ライダーの共闘SSスレがあるんだからウルトラマンのスレもあっていいでしょう!
ということで立てました。
・ある作品の世界観に別のウルトラマンが現れる!
・ウルフェスのライブステージのように全ウルトラマンが存在する世界でウルトラマンたちが戦う!
・はたまた、パラレルな世界観での共闘・・・
などなど、ウルトラマンに関する内容ならなんでもOK!
職人の皆さん、是非よろしくお願いします!
読者さんも激励、感想、希望などどんどん書き込んでください!
他作品とのクロスオーバーネタなんかも是非!!
(元ネタはわかるように書き込んでください)
注※ネタバレはほどほどにしてください。
乙です。ネタ投下するつもりなので暫くお待ち下さい。
期待して待ってます!
言いだしっぺは自分なので自分も何か書いて投下したいと思います!
今、ゼノン兄さんのSSを書いてるんだけど
このスレに投下して良いのかな?
いいんじゃないでしょうか。
7 :
サブタイトルは後で決めよう:2006/05/30(火) 09:50:31 ID:5255xsDe0
手付けで導入だけ入れておきます。随時続けていきます。
ゼットン星人が宇宙恐竜ゼットンを引き連れ、再び来襲した。
既に東京都心は大きな打撃を受けている。ビル群は軒並み倒壊し、多くの死傷者が出ている。
宇宙科学警備隊ZATが渾身の迎撃を試みたが、効果はなく、航空兵器群も撃墜され、脱出して地上に逃げ延びた隊員達にはもう有効な手がない。
「隊長・・・」
朝比奈隊長は、荒垣副隊長の声に苦渋していたが、
「逃げ遅れた市民の救出作業を優先する。同時に撤退準備」
「・・・了解!」
隊員達に指示を飛ばす荒垣を背に、目の前の光景を見上げる朝比奈。
「頼むぞ、ウルトラ戦士」
廃墟同然となった街で暴れるゼットンは、強化改造を施され、しかも、二体いた。
それに対し、ウルトラマンタロウへの援軍としてやってきた、帰ってきたウルトラマン=新マンが挑んでいた。
タロウは、ゼットンを指揮している星人の円盤の迎撃に向かっている。
8 :
サブタイ未定2:2006/05/30(火) 10:24:30 ID:5255xsDe0
上空の司令円盤の中で、ゼットン星人は不気味な笑い声を上げていた。言語は解読できないが、恐らくは地球への呪詛とゼットンへの邪悪な指示だろう。
タロウは怒りを込め、ブレスレットランサーを円盤に叩き込んで撃破した。
新マンの援護のために至急折り返しで地上へ飛ぶ。
外皮を強化された二体のゼットンはバリヤーを張ることもなく、新マンの攻撃を平然と体で跳ね返し、手からビームを撃ち返してくる。司令円盤を撃破しても、地球への攻撃命令は継続されるらしい。
新マンは得意の跳躍力で回避し、隙を狙ってウルトラスパークを放ち続けるが効果はなく、ブレスレットの刃が次第に刃こぼれしてくる。
そこへタロウが駆けつけた。
二人の戦士は頷き合うと、互いの必殺技をゼットンに仕掛ける。
「ブレスレットボム!」
「ストリウム光線!」
命中し、廃墟に二つの火柱が湧き上がる。
爆煙が風で流れる。
発光体の点滅の音と異様な鳴き声と共に、二体のゼットンは無傷で立っている・・・
9 :
サブタイ未定3:2006/05/30(火) 11:28:44 ID:5255xsDe0
大技を破られた二人が思わず敵に呑まれそうになったとき。
「すまん、遅くなった」
更に、初代ウルトラマンが降り立った。
タロウ「マン兄さん!」
新マン「しかし・・・」
初代「判っている」
初代は肯定する。後発の戦士達のより強化された必殺技でもかなわないのである。かつてゼットンに敗れた初代の必殺技・スペシウム光線が効かないであろうことは明白だ。にも関わらず、初代は動じる様子はない。
タロウ「策があるんですか、兄さん」
初代「確証はないが、此処は任せてくれないか」
新マン「・・・よし、判った」
二人は初代の指示に従うことになる。
初代「お前達二人で、片方のゼットンの動きを止めてくれ。少しの間でいい。もう片方は、私が相手をする」
タロウ「ええっ、一人で・・・」
新マン「タロウ、初代の指示だ」
タロウ「・・・判りました!」
二人は両手を揃えて前に構え、
「ウルトラフロスト!」「ウルトラフリーザー!」
手先から冷気を発し、片方のゼットンを凍らせていく。
忽ちゼットンは凍りついたが、拘束を解こうと、みしみしと軋みを立てている・・・
10 :
サブタイ未定4:2006/05/30(火) 12:38:32 ID:5255xsDe0
もう一体のゼットンは、初代の周りでテレポートを連続して攪乱する。
初代は静かに立ち、テレポート移動のパターンを冷静に読んだ後。
両腕を伸ばし、細いビームを放ち、テレポートからこっちの世界に戻ってきた
直後のゼットンを捕捉した。
ウルトラエアキャッチである。
しかし、拘束したところで自分の光線技では倒せない。そこで。
ビームで固められたゼットンと捕捉ビームで繋がったまま、初代は足を軸に
回転し、ゼットンを振りまわし始めた。
旋風が吹き荒れ、十分に加速がついたところで、凍らされたもう一体のゼットンに
叩きつける。
互いの強度が同じなら破壊するには十分。両ゼットンは、黒と赤の肉塊となって
こなごなに粉砕された。
タロウ「見事です、兄さん!」
新マン「ついに・・・ついにゼットンを倒したな!」
初代「いや、ゼットンが一体で攻めてきていたらこの手は使えなかったろう・・・
!」
初代は超感覚で気付き、空を見上げた。
そして地をけり、素早く飛び立ち、空のかなたに消える。
タロウ「兄さん!?」
11 :
サブタイ未定5:2006/05/30(火) 12:45:41 ID:5255xsDe0
タロウによって宇宙の藻屑となったゼットン星人だが、別の切り札をしかけていたのだ。
二体のゼットンよりも更に強力な戦闘力を与えられ、背中につけられた翼によって
高速飛行も出来るようになった、スカイゼットン。それが、宇宙から迫ってきて
いたのである。
遠くからそれを自身の目で捉えた初代ウルトラマンは、全力で飛び、同時に
エネルギーフィールドを全身にまとい、赤い光の球となる。
見えてきたスカイゼットンが口から一兆度の火の玉を連射するが、
全て赤い球ではじき返す。
自由落下で落ちてきた20万トンのスカイドンをも粉砕した加速度で、
ウルトラマンはスカイゼットンと正面衝突し、これも跡形もなく消し飛ばした。
12 :
サブタイ未定6:2006/05/30(火) 13:06:49 ID:5255xsDe0
力尽きたウルトラマンは、地球に落ちていく。
だが、テレポートして現われた宇宙警備隊長・ゾフィーが、
ウルトラマンを救い上げた。
「私の後に地球の守りとなった戦士達も、何度となく死地に陥った。だが、
セブンはウルトラ警備隊の協力でガッツ星人の暗殺計画を破り、新マンは
坂田兄弟を失った悲しみから立ち直ってナックル星人とブラックキングを下し、
エースも父の助力でヒッポリト星人の罠からよみがえった。
戦いに負けるのは恥ではない。だが、敗れることで挫け、誇りを失ってしまうのは恥だ」
「ウルトラマン・・・お前は、そのために?」
「ここでゼットンという障害を越えなければ、これからも更に強くなるであろう
敵に対し、兄弟達と足並みを揃えて戦うことが出来ない。そう思った」
「ウルトラマン」
ゾフィーは言った。
「一人で全てを背負うことはない」
「!」
「宇宙の平和を守るため共に力を合わせる、そのためのウルトラ兄弟なのだ。
力及ばぬところは補い合えばいい。見よ」
地球を指す。
新マンとタロウが、青く輝く星を背に駆け付けてきていた。
「・・・これは・・・一体!?」
地球の衛星である月。その地表に立つ銀色の戦士。
光の絆の戦士、ウルトラマンネクサス。その基本スタイル、アンファンスである。
彼の眼前に広がる物は、視界を埋め尽くすほどの魔獣の群れ。
そして、その先頭に立つ漆黒の巨人。
「何、と訊かれても・・・ご覧の通りスペースビーストだが」
黒い巨人が答える。
「そういうことを訊いているわけじゃない!どうしてビーストがこんなに・・・」
「教えて欲しいか?いいぜ、答えて・・・」
「その質問に答える義務はないわ」
その声を遮る様に時空が歪み、女性のような姿をした闇の巨人が現れる。
「!?・・・リコ・・・いや、ダークファウスト!?」
「違うわ・・・あんな出来損ないと一緒にしないで!私は・・・」
その声をもう一人の巨人が制止する。
「お前がキレてどうする・・・!まずは目的を果たすのが先決だろ」
「・・・そうね、悪かったわ。・・・ネクサス、覚悟しなさい」
身構えるネクサス。互いの間に緊張感が走る。
「・・・行け、お前ら」
巨人の号令を合図に突如として静寂を破り、無数のビーストが襲い掛かる。
「くっ!」
先頭を切って襲い掛かってきたブロブタイプビースト・ぺドレオンの触手を間一髪でかわす
と同時に、ネクサスはすかさずビーストの群れに肉薄する。
その十字に組んだ腕に閃光が奔り、眩いフラッシュを放つ光線がほとばしる。
必殺のクロスレイ・シュトロームが、ネクサスの目の前に密集したビーストの
ほとんどを焼き払った。
しかし、その直後、背後に回りこんでいたインビジブルタイプビースト・
ゴルゴレムの食腕がネクサスに絡みついた。
「しまっ・・・ぐっ!?」
完全に動きを封じられ、ネクサスは縛り上げられたまま持ち上げられてしまう。
「でかしたぞ、ゴルゴレム・・・」
「まさかこんなに簡単にネクサスを捕まえられるなんて・・・
本当にこいつが冥王様を倒したの?」
(!冥王・・・まさか、奴が生きているのか!?)
ネクサスは必死で脱出の糸口を探りつつ、二人の会話に耳をそばだてる。
(なんとか・・・脱出を・・・)
奪われていく体の自由。絶体絶命の中で、ネクサスはなんとか右腕を胸にかざす。
「何っ!?」
驚く二人をよそに、光り輝きながらネクサスの体が変化していく。
その光が食腕を振り払い、ネクサスの体を解放する。
全方位に放射された光が止むと、その中に一人の戦士がいた。
蒼い体表に銀色の鋭角的なライン。胸のエナジーコアの上に発生したコアゲージ。
ネクサスのメタフィールド内での戦闘スタイル、ジュネッスブルー。
その周りを取り囲む無数のビーストと二人の闇の巨人。
この戦いがこの後、
全銀河を揺るがす大決戦の序章になることに、未だ誰も気付いてはいない・・・
どうも。まずは初めだけ投下しました。
まだネクサスだけですが、これからどんどんウルトラマンは増えていく・・・と思います。
すんごい遅筆な私ですが、これからもよろしくお願いします。
今、メビウスとマックスのネタ準備中。しばしお待ちを。
保守がてらに予告
街を襲うUFO。
そして、次々に大きな樽に入れられ塩漬けにされていく人々。
地球の危機に出動した地球防衛軍と
その特殊チームPTAであったが、
ついに地球防衛軍の隊員までが塩漬けになってしまう。
どうするPTA。
いまこそ戦え!ウルトラマンゼノン。
てゆーか、見てないで戦ってくれ。
次回
「ゼノンを塩漬けにしろ」
――塩漬け宇宙人ザタン星人2代目登場――
にご期待ください。
メビウスの試練
「何処だ・・・此処は!?」
宇宙警備隊の新人・ウルトラマンメビウスは、一日も早く立派な戦士になるため、辺境の星で
修練していたはずだった。それが、気が付いたら見覚えのない森林地帯にいる。
そして、これも見覚えのない二体の敵が襲い掛かってきた。
「何故だ、何故僕を攻撃する!?」
暗色の細身の宇宙人と、鳥と獣の合わさったような怪獣。どちらも、異常に速い身のこなしで
攻撃してくる。やむなく応戦し、何度も光線技を放ったが全て交わされ、エネルギーを消耗していく。
「捕捉できれば・・・まだ修行が足りないのか!?」
暗色の宇宙人・スラン星人は、超高速機動でメビウスの周りを走り回り、無数の分身を発生させて
翻弄する。メビウスは地上から離脱して逃れるが、そこに怪獣・ヘイレンが飛来し、これも
メビウスの周りを飛び回る。超音速の檻に閉じ込められ、発生した衝撃波が、浮遊したままの
メビウスを苦しめる。
「ヘヤーーーーーッ!!」
頭を押さえて苦しむメビウス。
「駄目か・・・僕はここで終わるのか!?」
そこに、赤い巨体が上空から介入した。
3万7千トンの質量が、マックスサテライトキックでヘイレンを地上に蹴り落とした。
正気に返り、介入者を見詰めるメビウス。
地上に降り立った介入者・ウルトラマンマックスは、ヘイレンを格闘技で圧倒し、弱らせていく。
十分に弱らせたところで、手を頭上に構え、頭からマクシウムソードを抜く。
手を前に構えると、前に飛んだマクシウムソードは一旦停止し、幾つもの数に増える。
分身マクシウムソードが飛び、ヘイレンに襲い掛かり、一斉に斬り付け、跡形もなくした。
驚いているメビウスに、
「何をしている。この機を逃すな」
マックスに言われ、メビウスは、スラン星人も飲まれているのに気付いた。
闘志を取り戻し、腕のメビウスブレスから光の剣・メビュームブレードを伸ばす。
「ヘヤーッ!!」
素早くスラン星人に斬りかかり、上半身と下半身を切り離して倒しながら、思った。
(何故、僕はこんな武器を持っている? 何故使い方を知っている?)
危機を切り抜け、息を切らしているメビウスに、マックスは語った。
彼は故あって地球防衛の戦いに身を置いていたのだが、最近光の国に帰還し、新たな戦いの使命を受けて
再び旅立ち、そしてやってきたのがこの場だという。
メビウスは首をかしげた。マックスという戦士は知らない。地球に派遣されたという話も聞いていない。
「それはそうだろう。私は、君のいる時代よりも未来に存在しているウルトラマンらしいからな」
その言葉にも耳を疑ったが、
「らしい・・・?」
「らしい。私も知識で知っているだけで、まだ実感を伴ってはいない。私に使命を与えた上司は・・・
私も直接姿を見てはいないのだが、時空を超越して把握できるほどの力を持っているらしい」
「時空を超越!?」
「先ほど君が戦った敵は、本来私のいる時代に存在していたものだ。超越者は、その力を持って
そういう状況に君を置いた」
「・・・何のために?」
「宇宙警備隊の上部は、地球を守るための戦士に君を抜擢することを検討している」
「! 僕が、地球を守るための戦士になれるんですか!?」
「まだ検討の段階だ。それを、これからの君の行動によって判断するらしい」
「つまり・・・」
「そうだ。君にとってのこの戦いの意味とは、君が地球へ送るに値する戦士かどうかをテストするための
試練なのだ。どうだ、ウルトラマンメビウス、この試練を受けるか?」
メビウスは二もなく了解し、別の世界に待っている試練を受けに旅立つことになった。
マックスも立会い、同行する。それが彼の新しい使命だという。
並んで飛びながらメビウスは問う。
「マックス。貴方は何故地球防衛のための戦士に?」
「当初、私が地球に向かったのは観測目的であり、戦うためではなかった。だが、ある地球人の行動に
感銘を受け、共に戦うこととなり、それから長く地球に滞在し、色々なものを見た。今思えば不遜にも
『最強・最速』を自負していた私にさえ、新鮮な驚きを与える経験だった。先ほど戦った敵とも、
初戦のときは危機に陥ったものだ。
個人的にも、君には是非地球に行くことを勧める。他では得られないものを得られるはずだ」
そして、二人は光り輝く巨大な時空の扉の奥、次のステージにに消えていく。
それを、二人には認識できない彼方から見届ける二つの存在。
かたや、メビウスの器を測るための試験官・ウルトラの父。しかし彼にさえも、マックスの言った
時空を超越して把握するほどの力はない。超越者とは、父の更に背後で腕を組む伝説の超人。
ウルトラマンキングであった。
「楽しみだな」
「ええ」
メビウスの前史として想定された話と思っていただければ幸いです。
随時、他のウルトラマンも時空を越えて戦いに合流させていく予定です。
保守
24 :
名無しより愛をこめて:2006/06/08(木) 19:41:24 ID:wSr6+DzD0
保守+予告
凶悪怪獣、グロンケン復活
世界各国からUDFの戦士達が集まり行われるUDF武道大会
DASHからはいったい誰がでるのか
そして謎のビル切断事件の真相は
次回、ウルトラマンマックス「この一撃にすべてをこめて」
25 :
ハヌマーン教教祖:2006/06/08(木) 19:46:11 ID:NiifDWU90
何年か前に俺立てたんだけどdat落ちしちゃったんだよね
その時はバルタン星人サーガみたいなの書いてましたw
今度は頑張って名物スレとなっていただきたい、応援してます
>>27 たしかこのスレと全く同じスレタイだったとおもw
時期は555の劇場版やってた頃かな、3年ぐらい前か
過去ログ墓場にあるかもしれんね
>>28 レスサンクス。
見つからなかったけど。
やり方が悪いのかな…。話を読みたかった。
ライダーは割りと充実してるから、ウルトラの共闘スレの発展を望む。
落ちてる・・・
もう一度張ってくれると幸せです。
ウルトラマンメビウスとマックスが移動した次のステージは、広大な宇宙だった。
故郷の星を失い、新たな安住の地を探す放浪の民・ファビラス星人は、危機に陥っていた。
肥沃な自然を持つ星を見つけ、定住するために開拓を始めた矢先、宇宙怪獣が二体襲ってきた。
新天地を蹂躙され、星人達が絶望に落とされようとしていたとき、二人のウルトラマンは
やってきたのである。
必殺のメビュームシュートを放ち、それで勝負を決めたと思ったメビウスは驚いた。
ネオガイガレードは、腹部に開いた穴からメビュームシュートを吸収してしまった。
エネルギーを得て活性化したネオガイガレードは、右手の長い刃を振り回してメビウスに襲い掛かる。
マックスもフォローに入りたいところだが、ネオダランビアのバリヤーに光線を防がれ、
反撃の突進や腕を伸ばしての遠隔攻撃に手こずっている。
だが、押されている状況にも関わらず、マックスにはそれほど焦った様子が見られない。
フォローに入れないまでも、メビウスの対応を見届けている。
光線が効かないと見たメビウスは手を変え、メビュームブレードで敵の攻撃を受け流し、
地道に反撃の機を伺う。そして。
刃を交わし、カウンターでネオガイガレードの目にブレードを突き立てた。
ネオガイガレードが顔を押さえて苦しみ、隙を作ったところでジャンプして背後に回り、
後ろからメビュームシュートを叩き込み、爆破した。
マックスは頷くと、自身も反撃に出る。接近したネオダランビアの長い腕を手持ちのマクシウムソードで
切断。同時に懐に接近、ソードの刃を翻してすれ違う。
ネオダランビアの首が落ち、遅れて巨体も倒れた。
「やりましたね、マックス」
「いや・・・まだだ」
その返事がなかったら、メビウスは敵の術中に落ちていただろう。
二体の怪獣の破片が素早く寄り集まって融合し、ぼんやりと光る軟質の塊になり、触手を伸ばしてきた。
二人のウルトラマンは素早く交わして後退し、様子を見る。
塊は大きく膨れ上がり、ネオダランビアとネオガイガレードが混ざったような姿にも見えるが、
形が一定しない。更に、声を出す。
「・・・一つに・・・なるべし・・・」
メビウス「喋った!?」
マックス「知性体なのか?」
「意固地に『個』であり続け、『他』を拒み、対立し続ける所業こそ悪なり」
マックスの時代よりも更に未来、ネオフロンティア時代の脅威、スフィアである。周囲の無機物や
生物に融合してスフィア合成獣を生み出す。その真の目的は、宇宙全ての存在と融合して一つになることで
互いの争いをなくし、彼らの言うところの『平和』をもたらすことである。
「人は度し難い生物なり。互いの違いを受け入れられず、いたずらに違うものを排除せんと争うことしか
出来ぬ存在なり。故に、肉体も精神も全て一つに統合してしまうのが恒久平和へのただ一つの道なり」
「違う!!」
若い(といってもウルトラ族の基準でだが)メビウスは過剰に反応する。
「一人一人違う心、考えを持っているからこそ人間なんだ! 勝手にそれを皆同じにしてしまうなんて」
「このまま判り合えない者同士で争いが続けば、いずれにせよ宇宙文明の行き着く果ては破滅」
「人はそんなに愚かじゃない!」
「待て、メビウス!」
メビウスが我を失っているのに気付いたマックスは制止するが、頭に血が昇ったメビウスは引かない。
「我々の所業は、宇宙の破滅を回避するための必然」
身を乗り出していたメビウスにスフィアの触手が飛び、絡み付いた。
「ぐうっ!?」
「争いを助長する力、ウルトラマン。汝も我らと一つになるべし」
「メビウス!」
助けようとしたマックスも、触手に捕まる。スフィアは二人をずるずると引き寄せていく・・・
「鬱陶しいんだよ!!」
柄の悪い叫びが響き、飛んできたフラッシュサイクラーが触手を切り、拘束を解いた。
「まだいやがったのか、スフィア」
自由になった二人が見上げた中空に、ウルトラマン・・・と思しき巨人がいた。光の国出身の彼らが
目にしたことの無い特徴を持っている。身体の模様に赤だけでなく、青が混じっている。
「あんたら、こいつの話をマジに聞くこたあねえぞ。心の健康にすっげー悪いから」
新たな介入者・ウルトラマンダイナは、メビウスとマックスに忠告した。
ネオフロンティアでの最終決戦においてグランスフィアを破り、その代償として元いた世界から
離れることになったダイナ=アスカ・シンは、光溢れる新世界の果てに一足先に到達していた父・
カズマに再会し、共に当ての無い航行を続けていた。その折、スフィアが再び現れたという事態を
目にしたのである。
思案するアスカにカズマは、
「行って来い」
「父さん・・・」
「お前はその気になれば何時でも光を越えられる。私とも、何時でも会えるだろう」
かくして、ダイナは戻ってきた。
「人は、違って生まれてくるもんなんだよ!」
スフィアの連射してくる光線を回避し、素早い攻撃に対抗するため、基本のフラッシュタイプから
青色のミラクルタイプにチェンジ。そんな能力があることにもメビウスとマックスは驚く。
ミラクルダイナはウルトラマジックで残像の分身を生み、光線攻撃を次々外させ、
反撃のポジションを確保していく。
「違ってる奴同士がぶつかり合って、お互いの大切なものへの想いの強さを確かめ合うことで、
絆を結んでいくもんなんだよ!」
「それは危険な思想なり」
「その努力もしねえで最初っから皆同じにしてしまおうなんて、ヘタレた手前らの言い分なんか
知ったこっちゃねえんだよ!」
「その傲慢は許されざるものなり」
「ああ、許してくれなくて結構だ!」
ミラクルダイナの手に集積した波動・レボリウムウェーブが放たれ、スフィアを越えてその背後に飛び、
暗い紫色の次元の穴を開け、スフィアを別次元へ放逐せんと激しく吸い込み始めた。
スフィアは抵抗し、ひしゃげた身体を伸ばして出てこようとする。
「出て行けっつってんだ!!」
ダイナは続いて赤いストロングタイプにチェンジ。手近の山岳から、自分よりも巨大な岩、というより
山を剥がして持ち上げ、スフィアに投げて叩き付ける。
山と一緒に、スフィアは異次元に消えた。
ふう、と息をついたダイナはフラッシュに戻り、二人のウルトラマンに声を掛けた。
「ところで、あんたらもウルトラマンか?」
ダイナ「へえ・・・ウルトラマンの国なんてものがあるのか。すげえな」
メビウス「凄いのは貴方ですよ。三つの姿に変身して、あれだけ多くの能力が使えるなんて」
ダイナ「いやーはっはっは、そんな大したことねーから」
調子に乗っているのは丸分かりである。
ダイナ「それはそうとあんたら、これからも道中を続けるのか?」
マックス「うむ。メビウスの試験を続けなければならないからな」
ダイナ「そうか。俺もどうせ当てのない旅だし、スフィアは異次元に叩き込んでも又しつこく
出てくるかも知れないからな。よし、付き合うぜ」
メビウス「いいんですか?」
ダイナ「おう、どんと任せとけ。これでも昔はエースで4番よ」
何の関係があるのかは判らなかった。
三人になったウルトラマンは、ファビラス星人の歓声を受けて飛んでいく。
星人達の中に混じったハネジローが見送っていたのを、目視できたわけではなかったが、
ダイナは最後に振り返ってサムズアップを贈った。
おお、ダイナw
タイプチェンジは一回の戦闘で一タイプにしかなれない、なんてツッコミは野暮ってもんですね
面白いし
39 :
30:2006/06/09(金) 23:40:12 ID:xvHz0aLr0
40 :
下原正三:2006/06/10(土) 00:05:48 ID:1/bYITx20
メビウスの試練シリーズの者です。防衛隊スレでのコテで。
張り直し有難う。今、ウルトラマン全員集合を一気読みしてきました。
負けてられないと思いました。
41 :
下原正三:2006/06/10(土) 00:38:49 ID:kE2GCwjt0
>>38 タイプチェンジの制限忘れてました・・・次からは気をつけます。
42 :
38:2006/06/10(土) 00:58:40 ID:cqjWssEiO
指摘しといてアレですが、俺はあまり気にしてないですよ
ダイナの性格ならその場のノリであっさり制限破っちゃいそうだし
6月10日 快晴 湿度○% 気温×℃
今、巷を騒がせているボガールとかいう怪獣を食う怪獣を倒す為の作戦が立案された。ある無人島にボガールをおびき寄せ、
そこで島の中心にバリアを張った状態で一気に叩くという作戦らしい。何でそんなことをせにゃならんのかってぇと、倒すと
大規模な爆発が起こって甚大な被害が予想されているそうだ。
俺は戦闘機乗りだから迎撃の為に今まで怪獣をちらほら見た事があるが、どいつもこいつも皆、俺達を無視して日本に向かっ
てっちまう。まぁ、そっから先はガイズジャパンの管轄になるんで俺達の肩の荷も下りるんだが、いつもウルトラマンが出て
きてはジャパンの連中と共同戦線張って倒してる。何度もモニターで見た事があるが、どうもあのメビウスとかいうのはいけ
すかねぇ。周りの奴等は大体セブンが好きだっていうが、俺は親父に散々話を聞かされたレオが好きだ。俺がガキの頃に外国
で活躍してたパワードやグレートなんかも好きだったな。でも、MACのメカは好きなれない。何か嫌なんだよなぁ。やっぱ
りメカはMATのマットアロー1号かウィナーのストライクビートルだよな。どっちも凡用性に優れてるけど、デザインや性
能から言ったらやっぱりストライクビートルだな。飛行訓練の時もあれ使ってたっけ。
とにかく、これから忙しくなりそうだ。
6月11日 快晴 湿度○% 気温×℃
今日はかなり疲れた。実質、実戦は初めてだったからな。ジャパンの連中はいっつもこんなに疲れてんだろうな。今日の作戦でサポートに
回るために来てくれたんで、ジャパンのイカルガ隊員とアイハラ隊員に会ったんだが、顔色はいたって普通だった。たいしたもんだ。ぶっ
ちゃけ、俺はアマガイ隊員に会いたかったなぁ。ガネメかけてる上にドジッ子だぜ?何処のアニメキャラだよ!?とまぁ、色々あったわけ
だ。
んで、作戦の方はとりあえず成功したかな。まぁ、あんなチャチなロケット砲じゃ倒せないだろうとは思ってたが。それにしてもウルトラ
マンをあんな近くで見たのは初めてだったな。あのツルギって奴は大丈夫だろうか?ちょっと心配だな。さて、後は特に書くこともなし、
ここらでおいたまするかな。
45 :
万束北男:2006/06/11(日) 21:31:35 ID:qAMBGfGs0
とりあえずこれで終わりです。もっとボガールに対して「アストロモンスかっつーの」とかツッコミ入れたりジャイアントボールの
事とか書こうと思ったんですが・・・。
実際、私はレオが一番好きですね。よく父と一緒にビデオを見ていたので。パワードとグレートも実際TBSでやってた時に見てました。
ストライクビートルのデザインは物凄く好きですね。別所さんが乗ってても違和感ないと思いますし。でも、時系列間違ってませんよね?
初代ウルトラマンから25年後にパワードケムラーが出てきたから・・・大丈夫か。
今度はネクサスのリメイクでも書こうかな・・・
「ウルトラマングレート&ウルトラマンパワード」いいですか?
ここってオリジナルのウルトラマンはらめ?
>>46 未見なので注釈がほしい。
>>47 いいんじゃないですかね。前例もあるし。
「ウルトラマングレート&ウルトラマンパワード」
Q、マン、セブン、ジャック、A、T、レオ、J、80、USA、Gがいた世界
パワードは現役中
防衛隊はウィナー
アメリカの話
こんな感じ
予告してたのを投下
第1話:ゼノンを塩漬けにしろ
街に現われた円盤の迎撃任務をおびて3機の戦闘機が出撃した。
「星人の円盤が射程圏内に入るまで30秒。迎撃体制だ」
基地からの通信が響く機内。
「迎撃フォメーションBに移る。いくぞ」
モニターに現われる1つのの敵影。
中型の戦闘機に乗った平山が指示すると、
平山機も含めた3機の戦闘機から街を襲う円盤に向け
数十発のミサイルが放たれた。
敵は肉眼ではまだ捉えられない。
ただ唯一それを映すモニターだけを見つめ一度息を呑む。
ミサイルが尾っぽからあげる白煙の先で、
そしてモニター上で、ミサイルと円盤とが接触する。
「抜かれた」
街への攻撃を中止し円盤は高速で3機に接近した。
攻撃を受けてからすぐの反応とその加速性能は、
さすが異星人の兵器といったところだろうか。
「分離して各個撃破。分かったか!!」
「りょ、りょ了解!」
2機に分離可能な戦闘機スペースゼブラのコクピット、
山田隊員からの威圧感が隊歴1年の池上隊員にはひしひしと感じられた。
敵円盤が下部より収束され一本の束のようになったビームを撃ってくる。
山田はそのビームの射線上に自機があるであろうことを予測した。
どうやらこちらが思う通りにはさせてもらえないらしい。
その上、敵機と自機の距離、そしてこちらの速度とあちらのビームの予想される速さ。
それらの条件からすれば、こちらの分が悪いのが分かる。
このままではほぼ直撃は避けられないと考えた方が良いだろう。
刹那のごとき速さでスペースゼブラに肉迫する光線。
「分離!」
機種を下げ、機体を回転させつつ2機に分離した機体の間をビームがすり抜けていく。
2機はその状態から即座に姿勢を変え、フォーメーションを組み、突進。
円盤上部にはスペースゼブラαによるミサイル、
円盤下部に向けてスペースゼブラβによるビーム攻撃が加えられた。
ビームをよけた円盤であったが、ミサイルの内1発に被弾する。
そこにすかさず平山機がミサイル撃ち出す。
若干浅い円弧を書くように、そしてあらぬ方向うねるようにして跳びながらも
ミサイル群は円盤という標的を正確に狙っていた。
正面から向かってくるミサイルを回避するため円盤は垂直降下の体制に移る。
向きを変えそれをミサイルが追尾する。
高層ビルの真横に沿うように円盤は地面すれすれまで降下、即座に姿勢を変えた。
地面に打ち付けられ次々と爆発するミサイル。
一方の円盤は超低空を高速で飛行する。
ビル街の窓ガラスが円盤による衝撃波により次々と割れ、
雪の様に舞うガラス片が硝煙の中に散った。
この円盤の搭乗者は相当の腕の持ち主のようだ。
いや、あるいは高性能コンピューターかなにかで制御された無人機であるのかもしれない。
宇宙人の未知の能力からすればそうであっても不思議ではないからだ。
依然、円盤は低空を飛行する。上昇するタイミング、そこに隙が出来るはず。
それを逃さずに攻撃できさえすれば……
上昇――
閃光。それに伴う耳を裂くような爆発音。
「敵機。撃墜しました」
続けて聞こえたのは通信音だった。
小型戦闘機ドラゴンファイヤーに登場する星野隊員からだ。
ドラゴンファイヤーのビームランチャーが円盤を打ち抜いたのだ。
もうもうと煙を出した円盤は郊外にビルの裏手に墜落し一度爆発すると、
大きく燃え上がって火柱を噴出し、もう一度大爆発を起こす。
その残骸からただ空へと上がるきのこ雲と噴煙。
「みんなよくやった。任務完了、これより帰還する」
目視とレーダーによる敵勢力の確認を終えた平山は通信機越しに作戦の終了を告げた。
一仕事終わったようだ。平山の胸をひと時の安息感が支配する。
「基地近くに星人が出現した」
突然の本部からの通信に彼ははっと我に返った。
帰還した隊員たちが長方形の長い机を囲んで、椅子に腰掛ける。
平山たちが着いたころにはもう防衛軍の研究班の隊員と通信係の隊員がすでに作戦室で待機していた。
地球防衛軍、通称UNDAの極東支部内の中枢ブロックに
配置されているこの部屋が彼らの所属する防衛チームPTAの作戦室である。
地球防衛軍UNDA。宇宙人の侵略や怪獣の襲撃から地球を守るために組織された
国連直轄の統合軍事組織。その本部はニューヨークにあり、世界各地にその基地を持つ。
そしてその各国の防衛軍には対怪獣・宇宙人の専門チームPTAが設置されている。
日本にある極東支部のPTAメンバーは5人で木村隊長を始めとして、
男性メンバーが山田一夫隊員、池上勝一郎隊員、それと平山隊員に女性メンバーは星野晴美隊員が1人という構成である。
この作戦室はオペレーター用の通信設備や各人の机にある人数分のコンピュータ、
現場の状況等を映し出す大型モニター等の設備がPTAのために用意されている。
隊員たちはその大型モニターで今回の円盤迎撃中に起こった星人による襲撃事件の現場映像を確認していた。
モニターを見つめる隊員たちの怪訝な顔。
「酷い……まるで、富山の実家の肥溜めに迷い込んだミヤマクワガタみたいだ」
妙に自然派だが訳の分からない例えで池上は事件の異常性を表現して見せた。
「どう考えても信じられないな。まさかこんなことが起こるとは。いや、ありえない。俺は夢を見ているんだ。そうだ、そうに違いない」
山田は自分の頬を思い切り抓った。現実主義者の彼としてはこの一件がどうにも信じられない。
顔をぎゅっと引き締め山田は俯く。どうやら痛かったらしい。そう、これは夢でなく事実なのだ。
「現に起こってしまったことだ……だが、しかし隊長」
そう言う平山の隣で晴美が言葉を失う。それほどの凄惨さであったということだろうか。
「見てみろ、この被害者を……」
モニターにアップで被害者が映し出される。
「ばかな……人間が星人に塩漬けにされるなんて!!!」
モニターに映し出されていたのは路上で宇宙人に大きな樽に入れられ
謎の白い粉末で漬けられた被害者の姿だった。
調査班が持ち帰った謎の白い粉末が科学班の調査により塩化ナトリウムと分かったため『塩漬け』というわけだ。
「……ところで我々が迎撃した謎の円盤は一体?関連はあるのですか!」
山田が尋ねた。
「あれは無人機であった可能性が高い。
それとあの円盤の残骸から塩漬け事件の時、
現場で発見されたものと同じ割れたレリーフが見つかったんだ。材質も同じチソルナイトだった。これだ」
隊長は質問に答えると科学班の隊員からレリーフを受け取り、それを隊員たちに見せる。
「これはPTAのマーク」
隊長が差し出したのは2つのPTAのマークを模ったレリーフだった。
無残にもそれは双方共に中央で真っ二つに割られている。
「つまり、円盤での襲撃と塩漬けは同一の宇宙人が。ということは!」
「その可能性が高い。あの円盤はPTAをおびき寄せる囮だったということかもしれない」
まだ隊長に聴かなければならないことがある。そうとばかりに平山は問う。
「しかしなぜPTAのマークが」
「PTAへの挑戦状……。そう考えてもいいかも知れないな」
重い空気。しかし全員がその中で「星人」「挑戦」などの単語に何気なく紛れた
「塩漬け」という1語に、どこか笑いをこらえているような感じなのが可笑しい。
その夜、パトロールを終えた平山は基地内を進み、中枢ブロックへと歩く。その額には少量の汗が見える。
PTAは昼間の会議で決定された決定に従い定時のパトロールの本数を多くして星人に備えていた。
「ご苦労」
すれ違った隊員と平山がお互いがそう言い合ってあいさつを交わす。
平山には彼の目がすこしうつろ気味にであるように見える。
ふと思って時計を見ると時刻は既に0時を廻っていた。
だが、このような時間でさえも隊員も機械も、そして基地も機能していることがある種の脅威として感じられる。
そんなことを考えているうちに平山は中枢ブロックのドアの前へとたどり着いた。
「PTA」の字が大きく書かれたドアが左右に分かれ開く。
「パトロールご苦労様」
作戦室の椅子には隊長と晴美が腰掛けていた。この場にいない山田と池上は仮眠を取っているらしい。
平山がヘルメットをテーブルに置いて椅子に腰掛け隊長に話す。夜間パトロールの報告だ。
「B地区の1地点から5地点を当ってみましたが、さして異常は見られませんでした」
「……」
「しかし怪しいと思いますね。なにかこう、星人が僕たちの出方をうかがっている気がするというか」
「……」
「何か見られているような。確証はまだありませんけどね。いやな予感がします。
それに星人の目的がPTAと防衛軍だとすれば、こうやってパトロールに出てきた隊員を狙うということもあると思うんです」
「……zzz」
「隊長?」
平山が隊長の様子を伺おうとすると、晴美がそれを止め、
ピンと伸ばした人差し指を自分の口元に持ってくる。
「隊長はお休み中だわ」
注意して見てみると隊長が目を閉じ、小さく寝息をたてて寝ているのが分かった。
星人にPTAが狙われているかもしれないというこんな時に。
「お休み中か……。ここのところ
ミミー星人にサイゴにゴルゴスにジューシー星人にスプーとも戦ってPTAも忙しかったからな。
ましてや隊長のことだ。ろくな仮眠も取れず、俺たち以上に忙しかったのも分かる……ある意味、仕方ないか」
「ミミー星人か。
そうだ、平山隊員はあの時現われたウルトラマンの事覚えてる?
ウルトラマンゼノンを助けに来てくれたウルトラマンの事」
「ああ、ゾフィー隊長か。
あのウルトラマンはろくなウルトラマンじゃないよ。
宇宙警備隊の隊長だとか、ウルトラ兄弟最強だとか言ってるけど、
実質すごいのは光線だけで、頭には火がついてるし、腕は折られるし、頼りにならないし。
性格のほうも、マザコンな上にロリコンでショタコンの変態で精神的にも少し問題があるし」
「ウルトラの星の人でもないのに平山隊員って随分ゾフィーに詳しいのね」
ほんの一瞬だったが平山の目が丸くなった。しかし、すぐに平静になって言い返した。
「あくまで憶測だよ。それに頭に火を付けられたのは本当の事だからな。ドキュメントZATに載ってた」
「えっ、ゾフィーって頭に火がついたことがあったんだ。失礼だけどちょっと笑ったかも」
「ま、そういうことだ。君も疲れてるだろ、俺たちも少し休憩しようか」
2人がテーブルの上の缶入り烏龍茶を手に取る。平山が乾杯の音頭を取った。
「それでは、ささやかな休息に乾杯」
「乾杯」
2人が乾杯する。打ちつけられた烏龍茶の缶が鈍い音を立てている。
そして、2人はスチール缶少し重いふたを同じタイミングで開け、
同時に烏龍茶を口に運び一気に飲み干した。
「ぷはー」
飲んだ後の少し拍子の抜けたため息が重なる。
そのときだった。
「B地区に星人出現。ただちに急行せよ」
けたたましく響くサイレンと通信が星人の出現を伝えた。
本部から闇夜の町へと走ったPTAロディが、ついに現場へと到着した。
他の防衛軍の車両のライトに照らされたそのシルエットは車体に
変な球体やグルグルの角が付いているもので、チンドン屋という表現が良く似合っている。
後続のPTAカーが到着すると、PTAのメンバーがロディを降りる。
PTAカーのほうであるがこちらはいたって普通の乗用車にPTAのエンブレム。
ロディを見た後だと少しインパクトに欠ける。
車両を降りた隊員たちの眼前には被害者が塩漬けにされた1.4mほどの大きさの樽があった。
「……防衛軍の鈴木隊員か」
「鈴木隊員が、俺の富山の実家の畑に放置されてる、かかし祭りのときに農協のおっさんが作った
肥やし袋を頭からかぶってる髭面のサイコアーマーゴーバリアンのかかしみたいになってる。何てことだ」
5人は樽の下へ駆け寄り愕然とする。
どうやら、平山の読みは当っていたようだ。
今回の被害者は防衛軍に所属している鈴木隊員。
ついに防衛軍にまで塩漬け星人の被害者が出たのだ。
先に到着していた防衛軍の隊員から山田が事情を聞くなか、
残された真っ二つのPTAのレリーフをただ木村隊長は見つめて呟いた。
「勇敢な防衛軍の隊員を失った……。失った命は帰らない……。
この先どんな宇宙人が現れるかも知れん。1人の犠牲者も出さずに戦う事は難しい事だ……。
だが我々はそれをやらねばならん」
「あの……隊長。鈴木隊員はまだ生きてるんですが」
晴美のツッコミが隊長の浸っていた深刻なムードをぶち壊す。
しかしPTAの隊長にこんなことを言われては、
まだ生きている鈴木隊員もたまったものではない。
「すまなかった……そうだ、鈴木隊員。君はカレーライスが好きか?良かったら私が――」
「……速く助けて下さい」
謝る隊長に向かって樽の中から助けを求めて外を覗く鈴木の顔は
気分が悪いのか青白くて、幽霊っぽくて怖いのであまり深夜には会いたくない感じの顔に見える。
木村隊長は鈴木を樽から引っ張り出すと、すぐさま救急車両への搬入を指示、
そして隊員たちにはまだ遠くへ行っていないであろう星人の探索を指示した。
平山は晴美と共に星人を探索する。
現場から少し離れた周辺の地区を池上たちがPTAカーやPTAロディで、
平山たちが徒歩で現場周辺というふうにして隊員たちは星人の探索にあたっていた。
真夜中の町は不気味なほど静かで、自分達の足音だけが妙に耳にくる。
「ん、これは……塩?」
街中の川原で晴美は不規則に散らばった白い粉末を見つけた。
前方にもそれらしきものが見えるのが分かる。
「鈴木隊員を塩漬けにしたときの塩が星人の体に付着し、それがここで落ちた。
そうだとすれば……有り得るな。他にも落ちた塩を探してみよう……ん」
その時。
飛び掛かった影が平山を強襲した。
咄嗟に出た腕がそれを前方へと払いのける。
地面へと叩きつけられた影を街頭の明かりがうっすらと照らす。
倒れた影がむくり起き上がると平山達はそれが星人である事を悟った。
「B地区35地点に星人出現。至急応援求む」
深夜の静寂を銃声が破る。
晴美の連絡を受けて隊員達が続々と集結してきたのだ。
「いたぞ、こっちだ」
反対方向から現われる山田、そして大勢の隊員。
PTAカーに乗って池上も駆けつけたようだ。
ついに集結した防衛隊員達は星人を包囲した。
星人は包囲され焦燥したかのように見える。
良く目を凝らし睨むと、星人の皮膚に血管のようなものが浮かび上がっているのが分かった。
突如、不気味な光が走る。
星人の嘲るような笑いがあたりに木霊すると、
星人はその不気味な光に包まれ等身大から巨大化した。
巨大になった星人の大きさはゆうに50mはあるように思われたが、
間近で見た星人はその威圧感もあってか天へと突き抜けるかのような高さに感じられる。
星人が足を踏み込むとあたりに地響きが起こる。
地面から耳を突き抜けるようにして体に響く音と振動に数名の隊員が腰を抜かした。
「車を貸せ。自分が星人を引きつける。他の隊員はその隙に退避しろ」
PTAカーに乗り込んだ平山はアクセルを踏み込んでPTAカーを直進させてみせる。
自ら囮になって星人の誘導を図ろうとしているのだ。
大通りに1kmほどPTAカーを進めたところ、星人もそれを追って付いてきた。
この大通りなら巨大化した星人が歩行しても問題ないほどの幅がある、と踏んでの事である。
ここまでは順調のようだ。
分岐点において平山がハンドルを切った。PTAカーは大きくカーブする。
平山には当然星人が自分を付けて来るものとの考えがあった。
しかし……
突然星人はPTAカー進行方向に従わず2時の方向へ直進する。
星人が進むルートはそのまま進んでいけば郊外へと出るようになっている。
星人が奇特なタイプで街への被害を避けるため郊外へと抜け出ようとしているという線もあるが
まずありえないだろう。なにか星人側に考えがあるのはずだ。
そう考えて敵の様子を伺いつつも平山は車を止めた。
そのときだった。防衛軍の戦闘機3機が飛んできたのが見えた。
防衛軍基地から星人の迎撃に出撃したのだろう。2時の方向からだ。
――防衛軍基地が狙いか。
星人の防衛軍とPTAに対する挑戦的姿勢からすればそれも有り得る。
止めなければ。
戦闘機からのミサイル群が、星人の何処が頬なのか分かりにくいが一応頬らしきところに命中し爆発する。
3機は悠々と星人を霞めるように飛行してみせている。
たじろぐ星人であったが、直後のこと腕を回転させるようにしてをばらばらと塩を撒き散らした。
戦闘機パイロットの隊員にしてみればバードストライクならぬソルトストライクだ。
塩で視界を遮られた3機のうち1機が素手で星人に掴まれた。物凄い動体視力である。
降ってくる塩の入った樽。おそらく星人が呼び出したのだろう。
隊員は射出座席で脱出する。
星人はパイロットのいない戦闘機を巨大な樽にぶち込むと
目にも留まらぬ速さでリズミカルに手を動かす。
塩のシャカシャカいう音とともに、ものの1分ほどで塩漬け戦闘機が出来上がった。
PTAと防衛軍への挑戦という星人の真面目そうな?目的には不似合いすぎる光景だ。
ギャグでやっているのかとも思えてくるが、星人当人はいたって真面目らしい。
降りかかるミサイルに耐えつつ星人は次なる標的を発見した。
平山のPTAカーだ。
車を完全に隠すような大きさの星人の手。
それがPTAカーに覆いかぶさった瞬間、咄嗟に平山は脱出すると
PTAの制服の内ポケットからカレースプーンを取り出し、
それを天に向かって突き上げた。
「ゼノーーーーーン」
叫びと共に閃光。
それに続いて光の中から拳を前方に突き上げた何かが飛び出して
地上へと着地した。
巻き上がる土煙。その中に立つ巨人――ウルトラマン。
「ゼノンだ。ウルトラマンゼノンだ」
隊員たちがどよめく。
ジュワッ――
咆哮と共に右腕を握り引き、左腕腕を前方へと構えポーズをとると、
すぐにゼノンは駆け出して星人に掴みかかった。
星人はゼノンの腕を振り下ろした手刀で払いゼノンの体に平手を打ちつける。
平手を打ったその腕を右腕で受けとめたゼノンは、
力を入れた右腕でぐいぐいと星人の腕を組み伏せると瞬時に星人の右腕を掴んだ。
屈み気味の姿勢になって、それをぐいと引っ張るようにして
自らに星人の体を引きつけたときにはすでに、
まるでバレリーナか、体操選手かとも見紛う程に上がったゼノンの右足が
星人の頭部を蹴り上げていた。
うろたえる星人にお構い無しに、ビームを帯びたゼノンの拳が星人に放たれる。
唸りを上げた拳が3万6千トンのゼノンの質量とそれ以上の衝撃を伝える。
バランスを崩した星人の巨体はゆっくりとビルへと倒れこんだ。
コンクリート片を飛ばしながら星人の質量によってビルは曲がり、拉げ、
最終的には中心部から折れて、倒れた星人の方に沈むようにして崩壊した。
星人が苦し紛れにばら撒いた塩もゼノンには効くはずも無くゼノンのバック転でかわされる。
なんとか立ち上がってみるものの、そこに防衛軍の攻撃。
タイミングよくゼノンもそこにスライディングで突っ込んできた。
足首が掴まれた感覚。それだけ星人は感じると間もなくゼノンに空中高く投げ飛ばされた。
ゼノンのウルトラモール・リフトアップが決まったのだ。
ある程度まで上昇し引力にしたがって落下してきた星人がちょうど巨大樽に頭から墜落する。
星人が突っ込んだ巨大樽からは星人の足だけが顔を出していて、
こういうのもなんだが何処となく可愛げ?がある。
足だけをもぞもぞとさせて動けない星人に対して
ゼノンの胸の前で地面に対して水平になるように両腕を構え、
そこから円弧を描くようにモーションをとる。
その腕を再度胸に引きつけ、ゼノンが腕を突き出すとZ光線を発射した。
帯のようになって発射されたZ光線が樽を吹き飛ばすと
辺りに樽の内容物である塩が飛散する。
煙のように塩が舞い散る姿は、さながら砂煙ならぬ塩煙?だ。
煙の中には星人の姿が見えない。ゼノンが勝った、そう思われた。
不気味な音が聞こえる。
そしてその音に遅れ現われた右と左の2つに分かれた巨大な樽が
ゼノンを両側から挟みこんで閉じ込めた。
「フハハハハハ!ハハハハハッ!」
この手の星人にお決まりとも言える高笑いが耳に響く。
その後すぐ消えていた星人が樽の前に姿を現した。
「残念だなゼノン。自分で自分の塩漬けは見られないだろう。
俺は貴様の塩漬けをゆっくりと見せてもらうぞ」
どこぞのヒッ○リト星人のような台詞をはきながら星人が頭の突起を光らせると、
樽から塩があふれ出す。
「苦しめ、苦しめ。だんだん美味しい塩漬けになるのだ」
ゼノンの頭を掴んだ星人はやはりリズミカルに手を動かし、ゼノンを塩漬けにしていく。
しかし、このような塩漬け星人だからか、同じような作戦を取っていても
どうもヒッ○リト星人ほどこの星人が知的であるようには見えない。
そうしているうちに抵抗するゼノンの顔が青ざめてくる。たぶん気持ち悪いのだろう。
「オ゛エー」
ゼノンの変な声。相当無理してるのが分かる。
だが下品すぎて普通のウルトラマンならこんな声を吐きそうに無いというのも確かだ。
刻一刻とゼノンの力が抜けていっている。
その様子は防衛隊員たちにも理解できた。
ついに、カラータイマーが赤へと変わりゼノンは萎びたようになって力を失った。
「あっ、ゼノンが塩漬けに!」
虚しくも可笑しい池上の叫び。
ゼノンが星人に敗れた。 つづく
次回予告
ザタン星人に無様な姿で倒されたゼノンに語りかけるゾフィー。
ゾフィーがゼノンに伝授する星人の攻略法とは何か。
そのときPTAは。
次回「ゾフィーとゼノンの誓い」
64 :
ゼノン設定:2006/06/15(木) 02:17:06 ID:zvBbdeNp0
いい加減かつ無駄な設定集
地球防衛軍のデータ
地球防衛軍UNDA
GUYSがさらに再編された国連の大規模組織で、
1960年代の地球防衛軍や1980年代のUNDAの流れを汲む。
PTA(防衛軍の特殊チーム)
隊員のデータ
木村隊長:肝心な時に役に立たない。
冷蔵庫の中のカマンベールチーズが切れるとパワーが落ちる。末永遥のファン。
平山隊員:主人公。PTAの副隊長格。ゼノンが地球に潜伏するために変身した姿。ゼノンと同じくヘタレで空気。
山田隊員:現実主義者の隊員で、良く仲間内から「岸田系」だとか「山中系」だとか揶揄される。ムッツリスケベ。
池上隊員:能天気な性格だが裏で何を考えているか分からない。富山県出身で良く田舎の話をする。
星野隊員:女性隊員。防衛軍学校からの平山の同期。戦闘機操縦の腕前はPTAのなかでもピカイチで被撃墜率も低い。
デキル女を演じているが、どこかボケた所があり、料理もインリンに匹敵するほど不味い。
「カーネル=サンダース」のマニア。
梶山隊員:準隊員でPTAの正式な隊員ではなく、たまにPTAへとやってきて作戦に参加するMACの名無し隊員みたいな奴。
ニヒルを気取り防衛軍の女性隊員にも人気があるが、実はカツラを着用している。
65 :
ゼノン設定:2006/06/15(木) 02:18:04 ID:zvBbdeNp0
地球防衛軍の主なメカ
防衛軍戦闘機……F/A-18ホーネットの改造機。「ウルトラマン80」の劇中に登場していた防衛軍戦闘機とほぼ同型。
主に防衛軍の一般隊員や、平山が搭乗する。
ガンクルセイダー…コンクルーダータイプの戦闘機。旧GUYSが使用していたもので
現在は拠点防衛用戦闘機としての各基地への配備や宇宙ステーションへの配備が確認されている。
スペースゼブラ……シルバーガルの流れを汲む戦闘機、プロトタイプガンフェニックスのデータを用いて製作された
ガンフェニックスの兄弟機で外観もそれなりに似ている。2機の戦闘機に分離が可能だが、
ガンフェニックスとは違いガンスピーダーを持たないのも特徴。
また、分離合体はマッキー2号のような形で行われる。4枚の主翼を持つ。
スペースゼブラα…スペースゼブラが分離する2機の戦闘機のうちの一つ。
小型ビートル(三角ビートル)やF-16XLを参考に設計された機体で高速性に優れる。
スペースゼブラβ…スペースゼブラが分離する2機の戦闘機のうちの一つで汎用性が高い重戦闘機。
シルバーガルαをベースとした機体で上部の主翼にその名残が見られる。
ベース機以外にもXB-70バルキリーやシルバーガルそのものを参考に設計された部分もあり、
外観はその3機を合わせたようなものになっている。また垂直尾翼はガンフェニックスの物に近い。
ドラゴンファイヤー…F-2支援戦闘機をベースとした単座双発戦闘攻撃機。
マットアロー1号を参考に設計されており、垂直尾翼等にその面影を見ることができる。
主なパイロットは星野晴美隊員。
ジャンボカンガルー…大型宇宙母艦兼移動前線指令基地。内部に格納庫とカタパルトを有し、
防衛軍の各戦闘機やドリル戦車などの特殊メカを運用できる能力を持つ。
図体がでかいわりにあまり役に立たない。
66 :
ゼノン設定:2006/06/15(木) 02:18:53 ID:zvBbdeNp0
ゼノンとその仲間たち
ゼノン
宇宙警備隊の平隊員でゾフィーの弟子。エルドラ兄弟の3男。
その戦闘力は宇宙警備隊の底辺に位置するほどのもので弱い。
宇宙警備隊に対して仲間数人とストライキを起こした後、
宇宙警備隊運輸班に左遷され、
別次元でマックスを監視しするなどして暇をもてあましていたところ
書類のミスでメビウスの活躍した後の地球派遣が決定し地球へとやって来た。
ゾフィーに似てヘタレ。
ゾフィー
ウルトラ兄弟の長兄で宇宙警備隊隊長でみんなから頼りにされる。
必殺技のM87光線の威力は絶大。
ゼノンの師匠で地球へ派遣されたゼノンを様々な面からサポートする。
67 :
ゼノン設定:2006/06/15(木) 02:19:34 ID:zvBbdeNp0
エルドラ兄弟
Uキラーザウルスを封印した結果4人が不在となったウルトラ兄弟の穴を埋めるため
エルドラの神が組織した義兄弟。戦闘能力は低い。
セブン上司
エルドラ兄弟の長男で2児の父。
当初長男となる予定だったゾフィーが兄弟入りを拒否したため
エルドラの神が急遽連れてきた恒点観測員。
宇宙警備隊員でなく、ただの恒点観測員であるため戦闘力はきわめて低い。
エルドラの神
ウルトラマンパワード第4話に登場したウルトラ戦士。
エルドラ兄弟の発案者であり次男。
昔、太陽の民を救った伝説のウルトラ戦士で、その能力も高いが、
それ以来、実戦に出ることがめっきり減ったため、
すっかり落ちぶれて極度の怠け者の戦闘嫌いになってしまった。
ちなみにエルドラの神という名は本名ではない。パワードのはとこ。
ウルトラセブン21
宇宙保安庁所属の実力者でエルドラ兄弟のほぼ唯一に近い戦力で4男。
エルドラ兄弟には半ば強引に加入させられた。
ウルトラマンカラレス
「ウルトラマンSTORY0」に登場していた。
エルドラ兄弟の5男でタロウの又従兄弟。
超戦士であるウルトラの父の一族だが精神が弱いので力を発揮できない。
ウルトラマンドルフィ
「ウルトラマン80」放映当時のテレビマガジンの記事に登場したウルトラ戦士。
エルドラ兄弟の6男だが、影が薄い。
ゼノンの敵
アクゾーン
ウルトラマン80に滅ぼされた異次元人。
ウルトラ族と地球人への復讐と地球侵略を企むが
同じ異次元人であるヤプールほどメジャーでないことや
唯一の目撃例が矢的隊員と城野隊員の白昼夢として扱われたため
ドキュメントUGMに載っていないということがあるためか、
ゼノンも地球防衛軍もその存在を知らなかった影の薄い奴ら。
戦闘力は低く、使える怪獣もマイナーなゲラしかいない。
ハンターナイトレッド
たまに出て来ては怪獣や宇宙人を斬殺する。
(過去にはカネゴンを殺したこともあったらしい)
セブンの後を受けて怪獣墓場の看守に就任した過去を持ち、
ハンターナイトゴッドやその使いのハンターナイトグリーンとも知り合い。
武器は強力なヤリとナイフ。
ウルトラマンマサヒロ
有名な一族の生まれだが、悪の道に走ったウルトラマン。
詳細は不明。
ウルトラマン・エリート
チャ○ヨー星からマサヒロを倒すために派遣されたウルトラマン。
ゼノンの事をバッタもん扱いする。
デットン
ゼノン最大の敵。
詳細は不明。
「俺はお前をゆるさねえ!!」
暴れ狂う凶悪怪獣、燃える町、爆発するコンビナート
地球に危機が訪れた時、ウルトラの星が再び輝き、熱き闘士が舞い降りる
新番組ウルトラマンヒート
6月24日投下開始予定!
50、おもしろいっすね、お互いがんばりましょう
71 :
下原正三:2006/06/18(日) 19:30:08 ID:BqkN8uyZ0
メビウスの試練、次はティガを出す予定ですが、予習のために
未見だったファイナルオデッセイを見てました。プロット練りはこれからです。
しかし、前スレとか見てると、オリジナルウルトラマンもいいなあ。
まだ何も思いついてないけど、惹かれるものがある。やってみたい。
ゼノンは力作で感動しました。本気で好きでなければここまでやれません。
個人的にはスダールやボスタングとの戦いが見てみたい。
72 :
名無しより愛をこめて:2006/06/19(月) 19:15:36 ID:DGDCj3oX0
hosyu
ほしゅ
74 :
予告:2006/06/20(火) 23:31:36 ID:cx9jCWuVO
このスレには初カキコなんだが面白そうなんでなんか投下してみようかなと。(企画倒れになったらスマセン)
西暦2032年、ネオフロンティア時代は一つの節目を迎えようとしていた。
初期行程とは段違いの速度で開発が進められた火星は、既にビルが乱立し、少数の大企業によってその土地が支配されるまでの新開発区と化していた。
火星開発プロジェクトの初代チーフであるマドカダイゴは、その活動を一段落し、現在は各地で講義を行っている。
一方地球では、火星開発に比例して進む大企業の過疎化が問題視されていた。その発端は神波大学の助教授として勤務する高山我夢が超光粒子コンピュータネオクリシスを用いて導き出した論文からだった。
だがしかし、我夢が公表しなかったネオクリシスが導き出したもう一つの危機―それが危機であるかどうか、まだ我夢自身にも分からないのだが―を我夢は確実に感じとっていた。
75 :
予告:2006/06/21(水) 00:05:50 ID:7IvqPDZAO
宇宙の遥か彼方、地球とは全く別の銀河に存在する惑星アースト。
母星を征服しようとして失敗し、星を追われ、行き場をなくした挙げ句同じ銀河の辺境にあるこの星を征服しようとしたバルタン星人のテロリストに、今まさにウルトラマンタロウがとどめのストリウム光線を放とうとしている。
バルタン星人の攻撃によって廃墟と化した辺り一帯が、濃い虹色の発光に照らされる。テロリストはどうやらもはや交わすだけの力も残っていないようだ。エネルギーの充填を終え、いざ放つ。と、そのとき、タロウの頭にある光景が浮かんできた。
―崩れる背景、爆発四散する一人の戦士。不完全なウルトラダイナマイトは修復ができない。ましてやウルトラ心臓を持っていないこいつにはすなわち死と同義語だ。なぜこいつが死なねばならない、現実は純粋な者に対して常に無情でしかない―
はっと我に返るタロウ。発射されることなく溜ったエネルギーは、集中を切らした途端暴発してタロウ自身を巻き込んで四方八方に飛び散った。
それから暫くして、タロウは目を覚ました。テロリストにはどうやら逃げられたらしい。
―無様だ―タロウ自分の格好をそう形容した。
―あのときと同じだ。―
その単語こそは、タロウの苦しみの原点であった。
―エルフ。―
76 :
予告:2006/06/21(水) 00:48:37 ID:7IvqPDZAO
ユカワシンジは防衛チームAICEの隊長である。
仕事柄、目を覆いたくなるような光景にも、一般常識では考えられないような現象にも日常的に遭遇してきた。
だから、その光景にもこれといって動じることもしなかった。そう、目の前に倒れているのが宇宙人だとしても。そしてそれが恐らくウルトラマンであったとしても。
彼の経験からすれば、動じるには値しないものである。
77 :
とりあえず今んとこ思い付いた基本設定:2006/06/21(水) 01:04:16 ID:7IvqPDZAO
世界観・・・(細かい矛盾は華麗にスルーして)全ウルトラが存在した世界
時代設定・・・ネオフロンティア時代のピークを少し過ぎた辺り(コスモスの時代もネオフロンティアの一部と捉える)
防衛チームが乱立している。
防衛チームAICE・・・日本政府が設置した特別軍力を持つ超法規組織。のハズだが防衛チームの乱立と予算とかの問題で実質的には怪獣に対する牽制や避難勧告くらいしか仕事がない。
戦力的には自衛隊程度で、100人以上の隊員を保有するが、予算がないので実際に戦闘に参加するのは7〜8人くらい。
78 :
基本設定の続き:2006/06/21(水) 13:03:41 ID:RV3y98kc0
すまん、sage忘れてたorz
しかも掴みはシリアスめに行こうと思ってたら乱文の嵐だしo...rz
やっぱり文才ないのに背伸びしてみるもんじゃないですね。
ユカワシンジ・・・防衛チームAICEの隊長。元・ZATの副隊長。ウルトラマンエルフを同化させる。
サイトウコユキ・・・AICE副隊長。隊長の経歴や秘密を知る。
その他の隊員・・・110人くらい。うち整備士や広報員などの非戦闘員が7割。
マドカダイゴ・・・火星開発プロジェクトの元・チーフ。光の遺伝子を継いでいる。
高山我夢・・・神波大学の助教授。異変をいち早く悟る。
東光太郎・・・富山で平和に暮らしている。
ウルトラマンエルフ・・・タロウの幼なじみ。暫定主人公。一時バルタン星人の長として君臨していたが、最期にはタロウを救うための犠牲となる。が、バルタン星の科学で復活。
ウルトラマンタロウ・・・地球の異変を悟る。
その他のウルトラ戦士など・・・気が向いたら登場。
>>79 助かります。気張って書きますので宜しくお願いします。
ウルトラマンヒートの名前は色々なところでかぶるので、ウルトラマンオーシャに変更します
82 :
>>74-78:2006/06/22(木) 15:32:42 ID:1yjHM41I0
>>79おお、感謝ですww力入るわーw
とりあえず今回から本文に入るので、タイトルは「スクランブル地球篇」でお願いします。
目の前に広がる広大な花畑。中にはちょっと地球ではお目にかかれないようなものまで幾つか混じっている。
男は花を折らないように気を配りながら足を踏み出した。途端に地球のものと比べても遜色ない――いやむしろそれ以上の芳しい香りが全身を包み込む。
研究者として、またプロジェクトのチーフとして、ここまでやってきて本当にによかった。マドカダイゴは心からそう思った。
研究者として火星に来て既に20年、プロジェクトが始動してからも13年の月日が流れていた。
ここに植わっている数多くの花々は、全てダイゴが植えたものである。
チーフの職は5年ほど前に引退したものの、研究者として(地球時間で)年に100以上の講演・講義に走り回る日常の合間を縫って実験・実践を繰り返した。
その集大成とも呼べるものが、ついに完成したのである。
彼はその昔、ウルトラマンとして地球人の平和を守っていた。
ウルトラマン。恐らくは地球上で最も有名な固有名詞のひとつであろう。
地球人の安泰を(なぜ地球人限定なのかは謎だが)ほんの少しでも乱しかねない生命体や兵器が出現すると、突然出現して危機を解決して去っていく謎の(少なくとも地球人にとっては謎の)巨人である。
その出身はM78星雲だったり(多数)、地球だったり、あるいは宇宙のどこかだったりするのだが、地球人はそれらを総称して「ウルトラマン」と呼んでいるのである。
そしてまたダイゴもかつてそのひとりだった。遥か古代の超戦士ティガの巨人の抜け殻である石像(本体の行方はわからないが)と合体して、光として人として戦っていた。
もっとも彼は元々光の遺志を継ぐ者であったらしいのだが、もはや今の彼にそんな力はなかった。
それどころか彼自身、時々あれは夢だったんじゃないだろうかと思うことがある。
邪悪な大怪獣はを倒すのにはものの3分ほどで事足りるのに、花を植えるのには20年もかかる。
そんな滑稽な現実と昔の自分とが、あまりにも不似合いに思えるからだ。
「あなた」
イヤホンに内蔵されたトランシーバから、彼を呼ぶ声がした。
どんなに考え事をしていてもいつもこの声でダイゴは現実に戻される。もしかしたら唯一彼女だけが、昔の自分と今の自分を繋ぐことのできる存在なのかもしれない。
「どうした?」
マドカレナは続ける。
「電話だよ。高山我夢って人」
聞いたことはある名だ。たしか、この間のワイドショーでも少し見かけた気がする。チラッとか見ていないが。
「ん、わかった。まわしてくれる?」
「オッケイ」
プツッという切替音とともに、声の主が変わる。少し粗はあるが、なかなか爽やかで耳あたりのよい声がした。
「もしもし、マドカダイゴさんですか?」
「はい、そうですが。失礼ですが、あなたは?」
「神波大学助教授の高山我夢といいます。ダイゴさん、あなたと同じウルトラマンです。」
どうやら今と昔を繋ぐことができるのは、レナひとりだけではないらしい。
初カキコ。
自分も面白そうなので書きたいと思います。
舞台はメビウスの時代で。
とりあえず今週中(できれば今日)にも書き始めたいと思います。
超光量子コンピュータ「ネオクリシス」。あのクリシスを遥かに上回る、現段階で地球科学最高のコンピュータ。
開発したのはアルケミースターズとTLTの合同チームにジャックシンドー特別顧問、ヤズミジュンチーフ、イワモト博士などの各氏を加えた世界最高峰の特別科学研究班である。
これのおかげでそれまでは15年以上かかるといわれていたものもわずか30秒ほどで終わるようになった。
市販品ではもちろんない上に本来は特別認定をもらわないと使用できないこれを一介の助教授に過ぎない高山我夢が使う羽目になったのは、G.U.A.R.Dから直々に研究と論文の依頼が舞い込んできたからだ。おかげでアルケミースターズの懐かしい面々とも久しぶりに再会した。
G.U.A.R.Dが我夢に頼んだのは、ウルトラマンでもあった我夢ならこの先に何が起こり得るかわかるだろうという建前であったが、その本当の理由は、放任というわけにはいかないが、
下手な発表はもっとできない国連などの大規模な国際組織に代わってG.U.R.A.Dに都合が一番つきやすい程度に関わりのあった我夢に押し付けたかったからであるというのはもはや公然たる秘密であった。
もちろん最初我夢は断ったが、それまでも時々起こっていた妙な胸騒ぎを解決する手段の手助けとしても利用できると考え、その性能を確かめたいという科学者らしい一面にも起因して、結局は承諾したのである。
研究のテーマは「地球社会と火星等の周辺惑星におけるネオフロンティア時代の今後について」。なんだか中学生の作文みたいだが、その中学生の作文の中身は世論に新たな風を呼びこんだ。
しかし我夢がネオクリシスを利用して導き出したもうひとつの結論―我夢の本来の目的ーは、我夢が予想した以上のものだった。
「高いエネルギーを持った謎の物体が地球に向かっている。」
今これを公表するべきか否か。我夢は迷ったが、もう少し事の信憑性を高めてからにしようと決めた。
そして、ネオクリシスのデータベース内にある「Ultramanフォルダ」を(本来は特別認定を持っていてもさらにパスワードがないと不可能なのだが、我夢は特権としてマスターパスをもっていた)
開いた。
その中には、それまでの地球人が知る限りのウルトラマンに関するありとあらゆる情報が収められていた。
「ウルトラマンは人間に同化(もしくは変態)することができる個体がいる」「殆どのウルトラマンはM78星雲からやってきており、地球周辺には亜空間トンネルが存在するようだ」
できればこのまましばらく閲覧していたいが、そんなことをしている時間はない。マスターパスを持っているとはいえ、こんなフォルダを開けるのはどう考えてもよいことではない。できれば、
あまり知られたくはないことだ。
その他数多くの情報の中から、我夢はそのフォルダを見つけ出した。
「これだ」
「DocumentTIGA」そして、その中にはウルトラマンティガに変身していた人間としてマドカダイゴの名があった。
光の遺志を継いでいる(と、そのドキュメントには載っている)彼に聞けば、何かわかるかもしれない―
我夢は論文(このままでは世界経済は崩壊する、というような内容だ)を仕上げ、大学に戻ると、取り出してきたUltramanのデータと照合してマドカダイゴの居場所を突き止めた。
「火星か。よし。」
バルタン星人といっても、その全てが悪ではない。地球人の中に悪人が幾らか混ざっているのと同じようなものだ。
しかし、そのバルタン星人は間違いなく悪人だったと言えるだろう。アディンという名のそのバルタン星人は「バルタン星人こそ宇宙で最も優れた種族である」という恐ろしく時代遅れの思想を掲げて周辺惑星の侵略に乗り出して失敗した挙句、
星人全員に見放されたことを逆恨みしてテロ行為に及び、それもまた失敗したことで母星を追放されて拠り所がなくなっていた。
だがそれでもアディンは諦めなかった。バルタン星と同じ銀河の最も辺境に存在する戦闘能力の低い民族が住んでいる超文明星アーストの蹂躙に乗り出した。
突然現れたその巨大な影を前に何の抵抗もできないまま滅ぼされていく惑星アースト。自分が王者として君臨できることの幸せをかみ締めてやがるアディン。
アディンの天を突くような耳障りな高笑いが咆哮したそのとき、宇宙の彼方M78星雲から救世主、光の巨人が飛来した。
宇宙警備隊所属のウルトラ兄弟六男、ウルトラの父・母の実子、ウルトラマンタロウが!
「ぐ・・・ウルトラマンタロウ!なぜここにいる!?」
「お前の母星から宇宙警備隊に通報があったんだ。我が星で現在最も薄汚れた者が、辺境の惑星アーストを襲って王の気分に浸っている。とな。どうやら追放してもその行方を追われていたらしいな。」
アディンは焦った。よりにもよって兄弟最強の潜在能力を持つといわれるウルトラマンタロウである。一介のテロリストが太刀打ちできる相手ではないことは明らかだ。
しかし虚勢とは張るためにしかないものである。
「貴様程度の実力でこの俺様に挑んだところで――」
その先何を言ったかはわからない。言葉を続ける前にタロウのフット光線を浴びていた。
「ぐぱっz;時dh;hッッ!!」
妙な奇声をあげてアディンは倒れた。しばらく待っていても起き上がる気配は見られない。
それを見てタロウは妙に大きな声でこう言い放った。
「よし、もう動きそうもないから止めだ!!」
そう言ってストリウム光線の構えをとるタロウ。
「うあぁーっ!」
見え見えの死んだフリが通用しないことがわかったアディンは即座に分身して交わした。
「なんだ、まだ動けたのか。」
侮蔑を含んだタロウのセリフに、アディンは悔しさを隠し切れなかった。しかし、ここで逃げてもタロウはどこまでも追ってくるだろう。
まだ何か手はあるはずだ。
「聞けウルトラマンタロウ!俺の体には特殊な猛毒が入っている毒袋がある!俺を吹き飛ばせばその毒でこの惑星を滅ぼすことになるぞ!」
「それは困ったな!しかし幸いにも私の持つキングブレスレットには殆どの毒を浄化する能力があるんだ。」
くそ。
こうなればヤケクソだ。アディンは全身にエネルギーを纏ってタロウに向けて突進した。
「ふぉああっぁーー!!」
「トゥアー!」
それをタロウのウルトラショットが返り討ちにする。
「hfdhfふあふぁふぉあふぉあsdぽふぁいふぉあお」
アディンの頭部に火がつき、一部が焼け落ちた。
そこをすかさずタロウのラッシュが襲う。
「ターッッ!」
アディンは吹き飛ばされ、その場にヘタレこんだ。もう殆ど体力も残っていないだろう。
今度こそ、タロウもトドメを刺すつもりだ。
腕を胸の下の辺りに構え、エネルギーを充填する。あたりが濃い幻想的な虹色に照らされ、その無惨な惨状を晒す。
アディンはといえば、静かにそれを見守っている。もはや交わすだけの力すらも残っていないのだろう。
エネルギーの充填が終わった。―さらばだ―
そしていざ放とうとしたそのとき、記憶の中のある光景がタロウの頭の中に浮かんできた。
おそらくはシチュエーションが似ていたからだろう。
あの時と。
まだタロウが幼かった頃。タロウには、昔から仲のよかったひとりの親友がいた。
タロウやセブンと同じレッド族だったそのウルトラ人は、名をエルフといった。一応この物語の主人公になる予定である。
しかしエルフは、突然こう言い放って宇宙へ旅に出てしまった。「なんでお前なんだよ。」その意味を未だにタロウは知らない。
そして次に再会したとき、エルフはバルタン星でも危険な思想を持つといわれる帝国の王となっていた。
そしてこう言った。「冷たいウルトラの連中よりも、意外に優しいバルタン星人を助けてやるんだ」
しかしエルフはタロウを追い詰めるほどの実力を持っていながら、止めを刺すまではしなかった。
その後、エルフはタロウの説得に応じ、共に帝国脱出を謀るが、捕まってしまった。
そのとき、タロウは自らの命も削りかねない危険な技・ウルトラダイナマイトを発動。
ウルトラ心臓と命がけの修練によって初めて成り立つ奥義である。
その威力でバルタンたちを突破したタロウ。だがそんなものは一時凌ぎに過ぎない。
「お前は逃げろ」
そういう意味だろうか。エルフは見よう見まねでウルトラダイナマイトを発動しようとした―
もちろん、ウルトラダイナマイト自体が発動するのに非常に困難な技だ。
だがそれ以上に、ウルトラ心臓も修練もないエルフが使えば、エルフに命はない。
―やめろ!―
エルフはウルトラダイナマイトを発動した。
―発動するな。エネルギー不足で失敗しろ。―
だが、エルフの実力なら、発動は可能だろう。
―エルフ!!―
タロウが近づく間もなく、エルフがいた場所から巨大な火花が上がった。
途端に耳をつんざくような大音声と共に大爆発が起こる。
がらがらと崩れていく背景。たった今自分の目の前で粉々に砕け散っているのは、さっき再会したばかりの自分の友人だ。
タロウの目には、エルフが砕け散っていくさまがコマ送りのように見えた。その胸から、腕、腰、指先、そして頭部に下半身。
目をそらしたいのに、それができない。
こいつは純粋すぎた。その末路がこれなのか。現実は純粋な者にいつも無常でしかない。
――――なんでエルフが、死ななければならない。
91 :
名無しより愛をこめて:2006/06/23(金) 05:01:38 ID:R25XEMXcO
まとめサイトおもろいw
92 :
名無しより愛をこめて:2006/06/23(金) 18:24:51 ID:R25XEMXcO
捕手
93 :
名無しより愛をこめて:2006/06/23(金) 19:04:30 ID:R25XEMXcO
連投スマンが、ひとつ提案
このスレは性質上作家が全く来ない日が一日でもあると一気に過疎って落ちの危機に瀕するので、基本的にはage進行でいかないか?
94 :
84:2006/06/23(金) 22:53:41 ID:PTaYgRpv0
これから本編を書いていきます。
タイトルは「時の漂流者」でいきます。
赤、青、黄・・・・様々な色がこの空間に渦巻き、溶けてゆく。
その中に蠢く影が見える。
「アレはまだ目覚めないのか」
一つの影が話す。もう一つの影がそれに答える。
「思ったより強力な力で抑えられているようだ」
「ふむ・・それも奴等が来れば問題は無かろう」
別の影が口を開く。
「それよりも我等の宿願の障壁をどうするかだ・・・」
「新たに地球にやってきたウルトラマンだな」
「奴は必ず我等の前に立ちはだかるぞ!」
「しかし、相手の力を知らぬ内に事を起こすのは危険だ」
「それで同胞は苦杯を舐め、斃れて行った・・・」
「ならば、どうする!!」
「心配するな、既に手は打った。地球に先兵を送った」
「これで奴のある程度の力が判る・・・」
「先兵が奴を倒せば宿願にグッと近づくと言うものだ」
「そうだな・・・我等ヤプールが地球を手中に収める日も夢では無くなる・・・」
蠢く影の正体、それはかつて生物兵器『超獣』を地球へ送り地球を侵略しようとした種族
異次元人ヤプールだった。
95 :
防衛軍LOVE:2006/06/24(土) 00:44:03 ID:15sY6O5Q0
ウルトラマンオーシャ 序章
人類に生きるチャンスを残し、銀色の巨人、ウルトラマングレートはこの星を去った
それから数十年の歳月を得て、人は、ゆっくりと、しかし、確実に自然環境との共存を進めている
汚染されていた海は潤いを取り戻し、伐採された森林もまた緑を取り戻していた
また、各地で起きていた紛争や内乱もおさまりつつあり
地球はかつてない平和と繁栄の時を迎えていた
しかし、人々はまだ知らない
再び強大な闇が地球に迫る事を……
広大な宇宙空間、そこに輝く宝石のような青い星、地球
その地球を目指して、2つの球体が進んでいた
ひとつは少し弱々しく、もう一つは力強く、真っ赤に輝いている
両方ともかなりのスピードで飛行しているのだが、宇宙空間のためスピードは感じられない
≪行ってはなりません、あなたの体は既にあの星での戦いで傷ついています≫
弱々しく光る光球を追うように進む力強く輝く光球から、弱々しく光る光球へと思念が送られた
しかし、弱々しく光る光球のスピードは緩まない
≪私が行かねばならないのだ、私が行かなければ、誰があの星の命を救う?≫
弱々しく光る光球はそう思念で強く輝く光球に告げると、更に加速して地球に迫っていった
96 :
防衛軍LOVE:2006/06/24(土) 00:46:03 ID:15sY6O5Q0
東京都内某所にそびえ立つ六角形の巨大な建造物
UMA日本支部
その作戦室で、場戸 三太郎(ばと さんたろう)はいつもの用にPCゲームにふけっていた
横で亀田 清隆(かめだ きよたか)はアイマスクをつけて眠り、大石 太一(おおいし たいち)は週刊誌を片手にレーダーを見ている
結成から数年、UMA日本支部には一度の出撃経験も無い
といってもそれは日本支部に限らず、オーストラリア支部を除いたほとんど全ての支部が、実戦など経験した事が無いのだ
故に、防衛軍はこの有様である
「そう言えば新隊員が来るんだったな、今日」
不意に大石が口を開いた
「いいんじゃないですか、別に、どーせ体力があるから軍隊来て何もしないで給金もらおうって奴でしょ」
画面から目を離さないまま、場戸が言う
「お前と一緒だな」
大石の言葉に、場戸は苦笑する
「今の世の中でこんなおいしい職場ありませんもん、まあ入隊試験難しいですが出てこない怪獣待ってて金もらえる、おまけに退職金付きだ」
ゲームの中の場戸の機体が激しい爆発を起こして消滅した
画面にGAMEOVERの文字が出る
「クソゲーだなこれ、クリアできねえようにできてる」
言って、ゲーム機の電源を落とし、椅子にもたれかかる
その様子を見ながら、大石は再び口を開く
「もし出てきたらどうするよ、化け物が?」
椅子を回転させ、大石の方を向く場戸
「UMAやめてとっとと逃げます」
「多分それ一番妥当な判断だわ」
言って笑いはじめる2人
「もう少し静かにしてもらえます?」
半身を起こして、亀田がそう言った
97 :
防衛軍LOVE:2006/06/24(土) 00:47:16 ID:15sY6O5Q0
ウルトラマングレートのポスターが所狭しと貼られた部屋、その中心に、UMAのジャケットに身を包んだ一人の青年が一番大きなグレートのポスターに敬礼しながら立っている
「あなたの守った地球は、今度は俺が守ります」
言って、青年は部屋を出た
宇宙空間で、加速して地球に迫る弱々しく輝く光球に、強く輝く光球は説得を続けていた
≪なぜ、あなたが戦い続ける必要があるんだ?≫
≪あの星の生物にはそれだけの価値があるからだ≫
強く輝く光球の問いに、弱々しく輝く光球は即答した
≪しかし今のあなたが行った所で、ゴーデスに餌を与えるような物だ≫
≪それでもできる限りを尽くさねばならない、あの星を救うために……!!≫
不意に、弱々しく輝く光球が進路を変えた
突然の事に、強く輝く光球はその場に立ち止まってしまい
次の瞬間には弱々しく輝く光はどこかへ飛び去っていった
98 :
防衛軍LOVE:2006/06/24(土) 00:49:04 ID:15sY6O5Q0
弱々しく輝く光はかなりの速度で進む
その先には地球へ迫る一つの黒い塊があった
≪ゴーデスの劣兵か≫
黒い塊が、弱々しく光る光球へ黄色い光線を発射する
しかし、光球はそれをかわし、戦闘形態へと変わる
その姿は、ウルトラマングレート!
「シュウワ」
グレートは気合と共に、黒い塊に向けてバーニングプラズマを放った
バーニングプラズマが命中し、黒い塊がその姿を変える
黒い塊の正体はアリクイのような姿をした異形の怪物だった
「ピュルルルルルルルルウウ」
グレートの方を向き、威嚇の声をあげるアリクイの怪物、サタナス
99 :
防衛軍LOVE:2006/06/24(土) 00:49:45 ID:15sY6O5Q0
「ゼアアア」
再びバーニングプラズマを放つグレート、しかし、サタナスの前方に赤いバリアのような物が一瞬発生し、バーニングプラズマをはじく
「!」
「ピュルウウウウ」
今度はサタナスがグレートに向かって口から先ほどと同じ黄色い光線を発射する
「ゼア」
光線を叩き落そうと拳を振るうグレート
しかし、光線はグレートの腕に命中すると、はじかれる事なくその場で爆発した
「グア」
ひるむグレートに更に光線を発射するサタナス
今度はまともにそれを受けるグレート
「グアアアア」
グレートの胸のデルタプラズマが点滅を始めた
サタナスが再び光線を発射しようとした時、サタナスの体に一発の光線が放たれた
あの赤いバリアも発生したが、その光線はそのバリアを貫通してサタナス本体に命中する
「ピュイイイイィ」
悲鳴のような声をあげるサタナス
グレートが光線の放たれた方向に目を向けると、そこにはあの強く輝く光があった
その光も、戦闘形態へと変わる
強く輝く光から現れた者
それはグレートに似た、新たな銀色の巨人だった
100 :
時の漂流者:2006/06/24(土) 01:21:33 ID:ln39+oMj0
ある日のフェニックスネストのオペレーションルーム。
「しっかし、最近暇だよなぁ」
イカルガ・ジョージが呟く。
「確かに最近、怪獣が出現してませんもんね」
アーカイブを見ながらクゼ・テッペイが答える。
「お前ら・・だらけてんじゃねぇ!」
アイハラ・リュウが怒鳴る。
「また熱血馬鹿が始まった」
カザマ・マリナが冷たく言い放つ。
「リュウさん、怒ってばかりいると疲れちゃいますよ。ね、リム」
アマガイ・コノミがGUYSのマスコット、リムエレキングに語りかけながら言う。
「お前らなぁ・・・」
女性陣二人の前に、さしものリュウも敵わない。
「でも、僕たちの使命は地球の平和を守る事。油断は禁物ですよ」
ヒビノ・ミライが快活かつ真剣に言う「
「ミライの言うとおりだ。緊張感は常に持つべきだぞ」
GUYS隊長サコミズ・シンゴが珈琲を入れながら言う。
「しかしサコミズ君、平和なのは大いに結構な事だと思わんかね。このまま怪獣が現れなければ安泰だしな」
トリヤマ補佐官がオペレーションルームに入りながら言った。
「そしたら我々なんかお払い箱行きですね」
補佐官の後ろから来たマル補佐官秘書が笑いながら言う。
「マル、お前は余計な事を言うな!」
すかさず補佐官の突っ込みが入る。
二人のやり取りに思わず笑顔になるGUYSクルー。
その時、室内にアラート音が鳴った。
101 :
時の漂流者:2006/06/25(日) 00:45:51 ID:3BNe8WXD0
クルー全員がディスプレイの前に集まる。
ディスプレイにGUYS総監代行ミサキ・ユキが映る。
「GUYS総本部がらの要請を伝えます。東京上空の空間粒子の異常を監視衛星が観測しました。そこで我々CREW GUYS JAPANは、万が一の場合に備えて警戒態勢を敷きます」
「万が一と言うと、もしかして怪獣なんかが現れるとか・・と言う事ですか?ミサキ女史」
トリヤマが恐る恐る訊ねる。
「そのケースも考慮するべきでしょう。それではお願いします」
「GIG!」
クルー全員が答え、ディスプレイが閉じられた。
サコミズがクルーの方へ向いて言う。
「そう言う訳だからこれより警戒態勢を敷く。ミライ・マリナ・テッペイは外へパトロールへ出てくれ。コノミはオペレーターで残ってくれ。リュウとジョージは万が一の場合、ガンフェニックスで出撃できるようにしておいてくれ」
「GIG!」
作家さん方に提案があります。
時間を置いて飛び飛びに投稿されると、繋がりがわかりにくくなってどれが誰の作品なのか混乱してしまいます。
・ 小説を投稿する人は、名前欄を作品名かHNにする。
・ 話の区切りのいいところまでを一気に投稿する。
・ 話の途中で投稿の間隔があく場合は、どのレス番からの続きなのかを「>>レス番の続き」と書いて明示する。
どれか一つでもしてもらえると格段に読みやすくなるのでお願いします。
103 :
時の漂流者:2006/06/26(月) 01:26:31 ID:blrhZGJX0
「こちらテッペイ。A地点現在異常有りません」
「こちらマリナ。B地点も異常ありません」
「こちらミライ。C地点異常ありません」
「解った。引き続き任務に当たってくれ」
「了解」
三人は異常が観測された地点の巡回を行ったが、さしたる変異は見当たらなかった。
「本当にこの場所だったのかしらね・・・」
マリナが呟く。
それを聞いていたテッペイが答える。
「それは間違いないと思いますよ。GUYSの監視衛星にはメテオールが使われているらしく、正確性は折り紙付きだそうです」
「へぇ、知らなかった」
「取り敢えずもう一度回ってみましょう」
ミライが二人に言う。
「そうね」「そうですね」
それぞれの持ち場に戻ろうとした時、マリナの表情が変わった。
「どうしたんですマリナさん?」
ミライが尋ねる。
「今変な音がしたのよ」
マリナには常人よりも優れた聴覚が有る。
「テッペイさん、聴こえました?」
「いいや。ミライ君は?」
ミライは首を横に振った。
「とにかく、注意してもう一度・・・」
ミライが言いかけた時、異変が起きた。
何も無かった空間から突如二体の巨大生物が現れたのだ。
保守。
――――エルフ!!
そしてエルフは四散した。しかし、今また爆発しようとしているのは幻想の親友ではない。
タロウ自身の両腕である。
はっと気付いたときにはもう遅かった。タロウの腕に放出されることなく溜まった膨大なエネルギーは、集中を切らした途端、堪えきれなくなって破裂した。
「トゥゥゥアァアァァァァァァーーーッッ!!」
本来なら耳を劈くほどであろうタロウの断末魔は、同時に起こった巨大な爆発音にかき消された。
もちろん、爆発に巻き込まれたのは、タロウだけではない。既に廃墟と化していた周辺都市も
(不謹慎とは思いつつも、この時タロウはぼんやりと都市が全滅していてよかったなと考えていた。もしまだ生きた都市だったら、今のでタロウ自身が多くのアースト星人の命を奪ってしまっていたことだろう)
そしてまた廃墟と為したバルタン星人のテロリスト・アディンをもまるで最も横着なゴミ掃除でもするかのように跡形もなく吹き飛ばした。
実際には倒れる前にタロウの意識は途切れていたのだが、タロウの戦士としての本能は無意識にうつぶせに倒れて両手で身体の衝撃を弱めようとしていた。しかし、タロウの身体は何の受身もとれずに倒れてしまった。
タロウの両腕には―既に身体を支えるための両手すら残っていなかった。
「ウアァ・・・。」
タロウが目覚めたのはそれから暫くしてのことである。
まだ身体中が痛む、というよりも痛みを通り越して感覚自体が失われつつあるのだが、それでもなんとか首だけ起こして辺りを見回してみても、もうテロリストの姿は無かった。
「・・・逃げ、られたか・・・?」
エルフの生存が確認された。その情報が宇宙警備隊に伝えられたのは(光の国時間で)1ヶ月前だった。もちろんバルタン星にも通告して捜索部隊を派遣したが、エルフを見つけることはできなかった。
タロウも捜索部隊に参加したいと志願したのだが、前回の失敗などの理由から許可が下りなかった。そこでタロウは徹底的にその裏方にまわることにした(一昔前なら単独行動でもしようかというものだが、さすがのタロウもそんな短絡的な行動を取るほど子供ではなかった)。
―それなのに。―
「支えることもできないのか、俺は」
また意識が遠のいてきた。
「無様だ。俺は」
もはや廃墟すら存在しない殺風景な景色がかすれていく。
「俺は、弱い。」
カラータイマーの点滅音などとうの前に聞こえなくなっていた。
「エルフ。俺は・・・」
そこまで考えたところで、タロウの光は消えた。
107 :
時の漂流者:2006/06/29(木) 00:26:32 ID:lOTxa7JD0
「怪獣!?」
テッペイが突然の事態を前に叫ぶ。
巨大生物の一体は先端の丸い一本角を生やした怪獣だった。
問題はもう一体の方だった。
銀色の体躯に赤い線。
そして胸には・・・・
「カラータイマー!?あれもウルトラマンなの!!」
思わずマリナが叫ぶ。
「あれは・・ウルトラマンA・・・」
かつて地球をヤプールの魔の手から守ったウルトラマン、ウルトラマンAが目の前に現れたのだ。
だが唯一人、ミライだけは別の事を思っていた。
(A先輩は二十年前の一件で元の姿に戻れなくなった筈だ。じゃあ、今僕の目の前に居るのは一体誰なんだ・・・)
108 :
名無しより愛をこめて:2006/06/30(金) 21:42:10 ID:HIKq5UQLO
捕しゅ
鋏はずいぶん遠くに転がっていた。身体を動かす気力など残っているはずも無いアディンは、残った力の全精力をかけて念じた。
すると、持ち主を失っていた鋏がぴくぴくと動き出す。かすかに浮き上がろうともしたがすぐに地面に着いてしまった。
そして、鋏は仕方なくずるずるとアディンに向かって地を這いながら進んできた。時折転がって見える切断面に産毛のように残った神経と筋組織の切れ端が痛々しい。
それでもゆっくりではあるが着実に鋏は持ち主へと向かってきていた。しかし、だんだんと止まっている時間が長くなり、ついにはあと半分というところで鋏はその動きを止めてしまった。
「ぶわうぁぁぁぁ...」
鋏がないとどうしようもない。もし今アースト星人がアディンに対して報復でも試みようものなら、今度こそ本当にアディンの命はない。
なんの力も残っていないアディンにはその鋏だけが敵と戦える唯一無二の武器だからだ。
だが、バルタン星人の超能力と超科学の代物である念力も、消耗しきった今のアディンにはとても使いこなせる代物ではなかったらしい。
もちろん、さっきの爆発だって間一髪のところで交わしたわけでも逃げたわけでもない。たまたまアディンのところまでは爆風しか届かなかっただけのことだ。
―どうすればいい。―
どうしようもなかった。なので、アディンはしばらくそこにいて眠っておくことにした。
もちろん、その間に誰か自分に対して敵対心を持つ者が現れれば、それは即ちアディンの死を意味する。敵対心を持つ者。多すぎる。
アースト星人やウルトラ戦士だけではない。どうやらアディンの行方を追っていたらしい母星の者たちや、これまで自分が牙をむいてきあまりにも多くの民族・種族。
「まぁいい。どうせ一度死んだ身だ。また落とすまで拾ってやろうじゃないか。地球人の言うところの――――」
―――『命』。バルタン星人には本来存在しない概念だ。アディン自身も地球を訪れて初めて知った。
そう。アディンは地球に来たことがあったのだ。それも一度ではない。
一度目は、記念すべき(?)バルタン星人の地球初来訪のときである。侵略を主張したバルタン星人に賛同して飛来したが、
運悪く初代ウルトラマンに遭遇したことで計画が失敗すると見るや、とっとと地球から退散し、何事も無かったようにR惑星へと飛び立った。
二度目はそれから地球で30年ほどの月日が流れてから。このときは侵略のためだけに地球に来て、更に地球怪獣を使ってけん制を試みたが、目論見は見事に外れてしまい、その怪獣―ゴルザはウルトラマンダイナに倒されてしまった。
そして知った。ウルトラマンはいつもM78星雲からとは限らないと。
「とにかく、寝ることだ。全てはその後考えよう。もし―『命』がまだあるなら。」
そしてアディンは眠りについた。行き場を失った大きな鋏の切れ端だけが、ごろごろとその異様な存在感を残していた。
>>62の続き。今回はいつも以上に長いです。
第2話:ゾフィーとゼノンの誓い
ゼノンは既に抵抗を止めていた。
40mほどの大きさの巨大な樽からは、げっそりとなったゼノンの顔だけが覗く。
鎧のようなもので包まれた星人の体が腕でゼノンを漬けながら、夜の闇の中で、ただ不気味に光っている。
PTAロディのフロントガラス越しにその光景を見つめていたのは山田だった。
すでにPTAはある作戦を開始していたのだ。
山田の乗るPTAロディが気付かれぬよう、ゆっくりと星人へと接近していく。
少しづつ、少しづつ星人との距離が縮まる。
ロディを停車させ、山田は星人との距離を見た。星人が山田に気付いた様子は無い。
車内からバズーカと特殊弾を持ち出すと山田はロディのドアを開け下車しようとする。
「こちら、池上です。状況は?」
声は車内の通信機からのものだ。少し間が悪い。
「星人の真ん前だ。今からバズーカを撃ち込むところだから静かにしろ」
「そうですか。しかし、ゼノン救出作戦みたいな任務にも慣れてきた感じがしますね。
ここ2ヶ月でゼノンは8回も負けてますし」
「ぶったるんどるぞ、貴様。そういうことは嘘でも言わないのがお約束ってものだろうが。それじゃあ行って来る」
ロディを降りた山田は特殊弾を3発バズーカに詰め込み、スコープ越しに星人を見つめた。
光学式の照準が星人の足元に重なる。
放たれる一撃。続けて、腕に向けた二発。
その全てが狙い通りに命中し小爆発を起こした。
それとともに特殊弾の内容物が飛び出す。
べたりと粘着したその内容物は星人の足を地面に釘付けにし、
腕にはなたれたそれはゼノンの頭と星人の腕をも粘着させた。
「ZATのトリモチ作戦がこんなところで役に立つとは。バードンマニアの農協のおっさんのお陰だ」
この作戦の発案者である池上隊員はやったとばかりに腕を打ち合わせると、
隊員達の退避先であるオフィス街の広場から誇らしげにでその様子を眺める。
このトリモチ作戦はZATが火山怪鳥バードンとの戦いにおいて
バードンの動きを止めるために1使用されたと言われている。
その使用例では、もがいたバードンがバランスを崩し病院へ転倒しかかるという
不名誉な結果を残したこの作戦であるが、
今回の作戦はそれを逆に利用して、ゼノンへの塩漬けを続ける星人が
トリモチによって動きを止められることによってさらにもがいて、
最終的にゼノンの入った樽ごとバランスを崩して転倒するということを狙った作戦である。
案の定、無駄に動いたせいか星人のバランスは崩れる。
「この野郎!!」
山田が放った通常弾のバズーカがそれに追い討ちをかけた。
体制を崩した星人が倒れる瞬間を見計らい山田はロディに乗り込むと
そのままUターンして退避していく。
直後、その山田の後ろで星人が轟音を上げ豪快にぶっ倒れた。
ロディが、一度舞い上がって、すとんと元通りに着地する。
ある程度の重量があるロディでもこうなのだからこの振動も相当のものである。
そして倒れた星人の上にゼノンごと樽が倒れて圧し掛かると、さらにもう一度同じような振動が起こった。
「よし、レーザーでゼノンの頭に付いたトリモチを焼き払え」
空中の防衛軍戦闘機に搭乗する隊員達への通信は隊長からの作戦指示だった。
戦闘機はすぐさま旋回、一筋の線のようなレーザーを、
樽から飛び出したゼノンの頭とトリモチとが粘着している部分に照射し、それを少しづつ切りだす。
「やった!」
トリモチがゼノンの頭より切り離される。
それぞれの戦闘機での隊員の歓声は、コクピットの中だけのものではなかった。
トリモチを外されたゼノンがまた立ち上がったのだ。
ゼノンの頭がレーザーで少し焦げてひょろひょろと煙がでているのにも気付かず、
地上の隊員もゼノンの脱出に歓喜の声を上げた。
「一斉攻撃をかける。戦闘機はMN2爆弾で星人にとどめさせ」
トリモチにまみれた星人に接近しながら大勢の隊員達が放火を浴びせた。
そしてその星人に空中の戦闘機から放たれたMN2爆弾が最後の一撃を加える。
星人の腕にMN2爆弾が命中した。防衛軍の誰もが勝利を確信した。その時。
星人は目を発光させると下腕よりバリアのようなものが発生し、爆弾を防いだ。
競り合う爆弾とバリア。
バリアのほうが耐え切れなかったのか下腕を覆っていた鎧のようなものが爆発と共に弾け飛ぶ。
腕鎧が砕け露出したメカの腕のようなものが隊員達には見えた。
なんと星人はMN2爆弾を防御してみせたのだ。
星人はそのメカの腕から塩を大量に噴出するとそれで起こった煙に紛れ何処へか消えていった。
それと共にゼノンも地面に崩れ落ちる。
暗闇の中、星人に接近していた隊員達はただ呆然とそれを見つめた。
超兵器であるMN2爆弾が効かなかった。
また星人は何処へ消えたのだろうか。そしてゼノンは。
しかし、隊長にとって、それらのことよりも気がかりだったのは
星人を誘導した後に消えた平山の消息だった。
舞い上がる噴煙の中から一人また一人と調査に向かった1人の防衛軍の隊員が帰ってくる中、
晴美も隊長のもとへと帰ってきた。晴美は隊長に現場の状況を伝える。
「どうやら逃げたようです。星人の姿が見られません」
ちょうどその時また一人の隊員が手を振ってこちらへとやって来たのが分かった。池上隊員である。
「平山隊員が見つかりました。速く来て下さい!」
池上の必死の大声が辺りに響く。
塩の煙に巻かれながら池上に駆け寄る隊員達。
それを見つめつつ平山は朦朧とする意識の中、目を閉じた。
やがて夜が明けたころ。
せわしく動く計器の中、作戦室では帰還したPTAの隊員達が資料をあさっている。
隊長が星人のスキャン画像とにらめっこしながら言う。
「星人の正体はレジストコードザタン星人か。
それにしても容姿が以前のものとは違うような気がするな。どうなんだ池上」
地球防衛軍所属のの博士たち以外にも、幸いPTAには怪獣や宇宙人の類のものに詳しい隊員がいる。
以外だと思われるかもしれないが、その隊員が池上隊員だ。
「はい。ザタン星人であることは確かでしょう。しかし、この個体には鎧のようなものがあります。
それにスキャン画像を見ていただければ分かると思いますがその鎧の中には
何故か血液のように塩らしきものが流れているようです。
それにこのメカの腕も以前のものとは違います」
池上から隊長に渡されたのは、1980年に出現したザタン星人と
今回出現した個体との比較画像だった。それを見て晴美が言う。
「確かに違うわね。しかし、あのバリアーのようなものは一体?」
「それは以前の個体にもあったものらしいです。
ですが、以前とは違い常時バリアーを発生させている訳ではない模様です。
戦闘機や我々の攻撃が通じていたこともありましたし。
危機に陥った時だけ発生させるといった感じではないでしょうか?」
「何故? 」
「分かりません。しかしMNUを防いだあのバリアーが脅威であることは確かです」
「なら、ウルトラマンでもないのにどうやったらあのバリアーが我々に破れるんだ!
あれが破れんのなら星人は倒せんのだろう」
右手で机を強く叩くと、山田は目を見開き強い口調でそう吐いた。
「まだはっきりとは分からない」と言う風に返そうとした池上であったが、
その会話を断ち切るように作戦室のドアが開いた。
入ってきたのは地球防衛軍UNDA日本支部参謀佐田とその側近の2名だった。
「安心しろ諸君。その方法はある」
参謀は強く言ってみせる。
しかし、その方法とはなんなのであろうか。敬礼する隊員達にはそんな疑問が浮かんだ。
「スパイナーの使用を決定した」
無言。そこにいた誰もがその一語に言葉を失った。
スパイナー。小型水爆並みの威力を持つ高性能火薬。
その原型は1968年ごろには既に出来上がっており、
兵器として完成したそれが東京で使用されそうになるという事態が
1971年に起こったという記録が残されている兵器だ。
「スパイナーには東京を灰にしてしまうほどの威力があります。
使用を中止してください」
隊長が直訴するも、参謀は聞かない。
「MNU爆弾ほどの威力を持った超兵器が星人とそのバリアには
ほんの少しの傷を負わせることしか出来なかったのだ。
それよりも強力な超兵器を使うのは妥当な判断だろう」
「しかし」
「都民の事は心配するな。1971年の例の通り既に避難勧告を出すように言ってある。
その際に起こるであろうパニックも計算してのことだ。安心しろ。
この基地も大半が吹き飛ぶだろうが隊員達や運べるだけの兵器等は地下シェルターへと
移動させるということが決定している」
「ですが、動けない人たちはどうするのです。1971年の例でも
何人もの重病を負った人々が病院から移動できないと言う事態が起こりました。
それにこの基地にだって今回の戦闘で重傷を負った平山隊員や鈴木隊員を始めとした
その場から動けないほどの怪我や病気を負った人々はいます」
「こちらも出来る限りの手は打ってある。それで駄目なら……仕方あるまい。
その少数の人々のために大勢の都民を危険に晒す訳にはいかないのだ。分かってくれ」
淡々とした口調で参謀は述べた。それが癪に障った山田であったがぐっと堪えてただ拳を握り締めた。
「以前のスパイナー使用危機が起こったとき、MATがそれを止めたのを長官はご存知ですか?」
呟くように隊長はそう話した。
「知っている。だがしかし君らはMATか?それともウルトラマンか?
MNUが効かない相手をどうやって倒すと言うのだ」
はっきり言えば隊長には何も策が無かった。
あの星人を倒す術など思いつきようもないのだ。だが、
「我々はMATでもウルトラマンでもありません。
だがしかし我々は地球を守る地球防衛軍の隊員であり、
その中から選ばれたPTAでもあります。
それができなければPTAである資格がありません」
隊長は大きく頭を下げ参謀に懇願した。
参謀はそれを見るや否やなにやら側近に耳打ちすると一言。
「おもしろい。やってみせろ。
ただしそれで無理であるのならスパイナーは使用させてもらう。それでは」
参謀が敬礼すると、隊員達も敬礼を返した。
長官が去ってから真っ先にメディカルセンターの平山の病室へとやってきたのは晴美だった。
そこにすぐ、続いてメディカルセンターの医師もやってきて平山のベッドの横にあったイスに腰掛けた。
医師は平山を診察する。
「怪我も酷い上に、恐ろしく疲労しているようにも見える。意識も戻っていない」
「なんとかならないんでしょうか?」
「分からん。点滴はしてあるんだから、現時点では安静にしろとしか言い様が無い」
「平山隊員……」
晴美が平山の汗をタオルでぬぐった。
「私に出来ることは何かないでしょうか?このままでは平山隊員が」
「君に今できることは平山隊員を看病してあげることぐらいだ。
何か異常があったら私に連絡しなさい」
「はい……」
医者は席を立つと病室から出た。
それを見計らったかのように晴美は平山の腕を握る。
『死にそうな主人公の腕をヒロインが握る』ありふれたパターンかのように思われるが、
少なくとも晴美の心の中にあったものはそのような理想の形では無かった。
――意地の汚い女。よりによって彼の意識がないときに手を繋ぐなんて――
心の中の晴美が呟く。
晴美はそんな罪悪感で平山と手を繋ぐことが出来たという快感を無理に押さえつけていた。
晴美が平山と出合ったのは18の時。今の年齢が25なのだから7年前だ。
晴美は平山と防衛軍の養成所の同期でそこに入ったのも7年前のことだった。
つまり、実質共にいた期間も7年ということだ。
なのに晴美は平山と手を繋いだことが今のも含めて二度しかなかった。
その一度目が7年前に平山と初めて出会ったとこのことだ。
当時、晴美は高校を卒業したばかりだった。
彼女は高校在学中に防衛軍の適正試験を受けGUYSライセンスを取得していた。
晴美の同学年にもGUYSライセンスを取得した学生はいたが、
それはあくまで受験や就職に役立つからという理由がほとんどで晴美の目指す目標とは異なるものだった。
彼女の目指す目標。それは彼らとは違い防衛隊への入隊だったのだ。
晴美の父、星野昭彦が防衛軍の長官であると言うのもその理由の一つであったかもしれない。
彼女の母が彼女が幼いころに病没したせいで彼女は必然的に父親の背中を見て育つこととなった。
父親への憧れ、そして父親への反発、彼女の心に同居は常にその二つが同居していた。
だがその相反する感情が決定した進路は不思議と一致した。それが防衛軍の隊員という道だ。
父のように地球を守る仕事に就いてみたいと思う気持ちと、
功績をあげようが親の七光りと他人に一蹴されてしまうであろう父親と同じ職場という環境に
あえて飛び込み、そこで父の威光からは独立した『星野晴美』という人物の評価を
周囲に認めさせることによって父から自立したいと言う気持ちとが上手く作用したのだ。
そんなふうに防衛軍入隊という目標を必死で追いかけていた。
晴美はそれが起こったとき養成所への入所を申し込むため防衛軍の基地へと向かうところだった。
事件は起こった。
防衛軍基地の近くの町が怪獣アルゴンに襲われたのだ。
アルゴンの攻撃に崩れゆく町なかに18歳の彼女はいた。
非難し遅れ町に取り残された彼女は逃げるだけであった。
晴美が地球防衛軍の隊員になるために積んだ努力はGUYSライセンスの範囲を超えていた。
しかしそのはずの自分が逃げ遅れ、怪獣から逃げることしか出来ない。
その事実は彼女のプライドを著しく傷つけた。
「あっ」
つまづいた彼女はアルゴンの起こす振動に見舞われ運悪く地下道へと転げ落ちた。
幸い怪我は無かった。だが逃げる晴美が地下道を出ようとしたとき、
アルゴンの攻撃により無常にも地下道は崩れだした。
生き埋めは免れたものの両側の通路が瓦礫で塞がれ脱出は不可能となった。携帯も壊れてしまっていた。
そのまま晴美は一人地下道の中で一晩過ごした。
一度大きな振動と爆発音が響いた。恐らく怪獣が退治されたのだろう。
けれど晴美にとってそんなことはどうでも良かった。
ただ晴美は自分の無力さに一睡も出来ずすすり泣いていた。
夜明けの事だった。スコップが石にぶつかる時の鈍い音がした。助けが来たのだ。
だが、晴美の表情には安堵の感情など無かった。
父の巨大な権威の前に何も出来ない自分に生きている意味など無いと考えていたからだ。
「お〜い。泣き声が大きすぎるぞ」
最初に発した言葉からしてムカッと来る。晴美はそう思った。
男の左手が差し伸べられた。その顔も見えた。
晴美のこの男に持った第一印象は顔は良いがムカツク奴といった物だった。
その妙に馴れ馴れしい口調からか彼が理念だとかポリシーみたいなものも無く生きてきた
自分と真逆の人間といった風に晴美には見えていたのだ。
晴美は決して彼の手を掴もうとはしなかった。
そのまま時間は過ぎ、やがて昼が近づく。
「そんなことしてて疲れないのか?あれから五時間は経ったんだぞ。
腹とか減ってこないの?朝食食べてないんだろ?
まあ朝っぱらから君を助けた俺もそれは同じだし、
俺は基本的に自由気ままな性格だから食事時間がずれようと特に問題はないんだけど」
そういった矢先に男の腹がグゥーと音を立てて鳴った。
「だからさ、食べないと生きていけないの。
そんなところでじっとしてたら空腹で死んじゃうぞ」
「ほっといて下さい!」
「ほっとけないな。俺は女性には優しいんだ」
そういって男は強引に晴美の右手を握り片手だけで彼女を引き上げた。
「ほっといてって言ってるのに。このセクハラ野郎」
その瞬間、晴美の左手が男の頬をビンタした。
「すこし元気が残っていたか。だがその怪我、それにその空腹、大いに問題ありだな」
「ちょ、ちょっと」
無理に晴美の腕を引っ張って男は自分のバイクに晴美を乗せた。
「これって誘拐です。警察に言いますよ」
「まあ待て。通報するのは朝飯を食べてからでも良いだろ?とっておきのカレーをおごってやる」
バイクが着いた先は古びた喫茶店だった。
男は店の女性と一緒に彼女を手当てすると、空いていた席に座らせた。
幸い怪我は大したことが無かったようだ。
「俺の名前は平山。
好きな食べ物はカレー。この通りMyスプーンも持っている。君は?」
いきなりの自己紹介に晴美は戸惑った。
というかMyスプーンなんてどうでも良いというのが晴美の正直な感想だった。
そのうえ、ここはただの喫茶店だ。この平山という男からは逃げようと思えば逃げられるのだ。
だけど不思議と逃げる気にはなれなかった。無論ただ飯が食えるということもあってだが。
「私は星野晴美」
「ふ〜ん星野ねぇ」
2人前のカレーを店長らしき人物が届けに来た。
カレーが来たのを見て平山も椅子に腰掛けた。
「ここのカレーはとっておきだ。俺は地球に来てから……いや、ここに来てから
約2000件のカレーを取り扱っている店を回ったがここのが一番口に合った。
君の口に合うかは分からないけど」
晴美がカレーを口に運びそれを咀嚼した。
素朴な味だった。先ほどまで晴美が平山に抱いていたイメージとはまるで逆だ。
「ごちそうさま」
晴美より遅く食べ始めたはずの平山が食べ終わった。
すぐさま席を立った平山は2人分の料金を払って外へ出ようとドアノブに手をかけた。
「どこ行くの?」
晴美が訊ねた。
「心配するな。君は怪我も酷くないが大事をとってタクシーで家まで帰れば良い。
この店のマスターがタクシー代を払ってくれるそうだ」
そんなこと聞いてないという顔で店主が返す。
「そりゃないよ平山さん。まあいい、その分家で働いて返してもらうか。それでどうです?」
「ああ、それで良い。俺には急ぎの用があるんだ」
嫌がる自分を助けご飯まで食べさせてくれた上にタクシーまで。
晴美は正直言ってこの男がとんでもない馬鹿に見えた。
それと同時におかしな魅力を感じた。
「急ぎの用って?」
さらに晴美は訊いた。
「防衛軍の養成所に申し込みだ。それじゃ元気でな」
「待って」
「どうした」
「わたしも同じなの。防衛軍に入ろうと思ってて。良かったら一緒に連れてって」
これが平山と晴美の出会いだった。
晴美が父親の次に意識した男性。それが平山だったのだ。
彼女が防衛軍に入隊しようとした理由も自然と父親から平山へシフトし始めた。
入隊して以来、防衛軍の隊員となったときも、PTAのメンバーに選出された時も晴美と平山は常に一緒だった。
けれどその彼女の想いが平山に届くことは無かった。そう彼女自身も感じていた。
7年の間平山と晴美の関係が深まったのは事実だった。
しかし平山が彼女と育んだものそれは愛情と言うよりも友情に近いものだったのだ。
晴美の側から積極的にアプローチをかけるという手もあった。
だが幼少時代から厳しい父の元で今までまったく恋愛と言うものを
経験したことの無かった晴美には平山への想いこそあれ、それが出来なかった。
思えばそれは恥じらいに近いものだったのかもしれない。
だから今、意識の無い状態の平山の手を握った。
「あ〜。先に着てたんですか。星野隊員」
拍子の抜けたような池上の声が響く。
はっとなって晴美は握った平山の手を離した。池上を先頭に山田と隊長が病室へと入ってくる。
「星野隊員、さっき平山隊員の手、握ってませんでした?」
「握ってない、握ってない」
晴美は慌てて否定した。
「あやしいなぁ〜」
池上の観察眼は鋭い。それは晴美も認めるところだ。
しかし、できるならそれは怪獣や宇宙人のことだけであってほしい。と晴美はつくづく思った。
「ところで平山の容体はどうなんだ星野?」
隊長が晴美に訊いた。
「意識はまだありません」
「そうか……正直、副隊長格の平山がいなければ私は駄目だ。私だけの力では限界がある」
もっと弱音を吐きたい気持ちはあったが隊長はこの程度で済ませた。
「そうなんですか、平山隊員のためにアイスクリームを作ってきたんですけどね。
うちの富山の田舎のばあちゃんが俺に良く作ってくれたんです。
本格的なものじゃなくて、氷に塩をかけて中のアイスを冷やして作る簡単な奴ですけど……」
池上は持ってきたアイスを冷蔵庫に入れる。いつもの変な元気はどこかへ消えている。
「平山先輩。起きてください。平山先輩。先輩!先輩!起きてくださいいよぉ」
池上が必死で平山に声を掛けた。だが返答は無い。その池上を山田が制す。
「やめろ池上。いくら声を掛けようと今は無駄だ。今は回復を待つしかないだろうが!
平山は俺たちのために自分を犠牲にしてこうなってしまったんだ」
「山田先輩……」
「平山、今は俺が臨時の副隊長格だ。もし今度仲間が危機に陥る。
そんなことになったら、俺がお前の代わりに自分が死んででも仲間を助けてみせる」
山田は小声で言った。
「すまん、平山。みんな。作戦の準備に掛からなければならない。
皆には詳細はおって報告する」
「は、はい」
隊長の言葉に隊員達が頷くと隊長は病室を出て行った。
「ゼノン目を開け」
夢の中にで平山に誰かが語りかけた。
ゼノンはこれがテレパシーで何者かが
自分へと伝えてきたメッセージだとそれを予想する。
M78星雲からのものだろうと平山は踏んだが案の定それは
宇宙警備隊長でありウルトラ兄弟の長兄、
ゼノンの師匠でもあるゾフィーからのものだった。
「M78星雲へと帰るのだ。ゼノン」
「何故だ?」
平山は問う。
「度重なる敗戦によりお前の体はもう限界に達している。
これ以上地球にいてはならんのだ」
「今の私はM78星雲人である前に地球人でもある。
地球や地球の人々、それに地球防衛軍の仲間が危機に陥っている。
私はこの星に残らねばならないのです」
「これは警告だ。このままではお前は死ぬ。
生き帰ることができるかどうかも分からない。
いずれまた来る。その時までに覚悟を決めておけ」
「待ってくれ。ゾフィー隊長」
ゼノンの言葉も聞かず夢の中のゾフィーは消えていった。
病室を出た隊長は1人通路を歩いていた。
通路脇には完成したばかりの2段特殊冷凍ミサイルと巨大な鉄球が見える。
2段冷凍ミサイルに関しては先日開発班の梶から耳が痛くなるほど
その効果が聞かされたばかりでもはや見るのも嫌だ。
だからといって、それを見ずに星人を倒す方法を考えることを集中しするのも隊長には酷なことだった。
長官にああは言ってみたものの、やはり星人を倒す術など現時点では無いのだ。
突然の警報音。
ふと気付いて音の元をたどるとすぐ近くの研究室へと行き着いた。
「何が起こった」
研究室に隊長が駆け込むと室内には1人慌てふためく博士とそれを呆然と見つめる他の研究員の姿があった。
「どうされたんです?」
隊長が問い直す。博士の机にはMNU爆弾で吹き飛んだ星人の鎧組織の一部があった。
何か粉のようなものがかかっているのが分かる。
「いや、このマンモスフラワーの花粉をザタン星人の鎧にこぼしてしまいましてね。
元来の慌て症で咄嗟に非常ベルを押しちゃったという訳です。どうもお騒がせしました」
その時、平謝りする博士の前で鎧の組織が光りだし何かに食いつくように蠢きだした。
「これは!?」
感嘆の声を上げる研究員達を前にして今度は隊長が呆然となる。
「どうしたんですか?」
「これは凄いことです。この鎧のような物がどんな物質に反応するかという
実験を行っていたところでしてね。どうやら塩漬けに適したものに
反応するらしいというところまでは分かっていたんですが。
この反応は凄い。今までで一番ですね」
それを見て、なにやら隊長は思いつく。
「そうか!梶はいるか?」
なにやら思いつき、隊長は梶研究員を呼び出す。
マンモスフラワー。手作りアイス。冷凍ミサイル。鉄球。
この瞬間、隊長の頭の中でその4つが繋がったのだ。
基地へと成長途中でまだ50mほどの大きさしかない根を切られたマンマスフラワーが
運ばれてくるのとおなじころに、ドラゴンファイヤーに2段特殊冷凍ミサイルが、
そして隊長機であるエースフライヤーには巨大な鉄球が装備されていた。
かたやここ作戦室の卓上にはエースフライヤー、スペースゼブラα、β、ドラゴンファイヤーの4機と
星人の模型が配置されていた。
隊長は模型を動かしつつ作戦の概要を語る。
「まず、スペースゼブラが成長を停止させたマンモスフラワーを星人の元へと運ぶ。
このマンモスフラワーは星人が好んでいる物質だということが分かっている。
そして、このマンモスフラワーを星人に塩漬けさせる。
何しろマンマスフラワーは成長途中とはいえ50mはある。星人も塩漬けには手間取るだろう。
その隙に攻撃を仕掛ける」
「しかしあのバリアーが敗れないのでは、いくら発動前にザタン星人を攻撃しても
また逃げられるのではないでしょうか? 」
山田の言うことはもっともだ。ゼノンもいない。
そして、スパイナーのような数ある超兵器のなかでもトップクラスの力を持った兵器も
使わずにどうやってバリアーを破るのか。
だが、隊長にはその策があった。
「いくら強力なバリアーがあっても使えなければその意味は無い。
このマンモスフラワーに星人が釘付けになっているところに
2段特殊冷凍ミサイルを星人に打ち込む。星人を冷凍して動きを止めるということだ。
また、梶研究員によれば、この2段特殊ミサイルは星人の体内もしくは樽の中の食塩と反応して
食塩と氷の寒剤と同じような効果を得ることができるらしい。
これによりより強力に星人を凍らせることが可能だ。
そして冷凍されバリアが使用できない星人を鉄球で破砕する。
しかし、今のところ2段特殊冷凍ミサイルは一本しかない。
そのことから、このミサイルは戦闘機操縦での実績がある星野隊員の乗る
ドラゴンファイヤーに運用してもらう。いいな」
「了解」
隊員達が声を合わせる。
隊員一人一人の顔を隊長は見つめる。
山田、池上、晴美。1人づつと目を合わせると各隊員が頷いてみせた。
出撃前、晴美は平山の病室へと来ていた。
「私達が失敗すれば東京はスパイナーで全滅してしまうわ。
この基地も、動くことの出来ないあなたも……」
「東京が……全滅だと」
平山の口がわずかに動いて言葉を発した。
意識が戻ったのだ。
「意識がもどったのね!」
「ああ」
平山は痛む体を無理に起こし点滴に手を掛けた。
「まさか……出撃する気なの?その状態で」
「俺もPTAの端くれだ。この作戦が成功しなければ東京が……」
かすれたような平山の声。その声を聞くのも辛いほど平山は弱っていた。
「やめて。そんなことをしたらあなたは」
「俺はどうなっても良い」
立ち上がろうとする平山を晴美が止め、晴美は平山の手を握った。
3回目だ。
「お願い、生きて。平山隊員。私、あなたにまだ言ってないことがあるの」
「なんだ」
「私、あなたが……」
けたたましく鳴り響く警報。それに続けてオペレーターの声が聞こえた。
「B地区に星人出現。PTAは至急出動せよ。繰り返す。――」
「出撃命令……」
「行くんだ。星野」
「う、うん」
晴美は病室を飛び出して行った。
晴美が出て行ったのを確認すると平山は薄ら笑いを浮かべる。
「女に引き止めてもらうのも悪くないな……だが、ごめん。
俺もPTAの一員だ。そして、ウルトラマンゼノンだ」
平山は念力を使用し点滴を引き抜くと病室を出た。
病室を飛び出した平山は格納庫へと足を進める。
駆け出そうとする足も思うようには付いてこない。
目まい。抜けそうになる意識を維持しようとしても無駄だった。
もう限界だ。平山は倒れた。
万事休す。そう思われたとき、窓を抜けて入ってきた赤い光が平山を包んだ。
「ん…… 」
平山は目を開けた。気付けば体がゼノンのものになっている。
「ゼノン。聞こえているか」
ゼノンの前に先ほどの声の主現われた。ゾフィーだ。
「ゼノン、そのままでは死ぬ。速く帰るのだ」
「私は弱い。そしてそのために自らの命も削った。しかし私には帰ることができない。
私はこの地球を、地球人を、この星に住む全ての命を愛してしまったのだ。
そのためなら死んだって良い」
「ゼノン、そんなに地球人が好きになったのか。
だが、お前の愛している地球人。それに分類される女性の一人が
お前に『生きて』と言っていた。お前にウルトラコンバーターを預ける。
これでエネルギーを回復すれば、まだ少しは戦えるはずだ」
ホログラムとして現われたゾフィーはゼノンに光に包まれたブレスレットを投げ渡す。
「ありがとう。ゾフィー隊長」
「わたしは女には優しいからな」
照れているのを隠すようにゾフィーは答えた。
「弟子にももう少し優しくしろこのバカヤロー」
小声でゼノンが呟く。
「何か言ったか?」
「いや、何も」
何食わぬ顔のゼノン。
「よし、今からこの球体をお前の仲間ところへと送り届けよう」
赤い光は防衛軍基地を出る。
「生きろ、ゼノン。ゼノンとして、地球人として」
球体を見送るゾフィーはそう言った。
東京上空。出撃した4機は基地近くに出現した星人の姿を見据える。
「星人を確認。ザタン星人に間違いないものと思われます」
「これよりジャイアントボール作戦を開始する」
「了解」
隊長からの指示に、巨大なマンモスフラワーをワイヤーで吊り下げて運搬する
スペースゼブラα、βの2機が星人に接近する。
星人を周回するように飛行するスペースゼブラいや、
マンモスフラワーに星人の興味が集中した。
空中から呼び寄せられた樽。隊員達の作戦通りである。
真上から降ってきたそれを2機はひらりとかわすと、
スペースゼブラαに搭乗する池上から山田に通信が入った。
「星人が接近してきたところでワイヤーを離します。いいですね」
「おう」
山田がワイアーの排除レバーに腕をかける。
星人が来た。
「排除」
2機からワイアーと共にマンモスフラワーが外された。
「離脱するぞ池上」
「はい」
α号がノズルをふかし、いち早く脱出する。
だが、β号の動きがおぼつかない。
「どうしてだ。動かんぞ。ん……マンモスフラワーが」
「暴走しているだと。バカな」
なんとその時、成長を停止されていたはずのマンモスフラワーが突如動き出した。
マンモスフラワーは根が切り落とされたはずの部分から驚異的な生命力で
新しい根を生やしてβ号を掴む。
伸びていく根がだんだんとβ号を締め上げる。
「速く脱出するんだ」
「脱出は……不可能です。できません」
既にマンモスフラワーの根はβ号のキャノピーから機首にかけてに絡みついていた。
巻きついた根は遂にキャノピーを覆う。
戦闘機の射出座席は上方へとパイロットを射出するタイプが一般的だ。
このスペースゼブラβもそのタイプの射出座席を採用しているためもちろん座席は上方へと射出される。
しかし、その上方はマンモスフラワーの根で覆われている。
脱出したとしてもその根に頭を強打し死亡してしまう可能性が大だ。
その間にも根はβ号をぐいぐいと締め上げる。
強化ガラスで作られたキャノピーにヒビが入った。
このままでは脱出するにしろ、しないにしろ死んでしまうのがオチである。
「β号を自爆させます。隊長、みんな。今までありがとうございました」
山田の選んだ答えはβ号の自爆だった。脱出が不可能なのだから勿論山田は死ぬだろう。
「やめて下さい山田隊員」
「そうです、山田先輩。命は尊いものです。それを粗末にしてはいけないんです」
晴美と池上の言葉も山田の耳には届かない。
「俺が死んで作戦が成功するならそれでいい。
隊長、あなたはこの作戦を成功できなければPTAである資格がないと言った。
なら、俺は死んでPTAの臨時副隊長格としての義務を果す」
山田の叫びが通信機から鳴り渡った。
「山田。もし今、自分が助かって作戦も成功する。その可能性があったらどうする?」
隊長の落ち着いた、しかしながら力の入った声が山田へと訴える。
「なにを……言ってるんですか?」
「その可能性がある限りそれをあきらめるな。
我々はチームだ。なら、その可能性を信じて自分にできる最大限の事をする。
それが本当のPTAとしての義務じゃないのか?
今、私がマンモスフラワーに接近してレーザーで根を切り落とす。それまで待て」
「やめてください。そんなことしたら隊長まで。接近すれば根にやられます」
制止する山田の言葉も聞かず隊長はマンモスフラワーに接近する。
襲い掛かる根を隊長はギリギリのところで振りきるも、
隊長機であるエースフライヤーは鉄球を装備しているため、あまり素早い動きは取れない。
このままではパイロットが操縦経験に長けた隊長であろうともやられてしまう可能性が高いのだ。
さらに接近した隊長に鉄球を牽引する鎖を一本の根が掴む。
そして今度は数十本の根がエースフライヤーに迫る。
そのとき、隊長は機体のキャノピーごしに赤い光球を確認した。
赤い光球はすれ違いざまにマンモスフラワーの根を切り裂くと、
根で包まれたβ号を取り去りマンモスフラワーの根元で爆発した。
「何んなんだ。一体」
だんだんと晴れていく煙。硝煙の中でおぼろげに何か動いているものがあるのが見える。
「ウルトラマン……ゼノン。生きていたのね」
その中に立っていた巨人。それはウルトラマンゼノンであった。
β号から根を取り払い、ゼノンはそれを安全な場所に置いた。
そのゼノンに向け、ザタン星人は露出したメカの腕を大上段から振り下ろす。
その塩漬けのときのあの速さに近い。前回の戦闘では高速で飛ぶ戦闘機をも掴み取ったほどの
星人の腕が真の力を発揮しているのだ。
だがゼノンはあろうことか、咄嗟に拾ったマンモスフラワーでその攻撃を受け止め、
そればかりでなく、そのフラワーで一発、二発、三発と星人を殴打した。
なにしろこのマンモスフラワーだけでも1500トンの重さはある。
それによる衝撃によって星人は吹っ飛び巨大樽へと激突した。
うろたえる星人に対してゼノンは片手で持ったマンモスフラワーを
ウルトラランスの容量で投げつける。
一方の星人の側はそのフラワーを見るや否や空中へジャンプ、
一回転の後、急降下してマンモスフラワーをキャッチして、それを巨大樽で塩漬けにし始めた。
星人はメカの腕から塩を噴出し続けつつ右手で、左手で、フラワーを激しく塩もみにする。
充満する塩の煙にゼノンや隊員達の視界が奪われた。
このまま煙が舞い続ければ攻撃が困難になるのは目に見えている。
「時間が無い。星野、突撃しろ」
晴美のドラゴンファイヤーが煙の中に突入した。
そこに横から伸びてきた星人のメカの腕がそれを掴みにかかる。
前回の戦闘では、高速で飛び回る戦闘機を掴んだ腕である。
ましてやその視界を奪う塩を発射する腕が飛んできたのだ。
ドラゴンファイヤーもその動きに対応できないものかと思われた。
ドラゴンファイヤーは突如加速して星人の懐に飛び込んだ。
腕を避け、頭部の横から抜けていったドラゴンファイヤーは、
冷凍ミサイルをザタン星人に叩き込んだ。
見事なジャックナイフ・フライトによる攻撃を受けた星人の姿が
戦闘機の排気によって吹き飛んだ煙の中から次第に姿を見せる。
まるでオブジェのように佇む星人の体は完全に凍っていた。
そこに高度を上げエースフライヤーが突っ込む。
激突した鉄球が衝突すると星人の体は樽ごと粉々に砕け散った。
「作戦成功。みんな良くやった」
ザタン星人が倒れた。星人の挑戦にPTA、そしてゼノンは打ち勝ったのだ。
隊員達は勝利に酔う。ちょうどそこに宇宙からゾフィーが飛来した。ゾフィーがゼノンを迎えに来たのだ。
ゾフィーは回転して赤い球体を形成するとゼノンをその中へと入れた。
地上の山田から隊長へと通信が入る。
「一体何をしているのでしょうか」
「あれはな……」
通信に池上が割って入る。
「以前、初代ウルトラマンがゼットンに敗れたとき、
あの赤い球体のようなものに入れられて宇宙へと帰ったという記録が残っています。
多分ゼノンも宇宙に帰るのでは」
赤い球体は浮かび上がり宇宙へ向かって上昇する。
「どうやらそのようね。ゼノンが宇宙へと帰っていくんだわ」
「ゼノンはもう帰ってこないのでしょうか」
山田が言った。
「ゼノンはいつも弱かった。だがしかし、今思えばゼノンも我々に力を貸してくれた。いや、
ゼノンも我々と共に戦うチームの一員だった。
今日のように、ゼノンがいてくれたから勝てた。そんな戦いも少なくは無かったはずだ。
広義で言えば我々地球人も宇宙人だ。
またゼノンと宇宙人の仲間として出会える。そんなときが来ればいいな」
隊長がそれに答えると程なくして赤い球体は宇宙へと消えていった。
――ウルトラマンゼノン・完――
そのころ球体の内部ではゾフィーとゼノンがなにやら話す。
「地球の仲間が私に手を振っている。別れのあいさつというところか?
光の国に帰るつもりはないのに」
「今からでも遅くない『優しさを失わないでくれ――』とか
別れの言葉を言ってきた方がいいんじゃないのか?」
「先ほども言ったが、私にM78星雲に帰る気はありません。私は彼らに正体を明かしてはいない。
彼らにとってゼノンは宇宙に帰ったウルトラマンという認識かもしれないが、
PTA副隊長格平山隊員は防衛軍のメディカルセンターのベッドで寝ていなければならないのです。ゾフィー隊長」
「そんなお前に朗報だ。お前に一ヶ月休暇を与える」
「休暇などいりません」
「そうか、一ヶ月の休暇は地球で過ごしてもらえれば良いと私は考えていたのだが」
ゼノンはゾフィーの言葉にはっとなった。
「ゾフィー隊長。私は地球にいていい。そういうことなのですか?」
ゼノンは訊いた。
「できるならウルトラの星へ一度帰って欲しいというのがこちらの本音だが一応は許可する。
地球での休暇を満喫したまえ」
「ありがとう。ゾフィー隊長。あとこれは返しますよ。
どうやらウルトラコンバーターではなかったようです」
ゼノンの腕からウルトラコンバーターとゾフィーが呼んでいたブレスレットが返される。
よく見なくても分かったがそのブレスレットはどう見てもウルトラコンバーターではなく、
以前新マンやタロウが使用していたタロウブレスレットだった。
「すまん。おまえには手違いでタロウブレスレットを渡していたようだ。
いやまて、コンバーターとは違いエネルギー供給能力の無いこのブレスレットで戦ったということは、
エネルギーの回復もなしにそのボロボロの体で星人と戦ったということか。
おい待て、速くウルトラの星へ戻って治療をしてもらうんだ。休暇は無しだ」
ソフィーがそう言った側にはもうゼノンの姿は無かった。
ゼノンは既に球体を出て地球へと帰還しようとしていたのだ。
その日、地球防衛軍のレーダーにも感知されずに
地球へと一つの流星が降り立ったらしい。
それがゼノンであることはまだ地球にいる誰もが知らない。
つづく
134 :
次回予告:2006/07/02(日) 14:00:13 ID:06U6zCFj0
6ヶ月の宇宙航行を終えて地球へと
戻ってきたジャンボカンガルーの搭乗員の様子がおかしい。
あのマイナーな異次元人アクゾーンの仕業だ。
アクゾーンの怪獣ゲラに苦しめられるゼノンを
エルドラ6番目の弟ウルトラマンドルフィが助ける。
次回「エルドラ6番目の弟」
御苦労様です。かっこいいです、ゼノン!
136 :
時の漂流者:2006/07/02(日) 23:05:41 ID:s0rK6UEH0
一方、作戦室にも衝撃が走っていた。
「ウルトラマン・・メビウス以外にも来ていたのか」
ジョージがディスプレイに釘付けになっていた。
ディスプレイにはAが怪獣と戦っている姿が映し出されていた。
だが、Aのカラータイマーは既に点滅していた。
「どういう事だよ!現れてからからまだ三分経ってねぇじゃねぇか」
リュウが焦燥を隠さずに言う。
「過去に同種の出現記録が有りました!ドキュメントTAC,レジストコード・・・ダイダラホーシ!!」
コノミがコンピュータの画面を見つめながら言う。
「隊長!!」「行かせてください」
「よし、解った。リュウ、ジョージ、ただちにあのウルトラマンの援護に向かってくれ。サリ―」
「あっ!!」
サコミズが全てを言い切る前にコノミが叫んだ。
「どうした、コノミ?いきなり叫んで」
「ダイタラホーシが・・・消えました」
「何!?」
リュウがディスプレイを見ると、確かに今さっきまでいたダイタラホーシが煙の様に消えていたのだ。
「ありえねぇ・・・怪獣が消えるなんて・・・」
だが、更なる衝撃が作戦室の中を走った。
「ウルトラマンが・・消えていく・・・」
「一体何がどうなってやがるんだ・・」
エネルギーを消耗したAが姿を消してしまったのだ。
137 :
時の漂流者:2006/07/03(月) 00:01:43 ID:nkgEnEIx0
Aが消えた衝撃は間近で見ていた三人にも走った。
「ウルトラマンが・・消えた」
「過去にも何度かあったとは聞いてたけど、本当だったんだ・・・ってミライ君、どこ行くんですか!?」「まだあの怪獣が居るかもしれないのよ、ちょっとミライ君!!]
二人を置き去りにしてミライはAが消えた場所へと走った。
(どうして・・A先輩がここに現れたんだ・・・)
頭の中はそれで一杯だった。
一方、ミライに取り残された二人はミライの後を追いながら走っていた。
「まったく、どこ行ったのよ」
「何で突然走ったんでしょうねぇ」
「そんな事私に聞かれても解らないわよ」
「とにかくミライ君を探さないと・・・」
その時、向こう側からミライが来るのが見えた。
ミライは頭から血を流している青年を背負っていた。
「ミライ君、この人は?」
「向こうの方で倒れていたんです」
「民間人は全て避難が完了していたんじゃなかったの?」
「兎に角、GUYSの医療施設へ運びましょう」
三人はフェニックスネストへと戻った。
99の続き
「えー今日から我が隊に入る、鉄崎高生(てつざきたかお)君だ」
やる気のない声でUMA日本支部、隊長、篠山健一(かめだけんいち)が横に立つ青年を場戸達に紹介している
対して横に立つ青年、鉄崎高生は真面目そのものと言った表情で、場戸達に敬礼する
「鉄崎高生です、地球の未来のために命を懸けて使命を全うしたいと思います」
鉄崎の台詞に、やる気のない拍手をする場戸達
「あー、それじゃ……大石隊員、彼にこの施設を案内してあげなさい」
「は」
席を立つ大石の方に向き、再び敬礼する鉄崎
「大石太一だ、よろしく頼む」
やる気のない敬礼を返し、言う大石
笹山は既に退室している
「鉄崎高生です、改めてよろしくお願いします」
「ん」
生真面目な鉄崎の反応に、適当に答える大石
早くめんどくさい事を済ませたい、といった感じである
「じゃ行こうか、鉄崎隊員」
「は!」
鉄崎を連れ、作戦室を出て行く大石を、場戸の哀れみの視線と、亀田のいびきが見送った
すいません、隊長の名前は笹山健一(ささやまけんいち)です
保守
‐1966年1月2日、世界最初の怪獣、古代怪獣ゴメスと原始怪鳥リトラ出現。この2匹が現れてから、世界の、否、
地球の生態系は崩壊を始めた。同16日、火星怪獣ナメゴン出現。同23日、巨大植物ジュラン出現。その後も多く
の未知の生物、あるいは侵略者が人類の目の前に姿を現し、半年で10体以上も現れた。これに対し国連は、国際
科学警察機構にこういった怪事件に対処する特殊部隊を設立。これが、全ての対怪獣チームの元祖である科学
特別捜査隊、通称、科学特捜隊である。
だが、科学特捜隊設立後に現れた怪獣は、以前のそれよりも更に凶暴・巨大化し、もはや人類だけの手では負え
なくなっていた。その時、それは現れた。人類をはるかに越えた力とその巨体は、人々の目に強く焼きつき、希望の
象徴として称えられた。それは敬意を表し、こう呼ばれている。「ウルトラマン」と‐
『・・・そして1981年3月25日。現時点最後の怪獣、冷凍怪獣マーゴドン出現。ウルトラマンエイティを苦戦させる
も、UGMの開発したジャイアントボールにて粉砕。これを機に、ウルトラマンエイティは帰還。それと同時に、怪獣
も全く姿を現さなくなった。地球の生態系が戻ったのだろうか、それとも、人類は乗り越えるべき壁を越えたのだろうか。
どちらにせよ、怪獣頻出期は幕を閉じた。この十数年間で我々人類が得られた物は、何と言っても異星の科学力である。
これらを完璧に複製できれば、人類の科学力は更に高度な物となり、人類の宇宙進出という夢に大きく前進できることであろう。』
帝都大学のある一室、一人の男が論文を読んでいる。内容は、「怪獣頻出期の歴史と防衛組織の戦いの記録について」というものだ。
男の名は渡来角之進。彼は帝都大学宇宙科学部の教授である。宇宙科学とは、怪獣頻出期に出現した異星人の残した技術のことであり、
後の「メテオール」である。渡来は論文を読み終えると、机にもたれかかってふぅとため息をついた。
「人類の宇宙進出・・・か。」
渡来は、そう呟いた。
ところ変わって、ここは帝都大学付近の商店街。人々が急ぎ足でそれぞれの目的地へと向かっている。渡来が
読んでいた論文の筆者、高山我夢もその一人である。何日も研究室に篭り、締め切り寸前のところで論文を
書き終えた彼は、高校時代の学友、飛鳥新(アスカ・シン)から連絡を受け、高校時代の学友達が待つなじみの
飲食店へと急いでいた。すると。
「我夢!」
聞きなれた声が聞こえてきた。声の主は、帝都大学怪獣学部に通う高校時代からの友人、春野武蔵であった。
「これから、あそこへ行くんだろ?一緒に行こう。」
「ああ。」
歩いて数十分。二人は目的地へとたどり着いた。店のドアを開け、中に入った。
「おい、我夢!」
我夢と武蔵は、懐かしい声のする方向を向いた。そこには、懐かしい顔ぶれが揃っていた。
連絡をくれた地球防衛軍養成学校の学生、飛鳥新。彼と同じく地球防衛軍養成学校に通う神楽元気
(カグラ・ゲンキ)と弧門一輝。そして、この集まりの主催者で彼らの一年上の先輩、風盛正毅
(カザモリ・マサキ)がいた。
訂正
○彼は帝都大学宇宙理工学部の教授である。
×彼は帝都大学宇宙科学部の教授である。
「新!元気!一輝!風盛先輩!」
「二人とも元気そうで何よりだ。」
自分達が囲っているテーブルに来た二人に、風盛はいった。
「先輩達も相変わらずですね。」
武蔵がそう返した。
「そう言えば二人とも、博也の奴は?」
一輝は、我夢と武蔵に尋ねた。
「博也?そうそう、アイツ、最近めっきり姿を見せないんだ。」
藤宮博也。彼らの学友の一人である。我夢と同じく宇宙理工学部に通っているのだが、
最近、姿を見ていないのだという。
「アイツ、影で何してるかわかんねぇからなぁ。」
新は言った。
「うん。出来る奴なんだけどなぁ。高校の時もクリシスとか言うなんとかコンピュータ作ったのは
いいけど、バグが生じて完成から一週間で壊れちまったもんなぁ。」
「光量子コンピュータだよ。」
「そんなのイチイチ覚えてらんねぇよ。」
自分の言葉に補足を入れた我夢に、元気はそう言った。
クリシスとは、話の通り博也の製作した光量子コンピュータなのだが、「人間は地球にとって有害
な生物」などと予測し、急いでバグを取り除く為の作業が行われた。その結果、クリシスは
小規模な爆発を起こしてショートしてしまった。新曰く「『ボン!』ってな感じの擬音の似合う
ショートだった。」とのこと。
風の噂によると、また新たな光量子コンピュータを製作しているそうだ。
「また失敗するんじゃねぇのか?」
「さぁ、アイツは同じような失敗は滅多にしないから、今度は大丈夫だと思うけど・・・。」
「ま、失敗するのを恐れてちゃ前には進めないしな。」
新と我夢は、そんな事を話した。
144 :
時の漂流者:2006/07/10(月) 22:30:52 ID:iHFUP2EV0
「うぅ・・・」
「テッペイさん、目を覚ましそうですよ!]
ベットに寝ていた青年が目を覚ます。
「此処は・・・?」
「此処はGUYSの医療施設です」
テッペイが言うように、此処はフェニックスネスト内の医療施設。
ミライが背負っていた青年は意識を失っており、しかも身元を明かす物を所持していなかったので、とりあえずここまで運んできたのだ。
「何であんな危ない所にいたんです?一歩間違えていたら死んでいたかもしれないんですよ」
「何故・・・僕はあそこにいたんだろうか・・・」
青年の言葉に一瞬呆気に取られるミライとテッペイ。
「失礼ですが、お名前は?あなたのご家族に連絡を取らなければいけませんから」
「僕は・・・誰だ・・思い・・・出せない・・」
更なる青年の言葉に愕然とするテッペイ。
「記憶喪失・・・」
「記憶喪失ってなんですか?」
この場に似つかわしくないミライの問いかけに、一瞬信じられない表情をしたテッペイだったが
「記憶喪失って言うのは今まで覚えていた事柄を忘れてしまう事を言うんですよ」
「じゃあ、大変じゃないですか!!」
「そうなんだよね、何か記憶を取り戻す方法を探さなくちゃ。何か思い出せる事はありますか?」
テッペイの質問に青年は必死に何かを思い出そうとした。
「・・・駄目です。何も思い出せません」
「そうですか・・・でも諦めないでくださいね、必ず思い出せるようになりますよ。じゃあ、失礼します」
そう言うと二人は青年の部屋から退出した。
部屋を出る際、ミライは青年の手に何故か目が行ったが、その訳は解らなかった。
145 :
名無しより愛をこめて:2006/07/12(水) 08:35:28 ID:V+zPP9Qc0
hosyu
あくまでも地球人が見渡せる可能な範囲までという有限つきだが、見渡す限りの無限の宇宙。
そしてその中でひと際碧く美しく輝くひとつの惑星が存在した。
太陽系の第三惑星、すなわち地球である。
その地球めがけてひとつの赤い光球が迫っていた。そのエネルギーたるや、直撃すれば地球に南極大陸ほどの大きさの穴が開くほどだ。と、ネオクリシスは示していた。
そうこれこそが、我夢がネオクリシスを使って予測した「異変」である。これを「危機」と定義できないのは、まだその正体も正確な進路も何も分かっていないからだ。
と、その前方から巨大な黒い影(色が識別できるのは光球があるからである)が飛んできた。光速で飛行している光球と殆ど同等の速度で突進してくるのだから、こちらもかなりのものであることは間違いない。
光球に近づくにつれ、だんだんとその醜悪な表情があらわになってくる。その巨大な影―即ち怪獣なのだが―は、ゼットンやバードンと同等のレベルの実力を持っている。
地球でのレジストコードは「増殖怪獣バグジュエル」、宇宙では最強の怪獣「キルア」と呼ばれ恐れられている。
以前地球に出現したこともあり、そのときは謎のウルトラマンによって倒された。
キルアはその巨大な口をグバリと開け、光球を飲み込もうとした。しかし光球は意思がないのか、なんの躊躇もなく飛び込んでいく。
光球はキルアの口内に入った。同時にキルアが口を閉じる。キルアほどの大怪獣ともなれば必要なエネルギーも尋常ではないのだろう。
「グェアァ...」
そしてキルアは次なる食料を求めてまた遥かなる宇宙へと消えようとした。消えようとはした。消えることはできなかった。
光に近いスピードで飛行していたキルアだが、急激にその速度を落とし、地球の自転ほどまで落ちたかなと思ったあたりでぴたりと止まってしまった。
そしてなんとそのまま全く逆の方向に、何かに引っ張られるように推進し始めた。
「グァァ...ヅアア!」
キルアは必死で抵抗しているような叫びをあげるが、実際には殆ど効果を上げていないようだ。自身が飲み込んだ光球の推進力に圧され、グイグイと引っ張られていく。
とうとうキルアは力尽き、まだ悔やんでいるような表情を浮かべつつも、光速バック飛行を始めた。
光球はといえば、意思がないというよりも、むしろ定まった行程を進むよう強固な意志を持っているようにも感じた。
感じた。つまりそれを感じ取ることができた者たちの中に、これから起こることを予測できた者がいくらいたのだろうか?
文章グダグダでほんとスマセン<(_ _*)>
これから精進して行こうと思うんで、勘弁してやってください。。。
それは・・・ダイコンのあれが公式設定に!?
150 :
名無しより愛をこめて:2006/07/17(月) 10:42:29 ID:TS5AZUfx0
メビウスの試練マダー?( ・∀・)ノ□チンチン
一方、当の博也は、我夢達の予想通り新たな光量子コンピュータ「クリシス2世」を製作していた。
「よし・・・これで完成だ。」
そう言って博也は、キーボードのEnterキーを押した。するとクリシス2世は巨大な駆動音を
立て、そのシステムを立ち上げ始めた。博也の顔に、笑みの表情が浮かんだ。
ところ変わってここは我夢達のいる飲食店。運ばれてきたメニューにぱくつきながらそれぞれ語り
合っていると、風盛の携帯電話が鳴った。風盛は箸を置き、電話に出た。
「もしもし、風盛ですが。」
「風盛か?新城だ。」
電話の相手は養成学校の教官であり、風盛達の所属する班の担当である新城哲夫班長だった。
「何でありましょうか?」
「監視衛星が怪電波をキャッチした。これから各班長と副班長会議を行うんで、悪いがすぐに戻ってきてくれ。一輝」
この会話から分かるだろうが、風盛は新城班の副班長なのである。
「他に何か?」
「大吾の奴が行方不明なんだ。携帯にかけてみたが繋がらないんだ。見かけたら連れ戻してきてくれ。頼む。」
「はい。」
風盛の返事を聞くと、新城は電話を切った。大吾とは、新の所属する班の班長、円大吾(マドカ・ダイゴ)のことである。
「新、円班長が何処に言ったか分かるか?」
携帯をしまった風盛は新に訊いた。
「いや、知らないッス。」
新は即答した。
「そうか・・・。」
すると、一輝が言った。
「確か、うちの真木班長が円班長とマッキー1号で建造中のV7の下見に行って来るって言ってました。」
V7とは、現在地球防衛軍が建造中の新型宇宙ステーションV7の事だった。
152 :
万束北男:2006/07/18(火) 16:08:28 ID:fuKM2QJP0
ミスった。
新城の「監視衛星〜戻ってきてくれ。」ってセリフの一番後ろにある「一輝」ってのは間違いです。すんません。
153 :
名無しより愛をこめて:2006/07/21(金) 12:48:36 ID:Lnhd8N7r0
過疎ってるYO!!
154 :
時の漂流者:2006/07/22(土) 22:55:49 ID:vKmXVbkD0
作戦室。
アーカイブの画面を真剣に見つめるテッペイ。
「確かあれは・・・・」
何やら探しているらしい。
そこへジョージが来た。
「なぁテッペイ、一つ聞いて良いか?」
「何ですか、ジョージさん?」
「さっきのダイタラホーシ、アーカイブには『超獣』って書いてあったんだけど・・怪獣とは違うのか?」
「私もソレ聞きたかったんですよぉ」
コノミも二人の話に加わる。
「私も気になってのよね」
マリナも知りたかったようだ。
「超獣と言うのはですね、ドキュメントTACによると『かつて地球侵略を目論んだ異次元人ヤプールが生み出した生物兵器』で、怪獣よりも強かったらしいんです。」
「マジかよ・・・でも、怪獣よりも強かったと言っても超獣と怪獣が戦った事があるのか?」
「えぇ、かつて二度あったみたいなんですが・・・」
「早く言ってよ」
マリナが急かす。
「ドキュメントTACのアーカイブにはレジストコード『ドラゴリー』がドキュメントMATに記録されている『ムルチ』を倒しているんですけどね、ドキュメントZATの記録によると超獣である
『オイルドリンカー』が怪獣の『アストロモンス』に負けているんですよ」
「つまりは・・・」
「超獣と言っても、一概に怪獣より強いとは限らないようですね」
テッペイが結論づける。
簡単に作ってみました。もうひとつのスレにも書きました。
ガイア劇場版の世界にミライがワープ。
かつて3人のウルトラマンがこの世界を救ったことを知る。
しかし隊員服のせいで
町の人々に変質者扱いされてしまう。
町に宇宙怪獣軍団が出現。
ミライは人々に見られながら変身。
怪獣軍団対メビウス。
しかしメビウスは怪獣に敗れてしまう。
「くそめが!」「死ぬんじゃねえよ!」「助けてー」
メビウスに冷たい目線を送る人々。
しかし、かつて我夢にあった青年の言葉で
人々は間違いにきづく。
人々はメビウスに声援を送るが、
メビウスは動かない・・・
その時、時空を超えて2つの光が!
マックスとネクサスはメビウスに光を与える。
メビウス復活!
3人にやられそうになると怪獣軍団は合体し巨大化。
しかし3人に敗れる。3人は勝利した。
3人は人間体に戻り、町の人々にAのいった言葉を話す。
「優しさを忘れないでくれ」「なッ十回裏切られようとも」「あきらめないで」
ミライ、カイト、コモンは顔を合わせ笑うと消えていった。
ガイズ基地でミライは2人を知っていたような顔をする。
光の国にはマックスとネクサスが見守っている。
おしまい。ちゃんちゃん♪
EDはウルトラマンメビウス
>>155 ネクサスは光の国の戦士になってたんですね。
>>156 すみません。
別にいてもいいかな〜なんて思って。
>>157 いや、そこを補完するのが楽しいのでは。ノアも元々は光の国設定と
リンクしてたし。
プロジェクトNって結局失敗なのか??
ここまでまとめに追加しました。
保守
162 :
ハヌマーン宗教創設者:2006/08/03(木) 14:23:14 ID:ABltIcSM0
中身は、タイトルの通りや!!!
わいは、タイトルに逆らってハヌマーンとフランスの英雄を笑う必死の答えが来ると叫びまんねん、
ほんで、わいは異なるんや、ほんで、着おったAAを置くために、よりようけとわいは、異なるおよび群衆leatherfishや、
すぐに首チョンパ、ほんで、どエライそこの制限のブッダの復讐のそれがそうである大虐殺!!!
ブッダ(ハヌマーン)のええ世話にフランスの英雄を持っていやろかい人は、死ななければなりまへん!!!
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1149759098/l50
163 :
名無しより愛をこめて:2006/08/05(土) 10:11:54 ID:r2YfmRp+0
age
お盆で里帰りなのかなぁ。
もう落としますね
166 :
名無しより愛をこめて:2006/08/14(月) 20:22:26 ID:w/FVLIaj0
諦められずに緊急浮上
保守
168 :
ダイナのことです。:2006/08/27(日) 20:42:43 ID:vEq3GAfw0
初代マンが地球に来る前のウルトラの星・・・・
「オイ聞いたか、なんか異星の飛行機が、この星に突っ込んだらしいぜ」
「まじかよ、」
「でも技術的にここまでのは、不思議の位の低レベルの代物らしいぜ」
「で、どんなやつだったんだ?」
「かなり小さいけど・・・・」
「で、どうしたんだ」
「我々に近い姿に変化する能力を持っているんだ・・・」
「見に行けるか?」
「多分無理だが、映像はあるぞ。ほれ」
「どれどれ・・・・・」
「俺、仕事があるからそろそろ」
「仕事って、あの凶悪怪獣の護送か?」
「ああ・・かなりきつい仕事だ・・・」
・
・
・
(しまった、現地住民を・・・・あれ?この星の人類は前に見た
写真の人物と似ている、もしかしたら救えるかもしれない
私たちと同じ進化をしうる存在ならば・・・)
なんのとなく、書いてしまった。 駄文ですまん。
169 :
ダイナのことです。:2006/08/27(日) 20:54:14 ID:vEq3GAfw0
修正
誤「・・・・ここまでのは、・・・」
正「・・・・ここまで来るのに・・・」
誤「かなり小さいけど・・・」
正「乗ってるヤツは、かなりちいさいけど・・・」
いろいろすまん。
初代マンが融合と無理な事をしたことが疑問で、かいてみた。
170 :
名無しより愛をこめて:2006/09/13(水) 21:53:34 ID:eQU01+Fo0
次まだ〜?期待して待ってんだけど〜
keep
172 :
名無しより愛をこめて:2006/09/28(木) 16:17:59 ID:tB+stpSoO
浮上
173 :
名無しより愛をこめて:2006/10/08(日) 08:25:10 ID:z9JEKzmlO
落とすな
174 :
獅子の瞳:2006/10/09(月) 19:08:11 ID:h0DrjG5w0
31年前
シルバーブルーメの腹の中
MACステーションは飲み込まれ、ウルトラセブン=モロボシダンは最後の時を待っていた
そこに、どこかから声が聞こえてくる
白土「くそっ、もう地球はおしまいだ、俺達は地球を守れなかった」
佐藤「馬鹿野郎!まだ隊長とゲンが基地にいた、隊長達はきっと脱出したはずだ!」
梶田「そうか、まだ隊長達がいた!」
松木「きっと私達の分まで、隊長達はたたかってくれるわ」
白土「モロボシ・ダン万歳、オオトリゲン万歳!」
佐藤「頼んだぜ、ゲン、隊長」
梶田「俺達が守りたかったものを守ってくれ!」
白川「MAC万歳!世界平和万ざ…ぎゃあああああああ」
佐藤「ここまでか・・・頼んだぞ!ゲン、隊長!…うわああああああ」
松木「きゃああああああ」
175 :
獅子の瞳:2006/10/09(月) 19:43:49 ID:h0DrjG5w0
現在
度重なる怪獣、異星人の侵略により疲れ果てた隊員達。
そんな中リュウは誕生日を迎えた。
補佐官は自腹きってケーキを買ってリュウの誕生日パーティーを開いていた。
リュウ「おっさん、いいよ俺の誕生日会は。何もこんな時にしなくたって」
トリヤマ「おっさんじゃない、ほーさーかーんだ!こういう時だからこそ日頃頑張ってる君の誕生日会をとーくーべーつーにワシの奢りで開いてやろうと思ってな」
マリナ&コノミ「ハッピーバースデートゥーユー」
ジョージ&テッペイ「ハッピーバースデートゥーユー」
ミライ「ハッピーバースデーディアリュウさん」
サコミズ&トリヤマ&マル「ハッピーバースデートゥーユー」
リュウ、蝋燭の火に息をかけ消す。一斉にクラッカーがなる。その直後サイレンが鳴り、モニターにミサキ総監代行が映る。
ミサキ「GUYSスペーシーが地球に向かう謎の飛行物体をキャッチしました。GUYSJAPANは直ちに警戒態勢をとってください」
トリヤマ「何もこんな時に!」
サコミズ「リュウ、マリナ、コノミ、テッペイは私とガンフェニックスに、ミライはガンブースターに、GUYS、ザリーゴー!!」
隊員達「GIG!!」
176 :
獅子の瞳:2006/10/09(月) 22:00:20 ID:h0DrjG5w0
>>175 やっぱガンフェニックスにコノミは搭乗してません。
宇宙空間を飛行するガンフェニックスとガンブースター
フェニックスネスト
コノミ「あと数分で飛行物体と接触します!!」
宇宙空間
サコミズ「よし、皆戦闘態勢をとれ」
隊員達「GIG!!」
シルバーブルーメと接触するGUYS。
コノミ「アウトオブドキュメントに同族を確認!」
テッペイ「円盤生物シルバーブルーメ!かつてMAC基地を強襲し、壊滅させた!」
リュウ「防衛隊を壊滅させるほどの奴か、気を引き締めてかからなきゃな!」
分離するガンフェニックス。全機攻撃を開始する。
戦闘は長期戦となった。
リュウ「うおぉぉぉっ!行くぜー!!」
マリナ「ちょっ、リュウ落ち着きなさいって。キャッ!」
いつの間にかリュウとマリナが乗っていたガンローダーに伸びた触手に捕まったガンローダー。そのまま腹の中にガンローダーを運んでいく。
マリナ「ここで終わっちゃうの…?」
ミライ「リュウさん、マリナさん!メビウース!!」
メビウスは登場した直後にメビュームブレードを使い触手を切断しガンローダーを助け出す。
リュウ「メビウス!来てくれたのか!!」
テッペイ「あっ、シルバーブルーメが降下していきます。まさか…やつはフェニックスネストを強襲するつもりじゃ…?」
シルバーブルーメを追うメビウス、ガンウィンガー、ガンローダー。
メビウス、シルバーブルーメに掴み掛かった状態で大気圏に降下していく。
177 :
獅子の瞳:2006/10/09(月) 22:08:35 ID:h0DrjG5w0
フェニックスネスト付近
メビウスとシルバーブルーメが降下してくる。
メビウス、地上に着地した直後にシルバーブルーメにメビュームスラッシュを撃つ。しかしシルバーブルーメの動きを捉えれず、逆に苦戦する。
降下してきたガンウィンガー、ガンローダーが援護する。一瞬動きを止めるシルバーブルーメ
リュウ「これでさっきの借りは返したぜ」
動きが止まったシルバーブルーメにメビュームシュートを撃つ。しかし仕留めきれない。
地上に降下し消滅するシルバーブルーメ。しかしメビウスも膝を付いて俯きながら消滅する。
つづきまだ〜?
「ウルトラマンネクサスEVOLUTION」
宇宙が誕生して数億年間、光の力と闇の力は互いにその力を反発させ、宇宙のバランスを保っていた。
しかし、今、闇の力が増大し、世界を混沌の闇で覆おうとしていた。宇宙のバランスを元に戻すべく、
光の化身「NOA」は一人の青年「白銀 晃」に光の力を託した。そして晃は光の戦士「NEXUS」に変身し、
宇宙の平和を守る為、闇の力に戦いを挑んでいく・・・
一応おおまかなストーリーは完成したので予告。ちょっとアニメネタが出たりする予定(宇宙人を追って
水に覆われたのどかな惑星に行ったりとか)。
138の続き
廊下を歩く大石と鉄崎
ふと、大石が振り向いて鉄崎の方を向く
「おう、まずどこに行きたい?搭乗口か?それともシュミレータールームか?」
「ではまず格納庫へ、スクランブルに備えるために搭乗口に」
「真面目だね、君は」
その言葉に驚く鉄崎
「そうですか?」
鉄崎の反応に、大石は陽気な笑みを見せる
「こういう時はまずトイレの場所を聞くもんだ」
「ですが」
鉄崎は少し眉をひそめる
「トイレは漏らしてもかっこ悪いだけで済みますが、戦場への到着が1秒遅れただけで失われる命もあると思います」
教科書どおりと言った感じの鉄崎の言葉に、大石はこれからこの疲れる男と同じ職場で働く事を考え、軽いため息をついた
「わかったよ、こっちだ」
言って、大石はトイレ経由で搭乗口へ鉄崎を案内した
「ではまず格納庫へ、スクランブルに備えるために搭乗口に」 ×
「ではまずスクランブルに備えるために搭乗口に」 ○
すいません
182 :
名無しより愛をこめて:
ここで落とす訳にはイカン!