もしもマフティーが種・種死世界に来たら 其の弐

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1通常の名無しさんの3倍
とりあえずまとめサイトだけ
ガンダムクロスオーバーSS倉庫
ttp://wiki.livedoor.jp/arte5/d/FrontPage
2通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 00:22:36 ID:???
まだ、やるのか、
この糞スレ??
3通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 00:25:30 ID:???

前スレ
もしもマフティーが種・種死世界に来たら
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1158677001/
4通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 00:28:47 ID:???
>>1
 ( ゚Д゚)っ  乙ならあるぜ
  ( つ 2/

  ( 。_。)っ
  ( つ 2/

  (゚д゚ )っ
  ( つ 2/

  ( ゚д゚)っ
  ( つ 2/

  ( ゚д゚ )っ
  ( つ 2/
5通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 00:40:36 ID:???
>>1乙!
そして>>4こっち見んなwww
6通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 00:43:22 ID:???
>>1の犯した過ちはスレ住人が乙する!
7通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 00:46:06 ID:???
>>1
ラクス様のために!
8通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 01:36:24 ID:???
>>1
機動戦士ガンダム乙eeD -閃光のパヤパヤ-
9通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 03:13:41 ID:???
糞つまんねぇSSまだやんのか?
10通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 03:41:54 ID:???
そりゃあ、「もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら」ぐらいのクオリティでやってくれたら、
有難いことこの上ないが、「糞つまんねぇ」って言い方はここで頑張ってる職人さんに失礼だろーが。
まあ、あっちのスレにだって1人だけ明らかにクオリティが低いのがいるぐらいだし、こっちのスレにも
そのうち上手い人の1人2人降臨してくれるさね。
11通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 04:58:03 ID:???
クオリティ低いとかほざいてる奴はSS投下してからぬかせよ
12SSサーファー☆:2006/11/05(日) 05:07:55 ID:???
職人さんがんがれ!
13通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 05:09:15 ID:???
>>11-12
自演乙
14通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 12:07:27 ID:???
>>11
そんなにSSみたいのなら一人で妄想でもやってろ

その通りだ。ギルバートの言う通り、実質的な軍事的勝利を積み上げていく他あるまい。

何よりも『地球連合』の士気を削がねばならない。膨大な物量で来る敵に対して最も有効な戦法だ。

俺は自分でも気が付かない内に『プラント』が『地球連合』に勝利する為の方策を練り始めていた。
心のどこかで『プラント』に勝利をもたらしたい、という欲求が生まれている。

嘗て自分の世界では『地球連邦』という圧倒的な戦力の前に屈した『ネオ・ジオン』の事を思い出した。

当時はまだ自分は餓鬼で『彼ら』の志をまるで理解できず、盲目に一人の少女を自分自身の手で取り戻したいという、浅はかな『欲望』に取り付かれていたのだ。
そして、結局は少女は死に、『あの人』達も還らず、地球圏は腐敗した一部の特権階級の愚者の手によってそのまま汚染が続くことになった。

俺は『彼ら』の意思を継ぎ『ガンダム』で戦いを挑む決意をした。
そう。勝ち目は無いに等しかった……圧倒的な戦力を相手に――

意識が過去から現代戻った。追憶の旅は一瞬のことだ。
そしてギルバートは俺の思考を読んだかのように話を続けた――

「ハサウェイ。その事で君に頼みがあるのだ。現在、我が軍は『グリマルディ戦線』で連合の『月基地』攻略の為の作戦を遂行しているのは知っていよう?」

「ああ、『プトレマイオス基地』の攻略だろう?思うように進んでいないみたいだな」

C・E70年5月3日に『ザフト軍』は『地球連合軍』の月面にある『プトレマイオス基地』を目標に侵攻を開始した。
月の裏側にある『ローレンツ・クレーター』に橋頭堡となる基地の建設を開始し、その結果、両軍は『グリマルディ・クレーター』を境界に二分し、以後は小競り合いを繰り返している。

このことから月の最前線は『グリマルディ戦線』と呼ばれるようになったのだ。
戦局としては完全に膠着状態に近い有様だ。


ギルバートは更に話を続ける。

「その事だ、一週間後に、『地球連合』の重要な軍事資源提供拠点基地である『エンディミオン・クレーター』攻略戦が開始される予定だ」

「ほぅ、今までに無い大規模な作戦になりそうだな?」

今までの小部隊による小規模な戦闘が中心になっているのにザフトの上層部は業を煮やしたのだろう。
一気に大勢力を投入するのか……戦略としては間違ってはいない。戦力の消耗を避けるには最適だ。

「その通りだ。月の裏側にある『ローレンツ・クレーター基地』のほぼ全兵力とプラントから派遣される増援部隊を投入する事となろう……」

ん?ちょっと待て。どういうことだ?
俺は慌ててしまった。部外者の……しかも未だ『民間人』の俺が聞いて良い話ではないぞ!!

「おい……『部外者』の俺にそんな作戦の『重要機密』を漏らしても構わないのか?」

ギルバートは飄々と俺の詰問に答える。
まるで風を受けてふわり、と浮かぶ柳のようだ……

「構わないさ。『当事者』である君に作戦を漏らした所、別に困るわけでもあるまい?」

なんだと?今この男は何と言ったのだ?俺は困惑する。
俺の顔に出てるであろう困惑をギルバートは完全に無視しながらとんでもない事を俺に要求した……

「君への頼みと言うのはこの事だよ。『エンディミオン・クレーター』を潰してくれ――」

「なに?」

俺の三半規管が麻痺したかと思った。それ程、意外な申し出だったのだ。

ギルバートは淡々と話す。まるで実験結果が解りきった事を話す科学者のように。
決まった方程式を当てはめれば自ずと答えが明らかになる問いに答える数学者のように。

「あそこを潰す事により『連合』は重要な軍事資源提供拠点を失う――そして我々は月の軍事拠点を増やす事ができる。そしてあわよくば月の支配権を握れるのだ」

「無茶苦茶な事を言ってないか?」

俺は喉に何かが絡まったような感じでしか喋れない。この男は一体、何を言っているのだ?
男はニヤリ、と冷笑しながら続ける。

「そうかな?君が今までやった事に比べれば容易だろう?」

「だから……どうやってやるんだ?」

俺の喉はカラカラに渇いていた。

彼は周りに聞こえないように、そして囁くように俺に語りかける。眼差しが妖しく光る――
その眼差しにゾッとなる。

「――『ガンダム』……あれを投入してもらう――」

「……なんだと?」

室内の温度が一気に下がった。
冷や汗が出る。同時に眩暈もだ。

急に周りのに空気が凍てついて来たようだ。

敢えて忘れようとしていた俺の『分身』……
復活するのか、あの『白い悪魔』が

そしてギルバートは予言を語る神官の如く厳かに告げた。

「そうだ……『マフティー・ナビーユ・エリン』、預言者の王よ。我々に勝利をもたらしてくれ」


>>つづく
18通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 22:40:59 ID:???
GJ
19通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 22:57:37 ID:???
GJ!
ギルは動き出したが、ハサはこの申し出を受けるか否か?続きに期待します。
あと細かいことですが、ギルのセリフで
「その事だ、〜〜」は
「その事だ。〜〜」の方が良かったかと。
恐らく打ち間違いとは思いますが、気がついたので。気に障られたら、すみません。
20通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 23:43:14 ID:???
GJ!
ハサウェイが一種の英雄願望に近い物を抱いているように見えました。
まだ、アムロほど老成してないですね。(当たり前か)
やはりハサウェイも学ぶべきか・・・

この申し出を受けるか受けないかで、この時点でのハサウェイの「覚悟」がわかりそうです。

次回も楽しみにしております。
21通常の名無しさんの3倍:2006/11/05(日) 23:58:03 ID:???
GJ!
……しかし、なんと言うか…………鷹さんが鷹さんになれるのか不安だ。
22通常の名無しさんの3倍:2006/11/06(月) 00:29:09 ID:???
クシィーだけで地球制圧可能じゃね?
23通常の名無しさんの3倍:2006/11/06(月) 00:40:46 ID:???
制圧は不可能だろう
殲滅は可能だろうけど
24通常の名無しさんの3倍:2006/11/06(月) 03:49:47 ID:???
どっちも無理。
局地戦では無敵だろうがな。
25通常の名無しさんの3倍:2006/11/06(月) 17:06:27 ID:???
>>21
余りにも酷い負けっぷりの際には無理やり英雄を作って味方を鼓舞する方法も
あるから大丈夫。要は生き残ってさえいればいい
26通常の名無しさんの3倍:2006/11/06(月) 19:05:30 ID:???
アスターテのヤン・ウェンリーみたいなもんだな
27通常の名無しさんの3倍:2006/11/06(月) 19:12:14 ID:???
もしかして殺すには惜しいとか思って、
新マフティーに勧誘したりとか・・・>鷹の人
28通常の名無しさんの3倍:2006/11/06(月) 22:15:21 ID:???
>>21
ナデシコのアロハ提督のことかー
29通常の名無しさんの3倍:2006/11/07(火) 00:00:51 ID:???
>>10
俺、アムロスレってみたことないんだけど、あそこってそんなにレベル高いの?
30通常の名無しさんの3倍:2006/11/07(火) 01:13:08 ID:???
他のスレの話はよそうぜ

俺は当ても無く会場をぶらついている。先刻のギルバートの台詞が頭に響く。

『答えはこの場でする必要は無い。だが最長で3日しか待てない……それまでに決意を固めてくれマフティー。君がこの世界を正しい方向に導く事を信じているよ』

俺はそう大層な人間ではないのだがな。

――『Ξガンダム』――

確かに『俺』と『ガンダム』なら可能だ。
いや、できる。
『エディミオン・クレーター』の軍事資源提供拠点基地どころか連合の『連合艦隊』や『MA』など物の数ではない。
月に集結している連合軍を壊滅させることも可能だろう。

『だが、それは本当に正しい事なのだろうか?』

疑問はいつも其処に辿り着くのだ。
この世界の技術を遥かに凌駕する『テクノロジー』の集合体である『ガンダム』をこの世界で使用してもよいのだろうか?
『世界』に災いの種を撒き散らす事にならないのか?と自分は『パンドラの箱』を持っているのだ……

気の向くまま会場に隅にあるカウンターにまで足を伸ばした。
一杯やろうかと思う。こういう時は酒に限る。
だが、そこには『先客』がトグロを巻いていた。
特大の『蛇』が。その蛇は俺を目敏く見つけると……

「よう、話は済んだのかな?」

ラウはグラスを傾けながら俺に声をかけて来た。

「『人気者』のハサウェイ君はご機嫌斜めのようだな」

「うるさい」

と俺は殴る真似をしながら苦笑する。こんな冗談をいつの間にか互いに言えるようになっている。
お互い性格が捻じ曲がっているから妙に馬が合うのだろう。
『異郷』の地でこんな『悪友』ができるとは思いもよらなかった。

ラウは俺を隣に誘った。
正面ではバーテンターがカクテル、水割りなどの『洋酒』を中心に準備している。
俺はカウンターの席に着きラウは酒を勧める。

「まぁ、飲めよ。これは私の奢りだ」

「ああ、頂こう」

グッと飲む。
旨い。こんな酒は久しぶりだな。酒はこんなに美味かっただろうか?
俺はお代りをもう一杯、注文する。

カランカラン

酒の入ったグラスを回し中の氷が良い響きを立てながら砕ける。
ラウは俺に問いかけてきた。

「――どうする?」

「ん、どうするかまだわからない」

「――そうか」

また静寂が訪れ、グラスの氷が砕ける音が響く。
先程のギルバートの申し出の件だ。
出撃するのか、そtれともしないのか?
彼は別に明確な答えが返ってくることは期待していないのだが。

話が一旦、中断してしまったようだが、唐突に仮面の男は別の話題を切り出す。
『明日の天気は晴れだろうな』と言うように。

「実は……私は『人類の滅亡』を考えているのだ


「そうか……」

俺は驚かなかったし冗談かと笑い飛ばしもしない。

「クク……驚かないのだな?冗談だと思っているのだろう?」

「いいや」

「フン……君だけだよ。あの『ギルバート』でさえ最初は目を白黒させてたぞ」

「……憎しみを感じる」

彼はまたクッと喉の奥で笑い、一気にグラスに入った酒を飲み干す。
仮面で表情を見せず口元でしか判断できない。
そう、『この男』も表情を見られるのが嫌いなのだろう。

「流石は『ニュータイプ』……いいな……フフフ、そう言えば『言葉で解決できなきゃダメ』という馬鹿な格言を残した奴がいたな?誰だったかな」

「『人と人とが心で分かり合えるなんていうのは嘘。何もしないで分かりあえるわけないというのがある』という妄言だろう?」

俺の同意にラウは嬉しそうに強い蒸留酒を飲み干す。

ゴクゴクゴク

フゥ、彼は一気に飲み干しす。あれはかなり強い酒だと思ったが……あんなにガブガブと飲めるものなのだろうか?
またお代わりを注文した……一体、何杯目だ?

「なぁ?もし、私が君の前に『敵』として現れたら……どうする?」

「殺す」

奴が望む単純明快な答えをくれてやった。
実際、俺は何の躊躇いも無く実行に移すだろう。

『不殺』とか『汝の敵を愛せよ』などと言う戯言は俺の辞書には一切記されていない。
無論、抵抗できない奴や降伏した敵は殺さないが。

俺もよく冷えた酒を喉に注ぎ込む。冷えた液体なのに喉を熱く焦がす。

「クククッ、フハハハッ……」

ラウは腹を抱えながら笑った。
俺には仮面の男は俺の答えに心から嬉しそうに笑ってるように見えた……

「そう!本気で君は言ってくれている。私が敵対したら君は躊躇無く私を殺すだろう!!だから、私は君が好きなのだ!」

些か、興奮しながら俺への好意を表す、『友人』を見ながら俺もとんでもない事を口に滑らせてしまった。
……後から考えたらかなりの『鬱』が入っていったのだろう。

「――俺も広い意味では『地球人類』の抹殺に賛成している男だ。地球を汚染する人類を叩きだす。宇宙に出た以上、人は重力に『魂』を縛られる必要はない」

「ふん、その点、『私』と『君』は似ているどころか同類だな。だが私は『破滅志向』だそ?君は宇宙に出た『人類の革新』とやらを信じているのだろう?」

「ああ。だが、そこまでの『インテリジェンス』を求めるには人類はもっと血を流さないといけないんだろうな」

ラウは俺のその言葉を聞いて益々笑い始めた。

「最高だな人は……!!どこの『世界』に存在しても互いに『殺し合い』『憎みあう』か。ククッ……」

しかし、俺はそれに相反するアンチテーゼをもまた知っていた。

「だがな……俺が餓鬼の頃に『ニュータイプ』が『人の心の光』の『奇跡』てやつを起こしたのを目撃したんだ。人々の思念が放出され、光となって地球を包んだ」

それは確かに奇跡だった。
ラウはその話に興味深げそうな姿勢を見せた。

「ほぅ?それでどうなったのだ?」

「地球は『破滅』から救われたが……現状は結局、何も変わらなかった。で俺が代わりに彼らの意思を継ごうとしたわけだ」

「ふむ?だが、君は敗れたのではなかったかな?」

痛いところを突かれた。

『U・C世界』でオーストラリア・アデレートにて行われる『連邦中央閣僚会議』の粉砕を宣言した俺は法案の破棄を要求し会場を『Ξガンダム』で襲撃した。
はっきり言って勝利する事は論外に近かったし特攻に等しいと思う。だが、どうしてもそのような理不尽な事は止めさせなくてはならなかったのだ。
その時に、因縁の『キルケー部隊』、『ペーネロペー』と再び交戦し熾烈な戦闘を展開した。

俺は『ペーネロペー』の『レーン・エイム』を完全に追い詰めたが、恐らくは『ケネス』が指揮を執った作戦で設置されたビーム・バリアーによって機体ごと絡められてしまった……らしい。
その後、病院で目が覚めたわけだ……異世界の。
『戦闘』には勝ったが『ケネス』に敗れた。

……辛辣なラウの一言に対して俺はめげずに反論してやった。

「……戦闘には勝ったんだよ」

「負け惜しみだ」

ああ言えばこう言われるのだ……話題を変えよう。
ゴホンと咳払いをする。

「まぁ、向こうでは俺は『死んだ』ことになっているだろうな……だが、必ず俺の『意思』を継ぐ者が現れる……はずだ。その意味では『敗北』とはいえまい?」

その言葉に何か感じたかのようにラウは反応する。

「そういうものなのか?だが……私の『意思』を受け継ぐ者などいるのだろうか……?」

「いるさ、必ずな……おいそれより、お前少し飲みすぎだぞ?」

だが、俺がその言葉は彼には届かなかったようだ。
見ると仮面の男はカウンターでうつ伏せになって完全に酔い潰れていた。



>>つづく
36通常の名無しさんの3倍:2006/11/08(水) 03:03:08 ID:???
GJ!!
ハサウェイとラウの掛け合いがいいなぁ。
会話の内容自体はとんでもないんですけどねw
デュランダルとの会話よりもこっちの方がやっぱりいいな。

会話の中に非常に面白いネタが挿入してありますな。
しかし、この世界にもいたとは・・・

それにしても、ラウが物凄く人間臭い。
仮面をつけたまま酔いつぶれるなよ。

>「そういうものなのか?だが……私の『意思』を受け継ぐ者などいるのだろうか……?」
ラウは「自分の生きた証」みたいな物を残したかったんですかね?
それと同時に彼は、それを恐れているような印象も受けます。
やっぱり自分が「クローン」である事に、無意識のうちに囚われているでしょうか?
もし彼が結婚し子供を儲けていたらどうなっていただろうか、と妄想してしまいます。

また次回も楽しみにしております。
37通常の名無しさんの3倍:2006/11/08(水) 03:58:32 ID:???
何かジーンときた…
GJ!
38アルケミスト:2006/11/08(水) 10:54:52 ID:tI/2bt1q
ハサウェイとクルーゼの会話に私は違和感をまったく感じません。
この二人は、意味合いは違えど人類抹殺を考えています。方やハサウェイは地球を食いつぶすものたちを殺害し、
方やクルーゼは本気ですべてを滅ぼそうとしている。その点が違うだけで二人はとても似ています。
私は、この二人がC.Eにどんな風を巻き起こすのか楽しみです。
39通常の名無しさんの3倍:2006/11/08(水) 13:29:32 ID:???
>「……戦闘には勝ったんだよ」
>「負け惜しみだ」

なんというか心の友ってやつですかw
GJ!
40通常の名無しさんの3倍:2006/11/08(水) 21:21:03 ID:???
GJ!!
ハサウェイとクルーゼの絡みは、読んでてついにやりとさせられる
SEED 閃光のハサウェイ氏巧いな
41通常の名無しさんの3倍:2006/11/09(木) 22:50:37 ID:???
”光”ある所に必ず”影”は出来る
吉良たちが自称”光”ならハサウェイたちは間違いなく”影”の世界の住人なんだろうな…と思う
闇社会とかマフィアとかそう言う世界に身を置いているんだと思う
だったら道は交わる事は無いな
42通常の名無しさんの3倍:2006/11/10(金) 09:20:23 ID:???
クルーゼもハサウェイも人間の醜さを嫌と言うほど見てきているからな
43通常の名無しさんの3倍:2006/11/10(金) 13:01:29 ID:???
なんか荒れてたようだが、ハサウェイって言う誰も書きそうにない主人公で書くのはすごいよ。
小説読んだことなくて、中身はGジェネでしか知らないんだけど凄く興味もてた。
職人さんのおかげだ。ザフトサイドも珍しいし楽しみにしている。今後がんばってくれ

俺は溜息を吐き、酔い潰れたラウに肩を揺するが彼は既に『夢の世界』に旅立ったようだ。
気持ちよく寝息を立ててるのを見ると良い夢を見ているらしい。

……うらやましいことだ。
薄情にも見捨てて帰ってやろうかと思ったが『優しい』俺は友人を観衆の晒しものにするほど鬼ではない。
と自分の心に言い聞かせる。

俺はさて、どうしようか?と思案に暮れていると、

「――ハサウェイさま?」

控えめな声がこの後の思案に暮れていた俺を現実に引き戻す。

『ベルトーチカ』を名乗る彼女が俺の目の前に立っていた。
そういえば、俺も彼女も周囲を人に囲まれゆっくりと語っている時間がなかったのだ。

「君か……見ての通りだよ。こいつ酔いつぶれやがった」

俺はこの『悪友』を餌にして彼女との会話を楽しもうとした。
美人との会話は気分が良い。
丁度、恰好な話題のネタがここで『アザラシ』のように寝そべっているのだ。
使わない手はあるまい。

彼女は『まぁ』と軽い驚きの仕草をする。その仕草を見ながら
中々可憐だな……と目の観賞を楽しむ。

「クルーゼさま……『ラウ』のこのような姿を見たのは――私、初めてです……」


ベルトーチカは心底驚いているようだ。
それはあたかも長年の知人や友人の意外な面を見たことに驚嘆するかのようだ。

今、彼女は『クルーゼ』では無く『ラウ』と彼のファーストネームをしかも呼び捨てにした。
彼女は、ラウと親しい仲なのだろうか?と僅かに嫉妬に近い感情が生まれる。

「君は驚いているようだけど、こいつとは長い付き合いなのかな?」

「ええ、そうです。私にとって小さな頃に可愛がってくれた優しい『兄』のような方ですね」

「『優しい』……誰が?それに『兄』……?こいつが……?」

俺は完全にカウンターで酔い潰れている『仮面男』を疑わしげに見つめる。
――この『破滅嗜好』の『マゾ野郎』が優しいね……と自分の事を棚に上げて俺は心の中でラウを罵る。

「ええ、『優しい』『兄』達です。私もそうですが……年の離れた『弟』の事をとても大切になさっています」

「『弟』……?」

思考が停止した。そう、とっさに俺は誰の事かわからなかったのだ。
ラウの『弟』……やはりその『弟』も仮面をつけているのだろうか?
と不埒な考えが浮かぶ。

「ぶっ――!」

「?……どういたしました?」

「い……いや、なんでもない――」

「……?」

俺が不真面目な妄想に浸ってるとは気がつかずにベルトーチカは話を続けた。

「――『レイ・ザ・バレル』……ラウが現在、重要な軍務についてる関係で、今はデュランダルさま……『ギルバート』が引き取り彼の元で生活しているようですね」

「ああ、レイの事か……そういえば『仮面』を抜かせば……似ているな」

俺はギルバートの元で暮らしている金髪の『美少年』を思い浮かべた。
町を歩けば同じ年頃の少女が10人中が10人が必ず振り向くであろう。
やはり……人生とは不公平なものだ。
こいつも『イケメン』というわけだ……だから仮面を被ってんのかよ。

『遺伝子』を都合良くコーディネイトしてもやはり限度があるのだろう。
元が駄目ならどんなに弄っても駄目なものは駄目だ。

「そうか……レイはこいつの『弟』だったのか……こいつみたいに『捻くれた』性格にならないように注意しないと」

俺は酔い潰れてる仮面『アザラシ』を見つめてそう呟いた。
彼女の前なので、こいつの事をかなりソフトに表現してやったつもりだ。

彼女は口元を隠し鈴を転がすような声でクスクスと笑いながら

「酷い事をおっしゃりますわね。当人の目が覚めているときに今と同じ事が言えるのですか?」

「いいや」

俺は胸を張って轟然と言い放つ。

ベルトーチカは俺の態度に一瞬、呆気を取られたが直ぐに笑いだした。
少しポイントをずらし過ぎたのだろうか?

「仲がおよろしいのね。少し羨ましいです」

「ははっ、馬が合うんだよ。お互い捻くれてるから――」

「いいえ――純粋だからです」

べルトーチカの言葉にその俺は口ごもる。他人に俺の何がわかるのだろう?
嫌なことを言う子だ……俺は話題を無理やり変えた。

「――そう言えば、ギルバートとも君、親しかったんだったよな?あいつはここの有力な『パトロン』と聞いたのだが」

「ええ、それだけではありません。私にとって『ギルバート』もラウ同様に親しい『兄』のようなお方です」


==================================


結局、あれからお互いがそれ程、理解できるほどの親しい話をしなかった。
彼女の……『ベルトーチカ』の事は何一つわからなかったのだ。
ギルバートとラウが彼女の幼い頃から親しかった程度の事しか理解できなかった。

あの後、俺は酔い潰れている仮面男をネタにして彼女を相手に冗談を続けただけだった。

そして、夜が深けた為に会場を辞す事となった。
ギルバートは別件が入った為に俺達に先に帰るように言ってくれた。

迎えの車の前までベルトーチカは俺達を送ってくれた。

「じゃあお休み。良い夢を」

「はい。ラウの事をよろしくお願いいたします」

「ああ、任せとけ。ザフトの『トップ』エースが道端で酔って倒れてるなんて事件は明日の朝刊には載らないよ」

「まぁ」

お互い笑い合いながらお別れを言う。
別れの間際に彼女は俺に何かペンダントのようなものを手渡した。

「ん?なんだいこれは……?」

「ハサウェイさま――戦場にお戻りになるのならば――どうぞこれをお持ちになってください」

「え?」

何だと?彼女は今何と言ったのだ?
その疑問を投げかける前に手渡されたものを見て愕然とした。

「これは――!?」

「お守りです……きっと――貴方を護ってくれます――」

「どうして……どうして、これを……この『紋章』を君が知っているんだ……?」

赤い『ユニコーン』のエンブレム ……まるで『A』か『M』の文字とを模し合わせたかような。

俺はこの『エンブレム』を知っている!……知っているどころではない!!

これこそ俺の生き様を変えた男の一人。
――『伝説のニュータイプ戦士』――

「これは貴方が受け継ぐべきもの……『ν』の『意思』を継ぐ者は――」

――『Ξ』――
 



>>つづく

49通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 01:10:11 ID:???
GJ!
しかしこれは一体・・・?
『ベルトーチカ』がこの世界の住人であることはほぼ間違いなさそうだし、
しかしそれではエンブレムとハサウェイに投げかけた言葉の説明がつかない・・・
生まれ変わりとでも言うのだろうか?
50通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 01:14:02 ID:???
GJ!!!

>赤い『ユニコーン』のエンブレム
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
51通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 01:45:20 ID:???
ktkl! GJ!
52通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 04:00:37 ID:???
GJ!!!!
つーか、あれか? アムロがアルダで実験材料!?
うわ! すげえ!!!!
53通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 08:10:49 ID:???
まずはGJ!
しかしこりゃ偶然同じ名前って事は無いって事だよなあ。
でも小さい頃とか言ってるんだから本人じゃ無いし・・・
子孫か?
ついでにアクシズで漂流したあげく、この世界でジジイになった
シャア&アムロ出てきたら最高なんだが。(ウソ
54通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 08:26:01 ID:???
GJ!!!
つーかベルトーチカ!
お前誰だYO!?
ハサウェイと「同じ」なのか、それとも・・・
55通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 14:03:11 ID:???
他の異世界ストーリーとのコラボじゃまいか?アムロinCEとか。
つーか、引っ張られてwktk!少年の頃、月曜日に週間ジャンプを探していた頃の気分だw
56通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 14:08:29 ID:RbDKK9F8
GJ
57通常の名無しさんの3倍:2006/11/12(日) 22:22:25 ID:???
忘れた頃にぬるぽ
58通常の名無しさんの3倍:2006/11/12(日) 22:29:23 ID:???
>>57
ガッ
59通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 18:52:23 ID:???
落ちそう
60通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 19:33:58 ID:???
一日二日で落ちるものかよ

俺は帰路の車の中で呆然と自分の手の平に乗っかっている『エンブレム』を眺めていた。
あの後、俺は余りにも混乱していた為に何をして良いか分からないまま彼女によって車に乗せられてしまったのだ。

そう、彼女、『ベルトーチカ』から何一つ具体的な事は聞き出せなかったのだ。
というよりも俺自身が混乱していた所為だろう。
俺自身が何を彼女に口走っていたかもわからないのだ。

――赤い『ユニコーン』―― 

それは手の平にすっぽりと隠れる程の小さくて簡易なペンダントになっていた。
俺にとってこの『エンブレム』こそ永遠の憧れであり、俺がいつかは超えてみたいと願った男が自らのパーソナルマークとして愛用していたものだ。

――見るとかなりの年季が刻まれていることがわかる。
俺は古物品鑑定ができないので当てずっぽうの推測でしかないが50年〜100年くらい前のものなのだろうか?
或いはもっと年月が経ているであろう。

繋がっている黄金の鎖は鍍金ではなく本物の『純金』でできているようだし『ユニコーン』自体が金板に赤い色で塗装されている。
手入れが行き届いており、このペンダントの持ち主が如何に大切にしていたであろうことがことがわかる。
彼女も大切にしてきたものなのだろうか?

『きっと――貴方を護ってくれます――』

彼女の言葉が脳裏に甦って来た。
俺は指先で『エンブレム』の感触を確かめた。

ひんやりとした感覚が指先に感じる。
それと同時に、何か熱いものが胸の奥から湧き上がって来た。

『これは貴方が受け継ぐべきもの……『ν』の『意思』を継ぐ者は――』

俺はベルトーチカの言葉を反芻しながら呟いた。

「『ν』を継ぐのは『Ξ』……か」

人類の革新を信じた伝説の『ニュータイプ戦士』
人類を粛清しようとした『赤い彗星』

その名前の大きさに俺は大きく溜息を吐いた。
俺には二律相反するものが心に宿っているのだ。

ここ数週間、平和で穏やかな日々を享受している内に俺の中で『戦い』は他人事のように遠いモノとなっていた。
しかし今日、MSに乗った事によりに確かに血が沸き立った。
その事が自分は所詮は『戦士』なのだと実感することとなった……

俺の『ガンダム』は『ニュータイプ戦士』が最後に搭乗したとされる機体『ν』の『意思』を継ぐという意味でこの名前を与えられていたいたのだ。

ならばこの『エンブレム』も必然的に俺が受け継ぐべきものなのだろうか……?

数奇な運命を経て俺は『ここ』に居る。
赤い『ユニコーン』は『運命」とやらに導かれるて俺の元に還るのも必然と言うわけなのだろうか?

『運命』に導かれるようにして『意思』とは必然的にそれに相応しい者に受け継がれていくものなのか……?
それは傲慢のような気もするし、俺は運命に導かれた勇者なんて上等なものじゃないと思う。

これは何か仕組まれたものなのだろうか?
あれやこれやと疑問は生まれていく。

――そして『彼女』は『ベルトーチカ』は一体、何者なのだろうか――?
そう、疑問は尽きない……が俺は既に『戦場』に戻る事を決意していた。

====================================

ギルバートの邸宅に到着した俺達に屋敷の執事ヴァーンズさんが出迎えに出てくれた。

「これはハサウェイ様……それにラウ様も……」

「ヴァーンズさん、申し訳ないのですが、寝室の用意をしていただけませんか?こいつを放り込んでおきたいんです。お願いします」

「おお!もちろん!ラウ様の『お部屋』も当然このお屋敷にございます!しかし……本当にお珍しいことで……」

ヴァーンズ執事もギルバートと親交の深いラウの普段のライフスタイルを熟知しているはずだ。
彼のこの酔態の姿に意外の念を禁じえないのだろう。

「ラウ……?」

屋敷の奥の方で少年の声が聞こえてきた。
ヴァーンズ執事が慌てて声のほう向かって話し掛ける。

「おお、坊ちゃま……まだお休みではなかったのですか?」

「ヴァーンズ……?物音が聞こえて目が覚めたんだ。こんな時間に誰か来たのか?」

金髪を揺らしながら夜着姿のレイが奥の方から現れてきた。
シンプルな白いパジャマにナイトガウンを纏った姿だ。
彼は俺とその肩に担いでいるラウの方に気が付くと慌てて、

「ノアさん……?それにラウ……!どうしたんですか?!ラウの具合が悪くなったんですか!?」

彼の顔色は青ざめている。
今にもラウが瀕死でどうにかなりそうかと思っているかのようだ。

図太いこいつが、そう簡単にくたばる訳が無いだろう。
恐らく、戦艦の主砲の直撃を受け、搭乗しているMSが完全に爆散しても死ぬことはないだろう。

「単に酔いつぶれてるだけだよ。浴びるように飲みまくってたからね」

俺は笑いながらレイに説明した。
馬鹿話に盛り上がりお互い飲みまくっていたが自分より倍近く飲んだラウの方が先に潰れた……と
レイは俺の話に唖然としていたが気を取り直したかのように

「あの……ノアさんはラウ……『兄』とは知り合いだったんですか?」

「今日、知り合ったんだよ。それで意気投合してね」

苦笑しながら今日のことを説明した。MSの模擬戦から始まって一連の話を簡潔に彼に説明した。
無論、MS模擬戦とは建前でお互い相手を殺そうとして本気になり、互いのMSが中波したことや互いがニュータイプの感応をしあった事は伏せたおいた。

いつでも互いを何の躊躇いも無く殺せる事が確認でき、自分らが似たもの同士の『性格破綻者』ということが分かったこと。
それも相互理解の切っ掛けにもなったことなど。

その事でに妙に馬が合い『人類滅亡』が共通の話題となって『世界絶滅論』や『人類抹殺論』で盛り上った事などレイには言わないでおく。

彼は不承不承のようだが一応は納得の姿勢をみせてくれた。
そして、俺と執事のヴァーンズさんは、幸せそうに寝こけてる『仮面アザラシ』を寝室に放り込む為に行動を開始したのだった。

俺はラウを寝室に放り込むと、ヴァーンズさんはコーヒーでもどうでしょうか?と勧めるので
コーヒーでも飲んで一服する為に居間に向かっていった。

居間にはヴァーンズさんが先に来てコーヒーを淹れる準備をしてくれていた。

そしてレイがソファーに座り佇んでいた。
彼は俺が居間に入ってくる事に気が付くとこちらに近づいてきた。

「あの……ラウは?」

「ベットに放り込んできた。今も爆睡しているよ」

彼は困惑の表情をしながら

「俺……『兄』のあんな姿を見たの初めてなんです……」

普段は大人びた端正な顔立ちが幼く見えた。
そして年齢相応の表情を見せてくれる。

君は自分の『兄上』に幻想を持ちすぎている。こいつがそんな大層な玉か?

俺はレイがブラコンで『兄』をそんなに『絶対視』しているのかと思い、突っ込んでやろうかと悪戯心を出したが……
あんまりにもレイの方が真剣なので止めておいた。

「あんなに『隙』だらけのラウ……こんなこと今まで一度もなかったのに……」

「あいつも一応は軍人なんだ。命を張っていると、たまには羽目を外したくなるものだよ」

「いえ。そんなはずは……」

俺は敢えて軽い口調で真剣すぎるレイの態度を解き解そうとした。
だが彼は思慮深い表情を見せながら深く考え込んでいるようだ。

ヴァーンズさんは控えめにレイを促す。

「坊ちゃま……そろそろお休みになりませんと……」

この屋敷の執事でありレイの事をギルバートから全面的に任されているの親愛と責任感からの心からの忠言だろう。

「ヴァーンズ。俺はもう少しこの人と話がしたい」

レイはやや強い口調でヴァーンズさんの言葉を遮った。
彼もいつもは素直であろうレイのその意外な言葉の強さに些か驚いている。

「坊ちゃま……わかりました……それではハサウェイ様……御用がありましたらいつでもお呼び下さいませ」

彼は一礼すると俺とレイに熱いコーヒーを淹れてくれると彼は居間から出て行った。
レイが俺に自分に聞かれたくない話をしたいことを察したのだろう。
執事の鏡だ。良くわきまえている。

そしてここに残っているのは俺とレイだけとなった。

フカフカのソファー深く腰を沈ませながら暫くコーヒーを啜る時間がこの場を支配した。
よい豆を使っているな……と感じる。悪食の自分にはもったいない。

俺はレイを促してみた。何か俺に話したいことがあるのではないか?と
レイは姿勢を正すと俺に向かって

「……ノアさん」

と呼びかけてきた。

「僕のことはハサウェイでいいよ」

堅苦しいのは無しにしようと
レイの緊張をなんとか解くように話しかけた。




>>つづく
67通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 21:44:26 ID:???
GJ!
あああああ続きが気になるうううう
68通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 22:11:37 ID:???
GJ!!!
いいところで切り過ぎじゃーー!!
あぁ、気になる。

>『人類滅亡』が共通の話題となって『世界絶滅論』や『人類抹殺論』で盛り上った事などレイには言わないでおく。
クルーゼとハサウェイの違いが紙一重だと言う事がよくわかるセリフだ。
似た物同士だなw

ちょこっとエンブレムに関しての情報が出てきたが、まだ断定できる情報ではないな。
ベルトーチカの自宅に押しかけたい気分だ。

レイとの接触キターーー!
イカン!ハサウェイ!
純真な(多分)少年に良からぬ事を吹き込むな!

次回も楽しみにしております。
69通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 22:12:01 ID:???
GJ!
Ξの参戦が決定したな。
月面は阿鼻叫喚の地獄と化すのか・・・
ふと思ったが連合の「G」がガンダムヘッドなのも対抗意識からになったりするんだろうか?

そしてレイとハサウェイが会話を交わす次回にwktk。
70通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 23:01:54 ID:???
Ξなら種死時代でも圧倒的なアドバンテージ誇りそうだもんなぁ…
メビウスしかいない連合マジ脂肪www
71通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 23:14:44 ID:???
GJ
オーブのガンダム頭に対するこだわりの元がわかりそうだね
72通常の名無しさんの3倍:2006/11/14(火) 01:14:32 ID:???
ビームライフルはもちろんのこと無数のファンネルと大型メガ粒子砲×2本が月の連合軍に向けて連射されます。
73通常の名無しさんの3倍:2006/11/14(火) 10:44:39 ID:???
ファンネルってミサイルだろ?
そんなところで使っちまったら直ぐに無くなっちまうだろ
74通常の名無しさんの3倍:2006/11/14(火) 12:28:49 ID:???
大型メガ粒子砲だけで充分だろ。
種に存在するビーム兵器は全部プラズマを発射するらしいし(なのでビーム兵器と言う言い方は本来正しくないのだが)
荷電粒子砲とかは存在しないしな。(陽電子砲は荷電粒子砲の仲間といえるかもしれん。ちょっと微妙だけど)
75通常の名無しさんの3倍:2006/11/16(木) 01:53:07 ID:mY5r8q0D
age

「ハサウェイさん……」

まだやや堅苦しさが取れていないレイの為に
俺は苦笑しながら

「レイ。まだ堅苦しいね。ハサウェイと呼び捨ててくれよ」

彼は俺のその言葉に僅かに微笑すると

「……はい、ではハサウェイ――」

レイは思い切ったように姿勢を正すと俺に向かって

「『ニュータイプ』とはどのような存在なのでしょうか?」

「いきなりどうしたんだ?」

俺は驚いた。目を丸くしてしまった。いきなり何を言い出すんだ?彼は
だがレイはそれには構わずに熱心に話し続ける。

「ギルから――デュランダル外交補佐官から聞きました。『ニュータイプ』は人類が革新した真の姿だと――
  言葉によらず全てが分かり合える『偉大な存在』だと……」

「おいおい。それでは『エスパー』だ。『ニュータイプ』なんて単に多少勘がよくなった人間に過ぎないよ」

俺はわざとおどけた振りをしながらレイを諭そうとした。幻想を抱かれても困る。
『ニュータイプ』というのはそんなに便利な存在ではない。
俺自身を見ればわかるだろう?

レイは俺のその言葉を聞いていなかったようだ。
話を夢中に続ける。

「……俺は『ラウ』が他人に自分を委ねる姿を今日初めて見たんですよ。そんなこと今まで一度もなかったのに……」

「そんな驚くことではないだろう?僕はただ酔い潰れたラウをここまで運んだだけだよ」

「いいえ!!俺とギルにあんな姿を見せたことは一度たりともありません!」

「……」

俺は答えられなかった。レイにとってこの事は余程の衝撃だったのだろうか?

「貴方だけなのです。ラウの心に入っていった人間は……『俺たち』に絶対不可能だった事を――分かり合えたのでしょう?」

レイは俺のことをを感歎と尊敬と眼差しで見つめている……よせよ。
俺は尊敬される人間ではない。どちらかと言えば軽蔑され唾棄されるべき種類の人間だ。

「言葉なんて空虚なものですよ。『愛してる』や『信じる』なんてそんなものは言葉の遊びに過ぎません」

「……」

「ですが――『ニュータイプ』は違います!!そんな見せ掛けだらけの偽りを見抜くことができるのでしょう?」

「……全てが分かるわけでは無いよ。相手の感情がプレッシャーとして感じるんだ」

完全に誤解している。『ニュータイプ』がそんな存在だったら『あっち』の世界は理想郷とやらになっているだろうな。
俺は沈鬱な気分になった。

レイが何故か『ニュータイプ』という幻想に縋り付きたい事を直感で理解(わか)ってしまったのだ。
こういう時に『能力』があるのが堪らなく鬱陶しくなる。

俺はレイを誤解を正そうとして重い口を開く。

「まて、レイ。お前は誤解しているぞ……ギルバートから聞いていると思うが……俺が異世界の人間だ言う事は知っているな?」

「はい。聞きました」

「……俺の世界で『ニュータイプ』と呼ばれる人々は決して幸せとは言えなかった……」

俺は『ニュータイプ』と呼ばれた人達がどのような末路を辿っていったかを話した。

相手と共感しあえる能力や先読みする力を持ちながら戦闘に利用され、
そういった能力を時の権力者によって戦争に利用され続けたこと。

戦闘能力の高さだけが利用される傾向にあったのは、
戦争故の悲しさか『オールドタイプ』の権力者が『ニュータイプ』を恐れた故だろうとも。

レイは俺のその話に顔を曇らせている。
俺は彼の気持ちを感じながら話を続ける。

「偶然か、それとも必然なのか?ラウも『ニュータイプ』能力をもっていた。その力が彼を幸せにするのだろうか?」

「……自分を理解できる人間がいるということは幸せだと思います。ラウも俺もお互いしかいませんでした」

「……そうか」

「でも、ニュータイプの力があったからハサウェイとラウは理解しあえたのでしょう?それならばその力があるのはラウにとって幸せなはずです」

俺は考え込んでしまう。
ラウと『人類滅亡』の話題は確かに相互理解を深める切っ掛けとなったが、
本当はあの模擬戦での命のやり取りによって互いが『感応』しあった事がお互いを理解できることに繋がったのではないだろうか?と
真実、人と人とが分かり合えるのは『心』の繋がりがあった瞬間ではないだろうか?

『言葉』だけでは人は完全にお互いを理解できないのだから。

===============================

レイは厚かましいと思いますがと前置きが入り

「ラウ――『兄』の『友』になって頂けないでしょうか?」

思考タイムに入っていた俺はレイのその言葉に我に代えった。

「ん、俺はもう『悪友』と思っているが……?」

「……『悪友』?」

レイは俺のその言葉に首を傾げて、訝しげな顔をする。
俺はその場を繕うように

「で……ギルバートはどうなんだ?あいつは前からラウの『友人』だろうが?」

「ラウとギルは世間の言葉で『友人』と言えますかどうか……?」

「なんだ?」

レイはそこで口籠る。何か深い理由があるのだろう。
後から知った事だが、彼ら『兄弟』には俺に窺い知れない深い『闇』があったのだ。

「俺は奴を腕の良いパイロットで大切な『悪友』だと思っているが……それだけでは駄目かな?」

「いいえ。ですが……貴方にもっと『期待』してはいけないでしょうか?『ニュータイプ』の貴方に」



この少年は俺にラウの事を頼みたいのだろう。
彼にとって俺は自分には不可能だった事ができる人間であり、
そして『ニュータイプ』というものに憧れを抱いてしまったかのようだ。
俺が彼の期待に十全と答えられる人間ではない……が

まぁ、子供に頼まれた事を答えてやるのが大人のする事だろう。
レイの期待に答えられる事を祈りながら俺は胸を自分の胸を大きくどん!と叩きながら

「俺にできる範囲内ならやってやるさ。『この世界』で初めて出来た大事な『悪友』だしね」

レイは俺のその言葉に嬉しそうにしながら

「ハサウェイ……!!感謝します……お礼といっても……俺にできる事なら何でもしますから!!」

「気張るな。子供の癖に!」

俺はレイの頭に手をのせると長めの金髪をクシャクシャとかき回した。
レイは俺のその乱暴な親愛行為に対して嬉しそうに笑い

「なら……俺は『ギル』や『ラウ』に誓ったように貴方を信じます!」

レイは誓った。自分にできる事は、一度信じた相手を命を賭けて信じ続けることだけだと――
俺は彼のその『誓い』に対して笑いながら今度はレイの首に腕を回し、抱え込みながら

「それが生意気なんだよ!」

と俺は彼の『誓い』を受けとめた。


>>つづく
81通常の名無しさんの3倍:2006/11/17(金) 17:19:25 ID:???
ううむ…GJ!
今ちょうどファーストのシャリア・ブルが出てくる回見終わったところだったから
今回の話は結構タイムリーだった
82通常の名無しさんの3倍:2006/11/17(金) 18:06:55 ID:???
レイに救いがありそうだな…
GJ!
83通常の名無しさんの3倍:2006/11/17(金) 18:40:14 ID:???
GJ!!!
ある意味レイは、子供の時のハサウェイに似てるのかも・・・
賢しいレイですが、やはり子供には変わりない無いですね。

次回も楽しみにしております。
84通常の名無しさんの3倍:2006/11/18(土) 02:29:56 ID:???
GJ・・・レイがなんだか切ないですね・・・
85255:2006/11/18(土) 15:01:18 ID:???
今回もガンダムクロスオーバーSS倉庫に載せていただきありがとうございました。
余りに誤字脱字が多かったので【Ξ-Seed】の方の16話を修正させていただきました。

稚拙なSSの上に誤字脱字だらけで申し訳ありませんでした。

ウィーン ウィーン ウィーン ウィーン

――何処か知れぬぬドック内――

ドック内の照明は全て消えており、そこにあるものは暗闇のベールに覆われている。
だが、そこにはまるで生き物のように光る2つの光点。目を凝らすと薄っすらとその巨体の存在感を感知する事が出来る。

そう、2つのモノアイから漏れる光と機体の奥から漏れる可動音。
それは、膨大なエネルギーが凝縮されその場で爆発するのを何か強大な力が押さえ込んでいるかのような錯覚さえ覚える。

そこには異形のMSが鎮座していた。
通常のMSより2倍近くの体格と威風の堂々のその姿は全てのMSの頂点に立つ王者の風格さえ備えているかのようだ。

そのすぐ側には作業用ハンガーが設置されている。
そこに一人の男が佇んでいた。

「これこそ……『力』の象徴だ――古き世を破壊する象徴……」

男は設置されたハンガーからこの異形のMSを飽くことなく見つめていた。
長い間、微動せず見つめていると……男の背後から気配がして声が聞こえてきた。

「ご指示の通りに……」

「ご苦労だった。彼にちゃんと『あれ』を渡したね?」

「……はい」

男に声をかけたのは長い金髪の女性だ。
いきなり背後から現れ、それに驚いた様子も無く男は淡々と言葉を続けた。

「そうか……さぞ彼も驚いたことだろう」

男の反応に対して女性の方はその綺麗な顔に困惑の表情を浮かべていた。
軽く頭をひと振りしておずおずと話を続ける。

「本当に……あれでよろしかったのでしょうか?」

異形の巨人を眺めながら男は彼女に振り返ろうともせずに話し続ける。

「切っ掛けが必要だった。そう……何よりも有効な手段だよ」

男のその答えを聞き、彼女は泣きそうな顔になった。
その表情が幼い少女のようになる。

「……貴方は酷い方です」

「そう、言われるまでもなく私は『人でなし』だよ『ベルトーチカ』……『目的』の為ならばどのような『卑劣』な事もできる。
 ――『地獄』というものが本当にあるのならば……私はそこに真っ先に落ちる人間だろう」

ベルトーチカはその言葉を聞き、はっとした。
仕方が無い事ではないのだ……多くの人々の命運が懸かっている。
だが『彼』を利用する事に自分が心を痛めることは本当に欺瞞なのだろうか?

男は――『ギルバート・デュランダル』は自分の方を振り向きながら微笑していた。

――信じる道を進むだけだ。後悔はしていない――
と彼のその目は語っている。

彼女は思う。

人とは大切な人を欺き、全てを捨て去り
そして自分の命をも、天秤に賭けなければ物事を成す事はできないのだろうか?と


================================

チュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえる。

朝の日の光の中で俺は上等な寝具の中で目を覚ました。
無論ここは『プラント』でコロニーの中なので『地球』とは違い普通は朝と夜の概念はないだろう。
だが、偽物であり真似事とはいえ、これらの循環は正常な人間のライフサイクルにとって必要な事だ。

俺は大きく伸びをすると、本日の起床時間を知る為に豪奢なアンティークの置き時計で確認してみる。

『10:08』

よく寝ていたようだ。
二日酔いになっていないし気分も良い。
昨日のあの後、レイとその後にMS戦の話をして盛り上がり結局寝たのは4:00近くになってしまった。

まぁ、6時間寝れば十分だろう。

俺はシャワーを浴び着替えると食堂に向かった。
そこには執事のヴァーンズさんに給仕されながら遅い朝食を取っているラウの姿があった。
彼は頭を抑えてながら食事は然程進んでいない様子だった。

「よう、おはよう」

「……ああ」

「なんだ?二日酔いかよ?アルコール中和剤は飲んでいるんだろう?」

「私はその薬を飲む前から寝呆けていたのだぞ?今しがた……飲んだばかりだ。急に効く訳があるまい」

「そいつはご愁傷さま」

俺はラウに朝の挨拶の声をかけると彼の正面の席に腰を下ろした。
すかさず、ヴァーンズさんが俺に声をかけて来た。

「おはようございますハサウェイ様。よくお休みになられましたか?」

「ええ。ぐっすりと休む事ができました」

「ご朝食は何になされますか?無論、和風もありますぞ。ハサウェイ様の為に準備しておきました」

「それはいい。じゃあ、『納豆』にご飯にしようかな?」

「畏まりました」

俺の注文を受け、ヴァーンズさんは食堂から出て行く。
ラウは俺が注文したの朝食のある単語に反応する。

「まさか『ナットウ』とは……あのネバネバした腐敗した細菌が繁殖した物体のことか?」

「美味いぞ」

「うぷ……」

俺のその言葉にラウは口を抑えた。

「何故……腐敗したものをワザワザ口に入れなければならないのだ……?それも『サムライ』の習慣なのか?」

「人の食事の好みに口を出すなよ……『豆腐』は知っているか?あれと同じ材料だぞ」

「馬鹿な!『トーフ』と『ナットウ』を一緒にするな!『トーフ』はあの美しい『白い』食材のことだろう?あれは美味い」

「同じだって」

俺達はそんな馬鹿な話題で盛り上がりながら朝食を終えた。
食後のコーヒーを取っているとラウの方から

「……昨晩は馬鹿なこと口走ってしまったようだ……忘れてくれると助かる」

「ん?何の事だ?何も覚えてないけど」

俺は白を切るつもりだったが……どうやら上手くいかなかったようだ……

「フン、それならいいさ」

ラウも俺のその糞不味い態度に苦笑しながら応じた。

そして、これから彼と付き合う長い年月の間にそのやり方は互いに知られたくない事を
知ってしまった時の為の暗黙の了解となっていった。




>>つづく
91通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 01:05:24 ID:???
GJです
しかし最初のMS…
Ξなのか、それとも…
ともあれ、続き期待してます。
92通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 02:10:39 ID:???
GJ!!!
>「馬鹿な!『トーフ』と『ナットウ』を一緒にするな!『トーフ』はあの美しい『白い』食材のことだろう?あれは美味い」
ラウ、お前は何を言ってるんだw

議長・・・まさか赤い人じゃないよな?
赤いユニコーンと「ベルトーチカ」の名前の意味を知ってるみたいだし。
彼が赤い人だとちょっと興醒めなんだが、まぁ其れは無いだろう。
作者氏に期待だ!

次回も楽しみにしております。
93通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 02:13:34 ID:???
何、議長ハクオロとかふざけた事言わないよな。
台詞モロ同じだし
94通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 04:02:47 ID:???
GJ!
『モノアイ』が二つっていうとかなり限られるよな・・・
サイズとかを考えるとまさかα・アジール?

> そして、これから彼と付き合う長い年月の間にそのやり方は互いに知られたくない事を
> 知ってしまった時の為の暗黙の了解となっていった。

この分だとひょっとしてラウはヤキンで死なずにすむのだろうか・・・
95通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 09:28:10 ID:???
αアジールは倍じゃ効かないから、キュベレイくらいしか思いつかんな
身長はそれほどでかいわけじゃないけど横幅あるからボリューム的には倍近い
96通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 16:39:17 ID:???
30mクラスでツインアイ、クスイー以外のMSといったら、
クイン・マンサかペーネロペー?
30m級のMSって、凶悪な奴しか思い浮かばない…
97通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 18:20:18 ID:???
モノアイ2つとツインアイは違うんじゃないかと
98通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 18:43:35 ID:dyfJM9Uu
カメラアイ(ガンダム等に付いてる)とモノアイを間違えただけかも知れんな

デカイMSの代表格と言えばサイコガンダムがいるが…デストロイは時期的に早
すぎるしなぁ
99通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 18:59:21 ID:???
単純にΞの事だったり

私と彼を乗せた車はアプリリウス市 7区の郊外に向けて快走していた。
運転するのは私で、彼は後部座席で踏ん反り返っている。

================================

『付き合いたまえ。どうせ今日は暇なんだろう?』

私のデートの誘いに彼はつれない言葉を吐いてくれる。

『お前、軍の仕事はどうするんだ?出撃まで一週間切ってるぞ」

『本日は自主休業だ』

『……お前は艦長じゃなかったのか?オーライ!で、デートの場所は?』

彼は大げさにため息を吐きながら了承してくれた。

================================

――そして現在、楽しいドライブの最中という訳だ。
私はハンドルを握り、飛ばしながら彼に話しかける。

「踏ん切りはついたんだろう?」

「……まあな」

バックミラーに映る彼は気だるそうに私の質問に答える

「なら、私の元に来い。『ザフト』なら私の伝手で何とでもしてやれる」

軍の中で信頼できる同志が欲しいのだ。
同志と言っても通常の同志ではない。自殺志願者のような真似ごとをさせる為だ。

常人にこの話をしたら、直ぐに私は『頭のお医者さん』の元に送られることだろう。
その点、彼は申し分が無い。

「その事なんだが……正規軍に組み込まれると何かと不便になりそうだ」

「ん?どういうことだ?」

「今回の月攻略だ。俺は暫く裏方に徹しようかと思う。『向こう』でも『単独』での遊撃戦がメインだったしな」

単機のゲリラ戦で月のグリマルディ戦線に展開する『連合軍』を殲滅する。
私は呆れ返った。
本当にそんなコミックヒーローのような真似ができるのだろうか?

「軍を統率していった方が確実だぞ?」

私はまだ確実な方法を忠告してやった。
ザフトと『ガンダム』が連携を取った方が確実だろうと。

「『ガンダム』なら単独での殲滅が可能だ。無駄な犠牲を出す必要はあるまい?」

静かな自身を込めて彼は呟く。
まるで神託を語る預言者のようだ。

「……だが運搬はどうするのだ?戦艦(あし)が無いのに移動はできまい?」

「元々、単独行動で敵を殲滅する為の『ガンダム』だ……そうでなければ、『弱小テロ組織』が『巨大国家組織』とまともにやり合う事などできないだろう?」

「……そうか」

私は感嘆した。

異世界で彼は一人『地球政府』と戦っていたのだ。ならば……本当にやれるのか?

「見てろよ……月は地獄になるぞ」

彼は酷薄な笑みを浮かべていた……が

私は感動していた。
異世界で彼は一人『地球政府』と戦っていたのだ。ならば……本当にやれるのだろうか?
だが、私のその感動も長く続かなかった。

彼は私の好意を無下にしたと罪悪感を持ったようだ……取り繕うように話を続けた。
どうやら、何か勘違いをしているようだ。苦笑しながら彼は感謝の言葉を述べてくる。

「だが、気持ちはありがたく貰っておくよ。その時が来たら頼む……ん……ふと、思ったんだが……」

「どうした?」

「肝心の……俺の『Ξガンダム』は一体どこにあるんだ!」

後ろで『ハサウェイ』が騒ぎ出した。
呆れたが同時に内心で苦笑した。
冷酷な筋金入りの『テロリスト』であり、人類滅亡にも理解を示す男にしては何処かが抜けている。

「……一瞬でも感動した私は愚か者だな」


================================


「……ここがデートの場所か?」

「壮観だろう?」

――共同墓地――

一面に墓だらけだ。
ここは会戦以来、戦死した兵士やユニウス7で散った人々の墓標なのだ。
勿論、『中身』が無い空っぽの墓標だ。

「何で男同士のデートの場所が墓場なんだ。俺に死者の冥福でも祈れとでもいうのか?」

墓場と俺とラウ。
似合いすぎだ。

テロリストの俺に祈られても、死者である彼らには迷惑だろう。
ラウの奴は、これから俺達が『地獄』に叩き込む連中の為に、墓でも一緒に作ろうとでも言いたいのだろうか?

「怒るな。墓場(ここ)に用があるわけではない。用があるのは向こうの方だ」

とラウは遥か向こうに見える建物を指で差す。

「教会か?」

「……この世界に神とやらは存在しないようだがな」

この世界での宗教は羽鯨ことエヴィデンス01などの登場により
宗教の権力が失墜したということらしい。
この共同墓地にあるは形だけの形骸化した教会であり、地下に使用していない『カタコンペ』も存在するそうだ。

無論、礼拝する者などこのプラントでは皆無に等しい。
中では無造作に墓の石材が積まれているそうだ
そいつは別名、只の『倉庫』とも言わないのだろうか?

「オーライ……だがあそこまで歩いて何分かかるんだろうな?」

「ほんの30分程だ」

「怒るぞ」

ラウの冗談を無視して俺達はこの馬鹿広い墓場を回る為の小型電動車に乗ると
礼拝堂にまっしぐらに向かっていった。

そして礼拝堂に着くと、ラウは中央の礼拝場には目も向けずに裏の奥のほうに進んでいった。
俺は慌てて彼を追いかける。

「おい、どこに行くんだ?お祈りするなら向こうだろう……?」

裏の隅に壊れかけた等身大の天使の偶像がほっぽり出されていた。
ラウはそれの側に寄ると、

「慌てるな。うむ。ここを2回まわして、3回ひねる、と……それから……」

ゴ…ゴ…ゴ…ゴ…ゴッ…

ゆっくりと像が動き下に続く階段が現れた。
ラウ振り向きながら呆気を取る俺に向かって言う。

「では行こうか……」

「ベタだな……」

================================

階段を下り、通路を幾つも曲がり、そしてまた階段を下りる……
いい加減にウンザリして来たぞ。

目の前に何度目かの自動扉が見える。また素通りするのだろうか?
突然、ラウが立ち止まる。俺はそこでラウに文句を言った。

「もうずい分、歩いたぞ。一体いつまで、この状態が続くんだよ?」

「……もう、着いたようだ。実は4回くらい同じ場所を回っていたらしいのだ」

「……」


目の前の自動扉が開くと其処は大型ドックになっていた。
MSの整備の時によく嗅ぐ油の匂いがする。ここはMSの整備工房なのだろうか?

そしてそこには良く知っている男が立っていた。

「よく来たね」

「お前……ギルバートか?」

彼は俺のその問いかけに微笑すると……

「――秘密結社『マフティー・ナビーユ・エリン』にようこそ」




>>つづく
105通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 23:07:30 ID:???
おおおGJ!
デュランダルの言葉の意味は?
某スレで殺戮されつつ次回を待ちます!
106通常の名無しさんの3倍:2006/11/20(月) 23:17:16 ID:???
じゃあやっぱり前回のはΞか
107通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 00:22:05 ID:???
GJ!!
クルーゼが萌えキャラなんですが・・・
いや、真面目に言えばすごく親しみがもてます。
人類滅亡とか考えてる変態仮面のはずなのにw

>「――秘密結社『マフティー・ナビーユ・エリン』にようこそ」
お前は何を言ってるんだと小一時間(ry
ハサウェイを単独行動させるための隠れ蓑として利用するのかな?
ところで、Ξに魔改造とか施してないよなw

ラウは本当に「人類滅亡」を望んでたんですかね?
本編では、「人類が自ら滅びを選択した」的な言い方をしてました。
結局、聞いた奴はまともに反論もできず彼を殺しましたが。
もしかしたら、世界(人類社会)が違う選択をする事を祈っていたのかもしれません。
(彼が本編で言っていた事は逆に考えるならば願望と取れなくもなので)
レイの事を大事に思っていたみたいですしね。
本当に「滅び」を望んでいたかは疑問です。

次回も楽しみにしております。
108通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 05:53:34 ID:???
マフティー・ナビーユ・エリンはマフティーのリーダーの名で組織名じゃないだろ
こいつ閃ハサ読んでねーな
109通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 05:57:12 ID:???
デュランダルはハサウェイの話を聞いてただけだから勘違いしてたんじゃない?
デュランダルに誰か憑依してるとしたら、その見解も正しくないだろうけど。
110通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 06:48:44 ID:???
ハサウェイが言ってるならまだしもね。

組織名としてハサウェイが「マフティー」と言ったのを、
「マフティー・ナビーユ・エリンという正式名の略称」
だと思いこんだって事か
111通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 07:04:53 ID:???
小説の解説文でもΞガンダムのとこは

秘密結社「マフティー・ナビーユ・エリン」が極秘裏に
月のアナハイムエレクトリニクスで開発した新型ガンダム。

と一応なっていたな
112通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 09:59:51 ID:???
マフティー → ハサウェイ
ナビーユ  → ラウ
エリン   → ギルバート
三人そろって(ry
というつもりなんだろうwww
113通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 10:24:19 ID:???
>>108
「マフティー・ナビーユ・エリンという組織が、可愛いと?」
「ええ、スーダン語、アラブ語、古いアイルランド語の合成というより、ひどいメドレー。名前じゃないわ」

本編上巻のケネスとギギの会話。

組織の名でもある。
マジで読んだの?
114通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 11:22:57 ID:???
ここまでの総括
>>108の負け
115通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 11:34:06 ID:???
普通マフティーって言ったら組織じゃん
116通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 11:35:38 ID:???
>>115
>>108はマフティーが組織名でマフティー・ナビーユ・エリンがその頭だと思ってたんだよ
117通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 11:44:42 ID:???
WikiIの方でも

マフティー・ナビーユ・エリンは小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する架空のテロ組織。
また、その組織の表向きのリーダーの偽名でもある。

となってんな。
個人それぞれの意味でとらえてればいい。
118通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 12:24:37 ID:???
>>108
(´゚c_,゚` )
119通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 17:30:03 ID:???
>>108の人気に嫉妬。
120通常の名無しさんの3倍:2006/11/22(水) 22:51:42 ID:???
>>108の人気にSHIT
121通常の名無しさんの3倍:2006/11/22(水) 23:25:06 ID:???
最近ウィキ編集が早いからあっちに引き篭もってるんだけど、久々にGJしにきた。
きっとGJの数はここに出る3倍くらいあるから作者さんガンガレ
閃ハサ読んだことない俺が気に入ってるから相当文章や構成いいんだよ。

>>108
Gジェネでしか閃ハサ知らない俺でもry

「――秘密結社『マフティー・ナビーユ・エリン』にようこそ――」

呆気に取られている俺の前でギルバートは優雅に一礼した。
俺の横でラウは感心したように手を叩いた。

「舞台の寸劇で食えるな。外交官より似合ってるぞ、ギルバート」

「声援ありがとう、と言っても、構成員は私と君達の未だに3名のみだ……」

とギルバート芝居がかったように両手を大きく広げながら答えた。

「私がメイン・スポンサー。ラウは名誉会長。そして組織のリーダーは君だ、ハサウェイ……」

「いつの間に私は名誉会長となったのだ?」

「今さ……軍の仕事との兼業はキツイだろう?重役出勤ができるように取り計らったのだ。それとも『正社員』になるかいラウ?」

「最新のMSに乗ることができて、今の職場より5倍以上の給料が出るのならば考慮しよう」

……『マフティー』だと?どういう事なんだ?

頭に血が上り、爆発寸前まで脳みそが沸騰しかける。
脳の血管が切れそうだ。
だが、俺は気を取り直し、深く深呼吸をしながら頭を冷やそうと数を数えだした。

(大人気ない……1,2,3,4,……97,98,99,100……)

ヒートアップが徐々に収まり、どういうことかとギルバートに詰問しようとしたが……

「お……」

「で、何故に『秘密結社』なのかね、ギルバート?」

それよりも、早く俺の横の仮面野郎が前に出て来て、どうでもいい方向へ持って行こうとする……
おい――やめろ!

「一応は、非合法組織だし、『秘密結社』て語呂が良いだろう?――響きを気に入っていてね」

嬉しそうに長髪の野郎もラウの尻馬に乗りながら会話を続ける。

「ふん。まぁ、確かにザフト(Z.A.F.T:Zodiac Alliance of Freedom Treaty=自由条約黄道同盟)も、
 プラントの事実上の『国軍』でありながら建前上、『軍隊』ではなく『政治結社』だ」

真面目そうに理詰めぶって応じやがる仮面男。

「そういうことだ。わかってるじゃないか」

と、楽しそうに会話する長髪男。
そして互いに示し合わせたかのように同時に噴き出した。

『あっはははははははHAHAhahaha!!!』

……と笑いがる。
どこが面白いんだ??
三文漫才に呆然としている俺の前でラウとギルバートが馬鹿笑いをする……
俺を完全に無視して……

「何が一体どうなっているんだ……!?」

背景になっている事が堪らなくなった俺は叫ぶ。

ギルバートとラウがピタリと笑いを収めて不思議そうに俺を見つめる。

――まるで俺を察しが悪い小学生を見つめる教師のような眼差しで。
ギルバートが口を開く。

「何って……つくったのだよ。組織(マフティー)を」

「あん?」

俺の疑問をご丁寧にも無視しながら、ギルバートは俺に意味不明な会話を続ける。

「――新生『マフティー』ということになるのかな?……いや、この世界では最初の『マフティー』になる訳なんだが……
このような場合は……どうなるんだろうね、ラウ?」

話を振られたラウは一瞬考え込む様子を見せるが
次の瞬間に――

「うむ――どうしたものだろうな、ハサウェイ?」

何が何だかわからん俺の方に丸投げしてくれやがった。

====================================

俺達はドック内を歩きながら会話を続けていた。
こいつは……ちょっとした軍需工場に匹敵する規模だ。
だが……それにしては人の姿が見当たらない。周りのメカは正常に可動しているというのに

「……つまりは、どこの公的機関とも関わらない『非合法組織』を創りたかったと……そういうことなのか?」

「簡単に言えば」

「ほぅー。事前の相談も無くよくやってくれやがった。俺がそう簡単に乗ると思っているのか?」
 
「乗るさ。君にとっても必要な事だろ?」

「……冗談ではないようだな」

「それより、ここは『アプリリウス市』を構成する『コロニー』内で廃棄されたスペース部分を活用したものだ。
 そこを私が、叩き値で買い取って、有効に利用している訳だ。凄いだろう?」

「お前が……?」

「そうだ……他の誰にも目を触れさせたくなかったし、利用させたくなかった――」

ドックの奥に進む。
そこで俺を待っていたもの……
暗闇のベールに包まれながら、確かな鼓動が響き渡る。

ウィィィィン ウィィィィィィン ウィィィィィィィン

工場内に響く可動音とそして、二つに輝く双眸が俺達を迎えてくれた。

頭にあたる部分から4本角のシルエット。
そして突き出たボリュームのある両肩。
如何なるものをも、粉砕が可能であろう両腕。
その巨体を大地に立たせる雄々しい両脚。
そして特徴的であり鋭角な印象を与える胸部。
何者をも貫く事は敵わぬ『重装甲』

「『ガンダム』を……ね」

ギルバートが憧れに似た眼差しで『それ』を見上げるの様子を見て
俺もラウも同時にその『巨体』を見上げる。

「……久しぶりだな『相棒』」

俺は思わず呟いた。
と同時に、工場内のライトが点灯し、暗黒のベールが取り払われ、
その巨大な全身が浮かび上がった。

そこには、久々に垣間見る『俺』の『相棒』が聳え立っていた。

――『Ξガンダム』――

既に完全な状態で、『主』の帰還を待ち侘びるかのように――

――駆動音が響き渡る。

『白い悪魔』と呼ばれた者の正統なる後継者。

フォォォォォォォ――ォォン フォォォォォォォォ―ォン

――我蘇らん――『戦場』を熱く疾く駆けたいと――

駆動音は、俺にそう語りかけてきた。




>>つづく
127通常の名無しさんの3倍:2006/11/23(木) 21:54:11 ID:???
GJ!
結局Ξだったのね…
深読みしすぎた自分がハズカシス
128通常の名無しさんの3倍:2006/11/23(木) 22:49:10 ID:???
GJです。
悪友がいるせいか、二人がイイ性格になってる
129通常の名無しさんの3倍:2006/11/23(木) 23:30:57 ID:???
「ひみつきち」は何歳になっても男のロマンだなぁヽ(´▽`)ノGJ!
130通常の名無しさんの3倍:2006/11/23(木) 23:50:58 ID:???
GJ!
毎回楽しみにしてますよ
白い悪魔の後継、いいな、グッときた
131通常の名無しさんの3倍:2006/11/23(木) 23:59:54 ID:???
GJ!!!
このイイ感じの「悪友」たちがいいなぁ。
一番最後の章の語り方がFSSのモーターヘッドみたいで、これもヨロシ!

今回の秘密結社は穿った見方をすれば、プラントの公人としてではなく
デュランダル個人が動かせる「軍事組織」「手足」がほしかったと言う所か?(軍事組織というには構成員が一人しかいないけど)
場合によってはすぐに切り捨てる事が可能だから、彼としてはそれほど痛い出費ではないのもしれんが(趣味かもw)

次回も楽しみにしております。
132通常の名無しさんの3倍:2006/11/24(金) 00:23:03 ID:???
ギルは≡のデータからνやエンブレムのことを知ってマフティーを動かす為にベルトーチカを使ったということですな。ベルトーチカ自身はサロンのメンバーが知っていた見たいなので偶然かな。
133通常の名無しさんの3倍:2006/11/24(金) 20:07:27 ID:???
Ξ自体がCE世界だとスーパーロボットに等しいのに秘密基地&組織とはwww
ガンダムつかスーパーロボット風に今後が楽しみだww
期待して待っています、GJ!!
134通常の名無しさんの3倍:2006/11/24(金) 21:36:09 ID:???
「他の誰にも目を触れさせたくなかったし、利用させたくなかった」

たしかに、ザラ派にもクライン派にも利用されてほしくないな。
今なら、両派ともに改善の余地があるのかな?
135通常の名無しさんの3倍:2006/11/24(金) 23:23:32 ID:???
>>『あっはははははははHAHAhahaha!!!』

(^_^;)
136通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 04:27:15 ID:???
>>135
多分アメリカンジョークなんだろ。
ハサウェイがぽかーんとするのも含めてw
137通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 11:25:01 ID:???
ここの職人さんは表現が面白くて良い。ラウがハサウェイをデートに〜とか、
キャラ毎に視点や書き方が変わったりとか。
次はいよいよ戦闘かな?早く読みたいぜ。
138通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 16:39:30 ID:???
ここのクルーゼの快活さはオーバーリアクションとかじゃなくて
本来であれば彼自身がこうありたかったというのを
ハサウェイの前ではさらけ出しているように思える。
139通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 21:52:46 ID:tdCRbJWp
閃光のハサウェイを地味に語るスレ11
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1162819920/

『Ξガンダム』のコックピットに久々に乗り込んだ俺は機体のチェックを始めた。

操縦桿を握り、起動キーにあたる部分に手を当てる。
真っ暗だった周囲に光が入る。
そして、メイン・スクリーンに文字が表記される。

『搭乗者の確認を行います』

「メイン・システムを起動する……俺がわかるか『ガンダム』?」

俺は手早く慣れた手付きでキーボードを叩く。

PASSWORD:『νを継ぐもの』 入力完了:OK
声紋入力:OK
遺伝子パターン確認完了:OK 
脳波パターン・チェック完了:OK

次々と確認の表示がモニターに表記される。

(本機搭乗者:マフティー・ナビーユ・エリン本人と確認)

『メイン・システム起動します』

操縦システムが完全に起動するこの間、僅か6秒。
システムは完璧だな……どうやら良好のようだ。

操縦桿を握るとガンダムの腕が俺の腕になり、
フットレバーを踏み締めるとガンダムの脚は俺の脚になり、
頭部サイコミュ・システムが連動して、コックピットの外の感覚を感じる。

そして俺自身が『Ξガンダム』となる。

久々の、ガンダムとの一体となるこの感覚に俺の気分は高揚する。
先頃、乗り込んだ『ジン』とは全く違う感覚である。
通常のMSに乗ったら、この感覚は味わえないのだ。

そして、こいつはテロ組織の『マフティー』の象徴たる機体だ。
この位の機密保持のシステムがないと、正直やっていけないだろう。
敵に勝手に乗り込まれ、強奪でもされたら、たまったものじゃない。

確かに非常時には誰でも乗れなければいけないだろうが……だが、こいつは『ニュータイプ』が乗らないと本領が発揮できない。
俺か『ここ』ではラウ位しか扱えないだろう。後であいつの登録もしておいてやるか……

俺が『Ξガンダム』の状態を改めてチェックしていると
理知的な女性の声の通信が入る。

『マフティー』

「『サラ』か……良くここまで完璧な状態にしておいてくれた。感謝する」

俺は彼女に感謝の言葉を述べる。
本当に良くここまでの整備をしてくれたものだ。
かつての旧『マフティー』チーフ・メカニックマンの『マクシミリアン・ニコライ』にも勝るとも劣らない。

全く未知のマシンをここまでできるとは……やはり『コーディネイター』は伊達ではないということだろう。
しかし、彼女の方は俺のその返答に対して、やや自信なさ気に、

「いえ……我々の手ではこれが背一杯でした……逆にお叱りを受けると覚悟していましたが……」

「いや、十分だ。これでいつでも出撃が可能だ」

俺は『サラ』にそう答えた。
その返答に彼女は嬉しそうに答える。

「はい!ありがとうございます!」

「これからも、よろしく頼む」

俺も総彼女に対して信頼を込めた言葉を返した。

====================================

フォォォォォォォ――ォォン フォォォォォォォォ―ォン


ドックに駆動音が鳴り響いている。
俺達が満足げに復活した『Ξガンダム』を眺めてると
そのガンダムの足元から人影が現れる。

恐らく、20代の妙齢の女性だ。こちらはベルトーチカと違い、短い金髪で顔にはサングラスをかけていた。
多分、美人だ。それは絶対に間違いない。

飾り気の無いビジネススーツで、びっちりと身を固めている。
彼女は俺達に軽く会釈すると

「デュランダル様」

「ご苦労だったねサラ――」

とギルバートの方に声をかけた。
俺は彼女がとても気になり、矢次ぎ早やにギルバートの脇を肘で突いて、早く紹介させようとする。
そして、その行為を横目で見ていたラウの口元が「またか……」と動くのを見たのは丁寧に無視したと、ここで改めて表記しておく。

「彼女は?」

「彼女は、私がここの管理を任せている者だ。私が心から信用する数少ない理解者の一人だよ」

ギルバートは、痛む横腹を擦りながら答える。
薄いサングラスに隠れた、理知的な彼女の瞳は俺を値踏みしているようだ。

「はじめまして、サラ・ブライトマンと申します。ギルバート・デュランダル様にお仕えしている身です」

「よろしく、ハサウェイ・ノアだ」

右手を出し彼女と握手し、俺はできるだけ紳士然に振舞った。

「――お話はデュランダル様からお伺いしています。異世界より来訪された『ニュータイプ戦士』と……」

俺はそんな真面目ぶって答えてくる彼女を見て
茶目っ気を出て、少しからかうような口調で

「君はそんな『夢物語』を信じてるのかい?」

「――信じる他ないでしょう。ここに明確な『証拠』がありますのに……!」

と彼女は『Ξガンダム』を眩しそうに眺める。
それは憧憬と興奮が入り混じった視線と口調だった。
明哲そうな彼女がそこまで興奮するものなのだろう。

「――現代の科学技術では、絶対に不可能なものばかりの、未知のテクノロジーの集合体です!そもそも……」

彼女は興奮しながら俺達に『Ξガンダム』がどれほど素晴らしいものなのかを熱く語りだした……
その様子を見て俺とラウとギルバートは顔を合わせて苦笑した。


====================================


「……ということで、彼女がここの『管理』と『私達』の連絡係となる訳だ。諸君、わかったかな?」

「ああ」

「了解した」

俺とラウは答えた。むしろ俺の方は大歓迎だ。
女性で、しかも美人だ。

「そして、彼女には正式に『マフティー』の一員となってもらう。無論、戦闘には出せない。それは了解して欲しい」

「おい。いいのか勝手に決めて」

俺はギルバートの強引な決定に些か疑問を覚えた。サラの意思はどうなるんだ?

「私は別に構いません。逆にデュランダル様のご配慮をありがたいと思います」

「いいのかい?」

俺のその疑念に対して彼女は

「構いません。むしろ……」

ウットリとした眼差しで『Ξガンダム』を見上げる。

「……『ガンダム』の側にずっと居れるのですもの……じっくりと研究ができますわ」

とサラは何かしらのフェチの目でガンダムに熱い眼差しを注いでいた……
ラウはその彼女の様子に対し、俺を冷笑しながら……

「……どうやら、君はお呼びではないようだな?」

「……うっせーな」

俺は気弱げに答える。まるでへタレだ……
ギルバートも俺の耳元で囁く。

「浮気はいけないね……ヘレナはどうするんだい?それにベルトーチカも怒るだろうね」

「……全ては過去のこと……忘れたよ」

俺ってもしかしたら駄目な奴なのか?と思いながら、
苦しい言い訳を返した。




>>つづく
145通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 01:12:30 ID:???
GJ!
1/5が2つになってますが
146通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 01:42:29 ID:???
基本シリアスなんだが、何だかムードというかノリが良い
こういう雰囲気は大好きだ、GJ!!
147通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 02:23:20 ID:???
GJ!
しかし良いのかハサウェイ、クルーゼ登録しちゃって?
破滅願望の塊のようなこいつにΞ乗っ取られたら一体どうする気なんだ・・・
148通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 03:43:59 ID:???
同じ夢を持っているんだからいいんでね?
149通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 06:28:57 ID:???
ハサが駄目な奴なのは間違いない。もしかした自覚無かったのかしらん。
150通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 13:58:05 ID:???
GJ!!!
>「……全ては過去のこと……忘れたよ」
キサマ!
なんて奴だ、女の敵だなw

Ξは良好な状態みたいだけど、武器弾薬は大丈夫なのか?
この世界で流用可能そうなのは、見当たらんからなぁ。
当面は、ジン等からの携行武器でやるしかないのか…
機体の基本性能が段違い(と言うかまったく異質)なんだから、それでも充分なんだろうけど。

次回も楽しみにしております。
151通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 15:36:03 ID:???
凄いなココは…
”大人”しかいない…
キララクの入り込める余地がドコにも無いような気がするな
152通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 16:24:44 ID:???
それも辛酸を舐め続けてきた人達の集まりだからね
153通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 18:45:06 ID:???
>>150
ビームライフルは確か壊されてない(転移時に無くしたかも)。腕部小型ミサイ
ルと脚部大型ミサイルはこの世界のもので代用できるし、設定のみある内臓式大
型メガ粒子砲も機体が無事なら無傷だろう

唯一どうにもなりそうにもないのがファンネルミサイルだが、こいつも種終盤の
技術が有れば代用品は作れると思われ。Ξから引き出した情報も有るだろうしね
154通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 19:21:52 ID:???
GJ!
サラ・ブライトマンって、ミーアを打とうとした女性?
今更ながら、同名の歌手が居た気がして。

――秘密基地(ドック)・作戦司令室――

部屋には俺とギルバート、ラウ、サラの4人がいる。
中央に作戦指揮用の卓盤があり、その周りを思い思いに、各人が座っている。が……
俺は一応、組織の『リーダー』ということで、右端の『戦隊長』の席に座らせられていた。

何故か、ギルバートが中央の『総司令官』の席。
ラウはその隣の『副指令』の位置にいる……

隊員の席は空っぽ。
俺は自分が、座る席は本当にここなのだろうか?と、首を傾げながら、彼女の美麗で流暢な声に耳を傾けている。

サラは有能な副官の如く、これからの作戦内容の要であり、組織の最大戦力である『Ξガンダム』ついての経過報告をまとめて、
部屋の奥にある中央ディスプレイに、その表示を俺達に見せながら報告をしてくれる。

「……問題の武装なのですが……『ビームライフル』のデータの解析と修理を急がせています……ですが、今回の戦闘には間に合わないかと……」

「他は?」

俺は、サラの報告を聞きながら『ガンダム』の『ビームライフル』について考えていた。
『ペーネロペー』との戦闘で腰に携帯して置いたおかげで、転移の際にかろうじて損失は免れたが……

あの『ビーム・バリヤー』引っかかった時に、小破してしまったらしい。

お陰様で使用不能だ。
修復と解析にまだ時間が掛かるそうだ。

「ならば……今回の作戦では、『ジン』の”MMI-M8A3 76mm重突撃機銃”を複数携帯することがやはり、ベストだろうな?」

二丁装備にするか?取り合えず両手に一丁ずつ携帯しよう。交換用弾奏も多く携帯しなければ……
だが、そこでギルバートが異議の声を上げる。

「まて!私が企画し、設計、発注した特注品の『大型試作01重突撃機銃』はどうしたのだ?それを携帯させれば良い」

「……」

「……」

「……」

部屋の温度が氷点下以下に下がった気がした。
俺もラウもサラも黙っている。
しばらくして……

「――マフティーのおっしゃる通り、今回はそれが、もっとも有効な手段だと愚考します」

「ギルバート。実際に戦う俺の身にもなってくれ。ど素人のお前が企画した『ガラクタ』なんか誰が使うものか。無駄な労力ばかりしやがって!」

「――うむ。我々、兵士は高性能な試作機より性能が多少、落ちることになっても、安全、実績のある機体を優先するものだろう。そして、それが生き残る最も賢い方法だな」

「そんなに言わなくても……」

三者三様の応対に、ギルバートはすごすごと引き下がった。
そして、それを華麗に無視したサラの話は続く。

「後、『シールド』ですが……こちらも解析させて頂き、『レプリカ』を幾つか作製させて頂きました……
 ですが、 『本物』10分の1以下の強度しか結果が得られませんでした……」

サラは申し訳なさそうに語った。

元々、『ビームライフル』も『シールド』も消耗品だ。戦闘中に破壊されるの事は、必然でもあり仕方がないことなのだ。
しかし、予備が無いのは非常に心許ない。もしかしたら作戦終了直後に、次の戦闘が始まるかもしれない。
今回の作戦で失えば次の代えが効かなど正直ゾッとしない。
どんなものでも、備えは万全がいいだろう。

だから模造品だろうと、何だろうと、無いよりマシだ。
今回は、有難く使わせてもらおう。

そして、サラは一番の懸念を挙げた。

「それとやはり、一番のネックが『ファンネル・ミサイル』ですね」

俺はその問題について、自分なりの代案を述べる。

「元々、『ファンネル・ミサイル』は宇宙戦闘用のものではない。それに、今回の作戦は月面だ。
 だから、今回の戦闘では通常のミサイルを搭載すればいい。元々、拠点爆撃用としても積んでいたんだ」

『ファンネル・ミサイル』の代わりに、広範囲で破壊力がのあるミサイルにしてもらう。
拠点破壊と戦艦の撃破に有効に働くだろうし。MAに対しても有効だろう。
その俺の意見を耳にして、『してやった』と目を輝かせて彼女は嬉しそうに答える。

「はい、通常『ミサイル』の搭載は既に完了しています」

「よし。それでいい」

何か問題点を指摘すれば答えを的確に出してくれる。
打てば必ず響く。
恋人にするはどうやら、無理そうだが……有能な副官&技術者を手に入れたのは、幸いであり喜ばしい事だ。

「――それともう一つ。データを頂いたビーム搭載型『ファンネル』ですが……
 こちらは現時点では、完全に『オーバー・テクノロジー』ですね。『こちら』での実用化は、まだもう少し時間が掛かるかもしれません」

「――ならば、有線でも別にかまわない。『あちら』では、『インコム』という有線式のビーム砲台があった。
 こちらでは『ガンバレル』というものが、連合にあるそうじゃないか?」

俺は彼女が最大の問題点だと、考えている『ファンネル』について別に角度で答えを出すように求めた。

それは……
連合軍が開発したMAであるメビウス・ゼロ。

武装は機体中央モジュールのリニアガンに加え、胴体の上下左右に
『有線式ガンバレル』と呼ばれる兵器が合計4機搭載されている。

ガンバレルは本体から切り離し、有線誘導による遠隔操作を行うことが可能で、
母機から離れた位置に射出し、予想し得ない方向から敵機に、攻撃を加えるオールレンジ攻撃により、
高い攻撃力を有しているそうだ。

ラウによると、こいつらについて、ザフトも頭を痛めてるそうだ。
相当の被害が出てるそうだ。
ならば、その頭痛の種とやらを、俺が取り除いてやろう。 

映像で確認したが、大したモノではない。この程度のオールレンジなど鼻歌交じりで避けれるし、楽に撃ち落とせる。
紐が付いた『ガンバレル』の動きなど『ファンネル』に比べれば、スローすぎて欠伸が出てしまう。

しかも、こいつがを扱えるのは特殊な空間認識能力を持つという輩に限られ、連合軍内でもそのパイロットの存在は希有なのだそうだ。
そいつは、どうもご愁傷様。

どうやら、こいつらの殆どは今度の攻撃目標の基地に配備されてるらしい。
俺の前に現れたら、こいつらの命運も決まったも同然だ。

全員、地獄の片道切符をプレゼントしよう。

そして、奴らの為にも俺の前に出て来ない事を祈ってやろう。
無駄だと思うが……

ならメビウス・ゼロの部隊を血祭りに上げる事を、作戦の項目の一つに加えておこう。
俺は、心の中で新たな予定表を書き加えながら、サラの話の続きを聞く。


「はい……その線で開発をしてみましょう。ビーム兵器の小型化の実用化がまだですが……実弾タイプなら何とか」

サラは話を締めくくった。
取り合えず連合の『エンディミオン・クレーター壊滅』の目処が立った。

俺と『サラ博士』との楽しい質疑応答の時間が終了すると、
ラウの方から俺とサラ質問をしてきた。

「『ファンネル』というものだが……『ガンバレル』と違う点は、有線か無線ということだけなのかね?」

「頂いたデータからしますと……『ファンネル』は、脳波システムによってコントロールされているようですね」

サラが『ガンバレル』よりも戦術の幅が広く、複雑な攻撃が可能ですと答える。
具体的な例が良く分からない、ラウに対して俺はその後を継いで簡単に説明を付け加えた。

「簡単に言えば『ニュータイプ』専用の兵器だと考えてもらえればいい。こいつを、うまく操作すれば単機で戦場を支配する事も可能だ」

『ファンネル』は脳波ステムである『サイコミュ』を用いて、モビルスーツ又はモビルアーマーから分離し、
意思の力で無線で遠隔操作され、搭載されているビーム砲を用いて攻撃を行う小型兵器である、と説明する。

そして『ファンネル・ミサイル』はそのシステムでミサイルを『サイコミュ』でコントロールすることにより地上では有効な攻撃兵器だ。

「……それは……凄いな。私にも扱えるのかな?」

「無論。コツがあるが、それは俺が教えてやるよ」

「ならば私は、どうかね?」

横からギルバートが口を出す。

「お前は無理だ」

無常に俺はそれを切り捨てる。

ラウは感心して、自分にもそれが扱えるかと?俺に尋ね、
俺もファンネルは使えるのでコツの伝授をしてやると請け合いをする。
そこに、ギルバートも交えて雑談が始まる。

それは、『エンディミオン・クレーター殲滅戦』と呼ばれる戦いが始まる前の、僅かな平穏でもあった。





>>つづく

160通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 00:06:56 ID:???
今回もGJ!!

しかし、

>「――うむ。我々、兵士は高性能な試作機より性能が多少、落ちることになっても、安全、実績のある機体を優先するものだろう。そして、それが生き残る最も賢い方法だな」
>
>「そんなに言わなくても……」

とか、

>「ならば私は、どうかね?」
>
>横からギルバートが口を出す。
>
>「お前は無理だ」

とか、某ちゅるやさんのようにいまにも「にょろ〜ん」とか言い出しそうなギルが笑える。
161通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 00:07:00 ID:???
投下終わりですね
GJ!

>「まて!私が企画し、設計、発注した特注品の『大型試作01重突撃機銃』はどうしたのだ?それを携帯させれば良い」

元ネタわからんwwwwつか一体お前はなにをやってるんだと小一時間(ry
ともあれ、次回も期待してます。
162通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 00:07:02 ID:dyufwXpT
GJ
163通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 00:13:14 ID:???
164通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 00:21:03 ID:???
GJ
ギルさんは有能だけどズレてる2枚目半て感じだな
165通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 01:25:06 ID:???
GJ!!
このお笑い集団はなんなんだ!?
特にギルバート!お前、絶対面白がってるだろw

ハサウェイのファンネルの説明が少し変かな?
ZZ以降は、ファンネルはNT用MSの主力兵装ではなく補助兵装って感じになってるし。
ハサウェイに記憶に焼きついたファンネルのイメージが強すぎるのかな。
でも、ドラグーンへの布石になる、かなぁ?
アレは本編では、ハッキリとした操作方法を示してないからな。
考察してるサイトとかじゃ、パターン化された行動をとる半自律型兵器とかになってるけど。
まあ、ドラグーンとファンネルじゃまったく別の兵器だからな。(根本的に)
参考程度にはなるかな?

それにしてもハサウェイ、まだサラを狙ってるのかYO!?
性欲をもてあましている。

次回も楽しみにしております。
166通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 02:49:15 ID:???
夜中に爆笑させるなーwwwww
いや、こんな夜中に覗いた私も悪いんだが。
まあ、何はともあれラウの一日でも長い生存を祈ってGJといっておこう。
167通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 06:45:47 ID:???
ギルが良い味出しすぎてるw
この3人組み良いなぁ。不幸な結末を迎えた3人だけに
どういうラストになるのか今から気になるぜ!
168通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 10:19:17 ID:???
GJ!
本来真面目な話し合いなのにみんなして面白がってやがる。
特にギル悪乗りしすぎw
169通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 16:42:06 ID:???
いい味出してるな、このズッコケ三人組w
170通常の名無しさんの3倍:2006/11/28(火) 21:20:53 ID:???
隠し砦の三悪人w
171通常の名無しさんの3倍:2006/11/29(水) 00:21:04 ID:???
ミフネと3POとR2D2と太ももがエロい姫か。

C・E70年6月1日

――ローラシア級戦艦『ガルバーニ』艦橋――

私、ラウ・ル・クルーゼは艦長席で脚を組みながらリラックスしていた。

――気分がとても良い。

一言で言えば、そうなるのだろう。
まるで、子供の頃に楽しみにしていたハイキングに行く、前日の夜のようだ。
そう、完璧な勝利が約束されている戦いなのだ。
鼻歌の一つも歌いたくなる。

ローラシア級戦艦『ガルバーニ』の艦橋では乗組員が緊迫した様子で第一級臨戦態勢で作業を続けている。

月の裏側にある『ローレンツ.クレーター』基地から発進して我々は、『エンディミオン・クレーター』に建設された、
地球連合軍の『重要』な資源供給基地を攻略する為の増援であり、プラントよりの援軍としてここまでやって来たのだ。

この作戦を成功させ、月での戦線をザフト側有利に持っていかねばならない……建前上は。

本音を言うと、この基地は完全に潰されるのだ。
地球連合軍の『第3艦隊』を含めて丸ごと。

私はわざと艦長席の肘掛に肘を突き、左手で口元を隠す。
今、正に私の口元に、冷たい笑みが浮かべられているからだ。

もし、これをまともに人に見られたとしたら――戦闘前の緊張の真っ最中だ。
変人かと思われることだろう。

「さてと……ククッ……」

しまった笑い声が漏れたぞ。我慢せねば……な。
さぁ、『地獄の宴』の開演だ……あと少しで幕が開く。

後、僅かな時間で現実のものと成るであろう、楽しい『夢』に浸っていると――
オペレーターの報告が耳に入り、現実に戻ってしまった。

「クルーゼ『艦長』!旗艦『マルピーギ』から通信が……」

「……私の事は『隊長』と呼びたまえ。戦闘が始まったら、直ぐにMSで出撃するのだからな」

艦橋という、つまらん客席で、名舞台を観賞する趣味は生憎と私には無い。
MSのコックピットという、特上の指定席があるのに、何が悲しくて場末の自由席に座らねばならんのだ。

「はぁ……」

オペレーターが、奇妙な顔しながら私の横に視線を向ける。
そこには、今回の作戦で付けられた副長がいた。
私は横にいる副長である『レオノーク』に顔を向け、きっぱりと言う。

「私が出撃したら、艦の事は任せる」

「……了解しました」

彼は胃の辺りを抑えるながら神妙に答えた。

最近になって、彼が急に胃薬の世話になる回数が増えたと――この艦の軍医が言っていたな。
全く、健康管理は軍人の基本であろうに――なんとだらしがない。

オペレーターから『エンディミオン・クレーター』攻略艦隊の旗艦『マルピーギ』のアデス副長から通信が入ったと報告が来る。

――『フレドリック・アデス』――

有能な男だ。細心で豪胆であり、戦艦を運用する艦長として申し分の無い能力を持っている。
出撃前に何度か会い、好印象を持った。

いずれ、私が出世した暁には、自分で独自の艦隊を持つ立場になるであろう。
その時に、旗艦の艦長及び、艦隊指揮官が必要だ。

私は横に立つ、レオノークに再び目を向ける。
……彼の顔色はあまり良くなく、調子が悪いのが一目で分る。
恐らく、戦闘前のプレッシャーに弱いタイプなのだろう。

(あの人、また勝手に出撃するのか?)

(副長も可哀想に……)

(……この艦の艦長て誰だっけ……?)

む?周りで何か聞こえてくるようだが?

「作戦行動中だぞ?私語は慎みたまえ!」

副長のレオノークが乗組員の私語を注意するために、声を張り上げるが……また腹を抑えた。
だが、その一喝で艦橋内の空気が締まったのだ。

有能なのだが……惜しいものだ。
だが、人には長所、短所がそれぞれあるのだから、それは仕方の無い事だ。

「お気になさらず……大丈夫です。それに、この作戦が終了すれば全快するでしょう……」

「……そうか、まぁ、作戦に支障がなければ、別に構わない。だが作戦終了後にはちゃんと養生したまえ」

「……ご配慮感謝します……」

彼は、更に顔色を悪くした上に、額に血管が浮き出ていた。
軽い静脈怒張だろうか?

やはり、彼には健康に問題があるようだ。

これでは益々、我が艦隊の指揮官を任せられようがない。
残念だが……と決意し、私の心の中のリスト表に、彼の名前と顔を自動的に削除した。

ちなみに、自分が艦隊の指揮を執るなど微塵も考えていない。
何故なら――MSに乗る暇が無くなるからだ。

「通信、入ります」

オペレーターの声とともに、メインスクリーンには見事な敬礼をした精悍な男の顔が映る。

『クルーゼ艦長!』

「……『隊長』と呼んでくれないか、アデス副長」

『はっ!失礼しました!クルーゼ『隊長』』

「よい。で、何かな?アデス副長」

『はっ!もうじき、合流ポイントに到着いたしますので、司令が確認の為に最終会議をしたいとの事です』

「了解した。直ぐに、そちらへ向かおう」

総司令官が艦長を兼任している旗艦『マルピーギ』では実際の艦の指揮は彼、アデス副長が取っている。
作戦総指揮と艦の戦闘指揮とは、また別の次元の事なのだ。


戦闘指揮官を集めて最後の作戦確認をする。
NJによる通信妨害もあるが、緊急の時以外はこの方法は指揮官達に好まれる。

古典的だが、直接に顔を合わせて話し合うのと通信機ごしで話し合うでは雲泥の差だ。
直接、出向く事によって、相手に対して敬意を表す事にもなり、逆に出向いてくれた相手に対しても寛大にもなれる。

気が合う者、気に入らない輩、軍を雑多な社会でもある。
好悪は別として、互いの信頼を勝ち取るには良い手段の一つだろう。

私も、結構このやり方は気に入っている。
いずれ出世して、ムカツク奴を呼びつけてやろうと考えているからだ。

そして、私は連絡シャトルで『マルビーギ』へと向かった。



>>つづく
177通常の名無しさんの3倍:2006/11/29(水) 19:25:26 ID:???
GJ!!!
クルーゼ、副長のストレスの原因はお前だYO!
多分アデスも同じになるんだろうなぁw

連合基地、Ξで潰せるかな。
機体の固定武装を考えた場合……楽勝かな!
サイクロプスが発動するか否か、そっちの方が問題かも。

次回も楽しみにしております。
178通常の名無しさんの3倍:2006/11/29(水) 19:31:05 ID:???
戦闘前描写、上手く出来てますね
キャラ一人一人の描写が細かいので、雰囲気が出ています
戦闘シーン前で焦らされながら続きを待ってます、GJ!!

ps172最後の行
心配せずともあなたは原作でも戦闘中に大笑いする位の真性の変態ですwww
179通常の名無しさんの3倍:2006/11/29(水) 19:46:25 ID:???
小説では素っ裸で艦内うろつくほど
変態だからなぁ。副官カワイソス(´・ω・`)
180通常の名無しさんの3倍:2006/11/29(水) 20:30:01 ID:???
そもそも仮面してる時点でw(ry だから気にせず笑っててください<ラウ
職人さん乙です!
181通常の名無しさんの3倍:2006/11/29(水) 21:59:56 ID:???
クルーゼ天然なのも合わせてマジひでぇw
しかしこのおかげでレオノーク副長はこれ以降クルーゼに目をつけられなくなった訳だから……
っ【人生万事塞翁が馬】
そしてアデス……未来は痛いぞ。頑張れ、超頑張れ。
182通常の名無しさんの3倍:2006/11/30(木) 23:43:34 ID:???
閃ハサの知名度の低さは異常
183通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 00:14:13 ID:???
いい作品なのにな…アレ
184通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 00:35:25 ID:???
フォーザバレルよりはメジャーだろう
185通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 08:41:58 ID:???
↑え…と、何それ
186通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 09:46:34 ID:???
ガイア・ギアも忘れてもらっちゃ困るぜ。
187通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 13:02:27 ID:???
ダブル・フェイク
188通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 13:54:51 ID:???
アウターを忘れるな。




ほとんど二次創作だけどな。
189通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 14:12:33 ID:???
>>188
ガイア・ギアは半公式(富野作だがサンライズ的には非公式)
ダブルフェイクは公式
アウター、ムンクラ、Reonは非公式
190通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 15:32:00 ID:???
ギチもえりすんもいらないよ

C・E70年6月1日

――アガメムノン級戦艦『ジョージ・ブッシュ』艦内――

廊下を歩きながら、すれ違う、むさ苦しい野郎どもに軽く手を上げながら挨拶する。

オレの名はムウ・ラ・フラガ。

母国、『大西洋連邦』でも指折りの資産家アル・ダ・フラガ(糞野郎)の長男として上流階級の家に生まれ、
何人もの執事を抱えた豪邸に住むなど,物質面では不自由なく育ったいいとこ?の『若様』だった。

だが、幼少のオレは両親の教育方針の違いから、糞オヤジから嫌悪され、暗い少年時代を過ごした……らしい。
オレは、おふくろの方針で使用人の子供達と分け隔てなく遊んでおり、ついぞ寂しいとは思ったことは無い。
逆に、糞オヤジの事なんぞに関わらなかったおかげで、オレはそこで明朗な美少年に育ったのだ。

12歳の時に火災で、糞オヤジはおっ死に、ついでに家も失った。
糞オヤジの事は正直、どうでもよかったし、別に悲しいとも何とも思わなかった。
オレも、糞オヤジ同様に、お互いを嫌悪していたのだろうな。

んで、その後はお決まりの展開だ。
ハイエナのような親族が糞オヤジの遺産に群がり、毟り取り、あっという間に貧乏な小公子になったというわけ。
だが、おふくろとオレが成人するまでの間の、金ぐらいは何とか有ったのでオレは立派に育った。

……それが今は、何の因果か、地球連合宇宙軍第3艦隊に所属している『モビルアーマー』のパイロット。階級は中尉だ。
ほんと、運命てわからんね。

ついでに言うと、バツキンのハンサムで、超ナイスガイでもあるオレは、現在、巨乳で美人の彼女を募集中でもある。

そんなオレだが……朝っぱらから、気分がすこぶる悪い。

無論、優しい『彼女』がベットの隣に寝ていてオレを優しく起こしてくれないというのもあるのだが……
実は単に虫の居所が悪いのだ。朝っぱらから嫌な予感がビンビンしやがる。

まぁ、確かに実際のオレを溺愛してくれるそんな都合の良い生身の女はいない。今は……
やっぱ、彼女にするなら美人の巨乳だね。貧乳はお断り。

しかし、オレは今、自分の『生死』を預けている『彼女』がいるんだ。
今は、そいつのご機嫌を取らなくてはならない。

だから、気分が悪いのに、朝っぱらからこんなとこを、ほっつき歩いている。
でなくては、月都市コペルニクスまでナンパにでも行っているさ。

オレは『彼女』の待っているであろう、の艦下部にある『搭載ドック』へと脚をのばした。

――『ジョージ・ブッシュ』MA搭載ドック――

オレが『モビルアーマー』がずらりと並ぶ『搭載ドック』到着すると、
見知った連中の顔を見つけた。

「お、お前らも来ていたのかよ?」

「あれ?兄貴もすっか?」

「おはようございます。隊長」

ラテン系アメリカンとイギリス系ジェントルメンのように対照的な二人だ。
オレも挨拶を返す。

「うーーす、ケイン、ラッセル。どうだい?調子は」

「まずまずっすね」

「万全です」

『ケイン・バーナード』と『ラッセル・クローレス』

オレが隊長でもある『クリムゾン小隊』に所属する連中だ。階級はどちらも少尉。
部下というよりも、半ば友人の様につるんでる連中だ。

ケインは、オレより薄い金髪に、常にニヤケ気味の表情をする自称二枚目を気取る三枚目だ。

実力はあるのだが、ここぞという時に弱いタイプの奴だ。
以前、オレが『世界樹攻防戦』のときに助けて以来、こいつはオレを兄貴、兄貴と慕う。
そんな関係でオレが自分の小隊に引っ張り込んだ。

ラッセルの奴は、こいつも『世界樹攻防戦』の時に知り合った。
濃いブラウンの髪に眼鏡をかけてる秀才タイプだ。
沈着冷静で、参謀タイプの為か理論で物事を詰めるので行動が一歩、やや遅くなる傾向がある。

こいつの部隊がこいつを残して全滅した時に、右応左応しているところを、
丁度通りかかったオレが、こいつを拾った訳だ。おかげでラッセルは生き延びられた。
それ以来、その事を恩義に感じ、オレを慕ってくれるようになったのだ。

んで、小隊に引っ張り込んだ。
オレも単細胞だからこいつの冷静な判断力には正直、助かるのだ。

こいつら2人とは、戦争が始まったから結構な時間を共にしてきた部下というよりも仲間だ。
今も、オレたち3人はチームを組んで戦っている。

馬鹿だが人が良いケイン。
秀才だが意外に人情味があるラッセル。
それとナイスガイのオレ。

――最高のチームだ。

「なぁ、ラッセル?今度、合コンでもやんね?コペルニクスで知りあった彼女がよ。今度『友達』を紹介してくれるってさ。
  彼女のいない寂しいお前に丁度いいかもよ?」

「――だが断る。それにケイン、お前――その彼女の『恋人』を紹介されると俺は見たぞ。
 どうせ『良いお友達でいましょう』という、いつものパターンで玉砕だ」

「なんですとーーーー!」

オレは腹を抱えて笑った。そう、いつもの光景だ。
このお笑いコンビのケイン、ラッセルは性格が対照的なので仲が悪くに思われるが、このように意外と良いコンビだ。
いつも接着剤のように引っ付いている。お互い、性格が違いすぎるからだろう。
だからこそ、仲が良くなったのだ。そこにオレが入り込み更に馬鹿をやっている。

世界樹から先、無敵のトリオとしてバキバキに鳴らしているわけだ。

どうやら、奴等は自分たちの『彼女』のチェックは済んだようだし。
ならば、オレも……な?

「んじゃ、オレも自分の『彼女』の様子でも見ますかねっ!と」

「おつかれーっす」

「ではまた、後ほど」

オレは二人にそう言い残しその場を後にした。
そして『彼女』のデート場所に足を向ける。

ドック内には連合の主力機動兵器である、TS-MA2mod.00はTS-MA2。
独特のフォルムを持った、地球軍の戦闘機型MA、
通称――『メビウス』がズラリと並んでいる。

地球連合軍とザフト軍の戦闘の初期から、地球連合軍宇宙軍の主力として活躍している機体だ。
機動性は良好で、直線速度なら殆どの『モビルスーツ』の追随を許さない程の能力がある。

だが……

当初の『戦車や戦艦並みの重装甲、戦闘機並みの機動性と空戦能力、接近戦での戦闘能力を持った理想の機動兵器』
と言う盛大な謳い文句の性能は、ザフトの開発した量産型モビルスーツ・ジンとの戦力比5:1と言う散々な結果が出てしまう事となった。

そこで連合は……だ。

オレは『メビウス』が並ぶ一角とは別の場所に足を向けた。
そこにあるのは……オレの現在の『彼女』――

――連合軍最強の機動兵器――形式番号:TS-MA2mod.00

通称――『メビウス<ゼロ>』――

オレンジ色に輝く鋭角なボディ。
「ガンバレル」と呼ばれる有線誘導式の攻撃端末と機首下に大型リニアガンを装備し、オールレンジでの攻撃が可能。
機体を取り囲むように配された4基の有線式砲塔(ガンバレル)は、開閉式のビーム砲2門とレーダーを装備。

有線による遠隔誘導でオールレンジ攻撃が可能だが、その扱いは困難を極め、操縦者を選ぶ機体だ。

「ガンバレル」は機体から離れた位置に射出し、予想し得ない方向から敵機に攻撃を加えるオールレンジ攻撃により、
MAの弱点であった旋回性能の低さをカバーしつつ高い攻撃力を有する事となった。

またガンバレルのスラスターは、そのまま本体のブースターも兼ねており、MSを上回る圧倒的な加速性能を得ている。 

但しガンバレルを扱えるのは『特殊な空間認識能力』を持つ者に限られ、軍内ではそのパイロットの存在は希有だった。
そう、オレとケイン、ラッセルをも含めても僅かに15名程度なんだ。

オレは、現在、『第15モビルアーマー中隊』であるメビウス<ゼロ>部隊『クリムゾン小隊』の隊長をやっている。

メビウス<ゼロ>部隊はNO.0〜14までの番号が振り分けられていて
機体の機首部分は隊員のヘルメットにある羽のマークと自分のナンバーを付けている。

メビウス<ゼロ>部隊の構成は以下となる。

小隊名     小隊長名   隊員のナンバー
アイスブルー   ウインターズ  No.0     No.3〜6
バーリーウッド  リンドグレン  No.1     No.7〜10
クリムゾン     オレ(フラガ) No.2   『ケイン No.11』〜No.12〜『ラッセル No.13』〜No.14

オレを含めてこの3人と、もう後2人が『クリムゾン小隊』のメンバーだ。

――『世界樹攻防戦』が終った後にオレとケイン、ラッセルはメビウスの小隊を組んでブイブイいわせてるところに、上層部から異動命令が下った。

オレものその『特殊な空間認識能力』があると判断され、軍上層部から『メビウス<ゼロ>』のパイロットとして抜擢されたのだ。
そして、それと同時にケイン、ラッセルにも異動を命じられていたのだ。

べスト・チームとして活躍していたオレたち3人は、同時に異動を命じられ、泣く泣く別れる事となった。
浴びるように酒を飲み、盛大にお別れ会をしたオレたちは、終戦後、お互いに生きて必ず会おうと誓い、涙と共に別離した。

翌日、二日酔いに悩まされながら、新設されたメビウス<ゼロ>部隊の本部へとオレが向かうと……
そこには、オレと同様の二日酔いになったケイン、ラッセルがいて、感動の再会を果たす事となったのだ。

ハンサムなオレと馬鹿なケインと秀才ラッセル。
オレたち3人に、このIイカれた能力があるのは正直驚いた。

何かの因果があるのだろうと、オレ達3人は酒の肴に大いに盛り上ったものだ。


――オレはメビウス<ゼロ>のコックピットに滑り込み、計器チェックを行う。
……おいおい!4番の『ガンバレル』の機銃角度がコンマ02ずれているぞ……

整備員に大急ぎで文句をいう。
この僅かなズレが命取りになるのだ。


今の『彼女』は、確かにじゃじゃ馬で扱いにくいのだが、そこは気に入ってはいるんだ。
だがその『彼女』の調子がこの通りご機嫌斜めだと、こういうときはろくな事が起きない。

昔、付き合った彼女ですでに経験済みだよ。

そして昨日から、首の後ろがチリチリとする。
何かよくない事が起きる前兆だろうな。

オレは自分のこの『直感』を信頼している。
だからこそ今まで、生き残ってきたんだ。

――全く、一体、何が起きるのだろうな?この『エンディミオン』によ。





>>つづく
198通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 21:53:15 ID:???
ガンバレルってビームになったの?
199通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 22:14:42 ID:???
GJ!
やあ!俺、ムウ・ラ・フラガ!いけてる感じのナイスガイさ!
う〜ん、こんな感じの初登場シーンかなw

確かにガンバレルの説明がビームになってますね。
これ、作者氏が意図して書いたことなら、「レーザー」を頭に付け加えたほうが良いかも。
この段階ではビーム兵器の小型化がまだなはずですから。
まあ、レーザーもビームに変わりはないんですけどねw
一応、この世界じゃレーザーとビームは別物みたいですので、そちらの方が良いかと。

うーむ、こっちもお笑いトリオを結成してるみたいですね。
ただ、前途が明るくないからなぁ。南無南無。

次回も楽しみにしております。
200通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 22:16:36 ID:???
>>198
ちょっと気になって調べてみたがとりあえずネット上ではリニアガンのほうが優勢
ただ、ビーム砲と書いてあるところもあったので断定は出来ない…公式ってネット上ではどこ見たらいいんだ?
201通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 22:24:02 ID:???
ps装甲に聞いてない描写あった気がするな
202通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 22:25:53 ID:???
ジンにも効いてなかったような。
203通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 23:06:35 ID:???
GJです!!
これからフラガは地獄を見るのか・・・

エンディミオン戦前の状況を連合とザフトの視点から書いてるのがすごくいいですね。
次回も楽しみにしてます。
204通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 23:29:25 ID:???
GJ.
これから壊れる気楽な日常。このまま連合視点で進んだら、ガンダムがどこまで白い悪魔になるのやら
205通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 23:50:01 ID:???
ここで白い悪魔という地獄から生き残った鷹は英雄に祭り上げられて苦悩したりするんだろうな
206通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 01:43:23 ID:???
GJ!
ムウはメビウス・ゼロ部隊唯一の生き残り、というより、エンディミオン戦での数少ない生き残り、になりそうで怖い。

でも、勘違いしそうだけどプラント漫才トリオは「プラントの味方」とは限らないからな。
ハサウェイの行動は、一体誰にとっての利益となるかな?
207通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 14:17:49 ID:???
ケイン? ラッセル? 誰? オリキャラ?
208通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 16:23:13 ID:???
>>20
名前だけならたしか出てきてた
209通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 19:56:35 ID:???
>>207
模型誌で確認されたニンジン隊のメンバー
210通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 20:18:56 ID:???
>>209
ねぇねぇ?こういうネタって覚えているの?レスに対していちいち調べ直すの?
211通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 20:42:57 ID:???
他の職人さんの投下マダー?
212通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 21:42:50 ID:c30c+df6
↑早漏杉
213通常の名無しさんの3倍:2006/12/03(日) 23:50:39 ID:XEjz9L23
ハサウェイはチェーンに酷いことしたよね(´・ω・`)
214通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 00:12:06 ID:???
マフティーはベルチルの続きだからチェーンの存在はないんじゃないか?
逆シャアだったらあの後ガンカメラかなんかの記録で絶対処罰されてると思う。ってか処罰しろ!

C・E70年6月2日

――?????――

「よく、プラントからここ(月)まで一人で来たものだ……」

ムシャムシャと携帯食を口にし、これまた携帯用の飲料水をガブガブと飲みながら
『カーゴ・ピサ』――隕石に偽装し『Ξガンダム』を収納した『カプセル』の中のデッキで、俺は自分自身を自画自賛していた。

「さてと、目的のポイントまで後、僅か。それまで、この偽装用の『カーゴ・ピサ』でどこまで接近が通じるものやら……?」

俺は用意していたハンドヘルドのPCを開くと、ラウが明かしてくれたザフト軍の作戦内容をもう一度確認する。

――『6月2日10:00を以って総攻撃を開始する』
――『君はその前後の隙を見て『エンディミオン』の資源供給基地に侵攻し完膚までに破壊して欲しい』
――『そして、私の第3艦隊攻撃を支援してくれよ?』

で、これの他に俺が情報に目を通していると、ラストのとこで急にメッセージが追加された。

――『追伸:お互い存分に楽しもうじゃないか。撃墜数は君の方が上だろうな?だが私も負けるつもりはないぞ?』

――『ホワイト・ワンより親愛を込めて ユニコーン・ワンへ』

……

「ぶっ!」

俺は思わず噴出した。
最近、茶目っ気がたっぷり出てきやがった『親友』に対して

「――ユニコーン・ワン、了解。貴君の、親愛の情を心から感謝する、と」

PCにキーボードで打ち込む。

流石に、今は作戦前なので通信は出来ないが、そう言って感謝して置こう。
後でたっぷりとお返しすればいい。

「……わかっているさ……『ガンダムを見た者は死ぬ』てね……」

俺は口元に笑みを浮かべる。恐らく、酷薄な笑みだったろう。
命なんぞ軽いものだ。それが他人なら尚更だろう。

死にかけてから自覚した事は、皮肉にも『命』というのは大安売りの特売品だということがわかった事だろう。
ましてや、他人の命などは地球より重いどころか羽毛よりも遥かに軽い。

そう思いながら。鏡を見たら「何て悪人だろう」とガックリと肩を落としたかもしれない。
まぁ、いい。

「俺て、やっぱ『悪人』なんだよね」

と苦笑した。
そして、『Ξガンダム』を見上げる。

その『シールド』には誇らしげに『赤いユニコーン』のエンブレムが輝いていた。


===========================


――秘密基地・ガンダム収納ドック――

――出撃の前日――

「よし!完璧だな。ごくろうだったねサラ」

「はい。準備万端です。これでいかなる『敵』をも粉砕できます!」

俺とサラは『Ξガンダム』のチェックを全て終え、完璧な仕上がりに喜びを分かちあっていた。

「チェックも終わったし。後は出撃するだけだな」

「カーゴの準備も終了していますしね。まさか、偽造用に隕石でカモフラージュして敵地に接近とは……盲点でした」

「古典的だけどね。向こうじゃ月から地球まで、こうやって運搬したんだよ。何とフルオートでね!」

「本当ですか!?」

俺が『向こう』で『アナハイム』でのテストを終了し、卸したての『Ξガンダム』を地球へ移送した時の事をサラに話すと
彼女は驚きの余り、思わず両手を合わせようとして、

バサリっ!

と持っていた書類の束を落とした。

「あっ!?」

「ほら、慌てないで」

と俺は、サラが落とした書類を拾い始めた。

「……申し訳ありません」

「謝る必要なんかないさ……ん?これは?」

俺は書類を拾いながらサラに尋ねる。

「これは……その……『マフティー』の人手不足を解消しようとしまして……私が独自に集めたリストアップなのですが……」

恥ずかしそうにサラは答える。
実質、『マフティー』構成員は一応はリーダー兼唯一の『戦闘員』が俺一人に、後は、サラだけだ。

『司令官』気取りのギルバートなどは、無くても困らない置き物にも等しいし、
ラウの奴は、『名誉会長』とやらを盾にして自分からは全く動こうとしやがらない。

サラも苦肉の策だろう。
かなり彼方此方から人事資料をかき集めたらしい。

優秀なら前歴を問わずに集めたようで、なんと犯罪者の名簿まであった。
……性犯罪者だけは勘弁して欲しい。


そうして、俺とサラは床に撒き散らされた名簿書類をかき集めていたら。
ふと、ある書類に目が留まり、俺はその書類に目を通し始めた。

「『英雄』――『ヴェイア』?」

何か『勘』に引っかかりその書類を改めて読み始める。


===========================


『グゥド・ヴェイア』

ザフト軍に属するエースパイロット。
初陣では友軍が全滅したにも関わらず、単機で戦闘を続け敵部隊を壊滅させるという華々しい戦果をあげる。
彼専用にカスタマイズされた『真紅』のジン拝領しを駆って数々の作戦を生き抜いていたことから『英雄』と言う二つ名が付く。

彼の戦闘力は異常なまでに高く、『英雄』の名に相応しい戦果を挙げ続ける。
その後も一年もの間、彼は一度も負けず、逆に彼を敵に回した部隊は常に全滅の憂き目にあったという。


===========================


――こいつは、凄まじいな。と俺が感心しながら読み続けていると……
おかしな疑問点が出てきた。

「ん、なんだこりゃ?……こんなに功績を挙げてるのに未だに、一介のパイロットとはどういうことだ?
 普通だったら最低、副官クラスか戦隊指揮官になってないとおかしいぞ?しかも、激戦区にたらい回しの上に捨て駒扱いだと!?」

「――マフティー?いかが致しましたか?」

俺があまりにも、す頓狂な声を上げたのでサラは慌てて俺の手元の書類を盗み読む。

「ああ、『英雄ヴェイア』ですか……」

「おかしいだろう?こんなに功績挙げてるのに、この不当の扱いだ」

サラはちょっと首を竦めると俺の疑問に対して話を始めた。

「それが……彼には妙な噂がありまして……」

味方殺し。突然狂いだす。敵味方区別せずに全滅させる。
『英雄ヴェイア』と呼ばれながら黒い噂が流れていると。

「それは、単に噂じゃないのかい?」

「ですが、実際に彼の部隊が彼を残して全滅していることが何度かあったそうです」

一度は偶然でも二度三度も続くと必然ということにならないのだろうか?

「その為に彼、グゥド・ヴェイアは昇進も出来ずに戦場をたらい回しにされているそうです、しかも激戦区を」

だから、上層部は彼に戦場で死んで欲しいのでしょうね。
とサラはそう話を閉め括る。

「そうか……」

酷い話だ。

しかし、俺は妙にこの男が気にかかった?
俺は彼の境遇に同情しているからなのだろうか?

いや違う。その程度の事は戦場では日常茶飯事のことだ。珍しくも無い。
ならば何か?この男に俺は縁を感じのだろうか?

グゥド・ヴェイア――

その男の名前を俺は心に刻み込んだ。
この男が、後に俺の側近として重要な存在になろうとは、この時は思いも拠らなかった。


===========================

ビー・ビー・ビー

俺はカーゴの警告音が鳴るのを聞く。
どうやら、もう僅かで目的地に到着するようだ。

俺はガンダムに乗り込む準備をする。

それでは盛大なパーティーを開始するとしますかな。
でっかい、花火を打ち上げて見せよう。

誰もが、大きく見えるくらいの盛大な花火をな――


俺は『Ξガンダム』 のコックピットに乗り込んだ。
それと共に、ガンダムの両目に力強い輝きが宿る。

ウィィィィン ウィィィィィィン ウィィィィィィィン ウィィィィン ウィィィィィィン ウィィィィィィィン

カーゴ内で確かな鼓動が響き渡る。

そして、ガンダムの二つに輝く双眸が俺の目となった。

俺は操縦桿を握る。
ガンダムの腕が俺の腕となる。

俺はフットレバーを踏み締める。
ガンダムの脚が俺の脚となった。

ガンダムの背後にあるメイン・バー二アが輝き始めた。
そう、これが宇宙(ソラ)を翔ける俺の翼になるのだ。


「マフティー・エリン!Ξガンダム出るぞ!!」




>>つづく

221通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 01:57:44 ID:???
GJ!!
いよいよ、エンディミオン戦線の幕が開けるな。
結果自体はΞによって確定してるようなもんだが、どういう風に展開していくかが楽しみだ。

MSを隕石に偽装しての接近。
ハサウェイの知識によって、MSの運用法が元のCEとは結構変わってきそうな予感。
この辺を聞いたクルーゼが、どういう風に応用していくかが楽しみだな。

ヴェイアか……元祖レッド・ソキウスの素、色々有る人だな。
けど、この人、ラクスの歌によって洗脳されてたんじゃなかったけ?
大丈夫か!?

CEでの実践にΞが出るわけだが、実際にはCEと何処まで差があるものなのか…そしてどういう風に作者氏がそれを描くのか、楽しみだ。
それでは次回も楽しみにしております。
222通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 08:05:46 ID:???
こんなクロスがあったなんて…
夕べから一気に読んでしまった
223通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 12:01:50 ID:???
>この男が、後に俺の側近として重要な存在になろうとは、この時は思いも拠らなかった

ヴェイアがまともになるフラグか?
ここではクルーゼも明るくなってきているし
(本来の自分を取り戻しているのかもしれない)
ひょっとすると意外と憎めない、あるいは人として理解可能な人物になるかも
224通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 18:34:29 ID:???
完膚まで→完膚なきまで
だと思われ
揚げ足スマソ
225通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 20:03:35 ID:Hsst6GL6
GJ

C・E70年6月2日 09:30

――ローラシア級戦艦・『ガルバーニ』MSドック――

――ジン・ハイマニューバのコックピット――

「……計器の再チェック終了。機体のコンディション・オールグリーン……」

私は作戦開始の暇潰しに、再度の機体チェックを入念に行っていた。
もう、前日まで整備員が念入りにチェックを繰り返した上に、私自身もそれに付き合っていたのだ、

前にハサウェイとの模擬訓練?で大破した私のハイマニューバはその貴重な経験を元にして、
短い期間のうちに修復と改良を加えているのだ。

メインスラスターである『MMI-M729エンジン』を『MMI-M730試作型エンジン』に改造させ
バーニアを通常のハイマニューバより15%近くの出力増大に成功した。

更なる高機動化に合わせて加減速や旋回時に、各関節部に発生するモーメントも増大した為、
こちらも、関節強度を以前に比べ、約15%強化した。

はっきり言ってこいつは『ハイマニューバ』というよりも完全な別の機体へと生まれ変わってしまった。
弄りすぎて、もはや『ジン』とは言えないだろう。

整備班や開発主任はうるさく難癖を出してくれた。
こんなものを扱える人間がいるものか!と

『黙れ。私を誰だと思っているのだ?』

余りにも、外野がうるさかったので、私は一喝してブヒブヒ騒ぐ豚どもを黙らせた。
こんなもの、ハサウェイだって簡単に扱える。

私と同等の実力か、或いはそれ以上の実力を持つであろう『友』の顔を思い浮かべる。
しかも、彼は私と同じなのだからな……と

私がピクニックの準備の万全を確認して愛機から降りた。
その周りには、ズラリと整然と並んだ『ジン』の姿が目に映る。

以前の戦いと違う箇所は、その『ジン』達の左腕には、ボディーカラーと同じ鈍い光を放つ『シールド』が搭載されている事だ。

今までの『ジン』と違い防御力が格段に増大した。

機動力の低下を懸念する声もあったが、実際に模擬戦などで使用してみると、
その効果の絶大さが驚嘆され、急遽、全MSに搭載が決定されたのだった。
もちろん、私のハイマニューバにも搭載されている。

これも、『彼』の進言による一環である。

更に彼は、MSによる小隊運用方法をも伝授してくれたのだ。
3機が一つの小隊となり攻防・遠中近による攻撃方法。
今まで、独自に好き勝手に暴れていたMSパイロット達には、目から鱗が落ちる思いだったろう。

『被害は最小』、『戦果は最大』をキャッチフレーズにして、私は今回の戦いに部下のパイロット達に徹底させようとしていた。
私は、ハンドへルドPCを開き、ある項目をピックアップして呼び出す。

そこには、ハサウェイによって『向こう』のMSの編成・戦術の運用方法の一例が記載されていた。
私はその『近代MS戦術運用(マル秘)マニュアル』を読む。これで何度目になるのだろうか?

==========================

――これは、『向こう』での戦史の戦術講座での受け売りに過ぎないが、と前置きから入り、

――前線においては、単一の機種3機で一個小隊を基本隊形として編成し、MS一個中隊(12個小隊)を
支援ポット10〜20個小隊が遠距離支援をするという構成になったという。

つまり、支援ポットの長距離砲撃で弾幕を張り、その弾幕をかいくぐってきた敵機を中・近距離において
MSが殲滅する戦術が取られたのだ。

この戦術は、ある重要拠点を攻略する作戦において奏功し、機動力を生かして艦船に対する一撃必中戦術を重視した敵MSの部隊は、
自機の10分の1以下のコストの支援ポッドにより長距離から多数が撃破され、必死に砲火をかいくぐった機も
中・近距離に重点を置かれたMS部隊のビーム兵器により数多くが宇宙の塵と消えたという。

==========================

私は何度か同じ部分を読み、繰り返し頷いた。

「うむ……これは留意せねばならん……いかんな。このままでは我々、『ザフト』も同じ轍を踏むだろう」

いずれ、連合がMSを開発し、実用化して実戦に投入してくるのは自明の理だ。
正直、こういう『カンニングペーパー』があるのは助かるのだ。
MSは『機動歩兵』に過ぎないという事を徹底させないと――

物量で来る連合に対抗するためには、個々の自称『勇者』が好き勝手に戦っては勝てないだろう。
対MS戦術の確立を急がねば……な。

ふと、気づき苦笑する……私は本気で『ザフト』を勝利させる為に戦っているな……と
こんな気持ちになったのは初めてだ。

今、『彼』も戦う前はこんな気持ちなのだろうか?
『何のために連合と戦うのか?』と前に戯れで聞いてみたら……

『ムカツクから』

と素敵に答えてくれたものだ。

――そんなものだろうな。

と納得してしまう。
私自身も突き詰めると、理屈じゃなく腹が立ったから戦うのだ。
戦う動機など機(はた)から見ればこんなものだろう。まったく、臭う理屈など糞食らえだな。

そうしていると、『ガルバーニ』に所属しているMSパイロット達が集まってくる。
私の艦である『ガルバーニ』を含めて戦艦3隻が先鋒を任されており、そのMS隊の指揮権を私は持っている。
自機を含め、合計18機のMSが私の指揮下に入るのだ。

「クルーゼ隊長!出撃準備は整っております!出撃の号令を!」

腹の響く声でパイロットの一人が敬礼をしながら注進する。

「――うむ。作戦内容は以前、伝えた通りである。皆、新規の陣形、戦術は頭に叩き込んでおいたな?  
 もはやこの期に及んで言う事はあるまい……が、決して敵を侮るな。常に慎重に行け。臆病だと馬鹿にされても最後は生き残った者が笑うのだ。」

パイロット達は頷く。

「……最後に。我々は、栄えある先鋒を任された身だ。その事は自覚しておいてくれ。そして、『エンディミオン』を陥落させ祝杯をあげようではないか」

「「おおおぉぉぉぉ!!!」」

部下であるパイロット達の顔を一人一人確認する。皆、良い顔つきだ。
今まで、私はこんな事も気が付かなかったのだな……

「よし!搭乗!皆、生き残れよ!!」

「「はっ!!!」」

(――できるならば、一人も……死なせたくないものだな)

随分と身勝手で、虫が良すぎる願いだ。
連合軍は皆殺しにして良く、部下は殺したくないか……

私は自虐しながらハイマニューバへと乗り込んだ。
そして、計器に火が入っていていることを確認し、

『クルーゼ機、発進シークエンス……』

コックピット内でオペレーターの声が聞こえる。

私は、メインスクリーンを見据え、手は操縦桿を握りしめ、そしてスロットレバーを引く。
更に、フットレバーを踏みしめた。

MSに命が吹き込まれる。

ハイマニューバのモノアイに光が宿った。


――C・E70年6月2日 09:59――

そうだ――

この通り、今までMSだけは、いつも私を裏切らずに必ず答えてくれた。
だから惹かれるのだろう。私は純粋にMSが好きなのだ。

そして、メインスラスターのエンジンに火が入る

ウィィィィン ウィィィィィィン ウィィィィィィン

地響きと共にバーニアが火を吐く。

――さぁ、いくぞ愛機よ。


――C・E70年6月2日 10:00――


「ラウ・ル・クルーゼ!ジン・ハイマニューバ出るぞ!!」





>>つづく
231通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 21:15:32 ID:???
初めてリアルタイムで遭遇GJ!!
しかし…クルーゼが丸くなったと言うか、いい方向に変わってきているというか…
232通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 21:18:24 ID:???
なんか、破滅願望あるだけで普通にいいパイロットだな
233通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 21:19:35 ID:???
GJ!
確かにクルーゼが前向きになってきているような感じがする。
>(――できるならば、一人も……死なせたくないものだな)
かつて自分を含む人類を憎んでいたのにこういう気遣いまで出来るし・・・
友達って大事だなぁ
234通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 21:25:53 ID:???
孤独はなによりも心を荒ませるんだろ。
ともあれGJ!
ハサウェイの活躍も楽しみだ。
235通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 21:33:30 ID:???
まずは、GJ!
これって、再構築物になるのかな?
236通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 22:50:03 ID:???
GJ!ここまで俺を震わせた作品はみたことが無かったぞ。
まさかクルーゼがあんなキャラになるとは思いもよらなかった!
237通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 23:28:54 ID:???
GJ!!!
クルーゼが…クルーゼが輝いている!

この人、友人がいない訳じゃなかったんですが、友人は自分と同じ力を持っていなかった。
自分と「同じ物」は同じ力を持っているのですが、やはり「コピーされた」という感じを拭えなかったんでしょうね。
そこで登場した我らがハサウェイ、自分と同じではない、にも拘らず自分と同じ力を持っている。
初めて出会えた「違う同類」であったのかもしれません。
幸運だった事は、彼と馬が合った、気が合ったってことなんでしょうね。
下手をすると、クルーゼにとって最大の嫉妬の対象になりかねないかもしれなかったんですし。
何はともあれ、元々ハッピーだった頭がもっとハッピーになって突き抜けて、多少正常に戻ったみたいです。
いい傾向でしょうw
惜しむらくは、彼の寿命が短い事ですかね。
本当に惜しい。何とか生き延びてくんねぇかなー。
でも、そうすると御都合主義になっちゃうし、何か抜け道がないものか……

>『近代MS戦術運用(マル秘)マニュアル』
これ物凄い価値があるんじゃないでしょうか。
UCで培われたMSの運用方法……連合の物量に対抗できるかも。
一時的なものですけど、これの価値は図りしれんですよ。

次回も楽しみにしております。
238通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 23:34:58 ID:???
>MSは『機動歩兵』に過ぎないという事を徹底させないと――
自由とか正義、天帝みたいな1対多数のオーバースペック機を否定してるね。
239通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 23:45:47 ID:???
数は力だよ兄貴

240通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 00:05:53 ID:???
シールドを有効活用できるようになってるみたいだから、
フルバーストのみでむざむざ殲滅されない様になるかも知れないな
編隊行動してる相手に単機による直線攻撃は通じないだろうし

しかし生き生きしてる変態仮面もなかなか良い物だ、GJ!!
241通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 01:18:39 ID:???
面白いw
クルーゼとハサのコンビって発想は無かったわ。
242通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 01:42:06 ID:???
GJです
クルーゼが丸くなってますね。ハサがいい影響を与えてるみたいで。
同じ能力、似た破滅願望のような精神的に対等な相手が友人であるのってすごく貴重だなと思う。

『近代MS戦術運用(マル秘)マニュアル』みたいな数十年かけて培われたものをカンペってww
243通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 15:10:37 ID:???
>>238
とはいっても、プラントには数がないから、質で対抗するしかないのも確か。
コーディ一般兵に扱えるレベルで、極限までスペックを上げた機体を作り出して
それによる有機的な編隊行動が理想かな。
244通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 16:00:10 ID:???
正義と自由も本来は、ジム・カスタムとジム・キャノンUみたいなペアで運用するはずだったんだよな。
それを編隊行動できないキラとアスランが使っちゃったから……。
245通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 16:38:09 ID:???
>『向こう』での戦史の戦術講座

これの戦史って、1stの星一号作戦のことだよな?
246通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 17:55:14 ID:???
>>238
種死の頃のCE世界はUC世界で言うところのZZの頃の
「MS万能論」が幅効かせていた時代に相当するからなぁ。
自由&正義は、いわばZZの様な恐竜といったとこなんだろうな。
247通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 19:11:38 ID:???
>>246
んじゃーそろそろ平和&正義のフルアーマー化しとく?
つか、ジ・Оやキュベレイに相当する機体が欲しいな
純粋な隠し腕とファンネルキボン
248通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 19:45:33 ID:???
今、俺の頭の中では「ピース」と名の付くMSを一生懸命検索している・・・・・・ないぞ?
249通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 19:46:12 ID:???
キュベレイに相当するのはプロヴィデンスじゃね?
250通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 20:14:28 ID:???
>>249
ドラグーソ→プロヴィデンス=手操作
ファソネル→キュベレイ=ニュータイプ

ミトメタクナイ!ミトメタクナーイ!
251通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 20:35:20 ID:???
プロヴィデンスはサイコミュによる機体制御と異形分が足りない
252通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 20:48:31 ID:???
そもそも、ドラグソとファソネルは似てる様に見えてまったく違う兵器だからな。
だけど、ここでやる談義じゃないから、とりあえずやめよう。
253通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 21:32:16 ID:???
あれって手操作してたのかよ。
難易度最高のドラムマニアより忙しそうだ(笑
254通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 02:56:49 ID:???
まぁ、Ξが来たことによって色々あって
プロビも脳波制御になる感じなのかもね。
それならばクルーゼ隊長ももっと頑張れるはず。
255通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 03:18:44 ID:???
一応ドラグーンも脳波操作だよ
ただし、ファンネルみたいに脳波で詳細な操作が出来るんじゃなくて
ドラの発射と帰還命令を出すだけで、細かい操作は機械任せのようだ
256通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 14:18:31 ID:???
インコムじゃねーかYO!

つか、そのソース、アニメ雑誌かファクトからだべ?
信用ならねーーーー!
257通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 14:28:32 ID:???
>>256
確かニュータイプの森田インタだった
258通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 16:33:22 ID:???
ますます信用ならんな。
奴は設定丸投げしてんだぞ。
259通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 17:21:30 ID:???
>>258
福田が森田に丸投げ
そしてその設定を福田が無視
260通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 19:29:08 ID:???
公式のインタを見てみるんだ。
奴はまったくやる気がない。
261通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 20:41:24 ID:???
>>260
なら、俺達が設定を作ればよくね?
262通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 21:41:03 ID:???
>>260
どんなに一所懸命設定を考えても福田があっさり無視しちゃうんだから
そりゃやる気も失くすわ
263通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 21:46:45 ID:???
正直森田個人として考えても
∀での阿呆さのせいで良い評価できない

C・E70年6月2日 10:19

――アガメムノン級戦艦『ジョージ・ブッシュ』艦内――

ビー!ビ―!!ビー!!!ビー!!!!ビー!!!!!

『敵機浸入を確認!第一級戦闘態勢へ!! 緊急即応態勢レベル4(ファイナル)に移行せよ!繰り返す!……』

「クソっ!こんな時にかよ!!」

第二次警戒態勢の宿直から解放され、やっとベットで一人寂しく仮眠を取ろうとした矢先にこれだ!
オレは、夢の世界に羽ばたく寸前で慌てて飛び起き、パイロットスーツに着替え、ヘルメットを抱えるとMA搭載ドックに向かって走り出していた。

艦内のあちこちで、狂ったように戦闘員及び艦のクルーが走り回っている。
さっきから、テールランプと警戒音が鳴りっぱなしだ。
遂に、この『エンディミオン・クレーター』にある資源供給基地を攻略する為にザフト軍は全面攻勢を開始してきたのだ。

オレは丁度、自分の近くをすり抜け様としたとした、顔見知りの下士官の男をひっ捕まえると状況を知る為に問い詰めた。

「おい!戦況はどうなってるんだ!」

「今、急いでるんだ!!」

「いいから!早く話せよ!」

慌て、動転していた相手もオレが誰かと確認すると、多少ホッとしたのかしどろもどろと、喋り出した。

「こ、これはフラガ中尉!失礼しました!」

「いいよ。で?戦況は!?」

「そ、それが……最初に迎撃に出た基地警護の『ミストラル』32機が僅か5分で全滅したとか……それで
 現在、うち(第3艦隊所属)の戦艦『クリントン』と『レーガン』所属のMA部隊が迎撃に出撃したとかで……」

基地警護の『ミストラル』30機以上が僅か十数分の内に壊滅……だと?
オレは一瞬、背筋が凍えた。

――『ミストラル』とは2門の機関砲と作業用アームを装備した連合軍の汎用MAであり、
現在、『メビウス』が主力になってからは殆ど使用されていない。
だが、生産数が多かったために、今は、『メビウス』に配置転換できなかった部署や主に基地警備用に廻されているのだ。

機体そのものはMAというより武装した船外作業艇で、開発段階では戦闘用として開発されたものではない……が
それなりの戦闘力があるはずだった。それが、こんな短期間で30数機が全滅だと?

……しかも、今正に出撃したMA部隊も半数近くが既に撃墜されたとのことらしい。
なら……

「なんだとぉ?敵さんはそんな大部隊なのかよ!」

「そ、それがわずか20機に満たないMSとかなんとか、だそうで……」

「なにぃ……?はっきりしろ!!」

「うわぁぁぁ……中尉!?通信妨害が激しくて詳細がまだなんですよ!!」

一体、どういうことなんだよ?!
いくら新型機動兵器の『MS』とはいえ、こんな短時間で『メビウス』を含めたMA部隊の半数以上が壊滅だぁ?
オレがその使えない野郎を締め上げて、場所もわきまえず考えに浸っていると、

「兄貴!!」

「隊長!!」

お馴染み『クリムゾン』小隊の面子二人が駆けて来る。こいつ等もパイロットスーツに着替えている。

「ケイン!ラッセル!!」

オレは彼等を確認すると、今まで締め上げていた奴を解放した。
奴は慌てて、オレ達に敬礼をすると、一目散に逃げ出していった。

「兄貴!こんなとこで何やってやがる!!早く行こうぜ!」

「ケインの言う通りです。隊長、我々も早く行きましょう」

二人は戦闘前の緊張感からか、かなり真剣な口調でオレを促す。
そうだ。四の五の言ってられるか!

「よっしゃぁ!行くぞ野郎ども!!」

「おおっ!!」

「はい!!」

オレ達3人は気合を入れなおすと、まっしぐらにMA搭載ドックへと駆け出していった。


――『ジョージ・ブッシュ』MA搭載ドック――

オレ達が『搭載ドック』内に駆け込むと、ずらりと並んだ『メビウス』の内の何機かが発進態勢に入っていた。
案の定、周りは整備員やパイロットでワンサカ混雑してやがる。

「中尉!スタンバってますよ!いつでもいけます!!」

「サンキュ!!」

オレのメビウス<ゼロ>整備担当である整備班のオヤジが声をかけて来た。
<ゼロ>のコックピットに乗り込みながら礼を言う。

オレはコックピットに乗り込み、すぐさま計器に火を入れる。
機体チェック!オール・グリーン!OKだ!オヤジ!相変わらず良い腕だぜ!

オレのメビウス<ゼロ>の調子は今日も御機嫌だと言いたいが……何かこう、もやぁっとした気持ちが抜けない。
気合を入れ直すためにオレは、バンっ!と両頬を叩き、愛用のヘルメットを被る。

こいつも、メビウス<ゼロ>隊に配属されてからの付き合いだ。メビウス<ゼロ>の先端と同様に付いている羽マーク柄がチャームポイントだ。
ちなみに機体の方には、オレのナンバーである『No.2』が刻まれている。

「コントロール!戦況は!?」

ゼロのエンジンが温たまるのを待ちながら、オレは改め艦橋のオペレーターに戦況を報告させようとする。

『戦闘宙域全体にわたって、かなりの数の『ジン』が展開しています!』

……若い女のオペレーターの悲鳴のような声が返ってきたぞ……おいおい!何じゃそりゃ?

『詳細な状況は未だに不明!NJの電波妨害が激しすぎます!!』

――まったく泣けてくるね?さっきから同じ事ばっか聞いてる気がするぜ。
んとに、もう……戦況が何もわかっていないのと同じ事だ。

『出撃していた基地警護の『ミストラル』の部隊が壊滅!!も、モビルアーマー隊も……』

オペレーター娘が盛大に悲鳴を挙げている。
そんもん、さっき聞いたよ!

「……数じゃこっちの方が上だってのに、全く泣けてくるね〜 
 まぁ、泣き言を言っても仕方が無い。『ガンバレル』の力を奴らに見せつけてやるとしますかッ!」

オレは、オペレーターの気分を解きほぐし、宥める為に、わざと茶化すような陽気な口調で喋った。
オペレーターの彼女もそれを見て微笑み、多少、落ち着いて来たかのようだ。
彼女は一瞬、我に返ると、

『ちゅ中尉!!し……失礼しましたぁ!』

「どういたしまして。で、いいのかい?」

『は、はい!コントロールより『クリムゾン』小隊は順次発進してくださいとのことです!!」

「よし!クリムゾン小隊、フラガ了解!!」

その横から通信が入る。

『兄貴!いつでもいけるぜ!』

『隊長、こちらも出撃準備完了です』

サブモニターに顔が映るケイン、ラッセルからも頼もしい声が返り、その後を続くように小隊の残り二人も発進準備も完了したとの報告が入る。
オレは時間が無いので簡単なブリーフィングをする。

「敵は、『MS』という新型機動兵器を主力とする部隊だ。まぁ、泣き言を言っても仕方が無いぜ。
 守りを固めて敵を基地に一歩も近寄せるな。特に、無駄に戦力を分散させるんじゃないぞ……!!」

『『了解!!!!』』

「よぉぉしゃぁ!!いくぞ!『クリムゾン小隊』出撃だ!いいな、お前ら絶対死ぬな……」

――ピキィィィィィィィン――

突然、脳裏を閃光が駆け抜けるイメージが一瞬走った。

「――何だ、これは……?」

ふと、出撃を前にしたオレはこの時、奇妙な感覚に襲われていたのだ。
ドンパチの前で何だが不謹慎なんだが……一つは途轍もなく嫌な感覚……

……それに、もう一つこれは一体……?
――そう、それは、まるで別れた半身に出会うような――そんな感覚のような……

『隊長?』

『おいおい!兄貴!ボケたのかよ?気合が空回りしているぜ?』

ラッセルとケインが訝しげに聞いてくる。

二人の声にオレは正気に戻り、頭を一振りする。
そして――

「すまないな二人とも。そんじゃ改めて、行きますかッ!」

『イエス!ボス!!』

『了解です!行きましょう隊長!』

二人らしい個性溢れた返事が、それぞれ返って来た。
それに、オレはつい笑っちまう。
お前ら、相変わらずだぜ!

ブオッ!!ドォッ!!!

オレの目を覚まさせるかのように、愛機であるメビウス<ゼロ>のメインエンジンのバーニアが火を噴く。

そのオレンジの機体が、今まさに飛び出そうとする瞬間。
先程、感じたその妙な感覚を振り切るかのように、オレは腹の底から気合をあげた!!

「ムウ・ラ・フラガ出るぞ!!」




>>つづく

270通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 22:03:15 ID:???
GJ!
ここまでの三話は、それぞれのパイロットが発進するまでを描いてたんですな。
という事は、次回はイヨイヨ……

wktkして次回をお待ちしております!
271通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 22:09:22 ID:???
GJ!
ついに【白い悪魔】がエンデュミオンに降臨する訳ですな。
272通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 00:53:43 ID:???
そう言えばΞの時代のMSって単機でもミノフスキー粒子の散布って可能だっけ?
273通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 01:12:22 ID:???
>>272
ミノクラ使えばある程度はばら撒くことになるのでは?
274通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 01:54:19 ID:???
ミノクラ自体がミノ粉の撒布装置みたいなものです。
275通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 03:52:05 ID:???
というよりも、UCのミノ粉は核融合炉から生成できる、というか出てくる。
直接散布は無理だろうけどね。
276通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 06:52:34 ID:???
NJとは違う謎の電波障害、
それが「白い悪魔」の前兆か
277通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 10:11:30 ID:???
開く……開くぞ!!地獄の釜の蓋が!!!
なんとも素敵じゃないか!!
278通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 15:32:10 ID:???
突然全ての電子機器が不調になる→訳も判らず次々に爆散して行く友軍機→運良く生き残った者が見た物は白い何か
どうみてもホラーです、本当に(ry
279通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 16:05:34 ID:???
なんか発狂宙域みたいだ
280通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 16:19:45 ID:???
小説の描写でいくなら光り輝くMS(ビームバリアーを展開すると光って見える)が
見えた、といったところか。そんなもん見て生き残ったらトラウマになりそうだw

――C・E70年6月2日 10:00――

「マフティー・エリン!Ξガンダム出るぞ!!」

俺の気合と共に『ガンダム』の全システムが俺自身と連動し、コンマ1ミクロンの狂いや遅れも出さずに、
その巨体が鮮やかに動き始める。

そして、『俺』の背後のメインスラスターが火を吐いた。

ヴォォォォォォォォォッ!!

――『サイコミュ・システム』と完全に連動した『俺』は『Ξガンダム』であり、『Ξガンダム』は『俺自身』となる。

ギュィィッィィィィン!!! ガクンッ!!

カタパルトから射出される際の、急加速のGを体中に受けながら、
『俺』は『カーゴ・ピサ』からまっしぐらに射出される!

Ξガンダムの双眸が鮮やかな閃光を放つ。
これが俺の眼だ!!

フォオォォォ! フォオォォォン!

ガンダムが放つ息吹は、俺の息吹であり、

ウィィィィィィンッ! ウィィィィィッン!!

ガンダムの膨大なエナジーを生み出す心臓である『核融合炉』の鼓動は、
今や、俺の鼓動の脈動となる。

『俺』は隕石に偽装した『カーゴ・ピサ』から、まっしぐらに『エンディミオン・クレーター』に向かって落ちてゆく――

カーゴからの射出の衝撃とそれに伴う月の重力に引かれる自由落下を受けながら、
『俺』は更に加速を重ねる。

ウィィィィィン!

『Ξガンダム』の特徴的な鋭角の二箇所のチェスト・パーツが変形する。

ブォォォォォン! バシュッ! ガシャン!!

そして、側面から突き出るかのような両肩のショルダー・パーツが前後へと開放されてゆく。

『俺』が……『Ξガンダム』は、高速飛行形態へとチェンジする。

前面にバリヤーが展開され、その鮮やかな光が『俺』を包み込んだ。
そして、機体全体が白銀の光に包みこまれる。

その白く放つ光の輝きは尾を引き、あたかも自分自身が白く輝く『彗星』と化したかのようだ。

――そして『俺』は無重力の月への大舞台へと踊り出た。


===========================

――C・E70年6月2日 10:10――――

地球連合軍 『エンディミオン・クレーター』資源供給基地・管制室――

戦闘が開始され、駐屯している第3艦隊が次々と出撃してゆく中で
基地内は、戦闘への熱狂と狂乱とで混沌とした状態となっていた。

今、現在オペレーターである通信下士官達は、戦況を有利に導く為に情報分析を懸命に行っている最中である。

ある下士官が、ふと気が付くと、そこにはいるべき筈の基地司令の席に司令官の姿が無く、
何故か代わりに、副指令である准将が指揮を執っていた。

だが、、突然の異変が起きた為に、誰もがその重要かつ、些細な疑問を指摘する者が出なかったのだ。
そして他のオペレーター達も、第3艦隊所属の130M 級護衛艦が1隻が遅れて出撃するところに注意が引かれていた。

「あれ……?」

急に同僚のオペレーターが声を不振な声を上げた。
隣にいた同僚はその声を聞き咎め、

「うん?どうした敵か?」

だが、それに答える同僚は、意味不明の言葉を返すだけだった。

「そ……それが、通信機器が突然、一斉に不備に……」

「なんだと?」

慌てて、彼は自分が担当していたオペレーション・システムを操作すると、こちらも一部通信エラーが発生し、
システムが正常に稼動しなくなった。

「俺もだ。おかしいな?そちらのレーザー通信は、どうなんだ?!」

隣の別のオペレーターにも声を掛ける。

「そ……それが、こちらも……」

その時、突然……

「うわぁぁぁぁっ!!」


ズッドドッードドドォォドォォン!!!! ドッカァァァァァァンン!!


猛烈な振動と破砕音の為に基地全体が震撼する!!

「なっ……何だ!!何が起きた!!状況はどうなっているのだ!!!」

副指令の悲鳴が室内を木霊し、更に周りにもその動揺が伝染する。

「わかりません!!これは……何だ?!」

基地司令から突然緊急連絡が入る。
それに答えようとするオペレーター。

『何事だ!!』

「わかりません!!突然、つうし――!!ウぁぁ…!ガァァァっ!!……」

しかし、彼は最後まで答える事が、終に叶わなかった……


――ドガァァァァァァシャァァッーン!! グヮァァッァァーンンン!!


突然、管制室のあちらこちらで激烈な爆発が始まり、
その爆発で生じた破片や爆風で、室内中の人や物が吹き飛び、
あちこちに千切れ飛んで壁に叩きつけられる。


破片で血達磨になって転がる士官、手足を失いそれを求め、全身を朱に染めるオペレーター。
母親や恋人、そして父親を弱々しく呼ぶ声が木魂する。

『母さん……母さん』

『エミリー……』

『お……と……さ……』

『ガハァァァァッ』

飛び出た贓物をかき集めようとして、途端に血反吐を吐き絶命する士官。

……一瞬でこの場はこの世の地獄絵図と化した。
……指揮官卓の前では副指令は立っていた……上半身を失って。


ドォォッォォォッォォン!!


――そして、管制室は、もう一度、激烈な爆風と破片に包み込まれ、断続する振動以外は暗黒へと包まれた……



===========================

――C・E70年6月2日 10:09――――

白く放つ光の輝く閃光の如く『俺』は『エンディミオン・クレーター』に一気に迫る。
資源基地は、クレーターの中心部から円形状に展開している典型的な基地である。
その基地中心上部には、開閉式の艦船を基地収納する入り口があり、其処をぶち抜いたら『地下発掘所』まで、まっしぐらに到達が可能だということだ。

急速に基地の景観がハッキリをしていく中で俺はある事を考えていた。

===========================

――出発前のミーティングでの会話を俺は脳裏に浮かべた。
ギルバートやラウ、サラを交えた会話を思い出す。

『見てくれ、これだよマフティー』

ギルバートは一枚の写真を提示する。その写真を見て横にいるラウも思うところがあるようで、何度か頷いている。
何かの地下施設のようだ何か巨大な円筒状のものが無数に並んでいる。

『こいつは?』

俺は、ギルバートに尋ねると……

『サイクロプス・システムです。マフティー」

サラが俺の隣で答えてくれた。

『サイクロプス・システム?』

何のことか俺は分からなかった。ギルバートは一つ頷くと説明を始める。

『……本来は採掘用に、レアメタルの混ざった氷を融解させる為の作業装置であり、その原理はマイクロ波で水を急速に加熱するというものだ。
 簡単に言えば、巨大な電子レンジというべきものだよ……」

『それで……?』

話がよく見えない。
ギルバートは真剣な顔付きで。その強い眼差しで俺を凝視する。

『笑い事ではないのだよ、マフティー。この説明だけでこの『兵器』恐ろしさがわかるだろう?』

『兵器?どういうことだ?採掘用の装置だろう?』

ラウが俺とギルバートの話に割り込む。

『わからないかな?こいつは巨大な電子レンジで有効範囲内は『エンディミオン・クレーター』の戦線の全域に及ぶ』

ますますよく分らなくなってきた。首を傾げていると……

それを見た、ギルバートとラウ溜息を吐くと同時に、
顔を見合わせ首を竦めやがった。


ムカッ!と来た俺は二人無視して、

『サラ……説明を頼む』

『はい、マフティー』

『サイクロプス』は本来はレアメタルの混ざった氷を融解させるための装置であり、その原理はマイクロ波で水を急速に加熱するというもの。
……端的に言えば巨大な電子レンジである。

『ここまでの説明はよろしゅうございますね?』

『ああ』

『そして……』

その原理はニュートロンジャマーで範囲を限定されたマイクロ波はその強度を増加させ、有効範囲内にいる生物は体内の水分の沸騰により悉く死に至る。
また、そのときの輻射熱によって装置そのものや設置された建物も破壊する。
モビルスーツなどに積まれている弾薬や推進剤も、水分がわずかでも含まれていると加熱され誘爆を起こすため、
これによってその場にあった兵器の殆どが破壊される。

『なにぃ……?そんなに危険極まりないものなのか!?』

『ええ……ですから……』

現在、攻略を開始しようとしている月面の『エンデュミオンクレーター』にレアメタル採掘用の器材としてその装置は設置されているのだ。
ザフト軍の攻撃を受け敗色が濃厚となった際、連合軍はサイクロプスを暴走させ、ザフトの手に渡る前に採掘施設などを破壊する可能性が極めて高い。

『だが、それは味方を巻き込む事を前提とした下策も下策、最悪の手段だぞ!仮にも近代の軍だぞ!!そんな事をするのか?』

『やるだろう』

『やるな』

『します』

俺がそれはあり得ないと、否定的見解を出すと同時に、
打ったら響くかのように、三者三様に否定の答えが返ってきやがった。

『何故だ?』

俺は厳しく彼らを問い詰める。本当にこんな蛮行をするのだろうか?

『ブルーコスモスだよ……マフティー』

真摯な声で答えるギルバートのその目は、蒼白く燃えていた。

===========================


ならば、全てを消し去ってやるさ!!
皆殺しにする――

「――メガ粒子砲!」

俺の声と動きと共に『Ξガンダム』の両肩から異形の砲身が伸びる。
ガンダム最大の破壊力を誇る恐るべき兵器だ。

加速しながら放つ為に出力を抑えながら撃たねばならない。

だが、あんな基地の開閉用の遮蔽シャッターごとき紙屑も同然だ。
出力を最小に絞ってもブチ抜ける。

「あたれェェェ!!」


ズゴォォォォォォォォォォーーー!!


ガンダムの両肩から膨大な光の奔流が放たれる。

そこを、丁度、運悪く第3艦隊の130M 級護衛艦が1隻が遅れて出撃しようとして、
開閉用シャッター入り口付近まで浮上しようとするところだった。

そこに膨大なエネルギーを誇るメガ粒子のビームの一撃が貫通した。


グワシャァァァァァァァァァァ!!!ドォォォォォォォォォォォォオン!!!


巨大な、エネルギーの奔流を受け遮蔽シェッターは消し飛び、出撃しようとしていた130M 級護衛艦をあっさりと貫いた。
大規模な爆発が起き、護衛艦はバラバラになりながら落ちてゆく……

『俺』は自分が、開けた『大穴』に一直線に向かう。

その姿を遠くで見れば、光輝く『白い彗星』が、
基地に向かって一直線に落ちてゆく様に見えるであろう――




>>つづく
289通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 20:11:45 ID:???
GJ!
貴様は電子レンジに入れられたダイナマイトだ!!メガ粒(略
290通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 20:15:34 ID:???
描写に擬音入れるのはやめた方がいいと思うが
それだけで文章が安っぽくなるから
291通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 20:20:52 ID:???
GJ!! いよいよハサとクスィーの本領発揮だな

>>290
富野御大の書くガンダム小説=UCガンダム小説ではこの表現法が一般的だった
ような。少なくとも閃ハサでは多用されてた
292通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 20:20:58 ID:???
まぁ富野からして(ry
293通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 20:57:21 ID:???
「白い彗星」か、悪魔よりもこっちの方がいいな。
あの二人の意思を継いだ彼にふさわしい
294通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 21:22:19 ID:???
GJ!
地獄絵図ですな。
この風、この匂い、と付け加えた方が良いかw

擬音が少しだけ気になりました。
>『Ξガンダム』の特徴的な鋭角の二箇所のチェスト・パーツが変形する。
>ブォォォォォン! バシュッ! ガシャン!!
>そして、側面から突き出るかのような両肩のショルダー・パーツが前後へと開放されてゆく。
特に、ここの擬音は必要ないかと。
きっちりと説明がしてありますのでそれだけで充分です。
ビームバリアーに関しても気になったのですが、これは言うだけ野暮ってもんですね。
Ξの印象付けとしてGOODですね。

ハサウェイにとっては、サイクロプスの使用は理解できんでしょうな。
UCにアンマリそういう指揮官いないし。
イーサン・ライヤーが思い浮かんだりもしたんですが、このおっさんの場合、最低限の犠牲で最大限の成果を出そうとしただけだしなぁ。
(イーサン・ライヤーに関する評価は個人的なものです。聞き流しちゃってください)

サイクロプスを破壊できるか否か、ここが正史との分れ目ですな。
次回も楽しみにしております。
295通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 21:24:21 ID:S7ucMTKp
GJだ!続きが気になって仕方ない
296通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 21:25:38 ID:???
継いだって言うか勝手に解釈してるって言うか……
297通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 21:26:00 ID:???
>>294
ケルゲレン撃墜だって、完全武装のザンジバル級を病院船と言われてもねえ……。
スレ違いすまそ。
298通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 21:30:16 ID:???
>>269
つーか、ハサウェイは火病起こしてチューンを・・・。
アムロが知ったら無茶苦茶怒ったんじゃないかな
299通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 21:33:32 ID:???
閃光のハサウェイはベルチルの後の話だからチェーンは存在すらしてないのでは?
300通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 21:35:04 ID:???
>>298
閃ハサはベルチルの続きだと言うに。
映画のハサならアムロに怒られるどころかMSの記録かなんかで刑罰受けるんじゃないか
301通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 22:02:01 ID:???
>>297
アイナからすれば「ミサイル類はおろか、メガ粒子砲まで撤去した、非武装の病院船」
なんだろうが、無茶あるよな
302通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 22:15:27 ID:???
GJです!
ついにエンディミオンが地獄絵図になりますね。
Ξガンダムの性能を見たクルーゼの反応も気になるところです。

次回を楽しみにしてます。
303通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 02:55:03 ID:OFeu4zfC
物語を読んでみたが、ここにでてくるΞは原作と関係ないと考えた方がよろしいな?
304通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 11:03:12 ID:???
>>303
なんで?
305通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 12:30:14 ID:???
まさに殴りこみって感じですな。GJ
>>302
クルーゼもガンダム欲しいとは思うでしょうが、性能スゴすぎて表立って使えんし
ならパイロットつきで裏で使ってる現状で妥協するしかないんでは。
306通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 14:10:06 ID:OFeu4zfC
なんでって、Ξはメガ粒子砲なんてうてたか???
307通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 14:14:34 ID:???
>>306
Wikipediaみるよろし
308通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 14:27:04 ID:???
小説媒体だったからか相変わらず情報が錯綜してるな
309通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 18:11:25 ID:???
設定ではメガ粒子砲付いてるんだよね。
310通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 19:30:11 ID:???
Ξって汎用機が主流に戻った時代に建造されたけど、ミノクラ着ける為に大型になったから
いっその事ZZみたいに大火力の恐竜形MSとして建造されたのかな?
使い方がテロ目的の一対多数っていうのもあったんだと思うけど。
311通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 20:04:20 ID:???
・・・自分が、マフティー・ナビーユ・エリンであります。きょうまで、自分を中心とした組織が、地球においでになった連邦政府の閣僚たちを粛清してまいりました。
そして、そのたびに、なぜ、こんな暗殺団まがいのことをしてきたかを、説明してきました。
それについては、かなりの世論の支持を得ていることは、連邦政府の関係者もご存知のはずです。
にもかかわらず、連邦政府は反省の色もみせずに、ここアデレートでは、さらに、地球汚染を再開するような法案の成立をもくろんでいます
・・・本格的な閣議は、明日からはじまり、マフティー掃討のためには、どのような支援も行われるであろうという合意がなされます。
しかし、それは、連邦政府の関心が、われわれにむけられているというていどの問題でしかありませんから、それについて糾弾はいたしません。
テロは、あらゆるケースであろうとも、許されるものではないからです
・・・我々はマフティーの名前のもとで、Ξガンダムとともに、連邦政府と戦うのは、組織におぼれた人びとを粛清する目的があるからです。
これが、理想の戦いでないのは知っているのですが、宇宙移民法にあるとおり、すべての人びとが宇宙に出なければ、地球はほんとうに浄化されることはありません。
現在、人類は、宇宙で平等に暮らしていけるのです。オエンベリでは、地球に不法居住しようとする人びとが、軍を組織しようとした非はあります。
しかし、それを力ずくで排除したのは、幾多の種を絶滅させた旧世紀人のやり方と同じではないでしょうか?
問題は、新しい差別を発生させて、連邦政府にしたがう者のみが、正義であるという一方的なインテリジェンスなのです
・・・今回のアデレード会議が、この連邦政府の差別意識を合法化するための会議であることは、どれだけの方がご存知でしょうか?
アデレード会議二日目の議題のなかに、地球保全地区についての連邦政府調査権の修正、という議題がありますが、これはとんでもない悪法なのです
この第二十三条の追加項目にある文章は、官僚の作文なので意訳しますが、たとえば、連邦政府の閣僚から要請があれば、オーストラリア大陸に土地を所有している方々からも、任意にそれらの土地を提供しなければならないことになります。
もちろん、正規の居住許可をもっていらっしゃる方からでも、土地を取りあげることができます。代償は、収容する土地と同じ面積の土地を所有者の指定するスペース・コロニーに請求することができるというものです。
・・・これらの法案が、アデレートで可決されれば、地球の自然が復活する芽も摘みとることになります。
それでは、人類が苦難をのりこえてスペース・コロニーに移住した意味がなくなるのです。
考えてみてください。特権階級の数万の人びとが、地球にもどりたいための法案が可決されれば、地球にもどる人びとが、数十倍になるのは簡単なことなのです。
もう一度、思い出して下さい。旧世紀の最後の一世紀だけで急増した人類が、地球そのものにも、瀕死の重傷をもおわせたのです。しかも、スペース・コロニー移民がはじまって一世紀もたっていない現在、地球の海は、まだまだ化学薬品が残留しているのです。
雨にも、まだ化学物質が混入したままなのです。まして、植物と小さい生物たちの命は、じゅうぶんに復活していません・・・それは何をいみするか?
そうです。地球には、まだ人類はもどってはならないということです。なのに、連邦政府は、人類が地球にもどれる準備をはじめて、その前に、自分たちの既得権を手にいれようとしているのです。それが、このアデレードで行われようとしている会議の真相なのです
・・・で、中央閣僚会議が、これらの法案を廃棄しないかぎり、閣僚たちの粛正をここで実行することを宣言します。この放送をきけば、関係者はアデレードを一斉に逃げるかもしれませんが、これ以後、アデレード周辺から逃亡するものは、無差別に粛正の対象にします。
しかし、我々は一般人をまきぞえにするつもりはありませんので、関係者以外は、これから二時間のあいだに、アデレードから退避してください。
その後、アデレードから出ようとする乗り物と人は、すべて我々のターゲットになるものと思っていただきます
312通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 23:38:39 ID:???
>>310
多分ミノクラの実証機として生産されたのだと思う。
試作型だから詰め込めるだけ武装を詰め込んで、そこから改良していく気だったのかもしれん。
313通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 03:41:51 ID:5NmuCTs7
後のゾーリン・ソールであった
314通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 05:05:10 ID:???
いや、F91やVだろ。
315通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 07:25:14 ID:???
VもF91もミノクラなんて積んでないだろ
316通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 08:14:11 ID:???
>>315
積んでてV2か
317通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 08:21:03 ID:???
V2はみのドラ
318通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 10:39:49 ID:???
重力に反発して浮くだけなのがミノクラ
ミノクラの簡易版で、別の何らかの機関によって得た推進力により、重力との反発力を発生させるのがミノフラ
それ自体が推進力を発生させ、同時にある程度の慣性制御も行うのがミノドラ
319通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 12:15:18 ID:???
しかしミノドラ搭載のV2でもビームバリアーが無いから大気圏内で音速突破
する事はMS形態(分離すれば可)では不可能なんだよな

まぁクスィーに採用された技術はガイアギアの時代でも通用する物ばかりな
んだけど(確かUC100年前後がMS技術の過度期って記述がガイアギアであった
ような)
320通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 17:00:18 ID:???
>312
確か、さらにその試作型がペーネロペーだったはず。
321通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 19:52:03 ID:???
ミノクラがユニット式なんだっけ?

俺は、『メガ粒子砲』によって生み出された大穴に飛び込むや否や、『入り口』付近で、高速飛行形態を一旦解除する。
そして、即座に姿勢バーニアを吹き、加速によって生じた猛烈なGを緩和した。

……万が一にも有り得ないが、待ち伏せに注意したのだ。

今さっき、無理やりにこじ開けた『入り口』の周辺は『メガ粒子砲』によって生じた莫大な破壊の奔流で消し飛び、
兵を伏せ、重火器を装備したMAの大隊や130m護衛艦が準備万端に待ち構えていても、今の一撃でバラバラの破片となっていることだろう。
例え、他の用意周到な、罠があったとしてもそれを噛み破った自信がある。

だが、『前回』の俺は、罠がある可能性を察知していながらも、
その情報を然程に、重要視せずにいた為に手酷い目にあったのだ。

そして、身勝手な希望的予測によって『俺』と『Ξガンダム』は生涯最大の『敗北』を喫したのだった。

――『ガンダム』は勝利と共にある――

その輝かしい先達の伝統の『御旗』を『俺』と『Ξガンダム』は泥に塗れさせてしまったのだ。

屈辱でもある。『赤いユニコーン』をこの身に背負った今なら尚更に……

そうだ――

――敗北も失恋も一度で十分だ――

今回の作戦は即効とはいえ備えを怠れば、即座に敗北へと繋がる。
――死とは、備えをする者にとってこそ最も遠いものなのだ。

俺の意思に連動してガンダムの目は輝き、ビィィン!と索敵用センサーが作動する。

俺は『大穴』に飛び込むと同時にセンサーを最大限に発揮させ、周囲の探索を瞬時に行い状況を把握していた。
ガンダムのコンピューターが、一瞬で周囲の予測範囲CGを構成し『サイクロプス』までの道程の最短距離を弾き出す。

予め、ギルバートやサラが基地周辺の内部構造を入手に成功していたのだ。
重要な軍事拠点出ない事が幸いし、比較的正確なデータを入手出来たのだという。
323通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 22:17:35 ID:???
255氏の閃光のハサウェイにおいては、クルーゼやデュランダル達に勝って欲しいと思う俺がいる……

それを予め『Ξガンダム』のコンピューターにセットしておき、今現在の周囲状況をセンサーをモニターさせながら、
ガンダムに備わったコンピューターが予測を立て、メインモニターの一部に道順が瞬時に表記された。

最下部に『サイクロプス・システム』が表記され、そこに辿り付くまでの道順の軌跡が表記される。
その情報を一瞥し、俺は決断した。

……やはり一直線に『道』を切り開くのがベストのようだ。

途中、居住区や施設があるが一切考慮しない。破壊して進むしかないだろう。
『サイクロプス』を潰して基地を崩壊させる事が勝利への近道だからだ。だが、躊躇いもどこかにある。何も知らない一般の兵士たちは……

その思考は脳裏で瞬時に行われていた。
同時にガンダムがウィィンと反応する。
俺は苦笑する。

「……わかってるさ、俺の躊躇が更なる死を招くだろう。今、外で頑張っている『あいつ』の為にもな」

俺を気遣うかのようなガンダムの反応に、俺は優しく答える。

何も知らない人間から、見ればそれは笑止な光景だろう。
常識からすれば、意思を持たないメカが人を気遣うはずはないのだから。

だが、パイロットと愛機の間には余人が計り知れない絆が存在するのもまた事実だ。
俺はただそれを知っているだけにすぎない。

俺が、決断を下すと同時にガンダムは高速飛行形態に再び変形する。
一直線に『サイクロプス』への『道』を目指す。


ナビの指示通りに直線に進むと、『サイクロプス』への『道』へと続く最初の障害が隔壁となって現れる。
俺は加速しながらビームサーベルを構えると一気に障壁を切り裂いた。

薄紙を破るかのように両断された障壁を突き抜け、俺は広がる空間へと踊り出た.
そこはちょっとした空洞・ジオフロントとなっていて、地下都市に似たビルや工場や作業場が溢れていた。
戦艦修理ドックや恐らくは、MAの製造及び修理工房らしき建物も見える。

周囲の状況を即座に確認すると、俺はガンダムの各ブロックから搭載された多弾道ミサイルを容赦なく発射する。
辺り一面に向かって、ミサイルは無秩序に飛び回りビルや工場、施設を破壊しまくる。

病院と収容シェルターらしきものはわざと直撃を外した。
甘いかな……?唇の端を歪める。

全て消し去る。
枯れ木も残すつもりはなかったのに。

だが、『サイクロプス』が発動されるか、破壊されるかすれば、結局のところ彼等に生き残る術はないのだ。
自己満足の類いのなのは身に染みている。

散り、逃げ惑う兵士達を見るとはまさかここまで、敵が侵入するとは思っていなかったのだろう。
全く統制が取れておらず、既に烏合の衆だ。

散発的に、間に合わせ用の機銃照射装置の砲台の攻撃があるが、直ぐに沈黙させた。
今回の間に合わせのジンが使用しているMMI-M8A3 76mm重突撃機銃でだ。

こいつは、中々使いまわしが良い。ジンだとアサルトライフルだがガンダムが持つと手頃なカービン銃だ。
一発あたりの貫通力自体も相当高く、しかも、ガンダムのパワーで銃柄を握っているので全く反動がない。
存分に、その高い命中精度と連射性能の兼ね備えを十二分に発揮してくれている。

2ミリずつ照準をずらして機関砲を2台破壊した。兵士が千切り飛び、吹き飛ぶ様子がガンダムの目に連動している俺の視線に入る。
更に3台の旧式のミサイル発射台を見つけ爆発させた。戦車が数台あったがこれは稼動していなかった為に動かない的となるだけだった。

哀れな守備隊を沈黙させると後はミサイルが生み出す、地獄の劫火がそれ等を包み込む。
残るのは、崩れる建物と物言わぬ死体の山、そして燃え盛る炎のみだ。

その業火は、忽ち悲惨な戦場の惨劇を呑み込み広がってゆく。

俺は、自分が生み出した地獄絵図を一瞥すると、焼け落ちる『都市』を後に目的地へと急いだ。

===========================

――地球連合軍 『エンディミオン・クレーター』資源供給基地・地下脱出用ドック――

ここでは、今、まさに大西洋連邦に所属している『ブルーコスモス派』の将校達が
基地に設置された『サイクロプス・システム』の暴走の準備を開始しようとしていた。

現在、戦況はザフト側に傾きつつあり、この基地の陥落も時間の問題かと思われていた。

この基地の司令官である地球連合の少将は正式には『大西洋連邦』に所属する高官の一人である。
戦況は、副司令に委ねて自分達はある重要な作戦を開始しようとしていた。

この男は『国防産業連合』とその『理事』との関係も深く、『サイクロプス』の使用はその『理事』から直接に命じられたのだ
勿論、『大西洋連邦』の大統領の指示でもなく、連合軍最高司令部の命令も出ていない。

ここ、『エンディミオン・クレーター』で採掘されるレア・メタルの権益を巡って、
その独占権を『大西洋連邦』と『ユーラシア連邦』は巡って常に争っていたのだ。

その為、『ユーラシア連邦』は自陣営の派閥が、大きく占める地球連合宇宙軍である『第3艦隊』を基地防衛の要として
『大西洋連邦』の独断の監視を含めて駐屯させ、反対に『大西洋連邦』は基地司令として自陣営の将官と参謀を駐屯させているのである。

『地球連合』など大層なネーミングの割には組織構造はとんだお粗末であり、主導権争いの内部抗争の連続である始末であり、そして民間の財閥当主の命令が罷り通る有様だ。

地下奥にある、この基地で最も安全な場所。『脱出艇』へと続く近道。
そして、そこは自分たちだけ『ダイダロス基地』へと脱出の準備を進め、『サイクロプス』の自爆によって敵味方問わずに全滅させようとする輩たちの集いの場でもあった。

「閣下、『サイクロプス・システム』の準備が整いました」

「わかった」

部下の報告と同時に基地司令官は重々しく頷く。

「この犠牲により戦争が早期解決に向かうのだ」

もう一人、大佐の階級証を首元に光らせる男がそれに同意し、意気を上げる。

「……よろしい。尊い犠牲の元、宇宙の化け物どもが一掃されるのだ!彼等の死は決して無駄ではない!」

「うむ。我が、『大西洋連邦』の将校が少ないのが慰めですな。ユーラシアの豚どもめ、囮の役くらいは満足にしてもらわんとな」

中佐、少佐など佐官が盛んに自分等に都合の良い、身勝手な論議を始める

彼等は……大国である『大西洋連邦』の軍上層部の大部分を占める『ブルーコスモス』の派閥に属しているのだ。

「そう、全ては……」

互いが同志を確認する為にある合言葉を唱える。

「「青き清浄なる世界の為に!!」」

彼等は自分たちが用意した脱出船へと向かう。

この『エンディミオン』で『名誉の戦死』を遂げる将兵たちの為に、我々は、ダイダロス基地に帰還し、派手な『追悼式』の準備をしなくてはならないのだ。
そして改めて、我等『ブルーコスモス』の指揮の下で地球連合は対コーディネイタ―士気を派手に揚げるのだ!!

そのようにして、彼等は意気揚々と自分達の掲げる理想とやらの旗印の元に、十字軍気取りの英雄として
同僚達の悲劇を胸に今、凱旋しようとしているだ。

だが……その御立派な『反コーディネイタ―』の闘士である彼等の予定は大幅に狂う事になる。
三人の『極悪人』の手によって……


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォッォン!!!!


派手な爆砕音と大きくグラッ!と室内が揺れ、彼等の内の何人かがバランスを崩し、転がる。
辛うじて転倒を免れた基地司令官は慌てて、副司令官が残って指揮を取っているであろう管制室への連絡を取る。

「何事だ!!」

『わかりません!!突然、つうし――!!ウぁぁ…!ガァァァっ!!……』

通信機に怒鳴りつけると同時に突然、オペレーターの断末魔と共に通信が不能となった。

「何だ?何が起きてるんだ?!」

と聞き返す。だが、それに答えを返す者はここにはいない。

ドォォォォォーーーン!ドガァァァァァアーーーーン


断続で襲い掛かる爆発音と轟音、絶え間なく続く激しい揺れ。

ガラッガラッとしか形容がつかない巨大な破砕音が響き渡り、
そして突然、天井が崩れ落ち、大量の瓦礫の山が彼等の頭上から襲い掛かる。

「ウワァァァッぁーーー!!」

「ギャぁぁぁぁー?!」

「ウガァァァァァ!!」

部屋の中では、血が飛び散り、贓物、骨、脳漿が埃や瓦礫と共に撒き散らされる。
ほぼ、全員が瓦礫の直撃を受けて、肉潰となりミンチとなった。

運良く辛うじて瓦礫の直撃を免れたが、血塗れである事には変わらない『中佐』が、左脚を付け根から失いながら、
何とか瓦礫の間から這いずり出てきた。
そこでふと、霞む目で見たものは……

「あ、悪魔……?」

巨体で圧倒的な異形のシルエットとその顔に当たる部分からは苛烈な閃光を放つ、双眸と言うべきものが……
ウィィン、ウィィィンと悪魔の呼吸音のように響き渡る魔笛。

もし、彼が『東アジア共和国』など、極東出身ならばあるいは、4本の角を生え揃えた『鬼』と呼ばれた存在にも、見えたであろう。

しかし、彼の出身の『大西洋連邦』で……もはや、廃れてしまった教派の『神』の『宿敵』である『悪魔』としか出てこない。
今、縋(すが)るべきは『羽クジラ』ではなく『神』でしかないであろう。

「……神よ」

彼は最後の意思の力を振り絞り唱えたが……
――生憎と、『この世界』の神はずっと前から不在のようだ。

その『悪魔』の両肩が輝き始める。
そして、彼が、生涯最後に目にしたものは、膨大で灼熱に輝く奔流だった。


===================================

「下種が……」

俺は呟く。

『脱出船』らしきものを確認すると、即座に『メガ粒子砲』で撃ち抜いて辺り一帯を全て消し飛ばす決意をする。

――やはりだ。自分たちだけトンズらしようとしていやがったな。
俺は怒りが湧いてくる。貴様等の部下は残らず死んだぞ……なのに。

灼熱の怒りが俺を支配する。
部下だけ見捨てて、自分等だけ逃げようとするクズどもが。

――『あの人達』は、そのような事は決してしなかった。

『ニュータイプ戦士』達は立場の違いはあれ、リーダーでありながら常に陣頭に立ち、危険な戦場で戦ったという。

戦士であった『赤いユニコーン』は無論のこと、指導者である『赤い彗星』を始め、伝え聞く『アクシズの摂政』、『木星から帰還した男』など。
彼らは全て勇敢だった。そして『親父』も……

尊敬すべき政治的指導者といえば彼らがよく上げられるが、もし俺が正式な軍人で、尊敬すべき軍の上官は?と聞かれれば、俺は自分の『親父』の名を真っ先に上げるだろう。
俺はあの人は尊敬している。父親としても人の上に立つべき人物としても。

もう、二度と会えないが……元気でいて欲しい。母や妹ともども。

怒りが増す。
薄汚いクズども……貴様らそれでも人の上に立つ人間か!!

――死ね。
一人たりとも、生かしてはおかない。

俺の冷たい殺気にガンダムは反応する。
この辺り一帯にミサイルもぶち込まれ、俺の怒りに感応したかのようにメガ粒子砲も火を噴いた。

ミサイルとメガ粒子の閃光は巨大な灼熱の業火の翼を生み出し、あたり一面を火の海と化した。


無論、このミサイル郡は『ファンネル・ミサイル』ではないので、細かい脳波操作などはできないが、
短い距離ならば、ある程度の方向へ向けての発射が可能であり、そして広範囲を焼く尽くし、破壊するタイプである。
今回はそのタイプを大量に搭載していた。

今回の作戦は、完全殲滅が作戦の基本の為に細かい破壊力のあるミサイルは搭載していないのだ。
俺は今回は『拠点殲滅用』の重爆撃機にこのまま徹するつもりだ。

何故、都合よくこの場にいるというと……
『道』を切り開く為に、ミサイルとビームと実弾をばら撒きながら進む俺は、進む先にその『悪意』のあるプレッシャーを感じ取ったのだ。
どうせ、ついでと感じるままに接近すると、ギルバート達の『データ』にあった地下の『緊急非常口』とやらに、小型艇が脱出準備をしていたのを発見した。

――案の定だ。自分等だけ助かろうとする下種どもがいたという訳だ。

怒り狂った俺は即座に、奴等に地獄への片道切符の発行してやったという訳さ。
やや怒りが収まった後、俺は目的地まで目指す。
すぐそこなのだ。

そのまま抵抗もなく順調に進み、あっさりと俺は基地最下部の『サイクロプス・システム』に辿り着いたのだった。


――その地底の底には、無数の巨大な円形状の筒のような物が地下に一面に並べられていた。
さながら、それは神話に出てくる『巨人』達の地下王国を思わせる……

軽く、頭を振る。
急ごう、感慨に耽るのは後回しだ。

すぐ様、ここを始末して外にいるラウ達の援護に出ねば。
メガ粒子砲最大出力。同時にミサイル一斉発射する。

「いけぇぇぇぇぇぇ!!!」

俺の反応と同時に、ガンダムの両肩の『メガ粒子砲』が再び、輝きを放つ。
と同時にガンダムの各ブロックから『ミサイル』が一斉に飛び出した。

地下深い『巨人の国』へと向かう灼熱の『メガ粒子』の輝きは、まるで『巨人』達を切り倒す『光の剣』のように群れの中心を両断した。

遅れて、無数のミサイルがこれまた『光の矢』のように無軌道に『巨人』達に目掛けて襲い掛かった。

一瞬の静寂とともに――

突然、強烈な閃光と共に轟音と爆砕音とが交互に連ね、辺り一面が猛烈な劫火と閃光が乱舞する世界へと変化する。

地底王国は崩壊し、地下に集う『巨人』達が今まさに滅びようとしている。
それは『巨人』達が放つ断末魔であり、『エンディミオン・クレーター』が放つ最後の悲鳴でもあった。





>>つづく


331通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 22:33:33 ID:???
乙です!

圧倒的だな、白い悪魔は。
332通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 22:36:08 ID:???
GJ!
ついにC.Eの歴史がはっきりとした形で分岐し始めたな
ここから紡がれる今だ誰も知らない新たなる未知の時代はどんなものになるのか…
次回が待ち遠しいぜ!
333通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 22:47:47 ID:???
GJ!!
サイクロプス撃破完了!
ハサウェイ、やっぱり官僚的な人間が嫌いなんだな。
まあ、この辺は後に置いとこう。

それにしても、三人の『極悪人』って、オイ!
せめて、「仲良しトリオ」と言ってやれw

次はラウ編か、それともムウ編かな?
それぞれの視点で語られるエンデュミオン・クレーターでの攻防戦…も、萌える。(字が違うかな?)

次回も楽しみにしております。
334通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 23:06:27 ID:???
> せめて、「仲良しトリオ」と言ってやれw
3馬鹿以外じゃもうしっくりこないw
335通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 23:07:44 ID:???
いやこのスレのクルーゼは萌える
まぁ最高に萌えるのはデュランダルなのは間違いないが
336通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 23:20:39 ID:???
GJ!!!
337通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 23:33:49 ID:???
>>335
レイ乙
338通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 23:35:37 ID:???
うーん・・・・月は地獄だ。
339通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 23:48:14 ID:???
      ./       ;ヽ
      l  _,,,,,,,,_,;;;;i  <いいぞ ベイべー!
      l l''|~___;;、_y__ lミ;l  逃げる奴は連合兵だ!!
      ゙l;| | `'",;_,i`'"|;i |  逃げない奴はよく訓練された連合兵だ!!
     ,r''i ヽ, '~rーj`c=/
   ,/  ヽ  ヽ`ー"/:: `ヽ
  /     ゙ヽ   ̄、:::::  ゙l, ホント 月は地獄だぜ! フゥハハハーハァー
 |;/"⌒ヽ,  \  ヽ:   _l_        ri                   ri
 l l    ヽr‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
 ゙l゙l,     l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
 | ヽ     ヽ   _|_  _       "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
 /"ヽ     'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄  [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
/  ヽ    ー──''''''""(;;)   `゙,j"  |  | |
340通常の名無しさんの3倍:2006/12/12(火) 02:27:52 ID:???
今回もGJ!そして乙でした。
一人称の語り口が、ハサの冷徹さと、同時に怒りを感じさせてくれます。
個人的には、擬音は使いどころさえ良ければ、この物語では効果は高いと見ています。
さて、今回一つ、気になったところがありました。

>存分に、その高い命中精度と連射性能の兼ね備えを十二分に発揮してくれている。

最初の「存分に」と、後の「十二分に」で形容がかぶっています。どちらか片方での組み立てなら、より効果的だったと思いました。
それでは、次回も頑張ってください!
341255:2006/12/12(火) 11:00:10 ID:???
今回も拙いSSにご感想ありがとうございました。
感想は書く側にとっての最大の栄養です。
wikiに毎回挙げて下さる方にも最大の感謝を!

>>340
ご指摘ありがとうございます!
ギャー!!その通りです。自分でも書いていておかしいかな?と一瞬思いましたが
ま、いいかと何にも考えていませんでちた。

×存分に、その高い命中精度と連射性能の兼ね備えを十二分に発揮してくれている。
○存分に、その高い命中精度と連射性能の兼ね備えを発揮してくれる。

wikの方を上記に修正しました。ついでに誤字修正と、どうでもいい事を幾つか書き足しました。
今回も誤字やおかしな言い回しが一杯あって申し訳ありませんでした。

モチベーションの維持の為に成るべく短期間の内に自分の妄想を稚拙な文にしますので
阿呆な書き方になりますが何卒お目こぼしの程を……
342340:2006/12/13(水) 01:01:10 ID:???
>>341
乙かれさまです。
差し出がましいかな?と思いつつカキコしたのですが、参考にしていただけたなら幸いです。
寒い上に年末で何かと忙しい時期ですから、ご無理のないように頑張ってください。
343通常の名無しさんの3倍:2006/12/13(水) 02:11:30 ID:???
こんなに沢山書いてるんだから誤字脱字があっても可笑しくは無いさ
ガンガレ!

「ラウ・ル・クルーゼ!ジン・ハイマニューバ出るぞ!!」

メインスラスターである『MMI-M730試作型エンジン』は抜群の加速力を発揮し、
強烈なGが体に圧し掛かる。

「グッ!」

思わず声を出してしまったが、直ぐに加速のGに体が慣れる。
戦艦『ガルバーニ』のMSカタパルトから射出された私は、無重力の戦場へと踊り出たのだ。

改良型ジン・ハイマニューバの調子は上々だ。整備班は私の癖や動きを良く呑み込んでいる。
後で、金一封モノだ。

前方のメインモニターから視界に映るのは殺風景な『月の世界』だ。
それは確かに、地球という緑豊かな星に比べ、まるで凍りついた『死の世界』だろう。

だが、皮肉な事にこれから未来に向かい発展すべき星こそ、この月の大地にこそ間違いないのだ。

いつの日か、月は人の手によって緑溢れる大地へと変貌し、そして地球のように喰い潰されるのだろうか?
私が生まれて初めて得た同志ともいうべき男の気持ちが、何となくだか分かる気がした。

人は地球という大地に魂を縛り付けられずに、無限の大宇宙へと旅立ち、広がり、
そして種として終りを告げ、自然に消滅しゆくべき存在であると。

――生あるものはいつか滅びる――

それが自然であり、変えようのない時の流れなのだろう。
人の種など、他の『生命』を滅ぼしてまで生き残る価値はあるまい。

――滅びるべきして滅びればいいのだ。

人類の興亡など、無限に広がる宇宙に比べれば砂の一粒にも満たない。

今まで一度たりともなかった感慨に身を浸っている。
『宇宙』とは私にとってただの戦場に過ぎなかったが……今はどうやら違うようだ。

ピー!・ピー!・ピー!

感慨は一瞬で終了する。
我が愛機が敵が至近距離で接近しつつある事を察知し警告してくれる。

「いかんな……戦場でこの低堕落とは、私にも男の『浪漫』とやらが移ったか?」

苦笑してしまう。
ここは戦場だそ。『ラウ』!

改めて自分の名を認識すると……何故か新鮮な響きがある。
私はあの『下劣な男』とは、根本的に違うのだということに驚く。
私は奴とは完全に別の存在なのだ、そして『レイ』も……

自分自身と同様に不運な『弟』にも思いを馳せる。
彼も私と同じように『モノ』を手に入れることができればいいのだがな……

――これらの脳裏の思考は、僅か数秒の事だ。

『彼』と出会い『ニュータイプ能力』に目覚めてから私は確かに変わったのだ。

精神の面では、知覚が急速に拡大し、全てに方向に存在や意思そして、『宇宙』を感じる事が出来る。
肉体的にもだ。最近になって身体的不調は無く、今は絶好調だ。

たとえ、一万の大軍と単身で戦えと命令されても喜んでやるだろう。

ギュゥゥン!

――私はハイマニューバの制御バーニアの噴射しつつ、姿勢制御を行う。
体の位一部になったかのように、機体が答えてくれる。
かつて無い事だ。


後方表示用モニターを見ると、後方からジンがそれぞれの戦艦から飛び出して来る。

今回の編成はそれぞれ、3機を1小隊とし私を含め合計18機、6小隊の構成となる。
私の斜め後方の両隣の位置に、私の小隊直属のジンが並ぶ。

私の両脇に付く、彼等の役割は他の小隊のジンとはやや違う。
あくまで私が撃ち漏らした敵機の撃破と自分たちの防御を中心の役割を演じてもらう。

私自身も今回は改良型ハイマニューバの性能をフルに発揮させ、自分の撃墜数のスコアを稼ぐよりも、部下達の援護に回るつもりだ。
そう、今回の作戦の根本的な所は『手柄』を挙げるな、だ。

『個人の勇』よりも、隊全体の規律と行動を優先させる。
個人の『手柄』など作戦が完了すれば勝手に付いて来るのだ。

あくまで、自分たちの防御を優先しつつ、敵に有利な位置を占め、撃破する。
極端に言えば、総勢18機のジンで1機のMAを袋叩きにする事が最高に理想の戦法なのだ。

無論、部下の中には反発する者もいたが……黙らせた。
先頃に手に入れた『ネビュラ勲章』もそうだが、この仮面がモノを言った。
無言で見つめていたら勝手に向うが折れた。

その日は、初めて仮面に感謝した記念すべき日となったのだ。

……戦場に話を戻そう。

先程、ハイマニューバの索敵にも引っ掛かったがMAが群れを成して接近して来る。
部下から緊張した報告が入る。

『前方よりMA郡接近!数およそ30!!』

倍近い敵戦力に対して緊張しているのだろう。如何にMAとはいえ数は脅威だ。

私は部下達をリラックスさせる為に、慣れない冗談を言う。

「クルーゼより各小隊へ。作戦通りにいくぞ!!いいか相手は動く的に過ぎん!肩の力を抜いてぶち抜いてやれ!!」

『『了解!!』』

「なに、こちらは頑健なシールドもある。MAの豆鉄砲など、めったな事にはならないさ!」

通信機から複数の笑い声が聞こえた。よし!頃合だな。
 
「よし!ゆくぞ!続け!」

『『了解!!!』』

――笑止な事に敵MA郡は無秩序に固まったまま、突っ込んでくる。
しかも、奴等は旧式の『ミストラル』と呼ばれる作業ポットに毛が生えた程度の代物で来るのだ。

このMS・『ジン』に対して何と無謀な……『ジン』――『魔神』名は伊達ではない事を重い知らせてやろう!

私は口元に冷笑を浮かべつつ、部隊全機に作戦のあるパスワードを送る。

予め幾つかの戦術をキー操作一つで部隊全体に伝わるようにして置いたのだ。
これならばNJの障害など何のそのだ。

私は心から『近代MS戦術講座』試験用対策の『カンニングペーパー』をくれた『友』に感謝する。

私のハイマニューバが先頭になり突撃の攻勢をかける。
まるで、テレパシーで繋がったかのように一切の乱れも無く、18機のジン達は一つの生き物のように、
孫子で言う鋒矢(ほうし)の陣形というべき形態となる。

『ミストラル』の群れは我々のその速攻行動に、まるでついて行けずに右往左往する。

グォォンン!!

一気にMAの群れを貫き、突き破る!!


ズガガガガガッ!!

ハイマニューバのJDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃が火を吹き、先頭へ飛び出たMAを見事に貫通する!

ドガァァァァァァン!!

爆散すると同時に、もう1機の『ミストラル』が加速し機銃を掃射しながら迫ってきた!

ギュィィン!!

機体を捻り、上手くかわすと同時に私は一気に加速し、相手との距離を詰めて、銃身下部に装着した特注の重斬刀で相手を一気に斬り裂いた!!

グァシャン!!ザシュュッンンッ!!

刺突用の銃剣としての役割を十二分に果たしてれた重斬刀によって、
その哀れな『ミストラル』は完全に両断されてしまった。

先陣を一番乗りし、MA2機を撃破して爆散する機体の光景を横目に、意識を広げ、周囲の状況を感知する。
部下達もそれぞれMAを撃破している。それを視覚によらずに確認できた。

「ククッ……皆やるではないか」

このような時にも便利だな、『ニュータイプ』とは……。

目を使わずして、お前達の戦功をちゃんと見届けているぞ!
後で私の名で勲章の申請をしよう。

思わず笑い、自分の能力にも満足する。
同時に部下達の戦果にも満悦だ。

基本的に3機の内1機が近接、1機が中距離、1機が小隊の死角の防御を重点的に置くようにする。

我々が『ミストラル』の群れを貫いた後、敵MAの数は半数近くが撃破されていた。
こちらの被害はゼロ。完璧だ――

すぐさま、陣形を建て直し、さらに混乱の拍車をかける残りの無秩序なMAどもを殲滅すべく襲い掛かる!!


ズガガガガガッン!!ザシュュッンンッ!!

ドゴォォォン!!

私を含めたジン各機が、容赦なく『ミストラル』どもに攻撃をしかける。
改めて私はMA3機を片付け、他の者も残りの敗残兵の始末をする。

最後は、撃ち、斬り裂き、爆発する。
この単純労働の繰り返しだ。
連合側のMA部隊は、まともな応戦も出来ずに、最初の一撃より呆気なく勝負は着いてしまった。

MA『ミストラル』32機は僅か数分で宇宙の藻屑となった。
こちらの被害は装甲に軽微の損傷を受けたジンが2機のみ。
それも戦闘継続には全く支障が無いレベルのものばかりだ。

私は余りの敵の呆気なさに、思わず、

「こういうのは何と言ったかな?そう……」

『一頭の獅子に率いられし羊群は、一頭の羊に率いられし獅子群を駆逐する』
か?と思い浮かべてしまう。

優秀なMS指揮官の育成。個人の勇ではなく、全体の戦局が見れる者。
これは我々ザフトが、連合に勝利する為の重要な要素になるのでは?と先の事へ想いを馳せる。

ピー!・ピー!

警告音が入る。敵連合宇宙軍所属第3艦隊が接近中のようだ。
艦隊を確認した。

アガメムノン級大型戦艦を始め、ネルソン級(250m級宇宙戦艦) ドレイク級(130m級護衛艦)など。
御大のご登場という訳か……

『クルーゼ隊長……』

部下の不安な声が入る。


「慌てるな。本隊も直ぐに合流する。それに、もうじき我等にとっての『福音』が鳴るのだ」

『はぁ?……!MAの先鋒隊が戦艦より出撃し始めました!『メビウス』です!数およそ20!!』

私は一瞬、考え込むが決断した。敵の最初の勢いを潰すのが先決だろう。意気を挫くのだ。

「――よし迎撃するぞ!先程の連中と違い、連中は直線距離の脚だけは早い!回り込みながら潰すぞ!!」

『『ハッ!!!』』

ついでに、私は彼らに対する信頼の証として一言付け加えておいた。

「――大丈夫だ。この程度の連中に我等がやられる訳がなかろう?
 ……いざとなれば、私が囮になってでもお前達の血路を切り開いてやる」

『隊長……いえ失礼しました。……我等はご命令通りに動きます』

彼はやや上ずった声を出すが、私への態度を改めた。
どうやら全員、私と命運を共にしてくれるようだ。

「ならば、いくぞ!!連合の奴等を一兵たりとも『ここ』から生きて返すな!!」

『『応!!』』

私は『メビウス』の群れを迎撃すべく先頭に立ち最前線へと向かう。
後に続くのは私の意を汲む部下達だ。

この直後に『エンディミオン殲滅戦』は佳境へと移る事となる。
ザフト・連合軍両軍に『エンディミオン』基地壊滅の急報が入るのだから。





>>つづく

351通常の名無しさんの3倍:2006/12/13(水) 21:48:35 ID:???
GJ!!!
352通常の名無しさんの3倍:2006/12/13(水) 21:50:00 ID:???
GJ!!クルーゼが輝いてるw
353通常の名無しさんの3倍:2006/12/13(水) 23:07:27 ID:???
GJ!
クルーゼは悲しさと優しさが同居してる男なんだな・・・
本編では悲壮さに押しつぶされてたがハサが来たお陰で
少し視野も広くなったか・・・
354通常の名無しさんの3倍:2006/12/13(水) 23:12:42 ID:???
GJ!!!!
邪魔な擬音は
脳内フィルターで除去して読みました
355通常の名無しさんの3倍:2006/12/13(水) 23:22:02 ID:???
GJ。
>最近になって身体的不調は無く、今は絶好調だ。
せ、精神が肉体を凌駕しているというのかー。
356通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 00:17:00 ID:???
GJ!!!
ちょっ、クルーゼ!?!?!?
一生憑いていきます!!
これは彼が精神的な面で完全に吹っ切れたと思って良いんですかね?
マジでカッコイイ!
既にハサウェイが到達するであろう所を通り過ぎたのではw

>極端に言えば、総勢18機のジンで1機のMAを袋叩きにする事が最高に理想の戦法なのだ。
鬼過ぎだYOwww
まあ、現実世界じゃ多数を持って少数を潰すのは当然のことなんですがねw
連合は、もしかしたら本編よりも地獄が続くかもしれませんね。
ただ、このMSの運用法を研究して、MSが生産されてすぐに採用してきたら逆にやばいかも……

>>348での戦闘中の擬音についてですが、完全に逆効果ですね。
文章が戦闘の状況やMS・MAの行動をきちんと描写しているため、かえって邪魔になってます。
戦闘のシーンに擬音を使用することを控えられてはどうでしょうか?

次は、目下地獄を体験している連合側、ムウの回ですが、彼は今のラウを感じる事が出来るでしょうか?
次回も楽しみにしております。
357通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 01:10:21 ID:???
ここのスレのクルーゼならいくらでもついていきますよ
職人さんGJです
358通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 02:23:47 ID:???
御大の小説はよく擬音を使うけどさ
職人さんは御大じゃないだろ?
何も御大の悪しき慣習まで真似る必要はないと思うのだが
359通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 02:26:40 ID:???
そこは職人さんの自由じゃないか?
360通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 02:36:58 ID:???
慣れてくると快感に変わるんだよ
361通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 02:41:23 ID:???
擬音は扱いが難しいよね…
荒木は天才だと思う
362通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 02:56:22 ID:???
ズッキューン禁止な
363通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 03:32:37 ID:???
メメタァ!
364通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 04:41:57 ID:???
…クシカツ辺りの擬音をつかえば!
365通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 07:59:21 ID:???
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
366通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 12:38:46 ID:???

        _ i 」」 _ i」」 _ i 」」 _ i 」」
         __|   __|   __|   __|
367通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 23:01:00 ID:???
うお、ちょっと見ない間に更新が。
28話はわかりやすい悪役が時代劇のように斬られてて
>三人の『極悪人』の手によって……
あたりでチャラリーン♪チャッチャッチャ(ry と仕事人のアレが頭の中を流れますたw
29話。なんか前向きになってるクルーゼにワロスw ザフトの勝利を普通に目指してそうだ。
素早い更新、GJ!
368通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 23:11:18 ID:???
故擬音谷の仮想小説も気楽に読んでたからそんなに気にならないな。

私はギルバートに割り当てた私室の一角で、小さな床机台の上に乱雑した何枚かの書類を見つけた。
流暢な文字で記されてるそれは、私が知る彼自身の筆跡だ。

時折、彼は一般に浸透しているパソコンによるタイプ文字で文章を記すのでは無く、
自筆による手記を残す癖がある。

興味が出て、私は書類に目を通す、彼は今どのような事を考えているのか?
不調法は承知の上で。

文章は走り書きが大半を占めており、近代経済学の書きかけの論文や政治哲学の新規解釈、遺伝子学のテロメア配列新論など等……
私にとって、それ程意味のあるものはなかった。

しかし、私は何枚目かの書類で目が止まった。かなり文章的には乱雑に書かれているが、
その書類の大意は以下のようなものであった。

”伝説の『ニュータイプ戦士』と、人類を粛清しようとした『赤い彗星』と呼ばれた男。”

”二人の男達の壮絶な生き様を目撃した少年は、青年となった今、彼等の意思を継ぎ、
 地球を私物化しようとする『地球政府』に対し、『ガンダム』を駆って戦いを挑む……”

”これは、ある少女の記憶にとらわれながらも、己の信念に基づいて戦い抜いた一人の男の物語である。”

(まぁ……?)

思わず声が出そうになり私は手の平で口を抑えた。
そして、私は熱心に目を追い始める。

『彼』がギルバートに話したのだろうか?

”『赤い彗星』と呼ばれる男の蜂起より10年以上が過ぎても、地球政府は地球を汚染し続け、
 「人狩り」とも呼ばれる強引な手段で民衆を宇宙に送り出していた。”

――『赤い彗星』……偉大な方だったと聞く。卓越した指導者であり辣腕の政治家であり統率力を備えた指揮官でもあった。
なによりも、歴史上でも1,2を争う程の『ニュータイプ戦士』であったともいう。

その方に、最後まで敵対したのが伝説の『ニュータイプ戦士』と称えられた『その人』と『彼』の父親なのだそうだ。
もはや、遥かな歴史の彼方に消えていった方々。

しかも『この世界』とは別の世界の事。
私には感慨はあっても、それは歴史の時間で習う大昔の偉人のような存在だ。

私は読み続ける。

”そのような状況で、『マフティー・ナビーユ・エリン』を名乗る人物が軍を率い、腐敗した地球政府に戦いを挑んだ。”

これが……『彼』なのだろうか?そうなのだろう。

”彼の行状はテロリズムであるにもかかわらず、民衆、特に抑圧された状況が続く宇宙に住む人々に受け入れられた。”

少し眉を傾げる。テロリズム……では歴史を変える事はできない。
一時的に、歴史の大河を僅かながら塞き止める事ができるくらいだろう。
だが、歴史の変換の起爆剤にはなるのかもしれない。

後は意味が整わない羅列が幾つか続き、運命を司る計画は意味の無いものだと『彼』に否定された事や、
『あの世界』での人類が宇宙に出る意味についての『ニュータイプ』の存在に肯定的な意見。
『コーディネイター』というモノの無知的な高慢さを全面的に否とする、などの徒然の文章で終わっていた。

読み終えて気が付いた事だが、やはりギルバートが、自分が不利になるような物的証拠を残すはずは無いのだ。
この書類も始末せず残したのは、私が目を通す事を予め見抜いた上での事だろう。
やはり、怖い人だと微笑む。


私は書類を細かくちぎり紙屑にすると、備え付けられた灰皿の上に乗せ火を着ける。
パチパチと小さな音をたてながら見る見ると小さな火は広がり、紙屑を燃やし灰にする。
煙が立ち昇る為に その直ぐ側の窓を開けた。

――煙と灰は静かに風に乗り散ってゆく。

それを見ながら私は、いつか『彼』から話を聞こうと思う。
遥か伝説の彼方へと消えていった『男達』の生き様を。

そして、彼等の意思を継いだ『彼』がどのように『この世界』に歴史を刻んでゆくのか?
この目で確かめてゆこうと思う。




>>つづく
372通常の名無しさんの3倍:2006/12/15(金) 01:17:16 ID:???
GJ!
劇中の人物は多分「ベルトーチカ」だろうけど、この女性に関しては、ますます分からなくなってきたな。
サラじゃないだろうしなぁ。

個人的な願望を言えば、ハサウェイ以外の「介入者」はあまり望ましくないし。
これらの伏線はいったい何処で生きてくるんだ?予想がつかん!

次回も楽しみにしております。
373通常の名無しさんの3倍:2006/12/15(金) 19:29:12 ID:a4abdfVr
GJ
374通常の名無しさんの3倍:2006/12/15(金) 20:36:10 ID:rk0ZPPed
まとめサイトの更新状況がマフティーで一杯なのはなして?
他の所の更新状況が分からん。
375通常の名無しさんの3倍:2006/12/15(金) 20:39:55 ID:???
メニューの「最近更新したページ」で確認するヨロシ。
376通常の名無しさんの3倍:2006/12/16(土) 22:26:51 ID:???
種、種死とのクロスって面白いの多いね。
ハサウェーもwktkして読んでるよ〜。
正直俺、種は1週しか見てないし、種死はアカツキが出ていらい見る気力がないけど、
SSを読んでから、今一度我慢してでも見なくちゃいけないと思えてきたよ。

つーか、ここのクルーゼさん人間味が溢れまくってて好き!
次回も期待してます。すげー楽しみ。
377通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 01:12:13 ID:u9BFWsy6
378通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 10:53:02 ID:???
>>377
一応これが、唯一の閃ハサ動画かな?

「ムウ・ラ・フラガ出るぞ!!」

ガクン!!とカタパルトから射出される衝撃で、
メビウス<ゼロ>のオレンジの鋭角な機体がオレの身体と共に振動する。

まっしぐらにカタパルトデッキから射出されたオレは、その衝撃とGに耐えながら制御する為の動作に集中する。

両腕は機体の操縦をする為の操縦桿を握り締め、
両足は<ゼロ>の脚とも言うべきスラスターの制御を担う。

オレは機体を安定させると一気にメインスラスターと『ガンバレル』に搭載されたスラスターも火を噴く。

『ガンバレル』のスラスターはそのまま本体のブースターをも兼ねており、
メインスラスターを合わせて圧倒的な加速性能を発揮する。

ゴォォッ!!

背後にはオレ達の母艦『ジョージ・ブッシュ』がみるみるうちに遠ざかっていく。
気が付くとオレの両脇をケインとラッセルのメビウス<ゼロ>が並ぶ。
斜め後方には他の二人のメビウス<ゼロ>が続く。

前方には先に出撃した連合の主力機動兵器である、TS-MA2mod.00はTS-MA2『メビウス』を数機、発見した。
ついで、ケインから切迫した通信がオレに入る。

『兄貴!急ごう!かなり、やばいみたいだ!!』

ラッセルは冷静の中にどこか不安を含んだ口調でオレに注進する。

『隊長……コントロールから、先鋒のMA中隊は全滅したようです……』

基地警護の『ミストラル』の部隊に続き、第3艦隊所属の先鋒のMA中隊が全滅したとの事だそうだ……

マジかよ?!一瞬、ゾッとした。
違う……何かがこの戦いは違う!
いや……余計な事は考えるな!ムウ・ラ・フラガ!今は戦いのことだけを集中、集中!!

『……コントロールより『クリムゾン』及び各小隊へ!!『アイスブルー』小隊が敵MS隊と接触!戦闘に突入したとのことです』

ノイズ混じりのオペレーターの姉ちゃんの声が聞こえる。

やはり距離が離れると通信がしにくいぜ!!
後続から接近する戦艦の足はオレ達の脚には追いつかない!!

ニュートロンジャマーいう余計な”モノ”が撒かれた為に,、戦いの趨勢は、ほんの少し前から完全に様変わりしてしまった。
『ボタン戦争』というものが消え去り、直接、敵を見つけて互いを叩き合わねばならなくなったのだ。

その為に、超大国『大西洋連邦』を含めた『地球連合』は国力で圧倒的に勝りながら、
プラントに手も足も出ない状態となってしまった。

『MS』と呼ばれる新型機動兵器は絶大な威力を発揮し、『地球連合』を苦しめているのだ。
しかも、困った事にこの『MS』とやらは『コーディネイタ―』しか扱えないときた。

オレ達、無能な『ナチュラル』は歩かせる事はおろか、真っ直ぐに飛ばす事さえ満足に出来ないときてる。

以前鹵獲したMS『ジン』に乗ったことがあるが、こいつはとてもオレに扱える代物じゃなかった。
諦めてオレ達、『ナチュラル』の連合の兵士達はMAで頑張るしかないということなのだ。

そのMSに対抗するために創られ、結成されたメビウス<ゼロ>部隊。
誕生してから各戦場でその力を見せ付け、MSと互角以上に戦い、ザフトの連中を恐れさせて来たんだ!
今もその力見せてやろうじゃないか!!

だが……やはり、嫌な予感がする。

現在、『ウインターズ』隊長が率いる、『アイスブルー』小隊が戦闘に突入したとの事だ。
歴戦のウィンターズ大尉達がそう簡単にやられるわけが無いと思うが……  


ドォォォォォォォォォォォォン!!


「なんだぁ?!」

オレが思考に耽っていると突然、月の大地が揺れ、オレのメビウス<ゼロ>にもその振動が伝わる。

『月震』か?!と咄嗟にオレはそう思ったが……いや……違う!これはまさか!!
オレの脳裏に最悪の想定が浮かぶ。そこにケインの悲鳴が通信機越しに響いた。

『どういうこった!!こりゃ!!どう見ても基地の方角だぞ!!』

『まさか……これは……冗談じゃない!!』

ラッセルが叫ぶ。その声をケインが聞きとがめた。

『どういうこった?!ラッセルよ!!』

『こいつは……』

咄嗟に口篭もるラッセルにオレは一気に奴が言いたい事をズバッと言い放つ!!

「――この基地内部のエネルギー反応は……!! 『サイクロプス・システム』だ!!
 上の連中!こいつを暴走させオレ達を敵もろとも『電子レンジ』でチン!!するつもりだぞ!!」


『サイクロプス・システム』とは本来はレアメタルの混ざった氷を融解させるための装置であり、
その原理はマイクロ波で水を急速に加熱するというもの……はっきり言えば、巨大な『電子レンジ』だ。

その『電子レンジ』の構造はニュートロンジャマーで範囲を限定されたマイクロ波はその強度を増加させ、
有効範囲内にいる生物は体内の水分の沸騰により悉く死に至る、悉くだ!!

ついでに、その時の輻射熱によって装置そのものや設置された建物も破壊される!

そして、その周辺にある『宇宙戦艦』は無論の事、『モビルアーマー』に積まれている弾薬や推進剤等、
水分がわずかでも含まれているので加熱し誘爆を起こすため、その場にある兵器の殆どが破壊されちまう!

『マジかよ!!兄貴!!』

『正気か!!上の連中!!』 

ケインもラッセルもオレの答えを聞き、愕然としている。

シット!!こいつは、便所の蝿にも劣る『ブルコス野郎』ども仕業だ!!
オレの勘がそいつを告げている。

この戦争の半分以上はあの糞どものイカレタ『宗教』の所為で行われたんだ!!

『くそったれ!!あいつら、『ブルーコスモス』の連中ぶっ殺してやる!!』

『その前に俺達がお陀仏だぞ!!』

ケインが罵りの声をあげ、ラッセルはこの状況は絶望的だと判断する。
オレもそうだ!!


「畜生!!あの糞溜め野郎ども!!おいッ!全機、基地上空から離脱しろーッ!!」

オレ達はこの状況へ追い込んでくれた連中に対して心の中で罵りながら、
全部隊に緊急退避を指示する!クソッ!!

だが……もう遅い!!
この辺り周辺は、ばっちりと『サイクロプス』の範囲内だ!!

『がぁぁ!!兄貴!!駄目だぁ!!もう間に合わねぇ!!!』

『クッ!!上の連中!!俺達ごと!!』

ケインとラッセルから悲鳴が聞こえる。
おしまいだと……誰もが思っただろう……

実際、オレもこの時はもう駄目だと思った。
だが、後になって振り返ってみると、この後にもっと凄まじい地獄が待っていたのだ……


ドゴォォォォォォォォォォン!!


後方から、基地ど真ん中を巨大な火柱が上がった!
『サイクロプス』の劫火は広がらず……『エンディミオン』の基地上空からとてつもない火柱が上がった!

まるで月の天空を貫くかのように……
その火柱は火山の噴火のように一直線に天に上ってゆく……

こいつは……『サイクロプズ』の暴走じゃ……ない……のか?
オレ達は、呆然と『エンディミオン』の中央から立ち上る火柱を見上げていると――

――猛烈に吹き上げる火柱の中が一瞬輝いたかと思うと、
次の瞬間、ズゴォォ!と凄い勢いで『何か』が飛び出して来た。

そいつは一瞬で月の天に向かい上昇し、一気に急降下し始めると、
オレ達、第3艦隊の艦列に突っ込んでいった……

信じられない事にオレには、そいつが白い光を放ちながら瞬間的に尾を引き、まるで『流星』或いは『彗星』に見えたのだ。

そして、更に自分の目を疑う事になる……
オレの視力2.0の抜群の性能を誇る(妙齢の女性を見ると更に性能が上がる)2つの目ん玉は……

次の瞬間に、第3艦隊所属のネルソン級(250m級宇宙戦艦)、ドレイク級(130m級護衛艦)が、
それぞれ瞬時に爆散し、,粉々に砕け散る様を網膜に焼き付けるのだった――

後に、連合の全ての将兵から『白い悪魔』と恐れられてたものが今、第3艦隊を蹂躙し始めたのだ……




>>つづく
385通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 15:50:38 ID:???
乙です
386通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 17:41:57 ID:???
GJ!
387通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 18:10:04 ID:???
GJ
388通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 18:10:17 ID:???
GJ!
Ξがついにコズミック・イラの歴史にその存在を刻み付けたか!
歴史の裏側オンリーだと思ってたがこいつは派手に物語が動き出したぜ。
次回をwktkしながら待ってますよ!
389通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 19:29:22 ID:???
白い流星、或いは彗星ですか。
偉大な2人のNT戦士を継ぐ者としてのハサを思い浮かべ、にやりとしてしまいました。
次回も楽しみに待ってます。

390通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 20:12:44 ID:???
GJ!!!!
でもフラガに違和感
「オレ達、無能な」と思うキャラじゃないと思うけど
この言い草はどちらかといえばイザークのセリフぽい
391通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 21:32:59 ID:???
この話のフラガは意図的に3枚目成分を濃くされてる気がするナー。
何にしてもGJ!
392通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 22:35:56 ID:???
GJ!!
>>391
逆に原作よりかっこよくなってると思う。
393通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 23:02:03 ID:???
原作だとクルーゼ、ヘリオポリス崩壊の言い訳に「中立の癖して連合のMS作ってたし問題ない」
とか言ってたけど、ハサウェイ経由でアナハイムの節操の無さを聞いた現状ではどう反応するんだろう?
394通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 23:03:12 ID:???
中立ってのはあくどくなければやっていけないよ。
395通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 23:11:14 ID:???
「武装中立」というおよそ世間の人々の抱いている「中立」の概念からかけ離れた存在もいるしなw
現実世界の軍事独裁政権までとは言わんが、オーブの首脳陣ももう少し悪どくてもよかったと思うよ。
396通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 23:16:35 ID:???
スイスなんて武装しまくり。
397通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 23:36:22 ID:???
それどころか駆け込みで宣戦布告して日本から賠償金取ってない?
398通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 23:38:46 ID:???
連合軍の爆撃機に攻撃したこともあったはず。
399通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 23:45:39 ID:???
スイスは永世中立国なんていってイメージいいけど、
実はかなり枢軸国寄りで、ナチスがユダヤ人から奪った
財産のマネーロンダリングの基地だった。
ヨーロッパ中から集められたユダヤ人の金銀財宝が
今もスイス銀行の地下に眠っている。

清く平和な国というのは見せかけで、実はエゲツない
金に汚い国なんだよね。スイスって。
400通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 23:49:46 ID:???
スイスは腹黒いよ。連合軍に武器を売っていたかと思うと、ナチスがユダヤ人から
没収した金塊、宝石、絵画などの美術品をそれと知りつつ、買い取ってナチスの
資金集めと物資調達に協力していた。小国の生き方と言ってしまえばそれまでだけど
そうしたスイスの実状も知らずに「スイスは平和国家」などとほざいている自称
平和主義者は道化以外何物でもない。
401通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 00:37:03 ID:???
腹黒さNo1を決めるのなら、ヴァチカンしかないよな・・・・
402通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 01:07:06 ID:???
>>401
おまえ、消されるぞ……
403通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 01:17:54 ID:???
ヘリオポリスに関してのクルーゼの発言は
最もらしい大義名分があれば、国力の差があるから黙らせることが出来る
だから問題ない、という意味で使ってる気がする
404通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 02:51:57 ID:???
>>403
シナリオ書いた人が何も考えてないだけだと思うけど
コロニー壊されるほうが大義名分になるだろ色々
まあ種だし
405通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 03:22:05 ID:???
GJ!!
火柱の中から現れるΞ、カッ、カッコイイ…
このΞ降臨は、連合兵にはかなり強烈な印象を残すことでしょう。
こういう演出良いなぁ。

一つ、妙な文章が
>『エンディミオン』の基地上空からとてつもない火柱が上がった!
基地上空から火柱が上がるという表現は、なんかおかしくないですかね?
この場合「基地上空から」では無く「基地上空に」の方が良いような気が…
もしくは、「基地中央から」とか。

次回も楽しみにしております。



……あれ?ムウの事、殆ど書いてねーや。
Ξの登場シーンに気を取られすぎたOTZ
406255:2006/12/19(火) 10:58:47 ID:???
今回もご感想ありがとうございました!!
幾つかご指摘がありましたのでWikiの所で修正させていただきました。
wikiに毎回上げて下さる方にも感謝を!!

>>390

うぇーい!!確かに酷い……
ご指摘ありがとうございました!!
以下に修正しました。

×オレ達、無能な……
○オレ達、普通の……


>>405
ぎゃー!こちらも見落としです。申し訳ありません。
以下が修正です。

×エンディミオン』の基地上空からとてつもない火柱が上がった!
○エンディミオン』の基地上空にとてつもない火柱が上がった!

>>次回はC・E最強仮面男と不可能を可能にするかもしれない男の戦いになるかも?
  互いの会話と一人称が入り乱れまする!
407通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 12:12:41 ID:???
おおっ、ついに次回は、ラウとムウの対決ですか!
吹っ切れた感のあるラウに対して、ムウは生き残れるのか!?
また「今の」ラウがムウに対して、どのような感情を抱くかも注目ですな。
408通常の名無しさんの3倍:2006/12/21(木) 00:48:29 ID:???
憎悪が薄らいでいるクルーゼとムウの邂逅。
さて、どうなるかな?
409通常の名無しさんの3倍:2006/12/21(木) 06:17:00 ID:???
原作ではクルーゼがムゥを付け狙ってたけど、
こちらではムゥがクルーゼを倒すべき強敵として追い掛ける事になりそうな気がする……。
410通常の名無しさんの3倍:2006/12/21(木) 19:43:36 ID:p+C7imzV
411通常の名無しさんの3倍:2006/12/21(木) 21:42:48 ID:???
ふらんし
412通常の名無しさんの3倍:2006/12/21(木) 22:03:10 ID:???
シャアッー!!
413通常の名無しさんの3倍:2006/12/21(木) 22:48:03 ID:???
ガイアギアα
414通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 03:33:27 ID:???
アジール
415通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 05:48:48 ID:???
ー・ルカ
416通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 11:57:37 ID:???
寒冷地用ジム
417通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 12:32:22 ID:kzm043ge
ムサイ
418通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 12:33:41 ID:???
イボルブ
419通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 13:20:08 ID:???
ブラン・ブルターク
420通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 13:24:03 ID:???
クェス・パラヤ
421通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 13:25:46 ID:???
夜神月
422通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 13:35:02 ID:???
↑却下

ヤザン・ゲーブル
423通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:08:36 ID:???
ルオ商会
424通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:10:51 ID:???
イザーク・ジュール
425通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:11:30 ID:???
ルナマリア・ポーク
426通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:21:58 ID:???
おまえらこのスレでやるなよw
乱立したVSスレでやれ
427通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:31:55 ID:???
クァヴァーゼ
428通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:41:51 ID:???
ゼク・アイン
429通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:49:09 ID:???
ゼクス・マーキス
430通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:56:17 ID:???
スペシャルズ
431通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 14:58:22 ID:???
ズサ
432通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:08:25 ID:???
サイコミュ
433通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:13:48 ID:???
ミューラ・ミゲル
434通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:25:00 ID:???
ル・ローア
435通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:26:37 ID:???
アル
436通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:30:29 ID:???
ルース・カッセル
437通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:36:29 ID:???
ルッグン
438通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:37:30 ID:???
ルペシノ
439通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:39:16 ID:???
ノリス・パッカード
440通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:41:32 ID:???
ドライゼ
441通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:41:38 ID:???
ドルメル
442通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 15:41:51 ID:???
ゼク・アイン
443通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 16:40:08 ID:kzm043ge
閃ハサ映像化マダー?
444通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 00:22:41 ID:???
残念ながら…
全て種優先になってるんだよ…最近のガンダムは…
445通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 00:29:54 ID:???
閃光のハサウェイ・・・

ブライトさんが死んじゃったから声優が・・・ウッ(´;ω;`)
446通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 04:02:46 ID:???
>>410-443
き、貴様等…伸びてるから新作キタのかと思ったのに…!!
447通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 10:27:40 ID:???
脱線と誤解はSSスレの花

照準を合わせ引き金を引く!

愛機であるハイマニューバを旋回させながら、私は次のターゲットを見つける。
索敵センサーも使わずに敵のMSであるメビウスと味方機ジンとの位置の空間把握が容易く把握できる。
しかも、敵や味方がどの位置に来るのかという未来予測ともいうべき勘も備わったのだ。

言わば数秒後に起こる未来を予測するとも言うべき能力。
これがニュータイプの真骨頂だと言う。
UC世界ではこのMSの戦闘に特化した力は時の権力者に良いように使われていたそうだ。

メビウスの軌道は単調であり、勘の鋭い者ならば容易に予測はできる。
だが、ここまで完璧に予測できる者は私と……『彼』以外はいまい。

だが。

『ニュータイプと呼ばれる人種がこの世界に介入したことによって、より多くのニュータイプと呼ばれる者達が生まれるのかも知れない』

もう一人の友であるギルバートはそう予測している。

『我々が頂点立ち、権力を握る。そうすればUC世界のニュータイプ達が辿った不幸は訪れないのではないか』

これはギルバートが出した結論だ。悪くは無いと思う。

私達以外の『ニュータイプ』が生まれる。その可能性がある人物に心あたりがある。

――不幸な私の『弟』だ。

彼の未来を何としても形あるものとして残してやりたいものだが。

その為に戦うのはそう悪い事ではないだろう。
その事を話すと二人の友人は全面的に賛成してくれた。

=================================

それは『新マフティー結成』を祝う『秘密基地』の司令室を使用した飲み会の席だったのだが……

その場で彼らも私も、それでも世界がおかしくなりそうだったら潰して滅ぼしてしまおう。とあっさりと決めてしまった。
ぐでんぐでん酔っぱらった我々は、既に正気を無くしていたことだろう。

恐らく、以下の会話をしたような気がするが、正直言って定かではない……記憶が殆ど残っておらず、
頭痛全開で昼過ぎに起きてみると私は司令室の床にぶっ倒れていたのだ。無論、残り二人も似たような感じだった。

『うぇーい!!俺は隕石落しを提案する!あれはコストが大して掛からないからな!』

『おいおい!肝心のその隕石はどこから調達するんだね?私はスマートにNJの改良版を雨のように地球や月、
 ラグランジュ・ポイント周辺にばら撒く事を提案するね。エネルギーゼロ。人類はこれで滅びるよ』

『ギルバート!そいつは『クライン派』とか言う輩の十八番じゃないか。何が『穏健派』だ。笑っちゃうね!』

『全く、穴があったら入りたいよ。あっはは!ん……ラウはどうだい?』

『私は大型ビーム砲……『ソーラー……』なんだったかな、ハサ?』

『ソーラーレイだよ』

『そう、それで地球や月。プラントやコロニー郡を撃ち射抜くと言うのはどうだね?』

『そいつはいいや!!』

『名案じゃないかラウ!』

『そうだろう、そうだろう』

『『あっはははははははははははははははっ!!!』』』

と、夜明けまで楽しく飲み明かしたものだったと思う。
ちなみにサラはガンダムにべったりだったので女ッ気はない祝賀会だった。

=================================

ズゥゥン!

「これで6機……!」

メビウスが爆発し四散する。
以前から、ウスノロのMAだとは解っていたのだが、今はもう水族館で見た象亀以下のスピードに見えてしまうのだ。
遅すぎて、尚且つ単調すぎる!動きが全てわかるのだ!

以前から多少の勘が働いていた私なのだが、現在(いま)は大違いなのだ。

超感覚ともいうべきものが、機体周辺から外広がり、更にその果てにある敵の意志……
ハサウェイの言うところの『プレッシャー』というものを感じるようになっている。

この『ニュータイプ能力』ともいうべき凄まじい能力(ちから)は『彼』と出会ってから突然、目覚めたのだ。
それから彼から詳しいレクチャー?を受け、何度か死にそうになりながらも、
日々開発の努力を怠らなかったのだが……

――ピィィィィィン!

脳裏に走るこの感覚!いつ感じても良いものだ。
今度はこちらか!!

私は愛機であるハイマニューバのメインスラスターと姿勢制御バーニアを同時に吹かしながら、
敵機が撃墜できる丁度良いポイントへ移動する。

視界にメビウスの次の動きのモーションが映る。
まるでDVDの再生の早送りのようだ。

操縦桿を握り締める腕が、脳裏に浮かぶその敵の『未来』の動きに合わせ自分の機体を動きを決定する。
その次に照準を合わせ引き金を引く!

ロックオン!撃て!撃て!!敵を倒せ!!!

メビウスに向かって。ハイマニューバのJDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃が火を噴く!

ドゴォォォン!!

メビウスの中心部に向かいを弾道は走り、装甲を撃ち貫く。
次の瞬間にメビウスは爆発し宇宙の藻屑と消える。

「これで7機……あと何機だ!!」

全ての敵を倒せば味方の被害が減るのだ。
私は次の敵を求めようとすると……私の小隊の列機である隊員の一人が報告を行う。

『クルーゼ隊長!!敵メビウス部隊の全撃破に成功しました』

「む、そうか?気が付かなくかったようだ。皆、ご苦労だったな」

その報告を聞き私は肺にたまった息を思いっきり吐いた。
どうやら敵先鋒部隊を撃破に成功したようだ。

後方から別部隊であるジンの群れが次々と我々の先鋒部隊を追い抜いてゆく。
敵第3艦隊の鋭気を撃ち砕くことができたので当初の我々の任務は完了したと言っても良いのだ。

だが……肝心の敵軍最強のメビウス<ゼロ>部隊が出て来ないのは気にはなる。
後続の部隊で対抗できるのだろうか?

その他諸々を短く私は考えをまとめると……一番に気になる事を部下に聞く。

「――被害はどうか?」

『ハッ、さすがに数が多かったので無傷とはいきませんでした。戦死ゼロ。
 ですが3機中破。6機小破の機体がでました。中破した3機の戦闘継続は不可能と判断します』

安堵の息を大きく吐いた。
怪我人は出たようだが、どうやら戦死はいないようだ。

さすが、私の鍛えた精鋭部隊だ。並みの連中ではないのは確かだが、やはり『ジン』の性能と装甲、
そして『シールド』の存在が部下の命を護ったのだ。
やはり、『彼』の構想やカンニンググペーパーやギルバートの政治力を心の中で感謝する。

だが、冷静に部隊の消耗や愛機のバッテリィーの残りの確認と弾の残量などを計算すれば、、
私の明晰な頭脳は部隊の補給と修理の為に一旦、『ガルバーニ』に戻るべきだろうという判断になるのだ。
後続部隊が心配だが、これは仕方が無い。

破損機を中心に護衛しながら艦に戻る事としよう。

「了解した。破損機は直ちに中央に入れ。他の機は防御を優先にしろ。反撃は最小限だ。艦に戻るまでの辛抱だぞ?
 ――ルキーナ!オロール!お前達は私の列機から離れ、破損した連中の穴埋めをしろ」

『はっ!ですが隊長がお一人になりますが……』

「私は大丈夫だ。それに一人に方が動きやすいしな」

『ハッ!!失礼しました』

「いいさ。私の心配をしてくれるのはありがたい……だが、お前達は生きて帰る事だけを最優先任務と心得ておけ。
 それで十分に任務を果たせるのだ」

『『ハッ!!!!』』

部下達も私の意見に賛同し部隊は一旦後退する事と相成った。

「よし、一旦、補給に戻るぞ!全機帰還せよ!」

『『了解!!』』

我が先鋒部隊は、一旦補給の為に名誉ある転進をする事となった。

――ローラシア級戦艦・『ガルバーニ』MSドック――

あの後、特に敵の追撃や奇襲も無く我々は母艦に帰艦することができた。

私はハイマニューバの補給と調整をメカニック達に依頼すると
この短い休憩時間でハンドヘルドコンピューターを操作しながら、部隊のフォーメーションの再構築をしていた。
栄養ドリンクを左手に持ち、ストローを咥え、右手だけで操作している。

出撃前に『彼』と一緒に検討しながら想定できるあらゆるフォーメーションを幾つも作製していたので、
パターンを組み合わせるだけの簡単の作業である。

これを『ジン』のコンピューターに入れて各機伝達するのだ。

「よし!OKだ。すまないがこのデータも機体に入れといてくれないか」

「了解!」

「良い整備してくれた礼だ。作戦が終了したら整備班は全員、私の奢りで高いところに飲みに連れて行ってやる!」

「おお!」

「おおっしゃ!!隊長!楽しみにしてますよ!」

無論、勘定のツケは全額ギルバートの所に行く予定だ。
私の懐は全く痛まないので、幾らでも高いクラブだろうが高級バーだろうが、
懐を気にせずにどこにでも連れて行くことが可能なのだ。

持つべきものは良い『友』だな。ギルバートよ。

=======================

――プラント・アプリリウス市 デュランダル邸 執務室――

――はっくしょん!!

同時刻。
遠く、プラントでは書類決済に追われた私、ギルバート・デュランダル外交補佐官兼『マフティー』総司令官(仮)は大きなくしゃみをしていた。
傍らには、臨時の秘書官を務めているベルトーチカがいる。

「む、風邪かな……?それとも誰かが私の悪口をいっているのかな?」

「良いお噂ではないのでしょうか?最近、御評判が上がっていますし……」

最近、私ギルバート・デュランダル外交補佐官のプラント内外での評価が高まり、
正式な外交官或いは他国へ大使として派遣に抜擢されるのでは?最高評議会内での噂が立っているのだ。

私の動きはクライン派だけでなく、ザラ国防委員長の派閥にも水面下に積極的に接触を果たし、それだけでなく
その膨大な資産と潤沢な資金を活用し交際範囲を地球連合加盟国の要人や中立国の要人にも接触をしているのだ。

地球連合と敵対している国は無論のこと、その連合体制に反発する反社会組織や中小ゲリラ組織など
反連合や反ブルーコスモスの組織にも密かに援助を行っているのだ。私の目下の目標は世界規模の『反地球連合』の組織体制を作り上げる事にあった。
プラント一国で地球連合と戦うのは痴人の妄想に過ぎない。
敵が多ければ仲の良い友人を多く作り上げる事が正しい道だ。

その中心となるのが、『反地球連合』組織としての秘密結社『マフティー・ナビーユ・エリン』である。

ザフトとは全く違う、自分の理想目的の為に動く組織を考えていたのだが、実際に動き出すと結局はこのような組織構成となってしまった。

それは別に構わないのだ。
結局のところ、私達が……そしてプラントが生き残るには地球連合を何とかしないと話にならないのだから。
その為の組織作り。自分1代で完成する代物ではないのかもしれないが、

――いいさ。

つい、楽観的になってしまう。
それも、またいいだろう。
『デスティニー・プラン』が駄目だとわかっただけでも収穫があった。

物事はやはり一歩、一歩、土台を固めながら進むべきなのだ。政治などが特にそうだ。
一つの政策を積み上げ、そして一つの害を取り除く。

それの繰り返しだ。早道など存在しない。着実に粘り強く進めてゆくしかないのだ。
それを30年、50年、100年と続けて、いつか実が結ぶ事だろう。

いきなり、正義の味方が突然現れて混乱した世界に乱入し、全ての民をより良い方向に導く事など不可能なのだ。
有り得るとしてもそれは、どこかのおかしな新興宗教のようなものになるだろう。教祖を崇拝し信者はその命に従う。

『デスティニー・プラン』より質の悪いものになるだろう。
物事は、そう都合よく上手い具合に行くものではないのだから。

大多数の一般の人々が、道を間違えてもそれを修正して、正しい時代を模索しながら作り上げれば良いのだ。
一握りの人物たちが世界を動かす事は必要ないのだ。

そして、その次の世代の土台作りをするのが自分の仕事なのかもしれない。
……と、そうカッコよく考えながら鼻水を啜る自分が今ここにいる。

「ッズズッ、いや、きっと誰かが私の悪口を言っているのだろう。ラウか……それともハサウェイか?」

二人の名前を聞き、ベルトーチカが心配そうに呟く。

「お二人ともご無事にお帰りになればよろしいのですが……」

「大丈夫だ。彼等は殺しても死なない。あんな性格の悪い連中があっさり死ぬわけがないさ。悪運だけは強いのだからね」

「……ご自分を棚に上げてよくおっしゃいますね」

む?ベルトーチカは何か言ったかな……?

「いいえ何も。それとも幻聴でもお聞きになられたのでしょうか?」

まだお若いのに……

と彼女は言葉が続け、哀れみの目で私を見る。
何かとてつもなく侮辱を受けた気がしてきたのだが……

「それよりも、この件を片付けませんと……」

ベルトーチカはさり気なく話題を逸らした。
お互いの関係が破滅に向かうのは、どうやら回避できたようだ。

「ゴホン!そうだな……『オーブ連合首長国』か……あれからコンタクトはどうかね?」

「駄目です。正式な外交ルートで来るようにと再三それだけを通達してきます」

「やはり、これ以上のコンタクトは裏目に出そうだな……裏から攻めたほう良いようだ」

「ええ」

真剣な顔でベルトーチカが別の書類を私に差し出す。
こちらは連合の重要開発計画に関する裏ルートからの情報である。
かなりの資金を動かし、やっと入手できた情報だ。

『金の力』は恐ろしい。

世の中大抵のことは『金の力』でまかり通るのだ。
人も平気で殺す事もでき、その罪をもみ消す事も可能なのだ。
その力を私は十二分に承知し、骨身にしみて理解している人間だと思う。

――『G計画』――

差し出された書類のタイトルにはそう記載されていた
大西洋連邦宇宙軍第4艦隊(のちの地球連合第8艦隊)のハルバートン大佐が提案した謎の開発計画。

『マフティー』の読み通りだとして、これが連合のMSの開発計画と考えてみると、
それは水面下を深く静かに進行しているのだろう。

ベルトーチカとも私の考えを理解したかのように頷く。

情報不足の為にまだ詳細な計画は不明なのだ。
これが、『ナチュラル』にも扱えるMSの開発計画なのだろうか?

その書類には『大西洋連邦』の主要人物の名と共に『サハク』という単語が並んでいた。




>>つづく


457通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 21:00:24 ID:???
GJ!
うわあ、何気にデュランダルがラクシズ全面否定したよ
もっともすぎて笑うしかできなかったけど!(w
これ、もしも原作通りに話が進むと仮定すれば、三隻同盟なんてもってのほかだと怒るんだろうなぁ
458通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 21:43:45 ID:???
GJ!
自分初書き込みなんですが
いや、ここまでいい性格をしたクルーゼやギルバートを見たのは某掲示板の作品以来です
本当に人間味がでまくってるなぁw
…穏健派も核攻撃での過激派と変わらないんだなぁと今更に理解したよ…

>>457
>三隻同盟なんてもってのほか
もし出来たとしてもマフティーが滅殺してくれるさ
459通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 22:45:51 ID:???
GJです!
銀英伝のヤンが好きな自分としては(゜ー゜)(。_。)ウンウンとギルにうなずきながら
読みました。
460通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 23:48:20 ID:???
>『ギルバート!そいつは『クライン派』とか言う輩の十八番じゃないか。何が『穏健派』だ。笑っちゃうね!』
やべえハサウェイ…それ禁句ww
職人様GJです
461通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 00:12:56 ID:???
GJ!ハサが来てからどんどんギルやラウが面白くなってるw
462通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 00:16:15 ID:???
んー、正直微妙です。
どうもキャラの性格が相当脚色されてる気が。。。
まぁSSとしては良い出来なのは間違いないのですが。
463通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 00:37:54 ID:XhncvEPl
GJ!
ラウ・ギル・ハサ最高です!
穏健派と過激派の違いはじわじわ殺すか一瞬で殺すかww
あ、NJの方が環境破壊が少ないっすね。その分人間はひどい目遭うけどww

>462 ハサウェイが来た事でラウたちの性格が変わっていくところが面白いところなので、
原作どおりのキャラが見たいなら原作見たほうが宜しいかと。
脚色O.K.じゃないと見ても辛いだけですよ。
464通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 00:51:40 ID:???
微妙に誤記が気になる
メビウスがMSになってたり、オーブが連合首長国になってたり
465通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 01:07:11 ID:???
>>464
オーブは連合首長国じゃないのか?
466464:2006/12/25(月) 01:39:52 ID:???
すまん、ずっと首長国連邦だと思ってた
俺の勘違い

でも連合首長国って国体を表す言葉としておかしくね?
467通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 01:54:38 ID:???
首長国連邦は首長国の集合国家。

連合首長国は…小規模国家連合に一人の首長が君臨する体制?

…普通に専制国家的なふいんき(なぜか変かr)がするな。
468通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 01:59:18 ID:???
まー現実世界でアラブ首長国連邦ってのがあるけど、United Arab Emiratesの本来の和訳は「アラブ首長国連合」が
ふさわしいわけで、それがアラブ首長国連邦なのは前身にイギリス保護国のFederation of Arab Emirates、そのまま
訳して「アラブ首長国連邦」があって、国名がUnited Arab Emiratesに変わった時めんどくさかったからか日本じゃ
そのまんま使ってると言う事情があるのだな。
469通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 07:20:25 ID:???
GJ!!!
今回のデュランダルの変化は良いなぁ。
まさに「一日にして成らず」ですな。
外交を大事にしてるところも、原作と大きく違う所です。
原作じゃ、外交もへったくれも無かったですからね。
ただ「三人の極悪人」の中で、一番難易度の高い仕事ですから彼の心労は重なるでしょう。
何処ぞの穏健派がつまらん事してなけりゃ、もっと楽だったろうに……

クルーゼは完全に、普通(と言っていいのかな?)の現場指揮官ですね。
三人の中じゃ一番まともかもしれん。

G計画を察知したみたいですが、どういう対応をとるんでしょうかね。
プラントにとっては潰した方が良いので、早い内に詳細なデータを掴んで外交手段を持って潰すのが一番なんですが
プラントの諜報・防諜能力は連合に劣りますからね、完全なデータをつかめるかどうか……
デュランダルの手腕に期待するしかないですな。(もしくは三悪人w)

それでは次回の楽しみにしております。
作者氏も良いお年を。


>>462
>まぁSSとしては良い出来なのは間違いないのですが。
それだけで充分だと思います。

>>467
雰囲気(ふんいき)ですね。
470通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 07:32:28 ID:???
サハクか
471通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 09:34:58 ID:???
これがホントの「隠れ砦の三悪人」かw
472255:2006/12/25(月) 11:05:04 ID:???
今回も丁寧なご感想と誤記指摘ありがとうございました!!
wikiに上げてくれた方も毎回ありがとうございます!!

wikiの方を誤記を指摘された場所と前半を少しだけ弄らせて頂きました。
内容は変わっていません。

後、間が空いて申し訳ありません。
なるべく間を空けたくないのですが年末でございますのでご容赦を。
後、年内に一回投下を考えていますのでよろしくお願いします。
473通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 11:59:15 ID:???
無理せずマッタリ書いてください。
474通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 12:46:06 ID:???
性格に関する話題が出てたけどラウは人類に対して抱く劣等感、ギルは生涯か
けてこだわっちゃったデスティニープランが無くなればあんなもんなんじゃな
いかなぁと思うけどな。劇中でも表面は取り繕ってるけど両者とも中身はダメ
人間だしw
475467:2006/12/25(月) 13:18:34 ID:???
>>469

…いや、冷静にツッコまれても反応に困るのですが。
476通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 15:26:23 ID:???
ふいんき(雰囲気)
すくつ(巣窟)
がいしゅつ(既出)
は何故か変換できない


たいいいく(体育)
きむじょんいる(金正日)
は何故か変換できる

が2ちゃん的には正しい
477通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 15:29:05 ID:???
いやいや、ふいんきでは絶対に雰囲気には変換出来んぞ。
○ふんいき=雰囲気
×ふいんき=雰囲気
478通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 15:34:25 ID:???
こうレスを返すべきだったな

>>467
ふんいきだ!日本語を勉強してこい!
まったく、ここは厨のすくつ(何故か変換できない)だな!
479通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 16:51:28 ID:???
ボケにボケで返すのか
480通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 21:44:21 ID:???
やはり養殖物は天然物には勝てないかな・・・
481通常の名無しの3倍:2006/12/27(水) 10:26:39 ID:???
あげ
482通常の名無しさんの3倍:2006/12/27(水) 11:23:24 ID:???
上げるな。

整備担当の髭面の男が大きく手を振る様子が目に映る。

――私自身はハイマニューバのコックピットに収まっている。

実際にその光景は、私の肉眼では無くハイマニューバの目とも言うべきモノアイのメインカメラから、
転送される映像をコックピット内の正面メインモニターから見ているに過ぎないのだ。

現在のMSのコックピットは人間のように頭部のカメラが映る方向にしか認識されない。

MSのカメラは生産コストの効率をも考慮して一つ目の『モノアイ』と呼ばれるものが主流である。
実際には『ジン』以外のMSは存在しないのだから。建前上は。

『クルーゼ隊長!どうでしょうか!!』

「ああ。メイン・システム及びファイヤーコントロール、オール・グリーン。いつでも行けるぞ!」

『そいつは良かったぁ!!』

整備班長が整備した私の愛機の状態について、最終確認をしてくる。
私は、補給と若干の修理を終えたハイマニューバに乗り込み、武装のチェックと動作確認を行っていた。

そこへ急な警告音と共に、
コックピットの通信計器から艦内からの緊急通信が入る。

「――何か?」

私が答えると、副官のレオノークから直接通信が入ってきた。

『クルーゼ艦長!!』

「……『隊長』だ。それで何か?」

やはり、この男を左遷にするか……資料整理室の下っ端にでも……

だが、心優しく寛大な私は、些かも不快や怒りを表情に露にせず微笑を浮かべ、
彼の緊急報告とやらを聞いてやった。

――さっさと報告したまえ。喋り終った瞬間、君の次の職場先が告げてあげよう……と思っていたが、
次の事が耳に入った瞬間に不埒な考えは消し飛んだ。

『……失礼しました!前線で後続部隊が大苦戦してるとの連絡が入りました。
 既に部隊のジンが6機撃破されたそうです』

「なんだと!?」

レオノークの報告によると、私達の先鋒部隊が補給と修理、一時の休息を取る為に後退した直後に、
交代した後続部隊が、あのメビウス<ゼロ>の部隊との接触し戦闘に突入したとの事だ。

後続部隊の構成員は、先の『世界樹攻防戦』の終結の折に補充された兵士達であり、
彼らの殆どは、新兵に近い状態だ。

正面から、まともに連合のメビウス<ゼロ>の猛者どもとやり合うだけの技量はない。

――今、その連合の猛者達を凌駕し渡り合えるのは、我々だけであろう……

現在、私の部隊指揮に耐えうる連中は17名だが、
彼等の内3名のジンは中破し、短時間での戦闘復帰は不可能なのだ。

これらの事も頭の中で素早く計算し、私は、自分を合わせて15名のジンで戦線の突入を決意した。

――これならば勝てる。

そう確信がある。
冷静に敵味方の現有戦力を比較すれば明らかだ。

だが、私は大きく舌打ちをしていた。

――甘かった。

自分の状況判断のミスがまだ苛烈な戦闘を経験した事の無い兵士達を死に追い込んだのだ。
あの時、無理をしてでも自分だけは残るべきだったのだろうか?

いいや、と頭を振る。
どちらにしても帰還は正しい判断だったであろう。
今更、過ぎた事を後悔しても仕方があるまい。今は一秒の時間が金の粒一つよりも貴重だ。

「――レオノーク!私が出る!!後続部隊の援護に回るぞ!」

『ですが――』

彼の言いたいことは理解できるが、答えは”ノー”だ。

我々、先鋒部隊は任務として敵中突破を果たし敵軍の士気を挫いたのだ。
今の私は1部隊の指揮官に過ぎない。
これ以上の行動は総司令部の意向に反する上に後続部隊の指揮官達の面子を潰す事になりかねない。
下手したら、命令違反の為に軍法会議ものになる可能性もある。

この時期、ザフト全軍には厭戦気分が蔓延していた。
地球連合軍=ナチュラルなど恐れるに足らず!という悪しき風潮が大きく広まっていたのだ。

MS『ジン』の登場がその事に大きく拍車を掛けている。

だが……

私からすると大甘も大甘、激甘すぎて呆れてしまう。
この程度の優位性など、深い渓谷の崖っ淵を一本の細いロープで対岸に綱渡りするかのような危ういものだ。

何れ、連合がMSを開発し実戦に投入する日が遠くない将来に訪れるだろう。
今はまだ何の備えもしていないプラントの為にも時間を稼がねばならない……

その日が来る前になるべく此方の被害を減らし、連合に致命傷を与えておかねばならないのだ。
そして、来るべき日に備えて精鋭を鍛えるのと、新型MSの開発の為の実戦データの収集も急がねば。


私は目まぐるしく頭を渦巻く思考を一旦中断すると、
レオノークに言葉を続けた。

「――後続部隊の崩壊は全軍の戦線の崩壊に繋がりかねない。その事は理解できよう?」

『――ハッ!』

「ならば、艦の指揮は任せる!全て貴様の自由采配でかまわん。責任は全て私が取るので安心しろ」

『……ハッ!ですが!全てクルーゼ『艦長』に責任を擦り付けるのは私の男が廃ります!
 『艦長』が罪に問われるのならば、自分も共に軍法会議の場に出頭致します!!』

「……ありがとう」

感激する彼の言葉を、些か釈然としないが礼を言っておく。

――MSが登場にした事により時代は宇宙で運行する戦闘用艦艇の役割を大きく様変わりさせていた。
今までの戦闘艦の戦法は対艦戦闘を中心とし、艦載機の役割は艦隊戦の側面を支える補助的役割が強かったのだ。

それが現在、MSの運用母艦としての機能が濃くなり、MS搭載能力が重視され、攻撃力や制圧力が二の次となった。
艦隊戦による大型巨砲の撃ち合いによる戦争時代はプラントでは終りを告げた。

代わりに、『MS』という個人を表に色濃く出すことが可能な、機動兵器が時代の主役として踊り出てきたのだ。
今までと違い、パイロットの一人一人が『兵士』ではなく、『戦士』として『騎士』として誇りを持つことができる時代となった訳だ。
戦闘のやり方も様変わりしてしまった。

そして、戦艦は時代の主役から転落した。
戦艦は母艦としての機能のみ要求される事となったのだ。

――戦艦が陥落(おと)されると、もはやMSには戦闘継続能力を失ってしまう。
そして、MSが可動せねば負け。
従って母艦の保持と運用は指揮官の重要な要となっている。

母艦が落ちたら即、敗北なのだ。

その点、レオノールやアデスは優れているのだ。
MSを駆って戦うだけが優秀な兵士の資質ではない、が

私には性に合わないのだ。無論、私は『天才』だから戦艦の完璧な運用もできる。

「――クルーゼより各機へ。聞いての通りだ。悪いが、味方の後続部隊が苦戦を強いられている。
 我々は直ちに出撃し、友軍を援護せねばならない――」

そこで一旦、言葉を切る。

「聞いての通り、この行動は総司令部への命令違反の上に、後続部隊指揮官の面子を潰す事になりかねない。これは軍法会議ものだ!
 営倉入りは確実だろう。だが、敢えて私は出撃する!!味方の危急を見逃す事はできん!!――共に来てくれるか?」

『水臭いですよ!』

『俺らも隊長と臭いメシを一緒に食います!』

『はい!!急ぎましょう!』

『腕が鳴りますな隊長!!』

『ナチュラルなど叩き落としてやりましょう!』

味方を見捨てる指揮官になど誰も付いて来ないだろう。部下達から頼もしい言葉が返ってきた。
士気が高まったようだ。よし!いけるぞ。

「――すまん」

鼻を啜って私は一言、皆に礼を言うと、

『よし、メビウス<ゼロ>に対する訓練もしてきたお前達だ。私は心配など何一つしない。散っていった仲間の為にも!
 よいか!勝利ではなく全滅させろ!一人として生きて返すな!!皆殺しにせよ!!」

『『オオオオオォォ!!!!』』

「よし!出撃す――!」

だが、直後に異変がきたのだ。艦全体を大きな揺れが襲った。

――グラッ!グラグラッ!!

「なにィ!?」

思わず大声を上げる。
コックピット内部が大きく振動する。これはハイマニューバが……いいや、艦全体が揺れているのか?

揺れの為に、外にいる整備員の何人かが転倒する様子がメインモニターから確認できた。
私自身はコックピットのシートで身体を固定されたいたお陰で被害はないのだが、
コックピットの外の様子はちょっとした地震の被害ような有様に陥っていた。

地球の自然を知らないプラントの生まれの人間には、
このような揺れを急に、対応しきれないところがあるようだ。

『敵の奇襲による攻撃か?!』

『どういうことだ?!』

皆、かなり混乱している様子だ。
その混乱振りを冷静に観察しそして、

「落ち着け!!奇襲などありえん!!」

私は皆の混乱を静める為に大きく一喝した。

ゴゴゴゴォォォォォ……

遠くから響くような振動が『エンディミオン』の方面から聞こえてくるようだ。

「くっ、これは?……!」

『何だ?』

『隊長!これは?』


私もそうだが、部下達もこのイレギュラーな事態に一時、恐慌状態になりかけた。
だが、その瞬間に私の脳裏に一筋の閃光が駆け抜けた。

――ピキィィィィィィィィン

「グッ!!……これは?」

私の脳裏に思考のシンパシーが伝わる――

それは明確な言葉ではなく、多分に抽象的なモノだ。
しかし、この感じ慣れた『プレッシャー』は誰のなのかは、直ぐにわかった。

私は混乱から、落ち着きを取り戻すと、

「……そうか……それで?クククッ――ははははははッ!!」

私は独り言を口にしながら、知らずに高らかに笑い出していた、
他人が傍から今の私を見たら、危ない人として即刻、頭の病院へ連れて行こうとするだろう。

――基地内に渦巻く破壊衝動……サイクロプスの消滅。エンディミオン基地の最後――

実祭にその光景が目に見えたわけではないが、それが抽象画のように頭の中にイメージとして浮かび上がる。
当然、『彼』とのシンパシーと同時に脳裏に浮かんだのは私の想像が入り混じった光景なのだろう。

『ニュータイプ能力』が如何に超常的な能力でもそこまで便利なものでもないのだ。
私が直感的な『彼』の感応に触れただけに過ぎない。

だが……

「そうか、ハハハッ――あっはははははははははははっ!!」

コックピット内で高笑いをする。
一連の出来事は私の心を爽快へと導いてくれたのだ。

「やった!やってくれたなハサ!!いや『マフティー』!!」

私の心を歓喜の感情が支配する。やってくれたのだ『彼』は!
『エンディミオン』は滅んだ今こそが、完全な勝利の時なのだ!
喜びながら私は指示を出す!

「全軍出るぞ!MS部隊!全機出撃せよ!!』

『『……』』

ん……?

不思議な事だが、いつもなら皆が一斉に気合の入った声が返されるはずなのだ、
しかし、部下達は何故か無言だった……

「ん?皆、どうした?」

その反応を訝しく思い、私が皆に聞いてみると
歯切れの悪い返事が返ってくる。

『――いえ……我々は何があろうとクルーゼ隊長に付いて行きます!心配無用です……多分』

『隊長、頭の……病……?』

『シッ!!黙れ!馬鹿!……隊長、ご命令をどうぞ――!』

???わからん……
何が言いたいのだ?
よく分からんが今は、出撃の絶好のタイミングなのだ。

後で話を聞けばよいか……
些か疑問があったが、私は無理やりに納得した。

「レオノーク!!私達が出撃したと同時に、艦を全速前進させよ!!今こそ勝利の女神が我々に微笑んだぞ!!」

一応は有能な、副官にも指示を出したのだが――

『はっ……はい!了解致しました!』


レオノークの声が上ずっていた……なんだ?そのおかしな眼差しは……?
我が精鋭を誇る『クルーゼ隊』のジン部隊の部下同様に挙動不審を感じる。
――おかしい。

『……その、なんでもありません』

「……そうか」

……後で、締め上げよう。

気を取り直し、私はハイマニューバのシステムを起動させ、
発進シークエンスに入った。

ガチュャン!ガチャンン!

軽快な足音と共にハイマニューバは私の意思通りにゆっくりと歩きだし、カタパルトに両脚を乗せる。
武装のJDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃は、前回の出撃時に撃ち過ぎた為に砲身が焼けついてしまい新品へと交換した。

『シールド』の方も自身の防御には然程、使用しなかったが、
味方機の援護と防御に使用したので完全に半壊したのでこれも新品に交換だ。

交換品は通常のシールドなので、私のパーソナルカラーである白とは違い鈍い色をしているのが僅かに不満でもある。
これは、仕方が無い事だろう。
そこまで贅沢を言う程、私は傲慢ではないのだ。

害した気分を一新した私は、部隊に号令をかける。

「クルーゼ隊出るぞ!」

『『了解!!』』

……やっと、いつもの雰囲気に戻ったようだ。

『――クッ……クルーゼ機発進シークエンスへ……』

――笑いを噛み殺すかのように、微妙なオペレーター嬢の声が耳に入る。

……わからん。
考えてもわからん事を考えても意味はない。
釈然とせんが、まぁいいだろう……今はな。

『クルーゼ機発進どうぞ!』

「……ラウ・ル・クルーゼ。ジン・ハイマニューバ出るぞ――!」

ドォォォン!!

カタパルトの射出で、急速な加速とGを身体に受けながら、私は再び戦場へと踊り出る。
勝利が約束された戦場へと――




>>つづく


493通常の名無しさんの3倍:2006/12/28(木) 15:43:42 ID:???
GJ!
クルーゼがハイテンション過ぎw
494通常の名無しさんの3倍:2006/12/28(木) 17:06:37 ID:???
GJ!!!
前回、私はクルーゼが一番まともと書いてしまいましたが撤回します。
やはり、この男、ラウ・ル・クルーゼだwww
表向き冷静に見えてましたが、頭の中ではテンション上がってた見たいです。
その内「フォー」と言い出しそうだYO!
そんなことしなくても、既に艦内では超変人として認識されてしまいましたがねw

>――基地内に渦巻く破壊衝動……サイクロプスの消滅。エンディミオン基地の最後――
クルーゼのNT能力が凄い勢いで覚醒してる様な感じですが、このまま逝くと死人の声まで感じ取る様になるのでは……
まあ、そこまで感性は鋭くないから大丈夫かな。

さて、勝ち戦となったプラント側とは逆に、負け戦側の連合ですがメビウスゼロ部隊は全滅を免れるのでしょうか。
何となくクルーゼに引きずられて、ムウが微覚醒しそうな予感がする…かな?

今年一年間楽しませていただき本当に有り難う御座いました。
また来年も楽しみにしております。
495通常の名無しさんの3倍:2006/12/28(木) 21:00:20 ID:???
まともだからといって良い方向に行くとは限らないし、
良い方向に向き始めたからといってまともになるとは限らないw
496通常の名無しさんの3倍:2006/12/28(木) 22:53:31 ID:???
 格好よくて、生き生きしてて人生を謳歌しててもまともとは限らないのですね……
 いえ、そこも(が)いいのデスガ
497通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 01:38:18 ID:???
今まで鬱屈していたものから解放された分、その反動で余計に酷く……。
498通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 01:58:25 ID:???
GJ!!!!!
相変わらず邪魔な擬音は脳内フィルターで除去と
次は来年ですか?
499通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 06:36:06 ID:???
いちいち擬音云々とかいわんでいいがな・・・
500通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 06:43:31 ID:???
>>498
お前が邪魔だ。
501通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 12:58:27 ID:???
NGワード:擬音
502通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 16:47:39 ID:???
>>498
自分用にワードパットで編集とかして読めよな、携帯で見てるとかアホな言い訳するなよ
503通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 18:32:01 ID:???
>>498の人気に嫉妬
504通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 18:41:11 ID:???
シィーット!!
505通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 19:32:16 ID:???
嫉妬の心は父心!押せば命の泉湧く!
506通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 21:23:20 ID:NgonTXJj
↓嫉妬マスク一号
507通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 22:03:52 ID:???
            ____      _/\/\/\/|_
           /   /`丶   \          /
          / しz_, /    !    / みなの者!! \
          || \(,' ,二ニて|   \  いざ出陣!!/
        __|`ー' |、ヽ.__ノ(/   /           \
   /´ ̄`ヾ ハ~⌒| `へr'/\⌒  ̄|/\/\/\/ ̄
  /⌒` ,. -''⌒ヽ\_!_,. イ     _/\/\/\/\/|_
 〈       ⌒>〜--‐''") `ヽ \             /
  ヽl  ( __,.‐-⌒、r--‐''"‐''" ヽ<  宇宙にはびこる   \
   |ヽl.__(  、 \__〉ヽ〃    //  ナチュラルどもを   /
   .| \ `ー'ー(_,/     。/ \  根絶やしにしろ!! >
   |   `ー゚---‐    ---イ   /              \
    ヽ      ,. ‐''"       /     ̄|/\/\/\/\/ ̄
508255 :2006/12/30(土) 22:38:44 ID:???
今回もご感想ありがとうございました!!
wikiに上げてくれた方、ありがとうございました!!

先程また、wikiの駄文SSを少しだけ弄ました。
内容は変わっていません……多分。

>>507
AA……ありがとうございますww自分もそんなイメージですw
自分も書いてて段々と誰が主役だったけ?とわからなくなってきましたww

今年、自分のSSを読んでくださった方々本当にありがとうございました。
皆様のご感想は本当に糧となり書く原動力になります。

来年もよろしければお付き合いお願いします。
成るべく小まめに更新を心掛けますのでお見捨てのなきようお願い致します。

皆様、良いお年を!!
509通常の名無しさんの3倍:2006/12/30(土) 22:44:27 ID:???
お疲れ様です。
今年は作品を楽しませていただき有り難うございました。
よいお年をお迎えください。
510通常の名無しさんの3倍:2007/01/01(月) 12:00:42 ID:???
明けおめ保守!
511通常の名無しさんの3倍:2007/01/02(火) 12:32:35 ID:???
■ おすすめ2ちゃんねる 開発中。。。 by FOX ★
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【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その34 [アニキャラ個別]
512通常の名無しさんの3倍:2007/01/03(水) 19:21:18 ID:???
それでも!保守りたい世界があるんだー!
513通常の名無しさんの3倍:2007/01/03(水) 19:57:48 ID:???
魔法少女と軍隊学園が戦う物語を描く学園島スレでは今SS職人募集中

本スレ

学園島戦争 開始20年目
http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1167392078/

避難所

http://jbbs.livedoor.jp/otaku/5513/

まとめWiki

http://www.wikihouse.com/typhoon/index.php?MenuBar
514通常の名無しさんの3倍:2007/01/05(金) 23:11:33 ID:???
ほしゅ
515通常の名無しさんの3倍:2007/01/06(土) 12:03:58 ID:???
保守
516通常の名無しさんの3倍:2007/01/06(土) 12:41:20 ID:???
感情に従って行動するのは正しい、よって保守
517通常の名無しさんの3倍:2007/01/06(土) 13:14:17 ID:???
ラクス様のために!
518通常の名無しさんの3倍:2007/01/06(土) 16:41:32 ID:???
僕は、保守という作業は過疎になってから使われる言葉だという偏見があったのですが、
職人が来るのを待って保守と書き込む、そういうことを実行してしまうのは要するに病気なんだと思います。
519通常の名無しさんの3倍:2007/01/06(土) 21:24:56 ID:???
だって過疎ってから保守なんてロボットアニメっぽくないじゃないですか
読む人にもそれを分かって欲しくてわざとそうしました
最初から考えていた事ではありますね
520通常の名無しさんの3倍:2007/01/06(土) 23:55:43 ID:???
そう思っていた時期が僕にもありました
521通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 00:20:38 ID:???
他に職人はいないの?
522通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 06:21:03 ID:???
保守職人なら……

戦艦『ガルバーニ』から発進した私は、ジン・ハイマニューバの両腕両脚を器用に使いながら姿勢制御を瞬時に正すと、
後続部隊が苦戦しているであろう戦場へ向かう為に、メインスラスターである『MMI-M730試作型エンジン』を全開させた。

ゴォォォ!!

――ハイマニューバの背後にある大型メインスラスターは盛大に噴射をし始めて、機体全体に加速が掛かる。

心地良い、Gと共に私の体はシートへと押し付けられ、
前面のメインモニターは荒涼たる月面の光景を急速に疾(はし)らせてゆく。

「――む!」

荒涼たる光景を目の前にして、不意に私は天上に向かって急速上昇を試みたくなり、操縦桿を大きく手前に引く。

――ギュォォン!!

無理な方向転換に機体が一瞬、唸りを上げた。
そしてエンジンの出力を一旦、停める。

ゴォ!!

そして、サブ・スラスターが機体の方向転換を掛ける為に火を噴いた。
それから連続して停止したメインスラスターが大きく火を噴く!

――ゴォォォ!!

私は天上方向に向けて機体を一気に上昇させる!!
開いた翼は天に翔(と)んだ!!

そこからは青く輝く惑星が私の目に写った。
『彼』の言葉が耳に蘇る……

――『この地球から重力に魂を引かれた人間を全て追い出すんだ』

――『そうしなければ地球と人類は滅びる』

『彼』が繰り返し呟き、そして生涯の使命と言うかライフワークとしている事……らしい。
ある『偉大な人物』の受け売りだと本人は言っていたのだが……その男もかなりやばい男だったのだろう。
私はそれらに比べれば幾分はマシな方だと首肯する。

だが――わかるぞ。私も人類は全て滅びるべきだとは思う。彼らの思想に共鳴する。
傲慢で自分達を生み出したこの美しい蒼い惑星をも喰い荒らす存在。

――だが、地球から出た人類はどうなるのだろうか?
宇宙に生きる人類は?

最近、その答えの片鱗だけでも見たいと漠然と思うようになって来た。
自分自身をも見出す答えの理由の一つにもなりつつあった。

その為にも、今は取り合えず戦っておこうか。
と最近、詩人や哲学者へと成りつつある自分に苦笑いをする。

――この時、後世に私は幾つかの著作を執筆し、その中の一つが当時のこの戦記を書き残す事となり、
それが歴史家の間で物議を醸し出す事になろうとは正直、思わなかった。

私の脳裏の思考とは裏腹に、この無茶な高速機動にハイマニューバはピクリとも軋まずに、私の想い描いた通りの動きをする。
これには、口元に微笑を浮かべ満足そうに私は頷く。

そして、思考が戦いの一点に集中する。
これなら完璧だ。私の想い描いた戦い方が可能だ。

ゴォォ!!

メイン・スラスターを吹かし、そして、また急速に機体は下降する。
地面すれすれまで一気に下降し、寸前に機体をふわりと浮かび上がらせる。

そして、戦闘可能領域までの位置に機体の姿勢を固定させる。
これで機体の各部が暖まり、万全の戦闘状態を維持が完成する。
この方法が実戦を積み重ねてきた私のやり方だ。

――宇宙(そら)に浮かぶ蒼い惑星を見て感慨を耽るのもこれまで。
戦いの舞台は、神々の住まう天空の宇宙(そら)ではなく月面なのだから。

だが、この宇宙光景を目にすればこの世界に神などは存在しないが、
それに近いものは存在するのかもしれないという感慨に耽るのもまた良しであろう。

ピーピーピー!

コックピット内で後方確認の為のアラームが鳴り示す。
そして、同時に後方の戦艦三隻から我が『クルーゼ隊』が誇る列機たるジン達が次々と飛び出して来た。

各機は一旦、バラバラに思いのままに上昇や下降をすると、
私が指示を出すまでも無く、まるでテレパシーで統率されたかのように一斉に隊列を組み始めた。

15機の機体は完全に一つの生き物のように陣形を組立てる。
今度の陣形はスピードと中央突破用の嚆矢の陣形となる。

今度は私も部隊の全員に号令を掛ける。
気合を入れる意味でもだ。

「行くぞ!!味方が苦戦している!この一秒に全てを賭けろ!!」

『『了解!!』』

我がクルーゼ隊のジン全機は私のハイマニューバを先頭に一気に激戦区へと突入する。
背後からは我が旗艦『ガルバーニ』を先頭に3隻のローレシア級戦艦が全力前進で駆け抜けようとする!

――急げ!戦場へ!

全力で部隊は加速し続ける。私の機体は他の者と違い特別なジン・ハイマニューバなので
と、すれば一機だけ突出して他の者を引き離してしまう。
逸る気持ちを抑えながら、部隊全体が出せる最高の戦闘航速スピードを維持しながら戦場へと急行する。

――見えた!!

その瞬間(とき)、僅か十数秒の間にコックピットのメインモニターには前方では、
戦闘による火器応酬による点滅が肉眼で確認できて、激烈な戦闘が目の前で繰り広げられている様子が確認できた。

そして、味方側のジンは統制が全く取れておらず、各機が個人でバラバラで戦っている有様が手に取るようにわかった。
逆に敵側である連合の部隊はメビウス<ゼロ>の部隊を中心に連携の取れた攻撃をしている。

奴らは、明らかに相手側である我々のザフト軍が統制が取れておらず、バラバラに戦っているのを好機と見ており、
メビウスと連携を取りながらジンを追い詰めてるのが確認できた。

私は痛烈な舌打ちを鳴らす。この程度の敵に何をしているのだ?
敵側に傍受されるのを構わずに私は通信をオープン回線にする。

「クルーゼだ!!後続部隊は下がれ!この程度の敵に何を手間取っているかぁ!!」

私と部隊のジンは一気に敵中の激戦区に突っ込んだ。
牽制用に突撃銃を放ちながら連合軍の陣営をかき乱す!

『おお!クルーゼ隊長!』

『あの、世界樹の英雄クルーゼが来たぞ!!』

オープン回線や通常回線から次々に歓声が入って来る。
コズミック・イラ70年2月22日の世界樹攻防戦で、ジン一機で私はモビルアーマー37機・戦艦6隻を撃破。
その功績を称えられネビュラ勲章を授与された事はプラントで大きく知れ渡り、連合側でも恐怖の象徴として悪名を轟かせている自分だ。

この名声の効果とやらを最大限に使用してやった。

その連合側の一瞬ひるんだ隙を見逃さずに、私は一機のメビウスの狙いを絞り獰猛な鷲のように襲い掛かる!!

私は、武装のJDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃を瞬時に構えると、
狙いを外すこと無く一機のメビウスのコックピットの中心を貫いた。

ドォォォン!!

爆発し盛大な花火となったメビウスを横目に次の獲物に襲い掛かる。
レールガンを必死に放つもう一機メビウスの攻撃を嘲笑混じりにかわすと、
そのメビウスの前に躍り出て、一気に突撃銃に装備された重斬刀で切り裂いた。

グワァァシャァァン!!

鋭い斬撃による衝撃でメビウスの装甲が捻じ曲がりグシャリと叩き潰されそしてバラバラに砕け散る。
エンジンに誘爆し引火したのかこれも瞬時に、火達磨になった。

この鮮やかな手並みには流石には連合軍のMAの連中は右往左往し始め、混乱し逃走も出始めた。
だがその混乱の中を、連合軍の中でも一際目立つオレンジの機体が私の前に現れた。

『――ラウ・ル・クルーゼだと!?その首を貰うぞ!!』

混戦の状態で一機のメビウス<ゼロ>が果敢にも私に突撃を仕掛けてきた。
そして、すれ違いざまにオープン回線越しに私の耳にその声が入って来る。
こいつが噂のメビウス<ゼロ>部隊のエースか!

「ほう、おもしろい!ならば、かかって来るが良い!!」

――こいつは、エースだと直感的に理解する。

こちらもオープン回線でわざと挑発気味に答えてやる。
わざわざ名指しで私に倒されに来たのだ。多少の礼儀を伴ってやろう。

「フフフフッ!貴様は正しいぞ!!」

私は歓喜の笑みと声を搾り出す。

恐らく、私を倒す事によって味方の建て直しを図ろうとしているのだろう。
もはや、エースによって戦場の秩序が成り立つ現在では最も効率の良いやり方ではある。

「ルキーナ! オロール! 手を出すなよ!こいつは私が息の根を止める!!お前達は他の雑魚を任せるぞ!」

『隊長!!』

『危険です!!』

隊員達の心配げな声を背後に受けながら私は激烈な戦闘衝動へと突入してゆく。
――久々だな。この感覚。
――強敵を前にした時のこの喜び。

どうしようもなく、熱くなってゆくこの感覚。
同時に、冷めてゆくかのように冷徹に研ぎ澄まされれゆく感覚。

そして、自分の小隊の列機達に手を出させないようにする。冷徹な感覚の方が警告するのだ。
下手に手を出したら彼らでは対応できずにやられてしまう可能性がある。と

この相手ではな……私以外は無理だろう。

そのメビウス<ゼロ>は私のその挑発の声を聞こえたかのように襲い掛かって来る!
そして、その機体には『No.0』のマークが輝いていた。

ゴォォォ!!

私もメインスラスターを一気に全開にし相手に突っ込んでゆく!

――ピキィィィィンン!!

――脳裏に閃光が疾る!――来るぞ『ガンバレル』が!!

『ニュータイプ能力』を全開にさせた私は、感覚を機体の外に広げる事により、
周囲の認識度が通常の状態では考えられないほどの鋭敏さと感知能力を持つ事が可能になったのだ。

しかも、『敵』の『プレッシャー』を感知する事でどのように攻撃してくるか手に取るかのようにわかる。

奴らメビウス<ゼロ>は、機体中央に装備されたレールガンを中心とした攻撃を牽制に使用し、
本体を取り囲むように装備されている4基の有線誘導式ガンバレルが一斉に本体から切り離れて有線誘導によってこの樽型の兵装はそれぞれが全く別の動作をするのだ。

これによりメビウス<ゼロ>は単機での包囲攻撃、或いはは多数の敵機と渡り合うことを可能としている。
一撃でジンを仕留める事は難しいが、4基のガンバレルで集中砲火を浴びせれば反撃を受けずに撃破することは充分可能である。
これによって味方の後続部隊のジンが多数撃破されたのだ。


だが、この程度のことで私が倒せると思ったか!!

カァッ!!

それに答えるかのように、ジン・ハイマニューバは一つ目である『モノアイ』をひと際激しい閃光を放つ!

『No.0』のメビウス<ゼロ>に搭載された4基の有線誘導式ガンバレルが、まるで意志を持った生き物のように
一つ一つがバラバラに動き私に襲い掛かろうとする。

それは通常のパイロットには極めて把握しづらい動き。
パイロットのその一瞬の戸惑いが簡単に撃破される危険性がある程の素早い動きなのだ。

だが、私にとっては、この程度の動きなどに騙されはしない。
本体であるメビウス<ゼロ>の動きは無論のこと、有線誘導式ガンバレル4基の動き一つ一つを完全に把握できるのだ。

そして、4基の有線誘導式ガンバレルの一つが攻撃を開始しようとする!

――ピキィィィィン!!!

攻撃の一瞬前に脳裏を閃光が駆け抜ける!!

ズドドドドォ!!

次の瞬間に樽型の兵装に装備された2本の火砲が放たれた!!

「ぬうぅ!!」

そして、私は同時にメビウス<ゼロ>本体の動きとガンバレルの有線動作による軌跡、
その先にある突き出た2基の発射口から放たれるであろう弾道の軌跡の位置すらも把握する!

実際にこれは、肉眼でモノを視認して見るという行為ではないのであろう。
『ニュータイプ能力』により拡大した意識が、脳裏に一瞬の閃光のようなイメージが走ることによって生じる一種の予知のようなもの。

そう、頭や理屈で考えるものではない。
これは超心理学に於けるテレパスに近いものなのかもしれない。


それら一連の敵の行動を感知しながら、理解する前に私の腕は素早く操縦桿を動かしているのだ!!
ハイマニューバのモノアイが力強く輝きを放つ!

――ジン・ハイマニューバはコンマ一ミクロンの狂いも無く、私の意志通りに回避行動を取った。

突撃銃とシールドを両腕に持ちながらそれぞれ横に水平近くに上げる。
そして、上体を大きく捻りながら、まるで曲芸師がスレスレで弾丸をかわすかのような絶妙な回避運動でかわす事ができた。

――シールドによる防御動作を全くせずに回避運動だけを重視する!!

敵側の必殺の一撃をかわした私は次の動作に既に入っていた。
だが、向こうもそれを予測していたのだろう。奴は予め2段3段の攻撃の備えを整えていたのだ!

そして、今度は2基目と3基目のガンバレルが同時に来る!

――ピキィィィンン!!

――この動きは、2基目のガンバレルに3基目のガンバレルが影のように隠れて、斜線上の死角を作ろうとしている!!
今、私の目の中には2基目のガンバレルを透視して、その後ろに影のように隠れているガンバレルまでも見えることができた!

「見えた!!そこか!!」

私は大きく叫ぶ!!
2基目のガンバレルの射撃を囮にして、3基目の本命の一撃を私に与えようとしようとしているようだが……そうはいくか!!

ズドドドドォ!!

2基目のガンバレルが火を噴いた!
その攻撃に対して私は機体を微妙に振動させて、擦り抜けるかのように私は回避した!!

――3基目!来るぞ!

2基目の物陰に隠れたガンバレルが丁度、射線上に入った私のハイマニューバを捕らえようとする!

ズドドドドン!!

咄嗟に姿勢制御用バー二アの一部を逆噴射して一瞬、機体はカクン!と下がる。
そして一瞬で何も無い空間を火線が無意味に駆け抜けた。そして、次の瞬間にはハイマニューバは元の位置に戻っているのだ。

傍目から見たらハイマニューバが瞬間、分身したように見えるだろう。


――もはや、終わりにする!!

私は一気に加速して距離を詰めた!!
4基目のガンバレルが、慌てて私を狙おうと追尾をかけようとするが、それはもはや私は読んでいる!
心に余裕を持ちながらハイマニューバはJDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃を構え、4基目のガンバレルを狙い打ちにする。

ズドドドドドッ!!

――ドォォォォンン!!

こちらの突撃銃が火を噴き、ガンバレルが粉々に爆発した。

相手側のパイロットの驚愕が手に取るようにわかる。

「――相手が悪かったな。地獄に逝く前に良い土産話が出来たであろう?」

この時、私は恐らく残酷な微笑みを口元に浮かべていたことだろう。

「――さよならだな!!」

距離を詰めると、必死にレールガンを撃つ『No.0』のメビウス<ゼロ>のコックピット付近に重斬刀を叩き込む!!

グワシャッァァン!!

メビウス<ゼロ>のコックピットがグシャグシャに潰れ、砕け散った。

「安心しろ!地獄はこれから賑やかになるぞ!!」

私は相手の断末魔のイメージを感じたかのような思い至り、満悦した。

同時に『No.0』のメビウス<ゼロ>はエンジンに火が着いたのか爆発を始める。
私は瞬時に機体を爆散に巻き込まれぬように離して距離を取る。

強敵を討ち取った満足感が私の心を満たす。

――この一瞬の刹那の刻が堪らぬ!!

私が骨の髄まで戦士でありMS乗りだと実感する。
戦わなくては生きてはいけない人間なのだと骨身に染みて理解できる!

回線から次々と歓声と悲鳴の声が入る。

『やったぁー!!クルーゼ隊長!!』

『敵が動揺しています!!今です!!』

味方からは賛辞とそして連合軍側の回線であろう。悲鳴が聞こえた。

この事によって、味方のジンたちは勇気百倍となり士気があがった。
そして残った連合軍側ののメビウス<ゼロ>やメビウス達に動揺が走っているようだ。

恐らく、私が倒したメビウス<ゼロ>は隊長機であり、トップエースであったのであろう。

戦闘が終了した後で聞いた事だが、私がその時に討ち取った奴は、
メビウス<ゼロ>部隊を纏めていた大物『ウィンターズ大尉』という連合側に取って相当に名のある人物であったそうだ。

しかしそれは、あくまで後日談のことである。
それ以前に結果的に『ガンダム』の圧倒的な攻撃力の方が連合軍に致命傷を与えていたので、私の活躍は隅に隠れてしまい、
私がその為に拗ねてしまった事は秘密にしておいて欲しい。

そして、部下達によって2機のメビウス<ゼロ>と4機のメビウスが片付けられる。
高揚していた私は、残りを始末する為に残虐に獲物に襲い掛かった。




>>つづく

533通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 11:58:27 ID:???
おおおGJ!!!
クルーゼに生存フラグ立った────?!!
534通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 12:06:06 ID:???
GJ
535通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 12:46:43 ID:???
GJ!!す、拗ねるクルーゼ…!!!
たっ、助けてくれえぇぇ!頬膨らませた変態仮面が脳裏から離れない!!
536通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 14:43:47 ID:???
GJ!!!祇園がなけば
537通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 15:06:26 ID:???
GJ!

>>536
嫌なら来るな
思っても書くな
538通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 15:24:32 ID:???
GJ!!正月早々から乙です!!
539通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 18:00:36 ID:???
>>535
よし、アジトの格納庫の隅で「の」の字を延々書き続ける隊長を想像するんだ。

最後になったがGJ!
540通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 19:40:03 ID:???
GJ!
>私はそれらに比べれば幾分はマシな方だと首肯する。
お前は何を言ってるんだ
541通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 19:53:01 ID:???
しかしこのまま種時点でロゴスの正体が暴露されるのかな?

その前にギルによるクーデターが起きそうだが
542通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 23:46:34 ID:???
GJ!!

一瞬兄貴が落とされたか!?とビビったぜw
543通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 01:59:31 ID:???
GJ!!!
うーん、彼らに比べてマシと言うか、小者かな?
まあ、赤い人も小者といえば小者なんだけどねwww

今回のクルーゼの発言から考えると、彼は「生きるため」に戦い始めたのかもしれませんね。(今の所は戦うために戦ってるみたいですがw)
「アル・タ・フラガ」という呪縛から逃れつつある彼にとっては当然かもしれません。
なんにしても、生に対しての欲望を持つ事は良いことです。
後世に著書を残している点からすると、彼は「生き抜いた」と解釈してもよさそうですな。
多分結構好き放題やったとは思いますがw

拗ねるクルーゼ……
ギルとハサウェイにいじめられて格納庫の隅で拗ねていたと予想。
こいつら基本的にガキだからw

意外と強いメビウス部隊。
ゼロがいたのが大きいかもしれませんが、きっちり連携すればMAでもMSとも互角以上に戦えるという事ですな。
前の回で示唆されていますが、これはプラントの優位性と言うのは薄氷の上に立つものだと言う事を端的に表している事柄です。
この戦争、政治的に決着をつけるのが、プラントにとっては一番良いのかも知れません。(それも出来るだけ早く……無理だろうけどねw)
そう考えるとギルの役割がどんどん重くなっていきますなぁ。
禿げない様に気をつけないとね♪

次回も楽しみにしております。
544通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 02:05:43 ID:???
プラントの中でも風光明媚な場所(ラクス邸のような)にあるサナトリウムの一室。
デュランダルとハサウェイ、レイに見守られながら仮面を脱ぎ老いた顔を晒しつつも
満足そうな顔で逝くクルーゼを幻視して少し泣けた。
545通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 03:18:55 ID:???
全米が泣いた!
546通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 04:46:46 ID:???
いや、全世界が泣いた…。
547通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 07:30:14 ID:???
全ラクシズが吹いた
548通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 07:56:28 ID:???
ラクシズの神経は、どうなっちまってんだ!?
549通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 07:57:15 ID:???
ラクシズ、マジ外道
550通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 08:29:00 ID:???
「悪夢」に犯されたものたちか……
……ムチャシヤガッテ……
551通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 08:58:55 ID:???
>>550
俺と一緒にエロゲ板に帰るんだ
552通常の名無しさんの3倍:2007/01/09(火) 18:34:01 ID:???
保守
553通常の名無しさんの3倍:2007/01/09(火) 20:11:52 ID:???
閃ハサがOVAになるらしい、って聞いたけどマジ?
554通常の名無しさんの3倍:2007/01/09(火) 21:05:30 ID:???
ガセ
555通常の名無しさんの3倍:2007/01/10(水) 10:47:42 ID:???
内容が内容だけに、流石に無理だろう。
…種とかは作ってるけどな!!!
556通常の名無しさんの3倍:2007/01/10(水) 11:22:20 ID:???
富野さん生きてるうちは作らないって話だったっけ。
ブライトさんの中の人はお亡くなりになったし、無理だよなぁ
557通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 16:47:44 ID:TtKW79Zy
977 名前: 名無しさん@七周年 投稿日: 2007/01/04(木) 21:07:17 ID:GB/cB+K80
ガンダム“閃光のハサウェイ” 映像作品化へ

サンライズは3日、ガンダムファンから根強い支持があるSF小説作品、
『閃光のハサウェイ』をOVA作品として製作する事を発表した。同作品は
機動戦士ガンダムに登場するホワイトベースの艦長、ブライト・ノアの息子
ハサウェイ・ノアを主人公として描かれており、その悲劇的な内容が一部の
ファンに熱狂的な支持を得ており、長い間映像化が渇望されていた。
紆余曲折を経て、遂にファンの想いが現実のものとなった格好だ。
第1巻の発売は今年の末頃になる予定。
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1158923817/l50
*ブライトの声優に関しては未定とのこと
558通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 17:00:14 ID:???
つ、釣られないぞー
559通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 17:44:09 ID:???
そんな餌に俺様が釣られるかクマー!
560通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 19:22:18 ID:???
つか、2ちゃんはソースにならないとあれほど
561通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 20:07:22 ID:???
せめてMoonPhaseあたりに載らんとなぁ……
562通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 20:25:59 ID:???
そんな事いってるけど、とうの昔に紫になってるんだろオマイラ

俺もだけど orz
563通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 21:21:41 ID:???
う、嘘だ…そんなはずは!!だ、だれか否定してくれ、信じちまいそうだ!!
564通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 21:43:04 ID:???
>>557
めっさ釣りでした。本当にありがとうございました
565563:2007/01/12(金) 00:51:14 ID:???
僕は…釣られたくなんてないのにぃーーーーーーーーーー!!

――ズゴォォォォォォン!!

と、唸るような轟音の響きを肌で感じながら俺は、
広大な空洞全体に亀裂が入り崩壊する様子を一瞥した。

黄昏の地底王国は崩壊し、地下に集う『巨人』達が今、滅び去ろうとしている

『巨人』達が王国各地で断末魔上げ、筒状の巨人達はあるものは倒壊し、
又あるものは生じた亀裂に呑み込まれ地底奥深く朽ちながら消えていく……

――そして『エンディミオン・クレーター』が崩壊を始めた。

もはや、この基地は資源収集用の重要拠点としての役割を果たす事は当分はないであろう。

ギルバートが言う様に地球連合軍にレアメタルが渡る事を阻止し、
プラント側が月面に於ける優位性を確立する為の第一歩となる。

それならば基地を制圧し、なるべく傷をつけずに手に入れることの方がベターだという意見もあるだろう。

だが、奴はプラント自体に積極的な攻勢態勢が築かれる事を好ましく思っておらず、
基地を完璧に叩いた上にレアメタルをもプラントの手に渡らないように画策したのだ。

有力なパトロンでもあり、『総司令官』殿の意向な訳だから、
俺とても従わない訳にもいくまい。一応は。

――俺も戦争が長期化し継続は好ましくないと思う。

俺自身が『反体制派』の組織のリーダ―であった事も関連するのだが、
職業上の都合と自分自身の知的好奇心を満たす為に『向う』過去の近代戦史を好んで調べた時期があった。

特に好んだUC79の『一年戦争』とUC93に発生した『赤い彗星の蜂起』などは、
様々な戦史資料を繰り返し読み漁ったり、擬似軍事シュミレーションなども繰り返しやり込んだものだ。

何故、それら卓越した指導者を頂点とした組織が官僚の悪癖が慢性し統治能力をも疲弊し、
老朽化した地球政府組織に敗れたのか?

やはり、一番の敗因は国力の圧倒的な差であろう。

かつて、UC世界で『一年戦争』と呼ばれた戦いではコロニー国家と地球政府との間には、
国力比1:30という圧倒的な国力の差が横たわり続けたのだ。

コロニー国家が緒戦で優勢だったのは、本当にMSの登場と緒戦の奇襲らが成功したからに他ならない。
地球という確実な地盤を持ち続ける地球政府。この世界に於いてはどうなのだろうか?

これは今の、プラントと地球連合にも見事に当て嵌まる。
俺は戦う事を決意するに当たって、この事を真っ先にギルバート達に示唆したのだ。

ギルバートやラウも俺が用意したこの関連資料には目を血走らせながら何日も徹夜を繰り返し、
さんざん頭に叩き込んだという。

この結果、プラントは圧倒的な危機管理の甘さと崖ッ淵のギリギリに立っている事を改めて認識したという。

そして、今ならまだ間に合う!と結論を出し、俺達は一斉に行動を開始を始めたということだ。
その手始めが、この『エンディミオン・クレーター』壊滅作戦という訳だ。

そして今現在の俺は、目の前で崩壊してゆく『サイクロプス・システム』を目にしながら、

「――人が犯した過ちは『マフティー』が粛清する……か」

しかし、そう小さく呟きながらも、実際に俺の心はそれとは裏腹に、
作戦を無事に完遂した喜びに満ちていたのだった。

前の世界では、自分が『マフティー』である。と常に心で言い続けてきた。
組織のリーダーとして架空の人物を演じ続ける自分に対する戒めでもあったのであろう。

そして、今は、逆に自分が『マフティー』だという事が全くの重荷になっていない。
逆に気楽な部類に入るのだろうか?

元の世界で自分は一度『死んだ』のだという事は大きい。
前の世界での自分は死んでしまい、この世界の俺は何の楔を持たない気楽な異邦人……

これが大きいのだろう。
この世界に昔の自分の痕跡が何も残っていないのは、自分に弱点が無い等しい。
だから、どのような大胆な事もできるようになるのだ。

もう一つの出来事は、俺の『ニュータイプ能力の』爆発的な拡大だ。
前の世界では感覚的な制限があったように思えたが、此処の世界に来て(正確にはラウと邂逅)してからは、
天井知らずに能力や感覚が拡大してゆく。

一般のMSは無論のこと、サイコミュを搭載した『Ξガンダム』は乗るというよりも、
一体化したという感覚になっている。

最近、『Ξガンダム』に搭載されたコックピット・システムを利用し、
記録されている『赤いユニコーン』との擬似戦闘シュミレージョンでも10回中8回は確実に勝利するようになっていた。
前は10回に良くて2本しか取れなかったのにだ。

自身の経験もあるのだろうが、自分の能力や応用力が比較的に高まっている事が実感できる。

今の自分ならば、『アデレートの戦い』の時の自分に対して100回中99回は勝利する事ができる。
あの『ペ−ネロペー』に苦戦した事が今の自分を顧みると不可思議に思って来る。

あの時は切羽詰ってたし、焦りもあった。戦いにマイナス面が数多くあったのは正直否めない。
だが、それを差し引いても自分の能力の拡大に驚くばかりだ。

そして、ふと疑問が湧く。俺が知る限りの今までの『ニュータイプ戦士』の先達たちのことである。


――やはり、『ニュータイプ』という存在は近くに味方としてか、
それとも敵として同レベルの、或いは凌駕する存在の同じ『ニュータイプ』が必要なのだろうか?と

それは神が与えた人が進化する上での必然的なことなのだろうか?

……ニュータイプ論は置いておこう。

今回の戦いは此処に来てから久しぶりの戦闘であり、しかも暗殺などという嫌らしい方法ではなく正面から敵本拠地に殴り込んだのだ。
――しかも見事に成功したのだ。
久々の充実感が伴う。

――戦士としての誇りに恥じぬ戦いとしては申し分が無い。
……『邪気』が漂う連中の息の根を止めたのだ。

……それが自己満足なのは無論、承知しているが、
これは『戦士』の性なのだろう。

卑怯で恥知らずの敵を自分の力で叩き潰すのはある意味爽快でもある。

MSを駆る現代の『騎士』として、『尊敬に値する敵』に対しては正面から正々堂々と戦って相手の命を奪う。
そして、卑劣な連中にはそれ相応の報いをくれてやるのも、また戦士としての作法だと俺は思っている。

――俺は『サイクロプス・システム』が完全に破壊されたその崩壊の一連の光景を、
『Ξガンダム』の目を通した360度スクリーンによって目に焼き付けた。

……全て俺がこの手で行った破壊の痕跡と爪痕である。

操縦桿を強く握り締めた。

――ピピピピ!

「うん?」

警告音と共にメインモニター上に幾つものサブスクリーンが現在の状況が浮かび表示される。
俺はそのサブモニターの表示に素早く読むと……

「なに?」

警告音と共にメインモニター上に幾つものサブスクリーンが浮かび現在状況が表示される。
俺は、そのサブモニターの表示に素早く確認すると……

「む?」

この地下空洞が大爆発する前兆のデータが詳細に表記されていたのだ。
早く脱出しなければ大爆発に巻き込まれてしまうのだ。

――ピキィィィン!

機体周辺のセンサーとは別に精神感覚を広げでみる。

サイコミュと呼ばれる精神連動システムによって、
俺と『Ξガンダム』は見えない力によって強く一体化している。

それらによって、外の状況が抜き差し成らぬ状態に成りつつあることが、
肌身でわかって来る。

……『マフティー・エリン』の素顔を隠す為の黒の専用メットを被る額から顔へ冷や汗が伝わり始めた。
少し、調子に乗りすぎたのだろうか?

――ピピピピ!!

「ガンダム!――今度は何だ?」

……更に追い討ちをかけるような危険警告の表示が出た。

「それは――本当なのか?」

……先程ここへ入ってきた侵入経路が落盤で完全に埋まってしまったというのだ。
脱出路の確保もせずにターゲットを破壊したのは正直言って後先考えない無茶無謀であり、痛恨極みとなった。
『ガンダム』のパワーを当てにしすぎるのも良くない事なのだろう……な。

そう、『Ξガンダム』の圧倒的なパワーで破壊された『サイクロプス・システム』の破壊エネルギーの余波は、
逆流をし始め、まさに俺達に襲いかかろうとしているのだ!

『ガンダム』のメガ粒子砲によって生じた莫大な破壊エネルギーは、『エンディミオン・クレーター』地下深くで爆発的な破壊波動を生み、
上へ上へと向かい基地上空に奔流となり迸る事になるであろう。

メインモニターに映った基地の詳細図面を映すナビシステムによれば、
元来た道に穴を開けながら戻ろうとすれば、ちょっぴりと時間が足りないかもしれない。

……その間に、俺は爆流に巻き込まれる恐れがあるのだ。

「――まずいな」

――ウィィン。

俺が呟いた独り言に『Ξガンダム』は反応する。

――当たり前だ。というような答えが返ってきたのだ。

このままで居れば、幾ら最強を誇る『Ξガンダム』も一巻の終わりなのかもしれない。
だが、『ガンダム』の装甲ならばこの程度の……

――ウィン!!

……どうやら怒ったようだ。

俺は苦笑する。タイミングよく返ってくるものだ。
本当にこの『ガンダム』は自身の意思が宿っているかのようだ。

「――悪かった……わかってる。脱出するぞ!!」

――ウィン!

今度は了解の返事が返ってきたようだ。笑ってしまうな。メカにも意志が宿るものなのだろうか?
母の故国では物には八百万と呼ばれる『神』が宿ったと言う。

MSも物の神と言えるかも知れない……確かに『ガンダム』は特別な存在なのだろう。
一般的な『神』と呼ばれるよりも猛々しい『戦神』の部類に入るに違いない。

「よし。行こうか『相棒』!」

俺はコックピットの天上に顔を向けながら『ガンダム』にそう答えた。

さて、本格的な脱出経路を考案しなければ。
しかも、急がないと拙いのだ。

――ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!

ギルバートやサラが入手した基地の内部構造データを合わせて、
俺はキーボードを瞬時に叩き最短距離をコンピューターに割り出させる。

『Ξガンダム』のコンピューターは俺の入力データに反応し、今現在の周囲状況を惨状をセンサーでモニターしながら、
コンピューターが予測を立て、メインモニターから別の窓枠が形成され、サブモニターが出現する。

そして、出口までの最短距離が瞬時に表記された。
行きよりもやや距離があるが、別の脱出経路がメインモニターのサブモニターに記される。

……これが最高のベターなのだろうな。
決してベストではない。それは仕方が無いことだ。

――スゴォォォォン!ドオオォォォーン!!

その間にも周りの空洞は崩壊し始め、岩盤が無数に降りかかる。
タイム・リミットまで後、僅かなのだろう。

ならば……よし!!集中する!

――ピキィィィン!!

俺は『思念』を放ち、サイコミュで俺と連動している『ガンダム』はそれを受け答える。

ガシャン!と瞬時に両肩と胸部パーツが変形し『ガンダム』は高速飛行形態に再び変形した。
――同時にビームバリヤーが全身を覆い展開する。

俺は改めて、サイコミュ・システムの結合を確認し、
完全に自分と『Ξガンダム』を一体化させる。

――ウォォォッォーン――

『Ξガンダム』が大きく咆哮を上げ、そして二つに輝く双眸が俺の目となった――

キュィィィン!

俺は操縦桿を握締めた。
するとガシャン!という音と共に『ガンダム』のマニュピレイターの一つ一つの指先の感触を感じて、手の平の開閉の自在を確認できる。
『ガンダム』の腕が今、完全に俺の腕となった。

俺がフットレバーを踏み締めると、同時に連動して『ガンダム』の両脚の隅々まで完全に俺の脚となった。

ギュイン!

両脚に備え付けられたアポジモーターが唸りに似た響きを上げる。
姿勢制御用バーニアも俺の感覚器官の一つとなる。

そして、背部に感覚を回すと背後のメイン・スラスターが大きな騒音と共に唸り声を上げた。

――俺は同時に気合の声を上げる。

「いくぞォォォ!!」

ゴゴゴゴォォォォォ!!

メインスラスターは爆発的な加速エネルギーを生み出し、
俺と『ガンダム』を崩壊しつつある地底の地獄から、星空が煌く月の天空へと羽ばたかそうとしていた。

――そして、このまま友が待つであろう戦場へと俺を導くのだ。



>>続く
574通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 00:38:50 ID:???
GJ!!
575通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 01:07:57 ID:???
GJ!
カッコいいぜ
576通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 02:10:55 ID:???
GJ!
577通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 05:52:19 ID:???
GJ!!
どうしょう…クルーゼに続いてΞまで萌える…
その内僕もΞタンハアハアとか言い出すようになるんだろうか……。
578通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 06:58:35 ID:???
ウィン!ウィン!!
579通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 12:15:42 ID:???
GJ!!!
プラントの現在おかれている状況を把握した三馬鹿トリオですが、ナカナカに危機的な状況のようですな。
問題は、上層部がこれを認識しているか否か、ですね。
パトリックは、何となく認識して行動してた節はあったようなのですが、他の奴らはどうもきな臭いです。
強硬派はただ単に殲滅を唱えるだけですし、「自称」穏健派はNJ投下後は停戦やら講和やらを唱えるだけ。
……プラント、先行き暗いな……
頑張れギル!!!

今回、文章に少々気になる点がありましたので、失礼を承知で指摘させてもらいます。
4/8の最後から5/8の最初まで、この部分ですね。
>警告音と共にメインモニター上に幾つものサブスクリーンが現在の状況が浮かび表示される。
>俺はそのサブモニターの表示に素早く読むと……

>「なに?」

>警告音と共にメインモニター上に幾つものサブスクリーンが浮かび現在状況が表示される。
>俺は、そのサブモニターの表示に素早く確認すると……

>「む?」
同じ文章が二つならんでいるようにしか見えません。
二番目の文章を、消すか、一番目の文章を補足する様な形にされた方ががいいと思います。

それと後半の擬音部分、ガンダムと対話しているかのような場面ですが
ここは擬音ではなく、ガンダムの動きを描写することで表してみてはどうでしょうか。

色々詰まらん事を書いてスイマセンでした。
それでは次回も楽しみにしております。
580通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 13:07:25 ID:???
祇園祭
581通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 18:42:30 ID:???
GJ!
582通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 18:58:33 ID:???
GJ!キレイなクルーゼと気負いが無くなったハサは最高のコンビかもしれんね

後ささいだが誤字の指摘を。シュミレーションではなくシミュレーションでは
なかろうか?前者だとときメモと同じジャンルになってしまうw
583通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 22:46:48 ID:???
やや!もしかして狂四郎世代?
584通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 07:35:29 ID:???
保守
みんな…>>557に釣られまくったのね…おすすめ2ちゃんに>>557が……
585通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 22:04:57 ID:???
保守

『Ξガンダム』の目を通じて、俺の視覚を周囲の景色が後方へ後方へと流れ移り変わっていく。

高速飛行形態となった『Ξガンダム』は瞬時に音速に近いスピードを出しながら、
急速に上へ上へと昇ってゆくのだ。

今、コックピットに納まっている俺の肉体に慣れ親しんだ強烈なGが襲っている最中だ。

――『ガンダム』に搭乗した最初の頃は血反吐やゲロを吐いたり、
肋骨を痛めた事が日常茶飯事だった事が遥か遠い過去の夢のように感じる。

だが今は怖いもので、この程度のGが生じないMSの方に物足りなさを覚えるのだった。
此処で根を上げる位ならそいつは、最初から『ガンダム』に乗る資格が無いのだろう。

だが、実際は『ガンダム』に備わっている最新型のパイロットの安全を護る為の生命維持装置や安全装備等。

更にはコックピットに備わっている、全天周囲モニター・リニアシートは強烈な加速とGを緩和させている為に、
確かに今俺が感じているGはそれなりにマイルドな部類になるのかもしれない。

この強烈な加速と衝撃を『ジン』が出しているのならば瞬時に機体はバラバラになっており、
正直、俺自身も木端微塵になって破片も残っていない事だろう。

『Ξガンダム』の性能が極めて高すぎるのも問題なのかもしれない。
俺が『ガンダム』に慣れ親しむのは仕方の無い事だが、『この時代』にあったMSの操縦の適応の修練も忘れてはならない課題であろう。
戻ったら『ジン』を壊さずに乗りこなす訓練を課題としよう。

何しろ、『Ξガンダム』は一機で『この時代』の基地施設や軍勢を丸ごと相手にできる。

嘗て、少数の戦力しか保有しない『マフティー』が地球連邦政府軍と互角に渡り合うことができたのは、
『Ξガンダム』の絶大な戦闘能力に負う処が大きいといえる。

今はまだプラント側の最後の切り札としての『秘密兵器』としてのベールで包み込んでいた方がいいのだろう。


しかし……今、俺の力に耐えられ壊さない機体と云えば……高笑いする仮面の男が頭に浮かび上がる。
あの白いハイマニューバなのだろうか……?

崩壊を始めた『エンディミオン』から脱出しつつある最中、俺はそんな事を脳裏に思い浮かべていた。
……切羽詰っているのに余裕だな……だが、それもどうやら終りのようだ。
シャン!と集中せねばならない時がやって来たぞ!

――行く手である前方(上空)から落下してくる無数の岩盤や鉄板などの類が
無数の飛来物が俺こちらに向かって降り注いで来たのだ!
こいつを全て回避するのに骨が折れそうだな。
一瞬、口元に苦笑浮かべながら俺は回避行動に移る事となる。
精神を集中させる。

ピキィィィーン!

――脳裏を閃光が駆け抜ける!

閃光からイメージが生じる。
一種の未来予知のイメージなのだろうか?
飛来物の軌道。自分が回避すべき方向。
全てが明確なイメージとなり瞬時にそれに体が反応する!

何をしなければならないのか?
頭で合理的に理解するのではなく身体の方勝手に受け答えてゆく。

――前方から、『ガンダム』の大きさに匹敵する、巨大な岩盤が襲い掛かって来る!

「おぉぉっ!!」

――来る!!

俺は叫びながら、機体を大きく回転させ、回避行動へと移ろうとする。
――俺のその意思に感応して、『Ξガンダム』は重厚な装甲で覆われたその巨体からでは、
考えられない程の素早い能力を発揮する!

メインバーニアとサブバーニアの連続した噴射の響きがコックピット内を小刻みに振動させてゆく。

『ガンダム』は大きく回転しながら少しも加速を緩めずに、直進する。
そして左腕のシールドを構えながら、突撃銃を持つ右腕を右水平へと大きく振り上げ、
その反動を利用しつつ、身体を捻りながら大きく右へと跳ぶ!

――姿勢制御を司る各スラスターがフルに作動しているのを肌で感じる。
そのお陰でこの行動中の『ガンダム』の姿勢は微塵も揺るぎが無いのだ。
岩盤を大きく右に跳びながら回避すると、それは後方へと消えていった。

そして、閃光のイメージが再び脳裏を駆け抜けるてゆく。
同時に、『ガンダム』の胴体の半分ほどの瓦礫が襲い掛かって来た。

――次!!

『ガンダム』は俺の感応に応じ、岩盤回避直後に出現したその瓦礫に対して、
左腕に装備されたシールドを上手く使いながら後方にスルーしようとする。

シールドで直接に受け止めるのでは無く、相手を受け流すかのように後方へと追いやってやるのだ
俺の母の故国で『サムライ』と呼ばれた戦士達が使用したとされる『武道』と呼ばれる戦闘術の奥義の一つでもある。

受け流された瓦礫は再び後方へと消えてゆく。
しかし、間断なく次の来客だ。

――また来る!

今度の来客は、手頃な大きさの障壁の破片であようだ。
これは右手にあるMMI-M8A3 76mm重突撃機銃で――
咄嗟に引き金を引き、それに応じて重突撃機銃が火を噴く!!

――ドドドドッ!!

欠片は、銃弾の直撃を受けて、爆散し細かい瓦礫となってゆく。

……一つ間違えれば直撃を食らって、
『エンディミオン』の奥深くの地獄の穴に転落してゆくことであろう。

――その繰り返しだ。
恐らくは、3分と掛かっていないであろうその作業行為が俺にとっては永久にも感じる。

そして、自分が軽業師かピエロにでもなり、サーカスの曲芸を演じているような気分となる。
それも失敗すれば即座に死が訪れるサーカスである。
安全ネットは存在しないのだ。

――だが不思議と恐怖は無い。
俺がこの程度で死ぬ事はずはない!という確信が胸の奥から沸いて来るのだ。

再び閃光のイメージが脳裏で一際、大きく弾けた。

――そして次!!

今度のこの巨大で重厚な岩盤は――!
これは『ガンダム』の倍以上はあるのだろうか?

――ズゴォォォォオ……

俺の目には、その落下してくる特大の岩盤がまるで、
スロモーションのような動作で落ちて来るように見えたのだ。

俺の心は動じず冷静である。
そして、『ガンダム』は、俺の意のままにサーベルラックが存在する肩部ユニットへと右手を回す――

――バシュィィィーーンンン!!!

次の瞬間にその岩盤は巨大な大剣が振られたかのような衝撃と閃光が迸り、
一気に真っ二つとなる。

二つとなった岩盤は『俺』の背後へと向かって下へと落ちてゆく……

……リミッターが解除された大出力の『ビームサーベル』の一撃は、
『ガンダム』より巨大な岩盤をバターよりも容易く斬り裂いたのだった。
 
 
そして最後の障壁が目の前に現れた。

ナビゲーションシステムにはそこが終点の出口と示している。
『ガンダム』は再び、右腕を大きく振り上げてビームサーベルを一閃させた!

――グワシャァァン!!

鈍い衝撃を感じながら、壁は一気に大きく縦に斬り裂かれた!

『ガンダム』の斬撃によって隔壁の壁に大きな亀裂が生じると、
その向こう側には、俺が突入する時に完膚までに破壊した基地の開閉シャツター搬入口の残骸が見える。

穴を大きく広げて通り抜ければそこはもうゴールだ。
俺はその斬り裂いた障壁の亀裂を『ガンダム』の両腕で大きく抉じ開けようとした。

「よし。余裕で抉じ開けられるぞ……!」

『ガンダム』のパワーでならば数秒で通り抜ける事ができる大穴が製造できる。
此処を……通り抜ければ。

――ピーピーピー!!

抉じ開けようとした矢先に、突然の警告音と同時に大きな振動を感じた!
ガクッ!ガクッ!と大きな衝撃がコックピット全体を揺るがした。

「ちっ!」

キュィィィン!

サイコミュを通して、咄嗟にビームバリヤーを展開する!
『ガンダム』のが白いバリヤーの光に包まれると同時に、

――ドゴゴゴゴゴゴゴゴォォォオーーン!!

『エンディミオン』の奥深くから、赤い爆流が噴出した!

予想よりも早く、遠い地底から噴出した破壊エネルギーの奔流に俺は巻き込まれてしまった。

「何とォ!?」

舌を噛まずに済ます事が出来たのは、本当に上出来の部類だと思う。
メインモニターが周辺状況を示し、機体前面にビームバリヤーが展開した事が表記される。

咄嗟に『Ξガンダム』の殆どの膨大なエネルギー出力をビームバリヤーに回し、
同時にシールドも前方へと展開させ、『武道』でいう受身の姿勢の体勢を取ったのが効を制したのだろうか?

力の流れを直接に受け止めず、後方に流したお陰で被害は極軽微で済んでいるようだ。

――人間、何が幸いになるかがわからない。

『柔よく剛を制す』という言葉がある。
周囲には、俺が習得したこの故郷の『古武術』とも呼ばれた『格闘術』を馬鹿する者もいたが、
気にせずに修練を積んでいた事が幸いしたようだ。

だが、これも自分の身体そのものである『ガンダム』だからこそ出来た芸当だ。
他のMSでは不可能な事であったはずだ。この最初の衝撃でバラバラにされたのがオチであろう。

現に急造の『シールド』は軋み捻じ曲がり、重突撃機銃などは溶けて折れ曲がっていた。

――ドゴォォォォォォォォォォン!!

奔流によって、機体全体が大きく巻き上げられてゆく。
『ガンダム』を高く高く天空へと押しやって往くのだ!

「――くそッ!このままじゃ、星になっちまう!!」

そんな事は願い下げである。まだ、星となって伝説となるつもりは無いのだ!!
両腕に存在する操縦桿を力強く握り締める。

「――このぉおぉ!!」

俺の気合と共にこの流れに翻弄されていた『Ξガンダム』は、
その奔流の力に逆らうかのようにその四肢が動き出し始める。

そして『ガンダム』の双眸が激しく輝き始め、その輝きは機体を柔らかく包み込むビームバリヤーにまで及ぶ。
『ガンダム』の中枢のエネルギーを生み出す核融合炉が強い脈動を放ち、全身へ大きな力が広がってゆく!

「うおりゃああああ!!!」
――ウォォォッォッオーン――!!

――俺と『Ξガンダム』は同時に叫ぶ!

機体全体を白い輝きに染めながら『Ξガンダム』は、一気にその奔流の流れから飛び出した!!
そして、その機体を天空に高く高く翔(と)んでゆく!!

瞬時に『ガンダム』は月の天空の果てへと舞い上がると、その眼前には青く輝く惑星が瞬いていた。
――瞬間的に過去の走馬灯が甦る。俺自身が直接過去に合間見た英雄の二人の姿を。


『……人間のエゴの全てを呑みこめるほど、地球は巨大ではないっ!』

『人類の知恵は、そんなもんだって、乗り越えられる』

『ならば、今すぐに愚民どもに、叡知を授けてみせろっ!』


――彼等程の英雄でも人類をより良き方向へ導くことが出来なかった。
……結局は人類が地球から巣立たないのが全ての原因なのだろうか?
俺はその例えようのない空しさを感じる。

そして、蒼い星が輝く天空の静寂さとは裏腹に下界では、
地球連合軍の艦隊がMAの部隊を発進させながら離れたザフトの部隊に攻撃を開始していた。

――俺はその光景を見て突然、頭の芯からカァッ!と熱くなってくる。

「お前達がいるからぁぁあ!!」
――ウォォォッォオン――

俺と『ガンダム』の雄叫びと重なり、肩部に設置されている左右の収納パーツに収まっているビームサーベルから、
それぞれビームの素粒子が展開してゆく。

――ギュォォン!

『ガンダム』は一気に急降下開始した。
目標は勿論、――地球連合軍第3艦隊だ。

『俺』はビームバリヤーに包まれ白い光を放ちながら、音速の速さを超える!

――ギュゥゥン!

両肩部に収まったの二つのサーベルから真紅の光の刃が形成される!
音速を超えるスピードで駆け抜ける『ガンダム』から放たれるサーベルの粒子は散らばり翼のように広がりを見せる。

――最初の『ターゲット』は手前にある地球連合軍の250m級戦艦のネルソン級と呼称される地球連合軍の主力宇宙戦艦である。

……普通は、艦隊のど真ん中に一機突撃を敢行するなど無茶無謀の極みだろう。
そう、俺の中で荒れ狂う灼熱の衝動の中で、妙に冷めた一部分がそう指摘している。

しかし、今の俺にはこいつらを撃滅することしか頭にない。
右肩から生えた赤光のビームの刃が、ネルソン級のどてっ腹をズブリと抉り、
更には勢いを乗せて大きく斬り裂いてゆく!

「うぉぉぉぉぉッ!!!」
――オォッォーン――

俺は勢いに乗りながら僅か数秒で戦艦の装甲面を大きく袈裟斬りに斬り裂いた。

戦艦は真っ二つに分断され、次に爆発が始まった。
ネルソン級戦艦はそれに見合うだけの盛大な爆発と共に粉々に砕け散った。




>>つづく

594通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 03:04:32 ID:???
GJ

……ただ一言言わせて貰うなら、宇宙空間で戦っている以上、どんな重戦艦でも音速の数倍から数十倍で移動していると思うんですが……。
595通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 10:11:49 ID:???
>高笑いする仮面の男
やっぱりヤツはそんなイメージかw

途中、一人称での状況説明が微妙に気になったが、早めの更新GJ
596通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 14:18:51 ID:???
GJ!!!
ガンダムの動きが眼に浮かぶ様だYO!!
なんか知らんがハサウェイもハイになってる。
クルーゼといいハサウェイといい、シンクロしてんのか、こいつら?w

ムウたちが、基地から上がった火柱から出てくるΞを目撃したシーンが有りました。
それを見る限りでは、結構楽に脱出したんだな、という印象を受けていたのですが苦労どころか、命がけだったんですねw
良く考えてみれば、ターンタイプでもない限り、楽に脱出なんて出来ませんわな。

他の方の指摘にもありましたが、Ξが音速を超える所の描写は宇宙ではあまり意味がないような気がします。
よって宇宙ではこういった表現の方がいいのかもしれません。
>『俺』はビームバリヤーに包まれ白い光を放ち、光の矢となって艦隊に迫る!
光の矢の部分は、一本の光条、とか他にも表現の方法はあると思います。
…書いてて思いましたが、ちょっと厨臭いですねw
申し訳ない。

それでは次回も楽しみにしております。
597通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 14:40:00 ID:???
一条の光となって、ってのもありなんじゃないか?
598通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 14:58:22 ID:???
>>594
基地からの脱出の描写なんだから対地速度って事でいいじゃないか
599通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 02:26:11 ID:???
祇園がすきなんだ
600通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 09:53:02 ID:sSXQCm3a
Ξガンダムに彫れた
601通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 11:20:05 ID:???
Ξガンダム=ツンデレ

ネルソン級(250m級宇宙戦艦)を、輪斬りにした俺は、その最後の盛大な爆発を見届けずに、
直ぐ様、次の獲物を仕留めようと、まるで盛りが衝いた猟犬のように次を追い求める。

『ガンダム』は俺の憎悪に感応してなのか、その双眸は憎しみの紅の輝きへと変貌していた。

俺は一旦、艦隊の上空へと滑走し、先程撃破したネルソン級と
並行に伴走していたドレイク級(130m級護衛艦)を目にした。

同時に、ガンダムは俺の意思を先読みでもしたかのように、敵艦へと襲い掛かる。
これは、俺が無意識に操縦していたからのだろうか?
それとも『ガンダム』が、ダイレクトに俺の脳波を読み込み感じたのだろうか。

左肩の基部にマウントされた状態のビーム・サーベルの刃が大きく広がり、激しい赤光の閃光を放つ。
『ガンダム』雄叫びを上げながら、ドレイク級(130m級護衛艦)へと襲い掛かる。

――オォォンン!!

俺が先程、奇襲を仕掛けた事によって、恐慌状態となった地球連合軍の第3艦隊は、
この時から、戦艦各艦が狂ったかのように、一斉に対空砲撃での反撃を始めたのだった。

それは全く統制が取れておらず、各自勝手な反撃の砲撃をする為に、一部の砲火は、
味方の艦船やMA部隊へと飛びかい、それによって被弾し、
戦場は連合軍側の流れ弾が、飛び交って、混沌とした状況へと戦場は変貌していく。

俺にとっては全く願い難い状況へと戦場の状況が変わりつつあった。
こんなチャンスは滅多に無い事だ。

しかし、これが地球連合軍の正規部隊とすれば、錬度の低さに驚いてしまう。

――それとも、想定外の事が続け様に、発生した事が幸いしたのだろうか?

雄叫びを上げ『ガンダム』は、背部のメイン・バーニアを全開にして、
一気にターゲットとの距離を詰める。

背部の白い羽根のようなウィング・ユニット部は、高速状態の最高速の為に全開となっている。

両肩からは羽のように赤いビームサーベルが広がり、更には背部の白いウィング・ユニットの形状もあり
外からこの光景を眺めれば、4枚羽根の天使なのだろうか?
それとも、やはり『白い悪魔』なのだろうか?

その勢いに乗せて、ドレイク級(130m級護衛艦)を艦橋の狙い、
左肩の基部にマウントされた状態のビームサーベルは、激しい赤光の閃光を、放なちながら、

ズワシューァンン!!

と、一息に艦橋を引き裂いていった!

艦橋部の金属素材は、超高熱の刃の為に溶けながら歪んでゆき、捻れながら両断された!

――斬り掛かる寸前に艦橋の様子が、ありありとわかった。

引きつる顔。恐怖と絶望に彩られた顔。腕を顔の前に出して庇おうとする無意識の行為。
人間は、最後の最後まで足掻こうとするのだ。

――生命が消え逝く瞬間。ヴィジョン。断末魔……

『ニュータイプ能力』を備えた俺の無意識の知覚を、重箱の隅に引っ掻けるようにムズ痒くする。
これは、戦場では日常の光景だ。
今更、俺はその程度では動じなくなっている。

――殺し、殺されるのが戦場の倣いであり、ルールだ。
敵を生かして返せば、その敵は更に武器を持ち味方を傷つける事になるだろう。

だから、俺は武器を携帯する敵に対しては、一切容赦はしない事にしている。
どちらかの息の根が、止まれば戦いは終るのだ。

――護衛艦の艦橋を切り裂き、そのまま勢いの乗った俺は、艦の胴体部へと、刃を食い込ませ、
一気に艦底まで大きく引き裂いていった!

『ガンダム』のビームサーベルは戦艦の内部にメガ粒子の火花を散らし、艦内の各部を破壊してゆく。

――艦内は阿鼻叫喚の地獄であろう。

艦内を焼き尽くしながら、運が悪い乗組員を男女問わずに引き裂き、蒸発させ焼き尽くしてゆく。
直接ビームの刃に触れて消滅した方が、まだマシな部類だろう。

ビームサーベルの破壊エネルギーによって生じた艦内では、爆圧によって吹き飛び、
千切れ跳んだ者達や破片や瓦礫で、押し潰され圧死した者なども、無数にいる事であろう。

『ガンダム』に肩部に装着したままのビームサーベルで、護衛艦の胴体斬りを終えた俺は、
そのまま急速に殺戮現場から離脱してゆく。

離れると同時に、背後から閃光と爆発音が生じる。
そして、無数の生命が悲鳴を上げながら虚空へと、砕け散ってゆく。

命の砕け散る音を背景に俺は、次の標的を狙おうとする。
が……

――突如、脳裏に警告が響き渡る。

――ピキィィィン!!

今の自分の頭部と、なっている『ガンダム』の額の、サイコミュシステムを通して、
新たな『敵』の出現を感知した。

戦艦2隻を瞬時に沈めた『ガンダム』をやっとの事で、『敵』と認識したのだろうか?
『モビルアーマー』の編隊が、こちらに向かってやって来ている。

そして、メカであるセンサーが今更ながら、遅れて爆発の熱源以外のモノを感知した。

連合の主力機動兵器である『TS-MA2』。
独特のフォルムを持っている地球軍の戦闘機型モビルアーマー。
通称――『メビウス』。

俺の知識にある『モビルアーマー』とは、コンセプトが完全に違う。
宇宙用の機動戦闘艇と、いうものになるのだろうか?

開戦の初期から、地球連合の宇宙軍主力兵器として、活躍している機体なのだそうだ。
機動能力も、良好の部類に入り、直線機動なら『ジン』の追随を許さない程の速度がある。

だが、ご大層な割には『ジン』との戦力比が5:1という、とんでもない『飛ぶ棺桶』でもあるらしいのだ。
小回りが効かない状態てMSと戦うなど……死んでくれと、言わんばかりのものである。

この『ニュートロン・ジャマ―』と呼ばれる、『ミノフスキー粒子』と似て非なるものが、
『この世界』でのレーダー通信機能を麻痺させているのだ。

よって、『この世界』でも有視界戦闘がメインとなりつつある。
メカを介しての、索敵全般が、『NJ』のお陰で困難となっていた。

そして、これからは超感覚というべき、空間認識を持つ者や、虫の知らせや勘とも呼ばれる、
第六感を持つ者が、戦闘を有利へと導いてゆくのだ。

『ニュータイプ』とは差し詰めその点では、スペリャリストなのであろう。

遅れて、メインモニターに敵位置の予測と到達予想時間が表示される。

俺の感覚を通して、サイコミュとセンサーが、連動している『ガンダム』のコンピュータが、
導き弾き出したものだ。


周囲の視界認識しながら、戦闘をする俺は、
『ガンダム』で対空砲火を回避しつつ、加速させながら、精紳を集中してゆく。

『敵』の『プレッシャー』を感じ得る為だ。

機体を旋回させがら、もう1隻の手近な敵戦艦へと接近してゆく。

そのドレイク級(130m級護衛艦)から放たれる対空砲火を
『ガンダム』は右急速上昇をして上手くかわす。

そして、かわすと同時に俺は、急速下降試み、
ミサイルを撃ち放つ!

――『ガンダム』の左腕上腕部からミサイルが放たれる!

ミサイルは、左腕が指し示した方向である敵護衛艦の艦橋部分へと、
一直線に向かって直進する!

途中ミサイルは一旦、無数に別れ目標へ向かってランダムにバラ撒かれる事なる。
対空砲火で幾つか落とされるが、他の物は狙い誤らずに艦橋とその周辺へと直撃した!

ドォォオォーッン

ミサイルの破壊力によって艦橋は消し飛び、そしてその爆発は、胴体甲板部のあちらこちらに飛び交う。
そして、主砲や小型砲にもミサイルの破壊エネルギーが飛び散り、誘爆を始める。

ズゴゴォォォ……

ドレイク級は艦全体を大きく傾きながら、月面へと向かって大きく墜落してゆく。
そして、小型のクレーター付近へと、墜落すると大規模な爆発音と共に、
バラバラに砕け散っていった・・・・・・

無論、俺は其処までの確認はしていない。
そのような状況になったという事が、俺が『分る』だけだ。

俺は、次のターゲットへと攻撃を仕掛けようとする。

――キュィィン!

脳裏を閃光が駆け抜ける。
先程、感じたモビルアーマーの編隊が到着したのだろう。

極微弱な『プレッシャー』を幾つかを感じる。
……数は17。
難敵ではない。

「よし!」

『ガンダム』は背後に右腕を廻して、最後の一丁のMMI-M8A3 76mm重突撃機銃を取り出す。

弾奏はシールドに予備を搭載していたのだが、基地から噴出した際の奔流の衝撃で、
シールドを使用した際の、防御行為での衝撃でロストしていた。

重突撃機銃の弾丸を使い切ったら、頭部バルカン砲かビームサーベル等の近接戦闘。
中距離戦闘では爆撃用ミサイル、メガ粒子砲を使用する事となろう。

爆撃用ミサイルは『ファンネルミサイル』とは違い、一度、方向を定めて発射すればお終いのタイプだ。

このミサイル攻撃方法が爆散タイプなので、一機だけを狙うような単発型には向かず、
近接戦闘や中距離戦闘が多い戦闘には、使用し難いものでもある。

そして、シールドは歪み切っているがまだ使える。これならば、MAの攻撃を防ぐ事が可能であろう。
MAの攻撃などで損傷する程、『ガンダム』の重装甲はヤワではない。
それに……

「――当たらなければ、どうということはない!……だろ?」

俺は、『ガンダム』に向かって語りかけてみる。

これは、金色のMSに乗っていたエースの口癖だったらしいのだ。
ウィン!と一度だけ軽快な駆動音が鳴ったのが返事の代わりだろう。

――いける!

この世界で『ガンダム』が、初めて体験する機動兵器とのドックファイトになるのだ。


>>つづく
608通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 01:15:23 ID:???
乙です……が……

月面で爆発音って禿御大はやっちまってたっけ?
609通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 02:10:06 ID:???
SS投下GJです!
あとジンとメビウスの戦力比って3:1じゃなかったっけ?


610通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 02:54:44 ID:???
GJ。
だけど以前から思っていたがここまで戦力差が有ると……
これ以降戦闘でカタルシスを得られない気もするのが不安だ。

>>609
以前は5:1だったと思う。
611通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 12:27:39 ID:???
>>608
MSにはパイロットの状況認識を容易にする為に周囲の状況を音声変換する機能がある
後モニタも似たような機能付き(レーザーやビームが写るとか)。コレは御大が1st小
説書いたときから共通してる設定だ
612通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 13:59:01 ID:???
小説版Vでもアポジモーター噴射音を再現してたな
613通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 14:50:34 ID:???
GJ!!!
Ξ強ぇーー!!
連合にしてみたら、モノホンの宇宙人と戦ってるような感覚じゃないだろうか?
ジンじゃ、流石にこう言う真似はできんからなぁ。
ハサウェイの戦う心構え見たいな物が、何処ぞの腐れとはえらい違いだ。
なんとなく、Zのアムロを思い出させるのは気のせいか?

次回も楽しみにしております。
614608:2007/01/19(金) 20:54:37 ID:???
>>611
d

読み直してくる。
615通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 23:16:16 ID:???
メビウス隊はΞに接近したとたんコンピューターがミノ粉の影響で落ちてパニックになるに1票
616通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 15:35:27 ID:???
そう考えるとΞやばすぎるな。
抵抗すら出来ないままに撃墜される。
617通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 16:03:35 ID:???
GJ!。連合が大損害を与えたガンダムにGを似せることはあるのかな。
これなら場面描写を音に頼らないでもいけると思いますけど、趣味なんですか。
ちと、安っぽくて残念。
618通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 17:31:49 ID:???
>>617
擬音は御大も大好きだから。
気にしちゃダメダメ
619通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 17:36:11 ID:???
>>617
文の意味はよく解らんが、富野小説か閃ハサ読んでみれ。違和感無くなるから
620通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 17:40:59 ID:???
うむ、擬音いっぱいあるぞ御大の小説は
621通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 02:46:02 ID:???
上手いとは言えんがなハゲの文章
まぁそのうち気にならなくなる
622通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 06:16:01 ID:???
JOJO好きな俺にとって擬音はむしろご褒美です
623通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 20:38:00 ID:???
禿が全裸でJOJO立ちしてる光景幻視した
624通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 21:13:03 ID:???
>>623
日登「次はZZを映画化しろ…これは社命だ」

禿 「だが、NOと言う!」 ドッギャ−−−ン!!

こうですか?わかり(ry

625通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 21:16:34 ID:???
禿「やったッ!命中だッ!しゃぶれッ!おれのポン刀をしゃぶれッ! このドグサレがッ! 」
626通常の名無しさんの3倍:2007/01/22(月) 12:24:19 ID:???
>>623
細身・筋肉質なΞが空中でJOJO立ちしながらファンネルミサイルを撃つ
光景を幻視した・・・。
627通常の名無しさんの3倍:2007/01/22(月) 22:06:39 ID:???
>>626
Ξ「ファンネルミサイルだ!WRYYYYYYYYYYY!」



こうですか?!わk(ry
628通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 04:08:51 ID:???
GJ!!
みんなジョジョネタ好きねぇw

ハサ「オラオラオラオラオオララオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
Ξたんドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴォ!!


こうですかアァ?!わかりません><
629628:2007/01/23(火) 04:22:04 ID:???
訂正

ハサ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
Ξたんドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴォ!!

ああ、マフティーに粛正される…
Ξ「YES YES YES」
630通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 00:08:07 ID:???
変態仮面「Oh my god!AhーHAHAHAHAHA!」
631通常の名無しさんの3倍:2007/01/25(木) 22:11:29 ID:???
しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね
632通常の名無しさんの3倍:2007/01/26(金) 14:00:30 ID:???
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!
633通常の名無しさんの3倍:2007/01/26(金) 16:05:13 ID:tPk//VLu
この流れを変えるには職人さんのSSしかない
634通常の名無しさんの3倍:2007/01/26(金) 17:01:35 ID:???
>>624
日登「YESと言え…!」
禿「絶対にNO!」

635通常の名無しさんの3倍:2007/01/26(金) 19:50:39 ID:???
>>633
>>634
では「職人さんがSSを投下すれば流れが戻るというのだな?」
「YES…!」
「(NOとしか言わないはず…!?)」

『ガンダム』のセンサーが捉えた17の敵影。
有視界に入る直前の事である。
直線的な動きは、モビルスーツの機動では考えられない事だ。

こんなモノは、直ぐに恰好の標的となってしまう。

「――ファンネルを使えば、もっと容易いのだが……」

俺はニュータイプ専用攻防一体型の特殊武装を思い浮かべた。

空間戦闘に於けるオールレンジ攻撃が可能な、この特殊な武装は『ニュータイプ能力』を持つ者が
最大限の真価を発揮できる。

サイコミュによる脳波で遠隔操作が、可能なこの兵器は、ビームや無誘導ミサイル・砲弾等を
目標を中心にして、宇宙空間では全方位の攻撃を繰り出す戦法を取る事が可能なのだ。

目標からすれば、攻撃を仕掛ける側の位置から、予測可能な範囲外の
思わぬ方向から攻撃を受ける為に、不意を突かれて最悪の場合は撃破される事となる。

更に、ファンネルは発生するメガ粒子をファンネル間に面的に展開し、
防御障壁として使用する事も可能である。

俺が知る限り、これを使いこなした『ニュータイプ戦士』達の数は多くない。
自分を含めても10人いるのか、いないかだろう。

使い勝手の悪い武装だが、使い慣れると、これほど便利で恐ろしい兵器はないであろう。

俺は、初めて『ファンネルミサイル』を使用した時に、その使い勝手に良さに驚嘆したものである。

――そして、俺が地球上の戦闘で愛用した『ファンネルミサイル』 とは、
無線式のオールレンジ攻撃用ミサイル兵器である。

サイコミュによって無線誘導が可能になったミサイルであり、
俺が生きた前世界『UC104年』頃に完成した最新兵器でもある。

『ファンネルミサイル』の登場は部分的ではあるが、強力な通信障害が発生する戦場で、
再度、誘導兵器を脅威とすることに成功したのだ。

そして従来のファンネル武装とは異なりビームの発生機構を必要としない為に、
非常に小型化することが可能であり、モビルスーツ単機の搭載数も格段に向上している。

――これが在ると無いでは雲泥の差だろう。

地球上の戦闘ではほぼ無敵の部類に入る。
狙った獲物を俺の意思通りに確実に直撃できる上に、ある程度、敵からの攻撃の回避行動もとれる。

一撃必中。無数のミサイルの一つ、一つをを全て操作するのは正直難しい。

以前の俺では、ある程度のミサイルをまとめて群れとして、
目標に発射しなければならなかったが、現在の俺ならばミサイルの一つ、一つを
全て個別に誘導し、目標に確実に当てる自信と自負があるのだ。

だが、今はその便利な武装を『ガンダム』は搭載していない。
俺も……無い物を今、ねだってどうするのだ。

現在、この世界でも生産が可能な、『ファンネル』や『ファンネルミサイル』の開発をしているが、
まだ、こちらでの実用化は難しいだろう。

その前に、短時間で『Ξガンダム』の規格に合うミサイルを揃えた方に驚嘆するべきだろう。

威力があり、尚且つ小型のミサイルを用意してくれた、ギルバートやサラの手腕に感謝せねば。

既にメインモニターでは、光点だった敵モビルアーマー群を有視界で確認できる。
17の光点はやや蛇行しながらも、真っ直ぐにこちらに近づいてくる。

何やら動きが遅く、おかしいのだが……それはどうでも良い事か。

この時の俺は、『ガンダム』が放つ『ミノフスキー粒子』をそれ程、重要視していなかった。
『ニュートロンジャマー』があるので、そう大した効果はないと高を括っていたのだ。

後になって、かなりジャマー効果を発揮することが判明し、
モビルアーマーや艦船のコンピューターの計器を狂わす現象は、戦場で都市伝説のように語り継がれる事となる。

――『白い悪魔』を見た者は死ぬ。と
――あらゆる敵に死を与えるという『ガンダム』の伝説の一つとなった。

俺は『ガンダム』をモビルアーマーの群れへと向ける。
『ガンダム』の中枢にある心臓ともいうべき核融合炉が、大きく脈打ち始めた。
膨大なエネルギーの流れが体中を駆け巡る!

――ゴオォッ!!

『ガンダム』の背部のメインバーニアが大きく火を噴いた!

瞬時に最大加速し、機体は光の粒子に包まれながら、白い軌跡が大きく尾を引く。
そうして、角張った直線的な動きではなく、滑らかな流線的な機動を発揮するのだ。

僅か数秒で一気に戦闘可能領域の距離まで詰めると、有視界戦闘へと突入する!

モビルアーマーは、こちらの動きについて来れないらしい。
小隊ごとに纏まっているモビルアーマーの群れに、俺は襲い掛かった!!

メインバーニアが大きく噴射する!

――ゴォォッ!!

そして、俺の意思通りに『ガンダム』の姿勢制御バーニアは、
芸術的までに、右斜め上方に細かく旋回をし、『ガンダム』は丁度、月面に頭部にし、機体を斜めに向けた状態となる。

――モビルアーマーの群れの反応は鈍い。
パイロットからのプレッシャーを感じない。

逆にその気になれば、狼狽、恐怖、焦り等の色を、視覚ではない感覚で見る取れるだろう。
が、そこまで感じ取る必要はあるまい。敵に対して俺は一切、情けを掛けない。
情を移すようなヘマはしないさ。

――どうか、迷わず死んで欲しい。

独特のフォルムの薄い紫の色で全身が塗装されている
戦闘艇タイプのモビルアーマー『メビウス』だ。

やはり、直線上にしか動けない。『ガンダム』の目を通し、視認でも簡単に捉える事が可能だ。

――奴等にはできない動きを見せてやろう。
機動力の差が戦場での生死の境へと繋がるのだ。

『ガンダム』は急激に動きを変えてゆく。瞬時に後方に移動したかと思うと、
そして一気に月面へ下降し、鋭角斜め上へと度に目標へ向かって突入する!

『ガンダム』の右手マニュピレーターには、カービンのようなMMI-M8A3 76mm重突撃機銃が、
鈍い色を放ちながら輝いている。

……狙いつけるかのように、翠の燐光を放つその双眸が、
フォン!と一瞬、紅く輝く。

些かの躊躇いも無く、無骨ながら、繊細な動きが可能なその指先に力が入り

――鉛色の死神は溜息を吐いた。

――ズドドドッ! ズドドッ!!

引き金は2回引かれた。
無論、『メビウス』2機を狙った攻撃である。

モビルスーツ『ジン』のメインウェポンであるこの実弾型銃器は、
高い命中精度と連射性能を兼ね備えており、セミオート時の精密射撃とフルオート時の連射を
使い分ける事で高い汎用性を実現している。

期待に答えて、精密な射撃は、二機の『メビウス』の機体の中枢部を寸分も違わずに撃ち抜いた!

――ゴウッ!

『メビウス』の中枢部が拉げ砕け散り、破片が、ばら撒かれる!
そして、次に瞬間に火を放ち爆散し、木端微塵に消し飛んだ。

2機の『メビウス』をほぼ同時葬り去る。

「――出てこなければ、無駄死にせずに済んだのにな……」

こうして、生命が虚空に散ってゆくのだ。

そして、同時に俺は、身体を右に大きく捻りながら、
AMBAC(能動的質量移動による自動姿勢制御)による姿勢制御の慣性を利用し、
蹴るように振った、右脚の膝に収納されている『ミサイルポット』から一撃を放つ!

拡散タイプの爆撃ミサイルだが、直撃を受ければ粉々になるものだ。
だが、一発で一機仕留めるにしては効率が悪いので、小隊単位の3機の『メビウス』の丁度中心部に向けて放ったのだ。

――俺は合理主義なのだ。

狙いを誤らず発射された一発のミサイルは途中で拡散し、群れの丁度、ど真ん中で花火となる。
拡散した破壊のウエーブは広がりの波を見せて、獲物を飲み込んでゆく!

――そして、後には、三つの花火が生まれるのだった。

瞬時に、同僚5機を地獄に送り込んだ事によって奴等は恐慌を起こしてた。
滅茶苦茶にレールガンやバルカン砲、更には、対艦用有線式誘導ミサイルを撃ち放ってくる。

当たってもビクともしないが……そんな間抜けな真似はできない。
ミサイルは全て叩き落す!

レールガンの砲撃等は、回避しながら、

――ドッ!ドッ!ドドッ!

『ガンダム』頭部バルカン砲が唸り声を上げる。

――ドドッォンン!!

モビルアーマー連中と比べて、初速が桁違いのスピードと威力のバルカン砲の砲撃によって、
ミサイルが順番に綺麗に爆発してゆく。

――ミサイルの動きが、スローモーションのように見えてしまう。

やはり冷静さを欠いた敵など相手にならないのだろう。

そして、そろそろ連中の狂乱が目障りとなり、一気に片を付ける事とする。

残りは、ビームサーベルで片を付けるか?

この世界での機動兵器のドックファイトでまだ仕掛けてないのは、
近接戦闘だけである。

突撃銃を収納し、俺は右腕を伸ばし、右肩のビームサーベルの収納ラックに向ける。

マニュピュレーターの動きに連動し、サーベル固定装置が解除され、
右手にはビームサーベルの柄が握られる。

収納ラックから引き抜くと同時に、ビームサーベルの柄から高エネルギーが発生する。
そして、高エネルギーはIフィールドによって収束され、ビーム状の刀身を形成される。

サーベルには、省エネの斬りかかる瞬間に刀身を形成する、
オートリミッター機能もあるが俺は敢えて使っていない。

だが、真の強敵と使用するかもしれない。
刀身の動きを見切れる敵を叩く時に、斬りかかる瞬間に刃が形成されるのは有効手段となろう。

ビームの紅の刀身を自分の最も好みである『刀』に近い形で収束させる。
『Ξガンダム』の『兄』に当たる機体が、使用していたサーベルの形状に近い。

サーベルを右手に退くように下段構えで持ち運び、そして左手のシールドを前に突き出すようして、
『ガンダム』の独特構えのポーズとなる。

各バーニアが火を噴き全開となり、虚空を駆けるようにガンダムは翔ぶ!!

――右腕を大きく振りかぶると、赤い刀身は空間を裂き、
稲妻のように目標へと斬りかかる!

――ザシュッ!!!!

赤い刃は、一機の『メビウス』の正面真ん中辺りを大きく切り裂く!

――バシュンン!!

そして、返す刀でもう一機の胴体を袈裟斬りとした!

更に、反動を利用し、左腕に装備されたシールドを一旦解除する。
そして、両手にサーベルの柄を持ちながら強烈な突きを放った!

――グシャッ!!

真紅のメガ粒子の刃の先端は、三機目の『メビウス』の下腹部面の真ん中当たりを貫く!
そして、一気に刀身を機体の奥へと捻じ込み、斜め上方へと引き裂く!!

――ドオォォォォンン!!

斬り裂きながら、俺は前方へと駆け抜ける!

――俺の背後から瞬時に爆発の光が、三つ生まれる事となった。




>>つづく
644通常の名無しさんの3倍:2007/01/26(金) 23:20:13 ID:???
とうとうミノ粉の恐ろしさが書かれたSSが!
GJ
645通常の名無しさんの3倍:2007/01/26(金) 23:53:24 ID:???
GJ!!
流れが戻った!
このエンディミオンクレーターの戦いって、CEの歴史上初めてミノ粉が登場した戦いだな。
これで、種世界にミノ粉の存在が知れ渡った訳(連合はデータが取れていれば。取れて無くても時間の問題だが)だが、実用化できるかなぁ。
ミノフスキー博士クラスの天才がいても、それを実際に利用するまでに20年近く掛かってるし……
どんなに短く見積もっても10年はかかるか。

>サーベルを右手に退くように下段構えで持ち運び、そして左手のシールドを前に突き出すようして、『ガンダム』の独特構えのポーズとなる。
かなりリアルに想像出来る自分は病気でしょうか?w

次回も楽しみにしております。
646通常の名無しさんの3倍:2007/01/27(土) 00:46:33 ID:???
GJ ミノ粉でNJが止まったらすごそうだ
647通常の名無しさんの3倍:2007/01/27(土) 00:55:02 ID:???
ミノ粉は拡散してわかないしばらくは発見されないのでは?
648通常の名無しさんの3倍:2007/01/27(土) 01:17:25 ID:???
GJ! 今でも十分脅威なΞですが、ファンネルミサイルを搭載したら……
649通常の名無しさんの3倍:2007/01/27(土) 01:19:12 ID:???
今回描写が今までより細かかったせいか、俺も『サーベル構えたガンダム』ポーズが想像できたよ!
650通常の名無しさんの3倍:2007/01/27(土) 15:22:16 ID:???
基本をきっちり守っているハサウェイに乾杯!
651通常の名無しさんの3倍:2007/01/28(日) 09:58:29 ID:???
     ノ    ./:::ヽ、               l
   r''"´    〈::::::::::`丶、__,,,.. -ォ   、   \
   l    /´ヾl「 ̄ ̄`Τ´   ,'    \   ヽ
  ノ    ノ::.r'7^゙、     l:   ,'\ l:....:. ヽ:.....:./
. /    ゙y´ :{  ヽ    /ヽ   ...}イ |:::::λ:l::::::j
. 〈       {l N-‐''゙   〈  〉    ヽl::::/リノ::: (
  ヽ!:     リ、|  ,.-‐-、. `Y:| ィ'" ̄ヽリノ /:::::::: i 俺、参上!
   |l:    / ヽ_イ......._ノ   |:l ヾー┬''゙  /:::::::::: |   
   |l   ∧  ``T´     |!   _,」   〈:::::::::::: ',   最初っからクライマックスだぜ!!
.   }!.   { l',     ゙r──‐┬'"´ レ''"`7!::::: :: ヽ
  ノ::.  l ドf ̄`ヽl ,_,. ===-、,   。 ,'::|!::    \
 (:.:::::}    ト-゙、    {l::r'"`:i:'"`lリ  ゚ ノ::::'、:      ',
.  ヽ::l:    !:::::::ヽ    ヾ、__,〃   ,イ:::::::::\   ト、i
 /:::|:: | l:::::::r=辷_、  `二二´  /_」`!::::::::〈`   | リ
./::::::::|:: |{ |::::::::ト----:\    ,ィ'゙二..イ::::::::::::ヽ   ,'
.{_|:::::::l:::. ヾ`ー':::l:.:.:.:.:.:.:.:.:.、`''''''''i゙| 「:/| :.:.!:::::::::::::_ノ /
  `>::ヽト、 `ー、::|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ\:.|.| |(_」:.:.|::::::::::f´:::::::'- 、  
652通常の名無しさんの3倍:2007/01/28(日) 13:26:24 ID:???
楽しそうだな、クルーゼ
653通常の名無しさんの3倍:2007/01/28(日) 14:25:28 ID:???
このスレでは特にな。
654通常の名無しさんの3倍:2007/01/28(日) 21:16:23 ID:???
楽しいのは解ったから唾飛ばすなよ
655通常の名無しさんの3倍:2007/01/28(日) 21:44:55 ID:???
     ノ    ./:::ヽ、               l
   r''"´    〈::::::::::`丶、__,,,.. -ォ   、   \
   l    /´ヾl「 ̄ ̄`Τ´   ,'    \   ヽ
  ノ    ノ::.r'7^゙、     l:   ,'\ l:....:. ヽ:.....:./
. /    ゙y´ :{  ヽ    /ヽ   ...}イ |:::::λ:l::::::j
. 〈       {l N-‐''゙   〈  〉    ヽl::::/リノ::: (
  ヽ!:     リ、|  ,.-‐-、. `Y:| ィ'" ̄ヽリノ /:::::::: i
   |l:    / ヽ_イ......._ノ   |:l ヾー┬''゙  /:::::::::: | ご飯粒付いてた!恥ずかしー(/・ω・\)
   |l   ∧  ``T´     |!   _,」   〈:::::::::::: ', 
.   }!.   { l',     ゙r──‐┬'"´ レ''"`7!::::: :: ヽ
  ノ::.  l ドf ̄`ヽl ,_,. ===-、,   。 ,'::|!::    \
 (:.:::::}    ト-゙、    {l::r'"`:i:'"`lリ  ゚ ノ::::'、:      ',
.  ヽ::l:    !:::::::ヽ    ヾ、__,〃   ,イ:::::::::\   ト、i
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656通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 00:56:11 ID:Y6ddxeju
>>655
可愛いじゃないか…
657通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 01:32:15 ID:IfoFnOY+
プロディ乗ったクルーゼで、フリーダム乗ったキラと互角だから(ドラグーンのおかげで)
NTクルーゼ+サイコミュ・ドラグーン搭載プロディだったらキラに圧勝するなww
てか、NTクルーゼ+シグー(クルーゼ仕様w)でストライク落とせそうだなww
658通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 03:32:12 ID:???
>>636
ちょっと遅いけどGJ!!

>>657
ラウ「連合のMS、どれほどのものかと思っていたが…少々期待外れだよ
ミゲル機は動けるな?よし、撤収するぞ、酒保の酒が我らを待っている!」

こうですかわかりません><
659通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 03:47:15 ID:???
その上キラ初乗りだからな
どう考えてもやられるわな
660通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 12:20:55 ID:???
いやいや…もしかしたらキラもマフティーに入って更生する可能性も…
少なくとも三人組に間接的でもいいから関われば更生できると、初代キラ肯定派として願います…
せめて電波で人形じゃなければオールOK
661通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 15:32:27 ID:???
いや別に関わらなくても、ヘリポリ襲撃の時点でAA沈めればそれでOK。
問題は、ここのクルーゼがヘリポリ襲撃を行うかどうかだ。
本編の場合、いろいろ思惑があって中立コロニーを襲撃したけど、ここのクルーゼはデータ収集のみに留め証拠を掴んでギルに回し政治的な決着を狙いそうだ。
だがデータ収集の段階で、赤服共が緑服共を煽動し暴走、GAT奪取をやらかすという……
あれ、どっかで見たこと有るような気が?
662通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 09:26:38 ID:???
士官学校の頃のガルマ様とシャアですか?それとも種本編ですか?わかりません><
663通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 16:37:00 ID:3VTXoGzj
人類は、すでに人類全部が地球に住むことはないと、覚悟をしなければならないのである。

これも、人には、容認できる認識ではないのだ。

しかし、現代はすべての例外規定が排除されて、人類はスペースコロニーに逼塞しなければ

ならないのである。

「でなければ、シャアが起こした反乱も、あの時死んでいった人たちの霊も慰められない」

ハサウェイは、そう思う。

シャア・アズナブルは、その欲求を地球連邦政府に突きつけたはずなのに、

連邦政府の圧倒的な戦力の前に敗北していった。

それが、「シャアの反乱」と語られた事実であった。
664通常の名無しさんの3倍:2007/01/31(水) 13:06:27 ID:???
>>661
「士官学校の頃のガルマ様とシャア」と1stの一話を足して、二で割った感じかな?
問題はシャアレベルの人材が、赤福にはいないという事なんだが……
665通常の名無しさんの3倍:2007/02/01(木) 17:01:37 ID:???
知名度が
黒本>>閃ハサ
なのはなんでなんだぜ?
666通常の名無しさんの3倍:2007/02/01(木) 17:07:42 ID:???
>>665
スパロボに出たか出てないかの差でしょ
667通常の名無しさんの3倍:2007/02/01(木) 20:02:23 ID:???
漫画か小説かってのもあるだろ
黒本は少年エースでエヴァと同時期に連載されてたからエヴァ目当てで読んでた人が覚えてるってのもある
668通常の名無しさんの3倍:2007/02/01(木) 22:00:56 ID:ldQMMV9e
>>660
俺もキラはNTのこれが私の生きる道に出てくるほどまともになるとは思わんが
せめてX DESTINYみたく電波人形になるのは避けて欲しいな
669通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 23:25:49 ID:???
そろそろ投下されそうな予感
670通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 23:42:52 ID:???
少々、お待ちを。
フラガ編を書いてますが短すぎるんで、もっと細かく書きまする。
戦闘シーンなのに描写比率が

仮面>>ハサ>>>>>>兄貴>議長(予定)

に偏り過ぎてるんで。あれ?誰が主役でしたっけ?
671通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 00:09:24 ID:???
3人全員が主人公という電波を受信しました
正規軍人、テロリスト、政治家の視点でも物語が進むとか…でも作者の負担が酷いことになりそうだ
672通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 11:30:52 ID:???
仮面が主役でも全然問題ない、と思う俺がいる。
673通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 12:32:24 ID:???
ギル……ボケ
ラウ……ツッコミと見せかけてボケ
ハサ……ツッコミ?
種世界を巻き込んだ壮大なコントだな。
674通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 21:17:06 ID:???
ギル……趣味と実益とプラントの未来のために人生を謳歌。
ラウ……人類の破滅を笑って相談出来る、同類の友人が出来て楽しくて仕方が無い。
ハサ……背負っていた物から開放されると共に悪友も出来て絶好調。
どう見ても主人公三人です、迷わなくなったシャアが三人いる並にw
675通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 22:06:57 ID:???
ハサ=空条承太郎
ラウ=東方仗助
ギル=広瀬康一
676通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 23:17:22 ID:???
>>675
いやそれはおかしい
677通常の名無しさんの3倍:2007/02/04(日) 00:05:21 ID:???
マフティー(=ハサ)・ナビーユ(=ラウ)・エリン(=ギル)
じゃ駄目ですか?

――ダダダッ!ダダッ!ダァッン!!!

4基の有線誘導式兵装、『ガンバレル』一番砲台に、
内蔵されている2門の機関砲が火を噴いた!

射線上に発射された光弾の軌跡が描かれるてゆく!

宇宙空間で大きく螺旋状の弧を描き漂う、この樽型の特殊兵装は、本体から切り離し、
有線誘導によって、それぞれが、この虚空で全く別の動作をする事が可能である。

そして、オレが、狙いを定めた『ジン』への、アウトレンジからの攻撃を可能とするのだ。
だが……

――ドドドッ!ドドッ!! ドォォン!!

オレが放った会心の一撃は分厚いシールドによって防がれちまう!

完全に死角を衝いたその攻撃は、別の角度のレンジから飛び出して来やがった
このもう一体の『ジン』によって完全に防がれてしまったのだ!!

「畜生ぉぉ!!」

狭いコックピット内で、オレは罵り声を上げた。
それが、自分か敵だかは分からない。

――ダダッダ!!ダダダッ!

鋭い、射撃が返されて来やがった!


もう一体の『ジン』がシールドで防御している僅かな間に、
今までオレが狙っていたはずの『ジン』は、直ぐに体勢を立て直すと、
オレのメビウス<ゼロ>に向って精密な射撃を掛けて来やがったのだ!!

――なろうぅ!

「――うぉぉ!?」

オレは絶叫を上げながら、辛うじて操縦桿を思いっきり、引き上げ、
ブースト・ペダルを踏みしめた!
メビウス<ゼロ>の機体の先端が急激に上がり、
背部メインブースターが、緊急回避行動に反応し大きく、唸り声を起てる!

辛うじて、機体は急上昇に成功し、MS用の馬鹿でかいアサルトライフルの精密な射撃は、
機体先端部分を狙われたのが幸いしたのだろうか?
オレは辛うじて避ける事に成功したのだ!

そう、艦載用中口径砲並みにスケールアップされたその銃口は、
モビルアーマー乗りの恐怖の象徴でもあるのだ。

――クソッたれ!!一機も仕留められだとぉ!?

オレの心を焦りと恐怖が蔓延し始める。

そう、今の今まで、スコアを一つも増やす事が出来ないのだ!
このオレが……だ!

「――何だ!?何が起きてやがる!!」

思わず声に出しながら、オレは混乱の極致にあった。
ドックファイトに突入して結構、経つはずなんだ……

―-このオレが、一機も撃墜(お)とせないなんて……!!
――こいつは一体どういうことなんだっ!!

――それは、『ザフト』MS部隊に遭遇する、僅か前の事である。

 突然、エンディミオン基地から火柱が上がったかと思えば、
その中からおかしな物が飛び出てきやがったのだ!

『そいつ』は強烈な光りを放ちながら、艦隊の艦列に突っ込むやがった。
そして、次の瞬間にネルソン級(250m級宇宙戦艦)やドレイク級(130m級護衛艦)が、
それぞれ爆散し、粉々に砕け散ってゆくのだった――

「――冗談だろ……マジかよ?」

オレは、狭いコックピット内で、室温が急激に落ちてゆくような、
そんな嫌な感覚に包まれていた。

冷や汗が背中を伝わり、パイロットスーツの下のシャツを濡らしてゆく。
今までの戦いでかつて味わった事のない感覚だ。
――あいつは一体、何なんだ……?

――ピッピッピ!!

単調な音がコックピット内に響き渡り、周りを見渡すと、左横スクリーンに、
メビウス<ゼロ>が並列して並んでいるのがわかる。

機首に刻まれているbフ番号を見て確認すると、『No.13』のマークが輝いている。

『――隊長』

NJの登場によって通信妨害が激しくなったとはいえ、
ここまで近距離の回線は流石には死んでいない。

ラッセルの理知的な声を耳にしたオレは、多少の冷静さを回復していた。
だが……

『おい!!アレ、人型に見えたぞ!やっぱザフトの新型かよ!』

その横から、うるさいケインの叫びが台無しにしてくれる……

11のマークのメビウス<ゼロ>がオレを挟んで、
ラッセル機の反対側から現れる。

ケインの言う通り、あれは新型『MS』なのだろうか?それにしても『アレ』は異常だぜ!
だが、もしそうならば、もはや旧式の艦船など成す術もないぞ!

地球連合宇宙軍第3艦隊に所属している艦の殆どが、

――ネルソン級(250m級宇宙戦艦)
――ドレイク級(130m級護衛艦)

であるのだ。

そして、旗艦は、オレも乗っていたアガメムノン級(300m級宇宙戦艦)の『ジョージ・ブッシュ』だ。

時代の流れによって、ほぼ、旧式への道を辿っているこの戦艦たちによって、
第3艦隊は構成されている。

アガメムノン級(300m級宇宙戦艦)は地球連合軍の宇宙母艦で、
地球連合が保有する艦艇の中で最大級のサイズを誇っている。

連合艦艇としては初めてリニアカタパルトを搭載した艦艇であり、
大量のモビルアーマーが搭載が可能でもある。

そして、両舷にモビルアーマー射出用カタパルトを備えている。

そして、艦砲射撃による戦艦同士の戦闘にも考慮されており、
ザフトの宇宙戦艦に一応は、劣らない性能を誇っている。

しかし、主力艦載機の『メビウス』はご覧の通り5:1という、ザフト軍のMSに一方的に圧倒されるという、
素晴らしい戦力比の結果を上げてくれたお陰で、常に惨敗を喫しているのだ。
今までの殆どが沈められている。

地球連合軍の主力宇宙戦艦であるネルソン級(250m級宇宙戦艦)はモビルアーマー搭載が可能であり、
船体各所にミサイルやビーム砲を多数搭載し、その火力によって敵を征圧する戦術を得意としていた。

だが、見ての通り、MSの登場によってその戦術は陳腐化する。
そして、以降はモビルアーマーの後方支援が主となっているのだ。

そして、ドレイク級(130m級護衛艦)は、地球連合艦艇では最も小型の部類に入る宇宙護衛艦である。
モビルアーマー(MA)母艦としても運用が可能だ。

パラサイトファイター型の艦載機能を持ち、小型な分旋回能力に優れているが、
小回りが効き、機動力が高いMSの動きについていく事は出来ず、今まで多くの艦が沈められた。
こいつの艦長や乗組員になるということは、”動く棺桶に乗せられるのと同じ事だ!”という同意語が出来上がってしまった程だ。

その地球連合宇宙軍、御自慢の宇宙戦艦どもは、MSに懐に入り込まれたら、ご覧の通りだ。

――遠くでまた、1隻が沈められていた……
このままでは、遠からず艦隊は無論の事、全滅の可能性が”大”だろうよ……

――不味いぞ……マジでやばぇよ、これは……

オレの心を絶望と暗黒が支配し始め、どんどんとドライになって来た。
本能として、生き残る為の方策を探し始める。

『隊長……どうします?』

ラッセルの問いにオレはハッとした。
思わず、

「……逃げるぞ」

とポロりと本音が出てくる。

『……ええ。やはり、それしかないでしょうね』

『……だな』

同時に、二人から返答が来る。
ラッセルもケインも馬鹿ではない。

”此処を死守しろ”という馬鹿な命令が出る前に、此処からトンズらをこくのが正しい答えだ。

ハッキリ言ってオレやラッセル、ケインは軍に対する忠誠心など欠片もない。
いや、食う為に軍人なった連中も揃いも揃ってこう結論を出すだろう。

だが、一方で艦隊の仲間を見捨てるのは正直、尻が痒くなる行為だ。

オレも一応は、男なので、仲間を見捨てるという薄汚い行為は、なるだけしたくない。
マジでやばい時は、形振り構わずにトンズらする事のには変わりはないのだが……

視線を後方モニターへと移す。
――そこには、白く光る『人型の怪物』が縦横無尽に暴れてる様子が映っていた。
ニュートロンジャマーにより通信が妨害されているので、此処から艦隊までの通信は、雑音しか入らない。
――だが艦隊は、阿鼻叫喚の地獄絵図と成っている事であろう。


『アイツ』は、今度は、自分に群がるモビルアーマーに対して、
白い光を放ちながら蹂躙してゆく……

――『アノ』化けモンと闘うのは正直、勘弁して欲しい……
どうやら、無謀にもモビルアーマー部隊が迎撃しているようだが、瞬時に蹴散らされているようだ。
逃げろ!お前等が勝てる相手か!犬死だぜ!!

――ここで母艦の『ジョージ・ブッシュ』の援護に戻ったら、どうなるんだ……オレ。
――死ぬ。絶対に死ぬ。
――艦隊の援護など自殺行為じゃねーか!

グッショりと冷や汗によって全身が濡れ鼠となる。額から絶え間なく汗が流れてくる。
畜生!うっとしい!

焦り、気が立つオレは、密かに、通信を秘匿回線に切り替え、
ケインとラッセルだけにオレの声が聞えるようにする。

「――ラッセル、ケイン。どうするか意見具申してくれ……」

『――エンディミオン基地は全滅とみた方がいいでしょうね……此処は『中継基地』を経由しながら、
 『プトレマイオス』に撤退するのが筋でしょうが……』

とラッセルが冷徹に述べる。

『……俺も逃げるのに賛成。下手したら全滅するぜ。あんな『化けモン』とやってられるか!!
  艦隊は、残念だが俺達が撤退する為の囮になってもらおうぜ?な?兄貴?』

ケインは薄情にも、味方を見捨てる事を提案する。だが、それは同時にオレの本音でもある。
――『卑怯者』と誰がオレ達を責められると言うんだよ!!

そして、オレの心の中にも、天使と悪魔が同時に囁き始める。


オレの心の中で自分の姿をした天使と悪魔が、交互にオレに囁き始めるのだ。
このようにな……

『いいのか!ムウよ!味方を見捨てるなど……オレらしくないだろ?』

『馬鹿いうなよ!巨乳の美人に恋人が出来る前に、此処で死ぬなんて、
 そっちの方が、オレらしくないだろう?』

……結局の所、心の中の神と悪魔がせめぎ合うが、悪魔の方に軍配が上がりそうだ。
オレもその意見に傾きかける。

そう、オレ達3人はこうやって生き残ってきたのだ。
機を見るに敏でなければ、この泥沼のような戦争を生き残れないのだ。

『騎士道』とやらや『軍人魂』等の奇麗事などは、とっくの昔に、
便所の便器に流し込んじまっているのだ。

オペレーターの可愛い子ちゃんの顔が一瞬、浮かぶ。
女を見捨てて逃げるのはオレの主義に反する、のだが……無関係の男は幾ら死んでもかまわん。

……混乱する頭の中は、もはや滅茶苦茶だ。
華麗なオレの頭脳のCPUが異常事態に対処仕切れないのだ。
――『不可能を可能にする』のがオレの信条だったのによ!!

正直、後になって振り返っても、何をしていたか思い出す事も難しい。
どうするかと短く思案していると……

――ピー!ピー!ピー!

今度は、前方のセンサーが熱反応をキャッチした!

そして、センサーと共に、無常にも前方から光点が近づいて来るのモニター越しでわかる……

そう、今度は『ザフト』のMS部隊が攻め寄せて来やがったのだ!!
ッ!!――最悪だぜ……!
ヘルメットの中で、舌打ちが大きく響く!

前方のメインモニターに点滅するメビウス部隊が次々と爆発してゆく!

『訳のわからんモン』によってオレ達、第3艦隊は恐慌をもたらしているのに、
それを輪を掛けて、『ザフト』のMS部隊だ。

――『前門の狼』『後門の虎』と言う奴かよ!!

そう、オレが悪態を吐いていると、脳裏に痛みとも衝撃ともつかない何かが響き渡る!

――ピィキィィィィン!!!

「ッァ――!?何だよこれはよ!!」

出撃直前に感じたものと同じ衝撃だ!!吐き気と激しい痛みが一瞬、オレに襲い掛かった。

「グッ――来る!何か……とてつもない奴が……」

――後方で暴れまくっている、あの『化け物』と同じ位の何かが、オレに向かって来やがる!!
そう、オレにはそれが何故かわかったのだ……


>>つづく
687通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 13:08:20 ID:???
GJ!!!
今回はムウの回。
彼に捧げる言葉は一つしかない。
逃げてーーー!!!

>『訳のわからんモン』
うん、まあ、その気持ちは分からんでもないのだがなw

ムウの生き残る確率が限りなく0に近づいていく……
仮にNT覚醒なり種割れなりを起こしても、数には勝てないしな。
まして指揮してるのがクルーゼだから、彼が遊び心でも起こさん限り、生き残る道はなさそうだ。
とりあえず敬礼で送ってやるぜw

次回も楽しみにしております。
688通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 13:11:47 ID:???
GJ! 乙です!

フラガマン、悩んでる間に撤退の機会を逃して信者居そうな悪寒(´・ω・`)
689通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 15:16:44 ID:???
GJ!
逃げろメビウストリオ!便器に流したもん気にするな、そのまま蓋して逃げれ!
690通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 17:53:10 ID:???
次回はとうとう因縁の対決ムウVSクルーゼか
691通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 22:27:18 ID:???
うぉおおGJ

次回は 変態仮面1号VS2号(予定)の対決かぁ・・・。
なんか ピキンピキン 来ていてクルーゼやらハサウェイがどんな反応示すやら。
692通常の名無しさんの3倍:2007/02/06(火) 01:22:26 ID:???
パラサイト

パーシュート
693通常の名無しさんの3倍:2007/02/06(火) 01:47:25 ID:???
GJ!!
白い悪魔の恐ろしさが連合視点でもありありと見えてます。
ただ、それだけに誤字が少し気になったり…

少なくとも、下記の二つは完全に誤字だと思います。

>>678
1/9 射線上に発射された光弾の軌跡が描かれるてゆく!
→ 射線上に発射された光弾の軌跡が描かれてゆく!

>>682
5/9 不味いぞ……マジでやばぇよ、これは……
→ 不味いぞ……マジでやべぇよ、これは……


あと8/9でも少し悩んだ一言があったのですが…

そっちはそういう表現方法も、ありといえばありと思うので口挟むのはやめておきます…
694通常の名無しさんの3倍:2007/02/06(火) 14:38:21 ID:uCpV8ywK
保守
695通常の名無しさんの3倍:2007/02/08(木) 18:50:41 ID:???
ほっしゅ

――ドォォォッン……

この辺りにいた最後の『メビウス』が四散してゆくのを感じながら、
私は部隊の集結を図っていた。

モビルアーマーの七面鳥撃ちを終えた私達は、次なる獲物を求めて、敵本隊である艦隊へと
侵攻を開始しようとしていたのだ。

ちなみに私の直接の貴下は全機、無事である。
頭のメビウス<ゼロ>を私が仕留めたのが効を生じたのだろうか?

後は右往左往の衆愚に過ぎない集団となった。残りのメビウス<ゼロ>など2機は私に粉砕され、
もう2機は部下達によって袋叩きにされた。

後は、もう撃ちたい放題の大御礼だ。
我々は、混乱し、逃げまくってる連中をガンガンと撃墜(お)としまくったのだ。

勿論、これは、混乱していた後続部隊の新人君たちに手柄を与えてやった。
――これが大人の態度なのだよ。

私の部隊の者達は、主に彼等のサポートとして、頑張ってもらった訳だ。

ここで新兵達は、かなりのスコア数を稼がせてくれた。

これが明日への自信へと繋がれるか、過剰な慢心を抱くかのどちらかになるであろう。
しかし、まぁ――ご苦労な事だ。と私は思う。

わざわざ、撃墜(おと)される為に出て来てれた訳なのだから。

まぁ、新人教育の為の糧となったのだから良しとしよう。
それと、連合の雑魚達に感謝せねばなるまい。

実戦こそ模擬訓練の何十倍もの経験になるのだからな。

結果として、モノの見事に10分も経たずにモビルアーマー部隊は全滅してしまったのだが――

そして、現在のところ、後続部隊の混乱を纏め上げ、残敵の掃討を終えた私達は、
直属の部下達を前衛にして、後衛を彼等に担当させる為の部隊編成を行っているのだ。

そうして、あらかたの部隊編成が完了した直後に、

――ピキィン……!

と脳裏を微弱な閃光が駆けた。

「――む?」

私は、顔をその感じた方向へと向ける。

――微弱な『プレッシャー』を感じたが……?これは……?

「――私を呼んでいるのか……?」

と、理解したが、この『プレッシャー』は、あまりにも……

「……弱いな」

とバッサリと切り捨てた。

今の私の『力』ならば、この程度の『プレッシャー』など100人で来ようが、
鎧袖一触で蹴散らす事が可能だ。

――それに、わざわざ、『三下』の呼び出しに、私が出向く程の事もあるまい……
――売られた喧嘩は買うが、わざわざ、『校舎裏への呼び出し』に応じるほど、気前もよくないしな。
――更に人気者の私の事だ。連合の方でも私の首を欲しがっている連中は星の数ほどいるであろう。

正直、こんな『雑魚』連中との遊び相手など、一々していられないのだ。

――まぁ、私の目の前に飛び出してきたら瞬殺してあげようか。
と無難にそう思いながら、部隊へ号令を掛ける!

「――ゆくぞ!今より敵本隊を壊滅させる!!勝利はすぐそこだ!!」

あと、一番に気を付ける事は『ガンダム』が暴れまくっている付近には、近づかない事だろう。
『彼』も、自分が『楽しんでいる』最中に、私の横槍が入る事を好まないだろうからな。

「――それと、今、敵艦隊を攻撃しているの『アレ』は、『味方』である。
  こちらから『アレ』に攻撃を仕掛けるなよ?」

大火傷するぞ、と脅しておく。私の直属の部下達は、私の命令に対して、何ら疑問を挟まないだろうが、
後続部隊の新人どもは、そうはゆいかないだろう。

案の定、口答えが返ってきた。

『それは、どういうことでしょうか?味方というと――別働隊ですか?
 ――そんな話は聞いておりませんが……?」

「――いいや。『正義の味方』だよ。横暴な『地球連合』を滅ぼす為の、な」

『は?はぁ――』

……どうやら、うるさい新人に対して教育的指導をせねばならないようだ。

「――命令だ」

と凄みを含んだ一言で黙らせる。
場が読めない馬鹿でも、流石に理解はできたようだ。

「不服か?」

『いっ、いえ……命令に従います!サー!!』

「なら、よい」

私は一つ頷くと、全機に、

「――よし!ならば、全力で前進し、立ちはだかる敵は全て殲滅せよ!!」

と命令を下す!

『『うぉぉぉぉぉ!!!』』

戦士達は一斉に、野生の雄叫びを上げる!
闘争本能とも言うべき物を刺激された彼等は、
既に獲物を狩る残忍な狩人の瞳をしていることであろう

部隊は、私のジン・ハイマニューバを先頭とし、通称、魚鱗(ぎょりん)の隊形となった。

中心が前方に張り出し両翼が後退した形へと整えられ、
一辺が長く、二辺が短い二等辺三角形型とし、部隊はこの形へと変わるのだ。

これによって、多くの兵達は散らばらずに、その局部の戦闘へと参加し、
また一部隊が壊滅しても次の部隊がすぐに繰り出せるために消耗戦にも強いのである。

特に味方が、敵より少数兵力の場合正面突破に有効であるのだ。
精鋭は多いが兵数が不足する我が軍にとって、もっとも合った合理的な戦法であろう。

ただしこれは、背後からの攻撃に弱く、複数の敵に囲まれた状態の時には死地となるのだ。

ちなみに、これは『彼』の『ライブラリー』から借りて、官舎や艦内で読み耽った、
『東アジア共和国』の一部であり、かつての『サムライ島』の歴史上の人物である『シ○ゲ○・タ○ダ』と
呼ばれた偉大な『サムライ貴族』の史書小説を参考にしているのだった。

――『サムライ物語』に最近、完璧に嵌った自分であった。

ついでに、『ソン○』という大昔の『東アジア共和国』にあたる地域の
古典軍事書も同時に勧められたので、一気に読破していた。

これは、『彼』もこよなく愛読しており、大分前に、ギルバートに無理矢理に読ませていたところを、
私も丁度、そこに居合わせたのが、これを読む切っ掛けだった。

そして、私も一緒になって読んでみたのだ。これがまた興味深く、おもしろかったのだ。
――何だかんだ言いながらも、私達は全13章の全てを網羅してしまった。

結論として、

――幾百年、幾千年経て、生活の場が地球から宇宙へと移り変わっても、人の営みは何ら変わらない――

という事だった。

そして、私と言えば『ソン○』に繰り返し頷く部分が多々有り、
しかも、それらが現代戦闘へと応用できる事を発見したのだ。

そう、『モビルスーツ』と『ニュートロンジャマー』の登場は、時代を一気に古代観の戦争へと引き戻していった――
今は、特に『個人の武勇』がまたもや重要視される時代になった訳である。

簡単に言えば技量の高い『パイロット』が一人いるだけで、部隊の士気を大幅に上げる事が可能なのだ。
逆に、その『パイロット』が倒されれば、幾ら集団でいようが、部隊は衆愚となり、散華してしまう。

――パイロットとして有能であり、尚且つ、指揮官としても高い能力を持つ者こそが『戦場の覇者』となる時代が舞い戻って来たのだ。
そう、例えば、私や『彼』のように。

そして、この『○ンシ』をMSの戦略戦術に有効に活用した人間は、この世界の歴史上で、私が初めてである!と自負できる!
いずれ本まとめ上げて本として出版するつもりだ。
『MSと○○シ』というタイトルにでもしようか?

逆に、ギルバートの方はと言えば、私とは違い『ソン○』の特長である、その戦術運用方法よりも、
戦略全般の法則に心を動かされたようだ。

――特に、その全般的特徴でもある、3ヶ条を繰り返し彼は口ずさんでいた。

1)非好戦的であること……戦争を簡単に起こすことや、長期戦による国力消耗を戒める。
2)現実主義に立脚していること……緻密な観察眼に基づいて、戦争の様々な様相を区別し、それに対応した行動を行うこと。
3)戦争における主導性を重視すること……等


『元々、私は技術畑の人間なので、勧められた時に、これは所詮は『古書』じゃないか?と思い、
 馬鹿にしていたのだが……無理にでも読まされた甲斐はあったね』

『――これは戦略戦術の真理であると同時に、世の理(ことわり)の真理でもある。
 ――これ等の事を本質的に、理解出来ない輩が、何と世の中多い事か……』

ギルバートは、これを自分の生涯の訓戒とする事に決めたようだ。

私は正直言って、政治にはそれ程、興味は無い。
生粋の戦う側の人間だと思っているので、闘いが無くなってしまうのは困るかもしれないのだ。

それを話すと、彼等は笑って『当分、その心配はない』と太鼓判を押してくれるのだった……が。

「ゆくぞぉぉ!!」

『『オォォォォォォ!!!!』』

ハイマニューバを先頭にして、『ジン』達が一斉にメインバーニアを噴かす!
一気に加速すると、敵艦隊の本隊へと進路を向けるのだった。

加速を繰り返す、私のハイマニューバだが、全速で行けば部隊の連中を大きく引き離してしまう為に、
全力速度の4分の2程度のパワーに抑えねばならない。それは仕方がない事なのだが、

前方に光点が見えてきた、点滅するのは撃沈された艦影なのだろうか?
そして、遠くで巨大な火柱が上がっているもよく分かる。
私は思わず、ニヤリとする。もはや作戦の成功は疑い様の無い事だ。

――後は、『落ち武者狩り』の段階へと突入するであろう。
残敵を狩りつつ、『ガンダム』の邪魔をしない事に専念するとしようか……

そう思いつつ、正面モニターから目を離さずにいたら、こちらの加速によって、
彼方の光点が見る見るうちに輪郭がはっきりとしてくる。

ハイマニューバの右腕を正面を20度程、傾き上げて、JDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃を撃つ!撃つ!

――ドドドドッ!ドドッ!

突撃銃の攻撃を正面から浴びたモビルアーマー『メビウス』は、瞬時に蜂の巣となった。
前方機体フレームが歪みながら、粉々に砕け散り、火の玉へと変化する。

それと、同時に後方でを縦列に並んでいた列機達から、M68 キャットゥス500mm無反動砲が放たれる。

――ドォォン!ッドゴォォ!

バズーカ型の砲身から放たれる軌跡は狙い誤らず、モビルアーマーの群れへと直撃する。
あっという間に3機が瓦礫の欠片となって四散していった。

戦法としては先陣の私が敵陣を斬り破り、そして後方からの援護射撃によって壊乱させるというオーソドックスな戦法である。

今まで、個人個人がバラバラに戦っていた為に、モビルスーツはその能力の半分も発揮できなかった。
モビルスーツの強みは、固定武装では無く、多くの多用する武装をその都度、使い分けが出来て、
集団での前衛と後衛の陣形を瞬時に構築出来る所に強みがあるのだ。

それに気が付かずに、個々で戦わせるなど阿呆の局地である。

――こうして私は、『MS運用戦術理論』の第一人者として、数多くある肩書きの内の一つが加わる事となる。
そして、後世の歴史にその輝かしい名を残す事となるのだ。

そうこうしている内にも、私が率いる部隊は、敵の中衛のモビルアーマー部隊の掃討戦へと移ろうとしていた。







――――ピキィン……!

と、またもや、脳裏を微弱な『プレッシャー』を感じた。
そう、先程の奇妙な感覚が、私を襲ってきたのだ。

その直後に、メビウス<ゼロ>が3機が、私の『感知範囲内』の中へと入ってきた。

――私は、舌なめずりをする。
ようこそ――歓迎してやろう。

「――出てこなければ、死なずにすんだものを……」

と、言葉のシリアスさとは裏腹に、何故か私はウキウキとしていたのだ。

――獲物は3匹か。即座に、瞬殺決定だな。





>>つづく
704通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 00:42:22 ID:???
逃げてェーッ!子安仮面(仮面ナシ)蝶逃げて!

GJ!あいかわらずクルーゼ浮かれてるな。
705通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 00:42:28 ID:???
に、にげて〜フラガ〜!!

と、いうわけでGJ!!
706通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 00:51:10 ID:???
ハサとの感応の後じゃムウも微弱って感想になっちまうか
707通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 00:52:04 ID:???
しかし、CEでは孫子の兵法はほとんど途絶えてるんだな。
708通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 01:08:33 ID:???
>――こうして私は、『MS運用戦術理論』の第一人者として、数多くある肩書きの内の一つが加わる事となる。
>そして、後世の歴史にその輝かしい名を残す事となるのだ。

例え早死にする運命だとしても、歴史の中で永遠に生き続けるだろうクルーゼに泣けた。
709通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 01:21:22 ID:???
GJ!!
クルーゼがなんか嵌ってるwww
そのうち怪しい戦術指南書とかにまで手を出しそうだ。
それはいいとして、種世界の軍人・政治家達よ、過去を学べYO!
ソン○で学びだすなんて、オマイラいつの時代の人間かと小一時間(ry
(誤解されるような言い方をしてしまいましたが、私は決して○ンシを馬鹿にしているわけでないので悪しからず)

それにしても、クルーゼ、浮かれすぎだな。
>パイロットとして有能であり、尚且つ、指揮官としても高い能力を持つ者こそが『戦場の覇者』となる時代が舞い戻って来たのだ
作中でも示唆されてるように「個人の武勇」が通用するのは、あくまで部隊単位での話だからな。
いくら白兵戦主体の戦い(有視界戦闘?)が蘇ったからといっても、昔のやり方がそのまま復活するわけではない。
というか、パイロットと指揮官の役割を分けろと。副官が泣くぞw
それに「最も強いパイロット」となる事は可能だろうが「戦場の覇者」となるのは正直無理だろう。
一パイロットが、戦場を支配するのは無理というか不可能だからな。
ギルバート当りに同じ事言ったら、笑われそうだYO!
そして、秘密基地のMS格納庫の隅でいじけるクルーゼ。
そんな彼が大好きですw

それにしても、クルーゼの未来の肩書きが気になるぜ。
一体幾つあるんだ?

次回も楽しみにしております。
710通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 03:07:44 ID:???
相変わらず生き生きしてますね>クルーゼ
GJです!
ソ〇シって…軍学の基礎だろに、ザフトは民兵組織だからそういうの遅れてんのかなぁ?
711通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 03:21:07 ID:???
GJ!!マジ面白いな。
深夜なのに39話読破しちまったwww
変態仮面元気だなぁ、続きwktkしてます
712通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 03:26:18 ID:???
作者GJ!!
>>710
実はCEに伝わったソ○シは孫子ではなく尊氏だったんじゃないかw
713通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 12:56:19 ID:???
>>712
○イヘイキかっ!!
タイ○イキなのかっ!!
714通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 13:31:39 ID:???
>>712
実は○師だったりして
ポア戦術、サ○ン戦術、その他諸々
715通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 18:10:25 ID:???
>>713
タ○ヘ○キはいいねぇ。
花も月もないあの殺伐さが最高だよ。
ヘ○ケモ○ガ○リより変態仮面の嗜好に合うんじゃないか?
716通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 20:33:28 ID:???
>>714
ジェネシスでナチュラルをポアしたり、核ミサイルでコーディをポアしたりw
サリンの如くNJ撒き散らしたりむしろ○師の方の戦略が伝わってる印象があるw
717名通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 20:35:25 ID:???
オマイら宇宙時代にそこから始めるんかい!?
と、思ったが…。
コーディって
「進化した我々が旧人類であるナチュラルから学ぶことなど無い」
って思想が有りそうだから、なんか納得しちまった。
718通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 23:30:57 ID:???
>717
激しく同意

それに加えて、腐女子やらアニメとかのサブカルパクりしかできない負債が○ンシを知っているとは思えないからな
719通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 02:47:06 ID:???
Gではソン○は大活躍なのにな。

Wと種は戦争より決闘色が強いからな。
720通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 10:54:32 ID:???
GJ
しかしなぜ伏字w>孫子
読むべきなのはザフトっつーか嫁だよなぁ…
>>709
激しく同意>クルーゼ、浮かれすぎだな。
元祖変態仮面、いい気になってますなw
721通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 14:35:30 ID:???
それにしてもここのクルーゼ、ノリノリである
722通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 16:51:40 ID:???
wikiがまったく更新されてないね。
723通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 19:08:03 ID:???
>>179
今更だがkwsk
724通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 21:49:12 ID:???
この後とんでもない事態が!

続きはCMのあと
725通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 22:50:16 ID:???
ガンプラ!

シン「俺は(ry」
キラ「き(ry」

すれ違う(ry
726通常の名無しさんの3倍:2007/02/13(火) 00:17:36 ID:???
これは一見普通の基地内部での悪巧み風景
だが次の瞬間!
突然横からMSが現れたではないか
ところかまわず攻撃をして破壊工作を始めるMS
当然基地の中は大パニック
それにしてもこのガンダム、ノリノリである
727通常の名無しさんの3倍:2007/02/13(火) 01:02:23 ID:???
この映像をよーく見てほしい
お気づきだろうか?
そう隕石そっくりに
擬装したMSが
隠れているのである。
そこで今夜はこのような
驚くべき作戦を立てる三悪人たちの
世界へ皆さんを招待しよう
728通常の名無しさんの3倍:2007/02/13(火) 01:43:11 ID:???
>>726-727

○形拳かwwww
729通常の名無しさんの3倍:2007/02/14(水) 04:19:33 ID:???
>>703
 ( ゚Д゚)っ  乙ならあるぜ
  ( つ 乙/

  ( 。_。)っ
  ( つ 2/

  (゚д゚ )っ
  ( つ 乙/

  ( ゚д゚)っ
  ( つ 乙/

  ( ゚д゚ )っ
  ( つ 乙/
730通常の名無しさんの3倍:2007/02/14(水) 14:17:35 ID:???
こっちみんなw
731通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 01:21:28 ID:???
保守
732通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 19:20:29 ID:???
捕手
733通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 20:25:10 ID:DcxTxNIC
そろそろかなAGE
734通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 00:11:54 ID:???
すみません。今日、仕事がやっと一段落付いたので一休みしてからゆっくり書き直します……
お気に入りの運命ガンダムを弄りながら……運命編、C・E最強主役機の……
735通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 09:49:23 ID:???
>運命編、C・E最強主役機の…… 和田ですか?w
いや、お待ちしています^^
736通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 13:03:26 ID:???
一応保守

視覚によらずに、その存在を感知できる超常能力――彼の世界で人は、
『ニュータイプ』と呼んだらしい――

私に備わった『新たなる力』――これこそが『ニュータイプ能力』である。
当初は戸惑うばかりだったが、今では、ほぼ完璧に使いこなしている。

私は『天才』だからそれは、仕方の無い事なのだ。

――フッ、自分の才能が正直怖い。
――そう、余りにも何でもできるというのも、人間はある意味不幸な事でもある。

「……この語呂は、良いな――ふむ、自伝の序章の最初の一文はこれにするか……」

――ドドドッド!!ドドドッド!!

機体の鼻先に無数の火線が飛び交い、
コックピット内を瞬間的に、気味が悪い赤銅色の色が広がるが、
私は、何ら気にも留めない。

どの火線の行方が、何処に行くのか私には、全てお見通しだからだ。
時たま、部下のジン方に飛んでゆく火線をシールドで防ぎながらも、集中砲火を掻い潜ってゆく。

私の機体である、ジン・ハイマニューバは真っ白に塗装されている。
これは私のパーソナルカラーである『白』を基調としているからだ。

それは、エースの証でもあるのだ。
古来より将とは目立つ装束で兵達の士気を鼓舞したと言う。

その将が戦場に現れたと知っただけで、敵は散を乱して逃げ散ったというのだ。
その意味を含めても大いに価値がある。

――何しろ私は、ザフト最強のエースパイロットとして有名なのだから。

したがって、途轍もなく目立ち、敵の砲火の的となってゆくのだ。


これは、私が目立つ事によって敵を引き付け、
その隙に部下達が仕留めるという合理的な方法をも含まれているのだ。

そうしながらも、私は飛び交うレールガンの雨、嵐を掻い潜りながら、
偶然に、私の前に飛び出てきた一機の『メビウス』の胴体装甲を重斬刀で切り裂いてしまう。

――ズバシュ!!

装甲面を大きく切り裂かれたその『メビウス』は、即座に制御不能になり、
きりもみをしながら、月面へと激突し炎上する。

手馴れたもので、もはやどこをどう突けばモビルアーマーが、
破壊できるか手に取るように分ってきている。

またもや、哀れな敵の『メビウス』が私の目の前に飛び出してきた。
その次の瞬間には、右手に握るJDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃が火を噴く!

――ドドドドッ!ドドッ!

突撃銃の弾道を側面に受けた『メビウス』は、機体装甲が捩れながら、
バラバラにに砕け散り、盛大な花火へと変化してゆく。

振り返りもせずに背中だけ、それだけの事がわかる。
退屈な作業だな……だが、

そう、先程感じた『獲物』までの距離は後、僅かなのだ……
――鼻歌を歌いそうになるのを自制する。

あの、『No.0』のメビウス<ゼロ>と同じ程度の手応えは、与えてくれよ……

後になって、この時の私を思い出すと正直恥ずかしくなって来る。
ここまで神経がハイになっていることに、帰還し冷静になっても気が付かなかったからである。

――これも血筋の所為だったのだろうと思うと……忌々しい事だ。

そして、遂に微弱なプレッシャーを再び感じる事となった……

――ピィキン!

「うむ……!」

メビウス<ゼロ>が3機が編隊を組んでこちらに向って飛んで来るのを確認できる……
それが、私の有視界へと入って来たのだ……

――唇の周りが乾いていたので、ぺろりと舌でなめ回す。

「ククッ――見つけたよ。君らかね?厚かましくも、私を呼びつけていたのは……」

そう言いながらも、私の口元は歓喜の為に、
思わず邪悪な笑みへと、唇を歪めて変化してゆくのだった。

――そう、これが『ムウ・ラ・フラガ』との出会いとなったのだ。

……この時を境にして奴は、私をしつこく追って来る事となり、
それを返り討ちにする事が、私の密かな娯楽としての楽しみの一つとなってゆくのだった。


=============================


――ピィキィィィィン!!!

「ッァ――!?何だよこれはよ!!」

出撃直前に感じたものと同じ衝撃――!
吐き気と頭の中で激しい痛みが、オレに襲い掛かって来やがる!

「グッ――来る!何か……とてつもない奴が……」

――後方で暴れまくっている、あの『化け物』と同じ位の何かが、
こちらに向かって来やがる!!


一瞬襲い掛かる、激しい吐き気と痛みに翻弄されながらも、
辛うじて正気を取り戻したオレの耳に、ラッセルの警告が響き渡った。

『――隊長!正面より型式不明のMSが接近中!……なんだ、このスピードは……!?
 通常のジンの『3倍』以上のスピードです!!』

「……なにっ!」

ラッセルの悲鳴に似た声が、オレのコックピット内に響き渡る。
『ジン』の3倍のスピードだと……何だそりゃぁ?『モビルアーマー』の戦航速度の倍以上じゃねーか。

『クソっ!これから逃げるって時に!!』

ケインが悲鳴にも似た悪態を吐く。

それがオレの耳に届いた瞬間、本能がオレに向かって激しく囁く!!
そう……

――『逃げろ!!』と!

オレは喉を振る絞るように絶叫する!!

「――お前等ぁぁ!逃げるぞぉぉ!!マジでこいつはやばぇええぇ――!!」

ケインもラッセルも、オレの尋常じゃない様子に飲み込まれたかのようだ。

『りょっ……了解!!サー!!』

『わかったぁぁ!!サー!!!』

と即座に了解の返事を返してきやがった!!

――急げ!!!

オレ達は、即座に戦場活動範囲外へと進路を取り、
一目散に逃げ出す支度をするのだった――

……メビウス<ゼロ>のコックピット内では、オレは目を血走らせ、全身が汗まみれになりながら、
安全装置の解除とスロットレバー操作を手早くしていた。

メイン・エンジンリミッター解除装置を起動させる。
エンジンがぶっ壊れてもいいから、全力で逃げ出す努力を惜しまねぇ!!!

……卑怯者だろうと、恥知らずだろうと幾らでも罵ってくれてもかまわん!!

――そう、機体がバラバラにぶっ壊れてもかまわねぇだ!!生きる延びる事の方が先決だ!!

この時のオレはもはや尋常な思考をすることができなかった……只、生き延びる事しか頭になかった。

「ケイン!、ラッセル!後ろを振り返るな!!オレの本気の命令だ!!
  ただ一気に突っ走れ!!全力で逃げ続けろ!!」

『『サー!!イエス!サー!!!』』

景気のいい返事と共に3機のメビウス<ゼロ>は戦場から離脱してゆく……

無論、味方を見捨ててだ――この時は良心の呵責とか軍人魂とか全く頭の中には浮かばなかったんだ。

ただ、オレ達は、この場を逃げるという生きる為の本能に、従うだけの獣となったに過ぎない。
恥じるつもりは毛頭ない。死ぬより遥かにマシだからだ。

メビウス<ゼロ>は一気に加速してゆく!
パラメーター設定はもう無茶苦茶で、計器類は出鱈目の目を出していやがる!

そう、4基の有線誘導式兵装、『ガンバレル』はメビウス<ゼロ>そのまま本体のブースターも兼ねており、
MSを上回る圧倒的な加速性能を得ることが可能なのだ……!

――そう、こいつに賭けるしかねぇ……!!頼むぜ……!

今まで戦時中でもコイツのリミッターを外してまでの加速をつけた事は、
一度もなかったのだ……今回が無論初めてのことである。

逃げる為だけに使うなんて、そいつはオレのやり方に反するし、
それに、余力を残して戦わなくては戦場では生き残れないからだ……

今、その主義を返上する時が来た――
しかも全力で逃げる為に使うのだからな……

――ピィキィィィィーン!!!

だっぁ!!凄まじい頭痛が一瞬、オレに襲い掛かる!!
――来る!!来やがる!!!

「がっ!?……何なんだコイツは?!他の奴らとは別格だぜ……!?」

他の敵とまるで違う!!こいつは……化け物だ……!!

そして――信じられない速度でそいつは、俺達に追いすがって来やがる!!
何てパワーとスピードだ!!

――血が凍りつくような恐怖が、オレを支配する。
後ろを振り向けば、即座に食い殺される!!!そのような生物的な圧倒的恐怖がだ……!!

――逃げろ!オレは何としても逃げきってやる!!


=============================


「ほうっ――?」

私は思わず、感嘆の声を上げた。

そう、奴等は私の姿が見えるか、見えないか位の距離で、
直進から一気に反転して逃げに掛かったのだ!

それはもう、見事な逃げっぷりで、奴等は尻に帆を掛けて逃げ出したのだった。
逃げ方のテキストがあるのならば、これを載せてやりたい位だぞ……?

「見事……」

思わず呟いてしまう。

「勝てない戦はしないと言うわけ訳だな……
  『彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず』か……」

『ソ○シ』の余りにも有名な一説が遂、口に出てくる。
奴等は、正確に彼我の戦力差を見抜き、逃げに掛かったのだ。

「クククッ……お前達は正しい……」

口元が自然と笑みとなり、歓喜の声が漏れる――
ますます、気に入ったぞ……その顔を拝ませてもらおうか……!!

ただ突っ込んでくるだけの馬鹿だと、
逆に興冷めしていたところだ……それだと即座に瞬殺し、
奴らは次の瞬間に私の記憶から残らずに消えていった事であろう。

だが、奴等は即座に逃げたのだ。

「――面白過ぎるな……」

気に入ったぞ――

私は、もはや掃討戦に移りつつあるこの場の戦場で、部下達に帰艦指示の暗号の出す事にした。
戦果はもう十分すぎるであろう。これ以上欲をかいたら碌な事はないだろう。

『名将』とは、引き際を心得ている者に与えられる称号なのだから。

そして、『ガンダム』が艦隊を破壊しまくっている付近には近づかないように堅く戒めるようにして、帰艦させる事としたのだ。
『マフティー』の奴もハイになっている事だろう。下手に手を出して巻き込まれるのは御免である。

艦隊の壊滅は『彼』に任せておくか……
こちらの一方的な都合を『彼』に、押し付けておき、私は楽しみを追う事としよう――

そうして、素早くスロット・レバーを引き、パラメーターを高速戦闘モードへと移行させる。
メインスラスターの出力配分を変えて、巡航スピードを大幅にアップさせる、

これは、欠点としては小回りがし難くなるのだ。

そして、メインスラスターである『MMI-M730試作型エンジン』を全開させる。

――ゴォォォ!!

――ハイマニューバの背後に設置された大型メインスラスターは、
盛大に噴射を開始し、機体全体を加速させてゆく!
心地良い、Gと共に私の体はシートへと押し付けられ、

「――挨拶もなしとは、つれないではないか……直ぐにそちらにゆくぞ……」

との呟きは、コックピット内の振動によってかき消されて行く。

――ドォォォォオッン!!

凄まじい勢いと共に私のハイマニューバは、一筋の『彗星』となって、
メビウス<ゼロ>達が逃げた方角へと向かってゆくのだった。




>>つづく
745通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 23:32:31 ID:???
GJ
クルーゼが実に楽しそうでいいですねぇ。

なんつーか、この時点でこの世界の未来が大きく変わってるしさ。
746通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 23:38:02 ID:???
投下乙です!
クルーゼいいですねぇ。そのうちブログでもはじめそうなw
ムゥの逃げっぷりも思い切りが良くていい!
747通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 00:05:47 ID:???
ムウにはご愁傷様としか言えないが、
人生を楽しんでるクルーゼがいい!

職人さんGJ!
748通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 01:15:31 ID:???
キラ=餓鬼共の入り込める余地が全く無ぇw
749通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 01:44:07 ID:???
ムネオ蝶逃げてるのにクルーゼ蝶追っかけてくるよぉ〜っっッ!!

生き生きしてナチュラルハイなクルーゼにGJ!
750通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 02:12:45 ID:???
GJ!!
原作とクルーゼとムウの立場が逆になってますね。
ムウがクルーゼの尻尾を追い続けることになるのか。

なんかここのクルーゼって原作のクルーゼ隊みたいな特殊任務部隊任されるより、
もっと前線で大部隊指揮させろって主張しそう。
なんか大部隊相手に指揮するのが楽しくて楽しくて仕方なく感じるw。
751通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 02:55:58 ID:ZcRx1g5C
今更なんだけどシールドを持ったジンってどこかで見たような気がするんだけど?
知ってる人いません?
752通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 03:18:01 ID:???
>>751
つ【ミゲル専用ジン】
753通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 09:00:20 ID:???
クルーゼの目的が人類滅亡から、歴史に名を残し自分の思想を自伝やら部下への教えから受け継がせて行くことで
思想として永遠を生きることに無自覚にシフトしつつあるっぽく見える
こんなクルーゼも良い
754通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 10:56:54 ID:???
なんだかんだで生きる活力が、マイナス方向からプラス方向になったんでしょうね
自分の寿命が短いからこそ何かを残そうと思い、それが軍人としての成果や称号とかを求めるようになったのかな?
そしてフラガに捧げる言葉は、どうか成仏してくれ(何
755通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 18:02:13 ID:???
クルーゼ「私は滅びぬ
確かにここでラウ・ル・クルーゼという個人は死ぬだろう
だがラウ・ル・クルーゼという思想は人々へと受け継がれ、未来永劫永遠に生き続けるのだ
ふははははははははは!」
756通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 18:04:49 ID:???
ムウ達は逃げ切れるか、それとも追いつかれてぼこされるか。
追いかけられている方からすればたまったもんじゃないですね。
757一応、作者?:2007/02/19(月) 18:28:01 ID:???

仮面男についての様々な貴重な意見ありがとうございました。
一応、物語の間は健全と言う形でもって行こうかと初期段階では考えていましたが、
どうするべきか……

後は、話の流れで、新生海賊や神聖軍事同盟の設立に大きく関わった御方が、
彼等の会話の中で少しだけ出てくるような……感じで……やりたいな……
758通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 18:38:45 ID:???
おぉ、ハサの向こうでの「悪友」の事にも触れるのか。楽しみだな
759通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 19:19:14 ID:???
GJ!!
ムゥが焦りすぎてところどころ荒木節になってるwwwwww
760通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 21:43:39 ID:???
それにしてもこのクルーゼ、ノリノリである
761通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 21:47:46 ID:???
このフラガ、なおも逃げる、逃げる、まだまだ逃げる
だが遂に力尽きたのか、駆けつけてきたクルーゼによってあえなく御用となった
762通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 01:47:58 ID:???
後にZAFT軍FATHラウ・ル・クルーゼ氏は語る
「ええ、その時は本当にただの射的の的ぐらいにしか考えてなかったんです。
 でもまさか・・・あんなに長く楽しませてくれるなんて」
763通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 06:32:59 ID:???
大戦で散々活躍し政界入りも噂されるようになったクルーゼが戦後出版した自叙伝の中で、
自分がナチュラルである事と出生の秘密を暴露し現行のコーディネートに疑問を投げかける。
それにより、地球だけでなくプラントでも過剰なコーディネートに対する倫理観を見直す切っ掛けとなり、
その功績から「ジョージ・グレンの再来」とクルーゼが呼ばれるようになる事を妄想してしまった。

764通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 09:05:31 ID:???
ガンダムSEED占いのメビウスゼロ基本性格

いざザフト仮面に挑発されたりすると燃料が続く限りどこまでも。
もはや太陽系を突破するくらいの勢いで追い続けるような執念も垣間見せます。
しかし、燃料タンクが原付並に小さいメビウス〈ゼロ〉くんですので、
太陽系どころか100m先のコンビニを越えたあたりで息切れ。
「もうあの変なザフト仮面なんてどうでもいいや」とコンビニに寄って
帰ってしまうような塩梅。一言で言うと熱しやすく冷めやすいということでしょう。

エーメンフラガ。
765通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 10:29:51 ID:???
wiki更新しといたぞ〜一気に。
ここんとこ仕事忙しいわOS乗り換えで操作にまだ慣れてないわで
スレチェックもままならなかったんだが、
更新人が自分一人しかいない事に気づき今回唖然とした。
だれか・・・他にも更新人出てきてくれぇ〜

一人じゃキツイっす。(掛け持ちで登録してる関係もあって)
766通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 12:22:23 ID:???
>>765
wikiの掲示板とかで応援頼んでみれば?
すまん、俺も別スレやっててry
767765:2007/02/20(火) 12:52:37 ID:???
>>766
結局今いるメンツじゃ20人程度なんで、スレ住人から新しくやってくれる人が出てきてくれん事には
手詰まりだにゃあ。
768通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 13:11:34 ID:???
【ディアッカ】

 英雄であるクルーゼ隊長の言に従い、旧時代の英雄を描いた小説を読み始めた俺だったが、
どうもこういった活字媒体は向いていないようだ。
 そこで、どうせならと、隊長がススメる日本の戦国時代を扱った、
旧時代に作られたシミュレーションゲームを試してみる事にしたのだが、思いの外楽しくて、
完全にハマッタ。
 いや、本当に楽しく戦術を学ぶことができたのは収穫であった。
 そんなゲームの中でもそのゲームは特にお気に入りであり、
特に共感を覚えた主人公の口癖「グレイト!」は今や俺の口癖でもある。

まさにそのゲーム【戦国○ンス】は、今や座右の書ならぬ座右のゲームと言えよう。



・・・・・・・・・・なんて3話まとめて読んだ直後に思いついた。(笑
769通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 17:27:19 ID:???
あれじゃ戦術学べねーだろwwww
770通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 18:52:32 ID:???
狡猾で残忍ではなく、鬼畜で残念なディアッカの登場か!?
771通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 20:23:09 ID:???
いやいやそこは

白クジラなラクス「でもあなたは本当は狡猾でも残忍でもありませんもの」と・・・

あ、それとミリアリアとの破局の最大の原因は、ミリアリアをシ○ル扱いしようとして返り討ちにあったから。とか
772通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 22:49:00 ID:???
この流れだとイザークはディアッカに騙されて恋姫無双をプレイしそうだw


このスレのラクスにはエイプリルフールクライシスの引き金を引いた人間の娘だと言う自覚を得て欲しいな
クライン派の人間に「10億人を虐殺した人間の娘がトップに立って地球の人達が納得すると思いますか?」とか言って
逆に押さえる役目になって欲しい所



と言うか本編でその辺の葛藤とか後悔ってあったっけ?
773通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 22:50:03 ID:???
ないよ。
ブレイクザワールドもスルー。
774通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 23:39:18 ID:???
隊員にタクティクス・オウガやらせてるクル−ゼとか。
775通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 23:57:18 ID:???
プロジェクトX〜

「不幸な生い立ちと反抗の日々・・・」

「単身渡ったプラントでの友人ギルバート・デュランダルとの出会い。」

「時代を塗り替えたザフトの新兵器モビルスーツ」

「友に紹介され意気投合した親友ハサウェイ・ノアと彼から伝えられた軍略書『孫子』」

「大戦果を上げた月基地攻略」

「最大の敵は理解なき上官パトリック・ザラ」

「立ちはだかる宿敵 ムウ・ラ・フラガ」

「教えを受け継ぐ後継者、5人の赤服」

「因縁の敵パーフェクトコーディネイター キラ・ヤマト」



プロジェクトX 〜蘇る旧時代の奇跡の兵法とMS戦術論の確立
〜宇宙の鬼神ラウ・ル・クルーゼのプラント独立戦争
776通常の名無しさんの3倍:2007/02/21(水) 00:23:30 ID:???
ちょっっっ!!!
プロジェクトXktkr!!!
777通常の名無しさんの3倍:2007/02/21(水) 06:46:29 ID:???
>>769

ディアッカ「今日の降伏勧告のテーマは『ホスト!』じゃあいってみよう」

アスラン「って、どんな降伏勧告だよ!!」

ディアッカ「こいうふうにさ。
      『 応答せよ、こちらザフト所属特務艦ヴェサリウス。』」
      (あべちゃんっぽいボイス)」

マリュー『は、はい』←一発でメロメロ

ディアッカ『貴官等はよく戦った、これ以上は無駄な抵抗だ。降伏せよ!』
      (あべちゃんっぽいボイス)」

マリュー『こ・・・降伏させていただきます・・・・・。』

ナタル 『待てーーーーーーーーーー!!!。』

ディアッカ『そちらの美しい貴女は?』
      (あべちゃんっぽいボイス)

ナタル『は、はい、ナタル・バジルール少尉であります。』←(一発でメロメロ)

ディアッカ『降伏・・・していただけますよね』
      (あべちゃんっぽいボイス)

ナタル『降伏勧告受け入れさせていただきます・・・・・』

ディアッカ「と、いうふうにさ」

アスラン「できるかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
778通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 00:02:42 ID:???
むしろ配役逆じゃないか?
779通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 01:13:49 ID:???
単に>>768に合わせた配役なもんでな

『ラウ・ル・クルーゼ司令の朝は、一杯の野菜ジュースから始まる……』

夕食を終え、居間で寛いでいた私達の前にある大型テレビジョンから、
『プラント8:00ニュース・ステーション』の特番が流れて来る……

「ギル、見てください。ラウが映っていますよ……!」

と私の隣にいるレイが、無邪気な歓声をあげている。
向かい側のギルバートも優雅にお茶を飲みながら、鷹揚に頷いてくる。

「そうだねレイ。これで今日、3回目かな?」

「ええ……」

レイは、そう言ってテレビを食い入るように見ている。

『クルーゼ司令はその後、最初に日課であるマラソンを始める……』

バシャ!バシャ!と無数のフラッシュが、テレビの中で点滅する……あの人は眩しくないのだろうか?
周りの凄まじい、喧騒の中を平然と片手に栄養ドリンクにジャージ姿で走る仮面の男が映る……

「……」

無論、私が言う事は何もない。

『朝の日課を終えた、クルーゼ司令は、シャワーで肌が焼ける様な熱い湯と、凍えるような冷水を、
 交互に浴び、身体引き締める……』

シャワールームの前でまたもや、無数のフラッシュが瞬いている……

……私だったら、とっくの昔に音を上げて、ノイローゼとなっている事だろう。
扉が開き、濡れた髪をタオルで拭きながら、ラフなスタイルの格好で彼はシャワールームから出てくる。

『朝の朝食こそ一日の原動力と仰るクルーゼ司令は、
 優雅な且つ豪奢な朝食を取られるのです。やはり『英雄』とは……』

彼は、囲んだ取材陣など端っから無視して、給仕を従えて、豪勢な朝食を取っている。
軍務がある為にワインは、流石に朝からは飲まないそうだ。

……平然としたものだ。彼は神経の太さが鋼鉄のワイヤーロープどころか、
『ガンダリウム合金セラミック複合材』の数十倍の強度の神経で出来ているのだろうか?

「凄いですねラウ……何か遠くの人になったみたいです」

とレイが少し寂しげに私達に話しかけて来た。
ギルバートは、レイを慰めるように、

「仕方が無いさ……彼は、それだけの価値がある人間になったんだよ、レイ……むしろ、私達はそれを喜ばないと」

「ええ……分っています、ギル」

……自分は、何も口を差し挟む事ができない。
そして、横でレイとギルバートの会話が続く。

「俺も早く、ラウやギルのお手伝いをしたいものです……」

「あせる必要はないさ。私もラウも君が、元気でいてくれれば、それでいいんだ」


その家族の会話が微笑ましい。私が微笑みを浮かべていながら聞いていると……

「……俺も頑張って一人でも多くの、ラウやギルの敵を倒しますから!!」

「頼りにしているよ、レイ」

……撤回しよう。顔を引き攣りながらそう思う。
後でギルバートとレイを『修正』しないと――

「……そういえばギル、『マフティー』は、どうしたんですか?」

ハサ……いや、『マフティー・ナビーユ・エリン』。彼はこちらに帰還してから一度会っただけだ。
その後、直ぐに『ガンダム』の整備に没頭してしまった。少しくらい、時間を取ってくれても良かったのに……

「――彼は別の任務があってね、今はプラントにはいないんだよ」

「そうなんですか……そういえば、あの人もラウと同様の凄い『英雄』じゃないですか?
  ――どうして、あの人は、自分の功績を誇らないんでしょうか?」

「目立つのは嫌なんだそうだ。暫くは彼は影に徹するらしい。『英雄』はラウにやってもらうと言っていたな」

そう言いながら、ギルバートはチャンネルを変えた。

『……ラウ・ル・クルーゼ司令に来て頂きました――!!皆様、盛大な拍手を!!』

すると、また別の番組にラウが出ていた。、どうやらこれは、録画番組らしい。

豪奢な軍服をまとったラウが画面中央に登場し、敬礼をする。
途端に凄まじい歓声と黄色い声、嵐のような拍手がテレビから響いてくる。


この番組は、ラウとプラントで著名な評論家との対談であるらしい。

『――この戦いは、単純に『ナチュラル』と『コーディネイター』との戦いではなく、宇宙で暮らす自由な魂を持つ人々と、
 地球の重力に魂を引かれた哀れな人々との戦いなのだ……』

『流石はクルーゼ司令!英雄の言葉は重みが違いますな……』

もっともらしく語るラウと、それに追従するような評論家の言葉。
そして、湧き上がる歓声と拍手。
……すっかり『時の人』になってしまった。以前の彼と比べて、正直考えられない。

これが、『彼』の力ならば、そら恐ろしいものだ……直接、自分が世界を変えるのでなく、出会った人を変えた。

『ニュータイプ』の力とは、『人は人と出会う為に生きる』という根本的な力の源の変革への切欠なのだろうか……?
未だに、私にはそれが理解できていなかった……

ギィギィィ、バタン!

突然、居間の扉が開いた。

「今、帰った。……ほう、うむ、良く映っているな。やはり、私は画面栄えするようだ……」

「ラウ、おかえりなさい」

「おかえり、疲れただろう?」


>>つづく
784通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 22:53:03 ID:???
し、司令になってるー!
785通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 23:22:51 ID:???
GJ!
この視点はサラでいいのかな?
仮面がえらい事になってますなwジャージ着ててもやっぱり仮面付けてるのだろうか奴はww
続き楽しみにしてます!
786通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 00:21:56 ID:???
GJ!
これなんて王立宇宙軍?w
787通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 00:57:32 ID:???
>>785
クルーゼと議長を『ラウ』と『ギルバート』で呼んでるのはベルトーチカじゃなかったか?
何はともあれ、GJ!
788通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 14:32:56 ID:???
クルーゼが何か凄い事になってる−!
789通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 15:04:52 ID:???
GJ!
そのうちCMに出そうだ、クルーゼw
790通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 18:29:17 ID:???
そのうちクルーゼの仮面を子供が真似し出しそうで嫌だな
791通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 20:15:03 ID:???
むしろクルーゼの機体に仮面がつくんじゃね?
792通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 20:18:41 ID:???
仮面付きシグーとかゲイツとかになるんだろうな。
793通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 20:34:06 ID:???
>>791
>>792

それなんて、ヘビーアームズ?
794通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 20:48:37 ID:???
クルーゼをモチーフにしたヒーロー物のアニメが流行りそうだ。
795通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 21:37:40 ID:???
「タキシード仮面様」ーとか言うアニメが流行ったり
796通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 22:10:09 ID:???
赤服とかの代わりに仮面が支給されますとかだったらひどいが
797通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 22:43:57 ID:???
「俺、参上」しか浮かばない俺は、特撮厨
798通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 23:18:55 ID:???
……クルーゼのTVシーンのアナウンスがどっかで聞いた事有るような感じだった気がするがなんだったか思い出せないorz
799通常の名無しさんの3倍:2007/02/24(土) 00:13:16 ID:???
GJ!プラントでクルーゼの仮面が流行しそうだな
800通常の名無しさんの3倍:2007/02/24(土) 00:59:06 ID:???
>>798
ヒント
>>786
801通常の名無しさんの3倍:2007/02/24(土) 09:49:27 ID:???
少し前のランス絡めて

ピンク仮面(正体バラドルに転向したバレバレなアイツ) 登場! とか
802通常の名無しさんの3倍:2007/02/24(土) 12:03:58 ID:???
戦国ランスネタ引っ張るから

負債=ルド
福田=魔王
ラクス=ザビエル
ハロ=藤吉郎
キラ=朱雀 と幻視した

あとこんなのも

サイ「フレイ・・・」
フレイ「ん?」
サイ「その・・終戦の暁には・・お・・・俺と・・俺と結婚してくれ!」
フレイ「いいわよ」
サイ「おっしゃー!フレイ大好きだー!(ボカッ)まんごぅ!」


本編進んだら虐殺ショー再開なので小休止
803通常の名無しさんの3倍:2007/02/24(土) 23:54:49 ID:???
GJww
しかしさすがアスランやピンクの産地。どこかオカシイぜプラント市民w
804通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 01:02:30 ID:???
GJ
>ギィギィィ、バタン!
これはさすがにやめよう。
805798:2007/02/25(日) 01:42:02 ID:???
>>800
サンクス、あの作品ロケット発射前後のシーンのイメージしか残ってなかったわorz
806通常の名無しさんの3倍:2007/02/26(月) 06:59:15 ID:eCraBO7s
保守
807通常の名無しさんの3倍:2007/02/26(月) 11:36:23 ID:???
初めてこのスレに来たが、凄い。これは凄い。
基本ハードなのに「悪人」達が生き生きしてる。いや、ハードだからこそなのか?
職人さんGJ!
808通常の名無しさんの3倍:2007/02/28(水) 17:22:36 ID:???
ほしゅ

――強襲揚陸型MS運用母艦<ミネルバ>――AM:5:00

――パチリ!

と、目が開く。
どんな時間に眠ろうと、俺の生物時計は、この時間にアラームを鳴らすのだ。

そして、即座に意識は寝起きから、通常の状態の意識へと覚醒する。
無論即座に出撃が可能である。

――『常時戦場』

これは、俺の座右の銘である。
そして、兄とも師とも俺自身が思っている尊敬すべき人物の受け売りでもある。

俺は、向かい側の隣で寝ている『相棒』を起こさないように気配を上手く消しながら、
そろそろとベットから足を出す。
手早く、軍指定のトレーニングウェアに着替えると、常に枕元に置いてある、長い包みに入った『もの』を取り出す。
そして洗面所で顔を洗うと、トレーニングルームへと真っ直ぐ足を向ける。

艦内は、流石にまだ静かである。当直の人間以外はまだ夢の中であろう。
戦闘時でもないのに、こんな時間帯に起きている人間は少ないはずだ。
だからこそだが……

俺はトレーニングルームに到着すると、持ってきた包みを開き、丁寧に『もの』取り出すと鞘から引き抜く。
取り出したきた『もの』は俗に言う『サムライ・ソード』と呼ばれるものである。
これも『あの人』から頂いたものだ。

渡される時に、『あの人』も俺と先祖が『同郷』だということを聞いて、俺は更に親しみを覚えたものだった。

鞘から出た白刃は、一瞬、ギラリと刹那の輝きを放つ。一点の曇りの無い刀身だ。
その神々しい刃の輝きは、一つの芸術品に匹敵するであろう。

古来、刀とは所有者の心を映す鏡だったという。
この俺の『愛刀』の刃は澄み切っている。今の俺に何の迷いもない証であろう。

俺は『愛刀』を携えトレーニングルームの中央へと進むと、意識を集中し、『八双の構え』を取る。
これは、一八〇度方向に視野と行動範囲が開けるのだ。

そして、『大上段』へと、大きく刀を振りかぶる!

「はぁぁぁぁーー!!」

腹の奥底の丹田から吹き出る『気』と共に、裂帛の気合が、俺の口から飛び出す!

――ブゥゥゥッン!!

俺の正面にある空気が、音を立てて斬り裂かれる。
そして、白刃はピタリと一点へ止まる。

「おぉぉっ……!」

『気』を丹田に蓄え、再び裂帛の気合を上げら後に、また同じ動作を繰り返す。

――20分後

――ブォン!ブォン!!ブォン!!!

「――九百二十三!九百二十四!!九百二十五!!!」

俺は一心に素振りを、規則正しく繰り返す。振る刀の重さが心地よい。
全身から汗が噴き出し、筋肉がリズムカルに程よく酷使される。


最初の頃は、素振りがろくに振れないばかりか、刀に振り回され、しかも翌日には、
全身地獄の筋肉痛と全身の骨が軋みまくり、ベットの上から起き上がれない事に悩まされたものだった。

そして、今握っている刀は業物であるが、正確には『キ○カネ』と呼ばれる名刀の模造品でもある。
この刀の由来は、『サムライ島』に伝わる夭折した伝説の天才剣士が愛用していたものだと言う。

だが、現代の今に、流石にそれ自体が存在するはずが無い、これは、それに肖って命名された刀である。
そして、その気になれば、鋼鉄の板すら両断できる。そう『ガンダリウム合金』で出来た一品なのだ。

「――千!!!」

俺は日課の朝の素振りを終える。
そして、汗を流す為に浴びる為にシャワー室へと向おうとトレーニングルームから出ようとすると、
丁度、その扉が開き、外から誰かが入ってくる。

「――今日も、出て行くことに気がつかないとは……不覚だ」

長めの金髪をはためかせて、俺の『相棒』がトレーニングルームに入って来た。
俺が気配を消しながら出てゆくことに、気が付かないのを屈辱と思っているらしいのだ。

「気にするな。俺は気にしていない」

「……」

俺がそう言うと、『相棒』が首を傾げる。

「どうした?」

「いや……何かデジャヴを……既視感を感じただけだ」

そう言いながら、『相棒』も包みから刀を取り出す。そして、

「一手、お手合わせ願おう」

と言う。
812通常の名無しさんの3倍:2007/02/28(水) 23:36:59 ID:???
まるでバンパイア、レスタトのようだな
ラウル・クルーゼ!

『手合わせ』と言っても真剣勝負ではなく、予め決められた動作をする『稽古』のようなものである。
互いの動作を取り決めた『決闘』のようなものだ。

本気で闘えば、逆にどちらも動かずに一時間、二時間は平気で過ぎ、
どちらかが一瞬動いた時に、生死を賭けた勝負は決まる。

『相棒』の持つ『サムライ・ソード』の名は『○ネサダ』と呼ばれる、やはり名刀の模造品である。
これも『ガンダリウム合金』で出来ている。互いに滅多な事では刃こぼれしないのだ。

俺は、『平手突きの構え』を取り、『相棒』は『八双の構え』になる。

「いくぞ!」

「こい――」

先に俺が動く!!稲妻のような突きを繰り出す!

俺の必殺の一撃であり、俺が得意とするMSの近接戦闘にも多く使用している。
この技で俺は、多くの敵のMSやMAを地獄へと送り込んでいったのだ。

――ズギュュ―ン!!

空気が裂ける様な、俺の閃光の一撃に対して、相棒は紙一重でそれをかわし、流れるように前へと出る!

――ズシャァァァッ!!

そして同時に、『相棒』は抜き打ちで、下からすくい上げるように、
凄まじい一撃を俺の胴体目掛けて、横一文字へと一閃する!

空間が裂けた様な感覚を感じる!俺は咄嗟に刀身を斜め下に向けて、防ごうとする。
カキーン!と互いの刀から鋭くぶつかる音が響き渡る。

――同時に、お互いの口元に笑みがこぼれた。

また、一旦離れて距離を取る。そして先程と同様に、ぶつかり合う!


それを、10数分繰り返していると、何時の間にか側に観客がいる事に気が付いた。

赤毛のショートヘアで髪の毛が一本だけピーンと立っている少女と、
その少女に顔が似ている赤毛のツインテールの少女。

自称『美人姉妹』に『稽古』を覗かれている事に気が付いた俺たちは、
互いに一旦離れると、『稽古』をやめる事にした。

「ええ〜?もう終わりなの〜?」

興奮し顔を紅潮させているツインテールの少女が、甘い声で残念そうに言う。

「ぬぬ、また腕を上げたな!おぬしら……!と言ってあげようかしら?」

これは、明るく笑いながらの赤毛のショートヘアの少女の方である。

「二人とも、黙って見ているなんて人が悪いな――」

と苦笑しながら俺は言う。彼女達姉妹とも長い付き合いになるのだから。
だが、『相棒』の方は全く態度を変えずに、

「二人とも訓練か?」

と生真面目に聞いてくる。ショートヘアの少女は、首をすくめながら、

「まさか!『覗き』に決まってるじゃないの!若手超人気のトップ『エース』二人の秘密の特訓が見たい!とこの子が……」

「お姉ちゃん!!」

と姉妹がじゃれ合っている見ながら、俺たちの早朝の日課は終了するのであった。



>>続く



815255:2007/03/01(木) 00:03:50 ID:???
すいません……ちょっとスランプ気味なんで筆が動く話を先に書いてしまいました。

これはあくまで書きたいシーンを書きなぐっただけなので、
本編でどのように繋げるかは、まだ不明です……
816通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 00:41:13 ID:???
GJ!

この『俺』ってシンなのでしょうか?
817通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 00:47:16 ID:???
おk!
818255:2007/03/01(木) 01:21:41 ID:???
ぎゃー!しまった!
『キ○カネ』ではなくて『キ○ミツ』だった!

>>816
一応、黒髪、赤い目の人だと思ってください。
819通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 01:41:43 ID:???
ハサウェイの介入とクルーゼの変貌とで既にかなり歴史が変わったと思われるのに
それでもなおシンがザフト軍人になる未来は変えられなかったのか…?
いや>>818からするとひょっとして別人?しかし他に黒髪赤目なんかいたかな…
820通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 01:58:56 ID:???
>>819
まだ先の話だろーに。そうあせりなさんな。
821通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 08:56:14 ID:???
一つ気になった事。

>――『常時戦場』

これ『常在戦場』じゃない?間違ってたらごめん。

822通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 09:57:24 ID:???
オーブが戦場になるとするなら、シンザフト入りフラグが立つ可能性は高いかな。
連邦/後の三艦同盟の誰かがの攻撃で家族を失えばだけど。
823通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 21:03:54 ID:???
別に家族全滅してなくても、アスカ家がプラントに移民する可能性はあるな。
ハサウェイが来たといっても、ウズミのイカレた頭の中身がどうにかなりゃな
オーブ解放戦は回避されんだろうし、
そうなれば確実にオーブ焦土で食い扶持求めて技術者一家はプラント移民、
アスカ家もおとっつぁんは技術者らしいから可能性はある。
そうなりゃシンも15で就職せにゃならんけど、準備とかなんもしてなかったせいで、
士官学校進学位しか選択肢が無いとか。

まあ、せめてこの話の中で位、一家健在であってほしいと思ったが故の戯言と聞き流しておくれ。
824通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 21:19:37 ID:???
あのオーブの戦いの最中、家族を奪われたシンが密かに参戦してたクスィー
inマフティーに救われてプラントへ、でハサと師弟関係になったりレイとの友情
に目覚めたり「まともな」議長のすすめでザフト入りしたり・・・

妄想が止まりません
825通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 23:07:29 ID:???
ここの議長は正直あまりまともとは言えないような
何というか、マシ?
826通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 23:38:35 ID:???
>>825
だがこれがいい
827通常の名無しさんの3倍:2007/03/02(金) 00:31:25 ID:???
>>825
基地外が斜め上に振り切って突き抜けて今に至ってる、って感じか
マシと言えるのは事実だが
828通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 11:49:18 ID:LfxKvCg3
保守
829通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 02:54:29 ID:gA23Fnf6
hosyu
830通常の名無しさんの3倍:2007/03/06(火) 13:01:01 ID:UDut7BYA
ほす
831通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 21:26:53 ID:???
張り切って保守
832通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 23:57:49 ID:???
保守だけで次スレに行きそうな予感
833通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 20:50:35 ID:???
保守…次スレまでは行かないだろう…多分
834通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 13:58:37 ID:I5ddKVTP
保守
835通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 12:58:28 ID:???
保志
836通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 18:10:06 ID:???
じゃあオレも保守。
837通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 21:33:17 ID:???
保守
838通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 06:40:29 ID:???
じゃあ俺も保志

 ――『士官アカデミー』中庭――

俺は、昼休みの間に中庭にある大きな木の下でよく読書をする。

『あの人』の勧めで、俺と『相棒』がプラントの『士官アカデミー』に入学してから一週間経過した。

本来、俺のような『プラント』では外様の人間が、『アカデミー』に入学できたのは、
俺の師匠に当たる『あの人』と、身元保証人としてお世話になっている最高評議会『外交委員補佐官』。
それに、『相棒』の兄である『英雄』として有名なザフト軍の司令官の推薦があったからなのだ。

『あの人』と同様に、後の二人ともとてつもない人達で、流石にプラント屈指の『人傑』と噂される事はあるのだ。
――それと内緒だが……『天才と○○は紙一重』という言葉も実感で理解できたのだった……

俺の『師匠』である『あの人』も二人に劣らずとんでもない非常識な人間であるのは、確かだ……
無論、良い意味で……だろうか……?

ともかく!俺は、その人たちのお陰で『アカデミー』に入学する事ができたのだ。
無論、裏口入学ではなく、ちゃんと試験を受けて受かったのだ……ここは俺達の名誉の為にも強調させて頂こう。

そう、入学試験前の3人に絞られたあの日は、もう思い出したくもない……

お陰で眠ると夢で、未だに『仮面』の高笑いや、ピキーン!の効果音が頭から抜けていない状態だ。
あの入試直前の日にわざわざ、あの人たちは、徹夜で激励?をしてくれた事件の為に……
詳しく思い出したくないが……だいたい以下のような感じだったのだ……

『かまわんよ。名前さえ書ければ合格だからな、アッハハッハハ――』

『いいか?男は事の前夜に一升瓶で酒を一気に飲んでこそ一人前だぞ!○ン!!』

『フフフッ!目出度いね!君らも晴れてアカデミーに入学かね!』

絶句している俺達に対して、俺は実の『妹』にも、

『……もう、マ○、寝るから。お兄ちゃん達も明日早いんじゃないの?』

――バタン!

と無常にも、自室の扉を閉めて、見捨てられる始末だった。
そして、明け方近くまで地獄の宴会は続いたのだった……

当日、俺達は睡眠不足のハイ状態で試験に臨み、見事に『合格』した。
試験結果は、二人揃って、『首席』『次席』を連続で取ること出来たのだ。

後から聞いた話だと、殆ど試験の点数は同点だったが、俺の答案一箇所にスペルミスが無ければ、
『アカデミー』が始まって以来の同時『首席』が誕生したのだそうだ。
ちなみに、実技は俺がトップだった。

試験が終わった後、俺達はぶっ倒れて、そのまま一日寝込んでしまった。
睡眠を激しく貪った後に、腹が爆発的に減った俺達は、
屋敷の食堂でガツガツと飯を食っていた。俺は激しく喰い、『相棒』は優雅に食す。
食べた量は、殆ど同じ位だったそうだ。

そして、腹がある程度一杯になって一服をしていたら『相棒』は、

『……いいか、あれは『兄』達の一流の冗談だ。気にするなよ、シ○……いいな?』

『わっ……わかったよ、そうだよな……レ○の言う事だから間違いないよな……?』

鬼気迫る相棒の様子に俺は、全てを肯定する事を約束した。

その例の三人は、あれだけ騒いだ後でも平然と、『仕事』に行ったと言う……
どういう神経をしているのだろうか?

何はともあれ、俺達はアカデミーに入学できた。
一応、学校の寮に入ることになっていたが、週末は基本的に俺達は、『屋敷』に帰っている。

そして、一週間経ったが、流石にアカデミーだ。
モビルスーツ模擬戦・ナイフ戦闘術・情報処理・射撃・爆薬処理・座学……その他、諸々etc……
一気に濃い内容の授業を受けさせられる。他の生徒達も選ばれただけの事はあって、授業に難なくついて行っている。

――まだ短い期間しか学んでないが、俺はかなり充実した日々を送っていたのだ。

ちなみに今、読んでいる本は、『相棒』の例のお兄さんが執筆したという、『花とサムライとMS』というMS戦術理論本だ。
……これは、年間の『プラント・ブック』の売り上げbPの本だというのだ。

……タイトルは凄いが中身は、れっきとした分かり易いMSの解説と運用の理論本なのだ。
MSを知らない、一般の人にも分かりやすく解説してある。

多芸だよな、と俺は思う。この人は、『歌って』『踊れて』『書いて』
しかも『最強パイロット』で『天才指揮官』か……

TVのドキュメンタリーだけでなく、解説や歌番組やTVのCMにも出てるし。

「俺には無理かな……」

と遂、黄昏てしまう。

自分の周りをこんな『天才』に囲まれていると、自分が矮小な人間のように思えてしまうのだ。

俺はため息を吐くと、開いた本を顔に載せてその場で寝っころがった。
暫くして、キャッキャッと明るい声が俺の耳に入って来る。そして、二つの影が俺の身体を覆った。

「なーに、黄昏てるのよ!」

「ん……?」

俺が、本を顔から除けると、丁度目の前を二つの顔が、興味しんしんと俺の顔を覗き込んでいた。

一人は赤毛で一本だけ髪の毛が跳ねているショートカットの少女と、
もう一人は、その少女と良く似た赤毛のツインテールの少女だ。

確か、入学式で周りから『美人姉妹』と呼ばれていた連中だったかな?
俺達二人は興味が無かったので、入学からここ一週間の間、この二人に特に関わっていなかったのだ。

「えーと……アべ……マリア……さん?だっけ?」

と、俺が何気なく彼女の名前を言うと、何故か赤毛のショートカットの少女は、顔を引きつらせながら、

「……ル○マリ○よ。○ナマ○ア・ホー○……ゲ○じゃないの!!よろしくね『天才』の片割れさん……!!」

今、気が付いたが、跳ねた彼女の一本の髪の毛が稲妻の形に見える。
見てておもしろい。それに今、彼女何て言ったんだ……『天才』?誰が?

そう言うと、彼女は口元を歪めながら、

「あ〜ら。ご謙遜?入学試験『次席』だったじゃないの?しかも実技は『トップ』なんでしょ?」

あの程度、何でもないよ。俺の『相棒』なんか『首席』のトップだぜ?
それに、俺の近くにいる人達は、全員が本当の『天才』だしな。

「……何でもない……それって、嫌味なのかしらね……」

プルプルとますます、彼女の機嫌が低下しているようだ。何か俺、悪い事を言ったのだろうか?

……彼女は、何を怒っているんだ?と、俺は今度は、彼女の妹さんの方へと話を振ると、
何故か今度は、妹さんの方は顔が赤くなった。

……ますます、よくわからない。

「――○ン」

そこへ、都合よく『相棒』がやって来たので心底、ホッとする。

「じゃぁ、悪いけど俺達、これから用事があるから」

と怒る姉と顔を赤くする妹の二人を相手に、軽く手を振って別れる事にした。
妹さんの方も、何か俺に用事があったみたいだけど、また、今度にしてもらおうか。

そして、俺は『相棒』と一緒にその場を後にするのだった。


>>続く
843通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 22:47:28 ID:???
おk!
844通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 23:01:45 ID:???
シルバー事件ktkr
845通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 23:07:05 ID:???
仮面の人のマルチタレントっぷりに笑った。
ピンクの歌姫なんて目じゃないなw
しかしセンスは似たり寄ったりかもしれん。
846通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 23:12:11 ID:???
GJ!!
クルーゼとマ○の生存フラグが立ったんで安心したw。
ところでクルーゼのマルチっぷりみて気になったんだが、ピンクは今なにしてるんだろ……
847通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 23:15:21 ID:???
GJ! そして色々な状況が断片的に。
少なくともマユがシンとともにプラントで健在である事はわかった。
両親は亡くなったのかもしれんが、マユが居て更に三悪人の薫陶を受けてると
すれば映画カミーユ並みの健やかクンになれそうな…
848通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 00:39:26 ID:???
さりげなく、他スレ絡んでるw
GJ
849通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 01:43:36 ID:???
>>846
ピンクに関してはいずれ本編で触れるんじゃね?

ともかくGJ!
850通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 08:53:37 ID:???
外伝と本編って同じ人?
851通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 23:46:15 ID:???
今気づいたんだが、外伝でデュランダルまだ外交補佐官じゃん。
もしかしてコレってシーゲルやパトリックも生存フラグ立ったか?

もしかしてあの戦争自体が比較的大規模にならないうちに手打ちに持ち込めたとか?
少なくともクライン派壊滅>エターナル奪取とかはなさそうだ。

こうなってくると本編が楽しみだわ。
852通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 23:54:08 ID:???
なんかヘリオポリスも平穏無事で、キラも無事卒業して就職活動とかしてそうだ。
存外、シンの親父の部下の新米技術者とかやってたりして。
(シンとマユが単に留学という形でプラントに来ていたとして。外様とかいってるしな)
853通常の名無しさんの3倍:2007/03/14(水) 17:33:29 ID:???
いろいろ引っかき回されて事態の収集が付かなくなる前に「三悪人」が歪
みの元凶を叩いたのが今の世界だと妄想

てか、大天使一行様が各地を転戦する事態にならなければ比較的事は
容易に収まると思うんだけどね
854通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 00:22:46 ID:E3kR6ROm
保守
855通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 06:23:09 ID:???
マフティーってなに?オリ設定?
856通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 07:11:27 ID:???
>855
「閃光のハサウェイ」を読めば幸せになれるよ

857通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 07:29:15 ID:???
>>855の犯した過ちは、マフティーが粛正する!
858通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 07:51:00 ID:???
>>855はまずググる癖をつけるべきだと思う
859通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 14:52:32 ID:???
斬新な質問だな〜。
860通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 15:33:48 ID:???
その弐まできての質問だからな。
861通常の名無しさんの3倍:2007/03/17(土) 18:45:44 ID:???
 

アプリリウス市のある大通りからデュランダル邸へと向かう近所に、大きな公園がある。

最近、殆ど彼のお仕事の手伝いをしている為に、ギルバートのお屋敷でお世話になっている私は、
仕事の合間に、よくこの公園へと散歩に来るのだ。

この公園は設備や広さといい、子供たちが駆け回り、ボール遊びをするのには確かに最適である。

……だが、最近の子供たちに奇妙な遊びが広がっている事を、ご両親は承知しているだろうか?

「私は『ラウ・ル・クルーゼ』だ!!あっははは!」

「ちがうよ!僕がクルーゼだよ!お前は、間抜けな『エンディミオンの鷹』だろ?」

「なにぃー!お前こそ、『エンディミオンの鷹』の『子分その1』じゃんか!」

その様子を見て、私は深く溜息を吐いた。

その内容ときたら……子供たちは、奇妙な『仮面』を付けて遊んでいるのだ。
……私は頭が痛くなってきた。

”ラウ・ル・クルーゼごっこ”……本当にプラントの将来は大丈夫なのだろうか?

公園では子供達の明るい笑い声が木霊しているのに、私の心の中は土砂降りの大雨である。
現在、全プラントのおもちゃ工房は、日夜『クルーゼマスク』を生産し続けている。

子供たちが”ラウ・ル・クルーゼごっこ”をする時に敵になるのは、ムウ・ラ・フラガこと『エンディミオンの鷹』である。

地球連合と云うよりも大西洋連邦は、完敗と言っていいこの大敗北を誤魔化す為に、
生き残りの彼を『エンディミオンの鷹』として英雄化しようとして、敗戦から目を逸らさせようとしていたのだが……

一部の媒体へと密かに流された『エンディミオン殲滅戦』の様子がアングラのネットによって、
世界各国へと流れたことにより、無駄に終わった。

ムウ・ラ・フラガが所属する大西洋連邦内だけは、辛うじて敗戦の混乱からの回復の兆しを見せていたが、
これによって、地球圏内の世界各国に於ける地球連合の影響力が、著しく低下した事は事実であった。

この謀略を考えた『三悪人』の内の一人は、今、自室でノホホンとコーヒーを飲んでいる事であろう。

逆にその現場の実行犯達である二人の方は、忙しく日夜駆け回っている。

裏方に徹すると宣言した一人は、今回『新星』と呼ばれるL4の東アジア共和国管理下の資源衛星の攻防戦の作戦に参加する予定らしい。
――無論、密かにだが。

どうやら、少し前に確認した『人材』とやらをこちら側にスカウトする為に必要な行動であるようなのだ。

そして、渦中の一人にして『三悪人』の最後の一人は……

――『エンディミオン殲滅戦』と呼ばれる地球連合とプラントの月での覇権を競った会戦は、
プラントの軍である『ザフト軍』の圧倒的な勝利で終った。

そして、その戦いの勝利の立役者であり、画期的な『モビルスーツ運用法』によって一躍踊り出た男。

――ラウ・ル・クルーゼ。

彼は、プラントの最大の『英雄』として全てのプラント市民から、熱狂的な歓呼の嵐で迎えられる事となったのだ。

世論に押される形で、『ザフト軍』を掌握しているザラ国防委員長も、彼を即座に昇進をさせる事を決定。
部隊隊長を押しのけて、一気に司令官職へと抜擢される事となった。

それは、別に私が文句を言う筋合いは、無いので善しとしよう……だけど……

――ちょうど、程よく私が視線を向けた方角には、公園から大通りの向って面した建物に大きなテレビジョンが飾ってある。
その大型テレビから最新型の車のCMが放送され、そのナレーションが流れていた。

『――走りを知る真の男が乗る車。抜群の乗り心地とスピード……』

一面に広大な世界が広がり、大きな道のど真ん中を車が走っている……
それが段々と画面がフェード・インをして、映すカメラの視線画面は運転席へと映ってゆき、
車はゆっくりと停止して扉が開かれる。

そして、運転してしていた男の姿が現れた。
同時に、ナレーションが流れる。

『――あのラウ・ル・クルーゼが選ぶ、この快適な走りと空間……』

運転席から出てきたのは仮面の男である。
……しかも何か豪奢な『仮面』である。

彼は、いつものあのスタンダートでシンプルな仮面ではなく、
白地だが、巧みな紋章や意匠が丹精に掘り込まれていた仮面を装着していた。
恐らくは、宣伝用なのであろう。

高級で趣味の良い夏用の白いジャケットをまとった彼が、
車の扉を開けて、車外へと颯爽と登場した。

長い美しい金髪をバサッと、両手でかきあげた彼は、
ボンネットへと座ると、こちらへ顔と視線を向けて――

『私が、感じたこの快適な走りを君へ――』

とハスキーな声で、しかも指で銃の形を作り、撃つ真似をした……
そうすると、その大型テレビジョンの周りの人だかりから黄色の声が響き渡る……

「「きゃーーー!!」

というような感じでだ。

ざっと見たところ、その人だかりの7割は女性であるようだ。

私には、理解できない趣味である。そして、スポンサー会社のロゴが最後に出てそのCMは終わった。
これでも、まだ地味な方なのである。

現在、時の『英雄』である彼には、常時に無数の出演依頼と取材に囲まれている。
以前のラウならば、そんなものは完全無視し、黙殺するはずであった。

だが…実際は……

――某プラントTV局・Mステーション――

『――今週のオリコン、初登場第一位は……ラウ・ル・クルーゼ!曲は、”○○ーズ”だぁぁぁ!』

『残念ながら御本人は軍務の為に生出演は出来ませんので……』

プロモーション・ビデオが流れ、歌が流れ始める。

『――♪じ○んをー♪せか○さえもーかえ○し○え○ーうなー♪』

そうして画面には、ドアップの彼の顔の左顔半面が映し出され……左目の辺りに何かマークが浮かぶ。

『♪――○ち○くすー♪じ○んを―♪○♪つ♪め♪』

尖塔の上で佇み、豪奢なマントを纏ったラウの全身像が映し出される。
画面がフェイド・インし、彼の顔辺りまで一気に画面が寄ると、彼は不敵な笑みを浮かべながら、

――バサッ!!

とマントを広げ……

『ま○い♪○が○♪○や○♪な○ら♪○やみ♪ながら――』

広がったマントを幕にして幾人もの人物が浮かび上がってゆく……

丁度、その頃の――デュランダル邸――

仕事が一段落した私は、夜の一時を優雅に過ごそうとしていた。
ささやかな贅沢として、良く洗練された豆で引いたの高級なコーヒーを楽しむのだ。
芳醇な香りを楽しみながら、何気なくテレビジョンのスイッチを入れると……

『……オリコン、初登場第一位は……ラウ・ル・クルーゼ!曲は、”○○ーズ”だぁぁぁ!』

「ふむ……」

――『プラントの市民の心をわし掴み』作戦。

……作戦計画は、順調のようだ。
古来、ソ○シの兵法で『城を攻めるは下策、心を攻めるは上策』と言うらしいが、
心から彼に感服する。凡庸で才乏しい私には、まるで思いつきしない作戦内容だからだ。

暫くして曲が流れる……
私はプロモーション映像を見ながら、コーヒーを啜っていると、

『……○が○♪○や○♪な○ら♪○やみ♪ながら――』

「ブッゥゥ!!」

喉がつまり、一気に鼻へと逆流した!

「げぼゥ、げッほ、げほっ……!!」

思わず飲みかけのコーヒーを吐き出してしまった……

そのシーンに出てきた見知った顔の中で、自分の顔もあったからだ……
咳き込みながらも、脳裏にラウの顔が浮かんだ。

『――何でもできると言う事は、ある意味で罪な事だな』

ラウの高笑いの声が脳裏に響く……

ちなみに、プラントの『歌姫』はぐーんと1位と票を離しての2位だったという。


>>続く
867通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 22:42:15 ID:???
ラウ何やってんだ
何やってんだラウ
868通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 22:49:33 ID:???
本当に人生エンジョイしてるなここのクルーゼはwww
歌姫さえ圧倒するその人気と仮面のバリエーションに吹きつつGJでした!
869通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 00:00:12 ID:???
PHKですが笛は歌うという学習番組を作りたいのでぜひ出演を・・・
870通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 00:01:02 ID:???
ポジティブラウ、すげーの通り越して恐ろしいよ!
871通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 00:44:57 ID:???
ほとんど『武装錬金』エピローグ時点のパピヨンと化しとるなここのラウ…
872通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 02:10:50 ID:???
こんなラウ……大好きだぜ! GJ!

コーヒーにむせるデュランダル激ウケ。
873通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 13:15:12 ID:???
>>862
クルーゼごっこの際には

♪今日も負けたか地球軍
 素手の相手にゃ勇ましいが
 ラウの率いるザフトには 
 泣いて許しを乞うばかり
 ああ なさけなや♪

とか歌われてそうだな。
874通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 01:57:10 ID:???
保守
875通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 18:29:28 ID:???
>862
これは良い狂うぜですね
876通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 22:49:15 ID:???
なんかこの世界、世界平和とか楽勝な気がしてきたw
877通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:18:26 ID:???
いや三悪人が作り出す世界こそ理想郷
878通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 21:01:27 ID:???
本編まだかなぁ・・・
879通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 21:26:09 ID:???
マッタリ待つんだ。
880通常の名無しさんの3倍:2007/03/26(月) 00:49:57 ID:???
ラウ・ル・クルーゼはもしかすっとUC側の方が合ってんじゃあないか?
いっそのことキラでもシンでもない、クルーゼをアッチの世界に飛ばしちまえw
881通常の名無しさんの3倍:2007/03/26(月) 15:43:00 ID:???
ラウ、プロヴィデンス貰ったら
「ええい!何故灰色なのだ!!私のパーソナルカラーの白にしろ!!」
とか言いそうだw
ラウがプロヴィデンスに乗ったらΞと一緒に戦場を完全に支配しそうだな。
『戦場の白き二神』とか言われるんだろうなあ
882通常の名無しさんの3倍:2007/03/26(月) 18:08:50 ID:???
いや、このラウさんとハサがコンビプレイなどできるはずが無い

「ハハハハハッ。私はドラグーンでもう5機撃墜したぞ!」
「人のファンネルミサイルごと撃墜しておいてよく言う・・・」

きっと状況忘れて競争ですよ。で、後にマジ喧嘩。MSで
883通常の名無しさんの3倍:2007/03/26(月) 21:58:22 ID:???
仮面の人には至福のひとときだな
敵をバンバン撃墜しつつ、悪友と思う存分やりあうw
884通常の名無しさんの3倍:2007/03/27(火) 01:07:57 ID:???
そして最後はエネルギー切れになり、部下に戦艦まで送ってもらいましたとさ。


ちゃんちゃん。
885通常の名無しさんの3倍:2007/03/27(火) 22:20:14 ID:???
>>882
「残念、俺はもう10機落としているぞ」
とハサに言われてやっぱり格納庫の隅で拗ねているんですね?
886通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 10:32:47 ID:???
「ギギか…、可愛いじゃないか」
とかなんとか言って、ハサウェイを煽るんですね?
887通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 12:59:09 ID:???
そしてたまに
「なあハサ、私のプロヴィデンスに乗ってみないか?代わりに私はΞに乗る、私の登録をしておいてくれたのだろう?」
とか言ってたまに機体を交換してるんですね?
888通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 13:27:22 ID:???
ずるいwww
889通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 14:03:14 ID:???
そしてハサウェイも
「仕方ない、代わりに今度何か奢れよ」
って言って、ラウが
「いいだろう。(どうせギルバートの金だしな)」
とか言ってるんですね?
890通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 15:05:24 ID:???
「レストランのランチ2回奢ったぞ!」
「私は13回奢らされた(ギルバードの金で)」
「しっかり数えてんじゃねぇ!!」
891通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 15:23:41 ID:???
議長「こいつら……人の金でOTZ」
892通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 20:38:44 ID:???
サラ「いいんじゃないですか? 有り余っているんですし」
893通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 21:49:19 ID:???
議長「しかしだな、マフティーの交遊費やΞの秘密兵器開発費まで私宛
    にされてるんだぞ・・・」
894通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 22:34:17 ID:???
ハサ「ギルバート、Ξは単独行動の時にしか使えないから俺にも強化したジンハイマニューバをくれ」
ラウ「ギルバート、せっかくまた三人そろったのだ何か奢ってくれたまえ」
サラ「議長、整備パーツが足りません、あとΞ用の秘密兵器、議長の名で開発させてます」
議長「お前らいい加減に・・・」

真面目にハサウェイ専用のジンハイマニューバ必要じゃない?
895通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 00:13:42 ID:???
議長「しばらく旅に出ます。探さないでください。」
896通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 00:19:07 ID:???
「旅に出ても良いが、カードは置いていって貰おうか。」
「ツケ払いで済ませるだけだな。」
897通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 01:55:20 ID:???
ここのギルバートは議長じゃなかったんじゃないか?
898通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 06:08:39 ID:???
無法天に通ず
899通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 06:24:18 ID:???
>>889→>896誰か纏めて小話作ってくれ
900通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 18:41:27 ID:???
いいだしっぺの法則
901通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 20:32:37 ID:???
ちょっと台詞を入れ替えたり増やしたりしたらどうにかなるが……。

あんまり描写が増えるわけでも無いけどそれでもいいならやるよ。
ただし、本編さんとは文体が違うぞ。
902通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 20:58:34 ID:???
>>901
待ってるのでやってください
903通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 20:58:48 ID:???
ラウ「ギル、私は貴様のスネかじりで経費を使っているのではないぞ。予想される収入を立て替えて貰ってるにすぎん。考えて見るといい近い将来どちらの収入が上か。(ニィ)しかも私の死後レイが引き継ぐであろうその金はどこにゆく。」
ギル「!!むう。そう言われては出すしかあるまい。(…ただやはり釈然とせん)」
904901:2007/03/29(木) 23:08:09 ID:???
とりあえず書いてみたが……。口調が怪しい。
俺、閃光のハサウェイさわりしか読んでねえんだよ……。
というわけで、口調や行動の不都合は脳内補正を掛けてくれ。

あと、本編と外伝の間の話が分からんから、そこら辺はフィクション入ってる。気をつけてくれ。





「なあハサ、次の戦闘は私のプロヴィデンスに乗ってみないか? 代わりに私はΞに乗る。私の登録をしておいてくれたのだろう?」

秘密結社マフティー・ナビーユ・エリンの執務室――とは名ばかりの、MS格納庫の横にあるハサウェイ、ラウ、ギルバートたちの溜まり場――に集って各々好き勝手に自分の仕事に没頭していると、不意にソファーでギルバートとチェスをしていたラウが顔を上げた。

仮面に隠された顔から唯一表情が分かる口元を見ると、とても楽しそうに歪んでいる。
対してその向こう側のソファーに座っているギルバートの表情は冴えないので、どうやら彼のほうが負けているらしい。

そんな彼らから少し離れた部屋の隅で黙々と腕立て伏せをしていたハサウェイは彼の声を聞き、腕を中途半端に折り曲げた姿勢で止まった。

「次の戦闘? お前、また変な事考えて無いか?」

「いけないか? とうとうファンネルミサイルが復元されたのだろう? 私も使ってみたいのだよ」

ラウの言葉を脳で租借した後、ハサウェイは腕立て伏せを再開しながら、どことなく胡散臭そうに言った。

しかし、それに対するラウの声音は、まるで友達の持っている最新鋭のラジコンに興味津々な子供のような無邪気さである。
いや、その内容からしたら無邪気で済まされないものであるが、そんなことはここにいる人間には関係ない。

五百……、と数え終わったハサウェイは、大きく立ち上がって苦笑した。

「仕方ないな。代わりに、今度何か奢れよ?」

「ふむ。私はこれまでに君に十三回ほど奢ってあげたが、いいだろう。なんでも頼め」

了承の言葉を受け取ったラウは、ソファーの上でふんぞり返って足を組んだ。
長考をしていたギルバートは、ようやく駒を進めて息をついてから、ちょっと待ちたまえ、と二人の会話に割って入った。

「ラウ……。それはもしかしなくても、全部、私のお金では無いのかね?」

どことなく理不尽だと訴えるようなギルバートの台詞に、ラウとハサウェイはきょとんと目を合わせた。
仮面越しではあるが二人の視線が絡み合ったのがよく分かる。

「当たり前だろう、ギルバート」

「そうだぜ、ギルバート。今更何言ってるんだ?」
905901:2007/03/29(木) 23:09:41 ID:???
ハサウェイの言葉は正しい。何故なら今までこの二人は大抵においてギルバートの金で様々な店に出入りしている。
奢り、奢られの話もほとんどがギルバートの懐にある金なので、実はこの会話は『今度、新しく出来た店に一緒に食いに行こうぜ』という内容に洒落を持たせただけであった。

そんな二人を見て、ギルバートはむう、と唸った。異邦人であるハサウェイは分かる。元々後ろ盾が無いし、それにその力とガンダムを借りている利子のようなものだと理解すれば腹も立たない(と、思いたい。何しろ彼は悪びれずに堂々と金を使う)。

しかし、ラウはどうか。
何しろ彼は、最近TVに出演したり、本を執筆したり、玩具会社と提携したりと、本来の給料も含めてかなり金が入ってきているはずだ。
それなのに、何故未だに自分の金を使うのか。ギルバートはそれが腑に落ちなかった。

「いいんじゃないですか? 有り余っているんですし。さほど問題は無いでしょう?」

そこに、ハサウェイとラウにとってはとっておきの味方、ギルバートにとってはありがたくない相手がやってきた。
Ξガンダムの整備・開発の責任者でもあるサラだ。
ハサウェイ、ラウ、ギルバート、サラ。この四人が『秘密結社マフティー・ナビーユ・エリン』の初期メンバーである。
現在は地球の裏側に根を張るこの『マフティー』も最初は四人から始まった。
ということは、彼女もこの中で充分発言権があるということだ。

「しかしだな、マフティーの交遊費はともかく、Ξの秘密兵器開発費まで私宛にされているのだよ。それは、どうなんだね?」

マフティーの金から出すのが筋ではないか?

ギルバートはせめてもの抵抗とばかりに、サラに向かってそう言い募った。
ここで素直に負けを認めてしまえば、全ての費用が自分の上に圧し掛かってしまう。

しかも、出費はこれだけではなかった。月の大戦が終わった直後、

『ギルバート、Ξは単独行動の時にしか使えないから俺にも強化したジンハイマニューバをくれ』

と、ハサウェイは言い出すし。

ラウは、三人が揃うとことあるごとに、

『ギルバート、この忙しい三人が珍しく集ったのだぞ。なにか美味い物でも食べに行こうではないか。お前の金で』

などと言い始めた。

しかも、サラまで、

『外交補佐官、整備パーツが足りません。あと、Ξ用の秘密兵器を外交補佐官の名で開発させています』

そう乗ってくる始末。
大体、あのころはまだマフティーは駆け出しだったからギルバートが金を出していたのは分かるが、現在は組織としてもけっこう金が溜まってきている。
ギルバートが、お前らいい加減にしろ! と言いたくなるのも当然というものだ。
906901:2007/03/29(木) 23:12:29 ID:???
「分かりました。では、Ξの兵器開発費用はマフティーから出す事にします」

それを聞いたサラはあっさり頷くと、そそくさと姿を消した。
どうやら資金源が決まって、なにやら新武装を考えついたらしい。どれだけの金が動くか知らないが、きっといい武器が作られるだろう。

しかし、戦争が終結しつつある今、新たに兵器を開発する必要も無いのではないか。と心の片隅で思う。
何しろ、大戦中からΞには新兵器だの秘密兵器だのを開発していた。今では一回の戦闘に全ての武装を使うことすらない。

「まあ、だけど俺たちに奢る金はいいよな?」

「うむ。兵器の開発費用に比べれば微々たるものだろう? なに、私たちの精神力の維持に掛かる費用だと思えばいいさ」

が、この二人はサラのように慎ましいなどという言葉は持ち合わせていなかった。
にっこりと言うより、にんまりと言う表情でギルバートの金を使うことを宣言してくれる。
そんな二人の姿を見て、ギルバートの頭に過ぎった単語は、居直り強盗だった。

「………………旅に出たいな。しばらく。そうだ、地球に休養に行きたいと思うよ」

いつの間にか駒を動かしていたラウに、先に進めるように促されたギルバートは、顔を逸らしてどこか遠い目線のまま呟いた。
声音にはいつもの余裕はなく、口元も少々引きつっている。どうやら、この不条理な仕打ちにかなりお疲れのようだ。

そういえば最近シーゲル・クラインの側近に名を連ねるようになったと言っていたので、肉体的にも疲労が溜まっているのだろう。
それに気付いた二人は、また、顔を見合わせ、心の底からあくどい笑みを浮かべた。

「そうだな。地球はいいところだぞ。一ヶ月くらいは休養してきたらどうだ?」

「私も賛成だよ。君は最近働きすぎだからね」

「なにしろ俺としてはカードさえ置いて行ってもらえばいい話だからな」

「うむ。全てツケ払いにしておけば月末あたりに集金が来るだろう」

ちなみにその後、ギルバート・デュランダルが本当に休暇を申請したのかは、誰も知らない。





なげえ……。誰だよ短いって言った奴(自分だ)……orz

すまん、こんな怪しい文を書いて。
これからは本編さんをまったり待つ生活に戻るさ。
907通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 23:17:40 ID:???
いやなかなからしさ出てるよこれ
てなわけでGJ
908896:2007/03/29(木) 23:21:13 ID:???
GJ!
909901:2007/03/30(金) 00:09:33 ID:???
ありがとう>907、896

ついでに誤字発見した。

904の租借は咀嚼だ。租借してどうする……orz
910887 889 894:2007/03/30(金) 00:29:31 ID:???
GJ!!
とても面白かった。
まさか俺が言ったネタがこれほど素晴らしいものになるとは
まあ
>>887>>889が自演に見えるのは気にしないでくれ
911通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 01:00:48 ID:???
乙だ!!
きちんと纏まってるから全然怪しくないよ。
912通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 19:24:30 ID:???
GJ!!
そのうちΞ、プロビ専用戦艦とか作りそうだなw
913通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 19:32:41 ID:???
むしろエターナルがその役目に
914通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 10:18:03 ID:???
ハサウェイの場合ホワイトベース型にしそうじゃない?
915通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 12:30:35 ID:???
とりあえずピンクはないわな
916通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 18:04:29 ID:???
頭の部分が仮面型になってるミネルバ
917通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 19:11:50 ID:???
敢えてアークエンジェルを強奪して、それを元に木馬型に(改装でも設計でも)なると信じる
918通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 19:22:31 ID:???
そしてプラントの流行語が「弾幕薄いよ、何やってんの!」になる。
919通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 22:17:37 ID:???
ホワイトベースとラーカイラムを足して二で割ったような戦艦になると俺は信じてるよ
920通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 22:57:53 ID:???
議長「いや待て君達、秘密結社に戦艦って・・・じゃなくてその費用どこから(以下略
921通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 23:01:34 ID:???
>>920
ラウ「ギルバート何を言っているんだね?もちろん君からに決まってるじゃないか」
922通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 10:36:48 ID:???
種死の時代には脱走兵がヴェサリス級持ってる世界だぜ。
923通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 17:16:04 ID:???
>>922
どうでもいいツッコミになるがヴェサリス級じゃなくてナスカ級ね
ついでにクルーゼが乗っていたのはヴェサリウス
軍以外で所有になるとサーペントテールが所有してたな…確か
924通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 17:25:02 ID:???
>>922
maji?
925通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 18:01:17 ID:???
>>924
ジャンク屋ギルドが接収したジェネシスαを襲撃した連中が使っていた。
補給とかは……ロゴスとか『一族』が関与してたのかね。
926通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 22:28:15 ID:???
>>925
「一族」ですね。
デストレイ小説2巻に明記されてます。
927通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 23:14:57 ID:???
そもそも「一族」が人口減らしの為に戦乱が起こるよう情報操作してた訳で。
928通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 01:36:14 ID:???
>>927
前大戦に関しては一族の関与に関しては書かれてない。
マティアスはテスタメントが盗まれてから「いよいよ一族も動き出した」と推測したようだが
929通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 17:54:49 ID:???
つくづく底の浅い世界だよな種は。
930通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 17:57:57 ID:???
だって数か月傭兵したら中古のジンが普通に買えちゃう世界なんだよ?
931通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 18:02:38 ID:???
傭兵って安月給なのにな。特技兵でも。
一番高くて、軍医か元佐官クラスの指揮能力があるやつだな。
932通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 18:04:55 ID:???
CEは違うんだろ。
933通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 19:58:20 ID:???
エリア88の傭兵なみに儲かるんだろ。
命があれば……な。
934通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 20:41:31 ID:???
ジャンク屋とか犯罪者の巣窟になりそうだが
935通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 21:41:03 ID:???
ジャンク屋が完全オリジナル生産MSを作っちまう世界ですから。
デス種後の地球は火薬庫状態らしいよ。
936通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 23:39:49 ID:???
テロリストが主人公でもWの世界とは真逆だな。
937通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 00:33:01 ID:???
世界が認めたカリスマや英雄を主人公サイドが倒し世界が平和になりましたって言ってのけた世界が種死以降だから仕方ない
938通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 01:57:12 ID:???
何のかんの言って究極のオリジナルMSはゲゼじゃない?Zガンダム並のパワーがあってしかも生産性にも優れてるんだぞ?
939通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 07:57:46 ID:???
ゲゼがビームステッキとルナチタニウム合金になったらもしかして強い?
940通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 10:32:24 ID:???
ラウ「このΞいいね、頂戴」
941通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 15:35:36 ID:???
>>940
ハサ「やだ、かわりにプロヴィデンスの装甲をルナチタリウムに変えてもらったらどう?」
942通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 21:15:36 ID:???
そういや種世界ってコネさえあれば傭兵ですらNJC手に入れられる世界なんだよな……
943通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 21:24:08 ID:???
ある意味平等な世界
944通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 21:29:02 ID:???
ジャンク屋だって陽電子砲装備です。
945通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 21:56:04 ID:???
彼は伝説のジャンク屋だから<944
946通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 01:24:15 ID:???
>>942
NJC自体はエネルギー問題解決のために普通に発電所に設置されとる。
ちなみにNJCを持ってる傭兵は特務兵だけだが、
コネも何も、それ以前に実力で軍から強奪してる。
サトー達は入手経路不明だが
947通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 11:46:45 ID:???
>>946
一応補足的に言えば、特務兵の奪ったのは核爆発で吹っ飛んでる
今持っているのはXアストレイのやつのはず
948通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 14:33:42 ID:???
>946
サトー達ってNJC使ってたか?
949通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 17:51:08 ID:???
>>948
フレアモーター動かす為に使ってた。
950通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 03:07:10 ID:???
新しい職人さん降臨マダー?
951通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 00:45:52 ID:???
なんで閃光のハサウェイという題名なんだ?
952通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 01:37:54 ID:sP8Sd7zm
閃光の様に散っていったからじゃね
953通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 05:22:35 ID:???
一瞬だけ苛烈に輝いて消える、閃光のような生き様だったからでは
954通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 17:02:38 ID:???
新シャアが消されるってマジか?
955通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 17:47:18 ID:???
釣りだろ
956通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 20:28:22 ID:???
今日ガンダムウォーでΞとペーが当たった。うれしかった。
957通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 00:49:08 ID:ylV5lPjZ
そろそろ次スレの季節ですね
958通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 11:32:44 ID:???
そういあまだ次スレ立ってないのか?
立ってればwikiの方のアド更新しようか思ったんだが
959通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 14:46:53 ID:???
次スレ
もしもマフティーが種・種死世界に来たら 其の参
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1176011107/
960通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 17:03:51 ID:???
早漏杉
961通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 17:47:04 ID:???
あと40レスをどうやって埋めようか
962通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 18:49:43 ID:???
作品とその感想
963通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 19:05:24 ID:???
新シャア版が削除された場合どうするか
964255:2007/04/08(日) 21:39:30 ID:???
スレが進んでいてビックリです!

更新、遅れて申し訳ありません。

41話目のハサ視点の本編の方が地味な戦闘シーンが淡々と続き、
MAを何機落としたとか、戦艦の横っ腹にミサイルをぶち込んだとかだけで、
書いている方も自分でもおもしろくねーとノタウチ捲くっている内にこの始末。

申し訳ありませんでした。

残り30数スレ数見ると外伝をもう一個落とした方がいいのか?
それともスレが埋まるのを待つのがいいか……?

965通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 22:14:36 ID:???
>>964
マイペースで書いてください、埋まるのにしばらくかかるようだし
外伝投入お願いしますだー
966通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 00:11:52 ID:???
>>964
こっちのスレでも次スレでもどっちでもいいから投下してください!
967通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 02:20:03 ID:???
>>964
書いてて冗長だと思ったらすっぱり切ることもアリなんじゃないかな
あとは言うまでもない、とか、後に兵士は、とか、一気に帰還後のシーンまで飛ばして地の文や
後々のシーンで語らせるとかやり様は幾らでもあるわけだし
968通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 22:47:04 ID:???
>>967に禿同
ぶっちゃけエンディミオン戦はちと長すぎた感がある。
外伝では種死世界まで進んでるし、このまま終了するんじゃないかと不安になる。
969255:2007/04/09(月) 22:58:25 ID:???
>>967-968
貴重なご意見ありがとうございました。

確かにハサ視点パートは、一方的な虐殺が続くだけなので
描写は連合艦隊側の残酷描写がメインになるだけです。

取り合えずエンディミオン戦は、クルーゼ側の視点で締めた方がよさそうです。
蝶ハイテンションの仮面の猛攻から逃れて、エンディミオンの鷹は一羽だけとして生き延びるか、
はたまたエンディミオンの三羽カラスになるか、ちょっと練りながら書きますね。しばらくお待ちを。
970通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 22:59:18 ID:???
 
――『士官アカデミー』中庭――

士官学校に入学してから10日が過ぎた。学校での生活も慣れ、寮生活もそれなりに満喫していた。
寮の部屋は相部屋であり、俺と相棒の二人で生活をしている。

無論、週末には屋敷に戻って妹と会ったり、俺達の身元保証人としてお世話になっている
暫定プラント最高評議会の外交委員長(先週、いきなり昇進したそうだ)と相棒の兄である
仮面の英雄として有名なザフト軍の司令官とも顔を会わせた。
肝心の”あの人”は残念だが任務だそうだ。

相棒のそのお兄さんは、プラントの”英雄”であり特別に士官用の豪華な官舎を持っている。
なのに週末の殆どをこの屋敷で過ごしているらしい。

更に近い内にその官舎を引き払いここに住むと豪語していた。
理由は、家賃や光熱費、食費がタダだからだそうだ……ちなみに、小遣いもせびれるのも大きな理由らしい。

『……ザフト軍の給料は安いからな』

……心配になって来た。俺も将来はザフトに入るのは決定している。
給料の事なんか正直考えたことがなかったからだ。

でも、この人はCMやCDの売り上げ、それに印税で荒稼ぎしているはずなんだけどな。
その事が気になってふと、”あの人”に聞いてみると、

『――あいつは、自分の健康の留意と管理の為に莫大な金が掛かっていてね。
 ”健康管理”の連中に鼻毛まで毟り取られてるそうだよ』

大笑いしながら、そう答えてくれた。
しかも、『お前も健康と女には、注意するんだぞ』とも言われてしまったのだ。
健康は自分でも、気を付けてるし、女と言われても実際ピンと来ない。
それは、俺がまだ子供だからだろうか?

学校の中庭の一角には、俺のお気に入りの大きな木がある。
俺は良くそこで読書をしたり、瞑想の為の座禅を組んだりする。

瞑想は精神修養の為の一種の鍛錬である。
”心は力也” ”日々修行也” は俺のモットーでもある。

そう、一秒でも無駄にしたくないのだ。
一分一秒が俺にとっての貴重な修行の時間である。

時は無限ではなく、時間は金の砂粒より貴重なのだから。
俺は、木の下で座禅を組み、目を閉じる。
精神を統一し、心の邪念を払うのだ。

「……わが心は”空”也。”空”なるが故に”無”」

と教えられた言葉を口にする。特に気に入った言葉だ。
あの人から聞いた話によると、サムライと呼ばれる戦士達は強さだけではなく、常に心を大切にしたそうだ。
俺はオーブ生まれだが、先祖はどうやらそのサムライの島国の出身らしいのだ。だから性に合うのだろうか?

俺はあの”戦争”によって自分の無力さが悔しく”力”というものを求めた。

そして、血と破片が撒き散るあの戦場で、俺は自分の人生を決定する運命の出会いとも云うべき邂逅をした。

そう、命の恩人でもある”あの人”は俺に『力を与えてやる』と言った。

――『戦う術をお前に与えてやろう』と。

だが、その為には、『心』が強くなければ話にならないと。
表面的な力しか手に入れる事ができない。それが、『コーディネイター』の最大の欠点でもあるのだと。

(……未熟な俺には、まだそれがわからない……だが)

「なーに、寝てるのよ!」

「うん……?」

目を開けると目の前を二つの顔が俺を覗き込んでいた。
御馴染みの赤毛で一本だけ髪の毛が跳ねているショートカットの少女と、
もう一人は、その少女と良く似たツインテールの少女。
自称美人姉妹で、名前は確か……

「えーと……その、アべ……マリア……さんと……」

俺が二人の名前を必死に思い出そうとして、口に出してそう答えると、
赤毛のショートカットの少女は、顔を引きつらせながら、

「……ル○マリ○よ。○ナマ○ア・ホー○……!!これで二回目!ゲ○でも○ズでもないの!!」

相変わらず彼女の一本の髪の毛は跳ねて、そして稲妻の形状となっていた。
こちらの妹さんの方は、オズオズと俺に名前を教えてくれた。

「メイ○ン・○ークです……ア○カさん」

中○系だな。だからツインテールなのか。と妙に納得のいく感想を持ってしまう。

名前のアクセントが違うけど、お姉さんとは義理の姉妹なのかな?

珍しくて、遂、ジーッと妹さんの方見ていたら、何故か、彼女の方は顔がドンドン赤くなっていき、
逆に姉の方の機嫌が急降下し、ドンドン悪くなるのが気配でわかってゆく。
それに恐ろしい程の殺気を感じる。何故だろう?

……ますます、わからなくなって来る……まだ修行が足りないかな。

「――シ○、もうじき時間だぞ」

険悪な空気の中で、丁度いいタイミングで相棒が顔を見せてくれた。

今日、これから相棒のお兄さんが主演の『花の仮面騎士〜空の彼方に〜』のTVドラマのロケがある。

実は困った事に丁度、役に空きが出てしまい、急遽代役が必要となったのだ。
そこでお兄さんの強い推薦で白羽に矢が立った俺達は、その『仮面家来』としての役で登場する事になったのだ。

無論、俺達も仮面を付けるから素顔はわからない。画面の片隅に映るだけの存在だ。
だから学業に支障が出る恐れは無いだろう。一応は芸能デビューになるのだろうか?

ヒロインは、公募で選ばれた新進気鋭の女優志望者らしい。ミー○……キャ○、
なんとかと言う余り見た目は、パッとしない容貌の女性だったような気がした。

俺は芸能関係が全く疎いので良くわからないけど、人は見た目じゃないはずだ。
そして、これは軍広報部公認なので学校の方も出演を黙認してくれているのだ。

「じゃぁ、悪いけど俺達、これから用事があるから」

と怒り心頭の姉と顔が赤い妹さんの二人とその場で別れる事になった。
そして、俺は相棒と一緒にその場を後にするのだった。



>>続く

974通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 01:48:46 ID:???
GJ!!
続きは次スレになりそうですね
975通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 11:30:49 ID:???
GJ!!


健康管理で鼻毛をむしられるラウに思わず噴いてしまいました。
それにしても、シン名前覚えろよ……。
976通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 13:38:45 ID:???
GJ!

しかし”心は力也”を見たときに、力也って誰?と思った俺は死んでくる
977通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 14:38:37 ID:???
>>しかし”心は力也”を見たときに、力也って誰?と思った俺は死んでくる

小山力也が浮かんだ私もいる
978通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 15:29:26 ID:???
>>977
なんで俺がいるんだよ!

とりあえずGJ!
979通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 16:02:34 ID:???
>相棒のお兄さんが主演の『花の仮面騎士〜空の彼方に〜』

ちょwwwするとアレっスか、天帝Gの説明を一括ですますために
宇宙烏帽子をかぶって宇宙幸若を踊らされるわけでつか。
それどこの「シャアの慶○」かとwwwww
もっとやれ!
980通常の名無しさんの3倍:2007/04/13(金) 01:43:18 ID:???
埋め
981通常の名無しさんの3倍:2007/04/13(金) 14:41:12 ID:???
うめえ
982通常の名無しさんの3倍:2007/04/13(金) 20:04:19 ID:???
おいしいよとってもおいしいよ
983通常の名無しさんの3倍:2007/04/13(金) 20:30:58 ID:???
では巨大化して大阪城を破壊してくれ
984通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 15:11:23 ID:???
mada削除されないのかな
985通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 21:57:40 ID:???
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http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1148709256/

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http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1134963667/
986通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 00:13:17 ID:???
たまにマフラーとマフティーを見間違う
987通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 00:41:14 ID:???
ハサウェイが、ザフトに手を貸している理由って、
「地球にのさばっているあいつら気にくわねぇ」
「あいつらを叩きのめすなら、手を貸すぜ!」

だっけ?
988通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 07:19:28 ID:???
連合=連邦
ザフト=ジオン
そういう風に見たからだと俺は感じた
989通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 10:08:42 ID:???
クシィーが落ちて、死んだと思ったら異世界に飛ばされて、やけっぱちになったからだと思ってた。
そこでの生活基盤は最初に保護されたザフトしかないし、なんだかんだ悪友もできたし、
ってとこかと。
990通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 11:33:54 ID:???
政治家や将官でもない一個人の理由としては友人や恩っていうのはある意味大義とかより上等だと思う。
ただクスィーの力の大きさからするとそれだけじゃ物足りない気もする。
991通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 11:35:21 ID:???
991
992通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 13:41:57 ID:???
クスィー
993通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 15:10:32 ID:???
クサイガンダム
994通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 15:44:49 ID:???
埋め
995通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 16:04:30 ID:???
期待がつのる〜
996通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 18:03:13 ID:???
埋め
997通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 19:06:14 ID:???
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998通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 20:38:33 ID:vm6euV71
998
999通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 20:43:18 ID:???
さぁ!
1000通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 20:43:49 ID:???
1000!!!!
10011001
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