じた少年。「早く逃げろ!」「う、うん!」
少年が駆け足で木々の影まで逃げたのを確認するとオクラは振り返って、動けないガイアの方へ駆けて行く。
そしてガイアのハッチを開け、シャムスを放り出して自分が乗った。「コッポラ!」シャムスは奇妙な悲鳴を上げながら柔らかい砂の地面に落ちた。
「痛てぇ!何すんだ!ん?今の奴・・あいつってまさか!」見覚えある男。そうだ、あいつは同じファントムペインの。もしかして俺じゃなくて奴を?
「誰が乗ろうと俺に敵うものか!俺は人生を変える!」ダガーがガイアを襲う。「はあぁ!」オクラの強い唸りと共にガイア機動、サーベルを抜き
「てやぁ!」「はぁっ!」ダガーとサーベルを交え一線、この一撃で勝負が決まる。
ドガッ ガイアのサーベルを持つ腕が爆発「ぐははは!俺の勝ちだな!」「・・・いいや、俺の勝ちだぜ」ダガーの光がふっと消え「な、なに!?」
発光、ダガーの全身が輝いて、大爆発した。「馬鹿な!」「その程度じゃ俺には勝てないぜ」「くそっ、こうなったらお前も道連れだぁ!」
ダガーは最後の力を振り絞ってしがみ付き、そのまま海へと飛び込んだ。「自爆!」バッゴーン巨大な爆発が起こって機体は木っ端微塵に。
「俺は鳥になるんだー!!!」ダガーのパイロットは大いに吹っ飛ばされて行った。体は無事のようだ。
炎上する残骸だけが残され、少年、タロウ、モグラグーン、シャムスは、夕焼けに燃えるそれを見詰める。
「オクラ・・」「兄ちゃ・・」「駄目だ、流石にこれじゃ生きてねぇよ・・」「そんな事無いよ!そんな事・・・お兄ちゃん・・おにいちゃーん!!!」
「呼びましたか?」夕日に焼ける海岸を、少し焦げた服を濡らしたオクラがてくてくと歩いて来た。「お兄ちゃん!!」「昔・・」「?」
「昔、親と弟をテロで失い、ただ戦うためだけに生きて行く事を強要された男が居た。その男は何もかも忘れて、ただ戦っていた。
だけどその男は最後、大切な物を取り戻して死んだんだ」「お兄ちゃん・・」「その男の名はオークレー、スティング・オークレー」「・・」
「スティングという男は死んだんだ・・・・死んだんだ。今居るのはやさしい少年と一緒に居るのが好きな、オクラ」「お兄ちゃん!」「ただいま!」
そしてオクラとヒコスケ、タロウとモグラグーンはいつまでも幸せに孤島で暮らしたそうです。シャムスはニート化した虎に代わってお仕事。 おわり
GJ!!オクレとシャムスが救われたのが良い
保守
保守
正気かッ!?
さらに混沌は拡大し、狂気が蔓延する。
「たとえ便所に隠れていても息の根を止めてやる」
――――――最恐の称号。それは元スパイの国家元首。ユーラシア連邦から権謀術策をもって世界を席巻。
「ただひたすらに神の教えに忠実であれ」
――――――混迷の世界。今こそバチカンの威光を世界に。ありとあらゆる平行世界の異端殲滅機関を率いるのはマルキオ・ベネディクト16世。
「汝、魔を断つ 剣となれ」
――――――“旧神”という可能性。邪悪なる神を滅ぼすシン・ダイジュウジの駆る機神デモンベインインパルス
「これは白痴の神が夢見る、暇つぶしの御伽噺」
――――――無貌の神の持つもう一つの顔。この混沌を生み出した無数の存在の一つ。“補正”を操ることで世界を書き換えるナイアルラト負債。
「政治家は『話してもわからない人』とつきあわねばならない」
――――――運も実力の内?とにかく戦う相手に不運をもたらす豪運の宰相。ユウナ・コイズミ。
「親父を超え親父を殺す!」
――――――クローンという可能性。伝説の兵士の遺伝子を持った男。ラウ・ル・リキッド。核搭載ガンダム、メタルギアプロヴィデンス。
「性欲を持て余す」
――――――クローンという可能性。伝説の兵士の遺伝子を持った男。ムウ・ラ・ソリッド。ミラージュコロイド搭載潜入機、ムゲンブリッツ。
「俺は俺でしかない」
――――――中華の指導者という可能性。人に最も興味を持った破格の人。曹操。才あればコーディネイターでも用いる。
「おお神よ!科学という名の悪魔に魂を売り渡した私を許したまえ」
――――――最狂のマッドサイエンティストという可能性。山野田ストライクフリーダム他、数多の巨大人型兵器を操る科学者。
「海、サイッコー!」
――――――海の男という可能性。ビッグでワイルドなダンディ、キャプテン・カイジ。仲間たちと一緒に世界の海をサンキュー海アビス号で駆け、見ず知らずのガールとの出会いに胸ときめかせる。
「私は連邦の自由を守る!何故なら私は大西洋連邦大統領なのだから!!」
――――――大統領という可能性。平行世界の大西洋連邦大統領がメタリックブルーの機体に乗り込み大暴れ!
疲れた(´・ω・`)
でも暇ができたらまた書くかも…
「計画通りMSの収拾は進んでいる。ジンばかりが目立つが、仕方ない」
旧世代の機体で構わんよ。むしろそちらの方が難無く集められるだろう。それに、問題なのは戦力を揃えるという事だ。「では、後日・・」
「もうすぐですね。もうすぐ仇を討つ事が出来る」「ああ、もうすぐだ。世界が動いて時が来れば・・」「・・」「墓標は無駄にはしないぞ、サトー」
『種運命 選ばれなかった未来 連合VSザフト(アスランVSルナマリア&ちぢれ毛と仲間達)編』
1
連合艦隊を討ち、オーブを掌握する事に成功したザフト。それを指揮したアスランはザフトの人々に賞賛され、
救世主として祭り上げられていた。今まで奇異の目で見ていたミネルバクルー達も見直し、誰もアスランを馬鹿にしない。彼女を除いて。
「アスランが私を襲おうとして、シンは私を助けてくれた・・・でも如何して?一体如何いう事なの?分からないわ・・」
『そんなに悩まないで下さい。そんな顔をしていては体も休まりませんよ』ルナの独り言に対しルナだけに聞こえる声で誰かが優しく言う。
「いい加減に離れてくれないかしら?・・あなたの言う通り、あの時アスランの所まで行ったはずよ?言う通りにしたでしょ?
なのに何でずっと私から離れてくれないの・・」
『すみません、僕、何だか貴女から離れられなくなっちゃったみたいで。あとこの人達も』
ルナが自分の後ろを振り向くと、影色をした幾つかのよく分からない塊が蠢いていた。何かごちゃごちゃ会話をしているようだ。
『まさか少尉とまた話せる時が来る何て思いませんでした』『俺もだ。な、お前達もそうだろ?』『はい』『まさかこんな形で残るとは』
『そういえばお前あの時言ってたな。いちご・・何とかって』『ああ、はい、私の好きなアニメでして。最後だったのでつい口に出してしまい』
『そうか』『でも死んでよかったですよ。死ななかったら恥ずかしくて自分がアニオタだなんて言えませんからね』『まったくだ!ははははは!』
楽しく談笑する影達をげっそりした顔で眺めるルナ。戦闘から戻って寝てたら何時の間にか変な影達が現れ、ずっとくっ付いて来る。
『どうだいザフト姉ちゃん?あんたも俺達の仲間にならないか?楽しいぞぉ!』『貴女も幽霊になってみましょうよ』
「ふざけんじゃないわよ!!」「お、お姉ちゃん!?」「へ?あ、メイリン・・・」「如何したの?さっきから一人でぶつぶつ言って。疲れてるの?」
「・・・そうかも」「無理、しないでね」ルナの尋常じゃない様子に妹メイリンは心配した顔で姉を気遣う。「ふう・・(・・あんた達のせいよ!)」
2
「やはり駄目かな、アスランは」「はい。アスランのキラ・ヤマトとシンに対する劣等感は想像以上でした」
「困った物だな。彼は戦士でしかないのだがな。無駄な感情がせっかくの力を殺してしまっている。・・・それで、シンは?」
「はい。やはりシンは裏切り者であったようです。私の声にも耳を貸さず、キラ・ヤマトに協力さえしようと」
「困ったな。出来ればアスランなんかよりもシンの方を据え置きたかったのだが」「はい。ですが仕方ありません。今はアスランしか」
議長とレイの密会、それをこっそり盗み聞きする人影が。
「それが、議長の真の目的なのですね」一方ラクス、カガリ達はシンの持ち帰った、レイが語った議長の真の目的を聞いていた。
皆一様に顔色を変え、このまま進めば来るかもしれない新世界を想像して絶句する。
シンは作業的に聞いた事実だけを伝えるとその場から足早に去り、AAの展望台へと一人で来ていた。するとそこにはキラが先に居て
「・・大丈夫ですか?」「・・・うん、ありがとう」キラは帰艦してからずっと疲れた様子で、人を避けるように何時も一人で佇んでいた。
「君、いいの?ずっと艦に残ったままだけど、あの子の所へ行ってあげないの?」「・・・」「如何してみんなを避けてるの?」
「あんたこそ何で避けてんだよ」「・・・・如何してかな」「アスランの事は、もう考えんな。あんな奴の事考えてもしょうがない」「・・・」
「?」「・・・僕ね、恐いんだ」「何が、ですか?」「何だろう。アスランの事、戦争の事、あと・・色々」「色々?」
「うん。僕が知らなかった事とか、今まで信じてた物が何か違う物だったとか、それからもっと単純に、戦うのが怖いとか」
「そりゃあ戦うのが怖いのは当たり前だろ?」「うん、でも違うんだ。僕は今まで戦う事がどんなに苦しくても、戦ってこれた。
それで失う物があっても守れる物があるって信じてたから。でも今は僕、理由とかそんな事考える暇も無いくらい怖くなるんだ。
コックピットを見ると戦場の光景が甦って、ただ死ぬのが恐くて他には何も考えられなくなるんだ。
そんな気持ちずっと前に失くしたと思ってたのに、何故だか分からないけどすごく怖いんだ」
「そんなに怖いのか・・?」「うん・・・でもまた戦わなくちゃ。こんな状況下だから襲われたら、僕は戦わないといけないから」
キラは沈んだ顔のままその場を後にした。シンにはキラの気持ちが殆ど分からなかったが、キラが知ってほしいと思っていた物だけは
確かに彼の胸に届いたのだった。「あいつ、あんなに」
3
「あらシン君。アカツキの修理にはもう少し掛かるみたいよ。フリーダムの方はもうそろそろ終わるみたいだけど」
「あんたら、キラの事心配じゃないのかよ?」「ラクスさんの協力もあって何とかなりそうよ」「キラの事・・」
「DSSDの方も量産機を支援に回してくれるそうよ。緊急時とはいえまさかあの機関が支援に名乗りを上げてくれるなんて思いも
「ふざけんなババァ!色ボケだけじゃなくて人の気持ちにもボケてんのかよ!!」「なっ!何を言うの?」
「そこの機器ばっか弄ってるお前らもだ!キラが帰ってからずっと暗い顔してるのに誰も気にも止めないで!
声掛けても全部MSとか戦うための事ばっかじゃねーか!あいつが何も文句言わないからって調子に乗りやがって!」
「シン君、貴方の言いたい事は分かるけど、今はそれどころじゃないの。如何してもキラ君には 「うるせぇババァ!ざけんな!」
「落ち着きなさい!それに彼の仕事は彼自身が志願した事なのよ?・・・そうね、そういえばキラ君の様子がおかしかったわね。
オーブ戦でもキラ君が居るから大丈夫だと思って任せていたら彼がちゃんと防いでくれなくて危うく撃たれる所だったわ。
そう考えると確かに変よね。何所か調子が悪いのかしら?」
「あんたはー!」「何を怒っているの?私達はキラ君の腕を信じているからこそ彼に一任しているのよ?私達は彼を信じているのよ?分かる?」
「・・・もういい。あんたがあいつの事戦って当然とか思ってる事はよーく分かったよ!もうお前なんか知るか!」
シンは激怒して去って行った。「困った物ね」呆れたように手を振るマリュー、それをミリアリアが睨んでいた。
「(ムウさんが帰ってきてからまるで別人ね。あんな人じゃなかったのに・・・。キラ、ずっと元気が無いから何度か声掛けたけど
一言返事してすぐどっか行っちゃうし、やっぱり普通じゃないわよね。やっぱり無理矢理でも話聞いてあげるべきかしら)」
「ミリアリアさん、カオスの方は如何かしら?」「あ、はい、チェック完了してますが」「早くムウに乗せてあげたいわ!」「(このババァ)」
「何故我々にザフトが来ると伝えなかった」申し訳ありません。報告が間に合いませんでした「困るねぇ。何のためのスパイなのかと」
「この分は君の要求していた報酬から差し引いて置く。あれも次の分に繰越しだ」そんな・・「当然であろう」
「まったくだ。こちらが被った被害は甚大だ」「それで奴の始末はどうだ?」やはり、始末せずこのまま利用する事が有効かと。
4
レイが廊下を走り議長の元へ急行、ドアを潜って部屋に入ると議長は何やら電話で揉めている。
「だから言っているだろう!フリーダムとジャスティスは盗用した物では無いのだと!」「議長、大変です!アスランが!」
「だからフリーダムとジャスティスはマグナムとソニックでは無いと何度言えば分かる!全然違うだろう!
何?セカンドシリーズのセイバーは何だって?赤いセイバーはソニック?ふざけるな!くるくる回るのはソニックではなくマグナムだろう!!いい加減にしたまえ!」
ガチャリ 「ハァハァ・・・むっ!やあ、レイ、一体如何したのだい?」「あ、はい。実はアスランが・・」
「離せー!俺は議長に騙されるつもりは無い!」「落ち着いて下さいアスランさん!くそっ、誰か、手を貸してくれ!」
議長がレイに連れられてやって来ると、そこにはザクの前で暴れてメカニック達に取り押さえられているアスランが。
「如何した!?如何いう事だ、アスラン!」「議長!くっ、裏切られましたよ議長!俺が駄目だと、そう言いたいのですか!?」
「なっ、何を言っているんだい?」「惚けないで下さい!アーサーが議長とレイが話しているのを聞いたんです!俺は駄目だと!な、アーサー」
「議長申し訳ありません。偶然聞いてしまって。でもひどいではありませんか。アスランはあれだけ軍に貢献したのに駄目だなんて」
「アーサー、君はいつも俺の味方でいてくれるな。ありがとう。議長・・・俺を如何するつもりですか?
お払い箱ですか?事故に見せ掛けて消す気ですか?それとも今俺が暴れている事を理由に閉じ込めるつもりですか?
いいや、きっと俺をザフトの秘密施設に送り込んで有能な俺のデータを余す事なく絞り取る積りなんだ!」
「(あなたの腐れデータ何ていりませんよ・・)落ち着いて下さいアスラン!私と議長は別にあなたを騙そうなどとは」
「くそっ!俺はこのまま黙って殺されるつもりは無い!こうなったら」アスランはメカニック達を振り払いザクへ乗り込んだ。
「アスラン!」「止めて下さい。一体何を?!」
「ザクをミネルバ内部で核爆発させる!!」「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」×10
「駄目だアスラン!ザクは核を積んでいない!」「な、何だって!?」アスランは拘束された。
GJ!!!保守
新章突入か、乙!
凸が馬鹿すぎるw
>ザクをミネルバ内部で核爆発させる!!
アスラン………(^ω^;)
>>199 デスティニーセイバーかレジェンドにビームライフルを撃てば
ひょっとしたら核爆発が起こるかも。
5
真夜中の山脈を進む一隻の艦があった。誰も知らないような山間の道で、周りは大木や岩肌しか見えない。
「くそっ!また岩にぶつかった!」「一々騒ぐな。仕方ないだろう、上からの指令なんだから。」
「それにしても、こんな所を行かせてまで確実に運びたい荷物って何でしょうね?」「さあ、知らんな。俺らが知っても仕方無い事だ」
その時、艦の周りを縫うように幾つもの閃光が飛び込み、辺り一面が激しい音と砂煙に包まれた。「な、何だ!?」
砂が晴れると、艦の周りを囲むように幾つものMSが。そして切り立った前方の崖の上に、夜よりも黒い機体が銃を構えて立っていた。
「その機体、我々が頂く」
「キラ、大丈夫だ。俺が付いているから」「うん、ありがとうサイ・・」AAの片隅で、俯くキラをやさしく諭すサイがいた。
サイはキラの話を聞き、そして無理をするな、辛いなら俺が力になる、俺が付いているとやさしく言ってあげていた。
「キラ、もうお前は無理して戦っちゃ駄目だ。元々お前はやさしい奴なんだから、これ以上戦うなんて」「サイ・・」
「大丈夫、お前の代わりに俺が戦うから、今までお前に守ってもらった分を今度は俺が守るから。だから安心して休んでくれ」
こんな風に言ってくれたのはサイが初めてだ。自分に任せろと、そう言い切ってくれたのは。キラはサイの優しさに身が沁みる。
「それにしても、そうか、お前がまた戦う事になったのはラクスさんが狙われたからだったのか」「・・」「そうか・・」
「はっ?」「色々あってずっとお前にちゃんと礼を言えなかっただろ。だから、ありがとうって」やっとシンと対面でき礼を言うカガリ。
「何であんたが俺に礼なんか」「色々だ!お前あの時私を助けてくれたろ。キラの事も助けてくれて、父の遺言の事も」
「やめろよ・・・そういうの。大体あんた、ザフトが居座ってるせいで結局親父の遺言はまだ聞けてないんだろ?礼なんておかしいだろ・・」
「シン・・」「あんたは俺なんかと一緒にいたらまずいだろ・・。俺なんかと居たら・・」「で、でも!あ、ありがとうって!それだけは、その」
シンは苦虫を噛み潰したような顔をして頭を乱暴に掻きながらそっぽを向き、立ち去りながら小声で呟いた。「・・こっちこそな」
とぼとぼと去って行き、上着のポケットから形見の携帯を取り出しいつもの様にそれを開いて、今日は何も聞かずにすぐにしまった。
6
「ん?あんたまたこんな所で」「シン・・」人気の無い所を選んで歩いているとMSハンガーの片隅で一人体育座りしているキラを見つけた。
「あんた・・一人で丸まってるなんて止せよ」「うん・・そうだね」「キラ・・・。なあ、俺でよければ話相手くらいにはなるぜ。世間話とか、その」
「・・・彼は君の仲間だった人?」「へ?」「レイ・ザ・バレルって、ザフトの・・」「・・?レイを知ってるのか?」「・・・シン」「?」「あのね」
キラは難民キャンプから勝手に持って来た菓子パンをシンに差し出すと、自分のあんぱんを取り出して食べながら語り出した。
キラの語ったのはオーブ戦でのレイとの会話と自分の出生について、そしてあの時死んでもいいと思っていたという事だった。
「君が来てくれて僕は死ななかったけどね」「・・」「死んでいた方がよかったのかな」「そんな事言うなよ、生きられるんだから」
「うん、そうだね・・」「・・」「・・」「キラ。お、俺さ・・・」今度はシンが貰った菓子パンの中からジャムパンを選んで食べながら語り出す。
シンの語ったのはオーブ戦でのレイとの会話と自分の命について、そして同じ定めが故に選べなかった未来の事だった。
「薬を飲んでなかったら俺は付いて行ったと思う」「・・」「死ぬと分かってても付いて行った方がよかったのかな」「そうな事ないよ」
「そうですか?」「うん・・」「・・・レイの言った事は正しいと思った。けど、けどさ、あんたが居ない方がいいなんて事は絶対間違ってるよ。
それだけは胸を張って言えるよ。あんたは生きていい。ていうか生きろよ!戦いとか生まれとか、背負わなきゃ駄目なんて事無いから!」
「シ・・ん゛!!」パンが咽喉に詰まった。キラの口の中はパンで一杯だ、全部あんぱんだ、漉し餡が溢れているんだ。
「馬鹿!だから少しずつ食えって言っただろう!」シンは口に手を突っ込んでパンを取り出し、キラは九死に一生を得た。「助かったよ」
「・・・なんかすごく阿呆らしくなって来たぞ。こんな話してる時にあんたって人は・・まったく」「ごめん」
「でもあんた、もっと阿呆になってもいいかもな」「え?」「じゃあな」シンはパンを食べながら立ち去って行った。パンを全部持って。
キラはきょとんとしながらも顔には微かに微笑みが生まれ、゛生きろよ!゛という言葉を思い出しながらパンを口に詰め始めた。
自分のとはいえ一度口から出した物は食べたくない物だがキラは気にしない人だから食べた。今度はちゃんと少しずつ。
「カガリ!」「キサカ!」「やったぞ!ウズミ様の遺言を手に入れたぞ!一緒にあったアカツキの宇宙用バックパックと一緒に既にここに!」
「お父様の・・し、しかし如何やって」「クライン派の根回しでこっそり手に入れたらしい」「こっそりって・・・」疑問はあるが付いて行く事に。
そしてついにお父様の遺言が目の前に。「よし、早速再生するぞ」「頼む(お父様!)」ザッザーーーーカガカガッカッガーリシモシモシモモモモモ
「・・・」「やはり無理矢理施設から切り離して持って来たのは不味かったようだな・・・。カガリ、うろ覚えだが俺が聞いたのを教えようか?」「・・」
7
「ばっかじゃないの!!」「何だと!?俺に向かって何て口の聞き方をするんだ!」「馬鹿だから馬鹿って言ってんのよ馬鹿!」
牢屋に閉じ込められたアスランの前で馬鹿を連呼するルナ。インパルスの時の事とかオーブ戦での事もあってアスラン大嫌い。
「一体あんたって何考えてるの?シンの死んだ妹さんをあんな風に利用するなんて最低!あんた殺されても文句言えないわよ?」
「君は大きな勘違いをしているようだな?いいか?あの作戦はあくまでシンを動揺させるための嘘の作戦だ!妹エロゲなんて作ってない!
俺が本当にシンの妹のエロゲをばら撒くような非人道的な事をする訳無いだろう!見損なうな!・・俺を見損なった君に俺が見損なったぞ!!
シンは、その、あれだ。もういいよ。あいつの事はもう放って置いてもいいと判断する。フェイスの権限でだ。
決して俺がシンの血まみれの姿に恐怖してなんだかあいつと関わる事が恐くなったから刺激するのはもう止めようとか思ったからでは
ないぞ?本当だぞ?それよりキラだ!全ての原因はキラにある!恐らくシンもキラに操られていたのだろう。キラめ!そういう事だぞ?」
「訳分からないって言ってるでしょうが!阿呆か!ていうかあんた何であの時私に襲い掛かったの?シンが助けてくれなかったら」
「そう!シンだ!シンが君を助けてくれたんだぞ!さすがシン!偉い!君が邪魔だからうっかり殺そうしてしまったらシンが君を庇ったんだ。
やはりシンは俺が見込んだ通りの優秀なパイロットだったんだな。さあシン、俺はお前を支持しているぞ?だからお前は俺を狙ったりする
必要は無いぞ?妹さんの事はギャグだ、ジョークが分かるシンならきっと分かってくれる!俺は悪くない!だから許してくれるはずだ。」
「・・・」『アスラン・・・ルナさん、アスランを見捨てないで下さいね。悪い人じゃないんです』「無理・・・。ん?あんたアスランの事知ってるの?」
『え?えぇ、まあ、その』「そういえばあんたがアスランを止めてって」『はい、その、色々見てるので・・・あの、この話は後程に』
「如何したんだ?行き成り一人で話出して。パントマイムか?」「え?う、ううん!何でもないわ!あははは・・」
「ルナマリア・・君には結構迷惑を掛けてしまっているな」「き、急に何よ?」「いや、何か急に君に対して申し訳なく感じてな」「アスラン・・」
「そうだ!君に新しい機体を用意しよう!インパルスの代わりと言っては何だか、良い機体だ。是非貰ってくれ」「そ、そんな急に言われても」
「ルナマリア、君に貰ってほしいんだ」アスランに真面目な顔で見詰められついつい赤くなるルナ。元好きだった相手が、何だかおかし
くなった彼が、今は真剣に自分を見ている。「わ、分かったわよ。何の機体か分からないけど有りがたく貰うわ」「ありがとう!」
ルナは顔を赤くして「その、さっきは酷い事言ってごめんね」と言い残して牢を後にした。
部屋を出る時、ルナに憑いたちぢれ毛の霊がアスランの後に何かひやっとする物を感じた。『あれは・・まさかアスランに憑いているのは』
8
AAクルーらと楽しく談笑しているムウ。キラはそれを見つけて駆け寄り、ムウにシンに飲ませた薬の事について尋ねる。
「あん?ああ、そんなの後々!それより皆でガラパゴス諸島について語ろうぜ!」「真面目に聞いてくださいムウさん!」「うるせぇなぁ!」
「どうしたの?」「マリューさん!それがムウさんがシンの命に関わる大事な話を聞いてくれなくて」「命?何言ってるのぉ?w」
駄目だ。このバカップルは駄目だ。人の心を失っている。「そういえば艦長、バルトフェルドさんが生きているって連絡が来てたであります」
「バルトフェルドさん?そうね、そういえばそんな人居たわね」「オーブ戦で全然助けになってくれなかったあいつか。役立たずめ」
「マリューさん!ムウさん!何て酷い事を言うんですか!!バルトフェルドさんは僕達の仲間じゃないですか!」
「そうね」「そうだったっけ?まあ俺にはマリューさえ居ればそれでいいけどな!」「もう!ムウの正直者!うふ!」
必死に訴えるキラ、聞く耳持たずなバカップル、その光景をドアからちょこんと顔を出して覗いている者がいた。シンだ。
「シンに飲ませた薬は一体どんな物何ですか!!教えてください!じゃないとシンが!!」キラの訴えを除けるのに疲れたのかムウが嫌々答える。
「ったく。ああ、あれね?あれは別に如何って事無い薬だよ。続けて何度か飲まないと死にはしないって。
ちょっと体が痛くなるだけで全然無害、全然平気。はい答えてやったろ、ほら、うるさいからとっととどっか行け!」「そんな適当な!」
「まああいつに薬飲ませたなんて完全に忘れてたけどな。如何でもよすぎてw」
ガタン ドアの方で大きな音がし、振り向くとそこには怒りで顔を真っ赤にしたシンが仁王立ちしていた。
「シン!」「あらま、聞いてた?」ムウは惚けた様子でシンにへらへら笑顔を向ける。「ま、許してちょ!」
「う、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
バゴスッ
走り寄ったシンの強烈な拳が顔面にめり込み、ムウはもんどり反って壁際まで殴り飛ばされてしまった。
「ぴ、ぴょ」「ム、ムウー!!」バカップルの悲劇。ムウは気を失ってぴよぴよ言っていた。
「シン・・」何て言ってあげればいいのか分からないキラ。
「(くそう!レイの誘いを断ったってのにこれかよ!ふざけんな!つーか忘れてたって何だよ!)」シンは後悔した。
殴っとけ殴っとけ
ワラタ
まとめサイトってないの?
つか、このSSを呼んでると真面目な種死SSを書いてるのがアホらしくなってきた(o_▽_)o
保守
保守
>>178-179の続き
>>191の要素も入れたいとは思う
予告と内容には大きな違いがありますが仕様です。
オレ SEEDトリッパー コンゴトモヨロシク!
……なんて言ってみても、事態は変わらないんですよ。
俺はよくわかんないけどSEED世界にトリップしちゃったみたいだ。
できるだけ原作に関わりたくないと思ってたからアカデミー入学は嫌だったんだ。
でも隣に住んでる幼馴染に強く誘われて無理矢理入れられたんだ。
親は反対しなかったというか、むしろ強く賛成して逃げ場なしだったんだ。
ちなみに隣に住んでる幼馴染の名はユウイチ・アイザワ、万能キャラ。
どう見てもU−1です本当にありがとうございました、って言いたくなるくらい万能。ってかそのもの。
だからね、その漆黒の髪をどうにかしてくれ、本当に。引き立て役は辛いんだよ。
注目されるのが嫌で本当はトップクラスなのに平凡な成績を出してるとかいい加減にしろ。
…いや、注目されたいなら最初からアカデミーに来るなよって話だ、目立ちたいなら俺を巻き込むな。
だが、奴の目的は目立つ目立たないじゃなく、大事な人達を守りたいからだそうだ。
……だからそれなら俺を巻き込むなと、俺は大事じゃないのかと。
まぁ、男女差別が激しいっていうか、フェミっぽい部分がある奴なんでそこは納得なんだが。
そういうわけで、アカデミーに入学した俺は、可もなく不可もなくな成績を出してる。
当然、俺は本気を出せばトップクラスなんてことはない。
ただ、ユウイチが俺を見る目が妙なんだが、これはどういうことなんだろう?
まるで『俺と同じく目立たぬ為に力を抑えるとは流石は我が幼馴染兼親友だ』みたいな目はやめてほしい。
そしてもう一人の友人、バディム・プリスケン。奴は俺と同じくトリッパーだ。
ついでに言えば、奴の母親はヴィレッタ・プリスケンだ。どうにかしてほしい。
そして奴の伯父はイングラム・プリスケンだ。祖父がユーゼス・ゴッツォだ。
伯父であるイングラムはエイプリルフール・クライシスを見てプラントを見捨てたそうだ。
その時のバディムの伯父、イングラムは、
「シーゲル、これがお前達のやり方なのか!? こんな方法でプラント独立をつかんでなんになる!!」
とか言ってたって話だ。多分スーパーヒーロー作戦の方だろう。
祖父は特撮オタだって話も聞いた。こっちにもウルトラマンがあるみたいだ。
その時思いつき、俺は奴に確認してみた。俺の名前からなんかの作品を連想するか、と。
そしたら奴はこう言いやがった。
「連想するよ? それ、スパロボWのキャラの苗字じゃんか、しかも邪気眼仕様」
カイト・アーディガン、それが俺の名前だ。
そういえばアーディガンとかいうオリキャラがいたような気がする。
まあぶっちゃけ忘れてただけなんだけどな、携帯機には手を出してないし。
奴が言うには、Wの主人公は作中で思春期特有の麻疹にかかってたらしい。
邪気眼っぽいっていうか、他のスパロボオリキャラなら普通だろって程度の台詞だったそうだが。
…そして、俺の名前はその時にそいつが名乗ってた偽名と同じらしい。
そして俺の父親の名はカズマ・アーディガンだ、父親と言っても義理だが。
俺の本当の両親は行方不明だそうだ。親父は姉貴から預かったとか言っていた。
まぁ、そいつの話によれば次女と脇役の息子確定なのだそうだが。
弟のトラウマになってる名前を息子につける次女とその旦那はどうかと思う。むしろ自重しろ。
どっちにしろ、俺のやることは変わらない。俺はただ生き延びたいだけだ。
そう奴に言ってやったら、あいつはこう言ったのだ。
「そう? なら、スパロボ要素とかオリロボが隠されてたりしないか確認しない?」
まぁ、それがあるなら楽なんだろうな、なんて考えたのは事実なわけで。
そして、それが本当にあったりなんかはしないだろうと考えたのも事実なわけで。
で、歴史を調べたんだが、ここは純粋にSEEDの世界らしい。
別にラダムなんていないし、アイバ一家なんていなかったんだ。
当然、スーパーロボット大戦オリジナルの敵組織もいなかった。
だが、資料が消されている可能性もある。スパロボのオリロボがある可能性は捨て切れなかった。
そして、今後別作品の要素が絡んでくる可能性も。
まあ、どっちにしろ、結局はオリロボなんてなかったわけだが。
あいつの祖父のユーゼスだって、仮面はつけてないから別物かもしれないって言ってたしな。
銀髪で若くて格好いい科学者の祖父、ユーゼス・ゴッツォ。
ま、スーパーヒーロー作戦版だし、ザラブ星人が出てくる可能性もあるけど、今はいいさ。
バディムの奴は、ゴッツォ爺さんとプリスケン兄妹の下で育ち、操縦技術は超越的だ。
なんでも祖父のMS開発を手伝ってテストパイロットをやっていたらしい。
あからさまに奴専用のオリMSが出てきそうな雰囲気だ。
奴も少しは期待してたらしい、そしてその機体は裏切られなかった。
バディム専用試作型モビルスーツ『ジン・ゼスト』が奴に渡された。
ジンを素体に色々と改造を施しているらしい。外見はあまり変化がない。
なんでも色々な特殊兵装の試験・実験機だそうだ。
試作機で実験機の専用ジンを駆るプリスケン家の一人娘、あからさまに最強っぽい。
ユウイチの奴も専用の機体を手に入れたそうだ。上層部の知人の娘からのプレゼントだそうだ。
…原作ヒロインの一人だろう。アキコなんて名前の上司も存在するかもしれない。オリキャラの可能性もある。
ユウイチの専用機はシグーの改造機『レヴァンティン』、ブラックボックスが付属してるらしい。
そして俺は通常のジンだ。バディムが祖父に頼んで新機体回してやろうかとか言ったけど断った。
だって俺、そんな専用機を使って目だって集中砲火されたくないもん。
たしかにSEED世界だし、ワンオフ使った方が生存率は高いかもしれないけど、怖いんだよ。
目立って死亡フラグ立てて『カイトのことか…カイトのことかー!』されるの嫌だし。
どう見てもユウイチの引き立て役ですから、俺は。
そして、バディムはユウイチを嫌ってるらしい、ツンデレ属性か?
いつかニコポされて人格改造されないことを祈るだけだ。
ま、別にされても味方に人形が増えるだけだが、友人が激変するのは辛いしな。
どうせいつかはニコポさせるだろうと考えた方が無難だ。
…べ、別に気にしてなんかいないんだからね!
……キモイな、うん。これ以上考えるのはやめておこうか。
ま、そういうメンバーでしたから、俺が目立つのは避けられませんでした。
超すげー奴と平凡な奴が一緒だと色々目立って妙なことになるという馬鹿一って奴だ。
ユウイチはどうなのかというと、あれだ、バディムに嫌われてたからセーフだった。
そんなとこでラッキースキル発動しても仕方ないだろうに。
しかもユウイチは実は凄いってのは結構知られてて、隠す意味がなかったんだ。
いや、本気でなんで隠してんだよあいつ、知られてるのに。
それを教えても、書類上だけでも誤魔化したい、の一点張り。
「…俺が隠しきれなかったのに、お前は隠し切っている。負けた気分だな」
なんて、まるで俺が力を隠しているかのような台詞まで吐きやがった。
…家が隣だからって、友達になんかならなきゃよかったんだよ、俺は。
もしかして俺は勘違い物の主人公ルートに入ったのだろうか?
……バディムが誤解してないだけマシだと思うとする、半分本気で。
まあ、そんなメンバーで卒業まで来ることができたわけで、よかったにはよかった。
正直退学を目指していた時期もあったが、周囲の人々の協力もあり、やる気は出した。
ただ、地味に生き残る脇役として、どうすればいいかを考える。
いきなりユウイチと喧嘩したら死亡フラグだろう、常識的に考えて。
超強いユウイチの手下その1なんて演じても死亡フラグが立つ可能性は高い。
…どうしろってのさ、実際俺に残された選択肢は全力で戦うのが一番ってのが結論だろうか。
あぁ、言葉が壊れてきてるな。落ち着け、冷静になれ。クールになるんだカイト・アーディガン!
……って、KOOLじゃ意味ねー! そうだ、冷静だKOOLじゃなくCOOLになるんだ!
俺はアカデミー中堅クラス、ゴルゴみたいにクールにはなれない!!
…だから落ち着け、俺。順当に考えるとユウイチと一緒にいれば死ににくいのは事実だ。
奴の実力なら俺を守って敵を全滅させて余りある。
……相手に超強い最強キャラがいなければの話だけどな。
この展開から考えるといると考えた方が無難だな。
そして、そんなのがいれば、ユウイチとの対決は避けられないことだろう。
そして、その時かませにされるのは、間違いなくこの俺だと断言できる。
流石にバディムをかませにするにはレベルが違う、最初のかませは間違いなく俺。
その後にバディムがかませにされても、その時には死んでるかもしれないしな。
あれだ、妙な加護に期待してると痛い目を見る可能性もあるしな。
まぁ、どうせ奴とは同じ部隊になるだろう。そうならなければそれでもいいが。
なってしまえば後は恐らく踏み台かませ引き立て役一直線。生き残れればいいんだけど。
まぁ、生き残って何度もかませや踏み台にされるのでもいい。生きてればいい。
ぶっちゃけ死にたくないだけだしな、俺は。かませだっていいんだ。
奴の近くでも、死亡フラグ避けてれば問題はないはずだしな。
別行動でも死ぬ時には死んでしまうことはあるんだし。
ぐだぐだ考えても意味ないし、結局は成り行き任せってことでいいさ。
「まあ、結局はどうなるか、だよな?」
結論、ユウイチ・アイザワとバディム・プリスケンとカイト・アーディガンは同じ隊。
配属された部隊は高町隊。隊長はナチュラルの日本人、高町なのは。
高町隊はクルーゼ隊と行動を共にするように、とのこと。
……アカデミーにいた時から知っていた、高町教官の存在は。
だが、これはいくらなんでも出来過ぎじゃないか? 隊長が高町なのは戦技教導官?
…イザークが突っかかって瞬殺されてた思い出しかない。
模擬戦で徹底的に甚振られた記憶なんてない、ないったらない!
高町なのは隊長? アカデミーでの教官の役目はどうした? 何故!?
もうね、どこの最低SSかと小一時間問い詰めたい。
ま、U−1が出てきて、NANOHAが出た以上、NANAYAも覚悟すべきだな。
KYOUYAとかKURONOとかYUNOとかも出るかもしれん。
もしかしたらスパシンとかKIRAとかROUとかスパシンアスカとかもだが。
…絶対に出る、確実に出る。トリーズナーキラとかも覚悟しといた方がいいだろう。
あぁ、そういえば学校で妙な噂を聞いたような気がする。確かあれは……
『戦場を舞う漆黒のメビウス』
そう、それだ。連合のエースパイロット。漆黒のメビウスパイロット。
確か通り名は【黒き光翼】【暗黒の救主】【漆黒の閃光】【魔殺の刃】だったか。
他にもあったかもしれないが、いくらなんでも恥ずかしすぎるぞ、これは。
誰かは知らないが超強い連合のメビウスパイロット、らしい。
実在するかは疑わしいが、多分実在するだろう。
ユウイチのライバル候補として考えている。妙はフラグは回避すべきだから、関わりたくないけどな。
どうせユウイチと強者が強者と惹かれあって戦うんだ。そして実は美少女でユウイチのニコポが炸裂するんだ。
……ま、どっちにしろ、俺には関係ないけどな。エースとなんて戦いたくない。
この後確実にヘリオポリスへ行ってストライクやメビウス・ゼロとの戦いだが、それもいい。
原作キャラの端っこで地味にしてれば生き残れるだろうしな。無茶さえしなきゃ大丈夫。
「おーい、どうした? 返事してほしいんだけど」
…やべ、考えすぎだ。ドアの前から何度も話しかけられてたらしい。
なんで俺はこれどこのSS、ってシチュエーションを作っちまったんだよ。
大丈夫だよな? 俺嫌われるオリ主になってないよな? 勝手に喋ったりしてないよな?
「…鍵は開いてるから入っていいぞ」
「そか。んじゃ、入るね」
OK、別のこと考えながら対応できてる俺は大丈夫だ。
入ってきたそいつは蒼銀の髪をした美少女、目も蒼と銀のオッドアイ。本人は嫌ってるけどな。
こいつがバディム・プリスケン。俺と同じトリッパーでクラスメートでこれからは戦友になる。
「どうしたのさ? またこれからのことを考えてたの?」
「…まぁ、そうだけどさ」
どうでもいいけど、ルームメイトが引いてる。早く慣れてくれないもんかね?
ま、それも今日で終わりになるだろうけど、どうも落ち着かない。
「考えても仕方ないって結論、まだ変わらないでしょ?」
「あぁ、変わらないよ、全然ね」
けど、そこで思考停止してたくないって気持ちはある。
「わからないでもないけどね、正直引っ張りすぎだよ」
「そうか?」
「うん、絶対に引っ張りすぎ。ここが原作と同じ展開になんてなるワケないじゃん?」
「それはそうなんだが……」
「でしょ? だったら早くしなさい。隊長が呼んでるから」
「連絡…来たか?」
「来たよ? ま、アンタが何をしてるかは分かってたしね。隊長には説明もした」
「説明って…どうやってだよ?」
「アイツは調子を悪くしてます。原因は私だと思うので、責任取って様子を見てきます。ってね」
そうっすか、俺はサボりの口実っすか。
「じゃ、俺も具合よくなったし、行くか?」
「うん。早く行こう?」
「そだな…」
そうして、俺達は高町なのは戦技教導官兼高町隊隊長のいるブリッジへと向かった。
この先に希望があると信じて…! ご愛読、ありがとうございました。
バディム専用試作機『ジン・ゼスト』
彼女の祖父であるユーゼス・ゴッツォの特撮愛と孫への愛が込められている専用試作機。
概観はあまり変化はないが、ロマンあふれる特殊兵装が多数装備されていて、その実験機でもある。
基本性能は格段に上昇し、機動性はシグーをも上回り、火力はザウートを上回る。
基本装備はジンと同じだが、内部に無数の武装が施されている。
・複合内部兵装システム【ゼストウェポンズ】
ユーゼス謹製の複合兵装システム。内部にすえつけられた武装を瞬時に外部へ展開される。
試作型4連装リニアカノン【ゼストショット】
弾数を増加させ、特殊弾頭で威力を向上させた専用のリニアカノン。
その威力は500mm無反動砲を上回り、弾数は重突撃機銃を上回る。
装備箇所は両腕の内部で、使用時には瞬時に腕部に装着される。
試作収束型特火重粒子砲【ゼストビーム】
出力の問題から重要視されていなかった特火重粒子砲を改良した試作の収束型ビーム兵器。
バッテリーを直接付属させ、外部からのエネルギー供給を行うことにより、飛躍的に威力を増した。
だが、機体の耐久力の問題から、数発撃つと使用不可能となってしまう。
装備部位は両肩で、使用時には瞬時に両肩に展開、同時に展開されたエネルギーセイルがXの字を作る。
小型超振動ブレード【ゼストスラッシュ】
超高速の振動を行い、触れさえすればあらゆる物質を両断することが可能。
装備部位は両手両足で、使用時には両手両足に5つずつ展開される。
その様子はまるで悪魔の持つ爪のように見える。
試作型螺旋防壁破壊システム【ゼストドリル】
高い防御力を持った敵を想定して開発された近接戦闘用兵装。
高速で回転するゼストドリルを敵に対して垂直に押し当てることで圧倒的な破壊力を得ることができる。
・瞬間加速装置【ゼストウィング】
専用の推進剤を一瞬で燃焼させ、一時的に圧倒的なスピードを発揮することができる。
機体の各部に装備され、それぞれのゼストウィングを複合することで瞬間的に機動性を得ることができる。
きっと君は叩かれるんじゃないかな
だからその前に言っておく
俺はこういう方向性、好きだぜ……ッ!
自ら腐海にダイブする勇気に我輩涙が止まりません
GJ
9
「アスラン・・」議長とレイ、そしてミーアが牢へ来て、おかしな物を見るような目でアスランを見る。
「俺はあなたの思う通りにはならない!」「(既に思い通り所じゃないだろう・・)アスラン聞いてくれ、私は君を騙そうとしていた訳じゃない」
「なら何故議長はあんな事を言ったのですか?」「それは・・・」「アスランがシンの妹のエロゲをばら撒くと言ったからです」「レイ!」
「貴方はオーブ戦でシンに対して、妹のエロゲを全世界にばら撒くと脅迫行為をしました。あれが問題なのです!」
「何が問題だ!」「問題ですよ。もし本当にシンの妹のエロゲを世界にばら撒いていたらザフトは終わりです。人権問題です」
「・・・そういう事か。なら尚の事俺が拘束されるのはおかしい。俺は確かにエロゲをばら撒くとは言ったが、本当にそんな行為をしようと
した訳ではない。あれは嘘だ、シンを油断させるための。議長まで俺が本当にそんな事をすると・・・信用されていないという事ですね・・」
「そ、そうだったのか!すまないアスラン!私は酷い誤解をしていたようだ!」「はい!我々が間違っていました!すみませんでした!」
議長とレイは突如体全体を使ってアスランに謝罪の意を表現、その場にひれ伏して見せる。「議長、レイ」
議長とレイは゛アスランは馬鹿だから適当な理由を付けて、上手く機嫌を取り戻しさえすれば都合の良い手駒に戻せる゛と踏んだのだ。が
「下手な芝居は止めて下さい議長。そんな事をしても、もう俺は騙されたりはしません」「アスラン!」「何を言っているのです!」
「うるさい!そうやって俺の下に付いた振りをして、結局は俺を上から見下して操ろうという計画なんだろう!騙されるか!」
「そんな事は・・」「貴方も結局はキラ!キラだったのですか!キラですか!キラと同じ俺を利用して事を進めようとする人間だったのですか!」
「落ち着いてry」「いつもキラだ!月の幼年学校のあの時からずっとそうだ!キラ!キラ!キラゲームだ!全部キラが仕組んだ事だったのか!」
如何にも成らない。いっそ錯乱し切ってるこいつをこのまま閉じ込めて置いた方がいいのではと議長が考え始めた、その時
「これを飲んで、アスラン。大丈夫、大丈夫よ」ミーアがさっきからずっとお盆に乗せていたお茶がアスランに渡される。
「キラ!キラ!キ・・ラ」お茶を飲み干すアスラン。すると「申し訳ありません、議長、取り乱してしまって」落ち着いたアスラン。
「・・・・(ミーア、これは一体?!)」「(へ?お茶を飲ませて落ち着かせただけですけど?)」「・・・」「・・・?」ミーアは何もしてない、茶を飲ませただけ。
「ア、アスラン、色々と済まなかったね。今すぐ君を釈放する。本当に済まなかった」「いえ、悪いのは私です。申し訳ありません」
牢の鍵が開けられ、アスランは無事釈放された。「ミーア、さっきのお茶には一体何が?」「へ?何の事ですか?」
ミーアは本当に何もしてない、本当にただのお茶だった。アスランは普通にお茶を飲んで心を落ち着かせただけだ。
10
『ザフト姉ちゃん!今すぐネットTVだ!もうすぐましまろアニメの新作が始まる時間だ!』「嫌よ。用事があるの」
『なんて酷い!血も涙も無いな!』『アニオタは冷たくされると死んじゃうんだぞ!』「もう死んでるでしょうが!」『お願い!!』
「うるさいわね!何がましまろよ!アニメなんて見てるなんて最低!気持ち悪い!このオタク!変態!おかしいわよあんた達!」
「ルナ・・マリア?」「大丈夫か?何所か具合でも・・」油断して霊と話すとクルー達に変な目で見られる。「だ、誰と話してるの?」
「あ、えっと、えっとね、その、信じてもらえないかもしれないけど私、今目の前に、見えないだろうけど・・・その、
私にしか見えない邪悪な霊と戦っているのよ!」「・・・そ、そう」「あ!そりゃあ変よ!私だって変だって分かってる!自覚はあるの!でも見えるの!
本当に私には見えるの!悪霊っぽいオタクが私にネットTVでアニメ見せてってせがむの!本当なの!」「た、大変だねぇ・・が、頑張って」
みんな避けるように散って行った。遠くで誰かがひそひそ話してる、危ない物を見る目で見てる。
『みんな行っちゃったな。嫌われてるのか君?』「あんたらのせいでしょう!!」『ルナさん落ち着いて!』「もうやだ・・」
気苦労が耐えないルナマリア。たった一人、ちぢれ毛の霊だけがルナを気遣ってくれるが、オタク霊数名が重すぎる。
『それでルナさん、さっきの続きですが、シンさんという人は確かに自分の利益のために裏切った訳では無いですよ。
彼はステラさんという人を助けたかっただけのようです』「そう・・」『艦内だけですので外での深い事情までは分かりません。すみません』
「それで貴方、アスランとは?」『僕はアスランと同じ部隊に居た者です。結局僕は死んでしまいましたが・・・アスランとはよく話てました』
「アスラン・・・ね。何であんな風になっちゃったのかな?最初はあんなじゃなかったのよ?」
『はい、アスランはもっと落ち着きのある人でした。今のアスランは僕の知っているそれとも違う、全く別の人間にさえ見えます』
「如何してアスランは・・・もしかしてずっと猫被ってたけど、最近になって本性を隠すのを止めたとか?」
『そうではないと思います・・・・もしかしたら』「ん?」『もしかしたら、アスランが変わってしまったのは悪霊のせいかもしれません』
「悪霊!!?」大声が響き、遠くのクルー達の耳にルナの普通じゃない言葉がはっきり届いた。「悪霊って、一体なんなのよ!!」
『実は牢から出て行く時に見たんです、アスランの後に居る黒い影を。もしかしたらアスランは操られているだけなのかもしれませんね』
「一体悪霊って・・・」『言いにくいのですが、僕には心当たりがあります。あの影の顔、間違いでなければあれはアスランのお父さん、
パトリック・ザラです!』「パトリック・ザラ!?お父さんの霊がアスランをおかしくしてるって言うの?」クルー達はルナはもうだめだと思った。
11
アスランは牢を出て廊下を歩いていた。議長は腑に落ちないといった顔をしていたが、取りあえず問題は解決、したのか?
「アスラン、先程キラ・ヤマトには月の幼年学校から・・と何やら言っていましたが?」
「あれか・・そうだな、あまり人には言いたくない話だが、今は話してもいいのかもしれない。そう、あれは俺が月の幼年学校に居た時・・」
「やーい!カスランカスラン!」「弱虫ー!」「やめてよぅ・・・」俺は金持ち議員のザラ家の子供という理由で同級生に酷く虐められていた。
勉強は出来たが体はひ弱で、俺はよく暴力の犠牲となっていた。外では殴られ蹴られ、教室ではノートを捨てられたり自分の机だけ
廊下に投げ出されてたり、助けてくれるはずの先生まで俺を目の仇にしていて、本当につらい日々だった。そんなある日
「今日からみんなの友達になる、キラ・ヤマト君だ」「みなさんよろしくお願いします!」
俺のあいつへの第一印象は゛明るそう゛だった。俺とは正反対で、明るくて友達がたくさん出来そうで、すごく羨ましかった。
キラはすぐに友達に囲まれるようになって、本当に楽しそうで楽しそうで羨ましかった。
女子にも人気があってモテモテだったな。女顔という理由で女装させられたりしてた俺は、女子にはひどい事ばかりされた物だ。
キラが居る事は俺には関係無い事だと思ってた。キラが居ようが居まいが、俺は毎日泣きを見る。俺には友達なんて出来ない。
ところが「アスラン君、一緒に遊ぼうよ」キラが俺に声を掛けた。
明らかにいじめられオーラが出ている俺にキラは笑顔で手を差し伸べたんだ。クラスの奴等が露骨に嫌そうにしてるのに。
キラはクラスの奴等が俺と関わるなとしつこく言って来ても俺と何度も遊んでくれるようになった。
嬉しかった。俺には友達なんて出来ないと思っていたから。俺は父上や母上とは違う、ただの駄目な奴だと思ってたから。
キラ何時の間にか俺と一番一緒に居るようになっていた。俺なんかと一緒に居てくれてすごく感謝したさ。嬉しかったさ。
だが、それは幻想だった。全て嘘だった。俺が見た甘い幸せは、キラが巧妙に張り巡らせた姑息な罠に過ぎなかったんだ。
俺の誕生日、キラだけを招待した俺は今か今かと待ちわびていた。そして遂にキラが遣ってくると、何と何人もの女子が一緒に来ていた。
俺が尋ねると「みんなで一緒にお祝いしたくて」と奴は言った。俺は感動し、誕生会は今までで一番楽しい物となった。そして数日後
12
俺は学校に忘れ物をした事に気づいて教室へと引き返した。すると
「キラ君の頼みでもやっぱりザラと一緒に居るのは辛いよねぇ〜」「あいつ空気全然読めないし」「臭いし」
「キラ君超優しいよね。あんなのと仲良くしてあげるなんてー。ボランティアかな?w」「可哀想だから相手してあげてるんだよねきっと」
「まあキラ君の頼みなら私何でも聞いちゃうけど!」「あ、私もー!」「私も私も!」
お、おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!キラ!!お前はそういう奴だったのか!!
俺はその時気づいたんだ!キラは、奴は単に俺を利用して自分は優しい奴なのだと他人に見せつけたかっただけなのだと!
惨めな俺を相手する事によってキラは優しい奴として祭り上げられる!さらに俺が惨めになればなるほどキラの優越感が満たされる!
俺はキラの陰謀の犠牲になっていたんだ!俺の純粋な思いを踏みにじって奴は嘲笑っていたんだ!キラめ!!!
殺してやろうと思ったがキラの方が全然強そうだったので力では無理だ。何か知恵を絞って・・・と思ってた矢先にキラはオーブに行くと
行き成り言い出した!なんて奴だ!何処まで俺を手玉に取れば気が済む!
俺は全力で何とか一機の暗殺兵器を作り上げ、オーブへ逃げられる寸前に俺は奴に完成したそれを渡す事に成功した。
後は奴がオーブへ付いた頃に電波を送ってあれを起動させれば奴は・・・・・しまった!起爆装置を付けてない!馬鹿な!
・・・・・なんて奴だ。俺をここまで苦しめるなんて。何とかあれを起動させようと色々作ったが、そうこうしてる間に開戦、
Nジャマーがそこら中にあるせいであれの起動はもはや不可能。
「ちょっと待って下さい。Nジャマーって・・・」「俺がキラに渡した機体には、趣味で作っていた特殊な動力炉が搭載されている」
「トリィー!」トリィが宙を舞い、キラの肩へと舞い降りた。シンは世話しなく首を動かすそれをまじまじと見詰める。
「それ何なんです?」「これは、昔アスランに貰ったんだ」「アスランに!?何かありそうだな、早く捨てろよ」「そんなぁ、何も無いよw」
トリィを分解すると解析不能、解体不可能の謎の動力炉が出てくるのだが、キラは特に気にしていない。
13
「つまり、俺はキラを殺さなければならないんだ」「・・・そうですか(阿呆か・・)」
「い、いやぁ、しかしアスランはその小さい頃からは想像も付かない程立派になったんじゃないかな?
きっと君を馬鹿にしていた同級生も今頃後悔しているだろう。今やザフトのエース、軍を指揮して多大な成果を挙げる程だ。
私はこれからも君に全てを預けて行きたい物だな。ははははは」
「(議長・・・アスランを煽てるのもいいですが、あまりやり過ぎないで下さい。正直、痛々しいです)」「(そ、そうか・・)」
「俺がザフトのトップである事は当然として、今ここでフェイスとして議長に一つ提示しておきたい事があります。
シンはもう放って置く事にしましょう。あれはもう関わらない方がいい、危険です。」
「そ、そうか・・」「・・(お前が最初にシンにちょっかいを掛けたのだろう!それを今さら何勝手な事を!)」
廊下の向こう側からアーサーが駆け足で寄って来た。
「アスラーン!言われた通りシンの妹エロゲのデータは軍のコンピュータから消して置いたぞー!
思ったより時間が掛かって大変だったけどさっき終わったぞ!」
「そうか、ありがとうアーサー!」「・・・・・アスラン?」「何だレイ?」「シンの妹のエロゲは嘘だと「さて、そろそろあれが来る頃だな」
アスランはレイの声を打ち消して、アーサーと肩を組んでその場を去って行った。
「(糞っ!!俺はこんな奴に未来を託して行かなければならないのか!?)」
『つまりラクス・クラインの偽者の事や、本物が暗殺されそうになった事もあって、ルナさんはザフトが信用できなくなって来たのですね?』
「あの時聞いた会話が全部本当ならザフトのやってる事の幾つかが怪しく成り過ぎるのよ」
『分かりました。出来るだけ情報が得られるように色々見て回ってみます』「ごめんね・・スパイみたいな事させたくないんだけど」
『お気になさらずに。僕はルナさんとアスラン、それにザフトの行く末が心配で自分でやってるだけですから』
『頑張れよ若いの!』『萌えー!やっぱりミニスカートにはニーソックスだってば!』「うるさい!あんた達は黙ってアニメでも見てなさい!」
>>221-225 アスランの過去ワロタwwwヲタクが抱えてそうなコンプレックスの塊だなwwwww
>トリィを分解すると解析不能、解体不可能の謎の動力炉が出てくるのだが、キラは特に気にしていない。
気にしろよwww怪しすぎるだろそれwwwww
ニコル……なにげに便利…
アスラン妬みすぎだろw
笑いすぎて腹が痛い
妬むと言うより、病んでると言った方が良いような。
昔からってことはパトリック関係ないんじゃね?
むしろパトリックは息子の暴走止めようとしてるんじゃね?
なんてことだ!
このスレにいつの間にかネ申が降臨してやがるッッ!!!
ここってパラレルでもいいの?
何でもあり
メサイア敗北後のシンを平行世界のザフト進入直後のヘリオポリスに放り込むのも可?
逆行ものがあるスレはどっかで見たような気がするが
別にここでもいいでしょ
分かった
その内できたら投下するわ
もしキラとシンの立場が逆だったら
ってスレにもあったような気がする
逆行モノ多いのかな
もしも、シン、レイ、ルナマリアの三人が連合旧三馬鹿だったら
シンは妹の治療費のため
両親はエイプリールクライシスで死亡
レイ
アズラエルに拾われる
「盟主の為に」
ルナマリア
妹が両親を殺害、遺産を持ち逃げしたため
全員ブーステットマン
シンはレイダー
レイはフォビドゥン
ルナマリアはカラミティ
Gジェネの対旧三馬鹿ムービーを見て思いついた
年齢は気にするな、俺は気にしな(銃声)
俺も
>>218氏のような厨SS書きたくなってきた!
>>218氏の書いたSSに準拠しつつ舞台は東アジア共和国から始める。
あれだ。
俗に言う1ページ隣の世界というヤツだ。
だから、まあな、いろいろと問題は無いはずだ。
なんてたって1ページ分違うからな!
多分
>>235が見たのはシン主人公スレで、まさにメサイア後のシンがinヘリオポリス
しかも若返り(13歳)ってのがあったんでそれのことじゃん?
それはほんのさわりで終わってたけど
「どういうことだカク!リュウビじゃないぞ!あれは」
「そうですとも!ここは国境!敵は地球外生命体<BETA>でござる!ついでに千九百年以上先の未来でござる!もっと言うと殿が乗っていますのは戦術歩行戦闘機!
詳しく述べるとプラントからMSの技術者を派遣してもらってリテン殿と列島の技術者の趣味をふんだんに取り入れて作った兵器でござる!」
「そうか!BETAか!」
乗り込んでいる戦術歩行戦闘機より眼前の雲霞といる異星人の方に俄然興味を持ったソウソウは、後ろを振り向き(コックピットで後方視界を表示)叫ぶ。
「ならば黄鬚だ!」
黄鬚、ソウソウの息子ソウショウが駆る戦術歩行戦闘機が曹操前方に躍り出る。
67式近接戦闘長槍と67式近接戦闘長刀の一振りで、敵BETAの突撃級二体が真っ二つ。ついでにその他雑魚多数が千切れ飛ぶ。
「おおッまた腕を上げたな!」
突如、前方が光ったと思うとソウソウの体は機体ごと蒸発していた。
重光線級の高出力レーザーの射界に入ってしまったのだ。
(お・お お 死んだ)
1
「ということで強力な光学兵器を持った異星人を相手にするにはまるでダメだったということが証明されたわけだ。ふ〜む、それしにしても、コイツを何度も見てると本当に死んだ気になってくるなムフ」
戦闘シュミレーションを写した会議室の巨大スクリーンを前にソウソウは、居並ぶ将軍、参謀の前でさも嬉しそうに言った。
(ん?なんか話の前後がおかしいような気がするが、まあよい)
新たな楽しみが増えたソウソウは些細なことにはどうでも良いと思った。
ホントは些細どころじゃないんです。絶対におかしいですよカテジナさん!
コレまでの経緯をザクバランに記そう。
再構築戦争の惨禍から内戦を勝ち抜いたソウソウを首席に、見事な復興を果たした東アジア共和国。
だが平和の謳歌は長く続かなかった。
監視システムをすり抜けるように、(大気圏内に突如出現したという報告有り)何の予兆もないまま新疆ウイグル自治区喀什(カシュガル)に突然落下した巨大な構造体"ハイヴ"。
宇宙クジラ以外の地球外知的生命体の存在に世界は沸き立ったが、それはすぐに恐怖へと変わった。
現れた未知の生物群は、友好的態度を示す各国共同調査隊を壊滅せしめたのだ。
20世紀ハリウッド映画的な指と指をつないで意思疎通を図るといったような期待は、調査隊最後方から捕らえていたフリーメラマンが伝えた映像によってぶち壊されたのた。
このフリーカメラマンの名はジェス・リブル。調査団唯一の生き残りでもあり、凄惨な体験にしばらく心理的外傷で苦しんだが、後に自ら戦術偵察機を操縦しBETA戦争の真実を伝えることとなる。
2
幾度かの接触調査のなかには、ありえないことだが共和国三魁のソウソウ、リュウビ、ソンケンが出張ったこともあった。
特にソウソウ自身が囮となって相手の出方を見るというとんでもないことをしでかした。
その結果、交信交渉は不可能というのが確実になった途端に、そのことで激怒したのは世界でソウソウただ一人。
「言葉を寄せ付けない暴は武ではない。人間を省みぬ刃は牙ですらないぞ!血を吸いに来た蟲ケラはひねり潰すのだ!」
未知なる存在との政(まつりごと)を心待ちにしていたソウソウにとって、意味不明に牙を向ける異星人の存在は裏切りそのものであったと、その場に居合わせた護衛軍団長のキョチョ氏は後に述べたという。
梁山泊で行われた地球連合とプラントの緊急会議は、地球外知的生命体を「人類に敵対的な地球外起源種」として、
Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race「BETA」と命名。地球人類の総意として(形式上ながら)の宣戦布告を行った。
捕虜獲得、もとい生体標本確保による研究の結果。天候、気象にほとんど影響を受けないほど強力な光学兵器と、落下したハイヴから無尽蔵に生産されるということ、BETAの意思の疎通は改名不可能という三点だった。
そしてハイヴは"成長"し続けている。
コレは余談だが標本獲得作戦にあたり部隊長のカンネイは必ず挨拶をしたという。「挨拶は?」熱・光学ステルス特殊戦闘服を着用してるとはいえ、BETAに対してあまりにも危険な行為である。
ハイヴが落下したのが人口希薄地帯ということもあって、当然ながら核攻撃も検討された。
しかし、BETAの光学兵器による防空網はほぼ完璧で、ミサイルによる遠距離からのハイヴ本体への核攻撃は恐るべき量を投入しなければ意味が無いという。
あまりにも濃密な火線は人類有史いらいありえなかったことで、攻め手にかけてしまったのだ。
無論、ただ手をこまねいているのがソウソウ主義ではない。
ハイヴ落下の時点で、接触調査と同時にBETAが侵略的意図があった場合を想定した、ありとあらゆる対処方をソウソウと、その参謀団は巡らしていたのだ。
ハイヴ落下から六ヵ月後。
ユーラシア連邦軍、大西洋連邦、プラントの全面的な協力もありBETA封じ込めのための、アンチレーザー爆雷投擲機を備えた十重二十重の野戦要塞陣地は完成し、実際二十八回にわたりBETAの攻撃を迎撃殲滅している。
これは将軍、参謀の指揮に対する絶対的な信頼が兵士達にあったことも大きい。
中には一軍を預かる将軍が積極的に最前線に出て"暴れまわる"例もあった。
特にリョフ将軍の攻撃は凄まじく、陣地突破したBETAの大群を、手持ちの対戦車火器が尽きたら、戦車級を銃剣で刺し殺すは当たり前。しばしば陣地構築用資材の鉄骨を片手に、
暴れる要塞級に馬乗りになりながら刺し殺している光景は悪夢そのものであり、世界中を震え上がらせたという。そのお膳立てとして参謀のチンキュウが、事前に光線級、重光線級BETAの殲滅を最優先にしていたことも大きい。
また突破後の阻止のため核地雷を地中深く大量に設置している。
この核地雷のなかには、BETAの地中侵攻も予想して、様々なポイントに仕掛けられているのだ。
地中からの侵攻を想定し、かなりの資材を裂いてまで行ったのは隻腕参謀の名を持つホウトウ。無数の聴音振動センサーが埋設されている。
参謀団が最も恐れたのはいつ飛行型BETAが現れるのではないかというのがあった。空中からの大規模侵攻があるのではないかという不安があったが、おおよその備えは出来上がりつつあった。
3
東アジア共和国軍統合参謀本部長のカクカ氏はインタビューでこう答えている。
「BETAの戦術戦略に対し、我々は、文字通りありとあらゆる対策を立てている。惜しむらくは我々が所有する現有兵器体系では、来るべきBETA掃討戦には有効でないことだが、間もなくそれも解決するだろう!」
プラントのMS技術の協力の元、東アジア共和国が完成させた68式戦術歩行戦闘機・不知火が公開されたのはこの直後である。
特筆すべきは、排熱が間に合えば光学兵器に無類の強さを誇るラミネート装甲が装備されていることである。
コーディネイターが操縦するMSと違って、操縦システムはナチュラルにも扱えるよう、専用のアシストAIが設けた。
これは複雑な制御をレバーとペダル操作と口語命令で行えるよう、日本列島で流行った対戦ロボットゲームの操作方法を参考にしている。
さらにアシストAIに経験を積ませれば、格闘といった機敏かつ精妙な動作も行えるのだ。
それは教育させたパイロットの微妙な癖も加わってしまうため、個々のパイロットが教え込むしかない。
それらを踏まえたうえでも、基本的戦闘動作等の経験値を共有することによって、新兵でもある程度の戦力となれる画期的システムなのだ!
短期間にこれだけの兵器を完成させたのは、国内外のコーディネイターの積極的な協力に寄るところ大きい。
「唯、才を求める!コーディネイターでもブルーコスモスであろうともだ!!」
東アジア共和国首席となったソウソウの第一声がこれである。
地球上において最もコーディネイターの人口が多い国である理由は、イデオロギーを超えた効率主義とでも呼べるソウソウの理念である。
宣戦布告時、ソウソウが行った最後通牒でもその片鱗が受け取れる。
「最後に、異星の者に告げる!語り合う意思あるならば、我が共和国は、いつでも貴様達を受け入れる用意はある!!」
そんな国に落下したBETAは、運が無いとしか言いようが無い。
今日はここまで。
で、予告
東アジア共和国太平洋方面第11軍・横浜基地衛士訓練学校・第207衛士訓練部隊宿舎。
俺の名前はタケシ・シロガネ。
実はこの世界の人間じゃない。
並列世界とか平行世界とか、とにかくそういった世界から“連れてこられた”いたいけな青年さ。
ある日、目が覚めてみると部屋が廃墟になってるわ、西暦じゃなくてコズミック・イラという未来の世界になってるわ、日本は前の戦争に中国に破れて併合されてるわ、
しかもその中国には三国志で見かけたような名前の政治化とか軍人がやたらいるわ(そりゃ日本も負けるわ!)とにかく、何か歪んだような世界になってる。
で、いろいろあって俺は元の世界に戻れるその日まで衛士(兵士じゃない。未成年者の予備役軍人とか)として生活することになった。
しかし、今朝は格別だ。
朝、目が覚めると。ベット脇の床に眼帯掛けた大男が……
「衛士のカコウトンです。よろしく」
三国志かいw
東アジア共和国軍統合参謀本部情報作戦部副部長ホウセイはBETAの行動に対し、七千六百二十五パターンの予測を纏めた。
その中で「最も危険」なパターンは、「ただひたすらに自軍を生産。彼我の戦力が極限まで開いた時、全戦力を持ってして複数方面において一点集中により包囲網突破を図り、新たな巣"ハイヴ"を作り、永久的に生産拡大を繰り返す」というものだった。
そして人類側の装備、対処法に合わせ、BETA側は新種の攻撃種の生産、作戦パターンを変化させて対応する。
既にその兆候は見られている。
BETAは一ヶ月前から、数日にわたり昼夜問わず全方面に攻勢を断続的にしかけ、こちら側の人的疲労、物資損耗率を観測している節が見られる。
仮にハイヴの生産能力が当初の計算よりも上であった場合、危険度は加速度的に上がるものである。
地中核爆発による地震波観測を含めた各種調査により、ハイヴ直下に大規模な地下空洞と通路が確認された。
大群を隠蔽するには充分な空間である。
そして現在、出現危険度の高い兵器級は七つ。
一、超小型級。
二、熱・光学・電波迷彩能力を持つ級(若しくは妨害能力を持つ級)。
三、超大型超長身型重レーザー級。
四、高速移動自爆級。
五、重レーザー飛行級。
六、毒ガス散布級。
七、全ての級に光学兵器及び自爆能力を搭載した級。
どの報告書の最後にも「これらを統合的に判断するに、悪戯に時間を稼ぐのは危険であると判断する」というただし書きが必ず加えられた。
この方はマブラヴまで網羅してんのか…
どこまで守備範囲広いんだw
14
「だから大丈夫だって・・」「でも」「心配しないで」キラを気遣ってミリアリアが相談に乗るよと声を掛けたのだがキラはそれを拒んでいる。
サイとシンのお陰で心が少し軽くなったが、だからといって明るくなれるわけでもない。ミリのやさしさが今は逆に苦しい。
ミリがいい加減腹が立ってキラに暴言を吐き始めた横で、DSSDより支援に来たシビリアンアストレイらが荷物を移動させていた。
彼らは援助を惜しまず、本当に色々な事を助けてくれている。難民キャンプの希望だ。
「後はこちらの方で。AAの艦長さんはお休みになられて下さい」「悪いわね、こんなに。でも、じゃあ、頼むわね」
「お任せください。ふう・・・ん?あれは・・・・・おーい!君ー!」DSSD職員は知ってる顔を見つけて手を振りながら大声で呼び寄せた。
「如何したんで・・・あ」「やっぱりサイ君か!久しぶりだね。シャトル打ち上げの時は手伝ってくれて本当に助かったよ!」
「いや・・あの」「あの後如何したんだい?ああ、僕の方は地上でずっと「すみません!仕事が残っているので、その、また後で」
サイは急ぎ足でその場から逃げるように去って行った。「ん?どうしたんだろ?」
「プログラムは完了した。後は機体各部の調整だけじゃな」「そうですね」
「しかし・・そちらは大丈夫であろうな?外部には情報は漏れて居まいな?」「もちろんです。この区画も他の者は立ち入れませんから」
「ヤイカの方は如何じゃ?」「協力者が幾らか増員したとの事です。それに伴い新規協力者らの手回しのお陰で新世代機が幾つか」
「地上の彼らは?」「オーブの彼からは状況が状況だけに通信がありません。連合、ザフトの彼からは゛取り込める可能性が高い゛と」
「なるほど・・・SEEDを持つ者、どちらが我々の元へ来るか・・どちらも来るのか・・どちらも来ないのか」
「しかし何故SEEDを持つ者なんかを。貴方自身が仰られていたではないですか、SEEDの発現の理由が何なのかを・・」
「確かに、SEEDは人の未来に絶望を証明した。それは確かだ。が、我々の目的に使う分には最も適した存在なのだよ」
「どうした、キラ?」「サイ・・」「またこんな所で一人・・・大丈夫だ、俺がお前を守る。お前の分まで皆も俺が守るから」「・・」
「艦長達や船の皆は、正直こんな事言いたくはないけど、お前が敵を撃つ事を望んでいる。当たり前のように思ってる。酷いよな・・
でも俺は違うよ、俺は知っているから、お前が本当にもう戦いたくなんかないんだって。だから後は俺に任せて」「・・・サイ」
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「な、何?如何したのよ、呼び出したりなんかして」アスランに呼び出されたルナ。薄暗いMSハンガーに呼び出されて少しドキドキしている。
「豚・・・・じゃなくてルナマリア、実は君に渡したい物があってな」「へ?」「言っただろう?君に渡したい機体があると」「う、うん」
「少しでも早く君に喜んで欲しくて、その、呼び出してしまった。・・・迷惑だったかな?」「そっ、そそ、そんな事ないわよ!う、嬉しい・・・です」
「そうか。そう言って貰えると俺も嬉しいよ」「・・・うん」『アスラン・・・居る、後に居る、やっぱりアスランのお父さんだ・・』
「君には酷い事ばかり言ってしまって、怪我までさせてしまって、すまなかった。許して欲しいとはとてもじゃないが言えないよ」
「そ、そんな事!私の方こそ今までごめんなさい!私、貴方の事すっごい誤解を・・」「ルナマリア」「アスラン」『僕見てていいのかな・・(ぽっ)』
「それじゃあ早速受け取ってくれ。君は俺と同じく赤系の機体が好きだったな。この機体ならきっと喜んでもらえると思う。
俺の用意した、俺の気持ちだ!受け取ってくれ!」
ライト点灯、ハンガーが照らされてアスランの親愛の証たるルナの新機体がその姿を表す。赤、じゃなくてピンク色の新機体。
「ライブザクだ!」
「ぶち殺すぞてめぇ!!!」ルナ激怒。期待した新機体はミーアがライブコンサートに使っていたお古の非戦闘用ザクだった。
「何て事を言うんだ!君は俺の気持ちを踏みにじる気か!?」「どっちがだ!!何でライブコンサートザクなのよ!戦えないでしょう!!」
「何を言う!ちゃんと腰に手榴弾が付いているんだぞ!これを投げると街を火の海に出来るんだぞ!そんな事も分からないのか!!?」
「何で私が街を火の海にしなきゃいけないのよ!大体今さらザク使うくらいならグフを使うわよ!」『落ち着いてルナさん!』
「ああ、そうか。分かった、君がそんな態度を取るのなら俺は君とはもう話し合う気は無い。君には失望した。
だったらもうデスティニーでも君にくれてあげよう。あんな使えない糞MS俺はいらないんだ、君にお似合いだよ。
頭と色は元のデスティニーに戻っているけどな。それくらい我慢してくれ。ああ、もう知らない、君の事なんか知らないよ、勝手にしろ」
「何であんたが怒ってんのよ!怒りたいのはこっちの方なんだからねっ!!」『ルナさん!やっぱりアスランのお父さんが付いてます!』
「じゃあ・・・・・やっぱりアスランのお父さんが!!こら!そこのパトリック!いい加減にしなさいよね!自分の息子をおかしくして何が楽しいの!?」
「な、何を言っているんだ君は!?何故父の名を言う!」「あんたには言ってないわよ!ほら、パトリック!後ろに隠れてないで出てきなさい!」
『格好良いアスランを返して下さーい!』「君は俺を馬鹿にしているのか!?」「黙ってろ!こら!パトリック!往生際が悪いわよ!」『出て来て下さい!』
ちょwwwルナとニコル必死だなwwwww
後、デスティニーの扱いがあんまりなのに泣けた(つД`)
16
「はぁ・・はぁ・・」『ほひっ・・ほひっ・・』騒ぎすぎてげっそりと疲れ切ったルナとちぢれ毛。
その様子をパトリックがアスランの後から無言、無表情でじっと見詰めている。何も語ろうとせず、ただアスランの後に居る。
「ルナマリア、君はもう駄目だ」「う・・はぁ・・・うるさいわね・・もう」『やっぱりお父さんがアスランを・・・・・でも何で自分の息子を』
「そうだ、こんな錯乱している人間を相手にしている場合じゃなかった。
そろそろ輸送が遅れていた、新ジャスティスと新フリーダムがここへ届く頃だ。俺の、新機体が。
クライン派に奪われていたのを取り返したとの話だが、ラクスめ!俺がザフトに居るのを知っていてわざと盗んだんだな!本物のラクスめ!
奴が余計な事をしなければもっと早く俺の機体として議長が間違いなく俺に渡したはずなのに。本物め!
偽者ミーアの胸が自分より大きいという理由で俺にまで八つ当たりするとはな。他人を妬むその性格が俺には理解出来ない。
そうだな、あいつはキラと同じく俺の敵だからな。婚約者の俺が目の前に居るにも関わらず当て付けのようにキラに付いた奴だ。キラめ!
ああ、何だかカガリだけじゃなくてラクスにも何時の間にか捨てられていたんだな俺は。全然悲しくないな。全然涙が出ないな。・・ひっく。
そうだな・・っく・・・カガリはキラの兄弟だからな・・・・えぅ・・別に、別に俺の方から捨ててもよかったんだからな。・・・本当、だぞ。」
「・・・アスラン(可哀想に・・・お父さんに頭を無茶苦茶にされた上にいっぱい女に捨てられて)」『アスラン苦労してたんですねぇ・・ひっく』
「可哀想なアスラン・・(でもやっぱり私許せないわ!この野郎!何時かぶっ飛ばす!・・・それにしても色々しゃべってるわね。
偽者と本物の話はたぶん全部本当みたいね。機体の盗み合いって、前にも何かそういう事件があった気がする・・)」
「新ジャスティスか。そうだな、悪魔キラとの最終決戦に使う機体として俺が格好良い名前を付けなければな。
よし!スーパージャスティス!スーパージャスティスにしよう!どうだキラ!強そうだろう!格好良いだろう!でもこれはお前のじゃない!俺のだ!!」
「(格好悪いわよ・・・)」『スーパー・・・・如何してアスランはスーパーマーケットなんて名前を』
「フリーダムは・・・そうだなぁ、キラの乗るはずだった機体だからな、思い切り格好悪い名前にしてキラに精神的な苦痛を与えてやろう。
スーパーフリフリダム!スーパーフリフリダムだぞキラ!!ふはははは!馬鹿め!思い知ったかキラめ!お前の機体がこんなに格好悪いぞ!
どうだ、参ったか!スーパーフリフリダム、スーパーフリフリダムだぞキラ!!」その時、アーサーが駆け足で現れて息を切らしながら
「大変だアスラン!届くはずだった2機のMSが何者かに強奪された!」「!!」「ありゃま・・」『それは大変じゃないですか!!』驚愕するアスラン。
「ぬうううおおおおおお!!!!!キラめーーーーー!!!」「アスラン・・・(この分だとデスティニーくれるっていう話は無しになるのかな・・)」
17
「追撃部隊、全て排除完了した。これより帰艦する」月が照らす宵闇の中に、砕け散って炎上する無数のザフトMSがあった。
それらが追っていた部隊、ファイントムペインはザフトの新型MS二機を強奪し、今まさに作戦完了して帰艦する所だった。
既に強奪した二機は起動しており、新フリーダムであるストライクフリーダムにはスウェンが、新ジャスティスであるインフィニット
ジャスティスにはミューディーが乗り込んでいた。乗って来たノワールとブルはフリーダムとジャスティスが入っていたコンテナに
代わりに入れてある。取り巻きのスローターダガーらは無傷で、それも全てスウェンとミューディーが追撃部隊を瞬殺したからで
ある。その、強奪した機体で。
炎上する敵の姿を見詰めてミューディーは呟く。「・・・シャムス、仇は必ず私が取ってあげる。この、私が!!」
「ファントムペインに告ぐ。当部隊には帰投次第次の任務に着いて貰う。次の任務は、難民キャンプ地帯でのAAの捜索、それの撃破」
「ちんぽかいぃー」「掃除してる間は廊下に行ってろよ!掃除機が使えねぇだろ!」その頃シャムスは虎の子守と掃除をしていた。
「どうやらザフトの新型機の情報は嘘ではなかったようだな」
「何を言います、当たり前でしょう。それとも貴方はまだ彼がわざとザフトが来る事を知らせなかったと思っているんですか?」
「ふんっ!」「まあまあ、それくらいにしておきなさい。どっちにせよ彼の情報は貴重です。それだけで十分です」「ですね」
「さて、面白い情報が結構溜まってきて、情勢の方もさすがにそろそろ何とかしなければならないので、皆さん、いいですね?」
「そうですね」「無論です」「ご勝手に」
「では、よろしいですね、ジブリール」「ああ、いい加減デュランダルが英雄気取りしているのを見るのも飽きて来た所だ」
「ふふ、青き清浄なる世界のために・・」「ために」「青き清浄なる世界のために!」
情勢が圧倒的にプラント有利の中、地球のロゴスらは次の段階へ移す事を決めるのだった。
「議長・・」「まさかフリーダムとジャスティスが奪われるとは・・・輸送ルートは最重要機密だ、連合が分かるはずは無い。つまり・・やはり」
「スパイが居るという事ですね」「うむ・・(ロゴスの鮮やかな逃走、ルートの漏洩。アスランか?いや、違う。一体誰が?)」
うわあああああああああああ!
なんかえらい事に(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
アスランwスーパーフリフリダム連呼し過ぎwwwwww
高町隊長に呼び出され、ブリッジに向かった俺達に告げられた、突然の事態。
中立国オーブのコロニー、ヘリオポリスで地球軍の新型MSが開発されているらしいということ。
俺達高町隊とクルーゼ隊はその新型MSの奪取、及び破壊任務を受けたということ。
地球連合は傭兵達にヘリオポリスの護衛を依頼したらしいということ。
そして、依頼を受けた傭兵の中には凄腕が多いらしいということ。
これは間違いなく強敵が登場することになるだろう。絶対にそう思える。
俺達は依頼を受けた傭兵の中で有名な者達について説明を受けた。
傭兵集団『薔薇乙女』。人工的に戦闘能力を強化された七人の少女からなる部隊。
『皆殺しの少女』の異名を持つ傭兵、田中ぷにえ。高町隊長のライバルらしい。
『白濁の声を聞く者』、草壁桜。そしてその相棒の『撲殺天使』三塚井ドクロ。
……待て、別作品キャラが出すぎだろ、常識的に考えなくても。
変だよな? 調べた限りではこんなのいなかったはずだ。
何でこんな唐突に出てきたかのように前振りがないんだよ、変だろうが。
…前向きに考えられる要素がないじゃないか。ヘリオポリス防衛戦力が多すぎる。
『薔薇乙女』は二人の少年と少女が中心になっているらしい。
桜庭ジュンと柿崎めぐ。この二人を慕って七人の少女が戦っているそうだ。
『皆殺しの少女』はMSを用いた接近戦の王者であり、覇者だ。
MSに乗っていなくても、その格闘能力は常識の範囲を逸脱しているらしい。
『白濁の声を聞く者』は、物理法則を無視した操縦能力を持っている。
そして、白兵戦闘における能力も高く、胴体を引き裂く程度では死なないらしい。
相棒である『撲殺天使』三塚井ドクロは、愛用の鋼鉄バットで敵対者の屍の山を築いたそうだ。
この強豪傭兵軍団+有象無象の傭兵多数が俺達が戦うことになる相手だそうだ。
……無理だろこれ。原作キャラ+高町隊だけで攻め落とせる相手じゃねぇ。
数が違う質が違う何もかもが違う。こっちが勝ってる部分が思いつかない。
それにしてもカオスだな。戦闘作品じゃないのも混じってるじゃないか。
予想してたことだけど、この展開は間違いなく最低SS斜め上の方向だな。
「…どう思う?」
と、突然横から話しかけられた。見てみると、相手はバディムのようだ。
「どう思うもこう思うもない、カオス過ぎる。数も質も半端じゃない」
取り繕ってもどうにもならないので、正直に愚痴を言ってみる。
情けないけど、本気で俺にはどうもこうもできない状態だ。
「だよねぇ、苦しいよ。サーペントテールが出てないだけいいと思っとくべきかなぁ?」
「……まぁ、それは少しだけ救いかな。あんまり救いじゃない気もするけど」
「そう言うなって。前向きに考えないとどこまでも落ち込んじゃうよ?」
「だよなぁ……でも、考えちまうんだよなぁ」
「倒せばいい。そうすれば、俺達が悩む理由もなくなるだろう?」
突然話しかけられ、後ろに振り向いてみると、そこにいたのはユウイチ・アイザワ。
どう考えても唐突、バディムの奴も驚いているみたいだ。
「…あのなぁ、ユウイチ。気配消して近づくなよ、心臓に悪い」
「そうか? …それはすまなかったな」
…こいつ、絶対に悪いと思ってねぇ。この澄ました表情がとてもムカつく。
U−1にしては空気キャラっぽいと思ってて同情した俺が馬鹿だったようだ。
「それより、隊長から命令だ。クルーゼ隊と共同演習を行うそうだぞ」
「クルーゼ隊と共同演習…? そりゃ、今後一緒に戦う以上、やるべきだとは思うけどさぁ」
「…ま、体を動かせば吹っ切れるかもしれないし。いいんじゃないの?」
そりゃそうだが、今の心理状態でちゃんとできるかどうかは微妙だ。
久々にアカデミーのトップエース達に会うことになるんだ、しゃんとしないと。
「内容はこうだ。それぞれの部隊から四人ずつ出して戦闘を行う」
「四人ってことは、 相手はアスランとイザーク、ディアッカにニコル…なのか?」
「そうらしいな。…こちらからは俺達三人ともう一人、傭兵だそうだ」
「傭兵…? まだ紹介もされてないじゃないの」
傭兵、敵の戦力が多いなら、傭兵を雇うのも間違いじゃないだろう。
…でもなぁ、なんか嫌な予感がバリバリするんだよなぁ。
「名前は知っている。『反逆者』の異名を持つ、キラという名の男だ」
は? トリーズナーキラ? スクライドですかそうですかシェルブリットですか。
「2時間後に開始するらしい、準備をしておけよ?」
「アンタに言われなくてもわかってるわ。…さ、カイト、行きましょう」
「……わかったよ、行くからその手を離せ」
「別にいいじゃない、離さなくても」
まぁ、そんなこんなで行った場所は格納庫。ユウイチは先に来ていたみたいだ。
…別にあそこでユウイチと別れなくてもよかったんじゃねぇか?
どうでもいいか、今はさっさと調整を完璧にしないといけないんだ。
特にバディムとユウイチは専用機だからな。色々と時間がかかってるみたいだ。
俺? 俺はノーマルのジンなんでな、もう一通り調整し終わってる。
そんな俺を見て、ユウイチが妙な視線を送ってきたのが気になる。
それはまるで『出撃に時間がかからない機体を選んだか。流石だ』みたいな感じだった。
……やめてくれ、俺は勘違いものの主人公なんて嫌なんだよ。
あんなとんとん拍子にデッドエンドすれすれの道を歩くなんてとても嫌なんだよ。
そんな意味のないことをぐだぐだ考えていた俺の肩に手が置かれた。
「オイ、次の演習でオレと一緒に戦うってのはアンタかい?」
やべ、こいつは間違いなくトリーズナーだ。声で分かる。
「…えっと、あんたが例の傭兵って奴か?」
とりあえず無難に本人かどうかを確認してみる。声からして間違いはないだろうけど。
「あぁん? 傭兵じゃねぇよ! オレは何でも屋さぁ! …最近は傭兵紛いの仕事が増えたけどな」
間違いない、こいつはトリーズナーキラさんだ。関わりたくない気もするけど、一応味方だしなぁ。
「そっか、あんたが『反逆者』…キラって人か」
「そういうこった。で、アンタは演習ってのをやるメンバーの人かい?」
「…そうだよ。俺以外の二人はまだ機体の調整中だ」
ま、味方に対しては友好的な奴だと思うし、大丈夫だと思いたい。
…できれば殴り合いは勘弁して欲しいんだよなぁ、トリーズナーには勝てない。
「そっか、できれば挨拶しときたかったんだが。ま、後でもいいか」
「おいおい、先に俺にだけでも挨拶しとけよ、今すぐに」
「…そうだな、そうしとくか。俺の名はキラ、本名かどうかも分かんねぇけどな」
「へぇ、本名かどうか分からないって?」
「あぁ、物心ついた時には一人でこういう仕事をしててさ。…ま、今更どうでもいいがな」
「そうか……あぁ、そういや機体は何を使うんだ?」
聞いとかなくちゃいけないことだ、専用機の可能性もある。オリ機体である可能性は高い。
「あぁ、格闘戦向きに調整したジンを使ってる」
「格闘戦向きか…今回の演習、多分相手もジンだろうし、それもいいな」
「相手が誰だろうが変わらねぇさ、俺はこの拳で突き進むだけだ!」
やっぱりそうだ、こいつは間違いなくジンカスタム自慢の拳Verを使う。
それは問題ないというかむしろいいことだろう、凄く頼れる。
「…ま、アイツの頼みだし、仕方ねぇか」
「アイツ…? 誰のことなんですか?」
「なのはの奴だよ、なのはの。…昔にちょいとした借りを作っててな、今回はそれを返そうってことさ」
なるほど、高町隊長はかなみポジなのか。絶影を持つ人がいなきゃいいんだが、多分いるだろう。
少し後、バディムとユウイチも機体の調整を終了し、キラの紹介を終えていた。
そして四人でぐだぐだ話、時間を潰して2時間が経った時、高町隊長から連絡が入った。
なんでも、模擬戦の前にお互いのメンバーを紹介をしておくらしい。
『ふむ、君達が高町教導官の部隊の隊員かね? …なるほどね』
クルーゼ隊の隊長、ラウ・ル・クルーゼがニヤニヤしている、気持ち悪い。
やっぱリアルで見るとあの仮面はかっこ悪いというか、変体仮面呼ばわりされても仕方ない。
まぁ、味方として考えるととても頼もしい。最後には裏切るけど、それまでは頼りたい。
『では紹介を始めようか? …アスラン、君からだ』
『ハッ! 自分はクルーゼ隊所属のアスラン・ザラです』
どうでもいいけど、紹介するなら通信じゃなく直接話すべきだと思うんだ。
いや、本当にどうでもいいんだけどな。そこは大事なところだろう。
…にしてもアスランの紹介は味気ないな、つまんない。
予想通り、アスランの後に続いたのはイザークとかディアッカとかニコルとかだった。
やっぱりこの四人が演習相手みたいだ。予想通りってのは安心できていいよね。
そして、こちらの紹介の番。一番手はユウイチだった。
「俺はユウイチ・アイザワ。機体は専用のものを使わせてもらって構わないか?」
『…了承だ』
何故クルーゼが秋子さん!? クルーゼが作ったジャムなんて食べたくねぇぞ!
「バディム・プリスケンです。ノーマルのジンが足りないので、私も専用機を使っても?」
『了承だ、我々は構わない』
いいんだろうか、クルーゼ隊は。あっちのメンバーはなんか不服そうだけど。
「…俺はカイト・アーディガンだ。ノーマルのジンを使う、この中では異色に思えるな」
余計なことを言っちまったー! イザークに睨まれちまってる、現在進行形で。
「オレの名はキラ、ただのキラだ。一応は雇われてる身でね、自分の機体を使わせてもらうぜ」
『了承だ』
やっぱりクルーゼ隊が『了承』を使ってるってことは、謎ジャムとか出るんだろうか。
どうでもいいけどアスランの目つきが異常だ。まるでキラキラ病に発病したかのようだ。
…待て、まさか本当にキラキラ病になってしまってるのでは?
『キラ! キラじゃないか!! 俺だよ、幼年学校で一緒だったアスラン・ザラだ!!』
やっぱりか! やっぱりアスランはキラブリッジな奴だったのか!!
「あぁん? 知らねぇよ、馴れ馴れしく話しかけじゃねぇ!」
そしてこっちは素早く切り捨てている。アスランがちょっと哀れに思えてきた。
『何を言っているんだキラ!? そうか、照れてるんだな? ははは、別にいいじゃないか!!』
…やべぇ、このアスランは間違いなくキラブリッジ大佐だ。敵にキラがいれば絶対に裏切る。
こいつ、周囲の『なんだこいつ…』な目線に気づいてない。それどころかヒートアップしてる。
『さぁ、思い出すんだキラ! 俺達の甘いスイートメモリーを!! あはははははははは!!』
……なんていうか、キモイ。こいつとはできれば関わりたくない。
『…まぁ、それはともかく、早速模擬戦を始めようじゃないか』
「簡単な自己紹介だけになっちゃいましたけど、そうですね…始めましょうか」
隊長二人が話し合い、早速模擬戦を始めることになった。アスランはスルーですか。
模擬戦の内容は簡単。お互いのメンバーを一人ずつ出して、シミュレーターで一対一の戦いを行う。
勝利した人数が多い方が次の演習内容を決定することになるらしい。
それを聞いて、イザークが妙にやる気を出している。多分高町教官の訓練が怖いのだろう。
それは俺も同じだが、手を抜いたら全力全開の一撃を受けることになるだろう。
全力全開で戦わなきゃ教官の手で地獄に叩き落されかねないのだ。
だから勝つ! イザークには悪いと思うが教官の訓練を受けた方がマシな地獄を見たくない!
…それに、バディムとユウイチが負けるとは思えないしな。
キラの相手は多分アスランになるだろうから、残り三人のうちの誰が俺の相手になるかだ。
隊長達はくじ引きで順番を決めていた。最初は俺とイザークだった。
初っ端から俺の番ということで、多少は緊張していた。負ける訳にはいかない…!
前座の勝敗は、全体に影響するのだ。まあ俺が負けてもあの二人は負けないだろうが。
そう、俺がここで勝てば、俺達の勝利は確定したも同然なのだ!
…それにしても、いきなり原作キャラとシミュレーターか、テンプレだなぁ。
『…フン、貴様が相手とはな。だが、手は抜かんぞ!』
けど、実際問題俺の力ってアカデミーでは中堅。ぶっちゃけトップエリートの赤服相手じゃ勝てない。
その俺が、ヘタレ属性を持つとはいえイザーク相手にどうすればいいんだ?
…やば、勝てる気がしない。全力全開手加減なしで殺しにかかっても瞬殺されかねない。
特攻覚悟でやれば相打ちぐらいはできるか? …いや、それもちょっと無理かな?
せめて相打ちならまだ格好がつく。後はお前らに任せたぜ、みたいな感じで。
そうだな、うん。様子見なんてする余裕ないし、速攻で特攻して勝負をつけよう。
『じゃ、訓練開始だよ…二人とも、用意はいい?』
高町隊長の声が聞こえる。どうも考え込んでたらしい。それでもちゃんと準備はできてる俺って凄いね。
『こちらは問題ない!』
「はい、こっちも用意はできてます」
『じゃ、始めるよ……よーい、スタート!』
号令と同時に機体を加速させる。相手のジンへと一直線に突撃、同時に重突撃機銃を連射する。
奴はその弾幕を軽く避け、こちらへ反撃を行う。相手の狙いは鋭い、だが、負けられない。
俺にも高町戦技教導官の訓練を乗り越えてきたという自信がある。
機体を無理矢理動かし、なんとか回避。だが、相手の攻撃は続いている。
俺は重突撃機銃を奴に投げつけ、武器を重斬刀に持ち替えた。
重突撃機銃が連射され、俺のジンに命中し始める。やはり回避は難しい。
「…ったく、相手が悪いんだよ!」
愚痴が出る。正直、特攻も難しい。相手を甘く見すぎていたみたいだ。
だが、手はある。イザークは油断している、それは間違いない。
俺がその油断を突くことができていないだけで、確実に油断はある。
だから、俺はまだ生き残ることができている。だから、勝機はある。
お互いの距離は詰まっている。あと一度加速すればこちらの間合いに入り込める。
そして、加速すべき時が来れば、相打ちにはできるはずだ。
しかし、その加速すべき時が来ない。いや、俺には分からないのだ。
実力の差は大きい。いかに高町戦技教導官の訓練を受けていたとはいえ、俺では判断が遅い。
後になって隙があったと気づいても、遅いのだ。その時に気づけなくては意味がない。
そして、相手はこちらの隙を見逃さずに仕掛けてくる。こちらが後退すれば追いかけてくる。
そう、こちらか後退すれば追いかけてくるのだ。相手は簡単に加速し、急接近、重斬刀に持ち替えた。
その時、装備の持ち替えという明らかな隙。今しかない、重斬刀を相手に投げつける。
イザークには油断もあったろう、重斬刀を取りこぼしたのだ。
今しかない! さらに加速をつけ、相手に向かって突撃する。
イザークは重斬刀を拾おうとする。その間に接近し、直接殴りつけた。
機体の損傷はこちらの方が激しいが、直接コックピットを殴りつければ勝つのはこっちだ。
シミュレーターとはいえ、衝撃はそのまま伝わるはず。一瞬、相手の動作が遅れる。
そのまま二度、三度と殴りつける。この世界の、この時点では、MS同士の格闘戦はほとんどない。
バディムやユウイチに無理矢理格闘戦の訓練を相手させられていた俺に一日の長がある。
相手は重斬刀を拾い終え、攻撃を再開する。直接こちらのコックピットを潰しにかかる。
だが遅い。もう既に敵の損傷はかなりのものになっている。次の一撃で終わりにできる。
…結果は、同時だった。重斬刀の一撃は俺の機体を貫き、俺の攻撃は奴の機体を貫いた。
最初の目的通り、相打ちに持っていけた。まさか、ここまで簡単だとは思わなかったが。
相手の油断もあった。それは間違いないが、こうまでうまくいくとは思っていなかったのだ。
正直、相手がディアッカやニコルだったなら負けていただろう。
誘いに乗りやすいイザークが相手だったからこその相打ちだ。
疲労が激しい。短い戦いだったが、かなり疲れた。だが、表へ出したくはない。
ここであからさまに疲労を表へ出せば、事実上、負けたと同意義だ。
なら、表面だけでも余裕を見せておかないと、相打ちにしたことでさえ無意味になる。
そんなのは嫌だ。だから、空元気を出して、シミュレーターから出た。
ユウイチの『まだ実力を隠すつもりか?』なんて目線を無視する。
用意しておいたドリンクを手に取り、一気に飲み干す。これくらいならいいだろう。
どうやら次はユウイチとニコルが戦うようだ。多分、ニコルは善戦するも敗北、それが結果だろう。
そうなればいい、という願望が入っていることは否定しないが、多分そうなる。
なんて、ぐだぐだ考えてたらバディムに話しかけられた。
「頑張ったじゃない、カイト」
「…そうか? 相打ちなんて情けない真似しかできなかったぞ」
「それでも、風向きはこっちに有利だよ。イザーク、かなり悔しがってるしさ」
それならいい、相手が悔しがって、こっちは涼しい顔をしていれば、勝ったも同然だ。
そして、そのままの勢いでユウイチが勝てば、風は完全にこちらに味方する。
「さて…ニコル、今回は、本気で行かせてもらうぞ」
…ユウイチの奴、本気で勝ちに行くつもりだ。これならやれるだろう。
油断はできないが、ユウイチならば勝つ。ここでかませになるような奴じゃない。
……戦いは一瞬だった。ユウイチは開幕と同時に突撃し、一瞬でニコルのジンを解体した。
それにしてもリアルなシミュレーターだなぁ。ジンの内部まで完全に再現されてるぞ、あれは。
終わってみれば簡単。ニコルはとてもかませ犬で、ユウイチは本当に最強キャラだった。
まぁ、機体の性能差もあるし、当然の結果なんだろうが。
「次は、バディムとディアッカだね…さ、準備して!」
高町隊長の声が響く、バディムの奴は早速シミュレーターに入った。
一応、風向きは完全にこちら向きだが、油断はできない。
俺はその勝負を見守りつつ、アスランとキラの言い合いを意識の外に放り出していた。
『どうしてだキラァ!? 俺のあげたトリィはどこやったんだよぅ!!』
「知らねぇよ! そいつは俺じゃなぇってこった!!」
『キラッ! 俺達の友情は! 愛は! どこへ行っちまったんだよぅ!?』
「知らねぇっつってんだろ! しつこいんだよテメェは!!」
『キラァァァァァァァァァァァァッ!!』
「ぐだぐだ言ってんじゃねぇよ! うぜぇんだよっ!!」
…意識の外に、放り出していた。その、はずなんだ。
「大体テメェは何者だよ? 俺はオマエなんか知らねぇぞ!?」
『何度も言ってるじゃないかキラ! 俺は君の親友、アスラン・ザラだって!!』
「俺の親友はテメェなんかじゃねぇ!!」
『どうしてだキラ!? ハッ、そうか、君は洗脳されているんだな!?』
「…あぁん?」
『俺のキラはそんな乱暴な奴じゃなかった! 洗脳され、人格を改造されているんだな!?』
……意識の外に、放り出したいのに、このネタキャラのせいで!!
『そうだ! そうに決まってるぞキラッ!!』
「何が、そうなんだよっ!!」
『そう、この俺のこそは、時系列を超越したキラの親友たる男だ!!』
「わけわかんねぇよ!!」
…………だから、意識の外に放り出したんだって。
『君は俺の親友のキラだろう!』
「ノー!」
『イエスと言え! 言うんだ、キラッ!!』
「絶対にノー! …オイ、わかってるのか変態。俺は『反逆者』、ノーとしか言わない男さ!」
『…くそっ、完全に洗脳されている!』
「だからわけわかんねぇって!」
……うぅ、意識の外に放り出したいのに、なんでだ!?
どうしてアスランがこうもネタキャラになってるんだ!? まさかアスランヘイトなのか!?
「…私とディアッカの戦闘は終わったわ、次はあの二人ね」
いつの間にかバディムとディアッカの模擬戦は終了したらしい。
結果はバディムの勝ち、順当な所だ。既に俺達の勝利は確定している。
そして、キラとアスランのぐだぐだな言い合いはまだ続いている。
『ではアスラン、次は君達の番だ。色々とあるだろうが、今は戦うべき時だ!』
『そ、そうだな…! この戦いでキラの洗脳を解く!!』
そう言って、アスランはシミュレーターに入り、準備を始めた。
「おもしれぇ! 絶対にぼこってやるぜ!!」
キラも準備を始めたみたいだ。髪が逆立ち始めている。
「…ねぇ、洗脳ってなに?」
バディムが俺に耳打ちしてきた。ま、そりゃ当然の疑問だけど。
「なんか、このアスランってキラブリッジ大佐みたいなんだよな」
「……なるほど、暴走してるネタキャラになっちゃったか」
「昔はまともだった気がするんだけどなぁ?」
「キラ関係になると暴走するんでしょ。よくあるタイプのネタキャラアスランだね」
…まぁ、確かにキラが関係しなければいい人ってタイプのネタキャラだ。
ヘリオポリスでキラキラ病が発生するよりはよかった、と思うしかない。
「…こいつ、キラが敵にいると確実に裏切るよなぁ?」
「多分そうだね。…それはどうしようもないと思うけどさ」
そう、どうしようもないのだ。できれば相手にキラがいると気づいてほしくないが、多分気づく。
キラブリッジ大佐のキラレーダーの精度は異常なのが通説だ。こいつも多分そうだろう。
…ユウイチ、こっちを見て『俺はまだあの二人に追いつけていない』みたいな表情しないでくれ。
「このキラとは別に、本来のキラがいると思うか?」
「いるんじゃないかな? …アスランの記憶にあるキラと、時差があるし」
そりゃそうだ、物心ついた時からこういう仕事をやってたキラなら、月の幼年学校に行くはずもない。
まさか、本当にキラが洗脳されてるってわけでもなかろうしな。
あ、アスランが負けた。ジンでの格闘戦なのに異様なオーラを纏っている。
具体的には自慢の拳、衝撃のファーストブリット、アルター能力。
…あれ、目の錯覚かな? 今、本当にアルター能力者がいたような気がする。
……錯覚に違いない、シミュレーターでアルター能力はねーよな。
…にしても、結果だけ見ると圧勝か。俺だけ引き分けってのが情けないけど、俺にしてはよくやった。
俺としちゃ、最低SSテンプレな展開に思えて気分は良くないけど、まぁ、今更だよな。
そんなこんなで、俺達は訓練を続け、ヘリオポリスへ向かっている。
そう、俺達の戦いはこれからだ…! ご愛読、ありがとうございました。
なんかこれ命綱無しで綱渡りしているのを見ているような緊張感がある
あえてネタに走るならネタに飲み込まれないようにがんばってください
このカオス作者、詩文の才に溢れておる。
4
話は会議室に戻る。
「やはりラミネート装甲といえども集中射撃を喰らっては意味が無かったなあ。内部突入後はアンチ・ビームの撹乱効果も期待できんからユーラシア連邦で開発中の光波防御体シールド頼みか」
作戦会議室でソウソウの話は続く。
パネルには様々な報告が並ぶ。
アンチビーム(AB)ミサイル配備状況。
不知火の量産体制。配備部隊の錬度。
ハイヴ地下空間の調査結果。なんと地表構造体直下には1500m以上の深さのシャフトがあることを確認。いまもなお掘り進められている周辺坑道を含めれば直径200キロを超える。
前線に送られた不知火は予想通りの活躍が見られている。
特に機動力と厚い装甲(モース硬度15以上)を持った突撃級に対して、自身の機動力の高さでこれまでにない戦果を挙げていた。
最高時速180キロにもなる突撃級の機動力には、接近されたら主力戦車のリニアガンタンクの補足が追いつかないからだ。
戦線を突破された突撃級には二段目三段目陣地による十字砲火か、数は少ないがザフト対BETA派遣部隊のMS隊が対応していた。
「首相。この緊迫する事態にハイヴ"制圧"を目指すのは厳しいと考えます。それに今現在も包囲網で戦う将兵に犠牲が続いておられるのも忘れないでいただきたい」
海軍参謀本部長シュウユは、ソウソウの思惑を嗜めた。
殲滅計画は当初から二種類存在していた。
ハイヴ構造体を含めた全ての"殲滅"。
そしてもう一つは周辺BETAの殲滅とハイヴ内にあると思われる中枢の"制圧"である。
全てを殲滅するだけなら、今現在も行っているAB弾頭、通常弾頭を混ぜた全面爆撃による対空網斬減後、貫通型戦略級核ミサイルの連続投下により構造体そのものを破壊するだけですむ。
残る包囲網内の残存BETAは不知火により補足殲滅すればよい。
むろん戦略級核兵器大量使用による汚染、死の灰問題は考慮している。
これは放射能汚染の危険度よりも、BETA存在の危険度のほうが遙に上回るとした考えから成り立つ。
それに、この世界には中性子線制御技術(ニュートリノ・コントロール・テクノロジー、通称NCT)が発達しているため、放射能汚染除去が(しかるべき時間と資材を掛ければ)可能であるからだ。
5
石油資源枯渇から至った再構築戦争が終結したのも、"安全な原子力発電"が可能となり電力問題から解放されたという側面がある。
しかしソウソウは全面殲滅よりも損害が発生する中枢制圧にこだわった。
ハイヴ構造体に存在すると思われる中枢制御機構の制圧確保こそが、来るべきBETA再来に対する備えとなるのと考えているからだ。
研究材料が有るのと無いとでは雲泥の差がある。BETAには謎がありすぎるのだ。
どうやって地球に出現したのかさえもハッキリとしていない。
母星はあるのか?
太陽系内に他はいないか?
BETAの行動の本当の目的は?
あきらかにシステム化されたBETAを見るからに、今あるハイヴが最初で最後であるはずがない。
研究者からは、ハイヴには恒星間移動のための瞬間移動能力もしくは超光速移動能力が備わっているのではないかといった声も上がっている。
特にBETA研究の第一人者である香月夕呼博士は、並列次元あるいは並列世界から移動してきたのではないかと推測している。
他にもハイヴ制圧の声が挙がっている。国内だけでもノヴァ博士は業子理論の見地から。ドクター・ウェストはドリル力学の見地から。岸和田博士はBETA対消滅理論の見地から提言を行っている。
国外では隣国ユーラシア連邦大統領が、BETA創造主を「たとえ便所に隠れていても息の根を止めてやる」ために、積極的な協力を"ハイヴ落下の時点から"行っている。
プラントも学術的な意味合いが強いが、宇宙に住んでいるという点で、次は直接襲ってくるのではないかという恐怖感をもっての提案である。
大西洋連邦とオーブは発見次第、即時核兵器全力投入による殲滅を考えており、ハイヴ制圧に否定的であった。特に人的損害が大きいということが理由である。
果たしてこれ以上の人命を賭してまで制圧にこだわる必要があるのかという見方によって、殲滅派と制圧派に世論は分かれた。
このことに一番心を裂かれたのはリュウビであることに違いない。
ソウソウと国民第一の考え狭間にあって悩みこんだが、最終的には地球全体での未来の危機に備えるために制圧派に加わり、殲滅派の説得に腐心することとなる。
後に、戦死者遺族慰問時にインタビューしたジェス・リブルに泣きながら当時の心境を答えたという。
「駄目なんだよぉ。あいつら(BETAの意)もうおいらの器とかそういうもんでどうにかなるもんじゃねぇんだ。ひょっとしたら明日にでも二つ目三つ目がやってきやがるかも……そうしたらあいつらのことを良調べておかねえと、もっと多くの民が死んじまうことになっちまう」
次回予告
「キタキタキタ!」
誰かが知らせている。もう知ってるからうるさい。
「突撃級接近!伏せろ!!」
俺達がいる塹壕の真上を、突撃級が通過する。その数、俺が受け持っている区画だけで82匹!おそるべき地響きと土煙。
「総員配置につけ。後続が来るぞ!」
俺はインカムに叫びながら、自分の対物ライフルとアサルトライフルの用意をした。塹壕から顔を出し、銃を添える。
突破したやつらは後ろの陣地にまかせるとして、問題はこの後にやってくる本隊。
戦場音楽が聞こえてくる。
とっくにAB爆雷でビームかく乱雲は展開済みで、迎撃される心配がなくなったんで迎撃の砲撃が盛んに行われる。そして大地を埋め尽くす茶色や白っぽい色。
見渡す限りの各級混成集団だ。どうやら、今日は俺達の当たり日のようだ。
「引き付けるな。撃って撃って撃ちまくれ!」
要撃級、戦車級、要塞級、闘士級、ある意味一番不気味な兵士級。
そしてまだ残ってこちらに集団の速度に合わせて突き進んでくる突撃級。
当然俺達が狙うのは小型のヤツラ。大型は、戦車と人型兵器にまかせればいい。
やつらは運がよければ俺達がもみ潰される前に駆けつけてくれる。俺達の手持ちの火器じゃ大型は殺しきれない。対戦車ロケットを使っても、よくて戦車級が関の山。
ヘッドフォンを着けてなけりゃ聴力障害間違い無しの銃声が鳴り響く。幸い光線級は混じっていない。最高に運が良い!
「クッソォオオ!宇宙に帰りやがれえ、この××!!」
叫ばないとやってられない。地雷網を突破された。みんな爆発したからだ。踏んで、悶絶しているのを乗り越えてやって来る。
残り400メートル。
対物ライフルと重機関銃が戦車級の頭部を砕く。
残り300メートル。
対戦車ロケット、対戦車ミサイルが戦車級をバラバラにする。
残り200メートル。
アサルトライフルと軽機関銃が闘士級と歩兵級をミンチにする。
残り100メートル。
カートリッジを装填する暇が惜しい!
残り50メートル。
銃身から煙が出てきた。でも撃ち続ける。
残り25メートル。
やばい!目の前に気色の悪いやつらが迫ってきた!吐きそう!
残り5メートル。
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい。
その時眼前の要撃級が爆発して飛び散った。
俺はすぐに事態を察した。良かった、間に合った。
周りから歓声が聞こえる。
俺も声を挙げていた。
「いいぞ!やつらを巣に追い返しちまえ!」
大口径2連キャノンと両手の重突撃機銃が火を噴き続ける。
いつみても頼もしい連中だ!
TFA-2 ザウート!
俺達歩兵の守護神だ!
ミーアが生き残ったSSってありました?
保守!
保守
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「しかし・・もしこれでデスティニープランの事までもが連合側に漏れていたら」「心配ありません。それについては細心の注意を払っています」
「そうか」「ですが、もしシンが、奴が私から聞いた事を漏らしていたとしたら・・・」
「むぅ・・とにかく今は保存されているザフトコンピュータ内のデータだけでも漏れないよう徹底してくれ。
シンが君から得た情報を漏らす可能性は高いが、彼一人が何を言っても証拠が無ければただの戯言だ」
議長とレイの会話、それを影から盗み聞きする者が居た。
「機体の調整、整備が済み次第出撃になります。パイロットは常時待機を」
基地へと戻って来て、そしてまた出撃を迎えようとしているファントムペイン。スウェンは一人外れ、コーヒーを飲みながら暗い空を見る。
「・・・星」見えなかった。暗闇が包み、基地の明かりだけが空を照らす。雲が敷き詰められた空に星は見えなかった。
スウェンはふと思い出した、ムウに連れられてコーヒーを飲みながら満点の星空を見上げた事を。
星を見上げると自分の中に何か不思議な気持ちが湧き上がり、今の自分が消えてしまいそうになって、それで恐くて目を背けた事。
星・・・何だろう?昔自分は星に対して何かを思っていたのだろうか?昔の事だ、思い出せない。
スウェンがコーヒーを啜っているとミューディーがシャンパンボトルをラッパ飲みしながらやって来た。
「・・・」「あんたさぁ・・」「・・」「シャムスが死んだ事何とも思わないわけ?」「・・・」「っ」
ミューディーはスウェンの襟元を掴み乱暴に引き寄せ、彼に向けて憎しみに満ちた、だけど少し悲しそうな複雑な表情を向けた。
「死んじゃったんだよ!シャムスがっ!!何であんたはずっとそんな平然としていられるわけ?」
「中尉の損失は我が軍には確かに大きな損失だ。それは残念だが仕方が無い事だ」「そんな事言ってるんじゃないわよ!」「では何を?」
「・・・そうね、あんたは特に優秀な゛極上のエリート゛だものね。仲間の死を悼むなんて戦いに無用な感情持ち合わせてないものね」
「何が言いたい?」「別に・・。優秀なあんたにちょっと嫉妬してるだけよ?」「そうは見えないが」「ふん」
「少尉」「ん?何よ?」「無駄な仲間意識は戦場での判断能力を時に鈍らせる。早く無くした方がいい」「余計なお世話よ」
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『これが先程僕が聞いていた話の全てです』「益々怪しいわね。議長とレイは一体何考えてるんだろう?」『スパイというのも気になります』
ちぢれ毛からの情報を聞いて益々ザフトに不信感を抱くルナ。何か裏で蠢いているようだ。
「とにかく色々自分でも調べてみる必要はあるわね。デスティニープランっていうのが何なのかも」
ルナはそう言いながら自室を出るとピーチジュースを飲みに向かった。
「デスティニー、プラン?」部屋を出る所を偶然通りかかったヨウラン。ルナの言葉を少し聞いてしまっていた。
「アスラーン!イージスの可動モデルゲットしたぞー!」「お!おぉーう!ありがとうアーサー!」
「連合はMSの玩具を作ってそれの売り上げも軍事費用にしているからな。そのお陰でアスランの昔の機体も手に入ったぞ!さらに」
「ストライクまであるのか!?」「初回限定版のストライカーパック三種類セットだ!」「よし!早速遊ぼう!」
「ここはザフトと連合の勢力圏の境目で岩肌が露出する荒野だ。白兵戦だ、激戦だぞ。
゛うぉー!ビームサーベルを喰らえ!゛イージスの鋭いビームサーベルが唸った!ビューン!」
「ごごごご!スラスターを拭かせてホバー移動で交わしたストライク。ズシューン!凄まじいスピードだ!砂煙が巻き上がる!」
「゛交わされたか!何て手強いんだ!゛ギュワーン!スキュラが不意を付いて唸りを上げる!イージスのエネルギー砲だズギュギューン!」
「゛甘い!゛交わしたストライク!ビームサーベルを抜いて反撃だ!」「スキュラ!」「ブワワーン!」「スキュラァ!」
「あ、駄目だよ。スキュラ連射はもう三秒待たないと駄目ー!」「いいんだよ!イージスのオリジナルカスタムで速射性5%上昇だもん!」
「駄目ー!はいブー!はいブー!」「えぇい!こうなったらライフルを超レーザー回線で月面の反射磁場を利用してシンクロ!自爆する!」
「何やってんだ?」アスランとアーサーの玩具を使った激しい戦いに水を指すミネルバのクルー。「アホか」
「アホとは何だ!」アスランはクルーの胸倉を掴み上げ、激しく汗ばんでてかてかする顔を近づけて激しく言う。
「馬鹿者!玩具と言ったら平和の象徴だろう!平和の中には心にゆとりを与える娯楽が何時もある。玩具は平和だからこそ作れるんだ!
なのに君はその平和の象徴である玩具を否定するのか?ふざけるな!俺達は玩具で子供達が安心して安全に遊んでいられるような、
そんな世界を守るために戦っているんだろう!」「・・あ、あの」「分からないのか?」「わ、分かりました。すみません・・」「そうか、よし!」
アスランはクルーから手を離し、再び玩具を持って遊び始めた。「ブーン!イージスブーン!」「・・(やっぱりアスランて)」
今回の凸の台詞はマジ名言だと思ってしまったの俺だけ?w
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『アスラン・・』ルナから離れてアスランの様子を見に来ていたちぢれ毛。楽しく遊ぶ元気なアスランを見て安心したような泣きたいような。
『お前、付き纏うな』『うわぁっ!』いきなり後から声が聞こえて思わず驚くちぢれ毛。後を振り向くとそこには
『アスランに付き纏うな』アスランの後に憑いていた影、パトリック・ザラが居た。
『貴方は・・・くっ!アスランのお父さん、今すぐアスランから離れて下さい!貴方がアスランを変にしたのはお見通しです!』
『・・聞こえなかったのか?アスランに近づくな。アスランに余計な事をするな』『誤魔化さないで下さい!貴方でしょう?貴方のせいで変に』
『そうだ・・・私がアスランを今の様にした』『やっぱり!!』『それが、如何したと言う』『なっ!あなた、それでも父親ですか!?』
『゛変゛か。なるほど、そう見えるか。所詮はアスランに集っているだけの虫という事か』『な、何を言っているんです!?』
『お前如きには分かるまい、アスランの気持ちは』
『アスランの気持ちが分からないのは貴方の方でしょう!あんな゛馬鹿゛にしか見えない様にして。アスランはきっと心の奥底で悲しんで
います。アスランは誠実で強くて優しくて、僕の憧れの、まるで兄のような人なんです!それを貴方は!』
『・・・お前もアスランを苦しめる一人なのだな』『え?』『いいか、もうアスランに余計な事をしようするな。分かったな?』
そう言うとパトリックはすぅっと移動し、アスランの後へと消えて行った。『アスランを苦しめる一人・・?』
「大変よ!今連絡があって、連合の艦がこちらに向かっているって」「まさか・・難民キャンプを襲う気じゃ」
政府、軍関係者は慌しくなり、如何するべきかとカガリやオーブ政府関係者、ラクス、スカンジナビア王国関係者が緊急会議を開く。
兵達の動きも活発になって避難民達は一気に不安になる。
「目標はあくまでAAだ。が、姿を隠してなかなか出て来ない場合は難民キャンプの爆撃も止むを得ない」
「了解した」「了解よ」海を渡って来た艦は海岸に付き、そこから先はMS部隊のみで任務に当たる。強奪機を駆って。
「スウェン・カル・バヤン、ストライクフリーダム、出る」「ミューディー・ホルクロフト、インフィニットジャスティス、行くわ!」
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「そんな、駄目だ!AAを囮にだなんて」「それしか方法が無いわ!」AAを囮にするという艦長を必死に止めるカガリ。
「大丈夫だっての!何たって俺は不可能を可能にする男だからな!」ムウは平然と笑いながら言ってのける。
「それに今はシンがいるだろ?あいつ俺の事殴ったり馬鹿な事しか出来ないけど、避難民が危険となっちゃー黙って無いだろ。
いざとなったらキラも居るから大丈夫だ。」
色んな意味で危なそうなのでやっぱり引き止めようとするカガリを無視して、AAは出撃の準備を開始した。
『アウル・ニーダだよ。よろしく!』「・・」
『おお!新しい仲間か!これはこれはようこそ。ここは素敵な亡霊船ルナマリア・ホーク号だよ!』「変な名前付けるな!」
『あ・・こ、こんにちは』ちぢれ毛が戻るとルナに新しい霊が憑いていた。どうやら霊を無意識に引き寄せる特別な力があるらしい。
『いやぁー、アビスっていうカブトガニみたいなのに乗ってたらやられちゃってさー。ほんと如何なるかと思ったぜ』
「いや、あんた死んでるんだけど」『え?そんなん別に如何でもいいじゃん。こうやって普通に話してるんだし』「普通じゃないわよ!」
『僕と話せる君だって普通じゃないんじゃない?』「うっ・・」『ルナさん気にしちゃ駄目ですよ』
「ありがとう・・・貴方だけは優しいわね。それにしてもあんたアビスに乗ってたって事はアーモリーワンの強奪犯の関係者なのかしら?」
『ていうか僕が盗った』「そ、そうなの?いや、まあ、死んでるあんたに今さら何か言っても意味無いけど・・・ちょっと、聞いてる?」
『もっと霊を集めてきて遊ぼうぜ!』『そうだな!』『我々も!』『仲間を増やすんだ!』『出来ればアニオタの!』
「・・・・・助けて、シン」『ルナさん・・』
「僕は戦わなくちゃいけないから」「だからそうやって一人で・・」パイロットスーツを着て準備をするキラを必死に引き止めるシン。
「俺が、俺が戦うから!だからあんたは休んでろよ!そんな、今のあんたが出たって」「それでも僕は・・」
シンをの引き止める手を振り解き、フリーダムへと搭乗しようとした所を「待つんだ、キラ!」サイの呼び止める声で足を止めた。
「サイ・・」「言っただろう?俺がお前を守るって。俺がフリーダムに乗る」サイはキラの横を駆け足で通り抜け、フリーダムへと搭乗した。
「駄目だ・・そんな」「キラ、俺はお前の心を守りたい」キラは止めようと思えばサイを止められたが、心の奥底で疼く気持ちがそれを阻んだ。
サイに行って欲しくない、自分が戦えばいいという気持ち。戦いたくない、サイの優しさに甘えたいという気持ち。それがキラを板ばさみに。
サイがスパイ、何てことはないよね、作者さん。
でもファントムペインが搭乗するストフリ+インジャとどう戦う?
楽しみです。
サイ怪しいよなー・・・
アスランが少し可哀相になってきた
変なのがいっぱい憑いてるルナも気の毒だと思うのだが
誰が誰に対するどの陣営のスパイなのかで後の展開が決まる
>素敵な亡霊船ルナマリア・ホーク号
ワロタwwwwwww
サイ……間違いなく何かを狙っているなッッ!!
こうなってはラストがどんなどんでん返しが起きてもおかしくないぜ!
Destiny-Pulsationの続きまだですかね
気になってるんですけど
6
早期殲滅とは別に、BETAの包囲網突破阻止のため核兵器の断続的連続投入は、核爆発そのものをBETAに学習させられる恐れがあるため見送られている。
研究団より核兵器の断続的な使用に対しての警告が発せられたからだ。
「BETAが光学兵器を持っているということは、未だ理論上のレーザー核融合爆弾、俗に言う純粋水爆製造の可能性無きにしも非ず。不必要な核兵器使用は相手に学習させられるだけだ」
レーザー核融合爆弾とは従来の水爆とは違い、核融合を起こす起爆剤として核反応ではなく、強力極まりないレーゼーの一点集中による起爆を目的としている。
当然従来の核兵器に比べて放射性降下物をほとんど発生させない、理想の大量破壊兵器である。
人類はCE70年になろうとしても、核融合発電の成功どころか純粋水爆の開発に難儀していた。
しかしBETAにはおそらくそれが可能である。
何故あの大きさで強力なレーザーを撃てるほどのエネルギーを作れるのか、生体解剖しても解明不可能だった。
同様に飛翔している長距離目標の探知、ほぼ100パーセントの精密狙撃技術も、まったくの謎である。
それら超越的科学力を持っているということは、BETAは核あるいはそれに準じた大量破壊兵器を使用できると考えられるからだ。
人類側にとって、核兵器以外にも、いつ相手が本格的なBC兵器を開発、使用するのかわからなかった為、研究でいくつか有効な対BETA用のBC兵器が開発されても使用は見送られた。一旦使用すれば相手もいつか必ず人類に使ってくるという恐れである。
家畜や作物を汚染する細菌類をばら撒かれれば、どれほどの被害をもたらすか予測できない。
続いて、BETAがもし核兵器を持っていた場合、果たして使用を考慮するか思考実験が行われた。最終的には使用する確立大という結論が出された。
それには理由がある。
人類史を紐解けばわかるが、再構築戦争において人類は核兵器使用がほとんど躊躇なく行われたからだ。
特に、最も多く核兵器を使用したのが東アジア共和国の前身、中華人民共和国と統一朝鮮半島韓国連邦である。
全ては日本のある天才科学者が開発した放射能除去システムと中性子線制御技術(NCT)から始まった。
愚かしいことにその天才科学者は、世界平和のために(本人はそう思っていた)全世界にそれを公開してしまったのだ。
ひとつのタガが外れてしまった。残留放射能の危険がなくなれば、核兵器はただの大規模爆発兵器である。
結果、第三次世界大戦そのものである再構築戦争が起きることとなる。
始まりは極東の島国からだった。
近隣諸国から熱心な支援を受けた進歩的文化人達が日米安保を破棄させ、駐留米軍を排除した。
その後保守系政党が盛り返したが、もはや後の祭りであった。
東京、大阪、広島、呉、長崎、佐世保への核攻撃。
僅か一日で大日本帝国は中華人民共和国と統一朝鮮半島韓国連邦に降伏した。
首都京都の皇帝と征夷大将軍は日本"州"自治のため残ることを許されたが、帝国陸海空三軍は中華人民共和国に組み込まれ手足のように使われることとなる。
再構築戦争という大乱世にあって、自らの防備を怠った日本に対し世界はあまりに冷ややかだった。
いわんや、BETAが核攻撃を躊躇する意味はあるのか?
真空の宇宙空間でも活動が可能なBETAに、多少の放射能が効くのか?
それよりも放射能除去装置を完成させているのではないか?
ならば人類の核攻撃は、地下に巨大な巣を張ったBETAを殺しきれるほどの量を投入できるのか?
相手のことがよくわからないため、核攻撃早期殲滅論が議題に上がるたびに会議は紛糾した。
いまだ半年も経っていないのだから仕方がないともいえたが……。
ここまでorz
突っ込み大歓迎
>強力極まりないレーゼーの
レーザー
>>288 この反核論者め!
クリーンな核を使わずして(ry(←アズラエル乙?)
ところで、米帝と違って中国に侵略されて70年も経ったらかつて日本と呼ばれた地域に住む人間の半数は漢民族だろうし、
軍隊残すこともないだろうな……
まあ、竹Pの妄想ぐらい許容しても良いけどね。
>291
確実に1割も大和民族残ってねえよ。
>>290 カチャ;y=ー( ゚д゚)・∵;; . ターン
>>291 そうだアズラエル出すの忘れてた!
勿論、「勇者君主アズラエル」という方針で
おお!また厨臭くなってきた。
>まあ、竹Pの妄想ぐらい許容しても良いけどね。
すんませんorz
条件付き降伏をした日本にどのように介入するか良く考えていなかった。
・CE09年
名目上、日本自治州は皇帝と征夷大将軍と内閣総理大臣が治めるということが認められたが、
中国から派遣された監督官が幅をきかし圧制管理政治が始まる。
文字通りの併呑されたのだ今年を持って正式に中国、韓国連邦、台湾、日本が統一され『東アジア共和国』となられた。
帝国軍の組み込み以外にも、軍民両方の最先端科学技術や特許技術、著作権の無償譲渡等といった恥辱の限りの蛮行が行われた。
国民はひたすら耐えに耐え続けたる以外に方法なかった。
「サムライの血」や「黒の騎士団」といったパルチザンが都市部や廃墟で反政府独立ゲリラを展開。
軍事テロに備えて、機関銃と装甲動甲冑(パワードスーツ)を装備した、地獄の番犬が首都警に特機隊が設立される。
ネパール、チベットとまでは行かないが、漢民族韓国民族のが行われるも、S2インフルエンザウィルスが大陸でも日本列島でもの大発生により、大きな被害をもたらされた。
多くの民草が亡くなり共和国全体の人口密度は急激に下がった。
すまん、いろいろとgdgdになってしまった
寝ます(´・ω・`)ショボーン
> 条件付き降伏をした日本にどのように介入するか良く考えていなかった。
ここで言う話じゃないような気もするが、何か(日米同盟の無かった)日本がバカやって「連合」に負けて、
連合による委任統治領って考えもありじゃない?
特亜単独じゃあんま好き勝手出来ない。
(もっとも、連合全体の同意有りなら無茶やれるんだが)
>>282アスランは最終編できっと幸せを掴むと思うからそれまで見守ってあげて下さい。
22
「無様なもんだな!」「・・」悩み立ち尽くすキラをあざ笑って通り過ぎて行くマーズとヒルダとヘルベルト、ドムトルーパーズも出撃する。
「体が震えてるぜ?ぶるっちまってるんだろ?w」「嫌味なんか言ってるんじゃないよ!まあ、見た感じ確かに今のあんたは駄目そうだな」
「おいおい、お前まで」「ふん!」「最近船の中じゃもっぱらの噂だぜ?キラ・ヤマトがおかしいってな。びびっちまってるって」「・・っ」
「まあ安心しな!あんたが戦えなくてもあたいらがラクス様のために戦ってやるから!」「餓鬼は艦の中でおねんねしてな!」
「ヒルダもマーズもそれくらいにしとけ・・、すまんな、キラさん」「いいえ・・」
急発進したAAは複雑に入り組んだ山間を進み、敵が侵攻して来ると思われるルートへ近づいて行く。
「使われている装甲が装甲だからオオワシの修理にはまだ少し時間が掛かるわ。今は代わりにエールを使って」「分かりました」
ステラやオーブの人々の危険もあり戦闘に出る事を了承したシン。一見あっさりと承諾したように見える彼だったが、その内には
複雑な思いが渦巻いている。アカツキはその特殊な装甲故に修理が難航し、破損した装甲の一部は通常装甲をも用いて補われ
ている。バックパックについては、今はオオワシに変わり同じ規格のエールストライカーが用いられる。設定が調整されて。
「カオスは甲板上から迎撃、ドムは地上に降りて三機でフォーメーションを組んで戦って頂戴。アカツキとイケヤさん達のムラサメ隊は
空中戦を」「敵、レーダーに反応!MS・・・数八!」「MS発進!敵を視認次第、AAを囮に敵を誘導する!」
ファントムペイン側も同じ頃AAをレーダーにキャッチ、スローターダガー部隊が先行して進む。山と山の間を潜り抜けて接近する。
「シン・アスカ、アカツキ、行きます!」「ムウ・ラ・フラガ、カオス、行くぜ!」「サイ・アーガイル、フリーダム、出ます!」
次々に発進するMS達、アカツキらはAAの前面に飛行して展開し、ドムはホバーの特性を生かして地面へ、カオスは甲板上で
移動や飛行をする事無く戦闘する事により重力下でのポッドの運用に集中する。
「え?フリーダムって、サイ君?どうしてサイ君が?キラ君は如何したの?」「キラは今戦える状態じゃありません!代わりに俺が行きます!」
「で、でも」「大丈夫です。俺がキラの代わりをやってみせます!」不安になるマリュー。今までキラに頼り切った戦い方ばかりをして来た
ために、キラが戦わないと知った途端不安になる。「大丈夫だマリュー!俺が居る!」「そ、そうねムウ!」
「ああ・・・(それにしても、カオス・・か。スティング・・・)」自分が今乗るカオス、それに乗っていたスティング、散った彼をふと思い出す。
彼の事を考えていると急に、脳内麻薬で常に溢れていた気持ちが醒めて行き、まるで何かが落ちて行くような、そんな気分に。
゛余計な事は考えなくていい゛ムウにも、誰にも聞こえない声がこだました。ムウはすぐにまた脳内麻薬が溢れ出し、調子にのった状態に
戻る。「あれ?俺何考えてたんだ?」首を傾げるムウ。そんな彼を横から、彼によく似た顔の影のような物がにやりとしながら見詰めていた。
23
「敵部隊視認!オーブ戦で交戦した連合の量産機です!」「MSは距離を取りつつ迎撃を!AA、前方の岩山を右折!上手く誘い込んで!」
ついにお互いを捉えて戦闘が開始、ダガー部隊が編隊を組んでうねる様にAAへと近づいて行く。
「それで動いてる積りかい?甘いんだよ!!」ドムトルーパーズが地上からバズーカを連射し、戦闘の二機を瞬殺して除ける。
ダガー部隊は散開し、二手に分かれてAAとドムをそれぞれ攻撃する。「裏切り者の船めが!」「焦るな!地形を上手く利用するんだ!」
ダガーは山と山の間をばらばらに飛び交い、距離を取って山影を行き来しながらビームを撃ち突ける。
「くそっ!こいつら!」艦を守りつつ打ち返すシン、しかし敵の素早い動きと山に阻まれて全く当てる事が出来ない。
「なかなか上手いな。だが」カオスのポッドが切り離され、敵の居る地帯の左右から回り込ませて「俺の方がもっと上手い!!」
ムウの天性の空間認識能力と勘を用いて山の影に隠れる二機をあっさり撃ち抜いた。
AAは山と山の間を器用に入り込んで進行方向を右に大きく代え、ダガー部隊にお尻を見せる形でその場から外れて行く。
追おうとするダガーだったが、ドムが猛攻を仕掛けて一機を残して全て撃破されてしまう。
「なんか囮とか必要無いんじゃないか?なんかもう全滅だろ」ムウが余裕の笑みを浮かべたその時、ダガーがやって来ていたルートに
新たなMSの反応が現れた。「うっわ!うそ〜・・・・・」レーダーに映るのは無数の反応、二十機は下らない反応が近づいて来る。
「艦長!」「ヒルダさん?」「こんな山間で大量部隊に一斉に襲われたら戦艦なんてただの的だ!ここはあたしらが抑える!AAは先に行きな!」
「でもそれじゃ!」「大丈夫!上手くやるよ!あと、あたしらは簡単にはくたばんないよ!」
大量のスローターダガー部隊が姿を表し、AAのお尻を確認すると全てその方向に向かって飛行する。
「こんなあからさまな誘導に・・・まさか、最初から彼らの目的はAA!?」「艦長!ヒルダさん達には俺が付きます。とにかくAAは逃げて下さい!」
「サイ君!でも!」「大丈夫です。こんな所で無理はしませんから」「・・・分かったわ!お願い!ヒルダさん達も!」「あいよ!」「へっ!」「任せてくれ!」
全速前進するAA、ドムとフリーダムが接近するダガーを次々迎撃し道を通せんぼする。
ダガー部隊は山間の幾つものルートに分かれて散り、一部のダガーが、ドム達の守るルートの山を挟んで向こう側を通ってAA追撃に
向かう。「言って置くが!」「俺達は最初から最後まで!」「よし、さらに三機撃破っと」「・・おい!」「ん?」「なんでちゃんと゛クライマックスだぜ!゛
て言わないんだ?!」「はぁ?何言ってんだマーズ?」「全くのりが悪い奴だねぇ!」「ヒルダまで・・」無駄話をしてる間に数機のダガーが素通りを。
「あ!お前ら卑怯だぞ!」「いや・・あんたらが変な事言ってるから」通り抜けたダガーをサイが空かさず倒してフォローする。
「しっかりして下さい!戦闘中ですよ!」「うるさいね!こっちはヒーローのロマンについて重要な話が「ヒルダ!前!前!」
微妙に修正
×いわんや、BETAが核攻撃を躊躇する意味はあるのか?
○いわんや、これら歴史を振り返り、BETAが核攻撃を躊躇する意味はあるのか?
>>295 委任統治か〜。
東アジア共和国の成り立ちを考えてたからな。
うん、いろいろパターンができますね。
まあ再構築戦争の内容がハッキリしないんで、どうとでも作れますからね。
そもそも再構築以前の世界は、我々の知りうる(想像し得る)世界なのかが疑問。
日米安保そのものがなかったりした世界なのかも……。
求めるべきは、「東アジア共和国」「“皇帝”の存続」「最低限度の文化が残っている」「日本の企業が残っている」こと。
降伏後の日本で文化大革命を起こさせないようにしないと……。
>>297 燃える展開になってきたじゃないか!
って、ヒルダああああ!!
24
「何があたしらが抑える!だ、いっぱい漏れてこっちに来てるじゃねぇか」世話しなく出てくるダガーを文句言いながら相手するムウ。
一機一機は大した事はないが、一度に沢山来られると迎撃が遅れて攻撃を幾つかAAに通してしまう。
揺れる艦内。その中でキラは一人、誰も居ない廊下をとぼとぼと歩いていた。「・・」
「やっと彼から情報が届きました。支援隊に紛れ込ませていた者を介してのデータディスクですが」
「どれ・・・・・なるほど。どうやら片方は取り込むに至らないようだな。まあ障害が一つ減ったという事でよしとしよう」
「もう一人の彼からは゛もう完全に取り込めそうだ。後は鎮魂歌を歌う時を待つだけ゛と」「全く、彼は本当に頼もしいのお」
「ジェットストリームアタックを使うまでもねぇ!」「相手が雑魚ばっかりだからねぇ」ダガー部隊をほぼ壊滅させたドムとフリーダム。
とは言っても結構な数をAAの方に通してしまっている。「そろそろ向こうの方に行くとしようやヒルダ!」「ヒーローのようにかい?w」
自分達の強さに酔狂し切っているヒルダとマーズ、サイとヘルベルトは冷めた様子で黙って二人の会話を聞いていた。
「(如何し様もねぇ、如何し様もねぇなこいつら)」「ヘルベルトさんは冷静ですね」「ん?そういうあんたこそ」「いえいえ・・・!?危ない!」
サイが叫んだ瞬間上方から一閃のビームがヒルダドムのバズーカを射抜き爆発させた。「ぬぁ!」「ちっ!何だ?」
脇に聳え立つ特に高い山の上から一つの影が走り、こちらに目掛けて大きく飛んで落ちてくる。「くそっ!」「散開しろ!」
即座に散開するドム達、彼らが退いたその場所に次の瞬間、激しい着地音を立てて一機のMSがサーベルを振り下ろしながら舞い降りた。
「何だこいつ!?他の奴と違う!」「こいつぁ一体!?」空を切って現れた他とは明らかに違うピンク色の機体、ミューディーのインフィニット
ジャスティスにヒルダらは眉を潜めた。「まさかこんな所で会えるとはねぇ・・・・・黒い一つ目のMS!!!」ミューディーの顔が憎悪に歪む。
「シャムスの仇ぃぃぃぃ!!!」サーベルを両手に握り激情のままにドムへと斬り掛かるミューディー。ピンクに染まるビーム刃が高速で振られ
逃げようとするドムの胴体装甲を横へと翳める。「何だこいつ、やべぇ!一端離れろ!」「駄目だ!動きが早すぎる!」
体勢を立て直そうと三機で一方向へと逃げるドムを、逃がすまいとジャスティスがライフルを抜いて撃ち突ける。フリーダムは、空高く飛び
立ちライフルを構えながらもその様子をじっと見詰めている。「・・・」
25
ズギャーーーーーン 五本の光が岩山の天辺から真っ直ぐに伸び、AAを前方から突如撃ち抜いた。「きゃああああああ!!!」
艦の各部が爆発し、激しい炎と黒煙がそこから漏れる。「マリュー!!くそっ!馬鹿なっ」「なっ!何だ?前から!?」
後から追ってくるダガー部隊に気を取られていたムウ達、突如放たれた前方よりの攻撃でAAに甚大なダメージが与えられる。
「一体・・あれは!!?」岩山の頂上に立ち青い翼を広げて一機のMS、ストライクフリーダムがこちらを見下している。
「フリーダム!?何で、そんな!!」叫ばずにはいられないシン。あの姿間違いなくフリーダム。何でフリーダムが?
「ぼけっとするな!!」「おっさん!」「おっさんじゃない!!それより早く奴を撃つんだ!今の攻撃のダメージを見ろ!次を撃たれたら御終いだ!!」
そう言っている内にストフリはもう一度砲口を構え、ニ射目の発射体勢に入る。「くそ!止めろー!!」
ズギャーーーーーン フルバースト再び。アカツキが咄嗟に飛び出して中心の強力なカリドゥス砲を弾いたが、残りの四砲はAAに命中し
艦の各部を強烈に爆砕した。中に居たキラは激しい揺れで吹っ飛ばされ、廊下の隅で血を流して倒れる。「くっ・・・・・これは・・」
「くそがっ!」ジャスティスの猛攻を受けるドム。何とか距離を取って三機の編隊を組み直す事には成功したが、ジャスティスのライフルと
背部ファテゥム搭載のハイパーフォルティスビーム砲の強力な連射に手も足も出ない。
「何?こいつら・・・こんな弱い、こんな弱い屑達のせいでシャムスは死んだの?・・・・・・ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!」
「くそ!こうなったらジェットストリームアタックだ!」「そうだぜ!それしか無いぜ!」「こればかりは俺も同意見だ」ビームを絶え間なく撃ち続ける
ジャスティス、ドムは状況を打破、敵を撃破するべく必殺技を掛けに入る。バズーカを失ったヒルダに代わってマーズが先頭に立ち、
ドムの腹からビームバリアを展開しながら一直線に並んでジャスティスへと突っ込み出す。『ジェットストリームアタック!!!』
敵の特攻にビームをさらに早く連射するジャスティス、撃たれたビームは全て弾かれ、逆にドムから放たれたバズーカの連射が
ジャスティスに命中して機体を後方へと大きく吹き飛ばす。「貰ったぁぁぁ!!!」ヒルダがバリアを展開しながら先頭に踊り出て、
サーベルを抜いてジャスティスへと一直線に斬りかかる。が「そうやって何時も何時も、やれると思うなぁぁぁぁぁ!!!!!」ジャスティスは
吹き飛ばされながら背部のファテゥムを展開して切り離し、突進して来るドムに向かって思い切り突っ込ませる。「ばっ、馬鹿な!!」
ズガン 一瞬だけビームバリアの抵抗で間を置いてファテゥムがドムの腹に突撃、装甲を鋭利なエッジとショートビームサーベルが貫き、
ドムを真っ二つにして通り抜けた。「ラ、ラクス様ーーーー!!!!」激しい爆炎を立てて爆発した。「ヒルダァーーー!!っ、ひっ!!」
ファテゥムは勢いを落さず突っ込んでくるマーズにそのまま突撃「がっ!!」ヒルダドムと同じように機体を真っ二つにして貫いた。
「ラクス様・・俺の・・・エロほ」爆発した。「マーズゥゥゥー!!!くそぉ!!」ヘルベルトは機体を強引に横に流し、ファテゥムの突撃を難とか避ける。
一瞬だった。たった一瞬で二機のドムが灰と化し、大切な仲間二人が失われた。ファテゥムは空を待ってジャスティスの後へと戻った。
26
「くそっ!こりゃもうダメージコントロールとかそんなレベルじゃないぞ!」「くそっ!もうやらせるかぁー!」
ストフリに向かってライフルを撃ちながらアカツキが接近する。ストフリは岩山から前へふわりと落ちるように飛び降り、迎え撃つ
アカツキへと銃口を向けて飛び出す。「金色のMS・・・邪魔だ」
「マリュー!状況は?」「メインスラスターは大丈夫。だけど艦前部の大半が被害を受けていてこれ以上は!」
「ちっ!とにかく脇に外れろ!あのMSは俺やシンで何とかする!ムラサメ隊はダガーに注意しろ!そっちは任せる!」「はっ!」
「単機で待ち伏せされてたなんて。誘い込むつもりだったけど誘い込まれたのは私達の方だったの!?」
「お前も、逃がさない!」ジャスティスの盾よりアンカー、グラップルスティンガーが射出されドムを捕獲「うごっ!くそぉっ!!」
重い機体を強い力で引っ張られてドムは宙を舞い「シャムス・・・これで、私は・・」盾の先端の大型ビームエッジが飛んで来たドムを
背部から串刺しにした。「あ・・ヒルダ、マーズ、すまない・・俺は」激しい音を立てて機体は爆散し、ジャスティスの周りに炎を撒いて
散って行った。「くくっくけ、くけけけけけけけけ・・・シャムス、私、これで、やっと・・ひゃははははは!」
散って行ったドムトルーパーズ。その様子を見詰める者はもうここには居らず、何時の間にかフリーダムはその場から姿を消していた。
「ビームを弾く?」既にアカツキとストフリの戦いが始まっている。ビームが黄金の装甲に反射され、全て自身へと返って来る事に
スウェンは驚く。しかし、すぐにその弱点を見抜くべく攻めに掛かる。「そこだ!」レールガンが撃ち放たれアカツキを襲う。シンは迷わず
それを避け、すぐにストフリにビームで撃ち返す。「(やはり、反射出来るのはビームだけか)次は・・」サーベルを抜きアカツキに突撃。
「なっ!こいつ」猛進したストフリのサーベルが縦に大振りされ、その攻撃もシンは迷わず交わす。ストフリはそのままの勢いで大きく
弧を描いて離脱し、飛び掛る前の中空へと再び戻った。「なんだ一体?」「(サーベルも有効のようだな)」スウェンはアカツキに有効な武装
を確認し、ビーム砲以外で攻めれば大した事は無いと踏む。「この野郎!マリューの船に何て事しやがる!」カオスが甲板を離れてアカツキ
と合流、マリューが危ない目にあったので激怒している。「貴様、その声」「ん?お前!スウェンなのか!?」「また貴様か!今日こそ排除する!」
ドム三人組死んじゃった……
冷静な方のおっさん好きだったのに……
やっぱりサイはスパイ?
黒サイ確定ですな
ところで憑き物がいっぱいって感じになってきましたが
憑き物落としが必要となってくるのでしょうか
やはりサイがスパイか・・・
キラは何時まで欝状態なんだろう
ここのキラは好感持てる
キラには
悩んで悩んで、徹底的に悩みまくって欲しい。
それと三人組合掌!
カチャ
y=ー( ゚д゚)・∵;; ターン
\/|LR|)
>>303霊問題はルナが一任。ちなみに霊関係は主軸には深く関わらず、あくまで一要素という事で。
気づいたんですがジ・エッジ読んでたら丁度三巻の終わりからこっちに繋がってる。
ジ・エッジの4巻に進んでアスラン格好いいを見るか、こっちに進んでアスラン暴走を見るか、選べます。
27
「つまり、後一度だけチャンスを与えてやるという事だ」「う、うぅ」通信施設で一人秘密の会話をするユウナ。相手は連合のようだ。
「分かっているな?もし拒めば今度こそお前は居場所を失うと言う事だ」「分かりました。言われた通りに中継します」
通信相手ロードジブリールはユウナとの回線を切り、すぐに他の回線を使って別の人物と会話を始める。
相手はザフトに送り込まれたスパイ。スパイは様々な情報をジブリールへと伝え、その内容はどれも重要な機密ばかりである。
「ご苦労。報酬は何時ものルートで渡す」「最後の情報は無暗に使わないで下さい。こちらの存在がばれますから」
「分かっている・・、これからも期待しているよ○○○○○○」そして通信は閉じた。「・・期待している、か」
「どうしてしてシン来ないの?」「きっと忙しいのよ。みんな今大変だものね」「ステラ、シン守るって言ったのに・・・シンいないと守れないよ」
毎日のようにシンを待つステラ。主治医は仕事が終われば来てくれると言い聞かしているが、正直もう彼は会いに来ないだろうと思って
いた。彼はもう自由に人々の中を歩ける人間ではなく、彼自身もそれを自覚しているだろうから、だからステラにも会えないだろうと。
「大人しく引け!じゃないと俺はお前を落すぞ!」「黙れ!」ストフリの左右のライフルが一分の隙も無く連射されカオスは全く近づけない。
「おっさん!くっ、こいつ!」アカツキがカオスを庇うようにビームの雨の中に割り込み、無数に閃光を弾きながらストフリへと一直線に
突っ込んで行く。エールのサーベルを抜き、突撃に全く動じない敵に向かって縦に斬り下ろす。「馬鹿め」「っ!?」
ズバババババ 振り下ろされたサーベルが突如発生した二つのビームの盾に阻まれてその刃を激しく散らす。「ビームシールド?!!」
激しいビームの抵抗で動きが止まったアカツキ、その胴体に向かって密着するようにストフリのレールガンが可動し砲口が唸る。
「堕ちろ!!」「うわぁ!」アカツキが木っ端微塵にされ掛かった瞬間「危ないシン!」カオスのキックがアカツキを強打、アカツキは蹴り飛ばされ
てくるくると舞い、レールガンは目標を失って何も無い空中を音を立てて飛んで行った。「大丈夫かシン!」「うぅ・・」
シンはスラスターを噴かして体勢を何とか立て直したがモニターにはダメージのデータが表示されていて、どうやらカオスの脚部に付い
ているエッジが蹴った際に刺さってエールの一部が機能しなくなっているようだ。命は助かったが推力が弱まってどんどん地面に。
「くそう!よくもシンを!」アカツキを蹴り飛ばしたカオスは何時の間にか遠くの方へ退避していた。
28
どんどん落ちて行く敵を見逃すはずも無くストフリはライフルを前後に連結させ狙いを定め、エールを上方から一撃で撃ち抜いた。
「うぎゃぁっ!」ストライカーが爆発してその爆風によって吹き飛ばされ、アカツキは岩の山肌に機体を痛々しいくらい撃ち付けながら転げ
落ちて行く。金の装甲はへこみ補修で使われていた通常装甲部は砕け散って、見るも無残な姿になってしまった。
地面に激しい音を立てて墜落したアカツキを見ながらムウはスウェンに対して怒号を響かせる。「よくも俺の仲間を!!もう手加減はしねぇ!」
MA形態となって突撃、しようと思ったらストフリはカオスには見向きもせず、スラスターを全開してAAへと向かって行く。
「あの野郎!何処まで卑怯なんだ!」カオスはストフリを追い、地面には何とか立ち上がって悪路をがしょんがしょんと走るアカツキの姿が
あった。「くそ・・・何やってんだ俺。早く何とかしないと、おっさんだけじゃ絶対守り切れそうにないし」シンとムウのチームワークは最低だった。
「何をしている?」ミネルバ内にある情報管理室、ルナがそこから出て行こうとするのを見つけたレイが声を掛けた。
「な、何でも無いわ」「・・そうか」ルナは足早に逃げるように去って行った。「・・・(ルナマリアか)」
廊下を心臓どきどきしながら歩くルナ。先程までザフト内の情報を勝ってに調べていたのだが、まさかレイに見られるとは思わなかった。
『ちょっと不味かったですね。あの人、議長と秘密の会話をしている人ですし』「そうね・・」
『しかし、情報を洗おうとしても関連するデータが一切無いのでは如何にも成りません』「そのお陰で益々怪しく感じるけどね」
『ルナさんが直接動くのはやっぱり危険そうです。やはり僕が情報を得られるよう頑張ってみます』『僕も手伝っちゃうよ!』『我々も!』
「アウル・・・みんな・・・・・・お願いだからあんた達は余計な事だけはしないでね?」『なんだよ、釣れないなぁ?』
『人の好意は素直に受け取る物だぞ』『少尉、きっと彼女はツンデレなんです』『胸が大きいからきっとそうですね』「うるさいんだけど・・」
ルナにとっては騒がしい、ルナとすれ違うクルー達には謎の独り言である珍妙な会話。ルナは疲れながらもちょっと楽しい・・・訳がない。
ルナがオープンな談話室を横切った時、連合亡霊の一人が談話室の中のある物を見て首を傾げた。
『あれ?なんで、あれは・・・』『どうしたんです?』『何でもないですよ。それよりダルシムさんが好きなアニメはry』
「うるさいって言ってんでしょ!!ていうか、大人がアニメ見るな!!!」『・・・』「ん?如何したのちぢれ毛さん?」『いえ(ちぢれ毛さんて・・ちょっと)』
29
「ムウ!シン君は?」「あいつへまして山に落ちちまった。ストライカーがやられてる、オオワシの修理が終わったなら飛ばしてやってくれ!」
さらに険しくなる山間、AAは炎上しながらも難とか飛行を続け、襲い掛かるストフリとダガーをカオスとムラサメ隊で守ろうとする。
「遅い」ストフリのライフルが旋廻しようとしたニシザワムラサメの翼を撃ち抜き、バランスを失ったムラサメはMS形態へと戻って
落ちる寸前でAAの甲板にへばり付く。続いてイケヤのムラサメも両足を撃ち抜かれて甲板に不時着する。
「お前ら何やってんだ!このままじゃ本当に不味いぞ!!」「ニシザワ、イケヤ・・くそっ」「ゴウはもう何とかして一人でダガー落せ!向こうは俺が!」
「さっきも同じ事言って結局抑えられてなかっじゃないですか!!」「うるせぇ!!シンが悪いんだよ!」「こんな時に喧嘩しないでムウ!」
ぐだぐだのやり取りをしている間にストフリはAAの真上へと飛び、止めのフルバーストの体勢になる。「今度こそ、消えろ!」
「止めろっつってんだろ!!」カオスの盾がぶん投げられストフリに命中「ぐわっ!」ライフルを二丁とも落してしまった。
「貴様・・・何処までも!」流石のスウェンも頭に血が昇り始め、その狙いがAAからムウへと変わった。「貴様は!!」
サーベルを両手に抜いてカオスに猛進、素早く二本のサーベルを操って斬り掛かる。しかしムウの華麗な操縦テクニックによって全然
当たらず、逆にカオスのバルカンがちまちま飛んで来て当たる。「うひょー!」「貴様ぁー!!」ムウがしっかり囮になっている間にムラサメが
残り五機のダガーを撃破、遂にストフリだけに。「当たるかよ!」ずばっ「あ、あれ?」調子に乗って避けていたのだが一撃が入ってしまった。
右のポッドが破壊されて爆発する。「やっちまったか!?」推力不足となったカオスはさっきのアカツキのように落ちて行き、AAの甲板上へと
ひょろひょろと不時着した。「や、やばっ!!」「ちょっ、ムウー!!」「もう駄目だ!」もう飛行出来るのはゴウのムラサメだけ、抑えは効かない。
もうまともに自機を抑えられる機体は無いと踏むとストフリはAAの真下へ回り込んだ。裏側では甲板のカオスらは何も出来ない。
「今度こそ消えろ、大佐諸共!」ストフリの腹ビームがAAの中心をロックした。「くそっ!ポッドを」ブイィィィン「PSダウンだぁ!?」
腹が発光してビームが生まれる「落ちろ!!」「やらせるかぁぁぁぁぁ!!!」腹ビームが発生したその時、必死に追い駆けてやっと追いついた
アカツキがスラスターを全開して大ジャンプ、AAの盾となって腹ビームを受け止める。ビームは反射されストフリへお返しされた。
「馬鹿なっ!!」返って来た凄まじい威力の腹ビームがストフリを襲い咄嗟に避けようとするも避け切れず、反射ビームは右腕の付け根から
青い右翼まで一気に飲み込んで行った。破損部を小爆発させながらストフリはAAの下から宙を転がるように逃げ出して行く。
「何やってんだよおっさん!!ちゃんとしろよ!!」「う、うるせぇよ!ちっ・・AA、オオワシを射出しろ!」
30
「オオワシ・・・修理は不完全ですが飛行機能は大丈夫の様です!」「それでいいわ!射出して!」オオワシカタパルトスタンバイ。
「くっ、油断したか・・」飛行能力に支障をきたしたストフリを難とか滞空させるスウェン。今の攻撃で腕や翼を失っただけでなく、
破損部からの衝撃によって本体駆動系に異常が出ている。後のダガー部隊は何をしている・・・まさか全滅だと?ミューディーは?
「オオワシ発進!」がっががががが「な、何?どうしたの?」「大変です!カタパルト部が攻撃によって破損して上手く開いていません!」
残骸で詰まりながらも前進するオオワシ「・・あ、射出しました!何とか残骸を押し退けて飛び出す事は出来たが、思い切り機体を傷付けて
翼のヤタノカガミが剥げまくっている。「ああ!!せっかく直したのに!」メカニックの人々が涙を流して倒れ込む。
射出されたオオワシを確認するとアカツキは再びジャンプし、オオワシと合体すべく空中をホバーする。「(ストライカーだと?)させるか!」
装着体勢に入ろうとしていたアカツキにスウェンは空かさずレールガンを撃ち込む。アカツキの左足が爆破されたがそれでも装着を
続ける。オオワシは前頭部と二門のビーム砲部を後に可動させ装着体勢になり、アカツキの背中目掛けて勢い良く突き進む。
ストフリは装着の隙を突くべく左手のサーベルを突き出しながら突撃、今まさに合体しようとしているアカツキを串刺しにしようとする。
「逃げろシン!!」「くっ(駄目だ、この状態じゃ動けない!)」「やらせはせん!!」シンの危機にゴウムラサメがライフルを、オオワシに向かって射出。
「っ!?馬鹿め、何処を狙って・・・!!しまっ」オオワシの下部に当たったビームが黄金の装甲で反射し、ストフリの方へ飛んで行く。
「くそっ!」直撃コースで避けない訳にも行かず、ストフリが突撃を止めて避けた瞬間、オオワシ合体、アカツキが黄金の翼を得て大空を舞う。
「よっしゃぁ!!行け、シン!」「うおぉぉぉ!!!」翼を得たアカツキが凄まじい早さで接近し、腰部のサーベルを振り抜いてストフリを切断。
「ぬっ!!」ストフリの左腕が斬り落される。レールガンを撃つもオオワシによる高い機動性の前では翳めもしない。一瞬で離れられる。
「AAは、やらせない!!」アカツキはライフルをもう一方の腰部より取り、砲口の下に備えられたジョイントにサーベルをセット、そこから
ビーム刃が発生して銃剣となる。高速で飛行しながらライフルを構え、諦めず撃ち続けてくるレールガンを素早い射撃で左右両方撃破、
そのまま相手に再び近づいて銃剣を頭へと突き刺した。「おぉぉ!!」そのまま下に斬り込んで真っ二つにしようとしたが、ストフリの腹が
光るのを見て急いで離れる。次の瞬間腹ビームが唸った。今避けなかったら非ヤタノカガミ部を撃ち抜かれるか、敵機もろとも爆発に飲み
込まれて死んでいた。「・・・はぁ、はぁ」「・・はぁはぁ、くっ!」シンが再び攻撃を加えようとした寸前、ストフリは踵を返してダッシュ、アカツキ
に背を向けてじぐざぐに飛行しながら逃げて行った。「・・はぁ、はぁ・・・逃げ、た?」
31
攻撃を掻い潜り、多大な犠牲は出した物の逃げる事が出来たAA。船内は惨状と化し、消化が完了した所では怪我人や亡くなった人達が
担ぎ出されている。まだ炎上している所が有るが、消化を急ぎつつそのままオーブの駐留場まで急ぐ。そこに追い着いたフリーダムが。
「マリューさん!」「サイ君!!よかった無事で」「はい、ですが、ヒルダさん達が・・」「へ?」
「如何したの?」『え?』「なんかずっと考え事してるみたいだけど、良かったら私に話してみてよ。力になれるかもしれないわよ?」
『ルナさん・・・ありがとうございます。それが、アスランのお父さんの事についてなんですが』「?」
ちぢれ毛はパトリックと話をした事をルナへと伝えた。ずっと考えていて、如何しても疑問が浮かんで来る。
「アスランを苦しめる一人・・・一体どういう意味かしら?」『分かりません。ですが、僕には何だかあの人が悪意を持ってアスランをあんな
風にしているようには思えないんです』「思えないって、どう見ても悪意満々でしょうが。自分の子供に無茶苦茶させて」
『それは分かってます、分かってますが、あの時のあの人の顔はすごく真剣で、なんだか゛お父さん゛て感じがして・・・』
「・・・」『もしかしたら僕達には分からない、僕達が知らないアスランをあの人は知っているのかもしれない・・・そんな気がして』
「・・・・・やさしい人ね、ほんと。幽霊にしとくには勿体無いわ」『いえ、そんな・・』「アスラン・・・か」
「そうか・・あいつらが」「はい。俺も必死に戦ったんですが、敵の数が予想以上で・・・ヒルダさん達は自分達を犠牲にして敵を全て」
ドムトルーパーズの死が知らされムウやマリュー達は悲しみに包まれる。シンは遠巻きにそれを聞き、一人廊下で「くそっ!」遣り切れなさ
に体を震わせていた。艦内は何処も酷い事になっていて、それを見る度にシンは奥歯を噛み締める。堪らなくなって負傷者の手当て
を手伝おうとしたが、疲れた体がふら付くのをクルーが見て休んでいろと手伝いを拒まれた。そしてキラの方は
「大変だった。大変だったけど俺達の力で艦を守る事が出来たよ」「・・・」「大丈夫、お前はもう戦わなくていいんだ」「・・」
「キラ・・実は、こんな事本当は言いたくないんだけど、俺、艦長や艦の皆が゛キラはもう駄目だ。まともに戦えないんじゃあいつに
価値は無い゛って言ってるの聞いちゃったんだ」「!?」「前の戦争の時から薄々は気づいてたんだけど、皆お前を戦うための兵器としか思っ
てないんだと思う」「そんな・・・嘘だ・・」「俺も信じたくはないけど、それは事実なんだ、キラ。皆お前が戦うのが当然とさえ思っている。
お前が一人悩んでいても全然気にしていないようだしね。でも大丈夫、俺が付いている、俺だけはお前の味方だ、キラ!」「そんな・・」
相変わらずのGJです。
ルナにザムザザーズが憑いてるのにワロタ。
>>311 確かストフリの頭部にNJCが搭載されてたと思う
(フリーダムの設定かも)ので、破壊されてると
強奪されてきたストフリは今までのようには動けなくなると思います。
ゴウ強いなw
サイは何を企んでるんだ…
ゴウナイス!
ザフト側のスパイって誰だろう。6文字のキャラ。
保守
>>313了解。頭部のNJC損傷を考慮して今後の話作ります。
32
誰も居ないルナの部屋、そこにディスプレイを前にしてキーボードを弄る一人の人物が居た。素早い操作で何かを入力している。
その人物は作業が終わると急ぎ足で部屋から出て行き、誰にも気付かれる事なく姿を消した。「・・」
「如何いう事ですか!?このデータと通信のログ・・・一体何を考えているんですか!?」「説明して下さい!」
「・・・・気付かなければそれでいい物を」長い黒髪の女と短い金髪の男が一人の老人に詰め寄り、老人は冷たい瞳を浮かべて呟いた。
「・・・!?博士、その後ろの装置は・・・・」博士と呼ばれた老人の後ろには大きな機械の塊が有り、それに繋がれた複数のコンピュータの画面
には様々な戦闘データや映像が映し出されている。その中には、シン・アスカやキラ・ヤマトの物も。
「博士!!一体貴方はこの子に何をさせるつもりなんですか!?」「・・如何でもよかろう。君達は、今ここで死ぬのだからのお」「!!」
廊下をばたばたと走る複数の音が聞こえて、女と男は顔色を変えて急いでその場から逃げ去る。小銃を持った男達が集まり老人から
指示を受けると、逃げた二人を殺すべく廊下を散って行った。老人は誰も居なくなると後を振り向き、機械の塊へと目を遣る。
「よぉく見て置くがいい。それらが、お前の倒すべき者達だ」
ばたばたばたばた
物陰に隠れて追っ手を遣り過ごす二人。重大な事を知ってしまった以上、もう後戻りは出来ない。
「この事を早く誰か、ザフト・・・いや、オーブに伝えないと、取り返しが付かない事になるわ」「・・とにかくステーションを出るんだ、セレーネ」
「・・了解しました、基地を経由してヘブンズベースへと向かいます。はい、ファントムペインの人員と強奪機体もそのまま」
スウェンとミューディーを回収して既に帰路に付いていた連合艦。任務完了ならずもストフリ内の映像データでAAの戦闘不能は確認
され、それを確認したヘブンズベース側は了承、そのまま基地へ戻るよう命令した。ストフリは多大な損壊を受けており、NJキャンセラー
を破損した事で修理には一体どれだけ時間が掛かるか分からない。一応パワーセルを搭載して機動する事も可能だが、それ以前にまず
全身を修理しなければ使い物にならない。「随分やられた物ね、スウェン」「・・」「まあ私も後を追えなかったから作戦失敗の責任は私
にもあるけどね」「・・」「シャムスの仇は私が取ったわ。だから今度は貴方が、今度こそ大佐を撃ちなさい」
33
「そんな・・・ヒルダさ・・・・・っ」ドムトルーパーズの死を悼むラクス。AAは難とか迂回してオーブ駐留場まで行き着く事が出来た。
そこにはラクスやその協力者達が合流していて、オーブ軍と共に難民を保護していた。
「そうですか・・フリーダムとジャスティスが。あの機体はクライン派の方達がザフトから独自に入手した物を改良した機体です。
ファクトリーが襲われた際にザフトに渡ったと聞きましたが、何故地球軍に渡ってしまったのか。
・・不穏なのは宇宙だけでは無いのですね。いえ、こちらの問題とは関係は無いとは思うのですが、ディアッカさんから旧格納庫や
施設からジン等の旧世代MSが盗まれているという情報が」
「MSが盗まれてる?一体誰が・・」「分かりません。ザフトの一部の者達が機体を持ち出しているという話も耳にしますが確証は有りません。
あと他にも最新鋭機の試験機が何時の間にか行方知れずになっていたという話もあります。全てザフト内部の話です」
「ザフトの内部で一体何が・・」「艦長、ちょっと」「何、ミリアリアさん?え?ちょ、ちょっと、如何したの?引っ張らないで」
ミリに引っ張られて食料コンテナの後に来たマリュー。「如何したの?」「艦長・・・ヒルダさん達が死んだのは悲しむのに、如何して
バルトフェルドさんが死んだ時は如何でもいいみたいな態度だったんですか?あれじゃ余りにもバルトフェルドさんが」「彼生きてるらしいわよ?」
「知ってます!そういう事じゃなくて」「貴女の言いたい事は分かるわ。そうね、確かに私は彼に対してだけ冷たかったわね。でもね、
それには理由があるの」「理由?」「そう。実はね、大戦後彼とオーブで暮らしていた時、彼から酷い事をされ続けていたの。
朝起きると全裸で布団に潜り込まれていて゛おはようマリュー。今日も爽やかな朝だねぇー゛とか言われて口から泡吐いたり、
スープを飲もうとしたら゛俺が飲ませてあげよう゛とか言って無理矢理熱いスープを皿ごと突っ込まれて火傷したり、下着が全部
彼好みの物に取り替えられていたり、私の部屋に勝手に自分のポスターを張って゛何時でも君を見ているよ゛と耳元で囁かれたり
・・・・・いやだ、もう思い出したくないのに、あんな・・・゛俺の素肌を石鹸として使ってくれ゛とか言ってお風呂に入ってくるような・・ああもう!!」
「・・ごめんなさい艦長、私、誤解してました」「いいのよ・・いいのよ別に」「(でも、変になったと思ってた所はそれだけじゃないし、やっぱり
少佐が戻ってからバカになった気がする・・)」「あ、いっけなぁーい!早くムウにご飯食べさせてあげないとっ!」
「(バカップルめ・・・カップル、か。ディアッカ、如何してるかなー?べ、別にあんな奴、あんな分らず屋如何でもいいけど!)」
「ディアッカ!何時まで飯を喰っている!今度はジン八体だぞ!お前がちゃんとしないから盗まれたんだ!」「無茶苦茶言うなよーイザーク」
34
「キラ、如何したのですか?」「ちょっと、最近あまり寝ないで作業を手伝ってばかりだから疲れちゃって・・」「無理はしないで下さいね」
キラの普通じゃない様子に気付いてくれたラクスだったが、キラは決して苦悩を彼女に晒したりはしない。彼女は彼女で今オーブの
ために動いて大変だ、だから自分の個人的な分まで彼女に背負わせたくない、そう思ってキラは彼女にも何も言えなかった。
自分は如何すればいいのだろう?サイの言葉が頭に浮かんで苦悩が絶えない。キラが一人で外をふらふらと歩いているとシンが来て
「キラ!何所行ってたんだよ、探したんだぞ?」「・・・」キラは無視するようにシンの隣を通り過ぎて行った。「・・キラ?」
そのままキラは難民達の人込みの中に消えて行った。シンは必死に追ったのだが追い着けず「キラ・・」何かすごく不安になった。
「どうした?」ふと後から呼びかける声が聞こえ、振り向くとそこには一人のオーブ軍兵が立っていた。「お前、AAに乗ってる奴だろ?」
『いい気持ちー!!』『ひゃっほー!海の風が気持ちいいぜ!』「・・」艦を降りて気晴らしに海岸を歩いているルナ。しかし全然気晴らしにならない。
『おーい!どっかに仲間はいないかー?仲間募集中ですよー!』「やめんか!!これ以上増えてもうるさいだけでしょう!」『そんな事ないぽ』
「・・ったく、あんた達まさかずっと私と居るつもり?正直勘弁してほしいわ。あんた達成仏とかしないの?」『未練が消えれば』
「あんたの未練って何よ?えーと、ダルシム?」『ましまろの女の子とセッ「地獄に落ちろ!!!」ルナは地獄が存在する事を心底望んだ。
「じゃああんたがサイって人と一緒の部隊の」「ホシノだ」サイと同じ部隊のホシノと地面に座り込んでパネトーネというパンを食べるシン。
パネトーネ種のパンは日保ちが良く、ラップ包装でも一ヶ月くらい持ったりするすごいパンだ。元々は欧州のクリスマスにケーキとして食べるry
「大変だなお前、顔も名前も全世界にばら撒かれたからな」「別に。アス・・あんな糞野郎に何されても痛くも痒くも無いよ」
「元々オーブに居たんだってな。俺とは違うな」「あんたは?」「俺は元ザフトだ。前の戦争の中盤で腐れ縁のコクシと一緒に抜け出してな。
終戦後正式にオーブ軍人としてやり始めたんだが」「如何して軍を抜けたんですか?」「嫌になったからだな、戦争がじゃなくて、人が。
元々ナチュラルが憎いとかじゃなくて成り行きで軍人になったから、皆殺しだとか敵になら何やっても有りっていうのに引いてたんだよ。
軍人が気にする事じゃないんだろうけどな。俺が所属してた部隊にヤイカっていう糞野郎がいてな、そいつの糞っぷりと言ったら・・・・
あの野郎は今でも諦めて無いのかな・・生物兵器使おうとさえしてたやばい奴だから・・・あ、悪いな、一人でぐだぐだと」「いえ・・」
「しっかし中立とはいえ俺達コーディネイターには辛い国だよな。軍人か技術協力か、結局能力でやる事確定なのはザフトと変わらんな」
「そんな事・・」「まあ、俺達は普通に考えたら兵器だからな」「・・・え?」「やってる事は結局、そういう事だろ?」「・・」
35
「そういえばさっき如何したんだ?何か探してたみたいだが」「あ、えっと、キラを・・」「ん?あのやけにサイが最近会いに行きたがる?」
「・・・あいつ、何かもうぼろぼろなんだ。戦うのが嫌だってずっと思ってて」「普通はみんなそうなんじゃないか?」「・・だけど」
「まあ俺みたいに戦うのが好きって奴も居るからな」「えっ!?」「いや、戦うって言っても殺す殺されるとかじゃなくて、ほら、ちゃんばら
みたいなのな。あくまで模擬戦みたいなのだよ」「(この人何か変わってるな)でもキラは、戦ってる事が普通みたいになってたのが
すごく嫌みたいで、我慢してたのがもう抑えきれないみたいに」「なら戦わせなければいい」「そうしたいけど、キラは自分がやらなくちゃ
駄目だって思ってるみたいなんだ。俺が何とか出来ればって思ったけど・・」「お前まで自分がやらなきゃ駄目とか思ったら話にならんぞ」
「それは・・」「どうせ成り行きに任せるんだから無駄に考えないで糞して寝ろ」「・・・あんた嫌な奴だな」「わざとだよ」「(やっぱり嫌な奴だ)」
「まあ、サイがちょくちょく会いに行ってるらしいから、一人でどん詰まりになったりはしないだろ」「サイって、どんな人なんですか?」
「知らねぇ」「は?仲間なんじゃ」「途中から部隊に入ってきたからよくは知らねぇよ。宇宙帰りとは聞いてたけど、後はあいつに聞けよ」
「みなさんの力によってロゴスの影響下にあった数々の場所がみなさんの力によって解放されました。これは全て彼方方の力なのです」
世界中には定期的にミーアの放送が流されて、ロゴス打倒のために動く人々の勢いは留まる事を知らない。既に大半の点在する
地球軍基地はザフトとそれに合流した連合によって壊滅させられ、各地では民衆の暴動によってロゴス関係施設が殆ど破壊された。
「オーブでAAを討ち損じたのが後にどう影響するか・・・それにスパイによる情報の漏洩、問題は多々ある。が、何にせよ世界は確実
に私の計画通りに動いている。後は邪魔者を全て排除し、時と共にデスティニープランが水面下で実行されて行くだけ。これで世界は
確実に私が思い描いた戦争の無い世界となる」議長は世界の行く末を確信した。人は世界のために生きる、それが運命だと。その時
「ですから私達はざっざざっざーーーーーー
「何だ!?」突如ミーアの放送が乱れ映像と音が掻き消される。そして
ざーーーっびゅん「皆さん、騙されてはなりません」代わりに映し出された一人の男「ロード・・ジブリール!」まさかの展開に固まる議長。
「私はギルバート・デュランダル氏に名指しされた、現地球連合軍需産業複合団体盟主ロード・ジブリールです。今日は皆さんに大事
な話があります。どうか皆さん、偽りの正義から語られる甘い罠に惑わされないで下さい」
36
「そ、そんな・・私、如何したら」画面に映し出されるジブリールを見て青ざめて立ち尽くすミーア。
議長は大急ぎで放送を止めるために動き出しミーアには目もくれない。ミーアはどうすればいいか分からずただ辺りを見回す。
「原因は全て戦争によって利益を得るために戦争を引き起こそうとするロゴス。果たして本当にそうなのでしょうか?
確かに我々は戦争によって莫大な利益を上げました。しかし、自分達が何時死ぬかも分からない戦争を、我々が自ら起こすなどと
皆さんは本気でお思いですか?冷血なコーディネイターとは違う地球のナチュラルの人々にはお分かりでしょう。彼の言葉は偽りで
満ちているという事を。考えてもみて下さい、奴等コーディネイターが本気で我々に手を差し伸べて共存の道を歩もうなどと言うとお
思いですか?皆さんもうお忘れですか?彼らはユニウスセブンを落下させ、たくさんの我らの同胞を惨殺したのですよ?無差別に!
直後に奴等は様々な手を講じて自分達の罪悪を誤魔化そうとして来ましたが、いくら覆い隠そうとも真実は隠せはしません!」
画面に映し出される、ユニウスセブンの落下計画についてのデータ。それはかつてデュランダルが保持していた物。
「これは我々が入手したザフトの重要な機密です。このデータはユニウスセブンの事件の前から既に!デュランダルの元に有った物
です。つまり、奴等はユニウスセブンの犯人達の計画を事前に知っておきながら我々を見捨てて自作自演を講じたのです!!」
放送を見ていた地球の人々の中にざわめきが生まれる。馬鹿な。偽者に決まっている。でも。演説が人々に疑いの心を宿す。
「これだけでは皆さんもまだ信じられないでしょう。偽者という可能性もあります。ですが、我々が持つ情報はこれだけではありません。
これからじっくりと皆さんに奴等コーディネイターの悪意をお教えしましょう」
「何故止まらない!何故止められない!!止めろ!何としても止めるんだ!!」まずい。漏洩した情報がもし全て奴の手にあるのなら・・。
「このデータと画像は我々がザフトから奪取した奴等の最新鋭の機体です。ご覧下さい、奴等は核は決して戦争に使ってはならない
と言っておきながら、この機体にはNJC、核を使う事が出来る機関が組み込まれているのです!ユニウス条約、ユニウス事件後に
密かに建造が進められていたこの機体、一体奴等は何に使うつもりだったのでしょう?これを使えば都市の中心で核爆発を起こす事
も可能です。まあ、これも知識を持たない人々にはよく分からない物ですが、その道の方々にはお分かりでしょう?この機体の各機関
やシステムが決して我々の物ではなく奴等ザフトの物であるという事を。奴等はさらにこれだけでは飽き足らず、他にもこの、デスティニー
、レジェンドと名付けられた痛い名前の核MSも所有しています。この機体見覚えが御ありでしょう?そう、奴等が最初の放送の時に流した
巨大MS戦に居た機体です。そう、紛れもなくこの核MSは奴等の物なのだと奴等自身が証明しているのです。奴等は破壊行動を止める
ために戦った等と言っていましたが、あんな核を積んだ危険なMSを街の上空に飛ばして、本当は如何するつもりだったのでしょう?
何故地球にあんな物があるのでしょう?何故核を?まあ、これも皆さんがそれぞれ考える事です。本当は何があったのか、ね。
さて、そろそろ時間のようです。次は皆さんに決定的な物をお見せしましょう」画面が切り替わる「はい!こちらオーブのユウナでーす!」
> 「はい!こちらオーブのユウナでーす!」
ユウナ……お前という奴は
ちょwww
ユウナよカッコよくやってたジブリが台無しじゃねーかwww
ユウナァwwwwww
すっげえ
そこでそうやるかッッ!!
ユウナカワユス
37
「今私が居るのはスカンジナビア王国が提供してくれた土地に作られた難民キャンプです!え?なんでそんな所に居るのかって?
それがものすごく悲しい事があって国を皆追い出されたからなのです!ご覧下さい!このオーブの避難民達の惨状を!酷いでしょう?
これは全てザフト!ギルバート・デュランダル氏が指揮するザフトによって国を侵略されてしまったからなのです!酷い!」
ユウナの言葉と共に放送される数々のオーブ難民の惨状、そして、ザフト兵やザフトMSがたくさん居るオーブの姿。遠くからのズームか。
「ユウナ・ロマの言う通り、今オーブはザフトの残虐な侵略攻撃によって大変な事になっているのです。オーブはロゴスに組している?
戦争で金を儲ける悪?何を言っているのでしょうデュランダル氏は。このような酷い侵略行動をしている自分達は如何なのですか?
ロゴスに組している国だから武力を持って殺戮の限りを尽くしても、何の罪も無い非力な民間人を巻き込んでもいいと、彼の言っている
事はそういう事だったのですか?信じられません!こんな残虐卑劣極まりない事をやってのけるなんて!
オーブにはコーディネイターも少なからず居ますが、奴等に取っては少しくらい同胞を殺めても気にはしない、ナチュラルを殺すためなら
仲間すらも平気で見捨てるという鬼畜さが満ちているという事でしょう。この現実が証拠です。
皆さんはこの事実を全くご存知無かったでしょう。それもそのはずです。なんせザフトは自分達のこの残虐な行為を知られないようにと
報道制限まで布いていたのですから。各所に居る報道関係者に聞いてみてもらえればすぐ分かります、事実なのだと。
奴等の妨害のせいで我々は今までずっと皆さんに真実をお伝えする事が出来ませんでした。それを深くお詫び申し上げます。
我々が非力だったばかりに地球の同士達に何時までも真実を伝えられなかった事を、今深くお詫び申し上げます。
しかしそれも全ては奴等コーディネイターの行った悪意に満ちた非道のせいなのです!奴等に騙されてはいけません!
おや?丁度始まったようです・・・ご覧下さい皆さん」
映像が切り替わり、オーブを四方からズームして撮影しているような分割映像が人々の目に映る。一つのカメラに連合艦隊が映る。
そして、他のカメラもそれを捉え、映される連合艦隊、大部隊はザフトが占領しているオーブへと強襲して行く。
「ご覧下さい!ザフトに占領されたオーブを救うべく、今我々の特別編隊強襲部隊が奴等へと攻撃を仕掛けました!」
画面に映る、圧倒的数でザフト軍を踏み躙って行く連合の姿。駐留ザフト軍は必死に抵抗しているが、赤子の手を捻るように連合の
圧倒的数の部隊がそれを撃破して行く。
「馬鹿な?!連合艦隊がオーブに近づいているなどという情報は全く入って来ていないぞ!」声を荒げる議長。連合を甘く見過ぎていた。
今から何を講じても既に手遅れ、ザフト駐留軍は連合に薙ぎ払われて全て散って行くのだった。
38
「ご覧下さい、このオーブ国土の惨状を。これは今皆さんが見ていた通り、我々の今の攻撃による物ではありません。全て奴等の
残虐な侵攻による物なのです」ザフト軍を全滅させてオーブに降り立った連合軍。国の様子が幾つも幾つも映し出される。惨状だ。
「仮にロゴスが戦争を引き起こしているといのが正しかったとしても、何の罪も無い非力な民間人を巻き込んで、ここまでする事が
果たして本当に正しいと言えるのでしょうか?皆さんが望んでいるのはこんな事が正当化される世界では無いはずでしょう?」
人々の中には既に数多のザフトへの不信感が生まれていた。失望する者、激怒する者、信じていた物に裏切られて放心する者。
例えジブリールを信じていなくても、オーブの惨状、国民達の悲惨な難民キャンプの光景を見ればデュランダルだって信じられない。
「ご覧下さいオーブの皆さん!オーブは我々が奴等から取り返しました!我々はオーブを無償で、国を追われたオーブの方達に返還する
事をここに宣言します!この国は全て彼方達の物です。姑息な奴等の物でなど一切無いのです。彼方達に支援も送りましょう!
お分かりになりましたか皆さん?これが奴等コーディネイターの悪魔の所業なのです!奴等は彼方達の目を塞いで都合の良い情報だけ
を与えていたのです!偽り!それがデュランダルの正体です!そして偽りはこんな所にも・・ユウナ?」
「はいはーい!ご覧下さい、目の前のこの女性を!」再び映し出された難民キャンプ、そこのカメラで捉えられた一人の女性。
「この方は本物のラクス・クライン様ですよ!」世界に波紋が広がる。そこに映し出されたのは紛れも無いラクス・クラインその姿。
「あの、ユウナさん?これは・・」「はいはーい!ラクス様ご心配無用です!彼方のお身柄は我々が責任を持ってお守り致します!」
「驚きでしょう、何故ラクス・クラインが?確かに先程までザフトの放送に出ていたのに。それは、ザフトのラクス・クラインが偽者だった
という事なのです。ご覧下さい、デュランダルが隠していたラクス・クラインを利用する卑劣な計画の全貌を!」
画面に映し出されるザフトの重要機密情報、オーブの別荘でのラクス襲撃についてやその犯人の情報、ラクスの足取りを追った追跡
情報、ファクトリーでのラクス抹殺最優先命令、議長が絶対に知られたく無い情報が世界中の人々の目に晒される。
「何故ラクス・クラインがザフトから逃げていたのか。それは、ザフトが本物の彼女を殺して操り人形の偽者を本物として使おうとしていた
からなのです!ラクス・クラインの言葉は絶大、故に自由に操る事が出来れば・・・何て恐ろしい奴等でしょう。自分達の平和の象徴をよく
もまあ。これについては映像データに乏しくやはり皆様一人一人に判断して頂きたい所存です。まあ、見ての通り本物のラクス・クライン
の方がずっと清楚で美しいですが。偽者は現れた時から異様に明るくて別人のようだったそうではありませんか。別人なんですよw」
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「我々はずっとコーディネイターと敵対関係にありました。それは今でも変わりません。ですが、それでもラクス・クラインやオーブの
コーディネイター達を救おうとしたのは、奴等が同胞に対して余りにも残酷だと分かったからです。そしてその残酷さの犠牲となった
心優しい平和を望む一部のコーディネイター。我々は気付きました、真に憎むべきはコーディネイターを利用するコーディネイターなの
だと!我々は平和を望むコーディネイターまで根絶やしにしよう等と考えてはいません。故に中立国家オーブに住むコーディネイターには
迫害所か、逆に支援の手さえ差し伸べようと思っているくらいなのです。真に平和を願っているとお思いのプラントに住むコーディネイター
の皆さん、是非オーブと提携しては如何でしょうか?そして真の平和を我々と目指しましょう!地球の人々、そして宇宙の平和を望む人々
を利用しようとする矮小な、平和を願わないコーディネイターを排除しましょう!奴等こそ世界の真の敵です!!」
「議長・・」「早く何とかしろ!役立たずめ!何とかしろと言っている!」取り乱す議長の姿に取り巻き達も不信感を抱く。
「そして、世界の真の敵が目指す、世界を殺す恐ろしい計画!!!」「やっ、しまっ、やめろっ!!!」「デスティニープラン!!」
ジブリールの高らかな声と同時に、ザフトのデスティニープランを執行、管理するためのコンピュータ郡が何者かの手によって起動、
世界中にそのデータがばら撒かれて、放送の画面にもそれに関係したデータが大々的に映される。
「奴等の考える゛正しい世界゛にそぐわない者を淘汰、管理する恐ろしい計画。奴はロゴスを滅ぼした後に何をするか、彼方達にきちんと
説明していましたか?していませんよね?出来る訳が無いからです!奴は自分達に抵抗する者が居なくなった後、抗えない、抗う術の無い
人々にこのような管理社会を強制しようとしていたのです!」人々は目を見開いてデスティニープランの全貌を見ていた。
全てが決められた世界、自由も、未来も、自らの手では選べない世界。世界のために人が居る世界、人々は恐怖した。
驚きはした物のプランの作る世界を内心望んでいる人々も居たが、望まない人々の波の方が大きい。波は望む物を飲み込んで
無い物と出来る。人々はもはやデュランダルを信じる事など出来ない。データを暴かれたのはプランのコンピュータだけではなく
他のコンピュータも幾つか、それらが一緒に流れる事でプランのデータの信憑性も幾らか高まる。しかし、もはや信憑性云々など関係
無い。ユニウスセブン事件の揺さぶりに続いてオーブ映像、ラクス・クライン、そしてデスティニープラン。地球、プラント両方の
人々が議長を疑い、悪だと思う。そして止め「奴等はさらにこんな物まで!」映し出される光学映像、移動要塞メサイア、議長が隠していた
プランの城として機能するはずだった隕石の要塞、それが暴かれた。映像と詳細なデータ、ネオジェネシスまで晒されてもはや誤魔化
す事は出来ない。プラントの評議会の人々も「あんな物が有るなんて聞いていない!」「議長は騙していたのか!?」議長はもう駄目だ。
色々あって、ついにヘリオポリスに到着し、敵の新型MSを奪いにかかる。
クルーゼ隊と高町隊とその他モブ部隊の合同任務だ。
とりあえず周囲を見渡す。相手は無数のメビウス軍団だ。
性能ならこっちが上。俺でも余裕を持って戦える相手。
しかし周りを見渡せば少しばかり劣等感を感じる奴らばかり。
通信機から聞こえてくる戦いの声は激しい。ザコ敵を瞬殺してるだけだが。
『…遅い、その程度では俺は倒せんぞ?』
メビウス弾幕を軽く避けてメビウス軍団を瞬殺するユウイチ・アイザワとか。
『この程度なら楽だけど、本命が来る前に例の機体を奪わないとね』
余裕を持って無数のメビウス軍団の特攻を潰すバディム・プリスケンとか。
『がむしゃらに撃つだけじゃ駄目だよ? …こうしないと!』
連合から奪ったガンバレルを装備した専用のジンを駆る高町隊長とか。
『オラオラ! シェルブリットォォォォッ!!』
なんか巨大な右腕を具現化させたジンを駆るトリーズナーキラとか。
色々と危ない奴らだけど、正直に言えば助かってる。
強い味方はいればいるほど頼もしいから、これはいいんだ。
けど、さっきから何故か聞こえている敵の通信はなんなんだ?
『うわー、もうだめだー』
『なんだと!? 通常のジンの数倍のスピードだとぉ!?』
『ガンバレル……ザフトに降ったのか、その姿は偲びん』
『非常識だ! なんなんだこの力はぁ!?』
聞こえるハズないのになぁ。なんで聞こえるんだよ。
…と、メビウス8機目撃破。案外余裕があるな、いいことだ。
……まぁ、こいつらは前座でしかないんだろうけどな。
とんとん拍子に話は進み、Xナンバー4機を奪うことに成功したらしい。
想定通り、ストライクは奪えなかったらしいが。
それはいいんだが、急に敵の攻撃が激しくなった気がする。
具体的にはなんか特別な機体が増えているみたいだ。
7機の改造ジンを駆る傭兵集団『薔薇乙女』が出張ってきたりしてる。
その猛攻を前にモブザフト兵は瞬殺されるしかないみたいだ。
俺は逃げに徹して、なんとか生き残っている。高町教官の攻撃を5分間よりはマシ。
ユウイチは難なく『薔薇乙女』の2機を相手にしてる。バディムも同様。
カラーから考えるとユウイチの相手は翠星石と蒼星石だ。
そして、バディムの相手が雛苺と金糸雀。残りの3機はトリーズナーキラが相手をしている。
真紅と水銀燈と薔薇水晶or雪華綺晶の相手とは、随分な無茶をする『反逆者』だ。
俺はモブなメビウスと戯れつつ、全体を見て逃げに徹する。
あんな強キャラと戦うような事態は、できるだけ回避したい。
高町隊長はライバルである『皆殺しの少女』田中ぷにえとガチ対決をしている。
『逃げるなですぅ!』
『僕が逃がさないよ!』
『逃げる…? 愚かだな、これは逃げでなく反撃の布石だ!』
『ひな、頑張るのー!』
『私達の罠に嵌まるのかしらー!』
『…この二人相手なら負ける気がしないね』
『この一撃で落ちなさい!』
『ジャンクにしてあげるぅぅっ!!』
『あなたは、だぁれ?』
『ぐだぐだ言ってんじゃねぇ! 衝撃のファーストブリットォッ!!』
『砲撃系など華拳繍腿!! サブミッションこそ王者の技よ!!』
『そうでもないよ? このガンバレルの包囲網を抜けられるかな!?』
…だから、なんで相手の通信まで聞こえるんだよ。
いや、それは気にすべきじゃないよな。うん、それはもういいや。
それより、今は目の前の敵をどうするかを考えないと。
……そう、敵だ。俺にとっては相手するのは勘弁してほしいくらいの強敵。
勝てる可能性なんてほとんど皆無、ありえない、そんな相手。
黒いメビウスが、そこにいた。間違いなく、『戦場を舞う漆黒のメビウス』だ。
「…やっぱり実在したのかよ、こいつが」
【黒き光翼】とか【暗黒の救主】とか【漆黒の閃光】とか【魔殺の刃】とか。
ともかく恥ずかしい二つ名をたくさん持ってる超強敵だ。
それがなんでよりにもよって俺のところに来るんだよ!?
これはあれか? かませ犬なのか!? 俺がかませになるのか!?
…落ち着け、俺。かませがどうのより、今は生き延びることを考えろ。
こいつを相手に生き延びるにはどうする? どうすれば生き延びられる?
瞬殺されてみるか…? いや、そんな考えは逃げだ。相手が不殺キャラじゃないと意味ない。
逃げてみるか…? 無理だ、逃げる前に殺されかねない。というか多分瞬殺される。
戦う…? それも無理だ、勝てる気がしない。瞬殺されかねない。というか瞬殺される。
……耐えるしかない。高町教官相手の回避訓練の成果を出し切れば、やれる。
全体的にはこちらが押しているハズだ。時間の経過と共にこちらが有利になる。
…希望的観測かもしれないが、数で押せばなんとかなると思いたい。
まあそもそも数で言えばあちらの方が多いのだが。
『…へぇ、モブかと思えばトリッパーかぁ』
「な…!?」
この敵もトリッパーである可能性が出てきた。はいはいそうですね連合側もいるでしょうね。
というか実力的にはモブ同然の俺を何故トリッパーと見破った!?
『アハハ! うん、それじゃ相手をしてあげるよ!!』
声だけ聞けば間違いなく美少女。これは間違いなくユウイチの攻略対象。
「…ユウイチを狙えよ、二重の意味でトリップしてる奴!」
『ユウイチ…? あぁ、ユウイチ・アイザワの相手は、私じゃないし』
ユウイチと聞いてユウイチ・アイザワという名前が出る。知っている、ということだ。
どこからその情報を手に入れたのか? こいつじゃないとしたら誰が相手なのか?
色々と気になるが、それを問い詰められるような状況じゃない。
『アハハ! そんなことよりさぁ、やろうよ! バトルロファイトを!!』
「何をワケの分からないことを…! お前はアンデッドか!?」
『いいねぇ、結構いい調子で返答してくれるじゃないかぁ!!』
ぐだぐだ言い合いをする間も逃げ続ける。敵の攻撃を回避し続ける。
キツイ。ヤバイ。ギリギリ避けられてはいるが、これ以上は無理かもしれない。
…それでも死にたくないから避けるのだ。気合で、避け続ける。
『やるねぇ! 流石はトリッパー! でも、君は私のかませ犬さぁ!!』
それは、文字通りの弾幕だった。黒いメビウスから無数のミサイルが放出される。
ニュートロンジャマーの影響下、ミサイルの誘導性は低い。避ける。
第二段、突撃からの機銃による連続攻撃。避けきれない、装甲が削られる。
「チ……クショウ!」
『ん〜? どうしたのかな? かな? アハハハハハハハハ!!』
本当に嬉しそうに笑うんだな、こいつ。とことん楽しんでやがる。
『いいよねぇ、君みたいなザコを嬲ると、自分が最強だって実感できるよ!』
…歪んでいる。優越感を得る為の戦いだと、自覚している。
それは、強さだ。自分の欲望を自覚し、その為に戦うという強さだ。
一言で言えば単に自己満足のトリップをしてるだけなんだが。
『いいね、私は最強だ。だから君は勝てないんだよ! …あは、僕っ娘になってみようか?』
この電波っぷり、問答無用ぶりはムカつく。どう考えてもふざけてる。
……でも、強い。こいつは俺なんかよりよっぽど強い。
絶対に勝てない。時間稼ぎすら不可能だろう。それほどの実力差だ。
『おやぁ? …ハハ、無謀にもこの僕から逃げようってことカナ? …いいね、凄くいいよ!』
一瞬で逃げ場を潰された。性能自体はこちらが上のハズなのに、逃げられない。
牽制として重突撃機銃を連射する。無駄、楽に回避して反撃される。
ギリギリで回避、その時に違和感を感じる。この程度の攻撃しかできないハズはない。
…こいつ、手加減してやがる。俺を嬲ってやがる。圧倒的な実力差を見せ付けてやがる。
「ふざけんな! 俺みたいなザコを嬲って最強を自称するなんて間違ってるじゃないか!!」
『自分で自分をザコだと言う奴はザコじゃないって知らなかった?』
知らねぇよそんなのは! というか自称ザコで実際にザコなんて捨てるほどいるだろうに。
『アハハ! トリッパーであるというだけで、君はただのザコじゃないのさ!!』
「お前は俺の実力が分かってて嬲ってるのになんだそりゃ!?」
確かに俺はトリッパーだ。単なるモブではないけれど、実力的にはザコ同然だろうに。
「――――だっていうのになんでお前は!?」
『怯えないでよ、僕は君を殺さないからさ♪』
……こいつ、宣言通りに僕っ娘を演ってやがる!
それは余裕の表れか、それとも、最初から遊ぶ気しかないのか。
『いいじゃないか、君は生き延びてるんだよ? …誇りなよ』
「……誇れないね」
そう、生き延びられればいいが、それを誇るとなると別だ。
それは誇れない。誇れなくても生き延びたい、というのが俺の指針だ。
だから、ここで死ぬなんて認められない。なら、どうすればいい?
命乞い? 違う、こいつはそんなことをすればあっさり殺すだろう。
逃げる? それができなかったからこうして考えているんだ。
戦う? 論外だ、俺がどうにかできるような相手じゃない。
『ん、それじゃ君には一つだけ言っておくよ? いい? …答えは聞いてないけど』
「シン・アスカでもないのにその台詞はやめとけ!」
というかなんでこんなに漫才チックなやり取りをしてるんだ俺達は。
こいつ、さっきから言ってることに筋が通ってないぞ。
『あは、別にいいじゃないか、好き勝手にしたいだけなんだからさぁ!』
「……それより、さっきの言っておくことって何だ?」
早く終われ、この場でぐだぐだ話してる場合じゃないんだよ。
俺はさっさと帰還して休みたいんだよこの最強トリッパーが!
『それはさ、死なないでってことだよ。僕以外に殺されないで』
「無茶言うな! ここにどんだけ強い奴らがいると思ってるんだよ!?」
それとなんでそんな唐突にフラグ立てに走るんだお前は!?
こいつは趣味人だ、間違いなく遊び気分でこの世界を満悦してやがる。
『えへ、自分以外のトリッパーとは仲良くしたいしさ?』
「…敵だろうに」
まぁ、見逃してくれるなら受け入れよう。どんなに無様でも死ななきゃいいんだから。
「ありがとな、見逃してくれて」
とりあえず感謝の言葉を投げかける。後で恩を仇で返すつもり満々だけど。
『いいよ、困った時はお互い様だからね? …んじゃ、さよならぁ!』
なんなんだあの妙なテンションのトリッパーは。
…あ、ムウ・ラ・フラガを援護してクルーゼと戦ってる。
クルーゼ相手に互角に戦うテンプレ通りの展開ですね。
とりあえず、一度艦に戻ろう。補給と修復を頼まなきゃいけないしな。
ボロ負けしたのは事実。けれどあまり悔しくない。だって俺は生きてるんだから。
そう、失敗作の人も言っていた。『生きているうちは負けじゃない!』、と。
だから、俺はまだ負けてない。俺はまだまだ生き延びるんだから。
……俺は多分、幸運だったんだろう。相手があの黒メビウストリッパーで。
奴の性格のおかげで俺は死ななかった。遊ばれただけで終わった。
多少の悔しさはあるが、そんなのはどうにでもなる感情だ。
「とはいえ、あの妙な奴への対応をどうしよう…?」
確実に言えるのは、あいつが絡んできただけで俺は死にそうな思いをするだろうってことだ。
あんな最強キャラを相手に、まともに戦えるはずがない。手加減がなくちゃ瞬殺だった。
奴が嬲って楽しむタイプだったことを素直に喜ぼう。そうしないとやってられない。
今後も嬲るだけ嬲って止めを刺さないで帰ってくれるなら一番だが、期待はできない。
こうなれば、生き延びる為にも訓練時間を増やそうかな。実際、俺は弱いから。
ともかく、今は生き延びたことを喜ぼう。そして今後の為にどうすればいいか考えよう。
俺はまだ、この果てしないトリッパー道を登り始めたばかりなのだから…!
ご愛読、ありがとうございました。
40
「議長!如何いう事です!?奴が言っている事は本当なんですか?」議長に詰め寄るザフトの人々。「うるさい!全て奴の罠だ!お前達まで騙さ
れて如何する!!(糞!ジブリールめ!もはや奴を生かしては置けん!ヘブンズベースを一気に壊滅させて全てを終わらせる!!いや、その前に!)」
「大変な事になったなぁ」「そうだなアーサー。それよりもフェイスの権限で取り寄せた3D造型装置でオリジナルMSモデルを作ろう」「そだね」
アスランとアーサーが慌しい人々を他所に呑気な会話をしているとヨウランが来て「アスラン!俺、俺、ちょっと相談が有るんだけど・・」
「何だ?フレッツからオファーが来ないのか?」「違うよ!そうじゃなくて俺、ちょっと前にルナマリアが・・・」「・・何?」
「ユウナ!お前という奴は!」「で、でもぉ!これでオーブは安泰でしょ?もし断ってたら連合の部隊に難民キャンプを襲われるかもしれないし!」
「それは・・・そうだな」「カガリは怒るとすぐ殴ったり蹴ったりする・・・直した方が良いよ」「ああ・・(ジブリール・・しかし)」
カガリらオーブ政府は今後の対応を決めるべく招集を掛けたのだが、如何すればいいか検討も付かない。
これに対してザフトが如何動くかも分からない、今後の情勢次第という事か。
国民はというと、「ジブリール!ジブリール!」ジブリール派に傾く人々、「オーブを最初に襲ってきたのは奴等なのに何を抜け抜けと」
ジブリールを信じられない人々、その他色々でごちゃごちゃしていた。
デュランダル絶対優勢だった世界も演説によって混沌化、変わらず議長を支持する者とジブリールの演説によって反議長となった者
とで大きく分かれ、各地では小規模の抗争が幾つも勃発、ザフトに付いていた地球軍が再び対ザフトとなって戦闘となる所も。
ジブリールの計画通り世界は分かれ、混沌とした世界が再び甦ったのだ。世界が完全には自分達寄りならず、二つに分かれて争う、
それでいい、それで大成功だと彼は笑った。
そして、ザフトに潜む、コンピュータ技術に長けたコーディネイターのスパイも笑っていた。
全ては計画通り。そして、この後すぐにもう一つの計画によってスパイの存在は闇に葬られる。ごめんね、いつも艦を守ってくれたのに
酷い事をしちゃって。可哀想な人、信じていたザフトに裏切られて、信じていた人に追われる事になるんだ。でもしょうがないし、正直
消えて貰えるとこっちが助かっちゃうし、だからさ、罪を被ってザフトから消えて頂戴、可哀想な人。
>>329-334答えは聞いてないけどワラタw
41
「何かすごく大変な事になっちゃったわね」『デスティニープランとはああいう事だったのですか』『なかなか面白かったな』
「面白くないわよ、こんな事になっちゃって」『ルナさんの睨んだ通りザフトには陰謀が渦巻いていたんですね』
ぶつぶつと霊達と会話していると「そこまでだルナマリア」レイの声に振り向くと銃を構えた兵がこちらを狙っている。
「拘束させてもらう。ルナマリア、いや・・連合のスパイめ!!」「はっ!?」「よくも、よくもギルをっ!!!」「なっ何言ってんの!?私は」
「無駄な抵抗は止せ、ルナマリア!」「アスラン!」「ヨウランから話を聞いた。君が部屋を出る際にデスティニープランという一人毎を
ぶつぶつと言っていたそうだな?」「そっそれは、そうだけど」「やっぱり!!」「違っ、違うのよ!聞いてアスラン!」「動くな!」「レイ!アスラン・・」
「恐ろしい女だ。まんまと騙されて良い色のライブザクをお前に奪われる所だった」「いやそれはいらないし・・」「何!?そうか!お前の目的
は核を積んでいるデスティニーの方か!俺の代わりに自爆して目立とうとしていたんだな?なんて奴だ!俺の必殺技をぱくろうとするなんてry
「アスラン、少し黙っていて下さい・・・ルナマリア、お前は一人でザフトのコンピュータにアクセスしていたな。俺がその現場を見ている」
「そ、それは・・」「それに既にお前の部屋を調べたが、お前の使っているPCに謎のデータが有った。解析しようとしたらプログラムが発動
して調べようとしたデータが全て消去された。スパイだと分かるデータが他人に見られないように細工までしていたのだな」
「へ?何それ!知らない!私そんなの知らない!!本当よ!嘘だと思うなら嘘発見器にでも掛けてよ!」「お前の精神が普通では無い事は分かって
いる。嘘発見機等に掛けても反応は無い。既に多くのクルーから゛ルナマリアが変だった゛、゛自分にしか見えない悪と戦っている゛と
いう異常な言動の証言は取れている」「あぁ・・(馬鹿なオタク達のせいだ!!!)」『あっ今俺達のせいだと思ったな?』「そうでしょっ!!あんた達
のせいよ!このオタク幽霊!!」思わず反応してしまった。「やはりな・・」「・・(もう駄目かも〜)」『諦めないで!』「(黙れ!!)」
じりじりと兵達が近づき今まさにルナが無実の罪で拘束されそうになったその時『うおぉぉぉぉぉ!!!』「へ?」
カッ 突如眩い光が現れ、次の瞬間には部屋中の電気が切れて真っ暗に。「何だ?」「如何なっている!」何も見えない。
『逃げろ!』「え?」『逃げるんだよ!!』オタク霊達の言葉に思わず従って走り出してしまうルナ。「もしかして今の・・」『たまには役に立たないと!』
何時もうるさいだけの少尉とその連れの二人の霊、そしてダルシムがルナのためにポルターガイスト?を起こしてくれたんだ。
『こっちだ!』先導するアウルに誘導されて暗い道を走る事が出来る。「あんた達・・」『流石俺達!助かったろ?』「元々あんた達のせいなんだ
けどね・・・でも、助かったわ!」『ルナさん!とにかくこのままじゃ不味いです!』「ええ・・・(誰か私の部屋に細工を?誰が)何だかこのまま捕ま
るのは不味いわ!こうなったら」MSハンガーまで走り抜けて来たルナ、目の前にはライブザク。「まさか本当にこれに乗る事になる何て」
MSを選んでる時間は無い、とにかく今はここを脱出するしか無い。『何所に逃げる?連合とか?』「撃ち落されるのが落ちよ。そう・・・逃げる
のは、シンの所よ!」ライブザクに乗ると急発進、頭突きで天井を突き破って脱出、オーブへ向けて飛行、しようとしたが飛べないので
海岸を猛ダッシュ大ジャンプを駆使して逃げた。「MSを奪取された!レジェンドで出る!アスランはデスティニーで出ろ!」「豚マリア覚悟!!」
ユウナがかっこよすぎる件について
>海岸を猛ダッシュ大ジャンプを駆使して逃げた。
想像してワロタwww
『ユーラシア連邦内で原因不明の感染症が流行しており、既に300万人以上の人間が
罹患し、数日中に1000万人を突破するのではないかとの見解が専門家より発表され───』
昼休みの2時間前、アブリリウスの砂時計が壊れ始めた。
だけど卒業間近で、自己鍛錬に明け暮れていた俺たちには、そんなこと解る筈もなかったんだ。
「せえぃい!」
裂帛の気合と共に、ルナの持つ大振りなナイフがソイツの心臓をぶち抜いた。
未だ練習生で軍人未満とはいえ、格闘教練により身についた研ぎ澄まされた一撃は、人間ならば即死。
地球に住むという、グリズリーやライオンでもノックアウトできそうな迫力があった。
だけど、
「あ〜〜〜」
脳みそが赤ん坊以下に退化しているソイツは、別に堪えた様子もなく彼女に掴みかかった。
離れようとしたものの、足が縺れ尻餅をつくルナ。
「馬鹿、近づくなって言ったろ!」
助けようと振り向いたが、俺の目の前には先ほど横をすり抜けた緑色の服を着るソイツの
同類が残っていた。
「どけよ!」
馬鹿の一つ覚えみたいに両手を伸ばしてきたソイツを、回し受けでいなしつつ膝に蹴りをぶちこんだ。
砕けた感触が足に伝わってくる、生身の人間と比べると随分と脆い。
………材料は同じだってのに───
「ルナ!」
退路は確保した。あとは彼女がこっちに走ってくれば、また生き延びられる。
「やだ、やだよう、もうやだ、嫌あ!」
ルナはスライディングしつつ脱兎の如くこっちに逃げ込むと、そう思い込んでいた。
でも実際は子供に戻ったように泣きながら、背後の壁に向かってあとずさるだけだった。
本気で逃げようとするそぶりを見せなかった。
気丈な彼女ですら、この現実からの逃避を決めたらしい。
うめき声をあげながら近づくソイツ。俺はとび蹴りをするべく全力で走るが一呼吸遅い。
無防備になったルナに噛みつこうとして───発砲音。
文字通り糸の切れた人形よろしく、ズルズルとソイツは崩れ落ちた。
「見たなシン。コイツらを倒すには頭だ。頭を潰すしかない」
「レイ!」
そこには軍人候補の癖に長髪、いくら金かけたんだっていうくらいの完璧超人、親友レイ・ザ・
バレルが拳銃を構え、立っていた。
「二人とも無事だな、とりあえず状況を把握したい。
それとシン、そこで倒れている奴に止めを刺せ、話ができん」
「あ、ああ」
銃でさっさと撃ち殺してくれればいいのにと思いつつも、うつ伏せでこちらに這ってくる奴に対し、
慎重に背中の上に立つと後頭部にナイフを突き立てた。
ソレはピクピクとしばらく痙攣して、ようやく本当の死を迎えた───筈だ。
顔は見ないことにする。知り合いだったら、落ち込むから。
回廊に動く影は俺たち三人だけになり、改めてレイを見る。
銃を持っているということは、射撃訓練かサバイバル演習だったのだろう。
アカデミー内においては練習生の銃保持は認められていない。レイは僥倖だった。
「レイ、残弾は幾つだ?」
「拳銃内に残り4発、予備のマガジンが3つだ。本当は捨てるほど持ってきたかったのだが、
占有は許されなかった。銃や弾は射撃場にいた者たちで等分した」
「他の銃持ちはどうしたんだ?」
「教官と共に行動するそうだ。俺はお前たちが心配で探していたんだ」
「そっか、悪い、迷惑掛けた」
「礼などいらんさ。逆の立場ならお前だってそうした」
ちょっと照れた。こいつにこんなに評価してもらえると、ちょっと恥ずかしい。
俺たちが話している間もルナはぐすぐすと泣きながら、座り込んでいた。
レイの登場にも気づいていないかもしれない。
「ルナマリア、どうした、怪我をしたのか?」
レイの問いにルナは反応しない。ただ泣きじゃくるだけだ。どうやって動かそうかな。
思案に没入した俺だったが、直後にパァンと頬を張り飛ばしたレイに驚き、顔を上げた。
レイはルナの胸倉を掴み上げると、壁に叩きつけると表現するぐらい勢い良く押し付け、
もう一度頬を張り飛ばした。すごい痛そう。
「ルナマリア! 生きる気力がないのなら、俺が今すぐ頭を撃ち抜いてやる!
俺は許さんぞ、死ぬ気力も無いくせに生きる気力も無いなど、俺は絶対に許さん。
見ろ、奴らを見ろ、奴らだってついさっきまで俺たちの仲間だった。生きていた。
それがこんな化け物に変えられた挙句、仲間だった者に止めを刺されている。
好き好んでこうなった者など誰もいない。君はまだ恵まれている。生きているのだからな。
生きている者は須らく、生きて生きて生き足掻いてから死ぬべきだ。
もう一度言う、生きたくないのならばメイリン共々頭を撃ち抜くぞ!」
メイリンの名がでた瞬間、ルナは身体を震わせ、ぼんやりとレイを見返した。
「あ、…………メイリン、そうだ、メイリンがないてる、おねえちゃんがたすけてあげないと」
目の焦点が合わないままだったが、ルナは生きる意欲を再び取り戻したようだ。
レイが手を離すとルナマリアは地面に蹲った。多分大丈夫、すぐに立ち上がるだろう。
「ふう………シン、なにかこの異常事態で気づいたことはあるか」
「気づいたことって言われてもな、混乱の中走り回っただけだし」
「ではお前が何を見てどんな行動をしたか教えてくれ」
「……あれは昼休み前の時限で、教室移動の最中だったな───」
俺は、俺たちパイロット志望の生徒たちは、講師として招かれた、先輩で戦闘経験も豊富な
コートニー氏に従い教室移動をしていた。
ルナは隣のクラス、レイはもう一つ隣のクラスなので同じ行動はしない。
俺は移動するクラスメイトの内、たまたま一番後ろを歩いていて、何気なく外を眺めた。
眺めてしまったんだ。そして、窓から外を見ているととてもすごいモノをみたんだ。
遠目にみるかぎり、校門に不審者がしがみついてガシガシと暴れている風体だった。そこに教官の
中でもトップクラスの格闘技術保持者、フレッド教官と他2名の教官が事態を収めるべく校門に
近づき、なにやら話しかけているようだった。
結局、話し合いは聞く耳もってもらえなかったようで、フレッド教官が軍人らしく、秩序ある
暴力行為で退散願おうとしたのだが、もみ合いになっているうちにフレッド教官は何かされ、
今思えば噛みつかれたのだろう、後ろに倒れこみ、もがき苦しんで、そして死んだ。
そこで終わっていれば、まだマシだった。
絶命したはずのフレッド教官が、跳び上がり、手当てしていた随伴の教官に噛み付いたのだ。
それを止めようとした教官にも噛み付いて───
「シン君、シン君! 聞こえていないのかな?
他の生徒はもう行ってしまったよ。何があったんだい」
呆然と窓を見ながら固まったシン・アスカを叱るべく、引き返してきたコートニーに俺は訴えた。
「コ、コートニー臨時教官殿、窓を、窓を」
俺は口をパクパクさせながら、訴えた。
「フ、フレッド教官がやられて、死んで、生き返って、襲って、ああ」
コートニーは窓からその光景を一目見て、凍りついた。
何が起こったかは判らずとも、教官たちが夢遊病者のようにアカデミーに歩み寄ってくるのは
見えたはずだ。
「シン君、いいかい、教室移動を続けるんだ、僕は何が起こっているのか確かめる。
くれぐれも軽率な行動は慎むように。ZAFT候補生として恥ずかしくない行動を執るんだ」
「しかし」
「命令だ。いいね、指示あるまで、今までどおりの行動を続けるんだ」
「……了解……しました」
俺は駆け出した、コートニー氏は逆方向へ去っていった。
俺は走った。窓を見ないように、必死で他の生徒に追いつこうと走った。
ああ、さっき見たものが全部夢なら良かったのに───
いろんなものが行き詰って、ちょっと困っています。
気晴らしにこんなしょうもないネタを考えてしまいました。
元ネタは学園黙示録ハイスクールオブザデッドです。
新人スレと迷いましたが、こちらに投下させてもらいました。
嫌な時代だ。本当の元ネタ知らんとは……
保守と支援
ハ○スオブザ○ッド4はなんか好かん
マシンガンよりハンドガンやショットガンのが好き
そういや、1と2は意地でラストまで行ったけど3と4は先進まなかったな・・・
>>341 他のゾンビ物ならともかくハイスクールオブザデッドとは…
あれは乳と尻と太腿を除いたらおよそ価値のない作品だぞ
42
゛お母さん!あれ!あれ見てみてよ!゛声が聞こえる。誰か、小さな子供の声だ。゛ベテルギウスでしょう?もう、分かってるわよw゛
女の声も聞こえる。゛あっちの星知ってるか?゛今度は男の声?誰だ、誰なんだお前達は。゛何時か一緒に行きましょう、間近で見に゛
分からない、分からないが、とても懐かしくて温かい、とてもやさしい・・。゛貴方に星を見せてあげる゛
「起きなさい!」「っ!!・・・ミューディー、か」「何?変な夢でも見てた?」「いや・・」「珍しいわね、スウェンがそんな狐に抓まれたような顔するなんて」
スウェンは仮眠用の狭いスペースから滑り出ると、近くに有ったドリンクを取って啜りながら細目でさっきまで見ていた光景を思い出す。
「・・・星、か」何故あんな夢を見たのだろう。あれは何だったのだろう。知っている気がするけど思い出せない。
『ふと思ったわけだが、飛べないんじゃ逃げ切れないだろ。海渡れないし』『そうだよ!カブトガニなアビスでもないんだしさ!』
「分かってるわ。だから・・・」ザクが猛進する先に倉庫が見えて来た。そこの人々は突っ込んでくるザクを見ると慌てて逃げて行く。
ザクスライディング、倉庫に爪先から突っ込んで倉庫大破、激しい破壊音が響いて破片が飛び散る。そして壊れた倉庫の中から姿を表した
のは、リフター。リフターが収納された倉庫だ。ザクはリフターに乗ると飛行、大破した倉庫を後に海原へと飛んで行く。
『何て酷い!これで姉ちゃんは完全に犯罪者だな!』『何て極悪なスパイなんでしょう!』『人の迷惑を考えない奴ですね』
「うっさいわね!」『ルナさん、顔赤いですよ?少し深呼吸を・・』「うるさい陰毛!」『ふあっ!・・うう』「あ、ごめん・・・・・私ちょっと取り乱してたみたい
だわ。ごめんね」『ルナさん・・』「あんた達も、さっきは一杯一杯だったから・・・・ごめんね。逃がしてくれたのにあんた達のせいだとか思っ
ちゃって・・・。別に追われてるのはあんた達のせいじゃないのにね。ごめんなさい」『気にするな。確かに俺達のせいではないし、姉ちゃん
の不注意が招いた事態だが』『自分らは寛大なのでお咎め無しとしてあげましょう』『あやまるより玩具買ってよ!』「殴りたい・・・」
ザクは海の上を飛んで陸地から大分離れた場所までやって来た。イルカが見える。『イルカだ!美味しそう!』『アウルさん・・』
「縮れ毛さん・・さっきは陰毛とか、その、ごめんね」『はぁ・・・まあ僕もずっと自己紹介がまだでしたし、よくそんなあだ名付けられてたし・・。
僕の名前はニコルです。生前はアスランと同じ部隊で地球軍の新型艦を追ってました。アスランを庇って死んだと思うんですが、はっきり
幽霊として意識が持てたのはつい最近の事で』「最近?」『はい。何か゛陰毛みたいな髪の人の写真゛という言葉が行き成り聞こえて来て、
それで気付いた時にはルナさんの後ろに』「あっ!思い出した!あんたアスランが持ってた写真の陰毛の髪の毛の人!」『ニコルです・・』
「そっか、あんたが・・、もしかして私が切っ掛けで幽霊に?私の、その、陰毛って言ったのが恨めしくて?」『いえ、そういうのは別に・・
僕が未練があるとすれば、アスランと・・・』「アスランと?」『いえ、何でも。それより追っ手が心配ですね』
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『ん?ありゃ!何か入った!何か入った!』「はっ?」アウルが何か入ったとうるさい、一体何なの?ルナが首を傾げて居ると
『よっ!久しぶりだなルナマリア』コックピットの下から聞き覚えがある声が。「何?!」『何奴!』下を見ると機器を通り抜けて黒い影のような物が
すーっと上がって来た。『俺だよ俺!』「あ、あなた・・・ハイネ!?」『お知り合いですかルナさん?』『おう!俺はルナマリアと同じ隊だった、ハイネ
・ヴェステンフルスだ!よろしくぅっ!!』『はぁ、これはどうも、僕はニコルです』「・・・」『仲間が増えたぜ!』『増えましたね少尉』『増えましたとも』
『僕達の仲間って奴?んじゃよろしく』『おうおう!お前ら賑やかだなっ!ん?どうしたルナマリア?顔に手ぇ当てて俯いたりして』
「また増えた・・また増えた・・・」『ルナマリア?』「冗談じゃないわよ!!アホか!いい加減にしなさいよ!この、馬鹿!馬鹿!馬鹿野郎!!!」
『え?何で怒ってんの!?』「うるさいばかー!!」『ルナさん!』「何よ!?」『追撃のMSらしき物が!!』
リフターに棒立ちしていたザクの右腕がビームで撃ち抜かれる。肩から下が爆発してコックピットの内部もシェイクされる。「きゃぁー!!」
「逃がさないぞ豚マリア!やはりライブザクが目当てだったんだな?まんまと君の話術に騙されたぞ!」「アスラン!!」
『おいおい!何でアスランがお前を攻撃してるんだよ?』「うるさい!後でちゃんと教えるから黙ってて!」ザクの反撃、手榴弾だ。
ぴゅー 海に落ちた。「舐めるな豚マリア!そんな攻撃が俺に通じるとでも思ったのか!?」「ちょっ!あんたそれ使えるとか言ってなかった?」
「何を遊んでいるアスラン!」「レイ!」「議長から通信が入った、回線を開け」「分かった。議長?もしもし?聞こえてますか議長?」
「聞こえているよアスラン。事情は聞いている、ルナマリアがMSを奪って逃走したようだな」「はい!」「なら、機密保持のためスパイの、
ルナマリアの撃墜を許可する!!」「議長!?聞いて下さい議長!違うんです!私はスパイなんかじゃ!」「ルナマリア、君にはがっかりしたよ。
ザフトを混乱に陥れた罪の代償、今そこで払ってもらう」「そんな!議長!議長!!」「諦めろ豚マリア!お前はもう完全に敵だ!俺が撃つ!」
「アスラン!聞いて!お願いアスラン!私はスパイなんかじゃないの!信じて!」「豚の言葉など聞かない」「アスランだって聞いたでしょう?
放送で分かったでしょう?議長はデスティニープランで世界を支配しようとしているのよ?それを「そんな事言うとは!やっぱり君は連合側
の人間だったんだな!あれはロゴスの巧妙な嘘だというのに」「アスラン!」『駄目ですルナさん!落ち着いて話さないと誤解が誤解で誤解を!』
「無駄な会話は必要無い。撃つんだアスラン!奴を殺せ!」「分かっている!」「レイ!私を信じて!私は「お前は敵だ、ルナマリア・ホーク!!」
デスティニーとレジェンドはビームを撃ちながらどんどん距離を詰め、ザクはそれを避けながら必死に逃げ惑う。
「アスラン!貴方は騙されているのよ!議長にも!お父さんにも!あなたはお父さんの霊に操られて無茶してるだけなのよ!本当の貴方はもっと
強くて優しい人間だわ!お願い!元の格好良いアスランに戻って!!」『ルナさん・・そんな風に言うとまた』
「駄目だレイ!ルナマリアは既に少し錯乱している!」「ふざけないで!私は錯乱なんてしてない!」『いや、ちょっとしてます・・』『そうだな・・』
「シンだけでなくお前まで裏切るというなら俺はお前を絶対に許しはしない!ギルを裏切る奴は、許さない!」「レイー!」
44
『よし、こうなったら・・』『何か作戦がおありなんですか!?』「えっ?ハイネ?」『歌を歌ってやる。頑張るんだルナマリア!それじゃ行くぜ!イグry」
「もう知らない・・・」襲い掛かるアスランとレイ、逃げるルナ、全く役に立ちようが無い霊達、空は曇り雷が鳴り始めハイネの歌が響く。
「アスラン!霊が!」「俺は負けないぞ!」「お前は敵だ!」『壊れ合うから動けない〜♪虚しい声重ねて〜♪』もう駄目だ、ぐだぐだの嵐だ。
ザクの手榴弾が連続放出、激しい風に流されて明後日の方向へ飛翔だ。投げすぎてもう無い、残りの武器は自爆くらいだ。
デスティニーが追撃するけどジグザグに動いてたら海面に近づき過ぎちゃって波を被って失速だ。ライフルも落しちゃったぞ。
レジェンドだけが地道にライフルを撃ってザクを追い詰める。「何をやっている!遊ぶな!」「遊んでなどいない!奴の操縦が巧妙なんだ!」
「アスラン!」「うるさいぞ豚!何度言われてもお前の妄言になど付き合う積りは無い!」「違うの・・アスラン。私、本当は貴方の事ずっと好き
だったの!貴方を一目見た時からずっと・・・。だから心配なの!貴方が!このままじゃ貴方は絶対に駄目になってしまうわ!というかもう駄目
だわ!だから私と一緒に来て!私が貴方を救って見せる!私が貴方を守ってみせる!」『だからルナさん・・』『一杯一杯なんだよ。無理もない』
「アスラン!私と一緒に逃げて!!」「・・・君は相当精神が蝕まれているようだな」「アス・・」「戦争の悲しい後遺症だな。君の精神は崩壊し掛け
ている。今からでも遅くは無い、基地へ戻るんだ」「アスラン!」「余計な真似は止して下さいアスラン。彼女は今、ここで撃ちます」
「レイ!止めて!止めてよぉー!私達アカデミーの頃からずっと・・」「お前には正直、早く死んで欲しい」「・・・そんな」「アスラン、撃って下さい」
「くっ!アスラン!私を信じて!」「アスラン!敵を撃つんです!」「豚・・レイ・・・・俺の気持ちは最初から決まっている。ルナマリア、死ね!!」「嫌ぁ!!」
デスティニーは光の翼を展開して猛進、凄まじい早さでザクへと接近しながらアロンダイトを抜き「裏切り者めぇ!!!」「アスラン嫌ぁ!!」
「お前が悪いんだ!お前が、裏切るからぁー!!!」「や゛ーーーーー!!!」『運命に届けー♪』ザクの腹へ剣を深々と突き刺した。
ハイネの歌が終わると同時にザクは剣に串刺しにされたまま海へ落ち、海面で爆発を起こして散った。「焼き豚、轟、沈!」
アスラン・・駄目、貴方はそんな風に無茶苦茶に生きちゃ・・。死ぬもんか、死んでたまるもんですか。でも、何だか体が痛くて苦しい・・・
゛助け・・・シン・・・・・!゛ 「っ!?」小部屋で寝転がっていたシンは起き上がって辺りを見回す。「ルナ・・・?」
「情報は何とかこれだけ・・・、後は何とかして地球へ降りなければ」「逃げ切って見せるわ、必ず!行くわよ、ソル!」星はもうすぐ舞い降りる。
『種運命 選ばれなかった未来 連合VSザフト(アスランVSルナマリア&ちぢれ毛と仲間達)編』終わり
レイがアスランにタメ口きいてる……
てかハイネwwwwwwwwwww
選ばれなかった未来番外編『選べなかった過去』
「父上・・父上!・・・ねぇ母上、父上はまたお仕事なの?」「ええ、でも言ったでしょう?父上は世界のために頑張っているって」「うん・・でも」
「そうね、やっぱり寂しいわよね。でもね、寂しいのはきっと貴方だけじゃないはずよ。きっと父上も寂しいはず。
寂しいけど、貴方達が幸せに暮らして行けるようにこことは違う場所で一生懸命頑張っていてくれてるのよ。貴方の事が好きだから。
分かってあげてね・・・」「・・はい」
知っている、分かっていた、あいつが何時も一人で寂しがっていた事なんて、知っているに決まっている。あいつは他人と馴染めない
優しい性格で、遠慮がちな子だ。だから苛められていた事も、一人ぼっちだったという事も、知っている。
私の立場のせいであいつが苛められる事だって。でも、私はあいつに何もしてやれなかった。悩みを聞いてやる所か会ってやる事さえ
も出来なかった。会ってやれたとしても、如何してやればいいか私には分からなかった。権力も威厳も他者に誇示し保障されていなが
ら、私はたった一人の小さなあいつを救ってやる事さえ出来なかった。
それでも、あいつは一人で強くなった。あんなに苦しんで悲しんで頼る物も無かったあいつが、自分の力で私の居る所まで這い上がっ
て来たんだ。こんなに嬉しい事は無い。両腕で抱きしめて褒めてやりたかった、よくやったと言ってやりたかった。でも出来なかった。
今まで何一つしてやれなかったのに、今さら都合よく父親面なんて出来なかった。だから、私はあいつを冷たく突き放す事しか出来な
かったんだ。そしてあいつは私が知らない内に敵となり、私はあいつの敵となった。
私は後悔している。でも、ああするしか、あの時はもう後戻りは出来なかったのだ。私は、あいつと妻を愛していた。だから私は戦った
のだ。だが、それは結局私の独り善がり、他人に、世論に保証される事で都合よく作り上げた、ただの逃げ道だったのか。私は大切
な妻を失って、あいつにも離れられた。私は一体何のために戦っていたのだろう。私は、あいつに元気に生きて欲しいだけだ。
だから私は決めた、あいつは私が最後まで守る。選べなかった過去を、得られなかったあいつの過去を、私が取り戻して見せる。
だからおまえは思うがままに楽しんで生きろ。苦しみも悲しみも、全部忘れるくらいにお前を幸せにしてやる。
だから、お前は楽しんで生きろ。
「ふにゃ・・あれ?今の夢、何だろう?・・・あれ!?」馬鹿な、自分は確かにあの時やられたはず。「生きて、る?」辺りを見回すと見覚えがある
影達が。『ふがーぐがー』『クルックー』「寝てる?幽霊が寝るな・・・w・・・・・あれ?何か増えてない?」『ふもー、ラクス様ー』三人増えてる。
ドム三人組も憑いたのか?
w
幽霊ホイホイルナマリア…か
そのうち、某ちゃんとか某くんとか某お嬢も憑くに違いない
早く進めなきゃと焦り過ぎて、レイとかミーアに至っては心情全く描けて無くて申し訳有りません。レイの気持ちは重要なのに・・
「ちょっと、あんた達誰よ?」『ジェットストリームアタック!!!』「・・・はっ?」謎の三人は息ぴったりに謎の掛け声を発してみせる。
誰だろう。「ちょっと、起きて、起きてよ!」「ん?何だい?寝てるんだから邪魔すんじゃないよ!」「何だ?もう朝か?」「ふぁー、よく寝たぜぇ」
影、じゃなくてよく見ると生きた人間そのままの三人が目を覚ました。黒いウェットスーツのような物を御揃いで着ている。
「ふう、お前ら、朝起きたらまずは?」「ラクス様について」「熱く議論!」「その通り!行くよ!せーの」『ラクス様のためにー!!』
「・・・は?」「ん?あんたもラクス様のファンかい?ほら、混ぜてやるから一緒に言いな」「いやいやいやいや・・・私は別に」
死んだと思ったら生きていたルナ、死にはぐって結構怪我してるけど元気にラクス様と叫ぶラクス様親衛隊の三人。
追われた果てで、疲れるだけで如何でもいい出会いがルナを待っていた。
種運命 選ばれなかった未来「裏切りの鎮魂歌(夢を覚まされたアスラン、SEEDを持つ者VS最果てを目指す者編)」
1
「ご苦労だったね・・ありがとう」それだけを言って足早に去る議長。何時ものようにレイと特に言葉を交わす事もなく、何所か余裕の
無い顔だった。レイはそんな議長の様子に内心居ても立ってもいられなかったが、ただ無表情で後姿を見詰める事しか出来なかった。
「どうだレイ、俺の最高の力を持ってすれば赤くないデスティニーでも圧倒的な力でスパイを倒す事が出来るんだ」「・・」無視するレイ。
「ん?如何したんだ?そうか、俺に嫉妬しているのか。君も活躍して議長に目を掛けられたかったんだな・・・すまない、機が利かなくて」
「・・無駄話は必要ありません。貴方は早く機体の整備にでも戻って下さい」「何だ、その態度は?八つ当たりは見っとも無いぞ?」
「・・・黙れ」「何?」「黙れ!何の役にも立たない無能な操り人形がっ!!下らない事を言っている暇があったら少しでも議長のためになれ
るよう何かしろ!!」 びくっ「な・・何をそんな、急に。如何したんだレイ?」「何かしろと言っている!!分からないのか!?今の議長の状況を!
このままでは議長の目指す世界は絶対に完成しない!それどころか議長自身すら危ないんだ!そうだ・・・お前だ!お前のせいだ!!
お前がオーブを侵攻する等と馬鹿な計画を安易に立てたせいで、それを奴等に利用されてギルは!ギルは・・・。とにかく何とかしろ!
お前には議長と、彼が作る世界を守る使命が有るんだ。そのためにお前はここに居るという事を忘れるな!」「な、何を言っている?」
「・・・何でもない」レイは猛烈な勢いでしゃべった後すっと大人しくなり、アスランを横目で睨みながら去って行った。「俺が、そのために?」
2
「そう・・貴方達は捕虜に。って事は私も!?」霊達が総出で寝てる中、ルナは親衛隊からこれまでの簡単な経緯を聞いた。
母艦のために戦ってたら一際強いのが出て来て全滅し、ラクス様が「これを使えば大抵死なないようですわ」と言って付けて
くれたセーフティーシャッターのお陰で何とか生き延びる事は出来た。しかし強いのが去って残骸から引き摺り出た所を、量産機の
生き延びた連合兵に見つかって拘束されてしまった。恐らくはAAに対する何らかのカードとして使うために殺されずには済ん
だのだろう。今頃オーブではラクス様が泣いているに違いない。ごめんなさいラクス様、でも泣いてる姿綺麗で魅せますラクス様。
「はぁ・・ラクス様ねぇ」「ラクス様のために!」「ラクス様のために!」ヒルダとマーズは顔をぱんぱん叩くと向き合い、ラクスについて
熱い語り合いを始めた。「〜だから、神聖さでラクス様の髪の毛は洗わなくても綺麗なんだよ!」「いいや!違う違う!きっと毎日ry」
「・・・何こいつら?」「すまんな。悪い奴等では無いんだが」「貴方、さっき一緒に゛ラクス様ー!゛とか言ってたけどあっちの二人とは
雰囲気が違うわね」「まあな・・」「でも寝言で一緒に゛ふもー、ラクス様ー゛とか息ぴったりにぼやいてたけど」「・・あれ?まじか?」
「うん・・」「(何かショックだ)・・・まああれだ、俺は確かにラクス様の大ファンだが、あくまで個人で楽しみたいただのアイドルファン
だった訳で、訳だけど、あいつら巻き込まれてから、な・・・」「そ、そう・・(何か私とオタク達の関係にちょっと似てるわね)何だか
貴方とは気が合いそう気がして来たわ」「そうか、ありがとう・・」「で、どっちのラクス様?偽者?本物?」「何だ、あんた色々知ってるのか?」
「ていうか貴方はあの放送見た?」「放送?何の事だ?」「えっとねry」
如何しよう、私もう゛ラクス゛で居られない?゛ラクス゛じゃない?そんな、だって、私はみんなを癒したくて、それでやって来たのに。
「ここに居たのか」「議長!」「何をやっている、早く来い、しっかり゛ラクス゛で居ろ、原稿はこれだ、もう一度放送だ、゛ラクス゛だと
世界に認めさせるんだ、分かったな」「あ、え?議長、その、私」「ぐずぐずするな!私の計画が、計画が・・・とにかくちゃんとやれ!!」
議長の乱暴な腕と声に竦み上がるミーア。如何しよう、議長何だかすごく追い詰められてる?やっぱりジブリールが言ってた事は
本当だった?だから焦ってる?如何しよう、もし、私がちゃんとやれなかったら・・・ううん、そうじゃない、これはチャンスよ。私が
゛ラクス゛で居られるかの賭けよ。だってもし、゛ラクス゛で無くなったら私は「・・何も無くなっちゃう・・・それだけは嫌」
ミーアは震える体を必死に堪え自分自身の全てのために、議長の後を無言で付いて行くしか無いのだった。
3
「・・そんなはずありません。お姉ちゃんがそんな・・・スパイだなんて!そんな事絶対ありません!」取調べを受けるメイリン。
姉の死に涙を流している暇も与えられず連行され、姉の行動に思い当たる節はないか、何か知っているのではないか、
ザフトコンピュータを高等技術で操作された形跡があるが君がやったのではないか、激しく詰問される。
「君はかなり優秀なコンピュータ技術を持っているようだが、君が情報の漏洩を手伝っていたのではないのかね?姉妹で
連合に取り入って報酬を受け取っていたのでは?」「そんな事・・」「やったんだろ!!君がやったんだろ!!正直に言え!!」
「知りません・・分かりません」姉を失った悲しみと激しい問い詰めの恐怖でメイリンは如何にかなってしまいそうだった。
「そんな事になってたのか」「スパイだとか勘違いされるし、議長は睨んだ通りだったし、もう最悪」「大変だったんだな」
「本当よ・・あれ?みんな起きたの?」『ルナさん?あ・・・無事だったんですね僕達!』「そうみたい」「如何したんだ?」「あ・・・えっと」
『姉ちゃん、ここは勇気を出して本当の事を言ってみるんだ。もしかしたら分かってもらえるかもしれないぞ?』「んな訳ないでしょ!」
「??」『このおじさんの言うとおり本当の事言っちゃえば?どうせこのままじゃ変な人と思われるだけだし』「アウル・・・そうね」
「大丈夫か?」「あのね、今から言う事をよーく聞いて頂戴!実は私ry」
十分後「そうか、死んだ仲間まで憑いて。しかしそんなに憑いたらうるさくないかね?」「そうなのよ〜うるさいのよ〜」あっさり受け入れ
られていた。本当に信じてもらえたのか、単におかしい人である事を前提にやさしくしてくれてるだけなのか、この際どっちでもいい。
ドンドン 扉が叩かれ、続いて鍵が開く音がした。そして連合兵が銃を構えながら入って来て「来い」「え?」ルナ一人連行された。
「あの〜何で私連合の、そのここに居るんですか〜?私海でやられちゃったはずなんですけど〜」「・・」ギロリ 「あ、いえ・・」
とりあえず怖いので大人しく連行されて行くと一際大きな扉が見え、その中へと入るよう言われたので入った。すると「え?」
「如何したメイリン?」「アスランさん・・」涙で濡れた顔で展望ブリッジに居たメイリンを見つけたアスラン。気になって声を掛けてみると、
姉が死んだ事、姉が疑われている事、自分も共犯だろうと決め付けられて何度も怖い言葉を浴びさせられた事、もう耐えられないと
彼に打ち明けた。「・・済まないな、ルナマリアの事は俺が・・」「アスランさんは悪くありません、命令に従っただけ・・ですし」内心アス
ランに今すぐ゛何で殺したの!?゛と詰め寄りたかったが、アスランの顔を見るととてもそんな事・・・・あれ?なんだか平然としてる?というか
ちょっと自慢げな顔?う、ううん、そんな事無い。たぶん「でも!お姉ちゃんがスパイとか絶対誤解なんです!絶対!絶対です!!!」
「メイリン・・」「絶対、なんです」「・・・我慢するな、泣きたい時は泣いていいんだ」「・・・はい」アスランはそっと彼女を抱き寄せた。
「よしよし(姉が馬鹿だと苦労するな)」「ひっく、ぐす(きっとこの人だって泣きながらお姉ちゃんを・・だからこの人を憎んじゃ駄目!)」
4
「ギル・・」今のギルには余裕が無い、あんな彼を見るのは初めてだ。レイの心は大きく揺れていた。今まで自分は議長を
信じる事、絶対であると思う事で、消えていく自分の運命を受け入れる事が出来た。彼が、自分が死んだ後に絶対に二度と
自分のような子供が生まれない世界を作ってくれると信じて来たから、苦しくて苦しくて堪らない思いを封じて来る事が出来た
のだ。それなのに、デスティニープランはもうおしまい?ギルはもう後が無い?ギルの作った世界を守るのはアスラン?ふざけるな!!
それでは一体自分は何のために今まで・・。世界は今のまま続いて行くのか?そんなの、耐えられない耐えられない耐えられない!!
何でこんな事に・・・俺はただ、本当にやさしい世界を望んでいただけなのに。なのに何故邪魔をする?「・・あいつか?」
あいつのせいか?そうだ、全てはあいつが裏切った時からおかしくなっていったんだ。あいつがギルを、俺を裏切ったから。
あいつならやさしい世界を守ってくれる、心からその世界を望んでくれると信じていたのに!何故選ばなかった!やさしい未来を!
そうだな・・、きっと全部あいつのせいだ、漏洩した情報の一部もきっとあいつが噛んでるに違いない。あいつだ、あいつの、あいつが
悪いんだ!許せない!シン・アスカ・・お前の裏切りだけは「許さない!!」
そう、あなたがスパイだったのね。全く気付かなかったわ。でも、何だか妙に納得な気もするわね。
そう、あなたの手回しのお陰で・・・一応お礼は言って置くべきかしら。でも、あなたのせいで私はこんな事になったのよ?
え?うん、確かにそうね。議長は・・・・でも!それとこれとは話が別よ!あなた自分が何やってるか分かってるの?
え?だったらどうしたって?あなたって人は・・・。
何?脅しのつもり?え?黙って自分と居るだけでいい?そうすれば重要人物として最高の待遇を約束する?本気で言ってるの?そう・・。
え?逆らったら・・・いや!嫌よ!絶対にそんなの嫌!・・・・分かったわよ、大人しくしてる、だから。うん、うん、約束する。
でも・・・あなたは何でこんな事してるの?だってあなたはザフトでも結構上の・・え?そんな事のために!?信じられない。
『あれがあそこにあったのはこういう事だったのか』(え、何が?)
うん、うん、そうね、そうかもしれないわね。処で同じ部屋に居たあの三人はどうなるの?え?うん、ちょっと気になって。
え?あの人達も特別待遇されるよう掛け合ってあげてもいい?その代わり・・・・・へ、そんな事させるの?私そういうのやった事・・
うん、(しょうがないか)分かったわ、私があなたの代わりにやるわ。でもああいうのって普通男が・・・そうなの?知らないわよ
私は違うもの!(近くに適してそうなのは居るけど)
ルナは話が終わると元の部屋へとりあえず戻らされた。部屋へ入ろうとした時「何で早く教えなかったのよ!!ぶっ殺してやる!!!」
メイクが異常に濃い女が近くでこっちに向かってすごい罵声を吐いていた。「彼らには使い道が「シャムスの!シャムスのぉ!!」
5
「大丈夫だ、キラ」「・・」「ちょっと食事貰いに行って来るね。大丈夫、俺はお前の傍にずっと居るよ」部屋に閉じこもっていたキラに
何度も何度もやさしい言葉を掛けるサイ。やさしい言葉を掛けると同時に「やっぱり誰もキラの事心配して来ないね」
「大丈夫、俺がお前の代わりになるから。お前はもう戦わないでいい。戦い続けても、兵器だとか勘違いされるだけだ」とも。
廊下に出ながら閉まる扉の隙間からキラの顔を見てにやりと軽く笑う。「(これでいい。でも、もう苦しいとか悲しいなんて思う
感情は無くなってるはずだったのに、流石は最高のコーディネイター、他のSEEDを持つ者とは違うという事か)」
廊下を歩き始めたその時「あんた、どういうつもりだよ」後からシンの、サイを呼び止める事が聞こえた。
「やあ、君は確かシンだったね」「あんた、キラの友達なんだよな。何であんな風にキラに言うんだ?変な嘘まで付いて」
「嘘?何の事だい?」「誰も心配してないとか、皆が兵器だって思ってるとか、何でそんな事言うんだよ!」
「本当の事だろう?」「・・・」シンは艦長やムウ達の態度を思い出し何も言えなくなる。「でも!」「俺はキラが心配なんだ。
俺はキラのために力になりたいと思っている。キラを傷つける物から守りたいと思っている。だから俺は事実を教えて、それでも
お前には俺が居るんだよと、言ってやってたんだ。キラはもう戦えないし、戦いたくない、だから俺達が代わりに戦えばいいんだ。
そうすればキラも休まる、苦しむ心配は無い、戦争が終わるまで守ってやれるんだ。今までキラは一人で背負いすぎてたんだ。
だから俺がその重さを取ってやろうとしたんだ。知り合ったばかりの君にこんな話をしても意味は無いのかもしれないけど」
「そんな風に言ってやったってキラの苦しみは消えたりするもんか!もっと苦しくなるだけだ!」「・・・何も知らないのによく言うね?」
「知ってるさ!」「何を?後から来た君にキラの何が分かるんだい?まったく、こっちはキラの代わりに戦って死ぬ覚悟までしているのに」
「何が覚悟だ!死ぬとか何とか、そんな事言う奴の覚悟なんて建前だ!軍人なんて、皆そうだ!!そんな糞みたいな覚悟、キラを
追い詰めるだけじゃないか!あんた本当にキラの事考えて言ってるのかよ!?」「君とは話しが合いそうに無いなぁ、失礼します」
「待て!ちゃんと話を聞けよ!」「・・ふん」サイはシンを無視して去って行った。「何なんだよあいつ・・、そうだ、キラ!」
シンが急いで部屋に入るとキラは布団に蹲って居た。「おい!キラ!あいつの言ってる事なんて気にしちゃ駄目だ!あいつは「止めて!」
「キラ?」「出てってくれ!誰とも話したくない!聞きたくない!聞きたくないっ!!」「キラ!!」「出てけ!!!」シンは追い出されてしまった。
「キラ・・(あいつ何度もキラに会ってるとか聞いたけど、まさか何度もあんな話を?キラを追い詰めてるって気付いてないのか?)」
「あいつだったのか、あの悪魔がトダカさんを・・」「お気持ちお察しします(シン・アスカ、余計な事を言わなければ死なずに済んだ物を)」
ドム三人組生きてたのかw
サイ怖ええええええ
キラは復活できるのか……?
てかシン敵多いな
>>345 つまり毒島先輩と眼鏡ツンデレとおっぱい先生が居ればいいんですね
ビッチ役はルナで
サイが真っ黒だな。
キラは周りの人間に恵まれてないよな、バカップルといい、他の連中といい
ミリィが少し気にしてる感じだったけど、突っ込んでこなかったからなぁ。
シンも黒サイに陥れられそう出し…。
6
「それじゃあエロゲ輸送の手配したらすぐに戻るから」「ああ、帰りにデカビタCを頼む」デカビタC、量が多くておいしいのに最近見ない。
アーサーは休暇を取って(こんな時に)エロゲを買いに、艦長は少し離れた基地の会議に、ヨウランは海へ心を癒しに出掛けていた。
「アーサーが居ないとつまらないな・・・」アスランがぼんやりと椅子にもたれているとメイリンが部屋へと入って来た。
「アスランさん、お茶をどうぞ」「ああ、ありがとう(そういえばアーサーがくれたエロゲが山積みだったな。そろそろやってみようか)」
ごくり 「・・・・・・っ」お茶を飲んだ瞬間アスランの頭の中からすーっと何かが引いて行き、急に今まで感じてなかった感情が溢れて来た。
「(俺は、俺は一体何を考えていたんだ?ルナマリア・・・・!?ルナマリアを俺が!?俺が・・・なのに何故俺は今まで全く彼女の死を悼まなかった
んだ?そんな、最低な・・・俺は)」「アスランさん?」「(シン!ああっ!俺は何であんな事を!シンの妹の・・・うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!)」
突然がくがくと震え出したアスラン、メイリンが心配そうに声を掛けるが反応が無い。「(俺は、俺はぁ!!・・・・・・うっ!!!)」
「アスランさん!?」「・・・何だ?如何した?」「え?あの、アスランさんが急に震え出したので・・」「震えてなんか居ないぞ?目の錯覚だろう」
アスランは平静を取り戻し、何事も無かったように椅子の上で腹筋を始めた。4回目で力尽きて止めた。
「みなさん騙されては成りません!ロゴスの言葉を信じてはいけません!」「皆さん偽物のラクス・クラインに騙されてはいけません!
デュランダルの傀儡の言葉など信じてはいけません!」定期的に発せられるジブリールの放送に、何とか使えるチャンネルを使って対抗し
出した議長。人々は両方、もしくは片方のみを視聴する。ジブリと議長の対決だ。「ロゴスは悪なのです!巧妙な罠を用いているのです!」
「もはや我々はデュランダルの邪悪な陰謀を放っておく事は出来ません!さあ立ち上がりましょう皆さん!皆さんの力で奴等を討つのです!」
「ロゴスは貧困で喘ぐ人々を尻目に毎日豪勢なry」「デュランダルには不倫疑惑もry」対決は次第に激化し、激しい水掛け論になる。
「ryなのです!(全く・・)」ジブリールは溜息をつくと取り巻きに指示、議長らへと通信回線を開いて直接対決に出た。
「如何しても本物だと言い張るつもりですか?」「なっ!?あ、あなたは・・」「では、本物だと言うのなら、今すぐこの放送内でラクス・クライン
としての明確なこの戦争に対する考えをお聞かせ願いたい」「えっ!?」怯むミーア、そんな原稿に書いて無い事言えるはずがない。
「(おのれ!こうなったらミーア、何とかして見せろ!)」議長は心の中で叫びながらミーアを睨む。「ほら早く、ラクス・クラインならそれくらい」
「あ、その私は!私はこの戦争は間違っていると・・・その、悪いのはロゴスです!だから・・・・あの・・」「ぷぷっ・・・w」「(何をしているミーア!)」
「あの!だからぁ〜」「話になりませんねぇ。もう無理して偽る必要も無いでしょう、人々は貴女が偽者だともう分かっていますよ。本当の
自分に戻りましょう。ねぇ、ミーア・キャンベルさん」「あっ!!」「早く本当の事を言わないと貴方のご親戚の方にご迷惑が掛かる事になり
ますよ?例えば、ミシシッピ・キャンベルさんとか」「ミシシッピおばあさま!!」「(馬鹿!!)」「くくっw」「あ・・ああ・・・」議長は放送を止めた。
7
ミーアには肉親で生きている者は誰も居ない。そんな彼女だからこそ議長はラクスの代役を任せられたのだが、ジブリールの揺さぶり
でミーアは動揺し昔一度だけ会った事のあるやさしいおばあさまの名に反応してしまった。おばあさまはもういない、ミーアは知らないが。
「ごめんなさっ・・」がすっ 怯えながら謝ろうとしたミーアに、議長が思い切り蹴りを入れて転ばせた。「きゃっ!」
「何をやっているんだ!!このっ役立たずめ!!ちゃんとしろと言ったろ!ちゃんと言ったろ!何でちゃんとしない!何でちゃんとやらない!」
どすっずがっどがっ 「痛い!痛い痛い痛い!」「役立たず!死んでしまえ!役立たず!ごみめ!屑め!ごみかすめ!!!」
悪魔のような形相をして、倒れ込むミーアを乱暴に何度も蹴る議長。泣き叫ぶミーアを酷い言葉を吐きながら何度も蹴り付ける。
「議長やめて下さい!」「誰か議長を止めろー!」取り巻き達が議長を取り押さえ、議長はばたばた暴れながらミーアに罵声を浴びせ続ける。
「お前みたいな誰にも必要とされない屑が!私からの恩を仇で返す屑め!死ね!死んでしまえ!!」「・・っ、うわぁ〜ん!!」
ミーアは大泣きしながらその場から走り去り、大粒の涙を廊下にばら撒きながら息が切れるまで走り続けた。
そんな議長とミーアの様子を見ていたレイ。議長の異常な癇癪を目の当たりにし、彼の表情は悔しそうに歪む。「何でこんな・・・ギル」
「サイがそんな事を!?」「うん・・」サイとの事について、同じく友達だったというミリアリアに相談に来たシン。
「あのサイが・・・信じられない」「あいつなりにキラの事考えてるのかもしれないけど・・でも、俺はあんなんじゃ駄目だって思って」
「・・・分かったわ。とりあえず私がサイから話し聞いてみるわね」「・・うん」
シンはミリと分かれると修理中のAAの周りをうろうろ、もやもやした物を顔に露骨に出して歩いていた。お腹が空いた、炊き出しに行こう。
シンは食事のため炊き出し場へと向かう。すれ違う難民達は疲れた顔をしていて、それが、まるで全て自分のせいのように見えた。
暗い顔のまま炊き出し場の近くまで来たその時「死ねぇーーー!!!」「なっ!?」突如後から声が聞こえて振り向くと、ナイフを持った中年の
男が自分へと真っ直ぐに走り寄って鋭い刃先を突き刺そうとしていた。「くっ!」シンは素早い動きでそれを交わし、咄嗟に男の手を叩いて
ナイフを落させ、そのまま羽交い絞めにしてしまった。「くそー!悪魔めー!殺してやる!殺してやるー!!」「な、あんた、何を」
この騒ぎにオーブ兵達が集まる。男はオーブ兵に拘束され、縛られた手をぶんぶんと上下に振り続ける。「あんた・・・如何して俺を」
「如何してだと!?ふざけるな人殺し!!お前が殺したんだろ!!上官を、俺の大切な上官を!!トダカ一佐を殺したんだろっ!!!」「・・・トダ・・」
「あんなに部下思いだったのに!あんなに良い人だったのに!!お前が殺したんだ!もう抵抗出来ない状況で、あの人を殺したんだろ!!!」
「待ってくれ!そんな・・俺が殺した!?トダカさんを・・・そんな!」「お前が殺した!」「だってトダカさんは!俺が一人ぼっちだったあの時に、俺の
事を助けてくれた・・・すごくやさしくて、おっきくて」「お前が殺した!!」「嘘だ・・・」「お前だ!お前が悪いんだ!お前が悪いんだ!!!」「嘘だー!!!!!」
8
「おい、あれってあのシン・アスカじゃないか?」「嘘!何であれがこんな所に居るのよ!!」「怖い!!何であんな悪魔が」
人々にシンの存在が知れる。人々はシンを見ると恐れ、怒り、軽蔑の眼差しを送る。「何で誰も気付かなかったんだ!?早く追い出せよ!!」
「やだっ!怖い!」「気持ち悪い目・・・赤くて本当に悪魔みたい」ぼそぼそと投げ掛けられる言葉、トダカの死、シンは焦燥した顔を上げ人々
の言葉と視線の中今来た道を戻って行くのだった。その様子を遠くから見詰めるサイ。「・・可哀想に」
シンは修理中のAAに戻ると一人廊下を歩き、自分に宛がわれた部屋のベッドへと行くと座り込み、枯れ果てたような顔をして何も無い
中空を見ていた。しばらくするとオーブ兵が来て、さっきの男の取調べが終わったと聞いた。あの男は元オーブ軍人で、かつてトダカ
さんの下で働いていた、トダカさんを尊敬する一人の男。体を壊して軍を辞めたが、それ以降もトダカさんをずっと慕い続けていた。
男からの話によれば、トダカさんが死んだのは対ミネルバ戦での事で、元同僚からその死に様を聞かされたと言う。タケミカヅチに一人
残ったトダカさんはザフトの換装能力を持つ、その時は赤くて二本の対艦刀を持っていたMS、インパルスに殺されたという。そう、俺だ。
間違いない、俺だ、俺が殺したんだ。あのトダカさんを、俺が殺したんだ。
男はインパルスのパイロットが俺だと、何所かで情報を得たのか知っていたらしく、俺を見つけて殺そうとしたらしい。殺したかったんだ、俺を。
当然だ、俺を殺したいのは当然だ。あの人が俺を殺したのは当然なんだ。いや、あの人だけじゃない、皆俺を殺したいと思って当然・・。
「・・・・トダカさ・・・トダカさん・・・・・俺、何やってんだろう」シンは涙を流せなかった。不思議と涙が溢れなくて、悲しみも・・・。
「ひっく・・・ひっく・・」ミーアは泣いていた。ミネルバの廊下の片隅で一人で泣いていた。失ってしまったのだ、全てを。
ミーアが悲しくて堪らなくて泣き続けていると「あの・・」メイリンが気になって声を掛けて来た。「さっきの放送の・・・大丈夫ですか?」
今さらもう何も隠す事も無い、私には何も無い、聞いて欲しい、誰かに自分の悲しみを聞いて欲しい。「あなた・・・うわぁ〜ん!」「え?え?」
ミーアはメイリンにしがみ付くと再び大泣きした。メイリンは如何すればいいのか分からず、とりあえず部屋へと案内して話を聞く事にした。
「あの・・」「私ね、一人ぼっちなの・・・」「え?」ミーアは語った、今までの自分の事、自分には大切に思ってくれる人が一人も居なかった事、
ラクスの代役の事、そして、今全てを失ってしまった事を。誰でもよかったのだ、聞いて欲しかった、゛ラクス゛じゃなくて゛自分゛の事を。
メイリンは真剣にミーアの話を聞き、そして偽者じゃない、ミーアという一人の人の事を知った。「・・」「・・・つらかった、ですよね」「・・・」
「自分の事を誰も見てくれないのはつらいです・・・私も、全然違うけど、気持ちは分かる気がして」「・・あなた」「自分じゃ駄目なのに自分
じゃない誰かを演じると見てもらえる・・・・・それってものすごく辛い事だと思います。でも、ミーアさんはそれをずっとしていたんですよね。
ずっと、一人で頑張って居たんですよね。その、上手く言えないですけど、私はそんなミーアさんは「ここを開けろ!メイリン・ホーク!」
9
突然聞こえて来た大声に言葉を止めてびくりと扉の方を見るメイリン。ゆっくり扉に近づき「は、はい」言われるままに扉を開けると
「メイリン・ホーク、お前を逮捕する」信じられない現実が待っていた。「へ?」
突き付けられる罪状、共謀の罪、情報漏洩の罪、連合のスパイである罪、偽証の罪、見に覚えの無い罪を背負わされた。そして
「居たぞ、ミーア・キャンベルも逮捕しろ!」「なっ!」「゛連合が送り込んだラクスの偽者゛既に逮捕状は手配されている。議長は本物だと
信じていたようだが、まさかロゴスが送り込んだザフト混乱作戦のためのスパイだったとはな!逮捕する!!」「・・・何、それ?」
部屋から連れ出されるメイリンとミーア、何これ?私のせいに?メイリンさんまで、何で?おかしい、おかしい、絶対こんなのおかしい!
「メイリンさん!!」ずがっどがぼこどごす おかしい、そう思った次の瞬間ミーアは保安兵を全員蹴り倒していた。間の切れたスカートから
足が伸びて保安兵を一網打尽、自由になるとメイリンの手を引いて廊下を駆け出す。「ミ、ミーアさん!!」「このままじゃ駄目よ!こんなの
間違ってる!おかしいのよ議長は!」「・・」「だから絶対駄目!捕まっちゃ駄目よ!」「でも・・」「貴女だってスパイだなんて見に覚えなんて無いん
でしょ?」「は、はい!」「だったら逃げなきゃ!だって・・(もうこうなったら無茶苦茶でも抵抗するしかないもの!だって、もう私には何も無いん
だから、だから何したって!)」「ミーアさん・・・さっきのキックすごかったですね」「そう?実は私、小さい頃中国拳法を習っていたの。あの頃
はお父さんもお母さんも居て・・・・懐かしいなぁ、青い服着て髪にはボンボン付けて」「えっ?ミーアさん、もしかしてチェン「逃げるわよ!」
「一体何考えてるの!?」「いや、その、ミリアリア、落ち着いて」「落ち着いてるわよ!ほら、言いなさい!一体如何いうつもりなの?白状するまで
ご飯抜きよ!」「いや、だから俺はキラのために「余計落ち込むでしょうが!!シンだってそう言ってたわよ!キラ全然部屋から出てこないし!」
「・・・」「・・・・別に、あんたがキラのために何かしたいっていうのを悪いって言ってる訳じゃないのよ・・・ただ、キラが余計落ち込んでちゃ」
「うん、分かった、ごめんミリアリア。俺、少し自分で考えてみるよ」「そう・・・(偉そうな事言っちゃったけど、私なんか結局キラに何も・・)」
「何所へ行った?」「絶対逃がすな!」駆け巡る兵達、ミーアとメイリンは見つからないよう必死に物陰を行き渡り、何としても脱出を試みる。
「この倉庫は・・・駄目、何も無いわ」「あの、ミーアさんはMSに乗れるんですか」「無理無理」「私もですけど・・」「・・どうやって逃げるのよ?」
「え?えぇ?」「MSにでも乗らないとこんな所脱げられないわよ。門とかすごーく厳重だし」「・・(大人しく捕まってた方がよかった気が・・)」
途方に暮れる二人、こんな馬鹿みたいな事するんじゃなかったと後悔し始めたその時、薄暗い倉庫の中に足音が聞こえて二人の前へ。
「ひっ!・・・・・・あれ?貴方は・・・へ?助けてくれるの?」二人の前に立つ人物は笑顔で頷いた。
9
放送も手伝ってザフト離れが各地で相次ぐ。各地で紛争やテロが勃発し、状況は前大戦の最中のようになって行った。
世界が争いに染まって行く中、ルナは「吐き気がするけど、やらないと私は・・」スパイから強要された作業に没頭し、
キラは「・・」塞ぎ込み、バカップルは「お、ふ、ろ!」「お、ふ、ろ!いやーん!」バカップり、アスランは「メイリンが?やはりか、豚の妹だから
怪しいと思っていたんだ。もう少し俺が注意していれば・・」ホーク姉妹を完全にスパイだと思い込んでいた。レイは
「議長・・」「クレーム等放っておけ!それよりも回線をもう一度・・・出来ない!?何をやっているんだお前達は!!」「聞いてください議長」
「ああもう!何?スパイが見つからない?馬鹿がっ!早く捕まえろ!そして殺せ!偽者とメイリンを早く殺せ!」「議長!!」
「うるさい!!お前の相手などしてる暇は無い!暇ならお前も何かしろ!」「ギル・・・」「使えない人形め・・・・おい!そっちはどうなってる?早くry」
ギルに突き放されてとぼとぼと去って行くレイ。「そんな・・・ギルが俺を・・・・そんな・・そんな」議長は一杯一杯になり過ぎていた。
議長の焦りは人々を離れさせて行く。デスティニープランしか考えてなかった議長はプランがもはや無理なのでパニックを起こしている。
「色々あったっけ・・・」一人廃人のように部屋で座り込むシン。キラに気を回す余裕も今は無い。過去を思い出す。
家族との楽しい時間、その終わり、アカデミーでのレイやルナとの楽しい時間、自分の裏切りによるその関係の終わり、
ステラを守りたいと願って取った行動、それによって失われた数多の命、守るために入った軍、その軍でトダカさんを殺した。
「・・・アスラン」そして、アスラン・ザラ。アスランにはミネルバで一杯怒られたり殴られたりしたけど、いつも反抗してたけど、本当は彼の
事を・・・。゛戦争はヒーローごっこじゃない!。〜手にした時から今度は自分がry。それさえ忘れなければ確かに君はry。゛「・・」
色々俺に言ってくれたよな。アスラン、あんたは俺の・・
゛シン・アスカ!シン・アスカですよ!皆さん!!゛「・・・う゛」゛お前の妹のエロゲを世界中にばら撒く!゛「・・・・やっぱり嫌いだい!」
その頃スウェンは指令を受けてノワールで単機、海岸の浅瀬に落ちたという宇宙艇回収に向かっていた。普通はファントムペインの、
それも上位の者がこんな事のために出動したりはしないが、落ちて来た宇宙艇に何か重要な情報をあるかもしれないというならば別だ。
先刻連合に向けて(とは限らないが)通信が届いていた。゛・・・SSD、緊急の情報・・・・救助を求む・・ザフトの゛恐らくDSSDであろう。
ザフトの何か、とにかく普通ではない。スウェンが予測地点へ近づくと救難信号をキャッチ、海岸沿いに進むとそこには炎上する宇宙艇
の姿があった。浅瀬に降り立とうとしたその時、レーダーに複数の反応が現れた。近づく反応、それを視覚で捉えると「何!?」ディン、ダガーL
の入り乱れたMS隊だった。何故ザフトと連合のMSが?とにかくこの距離ならまだ宇宙艇の中の人物は救える。生きていればだが。
もう…この話はどこに向かうんだ…でも
gj!
議長……
ザフト終わったな
お、恐るべき展開になった!!
トリッパーであり、最強であるこの私にとって、この世界は遊ぶ為だけに存在している。
私がこの世界に生まれ変わって、何人かの『同類』とも出会っていた。
どうやら結構な数のトリッパーがこの世界に生まれ変わっているらしい。
そして、地球で生まれた私は軍に入隊し、地球連合軍の兵士になった。
さらに連合内部のとある派閥が作り上げた、特殊部隊『アースガーディアン』の一員となった。
『アースガーディアン』は、一言で言うなら地球防衛軍のようなものだ。
ザフトが地球に対し壊滅的な被害を与えたが為に生まれた、地球を防衛する為の特殊部隊。
その中ではナチュラルもコーディネイターも関係なく、地球を守る為に戦うだけ。
自分で言うのもなんだが、私は『アースガーディアン』内部でも重要な位置に存在している。
『アースガーディアン』にはトリッパーも多数所属し、他のトリッパーの探索も行っている。
私はトリッパーの探索において、重要な役割を持つ『特異技能保持者』だ。
私の持つ『特異技能』は、『サーチャー』と呼ばれる種類の感応能力。
何らかの『特異技能』を持つ者に反応し、直感的に能力を理解する『レアスキル』だ。
自慢になるが、私以上の探査能力を持つ『特異技能保持者』は存在しないだろう。
その上、私は専用の漆黒に塗り替えられたメビウスを持っているのだ!
【黒き光翼】だとか【暗黒の救主】だとか【漆黒の閃光】だとか【魔殺の刃】だとかの異名を持つ。
そんなステッキーなエースパイロットな私、その上レアな『特異技能保持者』なのだ!
『レイヴン』という特別っぽいコードネームを持つのも当然と言えるのだー!!
「……ふふ、私って凄いなー!」
今回、私がこのヘリオポリスに来た目的はトリッパーの探査。
そして、『特異能力保持者』がいるならばその確認と、可能ならば捕獲。
これは『アースガーディアン』隊長からの命令である。
隊長は自らもトリッパーで、できるだけ多くのトリッパーを確保し、戦力としたいようだ。
基本的にトリッパーは高い能力を持ち、『特異技能』を持つ者が多い。
なんの能力も持たないトリッパーは、今まで確認されていないのだ。
だからこそ、多くのトリッパーを確保する『アースガーディアン』の戦力は大きい。
なので、トリッパーの探査はよくある任務に過ぎなかったのだが。
今回はどうやら違うようだ。本編キャラとの関わりが大きすぎる。
「実際、ヘリオポリスに来たからには関わるのはむしろ必然?」
「そうに決まっているだろう、馬鹿が」
……こいつは私の同僚、コードネーム『アクサニス』。コーディネイターだ。
経歴不明、単純な戦闘能力なら間違いなくトップクラスの実力者。
そして、複数の『特異技能』を持つ希少な『多重特異種技能保持者』でもある。
「何をしている、俺達の目的は『特異技能保持者』の確保だろう? 無駄口を叩くな」
「リラックスしながら探知してるんだからさー、そんなごちゃごちゃ言わないでよー!」
実際、リラックスした方が探査がはかどるのは事実だしね。
「戦闘になったら君を頼るからさ、今は黙っててくれない?」
「……そうだな、俺は黙っていよう。探査できたら言ってくれ」
と、奴は黙ってしまった。本当に愛想のない奴だ、こいつは。
ま、探査能力を持っているのは私だし、奴の『特異技能』は戦闘用のものばかりだ。
戦闘になるまで、奴の出番はないと思っていても間違いじゃないだろう。
探査を続ける。この周辺にトリッパーや『特異技能保持者』がいないかどうか。
…何か妙な感覚を感じる。単なる『特異技能保持者』じゃなく、これは……?
その妙な感覚の位置を割り出そうとした瞬間、爆発が起きた。
「え…?」
「爆発だと? …なるほど、ザフトの攻撃か」
そう、爆発だ。よく考えれば原作の流れからして襲撃は予測されていた。
だが、これだけの戦力を持つ今のヘリオポリスに直接攻撃を行う?
……戦線を突破されたのか? それとも、流れ弾だったのか?
考えている暇はない、今はXナンバーを奪われないようにしなければ。
探査しながら走る。今からなら十分に間に合う距離だろう。急げばの話だが。
走る、走る、走る。一直線にXナンバーが保管されている倉庫へ向かう。
道中、モブのザフト兵も存在したがアクサニスがナイフを一線すると無数の肉塊に変わる。
「アクサニス、オーバーキル気味だよ! …無駄に斬り過ぎるのはよくないんじゃないのぉ?」
「確実に殺しておきたいだけだ、気にするな。敵がいくら死のうが、いいだろう?」
確かに、こいつの戦い方は知っているし、敵がいくら死のうがどうでもいい。
けど、ナイフで無数の肉塊にするのはちょっと効率がいいとは言えないんじゃないかなぁ?
…ま、それだけの実力を持ってるし、別にいいんだけどね。
「それじゃ、急ごうかな? …奪われちゃうのは嫌だしね」
「隊長は奪われても計画の範囲内だと言っていたが?」
「奪われても奪われなくても計画の範囲内なら、奪われないように努力すべきっしょ?」
実際、奪われたとしても私には関係ないが、奪われないことで自分の力を自覚できる。
本来ならば奪われていた機体を守りきることができれば、それだけで私の力は運命を捻じ曲げる。
そう、運命さえをも捻じ曲げる自分の力に酔うことができるのだ。それは、とても素晴らしい。
「別に奪われてもいいから、命を大事に気軽にやるけどさ?」
「当然だ。お前の命はそれほど軽くはないからな。お前の『特異技能』は希少だ」
…と、無駄口を叩きながら進むと妙な気配を感じた。
どうやらそれはアクサニスも同じようで、二人そろって足を止めた。
「……なるほど、我が気配を感知するとはなかなかだ」
「君は……誰、なのかなぁ?」
とりあえず尋ねてみる。答えは期待していないが、あればいいなぁ、などと思う私。」
「我が名はネロ、朽ちずうごめく吸血種の中において、なお不死身と称される混沌だ」
ネロ…? ネロ・カオス、だっていうの? ……冗談じゃない、化け物じゃないか。
タタリとしてのネロ・カオスならともかく、本当のネロ・カオスが相手になる?
それに、この宇宙空間まで二十七祖が現れる? そんな状況なんて、予想できなかった。
「…そんなのはちょっと予測範囲を飛び越えてるよ」
私のスキルでは、この吸血鬼は打倒できない。メビウスに乗っているならともかく、だ。
その上、外では戦闘が続いているらしく、爆発の音が大きくなっている。
「うぅん? そのネロさんがなんでここにいるの?」
「簡単だ。私はこのコロニーを飲み干すと決定した」
つまり敵味方関係なくヘリオポリス内部の人間は皆殺しってことか。分かりやすい。
生身だと私の最強っぷりも微妙に低下するし、本物の人外相手だと色々と微妙だ。
375 :
視点:2007/05/28(月) 11:03:02 ID:???
さて、これから私はどうすべきかなー? と、思案していると。
「――――レイヴン、この場は俺が引き受けようか?」
と、アクサニスから提案が出た。
生身の戦闘能力ならばアクサニスの方が上だし、いい考えに思える。
「でもさ、アクサニスはあの吸血鬼に勝てるの?」
「簡単だ。俺は奴の死の概念を完全に理解できるだろう」
確かに、ネロ・カオスと戦うにおいて、こいつ以上の人選はない。
「それじゃ、この場は任せていいって解釈でいいのかな?」
「任せろ、所詮奴程度では俺の能力のバロメーターにしかならん」
それは正論。こいつの『特異技能』の一つ、『直死の魔眼』の前ではネロ・カオスは鴨だろう。
「じゃ、この場は任せて私は格納庫に急ぐわ!」
たたたー、と駆け抜ける私を背後から獣が襲う。だが、それはしかし――――
「遅い。そんなんじゃ俺の守りは抜けきれないぜ、ネロとやら」
アクサニスの手によって両断される。その手に輝くのは七ツ夜の呼ばれる短刀。
どう考えても私は場違いだ。この場は彼らに任せることとする。
しかし、アクサニスはどうして七ツ夜などという武器を持っているのか?
ぐだぐだ考えても答えは出ない。簡単なことだと思うのに、何故か気づけない。
おそらくは、『この世界』はそういう風にできているからだろう。
まあいい、今は彼にこの場を任せ、私はまっすぐメビウスに向かうだけだ。
俺は目の前の化け物を見つめる。ネロと名乗った吸血鬼は、しかし、単なる吸血鬼ではなかった。
そのコートの下から無数の獣を排出し続ける化け物。吸血鬼にしては妙な戦い方だ。
「おいおい、どうしたんだよ吸血鬼? ―――霧化とか蝙蝠とかは?」
迫り来る無数の狼を切り捨てながら突進する。接近しなければ俺の攻撃は届かない。
「吸血種とて一種類だけの存在ではない。私がこういう存在だというだけのことだ」
「まったくもって正論だな。俺としたことが、無駄な質問をしてしまったよ」
軽口を叩きながらも前進は止めない。このまま一気に攻撃範囲に奴を捕らえる。
「甘いぞ、人間――――!」
コートの中から巨大な口が迫る。その形状からして、鰐か?
だが、それすらも一瞬で切り捨てる。切り捨てた獣はそのまま霧散する。
「なんなのだ、これは―――! 何故――何故切られた個所が再生しない!?」
「ハ――――侮ったな、混沌!」
跳躍。七ツ夜を一閃させ、左肩を両断する。当然、回復はしない。
何故ならそれこそが俺の『特異技能』の一つ、『直死の魔眼』の力だからだ。
「馬鹿な―――! 私は一にして666。私を滅ぼすつもりであるのならば―――――!」
「万物には全て綻びがある。人間は言うにおよばず、大気にも意志にも、時間にだってだ」
言いながら七ツ夜を振るい続ける、右肩も両断した。
「始まりがあるのなら終わりがあるのも当然、オレの目はな、モノの死が視えるのさ」
そして、奴の中心に存在する『死』を直視する。
「一瞬にして六百六十六の命を滅ぼすつもりでなくてはならぬというのに――――!!」
「俺が殺すのは『存在』のみだ。お前の内包する一つの世界を抹殺する」
「そうか、私を殺すのか、人間――――!」
その瞬間に奴の『死』を真っ直ぐに突き殺した。
存在そのものを否定し、ネロ・カオスという吸血鬼は消滅する。
消えかかった体で発した言葉は、しかし、見苦しい断末魔ではなかった。
「――おまえが、私の死か」
それは『死』を理解し、消え行く獣の王の姿だった。
「…流石はネロ・カオス。死徒二十七祖の第十位だ、俺も無事には済まなかったな」
俺の右腕は大きく切り裂かれている。手当てをすれば死にはしないが、しばらく動けない。
…外の戦況が分からないが、ここはレイヴンに任せるしかないか。
私はようやく自分の機体に辿り着いた。それは漆黒のメビウス。
黒く塗り替えて重量を落としてスピードに特化したお約束を踏まえた専用カスタムメビウスだ。
本当はブラックサレナとか名づけたかったけど、流石に隊長に止められた。
ともかく、メビウスに乗り込み出撃する。モブいザコジンを蹴散らしながらヘリオポリスの外へ。
外では激しい戦闘が行われていた。雇われている傭兵達も総動員されているようだ。
――と、一機のジンに目が行った。動きはモブ同然だが、何かを感じる。
『特異技能保持者』か? それとも、目的のトリッパーなのか?
…ともかく、接触を試みてみよう。一見モブ同然の動きだけど、実力を隠している可能性もある。
結果としては、彼はトリッパーだったようだ。鎌をかけてみたら簡単に引っかかった。
実力的にはモブ同然のトリッパー、多分、かなりの『特異技能』を持っていると考えられる。
自分がザコだと考えているタイプで、おそらくはまだ覚醒していないのだろう。
トリッパーで圧倒的な格下、私の自己満足には丁度いい相手だ。気に入った。
これから先、何度かザフトと戦うこともあるだろうから、その度にからかってやろう。
そう、『僕』が圧倒的な力を持っていることを実感する為に。
あーそうそう、結局奮戦は意味を持たずにXナンバーは奪われた。
もっとも、今の『僕』にとってはどうでもいいことなのだけれど。
まそっぷ! 彼氏ができませんでした。
乙〜!
マユスレ発祥のヒーローキタコレw
でも性格ちげえwww
トリップマスターカイト、完結編!
最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! 本編は、続行未定です。
アクサニス「チクショオオオオ! くらえタタリ! 新必殺光速十七分割!」
タタリシオン「さあ来いアクサニスウウ! 私は実は一回刺されただけで死にますよオオ!」
(ザン)
タタリシオン「グアアアア! こ このザ・フジミと呼ばれる四天王のタタリが…こんな小僧に…バ…バカなアアアア」
(ドドドドド)
タタリシオン「グアアアア」
暗黒王アテム「タタリがやられたようだな…」
時空移動存在シン「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」
邪神ラクス「人間ごときに負けるとは中ボスの面汚しですわ…」
連合の兵士キラ「くらえええ! 新機体ハイペリオンストライクウェストカスタム!」
(ズサ)
3人「グアアアアアアア」
カイト「やった…ついに四天王を倒したぞ…これで世界の修正者であるキラへの道が開かれる!!」
世界の修正者キラ「よく来たなトリップマスターカイト…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
カイト「こ…ここにキラがいたのか…! 感じる…エターナルフリーダムの厨性能を…」
世界の修正者キラ「カイトよ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は僕を倒すのに『特異技能』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
カイト「な 何だって!?」
世界の修正者キラ「そしてお前の両親はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた あとは僕を倒すだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
カイト「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある このオレの義父に生き別れた妹がいるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
世界の修正者キラ「そうか」
カイト「ウオオオいくぞオオオ!」
世界の修正者キラ「さあ来いカイト!」
カイトの勇気が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!
381 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/29(火) 23:42:39 ID:2gz/0dCZ
きらがおおい
なんじゃこりゃww
ここでソードマスターヤマトかよw
10
「あれは、連合のMSでしょうか?」「さあな。何であれ俺達の任務は変わらない、あそこのあれを排除する、地球に居る俺達への
ヤイカからの直々の命令だ」「連合の物らしきMSも共に排除だ。全て塵としてやれ」
スウェンは急いで炎上する宇宙艇へと接近、コックピットから急いで飛び出て扉を見つけて開ける。宇宙艇を抱えて逃げれれば
いいのだが炎上してしまっている以上、中の人間が死んでしまう事も考えられる。この場合は中の人物を引っ張り出してノワール
のコックピットに同乗させて行くしかない。扉を開けると黒煙が一気に噴出し、そしてそれと同時に中から二人の人間が飛び出て
来た。一人は短い金髪の肌が白い男、もう一人は長い黒髪の・・
「・・・っ」飛び出て来た、長い黒髪の女を見てスウェンは一瞬固まり、そして目を見開いた。「げほげほっ!助かったのか?き、君は?」
「連合のパイロット?・・・助けに来てくれたの?・・・・ねぇ?」「・・・あ・・っ」スウェンは口を半開きにして動かない。目の前の女に釘付けとな
っている。この女、何だろう、何故自分は今・・、誰か、誰かに似ている。「ねぇっ!しっかりして!」女に肩を触られはっとなる。
「っ・・・あ、ああ。お、俺は・・・・いや、何でもない」「?」「早くこっちへ来い、コックピットに。近くまでMSが来ている」
スウェンは二人をノワールへと乗せるとハッチを閉め、急いでここから離れようと動き出した、その時
ガガガガガどがっ 「ぐっ!」「ふんわぁ!」「きゃあー!!」機体が激しい揺れに見舞われ、三人を中で激しくシェイクする。
謎の部隊の攻撃だ。スウェンの予想よりも早く接近し、十機以上が一度に攻撃して来たのだ。距離がまだ有るとはいえ機体に攻撃
が殆ど命中、集中した衝撃が機体に凄まじいダメージを与える。無数の実弾とビームがノワールの装甲を剥ぎ、激しい衝撃が駆動系の
一部に損傷を与える。「くそっ!」マシンガンが断続的にノワールを襲う。PS装甲と云えど実弾の影響を受けない訳じゃない、破壊こそ免れど
ダメージは蓄積される、しかし避けられない。難とか攻撃を免れようと空中へ飛び立とうとした時、ダガー数体が示し合わせたように全く
同じ動作をし、一斉に収納されていたスティレット、ロケット貫入弾を射出。「しまっ」ガガガガガ ズガン数弾のスティレットがノワールの各部に
命中。殆ど全ては装甲に弾かれ跳ね返って落ちたが、二本程が左足の関節と左肩の関節にそれぞれめり込んでいる。爆発はしない
が、確実に各部の駆動に多大な障害を与えた。「(・・逃げられはしない、か。ならば)お前達、しっかり捕まっていろ」「え?」「ちょっ」
スウェンの一言の次の瞬間、ノワールが空中で突如回転、したかと思ったら、一瞬でその中空から姿を消した。
「何!?」「消えた?」「馬鹿な!?何所だ・・」消えたMSを探す謎の部隊、反応はある、自分達に重なって・・。「う、上です!!」「へっ?」
仲間に言われて上を確認しようとした瞬間、上空より突撃したアンカーがそのMSを頭から股までを一直線に貫き、爆発させた。
11
「う、上だぁー!!上を狙えー!」「駄目だ、動きが早くて捉えry」部隊の上空で激しく動き回りながらアンカーを打ち出しては引き、打ち
出しては引くノワール。ディンとダガーを次々と木っ端微塵に粉砕し、敵部隊をほんの数十秒で半分以下にまで討ち減らした。
「な、何なんだこいつは!?本当にナチュラルなのか!?」「散開!散開しろっ!!こいつは・・・・うがぁっ!!!」
散開する謎の部隊、しかしノワールは逃がさない。左右両手のアンカーをディンとダガーにそれぞれ射出貫入、引っかかったその二機
を縦横無尽に螺旋を描いて振り回し、次々に他の敵機にぶつけ散らして大打撃を与える。引っかかった二機は激しい衝突によっ
て次第に拉げて砕け散り爆散、ぶつけられたMS達は激しい激突で武装を失ったり制御できなくなっている。「消えうせろ」
損傷MSをノワールの無慈悲な攻撃が襲う。取り出したライフルの無数の閃光が雨のように貫き、一気に四機を大爆発させた。
「君!ちょっと無茶な!それにほら!もうこんなにエネルギーが「黙っていろ!」ノワールは右手にブレイドを抜いて残り三機となった敵MSに襲い
掛かる。謎の部隊は簡単に仲間がやられた事でショックを受けており、もはや正常な判断をする事も出来ない。
「く、来るなぁー!!!」「・・」単調に撃ち放たれるビームを掻い潜りブレイドでダガーを一閃、さらに隙無く近くのディンへと接近しゼロ距離で
胴体にアンカーを貫入、離れながらワイヤーを解放しある程度までワイヤーが伸び放たれた所でロック、それをさっきのように振り回して最
後の一体のディンへと乱暴にぶつけ、爆砕した。「・・・」謎の部隊は全滅、海上には夥しい量の残骸が浮かび、濃い油の匂いが混ざ
った煙が所々で上がっている。気がつけば海岸から結構離れた海上まで移動している。
全滅させたと同時にノワールのエネルギーが切れてPSダウン、まるで計算していたかのように丁度切れた。
「(可動用に僅かだが基地に着くまでは、持つか?)・・お前達、情報は?」「え?」「お前達が我々地球連合に取って有益な情報を持って
いると踏んで、軍はお前達の救出に俺を送った。しかし、お前達が確かな情報を持っていなければ意味が無い。今お前達は情報を
持っているのか?それは記憶媒体を介した物なのか?それともお前達の記憶に頼る物なのか?」「えっと」「それとも、宇宙艇と共に情
報の記憶媒体は消失してしまったのか?」「・・・情報は、記憶媒体と私達の記憶の中、両方よ。記憶メディアはちゃんと持って来てるわ。
ちゃんとここに・・無事よ」「そうか」「あの、僕達は」「基地に付いたらそこの指令に従ってもらう」「はぁ・・」「で、何で貴方はさっきから
私の顔ちらちら見てるの?」「・・・何でもない」「そう?もしかして惚れた?」「・・理解不能」
目標も確保し無事任務完了して基地への帰路に着こうとしたその時「うおおぉぉぉおおお!!!」ズビュー ガガガガガ 「何!??」
一閃のビームとバルカンがノワールを後から襲った。「ちっ!」揺れながら攻撃された方向を振り向くと半壊したダガーが海面に半身を出して
いた。ノワールは攻撃で小爆発を起こし、破損によって推力を失って海へとまっ逆さま。「くそっ!消えろっ!!」
まっ逆さまになりながらもアンカーを打ち出しダガーを撃破、激しい音と飛沫を立ててノワールは海の中へと消えて行った。
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海の中へと沈んだノワール。沈んだ先の岩と岩の間に挟まれ引っかかり、さらに衝撃で崩れた岩が転がってノワールの周りを埋めた。
難とか脱出しようと試みるスウェンだったが、完全に引っ掛かって動けないのと、これ以上下手に動いて機体を損傷して海水が浸入
したり空気が漏れると不味いのと、遂にそろそろ可動用に僅かに残っていたエネルギーが切れ掛けているのを確認して自力で脱出
する事を諦めた。もうこうなると仲間の救助を待つしかない。しかし酸素がそう何時までも持つ訳が無い。三人も居るし。
「駄目だ、自力ではもう上へは上がれない。救助を待つしか無いだろう」「そうか・・・」「・・ごめんね」「?・・何故、謝る?」
「私達の救助に来なければ貴方までこんな目に遭わずに済んだのに・・」「これは任務だ。何であろうと命令に従い動く、それだけだ」
「でも!」「俺はそれしか知らない、それしかしない。それで例え俺が死ぬ事になっても、俺はそれを受け入れる」「あなた・・」
「救助を期待したいが、恐らくそう簡単には見つからないだろう。ノワールの信号も故障の影響か発信できない。海岸から離れ過ぎた
のも不味いな。酸素も、一体どれだけ持つか分からない」「・・・」「だから、俺が今死ぬ」「!?」「俺が死ねば一人分の消費酸素を減ら
せる。僅かではあるがお前達が救助まで生き残る可能性が高くなる」「馬鹿を言うな!君一人を犠牲にするなんて出来る訳無いだろう!!」
「そうよ!駄目よそんなの!!」「俺は情報を持ち帰るという任務がある。例え俺が死んでもお前達が生きていれば任務は完了される」
「ふ・・ふざけるなよ!そんば馬鹿な話があるか!」「貴方が死んだからって救助まで私達が生きられるという保証は無いのよ?そんな
馬鹿な賭けに出るより皆で助かる事を信じましょう」「駄目だ、これは任務だ。俺は任務を達成させる、お前達は生きろ、俺が死ぬ」
スウェンは拳銃を取り出すとそれを自分の頭に当てて引き金を引こうとする。「待って!私良い物を持ってるわ!これ」
セレーネはスウェンを引き止めながら上着の内ポケットからケースを取り出した。「人の代謝をぎりぎりまで抑える薬よ。これを飲めば」
「二つ、しか無いようだな。やはり俺が死んで、お前達はそれを使って救助を待つべきだ」「二人でも抑えられれば大きいよ!
君とセレーネがそれを打って僕が・・・・え?ちょっと君、何を」「ふん!」ぼがっ「ソル!」ソルは殴られて気を失ってしまった。
スウェンはセレーネから薬を奪うと添付の注射器にそれを入れ、大人しくなったソルへとそっと打ってあげた。「次はお前だ。大人しく腕を出せ」
「あなた・・」「大人しく言う事を聞け。俺は任務を果たさなければならない・・・死ななければならないんだ」真剣な目で見つめて来る
スウェン。セレーネはそれを見て何か思い押し黙り、そして覚悟したような顔して彼へと呟く。「分かったわ」「・・」「でも、銃で自殺は止めて。
コックピットの中を血まみれにする気?・・・・これ、私が持ち歩いてる薬。あなたはこっちを打って。コーディネイターには薬だけどナチュラルには
劇薬よ」「コーディ・・ネイター」「・・・嫌い?コーディネイター」嫌いだ、大嫌いだ、大嫌いのはずだ。コーディネイターのために死ぬかと思うと吐き気が
する、するはずなのだが「・・・」如何してだろう、彼女の顔を見ていると不思議と憎しみが沸き出て来ない。むしろ、何所か安心する
ような気が。「分かった・・それを打て」「・・あ、ちょっとソルの注射跡見てくれる?腫れてない?」「?」スウェンは首を傾げながらソルの方へ向いた。
13
「何とも無いが?」振り向くとセレーネは薬が入った注射を構えていて「そう・・さっ早く腕を出して」そう言ってスウェンへと注射を打った。
その後セレーネはスウェンに残りの注射を打ってもらい、全て終わって二人はコックピットの中で蹲った。
「ごめんなさい・・」「任務だ・・」「・・・そうね。私、セレーネ、セレーネ・マクグリフ」「?」「名前よぉ。貴方のは?」「これから死ぬ相手の名前等聞いて
如何する?意味が無い事はしない」「お願い、教えて!!」「っ・・・」「ご、ごめんね」「・・・スウェン、スウェン・カル・バヤンだ」
「スウェン・・・良い名前ね」セレーネはそう言いながらスウェンに寄り添うように近づき、冷たく白い手を彼の頭へやって優しく撫でた。
「・・・お前を知っている気がする」「・・そう。誰かに似てるの?」「誰か、に・・・・」そうだ、誰かに似てるから俺は・・。
「お友達?クラスメイト?それとも、お母さん?」「っ!」「お母さんかぁ・・・、今どうしてるの?」「・・・死んだ」「・・」「コーディネイターに殺された・・」
呟き、そして何も言わなくなるスウェン、彼の頭をセレーネはまた撫でた、撫で続けた。「ごめんね・・・私には何も・・・・」「・・・」
「お母さんを殺されて、あなたも殺されるのね・・・コーディネイターの私に」「お前のせいじゃない・・・気に、しないでくれ」「あなた・・・」
「・・」「・・」「星・・・」「?」「そうだ、俺は星が見たかった。ずっと、見ると何か恐くなってしまうようなあれを、本当はずっと」
「・・・見れるわ、きっと」「・・」「あなたは星を見れるの、きっと、絶対に・・だからおやすみなさい、スウェン」「・・・」
やさしいセレーネの、母のような手の感触を感じながら、スウェンは星も瞬かない宵闇の中へと沈んで行った。
そうだ、思い出した、やっと思い出したんだ。俺はずっと星が見たかったんだ。母さんが死んで果たせなかったあの約束を、
ずっと叶えたかったんだ。父さんと母さんと、とっても遠くて届かない星へ、いつか・・・。
ミューディー、シャムス、大佐・・・・俺は、違ったんだ。俺は、本当は今の俺なんかじゃなくて・・。ああ、眠い、星が見えないな。
゛ごめんなさい・・・でも、お願い、あの子を止めてあげて。あの子にも、星を・・゛
IFワラタwエターナルフリーダムってストレートすぎて吹いたw
俺の方は変な展開に既に皆に飽きられてそうだけどアスランが真のアスランになれると信じてるのでまだまだ行きます。
14
「キラ・・」「・・」キラの部屋に再びやって来たシン。蹲るキラの横に自分もちょこんと座り、一緒に暗い部屋で無言で佇む。
「キラ・・・俺はもう駄目だと思う・・・・俺は何所まで行っても最低で残虐で誰も救えない奴だったんだ」「・・」
「皆を守りたいって思った、疎まれても、それでもそれが俺の全てだから・・・でも、やっぱり辛いよ、悲しいよ」「・・シン」
「キラ・・・サイがあんたに言ってた事、俺も聞いてたんだ・・・。そうだよな・・みんなキラの事なんて如何でもいいのかもしれないな」「・・」
「如何でもいい、如何でもいいって思ってる奴はきっと一杯居るよ・・・・けどさ、俺はそんな事無いぞ」「・・あ」「そんな事、無いからな」
「うん・・」「あとミリアリアとか、アスランのくれたって言うトリィとか、海岸の猫とか、ハロとか、きっと心配してるよ」
「・・・何だか少し悲しくなって来たんだけど」「俺・・本当は今、あんたに慰めて欲しくてここに来たんだ。あんたならって、甘えて・・」
「・・・ごめんね、僕は君に何も言ってあげられなくて」「うん、別にいい・・、実は最初から期待なんてしてなかったのかもしれないし」
「そうなんだ・・」「なあキラ・・・あんたはもう戦わないのか?」「え?」「サイはあんな風に言ってるけど、でも、あんたは戦わなくて済む
からって気持ちが晴れるような人じゃないだろ?」「・・うん」「あんたは・・・今まで何のために戦ってたんだよ」「僕は・・・皆を」
「守りたかったんだろ!辛くても何でも大切な人が死ぬのが嫌だったから戦ってたんだろ?」「うん・・・でも、それでも」
「だったら戦えよ!あんたはまだ、死んで欲しくない守りたい人が居るんだろ?だったら戦えよ!」「・・・」「キラ?」
「・・・君から戦えだなんて言われるなんて思わなかった」「俺も、何でこんな事言ってるか分からないっていうか・・・でも!」
「君はサイと同じく僕を気遣ってくれるけど、逆なんだね」「キラ・・・・途中で逃げたって無かった事になんかならないんだ・・
いくら周りが辛くったって、目を瞑っても何にも変わったりしないんだ!周りも、キラも!いくら逃げたってキラが、皆を守りたいっていう
気持ちは変わらないんだ!逃げられないんだ!戦うのが怖いのも、守るために誰かを泣かせた事も、自分が生きてる事も、全部変わ
ったりなんかしない、絶対に変えられない事なんだ!!だって、それがあんただろ?それがあんただから・・」「・・・シン」
「俺はあんたが好きなんだよ・・あんたが自分の事嫌になっても、俺はあんたが好きなんだよ!!だからそんな顔ばっかすんな馬鹿野郎!!」
「・・・」「でも、もし本当にもう戦うのが嫌で、全部嫌で如何し様も無くなったら、そしたら俺が全部何とかするから・・だから」
「シン・・」「キラ・・」見詰め合う二人。「あんた達そういう関係だったの?」「えっ!?」青筋を立ててドアに立つミリ。「大声で好きなんだって・・」
「違う!!!」「違うから・・」「・・そういう事にしとくわ。それよりキラ、私・・」「ミリ・・・心配して来てくれたの?」「べ、別に・・心配・・・してたわよ!馬鹿!」
「・・ありがとうw」「・・・な、何笑ってるのよ。まあ・・あんたが笑ってるのは私も嬉しいけどね」「ミリ・・」「それじゃあ俺はもう行くから・・」
「シン!!・・・・・ありがとう」「別に・・・ただ、俺は、自分の事が不安だっただけだよ!あんたを使って自分の事紛らわしただけだよ・・・馬鹿!」
シンは駆け足で去って行った。「素直じゃないわね〜」「彼の言う事は本当だと思うよ」「え?」「でも、僕はそれでいいと思う、それがいい・・」
おっ、シリアスだ・・・・GJ!
>>388 些細なことだけど、結構前から「何とか」が「難とか」になっているので
その点を気をつけてください。
でもうまくまとめられるんだろうか。
作者さんの腕に期待してます。
ずっと見守ってきたけどそろそろ本人の為に言うべきなのだろうか………内容は良いが非常に読みにくい、と。
>>391 うむ……。
台詞は
“「」「」「」”
よりも
“「」
「」
「」”
の方が読みやすいと俺は思うんだ。
それと乙!
マジ乙!
続けてくれる貴方のSSを読むとテンションが上がります!
いや、ホントです。
それとあと、もう一つだけ。
段落をつけると更に読みやすくなるんじゃないかって思うんだ。
めんどくさいと思うでしょう。
俺も自分で書いてて、一々そんなの気にするのメンドイです。
でも、なるべくならやろうかなと考えてます。
あと、セレーネとスウェィンのやりとりでちょっと目から汗が出てきた。
それにしても
SSまとめサイトさんの更新が、なかなか進まないのも別の意味で汗が出てくるorz
ところで、2ちゃんに書いたSSを理想郷さんの所に載せるのって問題ないですよね?
>>393は俺ね。
それとSEED IFさん、例のアレな終了で超GJ!
レイヴンと聞いてナインブレイカーやドミナント、
「手こずってるようだな。○を貸そう」なレイヴンや、
隊長が反乱を起こして主人公に「消えろ、イレギュラー!」と言うんじゃないかと想像してたけど、
見事に裏切ってくれましたねコンチクショウwwwww
SEED IFさんの元ネタって何?
>>395 偽最終回の元ネタはソードマスターヤマトで後はこんな感じ
・月姫、メルブラ
・遊戯王
・連ザUP.L.U.S.モード
・デモンベイン
一レスに大量に凝縮しようとしたのが間違いだった・・改善してみます。話は既に頭の中で出来上がってるので
展開については今の所全て予定通りです。正直に言うとドム三人が生きていたのとムウがおかしくなったのは気まぐれです、スマン。
15
「スウェンが・・?」「信号も捉えられません。捜索隊が向かっていますが、恐らく・・」
「・・・ふん、馬鹿じゃないの!裏切り者の大佐も倒せてない内に・・見っとも無いわね!(スウェン・・・馬鹿・・なんでよ)」
如何してスウェンまで・・ミューディーの中に遣り切れない思いと悲しさが渦巻く。
シャムスだけじゃなくスウェンまで・・・シャムス・・そうだ、シャムス、シャムスを殺したあいつ等が生きている!何で!!許せない!!!
「私・・もう駄目」
『情けないぞ姉ちゃん!』『全く!こんな楽しい事しているのに!』
「全然楽しくない!!阿呆か!!何で私がこんな事しなくちゃ行けないのよ!?私こんな事するくらいなら死んだ方がよかった!」
『死んだ方がいい、か。そんな事言うもんじゃない・・・』「あ・・ごめん」
『死んだらサイファイハリーを見る事も、小学校の近くの公園の女子トイレにエロい落書きをして小学生を恥ずかしがらせる事も出来ないんだ』
「黙れ!・・・・・ニコルぅ〜、助けてよぉ〜」
『あの・・・まあ、その、確かにものすごく気の毒な作業だとは思いますが、これで命が助かるなら・・・』
「・・女の敵」『えぇ!?』「見損なった・・」『そんなぁ〜!』
ルナが嫌な作業をしながら霊達と嫌な会話をしていると行き成り扉が勢いよく開き、一人の目付きの悪い女が入って来た。
「あ、あの、何か?(この人、部屋の前でこの前騒いでた・・)」
「・・・そっちの三人、付いて来い」
指を指された三人、丁度ラクス様の歌がマンネリではないかについて検討する会を開いていたドムトルーパーズが女に呼ばれた。
「何だい?あんたもラクス様について語りたいのかい?駄目だ駄目だ!そんな不細工なメイクしてたんじゃラクス様のファンは出来ないよ!!」
「・・・いいから付いて来なさいよ(拷問に掛けて虐殺してやる・・)」
三人はだるそうに渋々付いて行った。
「あ、やべ!今日ラクス様のファンサイト設立記念日じゃねーか!」「そうだったね!ねぇあんた、ちょっとPC貸してくれないかい?」
「・・・(殺してやる!殺してやる!!今は我慢だ。隔離室に着いたら思い切り甚振ってやればいいのよ!!)」
「すまねぇな、騒がしくて。こいつらも悪気は無いんだが・・・」
16
隔離室に着いた憎悪の女ミューディーとドムトルーパーズ。
ミューディーは三人に目の前の椅子に座るよう指示し、ヒルダとマーズは何の疑いも無く椅子へ、ヘルベルトは躊躇しながらも座った。すると
がちゃり がちゃり
「何だ!?」「これは!?」「あ・・やっぱり」
「ははははは!!!馬鹿な奴等ねぇほんと!」何と椅子に内蔵された拘束具が可動し、三人の手足を捕らえてしまった。
「ど、如何いう事だ!?」
「如何いう事ぉ?あんた達は捕虜よ?なら分かるでしょう?あんた達は私にこれから拷問されるの。あんた達には利用価値があるとか
他の連中は言ってるけど、私はそんなの如何でもいいの、あんた達を八つ裂きに出来れば何でもいい!!」
「ふざけるな!!私が座るのはロディオボーイだけだよ!!」「全くだ!こんな安物の椅子で俺達を接待できると思ったら大間違いだぜ!!」
「拷問だっつってんだろ!!!
まぁいいわ、そんなふざけた態度を取ってられるのも今の内よ。すぐに激痛で悲鳴しか口に出来なくなるんだから」
「あんた、何でこんな真似を?」
「何で?何でって・・・あんた達がシャムスを殺したからに決まってるだろ!!!ふざけた事抜かすんじゃねーぞ!!
・・・殺してやる、殺してやるよ、簡単には殺さない・・まず手足の皮膚を切り開いて、そこにこの辺りで捕れる虫を入れて縫うの。
次は体中に針で穴を開けて激痛を与えてやる。食事は虫がいいかしら?体中に注射針で毒薬を打ち込んで苦しめてやる。
そして次は瞼と唇に針を仕込むの。疲れて閉じたりしたら串刺しよ?熱い鉄板を顔面に押し付けるのもいいわねぇー。
ん?どう?これからされる恐ろしい拷問の数々を聞いて発狂しそう?許して欲しい?
じゃあ許して・・・あげる訳無いわ!!!絶対許さない!苦しんで苦しんで、そして死ね!!!!!」
「つまり゛変わらない良さもある゛という事で決着な訳だな」「そうさ!ラクス様は同じ歌を歌い続ける事で伝説になるんだよ!!」
「聞けよ話!!!」
「すまんな姉ちゃん・・・こいつらラクス様が全て何だよ・・・・たぶん何されても全然音を上げない、ラクス様がいるから」
「ん?ああ、ラクス様がいれば何されたって平気だね!」
「拷問?ああ、勝手にやってくれ。つーか早くやってくれ!
゛ラクス様の代わりにこの世の痛みを全て身に受けた真のラクス様の使途゛として俺達は死んだ後ラクス様天国で幸せになれるんだよ!!!
それが世界の真理なんだよ!!宇宙クジラ崇拝とか偽ラクス様ファンとか横行してるけど、真のラクス様ファンの俺達だけが幸せなんだよっ!!!」
「ラクス様の歌を聞くと安らぐのはラクス様が全ての人の母だからなのさ。それが分からない奴は屑だね!死んだ方がいい」
「・・・何こいつら」
「・・・悪い奴等では無い(と信じたい)」
17
試しにマーズの腕をナイフで切り付けたミューディー。
「(きっと狂った振りして何とか拷問を逃れる積もりなんだわ!でも本当に切られたりしたら嘘付いてなんか・・)」 さくっ
「おほっ!感じる!ラクス様の体温を感じる!この感じ、この感じだぁ!!この痛みがラクス様の幸せに還元されるんだ!!
幸せ量保存の法則によると誰かが幸せになると誰かが不幸になる、つまりだ・・
俺が体を痛めるとラクス様の体に快感が走るって事なんだよ!゛あん、何て気持ちがいいの!゛ってラクス様も今頃!!!」
気持ち悪い、気持ち悪すぎる、ミューディーの二の腕にぞわぞわっと鳥肌が立つ。
「(くそっ!ならこっちは!?)」次はヒルダに。 さくっ
「そろそろラクス様を語った偽者の事務所に骨を送ってやらないとね!でもそれだとラクス様のファンが陰気で嫌がらせをしたとか思われる。
やっぱり骨より本物のラクス様が如何に素晴らしいかを書き記した手紙を手書きで百万枚送り付けた方がいいね!そうだ、そうしよう!!」
全然切られた事すら気が付いてない。
「・・・」
「・・すまん、俺が悪かった。こいつらは悪い奴等だ。そう思った方が楽だ」
ミューディーは青白い顔をしながら口に手を当てて出て行ってしまった。
10時間後
「うわぁ〜!!!!!やめろぉー!!やめてくれぇ!!!」「嫌だぁ!!!見たくない!!見たくないよぉー!!!」
マーズとヒルダの前に用意された、大量のラクスグッズ。それを
ぐしゃ ばきゃ ばりばりばりー
「うあ゛ーーー!!!!!」「あ・・ああ・・・ああああああああ!!!!!」二人の目の前で次々と破壊されて行くラクスグッズ。
ミューディーは財産全部と借金してまで用意した金でラクスグッズを購入、二人の目の前でそれを無残に破壊した。
二人は口から泡を大量に吐き、髪の毛が次第に白くなって最後は白目を剥いて動かなくなってしまった。
「ヒルダ・・マーズ・・・成仏してくれ」ヒルダは失禁、マーズは一時的にだが精神崩壊してしまった。
「・・なんなの、この虚しさは。仇を取れたのに全然嬉しくない・・・」
「姉ちゃん・・・・復讐は何も生まないんだよ・・」
二人の犠牲はミューディーとヘルベルトに復讐の虚しさと愚かさを教えてくれた。
ラクスグッズ、ラクスボールペン一本千五百円、ラクス枕カバー五十八万円、ラクス消火器百万円、その他多数、ミューディーはただ失うばかりだった。
18
「〜という訳だったのです」
議長の言い訳放送が世界へと流される。
ミーアに全ての責を負わせ、自分はひたすら無実を訴える。
「ロゴスの策略だったとはいえ我々が、送り込まれた偽者のラクスを見抜けなかった事、大変申し訳なく思っています。
しかし許せません!偽物を操り、本物までも巻き込もうとするロゴス!断じて許していい物ではありません!我々はこれを」 ざざっざざざ
突如走ったノイズ、以前の割り込み放送のそれと同じ様子だ。
「ま、まさか!」たじろぐ議長。そして
「騙されてはなりません!!奴の言う事は全て出鱈目です!」
又してもロード・ジブリールが放送に割り込んで来た。映し出された映像にはジブリール、そして、ミーアの姿が有った。
「私は、ミーア・キャンベルです」
騒然とする世界の人々、議長も画面にへばり付き目を剥き出して驚く。
「馬鹿な・・何故彼女が奴の所に」
「私はこれから皆さんに大切なお話があります。それは」
ミーアは語り出した、自分の今までの全てを、経緯を、して来た事を、そして、自分がつい最近議長に捕まりそうになった事を。
都合のいいように使われ、利用され、使えなくなったら捨てられ、果ては無実の罪を着せられそうになったと、ミーアは世界中に伝えた。
「私は・・・議長を信じて、ラクス様が何時か帰って来てくれる事を信じて、今までその代わりを果たして来ました。
なのに!議長は私が使えなくなった途端掌を返して、私を!私を!!・・・・・ひっく、ひっく」
「皆さん、皆さんにはお分かりですよね?どちらが真実か、どちらが真の悪かを」
ジブリールは取り巻きに指示し、議長がミーアを偽者として使おうとした計画のデータを画面に映し出させた。
「データもありますが、必要ありませんよね。皆さんはもう十二分に分かっているのですから。真の敵はデュランダルなのですから」
議長は、近くにあった撮影用の機材を持ち上げて、目の前のモニターへと思い切りぶつけて壊した。
「うわぁ!」「議長なんて事を!!」
「・・・もういい、もういいぞ、もう分かった。・・ジブリール、お前を今から殺しに行く!!!」
「議長!?」「しっかりして下さい!」
「ザフト全軍に伝達!!直ちに出撃準備に掛かれ!!明日ロゴスの本拠地、ヘブンズベースへの総攻撃を掛ける!!!」
「議長ー!!!」
19
「私はラクス様の代弁者としてジブリールさんを支持します!今私が生きていられるのもこの人が行き場の無い私を受け入れてくれたから。
きっと本物のラクス様も賛同してくれるはずです!そうですよねラクス様?」
映像が切り替わる。切り替わって、ユウナレポーターの姿が。
「こちらオーブのユウナです。皆様、これからラクス・クライン氏よりメッセージを頂きたいと思います。ではご婦人、お言葉を」
前回とは別人のようにクールで紳士的な振る舞いでラクスをカメラの前に誘う。
「あの・・これは?ユウナさん?」
「事前にご通達出来ず申し訳御座いません。ですが、今は如何しても貴女の言葉が必要なのです。どうか、お願い致します」
「・・・私は、私はロード・ジブリール氏を支持しておりません」
騒ぎ出す世界中の人々、本物はジブリールを支持してはいない、何故?
ジブリールの方は、全く動じず、まるで予想通りといった顔で鼻を鳴らす。
予想外の言葉を吐いたラクスにミーアは目の色を変えて噛み付く。
「何で!?何でよ!!何でそんな事言うの?」
「・・・」
「だって今貴女が居るオーブを救ったのはジブリールさんなのよ?彼のお陰なのよ?なのに何で!?何でそんな事言うのよ!!!」
「私は・・・」
「何よ!何よ、その弱々しい態度は!貴女それでもラクス様なの?何でそんななの?皆の前から姿を隠している間に腑抜けになっちゃったの?
何でよ!そんなんだったら最初から見つからないよう何所かに隠れててよ!!何で簡単に見つかっちゃったりしたのよ!!
・・・そうよ、私がラクスよ!私だわ!!貴女なんか違う!違うもの!しなきゃいけない事もしないで、悲しんでる人達の事なんか見捨てて!!
なのに何で今さら貴女が本物って・・・・おかしいわよ!!ずっと隠れてた癖に今さら貴女が本物で、貴女がラクスだなんて!!」
「あなた・・」
「私がやったのに・・・皆本当に悲しそうで、辛くて、癒したくて、それで私頑張ってたのに、何で私の全部最後になって持ってっちゃうの!!?
皆の悲しみが少しでも和らいでくれたらって思って頑張ったのに!みんなに笑って欲しくて・・・・それで・・ひっく・・ぐす」
「・・そうです、全て貴女の言う通りなのだと思います。私はずっと逃げ、私を信じて待ってくれている人々が居る事を知りながら、
それでも私は逃げ続けていました。本当に、申し訳ありません。ごめんなさい・・・」
ラクスだって本当は何とかしたかった。
けど、自身も傷つき、議長の手も伸びる中では何もする事は出来なかった。
ラクスだからこうでなければならない、そう決め付ける事は誰にも出来ない。だけどラクスは思い、感じていた。
一度自分が大きな存在となって、それを一度でも自身で受け入れたら、後になって無かった事になど出来ないのだと。
正直、全てを捨てて逃げ出したいという気持ちがあった。しかし今は
20
「ラクス、様・・」
「そうです、この戦争で人々を癒し、心を救い続けて来てくれたのは私ではなく、貴女なのです。
そう・・私ではなく貴女が。
だから、此れからは貴女として人々を癒して行って下さい。私の代役等でなく、貴女として。
世界の人々にはこの放送を通じて分かってもらえるはずです、皆を救いたいと本気で頑張ってくれたのは貴女なのだと。
貴女だからこそ皆を明るく元気付ける事が出来たのだと」
「あ・・」
「正直、私は貴女の事が羨ましい・・・感情を素直に表現できる貴女が、とても素敵で輝いて見えます」
「私は・・だ、駄目よ!私なんかじゃやっぱり駄目!!
皆が信じてるのは゛ラクス゛なの!ミーアじゃない!!ミーアの事なんて誰も必要となんてしてない!!議長だって要らないって言ったもの!
みんなみんな、何所行っても私は要らないって・・・・・
お父さんもお母さんも居なくなって、独りで淋しかった時も、誰も私の事なんて要らない!面倒だから要らないって!!
・・・・・ミーアじゃ駄目なの・・ミーアじゃ誰も癒されたりしないの・・・要るのはミーアじゃなくて゛ラクス゛なの」
「いいえ、貴女は要らない人なんかでは決してありません」
「えっ・・」
「皆さんはきっと貴女の事を必要としています。だって、貴女が世界中の人々に笑顔と優しさをずっと分け与え続けて来たのだから。
貴女の笑顔が皆の心を救ったんです。
私は、゛ラクス゛はただ逃げていただけの、罵られて当然の人だから・・・・ミーアさん、私は貴女に、居て欲しいです」
「・・っく・・・ひっく・・・・ラクス・・様」「ラクスでいいですわ、ミーアさん」
世界中に鼻水の雨が溢れた。
ずっと騙されていた事には腹は立つが、それでも今目の前に居る゛ラクス゛、いいや、ミーアは自分達を癒すために全てを懸けてくれていた。
自分達を救おうと頑張ってくれたのはミーア、人々は心から彼女に感謝とエールを送った。
ミーアとラクスの和解にラクスファンも感涙、ラクスファンの一部がミーアファンに移行する程だった。
ミーアは今、一人の歌姫として人々に迎えられたのだった。
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「まあ・・・何とも以外な流れになりましたが、皆さんもこれではっきりと憎むべき相手が心に浮かんだ事でしょう。
そう、こんな健気な少女を陰謀のために利用し、要らなくなったら捨てるようなあの鬼畜、デュランダルこそを倒さねばならないのです!!
ラクス・クラインは我々の事を支持はしないと仰いましたが、彼女の立場上、本心は別として私を支持する事は出来ないでしょう。
出来ないでしょうが・・・いずれ我々に賛同してくれるであろうと私は信じています」
放送は終わった。
「まあ、何にせよこれでデュランダルも何も言えまい。そうなると奴が取る選択は・・・くく」
「ジブリールさん!私オーブに行ってラクスさんと会いたい!」
「ああ、勝手にしたまえ」
「早くラクスさんに会いたいわぁー!絶対二人で話して、それで二人ユニット組むのよ!あっ、メイリンも一緒に連れて行きましょう!」
「(まったくもって・・・しかし○○○○○○の働きには驚かされる。まさか偽ラクスを上手くこちらへ連れ出してくれるとはな。
奴が居なければ状況は全く違っただろう。奴は信頼出来る、そして何よりも使える奴だ)」
「そう・・・あんたもあの人に助けられて」「でも・・・良かった!本当に良かった!!お姉ちゃんが生きて・・・・ひっく」
「もう泣いてばっかね!」「だってぇ〜」
ルナと再会したメイリン。メイリンはミーアと共にあの人物の手引きによって連合へと逃げ延びていたのだ。
『泣かせる姉妹愛だ』『オタク心を擽る光景だ』『メイリンまでかよ!俺の歌を聞きにわざわざ来たのか?』『何いってんのー?』
『泣けるな・・』『全くだ・・』『ルナさん・・・本当に良かった』
「良くないわよ!だって毎日毎日あんな事しなきゃならないんだもん!!」「お姉ちゃん?」
「あ、メイリン・・・あの、実はね?」
10分後
「そうだったんだ。てっきりお姉ちゃんが戦争のせいで頭が「おかしくなってなーい!!」
「そ、そうだよね、霊と会話してただけだよね」「そうよ・・ほら、見てて、ポルターガイスト起こるから」
『え?ちょっ!何勝手な事言って「やって!!!」
『しょうがない・・歌を歌おう』ハイネは歌い出す。
最初メイリンは全く聞こえなかったが次第に少しずつ音が聞こえてきて「な、何?こ、怖いよお姉ちゃん・・」
『放つ光〜闇に飲まれ〜♪』
「大丈夫よ、ハイネだもの」「ハイネって、あの?」
次第にはっきりと聞こえて来て、のりのりの歌がルナとメイリンの心に流れ行くのだった。『見続けてるよ〜♪』
ユウナ……
デュランダルが壊れて、ジブが支持集めて、無責任女王ラクスが自分の過ちを認めて偽者ミーアと和解かw
もう世界はいい感じに混沌ってるなw
カオスってるが……
この清々しさはなんだ!?
「あの人物」とは誰だろう?
本当は議長はもっと冷静にジブリールと対決するはずでした。政治駆け引きとか全然やれなくて、考え足らずで申し訳有りません。
22
「ここまでは計画通り、そしてデュランダルの奴は予想通り私を討つべく今、ヘブンズベースへの攻撃準備に入ったらしい。
全く、ここまで上手く行くと自分という者に恐怖さえ覚えるよ。私はここまで出来てしまう者なのだな、と。
それで、計画も最終段階間近である訳だが、私はそろそろ月に上がろうと思う。
へ?何故?そうだな、お前には教えて居なかったからな。くく・・お前になら教えても良かろう。実は月に・・」
゛知っているよ、最初から゛
「・・・・と言う訳だ。私はこの期に月に上がって最終段階へと入る。・・何?私は上がらない方がいいだと?
・・そうだな、地球圏外や今の状況を考えれば私が単身で出るのは危険だ、私が討たれたら話しにならないからな。ザフトの警戒も厳しい。
・・・そうか、お前が行ってくれるか。いや、お前になら任せる事が出来る、お前にこそ任せたい。
まあ、私も正直上へ上がるのは不安だったからな。まあ、私もここから通信で指示を送る事は出来るが・・・頼んだぞ」
「え、嘘!今からじゃとてもじゃないけど間に合わないし、如何しようアスラン・・・首になったりしないかなぁ〜」
「大丈夫だアーサー!俺が゛アーサーはテロ事件に巻き込まれて戻れません、不幸でした゛とちゃんと艦長へ伝えて置く。ああ、それじゃ」
休暇予定の日数を越えても戻っていないアーサー。
゛ぷにぷにフェスティバルCE73エロゲイザー゛に如何しても行きたくて日数を無視してしまった、ヘブンズベース侵攻に間に合わない。
「アーサーが居ないと詰まらないな・・・
ヨウランはさっき帰って来たと思ったら海星を頭に乗せてぶつぶつ言ってるし、艦長は帰って来てからずっと作業、クルー達も忙しそうだな」
一人基地の外れで金網に凭れるアスラン。
「・・・」
何だろう、如何してこんなに虚しいのだろう。
フェイスという力を手に入れたのに、進攻指揮もやりこなして見せたのに、デスティニーという微妙な力も手に入れたのに、
なのに、アーサーが居なくなっただけで、自分の周りには誰も居ない事を感じさせられる。
如何してだろう、俺は何も間違った事はしていないはずだ、戦争を終わらせるために戦ったはずだ、なのに何故誰も自分の周りに・・。
シン、ルナマリア、ミーア、カガリ、キラ・・・・・違う!あんな奴は敵でしかないんだ!そうだ、あんな奴・・・。
「そうだ・・出撃までエロゲをしよう、そうしよう(そうだ!アーサーさえ戻ればこんな気持ちは・・・)」
とぼとぼと部屋へ向かうアスラン、その後で目を細めるパトリック、その顔はとても悲しそうだった。『(こんなはずでは・・・)』
23
「そう・・如何しても貴女は残るのね」「お姉ちゃんを置いてなんて行けませんから・・・ごめんなさい」
オーブに一緒に行こうと言うミーアの誘いを断るメイリン、ルナの事を置いて行けない。
「それじゃあ・・・何時かまた、戦争が無い所できっと!」「はい!」
そして二人は別れた。
ミーアが荷物を引いて飛行機の前までやってくると、そこには。
「神は死んだ・・・神は死んだ」「ブルルルルッルウル・・・ピパー!」「ぼろぼろだ・・もう何もかもぼろぼろだ」
「・・・何?」
ぶつぶつ言いながら横たわるヒルダ、激しく回転しながら叫ぶマーズ、その二人を涙を流しながら呆然と見詰めるヘルベルトが居た。
「一体この人達は?」お付の連合兵に尋ねるミーア。
「彼らは・・その、少尉が尋問しようとしたらしく、その、それで遣り過ぎたとかでこんな様子になってしまったと」
「まあ・・」
それを聞くとミーアは駆け寄り、叫んで回るマーズをがしりと抱き止めた。
「あ!そんな事したら危ないですよ!!」
「大丈夫よ・・・大丈夫、あなたはもう大丈夫だから」
ぎゅっと抱きしめ優しく声を掛けてあげるミーア、その様子を生気の無いヒルダと目を赤くしたヘルベルトが見詰める。
「大丈夫・・ね?」
「あ・・あああっあ!ああああああああ!!!うわあ〜〜〜〜〜ん!!!!!」泣き出すマーズ。
ラクスグッズ破壊で傷ついた心にミーアの優しさが沁み渡り、彼の心に絶え間ない安心を与えたのだ。ミーアはヒルダにも手を差し伸べ
「貴女も・・」
「・・・め、女神だ・・女神が舞い降りた!」
傷ついたヒルダの目にはミーアの優しい姿が女神に見える、というかもう女神で決定だ、この人は女神だ。
「ミーア・キャンベル、早く飛行機に」
「あ、はい・・ごめんなさい、私はもう行かなければ・・・、本当は貴方達をもっと」
「ミーア・キャンベル!」
「はい!・・・あの、私は歌うから、だからその歌を聞いて欲しいの!きっと、貴方達の心に届くって私信じてる!だから・・」
ミーアはお付に引っ張られて飛行機へと乗せられ、窓越しに顔を見詰め合いながら離れていった。
「ミーア、様」「大丈夫かヒルダ?マーズも」
「ヘルベルト・・・あたし、分かったよ!女神が誰だか分かったんだよ!」「はぁ!?それはお前、ラク
「ミーア様なんだよ!ミーア様こそが真の女神だったんだよ!」「はっ!?何言ってんだよ!だって今までお前・・」
「そうだな!ミーア様ファンであるべきだ、俺たちは!」「マーズまで!」
「よっしゃあ!お前ら!これからミーア様ファンクラブを立ち上げるよ!」「おー!!」「・・・(ちょっ、何だそりゃあ・・それじゃあ今までのは何だったんだよ)」
24
ヘルベルトが二人と別れて一人で昔のようにひっそり個人のラクスファンをやり直そうかと思っていた頃、
オーブには連合からの支援が大量に送られていた。
オーブ本国が解放されたとはいえ被害が大きく現在復旧作業が始まったばかりで、結局難民達はスカンジナビア王国で暮らす事になる。
難民キャンプには復興に希望を持つ者も居るが、その逆も同じくらい居た。
難民達の間ではオーブ、連合、ロゴス、ザフトの様々な議論が起こっている。そして、シンについても。
「駄目だ、奴の事聞いても政府の奴等は分からないの一点張りだ」
「オーブ防衛に力を貸してくれたとか言われたけど、実際あの悪魔がそんな事本当にしたんだか」
「本当だとしても勝手な罪滅ぼしだろ?
良い事したから前の悪事は帳消しにしろってか?」
「駄目だな、政府は信じられねー。大体ロゴスとは結局如何だったんだ?何か全部有耶無耶じゃないか?」
「ほんと最悪だな。いっそこのままスカンジナビア王国の人間になっちまうか?」
「でも手続きとか法律とかあれだろ?っつーか何処行っても同じじゃねーか?」
難民達から溢れる不満、その様子を遠くからサイが見詰める。
「(ふん、政府が腐っていると国民も腐っているというのは本当のようだな。いや、国民が腐っているから政府の腐敗が止まらないのか。
やはりあの人の言う事は間違っていない、この世は腐っている。こんな世界は生まれ変わるべきなんだ。あの人ならそれが出来る)」
サイの目には今目の前にある全てが汚く醜く見える。
難民も、軍も、政府も、支援の手すらも、そして仲間達すらも。
サイが冷徹な目で難民達を見詰めていたその時
ががががが ズガー 突如爆音が鳴り響き、難民キャンプの一角が激しい炎に包まれた。
「大変だー!!MSが!」「逃げろー!!」
サイが煙の混じる風に顔を顰めながら辺りを見回すと、遠く遠方に複数のMSを確認する事が出来た。
「(ジン?あれは・・・・・ふん、全くこういう事をするならこっちにも情報をくれないと。
それとも向こうの一派の独断か?まあどちらでも構わないが、一応俺も出て行かないとな)」
MS部隊は全てジン、それも独自に装備を増強したと思われる機体達だった。
全部で五機、全ての肩アーマーにはKの文字がペイントされている。
ジンはマシンガンやバズーカを次々とキャンプへと撃ち出し破壊、難民達は兵の指示に従って大急ぎで逃げて行く。
25
「くそ!あいつら何でこんな事を!」
状況を聞き付けAAから飛び出して来たシン。
「何でこんな抵抗も出来ない人達を・・・」一瞬シンの脳裏に自分がしたデストロイでの虐殺の光景が浮かぶ。
「・・っ」
それでも、今は黙って見過ごす事なんて出来ない、自分が戦わなければ。
シンはアカツキが修理中で使えない事を知っていたので、代わりにAAの外に棒立ちで並んでいたムラサメの一機に乗り込んで機動した。
その様子を、後から追って外へ出て来たキラが見詰めていた。
「・・僕は(戦わないと・・・だけど)」
「死んじゃえ!!死んじゃえー!!!」「消え失せろナチュラル共ー!!!」「消えろ消えろー!!!」
次々に逃げ惑う難民達を撃ち殺して行くジン。
パイロットは全てコーディネイターで、ナチュラルに対して凄まじい憎しみを抱いている。
オーブの難民キャンプの情報を知り、そして世界の混乱に乗じて、彼らはその内に秘める思いを果たすべく出て来たのだ。
「手を上げて命乞いしてる馬鹿なんか真っ先に殺してやれ!」「ユニウスセブンの無念、今度こそー!!」
「くっ!」AA内のMSハンガーへとやって来たキラ、フリーダムの前へと駆け寄って乗り込もうとする。しかし「何をしてるんだいキラ?」
「サイ・・」
「これには俺が乗るから、キラは部屋に戻っていて」
「サイ・・・僕は、僕は!!!」
「キラはもう戦っちゃ行けないんだよ、分かるだろう?キラだってもう戦いたく無いだろう?」
「だけど僕は!」
「・・・今キラが出てちゃんと戦えるのかい?これは人の命が懸かっているんだよ?
出てってから戦えませんでしたじゃ済まないんだよ。分かったらキラは早くここから去ってくれ」
「・・サイ」
「俺はお前のために言っているんだ。
戦争をしているんだから戦えない人間は下がっていなければならない、せめて邪魔にならないようにしていなければならない。
それを教えてくれたのはキラでしょう?全く・・・邪魔だな」
サイはフリーダムに乗り込むと出撃し、キラはただ一人もやもやした気持ちを抱いて取り残された。「サ・・イ?」
26
「ふん!こんな敗国のMSなんか!」
難民を守るべく出撃したオーブのムラサメ達。
数は圧倒的に上回っているというのにジン一機すら落せず、逆にジンの正確な攻撃の前に次々落されて行く。奴等はプロだ。
ジンの進撃を何とか食い止めるので精一杯で絶対絶命、そこにシンの乗ったムラサメが駆け付ける。
「やめろぉー!!」
「何体来ても!!」
ジンの足に付けられた三連ミサイルが空を切って襲う。大きな爆炎が発生して黒煙が舞う。
「だから言・・・なっ!!」
撃破と思いきや、黒煙を切り裂いてムラサメが突進。
サーベルを抜き出して、すれ違うようにジンを一閃、胴から真っ二つにして爆発させた。
「ナルベージ!!ちっ!この野郎ー!!!」バズーカをニ連射。
「やらせるかぁー!!」シンは迫り来る凶弾をライフルで撃破、そのまま撃って来た奴に立て続けにビームを撃って撃破する。
「何だこいつ!」「強い!」「こいつはぁ!」
突如出現した強敵、彼らは焦ってシンに攻撃を集中する。
しかしシンの素早い操作に翻弄され、さらに隙を突かれて二機が撃破された。
「くっ・・・ここまでの奴が・・・・・ならば、せめてそこの奴等だけでも!!!」
「なっ何!?」
最後の一機はマシンガンを連射しながらダッシュ、シンが避けた隙を付いて守りを抜け、残骸を駆け抜けて避難する難民の方へ。
「や、やめろぉーもうー!!!」
ライフルで何とか止めようとするが、各部を撃ち抜かれながらもジンは止まらない。
「(駄目だ!絶対にもう!やらせちゃいけない!!頼む!当たれ!当たってくれー!!)」 ぱあぁぁぁん
その時、シンの中にある力、SEEDが激しい思いによって覚醒した。
シンの頭の中から何かがすーっと引いて行き、ぶれていた目の前の撃つべき相手をはっきりと捉える事が出来るようになる。
シンが何度か体験した事のある感覚、これならやれる!しかし「っ!?」
覚醒して数秒も経たず次の瞬間に、引いて行った何かが一気に逆戻りして行き、そして目の前の相手が再びぶれて見えはじめた。
「へ!?何で」訳が分からない感覚に戸惑うシン、それでもジンを止めるべく引き金を引いて、そしてビームは当たらなかった。
「我が友の仇、今取らせてもらうぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
そして、止まる事無く突き進んだジンは難民達の犇く一帯へと勢いよく倒れ込み、そして、難民達を巻き込んで自爆した。
27
「・・・」
戦闘が終わりAAの近くへと戻って来たシン。
その目には自爆したジンの姿が焼き付いている。恐らくあれで沢山の人が・・。
ムラサメから降りると兵達が駆け寄って来て、よくやってくれたとか助かっただとか色々言ってくれた。
兵達と一緒に難民達が居る方へ行くと攻撃を免れた人々が大勢犇き合っていた。
攻撃されたのはあくまでキャンプの一角で犠牲になったであろう人はそれ程多くは無い、多くは無いが人数の問題では無い。
泣き叫ぶ人々がシンの目に映り、
彼らの亡くした人の名を必死に叫ぶ声が胸に突き刺さる。
「お父さん・・・えぅ・・お父さんがぁ・・・」
黒煙で汚れた顔に涙を垂らす幼い少女、シンは彼女へと近づき震える声で言う。
「・・ごめ・・・なさい・・・・・俺、君のお父さん・・守れなくて」
「何だ君は?・・・・・お前、シン・アスカ・・」
少女を宥めていた男がシンに気付いて顔色を変え、そして睨み付けた。
兵は慌ててシンを庇うように間に入る。
「この人は今の襲撃から人々を守るために必死に戦ってくれたんだ!その、色々あるだろうが勘違いしないでくれ」
「・・・」男のシンを睨む目は変わらない。
「俺が・・もっと上手くやれていれば・・・」
「・・して」「へ?」
「如何して・・如何してお父さん助けてくれなかったの!?」「・・・」
「何でちゃんとしてくれなかったの!?如何して!!如何して守っ・・・・うわぁーん!!!」
「・・・ごめ・・あ」
泣き叫び地面で蹲る少女、シンはもうこれ以上何も言えない。
「君・・・もういいから早くこの子の前から消えてくれ、頼む」
「・・・はい」
兵に励まされながらAAの元へと戻る帰路、シンは自分の無力さと愚かさに苛まれた。
如何して守ってあげられなかったのか、如何して自分は殺す事は上手く出来て守る事は全然出来ないのか、
何故あの時、あの感覚が引いてしまったのか、シンはただひたすらに遣り切れなかった。
28
「出撃が遅れて申し訳無かったよ。君が全部何とかしたんだろ、シン?」
戻ってきたシンに笑顔で話し掛けるサイ。
フリーダムは出撃が遅れて結局戦闘に間に合わなかった。
「反ナチュラルのコーディネイターのゲリラ部隊という可能性が高いらしい。ユニウスセブンの犯人達に近い者だろう、たぶん」
「何も、出来なかった」
「・・犠牲者の事を考えているのかい?確かに、守れなかった命もあるけど、君のお陰で助かった命も沢山あるんだ」
「違うんだ!俺、俺は、本当は最後の自爆は止められたはずなんだ!」
「・・・何故、そう思うんだい?」
「それは・・」
シンはサイへと自分の不思議な感覚に付いて話してみた。
あの、戦闘中に行き成り自分の中に出てくる不思議な感覚、それによって別人のように変わるその力について。
「・・くっくく」
「何が可笑しいんだ?」
「・・いや、何でも」
「あの感覚があればきっと止める事が出来たはずなんだ。
なのに、あの時あの感覚が出たと思ったらすぐに消えて・・・・、もしあの感覚を持ったままだったら止められたはずなのに」
「そうか・・・よく分からないけどそういうのは気にしない方がいい」
「・・でも」
「今は少し休んだ方がいい。もしかしたらその感覚というのもシンが疲れ過ぎていてすぐに消えてしまったのかもしれないし」
「・・うん」
「頑張りすぎてもよくないよ(SEEDを持つ者、か・・・しかし覚醒がまともに出来なくなるとは・・・・まあ、SEED発現の理由を考慮すれば
覚醒の不発は恐らくシンの・・・・・あの人に聞くまでは分からないが。仮にそうだとすると、シンはとても可哀想な人という事だ)」
シンが部屋に戻りクルー達が支援で出払ったAA内、キラは誰も居ない廊下をふらふらと彷徨っていた。苦悩が離れない。
しばらくするとサイがやって来てお互い視認しても声を掛けない。そしてすれ違い様に
「キラのせいで出撃が遅れて人が沢山死んだ」
「!!」
「変に迷っていないで俺の言う通りにしてくれよ。じゃないと沢山の人達に迷惑が掛かるんだ。キラだって自分のせいで、とか嫌だろ?」
サイは意地悪そうな顔をしながらそう言うと去って行った。
キラにはただ苦しみだけが圧し掛かる。
シン&キラはそろそろサイの企みに気付くべきなんだ
「悪夢」
「あんたは俺が討つンだッ!今日ッ!ここでッッ!」
「くッ!」
「でやああああああッッ………………………………」
ワアァァァァ―――――――ッ!
歓声が聞こえる。
俺はやったんだ。遂にあの白い悪魔、ステラを殺したフリーダムを倒したんだ!
みんなが俺の勝利を称えてくれる。ルナ、レイ、議長にタリア艦長。ヴィーノにヨウランに副長に………
「ちょっといいかい?」
「え?」
こいつは……ケッあの不甲斐ない隊長様じゃないか。
人並みを掻き分けて俺の所に来たようだ。へっ嫌味のひとつでも吐くつもりかよ?
いいぜどうせ負け犬の遠吠えだ、存分に言い返してや……
「シン。彼らが君を祝福したいんだと」
え………ま、まさかこいつって大西洋連合の大統領と……あとこいつは確かオーブの………
「あなたには敵いませんッ!許してッ!」
「バカな……カガリ・ユラ・アスハ………」
「それとこの人がなんか……シンに挨拶したいらしくて」
バカなッ!こいつが………この女がここにいる訳がッッ!
「いや〜わたくしプラントの歌姫と呼ばれていい気になってましたわ。それにあ〜んなにお強いキラを難なく倒すだなんて♪
キラは種最強のパイロットとか呼ばれてましたけど、それもはやキラではありません。シン・アスカあなたですわ」
「なにいってンだよラクス。そんなんあッたりまえじゃん!」
「やっぱりィ?」
ほほう……こういうことって………たいていはそう。たいていは…………………『夢』
「やめてよね」
ズガァァァンッ!
インパルスの必死の一刀が見るも無残に紙一重で避けられ。
フリーダム、返しのビームサーベルでインパルスの上半身は横殴りに叩き斬られたッ!
「・・・・・ッ!?」
インパルス大爆発。キラはそんな光景を下らないものを見るかのように見下ろした後………
背を向けて去っていった。
「い、いや―――!シンが!シンが――――――ッ!」
「落ち着けルナマリア!斬られる瞬間コアスプレンダ―は分離している、シンは無事だ!無事………のはず……だ」
「作戦は失敗か。フリーダムは健在、AAは逃げおおせた……レイ。タリア艦長に進言してシンを回収してもらえ」
「あ、ああ………」
…………俺は救助された。俺はあんなに努力したのに憎いフリーダムを倒せなかった……
医務室で自己嫌悪してるとアスランが見舞いにやってきた。ふん、どうせ下手な慰めでも言うつもりだろな。
でも……今の俺にはそれだけでもありがたい気がする。完璧すぎる敗北に俺も気弱になってるんだろうか………
そんなアスラン・ザラ隊長はベッドで寝転んでいる俺を見下してこう言い放った。
「おいおい〜俺の分まで仇とってくれんじゃなかったのかよッ?デカいクチ叩いたわりには大した事ねえなお前?プ――――ッ!」
この日。俺は生まれて初めて心の底から憎しみで人が殺せたらいいのに……と思った。
サイ黒杉
キラは早く気付け……シンもヤバス
保守
つーか皆息子を思う気持ちが裏目って悲しそうなザラパパに心動かんのか
自分はせつなくなっちまったぞ
>>418>>419まさに悪夢だw
29
「シンこないよ・・」何時まで待ってもシンが来ない。
ステラは難民キャンプとは離れたスカンジナビア王国の医療施設で保護され、そこで優しい人々に介護されていた。
戦いの無い平和な場所、しかしステラは笑えなかった。
「シン・・・シンー!」
「攻撃まであと少しですね。
アスラン総指揮官殿、この戦闘どうか宜しくお願い致します!」
「ああ・・分かっている」
時が流れて早朝、遂にジブリールの居るヘブンズベースへの攻撃が始まろうとしていた。
海を渡ってザフトの大量部隊が集結、その指揮をアスランが取る事となったのだ。
総指揮官が戦場に出るのは普通では無い事だが、アスラン自身の判断によって彼自身もデスティニーで出撃する。
ザフト内の士気は実際の所あまり芳しくなく、皆議長に疑いの心を持ちながらも軍の命令で仕方なく従っている。
中にはこの召集を無視した部隊もあるらしい。
この戦闘、例えザフトが勝利しても世界の人々は議長を支持したりしない。
それでも議長にはもはや力押しで障害を潰すという手段しか取れないのだ。
何とかして勝ちたい、ジブリールを殺したい、議長はモニターで進軍する自軍の姿を見ながらジブラルタルの個室でお祈りをしていた。
「勝て、アスラン!絶対に!」
「ヘブンズベースが?あっそ・・」
「少尉は不安ではないのですか?ヘブンズベースは我々の総司令の・・」
「別に・・もう何か如何でもいい感じだし・・・どうせザフトに負けたりしないし」
ミューディーはヘブンズベースにザフトが進攻している事に全く興味を示さない。それよりも
「ミーア様ファンクラブが既にネット上に設立されている!?何て事だい!あたいらを差し置いて何をのこのこと!」
「こうなったら・・・・俺達も会員登録してファンクラブの一員になろう!!」
「そうだね!よし、早速会員手続きをしよう」
「・・こいつら結局何に使えるって言うのよ・・・この基地の食料や資材散々漁られて完全に害虫以外の何者でもないじゃない」
ヒルダとマーズの我侭な要望で次々と削られる基地の予算。
勝手に通販で取り寄せた物で溢れかえった部屋を見て、ミューディーは早く彼らに出て行って欲しいと強く願うのだった。
「こっちはラクスグッズのせいで多重債務に陥ってるって言うのに・・・あれ?何であいつだけ一人外れて」
二人とは外れて一人PCに顔を埋めるヘルベルト、その画面を覗き込むと
「ああ、やっぱり俺はこっちの方がいい」
゛ラクス様の歌を聞きながらのんびりお茶を飲んで夜更かしをする会゛のHPが映し出されていた。
30
「それではそちらはお願いします。レイ・ザ・バレル、レジェンド、発進する!」
「(大丈夫だ、きっと上手くやれば皆俺を・・・。今までずっとそうやって生きて来れたんだ、もうあの頃の俺とは違うんだ、だから大丈夫だ)」
自分で自分に言い聞かせるアスラン。
そう、今の自分には力も権限も自身もあるのだから。
そして、今は別の場所で戦っている(同人イベントで買い漁ってる)大切な友が居てくれるのだから。
だから、あの頃の俺とは違う!
「アスラン・ザラ、デスティニー、発進する!!」
数十分後
「うわぁー!もう駄目だー!」「くそっ!総指揮官!早く指示を!!」「駄目だ!全然応答が無い・・うわぁ!」
一斉にヘブンズベースに攻撃を仕掛けたザフト軍を次々と返り討ちにする連合のMS部隊。
デストロイが行き成り十機現れて地上部隊を全滅させ、さらに制式レイダー部隊が空中部隊を全滅させる。
アスランに指示を仰ぐがアスラン自身がデストロイ相手に四苦八苦していて全然指示なんて出してくれない。
ミネルバは何とか持ちこたえるだけで精一杯、レイはミネルバを守るのだけで精一杯、アスランは指示を指示をと皆に言われて一杯一杯。
降下部隊が基地の上から攻撃だ、でも連合の特殊大量破壊兵器ニーベルングでそれも全滅だ。
ケルベロスバクゥも参戦だ、でもデストロイの凄まじい威力のビームで薙ぎ払われて全滅だ。
「こんな筈じゃ!くそっ、これじゃあ・・・うわぁ!」
アスランを襲うデストロイの巨大ドラグーン攻撃、一度に三機分がデスティニーを狙って来てアスランはやられはぐる。
「も、もう駄目だ・・・う、うわぁぁぁぁぁ!!!」
アスラン逃走、敵前逃亡、デストロイに背を向けて一人でその宙域から逃げ出した。
「アスラン何を!?に、逃げるんですかー!?敵前逃亡は重罪ですよ!?」
「全軍撤退!撤退するぞ!もう駄目だ!全然駄目だ!ザフトが弱すぎて全然駄目なんだ!だから逃げる!!」
一目散に逃げたアスランの後を、嘘だろ?といった顔をしたザフト兵達が指示に従い逃げ始める。
しかし連合も逃がしてなるものかと激しい攻撃をし、逃げられたのはミネルバと僅かな艦隊、レジェンドと僅かなMSだけだった。
「(違う!俺が悪いんじゃない、悪いのは全然戦力が無いのにこんな戦闘をさせた議長だ!
俺は悪くない!悪いのは全然俺の力を引き出せないデスティニーだ!俺は、俺はーーー!!!うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!)」
コックピットの中で叫び頭を抱えるアスラン、心の中で必死に誰かのせいにしようとするも本心は誤魔化せない。
溢れる罪悪感と無力感がアスランを蝕み、激しい苦しみと悲しみが頭の中を無茶苦茶にした。
その姿を見詰める悲しい瞳が一つ、自分の行いと彼の行いを重ねて見えない涙を流した。
「馬鹿な!!!ヘブンズベース攻略は失敗だと!!?」敗退の知らせを受けて飛び上がる議長。
強引に戦闘を仕掛けた上に負けた、これでは・・
31
「ヤイカ達に動きがあるという情報から見ても、近い内に何かしらあると思います」
「そうですわね・・・私の方も上の方達と連絡を取り合ってみます」
ザフトの元同僚からの情報をラクスへと伝えに来たコクシ。
プラントの方で反ナチュラル過激派組織が動きを活発にしているらしい。
「例のMS盗難事件に彼らが関与しているとすれば彼らはそれを使って地球を・・・しかし、奪取されたのはジンが殆ど・・数は多いですが」
「ザフトの方もあの組織に対しては警戒しているし・・・大量部隊で総攻撃という訳でも無いだろうし」
「俺達、何やってるんだろうな」「うん・・」
物資コンテナの影に大事な所だけタオルで隠して裸で体育座りしているシンとキラ。
ちょっと前に天使湯に入ろうとしたら前の戦闘で空いた穴のせいでお湯が無く、裸で途方に暮れていた所に修理に来た女の人が。
思い切り痴漢と間違われて思わず二人で逃げ出してしまったが、裸で廊下を走ってたら他の人達にも見られて完全に痴漢に。
さらにAAの外へ逃げ出したら難民達に見つかって゛シン・アスカは悪魔じゃなくて痴漢魔だったのか!゛と誤解され、
涙を流して逃走した果てに連合の物資コンテナの影に逃げ込んで今に至る。
「何だかもう本当に俺駄目そうだな・・」「そんな事無いよ・・」
「殺戮者で悪魔で全裸で変態で露出狂の異常者として俺はこの先ずっと避けられて生きて行くんだ・・」「大丈夫だよ・・・えっと、たぶん」
「・・・あんた、フリーダムで出ようとしたんだってな。マードックさんがあんたとサイが話してる所見たって」
「・・うん、でも僕はやっぱり」
「マードックさん心配してたぜ。
゛最近全然顔見なかったけどあんなに思い詰めた顔するようになってたなんて、気付けなくて悪い事したかな゛って。
あの人いっつもMSの修理とかメンテとかで眠る時間とかも無くて、それでキラの事も・・」
「・・」
「キラの事ただ戦うだけのパイロットとしか見てない奴は沢山居ると思う・・・見てると殆どの奴がそうだと思う。
だけど、だけどさ・・・キラの事本当は気にしてる、大切な一人の仲間だと思ってる奴だって居ると思うんだ。
分からなかったり、見えてなかったりする奴も居ると思うけど、あんたと一緒に居られたらいいって思ってる奴は絶対居るんだ!
だから・・あんたが自分から閉じこもって余計分からなくしたり見えなくしたら絶対に駄目なんだ!
キラの方からそんな風しちゃ駄目なんだ・・・もっと信じてくれよ、皆の事を・・・・俺の事を!!」
「シン・・」
「キラが皆の事を自分の心で信じなくちゃ・・」
「・・・信じる、か。うん・・・・・そうだね。
僕はただ逃げていただけで、如何にも成らないって分かってたのにサイの優しさに甘えられたらなんて思って」
「あいつもあいつなりにキラの事心配してるんだと思うけど、言われた事自分でちゃんと考えないで鵜呑みにしてたら馬鹿みたいだろ」
「うん、そうだね・・・・・僕、もう一度皆を信じたい・・・信じられるようになりたい」
「キラ・・」
32
「ありがとうシン。何時も君に励まされてばかりで・・・」
「べ、別に・・」
「でも、シンの方も信じて」
「え?」
「自分の事・・・成りたい自分に成るのは自分にしか出来なくて、誰にも頼めない事だから。
だからシンも、自分を信じて」
「あ、あんたが言うな!」
「そうだねw」
「ところでサイが何度もあんたの所行ってらしいけど一体どんな事言われてたんだ?
まさかずっと暗くなるような事か?」
「暗くなるって・・・・えっと、その、何ていうか」
キラはサイに何度も゛俺がお前の代わりになる゛、゛お前は戦わなくていい゛と言われていた事を言った。
あとサイがちょっと前にすれ違った時、嫌味とも取れる事吐き捨てて行った事を。
「・・・なあ、あいつおかしくないか?」
「顔が?」
「違う!言ってる事だよ!
まるでキラを戦わせないのが目的みたいな・・・最初からキラの事落ち込ませようとしてるような」
「気のせいだよ・・・サイはそんな人じゃないよ。
あ、トリィ!もう、どこ行ってたの?そろそろメンテナンスしないと」
「なあ、それって一体何で動いてんだ?
ずっと飛んでるけど全然電池切れとかしてそうにないんだけど」
「核エンジンだったりして」
「・・・馬鹿、そんな訳無いだろ」
二人が話していると
「動くな!」
銃を構えたオーブ兵がこちらを狙いながら現れた。
「なっ何するんですか!!武器も何も持ってないのに銃で脅すなんて!」
「゛何も無い゛からに決まってるだろ!!」
「あ・・・しまった!全裸のままだった!!」「話してる内にすっかり忘れてたね」
「お前達を全裸罪で逮捕する!!」
シンとキラは全裸罪で逮捕されてしまった。
33
「・・・」
全裸で手錠を掛けられ連行されて行くシンとキラ。
その痴態を難民達に思い切り見られ、割と平然としているキラ別としてシンは顔を真っ赤にして今にも破裂してしまいそうだ。
「あら・・何て綺麗な体なの。美味しそう!」オカマに目を付けられるシン。
「もう関わらないようにしようぜ・・・」今まで叩いてた人達に哀れまれるシン。
「おかーさんあれー!ぞうさんぞうさん!」
「いやぁー!!見ないでぇー!!」
幼い女の子に指を指されて辱められたシンは今すぐ消えてしまいたかった。
その後シンとキラの逮捕は皆に知れ渡り、二人はカガリの前に連れて来られて
「こんな時に何をやっているんだお前達はー!!!」
ものすごく怒られた。
シンは今すぐイマジンと契約して゛全裸を無かった事にして欲しい゛と願いたかった。
「やってくれましたね、アスラン」
基地へ帰って来てレイに個室に連れ込まれて責められるアスラン。
実質敵前逃亡、兵の犠牲、指揮官として最低の働き、デスティニーも全く使いこなせてない、レイから次々にアスランを責める言葉が繰り出る。
「ギルは責任と対応に追われて今大変な事になっています。
世界の流れも完全にロゴス側に有利に、反議長の名の下に完全に我々は劣勢です。
それもこれも全ては貴方が役立たずなせいです・・・・・期待外れ以上に外れな人間ですよ貴方は」
「・・全て俺のせいか」
「アスラン・・・もっと力を見せて下さい!
貴方は本当はもっと優秀な人間のはずだ!私は!私はもう貴方にしか・・・・・ぐふっ!!うぁ!!」
急に苦しみ出したレイ。
「レイ!?お、おい!大丈夫か!?」心配して駆け寄るアスラン。
レイはポケットから薬のケースを取り出すと乱暴に中のカプセルをぶちまけ、それを一心不乱に口へと詰め込んだ。
「・・・レイ?」
「・・っ、ふう、う、ああ」
「大丈夫なのかレイ?」
「・・・もう、大丈夫です・・。
そうですね・・・もう時間も無く後も無い・・・・・なら貴方にも話して置くしか無いでしょう」
全裸罪・・・・・・・・・・
真面目な話してるけど全裸・・・・・・
ぷっっ
34
アスランに明かされるレイの全て。
アスランには明かすまいとして来たレイだったが、自分にもう本当に時間が無いと悟り全てをアスランへと話した。
「レイ・・そんな事が」
「だから・・・本当に私は貴方に力を見せて欲しいんです、全てを守り抜く力を。
私が死んだ後、議長の作る世界を守れるのは貴方だけなのです・・・そのための力だったんです、デスティニーは。
貴方は選ばれた・・・・貴方にしか出来ない、
シン・アスカを倒し、キラ・ヤマトを倒し、ロゴスを倒し、全てを優しい世界に帰せるのは。
私には議長が全てで、議長が作る世界は全てで、全てを守れるのはもはやアスラン、貴方一人なんです。
だから本当に貴方の本当の力を見せて欲しい・・・・・そして世界を、お願いしたいのです。
貴方も作りたいはずだ、自分の守る素晴らしい世界、アスラン王国を」
「アスラン王国・・本当に、作れるのか!?俺のアスラン王国が?」
「貴方なら出来ます、出来るはずです。
ですからアスラン、全てを貴方にお任せしたいのです!」
「(おやじ好きの変態に恋したおやじの事を守れとせがまれても正直返答に困る。しかしアスラン王国が実現出来るなら俺は・・)
分かった・・・俺が全てを守る」
「アスラン・・頼みます!」
そしてレイは去って行った。
アスランに託された一つの未来、それをアスランは自分なりの受け止め方をして、今それに向かう。
「アスラン王国・・・作れば今度こそ俺は・・。
(でも、本当にそれで・・・それに)アーサーはまだか・・・・・今も俺は、一人だな・・」
連合がザフトに勝った事によりロゴスの勢いはさらに高まる。
ザフトは強引が攻撃によって信頼をさらに地に落し、各地でザフト軍が撤退を余儀なくされる。
そして遂には連合艦隊が各地のザフト軍基地を攻撃、行き場を失ったザフト軍は次々に宇宙へと逃げ、
ジブラルタルの議長やミネルバ、アスラン達も宇宙へと撤退する事となった。
今地球上の殆どのザフト軍基地は消滅、世界は地上と宇宙で完全に勢力が分かたれた。
430 :
428:2007/06/07(木) 14:50:02 ID:???
割り込み
ぐぉめんなさぁぁぁい!!
>「顔が?」
>割と平然としているキラ
>アスラン王国
ワロタ
あと三人組でたった一人のラクスファンに癒されたw
>>430こちらこそ時間空けての投降ですまなんだ。
35
「アーサー!ずっと会えなくて心配していたぞ!!」
「すまないアスラン!
エロゲ輸送の手続きで時間が掛かった上、基地へ戻ったらもうミネルバは宇宙へ上がった後でここまで来るのに手間取ってしまって」
やっとアーサーと合流できたアスラン。
今彼らが居るのはプラントと少し離れた所に建造されている中規模のザフトターミナル。
プラントへ向かった議長とは別れ、アスランやレイらミネルバ隊はここで補給受け後は指示待ちとなっている。
「しかし地球から追い出されたらエロゲが買えない・・」
「プラントには売ってないのか?」
「所持は禁止されていないが販売、製造は全面的に禁止されているんだ、悲しい事に」
゛おい!起きろ!スウェン起きろ!゛
誰だろう、俺を呼ぶ声が聞こえる・・・どこかで聞いたような聞き覚えのある・・
「起きろっつってんだろ!!」
「・・・シャムス」
薄っすらと差し込む光を感じて、スウェンと呼ばれた男は目を覚まして、目の前の男を見て名を口にした。
「シャムス・・・俺は・・」
「何でこんな事になってんだ?つーかお前大丈夫か?」
「俺は・・・・!!!
何故だ!?何故俺は生きている!!何故俺・・・」
叫びながら振り向くとそこには、コックピットの狭い下方で額から血を流して死んでいるセレーネの・・
「う、あ・・母さ・・・う、うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
「スウェン!如何した!?おい!」
「あ゛あ゛・・・・・・っ」
スウェンは絶叫の末に気を失ってしまった。
「何だ今の声は!?」
「タロウ!よく分からねーが、取り合えずこいつを運ぶの手伝ってくれ!」
乙、セレーネ・・・(´;ω;`)
セレーネ死んだ?
続き期待保守
36
地球圏内からザフトをほぼ追い出し尽くした連合。
地上では反デュランダルのナチュラル、コーディネイターが結束し、未だに反ロゴスを信じるナチュラル、コーディネイターと激突している。
ザフトの一部兵は連合へと下り、そしてその逆もまた存在する。
宇宙では既に連合の月部隊とザフト軍の、無数の小規模戦闘が勃発しており、混迷は人が居る全ての場所で深まって行く。
プラントでは議長派と議長退任要求派のやり取りが行われつつも決着は付かず、
次々に起こる戦闘の対応のためもあって議長は未だにその座に居座っている。
実際議長が退任した所で事態を解決出来る者等今のプラントには存在せず、少なくとも現状が少しでも収まるまでは
議長の存在を強引に除く事は出来なかった。
同じ頃、連合部隊と何度も交戦していたミネルバでは。
「デスティニー着艦した・・・整備を頼む」
「新たな敵部隊を確認、アスラン・ザラは整備が済み次第直ちに出撃されたし」
「・・・くそっ!(切が無い)」
何度出撃しても戦闘は終わらず、戻っては出て、戻っては出て、アスランは次で十数回目の出撃だ。
「アスラン大丈夫か?もし無理そうなら艦長に頼んでみるぞ?」
「大丈夫だアーサー・・・俺なら、俺なら出来る!」
「アスラン・・・流石はアスランだ!余りの格好良さに感動して涙が出てくる!」
「そうだろう・・・俺は、ザフトのエースだからな」
モニター越しに疲れを全く顔に出さないアスランだったが、既に心身共限界が近く、アスランは超強がっていた。
「甘やかすなよアーサー」「これくらいで音を上げられたら困る」
「え?みんな、そんな・・・アスランは一生懸命なのに」
アスランとアーサーの会話に割って入るザフト兵達。
「は?ふざけんな!こいつが無能なせいで何人もの仲間が犠牲になったんだぞ?」「ったく、今度尻尾巻いて逃げたら許さないからな」
アスランに冷たく当たる兵達。
ヘブンズベースの一件以降アスランはザフト内で人々に酷い扱いを受け続けている。
何度も避難する声や見下しの言葉を吐かれ、今もアスランが一番無理して何度も出撃しているにも関わらず、
「もっと早くしろ!」「休んでる暇があったら自分で整備してくれませんかね?」と酷い扱いを受け続けている。
「分かっている・・・俺が何とかする、だから」
「伝説の赤服とか昔はちやほやされてたみたいだけど、今じゃ大へまの疫病神だな」「ほら、さっさと準備できたら行けよ」
「・・・」
「アスラン・・・皆酷すぎるぞ」
「いや、いいんだアーサー・・・・大丈夫だ」
今さら何度出撃して何度活躍しても、誰もアスランの事を良い目で見てはくれない。
皆アスランを叩くばかりで、それでもアスランは黙って戦い続けていた。
「(あの頃に戻ったみたいだ・・・・・いや、ミネルバでのあの頃か?
でも、俺にはアーサーが居てくれるんだ・・・そうだ、たった一人でも俺の事を・・)」
37
゛何で星は光ってるの?゛ ゛星が『自分達はここに居るよ』って人に教えるためよ゛
゛何で教えて来るの?゛ ゛星は誰にも見られていないと寂しいからよ゛
・・・本当かな?
「・・・俺は」
蛍光灯の眩い光の中目を覚ましたスウェン。
ぼやけた目をしてベットから体をゆっくりと起こすと、辺りには二昔前を思わせる古びた一室の光景が目に付く。
「起きたかい?」
声を掛けられて左に首を曲げると、そこにはタコスにヨーグルトソースをかけて食べている、エプロンドレスを着たおじさんが。
「・・・誰だ?」
「私かい?そうだねぇ〜、私はタコスをこよなく愛する砂漠に名を馳せる有名人、アミーゴタコス列島支店のアンドリューだ」
「・・そうか、変質者か」
「いやいやいやいや、この格好は制服だから。
タコタコターコス♪美味しいタコース♪いけてるタコスはアミーゴターコースー♪えへ♪」
がっ 「ぴっ」 どさり
アンドリューは後から横殴りされて気絶して倒れてしまった。
「ったく!やっと仕事し出したかと思ったらふざけた事してんじゃねーよ!!」
「シャムス・・・こいつは何だ?」
「・・・糞だ」
「そうか・・糞か」
「・・ああ、えーと、体は大丈夫なのか?」
「・・・生きている」
「いや、生きてるじゃなくて」
「何故俺は生きているんだ・・・、俺は死んだはずだ」
「よく分からねーが、何だ、お前も俺と同じようなもんか?
俺も死んだと思ったら生きててこんな何も無いような島で生きる事によく知らん内に」
「違う・・・俺は、死んだんだ。
なのに何故生きている?何故俺が生きているんだ?」
「お前・・・如何したんだ?」
38
「じゃあDSSDから?」
「はい・・・死に物狂いで脱出して・・」
スウェンより先に目を覚まして体力をある程度取り戻し、タロウにこれまでの経緯を説明しているソル。
「亡くなられたあの女性、あの連合のパイロットが少しでも助かる可能性を上げるために銃で?」
「分かりません・・・分かりませんけど、あのパイロットと一度ちゃんと話をしてみたい・・」
「この島に商売で来た船団がぽんこつになったあれを乗せて来てな。
ここに来る途中で見つけたらしいが、金になりそうだとかで・・・・おい、本当に大丈夫か?」
「大丈夫だ、続けてくれ」
「この島に来てコックピットが無事だったから開けてみたら浸水してなくて、中には生きてる奴が入ってたんだと。
それで俺も確かめてみたらお前だった訳だ。
びっくりなんてもんじゃねーよ!
あんな状態でパイロットが生きてる上にそれがお前だったんだぜ?
んで、一緒に乗ってた奴と一緒に引っ張り出して保護してやったんだけどよ、
何故か一人だけ銃で頭撃ち抜いた女がぶん投がってたんだよ。
確かめた奴によるとあれは自殺らしいぜ?
角度と密着して撃った時に出来る火傷から判断したんだとよ?
・・・で、本当は如何なんだ?
お前の事だからどうせ自分が助かるためにあの女撃ち殺したんだろ?
まあ仕方ねぇよな、死にたく無いだろうしよ。
ぶん投がってた薬の空見ても代謝抑える薬は二つしか無かったみたいだし。
何か毒みたいなのの一つも空いてたけど、あれはあの女が打ったのか?打つ意味が分からねぇが。
ま、中の空気は全然余裕だったみたいだし、あの女は無駄死にみたいなもんだろうな」
「・・・」
「別に嫌味言ってる訳じゃねぇぜ?
いつ助けが来るか分からねぇんだし、無駄に酸素使われるよりは殺して確実に二人助かるの選ぶ方が懸命だし。
仮にぶち殺してなくても、一人だけ腹空いて脱水症状起こしてどっち道死んでたかもしれねぇんだ。
ま、楽に死なせてやっただけお前は優しいぜ?w」
「・・そうか、だから俺は生きているのか」
「しばらくここで休んでな。
まあどうせ連合に戻っても何かの任務に失敗したんじゃおちおち戻れねぇだろうけどな」
「・・俺は生きているのか」
39
自分は死んだのだと思っていた。
任務に従い、任務に忠実に、任務を守るために、湧き出る恐れを抑えながら自分でそれを選んだはずだった。
なのにそれは、自分が最も憎いはずであるコーディネイターの手によって変えられた、救われたのだ。
あの時俺は、母さんのようなあの女と共に過ごした僅かな時間の中、少しでも゛夢゛を取り戻す事が出来た気がしてた。
少しでも、自分が死ぬのはあの女を救うためだという事を嬉しく思っていた。
なのに、俺が命を懸けて救うはずだったその女は、命を懸けて俺の命を救おうとしたのだ。
何故あの女が?
出会って間もないよく知りもしない、コーディネイターのあの女が何故、ナチュラルの俺のために・・・。
「・・」
母さん・・・だったのかもしれない、あの女、セレーネ・マクグリフは。
母さんはコーディネイターに殺されて、あの女は俺のせいで死んで・・殺したのは俺だ。
母さんは俺に・・?
違う、殺したのはコーディネイターで・・・でも、母さんはコーディネイターで・・
「・・・」
分からない、もう何が理由なのか、何が本当なのか。
一つ確かなのは、自分が生きているのはあの女、セレーネのお陰という事だけ・・・
一人ベッドに横たわって物思いに耽るスウェン、彼は自分では気付かなかった。
こうして思い悩むという事をずっと封印して来たという事を。
そして今その枷が消えて、思い悩み悲しむ、人としての心を取り戻し始めたという事を。
「・・母さん。う、くっ!う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」
低い唸りを上げて何かを堪えるスウェン、何故だか湧き出てくるこの思いに今はただ体を振るわせるしか無かった。
「そうか、あの二人の生存は無いと」
「確証は有りませんが、もし二人が連合と上手く接触していたら何かしらの反応が有るはずです。
それに彼からもそのような情報は一切」
「あ奴から情報が無ければまず大丈夫だろう。念のためオーブのあの者には注意するよう連絡を送れ」
「向こうから送られてきた情報についての返答は?」
「既に纏めてある、一緒に送ってやれ。
あと追伸で、出来るなら殺さず残せ、反応次第では使いようがある、と」
40
「みなさーん!ミーア・キャンベルでーす!!」
「うおー!ミーア様ー!!!」「うひょー!!」「ミーア様見てる!こっち見てくれてるよぅ!」「ほひゃはやはやひゃぷひゃー!!!」「ミーアたん!」
オーブへ到着したミーアは難民の一部と支援に来てた連合兵の一部とスカンジナビア国民に大人気。
今後について検討中だったラクスの元へ押し掛け、
訳が分からず困っているラクスを無理矢理引っ張り出して外へ行き、
そのままお付の者が操縦するムラサメの両手にそれぞれ乗って野外即席ライブコンサートに。
「そっれじゃー行っくよー!!」
「あの、えっと、はい?ミーアさん?」
ライブが強制開始した。
仕方なくラクスも一緒に歌い出し、スカンジナビア王国に喧しい大音量が迸った。
のりのりの観客が一緒になって踊り出し、配給のおっさん兵達も踊りながら配給、難民も踊りながら食事する。
その光景は全国ネットで放送され、
全世界のラクス、ミーアファンが熱狂する。
「ふん!子供っぽくてちょっと頭が足りないカガリ様が一番だい!」「全くだ!」
オーブ兵の殆どはラクス、ミーアのファンには成らない、
皆カガリ様が好きだからだ。
一部のオーブ兵がラクス、ミーア人気に嫉妬してカガリ様ファンクラブのサイトで愚痴を大量に溢している。
「あほだ・・」「ラクス・・」
釈放された帰り道にその光景を見たシンとキラが顔を青筋立てながら棒立ちに。
AAのモニターに突如映ったライブ光景を見たミリアリアはお茶を思い切り噴出していた。
「ディスコ!ディスコよ、ムウ!!」「うひょー!!激ナウだぜぇ!」
バカップルは二昔前所か四昔くらい前の言葉を吐きながら一緒に踊り狂っていた。艦長仕事してない。
連合対ザフト
「負けてたまるかー!!」「うおー!!!」命を懸けた宇宙での激戦。
オーブ
「ラクス様の貧乳がより引き立って見える!!」「これは・・・お互いの胸の大きさと小ささがそれぞれをより引き立たせているのか!?」
世界は混迷していた。