【運命を】SEED DESTINYでSSを作るスレ6【変えろ】

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1通常の名無しさんの3倍

すみません!
俺の投稿で容量一杯になっちゃったらしく…本当にすみませんorz

ではテンプレいきますね。


SEED及びSEED DESTINYはいい素材がいっぱいあるのに…それが生きていない!
または、ここでこうやってたら面白かったんじゃないか?
などを思ったことはありますか?
ここは、そんな人たちで理想の種及び種運命を生まれさせるスレ。
リライトでも話を変えても今の本編からの「もしも〜」や、
設定を生かした全く違うSEEDなどを書いてくれればいいです。
SEEDでの主人公を変えて作るなどもやれるのならば!

※職人さんは感想などをちゃんと聞きましょう。
特に「ここはこうすれば良いんじゃない?」と言うような言葉には出来るだけ従いましょう。
それこそがあなたを職人として成長させるのです。
職人さん、頑張ってください。みな応援しております
2762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/26(月) 20:10:11 ID:???
前スレ
SEED DESTINYでSSを作るスレ5
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1135689462/l50

過去スレ
SEED DESTINYでSSを作るスレ4
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1128326660/
SEED DESTINYでSSを作るスレ3
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1125913165/
SEED DESTINYでSSを作るスレ2
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1122129101/


(ソレトニゲット)
3LR(略) ◆9AUE2RuSV. :2006/06/26(月) 20:14:02 ID:???
関連スレ

連合サイドでデス種作ろうぜ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1126173426/
もしシンじゃなくてマユが主人公だったら10
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1134726256/
スティング主人公でオリジナルの話作ろうぜ 第三話
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1130824793/
どうすれば種DESはもっと面白い作品になったか4
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1130505562/
もしもシンではなくルナマリアが主役だったら
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1126446510/
アウル主人公でオリジナルの話
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1133059025/
新キャラメインでDESTINY学園開校4
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1132493998/
もしCE世界にレイヴン達が存在していたら 火星編
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1149515357/
デス種はエースコンバットに似てるのか5
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1150039403/
4762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/26(月) 20:29:07 ID:???
【機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その10


 工区の壁材が爆発・破壊し、煙の中から争奪戦が行われている戦場へ、一直線にソレが突っ込んできた。
 白煙と大音響を響かせタンクモードのMSが、追加ブースターを盛大に吹かせてヘリオポリスの空を飛んでいたのだ。
 それは今や旧式機の代名詞となってしまった可変式MS、ザウートであった!
 TFA−2DD。DD部隊使用ザウート。これはザウートの各部を改造し宇宙戦を一応可能とさせた機体であった。
 サフト、連合、オーブ。全ての通信帯に下卑た笑い声が響き渡る。
 それは雄叫びではなかったことを断言する。
 それはただただ戦争を楽しむ、否、戦争を味わい、貪り、しゃぶりつくさんとする人間のクズどものからの一方的な通信だった。
「ヒャ〜〜ハッハッハァッッ!!ヘイ、聞こえるか、つ〜か聞く耳は残ってるかボーイ!?騎兵隊の御登場だ!!って、あ〜あこりゃひでえあり様だな、おい!
黄昏の、白くイカしたヤツをそのまま押さえ込んでてくれえ〜。こっちで坊主どもの援護やっちまうからよ。な?な?つ〜わけで、だ」
 その声を耳にしたアスラン達は、危機にも関わらず呆れはてた。こんな時に何やってんですか、あの人たちは!
はしゃいだ口調が一変して本気モードに入る。
「DDより奪取隊へ、このまま空中をブースター飛行しながらそちらへ直行す。こちらの搭載火器全てで援護攻撃を行うため、流れ弾で怪我したくなければ頭を引っ込めていろ。
『目標』に着地次第、奪取援護部隊をトレーナー周りに展開する。その後訓練通り行え。貴様達なら必ずできる。オーバー」
5762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/26(月) 20:57:54 ID:???
ミゲルはさきの交信で頭にカチンとくるものを感じながらも要請に従った。
今ミゲル達の眼前にいる白いジン"煌く凶星「J」"は、間違いなく強敵だった。
無論ミゲル達が対MS戦に慣れていないということではなかった。むしろザフトの中でも幾度も演習を積み重ね、来るMS戦争に備えていたのだ。
しかし白いジンの強さはケタ外れだった。ミゲルは思う。奴の強さはまるで、かつて戦った最強の傭兵サーペントテールに匹敵する。
それも当然かもしれないと、戦いの中ミゲルは思った。
連合に属するコーディネイターでありながら、白く塗られたジンで絶えず最前線を戦い続けたのだ。
ミゲルが知っている情報だけでも、たった一機で(そもそも彼一機しかいない)多数のMSを正面から相手取る戦いを優に五十回以上は繰り返している。
(死線を潜った経験が、俺達とはまるで違うんだ)
ミゲルは敵に思いはせそうになるのを中断し、状況の変化を利用して戦法を変える。
これまで三機で、交互に射撃と斬撃と防御を繰り返し相手の隙を窺ってきたが、自分以外の二機を防御に回し自分ひとりで白いジンに立ち向かう!
6762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/26(月) 21:06:51 ID:???
いったんここで止まります。

皆様御迷惑をおかけし申し訳なかったす^^;
7762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/27(火) 00:24:37 ID:???
これ忘れてたw

SEED DESTINYでSSを作るスレまとめサイト
http://seedss.web.fc2.com/index.html

それではおやすみなさい(´・ω・`)
8SIN's DESTINY:29:2006/06/27(火) 01:52:21 ID:???
ここは地球。
「わー、すごーい!きれー!」
外から届く子供達の声。
暗い部屋の中に浮かぶのは、椅子に座った男。
その両隣には仮面をつけた男と、まだ幾分かの幼さを残した青年。
三人の視線の先には、真っ二つに割れたユニウスセブンの映像。
「割れましたね」
口を開いたのは青年。
「ああ、割れたな」
答える仮面の男。
「…彼ら≠フ作戦は成功ですか?」
「…いえ、落ちます。
だいぶ軽減はされるでしょうが、かなりの数の破片が大地に降りそそぐでしょう」
少年の言葉に、椅子に座った男が答える。
椅子に座った男の顔は暗闇に包まれたまま、
その表情すら伺い知ることができない。
「おにーちゃーん!すごーい!きれーだよー!」
外からの青年を呼ぶ声。
「…もう勝負は決しました。
これ以上は、見る必要も無いでしょう。
あなたは子供達の相手をしてあげなさい。
キラ・ヤマト」
窓からの光が青年の顔にそそぐ。
その顔は前大戦、最強のMSフリーダム≠駆り、見事、終戦へと戦局を導いた
キラ・ヤマトのそれ。
「はい」
キラは部屋を立ち去る。
9SIN's DESTINY:30:2006/06/27(火) 01:57:40 ID:???
「…さて。これからどうなりますかな?」
仮面の男は饒舌。
仮面で顔を隠していても、仮面の男は全身で豊かな表情を作っていた。
「どうもこうもしません。運命の歯車≠ヘ回り始めたのです。
あの忌まわしきユニウスセブン、ナチュラルとコーディネーターとの
偽りの平和の象徴≠ェ地に落ちることによって。
…全てはこれからです」
椅子に座った男の声に表情はない。
まるで天からのお告げを民に伝える預言者にように、
気高く荘厳だった。

空には落ちるユニウスセブンと戦闘の光。
「おにーちゃーん!早く!早くー!」
「今、行くよ」
笑顔で答えるキラの視線の先には数人の子供と、
一人の緋色の髪の少女。
「…ラクス」
キラの呼びかけ。
緋色の髪の少女は振り返る。
その顔は前大戦の最中、政争の中で命を落とした、
プラント最高評議会議長シーゲル・クライン≠フ一人娘、
ラクス・クラインのそれ。
「キラ…」
ラクスの瞳は涙に揺れる。
「心配いらないよ、ラクス」
キラの優しい言葉。
しかし、ラクスは首を振る。
こぼれる涙。
心配そうにラクスを見上げる子供達。
「ラクス…!」
キラはラクスを抱き締める。
「信じよう、マルキオ導師を…!」

部屋に差し込む光。
その光は椅子に座った男の顔を照らす。
その顔は前大戦終結の陰の功労者。
導師マルキオのそれだった。
10SIN's DESTINY:31:2006/06/27(火) 01:59:46 ID:???
「くそぉ…!なんてザマ…!」
右足を失ったルナマリアのガナーがミネルバに帰艦する。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
妹、メイリンからの通信。
「…ええ、大丈夫よ。…戦況はどうなってるの?」
ルナマリアの口調には若干の突き放す響き。
「…とりあえず最悪の事態は無くなったみたい。
それでもこのままじゃ、かなりの被害が地球に出るだろうけど…」
「…シンとレイは?」
苛立つルナマリア。
「え…、レイは既に帰艦してる。
すぐ、この艦の警護のために外に出るけど」
艦の外に出ようとするブレイズが視界に入る。
無傷ではないが、まだ十分戦闘が可能だった。
「シンも今、こっちに向かってる。
アビスと接触したけど、何とか撃退できたみたい」
ルナマリアからの返答は無い。
「…お姉ちゃん?」
「…メイリン、今はまだ戦闘中よ。
私の相手なんかしてる時間、無いでしょ?」
「お姉ちゃん…」
ルナマリアは通信を切る。
「私だけ…みじめで…!!」
ルナマリアの拳は悔しさに震えていた。
11SIN's DESTINY:32:2006/06/27(火) 02:03:00 ID:???
「よ、随分ハデにやられたな」
ガーティ・ルーに戻ったアウルを出迎えたのはスティング。
アビスの損傷は左の肩アーマーが中破、右足切断、右腕と肩アーマーに至っては
跡形も無く吹き飛んでいた。
「あの新型のパイロット、今度会ったら、ぜってぇタダじゃおかねぇ…!」
「落ち着けよ、アウル。俺だって、あの白いボウズ頭にやられたんだ。
負けは素直に認めないとな」
ガイアもまた右足、二機の装甲ポッドなど、アビスほどではないにせよ、
かなりの損傷だった。
「それよりステラのヤツ、見なかったか?」
「…い〜や?
ったく、アーモリーワンの時といい、ホント今イチだよな、アイツ」
「…そういうなよ」
スティングは割れたユニウスセブンに視線を移す。
「…やっぱりアイツには早すぎたんだ」

「アレックスさん、帰艦命令が出てるんですよ!」
それはシンからの接触回線。
「…まだだ、もっと細かく砕かないと…!」
「…どうして、何であなたはそこまでするんです!」
問いに答えず、アスランはメテオブレイカーの操作を続ける。
しかし、幾筋かの閃光が二機を襲う。
「これ以上はやらせん!」
半壊状態のジン。
「コイツ、まだ…!」
シンはブラストを応戦の構え。
そして、ジンの反対方向に降り立つ黒い影。
「なに…!」
ウォーリアを構えるアスラン。
それはMA形態のガイアだった。
12シン運命:2006/06/27(火) 02:07:22 ID:???
9AUE2RuSVさんよ、私は帰ってきた!

そんなわけでスレ立て超絶乙です。
13通常の名無しさんの3倍:2006/06/27(火) 02:57:17 ID:???
>>12乙!
もしかしてここでステラミネルバ入り?
この後がオーブだということを考えるとそうなれば希望が持てますな。

それと前スレの名無しK氏乙!
シンといいカガリといい本編より好感が持てるな。
そういえばカガリはあれだけ覚悟を決めてるんだからサハク家との和解も進めてるんだろうか。
それともこの話はASTRY関係は一切無視して進めてくのか?
14通常の名無しさんの3倍:2006/06/27(火) 13:38:41 ID:???
乙!
描写が丁寧で良い!

黒自由とテゥモロー完成したから、SSのテキスト添えて画像うpしたいんだけど撮影機持って無いorz
15762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/29(木) 00:50:59 ID:???
保守をかねて投下
16762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/29(木) 01:02:35 ID:???
【機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その11

ラスティ、オロールの両機は機動を止めずにセンサーで周囲を探る。これまで絶妙のタイミングで三機を攻撃してきた有線ミサイル搭載のブルドック等戦闘車両を発見し駆逐していく。
これまで白いジンとの戦闘に傾注しなければならなかったので見つけられなかったが、元来高性能なジンのセンサーで改めてスキャンしてみると、建物の影や資材などでお座なりに隠蔽させたそれらをいとも簡単に発見できた。
搭乗員や操作員が居ようがかまわず撃ち、踏み潰す。
情けは無用だ。これ以上邪魔されるのは御免こうむる。
アスラン達奪取舞台への援護は小癪だがナチュラルのDDの奴らに任せればいいのだ。
こちらにできることは黄昏の魔弾が煌く凶星と一騎打ちできるよう御膳立てを全力で遂行する。

 レイン・ラングレーは混乱していた。
 このタイミングでMSが、まるで横合いから殴りつけるように現れるなんて卑怯以外の何者でもないとおもった。
(なんで今更になって!)
 工場地区中央からブースターを全開に吹かしたザウートがもうすぐこちら、トレーナーの上空を通過する。
 レインはすぐに双眼鏡でザウートの状態を確認する。
 案の定、タンクモードのザウートの横になった脚部に何名かの歩兵が確認できた。ザウートには座乗した歩兵のために即席の銃眼装甲板を貼り付けていた。
 もっと良く見ると、歩兵はどいつもこいつも大型の重火器を装備してやがったのが確認できた。
 状況は最悪に取って代わってしまった。
 ザウートがもうすぐこちらの直上を通り過ぎる。
(いかん。奴らは通り過ぎる際、前火力で上空から制圧にかかる気だ)
「総員撤収!攻撃を止め直に建築物内に退避せよ!」
 言い終わる間にザウート座乗兵から攻撃が始まる。 
 あまりの咄嗟のことで逃げ遅れたトレーナ上部に配置した銃座の兵から悲鳴が上がる。
「うわああああああああ!」
「ぎゃああああああああ!!!」
「痛い痛い痛い、衛生兵衛生兵!! ぐああああ……」
 殆ど防御力の無い銃座の兵から悲鳴が上がる。
 弾着音に爆発音が加わり、さっきまで鳴り響いていた兵士達からの悲鳴が途絶える。
 ザウート座乗兵は搭載火器に制限なんぞ無いらしく、重機関銃から連発式グレネードランチャーまで持ち込んでいた。
 トレーナ上部の兵を見捨てる形で、レイン・ラングレー少尉はそれらの悲鳴を背にトレーナ底部に潜り込み、容赦ない弾雨から身を隠す。
(畜生!畜生!畜生! 何で俺がこんな目に会わなくっちゃならないんだ。やっぱあれか、ギナ派やアスハ派に入らず中立を気取ってたのがマズかったか!?)
 レインが居たのはX−105"ストライク"と呼ばれていたMSを積んだトレーナだった。
(さすがにMS本体には攻撃を加えないはずだ)
が、それさえも掻き消す爆音が続く。
40ミリグレネードの音ではない、明らかに使い捨て型対戦車ロケットLAWの攻撃が搭載しているMSなぞお構いなくトレーナ本体に加えられているのだ。
爆発四散するトレーナ操作・運転室。
(駄目だ!あの爆発ではトレーナ下に設けた銃座も耐えられない!)
 ザウートはトレーナに対しゆっくり旋廻する形で飛び、ある程度打撃を与えたと判断すると、急旋回し真っ直ぐ突っ込んできた。
17762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/29(木) 01:14:25 ID:???

「なんてメチャクチャな……!!」
 アスランのから出た言葉はそれだけだった。
「でも……おかげで助かりました」
 隣のニコルが体に積もった埃と破片を払いながら起き上がる。
 周りは火の海と形容しようが無かった。
 MSの迅速な奪取を目論む彼らには考えられない光景だった。
「グ、グゥレイト、ここまでやるか!?」
「知るか! あのナチュラルどもメチャクチャにしやがって、肝心のMSが破壊されたらどうするんだ!」
 口々に驚嘆や罵声を上げながらも、アスラン達は体勢を整えられた。
 いままで彼らに向ってきていたパワードスーツはなるべく意識から外した。
 それは余りにも凄惨な状態になっていたからだ。
 DDのうち二名が好みで持参していたボルトアクション式大口径20ミリ対物ライフルが、パワードスーツ腰部装甲を打ち抜いて、体の上下を引きちぎっていたのだ。
 一々気にしていては戦争なんて出来ない。また、士官学校時代DD達にそういう風に鍛えられていた。
 ザウートがついに着陸した。否、墜落といった方が正しいかもしれない。
 瓦礫を飛散させ、アスラン達から見て真ん中のトレーナに衝突するように突っ込んだのだ。
 装甲板がパージされ、元の状態へザウートが戻るのが早いか座乗していた悪魔共が次々と降り立って残敵掃討へ掛かる。
 アスランは皆の顔を見渡し言った。
「さあみんな、教官達がMS周辺を確保してくれている。俺達は俺達しかできない仕事に取り掛かろう」
18762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/29(木) 01:24:27 ID:???
以上本日の投下終了!


さ〜原作キャラもオリキャラも御一緒に糞の様な戦場で、
踊ったり踊らされたり、利用したり利用されたりしましょう!
戦争はまだまだ始まったばっかりw

コーディネイターやナチュラルといったよくわからん区別するヤツは豚の餌だあ!
戦争にそんな区別なんぞあって無きモノ。
違いを乗り越え、
上手に利用した者だけが勝利するのだ!


というわけでおやすみなさい(´・ω・`)
19762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/29(木) 01:42:32 ID:???
最後に、とんでもない誤字を発見したorz

×トレーナ

○トレーラー

超勘違いしてたw
20762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/30(金) 00:08:19 ID:???
とんでもないことを忘れていた

SIN's DESTINYよ
激乙!!!

貴方が直後に投下してくれたから今がある感じw
21SIN's DESTINY:33:2006/06/30(金) 01:00:46 ID:???
MA形態のガイアが突進。
アスランのウォーリアは避けきれず、吹っ飛ばされる。
ガイアは咆哮とともにビームブレードを展開。
その横で起動を始めるメテオブレイカー。
「く…!」
アスランはウォーリアの体勢を立て直す。
頭から突っ込んでくるガイア。
アスランはガイアの頭をうまく脇に挟んで、そのまま後方へと受け流す。
そのままライフルを放つアスラン。
放たれた光は四発で止まる。
当たったのは二、三発。
ライフルはエネルギー切れ。
そして、ガイアの装甲に表立ったダメージは無い。
ガイアの再度の突進。
アスランはウォーリアのトマホークを迎え撃つ。
しかし、ガイアは俊敏な動きでトマホークをかわし、
ウォーリアを再び吹き飛ばす。
宇宙空間に放り出されるウォーリア。
「!」
体勢を整えようとするアスランに突如、重みが全身に襲う。
後方には巨大な青い地球があった。
そして、三度、ガイアの突進。
「うあッ…!」
ガイアとウォーリアは完全に地球の重力の影響下に落ちた。
22SIN's DESTINY:34:2006/06/30(金) 01:03:00 ID:???
「アレックス!」
後を追おうとするシンの前にジンが立ちはだかる。
「どけよ!これ以上、戦って何になるっていうんだ!」
「どかぬ!ひかぬ!全ては青き清浄なる世界のために!!」
「どけっつってんだよ!!!」
シンの絶叫はジンのパイロットの絶叫を凌駕した。

「ザク、インパルス、共に捕捉しました!映像に出します!」
ミネルバのブリッジにアスランのウォーリアと、シンのインパルスが映し出される。
「……!!」
騒然とするブリッジ。
「そんな…アスラン…!」
カガリの口を押さえてつぶやく。
アスランの乗るウォーリアはMA形態のままのガイアと共に
地球に降下を始めていた。
「ミネルバ!聞こえるか!応答してくれ!」
それはシンからの通信。
「フォースシルエット≠出してくれ!
それとデュートリオンビーム≠セ!!」
「!…まさか、シン!ムチャよ、それは!!」
シンの通信に答えたのはタリア。
「データ上では可能なはずでしょう!
どちらにしろ、早くしなければ間に合いませんよ!」
「たのむ、艦長!アスランを助けてやってくれ!
お願いだ!頼むから…!!」
割って入ったのはカガリ。
「艦長ッ!!」
カガリの涙の懇願。
しばし、タリアは思案する。
二人を見守るブリッジのクルー。
「…わかりました。
アーサー、デュートリオンビームの用意!
メイリン、すぐにフォースシルエットの射出!」
「…ありがとう、艦長…!」
カガリは膝からくず折れた。
23SIN's DESTINY:35:2006/06/30(金) 01:05:35 ID:???
ミネルバから放たれるフォースシルエット=B
それは一筋の流星となってインパルスの元へ。
シンは背部のブラストシルエットを排出し、入れ替わりに
フォースシルエットを換装する。
続いて放たれる、デュートリオンビーム=B
そのビームを頭部の受光帯に受け、
インパルスの機体はみるみる青く色づいていく。
そして、エネルギーの補充を終えたインパルスは、
アスランの元へ。
「どうか…たのむ…!」
カガリはまさに祈るような思いでつぶやく。
「私達もこのまま、地球に降下しながら破片の粉砕を行います!
アーサー、主砲の用意を!」
「は、はい!」
手際よく指示を出す、タリア。
ただ、その震える右手だけがタリアの思いを語っていた。

「みんな!みんな!死ねばいい!
怖いものは嫌いだ!だから!みんな消えてしまえ!!」
ガイアのコクピットで吼えるのはステラ。
その声はウォーリアのアスランにも届く。
「コイツ…女?何を言ってる!」
「うるさい!うるさいのは嫌いだ!
みんな、嫌いで怖くて…!
だから、みんな!消えてしまえばいいんだーッ!!」
大気の摩擦熱により赤く染まりはじめるコクピット。
「くそ…、俺は死ぬのか…。
こんなところで…」
瞳を閉じるアスラン。
24SIN's DESTINY:36:2006/06/30(金) 01:07:40 ID:???
「カガリ…ごめんな、でもわずかの間だけど、一緒にいれて楽しかったよ」
そのつぶやきとともにアスランの脳裏に走るのは、一筋の青き流星。
「!」
瞳を開くアスラン。
所々、消え始めてるモニターからのぞくのは、青い流星。
「まさか…あれはインパルス!?」
インパルスはさらに加速をし、アスラン達の盾になる位置につく。
「何をしてるシン!死にたいのか!!」
「それはこっちのセリフですよ!
帰艦命令におとなしく従っていれば、こんなことにならずに済んだんですから!」
アスランに返す言葉は無い。
インパルスのコクピットも熱で赤く染まる。
シンの手元のモニターには「CODE INPUT」の画面。
シンはキーボードを叩く。
表示された文字はFAITH=B

全てが赤く染まる世界でインパルスだけが一点、青い輝きを放つ。
前方に構えたシールドがさらに上下に広がる。
そこから広がる青くまばゆい光の幕。
そこから広がる光はアスランのウォーリアとステラのガイアをも
青い輝きで包む。
「…うぁ〜、キレイ…」
「シン…!」
「大丈夫ですよ、俺がアナタを死なせません!
俺がアナタを守って見せますから!」
25SIN's DESTINY:37:2006/06/30(金) 01:09:24 ID:???
「インパルス・フォース、FAITH<a[ドに入りました」
「落下予測地点は?」
「現在計算中です。しかし、このままだとかなりミネルバと
離れた地点に降下すると思われます」
「アス…アレックスは助かるのか!?」
今さらながら名前を言い直して、カガリがタリアとメイリンの会話に割り込む。
「確定はできません。しかし、彼が前大戦のエースパイロットであったのなら、
その希望はあるかもしれませんわね」
タリアの言葉にカガリの頬が赤くなる。
「…す、すまない。悪気は無いんだ。アイツだって好きで名乗ってるわけじゃない。
許してやってくれ、頼む!」
カガリは緊張が解けたのか、手を合わせてタリアに頭を下げる。
「許すも何も…」
タリアの言葉を激しい衝撃がさえぎる。
「艦長!ミネルバも大気圏に突入しました!」
動揺を声に出すアーサー。
「落ち着いて、アーサー!副長でしょ!いちいち慌てない!」
タリアの激が飛んだ。

代わって、インパルスのコクピット。
モニターのエネルギー表示はみるみる減少していた。
「くそ…持つのか…?」
シンは祈るような思いで色褪せた携帯を握り締める。

代わって、ガイアのコクピット。
「キャハハ、キレイ!キレイ!私、お星様に包まれてる!」
子供のようにはしゃぐステラ。
26SIN's DESTINY:38:2006/06/30(金) 01:11:15 ID:???
そして、ウォーリアのコクピット。
わずかに映るモニターにはインパルスの青い光の幕。
そして、ガイアのパイロットのはしゃぐ声が耳に届く。
「俺、何やってんだろうな…」
そのアスランのつぶやきに、これといった意味は無い。
「カガリ…」
アスランは光の幕の向こうのユニウスセブンに目をこらす。
「母さん…」
不意にアスランの瞳から涙がこぼれた。

ユニウスセブン。
かつて、その地で血のバレンタイン≠フ悲劇は起こり、
それをきっかけに約一年半にわたり、地球とプラント間の戦いは繰り広げられた。
そして、終戦時、地球、プラント双方の合意を元に
悲劇の地ユニウスセブンにて停戦条約が結ばれる。
平和の墓標=B
ユニウスセブンは地球、プラント双方からそう呼ばれていた。
そのはずだった。
しかし、今。
ユニウスセブンは地球に落ちる。
数限りない災厄を地球に撒き散らしながら。
大地に降り注ぐ流星。
きらめく光が放たれる地で、一体何人の人間が死に絶えているのだろうか。
堕ちる平和の墓標。
それはまさしく、新たなる戦いの幕開け。
そして、シン達にとっても、まさしく激動の運命≠フ始まりだった。
27シン運命:2006/06/30(金) 01:23:46 ID:???
ここでSIN's DESTINY第一部完です。
ひとまず、ポエムで締めくくってみましたがどうでしょうか。

次回、第二部開始はいつになるかはわかりませんが、
ミネルバがオーブに寄港したところから始まります。
ちなみにSIN's DESTINYは無事に完結できれば四部構成の予定です。


762 ◆9AUE2RuSVさん、名無しKさん、お二人とも僕がいない間、
このスレをよろしく頼みます。
もちろん、お二人のSS、しっかり読ませていただきますよ(`・ω・´)

それではみなさん、また会う日までノシ
28通常の名無しさんの3倍:2006/06/30(金) 03:04:50 ID:???
大作お疲れさまです!
最初からゆっくり読み返したりして待っています
29762 ◆9AUE2RuSV. :2006/06/30(金) 07:46:06 ID:???
シン運命殿

ラジャッす!
ゆっくり休んでください。
30通常の名無しさんの3倍:2006/06/30(金) 08:27:03 ID:???
李典
31通常の名無しさんの3倍:2006/06/30(金) 18:57:15 ID:???
ここすごいな
前スレのSS読んだんだけど感動した
32762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/01(土) 04:34:22 ID:???
>>31
感謝っす^^

>>30
あ、気付きましたかw
東アジアって原作では全然言及されてないので、
ここぞとばかりに利用させてもらいますw
(しかしフジヤマはないでしょフジヤマはw)
此処はSSなんで一応SS風味に書かせていただきますね。

 一介の士官で過ぎなかったレイン・ラングレーにとっての災厄は当然終わりではなかった。
むしろ此処から先が延々と続く生き地獄の始まりでしかなかった。
 まず彼が大破したトレーラーの残骸に挟まれた状態で意識を取り戻した時、最初に確認したのはパワードスーツ分隊三人がどうなったかである。
 連合、ザフト共に評判の芳しくないMSザウートで強行突入をしでかしたのはどういうヤツラか見当をつけていた。そしてもしそれが本当だったらパワードスーツ無しでは対抗など不可能だ。
この時点で彼はショックで混乱を起こしており重要なことに気付いていなかった。
部下の誰からも無線に応答が無いということにだ。
ただ一つ呼びかけがあったのは彼の真上にあるX−105ストライクに搭乗して出撃準備を急いでいた地球連合軍技術大尉のマリュー・ラミアスからであった。
 身動きが取れず周りも見えない状況の中、さらにいまだ朦朧とした意識でインターカムで部下に連絡を取ってみる。
「アルプスリーダーより各アルプスへ。アルプスリーダーより各アルプスへ」
 知りたかったのは部下が生き残っているかどうかだった。
「……応答……なし……か」
 しかし事実は残酷であった。帰ってきたのは先ほどから呼びかけていたラミアス大尉のみであった。
『……少尉、ラングレー少尉! 無事ですか? 今どこに?』
「大尉か……。まず私は君の乗ったMSの真下にいる……こっぴどくやられたようだ。動けない……大尉、君の知る範囲での状況を教えてくれ!パワードスーツ分隊はどうなった?私の部下達は?」
『こちらのMSはたった今から動けます!状況から見るに少尉のいる損壊したトレーラーは、こちらで動かしても……』
「大尉、酷であろうが直ちに言いたまえ!」
 レインは静かに言ったが、内心叫びたかった。
(全滅……隊が……俺、一人を除いて皆死んでしまったというのか!!)
『……部隊は先の襲撃により全滅したものと思われます。少尉以外の味方生体反応は感知無し』
 レインは歯を食いしばり呻く。
「パワードスーツもか、ミタムラ曹長もヨシザキ軍曹もニシダ准尉も、全員、全員戦死したというのか」
『残念ながら』
 大尉は引き続いて彼にとっての現実を掻い摘んで説明する。
『ザウートより降り立ったのは十二名。いずれもノーマルスーツですが重武装。ザウートは歩兵を降ろしながら三番機デュエルのトレーラーに衝突する形で停止』
 レインは思った。
(畜生、畜生、畜生。確かにパワードスーツは万能じゃない!装甲も歩兵装備のボディアーマーより「優れている」くらいで装甲車並みなわけじゃない!対物ライフルで狙われたらおしまいだ)
 リテン・キタザキ重工。この再構築戦争後誕生した東アジア共和国で確固たる地位を持つ大企業は、信頼性の高い兵器を数多く生産していることで有名である。
 「リテン」と「キタザキ」の二つ名。再構築戦争中、中国大陸と日本列島でそれぞれ技術系企業家として混乱の中で大成し、東アジア共和国建国を持って合併企業として生き残った機転の良さを今なお持ち続けている企業である。
33762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/01(土) 04:36:05 ID:???
と、ここで今日は終わり。
な〜んか東アジアの企業説明するためだけのSSなきが……
34通常の名無しさんの3倍:2006/07/02(日) 04:26:15 ID:???
勉強になった
35通常の名無しさんの3倍:2006/07/03(月) 00:19:59 ID:???
李典。
36名無しK:2006/07/03(月) 00:20:33 ID:???
>1
(スレ立て乙です……またお世話になります)

>27
(シン運命さん、お疲れ様です……熱い展開超展開楽しませていただきました)
(第二部楽しみにしております……御健勝を)



(やりたいことを突っ込んだ結果30000字越えてしまいました……
長文申し訳なく思いつつも投下させていただくのです……)
37Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:21:24 ID:???
0.


「位置固定、座標転送、観測開始……データ来ました。やはり本来の軌道よりもおよそ20キロほどの誤差があります」
「20キロか、判断に迷うな。単なる誤差のうちとも言えるし……望遠鏡覗きの連中が神経質になってるだけじゃないのか」
「いずれにしても、もう暫く観測してみなければわかりませんね」
「……ん? 今何か光らなかったか?」
「近づいてみましょう。……あれは……推進器の光……に似てますね」
「それも一つや二つじゃない……メインシャフトの根元や隆起部の麓に隠してあるが、あれは……ノズルだな。それも、隕石移動用の」
「どういうことなんでしょう。誰が、一体何のために」
「まさか、またテロリストどもが何かやらかそうってんじゃないだろうな。おい、本部に連絡だ」
「はい……あれ?」
「どうした」
「今何か、また光ったような……しかも、動いて……え?」
「モビルスーツか? いや違う、何だこのスピードは! 」
「う、うわぁぁぁーっ!!」

38Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:22:24 ID:???

1.

「順を追って説明しましょう。今からおよそ2時間前……観測機関からの要請でユニウスセブンの軌道の調査に出たビューアー・ジン
2機が消息を絶ちました」

ミネルバのブリッジの下部にある薄暗い作戦室で、艦長のグラディスが円卓上に広げられたデータを前に口を開いた。
集められているのは、ボギーワンとの戦闘に際し、ブリッジ外で任務に当たっていたパイロットや各部署のチーフを中心に10名ほど
である。

「観測機関によれば、前々からユニウスの軌道には微妙な変化が見られていたそうです。ほんの僅かな加減速……例えばデブリが
衝突した程度の揺らぎ。しかし、ここ数日、その変化が少しずつ大きくなっていた」

グラディスは皆に注目される中、指先をデータの一つに触れ、それを拡大した。

「ビューアー・ジンが最後に送ってきたという映像が、これです」

円卓上に広がったのは、植木鉢から引き抜いた苗木のような形の物体である。
幹に見える物は半ばから千切れ、枯れ枝さながらによじれて広がったメインシャフト。それが根のようなライフラインの残骸によって、
小惑星をベースに成形された半球状の人工の大地にしがみついている。

それは、6年前に核ミサイルによる無差別攻撃に晒されたプラントコロニーの成れの果て、現在のユニウスセブンの姿である。
大地には土塊となった都市の残骸が今も眠り、食料生産用プラントの所以であった広大なファームはその一部が造花により彩られ、
24万人を越える犠牲者の慰霊地とされている。
そしてその死者の花園において、ナチュラルとコーディネーターは停戦条約であるユニウス条約を結び、相互理解の努力を誓ったの
である。
39Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:23:57 ID:???

……その慰霊地の端、元は湖であったとおぼしき深い穴の影に、青い火が拡大される。続いて都市部の高架の名残である融けた渦
の奥に、絡み合うライフラインの合間に、工場区の残骸の中に、次々と同質の炎の光が指摘されていった。
火の根元には、巨大な噴射口らしきものが見て取れる。

その意味するところに気づいたのか、数人の間から呻きが漏れた。グラディスはその反応を踏まえた上で、この中では最も鋭い洞察
力を持っているであろう人物に意見を求めた。

「……レイ。あなたの分析を聞かせて頂戴」
「何者かがユニウスセブンを本来の軌道から移動させようとしています。そしてその試みは、おそらくはほぼ成功しつつある」

モビルスーツ部隊の隊長であるレイは、全員が察しているであろう事実を明確にし、そして続けた。

「その何者かは観測機関の目をかいくぐりながら、大型隕石用の移動モジュール……おそらくはフレアノズルクラスの大出力推進器
をこのように設置し、そして時期を待っていた。狙いは地球です」

断定口調のレイは、両脇のシンとルナマリアからの動揺の濃い視線を受けながら、その根拠を述べる。

「ユニウスセブンは安定軌道に入って以後、ほぼ一年周期で地球の周りを楕円軌道を描いて回っています。一年に二度、地球に接近
する期間があり、今はその期間に含まれます。加えてこの映像から、ユニウスはメインシャフト側をほぼ月軌道へ向けているのが判り
ます。このまま推進が続いた場合、ユニウスは軌道の遙か内側へ落ち込み、やがては地球の引力圏に飛び込むものと思われます」
「……さすが、的確な洞察ね。その通りです」

グラディスが硬い表情で肯定した。ユニウスの映像が半分に縮小され、そこに地球を基準とした軌道を表す図が広げられる。

「現在、ユニウスセブンは人為的な干渉により軌道を逸れ、地球へ向かっています。ビューアー・ジンが消息を絶ってからすぐ、同じ結論
に至った観測機関からの報告を受け、護衛を伴った調査隊が組織され、ユニウスへ向かいました。観測の結果割り出された軌道の変化
に対応できるようにと、数基のフレアノズルを用意しての急行でした。……しかし、その調査隊もまた、消息を絶っています」
40Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:24:59 ID:???
淡々と説明するグラディスに、シンがにわかには信じかねる表情で円卓を凝視した。軌道図には、ユニウスへの二次調査のための部隊
編成も記載されており、その中にはレイの搭乗しているザクファントムタイプが3機、ザクシリーズも15機が含まれていた。
事態を決して軽く見てはいないという、司令部側の本気が窺える派兵である。新鋭機であるザクは従来のジン系の機体よりも高い性能を
持つが、量産体制が整ったばかりで、配備数はまだ充分ではない。それを数を揃えて送り込むということは、部隊としては精鋭である
はずなのだ。
特にレイのザクファントムの能力を肌で知っているシンには、それが想像できる。それこそコスト度外視の特注品であるG型に奇襲を受
けるという、アーモリーワンで起きたような異常事態でもない限り、何と戦おうと、そう簡単に敗北するような戦力とは思えない。

しかし、グラディスはシンのその様子に、目を伏せて首を振った。

「おそらくは全滅です。ユニウスセブンへ辿り着く前に……丁度、このビューアー・ジンの映像の距離から先へと接近する前に、機動兵器
らしきものから攻撃を受け、母艦を中心に展開した陣形ごと潰されたと、残された通信からは推測されています。しかし、敵の正体が何で
あるのかは分からなかったようです。ただ、何かがいることだけはビューアー・ジンが消息を絶ったことで判っていたから、それを見越して
用意した戦力だったのでしょうけれど……」
「それでも対応できなかった。……おそらく敵は、正確な長距離砲撃を連発することのできる機動兵器を有していると考えます」

レイは円卓を見下ろして、再び推測する。ルナマリアが難しい顔をして同じ映像を凝視した。

「遠くから狙い撃たれたっていうの? でもどこから? この映像からじゃ、それらしい物なんて分からないわよ」
「いや、辛うじて映っている。ここだ」

手を伸ばしたレイが拡大したのは、ユニウスセブンの付近に見えた小さな緑色の光だった。その色は確かにビーム兵器特有のもので
あり、発射を真正面から見たように見えなくもない。しかし距離が離れすぎており、射撃したものの姿がほとんど判別できない。

「観測機であるビューアー・ジンの望遠ですら朧気にしか捉えられないほどの距離からの攻撃。また、これがビーム砲ならば、その脇
の色の違う光は移動用のスラスターである可能性が高い」
「……ガナー・ザクウォーリアでもいるっていうの?」
「それ以上の間合いと索敵能力を持つ何かだ」
41Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:25:55 ID:???
レイは推論を言い、グラディスを見た。

「観測に出たジンも第二次調査に向かった部隊も、距離と状況から見て、この敵に壊滅させられたのではないでしょうか」
「そうね。さらに設置された推進用ノズルの稼働状況から考えて、敵というのはこれだけではなく、地面の上にもその仲間が潜んでいる
可能性も高いと思うけれど……ともあれ、この正体不明の敵機の攻撃によって、フレアノズルによる軌道修正という対応策は失敗に
終わりました」

失敗に終わった。様々な事柄の中で、今最も重要なのはその事実だということが、グラディスの声からは強調されていた。

「そして、軌道を変えられないまま進んでしまったユニウスは、今……この地点にあります」

グラディスの指が軌道図に触れると、第二次調査隊が接近した時点の位置からユニウスの記号は移動し、更に本来の軌道円から
大幅に落ち込み、急な湾曲を描きながら地球へ向かうコースの途中にあることが表示された。

「このまま進めば、およそ5時間後にユニウスは地球に到達し、地表に激突することでしょう」

その当たり前の事実に、沈黙が落ちた。軌道を離れたユニウスを押し戻すために向かった調査隊だが、なぜ押し戻さなければならな
かったのか。
決まっている。それが引力に引かれるまま地球に落ちれば、それは巨大隕石のごとく地上に途轍もない破壊をもたらすからだ。

「直径8キロメートル、その内部に様々な人造物を未だ内包し、硬度で言えば同じサイズの隕石よりもむしろ硬く重いかもしれません。
それが人為的な推力に引力を加えて落ちていく。こんなものが触れれば、プラントならば物の数秒で壊滅します。地上に落ちたならば
……それが海であれ大陸であれ、その衝撃は地表全域に及ぶでしょう。直撃を受けた場所は、半径数千キロメートルに渡って跡形も
なく破壊されます。それこそ、国の一つや二つ簡単に滅びるはずです」

「ま……、またフレアノズルをたくさん用意して、取り付けに行けば」

事態に想像が及んで、口を出したルナマリアにグラディスは軽く首を振る。

「どれほど推力を用意しても、もはや落下を止めることは不可能であることが判明しています。ユニウスに加えられ続けた加速はそれ
ほど大きく、軌道変更すら、もはや許されない。しかし、このまま地上に落としてしまうことも絶対に阻止しなければならない」

グラディスは言葉を切り、3枚目のデータを開いた。
42Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:27:03 ID:???

「……ゆえに、最高評議会は決定を下しました。ザフトは地表落下前にユニウスセブンに到達できる全戦力をもって、これを破壊します」
「……え?」

シンのように目を伏せる者と、ルナマリアのように判断の遅れる者とに分かれた。グラディスは無表情で、言葉を続ける。

「砲撃戦能力、索敵能力に優れた戦力をもって、観測機と二次調査隊を攻撃した機動兵器を発見、鎮圧。その後、運用可能な29基の
隕石破砕用モジュール、メテオブレイカーをもってユニウスセブンを破壊。これをユニウスセブン解体作戦と呼称し、ザフトは総力を
もってこれを断行します」
「ちょ、ちょっと待って下さい! ユニウスセブンは、二十万人の人達が眠ってるお墓で! 平和のためのモニュメントじゃないですか!
それを壊すなんて、他に方法は!」

ルナマリアが抗議の悲鳴を上げた。しかしグラディスは、これに頷くだけで取り合わない。

「これは、決定事項です。あなた達モビルスーツパイロットの帰投と同時に行った転進により、現在も本艦は作戦参加のために、最大
戦速をもってユニウスセブンに向かっています」
「そんな!」
「他に方法はありません。……確かにあれは私達コーディネーターにとっては特に、忘れがたい場所です。24万3721人の犠牲者の
眠る慰霊地であり、和解と平和への願いを込めてユニウス条約の誓われた場所。しかし、それを砕かなければ、血のヴァレンタイン以上
の惨劇が起きてしまう。それは絶対に避けなければならない。たとえどんな手段を用いても」

「絶対に止めなければならない悪意を、止めるために」

シンは呟いた。それはミネルバがボギーワンの追撃という最優先任務を中断してまでユニウスセブンへと急行する命令を下した際に、
グラディスが用いた表現だった。
かつて多くのコーディネーターが命を落としたその場所を、地球に落として巨大な破壊を生み出そうとしている。
その事実自体が、これを考え出した何者かの底知れない憎悪を滲み出させているように思えて、シンは冷や汗の滲む手を握りしめた。
43Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:28:28 ID:???
2.

グラディスが作戦室に降りている間、ミネルバの航行指揮は副長であるアーサーが執っている。
作戦室で何が話されているのかは、ブリッジでも知ることができた。非常時に備えて、通信回線は閉鎖されていない。

ルナマリアがグラディスに噛み付いているのを耳にしたアーサーは、苦い顔でオペレーター席を見遣る。そこでは案の定、彼女の妹
であるメイリンが、ユニウスセブンの落下情報を追う手を止めて、うつむいていた。

「メイリン、大丈夫か?」
「あ……副長、すみません。……大丈夫です」

メイリンはやや惚けた口調で返事をすると、アーサーに隠れるように慌てて顔を擦り、再び情報を追い始める。キーに触れる指先からは
心なしか、悲痛な力が感じられた。

(無理はするなよ)

彼女の素性についてある程度のことは知っている上官のアーサーは、現状から考えれば彼女にはとてもかけてやることのできない言葉
を呑み込む。情や感情に流されては、この作戦は失敗してしまう。だからこそ、艦長であるグラディス自らも感情を押し殺し、無情に徹し
ようとしているのだ。
モニターには、最も近くまで接近した部隊の送ってきた映像が表示されている。その中で、ユニウスセブンは地球を背景に見据え、なおも
青白い光によって進行を続けていた。
44Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:29:17 ID:???

「そうか……ルナ達って、元々ユニウスセブン出身だったのか」

作戦へ向けたブリーフィングが過ぎ、レストルームでは集まったシン達パイロットや交代順の回ってきたクルーが話し込んでいる。

「そう。ま、住んでたのはほんの子供の頃の話で、メイリンが生まれたらすぐ、パパもママも私達を連れて別のプラントに移ったんだけど
ね。元々農家を継ぐ気はなかったみたいだったし。でも、メイリンがあそこ好きでね、よく私達二人だけで遊びに行ってたんだ」

ルナマリアは、普段よりは小さな声で、感傷的に笑った。彼女の前のドリンクには、口がつけられていない。

「特にメイリンがさ、おじいちゃんのこと大好きでね。あの事件が起きたとき、何が何だかわかんないみたいだったけど、少ししてから
思い詰めた顔して、ザフトに入るなんて言い出してさ……おとなしかったあの子がだよ。きっと何かせずにはいられなかったんだわ」

快活で奔放な姉とは対照的に、メイリンはおとなしく生真面目な性格が目立つ。そんな彼女であるから、ザフトのアカデミーに入るには
相当の覚悟をしたであろう事は想像に難くない。

「ルナマリアはどうなんだ。おまえもやっぱり、メイリンみたいにあの事件のことが許せなくてアカデミーに入ったのか?」

「私はちょっと違うんだ。確かに許せなかったのかもしれないけど、あの子と違って、おじいちゃんたちが殺されたって事の意味がよく
分かってなかったんだと思う。どっちかっていうと、あの子が時々すごく辛そうな顔してる事の方が気になってた。でもねぇ、パパもママ
も、仕事の方が大変だったみたいで、私達のことほったらかしで、あの子のこと見てあげるのが私しかいなくて……そんなわけで、
私もあの子に付き合う形でアカデミーに入ったわけよ」

ルナマリアは昔語りを終えると、大きく溜息をついて、テーブルに伏せながら力無く笑った。

「でも、まさか……私達のことだけじゃなくて、ザフトに関わってる人なら多かれ少なかれ絶対に影響を受けてるあの事件のあの場所を、
当の私達自身で壊さなきゃいけなくなる日が来るなんてね。現実って厳しいっていうか、残酷よね」
「……ああ。本当だな」

普段は彼女に呆れ顔でいる事の多いヨウランも、今回ばかりは同意した。ヴィーノも頷く。
45Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:30:15 ID:???

「だけどさ、他に方法はないんだろ。どこに落ちるにしたって、被害者は一億人は絶対に越える。直撃しなくても、衝撃だけでも建物が
壊れたり道路が割れたり、津波が起きたりすることを考えたら、もっと酷いことになるかもしれない」

「そうだ。忘れ得ぬ地であり平和への誓いの地であるからこそ、それが未曾有の災いの種となって地球に撃ち込まれる事態だけは何と
しても回避しなければならない。我々が破壊せず見送ったとしても、ユニウスは大気圏で焼け爛れ、地上で砕け散る。ならば、せめて
我々の手で、更なる弔いの思いを込めて砕いた方が良い。あの地で散った同胞達も、その方が幾らかでも報われるだろう」

腕組みをし、軽く目を閉じてレイが語る。そんな彼に、シンが呟きを漏らした。

「……お前でも、優しい事言えるんだな」

薄目を開けてシンを見るレイは、士気を落とすわけにはいかんからな、とでも言いたげだった。
しかしルナマリアもだいぶ気を取り直したようで、ドリンクの封を切ってストローに吸い付く。

「レイの言う通りだよね。何と言っても、対テロ部隊のミネルバが、こんなとんでもないテロを黙って見過ごすわけにはいかないもの。
ね、やってやろうじゃないのよ、みんな。悪いヤツに利用されようとしてるユニウスを、なんとかしてあげましょ、私達がさ」
「ああ、そうだな」

話に加わっていた多くの者がルナマリアに相槌を打つ。折しも、泣いて少しは気が晴れたような声音で、メイリンの艦内放送が入った。

『進路上に、ユニウスセブンを捕捉。30分後に作戦領域外縁に入ります。ナスカ級艦オートレッド、シュレーディンガー、カッシーニ、
フェルマーが既に集合しています。作戦開始には間に合いませんが、同ナスカ級艦ボルテールも参陣するとの事です。これに本艦を
加え、最大6艦を以て作戦に当たります。クルー各員は所定の配置へ、パイロットは作戦室へ集合して下さい』

皆が思い思いに立ち上がり、各々の役割を果たすべき場所へと戻っていく。シン達3人も、表情を引き締めて席を立った。
並べられる艦名を反芻し、レイは何かを確認したように目を細め、二人の後を追う。

46Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:32:38 ID:???

3.

『インパルス、ブラストシルエットセット。進路クリア、オールグリーン』

「シン・アスカ。ブラストインパルス、発進します!」

開放されたミネルバの中央カタパルトから、デブリベルトでのボギーワン戦でも使用した砲撃戦装備のインパルスが飛び立つ。
ブラスト、ソード、フォースの各シルエットパーツは予備も含めて3機ずつ、計9機がミネルバに搭載されている。そのうちソードは
アーモリーワンでガイアと戦った際に破損し、ブラストも同じくガイアを相手にデブリベルトで立ち回った事から現在整備中である。

「ブラストの欠点はやっぱり機動性の低さと、間合いが長すぎて接近戦で掻き回されたら対応できないことだ。でも、ここには道を塞ぐ
デブリはない。ブラストの長距離射撃を充分活かせるはずだ」

シンに与えられた役割は、各艦に配備された砲戦用モビルスーツと協力して、ビューアー・ジンや二次調査隊を葬ったという例の長距離
射撃をしてくる謎の機動兵器を押さえることである。
その隙に、先に集合していた四隻の艦が搭載して来たメテオブレイカーをモビルスーツでユニウスセブンまで運び、これを作動させて
大気圏突入前に、可能ならば摩擦熱で燃え尽きるほど微細な塊にまで破砕する。それがこのユニウスセブン解体作戦の目標であった。
ルナマリアのガナー・ザクウォーリアとレイのブレイズ・ザクファントムは、メテオブレイカーの輸送と起動を担当する各モビルスーツ班の
護衛につくことになる。左右のカタパルトデッキから飛び立っていた赤と白のザクは、インパルスが合流すると三機編成で各艦載機の
集合地点へと向かった。


「集まってきたようだな。偽善者めらが」

暗いコクピットの中で、男は吐き捨てる。

「例の新造艦の姿もあるか……。どうやら強奪者どもを追うのはあきらめて、こちらへとやって来たか。追いついて来たのはさすがだと
言えるが、たとえ舟足が速くとも、盗人を捕らえることも奪い返すこともできぬ半端者どもだ。恐るるにたらん」

『では、迎撃しますか』

「うむ。私の機体の補給もじきに終わる。飛び立つ前に辿り着いてきた連中は、お前達が地上で相手をしてやるがいい」

『了解です』

「……あれから5年か。痛みを受けた者を忘れ去り、自らは憎しみを乗り越え手を取り合おうと謳うだけの偽善者ども……邪魔はさせん。
我らの受けた痛みと憎しみ、地上の愚民共々、その身に味わうがいい」
47Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:33:56 ID:???

4.

隕石破砕用モジュールであるメテオブレイカーは、モビルスーツの身長に倍する三角柱型の大型射出フレームから、先端にドリルを
備えた爆弾を対象の内部に送り込み、複数の爆弾の連鎖爆発によって隕石を内側から解体するという装置である。

艦隊から発進したメテオブレイカー各班は、モビルスーツ2機が1基のブレイカーを抱え、ユニウスセブンの大地に次々と降り立っていた。

「……なんか、拍子抜けね。いつ例の狙撃機動兵器が出てくるかビクビクしてたけど」
『故障したか、エネルギーが切れたか、補給中か……何にせよ、到達するまでに出くわさなかったのは幸運だったな。しかし油断はする
なよ、ルナマリア。こちらも警戒を続ける』
「了解!」

ルナマリアのザクウォーリアは、他艦の2機のモビルスーツと共に、周辺に降りた2基のメテオブレイカーの護衛についている。
運用可能なモビルスーツの数とブレイカーの総数から、まずは第一陣として15基分を降下させ、破砕状況を見て艦に戻り、第二陣を
送り込むという手筈である。

「この分なら、うまくいけば一回で済むかな……。できれば、早く終わらせたいもんね。でも」

ザクウォーリアが単眼を巡らせ、周囲を見る。その辺りは都市部と農場のあった地区のちょうど境目だった。崩れた橋の向こうには、
ルナマリアとメイリンの祖父母の家があったはずだ。

「もうすぐお別れだね、おじいちゃん、おばあちゃん……メイリンのことは私が見てるから、安心して眠ってね……」

ルナマリアは呟くと、ヘルメットの中で何度か瞬きし、そして再び周囲を警戒した。
地面が叩かれたように振動し、小刻みに回転音が伝わってくる。メテオブレイカーの打ち込みが始まったのだ。
まだ敵の気配は感じられない。味方機以外の推進音も、弾丸の発射音も聞こえてこない。
もしかしたら、このまま何事もなく終わってくれるのではないか。辛いことは早く過ぎ、傷つく人は出ずに無事に解決してくれるのでは
ないか。

そんな甘やかな期待を胸に、首を巡らせた時だった。

何かが放物線を描いて、ザクウォーリアの近くに飛んできて、灰色の地面に落ちてバウンドした。
それは、ザクウォーリアと共にメテオブレイカーの護衛についていたはずの、戦闘用モビルスーツ・ゲイツの首だった。

「え……」

背後に悪寒を感じて振り向いたザクウォーリアの前で、音もなく忍び寄った何者かが、剣を振り上げていた。
鈍く光る剣を振り下ろす、背後の影。ルナマリアの耳許で、装甲が断ち斬られる音が響いた。
48Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:34:53 ID:???

「め……メテオブレイカー、5番、7番、9番、12番破損! 敵襲です! 護衛のモビルスーツ8機のうち、6機が反応ロスト!」

メイリンが悲鳴を上げ、ブリッジに緊張が走る。

「7番についていたルナマリアのザクウォーリアは?」
「き、機体信号は受信していますが、交戦中のようです! 映像確認、モニターに出します!」

ウインドウが開き、ザクウォーリアが捉えた敵の姿が映し出される。そこには、黒と紫の宇宙空間迷彩に塗られた単眼のモビルスーツ
が動いていた。接近戦での素早い身のこなし、手にした剣で映像を送っているザクウォーリアに斬撃を連打している。ルナマリアは
なんとか致命傷を避けているようだが、時折映像が激しくぶれ、画質が荒くなるところを見ると、相当苦戦しているらしい。
更に、他艦所属の友軍機から送られてきた映像にも、同じタイプの機体が映っていた。

「これは、ジン・ハイマニューバ……大戦時にジンの上位機種として少数生産された機体です。ザフト軍においても、もうほとんど残って
いない型だというのに……しかもこれほどの動き、いずれも並のパイロットではありません」

多数の映像を見比べ、敵の分布を見定めるアーサーの横で、グラディスが唸った。

「敵の正体は……ザフトに携わった者なのかもしれないわね。敵は近接戦を主体とした戦法を取っている。ここから狙撃用に配置した
モビルスーツや戦艦で敵だけを狙い撃つのは難しいわ。一時後退、降下部隊を帰還させて! 砲撃で敵機を撃破し、然る後に再度メテオ
ブレイカーを送り込みます。メイリン、各艦へ提案を!」
「りょ、了解です。……!? か、艦長! メインシャフト基部より、高速移動物体を確認! 推進光から確認しました! 例の、長射程の
機動兵器と思われます!」
「このタイミングで……まさか!」

逃げ隠れをすることなく長く光の尾を引きずり、その移動物体はユニウスセブンの大地の上を横切ると、母艦へ撤退しようとしていた
モビルスーツ達の頭上を塞ぐように、投網のごとくビームの弾幕を張った。その一方で、別方向の部隊へとマイクロミサイルをまとめて
発射し、メテオブレイカーやその周辺にいたジンやゲイツ数機が爆発に巻き込まれる。
49Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:35:56 ID:???

「シン、機動兵器を攻撃して! 友軍機の離脱の援護を!」
『了解!』

その敵への対応策として残されていた、ブラストインパルスを始めとする長距離砲撃隊が直ちに攻撃を開始する。しかし、幾条もの
ビームの砲撃を機動兵器は悠々と回避し、更に砲撃部隊と、戦艦に対してまで反撃してきた。

「取り舵! 回避して!」

グラディスの指示で移動した横を、大出力のビーム砲が行き過ぎていく。 砲撃を回避できなかったナスカ級が一隻、胴部から爆発して
砕け散った。

「カ、カッシーニ撃沈! 敵機、未だ健在! 砲撃部隊のガナー・ザクウォーリア、撃墜されました! ブラストインパルス、ケルベロスで
砲撃を続けていますが……友軍機、離脱できません! あぁっ、お姉ちゃん!」
「落ち着くんだ、メイリン! 敵機動兵器の兵装を分析、死角を探して離脱のサポートを! くっ……艦長、あの新兵器は」
「新兵器ではないわ……」

グラディスはアームレストを握りしめ、立ち上がった。超長距離から観測用モビルスーツを一撃で撃破し、ザクの部隊を苦もなく一網
打尽にしてのけた敵の正体。もっと早くに気づくべきだったのだ。

「あれは、ミーティアよ。大戦末期、第三の勢力となったラクス・クラインの保有していたザフト製の宙間戦闘用巨大アームド・モジュール。
パイロット次第で、単機で一個艦隊と渡り合えるとまで言われた、常識を覆す悪魔の重機動兵器。……その危険性から、戦後ロールアウト
した物は全て解体されたと言われていたわ」
「そんな化け物が、まだ残っていて、しかもテロリストに渡っていると? ……ザフトはどうなっているんですか、一体!」

メイリンを諌めていたアーサーまでもが悲鳴を上げるのも無理はない。ミーティアの攻撃範囲と機動力は圧倒的だった。対策として用意
していた、戦艦による観測というサポートまで付けた砲撃部隊の射撃が、ブラストインパルスのケルベロスが命中しない。友軍機はその
火力と、逃げ道を封じられた接近戦の前に一機、また一機と撃破されていく。
ユニウスの大地の奥に潜り込み、爆発の準備の整ったメテオブレイカーは、半数にも満たない。このままでは、最悪の結末が待っている
のは火を見るより明らかだった。

「くそっ……あんな化け物、どうやって押さえればいいというんだ……! 艦長、何かあいつに対する有効な手段は……!」

『足を殺しての捨て身の接近戦です。奴を倒すにはそれしかありません』

ブリッジに、耳にした事のない声が通信で飛び込んできた。全員が振り仰いだモニターに、指揮官を表す白の軍服を身に纏った銀髪の
青年の姿が映し出される。

『遅くなって申し訳ありません。ナスカ級ボルテール、ジュール隊隊長イザーク・ジュールです。これより我が隊も戦線に加わります』
50Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:37:28 ID:???

5.

「こいつの足を殺しての、捨て身の接近戦……。できるのか、そんな事が……」

襲い来る無数のマイクロミサイルとビームの弾幕を撃ち落とし、かいくぐり、インパルスはなんとか生き残っている。しかしミーティアとかいう
この敵の火力、スピードは想像を絶するものだった。こちらの砲撃が当たらないという意味ではデブリベルトでのガイアもそうだったが、
今回は遠くから撃っていては回避され、しかし近づけば弾幕の中に飛び込まなければならないという、どうしようもない状況だった。

『シン・アスカといったな。貴様の乗るインパルスは、俺が大戦時に戦い、何度も煮え湯を飲まされた連合の機体とよく似た特性を持っている』

イザーク・ジュールと名乗った白服の士官、すなわち階級的にはタリア・グラディス艦長と同格の青年は、ミネルバ経由でインパルスのコク
ピットへと回線を繋いでいた。

『砲撃戦、高機動戦、接近戦。換装によって全ての状況に対応できる。現在求められている能力で言えば、俺の乗るスラッシュザクファントム
でも出来ないことはない。しかし、我がボルテールから俺が出撃しそいつの相手をするには、まだ距離が離れすぎている。被害が増す一方
ならば、これは今、貴様がやるしかない』

イザーク・ジュールは防戦一方のシンに対して、過大評価とも思える口調で言ってきた。シンは鼻白みながらも、正論だと認める。

「でも……捨て身の接近戦はいいとしても、誰が足を止めるというんですか」
『俺の部下がやる。確かにこのミーティアを扱う奴は相応の腕をしているようだが、こと砲撃戦においてはザフトでも指折りのプロフェッショナル
がこちらには控えている。そいつが奴の足を止める。必ずな』

自信たっぷりに言い切った相手に、シンは押し黙る。

「……信頼していいんですね」
『信じるがいい。このイザーク・ジュールが認める実力は、本物だけだ。そして、もしも奴に勝てたならば、貴様の実力も認めてやる』

シンは腹を決めた。ビームの一射をシールドで弾きながらかわし、ブラストシルエットの砲撃を利用した加速でミサイルの爆風から逃れる。

「わかりました。やってみます!」
『良し、それでこそ赤服だ。17秒後に奴の足が止まる。貴様はそこを叩けるように準備を整えておけ』
「了解!」
51Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:38:27 ID:???

シンはミネルバへ、シルエット換装の要請を出した。直ちに射出されたのは、高機動戦闘用のフォースシルエットと、接近戦用のソードシル
エットの二種である。

『複数のシルエットを同時に呼び出し、高速移動を行いながら戦闘中に換装する……。やれるのね、シン?』
「やるしかないんです。ここまで来たら、やってみせます! こいつさえ止めれば、作戦はまだなんとかなるんだ、だったら……!」

射出されてきたフォースシルエットとソードシルエットが、ブラストインパルスに追いつく。シンは下方から接近してきたソードシルエットと平行
に飛ぶと、その両側に装着されたレーザー対艦刀を一振り抜いた。そしてブラストシルエットを分離し、背後から距離を詰めていたフォース
シルエットと新たにドッキングする。その長い翼が展開し、下方へと滑り込むように回避した頭上を、太いビームが通り過ぎていった。

「換装完了……3、2、1……!」

目の前で、ミーティアがその機体のあちこちに装備されたミサイルポッドのハッチを開け放ち、目の前まで迫ったインパルスに、距離を外し
ながら弾幕を叩き込もうと照準を定めるのがわかった。

しかし、その瞬間だった。頭上から降り注いだ4本の光の矢が、ミーティアの前後左右をかすめる形で突き抜けていった。
ミーティアはその軌跡が分かっていたのか、機動を中止して微動だにしないという行動によって、そのビームを避ける。いや……そうするしか、
方法が無かったのだ。そしてその檻の中に降りてくるように、更に真上からビーム砲が叩き込まれる。

ビームはミーティアの胴体に直撃したが、しかし致命的なダメージは与えられなかった。おそらくは、対ビームコーティングを施した特殊装甲
で全身を鎧っているのだろう。しかし、それでも構わなかった。宣言は、嘘ではなかったのだ。本当に、あれから数えて17秒後に、ミーティア
の動きは止まっていた。

その檻の中に留まった一瞬、動きを止めたその一瞬に、シンのインパルスはミーティアの腹側に潜り込んでいた。

フォースインパルスの加速性能を接近するまでの直進中に限界まで引き出し、最高速度に機体の重量を乗せ、レーザー対艦刀を体ごと
その装甲に突き立てる。ビームを弾く装甲に対し、弦型レーザー対艦刀の先端、鋭利な実体刃の切っ先を突き入れ、そして深々と貫く。

ミーティアは、何が起きたか分からぬ様相で、軋みを上げながら各所の推進器を無秩序に噴かした。インパルスはレーザー対艦刀を両手で
握りしめると肩に担ぎ、フォースシルエットの推力を再び大きく上げた。
52Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:39:25 ID:???
「エクスカリバー、出力全開……うおおおおおおおおーっ!!」

ミーティアの背側の装甲が盛り上がり、継ぎ目からビームの光が漏れ出す。インパルスは宙を蹴り、緑の双眸から光を放ちながら両腕を強引
に前に振り抜いた。対艦刀の刃が装甲を中から押し破り、叩き斬ってミーティアの腹の中から現れる。

剣を一振りし、最大出力時の目の輝きを収めたインパルスは、その場から離脱した。数秒遅れて、内蔵したミサイルも巻き込んで、胴体を縦に
裂かれたミーティアが大きな火の玉となって爆砕する。

充分な距離まで離れてからその爆発を見返したシンは、肩で息をしながら呆然と呟いた。

「や、やれた……本当に倒せた。……嘘みたいだ」
『グゥレイト! やるじゃないかお前! ナイスなコンビネーションだったな!』

通信に入ってきた声は、イザーク・ジュールのものではない。その物言いから、その人物が今の射撃をやってのけたらしい事は想像がついた。
シンは頭上を振り仰ぐ。こちらに戦艦が接近していることはレーダーから判った。しかし、その間に隔てた距離が尋常ではない。観測機のジン
から推測したミーティアの最大射程を上回る距離からの狙撃をしてきたとしか思えなかった。
それで、的がモビルスーツより大きいとはいえ4発のビームをぎりぎりで囲むように当て、最後に真ん中を撃ち抜いた。とてつもない射撃能力
の持ち主だった。

『今の踏み込み、なかなか悪くなかったぞ、シン・アスカよ。しかし余韻に浸っている場合なのか。まだ、大物とはいえ敵を一機片付けたにすぎ
んのだぞ』
「は……はい!」

続けて通信を入れてきたイザーク・ジュールに、シンは思わず素直に返事をしていた。

『ミーティアの特性を知る俺が貴様に助言し、撃破に成功した。我がジュール隊もメテオブレイカー設置と、その護衛に入る。貴様もグラディス
艦長の指揮下に戻り、奮闘するがいい。貴様は筋がいい、働きに期待するぞ』

イザーク・ジュールはそう言い残し、通信を切った。シンは我に返り、状況を確認する。

「そうだ……厄介な狙撃機動兵器は、もうない。艦長!」
『見事な手際だったわ、シン。けれど、あまり時間に余裕がないわ。あなたはそのまま、ユニウスに降りて残った敵機の相手をして頂戴。生き
残ったモビルスーツがメテオブレイカーを補給しに戻るから、それを援護して』
「了解です!」

レーザー対艦刀を携えたフォースインパルスが、ユニウスセブンへ飛び込んでいく。
その背後で、砕け散ったミーティアの残骸に紛れて、一機のモビルスーツが体を起こした。
モビルスーツは単眼に光を点すと、飛び去ったインパルスを追い、ユニウスへと降下していく。
53Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:40:46 ID:???

6.

退路を塞ぐ砲火の止んだユニウスの大地で、しかし逃げることができないまま、ルナマリアは戦っていた。

右肩のタックル用スパイクが装甲ごと切り落とされ、胸部装甲にもぎりぎり内部に達しない程度に刀傷が走っている。
用意していたガナーウィザードは、既に楯として使ってしまった。今の武器は、一振りのビームトマホークのみである。
相手が剣を使って仕掛けてくる以上、接近戦を得意とするルナマリアとしてはそれでも構わなかったはずなのだが、相手の力は明らかに
自分を上回っていた。初撃をかわし、今まで持ちこたえてはきたが、いつまで耐えられるかわからない。
攻撃のバリエーションと反応では、僅かに自分が劣っているが、機体の性能では上であるはずだ。アビスと戦った時より条件はいいはずなのに
押し負けている。
その差が何なのか、ルナマリアはうっすらと気づいていた。気迫である。この敵の持っている気迫に負けて、無意識に腰が引けてしまっている
のだ。

「私、ビビってるんだ……でも何で? どうしてここまで戦えるの? そんなにこのユニウスを、地球に落としたいの?」

ビームトマホークと、対ビームコーティング処理のされた実体剣が切り結ぶ。鍔競り合いの均衡が破れ、ルナマリアのザクウォーリアは斜めに
下がった。
その視界に、離脱しようと加速をつけている友軍機と、それに追いつく剣を手にした黒いジンの姿が映る。

「危ないっ!」

ルナマリアは咄嗟に、ビームトマホークを投擲していた。円盤のように飛ぶトマホークは、友軍機を背中から切ろうとしていたジンの右腕を断ち
切った。
邪魔をされたジンの単眼がこちらを見返し、付近に着地した。背後と横からも、同じ型の黒いジンが実体剣を手に姿を見せる。

「……なによ……。こっちだって、それなりの覚悟決めて来てるんだから。負けないわよ……!」
54Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:41:40 ID:???

最後の武器を使い切り、ルナマリアは身構えたまま敵の数を数える。合わせて5機。しかしここに敵を引きつけているということは、それだけ味方
を追う敵を減らせているということにもなる。下がった味方は、メテオブレイカーを持って再び戻って来るはずだ。

「こいつらの一機から、剣を奪えば……やれるわ。やってやるわよ。来るならいくらでも来なさい、テロリスト! 相手になってあげるわよ!」

ルナマリアのザクウォーリアが構えをほどき、推進器を全開にして無防備に見えたジンの一機に突っ込む。だがジンは素早く構えを変えると、
ザクウォーリアを真正面から叩き斬る軌道で剣を振ってきた。

「くっ……!」

駄目か、やられる……と、ルナマリアの頭に怯えがよぎる。その刹那、ジンの剣が両腕ごと斬り飛ばされた。

「え……?」

ジンの腕を薙いでいったものは回転しながら、その方向にいたもう一機のジンの肩にも一撃を加えると、弧を描いて飛んできた方向へと戻って
行った。ザクのトマホークよりも切れ味鋭く、そして軽い。
その武器がどういったものなのか、ルナマリアは知っていた。インパルスのソードシルエットにも装備されている、ビームブーメランである。
シンが応援に来てくれたのかと思った。しかし、手元へ戻ったブーメランを受け止め、光の刃を消したその機体は、インパルスではなかった。
桜色の装甲を纏う、G型の特徴を持つ機体である。しかし、新型ではない。ルナマリアはその機体をメディアで見たことがあった。しかし、何故
それがそこにいるのか、理解できない。

「ストライク・ルージュ……オーブの姫騎士……!」
55Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:43:51 ID:???

7.

「……私が出る」

1時間前、クシナダのブリッジでアスハが下した決断は、それだった。
最高評議会へ移動中だというギルバート・デュランダル議長からユニウスセブンが落下しつつあるという報を受け、現在ザフトの戦力がこれを
破壊するために急行しているとも伝えられた。
オーブに対してだけではない。地球圏全域の首脳部に対しこの事態が伝えられ、シェルターへの避難が呼びかけられた。
ブリッジのメインモニターには今、二人の人物が映し出されている。アスハ同様、オーブの礼服に身を包んだ青年と、黒いマントを羽織った黒髪
の女性である。

『カガリ……それはいくらなんでも無茶だ。危険すぎる。君は我らのオーブを束ねる代表首長なんだ。そんな役目は、デュランダル議長の言う
ように、ザフトに任せておけばいい!』

『彼の言う通りだな、アスハ。今度ばかりは、いつものお転婆では済まされない。まかり間違えばユニウスもろとも大気圏に落ちることになる。
ナチュラルのあなたでは、とても助からんぞ』

「しかし、議長の話の裏には、あそこには何が潜んでいるかわからないという意味も汲み取れた。もしザフトが失敗したならば、地球はとてつも
ない災害に見舞われる。地球と宇宙、双方にまたがるオーブが何もしないわけにはいかない。助力は少しでも多いほうがいいはずだ」

『……ならば、せめてオーブ軍が出撃準備を整えるまで待つんだ! 戦艦ならまだしも、モビルスーツで今からあそこに向かうなんて!』

「軍の出撃を待っている余裕はない。今からアメノミハシラへ立ち寄り、このクシナダの艤装をハゴロモから戦闘用のヤサカズキに換えている
時間さえ無い。今からあそこへ送り込んで間に合う戦力といえば、このクシナダに積んであるモビルスーツしか無いんだ」

『非武装交流艦であるクシナダには、条約に基づき武装したモビルスーツは2機までしか積まれていないはず。本当に単独で出るつもりか』

「私だけではない。お目付役として、アレックスも連れて行く。……来てくれるな?」

「もちろん。どこまでもお供します」
56Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:44:44 ID:???

サングラスのアレックスが前に進み出た。その彼に、モニターの礼服の青年が厳しい顔で言う。

『確かに、彼が一緒ならば君の危険は減るだろうが……しかし、カガリ!』

「わかってくれ、ユウナ。私がここで自分の身かわいさに何もせずに手をこまねいていては、オーブの理念など、ただのお飾りになってしまう。
私がルージュをこの艦に積んでいるのは、こういう時のためなんだ。……大丈夫、無茶はしない。私はただ、自分にできることをするだけだ」

青年が歯を食いしばって沈黙する。そして握った拳を開くように、声を絞り出した。

『……死ぬんじゃないぞ。僕もサハクも、君がここで死んだ後のことなんて、絶対に頼まれてやらないからな』

『うむ、そうだな。セイラン』

「すまない、二人とも。死ぬつもりはないが、民の避難誘導だけは頼むぞ」


そして、アスハは自らの専用モビルスーツであるストライク・ルージュを駆り、ユニウスセブンへやって来た。ミーティアと思しき巨大兵器が
インパルスによって撃破された時はさすがに驚いたが、見知った艦であるミネルバへと通信を入れて状況を確認すると、長距離移動用の
プロペラントタンクを排除し、アスハは同行したアレックスと二手に分かれて、母艦へ撤退しようとするモビルスーツを援護し始めた。

「なるほどな……隕石破砕用のメテオブレイカーで中から割り砕く作戦か。確かに成功すれば効果は期待できる。しかし、あのミーティアといい、
敵も半端ではないな……!」

アスハは打ち込みを終えたメテオブレイカーから離れようとするザフトの機体を標的にしたテロリストへ攻撃を仕掛け、既に2機を撃破していた。
そこへ、味方を庇うために己の武器を投げつけてしまった赤いザクウォーリアの姿が目に入る。

「心意気はいいが、迂闊な!」

アスハのストライク・ルージュは、左腕に装備した攻防一体の楯、コンバインド・シールドからビームブーメランを引き抜き、投擲した。
ビームブーメランはザクウォーリアへ剣を振り下ろしたジンと、更にその後ろにいたもう一機を切り裂き、帰還する。

『ストライク・ルージュ……オーブの姫騎士……!』

ザクウォーリアがこちらを見て驚いたらしい。乗っているのは女性兵士のようだった。アスハはシールドの先を別方向の一機へ向けると、先端
のガトリング砲でたちどころに撃ち抜く。そして、背中から伸びた長砲身のレールガンで更に一機を砕くと、両脇下に装備されていた対艦実体刀
を抜き、最後に残っていたジンを肩口から断ち斬った。
57Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:45:45 ID:???
そこへ、最初にビームブーメランで損傷を与えただけの2機のジンが、撤退の気配を見せることなくこちらへと突っ込んで来る。アスハは舌打ち
すると、ガトリング砲の斉射で接近させずに止めを刺した。

『す……凄い……5機の敵を、一気に……』

赤いザクウォーリアのパイロットが驚嘆しているが、アスハは腑に落ちない物を感じている。このジンのパイロット達からは、命を投げ出すこと
を厭わないという覚悟が感じ取れた。しかし、何かが違う気もする。己の命を何とも思っていないというようなそれは、度を過ぎた執念とも言える。

「何がこの者たちをここまで駆り立てている……? こいつらの正体は……」

考えに耽りかけて、アスハはザクウォーリアを見た。損傷を受けている上に丸腰だ。これでは、艦に帰還するにしても、あまりにも無防備過ぎる。

「これを持って行け」

ルージュの腕が、腰の後ろに取り付けられていたビームライフルをザクウォーリアに渡した。ザクウォーリアは突っ立っていたが、慌ててそれを
受け取る。

「狙いをつけて引き金を引くだけの、機種に依存しないタイプのライフルだ。コーディネーターなら、照準の調整くらいはできるな?」

『は、はい!』

「なら、早く行け。そのなりでは、こいつらとまともに戦えまい。お前達が戻って来るまでは、私もこいつらの相手をする。頑張れ」

『は、はいっ、ありがとうございます!』

赤いザクウォーリアはライフルを手にすると、推進器を噴かして飛び立っていった。途中、追ってきたジンに対し、早速ビームライフルで牽制
を行っている。

「さすがはザフトのコーディネーターか。……しかし、この戦場、予想以上に厳しいかもしれないな」

ルージュが振り向くと、ひび割れた斜面の上に、何機ものジンが剣を携えてこちらを見下ろしていた。
58Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:46:44 ID:???

8.

「友軍機帰還率、45%! ルナマリアのザクウォーリアも帰還します!」

「シンのインパルスに加えて、アスハ代表のストライク・ルージュが来てくれたのは大きいわね。……本当に有り難いわ。オートレッドの班と
合流させて、再度メテオブレイカーの護衛に就かせます。ガナーウィザードを射出! シュレーディンガーの班の護衛に就いていたレイは?」

「ミーティアの攻撃で被弾し、現在シュレーディンガーで応急修理とブレイズウィザードの交換を行っています。シュレーディンガー班の護衛
には、代わってボルテールのジュール隊から戦力を割いてくれるとのことです!」

「艦長……ミーティアの妨害の影響が大きく、もう時間の余裕がありません。今度こそ充分な数のメテオブレイカーを撃ち込めなければ、
大気圏突入までに破砕することができませんよ。突入まで……あと30分!」

「各艦と通信繋げ! メテオブレイカー設置箇所の修正案を出します。アーサー、敵機の位置は把握しているわね? インパルスに第5必須箇所
へ急行させて。メテオブレイカー再到着までに敵の撃破を! ストライク・ルージュのアスハ代表にも、敵の配置とユニウスの地形データを転送
して差し上げて!」

「了解!」


打ち込みに失敗し、倒壊したメテオブレイカーを背後に、シンのインパルスが2機のジンを相手に立ち回っている。
レーザー対艦刀を地面に突き刺し、携帯していたビームライフルで狙い撃つ。しかし、対ビームコーティングを施された剣で弾丸を弾かれ、
致命打を加えられない。

「こっちの弾道を読んで、剣を楯代わりにしてビームを防げるなんて……ベテランどころじゃない。こいつら、ザフトレッドクラスの腕前なんじゃ
ないのか!」

フォースシルエットの左肩からビームサーベルを抜き、あっという間に接近してきたジンの剣を受ける。ビームの刃が弾かれて断ち切られ、
装甲に届く寸前に、ビームライフルの銃口を単眼に押しつけ、引き金を引いた。吹き飛ぶジンの頭部の向こうから、さらに一機のジンが剣を
大上段に振りかぶり斬り掛かってくる。
インパルスはライフルを投げ捨て、レーザー対艦刀を手に取った。ビームの刃を張り、一太刀を受け止める。
緑の双眸に、光が増す。

「うおおおっ!」

ビームと反発し合う特殊コーティングの剣を、ビームの出力を上げることで押し返し、態勢を崩したところを叩き斬る。崩れ落ちるジンから目を
離し、周囲を警戒するシンの額から、汗が流れ落ちた。

「これで……何機だ……? 敵はあと、何機残ってる?」
59Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:48:46 ID:???

ミーティアを撃破したのも束の間、ユニウスに降りて交戦した黒いジンの部隊もまた、手強い相手ばかりだった。離脱する友軍機を守るべく
戦ったが、一機は撃墜されてしまった。他にも、護衛の機体も随分やられている。

「全部は守りきれなかった……でも、作戦の邪魔はさせない。もう一機もやらせないぞ……!」

疲れの出てきた体を奮い立たせ、シンは敵機の姿を探す。この場所へはメテオブレイカーが再び降りてくるのだ。その前に周辺の敵を倒し、
今度は打ち込みを成功させなければならない。
と、ライフルを拾おうとしたインパルスの下に影が差した。太陽の方角から、左上方から何かが襲いかかってくるのが判る。

「新手か!」

瞬時に繰り出すことのできるビームサーベルで、振り向き様にそれを斬る。しかし、二つに断ち切られたそれは友軍機であるゲイツの残骸
だった。

「な……」

思わず開いたままのコクピットに目を向ける。パイロットは脱出した後なのか、無人のようだった。その事に感情を動かす前に、衝撃が来た。
インパルスの頭部が、上から突き出されてきたモビルスーツの手に掴まれ、引き倒される。辛うじて指の間から見えるのは、それまで戦った
ものよりも背部の推進器が大きいジンだった。

『囮だよ。先ほど私のミーティアを壊してくれたことといい、機体の操縦には見るべきところはあるが、戦い方が直線的過ぎる。青いな、小僧』

「お……お前は……!」

気配で分かった。このジンのパイロットは、ジュール隊の狙撃手との連携で自分が撃破したミーティアを操っていた者だ。爆発から脱出して
機体を乗り換えたか、装甲の中にこのジンを隠していたのだろう。

『お前達はこんなところに来ずに、自分たちの失態の尻拭いにだけ奔走していればよかったのだ。いかに新型といえど、我らを怯ませることは
できん。我らには大義がある。意志なく信念もなく、流されて戦っているだけの貴様らでは我らを止めることはできんのだ』

「くっ……。お前らに大義だと? こんな重要な場所を地球に落とそうとしているお前らのどこにそんなものがあるんだ! テロリストめっ!!」

『テロリストの一言で片付けるか。ふふ、この行為にどんな意味があるのかなど、貴様らの平和惚けした頭では想像すら出来んか』

レーザー対艦刀にビームを通そうとしたインパルスの腕を、ジンは巧みに踏みつけてくる。
60Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:49:40 ID:???
『重要な場所と言ったが。貴様はこの地を何だと考えている?』

「な……何……?」

ジンは指の隙間から赤い単眼を光らせ、インパルスの目を通してシンを睨み据えてくる。ぞっとするほど低い声だった。

『貴様らは慰霊の地だとか、平和の地だとか呼んでいるようだがな。そんなものはただの欺瞞だ。このユニウスセブンこそは我らの憎しみの
象徴。この地に眠る同胞達の、無念と憎悪の象徴である。何も知らぬまま、何も出来ぬまま、核を撃たれ焼かれた者達の痛み、恨み、哀しみ』

実体剣を逆手に持ち、ジンが容赦なく振り下ろしてくる。インパルスは掴まれたまま自由にならない首を傾け、これを辛うじて避けた。

『……哀しみの連鎖は止めなければならないと言ったのはラクス・クラインだったな。互いに放つ砲火が何を生み出すのか。まだ犠牲が欲しい
のか。撃てば癒されるのか……だから戦いを止めろ、と』

背面のフォースシルエットの推進器を噴かすが、押しつけられた地面の岩で思うように噴射できない。それをジンの大型の推進器の推力で、
上から押さえつけられる。全く振りほどくことができなかった。シンの汗が冷えていく。

『……親の七光りを笠に着た、歌い手らしいお優しい理想だとは思わんか。そう、理想にすぎん。人間とは血生臭い生き物なのだ。己が受けた
痛みも恨みも哀しみも、忘れ去って互いに歩み寄れるのは一握りの聖人君子か、本当の苦しみなど知らず、そう思っているだけの世間知らず
だけだ。我々は忘れん……そして許さん。あの出来事を引き起こした愚かなる者どもを。そして、綺麗事で飾り立て、つまらぬ美辞麗句で幾万
もの無惨な死を忘却し覆い隠そうとした、この欺瞞に満ちあふれた世界を!」

インパルスのブレードアンテナの片側が、強化されているらしいジンの握力の前にへし折れた。

『戦争は終わったと言いたいのならば言うがいい。終わったことにしたいのならば、そうするがいい。だが現実は違う。我らのように、戦争が
終わってなどいないと考える者がここにいる以上、戦いは続いているのだ。ゆえに! それを思い知らせるためにこそ! 我々は、この墓標を
大地に落とし、世界を再び怒りの炎で焼くのだよ!』

「ぐぅっ……!」

シンの背中を戦慄が走る。この男の抱いている殺意と執念は、機体から滲み出る程に凄まじかった。
戦争が終わっていないことを思い知らせる。その為に、ユニウスセブンを地上に落とす。つまり彼らは、少なくともこの男は、この行為によって
再びナチュラルとコーディネーターの間に戦争を起こすと……そう言っているのだ。
61Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:51:10 ID:???

『……腑抜けたザフトの兵よ、ここで死ね。我らが血を燃やしていた頃のザフトは、このユニウスが落ちた後、再び生まれ出るであろう。偽りの
平和に身を委ねた愚を嘆きながら墓標と共に逝くがよい』

コクピットの真上に、実体剣の切っ先が押し当てられた。フェイズシフト装甲のインパルスといえど、この至近距離から装甲の継ぎ目へと突き
込まれたならば、防ぎようがない。

「あんた達は……戦争の頃にザフトにいた軍人なのか。恨みを晴らし終わる前に、戦争が終わったから……だから納得できずに、こんな事を」

ジンのパイロットは、もはや答えない。剣を持つ腕が力を蓄えていくのがわかる。

「……わからないでもない。戦争で大事な人を亡くして……気持ちのぶつけようがなくて、ザフトに入ったのは、俺だって同じだから……だけど」

シンは、口を動かしていた。自分が今殺されようという時に何故こんなことを言っているのかわからない。命乞いをしているのではない事は
自覚できていた。今シンの胸にこみ上げてきていたのは、あの日、憎悪と共に空を見上げて叫んだ、その時の気持ちだった。そして、その思い
が正しいと感じる一方で、

「……だけど、あんた達は間違ってる!」

言葉では言い表せないが、しかし決定的な違いと、それゆえの否定があった。ジンの手に握りしめられたまま、頭部のバルカン砲が火を噴く。
ジンの指が吹き飛び、零距離射撃の衝撃で砲口が破裂した。思わぬダメージで身を起こしたジンを追い、その頭部を殴り飛ばす。

『ぬぅ……小僧がぁ!』

レーザー対艦刀を振りかぶり、インパルスとジンが斬り結ぶ。その頭上から、メテオブレイカーを抱えた第二陣が降下してきた。離れた位置へ
向かうものも含めて、5基が用意されている。護衛機はついているが、その多くが損傷を抱えており、最後の力を振り絞っているようだった。
インパルスは左手でジンの肩を掴み、推力を全開にして、その場からジンを押し切った。

『邪魔はさせんぞ!』

「邪魔は、させない!」

インパルスとジンの推力が拮抗し、横へと流れる。足元の岩を蹴り砕き、2機のモビルスーツはユニウスセブンの外縁を乗り越えた。
62Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:52:06 ID:???

『我らのこの墓標……落として焼かねば、世界は変わらん! 未だに消えることのない残された者たちの思いを封じ、黙殺し、何が平和か!
何が共存か! 今一度全ての者に思い出させねばならんのだ!』

「思い出させてどうするというんだ! 憎しみを思い出させて、さあ戦争を始めろっていうのか! その為にこれを落とすのかよ! それでどれだけ
の人が死ぬと思ってるんだ! どれだけの関係ない人が! あんたらがやろうとしてるのは、今度は自分たちで血のヴァレンタインを起こそうって
ことだろう!」

『そうとも。これは報復なのだからな。死ぬがいい。我が娘、我が友、我が同胞の味わった苦しみ、愚かな地上の者どもにも味わってもらう!』

「あんたらは……!」

その時、インパルスのコクピットで警報が鳴った。DBDの範囲外に出たという表示がモニターに現れる。
DBD……デュートリオン・ビーム・ドライブ。インパルスに搭載されている、特殊な動力システムである。
フェイズシフト装甲に加え、高い運動性能と換装システム、そして充分な稼動時間を高水準で維持するために、インパルスはその活動の為の
エネルギーを、母艦ミネルバから得ている。戦艦の動力炉から抽出したエネルギーを不可視の放射ビームに変換して機体に受けることで、
随時エネルギーの補充を行えるシステムである。
母艦から離れずに戦うならば、ほぼ無制限の活動時間を誇るが、範囲外においては限られた内蔵バッテリーのエネルギーだけを頼りに行動
しなければならない。インパルスの長所であると同時に、最大の弱点でもある。

「……あんたらは、結局……! 自己満足の復讐がしたいだけなのかよ! やられたからやり返す、その相手なんか誰でもいいんだ! 大西洋
連邦だろうと、ユーラシアだろうと、オーブだろうと! 地球に住んでる人なら誰でも、全部まとめて巻き込んで!」

『何が悪い。地球に住んでいる者どもが我らにしたのはそういうことだ!』

鍔迫り合いから離れ、2機のモビルスーツは地球を眼下に見ながら対峙した。シンの表情が険しくなる。DBDの範囲外から出たところで、ジン
の戦闘力は衰えない。ならば、今までと同じように全力で戦うしかない。

「やっぱり、あんたらは間違ってる……あんたらには大義なんか無い、信念も無い! あんたらは、逆恨みで人を殺そうとしてるただのテロリストだ!」

『何とでも吼えろ。そのテロリストにいいようにあしらわれる無能な対テロリスト部隊が! 見るが良い、大気圏はすぐそこだ。ユニウスは地上に
落ちる。やはり貴様らには何もできなかった!』

その瞬間、ユニウスセブンが震え始める。大気に触れた底部が赤い空気の皮膜に包まれていく。男の言うとおり、ついにユニウスセブンは大気圏
に足を踏み込んだのだ。
63Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:53:06 ID:???
しかし、それと同時に、空気を押しのける力とは違う、強い衝撃が周囲に響き渡る。ユニウスセブンの大地が軋み、大きな亀裂が走る。
その隙間から、爆風が吹き抜け、破片を押し出すのが見えた。破片は大気の中を落ちていき、すぐに消失する。それが何度か繰り返され、やがて
地割れが起きた。そして凄まじい衝撃と共に、ユニウスセブンの大地が割れて崩れる。

『……何……!』

「ユニウスセブンが、割れた……!」

多くの犠牲を払い、全員が決死の覚悟で臨み、ついにメテオブレイカーはその威力を発揮したのだ。

『……まだだ……』

しかし、天空から降る巨大な島の崩壊を目にしても、ジンのパイロットはまだその殺気を衰えさせはしなかった。

『こんな事で、我らの悲願が潰えるはずがない。そうだ……確かに割れはしたが、砕けたわけではない。残った破片は燃え尽きることなく落ちて
行く。ユニウスは流星となって地上に降り注ぐのだ。我らは負けてなどいない』

「……!」

確かに、その通りだった。ユニウスは幾つもの破片に割れたが、その破片の多くは大気圏では燃え切ることのない大きなものばかりである。
地上に被害が出るのを防ぐには、それを更に砕かなければならない。

「割れるのが、遅かったんだ……だけど、まだ方法はある!」

シンはフォースシルエットの推力で上昇し、分かれて落ちていく大きな破片に接近した。既に地球の重力の影響を受け、機体が重いが、それでも
辿り着く。そしてレーザー対艦刀の一撃で、二つに叩き割った。

『無駄なことを。何十にも何百にも割れた破片の一つ一つをそうやって破壊しようというのか? 見ろ、既に貴様の仲間は諦めて撤退を始めている。
地球の重力に捕らわれては、共に流星になるだけだからな。私も退かせてもらうぞ。我々の勝ちだ!』

「……それがどうした。俺は、お前達には屈しない! こいつのエネルギーが続く限り、叩き割ってやる! 一人でも二人でも多くの人を救ってやる!」

『貴様……』

『どちらが負けで、どちらが勝ちかという事にはこの際、意味はないな』

大気圏の引力に引かれる手前で滞空しているジンと、限られたエネルギーで破片の破壊を続けるインパルス。そのどちらでもない声が、そこへ
届いた。
64Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:54:01 ID:???

『しかし精神面で言うならば、シン・アスカ。お前は負けていない。そしてそういうお前と同じ思いを抱く者もいる。お前の仲間達と、そして……』

ユニウスセブンを挟み反対側の上空から、巨大な光の槍が伸びて破片の一つを貫いた。それはミネルバの放つ陽電子砲であった。
更に、破片の彼方から、高速でこちらへと接近してくる飛行体がある。それは戦闘機に酷似した形態からモビルスーツに変形すると、付近を落下
していた岩塊にビームライフルを連射し、ミシン目状に穴を穿って自重で分割させた。

『……この俺もそうだ。その思いを共有する者がいる限り、この世界はお前達のような者の思うようにはならない。それを知れ、ヒュウガ・サトー』

現れた可変モビルスーツのパイロットは、ジンのパイロットを名指しで呼んだ。サトーと呼ばれたパイロットは、これにたじろぐ。

『貴様……私の名を。一体何者だ!』

『ただの兵士だ。以前お前と会ったことがある。お前は覚えていまいがな。だが、こちらはお前の戦い方くらいは知っている。二対一ならば、勝負は
見えているぞ』

『……くっ!』

ジンのヒュウガ・サトーは身を翻すと、背部の大型推進器で大気圏外へと飛び去っていった。それを見たインパルスのシンが、思わず追おうとする。
それを可変モビルスーツのパイロットが制止した。

『待て、シン・アスカ。今はデュートリオン・ビーム・ドライブの範囲内に戻ることが先決だ。奴を追ってエネルギーが切れてはそれこそ本末転倒だ。
そろそろ推進器に回す分のエネルギーも怪しくなってきたんじゃないのか』

「た、確かにそうですけど……あなたは、一体……」

シンは、疾風のように現れたこのモビルスーツのパイロットに圧倒されていた。それはイザーク・ジュールや、彼の部下の狙撃手に抱いたものと
同じ感覚だった。戦士としての畏敬の念とでも言うか、そういうものが自分の中に感じられる。

『奴にも言ったが、ただの兵士だ。名はアレックス・ディノ。カガリ・ユラ・アスハと共に、お前達を助けるためにやって来た』

「アスハと……?」

思わぬところで出た名前に、シンは怯む。そういえば、この可変モビルスーツの頭部は、オーブの主力モビルスーツであるアストレイ系の意匠を
持っていた。

『乗れ。一つでも多く破片を砕かねばならない。ぐずぐずしている暇はないぞ』

アレックスと名乗るパイロットのモビルスーツは再び戦闘機形態に変形すると、推進器を噴かした。シンのインパルスは、言われるままにその上に
乗る。
その向こうでは、連射は難しいはずの陽電子砲が再びユニウスセブンの残骸に放たれていた。直撃したメインシャフトが、まるで花が咲くように、
融解した枝葉を広げている。
65Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:55:09 ID:???

9.

同じ頃、砕けて空へと広がった無数の破片を見上げている者がいた。
青い翼。白い装甲。それは清冽とした姿を持つ、一機のモビルスーツだった。

モビルスーツは背部に広げた翼の中から、そして腰から伸びた翼を伸ばして四門の砲を現すと、その照準を破片へと定め、斉射した。

彼方で光が弾け、破片が砕け散る。それが見えた瞬間には、更に次の標的を狙っていた。
無数の目標に狙いを定め、そして息をつくことなく、休むこともなく、撃ち続ける。まるで空に架かる虹のごとく、翼のモビルスーツが放つ
光は空の向こうへ迸り続ける。

砲身が赤く焼き付き、至る所から排熱が行われる。それでも、モビルスーツは砲撃を止めようとしなかった。口腔部の排気口から小刻みに
蒸気を排出し、また照準を定める。

と、そのモビルスーツへ頭上から降る光があった。
明らかに射抜く意図の見えたその一撃を、モビルスーツは辛くもかわす。

その後から、目の前に悠然と降りてきたのは、鈍く光る銀色の装甲を持ったモビルスーツだった。

「これは……!」

翼のモビルスーツのパイロットは、現れた銀のモビルスーツの姿に息を呑む。
それは、彼がかつて戦い、紙一重で勝利を収めた最大の敵の機体と酷似していた。

『やはり現れたか。このような事態になれば、必ず出てくると思っていたぞ。フリーダム……』
66Destiny-Pulsation第四話:2006/07/03(月) 00:56:10 ID:???

銀の機体は、手にした巨大なライフルを翼の機体へ向ける。そして放った。
かざした楯が、その砲撃の前に一撃で吹き飛ばされる。翼の機体は衝撃で後退しながら、四門の砲を放った。目の前の敵ではなく、彼方の
破片の方へ。

銀の機体は、そんな相手へ遠慮無く砲撃を続ける。翼の機体はそれを紙一重でかわし、時に装甲を削り取られながらも、地上へ降り注ぐ
流星雨を撃ち落とし続けた。

銀の機体はその応酬に飽きたのか、撃つのをやめると、背中に背負ったものを開いた。まるで孔雀の羽のように、金色のフィンが広がる。
そこから光が空中へと滲み出た途端、翼の機体の様子が変わった。装甲の色がみるみる色褪せ、灰色に変わっていく。

愕然とした様子の翼の機体に、今一度狙いを定める銀の機体。
その背後を、風が吹き荒れた。銀の機体の後方を、流星の一つが落ちていく。
翼の機体は、銀の機体と対峙した。そして、僅かな躊躇の後、両者が同時に砲を放つ。

翼の機体の腰部が撃ち抜かれ、銀の機体の背後で流星が砕け散った。

翼の機体は力を失い、真っ逆さまに落ちていく。

銀の機体はその様を、天空に居座ったまま、傲然と見下ろしていた。



to be continued.
67LR(略) ◆9AUE2RuSV. :2006/07/03(月) 01:58:54 ID:???
名無しK氏
超長大作乙!!

スレ立てして良かったと思っておりますw

>>35
歴史の表舞台に立つことは決して無い戦争も存在する。
「……だからこのソードストライカーパックのビームブーメランはビームブーメランで通すの!おわかり!?」
「ですが主任、このビームブーメランの基本構造の特許はすでに、例の東アジアの企業が通してまして……」
「だから、それは上の仕事だつってんだろ!これは『ビームブーメラン』なの!なにが悲しくて『リテンなんとか』っていう個人名入れなきゃいけないのよ!!」
「私だってそんなかっこ悪いの嫌ですよ。でもそれで特許権侵害訴訟起こされたりしたらこっちがやばいんですからね。向こうにはシミズとかいうリテン・キタザキ重工お抱えの弁護士がいましてね、コレが恐ろしくやり手ででして……」
「わかったわかった!じゃあ書類の方には一応書いてきますからね!」
地球連合内部の訴訟騒ぎ、特に技術分野でのイザコザは、これが初めてではない。
当然だがMSを構成するパーツ一つ一つにもメーカの苦労が表れており、その等価値を企業であるため嫌が負うにも求めなければならない。
高い技術力というものは即、軍事に転用可能だ。
技術を得るためには発想、アイデアも不可欠だが、特に必要なのは会社が理解を示すかどうかである。
そしてリテン・キタザキ重工は新商品開発に特に力を入れている企業の一つであった。
蓄積された技術は、コーディネイターといえども容易に真似ることなど出来ないのだから。
68通常の名無しさんの3倍:2006/07/03(月) 07:13:01 ID:???
名無しK氏GJ!
出てくるキャラが一人残らずかっこいい・・・
続きが気になります!
69762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/04(火) 00:06:50 ID:???
今気付いたこと
レイヴンスレの名前がごっちゃ混ぜになってしまっていた。

まあ皆さん(ROMしてくれる方どれくらいるんだろう?)気にしないで下さい。
なるべく気よつけますorz
70名無しK:2006/07/04(火) 18:20:57 ID:???
>13
(DESTINY本編より物語開始を2〜3年遅らせておりますので皆大人になっている感じで進めています)
(ASTRAY系は設定やネタの宝庫なので必要に応じて使わせてもらおうと思っています)

>68
(GJありがとうございます……既存の方々は勝手な好みで電波に変形させまくりオリキャラまで遠慮なく出すやりたい放題ぶりですが)
(よろしければまた読んでやっていただければ幸いです……)


(週一投下のペースを維持したかったのですが息切れです、2週間に一度に落とします……その間は感想とか書かせていただきます……)
(同志の皆様ガンバ……)
71絶対トラウマになってる奴いるだろ:2006/07/05(水) 03:24:32 ID:???
白。
白い悪魔が迫ってくる。
敵・味方その両方を次々に倒して。

「クソッ!何なんだお前はッ!!」

10機のMSの一斉攻撃さえも、まるで次にどこに攻撃が来るか分かっているように躱し、普通の人間ならば挽肉になるような速度で突っ込み、
擦れ違い様に閃光が疾り抜ける。
一瞬で四肢と頭が斬り飛ばされ、機体がアラートをがなりたてる。
腕は肩から切り飛ばされ、足も膝から下が無い。頭は無残にも上半分が丸ごともっていかれた。
さらに今のショックで操縦系にも異常が発生。
最新鋭の兵器は、ただ戦場を流されるデブリの一つと化した。

 「…こちら大西洋連邦第3艦隊所属アルフレード・グラウノーズ少尉!救助を!誰か聞いてないのか?!応答してくれ!」

モニターに移る画面はとっくに戦場を離れ、どことも知れぬ宙域をさまよっていた。
NジャマーのせいでSOSが届いているかすら怪しい。

「…誰か!誰か応答してくれ! ッ?!」

突如モニターが消え、コクピット全体が暗くなる。
MSのバッテリーが限界に近づいたため生命維持装置とSOS発信以外の全てのエネルギーをカットしたのだ。

「誰か……誰か助けてくれぇぇぇぇええッッ!!!!」

それから3日がたった。
生命維持装置はすでに止まり、コクピットに積んであった緊急用酸素も底を付いた。
緊急用のハッチ開放装置を作動させ、扉を吹き飛ばしては見たものの、外は漆黒の闇。
どこにも見方の姿は無く、いや、敵の姿さえない。投降すら出来ない。
暗い棺桶の中、どこへ流れているのかすら分からず、今居る場所がどこなのかもわからず、一筋の光さえ無い暗闇の中に一人、死を待つ。

黒。
全てを飲み込む漆黒の闇。
届く光は冷たく、小さい。
72通常の名無しさんの3倍:2006/07/05(水) 03:52:58 ID:???
「うああああああああああああ!!!」

目が覚める。だが、たとえ目が覚めて悪夢は消えない。
真っ暗な部屋の中、彼の目の前にはまだ白い悪魔がいた。
「ぬぅああああああ!!があああああああッ!!!」
異常な力で暴れないように縛り付けられた高速具を力任せに引き千切る。
血が出ても構わずに手当たり次第に近くの物を殴り、蹴飛ばして暴れる。
「うああああああ!!!があああああああッ!!!」

部屋が明るくなり、数人の男たちが部屋に入ってきて抑えようとする。
「大人しくろ78号!」

白い機体が脳裏に焼きついて離れない。
「78号!」
「畜生!畜生ぉぉぉおおおーーーッ!!」

研究者らしき男が即効性の鎮静剤を打つ。
78号と呼ばれた男の意識が消え、体から力が抜けていく。

「やっとか…しかし先生、三日に一度はこんな風に暴れる奴がはたして使い物になるんですか?」
78号を再びベッドに縛りつけた警備員は研究者に尋ねる。
「うむ、ブーステッドマンの限界かも知れんな…だが、所詮使い捨てだ。使い物になろうとなるまいと、データさえ取れればそれでいい」
「…やれやれ、MSパイロット様も、この様じゃな…」

二人はそう言うと部屋から出て行った。
また部屋が暗くなり、中には一人だけになった。
73762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/05(水) 18:35:37 ID:???
時々「LR(略)」なんて名前間違って使ってる762です。

>名無しKさん
ゆっくりいきましょうやw
こっちだって再開するのに数ヶ月かかっちゃってますからね。

>>71
超GJ!
強化人間側から見たSSでしょうか?
興味深いです。

強化人間で思い出したんですが
ウィルスを使った遺伝子改造ってやってないんですよね種って。
そんなことナチュラルがやちゃったら原作の根底を完全に覆しちゃうけどさ……
(例・メタルギアソリッドのゲノム兵とか)


あとオリジナルキャラの名前、募集してます。
74通常の名無しさんの3倍:2006/07/06(木) 00:59:25 ID:???
>>73
ふ、ふんだっ!
別にあんたの事なんてどうでもいいんだからね!

ただ、これぐらいしてやらないと
スレの人達が困っちゃうでしょ!

http://www.jinmei.info/

ホントにアンタのことなんてどうでいいんだから!
わかった!?

わかったんなら!
これを参考にしてさっさと続きを書きなさいよね!

なっ!なによ!
別にあんたのSSを読みに毎日このスレになんか来てないんだから!
75762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/06(木) 05:20:15 ID:???
>>74の申し出、誠に
感謝痛み入る。
76通常の名無しさんの3倍:2006/07/08(土) 22:58:56 ID:???
カゴリのメイン落ち確定wwwww
やっぱり素行の悪い厨には罰が下るのねww


462 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2006/05/05(金) 15:17:23 ID:???
カガリ厨、関係者に笑われてたぞ
「何でメインなのにフィギュアが出ない?って言われても、カガリメインじゃないっての」ってさ
つかグッズよりも映画の心配でもしたらどうだ?

513 名前:462[sage] 投稿日:2006/05/06(土) 00:22:45 ID:???
カガリの扱いについては、状況的には正に471の通りっぽいよ

映画っつーのは、来年種の映画やるって聞いたからさ
内容は知らんがな

715 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2006/05/16(火) 00:17:12 ID:???
前に映画バレを書いた人間だけどさ…

アスカガ厨はスペエデでハウメアの石が出てきたからアスカガ鉄板!とか言ってるけどさ、
あれ、ぶっちゃけスタッフ全員が忘却の彼方だったのを
ふと平井が思い出して「そういやハウメアの石ってどうなったんだっけ?」と聞いたから
「ああそういやそんなのもあったっけ」って事になってとりあえず出しただけらしいんだけど

まあソースを提示できない話だからネタとしてスルーしてくれても構わないけどな
過度の期待と根拠のない思い込みは、後々後悔することになると思うぞ、カガリ厨

733 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2006/05/16(火) 00:26:27 ID:???
>>719
今は特にない
スペエデ第2部で、凸がくるくるどぼんのシンステを迎えに来るのに、ルナもくっついてくるらしい
って事くらい

749 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2006/05/16(火) 00:34:24 ID:???
>>747
全然
まだスペエデにかかりっきり

744 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2006/05/16(火) 00:30:47 ID:???
>>739
只のシンルナ強化(のつもり)らしいよ
それで「シンルナはいきなりくっついた」と言われないようにしてるつもりらしい

らしいらしい、って言い方ばかりで申し訳ないが

77通常の名無しさんの3倍:2006/07/09(日) 15:57:04 ID:???
わっふるわっふる
78通常の名無しさんの3倍:2006/07/09(日) 17:39:41 ID:???
「ジョージグレンが解体して持ち帰った羽鯨。皮膚、骨格、筋細胞、神経細胞、しかし足りないものがあった。・・・何か分かるかね?」
「何が言いたい・・・」
「ふん。つまらない子だね。・・・魂さ。木星で発見した羽鯨は良好な保存状態ではあったものの、既に死骸だった。つまり羽鯨の再生を目的とした「シードプロジェクト」とは、そういうことさ。
細胞から摘出したDNAをヒトの胚に組み込む。果たして、羽鯨のDNAを受け継いだそいつは、羽鯨とはいえないかね?」
「・・・。こんな小娘に移植するくらいなら、本物の鯨の方が良かったんじゃないかしら」
「ふん、水槽の大きさが足りなかったんだ」
「・・・」
「メンデルのテロで被献体のほとんど、それと羽鯨の貴重な細胞サンプルまで失ってしまったが、奇跡だな。ここでまたこうして会えるとはね」
「どうする気?」
「ふふ、まだ話は終わりじゃない。オノゴロ島攻略のために衛星軌道から落下させた羽鯨の骨格、君がつかんで振り回したやつだよ。いやあ、あのときは驚いたなあ。
おかげで戦略的にはまったくの無駄骨になってしまった。はは、まああれは海底に沈んで回収は容易にはできないだろう。しかし回収など必要ない。まあ、そもそも骨格なども必要ないのだが、起爆剤にはなったろう。
君が一番分かっているんじゃないのかい?」
「どうなるの?」
「教えない」
「殺すわよ」
「怖いね。じゃあ単刀直入に言おう。地球は滅ぶよ」
「素直ね。嘘ついたら食い殺そうと思ったのに」
「僕は腐っても聖職者だからね。・・・正確に言うと、少なくとも地球上の人類は全滅する。だが君は死なない。
高次な新しい人類として生まれ変わる。そうしたらコロニーで生き残ったコーディネイターたちとよろしくやっていけばいい。
君にとって悪い話じゃない」
「人類?嘘ね。鯨になるんでしょ」
「そこまでお見通しだとはね。後は君の意志さ。君が心を解き放てばそれでいい。新しい世界が始まるんだ」

なんか、思いついた設定で会話してみた(;´Д`)
79名無しK:2006/07/09(日) 20:39:10 ID:???
>78
(す げ え)
(コーディネート技術による天使計画みたいな感じですか、色々な次元を突破した領域で面白そうです)
(今の段階では設定だけのようですが、これがガンダムとして成立する物語へ昇華したらと思うと血が踊ります)
80通常の名無しさんの3倍:2006/07/09(日) 23:17:47 ID:???
>>79 感想ども〜。お褒め預かり嬉しいです。
ここから発展させていくのは僕の技量的にちょっと難しいかもしれません(;^^)ので想像力を豊かにして楽しむ感じのオサレ短編としてお読みいただければと思ってますm(_ _)m
81762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/10(月) 00:02:02 ID:???
>>78
GJ!
素直に面白いですw
82762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/10(月) 02:40:39 ID:???
>>78に触発されて書いてしまった。
今は反芻している。
83762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/10(月) 02:42:25 ID:???
機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その12

TFA−2「ザウート」ダンシング・デビル仕様改造型。通称"ザウートDD"が12名の戦鬼の徒を足に乗せて、突っ込む30分前。
ザウートDDの前方を行くジンDD(これまたジンをDD用にアレンジした物)が三機、楔形陣形で突き進む。
真ん中の機体に乗り込むDD隊長、ランドルフ・H・カーターは一人薄暗いコックピットにて独白する。(すぐ後ろで「ハロハロ」言ってる物体は認識外)
「楽しいかケナフ・ルキーネ。戦争は楽しい!!凱歌を歌えルキーネ。そして"そこ"で見ていれば良い。私には見えるぞ、もう私の衰えたのナチュラルの眼にもハッキリと見える。
あのコロニーの輝きが、あのコロニーの形状が!!凱歌を聞けルキーネ。そして"そこ"で見ていればよい。平和の国の崩壊を」
未だ戦闘が続いている宇宙港を、発見されぬよう大きく回りこみ、工場地帯側から強行突入を敢行すべくブースターを吹かしながらの加速につぐ加速。
すでに追加プロペラントタンクは一段目を切り離している。
母艦のユノーから出撃し数時間。とうとう戦闘用にカスタマイズしたノーマルスーツの彼らの目にヘリオポリスが視認できた。
ヘリオポリスの灯を見た"踊る悪魔"隊の隊内無線は歓喜に溢れる声が次々と。
「コロニーだ…コロニーだぞ…ッ」
「あの灯光が…!?」
「あれか!?ヘリオポリスか?ヘリオポリスか!?」
「見ろ!!もう見えるぞ!!見える!!」
「オーブ!!オーブの灯だ…」
「中立国だ!!」
 耳に入る部下達の声を聞きながら、カーターは久しぶりの戦場の香を思い出し、部下達に伝える。
「そうだ、あれが遂に我々が待ち望んだオーブのひかりだ。私は諸君を約束通り連れてきてやったぞ。あの久しぶりの戦場へ。あの久しぶりの戦争へ」
 一ヶ月間の休養。それは戦争禁断症の前線豚、彼らには耐えられない苦痛の日々であった。
それが今ようやく終る。また戦場に出れる。また殺し合いができる。ああ、なんて素晴らしき生活だ!
 ザウートDDに乗った者も、他のジンDDのパイロットも次々に隊長に言葉に応じ「隊長!」「隊長殿!」と声を上げる。
 カーターは言った。
「そしてついにヴェアヴォルフ(人狼)は虚空を渡り、平和の楽園に上がりこむ。土足でだ。ダンシング・デビル隊各員に伝達!!隊長命令である!!」
 一呼吸を置き、クズ共、人間失格者の指揮官はその場に居た者全てに、まるで今日のランチは何にしようか決めた感じで言い放った。
「さあ諸君、地獄を作るぞ」

 ザウートDDがトレーラーに突っ込む5分前。
『ロングより隊長へ。こちらも最大望遠で宇宙港側確認。あ〜あ、まだメビウス駆逐できてないでや〜んの。隊長どうします?助っ人行きましょうか?』
「ははっ、文句を言うな。エンデュミオンの鷹がいるんだ。そりゃ手こずるさ。なに向こうは向こうで何とかするさ」
 三機のジンDDの一角を務めるフランシス・ベルナップ・ロングより、ヘリオポリス宇宙港周辺で繰り広げられる戦闘を評しての言葉にカーターは諌めの言葉を掛ける。
 今しがたメビウス・ゼロの攻撃で一機のジンが撃墜されたのだ。
 こちらの戦力を分散する危険があったのは勿論だが、カーターは別に思う所があった。
(エンデュミオンの鷹と……我らがクルーゼ隊長殿。ここで水をさすのは下賎と言うもの。因縁同士、仲良くしてくれれば良い。クルーゼよ、俺は約束通り手を出さんからな)
 ロングのどこか醒めた物言いに反して、ザウート組みは興奮の坩堝と化していた。
「最大加速!!とばせ!!もっとだ!!もっともっと!!」
「ブースターが焼け落ちるまで吹かせ!!もっと!!もっと!!もっとだ!!」


84762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/10(月) 02:46:11 ID:???

ヘリオポリスの管制室は大混乱に陥っていた。
クルーゼ隊の襲撃に加え工場地区での大規模な爆発と、連合製MS周辺で発生した銃撃戦。
そして踊る悪魔の出現。
「レーダーは!?何をしていた!!これ程接近するまで誰も気づかぬはずがない!!」
「各サイトは沈黙したままです!!」
「ドックの連合軍本部は何をしている!!」
「連合軍とは現在通信途絶しています!!」
「敵現在位置から工場側ドックまで直線距離で約100km!!」
「約3分で敵MSは資源採掘エリアへ!!」

「突っ走れ!!突っ走れ!!」
「あのかすかに見えるコロニーの開口部へと向って突っ走れ!!」
「突っ走れ!!突っ走れ!!」
「今でも思い出す、あの喧騒と打撃へと向って突っ走れ!!」
 ザウート組みは、ワイヤーで固定した体で加速に耐えながら笑い、叫び、啼き続けていた。
 待ち焦がれた、このどうしようもない感情が噴出しているのだ。
 もし通信を傍受している者がいたら、頭のイカレていると思うこと請け合いだ。
 彼らの言動、どう見ても常軌を逸している。
 しかしそれこそがDDクオリティ。
 何故なら、彼らはみ〜んな冷静沈着に狂っているからだ!
 それ故プラントは彼らを欲したのと言える。コーディネイターには絶対に身につかないであろう、そのあまりにも異質な特性。
 長年の戦場生活で培ってしまった性格と言ってしまえればそれだけであろう。
 重度の戦争依存症。これは絶対にコーディネイターには身に着けようにも無理があったし、誰も真似したくないものであった。
 そしてプラントはナチュラルである彼らを受け入れた。
 プラントは、戦争に絶対に負けられないため悪魔と契約してしまったのだ。





本日は以上。
う〜む文才が無い上パクリだかんな〜
才能の底が見えているw
85通常の名無しさんの3倍:2006/07/10(月) 22:01:03 ID:???
種の脚本、ヒラコーにやらせたら最高に狂ってて面白かったろうな
今とは違う意味で超問題作になる
86762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/11(火) 01:28:02 ID:???
>>85
感想感謝(涙
過疎り過ぎて換装が来るのかわかんなくて怖かったんだw!(オイ
87通常の名無しさんの3倍:2006/07/11(火) 05:51:39 ID:???
なかなかおもしろいw
乙です!
88762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/12(水) 21:56:14 ID:???
>>87
多謝っす;;

さてキラ達を原作通りに絡ませる余裕が無くなって
自分で自分の首を絞めていたり……(汗
(ああ、これで原作そのままにっていう手抜きが出来なくなってしまった〜)
一興で書いた東アジア共和国建国でも載せて見ますね〜。

【東アジア共和国建国記】
『再構築戦争』の終結。
暦がコズミック・イラへ変わるとともに、世界はこれまでの模様を一変させた。
多くの国が生き残るために地域連合を組み統廃合を重ねた。
欧州ではロシアの残存資源を取引材料に、ユーラシア大陸の殆どが統合するという未曾有の合併があった。
極東アジアも例外ではない。
それまで大陸を独裁していた組織が瓦解し、省単位で武装組織が独立を掲げ、
一旦は再起不可能とさえ言われた大混乱を治めたのは、東アジア建国の祖と讃えられる三人の男であった。
すなわち“リュウ・ソン・ソウ”三大偉人である。
器量、「徳」を持って人心を纏めたリュウ氏。
香港をはじめ南方財閥の「利」を活用したソン氏。
そして中華の大地に全く新しい思想の元、卓越した政治力で台湾、韓国、日本を一国に纏め上げた「破格の人間」ソウ氏。
この三者が一致団結し、はじめて東アジア共和国が誕生したのだ。
未だにオーブやユーラシア連合との軋轢を抱えているが、四ヶ国が一国にまとまったことにより、
足りない物を互いに補うことで『再構築戦争』後のの混乱を生き延びたと言って良いであろう。
有史以来、ついに果たせることの無かった念願の完全民主主義国家が、CE9年に産声を上げたのだ。
既存の中華思想などに囚われず、遥か高みを征く有才主義と法治主義。
が、しかし。建国から半世紀。
共和国はコーディネイターの国、プラントの存在により、その建国理念である有才主義が大きく揺らぐことになる……


こんな感じで勝手に設定を書いてみるテスト
(だって公式に全然載せてないんだもんw)
89通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 23:10:02 ID:???
>>88
こんな東アジア共和国だったら俺は忠誠を誓ってもいいw
この設定もどこかで活かしてくれると嬉しいなあ。
90762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/13(木) 01:34:35 ID:???
>>89
感想感謝w

活かすも何も、


もう 決 定 事 項 ですが何かw?

だって手付かずの設定なんだもん。
歴史を変えるにはこういうところから改変(捏造)しなくちゃw
91通常の名無しさんの3倍:2006/07/13(木) 10:00:29 ID:???
なにが感謝なのかよく分からんが・・・・
職人はよほど付け加える事でもない限り、いちいちレスつけないでくれます?
いい加減ウザイし荒れる元だから。(0083スレがいい例)他の職人はレス付けるにしても、ちゃんと分をわきまえているだろーがよ。
92762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/13(木) 11:58:48 ID:???
>>91
すまんかった(´・ω・`)

以後投稿のみにするorz
93通常の名無しさんの3倍:2006/07/13(木) 12:06:52 ID:???
いや、こっちもつい勢いでキツいこと言ってすまなんだ。
分かってくれれば嬉しい。これからの投稿に期待します。
94通常の名無しさんの3倍:2006/07/13(木) 17:07:22 ID:???
黙れ。そして死ね。この、挽き肉どもがっ。
95762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/14(金) 18:01:16 ID:???
1レス分の投稿を行う。

短いが許せ(´・ω・`)
(なんか間を置くとスレが消えそうなんで)
96762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/14(金) 18:02:21 ID:???
【機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その13

 ヘリオポリス資源採掘エリアに設けられた物資搬入用通路は、カーター達を通過させるには容易な広さを持っていた。
 さあ、いざ、いざ我らは戦場に突き進む。
 しかし此処に来てジンDDの一機から連絡が入る。
「ヘンリーより隊長へ。八時方向の資源採掘エリアにて爆発光を確認……と、おおとこれはボーナス物ですな。凄いもの発見しました」
左翼を構成するジンDDのヘンリー・カットラスが興奮気味に報告する。
ヘンリー・カットラス46歳。大西洋連邦イギリス出身である。元連邦空軍捜索救助隊では「魔女狩りヘンリー」として名を馳せた。
何故か救難者より武装した敵を先に発見してしまう運の持ち主なのだ。
それが今回も遺憾なく発揮された。
「MSです。それも全く未確認のイカしたスタイルのMSです!あれは情報にあった連合のMSとは全く別系統です」
「ほぉ、そいつは良くぞ発見した。さすがは"魔女狩り"ヘンリー。あとで一杯奢ってやるぞ」
 カーターは嬉しそうに言ったものの、このイレギュラーにどうしたものか思案した。
(見過ごすか? いや、この場合後方が危険になる。"魔女狩り"から送られてきた映像データではバズーカらしき武装をしている……さてどうするか?)

「チッ、よもやこちら側にもザフトが来るとはな。ふむ……情報ではこちらに回す戦力など無いはずだったが、まあ良い」
 アストレイ・ゴールドフレームを駆るロンド・ギナ・サハクは、この予想し得なかった展開にさして驚きなどしなかった。
 むしろ、この状況の変化に対し、頭脳は冷徹に計算を重ねていた。
 無論、この機体を発見された以上見過ごしてくれるとは考えなかったし、見過ごそうとも考えなかった。
 結論は一つ。殲滅すること。
管制室にもう一度コンタクトをしてみた。
 案の定、ヘリオポリス管制室は混乱してまともな応答など期待できない体たらくであった。
 ギナはバズーカの照準を合わせつつ思った。
(腑抜けすぎであるぞ、全く!これだからオーブは平和呆けおると言うのだ!)



〈続く〉
97通常の名無しさんの3倍:2006/07/15(土) 10:02:43 ID:???
乙!
む、アストレイ来たか
98通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 13:29:00 ID:???
保守
99762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/17(月) 17:43:16 ID:???
>>96
誤字発見orz

×呆けおると

○呆けておると

スマソ
100通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 23:51:06 ID:???
100ゲットだ!
101通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 00:45:43 ID:???
101ゲットだ!
102通常の名無しさんの3倍:2006/07/20(木) 00:33:31 ID:???
103通常の名無しさんの3倍:2006/07/20(木) 00:49:23 ID:???
まとめサイトもないみたいだし過去スレhtml化してないよな?
104103:2006/07/20(木) 02:00:01 ID:???
自己解決しますた
105762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/20(木) 04:16:05 ID:???
【機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その14

 サハク家当主の一人として、オーブの未来を担うであろうアストレイは、今公にすることはできない物だった。
 それもそのはず、ギナが乗るアストレイ・ゴールドフレームは連合のMS開発技術を盗作して造られた物だからだ。
 オーブのモルゲンレーテ社が連合軍MS開発プロジェクトに極秘で携わった側面には、そういった事情があった。
 だが、オーブ内にはそのことに危機感を持つ者たちがいたため、事情は一気に複雑化することになった。
 連合MSの情報流出が察知された途端、オーブ重臣達の何名かが、事が公になる前にアストレイ開発そのものを抹消すべきと声を挙げたからだ。
 その結果が保守派筆頭と言われる"オーブの姫君"の直接視察の一因となり、傭兵部隊サーペントテールへの依頼へと繋がることとなる。
「フンッ、まあ良いわ!」
 思わぬイレギュラーにより姿を見られた今、ロンド・ギナ・サハクは逃げるか戦うかの二者択一の選択をすることとなり、後者を選ぶとした。
 この時代、ニュートロンジャマーのおかげで長距離無線通信は非常に困難なものとなっていた。
 特に、コロニー反対側に居るザフト艦隊への通信には事欠くであろうことは間違いない。
 こちらの存在がザフト本隊に伝わる前に殲滅すればよい。
 ギナはモルゲンレーテ社の秘密開発区から脱出のために使用した、GAT−102"デュエル"専用のバズーカ「デュエルバズーカ」を持っていた。
 それを使いコロニー外壁を破壊して直接宇宙へと出たのだ。
 当然残弾は有る。MS四機(それも一機は運動性に乏しいザウートだ)を相手にするにはそれで充分と、ギナは計算した。
 特に接近戦となれば、アストレイにあってザフトには無いビームサーベルが威力を発揮するであろう。
「我が奏でるワルツで踊れ!下賤の者達よ!」
 相手を自分より劣ったものとしか見ないギナは、嘲笑しながらダンシング・デビル隊先頭を進むジンに向けデュエルバズーカを発射した。

106LR(略) ◆9AUE2RuSV. :2006/07/20(木) 04:17:24 ID:???
「そのお誘い、喜んで!!」
 突然発射されたゴールドフレームのデュエルバズーカの砲弾を、ブースターを盛大に吹かし不器用に避けながらカーターは応じた。
 カーターもゴールドフレームからの攻撃のおかげで迷う必要は無くなった。本当に喜ばしいことだ。
 すぐ後ろでハロが敵の武装状況を報告し「未確認機の武装は強力。直ちに退避することお勧めしますベランメエ!」とけたたましく言うが、カーターは明るくあしらう。
「ハロよ、たとえ相手が重武装の新型だろうがこっちは三機で向こうはたった一機。充分戦争はできるじゃないか!」
 相手の意図が分かり、こちらの対処も決まったのだ。
カーターは部隊に命令する。
「カーターより各員に伝達。未確認のMSは敵性であると判明した。ジン隊が敵を抑えている間にザウート隊は突き進め。以上」
(さて、どうも情報とは違う機体とばったり出くわしてしまった。察するにオーブが自主開発したMSかな?)
「ハハッ、ロング了〜解〜(ハート)」
「ヘンリー了解です!」
 ジンのパイロットの次にザウートのパイロットから応答が来た。
「こちらザウートのハルベルト。お願いしますよ。こっちは膝の上にやっかいな荷物を載せているんですからね」
 デニス・ハルベルト。DD部隊最年少の36歳。カーターと同じ大西洋連邦アメリカ出身であり、一時期カーターの部下であったこともあった。退役時最終階級は少尉。
 カーターとは昵懇の仲とでも言う関係である。
 そして最後にDD副隊長であり上陸部隊班長を務めるゼリア・ビショップから連絡が入る。
「ビショップだ。これで暫く会えなくなるな。コッチは、周りの連中は、あんなチャラチャラしたMSを見て気が立ってやがる。そっちは無理すんなよ。なんだったってウチらの隊長なんだからな」
 最初の一撃から部隊はすでにジンとザウートが分かれ、ザウートが予定通り資源採掘エリアの開口部へと突き進むのをジンが援護する形に布陣する。
ザウートとゴールドフレームの間の射線上に入りながら三機のジンはゴールドフレームに接近していた。
つまり、ザウートDDとは別れつつあった。
開口部に対しザウートDDが持ち前のキャノンを連射し、開閉扉を破壊しながら内部へ突入していった。破壊痕を無理矢理突き破っての強行突入だ!
それを確認した後、カーター達はチャラチャラしたMSことゴールドフレームに向け、ブースターを最大出力よりちょい下げて吹かし、盛大に突撃する。
 カーターはチャラチャラしたとビショップが形容したのも頷けた。
 実際、ギナの駆るMSは全体を黒色で塗装してあるが、胸部ファンのブレードといいつま先といい機体の要所要所を金色に塗装してあるのだ!
(あ〜〜。な〜んでこんな目立つ塗装するかな〜〜)
 近づけば近づくほどよく分かるその機体色はかえってカーター達が困惑するほどであった。
 ……後に連合のGATシリーズの配色を知り、さらに頭を抱えるのは言うまでもない。試作機ということで納得したがどうにも腑に落ちなかったが。
カーターは頬を引きつらせた、暗い笑顔の凶悪な容貌を晒しながら部下に指令を下す。
「各機、モードVC。音声認識モードで対MS戦を行う!相手は一機だが注意しろ。大砲を装備している。まともに喰らったら一撃でやられるからな。相手の機体ポテンシャルが不明のため接近戦は絶対に控えろ。以上!」

107LR(略) ◆9AUE2RuSV. :2006/07/20(木) 04:19:09 ID:???
 カーター達が駆るジンDDは格別特別な機体というわけではない。それどころか、元は廃品利用の組み立てな為、動作面で劣っている箇所すらあった!
 強いて言うなら座席後部にナチュラル操縦の為の支援AI用のアタッチメントがついているぐらいだ。
 DDで言う「ハロ」とはナチュラルであるDD部隊が操縦できるよう開発された学習型AIをアスラン・ザラが暇つぶしに製作した玩具用ロボット「ハロ」に組み込んだ物である。
 学習型であるため、当然ではあるがナチュラルがコーディネイターのMSを操縦可能に至るまでは、文字通りカーター達の血の滲む(実際重傷者を続出した)ような努力があったことは言うまでもない。
 冗談ではなく開戦に至る数ヶ月前は「日に25時間の鍛錬」とも言うべき。異常な有様だった。
 そしてその努力にはアスラン達、DDが担当した教え子達の助力があっての事だということを付け加えなければならない。
 機体は同じだがジンDDの武装は通常のジンとは異なっていた。
 各機、右腕に装備するのはMMI-M8A3 76mm重突撃機銃ではなく、弾数が多く初速の速いシグー用のM7070 28mmバルカンである。
 最新型のシグーの装備を一体どっから入手したのか明らかにされていないが、元はバルカンシステム内装防盾として盾と一体化されていたものだった物に改造を施し盾と分離。
 盾は盾で左手に装備しトータルとして攻守バランスを通常のジンより向上はさせている。
 いくらAIを介してといっても、コーディネイターが操縦するMSに対しもとから優劣がはっきりとしているのだ。
 ならばせめて、なるべく当たりやすい武器と生存性を高める盾で装備したほうが良いからだ。
 最後にジンDDの特殊性を現す装備として、接近戦用の斬機刀が挙げられるだろう。当然だがジン標準装備のMA-M3 重斬刀とは違う。
 「剣」である重斬刀に対し、DD部隊の斬機刀は文字通り「刀」なのだ。これの入手先もハッキリとしない(というよりザフト軍の多くは気にも留めていない)。
 余談だがザフト軍の中で「刀」であることの有用性を現時点で理解しているのは、DD隊とは犬猿の仲であるサトー隊くらいである。
 しかし、出撃前のカーター曰く「できることなら始めっからD装備でハリネズミのようにして行きたかった」とのことだ。
 それは現状がザフト軍有利とは、とても言えなかったからだ。
 ナチュラルによるザフト軍特別部隊創設が明らかになり、ナチュラルが操縦するMSの存在が公になった2月7日、地球連合軍は戦略方針を大幅に変更したのだ。
108762 ◆9AUE2RuSV. :2006/07/20(木) 04:22:04 ID:???
以上 本日の投稿は終わり。

もう寝ます。

そんで、名前なんですが……
ゴメンナサイ気をつけてるつもりなんですが、どうしてもレイヴンスレの名前に!
orz

それでは失礼したします。
109リスタの人:2006/07/21(金) 23:49:38 ID:???
お久しぶりのRestartの作者です
覚えてる人いるんだろうか…
某スレでレスしたところ、知ってる方がいてくれたせいでうっかり創作意欲が湧いてしまいました
書き途中のものが残っていたので復帰してみようかなどと思います
別スレでもただいま執筆してまして、おそらく更新はまちまちですがどうかよろしくお願いします
110Restart(1/10):2006/07/21(金) 23:51:51 ID:???
 僕は進む。
 焦り急ぐ気持ちを、静かに鎮めて。

          機動戦士ガンダムSEED Restart
          PHASE-13「キラのできること」

 日が明けると、キラとカガリはストライクとスカイグラスパーを隠した場所へと戻ることになった。
 早朝には雨も上がり、晴れ間も見せ、通信が回復したためである。
「アスラン、また絶対…今度は戦うんじゃなくて」
「わかってる。別の、もっと良い形でな」
「私も、やれることはやるぞ!」
 キラ、アスラン、カガリ、三人は互いに強い笑みを見せ、再会を誓った。
 キラとカガリはアークエンジェルへ、アスランは部隊へと、帰還を果たす。

 アークエンジェルに戻るなり、カガリはキラを連れて一目散にキサカの元に向かった。
「キサカ!」
「カガリ!一体何をしていた!」
 心配して思わず声を上げるキサカだが、カガリはそれに動じず、真っ直ぐな視線を見せる。
「すまない。話がある、来てくれ」
 いつもなら反論してくるはずのカガリなのに、今回は素直なことにキサカは呆気に取られた。
 だがそれよりも、カガリが真剣であり、ただならぬ状態であることを悟る。
111Restart(2/10):2006/07/21(金) 23:53:21 ID:???
 キサカはカガリとキラと共に、カガリとキサカに割り当てられた部屋へと向かった。
「私は、アークエンジェルと共にオーブへと向かう」
「なんだと!?だがカガリ、そんなことができるはずが…」
「身分を明かす。この際、身分なんかどうでもいいんだ」
 カガリの顔が、黙って会話を聞いていたキラにすっと向く。
 そして、微かに笑った。
「オーブに帰れる方法…知ってるんだろ、キサカ?」
 ニヤリとした笑みに変わって、カガリはキサカに向き直る。
 キサカは驚いた表情をゆっくりと崩し、大きな溜息を吐いた。
「…全く、困った姫だ。わかった、それはどうにかしよう」
「ホントか!やったぞキラ!!」
「うんっ!やったね!」
「まだ話は終わっていない!」
 キサカが二人を睨む。
「その少女も一緒ということは、もう既にカガリのことは存じているか」
「はい。カガリはウズミ様の御息女なんですよね」
 わざとわかりやすくキラは言った。
 本当は全部知っている。ウズミとカガリに血の繋がりはないことも、カガリと自分は姉妹であることも。
「わかった、君のことも信じよう。ブリッジで艦長達と話をしてくる」
 そう言って、キサカは部屋を出ていく。
112Restart(3/10):2006/07/21(金) 23:54:50 ID:???
 キラとカガリは、ハイタッチしながらオーブに行ける喜びを分かち合った。

 海中を進むアークエンジェルは、オーブの領海へと進入した。
 どうやら、潜水していたためか、ザフトの追撃はこれといってない。
 誘導され、アークエンジェルはあるドックに入港する。
 そこはコズミックイラ73年時にアークエンジェルを隠していたアカツキ島の海底ドックだった。
「ここなら、セイランやサハクに見付かることもないだろう」
「感謝する、キサカ」
「感謝をするならお父上にしなさい。このドックはアスハ家所有のものだ」
 前とは入港したドックが違う。
 それは、未来が確実に変わっているということ。
 キラの胸の鼓動は、ドクドクと速まっていった。
「キラ?」
「え…なに?」
「なに?じゃない。これからお父様に会いに行く。お前もな!」
 そんな胸の高鳴りもよそに、カガリはキラを引っ張って艦を出ていく。
 もちろん呼ばれたのはマリュー達で、カガリやキラではない。
(外出許可…出てないんだけどなぁ〜)
 キラの頭にそんな不安が横切った。
 だが、不安に心を曇らせているわけではない。
113Restart(4/10):2006/07/21(金) 23:56:45 ID:???
 キラには、一つの考えがあった。

「まぁまぁまぁ!カガリ様、なんて格好で!」
「マ、マーナ…」
 極秘に用意した車で行政府に着いたカガリ達だったが、カガリは予期せぬ人物と出くわす。
「こんな格好でウズミ様とお会いになられるなんて、マーナは恥ずかしゅうございます!」
「マーナは関係ないだろ!」
「お帰りになったと聞いて、マーナは綺麗なお召し物をたくさん用意して参ったんでございますよ」
「ちょ!キラ、助けろ!」
 首根っこをマーナに掴まれ、カガリは控室の中へ消えていった。
 マーナのあの少し強引なところはキラも知っている。
 そのため、キラは苦笑してカガリを見送るしかなかった。
「僕の服装は大丈夫でしょうか?」
「あぁ、問題はないはずだ」
 キサカに訪ねて、良好な返事が貰えキラは安心した。
 私服で来たが、必要のない所にベルトの多いこの服装がおかしくないか、心配だったのである。
 心配事も解決して、キラはもう一度、キサカに顔を向けた。
「僕とウズミ様だけで、話をさせてください」
 一つの考え……。
 それは賭けにも等しい。
 だが、それに賭けるしかない。
 自分のできることには限りがある。
114Restart(5/10):2006/07/21(金) 23:58:12 ID:???
 それを知っているからこそ、キラはウズミの力を借りたかった。
 自分一人で何かもできるはずがない。
 誰かと協力すること、それもまた、自分のできることなのだ。
 そんな想いを心に秘め、キラはキサカにそう申し出る。
「不思議な子だな…カガリやアークエンジェルの者達の気持ちがわかる気がするよ」
 キサカは笑う。
 そして、しっかりと頷いた。

 ドアをゆっくり叩き、静かに部屋に入るキラ。
 長い机の置かれた会議室。
 だが、いるのはキラと、待っていたウズミだけ。
「失礼します。キラ・ヤマトです」
「ウズミ・ナラ・アスハだ。座りなさい」
 ウズミの言葉に、キラは軽く頭を下げ、席につく。
「代表を退いた私だが、暇ではないのだがね」
「わかっています。では、単刀直入に言います」
 息を吸い込んで、キラは口を開いた。
「僕は世界をやり直すために、この世界に戻ってきました」
 おかしなことを言う少女だと思うだろう。
 現にウズミも、黙ったまま何も言ってはこない。
 しかし、キラは不安になるわけでもなく、確かな視線をウズミに向けていた。
115Restart(6/10):2006/07/21(金) 23:59:52 ID:???
「……君の瞳は嘘を言っているようには思えん。だが、どういうことかというのも、理解ができん」
「お話しします。僕がどうやって、戻ってきたのかを」
 元いた世界。
 今のキラではないキラがヘリオポリスで戦争に巻き込まれ、そしてその戦争を乗り越えたこと。
 その戦争で、多くの犠牲が出たこと。仲間や大切な者を失ったこと。
 新たに起こった戦争のこと。
 世界は依然として、戦い続けていたこと。
 そして、そんな世界を変えるために、元いた世界のフレイの力を借りて、戻ってきたこと。
 それをウズミに、キラは伝えた。
「でも、僕だけで世界を変えることなんてできないってことも、知っています」
「…その話、俄かには信じられんが…だが」
 キラの顔は嘘のうの字もなく、真実を語っているようにしか見えない。
「だが、その世界も君達が選んだ世界だということを、君は忘れてはいないか?」
「え…」
「何もわからぬまま、何をどうすればよいのかも知らぬまま、結局は選んでしまった未来ではないのかね?」
 ウズミの言葉に、キラは返す言葉も無かった。
 ヤキン・ドゥーエ攻防戦を経て、自分達は表舞台から隠れるような生活をしていた。
116Restart(7/10):2006/07/22(土) 00:01:21 ID:???
 本当なら、世界を動かすことができる自分達は、それを選ばずに。
 代表首長として奮闘していたカガリでさえ、条約加盟を止めることもできなかったのだから。
 そしてそれでも頑張ろうとしていたカガリを連れ去ったのは、キラ自身なのである。
 戦場を駆けることしかできない無器用な自分達。
 しかし、そんなことはただの傲慢なのだと、心のどこかでわかっていたはずなのに。
「その通りです。でも、だから僕は戻ってきた。変えたくて戻ってきたんです!」
「それが、これから別に変えられるかもしれない世界を巻き込んだ身勝手な行動だとしても、かね」
「はい…!」
 キラははっきりとそう言った。
 身勝手な行動なのは百も承知している。
 だが、また何もできなくて、泣いてわめいて、悔やみたくはない。
「種はもう、飛んでいたか」
 穏やかな笑みを見せて、ウズミは言った。「君を信じよう」
「ウズミ様…!」
「私に打ち明けてくれたということは、何かしてほしいことがあるのではないのかな?」
「ありがとうございます!あの…頼みたいことがあるんです!」
117Restart(8/10):2006/07/22(土) 00:03:17 ID:???
 うっすら嬉し涙を浮かべて、キラは目一杯の笑みを見せる。

 ウズミとの面会も終わり、キラの忙しい一日は始まった。
 前と同じようにM1アストレイのOSをナチュラル用に改良に没頭する。
 気付いた時にはもう日も暮れそうな時刻になっていた。
「エリカさん!」
「あら、私の名前を覚えてくれるなんて嬉しいわ」
「OSの設定、できるだけナチュラルが扱いやすいようにしておきました」
「ありがとう。後の調整は私がやるわね」
 ディスクをエリカに渡すと、キラは作業服のまま部屋を出る。
 肩には、トリィを乗せて。
「行こう、トリィ」
「トリィトリィ」
 肩に乗ったまま、トリィが鳴く。
 キラは笑って、そのまま足を進めた。
 外へ出ると、肩に止まっていたトリィを両手に乗せ、
「さ、行って!トリィ!」
 トリィを放つ。
 トリィのくちばしには、一枚の紙がくわえられていた。
 羽ばたき、トリィはフェンスを越えていく。
 それを追うキラ。
 追い付くと、そこには変装したアスラン達がいた。
「君の?」
「うん、ありがとう」
 トリィのくちばしには、もう紙はくわえられていない。
 キラはそれを確認する。
「昔…友達に」
「え…?」
118Restart(9/10):2006/07/22(土) 00:04:42 ID:???
「大事な友達に貰った、大事な物なんだ。また会いたいな、その友達に」
 優しく微笑んでキラはそう言うと、トリィを受け取った。
「じゃあ、またね」

 その夜、キラはある場所を訪れる。
 慰霊碑があった浜辺。正確には、慰霊碑が造られるかもしれない場所である。
(そんなもの造らせない。オーブを自爆させたりない…!)
 心にそう誓う。
 そのためにウズミに全てを告白したのだから。
「キラ!」
「アスラン!来てくれたんだね」
「誤魔化すのに苦労したがな…で、なんなんだ?」
「あのね、アスラ…」
「待て。…誰だ!」
 キラを庇うように後ろへと寄せると、アスランは銃を取り出して声を上げた。
 しばらくの沈黙。
 しかしその後、砂を踏む二つの足音が、キラとアスランに近付いてくる。
「ニコル!?」
「トール…どうして?」
 アスランとキラは同時に声を発した。
 暗闇から段々と姿をはっきりと映す。
「ごめんなさいアスラン…でもどうしたのかと思って」
「キラ、スマン!お前が出ていくのが見えてよ、ついな…」
 ニコルとトール。
 元いた世界と同じような道を辿れば、その命を散らすことになりかねない二人。
119Restart(10/10):2006/07/22(土) 00:05:56 ID:???
「うぅん、良かった。トールと、そして君が来てくれて」
 偶然なのか、それとも同じような歴史を辿るように修正されているのか。
 だが、今のキラにとっては、偶然だろうが修正だろうが、そんなことは気にしてはいなかった。
「アスラン、これから話すこと、二人になら話していいと思うんだ」
「わかった」
 キラの眼差しに、アスランは銃をしまう。
「二人もいい?」
「なんだらわかんねぇけど、キラと一緒にいるってことは敵じゃないんだろ?」
「アスランがいいなら、僕は…」
 トールとニコルの承諾を得ると、キラは静かに口を開いた。
「ストライクをイージスを自爆させて、僕とアスランは、プラントに行くんだ」

          次回予告
 危険への回避。
 確実な方法を探して、キラはアスランと共に行く道を選ぶ。
 先の大惨事、果たして止めることはできるのか。
 辿り着いたその場所で、新たな剣を、キラは闇を払うために使う。
 次回、機動戦士ガンダムSEED Restart「約束の先へ」
 想いを胸に、その手を繋げ、キラ!
120リスタの人:2006/07/22(土) 00:10:23 ID:???
7/10
× 穏やかな笑みを見せて、ウズミは言った。「君を信じよう」
○ 穏やかな笑みを見せて、ウズミは言った。
「君を信じよう」

10/10
×「ストライクをイージスを自爆させて、僕とアスランは、プラントに行くんだ」
○「ストライクとイージスを自爆させて、僕とアスランは、プラントに行くんだ」

ミスは相変わらずorz
121通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 02:16:46 ID:???
おかえりー
この後二人でラクスに会うのか楽しみだよ
122通常の名無しさんの3倍:2006/07/24(月) 00:18:57 ID:???
保守
123通常の名無しさんの3倍:2006/07/24(月) 01:08:12 ID:wUCPEwPE
あの、まえにヘリオ3人組書いてた者なんですが、
続きを来月からやろうかとおもったんですが、自分のHDDにデータが諸事情でなくなってしまい、
確かご親切な方がまとめサイトみたいのを他の書き主さんといっしょで作っていただいていたと思うのですが、どなかた知っていらっしゃる方
いますか?
124通常の名無しさんの3倍:2006/07/24(月) 01:14:50 ID:???
>123
日本語でおk
125通常の名無しさんの3倍:2006/07/24(月) 01:15:56 ID:???
>>7
126通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 14:13:14 ID:???
>>124黙れ。死ねよ、挽き肉っ。
127通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 14:57:51 ID:???
>>5>自分以外の二機を防御に回し自分ひとりで白いジンに立ち向かう!

率直な印象だけど。
ここの最後のところだけ、ト書が突然セリフ調になってるのが……なんか妙に感じた。
ト書はト書らしく書ききるべきのように思った。
128通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 17:22:59 ID:???
>>16> もっと良く見ると、歩兵はどいつもこいつも大型の重火器を装備してやがったのが確認できた。

やはり、ここ読みづらい。語り口調から突然乱暴なしゃべり口調になってしまうと、読んでいて戸惑ってしまう。
いずれの形にしても、統一してほしいと感じた。
129通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 17:33:46 ID:???
>>21>ガイアは咆哮とともに

さすがに吠えはしないかと……。
〜の姿が、まるで獣の咆哮のように見えた。
……とかの表現なら納得できたんだけど。
130通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 20:06:12 ID:???
これが夏というものか
131通常の名無しさんの3倍:2006/07/27(木) 23:39:02 ID:???
このスレでの投下は初めてだけど、あえてふと思いついて書いたヤツを投下してみる。
ある意味ホラー物だけど、ね・・・・・・
132通常の名無しさんの3倍:2006/07/27(木) 23:40:01 ID:???

C.E70・・・・血のバレンタインの悲劇・・・というのは起きず、世界は平穏そのものだった。
僕の名はキラ・ヤマト。ヘリオポリスに留学しているオーブ国民で、工業課を専攻しているただの学生さ。


サイ  「なあキラ。俺達はもうすぐ留学期間が終わってオーブに帰国するだろ?お前・・・帰ったらどうするつもりなんだ?」
キラ  「あれ・・・前に言わなかったっけ?僕は父さんの要望でさ、モルゲンレーテに就職するつもり。」
トール 「モルゲンレーテ?なに、キラはこのままエンジニアになるのか。」

キラ  「うん。最近・・・ほら人型の作業機械、モビルワーカーの進歩がすごいでしょ?で・・・・知っての通り
     モルゲンレーテはその分野でシェアトップだけど、このままじゃあいつか、他の企業に追い抜かれてしまいそうなんだって。
     特にプラント製のモビルスーツ、ジンの性能はすごいから。」

カズィ 「確かそれに対抗してモルゲンレーテもモビルスーツを開発しているけど、OSの問題で四苦八苦しているんだってね?」
キラ  「うん。その関係でね・・・今は優秀なソフトエンジニアが1人でも多く必要なんだって。」
サイ  「ふ〜ん・・・」


サイ。トール。カズィに・・・ミリィ。みんな僕のいい友達だ。
でも・・・・・はあ。こんな事は正直、言いたくはないんだけど・・・・僕はサイが羨ましい。
だって僕の憧れの人、フレイ・アルスターの婚約者だから。側で見てても2人は仲がすごくいいし、こりゃあとても付け入る隙はないなあ。
ミリィにはすでにトールがいるし、彼女がいないのは僕とカズィだけ。せつない・・・・・とほほ。


そして・・・その数ヵ月後。オーブに帰った僕は、かねてからの予定通りモルゲンレーテに就職した。

入社したその日から僕は毎日、仕事に明け暮れたんだ。来る日も来る日もPCの前でソフトのプログラミングを続け・・・・
気が付いたら入社して4年も経ってしまった。現在の僕はソフトウェア部門の開発主任になっている・・・・部下は3人しかいないけど。


マユラ 「ちょっとヤマト主任!またOSにバグが出たわ!もういい加減にしてくれないかしら!」
ジュリ 「すいません。主任もお忙しいのは分かるんですけど・・・でも不完全なOSを乗せた機体を市場に出したら、それこそ
     我が社の信用問題になりますので・・・・」
アサギ 「今度こそ完全なモノを頼みますよ?テストパイロットの私たちも残業で付き合わされるんだから!」

キラ  「・・・・・すいません。」


まあ・・・僕の職場はほぼ毎日、こうして文句を言われる日々でして。はあ〜〜・・・・ 
133通常の名無しさんの3倍:2006/07/27(木) 23:41:05 ID:???

その日も僕は会社でひとり、残業をしていた。


キラ  「テレビのニュースを付ければ・・・オーブのお姫様がセイラン家の後継ぎと結婚、かあ。いいなあ・・・・カガリ様って
     僕とそう歳が変わらないのに。はあ〜僕も恋人が欲しいや・・・」
??? 「あ、あのヤマト主任。お茶です・・・どうぞ。」
キラ  「え?ああ、ありがと。ちーちゃん。」


この子は僕の部署の紅一点OL、ちーちゃん。
顔にそばかすの残る、あどけない顔をした女の子だ。特に美人ってわけでもないけど・・・・不美人ってわけでもない。

気が付けば僕はこの子と数年の交際の末・・・結婚した。
結婚とともに35年ローンで家を買い、子供もできた。それからは前にも増してがむしゃらに働いたものさ。
残業もしまくったし、単身赴任も喜んでした。守るべき家族のために・・・頑張ったよ。そりゃあ、ね。

子供も一人前になって・・・定年ももうすぐって時になってふと思った。
僕の夢・・・・僕が子供の頃に将来なりたいものって何だったっけかな?少し頭を捻って、すぐに思い出した。
そうだ!僕は子供の頃、ロボットのパイロットになりたかったんだよな?
それも現実にうちで作ってるようなダサい作業用のじゃない。それこそアニメに出てくるような、スマートでカッコいいロボットさ。

ちなみに・・・周りには内緒にしていたけど、僕は以外にマンガを描くのが上手いんだ。
暇な時に自分が主人公で、カッコいいロボットに乗って戦争をするマンガをノートに書きまくってみた。
ある時そーゆーのを描いたノートを、女房のちーちゃんに見られた。さぞかし怒られるかと思ったら・・・・何故か逆に感心された。
うーん・・・僕ってそんなに趣味の少ない、つまらない男だと思われていたのか?

それから暇をみては、ちーちゃんとマンガを描くようになったんだ。どうやらちーちゃんは学生の頃に同人誌を作ったりしてたらしい。
僕は絵は描けるけど話作りが下手なので、そこら辺はちーちゃんにやってもらう事にした。

そういえば最近は素人でもPCで容易にデジタルアニメが作れると聞く。
僕達もやってみようかな・・・・僕監督、ちーちゃん脚本でさ。上手く出来たらネットで配信するのも悪くないかもね。
でも本名じゃまずいかな?ペンネームみたいなものも考えないと・・・ちーちゃんはそうだな、旧姓を名乗るだけでいいかもしれない。
僕は・・・ま、テキトーに決めるか。



決まった。僕のPNは福田己津夫。ちーちゃんは両澤千晶。
作品のタイトルもすでに決まっている。そう・・・・・

「機動戦士 ガンダムSEED」
134通常の名無しさんの3倍:2006/07/29(土) 13:41:37 ID:???
後半は確かに怖過ぎるが、前半の平凡ながらも善良な一社会人として生きてるキラに限れば好感が持てるな、少なくともアヌメ版より余程w
135通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 22:14:58 ID:???
保守
136SIN's DESTINY:39:2006/08/01(火) 00:41:57 ID:???
オーブ連合首長国オノゴロ島。
ユニウスセブン破砕作業のため、急遽アーモリーワンを出港した
ザフトの最新鋭艦ミネルバは現在、オーブ代表カガリ・ユラ・アスハを乗せて
オーブのオノゴロ島に訪れていた。

「…これが現在の地球の状況です。
どういう事か、おわかりいただけましたでしょうか」
会議室のモニターに映し出されるのは、
ユニウスセブン降下による地球各地の被害映像。
そして、降下をするユニウスセブンとジン。
巧妙に編集されたその映像は、プラントが故意にユニウスセブンを地球に
降下させたと受け取らせるには十分すぎた。
「誤解をしないで頂きたいのは、私達は貴方達を敵だとは
みなしてはいないということです。
この状況の中、代表を無事にオーブに届けていただいた事には感謝しても
しきれるものではありません」
ミネルバの代表として訪れたタリアとアーサーの前で
言葉を注意深く語るのはオーブの宰相、ウナト・ユマ・セイラン。
「しかし、我々もまた、地球の数ある国の中の一つに過ぎません。
そのことはご理解いただきたく存じます」
タリアとアーサーの二人にウナトは深々と頭を下げた。
137SIN's DESTINY:40:2006/08/01(火) 00:43:38 ID:???
「ねえ、お姉ちゃん!
明日、オーブに上陸許可が出るんだって!」
騒がしくルナマリアの部屋に入ってきたのは、妹のメイリン。
「そう…」
しかし、ルナマリアは気の無い返事を返す。
「…シンは大丈夫だよ、きっと。
なんてったって、インパルスはザフト最新鋭MSだし、それにアレックスさんって
あのアスラン・ザラ≠ナしょ?
心配してばかりだと体、壊しちゃうよ」
妹の姉への気遣い。
「誰もあんなヤツ、心配してないわよ!」
だが、時として相手の心を先回りした気遣いは反感を生む。
「そうね!アイツは私なんかより、ずっと優秀なパイロットだもの!
アンタだって知ってたんでしょ!インパルスのこと!
さぞ、おかしかったんでしょうね!
ザクなんかで天狗になってた私なんか!」
声を荒げるルナマリア。
「それは…インパルスは最高機密だったから…」
シュンと小さく答えるメイリン。
「…出て行って。今の私はオーブで呑気にバカンスなんか出来る気分じゃないの」
冷たく告げるルナマリア。
「…ごめんなさい、お姉ちゃん」
メイリンは部屋を出て行く。
ルナマリアはダンと机を叩く。
メイリンの優しさも、そして、今の自分の行いが八つ当たりに過ぎない事も
わかっていた。
しかし、今のルナマリアにはそうするしか、
自分を表現することができずにいた。
138SIN's DESTINY:41:2006/08/01(火) 00:44:40 ID:???
窓の向こうに広がるものは海と噴煙に包まれた空。
「…カガリ、飲みなよ。少しは気持ちが落ち着くと思うから」
ティーカップを差し出すのは宰相ウナトの息子、
ユウナ・ロマ・セイラン。
ティーカップの中身は暖かいハーブティー。
カガリは言われるまま、ハーブティーを口に含む。
「…暖かいな」
その言葉にユウナの表情が和らぐ。
「アレックスの事は僕らも捜索に協力するよ、だから…」
カガリの視線は窓の外。
頑なな態度だった。
ユウナはカガリの細い肩をポンと叩く。
カガリの肩に一層、力が入る。
ユウナはカガリの肩に手を置いたまま見つめる。
窓の外はユニウスセブン落下による噴煙によって、太陽の光が遮られ、
薄暗かった。
「……」
ユウナは再度、カガリの肩をポンと叩く
「な…なんだ?」
思わず振り返るカガリ。
「…なんでもない」
笑みを浮かべて、ユウナは部屋を出て行く。
カガリはしばし、ユウナが出て行った後を見送る。
「……」
カガリはハーブティーを口に含む。
体の中に伝わるぬくもり。
「…あったかいな、これ」
カガリは一人、つぶやいた。
139SIN's DESTINY:42:2006/08/01(火) 00:45:41 ID:???
ほとんどのクルーはオーブに降り、ミネルバの艦内は静寂。
そんな中、ルナマリアはミネルバの甲板へと歩を進める。
甲板へと出たルナマリアを待っていたのは潮風と海の匂い。
遠い空には落下の噴煙。
そして、スケッチブックに絵をスケッチしているレイがいた。
「……」
レイに歩み寄るルナマリア。
「どうした、オーブに降りなかったのか?」
先に声をかけてきたのはスケッチブックしながらのレイ。
ルナマリアは目を丸くする。
「…まあね」
「シンの事が気になるのか?」
レイは絵のスケッチをしながら、言葉を続ける。
「…レイは気にならないの?」
ルナマリアは動揺を隠しつつ言葉を返す。
「…同じ仲間だからな。心配はしている」
サラサラと手を動かすレイ。
描かれているものは空と海。
鉛筆がパキンと折れる。
「…噴煙が晴れなきゃ、レーダーも通信もままならないんだから、
どうにもなんないわよ」
空と海を見ながらのルナマリア。
「フ…」
レイはナイフで鉛筆を削りながら微笑む。
「なによ…!」
ルナマリアは少し顔を赤らめる。
「…いや、シンのヤツ、人を心配させるのだけは、ホントに天才的だな」
レイは再び、鉛筆を削って再び、紙の上を走らせる。
「ホント、そうね。帰ってきたら、たっぷり文句言ってやらなきゃ…!」
ルナマリアは空と海をみつめたままつぶやいた。
140シン運命:2006/08/01(火) 00:49:06 ID:???
夏が来たので復活。
そして、自前で第一部をまとめてみたので張っときますね

ttp://www.geocities.jp/tayuki_yuuchan/shin_destiny_top.html

全スレほど頻繁には書き込めないと思われますが
がんばって暑い夏を乗り切りまっしょい
141通常の名無しさんの3倍:2006/08/02(水) 02:58:54 ID:???
>>140
乙!!
こうやってルナがシンを心配してたり、メイリンが心配してるルナを気遣ったり
こういうのが本編にもあればな・・・っと
GJでした
142通常の名無しさんの3倍:2006/08/02(水) 16:18:14 ID:???
>>140
GJ
まとめまで乙
143通常の名無しさんの3倍:2006/08/03(木) 21:03:09 ID:???
144通常の名無しさんの3倍:2006/08/05(土) 00:42:17 ID:???
AAが沈んだ、フリーダムが落ちた、ルージュも落とされた、キラが死んだ、カガリも死んだ・・・ミンナシンダ・・・
「エンジェルダウン作戦」この作戦でザフトはついにアークエンジェルとフリーダムを討つ事に成功したのだ。
「仇をとりましたよ・・・貴方のもね。」
まるで侮蔑するように彼の部下はこちらに言葉をかける、彼は沈黙したまま回収された遺体の元に向かった。
そこにはいた、かつて自分が守るといい、愛した金髪の少女が・・・氷のように冷たい彼女の指。到底許容できぬ眼前の遺体。
そして親友はカケラすらも残らなかった。
      
       ――――――そして、彼は狂った。

「彼が脱走した?」
「はい、わが軍のシャトルを奪い宇宙に逃亡しました。」
「ふむ・・・かれもまた運命に逆らおうとするのか?おろかな人は定められた道を歩んでこそ
 真の平和を掴めると言うのに・・・歌姫と合流するとまずい、消せ」
「ハッ!」

「何だあの機体は・・・ジャスティス?」
「動きが速すぎ・・・うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「た、助けてくれ!助けぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ば、化け物だ!おいなんとか・・・(通信が切れる)。」
「ま、まってくれ、投降する銃口を・・・やめかあさん!!」

「デストロイをやった!もうすぐヘブンズベースをかんら・・・。」
「なんだあれは?」
「あ、悪魔だ助け・・・。」
「ジャスティスが何故?・・・なんで連合に。」
「奴一機に3機のガンダムが・・・。」
145通常の名無しさんの3倍:2006/08/05(土) 00:43:09 ID:???
「・・・お前は何を望むのだ?」
「望む?クスああ、僕の望みですか?代償ですよ・・・僕のすべてを奪った貴方達のね。」
ガーディ・ルーのCICで魔王は微笑む、その顔は狂気に包まれていた。ヘブンズベース戦に勝利した連合は
ザフト勢力を駆逐し始めた、だがそれは容赦がなかった。捕虜は一人残らず生きていることを後悔しながら死んだ。
協力者も同じく、コニールと呼ばれた少女もまた・・・。その影に新たなブルーコスモスの盟主がいた。その男はコーディネーターで
ありながらコーディネーターを憎み続けた、彼は魔王となっていた。ザフトの勢力はもはやプラントのみとなっていた、だが回りは連合軍の艦艇で封鎖され
コロニーの一基、一基が嬲られる様に核ミサイルで消滅していった。そしてこれを作ったきっかけとなった張本人はガーディ・ルーにいた。
「もう、やめてくれ・・・頼む・・・お願いだから・・・。」
「嫌だよ、お前は僕のすべてを奪った・・・だからお前は自分が生んだ結果を最後まで見届けないと・・・やっちゃってもかまわないよ。」
「嫌!やめて!いや!いや!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ルナァァァァァ、もうやめてくれ・・・やめてくれ・・・。」
「閣下、プラントから残存部隊が出撃しつつあります。」
「やれやれ、まだ抵抗するつもりなのか?まぁいいやちょうどいい退屈しのぎになるからな。ジブリール。」
「ハ、なんでありますか!」
「また、核ミサイルをぶち込んでね、次はそうだなぁ・・・ヤヌアリヌスなんてどうだい?」
「ヤヌアリヌスですか?アプリリウスは?」
「ああ、それはフィナーレを飾るデザートだよ。とりあえずメインディッシュに取り掛かろうではないか。」
「は、了解しました。」
インフィニットジャスティスで出撃した彼のモニターには宇宙空間が広がる。
“あれから”何ヶ月立ったのかも覚えていないし、何をしてきたかもほとんど覚えていない。
明瞭に覚えている事といえば、すべての手始めに正義を使い追っ手を皆殺しにした後、ヘブンズベースで窮地に陥った
連合を助けBCの盟主となり・・・ そしてプラントに所属するコーディネーターをコロシハジメ・・・まぁいいや。
ああ、ラクス・クラインとか言う自称正義の歌姫っていたなぁ、健気に僕を止めようとして自らMSに乗ってきたけど
まぁ僕の相手にすらなかった、折角元婚約者と戦友の肩書きがあるからわざわざ生かしてやったものの・・・全く間抜けな話だな
彼は嘲笑する。この最後の抵抗を試みようとする部隊さえ全滅すれば障害はなくなる。彼はプラントという存在を過去の物にするつもりだ
このまま時が全てを無に帰してくれるのを、ただ待つのみであった。 そのときこそ、今度こそはきっと安らかな眠りが訪れると、彼は信じている。

「もう、彼を止められるのは君しかいないだろう・・・まさかこうなるとは思わなかったよ。そんな目でみるなよ・・・責はすべて受けるつもりだ
 プラント最高議長として君に託したい、プラントと連合の共に手を取り合う世界を・・・守ってほしい。私の身勝手だろうが、君に最後の剣を託そう
 これはラクス・クラインが君の為に残した遺産を我々が回収、完成させたものだ。」

「こちら、ホーキンス隊、ジャスティスを確認!」
「やつさえ落とせば!」
「くそ!やられたプラントを・・・。」
「何があっても我々は生き続ける!我々は滅びやしない!」
最後の力を振り絞ってこちらに攻撃しかけてくる哀れなる子羊を彼は容赦なく叩き落す、その時だ
一条のビームの光が機体を掠めた。誰だ・・・彼は放たれた方向へ機体を向け・・・ 既視感に襲われる。頭が、激しい激痛に見舞われる。
「君を止めにきた、もうやめよう・・核ミサイルと搭載艦は全部撃沈した。」
――――お前は死んだはずでは?なぜ生きている?なぜそれに乗っている?フリーダムに?
「僕は生きている・・・僕一人だけ生きていた。」
――――お前はなぜここにいる?怪我はなかったのか?お前がなぜここに?
「・・・君にとって彼女は・・・必要不可欠な存在だった、それは僕にも分かっている。」 
頭痛が激しくなる、視界がゆがむ、心臓の鼓動が早くなる。
「だけどこんなことは彼女が望むわけがない!だから終わりにしよう・・・僕の命をもって。」
――――お前は、お前は、おまえは、おまえは、オマエハ、オマエハ、OMAEHA,OMAEHA―――
そして彼は理解した、そして狂笑した。そして赤い機体を白い機体に向けてライフルを発射する
  
                   最後の戦いがはじまる 
146通常の名無しさんの3倍:2006/08/05(土) 06:18:39 ID:???
こんな状況ならばキラもまともに見えるか。
しかし、なんにしろ救えねえ・・・
147SIN's DESTINY:43:2006/08/06(日) 13:11:11 ID:???
「アハハッ!」
しぶきと共に舞うのは少女の微笑み。
男物のパンツとシャツに身を包んだ少女の体が浅瀬の上でキラキラと虹を作る。
「おーい、ステラ」
少女を呼ぶ少年の声。
「あ、お帰り、おにいちゃん!」
ステラと呼ばれた少女は、自分を呼ぶ声の元へと駆け寄る。
上半身裸、下はパンツだけの少年の両手には、
果物が溢れんばかりに抱えられていた。
「あはは、すごーい!いっぱいとれたね、果物!」
「ああ」
少年は笑顔は陽に焼けて、浅黒く輝いていた。
「おーい、シン」
少年は自分を呼ぶ声に答える。
声の主は赤いパイロットスーツ。
「アレックス!」
シンは呼んで、声の主にかけよる。
シンの後を追って、ステラが満面の笑顔で言う。
「あ、おじさん!もう準備はできたの?」
一瞬、顔が引きつるアスラン。
「あ、ああ。これでしばらく雨風はしのげそうだよ」
雨風はしのげても、顔のひきつりはおさまりそうになかった。

夜。
孤島を包むのは潮騒の音色。
体を小さく丸めて、静かに吐息をたてているステラ。
手には色褪せた携帯が握られていた。
「…結局、とられちゃったな」
アスランがシンに声をかける。
シンは膝を抱えて、ステラを見つめている。
「…大事なものなんだろう?」
続くアスランの言葉にもシンは言葉を発しない。
その沈黙がシンの答え。
アスランは両腕を頭に回して、仰向けになる。
星は見えない。
148SIN's DESTINY:44:2006/08/06(日) 13:12:48 ID:???
「…この女の子、連合のパイロットでいいんですよね?」
言葉を発したのはシン。
「…たぶん…な」
ステラの容貌は、シンと同年代のそれ。
しかし、そのステラの行動はどう見ても、その容貌に似つかわしくない。
まさに子供≠サのものだった。
「〜〜〜ッ!〜〜〜ッ!」
突如、声にならない唸りをあげるステラ。
「お、おい…」
シンの手はパシッと勢いよく弾かれる。
「……ッ!……ッ!」
呼吸を荒げながら、四つんばいになって獣のように
シンとアスランをにらむステラ。
「おい、おちつけよ、ステラ。誰もお前に痛い事なんかしないから…!」
注意深く声をかけるシン。
「あああああッ!!!」
しかし、ステラは脱兎のごとく、夜の闇の中へと消えていく。
「おい、待てったら!」
「よせ、シン!この暗闇の中、追うだけムダだ!放っておけ!」
「だからって…!」
シンは拳を強く握る。
「だからって、放っておけるかよ!」
言って、シンはステラの後を追って闇の中に消えていった。
149SIN's DESTINY:45:2006/08/06(日) 13:14:31 ID:???
独り、闇の中を駆けるシン。
周囲は完全な静寂。
「ステラ!ステラーッ!」
シンは捜し求めている少女の名を叫ぶ。
しかし、返事は返ってこず、再び、シンは闇と静寂に包まれる。
再び駆け出すシン。
「くそっ!」
シンは駆ける。
自分を包む静寂と闇から逃げ出すために。

「おにーちゃーん!」
声の主の手には色鮮やかなピンクの携帯。
「ね、おにーちゃん!ほら、見て、この待ち受け!
私とお兄ちゃんの画像にしたんだよ!」
少女はシンに携帯の液晶画面を見せる。
そこには少女の満面の笑顔と少女に腕を引っ張られた
シンのテレ笑いがあった。
「でね、でね!
留守電の応答も私の声で登録したんだ!」
少女はシンの耳に携帯を当てる。
『はい、マユでーっす!でもごめんなさいっ、今はマユはお話できません!
あとで連絡しますので、発信音の後にお名前をどうぞっ!』
少女は携帯を手元に戻す。
「これでお兄ちゃんもいつでも、私の声が聞けるねっ!」
少女は、満面の笑みだった。

シンは仰向けに倒れていた。
瞳から溢れる涙。
仰ぐ空にはただただ、闇。
「マユ…マユ…!」
シンは虚空に手を伸ばす。
だがシンの腕は震え、瞳からはとめどなく涙が流れ出る。
シンは腕を伸ばせない。
「ああ…!あああ…!!」
喘ぐシン。
シンが手を伸ばそうとしているものは過去の記憶。
そして、それは闇と静寂に包まれた悪夢≠セった。
150SIN's DESTINY:46:2006/08/06(日) 13:16:42 ID:???
…周囲からは風の吹きすさぶ音と大地の震え、
そして、周りのものが焼ける匂い。
シンの体は重く、起き上がることすらままならない。
どうにか気力で記憶をめぐらせる。
そう、自分は家族と走っていた。
なぜ?
戦場と化したオーブから避難するため。
誰と?
父、母、そして、妹のマユと。
その自分がなぜ、今、地に伏している?
父さんは?母さんは?…マユは?
傍らに何かが落ちる音。
どうにか顔だけ向けると、目の前には見覚えのあるピンク色の携帯。
「マユ…!」
シンは気力で上半身を持ち上げる。
目の前にはひどい砂ぼこり。
そんな中、ある一点の白いモノ≠ノ目が止まる。
それもまた、シンにとって見覚えのあるモノ。
いや、それはシンにとってはモノではない。
「マユ…!」
シンは這いずりながら、ソレ≠手にとる。
冷たい感触。
シンは力を込めて、ソレを引き寄せる。
ソレは意外に軽く、勢い余ってシンの胸元に。
「うわあああああああッ!!!」
シンの絶叫。
シンが引き寄せたソレは妹の手首≠セった。
151シン運命:2006/08/06(日) 23:42:53 ID:4ne481Tz
さすがに下がりすぎてるんでアゲますね
ちなみに今回も例のごとく四話ずつの更新です
152通常の名無しさんの3倍:2006/08/06(日) 23:51:23 ID:???
>>151

乙カレー

しかしコーヒースレ、SSスレなのになんだあの伸びは? 

153通常の名無しさんの3倍:2006/08/06(日) 23:56:54 ID:???
>>151
乙、悲しいなぁ、悲しいなぁ(´・ω・`)


>>152
あそこもある意味、ここと同じスレだけど、
住人の数が半端じゃないな
154通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 02:43:28 ID:???
悲しいけど怖かった…
155通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 21:40:48 ID:???
職人の皆様全員乙カレ〜

>>152
コーヒースレというのはひょっとしてXキャラスレのことかw?
たしかにあそこは回転率が高い!
正直羨ましい(´・ω・`)
156通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 07:18:04 ID:???
最初からのあのスレの住人だけど今のあのスレは居づらいものがあるかも
分かれたもう一つのスレのが落ち着く
要するにマターリが自分好きみたい
157通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 12:00:44 ID:???
終わってからまとめでSSだけ読んだほうがいい
あそこの空気は正直ちょっと・・・な
158通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 13:14:48 ID:???
ミネルバは洋上を行く。
ミナルバ内、談話室。ホーク姉妹がマットの上に寝そべっていた。
ぼそっとルナがつぶやいた。
「ねえ、メイリンって何で中国人っぽい名前なの?」
「・・・・・お母さんにきいてよ」
「そっか・・・」

ミネルバは洋上を行く。
ミナルバ内、談話室。ホーク姉妹がマットの上に寝そべっていた。
ぼそっとメイリンがつぶやいた。
「じゃあ、お姉ちゃんの名前も珍しいよ」
「そう?」
「それと前から気になってたんだけどさ、お姉ちゃんっていつもアホ毛立ってるよね」
「ええ、これはアイデンティティーよ」
「へぇ・・・」

ミネルバは洋上を行く。
ミナルバ内、談話室。ホーク姉妹がマットの上に寝そべっていた。
ぼそっとメイリンがつぶやいた。
「あ、分かった」
「何が?」
「お姉ちゃんの名前の意味」
「へぇ・・・」
「ルナは月、マリアは聖母、つまりこれは宇宙人とキリストの関係性を示したメッセージだったんだよ!」
「な、なんだってー!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・ごめん。マガジン編集部に謝ってくるね」
「その方が良いわ。あそこはSEEDの宣伝してくれたし」

ミネルバは洋上を行く。
ミナルバ内、談話室。ホーク姉妹がマットの上に寝そべっていた。
ぼそっとルナがつぶやいた。
「あたし劇場版で殺されないかしら・・・」
「お姉ちゃんなら大丈夫だよー」
「あんたはAA組だから良いでしょうけどねえ」
「お姉ちゃんもファイナルプラスでAA組になってなかったっけ?」
「・・・・・そうだっけ?」

吹き飛ばされたら、また植えればいいじゃない!
パンがないのならケーキを食べればいいじゃない!
159158:2006/08/08(火) 13:28:52 ID:???
ぐは、二行目のミネルバ打ち間違えてるお(汗
スマソ
160通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 21:18:02 ID:???
>>158
GJ!

劇場版死亡フラグか
柿崎を思い出すな〜
あ、本編でも死んでたか……
161通常の名無しさんの3倍:2006/08/12(土) 22:16:26 ID:???
上げます
162通常の名無しさんの3倍:2006/08/12(土) 22:58:24 ID:???
死守
163通常の名無しさんの3倍:2006/08/12(土) 23:23:48 ID:???
種死終了後のラクスに統治されたCE
記憶を失った一人目キラがその世界を旅し、ラクスに反逆する物語はどうだろう
164通常の名無しさんの3倍:2006/08/13(日) 00:59:16 ID:???
男子3日会わずばすなわち活目せよ。滝沢、もといキラ・ヤマト2誕生! の巻」


ラクス 「キラ?・・・・あ・・・(さっきまでのキラではない気が・・・誰ですの?この人は・・・)」
キラ  「僕は…行くよ」。
ラクス 「どちらへ・・・行かれますの?」
キラ  「地球へ。みんなの所へ戻らなきゃ。」
ラクス 「何故?貴方お一人戻ったところで、戦いは終わりませんわ。」
キラ  「でも、ここでただ見ていることも僕にはもう出来ないんだ。 何も出来ないって言って、何もしなかったらもっと何も出来ない。
    何も変わらない・・・何も終わらない・・・僕はそう思うんだ。」

ラクス 「また、ザフトと戦われるのですか?」
キラ  「・・・・かもしれない。」
ラクス 「では地球軍とも?」
キラ  「もしかしたら。僕は何と戦わなきゃならないのか?それが少し、解った気がするから。」
ラクス 「戦わなければいけないモノ・・・キラにとってのそれは何なのですか・・・?」

キラ  「・・・・・たぶん自分自身、だと思う。」
ラクス 「ご自身、ですか・・・?」
キラ  「僕は今まで、ほとんど人に言われるがままに戦ってきたような気がする。友達を守る為にはしょうがないって
     自分に言い聞かせて、憎くもないアスラン達と命のやり取りをして・・・・でもやっと分かった気がする。このままじゃ
     ダメなんだって。」

ラクス 「どういう事、ですか?」
キラ  「どんなときでも。1番手ごわい敵は自分自身なんだよラクス。誰もが自分の中の憎しみや悲しみに勝てないから戦争が起きるんだ。
     なら、まずは僕の中の弱い自分と向き合わなきゃ。自分に勝てない人間が敵に勝てるわけない・・・でしょ?」
ラクス 「キラ・・・・・・・・・・私も・・・私もそうです。」
キラ  「え?」
ラクス 「私も見かけほど強くはないんです・・・・前々からクライン派の人々からお誘いがありました。私の影響力を利用すれば
     和平への道が開けるかもしれない、戦争を終わらせる事ができるかもしれない・・・と。でも私は長らく躊躇していました。
     ・・・私が弱いから・・・・」


キラ  「・・・ラクス。僕達は確かに弱い。それに戦争を終わらせるなんて大それたことも出来ないかもしれない。でも・・・・
     まずは弱い自分を捨てよう?それから力の限り足掻くんだ。きっとその先に・・・・答えがあるハズさ。」
ラクス 「キラ・・・・・はい!ラクス・クラインは今こそ本当の平和の歌を歌います・・・!」
165通常の名無しさんの3倍:2006/08/13(日) 01:00:19 ID:???

キラ  「ラクス、ここは?」
ラクス 「私の家にある地下格納庫ですわ。ここに・・・キラに渡したいものがありますの・・・・・・これですわ。」
キラ  「・・・ん?あぁ!これは・・・・ガンダム!」

ラクス 「え!どうしてキラがこのMSの名前を知っているのです、か・・・?」
キラ  「こ、このMSは一体?」
ラクス 「・・・・外宇宙から帰還したジョージ・グレン。彼は知的生物のものと思われる化石を持ち帰りましたが・・・・実は彼が
     持ち帰ったものはそれだけではありませんでした。この未知の機動戦士・・・RX78−02ガンダム。これも彼が外宇宙から
     地球圏にもたらした物だったのです!ただし・・・その存在は公にはされませんでしたが。」

キラ  「な、なんで?世紀の大発見じゃない!」
ラクス 「その理由はこの未知の技術をコーディネイターが独占する為ですわ。事実・・・このMSのコンピューターに記録されている
     テクノロジーは大変なもので、ジンなどのMSやNジャマーキャンセラーはこのガンダムの研究によりもたらされたもの
     だったのです。」
キラ  「そうだったのか・・・でも何でそんなものが外宇宙にあったんだろ?」

ラクス 「何故この未知の機動戦士がこの宇宙に存在していたのか?それは今でも謎です。ただプラントの技術者達は、懸命に
     ガンダムの修理しましたが、何故か結局動きはませんでした。研究価値が無くなったと判断されたガンダムをお父様が
     引き取って、ここに置いておいたのですが・・・・キラ?あなたにこれを動かす事が、できますか?」

キラ  「修理は終わってるんでしょ?正直やってみなきゃ分からないけど・・・それよりも何故これを僕に? 」
ラクス 「今の貴方には必要な力と思いましたの。」
キラ  「僕に必要な・・・・力。」

ラクス 「本当ならキラには最近ロールアウトした最新型のフリーダムを強奪して、とも思いました。でも先ほどのキラの決意を聞いて
     私の考えも変わりました。キラには・・・この、古のMSこそが相応しいと思いますの。それには想いだけでも・・・
     力だけでも駄目なのです。キラの願いに、行きたいと望む場所にこれは不要ですか?」

キラ  「(想いだけでも・・・力だけでも、か。) ・・・君は誰?」
ラクス 「私はラクス・クラインですわ。キラ・ヤマト。」
キラ  「・・・・ありがとう。君のくれた力で、僕は力の限り戦うよ!」
ラクス 「はい♪」



キラ  「見た事もない操縦システムだなあ。え〜手元のマニュアルによると・・・・ふむ、ふむ・・・よし!だいたい理解したあ!
     想いだけでも・・・力だけでも、か。キラ・ヤマト!ガンダム、いきまーす!」
166通常の名無しさんの3倍:2006/08/13(日) 04:32:44 ID:???
>>164-165
無印噴いたw
しかしこの場面でRX-78で勝てるのかw?

>>163
トリズナー化するなら良し!!
167通常の名無しさんの3倍:2006/08/13(日) 04:34:39 ID:???
マニュアルか…「あの」マニュアルだったらいいなぁ…www
168通常の名無しさんの3倍:2006/08/13(日) 07:22:18 ID:???
RX-78だと本編通りの登場したらそのまま海に沈むしかないしなあw
そもそもサイクロプスの効果範囲から逃げ切れないしw
169通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 00:10:32 ID:???
じゃあ次回の種、第35話の副タイトルは「舞い降りる剣」改め、「ガンダム大地に立つ」もとい「ガンダム海に落ちる」という事で。
1701/2:2006/08/16(水) 14:44:25 ID:???
ないシーンをあたかもあったかのように言うスレ 2より転載・改行
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1142269928/463



宇宙征服を企むオーブの切り札、戦略級殲滅兵器コロニーレーザー砲『ヘリオポリス改』の破壊に向かったザフト最後の希望のミネルバ。

ザフト艦隊を囮にミネルバはヘリオポリスの最深部を目指すが、残っていた拠点防衛用MSをルナとレイに任せ、シンは単身先へと急ぐ。
デスティニーを高機動モードで駆るが、ムラサメプラスC1 Bst型”蜂鳥”に追いつかれ、貴重なエネルギーを節約しながら戦うシン。

コロニーレーザー中心部に待ち受けるのは理想に狂ったオーブ首長のカガリ・ユラ・アスハ。
『オーブが世界を統べ、理念を守らせる。 それが世界を平和に導く最後の手段だ!邪魔をするな!』
未来永劫の平和のためならば、今のこの世界を焼いてもかまわないという狂気。

かつてオーブの民であったシンは怒り狂う、
『アンタの理想のために人を殺すのか!国はみんなを守るために存在するんだ!
理念で国を焼くのはアスハのお家芸だな!そんな狂った理念、アンタごと叩き潰してやる!』
戦争で妹を亡くしたシンは吼える。

『プラントは地球の潜在的な恐怖にしかならない!ならばコーディネータは地球に降り、ナチュラルと融和しなければ、平和は訪れないんだ!』
『オーブはコーディネータとナチュラルが共存する国だったんだ!そこからコーディネータの居場所を失わせたのはアンタだろうが!』
『オーブを守るには連合との迎合は仕方がなかったのだ!』
『犠牲の上でしか成り立たない理想を口にするなら、アンタが犠牲になれ!』

カガリの駆る黄金のMSアカツキと激しい鍔迫り合いを繰り広げるデスティニー。
一瞬の隙を突いて、アカツキの背後のコロニーレーザーの 発射台へとビームライフルを撃つが、
アカツキはそれを機体の特殊鏡面装甲で反射させ、デスティニーは逆に左足を失ってしまう。
ビームライフルの残りエネルギーはあと1発分、コロニーレーザー破壊分しか残っていないが、アカツキがいては邪魔されてしまう。
1712/2:2006/08/16(水) 14:46:12 ID:???

『世界の平和と未来のために死ね!』
『死ぬのはアンタだ!』

アカツキのビームソードがデスティニーの頭部を斬り飛ばす。
が、デスティニーは止まらない。潜り込むようにしてビームライフルの銃身でアカツキを突き、そのまま発射台へと押し付ける。

『アンタも一緒に吹き飛べ!』
そしてそのままゼロ距離射撃。デスティニーの全エネルギーを込めた1発が発射される。
アカツキの特殊鏡面装甲で跳ね返されたレーザーと銃口から発射され続けるデスティニーのエネルギーが激しくぶつかり合う。

『オーブの理念を示すこの機体にそんなのが通用するか!お前たちはおとなしく従って、オーブの理念の礎になれ!』
『デスティニーは運命に従うんじゃなくて、運命を切り開く力だ!理念なんてくだらないものに縛られたアンタになんか負けるか!』

シンの叫びとともに搾り出されたデスティニーの全エネルギーがアカツキの装甲を、そして背後の発射台をも撃ち抜く。
爆散するアカツキ、そして発射台。チャージされていたエネルギーが行き場を失い、爆発を始めるするコロニー。

シンは脱出を試みるが、推進剤や全エネルギーを使い果たしてしまっていて、思うように動けずに爆発に巻き込まれてしまう。
そこにやってきたレイのレジェンド、片腕片足の満身創痍の状態だったが自らを楯にするようにして、デスティニーを引っ張っていく。

コロニーから脱出。
そこでレジェンドも動けなくなり、ルナのインパルスの胸部と脚部を爆離して、コアスプレンダーにしがみつくシンとレイ。
メイリンからの通信がルナに届く。
終戦協定が結ばれた、世界は救われたのだ。ミネルバの脱出ランチでみんながシンたちを出迎える。

『自分には帰れる場所も、守りたいものも、待っていてくれる仲間もいる』
シンは涙をこぼす。妹を亡くして以来の涙はうれし涙だった。



そして流れるエターネル・ウィンド。そして、スタッフロール。
172通常の名無しさんの3倍:2006/08/17(木) 10:49:09 ID:???
【シンのメイリン調教計画】
コンコン。
自室のドアがノックされた。
「はーい」
メイリンは見ていたTVを消して、ドアを開けた。
シンだった。ミネルバの艦内なので赤服を着ている。
「どうしたの?シン」
「ああ、ちょっといいかな?」
別にいいけど、といって部屋に招き入れる。士官学校以来の付き合いなので、別に男女がどうとか思わない。
今のソファに座ると、シンが切り出した。
「あのさ、戦闘中の話なんだけど、」
真面目な話か、と思ってメイリンはなんとなく背筋を伸ばす
「いつも俺が『レッグフライヤー』とか『ソードシルエット』とか頼んでもさ、『はいっ!』ってしか言わないよな。あれは、ちょっとマンネリだと思うんだ」
「はあ・・・」
「だからさ、とりあえず
『チェストフライヤー』なら「んあぁ!」
『デュートリオンビーム』なら「ひぎぃっ!」
『フォースシルエット』なら「らめぇ!」
って返答するのはどうかな!?」
なんだか興奮気味のシンが提案した。メイリンは姿勢を崩して、適当に答える。
「まぁ、たしかに、マンネリ感はないこともないけど・・・」
「じ、じゃあ、練習しよう!俺が言うからそれにつづけていってくれよ!」
「はあ・・・」
「メイリン、『チェストフライヤー』!」
「んあぁ!」
「メイリン、『デュートリオンビーム』!」
「ひぎぃっ!」
「メイリン、『チェストフライヤー』!」
「そろそろセクハラで訴えるよ?」
「お、俺も赤なんだぞぉ!?」
「はいはい。・・・ところで、本当にそれだけのためにココまで来たの?」
173通常の名無しさんの3倍:2006/08/17(木) 10:52:35 ID:???
ちょっとシンはしゅんとして、
「ああ、前かしたCD返してもらおうと思って」
「・・・ああ、あれね」
だいぶ忘れてた。CDの棚のとこにあるかしら。
「感想きかせてくれよ!すっげぇ良かっただろ!ほら、メイリンも妹だからさ、アレの良さが分かると思うんだよ!」
また、シンの瞳に危険な光が宿ってきた。
メイリンはCDの束から、ひときわ異彩を放つケースを抜き出す。
『妹ブルマー、主題歌〜お兄ちゃんと放課後のひ・み・つ☆〜』
「・・・」
「そう、それそれ、良かっただろ?なんか俺もさ、毎晩マユの声きいてから寝てるんだけどさ、なんかこの主人公にも通じるものがあって、やっぱり妹は最高だよな!」
なんかもう、どうしようもなくなってきた気がする。
「シン、今日のシン、なんか変だよ?」
「え、そうかな?普段どおりだと思うけど?」
「・・・」
「じゃあ、これアーサーにも貸してやらないといけないから。じゃな!」
シンは勇みたって出て行った。
なんだか妙に空虚な空気がメイリンを包んでいた。
「TVの続き見よ・・・」
174通常の名無しさんの3倍:2006/08/17(木) 10:54:29 ID:???
後日談
吹雪く雪山で激戦が繰り広げられる。
フリーダムVSインパルス!
インパルスは上半身を切り離して、フリーダムにぶつける!爆発!
「メイリン!チェストフライヤー、いや、チェストフライヤーとフォースシルエット!」
「んあぁ!んあぁ!ら、らめぇ!」
戦場が妙な雰囲気に包まれたという。
175172-174:2006/08/17(木) 10:56:24 ID:???
>>172×今のソファ○居間のソファ
誤字スマソ
176通常の名無しさんの3倍:2006/08/17(木) 13:41:33 ID:???
アビーです。
本編キャラなのに、MSVキャラ並に存在感薄いです。アビーです。
ホーク姉妹とラクスミーアのエロ同人は沢山あるのに、私とクワガタリア艦長の同人はいくら探しても見つかりません。
アビーです。
「まじぽか」に出てたよね!って言われました。髪形しか似てません。アビーです。
アビーです。
アビーです。

しょせん私はメイリンの代わりですよね、ふふっ。
177762 ◆9AUE2RuSV. :2006/08/18(金) 16:50:55 ID:???
【機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その14

CE70年2月7日。『コペルニクスの悲劇』から2日後の『アラスカ宣言』に対抗するようにプラントはダンシング・デビル隊を公表した。
全世界よりカーターが呼び集めた隊員達の中には、その活躍ゆえマスメディアより英雄扱いされた者が混じっていたのだ。
"コーディネイターと共闘するナチュラルの英雄達"
それは世界に衝撃をもたらし、水面に落とされた一石のごとく波紋は広がった。
当然ブルーコスモスはナチュラルに対する裏切り行為であると激しく非難した。
しかし大洋州連合、南アメリカ合衆国、アフリカ共同体といった非プラント理事国ではプラント、コーディネイターとの宥和を訴える市民デモが起きるほどだった。
そして、結成直後の地球連合軍が注目したのはナチュラルであるDDがモビルスーツを操縦していることだった。
DD部隊の殆どが特殊部隊出の精鋭であり、軍事教官として持てる技術をザフトに伝授させているというのは諜報によりすでに掴んでいたが(それでも充分な脅威である)、彼らがMSを操縦しているというのは全く掴んでいなかった。
いずれ公表され、それによって世論が揺れることは各国には想定内であったが、まさかコーディネイターを象徴するMSに乗っての発表というのは想定外であった。
やがて連合内である物議がかもし出されるようになった。もしや去年のMSの活躍に彼らが関わっているのではないかと。
CE69年の初夏、プラントに対し理事国は軍事的嚇行動に出るが、このとき初めて軍事組織「ザフト」とMSの存在が公となった。
大編隊を組んだMA部隊を、圧倒的少数のMSが撹乱し翻弄し、挙句には宙域より撤退させるという快挙であった。
そのため地球側の焦りは深刻なものであった。
もしもナチュラルに操縦可能なMSをザフトが開発しているとなれば、近い将来プラントと同盟を結ぶであろう大洋州連合とアフリカ共同体、そして南アメリカ合衆国にMSが配備されるかもしれない。そうなれば彼我の戦力差は全く未知の領域に突入することとなる。
それまでの対プラント戦略の基本的骨子である「物量による圧倒」が効かなくなる恐れが生まれるのだ。
その危機を特に強く訴えたのは大西洋連邦宇宙軍のハルバートン大佐(当時)であった。
「量だけでなく質の面での、圧倒的優位を。そのためのG計画の積極的推進を!」
 MSに対抗するために、もっとも単純な対抗策はこちらも同じMSで武装することだった。
 かくして地球連合結成と同日に、これまでの物量戦略の方針を変更しジンよりも質的に優位なMSの大量配備へと戦略方針が切り替わった。
 斬新的アイデアと新技術を組み合わせた連合製MSの開発。
 それに併せ、MS完成までの繋ぎとして、MSに採用される各種新型武装を既存のMAメビウスに搭載しての統合的戦力の向上を目指した一大プロジェクトが動き出すこととなった。
 時にCE71年1月25日現在。
 大型ミサイルとレールガンという対艦装備に特化したメビウスの殆どは武装を変更し、対MS戦に適した220mm径6連装ミサイルポッドや57mm高エネルギービームライフルを備えた、メビウスが主流となってしまっていた。
 地球連合軍はエネルギービームの高火力と大推力を生かした集団一撃離脱へと戦術思想を特化することにより、それまで5対1という撃墜比を3対1へと改善することに成功した。当然戦場では地球軍は戦力を集中することにより実際の撃墜比はさらに下がることとなる。
 ラウ・ル・クルーゼの本隊がとうとう奪取の直接援護に回れなかったのはそういった背景があり、なにより一機のメビウス・ゼロに大いに苦戦してしまったことを要因として挙げられよう。
178LR(略) ◆9AUE2RuSV. :2006/08/18(金) 16:56:56 ID:???
>>127-128
文体の統一ができてませんでしたorz

>>170-173
新人歓迎乙w

>>176
さあアビーをメインに添えたSSを!
179通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 22:28:26 ID:???
保守
180SIN's DESTINY:47:2006/08/21(月) 22:52:07 ID:???
「うわあああああッ!!!」
冷たい静寂と闇の中にシンの絶叫が響く。
「あ…ッ!あ…ッ!」
震える体。
こぼれる涙。
闇にかざした手はガタガタと震える。
「マユ…!マユ…ッ!!」
シンは妹の名を震える言葉で口にする。
ふわっ…、とシンの手が冷たい温もりに包まれる。
「おにいちゃん…?」
「マユ…?」
それはステラ。
ステラの顔色は蒼白だった。
シンの瞳から涙が溢れ出す。
「……」
ステラはシンの涙を、ぺろぺろと子犬のように舐めとる。
「……ッ!!!」
シンは泣きながらステラの体を抱き締める。
ステラの体は、細く、弱く、今にも闇の中に消えてなくなりそうな気がした。
ステラもまた、疲れきった表情のまま、
抵抗するのさえおっくうなのか、そのままシンに体を預けるのだった。

孤島を朝日が照らす。
結局、あの後、アスランはシンとステラを探しに孤島の中を、
一晩中歩き回るはめになった。
「…やれやれ」
アスランは困惑の笑顔。
アスランの視界の先には、朝日に照らされた二人。
互いに体を寄せ合い眠る、シンとステラの姿があった。
181SIN's DESTINY:48:2006/08/21(月) 22:53:34 ID:???
「うあああっ!くるなっ!くるなっ!!
私に触るなッ!!!」
「ステラ!やめるんだ!落ち着け!」
暴れるステラを取り押さえるシン。
蒼白のやつれた顔でシンをにらみつけるステラ。
「お前も私を壊そうとするのかっ!!
なんで…!私は…!
来るなっ!来るなッ!!
私に触るなッ!!!」
シンの腕を振りほどいて、そのまま投げ飛ばすステラ。
「シン!」
シンにかけよるアスラン。
頭を抱えて、うめくステラ。
「なんで…私はここにいる…!
どうして…私は…っ!」
ステラは駆け出す。
「……」
シンとアスランは、駆けていくステラをただ見送るしかなかった。

…孤島の生活は一週間が過ぎた。
ステラの状態は悪化の一途を辿り、ときおり幻覚症状を見せ始めていた。
激しい錯乱と異様なまでの怯え。
そして…。

「ただいま!おにいちゃん!おじさん!」
それを反転したかのような明るく陽気な姿。
「…おかえり、ステラ」
「…どうしたの、おにいちゃん、元気ないよ?」
「…そんなこと、ないさ」
笑顔をつくるシン。
「ね、いこ!おにいちゃん、おじさん!
砂浜の夕焼け、すっごいキレイだよ!」
はしゃぐステラは再び駆けていく。
力なく見送るシン。
「…シン」
「…はい」
二人はステラの後を追って、歩き出す。
ステラの姿は夕陽に照らされ、輝いていた。
182SIN's DESTINY:49:2006/08/21(月) 22:55:09 ID:???
噴煙の隙間から、夕陽が孤島を照らす。
浜辺には打ち上げられた二体のMSと一機の戦闘機。
それを見つめるアスランの横顔を潮風が叩く。
三人が孤島に打ち上げられてから一週間が過ぎた。
「…カガリ、無事にオーブに戻ったんだろうな」
言葉には若干の不安な響き。

猪突猛進。
…出会ったばかりの頃のカガリは、まさにそのものだった。
思い込んだら一直線で、後先考えない。
アスランにはその迷わない姿勢が、まぶしかった。
それはまさしく太陽のように。

パトリック・ザラ
全大戦最後の決戦の地ヤキン・ドゥーエにおいて、
ザフト軍を率いた人物。
そして、アスランの父。
ザラの息子。
当時、アスランにはそれが世間の
自分に対する評価だとわかっていた。

アスランは浜辺に伏したMSに目を向ける。
黒光りのボディから鉄灰色へと変化したガイア。
インパルスのコアとなる戦闘機、コアスプレンダー。
そして、機能を停止してもその機体色を留めたままのザク・ウォーリア。
アスランは苦笑する。
「…俺はもう、時代遅れなのかな」
変わるモノ。
変わらないモノ。
ザクのグリーン・ボディは、アスランにその逃れようの無い
運命≠突きつけているように見えた。
…結局、自分は太陽の光を受けることでしか
輝くことのできない月≠ナしかないのだと。
183SIN's DESTINY:50:2006/08/21(月) 22:56:29 ID:???
「アレックス!」
呼んで、駆けてくるのはシン。
「どうした?」
「どうした…って、そっちこそどうしたんだ。
こんなところで」
アスランは答えず、シンの瞳を見返す。
「な…なんだよ」
戸惑う、シン。
その瞳は真紅の光。
「まぶしいな」
アスランは緩やかな笑み。
「…な、何がだよ?」
「…いや」
アスランは水平線の彼方に視線を移す。
二人の間を潮風が走る。
…水平線の彼方に上がるかすかな波しぶき。
「ッ!!」
思わず、身を乗り出すアスラン。
やってくるボートは青いカラーリング。
そして、ボートの切っ先に立つのは、見覚えのある青年の姿。
その姿は沈みかけた夕陽を背負って。

浜辺にて青年がボートを降りる。
「…久しぶりだね、アスラン」
青年はアスランの名を呼んで、あどけない笑顔を二人に向ける。
「キラ…!」
それはアスランとキラ、二人の一年ぶりの再会。
「キラ…、…あのフリーダム≠フパイロット…。
この男が……あのキラ・ヤマト=c!」
そして、シン・アスカとキラ・ヤマト。
これが二人にとっての初めての運命の邂逅≠セった。
184シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/08/21(月) 23:02:50 ID:???
トリをつけて登場

記念すべき五十話目は原作には無い展開にしてみました

職人さん、保守してくださってる人達、そして、今、
このスレを読んでくれている皆さん、非常に乙です
185762 ◆9AUE2RuSV. :2006/08/22(火) 01:47:01 ID:???
>シン運命
 G J !!

よくやってくれました!
この時点でキラと接触させるとは!!
もうどうなるかわからず、ワクテカしてますw
186通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 23:55:56 ID:???
ちょ…久しぶりにスレが回ってるから期待してきたら…


シン運命…GJ!!、久しぶりに良い物読ませてもらいました。
187通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 19:39:27 ID:JNbrovKM
ほしょ
188通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:58:33 ID:???
>>184
GJ!!
189通常の名無しさんの3倍:2006/08/29(火) 20:42:49 ID:???
今話題のXスレの職人さんは、ここで明日シンを書いていた人ではなかろうか
190通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 13:12:34 ID:???
保守
191通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 13:50:13 ID:???
>>130
矮小
192通常の名無しさんの3倍:2006/09/01(金) 03:54:28 ID:???
アレクサンドリア、そこにある地球連合基地である参謀と司令官との会話をしていた。
「ミネルバを沈められる方法だと?」
「はい。」
「おいおい、MS一個師団ぶつけても返り討ちにあったんだぜ?たった5機のMSと1艦相手に。
 そして突然乱入してきたフリーダム、まったく馬鹿馬鹿しいよ、天下の連合軍が泣けてくるぜ。」
両手を広げるジェスチャーをする司令官、しかし士官は冷静だ。
「確かに、確実とはいえませんが最悪大破戦闘不能まで持ち込む自身はあります。」
それに司令官は興味心身だ。
「ほぉ・・・お前の自身はどこから出てくる。」
「簡単ですよ、第二次世界大戦中ソビエトがやったことをそのままぶつけるんですよ。」
「おいおい、さっきもいったぞ、数ぶつけても無駄無駄。それにそれ以上の被害は反戦団体が煩いぞ。」
「違いますよ、私はなにもMSをぶつけるとは一言も言ってませんよ。」
「ほぉでは何をぶつける?」
待ってましたといわんばかりに士官は必要なものを書いたメモリースティックを渡す。
「こ、これは・・・確かにお前の言う通りかもしれない・・・だが大丈夫なのか?フリーダムは?」
「大丈夫です、業者の点検はバッチシです倉庫で腐らせるより何倍もましでしょ。フリーダムの目的は
 オーブです、まぁこの作戦にはオーブの連中は囮になってもらいますよ。」
「わかった、上の連中は私が黙らせておく、なぁにあの無能なファントムペインを盾にいえば何とかなるさ。」
「わかりました。」

「しかしこうも襲撃がないと何か不気味よね。」
タリア・グラディスは何もない海原を見つめながらも呟く。
「こちらを恐れているんですよ、ここを突破すればジブラルタルへ一直線ですよ。」
「まぁそうであれば嬉しいのだけど。」
やはり腑に落ちない、クレタはしょうがないにしても、マルタが動かないってどういうことだ?
それにシチリアからも一向に動こうとしない。連合は何を考えているの?

「まもなくミネルバが射程範囲に入ります。」
野戦司令部内でレーダー員から連絡が入る。
「よし、準備はできたか?」
「ええ、彼らの不眠不休の努力のおかげです。」
その報告にこの作戦を立てた士官は笑う。
「この作戦が終わったら彼らに酒をご馳走しなければな。」
「ミネルバ射程範囲内に補足!」
「よし!全ランチャー撃ち方はじめ!」
シチリア島とチェニスに白煙の幟が登る、それは百を軽く超えただろう。

「シチリア、チェニスから多数のミサイル接近・・・これは旧式の対艦ミサイルです!数・・・増えます」
メイリンの絶叫が響く。
「総員戦闘配置!全MS出撃!CIWS起動させて!」
指示を出す間にもメイリンの悲鳴が響く。
「ミサイル、数60・・・90・・・120・・・150・・・180・・・まだまだ増えます!」
「これが狙いだったのね。」
タリアはうめく、MSじゃ適わない、それじゃ別の手段で仕留めよう・・・そう連合が考え付くけどまさか
こんな作戦を思いつくとは。
193762 ◆9AUE2RuSV. :2006/09/03(日) 14:50:11 ID:???
>>192
GJ!

ミサイルによる飽和攻撃
そうきたかw
194通常の名無しさんの3倍:2006/09/04(月) 05:36:14 ID:???
名も無きウィンダム

「しかし先輩、自分は未だに信じられません。ウィンダムをこれだけ出すなんて。」
「仕方あるまいに、ファントムペインからのご指令だ。」
「しかしですね先輩。我々は本来、防衛、拠点襲撃が本来の任務であり、このような戦闘は、なんというか・・・」
「不慣れか?」
「あ、はい・・」
「ああ、分かる。俺も不安だ。しかしな、それでもここにこうして居るのは、俺達が軍人で、それしか能が無い人間だからだ。」
「・・・・・」
「俺達にできる、しようと思う事ができる事は、これだろう?
 なら俺達は今行こう。それしか、知らないのだから。」
「はい!すみません隊長、出撃早々このような軟弱な弱音を吐いてしまって。」
「気にするな。
 ・・・・・・なあ、俺達が生きて、生きて戻れたら、一緒にケーキでも喰おうじゃないか。」
「隊長、ケーキはないでしょうw」
「ケーキは悪くないぞ。あれを喰っていると、自分が戦う以外にも何か思える人間なのだと思い出せるしな。」
「・・・・・隊長、どうかご無事で!」
「お前もな。行くぞ!」

そして、彼らはザフトのZGMF-X56αによって海に散った。
195通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 20:01:32 ID:???
>>192
>>194

殺伐とした感じが良いですね
196通常の名無しさんの3倍:2006/09/06(水) 16:50:47 ID:???
>>194
こういうのっていいなあ。悲しいけど
197SIN′s DESTINY:51:2006/09/07(木) 00:45:52 ID:???
「…恐れ入ります、補給に加え、新型MSまで支給していただけるとは」
タリアの背後では、ミネルバへ戦闘機型MAの搬入作業が行われていた。
「いえ、我々としても試作品の変形MSぐらいしか
支給できずに申し訳ありません」
ユウナは深々と頭を下げた。

甲板でスケッチにいそしむレイ。
スケッチの完成度は半分程度。
「レイ!」
かけてきたのはルナマリア。
「…どうした?」
「…シンの居場所、つかめたって…ホントなの?」
ふるえるルナマリアの声。
「ああ、導師≠フところにいるらしい」
レイの言葉にルナマリアの顔色が変わる。
「…もう、いいだろう。今さら隠したところで何にもならない。
FAITH≠ネんだろう?
シンも、そして、ルナマリア、お前も…」
ルナマリアの表情はこわばったまま。
「…苦労するぞ?そういうカタイ性格は。
俺は嫌いじゃないけどな」
レイは笑って、再びスケッチにいそしむ。
「あ…あんたにカタイ性格とか言われたくないわよ!」
ルナマリアは恥ずかしさと照れで、顔を赤くして答えた。
198SIN′s DESTINY:52:2006/09/07(木) 00:47:53 ID:???
「…アレックスさんとシンがいるのは、オーブ領内なんですか?」
ブリッジには副長のアーサーとオペレーターのメイリンだけ。
「ああ。あのマルキオ導師って知ってるだろ?
二人とも、彼の住む島に保護されているらしい」
メイリンが目を丸くする。
「マルキオって…、あの表向きはジャンク屋って人ですか…!?」
「そうだ、先日、手紙がオーブに届いたらしい」
「…手紙、ですか。ユニウスセブンの落下の影響でいまだに通信は使えないし、
これじゃ私達、艦ごと旧世紀にタイムスリップしたみたいですね」
ハァ…とメイリンは溜め息をつく。
アーサーも手持ち無沙汰なのか、カップを手にとり、
飲み物をストローから口に注ぐ。
「でも…、わからない事が多すぎますよね」
メイリンは出航前のチェックをしながら、つぶやく。
「…なにがだ?」
「今回のユニウス落下といい、その直前の新型MSの強奪事件といい、
それにインパルスのあのデュートリオンビームを使った、あの機能。
あんな使い方ができるなんて、私、今まで知りませんでしたよ?」
アーサーにストローを加えたまま、言葉に詰まる。
「…ま、機密と言われれば、はい、そうですか。と答えるしかないんですけどね。
…正直、面白くないです」
答えなど聞きたくないとばかりに、メイリンは力強く、
手元のキーボードを叩くのだった。
199SIN′s DESTINY:53:2006/09/07(木) 00:50:26 ID:???
夕陽に染まる、オーブの港。
ミネルバは大海原に向けて、船出する。
それを自室の窓から見つめるカガリ。
「…カガリ、入るよ?」
ユウナは軽くドアをノックして、部屋に入る。
カガリはユウナに複雑な表情を向ける。
「…アスランの事はすまないと思っているよ」
ユウナはハーブティーを乗せたトレイをテーブルに置く。
「…僕としても、彼をオーブに保護したかった。
しかし、彼自身の所属がなぜかザフトになっている以上、
どうにもできないんだ。わかってほしい」
「そんなこと…わかってる…ッ」
震えるカガリ。
「カガリ…」
ユウナはカガリの肩に手をかける。
「さわるなッ!」
カガリの叫び。
ユウナは手を引き、…そして、部屋を後にする。
パタン、とドアを閉める音だけが部屋に響いた。

「…もう、いいのか?」
カガリの部屋を出たユウナを迎えたのはウナト。
「…ええ」
ユウナの返事に力は無い。
「…いくらなんでも、素っ気無いのではないか?
あの男のいない今、好機ではないか」
「そうですね…」
ユウナはウナトから視線をそらす。
ウナトは言葉を続ける。
「…お前は本来ならば、カガリ様の正当な婚約者なのだぞ?
いや、それは今でも生きているものなのだ。
カガリ様さえ、あの男にたぶらかされたりさえしなければ…」
「父上ッ!」
ユウナの静かな叫びは、鋭利にウナトの喉を突いた。
200SIN′s DESTINY:54:2006/09/07(木) 00:54:02 ID:???
「…よしてください。
人の心は、他人が自由にどうこうできるものではないでしょう…!」
「お前は、それでいいのか…?」
ウナトの問いにユウナはうつむく。
「…お前は優しすぎるのだよ」
誉め言葉でもなく、嘲りでもない、ユウナという人間に対する評価を
ウナトは口にした。

カガリは視線は遥か彼方の洋上。
「…ッ」
…アスランはアレックス・ディノとしてザフトの所属になっていた。
地球に降下したときに乗っていたのが、ザフトのMSだったから?
それとも…、それはアスラン自身の意志なのか?
…どうして?
…会いに行きたかった。
極秘でデュランダル議長に会いに行ったときのように、
オーブを抜け出して会いに行きたかった。

…カガリの瞳から涙が伝い、落ちる。

極秘怪談なんていうのは只の言い訳。
ただ、カガリはアスランと二人きりで、どこか遠いところへ行きたかった。
それが本音。
カガリは泣き崩れる。
「アスラン…!アスラン…ッ!!」
カガリは遥かなる海の向こうにいる、
愛する人の名を…想いを、ただ…精一杯に叫んだ…。
201シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/09/07(木) 01:01:18 ID:???
…ちょっと今回は話の進行が停滞気味かも
そして、今月はもう来れなさそうです(´・ω・`)

みなさん、それではまた来月にお会いしましょう(´・ω・`)ノシ
202通常の名無しさんの3倍:2006/09/07(木) 08:47:27 ID:???
乙!これを映像、漫画にして見てみたい。

「名も無きグーンパイロット」

男は綺麗に身支度を済ませ、玄関で靴を履いていた。
「あなた、なんで行くのよ・・・なんで行くのよ!」
「時間が無い。帰ってきてからにしろ」
「いつ帰ってくるのよ!帰ってこれないかも・・・しれないのに。
 私は!?あの子はどうするのよ!?いっつも私とあの子だけ置いてあなたは!」
「聞こえなかったのか?時間が無いんだ!」
「私がいつもどんな気持ちで家に居るか考えた事あるの?
 毎日一人でいつもいつも子供の面倒ばかり!全部私一人に押し付けてあなたは仕事しかしないじゃない!」
「行って来る」
ガッと、女の手が男の服の裾を力いっぱいに、震えながら掴む。
「いい加減にしろ!いったい何が不満なんだ!?お前が言ったんだろ!
 幸せにしろって!何不自由無い暮らしがしたいって!安定した生活が欲しいって!
 それが何か?それが叶ったら、今度は別の我侭か?」
「違うの、違うのよぉ!」
男は顔を真っ赤にし、女は目に涙を溜めて必死に言い寄る。
203通常の名無しさんの3倍:2006/09/07(木) 08:57:01 ID:???
続き

「うるさい!俺はもう行く!放すんだ」
「何よ!あなたそればっかじゃない!人の話もろくに聞いてくれなくて!
 幸せにしてくれるって言ったのはあなたでしょう!?」
「だからこうして戦場まで行って、死ぬ思いして稼いでるんだろ!
 お前は、何でも自分の思い通りにしないと気がすまない奴だったんだな!今頃気づいたよ」
「何よ!!あんたなんか、あんたなんか人殺し以外何もできない男の癖に!!!」
女の言葉に男は何も返さなかった。ただ、黙りこくるばかりで。
そして女がはっとして、男に
「あ、あの、ごめんなさい・・違うの、違うのよ!」
「行ってくる」

そして、男は冷めた表情で家を後にし、集合場所へと歩いて行く。
「人殺し以外、何も・・・か」
男は呟きながらフッと微笑し、無骨な建物へと入って行った。
204通常の名無しさんの3倍:2006/09/07(木) 09:10:43 ID:???
続き

その日の夕方、男はグーン隊へと合流、即日ミネルバとの共同戦において、
アーモリー・ワンの強奪機体アビスとの戦闘によって、戦死した。

「ママー!これ欲しいんだけど」
齢10歳の少年が、いつものように贅沢なお願いを母親にせがむ。
「ママ?」
「あ、マーくん。うん、そうね、買ってあげるわ」
「やたぁっ!ありがとママ!」
そう言うと少年は階段をドタドタと駆け上がり自分の部屋へと戻って行った。
女はソファーに深く肩を沈める。
(帰ってきたら謝ろう・・・ちゃんと、ちゃんと話がしたいの。今度こそ、ちゃんと・・)
そして女は、カレンダーの次の月、結婚記念日に赤い丸印を付けた。
ただ、あの人が帰ってくるはずのその日を待って。
205通常の名無しさんの3倍:2006/09/08(金) 14:56:11 ID:???
保守
206通常の名無しさんの3倍:2006/09/08(金) 22:01:15 ID:???
全員 
GOOD JOB !
207通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 10:08:04 ID:???
「名前はグーン・モグラグーン」

ボクハ モグラグーン
グーンノ バリエーションキタイデス
パイロットノ タロウサンニ ボクハ モノヲカンガエルコトガデキル AIヲクミコンデモライマシタ

「よっ!今日もよろしくな、モグラグーン!」
ちょっとむさい顔だけど、笑顔の素敵なタロウさんがグーンに挨拶をする。
彼はモグラグーンに出会ってからずっと、モグラグーンだけに乗り、モグラグーンだけで戦場を駆けて来たのだ。
今日も彼は、いつものように愛機に挨拶をし、
今日という日を一生懸命生きる。
『ヨロシクオネガイシマス タロウサン
 キョウノ ミッションハ ドウナッテイマスカ?』
「今日はなんでも、オーブにロゴスの親玉を捕まえに行くらしいんだ
 俺もよくはしらないんだけど、まっ今日もよろしくお願いするわ!」
『コチラコソ ドウゾヨロシクデス』
出発の時刻となり、タロウはさっそくグーンに乗って船に乗り込む。

「こらタロウ!MSはそうやって船に乗せんなって言ってんだろう!」
ジョウカンサンガ キョウモタロウサンヲシカリマス
208通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 10:15:30 ID:???
続き

オーブに付き、モグラグーンは他のモグラグーン達と共に、
水中から地面に穴を開けてオーブの中心部へ掘り進んでいく。
オニイサン オネエサン ミンナドウカブジデイテクダサイ ドウカブジデイテクダサイ
「大丈夫、みんな無事に帰れるさ。それよりお前こそ、無事でいてくれな。俺、お前を傷つけないように頑張るからさ。」

タロウサンハ イツモシンパイスルボクヲ ユウキヅケテクレル
ボクハ ボクハソンナオニイサンノコトガ

「逃げろタロウ!もう、ぐわぁっ!」
「隊長?隊長!!!」
オーブの突然の反撃、突如強固となった防衛線に次々撃破されるザフトの仲間達。
金色のMSが空を舞う、らしいが地面からは分からない。
タロウサン モウスコシデス モウスコシデホンブニツキマス
「ああ、絶対成功させような!」
あと少し、500、400、300・・・・・・警戒しつつ浮上!地面に上がり最初に映った物は、、、
209通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 10:24:36 ID:???
続き

お兄さん
僚機のモグラグーンが金色のMSに頭上から串刺しにされている姿。
「・・・・・・っ!」
オニイサーン!!!
眩い光と共にお兄さんは戦場の露と消えた。
オニイサン! オニイサンオニイサン! オニイサン
「うぁっ・・・・!」
さらにお姉さんも、黄色の戦闘機に変形したMSにビームで撃ち抜かれて。
オネエサン オニイサン ソンナ ソンナコトッテ
「グーン・・・」
呆然とするモグラグーン。
タロウは操作し再びグーンを地面へと潜らせた。
ゴメンナサイ オニイサン オネエサン タイチョウサン ボクハ ミンナヲマモレナクテ ボクハ
タロウサン! ボクハ マダ タタカエマス ハヤクチジョウヘ
「いいんだ・・・いいんだよもう」
ボクデハ チカラニナレマセンカ? ボクデハダレモタスケラレマセンカ?
「ううん・・・俺はただ、お前にもう傷ついてほしくないんだ。ごめんな」
ボクハ マダタタカエマス ボクハ マダタタカエマス
210通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 11:01:33 ID:???
続き

戦闘の音も聞こえなくなり、タロウは帰艦すべく海岸へ移動、モグラグーンのカメラを地上に出す。すると、
「あれ?誰もいないじゃん!」
ザフト軍は既に皆撤退した後だった。
ワスレラレテル
「ぐわぁ、しまったー!置いてかれた!」   ガチャリ
後から金属音が聞こえて振り向くと、そこにはライフルを構えたM1とムラサメが立っていた。
それを見たタロウはすごい早さでコックピットからハッチを開けて地面へ飛び降りた。そしてオーブ軍へ向かって力いっぱい叫ぶ。
「お願いだ!グーンだけは、グーンだけは助けてやってくれ!」
タロウサン 「お願いだ!俺はどうなっても。。。」 タロウサン 「こいつは、こいつは俺の全てなんだ!だから。。。」
必死に叫ぶタロウ、その姿を見るモグラグーン、涙を流せるのなら滝のように流したであろう。
グーーーーン     グーーーーン
「これは・・・・・」
果てしない夕焼けの海岸に、グーンの悲しげな叫びが響き渡った。
それを涙を流しながらタロウが、目を細めたオーブ兵が、静かに、ただ静かに聞くのでした。
モグラグーンはいつまでも、いつまでも、黄昏の空に鳴いていたのでした。
211通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 11:34:43 ID:???
続き

「モグラグーンはムラサメとM1で向こうに運んで置いてくれ」「無理です!」
オーブ兵が行き交う戦場跡。タロウはグーンに寄りかかり、遠くをただひたすら見ている。
「なあ、俺はお前に、心って言うのかな?そういうのを持って欲しいと思ってお前を改造したんだ。
 だけど、結局は俺の独りよがりだったんだよな?お前が、ただ傷つくだけだったんだよな。」
タロウサン ソンナコトハアリマセン
「俺は自分が寂しくて、自分の中の何かを晴らしたくって、お前をしゃべれるようにしてしまった。
 苦しいとか、悲しいと感じるようにしてしまった。・・・・・・ごめんな、つらい思いさせちまって。」
タロウサン アナタハ オバカデス
「グーン?」
ワタシハ トテモシアワセナノデス アナタトコウシテ カイワ スルコトガデキテ シアワセナノデス ウレシイノデス ソレハ マチガイナノデスカ?
ウレシイト オモッタリ ハズカシイト オモッタリ カナシイト オモッタリ ソレハ ホントウニマチガッタコトナノデスカ?
イイエ チガイマス マチガッテナンカイマセン ナゼナラ ワタシガシアワセダカラデス キズツクコトモデキルカラデス ヒトトオナジヨウニ ダカラウレシイノデス ダカラタダシイノデス
「無茶苦茶言うようになったなぁw」
ダレカサンニニタンデス マッタク マッタク
そうしてその日は過ぎて行くのでした。

その後、世界は終戦を向かえ、タロウは釈放された。そしてそのままオーブ市民へ。
モグラグーンはそのまま土の中に頭を出して埋められ、公園の喋るすべり台としていつまでもいつまでも人々に親しまれる事になったそうです。
タロウサン ワタシ ウミガコイシイノデスガ ワタシガウゴクト コウエンガコワレテシマウノデ ウゴケマセン 「まかせろ!超望遠カメラを付けてやる!」 ソウデスカ
212通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 22:18:04 ID:???
>211
(TΔT)グッジョ
213通常の名無しさんの3倍:2006/09/13(水) 23:51:10 ID:???
「ディアッカは男です」

「角度修正、風力確認、良し」
赤いジャンパーと緑のニット帽を被った男、ディアッカ・エルスマンは
ビルの屋上から隣の建物の女性を望遠鏡で見ていた。
「今日こそちゃんと伝えてみせるさ」
ぎゅっ
右手でグリップを握り、左手を横のレバーに添える。そして、
ズドーン
大きな大砲の発射音のような爆発音が響いた。
するとどうか。
先ほどまで見ていた女性の手に、今発射された手紙が握られている。
読む、読む、そしてくしゃくしゃに丸めて窓からこちらに向かって投げる。当然ひゅるひゅると手紙は地面へ落ちて行く。
そして女性は何か大声で叫びながらこちらに向かって鋭い眼差しを向ける。
ディアッカ逃げる、逃げる、逃げる、途中でコケる。

地面に落ちた手紙には、「ミリアリア、ごめん、ゆるして、また一緒に買い物行こう」とか色々書いてあった。
そして「最近太ったみたいだから一緒にどこか」とか余計な事も書いてあった。
ディアッカ・エルスマン、今日も作戦失敗、自分で転んで足に軽傷です。
214通常の名無しさんの3倍:2006/09/14(木) 00:16:52 ID:???
ウオオオォヽ(T∀T)ノ 
215LR(略) ◆9AUE2RuSV. :2006/09/14(木) 00:35:38 ID:???
>>211
>>213
ヽ(T∀T)ノ 泣けてきた


モグラグーン最後幸せそうで良かった良かったw
216通常の名無しさんの3倍:2006/09/14(木) 00:55:48 ID:???
今更だが>>192の続き

次々とランチャーから撃ち出されるミサイルをみてある士官(B)はぼやく
「統合戦争の対艦ミサイルだけではなく、ハープーンやトマホークにエクゾゼ、シルクワームにサンバーン
 それに・・・おいおいSSM−1なんてどっから引っ張り出したんだ?」
「ん?まぁプールされていて処分困った奴等がゴマンといただけ。」
この作戦を思いついた士官(A)は淡々と答える。なんせ敵国のザフトの海軍はボズゴロフ級潜水艦ぐらいしかなくて
精々鹵獲した小型艦艇を哨戒ぐらいにつかうぐらいだけ、対空、対潜、対地ミサイルぐらいしか使われないので
対艦ミサイルはただの金食い虫状態なのだ。置くだけでも維持費が、解体しようとしても処分しようとしてもベラボウに
かかる解体費、だが彼らもついに光を浴びる日がきたのだ。
1、出来るだけ被害を抑えたい
2、確実にミネルバをしとめられる方法
今までMS部隊を送り込んでも返り討ち、虎の子のファントムペインもただの張子の虎、挙句に増援にきたオーブはオーブで
いつ寝首かかれるか分からない状態、ならという発想でこの作戦を思いついたのだ。だが・・・
「ミサイルの3%打ち上げ失敗!そして5%が現在洋上に落下中!数増えます。」
あんまりの旧式なので打ち上げできなかったり、切り離しが失敗して海へドボンや信管がイカれているのか途中でドカンもいる。
「まぁこれも想定範囲だ、全発打ち上げられるとは思ってないよ。」
士官Aは呟く。
「まぁ確かにソビエト式とはまさにこのことですね。」
士官Bも頷く、ソビエト式・・・膨大な数を持ってスチームローラーの如く相手を押しつぶす。ただ単調だが受ける側にとってはおっそろしい作戦だ。
それをミサイルで表す、数撃っちゃ当たる、迎撃?何のことかな?数の暴力に勝てるのか?
何せ、一隻の軍艦を沈めるのに3ケタもの対艦ミサイルを投入するのだ、まぁ物が物だから撃沈とまではいかんが大破ぐらいまで持っていけるだろ。

「インパルス、セイバー、ザクの発進の完了!対艦ミサイルの数不明!」
メイリンは絶叫する。レーダースクリーンは真っ白、そうECMでもチャフでもないミサイルが多すぎて表示しきれないのだ。
「前砲門をミサイル群に向け!タンホイザーを撃ちます。」
タリアは指示する、だが撃てても一発きり後はトリスタン、イゾルデ、対空ミサイルやCIWS、MS隊の活躍に任せるしかない。
そして発射されるタンホイザー、一筋の陽電子の塊が突き抜ける当然巻き込まれたミサイルば蒸発し、レーダーには緑色の一直線が出来る。
217通常の名無しさんの3倍:2006/09/16(土) 14:59:44 ID:???
「選ばれなかった未来」1

「本当に一人で来たのか」
仮面の男は少し驚いた様子で俺に声を掛けた。
「殺したくないから返すんだ!
 だから、もう絶対に、戦争とか死ぬような思いをするような世界には・・・・・・・ステラを、平和な温かい世界に帰すって約束してくれ!」
「・・・・・」
ガチャリ
「えっ!?」
ステラを抱えるシンに向け、岩陰から姿を表した兵士達が銃を構える。
「すまない」
仮面の男はそれだけ言うとそっと近づき、ステラをやさしく撫でてあげる。
「約束は守る。ステラはちゃんと守る。」
「・・・・・・・お願いだから、俺は、どうなってもいいから、ステラだけは絶対に頼む!」
シンの真剣な眼差しは仮面の男を差して
仮面の男もまた、真剣な眼差しを仮面の奥底に潜ませる。
シンは連合兵に拘束されて連行されて行く。シンは、ただされるがままに大人しく身を任せるのであった。
「ステラ、君だけは必ず・・・」
218通常の名無しさんの3倍:2006/09/16(土) 15:09:25 ID:???
「選ばれなかった未来」2

連行されて基地へと連れられたシンは
そこで様々な実験やデータ採取に利用される事となった。
仮面の男とシンの進んで協力しようとする姿勢のお陰で、
無残な事にはならなかった。
毎日のように就寝時間前にシンはステラが治療を受けている部屋へと行き、やさしく声を掛ける。
「ステラ」
「シ、ン。なぁに?」
「ううん、なんでもないよ。おやすみ、ステラ」
ステラを寝かし付け部屋を出ると、監視兵の他に仮面の男もなぜか立っていた。「後は俺がやる、お前は先に休め」
監視兵を返し、仮面の男がシンを連れて廊下を歩き出した。
「すまないな、シン」
「・・・・・」
「ステラは大丈夫だ。すぐに元気になる」
「ならいいです」
「お前・・」
「ステラが元気ならそれでいいです。だから俺、そのためだったら何でも強力しますから、だから絶対にステラを」
「分かってる。心配かけてすまない」
「ネオ、さん」
219通常の名無しさんの3倍:2006/09/16(土) 15:23:17 ID:???

ネオの方針のお陰もあってシンは今も無事生きている。
利用し尽くされるシン、それでも決して不幸などではないシン。
シンは今この時を全く後悔などしてはいなかった。
ミネルバの、ステラを実験動物か何かとしか思っていない言動の艦長達。
言葉だけで、何もしてくれはしないアスラン。
オーブが、連合が、ザフトが憎い!
何所も同じなのではないか?みんなそうなのではないか?そう思った時、何所に居ても同じなのだと思った。
だったら!俺は俺の大切な者を守れる場所に居たい!
そう思って俺は今連合に居るんだ。
ミネルバ・・・・・・・・・・レイ
そうだ、レイはどうなったんだ!?
ステラの事でいっぱいで、それで俺は・・

考えても虚しいだけだった。レイがどうなったのか知らない。分かりっこない。
ステラを返すために助けてくれた、みんなステラが死にそうなのを見て見ぬ振りして知らん顔してたのに。
そんなレイを俺は、見捨てたのか?俺が戻らなかったから、レイは今頃・・たった一人で!
俺は、俺はぁ!
シンは一人、厳重にロックされた部屋の中で声も上げずに涙を流すのだった。
220通常の名無しさんの3倍:2006/09/16(土) 15:54:22 ID:???

その頃レイは議長の計らいによってミネルバより退艦し、ジブラルタルへと向かっていた。
シンは罪人として手配されたが、皆シンは死んだのだと口々に呟くのであった。
ステラを助けたかったから、殺された。
艦長はいつもと変わらぬ口調で罪状を皆に伝えていたが、心の奥底では自分を責めていた。
アスランも。
軍人としては当然、人としては・・・
正当性と、それが良いというのはまったくの別な事だから。
ただただくやむしかできないから。

「そうか。惜しい者を無くしたな」
「はい。しかし仕方ありません。それがシンの選んでしまった選択です。」
「無事殺されず戻ってきてくれていれば、とても助かったのだがね、我々は。本当に惜しい。」

議長との通信を終え、レイは薬を水で流し込んで飲みベッドに転がる。
いつもは憮然としているレイだが、今だけは何所かしおらしく見える。
     「「「連合のエクステデットだって、何だって、俺はこの子を助けたいんだ!」」」
シンの叫びが頭の中に浮かんで、消えた。
自分にとってシンとは、「そういう存在」だったのだろうか?
「シン、もしかしたらお前は俺の事を」
瞼をゆっくりと閉じ、眠った。

続く
221通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 04:31:16 ID:???
GJ!!
222通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 12:50:45 ID:???
あるエクステンデッド研究所そこで異変が起きている。
「やめさせなければ・・・こんなことやめさせなきゃ・・・。」
彼は正義感の強い男だった、そして忍耐があった。遂に見つけた一瞬の隙、
発信機を手術の為に取り外す隙を狙い彼は研究員を殴り倒しラボから脱走した。
「ナンバー8492が逃げたぞ!」
「くそ!追え!逃がすな!」
彼は必死に逃げる、強化された体は保安員を引き離す。
「やむを得ない射殺しろ!」
体を掠める銃弾、それを気にせず彼は逃げ続ける。その先にはこの暴挙を止める力があった、
彼は走り続けるメロスのように・・。
「いかん!奴はMSを奪うつもりだ!」
彼は整備班を押しのけると一気に駆け上がりMSのコックピットハッチを開き体を内部へと滑り込ませる。
「システム機動・・・FCS起動、全システムチェック・・・オールグリーン。」
機体の整備は完璧だった。しかしシステムはまだ十分と言えなかった、しかし強化改造された彼にとってシステムを書き直す事は簡単だった。
起動するMS、それに慌てる保安員、飛び交う罵声と怒号。
「MSが起動したぞ!」
「こちらからもMSを出せ!」
格納庫を突き破る一機の漆黒のMSそれはGAT−X105ストライクの姿だった。
それを取り囲むようにウィンダムが現れる。
「ナンバー8492無駄な抵抗はやめろ!」
俺は・・・
「今ならまだ許す!機体を停止させて直ちに降りろナンバー8492!」
俺は・・・俺は・・・
「ナンバー8492手間をかけさせるな!直ちに・・・」
俺は・・・俺は・・・俺は・・・
「俺はナンバー8492じゃない!俺は!俺の名前はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エールストライカーに搭載されている強化型ビームサーベルを抜くと一閃する、忽ち2機のウィンダムが撃破される。
そしてまた一機のウィンダムが切り裂かれる、だが次々と現れるウィンダム、その上ストライクに搭載している火器はビームライフルとイーゲルシュテルンと
腰部にマウントされているスティレットのみ、これだけではとても施設の破壊は望めない、いや望める事は出来るだろうしかし妨害なしで時間をかければの話だ。
223通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 12:53:44 ID:???
彼は逃走した協力者を得るために・・・フルブーストをかけて闘争を図る漆黒のストライク、研究所保安にあたっていた
MSは追おうとしたが先ほどの騒動でJパックが全て失われており追撃は不可能だった。

かろうじて彼は逃げ切れたしかし彼らは間違えなく彼を草の根分けていても探すだろう、
彼は秘匿すべき暗部でありまた同時にその施設の最高傑作だった。残された時間はほんのわずかだ。
ストライクを森の中に隠すと彼は町を彷徨った、協力者を探すために・・・だが協力者はいない、
それだけの力を持つものはいない失望する彼・・・しかし町の中である噂に耳に入る。
「ザフトがここにやってくるだって。」
「最近テレビで見るミネルバとかいうのでしょ?」
ミネルバ・・・外界から隔絶された彼はその活躍を知ることはできない、それに幾度となく敵と刷り込まれているザフト、
コーディネーター・・・だがあんなことをやめさせなける為には・・・、彼はそれを頼りとするためにストライクの元へ戻った、
タイムリミットはほとんどない、意識が混濁し始める、言葉の呂律が回らない、体中に汗を掻く、処置をする前に逃げ出したからだ。
彼は研究所から奪ったほんのわずかな薬を口に含んだ。少しだけだが体が楽になる、そして市場からくすねてきたパンと水を胃の中に押し込む、準備は整った。

「哨戒ですか?ここら辺は安全地域のはずでは?」
アスラン・ザラは聞き返す。
「ええ、このあたりで連合のMSを見たという目撃情報が町の住民からあるから、
 シンと行ってくれない?ひょっとしてインド洋みたいな基地があるかもしれないから。」
「ハッ、了解しました。」
アスランは敬礼すると、艦長室から出て行きシンの元へ向かった。インド洋では多少のイザコザがあったが
ガルナハンでは互いの実力を認め合い現在はそこそこ良好な関係だ。
「哨戒ですか?」
シン・アスカはあまりうれしそうな顔をしない、元々短気な性格だから長時間の哨戒任務はあまり好きではないのだ。
224通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 12:55:45 ID:???
「まぁそういうことだな。」
「そんなのレイやルナマリアあたりにやらせておけばいいじゃないですか。」
「生憎マハムールから譲られたグゥルは点検中だ、だから俺たちが出るしかない。」
「ちぇ。」
「あんまり嫌な顔をするなよ、シン、これも立派な任務だぞ。」
「はいはい分かりましたよ。」
渋々とした顔をしながらもシンは更衣室に向かった。
「カタパルトオールグリーン。セイバー、インパルス発信してください。」
「アスラン・ザラ、セイバー出る!」
「シン・アスカ、フォースインパルス行きます!」
ミネルバから二機のMSが飛び立つ。

「・・・見つ・・・けた・・・。」
レーダーに映った機影を彼は見逃さなかった、おそらくミネルバに所属しているMSだろう、
彼は通信をいれるチャンネルはすでに合わせている。
「はぁ、結局はないじゃありませんか・・・骨折り損ですよ・・・。」
シンは愚痴る。
「何もない方が一番いいんだ・・・哨戒も、戦争も・・・。」
シンの愚痴にアスランは一人心地のように言うその時だ。
「タス・・・ケ・・・暴挙・・・止メタ・・・イ、仲・・・間救イタイ・・・力・・・貸シ・・・テ。」
突然通信が入る。
「な、何だ?」
突然の通信しかも人間と思えない声に一瞬二人はびびった、しかしすぐに切り替える。
「シン、通信が放たれた所へ向かうぞ。」
「了解。」
二人が向かった先に一機のMSが立っていた、そのMSは漆黒でよく見えないが形状から・・・アスランは瞬時に判断する。
「ストライク・・・なんでこんな所に。」
「敵か!」
シンのインパルスはライフルを向けるがアスランは静止させる。
「隊長何をするんですか!」
「待てシン撃つな、様子がおかしい。」
そしてストライクから通信が入る。
「俺は・・・もう・・・人・・・間じゃ・・・ない、・・・俺は何かを・・・された・・・
 それを・・・やめさせた・・・力・・・貸して・・・。」
通信を通して入る声はか細く、弱弱しい。
「連合の・・・施・・・この先に・・・つい…てき・・・時間な・・・い。」
「隊長、すぐに行きましょう!」
225通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 12:58:22 ID:???
すぐに弱者を信じてしまうシンはアスランを促すがアスランは考える、罠かもしれない。相手を油断させて
そこを突くという作戦を彼は幾度となく経験しているからだ・・・だが彼の言っている事は嘘だとは思い切れない、なら・・・
こちらは多少の敵はいても潜り抜ける事が出来る彼はそう判断してミネルバに通信を入れる。
「グラディス艦長。」
「アスラン何か発見したの?」
「ええ、連合と思われるストライクガンダム型MSを発見、パイロットが近くに連合の施設があり案内すると言ってます、これより施設捜索に向かいます。」
「ちょっと待ってそれって罠じゃ・・・。」
「私も最初はそう思いましたが、彼の言動からしてどうしても嘘をついているとは思えません。」
「そう、具体的な判断は貴方に任せるわ。」
「ありがとうございます。」
通信をきるとストライクに通信を入れる。
「ストライクのパイロットこれより君について行く、施設まで案内してくれ。」
「ありが・・・とう・・・すぐに案内・・・ついて来い。」
彼は精神を安定させるための最後の薬を飲む、その薬は試作の劇薬だった、だが彼にとってはどうでもいいこと
もう生きる意味は施設破壊以外もうないからだ。
そして案内して20分だ。
「もうす・・・ぐ、施設・・・着く。」

「ストライク戻ってきます!」
「流石に処置を施さずに逃げてきたから苦しくなって戻ってきたのだろ。」
職員は気色の悪い笑みを浮かべる、一時は最高の研究物がいなくなってヒヤヒヤしたのだが
戻ってきたおかげでもっと研究できるそう思った矢先である。
「後方にMS2機!IFF・・・敵機です!」
「くそ!奴め!ザフトまで連れて来やがったか!ただちにMS部隊を出撃させろ!」
施設からウィンダムが出撃していく。
「敵MSを確認。」
「やはり彼の言う事は本当だったか、よし迎撃するぞ、ストライクのパイロット危険だから下がって・・・。」
だがアスランの通信を無視するがのごとく漆黒のストライクはウィンダムの群れの中に突っ込む。
「シン、彼を援護する、行くぞ!」
「了解。」
226通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 13:01:36 ID:???
3機のガンダムがウィンダムを蹴散らすのはあっという間だった、シンの荒削りな攻め方と
アスランの機動性を生かした攪乱攻撃、そして彼の乗るストライクも鬼神のような戦い方だった。
「防衛MS部隊全滅しました!」
OPが悲鳴を上げる。
「ええい何ということだ・・・やむをえん、あいつらは使えるか?」
「え?彼らをですか?」
何を使う?研究員達は疑問の顔を浮かべる。
「そうだ、あいつらは稼動できるか?」
司令官の言葉に研究員は凍りつく。
「無茶です!まだ最終工程どころか70%しかクリア出来ていないのですよ!正気ですか!」
研究物体が死んでしまってはたまらん!そういう研究員。
「それだけやっていれば大丈夫だ!まだ予備MSとあれがある筈だすぐに乗せろ。」
「しかし・・・。」
なおも贖おうとする研究員。
「しかしも何もあるかすぐにやれ!さっさとやれ!宇宙人どもが攻めてくるぞ!」
司令官の脅しに研究員は従うほかなかった。
「ゲルズゲー、ザムザザー起動、裏切り者と宇宙人を生かして返すな!」

「よしMS部隊は片付けた、施設はどこだ?」
「すぐ・・・そ・・・こ・・・もうすぐ・・・。」
だがアラームがなる、目の前に現れたのは2機のMAと少数のMS。
「あれは・・・ローエングリーンの。」
「あれは・・・オーブの時の。」
二人の声が重なる、撃ちかけてくる二機のMA、そのビームをかわし、反撃をかけるがリフレクターの前に弾かれる、
だがアスランは妙な違和感を覚える。そうローエングリーンゲートで戦った奴より弱く感じる。
「あれは・・・俺の仲・・・間・・・。」
彼はそう言いつつもゲルズゲーに向けてストライクを突っ込ませる、ビームライフルを放つが陽電子リフレクターに弾かれる、だがそれが彼が目論んだ事だ、そのまま下に潜り込み柔らかい下腹にライフルを向ける。
「許・・・せ・・・。」
今楽にしてやる・・・戦争も何もない平和な世界に今送り届ける・・・そう彼は思いつつトリガーを引く。
そしてザムザザーもあえて接近戦を促し、クローをはずした瞬間にインパルスから零距離からビームライフルを叩き込まれ重装甲がぶち抜かれ
とどめと言わんばかりにセイバーからの高エネルギービーム砲に打ち抜かれ爆発した。
「馬鹿な!我々の切り札がこうも呆気なく・・・。」
MAがあっけなく撃破されたことに呆然とする司令官。
「あんたのせいだ!あんたのおかげで貴重なサンプルが!」
研究員が司令官に掴み掛かる、だが醜いパイ投げもすぐに終わった。
「ストライクこっちに向かって来ます!」
モニターに移る光景はこちらにビームライフルを向けるストライク、それが彼らの最後の光景となった。
227通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 13:04:21 ID:???
目の前に起きている光景に二人はただ呆然として見ていた、司令部と思われる施設を破壊したストライクは目に付く施設を
次々と破壊していった。手にもっている武器を、そして拾った機械や資材を使って・・・そして研究所は破壊された。だが彼には成すべき事があった。
「これで終わったのか?あんたのやることは?」
シンは聞いてくる。
「君には悪いがミネルバまで来てもらいたいのだが・・・。」
アスランも彼を心配したのか通信を入れるだが・・・
「ま・・・だやり・・・残したこ・・・と・・・ある・・・。」
彼はビームライフルをインパルスに向けて放つ。
「な!!」
辛うじてシールドで防ぐインパルス。
「俺を・・・コワ・・・シ・・・俺を・・・破壊・・・。」
彼は壊れる寸前だった、彼の体はズタズタだった、彼は死に場所が欲しかった。
「おい、やめ。」
「シン、彼の言うとおりストライクを破壊するしかないようだ。」
「だけど!」
「彼が望んでいることだ、その希望を叶えるしかない。」
アスランの声も悲しそうだ。そしてストライクと対峙するインパルスとセイバー。そして交戦する、
彼の腕は高かったこちらの攻撃を最小の動きでかわし、最小の行動で攻撃をかける、普段の単独的攻撃では埒があがらない、アスランはそう判断する。
「シン、彼の能力は高い!一人で仕留め様とするなここは連携で仕留める。俺は彼の動きを封じる、お前はその間に!」
「分かった。」
MA形態に変形しセイバーは急上昇する、その間にインパルスはストライクがセイバーに向かわないようビームライフルを打ち込む、
それを回避し反撃に移ろうとするストライク、そこに一気に急降下をかけたセイバーの一斉射撃がストライクを襲う、
回避が間に合わずエールストライカーを打ち抜かれストライクの機動性が一気に失われる。
「シン!いまだ!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
雄叫びを上げて一気にインパルスはストライクに切り込む、尚も反撃をかけ様とするストライクだが、
セイバーの連撃を受け行動不能に陥る、そして・・・インパルスのビームサーベルはストライクのコックピットを貫く。
「ああ・・・これ・・・で解放・・・され・・・ありがと・・・。」
通信で入る彼の声・・・心からの感謝の言葉だった、そしてストライクは爆発した。
「馬鹿野郎・・・」
シンはつぶやいた。
228通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 13:05:47 ID:???
エピローグ

数時間たった後ミネルバ施設後に向かった、アスランとシンはグラディス艦長に施設破壊を止めなかったことを非難するも彼らの行動に労をねぎらった。
「なぁ、隊長。」
ストライクの残骸の前でアスランとシンは近くの町で買った花束を捧げた。
「何だシン?」
「あいつはなんて名前だったんでしょう・・・それに何の施設だったんでしょう。」
「それはわからないな、それは後で分かる事だろうな・・・今は・・・。」
アスランはそっと手を合わせた、それにつられるようにシンも手を合わせた。名を知らない彼の冥福を二人は祈った。
229通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 17:39:38 ID:???
GJ!
230通常の名無しさんの3倍:2006/09/17(日) 23:50:57 ID:???
これは初代ACのワイルドキャットかな?
231通常の名無しさんの3倍:2006/09/19(火) 21:58:32 ID:???
「選ばれなかった未来」5
ファントムペインに命令が下る。
指定地域にて新型機動兵器デストロイを持って大規模な制圧活動を開始せよ。
最優先されるのは指定地域内の全ての組織の壊滅である。あらゆる犠牲を払っても強行されたし。
失敗は、貴君らの死を意味すると思え。

一人影を落として佇むネオ、シンが兵に連れられてやってきた。
「次の命令はなんでしょうか?」
表情を浮かべず機械的に指示を仰ぐシン。まるで疲れているようでいて、それでもどこか瞳に光が満ちている。
一人の少女のために自らを敵に売った少年に、
仮面の男ネオは同じく機械的に指示を送る。
「直ちにMS部隊発進だ。お前にもウィンダムで出てもらう、インパルスは工場でデータを取ってる最中だからな。」
「分かりました。命令に従って直ちに出撃準備に付きます。」
「シン、これを・・・・」
ネオがシンに大量のカプセルの入ったプラスチック容器を差し出す。
「これを、飲んでくれないか?」重い口調で言うネオから、シンはすぐにそれが何かを感じ取り理解した。
「命令には従います。命令通り飲みます。」
「すまない。シン。」
232通常の名無しさんの3倍:2006/09/19(火) 22:12:23 ID:???

シンが飲んだのは、連合で開発された特殊な毒物。
これを一度でも摂取すれば、その後特殊な治療を定期的に受けない限り死に至る。(量にもよるが、常習すれば確実。)
シンは明確な効果は分からずも、これが「そういうもの」である事を分かっていて飲んだのだ。
裏切れないようにするために何らかの処置がある事は覚悟していた。
いや、いつ殺されてもおかしくないと思っていた。
それでも彼がここに居るのは、ステラを絶対に守りたいから。絶対に。

「本当にアレを乗せるんですか?ステラの方が適切では?
 第一、アレがもし裏切りでもしたら」
「そうならないためにアレを飲むよう進めたんだろ?」ネオの声からはひしひしと怒りが感じ取れる。
「そうですが、もしアレが最初から不惜身命で乗り込んできた敵の罠ならデストロイを」
「大丈夫だ」
「しかし」
「大丈夫だ!」

ステラがデストロイのパイロットとして選ばれていた。しかし、ネオの意向とシンの元々の身体能力の高さによって、
シンが身代わり、生贄となる事になった。
ステラを守る。ネオにできる最大限の・・・。
233通常の名無しさんの3倍:2006/09/19(火) 22:25:06 ID:???

「シン・アスカ。お前が乗るMSに変更があった。直ちに移動、X1デストロイへの搭乗、チェックを行う。」
言われるがままのシンを、遠くからネオが仮面越しに見つめている。

「彼の能力の高さなら、すぐにデストロイを動かせる事でしょう。
 しかし大佐の判断には時々驚かされますが、どれも必ずプラスになったと後で分かる事ばかりでry」
「あのコーディネイター、作戦が一区切りしたら例の実験施設にry」
「使えますねアレ。兵器としてコーディネイターがここまで使える物とは知りませんでしたよ」
仲間の声はどこまでも悪意の無く、それでいて残酷だった。
ネオの中で、何かが急激に変わり始めていた。

デストロイの発進の時がやって来た。遠い平和な町をカメラが映す。
シンの瞳には撃つはずの無かった人々の笑顔が溢れる。
迷うな!迷うな迷うな迷うな!
俺は戦わなきゃいけないんだ!

「(ステラ、君を守るためなら、俺は誰であっても踏み躙れる!誰であっても!)
 シン・アスカ、デストロイ行きます!」

続く
234通常の名無しさんの3倍:2006/09/23(土) 03:43:10 ID:???
保守的
235通常の名無しさんの3倍:2006/09/23(土) 04:53:14 ID:???
投下乙!
236通常の名無しさんの3倍:2006/09/23(土) 21:21:48 ID:???
>>231-233 亀気味だがGJ!シンがデストロイで出撃、すげえ燃える展開wktkっす!
237通常の名無しさんの3倍:2006/09/24(日) 10:39:07 ID:???

ついに開始されたファントムペインによる、反連合組織一斉討伐作戦。
その情報は即座にザフト情報網を駆け巡り、ミネルバにも。

「なんですんって!?それは本当なの?」「ばかな!?そんなわけあるか!」「何?もうあそこの部隊は全滅だと!?」

艦長やクルーにそれは伝えられ、大きな波紋と同様を生む。
ミネルバには今MSが無い。
最後の機体であるインパルスを失っている以上
司令部の命令の元、今はジブラルタルに最新鋭のMSを取りに行くしかない。
シンが居なくなった事への後悔と自責から立ち直れて居ないアスランに、残酷にも逃げられない現実だけが突きつけられる。
キラ達との亀裂、シンとの取り返しの付かない別れ、無力さ。
抱えきれない現実で押しつぶされん時、人は縋る。自分に残された物に。それが過ちを生むとも知らずに。
アスランも。

その頃襲撃を受けている都市に向かって、既に出発した数隻の船が豪速で飛行していた。
新型機の一体と、レイを乗せて。
238通常の名無しさんの3倍:2006/09/24(日) 11:38:53 ID:???
寝不足で誤字多くてすまねぇ。

「うぅおおおぉぉぉ!」
デストロイの胸のプラズマ砲が吐き出される。5秒で街は、消えた。
「次へ行くぞ」
次々に街を焼き払い、黒い巨大MSは休む間もなくその力を振るう。
既に焼かれた都市は4、死者1万超。
次々に止めに掛かるザフト軍は、駆けつけた事を一方的に罪と言われんばかりに、ファントムペインの一方的な私刑の前に散って行く。
「俺達居る必要あんのかよ・・・これ」
「・・・・・」
シンの護衛に付いたカオスのスティング、ウィンダムのネオも、想像を絶する殺戮光景に圧倒され言葉を失っていた。
ステラ搭乗を前提に置いてのシミュレーション結果を遥かに上回る戦闘能力。
シンは目に映る味方以外の全てを撃った。逃げ惑う一般人も、降伏する組織も。
ネオは数刻前に何のためらいも無しに撃ち続けるシンに声をかけていた。
「はみ出した住宅街のみの部分まで集中してわざわざ焼き払わなくてもいい」
しかし
「命令は全てを焼き払うでしょ?全部やらなければいけませんよ。命令通りに」「シン」
「完全にやらなきゃ駄目なんでしょ?逆に、完璧にさえやれればステラは守れるんだ・・・・・」「お前」
「そう教えたのはあんただろ?!戦闘中に話掛けんなよ!それでも隊長なのか!?」
ネオの中で抑え続けていた疑問と矛盾が、今はっきり見えた気がした。悲しくも今。
239通常の名無しさんの3倍:2006/09/25(月) 01:18:18 ID:???
GJ!
240通常の名無しさんの3倍:2006/09/25(月) 01:25:03 ID:???
そろそろ落ちそうな気がしたので、念の為ageとく
241通常の名無しさんの3倍:2006/09/29(金) 01:51:42 ID:???
保守
242通常の名無しさんの3倍:2006/10/02(月) 02:06:04 ID:???
「こうも大衆がザフトにつくとはな・・・。」
モニターに移るギルバート・デュランダルによるロゴス撲滅宣言による住民の暴動をみて連合の将官がぼやく。
「まぁ流石にあれをやってしまったばっかですからねぇ。」
嫌味のように士官は言う。あれはデストロイによるユーラシア連合の主要都市を灰燼にしたことだ。
「ガッデム!どいつもこいつもブルーコスモスの連中のせいだ!ド素人の癖にやったら戦争に口だしやがる。」
将官は怒りを爆発させる、無理もないBCのおかげで何度も掴みかけた勝利をパーにしたのだ。
「第一ガルナハン地域やインド洋地域で住民にあんなことしたのは極一部のアホウどもだ、それがあたかもすべてのように
 言いやがって、こっちはこっちでちゃんとしたと言うのに。」
「仕方ありませんよ、大衆は豚ですから、汚点を強調することでそれがすべてになる。」
肩をすくめる士官、将官もようやく本題に移った。
「まぁこれは置いておこう、ジブラルタルの兵力はどうなっている?」
「ハッ、現在ロゴス追討宣言でザフトは黒海、ダガールの戦力を終結しています。そして宣言に感化
 されたアジア、ユーラシア連合の一部といっても相当数な艦隊が終結しています、これがその写真です。」
士官は将官に現像した写真を渡す。
「見たところCV:4とDDG:5、DD:12にSS:15以上・・・それにしてもどっから撮ったんだこんな鮮明な写真?衛星はすぐに叩き落されるし。」
「ああ、モスポールされていたSR-71にちょっと改造したのを飛ばしただけですよ。」
「おいおいそんな骨とう品まだあったのか、まぁ速度はぶっちぎりだからなそれで総兵力はどうなると思う?」
「恐らくまだ完全に終結したわけではありません、おそらくまだ増えるかと。」
「ウーム、戦力はまだこちらの方が上だな、こちらにはデストロイを始めとする有力なMA部隊が・・・」
そう言いかけた時士官はそれを否定する。
「MA部隊は見てくれだけの金食い虫ですよ、それにパイロットがあれでは。」
「まぁなエクステンデットかぁ。」
将官はこめかみを指で抑える、連合内でも好き勝手してくれるエクステンデット部隊の評判はすこぶる悪い
勝手に機材を奪われたり、優先的に補給受けたりしているからだ。
「それに情報部からのザフトも新型のガンダムを開発ミネルバに配備された模様です。」
「はぁ、ガンダムか。」
将官は頭を掻く、こちらも前みたいに新型ガンダム作っとけばいいものの・・・。
「ではどう対策を立てる?」
将官はいずれ攻めてくるだろうザフトにどう対抗するか聞いた、士官はCD−ROMを手渡し
将官はPCにそれを差し込む、そして見る見る将官の顔が変わる。
243通常の名無しさんの3倍:2006/10/02(月) 02:07:49 ID:???
「君はこれを望むと。」
「はい。」
士官が自信を持って答える。
「だがこの作戦・・・指揮官は誰にする?アイゼンハワーは?」
「見た瞬間真っ先に逃げ出しました。」
「ルクレルクは?」
「同じく。」
「グデーリアンは?」
「支援隊なら引き受けますが、司令官だけは真っ平御免と。」
「誰も彼もこの作戦の指揮をとるのが嫌なんですよ。」
「確かになこんな作戦の指揮を取りたがらない、この作戦は外道だ!
 では君は誰を司令官にするのかね?」
嫌味な顔をする将官に待ってましたといわんばかりに士官は答える。
「サー・エドワード・スペンサー・パーシバル中将を指名します。」
士官の指した司令官、その人はもう退役間近なのだ。
「あのライミーの老いぼれ爺さんか?大丈夫なのか?」
「彼こそ適任です。ぶっちゃけ実質の指揮はあいつが取ることになりますから。」
「あいつか・・・。」
将官の顔が曇る、そうあいつは・・・あのアラスカのザフト殲滅作戦を立てた人なのだから・・・。
「どうあれここで我々が負けるわけにはいけません。」
「そうか・・・わかった上層部には私が何とか言おう。」


数日後一機のヘリがヘブンズベースに降り立つ。
「やはり、アイスランドは寒いな・・・基地作るならもっと南に作ればいいものの・・。」
男はつぶやく、だが彼は笑う、ここに地獄を作る敵味方区別なく血に染めよう、その先に見えるもの
彼はそれを思い浮かべて思わず笑う、そして兵士が彼をおずおずと向かいいれる。
「お待ちしてました、レイジ・ムナカタ。」
「うむご苦労。」
「蝿の王」と呼ばれた連合軍の大佐が北の大地に降り立った瞬間である。
244762 ◆9AUE2RuSV. :2006/10/03(火) 01:04:44 ID:???
宗像キターーーーヽ(゚∀゚)ノ ワー


この先がすっごい気になるw
245通常の名無しさんの3倍:2006/10/03(火) 13:09:38 ID:???
10
「!?」バシューン
突如襲い掛かった複数のビーム砲を、大型光学シールドで全て防ぎきる。弾いた先の視界に、軍艦とMSが映る。
「なんだあの機体!」
巨大なバックパックを背負った強い陰りを持つその機体は、明らかに今までのザフト軍MSの物とは違った。
それに乗っているのはレイ。レイは新型機レジェンドを駆り、今この場に連合を撃つべくやって来たのだ。

「各機散開しろ。グフは不用意に接近飛行はするな、墜ちるぞ。」レイを筆頭に、新型量産機グフがデストロイを囲むように散開する。
「こっちも各自散開、迎撃に移る!スティング、デストロイを守るんだ。」
ネオはなんとか迷いを、今だけは振り切り、生きながらえるべく迎撃体勢に移らせる。
「えぇぇぇい!」
レジェンドがビームジャベリンを突き出しながら、巨体に向かって突進。
デストロイの腕ビームが迎撃、当たらない。レジェンドはその図体には似合わない移動力でデストロイに急速接近する。
「くそっ!」シンは焦るも、接近時の有効な迎撃手段が無い。レイの見抜いたデストロイの単純な弱点。
レジェンドのビームジャベリンがデストロイの右腰を襲う。「させるかよ!」カオスのライフルがレジェンドを正確に捉え撃つ。
レジェンドは即機体を曲がらせ、間一髪ライフルの狙撃を回避。
しかしそこをウィンダムがライフルの猛攻をかける。
レジェンドの腕が上がり、両腕のビームシールドでライフルの雨をギリギリの所で防ぐ。「ぐっくうぅぅ、ちいっ!」
止まないライフルの雨、そこを背後からオールレンジの腕ビームが再び襲う。
さすがに避けられない、左足の脛から下が爆発して破壊された。たまらずレジェンドはシールドを張りながらデストロイから離れようとする
246通常の名無しさんの3倍:2006/10/03(火) 13:33:03 ID:???
11
「逃げられると思うなぁ!!!」
腕がレジェンドを前後からはさみ撃ちにし、左右はカオスとウィンダムが行く手を阻む。
ライフルを巨体に撃つも、シールドが張られて通らない。敵が一斉にこちらを狙う。
一斉掃射が一点で弾け、大きな爆発が起こった。「やったか?・・・・居ない?!」レジェンドの機影も残骸も何も無い。レーダーが捉え
「上か!」
レジェンドは上空空高くを目指してぐんぐん飛んで行く。何所へ行くレジェンドよ。そして、
レジェンドが飛んでいった天高くから、何か小さな点が複数散らばった。
それらはどんどん形をはっきりとさせて行き、突如無数の光を放った。
「うわぁぁぁ!」
一瞬後、突如デストロイの上半身各部が爆発を起こした。シンの体が大きく揺さぶられる。
ビームの雨が、真上の複数の点からこちらに向かってひっきりなしに注がれてきていたのだ。
「なんだこれは!?」「ちくしょ、なんなんだこれは!」
接近しきった無数の点は、その姿をあらわにして落下し、思い切り良い音をさせて爆発する。
いくつかは地面ではなくデストロイに落ち、巨体をさらに痛め付ける。
点の正体はレジェンドのドラグーンシステムだった。
例外を除き、ドラグーンは重力下では推力を得られず、固定砲台としか使えない。
しかし、レイはデストロイの「真上」からドラグーンを解放する事で、重力下での遠隔攻撃を可能にしたのだ。
時機を回避困難集中砲火から遠のき、ドラグーンを碌に動けぬ巨体目掛けて投下、後は弱いながらも落下の角度調整ぐらいには使える
推力を使ってバランスを取り、どんどん近づく目標に向かって遠隔操作でビームを好きなだけ撃ちこんでやれる。
真上からの攻撃にはシールドの展開が困難、かつ敵は対応に遅れを取る。
247通常の名無しさんの3倍:2006/10/03(火) 14:15:09 ID:???
12
とはいえ、武装の大半を失う上に戦力を確実に奪えるわけでもないため、明らかに戦略ミスである。
何より有用性がほとんど無いのだ。
しかしながらデストロイは半壊し、目的である巨大兵器の撃退は半ば達せられた。
「シン!シン!」「っぶねぇ、何て事しやがる・・・」
大打撃を受けたファントムペイン、そこを離れながらも囲んでいたグフ部隊が一斉に制圧しに掛かる。
その後からも戦艦の主砲がデストロイを狙い撃ちにし、巨体はみるみる鉄屑となって行く。
上空からゆっくりと降りてくるレジェンドからレイは、冷たい視線を死に行くであろう者達に向ける。ライフルが巨体の胸を狙う。
「よせぇー!」攻撃を受けボロボロになりながらウィンダムがレジェンドの前に立ちふさがる。
レイは狙いをそれに向け直し、引き金を引こうとした。その時。
キュピーーーーーン
「うっ!」「うほぉ!」ネオとレイの頭に強烈な何かが走った。

全然ショートじゃなくてスンマセン!
248通常の名無しさんの3倍:2006/10/03(火) 21:34:17 ID:???
そろそろage
249通常の名無しさんの3倍:2006/10/07(土) 03:12:57 ID:???
GJ!
250通常の名無しさんの3倍:2006/10/07(土) 15:03:43 ID:???
黒いストライク、ノワールを二機の戦闘機、スターゲイザー一号と二号が迎え撃つ
「、、、このままじゃ埒があかない!セレーネ、合体しよう!」
「ええ!」
スターゲイザー1号とスターゲイザー2号が合体する!
「合・体!!、スターーー、、、ゲイザァーーーーーッ!!!」
一号は上半身に、二号が下半身となり、スーパーモビルスーツ、スターゲイザーが完成する!
「合体したスターゲイザーを、ただのマシンと思わないで!」
セレーネの頭に浮かぶのは、エドモンドの笑顔
「エドの、エドの思いが、つまってるんだからぁーーーッ!!!」

「スウェン!下がれ、俺がやる!」
「シャムス!?」
ヴェルデバスターが二機の間に割り込む
「コーディネイターめ、俺の眼鏡が伊達じゃないって事を教えてやる!」
バスターがビームライフルを発射!しかし、
「な、なに!?ヴェルデのビームを、手のひらで受け止めただと!?」

「セレーネ、あれをつかうよ!」
「ええ、よろしくてよ!」
スターゲイザーの額が光る!
「ゲイザァーーー、、、ビィーーーム!!!」
額から放たれたビームが、ヴェルデバスターを貫く!
「く、くそ、スウェン、実は俺の眼鏡、伊達だったんだ・・・」
「シャムスーーー!!!」
ヴェルデバスターが爆発した
251通常の名無しさんの3倍:2006/10/09(月) 01:18:26 ID:???
>>250
OKOK!!!

そのノリ大好き!!!!!
252通常の名無しさんの3倍:2006/10/10(火) 01:06:44 ID:???
何故だ?何故ナチュラルの為に戦い抜いた私が襲われなければならない――
ロード・ジブリールは怒りの顔を浮かべ屋上へ逃げる、ギルバート・デュランダルによるロゴスと言うロゴス追討宣言に
惑わされた愚かなる者どもがジブリール邸を包囲するのはあっという間だった。
「何故だ!」
ジブリールは叫ぶ、コーディネーターという存在が地球にとってどれほど災厄をもたらすか。その為に私は戦ったはず
だが今は逃げなければならない、いつか愚民どもに分からせてやる・・・だが
「ジブリールだ!いたぞ!」
一時的な狂気に包まれた武装市民がこちらに銃を向ける、銃声倒れたのは市民たちだった。そして武装市民は次々と射殺されていった。
「ジブリール閣下、ご無事でしたか?」
一人の東洋系の美青年がジブリールの安否を気遣う、ほっとしたのかジブリールは安心した。
「君は?」
「連合軍G機関所属のシズカ・オキタです。」
色気のある敬礼で青年は応じた。G機関連合の諜報、暗殺を主にする特殊機関だ。
「そうか、ご苦労。」
ジブリールは彼を労う。
「閣下、お急ぎください暴徒がこちらに向かっています、屋上にヘリを向かわせています。」
オキタはジブリールを促し屋上のヘリポートへ向かう、途中に遭遇する暴徒は彼の部下であるヒデアキ・ダテが手際よく始末していった。
元々銃を撃つぐらいしか出来ない暴徒に対しダテはMSパイロットながら特殊部隊として戦えるほど鍛え上げられているため
勝負は呆気ないものだった。そして3人はヘリに乗り込み、基地に移動そのままヘブンズベース向けの輸送機に乗り込み、基地へ向かった。
そしてロゴス幹部に向かえいれるジブリールを尻目にオキタは笑う。
「これからどうなると知ったら彼はどうなるかなダテ?」
ダテと呼ばれた男は感情を欠落させたような顔で応じる。
「ま、怒り狂うでしょう・・・俺には関係ありませんがね、それに俺はパイロットです。」
「ふっ、これから存分にMSで暴れられるよ。」
「あの狸にまたこき使われるだけですよ。」
憮然として答える。
「それが君の任務だからな、さて私はそろそろ宇宙へ上がらせてもらう次の任務があるからな。」
253通常の名無しさんの3倍:2006/10/10(火) 01:07:40 ID:???
「偵察中のSR−71改より通達、ジブラルタルに終結しつつあったザフト、旧連合合同艦隊の出撃を確認」」
「ヘブンズベースに向けてザフト宇宙艦隊出撃を確認。」
「スペイン方面基地より航空型MS部隊の出撃準備を確認。」
ヘブンズベース作戦司令部より次々と情報が入る。
「もうすぐだねムナカタ君。」
パーシバル中将がムナカタ大佐に微笑む。
「ええもうすぐです中将、敵の規模は?」
「艦隊は旗艦ミネルバを筆頭にCV:6、DDG:8、DD:20、SS:22、スペイン方面は少なくとも2個師団を確認しました。」
「分かった、あれはまだ感ずかれていないか?」
「ええ、主要な基地は監視されていますがあそこはまだ無事です。」
「そうか・・・今のところは順調だな。」
ムナカタは呟く・・・そう彼がヘブンズベース基地防衛の実質の司令官なのだ。ムナカタにあまりいい目をしていない将官がいた。
ジェイムズ・ベイツ中佐、彼もこの基地でムナカタと共にする羽目になった将官だ。
「しかし、よくもまぁこの基地の指揮権を彼に渡したものですね。」
「まぁ彼なら美味くやってきれるさ。」
傍らにいるカイル・ライカー中佐が囁く、彼は戦術の魔道士と呼ばれているがプライドの高さから軍からの評判は悪い
「君の言うとおり彼は有能だが・・・ライカー彼はヤバすぎる。」
「そのヤバすぎがなければ今のザフトには勝てんさ、相手は新鋭のガンダムをそろえた万全の体制と言うのにこっちは金食い虫の
 動くトーチカのMAぐらいしかない。」
ライカーは肩をすくめる。
「だが彼はアラスカのあれを考案したんだぞ。」
「君らしくないなベイツ、戦争に犠牲は付き物だ、それになあの作戦・・・彼の考えた奴に大西洋のお偉方が好き勝手に修正したから
 あんな風になったんだぜ。」
ライカーが彼を賛美するのは理由がある、以前シュミレートをかねた演習でライカーが率いた連合軍部隊はムナカタの率いるザフト部隊に
ボコボコにされたのだ、その為彼はムナカタを慕うようになったのだ。

「偵察機反転します。」
ミネルバのCICにアビーの声が響き渡る。だがこれも当然かという空気が周りを支配する。ヘブンズベースから幾度とやってくる偵察機を
撃墜しようとザフトはあの手この手を使ったのだが呆気なくかわされた。それはそうだマッハ3を軽くぶっちぎるSR−71にMSが追いつけるわけが
ないのだ。
「ヘブンズベースには艦隊がいないのかね?」
「ハッ!ヘブンズベースに所属している第3艦隊は全艦ノーフォークに移動した模様です、航海中と係留されているMSが多数写真に捕られています。」
ミネルバにただ一人連合の制服を着た将校がいたシュウジ・タミヤ少佐、肩書きではヘブンズベース基地所属となっている。
「そうかタミヤ君、それでヘブンズベースの戦力はMAはデストロイを主軸とした1個師団と基地防衛用の3個師団という訳か。」
「そうであります議長閣下。」
その答えにギルバート・デュランダルは微笑む、ジブリールもずいぶんと敵を作ったものだ哀れだな、同情するよ・・・だが哀れなのは彼も同じなのだが
だが彼は気づかないロゴスという組織がどれほどのものか
254通常の名無しさんの3倍:2006/10/10(火) 14:55:13 ID:???
読みにくい
それに、台詞の最後に句点(。)は要らない
255通常の名無しさんの3倍:2006/10/10(火) 17:09:10 ID:???
>それに、台詞の最後に句点(。)は要らない
好みの問題だろ。ジャンプにはついてないけどサンデーにはついてるみたいな
256通常の名無しさんの3倍:2006/10/10(火) 21:28:35 ID:???
まあまあ

とりあえず漏れも台詞の最後には。は無い方が読みやすくてイイとは思う。
終りを意味する記号が。と」で二つかぶっちまうでな。
その分、ッ」とか…」や!」ていう風に記号で台詞の締めを工夫すると
グッと台詞がイキイキすると思うのら。


えらそうな語り、スマソ
257通常の名無しさんの3倍:2006/10/11(水) 17:41:38 ID:???
13
レジェンドのライフルは沈黙した。
そして二機のパイロットは驚愕の顔を浮かべる。
「はっ・・うぅ・・・・・お・・俺は!」「馬鹿な・・なぜ奴が」

カオスのポッドが切り離され、本体は推力を失って瓦礫の中に隠れるように降下、ポッドがビームを放つ。
群がっていた事が仇となりグフが面白いようにポッドの餌食と化す。
「おいっ!動けるか?おいっ!返事しろって!!」
スティングの呼びかけにシンはまったく応答せず、デストロイもまた沈黙を続ける。「くそっ!」
数機のグフが瓦礫街へと降り、
ポッドを警戒しつつも本体を探して滑空する。小さな建物の横を通過したその時
「おぅらあ!」
建物の瓦礫の中に隠れていたカオスが、ライフルを立て続けに発射、2機のグフを撃破した。
もう一機を狙って撃つ。
しかしグフも回避しつつビーム弾を放ち、カオスも回避せざる得ない。
そこにさらに別のグフが近づく。
「くそがぁっ!数ばっかいたってよ!」
顔に苦しい皺を浮かべながら、スティングが素早く反応、振り向き飛びながらライフルで近づいてきたグフを撃墜。
そのまま体勢を崩すまいとMA形態へと変形、流れるようにして上昇し残ったグフからの追撃を逃れる。
258通常の名無しさんの3倍:2006/10/11(水) 18:00:36 ID:???
14
タイミング良くポッドが本体に戻り推力を取り戻したカオスは高速で宙を移動し、丁度飛び上がろうとしていた残りのグフを空から撃った。

「・・・・・・・っ・・・・・はっ・・・」

俺は、絶対に負けるわけにはいかないんだ。
ステラを、守・・・・・マユ・・・・俺守るから。絶対守るから。だから安心して眠っていていいんだよ。
怖い事なんて無いんだ・・・・・・・・(マユとの楽しかった日々が浮かぶ)
そうだ・・・最初からそんな物は無かったんだ(ステラry)・・・・・・・全部無くしてしまえば・・・もうそんな物見たりしなければ!!!

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」   シンの中でSEEDが弾け飛ぶ
シンの叫びと共にデストロイの目が輝き、巨大な体が力を取り戻す。
活動を停止したと思い込んでいたザフト兵達の顔が驚愕と恐怖に歪む。
「なんだよ!生きてるじゃねーか」スティングは少しだけ口を綻ばせながらデストロイの近くへと
ガッシャーッッッ
「はっ・・・・ぁ」
何が起こったのか分からないまま、カオスは大きく弧を描いて遠くへと弾き飛ばされた。
弾き飛ばしたのはデストロイの大きな腕だった。
その暴挙にザフト兵は驚き固まり、次の瞬間その顔は驚愕の物へとなった。
デストロイの生き残っていた本体のプラズマ砲が集まっていたグフを一掃、数機を残して撃破した。
「はっ・・・はっ・・・・・守る・・・・・・・・・・ステラ・・・・・守るん・・って」コクピットに座るシンの目は大きく見開かれ、悪魔のような形相を作っていた。
259通常の名無しさんの3倍:2006/10/12(木) 15:06:11 ID:???

悲しいというか哀れというか…('A`)
260SIN's DESTINY:55:2006/10/13(金) 04:09:02 ID:???
僅かにあいたカーテンの隙間からは、
わずかな夕陽の光が部屋の中を照らす。
ベッドに横たわっているのはステラ。
そして、色褪せたピンクの携帯を握り締めた右腕からは
点滴のチューブが薬剤のパックに向かってのびていた。
「こちらです、導師」
言ってマルキオを部屋に招き入れたのは、キラ。
キラに導かれ、ステラのベッドの傍らに腰を下ろすマルキオ。
マルキオがステラの腕に触れると、ステラがわずかにうめく。
「…だいぶ、いたんでいますね」
「わかるのですか?」
キラの問いにマルキオは当然の様に答える。
「ええ、私には彼女の魂が見えますから」

海岸の丘からは見渡すばかりの海。
その丘に独りたたずむのはシン。
足元には小さな慰霊碑。
「それはお墓なんです」
振り向くと緋色の髪の少女が立っていた。
「あなたは…」
「…私の名はミーア≠ナす」
「ミーア≠ウん…。
…僕はシン≠ナす。シン・アスカ=v
軽く頭を下げるシンの姿に少女は笑みを浮かべる。
「そんなにかしこまらないでくださいな。
今の私はどこにでもいる≠スだの民間人に過ぎないんですから」
「あ、いや…!そういうつもりじゃ…」
シンは思わず、顔を赤くした。
261SIN's DESTINY:56:2006/10/13(金) 04:10:59 ID:???
見ると、笑みを浮かべる少女の胸元には花束。
「私はこの花束を、その慰霊碑に供えるために持ってきたんです。
あなたはどうしてここに?」
少女の蒼く瞳ははまっすぐにシンの瞳をとらえる。
少女の瞳の色はどこまでも深い。
戸惑うシン。
少女は抱えた花束を小さな慰霊碑に供える。
「…ここには花を供えたばかりなんです。
でも、隕石落下の余波による嵐で全部吹き飛びました」
少女は独り言のようにつぶやく。
「人はどうして争うのでしょうか。
なぜ、悲しい思いをしてまで互いに殺しあうのでしょうか」
その言葉には軍人であるシンを問い詰めるような響きは感じられない。
だが、シンは反発を隠せない。
「そんなこと…!
戦わなきゃどうしようもないから、戦っているんだ。
誰だって、戦わずに済むんなら、その方がいいに決まってるだろ…!」
拳を固め、吐き出すようにシンは言葉を口にする。
そのシンの姿を横目で見る少女の瞳は悲しげだった。

…風が吹く。
「ラクス=Iここにいたのか!」
その風に乗って届いたのはアスランの声。
そして、近くまできて、ようやくアスランはシンの姿に気がついた。
…再び、風が三人の間をすり抜けていった。
262SIN's DESTINY:57:2006/10/13(金) 04:14:21 ID:???
「なんですか?」
ラクス≠フ声がアスランを現実に引き戻す。
「あ、いや…子供達が君を探していたんだ…」
アスランは答えるので精一杯。
「…わかりました」
…曇天の空のすきまから射しこむ光はあとわずか。
「…私は夕食の支度もありますのでバンガローに戻ります。
お二人も暗くならないうちにお戻りください」
ラクスは頭を下げて、慰霊碑の丘を後にした。

「…ラクス・クライン=B
前プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの一人娘」
ラクスが去った後、シンは独り言のようにつぶやく。
「そして、前プラント国防委員長パトリック・ザラ≠フ息子、
アスラン・ザラ≠フ元婚約者」
シンの顔には憤りの表情が浮かんでいた。
「…あなたは知っていたんでしょう?
アスラン・ザラ=I」
「…ああ」
アスランはシンにそっけなく答える。
「…あんたって人はッ!!」
シンはアスランにつかみかかり、そのままシンはアスランを押し倒す。
263SIN's DESTINY:58:2006/10/13(金) 04:17:39 ID:???
アスランは抵抗しない。
そして、シンもそれ以上、どうにもできず、
ただ胸元を掴んだ両手を震わせる。
それはシンの湧き上がる怒り。
その怒りがなぜ湧き上がるのか、それはシンにもわからない。
「なんで!なんでなんだよッ!!」
怒りを言葉に代えて、吐き出すシン。
「シン…」
アスランは自分の体に馬乗りになったシンを見上げる。
頬に落ちるものは涙。
シンは泣いていた。
「ちくしょおッ!ちくしょおッ!!」
シンはアスランの胸を叩く。
痛みは無かった。
頃合いを見て、シンの両手をアスランは掴んで止める。
「…もう、いいだろ?」
シンは、答えなかった。

「…俺の母親はユニウス・セブン≠ノいたんだ」
夕闇の中、アスランはシンに言った。
「…戦争で肉親を失ってるのはお前だけじゃない。
…だから、俺はお前を責めるつもりはない。
それは彼女…ラクス≠セって同じさ」
シンは答えない。
が、その態度からは拒絶は感じられなかった。
アスランは笑みを浮かべる。
「なっ、何がおかしいんだよ!
アンタは!」
照れ隠しに声を荒げるシン。
「…おかしくなんかはないさ」
アスランは立ち上がり、シンに手を差し出す。
「行こう。そして、一日でも早く戦争を終わらせられるように頑張ろう、シン。
ともに議長に選ばれたFAITH≠ニして」
シンはその言葉に驚いて、アスランを見上げる。
アスランの表情に迷いは無かった。
「ああ…!」
そして、シンはアスランの手をとって、立ち上がった。
264シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/10/13(金) 04:24:15 ID:???
みなさん、乙であります!

復帰第一回はあのセリフを使ってみました。
そして、激しくやっちまった感がある今日、このごろであります。

ではでは次回をお楽しみにであります。
265通常の名無しさんの3倍:2006/10/14(土) 03:11:31 ID:???
おお、久々の乙〜w
266通常の名無しさんの3倍:2006/10/15(日) 00:47:36 ID:???
15
「回避ー!うわだめだ、し・・」
ザフト艦撃沈。
出来るだけ距離を取っていたが、
狙いを完全に向けてきたデストロイの広範囲長射程攻撃の前では鉄屑になるしかなかった。
数機残ったグフだけが取り残された。

「しかし大佐の命令が」「構うか。何のためのパイロットだ。いいから出せ」
遠方でゆっくりと飛行していた地球軍艦。
そこから、1機のウィンダムが飛び出してきた。そしてシン達の居る方へ。
「あの・・・」「こっちは上からの正式な命令で行動しているんだ。ロアノーク大佐には後で私から何とでも言う」

グフの必死の攻撃。
デストロイには既に相当のダメージを与えている。こうなったら何とか、何とか撃つしかない。
巨体が動く度にグフは散り、そして再び襲い掛かり、そしてまた。
傍からから見ていると何をしているのかと思える光景であったが、どちらも死に物狂いで、笑えるような状況ではなかった。
「くそうっ!お前らいい加減に落ちろよー!」
「ひいっ」「おのれっ!」「なんとか取り付け!」「回り込むんだ!」「何をしている!レイ・ザ・バレル!これでは・・・うぁ」
奮戦するグフを下方に見ながらレジェンドは沈黙していた。
267通常の名無しさんの3倍:2006/10/15(日) 01:19:06 ID:???
16
「シン!」「っ!?」

ネオの声に一瞬気を逸らしたシン。
ズバァアァァ  「ぐわぁっく!」 そこをグフがサーベルで斬りかかった。
「やめろー!」
ウィンダムのライフルがグフの肩から腹を斜めに射抜き爆砕。そしてデストロイに近づく。

「やめるんだシン!」「なっ、何を・・・・・」「もういい!」
突如意味を解せない言葉を突きつけられ、シンは混乱する。「思い出したんだ・・・・俺は」「邪魔するなっ!!」
デストロイの豪腕がネオに襲い掛かる。
「がっ」
ウィンダムは弾き飛ばされ、何所か瓦礫の山へと落下した。「はぁっ・・はぁっ・・・邪魔するな・・・・・誰も、邪魔するな!」

ウィンダムが落ちるのを見ていたレイが、はっと我に帰る。「ちいっ」
即座にスラスターを噴かし、猛スピードでデストロイへと降下して行く。
襲い掛かるレジェンドに気づいたシンは即座に迎撃、しかし当たらず、レジェンドは接近しながらビームジャベリンを取り出した。
そして   グシャアァァァァ     ビームジャベリンでコックピット前をなぎ払った。
「うあぁぁぁ!」
268通常の名無しさんの3倍:2006/10/15(日) 01:41:09 ID:???
17
やったか?
そう思いつつ破壊した部分を見る。パイロットらしき物が映り、それがまだ生きている事が分かった。
そして、カメラをズームにして見たそれは

「シンっ!!」

レイの顔に焦りが浮かぶ。
馬鹿な、何故、何故シンが、何故あれに、何故生きて・・・
「とどめだ!」
考える間も無く、残ったグフがデストロイに襲い掛かり今まさにシンを殺そうとしている。「〜〜〜っ」レイの顔が苦悶に歪む。
レイの中で色々な物が渦巻く。シン・・・・・だが、助けられるものではない
シンに向かってグフのサーベルが突き進み、体勢を整えられず虚ろな目で顔を上げるシンがそれを捉える。
死ぬ?!
シンが心でか細くそう叫んだその時、爆発が起きた。
シンが何が起こったのか分からずに固まっていると声が聞こえてきた。
「ネオ?シン?何所?だいじょぅぶ?だいじょぅぶなの?」
グフはシンの目の前で撃墜され、撃ったであろうウィンダムが中空を飛んでいた。その機体からなのか、通信が聞こえる。
「ステラ!?ステラ!!??」
その声はステラの物だった。シンが戦う事で戦場に出る事は無いはずの物の。
269通常の名無しさんの3倍:2006/10/15(日) 11:37:48 ID:???
>>250
今更だが
>俺の眼鏡が伊達じゃないって事を教えてやる!」
ここクソワロスwwwwwww
伊達眼鏡じゃねえか
270通常の名無しさんの3倍:2006/10/16(月) 23:25:29 ID:???
シン運命氏GJ!
>>268
こちらもGJ!!
271通常の名無しさんの3倍:2006/10/21(土) 22:27:50 ID:???
保守
272通常の名無しさんの3倍:2006/10/24(火) 19:50:28 ID:???
死守
273通常の名無しさんの3倍:2006/10/24(火) 23:05:07 ID:ku8Uz/A1
あげ
274通常の名無しさんの3倍:2006/10/26(木) 12:32:47 ID:???
18
「なんで、ステラ?どうしてこんな所に!!」
大声を張り上げたシンに、ステラはびくっと体を竦ませながら答える。
「あ、シン。
あのね、シン、ステラね、シンを助けに来たの。シンが危ないって、教えてくれたの」
「ステラ・・・・・」

馬鹿な。約束が違う!
困惑するシン。話が違う、これじゃあ俺は何のために・・・。
いや、それよりステラが。こんな所に居たら危ない。早く安全な所に、
「てやっ!」
グフがウィンダムに襲い掛かる。
不意を突かれたステラは反応する間も無い。
「ステラっ!!」「へ?」
グフのサーベルがウィンダムの腹に襲い掛かる。シンの脳裏に過去の惨劇が浮かび上がる。
止める術も無くステラの死を覚悟したその時、一線のビームがグフを直撃、寸での所でステラを救った。
カオス!?あいつ。
そして、立て続けに残りのグフを全て他の火線が撃ち貫く。
ウィンダム!ネオ!
275通常の名無しさんの3倍:2006/10/26(木) 13:00:09 ID:???
19
「シン落ち着くんだ!」「ネオ?ネオー!」「ステラ!?どうしてここに!」「お前らぁ!何遊んでんだよ!」「スティング無事か?」「当たり前だろ」

仲間達の声が聞こえる。みんな無事だった。
そう思った瞬間シンの中から何が引いていき、曇っていた目の前が急に晴れていった。
「おいお前!さっきのはどういうつもりだ!」
「え?あ、いや、さっきは・・・なんだかよく分からなくなって」
「分からないじゃねーだろ!殺す気か!」
「ひっ!殺す!?う・・・・・・いやー!!」
「馬鹿!スティング!」
「なんだよ?!はっ?なんでこいつこんなとこにいんだよ?」
「殺すのだめー!死んじゃう!死ぬのいやー!」
「ステラ!大丈夫だから!大丈夫!俺が守るから!」
「やー!」
「あーもう、うるせぇ!
それよりあそこの一体だけ残ってるのどうすんだ?首でも持って帰るか」
「あれは・・・分かってる。この状況だしな・・・・・投降を呼びかける」「命令は全滅じゃなかったか?」「いいんだ」
「ステラ、もう大丈夫だよ。誰も死んだりしないから。俺、分かる?シンだよ」
「死んだ(シンだ)・・・・・いやー!!!」
「シン、ステラに死んだよなんて言うな!」「なっ、違うって!だから俺はシンだって!」「いやー!死ぬのいやー!!」「何やってんだこいつら」
276通常の名無しさんの3倍:2006/10/31(火) 01:09:33 ID:???
ほしゅ
277通常の名無しさんの3倍:2006/10/31(火) 09:50:22 ID:???
>>275
戦場で漫才やるなーーー!
GJ!
278SIN's DESTINY:59:2006/11/03(金) 01:04:34 ID:???
昇り始めた朝日の光が、わずかなカーテンの隙間から
ベッドに眠るステラを照らす。
「う…」
まぶたを震わせて、ステラはゆっくりと瞳を開いていく。
視界には見覚えの無い天井。
「おはようございます。気分はいかがですか?」
その声にステラはどうにか意識を呼び覚ましていく。
ベッドの傍らにはマルキオ。
「導……士…」
つぶやくステラ。
マルキオは笑みを浮かべる。
ステラは傍らのピンク色の携帯を強く握り締めた。

「久しぶりだね、アスラン」
砂浜を撫でる波の音が二人の間に流れる。
「君はカガリと一緒にいたはずなのに、
どうしてザフトにいるんだい?」
キラの口調は柔らかかったが、その奥には冷たいものが
はっきりと感じられた。
「…なりゆきだ。…ほかにどうしようもなかった」
「そう…」
キラの返答はそっけない。
「…ヤキンの後に、カガリのところにいったのもなりゆき?」
「な…!」
キラの予想外の言葉にアスランは言葉を失う。
朝日の光を浴びて伸びる二人の影は、長い。
279SIN's DESTINY:60:2006/11/03(金) 01:05:43 ID:???
アスランは唇をかむ。
…血とともににじむものは悔しさ。
「…ごめん、アスラン。
わかってるよ、君の気持ちは。
でも、カガリだって君と同じ気持ちだと僕は思う。
それを…忘れてほしくはないんだ、僕は」
キラの表情にはもう、さっきまであった冷たさは感じられなかった。
しかし、アスランのこぶしは固くふるえたまま。
キラはアスランのこぶしに手を添える。
「…アスラン。君と僕は…」
「…お前に何がわかる!」
アスランの叫びがキラの言葉をかきけす。
「アスラン…」
「キラ!俺はお前のように自由≠カゃない!
俺には何をするにしたって、ザフト≠ェ!
親父が!パトリック・ザラ≠フ息子であることが
逃れられない運命≠ニして、俺につきまとう!
その中で、俺はいつだって自分なりの正義≠見出しながら
戦ってきたんだ!
何も知らないくせに勝手なことを言うな!」
絶叫の後には静寂の波が砂浜を流れる。
「…わかってるよ、アスラン。
君はいつだって、君だった。
一年前、僕と刃を交えたときもね」

一年前、二人は互いに敵≠ニして刃を交えた。
キラは連合のMSストライク≠フパイロット、そして、
アスランはザフトのMSイージス≠フパイロットとして。
その記憶が二人の間によぎる。
その戦いの中で二人は互いに親友≠殺しあった。
それ≠ヘ今も、二人の間に深い溝となって横たわっていた。
280SIN's DESTINY:61:2006/11/03(金) 01:06:48 ID:???
「…確かにいくら綺麗に花が咲いても、
人はまた吹き飛ばすのかもしれません」
墓石を前にして、ラクスは言葉を口にする。
「…でも、その吹き飛ばされた後の荒れ果てた大地にまた、
花を植えようとするのも、人≠ナあると私は信じます」
ラクスは振り向いて、背後の人物に視線を向ける。
ラクスの背後に立っているのはシン・アスカ。
「…あなたはお優しい方ですね」
「な…っ!?」
突然のラクスの言葉にシンは戸惑う。
「あなたは誰よりも痛み≠知っているのでしょう?
だから、そうやって傷つく事のつらさを訴えることができる…」
シンはラクスから視線をそらす。
シンの脳裏に過去の記憶≠ェよぎる。

その爆撃はシンの父を、母を、そして、妹のマユを奪った。
シンに残されたのは、動かないマユの携帯。
その後、シンはプラント≠ノ渡り、ザフトに入隊。
そして、デュランダル議長に見出され、最新鋭MSインパルス≠フパイロットとなった。

シンの頬を一筋の滴が伝う。
それをやさしくぬぐうのはラクスの手。
「ミーア≠ウん…!?」
シンは思わず、ラクスの手を払おうとする。
が、ラクスはそれを押しとどめる。
「…いいんです。人は涙を流すことでまた、明日≠ノ向かうことができるのですから」
ラクスの手はかすかに震えていた。
281SIN's DESTINY:62:2006/11/03(金) 01:08:30 ID:???
「…っ…!」
シンの頬からポタポタと涙が落ちる。
「うぅ…あぁぁ…!」
シンは崩れ落ちる。
「あぁ…っ、あッ…!」
ラクスはシンの頭を胸元に抱え、優しく抱きしめる。
墓石の丘には風もなく、ただわずかな日の光がシンとラクスを照らしていた。

周囲にはまたわずかに風が出始めてきていた。
「すいません、みっともないところを見せてしまって…」
「いえ、かまいません。…戻りましょうか。
そろそろ子供たちが朝ご飯をほしがって騒ぎ始めるころですから」
「ハハ、そうですね」
ラクスとシンは互いに微笑む。
「あの…!」
シンの呼びかけにラクスは振り向く。
「…あなたはつらくないんですか?
あなただって…!」
空を見上げると未だ、粉塵に覆われた曇天の空。
「いつかは…、この空も晴れるときが来ると、私は信じています。
だから…」
その後の言葉を切って、ラクスは丘をあとにする。
「オレは…!」
再度のシンの呼びかけ。
「オレは…!MSに乗ることしかできませんが…!
でも…!」
シンはこぶしをにぎって、ラクスに訴える。
「…ありがとう。シン・アスカ」
ラクスは微笑んで、そう言った。
282シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/11/03(金) 01:12:24 ID:???
そんなわけで久方ぶりに登場

今の孤島編はもうちょっと続きます。

そろそろ戦闘シーンを入れたい感じ…

次回はもうちょっと早くこれると思います

ではでは
283通常の名無しさんの3倍:2006/11/03(金) 20:20:44 ID:???
速度上げます!
20
ドッギューン
突如遠方より一線のプラズマビーム砲が閃光を上げる。
「がああああああ!!」「くうっ!シン?!」
デストロイ下方に直撃し、爆発と振動にシンの体が激しく揺さぶられた。
閃光の主は、
こちらへと向かってくる謎の機体。煌く光の翼を放出し、抜群のプロポーション、精密なディテール、進化したモデル。
「なんて事を・・・・・こんな事が、許されるはずがない!連合は・・・くっ!」

「デスティニー!?」中空を漂っていたレイがその姿を見て声を上げる。通信が入る
「こちら特務隊フェイス所属アスラン・ザラ。そちらの状況は!?」「アスラン!?」「っ!レイ?」

「おいっ!大丈夫なんかよ!」「シン、早くこっちのコックピットに移れ!」「シンー!死んじゃやー!」
ガラガラと崩れ倒れそうになるデストロイからシンを救出しようとするネオ。
しかし、運命はそれを安易には許そうとはしない。  ドッギューン
デスティニーの高エネルギー砲が再びデストロイを、今度はコックピットと、それに重なるウィンダムに向かって放たれた。
「くそぅっ!」「シンー!」   ズギャーバシュン
カオスのシールドでなんとか弾く。が、その莫大なエネルギーに耐え切れずシールドがほぼ溶け切っている。次は無い。
「おい!もう無理だ!そいつは放って早く離れろ!」「駄目だ!シン、早く!」「シンー!」
284通常の名無しさんの3倍:2006/11/04(土) 10:08:09 ID:???
このスレの最初の方にあった長編SSが気になってる漏れがいる
285通常の名無しさんの3倍:2006/11/04(土) 20:08:41 ID:???
地道に続いてるね
286762 ◆9AUE2RuSV. :2006/11/05(日) 04:06:19 ID:???
長く待たせて済まん
しかもほんの少しか終わってないorz
287762 ◆9AUE2RuSV. :2006/11/05(日) 04:08:28 ID:???
【機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その14 

 CE70年2月7日。『コペルニクスの悲劇』から2日後の『アラスカ宣言』に対抗するようにプラントはダンシング・デビル隊を公表した。
 全世界よりカーターが呼び集めた隊員達の中には、その活躍ゆえマスメディアより英雄扱いされた者が何名か混じっていたのだ。 
     "コーディネイターと共闘するナチュラルの英雄達"
 それは世界に衝撃をもたらした。まるで水面に落とされた一石のごとく波紋は広がった。
 当然ブルーコスモスはナチュラルに対する裏切り行為であると激しく非難した。
 しかし大洋州連合、南アメリカ合衆国、アフリカ共同体といった非プラント理事国ではプラント、コーディネイターとの宥和を訴える市民デモが起きるほどだった。
 そして、結成直後の地球連合軍が注目したのはナチュラルであるDDがモビルスーツを操縦していることだった。
 DD部隊の殆どが特殊部隊出の精鋭であり、軍事教官等として持てる技術をザフトに伝授させているというのは諜報によりすでに掴んでいたが(それでも充分な脅威である)、彼らがMSを操縦しているというのは全く掴んでいなかった。
 いずれ公表され、それによって世論が揺れることは各国には想定内であったが、まさかコーディネイターを象徴するMSに乗っての発表というのは想定外であった。
 こうした流れをえて、やがて連合内である物議がかもし出されるようになった。もしや去年のMSの活躍に彼らが関わっているのではないかと。
 CE69年の初夏、プラントに対し理事国は軍事的嚇行動に出るが、このとき初めて軍事組織「ザフト」とMSの存在が公となった。
 大編隊を組んだMA部隊を、圧倒的少数のMSが撹乱し翻弄し、挙句には宙域より排除させるという快挙であった。
 そのため地球側の焦りは深刻なものであった。
 もしもナチュラルに操縦可能なMSをザフトが開発しているとなれば、近い将来プラントと同盟を結ぶであろう大洋州連合とアフリカ共同体、そして南アメリカ合衆国に親コーディネイター派のナチュラルが搭乗したMSが配備されるかもしれない。
 そうなれば彼我の戦力差は全く未知の領域に突入することとなる。
 それまでの対プラント戦略の基本的骨子である「物量による圧倒」が効かなくなる恐れが生まれるのだ。
 その危機を特に強く訴えたのは大西洋連邦宇宙軍のハルバートン大佐(当時)であった。
「量だけでなく質の面での、圧倒的優位を。そのためのG計画の積極的推進を!」
 MSに対抗するために、もっとも単純な対抗策はこちらも同じMSで武装することなのだ。
 かくして地球連合結成と同日に、これまでの物量戦略の方針を変更しMSジンよりも質的に優位なMSの大量配備へと戦略方針が切り替わった。
 斬新的アイデアと新技術を組み合わせた連合製MSの開発。
 それに併せ、MS完成までの繋ぎとして、MSに採用される各種新型武装を既存のMAメビウスに搭載しての統合的戦力の向上を目指した一大プロジェクトが動き出すこととなった。
 そして時にCE71年1月25日現在。
 大型ミサイルとレールガンという対艦装備に特化したメビウスの殆どは武装を変更し、対MS戦に適した220mm径6連装ミサイルポッドや57mm高エネルギービームライフルを備えた、メビウスが主流となってしまっていた。
 地球連合軍はエネルギービームの高火力と大推力を生かした集団一撃離脱へと戦術思想を特化することにより、それまで5対1という撃墜比を3対1へと改善することに成功した。
 当然戦場では地球軍は戦力を集中することにより実際の撃墜比はさらに下がることとなる。
 ラウ・ル・クルーゼの本隊がとうとう奪取の直接援護に回れなかったのはそういった背景があり、なにより一機のメビウス・ゼロに大いに苦戦してしまったことを要因として挙げられよう。
288762 ◆9AUE2RuSV. :2006/11/05(日) 04:14:47 ID:???
 クルーゼ本隊の苦戦、そして間隙を縫うダンシングデビル部隊の突入……。
 それらは微妙に歯車が狂わせ、工業カレッジのカトー研究室に集った学生五名と来客者二名の運命を大きく変えることとなる。
 最初の爆発が起きるまで、彼らはその後起こることなど知りようが無く「日常」を過ごしていた。そこへキラ達がトールを先頭に入室する。
「うーっす」
「あ、キラやっと来たか」
「う…ん?…!」
 普段通りに入ったが良いが、見慣れぬ来客が二人もいて戸惑うキラ達だった。
「誰?」
 トールが先に入室していたカズイに訊ねる。
「あ、教授のお客さん。ここで待ってろって言われたんだと」
 トールが見たところ、一人は帽子を目深に被り、背を壁にもたりかかりさも他人には興味は無いという態度を示した少年のような者だった。
 もう一人が曲者だった。
 カトー教授へMS関連研究のインタビューのため研究室へ訪れたのだと公言憚らない、まるで野次馬のような大人だった。
 研究室の機器についてあれこれ質問しては、研究室のありとあらゆるものを被写体に収めようとする、節操の無いジャーナリストだ。
 しかし、そのためか珍妙な来客者がいるということで普段よりも賑やかとなった研究室内には笑い声さえ溢れていた。
 当然、笑いの輪の中心にいるのは来客者のうち一人、「フォト・ジャーナリスト」ジェス・リブルだった。
 ジェスは本人も自称する野次馬根性と人の良さで、研究室に居たミリアリアと気が合い早く意気投合してしまっていたのだ。
 キラ達が研究室に入室した時には、既にサイとカズイに質問の雨を浴びせていたとのことだ。
 入室してきたキラ達に、まるで屈託のないスマイルでジェス自己紹介をする。
「フォト・ジャーナリストのジェス・リブルだ。まぁ、まだフリーの身だけどな、よろしく頼む!」
 
289LR(略) ◆9AUE2RuSV. :2006/11/05(日) 04:20:06 ID:???
 ジェス・リブルは元気良く応じ、自分の職業と目的を話した。
 目的はオーブにおけるMS研究の第一人者で、OS開発の権威とされるシュウイチ・カトーの独占インタビューだ。
 なおこの仕事そのものはサー・マティアスからの依頼となっている。
「誰?」
「あ、教授のお客さん。ここで待ってろって言われたんだと」
「フーン」
 そこへキラが会話に参加する。
「で、教授は?」
「そうだキラ、これ預かってる。追加しといて」
 サイがキラにデータメモリーの山を渡す。
「うへ〜」
「なんなんだ?どうせモルゲンレーテの仕事の方なんだろうけど」
「興味ないよ。フレーム設定モジュールの改良。とにかくプログラムの解析さ」
 そのときキラの後ろからトールが現れ、キラの首を絞めながら驚かした。
「うわぁ!」
「そんなことより手紙のこと聞け」
「手紙?」
キラとトールのやり取りでわけのわからない顔をするサイ。
「な、なんでもないって」
「なんでもねぇわけねぇだろうが!」
「なんだよー?」
「いや、だからー」
「なんでもないったらなんでもない!」
 必死に誤魔化そうとするキラに興味を持ったサイはトールに詰め寄る。
「なんだよー?」
「いや、だからー」
「なんでもないったらなんでもない」
「なにトール?オレにだけオレにだけ」
そこにコーヒーを持った救世主が現れた。
「やめなさいってばー」
 コーヒーを来客者に渡しつつ匙を入れる。
「も〜。お客さんが居るのになにやってんのよあんた達は」
 レフェリーに構わず首絞めを続けるトールに苦しむキラ。
「離せ!苦しいって」
「そうはいくか!お前がしゃべるまでこうしてやる!」
 その様子をカメラのファインダーに入れつつジェスは笑顔であった。
「ハハハッ、若いねーみんな」
290762 ◆9AUE2RuSV. :2006/11/05(日) 04:25:46 ID:???
本日はここで終了
291通常の名無しさんの3倍:2006/11/07(火) 00:21:42 ID:???
21
デスティニーの次の攻撃が放たれようとした瞬間、ビーム砲塔がビームにより打ち抜かれた。
さらにカオス、ウィンダムの武装も次々打ち抜かれる。
「ぐっ!何が」   ズヒューン
チャッチャチャーチャラーララー チャッチャチャーチャラーララー
チャッチャチャー チャラーララーラララー チャッチャラー チャッチャry

絶対絶命のシン達を救い、ご丁寧に武装を根こそぎ奪って現れた機体、それは。
「フリーダム!!」
驚くアスラン。が、驚きながらもライフルで再びデストロイを狙い撃つ。それを盾で弾くフリーダム。
「もうやめるんだ!」
「キラ!?」「アスラン!?」
「何をするキラ。俺は」「止めて、アスラン。もうこれ以上は」「なっ!何を言っているキラ!俺は破壊行動を止めに」
「彼らにもう戦闘能力は無いよ。だから」
「何を言っている!この惨状がお前には見えないのか!?このまま彼らを見過ごす訳には」
「撃たないで」
「キラ!お前はいったい何なんだ!馬鹿みたいな乱入は続け、オーブにも戻らない!」「アスラン・・」「お前は、いったい何をしているんだ!」
「目を逸らさないで」「!?」「君、自分の気持ちから目を逸らさないで。本当は君も分かっているはずだから」
「訳の分からない事を言うな!!!」
292通常の名無しさんの3倍:2006/11/09(木) 09:48:27 ID:???
>チャッチャチャーチャラーララー チャッチャチャーチャラーララー
>チャッチャチャー チャラーララーラララー チャッチャラー チャッチャry

のBGMに吹いたっっ
293通常の名無しさんの3倍:2006/11/11(土) 02:34:06 ID:???
乙!
そして保守
294通常の名無しさんの3倍:2006/11/12(日) 00:10:16 ID:???
ほしゅ
295通常の名無しさんの3倍:2006/11/12(日) 13:51:36 ID:???
22
「キラ!」
ウィンダムからキラに通信が入った。「へ?(この感じ・・)ムウさん?」
「状況は後で説明する!だから今は・・・・・」
「・・・・・・・はい、分かりました」

再びデスティニーの攻撃、それをまたしてもフリーダムが弾く。
「キィィィラァァァァァ!!」「アスラン!くっ、早く逃げて下さいムウさん!アークエンジェルへ!」
遠くから近づくは不沈艦で名高いアークエンジェル。
ムウはシンを収容するとスティングとステラにAAに共に行くよう命令する。

「はぁ?何言ってんだよ」「うん!わかったー」「いいから来るんだスティング。どの道このままじゃ・・・」
ムウ達がのろのろとAAへ向かい、それをアスランが狙い、それをキラが防ぐ。
「やめろキラ!なんでお前がこんな事を!」「やめてアスラン」「何故彼らの味方をする!」
「違うんだアスラン。あれは、ムウさんなんだ」
「んはぁ?・・・・・何を言っているんだお前は!少佐はヤキンデゥーエで」「生きていたんだ。ムウさんは生きていたんだ」「馬鹿にするな!」
キラの言葉はアスランには届かない。
「見苦しいですよ!キラ・ヤマト!」「え?君は!?」「レイ!」
「アスラン、彼は最初から彼方の話を聞く気など無いのでしょう」「!?」「分かるでしょう?アスラン。彼はただ我々の妨害をしているだけなのだと」
「そんな、君は何を」「黙れ!・・・・アスラン!惑わされないでください!」
296通常の名無しさんの3倍:2006/11/12(日) 15:00:22 ID:???
23
「カオス、ウィンダム、収容しました」
収容されたボロボロのウィンダムからシンを背負ったムウが降り立つ。
「早く手当てしてやってくれ」「ムーーーーウ!」
大きな呼び声を上げてラミアス艦長が走り寄ってきた。「マリュー!」「ムウ!」二人の間に虹色の空間が走り、二人は全裸で踊る。心の中で。

「アスラン!」「アスラン、今彼らがしている事が彼らの全てです」「・・・・・・うぅ」
キラとレイの間で揺れるアスランは、両手を耳に当てようとして、でもヘルメットが邪魔だった。
「アスラン!このままでは奴等に逃げられる!」
レイの声にはっとなり、アスランは沈黙する。
そして、
「キラ・・・・・・お前が、お前が邪魔をするというなら、俺は!」「アスラン!!」
デスティニーのアロンダイトが取り出され、鋭いビームエッジを展開。フリーダムに向けて突き立てる。
「やめるんだアスラン!君は」「黙れ!・・・・・お前が道を誤ると言うなら、俺がお前を止める!」
デスティニーが剣を抱えて突進。
「アスラン!?」「黙って引くんだ!キラ!」アロンダイトがフリーダムの腕を切ろうと振り上げられ、その一瞬の隙にフリーダムのサーベルが唸る。
アロンダイトの基部が切られて爆発。「くうっ!キラァ!」「やめて!」
今度は掌のビームを頭に向かって放とうとするが、今度はレールガンが胴体に直撃する。
「やめてアスラン!こんな事、僕と君が戦ったって」「くっ!何を!」再度近づくもあっさりサーベルに取り出そうとしたライフルを払われる。
「アスラン、だめだよ、こんな」とどめに蹴りを放ってデスティニーを吹っ飛ばす。
「キラ・・・・・・・・・・・・俺なんか相手にならないと・・・・・そう言いたいのか!お前はぁぁぁっ!!!!!」アスランの劣等感が爆発し、種が割れた。
297シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/11/14(火) 00:05:16 ID:???
762 ◆9AUE2RuSV氏
>>295氏 
お二人ともGJ!
そして、みなさん乙であります。
ちょっと間ができましたが、また投下しますね。
298シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/11/14(火) 00:06:51 ID:???
朝日の光がステラを照らす。
それはこの地球に降り立ってから、いったい何度目の目覚めなのか。
かたわらにはピンク色の携帯。
ステラはそれを手にする。
…反応は無い。

最初は単に禁断症状による不安定な精神…、不安をまぎらわせるだけだった。
だが、今のステラはそれに安堵を覚えていた。
ステラの脳裏にはシンの笑顔。
ずっとこれを持っていたい。
それはステラの偽り無い本心だった。

「おはよう。気分はどうだい?」
寝室を訪れたのは、キラ・ヤマト。
ステラは答えず、キラの顔に視線を向けたあと、再び、携帯に視線を戻す。
「…だいぶ落ち着いたようだね。
連合の小型艇が今日、ここに訪れるそうだよ。
よかったね」
キラは用件を穏和な口調で告げる。
しかし、ステラは複雑な表情。
「どうしたんだい?」
キラの問いにステラは意を決して、キラの顔を見据えた。


海岸にはおだやかなさざなみ。
「明日、あなた達の艦、ミネルバ≠ェこの島を訪れるそうです」
ラクスはアスランとシンに告げる。
299SIN's DESTINY:64:2006/11/14(火) 00:07:32 ID:???
「ありがとう、ミーア≠ウん。
短い間でしたが、お世話になりました」
「いいえ、アレックス≠ウん。
とんでもありませんわ」
それはアスラン≠ニラクス≠フ会話。
シンはクスクスと笑う。
「な…なんだよ」
照れ笑いを浮かべる、アスラン。
「…いや、大人って大変だよな」
「こいつっ…!」
アスランはシンの頭を軽くこづく。
「そうですわね、大人になるといろいろあるんですのよ。
もし…、あなた達二人がこの島を訪れたとき…。
そのときは、お互い本心で話ができるといいですわね」
三人の間を波の音が流れる。
「ああ…、そうだな。
いつの日か…、きっと」
それは三人の共通の願い≠セった。


その日の正午。
小型艇で訪れたのは連合の軍人三人。
軍服姿でそれほど目立たないが一人は女性と見まごうほどの美少年。
一人は白いジャケットのよく似合いそうな長身の青年。
そして、もう一人は褐色に焼けた肌の隻眼≠フ男。

バンガローの中ではパイロットスーツのステラ。
シンとアスランは私服姿。
「忘れ物などはありませんか?」
ステラに確認を促すのはマルキオ。
「…はい、お世話になりました」
孤島にいたときとは違う、はっきりとした受け答え。
「…大丈夫なのか?」
思わず、シンは声をあげる。
「…ああ。大丈夫だ。心配かけたな」
ステラはシンの問いに答える。
シンは驚きで声が出なかった。
300SIN's DESTINY:65:2006/11/14(火) 00:08:32 ID:???
バンガローの外からはマルキオ達と連合の軍人が話している光景。
シンは未だ信じられなかった。
あそこで毅然と立っているステラが、本当につい数日前まで
自分達とともに過ごしているステラなのか?
…信じられなかった。
「くそぉっ!」
シンはバンガローを飛び出し、小型艇の四人のあとを追った。

「待ってくれ!」
連合の軍人四人はその声に振り返る。
四人の視線の先には息をきらしたシンの姿。
「シン…」
か細くつぶやくステラ。
「シン!」
あとを追って駆けてきたのはアスラン。
「…また、会えるよな!」
シンの心からの叫び。
「きっとまた会えるよな!」
「ムリムリ!
何言ってんだよ、お前!
俺達は連合の軍人だぜ?
冗談もほどほどに…!」
「アウルッ!!」
アウルの言葉をかき消したのは、ステラ。
「ステラ…」
「いいんだ、スティング」
ステラは長身の青年に告げる。
「…バルトフェルド¢熬キ」
「…少しぐらいならかまわんよ」
「…ありがとう」
ステラはシンの元に近づく。
301SIN's DESTINY:66:2006/11/14(火) 00:10:42 ID:???
ステラとシンは向かい合う。
「…また、いくのか」
「…ああ。私は軍人だからな」
シンは視線を落とし、こぶしをぐっと固める。
ステラはそのシンの固められたこぶしを手にとり、少しずつほぐしていく。
「…でも、また会えるよ。おにいちゃん=c!」
そのステラの微笑みは、あのステラの微笑みだった。


…夕方。
シンは、夕暮れの地平線をいつまでも見つめていた。
「シン…」
そばにはいつのまにかアスランが立っていた。
「これ…、ステラがお前に、だそうだ」
差し出されたアスランの手には、ピンク色の携帯。
シンは何も言わず、手に取る。
その携帯はいつもと同じ感触。
シンは何気なく携帯を開く。
起動音。
携帯には電源が入っていた。
携帯のデスクトップには兄妹仲良く、マユ≠ニ二人でうつっている写真。
「…ステラがキラに直してお前に渡すように頼んだそうだ」
シンの手元の携帯からは、マユ≠ェ生前録音したと思われる留守番用の音声が流れる。
『はい、マユでーっす!でもごめんなさいっ、今、マユはお話できません。
あとで連絡しますので、ピーという発信音の後にメッセージを入れておいてくださいっ」
ピーと発信音が響く。
その後につづくのは、シンとアスラン、二人の間を流れる風と波の音。
アスランは何も言葉を発さない。
そして、シンも言葉を発さず、ただ体を震わせていた…。
302シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/11/14(火) 00:15:29 ID:???
長かった孤島編もようやく終了(・ω・)


そして>>298は64ね。
そのまま書き込んじまった…OTL
303通常の名無しさんの3倍:2006/11/16(木) 17:41:50 ID:???
GJ!保守
304通常の名無しさんの3倍:2006/11/16(木) 18:40:38 ID:???
24
が、一瞬でフリーダムに瞬殺された。
達磨にされたデスティニーは墜落する寸前にレジェンドに受け止められ、抱えられて離脱して行く。
「くそう!キラめ!」
「アスラン、今は引きましょう」
「キラめ!」
「(しかし、ムウ・ラ・フラガが・・・・・・くっ、今は!)」
「キラめ!」

フリーダムはAAに戻り、AAはその場を後にする。
「君・・・・・あの時の」
静かに驚くキラの前には、傷つきながらもキラを見てふてぶてしい表情を浮かべるシンが横たわっていた。
「あんたがフリーダムのパイロットだったのかよ」
「うん・・・・・でも、君がそうだったなんて。僕は」
そこに食事を持ってきたミリアリアが割って入る。
「キラ、知り合い?」
「うん。前に石碑の前で」
「別に知り合いってわけじゃないですよ」
「あら、目覚めた?結構疲れてたみたいだったからもう少し眠ってると思ったんだけど」
「別に、あんたらなんかに心配してほしくないですよ。なんです?捕虜にやさしくした気になって自己満足ですか?」
「そんな口を聞くのはこの口〜?」「イテテテテテヤメテ」「ミリアリア・・・傷口を引っ張るのは・・」
305通常の名無しさんの3倍:2006/11/16(木) 19:01:45 ID:???
25
「あっうあ」「がああああっぐ」
突然隣からステラとスティングの苦しそうな声が響く。
「ステラ!?」「どうしたの?」「それが、急に苦しみだして」

「あの二人は連合の、あの機関で一定期間内に処置を受けなければ身体機能を維持できない・・・・」
「そんな・・・」絶句するマリューとAAクルー達。
ムウは顔をくしゃらせ、今さらながらここへ来た事を後悔する。
分かっていた。こうなる事は。だが、あの場では、シンを助けるためにはAAに来るしかなかったのだ。
が、離脱して連合から離れれば今度はあの二人が・・・。
「方法が無いわけじゃない・・・・・・最悪連合に俺が二人を連れて戻って」
「駄目だ!!!」
「シン?」ミリアリアとキラに止められながらも、体を引きずって出て来たシン。
「そんな事したら、またステラが、スティングってあいつも、戦場に帰されて人形みたいに・・・・・」
「シン、しかし」
「あんたが!あんたが騙したんじゃないか!絶対に、ステラを戦わせたりしないって言ったのに!そのために俺は・・・・・
なのに!あんたがー!」
「・・・・・すまない、シン。確かに、俺はお前の約束を守れなかった。ステラは戦場に来てしまった・・・・・・だが俺はそれを」
「自分がステラを出せって命令したんじゃないとでも言いたいのかよ!
たとえそうだったって、結局はステラは戦わされたんだ!何言ったって結局、ステラを守ってあげられなかったんじゃないか!」「・・・・・・」
「そうだ・・結局守ってやれなくて・・・・・・・俺も・・・ひっく・・・・・結局何も・・・・・・・・・うう」「ちくしょう!どうすれば」
その時、AAにある人物が舞い戻って来ていた。そして扉が開き「連合の方達からその設備を頂けばいいんですわ!」
306通常の名無しさんの3倍:2006/11/17(金) 09:45:47 ID:???
ピンク様…どうやって「頂く」気?
307通常の名無しさんの3倍:2006/11/19(日) 15:15:06 ID:???
26
シンちゃん     シンちゃん
(誰だ?誰かが俺を呼んで・・・)
シンちゃん幼稚園に行く時間よ!   こら、マユ!イケメン写真集見ながらミルク飲むんじゃありません!   あうあうあー!
(なんだろう・・すごく懐かしい気がするような・・・・・・・・あれ?小さい頃の俺?)
ケツだけ星人〜ブリブリーブリブリー!   シンちゃん!!!   ゲ ン コ ツ
「うわぁっ!」シンが飛び起きるとベッドの上だった。
「寝ちゃったのか・・・・・でも、今の夢・・・・・・・・・あれは俺が昔かすか」「ほら起きろシン!もうすぐだぞ!」「あ、はい・・・」

「ご無事で何よりです、大佐」「ああ、御苦労。それで船は?」「へ?あ、ああ、丁度出航準備が終わった所です」「そうか」
ボギーワンの碇泊する列島近海の港。
「しかし驚きましたな。あのAAとフリーダムが、ベルリンの混戦で大佐に加勢したというだけでなく、これから我々の戦線に加わるとは」
「私も驚いている。ザフトとの交戦中にいきなり現れて敵軍を撃ってくれただけでなく、我々に協力してくれるというのだからな。
しかしまあ、彼らも所詮はオーブの一軍だ。オーブが連盟に加入しているのだから、当然だろ?」「それもそうですね(なんだか・・?)」

AAは武装解除され、乗組員は銃を持った兵に連れられて建物へ。ステラとスティングは処置を受けに。艦長らは呼び出され
「よく来てくれた。そちらから送られたザフトの軍事機密等は、どうやら本物らしいな。」「はい」
「契約通り、マリュー・ラミアス艦長らクルーの罪状の記録、その他一通りは・・・・・」「感謝致します」
「しかし、貴君らは一度、いや何度か我々の妨害をしたとの事だが?それについては」「それはカガリ元代表の命令によるものです」
「・・・」「今はユウナ・ロマ・セイランの指揮下にあります。ゆえに我々も」「元代表をさらったのは君たちだという噂もあるのだが?」
「事実無根であります」「・・・・・一度は軍を裏切ったわけだが、そんな君達が、というのは」「・・・・・・・」「もういい、下がれ」
308通常の名無しさんの3倍:2006/11/19(日) 16:16:02 ID:???
27
「知ってる?アスランまたMS駄目にしちゃったんだって」「マジで?最新鋭のだろ?」「あの人なんでフェイスなの?」
くそう!みんなヒソヒソ話てる。みんなチラチラ見てる。
「シンの事叩いてたけど、あれ絶対嫉妬だってwシンのが活躍したから僻んでんでしょ?」「本当格好悪いよね」
うるさい!聞こえる声でヒソヒソ言うな!くそう、キラめ!あいつのせいで俺は。
「あ、アスラン」「副長?」「アスラン、これ」
そうして差し出されたアーサーのエロゲ。「これやって、元気出せ。なっ?」そう言って親指を立てながら笑う。
そして取り残されたアスランの手にはエロゲ、「隊長さん私を操縦して!3限定版パッケージ」が握られていた。

「・・・・・・・・う、うおおおおおおお!」突如叫び出したアスランを奇異の目で見るクルー達。
ふざけやがって!みんな俺を馬鹿にしてる!俺を見下して笑っていやがる!
「どうしたのアスラン?」「うあ、ルナマリア?」「アスラ・・・・・・それ・・」
アスランの持つエロゲのパッケージ、スーツを肌蹴て厭らしい顔を浮かべる女パイロットがルナマリアの目に。
し、しまったぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!
「き、きゃあああああああああ」
「うわああああああああああ」ルナマリア逃亡、アスラン絶叫。何事かと駆けつけた艦長もエロゲを見て顔を叛けて逃亡。
そしてアスランは逃げ出した。
逃げ出したがエロゲはちゃんと持って行った。そして自室でプレイしたのだ。
くそう!なんてつまらない!こんな物のために俺は尊厳を地の底まで落として・・・・・・副長、これ自分がいらないから俺にくれたんですか?
でもちゃっかり限定版の特典は抜いてあるじゃないですか。
309通常の名無しさんの3倍:2006/11/19(日) 17:14:43 ID:???
GJ!&エロゲワロタ&保守
310通常の名無しさんの3倍:2006/11/19(日) 17:49:42 ID:???
特典抜いてあるとはちゃっかりしてますね
311SIN's DESTINY:67:2006/11/20(月) 23:52:07 ID:???
浜辺に浮かぶ小型艇はザフトカラー。
「このたびは我がザフトの人間を保護していただき、まことにありがとうございます。
マルキオ導師」
夕日を背に敬礼するのはタリア・グラディス。
「艦長…」
「よく生きてくれたわ、ありがとう、シン、アレックス。
…おかえりなさい。みんな、あなた達を待っているわ」
二人の肩に手をかけ、涙を浮かべ、タリアは告げる。
「へへ…、ただいま」
シンは指で鼻の下をこすりながら、照れくさそうに言った。


海上に浮かぶ、ガーティ・ルー。
ユニウス・セブン降下時にミネルバと同じく、地球に降下した
その艦は、今、ステラを回収を終え、オーブ領海をまもなく出ようとしていた。
ブリッジには地球に降り立ったのを機に急遽、艦長に就任した隻眼の男、
アンドリュー・バルトフェルド≠ェ座っていた。
コーヒーを片手に、バルトフェルドは傍らに立つ士官に問いかける。
「…ステラの様子はどうだ?」
「は…、本艦に乗艦して、調整≠施したからは落ち着きを見せております。
ただ…、やはり今後、戦闘経験は厳しいかと…」
「フ…、そうか。
わかった。彼ら≠ヘそろそろ出発を果たしたのかな?」
「はい、先ほど、島を離れたとの連絡が入りました」
「私のウィンダム≠フ用意はどうかな?」
「…整っております」
バルトフェルドは再度、笑みを浮かべ、コーヒーを口に含んだ。

「アンドリュー・バルトフェルド!ウィンダム=I出るぞ!」
MS発進を示すシグナルは赤から青へ。
それとともにフライト・ユニットを装備したウィンダムは、ガーティ・ルーから発進していく。
目指すはガーティ・ルーと同じように宇宙から降りてきたミネルバ=B
312SIN's DESTINY:68:2006/11/20(月) 23:53:18 ID:???
「3時の方向よりMSの小隊、急速接近!
先頭は連合のMSウィンダムです!」
「総員、戦闘態勢!
各パイロットはそれぞれのMSコクピットにて待機!」
メイリンからの報告を受け、手早くタリアが支持を出す。

アスランはオーブ製のMSの中にいた。
「アスラン、いけそうか?」
通信の相手はシン。
「…ああ」
アスランの目の前にはMSのコード・ネームなのかMURASAME≠ニ表示されたモニター。
「…MURASAME(ムラサメ)か」
「アレックス、本格的な戦闘にはならないと思うけど、油断しないで。
いいわね?」
「了解です、艦長」
アスランはタリアの通信への返事を事務的に返した。
313SIN's DESTINY:69:2006/11/20(月) 23:54:26 ID:???
「バルトフェルド隊長、ミネルバ≠ゥら警告がきていますがどうしますか?」
「これ以上、接近するのであれば撃墜もやむなしとの事です!」
バルトフェルドのウィンダム≠ノ随行する二機のダガーL≠ゥらの報告。
「おいおい、キミ達。何を言っているんだい?
俺達はミネルバ≠ノ遊んでもらうために来たんだぞ?
わざわざ向こうが遊んでくれるというんだ。
何を遠慮する必要があるんだ?」
バルトフェルドは鼻で軽く笑い、MSの飛行速度を上げた。


「艦長!ウィンダム≠はじめ連合のMSより返答はありません!」
「そう…」
タリアは考え込む。
「艦長…!向こうがやってくる以上、やるしかありませんよ!
MSを出しましょう!」
タリアをせかすのはアーサー。
「…そうね、わかりました」
タリアは意を決して、声を張り上げる。
「MS出撃!」

ミネルバよりルナマリア、レイのザクが機動重視のブレイズ<^イプ、
シンのインパルスはフォース≠ナそれぞれ発進する。
ムラサメのコクピットで出撃を待つアスランに、タリアからの通信が入る。
「いいわね、アレックス!向こうは母艦から、かなりの距離を飛行して来ているわ!
撃墜は不要、しばらく足止めして時間稼ぎをしてくれればいいわ!」
「…了解。アレックス・ディノ、ムラサメ=I出る!」
ムラサメは戦闘機MA形態のまま、空に飛び出し、そのまま人型MS形態へと変形を果たす。
その一連の流れにブリッジから思わず歓声が上がった。
314SIN's DESTINY:70:2006/11/20(月) 23:55:23 ID:???
アスランはムラサメ≠フ感触を確かめる。
「…すごいな、軽くて速い…!
パワーもアストレイ∴ネ上だ…」
「アスラン!くるぞ!」
シンからの通信とともに、ビームの奔流がミネルバチーム≠襲う。
「あいつら、正気!?
あんな長距離からビームなんか撃ったって、撃墜どころか、
まともに装甲だって…!」
「…大方、こちらの戦力を探りにきたというところだろう。
今の地球では圧倒的にこちらに分が悪いからな」
通信に加わるルナマリアとレイ。
「ちっ!なめやがって!
そんなに戦争がしたいのかよッ!」
一人飛び出すシン。
「あいつッ…!シンっ!」
「ルナマリア!レイ!
お前達は後方からの援護とミネルバの護衛を頼む!」
「アレックス、お前はどうするんだ」
「俺はシンと二人であの連合3機を抑える!」
ムラサメ≠ヘ再度、戦闘機MA形態へと変形し、インパルスの後を追った。
315シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/11/21(火) 00:01:41 ID:???
え〜っと、とりあえず細かいツッコミはなしでw

書いてて思ったんだけど、本格的な可変MSが登場したのって
SEEDだとムラサメが一番最初でいいんだよね?
316通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 13:48:40 ID:1Pgar5EO
つイージス、レイダー
317通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 13:49:34 ID:1Pgar5EO
ageちゃったごめんよ(´・ω・`)
318通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 14:10:48 ID:???
>>315王道の変形機はムラサメが最初だと思う。イージスは超変形、レイダーは珍変形とするなら。
28
議長に呼ばれ個室に座るレイとアスラン。
レイは神妙な、アスランは眉間に皺が寄った顔でソファーに座っている。そこに議長とミーアが入って来た。
「アスラン!」「やあレイ、それにアスラン。先日の件は二人ともご苦労だった。報告は聞いているよ」
「はい」「・・・」
「しかし、驚いたな」
アスランの目がグワッと見開いて、顔をグワンと上げる。
「そんなに驚きましたか!?俺がまた落とされたのをそんなに驚きましたか!?」
プルプル震えて大声を上げたアスランに一同驚くも、議長は冷静に宥める。
「いいや、そうではないよアスラン。私が言いたかったのは、AAとフリーダムがまた現れた事だ。」
「・・・・・」
「アスラン。君はとても責任感が強く、そしてとても優秀なパイロットだと私は思っている。
君も我々の期待に応えようと、自分の力を信じ、十二分に力を尽くそうと頑張ってくれているはずだ。
そんな君だからこそ、今回の事を気に病む事は仕方の無い事だと思うが、
相手はあのフリーダムだっだ。そして君は新しい機体に不慣れで、おまけに点いた時には友軍はすでに壊滅状態だった。
レイも武装の大半を失っていて援護できなかったと聞くじゃないか。それに・・・・・フリーダムに乗っているのは」
「議長・・・」
「君もそれでは落とされても仕方が無い。むしろレイを連れて無事に戻って来てくれた事を私は君に感謝せねばなるまい」
「議長、そんな。俺、いえ、私の方こそ・・・・・それに、議長に頂いた大事な機体を2度も失ってしまって、その」
「機体は直せばいい。だが君は君しかいないのだ。だからこそ君には君に出来る事を精一杯してもらいたい。アスラン・・・」「議長」
319通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 14:36:04 ID:???
29
「しかし如何した物かな。あのAAとフリーダムは。
オーブ軍の戦闘を止めに入ったとは聞いてはいたが、今回の事はいったい何故かね?」
「それは、恐らくAAとフリーダムがオーブ政府の意向と同じく、連合に組しているからだと思われます」
「レイ・・・しかしAAとフリーダムは」
「私も同意見です、議長」「アスラン・・」
なんとアスランが同意した。
「何故、そう思うのかね?何か知っていれば詳しく聞きたいのだが」
「・・・・・先日の大規模な破壊活動・・・・・あの時、巨大MSを撃とうとした私を、フリーダムが妨害して来ました。
さらには破壊活動をした彼らを逃がし、AAへと!」
「なんと、それは本当かい?」「はい、アスランの言うとおりです。私もこの目で。゛映像記録≠ェ私の機体に残っているはずです」
「私はフリーダムのパイロット、前大戦の折、共に戦った者と会話し止めるよう呼びかけました。
しかし、彼は私の言葉を聞かず、逆に意味不明な事を述べて誤魔化そうとさえしてきました。
以前戦闘に介入された後、彼らと接触した事がありますが。それについては艦長より報告があったと思いますが。
その時彼らは本当にただ戦闘を止めたいだけなのだと、私は感じました。やり方は間違ってはいてもと・・・・・。
しかし!再度の戦闘への介入、今回の件の事を考えると、私は!私はぁ!!」
「アスラン・・・・・」
「議長、実は今回の件、もう一つ残念な報告があります。重大な問題でしたので、報告書には書きませんでしたが」レイが口ごもる。
「なんだね?レイ」
「実は、今回のあの巨大MSに乗っていたパイロットは、シンです!」「なんだってぇ!?」「むっ」アスランが飛び上がって驚く。
320通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 16:17:43 ID:???
30
「レイ、それはほんと「なんで!」
「ア、アスラン?」レイがたじろぐ。
「なんでだ!?なんでだ!?なんなんだ!?どうして!どういう事なんだ!?なんでシンが!?シン!シンー!!!」
「落ち着いてアスラン!
はい、お茶飲んで。落ち着いて、落ち着いてアスラン」
ミーアに背中を摩られお茶を啜ると、アスランはみるみる平静を取り戻していく。「落ち着いたよ」
「(議長、アスランの様子が・・・)」
「(うん?あ、ああ。そうだな・・・)」
レイと議長が引きながらも話を続ける。
「巨大MSのコックピット部が破損し、中のパイロットが確認できました。あれは間違いなくシンでした。」
「間違い無いのだね?」
「はい・・間違い無いです。
シンはエクステンデットの少女を連れて連合へと接触しましたが、恐らくその時拘束され・・・・・・
彼女を出しに無理矢理利用させられたのでしょう。シンなら、彼女を守るために抵抗しないでしょうから」
レイの言葉に議長は不思議がる。
「シンが最初から連合へと寝返るつもりだったとは可能性は?」
「それはありえません。シンの性格、エクステンデットの少女に対する言動、連合の進行による肉親との死別という過去。
それらを考慮するとシンが、思惑を孕んで寝返るという事は、ありえません」
今までのレイならこのような言い方はしない。何故レイは。
議長にはレイが何故、シンに寄りがちな見解をしたのか分からなかった。「裏切ったんだ。シンは!」アスランの大声が再び。
321通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 17:10:33 ID:???
>「なんでだ!?なんでだ!?なんなんだ!?どうして!どういう事なんだ!?なんでシンが!?シン!シンー!!!」
>「落ち着いてアスラン!
>はい、お茶飲んで。落ち着いて、落ち着いてアスラン」
>ミーアに背中を摩られお茶を啜ると、アスランはみるみる平静を取り戻していく。「落ち着いたよ」

このくだりに吹いた
なんか「ハイ、おじーちゃん落ち着いて」って言われてるみたいで・・・
しっかし、凸のぷっつん具合が凄いですな
GJ!!

ところで『Destiny-Pulsation』を書いてた方はもういらっしゃらないのでしょうか
個人的にすごく気になるのですが・・・・
322通常の名無しさんの3倍:2006/11/22(水) 12:11:06 ID:???
アスラン壊れすぎww
323名無しK:2006/11/23(木) 10:13:13 ID:???
(ご無沙汰しておりますーDestiny-Pulsation書いてたアイツです)
(あちこち彷徨したり資料漁りしたり私事でゴタゴタしてる間になんかえらい時間が経過してしまいました)
(本来新しい話とか引っさげて参上するべきですがまだまとまって無いので手ぶらで申し訳ないです)
(この調子ではやっぱり投下予告なんかするべきじゃないと思いつつもできれば年内中に続きを投下したいとこです)
(職人の皆様グッジョブです、驚いたり唸ったり燃えたり吹いたりしながら読ませていただいてます)
(それではまたしばし失礼致しますー)
324SIN's DESTINY:71:2006/11/23(木) 15:10:53 ID:???
バルトフェルド達に迫るインパルス≠ニムラサメ=B
「二機ともいいMSだ。
特にあの可変MSはいいな。
さてはあのお姫様≠フ差し金かな?」
つぶやくバルトフェルド。
「隊長!
どう迎え撃ちますか!」
指示を仰ぐダガーL≠ゥらの通信。
「そうだな…、お前達はあのストライクもどき≠頼む。
俺はあの紙飛行機≠フ相手をする!」
「了解しました!」
「無茶はするな!
まずは小手調べだからな!」
もっとも重要な命令を告げ、バルトフェルドはウィンダム≠加速させた。


けん制のビームが激しさを増す。
「シン!下がれ!
突っ込みすぎだ!」
アスランの通信を無視して、シンは敵陣に向け、さらにスピードを上げる。
「シン!」
アスランは舌打ちをする。
その刹那、一本のビームが明らかな殺意≠ともなってムラサメ≠襲う。
「くッ!」
間一髪で避けるアスラン。
さらに続けて、二本、三本とビームの奔流が襲う。
その放たれる殺意≠ヘ青い角つき≠フMSウィンダムから。
「こいつ、俺を狙ってる…!」
前大戦を生き抜いた戦場のカンがアスランに告げていた。
325SIN's DESTINY:72:2006/11/23(木) 15:12:39 ID:???
「でやああああ!」
シンは叫びながら、ビームを斉射する。
だが、敵の編隊はシンのビームを難なくかわし、逆にビームを返してくる。
しかし、そのビームをかわすことはシンにとってもたやすい。
お互いのビームの応酬。
戦局は手探りのまま一進一退。

「…なかなかやるじゃない。
二機相手にシンのやつ。それにアスランも…」
ルナマリアの眼前のモニターには戦闘機MA形態のムラサメ≠ニ
ウィンダム≠フ交戦模様。
互いに間一髪でビームをかわし合うソレは、芸術的ですらあった。
「…ルナマリア」
レイからの通信。
「ん…、わかってる。私、アスランに加勢するから、レイはシンのヤツをお願い」
「いや、違う、そうじゃない」
返ってきたレイの思ってもみない否定の言葉に、ルナマリアは思わず機体ごと振り返る。
光るザクの単一のまなざし。
「…いかないの?」
ルナマリアの問いにレイは沈黙で肯定する。
「艦長も今のこの様子が見えているはずだ。
俺達は指示が無い限り、下手に動かないほうがいい」
レイの言葉は冷静沈着。
「…そりゃ、そうなんだけどさ」
再度、同じような言葉をつぶやくルナマリア。
眼前のモニターには、五機のMSがビームを応酬しながら、
入り乱れるさまが描き出されていた。
326SIN's DESTINY:73:2006/11/23(木) 15:15:05 ID:???
…ほんの数時間前まで、そこはシン達がとどまっていた小島。
その小島の小高い丘に立つのはキラ・ヤマト=B
その視線ははるかかなたの空に浮かんでは消える光の明滅をとらえていた。
「戦闘ですか…?」
傍らにはいつの間にか、ラクス≠ェ立っていた。
「…そうみたいだね。
でも、小競り合いだ。誰も殺されないし、誰も殺さない。
安心していいよ」
キラは優しい口調で微笑む。
しかし、ラクスは不安な瞳ではるか空の彼方のきらめく光を見つめていた。


「あくまで紙飛行機≠フままやろうというのかい、
海上とはいえ、このかつての砂漠の虎≠烽ンくびられたものだな!」
バルトフェルドはムラサメに向かってビームを斉射。
しかし、ムラサメはそれをものともせずに華麗にかわす。
「こうやって、時間をかせげば…!」
アスランはインパルス≠フ方に視線を移す。
距離をとって二機のダガーLと応戦するインパルスの姿。
「…あいつ、頭に血がのぼってなきゃいいけどな」
アスランは不安に息を呑んだ。
327SIN's DESTINY:74:2006/11/23(木) 15:16:16 ID:???
ミネルバの面々は芸術的ともいえるウィンダムとムラサメの
ドッグファイトに目を奪われていた。
「…さすがね。
初めての機体をあそこまで華麗に操れるなんて…」
タリアは息をつく。
「し…しかし、艦長。いいんですか?
アスランとシンの二人にだけ戦わせて…。
ルナマリアとレイの二人に援護をさせたほうが…」
アーサーからの申し出。
「そうね…。じゃあ、レイとルナマリアの二人には…」
「わかりました!援護に向かわせます!」
「…帰艦させて。
せっかく出したのに悪いんだけど」
「はいぃ!?」
思わぬタリアの肩透かしに、アーサーは奇声を上げる。
「メイリン、ザク二機に帰艦命令!
インパルスとムラサメはそのまま、戦線を維持させて!」
「了解!ザク二機に帰艦命令を出します!」
メイリンは職務に忠実。
「艦長!何を考えてんです!」
アーサーの疑問にタリアは不敵な笑みを返す。
「だって、ザク二機を飛ばす燃料もバカにはならないわ。
それにあの二機インパルス≠ニムラサメ≠ヘ他と同じ働きしかできないようでは困るのよ。
人、MSともにね」
タリアの視線は眼前で繰り広げるMSの戦闘。
そして、さらにその先に広がる、自分達ミネルバ≠ノ待ち受けるであろう、
苦しい戦いを見据えていた。
「そう、私達ミネルバ≠フ戦いはまだ始まったばかりなのだから…」
タリアは一人、つぶやいた。
328通常の名無しさんの3倍:2006/11/23(木) 15:21:22 ID:???
31
「裏切ったんだ、インパルスを手土産に連合へと!」
「アスラン、だって、今レイが・・・」
「あいつはいつもそうだ!」ミーアの話を全然聞いていない。
「上官への罵声、度重なる命令違反、個人の感情を抑えられない高慢さ。今までのシンの態度を見れば明白です!」
「・・・・・」押し黙るレイ。
「アスラン、シンについてはまだ分からない事が多い。この件については後々」
「シンめ!俺がどれだけ・・・・・どれだけお前を・・・・・・・・・くそぅっ!」
(アスラン・・・そんなにシンって子の事大切に思ってたのね。そうよね、大事な後輩だもの。)
ミーアが、瞳に涙を溜めて目を食いしばるアスランを、悲しくも包み込むような目で見つめる。
(シンめ!あいつ俺の言う事聞かなかったのは俺に恥じを掻かせるためだったんだな。
そういえば!俺が前にキラに落とされた時も、その直後に活躍してたな・・・・・・なんて奴だ!!
人を踏み台にして自分を立てようとしたという事か!
何も出来ないんじゃ意味無いですよ・・・・・・そうか、あれは寝返る前の俺への捨てゼリフだったんだな?当て逃げかよ!ふざけやがって。
どこまで人を小馬鹿にして見下す最低な奴なんだ。
どうせ壊れたコックピットの間から姿を見せたのだって「アスラン隊長の監督不行き届きでシンが大問題を起こしました。大変でした」
をしたかっただけなんだろ?)
ブツブツ呟くアスランを置いて、いつの間にか議長とレイは部屋を後に。
ミーアがそっと、腰掛けるアスランの後から腕を回して抱きつく。「大丈夫よアスラン。みんな、みんな居るわ」
「シンめ!」「へ?」「あ、いや、なんでもない」
アスランは、シンがどれだけあの時
ステラが衰弱する中彼に無言の助けを求めていたか、頼りを求めていたか、気づく余地も無かった。
329シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2006/11/23(木) 15:23:53 ID:???
>>316
>>318
トン。
参考になった。

あと、まとめサイトに加わってたことに最近気づきました。
管理人の人、加えていただき非常に乙です。
330通常の名無しさんの3倍:2006/11/23(木) 15:45:16 ID:???
32
コロコロコロコロ
「なんだこれ?」
AAの各部チェックを終えリラックスしていた連合兵の横を、カラフルな球体が転がる。
「なんだ?」「いやぁ、なんか変なおもちゃが」
「ハロ、ゲンキ、ハロ」喋る球体に兵は驚き、そしてすぐに顔を綻ばせて、それを手に取って持ち上げる。
「なんだこれ!なんだこれ!やべぇ、超いかすじゃん!」
「すごいな。これだけのサイズにこんな、自立運動に発声機能。うわっ、飛び跳ねた」
「な、な。これ貰っちゃってもいいのかな?俺欲しいよ。」「いいんじゃないか?どうやらおもちゃみたいだ・・・・・でぇえ?!」
床を見るといつのまにか大量の、手に持つそれと同じ形をしたさまざまな色のハロが、床全体を隙間無く詰めつくしている。
「すげぇ!」「なんだこれは!?」

「うわぁー!」「やめて!服の中に入らないで!」「格納庫に変なのが大量に!」「排気口に何かが詰まってる!」「トイレが詰まった!」
同時刻、一斉に港の地球軍建造物、その他さまざまな所に謎の球体ハロが大量発生。
これにより皆動きを封じられ、下手に撃つと跳弾するため拳銃も使えない。
さらに
「うわぁ!爆発したぁー!」「なんだこれ、煙・・・・・ぐぅ」「か、体が痺れる・・」
いくつかのハロが爆発し発煙、それを吸った連合兵は次々と眠ったり痺れたり目が痒くなる。
管制室では爆発と同時にハロからプログラムが飛ばされ、港の全制御プログラムを掌握される。
「ピンクちゃんのお友達すごいですわね!」「これはひどい!」笑顔でピンクちゃんを掌に乗せるラクスと思わず呟くムウ。
そしてシンは、巻き添えの煙を吸って連合兵と一緒に寝ていた。
331321:2006/11/24(金) 09:28:43 ID:???
>>323の名無しK様
Destiny-Pulsationの続きお待ちしております
332通常の名無しさんの3倍:2006/11/24(金) 13:22:57 ID:???
>>328&330
GJ!!
本編以上に駄目駄目な凸に乙!
333通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 16:09:55 ID:???
33
議長の下に特秘の報告が入った。
「そうか・・・・・・・・・デブリで取り逃したのは返って良かったかもしれんな。これなら何の問題も無く・・・・・」
そして議長に一枚の写真が手渡される。AAが連合へと接触している様子を収めた写真が。

AAクルー全員(巻き添え数名も担ぎ出されて)は建物から出、
ばたばたと連合に触られたり移動された、システムや物資を戻し始める。
さらに連合に元々有ったデータや物資をいくらか持ち去る。
インパルスやボギーワンも持ち出す準備がされ、港の重要な物はほぼ彼らの手中に。
「あの船と施設にあったデータがあれば、オーブであの二人を療養する事はそれほど難しくは無さそうです」
「そう、ありがとう。引き続き積み込み作業と発進の準備をお願い。いつまでもここに留まっているのは危険だわ」
「マリューさん、どうですか?」「これなら大丈夫そうよ。・・・でも、やっぱりこれは」
ラクスの大胆不敵な作戦に苦い顔をしながら取り組んだ艦長。やはりこれはいくらなんでも。
「確かに問題も多々あります。ですが、彼らを救いたいというシンさんの思いは本物でしたわ。そして、皆さんの思いも」
「そうね(いつのまにかシンくんが理由にされてる・・・)」
溜息を付きながら艦長は作業に戻った。

「ここ何所だ?・・そうだ、ラクス・クラインが。あれ?なんで俺寝てるんだ?」目を覚ましたシンが起き上がると、皆大忙しで作業に当たっている。
「そうか、俺も一緒に寝ちゃったのか。それで・・・・・・・ぐっ!ぐっがあぁぁぁ!」突如シンの体に激痛が。
痛みに声も上げられず、しばらくのたうち回った後、痛みが引いて息を荒くして床に転がる。
ケガの痛みとも違うきつい痛みにシンは一体何故と思ったが、すぐに痛みの理由が頭に浮かんだ。そうだ、俺は連合で薬を。
334通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 16:29:35 ID:???
34
俺、死ぬのかな?
嫌だな、死ぬなんて。まだ死にたく無いよ。あとどれだけ持つんだ?ネオは薬を飲ませた事覚えてるのか?
いや、俺は死なない。まだ死ねない。ステラを守りきるまでは・・・

よろよろと立ち上がったシンは、痛みが引いたとはいえケガを負っている体で歩き回り、
途中でステラがボギーワンの装置の方に居ると聞いてそちらに向かう。
そして、椅子に座って何かを飲んでいるステラの姿が窓越しに見えた。
シンは息を必死に整え、ステラに心配かけまいと平静を装って扉を潜り、
「ステラ!」
「シン!」
「ステラ、具合は大丈夫?何所か痛くないかい?」やさしく声をかけ、やさしい笑顔を向ける。
「だいじょうぶ、痛くない。それより、シン痛い?」
「え?俺?ううん、全然。これくらいのケガ平気だよ。
イテテ・・・・なんてねw」
楽しく談笑をしているシンとステラ。その姿は本当に楽しそうで、まるで仲の良い兄妹のようであった。
「なんだ、生きてたか」スティングが連合の食料をモリモリ食べながらやって来た。
「あんたも無事だったんだね」二人は皮肉混じりながらも微笑で言葉を交わす。
「そういえば、前に海岸で一度会ってたんだよな。」「何言ってやがる。戦闘中に何度も会ってるだろ?」「そういえばそうかw」
3人は特に相手の事に触れるでもなく、ただ静かな一時を微笑で過ごすのだった。
335通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 16:51:59 ID:???
35
「この女の事なんて覚えてねーよ」
「じゃあ髪の青い・・・・・(そうだ、アビスに乗っていたのがそうなら、俺が・・)いや、えっと、ステラだって!ス・テ・ラ!」
「スティング、知ってる」
「あ、ステラ覚えてるの?ほら!ステラは知ってるって言ってるじゃないか!だから覚えてなくても知り合いなんだって!」
「あーもう、うるせーな。大体・・・・・・・ん?」
「どうした?もしかして、思い出したのか?」
「このあんぱん、あんが少ねーぞ」「なんであんぱんなんてあるんだよ・・・」

「どうしたんだ?アスラン」「副長・・・・いえ、何でもありませんよ」
展望台でぐったりともたれ掛かっているアスランに、アーサーが声を掛ける。
「此間のあれ、どうだった?良かっただろう?」「・・・・・・・・糞ゲーでした」「えぇっ!まさかぁあ!?だってあれ、私の秘蔵のエ
女性クルーが通り過ぎて行ったので言葉を切った。下手すると船内の噂になってしまう。それだけは避けねばならない。
「俺、これからどうすればいいんでしょうか?」「どうしてだい?アスランは立派なパイロットじゃないか」
「俺、全然活躍できてないんですよね。落とされて落とされて、堕とされて。
いったいこんな俺に何ができるんでしょうか」
「落とされたって言ったって相手が相手だったんだし、アスランの腕は確かだろう?」
「腕があるって言ったって、イージスやジャスティスやセイバーの機体の性能の・・・・・・・そういえば俺、赤い機体ばかり乗ってるな」
「赤い機体かぁ。そういえばインパルスもソードに換装すると赤くなるな」
「インパルスは赤・・・」
「そうだアスラン!今からインパルスに乗って活躍してみるんだよ!そうすれば自身もきっと取り戻せる!」「そうですね・・・今度申請して」「今からだよ!」
時間が数刻流れてから「今からぁ!?」アスランの顔が今日は歪みまくっている。
336通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 17:23:58 ID:???
36
「あ、アスラン・・・・・」「ルナマリア・・」
嫌な空気が二人の間で生まれる。
「ルナマリア・・今は君の機体らしいな。インパルス、貸してもらう」
「は?」「じゃ」
「じゃ、じゃないでしょう!いったい何言ってるのよ!」
「うるさい!赤は俺の色なんだ!だからインパルスは俺のなんだよ!」「無茶苦茶言わないで下さい!大体赤は私の色でもあるんですよ!」
「黙れ!偽者!」「なっ!何よ!この変態!」
「な、なんだとぉ〜!?この豚マリア!」「ぶ、ぶたぁ!?」「そうだ、この豚!お前は大人しく家畜小屋に帰れ!」
「なぁっ、何よ!あんたなんか、あんたなんかキモオタの癖に!陰毛みたいな髪の毛の人(ニコル)の写真持ち歩いて!!」
ぷちん! 「この豚ーーー!!!」「きゃー!!」ドガス
昏倒させられたルナマリアを置いて、アスランは新しく搬入されたばかりのコア・スプレンダー2号機に乗り込む。
「アスラン!」アーサーからの通信が入り、発進準備を開始する。警報も鳴り始める。
「ありがとう、アーサー」「発射口は俺が開けてやる」「でも、何で」「どんなヘタレでも、輝けるなら輝きたいだろう」「・・・・・ありがとう!」
アスラン発進。空中を華麗に飛び、後からレッグフライヤーが飛んできて、変形して合体。
「よし、シンじゃなくたって俺にだって!次は?」・・・・・・・・・・・・あれ?
如何した事か、いつまで経ってもチェストフライヤーとソードシルエットが発射されない。「アーサー?」
カメラでアーサーの居るはずの場所を映すと、そこには保安官が数名。
アーサーは、そこから遠く離れた所で全力疾走で逃げているのが映った。
レッグフライヤーだけを連結させたコア・スプレンダーは失速し、地面に向けて真っ逆さまに落ちて行く。
そして、最後にアーサーがこちらに向けて敬礼をしているのが映って、「アーサーのうそつきぃ〜!!」墜落した。
アーサーには泣きながら敬礼する事しかできなかったが、それが彼の誠意一杯の友情の証だった。
337通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 23:10:50 ID:???
凸とアーサーの友情クソワロタw
本当にGJです!
338通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 23:35:22 ID:???
アスラン、あんたガキですかWW
ルナ、ニコルに祟られるぞ!
339通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 01:37:11 ID:???
いいスレ見つけた

俺も書いていいのかな?
書き溜めてるのがあるんだけど
340通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 03:20:13 ID:???
殆ど感想レスつかないを覚悟の上でどうぞ
練習に習作投下するならお勧め、レスがわずらわしい人にもお勧め
341通常の名無しさんの3倍:2006/11/28(火) 02:29:17 ID:???
>>339
どおぞどおぞ〜遠慮なく俺たちの頭上に投下してください
342通常の名無しさんの3倍:2006/11/29(水) 06:09:27 ID:???
保守
343通常の名無しさんの3倍:2006/11/30(木) 06:12:49 ID:???
保守
344通常の名無しさんの3倍:2006/11/30(木) 17:38:26 ID:???
テスト

うおぉぉぉぉぉぉっ!
シンの種が弾けた
デスティニーから激しい気合いと共にエネルギーが目に見えるほど貯まっていくのが見えた

シューン
シンはデスティニーのエネルギーと同化する
コックピット内でシンは何かを感じ取った
「これがアンタの意思か…」
そうつぶやくとデスティニーが光に包まれる

「フリーダム!今日こそ落とす!」
そこにはシンとデスティニーが合体した'シンティニー'の姿があった

ズドン!

一瞬にして音速を越えたシンティニーはそのまま拳でストライクフリーダムを貫いた

「勝った…」
そう言い微笑むとストライクフリーダムは爆散した

「所でどうやって元に戻ればいいんだ?」
シンは完全にデスティニーと同化していた
「まあいいか、俺が居ればプラントは完全に守れる」
そう思い、ミネルバに帰還した
345通常の名無しさんの3倍:2006/12/01(金) 10:18:41 ID:??? BE:430012894-2BP(0)
テスト

「く、忌々しいコーディネイターどもめ」

モニターに囲まれた部屋で紫色をした唇を持つ男がモニターを除きながら愚痴をこぼす。
この部屋に居るのは彼とその愛猫のみである。
モニターは地表に降り注ぐユニウス・セブンの破片が世界各地の重要文化財を壊していく様を映し出していた。

そんな時、彼の背後から声が掛けられる。

「やあ、若き盟主殿いささかご立腹のようだね」
そこには黒い装束を身に纏った一人の男が立っていた。
厳重に警備がされたこの部屋に霧のように現れたのである、無論コーディネイターと言えどもその様なことはできるはずが無い。
「む、貴方は誰ですか。この厳重な警備の敷かれた部屋に無粋にも入ってくるなんて」

「やめんか、ジブリール」
突如モニターの一つに老人の顔が映る。
ブルーノ・アズラエルその人であった。
「現盟主が失礼を働いた事をお詫び申し上げますヴラド様」
「よい、ブルーノ、顔を上げてくれ。
 我はその様な些細な事は気にするほど若くないわ」
ブルーノにヴラドと呼ばれた男は奇妙な姿をしていた。
真っ白な肌、
血のように赤い瞳、
中世貴族のような黒い燕尾服とマント。
西暦時代の吸血鬼のような姿をしていた。
「なに、我等の住む地球が危険な目に会うのは古より住む者としては聊か目障りに思えるのだよ」
「先ほどから何を言っているんだこの男は!!」
ジブリールが目の前の男に文句を飛ばす。
「ジブリール、古くからのロゴスのメンバーとして彼を紹介しよう。
 彼はヴラド・ツェペッリン、ロゴスより遥か昔から地球を裏から支えていたもの達の一人だよ」
346通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 22:16:18 ID:???
37
墜落現場には人だかりができ、疲れた顔の兵士達が黙々と作業を続けている。
「冗談じゃないよ。まだデスティニーの修理だって終わって無いのにっ!」
メカニックが不機嫌な顔でコア・スプレンダーの残骸を見て言う。
奇跡的にも無傷で済んだアスランが、
保安兵に拘束されてミネルバへと入って行く。
「死ねばよかったのに・・」
包帯を頭に巻いたルナマリアがぼそっとつぶやいた。

「やってくれたわね・・・」
疲れた顔の艦長が、顔に失意と羞恥を浮かべて俯くアスランに言う。
部屋の周りにはクルーが数名集まり、口々にアスランの悪口をしゃべていた。
「MSの無許可発進、クルーへの暴行、MSの損壊。
こんな馬鹿げた軍規違反聞いたことも無いわ!ある意味シンよりひどいわよ!
おまけにコア・スプレンダーは修復不能、インパルス運用の廃止決定、墜落現場の倉庫内の物資の大量損失。
ふざけるんじゃないわよ!」
こんなに怒った艦長は初めてだろう。アスランは無言でプルプルと顔を真っ赤にしている。
「で、誰なの、彼方に手を貸した人物は」「・・・・・」
「答えないつもり?」「あ・・・」「あ?」「いえ・・」
その後アスランは独房に投げ入れられて、一人蹲って震えていた。「シンのせいだ。くそぅ」
347通常の名無しさんの3倍:2006/12/03(日) 00:43:45 ID:???
38
ボギーワンを強奪してインパルスをも乗せたAA一団はオーブへ向けて進んでいた。
ムウはシンの事なんて完全に忘れていてマリューとバカップルを演じ、シンは色々放置しているムウを白い目で睨んでいた。
「君はどうするの?」
(今さら何言ってやがんだこいつ。)
キラの声をスティングがイライラしながら無視する。
「ちょっと強引に連れて来ちゃったけど、君にも、選んで欲しいから」
(ぶち殺すぞこの野郎。わざと言ってんのか?大体俺はここから離れらんねーだろうが。)
「ゆっくり考えて」
スティングの殺意にもまったく気づかず、キラは部屋を後にした。

ラクスの部屋。
「なんで俺が・・・なんなんだよあいつ、俺の事嫌いなのか?」
シンがミリアリアに備品の交換をお願いされ、ガサゴソと律儀に作業をしていた。そこにラクスとキラの声が聞こえてきて。
「ごめんね。遅くなっちゃって」「いいえ、別にかまいませんわ」
とっさにシンは備品入れのスペースに身を隠してしまった。なぜだか自分でも分からないが隠れてしまった。
こんな状態で見つかったら怪しまれるよな。どうしよう、変な誤解とかされたら。
「ん、あっ、もう!キラてばぁ」「あはは、だって」
?
焦るシンの耳に突如バカップルの馴れ合いらしき声が聞こえてきた。え?何?何だ?「いやん!キラのえっちぃー!」な、何をしてるんですか、あんた達はわぁー!
シンの顔が急速に赤くなる。
348通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 18:04:14 ID:???
保守
349通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 18:08:10 ID:???
ほっしゅ
350通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 17:46:32 ID:???
これは良スレ発見。
しかしシン運命 ◆dZ37vvxgX2の人はあれだなぁー、
体言止めと縦書き用二重引用符の使いすぎで文が過剰装飾に見えるから
もうちょっとスッキリさせたほうがいいかもわからんね。
あと、「」でくくった文以外は一行下げるとか三点リーダは二つ繋げて使うとか
基本的なところを抑えるともっといい文章書ける様になると思うよ。

付け加えるならちょこっと状況描写が弱いと思う。
一つ取り上げるなら
>もっとも重要な命令を告げ、バルトフェルドはウィンダム≠加速させた
のところとか、バルトフェルドが何をどう操作してウィンダムを加速させたのかがわかりにくいから、
スロットルを上げたとかバーニアを噴かせたとかもっと情報を書き込んで欲しい感じがする。


以上、文章を書く力はあるのに勿体無い……と思った通りすがりの戯言ですm(__)m
351通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 10:27:47 ID:???
どうして連ザ2でモグラグーンが使えないんだぁー!
39
「な、何してるんだろう・・・も、もしかして。そんな!そんな事するなんて」
赤面して歯を食い縛るシンは、動揺しながらも聞き耳を立てる。
「あ、キラ!駄目よ、そんな、拡げちゃっ!」「大丈夫だから、ね?」「入れちゃだめー!」

ガシャンドンガラガッシャリン  ドサッ

「!?」「え?・・・・・君」
体勢を崩したシンが、転げ回って床へと落ちてしまった。
「あ、ああ・・・・・・へ?」
シンが真っ赤な顔でキラ達の方を見るとそこには、内部を拡げられてドライバーを差し入れられているピンクちゃんが。
「あ、ああ、あぁあああああ!!」
「君、どうしてそんな所に」「わっ!」「わ?」
自分のあまりにも恥ずかしい勘違いにシンの頭がパンク寸前。さらにラクスの目がシンの下半身に向き
「いやらしぃ」「!?」
ラクスのその一言に耐えられなくなったシンは、大きな泣き声を上げて部屋を飛び出し、全速力で逃げていった。
「どうしたんだろう?」「・・・・・・・・・坊やねぇ」そう言ってラクスはクスリと微笑んだ。
逃げたシンはトイレに駆け込み、悔し涙と恥ずかし涙でぐしょぐしょの顔を拭いながら激しい自己嫌悪に陥っていた。
「俺は馬鹿だ!馬鹿だ!馬鹿だ!」そう言いながらも股間が半勃ちのいけないシンであった。
352通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 12:49:54 ID:???
40
「出ろ。釈放だ」
議長の根回しのお陰で何とか牢屋からは出れたアスラン。
ミネルバ内をよたよたと歩く姿を、クルー達が奇異と疑いの眼差しで睨む。
「大丈夫か、アスラン?」「アーサー・・・・・」
痛い視線の中、アーサーだけが優しく声を掛けてくれた。
「アーサー・・・なんで」
「すまなかった。保安兵に銃撃されて止むを得ず逃げてしまって。必死に捨て身の抵抗をしたんだけど駄目だった、すまなかった」
もちろん嘘であったが、
「そうか、ありがとう、俺なんかのために命を賭けてくれて・・・嬉しい、嬉しいよ」
アスランは騙された。
そんな二人の所にヨウランが笑いを堪えながらやって来た。
「うぷ・・・あ、あんたエロゲーマーなんだって?
格好良い顔してそんな、ぶふっ!」
その態度にアスランは瞬時に激怒、声を荒がせて反論する。
「な、なにおぅ!エロゲーの、エロゲーの何所が悪いと言うんだ?!そうだろ?アーサー」別にエロゲー好きではないのにエロゲ擁護するアスラン
「・・・・・な、何言ってんのー?」
とぼけた声でそう言うアーサーに、信じられないという顔でアスランが振り返る。
「何副長に振ろうとしてるんだよ。お前だけだろ?軍人にもなってエロゲーなんてやってんの。」「ち、ちが」「だっせー!」
捨てゼリフを吐いてヨウランは去って行った。見ていたクルー達がクスクスとあざ笑う。
353通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 13:24:40 ID:???
41
アーサーの部屋に移動したアスラン。
すっかり意気消沈し、全てが信じられなくなった少年のような有様であった。
「アーサー・・・なんで」
「作戦だ。私までエロゲーマーだと知られたら、後々動きが取りづらくなる」
「な、なるほど。すまない、アーサー。俺は君の事を疑ってしまって・・・」
「気にするな。私とアスランの仲じゃないか。
ああ、それよりもアスランに呼び出しが掛かっていたんだ。議長が待っているらしいから」
「そうか。ありがとう、アーサー。俺、まだやれる気がしてきたよ」「ああ、頑張れ!」
顔に少し元気を取り戻してアスランが出て行く。
その姿を力強い笑顔で見送るアーサーは、心の底からアスランを応援していた。

「遅くなりました」
「や、やあ、アスラン。怪我の方は大丈夫かい?」顔をひく付かせて言う議長。
「いえ、怪我はしませんでしたので安心して下さい。」
「そうか・・・・・(してないのか・・・)」
「エースの私が怪我をしたら、これから先ザフトを先導するパイロットが居なくなってしまいます」
議長の顔がさらにひく付く。
「議長のご期待通り、これから先も私は全力を尽くして戦う所存です。ですからどうか議長、ご安心を。」「ああ。それでインパルスなんだが」
「インパルスに関しても、私にはあの機体は不必要だったので使えなくなっても問題ありません。
私は気にしていないのでお気使いは無用です。」「そうか・・・(君への心配の事じゃ・・)」
354LR(略) ◆9AUE2RuSV. :2006/12/08(金) 14:09:28 ID:???
アーサーひでぇwwww
355通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 15:08:55 ID:???
保守
356通常の名無しさんの3倍:2006/12/10(日) 17:58:43 ID:???
ほっしゅ
357通常の名無しさんの3倍:2006/12/11(月) 17:16:12 ID:???
保守
358通常の名無しさんの3倍:2006/12/12(火) 13:17:53 ID:???
42
「それで議長、私に話しとは?」「うむ、実は・・」

「君大丈夫?顔色が悪いけど」「別に・・・」
疲れた顔でバナナジュースを飲むシンをキラが気遣う。
「あんた、フリーダムのパイロット・・・・・」
目を細めてキラを睨む。
疲れてるのか怒ってるのかよく分からない。
「うん・・・・君も、インパルスの」
「・・・・・なんで」「え?」
「なんであんたは、あんな、馬鹿みたいな事してたんだよ」
「・・・・・・うん、そうだね。確かに馬鹿みたいな事、なのかもしれない。アスランにも言われた」
「アスラン?」
「うん、前に話がしたいって・・・・・・・結局ちゃんと思いは伝わらなかったけど」
「アスランとは・・・どう」
「友達」「友達?」
「うん。小さい頃からの」
「仲良いんですね・・・」「うん、とっても!」
「じゃあなんで、なんであんた達は戦ってるんですか?そんな、すごく仲が良いとか!そんな!」
「うん・・・・・どうして、こんな事になっちゃったんだろうね」「あんた・・」
二人は一息付き連合の物資の中から、キラはリンゴジュースを、シンはオレンジジュースを取り、飲み始めた。
359通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 10:31:45 ID:???
保守
360通常の名無しさんの3倍:2006/12/16(土) 01:11:39 ID:???
保守
361通常の名無しさんの3倍:2006/12/16(土) 16:28:43 ID:???
43
「僕がまたフリーダムに乗ったのは、ラクスが狙われたからなんだ」
「・・・・・・・ずっと気になってたけど、ここに居るラクス・クラインが本物なのかよ?」
「うん」
「・・・それで、狙われたって、いったい何の事なんですか?」「・・・・・僕達が」
キラはシンへ有るがままの事実を話した。
ラクスが正規軍しか持ち合わしていないであろう、導入されたばかりの機体を駆るコーディネイターに、殺されかけた事を。
そして、プラントでは偽者のラクスが大々的に表舞台へと躍り出た事を。
シンは真剣な顔でそれを聞き、8本目の甘いジュースを啜る。

「アスランにもこの事は話たんだけど・・・・だからって僕達のした行動は軽率だ、馬鹿げているって。
その通りだと思うし、明確な理由や証拠が見えないからアスランに僕は何も言えなかったけど、それでも、僕はラクスを・・・」
シンは少し顰めた顔でキラを一瞥し
「やっぱり最低ですね、アスランは」
吐き捨てるように言う。
「あの人は理屈ばっかりで人の気持ちなんて・・・っ!」
つらそうな顔をして言うシンを見てキラは、少し間を置いて話始める。
「アスランは、確かに正しさや理由ばかりに気持ちが行ってしまう事があると思うけど、
でも、アスランは本当はとてもやさしくて、みんなの事を真剣に考えてくれる人だから。
今僕達が進む道が違うのも、同じく望んだ未来を真剣に掴もうとしてるからだと思うから。だから僕は」「あんた・・・」「キラだよ。」「!?」
「僕はキラ・ヤマト。キラでいいよ、シン」
362通常の名無しさんの3倍:2006/12/16(土) 16:56:24 ID:???
44
ずずっ ずずずずー ずっ 二人で合計30本のジュースを飲み干した。
「お人好しですね」「ううん、我侭なだけだよ」「そうですね」「うんw」 ばくっ ばくばくばく 今度はパンを食べ始めた。
「俺は」
「ん?」
「別にあんただからってわけじゃなくて、その、誰でもいいから話たいだけですから」「うん」
「俺は、ステラの事を守りたかっただけなんだ」
「ステラって、あの連合の子の事だね」
「うん。
俺は、放っておけなかったんだ。前に海で知り合って、助けたら死ぬのが怖い、嫌だってものすごく怯えて。
死ぬのが怖いって誰だってみんな思うけど、死ぬって事をあんなに思って、怯えて、死ぬ事を死ぬほど恐がるっていうか・・・。
だから俺守るって。
でも、次に会った時は敵だったんだ。今まで散々戦った、(ハイネ・・・)仲間を殺した、敵だったんだ!
それで俺、どうしていいか自分でも分からなくなって、
気づいたら俺はステラを助けようとしてて。守らなくちゃ、絶対に守るんだって。」
「うん・・」
「でも、ステラは俺の力だけじゃ守れなくて、このままじゃ死んじゃうって。
なんとかしようとしたけど駄目で、みんなはステラの事別に死んでも仕方が無いって、どうでもいいって、アスランも!
だから俺は、一人でもステラを助けてくれる人の居る所まで行こうって。でも、やっぱりそんなに上手く行かなくて。
それでも、ステラを守れるならって、俺は誰とだって、どんな事だって!」
シンの話はその後も続いた。
363通常の名無しさんの3倍:2006/12/16(土) 17:25:41 ID:???
45
これまでの経緯を聞いたキラは、自分と同じ悲しそうな瞳をするシンを見つめる。
どこまでも真っ直ぐな彼、何所か遠い昔に置いて来てしまった自分に似た彼。
「もしかしたら俺はステラを守って、守れなかった物を守った気になりたかっただけ・・・」
抱えていた物を下ろしたかのように、シンは今まで胸の奥に閉じ込めていた思いを吐き出す。
「オーブで、父さんと母さんを、そして大切な妹を守れなかった事。
俺はずっと悪いのは誰か!?って、そんな事ばっか考えて、一度もちゃんと向き合おうとしなかったんだ。
アスハが悪い、オーブが悪い、だから俺はあいつらをって。だけど」
「ぐはふっ!」「はっ?」
真剣に話しているシンを横に、キラがパンを咽喉に詰まらせて悶え苦しむ。
シンは急いでキラの口に手を突っ込み、大量に詰め込まれたパンを取り出す。
「うへぇ、ほっほんまっ、死ぬかと思ったっ!」「こっちが驚いて死ぬかと思っただろっ!このっバカ!!」
しばらく深呼吸した後、キラは口から出したパンを今度は少しずつちぎって食べ始める。食べ物を粗末にしたくないから。
「あの時、モグ、オーブを守れなかったのは、モグ、僕達、モグ、だったから、バクバクバクバク」
「落ち着いて喰え!で、どういう事だよ」
「あの時オーブを守るために戦っていたのは僕達なんだ。結局守れなかったけど・・・」「・・・・・」「もしかしたら君の家族を撃ったのは」
「そんな事今さら言うなよ!」シンが強い口調で言う。
「シン」「自分が撃ったかも、なんて、言ってもしょうがないだろ・・・つらい、だけだろ?」「うん、ごめん・・」
だらだらと時は流れる。
「じゃあ、ネオ・・じゃなくてムウ・ラ・フラガって本当に不死身なんだな」「うん、僕もびっくり」「でも、理由はどうでも俺はあいつは!」
「・・・アスラン、元気かな」「元気に決まってるだろ。・・また、話せるよ。友達なんだろ?」「うん。そうだね、きっとアスランも僕達を」
364通常の名無しさんの3倍:2006/12/18(月) 15:36:52 ID:???
GJ!!
キラとシン、ジュース飲み過ぎw
365通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 09:30:45 ID:???
>キラは口から出したパンを今度は少しずつちぎって食べ始める。食べ物を粗末にしたくないから

うん、食べ物を粗末にしたらいけないよね
366通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 15:13:49 ID:???
46
「シンなど死んでしまえ!!!」「え?」「あ、いや、何でもない」
議長との話を終え、部屋の前で待っていたアーサーと共に廊下を闊歩するアスラン。
「なるほど。これから大変な事になるなぁ」
「ああ。だが俺になら、俺達になら出来る!」
アスランはアーサーに会話の内容を説明し、アーサーもそれを頷きながら聞く。

「は!?ア、アスラン!いったい何を話しているんです?!」
レイが慌てて駆け寄って来る。
「何をって、アーサーに今議長と話していた事を説明しているだけだが?」
「や、止めて下さいアスラン。機密事項を関係無い者に」
「関係無い事はないだろう。アーサーは」「関係ありません。副艦長には」「ある!」「ありません」
断固聞き入れない互いを、歯軋りしながら睨み合う。
「別に問題は無いだろう?
ラクス襲撃は議長の意思とは無関係だったという事や、本物のラクスが一度宇宙に上がってまたアークエンジェルに戻ったという事や、
これから全世界に向けて議長が大切な発表をする事とか、別に問題は無いだろう!違うか?」
「・・・・・・全部喋ったんですか?」
レイがアーサーの方を振り向きながら言う。
「全部聞きました」
アーサーはレイに敬礼しながら真顔で頷く。レイは顔に手を当てて顔をくしゃらせた。
367通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 15:33:50 ID:???
47
「大丈夫だ。アーサーは信頼できる」「信用してください」「・・・・・」
アスランは他にも大事な事を、ほとんどアーサーに話してしまっていた。
それも食事の合間や展望ブリッジで暇そうにしてる時などに。
「なんて事を!
どうしてあなたは議長から数々の恩恵を受けながらも、そのような裏切るような真似をするんですか!?」
「何を怒ってるんだ?レイ」「真面目に聞いてください!」「だからどうしたんだ?」
全然悪びれないアスランの態度に、レイは頭に血が昇った。
「意味が分からないよw」半笑いのアスラン。「君は自分の立場という物が分かってるのかい?」
プチン
「何を、何をぬけぬけと!!
最高のコーディネイターにくっ付いていた、おまけの最低のコーディネーターの分際で生意気な!
お前などシンが居なくなって、議長がその代わりとして仕方なく祭り上げただけの粗悪な代用品だというのに!
フリーダムに情けないほどあっけなく落とされた上に、インパルスを馬鹿な愚行で使い物にならなくしたクズめ!
お前を取り繕う議長の身にもなってみろ!
シンの代わりにお前が裏切ればよかったのだ!そうすれば俺がお前を始末してやれたからなっ!この廃棄物!
リサイクル不能の粗大ゴミのお前を寛大にも擁護する議長にもっと感謝するべきだ!分かっているのか?負け犬のグズ!
くだらない真似をしている暇があったら、少しでも強くなれるよう努力しろ!」
「レ、レイ。そんなに怒らなくても。なあ?アスラン。・・・・・アスラン?」
アスランを見ると、こっちも顔を真っ赤にして怒り狂っている。「い、言ったなぁー!!!」
368通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 15:51:43 ID:???
48
「お前なんかシンのおまけじゃないのか!!?」「負け犬の言う事になど、いちいち聞いていられませんよ!」「なっ!こ、この!」
レイはアスランの罵声を受け流し、その場をすたすたと去って行く。
後には激昂して雄たけびを上げるアスランと、それを宥めるアーサーだけが取り残されていた。
「レイめ!!!」

そのころアークエンジェルは、オーブへの長い航路をようやく半分とし、ボギーワンを連れて進んでいた。
「マ、リュー!君はバラより美しい!」「あなたも石よりもハードボイルドよ!」
ムウとマリューのバカップルがブリッジを大いに引かせている最中、宇宙より連絡が入っていた。
「艦長大変です!」
「私は彼方を永遠に愛し続けるわ!」「いやいや」「ムーウ?」「俺達の愛は永遠を越えたんだよ!」「そうね!不可能を可能にしたのよね!」
「俺の傷は勲章だよ!」「あなたの深い傷を私はムヒで埋めてあげるわ!」「マリュー!」「ムウ!」
あははは、うふふふ。
「なぜそんな恥ずかしい事を平然とできる!」
「あ、キラ?丁度良い所に・・」
「ミリアリア・・・艦長達を止めろって?」
「違うわよ!ファクトリーから緊急伝達よ!
ファクトリーがザフトの強襲を受けて、調整中の新型MS二機が奪われたって!」
「な、なんだって!?」
キラの顔に衝撃が走る。
369通常の名無しさんの3倍:2006/12/19(火) 18:16:38 ID:???
hosyu
370通常の名無しさんの3倍:2006/12/21(木) 17:15:38 ID:???
保守
371通常の名無しさんの3倍:2006/12/22(金) 22:56:38 ID:???
49
部屋に入り、レイはすかさず扉をロックしてから椅子に座った。そして、議長の写真を取り出し
「ギル・・・好きだよ、大好きだよ!ギルの事がすごく心配!
早くアスランなんて捨てちゃって、俺だけを頼りにして〜!ギルギルー!」ブチュー  レイの唇が議長の写真に吸い付いた。
カシャッカシャカシャッ
「!?」
突如聞こえた音にレイは飛び起き、後をがばっと振り向く。すると
「やってくれたな、レイ」
ア、アスラン!?
「いいよいいよ!次は斜めからのアングルで行ってみよう!」
そこには悪態を付いたアスランと、こなれた様子でカメラに顔を密着させながらこちらを覗くアーサーが居た。
「な、なぜ・・・」
レイは顔を真っ青にして、そしてすぐに顔を真っ赤にさせて汗をダラダラ流す。
くそっ!そうか、さっきの仕返しに俺の弱みを握ろうと!ふ、不覚っ!
「これを議長に報告したら、君はどうなってしまうのかな?」「!?」レイは泣きそうな顔になり、ほとほとと半べそをかき始める。
そして
「こ、殺してやる!」拳銃を取り出し、アスランに向ける。が
「ギル、ギルギルギル」「ア、アスラン?」アーサーがカメラから顔を離してアスランを見る。
「ギルギルギルギルギルギル!」アスランはいきなり奇怪な言葉を連呼し出し、体を細かく震わせて口から泡立った唾を漏らし出した。
「ギルギル!ギルギルギルー!パン危険!パン危険!ドラゴンボー」ブシュゥッ
口から大量の泡を勢い良く噴出し、アスランはそのまま後に倒れてしまった。「・・・・・・」「アスラーン!!!」アスランは死んでしまった。
372通常の名無しさんの3倍:2006/12/22(金) 23:06:54 ID:???
50
「落ち着いたか?アスラン」「はぁ、はぁ、ん、ああ」
確かに死んでしまった。みんなの愛してくれた「格好良いアスラン」は、死んでしまったんだ。
アスランは立ち上がるとレイの顔を見て、真面目な顔で話始める。
「笑いたければ笑え!軽蔑したければ軽蔑しろ!」
「レイ。俺は別にお前を笑おうとか、脅そうとか思っていたわけではないんだ。
俺はただ、君が、俺達の仲間だと思ったから」
「!?」
「これから先、口先だけの絆や信頼では、キラやシンを相手に戦うなど到底出来ない。
それでは何も守れない、自分さえも。」
「アスラン・・」
「俺は君と本当の仲間になりたかった。だからこうして君に近づこうと、君が俺達に近づくために!」
「私は・・」
「レイ。アスランの気持ち、分かってあげて欲しい!」
アーサーはレイの手を、両手で強く握って軽く頷く。
「君は、俺達の仲間だ」
「アスラン・・・・・はい!」
「うん!うん!」
彼らは今本当の仲間になった。
373通常の名無しさんの3倍:2006/12/22(金) 23:29:05 ID:???
ついに50話切ってしまった。たまに「名も無き〜」もまた描きたいです。話が下ネタになってきてスマン。
51
やっとオーブに付いたアークエンジェル一団。
先に付いてユウナに大怪我を負わしていたカガリが、手を振って迎え入れてくれた。
「アスハ・・・」「お前、なんで?」
シンが居る事に驚いたカガリだったが、特に話すでもなくその場を立ち去る。「・・・帰ってきた」シンは帰ってきた。帰りたくない場所へ。

シンは慰霊碑の前で足を止め、花も何も無い、砂を被ったそれをしばらく見つめる。
「シン・・・」「キラ?」
私服に着替えたキラが花束を持ってやってきた。
砂を軽く払い、花をそこに供える。
「こんな場所じゃ・・・・・こんな場所じゃなかったんだ、ここは」「うん」
「もっと花がいっぱいあって、一年中キャンプができて、芝生に寝転げられて。
秋は紅葉が綺麗で、妹は寝ている俺に悪戯して、それで俺は追いかけるんだ」「・・・」
シンはポケットから旧型の携帯電話を取り出し、ボタンを弄った。

はーい、マユでーす!ごめんなさい。今マユはお話出来ません!

聞こえてくる音が静かな海岸に響渡り、シンは悲しい顔で下を、キラはそんなシンを、ただ見つめていた。
374シンティニー後日談:2006/12/23(土) 15:50:15 ID:???
「いてててて!」
シンティニーは修理されている。
が、デスティニーと同化してるため、装甲をいじるとシンに痛みが走る。
ヨウランがつぶやく。
「しかし、どうして同化したんだ?そんな技術聞いたことないぜ」
「知らん、気合い入れ過ぎたらこうなったんだ」
シンが答える。
「そもそもどうやって生きてるんだ?」
「だから知らないって!」
格納庫内にシンの声が響きわたる。
「ちくしょー、短気は損気って昔から言われてたけどまさかこんな形で残っちまうとは」
「ねえねえ、シンが人間やめたって本当?」
ルナマリアまで来た。
ヴィーノが答える。
「コックピット内はシンのパイロットスーツとヘルメットしか無かった」
「畜生!うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
グラッ
ミネルバが揺れ始める。
「えっ?なに…?」「なんだと!?」「そんな馬鹿な?」
シンティニーの脚部とミネルバが同化を始める。
ゴゴゴゴゴゴゴ…。

「えぇっ!艦長!?」
アーサーの声が響く。
シンティニーとミネルバが同化した[真ミネルバ]が誕生。

以後シンの行方を知る者はいない…。
375通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 17:02:41 ID:???
>>374
シンはアルカディア号と合体した大山トチローみたいになったのね。
376通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 18:38:42 ID:???
>>371-372
本編と違う意味でまともな奴がいないWW
>>373
なんかシュールな光景だ・・・
377通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 20:01:34 ID:???
保守
378通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 20:40:38 ID:???
52
そこに、代表の服を着たカガリが花束を持ってやって来た。
カガリは何も言わずに花を手向け、目を閉じ黙祷をした。
「すまなかった・・」
カガリが目を開き、シンに背を向けながら言う。「え?」「すまなかった。お前の・・君の大切な家族を守れなくて」
カガリが振り向き、そして「すまなかった」深々と頭を下げた。
「な、何だよ一体!」
「前に、君に言われた事、ずっと考えていた。
・・・・・・・分かっているつもりだった。いや、分かっているつもりになって、自分を納得させようとしていただけだった。
犠牲になった者達の、言葉を、叫びを、自分はちゃんと聞いている、受け止めている、だから自分は知っていると」
「・・・・・」
「だが、本当は、止め得なかった悲劇を一緒に嘆く事で、私達が選んだ道を、
私達の目に希望として映る物を、君達に認めさせようとしていただけだったのかもしれない。
いくつかの悲劇は生まれた。だがそれで救われた者も居る、オーブは間違ってはいなかった、お父様は間違っていなかったのだと。
・・・・・勝手だな。本当に私は。
君に否定されて部屋に逃げ込んだ後も、お父様も苦しみ悩んで選んだのにと、そんな事ばかり・・・。
君達の気持ちを知った気になって、それをさらに言い訳にして、私は」
「もういい・・・」「シン・・」
「もういいよ・・・・・・あんたの言いたい事は分かったから、だからもうさっさと顔上げて戻れよ!
アスハを・・・あんた達の事を、やっぱり俺は気に入らない。正しいとも思わない!
だけど、あんた達が正しいって思ったんなら、最後までそうしろよ!地球軍なんかに負けるな!国を守るためだなんて逃げるな!あんた達は、頑固なんだろ?」
「・・・・ああ!私はもう、逃げない!!」「じゃあそうしろ!」シンとカガリはお互いの顔をしっかりと見詰め合い、そして別れた。
379通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 21:05:22 ID:???
53
シンはキラとも別れ、一人街をぶらつく。
自分が居た頃の面影は無く、懐かしさに耽る事も許されないが、人々の笑顔を見ていると自然と落ち着く。
公園に入り見て回っていると
「てい!えい!やっ!」
一人の少年が、自転車に跨ったまま足を着いて、小さな体には大きすぎる木刀を持って振り回している。8,9歳ぐらいだろうか。
しばらく見ていると少年がこちらに気づき、照れくさそうに頭を掻きながら挨拶をしてくれた。

「そうなんだ。じゃあ結構前にオーブに越して来たんだね」「うん」
「所で、そんな大きな木刀なんて持って何してたんだ?何か剣道とかの練習?」シンは軽い調子で聞いてみた。
「ううん、違うよ。あれはねぇ、ザフトをやっつける修行をしてたんだ。」
「・・・・え?」
「僕のパパ、ザフトのMSに殺されちゃったんだ。帰ってきたパパの友達が言ってた。
パパのMS、ザフトのMSにやられちゃったって。」
「・・・・・(ザフトがオーブ軍と戦ったのって・・・)」
「パパは僕達を守るために兵隊になったのに、なのに、何にも悪い事してないのにパパをザフトの人は殺しちゃったんだよ」
「(まさか・・・俺が)」
「だから僕が仇を討つんだ!僕が大きくなったら悪いザフトをやっつけるんだ!
コーディネイターだから悪いんだっていうのは駄目だってママは言うけど、ザフトは別だもん!ザフトはパパを殺したんだから」
「・・・・・」「僕、やっつけられるよね?お兄ちゃん!」「う、うん」
380通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 21:30:49 ID:???
54
少年に招待され、シンは彼の家へ。何度も断ったのだが断りきれなかった。
夕食をご馳走になり、少年はその最中、ずっと父親がどれだけすごい人かという事を自慢そうに話していた。
母親も笑顔でそれを聞き、はいはいwと頷く。

「シン君はどの辺りに住んでるのかしら?」「あ、えと、僕は、今日着いたばっかりで」「あらそう」
おっとりとした優しそうなお母さんだ。
「あれぇ?お兄ちゃん公園で話た時すっごくオーブに詳しくなかったっけ?今日来たばっかりなのにどうして?」
「あ、えっと、昔住んでたんだよ!それで、最近また戻ってくる事になって」
「そうなんだぁ!」

「もう寝たみたいねぇ。シン君も今日は遅いし、お部屋を用意したから休んでいってちょうだいね」「あ、でも」
「大丈夫。軍の方には私が連絡しておきますから。ね?」
「え?・・・・・えと、それは」
「ふふw今日入港したのは戦艦だけですもの。立派な軍人の妻にはそれくらいお見通しよ!」「あ・・・はぃ」
「彼方も軍人さん?お仕事で疲れているでしょう。息子の相手させちゃってごめんなさいね」「あ、いえ」
「あの子ね、パイロットだった夫の事、本当に大好きでねぇ。夫が死んでからも、パパは勇気のある立派な兵隊だったんだって毎日。
夫が子供にそんなに好かれていると、妻の私もついつい嬉しくなっちゃうわねぇ。でもねぇ・・・。
あの子、夫を撃ったザフト軍をやっつけるんだって、夫が死んでから毎日」
「・・・・・・」
「あの子がそういう風に思う気持ちは仕方が無い事だけど、子供が復讐だ、仇だって言ってる姿は、親としてはつらいわね。
・・・ごめんなさいね、シン君にこんな話しちゃって」「俺・・・・・ザフト兵です」「え?」「俺!ザフト兵なんです!!」シンが泣きそうな顔で言う。
381通常の名無しさんの3倍:2006/12/26(火) 09:20:22 ID:???
ザフト連中の壊れ具合と対象的なシリアスっぷりだな・・・・・
382通常の名無しさんの3倍:2006/12/27(水) 12:12:22 ID:???
保守
383通常の名無しさんの3倍:2006/12/28(木) 18:05:13 ID:???
保守
384通常の名無しさんの3倍:2006/12/29(金) 04:21:58 ID:???
55
「そうだったの・・・ほら、泣かないの。ね?」
シンは事情を話し、その途中で泣き出してしまっていた。
すすり泣くシンを、母親はやさしく諭す。
「おで・・・ごめ・・・・ごめな・・っく」「・・・・・・大丈夫。あなたは悪くないもの、ね。シン君」

シンは翌日少年と母親に礼を言って家を出た。
シンはやつれた顔で、少年には何も言えないまま出てきた事を後悔しながら、軍施設の方へと向かって行った。
自分が今までしてきた事が思い返される。
敵だと撃った者、守るためと奪った物、それしか無いと逃げた自分。
自分は家族を失った事を盾に、被害者面をしていただけだったのか。

自分の非力さに泣いた事のある者なら誰でも思うさ・・ だが忘れるな
    力を手にしたその時から、今度は自分が誰かを泣かす者になるという事を
        君は本当はオーブが・・    敵って、誰だよ?w
「・・・・・・・」
ステラはもう大丈夫だ。俺なんかよりずっと強い人達が守ってくれている。
そう・・・・・・じゃあ、俺は、もういらないじゃないか。
俺の力は誰かの大切な人を奪う事しかできない。誰も守れない。
「がっ!」
シンの体に激痛が走り、シンは倒れそうになって、なんとか踏み留まった。「それに俺は・・・・・」
385通常の名無しさんの3倍:2006/12/29(金) 04:37:21 ID:???
56
椅子に胡坐をかいてミリアリアが煎餅をバリボリ食べていた。「ちょっとー、ディアッカお茶ー」
自分しか居ない部屋に虚しく響く。
「・・・・・そうだった。居ないんだっけ」
当時ミリアリアはディアッカに戦場カメラマンになる事を猛反対されて、つい剥きになって勢いで振ってしまったのだ。
彼の心配する気持ちは分かっていた。けど、それでもやりたい事だったのだ。
結局今は・・・。
自分でお茶を煎れて、おならをしながら椅子によっこらしょと座る。そしてお茶を飲み始めたその時

「テレビの前の良い子のみんな。元気ー?元気ー!(自分で返答)私はアスラン・ザラだ。」

ブーーーーーーーッ!!!!!!
突如付けっぱなしのモニターに、笑顔で手を振り振りするアスランが映って来た。
「なっ!何なのよ!」
それは全世界に向けて発せられた、ザフトからの映像データだった。
至る所にそれは流され、皆がそれに見入る。
「アスラン!?」「まあっ!」
キラとラクスも大驚き。
プラントの方では、イザークが昼食を派手に噴出し、ディアッカの顔を汚していた。
「・・・・・・はあ?」丁度着いたシンも、小さいモニターを見ている。
386通常の名無しさんの3倍:2006/12/29(金) 15:20:44 ID:???
キラ「そんな」
ラクスに撃たれるキラ。そのまま心臓と頭に数十発撃ちこまれる。
・・・夢ではない。現実だ。そう思いながらキラは倒れた。
387通常の名無しさんの3倍:2006/12/31(日) 08:58:30 ID:???
保守
388762 ◆9AUE2RuSV. :2007/01/02(火) 06:16:17 ID:???
謹賀新年保守
389通常の名無しさんの3倍:2007/01/03(水) 07:14:10 ID:???
☆ホスィ
390通常の名無しさんの3倍:2007/01/03(水) 12:02:16 ID:???
57
アスラン・ザラ?ザラ?あの?
人々はモニターの笑顔の男を凝視している。突然音声が切れた。

「ちょっと、止めて下さい!アスラン・ザラ!」「何をする!俺が今から。離せ!」
「議長が話すんです!彼方はまだ」
「君、自分の立場という物が分かっているのか?俺はアスラン・ザラだぞ。分かっているのか?あ、議長」
議長が慌て撮影現場にやって来た。
「ア、アスラン。まだ時間では」
「議長。今この兵が私に逆らいました。死刑にしましょう。」アスランを止めようとした兵がえぇっ!?という顔で驚いた。
そして議長に目を遣り、
何とかしてくださいといった顔で訴えかける。議長は非情に疲れた顔に手を遣って言う。
「分かった。その件は後で私が考えておく。だから今は・・・
ああ、放送はもう始まっているのだったね。音声は切れているようだが・・・」
「はい!」
「ではこのまま世界に」「では私が」
「いや、ここはまず私が話し始めよう。
いきなり君がアスラン・ザラと名乗ったのでは、地球の人々は混乱してしまう。それに君には大事な所で話してほしい」
「なるほど。私という存在は大事な所で必要な逸材という事ですね?」
「あ、ああ。そういう事だよ」議長はアスランを味方にした事を後悔していた。
391通常の名無しさんの3倍:2007/01/03(水) 12:17:53 ID:???
58
「ああ、始まったな。情報通りだ」
「すでに我らロゴスメンバーの退路は各々取れている、心配あるまい。
それにこちらにもカードは有るのだろう?」
「ええ。それにしてもデュランダルめ。
スパイが情報を流していたとも知らずに始めるとは、実にめでたい事よ」

「ザフト最高評議会議長ギルバートデュランダルです。
依然として連合との戦争状態が解決してない中、地球の皆さんにこのようなメッセージをお送りする事を〜

議長の演説が始まった。
それは先日、連合が行ったデストロイによる大規模な軍事侵攻、虐殺を公表する物であった。
さまざまな悲劇の映像が流され、人々に訴えかえられる。
議長の言葉は人々の心を捕え、皆モニターに釘付けになるのであった。

「・・・・・・」
自分が乗っていたデストロイの虐殺映像を、シンは無言で見つめていた。
人々の嘆きから目を背ける事も無く、まるでからっぽの器のように、ただ涙と悲鳴を見つめるのであった。
392名無しK:2007/01/04(木) 00:36:14 ID:???
(明けましておめでとうございます)
(予告踏み倒してしまいましたが投下させていただきます)
(連ザ2PLUS万歳)
393Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:39:10 ID:???

0.


オーブ首長国、アカツキ島。
その名の由来と言われる色鮮やかな朝焼けが海の向こうを染め上げるまで、まだ幾ばくかの時間がある。

薄暗く、闇に青白く映える砂浜に一人で立ち、その女は空を見上げていた。
夜空を星が流れている。流星というより、それは彗星のように見えた。瞼を閉じても見失わないほどの、長く尾を引く緩やかな光。
空の端から現れては、反対側の水平線へと空を横切って去っていく。視野を広く取れば、それは流星雨と言って良いほどの数だった。

見る者の胸を打つに足る、美しい光景であったかもしれない。
しかし星を見つめる女の瞳は、まるで痛ましいものに触れるかのようだった。

不意に強い風が吹きつけ、女の長い髪を千々に乱した。
舞い上がった冷たい砂が衣服と肌を叩く。運ばれてきた海水の飛沫を受けた頬を拭う手の平に、雨粒が落ちた。空に薄い雲が立ち込め、
流星の光を遮りはじめている。

風が強くなり、雨も急速にその密度を増していった。海が荒れ、加減を知らない波の音で自分の声も聞こえなくなる。
汚れて重く垂れ下がった髪と衣服を抱え、それでも女はそこに留まっていた。
横殴りの雨に耐えながら、星の見えなくなった空を見つめ続ける。
祈りを込めるように。流れ星は関係なく、ただ夜空を、あるいはそこにいる誰かのことを想うように。
傷口を撫でるのにも似た仕草で、女の手が空へと伸びた。雲の向こうでは、おそらく爪痕にも似た光の尾が、まだ夜空に引かれている。

海から吹いていた雨風が、にわかに止む気配を見せた。風の流れが急激に変わり、遙か彼方で雷鳴に似た、しかしもっと現実味の薄い
音が轟く。土砂崩れを連想させる硬質の音。硬く巨大なものがぼろぼろとこぼれ落ちる音。それが一瞬だけ砂浜まで届き、そしてその数瞬
後に、水平線の方で雲が渦を巻いた。
その下で、列柱のように、いくつもの水柱が立ったのが見えた。天まで届きそうなほど高い、細い水柱。
遠すぎて、そして速すぎて何が起きたのかは見えなかったが、それを理解することはできた。流れ星が海へ落ちたのだ。直前で、あの水柱
と同じ数だけの欠片へと砕かれて。

女は再び、天を仰いだ。未だに渦巻く雲の穴から、夜空が垣間見える。
波の音が静まっていた。かわりに、足元の砂を伝って吸い込まれそうな不吉な感覚が生じている。
空へと据えられる女の眼差しは、そこに何者の姿をも見出すことができなかった。

女は視線を空へと残しながら身を翻すと、冷たく湿った砂に足を取られながら、浜辺を駆け上がった。防波堤を登り切り、足元を見下ろすと
目の前に影が生まれている。濡れた砂浜が夜明けの日差しを受けて、赤く彩られていた。
女は直視することのかなわない、そして昨日と一切が変わらずに昇る朝日を一度だけ振り向いた。
込み上げる感情を抑えきれなくなり、なりふり構わず、誰かの名前を呼ぶ。
喉が潰れるほどの大きな声だったが、響き渡ることはなく、それは虚しく海へと消えていくだけだった。
朝焼けの美しい輝きの中、消えた水柱のかわりに生まれたおぞましいほどに巨大なうねりが、視界一杯に満ちる海を真っ赤に波打たせて
いる。

394Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:40:23 ID:???

1.


血の色に染まった暗い視界。骨の髄まで響く強烈な振動。
大波か大地震の中にたった一人で取り残されたような不安感、あるいは何かの弾みで母か妹に暴言を吐いてしまった時、温厚な父親が
見せた怒りの形相にすくみ上がった記憶にも似ている気がする。
焼かれて揺られて落ちる。生理的にごく単純で、そしてこの上なく深刻なストレスの中で、シン・アスカは未だに戦いを続けていた。

「シン、もういいわ、戻りなさい! ブラストインパルスのケルベロスといえども、この落下速度と大気摩擦の中では既に破壊力は望めない
わ! 早くミネルバの中へ戻りなさい!」

照準を定めるのも億劫になるほどの熱と振動の中、艦長であるグラディスの切迫した声が耳を打つ。目が少し覚めるのが有り難い。
シンは曖昧に頷き、だが撤退命令には従わずに銃爪を引いた。艦長の言う通り、インパルスの装備の中では最強の破壊力を持つこの
ビーム砲も、既に標的であるユニウスセブンの破片を一撃で粉砕するには至らない。効果は半減どころか、数分の一にまで減じている。
やはり大気の防御力とは凄いものだと感心する一方で、再び狙いを定めた。一撃で足りないなら、砕けるまで何発でも撃てばいいだけ
の話だ。

「シン、聞こえているの? 命令に従いなさい! このままではフェイズシフト装甲の限界を超えて機体が燃え尽きるわよ!」

強度と耐熱性に優れたフェイズシフト装甲がこのインパルスを守ってくれているのは幸いだった。おかげで、大気を盾にする落下物と
未だにこうして我慢比べができている。
加えて、デュートリオン・ビーム・ドライブが主な動力であることも大きい。ミネルバの心臓たる大出力の動力炉からエネルギーの供給を
受けている以上、その甲板の上に立って砲撃を続ける限り、防御面でも攻撃面でも、エネルギー切れを気にする必要はないのだ。

「命令に従うんだ、シン! 我々はやるだけのことはやった! 僚艦もモビルスーツ部隊も、最後の一機まで、限界高度まで破片の撃破を
続けた! だから君も、もういい! 戻って来るんだ!」

この声は副長のアーサーだろうか。誰が叫んでいるのかもよく分からないくらいだから、本当に限界らしい。もし自分がコーディネーター
だったら、もう少しくらいは平気でいられるのだろうか。例えばレイや、イザーク・ジュールや、名も知らないあの狙撃手や、昔ザフトにいた
らしい、ジンに乗っていたあのテロリストならば。しかし、今この機体に乗っているのは自分だ。

「すみません、艦長……副長。続けさせてください、もう少し……だけ……」

崩れたユニウスセブンの破片。大気圏の、想像を遙かに超えた凄まじい気流に流され、その多くは既に手の届かないところへと落ちて
行ってしまった。
総力でそれを全て撃破しようとしたのは本当だ。他のザフトの宇宙戦艦は追い切れなくなるまで作戦を継続したし、唯一大気圏突入能力
を有していたミネルバは、単独で地球に降下しながら攻撃を続けるという無茶をやってのけた。モビルスーツ部隊も、ぎりぎりまで粘った。

そこまでやっても、結局全てを防ぐことはできなかった。撃ち漏らした破片の中には、地上に落ちれば一つで街を潰してしまうほど大きい
ものもいくつもあったはずだ。犠牲が出ることは絶対に避けられない。その人々の断末魔を思うと、脳裏に深く刻み込まれたあの日の光景
が赤く鮮明に甦ってくる。
だが、だからこそ、限界を悟って艦内へ逃げ込もうとした矢先に自分の前に落ちてきたそれに、背を向けることができなかった。
395Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:41:27 ID:???

「……こいつを砕けば、それだけ多くの人が助かる……だから、せめて、これだけでも……」

定まっていない照星の間で、先刻から砲撃を浴びせていた落下物が揺れている。ある程度は質量を削り取ったはずだが、それでも望遠
せずとも視認できるほどの大きさがある。
既に射程内から遠ざかり始めており、その角度からOSに計算させたところでは、見過ごせば大陸の沿岸部、港湾都市の付近へ落下する
軌道にあった。
まだ砕ける様子はない。だが、もう少しでどうにかできそうな感触がある。そして機体も自分も、もってあと一撃で限界だと自覚があった。
シンは腹を決めると、フル稼動を続けている冷却装置を更に酷使し、2門のケルベロスに負荷を無視した最大出力を設定した。この状況で
放てば砲身がブラストシルエットごと分解する恐れがあるが、そのくらいの威力でなければ足りないかもしれない。
照星が、狙いが定まった事を示す明るい緑色に変わった。直後に来る反動を意識し、集中力を振り絞る。

「一人でも、二人でも……多くの人を」

銃爪を引き絞った瞬間、機体ごと体を強く叩かれた感覚があった。経験はないが、バイクや自動車に跳ね飛ばされたりしたら、こんな感じ
なのだろうか。
落ちていく。あるいは浮き上がる。どちらにせよ、浮遊感には違いない。無数のアラート表示が、今まで黙殺していた以上の数でモニターを
埋め尽くしていた。文字が読み取れないので機体の状態はよく分からないが、どうやら衝撃でミネルバの上から放り出されたらしい。
通信機から叫ぶような声が聞こえるが、それよりあの落下物がどうなったかをシンは気にした。インパルスの目が、視界の隅に崩れて大気
の炎に呑み込まれる岩塊や鉄塊の残滓を捉える。

やった、と満足して、シンはようやく意識を手放そうとした。その瞬間、赤熱する大気に投げ出されたインパルスの腕が、何かに握み取られる。
そちらを見たのは、多分インパルスが半ば自動的にそうしたのだろう。インパルスを捕まえているのは、強引に開放されたミネルバのカタパルト
デッキから身を乗り出し、そして真っ直ぐに腕を伸ばしている一機のG型のモビルスーツだった。

……G型。5年前の大戦時に連合が開発した5機のオリジナルを起源とし、その機体構想はザフトやオーブにおいても着目され、最新鋭の
インパルスへと至る系譜を形作る最強のモビルスーツの代名詞。
今モニターに映り、インパルスを見つめているそのG型は、中でも史上最も広くその存在を知られている機体だった。
いつからか、その名はパイロットと同じく二つ名で呼ばれるようになった。オーブの姫騎士、ストライク・ルージュ。

「……アスハ……」

思えば、インパルス一機になるまでミネルバの外に残って共に砲撃を続けてくれたのは、この機体だった。インパルスと同様フェイズシフト
装甲に守られているとはいえ、それを操っている彼女自身もシンと同じくナチュラルであるというのに。
腕を引かれて艦内に引き込まれる時、心なしかルージュの装甲が赤い大気摩擦の中で金色に光ったように見えた。

自分から家族を奪った人物の娘。たとえ筋違いであっても容易に消せはしない恨み。相手に対するそんなわだかまりが浮かぶほどの余裕
がなかったせいかもしれない。意外なほどに素直な安堵の中で、極度の疲労と緊張から引き揚げられたシンの感覚は途絶えた。

396Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:43:30 ID:???

2.


「奇跡と言うべきなのでしょうかな」

光沢のあるブラウンの材質で鋳造された、巨大な環の形をした円卓。その中心に浮かんだ地球のホログラフを前に、飾り気のない上品な
スーツに身を包んだ初老の黒人の男性が見解を示した。
哲学者のような彫りの深い表情の下から隠しきれない疲労が滲んでいるが、それでもその語気は穏やかではある。

「直径8キロに及ぶ巨大構造物であるユニウスセブンの地表落下。当初に予測された被害規模の最大値は、世界の終わり。どれほど楽観
的な見方をしたところで、人類未曾有の大破壊だった。……しかし、我々は今も、こうして生き残っている」
「そうですな。あれから3日、誰も欠けることなく再び生きてこのテーブルを囲むことができたのは僥倖に違いないでしょう。少なくとも、この日
この席に顔を出している場合ではない、という程に進退窮まった国は出ずに済んだ様子でありますから」

続けて首肯したのは、日焼けした肌が健康的な体格の良い白人の男である。その隣に座る、鮮烈な色調のネクタイを締め薄いターバンを
巻いた男も、その一つ向こうの席の、蔓で編んだデザインの髪留めをした妙齢の女性も、重々しさの差はあれど同意を見せた。
円卓を囲む顔ぶれは、いずれも世界を構成する各国の命運をその肩に乗せた代表者達ばかりである。
だが、他の面々に比べて我の強そうな赤銅色の肌の男が、これに反駁した。

「不謹慎な事を仰らないでいただきたい。確かに代表たる我々が生きてここへ集えたことは幸運であったかもしれない。しかしその分の不幸
をその身に負わされてしまった者がどれほど居るとお思いですか。我が南アメリカ合衆国だけでも、現在判明している死者数は5000人を
悠に越える。それに、沿岸地帯に生じた低規模の津波はまだしも、本土の森林地帯の被った被害は深刻だ。あの雄大で豊かな森林の、
実に10%が焼け野原と化しているのですよ」
「我が赤道連合も然りです。直撃こそ免れたが、津波による被災地域は国土の3割近くにまで及んでいます。漁港も工業港も根こそぎ水没
し、物流は滞ったまま。いつ各地で略奪行為や暴動が起こるか知れたものではない」

男装のスーツに濡羽色の髪が印象的な女性が、理不尽に耐えかねているという強い語気で同意するのに続き、同様の不満や怒りを祖国
から抱いてきた代表達が口々に主張する。中には円卓を拳で打ち据え、激して声を張り上げる者もいた。

「皆さん、どうか静粛に」

この国際会議を主催する大西洋連邦の大統領は一同をなだめたが、彼らの中に飛び火し広がっているかもしれない強い感情を抑えること
は無理であると悟っていた。それがいかなる規模の損害であれ、天災によって生じた被害であればまだ諦めもつくだろう。残った者は死者を
悼み、無事を喜び、損失を惜しみつつも再興を始めようとするものだ。しかし、今回はそうではない。紛れのない人災、恐ろしいテロ行為の
結果である。沸き上がる怒りには矛先が存在する。

「それというのも、全てはプラントの所為だ」

南アメリカ合衆国の代表が、とうとうその言葉を口にした。ある種のモラルと、ユニウスセブン落下について判明している情報から察し、誰もが
敢えて直接触れることを避けていた話題である。
397Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:44:50 ID:???

「ユニウスセブンは元々プラントの持ち物だ。少なくとも、連中はそう主張していたはずだ。それが軌道を逸れて落下しているので地上にいる
皆さんは安全な場所へ避難してくださいだと? なんという厚顔無恥だ。連中の不始末のせいで、地球はこの有様だ!」
「それは失言ですぞ。ユニウスセブンはプラントから通達のあった時点で正体不明のテロリストに強奪され、政府の手からは離れていたと」
「それが不始末でなくて何なのですか。宇宙空間は実質、プラントが取り仕切る領海も同然でしょう。自国の海に浮かんでいる物に対して責任
を果たせず、奪われたのは不可抗力でありましたと愚にもつかない言い訳をする。何のためにザフトの戦力を保有しているのでしょうな、彼ら
は!」

誰かに口火を切られれば、胸の内で煮えていたものは堰を切ってあふれ出す。赤道連合代表がきつい眼差しで嗤った。

「同意します。ユニウス条約によって軍備を許されていながらテロリストの横行を許すとは、なんと無様なことでしょうか。聞けば折角組織した
対テロ用の部隊も、何か問題でも起きたのか、戦力不十分なまま到着したという話ではないですか。更に我が国の人工衛星が落下直前の
ユニウスセブンの様子を捉えた映像には、件のテロリストの機影も記録されていました。これが驚いたことに……」

ご参照ください、と各々の卓上に提示されたのは、落下の衝撃に煽られたためか画像の鮮明度はやや低いが、ひび割れた大地の上で戦闘
を行っている2機のモビルスーツの姿だった。それを目にした代表達が沈黙し、再びざわめきが生じる。
現行型と旧型という違いはあるが、双方が共にプラントが開発したザフトの機体なのだ。

「ほう、ザフトが戦った相手もまたザフトのモビルスーツとはこれいかに! つまりこれはプラントが軍を動かして行った壮大な自作自演とも取れ
ますな! あるいはザフトを脱走した者が、まだ地球憎しという妄執に囚われ引き起こした事件であると!」
「それは早計ではないでしょうか。確かにこれはザフトの使用しているモビルスーツ、ジンのように見えます。しかしこの機種は5年前の大戦時
にも多数が投入され、様々な場所へ流れて行った量産主力機でもあります。一概にザフトの関係者によるものとは判断できないのではない
でしょうか。または、テロリストがザフトに罪を被せようという意図である可能性もあります」
「これはまた、随分ザフトを擁護しますな。貴国は戦時中よりザフトの地上基地を擁していたおかげでシェルターも充実し、国民の命を失わず
に済んだものだから恩を感じているのですかな?」
「それもあります。しかし貴国においても、宇宙のプラントから地上へわざわざ降りてきて、あるいは地上の駐留基地から各地へと被災地支援
の為に赴いているザフトの恩恵を受けているのではないですか? それに、落下阻止作戦の折、ザフトの兵士達も命を賭してユニウスを砕こう
と尽力してくれたのですよ。結果、散っていった命もある」
「それがどうしたのです。我が国ではその程度の兵士の犠牲とは比べ物にならぬほど多くの人命が失われている。失態の尻拭いのために彼ら
がいくら奔走しようと、その命で償おうと、何の感慨も湧きませんな。なにしろ連中は……」

「静粛にお願いします」

プラント擁護派と反プラント派に真っ二つに分かれ紛糾を始めた議場に、諦め交じりではあるが決然とした大統領の声が響く。

「ユニウスセブン落下事件の犯人と背後については現在プラント政府も総力を挙げて調査中であるとのことです。被害の範囲もさることながら
経緯自体が未曾有のものではありましたが、ユニウス条約締結に伴い削減された戦力を割いて各地へ救援の為に派兵を継続しているプラント
政府を、今は信頼すべきではないでしょうか。何よりもまず重視すべきことは被災した方々の救済であり、その為の支援物資もまたプラントから
も出来る限り提供させていただくとのギルバート・デュランダル最高評議会議長からの文書も届けられており……!」

398Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:45:51 ID:???

3.


数時間後。護衛を伴って会議場となった建物から外へ出た大西洋連邦大統領は、専用車の後部座席に乗り込むなりネクタイを緩め、シートに
深く体を沈めた。
文字通り世界を揺るがす大事件であったユニウスセブンの落下から既に3日目、どの国の政府関係者にも言えることであるが、多忙は極まり
まともな睡眠など望むべくもない。彼の場合、特に神経の疲労は頂点に達していた。
最盛期であった大戦時に比べ版図も国力も低下してはいるとはいえ、地球連合の中核を担った大国の指導者という立場である。反プラント意識
の根強い国々と親プラントの姿勢を取る国々との仲裁を始めとし、混乱の極みにある地上の情勢の回復の為に再び彼が果たさねばならない役割
と責任はこの上なく大きく、そして重い。

まだしも救いなのは、この事件に対しプラント側が、少なくとも支援という面において真摯な姿勢を見せていることだ。行政の見地からすれば驚く
ほど迅速な対応ぶりである。物資も人員も惜しみなく届けられているというのは誇張ではない。
これが世界中の人々にどのように受け取られるかを、想像してみる。
事実上地球上に住む人類と、プラントに住むコーディネーターとの全面戦争となった5年前の戦乱。その最終決戦地となった宇宙要塞の名から
ヤキン・ドゥーエ戦役という呼称が定着しつつあるあの戦いの時にも、地上が受けた被害は深刻だった。
その苦しみからプラントを今も敵視している国は少なくない。が、その一方で、プラントを打倒する為という名目で暴走を始めていた当時の連合に
圧迫された経緯を持つ国は、逆に共存関係にあったプラントに対し悪印象を持っていないという傾向もある。

そして、それはそのまま今回の被災にもある程度反映された感があった。無論、どこが受けた被害も被害に違いないが、それでもユニウスセブン
の落下に対するより正確な情報、危機管理、更には支援の受け容れ態勢などの差が現れているのが確かだ。これが更にプラントに対する各国
の姿勢を補強する可能性はある。
この状況から人々が立ち直ったとき、あるいは立ち直る過程で、今一度世界がプラント、即ちコーディネーターを巡って白と黒、相容れない色同士
へと明確に分かたれてしまったとしたら。

そこから連想される未来に、彼は憂いを禁じ得なかった。それだけは何としても避けなければならないと思う。
その為にも一刻も早く手元に置きたい材料の一つが、今回の事件を引き起こした犯人についての情報だ。その内容如何によって、プラントが敵か
否か、世界各国の見解がまた変わってくるだろう。できるならば、信憑性が高く好意的な解釈のできる内容であって欲しいが、果たして……。

その時鳴り響いた車内の電話に、大統領は思考を中断した。伸ばせば手の届くところにある受話器を取り、耳許へと近づける。

「私だ」
『お疲れのご様子ですな、ジョゼフ・コープランド大統領閣下』

聞こえてきた自分よりも若い男の声に、彼は冷たいものを肌に当てられたかのように瞠目した。その声を、彼はよく知っている。戦後、大統領の任
に就いて以来の付き合いだ。そして、そろそろ直接話を持って来る頃だと思っていた。

『会議の様子は、陰から拝聴していましたよ。事の大きさから考えれば、要人達の語らいの場にあるまじき混乱の釜と化してもおかしくはなかった
筈だが、巧く場を収めてみせた手並みは流石だと言っておきます。排コーディネーター思想、反プラント思想の最も浸透していた大西洋連邦を、
戦後中立へ近づけた穏健なるコープランド。疲れ切った世界を復興させた立役者は未だ健在ですな』
「……しかしその裏には、常に君の財力があったな。一体どこから涌いてくるのか分からない、莫大な金と力。有事の際に決まって私の前に現れる
君に歓喜する一方で、その度に君に頼らざるを得なくなっていく状況に恐ろしさも感じているよ。ミスター・ロゴス」

399Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:46:53 ID:???

受話器を握るコープランドの手は汗ばんでいる。しかしその向こうの声には、逆に楽しむような響きさえあった。

『恐ろしいのは状況よりも、状況を作った人間です。全く、背筋が凍る話ではないですか。あなたも恐怖を感じているのでしょう? 彼らに。我々の
頭の上に浮かべた巨大な島を、この地上に叩き落とし、そして同時にそれを短時間で粉砕してしまった者達。おそらくは、天災ですらも排除可能な
アクシデントに過ぎないのでしょうな。彼ら……コーディネーターにとっては』

コープランドは目を閉じた。それは真実を突いていたが、この男、彼はロゴスと呼んでいる相手の言葉はあまり真に受けるべきではない。穏健派の
態勢を、プラントとの対立を緩和するという姿勢を明確に取り始めてから、ロゴスは時折、こうしてプラントの脅威を吹き込むような物言いをしてくる
ことがあった。
それに何の意味があるのかを幾度となく考えたが、今では脈絡に応じて聞き流すことにしている。向こうもそれを承知しているようで、それ以上特に
言及してくる様子はない。

「その意味においても、君の恐ろしさは同様だよ。そして感謝している。何しろ、私の家族の住むエリアを守ってくれたのだからね。高速で落下する
数十立方メートル規模の破片を、自らの意のままに選択して粉砕してみせた。現在の我が大西洋連邦の保有する兵器では、これは難しい芸当だ。
一体、どんな砲と狙撃管制システムを持っているのか、私も軍に対する責任を負う者として非常に興味があるのだがね」

コープランドは、ちょうど今朝方に知った情報から推測した事柄をおもねるように尋ねた。恐らくは軍事衛星や観測機の全ての情報を掌握する人間
でなければ、そう簡単には気付きにくい事実だ。大西洋連邦に属するある半島を中心に、驚くほど広い範囲内で相当数の破片が落下中に消失した。
構造体の耐久性の関係で摩擦熱で燃え尽きたと考える関係者が多いが、それは誤りである。察知した者に対しては、箝口令を敷いている。

『大統領閣下、あなたの事は僭越ながら友人であると思わせていただいている。御身内の安全を守るのは当然の事だが、あれは私にとっても大事
な物でありましてね。その上、まだまだ未完成の状態なのです。申し訳ないが、来るべき時が来るまではあなたにも秘密にさせていただきます』

それこそ戦慄すべきことだった。家族を守ってくれたということは、そのまま家族の命を握っているということでもある。そして彼はおそらく、その気に
なればこの大西洋連邦の首脳部、それに次ぐ重要な施設をも自在に攻撃することができる。例えば今自分の乗っているこの車や、各国代表が一堂
に会したあの会議場もその対象に含まれる。破片落着による被害を、この国の国力に大きな影響を与えない程度に抑えるように空中で調整したと
しか思えないほどの精確な破壊ができるというのは、そういうことだった。

ただし、彼が気紛れで行動に出ることがないのはコープランドも熟知している。初めて存在を認識したその時既に、消耗した世界を相手取れる程の
力を有していながら、表舞台には決して立つことなく、裏方として世界を整えることに手を貸してくれた。
敵に回さない限り、そして利用価値がなくならない限りは、おそらく彼は危険な存在になることはない。無論、彼を味方であると信じて疑わず、彼の
してくる申し出以上の期待を寄せることは、同じくらいに危険なことだが。

『ああところで、砲と狙撃管制システムと言えば、あれと同じことをしてくれた者がもう一人いたようですよ。この地球に』

何気なく男の言った台詞に、コープランドは思わず受話器を見下ろした。その話には心当たりがある。

「……オーブかね」

プラントへの訪問中に事件に関わった経緯で帰国の間に合わなかった代表首長に代わり、今回の会議へ代理を立ててきたオーブ首長国。
太平洋上の群島であるにも関わらず、さして条件の変わらないはずの赤道連合などと比べ、津波による被害は明らかに少なかった。そこに、彼が
打った手と同様の、何らかの作為的なものを感じていたのだ。
400Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:47:51 ID:???

『さすがは閣下。ご明察です。その事について、一つお願いがありましてね』

受話器の向こうで、身を乗り出すような気配があった。真っ黒な毛並みの猫、あるいはそのような色の肉食獣が赤い口の中を覗かせた様子を、
コープランドは連想した。

『救援物資輸送の名目で、オーブ領海付近を通過中の例の連合艦隊の進路を再度修正していただきたいのです。海路の道中、海に落ちた鳥を
一羽、回収したい』
「それかね、要件は。……何者なのだね、その鳥とやらは」
『拾い上げてみなければ断定はできませんな。ただ、目星はついています。同じように目星をつけた別の誰かによって撃たれて落ちた、健気な鳥。
そして身の程を知った身の程知らず、といったところでしょうか』

まともに答えるつもりはないらしい。コープランドは嘆息した。回収してどうするのかと問いただしたいところだが、それもはぐらかされるだろう。

「まぁいい。あの艦隊は昨日、事前に君が寄越したメッセージに従い航路を設定し直していたな。宇宙帰りの出迎えといい今回の捜し物といい、任務
中に思わぬ用事を押しつけられるとは、彼らも不幸なことだ」
『なに、捜し物そのものはその宇宙帰り達にやってもらいますよ。丁度良い手駒があるのでね。あなたの軍には、オーブの領海の外で、ちょっとした
道草の待ちぼうけをする以外、軍人としての命令を外れたことは何もしてもらう必要は無い』
「君の手駒か。建前とはいえ、仮にも大西洋連邦軍の名を語っているのだ。できれば、あまり大っぴらに事を運ぶようなことは控えて欲しいのだがね」
『ご心配なく。軍を間借りしている以上、そちらにご迷惑は掛けませんよ。動いたところで、誰にも気付かせずに事を運ぶ。そう、時にはあなたにさえも」
「……脅かさないでくれたまえ。それが彼らが “見えざる痛み” たる所以かね」
『そうありたいものです。ご心配なく、私は友人に痛みを与えるほど不躾ではありません。悪いようにはしない……今まで通りに。無論、然るべき助力
はさせていただいた上で。あなたと世界にとって今最も重要なことは、再び人々を救うこと。そのための助力をね』
「頼らせて貰うよ、今度も。君の言う通り、今は終戦直後に比較できるほどの切迫した状況なのだ。オーブのように、他国を救済する余力を残した国
は貴重で、復興後の世界の在り方にも深く関わる」
『その世界の在り方の青写真は、既にあなたの中で出来ているのですかな? 大統領閣下』
「いつの時代の、どの国の指導者でも考えるような、ありきたりで芸のない予想図さ。戦争はなく、侵略はなく、しかしできれば他の国より優位に。
国民は健全な運営のために飢えさせず、されど進歩のために満たさず。だがね……」

ジョゼフ・コープランドは車内の天井を見上げた。その向こうには今は各地の惨状も知らず、これまでと同じ晴天が広がっている。
もしもユニウスセブンが砕けずに地上に落ちていたなら、見ることはできなかったかもしれない青い空だ。

「この立場ではなく一人の人間としての理想を言わせてもらえば、願うのはただ一国の利権ではない。地球の周りまでも含めた、世界全体の平和だよ」


401Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:49:45 ID:???

4.


「ハァイ、シン。調子はどう?」

遠慮のない足音と共に、静閑とした医務室に若い女の声が飛び込んできた。浅い眠りとぼんやりした目覚めとの間を行き来していたシンは、
包帯の巻かれた手で目を擦りながらベッドの上で身動きする。

「ああ、ルナ……それにヨウランもか」

「目を覚ましてるって聞いたから、お見舞いに来て上げたわ。感謝しなさいよ。ま、待機待機っていつまでもじっとしてるのも退屈だしね」

いつもの赤の軍服姿で、見た目には負傷も疲労も感じさせない様子のルナマリアがベッドの側へと寄ってきた。その後ろから、気の毒そうに苦笑
するツナギ姿のヨウランも続く。こちらは、しばらく忙しさが続いているような疲れが残る風体だった。

「あぁ、無理して起きなくていいぜ。でも怪我の具合はもう悪くないみたいだな」

気遣ってくれるヨウランに、シンは軽く頷く。額や両腕、患者衣の下にも胸や足に包帯が巻いてあるが、下には酷い創傷とか、そういったものは
ない。特に痛みが酷いという部位があるわけでもない。ただ、全身がうっすらとヒリヒリ痛むというだけだ。

「……打ち身と低温火傷に効く膏薬のシールを貼ってるだけだから、少し寝てれば包帯はすぐ取れるらしい……さっき、先生が言ってた」

軽くあくびをすると、眠気は概ね覚めた。時計を見ると、軍医にとりあえず症状の説明だけを受けて、また眠ってから数時間ほどが経っている。
ルナマリアはベッドの側の椅子にさっさと確保し、ヨウランは立ったままでシンの様子を詳しく見て、口を開いた。

「しかしまぁ、よくその程度で済んだもんだよ。あれだけの無茶をしといてな。退避命令を無視して砲撃を続行、結果として地上に落ちるはずの
構造体の破片を一つ多く撃破。かわりにブラストシルエットは跡形もなく吹っ飛んで、チェストとレッグは熱損耗で電装系と駆動系がほぼ壊滅だ。
コクピットの温度が一体何度だったか、お前覚えてるか?」

言われて、あの時の状況と感覚を思い浮かべる。半分熱に浮かされているような状態だったから記憶が鮮明とは言えないが、思い出すと背筋に
不快なものが走った。少なくとも、二度と経験したくないような思いをしたのは確かだ。

「英雄的な行為だったし名誉の負傷と言えなくもないがな。本当によく生きてたよ。ヴィーノも心配してたぜ」
「そうよー。アスハ代表が助けてくれなかったら、あんた今頃あの破片と一緒に燃え尽きてたところだったんだから」

ルナマリアの補足で、シンはその時の一部始終を思い出した。最後の砲撃の直後に、艦の上から放り出されたインパルスの腕をつかんで艦内に
引っ張り込んでくれたストライク・ルージュの姿。
シンはまるで自分自身の身に起こった事のように、包帯の上から腕を撫でた。

「ああ……よく覚えてる」
「後できちんとお礼を言っとくのよ。命の恩人なんだから」

ルナマリアが強調した。そちらを見ると、よく分からないが、誇らしげに胸を張っている。

「私にとってもね」
402Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:51:06 ID:???
「実はルナも、アスハ代表のストライク・ルージュに助けてもらったらしいんだ。落ち着いた後で礼も兼ねて代表と話したら、すっかりファンになっち
まったようでな。もうカガリ様とか呼びそうな勢いだ」
「凄かったんだから! ナチュラルなのに!」

歌手グループの追っかけのような勢いで、軽く目を輝かせて喋り始めようとするルナマリアだったが、シンはそれは脇に置いてヨウランに尋ねた。
撫でていた腕に、少し力がこもる。口調が感情的になるのではないかと自分で思ったが、特にそういうことはなかった。

「……アスハ代表が、まだミネルバにいるのか?」
「ああ。そうだな、一から状況を説明しといてやろう」

ヨウランは起きて間もないであろうシンに、現在判明している事実や決定された事などから一つ一つ解説した。

まず、ユニウスセブン落下後、地上に出た被害の大体の規模。それが当初の予測よりは遙かに軽く、結果としてザフトが展開したユニウスセブン
解体作戦は一応の成功を見たと判断された事。
次に、世界各地の被災地に対し、プラントは直ちにザフトを中心として支援活動に乗り出したこと。
地上に降りたミネルバは太平洋に着水し、戦闘や降下によって受けた損傷を修理しながら海上を航行していること。
降下の前に被弾し、他のザフト艦に収容されたレイは現在も宇宙におり、機を見て合流する予定であること。

また、現在のミネルバの目的地はオーブ首長国であり、これは作戦に協力し現在もミネルバに同行しているカガリ・ユラ・アスハ代表首長による
申し出であること。
そして、以後はプラント本国からの別命があるまで、中立国であるオーブに停泊し、待機するよう昨日正式に命令が下ったこと。
事件から3日目にあたる今日、何事もなければ夕方には到着の見通しであること。

聞き終えたシンは、若干複雑な顔で考え込んだ。

「そうか。行き先はオーブか……」
「ああ、有り難い話だよ。作戦成功ってことになったとはいえ、それでも今の地球は結構な有様だ。最新鋭艦のミネルバが満足に羽を休められる
場所なんてそうそうない。その点、あの国ならプラントにも引けを取らないドックがあるし、マスドライバーだってある。どこも復旧作業や救援で余裕
がない地上のザフト基地にお邪魔するよりは、よっぽどいい」
「そうだな、確かに」

ヨウランに聞いたミネルバの現在地から最も近いザフトの基地といえば大洋州連合にあるカーペンタリアが思い当たるが、飛べない状態のミネルバ
がそこまで行くには海路がかなり長くなるということもある。レイが不在で自分も起きたばかり、戦力がルナマリアだけという現状では長旅は危険だし、
ヨウランの言うように、これは願ってもない話なのだろう。個人的な感情と事情は別として。

「それに、あそこってシンの故郷なんでしょ」

ルナマリアが期待を混ぜて、屈託なく言った。シンは視線をさりげなく反らし、少しの間を置いて頷く。

「ああ」
「じゃあ、懐かしいんじゃない? しばらく滞在するとしたら上陸許可も出るかもしれないしさ、そしたら案内してよ」
403Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:52:05 ID:???

そういえば、とシンは思った。自分は、オーブの出身であるということは特に秘密にしているわけではないが、ナチュラルであるのに何故ザフトへ
入ろうとしたのか、その事情は誰かに進んで話したことはない。ミネルバのメンバーでは、グラディス艦長は別として、多分一番親しいヴィーノでさえ
知らないのではないだろうか。

「いや、俺があそこにいたのは5年も前のことだし……」

シンは努めて冷静に言った。5年も前のこと。そう、それだけの時間が経っているのだ。もう克服できてもよさそうなものだ。しかし、先ほどアスハの事
に触れた時より、感情のコントロールに苦労した。
ルナマリアはどうしてこんなに明るくしていられるのだろうと思って、彼女もこのユニウスセブンの件で、妹のメイリンと共に辛い思いをしたのはずだと
気付く。そのおかげで、苦笑を浮かべることができた。

「……5年も前のことだし、きっと随分、様変わりしてるんじゃないかな。だから、あんまり期待はしないでくれ。道に迷ったら格好悪いし」
「そ、そう? 案内してくれるならデートしてあげてもいいって思ったのに。残念ね」

シンの反応に少し戸惑った様子のルナマリアは軽口を叩いたが、それ以上は追及してこなかった。ヨウランがぎこちない空気を感じ取って、フォロー
を入れる。

「ま、無事到着したからって、上陸許可が下りる保証はないしな。この忙しい時に、作戦の功労者とはいえミネルバが長くのんびりしていられるとも
思えない。案外、急ピッチで修理を終わらせて、早く宇宙に戻って来いってことになるかもしれないぜ。そうじゃなきゃ、地上のザフトや他の軍に協力
して救護活動とかさ。やることはたくさんあるだろうぜ」
「えー? 私遊びたいわよ」
「アーモリーワンでさんざん遊んでおいて贅沢言うな」

普段よく見ているようなやりとりを目の前で始めたルナマリアとヨウランに、シンは苦笑した。今度は作り笑顔ではないので、ルナマリアもヨウランも
安心したように会話を振る。

「あ、そういえばヴィーノに聞いたわよ。シン、あんたアーモリーワンで金髪でヒラヒラした可愛い女の子とデートしたんだって?」
「え? ……いや、デートなんてそんな……アイスクリーム食べて街の中歩いただけだよ。……ヴィーノの奴」
「それって普通にデートなんじゃないのか? この野郎、ストイック少年呼ばわりされてたくせにこっそりいい目見やがって」
「隅に置けないわねぇシンも。どんな子だったわけ? お嬢様系?」
「畜生、浮かれてんじゃないぞ。包帯取れたらグラディス艦長から命令違反の説教と処分があるんだからな。忘れるなよ」

静閑としていた医務室は、それから軍医が戻ってくるまでの束の間、かしましい若い話し声で沸いた。


404Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:54:01 ID:???

5.


「それにしても、いい機体ですね。このストライク・ルージュは」

アスハの横で、反対側の肩をレンチで叩きながらヴィーノが感嘆した。今は装甲に通電しておらず、灰色の状態でモビルスーツ用ハンガーに静か
に固定されているが、あの戦いでは名の由来である赤い装甲を纏ってどれほど華麗に戦場を駆けていたのか、機体に触って整備をした今は記録
を見るまでもなく想像がつく。

様々な武装を操る柔軟な躯体としての完成度、単独での出力や防御力、機動性。開発時期が5年前の戦争の後期であるからには旧型と呼んでも
差し支えないはずだが、そのスペックは驚くべきことに、ザフトの現行のモビルスーツに比べても何ら遜色がない。最新鋭機であるインパルスには
さすがに及ばないものの、少なくともザクファントムと五分かそれ以上の性能を備えていることは間違いない。

「誉めてくれてありがとう。ルージュは私が代表に就任してからずっと共にある機体でな。お互い成長しながら、一緒にやって来たつもりだ」

そう言って笑うアスハの表情は、さすがはオーブの代表だと思わせるだけの気高さがある。そのくせ他人を見下したところがないのだ。ヴィーノが
抱いていたオーブのお偉いさんというイメージとは、なんだか少し違っていた。
この眉目秀麗な若い女性が、この高性能モビルスーツに乗って、しかもレールガンや対艦刀を内蔵した複合兵装ユニットを使いこなすのだ。今は
全身に軽傷を負って寝ているが、それまでの戦闘で充分すぎる活躍をしてきたシンがそうであるように、ナチュラルも侮れないとつくづく思う。

「ところで、護衛のアレックス・ディノさんの乗ってる機体。あちらは整備しなくてもいいんですか?」

ストライク・ルージュの隣のハンガーには、フェイズシフト装甲ではない白とワインレッドに塗られた機体がある。オーブ製の量産機の特徴である、
アストレイ系と呼ばれる頭部の意匠を持ったモビルスーツである。

「ああ、あれはこのルージュと違って、何かと新しい試みが盛り込まれた機体でな。すまないが、中身まで見せてやるわけにはいかないんだ」
「……というと、次期主力機とか、その候補とかですか。ははぁ、国防上の秘密ってやつですかね」

確かに、ミネルバの建造への技術協力や、その進宙式に代表が招かれるなど、プラントとオーブとは友好的な関係にあるが、同盟関係というわけ
でもない。本来ならばストライク・ルージュだって、他国の整備士の手になど触れさせるべきものではないだろう。それを許したのはルージュに使用
されている技術自体は現在ではそれほど珍しいものではないのと、その戦闘力がアスハの腕に由来しているところが大きいためだろうか。

整備してやったというより、好奇心で整備させてもらう形だったと自覚しているヴィーノだが、秘密にされると尚更気になる。ルージュにもミネルバの
格納庫の設備では解析できない部分があったし、オーブの本気の技術力がどれほどのものなのか、技術畑の人間としては大いに興味があった。

「そんなに珍しがらなくても、プラントでも同じような設計構想のG型が開発中だと聞いたよ」

アスハの後ろの通路から、当のアレックスがやって来た。護衛役として顔を隠すという決まり事でもあるのか、いつもサングラスをかけている男だ。
彼もアスハと共に、この機体で作戦に大いに協力してくれた。彼自身はどうやらコーディネーターらしいが、主人に華がありすぎるからか、ミネルバ
のクルーからはそれほど関心を持たれていない。あるいは、そうであるように振る舞っているのかもしれないが。

「同じような設計構想というと、移動力特化の可変型か。進宙式前に議長が紹介してくれた、ミネルバの艦載機として想定されたG型の中に確かに
そういう機体があったな」
405Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:56:03 ID:???
「セイバーのことですかね?」

軽く頬に手を当てて考えるアスハに、ヴィーノがその名前を挙げた。ミネルバに配備される計画だったG型は全部で5機。そのうちインパルスを除く
4機が何らかの変形機構を備えているが、アレックスの機体が作戦時に見せた特徴である長距離飛行に適した航空機形態への変形ができるのは、
その機体だけだった。

「実はあれの開発は随分難航してるらしくて、実機は俺も見たことないんです。だから先に実用化されてるこの機体に興味があるんですよ。大胆な
変形しますよね」

火力は見たところ高い方ではなく、装甲もフェイズシフト装甲ほど堅牢ではないだろう。だが抜群の機動性を誇り、何より変形機構の発想が面白い。
ルージュの複合兵装ユニットといいこの機体といい、モビルスーツが好きで整備士になった身としては、刺激が強い。

「まぁ、触られるのは困るが、目に付く所に立たせておいて興味を持つなと言う方が無理というものだな。名前はムラサメという」

年齢相応か、それよりも子供っぽく目を輝かせる様子のヴィーノに、アスハは微笑みながら、譲歩としてそれだけ教えてやった。

「ムラサメかぁ」

感慨深そうに頷き、遠目に機体を見るヴィーノを後目に、アレックスがそれとなくアスハの側に近寄った。

「代表、お耳に入れておきたいことが。少しよろしいですか」

発音は明瞭だが周囲へは聞こえにくいよう配慮した声で告げられ、アスハはヴィーノの背中から視線を外す。

「どうした。オーブへの定時連絡で、何か新しい情報でも入ったのか?」
「いいえ、昼前の連絡で得られた以上のことは。ただ、セイラン首長が気になる言葉を仰っていました。アスハ代表、早くあなたと会って話がしたいと」

406Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:57:13 ID:???
アスハはそれを聞いて、軽く空中を凝視するような表情をした。言葉だけを聞けば、どうということのない文句である。ただの挨拶か、心配と共に親愛
を伝える程度の意味だと、側で聞いていた者は解釈するだろう。例えば、連絡の為に何度もブリッジの通信設備を貸してくれているミネルバのクルー
達ならば。しかし、アスハが感じたのはそれだけではなかった。

「そうか、ユウナが。じゃあ帰ったら、真っ先に会いに行くとしようか」
「それが宜しいかと」

アレックスが重々しく頷いた直後、どこか遠慮がちな声色の艦内放送が格納庫にも聞こえてきた。

『緊急招集、緊急招集。モビルスーツパイロットは、至急作戦室へ集合してください。繰り返します、モビルスーツパイロットは至急作戦室へ集合
してください……』

「……パイロットって、ルナマリアだけだよなぁ、今は」

訝しむような顔で、ヴィーノが頭を掻いていた。彼の視線を追うと、ムラサメとストライク・ルージュの更に隣に、予備パーツを使ってユニウスセブン
でのダメージを修復された赤いザクウォーリアがある。だがその機体は、海の上で使えるような代物ではない。その更に向こうには、分離状態で
固定してあるインパルスの姿もあるが、これは専属パイロットであるシンが現在静養中だ。

「それでも緊急招集か。何かあったのかもしれないな。アレックス、野次馬になるかもしれないが私達もお邪魔するか。私達もパイロットには違い
ない」
「お心のままに」


407Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:58:19 ID:???

6.


洋上を行く大型空母の船内通路を、3人の男女が隊列を組むでもなく歩いている。
1人は背の高い青年。1人は金髪をボブ風に整えた少女。そしてもう1人は、どこか骸骨を思わせるデザインの灰色の仮面を被った男である。
3人ともが、5年前の大戦時には地球連合軍に正式採用され、現在ではそのまま大西洋連邦軍へと受け継がれた軍服に袖を通している。
ただし、正規の着用をしているのは先頭を行く仮面の男だけで、続く青年も少女も、その軍服の着こなしには多少問題が見られた。どちらの上着も
活動し易いように改造された痕があり、しかもそれ以外の着衣は各々が用意した私服のように見えるのだ。

少女の履く、軍靴としては分類され得ない白いロングブーツの踵が、小さく廊下を踏みならす。しかし、船内ですれ違う軍人達は誰も、明らかに上官
と思しき人物でさえも、そのことに触れ、咎めようとはしない。それどころか、肩すら触れないように、腫れ物に触るように道を譲った。
素行の良くない若兵に対する態度としては、異常だった。

「ふん、相変わらず嫌われてるな。命令する頭が違うとはいえ、似たような服着て同じ船の中を動いてる歯車同士なんだ。もう少しお仲間扱いして
くれても良さそうなもんじゃないか、ええ、ネオ」

野良犬でも見るような目で行き違う軍人達を観察しながら、青年が仮面の男に言う。男はこれに肩越しに手の平を上げて返事をした。

「無理を言ってやるな、スティング。人間てのは元々、自分よりも強くて自分と異質な相手が本能的に嫌いな生き物なんだ。喧嘩の強さ、頭の出来、
銃の扱い、モビルスーツの操縦。あらゆる面でコーディネーターすら越える能力を持ってるお前達エクステンデッドになんか、凡人は怖くて怖くて
近寄れないのさ」
「勝手な話だぜ。自分達より優秀だからって理由でコーディネーターを憎み、そのコーディネーターを倒すために生み出した俺たちを今度は化け物
として忌み嫌う。こんな性根じゃ、コーディネーターどもにプラント落としを喰らっても仕方がなかったかもな」
「まあな」
「でも……」

と、黙ってついて来ていた少女がふと立ち止まって廊下の横の窓を見ながら洩らした。厚い強化ガラスだが、透明度は高いために外に広がる海の
様子がはっきりと見て取れる。

「海や、空が綺麗なままで良かった。また見られて良かった」
「ああ、確かに環境への影響は意外なほど低かったな。山がすり減ったり森が灰になったり、ちっぽけな島が沈んだりした程度で、地球滅亡には
程遠い。それでも死人はたっぷりと出たがな」

冷めた顔で言う青年に少女は何か言いたそうにしたが、言いたいことを思い出せないような、言葉が形にならないような、そんな顔で口をつぐんだ。
諦めて、再び二人と共に通路を歩き出す。

「ステラは優しいな」

仮面の男が少女に慰めの言葉をかけた。歩調を緩め、少女の隣まで下がってから、その肩に手を乗せる。

「ユニウスセブンが落ちたのは、俺達のせいじゃない。だから死んだ人達や傷ついたこの星のことを、お前がそんなに気にする必要もないんだ。
ただ、どうしても可哀相だと思うなら、こんな馬鹿なことをしでかす奴がまた出て来ないように、俺達が頑張らないとな。例えばあのプラントで、戦争
を起こそうとしてた悪い奴らからモビルスーツを奪ったみたいにな」
408Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 00:59:28 ID:???

仮面の男の顔をじっと見て聞いていた少女は、こくりと頷いた。その後ろで、青年が三文芝居は飽き飽きだとばかりに嗤っている。

「それでネオ、言いつけ通りにあいつらを地上に降ろした俺達の次の任務は何なんだ。まさかこのまま、大西洋連邦軍第6輸送艦隊御一行様として
船旅を続けるのか? 責任もって閣下の御前に届けるまで」
「ああ、それについてはこの艦隊に合流した時点で、また別の命令が来ている。これまでの戦闘と整備で、連中の技術と今のザフトの質については
概ね分かったからな。すぐにでも次の調べ物に移ることになる。詳しくは、もう一つのお土産を取りに行ったあいつが戻って来てからだな」
「休む暇もないってわけか」
「まぁ忙しい事になるのは確かだが、そうとも言い切れんぞ。……おや?」

仮面の男が、少女がまた窓の側で立ち止まっているのに気付いた。どうしたと声を掛けようと近づくと、いきなり窓から離れ、二人の横をすり抜けて
走り出す。ブーツだというのにかなりのスピードで、規則正しく響く靴音を残して、たちまちその場から消えてしまった。

「どうしたんだ? ステラの奴」
「……ああ、なるほどな。見てみろ、スティング」

はたと手を打ち、仮面の男が指差す先を青年も遠く見て、納得した。窓の外の海の彼方に、赤と銀色の艦影が見える。本来海の上を走るには全く
適していないであろう、一隻の宇宙戦艦が白波を掻き分けていた。

「あの艦……ユニウスと一緒に落ちてきたってのは聞いてたが、まさかこんな近くまで来ていたとはな」
「ふふ、因縁を感じるな。この進路からすると、どうやらオーブに向かっているようだな。さて、次の作戦、吉と出るか凶と出るか。……ここは少し大胆
に利用させてもらうというのも面白いな」

仮面の下で目を光らせて算段を立てている男に、青年は肩をすくめた。

「ま、俺はあんたの立てる作戦に従うだけだからいいが、ステラをあのまま放っておいていいのか? あいつ、悪い奴らとやらを倒すために先走る
かもしれないぜ」
「心配ない。ガイアはこの空母の中には無いし、戦わなければいけないときは俺が指示を出すとよく言い聞かせてある。それに、どうせすぐにでも、
あれとは戦ってもらうことになるからな」

言って、男は少女が走り去ったのとは反対方向へと身を翻して歩き出した。

「おい、どこに行くんだよ? ネオ」
「通信室だ。こういう時はお伺いを立てる決まりになっていてな。それと、演出の打ち合わせだ」


それから間もなく、仮面の男が自信たっぷりに言った通り、少女はモビルスーツ格納庫ではなく、甲板の上に上がっていた。
長すぎて人間の視点からは全容が把握できないガイド用の白いラインが巨大な平面を走っている。それを横切り、沿って、辿りついたのは手すり
さえ無い飛行甲板の縁である。海の上を走る見えない風に正面から吹かれて、少女の金髪とプリーツの刻まれたスカートがバタバタと揺れた。

「羽つき……」

自分達が宇宙で敵対し、自分が慕う男の乗る戦艦を光の槍で抉った長い翼を持つ艦。
今自分が乗っている黒い機体が帰属するはずだったザフト最強の戦艦であり、あの色を変えて挑んでくる生意気な機体の巣でもある。
少女は険しい眼差しで、海の上の羽つきを凝視している。

409Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 01:00:36 ID:???

7.


作戦室に集合して顔を合わせ、二人は同時に目を見開いた。
アレックスと共に現れたアスハと、半ば無理に患者衣から着替え、包帯の上に軍服を羽織ってきたシン。艦長であるグラディスと副長のアーサー、
ミネルバ所属のパイロットの中では唯一健在であるルナマリア。合わせて6人が円卓を囲む。

「シン・アスカ君……怪我はもう大丈夫なのか?」
「いいえ、あの……アスハ代表こそ、なんで……」

シンは図らずも隣の位置となったアスハに、目を合わせるか合わせまいかと苦悩した。ブリッジのモニターに映し出された時の印象に比べ、随分
小柄に見えているのが余計に落ち着かない。あの時沸いた感情がどういうものだったのかを思い出し、手の平を握りしめるが、力が予想したほど
入らない。
そんなシンの様子を円卓上の光が光源の大部分を占める薄闇の中で見つめ、アスハは微笑んだ。

「この艦には私の国まで送ってもらっている最中だからな。船代と宿代がわりに、役に立てるなら働かせてもらおうと思っただけさ」
「そんなぁ、アスハ代表にまで出張ってもらうなんて畏れ多い! 何かあるにしても私とシンだけで何とかしちゃいますから! オーブには数時間で
着くんですから、ゆっくりしてて下さいよ! あと、シンの怪我はもうほとんど大丈夫ですから。こいつ、見た目より頑丈だし!」

ヨウランが話した通り、アスハを前にしたルナマリアのはしゃぎぶりはなかなかお目にかかれないものだった。彼女のテンションの高さに逆に落ち
つきを取り戻すことのできたシンを、喋るのをやめたルナマリアが肘でつつく。そして小声で言った。

「ほらシン、チャンスじゃない。助けてくれたアスハ代表にお礼よ、お礼」
「あ、ああ」

グラディスとアーサーがシン達の様子に気付いているが、見ぬふりをして特に何も言ってはこない。ただ、早く終わらせろと気配で語っていた。
シンは自分の胸の内と自問自答し、そして結局、この場はルナマリアの言う通りにした。

「アスハ代表、あの時は……助けてくれて、ありがとうございました」
「大したことはしていない。だが、どういたしまして」

アスハは、そっと返事をした。その言葉に何か聞き覚えがあって、シンは顔を上げる。
それを待って、アスハは付け加えた。

「あの時はモニター越しだったな。君がザクに乗っていた私を助けてくれたことに、私は礼を言った。本当は、顔を合わせて言いたかったくらい
なんだ。ちなみに、このアレックスの分もな。あのザクを操縦していたのは、彼なんだ」

アスハの隣に控えているアレックスが、軽くサングラスを上げる仕草をした。作戦中に通信で言葉を交わしたが、今まで医務室のベッドにいた事
もあって、彼ともこうして実際に会うのは初めてだった。
アスハは、切々と言葉を続ける。

「大気圏の高熱の中で最後まで戦う君は、勇敢だった。とても危なっかしかったのも確かだがな。そんな君を死なせるわけにはいかなかったから、
助けた。しかしそれは当然のことで、大したことじゃない。多分、君が中に誰が乗っているかも分からない孤立したザクを、あの戦闘機で援護して
くれたのと同じように」
410Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 01:01:43 ID:???

シンは、自分の心がざわついているのに気付いた。あの時と同じように、心に細波が立っている。ただ、確かなのは今は彼女の前から逃げ出す
気は起こらないということだった。
アスハは最後に、背中でも撫でるかのような声色で、飾らない一言で締めくくった。

「だから、おあいこだ」
「……はい」

シンがうつむく。前髪で隠れて表情が読み取れないが、隣で聞いていたルナマリアはとりあえず良し、という結論に落ち着いたようだった。
話が終わったのを見計らって、グラディスが一つ咳払いをする。

「では、始めます。まずはこれを見てください」

円卓の上に、海上の映像が映し出された。平たい鉄色の艦が、何隻も群を作って浮かんでいる。

「大西洋連邦の空母か」

アスハが一目見るなり呟いた。グラディスが首肯し、アーサーが解説を加える。

「大西洋連邦軍第6輸送艦隊です。現在、本艦との距離は2000弱。先ほど通信を試みたところ、艦隊司令から直々の返答が得られました。現在、
本国より南アフリカ統一機構への救援物資輸送任務の最中であるとのことです」
「輸送艦隊……太平洋を抜けていくにしては若干進路がオーブ寄りに見えるが、護衛艦の規模、輸送船の数……特に怪しいところは見当たらない」

したり顔で言ったのは、ルナマリアである。グラディスに視線を向けられると、こっそり手を挙げた。

「レイがここにいたら、と思って分析してみました」
「間違ってはいないわ。私も、この艦隊を特に警戒しているわけではありません。若干航行速度がのんびりしているようには感じるけれど、まだ波が
高いから慎重に運んでいるのでしょうね」

グラディスは艦隊の映像と彼我距離と地理を表す全体図の上に、もう一つ立体図を広げた。そちらが本命であるらしい。

「この艦隊との通信中に、不思議な反応がありました。今言った通り、海中はまだ落下の影響で海流が激しく、その分ノイズも多いから確かとは言え
ないけれど、それでも決して無視することのできない反応が」

グラディスが広げたのは、海上にあるミネルバを中心に海中へ向けて探査を入れた、半球状の立体図だった。その半球の内部で、早送りする時間
の経過と共に、一つの光点が位置を変えながら明滅している。

「何ですか……これ」

ルナマリアが眉を寄せて考え込む。そしてしばらく凝視し、徐々にその目を大きく開いていく。おそるおそるそのデータへと指を伸ばした。その動作
を、グラディスも止めない。
ルナマリアの指が触れた光点が、移動速度の数値など簡略化された表示データから、詳細へと展開する。その中身を見て、ルナマリアだけでなく、
シンやアスハも息を呑んだ。
その機体反応から分析され、確率的に映像化されたそれは、アーモリーワンで奪取されたG型の一機、アビスだった。
411Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 01:02:57 ID:???

「なんで……こいつが、ここに」
「ユニウスセブンの落下後の混乱に合わせて地上に降りていた、と考えるのが妥当でしょうね。これが本当にアビスそのものならば」

グラディスが言った。彼女自身も、どう判断したものか迷っているという気配が口調から滲んでいた。

「アビスは、重装甲の砲撃戦型であると同時に、水中でも活動できる仕様になっている。それがこのレーダーの範囲内で、動き回っている。乱れた
海流に任せて漂っているようにも見えるけれど、この海の下で目的を持って何かをしているように見えるの。ただ、このミネルバや、あるいは大西洋
連邦の艦隊に対して何らかの干渉をしているわけでもない。分からないことだらけよ。けれど、このまま見逃すわけにもいかない」

ルナマリアが、シンが、アスハとアレックスが、その半球の中を明滅する光点を凝視する。そして、状況を理解した彼ら、主にミネルバのパイロット
二人にグラディスが続ける。

「そこで、偵察を頼みたいの。ミネルバが索敵した位置と深度への、コアスプレンダーによる洋上偵察。コアスプレンダーの媒介によって正確な座標
と予測進行方向が分かれば、乱れた海流でも直進できる広域拘束弾頭のワイヤーミサイルによって捕獲できる可能性がある。ただし、これが生きて
いるなら、反撃される危険性もまた存在する。……やってくれるかしら?」

アビスの持つ砲の中には、海対空兵器、即ち水中から放っても空中にいる対象を仕留めることのできる兵器も含まれている。コアスプレンダーでは、
それに至近弾を受けるだけで墜落する危険もあった。
少しの逡巡があり、しかしシンは名乗り出た。

「やりま……」
「私がやります」

それを遮り、言い切ったのはルナマリアだった。力強く発言してから息をつき、呆気にとられるシンへ腕組みをして馬鹿にするような笑みを見せる。

「病み上がりの怪我人が懲りもせずに無茶しようとしてんじゃないわよ。今回は私がやるわ」
「でも」
「うるさい。コアスプレンダーくらい、私だって飛ばせるんだから。いいからあんたはおとなしくしてなさいよ」

食い下がるシンを牽制し、ルナマリアはグラディスに向き直った。既に腹は決まったという女の顔つきをしていた。

「いいのね?」
「はい。あれは元々私が乗るはずだった機体だし、射角や弾速だって一番よく分かってるのは私です。コアスプレンダーの操縦訓練も既に済ませて
ますし、万全じゃない今のシンよりはまともに操縦できるはずです。……それに、アビスとは奪われてからも一度戦ってますから」

視線を合わせ、ルナマリアとグラディスは共に頷いた。

「よろしい。では、今回のコアスプレンダーによる海上偵察任務はルナマリアに任せます。シン、あなたはブリッジで彼女のバックアップにつきなさい。
状況によってはガナーザクウォーリアで艦の上から援護をして貰うことになるかもしれないから、覚悟だけはしておいて」
「……了解です」

心配そうに頷いたシンを横からカバーするように、アスハが進言した。
412Destiny-Pulsation第五話:2007/01/04(木) 01:04:04 ID:???

「コアスプレンダーとミネルバほどの連携は取れないかもしれないが、私のストライク・ルージュとアレックスのムラサメも洋上を飛ぶことはできる。
もしもの時には、すぐにでも援護に出られるようにしておこう」
「助かります、アスハ代表」
「ありがとうございます、アスハ代表!」

グラディスの一礼にかぶせて、ルナマリアが喜色を湛えた。チームメイトの張り切りようにやはり一抹の不安を拭えないまま、シンはもう一度円卓に
広げられたリアルタイムの映像を見る。
その中の補給艦隊の空母の上に、シンは小さな人影を見た。判別できる衣服の色合いから、どうやら女性士官らしいことだけが辛うじて分かる。

「……こっちを見てるのか?」

ルナマリアの声が背中に聞こえる中、シンは何故か心引かれ、その空母の映像を凝視した。



to be continued.

413通常の名無しさんの3倍:2007/01/04(木) 03:12:09 ID:???
各キャラの感情の描写、細かい設定が純粋に面白かった。
頑張って最後まで書ききってほしい。
目に見えてどちらのアンチでないところが、とても読みやすく感情移入し易く感じました。
414通常の名無しさんの3倍:2007/01/04(木) 03:12:54 ID:???
GJ
415通常の名無しさんの3倍:2007/01/04(木) 22:48:49 ID:???
待ってました!GJ!!
416通常の名無しさんの3倍:2007/01/06(土) 09:10:50 ID:???
保守
417通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 11:30:49 ID:???
保守
418通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 12:14:04 ID:???
59
議長は一通りの話を終えた。そして
「世界の真の敵、ロゴスこそを滅ぼさんと戦う事を私は今、宣言します!」
全世界にロゴスメンバーの写真が晒される。
ズブリール、セイラン。
そして、その中にはなんと、カガリ・ユラ・アスハの写真までもが。

「馬鹿な!なんでカガリ様までが・・・」
オーブ政府内は動揺に包まれた。キラ、ラクス、シン、オーブの市民達も。

「アスハ代表、オーブ政府とはユニウス・セブンの件があるまでは親しい関係でした。
地球軍との同盟の締結については、オーブの人々を守るための決断だったとして、我々も追及する事はしませんでした。
私達は彼らを信じて来ました・・・。ですが!」
映像が切り替わり、フリーダムが、
破壊活動をするデストロイに乗るシンやファントムペインらを庇う様子が映し出される。
さらに彼らがAAへと乗り移って行く様子も。
そして、議長はAAらがオーブの物だという事を説明し、
オーブは地球軍の破壊活動を止める所か、その手助けをしたと明言した。
「これだけでは皆さんも信じられないでしょう。しかし、これが証拠です」
AAが、連合の基地に自ら入って行く様が映し出された。そう、あの時の。「・・・・・これはまずいですわね」ラクスの顔が曇った。
419通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 12:29:06 ID:???
60
プルルルルルルプルルルルルル
オーブ政府に大量の電話が掛かり、どういう事なのかと内外から説明を求められる。
「カガリー!カガリは?」「ユウナ様、カガリ様はここには居ませんが」「どうするの?どうするのよー!カガリー!」

世界中で、反ロゴス、反オーブの声が上がり、デュランダルが何やら絶賛されている。
続いてミーアの人々を労わる言葉が流され、益々その流れは加速する。
「戦うばかりの世界に安らぎは」
「みなさん!私はアスラン・ザラです!」
アスラン再来。
「ちょ、アスラン。まだ私が・・」
「大丈夫だ。君の気持ちは既に世界の人々に伝わっている。だから次は俺の番だ」「えっと、でも」
「ラクス、彼に任せてあげてくれ・・・」「議長・・・・・はい」
ミーアがカメラの前から退き、アスランが胸を張って姿を表す。
「先ほどは失礼しました。何を隠そう、私がアスラン・ザラ。
先の大戦、当時ザフト最高評議会議長だった、パトリック・ザラの息子です!
この名を聞いて当然驚く方、動揺される方、信用できないと思う方もいる事かと思います。
ですが聞いて下さい!私にはどうしても皆さんに伝えたい事があるのです!」
420通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 12:51:34 ID:???
61
アスランは語った。
かつての自分を、前大戦の過ちを、友との戦いを、父の過ちを。
アスランの一点の曇りも無い言葉に、人々は引き込まれて行く。
アスランの話は戦後の自分や、オーブ、AAにまで及び、議長の対ロゴスやオーブの行いにまで絡んでゆく。
「だから、私は信じられない、信じたくない!彼らが、あんな非道に走ってしまった事を!」

「アスラン・・・・・そんな・・なんで君がそんな事を」キラの体から力が抜ける。

「破壊活動を止めようとした際、彼らは私達の前に立ちはだかり、信じられない事に我々に襲い掛かったのです!
あのMSのパイロット、私のかつての友とその時言葉を交わしました!
ですが!彼は意味不明な言葉を発して私の言葉は聞こうともせず、あろう事かそのまま私を殺そうとまでしたのです!
戦いたくはない、話し合おうと言ったのに!」

「・・・・・なんで、なんであんたがそんな事」シンはアスランに怒りを覚えた。キラはあんたを・・・なのに!。

「なんてひどい!なんてひどい、キラ・ヤマト!キラ・ヤマトですよみなさん!キラ・ヤマト!キラ・ヤマトです!」
アスランは可哀想ぶりながらキラのフルネームを連呼し、人々にひどい奴なのだと言い振り出す。
「さらに悲しい事に、私の後輩に当たるザフトの元パイロット、シン・アスカまで私を裏切りましたよ!」
421通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 13:08:37 ID:???
62
「あの大量破壊兵器に乗っていたのは、連合に寝返った私の後輩なのです!
あっ、映像出る?うん、そうそう。あ、違うよ。違うって!こっちこっち!あ、うん。それそれ。映像流しちゃって」
アスランの用意した映像が流れる。
シンの、コックピットの破損した隙間から見せる姿が。全世界に。

他所で映像を見ていたレイが、アスランの行動に怒りを覚えた。
アスラン・・・・・何故、何故シンの事まで!

(アスラン!これは流石に予定外というか。というか、映像を勝手に持ち出して)
(私にまかせてください!まかせてください!大丈夫ですから!)
(いや、そういう事じゃなくて)
小声で議長と軽く揉めた後、アスランはカメラに向き直って強引に話を続けた。
「信じられません!連合に寝返っただけでは飽き足らず、罪無き人々を平気で焼き払ったのです!
焼き払ったのです!悪魔です!そう、シン・アスカは悪魔なんです!そうだ!シンはそういう奴なんだ!
シンめ!シンめー!
キラも俺を見下して笑うような最低な奴だったけどシンはもっとひどい!
あいつ俺のプリン食べたからな!俺の命令も全然聞かなかったぞ!何だ?その目は?馬鹿にするな!
俺を馬鹿にして笑ってるんだろ!俺に恥をかかせて笑っているんだろう!!俺の
っな!何をするっ!まだ話の途中だ!離せ!俺を誰だと思っている!アスラン・ザラ!アスラン・ザラだぞ!くそー!シンめ!お前のせ」
〜しばらくラクス様の平和の歌をお聞きくださいませ〜     小さな〜♪この星で〜♪
422通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 13:48:56 ID:???
凸錯乱しすぎだろw
423通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 16:05:55 ID:???
本編とは違うキラキラ病とシンシン病を発病してるな(笑)
424通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 04:21:28 ID:???

スペエディ見終わったら確信もって言える!


このスレ全部GJ!!!
425通常の名無しさんの3倍:2007/01/10(水) 06:19:58 ID:???
保守
426通常の名無しさんの3倍:2007/01/10(水) 19:20:33 ID:???
63
しばらく歌が流れた後にミーアが映り、
「戦争は人の心を壊してしまう悲しい物なのです。彼も父を失い、友に裏切られ〜」
何とか言い訳をしようと頑張った。
そして、それを見る世界の人々の顔に笑顔が生まれた。そう、苦笑いが。

「私が迂闊でした。こうなる危険性は重々承知していたはずでしたのに・・」
「・・・・・・・・・・とにかく、今はカガリさん達と今後の事について話会いましょう」
重苦しい顔で呟くラクス。
自分のミスによって、オーブの存亡に関わる重大な危機を招いてしまった。
いつもなら彼女を慰めてくれるキラも。
「・・・・・・アスラン」
アスランの言葉ですっかり意気消沈している。
「私があのような作戦を立てたばかりに・・・・・」ラクスが自責の言葉を再び吐いたその時、
「黙れよ!」シンの怒鳴り声が部屋中に響き渡った。
「シン・・・!」
「黙れよ、お前は!」
シンは歯を食いしばってラクスを睨み、ずいずいと迫る。
「あんな作戦立てたせいで?・・・・・あんた、本気でそう言ってるのか?」「シ、シン」
ラクスがらしくもなくたじろぐ。
「・・・・・・・・はい」ラクスが呟いた瞬間、シンの拳が振り上げられ、ラクスの頬を思い切り殴り付けた。
427通常の名無しさんの3倍:2007/01/10(水) 19:38:25 ID:???
64
「何をするんだ!」
キラが、殴り倒されたラクスに駆け寄り、彼女を抱えながらシンを睨む。
「そいつがふざけた事言ったから殴っただけだ!!」「なっ、何を!?」
シンは体中を震わせながら言う。
「゛あんな゛、だって?
あれは、あんたの作戦は!!ステラ達を助けるための物じゃなかったのかよ!!!」
「!?」
「ステラを、二人を助けたいって思ってる俺の、手助けをしたいって!そう言ってあんたは力を貸してくれたんだろ!?
守るためにあんな事をしてくれたんだろっ!!!?
それとも嘘だったのかよ?!
助けたいって泣いてる俺を、俺の守りたいって気持ちの、手助けをしたいっていうのは、嘘だったのかよ!!!
本当は単に連合から色々盗るのが目的だったのかよ!!!
あんたの言葉は全部嘘だったのかよ!!!!!」
力の限り叫ぶシンに、ラクスが顔を上げ、涙ぐんだ目を向けながら言う。
「いいえ・・・・いいえ!違います!
私は、あのお二方を助けたいと本当に思って居ました!助けたいと願う彼方の力に、本当になりたいと思っていました!
私は・・・・・うっ」
ラクスの目から涙が零れ、しくしくと泣き始めてしまった。
「そうだよ・・・・・・・そうだよな?あんたは、そうなんだよ!」
428通常の名無しさんの3倍:2007/01/10(水) 19:54:48 ID:???
65
「シ・・・ン?」
「あんたは何も間違ってなんかいない!
今どうなってたって・・・・あんたが本気で思って選んだ事なんだから、そんな風に気にする事なんか、ないはずだ!
殴ってごめん・・・・・・・でも、自分のせいとか、もう言うなよ?
俺、あんたの事、ステラを救ってくれた恩人だって、感謝してるんだからな。
だから、間違った事したとか、絶対思ったりするなよ?」
シンは言い終わると、駆け足でその場から去って行った。
ラクスは、ゆっくりとキラに手を取られ起き上がり、
涙を自分の服で拭う。
「そうですわね。
私がしなければならないのは、自分を責める事や過ぎた事を後悔する事ではありませんわね」
「ラクス。うん」
目を一度閉じ、そしてすぐに、力強く見開いた。
「これより現在の状況を打破すべく、オーブ行政府と合同で対策会議を決行します!!」

シンは建物を飛び出し、街の方へと走って行った。無意識に、ただ溜まらずに走っていた。
そして、街の中程に入った所で、あの少年を見つけてしまった。「・・・・・」
気がつくと街中の人々がシンを、化け物でも見るかのような目で遠巻きに凝視していた。
そして、少年がこちらに気づき駆け寄って来た。「お兄ちゃん・・・嘘だよね?あれ、ザフトの番組の、あれ嘘だよね?!」
429通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 02:30:53 ID:???
ちょ…、ギャグから一転シリアスモードかよ…GJ。
今度は相手が子供だけに、シンにとってはかなり苦しい再会だな…。
430通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 21:46:55 ID:???
地球で連合とミネルバとの戦端が開かれた時――プラントで今、1人の戦士が戦場に赴こうとしていた。


「どうかね?セイバーを託したいという私の気持ち・・・・・承諾してもらえるかな?」
「連合の核攻撃、そして再び始まってしまった戦争。俺の決意は固まりましたよ議長。」
「おお、それでは」

「お断りします。」

「・・・・・なに?」
「俺にこのMSは必要ありません。誰か、他に腕の立つパイロットに回してやるべきです。」
「すると君は・・・それだけの力をもちながら、あえて使わないというのかね?この時勢に自分は高みの見物を決め込もうと?」
「そうではありません。」
「では・・・」

「俺はユニウスの事件でミネルバの連中を見てきました。みんな本当に良い奴等ばかりです・・・・
 まだまだ未熟で不器用な所がたくさんありますが、実戦を重ねればきっと皆良いMS乗りになれるでしょう。
 俺が助けたり、導いたりする必要はないと思います。」
「では・・・・君自身は?」
「・・・戦場で戦うことだけが果たして戦いの全てなのでしょうか?議長。」
「む。」

「俺はかつて戦士でした。それも自分で言うのもなんですが歴戦の戦士です。戦士は戦場で色々なものを学ぶ・・・・
 ならばその学んだものを今度は次のステージに生かす事が大事かと思うのです。」
「次のステージ、かね?」
「議長・・・・・・一筆、書いてくれませんか?この俺をプラント最高議長の意向を受けた全権大使である、という委任状を。」
「なに?」
「今成さなければいけないこととは。この戦争が泥沼化するのを防ぐことです。それにはオーブが参戦する事だけは
 絶対に防がなければならない。」
431通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 21:47:54 ID:???

「私の代わりとして君がそれをやるのかね?これは極秘情報だがオーブは世界安全保障条約機構に正式に加盟したようだよ?」
「ッ!(カガリ・・・・首長会議を抑えられなかったのか!)」
「それでも決意は変わらないと?」
「・・・・・困難な戦いであることはすでに承知済みです。俺は・・・・戦士!アスラン・ザラです!」

「・・・・・・・分かった。今の君に必要なのはMSではなく、一枚の紙切れというわけか。
 だが下手をすればセイランの手であっさり殺される可能性が高いと私は思うのだがね?」
「俺は、俺だけにしか戦えない戦場に命をかけます。それはもう誰にも止められませんよ。
 例え野に屍を晒したとしても後悔はありません。」


「分かった・・・・む、これでいいかね?出来れば君とはまた生きて会いたいものだ。」
「ありがとうございます。この戦争が終わったら公の場でお会いしましょう。俺は以後、政治に身を置く覚悟を決めましたから・・・・」
「そうか。では君の無事を祈るよ。死なないでくれたまえ、アスラン・ザラ!」
「議長こそ。では失礼します!」


こうして。後の歴史を揺り動かした2人の男はそれぞれの道へと歩みだしたのだった。


(勢いで書いただけなので続かない)
432通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 01:19:44 ID:???
>>430GJ、そんな真面目なアスランならちょっと惚れた。
続きが読めないのが残念だ
433通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 02:08:30 ID:???
うん、俺も続きを期待してしまう。
連載じゃなくって不定期の連作短編でいいから続き見たい。GJだ!
434通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 07:25:02 ID:VYLIu05R
既出かもしれないが、SEED DESTINYでSSを作るスレまとめサイトの管理者へ
短編「起動戦士ガンダムSEED ANOTHER 〜「それぞれの明日」〜」は、
Night Talkerに投稿されている、「これが私の生きる道」の盗作です。
主人公をオリ主からキラに代えただけで、文章そのまま・・・
すぐに削除を願います。
435通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 16:40:58 ID:???
史実を元にリアルなオリキャラ作ってみました。

地球連合軍の士官でザフト最大の敵の異名を持ちメビウスを自在に操る高貴なる騎士。
後にMSも操縦する。
爆撃、射撃、格闘戦すべてに秀で戦闘のエキスパート。
上層部が戦死を恐れて後方勤務を勧めるも無視、戦闘で片足を失うが義足もつけて前線勤務。
自分のことを余計に語らず、唯一みずからを私と呼称する。
性格は愚直と言えるが、決して高飛車なわけではなく、
誰もいないところで、ふと牛乳好きな表情を見せる一面もあるようだ。
436通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 16:45:26 ID:???
よそのスレからの改変コピペなんか貼って、それでよくルーデルに顔向けできるな
437SIN's DESTINY:75:2007/01/14(日) 14:03:30 ID:???
ミネルバのMSドックに降り立つシンとアスラン。
二人の背後にはそれぞれ無傷のままのインパルスとMA形態≠フムラサメ。
「おっかえり、シン♪それにアスラン=
お二人の見事なMSさばき、大変参考にさせていただきました!」
ルナマリアは笑顔でピッと敬礼をして二人を迎える。
シンは無言でルナマリアに視線を返す。
そのまま、奥へと引き上げていくシン。
「ちょ…ちょっとシン?」
シンはルナマリアの呼びかけにも答えず、奥へと姿を消した。
「…なによ、あんな態度とることないじゃない」
口をとがらせるルナマリア。
「…今のは君のせいじゃない」
背後からアスラン。
「でも、あいつ、戻ってきてからヘンですよ?
なんだかヘンにとげとげしいっていうか…。
前も確かにツンツンしてたけど、あんなじゃなかったです。
…私達とはぐれてたときに何かあったんですか?」
アスランはルナマリアの問いに答えられない。
言葉で説明しようにも、言葉にならない。
「…色々だよ。色々あったんだ。」
それしか言いようがなかった。
438SIN's DESTINY:76:2007/01/14(日) 14:06:10 ID:???
「二人だけの秘密≠ナすか。
いいですね、男同士って」
ルナマリアはぷうっと頬をふくらませて、不満をあらわにする。
それを見て、くすくすと笑うのはレイ。
「そこ!なに笑ってんのよ!」
ルナマリアが顔を赤くしてレイに吠える
「…?どうかしたのか?」
「こっちもそれなりに色々あったってことさ、アスラン=v
アスランは、ただ首をかしげるしかなかった。


一方、ガーティ・ルーではバルトフェルド達が帰艦を果たしていた。
「お疲れ様でした。いかがでしたか?」
「ああ、それなりに得るものはあった。
ときには戦場に出るのも身体が引き締まっていいな」
出迎えの士官の言葉に答えて、バルトフェルドは背後のMSに視線を移す。
ウィンダム、ダガーL三機ともども軽微ではあるが、ところどころ損傷があった。
「しかし、向こうは無傷だ。完全に遊ばれたよ。
まったくあれが若さ≠チてやつなのかね?」
バルトフェルドは苦笑交じりに語る。
「あの方≠ゥらご連絡がありました」
士官がバルトフェルドに身体を寄せる。
「…ほう?」
「スティング・オークレー、アウル・ニーダおよび
カオス、アビスはこのまま我らの直轄。
ステラ・ルーシェ≠ヘ別働隊に渡すように、との事です」
「…そうか。あのお方も何を考えているのやら。
まだあの少女をいたぶるつもりなのかね」
やれやれ、とバルトフェルドは天を仰いだ。
439SIN's DESTINY:77:2007/01/14(日) 14:07:26 ID:???
「ディアッカ・エルスマン。ただいま戻りました」
敬礼をするディアッカの前にはギルバート・デュランダルの背中。
「…ミネルバから通信が入ったそうだな」
デュランダルは振り返り、デスクの椅子に腰を下ろす。
「はい。地球降下時にインパルスに搭乗していたシン・アスカ、及び
ザクに搭乗中のアスラン・ザラとはぐれたようですが、
その後、マルキオ導師≠フ元で合流を果たしたとの事です」
ディアッカの言葉にデュランダルの眉が動く。
「なに、マルキオだと…?」
「はい」
デュランダルはしばし、思案する。
「…インパルスの状況は?」
「はい、地球降下時にフォースインパルス・FAITHモードでの地球に降下のため、
降下途中でフライヤー及び、シルエットと分離。
機体回収時は機能停止状態のコア・スプレンダーのみだったとの報告です。
なおザクは地球降下時にリミッターを解除しての
長時間のブースター使用のため、ブースターが大破。
アスラン・ザラはオーブ代表カガリ・ユラ・アスハを
オーブに送り届けた際、譲り受けた可変MSムラサメ≠ノ搭乗との事です」
「…わかった、ありがとう」
デュランダルはいったん、ディアッカの発言を押しとどめる。
440SIN's DESTINY:78:2007/01/14(日) 14:08:31 ID:???
「また随分と厄介なところに落ちてくれたものだな。
困ったものだ、神様のイタズラ好きにも」
デュランダルは、ディアッカに笑いかける。
「ですが、神様のイタズラ好きはそれにとどまらなかったようですよ」
ディアッカもデュランダルに、砕けた口調で笑みを返した。


デュランダルはディアッカから受けとったレポートをデスクに置く。
「キラ・ヤマト=c、か」
「はい。それに共に降下した地球連合軍所属とみられる女性兵士もおそらく強化人間…、
症状からいって、ほぼ末期状態だと思われます」
デュランダルは緊張の面持ち。
「…風の噂である程度、予想ができていたとはいえ、
こうして報告としてカタチになってこられると、やはりこたえるものだな」
「ただ、ラクス・クライン≠フ確認が報告されていないのが気になります。
おそらく報告書に記載されている中でミーア・キャンベル≠ニいう
女性がそうだと思われますが、アスラン・ザラはともかく
シン・アスカからの報告書にも同様の記載をされている点が不可解です」
「…不思議はないさ。彼女は歌姫≠セからね」
デュランダルはデスクの上のチェスの駒を手に取る。
「…さて、どうしたものかな」
デュランダルはつぶやいた。
441シン運命 ◆dZ37vvxgX2 :2007/01/14(日) 14:14:08 ID:???
みなさま、あけましておめでとうごぜぇますだ
去年に収め切れなかった年貢を持ってきやしたぜ
どうか、これでご勘弁してくなさいませぇw

>350
亀ですが、トン
これからちょっと反映させてみる
442通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 17:39:52 ID:???
>>429アスランが赤の奇行師になってからギャグとシリアスが完全に分裂しちゃって、作者自身迷走中。すみません。
66
シンは何も言えなかった。
あれは真実で、自分はザフト兵で、沢山のオーブ兵を、君のお父さんを殺しました。
何の罪も無い、無抵抗な人達も虐殺しました。
沢山殺して何かを守った気になっていました。そんな事・・・言える訳が無い!

「ザフトは嘘つきだから、きっと僕達を騙してるんだよね?うん、きっとそうだ!ザフトの悪いやつらめ!絶対僕がやっつけてやる!」
少年は自分に言い聞かせるように元気に叫ぶ。
少年の言葉にシンは体を震わせ、そして、我慢できずに口を開いた。
「違うよ。ザフトは嘘なんて言ってないよ。」か細い震え声でシンは言う。「へ?」
「あれは本当の事だよ・・
俺が、殺したんだ・・・・・何の罪も無い人達を、いっぱい殺したんだよ。」
「お兄ちゃん何言ってるの?だって、っ、え?」少年の瞳に微かに涙が滲み出し、口だけが笑みを作る。
「俺は、ザフト軍だった。たくさんのオーブ軍のおじさん達を殺したんだ」「嘘だよ・・」
「そうじゃない時も、たくさんの人達を殺したんだ」「嘘だって・・」
「俺はぁ・・・グズ・・ぎみの・・・・君の、お父さんを殺したんだよ!」「うそだって言ってよ!!おにいちゃんっっっ!!!」
シンは必死に声を抑えて涙を流し、少年は声を上げて泣き出す。
ドブンッ。漏れる泣き声を必死に堪えるシンの頭に、中身の入ったジュースの缶が当てられた。
シンが振り向くと、街の人々が、怒りや憎悪、恐怖を顔に浮かべて自分を睨み付けていた。
「人殺し!!」「なんでお前みたいなのがここに居るんだよ!!」「失せろ!カス!!」「悪魔!」「その子が可哀想!」
443通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 18:05:02 ID:???
67
話を見聞きしていた人々が一斉にシンを囲んで非難し出す。
石やゴミを投げつけられ、シンは体を丸めてその場に座り込む。
「あんた、それでも人間なの?」「俺の兄弟全員分の恨みだ!喰らえ!!!」ドガッ
「なんでこんな奴がここに居るのよ?密入国?やだ、今度は何しようって言うの?」「どうやったらあんな事が出来るんだ!?」「やっちまえ!」
シンは抵抗しなかった。
自分のした事の重み、罪、ひどさを分かっていたから。
アスランに言われ、それをはっきりと意識し出した時から覚悟していた事だから。
本当にひどい事をして来たから。たくさんの人を泣かせて来たから。この人達の、全てを奪ったから。
でも・・・・・・・・やっぱりつらいよっ!
「えっく・・・・・うぅ・・・ぐず」
「何泣いてんだよっ!俺のダチなんか真っ二つにされて泣く事すらできなかったんだぞ!」
ごめんなさいなんて、言えない。許しなんて乞えない。
謝るって事が゛そういう事゛じゃないとしても、謝ってしまったら、この人達のやり場の無い気持ちは・・・・・。
過去の自分、今のカガリが脳裏を過る。
「倒してやる!」騒ぎの中に一際大きな声が生まれる。一同がはたっと動きを止める。
シンは顔をゆっくりと上げ、声の主を見上げる。少年は叫ぶ。
「倒してやる!ザフトなんて僕が大きくなったら一人残らずやっつけてやる!そのためだけに生きてやる!」
444通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 18:31:02 ID:???
68
少年の憎しみに満ちた顔がシンの目に飛び込んだ瞬間、シンの中の何かが音を立てて形を変えた。
一時の静寂。そして
「そんな風に生きちゃぁだめだぁー!!」
叫びながらシンが飛びつくように少年の足へと抱きついた。「なっ!」「こいつ、この子に何する気だ!?」
無理矢理引き剥がそうと人々の手が伸び、そして止まる。
「俺を殺して下さい!俺を、殺して下さい!
全部、俺が悪いんだ!俺が、俺がひどい奴だから!俺の心が弱いから!!」
シンは顔をぐしゃぐしゃにして必死に叫ぶ。
「俺を殺していいからっ!いっぱい痛め付けて、いくらでも俺を憎んでいいから!
だから・・・だから、戦うためだけに生きるなんて言わないで!!憎しみで生きたりしないで!!!俺みたいにならないで!!!」
「どう、して?」
「だって・・だって!!・・・・君が笑えなくなるのが嫌なんだ!!!君に死んで欲しくないんだ!!!」

「こいつ、自分の事を棚に上げて何を勝手な事を!」「最低ね!」
「みんな、やめて」
「ちょ、君?」
「・・・・・・・」少年は無言でシンの手を解き、背を向けてその場を去って行ってしまった。
残されたその場は沈黙し、その後誰もシンに手を下す者は居なかった。
シンは立ち上がり、重い視線を受けながら、痛め付けられた体を引きずってその場から去った。
445通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 09:13:27 ID:???
GJ!。
今回はなんというかシン、世界の厳しさを知る。…だな。
ストーリー的に重かったが、まあシンにはこれをバネに強くなってほしい。
ギャグは箸休めになってちょうど良いので入れてほしいとオモ
446通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 15:13:33 ID:???
・・・ホントはね・・・シンだけじゃなくてキラも凸もその他のやつも言われるべきことなんだけどね・・。
まあ、全員言われてもね・・・重さが・・ね・・・。
絶えられないやつもいるだろうし・・・責任転嫁するやつもいるだろうし。
取り合えず、今回はシンのみですね。
でもって、この名無しの少年がこの出来事から何を学び、何を考えるのかですな。
447通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 15:48:24 ID:???
69
「お前達には期待している。無様に消えた大佐との違い、見せてもらうぞ」
「了解」「(はっ、分かってるての)」「馬鹿な大佐と私達は違うわよ」

その頃、世界では人々のロゴス討伐を掲げる運動が行われていた。
各地を襲撃し、ロゴス幹部を狙い打つのが目的の物が大多数であった。が、ロゴス幹部らは皆、すでに脱出した後だった。
そして、ザフトのミネルバでは。
「アスラン、すごく格好良かったよ!」
「ありがとう、アーサー」
アーサーと共に歩くアスラン。クルー達は皆、まるで哀れむかのような目でアスランを見る。
「ん?なんだ?みんなまだ俺を馬鹿にするつもりか?」皮肉混じりの笑顔を浮かべて言うアスラン。
「いいや、違うぞアスラン。
みんなアスランの活躍っぷりに嫉妬しているんだ。僻んでいるんだよ」
「なるほど。ふう、そんなに俺の事が妬ましいか。俺が羨ましいんだな?」
そんなわけない。
アスランは偉ぶっているのか、ちょっと蟹股になりながら、アーサーと一緒にMSハンガーへと向かった。

「こ、これは!!」「アスランの新しい機体だ」
アスランの目に映る、やられたはずの機体、セイバーの頭。その機体とは!?
448通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 16:08:21 ID:???
70
「デスティニーセイバーだっ!!」
アーサーが名を発したその機体、デスティニーセイバーがアスランの新しい機体だ。
「お、おっ、おおおおおおおお!!!」
達磨にされたデスティニーを修理した時、頭部だけどうしても遅れてしまった。
そのため余っていた、ある程度修復、適合可能な、同じく達磨だったセイバーの頭を付けて完成したのだ。
デスティニーにセイバーの頭を付けただけ。
「なっ、なんて格好良いんだぁ!!」
興奮して子供のようにはしゃぎ喜ぶアスラン。
「まさしく蘇る救世主だな!アスランにぴったりだ」「ああ!運命の救世主か・・・・・なるほど、俺のために存在するようなMSだな!」
アスランは早速、デスティニーセイバー(頭がセイバーのデスティニー)のコックピットに乗り込んだ。
「ちょっ!何やってるんですか!?」整備をしていたヨウランが言う。
「心配するな。ちょっと動かすだけだ」ハッチも開いていないのに何所で動かす気なのか。
「アスラン・ザラ、デスティニーセイバー、出る!」
「危ない!!アスラン!!!」
ドガッ
「ひゃ〜っっっ!!!」開きっぱなしのハッチから突如、アーサーが飛び込んで来てアスランを蹴り飛ばした。
アスランはコックピットから吹っ飛ばされ、まっ逆さまに機材置き場へと落ちていった。
ズンドガラガッシャーン
「なっ、何やってんだ??」ヨウランは混乱した。
449通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 16:26:38 ID:???
71
「アスラーン!!」
アーサーが降りてきて、散らかった機材の山の中からアスランを掘り出す。
「あ、うぅ、あう」アスランは無事だった。
血が噴出しているが生きていた。
「ア、アーサー・・・・・なんで」
「危ない所だった。もう少しでアスランが大変な事になる所だった」
「・・・?アーサー、それはどういう?」
アーサーは再びコックピットへと上がり、中に入って機器を弄った。すると
ビュイィィィン
「こっ、これは!?」驚愕するアスラン。「機体が赤くない!!!」
「そうだ!」頷くアーサー。
なんとデスティニーセイバーのPS装甲起動時の機体色が、赤ではなく、デスティニーの物を基調とした色だったのだ。
「もし、あのまま赤くもないこれに乗っていたら」「の、乗っていたら!?」「アスランは大怪我をしていた!」「ああっ!!」
アスランは体をがくがくと震わせ、恐怖に身が竦む。
「そ、そうだったのか・・・ありがとう、アーサー。助けてくれて。」ピューピュー血を噴出しながら礼を言う。
「気にするな。友達じゃないか」「アーサー・・」アスランはアーサーのやさしさに感動を覚えたのだった。
そんなアスランにヨウランが要らぬ事を言ってしまう。「何言ってるんだよ!副長が突き飛ばしたせいで血が出てるじゃんか!」
ギラッ アスランがヨウランを鋭く睨む。
「これはシートベルトを締めなかったからだな。悲しい事故だ」「そうだぞ!アーサーは何も悪くない!俺がうっかりしてたせいだ!」「え?え!?」
「さてはお前だな?機体色をこんな色にして俺を罠に掛けようとしたのは。お前、自分が何をしたのか分かっているのか?」
アスランは激怒し、衛兵を呼んでヨウランを「こいつは俺を今殺そうとした」逮捕させた。「なんでだー!!」ヨウランは連行されて行った。
450通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 00:14:23 ID:???
アスラーン!!!

哀れだ、哀れすぎるよ、アスラン。
451通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 02:07:59 ID:???
ちょwwwシンキラパートとの落差がwwwwwwww
GJ!
452通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 11:38:03 ID:???
もういいよ・・・・・・、アスランはこのまま突き進めや・・・・
453通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 15:18:28 ID:???
保守
454通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 16:28:58 ID:???
72
なんで。なんでこんな事になったんだろう。なんで。
父さんが居て、母さんが居て、マユが居て。
みんなで楽しく、毎日馬鹿みたいに笑って暮らしてたのに。今なんでこんなになってるんだ?
なんで・・・・・・・・・・・いや、違う。なんで、なんて、おかしい。
「うっ!」
シンの体に、先程受けた傷の物とは別の痛みが走る。
ムウに渡されたあの薬。何となく想像は付くも一度だけとはいえ投与されて、一体この先どうなるか、想像も付かない。
身も心も苦しい。
苦しくて堪らない。
だが、逃げる事なんて出来ない。逃げちゃいけないと思うし、逃げたくない!逃げたくない・・・・・はずなんだ。
気が付くとシンは、ステラの居る施設の前まで来ていた。

「シン!」「ステラ・・」
ベッドの上で体を起こして、元気そうにシンの名を呼んでくれる。
生きていてくれた、生きていてくれたんだ。ステラは!
「シン、ステラね、もう悪い奴やっつけなくてもいいの!」「ステラ・・・」
「ここに居れば怖い物は来ないって、シンもステラも大丈夫だって、先生が教えてくれたの!・・・・・・シーン?」
「うっく・・・・ひっく・・・・・・・ステラ、ごめんね。俺・・・守れなくて」「シン?どうしたの?泣かないで?」
「ステラを、守るって言ったのに。・・・もう戦わなくてもいいって、俺が・・言ったのに!
俺・・・・・・全然君の事を守れなくて。全然、約束守れなくて」
455通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 16:52:54 ID:???
73
「どうして?シン、ステラの事守ってくれたよ?」
「違うんだ!俺・・・・・本当は君の事、全然守れてなんかいなかったんだ!
君を守ったのは俺なんかじゃない。君を守ってくれたのは・・・」
「シンだよ?」「え?」
「ステラね、シンにいっぱいやさしいを貰ったの。だから分かるの、嬉しいの!
ステラ、ここに来る前、一緒に歌った事無かったの」
「歌?」
「うん!ステラ、歌うの好き。歌うの好きだからいつも歌うの。
でも前に居た所、みんな歌わないの。一緒に歌おうって言っても、誰も歌ってくれなかった・・・。
でも、シンが連れて来てくれたここ、みんな一緒に歌ってくれるの!みんな一緒に笑ってくれるの。だから嬉しいの!」
ステラはシンにそっと手を伸ばし、髪をやさしく撫でる。
「ステ・・・・ラ・・」
「ステラ、シンにいっぱいやさしいを貰ったの。
だから、今度はステラの番。
ステラ、シンの事守ってあげる!」
「!!」
「先生が言ってたの。好きな人は好きな人を守るって。ステラはシンの事だーい好きだから守るの!
シン、悲しそうな顔してるから、ステラが悲しいから守ってあげるね!
今度はステラが守ってあげるね!」
456通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 17:16:17 ID:???
74
「ステラァー!!!!!」がばっ
ステラの名を叫びながら、彼女の体を両腕でぎゅっと抱きしめる。
「シン?」
「違うよ!!守ってくれていたのは君の方だよ!!
悲しくて、寂しくて、全然何やっても埋まらない、俺の事を守ってくれていたのはステラの方なんだよ!!
俺は、俺はステラが居てくれたから、もう一度本気で笑う事ができたんだよ!!俺は」
「何大声出してるのっ!!」「うわぁっ!」
後から大声を浴びて、びっくりしてシンはステラを押し倒す形でベッドに倒れる。
「うあぁ!ご、ごめんステラァ!」「?」
急いで起き上がり後を見ると、白衣を着た30代後半程の女性が怒った顔で立って居た。
「ここには他にも患者さんが居るの!」
「あ、ううぅ。ご、ごめんなさい」「先生、大声だめ?」「駄目!」「先生も大声出したよ?」「あっ・・・」
先生は髪を掻いて、騒いじゃ駄目と念を押して、そして出て行った。
「・・・・・・・はぁ」
「シン。先生怒ると怖いよ?」「うん・・・」
「シン。お菓子食べる?」「うん・・・」
「シン。あーんして」「うん・・・」
あーん   ドババババババババ「!!!???」
ステラが取り出したバケツ大の缶からシンの口に、大量のチョコレートが流し込まれる。「いっぱい食べて元気!」
457通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 17:40:39 ID:???
75
オーブ会議場。
「ん?なんだ?今猫の悲鳴みたいなのが・・。いや、失礼。
しかし、こうなると公の場での主張も危ういのでは?」
「だが、このまま何も示さずに居れば、やがて軍が派遣されかねないのも事実だ。
各所のザフト物資搬入の動きから見ても、彼らが何かしらの軍事作戦に移る準備をしてるのは明白だ」
「カガリー!」
ユウナが会議場に、ドアを弾き開けて入って来た。
「邪魔するな!ユウナ!」
「そうじゃないよ!たたたた、大変だよー!連合から通信が入って!」「!?」

「・・・というわけで、要求が呑まれない場合は即座に、オーブ本島への連合艦隊総攻撃を開始する」
「馬鹿な!そんな要求が呑めるわけないだろう!全政権、資源、軍備の譲渡などと、馬鹿にしているのか!?」
「我々は本気だ」「呑めるわけなかろう!」
「拒否、というわけだな?ならば通信は以上だ」
「なっ!いったい何を」ブツン
連合から一方的に通信を切られてしまった。
「そんな・・・・・・」
「大変です!連合艦隊がオーブ領海へと接近しています!この規模、前オーブ戦の物を遥かに凌ぎます!」
「最初からそのつもりで・・・カガリ!」「くそぅ!なんでこんな時に!!」
458通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 23:50:05 ID:???
GJ!!
保守
459通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 09:05:03 ID:???
保守
460通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 15:56:50 ID:???
保守
461通常の名無しさんの3倍:2007/01/25(木) 18:02:18 ID:???
保守
462通常の名無しさんの3倍:2007/01/26(金) 22:45:00 ID:???
保守
463通常の名無しさんの3倍:2007/01/27(土) 23:30:01 ID:???
保守
464通常の名無しさんの3倍:2007/01/28(日) 22:37:45 ID:???
保守
465通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 23:28:46 ID:???
期待保守
466通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 10:26:58 ID:???
76
「どういう事さ、カガリー!?
同盟を破棄したのはそっちとか、襲撃したとか、いったい何があっ」
バキッ
「直ちにオーブ全域に避難勧告!それと、国民の本島からの脱出の準備を!」
「はっ!」
「そっちは連合ともう一度コンタクトが取れないかやってみて欲しい。」
「カガリ。アークエンジェルには私が。」
「ああ、頼む!」
オーブは先の戦争での経験を生かし、
復興の際、敵脅威侵攻時に国民をより確実に避難させられるように対策を講じていた。
国民の脱出は可能だ。だが、本島に脱出に至るという状況になる事は、国が落ちるという事である。
「・・・・・撃たせて、なるものか!」
拳を握るカガリの下では、ユウナが星の扉の向こうを見ていた。

「・・・・なるほど。そっちの件に関しては後ほど部隊を送る。引き続き頼むぞ」「・・・・・」
ヘブンズベースのロゴス幹部と、ザフトのある人物の秘密通信。
特殊なデータ通信システムにより、スパイより機密が報告された。この事を、デュランダルは知らない。
「コーディネイターは役には経つのだがな。役には・・・」
「しかし大丈夫かね?奴が裏切らんとも・・」
「ありえませんよ。なんせ彼の目的は」
467通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 10:46:28 ID:???
77
「じゃあね、シン」
「じゃあ・・」
手を振り見送ってくれるステラ。シンは建物を出て、キラ達の元へと歩き出す。
ありがとう、ステラ。
君が居てくれたから、君に出会えたから、俺は。
嬉しかったよ。君が、そんな風に言ってくれて。俺の事を思い続けていてくれて。
・・・・でもね。それでも俺は・・・やっぱり駄目なんだ。
許されないんだ。ううん、許せないんだ。俺が。
だから・・・さよなら、ステラ。
シンは、ステラの元で一緒に笑い続ける事なんて、出来ないと思った。
自分はやさしい世界には居てはいけないのだと。

「地球軍、海上オーブ領内に突入しました!」
「とにかく今は海岸線に近づけさせるな!ムラサメ隊、何としても食い止めろ!」
ついに地球軍が領内に侵攻、海上のそれをムラサメ隊が足止めに掛かる。
アークエンジェルにもそれが伝わり、発進準備が開始されていた。
そして、国防本部では。
「地球軍、繋がりました!」「!?(・・・・・妙だ)」
「通信を回せ!」
468通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 11:03:44 ID:???
78
「準備完了次第、僕はフリーダムで迎撃に。ムウさん達には・・・・・・シン?」
「なんだよ・・・・・いったい、何が・・・何が起こってるんだよ!」
アークエンジェルに着いたシンの耳には、信じたくもない現実だけが届けられていた。
オーブが、攻められている。
「なんでこん」「ごめん!今はっ!」
シンの言葉を遮り、キラは大急ぎでその場を去って行く。
普段の彼ならありえない。が、それ程までに深刻な事態なのだ。
「・・・・・オーブが・・オーブが、また?」
シンの記憶が呼び起こされる。
侵攻する地球軍、侵攻されるオーブ。そして、何もかも吹き飛ばされ、欠片となり散らばる家族の・・・。
「・・・・・っ・・・・・うっ、うぅっ!」
もう二度と、そんな事にならないために、自分は今まで戦っていたはずだった。
あの時力さえあれば。力があれば守れるのだと。そう思っていたかった。
だが、そんな自分はもう居ない。そして、自分には゛力゛なんて物は無かった。守るために出来る事は何も無かった。
なら、自分は今、何も出来ないじゃないか・・・・・。
「シン」
立ち尽くすシンに、ラクスが急ぎ足を止めて話掛ける。
「シン。今オーブは」「何も出来ない!!」
シンの叫びが響き渡る。何人かのクルーがその声に振り向き、すぐに作業に戻る。
「シン・・・」「俺は、何も出来ないんだ」
469通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 11:21:01 ID:???
79
「何も、出来ないのですか?」ラクスがやさしく言う。
「・・・・・」「何故ですか?」
「そんなの!そんなのは・・・・・・」「何故、ですか?」
問うラクスを睨み、シンが大声で叫びたくる。
「俺がただの人殺しだからだ!!!
俺は!俺はたくさん殺したんだ!!ほんとにたくさん、たくさん殺したんだ!!
いっぱい奪ったんだ!!いっぱい泣かせたんだ!!そんな俺が出来る事なんて、人殺しぐらいしかないじゃないか!!!
俺は守れないんだよっ!何も、守れないんだ・・・・・・ただ殺して、殺して。人殺しは出来ても、守る事は出来ないんだ・・。
そうしたいのに、守りたいのに!俺には出来ないんだ!
俺は・・・・」
シンの細い目から涙が零れる。
「俺はもう、殺したくなんてないんだよぉ・・・・・。
これ以上自分のせいで、誰かを泣かせたくなんてないんだよ・・・。」
廊下にへたり込み、誰にでもなく跪くシン。そんなシンにラクスは。
バッゴーン
「ぎゃあっ!!」
鈍いながらも大きな金属音が響き、シンは廊下の隅まで吹っ飛ばされた。「あ、うあ」
ラクスが殴ったのだ。
大きな大きな金属ポールで、シンの事を思い切り殴り飛ばしたのだ。
それを見ていたミリアリアが、大口を開いたまま透明のドア越しに固まっていた。
470通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 11:50:58 ID:???
80
「自分のせいで泣かせたくないと。彼方はそう言いたいのですか?」
「うっ・・・うあ」
「では、彼方のせいでなければ、今目の前で、彼方の大切な人達が奪われてしまっても、彼方はそれでいいのですか?」
「!?違う!!俺は!俺は・・・」
「自分には守れぬのだからと、諦めてしまう事が、彼方の本当の望みなのですか?
嫌だから、出来ぬからと、大切な物から逃げる事が、見捨ててしまう事が彼方の望みなのですか?」
「・・・・・・・・違う。そうじゃない・・・・・絶対に!!そんなのは、嫌だ!!!」
「・・・・そうですわね。
彼方は、たった一人の大切な人を守るために、何所までも傷つくことさえ厭わない方なのですから」
「ラクス・・」
「殴って申し訳ありません。ですが、彼方に気づいて欲しかったのです。本当の彼方自身を・・・。
彼方が仰った気持ちを、私は否定したくありません。
泣かせたくない、奪いたくないと、自分自身に自分を背負わせながら逃げる事を、私は止めはしません。
ですが!
彼方が本当にそうある事を心から望んだのでなければ、私は彼方を否定します。止めます。もっと殴ります。」
「・・・・・」
「シン。彼方が欲しい物は何ですか?彼方がそうであって欲しい未来は、今彼方が向かおうとしていた先にありますか?
私にはそれを思う、探す事は出来ません。ですが、彼方にだけは出来る事です。
自分と、自分のせいで生まれた涙が彼方を締め付けると言うのなら、
それを訳になどせず、きちんと受け止めて下さい。彼方自身が彼方を思わなければ、彼方は他の誰をも思えないのですから」
ラクスはシンを一瞥し、その場を後にした。そして取り残された。口をそれぞれ別の意味でぽかんと開けるシンとミリアリアが。
471通常の名無しさんの3倍:2007/01/31(水) 03:24:39 ID:???
更新、乙。

…って、ちょっ…ラクス、鉄のポールはヤバいって!!
472通常の名無しさんの3倍:2007/01/31(水) 09:59:39 ID:???
GJ!
そこら辺にシンのアタマから飛んだネジが落ちてそうだが‥。

473通常の名無しさんの3倍:2007/02/01(木) 11:37:39 ID:???
保守
474通常の名無しさんの3倍:2007/02/01(木) 18:39:59 ID:???
そのネジを拾ってザーっと飲み込んで「これでよし」とか言うのですね。
475通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 11:18:57 ID:???
で、常に自転車「○天号」で移動ですか?
476通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 16:08:27 ID:???
81
「ブルデュエル、ヴェルデバスター発進しました。
続いてストライクノワール、スウェン機発進スタンバイ。ストライカーパックはランチャーを選択」
連合艦隊後方の一隻の船より出撃される、他の部隊の物とは異なるMS。
ダークカラーリングの量産期に囲まれ、オーブ本島へと向けて進む。甲板には発進後にそのまま降りた緑の機体が。
「発進準備完了。ストライクノワール、発進どうぞ」
「了解。スウェン・カル・バヤン、ストライクノワール、出る!」カタパルトから飛び出し、すぐ近くの別の船の上へと降り立つ。

「申し訳ありません。遅れてしまって」「ラクス。なかなか来ないから心配したよ」
シンとの会話を後にし駆けつけたラクス。
「シンと、少しお話をしていましたので」
「・・・・・そう。・・・・・・・・それで、彼は?」少し目を顰めて聞くキラ。
「彼は、分かりません。
私は彼を殴る事しか出来ませんでしたから」
「殴・・・え?」
「それではそろそろ出発しましょう。マリューさん」
「ちょっ、ラクス?」
「決して殴られた事への仕返しではありません。本当です。
ただ・・・・・・私は、彼が立ち止まってしまう事が恐かったのかもしれません」「?」
「見てみたかっただけなのかもしれません。私は、私には無い彼の、感情のままに生きて行こうとする姿を」
遠くを見つめるような目でラクスは言う。
キラはラクスの言葉に寂しさを感じた。そして思う。本当に彼女の傍に居てあげるべきなのは、シンのような泣ける人間なのではと。
477通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 16:42:35 ID:???
今頃になってジ・エッジ読んだため、影響されて今後アスランが真面目キャラになってしまうかもしれません。ご了承ください。
82
「こんにちは。久しぶりです」「・・・」
連合と通信が繋がったと思ったら全然違う所と通信が取れていた。
「こちらサイ・アー」
ブツン    サーーーーー
「何をするんだカガリ!せっかく繋がったのに!」「いや、いいんだ。あれは無視して」

その頃ザフトでは。
「出してくれよ!」ヨウランが牢屋の格子にしがみ付き、目の前で壁にもたれるアスランへと叫んでいたのだった。
「どうして、どうしてこんな事するのさ?
前にエロゲーの事を馬鹿にしたからか?」
「馬鹿にするな!!俺がそんな理由で君を牢屋に入れるわけがないだろう!
なるほど、君は俺の事を小さい奴だと見下していたんだな?よく分かった」
「ちーがーう!!違うって。ごめん、ごめんなさい!」
「そんな事を言っても無駄だぞ。君が俺を殺そうとした事は明白だ。見下していた事もだ」
「(こいつは・・・)ご、ごめんなさい!俺が、俺が間違っていました!」
「ん?なんだ?やっと白状する気になったのか?俺が優秀すぎて嫉妬して、あんな愚行に走ったのだと認める気になったのか?」
「はいっ!その通りです!俺はアスランさんがあまりにも格好良過ぎて嫉妬してしまいました。羨ましかったんです!憧れてしまったんです!」
それを聞いた瞬間、アスランの顔が見る見る笑顔となって口が歪み、満面の笑みでヨウランを見る。
「それは、それは仕方が無いな。俺が格好良すぎるのだからな。それは仕方無い。ふひっ!
俺の格好良さに、あまりにも地味な君の心は歪んでしまったのだろう。不幸だったな・・・俺も悲しい。
分かった。そういう事なら君がここから出れるように、俺が特別に掛け合ってやろう。俺にも格好良過ぎるという責任があるしな。
ただし、これからは嫉妬に飲み込まれたりしないよう、俺の下で君が少しでも地味でなくなるよう頑張るんだぞ。いいな?」
「はい!ありがとうございます!(殺してやる!機体の配線引っこ抜いてやる!お前なんか死んでしまえ!)」ヨウランはすぐに釈放された。
478通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 17:22:13 ID:???
83
「よかったな!ヨウラン!アスランの力のお陰ですぐに出られたそうじゃないか!」
「は、はい。ありがとうございます、副長」
「そんなに褒める物じゃない、アーサー。確かに俺の力は偉大だが。ん、そうだ。ヨウラン、君にはこれを渡しておこう」
そう言い、懐から取り出した物をヨウランへと渡す。
「こ、これは!?」
「゛お兄ちゃん負けないで!!2〜戦士の約束〜゛だ。」
エロゲーだった。
それを見たアーサーが興奮した赴きでアスランへと問う。
「これは!もしやアスランが、自分で!?」「そうだ!」ニヤリと微笑みながら得意げに答える。
「ア・・アスラン・・・さん」
「戦争孤児となった4歳の女の子が住む孤島を守るために一人脱走兵となって、迫り来る敵と戦う愛と激闘の感動作だ。
自分はどうなっても構わないから戦わないでと泣いてしまう彼女との゛絶対負けない!生きて帰る!゛という約束。
エロゲなのに途中高難易度のシューティング戦となって、戦闘中会話では敵兵との濃密なドラマも有る。
エロシーンは島に帰還する度に女の子とする物のみ。それも純愛物で、並のエロゲではカットされる過程も忠実に。
主人公はロリコンでは無いが、゛軍人は溜まりに溜まっている。相手が幼女でも変な気を起こし兼ねない゛という事を描いているのだろう。
最終話で主人公が彼女を守るために巨大MAにプロトジンで立ち向かう場面は、軍人なら号泣せずにはいられないだろう。
つまりこの作品は、エロが目的では無い、あくまで軍人の人間ドラマを主とした真の意味での感動作なんだ。女性も楽しめるであろう。
あまり異性に興味を持てない俺も、このエロゲーに関しては興味を持たざるを得ない。
ちなみに、このゲームをロリコンがプレイすると、酷い自己嫌悪と自殺衝動に駆られる恐れがある。注意して欲しい」
「驚いたぞアスラン!こんな短期間にこんなにも立派にエロゲる事ができるようになるなんて!」「・・・あう・・・・・あ・・」
「さあ、今すぐプレイするんだ」「嫌だ・・・」「やるんだ」「嫌だ!」「やるんだ!!」「嫌だぁー!!!」「アーサー!手足を押さえてくれ!」「いゃだぁあぁあーーー!!!」
479通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 17:51:56 ID:???
84
「今すぐここにある機体も動かせるようにする。あまり時間が無い」
オーブ格納庫。旧式のM1アストレイや手動兵器がいくつか保管されている。そして
ガッシャーン
「なっ何だぁ!?」
突如一つの格納庫の天井を突き破り、一機のMSが飛び上がった。
その機体は、インパルスである。
一時的にここへと移送されていたインパルスが突如動き出した。
「おいっ!誰だ!いったい誰が動かしている!」「馬鹿野郎!何やってんだ!誰だか知らないが降りて来い!」
ブワァッ
作業員の言葉も聞かず(聞こえず)、インパルスは海へと向かって飛んで行ってしまった。

「沈む泥舟にいつまでも乗ってられるかよ!俺は降りるぜ」
フォースシルエットを装着しているインパルスは猛スピードで海岸へ、そして海へと出る。
「誰なの!?戻りなさい!」インパルスに通信が入る。マリュー艦長からだった。
「うるせえっ!」「彼方?!」「君!」画面に映った強奪犯、スティングの顔を見て驚くキラ。
「ああん?てめぇ・・・」「君・・・どうして。駄目だよ、今出て行ったら」「知るか!俺は連合に戻らせてもらうぜ」
「馬鹿な真似はよせ!」ムウがやって来てスティングへと呼びかける。「スティング、引き返すんだ」
「黙れ!この、色ボケじじい!」「いろっ・・!」「こんな所まで連れて来やがって!ふざけんじゃねーよ!」「スティング!」
「大体気持ち悪いんだよ!お前!」「!?」ムウはショックだったのか見る見る青ざめ、その場に座り込んでしまった。
「そこのババァもだ!勘違いしてんじゃねーよ!年増!!」「としっ!!」マリューも座り込んでしまった。「死ね!クソ大佐バカップル!!」
480通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 18:46:02 ID:???
85
「どうしても戻ってくれないの?このまま行ったら君、危ないよ?」淡々と言うキラ。
「てめぇは・・・てめーが一番むかつくんだよ!てめーを見てると腹が立ちやがる!」
「僕は、君に何か気に障る事を言っちゃったのかもね。ごめんね。それは謝るから、だから」「死ね!!!」
通信を切られてしまった。「どうして・・・」
インパルスは連合艦隊の方へと飛んで行った。

オーブ市外の住宅地では
「何所にも居ないと思ったら・・ここに居たのね」そこで少年は蹲っていた。
避難勧告でがらがらの街の中、少年と、その母親だけがまだ残っていた。今亡き、父親の部屋で。
「まだ分からないけど、避難しましょう?」「・・・」
母親の声に少年は首を横に振る。
「どうして、かな?」「・・・・・どこに行ったって一緒だよ」少年はよく見ると目に涙を溜めている。
「どこに居たって、嫌だもん」「・・」「パパはどこにも居ないもん・・・お兄ちゃんは・・・・・。どこに居たって一緒ならここに居る」
少年は死んでも構わないと思っていた。もう何もかもどうでもいいと、どうでもよくなってしまえと思っていた。だが
「パパはもう好きじゃないのかな」「・・・なんで?好きだよ・・大好きだよ!?だってパパは」
「彼方が死んだらパパはきっと悲しいわよ。彼方を守りたいって戦っていたパパだもの。パパを泣かせちゃうの?」
「パパは、死んじゃったもん!だから・・・泣けないもん」「うん、そうね。でもね、やっぱりパパは泣いちゃうと思うの。ママも一緒に」「ママ・・」
「それに、シン君もきっと泣いちゃうわよ?」「お兄ちゃん・・も?」「うん」「ママは、お兄ちゃんの事恐くないの?」
「うーん、怖いよりも、悲しい、かな?」「かな・・しい」「・・・・シン君ね、ママに自分はザフトの兵隊さんだって、泣きながら教えてくれたの」
「!?」「きっとシン君、とっても恐くてつらかったと思うなぁ。それでもママに教えてくれたの」「どうして?」「・・・それは、自分で考えなさい」
そう言いながら母親は少年をおんぶして家を後にした。吹き飛ばされれば二度と戻る事は無いあの人との思い出の場所を。
そして少年は考えた。
481通常の名無しさんの3倍:2007/02/04(日) 01:41:39 ID:???
保守
482通常の名無しさんの3倍:2007/02/04(日) 14:11:43 ID:???
86
「アスラン・・・」「ルナマリアか・・」
廊下でばったり出会ってしまったアスランとルナマリア。
昏倒させて以来まったく口を聞いておらず、当然仲直りなど出来ていない。
「放送見ましたよ。
大変ですね。すごいですね。がんばって下さいね」
棒読みの言葉をアスランに掛け、そのまま立ち去ろうとするルナだったが、「ん?」何かに気づく。
「ヨウラン?」
アスランの後でアーサーと手を繋いでいるヨウランの姿が見える。
「どうしたの、ヨウラン?何でアスランと?それに、ものすごく顔色悪いじゃない!」
「・・・・・・ぼ、ぼくぁ・・・ぼくわね。ふ、ふひひ、くひひひひひひひひひ」
いきなり笑い出すヨウラン。
不気味な笑い声にルナはぞくりと体を振るわせる。目が、目が笑ってない。目が死んでる!?
「しっかりしろ!心を強く持つんだ!ヨウラン!!くそぅっ!何でこんな事に・・・・・」
「アスラン。ヨウランの事は私に任せて、早く放送を」
「アーサー・・・頼むぞ!」
アスランはヨウランの頭を軽く撫で、その場を走り去って行った。
アスランの後姿をアーサーとヨウランが見送る。そして、ルナマリアも。
「(なんで、なんでこんな事になっちゃったのかな。アスラン・・あんなんじゃ、あんなんじゃなかったのに。私、本当はアスランの事・・)」
変わってしまった想い人の背中を、ただ悲しそうに見つめていたのだった。
「やっつけてやるー!俺がやっつけてやるぞー!」「大丈夫、大丈夫だぞヨウラン。ちゃんと付いていてやるから」「・・・・・(何があったのかしら?)
483通常の名無しさんの3倍:2007/02/04(日) 14:49:36 ID:???
87
「避難民の本島からの脱出準備、一部を除き全て完了です!」「よし!直ちに脱出を開始させろ!退避路の警戒は限に!」
「海上防衛線、乱れています!海岸防衛線の方は、迎撃準備完了しています!」
「代表!Fブロックの市民が脱出艇の手前で暴動を!
代表を呼ばなければ脱出しないと言っています!」
「取り合っている暇は無い!何とか説得して避難させろ!」
「無理ですっ!暴動を起こしている人数が鎮圧できる数ではありません!暴動の影響で同ブロックの他の市民の避難にも影響が出ています!」
「・・・分かった!私が行く!」
「今お前がここを離れてどうする!!向こうには近くのブロックから人員を回す。お前は」
「後を頼む!」「カガリ!」

「ロゴス幹部らが皆、既に脱出していたとは・・・。事前に情報の漏洩が有ったとでも?可能性としてはアスランしか」
「議長!アスラン・ザラが放送を!」「なんだと!?」議長が慌ててモニターを付けると、そこには。
「みなさん!見てください!
この二機のMSは、宇宙に隠されたファクトリーで秘密裏に建造されていた機体です。
この機体、動力部にはNジャマーキャンセラーを搭載、つまり核で動く物なのです。
この機体を建造、所持していたのは、オーブの現代表カガリ・ユラ・アスハの実の弟、
私の友人でもあったキラ・ヤマトとその取り巻き達なのです!彼らはオーブ政府と深い関わりを持つ者達です!
なぜ、中立国の者達がこんな危険極まりない破壊兵器を?どうして?なんで!
皆さんは既にお分かりですね?そう!キラ・ヤマトらやオーブ政府の者達は、国民を、他国を、世界を騙し、
自分達の利益のために戦争を煽り、兵器を溢れさせる、ロゴスの一味以外の何物でもないのです!」
484通常の名無しさんの3倍:2007/02/04(日) 15:57:02 ID:???
88
「我々はオーブに対し、ロゴス関係者の即時引き渡しを要求しましたが、
それに対してオーブは沈黙、我々の言葉を聞く事すら拒んでいる現状です。
オーブには逃げ出したロゴス幹部らが潜伏しているという情報もあり、
我々はかの国をこれ以上野放しにする事が出来なくなってしまいました。
我々は罪の無いオーブ国民を危険に晒すような馬鹿な真似はもちろんしませんが、
白を切り、ロゴス関係者を匿い続ける現オーブ政府に対しては、武力行使に踏み切らざるを得ません。
オーブ政府には、ロゴス関係者の即時引き渡しを、引き続き要求して行きたいと思っています。
どうか、オーブ政府は」
「アス・・・ラン!」
名を呼ばれ、アスランが声をした方へ目を向けるとそこには、
よたよたとアーサーに肩を貸してもらいながら歩く、ヨウランの姿があった。
「ヨウラン!」
「すまない、アスラン。ヨウランがどうしてもアスランの所へ行きたいと」
「ヨウラーン!!」
ヨウランに駆け寄るアスラン。カメラもそれを追う。
「アス・・ラ」「ヨウラン!ヨウラン!」「アスラン・・。なんで、俺、エ・・ロゲ。ぐふっ!」「ヨウランっ!」「しっかりするんだ、ヨウラン!」
力無く崩れるヨウランを必死に支えるアスラン。その姿が世界中に映し出される。
「くそっ!ヨウランは、ヨウランは、巨大MAから一人の大切な女性を助けるために、たった一機で立向かって・・・それで!
それでこんな姿に。愛するあの人を守るために、こんな。うっ、う゛う゛。なんでヨウランがこんな目に合わなければならないんだ!!!シンめー!」
大泣きするアスラン。人々は察した。あの人は連合の殺戮兵器から大事な人を守るために戦って、心を砕かれたのだと。
あの、シン・アスカという巨悪な悪魔のせいで、こんな姿になってしまったのだと。アスランの涙は、世界中の人々の涙を誘った。
485通常の名無しさんの3倍:2007/02/04(日) 16:24:30 ID:???
89
最初からオーブに関係者引渡し要求なんてしてもいなければ、幹部がオーブに逃げたという情報も無かった。
ヨウランが戦ったのはエロゲのラスボスで、大切な女性というのはエロゲキャラ。
ヨウランがアスランに会いたがった理由に至っては、
アスランに無理矢理やらされた事への怒りをぶつけたかっただけだった。
放送終了後。
「何事だ!アスラン!」
「議長。オーブまではそれ程距離はありません。このままオーブから何の反応も無ければ、攻撃を開始します」
「待つんだアスラン!」
「ラクスめっ!ジャスティスを作っていながら俺に何一つ連絡して来なかったという事は、俺に乗せるつもりなんて無いという事か!?
ふざけるな!ジャスティスは俺の機体に決まっている!君まで俺を馬鹿にするつもりなのか?元婚約者の俺を!
そうか・・・俺よりキラの方が有能だと、そう言いたいのか。
俺に渡すよりも、キラの予備機体にした方がましだと、そう言いたいんだろう!?ラクス!いや、キラめ!
そうやってお前は永遠に他人を見下す事しかしないんだな!キラも、シンも!」
「アスラン・・・私の話を聞いてくれ」
「議長、アスランは聞いていません」後からレイが小声で言う。
「議長、ここはアスランに任せましょう」「いや、しかしだ」「元々オーブには消えてもらうつもりでした」「・・・・・」
「アスランの思惑は分かりませんが、今攻め込んでも問題無いと私は考えます。」
「・・・どうしたんだ?レイ」「どうした、とは?」「君ならここは慎重にと念を押す所だと思うのだが」
こそこそ話す二人を見て、アスランが不審な顔をして声を掛ける。
「どうした?レイ、君は俺の意見に賛成なんだろう?」「・・・・・」「ギルギル・・・」ビクッ「は、はい。もちろんです」議長には何事か分からなかった。
486通常の名無しさんの3倍:2007/02/04(日) 17:45:01 ID:???
職人氏GJ

アスランは腹芸がうまくなったな
487通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 17:15:00 ID:???
話進めるのに少し焦ってしまった。アスランサイドの流れが今までとは別の意味で強引に。
90
オーブ侵攻作戦が、連合だけでなくザフト側でも始まろうとしている。
元々対ヘブンズベース戦、その他ロゴス戦に備えて軍備を整えていたため、オーブ侵攻もそれ程時間を取らずに取り掛かる事ができる。
ミネルバに配備予定だった、ザフトがファクトリーから強奪した機体、
新フリーダム、新ジャスティスの移送だけは間に合わなかったが。
ミネルバには現在、アスランのデスティニーセイバー、レイのレジェンドが搭載されている。
ルナマリアはアスランにインパルスを使えなくされてしまったので、量産期のグフが渡されている。

ミネルバ内パイロット待機室。
「アスラン。一つだけよろしいですか?」「何だ、レイ?」
「嘘の情報を公表してまでのオーブへの軍の派遣。
アスランには何か深い考えがあって今回の行動を起こされたと、そう思ってよろしいのですか?」
「ああ、その通りだ」「その考え、是非お聞きしたいのですが」
「ああ。そうだな・・・・・俺は、シンとキラを倒したいんだ」
「は?」
「シンとキラを倒したいんだ。だからオーブを攻撃する」「・・・・・アスラン。何、がですか?」
「だからシンとキラを倒したいと言っているんだ!君は言葉が分からないのか!?紙に書いて見せないと分からないのか?
何だ?まさか君は、カガリが俺を振って別の男と結婚しようとした事を根に持って、それで攻撃しようと言い出したとでも思ったのか!?
ふざけるな!俺はそんなに小さくない!君は俺をまだ馬鹿にしようと考えているのか!?」
「いいえ、違います。ただ、少し疲れていたようで、言葉をよく聞き取れなかっただけです」「そうか」そしてレイは何も言わなくなった。
488通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 17:42:30 ID:???
91
「本物のラクス・クラインは何時お帰りになるんだろうなぁ」
「え?あ、えと。副長、何がですか?」
廊下で行き成りアーサーに言われて戸惑うルナマリア。アスランを尾行して盗聴した時の事が頭に浮かぶ。
アーサーは大声で言う。
「あっ!ルナマリアは知らないんだったな。すまんすまん。
いや、アスランが今プラントに居るラクス・クラインは偽者で、本物は今はオーブに居ると言っていたんだ。
議長とその事で前に話したらしいんだ」
「そ、そうなんですか?でも、ほ、本当なんでしょうか?」「どうなんだろうなぁ。私も聞いただけだからなぁ」

スティングの乗るインパルスは海を飛び、防衛に当たっているムラサメの横を通り抜けて、連合艦隊へと向かう。
自分が味方だと分かるよう情報を発信し、合流を試みる。
「あばよ。島国と一緒に沈んじまいな」
ムウやキラを思い浮かべながら一人呟き、前方に映し出される艦隊を見る。もう少し。
ピーーーーー 「!?」警告音がコックピット内に響く。「ロックされた!?」
次の瞬間、前方の艦隊からミサイルが発射されるのが見えた。こちらに向かって!
猛スピードで突っ込んでくるミサイル。咄嗟の判断でスラスターを弱め、上を翳めてミサイルが通り抜けて行く。
「なっ!くっ!こちら地球連合軍ファントムペイン所属、スティング・オーク・・・・・・通信が、取れない!?」
ウィンダムが、艦隊が、黒い量産期スローターダガーが、インパルスに向けて次々に攻撃を加える。
「く、くそぉー!!」必死に攻撃を避けるスティング。
馬鹿な!通信は出来なくても、向こうには俺が入力した味方だと分かるデータが。なのに!
489通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 18:12:02 ID:???
92
「ふん。まさかこんな小細工をして来ようとはな。
大方、裏切り者の大佐らが奴等にデータを売ったのだろう。
わざわざあの機体で罠に掛けようとしてくるとは。基地であっさり騙せたからと、こちらを舐めているのか!」
集中砲火を浴びるインパルス。
スティングは死に物狂いで避けようとするも、幾つかの実弾が命中する。
「ちくしょう!!」
ウィンダムにライフルで反撃。見事に命中し、それを爆散させる。
が、それが運の尽き。
攻撃した事によって完全に敵機とみなされ、ウィンダムがさらに周りを囲む。
そこにさらに。
ズシューウ  ドーーーーーン
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
中距離からのレールガンの、シルエットへの直撃。それを放った青い機体、ブルデュエル。
「何こいつ?死にたがり?」同じファントムペインのパイロット、ミューディー。
味方であろうファントムペインからの攻撃を受けているのだ。無論、そんな事お互い知ろうはずがない。
ブルはスラスターの爆発的推進力により一気に接近、何とか海に落ちないよう体勢を立て直している最中のインパルスに襲い掛かる。
「ひっ!」スティングの短い悲鳴をかき消す、ブルのビームサーベルの唸る音。
切断。インパルスの両腕がサーベルで綺麗に切り落とされる。
さらに続け様の近距離のレールガン直撃。大きく弧を描いて吹き飛ばされる。「あ・・ああ・・・」
最後に、モニターに映った、遠方より艦の上から、ランチャーでこちらを狙う黒い機体の姿を最後に、意識が途絶えた。
この・・俺が・・・・・ぐっ!
490通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 20:47:00 ID:???
GJ

スティング哀れな最後…
アスランは相変わらずw
491通常の名無しさんの3倍:2007/02/07(水) 05:04:28 ID:???
ある意味本編での扱いはシン以上に酷いのに、なぜかオクレ兄さんはSSでも冷遇されてることが多いな
492通常の名無しさんの3倍:2007/02/07(水) 12:25:03 ID:???
>>491
だからスティング主人公スレがあるわけか
493通常の名無しさんの3倍:2007/02/07(水) 23:58:35 ID:???

連合はアルビオン並みの無能ってことでおk?
494通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 06:24:40 ID:???
保守
495通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 13:15:15 ID:???
オクレ兄さんについては、後々外伝やるつもりです。独立ギャグ編に持ち込むべく退場させたような物だし・・それも酷いか。
93
『ヨロシクオネガイシマス タロウサン キョウノ ミッションハ ドウナッテイマスカ?』
「今日はなんでも、オーブに匿われてるロゴスを捕まえに行くらしいんだ。
俺もよくはしらないんだけど、まっ今日もよろしくお願いするわ!」
『コチラコソ ドウゾヨロシクデス』

ファントムペインのMSによって、次々と防衛線のムラサメが撃墜されて行く。
ウィンダム相手では有利に立ち回る者も、次の瞬間にはノワールのランチャーで撃墜される。
遠くからのノワールとヴェルデの砲撃、掻い潜ってもブルのサーベル。確実に防衛線が削られて行く。
そして、そんな窮地の中、カガリは。

「何でこんな事になってんだよ!あんたら行政府は何やってたんだ!?」「ふざけんじゃないよ!?」
暴動を起こした市民を相手にしている。
「今現在、何としても本島への侵攻を食い止めようと頑張っている!どうか皆、今はここから避難してはくれないか?」
そんなカガリの言葉を人々は受け入れられない。
「ふざけんな!俺たちにまた、あんな窮屈な難民生活を送れって言うのか?」
「あんたらお偉いさんには俺達の苦労は分からないんだよ!」
「大体何で地球軍がまた攻めて来るの?あんたらはロゴスの仲間なんでしょ?何で攻撃されてるのよ!?
何でさっさと降伏しちゃわないの!?何なの、あなた!?」
496通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 14:05:24 ID:???
94
カガリは逃げ出したかった。目の前の現実は、自分や父親を全否定してしまう。耐え難い事だ。
けど、シンの言葉を思い出すと、逃げ出そうなんて気は無くなっていった。代わりに、立向かおうと思う事ができる。
「父親と同じ事する気?自分達のせいで誰が苦しむ事になるか考えてもいないんでしょ!?」
「俺達の人生を何だと思っている!復興は出来るからそれで納得しろとでも言うのか!?」
人々の言葉を聞き、カガリは目を薄っすらと開け、そしてばっと見開く。口を開く。
「頼む。今はここから避難して欲しい」
「だから、」
「お願いだ・・。今は、皆をここから無事避難させる事が、私の、私達の一番に考える事なのだ。
私達を信じられない、納得できないという気持ちは、当然の事だと思う。だが!
だからと、皆を危険なこの場に、こうして留まらせて置く事は、絶対に出来ないんだ!!
・・・・・・・嫌なんだ。死んで、欲しくないんだ。もう。私は・・。
頼む・・・・・どうか、今は私の我侭を聞いてくれ!ここから、逃げてくれ!!!」
カガリの言葉が今この場に居る、兵、暴動を起こしていた人々、騒動に巻き込まれた人々、全てに届いた。
その場はしんと静まり返り、人々はカガリを見つめる。
そして、幾人かが動いた。
暴動を起こしていた数人が脱出艇へと向かい始める。それを見た他の誰かも、巻き込まれていた人々も、続いて動き始める。
次々に脱出艇へと向かい、その場が少し空いた。
が、暴動を起こしていた半数以上の人々が、やはり動こうとはしなかった。
「何が、我侭を聞いてくれだ。下手に回ったって騙されねーぞ」「結局あなたは上でぬくぬく生きてる身分でしょうに」
497通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 14:30:59 ID:???
95
その場限りの誠意には騙されない。人々は、カガリの言葉を皮肉を込めて否定した。
もっと時間を、自身掛けて、態度では無い方法で見せなければ、今見せなければどうにもならないのか。
時間は無い。こうなったら力ずくでも皆を非難させるしかない。皆に、銃を突きつけてでも、撃ってでも!
それがどれだけ間違った、後悔する、後に確執を生むだけの方法でも。それでも、死なせるわけにはいかないのだ。
カガリが苦難している最中、一人の兵が駆け足で遣って来た。
「どうした?」
「はっ!それが!」

「火線集中させすぎだっ!サーベルは抜くな!ライフルを使うんだよ!ライフルを!!
くそっ!奴等、避難艇まで逃がさない気か!」
連合本隊が攻めている方と逆の海岸から先立って出航していた避難艇が、巨大MAザムザザーを含む数小隊に襲撃されていた。
何とか避難艇の航路を確保しようと敵の誘導を試みるも、全く乗らず、避難艇の方に向けて思い切り攻撃を仕掛けてくる。
「駄目です!援軍の目処立ちません!!我々しか・・」
「弱気な声を出すな!!!だったら俺達が落すんだよ!俺達がっ!!いくらでかくったって!」
「ビーム効いてません!」「だったら素手で殴るんだよーー!!うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
ムラサメ隊長の特攻。ムラサメのパンチがザムザザーの腹側に直撃する。そして、全然効いているわけがない!!!
「たいちょーーーう!!!」「くぅっそーーーーーう!!!」
ザムザザーのクローがムラサメ隊長を襲う。ズズズズズズ 鈍い唸りを上げてクローが伸びる。
「ふんっ!」隊長の気合。寸での所でクロー攻撃から逃れ、逃げ様にライフルを打ちつける。
バシュゥ 陽電子リフレクターに弾かれる。このままでは全く歯が立たない。どうする、隊長。
498通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 14:51:57 ID:???
96
「隊長!!奴の下に潜り込んだ時にパンチじゃなくてサーベルを突き刺していれば・・・」
「今言うな!!もう遅い!!くそ!もう一度奴の腹に潜り込めれば・・・」
あっさり接近された事に危機感を覚えたのか、ウィンダムがザムザザーの周りに寄って援護し始める。

「何やってるんですか少尉!死角取られるなんて馬鹿じゃないんですか!?」
ザムザザーのパイロットに向けてウィンダムに乗る部下が早口に言う。
「うるさいな!偶然だよ偶然!!ほら、ちゃんと援護しろ!」
「救難船ばかり狙わないで下さい!ここからじゃ当たりませんよ!まずMSを」「分かっている!!」

「くそっ!避難艇を襲うなんて!!!」避難艇襲撃の報告を聞いて激怒するカガリ。
戦う力の無い無抵抗な人々まで連合は逃がさないのかと、頭に血が昇り始める。
それを聞いていた人々に動揺が広がり始める。逃げられない!?逃げようとしても殺される!?
そう思うと、さっきまでカガリに突っかかっていた人々も、自分達の置かれた状況を改めて自覚させられ不安になる。
「嫌だぁー!死にたくないよ!」「どどどどど如何するの!?ねぇ」避難途中の人々が足を止め、パニックを起こす。
いっそ逃げずに一緒に焼かれたって構わないと思っていた人々も青ざめた顔になる。
当然である。誰だって死にたくない。
だが、このままでは皆死んでしまう。
死の恐怖に混乱する人々を見渡すカガリ。このままではいけない。このままでは死んでしまう。身も、心も!
皆を守りたい。そう思うとカガリは無意識に口を開いていた。
「皆、大丈夫だ!もうすぐ援軍が来る!避難艇が撃たれるなんて事は絶対に無い!だから皆、今は生きる・・・そう!生きるために、船に乗って欲しい!」
499通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 15:20:38 ID:???
97
「そ、そんな事言ったって、援軍が来る前にやられちゃったらどうするんだよっ!」
「大丈夫だ。今ここに居る兵達がムラサメで護衛に出てくれる。それに、私も出る!!」
「ばっ!カガリ様?!」「全員船に収容次第、ムラサメで援護しつつ発進する!」
「そんな、駄目です!カガリ様が出るなんて!万が一」
「私が今出なくては、たとえ国が再び立ち直る事が出来たとしても、誰も、この国を信じてはくれぬだろう。
存在し続けるだけでは駄目なのだ。
我々が何故、今まで理念を、この国を貫こうとして来たのか。今私が示さなければならないんだ。
オーブの、その意味を失えば・・・・・先の大戦で犠牲になった者達の死が、貫かれた思いが、本当の意味で無駄になってしまう」
「カガリ様・・・」
「何故、オーブという国が生まれたのか。何故゛国゛なのか・・・・・・・。
皆に伝えるには、私はあまりに若すぎた。至らなさ過ぎた。途中、逃げ出したりもした。
だが、たとえ未熟でも、決して間違ってはいないと言える事がある。・・・・・私は、皆を守る。守りたいんだ。」
そう言うとカガリは駆け足でその場から離れる。
「カガリ様!」カガリは足を止め振り返り、兵と人々を見て言う。「みんな、死なせないから」そして走り去って行った。
「・・・・・・前の代表よりひでぇよ」「大体突破出来たとして、避難先が襲われたりしたら・・・・・」
「でも、どうせ死ぬなら・・・・」暴動を起こしていた人々が動き出した。一人一人早足で避難艇に向かい始める。
それを見て、怯えていた他の人々も一緒に避難艇へと向かう。
兵はそれを見て無言で作業に取り掛かり始める。言い知れぬ不安と、よく分からない気持ちが溢れる中、人々は足を運ぶのだった。
「もしこれで死んだら許さないからな・・」「なんまいだーぶなんまいだーぶ」「ハウメア様!ハウメアさまー!」
500通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 16:22:31 ID:???
職人氏GJ

ここのカガリは多少は国家元首らしいことをしているな
501通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 00:54:29 ID:???
保守
502通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 15:59:40 ID:???
98
「新たな敵MS群確認。ムラサメが、5機です」
「無駄な足掻きだな。奴等の戦力はそこそこの物だが、
数が違う。時間の問題か」
ファントムペインのMSらがムラサメを次々と落して行く光景を見ながら、母艦の艦長が落ち着いた顔をして言う。
既にオーブ側の海上防衛線はボロボロとなり、勢いよく連合艦隊が海岸へと近づく。
「しかし艦長。
何故上は、避難民一人たりとも生きて逃すな等と命令を出したのでしょうか?逃げ出した者達など放って置けば」
兵がつい、言葉を漏らす。
正直、無抵抗な避難民をも撃てという命令に、不快感を感じているのだ。
コーディネイター相手なら憎しみが煽動し、感じない物だが。
「分からんか?
オーブは先の大戦の折、多大な被害を被ったにも関わらず、たった一、二年で復興して見せた。
国土の復興だけなら、それ程驚かぬのだがな。
奴等は、復興と同時に軍備を、かつての物を遥かに凌駕する程増強させたのだ。分かるか?その恐ろしさという物を」
「・・・・・」
「奴等は敵前逃亡をしているだけであって避難民ではない。我々にとってはな。
こちらに銃を直接付き付けてくる者よりも、銃を作る者、銃を手にする者を養う者の方が、厄介という物だ。
雑草を、根だけ残して刈り取るような真似は、無駄という物だ。そういう事だ」
「はあ(無理に例え話にして言ってますか?艦長)」
503通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 16:26:46 ID:???
99
「駄目だ!抑えきれない!」「話掛けるなっ!」「ひ、ひぃーーー!!」
圧倒的に不利な中、
ムラサメが必死に応戦、そして撃破されて行く。
ウィンダムを何機も撃破しているのだが、後から後から出てくるので切が無い。

「海岸線にM1アストレイを確認した」
海岸線上を正確に確認できる位置まで侵攻したファントムペイン達。
スウェンがM1の姿を捕え、ランチャーを構えながら言う。
ズォォォーーーッ ドッカーン
母艦の上から、強力な二線のビームが伸び、M1を海岸ごと派手に吹き飛ばした。
「おい、スウェン。
何所にM1何て居るんだ?何所にもそんなもん無いじゃないか。ああ、もしかして、あそこに転がってるスクラップがそれか?w」
シャムスが意地悪そうな顔で笑いながら、モニター越しのスウェンに向けて鼻を鳴らしながら言う。
「中尉。
今、中尉がビームを撃った地点にM1アストレイを確認していた。
つまり、今の中尉の攻撃で、M1アストレイは撃破されたと思われる。」
「・・・・・けっ。分かってるっての。(またかよ。てめーはいっつも、いっつもそんな)」シャムスはスウェンの機械的な態度が気に入らない。
いつでも冷静沈着で、人間味のまったく感じられない、感情的にならないスウェンは、シャムスの性格にはまったく合わないのだ。
「中尉」「なんだよ!?」苛々しながら乱暴に聞き返す。
「新たな敵部隊を確認。データから、アークエンジェルとフリーダムと思われる」「!!」
504通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 16:53:31 ID:???
100
ハイマットフルバースト!! ズギューーーーーン
炸裂したカラフルな複数の閃光が、ウィンダム数機を一瞬で落して行った。
何が起こったのか分からない連合パイロット達。
確認する間も無く、
更に数機のウィンダムが、コックピット以外の部分を撃たれて落ちて行く。
「あれが、フリーダム!?」
「そのようだな」
顔を顰めるシャムス。
軍のシミュレーションで、データを山ほど見せられたあのフリーダムが、目の前に居る。
その巨大な力は、単機で量産期100機分とさえ言われている。シャムスの顔に汗が滲む。
スウェンは、特に変わらず。
「バヤン中尉。ランチャーからノワールストライカーへの換装を。一端帰艦願います。」
「了解した」
ノワールが後方の母艦へと、船と船を渡りながら戻って行く。
見えた母艦の上では、複合ライフルを構えたヴェルデが固まって居た。
「コーザ中尉。換装中の遠距離砲撃、任せた」
「ああ・・・・・。俺が、やってやるよ。俺がな」
「ちょっとシャムス!何ぼさっと立ってるの?自慢の武装は飾り?」ミューディーがシャムスを一括。
「黙ってろ!撃ってやるよ。撃ってやるよっ!!」
シャムスはヴェルデのライフルを連結、機体の前方にそれを伸ばして構え、補正のためのバヨネットを展開する。
「喰らえ!フリーダム!!!」海岸のM1を吹き飛ばした、あの高出力二線ビーム砲が再び吠えた。
505通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 20:28:12 ID:???
GJ
ファントムペインツヨス
506通常の名無しさんの3倍:2007/02/14(水) 11:39:43 ID:???
保守
507通常の名無しさんの3倍:2007/02/15(木) 01:58:33 ID:???
        ______ 
       ,;i|||||||||||||||||||||||||||||||ii;、         _/
     /||||||||||||||||||||||||||||||||||||||ii;、        \
  / ̄ ̄\||||||||||||||||||||||||||||||||||||ii;゙ヽ,      /
'" ̄ヽ     ヽ!!||||||||||||||||  ||||||||||!!"ヘ     <  ロマンティックageるよ
ヽ          ゙!!!||||||||||||  |||||||!!   iヽ── /
|||l            ゙゙ヽ、ll,,‐''''""     | ヽ|||||||||ロマンティックageるよ
|||l     ____   ゙l   __   \|||||||||  
||!'    /ヽ、     o゙>┴<"o   /\   |'" ̄| ホントの勇気 見せてくれたら
\  /  |ミミヽ──‐'"ノ≡- ゙'──''彡| |、 |   |
   ̄|    |ミミミ/" ̄ 、,,/|l ̄"'''ヽ彡|| |、/   / ロマンティックageるよ
 ヽ、l|    |ミミミ|  |、────フヽ |彡l| |/  /_
  \/|l    |ミミミ| \_/ ̄ ̄フ_/  |彡|l/    ̄/ ロマンティックageるよ
  \ ノ   l|ミミミ|  \二二、_/  |彡|      フ  
    ̄\  l|ミミミ|    ̄ ̄ ̄  |メ/       \トキメク胸に キラキラ光った
    | \ ヽ\ミヽ    ̄ ̄"'  |/        /
    /  \ヽ、ヾ''''ヽ、_____//       /_夢をageるよ
  /  ヽ ゙ヽ─、──────'/|         ̄/
. /       ゙\ \     / / \__
   ───'''" ̄ ̄ ゙゙̄ヽ、__,,/,-'''" ̄   ゙''─

508なぁ:2007/02/15(木) 06:37:30 ID:dG6+wOLR
携帯からやから意味わからんけど2チャンっておもろっプゲラ
509通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 11:51:32 ID:???
保守
510通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 17:35:22 ID:???
101
「くっ!」
ビームを軽い様子でふわりと避けるフリーダム。
傍から見ると簡単そうに避けたように思えるが、乗っているキラは必死だ。死が自分を横切っているのだ。
「くそっ!・・・・・あれは!?」

「外れたあぁぁぁ!!??」
「だから、叫んでる暇があったら次撃ってよ」
シャムスが妙に興奮してる中、スウェンは母艦の中で速やかにストライカーパックの交換に当たる。
電磁カタパルトによるストライカー射出を用い、空中での換装も不可能では無いが、
敵機に狙い撃ちにされるリスクがあるため、基本的に帰艦してからの交換となる。
「自動切り替え、完了。ストライカー設定、有効」
「ストライカーパック、交換完了しました。バヤン中尉、出撃準備」

「バスター、なのか?それにあの機体。デュエル!?」
「キラ君!後の母艦からMSが発進したわ!この機体、さっきと装備が変わっている・・・・・・これって」
いくつもの船と量産機の間を突き抜けて、
先鋭化された装備に換装した黒いMSが前線へと一気に躍り出る。
見覚えのある機体に戸惑いながらも、量産期を次々落していたキラの目前に。
「!?」
そしてその機体、ノワールが飛翔、フリーダムに向けて連装リニアガンを炸裂させた。
511通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 18:07:42 ID:???
102
「っ!!」
即座に反応して弾を避けた。
弾速が想像以上に早く、一瞬キラの顔が凍った。
そこに立て続けに、ノワールの両手のビームガンが撃ち付けられる。これも想像を絶する、驚愕の速射性と連射性を発揮し、
微かに見誤ってビームを脚部に掠りそうになる。
「・・・・・」
スウェンは無言でひたすらビームを撃ち続ける。撃ち続けながら自在にノワールを飛び回らせる。
撃つ。撃つ。撃つ。
鰹節を機械で削ると合間無く削り節が繰り出るが、まさにそのような感じで、短く細いビームが引切り無しに撃ち出される。
フリーダムが翼を広げて上に下に右に左に動き続ける。
止まればビームの連撃が容赦無く装甲を削り取ってしまう。
「っっっ!!」
焦るキラ。
ノワールの攻撃に混じり、ウィンダムとダガーがここぞとばかりに攻撃を繰り出す。
援護しようとムラサメが遣って来るも、ウィンダム数機にあっさり撃破されてしまう。
フリーダムに数十発のミサイルが一斉に襲い掛かる。
「キラ君!!」
その時、キラの中のSEEDが覚醒。ハイマットフルバーストが炸裂してミサイルを撃破する。
そして、フリーダムは狂ったような早さで空中を飛び回り出し、近くの量産期をサーベルで次々に薙ぎ払う。
覚醒したキラは、とにかく手当たり次第落せそうな相手から落して行く。
飛び回るフリーダムをノワールのビームが襲うも、キラはそれを無視。ビームがちょこっと当たっても無視。
装甲を薄く溶かされながら、フリーダムが量産機を次々襲う。序に戦艦数隻にも攻撃。とりあえず数を減らそうとでも言うのか。
512通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 19:03:11 ID:???
103
暴れ回るフリーダムにシャムスが激怒する。
「ふざけやがってっ!!手当たり次第かよ!このっ、落ちやがれ!!」遠方からのビーム砲攻撃。
正確な狙いで放たれるのだが、素早く動き、反応も良いフリーダムにはまったく当たりそうにない。遠くから撃っているのもあるが。
アークエンジェルは後方からちまちまと援護射撃。
甲板にはムラサメ隊が出て、地道にビームを撃っている。
暴れるフリーダムをノワールが強襲する。ライフルの迎撃を難無く交わして接近し、やはりライフル連射。
近距離でのビームの連射に、さすがにシールドで対応する。
武装を見る限りこのMSと近距離で遣り合うのは不味い。
何とか離れようとするも、完全に狙いを定められ、まったく離れてはくれない。
逃げるフリーダム。追うノワール。
多少減ったとはいえ、やはり数の多いウィンダム。追いかけっこをしている間に、防衛線の残存ムラサメが撃破されて行く。
部分的に抑えても連合の侵攻は食い止められない。

「キラ君!避難艇が別部隊に襲われていると、今通信が入ったわ!」
「なんですって!?そんな・・・・・・でも、どうすれば・・・ぐっ!?」
ノワールに完全に接近されてしまったキラ。
威力が弱いビームとはいえ何度も受け続けた装甲の幾つかが破られ、小さな爆発を起こした。
そこを間合いを詰めながらビームブレイドを取り出し、ノワールが勢いよく斬り掛かる。
シールドで受けるも機体を大きく弾き飛ばされ、肢体が投げ出される。
513通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 19:35:06 ID:???
戦闘ぐだぐだですみません。短くします。
104
「あれを排除する」「言われなくてもよっ!」「行くわよ」
何とか体勢を整えようとするキラ。
ブレイドを構えて迫るノワールに気を取られている、その後から、何時の間にか最前線へと躍り出ていたブルがサーベルを振るう。
「がっ!!」
宙返りのように機体をひねって避ける。
避けた所にさらにノワールのブレイドが振り下ろされ、青い翼をばきばきと圧し折って奪って行く。
翼を奪われながらも何とか反撃しようとサーベルを振るうも、
一撃離脱、ノワールとブルは一瞬で離れて、サーベルが何も無い空間を斬る。
離脱しながらブルが振り向き、アーマーから装甲貫入弾(ロケット手裏剣)を取り出して振り投げる。
それがフリーダムの頭を直撃し、大破させた。
メインカメラを破壊され、キラの目の前に映るモニターが途切れた。
サブカメラが映るも、状況をほとんど把握出来ない。
「そんな・・・・・これは・・・」
一瞬でその力を封じられたキラは、顔を蒼白とさせて焦る。
ノワールのリニアガンが狙いを付けるのが見えてシールドを構える。
構えた次の瞬間、シールドが激しく砕け散る音を立てながら、がらがらと崩れ去って行くのが映った。
「・・・っ!?」
ノワールの掌より打ち出されたロケットアンカーだ。硬い装甲を貫徹するアンカーが盾を直撃し、強固なそれをばらばらに砕いたのだ。
守りを失ったフリーダムに構えられていたリニアガンが発射される。
それは一瞬でフリーダムに到達し、ビームで装甲を溶かされていた左肩を激しく爆散させた。
514通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 20:00:07 ID:???
ちょっとまて、最後
リニアガンは実体弾兵器じゃまいか
515通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 20:08:31 ID:???
職人氏GJ

PPがキラを追い詰めていていいね
516通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 20:09:54 ID:???
105
そんな馬鹿な、信じられないという顔をしながら、キラは必死にぼろぼろのフリーダムを動かす。
ノワールとブルのそれぞれ両手に持った、避け難いビームガンがキラを追い詰める。
大気圏で素早い動きを生み出してくれていた青い翼は砕け散り、身を守る盾も、戦場を見据える目も奪われた。
自分の後の小さな島国・・・。
キラの唇が小刻みに震え、瞳孔が開く。
戦場に赴く時に思い耽る、その恐怖とは違う、恐れ。怖いと震える生の恐怖に、キラの頭が染まって行きそうになる。
フリーダムに乗って以来、この感覚は失われていった。無くし掛けていた。
だが、今それは蘇り、キラを飲み込もうとしていた。
「・・・・・あ、ああ」
ノワールが突撃し、すれ違い様にフリーダムの腹をなぎ払う。キラは避けきれず、右腰のレールガンを破壊された。
すれ違い背を向けるノワールの背中、ノワールストライカーからアンカーが射出され、胴体に突き刺さった。
フリーダムは後ろに向けて強い力で引かれ、今しがたノワールが居た中空に放り出された。
そして、バク転しながら上方で宙を舞っていたノワールが、真下のフリーダムにブレイドを投げ付ける。
「消えろ!」無表情な中に目だけ剥き出したスウェンの叫びと共に、フリーダムに止めの一撃が投げ付けられた。
コックピットを貫く、そう思われた次の瞬間、フリーダムはスラスターを吹かして回避した。
ブレイドは目標をフリーダムから海へと変えて落ちて行く。「こいつってば、しつこい!」
必死に避けたフリーダムだったが、避けた先でブルのレールガンを背後に喰らってしまう。翼がさらに砕ける。
ノワールとブルが早く止めを刺そうと接近。
「僕は、負けて・・・・・くそう!!」遣られまいと、キラの、力を振り絞ってのサーベル攻撃が繰り出される。
3機が重なり、各々の攻撃が一瞬のうちに繰り出された。ノワールとブルの攻撃はフリーダムの左翼全部と右腕を奪い、
そして、フリーダムの攻撃はノワールストライカーを一撃で破壊した。「!?・・・・・やられた、だと!?」「・・・僕は、負けられないんだ」
517通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 20:44:06 ID:???
>>514ビームガンで装甲を溶かされてPS装甲が駄目になっていて、そのせいで実弾無効にならず、リニアガンが効いてしまった。
説明不足ですみません。
106
「本当にしつこい!」「しつこいじゃなくて、しぶといじゃねぇのか?」「うるさいわよ!それより早く撃ってよ!」
何時の間にかミューディーの方がフリーダムを相手に熱くなっていた。
シャムスはフリーダムに当てるのを諦めたのか、ムラサメを根気良く落としている。

「キラ君戻って!」「・・・駄目です。今引いても、どうにも成りません・・」「だけど!」
右翼のビーム砲と左腰のレールガンのみを残したフリーダムで、まだ戦おうとするキラ。
今引いた所で本当にどうにも成らない。
引けば一気に大量の量産期が雪崩れ込み、まずアークエンジェルが逃げる間も無く、防衛線のムラサメも、すぐに落される。
そして、オーブも。
せめて皆が避難するまで足止めをと思っていた。だが、その避難した人々が襲われているという。どうすればいいのか?
今助けに行く事も出来ず、今この場を押さえる事も叶いそうに無い。
単純な、自分達の、自分自身の、自分の大切な人達の危機。
キラが失いかけていた気持ちが、今溢れ出ていた。
シンの事を見て、懐かしんだ感情達が、取り戻したいと心の何所かで望んでいた感情達が。
だが、それはこんな事で、絶望の時を前にして取り戻したかった物じゃない。

「こちらノワール。エールストライカーをカタパルトで射出」「あれは私が貰うんだからっ!!」「あの船もっと寄れよ!こっからじゃ当たらねーよ!」
518通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 21:16:39 ID:???
ファントムペイン強すぎw
特にスウェンの、あの2丁拳銃はヤバいよな
519通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 20:03:13 ID:???
GJ
本編の無敵のキラタンよりこっちの方がいいね

ファントムペインツヨス
520通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 20:45:49 ID:???
ノワール装備ではないストライクノワールはストライクEだぞ
521通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 15:09:27 ID:???
つーか容量が限界だぜ、次スレ建てないのか?
522通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 15:13:28 ID:???
次スレヨロ
523通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 22:25:06 ID:???
保守
524スウェン・カル・バヤン:2007/02/21(水) 16:27:43 ID:???
ストライクE、IWSP、帰還する
525通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 18:27:27 ID:???
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526通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 18:28:36 ID:???
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527通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 18:40:22 ID:???
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528通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 18:41:10 ID:???
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529通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 18:42:10 ID:???
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530通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 18:42:55 ID:???
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531通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 18:44:07 ID:???
tu-ka別に新スレ建てる必要はないのか、新人スレとかもあるんだし
532通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 18:45:39 ID:???
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533通常の名無しさんの3倍
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