SEED DESTINYはいい素材がいっぱいあるのに…それが生きていない!
または、ここでこうやってたら面白かったんじゃないか?
などを思ったことはありますか?
ここは、そんな人たちで理想の種運命を生まれさせるスレ。
リライトでも話を変えても今の本編からのもしも〜や、
設定を生かした全く違うSEEDなどを書いてくれればいいです。
SEEDでの主人公を変えて作るなどもやれるのならば!
※職人さんは感想などをちゃんと聞きましょう。
特に「ここはこうすれば良いんじゃない?」と言うような言葉には出来るだけ従いましょう。
それこそがあなたを職人として成長させるのです。
職人さん、頑張ってください。みな応援しております。
前スレ
SEED DESTINYでSSを作るスレ4
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1128326660/
はいはい
保守
新スレ記念にネタだけ投下
C.E74、二度の戦争を終結に導き、プラント最高評議会議長となったラクス・クラインはもはや市民にとってなくてはならない存在になっていた。
そして、中には彼女を神をして祈る者まで出始め。それは徐々に信徒を増やし肥大化していった……
それから5年後、その集団はかつての彼女の旗艦から「教団エターナル」を名乗り、ラクスを守るというお題目で軍備を備え、ザフトと国防を二分するまでに大きくなっていた。
しかし、大きくなりすぎたエターナルの思想は大きく歪み、ラクスのあずかり知らぬところで彼女を批判する者を力で抑え込むようになっていった。
だが、ザフトも評議会もこの力を疎みながらも取って代わられることを恐れ、エターナルは増長するばかりだった。
そして、教団エターナルから一人の少女がさらわれたことで物語は動き出す……
保守
,,,...、,ィ-- 、,,,,,___
,,ィiii;:;:;:;:iii;:;:;:;:i;:i;:;:!;:!;:;:;:l、,,_
r'":;:;:;:;:;:;:;:ヾ;:;: 彡ノノ'ヾ、;:;:;:i!
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l:;:;l ヽ、 l;:;:;:ミ
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ヾl,r"‐''''―、,-r'",..,、 i!`T")|
l^ーi '"' ’'` ノ ヽ、,,,...-‐' j! |
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ヽ-l ,,.;:;::;;;;:,,,,, |
ヽ i '"ー''''"~~`' / ,,.!、_
`ヽ、 "" ''' ,,.:'"/' :ヽ
j^'ー--‐''".ィ'ン" `ー-、
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| /`ヽ /
ヽ :;: ^|ヾ,r`' ,. ,,.r'
ミヽ ヾ ::;;: | / ,.ィ"
9 :
【大凶】 :2006/01/01(日) 02:58:34 ID:???
akeome
あけおめ
そして前スレ最後の投稿へ
続いて下さいおねがいしますと
新年初土下座
>>10 了解ッスw
(ミテテクレタンダネアリガトウ)
容量ギリギリなんでどこまで書き込めるかはわかりませんが
>>11 もし書き切れなきゃこっちに続き書いてくれりゃいいさ。
ちょうど今は過疎ってるしな。
>>11 ちょうど容量一杯になってしまったorz
というわけで書き込ませていただきます。
Cザフトのジブリール引渡し請求
ユウナ(さ〜て、ユウナ・ロマ・セイラン一世一代の狂言の始まりだ)
ユウナ「そのような人物はオーブ内に存在しません」
ザフト、オーブ侵攻開始。
ユウナ「なんで(前振り無く)攻めてくるの!」(乗り悪いぞ議長!)
オーブ防衛軍司令部に着くまで、ユウナの元に側近達が次々と状況を説明する。
側近A「無人MSの配備終了しました」
側近B「砲台もAI稼動の処理を終えています」
側近C「各地に待機している工作員に、市民のシェルターへの避難誘導の命令は終了しています。が、このことは司令部には伝えていません。それで本当に良いのですか?」
ユウナ「構いません。黄金の騎士に乗ったお姫様が白馬を連れてやってくるから、それまでなるべく私の無様さを広げた方がいい。そしなきゃ短期間での政権交代はできないしね」
側近D「御自宅にはなんと?」
ユウナ「う〜ん、派手に逃げ回るように言っといて。そいや親父達どうすんだっけ?」
側近B「政府要人と一緒に地下シェルターに入る予定です。ああ、もちろん極秘裏に新造した方にです」
ユウナ「そいつは助かった。場所が割れてると地下シェルターも安全じゃから」
やがて一行は国防本部入り口に到着。
ユウナ「んじゃ、あとは予定通り、僕が死んでも計画を遂行してくれよ?」
側近一同、目を醒めるような敬礼をし「ユウナ様の御命令どおりに!」
ユウナ「ほな、さいなら」
Dザフトの総攻撃により次々と破壊される無人兵器。
喚きうろたえ、しまいには逆切れするユウナ君。
ユウナ(あ〜無能者の演技すんのもめんどくせ〜)
やがてお姫様襲来…じゃなく到着。
ユウナ「ぼくのためにきてくれたんだねハニー!」
ユウナ(うへ〜我ながら何と凄まじくキモイ台詞をペラペラと……ホラ他の人たちも引いちゃってるし。つ〜か来るの遅っえんだよ!!)
新首相となったカガリは拘束命令を出す。
ユウナを取り押さえる要員達。ユウナは形ばかりの抵抗を示すがあっさりと捕まる。殴られるユウナ。
ユウナ(痛いな〜。腰が入ってないぞ今のパンチ)
イスに括り付けられた後、殴った要員はユウナに謝罪した。
ユウナ「気にすることないよ。それと頼みがあるんだ」
要員「はい」
ユウナ「僕をもっと殴ってほしいんだが」
要員「ええ!?」
ユウナ「おっと、別にそっちの気があるなんて無いからな! ただなやっぱ罰せられるべきかも知れないと思ってさ」
要員「そんな……いえ、自分は確かにユウナ様の指揮に憤りを覚えました。戦闘で死んだ者も采配如何によっては生き残れたと思います」
ユウナ「それで殴ったんだろ?」
要員「はい!ですがそれはオーブ軍人にはあるまじき行為であったと思い謝ったのです」
ユウナ「うん。まぁ、ね。積極的に反撃に出ていたり、その前にジブリールを捕まえられれば君達にも迷惑かけられないと思ったんだけどね〜」
要員「それならば何故?」
ユウナ「ま〜ね〜オーブのね〜状況がね〜…………やっぱ僕を思いっきり殴ってくれないか?」
戸惑いを隠せない要員。
ユウナ「否、君に殴る義務と権利はある。僕の指揮で君は知り合いを亡くした。違うか?」
要員「……はい。兄の居た部隊が全滅……戦死したと報告を聞いたとき、正直言って貴方を殺そうと思いました」
ユウナ(やれやれ、僕の責任だな。さっきの僕みたいな態度を見られちゃ殺したくなるわな)
ユウナ「じゃあ僕は、マスマス君に殴られればならなくなったというわけだ。早くしろお姫様がやってきたら復讐する機会はない、それに今の僕は殴られたくてしょうがない」
ユウナ(あ〜レクイエムが狙ってたから今まで馬鹿演じて見せてたけど、やっぱな〜許されないんだよな〜何人殺しちゃったんだろな。……糞!)
Eお姫様の謁見
大歓声の元迎えられるカガリ。早速ユウナのもとにやってくる。
ユウナ(お! キタキタんじゃもう一丁芝居を打つとするか!)
カガリに甘えるそぶりを見せるユウナ。カガリはユウナの頬、散々殴られた痕を一瞥もせずジブリールのことを聞き出す。
ユウナ「かがりぃ、ひどいよこれふぁ、あんまりだ。かがりぃボクはキミのるすをいっしょうけんめいうぼあ!
ユウナ(言えるわけないじゃん。今このときでもレクイエムが狙ってるというのに……でもまぁジブリールが行ってくれて助かった)
ジブリールはオーブに対しレクイエムを使った恫喝を行い身の安全を立てていた。
レクイエム発射を防ぐ条件はただ一つ。それはある日時までにジブリールが月のレクイエム発射装置に着き、自身の生体信号を使って発射プログラムを停止することだけであった。
日時までにジブリールが発射命令を下しても放たれる。そしてジブリールが捕らえられるか死んでも放たれる。
島国であるオーブには悪夢以外の何者でもなかった。
これはセイラン家のみしか知らない事実であった。
他の者にこの事実が知れ渡って時点でも放たれるため、助けを求めることはできなかった。
セイラン親子は人間が危機に陥ればどんな馬鹿なことでもやってしまうことを知っていたため、ジブリールの機嫌を取ることしかできなかったのだ。
続く
あけおめことよろ!
新年そうそうカッコヨスなユウナがいますね
つGJ&お年玉
17 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/01(日) 22:46:28 ID:Pbtg/WTZ
F大脱走!!
ユウナ(さて此処からどうするか?)
地下シェルターまで護送されながらユウナは今後のことについて考えていた。
さしたる緊急性もなかったため腑抜けてしまっていたのだ。
『世界を欺き続ける』今までが一人の人間が送る人生とはかけ離れていたのだ。
全知全身、己の全てをただオーブとその国民のために。ユウナは祖国を欺き、命を掛けて戦う軍人達まで欺き死地に送ったのだ。
だが、それもようやく終った。
ジブリールは既にオーブを去りレクイエムの心配も“一応は”去った。
ユウナ(第一目的であったオーブの存続は果たした。そして僕は生き残っている。そしてカガリ達は僕の計画通りに動いてくれるだろう)
まだ戦闘が続いている地上に出た。あとはシェルターまで移動するだけ。
歴史はユウナ・ロマ・セイランという若者を無能者とし断罪するだろう。
犠牲となった者の遺族は決して許さないだろう。
しかし、為政者たるもののなんたるかを知っているユウナは全てを受け入れる覚悟があった。
言い訳は一切せず、行為における全ての責を負う。
もしも真相を明かせばどうなるか?
ユウナ(真実を伝えれば、泥を被ってまで築き上げた全てが瓦解するだけ。国民は「逃げたカガリ」を許さない、じゃあその後はどうなる? 僕達を再び政権につかせる? 無理だ先にあるのは果てしない政治的混乱。そうして他国に憑き込まされ内紛国家のできあがりだ)
ユウナの脳裏には自分の計画の犠牲となった死者たちの姿が浮かんでいた。
ユウナ(彼らは生き返らない。そして彼らの残された家族は決して許しちゃくれない。)
沈鬱な感情に支配されそうになったユウナは天を仰ぐ。炎と煙で穢れながらもそこには確かに鮮やかな蒼天があった。
ユウナ(ならばよし!)
ユウナ(少なくとも残された家族は生き残ってるじゃないか。まずはそのことをもって良しとすべしだな)
途中でユウナは二人の憲兵の様子がおかしいことに気付いた。
後ろにいた憲兵がユウナに声を掛けた。周りにはユウナ達以外誰も居なうえ、戦場音楽が鳴り響いていた。
憲兵「ユウナ様、そのまま振り返らず歩きながらお聞きください。自分達はアメノミハシラからの派遣された工作員です」
ユウナ(サハク、ロンドの姐御か!?)
憲兵「もし逃げたいと思うなら今がチャンスです。脱走する振りでそのまま海岸に向かってください待機している別の工作員が貴方を保護します」
ユウナ(そいつは迷うな〜)
続く?
19 :
19:2006/01/01(日) 22:54:42 ID:???
Another SEED DESTINY Episode
[ユウナ・ロマ・セイラ大地に立つ]
CE.70 一つの戦いの物語が終わった。「僕たちの世界は・・・」少年は宇宙空間で呟いたのを最後に
連合所属の戦艦に収容されてから3年間、姿を見るものは居なかった・・・
CE.73 戦闘は激化しオーブは連合から圧力を受けていた。
「お父様の意思を貫きオーブの意志を貫くべきだ」カガリは強く主張し頑なに曲げようとしなかった。
「(ふぅーん、彼女やるねぇ〜さて、僕はどう出ようか・・彼女はただの小娘じゃないようだ・・・よし!賭けてみるか)」
ユウナはカガリを見つめ何やら考えこみ大きく息を吸うとをすると立ち上がった
「僕も彼女の意見に賛成だ!オーブの意思を貫き通すことが大切だ!」ユウナは胸を張って彼女の擁護に回った。
周りの大人たちはざわめきだした
「ユウナ何を言ってるんだ?!」
ユウナの親父は驚いたように詰め寄った。
「僕は彼女の可能性を信じたいんだ、そして僕も一緒に戦う」ユウナはカガリを見て微笑んで見せた
「ゆっユウナ!?」
カガリは驚いたような顔をした。
そしてざわめきの中会議は終わった。オーブは戦うことを決意したのだ。
「ユーナ!本当にありがとう。助かった」
カガリはユウナを追いかけお礼を口にした。
「本当に大事なのはこれからだよ、カガリ」
ユーナはそっとカガリの頭に手を乗せ優しく撫でた。
20 :
19:2006/01/01(日) 22:55:28 ID:???
[オーブの勇者]
連合軍は要求を呑めないと知ると戦闘態勢に入った。
オーブもアストレイなどで応戦の構えに入る。
「私も出る!ルージェを!」
カガリはじっとしてられず焦りをあらわにする。
しかし、お目付け役にしかられる。こんな光景よく子供の頃から見てたな
「カガリは指揮をしてるんだ。僕が出る!MSを出せ」
ユウナは目つきを鋭くし格納庫に向かった。
「待って、貴方のような方に使ってほしいMSがあるの」
シモンという女はユウナに何かを託す為地下に案内した。
「こっこれは?!」ユウナは驚きを隠せなかった。
黄金の色に輝くMSはすべてを洗礼し、輝きを無限に放っていた。ユズミ様が託した剣だという。
ユウナはコックピットに乗った。強い意志を感じる「(カガリは僕に任せてください。ユズミ様)」
「ユウナ・ロマ・セイラ、暁出るぞ!」
ユウナは力強く叫ぶ
「ユウナ様―!ユウナ様!!ユウナ様ぁー!!」
周りからは歓声が聞こえる。
「(フッ暖かい感触だ)皆の気持ち伝わるぞ、MSの黄金色は皆の気持ちの輝きだと分かるぞよ!!」
ユウナも国民に応える。
ユウナは実はMS訓練をしていたのだ。しかし自分でもその実力は浅いと思っていたが、国民の気持ちを一心に背負った彼は
今、無敵の勇者となっていた!
「ぐぁあーやられるぅ!」「なんだ?!コイツ強い・・ぐああ脱出する!」
次々と連合兵は倒していく暁
「甘いねぇ〜」
ユウナは余裕の微笑みを浮かべ勝機を確信していた。
「ええい!こうなれば奥の手を使うしかない。ファントムペインを呼べ!!」
連合指揮官は待機してあった部隊に発進命令を出す。
「・・・出るのか」
青年が呟く。顔には傷があり、仮面を被っていて素顔がよく分からなかった。黒いフリーダムに向かって歩いていった!
21 :
19:2006/01/01(日) 22:56:14 ID:???
[悪魔の青年]
「・・強化人間たちは使うまでもない・・・俺が直々に潰す・・・」
仮面を付けた青年はそう呟くとコックピットに乗り込んだ。
「フフ・・・ブラックフリーダム、出る・・・」
漆黒の色をし武装が微妙に違う黒いフリーダムは戦艦を飛び出すと暁に向かっていった。
「何だ?!この重たいプレッシャーは?!」
ユウナは恐怖を感じた。暗黒の意思を感じる!
ブラックフリーダムはムラサメを次々に撃墜していっている。コックピットを毟り取ると中のパイロットを
握り瞑り虐殺を楽しむと目標を暁に定め猛スピードで向かっていった。
「・・・フフフ・・・」
漆黒の機体が暁目掛けて向かってくる。そしてビームサーベルを引き抜くと振り下ろす!
「クッ!甘いねぇ〜」
ユウナは寸前のところでスラスターを吹かし交わす。ビームサーベルは海面に叩きつけられ水しぶきを上げる。
「・・・」
青年は動揺もせず次の行動に移る。ブラックフリーダムは悪魔の如く猛攻を繰り返す。
「次はこっちの番だよぉ〜」
暁はビームライフルでブラックフリーダムに撃つ。
「・・・真面目に狙え・・・」
しかし、ブラックフリーダムは攻撃をすべて回避する。ブラックフリーダムのラジエーターが開放されると
ハイマットフルバーストの態勢に入り暁に発射する。
「クッやられる?!」
ユウナは死を覚悟する!しかし、その瞬間ユウナを守るドラグーン。Iフィールドを展開させる。
キュピン、キュピン、キュピン、攻撃をすべてはじき返すピラミッド型のシールド!
「何?!・・・」
青年は度肝を抜かされる。
「ウズミ様が守ってくれたのか?!」
ユウナも驚きを隠せない。知らない武装が自動で働いたのだ無理もない。
「オーブの意思は絶対であるーー」
ユウナは覚醒するとサーベルを引き抜きブラックフリーダムに向かっていく。
ブラックフリーダムも応戦してサーベルを構える。2機のMSはサーベルがぶつかり合う。
「うおおおおお、暁の黄金色は伊達じゃない!!」
ユウナはナチュラルの限界を超えることによって種割を発動し限界以上の力を出した。
「チッ・・・時間切れか」
仮面の青年は舌打ちするとブラックフリーダムは撤退していった・・・
「ハァハァハァ、僕はやったのか?!」
ユウナは肩の力を落とし力が抜けていった。
22 :
19:2006/01/01(日) 22:56:59 ID:???
[絶望の邂逅]
「おめでとうーユウナ様万歳――!!」
国民は歓声をあげ祝福する!
ユウナは国民の気持ちを受け止め手を振って応える。カガリとの結婚の話も進みお互い和やかな雰囲気で
内解けあっていった。それから数日後・・・
結婚式が始まった。
「ゆっユウナ・・」
恥ずかしそうにカガリはユウナを見つめる。
「大丈夫、リラックスだよ、カガリ」
そっと微笑み安心させるユウナ。
そして誓いの言葉をしようとした瞬間?!突如、上空から黒いMSが降りてくる。
管制センター「たっ大変です!?黒いMSがムサラメ部隊を撃破しオーブ本国に襲撃を・・・ぎゃぁあ」
通信が途絶える。
「・・・フフ」
仮面の青年は不適な笑みを浮かべる。
「やっやめろ!きゃーーーユウナぁあ!」
ブラックフリーダムはカガリを握り締めると血の色をしたアイを光らせ飛び去っていった。
それはまるで悪魔の如く恐ろしい出来事だった。
「かっ、カガリーーーーーーー」
ユウナはブラックフリーダムに吹き飛ばされ負傷しながら叫び意識を失った。
カガリは連合軍に拉致され人質となったのである。そしてその黒幕にはかつてヤキンドゥーエ攻防戦の英雄の
アークエンジェルやエターナルなどの人間たちが関与していることが判明した。オーブは連合、ザフトを敵に回したのであった。
ブルーコスモス本部
「ではオーブに対して最終攻撃を開始する。忌々しいオーブめっ!これで終わりだ。フハハッハ」
黒い猫を撫でながら男は高笑いした。オーブは戦火の炎でうずまくこととなるのであった。
23 :
19:2006/01/01(日) 22:57:45 ID:???
[泥沼の戦い]
ザフト地球連合同盟軍はオーブに進撃を開始し始めていた。
デスティニー・レジェンド・インパルス・カオス・アビス・ガイア・セイバーその他MS隊の数百機もの
軍隊が押しかけていたのである。
「今度こそオーブを焼き払ってやる!」
シンは意気込むと発進ゲートに入る
「シン・・急ぎすぎ駄目」
ステラが言う
「可愛いねぇ戦い終わったら俺とデートしない?」
アウルがルナにちょっかいを出す。
「うるさい黙りなさい」戦闘前からにぎやかな連中である。
オーブ指令部はユウナ様と手を合わせ最後の戦いの意気込む。
「ユウナは幸せであったぞ!こんなに国民に愛され、共に過ごせ、オーブは今一つとなった!!暁の黄金色は栄光の色ぞよ!!」
ユウナは国民放送で皆に伝える
「ユウナ様―――万歳!!」
国民全員が一斉に叫ぶ。
そして暁を先頭にムラサメ隊全機発進する!!
インパルス、デスティニーが襲い掛かる。暁はサーベルで対応する
2対1の厳しい攻防だ!しかしユウナはオーブを背負った勇者。負けることは無い!!
73F式改高エネルギービーム砲で2機のメインスラスターを撃つ。2機は海面に落ちていく。すぐに次の攻撃が襲い掛かってくる。
カオス・アビス・ガイアの3対1である!アカツキはさすがにキツイ「クッ私は負けん!!」
ユウナは種割れを発動する!!「うおおおおおお」ビームサーベルを突き刺しアビスを撃破する!
アカツキのミラーコーティングによって2機の攻撃を反射し自滅する2機
「なっ何!ビームが反射?!・・ぐあああ俺の・・」
スティングは沈む。
「シン!?・・」ステラも沈む。
レジェンドとセイバが攻撃を仕掛けてくる。レジェンドのドラグーンを発射する。
アカツキはサーベルで互いにぶつかりある。ビーム砲でレジェンドの足を破壊する。
「うおお」ユウナは限界を超えるととレジェンドの背後に回りこみサーベルで一突きそして沈める。
「アスラン!勝負だ!!」ユウナはヘルメットをはずすと一直線で殴りこむ
「ユウナ!?なのか?!!」アスランは驚くも向かっていく!
「カガリは僕のお母さんになってくれるかもしれなかった女性だぞ!」
ユウナはここで本音をぶつける。
「カガリがお母さん?!」
アスランは驚くもユウナに対して敵意をむき出しにしぶつかっていく!
「うぉおおおおおおお」「うぉおおおおおお」両者抜き打ちで一直線にぶつかった!!そして・・・
24 :
19:2006/01/01(日) 22:58:30 ID:???
[暁の黄金色よ、応えろ!]
2機のMSはぶつかり合った!勝ったのは暁だ!暁は左腕を破損するもその黄金色の輝きは
一層美しくなって光輝き勝利を掴んだ!
「ユッユウナぁあーーー」
セイバーは爆破した。アスランが脱出したかは分からなかった。
「・・・フフフ・・・勝負をつけようか」
ブラックフリーダムは倒壊したオーブ司令部を踏みつけ余裕を浮かべムラサメの頭部を握り潰して待っていた。
既に司令部は破壊されてオーブの未来はユウナに託されていた。「きっ貴様ぁああーーー」
オーブ国民の半数がブラックフリーダムに虐殺されオーブは死の街と化していた。
暁はサーベルで切り裂く。しかし依然とは違っていた!ブラックフリーダムはブラックストライクフリーダムとなっていたのである!!
ドラグーンを装備したブラックSフリーダムはハイマットフルバースト改を暁に撃ち込む!
「ぐあああああ」その威力はすさまじくミラーコーティング装甲を貫く勢いだった。
ブラックSフリーダムは崩れた倒れた暁を踏みつけ止めを刺す為ビームライフルを連結させコックピットに銃身向ける。
「くぅっ・・・僕は・・負けるわけには・・いかないのだよ・・・」
ユウナは傷つき倒れながらも最後の力を出す!
「死ねっ!」仮面の青年は冷徹に言い放つ。
銃身からビームが発射される・・・が!その瞬間、
ブラックSフリーダムに命を奪われたオーブ国民たちの魂が暁の盾になったのである!
「何!?」キラは動揺する。
暁の黄金色は無限の輝きを発しすべてを浄化していく!
「うぉおおおお力を感じるぞ!!」ユウナは立ち上がる
そしてドラグーンをすべて放出させると凄まじい勢いでブラックSフリーダムを粉々に壊していく。
「っちっ!・・・なめるなぁあ!」キラは仮面を外すとブラックSフリーダムは勢いよく暁に殴りかかる。
しかし、暁に触れた瞬間吹き飛ぶ!
「今の暁の黄金色は無限の力なり!!」
暁はブラックSフリーダムに聖剣となったオメガ・サーベルを突き刺す!
ブラックSフリーダムの黒いFS装甲は浄化され元の色に戻っていく。
「僕は・・一体今まで何を?!ぐっぐああああーーー」
その瞬間ブラックSフリーダムは核爆発を起こし粉々に吹き飛んだ・・
25 :
19:2006/01/01(日) 22:59:16 ID:???
[英雄よ永遠に・・ユウナ散華]
ユウナは囚われのお姫様のカガリを助ける為、ジブリールの居る屋敷に向かう。奴はオーブのマスドライバーに
向かったようだ。そして暁から降りると彼は足早に敷地に入っていく。
「ジブリール出て来い!!」
ユウナは響き渡るように叫ぶ。
そして部屋に入るとユウナは縛られているカガリを見つける。
「ユウナ!!」カガリはユウナを見ると感動を隠せない表情をした。
ユウナはすぐにロープを解く。
カガリとユウナは抱きしめあった。何時までもずっと。
しかし、その時、ジブリールはグフを落としてきたのである。
「カガリ危ない!!」ユウナはそう言うと体が自然と動いていた。
ユウナはとっさにカガリを突き飛ばすと自分が下敷きとなった。
ジブリールは高笑いをするとマスドライバーで脱出していった。
「カ・・ガ・リ・・・オーブを・・暁を頼むぞ・・・・ジークオーブ!!」
ユウナは最後の力を振り絞り右手の拳を上げ高らかにそう言ったのである。愛国心のある男だった。
カガリも泣きながら応えるように返事をする。「ウゥ・・ジーク・・オーブ・・ウゥ」
「ユウぅつナアアアア」カガリは悲しみにくれながらその場を動くことができなかった。
ユウナの魂はカガリを包み込み守るように空に優しく星を降らせたのであった・・・
そしてオーブから末永く愛され続けたのであった。
「オーブ公国の黄金色は一層輝きを発して美しいぞ!!」
そう、ユウナが言ったように聞こえたのは気のせいだろうか・・・
26 :
sage:2006/01/02(月) 01:36:01 ID:qM0GpcvF
新番組機動戦士ガンダムSEEDデステニー TVS(土)6:00〜
第一話
戦争で両親を失った主人公シン=アスカは宇宙へ疎開することになる。
気の狂った妹を病院へいれるため、大金が必要な彼はプラント評議会
議長デュランダルに出会い、自分を買って欲しいと懇願する。
議長の計らいによりモビルスーツと呼ばれる兵器のパイロットとなった彼は、
いつしか戦争を引き起こした人間に対する復讐を考え始める。
第二話
新造戦艦ミネルバのクルーに選ばれたシンは、コアスプレンダー(戦闘機)
のテスト飛行中に自軍の基地が何者かに襲撃されているのを発見する。
新MSガイアガンダムを強奪した謎の一団は市街地へとなだれ込み、
人々を巻き込んだ無差別攻撃を始める。また戦争がしたいのか!
シンの悲痛な叫びとともにコアスプレンダーが真の姿を見せる。
第三話
ガイアの追跡をするシンは山道で重い怪我をした少女ステラを救助する。
その出会いに運命を感じる二人であったが、互いに敵同士であることを知り
格闘となる。ステラを逃してしまったシンにオーブ国王女カガリは激昂するが
気の触れた妹を見せつけられ閉口してしまう。
そんな彼女にシンは叫ぶ、アンタのせいでこうなったんだ!!
乙^^
28 :
sage:2006/01/02(月) 02:30:32 ID:qM0GpcvF
新番組機動戦士ガンダムSEEDデステニー TVS(土)6:00〜
第一話
戦争で両親を失った主人公シン=アスカは宇宙へ疎開することになる。
気の狂った妹を病院へいれるため、大金が必要な彼はプラント評議会
議長デュランダルに出会い、自分を買って欲しいと懇願する。
議長の計らいによりモビルスーツと呼ばれる兵器のパイロットとなった彼は、
いつしか戦争を引き起こした人間に対する復讐を考え始める。
第二話
新造戦艦ミネルバのクルーに選ばれたシンは、コアスプレンダー(戦闘機)
のテスト飛行中に自軍の基地が何者かに襲撃されているのを発見する。
新MSガイアガンダムを強奪した謎の一団は市街地へとなだれ込み、
人々を巻き込んだ無差別攻撃を始める。また戦争がしたいのか!
シンの悲痛な叫びとともにコアスプレンダーが真の姿を見せる。
第三話
ガイアの追跡をするシンは山道で重い怪我をした少女ステラを救助する。
その出会いに運命を感じる二人であったが、互いに敵同士であることを知り
格闘となる。ステラを逃してしまったシンにオーブ国王女カガリは激昂するが
気の触れた妹を見せつけられ閉口してしまう。
そんな彼女にシンは叫ぶ、アンタのせいでこうなったんだ!!
29 :
あれなんかおかしいぞ:2006/01/02(月) 03:26:49 ID:qM0GpcvF
なんで二回も投下しちゃうの。ま、いいか。
新番組機動戦士ガンダムSEEDデステニー TVS(土)6:00〜
第四話
憎しみに取り憑かれたシンはカガリの暗殺を企てるが失敗に終わる。
犯人をめぐってシンは激しく追及されるが、同僚レイのありもしない
アリバイ証言のおかげで一命をとりとめる。
恩をきせられ、ゆすられることを危惧するシンに対し
レイはお前もかわいそうな奴だなと一笑にふすのであった。
第五話
ミネルバのクルーの一人ルナマリア=ホークはアカデミーにおいて
トップの成績で卒業したにも関わらず、実戦で結果を出していない事に
焦りを感じていた。些細な事からシンと口論になったルナマリアは
自分だってガンダムに乗れば活躍できると言い張りコアスプレンダーを
ピンクに塗り替え、ミネルバを飛び出してしまう。
第六話
追跡していたボギーワンが補給を受けているという情報をキャッチした
ミネルバはスパイとしてシンを単身コアスプレンダーで出撃させる。
敵艦内でステラと再会したシンは彼女と共に脱出をはかるが、仮面の男
に阻まれてしまう。しかたなく、捕虜となっていたルナマリアを救出し
脱出したシンは事件の裏に潜む組織の存在を感じていた。
これファミ通に載ってたバスじいさんみたいなスタイルで、
他の人達にやってもらいたいんスけど。ダメ?
Gコペルニクス(歴史の裏舞台、あるいは茶番劇)
アスラン「で、ユウナさんはグフに下敷きにされかかったと?」
ユウナ「そうそう、大変だったんだよ」
キラ「半分生き埋めになってた所を助けだされた後、サハク家やマルキオ導師の特使になったりしてたんですね」
ユウナ「考えてみたらただの雑用係だったんだな〜なんて思うんだ。あ、今もかw」
メイリン「コペルニクスに来たのも雑用なんですか?」
ユウナ「そ〜なんだよね〜。これがまた肩が凝る様な雑用でさ〜。そもそも僕に仕事を回さなくてもいいんじゃないかな〜、な〜んて思うんだよね」
ラクス「それで雑用というのは私達に関係のあることで?」
ユウナ「それよそれ。危ない危ない忘れるところだった」
ユウナは何通かの書簡をラクスに渡した。
メイリンはラクスの隣から覗き見し、書かれている内容に驚きの声を上げた。
メイリン「すごおい、大西洋の国務長官次官にユーラシアの外務省長官補佐官、東アジアの大統領府特別顧問! どれも大物からの直筆手紙じゃないですか!」
ラクス「それだけじゃありませんわ。南アメリカ、赤道連合、ムスリム会議、アフリカ。どれも政府高官からお茶会のお誘いの手紙ですわ」
アスラン「日時と場所、全ての書簡に書かれている内容は一緒だ。だけど同席があるとか一言も書かれていない」
キラ「お茶会って、単純にお茶を飲むような話じゃないんだろうな」
ユウナ「こらこら、世界中の国家のナンバー10が集まるお茶会だよ、ただのお茶会であるものか。考えられるのはただ一つ、胃が痛くなるようなお茶会だ」
全員がラクスに注目する。ラクスは目を瞑り深呼吸を一度だけすると意を決してユウナに向き合う。
ラクス「わかりました。このお誘い受けます」
ユウナ「O〜Kお姫様、確かに受領いたしました。それじゃ後はもう一人のお姫様の具合だけだね」
ラクス達は沈鬱な表情で手術室の扉を見つめた。
ドレスが真っ赤に染まったミーアを取り囲むキラ達の背後から唐突に現れた青年。
暢気な声で近くに手術室と腕の良い医者が居ると言い、戸惑うキラたちを強引に引き連れて大型のコンテナ車へ。
中は医療装備と居室が整えられていた。その車は大西洋連邦の諜報機関が使っていた緊急時のセーフティハウスを兼ねた偽装車だった。
手術室と居室を遮る扉が開き、白衣を真っ赤に染めた男性が出てきた。
その男こそかつて、エースを気取っていながら散々負け続けてきた天才名医、“ゴットハンド”の異名を持っていたミハイル・コーストその人だったのだ。
ミハイル「ユウナ、なんで過去形になってるのだ! というか勝手に人の経歴を解説するな!」
キラ達は一斉にミハイルに、ミーアの容態を尋ねる。
ミハイル「コーディネーターであるということに感謝するんだな。血管を幾つか繋ぎあせたあと輸血をしただけで容態は安定に向かっている」
ミーナの命は助かった。だがその後どうすればいいのかは結局決まらなかった。
まだ続きそう
書き溜めて投降しようと思うのでもう暫くかかります。
ノシ
キラが女の子になったSS投稿ってまだなのでしょうか?
ミーナって誰だー?!
>>33 あ!
×ミーナ
○ミーア
マチガイスマソorz
保守
「意外とすんなり入れるものなんだな」
ガラス張りのフロントを見渡しながら俺は連れの二人に呟いた。
「まぁ、表向きは俺らはただの観光客だから。オークレさん」
オレンジのサングラスをつけた男がそれに応じた
「あーそうだった、俺の名前はスティングだっけ。うっかり忘れそうだったぜ」
「もぉ、やめてくれよぉ。そんなことじゃこれから先が思いやられちゃうよ・・・」
もう一人の男が両手に荷物を抱えて走ってきた。
「わりぃわりぃ、えーと・・・・ニーダさんとフルハタさんだっけ?」
「だっけは余計だぞ。さ、さっさとホテルにチェックインだ。やることは山ほどあるんだからな。」
俺らはフロントで手配したタクシーを待つためにロビーのソファーに座った。
俺の名前はスティング・オークレ。
もっとも本名ではない。本当の名はトール・ケーニヒ。
大西洋連合第81独立機動軍所属の軍属だ。
ニーダと呼ばれた男はアウル・ニーダ。彼もまた本名は違う。
彼の本当の名はサイ・アーガイル。俺の同僚でもありそして親友でもある。
そして最後の男も同僚で友人のフルハタ・ニンザブロウもといカズイ・バスカーク。
何故俺らは名前を変えているのか?
答えは簡単だ。今自分たちがいる場所が本当ならばいてはマズイ場所なのだから。
L5コロニー アーモリーワン
プラントの最高評議会直属の軍「Z.A.F.T」の軍事基地がコロニーの大半を占めるコロニーが今俺らがいる場所だ。
無論、俺らがプラントを訪れるのは生まれてはじめてだ。
ついちょっと前までは俺もコロニーで生活をしていたがプラントとは無縁なコロニーだった。
「さぁて、荷物はこれで全部だ。ちょっと街中でもぶらついてこないか?」
部屋に置かれた持ってきた山のような荷物。
どうやって監視の目を潜り抜けたかはさておき、大量にあるモノの正体は爆薬・重火器等の代物ばかりだ。
「あぁ、そうだな。コレの準備は別グループがやってくれる手筈だから俺らは待ち合わせ場所に定刻どおりに行けばいいだけだからな。カズイ、そっちの連絡頼む。」
「もうやったよ。それにしてもいいねここの人たちはさ。荒廃した地球のことなんかこれっぽっちも考えてないんじゃないの。」
カズイは窓の外を見ながら呟いた。
「すぐに考え込むようになるさ。俺らがそうさせる・・・・・。」
サイが携帯電話を片手にカズイとは別の相手との電話を終えはなした。
「トール、カズイ。今から2時間後に待ち合わせ場所だ。それまでは自由行動。」
「OK」
「俺腹減ってたんだよなぁ〜。なぁどっか食べにいかね?」
「そうだな、どうせもう二度とこないから美味い店でもフロントで聞いてみるか」
俺らは雑談をしながらホテルを後にした。
近いうち続けばいいかな。
>>36 続きキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!
そしてフルハタ ニンザブロウテラワロスwwww
遅ればせながらあけおめあげ
キラとアスランの再会完全版初代39話くらい
「彼を撃つな!彼は敵じゃない!」
キラに言われオーブ兵は銃を下ろす。
アスランとキラは互いに歩み寄って行く。カガリが不安そうに見つめている。
「キラァ!」
先に手を出したのはアスランの方だった。キラは一撃で宙を舞った。オーブ兵が再びアスランに銃を向ける。
「撃つなよ!」
カガリが制止する。アスランは袖で先程の殴打による血を拭いているキラに近付き、二発目を見舞う。キラは左腕でガードし、起き上がりながら右ストレートを放つ。
「ぐはぁっ」
キラはアスランが起き上がるのを待った。
「お前がニコルを…ニコルを殺したぁ!」
アスランの右拳がキラの左頬に吸い込まれる。鈍い音がしたが、キラは立ち続けた。
「でも君も、トールを殺した!」
キラのアッパーがアスランの顎を押し上げた。先程まで無表情だったアスランははっと目を見開いた。スカイグラスパーに乗っていたのがキラの「友達」だったと初めて気付いたのだ。
あれほど憎かったキラ。しかし、もうキラを殴る気にはなれなかった。
「おまえらーっ!」
カガリが走ってアスラン達の所にやってきた。二人の肩を抱きながらカガリは「こぉの、馬鹿やろぉー」と叫んだ。
お互いあざだらけの顔を見ると、昔喧嘩した事を思い出し、同時に苦笑いした。
あの頃から、僕達は随分遠いところまできてしまったね。アスラン。そう思いながらキラはアスランを見つめていた。
不安に駆られての保守
それと続編、新作(?)GJ!
「ねえ、ラクス」
マルキオ導師の島。スーパーフリーダムオープンカフェテラスと看板の掛かっているカフェテラスで、キラとラクスはコーヒーを飲んでいた。
「なんですの?キラ」
「うん、ラクスって歌手だったんだよね?」
「まあ今すぐにでも復帰できますけれど。今はなにか私に似た人が私の代わりをしてくれているみたいですわね。どうでも良いですけど、あの人の衣装は破廉恥すぎますわ。わたくし、あんな売れなくなってきて必死なアイドルみたいなことしませんわ」
ラクスは涼しい顔でコーヒーを口にする。
「ふうん。ラクスはずっとアイドルだったんだ」
「ええ、アイドルでしたのよ?今もですけれど」
キラは安心した顔で、明後日の方向を見て。
「じゃあ、カメラの前で(自主規制)とかしたことはないんだ」
ラクスはコーヒーを吹き出す。
「い、いきなり何をいいだしますのっ!?なにか悪いものでも食べましたの!?」
「うん、実はオーブで買い物したときちょっとした写真集を見つけてね。それが、ちょっと、、、でも良かった。あれはそっくりさんなんだね」
「・・・わたくし何を言ったらいいか分からないですわ」
「うん、いいよ。確認したかっただけだから」
「・・・・・・キラ?」
空気が怪しくなる。
「なに?」
「それで、もしかして、その本は買いましたの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・買ってないよ」
「なんですのその間は」
「いや、ちょっと頭痛してきたから、先に寝るね」
「キラ!?」
逃げようとしたキラと捕まえようとしたラクスの前に子供らが集まっていた。真ん中の背の高いやんちゃ坊が何か本を持っている。
「ニートのおにーちゃんの部屋で見つけちゃったー!」
掲げたその本の題名は
『ミーアちゃんの玉音放送』
うはwwwツマンネwwwwwしかもなんでオレ他人の同人誌の宣伝してんの?
∀がでてくるやつの続きが読みたいなぁ。
保守
なんで俺だけこんな名前になったんだろう。
確かに俺は外見からしても身体能力の個体値から分析しても立派なナチュラルだ
つまりは、極々「平凡」な人間でしかない。
だから、せめて名前だけでも。たとえそれが偽りであったとしてもかっこよくしてもらいたかった。
なのに俺に与えられた偽りの名前は
フルハタ ニンザブロウ
ネーミングセンスのなさを感じる。いまどきこんな人間がいるもんか。
俺は東アジア共和国出身じゃないんだぞ。どこのどいつだ。俺だってこれでもファントムペインなんだぞ。
まぁこんなことで苛立っていてもしょうがない。
どうせ、この名前は今回の仕事だけのモノだ。
言うなればRPGでの「ああああ」みたいなもんだ。どうせすぐ消される。
・・・・
さて、俺の独り言はさておき。ホテルのロビーにまで降りてきた。
スティングはフロントに呼び止められなにか話をつけている。
アウルはフォトジャーナル誌でジェス・ブリル特集を読み始めていた。
見渡すとロビーにいる客は俺らとTVを見ている同い年くらいの女の子しかいない。
よく見るとすごい美人じゃないか。
俺がもっとかっこよくてコーディネイターだったらすぐに声かけてるんだけどなぁ・・・
もっとも、それはあくまで願望で根っからの億手な俺はそんなこと実際そうであったとしてもできるわけがないのだが。
「二人とも、ちょっときてくれ。」
スティング・・・もとい、サイからお呼びがかかった。
「フラガおじさんからのことづけがフロントに届いてた。どうやら今回の『遠足』には女の子が遅れてくるらしいんだとさ。特徴は金髪で蒼いドレスそれから名前はステラ・・・」
「呼んだ!?ステラ呼んだ!?」
名前を言いかけたところで、さきほど目にかけていた女の子が急に叫ぶ声が聞こえた。
「は・・・・?あの君が・・・?」
アウルが彼女のあまりにも大きい声に耳を思わずふさぎながら尋ねた。
「そうだよ!私ステラだよ!ステラ・ルーシュエ!おじさんからここにくるようにって!」
ステラはにこにこしながら応える。どうやら本人のようだ。
「おいおい・・・おじさんはホントにこの子を入れろって?」
アウルが不安げに呟いた。
「うーん・・・けど手紙にはそう書いてあるんだよ。それから、フルハタ。君宛にもう1通きてる。本人があけろってさ。」
アウルとステラがにらめっこみたいな遊びを始めた傍らスティングから手紙を渡された。
『やあ、フルハタくん。遠足は楽しんでもらえているかな?きみにはみんなよりちょっと長い間そちらで勉強をしてもらいたいんだ。大丈夫、真っ赤なヒーローがきっと君を家に連れて行ってくれるから。ついては○月×日から・・・・・。フラガおじさんより。』
・・・・・・どうやら、俺だけ別行動らしい。
「スティング、アウル・・それとステラちゃん。悪いけど俺は特別課外授業の案内がきちゃったよ。」
俺は苦笑いをしながら3人に目配せをした。だが、どうもステラだけピンときていない。ほんとに大丈夫なのか。
「どれどれ・・・・ありゃぁこりゃほんとうだな。いやぁわるいなぁ〜俺らだけでこんなかわいこちゃんと一緒にデートだなんて。なぁ、ステラ?w」
「フルハタもごはんたべるー?」
会って5分で打ち解けるとは。さすがだなアウル。
「まぁ、仕方ないさ。一緒あえなくなるわけでもないんだからね。まぁとりあえず飯だけでも食べようぜ。それからでも別行動はおかしくないだろ?」
スティングも相槌をうちながらとにかくご飯を食べようと提案する。
「ステラねーご飯食べた後洋服みたいのー」
あぁそうかい。俺は飯食べた後コーディ社会での長期生活ノウハウ本でも買いたいよ。
別にステラが嫌なわけではないのだが、なぜか逐一ツッコミたくなる。
「じゃぁお兄ちゃんが一緒に下着を見て回ってあげよう〜♪」
アウルがすかさずちゃかす。おまえは楽しければそれでいいのか。
俺はフロントの壁につけられたTVに写るプラント最高評議会長の乗ったヘリ搭乗現場をじっと見つめていた。
つづく。
総集編後
「キラ、これからどうするんだ?」
アスランが問い掛ける
「後片付けをしに行く」
シンがキラに問う
「後片付けって?」
「強化人間を作っていた奴らを調べてもらってたんだ。あるカメラマンにね。居場所はもうわかってる。」
シンの脳裏にステラの記憶が甦る。明日…また明日…夢の中でステラはそう言った。だがステラに明日はもう、ない。
「俺にも行かせてください!ステラは…ステラは奴らのせいで死んだんだ!やさしい子だったのに…」
アスランも名乗りを上げる
「お前らだけじゃ心配だからな。俺も行くよ。」
キラがわずかに微笑んでいう。
「わかった。じゃあ明日孤児院に来てね。」
キラ達と別れた後、シンは心に誓った。ステラの仇をとってやる。ステラの幸せを奪った奴らを俺は絶対許さない。
夕日がシンの背中を悲しく照らしていた。
孤児院に戻ると、ムゥが待ち構えていた。
「ムゥさん…」
あきれたようにムゥがつぶやく。
「本当に、アクティブだねぇ。まだやることがあるのか?」
少し黙ってからキラが重い口を開けた。
「…強化人間を作っていた人たちの行方がまだわかってないんです。彼らの責任をとらなければまた同じことが起きてしまう…」
ムゥはステラ達のことを思い出した。あの頃も少し後ろめたい気持ちはあったが、記憶を取り戻した今は時々思い出しては罪悪感にさいなまれていた。
「…ムゥさん?」
「俺もついていっていいか?」
「ムゥさん…」
ためらいながらムゥが話す。
「…俺が、ネオ・ロアノーク大佐と呼ばれていた頃、強化人間を作戦に使ってたんだ。俺は今でも後悔している。何かしたからって罪がなくなるとは思わない。だが今何かしないともっと後悔するような気がするんだ…」
「わかりました。明日、お願いします。アスランとミネルバにいたシン君も来ますよ。」
その時は、シンというのがステラを渡しに来たインパルスのパイロットだとは気が付かなかったのである。
つい2年前まで住んでいたコロニーもこんな感じだった。
人々は何に怯えることなく生活を営んでいた
自分もその一人だった
カレッジに通い、ロボット工学を勉強して卒業後は地球の本土で就職なんてうっすら考えてもいた
友達もそれなりにいたし、稀有な例でフィアンセもいた。みんなそれぞれうまくやっていた。
だけど、その日常はあっけなく崩れた。
あのコロニーはもうない。眼前でデブリと化していった。
友達の多くやお世話になった先生の安否もわからずじまいだ
フィアンセは・・・・いや、元フィアンセは亡くなった。
いろんなことが凄い勢いで通り過ぎて行った。冷静にそれらを受け止めるなんて無理な話だった
成り行きで軍人になり、数多くの死線を否応なくくぐりぬけてきた。
思えばそれはほんとうにただ「流されている」だけだった
誰かの言葉に流されているだけで、実際自分がどこに立っているのかすらわからなかった
気づけば、連合軍現地徴用兵、そして脱走兵、そして理想主義者の駒。
もうめちゃくちゃとしか考えられない。だけど、その時はそのときでそれがあってると思っていたのだろう。
けど、戦争が終わって見つめられるようになるとそれは大きく変わった。
節目ごとの自分には憤りしか感じられなかった。だけど、それはもう変えることなんできやしないともすぐに気づいた。
そこで1個の答えに俺はたどり着いた。
今を生きる人たちは「あの戦争」でなにを見たのか。なにをきいたのか。何を感じたのか。それをちゃんと受け止めているのか?
俺は今でも「自分の過去」が許せない。経験するはずがなかったかもしれないアノ「過去」が許せない。
自らの理想の達成のためには犠牲は致し方ないと討った敵と同じことを言う今の世をさも作ったかのようにのうのうと生きる「アイツら」
自分から大切なものを奪い、そして袂を分けさせた「あいつら」
あいつらは彼らの枠からはみ出るイレギュラーなものが出れば再び大義と理想を掲げ、
人々を煽りそして、また俺のような「過去」を背負う人間を幾多と生み出すのだろう。
そして生み出された人たちにあいつらは「仕方ないよね」・「お気の毒ですわ」の言葉で済ませる
そんなのが許されていいわけがない。だから、俺は「過去」を消す。
弔い合戦なんかの類じゃない。人は、多くの人に気づいてほしいだけなんだ。この「与えられた平和」が偽りだということを。
平和は与えられるものじゃない。「意志をもってつくっていく」ものだって。
一握りの才能と天賦の個体値だけじゃ人はなにも生み出せやしない。失敗をしてこそ成長し進歩するのが人の自然なありかただ。
だから、俺は今ココにいる。
サイ・アーガイル、俺は今ココにいるんだ・・・・!
つづきます。全然進まなくてごめんなさい
ワッフルワッフル
>>51 おお、サイが熱い!!
期待してますよ〜!
保守
すこしながいけどSS投下していい?
ホントはSEEDで作るつもりじゃなかったんだけど
ガンダムSSここしかなかったから無理やりSEEDに
かえたんだけど・・・
>>55 ここはSSを投下するスレだ
遠慮するな
それはそうと、言われてちょっと調べたけど旧シャア板にはSSスレは無いのか
見付からんかった
みんな南極条約のBBSに行ってんだろうか
57 :
fe(55):2006/01/16(月) 22:49:38 ID:???
連合軍との戦闘により、小破した戦艦を修理するために
中立コロニーに立ち寄ったザフト艦。
乗組員、パイロットには束の間の半舷休暇が言い渡された。
パイロットは街に出るや喫茶店に集まった。
ウェイトレスが乱雑に飲み物を配るが、さっきの戦闘に
夢中の兵士たちはそんなことも気にせず話に集中している。
ザフト兵1「それにしてもさっきの戦闘ではすごかったですね!」
ザフト兵2「メビウス13機撃墜なんて俺には真似できませんよ。
上の評価待ちけど、FAITH昇進は決まったもんです!」
新米兵 「俺感動しました、、!絶対エースになってFAITHになりますよ!」
ザフト兵1「戦場で逃げ回ってるヒヨッ子にゃあ無理だ(笑)」
ザフト兵2「言えてらぁ。あとでシミュレーター付きあってやるから、覚悟しとけよ(笑)」
ザフトエース「お前ら人の話題で盛り上がれるようじゃ、まだFAITHの道は遠いな(笑)
スマンが久しぶりの休暇にお前らのむさ苦しい顔ばかり見ていてもしょうがない。
少し街をぶらいついてくるよ。ここの代金は払っておいてやる。各自。休暇を楽しむように。」
ザフト兵一同「了解であります(笑)」
喫茶店をあとにするエースパイロット・・・
しかし、談笑をさえぎるように、戦果の話に全く加わらなかった古参パイロットが口を開く。
ベテラン兵「お前らエースに憧れてるようだが。あいつは必死になって生き残っただけさ。
エースってのは人殺しの才能を誉められてるのと一緒なんだよ。お前らには耐えられるか?
エースと呼ばれる苦痛によ?・・・・・・
新米兵 「・・・」
ベテラン兵「ハハ(笑)ま、おめーらにはまだ早ぇ。辛気くせー話して悪かったな。せっかくの休暇だ。楽しもうや。」
ザフト兵1「そ、、そっすね」
ザフト兵2「そうだな。楽しもうぜ。休暇が終わればまた戦場だ。今の内に酒飲んで鋭気を養おうぜ」
パイロット達はたわいもない話を続け、また戦場を駆け抜けてゆく・・・
面白いっす
>>57 終わりか?
少し長いSSという話だったはずだが
感想言わせてもらうと、悪いが評価できるレベルじゃないな
厳しいことを言うようだが、人に楽しんでもらえる作品が作れると自分で確信するまでは、作品の発表は控えておくことをお勧めする
60 :
fe(55):2006/01/16(月) 23:27:36 ID:???
街のはずれの港。
エースは一人タバコをふかしていた。
「どうせあいつらも死ぬんだろ・・・」
一人つぶやく。
「FAITHになりゃあいつらの死に顔は見なくて済むしな・・・」
タバコを消し、港をあとにしようとしたその時。
「待って!」
と声が聞こえた。誰かと思えばさっきの喫茶店のウェイトレスじゃないか。
エース「なんだ?ウェイトレスがザフトになにか用か?それとも、あいつらが何かやらかしたのか?」
ウェイトレス「ええ・・・用があるのはあなたよ!」
といってナイフをチラつかす。
エース「ずいぶん物騒だな。あいにく金はないぞ。さっき使っちまったからな。」
ウェイトレス「残念ね。物盗りじゃないわ。あたしはザフトに復讐するために、ずっとザフトが来るのを待ってた。」
見た目にも16,7歳か・・・戦争ってのはつくづく嫌になるな・・・
エース「復讐か・・・あいにく俺はあんたのカタキじゃないかもしれんがいいのか?」
少女 「ザフトだったら誰でもいいのよ!あんなに優しかったパパを殺すザフトなんか皆死んだらいいんだ!」
エース「そうか・・・なら殺せばいいさ・・・復讐されても文句は言えない立場だしな。
だがな、その優しいパパも戦場に出りゃ人を殺すんだぜ?」
少女 「っく・・・殺す!」
胸元にナイフが付きつけられる。
エース「人を殺すならそこじゃない。首を切るんだ」
少女の手を掴み自分の首にナイフを当てる
エース「どうした?殺すんじゃないのか?手が震えてるぞ」
エースの首に血がにじむ。少女の目からは涙がこぼれている。
少女 「うっ・・・うるさい!今殺す!」
エース「ナイフじゃ嫌か?なら俺の銃を使え。これなら引き金を引くだけだ。罪悪感も薄れる」
少女に銃を渡し、握らせる。それと同時に物影から物音が聞こえた。
少女 「誰っ!?」
物影から子供が飛び出してきた。
子供 「おねえちゃん」
少女 「馬鹿っ!なんで来たの!来るなっていったでしょ。オバさんの家に帰りなさいっ」
どうやら少女の妹のようだ。妹の顔を見た瞬間、少女は泣き崩れが銃を落とした
エース「なぁ・・・復讐ってのはよ。守るべきモノが残ってる人間はやっちゃいけねえよ。」
復讐は手元や周りに守るもんがなーんもない奴ににしかできねぇ・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・それにお前の手は、銃を握るにはまだ小さすぎる」
休暇を終え、整備された母艦に帰るザフトエース。
オペレーター「おめでとうございます!たったいま本国からFAITHの辞令が届きましたよっ」
エース 「そうか・・・このむさ苦しい戦艦とも今日でおさらばだな」
オペレーター「さみしいこと言わないでくださいよ。あれ?ハイネさん首の傷どうしたんですか?」
ハイネ 「俺の罪・・・かな」
オペレーター「え?」
ハイネ 「こんな傷を背負ってくのも悪くはないさ・・・」
アニメへ続く
61 :
fe(55):2006/01/16(月) 23:31:00 ID:???
すいません書き込み制限食らってちょと遅れました('A`)
>>59 たしかに読み物としては読みづらいと自分でも思います・・・
修行します。
頭の中にあるものを文にするってのはホント難しい・・・
最後意表つかれた
なかなか面白いです参考にしたいです
>>61 SSの書き方は色々あるが、絶対やってはいけないと俺が思うことが一つある。
「台詞の前にキャラクターの名前を入れること」だ。
誰が喋ってるかぐらい前後の文章と環境から読者に読み取らせるべき。
名前を入れなければ誰が喋ってるかわからないぐらい適当なキャラクター設定の種世界だが
それにしたってコイツは最低条件だと思う。
話の内容自体は好きだ。ハイネの過去は謎が多すぎるから妄想の余地がたっぷりある。
是非腕を磨いてもう一度来てくれ。
自分の主義を他人に押しつけるなよ。SSは小説とは違うんだから。
SSってショートストーリーの略じゃなかったっけ?
正直、セリフだけで話進めるなら口調でキャラが分かるようにすべきだよな。
例えば創竜伝の四兄弟は、全員一人称と口調が違うから会話だけで誰が話しているのか分かる。
主義主張を一貫させれば、初めのセリフにキャラ名を入れるだけで誰が話しているか分かると思う。
ところで戦艦修理するために中立のコロニーに立ち寄るってのはありなのか?
その国の国家元首の娘でも乗ってたりしたのか
原作に出ていてある程度性格、口調がわかっているキャラならまだしも、
オリジナルのキャラは名前入れないと分かりにくいんじゃないかな。
ついでに言うと(笑)は使わない方がいいと思います。
あとssはショートストーリーの場合とサイドストーリーの場合があるようです。
>>66 中立がどういう立場か、にもよる。
どっちの味方もしないからどっちも近付くな、か
両方の味方してやる。負傷者とか物資とかもくれてやるから攻撃するな、かのどちらか。
UCの中立は下でジオンと連合で条約を結んでた。
だから中立コロニーの近くで戦闘は出来なかった
種は知らん。殲滅戦しかする気の無いヤツらが条約結んでるとは思えん。
>>67 オリならなおのこと口調を他と被らないように出来るんじゃないか?
名前なんか既存キャラの誰かに言わせて終わりだと思うが
SSはショートストーリーでもあり、
セカンドストーリー(二次創作)でもあり、
サイドストーリーでもある
文章の法則から外れていい訳じゃないよ
殲滅戦←これってなんと読むの?
読み方わかんなきゃひけないだろが
せんめつせんじゃない?
そこまで読み方解っているならモウひとガンバリデース!!
>オリジナルのキャラは名前入れないと分かりにくいんじゃないかな。
そいつは腕のなさが原因だよ
そこまで目くじらたてる必要はないと思うけどSSでセリフの前に名前つけてない人が大半だから、そうゆうことが常識的なのかもな。
流石だよな俺らの原作者の零式さんの前のサイトのSSは名前ついてたような。消しちゃったのが残念
台詞の前に名前を付けるいわゆる『台本形式』と呼ばれるのはあまり好かれていないから、採用しない方が無難。
ただ、台本形式でも上手い人はいるし、作者がどうしても台本形式を使いたいならばスレのルールに反している訳
でもないので問題はないかと、個人的には思う限り。
保守
あげる
台本形式でも『戯曲です』と言い張ればOK。
保守ついでに書き込み
ネタが思いついても、いきなりSSというのは無理。で下書きとしてまず台本形式で表した後、肉付けしながらSSへ昇華させると……
落ちそうなので保守
保守
「ねえ、メイリン」
「なに?お姉ちゃん」
ルナはDVD-Rを指差し
「ディスクの臭いかいでみ?」
言われたとおり臭いをかぐ
「くさっっっ!」
「でしょ?なんか」
「昆布臭い!」
「でしょー、私ずっと気になっててね、昨日眠れなかったの」
「へー。なんでだろーね?PCから書き込んだときに付くのかな?」
「それが違うのよ、そこにブランクのあるから、そうそれ、それも嗅いでみー?」
「やだよー。おんなじ臭いするんでしょ?」
「あー、だまされんかったかー」
「そこまで馬鹿じゃないって」
あはは、二人は笑う
ガチャ、ドアが開く
「二人ともこんなとこにおったん?」
アスランだった。
「ちょっとー。ノックくらいしてよねー」
「そーよー。いくらアスランさんだからって、やっていいことと悪いことがあるよー」
「はいはいゴメンゴメン。っと、ここ座っていい?」
「いいけどさー。シンはー?」
「タリアさんのトコでなんかしとった」
「なんかってなによー?エロいことー?」
「しらん。メイリン、そこのコーラ取って」
「えー、なんで私ー?お姉ちゃんのほうが近いじゃんか」
「えー、あたしー?しょーがねーな、
あ、そーそーアスラン、あんたそこのCDの臭いかいでなかったよね?嗅いでみぃや、な、そしたらコーラ取ったげる」
「はぁ?なんか引っかけ?」
「はよ嗅げ、コーラあげんよ?」
「しゃーないな、本当、頼むよ、、、、、、
臭っっっっっ!」
三人はげらげら笑った。
なんだそのほのぼの
保守
87 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 00:29:40 ID:Xl8x0VFD
保守
restart復活願いage
restartとは?
前スレ参照
保守
おい、誰も居ないのかorz
居ないことは無いが・・・ネタも無いし
(参考BGM:夢見る少女に〜サウンドトラックI)
「いやぁまいったよなぁ」
和食チェーン「MURUTA」から出てきてトールが開口一番そう言った
「仕方ないだろ、ガイトブックのチャーハン専門店の店主が3日前くらいに休業にしちゃったんだからさ」
サイはステラに街の地図を渡しながら愚痴に答える
「まぁ、ここのおでんも中々だったけどな。まさかプラントでおでんが食べられるとは思ってなかったし」
「ねーねー。ステラ、ここいきたーい」
ステラは街のメインストリートを指差しながら俺に話しかけてきた。
「スティング、ステラちゃんはここにいきたいってさ。」
俺は印をつけた地図をサイに渡した
「えぇっと・・・そこの通りをまっすぐだな。おい、アウル。ぼっさとしてると迷子になるぞ」
「わかってるっての。」
トールは道行くビラ配りの女性からチラシをもらいながらついてきた。
「やっぱコーディのキャンペーンガールは違うねぇ」
トール、お前はもうミリィのことは忘れたのか・・・
俺はこいつの頭の切り替えのよさに呆れ、ため息をつく
メインストリートに出ると、さすがに人通りが多くなった。
腕を組み、いちゃつくカップル
家族サービスに従事する父親とその家族
駐車違反で揉めている銀髪の同い年くらいの男と警官
みんな、それぞれ日常を満喫してる・・・平和という日常を
「おーい、ステラ。あんまり、先にいっちゃだめだぞー」
「うーん!」
口では返事をしてもステラはどんどん先に行ってしまう。
「あー、もう。あんなにはしゃいで。誰かにぶつかったりしたら、それこそめんど・・・」
サイが頭をかきながらぼやいてると・・・・
「きゃぁぁぁ!」
案の定だ。ステラが通行人とぶつかった
「ステラ!!?」
俺らは慌ててステラのもとに駆け寄る。
通行人の隣にいた人は通行人が持っていた紙袋の中身を必死にあつめていた。
通行人はステラを支えていたが、もち手部分が不味かった
通行人の両手はステラの胸をそれはもうジャストフィットのように掴んでいたからだ。
「あー!ずりぃぞ!俺だってまd・・・・」
トールが通行人を指差しながら大声をあげる
「アウル。」
サイがトールを嗜めた。
「いや、そのこれは・・・・。ごめんよ、俺はそんなつもりじゃ・・」
慌てて通行人は手を離し、俺たち詫びた。
「いえ、こちらこそ、連れがぶつかってしまい、すみません。ほら、ステラも謝るんだよ」
俺は丁寧にこちらの非を詫び、ステラに謝るよう促した
「えー。ステラわるくないよ?」
ステラはわたしは無実だと言わんばかりの目をする。
「ステラ、謝ったほうがいいよ。君がぶつかったんだからね」
サイがやさしくステラを諭す
「ぶー・・・・ごめんなさい」
ステラはふてくされながらも、通行人詫びた。
「い、いや、こっちも荷物で前が見えなかったし。じゃぁ俺たちはこれで・・・いこうか、ヨウラン」
ヨウランと呼ばれたつれの黒人と一緒にその人は一礼をして、去っていった。
「いいよなぁ・・あいつ。ステラのおっぱい触れたんだぜ?」
トールが羨ましそうな小声で俺に話しかけてきた。
「お前はまた・・・ん?」
俺は去った彼らの立っていた近くに一枚のカードが落ちているのを見つけた
それは・・・思っていない贈り物としかいいようがなかった。
「どうしたんだよ、フルハタ?・・・おい、これは・・。」
サイが覗き込むように俺の手の中を覗き込んできた。
「あぁ、あちらさんもラッキーだったようだけど、そのお裾分けかもな。」
「その可能性が高いな。俺らはこれから例の場所にいくから、お前はこれを頼りに『特別授業を優秀な成績』でおさめるんだな」
サイが笑いながら俺の背中をポンポンと叩いた。
俺が拾ったもの・・・それは身分証だった。
「ザフトなのか・・・しかも赤とはねぇ・・・シン・アスカ君。」
俺はポケットにしまい、曇ることのない、偽りの空を見上げた。
仕事が多忙でなかなかかけませんでした・・・
調子乗ってBGMなんか入れてみてはと思い、チャレンジしてみました。
さらに、今後はサイ・トール・ステラ編とカズイ編に分けようと(途中で合流します)思うのですが、どちらを先にするかアンケートを
10レス以内で決めていただきたいと思います。
更新が不定期になってしまいますが、すみません・・・
違いがわからないからどっちでもいいと思う
好きにやればいいと思う
100ゲト
じゃあステラ
過疎ってるので投下。
初SSなので稚拙なのは勘弁。
翼を称えた機体が大空を舞う。
その巨大さ、美しさ、恐ろしさに
人々はただ恐怖し、争いを治める。
争いの無い世界を「彼」は今も守りつづける。
ただ、完璧な平和を。完璧な平穏を。
「彼」の目はいつからか常に光を失っていた。
「彼」の目は光を取り戻せなくなっていた。
桃色の髪をした女性が語りかける。
その声は美しい。だが、声色は儚げな悲しさと不安を纏っている。
「本当に、これが真の平和なのですか?私達の為したこの世界は本当に平和と言えるのでしょうか?
私達はただ、人々を恐怖で縛っているだけではないのでしょうか…」
「彼」が声を張り上げ答える。
「…違う。ラクス、それは違う!」
「キラ…」
「これこそが…平和な…僕達の守りたかった世界だ!」
「彼」は信じたかった。自らの世界を平和だと。
何よりも戦いを望まなかった彼にとって、それこそが真実だった。
自ら戦いに身を置く苦痛を選んだ彼にとって、それこそが真実だった。
それは天才故の狂気。
「これが…人の夢、人の望みなんだ…」
「彼」の記憶に鮮明に根付く忌々しい仮面の男の蚩い声が聞こえた気がした。
保守
>>101 乙
でもこれ昔のやつは載ってないの?
『道化の退場』とか『あるM1乗りの最期』とか好きだったんだが
過疎なので 投下
かなり駄文なので 勘弁願います
男は電車の中で窓の夜景を眺めていた。
幾度目かの溜息をついたときに男はふと昔の事を思い出した。
昔といっても半年前である。 第二次コズミック・イラ戦役である。
其の戦役で男はエースと呼ばれる部類に入っていた。
しかし、エースといわれたこの男曰く
「我々哨戒部隊は敵と戦う為にあるわけではない。 敵を落す哨戒隊員など二流だ。」
そういっては唇をかみ締めている。
其の戦役も半年前に我々の敗北と言う形で終結した。
「敗戦」その二文字が重くのしかかる
そう考えたとき男は立ち上がった。
「此処だ。」
呟いた後に電車から降りた。
一歩ホームへと足を乗せる。久しぶりの本国・・・いや、首都といったほうが良いだろうか
プラント評議会のある 首都アプリリウス市に降り立った。
>>106 1と2の過去ログが手元にありません
提供者求む
男は評議会の議員ではない。只、ある集まりがあり此処へ来る事になったのだ。
「ここら辺と聞いたのだが・・・、はて何処やら。」
男は飲み屋街いや、もっと大きい例えるならばすすきのといったようなところ。
どうやら集まりの場所はどこかの居酒屋らしいが、男は迷っている。
「あっ、此処か? 」
一軒の居酒屋を見つけて其処へ男が入っていく。
『銀翼の飛行隊 様』と書かれた板を見つけると此処だと確信する。
「すいません。 この銀翼の飛行隊がいる部屋は何処でしょうか。」
そう男はカウンターの店員に声をかけた。
「すいません。 お客様の名前は・・・。」
忘れていた。
「私は・・・・サンローラといえば分かるはずだ。」
「はい」そういった後に店員は少しカウンターを離れていった。
サンローラか・・・偽名を名乗るのは半年振りだな。
「お客様。ご案内させていただきます」
さっきの定員が帰ってきた。その店員について行く様に店の奥へと進んでいった。
「此方でございます。」
店員の言った部屋の障子を開けると懐かしい顔ぶれが並んでいた。
ここでSS書いても文句しか言われんよ
意見は言っていいとは書いてあるが文句は言ってはいけないぞ
人通りの少ない道路。ここが彼らと待ち合わせ場所だ。
「そろそろだな。」
サイが時計を見て、呟いた。
「お?来たみたいだぜ。」
俺はジープがやってくるの見て、サイに合図をした。
3人の前に現れたのはザフト軍の車両。普通の民間人ならまず乗らない車だ。
運転席にはザフトの軍人が二人並んでおり、俺らに乗るよう合図を出す。
ジープは俺らを乗せると一路、目的地へと走り出した。
「へぇ・・・・すごい数のモビルスーツじゃん」
俺は周りを見渡しながら施設内の膨大なMSの数に思わず唸った。
「あんまりきょろきょろするなよな。俺らの目標はあくまで「コレ」だ」
サイが懐から写真を出して俺に渡してきた。
写真に映っているのはザフトのシークレットのロゴがす印されたMS。
それをある程度確認した後、俺はステラにそれを渡した。
「そろそろ着くぞ。準備をしておいてくれ。」
5分ほどして、運転席の男が3人に叫んだ。
『6』と書かれたMSハンガーにつくと士官服姿の男がカードキーでドアのロックをあける。
中を小走りで進み物陰に潜んだところで士官が持ってきたボストンバックを開けた
中身は自動小銃やワンハンドガンやナイフ。今からの仕事には欠かせない代物だ。
「いいか、中には20人近くの警備兵がいる。うかつに飛び出ると・・・」
士官服の男が小声で注意をしようとするとサイが含み笑いをしながら呟いた。
「これでもエリート部隊なんでね。あ、コーディネイターに比べたらそりゃ大したことないかもしれないけどさ。よし、今だ!」
サイが弾をこめながら仕官服の男に応えた。どうせ、どさくさにまぎれてこいつらも始末するのだろう。
次の瞬間、サイはMSハンガー内部に突貫しながらマシンガンを乱射する。
サイの後を追うように俺もワンハンドガンを的確に打ち込みながら警備兵たちを殺していく。
ふいに、サイの右腕があがった。合図だ。
「じゃぁ、君たちもおつかれさん!」
俺は案内役のザフト兵に銃を向ける。
彼らには一体何が起きたのかまったくわからない状況だったのであろう。
ただ、銃弾の的になるだけだった。
<こいつらは本当に俺らがそのまま一緒に外に連れ出すとでも思っていたのか。>
<だとしたら、コーディネイターにしては出来損ないの部類なのかもしれないな。>
そんなことを一人考えていると横から凄まじい雄たけびが聞こえてきた。
「はぁぁぁあ!!」
振り返ると声の主はステラだった。
彼女は一人、銃を持たずナイフで兵の懐に着実に飛び込み、喉を切り裂いていく。
喉元からほとばしる鮮血が服に付着するか否かの刹那にステラは次の獲物へと向かう。
「トール、上だ!」
サイが俺の名前を叫びながらMSの上から狙っている兵を教えてくれた。
「おぉ、さんきゅーっ!」
俺は銃を後ろに構え、相手を見ずに適確に鉛玉をご馳走する。
これも連合での厳しいの訓練の成果の賜物だなと俺は一人感傷に耽っていた。
「さぁーて・・・これで終わりかな?」
サイは最後に手榴弾をなげ、敵の殲滅を完膚なきものにした。
「ステラのまわりもいなくなったよぉ」
ステラがぼぉっとした顔で戻ってきた。あれだけの数を切り裂いたのに返り血がほとんどない。
フラガ大佐も相当な子を選んできたもんだ。
「よし、こっからが本番だ。二人とも、やるぞ!」
サイの合図で俺らは銃を投げ捨て、静かにたたずんでいるモビルスーツのコックピットへと走り、飛び込んだ。
起動したモニターに映し出される文字はどこかでみたことのある文字列。
いや、俺が見たのはヘリオポリスで一瞬だけだった
<アノ後あのキラにだけ甘い艦長に撃たれたっけ・・・。胸でかかったなぁ・・・>
そんなことが脳裏をよぎりつつ、モニターに次々と出てくるアルファベットの羅列。
GENERATION
UNRESTRKCTED
NETWORK
Drive
Assarut
Module
OSの起動確認作業を始めながらサイが状況確認をしてきた。
「どうだ?」
≪OK、情報どおり!≫
俺は親指を立てて合図をおくる。
≪いいよ・・・≫
左側のモニターのステラはさっきとはまた違った陶酔してるような顔になっていた。
いや、陶酔じゃない。これはラボで見たことがある・・・エクステンデット特有の表情だ。
俺らとは違うタイプだったのか・・。まぁ、今はそんなこと考えてる場合じゃないな。
俺はOSのセットアップへととりかかる。
「量子触媒反応、スタート。パワーフロー良好。」
サイは搭乗した機体の兵装を起動させるプログラミングを始める。
「全兵装アクティブ、オールウェポンズ、グリーン♪」
ステラもまたすさまじい速さのキータッチでシステムを立ち上げカスタマイズしていく。
「システム、戦闘ステータスで起動・・・。」
3機のモビルスーツのカメラアイが緑の光を帯び、MSに命が吹き込まれていく。
「よし、壊さないように立ちあげろよ!」
サイは嬉し笑みを噛み締めながら自分の機体をゆっくりと立たせていく。
「ZGMF-X24Sカオス機動良好・・・・フェイズシフト展開忘れるなよ!」
サイはPS装甲展開ボタンを押し灰色の機体を深緑へと染め上げていく。
「OK、ZGMFーX31Sアビス、PS装甲展開!」
深い蒼の色を施していくアビスの外層をモニターで見ながら俺はゆっくりとレバーを握り締めた。
「・・・・ZGMF−X88Sガイア、展開完了。」
ステラもまた最終調整を終え、灰色から機体色を漆黒へと切り替える。
「よし、作戦段階を移行させるぞ!」
サイは叫びながらハンガーを出ようと機体を歩き出させる。
だが、俺らの真下で虫の息の兵が一人いた。
この時、俺らはそれに気づくのにほんの僅かだが遅れてしまった。
「く、そ・・・・はやく知らせな・・・・けれ・・・ば」
兵は最後の力を振り絞り、アラート発令させる非常用ボタンを叩き押し、その命を絶った。
アラートがプラント全体に響き渡る。
周囲のザフト兵たちは何事か起きたかと情報の錯綜に混乱をきたしはじめた。
バシュォオオン!!
その混乱を鎮まらせようとするかのように爆発音が鳴り響く。
爆音の源泉から出る噴煙の中から3機があたりを見渡す。
それらを傍らで見上げていた整備兵はおもわず言葉を漏らした。
「カオス、ガイア・・・アビス!?」
整備兵が漏らしたのは無理もない。
この3機はザフトのセカンドステージモビルスーツの試作機であり、軍内部でも知る者はすくないのだ。
それらが意図も簡単に奪取されるとは信じがたいことであったからだ。
「まずはハンガーをつぶす。モビルスーツが出てくるぞ!」
サイの指示を聴き、俺らはそれぞれ別方向へと機体を向ける。
「ステラちゃん、君は左。」
俺はそう呟くとそそくさと右方向へと機体をむけバーニアを吹かしながら上空を飛ぶ。
「わかった・・・」
ステラは機体をMA状態に変形させ、四本足で俊敏に動きながら次々とハンガーを爆破していく。
≪いいか、ある程度の破壊に当たったら脱出する。それまで死ぬんじゃないぞ!≫
「わかってますって!とにかく敵を倒して倒して、倒しまくる!それに尽きるってことだろ!?」
俺はサイの声を聞き流しながらガズウート、ゲイツの収容施設を壊していった。
モニターを切り替えれば鉄塊と死体の山だった。
「ヘリオポリスのお返しだっての!コロニー壊さないだけありがたく思ってほしいもんだ・・・ね!」
俺は背後から迫ってきていたゲイツにランスを突き刺す。
≪う、うわぁぁぁぁぁ・・・・・!≫
断末魔によって無線回線をザフトのままにしていたのに気づいた
「あんまり、聞くもんじゃないな・・・。」
俺は不協和音を聞いたような感覚に一瞬とらわれたが今はアドレナリンからくる高揚感に身をゆだねることに専念した・・・
116 :
102:2006/02/12(日) 02:22:55 ID:???
>>105 一応これで終わりです。
シンが「あんたはやはり間違っていた!」とか言って
止めようとする続きを書こうとは思ってますが…
>>110 ごめんなさい。
言ってる意味がよく解らないです。
乙
<私・・・・わたしはステラ。>
<今やること・・・・サイのいうことをきくこと>
<サイのいったこと・・・てきのせんめつ。>
ステラはすぅっと息を吸い、目を見開く。
「はぁぁぁぁぁ!」
OSを修正していくのと同時進行でガイアの基本操作はほぼ把握している。
ペダルを中踏みしながらレバーとボタンですぐさまMA形態へ移行させる。
その速度はガイアを知り尽くしたメカニックマンもおそらくは舌を巻く早さだ。
次々と立ちはだかるザフトのMSがそのビームウィングによって真っ二つされていく。
後方でレールガンを撃っていたゲイツの1機がその鬼気迫る戦闘スタイルにたじろぐほどだった。
「う、うわぁぁぁぁ。隊長、俺らだけじゃコイツは・・・!」
「ばかもの!今ここを離れるわけには・・・あ」
兵がその上官の言葉を聴いたのはそれが最後だった
腹部をライフルで打ち抜かれ地に伏すゲイツR士官機
「ひ、・・・・ひぃぃぃ!」
兵もまたサーベルで胴を裂かれる。
<ステラ・・・・まけない!>
強化人間としての能力が最高潮時にある今、ステラにとって戦闘はもっとも頭が冴える瞬間のひとつでもあった。
≪どうだ、ステラ?≫
サイが回線を開いて様子を聞いてきた
「大丈夫・・・・ん!?」
サイに答えようとした瞬間、目の前のMSが立ち上がるのをステラは確認した
≪どうした!?≫
サイもステラの表情が僅かに変わったことに気づく。
「敵・・・!ごめん、サイ。」
≪おい!ステ・・・≫
ステラは雑念を振り払うように回線を切り、ゲイツでもジンでもないMSに立ち向かう
立ち上がった機体は動力パイプがむき出しに近い外装で緑色のモノアイタイプだ。
ステラは横目でサイドモニターに目をやった
「ZGMF-1000。ザクウォーリア・・・」
型番と性能をある程度見た後、ステラは先手必勝とばかりにライフルを放った。
避けるのは並みの兵では避けられる距離ではない。・・・そう、並みのパイロットだったならばの話だ。
しかし、ザクはそれを易々とよけるではないか。
「なに・・・・!?」
まるでビームの射線がわかるかのような避け方。
<こいつは違う!>
ステラはそれを本能的にそれを悟った。
気を引き締めるが、すでにそれは遅かった。
ドガガガガ!
「ぅんぁぁあ!?」
ザクが姿勢を低くしながら突貫してくる。
PS装甲に打撃攻撃こそ効力をなさないが、それは衝撃とは別の次元だ。
力を加えられればその方向に押し倒される。
「このぉぉぉ!」
ステラは地に伏すスレスレでバーニアで機体を無理やりに近い程度で起こす。
<ライフルが無理なら白兵戦・・・!>
ステラの戦闘姿勢が射撃から白兵へと移行する。
それは人間で言うものとは違い、どちらかといえばコンピューターのアプリケーションの立ち上げに近いものだ。
サーベルを抜き、ザクに突貫をするガイア。
ザクもまた盾からビームホークを取り出し、応戦の構えにでる。
<若干だけど、相手はまだあの機体に慣れてない・・・!なら!>
タックルの入り方の甘さをわずかに感じていたステラは白兵でのゴリ押し作戦に打って出た。
ザクはステラの読みどおり防戦一方でなかなか間合いをとれずにいる。
その時、不安を募らせて援護にきたサイの声がステラの耳をよぎった
≪ステラ、大丈夫か!?≫
バシュ!
ザクは背後から迫る敵への反応に僅かに遅れ、左腕をもがれる
「サイ、こいつなんか違う!」
≪大丈夫、俺がきたからもう安心・・・≫
ドガガガ!
ステラはサイのコックピットのサイドモニターは煙につつまれ、多少のノイズが入るのを目にする
「サイ!?」
ステラはすぐさまザクとは違う何かが来ているのを探そうと索敵モニターに目をやる
≪っく!大丈夫だよステラ。上から・・・?戦闘機だ?≫
ザクもまた何が起きたのかと隙だらけの2機を仕留めようとするわけでもなく、たたずんでいた。
それほど、上空では彼らの予想だにしていないことが起きつつあったのだ
戦闘機を軸にMSの上半身および下半身が瞬く間に結合していく。
最後に飛んできたものがそいつの背部に結合し、その姿は完成形を施す。
灰色の成形色が緋色と白を基調として帯びていく。
そして、そいつは自分たちの眼前に降り立った
顔の形からステラ、サイは驚きを隠せなかった。
それはザフト固有のモノアイではなく、自分たちが奪った機体と同じツインアイのものだったからだ。
情報では3機。だが、目の前にいるのは明らかに同型タイプ。
しかも設計構造が自分たちが奪ったのとは全く違う。
二人にあせりの表情が見え隠れしはじめる。
「サイ、新しいのがきたよ。・・・サイ?どうしたの、サイ?」
サイに状況の判断を仰ごうとする、だがそこでステラはサイの声色が震えているのに気づく。
≪あ、・・・・あれは、ストライ・・ク?ストライクなのか・・・?≫
背部結合の瞬間を見たときからサイの頭をある機体がずっと支配していた
GAT-X105ストライク
今の自分を作り出すことに大きく寄与した連合の試作モビルスーツ
そして自分を拒絶し、かつての友と数多の血を流させザフトから悪魔とも言われた機体。
サイにとって換装型MSは別段なんも珍しくはない。
だが、それ以上に彼の心にトラウマじみたものを植えつけていた
ステラは、サイの正気を取り戻させようとなんどか声をかける。
だが、それにサイが呼応することはなかった・・・
第1話でここまで長くなるとは思ってませんでした・・・。
今後はコンパクトにまとめていきたいと思います。
レス消費してすんません
122 :
通常の名無しさんの3倍:2006/02/12(日) 13:03:44 ID:O1zK40T9
いやゆっくり書いてくれ 無常モードのサイが今から楽しみ
かつての友が始めてMSを叩き割り、殺したのはソードストライクだった
艦内のブリーフィングルームで俺とトールとミリアリアでその一部始終を見ていたんだ
ブリッツを倒したときもソードストライクだった。
パイロットは・・・・人を殺したと喚いて自分は悪くないと言い張っていたっけ。
自分を受け止めようとしていなかったな
そういうやつだった・・・あいつは。
≪イ・・・≫
こいつもそうなのかな。あいつと一緒なのかな
≪サ・・・イ≫
また俺からいろんな物を奪って、壊して開き直るのかな・・・
そうやって俺にまた傷を増やして何食わぬ顔をするのかな
≪サイ・・・サイ!≫
どのくらいの時間俺は考えに耽っていたのであろうか
視界がはっきりとしてくると、ステラが俺に必死に呼びかけながら新型と戦闘を繰り広げている。
<そうだ、俺らはとんだ飛び入り参加のアレをみて・・・アレ?>
そう、あのストライクだ。
再び俺から大切なものを奪っていくアイツだ
<アイツ、アイツだけは・・・・・!>
≪サイ、ねぇサイ!?どうしたの!?・・・きゃぁぁぁ!≫
「ステラ!」
ガイアが敵の剣の片割れに吹き飛ばされる
≪うぅ・・・サイよかった。サイ生きてた≫
「すまない、ちょっと取り乱していた。もう、大丈夫だ。あの新型は・・インパルスだ。あんなのがいたなんて・・・」
≪インパルス・・・あれがサイを・・うぉぉぉぉ!≫
俺の話を聴き終えないうちにステラはガイアをインパルスに突貫させる
「お、おいステラ!?っくそ、おい、トール!こっちにきてくれ、ヤッカイなのが現れたんだ!」
トールを呼び出しながら俺はすぐさまステラの支援に向かう。
その間に上方から大きな揺れと爆発音が立て続けに起こる
俺はすぐさまその位置の詳細を確認作業をはじめる
だが、そのタイミングで2機のディンが絨毯爆撃をしかけてきた
「くそ・・・・!」
だが、俺が手を煩わせる前にディンたちはビーム方の餌食になり爆散していった
≪サイ、さっきの爆発は・・・≫
「わかってる、タイムリミットだ。カズイは無事だよな・・」
≪てか、アレなんだよ?思いっきりストライクじゃないか!?あんなの予定にないぜ?てか、ステラ軽く圧され・・≫
「あぁ!見てれば俺だってわかるさ!とにかく、ヤツを引き離して作戦を最終段階に移行だ!たのんだぞ!」
≪お、おぉ・・・。なんかやけにカリカリしてんなぁ・・・大丈夫か?≫
「俺はいたって冷静だ!それよりもステラだ!ステラを援護する!」
俺は冷静なつもりでいた。
というか、冷静さを失ってはならないという脅迫観念に駆られていた
ここでまた失いたくない。奪われてなるものかと・・・!その一心だった。
≪援護ねぇ・・・俺は援護ってのは戦闘機のときで卒業したつもりだったんだけど・・ねぇ!≫
俺の真後ろを猛スピードでアビスが通り過ぎる
インパルスはガイアとの鍔迫り合いに夢中だ。
≪いくぜ、サイ!≫
「あぁ!」
アビスのカリドゥスが放たれる・・・が、それはフェイントだ
それを本命と勘違いしたインパルスは予想通り、俺の真正面に現れた。
「もらったぁ!」
俺はわざと回線をザフトにその場だけ合わせ、ライフルを放
もちろん、この新型のパイロットもばかじゃない。
それに合わせてよける・・・が、それもこっちの読みどおりである
「動きはいいけど、マニュアルどおりじゃ、アイツに及ばないな!」
俺は分離していたポッドにインパルス目かげて射撃させる
ヤツは何が起きたかわからず、その場に伏せってしまった
そこにガイアが飛び上がって斬りかかった。
だが、それでは逆に避けやすくなるだけだと俺は直感的に悟る
「ステラ、それじゃよけられるぞ!」
案の定、完璧とまではいかないがインパルスはシールドで防ぎながら急所をはずし逃げおおせた。
だが、それでも逃げるのがやっとの体制。すぐさま地面にしりもちをつく格好となる。
「トール、いまだ!」
俺はすぐにトールに合図をだす
≪言われなくても・・・いただきだぁぁ!≫
俺の描いたシナリオならここで終わりだった
だが、そこにまたもや厄介なモノが割り込んでくる
インパルスが出るまえに現れた、ステラが気になっていたザクだ
ザクはアビスにシールドタックルを食らわせてタイミングを気持ちがいいくらいずらさせた
アビスはそのまま背後に吹っ飛び、ザクは間髪いれずにガイアめかげてビームホークを投げつける
ステラもまたそれを盾で防ぐが、やはり並みのパイロットではない。はじくことなく盾にめり込む。
だが、ザクの活躍もここまでだった
アビスがすぐさま息を吹きかえし猛反撃に出るとザクは一目散に後退していったのだ
「トール、深追いはいい。それよりも脱出ルートの確保だ!ステラ、君はトールの後ろについていくんだ!」
≪でも・・こいつ!≫
ステラはすでにインパルスに因縁染みた感情を抱いてしまっていた
そのためなのかガイアの攻撃は確かに鬼気迫るものがあるがどうにも隙が大きくなっている
≪こんなやつ、すぐにおとす・・・!≫
<これじゃ、埒が明かない・・・しかたない。>
俺はすぅっと息を吸い込んだ
「ステラ!命令だ!トールの後を追うんだ!わかったな!!」
俺は喉がつぶれんといわんばかりに怒声をあげた。
≪ひっ!・・・ご、ごめんなさ・・≫
ステラも俺がホンキで怒ってるものと思ったらしく、強化人間の顔からおっとり顔へと戻りつつあった。
だが、その隙をインパルスが見逃すわけがない。
「わかったら、さぁはやく!ここは俺が食い止める!トール、頼んだよ!」
≪ったく・・!ステラちゃん、しっかりついてきてくれよな!≫
インパルスにミサイルの弾幕をはり、なんとか進路を絶たせる
その間に二機は空へと翔けていった
<よし・・あとは!>
二機が上空に上がったのを確認し、通信回線をインパルスにつなげた
もちろん、変声器ジャッキをつなげた上での行動だ
「インパルスのパイロット・・・お前はストライクを知っているか?」
≪な・・・なんだおまえ、いきなり!≫
どこかで聴いたような声だったが俺は思い出す必要もないと思った
「質問に答えてもらおう。お前はキラを・・・キラ・ヤマトを知っているのかときいている!」
俺は質問をしながらサーベルで斬りかかった
≪う、うわぁぁぁ、このやろぉ!≫
無意味にもマシンガンで応戦をしかけてくる
俺はそれを交わすこともなく、ポッドを展開させ、追っ手を抑えながら空へとあがる
≪にがすかぁぁ!≫
それでもなお、インパルスは俺に果敢に攻めてくる
「こいつは・・ステラがてこずるのもなんとなくわかるかもな」
根性だけは一人前。だけど、そんなもので勝敗の優劣が決するわけじゃない
「それで、質問に答える気はあるのか!?ないのか!?」
サーベルをかわしながら俺は今一度パイロットに聞き返した
≪しらないね・・・!そもそもお前らみたいな奴らに知っていても教えるわけないだろ!≫
サーベルの大降りが目立つようになってきた。どうやら、焦っているようだ
そりゃあ会話をしながら避けられれば操作の腕の差は歴然だからだろう
「ならばお前はその機体を扱うのにはまだまだ勉強不足だな・・・!」
カリドゥスを放ち続けざまに両サイドからポッドビームライフルを見舞った
≪なんだと・・・・!?≫
カリドゥスをシールドで防ぐも、インパルスはポッドライフルで剣の片割れを失う
「すでに勝敗は決した。さっさとパイロットを降りるんだな!」
俺はとどめをさす時間はないと判断し、二人の後を追うことにしようとした・・・
だが、それをかき消すようにパイロットからの怒鳴り声が入ってくる
≪ふざけるな・・・!まだ不慣れなはずのお前らが俺に『適うわけないだろ』!≫
俺はその言葉を聞いて自分の頭の中でなにか張り詰めていたものが一瞬にしてキレる感覚を覚えた
昔、聴いた言葉・・・「・・・てよね、サイが・・ないだろ?」
よくは覚えてはいない。心が記憶がそれを思い出すのを極端に拒んでいたからだ。
だが、今のその言葉の片隣を確かに俺は感じ取った
≪サイ、・・別働隊が・・!おい、サイ!≫
トールから通信が入ってきていたことに気づいたのはそのときだった
「あぁ・・わかった。ただ少しまってくれ。やれるよな?」
俺は恐ろしく抑揚のないトーンで応える
≪サイ・・?おい、どうした・・・?サイ!?こたえろ!≫
俺はトールの声が耳障りに感じ、回線をきった
「適うわけない・・か。なんでそう、おまえらは傲慢なのかな・・・」
≪なんだ?・・急にこいつ・・・≫
「お前らはそうやっていつもいつも、俺らを見下して・・嘲け笑って・・!」
カオスの操縦系統が自分の体の一部になっていくような感覚になっていく。
「だから俺は・・・・・お前らみたいなコーディネイターが大嫌いなんだよぉぉぉぉ!!!!!」
並みのパイロットではありえない芸当をカオスが行い始める
≪な・・!?全弾発射!?そんなあんな状態から!≫
MA形態にさせそのままインパルスに突貫し、俺は右肩のビームブーメランを剥いだ
すぐさま、振り向きMS形態に戻し、とどめをさす体制に入った・・が
バシュン!バシュン!
背後から2機のMSがきていた
「これがさっきトールが言っていたヤツらか!」
赤いザクと白いザク・・なるほど、エースか。
「トール、手負いのインパルスがそっちに向かっている、そつなくしとめろよ!」
≪お・・・おう!≫
トールの声が微妙に震えていた・・なぜだ
そんなことが少し気になったが、俺はすぐに白いザクもまた癖のありそうなヤツだとわかり、相手をする羽目になる
白いザクのホークを適度に流しうけ、俺は腹部を蹴飛ばし、赤いザクとともに地へと蹴落とす
肉眼では赤いザクはそのまま背部から煙をだしていたので、もうこれまい。
白いザクに集中しようとした矢先・・トールからまたもやSOSがきた
≪サイ、なかなか穴が開かないんだ、たのむ!≫
「了解、すぐに向かう!」
俺はバーニアを最大でふかい、急行する。
アビスとガイアだけではどうにもライフルの出力が少ないらしい様子だった
だが、そこに最後の剣を持ち、ガイアに切りかかろうとするインパルスが目に入った
「やらせるかぁぁ!」
俺はポッドを展開させ、インパルスに猛追する
インパルスもこっちに気づき払おうとするが、剣はカオスのシールド部分と衝突し真っ二つに折れる
<これでもう手出しはできな・・・>
安堵の息をつこうとしたそのときだった
また戦闘機が現れ、俺がザクに間合いを離されてる間にインパルスと結合をしたではないか
そのままインパルスは一番コロニーの端の部分にいるガイアに向かう。
「こ・・こいつ!」
再び、脳裏によみがえるストライクとアイツの顔。
そのつど俺の中でなにかが煮え滾るようにこみ上げてくる
≪サイ・・・こいつ空中換装までやりやがったぜ!≫
トールもまた驚嘆の声を隠せなかったようだ。
もっともトールは俺のように恨みの念はないみたいだが
「あぁ!こりゃストライクの再来だ・・くそ、トール、カリドゥスを同時撃つぞ・・・ポイントはココだ!」
俺はトールに射撃ポイントのデータを送る
≪これじゃ、ステラが・・・!≫
トールが怒ったような声で異を唱えてきた。
無理もないその射線軸にはステラがいるからだ
「大丈夫、ステラにはそれと一緒に避けるタイミングを送った。あの子ならやれる!」
≪おまえ、失敗したら承知しねーかんな!≫
俺らは軸合わせに入った
「いいか、ちょうど二機が折り重なところだ・・・くるぞ、3・2・1・・・!」
ドォォォオオオオオオン!
多彩な光と一緒に怒号が鳴り響く
そして砂時計にぽっかりと穴が開いた
その穴から勢いよく出て行く人工大気。
「よし、ステラ、ステラ!?」
俺は穴が開いたことを確認し、すぐにステラに回線をまわす
≪ふぅ・・・・・・・だいじょうぶだよ。ステラげんき!≫
ステラの笑顔が見えた。俺はほっとため息をつけた。
そこにまずいものを食べたときのような顔をしたトールが入ってきた
≪サイ、あのストライクも運よく避けちゃってるぜ?どーするよ?≫
「気にするな、脱出だけに専念する!いくぞ!」
≪≪りょうかい!≫≫
俺らは暗い孤独と寂寥感に満ちた空間へと一目散に駆け出した
幸い、あいつらは事態の収拾に手間取り、すぐには追ってこなかった
目の前の俺らの母艦を見つけたとき俺はようやく額の汗をぬぐえた
≪ちょっとスリルあったな≫
トールが笑顔で話しかけてくる
「ありすぎだよ。それよりも、カズイ大丈夫かな」
俺は母艦とシークエンスの調整をしながら一人残してきた友人が気になった
≪ステラ、おなかすいた!ムウにごはんのよういたのまなきゃ・・!≫
ステラはさっきまで戦闘をしていたとは思えない無邪気ぶりだ。
そのギャップに俺は思わず目を丸くしそうになった
「リー艦長、フラガ大佐と話がしたいんだけど・・・」
俺はMSからおり、ハンガーの電話からブリッジのイアン・リー艦長に電話をした
≪今、大佐はエグザスで出撃中だ。もうすぐ戻ってくるだろう。お前たちはブリーフィングルームで待機だ≫
「そうですか・・・了解。ほかの二人にも伝えておきます」
俺は受話器を置いてそれぞれのMSから降りてきた二人にさきほどの内容を話した
「えームウいないの?」
がっかり顔をしたのはステラだけだった
「今、大佐はお仕事中なんだ。ほら、スティングとアウルもいないだろ?3人でお仕事してるんだよ。さ、部屋にいこう」
俺は整備兵からドリンクをもらい、二人に渡した
インパルス・・・・あのパイロットもまた俺にとってのキラになるのか
できればもう会いたくないなと思ったが、すぐにそれは無理だなと一人で笑ってしまった
PHASE-2「戦いを呼ぶもの」終
128 :
通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 21:37:13 ID:Tgw+bKz+
GJ!!
近いうちにカズイルートをうpします。
期待して保守
あいつらと別れて、すぐに俺はフラガ大佐の手紙にあった場所へと向かった。
そこはペットショップだった
「いらっしゃーい、今日は何のようで?」
胡散臭そうな店長が俺に猫なで声で挨拶をしてきた
「知り合いに頼まれて「子猫ちゃん」のことを聞きに来たんだけど・・・」
俺がそういって、ジャケットの裏のオムニマークを見せると店長の顔が豹変する
「やっとおいでなすったか・・・。予定より5分遅いぞ?ちゃんと手筈どおりなんだろ・・」
店長がドスをきかせてこようとする
「おっと、それ以上言うと風穴あいちゃうよ?僕は手を汚すことはあんまり好きじゃないんだな」
僕が睨みを聞かせながら応えると、店長は押し黙る
「例のモノはこっちだ・・・。はいってくれ」
店長が机の裏をトントンと何回か押すと、地下通路への道が現れる
「こりゃ、どーも。」
地下室に広がる無数の武器とコンピュータ機器。
「さすが、連合軍諜報部。軍事工廠プラントにも作れるなんてさすがなもんだよ。」
俺は部屋を眺めながらおもわずつぶやいた
「そんなことはいい。これがあんたの仮のザフトIDと軍服だ・・・」
緑の軍服とIDが渡されるが、俺は軍服だけ受け取る
「IDなんだが、こいつの情報をそのIDに入れてもらえないかな?」
俺はポケットからシン・アスカのIDを出す。
「おいおい・・・!こりゃぁ凄いもの持ってるな。赤服のなかでもコイツは・・」
男はIDを眺め回しながらカードスロットにIDをさしパソコンを立ち上げる
「そんなに凄いのか?ぱっと見そうでもなかったんだけどな・・・」
俺は軍服に着替えながら店長に尋ねる
「シン・アスカ。両親と妹の4人家族でオーブに居住していたが、C.E.71年のオーブ解放戦争に巻き込まれ家族を全て失う。
この出来事の後、彼はその悲しみとやり場のない怒りを自国を戦乱に陥れたアスハ家に向けるようになる。
後に彼は避難船で会ったオーブ将校の勧めでプラントに渡り、ザフトのアカデミーに入学。
卒業後はザフトレッドの称号を獲得し、更にプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルによって
セカンドステージシリーズの1機ZGMF-X56Sインパルスのパイロットに抜擢された。」
さすが諜報部といったところか。
ん?ちょっとまてよ?
「最後の機体名は初耳だぞ・・?」
俺らに知らされていたのはカオス・ガイア・アビスだ。インパルスなんてんは今ココで初めて耳にした名だ。
「なんだと?確かに俺はインパルスの名前も送ったはずだ・・・誰の仕業だ?」
男はどうやら嘘をついているわけではないらしい。
はて、インパルスの情報を知らないサイたちはどうなるのか・・少し不安になってくる
「はいよ、赤服のIDは稀少なものでねあらゆる施設へ入れるし、情報の出し入れも自由だ。それに艦内食もちょっと豪勢になるぞ」
IDを渡しながら男が気色悪い笑顔で話す。
「俺はザフトの船になんか乗らないからそれは別にいいや。あ、元のIDも返してくれ。きちんと返してくるわ。」
「変わった男だなお前も。はいよ。ま、せいぜい生き延びることだね。それじゃ、大佐によろしく。」
俺はペットショップを出て、男から渡された地図を元に工廠へと向かった。
工廠の道筋に兵の宿舎を見つける
<ここで、更に詳しい話を聞くのも手だな>
そう思い、俺は宿舎に入ることにした
だが、そこで会ったのは思いもかけない人物だった
「なぁ、本当に俺の身分証届いてない!?」
「しつこいねぇ!きてないったらきてないよ!というか、ID落とすなんてあんたそれでもザフトレッドなのかい!?」
「し、しかたないだろ!落としちゃったもんは落としちゃったんだから!」
寮監と口論をしているのはまさにIDの持ち主、シン・アスカだった
「おい、シン。そろそろミネルバにいかないと・・・俺、主任にドヤされるよ」
さきほどの黒人くんも一緒だ
「バカ!俺は身分証がなければ入ること自体・・・」
俺は満を持してシンに話しかけた。
「もしかして、これのことかな?さっき、道で人に「軍の身分証を拾った」って渡されたんだ」
俺はポケットからIDを出し、シンに渡した
「あー!これ、これ!うわぁ〜マジ助かった!!これで艦長にも怒られずにすむ!サンキュー!!」
シンは小躍りするように喜ぶ
寮監は呆れ顔だ
「ほんとありがとな!わるいんだけど、今急いでるんだ!このお礼はいつか必ず返すから!名前だけ聞いていいかな!?」
俺はシンの早口に圧倒されそうになるが、笑顔でなんとか取り繕う
「フルハタ ニンザブロウだよ。」
「フルハタね!じゃ、また今度な!いこうぜ、ヨウラン!」
「ど、どうも・・・」
ヨウランはシンに引っ張られながらその場を去っていった。
「ったく・・・あれでも正規のセカンドステージMSパイロットなのかね。」
「あはは・・・そうなんですかね」
俺は寮監に適当な相槌を返して、その場を後にした。
目と鼻の先に新造の戦艦らしきものが見える。
「なるほどねぇ・・あれがヨウランが言ってたミネルバってやつか・・」
シン・アスカ・・インパルスのパイロットでミネルバ所属。
ミネルバの情報も手に入れてかえれば大佐の「うひょー」が聞けるかもしれない・・・
あれは何度聞いても面白いからなぁ・・
一人で思い出し笑いをやりそうになっていた。
その矢先の出来事だった。
ドガァァン!!!
遠くのほうで爆発音と煙が舞い上がるのが見えた
「はじまったか・・・。」
つづく
ホシュ
保守
ホシュ
とりあえずミーアの振りして宇宙に上がったラクスがギルと対峙したと思ってくれ。
ラク「ようやく、お会いする事が出来ましたわね。ギルバート・デュランダル議長」
ギル「ラクス・クライン!どうやってここに?」
ラク「プラントにはわたくしの味方も、あなたの敵もおりますのよ。」
ギル「フッ。とんでもない、おてんばなお姫様だな、君は。私に一体何の用だね?」
ラク「単刀直入に伺います。デスティニープランとは何です?」
ギル「!!何の事だね?」
ラク「とぼけないで下さい、議長。メンデルに残っていた研究資料から大体の想像は付きます。」
ラク「デスティニープランとは遺伝子が全てを決定する世界。
結婚を、恋愛を、教育を、就職を、そして全ての人生を
遺伝子によって決める・・・
いいえそれを決めるのは貴方。議長!貴方はこれから生まれてくる全ての人の人生を決めようとしている。
その権力を手に入れようとしている。」
ギル「・・・・・・・・。」
ラク「 貴方の立場、力、そして過去の研究の成果。今の貴方なら計画を実行に移す事も、そしてそれを達成する事も出来るでしょう。」
ラク「 議長、貴方は本当にそんな世界を実現するつもりですか?個人の自由を奪い、意思を奪い、夢も、愛も、全てを奪い、ただ残すのは命だけ。」
ラク「人間が、人間らしさの全てを奪われる。それで生きていると人は生きていると本当に言えるのでしょうか?そんな世界に意味はあるのでしょうか?」
ラク「議長!貴方はそんな世界がすばらしいと本当に思っているのですか?」
ギル「愛があるから争いが起こる。夢があるから争いが起こる。自由があるから争いが起こる。全ての人の心の中に潜む欲望こそが争いを生むのだ。
ならば我々はこの先歴史を紡いでいくために、ある程度欲望をコントロールしなければならない。人類が種として生きのこるためには。
そうしなければ我々は戦争から逃れられない。
そして戦争を追放できなければ人類のみならず、地球と地球に住む全ての生物を巻き込み滅亡するだろう。」
ギル「人類のコントロールは誰かがやらねばならない。だがそれを個人に負わせるのはあまりに酷だろう。
らば特定の個人に成り代わり行うのは遺伝子こそがふさわしい。」
ギル「それともラクス・クライン、君が行うかね。人類の欲望のコントロールを。」
ラク「それは個々人が解決するべき問題です。一人一人が真剣に戦争について考え心を一つにする。それこそが真の平和です。」
ラク「 遺伝子により自らの意思さえ強制される平和など真の平和ではありません。」
ギル「過程など問題ではないのだよ。大事なのは結果だ。平和がもたらされるという結果こそが重要なのだ。」
ラク「自由意志の無い人類などもはや人類ではありません。それではただのロボットです。
逆に自由意志を残したままでデスティニープランを導入してもいずれ爆発し制度そのものが崩壊するでしょう。
始めからうまくいくはずなど無いのです。」
ラク「それでもまだ計画を実行しようとするのですか?」
ギル「もし本当にデスティニープランなどというものが実現するなら、それがもたらす平和は人類のある欲望を完璧に満たすだろう。」
ギル「それは全ての人に存在する生物としての根源的な欲望、生きる事だ。
金も愛も権力も全ての欲望に優先する。それが生存欲だ。その欲望を満たす事こそが全ての人の幸せにつながるのだ。」
ラク「わたくしはそうは思いませんわ。」
ギル「もともとラクス嬢に理解してもらえるとは思っていないよ。」
このくらいのやり取りは欲しかった。
じゃ、俺も便乗してギルVSラクス。(キラはシンに負けたことにしておく)
「ギルバート・デュランダル! あなたの計画は実行させません」
「ミーアと入れ替わって来たのだね、健気なものだ……君に理があるのなら、
私はすぐにでもこのプランを取り下げよう。しかし、私はまだ君の大義名分を聞いていない」
「大義名分と? デュランダル議長、人を……人格を作るのは遺伝子ではありません。
人を育てた環境が人間を作るのです。能力もまた然り」
「環境が能力を作るなど! 君のいとしいキラ・ヤマト君はどうなのかね?
彼は特別な努力もせずに、誰よりも優れた力を手に入れているではないか」
「いいえ、彼がたった一人――たった一人、打ち勝てなかった少年が居ます。
彼は平凡なコーディネーターです。しかし、血の滲むような努力の末に手に入れた力は
キラを凌ぐ物となりました。……彼の名はシン・アスカ。皮肉ですわね、あなたが育てた兵士が
あなたの自説を覆してしまうなんて」
「たった一つの例を挙げて、まるでそれが総ての人間に当て嵌まるかのように言うのは
詭弁ではないのかな ラクス・クライン?」
「ええ、そうかもしれません。しかし希少なケースを無視してしまうのも詭弁です。
それに、『SEED』の力は選ばれし者にのみ宿るわけではありませんわ」
「『SEED』――人類の潜在的知覚能力の発露。ヒビキ博士の研究テーマか。
その力を得られた者は数えるほどしか居ないではないか。それも、殆どは特殊な生まれの――」
「彼が、シン・アスカが第五のSEED覚醒者なのです。遺伝子学を専門とするあなたならご存知でしょう、
コーディネーターは遺伝子に新たな何かを付け加えたわけではなく、ただ人類が元々持っている力を
遺伝子に働きかけることで引き出しやすくする……ただそれだけのことです。
本質的にはまさにナチュラルもコーディネーターも同じ存在。ナチュラルの中には
己の努力によってコーディネーターを凌駕する力を得た者もいます。たとえば、あなたの友人であった」
「……ラウは特殊な血統の空間認識能力者、しかもクローンだった。『平凡な』生まれではない」
「その『特殊な血統』こそが、人の可能性の一つの形なのです。デスティニープランは
そうした種としての進化の可能性すら断ってしまう」
「人類全てがそのような努力で己を高める時代など、永遠に来るまい。だから私、ギルバート・デュランダルが
より確実な方法で、人類の発展を促そうというのだ。私に君の言うようなギャンブルは出来ない」
「……私はあなたほど人類に絶望してはいません。私達すべてがその一縷の可能性に
望みを託すことを止めれば、その時こそ人類という種は潰えたも同然です」
>>141 ツッコミ入れて悪いんだが、
シンが他の三人のテストパイロットや当時の技量では明らかに勝るレイを押しのけて、
インパルスのパイロットになれたのは議長がシンの持つ可能性(恐らくSEEDの事と思われる)に、
あの時点で既に気付いていたからでは?
むしろ後々キラを倒し得る手駒としてあれだけの厚遇をしていたようにも思えるが。
そういい切れるだけの材料も否定する材料も足りんからなぁ。どっちにしろ妄想乙としか。
>>142 141だがここに『受け取り方の違い』を垣間見た。
俺の脳内では、確かにレイの方が技量ではシンを上回っていたが
議長はシンの潜在能力の伸びに賭けてインパルスを託したモンだと思っていて
その際の期待に『SEED』は含まれてなかったのよね。
当初はシンが戦闘力を集中的に伸ばされた『コンバット・コーディネーター』であるという
風にしようと思ったが、「また特別な生まれかよw」と思い中止。
次にシンがコーディネーターを更に後天的強化で生きた兵器に仕立てた『ハイブーステッドマン』
ならどうかと思ったが、周囲との関係構築が難しい気がしてまたNG。
が、そのレスを見た後では確かに議長の期待にはSEEDが含まれていたように思える。
145 :
通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 19:57:43 ID:JZqDwNMn
単純にシンはオーブ製のソキウスのプロトタイプと思ってた頃があったな
連合製のソキウスはナチュへの服従遺伝子とコーディに敵対するよう作られたが
シンは服従遺伝子は組み込まず依存遺伝子を特化させたソキウス
これは服従を拡大解釈してしまうと、それを名目にナチュを支配する可能性があったが
依存性を高めることで拡大解釈による独自行動を抑える働きがある
その結果、特定への憎悪を刷り込む必要もない
もともとオーブはナチュとコーディが共存している国家ゆえ
特定人種への憎しみを煽る必要性が希薄だったからである
だからシンは誰にでもなつくし、妄信する
最終回SPであっさりキラと和解したのもその為
しかし、やはりシンも未完成であったのか
ステラを持ち出すという行為に及んでいる
これは連合のソキウスにも見られた行為で
自分の能力に自惚れてしまうと自己を中心にしてしまうのは共通しているらしい
その為、連合ではアズラエルの勅命により人格を破壊し、安定を図るが、どうも十分ではないようである
っと・・・妄想してみたが
とはいえ、アンチテーゼとするなら
「プラントなら普通に一杯居る単なるコーディネイター」が「期待値マックスのスーパーコーディ様」をぶちのめすほうが形になるけどね
まぁ極限追求するならナチュラルのほうがいいけど。
「そんなに金持ちじゃないから健康以外に大したコーディネイト受けてません」みたいなでもおk
っつか種死自体詰め込みすぎなんだと思う。
ぶっちゃけ、種死はスターダストメモリーでよかったと思う。
『機動戦士種ガン0073・スターダストデスティニー』とかww
……お? なんかネタが沸いてきそうな悪寒、、、
種キャラにあんなオッサンばかりの熱い話が出来るわけ・・・
いや、期待してみよう
サトーがまんまガトーで良いんじゃない?
本編だと妄言バカだけど、磨けば光ると思うよ、彼。
C.E歴73年。ヤキン・ドゥーエ宙域の戦闘にて一応の終息をみたナチュラルとコーディネーターの
戦争から2年が過ぎた。
地球連合の新型ガンダム開発基地が謎のテロリストに襲撃を受けた事からそれは始まる。
新型シリーズの一機・インパルスに飛び乗り応戦に出たシン・アスカだが
サトーの駆るカオスに一蹴されてしまう。実力も、意志の強さも、次元が違った。(プロローグ終)
シンをコウのポジションに持ってくると大分しっくりくる。何しろTVシリーズ初の軍人主人公だし。
ただ、前作のアホ4人は前面カットするしかないかなぁ……?
サトーならボンボンの漫画でやたらカッコよくなってたな
保守
保守
>>149 アスラン:バニング役(途中参加、当然作中で死亡)
ラクス:バスク役(ソーラシステムUもどき使用)
キラ:観客A
カガリ:オーブ当主(廃棄コロニー奪われたり、そのほか凸が死んだあたりで出てきたり…)
そうすると…
ノイエン・ビッター←ムゥ(ネオ)
シーマ(宇宙の蜉蝣)←?
デラーズ←ジブリール(+猫)
シナプス←タリア 以下クルーは省略
(誰だっけ?シーマと談笑してた連邦将官で核にやられた人)←誰かプラント議会の人とか
>>153 シーマはエザリアあたりがいいんじゃない?
それかニコル父とか
保守
広島
ゲン「ジャンジャンジャガイモさつまいも〜♪」
隆太「ガハハ!今日はよーけい海老が取れたわい♪」
ムスビ「ほいじゃがのう…あの海老が死んだ人間の肉食うて育ったと思うと複雑じゃあ…」
戦後の日本…少年達が自給自足で食べていく時代に…中岡ゲン…これよりとてつもないことに巻き込まれる事も知らずに…
ゲン「なんじゃあれは?ひっ…光よった!!」
ムスビ「ぴ…ピカドンじゃあ〜」
隆太「アホ、何で戦争は終わっちょるのにアメ公が…」
ゲン「ラワ―……(ry
157 :
もし種世界にゲンが来たら?:2006/02/28(火) 00:46:48 ID:I/ntfuCG
ゲン(な、なんじゃわしゃ?死んでしもぅたんかいのう…ま、真っ暗じゃあ…ギギギ、体が痛むのう…)
???「……キ……」
ゲン「なんじゃ誰かおるんかいのう?…しかし真っ暗で何も見えん…参ったのう」
ゲン(ん?なんじゃ眩しい…)
ゲン「は!?ここは一体?」
ゲンが目を開くと回りには見たことのない…機械、乗り物がある世界だった
ゲン「……」
よく見回すと自分はシートのような場所に座っており、誰もまだ自分に気付いておらず、皆せっせと働いていた。
ゲン(な、なんじゃあここは夢の世界かのう)
「…ギギギ…なんじゃ頭が痛い…割れるように頭痛が…」
その時サイレンのような物が響きわたった
続く
立ち上がる噴煙と人のざわめく声。
『おい!なにがあったんだ!・・・』
『新型のモビルス・・・・』
『連合か・・・!?』
『被害状況は・・・・』
錯綜する現場を潜り抜けながら俺はあたかも、その一員のように一人の兵に声をかけた
「す、すまない・・・うちの部隊のやつが一人負傷してるんだが、・・・」
とっさに理由を作ろうとしたのが間違った。兵は話の冒頭だけを聞いて、応える
「医療班は港のほうに集まっている!俺が途中まで連れて行ってやる!」
車に乗せられ、俺はそのまま医療チームのポイントに連れてこられた
だが、まだ俺の運は尽きては居なかった。
「議長!?なんでここにいらっしゃるんだ!?あ、すまない。ついたぞ!大丈夫、お前の仲間はいきてるさ!」
送ってくれた兵にバツ悪そうに感謝をしてその場を後にする。
<ここで、デュランダル議長に会えるとはな・・・・。だが、なにぶんガードが付きすぎか。>
フラガ大佐の手紙に寄れば今回の作戦の情報はデュランダル自身からのリークらしい。
なぜ、自国の国家機密をリークするのか。
それにはいささかヤヤコシイ事情が付きまとってくる。
地球連合を実質的に掌握している組織が存在する。
彼らはロゴスと呼ばれ、戦争が無ければ食い扶持が無くなるというなんとも稀有な団体だ。
一昔前で言えば「死の商人」の組合みたいなもんであろう。
前大戦のムルタ・アズラエルの実父もロゴスに名を連ねている。
そして、俺たちの部隊の名義上のトップであり、現ブルーコスモス盟主ロード・ジブリールも。
軍の上層部はロゴスの犬と化している。
そのため、兵を人間と思っては居ない。
だから、ブーステッドなんてシロモノを生み出せるのであろう。
ふつう、そんな上層部の実態を知ったら兵はついてくるか?・・・否だ。
だから、『多くの兵』はこの事実を知らなかった。
俺らはアークエンジェルからの出戻りという特殊な境遇だからこそ、知りえたのだ。
もっとも、フラガ大佐が教えてくれなかったら知りえなかったわけだが。
この事実は上層部に嗅ぎつかれないようにひっそりと、軍全体に広がりつつある。
そして、兵たちの中には上層部を排除すべきだという風潮が強まってきている。
その実戦部隊なのが俺ら「ファントム・ペイン」なのだ
表向きはジブリールの指示仰ぎ、作戦を実行。
だが、その裏でザフトのクライン派などと交渉を進め、うまい話のようにもって行けば、交渉に長けていないコーディなら手玉に取れる。
敵軍と自軍、両者をうまく掛け合い、最後には両者を潰し新たな世界を創り出す。
それを最大の目標としている。
もっとも、デュランダルもバカではない。
そこらへんには薄々感じているらしいが、彼もまた俺らの船にのっかれば新たな利益が生まれるかもしれないとでも踏んだのであろう。
そんなことを回想していると、後ろからまた声をかけられた。
「すまないんだが、この車をあそこのミネルバに運んでくれないか?俺医療スタッフなんだけど、これハコベと言われて・・・けど負傷者が」
どうやら、アカデミーを出たての新米のようだ
ちょっと振り返るとすでにデュランダルはいない
<議長は見失ったが、これでミネルバに堂々と潜入し、航行不能にでもすれば・・>
俺の中にまた、新たな考えが浮かび、俺は兵の願いを聞き入れた
<アークエンジェルが白に対しこいつは灰色か・・・>
俺は車を走らせながら、のんきにそんなことを思っていた。
これから、これにのり、そのまま宇宙に出るなんて思ってもいなかった
つづく
保守
保守
保守
保守。
機動戦士ガンダムシードデスティニーZ
その1 出撃
「……システムに異常なし……操縦系、電気系統も良好……」
アスラン・ザラは、ザフトの新型MSザク・ウォーリアのコックピットの中でシステムを立ち上げながら、先の大戦で行方不明になった友を思い描く。
(……キラ、ラクスお前達は今、どこにいるんだ)
―――キラ・ヤマト、先の大戦の最終局面、ラクスより託されたフリーダムを駆りラウ・ル・クルーゼのプロビデンスと交戦後、ジェネシスの光芒の中に消えたのだった。
そして、戦後の混乱に紛れオーブの歌姫ラクス・クラインも後を追うように戦艦エターナルと共に行方をくらました。
アスランは大戦後、ザフトに戻り、2年もの歳月を探し続けているが二人の行方をつかむことはできないでいた。
あらかたのチェックが終わった頃、通信が入る。
<今回の作戦は分かってるわね。あくまでも偵察よ。MSを確認したらすぐに帰艦して>
ザフトの新造戦艦ミネルバの艦長、タリア・グラディスだ。年は若いが決断力、洞察力,胆力に優れている。故に、女性ながら新造戦艦の艦長に抜擢された人物だ。
「解ってます。相手はオーブですから……それに今は世界を刺激してまた戦争になんてなればこの2年が無駄になる」
前大戦の停戦からプラント、連合、そして中立国は表向き均衡を保って入るがかなり危うい。ちょっとした事でその均衡が崩れてもおかしくはない。
今回の作戦は、オーブへ譲渡したプラントの一基アーモリーワンへの潜入、及び内部で開発されていると噂されるMSの調査だ。
<まさか譲渡したコロニーでMSを開発しているとはなぁ。中立を謳いながらあの国は……>
と副長のアーサー・トラインがもらした。理に走る傾向もあるが反面、おだてに乗りやすい男だ。その辺の人間味がクルーには受けがいい。
―――先の大戦中、オーブは連合のマスドライバー接収要請を拒否し、国内に進行を許してしまった。その際、多くのコーディネーターの国民はプラントに逃げ込んだ。
戦後、オーブへ国民を帰還させる際に評議会の計らいでひとつのコロニーにまとめ、そのコロニーもオーブに譲渡した。それが今回の問題のアーモリーワンなのである。
そこでMSを開発していると噂が持ち上がったのだ。アスランはにわかに信じられなかったが、事実確認することが評議会で決まった。
先の戦前からオーブの軍事力は中立とはいえ凄まじいものだった。それをプラントが助長していると連合に思われることを評議会は恐れた。
「あくまで噂です! それを確かめるのが今回の作戦でしょう。それにザフトだってMSは開発しているでしょう」
アーサーの心無い一言に、つい、アスランは声を荒げてしまう。
<ああ、そうだよなぁ、ハハ……>
アスランの勢いにアーサーがたじろいだ。その様子を見てアスランはハッとする。
「すみません…」
<いいわ。でも、一応オーブは我が国の友好国なんだから、穏便に済ませたいの。そのための事実確認なのだから……>
潜入という行動をとることが発見されれば穏便にはいかないだろうとアスランは思った。危ういバランスの今の世界ではちょっとした事で大きくそのバランスを崩しかねない。
それはグラディスも承知しているだろうと思うし、グラディスに異を唱えるのも筋違いなのでアスランも形式上の返答をする。
「了解です。こんなことで連合にプラント攻撃の口実を与える訳にはいきませんから」
〈お願いね〉というグラディスの通信と入れ代わりでオペレーターのメイリンが発進シークエンスにはいった。
(…キラ、俺は今だにこんなものに乗っている……そんな俺をどう思う。二人を見つけられずに……どこかでこんなおれを笑ってるのか?……いや、怒ってるかもな)
戦いを嫌っていた友人を思い出し、すこし自虐的になっていた。
<ザク・ウォーリア発進どうぞ。気を付けてくださいね>
メイリンの合図とともにカタパルトの信号が青に変わる。
「アレックス・ディノ、ザク・ウォーリア、発進する」
ミネルバのカタパルトから深紅のザクが漆黒の宇宙に飛んだ。
その2 復隊@
ヤキン・ドゥーエ攻防戦後、アスランはプラントに戻った。
プラントに戻ると言ったとき、カガリはひどく心配しオーブに誘ってくれたが自分だけ平和に向かう世界で愛する人と暮らすことをアスラン自身が許せなかった。
―――自分は、あの戦火を際限なく広げたパトリック・ザラの息子だというのに―――
―――この世界を愛したラクスがいないのに―――
―――何も守れなかったのに―――
―――キラがいないのに―――
そうして戻って拘束された。が、
『ヤキン・ドゥーエ攻防戦の折、ザラ議長銃殺の混乱で公式文書の大半が消失した』
という臨時評議会のカナーバ議長の発表によりアスランの罪状はうやむやになった。が、拘束はしばらく続いた。そして幾日が過ぎた後、議長からの出頭命令を受けた。
「本来ならこのような議長職の私が個人的に呼び出しは出来ないんだ。一応、君は脱走兵だからね……が、カナーバ前議長のあれは、はからいというのかな? 君はもちろん、ラクス・クライン、それにエターナルの乗員たちの件は追求できない形になってしまったからね」
そう議長席からアスランに言ったのはギルバート・デュランダルという人物だった。
拘束されている間に臨時評議会は次の体制に移行され、新たに最高評議会議長に選ばれたのが彼だった。亡きシーゲル・クラインの意思を継ぎ、ナチュラルとの融和を強調し、プラント市民の信頼も厚く、オーブとも友好関係を結ぶよう努めている。
「それは……まあ」
アスランはあいまいにうなずいた。確かにこんな事は普通ありえない。それにこの呼び出しの意図を読めなかったからだ。そんなアスランにデュランダルは続ける。
「それは私も同じでね。大人の都合で始めた戦争で過ちを犯したからといって、その事でまた若者の命を奪う。そんなことはしたくないんだよ」
といって、柔和な顔を向けた。
「過ち……ですか」
アスランは過ちという言葉に反応した。ただ広がるばかりの戦火をとめたい。悲しみの連鎖を断ち切りたい。そんな思いで戦場を駆けたキラとラクス、そしてカガリ、あの三隻に集まったみんなの思いが過ちといわれるのは悲しかった。
「確かに! 軍から見ればどっちつかずの戦局をかき乱す行為だったかもしれません。過ちなのかもしれません。けど彼らは……」
「彼らは平和のため戦った……かな?」
声を荒げるアスランをデュランダルがたしなめるように遮る。
「言い方が悪かったかな。ただ個人の、いや、君の思いは純粋な物でも軍ではそういう扱いになってしまうというのも知っておいてくれたまえ。悲しいことだがね……そして君たちがとった行動で軍が混乱したのもやはりまた事実ではある。それにプラント市民も……」
事実だけを突きつけるよう冷たく語る。
(たしかにそのとおりだな。自分はあのクルーゼ隊の赤服で最高評議会議長の息子、あのラクスの婚約者でもあった。しかも特務隊に昇進直後、最新鋭の機体を持ち出して軍を離反、その後、ラクスもエターナルでプラントを飛び出して……)
アスランの体に自然と力が入る。唇を噛みしめ、拳を握る。
「その通りです。結局、父を止めることも出来ず。核も、ジェネシスも撃たれ、多くの命は失われ、父もラクスも……」
「あまり自分を責めるのはやめたまえアスラン。だが、そんな君だから停戦後プラントに戻ってきたんだろう。私は、その思いこそが今の…いや、これからのプラントには必要だと思うのだよ」
その3 復隊A
「えっ?」
アスランは耳を疑った。いや、聞き取れなかったのかもしれないし、頭が理解しようとしなかったのかもしれない。それでつい聞き返してしまった。
「今、言った通りだよ。混乱する世界を何とかしたくて走り、そして、停戦後のプラントの為に戻ってきてくれたのが君だ」
デュランダルはまっすぐアスランを見る。アスランはどこか心が氷解するような気がした。だが
「またプラントのためにその力を使ってくれないか?」
という一言で、今回の出頭命令の意図を理解した。
「復隊しろということでしょうか?」
アスランか問う。が、デュランダルは答えない。じっとアスランを見据える。そこに拒否は許さないという空気が宿っているような気がした。そして、沈黙に耐えかねたアスランが口を開く。
「確かに戦争が終わった世界の平和は守りたいと思います。ですが議長。それは”ザフトのアスラン・ザラ”に戻ることなんでしょうか?」
アスランの脳裏にキラの姿が浮かぶ。そして、
―――アスランが信じて戦うものは何ですか?お父様の命令ですか?いただいた勲章ですか?ザフトのアスラン・ザラ―――
そのラクスの言葉が響く。それがアスランにためらいを生じさせる。
「先の大戦、ザフトから離れた私は俺はこの世界のために、何とどう戦えばいいのか分からないいまま戦いました。それは今も同じです。それは軍に忠誠を誓い、軍の命令でしか動けないただの兵士に戻ることなんでしょうか?」
アスランは心の迷いを議長にぶつける。デュランダルはその問いに
「それは少し違うね。私は、君を自分の信じるところに従い、今に堕することなく必要なときに戦うことのできる者だと思っている」
「そうでありたいと思ってはいますが」
アスランは戸惑いがちに答える。
「だが、さまざまな人、組織、そんなものの思惑が複雑に絡み合う中ではその答えを探すのも容易ではないと思う。”ただのアスラン・ザラ”ではね。そして、今は戦後で世界は混乱している。なおさらだ」
確かに、戦争をとめる為、答えを見つける為に軍を抜けたが局地的戦闘を止めることしかできず、核はうたれ、ジェネシスは放たれ、戦争は行き着くところまで行ってしまった。
「だからこそ答えを探すにもやはり力は必要だと思う。残念ながら」
「はぁ……」
アスランはどこか煮え切らない返事をしてしまう。
「それに忠誠を誓うというのなら自分の信義、信念に誓ってくれればいい」
そう言うとデュランダルはアスランに何か差し出した。
その4 ザク・ウォーリア@
アスランはミネルバを発進してから遼機に通信を入れる。
「二人とも、新型の調子はどうだ?」
ザク・ウォーリア、ザフトが開発した次世代機ミレニアムシリーズの一機でウィザードと呼ばれるバックパックを付け替えることにより様々な戦局に対応できる。
性能は先の大戦で連合が開発したGATシリーズをはるかに上回ると言われている。
とは言え5機開発されたGATシリーズの内、4機は連合が投入する前にクルーゼ隊により奪取されそのままザフトによって運用されている。
その技術も取り入れているのだから性能も上回っているのも当然と言える。
<いいですね。ゲイツに比べて段違いですよ。それに3日もあれば新しい機体でも十分に乗りこなせます>
そう答えたのはエドガー・デイル。そういってザクの機体を旋回させる。
<自分たちはあのヤキン・ドゥーエでも慣れないゲイツで生き残ったんですよ。任務は偵察、心配には及びませんよ。>
もう一人、ショーン・バウアーはそう軽口をたたいた。
「二人とも、その過信はいずれ自分の足元をすくうことになる」
と、たしなめたものの、二人とも腕は悪くない。ヤキン・ドゥーエでは確かに間際にロールアウトされたゲイツで戦い抜いたのも事実だ。
<すいません。しかし隊長はどうです?>
ショーンは謝りつつ、アスランにそう聞いた。もう一方のデイルも
<大丈夫ですか……>
などと心配げに聞いてくる。だが二人ともアスランの操縦の腕を心配して聞いているわけではない。MS自体に理由があると言っていい。
それは発進前のことだ。
アスランたちは今回の作戦の一週間前にザクを受領しそのままミネルバに搭載させていた。
作戦前にアスラン、ミネルバクルーともども休暇を与えられていたための措置だ。それがあんな事態を招くとは思いもよらなかったからである。
「何だ、これは……」
アスランは絶句した、それはアスランだけではない。
一緒にミネルバに乗艦したショーンにデイル、その前にすでに乗艦していたミネルバクルー、後から来たグラディスにいたるまで全員が目を疑った。
アーサーなどは「のえぇ」などという素っ頓狂な声まであげて驚いた。
休暇前は確かに他の二人と同じグリーンの機体カラーだったアスランのザクがレッドに塗り替えられていた。
しかも色ばかりではない。
頭にはイージス、ジャスティスを思わせるセンサー。
シールドもジャスティスらしきもの、そしてそれにより収納できなくなったヒートホークの変わりに両腰にビームサーベル。
背中にはリフターが背負わされていてどうみてもジャスティスをモチーフにカスタマイズしたとしか思えない、もうザクかどうかも疑わしい機体になっていた。
その5 ザク・ウォーリアA
犯人はすぐにわかった。
カスタマイズされたザクの前でどうです? といわんばかりに二人のクルーが立っていた。整備班に配属されたばかりの新人、ヴィーノ・デュプレにヨウラン・ケントだった。
目を丸くする全員の中でいち早く我に返り二人に問いただしたのは二人の上司である技術主任のマッド・エイブスである。
「お前ら、何だこれは!」
「だって、なあ……」
「ねえ……」
二人は顔を見合わせたて悪びれることもなく言った。
「アレックスさんがまさかザク・ウォーリアなんて、しかもノーマルカラーなんてなぁ」
そういうヨウランに
「俺もてっきりアレックスさんは“ファントム”だと思ったのに。」
ヴィーノも続ける。
ザク・ウォーリアの上位機にザク・ファントムも開発されていた。主に指揮官クラスに与えられた機体でパーソナルカラーにされることが多い。
だがウォーリアであってもエースクラスならパーソナルカラーに変えることを許されていた。
ヨウランとヴィーノは、アスランもファントムに乗るものと思っていたらしかったが、ウォーリア、しかもノーマルカラーを受領したことに不満だったらしい。、
だったら自分たちでアスランに合う機体にしてやろうと今回の出撃までに不眠不休でカスタマイズしたらしい。
もちろん二人はエイブス主任にこっぴどく絞られた。グラディス艦長にも後で呼び出しだろう。
だが元々、アスランにもウォーリアではなくファントムが支給されるはずだったが、アスランはそれを断りウォーリアを受領した。
それは2年前のザフト離脱による負い目とFAITHに所属しているとはいえ偽名を名乗っている以上、目立つ行為はしたくなかったからである。
それでなくともアスランは今の自分が目立つ存在である事を解っていた。
色々な意味で心配だったが任務直前ということもあり、ほかの機体の手配もできず結局アスランはカスタマイズされたザクで出撃することにした。
この事もグラディスが戦闘について心配していた一因ではあった。そしてショーンとゲイルも出撃直前まで心配していた。が、やはりまだ不安らしい。
「ああ、大丈夫だ。あの二人も伊達に新造戦艦に配属されたわけじゃないらしい」
とは言ったもののアスランにも多少は不安はあった。だが作戦中に部下に不安を与えるわけにはいかなかった。気休めでしかないのだが……
<しかし、これじゃまるっきりあのジャスティスですね……ザクか?、ガンダムか?ってぐらい>
<やっぱあの噂、あいつら信じてんだな。隊長があのアスラン・ザラだって>
アスランが復隊した直後はやはり噂になった。しかし、それは普通ではなかった。偽名を名乗り素性を隠したからだ。
<FAITHってのも噂に拍車をかけましたね>
そして、その素性の知れない男が鳴り物入りでFAITHに任命されたことでザフトのみならずプラント中に波紋を広げたのだった。
これ前に見たことがるんだけどコピペ?リメイク?
頑張って読んだ。
内容は良さげなのだが、40文字ぐらいで改行してくれると読みやすくなると思う。
保守
保守
保守
保守るだけでなくひとことでも感想をかけば職人のモチベーションが上がるのではないだろうか
保守
職人さん、面白いSSを毎回ありがとうございます。
これからも頑張ってください。
もう少し構想がまとまったら続きを書こうかなと・・・
保守をしていただき、ごめんなさい
ええい、今時間が無いので感想をまとめられん
だが一言で言うと『全員、GJ』だ!
その6 FAITH@
「これは……FAITHの」
復隊を決意したアスランの手にデュランダルから渡された物はFAITHのバッジだった。
「君を普通の部隊に組み込みたくはないし、君も困るだろう?」
「しかし……」
アスランは難色を示した。確かに特務隊所属だったが、今またこのバッチをつけることに負い目を感じたからである。
「私は、先の戦争であんな行動をとった君だからこそ力ある存在でいてほしいんだよ。それにラクス・クライン、彼女も同じだ」
デュランダルは、なにかの資料を手にとりながら言った。
「やはり我々、評議会の議員などよりはるかに影響力が強い。彼女が居てくれればプラントの戦後復興の大きな力になるだろう」
―――ラクス・クラインは元議長シーゲル・クラインの令嬢であり”ザフトの歌姫”としてもプラント市民の人気は高かった。
大戦終盤は16歳とは思えない影響力で多くの人心を動かしクライン派を擁立、ザフト最新鋭艦エターナルを奪取、戦闘停止に自ら戦場に出た。
その中にはあの”砂漠の虎”と呼ばれる猛将アンドリュー・バルドフェルド隊長も居た。
「終戦直後から復興の合間に人員を割いて探してはいるんだがね」
と、デュランダルは苦笑した。見ていた資料はラクスの捜索報告なのだろう。
「それにキラ・ヤマト。彼の行方も私は知りたいのだが……彼の捜索は他の者にはさせられない」
(なぜ、キラのことを?)
アスランは訝しげな顔をデュランダルに向けた。しかし、それを見透かしたようにデュランダルは言った。
「不思議かな? 私が彼の事を知っているのが。しかし、彼はフリーダムを奪取した男だ。ラクス・クライン、彼女の手引きによるものだとしてもだ。これでも一応、最高評議会の議長なんでね。それぐらいの情報は手に入れることが出来るよ」
と、冗談交じりに言う。
―――大戦中、オペレーション・スピットブレイクのパトリック・ザラによる突然の攻撃目標変更の混乱に乗じて最新鋭機フリーダムが奪取された。
犯人は連合最強と謳われたストライクのパイロット、キラ・ヤマトだった。それによりザフトの被害は甚大なものになった。
しかし、フリーダムの開発が極秘だった事と、奪取がラクスの手引きによるものだった事もあり、軍の士気低下を恐れた当時の最高評議会により、この事は公表されなかった。
そのためプラントにおいてキラの事を知る者は少ない。そして、カナーバの公式文書紛失という発表により、殊更、市民にキラの事を知られる訳にはいかなくなったのだ。
その7 FAITHA
「彼はヤキン・ドゥーエでラウ・ル・クルーゼ隊長のプロヴィデンスと交戦後、消息を絶った。ジェネシスの発射に巻き込まれたとみれば死んだと考えるのが普通だろうが……私はそうは思えないんだよ。むしろ、君の方が私よりずっと彼の生存を信じているんじゃないかな?」
デュランダルの一言にアスランは動揺した。自分はキラの生存を信じていただろうか? フリーダムのシグナルがロストした時点で諦めていたのではないか?
だから、プラントに戻り軍離反の罪を受けるなんて体のいい死に逃げたかったのではないだろうか?
だが、アスランはその動揺を隠した。そのことを認めたくなかったからだ。
「生きていてくれればとは思いますが……ですが、なぜ議長は?」
キラのことを資料上でしか知らないはずの男が少なくとも自分よりはキラの生存を疑っていない。その事にアスランは疑問を抱く
「確信ではない。が、彼は先の大戦で圧倒的に不利な状況を幾度となくくぐり抜けている。そのことは君の方が知っているだろう。連合最強のストライクを撃墜した君なら……」
デュランダルの言葉で、アスランは先の大戦のことを思い返し表情を曇らせる。
―――キラを討つと言った自分。自分を討つと言ったキラ。そして、お互いの大切な友人を奪い、憎しみ合い殺しあった。最後はイージスでストライクに組み付いてキラもろとも機体を自爆させた―――
「ですが、キラは生きていました。そして、フリーダムという新たな剣を手に入れて戦場に舞い戻った」
「そんな彼が簡単に死ぬとは思えないというだけだよ。実際、ヤキン・ドゥーエでフリーダムの撃墜を確認した者はいないのだから」
そう言い、執務室の天井を仰ぎ見る。その表情からデュランダルの心根をアスランは読み取ることは出来ない。
「まあ、こうは言ったが問題にしているのは彼の生死よりフリーダムの方でね。あれには核が積んである。大破しているのなら問題にはならんが、その所在を知るのも現議長である私の義務だと思う。そして、現存しているなら回収するのが責務だと思う」
そこに他意はなく純粋に議長としての責任しか無いようにアスランは思えた。
「それにラクス嬢も彼と一緒の可能性もある。フリーダムを彼に与えたのは彼女だ。そこにどんな繋がりがあるかは私の知るところではないが、その事を鑑みれば今も一緒にいると考えるのが妥当、いや必然じゃないかな?」
デュランダルの言うことも尤もではある。ついさっきまでキラの死を疑っていた自分とは違い、ラクスはキラが生きていることを信じたのかもしれない。
いや、あのラクスのことだ、信じただろうとだからこそザフトの歌姫という安寧を投げ出してエターナルでキラを探しに出たのだろう。アスランは揺らぐ自分を自嘲した。
そんなアスランを見てデュランダルは言う。
「だからこそ、君に探してほしいんだ。誰でもない……二人と深い繋がりを持つ君に。FAITHはそのための措置だよ」
そのデュランダルの一言でアスランは心を決めた。そして、決意を胸にFAITHのバッジを握り締めた。
ガンダムseed からガンオタになった少年K。
それからというもの一年後のDestinyに期待を胸に待っていた。だが・・・
Destinyの作品の酷さに愕然とした。序盤だけの盛り上がりのDestinyは糞でしかなかった。
そして彼は立ち上がる。元来のSeedを取り戻すべく。
ガンダムseed destiny 〜invisible〜
近日公開!!!
スレ汚スマソ。
かっこつけましたが、あくまでdestinyの改行版です。けどもちろん新キャラ出します。
キラやラクス、シンなどは以前と同じです。デュランダムも立場的には同じですが、
もちろん黒幕なんかじゃありません。
新キャラ設定
ハニカ・ユーミン
メンデルのルール副主長の独自の元にに作られたコーディネーター。彼女=
劇中に出てくる仮面の人物。
メイク・リスケイス
メンデル時代のデュランダムの友人。現在、同盟オーブの東アジアの地帯を国としている。
デュランダムとは友人であるが、心の中では彼の才能を憎んでいる。
ネオ・ノア・ローク
フラガではないし仮面もしない。彼は連合にいるコーディネーターで、ファントムペインを指揮している。
コウ・ハイネ
ファントムペインのステラの代わり。人に冷たく取られている
と勘違いされるほど冷静な性格だが、芯は熱くネオ始めファントムペインの三人もそのことを理解している。
レシイフ・レイ
ファントムペインの一人。コウとは違う無口な性質であり、いちも本ばかり眺めている。
続きです。
コルト・アズラエル
ムルタ・アズラエルの弟。温厚な性格で頼まれたら断り切れない性格。
戦争自体かかわりたくないのだが、ムルタ家の末裔のため、仕方なくブルーコスモスの筆頭
を受け継いでいる
ゴウリ・ルムカス・・・元メンデル警備員隊長だった人
世界観・・・一時的にプラント地球間に協約が結ばれたがまだまだ平和にはほど遠い状態l。
ブルーコスモス・・・前大戦の原因としてだいぶ解体されたが、まだまだ健全で、絶対的な勢力をほこっている。
ターミナル・・・反ブルーコスモス。コーディネーターと宇宙にいるナチュラルによって構成されている組織。
ただの思想の一つであるが、ブルーコスモスをただ反対する思想もあれば、ナチュラルを全て排除する、過激な思想もある。
まだ勢力的ブルーコスモスとは比にならないが、今最も勢力を延ばしている。
続きです。
コルト・アズラエル
ムルタ・アズラエルの弟。温厚な性格で頼まれたら断り切れない性格。
戦争自体かかわりたくないのだが、ムルタ家の末裔のため、仕方なくブルーコスモスの筆頭
を受け継いでいる
ゴウリ・ルムカス・・・元メンデル警備員隊長だった人
世界観・・・一時的にプラント地球間に協約が結ばれたがまだまだ平和にはほど遠い状態l。
ブルーコスモス・・・前大戦の原因としてだいぶ解体されたが、まだまだ健全で、絶対的な勢力をほこっている。
ターミナル・・・反ブルーコスモス。コーディネーターと宇宙にいるナチュラルによって構成されている組織。
ただの思想の一つであるが、ブルーコスモスをただ反対する思想もあれば、ナチュラルを全て排除する、過激な思想もある。
まだ勢力的ブルーコスモスとは比にならないが、今最も勢力を延ばしている。
文才ないのは本当にごめんなさいwww。感じだけで読み取ってくださいv
ごめ、ここ見て引いたわ
デュランダム→主要キャラの名前間違えるなよ
人に冷たく取られていると勘違いされるほど、改行版、健全
→正しい言葉の使い方をマスターしてから投下してね
SSを投下したくないスレNo1
保守
三人組、デスZいい感じになってきましたw
原作を改変してくれるのを切に願ってます。
(昨日久しぶりに種Dを観て凹んだ)
>>181 “ 煉 獄 ” へ よ う こ そ ! !
設定を練っているのなら、可能ならばSSを俺達の頭上に落して欲しいw
とりあえず自分も今日中にSSをアップしてみる
保守
その8 潜入
モニターに映るアーモリーワンを目にしてアスランは今更ながら思う
(潜入とは評議会……いや、デュランダル議長か。ずいぶん危ない橋を渡る。これがどういう事になるか分かっているだろうに……)
そして2年前を思い出す。意識的に忘れていたことだが思い出さずにはいられなかった。
ザフトの軍学校を卒業しクルーゼ隊に配属されてからの初任務、それがオーブのコロニー”ヘリオポリス
”への潜入、そしてそこで開発されているという連合の試作MSの奪取だった。
アスランはそこで幼少時代の親友キラ・ヤマトと再会した。倒すべき敵として、そして戦い、殺しあった。
それとリンクして膠着していた戦局も動き出し、世界は撃っては撃ち返され、討たれては討ち返す泥沼の殺し合いの様相を呈していったのだ。
それを思い出しアスランは舌打ちした。だがすぐにそれを振り払う。
(今回の目的は奪うことじゃない。やってみるさ……)
アスランはMSが入れるハッチを見つけて、ザクを寄せる。
「ショーンは外から内部を探れ。デイルは索敵……気を張っておけ。相手は中立国とは言えオーブだ……十分気をつけろよ」
アスランは二人に注意を入れる。MSを開発していると噂がたつのだから守備隊を配置しているかもしれない。
「分かっていますよ。前大戦であの国の戦力を嫌ってほど味わいましたから」
と、デイルが答える。アスランはカガリの事を思うと複雑だったが、そんなセンチメンタルで部下を殺すわけにはいかない。
「あぁ」とだけ答え、ザクから出てノーマルスーツ用のバーニアを取り付けコックピットを蹴る。
(おかしい……警備の者すらいない。平和なときはこんなものか?)
キーセンサーでドアを開け進む。ドアを一つ、また一つと進むたびアスランは違和感を感じた。
アスランは2年前のヘリオポリス潜入そしてガンダム強奪の時の感傷だと思い自嘲した。
(キラ……俺はまだ引きずっているらしい……)
気持ちを切り替え、4つ目のドアにキーセンサーをセットしたが開かなかった。
「さすがに4回も上手くいかないか……最後のドアなんだがな」
そういってドアに爆弾を仕掛けると腰から拳銃を抜いた。感傷と思いたかったがどうにも違和感が拭えなかった。
爆発を確認してドアを開けると、コロニー内部の風がノーマルスーツ越しに感じられる。どうにもいやな風だった。
「カガリ……まさかな」
アスランはアレックスと名乗るようになってから2年、プラントの為、ひいては世界が平和である為に自分の感情は押し殺してきたつもりだった。
常に冷静に個人的感情に流されずラクスとキラを捜索し、任務をこなしてきた。
それ故にカガリとは連絡を取らなかったしカガリも連絡をしてこなかった。だから、停戦後分かれてから一度も会うことはなかった。
だが今回は出撃時、いや、この任務を言い渡された時から自分の中で押し殺してきた感情がよみがえる様な気がした。
MSに乗っていることに少なからず後ろめたさを感じ、オーブが宇宙で新型を開発しているという噂に心が裂かれるような気がした。
だからこそ自分の目で確認したかった。オーブは、いやカガリは大丈夫だと。
だが、アスランの目に映ったのは儚く崩れた希望と目の前に広がる現実だけだった。
>>191 乙。
語句の重複や接続詞・指示代名詞の多用には気をつけた方がいいぞ
ムルタ・アズラエルの弟。温厚な性格で頼まれたら断り切れない性格。
戦争自体かかわりたくないのだが、ムルタ家の末裔のため、仕方なくブルーコスモスの筆頭
を受け継いでいる
ゴウリ・ルムカス・・・元メンデル警備員隊長だった人
世界観・・・一時的にプラント地球間に協約が結ばれたがまだまだ平和にはほど遠い状態l。
ブルーコスモス・・・前大戦の原因としてだいぶ解体されたが、まだまだ健全で、絶対的な勢力をほこっている。
ターミナル・・・反ブルーコスモス。コーディネーターと宇宙にいる
どうしてこうなってしまったんだろう?
アスラン・ザラは目標である連合製試作MSを載せた輸送車輌を目の前にして、全く動けなかった。
それどころか有効な反撃すらままならない。
強化コンクリートの塀を盾に身を隠してはいたが、敵は要所要所に機銃座を設けアスラン達が状況を窺うために塀から身を出せば、すぐに銃弾を浴びせた。
「イザークッ、イザーク! 聴こえるか! 動くな! 絶対にそこから動くな! 今、僕達は嵌められている!」
「うるさい、わかってる!」
アスランは隣の建物から飛び出そうとするイザーク達に、迂闊に動かないよう無線で伝えた。
互いに顔は見える距離。が、肉声は届かない。掻き消される。彼らも身を掲げ、塀に体を密着させるようにして敵の射界に身を乗り出さないようにしている。
クロス・ファイヤ。
相互に射界を取った十字砲火は、アスランたちが煙幕弾を使って突撃しようものなら、どこから突っ込もうとも、ただ引き金を引き続けるだけで命中させられる。
じゃあ手榴弾ならどうか? いや無理だ。
敵は、輸送車輌の屋根だけじゃなく、車輌の真下にも資材を使った簡易銃座を設けている。
用意万端と言うわけか。これでスナイパーも居ればお手上げだ! そう丁度向かいの建物がスナイパーを配置するには良い感じだ。
ああ、クソッ。スナイパーどころじゃない。大口径の重機関銃を備え付けられていたら、いや、この状況で最も危険なのは迫撃砲だ。
僕達の今居る場所は、塀と倉庫の隙間。当然屋根はない。爆発物が投げ込まれたらそれだけで全員死亡だ。
声が銃声に掻き消される。無線を使っているのに思わず大声になる。塀に三発づつ着弾する度に、破砕されたコンクリート片がパラパラとアスラン達の頭上に降りかかる。
連発せずに三発ずつ、それも狙いは正確に。破壊力からして重機関銃ではないのは分かった。そうでなかった塀ごと撃ちぬかれている。
迂闊だった。考えてもみれば当たり前だった。重要施設には、それに見合った防衛処置をしているものだ。
アスランは、今自分達が押し込まれている状況を確認するため振り返った。
自分達は32分前ミネアポリスに侵入し、連合軍区画に爆薬を配置した後、提供された情報通り監視網の死角になっている環境調整用緑化区画、呼称名「裏山」に目標である試作MSの動向が見渡せる偵察ポイントを確保。
予定された時刻に爆薬が作動すると同時に、強行突入を果たしたMS隊がコロニー防衛部隊を掻き回す。当然目標は安全を求めて連合軍が待機している工業区画へ移動する。
もしMSが動き出したら、ミゲール・アイマン、ラスティ・マッケンジー、オロール・クーデンベルク、このいずれも歴戦のベテランである三人のMS乗りが拿捕、若しくは破壊してくれる。
肝心なのは完成状態であり、なおかつ搭乗員を乗せないまま輸送車輌に載せて移動してあるということ。
完成直後での奪取が第一目的なのだ。それ以外の場合は直ちに破壊しなければならない。
時間との戦いなのは全員良く分かっていたつもりだ。
完成されたMSは中立コロニーから搬出され、連合軍が居てMSを研究していたという痕跡を消し去るだろう。そしてオーブは素知らぬ顔をする。
分かりきっていたことじゃないか。オーブ建国からの理想である中立宣言を隠れ蓑に、一方的に連合に協力する。
膠着状態をみせた戦況を一気に覆すスキャンダル。それがこの作戦の政治的な目的なんだ。
第一話 そのFです。
お見知りおきをorz
>>192 今後気をつけます。
次からは彼が出る予定です。気長にお待ちを
>>194 アスランの一人称が僕?
はじめはそうだったか
すみません……
どう言ってましたっけorz?
アスランの一人称は「俺」か「自分」じゃなかったけ
死種で一人称が僕だったのは、キラと虎とユウナぐらい
初期にキラと話すときだけは僕だったな
幼年学校時代に気持ちがトリップしたのかもしれん
203 :
通常の名無しさんの3倍:2006/03/22(水) 21:26:29 ID:UDcpTxNX
保守
Zの人に期待ほしゅ
デストロイに乗っているとは知らず運命によってステラを殺してしまったシン。
シン「・・・・・」
ルナ「シン・・・・・。!?ちょっと何なのよあんたたち!」
いきなり押しかけてきたたくさんの人々。
「この人殺し!」「お前のせいで兄ちゃんは!」「このっ バキッ
シン「ぐっ・・・・・・うぅ」
人々に囲まれて殴られ、蹴られ、地べたに這い蹲るシン。
ルナ「ちょっ!何すんのよ!」
「こいつが・・・・・みんなこいつに街や家族が殺されたんだ!ここに集まったやつらはみんなそうだ!」
シン「・・・・・・・・みんな?
違う!オレはみんな・・・大切な物をまも
「何がだよ!お前がみんな殺したんだろ?何が大切な物だ!
お前自分がヒーローにでもなったつもりで殺すの楽しんでたんだろ!!!」
シン「ちが・・そんな・・・・・オレは!」
「みんなお前のせいで死んだんだよ!全部お前だよ!お前が悪いんだよ!!!死んじまえ!このカス野郎!!!」
耐え切れずその場を泣きながら逃げ出すシン。
守りたかった、全部。守れた、守っていたはずだった。なのに!
止まらない涙で視界を歪ませながらシンが向かったのはデスティニーのコックピットだった。
新たなる力。絶対的で、絶対に守りぬけると信じていた力。信じていたのだ。
しかし、今のシンにはそれが恐くて仕方がない、得体の知れない物へと変わっていた。
デスティニーを無断で持ち出し基地から飛び去ったシン。
どれくらい時がたっただろうか。ひたすら飛び続け、シンは小さな無人島が散らばる海の上をゆっくりと飛んでいる。
泣きつかれ、亡骸のようになったシン。「もう、疲れたよ。」
汚れくすんだデスティニーは、シンが疲れ、シートに沈むと同時に、そのおぞましい姿をふらつかせて、堕ちた。
アスラン「シン!」
シン「・・・・・・あれ?アスラ・・・・・・・・アスラン!?」
次に目を覚ました時、シンの目の前にはセイバーでジブラルタルより逃亡したアスランの姿が目に入った。
シン「あれ?・・・・・オレなんで・・・・・・・・・・・・・・うっ・・・うわあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
アスラン「シン!?
おい!しっかりしろシン!」
シンはAAに拾われ2日間眠っていたらしい。
落ち着き、辺りを見回してみれば、どこか見覚えのある、懐かしい人々が目に入ってきた。
シン「オレは・・・ずっと守りたかった。マユが死んで父さんと母さんが死んで、オレが守らなきゃダメだって思ってた。
国なんてただの場所で、大切な人を守るには自分が強くなくちゃダメなんだって。
だから自分が強ければ、自分が大切な物を壊そうとする奴等を倒せばいいって、ずっと思ってた。けど」
アスラン「シン・・・」
シン「全部嘘だったんだ!悲しいんだって事も、憎いんだって事も!
オレは本当は知ってたんだ、オーブが悪いんじゃない、立向かわない奴がただ悪いんじゃないって。
でもオレは、恐くて、そうなんだって思ったら泣いちゃいそうで。
自分は失ったから、苦しませられたから、だから許される、傷つけても、殺しても!
自分は被害者だから、何を言っても、しても、自分でそれを言い訳にしてわがままを言っていただけなんだ!
マユが死んだ事を利用して!敵が悪いんだって!みんなみんな自分を守りたくて
利用して自分に嘘ついて誰かを傷つけて気晴らしをしてただけだったんだ!」
アスラン「シン・・・・・それは」
シン「でもそれも終わりだ・・・
もう、全部わかっちゃったから・・・・・もう逃げられないから・・・オレ・・死」
アスラン「!!
こんのぉ・・・ばかやろう!!!」
名前忘れてた・・・
シン「ア・・スラン」
アスラン「思い上がるな!全部分かっただと?お前みたいな子供がいったい何が分かったって言うんだ!」
シン「なっ!なんだって!」
アスラン「何度でも言ってやる!お前は分かった気になってるただの子供だ!
悟った気になって悲しいは嘘だ?全部嘘だ?甘ったれるな!」
シン「あ、甘ったれてなんかないだろ!オレは本当に」
アスラン「本当に・・・本当に分かてる、死んでしまいたいと思うなら、なぜ、今オレにそれを打ち明けているんだ?」
シン「・・・・・」
アスラン「それはお前が自分の悲しみも苦しみも知ってほしい、分かってほしいからじゃないのか?」
シン「オレは・・・」
アスラン「シン。お前は確かに、自分に嘘を付いて、偽って、たくさんの人々を苦しめてきたかもしれない。
けどな、お前が悲しいと思った気持ちだけは、大切な温かい笑顔を守りたいと思った気持ちだけは決して嘘なんかじゃない!」
シン「どうして・・・どうしてそんな事言い切れるんですか!」
アスラン「それは、オレがお前を信じてるからだ。」
シン「・・・・・」
その後船内を歩いて分かった事は、ザフトがオレをアスランと同じスパイとして行方を捜している事。
オレの家族を吹き飛ばしたフリーダムのパイロットは、ラクス・クラインと一緒にデュランダル議長に会いに行った事。
アスランもオノゴロで戦ったうちの一人だった事。
そして、オレをオノゴロで助けてくれたトダカさんがオレのこの手で死んで、
たくさんの人々が悲しみ、オレを憎んでいたという事だけだった。
ミリアリア「艦長。プラントから全世界に向けて通信が送られています。」
マリュー「え?モニターに出して。」
全世界に送られた映像に映っていたのは、手を繋ぐ二人のラクスと議長、その脇に立つキラとレイだった。
ラクス「私はラクス・クラインです」ニコリ ニッコリ ニヤニヤニヤ
ラクスと議長は打倒ロゴスのために協力する事、今までのラクスは皆を元気付けるための偽者であった事を話した。
そして、デスティニープランを実行する事を明言した。
ラクス「我々は一人一人か弱くやさしいゆえに傷つけあってしまいます。
ですが、デスティニープランが実行されれば人々は決して争わず笑顔に溢れたすばらしい世界がやがて見られ事でしょう。」
これは違う、オレはそう思った。確かに、議長やラクスの言う事は本当なんだ。きっと正しいんだ。
けど・・・・・オレは
オレが守りたかった世界は
210 :
通常の名無しさんの3倍:2006/03/24(金) 20:12:55 ID:uZpWvcda
なかなか面白い!
アスラン、メイリン、ラミアス艦長、AAのみんな。
驚きや戸惑いはあるけどみんなの気持ちは同じだった。議長を、ラクスを止める!
船内は一気に慌しくなった。そしてオレはアスランに連れられてMSハンガーへと向かった。
そこにはデスティニー、いや、デスティニーを改修したと思われる機体があった。
ラクスの指示で改修されたらしいが・・・・・ZGMF-X42SU名は無いらしい。
オレがまた戦場に戻るか、オーブで市民として過ごすか、アスランはオレに二つの道を示してくれた。わからない。
どうすればいいのかわからない。正直オレはもう何もしたくなくなっていた。怖いからなのかもしれない。
このまま議長とラクスの言う世界に行けば楽になれるのかな。
名も無き機体の開いたコックピットに座ってみた。不思議と自然で、安心できて、いつのまにか眠ってしまった。
「シン」
シン「?」 「シン」
シン「ステラ?・・・・・・だめだよ、君はこんな所にいちゃ」
ステラ「うん。でも、ちょっとだけ合いに来た」シン「ちょっとだけ?ちょっとだけなの?」
ステラ「うん。今は・・・・・」シン「・・・・・」ステラ「でも明日になったらまた会えるの」シン「?」
ステラ「ステラ昨日をもらったの。シンに、楽しいって。嬉しいって。
だからシンには明日ね。ステラ、シンにあげられなかったから。シンには明日ね。」
シン「ステラ・・・・・そんな事。もらったよ!オレもいっぱいもらったよ!楽しいって!嬉しいって!君とたくさん思い出・・・ありがとう」
笑顔のステラが消えていく中でオレは何か大切な事を思い出したような気がした。
ミリアリア「オノゴロ島上空及び領域付近に多数のザフト、連合艦隊。」
マリュー「そんな!まさかラクスさん、プランの受け入れを拒否した国を・・・・・」メイリン「そんな、そんなのって」
アスラン「くそっ!ラクス・・・・・キラっ!」
「総員第一戦闘配備!総員第一戦闘配備!」
オーブ兵「くそう!早く発進しないとオーブが!・・・・・・・・あいつ」
メイリン「シン!」アスラン「お前・・・」
シン「降りると思ってましたか?オレ、一緒に戦いますよ。」
アスラン「シン!お前・・・・・本当にいいのか?戦闘になればまた・・・」
オーブ兵「お前。戦うのか?オーブのために、トダカ一佐を・・・俺達の仲間を殺したお前がオーブのために!」
シン「別にオーブのために戦うんじゃないさ。ただ、ただ分かったんだ。オレが本当に欲しかった物が何なのか!」
アスラン「シン・・」オーブ兵「この野郎。・・・・・・・・頼む、な。」
シン「はい!」
コックピットに向かって走るオレの足は重くて今にも逃げ出しそうに震えていた。
オレが背中に付けた翼は重すぎて、何所にも行けなくて。でも、オレには翼なんてなくったってよかったんだ!
そう、オレには・・・
MS発進用意。アスラン「アスラン・ザラ。セイバー出る!」
X42SU・・・・・デスティニー発進どうぞ!
シン「シン・アスカ。デス・・・・・(オレは、大切な人達と笑い合える明日が欲しい!)テゥモローいきます!」
シンが主人公だったらよかったのに!と思う人の妄想「シン復活編」完
新作投下乙!
>>202 各自脳内修正をお願いしますorz
ついでに守備隊の陣営を厚くしすぎて後悔。
あ〜これじゃMS破壊できる暇があるな……
それと保守
良スレ保守
テゥモローのスペックを妄想厨につき書きたくなってしまった
ZGMF-X42SU テゥモロー 全高18.08m 重量85.49t
回収したZGMF-X42Sデスティニーをラクス・クラインの名の元、改修、調整した機体。
背部大型スラスターのミラージュコロイド廃止により出力を重視した強化が施され、
残像を作る事はできなくなったものの、総合機動力を15%上昇させる事に成功した。
また、MMI-714アロンダイトM2000GX長射程ビーム砲に代わって、MMR-879Fビームソード高エネルギービーム砲塔を2機有し、
より攻撃に特化した機体となった。
PS装甲起動時の機体色が青からオレンジへとなり光の翼の色もオレンジ色になった姿を見ると、朝日、夕日を連想させられる。
シン・アスカのたっての希望で「テゥモロー(明日)」と名づけられたが、決定事項としては「名は無い」とされている。
扱いづらさが通常のそれを越えている所を見ると、キラ・ヤマトの予備機体として作られた疑いがあるが定かではない。
デスティニープランの礎としてラクスに作られたが、シン・アスカならびAAのクルーの元それを阻害せんとする機体となった。
MMR-879Fビームソード 高エネルギービーム砲塔
巨大な対艦刀とビーム砲を合わせたようなビームソード兼ビーム砲。
実体剣としてはまったく使えない仕様となってしまったが、銃剣のビーム兵器としては最も強力と言える。
質量、反動共に従来の物を遥かに超え、一撃一撃は強力なものの、手数が制限されるという大きなリスクを伴う。
アロンダイトを自在に操ったシン・アスカでさえ、この銃剣は明らかに手に余る代物である。
2機装備されているのは予備を兼ねてであろう。
保守保守
保守
職人さんGJ!
保守
保守します
保守させていただきます
職人さん期待あげ
エース及び主力艦隊が参戦していないとはいえ、相当数であるザフト、連合軍を必死の抵抗により退けたシンとAA。
焼け野原と化したオーブを眺めるシンの目は、どこか寂しく、しかし、何の迷いも無く真っ直ぐであった。
その後、オーブ本庁に集結したカガリ、アスラン、ネオ、そしてシン達は改めて事態を知る。
ザフトのデュランダル、ラクスを先頭に、打倒ロゴスで集結した連合軍、
さらには地球の各国までもがその傘下へと集まっていた。
それに反するはオーブと数少ない小国がいくつかのみ。絶望的である。
ネオ「どうすんのお偉いさん?」
カガリ「どうするも何も、今は・・・」
ネオ「そうは言ってもな
はっきり拒否を表明した以上何かしら方針を示さないとみんな黙っちゃくれないでしょう」
カガリ「分かっている!だが、今のこの状況では・・・」
オーブ兵「貴様!カガリ様も深くお考えなのだ!ロゴスくだりが偉そうに言うな!
大体貴様達がアーモリー・ワンで」
カガリ「よせ・・・分かっている
少し、考えさせてくれ
国の長が言うべき事ではないかもしれないが、何をしたいか、何をすべきかは分かっているんだ
ただ今少し待ってほしい・・・・・」
職人さんキター
ホッシュ
シン「はあぁ?ラクス・クラインの所に行って来る?」
アスラン「ああ
分からない事ばかりだが、このまま放って置く事もできない
まずキラ達と話
シン「馬鹿だろあんた!」
アスラン「んなっ!なにぃ?」メイリン「アスランさん落ち着いて下さい!」
シン「今こんな事になってるんだ
本当に軍が大勢来て戦いになったんだぞ!
昔の仲間だかなんだか知らないけど、今あんたが出てったって捕まるか殺されるだけじゃないか!」
アスラン「あいつらは俺にそんな事したりしない!
話も分かる、言葉も分かる、俺は、あいつらと俺だからこそちゃんと話し合う事ができるんだ
一度確かめたい、真意を、ラクスがなぜこんな事したのかを」
シン「だから!あんたは一度殺されはぐったっていうか
あいつら殺す気満々だったじゃないか!」
アスラン「あれは議長が
シン「今あんたの仲間が一緒にいるのはその議長だろ!?
大体いきなり戦闘をしかけてきたんだ
話合う気なんて最初からないだろ」
アスラン「シン!」
メイリン「シン・・・」
シン「あいつらが決めるって、全部奪っていくって言うなら戦ってやる
俺は決めたんだ、戦うって
本当に守りたいものを守るって決めたんだ」
アスラン「・・・・・お前が自分で何かと立向かうと決めたという事は分かる
だが、ただ戦うと
シン「俺は決めたんだ!
もう自分に都合がいい事並べて、戦って、戦わないで、ただ逃げたりなんかしないって!
あんたの言葉も聞く、アスハの言葉も聞く、目を逸らしたりしない!
だけど絶対に譲れないんだ!これだけは!」
アスラン「シン・・・・・
つらい・・・ぞ
お前が今まで背負って来た物も、積み重ねて来た物も、全てもしかしたら・・・・・」
シン「分かってるさ・・」
アスラン「そうか・・・・・・・・・・なら、俺も行くよ」
シン「アスラン!?」
アスラン「これは俺がしなくちゃ・・・いや、どうしてもしたい事なんだ
逃げちゃいけない、逃げられない、あいつらと俺の
あいつらは俺の・・・・・仲間・・だから」
シン「・・・・・・・・・・じゃあ、もう行って来いよ・・・・・早くな」
乙!
続き楽しみにしてます保守
セイバーでプラントへ乗り込んだアスラン。
話がしたいという申し出に素直に応じてくれた。
昔のアスランならこれを誠実な対応と受け止めただろう。
しかし、今のアスランにはこの反応が不気味で仕方が無い。何かある。
アプリリウスに付いたアスランは、案内兼監視者に連れられて奥へと進んでいく。
アスランの脳裏に浮かぶキラとの思い出、議長の言葉、脱走したあの日、セイバーに襲い掛かって来たザフト軍。
答えが欲しい。それは昔から変わらないアスランの望み。
明確な答えが欲しい。自分の行いを心から信じられる確かな正しさがほしい。
そんな性癖、言うなれば他人の認める保障を求める性質。
それがあるからこそ親友と戦い、傷つき、思い上がり、再び戦いに身を投じた。
今のアスランは自分の正義を持たない。いや、元から自分の正義など持ってなどいない。
常に、誰かに与えられた正義を振りかざしていたのだ。
それを身を持って痛感した今、アスランは分からない。
キラ達に会った時自分はどんな反応をするのか。自分は何を示すのか。
考えても分からない。それは自分が馬鹿だから。カガリにも言われた馬鹿というその言葉の意味。
以前の自分はその言葉の本当の意味を分かってはいなかった。
馬鹿は保険じゃない。戒めじゃない。理由じゃない。
馬鹿というのは理由を問う物でもなく、ただ、自分はそうなのだと。利口に立ち回ろうとする事は自分には違うのだと。
アスランは分からない。だが、分からない事に苛立ち、無理やり答えを作る彼ではもう無いのだ。
ラクス「いらっしゃいアスラン」
アスラン「ラクス・・・」
ラクス「丁度これから夕食ですの
アスランもよかったら
アスラン「本気なのか?ラクス!」 ラクス「・・・・・・・」
アスラン「君は・・本気であんな事を始めるつもりなのか?」
ラクス「あんな事とはどんな事でしょうか?」
アスラン「ラクス!
・・・・・・俺は、君のしようとしてる事の本質が他にあると信じてここまで来た
俺と君の願いは、まだ同じなのだと・・・・・・・・でも、違うのか?
君は、君達は本当に世界を殺そうとしているのか!?」
ラクス「・・・・・アスラン
私の願いは先に示した通りです
私達は戦いの続く世界を望みません
人はもうこれ以上何があっても戦い続ける事などあってはならないのです
そして戦いを止めるための方法がデスティニープラン・・・・・・・運命という名は好きではありませんが
それが唯一の手段だと私は考えています」
アスラン「・・・」
ラクス「あなたももう分かっているはずです
戦いを止めるには、本当に戦争の無い、無益な戦いの無い世界にするにはこれしか無いと」
アスラン「・・・・分かっているさ
それは俺自身が生き証人だ、思い、願い、それに順じようと順じまいと
人は戦いを止めたりはしない、何があろうと、何であろうと、人が生きる限り戦いは終わらない
だけど、ただ生きて、定められた分だけ動き、死んでいく事を人が生きる事だとは思わない
それは、死んでいる!」
ラクス「それは自由という言葉を美化し、己が子に延々と語り続けて来た民主主義の悪癖です
幸福を手に入れ生きてきた者の言葉しかこの世には残りません
なぜなら忘れられ絶望に打ちひしがれ散っていった者の言葉は幸福の世界には届かないのです
不利益と、そんな物はと、幸福を手に入れた者達は都合の良い事しか現世、後世には残しません
ゆえにいつの時代も人は自由を、正義を、己を美しんできたのです
だから人は苦しみ続ける」
アスラン「それは・・・」
ラクス「私達はもう本当に戻らねばならないのです
人という一つの種として、古代より人の手により書かれた運命に書き換えられるその前に
名前さえ分からない、人によって作られた無限に連なる救いの無い運命か、
定めを認め、人の利も不も叶わない運命から、真にそぐう揺ぎ無き運命か」
もっと深く書きたいけど長くなるんでアスランとラクスの会話はこの程度で
アスラン「俺が、君に言える事は、何も無い」
ラクス「・・・そうですね
あなたは知っている方なのですから」
アスラン「俺はもう何も言いはしない
何も言わず・・・・・・・・・君達を止めてみせる」 ラクス「・・・・・」
アスラン「すまない、ラクス
俺は馬鹿だから、どうしても、楽じゃない道を選んでしまう」
ラクス「・・・・・分かりながら、道を違う事は馬鹿とは言いません 愚かです!」 アスラン「ああ(苦笑)」
ラクスの部屋を後にアスランは元来た道を規則正しい足音を響かせて戻っていく。
顔に静かな怒りと悲しみを浮かべ震えるアスラン。それが本当に怒りなのか、悲しみなのかは誰にも分からない。
戻る途中、アスランはすれ違い様にキラとレイに出会う。
ついさっきラクスと話した事を話と、キラは悲しげな顔で見つめ、ふいに手を引いて一つの部屋へ引き入れる。
そして、キラはレイに一度目で相槌を付くと、アスランに語り始める。キラと・・・レイの出生の秘密を・・・・
231 :
通常の名無しさんの3倍:2006/04/09(日) 11:23:18 ID:CGzG/8tL
GJ!
読みづらい
すまん。連カキ意識して一度に詰めまくったら超見づらくしてしまった。おまけに十分連カキだ・・
死んだように淡々と自らの、自分達の生を語るキラ。
アスランが知りようもない事実が、唐突に彼の心に突きつけられる。
レイ・・・が? クルーゼ隊長 キラ!
キラ「分かるよね・・・・・・」
アスラン「・・・・・・・」
キラ「ラクスが、議長が言う事の訳・・・ 一つじゃない、君がたぶん思ってる事だけじゃないって」
アスラン「俺は・・・・・・・」
レイ「俺は、最初彼を、キラ・ヤマトを憎んでいた
人の夢、そのすばらしき結果
その代償としての俺、俺達
ゆるせなかった、そして恐れていた、自分を、全てを
・・・・・・・・すがる物を欲した俺が手にしたのは、ギルの絶対の信頼と絶対の正義だった
俺にはギルがいてくれた、ラウがいてくれた、それだけでよかった
だが、それも叶わなかった・・」
アスラン「・・・・・」
レイ「俺は憎んだ
そうしなければ俺は自身を保てない
キラ・ヤマトを、俺の宿命を、ラウを、絶つ!ギルと共に、世界を
それでいいと思っていた
だが、キラは俺の前に表れこう言った・・一緒に戦おう、と」
キラ「・・・・」
レイ「俺はキラに出会った事により全てが変わった
今までラウも、ギルも、誰も俺と向き合い、思いを馳せてくれる者はいなかった
ギルでさえ!ギルでさえ・・・
俺には分かっていた、ギルは俺の力が欲しいだけなのだと
それでもよかった、ギルがいてくれさえすれば俺は自分を保つ事ができたのだから
だが、キラは、最も憎いであろう彼だけが
俺を見て、俺自身と向き合ってくれた、俺と心から分かち合ってくれた
知らなかっただけなのだ、彼も、俺と同じなのだという事を
他の全ての者が、俺はもう死んでいく、死ぬ定めでしかない者として接する中で、彼だけが・・・・・
だから俺はキラと終わらせる
絶対に終わらせる、だからあなたも」
アスラン「レイ・・・・・」
携帯から書き込んでいるのでなければ・・・・もしかして書いてる人、メール欄に直接書き込んでいるのか?
もしPCでこういう長編を書くのなら、例えばメモ帳なんかに書いてからメール欄にコピーする方が楽なんだけどな。
その方が誤字脱字や改行などのチェックが楽だし、
書いた物をフォルダに保存しておけば、一気に連続投下も出来るんだが。
PC開いてる時間が限られてるんで、メモからコピペは無理そうです。せめてアナログメモ帳に暇な時に簡単なあらすじでも、
キラ「・・・だから本当に終わらせなくちゃならないんだ
本当に、
本当の本当に終わらせたいんだ、こんな事」
アスラン「話は・・・・・分かった
だが、俺はお前達と一緒には行けない」
レイ「なぜです!?
今の話の、何を、あなたは聞いていたんですか?」
キラ「レイ!待って
アスラン、どうして?」
アスラン「許せない事だって事も分かる、このままじゃいけないという事も
だが、だからと言ってお前達がしようとしている事を行っていいとも思えない!
それに、お前達が目指す世界で生まれる、
お前達とは境遇は違うとも、同じ悲しみを負うであろう人達の事を考えた事はあるのか?」
レイ「何を?!
我々の正しさを否定できず、
ただ自分達の我を通すためにそんな詭弁で惑わそうとするなど!」
アスラン「そういう事じゃ、そういう事じゃあないんだ
俺は
レイ「もういい!
言葉を聞かず、偽りで応じて、我々のような者がまた生まれるであろう世界にまだ固執するというのであれば、オレは!」
キラ「レイ・・・・・もういいんだ
・・・・・アスラン
ごめんね・・・・・・・・・」
アスラン「お前は、何も言いたい事は無いのか・・・?」
キラ「・・・・・・
レイ、だめだよ
すぐに感情的になっちゃ」
レイ「すまない・・」
キラ「君は自分の事になるとあわてちゃうけど、ちゃんと分かってるはずだから」
アスラン「キラ・・・・・レイ・・・
俺はもっとお前達と!」
キラ「もう君と話す事は何も無いと思う
ごめんね
でも、きっと違っちゃったんだと思う
さよなら・・・・・アスラン」
アスランが出て行き、部屋の扉が閉まる。
話合う。
そのためにここへ来たはずだった。
なのに、なんだ?これは?話し合った?
何を!?
表情を硬くして規則正しく歩くアスランは、ふとAAの仲間達の事を思い浮かべる。
アスラン「シンも馬鹿だが俺もひどいな」
苦笑混じりのその独り言は、自分を繋ぎとめて置くための必死の抵抗なのだと、アスランは一人思う。
デュランダル「アスラン」 アスラン「ぐ、議長!?」
セイバーの前に着いたアスランの前には、かつて思いを交わしたはずであったデュランダルが待っていた。
あの時の言葉が今は皮肉にも似た暴言に思える。
アスラン「何か用ですか?」
デュランダル「私も随分嫌われたものだね
私は君に何か間違った事はしたかね?
アスラン「・・・・・いえ」
デュランダル「そうか、本当にそう思ってくれていると嬉しいのだがね
しかし、私は君に間違った道を行こうとしたら、このセイバーで私を止めてくれと言ったはずなんだが、
どうやら君の方が道を違えてしまったようだね」
アスラン「議長・・・・・」
デュランダル「そうだとすると君がこれに乗っているのはなぜかな?
この機体は世界を真に救えるであろう者に使ってほしくてセイバーと名付けたのだが」
アスラン「セイバーを、置いて行け、と?」
デュランダル「まさか
私はそんな傲慢な事は言わないよ
決めるのは、私では無い」
もはや語る事を放棄したようにさえ見えるアスランは、無言でセイバーに乗り込み発進する。
それを見送る微笑のデュランダルと、影より盗み見ていたルナマリア。
基地からほんの少し離れた場所で、
アスラン「議長・・・・・ラクス・・・・・レイ・・・キラ!
うっ・・・ぐぐぅ・・・・・・うぅ
クソゥッ!」 くやしさに俯くアスラン
ビコー ビコー ビコー 「!?なんだ?」 ドビュー デビュー
不意のアスランに真後ろからビームが襲い掛かる。「なにいぃ!?」
慌てて我に帰りレーダーを確認すると、そこには十数機の機体反応が映っていた。
「議長!ラクス?まさか!」
気づいた時には遅すぎた。既に、ザフトのMS部隊がセイバーの後方全域に展開されていたのだ。
ひょっとして自分のPCじゃないとか?
とにかくガンガレ
乙
レイとキラの共感など意外でなかなか面白い
メモ帳使えないのかい?
時間無かったとしても、メル欄に直接書くより少しは落ち着いて書けると思うが・・
winだったらスタート→すべてのプログラム→アクセサリ→メモ帳
使用痕跡を残さないで使える
おまいさんの状況もよく知らないのに口出ししてみる
的外れだったらスマソ
BRの効果音
ドビュー デビュー にワロタ。
キャラ名は頭二文字で良いんじゃね?
「」の開始位置がガタガタになっててなんかやだ。
自分のPCじゃない上に、非常に言いづらい理由でアドバイスを活用できないのが心苦しい。
>キャラ名は頭二文字
了解!
しかし、
>>239の最後に
アスラン「謀ったな、シャア!」とか書かなくてよかった。
中の人と展開に動かされて無性に無意味なギャグを書きそうになった。スマン
議長「まったくもって、残念だよ、アスラン」
モニターを前に静かに笑みを浮かべる議長。
無数のミサイルと、間を空けずに正確に撃たれるビームの雨がセイバーに襲い掛かる。
アス「くそっ!」
機体を旋廻させ、メカニズムと気流を計算し尽くした操縦がセイバーに圧倒的機動力を与える。
ビュビュビュビュビュビュ ビュー
綺麗に横一列に並んだビームの雨を、
セイバーが紙一重で、無駄な動作一つ無く避けきる。
空かさずMSに変形し、正確無比のビームライフルでディン3機を貫く。
彼は本来ライフル等の数を撃つ武装を多用しない。
しかし、それは決して射撃の腕前に自信が無いからという理由からではない。
それどころか彼の射撃の正確さは右に出るものは居ない程である。
それでも多用しないのは、一撃で敵を戦闘不能に陥れる、圧倒的な接近戦でのスキルの方が有効だったからである。
だがこの状況下では一体一体まともに取り合っていては不利。
ライフルでコクピット、その付近を撃つ抜いて、
とにかく少しでも時機への攻撃の数を減らさなければ逃げられもしない。
長距離射程砲を装備したザクに、スラスターの増設されたディンがこうも居たのでは。
ドビュビュビュビュー
すさまじい連射で次々に落ちるディンとザク。
1発も撃ち損じないセイバーのビームライフルが引切り無しに唸りを上げる。
艦隊から、MSからいくら攻撃が来ようとも、
即座にMAへと変形して回転しながら避け切り、すぐまたMAとなってライフルを連射する。
業を煮やしたディン小隊が特攻をかけてくる。
Z兵「なめるなぁ!」
前面掃射で敵機は蜂の巣、と彼が思った次の瞬間、
仰向けでディンの真下に身を投げていたセイバーのビームサーベルが一瞬で指揮官機を綺麗に真っ二つにする。
アス「俺はキラのようにはやさしくは無いぞ・・・」 ドッゴーン
何が起こったのか分からず呆然としているザフト兵、我に返る。
が、すでに遅く、セイバーが流れ作業のように切り払う。
バゴン ドゴン ズゴン ズギュン ダゴーン
一個小隊、いや、二個小隊が十数秒のうちに塵となった。
アス「まとまりすぎだ
これでは撃ってくれと言っているようなもんじゃないか
・・・・・・・・いや」
アスランの表情が自分への嫌悪に曇る。
いったい何が起こったのか、さっきまで空を覆っていたMSの群れが半分以下にまで少なくなっている。
バラバラになったザクの残骸が雲からこぼれ落ちる。
ズギューーーーーーーーーーン
雲を吹き飛ばして、真紅の機体がすさまじい二門のエネルギーを海に向かって叩きつける。
ブワーーーーーーーーーーーン
巨大な爆発が起こりに、大きな飛沫が吹き荒れた。
それがゆっくりと晴れ、海を再び映し出すとそこには、酷いほどに荒れ果てた艦隊とMSの残骸がぷかぷかと浮いていた。
アス「・・・・・・・・・・行こう」
逃げられればいいと戦ったものの、結局は追撃艦隊の大半を必要以上に沈めたアスラン。
逃げられる最低限の状況になっても、なお進んで戦い続けたのは・・・・・・・・・
限界までエネルギーを使い尽くし、一撃も被弾していないながらもボロボロのセイバーで去ろうとした次の瞬間
バギューーーン
アス「あ、つぅ」
真っ直ぐ直進して来たプラズマエネルギーが、咄嗟に身を翻したセイバーの左腕を奪う。
体勢を必死に維持し、カメラで砲撃があった方向を映す。機影があった。
それはとても見覚えのある、親友の、友の愛機だった。
アス「フリーダム!?キラァ!」
青く美しい翼を持った機体が、肩の上にプラズマ砲を構えてこちらを向いている。
アス「ななぬっ、ぐっ、キラ。お前、なのか?」
アスランの問いかけに、キラが、姿を映して答える。
キラ「アスラン・・・・・ごめんね
・・・・・・・・・・・でも、もう駄目なんだ」
アス「な、何を言って」 フォーン
アスランの言葉を遮り、フリーダムの透き通るようなスラスターの音が響く。
そして、ものすごいスピードでセイバーの目の前まで突き進み、バラエーナが吠える。
ズギューーーン
スラスターを止め、落ちるようにセイバーが避ける。
同時に、ビームサーベルを抜き出し、フリーダムが襲い掛かる。
アス「キラ!やめ
バギャギャッ
セイバーの頭部とプラズマ収束砲が切れ飛ぶ。
切れたパーツが爆散し、セイバーが揺らぐ。
体勢を立て直す間も無く、レールガンを胴体部に突き立てられ、撃たれる。
アス「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
螺旋を描いて落下するセイバー、それをさらに追いかけビームサーベルで切りかかろうとするフリーダム。
ほとんどすれすれまで落ちながら接近し、サーベルでコクピットを横からなぎ払う。
ジャギュン
サーベルが当たる寸前、セイバーが機体を変形させ、体勢をかすかに変える。
サーベルは機体をかすり、勢いでフリーダムが大きく機体をねじる。
セイバーがスラスターを全開にし、フリーダムから離れる。
アス「やめるんだキラ!
なぜお前が俺を・・・・・・・・・・・・・いや、そうじゃない・・・・・
お前は・・・・・・・俺を撃つのか?」
スラスターを噴かせ、海面すれすれで上昇するフリーダム。
キラ「・・・・・・・僕は・・・・・君を・・・撃ちたくないんだ
でもね、僕は君を撃たなくちゃいけないんだ」
アス「キラ・・・」
MSへと戻り、セイバーが中空に異音を響かせながらホバーする。
キラ「僕が今君を撃てないようなら・・・・・・・・僕はこれから先守っていけないと思うんだ
彼女を・・・・・・・・
いつも無理しちゃうから、本当は一番泣きたいはずなのに・・・・・
だから僕が彼女を守ってあげなくちゃいけないんだ・・・・・・・・彼女が・・・・・何を望んでも」
アス「キラ・・・・・・お前、まさか・・・・・・それで?!」
戦闘になった途端ものすごく書きづらくなってしまったorz
戦闘シーンが頭に浮かぶんだけど、それを上手く文にできない。書く前までは戦闘書きたくて仕方なかったのが。
キラ「・・・・・・ごめん・・ごめん」
残存MS部隊が集まり、セイバーを再び囲み始める。
キラ「君は・・・僕の、大切な友達・・」
アス「キ・・・・・ラ・・・・」
複数のMSとフリーダムが、セイバーをロックする。
アスランは、もう、動こうとはしない。
キラ「アスラン、大好きだったよ・・」
取り囲んだMSが、一斉に引き金を引く。モニターに光が溢れる。
アス「・・・・・・・・ああ」
閃光が視界の全てを覆った。
ズグァーーーーン
大きな爆発が起こる。爆発した、 ディンとザクが!
キラ「!?」
フリーダムが身をひねる。
一筋の光がフリーダムを外れ、海を焼く。 ズジァーーーーーーーー
スラスターを全開、移動し、キラが飛沫の中上空を映すと、そこには
夕焼けのようなオレンジ色と、目が痛くなるような黄色の光。
降ってくる。その夕焼けのような何かが。
肉眼で先に感知できたそれを、レーダーが今さらのように感知し、ビービーやかましい音を立てている。
衛星軌道上から?
いや、宇宙はザフト艦隊が・・・・・いや、それよりあれは!?
どんどん近くなる何かから閃光が生まれ、
MS群を根こそぎ飲み込んだ。
巨大な爆風が生まれ、飲み込まれたMSが跡形も無く消えている。
そして、オレンジの何かが間近に迫った時、その正体をやっと目視した。
キラ「MS!?
これは、デスティニー!」
認識した次の瞬間、それは一瞬で海上まで移動し、目の前の友軍を巨大なビームソードでなぎ払い、爆砕した。
そして、それはビームソードを構え直し、フリーダムと同じ高さで滞空した。
キラ「これは・・・・・・・」
目に前に姿を表わしたのは、巨大な翼のようなスラスターから、異常なほど大袈裟に熱量を放射する、MS。
デスティー、いや、テゥモローだった。
シン「なんだよお前・・・・・・何やってるんだよ!あんたは!」
シンの声が、キラに向けられる。
──第一章 ラクロアの騎士
それはラクロアに伝わることになるもっとも新しい伝説の始まりだった。
「ハルバートン様、彼らが新しい新鋭騎士達です」
「おお、頼もしいものだ」
女性の騎士団長ラミアスが王へ彼らを紹介した。
闘士デュエル、法術士バスター、隠密士ブリッツ、剣士イージス、そして騎士ストライク。
「フッフフフッ」
「なんだ、デュエル?」
不気味に笑いだすデュエルにラミアスが剣を向けた。
「王の御膳で無礼であるぞ」
「無礼だと? 人間族如きの王が何だと言うのだ!」
バキッン! 不思議な力に包まれたかと思うとラミアスの剣は弾きとぶ。
どうやら城一番の法術士のバスターが何かを唱えたようだ。
続けてデュエルは懐の剣を抜いてラミアスへ向けた。
「何のつもりだ?」
「はっ! これだけ見てもわからんとはな」
「さすが人間族って奴はお気楽だよな〜?」
デュエルとバスターが一変して悪態をつく。
「まさか、反乱か!? ……ハルバトーン様!?」
ラミアスがふと気が付くと、ブリッツがハルバートン王に忍び寄り小太刀を構えていた。
「……そういうことです」
ブリッツはそう吐くと、ハルバートンを一突きとした。
ぷしゅっー、首筋から噴出す血塵がラミアスに絶望を促した。
「バカな・・」
「降服してください、これ以上は無意味です」
イージスがラミアスに言った。その言葉は事実だった。
王と、そして彼ら新鋭騎士を失い敵に回したラクロア王国には、もうザフト帝国と戦うだけの戦力は無いだろう。
ザフト帝国は、MS族のみによる世界樹立をもくろむ、東方の大国だ。
「ま、降服したところで奴隷になるだけなんだけどなぁ、元隊長さんよ」
バスターがラミアスを小バカに言った。彼はいままで彼女に対し相当スなトレスがたまっていたらしい。
「フンッ、面倒だ、さっさと殺してしまえばいいだろう、それよりクルーゼ様を迎えねばならん」
そうだな、と呟くとバスターは杖をラミアスに向けた。バチバチと杖が放電する。何か強力な呪文を唱えるようだ。
──もうダメか、ラミアスが目を閉じようとしたその瞬間、銀の切っ先が奔り、スターの杖が宙を舞った。
「何のつもりだストライク」
「もうやめるんだ……!こんなこと……!」
デュエルはストライクに剣を向けるが間にイージスが立った。
「ストライク、どうしたんだ、話し合って決めたはずだろう」
「……だからって、こんなの」
「俺達はMS族なんだぞ!人間じゃぁないんだ!」
デュエルの剣を制するようにして、イージスはストライクを殴りつけた。
「お父様……!? お父様!!?」
フレイ姫だ、ラクロアの王女である。
「ちぃ、姫様のおでましか、……ブリッツ、殺せ」
「やめろぉぉっっ!!」
ガキッッンッ!!
「……何をするんです!」
「彼女は関係無い!!」
「ある!人間族の王女だぞ!」
「ずっと仕えてきたんじゃないかっ!僕達は!」
「だからだ!その女がどれだけMS族を虐げて来たのか!お前は知っているはずだ!!」
確かに、フレイ姫はMSをMSとも思わず奴隷のように扱ってきた。
しかし、それは違うのだとストライクは知っている。
彼女は、ただ行く当ての無いMS達を城で引き取ったのだ。そして働かせたのだ。
人ではなくわざわざMSを雇うのだから人以上に働かせねばならなかった、それだけだ。
「裏切る気か……!?」
「僕は、もともと、この城の騎士だァッ!!」
デュエルの剣先とストライクのそれとが激しく衝突した。互角──だと思った瞬間、ストライクの体が炎に弾き飛ばされる。
バスターが ルフィラ 呪文を唱えたのだ。
「邪魔をするな!バスター!」
「おいおい、作戦が先だろう?」
バスターとデュエルが罵りあっている隙にストライクは立ち上がる。そして姫の傍へ駆け寄った
「……立てますか」
「いやぁっ、いやあっ!」
「……落ち着いてください、……姫、僕は貴女の味方です」
姫のしなやかでか細い体を抱き上げると、ストライクは一目散に走り出した。逃げるのだ。
慌てて追いかえるデュエルとバスター。必死で逃げるストライク。イージスも、その足にすがりつくラミアスを跳ね飛ばすと追いかけた。
しかし、ストライクの進路の先には、すでに塞ぐようにブリッツが立ちはだかっていた。
「……通しませんよ」
ストライクはブリッツに背中を向けた。しかしそれはブリッツから逃げるためではない。
抱えた姫を守るためだ。
後ろ向きになったままブリッツへ体当たりをかけるストライク。
ストライクの背中は、無残にもブリッツに切り裂かれた。赤いマントがひらひらと散る。
しかし、ストライクは倒れなかった。ブリッツを押し倒すと、再び反転し、前進する。力の限り逃げる。
そのあまり気迫に、ブリッツはその後追いかけられなかった。
すぐに窓が見えた、計画が順調に進んでいるとすれば、すでに城中は危険だ。
この窓から外へ飛び出すしかない。
王の謁見間は城の3階にあった、つまりここも3階だ。MS族とはいえこれだけの傷を負って跳べる距離ではない。
まして、姫を抱えているのだ。
しかし、彼に迷いは無い、窓へ到達すると一目散に飛び出した。
ドスンッ
姫は、ストライクの体いっぱいに抱きついていた。なるだけ衝撃が伝わらぬよう、足で地面を蹴り込んだ。
あまりの衝撃によろけ倒れるストライク、それでもすぐに立ちなおすと、また走る。
ふと城へ振り返ると、窓からこちらを見下ろすイージスの姿が見えた。
彼は数刻だけ彼と視線を合わせ、また走り出した。言葉自体は交わさなかったが、それはつまりはさよならという意味だ。
全身傷だらけの騎士は姫を抱きかかえると森へと逃げていく。
…続け
GJ!
第ニ章 ラクロアの王女
──まるで夢のようだった、──それも悪い夢、──絶望的なほどの悪夢。
激しい物音がした、何か金属を床に落としたような音。
その後、悲鳴が聞こえた、怒声も聞こえた。私は部屋を出た。
私に母はいない、優しい母だったような気はするが、幼い頃だったのであまり覚えていない。
その母の部屋の隣に私の部屋がある。廊下を抜けて階段を下りると王の間があった。私の父の仕事場だ。
私はこの国の王女、ラクロアの王女フレイである──。
「はぁはぁ……はぁ……」
激しい息遣いが耳元で聞こえると、たまらず少女は大声をあげる。
「いやぁぁああっぁつぁぁぁっ!!」
「お、落ち着いてください! ……姫!」
少女があまりに暴れるものだから、ストライクはつい彼女を落としてしまった。
腰を打って痛そうにしている。ごめんなさいと謝った。
「あなたなに!?」
「ストライクです」
「知ってるわよ!!」
そう、知っている。──知っているのだ。
辺りに見えるのは森の木々、触れる地面には土と草。ここは自分の寝室ではない。
決して、夢を見ていたわけではない、いや、夢だとしてもまだ覚めてはいない。
「……落ち着かれましたか」
「ええ」
少女は立ち上がり気丈に答えた。
「お父様は」
「……申し訳ありません」
その騎士は、本当に申し訳なさそうに謝った。
それが質問の答えということ、つまりは父は死んだと言うことだ。
「……そう」
どうして、どうして、どうして──。
しかし、傷だらけで、今にも倒れそうなその騎士の姿が、彼女にその言葉を飲み込ませた。
「……終わりね、ラクロアも」
「そんなことは……」
「違うと言うの?」
言えない、言えなかった。
少女は絶望の笑みを浮かべていた、泣くことも出来ないくらいショックなのだろう。
ただひたすら気丈に、眼は虚ろに、微笑だけを浮かべて座り込んだ。
「……ラクロアには、伝説があります」
「伝説?」
それは、勇者が現われ魔王を倒すと言う物語、どこにでもある御伽噺。
ラクロアはその伝説の舞台でもあった、王女である彼女もよく聞き知った話だ。
だが、そんなものただの伝説に過ぎないと、それもよく知っている。
ザフト帝国に魔王サタンガンダムが現われてもう半年、しかし、勇者はどこにも現われなかった。
そして、今日、遂にラクロア城もザフト帝国の手に落ちた。
「……貴方が、勇者になってくれる? ……ふふ」
少女の眼はやはり光を失っていて、しかし、声はおどけていた。諦めの冗談。
「貴女がそう、望むなら……」
星が流れた。まだ日も暮れきれぬ夕焼けの空。それでもハッキリと星が見えた。
少女は、絶望の笑みを消すと、バカを見るような冷酷な目で彼を見た。
「……出来るわけないじゃない」
そう思う、彼もそう思った。しかし、否定した。
「きっとなります、貴女を救う勇者に」
彼女は何も言わなかった、ただ俯いて、黙っていた。
でも、彼女の美しい赤い髪が微かに揺れているのがわかった。
ストライクがフレイ王女と会話したのは、たった一度切りの事だった。
あの日、彼は城の書庫に居た、そこへ彼女がやって来た。鳥を探しに来たと言う。こちらには来ていないと答えた。
「どうして貴方は騎士になったの?」
「僕はMS族ですから……」
「そう、でも、本当は本を読んだり書いたりするのが好きなんでしょう?」
「……はい」
「ふふ、早く平和になったらいいのにね」
ただそれだけの、たったそれだけの出会いだった。でも、それは暖かな出会いだった。
だから、彼は言った。
「……戦います、貴女もラクロアも、きっと救って見せます」
声が震えている、ゆっくりゆっくり紡ぎ出して行く。
「だから、笑ってください、……今は、泣いて下さい」
フレイは立ち上がるとストライクに向き直り、ゆっくりと進んだ。
「……そう、……なら、……私の想いは、……貴方を守るわ」
二人に夜が迫っていた。
城下街にはおそらく追っ手が出ているだろう、とても普通の宿屋には入れないし、ストライクの自室にも戻れない。
北へ行ったところに港町がある。ルウムという。貿易が盛んな都市で当然、人口も多い。人間の数、だ。
城ではさきにルウムを落としてからラクロアに攻め入るつもりとばかり考えていた。
だが、実際は内部のMS族に反乱を促して、先にラクロアを陥落させた。
陥落とはいえ、王が死んだだけ、まだ完全に制圧が出来たわけではない。帝国はしばらくラクロアへ戦力を向け続けることになるだろう。
つまりは、ルウムに入ればとりあえずは安心できる、ということだ。
しかし、ルウムまではストライクの足でも一日、フレイの足で考えるなら数日はかかる。
とりあえず今晩はどこかで野宿するしかなかった。
「キャァァッ!!」
「姫ッ!! ……ジンゴブリンか!」
ジンゴブリン、それはラクロアの森に生息するモンスターである。
帝国に魔王サタンガンダムが現われて以来、世界各地でこういった怪物が出現するようになっていた。
ストライクは素早く剣を引き抜くと、一体一体切り裂いていく、手馴れたものだ。
それもそのはず、ストライクは騎士になるために、なってからも、この森でジンゴブリンを訓練相手にしていた。
MS族は、人間の社会に置いては、騎士か奴隷か、この二択しかないと言っても良い。
奴隷と言っても、下働きや小間使いだけではない、当然、歩兵や突撃兵も含まれる。
ちなみに人間は砲兵や弓兵、法術士、騎兵などが多い。逆に言えば、それらを任されるMS族はほとんどいない。
そんな中、一部の優れたMS族だけは、騎士として多少の自由と権利を与えられる。
騎士は、主にガンダム族が多い。伝承的なこともあるが、ガンダム族は他のMS族と比べても身体能力が高いのだ。
ストライクもまたガンダム族の端くれである、歩兵にされるくらいならと、騎士を目指した。
才能か努力の賜物か、彼は張れて騎士となって今日に至る──。
最後の一匹を切り伏せると、ストライクは剣を治めた、その瞬間、姫の背後にジンゴブリンの姿が見えた。
ストライクは急いで姫に飛びかかり、かばう。
グサァッ
ゴブリンの、切れ味の鈍い斧がストライクの背中に圧し刺さる。
ブリッツに付けられた傷がさらに広がった。体が千切れそうに思えた。
不覚を取った、ただのゴブリンだと油断した。
よく考えれば、夜戦も、まして姫を連れての戦闘も初めてのことだった。
もっと気をつけるべきだった。
ストライクは素早く剣を抜く、倒れそうになった体をそれで支える。
「ハァッ!!」
ザンッッ!!
ジンゴブリンの断たれた胴が、空中で数回転すると地面に落ちた。
「はぁはぁはぁ……、……大丈夫です」
心配そうに見つめる姫に、聞かれても無いのにストライクは答えた。
はぁはぁはぁ……、
辺りを見渡すと一軒の小屋があった、とりあえずそこへ避難する。
どうやら、きこりの小屋らしい、と言ってもずいぶん使われてなさそうだ。
森にモンスターが出るようになったから放棄したのだろうか。
「……今日は、ここで休みましょう、……よろしいですか」
「ええ」
フレイは小屋を一望すると、しかし、それでも満足そうに返事した。
小屋に入るなり彼女は自分のドレスを豪快に破りだす、そして、それをストライクの止血とした。
「……姫、……ドレスが」
「ダメよ、……このまま眠りなさい」
「はい……」
酷く疲れていたストライクはあっさりそのまま眠りに落ちる。
そっと姫がつぶやいた。
「……今は、ね」
・・続け
うおお、MSが騎士っていいな!SDガンダムのアレ風?
フレイ姫に萌えつつ続きをwktkしておく!!
やべぇ、この切り口は誰もが思いつきそうで今まで無かったな
実は初代スレで一度だけあったw
ナイトガンダムおもろいw
剣士ゼータ、法術士ニューも出せ!
騎士キラや法術士カラミティ、剣士レイダーじゃね?
SDガンダム外伝 ナイトガンダムSEED
すみません、私は↑の人なんですが
第一章の時点では、一発ネタ的な感じでどりゃーと書きなぐったんですが
その後、第二章で妙に想像が膨らんできて、いま第四章を書いてる途中なんですが
今更ながら独立して、SDガンダム外伝 ナイトガンダムSEEDのスレを立ててよろしいですかね
これをこのままここに書いていくと邪魔にもなるかなと思って・・
いいんじゃね、面白いし
>>260 これは面白い、乙!
しかし、サタンガンダム?
まさかまた分裂してるのか?
1/15
「おはよう」
「おはよう、ラクス」
ラクスが食堂に姿を現すと、使用人達が朝食の準備を始める。箸が置かれたので、今日は和食のようだ。
何でも、シーゲル閣下が一度料理人を呼んで調理させたら気に入ったとかで、3日に一回は和食が出てくるのだ。
そして、これもクライン邸を離れられない理由になっている。
「あれ?何故に4人分?」
テーブルには4人分の食事の用意がされている。
「今日はお客様が来られますの」
「へーっ、そうなんだ。で、誰なの?」
「以前、お話したマルキオ様ですわ」
あの胡散臭い宗教家か。
「キラ君は宗教は嫌いなのかね?」
「特に嫌っているわけではありませんよ。宗教と宗教活動はまた別物って考えているだけです」
シーゲルさんの話によると、連合内部の穏健派政治家や財界関係者との仲介の労を取ってくれている人物らし
いのだが、一介の宗教家にどうしてそんな事が出来るのか? 謎が深まるばかりだ。
「要注意人物だな」
「おや、お若いのに用心深い方ですね」
2/15
執事の案内で1人の中年男性が入ってきた。彼がマルキオ導師であるらしいのだが、彼は目が見えないようで、
執事に手を引かれながら自分の席に座っていた。
「目がお見えにならないのに、私の歳がわかるのですか?」
「ごらんの通り、目が不自由ですので、声を聞けばその方の特徴が大体わかります」
やはり、油断ならない男だ。
問題は彼が何を考えていて、何をしたいのかだが……。
「マルキオ様、ようこそおいで下さいました。お食事の用意が出来ていますのでご一緒にいかがですか?」
シーゲル閣下がマルキオ導師を食事に誘う。
「それはありがたい。丁度、お腹が空いていましたので」
使用人達が食事を運んできた。
メニューはご飯と味噌汁と煮魚とほうれん草のおひたしだった。
どうも、マルキオ導師が来る事が事前にわかっていたらしく、盲目の導師でも身がほぐしやすいように煮魚に
メニューが変更されたようだ。
シーゲルさんは箸に慣れていないので、フォークとナイフを使い、オーブで和食ばかり食べていた。
ラクスは箸を器用に使っている。そして、肝心の導師は日本人と変わらないくらいに、上手に箸を使っていた。
「箸の使い方が上手ですね」
「日本にも懇意にしている方が多数いまして。実は、石原総理からあなたの事は聞いていたのです」
俺の事を知っていたのか。
「実はあなたにお会いするのが本日最大の目的だったのですよ」
3/15
「私は一般家庭出の血生臭い軍人です。平和を願う偉大な宗教家であるあなたが、わざわざ会いに来るような
男ではありませんよ」
「私もそれほど偉大な宗教家というわけでは無いのですが」
「マルキオ導師って宗教家なんですよね。何教を信仰しているのですか?」
俺は一番疑問に思っていた事を質問する。みんなは宗教家だと言っているが、彼が何教の活動をしているのか
を知らないのだ。
「プロテスタント系の一宗派を信仰しています」
「キリスト教ですか」
「ここ100年ほどで勢力を伸ばしている規律の緩い新興宗教のようなものです」
マルキオ導師の話によると、この宗派はキリスト教の一派でありながら、プロテスタント教会から無視されている
ような宗派であるらしい。
厳しい教義も無く、土着の文化や習慣も大切にして禁止したりしていないので、欧州やアメリカ大陸以外の地域
で信者を多数獲得して大きな勢力を誇っているらしいのだ。
そして、導師は組織の運営を弟子や同僚に任せ、自分はオーブ近くの島で孤児院を経営しながら、世界中を飛
び回っているらしい。
彼は宗派の象徴扱いで、比較的自由に動けるようだ。
「それで、世界各地を外交官のように飛びまわれるのですか。キリスト教の一種だから大西洋連邦やユーラシア
連合の政治家や財界人ともコンタクトを取り易いし、東アジア共和国には多数のキリスト教信者がいますしね」
「最近、規律の緩い我々の宗派に鞍替えをする欧米人が増えているのですよ。その他の地域も同様です」
4/15
「未だに進化論を学校で教えるなとか、中絶反対だとか騒いでますしね」
「よくお分かりで」
「それで、私に何の用事ですか?」
「キラ・ヤマトさん、貴方はSEEDについて、私とは違う見解をお持ちだとか」
「マルキオ導師は英雄が持っているものだという考えなんですよね」
「ええ、そうです」
「私の考えは持っていると便利かな?くらいで、絶対条件ではないような気がします」
「どうしてそうお考えで?」
「歴史の書物を見ると、英雄と呼ばれている人はピンチを迎えた時に、それを見事に乗り越えたという記述が
多いではありませんか。あるいは、そのピンチを乗り越える時にSEEDが発動していた者もいるのかもしれま
せん。ですが、SEEDが無くてもピンチを乗り越えた人もいるでしょうし、逆にSEEDが発動しても駄目だった
人もいると思います。だから、あれば便利な能力であると思うのですが、絶対では無いというのが私の考えです」
発動後のアスランとシンとカガリから状況を聞くと、周りの状況が即時に理解できて、敵の行動が完全に把握出
来るみたいなので、多分軍人向けのスキルなのだろう。
昔の軍人が政治家を兼ねていた時代には便利な能力だったであろうと思われる。
戦闘に敗北して逃走する時には便利だと思うし、少数で多数の敵を撃破した戦いではSEEDが発動されていた
のかも知れない。
「政治家にはあまり必要の無いスキルですね。それに、現代の戦争は政治家が交渉して終わらせるもですので。
我々軍人は政治家の命令で戦うだけですから」
5/15
「戦争を終わらせるには英雄の出現が必要だと思われますが」
「マルキオ導師はやはり宗教家ですね。救世主伝説を信じているのですから。神が遣わしてくれると思っている
のですか?」
「現に、アスラン・ザラ、カガリ・ユラ・アスハ、シン・アスカの3人にSEEDの発動が確認されています。彼らが
世界を救うとは考えませんか?」
「全く思いません。アスランは軍人としては優秀な男ですが、政治家としては未知数ですし、カガリはどちらもまだ
未知数です。シンはモビルスーツパイロットしては才能があると思いますが、それ以外の能力は全く未知数で
す。つまり、世界の行く末を16歳の少年・少女と13歳のガキに任せるのは危険だという事です。世界の心配
は大人がして下さい」
「そうですか。実はもう1人SEEDを持つ可能性がある方がいます。彼ならあるいは……」
「誰です?それは」
「オーブ軍のキラ・ヤマトニ佐。つまり、貴方です」
えっ、俺にもSEEDを発動出来るの? まあ、カガリがそういう特殊な才能を持っているなら、俺が持っていても
おかしくないのかもしれないが……。
「私ですか?」
「貴方の才能を持ってすれば、世界が救われるかもしれません。何しろ、彼は世界でただ1人のスーパーコーディ
ネーターなのですから」
「スーパーコーディネーター?」
6/15
「ええ、彼は3年前にバイオハザードを起こしたメンデルで……」
「ちょっとお待ち下さい」
俺はザフト軍本部に間借りしているオーブ軍司令部に電話を掛けて、トダカ一佐に出勤が遅れる事を話して任務
の代行をお願いした。本来なら私用で上官に代行を頼むなど持っての他だが、話の内容が自身やカガリの出生
にも関わる重大事と察し、マルキオ導師の話をちゃんと聞かなければと思ったのだ。
「すいません。お話の続きをお願いします」
それから、一時間ほどに渡ってメンデルの話をして貰った。
俺とカガリの出生の秘密とそこで行われていた様々な研究の話。
そして、一番驚いたのはクルーゼ司令とフラガ少佐の秘密の関係を聞かされた事だった。
「俺が人工子宮で生み出された、唯一の成功体のコーディネーターで、カガリは調整を受けていないヒビキ博士
の娘だったのか。そして、それをウズミ様は知っていた。更に、クルーゼ司令がフラガ少佐の父親であるアル・
ダ・フラガのクローンだって? しかも、テロメアが短いから長生きできない?」
カガリと違って、一般家庭で育ってきた俺には想像も出来ない闇が、世界には多くあるようだった。
「その割りには、クルーゼ司令は明るいな」
彼がフラガ少佐に拘る理由はわかったが、自分の生まれを呪わなかったのだろうか?
嫁の尻に敷かれて、それどころでは無いのだろうか?
「彼を大きく変えたのは、研究者である彼の妻の影響が大ですね。旧姓ミサオ・オオツキ。父親は遺伝子工学
の専門家でメンデルで働いていました。彼女も研究者としては優秀で同じく、メンデルで働いていたのですが、
数年前、メンデルのバイオハザードから奇跡的に生き残ってプラントへ逃げ延びたようです。そこで、クルー
ゼ司令と再会してそのまま結婚したようですが」
7/15
「バイオハザードですか。そういえば、当時ニュースでやっていましたね」
「表面上はそういう事になっています。ブルーコスモス強行派のテロを隠す為に、バイオハザードに見せかけた
のが真相ですが」
「アズラエルの指示ですか?」
「そうです」
「理由はコーディネーター関係の研究をしていたから?」
「それもありますが、事実は多少違います。実はメンデルの研究にアズラエルは親子で投資していたのですよ。
つまりは証拠隠しです」
アズラエル理事がブルーコスモスに急接近する為の踏み絵にされたというのが真相のようだ。
「企業家ですからね。金儲けの為に投資をしても不思議は無いでしょう。証拠隠しにテロを行うのは異常ですが」
主義よりも金儲けが大切だろうからな。
「ウズミ様も出資していました。遺伝病関連の研究に支援したかったとの事で」
「ウズミ様はコーディネーターを認めているのですから不思議な事ではありませんね」
「昔のメンデルは金の成る木だと思われていたのです。そして、その利益を得る為に、多くの研究資金が投下
されました。中でも最大の出資者はアズラエル理事の父親とアル・ダ・フラガの2人でした。当時、対立関係に
あった2人は競うように資金を投入して研究成果を奪いあいました。更に、自分以外の人間が信じられない
アル・ダ・フラガは自分の後継者をクローンで作る事を決意して、それをヒビキ博士に依頼して……」
8/15
「その成果がクルーゼ司令だと」
「失敗作と言われていましたがね。実は、彼は多少コーディネートされていますから」
ヒビキ博士は親切でやったみたいなのだが、アル・ダ・フラガ氏には失敗作扱いされたようだ。
「そうですよね。コーディネートされていなければ、ザフト軍でエースになれませんよね」
ナチュラルがコーディネーター用のOSを動かせる可能性はかなり低いからな。
「それで、クルーゼ司令はSEEDを持っているのですか?」
「彼は多分持っていないでしょう。フラガ少佐も持っていないようですから」
やはり遺伝的要素が関係しているのか?SEEDは。
「2人の関係は当事者同士の問題だからこれで終わりにして、マルキオ導師は私をどうしたいのですか?」
「随分と淡白な方ですね。2人の事が気になりませんか?」
「別に気になりません。親のアル・ダ・フラガはバカ野郎みたいですが、子に罪が及ぶわけでも無いので」
フラガ少佐とクルーゼ司令に何が出来るというんだ?
1人は女たらしで、もう1人は小遣い確保に必死で何かを企む暇も無さそうだし。
「スーパーコーディネーターであり、SEEDを持つキラ・ヤマト。貴方こそ世界を救う英雄に相応しい人物です」
「ですから、あなたは私を利用して何をしたいのですか?」
「利用だなんて。私は世界を救う英雄の手助けがしたいだけなのです」
9/15
俺はようやくこの人の本性が理解できた。彼はやっぱり宗教家なのだ。
神が遣わした英雄を手助けして、世界を平和に導き、その傍らに立つ事を目標に生きてきたのだろう。
差別・貧困・戦争など、世界は平和とは程遠くて、彼にとって優しいものでは無かった。
救いを宗教に求めたが、それでも完全な平和は訪れず、世界は未だ混沌の中にある。
そして、彼は最後の救いを英雄に求めたものと思われる。
神が遣わす、奇跡の英雄。
既存の政治家・官僚・軍人・企業家では無い、無から生まれたSEEDという奇跡の力を持つ人物。
彼にとって、英雄イコール神でそれを手助けする事が自分の使命だと思っている節があるようだ。
だから、彼は英雄の補佐が出来るように世界中の政治家や財界人と懇意にしているし、スキャンダルや金銭的
な醜聞に穢れないように、辺鄙な島で孤児院を経営して、世俗から離れた生活を送っているのだろう。
彼は世界が混乱すると、必ず出てくる英雄待望論を純粋に信じているのだ。
「私が英雄ですか。私はそんなものになることを望んだ覚えはありませんよ」
「運命が貴方を導くと思われます。その時は全力で貴方を助けるまでです」
「運命ですか。頑張って、何十年も待っていてくださいね」
多少、皮肉っぽい口調になってしまったが、俺はマルキオ導師という人物があまり好きではないようだ。
かなりの影響力を持っていながら、それを本格的に使わないで、英雄の出現を待ち続けている上に、俺を自分
の眼鏡に適う人物と考えて引き込もうとしているようだ。
自分は宗教家で世俗的な欲が無く、英雄を献身的に支える。
彼は無意識に自分を高みに置いて、一段高い所から世界の平和を祈っているようだ。
悪意が無いだけに、非常に性質が悪い。
「何十年ですか? それほど待たなくても、数年もすれば貴方は自ずと動き出さねばならない状況におかれる
ことになると思いますが」
「あなたの下らない予測に興味はありませんね」
10/15
俺の発言でシーゲルさんとラクスに緊張が走る。
「何故、下らないとお考えです?」
「貴方の発言を私なりに解釈してみたのですが、要は、数年後せっかく静かになり始めた世界を再び私の手で
破壊させるおつもりなのでしょう? 貴方ご自身の望まれる世界を創るために」
俺が優秀な仲間を率いて、世界を統一して新しい平和な世界を作る。率いるメンバーにはアスラン、カガリ、シン
が入っているのだろう。
今更、三国志の世界でもあるまし、100億人以上の様々な人間が住んでいるこの世界を完全に1つに纏めて、
全員を幸福にするなんてナンセンスだ。
「プラントやオーブを含む同盟諸国が進めている構想は新たな勢力の台頭を生み、世界は幾つかの勢力の草
刈場になってしまいますから」
マルキオ導師の発言に衝撃を受けてしまう。普通、最高議長こそ退いたとは言え、現職の評議員であるシーゲル
さんの前で話すような事ではない。本音に属するものだからだ。それとも、彼はマルキオ導師の共犯者なのだろ
うか?
「それでいいのではないですか? 私は大きな戦乱が数十年起こらなければ、御の字だと思いますよ。
歴史上、数十年間も大きな戦争が起こらなかった時代は、貴重で尊いものなのですから。
数十年後、もし世界が混乱したら、その時代の政治家が解決すればいいのです」
「世界はそうやって戦争と一時の安寧を繰り返してきました。ですが、それでは駄目なのです。
その連鎖を断ち切る為に、貴方達SEEDを持つものが必要なのですよ」
「そんな聖書に出てくる楽園じゃあるまいし、全員が幸福な世界なんて不可能ですよ。あくまでも努力目標で、
まずは自分の周りからでしょう」
11/15
「オーブの軍人としての立場ならそれでもいいのでしょう。しかし、SEEDを持つ御身を重視するならば、やはり
キラ・ヤマト、貴方には世界を救って貰わなければ」
あくまでも、俺が救世主だと言い張るマルキオ導師に腹が立ってきた。
「そんなあんたの勝手な都合で俺やカガリたちを変な事に巻き込むな!俺の生き方は俺が決める!
あんたが妙な妄想に駆られて、カガリやアスランにまで手を出すつもりなら俺にも覚悟があるぞ!」
「覚悟ですか。ぜひお聞きしたいものです」
盲目の温和な宗教家が初めて見せる冷静な表情だ。
「例えばなの話ですが、ある宗教家がプラントから地球へシャトルで帰る時に、そのすぐ近くの宙域で、ザフトへ
の援軍として来ていた同盟国のモビルスーツ隊が演習をしていました。
シャトルが通りかかったちょうどその時、ある一機の10枚羽の白いモビルスーツが訓練用のビームライフルで
シャトルを的にして射撃訓練を行っていたのですが、何故かライフルが本物に摩り替わっていた上に、何故か
ロックしておいたはずのマルチロックオン・システムが作動してハイマット・フルバーストがぶっ放されてしまい、
哀れ、偉大な宗教指導者は神の下に召されてしまうのです」
俺が冷静に導師の暗殺をほのめかすと、シーゲルさんとラクスに驚愕の表情が走るが、マルキオ導師は顔色1
変えない。その事から見ても、彼はかなりの曲者だ。悪意は無いようだが、独善的な部分が多すぎる。
「1つお聞きしたいのですが、そんな事をしてその白いモビルスーツのパイロットは罰を受けないのですか?」
「当然、罰せられるでしょうね。でも、冷たい営倉の中で彼はこう思うのです。自分の命1つで彼が本当に大切
に思う人たちの命とその未来が3つも4つも救われたんだ、とね。
それに、彼はオーブ以外の同盟諸国にとっても、軍人として技術者としてとても魅力的な才能をもっています。
オーブが匿いきれない時は、そういった国々へ逃亡して別人として生きていくでしょう。
今更坊主一人殺したぐらいで、周囲の人々を無闇に悲しませるほど殊勝な人間ではありません。
そう、彼はとってもずる賢いのです」
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俺は確かに、生まれは特殊だし能力は優れているんだろう。
だが、そんな事情など今まで知らなかったし、知った今でもそうかという程度で、殊更何を思うわけでもない。
そもそも訳の分からん妄想につきあって、救世主を気取る気などナンセンスもいい所だ。
俺はその能力でほんの少し人よりお金を稼いで、若い内は可愛い女の子たちと遊びまくり、30ぐらいになった
らキレイな嫁さんでも貰って幸せに暮らしてゆければ、それでいいのだ。
以前に、ブルーコスモス系の軍人が特殊部隊を使って拉致を試みてきたが、今はウズミ様の庇護で安全に暮ら
せているし、ウズミ様が亡くなっても、ホムラさんやウナトさんたちが後を継いで俺たちを守ってくれるだろう。
いくらスーパーコーディネーターと言えども、数十年で死ぬし、もしラクスと結婚して子供が生まれても、子供達は
ただのコーディネーターとなり、世界を救う英雄には程遠い存在となるだろう。
つまり、その程度の事なのだ。
マルキオ導師は色々、事情に詳しい男のようだが、物事の本質が見えていないようである。
「あなたは出演したくない役者を強引に舞台に上げようとしているのです。役者本人やその家族としては、強引
な演出家を演劇の世界から退場させるだけですよ」
「キラ君、その発言は危険だよ。導師には連合内の政治家との仲介の労を取ってもらっているのだから。
彼はプラントにとっても重要な人物なのだ」
シーゲルさんが俺を止めに入ったが、俺は以前から疑問に思っていた事を質問する。
「どうして導師なのですか? バチカンに仲介の労を取って貰った事はないのですか?」
世界の歴史を紐解くと、必ず裏で暗躍しているバチカン市国の主ローマ法王とその取り巻きの枢機卿達。
彼らの方がプロテスタントの新興宗派の象徴よりも大物との仲介をしてくれるはずだ。
「彼らはブルーコスモスと繋がりのある連中が多い。信用できない」
「大丈夫ですよ。シーゲルさんはあの国が何年存在しているか知っていますか?
彼らは多数の情報を世界中の信者や牧師から集めていますし、有力政治家や財界人に多数の信者を抱え
ています。彼らはそれを駆使して何百年も影響力を保ったまま生きてきました。彼らの中にはアズラエル理事
のやり方に反発を覚えている者も少なくないでしょう。そういう人物と接触して仲介の労を取って貰えばいいの
です。カソリックの連中にもちゃんと解かっている人は存在しますから」
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連中も一枚岩では無いし、所詮は一環境団体に過ぎないブルーコスモスにいつまでも拘っているはずが無いの
だ。それに、アズラエルの暴走は世界を混乱に巻き込む要素の1つになっている。条件さえ揃えばいつでも切り
捨てるだろう。彼らは生き残りのプロだからだ。
「欲深い坊主達に支払う対価を考えると、頭が痛いな」
「彼らは代価なんか求めませんよ。自分達の仲介で戦争が終わった。その事実が彼らの存在を確たる物にし、
更に歴史を刻んでいくのです。これを機に、バチカンが失われた権威を取り戻し、さらにプラントにも信者が
増えることなれば、金なんて寄付でいくらでも集まってくるのですから」
「そうか、大変魅力的な提言だな。カナーバ議長に相談してみるか」
「やってみて損は無いと思います」
プラントの市民は総じて信仰心に乏しく、宗教そのもの重要性に対する認識もまた低い。
遺伝子をいじって人を作り出す事自体が神を冒涜する行為と思われているのだから、当たり前なのだろう。
どうも、プラントの政治家は宗教勢力との交渉を余りした事が無いようなのだ。
マルキオ導師は唯一の例外であるらしいが、彼は余り宗教色を出さない人物のようだから。
「では、私はこれで。マルキオ導師も頑張らないと影響力が無くなってしまいますよ」
俺は屋敷を出て出勤する為に、車に乗り込もうとするとラクスが俺を引き止めた。
「キラッ!」
「どうしたの? ラクス」
「あの、マルキオ様は……」
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「俺は決して奴を認めないし、馴れ合う気も無い。彼は所詮、傍観者なんだよ。
アズラエルに取り入って、現代の新ローマ教皇でも目指しているならまだ可愛げがあるんだけどね」
「マルキオ様は戦争で親を亡くした孤児を引き取って育てていて、決して悪意のある方ではありません」
「宗教家なんだから、奉仕活動をするのは当たり前だよ。有益な宣伝活動にもなるんだし。
それに、孤児を引き取ると言っても、無人島で10人ほどの子供を預かっているだけでしょ。
それって、大規模にやると、英雄殿に手を貸せないからだと思うよ」
「では、私はどうすればいいのですか?」
「そんな事知らないよ。自分の交友関係には自分で責任を持ってくれよ。
第一、政治家では無いラクスは宗教家の彼とだけ付き合っていればいいのだから楽なものでしょう。
とにかく!俺だけじゃなく、カガリやアスラン、シンのような子どもまで利用する事を企んでいる以上、俺は奴の
接近を許さないし、ラクスがそれに手を貸すのなら、俺にも考えがある」
今日の件で、俺は今までラクスに感じていた疑問を無視できなくなっていた。
彼女は政治家では無いが、歌手としてプラントに絶大な支持を得ているし、同盟国や敵国の将兵にまで人気が
あって、その影響力が日々増している。
そんな彼女が英雄待望論を持つマルキオと結び付いて何をしようとしているのか?
俺は手駒に1つなのではないのか?
父親であるシーゲル閣下まで利用しているのではないのか?
今まで彼女に感じていた違和感が、不信感と疑念となって心の底から沸いてくる。
「なあ、ラクス。俺って君の便利な手駒の1つなのかい?」
マルキオの件で気が立っていたのだろう。
一番口にしてはいけない事を言ってしまう。
284 :
起動戦士ガンダムSEED ANOTHER 〜「それぞれの明日」〜:2006/04/21(金) 01:45:11 ID:bXEoTJSY
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「そんな!ただ私は……」
俺は車を降りてクライン邸の外に向かって走り出した。大変心地よい3日間だったが、もうここにはいたくなかったのだ。
クライン邸を飛び出した俺はレンタカーを拾って軍本部に到着した。その内、荷物を引き取りに行かなければなるまい。
ラクスと出会って以来、俺たち2人はまるでそうなるのが当然のように親しい友人となり、その友情はやがて愛情へと
変わっていった。
しかし、そうして急接近してきた俺たちの人生の道程は、今日という交点を境にもはや永遠に交わらぬものとして別々
の方向へ進んでゆくのだろう。
願わくば、彼女の未来に幸多からんことを。
そう願いながら、俺の意識は官舎の軋んだベッドの上で沈んでゆくのだった。
――HAPPY END――
むぅ、パクリ?
えっ、何のパクリ?
保守
そんなSSあるのかー
よくある題だからね
アニメと同じ世界観で、分岐したようなストーリーを書くのが目標だったんですが
・セイバー強杉(負債補正を見事に再現、PSダウンしてもいい頃なのに動いてる)
・動作をいちいち書き過ぎてグダグダ
・演出がヒーロー物臭い(負債ry
・キャラがなんだか変になった
になったので、ここからはシンプルに書こうと思います。スレ汚しスマソ。
かつて自分の家族を、仲間を、大切な物を奪っていった相手が目の前に立つ。
シンの瞳は怒りに燃えていた。
大切な物を奪われた事への怒り?
いや、違う。
シン「あんた・・・・・あれに乗ってるのが誰かって分かってるのかよ!」
仲間の、戦友の思いを踏みにじられた事への怒りである。
アス「シン・・・」
シン「あれに乗ってるのはアスランだ!あんたの昔の仲間だって奴だ!
聞いてるんだろ!フリーダム!」
残りたった7機のザクとディンが、ゆっくりと周囲を戸惑ったかのように飛ぶ。
それを見ながらシンの矛先、フリーダムのパイロットは答える。
キラ「知っているよ
あれに乗っているのはアスランだ」
シン「!?
あんた・・・じゃあなんでこんな事してるんだよ!あんたの昔からの仲間なんじゃないのかよ!」
キラ「うん、昔から、昔からの大切な友達だったんだ・・・・・・
僕の一番の、友達」
シン「だったらどうして!」
キラ「アスランは僕達の敵になるって、自分で決めて離れたんだ
そして僕も・・・」
シンの拳がググッと音を立てて握られる。
シン「なんだよそれ・・・・・アスランは、アスランはなぁ!
自分はあんた達を信じてるって!自分とならちゃんと話し合えるって!そう言ってここまで一人で来たんだぞ!
殺されるって、馬鹿みたいだってのに、
それでもあんた達を信じて来たんだぞ!馬鹿みたいにあんた達を信じてたんだぞ!分かってんのかよあんたはー!」
シンの、純粋で真っ直ぐな怒りとくやしさがキラへぶつけられる。
キラ「うん、分かってる
アスランは本当に僕達を信じてくれて、心の底から僕達を心配して、ここまで来てくれたんだ
嬉しかったよ、とても」
シン「だからなんでだって!」
キラ「それはアスランと、僕達がちゃんと話し合って、分かってる事だから
君にそれが何かって、言える事は何も無いんだ
ごめんね」
シンの爆発した感情に対し、冷静に淡々と答えるキラ。
まるで流すようなその言葉に、シンがさらに激怒する。
シン「ふっざけんなよ!お前!
何勝手に決めてんだよ!」
キラ「ふざけてないよ、僕は本当に」
シン「馬鹿にすんな!!!
いつもいつも・・・・・そうやって、自分達が分かってればそれでいいって、それで反せると思うな!
アスランとちゃんと話した?嘘付くなよ!
ちゃんと話したんなら、アスランが、お前に襲われるわけないだろ!
アスランがどんな気持ちでここまで来たか、お前本当に」
アスラン「よせ、シン!」
シン「アスラン!?止めんなよ!俺はこいつに」
アス「もういいんだ、シン
もう・・・・・・・・許してくれ」
シン「は?!許せって、何を!?」
理解できない言葉に、シンの顔が呆ける。
アス「俺がいけなかったんだ・・・・・俺は何もできなかった・・・何も言ってやれはしなかった・・・・俺は」
シン「何言ってんだよ!しっかりしろよ!」
アス「キラに殺されてもいいと思った」
シン「!?」
アス「どうせこのまま・・・・・・・ならいっそ殺されてしまえばと」
キラ「・・・・・」
夕暮れに差し掛かった薄暗い海の上で、
まるで行く当てもなくさ迷うかのような影が、ずっと同じ場所に止まっていた。
オイルの焼け焦げたきつい匂いが、そこが戦場なのだと教えてくれる。
シン「バカ!」
アス「シン?」
シン「もういい!もういいから早く帰れよ!
オーブに戻ったら思いっきし、その硬い頭と顔ぶん殴ってやる!
話なんかあとでいくらでも聞いてやる!だから今は帰れよ!じゃないとあんた・・・・・ボロボロすぎだ」
強く乱暴な、だけどちょっと悲しげなシンの言葉を聞くと、アスランは静かに機器に手を置いた。
>>270-284 GJです!
物語背景についての描写がちょっと足りなかったようですが、キラがまともな思考回路をもった
人間で、オーブ軍に所属しているAnother世界のお話ってことかな?
プラントが孤立してるんじゃないってことは、他の政治家・軍人もさぞまともなんでしょうねw
>>288 掲載サイトとその小説の詳細キボン。
タイトルが同じだけで、内容は別物なの?
シンの筒抜けの言葉を聞き、残存部隊が思い出したように戦闘態勢を取る。
フリーダムは、動かない。
シン「さっさと行け!
・・・・・・・・・・・・・・・・・殺されてもいいとか、もう言うなよ
それと、あんたがどうしてここまで来たのか、ちゃんと思い出せよ」
アス「!?」
シン「あんた・・・・・・バカだからな」
そう言うと、テゥモローのスラスターを全開して、空に向かってフルブーストした。
ザクとディンのカメラが咄嗟にテゥモローを追う。
シン「行け!」
その掛け声に、線を切ったようにセイバーが一気に逃げ出す。
それに気づきザクが照準を ドビュー
テゥモローが即座にザクのランチャーを打ち抜く。
続け様にテゥモローのライフルが唸りを上げる。
残存部隊は散開してそれを避け切り、迷わずセイバーに向かう。
テゥモローがそれを追おうとする。
しかし、それをフリーダムが邪魔をするように、サーベルを片手に襲い掛かる。
機体を反転させてギリギリの所を避ける。
セイバーと残存部隊が飛び去り、
テゥモローとフリーダムだけがその海上に留まり、今にも殺しあわんとばかりに睨み合う。
アーサー「カタパルトオンライン!お気をつけて、ルナマリア機発進どうぞ!」
ルナ「なーんか調子狂うわね・・・・・ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー出るわよ!」
不測の事態に待機していたMS部隊が、次々に基地からシン達の方へ発進して行く。
シン「こいつう!」
超近距離まで接近してライフルを強引にねじ込み、撃つ。
ひらりと軽くかわされ、思い切り蹴り飛ばされる。
シン「ぐはう!・・・・・・このぉ、このおっ!」
ムキになったシンはライフルを乱射するが、まったく当たらない。
得意のトリッキー飛行でビームを掻い潜り、
今度はフリーダムが超接近、レールガンを腹に叩き込む。
機体がぐら付くがどうと言う事は無い。
が、爆煙が晴れた先にフリーダムを捉えられない、反応、後ろ!?
キラ「邪魔するなら!」
サーベルが勢いよく振り下ろされる。
終わりだ、いや! ババババババババ
掲げられた両手のビームシールドが、ビームを豪快に弾いている。
シン「うぅぅぅりゃああああああああああ!!!!!」
シールドで弾きながら、強引に機体を突っ込んでフリーダムをぶち飛ばす。
サーベルを落としながらフリーダムの機体が、つんのめりながら斜めに落ちる。
>>296 シンVSキラ来た!
GJおもしろかったっす
アーサー頑張れ!
>>298 それはやはり良い意味でと思っていいんだよな?
まさか負債以下の出来なんてことは・・・
>>299 >まさか負債以下の出来なんてことは・・・
読むと負債の 存 在 意 義 が(さらに)低くなりますw
さてNHK教育でサイボーグ特番でも観るか。
保守
戦場を、モニターで高みの見物と言わんばかりに、リラックスして見ているラクスと議長。
議長「いやぁ、大変な事になってしまったね、ラクス」
ラク「ええ
でも仕方ありませんわ」
アー「艦長!セイバーと追撃MS隊の反応見失いました!
これ、まずいですよね!?
このまま取り逃がしでもしたら」
グラ「もう、いいから早く発進急いで!
インパルスはとっくに海の向こうよ!置いてかれるわよ!」
アー「は、はいっ!
・・・・・・それにしてもこの船、MSインパルスだけになってしまいましたね
セイバーは持ち出されて、デスティニーも持ち出されて
このままインパルスまで無くなったらただの船ですね
・・・・・・・・あれ?艦長?」
グラ「ア〜サ〜!」
アー「す、すみません艦長!
ほら!お前達、索敵急げ!よーし行くぞ!」
ハァ、と深く溜息を漏らす艦長を乗せ、ミネルバは発進した。
その頃、オノゴロ島では。
O兵「作戦員、投下したシン・アスカを除き全員帰還しました」
カガ「ご苦労だった
軌道上から帰ってきて早々すまないが、すぐに発進したAAと合流してくれ」
O兵「いっ今からですかぁ!?
いえ、あの、
こちらも試験運用だった新型ミラージュコロイド技術のデータや、その、事故箇所なども」
何と無く口ごもるオーブ兵。
カガ「そうか、分かった
向こうの方は先発したAAと後発のムラサメ隊に何とかしてもらう
無理言って済まなかったな
お前達は大まかな作業が終わり次第、順に休んでくれ」
O兵「いえ、そんな」
カガ「これからが忙しくなる・・・
お前達にはこの先、これまで以上に苦労を掛けると思うが、
どうか、私に力を貸して欲しい」
O兵「・・・・・・・・はい!!!」
同オノゴロ島、特別封鎖地区地下室。
オク「おいっ!
いつまでここに閉じ込めておく気だ?開けろ!」
カオスと一緒に回収されたパイロット、
スティング・オークレーは個室に閉じ込められていた。
ネオ「そう騒ぐなって
俺だって外に出てコーヒー飲みたいんだからさ」
ネオ・ロアノークも隣の部屋に閉じ込められていた。
オク「コーヒーぐらい部屋にあんだろ!
つーか、あんたは自分でそこに入ったんだろうが!」
ネオ「いやね
可愛い部下を、一人で部屋に閉じ込めておくっていうのも気がひけてね
さびしくないだろ?」
オク「あんたはなぁ・・・・・」
頭が痛そうな顔をして、手を顔にぺたんと付けるオークレー。
彼は最初は捕虜として捕まっていたが、ネオのはからいと、
そのままだと身体機能を維持できないという理由で、特別室、急ごしらえの医療設備がある部屋で療養していたのだ。
閉じ込められているのではなく、体質が一定にまで落ち着くまでは外に出しては彼が危ないのである。
オク「・・・・・・」
ネオ「スティング」
オク「あぁ?」
ネオ「俺はな
本当はお前達とは一緒に戦いたくなかったんだ」
オク「なんだ?俺達じゃ不服だったってか?」
ネオ「いや、そうじゃなくてな
お前達には、戦争とは関係無い・・・・・・・・無理だったんだろうけどさ
お前達には、もっと平和で、死ぬ死なないなんて考えない、普通の世界で暮らして欲しかったんだ」
オク「・・・」
ネオ「いつも自分がお前達を送り出していて思ってたんだ
お前達は、戦わなくてもいいだろう、ってな」
オク「散々連れ回した挙句、アウルとステラがぶっ殺されて、今さら言う事かよ?
何なんだ?」
ネオ「ああ、そうだよな
だがな・・・・・・・・・ステラが死んでよく分かったよ
俺が間違ってただけなんだってな
俺の理屈で、俺自身、違和感や嫌悪感を感じていながら、理屈にかまけて逃げていただけなんだってな」
ネオ「俺には、出来る事が山ほどあった
できる事だった、やらなかった、それだけの事なんだな」
オク「・・・・・・・・・あんたのそれさ
他の奴に対しては言えんのかよ?」
ネオ「スティング・・・」
オク「他の誰かが、やんなかった、できなかった、後悔してるってぼやいてたら、
あんたはそいつに、逃げてるだ、駄目だって言うのかよって言ってんだよ」
壁に寄り座りながらスティングが静かに続ける。
オク「そうじゃねえだろ?
あんたが誰かに言わなきゃなんないのは、そんなうざってー分かってます反省じゃなくてよ、
あんたがこれから何をするか、何をしたいかって事なんじゃねーのかよ?
やらなかったって言うなら、今しろよ!
何かするなら、こんな所でグチってないで、何か前に進めるような事言えよ!
あんたには今は、何か、言える相手がいるんだろ?
だったらそいつに怒鳴るなり、縋るなりしたらどうなんだよ?
あんたは・・・・・・・・・・まだやれる事が腐る程あるんだからよ」
ネオ「スティング・・・・・・・・・ミネルバのエース君にも似たような事言われた」 かすかに笑いながらネオが言う
オク「そうかい」 薄めを開けてスティングは静かに答える
ネオ「んじゃ、行ってきますかね!」
立ち上がり、ネオが出口へと足を向ける。
シン「もらったっ!」
落下するフリーダムに、スラスター全開のテゥモローが飛び掛る。
するとフリーダムが素早い動きで上下を反転、バラエーナを構える!
キラ「これで!」
シン「そんなんで!」
バラエーナ発射直前、テゥモローの両手が超スピードでバラエーナの砲身を鷲づかみにし、発光する!
バカーーーーーーーン!
バラエーナが破裂したかのように大爆散する。
テゥモローの両手に備わった、デスティニーから持ち続けている拡散型ビーム兵器、
パルマフィオキーナがプラズマ砲を粉砕したのだ。
バラエーナが破壊された事により、
それと直結している青い翼も、何本かバラバラになって海の藻屑となった。
キラ「くっ!」
まさかの損傷に、明らかに同様して見せるキラ。
とはいえ、まだ冷静さは保たれているようだった。
シン「お前だけが早いとか思ったら大間違いだ!フリーダム!」
握り潰された破片の一部が、拳を開くと同時に海へ降って行く。
シン「マユだけじゃなく、アスランまで殺そうって言うんなら、俺はお前を倒す!フリーダム!」
キラ「マユ?・・・・・君は」
フリーダムがうつ伏せを向いて海すれすれを飛び、逃がさんとばかりにテゥモローがそれを追撃する。
パルマフィオキーナ同様、デスティニーと同装備の武装、
ビームブーメラン、いや、ビームサーベルを素早く両手に持ち、スラスターを全開する!
この武装はビーム部を伸縮させる事により、ブーメランにも、サーベルにも使えるのだ!
シン「えぇい!」
フリーダムを、斬る!しかし避ける!
そこをもう片方のサーベルで隙無く斬り付ける!
ズバァッ!!!
キラ「うわあ!」
フリーダムの左腕がシールドを付けたまま切り離され、爆発する!
さらに斬り付けようとした所を、急速浮上して逃げる。
シン「逃げるのかぁ!?」
釣られて追おうした所を、フリーダムのレールガンが不意を付いて直撃する。
機体が大きく飛ばされる、が
大きく揺れながらもシンは素早く操作し、ビームを短縮した両刃を思い切り投げ飛ばす。吹っ飛ばされながら!
ビームブーメラン!
キラ「・・・・・・!?はゎ!!」 ズギャーン
ブーメランが両方フリーダムに命中!左足とレールガンごと右足を破壊された!
シンとキラと勝負の場所から遥か南東、逃げるセイバーをしつこくザクとディンが追いかけている。
アス「くそっ、このままじゃ」
ビーンビーンビーン
アス「んなはぁ!」
びゅうぅぅぅん
セイバーのエネルギーが切れ、PSダウンを起こす。
Z兵「!?
やったぞ!今だぞ!」
アス「くそう!こんな所で!」
失速するセイバーに近接武器を手に持ったザクが襲い掛かる!
Z兵「くそぉもらったぞお!」
待ちなさい!
アス、Z兵「!?」
攻撃の手を止めザクが振り返ると、そこにはインパルス(フォース)がやってきていた。
ルナ「待ちなさいよあんた達!」
Z兵「なんだ!?いったい
ルナ「その機体は私が持って帰るから、あんた達はさっさと帰る!」
Z兵「へ?いや、しかし」
ルナ「しかしもカカシも無いわよ!フェイスの命令よ!聞きなさい!」
Z兵「フェ、フェイス!?
いや、でもそんな話は
アス「(ルナマリア?)」
ルナ「さっき任命されたのよ!聞いてないの!?
私はインパルスのパイロットよ?分かる?エースパイロットなの!
なによ?それとも私がフェイスに任命されるわけが無いって?」
Z兵「あ、いえ、そんな事は
ルナ「だったら!さっさと基地に引き返して頂戴!
こんなボロボロのパワー切れ起こした機体、抵抗なんてできやしないでしょう?
フェイスの命令よ!さっさと戻りなさい!まだ敵は基地の近くなのよ!」
Z兵「あの、せめてモニターにフェイスの証を
ルナ「壊れてるのよ!早くしなさい!」
Z兵「はっはいぃ!」
インパルスがセイバーを掴み、方向を反転させてゆっくり飛び出す。
ザクとディンも同じく方向を変えて飛ぶが、明らかにインパルスは遅い。
ルナ「運ぶのに時間かかるし、敵がいるんじゃおちおち戻れないから、先行って飛行ルートの確保をして頂戴!」
ルナの命令により遠く、先へと飛び去って行くMS隊。
ある程度まで離れると、インパルスがセイバーが逃げようとしていた方向へと転進。
思い切りセイバーを連れて、逃げる!
さっきのザフト兵はレーダーに映っているにも関わらず、音がならないためかまったく気づいていない。まぬけ。職務怠慢である。
俺もローエングリンゲートを改造して書いてみていいかえ?
書いていいよ
O.K。
wktkしながら待機再開。
315 :
314:2006/04/29(土) 21:20:38 ID:???
今更誤爆してたことに気付いたorz
挟撃戦?
318 :
312:2006/04/29(土) 23:44:53 ID:???
変更点
・ゲルズゲーは異常増殖
・シルエットはブラスト
・ネオ達集合
319 :
312:2006/04/30(日) 03:24:53 ID:???
書こうかと思ったけれど、しばらく先になりそうですわ
では、こちらも遅れて投下
【機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その8
ミゲル・アイマンは目の前のイレギュラーに戸惑っていた。
奇襲を受けたということよりも、此処に何故"ヤツ"が居るのかという衝撃のほうが大きかった。
直にアスラン達の援護に回りたいという焦燥感がこみ上げてくるのを押さえ込み、遼機に指示を出す。
「こちらミゲール。三機同時に攻め込みたいところだが、オロールは俺とラスティの後方で偽装砲台の警戒。見つけ次第直に潰せ」
遼機からの応答が返ってくる。
ミゲールは思った。
さっき、俺達に襲い掛かってきたように"ヤツ"は必ず地上との連携をしてくる。
向こうから手を出す気配はない。俺達をこの場で釘付けできればそれでよいのだ。
時間をかければかけるほどこちらが不利になる。
(奇襲作戦の基本。時間との戦いだ)ああ糞、あのナチュラルどものしたり顔が浮かんでくる!
「行くぞ!」
ミゲール機とラスティ機はMMI-M8A3 76mm重突撃機銃を連射しながら左右に分かれて接近する。
今居る場所はMSの背丈ほどがあるビルが点在している商業地区。アスラン達からはまだ遠い。
こちらからの銃撃を"ヤツ"は地形と盾を利用し巧みに防ぐ。
76mm弾は妙に強固に作られたビルを貫けないばかりか、盾にほぼ完全に防がれる。厄介だった。
重突撃銃は装甲の薄いリニア自走榴弾砲やレーザー誘導式ミサイルランチャー搭載トラックのブルドック等を相手にするには、弾数との関係から効率のよい兵器だ。
が、当然だがまとまった装甲には威力不足だ。
"ヤツ"も盾を構え、ミゲル、ラスティ後方のオロール機の位置を考慮して移動しながら同じ重突撃機銃で撃ち返す。
突然ラスティが通過した商店街からレーザー誘導式ミサイルが数発打上げられてくる。ほぼ後方から角度を変えて襲い掛かるミサイル。
誘導レーザーが放たれる位置にオロールが即座に銃撃を加え沈黙させる。誘導を失ったミサイルは直進し住宅街に落下。閑静な住宅街を炎に包む。
相互に牽制しあい、巨人同士の戦闘はアスランたちの居場所へ近づく。
それは明らかに誘いの臭いを発していたが、アスラン達との距離を縮めたいミゲルたちにはそれに付き合わざるを得なかった。
本来の予定ならベテランが乗った三機のジンがMS拿捕の援護に回るはずだった。
ヘリオポリス防衛隊は情報通りの戦力なら、その数が二倍であろうと既に蹴散らしているはずだった。
イレギュラー。
そう、ヘリオポリス内でミゲール達を阻んでいる"純白のジン"の存在を、この時いったい誰が予想しえたであろうか!
身動きが取れないアスラン達の耳に、更なる危機を予想させる音が入り込んできた。
全員の背筋を凍らせるのは間断なく響き渡る銃声ではなく、耳障りなアクチュエーター音であった。
ディアッカが一人、伸縮式ミラーを塀から出し、使い音のする方を覗いた。途端に銃弾がミラーに集中し、砕く。
今の状況で最も見たくないものを観てしまったディアッカは叫んだ。
「グゥレイトッ! あいつらとうとうパワードスーツを出してきやがった」
あ〜ようやく題名らしい題名がつけられたw
我らがクルーゼ隊長はこの時はまだ宇宙でフラガと戦っていますんで^^;
さて、オリ脇キャラをそろそろ出さないとな〜
(名前考えるのメンドイ)
煌めく凶星Jがなぜここに・・・
続き、待ってます。
一つ言わせてくれ
ミゲールって誰だwww
>>324 俺も知らんw!
きっと半分寝ながら書いてるんで、妖精さんがお手伝いしてくれたんだ!
だから「ミゲール」は悪くない!
悪いのは俺!
(ミゲルよスマヌorz)
>>323 感想マジアリ
保守
age
>>311 > なによ?それとも私がフェイスに任命されるわけが無いって?
ワロス
何でルナは裏切ったの?
武装を破壊されボロボロとなったフリーダム。
キラ「・・・・・・こんな」
シン「くそっ・・・・・・なんなんだよ・・・・・本当に・・なんだよお前は」 シンの顔が陰る
キラ「君・・・・・」
シン「フリーダム・・・・・俺は、おれはぁ!!!
・・・・・俺は、別にあんたが、今さら何したって文句言う気なんてないさ
あの日、オノゴロで俺の家族が、あんたに殺された事、責めたりしようなんて思わない」
キラ「!?」
シン「だけど!
だけど、あんたが仲間を、俺の、あんたの仲間を殺そうって言うんなら!
俺はあんたを絶対に許さない!あんたがどれだけ正しいとしても!それだけは、それだけは絶対に許せないんだぁ!!!」
力いっぱいに叫んだ声が、キラのコクピット内に響く。
キラ「君・・・・・そう、あの時に・・・
ごめんね」
シン「!?」 顔を怒りを帯びたように歪ませるシン。
キラ「そうだね・・・・・君が怒るのも無理無いね
僕は君の大切な人を殺してしまっただけでなく
今度は、自分で、自分の意思で、君の、
そして僕自身の、大切な人を殺そうとしてしまったんだから」
シン「だまれぇ!!
ごめんねなんて、いらない!
そんな事言うなら今すぐそれから降りろ!アスランに謝れ!ふざけんなこの野郎!」
キラ「でもね」
シン「だまれって言ってんだろ!この馬鹿!」
キラ「それでも、それは仕方が無い事なんだ」
シン「!?」
キラ「その犠牲も、僕がアスランを撃とうとした事も、仕方が無い、事なんだと思う」
シン「何を・・・何を言ってるんだ、あんたはぁー!」
キラ「仕方が無いなんて、それも言い訳だけど
でも、それも、これから僕達がする事のためには」
シン「これからする事?
世界を好き勝手にする事が何だって言うんだ!あんなもの!」
急にキラの顔がやさしくなる
キラ「聞いて
僕達が目指す世界を、本当に望んでいるのは、君のはずだよ?」
シン「!?」
キラ「本当に世界を守りたい、誰にも悲しんで欲しくない、傷ついて欲しくない、
そう思う人なら、デスティニープランは、絶対に間違ってるなんて言えないものだと思うんだ」
シンの顔が益々怒りに満ちる
キラ「君が望むものは、本当に望んでいる世界は、僕達の場所にあるんじゃないかな?
その機体、デスティニーは、そのために作られた機体なんだ 本当にみんなが幸せであるために
大丈夫、君になら
だって君は
シン「もういい・・・・・」
キラ「君?」
シン「もういいだろう!!!」
キラ「だめだよ!ちゃんと言葉を
シン「もう、うんざりだ!
俺は、こんな事のために、ここにいるんじゃない!俺は・・・・・・・・・!?」 ズギュー
フリーダムのライフルが、寸での所で機体をかすめる。
シン「・・・・あんた」
キラ「ごめん・・・・・・もっとちゃんと話そうと思ったけど」
さっきまで恐ろしい形相をしていたシンの顔が、今は何か呆然とした面持ちとなっている。
シン「・・・・・・は?」
キラ「・・・・・・・・」
フリーダムが無言で襲い掛かる。
ルナ「まったく無茶苦茶しますね」
セイバーを抱えながら飛行するインパルス。
アス「ルナマリア・・・・・・・なぜ?どうして俺を助けてくれる?」
怪訝そうな声で聞くアスランに、ルナが少し怒った口調で答える。
ルナ「まったく、人付き合いは上手じゃないって言ってたけど、こっちも全然駄目なんですね
正直がっかりです」
アス「?
えっと、ルナマリア?」
ルナ「これでも結構積極的にアタックしてたつもりなんですけどね
あなた、ちゃんと言わないと分からなそうだから言いますけど
(苦笑混じりに)私、あなたの事、ずっと好きだったんですよ?」
アス「はっ、うぃ、うえぇ!?
あっ、いや
まさか、それで俺を?」 キラと対峙した時よりも露骨に慌てるアスラン
ルナ「まさか!
それだけでこんな事したりしませんよ!
勘違いしないで下さい!
私はただ・・・・・・・メイリンが」
アス「メイリン・・・・・そうか
いや、でも、それでもこんな
ルナ「馬鹿だって言いたいんですか?」
アス「い、いや!」
ルナ「私だって馬鹿な事したって思ってますよ
でも、あの子は、メイリンは・・・・・・・・あの子、私が居てあげなくちゃ駄目なんです」
アス「ルナマリア?」
急に声に影を落とすルナに心配になる。
ルナ「私達、ずっと二人だったんです
あ、両親はいますよ、一応・・・
一応・・・・・いるんですけどね
それでも、メイリンと二人で生活する事になって
いつも二人で、頑張って生きてきたんです
ちょっと頑張りすぎちゃって、軍になんて入っちゃったけど・・・・・・どこで間違えちゃったのかなぁ」 作り笑いで必死に笑い飛ばす
アス「・・・・・・」
ルナ「かわいそぶりなんて思われたくないけど、結構苦労して、やっとまともに生活できるようになって
軍でもどんどん上に上がって行って
でも、そいうの全部、メイリンが居てくれたからやってこられたんです
あの子と二人で・・・・・・
ずっと一緒に頑張ろうって、だから同じ所で、同じ船に・・・・・・なのに、なのにあなたが!」
アス「ルナマリ、うわぁあぁぁぁ」 セイバーがインパルスにゆさゆさと揺すられる
キラ「うぅぅぅっ!」
シン「があっ!」
半壊したフリーダムの猛攻をひたすら避けるシン。
シン「おまえぇぇぇぇぇ!
くそっ!お前は!」
キラ「くうっ」
もう片方のサーベルを持って、激しく斬り追うキラ。
シンは反撃せず、ひたすら避ける。
シン「あんたは・・・・・・・・・・くそっ
一つだけ答えろフリーダム!
お前は、お前はまだ、アスランを殺せるって言うのか?」
キラ「・・・・・・・・うん
僕は、どうしても僕は、そうじゃない、守りたい人が、守りたい世界があるんだ・・・・・だから!
君が立ちはだかるなら、僕は!!!」
パアァァァァァン キラの力が覚醒する!
シン「・・・・・あんた・・・・・・・・・・・あんたって人はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ズパァァァァァァン シンの怒りが爆発し覚醒!
フリーダムが真っ直ぐにサーベルを突き出し突撃する!
テゥモローはシンの叫びと共に大型スラスターを開き、オレンジの光を全開する!
そして、背中の銃砲剣を一機掴み、両手で持って、その砲口をフリーダムに向ける!
一直線に向かうフリーダムを狙い、銃剣の先端上部、エネルギー砲塔が光を放つ!
シン・キラ「う゛わあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
銃剣の極太のビームが海を裂いて爆進し、フリーダムに、当たる!
激しい唸りを上げて、焼き切れた金属が砕け、蒸発する。
が、砕かれたのはフリーダムの翼!
失速しながらも猛進して、テゥモローに襲い掛かる!
キラ「あぁぁあっぁ!」
サーベルがテゥモローの頭に!!!刺さらない!?
シン「ぶぅわぁかぁやろおぉぉぉぉぉぉ!!!」
クロスカウンターの如く機体をねじ込み、拳をフリーダムの腹に突っ込む!
キラ「ぬわぁにっ!」
ズキュン!
高く短い音が響き、フリーダムの腹が発光する! ボガーーーーーン!
テゥモローの拳のビームがフリーダムの腹を砕く!
拳で突き飛ばされたかのように、フリーダムが後方に海老反りでぶっ飛んだ。
そして、炎を上げながら、海へと大きな飛沫を上げて落ちた。炎上した、が、爆発は見られない。
シン「・・・・・・・・・・」
その様を光の無い目で見つめ、身を翻し、基地とは反対方向へと去って行く。
数刻後そこには、炎上する、かつては美しい翼を持っていた鉄くずと、
基地より後発したMS隊の姿だけが残されていた。
GJ!
シン、ラクス仕込みのキラの電波なんか聞いたらダメだ!
続編乙!
おっ!GJ
職人さんGJ
現在、ローエングリンゲートがやたら長くて手こずってるので、先に落としやすそうな
ものを書き直してる。書けた場合には落とします
最初の予定と大分違ってしまったorz
戦闘がこれほど難しい物だとは・・・・・戦闘と同時進行だとセリフが大分変わってきます。
ルナ「ほらっ、ほらっ!」
アス「あぶふぐぶれぐっ!
よっよせ!ルナマリア!」
みるみる顔色が悪くなるアスランを執拗に揺するルナ。
ルナ「嫌なら言いなさい!
メイリンは何所?何所に連れて行ったの?
あなた知ってるんでしょ?ねぇ!教えなさいよ!ねぇ、ねぇってば!」
ガクガクガクガクガクガクガクガク オエッ
アス「あ・・ぐっ・・・ぐふ・・・・・ルナマリア・・・メイリンは」
ルナ「みんな・・・みんな、メイリンはあなたと一緒にスパイだったって言ってるけど、
私はそんなの信じない!
あの子が・・・そんな事するはずない・・
だから、あなたなんでしょ?あなたがメイリンを、メイリンを無理やり連れてったんでしょ?そうなんでしょう?
ねえ?聞いてる?」
アス「すまない・・・ルナマリア
こう揺れてると・・・・・答えるに答えられないんだが・・」
アスランの顔が今日一番に歪んでいた。
O兵「ちょっ!だめ!だめですよ!」
ネオ「いいから貸せって!」
O兵「あなたには何も命令は出ていないんでしょう?
なのに出てくって、そんなの駄目に決まって・・・・・ああっ!」
ネオ「すまない!借りるわ!」
AAから下ろされていたスカイグラスパーに無断で乗り込んだネオ。
オーブ兵の始末書を増やしてまで彼が向かう、その場所とは・・・
管制「お前何をして
ネオ「ネオ・ロアノーク、出るぞ!」
スカイグラスパーは海の彼方へと飛び出していった。
そのころスティングは、
オク「おーい!これ、トイレ詰ってるじゃねーか!」
ようやく揺れが止み、ぐったりしながらも何とか意識を保っているアスラン。
ふざけているのか、本気なのか、
よく分からないルナに経緯を説いている。
アス「・・・・・だから、俺達はあの場でみすみす殺されるわけにはいかなかったんだ」
ルナ「・・・へぇー、そうなんですか、それは災難でしたねー」
アス「ルナマリア!信じてくれ!俺は本当に
ルナ「信じられるわけ無いでしょう!何よ、そんな変な嘘
逃走当時錯乱してたって聞いてたけど、あなた、今も?」
アス「本当なんだ!信じてくれ!頼むルナマリア!」
ルナ「そんな事言われたって・・・・・・・へ?何これ?」
ヒューン ダダダダダダ ダ ダン!
アス「どぶぐぅわあぁ!」ルナ「キャーーー!」
突如起きた爆発に激しく揺さぶられる2機。
ルナ「な、何?」
ルナが後ろを確認すると、そこには追い返したはずのMS隊と、己の母艦ミネルバの姿があった。
全て銃口をこちらに向け、戦闘態勢を取っている。
保守
age
すまん。
PC逝きそうで、たぶんこの先ほとんど書けそうにないです。新しいPCとかほぼ不可能なので。
もしもの時は、誰か、シンを、頼む!
せめて想定していたあらすじだけでも。
ルナ、アスランオーブへ(ネオが助けに来てくれるが、逃げた後)→アスラン引き篭もり→シン一括、メイリン説得→
連合、ザフトの非運命計画国進行→オーブはシン・テゥモロー、ネオ・カオス、ルナ・セイバーで止めるべく出撃→
連ザはキラ・ストフリ、レイ・レジェンド、デストロイ、ザク、グフ、ドム、ウィンダムで出撃(ミネルバにはMSレジェンドのみ)→
明日VS攻撃自由、混沌VS伝説で連ザ圧倒的有利→アスラン、メイリンの言葉で復活、∞正義で出撃→
混沌大破、ネオAAに着艦→明日VS攻撃自由、伝説で絶対絶命の所をアスランが駆けつける→
隠者と攻撃自由が刺し違えて、お互いシン、レイに引かれて撤退→オーブ以外のほとんどの非計画国消滅→
さらに連ザのレクイエムが、生き残った国を宇宙から狙い撃ち→オーブ軍、レクイエム破壊のために宇宙へ出撃→
シン・明日、アスラン・隠者(俺の機体はなぜか赤だ)、ネオ・暁、ルナ・セイバー(私の機体カラーも赤なのよ!)
カガリはお留守番(首相が戦闘に出るわけにもいかず)→
明日、隠者、暁VS攻撃自由、伝説、トリプルドムの乱戦→
明日がトリプルドムの先2機を正面から串刺し、さらにそのまま銃剣のエネルギー砲で3機目まで吹っ飛ばしてドム全撃破→
ルナ率いるムラサメ隊によって、ステーションがいくつか破壊されるも、依然状況は変わらず→
明日を本部へ行かせ、アスランがキラを正面から相手に、ネオはレイと因縁の対峙→
レクイエムへ向かうシンの前に強化デストロイ、搭乗者は議長とパイロット数名からなる複数、
数によって動かすタイプのデストロイ・デュランダムが立ちはだかる→
間接をひたすら狙うも不利になる伝説は、暁を置いてギルの元へ急ぐ→
圧倒的物量のデュランダムにボロボロになって行く明日、しかし、そのスピードと手ビームを生かして接近攻撃→
「ギルに近づくなー!」レイがシンを襲う→レイが自分の全てを明かし激しく責め立てるも、
かつてどこか自分に似たステラを「どんな命であろうと生きられるなら・・・」と逃がした自分と、シンの心から自分を友と呼んでくれる事に迷い、
シンの言葉と放火によって、レイ、伝説は大破してさ迷う→
伝説の方へ向かう暁だったが、ミネルバの陽電子砲がAAを襲い、それの盾となって記憶混乱、マリューの声を聞きムウとしての記憶を取り戻す→
暁によって大破したミネルバ、クルー全員がAAによって救助される→
さ迷っていた伝説を回収、全てに疲れ果て泣きじゃくるレイを、タリアがやさしく抱きしめる「お、かあ、さん」→
半壊しながらも隠者を退けた攻撃自由が、デュランダムにボロボロにされた明日にさらに攻撃を加えにやってくる→
セイバーがレクイエムに取り付いた事を聞き、キラが血相を変えてレクイエムに向かう「あそこには、ラクスが!」→
明日の必死に猛攻によってやっとダメージが浮き彫りとなってきたデュランダム、
しかし、月の影から現れたメサイアのネオ・ジェネシスによって、オーブ軍の戦力がほとんど奪われた
一緒に連ザの相当の戦艦も・・・→
駆けつけたキラに大苦戦するルナとムラサメ隊、ルナが死を覚悟した時、半壊しながらもリフターに乗って駆けつけたアスランが→
レクイエム、デュランダム、メサイアと、大量破壊兵器の嵐に負けを意識するシン、が、ムウのシンへの言葉、
ステラへの思い、シンが真に望んだ事を気づかされた時、シンは瞳に光を取り戻し、デュランダムに最後の攻撃を仕掛ける→
ギル「君達には何も救えはしないのだから!」シン「それでも!守りたい人達がいるんだー!!!!!」
銃剣をデュランダムに強引に突き刺す(対艦刀として機能しない装備を無理やり使ったため、当然武装は大破)
爆発の寸前、議長だけが脱出して、メサイアへと逃げおおせる
ラクスを、彼女が何を望んでも、何があっても守り抜きたいと言い切るキラ、それでもと止めに掛かるアスラン、
その隙にルナ達は中心へ進む
レクイエムの照準がオーブを捕らえる→
ほぼ全壊した明日が議長を追ってメサイア内部へ(ジェネシスを破壊したいが、今の状態では不可能なため)
議長と銃を向け合い対峙する→
レクイエム発射、寸での所でセイバーの高エネルギー砲が砲塔を破壊、基地が爆破する→
お互いもう武器がほとんど残されていない、キラ、アスラン、そこにラクスの脱出艇が→
ラクスを保護(確保)しようと近づくセイバーを目にした時、キラの悲しい記憶が呼び起こされる
「やめろ・・・あれに乗っているのは・・・・・・・・!?フレイ!?そんな・・だめだ!!!」
かつて目の前で消えて行った命へのトラウマに動かされ、セイバーに斬りかかるキラ「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ルナ「へっ?」ビームサーベルがセイバーを、確保した船ごとセイバーを斬ろうと振り下ろされる→
しかし、隠者が割り込んで、機体を盾に守り抜く(シールドはすでに破壊されているため)
アスラン「キィィラァァァ!ばかやろおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」隠者の足のビームブレイドが攻撃自由の腕を奪い弾き飛ばした
キラは叫び声を上げながらコクピットから弾き飛ばされ、隠者の手に覆われる
攻撃自由が核爆発を起こし、大破した→
議長の正論とシンの感情論、シンの言葉を理想論だと笑う議長だが、シンは負けたりしない
理屈や正当性が証明されている行為だけで全てが救えると言うお前達も、
自分達と何の違いも無い、ただの理想論者、何も救えない、ただの人だと、無理な頭で必死に考え反論をするシン
シン「いっくら頭の良い理屈を言ったって・・・・・・・・それに、いくら同じ事を望んだって、人は一つじゃない!」
議長「では、いったい何がこの世界を救えると言うのだね?君にも分からないのだろう?誰にも・・・・・
だからこそ、私は、せめて私達ができる最大限の救いを求めたいだけなのだ
その気持ちは、やはり、私と君、何も違いはしないのだから」
シン「でも!
それでも、見えている世界だけが、分かっている世界だけが、全てだなんて思いたくない!
俺は、俺はただ、明日を、
どれだけ傷ついても、間違っても、馬鹿みたいに這いずり回っても、
それでも涙を流して、ふとした時に見せるやさしい笑顔、
俺はそんな、笑顔が無くせない明日を守りたいんだ!」
議長「そうかあ・・・」
もはや語るまいと、銃を突きつけあい、そして
ジェネシス発射まで数分、
銃声が響き、鮮血が宙を舞う、撃たれた、議長が
駆けつけたアスランに「シン・・・」「アスラン・・・・・」
アスラン「かつてあなたから受けた『もし、自分が道を誤った時は、止めてくれ』・・・という命
確かに果たしました・・・・・・議長」
議長「ああ、そうか・・・・・・・・ありがとう、アス・・」→
大粒の涙をこぼしキラを抱くラクス、
キラがうっすら目を開く「ラクス・・・・・・ごめん」「いいのです、もういいのです、あなたさえ無事でいてくれれば」
キラとラクスは大泣きしながら脱出艇の中で抱きしめあった
ルナのセイバーに運ばれ、AAへと
かつて二人が出会った場所へ→
ジェネシスが発射完了、両軍を射程にその放火が放たれる
が、ムウの暁が砲塔のシールドを突破し、砲塔へ捨て身の突撃をした→
メサイア爆発、オーブは、残存両軍は撃たれなかった
しかし、滅び去った戦場の中で、皆呆然としていた、→
マリュー「ムウ・・・・・・シンくん、アスランくんは?」→
燃え上がる要塞、恐らく、シンとアスランとムウは・・・
ルナ「アスラン・・・・・・・・」メイリン「アスランさん・・・・・・」
オーブ、
スティング「・・・・・・ネオ」カガリ「アス・・・ラン・・・・・・・シン」
シン シン!
「え?・・・・・・・・・ステラ?」
シン、大丈夫、シンは、大丈夫
「ステラ・・・・・・・うん!分かってる、俺は・・・・・大丈夫だ」
うん、シン!
「ああ、だからおやすみ、ステラ
また、明日・・・」
すうっと意識が引き、目を覚ました時にはコクピットの中だった
アスラン「おい、大丈夫かシン?」
シン「アスラン・・・・・・・・・ああ、ちょっと疲れて寝ちゃってただけだ」
アスラン「寝ちゃってたって、お前・・・・・・まあ、仕方ないか」
他愛も無い会話をしながら、二人は帰ってゆく→
一際大きい爆発で、メサイサの大半が吹き飛んだ
一同が目を見開いて落胆する、が、モニター越しに、今、彼らが映る
リフターにぶら下がる隠者、リフターの上で片膝を付いて、疲れきったかのように座り込む明日が
そして、表面をドロドロに溶かして、一部黒く濁らせた暁が
マリュー、ルナ、メイリン、スティング、カガリ、そして、シンの親友レイが、溢れんばかりの笑顔で彼らの帰りを歓迎した
シン「帰ったらちゃんと言ってやって下さいよ?」
アス「ん、何がだ?」
シン「ルナかメイリンか!
見ていて恥ずかしいんですよ!馬鹿じゃないのかと・・・・(ブツブツ)」
アス「う゛ぅ゛」うなだれるアスラン
ムウ「おーい!坊主!元気かー?」
息を軽くつき、シンがやさしい口調で答える→
その後、両軍の間で停戦が結ばれ、戦争は終わった・・・・・戦争だけは
ネオ・・・・・じゃなくてムウはAAの艦長さんと一緒に働いてるらしくって、なんでも相当の馬鹿ップルらしい(腹が立つ)
スティングはオーブの科学力のお陰か(素直に喜べないのはなんでだろ)大分体調が良くなったらしい(それは良いんだけどオーブのry)
フリーダムのパイロットとラクス・クラインは、いつのまにか脱走して行方知れずらしいけど・・・・・・・
そうそう、アスランがプラントに逃げたんだ!
ルナとメイリンとアスハと、それとミーアって人に追われて、はっきりしないで出てったんだと
ルナが「こっちは真剣にプロポーズしたっていうのに何よ!あの女垂らし!こうなったら死ぬまで追いかけてやるんだから」とカンカンに怒ってたっけ
俺は、というと、オーブで機械いじりをしたり、アスハの頼みで戦後の何か、色々、してたんだけど、いつのまにか雑貨屋の店員にされた
意味が分からないよ、まったく
なんで俺がこんな事
「すいませーん!」
「あ、はいはい!なんでしょう」
これとは別に、俺はしなくちゃいけない事が山ほどある
荒れ果てた地上と情勢
俺が選んでしまった道、俺が滅ぼしてしまった場所
時々、議長の言葉が夢に出てきてうなされる
けど、俺は逃げたりなんかしない、絶対に!それが、俺の明日なんだから!
「おにいちゃん、これ下さい」 笑顔でベーキングパウダーを持つちっちゃい女の子
俺は、この笑顔だけで、ずっと、絶対に負けたりしないのだから!
「毎度ありがとうございます!」
明日をシンじて飛べシン 終わらない明日へ〜完〜
大分突っ込み所がある内容だけど、シンを主人公として大活躍させたいという願いが叶えられて本望です。
書いてる途中で落ちちゃったりして、最後まで書けないかもと心配だったけど、書けて何よりです。
ムウさん助からない方が自然だったけど、個人的に幸せになって欲しいという理由で生き残らせてしまった。すまん。
キラとラクスは、今後どうするのかまったく考えてません。ご想像にお任せします。
デュランダムに関しては、以前種死本スレで上がってたネーミングをそのままお借りしました。
レイはその後、余命が短いけど一生懸命頑張って生きています。
シンとよく会っていて、店番させられたりしてます。
そしてシンは
シンは、かつて自分の家族が死んだ場所の付近、慰霊碑の前までやって来ていた
そして、慰霊碑に花を飾って、横に花をせっせと植えている
そこに、前にここで出会った男の人がやってきた
言葉少なげに会話をした
「ここ、また荒れちゃったね・・・・・・・前に君が言っていた通り、やっぱり、人は何度でも吹き飛ばしちゃうのかな?」
シン「俺は、俺たちは、吹き飛ばされても、何度でも何度でも、花を植えるよ!」
「・・・・・・・君・・・・・その声」
シン「一緒に、植えませんか?」シンがスコップを差し出す
「・・・・・・・・・はい」涙を流して鼻を啜りながら、彼は、キラはシンの手を握り、スコップを手にとって植え始めた
小さな、小さな、その苗木を
ここまで書かせて頂けてありがたく思います。
スレを立ててくれた方、職人の方々、そして、読んでくださった全ての方に感謝します。
本当にありがとうございました!
映画化でシンがどういう扱いを受けるか気になりますが、俺はキラ達の仲間になってもシンは頑張ってくれると信じ込んでいます。
シンは絶対にしょぼくれたまま終わったりしません!
明日を信じて、今度こそ大活躍だ!シン!!
くうッッッ;;
明日シンさん、復帰をお待ちしていますノシ
終わっちゃったの?
念のため保守
まだ大丈夫みたいなんで小ネタを少々。
スティングとゆかいな仲間達
オク「ふざけるな!」
シン「ふざけてるもんか
俺はあんたに店番をして欲しいんだ!」
1ヶ月ぶっ続けで雑貨屋の手伝いをしていたシン。
さすがに休みたいというか、出かけたいので店番を頼む事にした。
オク「なんで俺なんだよ!そいつにやらせればいいだろ!」
カーテンの裏で縮こまり身を震わせるアスランに、指を指しながら言うスティング。
シン「だめだって!アスランは外出られないんだから
ルナやメイリンに見つかったら、また何されるか・・・・・・・家に居たら居たで、盗撮写真とか不正アクセスでメイリンの写真が大量に
アス「すまない、シン
思い出したくないんだ・・・・・」
シン「・・・・・・・本当に何やってるんですかあなたは」
呆れるシンと、顔を引きつらせるスティング。
シン「そういう訳だから、頼む!」
オク「あー!もう、分かった!
分かったから、鼻水垂らしながら顔を寄せるな!」
こうしてシンは出かけて行った。
オク「・・・おい
お前、なんで、んな事になってんだ?」
アス「・・・・・・・」生気の無い顔で何も答えない
オク「まったく・・・!?
おい!お前、なんだかよく分からないけど、逃げろ」
アス「?」
首を傾げるアスランに、スティングが青すじ立てながら言う。
オク「ホーク姉妹だ」
アス「フォンドゥブオゥ!?」
ものすごく怯えた顔をして、アスランが立ち上がり、ものすごいスピードで裏口から逃げていく。
そして数秒後
ルナ「そっち行ったわよミーア!」
ミー「アースラーン!」
アス「ぐわぁ!陽動か!?死、死ぬ!いや、いやだぁ〜!」
割と安定したオーブの領内に、戦場のような声が響き渡った。
お昼
コッペパンにジャムを付け、食べ、薬を飲んで一息付いたスティング。
お客さんが来た。
オク「いらっしゃー・・・・・お前かよ」
来たのはレイだった。
彼は普段はタリアと一緒に居るが、タリアが居ない時はこうして店にやってくる。
レイ「シンは?」
オク「出かけてる、俺は店番だ」
レイ「そうか」
そっけ無く言って帰ろうとしたレイを、スティングが腕を掴んで止める。
レイ「?・・・・・・なんだ?」
オク「お前も、手伝え!」
店番が一人増えた。
少女「こんにちわ!おにいちゃんいますか?」いつもの女の子が来た
レイ「シンは居ない」オク「いねー」
少女「そうですか・・・」
レイ「君も、手伝ってくれ」オク「あん?なんでこいつまで?」
レイ「・・・・・今に分かる」
店番が一人増えた。
レイ「いらっしゃいませ」オク「らっしゃい」少女「いらっしゃーい!」
店の中は大量のお客で溢れていた。
「きゃー!あなたすごくハンサムね!写真撮らせて!」「緑の髪のあなた!その悪顔たまらないわ〜!」
オク「ぐっ」ものすごく嫌そうな顔で仕事をこなすスティング
レイは、まったく動じず、仕事をサクサクこなしていく。
オク「いつも、こうなのか?」
レイ「手伝いに来ると、なぜか、な」
スティングは店番を引き受けた事を心底後悔した。散々揉みくちゃにされ、スティングの精神は心底磨り減ったそうな。
「おじょうちゃん可愛いね!おじさんとこっちで良い事しないかい?」
少女「?」オク「やめんか変態!」
やっと客が減って一休み。
スティングと少女がおやつを取りながら、何やら会話している。
レイはあれだけ働いたと言うのに、全然元気で仕事を続けている。
レイ「さて、俺も少し休憩させてもらおうか」
少女「それじゃあ私が代わるね!」
少女に代わって、レイが椅子に付く。
オク「大変だなー」レイ「そうでもない、結構、楽しい」オク「・・・・・・」
ちょっぴり嬉しそうな顔をしながらお茶を飲むレイに、スティングは何かやさしい物を感じた。
オク「そうだ!さっきあいつに、オーブで流行ってるっていう歌を教えてもらったんだ」
レイ「ん、どんな歌だ?」
オク「頭頭頭〜♪頭を食べると〜♪
魚魚魚〜♪魚が良くなる〜♪」
レイ「逆だ!!!」
その頃、シンは慰霊碑の前の崖まで来ていた。
シン「もう、いい加減引きずってちゃいけないよな
・・・・・・・マユも、安心して眠れないし」
形見の携帯を手に持ち、振りかぶって、海に投げた。
ドボン
シン「・・・・・・・・」
シンは寂しそうな、しかし、明日に向かって、今を、自分をしっかり見つめている顔で、その場所を後にした。
シン「今日は本当にありがとうな」
オク「・・・・・・・・二度と、やんねーぞ」
やっと解放されたスティングは、よろよろと道をさ迷いながら帰って行った。
シン「ふう・・・あれ?ルナ」
ルナ「シン!ちょっと・・・」
シン「どうしたんだよ」 ルナ「これ」 ルナの手には、さっき捨てたはずの携帯が
シン「・・・・・あれ?」 ルナ「これシンのでしょ?アスランが海に逃げたから泳いでたんだけど、これ見つけて」
シン「あ、うん」 ルナ「やっぱりあんたのね!よかった!私が見つけなかったら、一生見つけらんなかったわよ?」
シン「あ、えと、ありがとう」
満足そうな笑みを浮かべて ルナ「うふふ、私に感謝しなさい!」
シンは心底複雑な顔で御礼を言ったそうな。 シン「壊れてるな、これ・・・」 スティングとゆかいな仲間達〜完〜
明日シンイイ!www
オーブの最新流行クソワロスwwwwwwwwwwwwwww
明日シン、おお!
無事でしたか!
楽しく読ませていただいておりますw
保守
371 :
俺流種死:2006/05/21(日) 11:45:17 ID:???
C.E71/6/15…
オーブ連合首長国 オノゴロ島沖には、海を埋め尽くすのではないかというほどの数の艦隊が佇んでいた。
しかし、それはオーブ軍の艦ではない。
地球連合軍の大西洋連邦を中核とした部隊だった。
数週間前に地球連合加盟各国からの共同声明が発表された。
それは、現オーブ政府の中立政策は、プラントへの利敵行為に当たるとし、連合への協力が得られない場合敵国とみなし武力によってこれを排除するという物であった。
後に、オーブ解放作戦と呼ばれる地球連合軍のオーブ侵攻作戦である。
この作戦の裏には、ザフトのオペレーション・ウロボロスによって陥落したパナマ基地の打ち上げ用マスドライバーの代わりを早急に欲していた連合側の思惑があった。
だが、時のオーブ政府の実質的な代表であるウズミ・ナラ・アスハは、この要求を飲まず、なんとか交渉で解決を図ろうとするも、連合側は交渉に応じる事無く要求の期限は過ぎ、そして戦端は開かれた。
372 :
俺流種死:2006/05/21(日) 11:46:52 ID:???
オーブ連合首長国・オノゴロ島
連合の標的になったのはオーブ本島ではなく、マスドライバー「カグヤ」と、半国営企業モルゲンレーテの工場があるオノゴロ島であった。
政府の避難勧告の遅れから、オノゴロ島の住民は戦端が開かれた今でさえまだ島に残っていた。これは楽観的な政府首脳だけではなく、国民全体の危機意識の低さから来たものでもあった。この家族にしてもそうだ。
今になってようやく非難船の停泊している港へ急いでいる。
「お父さんもう疲れたよ〜」
「あと少しで港につく!もう少しがんばるんだ!」
「それにしても非難船はまだ居るの?!」
「くそっ!まさか本当に戦争だなんて…」
ぐずる女の子を励ます父親に非難船がいるか心配する母親、そして今来た道を振り返りながら彼方で煌く爆光を見て憎憎しげにつぶやく少年。
沿岸部が戦場になっているため車が使えず、やむを得ず山道を徒歩で走っているわけだが、しかしこれも戦争になりっこないと信じきっていた彼らの招いた事態だった。
「あっ!」
急いで走っていた女の子のポケットから携帯電話がポロっと出て、山の斜面をコロコロと落ちていってしまう。
「マユのケータイが〜!」
「そんなの放っときなさい!」
「いや〜〜!!」
携帯電話を追って斜面に向かおうとする女の子を母親が引き止めるが、女の子は言うことを聞かない。
「俺が取ってくる!そのまま斜面を下りてくから先に行ってて!!」
見かねた少年はとめる暇も無く斜面へと駆け下りていく。
「シン!!」
「ちゃんと拾ってきてよお兄ちゃん!」
「任せとけって!」
少年は木にぶつからないように注意しながらどこかに引っかかってないかと携帯電話を探す。すると、斜面の途中の木の根元に引っかかっていた。
「あった!」
携帯電話を拾い、そのまま斜面を下っていく。もう少し先で森が途切れ、その向こうには港と非難船が見えた。
「よしっ!間にあっ…」
背後で爆発が起きたのはその時だった。少年は爆風に吹き飛ばされ、勢い良く木に体をぶつけるとそのままゴロゴロと山を転げ落ちていく。
数秒か、数十秒か、それとも数分だろうか?それほど時間はたっていないと思うが、気絶していた少年が目を覚ますと体中の痛みに顔を歪ませる。
それから手の中に携帯電話があるのを見て、痛みに耐えながら体を起こす。
「痛っ…」
したたかに体を打った後である。あちこち痛いのも仕方ない。そして吹き飛ばされた山の方を見る。
373 :
俺流種死:2006/05/21(日) 11:49:47 ID:???
そこは、つい先ほどと同じ場所とは思えないほど一変していた。
「父さん…?
高熱で溶け、マグマのように沸騰する大地。
「母さん…?」
燃えるどころか、炭化した木々。そして、所々にちらばる『何か』
「マユ?俺、ちゃんとケータイ拾ったぞ?」
よろよろと山に向かう少年。
「皆どこにいるんだ? 父さん?母さん?マユ?どこにいるんだ?」
「オイ君!」
爆発を見てやって来た軍人が声をかけるが、少年の耳には聞こえなかった。
「父さん!!母さん!!マユ!!俺はココだよ!!!返事をしてよ!!どこにいるのさ!!!」
じゅうぅぅぅ……と足元で嫌な音がする。沸騰した大地に靴のゴムが解けているのだ。
「父さん!!母さん!!!マ…ュ……」
灼熱の大地で彼が見たのは、この世から『無』くなった家族の姿だった。
あるいは吹き飛ばされた岩に、あるいは蒸発するほどの熱に、体中が引き裂かれ無残な姿を晒している。
ボロボロになっていたが、それは確かに先ほどまで一緒に居た家族が着ていた服だった。
374 :
俺流種死:2006/05/21(日) 11:50:42 ID:???
「ぁ……ぁ…ぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
『それ』を家族と認識したとき、少年の中で何かが壊れた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「君!早く非難するんだ!!」
「ああああああああああ!!あああああああああああああああああ!!!」
追いついた軍人が少年を連れて行こうとするが、少年はただ涙を流し叫び続けるだけだった。
少年を正気に帰したのは、皮肉にも少年を壊した物と同じだった。
再び爆発が起こり、少年と軍人は吹き飛ばされる。少年を庇うように抱いた軍人が無事を確認しようと少年を見ると、彼は空を見つめていた。
そこには破壊の光を捻じ曲げる、亀の甲羅を被ったような黄緑色のモビルスーツ。
人型から鳥へと変形する黒いモビルスーツ。
黒い鳥へとジャンプして飛び乗った、大砲を担いだ緑のモビルスーツ。
そしてその三機を相手に互角に渡り合う蒼い翼を持つモビルスーツ。
太陽を背に、10枚の羽根を広げた天使を思わせるその白い機体は、少年の位置からは影に覆われ漆黒の悪魔のように映った。
「ああああAああuAああoあっああaああAああaああっああああ!!!!」
少年の手の中の携帯電話が、ぴしりと小さな音を立てた。
375 :
俺流種死:2006/05/21(日) 15:04:52 ID:???
C.E71/9/27…
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において著しく戦力を損失した両軍は停戦へと動き出す。ここに約一年半に及ぶ大戦は、両軍の継戦能力の喪失と言う形で幕を閉じた。
C.E72/3/10…
開戦の契機となった悲劇の地、ユニウスセブンにおいてプラント、地球連合の停戦条約が締結された。ユニウス条約と呼ばれるこれは、実質的な終戦の合図であった。
双方の膿を出し切らぬままに終わった戦争は、それでも世界に一時の平和をもたらした。
C.E73/10/2 L4宙域 プラント・アーモリーワン
一機のシャトルがプラントの宇宙港へと接舷していた。外見こそ一般的な普通のシャトルだが、その実態は船体全てにPS装甲を使用したVIP専用の覆面シャトルだ。
その中から降りてきたのは現オーブ連合首長国代表首長のカガリ・ユラ・アスハ。
護衛数人と共に中央エレベーターへと向かう。
「服はそれでいいのか?一応ドレスも用意はしてあるが…」
そう言って彼女に声をかける一人の護衛。趣味の悪いサングラスをしている。
彼女の格好は極秘訪問ということも有り、ごく普通のトレーナーにパンツ。彼女の顔を知らなければ観光客だと思われただろう。
「別にいつものでいいよ。そんなに飾り立てる必要無いだろう」
うんざりした口調で言うカガリ。おそらくこう言ったやり取りが何度もあったのだろう。
「必要なんだよ。馬鹿みたいに気取る必要も無いが、しっかりしてないと安く見られる」
護衛は喋りながらも注意深く周りを見回す。オーブの代表がプラントを極秘訪問しているという情報が漏れていないとも限らないのだ。
「ん…?」
離れた場所に居る金髪の少女と緑色の髪の少年に水色の髪の少年。その三人に目を止めたのは何故だろうか?それは彼自身にも今ひとつ分からなかった。
ただ強いて言うならば、厭な雰囲気…かつて彼が纏っていた『死臭』のような物を感じたのだ。
ふとこちらを向いた少女と目が合った。その目は全てを写しているようで、それでいて何も見ていないような、どこか虚ろな感じがした。
「おい!」
「うわっ!?」
突然視界に入ったカガリに驚く護衛。
「何ぼんやりしてるんだ!お前こそしっかりしろよな!」
「あ、ああ。すまない…」
カガリは護衛が見ていた方に顔を向け、ははーんと頷く。
「女なんか見てデレデレしてたのか。帰ったら減給な」
「いぃ?!おいそれは誤解だ!おい!!」
護衛はさっさと行ってしまうカガリを追いかけていった。
GJ!
377 :
俺流種死:2006/05/21(日) 15:52:16 ID:???
アーモリーワン・宇宙港ロビー
エントランスにいる水色と緑髪の二人の少年に金髪の少女。水色の髪の少年は退屈そうに頬杖をつき足をぶらぶらと揺らしている。
「な〜スティングぅ〜まだなのかよぉ〜。待つのはもう飽きたぜ〜」
そう言って緑色の髪の少年に目をやる。スティングと呼ばれた少年は腕時計を見ると無情の宣告をする。
「まだ時間じゃない。待機だ」
「え〜〜〜」
「俺に文句をいっても仕方ないだろう?何事もスケジュール通りにこなさないと狂いが出る」
「予定は未定、決定で無しっていうじゃんかよぉ〜」
「ダメだ」
「なあステラ、お前もココ飽きたよな?他んトコ行きたいよな?」
「ぇ…?」
ステラと呼ばれた少女はゆっくりと二人の方に顔を向ける。どうやら聞いてなかったようだ。
「何…?」
「だ〜か〜ら〜〜〜!別んトコに行きたくないかって聞いてんだよっ!この馬鹿!」
「アウルはここイヤ…?」
「イ・ヤ・だ・ね!どーせ暇つぶしすんなら街をブラブラしてた方がまだマシだぜ」
「じゃあ行こ……」
「っておい!ステラ?!」
「俺の話を聞いてないのかよ?!」
言うが早いかスタスタと歩き出してしまうステラを二人は慌てて追いかけていく。
378 :
俺流種死:2006/05/21(日) 15:53:32 ID:???
アーモリーワン 工廠ブロック
「違う違う!ジンは全て式典装備だっつただろうが!」
「こんな所にガズゥートを駐車してんのはどこの馬鹿だ!」
「ケラック隊はヒトヨンヒトマル時から予行演習だぞ」
辺りに怒号が響く。モビルスーツがあちこち歩き回る中、その足元を人や車が踏まれないように駆けて行く。
「…まったく、もうぐちゃぐちゃね」
危うくジンに踏み潰されそうになったジープの助手席で少女がつぶやく。まだ年端の行かぬ少女だが、その身に纏っている制服はザフト軍士官学校『アカデミー』の成績優秀者に与えられる『赤』だった。
「しかたないよ。なんてったって明日はいよいよ『ミネルバ』のお披露目だもの」
運転席の少年が答える。こちらは制服ではなく、整備兵の着るツナギだ。
「だからって慌しすぎ。物事は須らく余裕を持ってやるべしってアカデミーで習わなかったのかしら?」
「ハハ、まぁ現場じゃ早々教えられた通りにいかないって」
「そっちのほうも色々問題アリな訳?」
「そりゃあね。やっぱ新型は色々面倒だよ」
「ふーん、やっぱそうなんだ。でもキッチリ整備頼むわよ。でないとせっかくの新型もロクに動きゃしないんだから」
「分かってますって」
そんな会話をする彼らの上空を一機のヘリコプターが飛んでいく。そのドアにはプラント最高評議会を示すマークがついていた。
「あのマークって評議会の…」
「もしかして議長が来たのかも」
「式は明日よ?早すぎない?」
「議長も予行演習やるのかな?」
「まっさかぁ〜?」
ジープを追い越したヘリコプターは一つの建物の前に着陸する。中から現れたのは現プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルその人だ。
「しかしだね、ブルーコスモスは組織と言うより主義者だろう?いくら条約を強化してもテロは止められんよ」
別の議員と話しながら降りてきた議長に一人の兵士が近づいてくる。
「議長…」
「……何?オーブの?そうか。くれぐれも丁重にお通ししてくれたまえ」
「はっ!」
伝令が去るとデュランダルは自分を見つめる視線に気づく。それは敬礼したままの長い金髪の赤服の少年だった。
デュランダルは彼ににっこりと微笑むとそのまま話しながら建物の中へと消えていった。それを見送った少年も、自分の持ち場へと帰っていった。
379 :
俺流種死:2006/05/21(日) 16:27:41 ID:???
アーモリーワン 市街地
アーモリーワンはザフトの軍事工廠のある、言ってしまえば大規模な基地だ。
それでもこんな市街地があるのは、軍事施設のほうが後に建設されたからである。元々プラントには軍事施設など無かったのだ。
戦後初の新型艦艇と従来の常識を打ち破る新型モビルスーツのお披露目を明日に控え、街には他のプラントや地球、月などからやってきた観光客であふれていた。
「はぁ〜あ〜、どいつもこいつも脳天気なツラしてやがる」
「なんだかんだ言って結局文句言うのな…」
周りの人を見て悪態を吐くアウルにため息を吐くスティング。
「だってムカつかね?お幸せそうな顔しやがってさ。吐き気がするぜ」
「だからじっとしてろっつったんだよ…」
憎々しげに言うアウル。対するスティングはもう慣れたといった様子だ。
「あれ?ステラの奴は?」
ふと気づくと一緒にいたはずのステラがいない。
後ろを振り返れば、ステラがショーウインドウのガラスの前でドレスをひらひらさせてくるくる回っていた。
「…なんだありゃ」
「浮かれてる馬鹿の演出…お前もやれば?」
「誰がやるか!」
普段からワケの分からないことをする奴だと思っていたが今回はいつにも増して意味不明だった。
スティングの方は一応ステラがついて来ているのを確認したら付きあってられないとばかりに先に歩き出した。
一方、くるくる回転しながらも器用に通行人を避けていたステラだが、不意に脇道から現れた少年にぶつかってしまう。
「あっと…ゴメン。大丈夫?」
「…誰?」
少年はステラを抱き止めると声をかける。ステラはしばらくぼーっと少年の顔を見つめていたが、やがて表情を険しくすると少年を振りほどいてスティングたちの後を追いかけ走っていった。
「…何だったんだよ一体」
「見〜た〜ぞ〜」
「うわぁ!」
走り去るステラを見ながら呆然と立つ少年の後ろから、色黒の少年がにゅっと姿をあらわす。
「シン、今ムネ掴んだろムネ」
「いぃ?!」
「で?どうだったよ?感触は?」
「んなっ?!し、知らないよ!そんなの!」
「ほぉ〜、つまり独り占めですか。そーかそーか。そんなにお前は冷たい奴だったのか。…帰ったら皆に言いふらしてやる」
「はぁ!?」
言うが早いか色黒の少年はダッシュで駆けて行く。
「ちょっ!待てよ!待てってば!!ヨウラン!!ああもう!!」
シンはぶつかった時に落とした荷物を手早く拾い集めるとヨウランの後を追いかけて行った。
380 :
379:2006/05/21(日) 20:05:01 ID:???
DVD見ながら改変している訳だが、しっかし文章に起こすのは意外とムズイね
嫁もバカに出来ん
>俺流
G J !
>嫁もバカにできん
そこまでだ!
そこまでなんだ!!
無印も運命も、
「第 一 話」
これはすっごくいいんだ!
問題は戦端が開かれた後がもう……orz
死守
383 :
通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 15:26:10 ID:gw51tVU0
hosyu
暇だからなんか書くわ。って書き込んどかないと即行で投げ出しそうだから書き込んどく。
それじゃ期待して待ってる。
フリーダムガンダム
ダムダム
ガーディアンガンダム
ガンガン
保守
保守
n
連作でなくて、テレビ版に単発の違うエピソード挿入する事によって
シンがちゃんとした主人公の扱いを受けられるような物語を考えてるんだけど
ここに投下してしまっていいかな?
今考えてるエピソードとしては
シンがオノゴロでキララクと仲良くなるがヨップの襲撃を受け
フリーダムが登場し互いに不信感を募らせる話と
シンとレイがミーアの護衛につき、彼女を偽物だと知りつつも
世の中には必要だと頑張って守る話と
シンが議長と手を切れるようにミーアがフェイスをシンに与えるが
暗殺者に殺されてしまい、それを見たレイがおかしくなる話
の三本です(サザエさんか!?)。
別にいいけど
>ミーアがフェイスをシンに与えるが
ミーア(っつーかラクス)にそんな権限あるの?
正式な役職についているわけじゃないでしょ
うぃっす、文章は苦手なんですが(死ぬ程へただよ)頑張って書いてみます。
確かにラクスに権限ないっすねー。というか与えちゃいけない?
大筋として序盤でシンにキラやラクス等のキャラと主人公相応の絡みがあった上で
カガリと和解してオーブ側に付き、実はザラ派ともつながっていた議長ザフトと、
ラクスを拉致ったファントムペインとそれに従うAAの連合軍と三つ巴の戦いを繰り広げる
というのを考えてて、そういう流れにする中でフェイスの設定を使いたかったのと
レイがミーアの死に立ち会うことにより「君は彼じゃない」発言に多少効果でるんじゃねーか
と思ったから作ったエピソードなんすわ。練り込みが足らないなー。
始める前からこんなこというのもなんなんですがアスランをどう使ったらいいのかわかりません。
誰かご助言くだされ。
そこまでアニメと設定が違うなら
単発エピソードだけじゃ説明不足だろう。
最初から全部書いて
…やってみます。自信ないけど。
意味不明でメチャクチャなんだけど昨日書いたのを投下します。
来週には第一話ができてるといいんだけど…
「帰郷」
あらすじ
隕石の雨が降る中、シンがアビスを退かせることができたのは
地球から歌が聞こえてきたからだ。
だが鉄仮面ネオの逆襲を受けて
彼はパーツを捨てて逃げるしか無かった。
そしてカガリは幼なじみとの再会に心揺らぐのであった。
395 :
?帰郷:2006/06/04(日) 16:37:56 ID:???
ー1ー
仲間たちと合流するためにシンはコアスプレンダーを飛ばす。
「オーブで合流せよ、か。アスハの計らいだってのかクソッ」
文句を言いつつもスプレンダーのオートパイロットは
彼の故郷オノゴロに近づきつつあった。
なんだかんだで少し涙ぐんでしまうシン。
「帰れる場所があるというのかよ」
そんな彼をつける黒い影。スティングオークレーその人であった。
「ネオめ。俺をこんな事に使いやがって許せん。いつか見ていろ。
んん、シンの奴がオーブにだと。フッ面白い!」
ー2ー
砂浜にスプレンダーを着陸させると子供たちが一斉に集まってきた。
「うわぁ、すげえ。戦闘機だ」
「スカイグラスパーかな?」
「馬鹿だな。これはコアスプレンダーっていうんだぜ」
シンは彼らの前に照れくさそうに飛び降りる。
「随分ザフトの内状に詳しいんだな」
「当たり前さ。毎週みてるもん!」
「ハハッ、いい子だ。チョコレート食うか?
ん、サッカーやってたのか?俺も混ぜてくれよ」
396 :
帰郷:2006/06/04(日) 16:39:06 ID:???
ー3ー
カガリがアスランにけたたましくくいついていた。
「アレックス、いやアスラン!プラントに行くというのは本当なのか?」
「ああ、できればザフトに復隊しようと思ってる」
「何故だアスラン!MSに乗っておかしくなってしまったのか!」
(パトリックザラのとった道こそ我らコーディネーターにとって
唯一正しき道と…何故気づかん!)
サトーの一言が甦り、眉をひそめるアスラン
「ああ、そうかもしれないな。
ただ、わからなくなってしまったんだよ。自分のやっている事が。
このままでいいのかって、ジっとしていられなくなったんだ。
…、何かできる事があるならそれを探したい」
(それとあのギルバートデュランダルという男、もう一度話がしたい)
「何故アスランがそんなことをしなければならないんだ!
私は認めないゾ!絶対に絶対にだ!」
「いい加減にしないか!カガリ!君だってデュランダル議長に言われただろ!
君は故ウズミの理想や美しい部分ばかり見て、理想の犠牲になった人々や
それを貫くための権力闘争など汚い部分を見ようともしないと。
あのシンアスカだって犠牲者なんだぞ!
彼らのような人間をより良く導いていくのが君の役目だろ。
何故わからない!」
「シンは、あいつはお父様の事を知らないから」
「カガリ!」
「それにアスランが支えてくれなければ、私は…」
「甘ったれるのもいい加減しろ!」
つい殴ってしまうアスランザラ(18)
しまったという表情を一瞬見せるが眉間にしわを寄せシャトルに乗り込む。
ふと振り返ると、ユウナに泣きつくカガリの姿が見えた。
「これでいいんだ…、これで…」
397 :
?帰郷:2006/06/04(日) 16:40:03 ID:???
ー4ー
砂浜でトリィを肩に乗せ散歩をするキラヤマト(無職)
遠くから子供たちの声が聞こえてくる。
「でっかい体してずるいぞう」
「なにがずるいってんだ!そらっ、これで5点め!」
子供相手にガチンコでサッカーをする大人げないシン。
話しかけるキラ。
「君は…ザフトの」
「あっ、お兄ちゃんだ」
「お兄ちゃん!こいつズルいんだよー」
働いてはいないが人気者のキラに子供たちが群がる
シンは彼らに自分とマユを重ね合わせる
「えと、この子たちのお兄さん?」
「うん、一応ね、…ありがとう」
「へぇ?な、何?」
「この子たちと遊んでくれて」
「え、いやそんな、ハハ。奇麗ですね。その花」
キラが持っている花を指差す。
「うん、いつも行く所があるんだ。兵隊さんも来てくれませんか?
ぜひおもてなししたいんです。」
「それじゃ、お言葉に甘えて。俺はシンアスカっていうんです。」
「僕はラッキーていうんだ。数万分の一の確率で生まれたってママが言ってた」
「へぇ、そいつはラッキーだ」
うっかりスプレンダーを放置するシン。
ずっと監視していたスティングは彼らがいなくなるなりスプレンダーに近づく。
「へっへ、しめたぜ。
これがありゃあネオが回収したあのパーツが使えるってもんだ」
だが背後から何者かに羽交い締めにされる。
「うっく、貴様ら何を。はなせー!
俺は、俺はスティングオークレーだぞー!」
398 :
帰郷:2006/06/04(日) 16:41:01 ID:???
ー5ー
キラが向かった先は例の慰霊碑であった。
立ちすくむシンを横目に花を捧げるキラ。
「こんなものいつの間に…」
「うん、戦後間もなくね。ここで起きた事を忘れちゃいけないって」
「…、ごまかせないと思うけれど」
「シン?」
「こんなものいくら建てたって、いくら花を植えたって…人はすぐ吹き飛ばす!」
「シン?」
「…、ごめんなさい。ラッキーが折角、花を捧げてくれているっていうのに…
俺ちょっとおかしいですね。俺…」
「辛い目にあわれたのですね」
女性の声に振り返るシン。
ハロと共にラクス見参。
「お姉ちゃんだ!」
沸く子供たちと涙を拭うシン。
「そんなんじゃありませんよ。アンタは一体?」
「私はクリスよ。あなたはキラ…ラッキーのお友達?」
「そうだよ。クリス。シンはサッカーがとても上手いんだ」
何故かシンに発言させないキラ。
唐突に歌い始めるラクス。二人だけの世界だ。
「なんて奇麗な歌声だ」
呟くシン。
(この歌、大気圏で地球から響いてきた歌声、いやそれ以前にどこかで)
「…俺は、その、音楽とか詳しくないんですが
この歌声は聞いた事があるんです。
たしか終戦の日にテレビで…、よく覚えているんです。プラントのラク…」
その先は言ってはならないと指でシーッするキラ。
その様子を見ていた謎の一団
「あれはラクスクラインだ!まちがいない、ヨップ様に知らせろ」
連絡を受けたヨップは縄でぐるぐる巻きになったスティングを見やる。
「よかったなぁツンツン頭君、ひとまず助かって」
「だから俺はラクスなんか知らんと言ってただろ!」
「口の聞き方に気をつけろよ。ラクスの次はお前だ。
俺はナチュラルを殺したくてウズウズしてるんだぜ。
地球連合のガキともなりゃあ、尚更な」
(野蛮人どもが!この俺のようなインテリジェンスがかけらも無い!)
嘆くオクレを尻目にヨップ吠える。
「者ども!戦闘準備だ!場合によってはMSの出撃もあるぞ!」
399 :
?帰郷:2006/06/04(日) 16:41:54 ID:???
ー6ー
所変わってマルキオ導師の家でヤマト夫人の手料理をごちそうになるシン
なんか色々語ったらしい。
「そう、ご家族を亡くされてプラントへ」
「ええ、今でもあの時の事を思い出すと苦しくて眠れなくなるんです。
そういう時はいつもこの携帯で妹の声を聞いて、抱いて寝るんです。」
なんかそこまで言わなくてもいいシン。
回想シーンを交えつつキラが口を開く
「そんな、そんなシンがなんで軍に?」
「力が無いのが悔しかったんです。
あの時オーブにもっと力があれば連合も馬鹿な事しなかったでしょ?
だから俺は強くなろうと思ったんです。
あんな事、二度と起きて欲しくないから」
「でも、今シンは力を手にしてどうなの?」
「わかりません。というか俺はまだ弱い。弱いんです」
「そうご自分を卑下なさらないで、シンのおかげで多くの人が助かったのですよ」
ラクスが慰める
「もしこの世に正義の戦争があるとしたら
戦争を起こさないための戦争なんです。
俺たちミネルバはそのためだけにできた部隊なのに…」
ガンダム強奪シーン等が挿入される。
キラが悲しげな顔見せると轟音とともに停電する。
「なんだ!何が起きたんだ!?」
窓からカエル型のキモイMSが見えた。
400 :
帰郷:2006/06/04(日) 16:42:51 ID:???
ー7ー
「ザフトのMSだって?」
「シン、これはどういうことなの!?」
「違う!あいつらはザラ派の、パトスの連中だ!」
「とにかく逃げるのです!」
子供たちを連れて避難する一行。
闇の中からザフトの特殊部隊が襲い来る。
ひとしきりアクションシーンを交えつつシンは思い立ったように外へ飛び出す。
「シン!危険だよ!戻って!」
「こいつらの目的は俺かもしれない!おとりになります!」
(ミネルバと連絡が取れればこんな奴らなんて!)
一方、捕まっていたオクレ兄さんも縄抜けなどの器用な技を見せ脱出していた。
「やれやれ、冗談じゃないぜ。くだらねぇ争いはザフトだけでやれ」
スプレンダーの前で見事に鉢合わせするシンとスティング。
「スティングオークレーこんなとこでなにやってる!」
「好きでやってんじゃないってのよさー!」
スティングの蹴りを皮切りに取っ組み合いが始まる。
「こんなことやってる場合じゃないだろう」
「インパルスもいただきだ。ネオばかりにやらせはしないんだよ」
スティングの攻撃にひるむシン
「年貢の納め時だなシンアスカ!」
「お前の国に年貢があるってのかよー!」
その時、爆風が吹きシン逆転!スプレンダーに乗り込む。
「お前みたいな奴、粉々になれ!」
機銃乱射にたまらず逃げるスティング
「ミネルバ、聞こえるか!俺だ!シンだ!応答してくれ!」
401 :
帰郷:2006/06/04(日) 16:43:43 ID:???
ー8ー
ミネルバのデッキにて
タリア、レイ、アーサーが話している。
「全くシーンはなーにやってんだ!」
「落ち着きなさい、アーサー。それにしても困ったものね。彼には。
道草ばかり食ってとんだ問題児。ギルに送り返しちゃおうかしら」
「艦長。彼には失敗を取り返すだけの力があります。
長い目で見てやってください」
「あなたがそう言うのでは仕方ないわね。ルナマリアに発進の用意をさせて」
「コアスプレンダー、ルナマリアホーク機スタンバイ…」
「トラクタービームの調子はどう?
言っとくけど私、空中ドッキングなんて曲芸じみたことできないわよ!」
「そんなこと私に言わないでよね。
運ぶだけでいいのよ、お姉ちゃんは。発進どうぞ」
「シンのパシリじゃないんだから!ルナマリアホーク出るわよ!」
402 :
?帰郷:2006/06/04(日) 16:44:42 ID:???
ー9ー
アッシュに苦戦するシンをみてラクスが一言
「ひょっとして私が狙われているのでは」
「そうだね。こんな時フリーダムがあれば…
だしてよね。ラクス」
「わかりました。戦いなさいキラ。
私のためにシンが死ぬようなことがあってはなりません」
キラにカギを渡すラクス。
「ありがとうラクス。君はもっと安全な所に逃げるんだ」
一方シンはピンチを迎える。
「こうるさいハエめ!おちろ!」
「逃げの一手しか無いのか。ルナ早く来てくれ!」
前を向くと目の前にアッシュが!
「しまった。ぶつかる!」
その時、もう飽きる程見たハイマットフルバーストがアッシュをとらえる
爆炎を突き抜けフリーダムの姿を見るシン。
「な、なんだよ。僕の出番が無くなるじゃないか。
…、まてよ、なんだよアイツは…、アイツはあの時、俺の家族を殺した…」
西川歌が流れる中、虐殺に見えるけど殺してない戦闘シーン。
403 :
帰郷:2006/06/04(日) 16:45:43 ID:???
ー10ー
ラクスはキラの言いつけどうり森の中に逃げていく(安全な場所?)
そこへスティング現れ、行く手をさえぎる。
「ピンクのお嬢さん。俺とイイことしない?」
「あなたは何者です!」
「さぁ、何者でしょうね。白馬の王子様だったらよかったかなっと!」
緑馬の王子様の腹パンチで失神するラクス。
「間違いなく、ラクスクラインだ。
こいつはジブリールにいい土産ができたぜ」
MSの破片が降ってきて、改めてフリーダムを見やるスティング
「フリーダム!あいつも俺の手中に収めてみせるぜ。いつかな!ハハハ」
上空ではルナが登場。
「シン!大丈夫?このルナさんが新しい顔…
もといパーツとシルエットを持ってきてやったわよ!」
「あああ、マユ…」
「何ブツブツ言ってんの!チェスト、レッグ切り離すわよ!受け取って!」
フリーダムの圧倒的なパワーに震え、
平静をたもてないシンはドッキングに失敗し海に落下してしまう。
一方キラ対ヨップ。
「ハイマットフルバースト!」
「ひええっ」
「ハイマットフルバースト!」
「ウヒアアアー!」
「これがとどめの…、ハイマットフルバーストダ!」
それしかないのかよ的な攻撃でダルマを完成させるキラ。
「キミたちは何者だ!なんでラクスを…」
「ザ、ザフトに栄光あれーっっあっアーッ!」
自爆してしまったヨップにキラは悲しげな顔。
波に揺られて炎の中に鬼神の如く立つフリーダムを見てるシン。
「ラッキー、いやキラヤマト…。
前大戦の英雄…フリーダム、アンタは、アンタは一体なんなんだー!」
404 :
帰郷:2006/06/04(日) 16:46:48 ID:???
ー11ー
波の音が鳴る中、朝を迎える。
慰霊碑の前に立つシンとキラ
「どういうことなのか説明してくださいよ」
「ラクスが…」
「クリスさんでしょ!アンタはアンタらって人は…
世界は大変だって言うのに、こんな所で隠遁生活なんて!
まるで老人だ!あまりにも無責任じゃないか!
アンタも、アンタもアスハといっしょだ!」
「ラクスがいないんだ…
あの人達は…何?ザフトではないの?シンは何か知らないの?」
「花…吹き飛んじゃいましたね」
まるで噛み合ない二人。つかみかかるキラ。
「シン!」
「やっぱりこうなる!だから、だから俺はッ!
離してくださいよ!アンタ達なんかもう!」
「シン…、何度吹き飛ばされても、僕たちは…」
「もういい…」
ルナが待っているとこへと歩いてゆくシン。
「ねえ、何があった訳?あの子、誰?」
「ルナには関係ないだろ」
「そういう言い方はないでしょ。報告しなきゃ行けないんだから」
「なんでルナを通さなきゃ行けないんだよ!ほっといてくれ!」
「シン、どうしちゃったの???」
一人チンプンカンプンのルナマリアであった。
「帰郷」ー完ー
自分なりにSEEDDestinyをリメイクして物を投稿します。
基本的に話しはシンを主人公にしています。
後、自分のリメイク版なので途中から本編と違って来るので、そこは文句言わないで下さい。
では、投稿します。
こっちのがいい
お願い
本編トレースはやめて
同じ部分は書かないでくれ
408 :
第1話「砕かれし平和」1:2006/06/04(日) 17:24:38 ID:iIIfPNaV
CE73、地球とプラント間の戦争は第二次ヤキン・ドゥーエ宙域戦をもって終結し、やがて双方合意のもとかつての悲劇の地ユニウスセブンにて条約が締結され、双方は平和を誓い、世界は再び安定を取り戻そうとしていた。
しかし、条約と言う者は世界を絶対安定にはさせてくれはしなかった。
今だに続くブルーコスモスによるコーディネーターの迫害、地球のエネルギー問題等幾つかの問題が残されていた……
これらの問題により、今世界の平和が崩れかかっていた。
〜テスト宙域〜
アーサー「艦長ミネルバテスト宙域に到着しました」
タリア「メイリン、各員を持ち場に着かせて、レイ達にモビルスーツの発進準備を」
メイリン「了解、テスト宙域に到着、各員持ち場に着いて下さい」
レイ「いいか、今日の演習はガイア、カオス、アビスとの演習だ。訓練だからって油断するなよ」
ルナマリアが驚いたようにいった「えっ、その三機ってもしかして新型のガンダムの?」
レイ「あぁ、その新型のガンダムとやらだ」
シン「はは、ルナにしては弱気だな
今からやるのは演習なんだぜ、やられても死にはしないって」
ルナマリア「何よ、その言い方、そういうからには、あんたはやられないよね?」
シン「いゃ、そういうつもりじゃ」
レイ「それは楽しみだ、お前がやられないのを期待しておこう」
シン「レイまで」
ルナマリアがクスって笑った。
レイ「おしゃべりはそこまでだ、行くぞ」
シン、ルナ「了解」
レイ、ルナはザフトの最新鋭量産機ザクに搭乗し、シンはインパルスに乗り込み、ミネルバから発進した。そして、この後行われる演習が大きな事態になろうとはまだ誰も知らない
こっちもシンメインのSSを作ってるんだけど投下していい?
おう!ガンガン来いや!!
「急いで、シン!14:00(ヒトヨンマルマル)に六番ハンガーに集合でしょ!」
赤毛の少女から発せられる言葉としては、幾分、似つかわしくない言葉。
「わかってるよ!今行く!まったく、ルナマリアの奴はうるさいんだから、参るよ…」
シンと呼ばれた少年は、少しクサしながら、赤毛の少女、ルナマリア他数人の少年少女達の元に向かう。
ふと脇道から姿を現すブロンドの少女。
「でぇぇっ!?」
シンと少女は激突。
「コラ、シン!何やってんの、ドジッ!」
ルナマリアからの罵声。
シンは少女を押し倒していた。シンの右手は少女の胸元。
思わず力を入れるシン。返ってくるのは柔らかい感触。
悲しいかなシンは本能的に、その行為を繰り返してしまう。
少女の眉間にシワ。
シンは慌てて起き上がる。
「ゴ、ゴメン!わざとじゃ…」
バチンッ!少女の平手が一閃。
「あのバカ…!」
アチャーとルナマリアは額に手を当てた。
ルナマリア達と合流したシンの頬には見事な形の手形。
「…顔がニヤけてるわよ、シン」
からかうルナマリア。
「仕方ないだろ!オレだって男なんだから!」
シンの思春期の叫び。
「…変態」
ルナマリアは冷たい視線だった。
「フフフ、お前達二人は本当に仲がいいな」
仲間の長髪ブロンドのクールな雰囲気の少年がつぶやく。
「レイ!冗談はやめてくれよ!」
「そうよ!レイ!誰がシンなんかと!」
フンと互いにそっぽを向く、シンとルナマリア。
「フフフ…」
息がぴったりの二人に、レイは微笑むしかなかった。
そんなシン達を遠くから見つめているブロンドの少女。
「アレ、ザフトの連中だろ?ホントに戦争が終わったとでも思ってんのかね?」
女性と見まごうほどの美少年。
「そうじゃないって、教えてやるのさ。…これから。そうだろ、アウル」
白いジャケットが良く似合う長身の青年からの呼びかけ。
「…そうだな、スティング」
ニヤッと笑みを返す美少年アウル。
「行くぞ、ステラ」
スティングとアウルは街の中へと消えていく。
「…今、行く」
そして、ブロンドの少女、ステラも二人の後を追って、街の中へと消えていった。
――C.E.(コズミック・イラ)71年9月。
約一年半に渡った地球・プラント間の戦いは、ヤキン・ドゥーエ宙域戦をもって、
ようやく終結した。
しかし、C.E.73年10月。
場所はL4宙域、新設軍事プラント・アーモリーワン。
戦火の波は、再び少年達を飲み込もうとしていた――。
広い廊下を歩く三人。
一人は館の主に仕える秘書。
一人は金髪の少女。
その服装からは少女らしさは無く、無理に大人らしさを取り繕うとするあまり、
若干気負いが感じられる。
最後の一人は変装のつもりなのか、比較的大きめなサングラスで顔を隠していた。
しかし、身振りからして、少女のボディガード、そして、
かなり訓練されているであろうことは見て取れた。
三人は大きな扉の前に辿り着き、秘書が扉をノックする。
「入りたまえ」
三人は扉を開ける。
「ようこそ、姫。遠路はるばるお越し頂き、大変ご苦労でありますな」
出迎える長身、長髪の男。
だが、その印象は柔らかく、少しも威圧的なものは感じ取れない。
「いえ、とんでもない、デュランダル議長。ただ、姫と呼ぶのはやめてくれないか。
今の私はオーブの代表なのだ。生意気かもしれないがそれ相応の敬意は払っていただきたい」
「カガリ…!」
サングラスの青年が小さい、しかし、はっきりとした声で少女を諌める。
「そうですな、姫。
…では、次からはアスハ代表とお呼びさせていただきますよ」
デュランダルの瞳の色は深い。
「…結構だ」
カガリは強い瞳でデュランダルの瞳の奥を見返した。
薄暗いMS格納庫。
倒れている数人の軍人。
床や壁には飛び散った血痕。
明かりもつけないまま、奥に向かう長身の人影。
青年は目的の場所に辿り着き、ライトをつける。
浮かび上げるスティングの白いジャケットには所々の血痕。
「これか?新型MSとかいうのは」
「へ〜ぇ、これがいわゆる一つのセカンドシリーズ?これを強奪すんのかよ?」
スティングの背後から現れるステラとアウル。
「そうだ。カオス、アビス、ガイア。この三機がこれからの俺達のMSだ」
スティングは眼前にそびえる三機をライトで照らした。
基地内をジープで走るシン一行。
「何か…ざわついてるな」
言葉を発したのはレイ。
「そりゃ、もうすぐ新型戦艦ミネルバの進水式だもん。当然でしょ」
答えるルナマリア。
「いや…」
レイはそれ以上、答えない。
一瞬、風が止まる。
ドオオオンッ!!
突如の格納庫の爆発。
爆炎の中から現れる緑、青、黒の三機のMS。
「あれはカオス、アビス、ガイア!どうしてだ!?
…また戦争が起こるとでもいうのかよっ!?」
シンの叫び。
しかし、その叫びは爆音と警報にまぎれ、
そして、掻き消えた。
416 :
シン運命:2006/06/06(火) 21:10:39 ID:???
とりあえず、本日はここまで。
結構、改行規制キビシイんだね(´・ω・`)
「な、何だ、あれは!?議長!いったい何が起こっている!!」
カガリの叫び。
ドックのあちこちからあがる爆炎と煙。
唇を噛み締めるデュランダルの瞳に映るそれは開戦の狼煙(のろし)。
強奪された三機のMS、カオス∞ガイア∞アビス≠ノ
ザフト軍はされるがまま。
「…とにかく、ここは危険です。私とともに避難を」
デュランダルはそう言うのが精一杯だった。
「おい、いったい何があったんだよ!なんで、あの三機が俺達を攻撃しているんだ!?」
MS格納庫に辿り着いたシン達をクルーの怒声が迎える。
「ザクの準備は!」
つられてルナマリアも怒声。
「できてるよ!急いでくれ!」
「了解だ。行くぞ、ルナマリア」
レイは一人、この事態にも冷静を保つ。
レイとルナマリアはジープを降り、格納庫の奥へと姿を消す。
「シンは急いで、艦長の下へむかえ!」
「了解ッ!!」
シンは再度、ジープのアクセルを踏んだ。
「ヘッ、ちょろいモンだな」
アビスのライフルで射撃しながらのアウル。
「気を抜くな、アウル。気を抜くな」
スティングは言いながら、カオスで重戦車型のMSを撃破する。
ステラは黒いMSのガイアで周囲をうかがう。
ふと視界の隅のレーダーに目が止まる。
そこに映るのはデュランダル一行が煙の中、走っている姿。
「……」
ステラはガイアを一歩進める。
「おい、ステラ、お前もだ」
しかし、ガイアはライフルを構える。
銃口の先にはデュランダル達。
ズドドドドッ!
ガイアはライフルを一斉射した。
「おい、ステラ!何やってる!」
スティングはカオスの腕を使って、ガイアを止める。
ハァ…ハァ…とステラの荒い息遣いが通信から聞こえる。
「なんだぁ?もう限界かよ。相変わらずだらしねえな」
アウルからの通信。
「…引き上げるぞ」
「逃がさないわよッ!!」
通信に割り込んだ言葉はひどく甲高い。
スティング達三機を襲う、二列の銃弾。
その方向には炎と煙の中、大地に立つ二機のMS。
赤いザクガナー≠ニ白いザクブレイズ≠セった。
デュランダル一行の周りにはもうもうと煙が立ち込める。
ギャギャッと一台のジープがデュランダル達の前に止まる。
「議長!乗ってください!!」
叫びようにシン。
「大丈夫ですか、姫?」
デュランダルは伏せているカガリに手を貸す。
「アスランッ!」
カガリは自分の体の上に倒れているボディガードに思わず叫ぶ。
アスランと呼ばれた男は額から血を流し、気を失っていた。
ドックのあちこちから上がる煙と爆炎。
動いているマシンは、もはやルナマリアとレイのザク二機と
強奪された新型MS三機。
「議長ッ!」
ブロンド髪の女性の仕官がデュランダル一行を出迎える。
「艦長、アレを使う。準備はできているか?」
「…インパルス≠ナすか!?しかし、アレは…!」
「今は緊急事態だ。シン、行きたまえ」
「はい!」
シンはジープを降り、目前の赤い戦艦の中に消えていく。
「議長!これはいったいどういう事だ!?なぜこんな巨大な戦艦がこのドックにある!?」
ジープの後部座席からアスランを抱いたまま、カガリ。
「怪我をされているようですね。すぐに中に乗船されてください。
クルーに手当てをさせます」
頭から血を流すアスランに意識は無い。
カガリは女性仕官の冷静さに思わず歯噛みする。
「失礼しました。私はタリア・ダグラス。このザフトの戦艦ミネルバ≠フ艦長です」
「艦長…!?女なのにか…!」
カガリは驚きを隠せなかった。
シンは赤いパイロットスーツで戦闘機のコクピットの中。
傍らにはボロボロに色褪せたピンク色の携帯電話。
「いいか、シン!これは演習じゃない!本物の戦争だ!分かってるな!」
けたたましく若い男の声がヘルメットのイヤホンから響く。
「…了解してます」
静かに答えるシン。
携帯電話を強く握る。
その紅い瞳には静かな怒り。
「シン!出撃よ!あなたのミッションはレイとルナマリアの援護!いいわね!」
続いて回線を開いてきたのはタリア。
前方のハッチが開く。
『進路クリア。コアスプレンダー発進どうぞ!』
オペレーターの声がシンに届く。
シンはスロットルを開く。
「シン・アスカ、インパルス≠「きます!!」
プラントの空をキラキラと舞う四つの流星。
「なんだよ、アレ?」
一番最初に気付いたのはアウル。
四つの流星はやがて一つに。
「…キレイ」
無表情につぶやくステラ。
「くそっ!なんだってそう…!!」
相手をうまく捕らえられず、苛立つルナマリアにカオスの砲撃が襲う。
「甘く見過ぎなんだよ、コーディネーターだからってな!」
砲撃を続けようとするカオスに赤い閃光が二つ、弧を描く。
間一髪、避けるスティング。
二つの閃光が戻る先には一筋の流星。
「…もう一機、新型!?聞いてないぞ!」
流星は衝撃とともに舞い降りる。
「そんなにまた戦争がしたいのか!お前達は!!」
それは戦争の幕開け。
そしてシンの戦いもまた、今、幕を開けた。
タリア・ダグラス?
市街へ降りたカガリ達は、ホテルにチェックインすると早速部屋へ通る。予定された会談までにはまだ時間が有るため、今のうちにカガリは、私服からオーブ首長服へ着替えている
「しかし…この情勢下で、しかもこんな所で会談などとは…デュランダル議長も一体何を考えているのだか」
ホテルの窓から見える景色は、まるるでお祭りの日のようだ。ある意味では間違っていないが、それは軍事式典である。
「仕方ないでしょう」
ドアの向こうから聞こえてくるのは護衛の声。
「アプリリウスに行くよりはこちらの方が目立たないと考えられたのです。内密に、とお願いしたのは我等なのですからそこは我慢しなければ」
彼の言うことは正論であり、カガリにも十分分かりきっていた事だった。しかしそれでもカガリが不満を口にしたのは、彼との会話するための話題であり、彼女が求めていたのはそんな正論ではなかった。
「…なんかお前、よそよそしくなったな」
「壁に耳あり障子に目あり。どこで誰が見ているかも分からないのですから注意してしすぎる事も無いでしょう」
「…………」
「ちなみに代表、私の名前は?」
「アレックスだろ?そんぐらいわかってるさ!」
着替えを終えた彼女は腹立ちまぎれに勢い良くドアを開ける。
「支度も出来たし、それじゃあ行こうか」
「まだ時間ではありませんが…?」
「遅れるよりは早いほうがいいさ!…どうした?」
「いや、何も…行こうか」
アーモリーワン工廠区・軍司令部
予定より幾分早く到着したカガリ達は、敷地内のとあるビル3階の一番奥の部屋へ通される。
「これはこれは姫!わざわざこのような所へご足労願い申し訳ありません」
部屋の中で待ち構えていたデュランダルは開口一番、大げさな身振り付でそう言った。
「いや、此度の会談はこちらの都合でお願いした事。こちらこそこの『ご多忙な』時期に議長の貴重な時間をいただき申し訳ない」
こんな所
カガリの言葉には、言外に軍施設へと呼びつけた非難がこめられていた。
デュランダルは身振りでカガリに椅子を勧めると、自分も腰を下ろす。
「いえいえ、まだ国内も『色々と』お忙しい時期に代表自らお越しくださったことに比べれば私の時間などたいした事はありませんよ。
しかし、そうまでしての用件とは一体なんでしょう?恥ずかしながら詳しい話が私のところまで伝わっていないものでして」
あくまで慇懃な態度だが、デュランダルは要するに『忙しいのにワザワザ何しにきた?』と言っている。
「ほう、それでかな。再三再四この問題について問い合わせても一向に回答がいただけなかったのは?」
対するカガリもオブラートに包んで『とぼけるな』と返す。
「我々は先の大戦で流出した我が国の人材と技術の、そちらでの軍事利用を即刻止めてもらいたい、と申し上げているのだが?
さて、それでは議長の口から貴国の正式な回答をいただこうか」
「ふむ。しかし姫の仰る事にはどうも腑に落ちない点がありますな」
デュランダルは答えを急ぐカガリの若さを内心笑いながら返す。
「我らが先の大戦の折難民となった同胞を受け入れ、そして貴国の自治権回復の際にオーブへの帰国を望んだ方々を送り返した。
つまり今プラントに居るのは最早オーブの国民ではなく、プラントの国民です。彼らの出自がどうであれ、それまでに得た知識をどう使うのであれ、それは彼ら自身の問題。
我々がああしろこうしろと指図すべき事ではないと思いますが?」
デュランダルの言っている事には一見筋が通っているようにも思える。しかし、『そういった』知識のある者達に、研究者などの職を斡旋したのも、また事実であった。
カガリが口を開かぬうちにデュランダルは更なる追撃を加える。
「ひょっとして大西洋連邦からの圧力ですか?『オーブが条約に違反し、秘密裏に技術供与をしている』と?」
カガリは無言のままだ。実際デュランダルの言うとおりなのだから反論の仕様も無い。
「当然そのような事実は無い。しかし……」
デュランダルの目がすぃっ…と剃刀で引いたように細められ、口元に嘲りの笑みが浮かぶ。
「それでも姫がここにいる、という事は圧力に屈した、いや屈せざるをえない状況だったと言う事ですかな?
伝え聞くところによれば、前大戦で消耗した軍の再編成も遅々として進まず、さらには宇宙ステーションの責任者が本国の指示を無視して立て篭りを続けているとか…?」
カガリに反論する事は出来なかった。デュランダルの言う通り大西洋連邦のの要求を、例え言いがかりだとしても突っぱねるだけの軍事力が無いのは事実であり、
またオーブの宇宙における拠点『アメノミハシラ』はオーブ崩壊からこっち、本国と連絡を絶っている。
「オーブは友好国です。もし姫がお望みでしたら格安で我が国のMSを輸出する事も可能ですが?」
「………その姫と言うのは止めて頂けないか?」
「これは失礼。アスハ代表」
この会談は誰の目にもデュランダルの勝利だった。
「僕に出来ないことが、君には出来るんだ…」
震えたまま、キラは言った。
「ごめん、サイ……僕は……僕はフレイをどうにもできなかった」
その言葉を残し、キラは何も言わなくなった。
死んだわけじゃない、だが、眠ったままだった。
時に、CE73年。
ザフトの過激派のユニウスセブン落とし、
後の「ブレイク・ザ・ワールド」の実行によって世界は混迷を極めていた。
425 :
閃光のサイ:2006/06/10(土) 19:25:30 ID:???
1.「ビジット」
戦後、ラクス・クラインはプラントに帰らず、オーブでキラの看病を続けていた。
プロパガンダとして使われることをよしとしなかったのだ。
だが、眠るキラの傍に寄り添う彼女を見ると、それも口実のような気がした。
「アスラン・ザラがザフトに戻ると」
「ええ、私も聞きました、カガリ様から」
アスラン・ザラ。
プラント時代のキラの親友。
先のプラント落としを受けてザフトに戻り、事態の収拾に急いでいる。
だが、プラントと地球が再び戦火を交えるのがそう遠くないことは
誰が見ても明らかであった。
「キラ、アーガイルさまが来てくださいましたよ」
白いベッドに横たわるキラ。
こんな時だというのに、俺はフレイに看病されるキラの姿を思い出してしまっていた。
「キラ」
かける言葉も見つからず、名を呼んでみる。
……勿論、返事はなかった。
426 :
閃光のサイ:2006/06/10(土) 19:38:10 ID:???
ヤキン・ドゥーエでの戦いに於いて、
キラはラウ・ル・クルーゼの駆るプロヴィデンスと戦い、辛くも勝利した。
しかし、その戦闘が終わった後、キラは正気を失っていた。
今思えば、限界だったのかもしれない。
自分が真っ当に生まれた人間ではないこと、
戦争の根底であるコーディネイター技術の権化であること。
そして、フレイの死。
俺は、あの時、キラを殴ってやらなくちゃならなかった。
「自惚れるな、ふざけるな」
とキラを殴らなくちゃならなかったのだ。
キラは自分がコーディネイターだから、何もかも一人で片付けようとした。
何もかも一人で。
ラクス・クラインにも、アスラン・ザラにもフレイのことは打ち明けてはいないようだった。
その結果がこれだ。
キラはフレイを亡くし、俺はフレイとキラを無くした。
427 :
閃光のサイ:2006/06/10(土) 19:44:53 ID:???
あの夜、キラが俺の腕を捻って俺からフレイを奪った日。
俺は何も出来なかった。
婚約者を取られた嫉妬も、悔しさもあった。
だが、キラに守られているという負い目が俺にあった。
劣等感に駆られて自分がいやになった。
だけど、本当は、あのときキラを殴って叱り飛ばしてやるべきだったのだ。
それが俺の役目だった、俺はフレイのおかしさも、キラのプレッシャーにも気づいていた。
俺は、今でもコイツを友達と思っているのだから。
428 :
閃光のサイ:2006/06/10(土) 20:07:27 ID:???
2.「ニュータイプガンダム」
「新しいGUNDAMのロールアウトが近いんでしょ?」
不意にミリアリアが聞いてきた。
彼女は今、ジャーナリストとしてあちこち飛び回っている。
時々はこうして俺の家にも遊びに来てくれるのだけれど。
「……よく知ってるね?」
「まあ、ね」
俺はカレッジに復学し、卒業した後、しばらくはオーブの電子メーカーに勤めていた。
しかし、その後モルゲンレーテのエリカ・シモンズからお呼びがかかって、
今はモルゲンレーテに勤めている。
オーブの地を守るため、新しい力が必要だといわれたのだ。
「オーブも最近ずいぶんと軍事費が動いているわ……セイラン家の働きかけらしいけど」
「……モルゲンレーテの工場もあっという間に直ったしね」
連合の資本が入り込んではないのかと、まことしなやかに噂されている。
「俺は出来ることをしなきゃ、それがオーブの為になるならね」
429 :
閃光のサイ:2006/06/10(土) 20:19:55 ID:???
「ネオアストレイ計画を隠れ蓑に、か」
「はい、サイ・アーガイルがよくやってくれています」
モルゲンレーテの工場の一角、
カガリ・ユラ・アスハが次々と搬入されるモビルスーツのパーツを淡々と見ていた。
「私は父や、ロンド・ミナ、そして国民からオーブを預かっているのだ」
「これはそのための力…」
と、カガリは言いかけた。
「いや、オーブが力を持ってはいけない、平和の力が必要なのだ」
カガリは一度いいかけた言葉を、そう言い直した。
ニュー・モビルスーツの組み立てが始まった。
カガリはそれを一瞥した。
デュランダルの言葉がカガリの頭をよぎる。
「戦いが起こるから、力が必要なのではない……」
カガリはその言葉を打ち消すように深く息を吸い込むと
自分の仕事を果たすためにキサカを連れ立ってオーブ官邸へと戻っていった。
430 :
閃光のサイ:2006/06/10(土) 20:33:32 ID:???
「テロをやるために僕はガンダムを作ったんじゃありませんよ」
「オーブの国益に、ひいては世界の平和、オーブの理念に反するものと戦うために使う」
ロンド・ミナ・サハクはサイにそう言った。
「いまや世論もセイランを支持している、カガリにそれを止める事は出来ん」
サイとミナの前には、組み立ての終わった二機の機体があった。
「いずれオーブも連合の側につくことになるだろう」
「それは、オーブの理念に反します、いかにセイランでも……」
「国民が欲しいのは理念よりも平和だ」
サイは黙った。
「そして、私が願うのは力だ、連合とプラントの裏にいる連中を叩ける力…」
ニュー・モビルスーツの起動実験が始まる。
「タイプ・アストレイΨの起動を開始します」
アナウンスが流れた。
431 :
閃サイ:2006/06/10(土) 20:35:31 ID:???
前の大阪スレの住人です。
本当は大阪ネタで組み立てたかったけど、
自分関東人なんで、名前だけ使わせてもらいました。
大阪スレの住人がいたらごめんなさい〜。
>>431 前のことは知らんが、
面白そうなんで期待してますよ。
433 :
閃光のサイ:2006/06/11(日) 13:06:52 ID:???
アストレイタイプΨ。
Ψ(サイ)ガンダムと呼ばれるその機体は、
アークエンジェル隊の一員としてキラ・ヤマトの戦闘を間近で見続けた
サイ・アーガイルのアイデアを基に作られた機体である。
本来ならばプサイガンダムなのだが、アストレイタイプサイと呼ばれるうちに、
サイ・ガンダムの名前が定着した。
機体の形状はアストレイよりもストライクやデュエルに近い。
アストレイシリーズのノウハウを活かし、軽量化と滞空性能の向上を施されている。
オーブが目指したものは、対空戦力によって本土決戦を出来得る限り防ぐ、
というものであった。
サイやエリカが中心となって開発したサイ・ガンダムもそれに習ってはいるが、
こちらはストライクの戦闘を反映させた、単機でも十分に戦力になりうる、
「ガンダム・タイプ」としてのモビルスーツとなっていた。
さわやかなブルーカラーに塗られたサイ・ガンダムが大空に舞う。
「レビテーターは正常、バランサー異常なし、出力良好……」
オーブの空を、モビルスーツとは思えない軽やかな動きで飛ぶ。
その姿は機械的な戦闘機というよりも昆虫かなにかを連想させた。
434 :
閃光のサイ:2006/06/11(日) 14:00:24 ID:???
3.「クロウスリセンブランス」
ブルーコスモス派の地球軍が、プラント本国に仕掛けた直接攻撃。
それが戦いの引き金だった。
連合の放った核攻撃を、ザフトは核を暴発させる新兵器「ニュートロンスタンピーダで応戦」
世界は再び本格的な戦乱の渦に巻き込まれていく。
「ロゴスは倒さなければならない」
「はい」
「だが……わかるかね?」
「はい、議長、ロゴスと共に、脅威となる新興勢力こそ駆逐しなければなりません」
「君は賢いな」
プラント最高評議会、議長、ギルバート・デュランダルの執務室。
デュランダルの前に立つ赤服の少年は軽く礼をした。
「アル……君に地球に降りて貰う」
「了解しました……地球の新興勢力の排除、それが目的、やって見せましょう」
褐色の少年、アルは微笑んだ。
435 :
名無しK:2006/06/11(日) 14:08:54 ID:???
ども、ここや他の匿名掲示板等でごく稀にSS類を投下させていただいてます。
今回、ネットで出回ったあるインタビューで何かスイッチが入り、
前々から考えつつも完成できるかどうか尻込みしていたアイデアにペンを
入れる事になりました。
此方で拝読させていた皆さんの作品ほど緻密な書き込みはできていませんが、
SS風にした脚本のようなものとして見ていただければ幸いです。
題材はDestiny、形式はアニメ本編のシナリオを素材に冒頭からIFの要素を
多分に含ませて織っていくというものです。
371さんの作品、俺流種死の手法を追う形となります。
前書き長くなってしまいましたが、ご覧いただければ幸いです。
プロローグ
5年前の出来事である。
遺伝子調整を受けた人類、コーディネーターと自然なままに生まれた人類、ナチュラルの間の確執は
コーディネーター側の被った無差別殺戮事件・血のヴァレンタイン以後急速に高まり、ついには両者の間で
全面戦争が勃発した。
主に宇宙空間を居住区とするコーディネーターは、そのコロニー群・プラントを防衛するため、義勇軍ザフトを結成。
地球に住むナチュラルは反コーディネーター思想者が中心となりこれを「地上の全人類共通の敵」とし、圧倒的な
物量を持って戦火を開く。
戦いが激化する中、ナチュラルとコーディネーターの共存する中立国であるオーブもまた、どちらに与するかの選択を
強いられた。
当時のオーブ元首であったウズミ・ナラ・アスハは軍門に下るよう迫る連合軍に対し、これを拒否。
地上中の勢力を呑み込み、巨大な戦力を手中とした連合の総攻撃を受ける事となった。
国土を構成する全ての島々に対し避難勧告が発令され、数時間。首都陥落ももはや時間の問題であった。
本島防衛軍の必死の抵抗により、辛うじて確保されたシャトルへの脱出ルート。その一つを走る市民の群れ。
その中に、両親の後を追い妹の手を引いて走るまだ幼い少年の姿がある。
山道を懸命に走る妹のポケットから、ふいにモバイルがこぼれ落ちた。
「あっ、マユのケータイ……」
「馬鹿! 止まるな、走れっ!」
「で、でも!あれがないと、友達と、もう……!」
本島が攻撃を受けた際、市民は散り散りになった。それは幼いマユにとっては、もう会えないかもしれない
大事な友達とのただひとつの絆なのだ。
「シン、どうしたっ!?」
前方で立ち止まった父親が二人に叫ぶ。周囲では大気や森を震わせる無秩序な爆音がひっきりなしに
響き、逃げ惑う人々の流れは今も彼らを取り残し我先にと山道を下っていく。
「マユがケータイを失くした! 僕が探してくるっ!」
「シン、何を言ってる、戻れ!」
父親達の方へマユを押しやり、道を逸れて斜面の森の中に飛び込むシン。彼も親しかった友達と離ればなれになり、
家族と一緒に避難している。マユの気持ちは痛いほどわかったから、身体が勝手に動いていた。
「お兄ちゃんっ!!」
両親に腕を取られるマユ。そのままガサガサと茂みを探って、すぐに見つけた。
「あったぞ、マユ……」
マユ達を安心させようと上げた声が掻き消される。森の中、開けた頭上の空を突如覆い隠したのは巨大な翼。
この近くで戦っていたモビルスーツがすぐそばまで降りてきていたのだ。
その青く広がった翼越しに、赤い光が見える。山腹にいるこのMSを平地から狙っている、別のMSがいる。
赤い光が、こちらへ向けて放たれた。眩しくて何も見えなくなり、そして耳には聞こえない、しかし途轍もなく大きな、
何かが跡形もなく消える音がして、意識が吹き飛んだ。
どのくらい気絶していたのだろう。全身が音叉のように響いている。
感覚がない。自分が寝ているのか立っているのか、それすらわからない。
ぼんやりと目を開けて、自分が倒れかけた木の根元に引っかかるように座っているのがようやくわかる。
自分に誰かが呼びかけていた。一瞬父親かと思ったが、違った。オーブの軍服を着ている、大人の男の人だ。
「おい君! 聞こえるか、しっかりするんだ!」
その声は聞こえる。だがシンの意識は、その人の向こうにある光景を見つめていた。
ごっそりと削り取られて焦げた山肌。熱く焼けて煙が上がっている。まだ燃えている木もある。
近くを、同じ軍服を着た何人かの男が動き回っている。でももう、騒ぎは収まりつつある。そんな気配だった。
そこには空っぽがあった。あるはずのものがどこかへ持ち去られてしまった。シンはよろよろと立ち上がって、近づいてみる。
地面が抉れた巨大な穴のそばに、焦げたリュックの切れっ端が落ちていた。たしか母親がさっきまで背負っていたのと同じものだ。
その向こうに、小柄な女の子が寝ている。そばに寄り、膝をつく。小さな手のひらに、自分がずっと握りしめていた小さなモバイルを
渡そうとして、その手が止まる。その子は、反対側の手と足がなくなっていた。
砂塵の貼り付いた目に空を写したまま、動かなくなった妹。
……終わってしまった。
自分の中で、大切な何かがぶつりと切れてしまっているのにぼんやり気づく。自分と世界を繋いでいた何かが切られてしまった。
もう、繋がらない。
擦り剥けた頬を伝って首へと涙が流れ落ちていく。よどんだ目で仰いだ空を、あの青い翼が舞っていた。
まるで何も知らぬげに、何事も無かったかのように、何者かと戦っている。高いところを飛んでいる。
「……あああ……!!」
青い空が血で染まった気がする、いつしか少年は吼えていた。物言わぬ妹を前に座り込み、雄々しく軽やかに空を舞う
天使のようなMSに、彼は憎悪の咆吼を上げていた。
1. 現在
それから時は流れる。
地球を遥か彼方に臨み、静かに宇宙を回る砂時計。
コーディネーターの居住するスペースコロニー群、通称プラント。その一基であるアーモリーワンにおいて、
ザフト軍の新造戦艦・ミネルバの進宙式が明日催される事になっている。
軍事工業プラントであるアーモリーワンは、その内部に数多くの工場を抱えている。充実した設備を持つ反面、
物資・人員の移動は煩雑になりがちで、混乱を生じ易い。
式典に使用される臨海基地は運び込まれたMSや装備品、その他会場設備やプログラム毎のリハーサルなど、
アカデミーの学祭さながらにごった返していた。
その停泊地で明日の式の開催を待つ主役たるミネルバにおいても、慌ただしさは例に漏れない。
前日になってから発覚する物資や人手の不足、作業の滞り。予想外の故障。艦長であるタリア・グラディスは事の大小に
至るまで指示指揮に追われている。
「MS関連の物資、特に式典用の弾薬が不足しているわね」
「はぁ、今になって本部の方で帳尻合わせに、基地側のMSに優先的に回しているようです。追加で発注していますが、
届くのは2時間後というところでしょうか」
「ルナマリアがヨウランと一緒に隣の工場へ行っていたわね。帰りに立ち寄らせて催促させましょう。ところでDBDの電力制御
の件で最終チェックに出したコアスプレンダーはどうなっているかしら」
「通電効率の最適化は先程終わったと連絡がありました。スタッフに現地で確認して欲しいとの事です」
「あの工場は反対側ね……。やはり担当メカニックのヴィーノに行って貰いましょう。シンにも直接チェックして欲しいところね」
「ヴィーノは整備班に混じってエアロパーツの調整中、シンは自由時間ですが、おそらくトレーニング中でしょうね」
ミネルバ内、トレーニングルーム。ブリッジで言われている通り、シンが1人で黙々と汗を流している。
ウェイトジャケットを着て脚を広げた腕立て伏せ。他にも、部屋中の運動器具に使っていた形跡がある。
「シン、お呼びがかかったぞ。コアスプレンダーの様子を見て来いってさ」
「……調整が終わったのか。わかったよ、すぐ行く」
滝のように出た汗をタオルで拭き、素早く軍服に着替えるシン。呼びに来たメカニックのヴィーノと共に、船内通路を歩く。
「しかしお前も、よく鍛えるよな。せっかく休みもらっても、身体苛めて走ってシミュレーションして。ルナなんか工場見学に
かこつけて、街で遊んでるんだぜ。パイロットは比較的暇だとか言ってよ」
「俺はルナやレイ達とは違うからな。あれくらいやらないと、みんなに置いてかれるんだよ」
話しながら角を曲がると、引っ掛けるように足を突き出される。ぴたりと歩みを止めるシン。そこには、緑の軍服を着た同じくらいの
年頃の士官が立っている。
「良く止まれたな。さすがに鍛えてる奴は違うねぇ。ご立派ご立派」
からむように言ってくる。美しい顔、高い背、申し分のない体格。外見においては文句の付けようのない好青年である。
「クロム、何か用か」
「用なんてないさ。ただ俺も自由時間なんだ。少し付き合わないか、シミュレーションにでも。ハンデつけてやるからさ」
「悪いけどこれから外に出るんだ。工場の方に」
「おおご立派、休憩返上でお仕事か。ナチュラルだってのにプラントの為に尽くして、涙ぐましいね」
「……どいてくれ、通れない」
「へ、通ってみろよ、エリート様」
一歩前に出るシン。その鼻先に、目にも止まらない速さでクロムの拳が飛んできて、目の前で寸止めされる。
シンの前髪が、浮いて広がった。固唾を呑んでいたヴィーノが気色ばむ。
「クロム、てめぇ!」
「熱くなるなって、ヴィーノ。当てちゃいねぇ。だけど見えたか? 反応できたか? シン。いいか……どんなに努力したってな、
お前はナチュラルだ。俺たちコーディネーターには届かない。置いてかれるどころか、そもそも追いつけやしないんだ。
何のまぐれか、赤服を着ちゃいるが、お前は俺たちより下なんだよ。あんまりいい気になるな」
ぽん、とシンの肩に手を置き、去っていくクロム。あの野郎、とヴィーノは年齢より子供っぽい顔を怒らせ、歯を剥く。
「あの粘着野郎、何だってんだ。事あるごとにお前に絡みやがって。自分が緑でシンが赤なのがそこまで納得できないのかよ」
「いいんだヴィーノ。行こう」
「シン!」
「ザフトの訓練校に入った時から、こういうのは慣れてる。生粋のコーディネーター揃いのザフトでナチュラルの俺が浮くのは
仕方ない。お前やルナ達みたいに良くしてくれる仲間は有り難いけど、あいつみたいに生意気だって思ってる奴もいるだろうさ」
「けどよ……わかってんのかお前も。明日は進宙式で、その後は本格的に任務に就くんだぞ。こんな調子でやってけるのか?」
「仲良くできなくてもやっていくしかない。人間関係ってそんなもんだと思う ……でもまぁ、クロムもそのうち気づいてくれるといいんだが」
歩きながらシンが手を開くと、小さな金属が床に落ちる。誰かの落とし物のようにその場に残したまま歩いていく。
振り返ったヴィーノが、驚いた顔をしている。それはいつの間にむしり取ったのだろう、クロムが襟につけていた階級章だった。
「相手を侮るのはいいけど、そうすると自分が隙だらけになる。それが自分の弱点だって」
2. ミネルバ
「はぁ、なんかもう、ごちゃごちゃよね。こんなんで明日本当に式典なんてできるのかしら」
「できなきゃ格好つかないだろ。戻ったらガナーユニットの調整だ。午後の祝砲用の砲弾が予想より軽いのしか入らないんだ」
「最初に気づけっての。全く、いくら平和だからって工場も工場でいい加減だわ」
ルナマリアとヨウランがぶつくさ話しながら、軍用ジープでミネルバへ戻ってくる。
「ああ、疲れた。遊びたいわよ、ヨウラン」
「昨日非番だった連中誘って街に繰り出して遊び倒しておいてまだ言うのかよ。軍人で、しかも信じられないけど
一応赤服だろお前。自覚持てよ」
「軍人でエリートだけど、まだ10代の女の子だっての。がっちがちの軍規になんか従ってらんないわよ」
「本当、なんでお前みたいなのがザフトレッドなんだ。士官学校も質が落ちたな」
「優等生のレイはともかく、ナチュラルのシンがレッドになるくらいだしね」
「まぁな、頑張ってるのは認めるけど、正直歴代のザフトレッドの面子には劣るよな。特に伝説のザラ隊なんか凄かったらしいし」
その時、頭上を一機の小型飛行機が飛んでいく。飛行機はミネルバの甲板の上で停止すると、着陸した。
「ねえ、あれって議会の専用機じゃないの?」
「ああ、議長が前日に視察に来るってミーティングで言っていたからな。きっとそれだろ」
「えー、すごい! デュランダル議長が来てるんだ。それだけミネルバの出航には議長も期待をかけてるってことよね」
「そりゃそうだろ。何しろあらゆる面で今揃えられる限りの最高のスペックを誇る戦艦である上に、完成すれば5機の最新鋭機の
母艦になるんだ。パイロットやクルーの質の向上って課題はあるけど、間違いなくザフト最強の部隊と目されてるはずだ」
「なんだかやる気が出てきたわよ、ヨウラン。地球連合軍でもブルーコスモスでもオーブでもかかって来いって感じね」
「……そういえば、そのオーブからも視察というか来賓があるらしい」
ミネルバ後部甲板。着陸した小型飛行機から、プラント議長であるギルバート・デュランダルがポートに降り立つ。
続いて現れるのは、オーブの礼服に身を包んだ髪の長い女と、サングラスで顔を隠したその側近らしき青年である。
「いかがですかな、アスハ代表」
「……確かに凄い船だ。武装も外から見ただけでも相当な数の砲塔、発射口を内蔵しているのが判った……。
艦首上部にあった大きな隆起が、報告書にも記載されていた陽電子砲の展開部分ですね」
「ご慧眼です。さすがはオーブの白き獅子と称される方だ。それでは、このミネルバがモデルとした船についても、
ご想像が及ぶのではありませんかな」
「……アークエンジェル」
「その通りです。5年前の大戦を戦い抜き、最後には所属していた連合軍からも逸脱し、戦乱を集結へと導く旗手となった
伝説の戦艦。まさしく大天使の名を戴くに相応しい名艦でした」
ミネルバは、船形こそ異なるが随所にその船との類似点を見せている。格納式のカタパルトデッキ、艦首の陽電子砲。
大気圏内でも飛ぶ為か、大きな翼まで持っている。カラーリングも似ている。
逆に言うならば、一見してザフトの戦艦には見えない。
「……その大天使に似せて作ったこの船で、プラントは何を討つつもりなのでしょうか? デュランダル議長」
「天使は悪を討つものです。現にアークエンジェルは連合軍に潜みコーディネーターとナチュラルの確執を利用した
諸悪の根元であるブルーコスモスの盟主、ムルタ・アズラエルを倒した。そして、当時のザフトを私物化し、同胞もろとも
地球を砕こうとした狂気の指導者、パトリック・ザラをも」
アスハ代表の傍らに控えるサングラスの青年が、一瞬気配を強張らせる。彼の様子を、アスハは微かに気に留めた。
「あの戦争は、この世を去った二人の人間を悪としただけで片づけられるものではありません。
ナチュラルとコーディネーター、二色に色分けされてしまった世界そのものが招いてしまった争いです」
「仰るとおりです。だからこそオーブも、戦前から続くナチュラルとコーディネーターとの融和政策を今も行っているのでしょうな。
分かれてしまった隣人と再び一つに。調和による平和を。……実に素晴らしい国政であると思います」
「……お褒め頂いたのは、喜ばしい事です」
「しかし、残念ながらまだ世界全体には、その融和政策は広まってはいない。代表の表現をお借りすれば、現実には
二色に分かれてしまったまま、一部が溶け合っているという程度です。そう……世界は未だ、5年前と同様に白と黒の確執を
引きずっている」
「……」
「確執は時に憎悪に変わる。いや、戻ると言うべきでしょうか。そして、それを表に出さずにはいられない人間が現れることがある。
思うだけなら咎めはしますまい。しかし、それを他者への攻撃へと変えてしまったならば、それは悪と呼ぶしかない」
「それは……テロリズムの事を言っているのでしょうね?」
「ええ。昨今、プラントは散発的に起こるテロに苦しめられています。ブルーコスモスか、彼らに雇われたアンダーグラウンドか。
しかしユニウス条約に基づく軍備の縮小が響き、機動兵器を使用したテロ等については対応が追いついていないのが現状です。
そこで、プラント防衛の為に比較的少数の戦力で任務に当たることのできる、高い巡航能力と攻撃力、汎用型高性能モビルスーツ
による追撃能力を備えた部隊の結成が決定しました。それがこのミネルバです」
(……プラントを、コーディネーターを攻撃する者を倒し、あるいはそのあからさまな戦闘力によるテロリストへの示威効果も狙う……。
その宣伝も兼ねた、大規模な進宙式か。でも……陽電子砲に、完備されれば5機にも及ぶG型……目的は本当にそれだけか?)
3. 出会い
「あれ、どうしたのよシン。私服でなんて珍しいわね。あ、自由時間だっけ」
ミネルバの車両用搬入口。ルナマリアとヨウランの乗ったジープと、シンとヴィーノの乗用車がすれ違う。
「スプレンダーの様子を見にね。街の中を突っ切らなきゃいけないけど、軍服だと悪目立ちするから私服でいいって。
ついでに少し街を歩いてきてもいいって艦長がさ」
「さすがグラディス艦長、気配りも大人よね。まぁあんたが普段からストイックすぎんのよ。たまにはシャバの空気
吸ってくるといいわよ。中央公園のアイスクリーム屋とか美味しかったわよ。じゃね」
「ああ、サンキュ」
走り去るシン達のジープ。おもむろにルナマリアが、すん、と鼻を鳴らした。
「ちゃんとシャワーは浴びたみたいね。男共の中でもあいつだけ時々汗の匂いするからなぁ」
「おまえデリカシーないね。ま、本人に面と向かって言わないだけマシか」
一方、シン達のジープは街の中へ入っていく。運転するのはヴィーノの方で、シンは流れていく景色を見ている。
「珍しいか? おのぼりさんみたいだぜ」
「普段あんまり軍の施設以外の場所に行かないからな。……この街、なんだか懐かしい感じがする」
「生まれ故郷にでも似てるのか?」
「ああ……そうかも」
人で賑わうメインストリート。空気は違うが、そういえば生まれ育った街にどこか似ていた。
「……オーブに似てる」
軍事工業プラントであるアーモリーワンには、戦時中に本国から逃れたオーブの技術者や市民が流入している。
街の建築様式や雰囲気に通じるものがあるのは、その影響もあるのかもしれない。
信号待ちで止まった間、シンがなにげなく傍らの店に目をやると、1人の少女がショーウィンドウを覗き込んでいた。
涼しそうな青と白のサマードレスの少女である。ボブ風に整えた金髪が、調節されたプラント内の陽光に淡く輝いている。
少女が覗き込んでいるのは、清楚に飾られた青いダンスシューズである。そっとガラスに当てていた手を離すと、
彼女はおもむろに爪先立ちして、その場でくるりと回った。
ふわふわした白いスカートが花のように浮き上がり、優雅な回転を終えて少女の脚を包み込む。
その少女の綺麗な身のこなしと優しげな仕草に見とれてしまっていると、目が合った。
どきりとして慌てるシンに、少女はきょとんとした眼差しを向けると、彼の表情がおかしかったのか、くすりと笑って、軽く手を振った。
訳が分からないまま手を振り返しているうちに信号が変わり、車は発進する。
「どうした、シン。可愛い子でもいたのか」
「な、何でもない。工場、まだつかないのか」
「靴屋の前にいた子だろ? 往来で回転なんてなかなか面白い技だな」
「き、気づいてたのかよ」
「横で顔赤くして、間抜けな顔してりゃあな」
「……そんなに間抜けな顔してたか」
「ストイック少年シン・アスカにしちゃ、相当だらしない顔だったぜ。パンツでも見えたか、ラッキースケベ」
「くっ……見えるか、馬鹿!」
447 :
閃光のサイ:2006/06/11(日) 14:35:18 ID:???
太平洋上空
真紅の機体……モビルスーツが空を翔る。
地球軍独立機動部隊ファントム・ペイン。
その一部隊が新型機のテストを行っていた。
GAT-X305R ガスト、突風の名を持つイージス直系の機体である。
「アー、フレイア、調子はどうかね」
「問題、ありません」
母艦からガストのパイロットに通信が入る。
ガストのコクピットには、おおよそモビルスーツという兵器には似つかわしくない
少女が乗っていた。
セミロングの赤い髪に、落ち着いた、少しキツそうな青銀の目。
無表情であるせいか、顔付きがすこし棘々しい。
コクピットのモニターに、母艦から通信してきた男の顔が映る。
金髪に浅黒い肌、が、男の顔はわからない。
顔を奇妙な仮面で覆っているのだ。
「わかった、それじゃあ本気出してやってみてくれ」
「はい」
フレイアは、レバーをいっぱいに倒した。
ガストが、名のとおり突風となった。
「おお!」
母艦のブリッジで歓声があがった。
「トップスピードならレイダー並か……」
「機体もさることながら、あんな少女が……」
凄まじい重力の波が、コクピットを襲っていた。
が、フレイアは顔色ひとつ変えることがない。
与えられた指示通りに、機体を全速力で動かすだけである。
彼女は普通の人間ではなかった。
連合によって生み出された強化人間、エクステンデットなのだ。
4. 工場
「約束の金だ。ただし半金、残りは仕事が終わり次第払う。勿論成功しない事には話にならないが」
市街内のとあるホテルのトイレ。鏡の前で、背の高い青年が隣の男にカードを突き出した。
「わかっています。協力させて貰いますよ。例の条約以降、こちとら商売上がったりなんだ。海賊どもに足元見られりゃ、
実入りだって少ない。せいぜい引っかき回してやって下さいよ」
男は私服だが、その言動から真っ当な生活を営む人種でない事は想像できる。しかし立ち振る舞いは、プロとして徹底してはいない。
だからこそ利用しやすい輩でもあるのだろうが。
男がハンカチで手を拭き、カードを背広の懐にしまって出て行くと入れ違いに、外で見張っていた小柄な少年が入ってくる。
「どうだ、あいつは来たか?」
「まーだ。一体どこで油売ってんだか。まさか迷子にでもなってんじゃないだろうな。ボケッとしてるとこあるし」
「まあいい。準備はこれで概ね済んだ。日付が変わるまでに合流できればそれでいい……後は事が起こった時にあいつが
暴走しないように、三人一組を徹底するだけだ」
「朝帰りしやがったら?」
「それは無い。戻ってこなければお前が探し出して、首に縄でも付けて連れて来い」
「あいつ相手に、そりゃ面倒だな。ま、面白そうだけどさ」
工場内、小型戦闘機・コアスプレンダーのコクピット。機体の状態をチェックするモニターを見ながら、ネームプレートだけを付けた
私服姿のシンが操縦桿を握っている。
「仮想機肢への通電レベルはこの前より安定してる……装甲への電力供給を見越しても、駆動には問題なさそうです」
『良かった。何しろDBDはザフトでも初の技術ですからね。調整に随分時間を頂いてしまいましたが、パイロットの方がこれだけ
シミュレーションで酷使しても大丈夫なら、充分実戦に耐えられるはずです』
「いえ、無理言ってすみませんでした。ヴィーノ、降りるぞ」
『了解』
コアスプレンダーの風防が開き、シンが降りてくる。スプレンダーはシミュレーション用に大型のアームに下から支えられている。
軽く首をほぐすシンに、ヴィーノがやって来て声を掛けた。
「お疲れ、シン。高機動や荷重にも対応したシミュレーションするってんなら、パイロットスーツくらい借りればよかったのによ」
「俺はいつもこれだよ。いつスーツ無しで出撃することになるかわからないだろ」
「それにしても……凄い操縦技術ですね。グラフィックを見るだけでもかなりの訓練を積んでいるとお見受けしますよ」
「あんなの、大したことないです。同僚には、もっと凄いテクニックを持った奴がいます」
ツナギ姿のヴィーノと、同じくツナギの工場の技師からねぎらいの言葉を貰いながら、シンはコアスプレンダーを見上げる。
「こいつも、式の後はいよいよ実戦か……といっても、まずは哨戒とか、そんなんだろうけど」
「なに、その辺のモビルアーマー使いのテロリストくらいなら、偵察中にだってやっつけられるぜ。お前の腕とこいつがありゃあな」
「一つ、言い忘れていました。母艦と対になるDBDですが、もしも有効距離から外れたり、受信経路を断たれた場合、稼動時間が
限られるのはご承知の通りです。その場合は、各部から電力を吸い上げて一時離脱のためのエネルギーを集めるプログラムも
追加設定しておきました。また、これは推進器以外のエネルギー発振部にも設定することができます」
「なるほど……進退窮まったら最後の力を振り絞れる機能ってわけですか」
「あくまで最後の手段ってことだろ。安易に使ったらフレーム末端なりブースターなり、ガタがきちまうよ。主任、細かいプログラムを
見せてもらってもいいっすか?」
「ええ。むしろ検証をお願いしたかったところです」
「そんじゃシン、お前はもう上がっていいぜ」
「え?」
「だってお前、ソフトの中身に関しちゃ素人同然だし、聞いてたって話分かんないだろ。だったら街にでも戻って遊んで来いよ。
艦長からいいって言われたんだろ」
「でも……」
「もっとも、俺の愛車は貸してやんねーけどな。お前無茶しそうだから。ま、羽目外して今夜の最終ミーティングに遅れないようにな」
子供っぽい顔でウインクすると、ヴィーノは主任とコンピュータを操作しながら専門用語で話し込む。
手持ちぶさたになったシンは、仕方なく工場を後にした。
5. 出会った少女と
街に戻ったシンは、ミネルバへの帰りがてらの、道沿いの寄り道をしてみた。
特に行っておきたい場所があるわけではない。本屋、ゲームセンター、雑貨屋、映画館。気になった店に一通り入ってみる。
だが、どこへ行っても、なんだかあまり居心地がよくなかった。素直に楽しいとは思えず、すぐに道に戻ってしまう。
オーブにいた頃を、家族で平和に暮らしていた頃を、中途半端に思い出してしまうからだろうか。
絵本が欲しくて泣いてぐずった事、生まれたばかりのマユのために、父に抱えられてヌイグルミを取った事、
母の長い買い物にうんざりした事、マユにせがまれて話題の怖い映画に付き合わされたこと。
もし自分があの時立ち止まっていなければ、例えばマユに、友達なら俺が絶対に探し出してやる……そんな風に
言い聞かせて、そのまま走り続けていたら、今頃は……。
シンは、考えても仕方がないと分かっていながら、違う未来に繋がっていたかもしれない選択肢を思う。
ぶつりと切れたまま、二度とは未来へ繋がらない過去。
それを奪った戦争が許せなくて、何も出来なかった自分自身が許せなくて、力を求め、避難した先のプラントでザフトに入った。
(俺は……あの時の悔しさをずっと引きずっている。あんな事を許さない強い力であの悔しさを破壊するために、
俺は今の俺になろうとしてるのかもしれない)
歩道のタイルを目で追いながら、ぐるぐると考えるともなく考えて、ただ足を進めている。
ふと顔を上げると、道路を挟んで反対側の歩道を、青と白の服を着た女の子が歩いているのが見えた。
(あの子は……)
さっき、交差点待ちで見掛けた綺麗な少女である。
(……マユも、バレエやってたっけな。身体がなかなか柔らかくならなくて、泣きながらビネガー飲んで……)
少女は、すぐ先の横断歩道の前で難しい顔をしながら、周囲を見回した。メインストリートからは外れた、あまり人通りの
多くない道路である。少女の様子が、嫌でもよく見える。釈然としない顔をしたまま、とりあえず歩行可の信号が出た
横断歩道を渡り始めた。
その時だった。
少女の脇を、一台のバイクが追い抜いた。小型で薄めの、人混みでも走り抜けられるようなバイクである。
それに乗った男が、少女の身体から何かを引ったくった。
「……!」
そのまま横断歩道を渡りきり、人の少ない方を経路として選んだのか、シンの歩いている方へと走り込んでくる。
こちらを歩いているのは、シン1人だけである。
「白昼堂々、引ったくりか……!?」
真正面からこちらへ走ってくる男のバイク。片腕には、茶色いちょっとした値段のしそうなハンドバッグがバタバタと
揺れている。
「どけ、ガキッ!」
フルフェイスのヘルメットを乗り出して叫ぶバイクの男。シンの脇を走り抜けて、そのまま逃走するつもりらしい。
普通の人間ならば、かなりの速度を出して走ってくるバイクからは、言われるままに道を譲って逃れるしか方法はない。
しかし、シンにそのつもりはなかった。速いが重量そのものは大したことのないバイクである。せいぜい、男の体重と
同じくらいだろう。
シンはその場に陣取ると、両手を前に出しバイクを待ち受ける。男は怯んだようだったが、そのまま向かってきた。
「馬鹿がっ!」
しかし、シンは跳ね飛ばされなかった。手がバイクの車体に触れた瞬間、身体を道路に投げ出して突撃をかわす。
そして地面に転がりながら、バイクの側面を強く押して離した。物凄い勢いでバイクが通り過ぎて、そして横転する音が
聞こえる。
すぐに立ち上がって、男が転ぶ際に放り出されたハンドバッグを拾った。少し地面と擦れて傷がついてしまっているが、
強く叩き付けられた様子はない。
バイクと一緒に大の字になって転がっている男を一瞥し、シンはバイクを追ってきた少女と顔を合わせた。
「……災難だったね」
「ありがとう」
少女はシンから受け取ったバッグを抱きしめると、ほっとしたように微笑む。サイレンが鳴り、パトロールが来そうな気配が
すると、少女はシンの手をつかんで、軽く走り出した。
「あ、ちょっと……君!」
「私、面倒なのはあまり好きじゃない……あなたは?」
「いや、俺も……だけど」
バイク男に持ち物を奪われそうになったというショッキングな出来事があったというのに、少女はそれほど動じてはいない
ように見える。むしろ、面白い出来事に遭遇したような、そんな横顔をしていた。
二人はそのまま走って、中央公園にたどり着いた。円形の大きな広場があり、真ん中に噴水がある。
「……君、よく走るな。見かけによらず、体力あるね」
「あなたも。でも、ちょっと疲れた」
少女はシンを引っ張りベンチに座った。シンもやや間隔を開けて、彼女の隣に座る。
あんな事の直後だからか、最初に少女と目が合った時ほど気まずい思いはなかった。胸が高鳴っているが、不快ではない。
むしろ……
「ありがとう」
「え?」
「改めて、お礼。ありがとう」
「ああ、うん……」
真正面から顔を見られて、お礼を言われる。そして嬉しそうに微笑まれる。さっきヴィーノに言われたような、だらしない顔に
なっているに違いない。
少女は続けて言ってきた。
「これ、とても大事なものだったの。取り返してくれて、ありがとう。何か、お礼したいな」
「お礼って……ありがとうって言ってくれただけで、こっちは充分……」
ほんのり熱を持っている頬を掻くが、少女は収まらない様子である。
どうしようと視線を逃がした先に、アイスクリーム屋の屋台があった。そういえば、ルナマリアが出掛けに美味しいと言っていた。
「……じゃあ、アイスクリームが食べたい、かな」
「アイスクリーム……うん、わかった」
少女は立ち上がると、早速屋台の前に行く。シンも後に続いた。
メニューを二人で睨んだ上で、シンがなんとなくバニラ味を指差す。少女は隣のストロベリーに心惹かれている様子だったが、
頷いた。
「バニラをひとつ」
注文通り、バニラコーンがすぐに出てきた。払った紙幣のお釣りを財布にしまい、それをシンに手渡して、にこにこしている少女。
「あの……君は?」
「え?」
「君の分は?」
少女はきょとんとした後、首を振った。
「私の分は、いいの」
シンはしばし居心地悪そうにした後で、バニラコーンを少女に預けて、自分も注文した。
「ストロベリーを一つ」
そして出てきたストロベリーコーンを少女に差し出し、すまし顔で笑いたそうにしている女性の店員の目を気にしながら、
「……これ、君の分」
「えっ……でも、これはお礼……」
「じゃあ、俺と一緒にこのアイス食べてくれ。それがお礼」
差し出されたアイスとシンの顔を見比べた後で、少女は嬉しそうに微笑んだ。
「……うん!」
アイスクリームを交換して、二人はベンチで一緒にそれを舐める。
特に会話をするわけではない。たまにお互いの顔を見ながら食べるアイス。居心地が悪いようなとても居心地がいいような、
不思議な気分で楽しい瞬間を過ごす。
ふと、シンは思う。この子は、さっき靴屋の前で自分と目を合わせたことを覚えているんだろうか。それともそんな事は気にも
止めていなくて、バッグを渡した時に初めて顔を合わせたと思っているんだろうか。
盗み見ていて、それに気づかれたわけだから、忘れてくれている方が望ましいのかもしれないが。
最後のコーンの一口を食べ終え、何気なくお互いの様子をみていた時、アイスの味の余韻を楽しんでいた少女が、何かを
思いだしたように立ち上がった。そして、少し困ったような顔をする。
「どうしたの?」
「私、行かなきゃいけないところがあったんだけど……どの道を行けば行けるのか、わからなくなっちゃって」
引ったくりに遭う前、難しい顔をして悩んでいたのはその為だったのだろうか。
迷子か、と言いそうになって、そんなに幼くもないよなとシンは思い直す。年は自分とそう変わらないようなのに、良くも悪くも
純粋な感じがする、そんな女の子なのだ。
「それ、なんていう場所か覚えてる?」
「うん……」
少女の口にしたのはホテルの名前だった。シンは街のガイドを本屋で探し、そこで見つけた住所に従ってホテルを探して歩いた。
二人で道を確かめ、だいぶ道を戻ったりもしたが、日暮れ前にはホテルの前に辿り着くことができた。
455 :
閃光のサイ:2006/06/11(日) 14:51:07 ID:???
4.カウンター
「ジブリールもロゴスも所詮は一組織に過ぎない」
ブルーノ・アズラエルは言った。
「我々は……コーディネイターに支配されたくはないのだよ」
「わかりますよ、だから表舞台に出てきたんでしょう? あなた方には向かないやり方で」
仮面の男が言った。
「使い終わった実験材料すら使う、ネオ・ロアノークみたいにねぇ、切羽詰ってるのはわかりますよ」
「バロン、君とて」
「わかっておりますよ、私も憎いのです、コーディネイターが」
仮面の男、バロンは大げさにジェスチャーして、ブルーノの言葉を遮った。
「この戦争、勝っても負けても遺恨が残りますなぁ」
「ム……」
「益々儲けにくくなるし、デュランダルとやらに取って代われるかも」
「我々は利益だけで動いているわけではない、世界の秩序の……」
「はい。それはもちろん」
仮面の男は両手を大きく広げて天を仰ぐ。
「秩序の維持のために、貴方も私も動いているのです、人の業は人が生み、人が消すものです」
仮面の口元がゆがむ。
「コーディネイターって奴はね」
(そう、ラウ・ル・クルーゼみたいに)
仮面の男は口の中でつぶやいた。
「……ここかな?」
「うん。あなた、すごい!」
少女に手放しで誉められては、シンは照れくさそうに頭を掻くしかない。
「本当にありがとう。またお礼しなくちゃ」
「ううん、いいよ。それより、無事に着けて良かったね」
少女の笑顔が、西日で茜色に染まっている。誰かが喜んでくれることが、こんなに嬉しいと思えたのは久しぶりだった。
「……俺も、そろそろ帰らないといけないな。じゃあね、ええと……」
「ステラよ」
名残惜しい気持ちはあったが、別れを告げて去ろうとすると、少女はそう名乗った。
「ステラ・ルーシェ。私の名前。……あなたは?」
「俺は、シン。シン・アスカ」
「シン、今日はありがとう。このお礼……また会えたら、必ずする」
「うん……楽しみにしてる」
ガイドによると、このホテルは訪れた外客がよく利用するホテルだった。彼女がこのプラントの住人であればともかく、
旅行客であるのなら、また会える可能性は高くないだろう。
だが、彼女の笑顔がシンには嬉しかった。
「あー、やっと来たな」
「ステラ! 一体どこに行っていたんだ!」
ホテル下の庭から見ると西日と影で見えないが、エントランスに男性が二人立っているらしいのがわかる。
彼女の連れなのだろう。兄弟だろうか、友達だろうか、それとも……。考えるとなんだかちくりと感じるものがあったが、
シンは彼らへ向かって一礼すると、ステラへ別れを告げた。
「……ステラ・ルーシェ……」
意味もなく駆け足になる。頬を通り過ぎる風が心地良い。出逢って別れた少女の名前を呟きながら、シンはミネルバの
停泊する軍港への帰途につく。
457 :
閃サイ:2006/06/11(日) 14:52:15 ID:???
あ、すいません、割り込んじゃいました……。
ブラウザの調子が悪いみたいです・・・…。
ごめんなさいね。
458 :
名無しK:2006/06/11(日) 14:53:29 ID:???
(連投失礼しました。続きは後ほど投下させていただきます)
459 :
名無しK:2006/06/11(日) 16:35:53 ID:???
(閃光のサイ作者様お気遣い感謝します)
6. 進宙式に
小さなワゴン車の後部スペース。最小限の照明の中で、衣擦れの音が聞こえる。
「ステラ。昨日一緒にいた奴、結局何だったんだ? ナンパでもされたのか」
「別に……。知らない男。道を教えてくれただけ。関係ない人」
「本当かぁ? なんか妙にハシャいだ声出してたじゃんか。まるでアイツと会ってる時みたいだったぜ」
「……」
「アウル、その辺にしとけ。そろそろ時間潰しもお終いだ……ステラも、用意はできてるな」
「いつでも……」
「よし。じゃあ手筈通りだ。きっかり五分後にしかけるぞ」
「了解です。では、後始末の方はご心配なく」
「ふん……式は予定通りに始まったか。俺たちの出番は1時間後。全く、ただ機体を歩かせるだけというのは、つまらん
限りだがな。お前のように午後に別の機体で出番があるわけでもなし、退屈きわまる」
基地の格納庫内。他の軍用機に比べ、それぞれかなり形状の異なるモビルスーツが三機、起動の時を待っている。
その足元に、数人のメカニックと二人のパイロットがいて、暇を持て余すかのように語らっていた。さして楽しそうではない。
「仕方ないでしょ。この子達はパワーが凄すぎて、基地の中で使うには危ないんだから。空を飛ぶにしても試射するにしても
リミッターは必須、それだってあんたみたいに顕示欲の強い奴は危ないからって、プログラムは行進に留まったんじゃない」
「高出力、高機動、高性能。せっかくの威力を誇って何が悪いんだ。こんなプラント内部のお披露目で勿体ぶって見せ物にする
くらいなら、宇宙戦闘のデモンストレーションでも見せてやればいい。そうすれば市民どもの中に潜んでいる反乱分子も、黙った
ままにさせられるってものだ」
「クロム、あんたはねぇ……なんでそう乱暴なのよ。前から言おうと思ってたけど、あんたのその高圧的な態度、悪い職業軍人の
見本みたいでイライラすんのよね。お綺麗な顔してるけど、力があればワガママ通るって思ってるとこは気に入らないわ」
「ふん、スクールの最終成績でまぐれで俺より上だったからと言っていい気になるな、ルナマリア。本来ならば、ザフトレッドに
選ばれる正当な実力を持っていたのは俺だったんだ。この機体を任せられた事が何よりの証拠だ。もうすぐお前にも認めさせてやる」
(……またG型を動かせると思って、こいつ調子に乗ってるわね。確かに、乗ってると怖くなるくらい高性能だから、自分を過信
するのも無理ないけど。……やっぱりこいつを押さえるには、レイじゃないとね。この調子で、出番の前にシンとこいつが喧嘩
でもしたらマズいわ。こんな時に、何やってるのよあいつは)
クロムとルナマリア。残る一機の新型のパイロットであり、彼女達の隊長でもあるザフトレッドのレイ・ザ・バレルの登場を待ち
望みながら、ルナマリアはどうしたものかと視線を彷徨わせる。
と、格納庫のパイロット用出入り口から人影が現れた。
赤いパイロットスーツ。エリートパイロットであるレッド用のスーツである。ルナマリアは、クロムを諌めてくれるレイが現れたの
だと期待したが、判断に迷って眉を潜める。
そのスーツは、女性用のものだった。ルナマリアが着ているものと同じである。おまけに、遮光フィルターを下ろしたヘルメットを
かぶっていて、顔が確認できない。
「あんた、誰……」
そう呟いた瞬間、ヘルメットの女の腕が動いていた。その手には大きなコンバットナイフが握られており、その刃を手前にいた
クロムの首筋に振り下ろした。その動作には、一瞬の躊躇も乱れも無い。
「クロム!」
「おっと……そうはいかんぞ、ならず者が」
しかしクロムは女が現れた瞬間から警戒し、不審な動きに対応できるようにしていたらしい。戦闘に対して専門の鍛錬を重ねた
コーディネーターの反応力と腕力が、刃が触れる前に女の手をつかんで止めてしまっていた。余裕の体で、女に尋問する。
「ふふ……進宙式の開催直後を狙って来るとはな。しかも抜かりなく警護のついているVIPではなく、新型機がターゲットか。
誰の手引きだ? ヘルメットを取って背後関係を……」
「クロム、馬鹿!」
クロムが女の腕力を侮り、勝ち誇って詰め寄った瞬間だった。
ルナマリアの警告も遅く、クロムは女がもう一方の手に隠し持っていた小型ナイフで顔面を切り裂かれていた。
「ぎゃあぁぁぁ!!」
「クロム!!」
ルナマリアはパイロットスーツに常備されている拳銃を引き抜き、女に向ける。その刹那、女の背後に潜んでいた別の影が
横っ飛びに転がって現れた。反射的に目で追うと、両手に拳銃を携え、しかもこちらへと正確に狙いをつけていた。
「なっ……」
二挺拳銃が火を噴く。女の背後に隠れられるほど小柄で隙のない身のこなしの男だった。咄嗟に悲鳴を上げて暴れるクロムの
身体を押して倒し、自分は別の方向へ逃げる。圧縮酸素などが内蔵されているバックパックの表面が、弾丸に削り取られた。
「なん……なんなのよ……あんたたち!」
弾丸の衝撃に背中を押される形で命からがら物陰に飛び込む。縁から拳銃だけを出して応戦しようとすると、その足元に連続して
着弾があった。モビルスーツのコクピットの高さに張られているキャットウォークから、マシンガンで狙撃されたのだ。
慌てて身を縮こまらせると、格納庫にいるはずの整備スタッフ達の悲鳴が矢継ぎ早に聞こえてくる。
(ナイフの女……拳銃の男……もう1人、マシンガンを持った奴までいる……少なくとも、3人いるんだ、敵は……!)
敵。敵襲である。訓練ではない。これがテロか? しかも、その3人が3人とも、恐るべき手練であることは想像に難くない。
一体どうやってこの基地に侵入してきたのかは知らないが、最初の女は実戦は未経験とはいえ仮にも訓練を受けた軍属の
コーディネーターであるクロムを出し抜き容易く沈黙させ、二人目には自分がこうも簡単に追い込まれ、そして3人目は高所を
取ってここにいるザフトのスタッフを殲滅にかかっている。姿を見せてから5分と経っていないのに、この手際である。
(こいつら一体何者なのよ! 何が目的なの!? 新型の破壊、奪取? どっちでもいいわ、今のうちに何とかしないと)
ともかく急いで本部と連絡を取らなければならない。幸い、無線機は通じた。ここで起きた事態を知らない応答者は、のんびりした
口調だったが、相手に起きた事実を伝えようとしたルナマリアは、物陰から顔を覗かせたまま惚けたように目を剥いた。
マシンガンの斉射が来ない。銃撃は途絶えている。かわりに、格納庫全体を揺るがすような振動が2重、3重に重なり合って
響いていた。
そして、並んで整備デッキに立っていた3機の新型が、その装甲の色を変えていく。くすんだ灰色から、それぞれの持つ固有の
機体色へと、見えない筆が走るかのように、速やかに塗り替えられていく。
クロムがパイロットとして選ばれていた黒く華奢な機体、『ガイア』。
ルナマリアが乗り込むはずだった蒼く重厚な機体、『アビス』。
そしてここにはいないレイ・ザ・バレルがテストを重ねてきた、特殊装備を背負った深緑色の機体、『カオス』。
物理攻撃をほぼ無効化してしまう脅威の機構、フェイズシフト装甲を展開し、G型達はキャットウォークや作業用アームを押しのけて、
その歩みを進めた。アビスが手にした大型のハルバートで搬入口を叩き斬り、豪腕で扉を吹き飛ばし、悠然と外へと出て行く。
ウェポンラックに立てられていた専用のシールド及びビームライフルを携えたガイアとカオスも、それに続く。
閉鎖された格納庫に外の解放された空気が入り込んだ直後、そこで上がった悲鳴やジープのタイヤのけたたましい音なども、
隠れたままのルナマリアのもとへ届いた。
耳を塞ぎたい衝動にかられたが、それはできない。すぐには対応する自信が全くないが、現実なのだ。
マイクが拾ったこちら側の破壊音に次ぐ破壊音を聞いたか、通信機の応答者が何事か、どうしたかと叫び始める。
ルナマリアは短く答え、そして頭をふるふると振って立ち上がり、走り出した。
「新型が……G型が、3機とも! 奪われましたッ!!」
7. 衝撃
演目は丁度、この基地の指揮官からミネルバクルーへの励文の読み上げが終わり、ミネルバ側の答辞に移ろうとしていた折だった。
基地の端近くで煙が上がり、重い金属が叩き壊される、このような式ではありえないような騒音が響き渡った。
「……どうしたの?」
ミネルバの艦長席で立ち上がり、その姿は会場に設置された大型スクリーンに映し出されているタリア・グラディス艦長が、
不審な表情を僅かに浮かべ、副官であるアーサー・トラインにマイクが拾わないよう小声で尋ねる。
アーサーはたった今届いた緊急連絡を、青ざめた顔で耳打ちした。
「ふん……訓練用のOSか。リミッターがかけられているだけで、物は使えそうだな。アウル、ステラ。リライティング開始だ」
「了解了解」
「わかった……」
G型のコクピットの構造を再確認し、ヘルメットを外した3人は、端末を引き出し機体に歩行をさせたままオペレーティング・システムを
書き換えていく。
「ステラ、お前は左」
「うん……」
3方向に分かれて進んでいく間にも、その作業は目まぐるしい速さで行われていく。
事態を把握した本部の指示で、付近の式典用に配備されていた機体が集まってくる頃には、全ての設定が終わり、Gは戦闘態勢に
入っていた。
「さて……新型機のお披露目だ」
進行上に現れた一機の量産型MS、ザクが手にしたライフルを構える。しかし弾丸が発射されるより速く、後から動いたはずのカオス
のライフルの一撃がその腹部を貫いていた。ザクは膝を折り、地響きを立てて倒れ伏す。
「……ゼロコンマ一秒手加減したつもりだったんだがな。なかなかの初速だ。気に入ったぞ」
倒れたザクの背後から、同じ型の機体が現れる。しかしそのザクは、やや軽そうなライフルを手放し、肩の盾に内蔵した白兵戦用の
武器を抜こうとした。
「式典用の火器しか無かったか。そりゃあお気の毒だったな!」
カオスが背面の推進器の出力を上げ、ザクに接近する。そして、抜こうとしていた盾の中の装備ごと、腰にマウントされていたビーム
サーベルで一刀両断に切り捨てた。
「へへ……凄いパワーだ。これまでの機体とは比べ物になんねーな」
アビスがザクの頭部を片手でつかみ、そのまま一歩ずつ前に進んでいく。両腕を引きちぎられたザクは何もできないまま、押されて
いく。
その背後には、仲間を盾にされた状態で接触され、押されるままに力比べになってしまった二機のザクが踏ん張っていた。
ザク達は背面の推進器も吹かしているというのに、ただ歩いているだけのアビスに力負けしている。
「もっとも、パワーだけじゃなく火力もなかなかのもんみたいだけど」
力比べに興じているアビスの背後に、ザクより一世代前の量産機であるジンが2機現れた。旧型ではあるが、装備を交換して機動力
を得るタイプのザクに対し、汎用性は低いが単独で浮遊できる能力を持つ機体である。死角となる空中、背後から、地上のアビスの
背中を狙い撃つ算段のようだ。
アビスは振り向きもしない。しかし、その両肩の巨大な流線型のシールドが、その先端をジン達へと向けた。そこに装備された左右
2門、計4門のレーザー砲が、無造作に彼らを撃ち抜き、あっけなく墜落させる。
やがて力比べにも飽きたのか、アビスはザクの頭部から手を離すと、振りかぶってそのまま殴り倒した。ザクの脚が地面から浮き、
後ろの2体ごと、轟音と共に倒れていく。
「ばいばい」
無邪気にそう告げて、背中に取り付けていたハルバートを抜き、横に薙ぐ。ザクの丸みを帯びた頭部が三つ、肩から上ごと宙に飛び、
機体が連続して爆発した。
「撃て! 撃ちまくれ、弾幕を途切れさせるな!」
「い、いいんですか、隊長! あれは新型機ですよ!」
「構わん! テロリストに奪われた機体などよりVIPの命の方が大事だ! 死んでも食い止めろ!」
ガイアが歩みを進めた先は、意図したわけではなかったが、進宙式に招かれたVIPの席の方角だった。
当然ながら機体も多く配備され、優秀なパイロットが回されている。その対MS用マシンガンの砲火をシールドで受けながら、ガイア
はゆっくりと進んでいく。
「隊長、M68です! 武器庫から引っ張り出してきました。いつでも使えます!」
「よし、撃て。外すなよ!」
ホバーで近づいてきたジンが、隊長機のザクの横で大型のバズーカを構える。かつての戦争でも前線で使用された、衝撃力に
優れた無反動砲である。
「吹き飛べ!」
鈍い発射音から僅かに遅れ、ガイアの盾の上で砲弾が炸裂する。辺りには、もうもうと灰色の煙が立ち込めた。
いかに新型といえど、これの直撃を受けては一旦立ち止まらざるをえまい。隊長はこれを機にと、弾幕を更に強めるよう、指示を
出そうとした。
しかし、その直前、煙の中の低い位置で輝く光があった。
「何……?」
煙の中から、何かが走り出てくる。四つ足で地面を引っ掻くように加速している。黒い風のように地面を駆け、飛行の為ではなく走行
の補助とするために広げたとおぼしき、翼……その峰が、赤く輝いていた。
「変形を……ビームサーベル……!?」
かわす暇など無かった。四足獣の姿へ変形したガイアが、MSのみならず人間であっても咄嗟の対応の難しい高さ……腰の下の位置
に、翼の上に張ったビームの刃を滑り込ませる。そして、走り抜けていった。
ガイアの両側にいたジンやザクが、撫で斬られて次々に断面を晒して倒れていく。隊長機をあっさりと斬り伏せたガイアに、半ば恐慌を
きたしながらも、隊員達は必死の攻撃を試みた。
しかし、右に左に、地面を壁を、人型のMSでは到底不可能な機動で跳ね回るガイアを捉えることなど、彼らにはできなかった。
避けながら駆け抜け、すれ違い様に切り倒す。気がつけば、その場に立っているMSは付近の格納庫から立ち上がったばかりのザク
一機のみだった。
「これで、最後……」
機体を沈み込ませたガイアが、一足飛びに斬り掛かる。念を入れて空中で推進器を吹かし、高速で降下する。
そしてそれまでの敵と同様、胴を一薙ぎにして終わらせようとし……ザクはその身を限界までかがめ、ガイアをやり過ごした。
「え……?」
前脚で着地の衝撃を受け止め、そのまま旋回するガイア。身をかがめていたザクが起き上がり、肩から白兵戦用装備であるビームの
斧を引き抜いた。
「シッ……」
ステラは猛獣となったガイアと呼応するようにコクピットの中で上体を倒すと、裂帛の気合いと共に再び飛びかかる。
だが、ザクは今度は推進器を真下に噴射し、爪先ぎりぎりで翼の斬撃を避けた。
「……また、かわした……。こいつっ……」
量産型のザクである。機体の性能そのものは、最新鋭であるガイアには明らかに劣る。特別にカスタムしてある様子もない。今まで
わけもなく破壊してきた機体と、何が違う?
「……パイロットの、腕……」
ザクが、ビームトマホークで斬りつけてきた。機体の追従性のクセを逆に利用し、二度、三度と連撃してくる。斧をかわす為に腹を
見せて立ち上がる格好になると、その一瞬を逃さず、胸部への一撃を加えられた。
「くぅっ……」
四足獣形態においては、ガイアはシールドが喉元から腹部までを覆う形となっている。本体へのダメージは無い。しかし、この戦いで
初めて受けた攻撃らしい攻撃に、ステラの視界に血が上った。
「なまいきッ……!!」
腹を見せたまま、モビルスーツ形態へと変形する。左腕へと移動したシールドをかざし、吹き飛ばされた態勢からベクトルを反転させて
突進する。
タックルの一撃で今度は逆にザクを吹き飛ばし、格納庫の外壁に叩き付けた。
麻痺したように動きを鈍らせるザクにようやく溜飲を下げ、ステラは右腕のビームライフルを敵機腹部のコクピットへと押し当てた。
「終わりよ……」
ガイアの指が銃爪を引こうとした、まさにその瞬間だった。ガイアの頭部に、横殴りに爆発が叩き付けられる。一瞬モニターの画像が
乱れ、機体が半歩、横へと揺らいだ。
「今度は、何?」
視界が回復する前に、再度同じ爆発が来る。上方から、ミサイルで攻撃されている。見当をつけたステラは、やむをえずザクの前から
退いた。この程度のミサイルなどフェイズシフト装甲の前では風が吹き付けた程度のものだが、止まったままでは的になるだけだ。
盾をかざして、続いて降ってきた二発のミサイルを防ぐ。モニターが回復するが早いか、ガイアの瞳が横槍を入れてきた敵を捉えた。
「……戦闘機?」
モビルスーツの盾ほどの大きさもない、小型の戦闘機だった。速度だけはそれなりのものだが、ミサイルを撃ち尽くしたらしく、今度は
バルカン砲で射撃してくる。鋼鉄の巨人が銃を斧を撃ち合い破壊をもたらすこの戦場にあっては、それはおよそ似つかわしくない兵器
である。
それこそ紙飛行機だ。
「……どいつもこいつも……」
文字通りの豆鉄砲が、装甲表面で跳ねる。ガイアはビームライフルを戦闘機へと照準し、二発、三発と放った。
しかし、小型ゆえの旋回性能で巧みに回避し、また効きもしない銃撃を懲りずに浴びせてくる。
「……私を、イライラさせてッ!」
激昂したステラが、ライフルの連射速度を更に上げる。光弾が徐々に間隔を狭め、戦闘機の翼をかすめる。しかしようやく仕留める
事が出来ると思った瞬間、またも彼女を邪魔する者が居た。先ほど壁に押し込めたザクが投げたエネルギーの入っていない無刃の
トマホークが、ライフルの砲身にぶつけられ、せっかく定めた照準を外したのだ。
もはや言葉もない。ステラは地面に落ちたトマホークをつかみ上げると、最後の力を使い果たしたザクに思い切り投げつけた。
刃のない斧が、ザクの目に当たる黒い溝とその中を動く単眼を横薙ぎに叩き潰し、軍用ヘルメットに似たその頭部の中身をぶちまけた。
「よし、ステラ。任務は完了だ」
シートから身体を起こし、前のめりに肩で息をするステラの耳許に、カオスを操るスティング・オークレーが通信を入れてきた。
「この基地のモビルスーツは一機残らず破壊した。奪った新型は、三機とも損傷は無い。このまま外壁をぶち破って帰投するぞ」
「まだ……」
ステラはぼそりと呟き、壊滅状態の基地の上を飛び続ける戦闘機を目で追った。
「まだ、一匹残ってる……」
「あっちゃー、おまえまた暴走してんじゃねえの? あんなハエ、ほっとけって。どうせ生きてたって何もできやしない……」
「……いや、一匹じゃない。四匹だ」
ステラのガイアの付近に合流してきた、チームであるアウル・ニーダのアビスと、スティングのカオス。そのカオスが、首を戦闘機が
飛んでいった方向へと向けていた。
「こちらへ向かって上空から3機の飛行体が接近している。用心すべき速度でも質量でも無かったから警戒が遅れたが、かなり近い。
3つとも形状もサイズも違う。ミサイルの類ではなさそうだ」
カオスは、背中に装備した特殊兵装の性質上、この三機の中では最も索敵能力に優れている。その目が、飛んでいった小型戦闘機
がそれらの飛行体と重なり合うのを見た。
「何……?」
あわせて4機の飛行体は、次々にその機体を重ねながらこちらへと肉迫してきていた。ブロック状に変形した小型戦闘機を前後から
挟み込み、空力を整えるためのパーツが剥がれ落ちる。卵の殻を破るかのように手足を伸ばしたそれは、一機のモビルスーツだった。
「……合体した? 新手か!?」
「うぅおおおおおおおーっ!!」
最後に、モビルスーツの降下に追いつき背中に合体したユニットから二振りの長物を抜くと、そのモビルスーツは雄叫びを上げて
三機のG型の中に飛び込んだ。
その装甲表面が、空中で白と赤に彩られる。両腕に握った武器がビームの弦を張り、着地と同時に巨大な二振りの剣と化して最も
近くにいたカオスに襲いかかる。鋭く猛々しい斬撃を寸出でかわしたカオスは、後退しながらビームライフルで反撃した。
その早撃ちは、新手のMSが左手に装着した小型の盾によって防御される。ザクでは反応すらできなかった一撃だ。
「フェイズシフト装甲……この反応速度……こいつも、新型か? 合体するG型……!」
新たに現れたG型に対し、警戒から距離を取るカオス、アビス、ガイア。三機のモニターに、そのG型を識別した表示が現れる。
ミネルバを母艦とし、小型戦闘機・コアスプレンダーを核とする合体・換装式多目的G型モビルスーツ。
その名を、インパルス。
「こんな事……こんな事をっ……」
その中で、パイロットは慟哭のような声を漏らしている。
涙は無い。その眼光は血に燃えていた。モビルスーツの屍が累々と横たわり、随所で上がる炎の中、軍人のみならず、観客として
訪れた一般の市民までが助けを求め、脚を引きずって歩いている。
間近に見ることになったその光景が、パイロットを過去の記憶へと引き戻し、その時に覚えた憎しみと殺意を鮮烈に蘇らせていた。
「また戦争がしたいのか……あんた達はァァーッ!!」
両手に構えた弦型ビームソード、高出力レーザー対艦刀を連結して巨大な槍に変え、真紅の装甲を身に纏ったインパルスは、
怒りの咆吼と共に突撃した。
To be continued.
>>470 GJ!
シンがナチュラルか・・・
努力が持って生まれた才を凌駕できるのか、
非常に楽しみなところですね。
ところでこの話のインパルスはもしかしてOSをナチュラル用に変えてないのでしょうか?
アストレイのイライジャなんかはナチュラル用OSを使い始めてから格段に強くなったそうですし、
無理にコーディネイター用のOSを使わずともいいような気がしますが・・・
>>457 結構知られている設定かもしれませんが、
オーブ製のMSのカラーリングは、
赤:ナチュラル用
青:コーディネイター用
金:スペシャル(特殊な機体、または高い身分の人間用の特別専用機)
となっているそうです。
一応公式設定なので気に留めておいたほうがよろしいかと。
衝撃とともに舞い降りてきたシンのMSは真紅。
その容貌は対峙するセカンドステージの三機と同様。
「あれがシンのMS…!」
「…やはり、そういうことか」
ルナマリアとレイ、二人の言葉はどこか悟ったような響きがあった。
一方、戦艦ミネルバ≠フブリッジ。
「いったいどういう事だ!この戦艦もあのMSも!私達オーブは聞いてないぞ!?」
「…前大戦の折、我がプラントに流出した人的資源と技術の軍事利用の中止。
それが今回、代表が訪問された主な理由。そうでしたね?」
問い詰めるカガリに答えるデュランダルはあくまで冷静。
ブリッジのモニターには戦闘中の六機のMS。
そして、半ば瓦礫の山と化したドックを映す。
その中には傷付き倒れた者、救助にあたる者、今だ逃げ惑う者がいた。
「あの光景を見ても、まだそんなことが言えるのですか?」
「それはそちらが今だ、力≠持つ事をやめようとしないからだ!
強すぎる力は争いを呼ぶ!なぜプラントはそれを分かろうとしない!!」
カガリの言葉にブリッジの空気が一変する。
一斉にカガリに視線を浴びせるクルー達。
ひるむカガリ。
「…アスハ代表、ここはプラントの軍艦の中です。
事実はどうあれ、不用意な発言はお控えください」
クルーを諌めて、タリアが告げた。
「…姫には現実を見ていただきたいですな。
正義と悪、プラントと地球、そして、ナチュラルとコーディネーター。
全て割り切った考え方ができればそれに越した事はありませんが、
それは所詮、理想に過ぎない事は、姫≠ェオーブの代表であるならば
分からないはずは無いと思いますが」
デュランダルは言葉に皮肉を込める。
「しかし…!」
「…もうよせ、カガリ!」
言葉と共にブリッジに入って来るのは、
サングラスを外したカガリのボディガード。
「アスラン!もう大丈夫なのか!?」
アスランの頭には包帯が巻かれていた。
「ああ、軽い脳震盪を起こしただけだ。心配ない」
ブリッジに若干のしらけた空気が流れる。
「艦長!」
そんな空気を一変させる、オペレーターの声。
「どうしたの、メイリン?」
メイリンは蒼白の表情。
タリアはメイリンの元に駆け寄り、ヘッドホンを受け取る。
「…こちら、ミネルバ。…何ですって!!?」
その声にクルー全員がタリアを見る。
「どうしたのだ、艦長」
「…ユニウスセブンが…地球に……向かっているそうです…」
蒼白のタリアは震える言葉で、デュランダルに告げた。
「この新型ァーッ!」
アウルはビームランスでシンのインパルスに仕掛ける。
シンは後方にそれをかわし、再びビームブーメランを放つ。
楕円形の肩アーマーにブーメランは直撃。
「うあァッ!!」
動きが止まるアビス。
シンはライフルをコクピットに向ける。
銃口から放たれるビーム。
アウルは死を覚悟する。
コクピットに落ちる影。
そして、爆音。
しかし、アウルに異常は無い。
「むやみに奴に構うな!目的は果たしたんだ!退くぞ、アウル!」
アビスをかばったのはスティングのカオス。
スティングはライフルでインパルスを牽制。
しかし、撃てたのはわずか2発。
「どこ見てんのよ!そこの盗っ人さん!」
カオスのライフルを狙撃したのはルナマリア。
スティングはチッと舌打ちする。
「行ったぞ、ルナマリア!!」
レイからの通信。
黒い四足のMSがガナーに体をぶつける。
吹っ飛ばされながらも何とか体勢を整えるルナマリア。
モニターに映るのはMAバクゥに酷似した黒いMA。
「あれは…!まさか、変形した…!?」
MA形態に変形したガイア≠ヘ背部のビームブレイドでガナーを狙い跳躍。
「くッ…!」
今度はルナマリアが舌打ち。
しかし、ガイアの跳躍は大きく左にそれる。
見るとガイアの右足が被弾していた。
「大丈夫か、ルナマリア!」
レイのブレイズがガナーの側に降り立つ。
「レイ!ありがとう、助かった!」
ガイアも空中でMS形態に戻りながら、アビスとカオスの元に。
「何やってンだよ、ばぁ〜か!」
自分の事を棚に上げてのアウル。
ステラは答えない。
六人の少年少女は互いに顔も知らぬまま炎と瓦礫の山、
戦場≠ニ化したドックでにらみ合う。
「聞こえるか、三人とも!私だ!ギルバート・デュランダルだ!」
突如、割り入る通信。
それはシン達に一瞬の隙を生む。
スティングはそれを見逃さない。
「チャンスだ!」
スティング達は一斉にライフル射撃をしながら、後退していく。
「チィ!逃がすかよ!」
追撃をかけようとするシン。
「追うな!事態が変わった!至急、三人とも私のいるミネルバ≠ノ戻れ!」
「事態が変わった…?」
言葉を発したのはルナマリア。
「そうだ!詳しい状況は不明だが、ユニウスセブンが
地球に向かっている!至急、ミネルバに帰艦しろ!
これは命令≠セ!」
「ユニウスセブンが地球に…!?」
あまりの事態にただ、シンは言葉を反芻するしかなかった。
ちょ、長編だらけや
477 :
シン運命:2006/06/12(月) 00:52:51 ID:???
すいません、タリアの名前は素で間違えてました(汗)
閃サイさん、名無しKさん、お二人とも質の高いSSで非常に参考になります。
共に頑張っていきましょう!
>>477 なあに漏れの“ミゲール”に比べればorz
それと職人全員にあえて言おう!
乙であると!
(それと、オリキャラの名前を発表してるスレとかってありませんかね?)
479 :
名無しK:2006/06/12(月) 19:37:12 ID:???
>>471 (GJありがとうございます……設定変えまくった電波な内容ではありますが
今のところ2話以降も続ける気でおりますのでまたご覧頂ければ幸いです……)
(シン君のOSについてもそのうち言及できればと思います……続けたいなぁ)
>>477 (SIN's DESTINYは本編を設定に誠実に独自の見解を織り込み重ねていく、ある
意味で正統派のファンストーリーだとお見受けします……こちらこそ参考にさせて
頂いております。今後も拝読したく存じます、どうかご健筆のほどを)
みんなまとめて書き込むのは何故だ
サイコフレームの共鳴反応かと。
「…正気ですか?アスハ代表!」
戸惑いの言葉を発したのはタリア。
「当たり前だ!私はオーブの代表なんだぞ!今、この宇宙(そら)で
何が起こっているのか、確かめる義務がある!!」
会話が行われているのは、ブリッジ。
タリアは軍帽を外して、大きく一つ息をつき、
「…議長」
と視線を向ける。
「フム…」
デュランダルは顎に手をあて、考えている仕草。
「カガ…、代表!無茶はいうものではありません!」
たしなめるアスラン。
デュランダルの瞳が鋭く光る。
「…いいでしょう」
デュランダルの言葉に同時に振り向くカガリとアスラン。
「議長!?」
予想外の言葉にタリアの言葉は勢い、荒くなる。
「今は非常時ですからな。今回の襲撃で我らの被害も甚大。
それこそ猫の手でも借りたいところです。
…それに、最悪の事態は何としてでも避けたいですからな」
それはユニウスセブンが地球に落下するという事。
「幸い、姫は前大戦でMSに乗った経験もある勇敢なお方。
それに…」
デュランダルの視線はアスランへ。
「お付きのボディーガードの方もいらっしゃる。
…協力をしていただけますかな、アスラン・ザラ君?」
「…議長。この者の名はアレックス・ディノ。失礼だが、
議長は誰かとお間違えになられているのではないか?」
答えたのはカガリ。
「…フ、そうでしたか、姫。まあ、いいでしょう。
どちらにせよ、彼、アレックス君にも協力をしていただければ
我々としては心強いですな」
「…了解だ。構わないな、アレックス?」
「…ああ」
答えるアスランに表情は無い。
「ガナー、ブレイズ、インパルス、ミネルバに着艦しました!」
ブリッジにメイリンの声が響いた。
ミネルバのドックに並び立つ、ガナーとブレイズとインパルス。
背中に長刀を二本携えたままのインパルスは、今は鉄灰色。
コクピットを降りるシン。
瞳に映るのは、焼け落ちてしまったMSドック。
「すごいじゃない、これがシンのMS?」
駆け寄ってきたのはルナマリア。
「PS装甲に四機合体なんて、随分至れり尽くせりってヤツ?
さすがザフトのエースパイロット!」
ルナマリアの挙動はどこかわざとらしい。
シンは答えず、そのまま艦内に引き上げる。
「…なによ、アイツ」
ブスッと腕を組む、ルナマリア。
「ルナマリア、今は非常時だぞ」
声をかけてきたのはレイ。
「はいはい、わかってますよ!べーっだ」
すねたルナマリアはレイに対しても舌を出した。
特務艦ガーティ・ルー=B
その内部のMSドックにはアーモリーワンから強奪に成功した
ガイア、カオス、アビスの三機のMSがそびえ立つ。
「ご苦労でしたね、三人とも」
部屋の中を照らすのはモニターの照明のみ。
響く声は加工が施されているのか、声の主の特定は困難。
モニター正面に並び立つのは左からステラ、スティング、アウルの順。
「これで次の作業がやりやすくなります」
モニターに映る男の表情は逆光で見えない。
「貴方達には負担をかけますが、この作業を終えれば、ようやく世界が動き出すのです。
頼みましたよ、私の可愛いチルドレン。
…青き清浄なる世界のために」
モニターの映像が途絶える。
「…青き清浄なる世界のために」
三人はモニターに向かって敬礼を行う。
その表情は精悍そのものだった。
宇宙(そら)を進むミネルバ。
アーモリーワンはもうすでに遥か遠く。
「…結局、取る物も取らずに。か…」
ブリッジでため息をつくのはタリア。
「仕方ありませんよ、このミネルバが被害を受けなかっただけでも
もうけモンです」
タリアの言葉に反応したのは、ミネルバ副長のアーサー。
「そうね…」
タリアの表情は複雑。
「大丈夫ですよ、艦長。アーモリーワンにはデュランダル議長がいます。
心配しすぎですって、艦長。我々は与えられた任務、
ユニウスセブンの地球降下阻止に全力を尽くしましょう!」
タリアを見て、アーサーは努めて明るく発言する。
答えないタリアは複雑な表情のままだった。
「艦長!通信です!輸送隊のディアッカ班長≠ゥらです!」
オペレーターのメイリンからの呼びかけ。
「ん、了解。回線をモニターに回して」
メイリンは手元の機器を操作。
モニターに褐色とブロンドの髪の男、ディアッカの顔が映る。
「こちら、輸送隊第八班班長ディアッカ・エルスマン。デュランダル議長の命を受け、
MSをお届けにあがりました」
明るい飄々とした声がブリッジに流れる。
「久しぶり。この非常時にアナタは相変わらずね」
タリアは苦笑する。
「そりゃ、深刻にして事態が解決すればいいですけどね。
やっぱりこんな時こそ明るくグレイトォ!にですよ、艦長」
ディアッカは拳をぐっと固めて、グレイトォにポーズまで決める。
ブリッジからあちこちからクスクスと小さな笑い声が漏れる。
「ホントにあなたはいつもグレイトォね…」
笑ってつぶやくタリア。
アーサーはそのタリアを見て、チェッと鼻を曲げた。
486 :
シン運命:2006/06/15(木) 01:42:11 ID:???
483を14話表記にするの忘れてた…OTZ
ちなみに僕は、毎回4話ずつの進行になるかと思われます。
ちなみにここからちょっとずつ改変していきます。
ではでは。
487 :
通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 01:59:55 ID:beN8thKR
age
488 :
蒼星の覇者:2006/06/16(金) 17:56:22 ID:???
日付が変わってからというもの、
アーモーリー1は物々しい雰囲気に包まれていた。
連合とザフトが共同開発した最新鋭の戦艦の進水式が、もうまもなく行われるからだ。
「うふふ……」
ショッピングモールのショーケースの前で、一人の少女が、ステップを踏むようにはしゃいでいる。
その様子を、後ろから二人の少年が見ている。
「何やってんだ、あれ。」
「浮かれてるバカの演出……じゃねえの?」
「ハ?」
半ばあきれるようにして、短髪の少年は言った。
「お前もバカをやれよ、バカをさ」
「フン」
「ま、休暇といわれても、俺たちがねぇ……」
同じころ、一人の少年が、同じアーモリーワンの町並みをかけていた。
その後ろには赤い髪の少女がぴったりと彼の後ろについてきている。
「ねえ、シンったら、朝から変よ?」
「なんでもないよ、ルナ! 早く帰れったら!」
「別にいいでしょ、私も進水式、見に行っても」
「ルナみたいなのが、どうして軍艦なんて見に行くんだよ……あぅ!?」
後ろの少女の方を振り返りながら走っていた少年は、
角で、出会い頭に人とぶつかった。
ショーウィンドーの前ではしゃいでいた少女だった。
「あ……ごめ……」
「……」
少女は黙って少年から離れた。
「なにやってんだ、ステラ」
「ごめんねー」
少女は二人の少年に連れられて、立ち去った。
「胸、つかんでたでしょ?」
「え……」
「変態!」
少女は少年をにらむと、来た道を帰ってしまった。
「な……わざとじゃ……ちぇ……まあ、いいか」
少年は少女を見送ると、港を目指して再び駆け出した。
489 :
蒼星の覇者:2006/06/16(金) 18:10:30 ID:???
「我等は自国の理念を守り抜く。それだけだ!!」
オーブの代表、カガリ・ユラ・アスハは叫んだ。
「 他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない?」
「そうだ」
「それは我々も無論同じです。そうであれたら一番良い。だが、力無くばそれは叶わない。それは姫とて、いや姫の方がよくお解りでしょう?」
現プラントの最高評議会議長、ギルバートデュランダルは諭すようにカガリに言った。
「アスラン・ザラ……彼もそれをわかっていたのですよ」
「……何を!」
カガリは、デュランダルを睨んだ。
「貴方にアスランの何がお分かりか!?」
「かつての親友にして、連合のエースであるキラ・ヤマトと戦い、
ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてはジェネシスをとめる為に中立同盟と共闘」
「……」
「ええ、貴方とアスランは最終的には同じ志を持った、まさしく同士でした。
彼はプラントの強すぎる力であるジェネシス、そして父親である前議長をとめる為に、
その命を呈してプラントを守ったのです」
「そうだ! ならなぜ、その過ちをまた繰り返そうとする! 大西洋連合と組んでまで!」
「われわれはもはやナチュラルと戦うつもりはありません、
この力はいわば、新しい秩序を守るための力」
最新鋭戦艦、ミネルバが姿を現した、回りの観衆から歓声があがった。
「おい! 進水式には、まだ早いぞ!」
「なんでミネルバが動いてるんだ!」
「だが!強すぎる力はまた争いを呼ぶ!」
カガリが言った。
「落ち着いてください、カガリ様」
ジュリがカガリを宥める。
観衆の中、少年はミネルバを睨む。
「1、2、3、……定刻だ」
少年、シン・アスカはザフトの施設への侵入を開始した。
「いいえ姫。争いが無くならぬから、力が必要なのです」
デュランダルは、カガリに言った。
轟音とともに、プラントの空が割れた。
490 :
蒼星の覇者:2006/06/16(金) 18:59:41 ID:???
閃光のサイのアイデア練ってたら、なんかこっちのがいいかな〜と思い、
新しく書き直すことにしました、スイマセン。
一応、アズラエルとジブリールの対決モノです。
ミネルバのMSドックに新しく搬入されたザク一機。
色は緑のノーマルタイプのウォーリア=B
「お前が今、こんな事やってるなんて思わなかったよ」
久しぶりに顔を会わせる友に、アスランは喜びを隠せない。
「ま、色々あったからな。今はしがない運送屋さ」
言って、ディアッカは銀色に光る徽章(きしょう)を差し出す。
「これは…?」
「お守りだよ、デュランダル議長からのな。
これからお前が戦場で…そして、ザフトで生きていくためのな、アレックス」
ディアッカはいつもの調子。
だが、アスランは聞き逃さない。
「…どういう意味だ」
ディアッカは口笛をヒュウと一吹き。
「…オーブのお姫さんと一緒にいてニブったかと思ったが、
そうでもないみたいだな」
「茶化すな!」
「…アスラン、お前は何がしたいんだ?」
ディアッカの表情からおちゃらけた雰囲気は消える。
「お前の中ではヤキンの戦いで戦争は終結したのかもしれない。
だがな、ナチュラルとコーディネーターの戦争≠チてやつは、
あれは…ほんの始まりに過ぎないんだぜ?」
アスランは答えられない。
「…ま、オレも今じゃ一介の便利屋。
偉そうな事は言えた義理じゃないがな」
ディアッカはバツが悪くなったのか、いつもの調子に戻った。
「…だから、ディアッカ…お前はプラントに戻ったのか?」
アスランのその言葉は、言葉通りの意味ではない。
しかし、アスランとディアッカはかつての戦友。
裏切ることも信じることも互いに味わった。
だから、ディアッカはアスランの言葉の意味を理解できる。
「…アークエンジェルな。
…オレさ、あの艦、イマイチ好きになれなかったんだよな」
それはアスランにとって意外な告白。
「…ま、オレは今の自分に満足してる。
だから、アスラン、お前もさ、自分のやりたいようにやってみろよ。
そのためにもさ、使える力≠ヘ使っちまえよ。
そのお守りはきっと、お前の助けになるとオレは思うぜ」
そのディアッカの言葉もまた、言葉通りの意味ではない。
しかし、二人は互いに笑みを交わす。
「…変わらないな、お前は」
「お前もな、アスラン」
やはり道は違えても、アスランとディアッカは今もまだ
互いに理解できる戦友≠セった。
…暗い室内。
ベッドに横たわっているのはシン・アスカ。
手には色褪せた携帯。
指を動かしても反応は返ってこない。
「マユ…」
つぶやくシン。
傍らに脱ぎ捨てられた上着の裏地からは銀色の徽章が
かすかに光を放っていた…。
ユニウスセブンはブリッジのモニターに遥か遠く。
「みんな、集まっているようね」
ブリッジに入ってきたタリアは軍帽を頭にのせる。
「そりゃあ、状況が状況ですから。みんなおちおち待機してなんか、
いられませんよ」
答えたのはアーサー。
「…状況は?」
問いに答えるのはメイリンの役目。
「はい、現在Dポイント、Fポイント、Lポイントにて、
破砕作業が行われているとの事です!」
「…映像に出せる?」
「ハイ!Dポイントの画像、拡大します!」
モニターには数機のゲイツR≠ニその中心には筒状のマシンメテオブレイカー=B
その光景にブリッジに緊張が走る。
「…本気で破壊するんですね、ユニウスセブンを」
ツバを飲み込むアーサー。
次の瞬間、ビームがゲイツRの小隊を襲う。
「何!?」
「…わかりません!近くにMSの反応はありません!」
「索敵急いで!アーサー!艦内第一種戦闘配置!」
「は、はい!艦内第一種戦闘配置!」
ミネルバ艦内に戦闘配置を告げるアラームが響く。
アスランもそれにならい、赤いパイロットスーツに身を包み、
MSドックを急ぐ。
「アスラン!」
背後からの声。
「カガリ…」
アスランに飛びつくカガリ。
「おい…」
カガリは唇をアスランのそれに重ねる。
「………」
しばし二人をそのままに、艦内に響くアラームが時間の流れを刻んだ…。
「ちょ…シン!シン!」
ルナマリアの特徴でもある一本だけ立った髪の毛が揺れる。
「…ったく、緊張感の無いことで」
シンは覗き見に夢中のルナマリアに構わず、先を急ぐ。
「ほんとシンって、ロマンの無い男ね」
言って、ルナマリアは再び視線を、抱き合う二人に戻す。
「ロマンが無くて結構!これは戦争なんだぜ?」
「シーッ!ばか、聞こえるでしょ!」
そして、二人の会話はかみ合わない。
「おいシン!何してる、ブラスト≠フ合体シークエンスを
レクチャーするっていったろう!早く来い!」
「どうせ、ソード≠ニ大して変わらないんでしょ?
やってみせますよ!」
クルーの一人とシンの会話がルナマリアの耳に入る。
「ブラストって…どういうこと?アイツ、やっぱり…!」
ルナマリアは悔しさに唇を噛む。
「なんでアイツばかり特別扱いなのよ…」
いつの間にか、アラームがやんだ艦内。
カガリとアスランはようやく唇を離す。
カガリの瞳が涙に揺れる。
「生きる方が…戦いだぞ」
「…ああ」
アスランは笑みを返し、カガリの涙を唇でそっとぬぐった。
hosyu
496 :
名無しK:2006/06/18(日) 21:09:29 ID:???
(お目汚しかつ長文で恐縮ですが2話目投下させていただきます)
497 :
通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 21:11:47 ID:39AhrTx7
1.
アーモリーワン、臨海基地内滑走路。外にいた誘導スタッフのどよめきに引かれ、整備員達も何事かと格納庫の中から顔を出す。
その中には、式の演目の一つであるコアスプレンダーのデモンストレーションの為、母艦ミネルバとは反対側のこの飛行場で
出番を待っていたシンの姿もあった。
「なんだあれ……今の、爆発だよな」
「6番ハンガーの方だぜ。事故かな」
スタッフ達が口々に指差す方向には、連なった倉庫や宿舎の向こう側、ここからは川の対岸ほどに距離のあるその辺りから、ただ煙が
上がっている様子だけが見える。
小さな煙ではない。モビルスーツが破壊された時に生じる様な、火の赤の混じった太く大きな煙だ。華やかな式典にそぐわない、濁った
灰色の煙である。
それが、まだ遠いが腹に響く振動を伴って、一つ、また一つと数を増やしだしていた。
周囲でどよめきが大きくなり、シンは逆に周りの音が聞こえなくなる感覚に襲われる。騒々しいのに静まりかえった世界で、視界が何かの
前兆のように小刻みに揺れている。
司令部からの慌てた第一報がもたらされたのは、それからすぐの事だった。
現実味のない衝撃に揺れるスタッフ達の見守る先で、また一つ大きな爆煙が上がる。
(Gが強奪された!?)
一方、ミネルバ内では副官アーサーから報告を受けたグラディス艦長が、信じられない思いでその惨状を捉えるモニターを凝視している。
司令部は演目を即刻中止し、事態の収拾に当たるため、兎も角周囲に配置されたMSで動き出した3機のGを取り押さえるようにと指示を
出していた。
部下達の手前、取り乱さず冷静な外面を保ってはいるが、就航直前に自軍の基地内で起きたよもやの非常事態である。
前大戦の戦火の海を経験したグラディスといえども、口を開けば緊張を隠し得ない強い語調が外へ出た。
「馬鹿な……。Gの起動には厳重なセキュリティがかけられているのよ。登録パイロット以外に動かせるはずがない。いえ、それ以前に
警備の者は? パイロット達は何をしていたの? 襲撃者の人数は?」
「今入った報告によれば、最初の通報を行ったのがルナマリア・ホーク……5分前の事です。彼女が確認した襲撃者の人数は最低でも
3人、それぞれ武装していたとの事です。通報後、6番と7番の間のゲートについていた警備兵が4人とも殺害されているのが発見され
ました。……パイロットは、ルナマリアは無傷、クロム・ヴァースキが顔面に負傷。レイ・ザ・バレルは……」
『私は現在、VIP席よりデュランダル議長と共にミネルバへと移動中です、艦長』
三方向に分かれて圧倒的な破壊力で基地を蹂躙していくG達が映し出されるモニターの一部にウインドウが開き、白みがかった金髪の
若い士官が映し出された。精鋭の証である赤の軍服を乱れなく着込んでいる。
彼はジープで砲火の下をかいくぐっているのか、背後から爆音が聞こえ、映像に時折ノイズが混じった。
『ハンガーへ向かう途中、VIP席付近で起動したGによる配備モビルスーツへの攻撃行為を確認。有事につき議長の身の安全が確保
できるまでの間、私も護衛に加わります』
『レイ! 議長はご無事なの? 他のVIPは?』
「私なら大丈夫だ、グラディス艦長。アイリーン・カナーバ議員をはじめ、参加した評議会のメンバーの多くは警護の者に保護されている。
しかしこの混乱だ、全員の無事は確認できていない。来賓席におられたアスハ代表等の安否が気になるが……」
鉄が焼け鋼の溶ける、むせるような硝煙の霧に飛び込み、また抜け、ジープの後部座席からデュランダルが言葉を繋いだ。
「暴れ出したGの力は驚異的だよ。動かしているのが何者かは知らぬが、まさに鬼神の如きだ。レイの帰投に伴い、私もミネルバへ行か
せて貰う。責任の追及など後回しだ、一刻も早くあれを止め、事態を収拾せねばならない。指揮を頼むぞ、艦長」
『……インパルスを出撃させてください』
メインモニターに入れ替わりで新しく開いたウインドウに、パイロットスーツ姿でコクピットのシートに収まったシンが映し出された。
『事態は大体掴めました。とにかく、あの3機をどうにかして止めます。艦長、インパルス・システムの発動許可を』
グラディスは息を呑む。奪われたGは、あの3機のみ。見方を変えれば、まだこちらにも切り札が一枚残っていたのだ。そして並のMS
では全く手のつけられない、あの暴走した戦鬼どもに対する有効な一手があるとしたら、その切り札を出すより他はない。
「……けれどシン、これは仲間とのシミュレーションでは無いのよ。奪われたGは、下手をすれば正規のパイロットが操縦する以上の力を
発揮しているようにも見える。それが3機。同じG兵器といえど、戦力差は大きいわよ」
『負けません。俺は、俺たちはこんなところで尻込みするためにミネルバのクルーになったんじゃ無いんだ』
グラディスは、顔を伏せたシンの押し殺した声と、その鬼気迫る眼光に鼻白んだ。
『プラントを攻撃するテロリストを、理不尽な暴力を、許さないために作られたG型とミネルバなんでしょう。こんな状況で、あんな奴らに
好き放題やられて、今戦わずに一体いつ戦うっていうんですか、艦長!』
「……その通りね」
「艦長……!」
何かを噛みしめるように首肯したグラディスの指示を、アーサーが不安を隠せない表情で固唾を呑んで待つ。
待つ必要は無かった。グラディスは顔を上げると同時に席を立ち、ブリッジの全スタッフに対し命じた。
「インパルス・システムの発動を承認します。演目に準じて設定していたシークエンスプログラムを全て解放。中央カタパルトデッキを
展開、ガレージスタッフは各パーツの最終チェック及び射出準備を急げ。基地内での戦闘につき、シルエットはソードを選択。敵G型の
捕捉急げ、追尾怠るな!」
「か、艦長!」
「アーサー、ミネルバは第2級戦闘配備に移行。いつでも飛び立てるようにしておきなさい」
「りょ、了解です! エンジンブロックスタッフへ通達、メインエンジンをセイリングレベルへ上昇、そのまま待機! サブエンジンは左右とも
フローティングレベルを維持、両主翼BよりDブロック、LよりNブロックは海水を吸入開始! ……いいんですか、艦長!」
「議長は事態の収拾を願っておられたわ。その為に必要であると判断した事は司令部への申請を挟まず全て実行に移します。すなわち、
ミネルバは現時刻をもって対MSテロを想定した独立部隊としての行動を開始。新型MSを奪取されたこの事態に対し、全力を以て解決
に当たります! 作戦目標は奪取された3機のG型の奪回、もしくは破壊とします、これは演習では無い、総員奮起せよ!」
「りょ……了解しました!」
『艦長、俺はコアスプレンダーで先に出ます。交戦中の味方機の援護だけでも行います!』
「……わかったわ。あなたの底力に期待させてもらいます。ただし直接戦闘は避けて。パーツの到着まで絶対に持ちこたえなさい」
『了解!』
シンのウインドウが消え、インパルス・システムを含めた機体管制を主にオペレートするメイリン・ホークが、アーサーよりも不安げな顔で
グラディスを仰ぎ見る。
「艦長、全てのパーツの射出態勢が整うまで、およそ5分です。でも、シンがそれまで持ちこたえられたとしても、初陣で戦闘エリアでの
機体構築なんて、いくらなんでも……味方機の援護もないのに……」
「スプレンダーをミネルバに呼び戻して格納庫内で組み上げていては、時間を大幅にロスします。味方機がいないなら、援護するのは
私達クルーの仕事です。敵が基地内にいては砲撃はできないけれど、得られたGの稼動データ、行動パターンは可能な限り分析して
パーツの射出経路決定に使いなさい。手の空いた格納庫スタッフはレイ達パイロットの帰投に備えて、ザクシリーズの起動を!」
「は、はいっ!!」
慌てて頷いたメイリン達オペレーターが、情報処理の専門訓練を受けたコーディネーターならではの高速キータイピングで大量のデータ
の解析を開始する。
(このまま手をこまねいていても、何もしなかった時間だけ事態は悪化していく。ならば少しでも可能性のある手を直ちに打つ……か。
シン・アスカ、ナチュラルであり特別な才能があるわけでもなかったあなたがここまで這い上がってこられた理由、見せて貰うわよ)
2.
「……ミネルバが出航態勢を整えていますね」
巨大な船体に走る脈動と、揺らぎ波打つ水面が、その戦艦が今すぐにでも飛び立てるよう力を蓄えていることを知らせる。
軍港にはけたたましいサイレンが鳴り響き、慌てた当局のスタッフたちが走り回っている。
「グラディス艦長が本気になったという事でしょうか」
「そうでなくては困るな。優れた力を持ち、それを全力で使うことのできる人間が陣営に与える影響は大きい。彼女は貴重な人材だよ」
実体弾とビームの乱れ飛ぶ基地内を走り抜けてきた軍用ジープが、ドックで唸りを上げるミネルバから接舷された搬入用スロープに
乗り上げた。内部でも、クルー達は出航準備に追われて目の色を変えて作業をしている。ジープの事は運転してきた軍人に任せ、
デュランダルは真っ直ぐにエレベータへと向かい、レイは彼に付き従いながら冷静と言うよりはやや冷めた言い方で意見を求める。
「シン・アスカもそうだとお思いになりますか?」
「うむ、彼もだ。未だ実力的には突出しているとは言えないが、彼の時折見せるという行動力はなかなかに面白い……あのようにな」
格納庫の壁の中を横切る形で、専用のスタンドに固定された飛行機のようなパーツが移動していく。それらは銃の中身を見ているように
カタパルトデッキに装填されると、外へと射出された。やや間隔を空け、連続で三つ。シン・アスカは、進宙式が予定通りに進行していた
ならば、あの強奪されたG型と共に四機目のGをお披露目するはずだった。その最も特徴的な機能である変形合体システムを使用して、
観衆の目の中、基地上空で実際にMSを構築する。これは実は公表されたプログラムには載っていないサプライズ的な演目である。
そのパーツ群を今こうして発進させているということは、未だ暴走した新兵器の闊歩する混乱の基地で合体を行わせ、そのまま戦闘
に投入しようというのだろう。敵の威力を身を持って味わった視点からすれば正気の沙汰とは思えないが、同時にうまく事が運んだ
ならば効果的な手段かもしれないとも思う。
「彼ならばやってくれるかな。レイ」
「……どうでしょうか。正直に申し上げれば、シミュレーション通りの戦い方ではせいぜい一機を足止めできれば上出来だと言わざるを
えません。むしろ単独で出ては、合体したとしても撃墜されて終わる可能性の方が高いかも知れません」
「そんなものなのかね?」
「実力的には本当に議長の仰った程度です。シンがインパルスに乗るとした場合、同じG型ではルナマリアと同等、クロムには一歩
譲る」
エレベータのもとへ辿り着き、デュランダルとレイはそのカーゴへ乗り込んだ。
「君に対しては?」
「私がカオスに搭乗した場合、勝率は9対1。ザクファントムならば6対4で私が勝ちます……しかし、アカデミーの最終試験の時のように
彼はほんの時折、大番狂わせに顔を出すことがある」
「そうだな。あれは印象的だった。だから私も、彼という存在に関心がある。まだ死なせるには惜しい人材だ。同時に、戦火の中で彼が
成長を遂げるのならば、見てみたい思いもある」
エレベータが再び開き、ブリッジへ至る途中、格納庫の真上にあるパイロット用のフロアでレイは降りた。敬礼を一つすると、そのまま
パイロットスーツの用意されたロッカールームへと早足で向かう。
「では、彼の勝率を上げるために私も出撃します」
「うむ、頼むぞ。レイ」
3.
「コアスプレンダー、変形完了。ガイドレーザー・ライトレフトリンク、チェストフライヤードッキング開始!」
折りたたまれたコアスプレンダーが推進器の小刻みな噴射で飛行ベクトルを調節し、前方を飛ぶパーツの後部と結ばれた赤い光の
糸を辿り寄せ、その連結面へと滑り込む。
視界が切り替わり、合体したチェストフライヤーのメインカメラが見ている映像がモニターに映し出された。強烈に握りしめそうになる
指を押しとどめ、努めて慎重な操作でコントロールレバーを倒す。
「……レッグフライヤー、ガイドレーザーリンク。ドッキング開始、エアロパーツ排除。インパルス、変形開始」
後方から同様に糸を辿って接近したパーツがコアスプレンダーを挟み込んで結合する。パーツを飛行させる為に各部に取り付けられ
ていた流線型の装甲と翼が取り払われ、その中から3機の合体によって人型を為した灰色の機体が姿を現す。G型の特徴と言える
頭部のブレードアンテナが風を切り、真正面から受けた空気抵抗が機体の表面で暴れる。
その緑色の双眸には、射出されてきたパーツ達との合体の為に上がった空から見下ろした、基地全体に広がる火災と黒煙、それらが
飛び去った真ん中にいる緑と青と黒、幾度となく見た、本来なら仲間達の乗るはずだったこの惨禍の元凶が焼き付いている。
「……ソードシルエット、接続。……ソードインパルス、合体完了! ……うぅおおおおおおおーっ!!」
「くっ……なんだコイツは!」
フェイズシフト装甲の展開と同時に着地したインパルスは、最も付近にいたカオスにレーザー対艦刀・エクスカリバーで斬り掛かる。
繰り出された二撃を辛くも回避したカオスが放つ反撃のビームライフルが、既に動いていたインパルスの左腕のシールドに防御された。
「フェイズシフト装甲に、この反応速度……こいつも新型のGなのか!」
「前情報にはそんなの無かったじゃんか! ネオの奴、ちゃんと調べとけよな!」
コクピットで悪態をつくアウル。彼らのリーダー格の人物からこの任務を言い渡される際に受け取った敵の戦力情報と齟齬があった。
収集された情報によれば、進宙式で発表される新型はあくまで3機であり、後に控えている機体は開発中とされていた。管理職以下の
人間には知らされず、極秘事項かサプライズとして勿体ぶられていたとでもいうのだろうか? 全く忌々しい。
「まぁいいさ。剣使いの機体なら、格闘戦用だろ。火力ならこっちの方が上に決まってるんだ。ぶっ潰してやる!」
瓦礫の山の上を後退したカオスにかわり、重装甲、重火力、ハイパワーが自慢のアビスが前に出る。肩部の大型バインダーを傾け、
その先端部から針のように突き出した左右四問の連装レーザー砲を照準した。
しかし、インパルスはアビスが動きを見せた瞬間にその場から横滑りに退いていた。その過ぎ去った後を一瞬遅れ、レーザーが貫く。
「お、こいつ、かわしやがった!」
「私がやる……」
ハルバートを手に、驚いたように上体を揺らすアビスの横をガイアが走り出し、前方に倒れながら四足獣形態に変形する。そして特有
の機動性で機体を左右に振りつつ徐々に加速しながら、翼の峰にビームソードを張り、インパルスに襲いかかった。
跳躍と着地を繰り返し、高速で横を通り過ぎるガイアから身をかわすインパルス。だがガイアは前脚の片側を地面に突き立て、一瞬で
向きを変え、間髪を入れずに飛びかかる。
ガイアのビームソードは、武装としてはインパルスの持つレーザー対艦刀と同質のものである。通常のビームサーベルよりも出力が
大きく、迂闊に触れたならばフェイズシフト装甲の機体といえども両断されかねない。更に、機動性、特に障害物のある陸地での敏捷性
においては、変形機構に加え走破能力にも秀でたガイアに分があった。
周囲の建造物の残骸を利用し、インパルスの周囲を跳ね回りながら、風の中を踊るがごとく四方八方から攻め立てる。
「……はまったな。これで奴も終わりだ」
露呈した圧倒的な機動力の差に翻弄されるインパルスの姿に、カオスのスティングとアビスのアウルは決着を予感した。
ついに捌き損ねた翼の一撃に、インパルスは左腕の対艦刀を切り折られた。続けて、左背後からの襲撃にバックパックを大きく切り
裂かれ、たたらを踏む。なんとか踏みとどまり、残ったグリップ部を捨て、頼みの右の剣を構え直した。
しかし、その右の対艦刀も、突撃してきたガイアのビームソードの圧力に屈したか、手から離れて地面に突き刺さった。
ついに素手になったインパルスに、ガイアはこれでとどめと背後から突進する。
「……とった……」
疾走する心地よい上下の振動にステラはうっすらと笑みを浮かべ、最後の一撃を繰り出す。しかし、もう為す術の無いはずのインパルス
は突然振り向くと、両腕を前に突き出し、徒手のままガイアを待ち受けた。
そして得物を持たないがゆえの重さの抜けた動きで、コクピットのある胴部を寸断すべく肉迫するガイアの、駆け抜けるその瞬間に翼の
下へと倒れ込む。そして交差の瞬間を逃さず、無防備な獣の横腹へと思い切り拳を突き出した。
「えっ……」
まったく油断していた角度からの強烈な衝撃に、ガイアが四肢を突っ張ってもんどり打つ。そこへ、素早くソードを拾ったインパルスが
両腕で大上段から構え、斬り込んできた。
「くぅっ……!」
咄嗟に翼からビームソードを出し直し、地面に踏ん張った態勢からインパルスと斬り結ぶガイア。だが、高熱光の弦と弦の競り合いは、
完全な斬撃態勢から剣を繰り出したインパルスに軍配が上がった。
叩き込まれたエクスカリバーの光刃がガイアのビームの流れを力尽くで押し切り、その向こう側へと抜け、黒い翼を斬り飛ばす。
「きゃあぁっ!」
「ステラ!」
単独で高速移動をしていたガイアが動きを止めたのと同時に、援護の為ビームライフルとレーザー砲による射撃を繰り出すカオスと
アビス。その一斉砲火を、シンのインパルスは、盾をかざしながら円軌道で横に回り込むことで回避する。インパルスとアビスの間に
カオスを挟む形になり、受ける事になる砲撃を減じた。
「スティング、どけよ! 狙えねー!」
「ちっ……あの野郎。どうやらこっちのGの攻撃手段を知っていやがる。俺のライフルといい、だからあんなに避けやがるのか」
「それが何だってんだよ。武器はあっちの方が少ないんだ、追い詰めてやる」
「そうだな。もう遠慮はいらん。徹底的に叩く」
カオスが背部推進器の推力を上げ、ホバリングした。地上に陣取るアビスと二体がかりで、走り回るインパルスを狙い撃つ。
しかし決定打が入る前に、射撃を続けるカオスの背後からマイクロミサイルが飛んできた。レーダーで感知し、振り向いたカオスが
頭部のバルカン砲で迎撃する。
「……新手か。例の戦艦の方からか?」
「ガイアに手傷を負わせたか。善戦しているな、シン」
駆けつけたのは、背部にマイクロミサイルのパックと重力下でもホバリングと長距離跳躍の可能な推進器を背負った、ザクのカスタム
機、ブレイズ・ザク・ファントムである。機体色は白くまとめられ、頭部からは指揮官機を表す一本の角が生えていた。
「レイ、来てくれたか!」
「これで2対3だ。そして2対2にさせてもらう」
手にしたライフルを、翼の片方を斬られてからうずくまった姿勢で動かないガイアへと照準するザクファントム。だが、地上に降りた
カオスがそのガイアを素早く脇から抱え込み、射線上から外した。
「アウル、こいつが来たという事は、どうやら例の戦艦が態勢を整えつつあるって事だ。Gを熟知した連中相手に長引けば、万一が
起こらないとも限らん。撤退するぞ」
「ち、面白くなってきたけどしょうがねーな」
スティングの提案に、ザクファントムを撃ち落とそうと狙いを定めていたアウルが渋りながらも同意する。
単純な火力では新型G中最強を誇るアビスが、肩部に加え胸部に秘められていた大出力ビーム砲も稼動状態にする。
「……プラントの中で、アビスのビーム砲を……あいつら、まさか……!」
「いかん。シン、射線上から離れろ!」
「行くぜ!」
最大出力で放たれたアビスの胸部の砲、カリドゥス複相ビーム砲が、真っ直ぐにプラントの空を突っ切り、その果てへ届く。
そして、大気を封じ込める砂時計のガラス、分厚い透明な外壁に炸裂し、その構成材を渦巻くように融解させ、モビルスーツの身長に
倍する巨大な穴を穿った。
凄まじい勢いで、空気が吸い上げられていく。基地に蔓延していた黒煙も吸い上げ、空の一方へ向かって黒い渦が生じる。
プラント内のあらゆる物質が、その方向へ向けて引っ張られていく。もう少し地上に近く穴が開けられていれば、人が吸い込まれていて
もおかしくはない。
「あ……あいつらっ、なんて事をっ……!」
「あの躊躇の無さ……。最初からあの手段で脱出するつもりだったようだな」
「冗談じゃない。プラントの事も、そこに住む人間のこともお構いなしかよ……あいつらっ!」
4.
「おい、ステラ……何やってんだ、さっきから! 翼一枚斬られただけだろ、まだ動けるだろうが! ダメージのショックで動かないなら
さっさとリライトして立て直せ!」
吸い上げられる黒煙の中を、変形したままのガイアの胴体を抱えてカオスが飛ぶ。その後ろを、最大出力の砲撃を放った際の排熱を
行いながら、アビスが追いかける。
「ちっ、全く扱いにくい奴だよなぁ。見境無しに暴れ回ったり、かと思えばいきなりへたり込んで意気消沈かよ。俺らがいなけりゃ、これで
死ぬの何度目だ、おまえ」
ガイアのコクピットの中で、ステラは目を閉じて思い返している。ガイアの斬撃をかわし、その横腹をついたインパルスの動き、初めて
喰らった攻撃なのに、どこかで見たことがある気がする。
そのことを考えようとすると、なんだか戦いたくなくなる。コクピットの中でうずくまりそうになって、スティングに一喝された。
「ステラ、いい加減にしろ。あの新型は舐められたもんじゃない。いつまでも抱えては逃げ切れん。ここでやられたら、折角生き延びて
きた意味がこんな所で終わるぞ。ネオにも二度と会えん」
「……ネオと、会えない……」
ぼそりと反芻して、顔を上げるステラ。おずおずとした手つきで、片翼を斬り飛ばされた事を踏まえ、OSを再設定する。ガイアが人型に
変形し、カオスから離れて自力で飛び始めた。
「全く、世話焼かせやがって」
その時、3機が飛び出してきたプラント外壁の穴から、数発のビームが飛び出してきた。
「おっと!」
カオスがシールドでそれを防ぐ。現れたのは、先ほど増援としてやって来た白いザクである。
「ふん……お前の方か。あの剣の奴は、どうやら追ってこれなかったようだな」
インパルスは、ステラの攻撃でバックパックにダメージを受けている。飛べずに見送ったのだろう。
「好都合だ。さっさと片付けて引き揚げる!」
これまで戦闘力を温存していたカオスがその力を開放した。高機動・空間戦闘用の機体であるカオスは、回転による引力を内部に発生
させるプラント内においてよりも、重力の束縛を受けない宇宙空間でこそ真の威力を発揮する。
カオスの背面の両翼、翼のついた大型の円筒状ユニットが外れ、滞空した。後部から噴射し、ワイヤーを引いて自在に宙を踊る。
「機動兵装ポッド、その身で味わうがいい!」
「何……!」
加速と減速を繰り返しながら死角へ正面へと回り込み、背後から頭上から、内蔵されたビーム砲とマイクロミサイルで攻撃してくる。
ザクファントムは機動力と両肩のシールドで致命打を回避し続けるが、いつまでも避けきれるものではない。
「……強奪した上で、この場でこの装備まで使いこなすのか。この連中、少なくとも並のコーディネーター以上の力を持っている……?」
本来、カオスはレイが乗るはずの機体だった。装備についても、よく知るところである。しかしその上で、カオスに乗るパイロットの実力は
紛れもない本物だと言わざるをえなかった。
仮に同じ機体、同じ条件で戦ったならば負けるとは思わないが、今のこちらの機体は性能で劣るザクである。次第に追い詰められていく。
「ちぃっ……」
「最初の勢いはどうした、白いの。やはり機体の性能差には勝てないか?」
カオスは変則的な高機動の可能となるモビルアーマー形態へ変形し、その翼の無い怪鳥のような姿で機動兵装ポッドと共にザクファントム
を攪乱する。そしてマイクロミサイルの放射状弾幕で退路を塞いだ上で、モビルアーマーの頭部に内蔵されていたビーム砲を用意した。
カリドゥス改複相ビーム砲。アビスが胸部に持つ砲を、出力を抑え消費エネルギーを軽減したものである。それでも、並のMS一機なら
一撃で葬り去ることのできる威力がある。
当然、カスタムを受けているらしいとはいえ量産機にすぎないザクファントムも例外ではない。
「終わりだ!」
「今だ、シン!」
その時、プラントに空いた大穴を通って外に吸い出される煙の中から、一機のモビルスーツが飛び出した。
黒煙の中に潜み、迷彩に利用していた灰色の装甲が彩られていく。
そして、その機体は構えていたビームライフルの一撃をカオスの砲口部に叩き込んだ。
「何ぃっ!!」
モビルアーマーの頭部が吹き飛び、カオスが衝撃で後退しながらモビルスーツ形態へと戻る。
「馬鹿な……この白い奴を囮にして、煙の中に隠れていたのか!? しかもあのダメージで、どうやって……」
そこで、フェイズシフト装甲の起動が終わったインパルスの全身を目にして、スティングは唸った。
機体は装甲の色を赤から青へと変え、その背負った装備も先ほどまでとは違っている。いかにも機動性の高そうな、大きな翼のある
航空機のようなバックパックである。輪郭が全く変わっているのだった。
「成る程な……。破損したユニットを棄て、高機動ユニットに換装して追いついてきていたのか。そのGの能力は、分離と合体に加え、
状況に応じた換装というわけか」
「どうするんだよスティング、基地で大暴れした挙げ句にしぶとい敵とのどんぱち、こっちのエネルギーももうあんまりもたないぜ」
「じゃあ、そろそろ私が代わってやろう。やんちゃ坊主ども」
そこへ、彼らよりも一回り年齢を重ねた男の声が流れ込んできた。
闇の中からビームの砲撃が舞い込み、痛手を受けたカオスと対峙していたインパルスが退く。
プラントの外、宇宙の闇から現れたのは一機の機動兵器だった。しかしモビルスーツではない。航宙機から進化した純粋な宇宙戦闘機、
純粋なモビルアーマーである。
それまでカオスの戦いを横から見ているだけだったガイアのステラが、嬉しそうに声を上げた。エネルギーをセーブしていたアビスの
アウルも声を上げる。
「ネオ、来てくれたんだ……!」
「おいネオ! おせーよ! しかも聞いてねえぞ、あんな奴がいるなんて! おかげでこっちは予想外の目に遭った! まぁそこそこ面白
かったけどさ!」
3機の中へと滑り込んできたモビルアーマーから、彼らの指揮を取っているらしいパイロットの愉快そうな声が響く。
「すまんすまん、これは確かに私のミスだったな。まさか完成した虎の子が、更にもう一匹隠されていたとは。やはり金はけちらずに、
もう5、6人くらいは抱き込んでおくべきだったかもしれん。……まぁ、ここでデータを集めれば済む事だがな」
5.
「はぁ、はぁ……な、何だこいつ……あいつらの仲間か?」
突如現れた紫色のモビルアーマー。サイズの上ではモビルスーツよりやや大きい程度である。だが、その機体から漂う無言の圧力
に、こちらは明らかに押されていた。全く無造作に漂っているはずなのに、隙が見えない。
そのモビルアーマーに後を任せて、奪われたG達は離脱しようとしていた。
「ま、待て! 逃がすか!」
追おうとした鼻先をビームがかすめる。狙う気配を全く見せずに、モビルアーマーが撃ってきていた。それなのにその照準は正確で、
2発、3発とインパルスを後退させていく。
「くそっ……こんなんで止まってられるか!」
その間にも、Gの影は遠のいていく。からかわれているようでいきり立ったシンは、シールドを広げて砲撃を防ぎ、そのまま直進した。
動かないモビルアーマーを抜き去り、有り余る推力でGの影を追う。
「ほぉ、なかなかよく飛ぶじゃないか。じゃあこんなのはどうだい」
既に背後に遠いモビルアーマーが、何か固まりを飛ばしたのをレーダーが捉える。その一つがこちらを追い、何かを撃ったのが判った。
反射的に軌道を変え、主観では上方へと逃れる。その足元を、高速で弾丸がかすめた。更に異なる方向から、同じ攻撃が降り注ぐ。
回避経路を、明らかに誘導されていた。レーダーから、どんどんG達が遠ざかっていく。
「くっ、何なんだ!」
砲撃の正体を見極めるために振り向いた正面に、こちらへと砲口を向けるその物体の姿があった。
流線型をした小型のユニットである。カオスの機動兵装ポッドに似ている。しかし、その移動速度は段違いに上だった。
同時にビームライフルを構え、撃っても、その小型ユニットは難なく回避し、またどこかへ回り込んで攻撃を仕掛けてくる。
レーダーを見ても無駄だ。追い切れない。どこから狙っているのか、どこに回り込んでいるのか、反応が全く追いつかない。
「レイのカオスと……こんなのは嫌と言うほどシミュレーションでやりあったはずなのに! うっ、うわああぁぁっ!!」
闇雲に推進器を吹かし、狙いを定めようとして先に撃たれる。しかしその目の前にポッドの銃口が来たかと思えば、衝撃は背中から
来た。続けて、脚側から、右腕に、左肩に、頭に、次々と衝撃が走る。
「今回の弾装が目立つビームじゃなく、地味な実体弾で良かったな。だが逃げられないぜ、坊や!」
全方位、タイムラグの生じない一斉連携攻撃。そこには逃げ出す隙などない。
攻撃が実体弾である以上、フェイズシフト装甲を装備しているインパルスには未だ大きな損傷はない。しかし機体を激しく揺さぶる衝撃
は、中のパイロットに確実にダメージを蓄積させる。
かつて、この戦法で猛威を振るった連合軍の兵器があった。カオスの機動兵装ポッドへと攻撃思想が受け継がれたその兵器は、高い
空間把握能力という特殊な才能のもとで凄まじい戦果を上げたという。速く鋭く矢継ぎ早に死角をついてくるこの攻撃は、まさにその
直系とも言えるべきものだった。
「こ、これが、本物の……ガンバレル……!」
「シン、防御態勢を取れ。俺が撃ち落とす」
自らもモビルアーマーとガンバレルに対しライフルの攻撃を行っていたレイのザクファントムが、さすがにこのままでは埒があかない
と判断したか、背部のマイクロミサイルを全弾発射した。インパルスはミサイルの来る方向へと盾をかざし、その爆発から身を守る。
爆風の直撃を避けるべく移動したガンバレルの一基を、レイのザクが狙い澄ましたビームライフルでようやく撃ち抜いた。
「ほぉ……布陣を敷いて俺のガンバレルを捉えるとは。やるな、白坊主君」
黙々と攻撃を加え続けてきた白いザクファントムに対し、モビルアーマーのパイロットは素直に評価した。
展開していたガンバレルを一旦呼び戻したところへ、仲間から通信が入る。
「大佐。3機のGは無事着艦しました。直ちにこの宙域を離脱します。大佐もお早く」
「了解だ、艦長」
再度ガンバレルを展開し、後方へと牽制射撃をぬかりなく行いながら、モビルアーマーは撤退していく。
「ごほっ! うぅっ……ふざけるな。ここまでやらせて、逃がすかよ……!」
「待て、シン」
「レイ、なんで止める。この程度のダメージ、まだ飛べる……フォースインパルスの推力なら、あのモビルアーマーにだって追いつける!」
「だが、このまま1人で突っ込んでも今のお前ではあのモビルアーマーには勝てん。それに加えて、戦艦を相手にすることになる」
冷静に指摘するレイに、シンは思わず聞き返した。
「……何?」
「戦艦の相手は戦艦に任せるべきだ。……来たぞ」
6.
「カオス、アビス、ガイア、反応ロスト! 座標LX504、VY61、EZ851近辺です!」
「3機同時か。これは撃墜ではないわね。となれば、お迎えの船はどうやらその辺りに潜んでいるという事ね」
プラントの外壁をアビスが穿った直後、ミネルバは停泊していたドックから水中へと潜行し、海底部のゲートをくぐってプラントの外
へと発進していた。
大勢生じた負傷兵の1人として医療機関へと搬送されたクロムと、出航までにミネルバへ辿り着けなかったルナマリアは置き去りに
した形である。
「しかし艦長、そのエリアには身を隠せるようなデブリもなく、熱量、動体反応ともに全く感知できませんが……」
「隠れているのよ。広域電磁性誘導弾グリーンナイト用意。Gの反応ロストポイントへ照準、撃て!」
ミネルバのミサイル発射口から、誘導弾が10発ほど発射され、闇の彼方へと飛んでいった。
「艦長、ジャミング用の磁気弾なんて、どうするんですか?」
「黙ってみていなさい。私の推測が正しければ、姿を現すわ」
目標の宙域付近で爆発したミサイルが、強力な電磁波を周囲に撒き散らす。
すると、見えざる波に晒されて、何もなかった空間から突如、一隻の戦艦が姿を現した。
「ほ、本当に現れた……!」
「ミラージュコロイド。熱光学迷彩を可能とする特殊粒子を、磁場によって固定する技術よ。5年前のユニウス条約で、機動兵器
や戦艦の隠蔽への使用は禁止されているはずだけど。……テロリストに言っても通じはしないわね」
驚嘆するアーサーに、淡々と説明するグラディス。彼女は以前、この装備を持った敵と戦った経験があったのだ。
磁場によって姿を消すのなら、その磁場を乱してやれば化けの皮を剥ぐことができる理屈である。
しかし、その装備を今になって使用できるということは、敵がそれだけ高い技術力を有している事の証明でもある。
「……ミラージュコロイドを使用して姿を消す戦艦。対象を以後『ボギーワン』とします。データベースへ登録を」
「了解!」
ボギーとは悪霊の意である。プラントの近海に潜み、まんまと虎の子のG型をさらって宇宙の闇に消えようとしている敵を指すには、
的を射た識別名と言えるだろう。
ボギーワンは回頭する途中にあり、後部の大型推進器から推力光を放ち、逃走にかかっていた。
「逃がさないで。ミネルバはボギーワンを直ちに追撃! 各ミサイル発射管は誘導経路を先行入力、 一斉発射!」
電磁波の嵐の中を直進するミサイル群が、ボギーワンに追いつく。しかしボギーワンは、多数のバルカン砲による自動迎撃システムで
これを全て撃墜した。
その爆圧に揺れるブリッジで、その艦の艦長は高速で接近してくる味方機に指示を仰いだ。
「どうします大佐、特殊装備ならともかく、ミラージュコロイドを剥ぎ取られた今となっては、最新鋭艦を相手にするには分が悪い」
「ふん。まともに戦って勝てそうに無いなら度肝を抜いてやればいい。艦体側部右側のプロペラントタンクをパージ! 奴の鼻先に
喰らわせてやれ!」
「了解!」
「トリスタン、イゾルデ、発射準備! 目標、ボギーワン!」
左右のカタパルトデッキ上部にあるミネルバの主砲と、ブリッジの麓にある副砲が標的を狙って砲口を動かす。
「ボギーワン、照準内!いつでも撃てます!」
「よし、撃……!」
ミネルバの砲に光が蓄積され、今まさに放たれようとした瞬間、ボギーワンの側面に設置されていた巨大な増設タンクの片方が外れ、
後方にいるミネルバの方へと高速で流れてきた。放とうとした主砲との間に割り込み、射線軸を遮る。
グラディスは呼吸を止めた。ボギーワンがこれまでミラージュコロイドにより船体を隠したまま移動していたのだとすれば、その移動方法
は今見せているような推力光を伴う通常の推進ではなく、不可視で痕跡の残りにくい他の手段を使うはずである。
すなわち、それは高圧縮ガスによる推進など……もしそうであった場合、あのタンクの中身は……
グラディスは逡巡した。射線を塞がれた今、あれを撃破しなければボギーワンを撃てない。しかし撃てばタンクの爆発に巻き込まれる。
だが今からでは完全な回避は間に合わず、撃たないままタンクがこちらに直撃すれば、至近距離での爆発に巻き込まれ……。
「主砲副砲発射中止! 自動迎撃システムにてタンクを撃破せよ! 総員耐ショック防御!」
結局、グラディスが取ったのはその方法だった。こちらへ接近し過ぎる前にバルカン砲がタンクを破壊し、巨大な爆発が生じる。
ブリッジが揺れ、ようやく視界と全てのセンサーが復旧した時には、対象の戦艦は再びどこかへ消え去ってしまっていた。
「ボギーワン、ロストしました……」
「……やられたわね」
電磁波の乱れた空間から脱出し、再びミラージュコロイドを身に纏ったのならば、その姿を見つけるのは容易ではない。
グラディスはアームレストに拳を打ち付けた。
7.
ガイドランプの点るモビルスーツデッキに、インパルスが飛び込む。
用意されたネットに受け止められて着地すると、そのまま自分でモビルスーツのスタンドスペースへと歩いてアームで固定された。
至近距離のミサイルの爆発で装甲表面に傷みがあるが、致命的な損傷は無い。
気密用の隔壁が閉じられ、デッキ内に空気が満たされるのを待って、整備員達がわらわらと集まってくる。
ミネルバは現在アーモリーワンから離れ、ボギーワンの足跡を辿り宇宙空間を進んでいる。
ミラージュコロイドを使用しているらしい敵の足取りを辿ることは困難を極めるが、搭載されたセンサーを最大限に使い、真空中に
飛散した燃焼ガスの痕跡などを解析することで、何とか影を追っている状態だった。
フェイズシフトを解除したインパルスのコクピットハッチを開き、シンが降りてきた。迎えたのは、インパルスを担当するメカニック、
ヴィーノである。
「シン、無事だったか。あの状況でインパルス出撃って言われた時にゃハラハラしたが、ちゃんと帰ってきてくれて良かったぜ」
「心配かけたな。けど、やっぱり悔しいよ。結局まんまと逃げられた……」
初戦の緊張と味わった戦慄による脂汗を拭うシン。結局自分にできた事といえば、武器を破壊されながらガイアにダメージを与えた
事と、レイの作戦に従ってカオスに痛手を負わせたことだけだ。ついに、ただの一機も取り戻すことも撃墜することもできなかった。
「いや、お前はよくやった。3機のGと、あれほど機体を使いこなす襲撃者を相手に、生きて帰って来ただけでも上出来と言える。
正直、日頃の調子では数で押されてお前が撃墜されて終わりではないかと思っていた」
インパルスより早く着艦を終えていたレイが、シンに水分補給用の簡易水筒を投げ渡した。誉められていると素直に喜ぶことのできない
評価である。彼はシンに対して、クロムとは違った意味で辛辣な態度を取ることがままあるが、今回は慰めなのか、一人で専行するな
という諌めなのか、判断に迷う。
いささか暗くなるシンを横目に、ヴィーノは戦闘中に耳にした情報を語り出した。
「しかし、つくづく酷いことになったもんだよな。基地はあんな状態だし、プラントは壁に大穴を開けられてさ。壁については、あの後
充填材が動き出してなんとか塞がったみたいだけど、アーモリーワンのザフトの内部戦力はほぼ壊滅状態、ドックに残ってる護衛用の
ナスカ級が一隻無事だっただけらしい。外にいた護衛艦は、Gの強奪と同じくらいのタイミングで2隻とも沈められてたってさ」
やったのは、あの戦艦だろうか。それとも、最後に出てきたあのモビルアーマーの方だろうか。あるいは、他にも戦艦に奇襲を仕掛けて
撃沈させられるような戦力があの艦にはあったのだろうか。憶測の域を出ないが、どれでもあり得そうな気がした。
「こんな大規模なテロ、近頃じゃ一番かもしれないぜ。半年前の遺伝子工学研究プラントの襲撃事件以来かも」
「……これはただのテロじゃないよ、ヴィーノ」
起こった事態の凄まじさと、シン達が帰ってきた安心感からか、どこか他人事のように話すヴィーノに、シンは言った。
レイもそれに同意する。
「俺もそう思う。あれが何者かは判らないが、少なくともミネルバ隊が任務対象として想定した一介のテロリストや武装組織ではない事
は確かだ。戦艦といい機動兵装をを使うあの紫色のモビルアーマーといい、敵は確実に我々の想像を越えた戦力を有している。加えて
登録パイロット以外には動かせないGを起動させ、式典用のプログラムを即座に戦闘に対応させた手際。これはむしろ、相応の組織を
バックボーンとした特殊部隊の手並みと言える」
ヴィーノの顔が、レイの淡々とした説明と表情から、さすがに深刻さを悟ったのか、微妙に引きつる。
「いや、ちょっと待てよ。特殊部隊って……それじゃあまるで、戦争が起こる前触れみたいじゃんか」
グシャリと、シンが吸っていた水筒を握りつぶした。わずかに残っていた中身が、血のように飛散する。
ぎょっとしたヴィーノに、シンが謝った。
「悪い。……でも、あくまでまだ想像に過ぎないわけだし……あいつらがただのテロリストでないとしたら何なのか、それを知るためにも
ミネルバは敵艦……『ボギーワン』だったよな。あれをこのまま追うことになったんだろう。Gを取り戻すことも含めて」
「そうだな。あの敵がこのまま終わるとは思えない。そして我々も、このまま終わらせるわけにもいかんだろうからな」
そこへ、ブリッジのメイリン・ホークから通信が入った。帰投したモビルスーツパイロットはブリッジに上がるようにとの指示である。
「……そうだな、艦長に報告しないと。あいつらとの戦いは、これからなんだ」
ブリッジでは、グラディス艦長と乗艦後にシェルターエリアで状況を見守っていたデュランダル議長が二人を待っていた。
軍服へ着替えたシンとレイは、二人に敬礼する。
「お疲れ様でした、二人とも」
ねぎらいの言葉をかける艦長に、シンは流石に苦渋の表情で報告する。
「申し訳ありません、艦長。作戦目標は達成できませんでした。奪われたGは損傷は与えたものの、3機とも取り逃がしてしまいました」
しかし、彼の瞳に諦めも自棄も含まれていないことを知り、グラディスは頷いてみせた。
「確かに取り戻すことも撃破することもできなかったけれど、あなたが出撃して粘った意味はあったわ。敵の装備、戦力、そして辛うじて
足取りもつかむことができた。あのまま対応が遅れていたら、今頃は船ごと見失っていたことでしょう」
それは非常事態に臆せずインパルスでの出撃を申請し、彼女への決断を促したシンへのある程度の評価でもあった。
「ジャンク屋ギルドに、至急でミラージュコロイド・デテクターを発注してあります。このまま追撃を加え、予想進路上で受け取ります。
ごく薄い濃度だけれど、推力に使用しているとおぼしきガスの痕跡は辿ることができているわ。それに敵艦は、ミラージュコロイド使用時
の推力用タンクを一基破棄してしまった。追いつくことは必ずできます」
モニターに、話題に上ったミラージュコロイド・デテクターのデータが映し出された。それは要は、特殊粒子でレーダーからも視界からも
完璧に姿を消すミラージュコロイドに対し、その特殊粒子そのものを感知することで敵の居場所を特定する専用のレーダーである。
戦後の兵器の保持数や運用制限を定めたユニウス条約以後、ミラージュコロイドによる隠形の禁止に伴い需要の無くなったものだが、
宇宙空間を漂う損壊した兵器や機械を扱い再利用するジャンク屋の組織では、まだそういったものを保存している事があるのだ。
それがあれば、より確実にボギーワンを追うことが可能となる。デュランダル議長は、自信に溢れた表情でシンを見た。
「再戦の暁には、必ずGを取り戻して貰う。やってくれるな、シン・アスカ君」
「はい、必ず!」
「……いい目だ。期待している」
その時、オペレーター席のメイリンがグラディスを振り向いた。
「艦長、通信が入っています。属籍はオーブ、イズモ級非武装交流艦、クシナダです」
「オーブ……」
デュランダルとシンが、異なる表情で反応を見せた。
回線が開かれると、モニターには戦艦のブリッジ内と思しき室内を背景として、若干の憔悴の見える金髪の女性の姿が映し出される。
「アスハ代表。ご無事でしたか!」
デュランダルがやや両手を広げて歩み寄る仕草を見せ、表情に安堵と苦衷とを混在させる。
モニターのアスハは苦々しげな表情で頷いた。
『ええ。危ういところでしたが、なんとか逃げ出すことができました。現在、こちらはアーモリーワン内ドックです。議長……大変な事に
なりましたね』
「アスハ代表、貴賓としてお越し頂いた所を、このような事態へと巻き込んでしまい、大変申し訳ありません。正式に謝罪を申し入れ
ようと思っていたところです」
(アスハ……)
ミネルバの進宙式に伴い、中立国でありミネルバ建造への技術提供も行っていたというオーブから、来賓があるという話は聞いていた。
オーブを統べる五大氏族の代表首長である、アスハ……カガリ・ユラ・アスハが来るとは知らなかったが。
アスハ家の人間、というよりも当時のオーブを統治していた者に対して、シンには言い切れない思いがある。
5年前、オーブは連合にもザフトにも与せず、中立の立場を貫いていた。そして、排コーディネーター色に染まった連合に詰め寄られ、
国を焼かれることとなった。
シンには政治のことはよくわからない。しかし、当時の代表首長であった彼女の父、ウズミ・ナラ・アスハの貫こうとしたオーブの立場が、
結果的に戦火を招き、シンの家族はそれに巻き込まれて命を落とすことになったのだ。
国民の多くは、無事に国を脱出してプラントや宇宙ステーションへと避難したと聞いている。自分のように。しかし、それはあくまで「多く」
であって、全てではない。死んだ者も少なからずいるのだ。自分の家族のように。
こいつの父親が、自分の家族を殺した。そんな思いがある。
議長が彼女と何事かを話しているのが聞こえるのだが、何を話しているのかわからない。……聞きたくない。
「彼が、インパルスのパイロットです」
突然話を振られて、シンはびくりと身を震わせる。見上げたモニターの向こうのカガリ・ユラ・アスハは、微笑んでいた。
『そうか。助かった、ありがとう』
「……え?」
『君があの時戦闘機で援護してくれなければ、私は今頃この世にはいなかった』
戸惑うシンに、話をよく聞いていなかったと理解したらしいデュランダルが説明してくれた。
「アスハ代表は、飛び交う砲火から逃れるために、格納庫に置き去りにされていたザクにお乗りになられたのだそうだ。そして、ガイアに
追い詰められ、とどめを刺されそうになったところを、君に救われたのだそうだよ」
確かに記憶にある。生き残ったザクがガイアと対峙していて、腹にビームライフルを突き付けられていたところを、攻撃した。
援護なのか艦長に釘を刺されていた直接戦闘だったのかは曖昧だが、とにかくその光景を前にして、無我夢中で仕掛けたのだ。
アスハは、シンに対して素直に感謝を述べている。だが、シンにはそれが耐えられなかった。自分でもどうにもできないまま、後ずさる。
「……別に、俺は……大したことはしていません……失礼します!」
シンは退席許可も出ていないのに身を翻し、逃げるようにブリッジから出て行く。
「シン、どうしたの……」
呼び止めようとするが、シンの行動は速く、既にドアは閉じた後だった。
そして、グラディスは何かに思い当たったように表情を曇らせる。
『……彼は、一体どうしたのです? 私が、何か勘に障ることでも……』
「いえ……アスハ代表のせいなどではございませんわ。ただ、彼、シン・アスカは、オーブの出身なのです。戦争で家族を亡くして
しまって……」
アスハの表情が、それを聞いて変わる。過去になかったわけではないが、絶対に慣れることはない、そんな顔をした。
8.
「大佐……どうやら、連中はこちらを追ってくるようです」
「ガスの燃焼跡を辿っているのか。さすがは最新鋭艦。しかし、こちらの姿が見えているわけではないようだな。道に迷いながらも
追跡を諦めるわけにはいかない、というところか」
「ジャンク屋ギルドへ忍び込ませた諜報員から連絡がありました。ザフト側からミラージュコロイド・デテクターの発注があったと」
「動きが速いな。しかも分かり易い。あの3機の「ガンダムタイプ」はよほど大事らしい。補修は可能かな、艦長」
「現在機体は詳細を解析中です。カオスはMA形態への変形はできませんが通常戦闘は可能。ガイアは翼を片側やられただけで
戦闘には問題無いようです。両機とも幾分戦力は落ちますが、大佐の直接指揮の下ならば充分使えるでしょう。アビスに至っては、
全くの無傷です」
「やれやれ、全くタフなメカニックだな。放っておいたらこいつらが勢揃いしてこっちに向かってきたかと思うと、背筋が凍る」
「確かに。だからこそ当初の目的は達成できて、まずは重畳というところですな。「彼ら」も一安心というところでしょう」
「例の強奪計画は、ひとまず成功のようですね」
「ふん……何者かは知らんが、連中め、なかなかやってくれるな。しかし、不甲斐ないものだ。対モビルスーツテロ用の新型と部隊
というお題目を掲げながら、その虎の子の新型を3機も、むざむざと奪われるとは。やはり今のザフトは腑抜けている。淘汰される
べきだな」
「けれども、そのおかげで我々の計画の障害は確実に減らすことができました。これで成功率はおよそ6割にまで上がった筈です」
「違いない。では、計画は予定通りに決行する。我らの信念と理想のもと、愚かなる者どもへの粛正を開始する」
to be continued.
GJ
シンとアスハおもろなってきたわ
死守
そして職人超乙
ほっしゅ
「シン・アスカ!インパルス!ブラストで行きます!」
ミネルバの専用射出口から放たれる四つの流星。
そして、それはすぐさま一つに。
機体のカラーはグリーン。
インパルス・ブラスト。
背部の二門のキャノンが特徴の重武装MS。
「インパルス、ブラスト合体シークエンス完了です」
メイリンがタリアに告げる。
「今度は重武装の長距離タイプですか。
…一つの機体であらゆる戦況をこなす。
確か、前大戦にもストライク≠ナすか?
ありましたよね、連合にも同じ思想設計のMS」
アーサーは自分の言葉に皮肉があるのに気づかない。
「…ええ。たとえ何であろうと、使える技術は使う。
デュランダル議長はそういう人だから」
タリアはアーサーのお気楽さに、少しはにかみながら言葉を返した。
「……」
コクピットで歯噛みするルナマリア。
モニターには緑の光を放つブラストの姿。
「レイ・ザ・バレル!ブレイズ、出るぞ!」
その後をレイのブレイズが白い光の軌跡で追っていく。
「…なんでレイは平気なのよ…!
アイツは違うっていうの…?」
ルナマリアは悔しかった。
「ルナマリア!何してる!
とっくに出撃命令は出てるだろ!」
けたたましく響く、クルーからの無線。
「ルナマリア・ホーク!ガナー!出るわよッ!」
その言葉はどちらかといえば、自分を奮い立たせるため。
ガナーは赤い光の軌跡で後を追って、出撃した。
「よろしいですか、アレックス・ディノ?」
通信モニターからのタリアの呼びかけ。
「…お気になさらず。
私はMSの戦闘経験もあります。
出してください」
淡々と応じるアスラン。
「…了解です、しかし、無理はなさらないでください」
アスランは答えない。
切れる、モニターの回線。
「ウォーリア、準備よろしいですね!出しますよ!」
クルーからの回線。
「了解だ!アレックス・ディノ!ザク・ウォーリア!出る!」
アスランは緑の軌跡でシン達を後を追って、出撃した。
ブリッジのモニターには問題のDポイントに降り立つインパルス。
「インパルス、Dポイント到達です」
「了解。メイリン、索敵は怠らないように。
シン、どう?インパルスのレーダーに反応は?」
シンはレーダーを確認する。
MSの反応らしきものは無い。
「特にこれといった反応は…」
「シン!二時の方向!来るぞ!」
後方からのレイ。
すぐさま、シンは視線を飛ばす。
視界に入るビームの奔流。
「うわあああ!」
ビームの衝撃がシンのコクピットに襲い掛かった。
「ビーム直撃です!エネルギー30%ダウン!」
メイリンの声がブリッジに響く。
「シンは!?」
「大丈夫です!生きています!」
「くそ…!どこから…!」
息を切らして辺りをうかがうシン。
「シン!10時の方向!飛べ!」
レイの通信を受けて、バーニアを使って上昇するシン。
それと同時にビームの光がインパルスの足元を駆ける。
ビームの光が放たれた方向には宇宙の闇。
「敵はどこなんだよ…!」
「シン!敵はドラグーンを使ってる!」
今度のレイの声は接触回線。
「ドラグーン!?反応は無いじゃないか!」
苛立ちを隠せないシン。
「敵はミラージュ・コロイドも使ってる!…ルナマリア!」
レイはルナマリアのガナーに回線を開く。
「何、レイ、敵はどこにいるの?」
「Lポイントに向かうんだ!
シン!お前はFポイントだ!アレックスさんも任せた!行け!」
「お、おい!レイ!」
戦場では一瞬の隙は命取りになる。
レイの頭の中には既に見えざる敵≠ノ対する
戦略が練られ始めていた。
モニターにはそれぞれ散っていくミネルバチームの姿。
「へえ、あの白いMSがそうか」
コクピットにはスティング。
スティングは戦車に両腕をつけたような姿、MA形態≠フカオスから、
再び機動兵装ポッドを射出する。
射出と同時にポッドは周りの風景と同化する。
「行け!ドラグーン!」
「! …来る!」
レイの脳裏に閃きが走る。
ビームの奔流をレイは上昇で間一髪避ける。
再び、レイの脳裏に走る閃き。
上下から放たれるビーム。
間一髪で避けるレイ。
しかし、ビームは容赦なく二射、三射と放たれる。
避け続けるレイ。
「…!!」
レイは瞳を閉じる。
レイの中に広がる敵≠フイメージ。
その敵≠ヘ自分の周りを旋回しながら、ビームを放っている。
次に敵が光を放つ場所は…。
「そこだ!」
レイはライフルでビームを放つ。
そのビームは敵の、ドラグーンのビームを相殺した。
モニターの映るブレイズは完全にドラグーンの位置を把握し、
撃墜はもはや時間の問題だった。
「…なんて奴だ、まさかここまでとはな」
驚きを隠せないスティング。
「ステラ、アウル。そっちは任せたぞ」
「了解ッ、しっかりやれよ」
「…了解だ」
陽気なアウルと素っ気ないステラ。
スティングはカオスをMS形態に戻し、ドラグーンを引き戻す。
視線の先には白いMSザク・ブレイズ。
スティングは緊張で乾いた唇を舐めて濡らした。
職人さん乙!
読んでるとプラモ作るモチベ上がってウレシ
SSの中の黒自由とかテゥモローとか実際に製作してたりする。
ミネルバの男パイロット3人ともが、
ロゴスor連合の捕虜になるってのを考えたことあるが
とすると本編をかなり捏造することに
なるな・・・。
捏造じゃない!
歴史を改変するんだw!
というわけで歴史改変型ssを出来た分だけでもいいから載せようと思います。
Lポイントへと急ぐ、シンのブラストとアスランのウォーリア。
それはモニターから見つめるのは、アウル。
「へへ、きたきた♪
アーモリーワンでの借りはバッチリ返させてもらうからな」
手をスリスリと擦り合わせて、待ち構えるアウル。
「アウル殿!敵が来た!
覚悟はよろしいか!出るぞ!」
通信とともに、飛び出るMSジン≠ェ二機。
アウルはその光景に眉を寄せる。
「…なんだよ、ザコいおっさんが偉そうに…!」
敵MS反応を感じ取ったのは二機同時。
「あれは…ジン…!?」
「ジンだと…!そんなバカな!!」
目を見張るシンとアスラン。
うなりをあげて向かってくるジン。
「我らの想い…!やらせはせんわ!!」
それはパイロットからの意志の閃き。
「……!!」
それを感じ取るアスラン。
「お前達は…どうしてっ!」
アスランは煽られて飛び出す。
「アレックス!うかつだ!」
しかし、シンの言葉はアスランには届かない。
「ッたく!」
シンは急いで、アスランの後を追った。
「わが娘のこの墓標!落として焼かねば、世界は変わらぬ!」
ジンのパイロットの叫びがアスランに向けられる。
「……!」
アスランの胸に去来するは無力感。
「自分が悲しいから、それを人に押し付けようなんて、
勝手な言い草だろう!
ユニウスセブンが落ちれば、お前達と同じ悲しみを味わう人間がいるのが
どうしてわからない!!」
「軟弱なクラインの後継者どもに騙され…、ザフトは変わってしまった…!」
その意志はもう一人のジンのパイロット。
「クッ…!」
戦況は二対一。
MS自体の性能はザクが上だが、アスランは劣勢だった。
「我らコーディネーターにとって、パトリック・ザラ≠フとった道こそが、唯一正しきものなのだよ!」
ジンのライフルの銃口がウォーリアのコクピット、アスランを捉える。
「……!」
が、銃口から光が放たれるより先に爆発するジン。
「アレックス!下がれ!」
シンのブラストだった。
が、ブラストとウォーリアの間にビームが走る。
「…見せてもらおうじゃないか、ザフトの新型MSの性能ってヤツを…!」
両肩アーマーを翼に見立てて舞い降りるのはアビス。
「コイツ…!」
シンは歯噛みする。
一機になったジンも間髪いれずにアスランに仕掛ける。
「ここで無惨に散った命の嘆きを忘れ…!撃った者らとなぜ、
偽りの世界で笑うか、貴様らは!?」
「訳のわからない事をっ!!!」
アスランは絶叫して、ジンを迎え撃った。
「コイツっ、ちょこまかと…ッ!!」
ガナーのライフルを一斉に乱打するのはルナマリア。
その合間を疾風のようにかいくぐるのは、四足歩行MA形態のガイア。
Lポイントでは作業中のメテオブレイカーを背に
ルナマリアとステラが交戦中だった。
「このおおおっ!」
ステラは背部のビームブレードを開き、ガナーに飛び掛かる。
ガイアのビームブレードがガナーの右脚部を切断する。
「うああッ…!!」
体勢を崩して、地面に転ぶガナー。
ステラは再度、ガナーに突撃。
今度の狙いはコクピット。
「……ッ!!」
ルナマリアは思わず目をつむる。
が、次の瞬間、地面からの衝撃。
「……?」
目を開けると、モニターに映るガイアの視線は一時の方向。
「だいじょうぶかい、お嬢ちゃん。そんなんじゃ、
せっかくのグゥレイトォな赤服が台無しだぜ?」
回線が開き、通信モニターに映る顔はグゥレイトォな男。
「ディアッカさん!」
ディアッカは親指を立てて、グゥレイトォな笑顔。
ディアッカの乗るMSは黒色に輝く、ザク・ガナータイプ。
ユニウスセブンの大地に降り立つ、ブラック・ガナー。
ビームブレードを一旦収納し、身構えるMAガイア。
灰色の大地にて、向かい合うのは黒と黒。
「久しぶりの実戦だ。お手柔らかに頼むぜ、ブルーコスモスさんよ…!」
軽い口調と裏腹に、ディアッカの眼は戦士のソレへと変貌を遂げていた。
Dポイントにて交戦中のレイとスティング。
戦況は一進一退。
カオスは機動兵装ポッドを二機とも失い、レイもミサイルを撃ち尽くしていた。
睨み合う二人。
が、次の瞬間、ビームの閃光がカオスの周辺を襲う。
「なんだ!援軍か!?」
スティングは煙に身を隠しながら、撤退をはかる。
「逃がすか!」
後を追おうとするレイ。
「追うな!深追いは禁物だ!今はそれより、他の地点のメテオブレイカーの
援護に向かえ!」
その通信の声にレイは機体を止める。
通信の主は前大戦でのエースパイロット、イザーク・ジュールだった。
一方、ミネルバのブリッジ。
「Lポイントにて援軍を確認!ザク・ガナー!ディアッカ機です!」
「Dポイントにもイザーク隊長率いる援軍が到着したとの事です!」
援軍の知らせに、ひとまずホッと胸を撫で下ろすタリア。
「…状況は!?メテオブレイカーはあと何箇所あるの!?」
しかし、まだ安心はできない。
ユニウスセブンはこうしている今も、刻一刻と
地球に降下していた。
534 :
シン運命:2006/06/24(土) 20:20:46 ID:???
◆9AUE2RuSVさん、割込みスマソ
歴史改変SS期待してますね
すまぬ!
もうちょいかかる!
オリジナルキャラがどうしても増えちまったモンで
名前のレパートリーが尽きたorz
誰でもいい……みんなおらにオリキャラを分けてくれ!!
536 :
名無しK:2006/06/25(日) 23:03:49 ID:???
>534
(シン運命さんご健筆で何よりです……SF王道の展開と描写は流石です)
(此方はおそらく次からガラリと展開が変わるので対比ができたら光栄です)
>535
(私もお待ちしてます……拝見できるのを楽しみにしてます)
(オリキャラ作るの楽しいですよね……配置の仕方によって美味しさがガラリと)
(私も3話目ができましたので投下、と……。かなり長いですがご覧頂ければ幸いです……)
1.
砂時計のガラスの中は、大分遠くから覗き見ても、しばらくの間はその慌ただしさは収まりそうにない。
アーモリーワンを離れ、巡航速度で宇宙を進むオーブの艦艇、クシナダ。オーブ軍の代表的な戦艦であるイズモ級艦から戦闘用
の武装を取り外し、国際交流を目的として改装した船である。
そのVIP用の客室、実際はこの艦の乗船頻度の高さから自室として使用している部屋の窓からプラントを眺め、カガリ・ユラ・アスハ
はベッドに背を押しつけた。
服装は礼服のままだが、前の合わせを開いてシャツを出している。酷く疲れた様子である。
「アスハ代表、アレックスです」
「……入れ」
そんな格好を正そうともせず、ドアの向こうから声を掛けられれば、どうでもよさそうに答える。
入ってきたのは、プラント到着から進宙式が中止されるまでの間、片時も離れずアスハの側に控えていたサングラスの青年である。
アスハが国を離れる際は必ず随伴するボディガードの筆頭であり、同時に彼女の補佐役も務める男である。
「代表、そんな格好で……。入っても良かったのですか?」
「構わん。早く閉めろ、用があるならさっさと話せ」
仰向けに寝たまま顔の上に腕を乗せるアスハ。背後でドアが閉じてから、アレックスはベッドの側に近寄り、そして彼女を見下ろした。
「キサカ艦長から、代表の様子が思わしくないので見てくるようにと言われたのですが……随分ショックを受けているご様子ですね。
今になって、あの基地で起きた事が怖くなってきましたか?」
「馬鹿を言え。あれくらいの窮地、ここ数年で何度も味わった。慣れたとは言わないが……それと、二人きりだ。敬語はやめろ」
「御意のままに。……大方、さっきの赤服の少年のことだろう、カガリ」
アレックスはサングラスを外し、オーブ首長国の代表首長であるアスハをファーストネームで呼ぶ。そして、机の上に開きっぱなし
の端末の画面に目を落とした。
そこには、オーブに在籍していた人間の膨大なデータベースと、そこから検索した数名の情報が表示されていた。
「シン・アスカ。11歳。家族構成は父母と、妹が一人。生まれも育ちもオーブ。スクールでの成績はとりたてて良い方ではなかったが
クラスメイトの為に真剣に何かをする姿勢が目立っていた。そして家族は、本土最終防衛戦の際、オノゴロ島で全員死亡している。
シャトルへの避難経路を移動していた際、モビルスーツ同士の戦闘に巻き込まれた模様……。5年前の話だ」
アスハはそれらの事柄をアレックスが目を通すのと同じほどの速度で話すと、しばらく口を閉ざした。
「気に病んでいるのか。彼の家族が命を落としたのは、自らが治める人々を戦火に巻き込んでしまった君のお父上らの責任だと?」
「さて。少なくとも、知らなかったとも関係ないとも、悪いのは攻撃してきた連合だとも、戦争だったのだから仕方がないとも、口が裂け
ても言うことはできないな」
アスハは顔を隠したまま、他人事のように語る。その拳は、固く小さく握りしめられている。
「二人きりなんだ。強がりはやめろ」
アレックスはそんなアスハの様子からは視線を外す。
「辛いか、カガリ」
「まぁ、な。オーブが貫いた中立という立場のせいで、苦しんだ人やあの戦いで家族を亡くしてしまった人とは何度も会っているが……。
やっぱり、慣れるもんじゃない。こっちにはお前みたいな護衛がついているから、大声を出されたり暴力を振るわれたりはあんまり無い
が……それでも、私を殺したいんだろうなという目をした人は、何人もいた」
淡々と語るアスハだが、その声質からはあまり平気な様子は感じられない。
アレックスは、問題の赤服の少年、シン・アスカがモニター越しにアスハの前から逃げ出したその場に居合わせている。彼がアスハを
見てからの挙動を、彼女の側に控えながらある程度観察していた。
「彼もそういう目をしていたか?」
「……いいや。多分、あまり急だったし、どうしていいかわからなかったんじゃないかな。でも、私とは目を合わせたくなかったようだった。
そう簡単には、私を許してはくれないだろうなとは感じたよ」
「また会ったら、許して欲しいと謝ってみるか?」
これに、アスハは苦笑した。自嘲の笑いではない。とっくに決めた覚悟をまた取り出して眺めるような、懐かしみの苦笑いだった。
「……いいや。知っているだろう、アレックス。亡き父が愚かで力不足であったせいで皆さんを守れなくて御免なさいと……頭を下げる
のは簡単だ。でも、それはできないし意味がない。なぜなら私が今作ろうとしているオーブは、未だに世界最大の版図を占める大西洋
連邦とも、新たにコロニーを建造し国力を取り戻しつつあるプラントとも、結ばず、従えず、従わず、敵対しない……あの頃と同じ中立の
オーブなのだから」
アスハは、壁に描かれた世界地図に目を移す。地表のみならず、宇宙のプラントの位置まで見て取ることのできる最も新しい地図だ。
その地上の太平洋に浮かぶ僅かな国土しか持たない国、それがオーブである。しかし共存するナチュラルとコーディネーターが育み
続ける新しい技術と工業力が、どんな大国でも決して無視できない価値と国力を、その小さな国に伝統のように備えさせているのだ。
戦争で一度は崩壊し、しかし逃げ延びた国民は再び集い、オーブは復興した。そして戦前と同じように、アスハを筆頭とする五大氏族
が統治を担っている。
「何も変わっていないようにしか見えない。統治者が獅子と呼ばれた頑固者から、未熟な馬鹿娘とそれを補佐してくれる氏族のメンバー
という構図に置き換わっただけだ。だが、それは愚を繰り返そうというわけでは断じてない。父上は確かに結果として国を戦火に晒して
しまった。ナチュラルとコーディネーターが、オーブの民がそうであるようにいずれ手を取り合うことができると信じ過ぎ、ついに機を見誤
って、取り返しのつかない犠牲を出してしまった。その点で、父上は確かに執政者としては失格だったのかもしれない。でも」
アスハは腕の陰から室内の電灯を強い目で見つめた。
「父上のその理想は、間違っていなかったと私は信じている。国の民にいずれの同胞をも撃たせぬための中立。争いが終わった時に、
戦い疲れた両者が寄るべきところを残すための中立……。足りなかったのは、そう、『一つだけ』だ。だから私はその理念を受け継いだ。
……だから私は謝らない。たとえ綺麗事のアスハ、偽善者のアスハを継ぐ者として憎まれても、私はウズミ・ナラの目指したオーブは
間違ってはいなかったのだと証明する。ナチュラルとコーディネーターが共存する中立国家として幸せな国を築いてみせる。だから、
私は許しは請わない。怒りや憎しみは謹んで受け止める。そして私を許さない人々を含めた、全ての人々のための力に変えよう」
それは彼女の立てた誓いだった。傷ついた人の痛みも自らの痛みも甘んじて飲み込み、国を作るための糧とする。彼女がウズミの跡
を継ぎ、代表首長へと就任してからずっと貫いている事であった。
「……でも、オーブに帰ったらせめてお墓参りには行きたいな。シン・アスカ君のご家族の墓だけではなく、あの戦いで犠牲になって
しまった、全てのオーブの人々のお墓に」
「……君はそれでいいと俺は思う。そんな君だからこそ、俺たちはついて行ける。オーブで暮らす人達も、君を待っていられる」
カガリ・ユラ・アスハは、5年前の国の崩壊と同時に父を亡くしている。そしてその後、一刻も早く戦いを終わらせ、国を再建するために
自らもモビルスーツに乗り込み、生き残ったオーブ軍をまとめ上げ、奮い立たせ、旗手となって戦場を駆けたのだ。
そして、アレックスはその時、最後の戦いでその命と共に己の業を葬り去ろうとした所を、彼女に一喝され、諭されたのだ。
逃げるな、生きる方が戦いだ、と。
そして彼女は自ら言いはなったその言葉の通り、どんなに苦境に立たされても、生きるという現実から逃げずに戦い続けている。
その戦いにおいて、彼女は未だに負ける事を知らない。
2.
アーモリーワンを離れた波の静かな宙域で、ミネルバが翼を畳んでジャンク屋の船と接舷している。
ミネルバが追っているボギーワンの姿を捉えるために発注した装備が届けられたのだ。
「ミラージュコロイド・デテクター、搬入終わりました。ジャンク屋ギルドからのスタッフもサブレーダーとの接続及び感度調整に協力して
くれるとの事です。30分後には起動可能の見通しですね」
予想以上に順調なスケジュールに、副官のアーサーの顔は明るい。ジャンク屋ギルドは戦後、宇宙に散った無数の兵器の残骸処理を
請け負い、その重要性と規模を増している。商売柄の仕事の速さと手際の良さもあって、このような緊急時には軍からの正式な補給を
待つよりも、圧倒的に効率がいいのである。
「さすがにザフトの御用付けともなると、サービスもいいわね。好意には甘えさせてもらいましょう。その間にもボギーワンの航跡は可能
な限り絞り込んでちょうだい。本来ならコアスプレンダーに中継機として観測に出て欲しいところだけれど……」
「コアスプレンダーは現在、機体の整備とOSの調整中です。4時間前の戦闘で、モビルアーマーの攻撃を受けた際のダメージが思い
のほか残っていたらしく。パイロットのシンは自室で待機中です」
艦長のグラディスは、機体とパイロットの事を軽く思案した。進宙式で起きた事件、その中で出撃した機体、プラント外部へ出ての宇宙
戦闘。出撃したパイロットは二人で、いずれも生還しているが、そのシン・アスカは最新鋭機へ搭乗していたとはいえ相当な被弾をして
いた。思いがけない強敵を相手にしたのだ。
「では、今回はそのまま休ませましょう。それにしても、モビルアーマーの攻撃か……。レイの報告ではガンバレルらしきものを使って
いたそうね。あれはカオスの機動兵装ポッドと同様、誰にでも使える装備ではないわ……。テロリストの正体を特定する手がかりには
ならないものかしら」
「戦時中や戦後の紛争で、使用された記録や目撃情報を洗ってみましょう。ああいう機動が可能な制御システムが開発された線も考え
られますが……」
そんな時、オペレーター席のメイリン・ホークが報告してきた。
「艦後方より、ナスカ級艦オイラーが接近しています。距離5000。5分でこちらへ到着します。……通信来ました」
「さすがに高速艦は速いわね。繋いで」
ミネルバを挟み、ジャンク屋ギルドの船とは反対側に接舷するナスカ級艦。資材搬入用ではなく、乗降用のラインが繋がれ、その中を
通って赤いパイロットスーツが真っ先にやって来る。
「やっほー、みんな! よかった、無事みたいね!」
現れたのはルナマリア・ホークである。アーモリーワンでの強奪事件の際、現場に居合わせたため緊急発進したミネルバに乗り遅れ、
故あって合流するために後を追う形となったナスカ級艦に同乗させて貰うことになったのである。
「お姉ちゃん! よかった、やっぱり元気なんだね!」
オペレーターの仕事を他のクルーに変わって貰い、通路を流れてきたメイリンが駆け寄る。二人は共にパイロットとオペレーターとして、
ザフト隊員養成機関のアカデミーで学んだ実の姉妹である。
「まったく、ナイフだの銃だのマシンガンだので武装した連中に襲撃されて、無傷で帰ってくるとは奇跡的だな、ルナ」
「お姉ちゃん、昔から悪運だけは人一倍強いから」
ナスカ級との通路連結を行っていた技術スタッフのヨウラン・ケントはあきれ顔だが、メイリンは姉の合流を素直に喜んでいた。
そこへ、ルナマリアの後からやって来た評議会のローブ姿の女性が声をかける。
年齢は30代前半ほどだろうか、落ち着いた雰囲気と上品な佇まいの女性である。その美貌に、ヨウラン達男性スタッフが沈黙した。
「お取り込み中御免なさい。デュランダル議長はどちらにおいでかしら?」
「は、はいっ! 失礼しました、ご案内しますっ」
姉と触れ合っていたメイリンが一転して緊張した態度になり、顔を赤くしながら女性の前に立って彼女を通路へ案内していった。
「アイリーン・カナーバ議員だよな。戦後、デュランダル議長の前に臨時評議会議長をやってた……」
「そうよ。穏健派の旧クライン派にいて、その頃からデュランダル議長とは同じ派閥同士だった人」
ルナマリアはある意味では議長に次ぐと言える大人物を、平気な顔で見送った。
「艦の中でちょっと話したの。穏やかで優しくて、なかなかいいおばさんよ。でも私はグラディス艦長の方が好きかな」
ヨウランは何か言いたそうにしたが、軽く溜息をついてやめた。ルナマリアが誰に対してもこんな調子なのは、今に始まったことでは
ない。肩書きに対する尊敬の念というものが微妙で、畏まるということがあまりないのである。
「……ところで、議長を迎えに来たんだろ。あのナスカ級」
「そうなのよ。どうもこれから、アプリリウスの評議会に戻って緊急会議らしいわよ」
アプリリウスとは100基を越えるプラントコロニーの首都と言える都市で、プラントの意思決定機関である最高評議会の本部の存在
する場所でもある。
「それはそうだよな。ザフトの式典で堂々と虎の子かっさらわれたんだ。G型は俺たちだって整備した機体なんだぜ。腹立つよ」
「そんなの私だってそうよ。だから追いかけてんでしょ。クロムの奴は病院送りだけど、この私も合流したことだし、ちゃっちゃと捕まえ
られるわよ」
「そんな簡単に行くかね。シンのインパルスとレイのザクファントムでいいとこまで行ったみたいだけど、物凄いモビルアーマーが出て
きて結局してやられちまったんだぜ」
「……いいとこまで行ったのか。で、シンは大丈夫だったの?」
「あいつも日頃鍛えてるからな。ケガは無かったみたいだけど、なんか自室にこもってるみたいだ。一機も取り戻せなかったから落ち
込んでるのかもな」
「ふーん……」
ミネルバの居住ブロックにあるシンの自室。軍服から袖を抜き、アンダーウェア姿のシンは暗いベッドの上で、じっとしている。
(助かった、ありがとう。君があの時助けてくれなければ、私は今頃、この世にいなかった)
モニター越しにアスハの言った言葉が、まだ耳に残っていた。
(……別に、あんただから助けたんじゃない……乗ってるのがあんただって知ってたら、助けたりは……)
そう思おうとして、気づいて首を振った。そうじゃない、たぶん知っていたとしても自分は助けようとせずにはいられなかっただろう。
アーモリーワンの街といい、アスハといい、焼けた基地といい、昨日と今日、あの頃のオーブのことをよく思い出す。
ふとベッドから立ち、シンは暗い室内のデスクの中から、小さなモバイルを取り出した。
妹のマユの形見のモバイルである。中には、生まれてから10年も生きられなかった一人の女の子の思い出がたくさん詰まっている。
スクールの友達と撮った写真、自分と一緒に撮った写真、両親と一緒に撮った写真、自分の声で作ってみたらしい留守中のメッセージ。
(……お前だって、助けて欲しかったよな? マユ……)
シンはモバイルを握りしめる。マユも両親も、あの日誰にも守ってもらえずに命を奪われ、自分は一人残された。
攻めてきた連合が憎かった。国を焼いた連合軍が憎かった。その状況を、首長のくせにどうにもできなかったアスハが憎かった。
そして、自分たちを戦いに巻き込んだモビルスーツや、家族を守ってくれなかったオーブ軍も。
それら自分以外のものへと向けられた幼い憎しみと怒りは、プラントのザフトアカデミーに入り、戦争の現実と戦うことの難しさを身を
持って知るにつれ徐々に薄れて行った。それでも、アスハの娘であるあの人物への嫌悪感は消せるわけではない。
(でも、俺にはきっと、面と向かってあの人を非難する資格はない。俺だって、あの時夢中で戦って、結果としてあの人を助けたけど、
奪われたGは結局止められなかったし、外壁に穴を開けられるのも防ぐことができなかった)
部屋に戻ってから、アーモリーワンで起きた事件の緊急ニュースを見た。負傷者は式典に来ていた民間人だけで数十人、死者は二人
出たらしい。
一つの基地が壊滅状態に追い込まれるというあれだけの惨事にしては、まだ被害は少ないと言えるのかもしれない。しかし、実際に傷
を負い、家族を亡くした人間からすれば、少ないで済まされるはずがない。
そして、そのうちの何人かでも、もし自分がもっと上手く立ち回っていたなら、あるいは犠牲にならずに済んだのかもしれないのだ。
……こんなふうに考えてしまうということは、結局自分は、自分に力が足りないことが一番憎いのだろう。
分不相応な高望みだと、レイやルナマリアは笑うかもしれない。クロムなら嘲笑うだろう。
何でも完璧にできるはずがない、拾えるものだって多くない、手を伸ばしても届かないものはある、ナチュラルのお前ならば尚更、と。
シンはモバイルを引き出しの奥に戻した。アスハと出会って、思い出したくないあの頃の感情が去来したが、それは今抱いても仕方の
ないものだ。きっとあのアスハは彼女なりに一所懸命オーブを治めようとしているはずだ。ただの兵士にすぎない自分に、わざわざ礼
を言ったくらいだから悪い人間でもないと思う。
それよりも、今の自分にはプラントに住みザフトに所属する兵士として、他にやる事もあれば考えることもある。
身体は充分休めた。ヴィーノがOSの調整と一緒に、交戦時のデータからシミュレーション用のプログラムを組んでくれると言っていた。
ルナマリアも合流してくるらしいから、フォーメーションのチェックもしなければならない。
気を取り直して暗い部屋から外へ出るシンは、最後に心に引っかかっているもう一つのことを思い出し、ドアを閉めた。
(……空気が吸い出されて、街にも被害は出た。それにもし進宙式を見に来てたんだとしたら……無事でいてくれたかな。あの子は)
3.
「……とまぁ、そういうわけだ。例の新造艦は、今もこちらを追ってきている。向こうが強気なのは、贅を尽くして開発した虎の子がよほど
大事だというのと、念入りに秘匿していた新型がまだ向こうには残っているというのが大きいのだろうな。足は向こうの方が速いし、そろそろ
こちらの影を捉える用意もしてくる頃だ。いつまでも逃げ切る自信はないんだが、どうすべきだと思うね?」
薄暗い通信室で、仮面を被った男、ネオ・ロアノークがモニターの向こうの通信相手に試すように話している。
通信相手は思案するような間をおいた後、答えた。
『多少の反撃を受けたとはいえ、予定通り新型を奪取したあなた達の当面の行動指針は、それを取り戻される事なくこちらへ持ち帰ること
です。完全な逃走が無理であるのなら、新造艦の撃破を目標とした場合はどう判断します?』
さらりと尋ねた声の主は女性だった。仮面のネオよりも明らかに若い声であるが、その落ち着き方は声質には似つかわしくない。
ネオは、これに口元をつり上げて返事する。
「それも難しいな。このガーティ・ルーの装備は、この手の戦艦としては強力な部類に入るが、あれを沈めるにはもう一つだ。正面切って
艦対艦戦をやらかすのはリスクが大きい。なんといっても向こうはザフトが誇る最新鋭艦だ。調べたスペック通りなら、武装も機動力も
装甲も、こっちを上回る。多少の備えはしてあるとはいえ、一対一ではとても勝ち目はないね」
『正面切っては勝ち目がないと。では、時間制限という保険つきの奇策ではどうでしょう?』
今度は女性の側が試すように尋ねる。声は冷静沈着なままだが、謎かけをするようなニュアンスがあった。
奇策、という部分に、あなたのお得意の、という意味が含まれている。
「それなら勝算がないこともない作戦が一つある。ただし、奪った新型を多少危険に晒すことになるがね」
ネオは、初めから用意していた答えを勿体ぶった調子で言う。
『多少という程度の危険ならば、勝算のある作戦を取りやめる理由としては不十分です。修復や強化はこちらで行えます。3機とも撃破
か奪回されない限りはあなたの裁量に任せましょう』
「では、そうさせてもらおうか。目障りな新造艦をおびき寄せ、ジャブ程度は叩き込んでおく。『彼ら』にとっても願ってもないことだろうしな」
『『彼ら』とは協力関係にありましたが、既に関わる必要性はなくなりました』
女性の声は、冷徹に告げる。
『これは彼らへの施しではなく、逆に彼らの尻馬に乗るということでもあります。そして、その上で彼らがどのような末路を辿ろうとも、途中
で降りる我々にもあなたにも関係のないこと』
「相変わらずこわいねえ。だがその通りだ」
くっくくく、と仮面のネオは笑って、通信席から立ち上がる。
「それでは、その奇策で奴らの相手をするとしよう。閣下によろしくな」
『御武運を』
通信が切れ、ネオは通信室を後にする。
そして、訪れたのは作戦会議室ほどの広さのある円形の部屋である。中央に3基の睡眠用カプセルがあり、その中に3人の少年と少女
がアンダーウェア姿で身を横たえている。
「よう。可愛いガキどもの調律はどんな具合だい」
ネオは、カプセルと繋がった端末を操作していた技術者の一人に訊く。
「既に終了しています。奪った新型との相性、それに特性の整合性はなかなかのものです。既に脳には実機に合わせて再調整した
フィッティングデータを入力してありますから、初戦よりも機体の性能を引き出せるようになっているはずです。ただ……」
技術者はカプセルの一つを覗き込む。そこには丸くなって眠っている少女の姿がある。
「ステラ・ルーシェだけは、記憶部位からのノイズが戦闘意欲を若干鈍らせていた感があります。このノイズを消すには部分的に記憶
を消去するかブロックをかける必要がありますね」
「ふん……アーモリーワンに潜り込んだ時に何かあったのかな?」
ネオはステラの寝姿を見下ろすと、特に思案することもなく言った。
「悪くない寝顔じゃないか。あっさりと記憶を消去するのも忍びない。戦闘中に顔を出さんように蓋をしておくだけでいいだろう」
「了解です」
技術者は端末を操作し、カプセルの中のステラは寝返りを打つ。
「いつ死ぬかわからん戦争の道具にされちまった娘なんだ。せめて夢の中だけでも女の子らしくしてりゃいいさ。目が覚めたら、ハード
に働いて貰うことになるからな」
4.
「分かっているさ、カナーバ議員。対テロ用に組織された精鋭部隊という名目のミネルバが、搭載するはずだった新型を奪取された。
この事実は既に揺るがし難い。奪回の成否にかかわらず、ソラス派からの糾弾は避けられまい」
ミネルバのスタッフを激励し、そして別れを告げたデュランダルは、移動したナスカ級の談議室で無事にアーモリーワンを脱出した
評議会の議員達と深刻な面持ちで話し合っていた。
ソラス派とは、現在の評議会において議長のデュランダルやカナーバら、いわゆる穏健派とは平和維持の観点において対立する
派閥である。
「ええ。ミネルバ隊の配備計画は、戦後、今日に至るまでプラントの防備の甘さを叫び続けてきた彼らを納得させる手段として講じた
ものでしたから。それがこのような事態になった以上、今後彼らが提唱する政策は、各プラントの防衛戦力の充実……武装化である
と思われます。その為に、彼らは兵器保有数制限の項において、ユニウス条約の改正を求めるでしょう」
「しかし、大西洋連邦にせよユーラシア連邦にせよ、地球連合に属していた国々が、はいそうですかと認めるはずがありますまい。
打診を入れた途端、プラントに再びナチュラルを攻撃する意思ありと見て、軍備の拡充を始めるに決まっています」
「オーブのアスハ代表は、ステーションに用意してあるオーブ軍の宇宙戦力を、プラントのテロ対策への協力に貸与してもよいと仰って
くれている。既に地上の国々全てがプラントを憎んでいるというわけではないのだ。こちらの早まった本格的な武装化だけは、何としても
避けたいところだ」
「ええ。剣を帯びたならば向こうも剣を帯びざるをえなくなる。それが自衛の為だと謳ったところで、自らに向けられるかもしれぬと
疑わずにはいられぬゆえ」
「それに、いかに我々コーディネーターがナチュラルより高い技術、能力を持っているとはいえ、再び地球連合を立ち上げられ、戦争
になりでもしたら。……前回は向こうがザフトを侮っていたために、モビルスーツの運用において我々が有利に進められましたが、今は
彼らも充分なノウハウを得ている。次は、質で量を制するというわけには参りますまい」
「全面戦争になれば、プラントの勝ち目は……」
その時、船内にアナウンスが入った。離舷準備が整ったのでミネルバとの通路を収納し、評議会本部の膝元であるアプリリウスへの
進路を取る、と。
「ともかく、今後ソラス派の動きを抑えるためにも、せめてミネルバにはその価値を証明してもらいたいもの。頼みますよ、皆さん」
アイリーン・カナーバは、船内の窓から離れていくミネルバの様子を見つめる。
「ナスカ級オイラー、ギルド船フリイウィリー共に離脱、テンションフリー。ミネルバ発進準備整いました」
「よし、ミラージュコロイド・デテクター最大範囲で作動開始。ミネルバ発進!」
見えざるものの姿を捉える新たな知覚を得たミネルバが、停船中に特定していたボギーワンの足取りを辿り、航行を再開する。
正確な航路と現在地までは分からないが、概ねどちらに行ったのかはこれで見当がつく。あとはその方角を進み、デテクターの範囲内
に対象を入れることができれば、通常のレーダーのように現在位置を捕捉することができるのである。
今のところ、そのデテクターに反応はない。ただ、通常のレーダーが進路上に障害物を認識する。
画面上では、それは奥行きが特に広い、大小の粒が連なり集合した雲のように見える。
「デブリベルトです。距離、前方8500。ボギーワンは迂回して進んだ模様です」
それは自然に集まってできることの多い、宇宙のゴミの溜まり場である。プラント建造時や資源用の小惑星の掘削時に出ることの多い
小惑星の破片や、ジャンク屋ギルドでも拾わないような使い道のないジャンクが衝突による結合や解体を繰り返すうちに時間を経て集合
し、こういう群を作る。大きな物になると、長さにして数十キロから百キロ以上に連なるものもある。
「引き続き足跡を辿って。念のため、機雷等には注意を」
「了解」
ミネルバは左舷側をデブリベルトに面する形で、雲に沿って巡航した。
雲の向こう側には、青々とした地球が見え隠れしている。その向こう側からは太陽光が輪郭となって差していた。
そうして、しばらく進んだ後のことである。じっとレーダーを睨んでいたメイリンが声を上げた。
「ミラージュコロイド・デテクターに反応ありました! 距離6300、デブリベルトの丁度反対側です。停止しています」
「同時に、これまで辿っていた足跡……ガスの燃焼の痕跡は、およそ前方2700で消えています」
「ふむ……隠れてやり過ごそうというつもりかしらね」
川に例えるなら相手は向こう岸に渡っている状態である。グラディスは一考した。
「どうします、射程距離としてはぎりぎり届く範囲です。向こうはまだこちらがヤツが見えていることを知らないはずです。奇襲を
かけますか?」
「いいえ、ここからではデブリがまだ濃いわ。道を塞がれて、攻撃が届かない可能性が高い。メイリン、デブリの濃度の薄い所を
探して」
「……前方2700。ガスの痕跡が消えた部分です。そこから、現在のボギーワンの停止している位置まで、やや道が開けています」
地球に住む冬の兎の話を思い出させる状況だった。天敵の狐に追われて途中で足跡が消えていると見せて、持ち前の跳躍力で
横の茂みの中へと飛んで撒く。こちらに相手の位置を知る知覚がなければ、まず逃げられる方法である。
「なるほど、デブリを隠れ蓑にして絞った通常推力で雲の中を突っ切り、反対側へ抜けてこちらが通り過ぎるのを待つというわけね。
ならば、その穴を通して主砲、及びミサイルでボギーワンを攻撃します。ただし攻撃態勢に入るのは穴の縁に乗ってからよ。足跡を
見失って、そのまま直進すると見せかけ、すれ違い様に仕掛けます」
「了解。ミネルバは速度このままで前進、索敵は怠るな!」
砲塔は動かさず、内部で装填を始めとした射撃準備が進められる。
しかし、目的の攻撃地点へと近づいていく途中で、異変は起こった。
雲の向こう側で、丸い光が弾ける。まるでそれまで見えていた地球が太陽に変わったかのような激しい光だった。
「!! ボギーワン付近で、大規模な爆発を確認! これは……先刻見られた、タンクの爆発と同じものです!」
確かに、それは見覚えのある爆発だった。ボギーワンはアーモリーワンから逃走する際、追撃するミネルバを撒くために、推進用の
ガスの詰まったタンクをこちらへとぶつけて来た。それを迎撃した際に生じた爆光もこれと同じだった。
「自爆したの?」
驚愕に席を立つ瞬間に、グラディスは気づいた。そして、なりふり構わぬ声で叫ぶ。
「総員、耐衝撃態勢! 迎撃システム起動準備!」
「デ、デブリ群雨来ます! きゃ、きゃああああー!!」
5.
「作戦は成功ですな、大佐」
「ああ。うまく罠にはまってくれた。一応警戒はしていたようだが、隣の壁が崩れてきてはさすがに避けきれんだろう」
ミネルバではボギーワンと呼ばれているガーティ・ルーのブリッジでは、強烈な指向性を与えられたデブリの雨に晒されまごついている
新造艦の様子を眺め、仮面のネオ・ロアノークがしてやったりと笑っている。
ガーティ・ルーはこの位置でミネルバが来るのを待ちかまえ、その際残っていた高圧縮ガス入りのプロペラントタンクを爆弾として配置し、
自らは大型のデブリの影に隠れていたのだ。ミネルバの接近と同時に爆破し、その爆圧で間に漂う大量のデブリを散弾として叩き付ける
作戦である。
障害物がありすぎて砲撃では仕留められないと見せ、その障害物を押してそのままぶつけてしまう。本棚を倒すような発想だが、単純に
して強力、侮れない威力の質量砲弾の雨霰。足止めをするには功を奏したようだった。
「さて大佐、この隙に一目散に逃げ出しますか?」
ネオはその隣の席で足を組み、薄ら笑いを浮かべてモニターに見入った。
「それは魅力的な提案だがな艦長、この罠でかせげる時間はたかが知れている。強靱な装甲と豊富な砲を持つミネルバだ。おおよそ5分
もしないうちにデブリの雨は尽きるだろうし、そうなれば更に5分もしないうちに態勢を建て直してくる。あわせて10分程度のリードとしても、
その程度の差は全速力で追いかけられたらたちまち埋まってしまう」
「では、どうしますか?」
「そりゃ、最低でも向こうが全速力で追ってこれないようにしなければな。となれば、推進機関を叩けばいいが、それにはこんなデブリの
散弾程度じゃまだ弱い。すなわち、あいつらの出番というわけだ。スティング、アウル、ステラ。用意はできているな」
軽く身を乗り出して言ったネオに、モニターに現れた3枚のウィンドウからそれぞれパイロット達が答えた。
『ああ、任せろ。火力は減っちまったが、こういう舞台でこそ、この機体は使える』
『動かない戦艦なんざ、ただの的さ。へへ』
『ネオ、私、頑張る』
「よし、頼むぞお前達。戦艦の推進器にダメージを与えるか、俺が合図したらすぐに戻ってこい。形勢はこっちが有利だが、向こうはその
機体を扱うはずだった奴らだ。くれぐれも油断はするなよ」
『了解。カオス、アビス、ガイア、出撃する!』
「デブリ雨、止みません! 左舷カタパルト脇に着弾、損傷無し! 左舷ミサイル発射管展開ハッチ付近に着弾、損傷軽微! 左舷側部
N12ブロックに着弾、損傷無し……きゃあああっ!!」
「うぅっ……装甲のおかげでダメージは防げても、これだけのデブリ、衝撃はカットできないわ……。受け続けるわけにはいかない。迎撃
システム、どうなっているの!」
「やってます! しかしあまりにもデブリの数が多すぎて、とても撃ち切れません!」
「ならコース予測、ブリッジ、左舷側主砲、副砲、ミサイル発射管付近への着弾が予想されるものを優先して撃ち落として! 各砲座は
砲撃準備! 右舷カタパルトデッキからモビルスーツ隊を発進させて迎撃を手伝わせて! 」
デブリの雨を受けている左舷側とは反対側のカタパルトから、脱出するような形でシンのインパルス、レイのザクファントム、ルナマリアの
ザクウォーリアが外へ出る。
「もう、せっかくの初出撃なのに格好よく射出じゃなくてドア開けて出ましたってのが気に入らないわ! しかも敵がデブリだなんて、こっち
は掃除屋じゃないってのに!」
「無駄口を叩く暇があったらゴミを打ち落とせルナマリア。シン、最も火力が高いのはブラストシルエットを装備するインパルスだ。大型の
デブリを狙え」
「了解だ!」
背部に2門の大型砲、長射程ビーム砲・ケルベロスを装備した砲戦形態のインパルスが、その高威力の砲撃で押し寄せてきたモビル
スーツ以上の大きさのデブリを撃破する。
同じく砲撃戦装備のガナー・ウィザードを装備したルナマリアのザクも、大型ビーム砲・オルトロスで片っ端から撃ち落としに行く。
「ちょっと! キリないわよこれ! どうすんのよ!」
「デブリベルトから押し出されてきたものだ。物理的にいつまでも続くはずがない。それにミネルバの砲撃も始まった。凌ぎ切れ。……
それよりも、ボギーワンに動きがないのが妙だ。何か狙っているのかもしれんぞ」
「くっ……!」
ルナマリアは一発ずつ着実に狙撃して数を減らし、レイはマイクロミサイルを当ててデブリを減速させ、2,3個を同時に撃ち抜いている。
シンは左右一門ずつ別のデブリを狙い火力を活かした駆除をしていくが、二人ほど喋る余裕はない。
その時、自らが狙ったデブリの陰から、何かが別のデブリに飛び移ったのが見えた。
「何だ?」
「シン、手を休めるな」
「わ、わかってる!」
慌ててデブリを撃ち抜き、また別の標的を狙う。その時、突然後方からロックオンされている警告が発せられた。
「何!?」
振り向くと、ミネルバの上にモビルスーツが一機立っている。片方の翼が無い黒いG型モビルスーツ、ガイアである。
「い、いつの間に……どこから!?」
更に、視界にビームが横切るのが映り、ザクファントムとザクウォーリアも狙撃を中断して後ずさる。そこには更に、緑のカオスと青の
アビスまでが姿を現していた。
「ちょっと、こいつら……いきなり出てきたわよ。こんなに神出鬼没だったの?」
「どうやら、デブリの雨に隠れて接近してきていたようだな」
レイがそう分析する。
「冗談でしょ? 一歩間違えば押しつぶされるわよ。それにこっちに近づく前に狙撃されてたかも」
「デブリの数から言えば確率的には悪い博打ではなかっただろう。それに狙われても砲撃が届くまでに逃げればいいだけの話だ」
「そ、そうか……さっきのは」
自分が見た黒い影は、推進器を使わずに他のデブリへ素早く逃れたガイアだったのだ。
「何にしても、厄介なことになったな」
3機のGと対峙しながら、レイがデブリを撃つ。迎撃の追いつかないミネルバの横腹にデブリが命中し、揺れた。
6.
「じきに雨は収まるだろうが、相手は3機のG。見たところ破損部位の修復はされていないようだが、ここまでやって来た事と動きから
察するに、基本的な戦闘力はさほど落ちてもいないようだ。こうもミネルバに接近されては、ミネルバは己の身も守りにくい。それに……」
降り注ぐ岩塊やジャンクに紛れ、噴射光を放つものがこちらへ飛んでくる。これはルナマリアが迎撃した。爆発と共に散ったそれは、
ミサイルである。
「……ボギーワンは、デブリに混ぜて攻撃もしてくるようだ。こいつらの相手をしながら、デブリを含めて迎撃もしなければならん。なかなか
厳しい戦いになりそうだ」
レイが呟くそばから、G達が行動を開始した。カオスが機動兵装ポッドを展開し、レイのザクファントムを狙って来る。
「お前には借りがあったな。今度こそ仕留めてやるぜ、白いザク!」
ガイアが一枚残った翼にビームの刃を張り、人型のままビームライフルを構え、シンのインパルスを照準する。
「お前の相手は、私。……切り裂く」
そしてアビスは、推進器を吹かしてミネルバからの近接迎撃を軽々とかわし、船の後方にある推進器へと向かう。
「今回の獲物はおまえらに譲ってやる。俺は大物狙いだ!」
「ちょっと! 待ちなさいよ、あんた! 私は無視!?」
そんなアビスの背中に向かって、ザクウォーリアの放つビーム弾が飛んでくる。重厚な体型でそれをひらりと避け、アビスは面倒臭そう
に振り向く。
「それ元々私が乗るはずだった機体なのよ!目の前に現れたからには、返してもらうわよっ!」
「ち、色ばっか派手だけど雑魚じゃねーか。今はお前に構ってる暇ないんだけどな」
アビスは肩部のレーザー砲でザクウォーリアを狙い、一射すると同時に動いた。
「しょうがない、3秒だけ付き合ってやるよ」
「えっ」
レーザー砲をかわした方向に既にアビスが突進してきていた。ビーム砲の砲身をつかまれ、力任せにむしり取られる。
絶句するルナマリアを、続いて激しい衝撃が襲った。無造作に振り上げられたアビスの足が、ザクの頭部を一撃する。
ザクは吹き飛ばされ、ミネルバの外壁に激突した。背後でエネルギー供給用の制御装置を兼ねていたバックパックが潰れる。
「はい、3秒。じゃーな」
アビスは何事もなかったように身を翻し、艦尾部へと飛び去っていった。
「あ……あいつ……!」
ルナマリアはショックで一時停止したザクウォーリアの中でわなわなと震えると、端末を引き出して再起動をかけた。
それほど間をおかずに再びザクの目に光が点り、破損した背部ユニットを破棄すると、立ち上がって推進器に火を入れる。
そして時折ミネルバの外壁を蹴りながら、迎撃砲塔からの火線をかわしつつ胸部のビーム砲の狙いを定めているアビスに追いついた。
「ち……しつこいヤツだな。だからお前に構ってる暇は」
「なめるなぁー!」
ルナマリアのザクウォーリアは肩部のシールドからビームトマホークを抜き放つと、突進のスピードと重量を乗せた一撃をアビスの
腹部へ繰り出した。
「……こいつ……」
パワーではザクの遥か上を行くはずのアビスに乗るアウルが、そのビームトマホークから侮れない重みを感じ取った。咄嗟に背部から
ハルバートを取り出し、その一撃を受ける。そして双方が後退した。
その切り結びにおいて、ザクは瞬間的にアビスと互角のパワーを見せたのだ。
「揺れるから、あんまり好きじゃないんだけど……私近接格闘だけなら、アカデミーでトップだったのよ!」
「……面白いじゃん。お前を黙らせてすっきりしてから推進器を潰すぜ! トマホークのザク!」
7.
「くそっ……どうすれば!」
「どこを見てる!」
ミネルバに直撃しそうになったミサイルを撃ち落とし、そこを狙い撃ってきたガイアのビームライフルを盾で辛うじて防御するインパルス。
その背後で、迎撃の間に合わなかったデブリがミネルバの胴に直撃し、艦体を揺らした。
「シン、もうじきデブリの雨は止まる。それまではミサイルを優先して撃破しろ。G型は、反撃できないなら反撃するな。回避に専念しろ」
「そんなこと言われても……そう器用にはいかない! くっそぉぉ!」
デブリと、その中に紛れ込ませたミサイルの迎撃。加えて、母艦の間近まで肉迫した新型の攻撃を避けなければならない。
どちらか一方ならばなんとかなるが、両方をこなすためにはまだミネルバに向かってくるものが多すぎ、敵があまりに強力すぎる。
しかし、カオスに標的にされたレイのザクファントムは、機動兵装ポッドの攻撃をかいくぐって的確に両方を行っていた。
「俺には、レイのようにはできない……やっぱり、無理なのか? ええい、早く止んでくれ!」
「デブリ雨、間もなく止みます!」
「……待っていたわ。主砲、副砲、ボギーワンへ照準用意! 間にあったデブリを吹き飛ばしてしまった今、障害はないはず!」
降り注ぐ衝撃に耐え、いよいよ反撃に移ろうと身を乗り出した矢先、メイリンが再び声を上げた。
「い、いえ! 射線上の周囲でミサイル多数爆発! デブリの移動で、再び射線塞がれます!」
「何……」
「さらに、ボギーワン移動! 再びデブリ雲の濃度の高い壁の向こうへ隠れました! 先ほどと同じです、これでは砲撃は……」
グラディスが臍を噛み、アームレストを握りしめた。
「くっ……あくまで安全な所に隠れ、こちらからは撃たせるつもりはないというわけね。なら、G型だけで本艦を沈めるつもり? こちらにも
モビルスーツがある以上、そう簡単には……」
「レイ機とカオス、左舷にて交戦中! シン機とガイアは右舷、ルナマリア機とアビスは艦尾へ移動! 艦体に近すぎて、各砲座、援護
できません!」
「……いや、相手も手負いとはいえG型との性能差がある以上、いずれは押し切られる……ならば、こちらも敵艦を叩いて、G型を退か
せるしかないわね。……母艦を沈めれば、Gのパイロットへの投降勧告も行える……。これは賭けね。シン! レイ! ルナマリア!」
『くっ……は、はい! 艦長!』
『何でしょうか……!』
「敵をなんとか艦首から引き離して。『あれ』を使います」
「い……今の状況でですか!」
アーサーが思わず聞き返した。
「発射には時間がかかり、しかも狙うには艦体を回して正面を向かなければなりません! しかも砲撃の瞬間には無防備になってしまい
ます! ここまで敵に接近されている今、あまりにも危険です!」
「だから引き離すのよ。あれ以外にこのデブリの厚雲を貫いて敵艦にダメージを与えることのできる武装はないわ。このままではいずれ
モビルスーツを撃墜され、本艦に直接攻撃を加えられる可能性が高い。そうなってからでは遅いわ。やるなら今しかない。みんな、やって
くれるわね。3分、いえ2分だけ時間を稼いで!」
『りょ……了解!』
8.
「撃破する必要はない……デブリも止んだ。ただ艦首から引き離す……」
砲撃戦用のブラストインパルスは、その装備の重量から機動性には欠け、ガイアを捉えることは難しい。しかも、ガイアはミネルバ
へとぶつかり周囲を漂うデブリを利用して、変幻自在に飛び回る。フォースシルエットに換装して機動性を得ればなんとか対抗できる
かもしれないが、敵が接近している以上、迂闊にハッチを開くことはできない。だが、勝つのではなく、誘導するだけならば、どうにか
できるはずだ。シンは腹を決めた。
「やるしかない!」
シンはビーム砲でガイアを狙って一撃すると、背部の推力をカットして反動に乗って後方へ飛んだ。それを2度繰り返し、艦から離れて
デブリの中へと後ろ向きに突っ込む。
「距離を取るつもり? ……逃げられるわけがない!」
ガイアは四足獣型に変形し、推進器とデブリに着地しての方向転換を駆使しながら、インパルスを追う。
「ついて来てくれた……! くっ……けど、速い! クロムよりも……!」
とりあえず、ミネルバから引き離すことには成功した。だが、このまま撃墜されることなく引きつけなければならない。
だが、周囲を空間レベルで跳ね回ることのできる環境にあって、推力と四肢の瞬発力を活用するガイアの素早さは更に増している。
シンは砲身に内蔵されたビームジャベリンを取り出した。砲撃を当てられない以上、近づかせずに撃破するという砲戦機のセオリーは
成り立たない。
ガイアは姿を消している。
「くっ……どこから来る」
身構えた瞬間、衝撃が煽るように来た。
「下か!」
ガイアの翼のビームソードに、ジャベリンの柄が一撃で断ち切られる。その衝撃で背後を漂っていた大きなデブリに叩き付けられた。
「うわっ!」
「今度こそ、斬り裂く!」
動けなくなったところへ、ガイアが瞬時に向きを変えビームソードで斬りかかる。だがその瞬間、インパルスが背中のブラストシルエッ
トとの接続を解除した。
デブリに埋まったバックパックとビーム砲から離れ、そのまま向かってくる。
「覚悟を決めたのか。望み通りに!」
走るビームソードがインパルスを捉え、その機体は胴体から真っ二つに分かたれた。
……しかし、奇妙だった。そこに全く手応えが残らない。
「え……」
戸惑いながらデブリの上に残されたブラストシルエットの横に降り立ち、振り仰ぐと、そこには上半身と下半身に分かれたまま、同様に
こちらを振り向くインパルスの姿があった。その胴体が再び結合され、装甲の色が変わる。
「……分離して、かわしたのか……!」
ガイアを駆るステラは、小癪な相手に犬歯をきしらせた。
しかし、相手は丸腰であり、その武装はこちらの足元にある。圧倒的な差は、更に開いたのだ。
その時、ステラはインパルスの肩越しに、母艦が動きを見せているのに気づいた。
「何だ……?」
「うぅっ……!」
ミネルバの後部甲板に叩き付けられたルナマリアのザクの胸に、アビスがハルバートを突き付けている。
「ま、頑張ったけど結局機体の性能差には勝てないよな」
「ち、ちくしょう……悔しい……!」
アビスがハルバートを振り上げ、ザクにとどめを刺そうとした瞬間だった。
ミネルバがその身をよじるように、いきなり回頭を始めた。
急激にかかった遠心力に、アビスのアウルが反応を見せる。
「なんだ……? ガーティ・ルーの方を向こうとしてんのか? なんかやべぇな、とっとと推進器ぶっ壊さねーと!」
「! 隙ありーッ!」
よそ見をしたアビスの顎を、跳ね上げるように体を起こしたザクウォーリアの拳がアッパーカット気味に捉える。
甲板にしっかりと接地した上での機体の全重量をかけた攻撃に、アビスが跳ね飛ばされた。
「ちっ……この野郎ぉー!」
「くっ……」
「いい加減弾丸切れだろう、白いザク! こちらも機動兵装ポッドはエネルギー消費は激しいが、デブリやミサイルを迎撃している
以上、先に底をつくのはそっちの方だ。……ん?」
ポッドを展開していたカオスのスティングも、ミネルバの回頭とその艦首部の様子に気づいた。
「エネルギー充填率、100%! 各冷却システム正常稼働中!」
「回頭完了、ボギーワン、正面に!」
「よし、砲口開け! 照準調整!」
ミネルバの艦首中央部の厚い装甲が持ち上がり、モビルスーツの身長ほどもある巨大な砲口が出現した。その奥には、既に
強い光が煮えたぎっていた。
「……そうか、噂のあれを使おうってのか。そうはいくかよ!」
「邪魔はさせん!」
エネルギーの切れたライフルを放り出し、ザクファントムが両肩のシールドからビームトマホークを抜いた。そして、艦首に回り込み
砲口を攻撃しようとするカオスの鼻先を切り裂くように投げつける。
その直後、ミネルバの艦首から光が溢れた。
「艦首陽電子破砕砲、タンホイザー! 撃てぇー!!」
ミネルバの艦首から伸びた光は間にある大量のデブリを焼き尽くし、爆砕させ、一直線にその影に隠れていたボギーワンをその槍
の穂先に捉えた。
「……! ネオッ!」
その光の槍を見たガイアが、目の前の丸腰のインパルスの事など忘れたように、推力全開でデブリの雲の中を駆けていった。
咄嗟の機転で窮地を脱しつつも、その後の戦闘の展開に固唾を呑んでいたインパルスのシンは、ほっと胸をなで下ろす。
しかし、光が消えた後に、ガーティ・ルーはまだ残っていた。無事というわけではないが、艦体の輪郭は崩れてはいない。
「いつつ……艦長、被害報告を」
「は、右舷装甲及び砲塔が融解、余熱で他の装甲が解け始めています。ミサイルの誘爆等の危険はありません。冷却作業急がせます」
ブリッジのモニターには異常を示すレッドランプが多数明滅していたが、その損傷が致命的では無いことも示されていた。
「……これがミネルバの陽電子砲か。何か手を打ちたそうな気配だったから、回避行動を割り込ませたが……ほんの少しかすめただけ
でこの威力とはな。ガーティ・ルーの強化ラミネート装甲も、あの砲の前では形無しだ。やはり、正面から戦わなくてよかった」
「どうしますか? 大佐。今の損傷からして、通常航行が可能になるまで幾ばくかの時間が必要です。向こうの足を止めて逃げるどころ
ではなくなりました」
「モビルスーツ戦では未だにこちらが優勢だが、欲を出してまた今の陽電子砲を撃たれたのではたまらん。お互い動けなくなって結局
足を止めた砲撃戦になだれ込む、というパターンが一番避けたいところだな。……だが幸い、もうそろそろタイムアウトのようだ」
「おいスティング、どうするよ? この艦の推進器にダメージ与えて追って来れなくするって作戦だろ? ガーティ・ルーが撃たれて動けなくなっちまったら、意味ねーじゃん!」
「どうやら、この艦の武装を侮ったらしいな。ネオ、たるんでるぜ」
『そう言うな。ま、これも予想のうちだ』
ネオが通信を入れてくる。さほど切羽詰まった様子もなく、遊びに行った子供に連絡を入れるような気軽さで、指示を出した。
『おまえら、そろそろ戻ってこい。潮時だ』
「何言ってるネオ、やられっぱなしでいいのかよ。こうなりゃこの艦、俺たちで沈めないことにはガーティ・ルーが潰されちまうぜ」
『お前達の機体の武装じゃ、その戦艦を沈めるのは多少時間が掛かる。しかもなかなか手強い護衛もついてる。ステラもこっちに戻って
きちまったしな』
合流して相談する2機の前に、ブラストシルエットを再び装着したインパルスが現れた。ガイアがガーティ・ルーの方へと戻っていった
ことで、フリーになったのだ。
「ち……ステラのヤツ、勝手に逃げやがったのかよ。帰ったらおしおきだな、ネオ」
「それでも、残りの2機はもう武器もないんだぜ。あとはこいつを俺とアウルで落として、それから戦艦を攻撃すればいいだけの話じゃない
のか」
『危ない橋を渡る必要は無くなったって話をしてるのさ。言っただろ、合図をしたら戻ってこいって。……今がその時だ』
9.
「陽電子砲、装甲閉じます。第二次冷却開始! 第二射可能まで175秒!」
「ガイア、離脱していきました。ボギーワンへ帰投するものと思われます」
「よし、これなら行けそうね。モビルスーツはカオスとアビスへの牽制を優先! 陽電子砲第二射までの時間を稼げ!」
「あっ……か、艦長! 緊急通信です! ザフト司令部……違う、アプリリウス、最高評議会クラウゼリア・ソラス議員からです! 確認
優先度は、……AAAです!」
その内容をメイリンの口から告げられたグラディスは、己の耳を疑った。
依然として戦闘中にあるはずのブリッジが、静まりかえる。
「……なるほど、そういうことかよ。確かに時間切れだな」
「へへ、あいつらも大変だなぁ。そういうことなら、ここは見逃してやってもいいかもな。でも、どうにかできんのかな、こいつらに」
ネオ・ロアノークの話に納得した様子で、スティングとアウルは笑った。ブラストインパルスと対峙していたカオスとアビスが、やおら
背を向けてその場から飛び去っていく。
「……あいつらも、撤退するのか?」
「冗談じゃない、逃がさないわよ! 今よ、予備のガナーウィザードを着けて追うわ、ハッチ開いて!」
アビスに一矢報いたことで高ぶっているルナマリアを、グラディスが諌めた。
『待ちなさい、ルナマリア』
「か、艦長? なんでですか?」
『追撃は禁止します。パイロットは至急帰投しなさい。これより、ミネルバは転進します』
「転進……。最優先目標であったボギーワンの追撃、及びG型の奪回作戦の遂行中であるのに、ですか?」
『それを越える命令……。優先度AAAの命令が、最高評議会より下されました。これよりミネルバはボギーワン追撃任務を中止し、
ユニウスセブンへ向かいます』
「ユ……ユニウスセブンへ?」
それは、血のヴァレンタインの悲劇によって核攻撃に晒され、破壊されたプラントの跡である。砂時計の両端が二方向へ別れ、一つは
遙か彼方のデブリの海に沈み、一つは安定軌道に入って地球の周囲を回っている。後者は戦後、ユニウス条約の結ばれたナチュラル
とコーディネーターの和解の地、同時に犠牲となった人々の慰霊の地となった場所でもある。
「そこに一体、何が……」
『詳しいことはブリーフィングで伝えます。ただ言えることは……』
通信の向こうのグラディスの声は、戦慄いているようだった。
『我らコーディネーターにとって、いや人類にとって、絶対に止めなければならない悪意が、そこにあるという事です』
to be continued.
スゴイ!
ここまで書き上げるとは!!
羨ましい(`・ω・´)
おれから出るのは乙の嵐だw
【機動兵器ガンダムSEED】 第一話 その9
パワードスーツ。
倍力装置付き装甲宇宙服とでも言うべきか。
この時ディアッカが目にしたのは、オーブ陸軍が採用しているリテン・キタザキ重工製64式機動装甲服であった。
固定武装は無く、マニピュレイターに歩兵火器をそのまま運用することが可能という高い汎用性を持つ。
人間と同じ関節稼動域を確保するため、肩は球体関節構造となって大きく盛り上がった、まるでゴリラのような外見だ。
厄介な関節の防御には軽量な防弾繊維を袋詰めしたもので覆っているためトータルで見るならば、小銃や榴弾の破片程度は防ぎきる防御力を有する。
それだけだった。
MS同様、古典SFに登場するような万能兵器などではない。が、貧弱な武装しか持っていないディアッカ達に致命的な存在だった。
トレーラーを挟んだ向かいの工場より現れたパワードスーツ三体は、左手にマウントした強化アクリル製盾とアサルトライフルを構えつつ、銃座からの援護射撃の元アスラン達に近づいてくる。
「巣穴から出てきた所を襲ったら、とんでもない歓迎を受けちまってるじゃないか! どうすんだよ隊長さん!!」
(よしよし、ここまでは予定通りだ)
ヘリオポリス防衛の任を仕ったオーブ宇宙軍陸戦隊少尉レイン・ラングレーは、部下にばれないよう、ほっと息をつく。
パワードスーツ部隊が予定よりも早く到着し、しかも敵侵入部隊の武装はこれまでの戦闘の経緯から火力は限られたものだと分析できる。
後は彼らが遮蔽物に隠れたヤツらを燻りだせるだろう。
3日前突然ヘリオポリスで極秘裏に開発されている連合製MSの守備をしろというとんでもない命令を受け、今日この日に至るまで彼はありとあらゆる手を尽くした筈であった。
オーブ上層部は地球連合軍側と何度も折衝をしたらしく、MSを引き渡す直前までオーブ軍が護衛を受け持つということになっていた。
ただし、配備できる武装に上限を設ける等という一文さえなければ、今のこんな苦労などせずに火力で殲滅できる自信があった。
重機関銃から対戦車ミサイルまで、持ち込める限りの火砲をハリネズミのようにすればよかったのだ。
しかし現実は彼らに軽迫撃砲の配備をも許さないという非現実的なものだった。
(理由を知って呆れたぞ。何が新兵器に傷がつく恐れだ。実際攻め込まれているんだぞ!)
彼は思った。ひょっとしたらそんなわけのわからない内部事情もお見通しの上での工作だったとしたらどうだ?
そうすると彼ら、ああもちろん敵のことだが、の拙速に重視した軽装にも納得がいった。
しかし命令は命令である。限られた戦力で目的を達成しなければ。
斥候に出した分隊より新型艦製造区画で起きた大爆発で、艦長を含む連合軍高官を含む多数が負傷したという知らせがあったが、まだ希望は持てた。
現場レベルで連合側と折衝を繰り返し幾つかの迎撃プランを立てられたことだ。
特に連合の"煌く凶星"と"エンデュミオンの鷹"がヘリオポリスに来ていたことが救いだった。