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BeeFreak :
04/10/26 01:29:23 ID:K4X2E2bn
前スレ804からの続きです。ショッカー蜂女のオリジナル改造SS。 里沙は必死で懇願した。“お願いです!! わたしを、元の人間に戻して下さい!!” 「おねひゃ…す…たしょを…もとにょ…ぎぇんにゅ…」 言葉がちゃんと出ない! 里沙は驚愕した。口が、自由に動かないのだ。 「ああ、君の口の筋肉は、昆虫と同じ構造になっているからな。慣れるまで、言葉がうま く出ないのだろう。」死神博士が冷たく笑いながら言った。 「何? 人間に戻りたいというのか?それはできない相談だな。さあ、あれを見るがいい。」 博士は手に持った杖で、部屋の片隅を指差した。そこには2本の、巨大な円筒形のガラス ケースが置かれていた。液体で満たされたそのケースの中に入っていたのは…。片側のケ ースには、人間ひとり分の内臓1セットが、そしてもう一方には、全身の骨格と、頭部を 除いてきれいに剥がされた人間の皮膚がまるまるひとり分入っていたのだ。「君の元の身 体はあそこにある。もう、元に戻すことは不可能だ。」 里沙はワッと火がついたように泣き始めた。身体を震わせ、激しく泣きじゃくった。 “ひどい! こんなのってない! わたしが何をしたって言うの? もう死にたい! 死んで しまいたい!” 泣いているうちに里沙は、自分が何と呼吸をしていないことに気がついた。いや、呼吸は しているらしいのだが、鼻や口から空気の出入りがなく、また胸部が呼吸に合わせて動く ことも無いのだ。あわてて自分の身体を確かめてみて、里沙は再び愕然とした。里沙の身 体の側面、脇の下から太股にかけて、左右それぞれ12個の小さな穴が開いていて、空気は そこから体内に取り入れられているのだった。昆虫の気門と同じ仕組みだ。 「驚いたかね。君の身体は既に70%以上が、蜂の生体組織なのだ。特に内臓は、生殖器を 除くほぼ全てを入れ換えたと言ってもよい。骨格も、元の人間の骨はすべて取り除き、昆 虫の外骨格と入れ換えてある。そう。君はもう、人間ではなく蜂なのだよ。だが安心した まえ。頭部の外見だけは、人間のままにしておいた。表情筋も残しておいたから、頭部だ けを見る限り、君が人間でないことは誰にもわかるまい。」
“身体の7割が蜂ですって?” 里沙は、あまりの情けなさに歯がみしながら泣きじゃく った。“人間に似た姿をしていても、わたしはもう人間じゃないのだ。蜂なのだ。昆虫な のだ。もう、猛さんには会えない!” 鷲のエンブレムが、死神博士に尋ねる。《死神博士。本当に、この娘を使えば緑川を服従 させることができるのだな?》 「お任せ下さい、ショッカー大首領。今、綾小路がここに、緑川を連れて参ります。」 その言葉通り、黒いレオタードに網タイツをはいた綾小路律子にせき立てられて、緑川博 士が手術室に入ってきた。博士は変わり果てた愛弟子の姿を見つけると、顔を手で覆った。 「ああ…何ということだ…深町くん…」 “いやあ! 見ないで! 先生! わたしのこんな身体を、見ないで!” 里沙は必死で身を よじって、緑川博士の目から逃れようとあがいた。 「…すまん…わしのせいだ…許してくれ…」 「緑川博士。君の愛弟子はこの通り、移植人間として生まれ変わった。君も知っての通り、 移植人間の寿命は極端に短い。このままでは彼女は2か月ほどで死んでしまう。彼女を殺 したくなければ、サイボーグ手術を施す以外あるまい。さあ! あなたのサイボーグ化技術 のすべてを、我々に見せてもらおうではないか。」 死神博士は笑った。緑川博士は根負けしたように、力無くつぶやいた。 「わかった。サイボーグ手術を行おう。お前たちに、わしのすべての技術を見せよう。 …ただし、最初に改造するのは彼女ではなく、別の者にしてやってくれ…」 鷲のエンブレムが勝利の笑い声を上げた。 《緑川博士。ご協力に感謝する。これで、我がショッカーの「改造人間」の完成だ。》
移植人間サイボーグ手術の最初の対象として選ばれたのは、蜘蛛人間だった。戦闘員10名 がかりで手術室に引きたてられてきた蜘蛛人間は、死神博士に罵詈雑言を浴びせながら手 術台に固定された。 「畜生!! この俺を化け物にしておいて、まだ足りねぇって言うのかよ!!」 緑川、ヒルマン、ジェノス、ラグーザ、そして綾小路の5博士が、サイボーグ手術の準備 を着々と進める。ヒルマンは移植すべき人工臓器を次々と取り出し、ジェノスは人工筋肉 の束を幾つも並べてその長さを調節している。ラグーザと綾小路の二人はコンピュータが 計測した蜘蛛人間の神経系・循環器系のデータを首っ引きで確かめていた。 「…ではまず、人工心臓の埋めこみからだ。」 死神博士と地獄大使、それに多くのショッカー科学者が見守る中、緑川博士の合図ととも に、いよいよ初の“ショッカー改造人間”となる、蜘蛛人間のサイボーグ化手術が開始さ れた。 里沙は、移植人間たちの牢獄には入れられず、藍子が待つ元の部屋に帰されていた。 「すべての動物的能力を強化された移植人間の性欲は、常人の数十倍だ。君をあんなケダ モノの中に入れるわけにはいかんよ。」 死神博士は里沙を部屋に送り届けた後、そう言っていやらしく笑った。 里沙はベッドに倒れ伏して、ただただわが身の不幸に泣きじゃくっていた。異変を察知し たのか、藍子が無表情のまま里沙に近寄ってきた。藍子は里沙の傍らに腰をおろし、里沙 の髪をやさしくなで始めた。里沙は感極まって、藍子に抱きつき、胸に顔をうずめてワン ワン泣き始めた。藍子は母親のように里沙の身体を抱きしめ、背中を何度も何度も愛撫し た。 ふと、里沙の頬に、冷たいものがかかった。 驚いて里沙は身を起こした。藍子の目に、心を失い、何の感情も表わせないはずの藍子の 瞳に、涙がいっぱいに溜まっていた。 「藍ちゃん!? わたしのために…泣いてくれるの?」 お互い、自分の意に反して改造された者同士だった。里沙は藍子を堅く抱きしめ、ワンワ ンととめどなく涙を流して泣き続けた。
蜘蛛人間のサイボーグ化手術は、三日三晩連続で行われた。緑川博士たちは不眠不休で、 この悪の尖兵の製造に従事していた。 その間、里沙は別のものに悩まされていた。それは…『性欲』である。 「移植人間の性欲は、常人の数十倍だ」と死神博士は言っていた。その言葉通り、里沙は 自らの身体を貫く激しい性の渇望に、堪えがたい煩悶を繰り返していた。 里沙は既に処女ではなかった。22歳までは恋人を作らず、学問一筋に歩んできたが、本郷 猛とめぐり合い、クリスマスの夜に彼に処女を捧げたのだった。それ以来二人は、デート の度にセックスを重ねてきた。最初は痛いだけだった性交も、回を重ねるにつれ快楽が増 し、デートを10回重ねた頃には里沙はもう、女の性の悦びにすっかり目覚めていた。その 状態で、里沙は蜂女へと改造されたのだ。 蜂女になっても、人間の生殖器はそのまま残されている。ただし神経系を改造されたため、 性感度はそれまでの数十倍に改造強化されていた。抱かれる悦びを知ってしまった女性器 は、寝ている間も起きている間も、絶えず男を求めて熱くうずき、里沙を悩ませた。ベッ ドに横たわった里沙は、たくましい猛の面影を思い浮かべながら右手で股間をまさぐり、 左手で改造された蜂の乳房を揉みしだきつつ、しきりに自らを慰めた。 「あ…ああっ…あん…あん…猛さん…ウッ…アアッ…抱いて…ねぇ!抱いて…アアアッ!」 エクスタシーが高まるとともに、里沙の女性器からは男を惑わせる性フェロモンがとめど なく分泌され、部屋をムッとする女の匂いで満たしていった。そして彼女が絶頂に達した 時、勃起した乳首がピク、ピクと痙攣し、ドピュッ!と虹色の液体を放出した。液体は宙 に舞い、里沙の身体に降りかかった。それは、口にした者の性欲を最高度に高めることが できる媚薬だった。 “わたし…なんてあさましいことを…” そう自らを嫌悪しながらも、里沙は快楽を求める手を止めることができなかった。二度、 三度と媚薬を宙に放出し、液体に全身をまみれさせながら、里沙は身をよじらせ、はげし くあえぎよがるのだった。 「あふう…はううン!…はあッ!…はあッ!…猛さん!…お願い!…私の中に!…入って 来て!…」
3日後。完全なサイボーグ手術を施された、ショッカーの改造人間第1号、蜘蛛人間が誕 生した。通称・蜘蛛男。鷲のエンブレムの前に引き出されてきた蜘蛛男は、首領の前に絶 対の忠誠を誓った。 「俺はショッカーの改造人間・蜘蛛男。偉大なる大首領に対し、絶対の忠誠を誓う!」 《よろしい。蜘蛛男よ。お前に最初の任務を与えよう。》「ギギッ!」 得意げに部屋から出てゆく蜘蛛男を見送りながら、死神博士はニヤリとひとりごちた。 “確かに…緑川の脳改造技術は完璧だ。だが、その技術もこれですっかり我らのものとな った。もう、緑川は用無しだな。” 蜘蛛男の誕生は、組織にとってのアイスブレイクであった。堰を切ったように、新たな改 造人間の製造が急ピッチで進められた。人間蝙蝠。サラセニア人間。人間蟷螂。カメレオ ン人間。2週間が経過し、もはや5人組の手を借りずともショッカー純正の科学陣だけで、 改造人間の製造が可能なまでになっていた。 そして、遂に里沙のサイボーグ手術が行われる日がやって来た。1971年3月14日。5人組 の中では、緑川博士とラグーザ博士だけが執刀に参加した。 既にすべてをあきらめ切った表情で、手術台の上に静かに大の字に横たわる里沙。その頭 部は美しい女性のままで、首から下は妖艶な蜂女だった。すまなさそうな表情で、里沙に 呼びかける緑川博士。「いいかい、深町くん。手術を開始するよ。」里沙はそれには答え ず、黙って目を堅く閉じた。 “もう、既に蜂女に改造されてしまってるんだもの。サイボーグになってもならなくても、 おんなじよ。” 「サイボーグ手術、開始!」 里沙の顔にマスクが取りつけられ、移植人間の意識を奪う特殊なガスが噴霧された。意識 を失う直前に里沙の脳裏に浮かんだのは、またしても愛する猛の面影だった。 “ああ…わたしはまた、人間から遠くなってしまう…。許して…猛…さ……ん………”
その頃、別の部屋で、一組の男女が性の交わりを行っていた。エジプトのファラオを摸し た衣装に身を包んだ男は、黒髪の女を後背位で激しく攻めたてていた。 クチュッ。クチュッ。濡れた性器が交わり合う、卑猥な音が響く。 「はっ…うっ…ふんっ…っく…あっ…んっ…んっ…ああ…大使さま…」 「お前も、牝犬らしくなったものだのう。白衣を着ている時とは別人のようだわい。それ! もっとよがるがいい!」 「んっ…あうっ…ううっ」四つん這いになって、地獄大使の腰使いに合わせて淫らな嬌声 を上げているのは、5人組のひとり綾小路律子である。 地獄大使と綾小路律子は、3年前から肉体関係にあった。5人組をショッカーに招くべく 首領の命を受けた地獄大使は、まず、当時若干25歳の若き天才・綾小路博士に目をつけた。 記者を装って博士に接近した地獄大使は、隙を見て彼女の腕を掴み、素早く特製の麻薬を 注射した。砂漠に生息するサボテンの一種から抽出したこの麻薬は、強力な催淫剤として の効能も持っていた。それから数分後、美貌の才媛綾小路律子は、着衣をすべて脱ぎ捨て、 地獄大使に進んで処女を捧げ、生まれて初めて味わう性の快楽に悶えよがっていた。 一度こういう関係になってしまったら、後は一瀉千里、坂道をころげ落ちる岩のように律 子は性の地獄へと堕ちていった。一週間に一度の割で彼女のもとを訪れる地獄大使。セッ クスの度に律子は太股に麻薬を注射され、一匹の牝と化して背徳の快楽にあえぎ狂うのだ った。そして閨の床で、地獄大使は律子に悪の心を次々と吹き込んだ。平和を願う温厚で 善良な美女は、いつしか人を苦しめることにサディスティックな喜びを感じる悪女へと変 貌していった。 地獄大使の命令通りに、緑川博士が娘・藍子をサイボーグ改造せざるを得ないような状況 を作り出し、彼女の拉致も行った。藍子を発表した学会の場で『本人の同意を得ない強制 改造』の情報をリークして、学会員の反発を誘い、スポンサーに援助を打ち切るように働 きかけた。そして5人組のショッカー入団を、陰からお膳立てした。すべては綾小路律子 を駒にした、ショッカー首領の思惑通りに運んでいたのだ。緑川博士を協力させるため、 助手の里沙を蜂女に改造するよう首領に最初に進言したのも律子であった。
“サディスティック、か…”地獄大使は思った。“この女には、サドとマゾの両方の要素 がある…。戦闘員や奴隷に対してはひたすらサディストぶりを発揮する一方で、こうやっ て俺に抱かれている時は牝犬としてのマゾの境遇を楽しんでいる…” さっきまでさんざん縛られ、拘束具を口に噛ませられ、鞭打たれ、鈎爪で女性器の中をま さぐられたが、その全てに律子は、とめどない幸福を感じるまでになっていた。 「行くぞッ!」絶頂に達した地獄大使は、オウ、オウ、と獣のように叫んで、律子の膣内 に白濁した牡のエキスを放出した。 「あっ…いっ…いいッ!…イッちゃうッ!…アッ!アッ!アアアーーーッッツ!!」 律子も同時にエクスタシーに達し、力尽きて床に倒れ伏した。律子は激しく肩で息をしな がら、地獄大使に甘い声で問いかけた。 「…大使さま…お願いが…ございます。」「なんだ? 言ってみろ。」 「わたしを…改造人間にして下さいませ。ショッカーの忠実な奴隷になり、愚民どもをわ が足元に跪かせたいのでございます。」 面白いことを言う女だ。地獄大使は心の中でニヤリと笑った。「いいだろう。科学陣にか けあってみよう。…お前は蛇がいい。俺の大好きな蛇の怪人になるのだ。蛇姫メドーサと でも名乗るがよかろう。」 「…ありがとう…ございます!」律子の心は、この上ない幸福に満たされていた。
通常のサイボーグ手術の2倍を超える、7日間という時間をかけて、里沙の改造手術は丁 寧に、丁寧に行われていた。それは緑川博士の、里沙に対する贖罪だったのかも知れない。 7日後の3月21日、手術台の上で里沙は目覚めた。身体の約半分を人工部品で補った、シ ョッカー8番目の改造人間にして、初の女性改造人間、蜂女の誕生である。 ショッカー大首領への忠誠を誓うために、蜂女=里沙は緑川博士と共に、翼を広げ地球儀 の上にまたがった鷲のエンブレムの前に立った。 ショッカー大首領。その正体は組織の誰も知らない。かつてはチェン=マオと名乗るチベ ットの修行僧として、死神博士と行動を共にしていたとも言う。チェン=マオはかつてチ ベットに住む普通の牧童だったが、ある日空から落ちてきた巨大な隕石に触れ、それ以来 人が変わったようになり、また異様な超能力を発揮し始めたと言う。死神博士と出会った 後、ニカラグアの古代遺跡でさらなる修行を積み、多くの信者を集めて秘密結社ショッカ ーの基礎を築いた。だがそれと同時に、自らの姿を人目に晒すのを極端に恐れるようにな り、死神博士や、彼が蘇らせた元ナチス軍人バカラシン・ゾル、インドシナ革命の闘士ダ モン・Eといった大幹部の前に現れる時も、常に三角頭巾を頭からすっぽり被るようにな った。ある時戦闘員のひとりが偶然、頭巾の下をのぞき見る機会があったが、そこにあっ たのは人間の顔ではなく、白い巨大な一ツ目だったと言う。それが事実かどうかは、その 戦闘員が処刑されてしまった今では、確かめる術すらない。今やショッカー大首領は人前 にまったく姿を見せることなく、鷲のエンブレムを通じて、部下に全ての命令を出すのみ であった。 《緑川博士。蜂女の改造手術は無事成功したようだな。だがなぜ、頭部は人間のままなの だ?》
エンブレムの前に立った蜂女は、腰に黄色いサッシュ(腰布)を巻き、レイピア(細身の剣) をそこに差して固定しているが、その姿はサイボーグ改造前の里沙の姿と変わらない、頭 部だけが人間のままという中途半端な姿だった。 「畏れながら首領。蜂女は戦闘用ではなく、特殊工作用の改造人間であるため、頭部のみ 人間体への変身能力を与えました。ふだんは美しい女性の姿を取って標的に接近し、必要 に応じて蜂女へと変身いたします。さあ、変身を見せて差し上げなさい。」 緑川に促されて、里沙は腰のサッシュの中から、小さなアイグラスを取り出した。アイグ ラスを宙に掲げ、大声で叫びながら里沙はそれを自分の顔に装着した。「変・身!」 とたんに、里沙の頭部に劇的な変化が現れた。額が中央からパクリと割れ、中から柔らか い黄色の肉質組織が、押し出されるように現れた。ふくらんだ肉質組織はまたたく間に硬 質化し、蜂を思わせる黄色と黒の縞模様の、昆虫の外骨格状の組織へと変化していった。 それとともにつややかな里沙の黒髪も、奇妙な紫色へと変わっていった。顔色も肌色から、 ボディと同じ濃い青へと変化してゆく。髪に近い部分の肌は紫色に染まってゆく。唇だけ が、艶めかしい紅色に変わっていった。アイグラスはみるみるうちに大きくふくらんで、 緑色の半透明のカバーのようにまぶたの周囲を覆い、その表面には網目状の模様が浮き出 してきた。そして昆虫の複眼のような形状へと変化した。複眼の奥には、里沙の本来の眼 が透けて見える。最後に眉の付け根から、2本の巨大な赤い触角がニョキッと生えて左右 に大きく開き、蜂女への変身は完了した。
その間わずか10秒。里沙の顔は元の愛らしい姿ではなく、上半分が巨大な蜂の頭部そのも のの、異形の姿へとすっかり変貌していた。それと共に、表情もそれまでの清楚で大人し い印象が消え、妖艶な雰囲気をまとい始めた。蜂女になった里沙は、妖しく笑いながら両 手で自らの乳房をたくし寄せ、後ろに突き出した腰を大きく振りながら、舌なめずりをし つつ、周囲を挑発的なまなざしで眺め渡した。そして、エンブレムに対して高らかに宣言 した。 「ウフフフフフフ!! わたしは、栄光あるショッカーの改造人間・蜂女! 偉大なる大首領! わたしを改造人間にしていただき、感謝しています。これからはショッカーに与えられた この美しい肉体を駆使して、いかなる任務をもこなしてみせましょう。栄光あるショッカ ーの崇高なる目的のためなら、誘拐、殺人、破壊工作、いかなる非道な行為をも喜んで実 行してみせましょう。」 その声ももはや、愛らしい里沙の声ではなく、冷たく威圧的なものに変わっていた。 《見事だ! 緑川博士。脳改造は完全に行われているようだな。蜂女よ。お前はもはや、身 も心も完全なショッカーの一員だ。命令あるまで、戦闘訓練室で待機するがよい! …時に 緑川博士。お前に依頼しておいた、最強改造人間の製造はその後、はかどっておるか?》 《はい大首領。ただ今、蜘蛛男と女戦闘員たちが、素体の拉致に向けて活動を開始してお ります。」 《よろしい。期待しておるぞ。》 蜂女と緑川博士は、エンブレムに深々と礼をして、その場を離れていった。
里沙の部屋に一緒に入るなり、緑川博士は急いで扉を閉め、そして蜂女の鼻の付け根、双 つの複眼のちょうど中央を指で押えた。 とたんに頭部の変身が解け、蜂女は里沙の姿へと戻った。アイグラスが音を立てて床に落 下した。「博士…わたし、一体?」 「よくやった。深町くん。」緑川博士はアイグラスを拾い上げ、里沙に手渡した。 「君には、実は、脳改造手術は施していない。君を完全なショッカーの一員にしてしまう ことは、私にはできなかった。だが脳改造を受けていなければ、君は組織に抹殺されてし まうだろう。だから私は、このアイグラスに仕掛けを用意した。」 緑川博士は里沙の正面に立ち、小さな子供に言い聞かせるように言った。 「このアイグラスをかけて蜂女に変身している間は、脳改造を受けているのと同じ状態に なる。きみは身も心もショッカーの一員だ。深町里沙としての意識はあるが、大首領の命 令に絶対服従し、どんな悪事でも平気で行えるようになるだろう。だが、目と目の間にあ る変身解除スイッチを押せば、君は自我を取り戻せる。アイグラスがなければ、君はショ ッカーの蜂女ではなく、深町里沙のままでいられる。変身解除はいつでもできるよ。蜂女 でいる時も、深町里沙の意識はずっと残っているから、首領から変身解除するなという命 令が与えられない限り、いつでも好きな時に深町里沙に戻ることができるはずだ。」 「先生! …ありがとうございます。」里沙は涙ぐんだ。 「だが、このことは誰にも知られてはいけない。君が脳改造を受けていないことが知られ れば、即座に処刑されてしまうはずだ。極力、ここにいる時はアイグラスを着け、蜂女で いた方がいい。多少の悪事には荷担させられるだろうが、我慢してチャンスを待つんだ。」 「チャンス…と言いますと…?」
「わしはもうすぐ、首領の命令で“最強改造人間”の製造に着手することになっている。 あと3日もすれば、蜘蛛男が改造素体となる男を拉致してくるだろう。この男には可哀想 だが、もはや改造手術は避けることはできない。だが、わしはこの男にも、脳改造を施さ ないつもりだ。体調が悪いとか何とか理由をつけて、脳改造を一番後回しにし、脳改造の 直前にこの男を脱走させる。もちろん、その時は君も一緒だ。」 「ショッカーから、逃げ出すんですね?」 「ショッカーを逃れた後は、すみやかにこのアイグラスを破壊しなさい。そうすれば、君 はもうショッカーの一員ではなくなる。残念ながら、改造された肉体は決して元の人間に は戻れないが、その男と二人、ショッカーから隠れてどこかでひっそり暮らしなさい。」 「その人って…一体誰なんですか?」 「…君もよく知っているだろう。…うちの研究室の、本郷猛くんだよ。」 里沙は息を飲んだ。改造されてからも片時も忘れていなかった愛しい人、あの本郷猛が、 改造人間にされようとしている!? 「…あ…あの、博士!?…」 里沙は激しく混乱した。大事な人、最愛の人を改造人間なんかにしてはいけない、という 痛切な思いと、改造された自分の姿を最愛の人に見られたくない、という悲痛な気持ちが ある一方で、もう二度と会えないと思っていた恋人に再会できる喜び、その彼を、自分と 同じ改造人間にしてもらえるのが嬉しいという我儘な感情、そして、二人とも改造人間に なればもう一度お互いに愛し合えるのではないかという熱い期待とが、里沙の心の中で激 しく行き交い争っていた。 「…ありがとう…ございます…」里沙は涙ぐんで、博士の手を握り締めた。結局、里沙の 中の女の性が、後者の喜びを選んだ。愛する彼を、自分と同じ改造人間にしてもらう喜び を。
「それで博士、一体どうやって脱走するおつもりなんですか?」 「ショッカーの科学陣が、改造人間だけが乗りこなせる高性能バイクを開発した。それを 使って逃げるといい。だがそのバイクにたどり着くまでが問題だ。何とかして、バイクに 目印を つけることができればいいんだが…」 里沙は叫んだ。「いい方法があります、博士! わたし、立花レーシングクラブのエンブレ ムを持ってるんです。確か…バッグの中に…」里沙は、部屋の片隅に置き忘れられていた、 かつて人間だった時に持ち歩いていたバッグを取り上げて開いた。「これです! これをバ イクのどこかに貼っておけば、本郷さんなら必ず気付くはずです。」 「わかった。隙を見て、このステッカーを貼っておこう。バイクは二人乗りだ。二人なら きっとうまく脱走できるだろう。」 「…二人? 博士は一緒に脱走されないんですか!?」 「わしは、ここに残る。藍子を残しては行けないからな。もちろん、わしは裏切り者とし てすぐに処刑されてしまうだろうが。」 「そんな…いけません博士! みんなで一緒に逃げましょう!」 「…いいんだよ、深町くん。この脱走計画には、ラグーザくんも一枚かんでいる。二人と も、覚悟の上の選択だ。」 緑川博士の決心は固かった。里沙がいくら懇願しても、首を縦に振ることはなかった。
そしてそれから4日後。蜘蛛男によって、本郷猛が最強改造人間の素体となるべく、アジ トに拉致されてきた。 猛は、あらゆるものを食い尽くす狂暴なイナゴ=トノサマバッタの改造人間にされること に決まった。里沙は蜂女の姿で、改造手術台に固定された猛の姿を遠目で見た。 “猛さん! 本当に猛さんだ。愛しい猛さんが、わたしと同じ改造人間になるなんて! そ れも、わたしと同じ昆虫人間に! ああ、なんて嬉しい! なんて幸せなの! 手術が終わる 日が待ち遠しい!! ああ、早く、あの胸にこの身体を抱きしめてもらいたい!!” 自室にこもって、里沙は猛の面影を思い浮かべながら、自慰に耽溺した。里沙の姿でいる よりも蜂女に変身した方が、自慰の快感はさらに増大した。里沙は改造人間専用に作られ た巨大なバイブレーター、人間女性が使えば数分で発狂してしまうそれを、改造された女 性器の奥深くまで挿入し、蜂の乳房を揉みしだきながら全身をくねらせてあえぎよがった。 ヒルマン博士の作り上げた人工膣は、人間女性の数百倍の性感度を備えていた。彼女があ らかじめ移植人間として精神力を強化されていなければ、その快楽に耐えることはできな かっただろう。人間としての誇りも慎みも捨て、性欲に飢えた一匹の牝、性の権化として ひたすら快楽にあえぎのたうつ。そんな自分がどれほどあさましいか、里沙は意識の片隅 では自覚していたが、改造人間の強化された性欲は、もはやどうにも押し止めることがで きなかった。 「はうっ…うッ…ふんッ!…んッ!…んッ!…あうッ!…あうッ!…アアッ!…」 女性のシルエットを持った巨大な蜂が、股間に異物を挿入したまま身体をくねらせて激し くよがっている。それは実に異様な風景だった。部屋の片隅に腰かけた緑川藍子は、そん な里沙の姿をじっと無表情に眺めていた。 バッタ男=本郷猛と、蜂女=深町里沙の、ショッカー脱走計画。その手はずは綿密に整え られたはずだった。…だが、物事は決して緑川博士の思惑通りには、運ばなかった。
本郷が改造されている間に、里沙はショッカー首領の呼び出しを受けた。 《蜂女よ。お前にショッカー改造人間としての最初の使命を命じる。ウィルス工学の権威、 本間博士が我がショッカーの招聘にどうしても応えようとしない。本日午後2時、博士に 対する最終通告を行う。お前は女性の姿で博士に近づき、博士をショッカー基地に案内せ よ。もしも博士が最終通告をはねつけた場合は、博士をすみやかに処刑し、機密ファイル のみを持ち帰れ。》 「かしこまりました、首領。」 蜂女の姿で首領に答えた里沙は、内心激しく動揺した。“わたしが…人を殺すかも知れな い!?” 里沙は蜂女の変身を解き、コートをはおって街に出た。変身を解いたといっても、人間体 なのは頭部だけ。首から下は蜂女のままである。だが3月末の肌寒い時期、蜂女のボディ の上にコートをまとった里沙が繁華街の中を歩いても、誰も奇異に感じる者はいなかった。 本間博士は、とあるマンションの5階に一人で住んでいた。ショッカー基地で教えられた 通りにドアのロックを解除し、室内に忍び込んだ。本間博士はちょうど、居間で電話を取 っていた。 「…もしもし本間だ……お、お前は!…い、嫌だ。私の研究は世に出すわけにはいかん! …悪用されたら、とり返しのつかないことになるんだ…断る! 誰が何と言おうと、断固 断る!」 本間博士は電話をガシャン!と切った。その途端、里沙の脳に直接、大首領からの指令が 下った。 《本間博士は我がショッカーの招聘を拒んだ。蜂女よ、博士を処刑せよ!!》
ああ、ついにこの時が来たのか。里沙は悲しくてならなかった。私のこの手で、人を殺す。 だが、今の里沙にはどうすることもできなかった。ここで首領の命令を拒んでしまったら、 脳改造を受けていないことがバレてしまう。そしたらわたしだけでなく、アジトにいる緑 川博士の命も危なくなってしまう。 里沙は無言のまま、本間博士の前に歩み出た。見知らぬ女性が自分の住居に入り込んでい るのを見て、本間博士は激しく驚いた。「何だねきみは!? 一体どこから入ってきたんだ!」 里沙は、コートをバサリ、と脱ぎ捨てた。蜂女のボディが露わになった。 「ひいッ!!」本間博士は息を飲んだ。美しい女性の頭部を持った異形の存在が、そこにい たからだ。 里沙は、博士の方に手を伸ばし、優しく呼びかけた。「わたしは、ショッカーの使者です。 今すぐわたしと共に、ショッカーに来て下さい。さもないと、わたしはあなたを殺さなく てはなりません。」里沙の目には、涙が溜まっていた。 本間博士は、だが里沙の最後の通告すらも払いのけた。「駄目だ。このウィルスを公表す るわけにはいかん。絶対にいかんのだ!」 里沙は覚悟を決めた。やむを得ない。他にどうしようもない。里沙は腰のサッシュからア イグラスを取り出し、それを自分の目にはめた。「変・身!」 みるみるうちに、里沙の頭部は蜂女へと変貌を遂げた。「うわーッ!!」本間博士は絶叫し た。里沙は、いや蜂女は腰のサッシュから金属の棒を取り出し、それを長く伸ばした。棒 は細身の剣レイピアへと姿を変えた。 「ウフフフフフ! わたしはショッカーの改造人間・蜂女! 本間博士、ショッカーの招き を断ったお前の罪は、万死に値するわ! さあ、この毒針を受けて、消え去りなさい!! 」 蜂女は、レイピアを博士の胸に突きたてた。「うわッ!!」博士は床に倒れ、みるみるうち にその身体は、黄色い液体になって溶けていった。 博士の死を確認し、蜂女は勝ち誇ったように笑った。「ウフフフフフ! ショッカーに逆ら う者は、皆こうなるのよ! オホホホホホ!」 《よくやったぞ蜂女!》頭の中で首領の声が響く。《あとは、機密ファイルを探して持ち 帰るのだ。》
アジトの自分の部屋に戻った里沙は、変身を解き、ベッドに倒れ伏して泣きじゃくった。 “とうとうわたしは、この手で人をあやめてしまった。わたしは殺人者だ。もう取り返し はつかない。もう、もとの里沙には戻れない…” 翌日もまた、同様の任務が里沙を待っていた。そしてその翌日も。里沙の心は、少しずつ 麻痺していった。人を殺すことに、だんだんためらいがなくなっていったのだ。 そしてアジトに戻った時、新たな試練が里沙を待ち構えていた。 アジトに戻った里沙を迎え入れたのは、見たことのない新しい女性改造人間だった。 「お帰りなさい、深町さん。待ち兼ねたわ。」「…あ、あなたは…綾小路博士!?」 綾小路律子の肉体は、既に人間のそれではなかった。首から下の全身が、蛇のような滑ら かな細かい鱗で覆われていた。顔は美しい女性のままだったが、豊かな黒髪は奇妙に波打 ち、蠢いていた。所々に赤く光る目が見える。彼女の髪は、何百匹もの黒く細い蛇ででき ていたのだ。 「驚いたかしら? 私もあなた同様、改造人間にしていただいたのよ。今の私はショッカー の改造人間、蛇姫メドーサなの。」 そう言って律子は、両手で豊満な乳房を自慢げにたくし寄せ、後ろに突き出した腰をセク シーに揺すった。 「あなたと私に、新しい使命が待っているわ。いらっしゃい。
その大きな部屋は、ショッカーの男性改造人間たちでひしめいていた。部屋の中央にはベ ッドが2台置かれ、その周りに幾つもの計測機器が用意されていた。 里沙はいまだに、仲間の改造人間たちが好きになれない。自分と同じく、無理やり改造さ れた犠牲者だとわかっていても、彼らの獣のような臭いと、彼女を見つめる下卑た視線が 気に入らなかったのだ。もっとも、里沙は改造前から、スーパーモデル並みの美貌とプロ ポーションを誇っている。バスト86・ウェスト52・ヒップ87という驚異のスリーサイズ、 特に蜂女の名にふさわしい細くくびれた腰は、すれ違う男性たちの目を引き付けずにはお かない。ましてや蜂女はアジトの中では衣装をまとうことなく、その裸身を常にさらして いるのだから。男性改造人間たちの里沙に対する視線が下品なものになるのは、避けられ ないことであった。 律子と里沙が現れると、ショッカーエンブレムが輝き、首領が二人に命令を告げた。 《蜂女。そして蛇姫メドーサ。お前たちに新しい仕事を命じる。現在、男性改造人間たち には性欲処理用として、それぞれ3名から5名の慰安用女戦闘員があてがわれているが、 その消耗が激しい。肉体強化手術を受けただけのただの女戦闘員では、男性改造人間の激 しい行為に耐えられないのだ。》 そのことは里沙も知っていた。男性改造人間たちとのセックスに耐えられず、発狂してし まった女戦闘員たちが、毎日人知れず大量に処分されているらしいことを。 人間の男性の性欲は、心理学的には「攻撃性」が変容したものである。破壊活動に従事す る尖兵としてのショッカー怪人にとって、去勢は攻撃力の減退に繋がるため、改造時には 逆に性欲を極限まで強化することが試みられた。だが溜まり過ぎた性欲は、組織秩序の維 持のためには邪魔となる。このため改造人間たちには、定期的に性欲を処理する相手が必 要とされたのだ。
《そこでこのたび、性欲処理専門の女性改造人間、“生殖人間”セクサボーグを量産化す ることになった。蜂女。そして蛇姫メドーサよ。現時点でショッカーにおける2体きりの 女性改造人間であるお前たちは、今からサクサボーグのアーキタイプ(元型)として、ここ にいる男性改造人間全員と性行為を行うのだ。どちらの肉体がセクサボーグとして優れて いるか、実際に交わった男性改造人間たちの感想も参考にしながら選定し、その後、セク サボーグの量産体制に入る。》 里沙は、それを聞いて頭の中が真っ白になった。“何ですって!? わたしが、この化け物た ち全員とセックスをするというの? それも、大勢の注視の中で? い…嫌だ。嫌だ。そん なの耐えられない。わたしの身体は、猛さんにしか許したくない。絶対に嫌だ。” 里沙の足は、ショックでガタガタと震えていた。しかし、蜂女に変身した里沙には、首領 の命令を拒むことができなかった。少しの間を置き、里沙は震える声でこう答えた。「か しこまりました。蜂女、これより男性改造人間全員との性行為実験を行います。」 律子も嬉しそうに答えた。「蛇姫メドーサ、これより男性改造人間全員との性行為実験を 行います。」 里沙と律子は、二つのベッドに分かれて横たわった。《それでは、一体目の性交実験を行 う! 科学者たちは計器をスタンバイせよ。》 数人の科学者が、ベッドを取り巻く計器のスイッチを入れた。その中には、なんとあの死 神博士も混ざっていた。
律子の前に、一体目の相手としてコブラ男が現れた。「…ふうん。地獄大使さまを差し置 いて、コブラ男を名乗るなんておこがましい奴。いいわ、悲鳴を上げるまでイカせてあげ る。」 コブラ男は、ぶるん、ぶるんと身体を何度も震わせた。すると、股間が少しずつふくらみ 始め、人間男性の陰茎に酷似した巨大な突起となってそそり立った。ヒルマン博士の傑作、 人工男根である。 律子も、左手で乳房を揉みしだきながら、右手で股間を何度もなでさすった。細いスリッ トが入っているだけだった股間に、少しずつ、大輪の花が咲き始めた。鱗に包まれた恥丘 の中央に、真っ赤な肉の襞が開き、愛液をとめどなく分泌しながらヒクヒクと蠢き始めた。 「さあ…ぼうや、いらっしゃい!」 コブラ男は、ウォー! と叫んで律子に飛びかかった。律子の乳房にむしゃぶりつき、太股 をなで回した。そして、M字型に広げた律子の両脚の間に、ぐいぐいと腰を沈めていった。 「…アッ!…あぅ…あぅ…アウゥ…はあっ!…はあっ!…はあン!はううン!はあン!」
一方、里沙の前に一体目の相手として現れたのは、蜘蛛男だった。里沙は昔から、蜘蛛が 大の苦手だった。あの毛むくじゃらの脚の動きが、耐えられないのだ。その苦手な蜘蛛が、 巨大な蜘蛛が、いま里沙を犯そうと迫って来る。愛する人にしか許したことが無い秘所に、 欲望の肉茎を無理やりねじ込もうとしている。里沙は恐怖と嫌悪感で、気が狂いそうにな った。だが首領の命令は絶対である。幸い蜂女の姿でいる間は、命令に応じて身体が勝手 に動いてくれる。里沙はあきらめて、ベッドの上に大の字に寝転び、左手で蜂の乳房を、 右手で股間のスリットをまさぐり始めた。細い線のようだったスリットは、愛撫とともに 次第に広がってゆき、やがて毛の生えていない真っ青な恥丘の真ん中に、赤い肉の花を咲 かせていった。秘所への刺激によって性欲が高まると、里沙の気持ちは若干楽になった。 “仕方がない。ここは歯をくいしばって耐えよう。” 「…さあ、来て…」里沙は大きく脚を広げ、改造された女性器の花をあらわにして蜘蛛男 を挑発した。だが、毛むくじゃらの改造男根をビンビンにいきり立たせた蜘蛛男は、里沙 の挑発には応えず、首領に対してこんな提案をした。 「畏れ多くも大首領、お願いがございます。」《何だ、蜘蛛男?》 「この蜂女、元はたいへんな美貌であるのに拘わらず、今は昆虫のような顔に改造されて おり、これでは一向に燃えませぬ。やはり男として、抱く相手は美女でなければ。蜂女に 人間体への変身能力があるのなら、ぜひとも人間の顔で交わりたく思います。」 そうだそうだ! 周囲の男性改造人間たちの間から、大きな同意の拍手と口笛が響いた。 “何ですって!!”里沙は愕然となった。“蜂女じゃなく、里沙の姿でセックスしろって言 うの!? この化け物たちと?” 《よかろう。…蜂女よ。変身を解いて人間の顔になり、性交実験を続けるのだ。》 里沙は目の前が真っ暗になるのを感じた。まさか、里沙の状態で犯されることになろうと は。 《何をしている蜂女。さあ、早く変身を解くのだ!》
命令は絶対である。里沙は仕方無く、変身解除スイッチを押した。アイグラスが里沙の顔 から外れ、ベッドにはね返って床にガチャンと落ちた。それを素早く拾い上げた者がいた。 死神博士である。 “ホゥ。これは面白い仕掛けがしてある。…よし。では儂が、もっと面白い仕掛けを付け 加えてやることにしようか。”死神博士は以後の実験には興味が無いといった態度で、里 沙のアイグラスを携えて自分の研究室に帰って行った。 蜂女の変身を解き、ショッカーのマインドコントロールから解放されたことで、蜘蛛男に 対する嫌悪感、セックスに対する恐怖はそれまでよりもずっと強いものになった。目の前 にそそり立った蜘蛛男の巨大な改造陰茎を見て、激しい恐怖にうち震えている里沙の脚を、 蜘蛛男は毛むくじゃらの腕で掴んで乱暴に引き寄せた。「キャッ!!」 「やはりこの顔でなくちゃな。お前さんを初めて見た時から、俺は目をつけていたんだぜ。 この娘をいつか俺の女にしてやるってな。」 蜘蛛男はそう言って、無気味に蠢く触腕と大顎に囲まれた口器を、里沙の顔に近づけた。 「イヤあッ!!」ムッとする臭気が里沙を襲い、おぞましさのあまり里沙は気絶しそうにな りながら、必死で顔をそむけた。 「やめてッ! 来ないでッ! 化け物ッ!」 「…化け物? 何を言う。」蜘蛛男はあきれたように言った。「お前だって、俺と同じ化け 物の仲間、改造人間じゃないか。自分の身体をよく見てみろ。俺は蜘蛛男。お前は蜂女。 誰が見てもお似合いのカップルだろう。」 蜘蛛男の言葉は、里沙の心に突き刺さった。そうだ、その通りだ。自分はもう、化け物の 一員なのだ。怪物どもに囲まれてセックスするのがお似合いの化け物なのだ。里沙の身体 から、抵抗する気力が急速に失せていった。 蜘蛛男は、ガタガタと震えている里沙の唇に口器を近づけ、キスをした。口の中に無数の 触手が入り込み、あちこちをまさぐるように蠢いた。「ん…ぐ…ぐ…!」あまりのおぞま しさに、里沙は今朝摂取した蜂蜜を吐き戻しそうになった。
蜘蛛男の両手が、里沙の身体のあちこちをまさぐり愛撫した。脇腹を、背中を、太股を、 そして蠕動する蜂の乳房を。里沙の身体は蜘蛛男の手が触れるたびにひきつり、必死で身 を引いた。 蜘蛛男が、ようやく里沙の唇を離した。「何をいったい震えてやがるんだ? 処女じゃああ るまいし。俺たちはみんな知ってるんだぜ。お前さんが毎晩、バイブをあそこに突っ込ん で悶えているのをな。隠しカメラで、アジト中に映像を中継してるんだぜ。」 里沙は愕然とした。まさか、まさか、自分の一番恥ずかしいところを怪物たちに見られて いたとは! あまりの恥ずかしさに、里沙はいっそ死にたくなった。だが、蜘蛛男の愛撫を 受ける里沙の身体は、次第に改造人間としての本能に従い、里沙の意思とは関わりなしに 男に対して身を開いていった。 「あっ…ん!ん!くぅッ!…」身体を駆け登ってくる、痺れるような快感の波に、里沙は 少しずつ理性を失っていった。蜘蛛男は里沙の改造された股間に顔を埋め、無数の触腕で クリトリスを刺激する。 「あ!…あ!…あああッ!!」頭の中を、電流が閃くような快感が走る。里沙の股間の花び らは、既に自ら分泌した露で濡れそぼり、挿入の時を今か今かと待っていた。 蜘蛛男は里沙を四つん這いにさせ、尻を浮かせるような姿勢をとらせると、いきり立った 男根を里沙の秘唇にあてがった。「はっ…!」 改造された生殖器に、熱いものが触れる感触。“い、いやあッ!” いよいよ最後の瞬間が訪れたのを、里沙は知った。“自分は化け物に犯されてしまう。猛 さんにしか許したことがない身体を、怪物たちにむさぼられてしまう。悲しい! 辛い! 死んでしまいたい!”「あッ、あううッ!」そんな思いもむなしく、蜘蛛男の巨大な改造 男根が、里沙の人工膣の襞を押し広げながらぐぐッ、と侵入してきた。 「ああっ。もう駄目…」
だが、挿入された途端、里沙の胎内に内臓された生殖回路が活動を開始した。里沙の意思 とは無関係に、彼女は腰をリズミカルにゆさぶり、艶めかしいあえぎ声をあげ始めた。 「ふうん…あはぁん…はあっ…はあっ…ああっ…はううん…」膣壁は挿入された男根を、 無数の襞で激しく、激しく締め上げた。 「そうだ…その調子だ…もっと締め付けろ!…もっと!」 里沙は腰を振って、蜘蛛男に行為を促した。ずにゅっ!ぬぷっ!ぐちゅっ! ぺちゃっ! 改造された性器と性器の結合が卑猥な音を響かせ、里沙の女性器から立ち昇るフェロモン の強烈な匂いが周囲の空間に満ちていった。2体の改造人間は奥深くまで結合し、本能の ままお互いの肉体を打ち付け合った。 「うぉおっ! これは…すごいぞ! 最高だ…最高の女体だ!」 里沙は、理性を快楽の波に飲み込まれ、恥じらいも慎みも失って、一匹の性欲に飢えた牝 となった。改造人間としての性の快楽を隅々まで貪ろうと、しきりに腰を振り続けた。 “ああっ…これが…これが改造人間のセックスなの!? …何て…何て素晴らしいの! オナ ニーなんか比べものにならないわ。…もっと! もっと突いて! お願いッ!!” 蜘蛛男が、急に里沙の腰から手を離し、じゅぽッ!という音ととも陰茎を引き抜いた。 「いやぁあ…!」抜かないで! とばかりに里沙は切なく叫んだ。蜘蛛男は里沙をあお向 けにし、正常位で再び挿入を開始した。「はうッ! はうッ! ああンッ!ああンッ! あ うッ! あうッ!」再び男の侵入を許すと、里沙の両脚は自然に蜘蛛男の毛むくじゃらの 脚にからまり、腰は浮き上がって突き入れられるたびに激しく揺さぶられた。 蜘蛛男の眼前に、ジー、ジーと音を立てて艶めかしく蠕動を続ける、双つの蜂の乳房があ った。蜘蛛男は里沙の乳房にむしゃぶり付き、無数の触腕で乳首を刺激した。勃起した乳 首がヒク、ヒクと痙攣したかと思うと、虹色の媚薬がドピュッ!と吹き出した。蜘蛛男は 里沙が分泌した媚薬にまみれながらも、それを飲み干した。「ふうムッ!!」蜘蛛男のピス トン運動は一層激しさを増し、里沙を執拗に責めたてていった。“…いいぞ!…すごいぞ! …お前は最高の女だ。女改造人間だ! …いくぞ! お前の胎内に、俺の、俺の精を注ぎ込 んでやるッ!
里沙も、絶え間なく押し寄せる快楽の波の頂点にいた。“ああッ…いいわ…いいッ! …こ れが、改造人間としての悦びなの!? …ああッ! いく! いくわ! イッちゃうッ!” 里沙と蜘蛛男は、同時に絶頂に達した。蜘蛛男は大きく吼え、身体をわななかせると、里 沙の胎内に黒いねとりとした粘液を、蜘蛛と人間の精子が混じり合った牡のエキスを、勢 いよく注ぎ込んだ。 里沙は、蜘蛛男の人工男根が脈打ちながら、自分の改造された膣の中に粘液をとめどなく 放出してゆくのを、夢のような気分で感じていた。牝としての本能が満たされ、言いしれ ぬ恍惚感を、膣内に男の体液が満たされていく充足感を味わいつつ、里沙の全身からは急 速に力が抜けていった。絶頂の余韻が全身に広がってゆき、心地よい疲労感を里沙にもた らした。蜘蛛男もまた、すっかり射精を終えるとぐったりとなり、里沙の身体の上に覆い 被さってきた。「はあっ…はあっ…はあっ…」 「1体目の性交実験、終了。続いて、2体目の性交を行う。」 蜘蛛男は名残惜しそうに、里沙の身体から離れた。大の字になって横たわる里沙の体側に ずらりと並んだ気門は、しきりに拡張収縮を繰り返し、たった今まで行われていた性行為 の激しさを伝えている。しどけなくさらけ出された、改造された女性器からは、黒い粘液 がトロリと漏れだし、ベッドの上にしたたった。 2体目の性交相手は、サラセニア人間だった。キノコのような人工男根をいきり立たせて、 ケケケケケという奇声を上げながら里沙の上に押し被さってきた。里沙は妖しく微笑むと、 再び蜂の乳房を揉みしだきながら、ぱっくりと開いた下の口で、サラセニアンの陰茎を奥 深くまで飲み込んでいった…
24体の男性改造人間と、蜂女・里沙、蛇姫・律子による性交実験は、8時間の長きに渡っ て行われた。計器による計測結果と、男性改造人間たちの投票を総合した結果、性慰安用 女性改造人間セクサボーグのアーキタイプとして、蜂女・里沙が圧倒的な大差で選ばれた。 律子は里沙をキッ!とにらみつけると、股間を拭きながら自室に戻っていった。 男性改造人間たちに、セクサボーグの素体となる美女たちの誘拐という、新たな使命が与 えられた。自分好みの美女をさらってくれば、自分専用のセクサボーグ蜂女として改造し てもらえる。男性改造人間たちは満足そうに、その場から去っていった。 その夜、ベッドに倒れ伏した里沙は、先程まで繰り広げたわが身のあさましい行為を、激 しく泣きじゃくって後悔していた。“わたしは、汚されてしまった。化け物どもに身体を 許し、あまつさえその精液を胎内に注がれてしまった。もう、わたしは猛さんに顔向けで きない!” 怪物たちに犯されたことよりも、蜂女としての牝の本能に負けて、快楽を求めて自ら身体 を開いてしまったことの方が、里沙にとってはショックであった。“自分はケダモノだ。 性欲の権化だ。もう猛さんに会わせる顔がない。このまま死んでしまいたい!” 緑川藍子が里沙に近づき、涙で汚れた里沙の顔を優しくなでようとした。ピシッ! 里沙は 藍子の手をはねのけ、彼女を怖い顔でにらみつけた。「出てって! ここから出てってよ!」 藍子は無表情のまま、命令通りに部屋の外にフラフラと歩み出ていった。 里沙はハッと我に返った。“藍ちゃん? 藍ちゃん! ごめんなさい、ごめんなさい!!” 藍 子にまで八つ当たりした自分の心の弱さがとことん情けなくなり、里沙は再び枕に顔を伏せ て、激しい嗚咽を繰り返した。
翌日。緑川博士によって進められていた、本郷猛の改造手術が完了する日である。その完 成を待たずして、死神博士は早朝、ヨーロッパ支部に向けて去って行った。緑川ごときが 造る最強改造人間など何するものぞという、彼のプライドの現れだったのかも知れない。 地獄大使は、とうの昔に東南アジア支部に渡っている。富士樹海の中に造られたショッカ ー日本支部のアジトは、大幹部クラスが不在になり、脱走にとってはまたとないチャンス であった。 本郷の脳改造が始まる直前、気分が悪いと言って席を立っていた緑川博士により、改造手 術室の主電源が落とされた。あわてふためく科学者たちがいなくなった隙をついて緑川博 士と本郷猛は天井を破って脱出。兵器保管庫に停めてあったスーパーバイク、サイクロン 号の前にたどり着いた。 里沙とは、ここで落ち合う予定だった。だが彼女の姿は、どこにも見当たらなかった。 「何をしてるんですか博士、早くここを脱出しないと!」 「…いや…深町くん…深町くんの姿が見えんのじゃ!」 「何ですって!? 深町…リサが、このアジトにいるんですか!?」本郷は驚いた。1月半前に 突如蒸発し、必死に探し回った最愛の恋人が、こんなところにいるなんて! 「そうじゃ。…君と同じ、改造人間になって…」 「リサが!? リサも私と同じ、改造人間になってしまったんですか!?」 「…すまん…わしのせいじゃ。わしさえしっかりしておれば、君も深町くんも、そんな身 体にならずに済んだのじゃ…」 その時、追手の足音が間近に近づいてくるのが聞こえた。 「いけない、博士! ここはとりあえず逃げましょう。リサは、後で私が助けに来ます!」 「わしはいいんじゃ。ここに…このまま置いていってくれ…」 「何を言ってるんですか博士! 博士がいなければ、誰がショッカーの野望を世界に対して 示せると言うんですか!」 本郷は博士とともに、サイクロンにまたがってアジトを逃走した。
里沙は、猛から逃避したのだった。猛に会いたい気持ちは変わりがない。けれども、この 1月半の間に、自分はあまりにも変わり果ててしまった。人をこの手であやめてしまった。 怪物たちとまぐわい、性の快楽に酔いしれてしまった。ゆうべも藍子が出ていった後、入 れ代わりに入ってきた蜘蛛男によって、朝まで何度も犯されてしまった。もう、猛には会 うことができない。私はもう、日の当たる場所には出られないんだ。もう、このままでい い。わたしはこれから、ショッカーの改造人間として生きてゆこう。里沙はそう考えて、 猛たちが脱出するはずの時刻には、別の任務を果たすためにアジトを離れていたのだった。 アジトに帰ってきた里沙は、猛と緑川博士が無事アジトを脱走できたことを知り、安堵し た。だが、同時に悲しい知らせも彼女を待っていた。 里沙の理解者であった、ラグーザ博士が服毒自殺をしていたのだ。さらに加えて、ゆうべ から姿が見えなかった緑川藍子が、兵器庫に続く通路でバラバラに破壊された状態で発見 された。猛たちが脱走した際の混乱に巻き込まれたらしい。藍子の頭部は大きく損傷し、 脳漿がはみ出ていた。里沙は藍子の亡骸を抱いて、後悔の念に苛まれて激しく泣いた。 翌日里沙は、本郷猛の追撃に向かった蜘蛛男と、緑川博士の死を知った。自分を辱めた蜘 蛛男の死は正直嬉しかったが、緑川博士の死は、里沙に大きなショックを与えた。このア ジトには、もはや里沙の味方はどこにもいなかった。里沙は独りぼっちになったことを悟 った。もういい。人間だった時の想い出は、すべて忘れることにしよう。これから私は、 蜂女として生きてゆけばいい。 蜘蛛男を倒した後、本郷は里沙を助けるために、富士樹海の中のアジトに再び戻ろうと試 みた。だが何度探しても、かつてサイクロンとともに脱出したルートを、再び見つけ出す ことはできなかった。 「リサ! きみは一体どこにいるんだ! 改造人間にされて、どんなに辛い思いをしている だろう! リサ! リサ!!」
それから里沙は、努めてアイグラスを装着し、蜂女としてふるまうことにした。今までは 極力一人でいる時にはアイグラスを外し、深町里沙としての自我を保つように心がけてい たのだが、不思議なことに今や自分の肉体が、自然とアイグラスを求めるようになってい た。アイグラスを着けていないと、不安で不安でたまらなくなるのだ。逆に蜂女の姿に変 身すると、大きな充足感と至福感が得られた。里沙はもう、眠る時も蜂女の変身を解かな くなっていた。そしてショッカー改造人間としてのマインドコントロールも、当たり前の ものとして受け入れるようになっていた。 里沙はそれから、ショッカー改造人間として、多くの悪事に荷担した。美女の顔に変身で きる能力を活かし、要人誘拐や暗殺、時限爆弾の設置などを次々とこなしていった。 「ウフフフフ。私はショッカーの改造人間・蜂女。愚かな人間どもよ、偉大なるショッカ ーの前にひれ伏しなさい! オホホホホホ!」 おりしも組織では、性慰安用セクサボーグの素体確保が大規模に行われていた。蜂女とな った里沙は残忍な悪意を持って、素体狩りに積極的に参加した。うら若き女性が改造され てゆくさまを見るのは、里沙の密かな喜びだった。女子校の観光バスをそのままジャック し、アジトまで連れ帰った。集められた女子高校生たちは選別され、特に容貌の優れた5 名がセクサボーグとして蜂女に改造された。残りの者は、戦闘員に改造されていった。 セクサボーグ蜂女は、蜂女=里沙の改造過程を大幅に簡略短縮化し、約6時間での改造を 可能にしたものであった。脳改造は行われず、その代わりに性交能力以外の力は与えられ ない、文字通りセックスのためだけに造られる、生きたダッチワイフであった。
セクサボーグの素体確保は里沙だけでなく、夜の営みの相手を求める男性改造人間たちに とっても、愉快極まりないゲームであった。ある日サラセニア人間が、人目惚れしたとい う女性を誘拐してきた。宮下雪絵というその女性は、改造されながら幼い弟の名をずっと 叫び続けていた。「やめて!お願い!健ちゃん!健ちゃーんッ!!」蜂女の姿に改造された 雪絵は、激しく泣きじゃくりながらサラセニアンの寝室へと連れられていった。 またある日、セクサボーグの素体としてさらわれてきた娘たちの中に、里沙は見知った顔 を認めた。緑川博士の次女ルリ子の親友、野原ひろみである。里沙は蜂女の変身を解いて、 ひろみに近づいた。「お久しぶりね、ひろみさん。」「あ…あなたは、深町里沙さん!」 「いいえ。私はもう深町里沙じゃないわ。私はショッカーの改造人間・蜂女なの。そして あなたも今から、わたしと同じ姿に改造されるのよ。ウフフフフフフ。オホホホホホホ!」 里沙はひろみの目の前で蜂女に変身した。恐怖におののきながらセクサボーグ蜂女に改造 されたひろみは、やがてカメレオン人間の妻となるべく、どこかに連れ去られていった。 こうして、本郷猛の脱走から、一月あまりの時が流れた。その間、正義の使者・仮面ライ ダーと名乗った本郷猛によって、アジトの改造人間たちが続々と倒されていった。いずれ、 自分も本郷猛に悪の改造人間として倒される日が来るのかも知れない。里沙は漠然と、そ んな不安を感じていた。 セクサボーグがひととおり男性改造人間たちに行き渡るとともに、彼らの里沙に対する下 卑た視線は徐々に和らいでいった。逆に里沙は、改造人間としての強い性欲に毎晩苦しめ られていた。蛇姫メドーサとなった綾小路律子は、その後コブラ男をツバメのように扱い、 よろしくやっているらしいが、里沙はとてもそんな気にはなれない。彼女の中では、未だ に本郷猛の存在が大きな位置を占めていたのである。
ある日、どうしても耐えられなくなった里沙は、一目だけでいい、猛の元気な姿を見よう と、彼が住んでいるマンションのそばにやって来た。アイグラスをはずし、季節はずれの コートをまとって、路地陰に隠れた彼女が見たのは、一人の少女と仲睦まじく歩く猛の姿 であった。 「じゃあルリ子さん、ここで。」「気をつけてね、猛さん。」 その少女の姿に、里沙は見覚えがあった。緑川博士の次女、藍子の3歳年下の妹である、 緑川ルリ子であった。 里沙の心に、複雑な感情が渦巻き始めた。一方では、もはや人間の世界には戻れない自分 を忘れて、新しい仲間を見つけた猛を祝福したい気持ちがあった。ルリ子は一人っ子の里 沙にとって、言わば妹のような存在であった。そのルリ子になら、猛を託すことができる。 悲惨な最後を遂げた父・緑川博士や、姉・藍子に代わって、ルリ子には幸せになって欲し いと里沙が願っていたのは確かだった。 だがその一方で、自分も藍子も改造されてしまったというのに、一人だけ人間の身で幸 せそうにしているルリ子に対して、嫉妬の感情を覚えたのも間違いない。この娘にも、自 分と同じ苦しみを味あわせてやりたい。そういう残忍な気持ちが、里沙の中で少しずつ頭 をもたげていった。その邪悪な感情こそ、ショッカーの蜂女としてふさわしいものだ。い っそこの娘を誘拐し、科学陣に引き渡してやろうか。 だが、里沙はルリ子をその場でさらうことはしなかった。改造人間である里沙は、人間の ルリ子に対して優越感を抱くことができたからだ。ルリ子がいくら猛を愛したとて、改造 人間である猛は、ルリ子を抱くことはできない。もしも抱けば、彼女は壊れてしまうだろ う。でも自分なら、猛と同じ改造人間である自分なら、猛と愛し合うことができる。その 優越感が、この時は里沙をしてルリ子を見逃さしめたのだった。
本郷猛は、夜眠りにつくと、決まって改造手術の悪夢に悩まされていた。手術台に縛られ た自分に向かってくる、幾つものメスや手術器具。絶叫しながら目を覚ましたことも一度 や二度ではない。 それと同時に、猛は里沙が改造されてゆく悪夢も見た。泣き叫びながら、猛から引き離さ れてゆく里沙。手術台に縛られ、無理やり改造されてゆくその華奢な肢体。必死に猛に向 かって手を伸ばし、助けを求める里沙の顔。 「リサァアアアッツ!!」 猛は飛び起き、必死で里沙の腕を掴もうとした。気がつくと、猛の手は本当に何物かを掴 んでいた。その物は…。 「…リ…サ?」 それは、本当に里沙の腕だった。マンションの猛の部屋に忍び込み、その寝顔を覗き見た 里沙の腕を、夢にうなされた猛が掴んだのだった。 「リサ、本当にリサなんだな。生きててくれたんだな。本当に…本当に良かった…」 猛は里沙の手を両手で被ったまま、感極まって涙をこぼし始めた。 里沙は動揺していた。せめて寝顔を見るだけでいいと思っていた。まさか、猛が本当に目 を覚ますとは思わなかったのだ。「見ないで!」里沙は、猛の手を乱暴に振りほどいた。 そして、自分の身体を見られまいと物陰に身を隠した。「どうしたんだ、リサ!」 「見ないで! わたしの身体を見ないで! …お願い!」 里沙は必死で、改造され蜂女となった自分の姿を隠そうとした。「…わたしはもう、人間 じゃないの! ショッカーの改造人間、蜂女なのよ!」 「それがどうしたって言うんだ。」本郷は優しい声で呼びかけた。「僕だって、改造人間 だよ。」 「違うの! .違うのよ!」里沙は首を激しく振った。「わたしは、この手で人をあやめて しまった。この身体も汚されてしまった。わたしはもう、普通の人間の世界に住むことは 許されないのよ!!」
里沙の瞳は、涙で濡れていた。猛は彼女の涙を指でそっとぬぐい、そしてささやいた。 「そんなことは関係ないよ。君がどんな姿に改造されようが、悪の手先として操られよう が、君は今でも、僕の大切なリサだ。君を愛する僕の気持ちは、今でも変わりは無い。」 そして猛は、蜂女に改造された里沙の身体を、隅々までじっと見つめた。濃いブルーのボ ディを、背中に生えた4枚の羽根を、そして黄色と黒の同心円模様の、双つの蜂の乳房を。 「…きれいだよ、リサ。とても、とてもきれいな身体だ。」 「あ…あ…ワアッ!!」里沙は猛の胸に身を投げ、大声で泣きじゃくった。激情に流される まま、猛に身を預けてワンワンと泣いた。猛は里沙の身体をやさしく抱きしめ、そして里 沙の唇に、熱い口づけを交わした。「ん…ん…んッ」 そのまま二人は、ベッドに倒れ込んだ。二人はお互いの身体を激しく求め、ひとつにから まり合って愛し合った。言葉は何もいらなかった。彼らは二人だけの世界で狂おしく交わ り合った。お互いのすべてを求め合い、奪い合い、そしてすべてを与え合った。そしてひ とつに結合したまま、猛は自分の愛情のすべてを、里沙の体内に放出した。里沙も、全身 全霊でそれを受け止めた。 気だるい身体を横たえながら、里沙は自分の胎内に注ぎ込まれた熱い粘液が、身体の隅々 まで広がり染み込んでゆく幸せをかみしめていた。 「リサ…このまま二人で生きよう。ショッカーから離れて。今からでも遅くない。どんな 身体になっても、君はリサだ。僕だけの大切なリサだ。」 「猛…ありがとう…。私も…あなたと一緒に生きてゆきたい。もう一度やり直せるのなら …あなたといつまでも一緒にいたい!」 「リサ…愛してるよ。」「わたしもよ…猛。」 猛は里沙の身体を背中から抱きしめ、二人はそのまま、深いやすらぎの眠りへと落ちてい った。
里沙は、ふと目を覚ました。何かが…何かが足りない。里沙は自分の額に手を当てた。そ うだ、アイグラスだ。アイグラスが欲しい。どうしても身につけたい。蜂女にならなきゃ いけない。私は深町里沙であってはいけないんだ。私は、ショッカーの蜂女なのだ。それ 以外の者であってはならないんだ。 里沙はベッドから転げ落ち、床を這いずりながら必死でアイグラスを探した。ああ、アイ グラス! わたしのアイグラス! わたしを蜂女に変身させてくれる、愛しいアイグラスは どこ!? うんうんとうめきながら床を這い回る里沙に、猛が気付いて起き上がった。「リサ!? いっ たい何をしているんだ!」 「蜂女に…蜂女になりたい! 変身…変身しなきゃ! わたしは…蜂女。偉大なるショッカ ーに改造していただいた、大首領の忠実なるしもべ、蜂女!!」 里沙は、脱ぎ捨てたサッシュのわきに、アイグラスが転がっているのを見つけた。「あった!」 「どうしたんだ! リサ! まるで麻薬中毒患者のようじゃないか!」 猛の言葉に、里沙はハッとなった。思い当たるふしがあったのだ。思えば、あの性交実験 の時から何かがおかしかった。アイグラスを身につけるごとに、快感が広がってゆき、は ずすと喪失感に襲われるようになったのだ。里沙は目の前が真っ暗になった。このアイグ ラスに、何かの仕掛けが施されたのだろう。私はもはや、アイグラス無しでは生きてゆけ ない身体になっているのだ。そしてアイグラスを着けたら最後、わたしは身も心も、ショ ッカーの悪の改造人間になってしまう! 里沙は煩悶した。介抱する猛の声も、もはや届かなかった。必死で、アイグラスを着けよ うとする内面の欲求と闘った。だが、それが限界だった。 里沙は猛を振りほどき、アイグラスを装着した。「変・身!」 とたんに里沙の肉体は、妖艶なショッカー改造人間・蜂女に変貌していた。 「本郷猛! わたしはショッカーの蜂女。今に必ず、裏切り者のあなたを処分します!」 「リサっ!!」 里沙、いや蜂女は、猛に捨て台詞を残すとマンションのガラス窓を破って、いずこともな く去っていった。
里沙は、自分がもう、二度と人間の世界には戻れないことを悟った。自暴自棄になってア ジトに戻った里沙は、科学者に頼んでアイグラスを自分の顔に固定してもらった。もう二 度と、里沙の愛らしい顔に戻ることがないように。里沙、いや蜂女は覚悟を決め、ショッ カーの改造人間としての悪事を積極的にこなそうと決心した。 ショッカー首領から蜂女に対し、毒ガス製造工場のチーフとして、労働用人間の確保をす るよう命令が下った。科学陣が蜂女に対し、彼女の羽根から発する超音波を受信して人を 操る、特殊なメガネが提供された。蜂女は戦闘員の一人に影村という名を与え、メガネ店 の店長に仕立てた。メガネを買った客を超音波で操り、地下工場に導いて作業員にするた めだ。 それと同時に、蜂女は本郷猛を何とかして、自分のアジトにおびき寄せようと考えた。メ ガネで操られる客の一人を、わざと本郷の通り道で彼と出くわすように仕向けた。案の定、 本郷はメガネ秘密に気がついた。これでよい。本郷猛はきっと、このアジトにやって来る。 だが意に反して、メガネ店の調査に来たのは緑川ルリ子だった。まあいい。この娘を囮に 使おう。蜂女はメガネを買ったルリ子を超音波で操り、アジトに導いた。のこのことやっ て来たルリ子を見て、蜂女の頭にあるアイディアが浮かんだ。蜂女は影村に指令を出した。 「いい? 本郷は必ずお前の後をつけてアジトにやって来るわ。わたしが命令するまで、閉 店せずにメガネ店で待機していなさい!」 そして蜂女は、科学者たちを呼び寄せた。「この娘を、わたしと同じ蜂女に改造しなさい。 ただし変身スイッチを忘れずに。どれくらいかかるかしら?」「ノウハウが確立していま すから、6時間もあれば充分です。」 蜂女は、目の前でルリ子が改造されてゆくのを、残忍な気持ちで眺めていた。だがそれは、 単に本郷とルリ子を苦しめたいという気持ちだけだったのだろうか? 人間女性を抱くこと ができず、常に性欲処理に困っているだろう本郷に、生涯の伴侶を作ってやりたいという 気持ちも無かったのだろうか?それは、蜂女自身にもわからなかった。
6時間後、無事にルリ子の改造手術は完了した。「ご苦労でした。で、変身スイッチは注 文の場所にセットした?」「もちろんです。この娘のクリトリスが変身スイッチになって います。変身前は全身が人間の姿ですが、クリトリスを刺激して、性的エクスタシーが極 限に達した時、この娘は自動的に蜂女に変身するでしょう。」「よし、いいわ。で、変身 解除スイッチは?」「肛門の中にあります。このスイッチを押さない限り、決して人間の 姿に戻ることはできません。」 蜂女は満足した。人間の姿になったルリ子に元どおり服を着せ、蜂女は失神したままのル リ子にささやいた。「あなたは自分でも知らないうちに、我々ショッカーの一員になって しまったのよ・あなたは本郷猛にとって、獅子身中の虫。いつか役に立ってもらうわ。」 蜂女からの指令でメガネ店を閉店した影村の後を追って、本郷猛がガス地下工場に誘い込 まれた。本郷はガス室の人体実験を目撃し、捕われの人々を解放しようと試みた。そこに、 満を持して待ち構えていた蜂女が現れた。 「リサ…リサなのか? どうしてこんな非道いことをするんだ!」 「毒ガスがどうしてもいるのよ。世界征服のために!」 その言葉で、本郷猛は里沙が身も心も完全に、ショッカーの手先になってしまったことを 悟った。「そうか…そしてお前が工場長ってわけか。」 蜂女は、影村に人質に取られたルリ子を指差した。「本郷猛。この毒針の注射を受けなさ い。この人質の命と引き換えにするのよ。でも、あなたを殺すわけじゃない。」 蜂女の声が、急に優しいものに変わった。 「麻痺させて、あなたを完全な改造人間にするためよ。そしてショッカーのしもべとして、 わたしのそばにいつまでも、一緒にいてもらうわ。」
本郷は悲痛な思いにかられた。だがルリ子を救うために、彼は甘んじて毒針を受けた。 「うッ!ううう…うう…」 蜂女は、これで本郷猛が自分のものになったと信じた。 だが自力で拘束を脱した本郷は、隙を見てアジトの中で大暴れを始めた。 蜂女は落とし穴のスイッチを入れた。「うわッ!」 だが本郷は落下時の風で仮面ライダーに変身し、蜂女にライダーキックを見舞おうとした。 “やられるッ!”蜂女は覚悟を決めた。 だがどういうわけか必殺のキックは、蜂女の肩を少しかすめただけだった。 衝撃で倒れ伏した蜂女を尻目に、仮面ライダーはルリ子や人質を連れてアジトから逃走した。 「なぜ…なぜ、わたしを殺さなかったの?」 本郷猛に逃げられた蜂女の八つ当たりは、戦闘員影村に向けられた。 「こんどのことは、せっかく捕らえた本郷をみすみす逃がしたお前の責任よ!」 「畜生!お前だって失敗すれば…」 「えいッ!」蜂女の毒針を受けた影村は、黄色い液体になって消えてしまった。 蜂女は、もはや本郷が自分のものにならないことを悟っていた。万策尽きた蜂女は、最後 の作戦を実行することにした。 「ウフフフフフ。計画があるからこそ、あの娘を返してやったのよ! オホホホホホ!」 こううそぶきながら、蜂女のマスクの下は、いつしか涙で濡れていた。
蜂女の音波で操られるイヤリングを着けたルリ子が、本郷のコーヒーに毒薬を入れた。案 の定、本郷は事前にそれに気付き、イヤリングが受信している超音波の存在にも気がつい た。これは予定通りだった。元より、毒薬などで改造人間が倒せるはずがない。イヤリン グに気付かれても、蜂女は超音波を発することをやめなかった。本郷猛が、超音波をたど って自分の元に来てくれることを期待して。 蜂女が決戦の地として選んだ造成地に、超音波に導かれて仮面ライダーがやって来た。蜂 女は、自分の配下の戦闘員たちに闘う命令を下した。自分のボディを見つめる下卑た目に 我慢がならなかったため、無理やり去勢した自分専用の戦闘員たちだ。 だが戦闘員ごときの力では、ライダーに敵うはずもない。あっという間に戦闘員たちは全 滅し、ライダーは持っていた剣を投げて、木の影に隠れていた蜂女の羽根を一枚もぎ取っ た。 「うう…う」羽根を奪われた激痛に苦しむ蜂女。「リサ! もう終わりだ。君は傷ついても う闘えない。早く、どこかに去るんだ!」 蜂女は渾身の力をふりしぼって、レイピアでライダーに斬りかかった。「えい!」 「やめろ! リサ! やめるんだ! 君とは、君とは戦いたくない!」 蜂女の攻撃に、やむを得ず応戦する仮面ライダー。だがライダーはふと、緑色の複眼状カ バーに覆われた蜂女の目に、涙がいっぱい溢れていることに気がついた。“リサ…きみは!” 互いの剣を打ち重ねながら、蜂女はライダーに、こうささやいた。“…わたしを、殺して!”
“ばかな! リサっ!”“…あなたと一緒にいられないのなら、いっそあなたに殺されたい。 早く! わたしがこれ以上の悪事に手を染める前に、わたしを、殺して!” 激しく剣を交わしながら、蜂女はマスクの裏側で激しく泣いていた。そして、それと闘う本 郷猛も、ライダーマスクの裏側で絶叫していた。 “…どうして、どうして俺たちが、闘わなきゃならないんだ!!” ライダーの剣が、蜂女の剣をはじき飛ばした。“さあ、早く! わたしを殺して!” 仮面ライダーは、覚悟を決め、涙をかみしめながら叫んだ。「蜂女! お前みたいに人間の 自由を奪い、平和を乱す奴は、断じて許さん!!」 蜂女も、ショッカー改造人間の矜持を込めて、こう応えた。「何を小癪な! 来るか!」 溢れる悲しみを乗り越えて、ライダーは、高くジャンプした。“リサ! 許してくれッ!!” 蜂女は両手を広げ、キックを身体で受ける体制を取った。 “さあ、来て、猛。愛してるわ。今でも、愛してるわ。” 「ライダァーッツ! キイィーーーッック!!」 必殺のキックは、蜂女の胸めがけて炸裂した。かつて彼女の、血の通った心臓があった位 置に。 「キャアアアアアアアーーーーーーーーッッ!!!!」 蜂女は崖を転がり落ちた。そして、黄色い液体になって消えてしまった。 消える直前に、蜂女の顔が、確かに微笑んだ。 “ありがとう…猛…ありがとう” ライダーは、天に向かって絶叫した。「リサあぁぁーーーーーーッッッ!!!!」
緑川弘博士の墓標と並んで作られた、もうひとつの新しい墓標。本郷猛と緑川ルリ子はそ こに花を供え、長々と祈りを捧げた。 「可哀想な…人。」 「ああ、運命がもう少し違っていたら、こんなことにはならなかったはずだ。」 深町里沙の墓には、遺体は眠っていない。蜂女は屍体を残さずに消えてしまったからだ。 代わりに墓の中には、本郷猛との記念の写真が眠っている。 本郷は、里沙の墓に誓った。“リサ。君のような被害者がこれ以上出ないよう、俺はこれ からもショッカーと闘う。そしていつか、君の墓の前に、ショッカー壊滅の報告をしにく るよ。” 「さあ、行こうルリ子さん。おやっさんたちが待っている。」「ええ、猛さん。」 二人は並んで歩きはじめた。だがルリ子の身体に施された、新たな悪夢の火種のことは、 二人ともまだ知るよしもなかった。 (おわり)
・・・ これで元祖ショッカー蜂女の改造SSは終了です。合計58レス。とんでもない長さになって しまい、またスレッドが途中で新しいのに変わってしまったことを、心からお詫び申し上 げます。 新スレへの移行に伴い、旧スレはDAT落ちの運命を目前にしていますが、スレをまたがせ てしまった責任を取って、ログ保存は漏れが何とか行いたいと思います。 (漏れのSS保管サイトにでも貼り付けます) また319氏の、まだまとめサイトに入っていないSSについても、何とかさせていただきたい と思いますので、よろしくお願いします。 そうそう。このショッカー蜂女SSですが、本文中に死神博士や大首領の本名など、平Pの 設定を流用させていただきましたが、細部はかなり異なっています(わざと変えてます)。 ですから、そのあたりもあまり厳密に取られずに、鷹揚な気持ちで読んでいただければ助 かります。 長文お目汚し、失礼いたしました。
43 :
BeeFreak :04/10/26 07:25:03 ID:tY0yCbgD
44 :
名無しより愛をこめて :04/10/26 20:49:48 ID:WLKyy4us
新スレ誘導あげ
>BeeFreakさん 乙です。今回も素晴らしい!! 改造描写もさることながらショッカーの設定の現代的アレンジが秀逸ですね。 こんな描写で1号のリメイクが見たい・・・ 各所にはさまれた小ネタにもニヤリとさせられました。
46 :
BeeFreak :04/10/26 23:22:48 ID:HgUrYQcM
昨晩は、スレまたぎという失態をしでかしてしまい、申し訳ございませんでした。
325氏のように、毎日少しずつUPしてゆくという方法を取れば回避できたと思うのですが、
なにぶん書いたものを寝かしておくということができない性分なもので(新しい設定を思
いついたら、古いのをどんどん破棄する癖があるのです)、こういうことになってしまい
ました。本当にすみません。
せめてものおわびに、前スレに掲載されたSSが迷わないよう処置させていただきます。
全ログ保存に続き、まだまとめサイトに入っていない319氏の作品(不良女子高生編)を
含めた、319氏、325氏の作品をまとめて漏れのサイト内に新たな倉庫を作り、移管させ
ました。
http://artofspirit.hp.infoseek.co.jp/other_ss/ ただ、無料サイトなのでどうしてもページの上下に広告が入ってしまい、妙な画面になっ
てしまってます。お許し下さい。
>>45 さん
ひたすら長いだけのSS、お褒めいただきありがとうございます。
小ネタというか、以前からよく話題になる「なんでサイクロンに立花レーシングチームの
エンブレムが最初から貼ってあったのか?」などの疑問を、一気に解決しようと色々詰め
込んでみました。禿しく消化不良気味ですが。
ただ、自分で読み返してみると当初テーマにしていた、揺れ動く「オンナゴコロ」が今イ
チ描けてなくて、歯がゆい思いでいっぱいです。読後の印象がエロショッカーしか残らな
いようで申し訳ない…。
以後精進を続けるつもりですので、SSの希望テーマ等ありましたら、お知らせいただけ
ればありがたいです。
BeeFreakさん、新しいスレお疲れ様です。 また私の今までのSSを保管してくださりありがとうございます。 今のSSも続編をここに貼り付けていきたいと思います。 後前スレの782さんや785さん、つまらない話で申し訳ありませんがもう少しお付き合いください。私はあらゆる面でセンスがないもので。 正直言うとこれが私のSSの限界点なんです。これ以上のものを作ると言うことは今の私では無理ですね。 まあ今のSSが完結したら私はまたしばらく断筆しますのでそれでお許しいただければと思います。 それではこれからもよろしくお願いします。 あ、後私もそろそろ独自のペンネームを持とうと思います。次回以降はそのペンネームを使用したいです。
48 :
BeeFreak :04/10/27 00:14:56 ID:zrsrxV6H
>>47 319さん、新スレ移動乙です。SSを順次UPされている矢先での新スレ移行となってしまい、
大変ご迷惑をお掛けいたしました。申し訳ございません。
そうそう、タイミングを逃してしまって遅レスですが、前スレ
>>772 にて拙SSに感想をい
ただき、ありがとうございました。
正直、漏れのSSは鬼畜系なので、319さんのご趣味には合わないと思っていただけに、驚
くと同時に嬉しかったです。
前スレ782氏や785氏の発言を気にされているようですが、人の好みは色々。建設的な批
判でないただの煽りなど、何も気になさることはないと思います。
断筆などと悲しいことをおっしゃらずに、どんどんUPされることを期待しています。
それでは、続きのUP、よろしくお願いします。
49 :
名無しより愛をこめて :04/10/27 02:31:03 ID:vAxMyH7s
BeeFreakさん、「真・蜂女物語」堪能させていただきました。 素晴らしい出来だと思います。 特に生体と機械化という二段改造(?)には萌えました。 しっかりと本編の展開を踏襲し、アレンジされた後半の展開にも驚かせれました。 特に愛するものと戦わなくてはならないヒロイン・蜂女の悲しい姿に胸を打たれました。 そして、苦痛の中で巨大な蜂と合成されてしまった深町里沙さんには、今までに無い魅力を感じます。 誰かモデルがいるのでしょうか? 彼女が蜂女に変身した姿が無性に見たい漏れです。
50 :
名無しより愛をこめて :04/10/27 03:17:52 ID:vAxMyH7s
BeeFreakさん、「真・蜂女物語」堪能させていただきました。 素晴らしい出来だと思います。 特に生体と機械化という二段改造(?)には萌えました。 しっかりと本編の展開を踏襲し、アレンジされた後半の展開にも驚かせれました。 特に愛するものと戦わなくてはならないヒロイン・蜂女の悲しい姿に胸を打たれました。 そして、苦痛の中で巨大な蜂と合成されてしまった深町里沙さんには、今までに無い魅力を感じます。 誰かモデルがいるのでしょうか? 彼女が蜂女に変身した姿が無性に見たい漏れです。
51 :
名無しより愛をこめて :04/10/27 04:21:14 ID:vAxMyH7s
>>50 ミスってWっちゃいました。
皆さん、どうもすみません。
BeeFreak さま この調子で2号編も拝見したいのですが…
色々ご迷惑をお掛けしたショッカー蜂女SSですが、意外と好評なようで何よりです。
>>50 さま
ありがとうございます。そういうお褒めのお言葉のひとつひとつが励みになります。
里沙ちゃんがお気に召されたようですが、残念なことに漏れの書くキャラは常に、複数の
元ネタのゴッタ煮なもので、里沙ちゃんにも特定のモデルというのはありません。
「彼女が蜂女に変身した姿が無性に見たい」とのことですが、漏れ的にはそれは、TVに
登場した岩本良子版蜂女がそうなんだと割り切っています。
でも、里沙ちゃんは86-52-87のモデル体形でしたよね。岩本女史は80-62-80(予想w)の
純日本人体形なので、それが違いと言えば大きな違いでしょうか。(大き過ぎる?)
せっかくのリクエストなので、里沙ちゃんというわけではないのですが、手描き&コラの
ヘタレ画像ではありますが、以前こっそり造っておいた《モデル体形の蜂女》の画像をサ
イトに貼っておきます。
http://artofspirit.hp.infoseek.co.jp/wallpaper.jpg コラが混ざっているため数日で消すつもりなので、閲覧される場合はお早めに。
>>52 さま
「2号編」? 一文字ライダー編ということでしょうか?
でも一文字編には、あまり萌えられる女怪人はいませんよね。川本浩太少年の目撃した宇
宙人が、実は少年の高校生の姉が改造されたクラゲダールだった、とかなら書けますが。
でも、女怪人なら本郷編の方が魅力的なように思います。
滝和也×バラランガのロマンスとか、アンチショッカー同盟の石神千恵がゲルショッカー
に改造されて、ドクバラアゲハとかにされてしまうとかの方が…。
あ、ひょっとしたら52さんは女怪人関係無しに、現代風ショッカーの一文字編を見たいと
おっしゃってるのかな? でもそれでは確実にスレ違いになっちゃいますよね。
とりあえず、ご希望が良くわからないので、更なるご意見をお待ちしたいと思います。
BeeFreak 様 いや、このムードの話のままで続編を書いて、それに一文字や滝も出して欲しいな、 というだけで、ストーリに関しては、BeeFreakさんのお好きな話で結構です。 でもそうなったら、スレ違いになる可能性の方が高いか。
>>54 ああ成る程。でも書くからには何らかの山場を最初から設定しておかないと、
そのままダラダラ書き続けるというのは難しいです。
何らかのモチベーションを持てるテーマが見つかればいいのですが。
(ゾル大佐を出していないので、それ絡みかな?)
…とりあえず、もうしばらくお待ち下さい。
319氏や325氏の作品にも期待したいし。
BeeFreakさん 色々お心遣いありがとうございます。 それにしてもあなたのSSには感服させられます。あの頃の日本の思想背景、緻密な改造シーンに人物描写、すべての面において私の及ぶところではありません。 私のSSは勧善懲悪をベースにしているのでその分だけ改造シーンなどがあらが目立つものになってしまいます。 まあ私は私でSSの続きを完成させていきたいと思います。 それとまだペンネームが決まりませんので暫定的に前スレの319とさせていただきました。
それともう一つ。
今
>>46 に掲載されたSS保管サイトをのぞいたのですが私の今のSSが一部欠落しています。
具体的には前スレの772に書き込んでおいた部分です。
後の処置よろしくお願いします。
>>56-57 319 さま。分不相応なお褒めの言葉をいただき恐縮です。
でも漏れのSSは、元来の萌えポイントが狭いのを色んな要素で装飾して誤魔化している
だけなんですよ。短いSSだとアイディア勝負になるのですが、漏れのような長いSSは、
どうしても装飾部分に目が行ってしまうので、ハッタリで得をしているところがあります。
実は装飾部分も、精緻に読むと結構無茶苦茶なことを書いてます。あまり真面目に受け取
られない方がよろしいかと…。
今回の319さんのSSは、「勧善懲悪」の「悪」の部分が分散してしまって、損をしてる
ところがあるかも知れませんね。「悪人」であっても少しはみじめったらしく同情を呼ぶ
ようなところを見せると(例えばひなのの父親)、物語に厚みがでるんじゃないかなと思
います。それとあと、改造の描写がもうちょっと、ねちっこければ嬉しいんですが…
でもまあ、319さんには319さんの方法論があると思いますし、とりあえず現在のSSの
完結を待たせていただきたいと思います。偉そうなことを書いてしまって、すみません。
あ、それからSS保管サイトに取りこぼしがあったとのこと。
大変申し訳ございませんでした。
直しておきましたので、ご確認いただければ幸いです。
それから、こないだは慌てていたのでついうっかりしていたのですが、SSを漏れのサイ
トに勝手に移管してしまったので、前スレでせっかくまとめサイトを作って下さった628
さんには、ちょっと悪いことをしてしまいましたね。
遅くなりましたが、改めてお詫びを入れさせていただきます。申し訳ありませんでした。
59 :
名無しより愛をこめて :04/10/29 07:32:21 ID:vRg7ekHV
BeeFreakみたいにストーリー仕立てになってなくてもいいから、 美女の改造シーンだけをもっともっともっと読みたい。 それから、改造シーンの萌えるイラストも見たい。 誰でもいいからどんどんうPしてくれぇー!!
60 :
名無しより愛をこめて :04/10/29 08:15:21 ID:Pdt0aS6L
DeepLoveドラマ見ました☆映画とゎまた違った感じで凄く新鮮な感じがします。 私ゎ去年の夏まで売りをしてぃました。私の場合ゎ下着を売ってぃて最終的にヤクザに ホテルに監禁され回されるとぃぅ結果になりました。 一緒に売りをしてぃた友達も巻きぞぃにしてしまぃ友情を失ぃました。 警察の手にょって2人のぅち1人の犯人ゎ逮捕されました。 でも私にゎ罪悪感がまだ残ってるままです。売りをゃってる頃からDeepLoveゎ知ってた。 今でも援をゃってる人ゎぃます。一刻も早く辞めて欲しぃ。 DeepLoveを通して分かって欲しぃです。 こういうのをDQNというのだニダ。合掌。
>>59 こんな長文連投する池沼がいるスレに誰が良質なネタを投下するかバカ
3か月前に319氏がSSを投下し始めるまでは、1年半で300レスしか進まない
超過疎スレだったわけだから、現在の盛り上がりはこれはこれで喜ばしい。
それ以前に、
>>61 はネタなどはなから持っていない罠。
わかった、作家気取りの連中をおだてて1000まで書かせれば良いのだな?
前スレの319氏の作品って見たけど、ファイターFの続編ははっきり言ってヒーローのほうが鬼畜に思えた。 石川怜のほうがなんかかわいそうに思えてきたな。最後は仲間に裏切られて首領からも見捨てられ挙句の果ては死後も主人公に足蹴にされるとは。
☆ チン マチクタビレタ-
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・)<
>>319 さん、天野千鶴タンの改造 マダー?
\_/⊂ ⊂_)_ \___________________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| |
| 改造手術台 .|/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
69 :
PRIME :04/10/30 01:35:35 ID:xpYjaZxW
どうも、前スレの319改めPRIMEです。これからはこのペンネームで行きます。どうぞよろしく。
>BeeFreakさん
今回のSSは確かに「悪」の部分が分散してしまっています。その理由の一つとしては悪女が多いことだと思います。
ひなのが改造された後、手下の不良少女、そして暴走族の少女たちも改造されました。その結果女の子が多すぎたため全体的にぬるい描写になってしまったと思います。
改造シーンにしても325さんの改造シーンをパクッただけそれもオリジナルより粗悪なものになってしまいました。まあ私は高校時代理科が2で生物学に詳しくないということでご勘弁願いたいと思います。
ひなのの両親、そして手下の不良少女や暴走族の少女たちはこの後も出演させる予定です。
後悪人に同情を持つシーンですが、同情される悪人になってしまっては私の筆先も鈍るのでそれはご容赦ください。あくまでも悪人は憎々しくなければいけないというのが私のポリシーなんで。そのほうが殺しやすいですからね(^^;。
このSSも半分は過ぎてしまいました。色々異論はあると思いますが、何とか完結まで持っていきたいです。
どうぞよろしくお願いします。
>>68 さん
申し訳ありませんが、天野千鶴の改造シーンはありません。あくまでも私は「悪女改造」がメインなんで。善良な女の子は改造しない、するとしても正義のために改造するというのがポリシーなんです。
その代わりといってはなんですが、悪女の改造シーンならいくらでも書かせていただきます。
>>68 さんはどんな悪女を改造して欲しいですか?もしそういう希望がありましたらぜひリクエストしてください。
70 :
68 :04/10/30 01:53:06 ID:+LmcITsq
>>69 >
>>68 さんはどんな悪女を改造して欲しいですか?
平民を見下している、傲岸不遜なお嬢様をキボンヌ。取り巻きの女たちも込みで。
319氏、「悪女」改造以外の改造ネタもキボンヌ それ以外書きたく無いってなら無理強いはせんけど…
前スレでのPrime(319)氏と325氏のコラボに感動したクチなので、またそういうのを見たい。 善良な人間が改造される部分を325氏、悪へのお仕置きがPrime氏というのはどうかな? 325氏がずいぶんご無沙汰だけど、おそらく「イナズマンF」のファンだとお見受けされるので (ファイターFとか隼五郎(←渡五郎?)とかのネーミングだけでなく、そのハードな雰囲気が) もし再登場していただけるなら、『改造されたレッドクイン』もの、なんてのを期待したい。 悪の組織への復讐のために、あえてその組織の一員となり改造手術まで受ける。 組織に忠誠を誓うフリをして心の底では復讐のチャンスを狙っている、というような話。 デスパーシティの設定も取り入れるならば、組織内にはそういうレジスタンスが複数名いて、 裏切り者もいれば、その裏切り者に対する鉄の制裁も存在する、というのもいいかも。 あ、でもヒーローとの交感によって自分を取り戻す(蝶とギロチン花地獄作戦とか)と 言うのも捨てがたいしなあ。とりあえず希望だけ書いておきますので、チャンスがあればぜひ 325氏には新作のご執筆をたまわりますよう、お願いしますですm(__)m。
みんなのんびりSSのうpを待ってないで、特撮番組の中に登場した 女性改造シーンのデータベース作りでもやらないか? 皆で情報を持ちよれば、かなり有用なのができあがりそうな気がする。
>>73 せっかくの情報も長文SSの連続うpで、あっという間に流れてしまうヨカーン。
>>74 だったら専用のまとめサイトを作ればいいじゃん。
76 :
名無しより愛をこめて :04/10/31 14:53:54 ID:EfSC/LFb
age
77 :
PRIME :04/11/01 02:12:04 ID:EdzPM3Ty
長い間筆を休めていましたが、明日以降随時SSの続きを貼り付けたいと思います。
この休んでいる間色々考えました。今のSSは改造シーンとかに萌えが少ないというのは私も認めます。
しかし今回は改造される人間の悲劇性には余り重点を置かず、ひたすら明るい勧善懲悪を目指しその過程の中で改造シーンが組み込まれているという風にご理解いただきたいと思います。
つまり勧善懲悪が第1のテーマで女性改造は第2のテーマということです。ここのスレの皆さんにはご不満のことと思いますが今回はそういうことでどうぞお許しください。
なお、
>>68 さんが改造素体となる悪女のモデルを希望されましたが、他の方にも改造して欲しい悪女をリクエストして欲しいです。
全部できるとは限りませんが、こんな悪女を改造して欲しいという案がございましたらどんどんリクエストしてください。
前スレ「女子高校生位の子が改造されるシーン」、DAT落ちしたね。
80 :
名無しより愛をこめて :04/11/02 14:29:56 ID:4W9jcn01
乳改造! 股改造! 尻改造!
>80 お前ショッ〇ー婦人部荒してるキチガイだろ。
82 :
前スレ325 :04/11/02 23:22:04 ID:R60wQNLC
>>77 えー、確かに小生「イナズマンF」や「仮面ライダー」最初期を念頭に駄作を描き込みさせて
いただきましたが、319さんがより洗練された形で「後期ライダー」風にまとめて
下さいましたので、今更あの雰囲気持ち込むのもどうかと思うところです
>>82 325さんは325さん、319さんは319さんの雰囲気があっていいと思うので、
「今更あの雰囲気を・・・」などと悩まれず、ぜひ新作のUPをお願いします!
私、325さんのあの作風のファンです!
84 :
PRIME :04/11/03 01:06:35 ID:pUXe/+se
>>前スレの325さん 私の前のSSはそんなに洗練されているとは思えません。 私はただ単に自分の妄想を貼り付けているだけですのでそのような過分なお褒めの言葉をいただき恐悦至極です。 ただあのSSはあれでよかったのかなという思いもあります。なんか私のわがままで325さんの重厚な雰囲気を壊してしまったような気がするのです。 例えば009号の最期。あれにしても325さんの考えられた結末からは大分外れたように思うのです。その点がかなり気になっています。 まあ私も私のポリシーに基づいたSSを貼り付けます。325さんも気が向かれた時にお好きなSSを貼り付けられることをおすすめします。 お互い頑張りましょう。
85 :
PRIME :04/11/03 01:46:26 ID:pUXe/+se
それでは久しぶりに続きを行きますか。 女性だけの暴走族「紅蜥蜴」のメンバーを戦闘員に改造したローズジャマーは首領に新たに誕生した戦闘員を見せる。 「首領、ご覧下さい。新たな女性戦闘員が手に入りました」ローズジャマーは得意げに首領に報告する。 暴走族を改造しただけあって女性戦闘員たちは皆凶悪な面構えである。 「うむ、なかなか我がジャマーにふさわしい者たちだ。我がジャマーはこれまで女性戦闘員が少なかった。お前の働きは我がジャマーに多大な貢献をしている」首領は上機嫌で言う。 「だが、まだまだ足らぬ。もっと女性戦闘員が必要だ。お前は白百合女学園の生徒だったな」首領が言う。 「はい。栄光あるジャマーに入る前はそこの生徒でございました」ローズジャマーは答える。 「白百合女学園には大量の女性生徒がいるな。こやつらを我がジャマーの改造人間にするのだ」新たな指令である。 「はっ、私の昔のクラスメートも我が栄光あるジャマーの一員になれると知れば大喜びするでしょう」すでに魂までジャマーに洗脳されたひなのであった。 「よしいけ。ローズジャマー」「かしこまりました。バ〜ラ〜」ローズジャマーは姿を消す。 「今回はお前はなかなか優秀な改造人間を作ったな。だが、また新しい素材が大量に入ってくるぞ」科学者をねぎらう首領。 「光栄にございます。首領様。新しい素材はどんなものか今から期待しております」嬉しそうに笑う科学者。その目からは邪悪な光が放たれていた。
86 :
PRIME :04/11/03 02:13:09 ID:pUXe/+se
所変わって喫茶店「ブラッカー」。 「はあ、闇に消えた暴走族か」新聞の見出しを読みながらおやっさんが言う。 その記事はあの紅蜥蜴の失踪記事だった。転倒し放置されたままのバイクが転がっている写真が掲載されている。 「それにしてもこれは一体どういうことですかね。神隠し?」羽村啓介は記事を読みながら言う。 「案外ジャマーの仕業かもな」啓介の友人でともにジャマーと戦っている川島貴司の言葉だ。彼はICPOの秘密捜査官である。 「まあジャマーも暴走族も社会にとってはマイナスな存在ですから消えてくれるのは大いにありがたいことですけどね」啓介が言葉を返す。 「そういうことだな。あれ、ウエハースがない。啓介、ちょっと買ってきてくれないか。」おやっさんが啓介に言う。 「わかりました。じゃあちょっと言ってきます」啓介はバイクに乗ると朝の町に飛び出していった。
87 :
名無しより愛をこめて :04/11/03 12:17:05 ID:6sHczBAj
_ ∩ おっぱい改造! ( ゚∀゚)彡 おっぱい改造! ⊂彡
89 :
PRIME :04/11/05 00:57:49 ID:S6fq8CB5
前スレの325さんはファイターFのモデルをイナズマンFに求めていたんですね。 ちなみに自分はファイターFのモデルは「トランスフォーマー 超神マスターフォース」のゴッドジンライのイメージで描きました。 ゴッドジンライは日本人の青年ですが、結構熱いキャラでした。だから私はファイターFを熱血漢というイメージで描いたんです。 それは「改造人間の力、そして人間の心を見くびったな」というファイターFのセリフでもおわかりいただけると思います。 でもゴッドジンライって言っても10数年前のキャラだからどのくらいの人が覚えているかな。
90 :
PRIME :04/11/05 01:12:23 ID:S6fq8CB5
では続きを。 「早苗、急ぎなさい!」「お姉ちゃん、何で早く起こしてくれなかったのよ」朝の天野家では朝早くから大騒ぎである。 天野早苗は高校生だが、今日は寝坊をしてしまったのだ。姉の千鶴に急き立てられながら慌てて支度をする早苗。 早苗は朝食もそこそこに家を飛び出した。とその時。「キィーッ!」早苗は出会い頭にバイクとぶつかりそうになった。 「キャア!」「あ、危ないな」バイクの声の主は啓介だった。 「あっ、啓介さん」「何だ、早苗ちゃんじゃないか。どうしたんだい、そんなに慌てて」 「寝坊しちゃって遅刻しそうなの。ねえ啓介さん、バイクで送って」虫のいい頼みごとをする早苗。 「困ったなあ。俺はおやっさんに言われてウエハースを買いに行く途中なんだ」 「そんなのお姉ちゃんに頼めば良いじゃない。どうせお姉ちゃんブラッカーに行くんでしょう?」 「まあ、今日はバイトでブラッカーにいくからね」女子大生の千鶴はそう答える。 「じゃあ千鶴さん、早苗ちゃんを送っていくよ。ウエハースのこと頼んでいい?」申し訳なさそうに言う啓介。 「まあ、啓介さんの頼みなら仕方ないわ…」不承不承ながら頼みを聞き入れる千鶴。 「話はまとまったわね。じゃあ啓介さん、お願いね」早苗はちゃっかりバイクの後部座席に乗り込む。 「早苗ったらもう。じゃあ啓介さん、悪いけど早苗のことお願いします」千鶴は妹のことを啓介に頼む。 「じゃあ早苗ちゃんいくよ」啓介はエンジンの回転数を上げてバイクを飛ばす。 千鶴は半ば不満そうに二人を見送る。 「私だって啓介さんのバイクの後部座席に乗りたいのに…」
91 :
PRIME :04/11/05 01:54:51 ID:S6fq8CB5
「おはよう」「おはよう」白百合女学園高校では生徒たちが朝の挨拶をお互いに交わしている。 晴れ渡った青空に乙女たちの明るい声。清々しい光景だ。 そこに啓介のバイクが学園前に着く。ぎりぎり10分前セーフだった。 「啓介さん、ありがとう」校門前で早苗は啓介に御礼を言う。 「早苗ちゃん、今度からちゃんと早起きしないとダメだぞ」啓介は幼い子供にいうように早苗を諭す。 「もう、そういう事はお姉ちゃんからいつも言われているわ。啓介さんまで私を子ども扱いしないで欲しいわ」少しむくれる早苗。 啓介は苦笑いをして顔をそらす。だが次の瞬間啓介の顔から苦笑いが消えた。(あの子は…) そこにやってきたのは石川ひなのだった。啓介は彼女の顔を見て思い出した。あの親父狩りの少女たちを。 (あの子は確か不良少女グループのリーダー。ここの生徒だったのか) 啓介の思いとは裏腹に早苗はひなのに声をかける。「石川さん、おはよう。ここ最近休んでいたけどどうしたの?」 しかし、ひなのはチラリと二人を見てそっけなく言う。「あら天野さん、おはよう」 ひなのは啓介のほうもチラリと見てそのままその場を去っていった。 「早苗ちゃん、あの子は?」啓介は早苗に聞いてみる。 「クラスメートの石川ひなのさん。なんかお高くとまっている感じで私は生理的に好きになれないの。さっきだってこっちから声かけたのに。」 早苗は不満そうに言う。どうやら彼女とはそりが合わないみたいだ。 「それに彼女、色々悪い噂もあるし。後彼女のお父さんって闇金融の帝王なんだって」早苗は啓介にそう話す。 「なんか色々裏のありそうな子だなあ」啓介はそういうが真意は別にあった。 (さっきすれ違った時彼女からジャマーのにおいがした。彼女はひょっとしてジャマーの手先か?) 羽村啓介もまたジャマーに改造された人間である。だが彼は脳改造直前に脱出し正義の戦士として戦っているのだ。そんな彼は本能的に彼女をジャマーではと疑ったのだ。 しかし、早苗は特に何も考えていないようだ。「じゃあね、啓介さん」早苗は走り出す。 啓介は漠然とした不安を抱えながら早苗を見送った。
皆さまお久しぶりです。最近仕事が忙しくて、思うようにSSが書けません。 書きたい話はいっぱいあるのですが。 構想中のものはどれも長い話になりそうなので、今日はとりあえず、短めの話をUPするこ とにいたします。 (PRIMEさんの今日のSSのUPは、もうおしまいですよね? もしも重なってしまったらご免 なさい) 今回“ズゥ”Zooという組織によって蜂女に改造されてしまうのは、桂木美緒ちゃん15歳と 桂木梨緒ちゃん18歳の美人姉妹です。 そして、最後にもうひとつお楽しみが…。
午前1時の港の倉庫。人気の途絶えた鉄とコンクリートの山のその上を、月光に照らされ ながら二つの影が何度も激しく激突していた。 ひとつの影は、銀色に輝く仮面とアーマーをまとった戦士。やや小柄なその姿は、アーマ ーの中身がどうやら少年であることを感じさせる。 もうひとつの影は、女性のシルエットを持った異形の者。背中から4枚の透明な羽根を生 やし、蜂を摸したマスクを被っている。しなやかな女性のラインもあらわなそのボディは 濃いブルーに包まれ、ふくよかな双つの乳房は黄色と黒の同心円模様で彩られている。宙 を華麗に舞うその動きは、そのボディが衣装やアーマーではなく、彼女自身の皮膚である ことを示している。 「死ねぇッ!! カイゼリオン!」 蜂のような女が、空中に停止したアーマーの少年に向かって突進する。 「スティンガー・ニードル!!」 蜂女は伸ばした手のひらから、鋭い針を撃ち出した。アーマー少年は巧みにそれをかわし、 蜂女に接近するとパンチをふるった。「カイザー・ナックル!!」 間一髪でパンチをかわした蜂女は、少年の後ろに回り込み、自らの乳房を両手で掴んで少 年の方に向き直った。 「ポイゾナス・シャワー!!」蜂女の乳房から、無数の細かい毒針が発射された。アーマー少 年は身体を猛スピードで回転させてそれをはね返す。「カイザー・スピン!」 回転を続けながらアーマー少年はジャンプし、ドリルのように宙を舞って蜂女に肉迫する。 蜂女はまたも間一髪でそれをかわし、少年から間合いを取った。 「おのれ、カイゼリオン! このままではすまさない!!」息を切らせながら蜂女が叫ぶ。 「もう諦めるんだな、“ズゥ”の獣人兵士! お前たちの悪事は、この俺が必ず打ち砕く!!」 「うるさい!! “ズゥ”なんか関係ないわ! わたしはただ、妹の仇を討ちたいだけよ!!」 「…妹だって!?」カイゼリオンと呼ばれたアーマー少年は、驚いて構えを解いた。 「そうよ! 2日前にお前が倒した蜂女を覚えているでしょう!? あれはわたしの妹、ミオ! そしてわたしは、ミオの仇を討つために蜂女になった、姉のリオ!!」 蜂女は、マスクの内側で明らかに号泣していた。そして彼女の脳裏に、それまでの想い出 が走馬灯のように駆け巡った。
…そう、わたしの名前は桂木梨緒。18歳。3歳年下の妹、美緒と二人、下町のアパートで ひっそりと暮らしていた。 地方都市で両親と4人、幸せに暮らしていた私たちの一家を不幸が襲ったのは、今から3 年前のことだった。突然の交通事故が両親の命を奪い、他に身寄りのなかったわたしたち 姉妹は、世間の荒波の中に突然投げ出されてしまった。 わたしは高校を中退し、中学生の妹を養うために働かなければならなかった。といっても 地方都市では、中卒の娘にできる仕事など限られている。わたしたちは残されたわずかな 保険金を元に東京に出、安アパートで二人暮しを始めた。 都会の真ん中で、二人ぼっちになったわたしたち姉妹。妹の美緒は、わたしにとってかけ がえのない肉親であり、自慢の妹だった。わたしはなんとしても、妹の夢だけはかなえて やりたかった。 妹の夢は、ヘアデザイナーになること。それには、高校と専門学校をどうしても卒業させ てやらねばならない。 わたしは幸運にも、あるフリーのカメラマンのアシスタントとして雇ってもらうことがで きた。カメラマンといっても人が考えるような派手な仕事ではない。博物館や考古学研究 所に雇われて、土器や埋蔵史料をひたすら撮り続ける地道な仕事だ。体力が必要だし、休 みはほとんどない。撮影が終わった後もフィルムの整理やラボへの発注などに追われ、家 に帰るのは連日0時を回ってからだった。だがその分、給料は良かった。交通遺児奨学金 と合わせれば、妹を高校に進学させるのに充分な稼ぎを得ることができた。 わたしたち姉妹はそうやって、都会の片隅でひっそりと暮らしていた。そう、あの忌まわ しい日までは。
妹の理緒が、下校途中に突然失踪したのは、今から10日前のことだった。 蒸発? 心当たりなどまるでない。事故? 事件? 目撃者は誰もいない。 わたしは狂ったようになって、連日妹の行方を捜し回った。妹がいない世界など、わたし には考えられない。妹が死んでしまうようなことがあったら、この世にわたしが生きてゆ く意味などない。わたしにとって妹は、自分の存在のすべてであり、生きる意味のすべて だった。 捜し回ること一週間。妹の行方は、ようとして知れなかった。相変わらず警察も何ひとつ、 手がかりを掴めてはいないようだ。その日も足を棒のようにして歩き回り、疲れ切ったわ たしは布団に身を投げ出し、泣きながら眠りについた。 ふと、気配を感じてわたしは飛び起きた。部屋の中に誰かがいる。 「キャッ!」聞き慣れた声を耳にし、わたしは反射的に声のした方に腕を伸ばした。細い 腕を掴んだわたしは、急いで電灯のコードを引っ張った。とたんにあたりが明るくなった。 「いやぁ、見ないで!! お姉ちゃん!」「み、美緒っ!?」 わたしが掴んでいたのは、妹・美緒の腕だった。だが、その妹の身体は… 「見ないで!! お願い!! わたしの身体を見ないで!! お願い、お姉ちゃん…!!」 「美緒、その身体…いったい…!?」 妹の姿は、実に奇妙なものだった。顔こそ愛らしい美緒のものだったが、全身はなめし皮 のような質感の濃いブルーの皮膚で覆われ、手は白い手袋、脚は白いブーツ状になってい た。それは明らかに衣服ではない、妹自身の皮膚であった。妹の乳房は、蜂の腹部のよう な、黄色と黒の同心円状の模様で覆われていた。その乳房はまるで別の生き物ででもある かのように、絶えず艶めかしい蠕動を繰り返していた。そして妹の背中からは、薄黄色の 透明な羽根が4枚、生えていた。
美緒は唖然としたわたしの手を振りほどき、両手で胸を押え、うずくまってすすり泣きを 始めた。 「…お願い…お姉ちゃん…わたしを、美緒を許して…!!」 わたしは我に返り、妹に寄り添って肩を抱きしめた。どんな姿になっていても、美緒は美 緒だ。わたしの可愛い妹だ。 「美緒、何があったの? 辛い目に遭ったの? 良かったら、お姉ちゃんに話して。あなたが どんな目に逢っても、お姉ちゃんは美緒の味方だから…」 美緒は堰を切ったようにワッ!と泣き出し、わたしの胸に顔をうずめた。わたしはしっか りと、美緒の身体を抱きしめた。こんなに小さい、細い身体だったんだ。泣きじゃくる美 緒の身体を抱きしめ、わたしは美緒の背中を愛撫した。背中から生えた4枚の羽根が、細 かく震えている。 「…お姉ちゃん、ごめんなさい。わたし、もう人間じゃないの。」 美緒は泣き濡れた真っ赤な目でわたしを見つめ、震える小さな声でそうつぶやいた。 「わたし、改造されたの。一週間前、“ズゥ”にさらわれて、ベスティオイド(獣人兵士)に 改造されてしまったの。わたしはもう、人間じゃない! 蜂なの!! 蜂女なのよ!!」 美緒はそう言って、再び泣きじゃくった。わたしは呆然となっていた。美緒が何を言ってい るのか、よくわからなかった。いや、理解したくなかったのだ。妹が、あの可愛い美緒が、 まさか蜂女に改造されてしまったなんて! ポロポロと、わたしの目からも涙が溢れて止まらなくなった。わたしには、美緒の身体を きつく抱きしめてやることしかできなかった。 「美緒、可哀想に。辛かったのね。でももう、お姉ちゃんが一緒よ。お前がどんな姿にな っても、お姉ちゃんが一緒にいてあげる。お姉ちゃんが守ってあげる。お前はお姉ちゃん の、たった一人の妹なんだもの。」
美緒は、腕を伸ばしてわたしの身体を引き離した。「ダメ! ダメなのよお姉ちゃん!」 美緒は床に転がっていた、ヘルメット状のマスクを拾い上げた。 「わたしは今から、闘わなければならないの。カイゼリオンと。」 「…え? 何、闘うって? …カイゼリオンって、誰?」 「わたしたち“ズゥ”の企みを潰して回っている、正義のヒーローなの。そしてわたしは 悪の改造人間なの。今からわたしたちは、港の第3倉庫でカイゼリオンを迎え撃つことに なってるの。でも…きっと勝てない! カイゼリオンはとても強いの! わたしじゃ、カイゼ リオンには勝てない!! わたしはもうすぐ、悪の改造人間としてカイゼリオンに殺されること になるの。だから…最後に…お姉ちゃんの顔を見ておきたかったの! わたしの最後の…想 い出に。」 美緒は、マスクを装着した。口の周囲を除いて頭部全体を覆うヘルメット状のマスクで、 それを着けた美緒は、巨大な蜂そのままの姿になった。 「どうして! どうして闘わなきゃいけないの! 美緒、逃げて! 逃げなさい!!」 「だめ。わたしは“ズゥ”の命令には逆らえないの。さよなら…お姉ちゃん。いつまでも 幸せに…。」 そう言って美緒は、羽根を広げて開いた窓から飛び出して行った。 「美緒ッ!!」わたしは窓に駆け寄った。月光の中、飛んでゆく美緒の姿が見える。 わたしはパジャマのまま、部屋を飛び出した。アパートの自転車置き場には、仕事のため に買った原付が停めてある。わたしは原付に飛び乗り、急いで美緒の後を追った。港の第 3倉庫。美緒は確かにそう言っていた。早く! 早く! 早く行かないと美緒が殺されてしま う!
わたしは信号を次々と無視し、港へと急いだ。原付の速度は呪わしいくらいに遅かった。 早く! 早く! 心ばかりがあせる。冷汗が頬を伝って流れる。早く、急がないと! やがて港の倉庫群が目に入った。その上空で、激しくぶつかり合う2つの影がある。 わたしは原付を乗り捨て、その真下へと駆け寄った。地面には、黒づくめの男たちの死体 が幾つも転がっている。おそらく戦闘員だったのだろう。わたしは上空の影に向かって叫 んだ。「美緒ぉーーーッツ!!」 銀色の影が、急に激しい光を放ち始めた。「カイザァーッ!グラヴィトーーン!!」 光り輝く影が、もうひとつのブルーの影目がけて突進した。ふたつの影が重なったとたん、 凄まじい閃光がひらめいた。 「キャアァァーーーーッツ!!」悲鳴とともに、ブルーの影が地表めがけて落下した。地面に 叩きつけられた影は、プスプスと音を立てて焦げている。 「美緒っ!!」わたしは地面に落ちた妹に駆け寄った。美緒はわたしの姿を認め、一瞬、微 笑んだ。そして……。美緒の姿が明るく輝いたかと思うと、もうその場から蒸発して消え てしまった。 「美緒ォォーーーッ!!」 わたしはその場にへなへなと座り込み、顔を覆って泣いた。闘いに勝った銀色の影は、倉 庫の上に立って勝ちどきを上げた。「灼光戦士!カイゼリオン!!」 その姿を、わたしは涙にくもった目でにらみつけた。許さない。わたしは決して許さない! 妹を、可愛い美緒を殺したあの銀色の影を! わたしのすぐそばに、動く影が目に入った。わたしは反射的にその影に駆け寄り、そいつ を押えつけた。後手に締め上げたそいつは、傷ついた、黒ずくめの戦闘員だった。 「お前は“ズゥ”の戦闘員ね。わたしを、お前たちのアジトに連れてゆきなさい!!」
「何物だ貴様! いったい何の用だ。」 “ズゥ”のアジトは、何と動物園のある総合公園の地下にあった。地下道の黒い扉の前で、 門番の戦闘員たちがわたしたちを呼び止めた。 「わたしは、さっきカイゼリオンに殺された蜂女の姉よ。わたしはカイゼリオンが憎い。 わたしに、カイゼリオンを倒す力を与えて!」 戦闘員たちはヒソヒソと話し込み、ひとりが扉の奥に消えた。しばらくすると、燕尾服に シルクハット、目にはモノクル(片眼鏡)をはめたうさん臭い風体の陰気な男が現れた。 「私は“ズゥ”のテイマー(調教師)、ミスターQだ。君かね、カイゼリオンと闘いたいとい う勇敢な少女は?」 「そうよ。私の妹はカイゼリオンに殺された。わたしは妹の仇を討ちたい! お願い!! わた しを妹と同じ姿に改造して! わたしは蜂女になって、この手でカイゼリオンを倒したい!」 ミスターQはじろじろと私の身体を見つめ、フフッと笑った。 「なるほど、妹さん同様、実に美しい娘さんだ。しかも勇敢ときている。いいだろう。君 を“ズゥ”のベスティオイド(獣人兵士)、蜂女の第2号として改造してあげよう。さあ、こ ちらに来なさい。」 わたしは、ミスターQの後についてアジトに足を踏み入れた。 「…さあ、着ているものを全て脱いで、この手術台の上に横たわりなさい。」 科学者らしい、白い戦闘員がわたしを促した。今さら何を迷うことがある? 妹のいない世 界に、未練など何もない。今の私がするべきことはただ一つ、妹の復讐だ。そのためには 人間の身体を捨てることなど惜しくもない。わたしは震える手で衣服を脱ぎ捨て、手術台 の上に乗った。心臓がバクバクと音を立てる。戦闘員が、冷たい手でわたしの両手両脚を 手術台に固定した。 ミスターQが現れて、手術台のわたしを上から覗き込んだ。 「ほう、君はまだ処女のようだな。実に美しく可憐な肉体だ。だがこれから、君はもっと 美しい身体へと生まれ変わる。蜂の遺伝子を全身の細胞に組み込んで、蜂の能力を備えた ベスティオイドに改造されるのだ。」
戦闘員が、わたしの両腕に注射針のようなものを突き立てた。そこから、得体の知れない 液体がわたしの体内へと注ぎ込まれる。むず痒いような不快感がわたしの全身を襲った。 「う…ああっ…あ、あ、ああ…」 「遺伝子活性化光線、照射!」 わたしの身体に覆いかぶさるように、手術台の無影灯のようなものが降りてきた。色とり どりの明かりが明滅し、わたしの身体を包んでゆく。キラキラしたものがわたしの周囲を 舞っているかのように感じられ、目の前がかすんで何も見えなくなった。全身を襲う不快 感は、次第に充実した幸福感へと変わっていった。 「あ…あ…ああ…気持ち…いい…」 そして、わたしの意識はそこで途切れた。 「さあ、目覚めるがいい、蜂女第2号よ。」ミスターQの声に、わたしは目を覚ました。 わたしは急いで自分の身体を確かめた。濃いブルーの皮膚、蜂の腹部のような蠕動する乳 房。美緒と同じ姿だ。「これが…わたし…?」 「お前は工作要員だった蜂女第1号よりも、より戦闘向けにチューニングしてある。カイ ゼリオンと比べても、戦闘能力に遜色はないはずだ。」 「…ありがとう。必ず、この身体でカイゼリオンを倒してみせるわ。」 「それは頼もしい。だが忘れてはいかんよ。君はもう、“ズゥ”の改造人間ベスティオイ ドだ。“ズゥ”に逆らうことはできん。カイゼリオンを倒した後は、一生我々のために働 いてもらうよ。」 「いいわ。妹の仇を討ったら、あとはどうなろうと構わないから…」 「結構、結構。それじゃあ、君に憎っくきカイゼリオンのことを教えてあげよう。灼光戦 士カイゼリオンの正体は、矢作(やはぎ)瞬、16歳の高校生だ。半年前、未来から送られて きたカイザーディスクに偶然触れ、カイゼリオンに変身する力を身につけた。それと同時 に、未来社会を支配する我々“ズゥ”を壊滅させて歴史を変えるという、馬鹿げた使命を 与えられたというわけだ。フン。未来の愚かなエンジニアたちの、悪あがきというわけだ よ。」 「…わかった。じゃあ、その矢作瞬とやらは、どこにいるの?」
カイゼリオン=矢作瞬は、都内のアパートで妹と二人暮しだった。私たち姉妹と同様、両 親を幼い頃に亡くしていたからだ。親の資産が充分あったのか、親戚の援助があるのか、 働くこともなく1つ年下の妹とともに高校に通っている。 わたしは正攻法でゆくことにした。妹を拉致し、人質にしてカイゼリオンをおびき寄せる。 下校する妹=矢作恭子を確認すると、わたしは彼女の前に歩み出た。目の大きい、小柄で 可愛らしい少女だった。 「矢作…恭子さんね?」「そうですけど…何か?」 恭子は明らかに不審そうにしている。それはそうだろう。季節は夏だったが、わたしは大 きなコートを羽織っていた。何しろわたしの身体は蜂女なのだ。人目にさらすわけにはい かない。 「ちょっと、わたしと一緒に来てもらうわ。」 わたしはそう言って、乳首から麻酔針を素早く打ち出した。恭子はハッ! と一瞬目を見開 いたが、そのまま力なく倒れていった。わたしは彼女の身体を抱き留め、そばに待ち構え ていた戦闘員の車に運び入れた。事はあっけないほどうまく運んだ。“ズゥ”がなぜ今ま でこれをしなかったのか、不思議になるくらいだ。 戦闘員のひとりに、矢作瞬のアパートに伝言を残してくるよう命じると、わたしと他の戦 闘員はかつて美緒がカイゼリオンと闘って破れた、港第3倉庫へと車を走らせた。決戦の 地として、そこ以外の場所は考えられなかった。 矢作恭子の身体を倉庫の屋上に立てられた十字架に縛り上げ、目隠しをさせ、その身体に 超振動フォノン爆弾をくくり付けた。これは、わたしが破れそうになった時の最後の手段 だ。 戦闘員たちを配置し、準備をすべて整えた。時刻は午後10時。カイゼリオンに指定した時 刻は午前0時だ。 十字架に縛られていた恭子が、息を吹き返した。「ここは…どこ!?」キョロキョロと首を 振る。目隠しされているので不安なのだろう。 「安心なさい。カイゼリオンを無事倒せたら、あなたは解放してあげるわ。」 「え…お兄ちゃん? …お兄ちゃん! 来ちゃだめ!! 来ちゃだめよ!!」
約束の午前0時に、矢作瞬は現れた。思ったよりも小柄な少年だ。「妹を…返せ!」 「返してあげるわ。あなたが、わたしと闘うならば!」 わたしはコートを脱ぎ捨てて、蜂女の姿をさらした。ヘルメットを被り、戦闘態勢を取る。 「かかれ、戦闘員たち!」 矢作瞬は、小さなディスクをかかげて腕を大きく回しながら叫んだ。 「カイザーッ!アクセス!!」 閃光がきらめき、瞬の姿は銀色の戦士・カイゼリオンへと変貌した。 わたしは羽根を広げてジャンプし、カイゼリオン目がけて針を撃ち出した。 「スティンガー・ニードル!!」 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 「…妹だって!?」カイゼリオンが驚いたように叫んだ。 「そうよ。わたしの妹は、わたしの可愛い美緒は、2日前あなたに殺された。いい子だっ たのに! 何もしていないのに! あなたが、あなたが殺したのよ!!」 わたしはカイゼリオンに飛びかかり、背中に回って首を絞め上げた。 「違う! 俺は“ズゥ”のベスティオイドを倒しただけだ! 悪の手先を倒しただけなんだ!」 「わたしの妹が悪だっていうの!? 操られていただけなのよ! ほんとは、優しいいい子だっ たのよ。なのにどうして! 殺されなければならなかったの!! 命で償わなければならないよ うなことを、あの子がしたって言うの!?」 「だから、悪いのは“ズゥ”なんだ。“ズゥ”の手先なら、俺は闘わなけりゃいけないん だ!」 「そう? それであなたは正義の味方ってわけ? 正義の味方なら、何もしてない者を殺して もいいって言うわけ!? そんな正義の味方、わたしは認めない! 妹を殺して守れる正義なん か、わたしは欲しくない!!」 カイゼリオンは明らかに動揺していた。わたしはカイゼリオンの首を閉めながら、カイゼ リオンの脇腹に手を当てた。アーマーの継ぎ目を狙って、スティンガー・ニードルを撃ち 出した。 「ぐわあああああッ!!」
「妹が味わった苦痛は、こんなものではないわ。さあ、もっと苦しみなさい。」 わたしはスティンガー・ニードルを二発、三発とカイゼリオンの身体に撃ち込んだ。 カイゼリオンは激痛に身をよじらせたが、急に大声で叫んだ。「カイザーッ!シャイン!!」 とたんにカイゼリオンの身体がまばゆい光で覆われた。不意をつかれて、一瞬、わたしの 腕の力が緩んだ。その隙を見逃さず、カイゼリオンは背負い投げの要領でわたしを投げ飛 ばした。「キャアアッ!」 「カイザーッ! ブレイド!」カイゼリオンが右手を高く掲げると、光の剣が出現した。 「蜂女! 確かに俺はお前の妹を殺してしまったかも知れない。お前たち姉妹を不幸にして しまったかも知れない。だけど、そうしなきゃもっと沢山の人間が不幸になったに違いない んだ! 未来世界では、“ズゥ”の支配下に置かれて多くの人々が苦しんでいるんだ! だか ら俺は、闘い続けなきゃならない! 俺にはすべての人が幸せになれるベストの選択肢を選 ぶことはできないけど、俺にできる限りのベターな道を選ぶしかないんだ。わかってくれ!!」 「わからない!! そんなこと!!」 「この…わからずやァッツ!!」カイゼリオンは剣を振りかざし、わたし目がけて突進してき た。わたしは反射的に両手を前に突き出し、ステインガー・ニードルを連続で撃ち出した。 カイゼリオンは、12発のスティンガー・ニードルをすべて剣でなぎ払い、わたしの前で剣 を一閃した。 「ギャアアアアアアッツ!!」わたしの脇腹が裂け、青い血が吹き出した。 わたしは傷を押さえながら、力を振り絞って倉庫の屋上の十字架まで飛んだ。矢作恭子の 目隠しを取り、カイゼリオンに向かって叫んだ。 「聞け! カイゼリオン! お前の妹には、フォノン爆弾をくくりつけてある。これ以上抵 抗したら、妹の命は保証できないわ!」 カイゼリオンの動きが止まった。わたしは後を続けた。「そのままおとなしく、わたしの スティンガー・ニードルを受けなさい。あなたが死んだら、妹は逃がしてあげる。約束す るわ。でもあなたがちょっとでも妙なそぶりを見せたら、妹の命は保証できない!」
カイゼリオンの右手の剣が消えた。両手を横に広げ、わたしの攻撃をおとなしく受ける姿 勢を取った。「…お、お兄ちゃん!?」 「覚悟ができたようね。さあ、食らいなさい! これがわたしの妹の受けた痛みよ!!」 わたしは、スティンガー・ニードルを次々とカイゼリオンの関節目がけて撃ち込んだ。 ブスッ! ブスッ! 「グワッ!!」「お兄ちゃんッ!!」 カイゼリオンのアーマーの継ぎ目から、赤い血がにじみ出た。まだだ。まだまだだ。美緒 の受けた苦しみは、こんなものではない。 その時、十字架に縛られた矢作恭子が、大声で叫んだ。 「お兄ちゃん! 闘って! お兄ちゃんが闘わないと、みんなが不幸になるのよ! わたしの ことなら構わないで! もう、これ以上足手まといにはならないから。さよなら…お兄ちゃ ん。みんなを幸せにしてね…。」 わたしはハッとなった。舌を噛み切るつもりなのだ。わたしは急いで恭子の頬に平手打ち した。「キャッ!」恭子は気を失った。 わたしは、恭子の身体からフォノン爆弾を外し、自分の身体にくくりつけた。 …なんということだろう。さっきの恭子の言葉に、憎い仇の妹の言葉に、わたしは美緒の 面影を感じていたのだ。 わたしは、満身創痍のカイゼリオンに向かって叫んだ。 「カイゼリオン! お前の妹を殺すことは、わたしにはできない! だから、わたしはお前と 心中する!!」 わたしはフォノン爆弾を抱き、信管を外すとカイゼリオン目がけて突進した。 「カイザーッツ!! スピィーーーンンッッ!!」 最後の力を振り絞り、カイゼリオンは自分の身体を高速回転させた。わたしの身体はその 回転に弾かれ、宙に舞った。 フォノン爆弾が炸裂する瞬間、わたしは、美緒の幻を見た。 《…お姉ちゃん。わたしがヘアデザイナーになったら、お姉ちゃんがお客さま第1号だよ。》 《…お姉ちゃん。いつもわたしのために遅くまでお仕事ありがとう。》 《…お姉ちゃん。わたしは世界でいちばん、お姉ちゃんのことが大好きだよ。》 わたしの頬を涙が伝った。そして、わたしの身体はまばゆい光に包まれた。
空高くフォノン爆弾が炸裂し、悲しき蜂女の復讐は終わりを告げた。 だが、蜂女の言葉は身体の傷以上に、矢作瞬の心に大きな傷跡を残した。 《俺の闘いは、本当に正義だと言えるんだろうか? 犠牲者の上にしか成り立たない正義な んて、 “ズゥ”の連中がやってることと大差ないんじゃないか? 誰か教えてくれ! 正義っていっ たい、何なんだ!? 俺の闘いの意味は、いったい何なんだ!?》 いくら逡巡を続けても、答は出てこなかった。ふと我に返った瞬は、妹・恭子をすっかり 忘れていたことに気付いた。「すまん恭子ッ! 今縄をほどいてやるぞ!」 だが十字架の上に、矢作恭子の姿はなかった。あわてて周囲を見回したが、恭子の姿はど こにも無い。 「恭子!? どこだ!? どこにいったんだ! 恭子ォーーーッ!!」 “ズゥ”の地下アジトにある改造手術台。その上に、矢作恭子の身体は固定されていた。 「…やめて! 放して!! お願い!!」 ミスターQが、無気味な笑みを浮かべた。 「蜂女は役に立たなかったか。まあいいだろう。おかげでカイゼリオンの思わぬ弱点を知 ることができた。この妹こそ、カイゼリオンにとってのアキレス腱だ。今から役に立って もらうことにしよう。科学者たちよ! この娘を蜂女第3号に改造せよ。対カイゼリオンの 秘密兵器に仕立てあげるのだ!!」 「いや、いやよ、改造人間なんていや! 助けて! お願い!」 「改造手術、開始!」 手術台に縛られてガタガタ震えている恭子に、遺伝子活性化光線が照射される。 「いやだ! いやッ! やめて! やめてェーーッ! イヤだァーーーーッッッツ!!」 (おわり)
106 :
名無しより愛をこめて :04/11/05 07:26:02 ID:RKM6CXFs
☆ チン マチクタビレタ- ☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ ___\(\・∀・)< PRIMEさん、朝寝坊悪女、天野早苗タンの改造 マダー? \_/⊂ ⊂_)_ \_________________________ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| | | 改造手術台 .|/
す、凄い文字数だ。
>>106 早苗ちゃんって悪女かなあ。啓介や千鶴ちゃんをだしに使うちょっとちゃっかりした女の子程度の認識しか俺にはないけどね。
111 :
PRIME :04/11/07 01:48:37 ID:rOS5TR5Q
>>BeeFreakさん 新しいSS読ませていただきました。コミック版仮面ライダーXの「サソリジェロニモの逆襲」に話が似ているなって言うのが読んだ直後の感想です。 さて今回のヒロイン梨緒ですが、個人的には感情移入できませんでした。妹を殺された悲しみはわかるとしてその妹を殺したヒーローを逆恨みして妹を改造した悪の組織に自ら魂を売るとは…。 妹を改造した悪の組織に殴り込みをかけたところを捕まって洗脳されて改造されたのならまだわかりますが、自ら悪魔に魂を売った時点で彼女の運命はもう決まっていたのですね。 ただヒーローの妹を殺さなかった(殺せなかった)ということはわずかに彼女に良心が残っていたのでしょうか? そしてヒロインの妹の改造シーンでの物語の終了。この後どうなるのかと色々想像してしまいます。 個人的にはこの後の続きが見たい一作です。 色々生意気言ってすみません。
112 :
PRIME :04/11/07 01:50:00 ID:rOS5TR5Q
>ヒロインの妹の改造シーンでの物語の終了。 あれはヒーローの妹の改造シーンでの幕切れの間違いです。すみません。
113 :
名無しより愛をこめて :04/11/07 02:34:18 ID:HPyT/mCd
=======================================
★コテハンの皆様へ★
まだ<
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1099759026/ >
に書き込んでいないコテハンさんは、いますぐカキコしてください。
・いつもいる板
・自己紹介
・そのほかなにかあれば
2chのすべてのコテハンを集める壮大なプロジェクトです。ご協力お願い致します。
※なお、これを機にVIPに棲みつくのはご遠慮いただきたく思います。
=======================================
>>111 PRIME 様
SSの感想、さっそくありがとうございました。
感想をいただけるとは思っていなかっただけに、嬉しいです。
サソリジェロニモに限らず、怪人の家族がヒーローに復讐する話ってよくありますよね。
あれの女の子バージョンを書いてみたわけです。
さて、自ら悪魔に魂を売ったヒロインに共感できないとのことですが、私は梨緒ちゃんに
はこの選択肢しか無かったと思っています。
と言うのは、第一に、梨緒と美緒の姉妹は自分たちの力だけで苦労して生きてきたので、
梨緒ちゃんの性格は口先だけの甘言や理想論を信じない、本当に自分たちの力になってく
れるものだけを信じる、自分の目で見たものしか信じないという、極めて現実主義的なも
のになっています。
その梨緒ちゃんが、妹が改造されたところは自分の目では見ておらず、ヒーローに殺され
るところは実際にその目で見てしまったわけです。もともと正義と悪の闘いなどの認識が
無かった梨緒ちゃんにとっては、妹が改造されてしまったことはいわば「天災」みたいな
もので、妹を殺したヒーローこそ、自分たちの敵であるという認識になっているのです。
それに、蜂女に改造された時点で、妹の美緒ちゃんの意識は完全に“ズゥ”側のものにな
っています。美緒ちゃんは、お姉ちゃんと一緒に生きられない身体になってしまったこと
は姉に対しすまないし恥ずかしいことだと思っていますが、蜂女に改造されたこと自体は
別に恨んでいないし、むしろ改造してもらえたことを“ズゥ”に感謝しています。
私の文章力が無いので、そのあたりはうまく伝わっていないのだと思いますが。
ですから、妹と強いシンパシーの関係にあった梨緒ちゃんにとっては、妹に出会った時点
で『“ズゥ”=妹の仲間、“カイゼリオン”=妹と自分を引き裂く悪魔』という認識が出
来上がってしまっているのです。
だから「悪魔に魂を売った」という表現は、梨緒ちゃんにとっては心外なものでしょう。
梨緒ちゃんがヒーローの妹を殺さなかったことですが、もともと梨緒ちゃんは恭子ちゃん を殺すつもりは毛頭ありませんでしたよ。ヒーローを苦しめるために利用しようとは思っ ていましたが、彼女を苦しめるつもりはありませんでした。 だから、ヒーローを苦しめることが彼女を苦しめることになるのだと気付いて、彼女は恭 子ちゃんを利用することはやめ、ヒーローとの心中を選んだわけです。 だから、別に「彼女の心の中に一片の良心が残っていた」とかそんなじゃなくて、蜂女に 改造されても梨緒ちゃんは、ずっといい子だったわけです。 ラスト、ヒーローの妹が蜂女に改造されてしまったわけですが、この恭子ちゃんも美緒ち ゃんと同様、改造されると同時に洗脳され、“ズゥ”側の人間になってしまいます。 つまり、兄=ヒーローを愛しているし大事に思っていることに変わりはないのですが、兄 のしていることは間違っている、何とかして兄の考えを変え、“ズゥ”の邪魔をさせない ように仕向けなければならない、という価値観に、骨の髄まで染められてしまっています。 彼女は改造されたことを隠して、兄の元に返されますが、その後はヒーローの活動を邪魔 するために暗躍します。そして正体が兄にバレた後は、命に代えても兄の行動を止めよう と積極的にヒーローの妨害をするようになります。 もちろん、ヒーローはいくら改造されてしまったとはいえ、健気な妹を殺してしまうこと ができず、苦悩することになります。 しかし、一度改造されてしまった者は、もう二度と元には戻れません。たぶん恭子ちゃん はシャドームーンのように、兄に殺されるラストを迎えることになるのでしょう。恭子ち ゃんは兄の行動を止められなかった自分の不甲斐なさを呪いつつ、“ズゥ”万歳!と叫ん で死ぬのでしょうね。 PRIMEさんには、どうしようもなく不条理に感じられるかも知れませんが、私は正義のヒ ーローの闘いとは、それくらい悲痛で孤独なものなのだと思います。 自分の作品について言い訳をするのは恥ずかしいことですね。 スレ汚しになって申し訳ありませんでした。 PRIMEさんの「ローズジャマー」編、いよいよ盛り上がりですね。期待いたしております。
コミック版仮面ライダーXの「サソリジェロニモの逆襲」って何?
118 :
PRIME :04/11/08 02:21:15 ID:NX3UDX4/
>>BeeFreakさん 自分のくだらない書き込みに真摯なレスをしてくださりありがとうございます。 同時に私の書き込みでもし気分を害されたのなら申し訳ございません。あなたのSSを一読した後直感的に感じたことを書き込んだものなのであまり深く考えないで下さい。 こうやって見ると私のSSなんて奇麗事ばかり並べた上滑りなものですね。現実の戦いは明るくかっこいいものではありません。戦いにあるのは残酷な現実とそしてあらゆるものの破壊。 どうやら私はもっと修行すべきですね。今のSSを書き終えたら少し修行しようと思います。 後前スレの母親改造ですが、自分はモデルとして新潟地震で車に閉じ込められた母親と男の子を推薦します。 不謹慎な話で恐縮ですが、あのニュースを聞いたとき直感的にモデルにふさわしいと思ったもので…。
文体は丁寧だが最低のサイコ野朗だ ヘドが出る
120 :
名無しより愛をこめて :04/11/08 18:11:28 ID:YsPwEi7K
>>118 最後の2行は余計だったな。
あんたのこと大嫌いになったよ。
>>118 “ああいう”命がけの母性を発揮した親を改造するというシチュエーションは考えただけでドキドキしますが、
事件の印象からしてまだ日が浅すぎます、もうちょい待ってから使ったほうがいいネタかと。
122 :
PRIME :04/11/08 23:13:31 ID:LLwToC+V
>>119 さん
>>120 さん
不愉快な思いをさせて申し訳ございません。確かに死んだ人をネタにするなんて軽率でした。
死んだ女性やその坊やにも、そしてこのスレを見ておられるすべての人々にも申し訳ないことをしたと思います。
何の罪もなく死んだ人を冒涜することは決して許されないことです。
自分はそんなつもりはなくても結果的に死者を冒涜した私がどう罵られようと返す言葉がありません。
この件に関しては自分も何らかのけじめをつけないといけません。
丸投げと批判される事覚悟で言わせてもらえば、まずは謹慎して皆さんからの沙汰を待ちます。そしてどんな処分も甘んじて受けるつもりです。
謝ってすむ問題ではありませんが重ねてお詫びします。どうもすみませんでした。
まあPRIME氏の処分はここのスレ主であるBeeFreak氏に決めてもらうのが一番じゃないかな? 俺はBeeFreak氏に全部任せる。
124 :
名無しより愛をこめて :04/11/09 13:02:02 ID:wcxzmTuT
123=PRIMEなことがバレバレなわけだが
>>123 ここってBeeFreak氏マンセースレだったの?
じゃあ情報交換したいだけの俺は去るわ。
>>126 お前みたいにクレクレいってるだけの人生も楽しそうだな。
うらやましい。
うーん。漏れはただスレが新たに必要になったので立てただけで、スレ主なんてことは
ないと思っているのですが…。
スレ主無しに、みんなでスレを盛り上げてゆくのがベストだと思います。
で、PRIMEさんなのですが、このスレのような妄想の世界に、現実の悲劇を持ち込んで
しまったのは確かに軽率で思慮が足りなかったと思うのですが、別に悪気があってした
わけじゃないし、本人も反省しておられるようなので、漏れとしてはしばらく謹慎され
て(ひと月くらい?)、ROMに徹されれればよろしいのではないかと思います。
それでも許せない、という方もおられるかも知れませんが、PRIMEさんがいなければこ
のスレがこんなに続くことはなかったと思うので、その功績に免じて勘弁してあげてい
ただけないかとお願いいたします。
PRIMEさんも謹慎されている間に、どうかSSの続きを書き溜めておいて下さい。
小出しにされて他のレスにまぎれてしまうより、一気に吐き出された方が読む方も楽だ
し、スレもすっきりすると思います。
で、もうこのスレには書き込みたくない、でもSSの続きだけは発表したい、ということ
であれば、漏れのところ(
[email protected] )にメールしていただければ、ま
とめサイトの方に転載させていただきます。
とりあえず、後で角が立たないように皆でうまく融通し合って、このスレを維持しまし
ょう。
甘いことを言ってるようですが、あくまで個人的意見です。
他の方のご意見も聴かせていただければと思います。
節操の無い奴がいるな。蜂娘祭に書いてたかと思うと今度は蜂女の館か・・・
この場合の節操って何?
また蜂娘祭関係者か どこに投稿しようが勝手だろうが バカジャネーノ
>>PRIME 様。
まる一日経ちましたが、異論が出ないようなので、PRIME様の沙汰につきましては
スレ民の皆さまも「しばらくのご謹慎」ということで納得されたものと存じます。
しばらく寂しくなりますが、充分に英気を養って、再び復活されますことを期待
しております。
>>131-133 今回「蜂女の館」に、「蜂娘祭」ほかでもご活躍の舞方雅人氏のSSを掲載させて
いただきましたが、別に舞方さんは「蜂娘祭」の専属でも何でもないので、どこに
作品を発表されても構わないと思いますよ。
今回「蜂女の館」での掲載となったのは、人妻が主人公なので「蜂娘祭」での掲載
が難しいものと判断なされたからです。2ちゃん本スレから生まれた「蜂女の館」は、
前スレが“母親改造”で盛り上がったのを見てもわかる通り、改造されるのにの年齢
制限を設けていませんからw。「蜂娘祭」よりも受け入れやすかったのです。
なお「蜂女の館」でのSS掲載は、広く募集することにしましたので、どなたでも
ご参加いただければと思います。よろしくお願いいたします。
>>119 >サイコ野朗
どうやったら「野郎」を「野朗」に変換できるのかい(笑)
揚げ足取り乙
137 :
名無しより愛をこめて :04/11/11 12:12:40 ID:1x/eldBZ
age
名無しで書き込む事を謹慎とはいわない。
オニャノコ改造の、上限年齢と下限年齢について、おまいらの意見を聞かせていただきたい。
>>135 野朗でぐぐると結構出るね
PRIMEさん
141 :
名無しより愛をこめて :04/11/12 17:31:21 ID:1rW46ptr
下限22歳上限28歳。もちろん素体によって違うが。
上限39歳下限10歳(ただし10〜18歳までは戦闘員のみ可) 職人様方、戦闘員化処理(あえて改造でなくて)もっと書いて〜書いて〜。
3〜40
提案なんだけど、皆で理想の改造素体と、女怪人のアイデアを出しあって、 それで職人さんにSS書いてもらうってのはどう?
BeeFreakです。また新たなSSを書いてしまいました。
今回は何と、ゴシックホラー仕立てです。謎の館に迷いこんだ8人の男女が、次々と罠に
かけられてゆきます。でもなかなか思うように怖くなってくれませんでした。
今回、秘密結社メギドによって蜂女に改造されるのは、朝倉咲也ちゃん19歳、葉月るみち
ゃん19歳、川瀬綾奈ちゃん18歳、それに西澤裕美子ちゃん21歳の、女子大生4人です。
なお、登場する館の構造がわからないと楽しみが減ると思いますので、間取り図を作って
おきました。(↓)をご参照下さい。
http://artofspirit.hp.infoseek.co.jp/madori.gif またも長文のSSで申し訳ありません。しかも、なかなか改造手術が始まらないのでやきも
きされる方もいらっしゃるかも知れませんが、どうかお許し下さい。
漏れは特にリクエストがないと、こういうふうに毛色の変わったものを書き始めてしまい
ます。正統派の美少女改造ものがお好みの方は、リクエストを下さるとありがたいです。
それでは。ゆっくりお楽しみ下さい。
突然の嵐だった。 それまで雲ひとつなかった空が、何の前ぶれもなく闇に包まれた。そして轟雷とともに、 激しい驟雨が襲ってきた。 海水浴を楽しんでいた8人の男女は追われるようにして、高台にある館めがけて必死で駆 け上がった。激しい水しぶきで、足元すら見えないような凄まじい雨だ。ほうほうのてい で館の玄関に辿りつき、玄関前に張り出した幌の下に非難した8人は、肩で息をしながら もようやく人心地をつけることができた。 「全員そろってるか!?」アロハシャツを着た石倉翔吾が、素早くメンバーの数を確認した。 大学ではヨット部に所属する体格のいいスポーツマンで、“大将”とあだ名される、この メンバーのリーダー格である。「とりあえず、ここで雨宿りさせてもらおう。」 「畜生! 何が《雨の確率10%》だよ。」大きなビーチパラソルで女の子たちをかくまいな がら走ってきた、長身の元木夏彦が悪態をつく。ワイルドで大ざっぱな性格だが責任感の 強い男だ。さすがのビーチパラソルもこの豪雨の中全力で走ったため、骨が何箇所か折れ てひしゃげてしまっている。 「咲也ちゃん、これありがと。」パーカーをはおる暇もなくビキニのままで走ってきた西 澤裕美子が、被ってきたビーチマットを朝倉咲也に手渡した。裕美子ははちきれそうなボ ディの大人びた美女で、面倒見のいい性格のためみんなから“ママちゃん”と呼ばれてい る。元木夏彦とは恋人同士だ。一方の朝倉咲也は“姫”とあだ名される、一流国立大に通 う知的美人。ドラえもんのごとく、彼女のバッグに入っていないものはおよそ無いと言わ れるほど、何事にも用意が良くそつがないのが彼女の長所だ。赤いサマードレスをぐっし ょりと濡らした咲也は、日傘の水を切りながら裕美子に向かって答えた。「ね、ゆみちゃ ん、みんなの荷物を一箇所に固めて、そのマットで守ってくれない?」 荷物といっても大したものはない。みんな軽装だった。男女別に2台の車に便乗してきた 彼らは、着替えやほとんどの荷物を車に残したまま海岸に出てきたからだ。
クシュン! 最年少の大学1年コンビのひとり、葉月るみがくしゃみをした。裕美子と同じ く上衣を取り出す暇がなく、ワンピースの水着にタオルのみの姿だ。くったくの無い明る い性格で、みんなの妹分として可愛がられている存在である。コンビのもう一方、水着の 上から花柄のペアワンピースを着た川瀬綾奈が心配そうに彼女の背中をさする。大人しい 眼鏡の少女で、幼なじみのるみにいつもくっついて行動している。内向的な彼女がこのグ ループの中にいるのも、るみに強引に引っ張られたためだ。 「…このままじゃみんな風邪をひいてしまうな。早く身体を乾かさないと。」身体を拭い たタオルを絞りながら、藤原和樹が心配そうにつぶやいた。彼は咲也に負けないインテリ で頭も切れるが、人当たりのいい男だ。名前の“和樹”が“わき”と読めるため、子供の ころから“ワッキー”や“ワッケイン”とあだ名されているが、今は“ワクさん”と皆に 呼ばれている。 「…もう少し小やみになったら、俺が走って車を取ってくるよ。こんなとこに連れて来た 責任があるからな。」相良遼一が皆に向かってすまなさそうに言った。口数は少ないが、 時折り鋭いことを言い、また突拍子も無いことをしでかす男だ。夏彦や和樹が荷物からT シャツを取り出してはおろうとしているのに、彼は海パン一枚で荷物すら持っていない。 遼一はこのグループ旅行の企画人であり、一同が現在滞在しているのは、彼の母方の祖父 の家だった。極度のおばあちゃんっ子であることが昨夜みんなにバレてしまい、それ以来 皆からずっとからかわれている。 「別にお前のせいじゃない。無理するな。」翔吾がフォローを入れた。雨はますます強く なる一方だ。500メートルほど離れた場所に停めた車になど、とてもたどり着ける状態で はない。浜辺を自由に使えるのをいいことに、車からあまりにも離れ過ぎたのだ。
大学も学部もバラバラのこの8人は、彼らの住む市が昨年秋に主催した、国際文化交流フ ェスティバルのボランティアで知り合った仲だ。海外から招かれた芸術家と共に合宿しな がら、地域住民とともに巨大な作品を作るというこのイベントは、参加ボランティアたち の距離を一気に縮めてくれた。すっかり意気投合した8人はそれからも時々、こうして休 日を一緒に楽しんでいる。 今年の夏、彼らは遼一の母方の実家近くにあるという穴場海水浴場を目指して、2泊3日 の日程で遊びにやって来た。この「舞ヶ浜海水浴場」は、バブル時代には周囲にペンショ ンが幾つも建ち並ぶほどに繁盛したらしいが、都会からの交通が不便なため現在は寂れて しまった場所だ。追い打ちをかけるように、今年6月の豪雨災害で途中の県道が通行不能 となり、観光客はすっかり途絶えてしまった。それでも設備が整った隣の海水浴場にはま だ客の姿もあるのだが、シャワーや更衣室の設備がないこの浜辺は、彼ら8人のプライベ ートビーチと言っても良い状態だった。 そのプライベートビーチで、彼らは真夏のひとときを満喫していた。突然の豪雨が彼らを 襲った、つい数分前までは。 グワーン!! バリバリッ!耳をつんざく轟音が周囲に響いた。「キャアッ!!」るみと綾奈が耳 を押さえてうずくまった。すぐ近くに雷が落ちたらしい。 「やべぇ。どんどん暗くなってきやがった。」夏彦がいまいましそうに言った。 「ちょっと!? いくら何でも暗過ぎやしない? まだ4時前なのに、まるで日が暮れた後みた いじゃない!?」 咲也の指摘通り、周囲は5メートル先も見えないくらい真っ暗だ。雷はひっきり無しに鳴 り響き、8人はますます心細くなってきた。
館の入り口にもたれていた綾奈が、急に叫んだ。「あの、この扉、開いてますよ!」 皆は一斉に彼女の方を見た。綾奈がドアの取っ手をひねると、ギギーと音がして、重い扉 が内側に向かって開いてゆく。だが、中は真っ暗で何も見えない。 「…ねえ。中でちょっと休ませてもらわない? このままじゃみんな風邪ひいちゃうわ。」 裕美子が提案した。一同は、思わず顔を見合わせた。 彼らが雨宿りしているのは、海水浴場を見下ろす高台の上に立つ、瀟洒な洋館だ。どうや らバブル時代に建てられその後廃業した、ペンションのひとつであるらしい。かなりがっ しりと作られた本格的な洋館で、扉の造作ひとつとっても物々しい。その荘重な雰囲気と、 内部の暗さのために、彼らには中に入ることが躊躇われたのだ。だがこのままでは、らち があかないことも事実だ。 「とりあえず、身体が乾くまで中に入りましょうよ。」裕美子が皆をせっつく。 「勝手に中に入ったら、家宅侵入罪になるんじゃないのか?」夏彦が不安そうに訊ねる。 「厳密に言えばそうなんだが、俺たちもこんな状態だからな。緊急避難で大目に見てもら えると思うよ。」和樹が自身無さそうに答えた。 「悩んでいても仕方が無い。しばらく休ませてもらおう。」翔吾が結論を下した。 「ごめん下さーい! ちょっと失礼しまーす!」 こうして、彼ら8人はこの洋館の中へと、足を踏み入れた。それが、巧妙に仕組まれた悪 魔の罠であることに気付かないまま。
全員が館の中に入ったとたん、ギーッ、バタン! という音とともに、扉が勢いよく閉まっ た。周囲は完全な闇に包まれた。 「キャッ!」るみと綾奈が悲鳴を上げた。他の者も、驚きのあまり思わず息を飲んだ。裕 美子は綾奈たちの方に駆け寄った。「大丈夫よ。ドアが閉まっただけだから。」 咲也が急いで携帯を取り出し、バックライトでドアノブを照らした。夏彦が取っ手を掴ん で押し下げようとした。だが取っ手は堅く、びくともしない。 「おい! 開かないぞ! どうやら閉じ込められたらしい!」 「古い建物で、鍵が錆びてるんじゃないか?」 「わからん。ともかく出られそうにないんだ!」 夏彦は必死でドアを蹴り、取っ手を渾身の力で押し下げる。一同は心の中に不安が這い上 がってくるのを感じた。ドアの向こう側ではまだ嵐が荒れ狂っているらしく、窓をガタガ タ鳴らす音だけが響いてくる。 と。突然、周囲が明るくなった。 「!」不意を突かれて、一同は目を丸くした。見ると遼一が、電灯のスイッチをひねった らしい。 「電灯、生きてるぜ。」 「…どういうことだ? このペンション、廃屋じゃなかったのか?」和樹が首をひねった。 「ねえ! 見てこのシャンデリア!」 咲也が目を輝かせて、ホールの中央目がけて駆け出した。 「ドーム工房のデザインよ。それにこの、アール・ヌーヴォー風の階段の手すり。純ヴィ クトリア調の仕上げじゃない! このラダーバックの椅子はマッキントッシュよ。すごい わ!」デザイン学を志している咲也は、喜びを押さえられないといった表情でホールの中 をくるくると回った。
一同の前には、2階まで吹き抜けになった、巨大なホールが広がっていた。壁も床も、重 厚な茶褐色の木で造られている。彼らの正面には、2階へ昇る幅の広い階段があり、昇り 切った場所から手前に向かって、幾つもの円柱に支えられるかたちで2階の廊下が「門」 の字形に延びている。円柱のひとつひとつに取りつけられた照明も、凝った造りだ。ホー ルの両脇には幾つも木の扉が並んでいるが、どれも荘重な造りで、重々しい雰囲気をかも し出している。 「すごいわ。確かにこれはお金かかってる!」裕美子もしきりに関心した様子だ。 正面階段の右端に、西洋の甲冑が置かれている。金色に輝く、かなり豪華なつくりの鎧だ。 「…何だか、薄気味が悪いね。」るみが綾奈に同意を求めた。話しかけられた綾奈の顔も 何だか引きつっている。 その会話を小耳にはさんだ夏彦がスタスタと歩み寄り、鎧を小突いた。「なんだるみちゃ ん、鎧が怖いのか?」そして鎧の顔面を覆う、面頬を押し下げて中を覗き込んだ。 「おーい。誰かいませんかー? …ほらね、中はカラッポだよ。」そう言って笑った。 和樹はしゃがみこんで、床を指でなぞった。そして翔吾に話しかける。 「ほら。チリひとつ指につかない。ここはやっぱり廃屋じゃないぞ。」 「人がいるかも知れない、ってわけか。」翔吾は大声で、奥に向かって叫んだ。「すみま せーん!! どなたか、いらっしゃいませんかー!! 」だが、一向に返事は返って来ない。 翔吾はとりあえず、ホールの中央に一同を集めた。 「どうやら誰もいないみたいだが、いつ人が戻ってくるかわからない。叱られないよう、 軽はずみな行動はするなよ。まず身体を乾かし、休む場所を見つけよう。2人一組で行動 するんだ。パートナーとは決して離れないこと。そしてお互いの声が聞こえるよう、部屋 の中に入るときは、必ずドアを開けっぱなしにすること。」 一同は頷いた。 「それじゃあ、2階の左側は姫さんとワクさん、右側は遼ちゃんとるみちゃんで調べてく れ。1階の左側は夏やんとママちゃん。右側は俺と綾ちゃんだ。何かあったらすぐに大声 で知らせること。じゃあ調査開始だ。」
皆が散り散りに去った後、翔吾は綾奈を連れて、1階右側の扉を開けて中に入った。照明 を点けると、中は丸いテーブルが幾つも並んだ広い空間だった。どうやら食堂らしい。丸 いテーブルの上にはクロスが掛けられ、皿が並べられている。まるで宿泊客がいるかのよ うに。 翔吾たちはゆっくりと中に歩み入った。食堂の右側、館の入り口に近い側には大きなグラ ンドピアノが置かれている。ピアノのさらに奥は、椅子が円形に配置された、8角形のサ ンルームになっているらしい。左側の奥には、巨大な暖炉がしつらえられていた。彼らの 正面、扉が並ぶ壁の反対側は、庭に面しているらしく大きなガラスサッシが並んでいる。 外はどうやらテラスになっているようだ。 綾奈が、ふと大変なことに気付いた。 「石倉さん…ねえ石倉さん。雨、降ってないですよ!」 「何ッ!?」翔吾はあわててガラスに駆け寄った。さっきまであれほど荒れ狂っていた嵐が、 何事も無かったかのように治まっている。ガラス扉のロックを外して開け放った。何と、 テラスには雨に濡れた痕跡すら無いではないか。2人は狐につままれたように呆然と空を 見上げた。空は星ひとつ見えない暗黒の空間だった。そして彼らの前方に拡がる空間も、 やはり漆黒の闇であった。 「…どういうことだ。まだ午後4時前のはずだぞ!?」 綾奈が、急に腕を抱えてガタガタと震え出した。「どうした綾奈ちゃん?」 「…石倉さん…ここ…何かいます…」 石倉の顔は蒼白になった。「何だ? 何がいるんだって?」 綾奈は首を振った。「わかりません。…でも、何かいるんです。」綾奈はそういうのがや っとだった。 翔吾はガラス扉を閉じ、綾奈の肩を抱いて椅子に座らせた。「いいか綾奈ちゃん、気をし っかり持て。不安がそんなふうに錯覚させてるんだ。何もいやしない。何もいやしないよ。」 翔吾は、綾奈に何度も念を押した。まるで、自分自身に言い聞かせるように。
夏彦と裕美子が足を踏み入れた、いちばん左側奥の部屋は、何と浴場の更衣室だった。や はりこの建物はペンションであるらしい。 「ほぉっ。ここは女風呂だぞ。俺、女風呂に入るのは初めてだぜ。」 夏彦は笑いながら浴室に足を踏み入れた。さすがに湯船には湯は満ちておらず、からっぽ だった。「へえ、本格的なサウナまでついてやがる。」 「夏彦! キョロキョロしてないで、タオルか何か探すのを手伝ってよ! 更衣室なら何かあ るはずよ。」 そう言って裕美子は、洗面台の下に並んだ扉をひとつひとつ、開けて内部を確かめて回った。 「変ね。なんでこんなものがあるのかしら?」 そう言って裕美子が取り出したものは、蜂蜜のガラス瓶だった。どういうわけか扉の中に は、蜂蜜の瓶がギッシリと詰め込まれている。 「なぁ裕美子! 今度どこかの温泉で、家族風呂を借りないか? 露天風呂がいいな。青空の 下で、一度お前とヤリたいんだ。」 「もう! 何言ってるのよこんな時に!」裕美子は顔を赤らめて抗議した。彼女が夏彦の方 に振り向いたその時、外壁の高い位置に付けられた小さな窓が目に入った。そして彼女は、 窓の向こうにいた“そいつ”と、目が合ってしまった。 「キャッ!」裕美子は短い悲鳴を上げた。あわてて浴室から夏彦が飛び出してきた。 「どうした! 何があった!?」 裕美子はガタガタと震えながら、窓の方を指差した。 「あ…あれ…あれ…」 「何もいないじゃないか。」 「…いたのよ! あれが…あれが!」 「あれって何だよ? さっぱりわからないぞ。」 「目よ! ギラギラとした目。こっちを覗いてたのよ!」 「覗きか? 近所の出歯亀か何かか?」 「違うの! あれは…人間じゃない! 人間の目じゃなかったわ!」 「じゃあ、タヌキか野良猫だろう。お前、言ってることが支離滅裂だぞ。」 裕美子はへなへなとその場に座り込み、首を何度も横に振った。 「違うの…あれは…あれは!」
2階には、客室が幾つも並んでいた。咲也と和樹の二人は、左側の客室をひとつひとつ調 べて回ることにした。幸い、どの扉にも鍵はかかっていないようだった。 「ステキ! 部屋の調度もビクトリア調だわ。ほら、暖炉まである!」咲也は本来の目的を 忘れて、調度品を調べるのに夢中だ。和樹は部屋に設えられたユニットバスをのぞき込み、 ハンガーにタオルがかかっているのを発見した。 「こりゃありがたい。姫さん、タオルを集めるのを手伝ってよ。」 ランプシェードを調べていた咲也は残念そうに立ち上がったが、それでも手際よく次々と 部屋を回ってタオルを集め、和樹に手渡していった。 階段から見て一番奥、入り口側に近い部屋に入った時、 咲也は奇妙なものを見つけた。 ツインベッドの片方、布団の中央が、やけに盛り上がっているのだ。 「ちょっと藤原君、これ見て。」急いで和樹を呼び寄せた。 「…布団の中に、誰か隠れてるんじゃないか?」 「やめてよ。そんなはずないじゃない。」そう言って、咲也は掛布団をさらりとめくった。 そこに…現れたものは… 黒い、得体の知れない塊りだった。 その塊りはザワザワと蠢き、波が引くように崩れて、周囲に広がっていった。塊りの一部 は、黒い粒々となって布団を手にした咲也の腕にまで這い昇ってきた。 「ヒイッ!!」咲也は声にならない悲鳴を上げ、狂ったように激しく腕を降ってそいつを振り 払った。そして絶叫しながら部屋から飛び出していった。「イャアアアアアアッ!!!」 それは、黒い蟻の群れだった。そして蟻の群れがいずこともなく散らばっていった後には、 黒い、ひからびたミイラがベッドの中央に残されていた。
あまりの光景に和樹は一瞬硬直したが、ふと我に返り、咲也の後を追って部屋の外に出た。 咲也は廊下の手すりを掴んだまましゃがみ込んで、激しく嗚咽していた。 ようやく呼吸を整えた和樹は、咲也の顔を覗き込んで慰めた。 「大丈夫だ、姫さん。死体に蟻がたかっていただけだ。何もしやしない。大丈夫だよ。」 咲也はしゃくり上げながら、力なく立ち上がった。 「わたし、虫だけはダメなの。虫だけは、勘弁して…お願い…」 向かい側の廊下から、悲鳴を聞きつけた遼一が走って駆けつけてきた。 「おい! 一体何があった!?」 「…死体だよ。死体に蟻が群がってたんだ。」「…死体? アリ?」 二人は咲也にそこで待っているよう言い残して、死体を調べに部屋に戻った。あれほど沢 山いた蟻の群れはどこに消えたのか、その痕跡すら見つけることができなかった。 二人とも、変死体を目の前で見るのは初めてだ。喉の奥に酸っぱいものが逆流してくるの を堪えながら、彼らは死体をまじまじと観察した。 死体は、口を開け、白目を剥き出して何かを叫んでいるような表情をしていた。指先を奇 妙に曲げ、まるであがいているかのようなポーズである。最初はミイラのよう見えたのだ が、よく観ると、単なる干からびた死体とはまったく異なる状態であることがわかった。 「…何なんだろう、これ? カチコチに固まって、まるで昆虫みたいだ。」 「それに、こいつ男なのか、女なのか? アソコに何もねぇじゃねぇか?」
「ねぇねぇ! 咲也ちゃん、大丈夫?」廊下にるみの声が聞こえる。 「やばい! 遼ちゃん、るみちゃんには死体を見せるな!」 「オッケイ!」遼一は外に出ていった。 「遼ちゃん、一体何があったの?」るみは好奇心で一杯の様子だ。 「20歳未満お断りのものだよ。さあ子供は帰った帰った。」 「わかったあ。殺人事件の死体でも見つけたんでしょう!」 「ん!? 何で知ってる?」遼一は狼狽して、うっかり白状してしまった。 「ああーやっぱりィ? 死体、見たい! 見たい!」 「バカ! すっごく、グロテスクなんだぞ。失神したらどうする?」 「大丈夫よ。おじいちゃんの見たことあるし。」 「お前のじいさんは安らかに大往生したんだろうが。一緒にするな! こっちの死体は恨み 骨髄という顔をしてるんだ。さあ、帰った帰った!」 「もう! どうしてみんな、そうやっていつも子供扱いするのォ!?」 その時、息を切らせて石倉翔吾が駆け上がってきた。 「何だ、今の悲鳴は! 何があった!?」
気を持ち直した咲也とるみを廊下に残したまま、翔吾、和樹、遼一の3人は死体を調べて いた。 「死因がさっぱりわからないな。身体が真っ黒に固まって、まるで蟻のような姿になって 死ぬ。そんな死に方、今まで聞いたことがない。」和樹が何度も首をひねった。 「…それよりお二人さん。さっき向こうの部屋で面白いものを見つけたんだ。聞いてみる かい?」 そう言って遼一が取り出したのは、ボイスレコーダーだった。 「誰のだ、一体?」「さあな。クローゼットの中に落ちてたのさ。ここの宿泊客のものだ と思うけどね。」 遼一が再生スイッチを入れた。 ………。………。 レコーダーから聞こえてきたのは、ひどくあわてているらしい若い男の声だった。バック には激しい怒号、ドンドンと何かを叩いているらしい物音も聞こえる。 遼一たち3人は、困惑して顔を見合わせた。 「…何て言ってた? “みんな、化け物に…襲われてしまった”か?」 「いや、“みんな、化け物に…なってしまった”って聞こえた。」 「俺にもそう聞こえたよ。で、その後は“あの…蜂のような女に…吸い取られてしまう!” だったと思う。」 「“蜂のような女”って一体何だよ? それに、何を吸い取るんだ?」 「知らねえよ。とにかく、先客からの、あまりありがたくない伝言だな。何かのいたずら だと思うが、縁起でもねぇ!」
3人は気分を落ち着けるために廊下に出た。 「それはそうと大将、綾奈ちゃんはどうした?」 「食堂にいたんだが、悲鳴が聞こえたんで、ホールに出て待っているように言ってある。 食堂の扉は開けたままだから大丈夫だろう。」 「…扉、閉まってるぜ。」 「何ッ!」翔吾は手すりから身を乗り出した。確かに、ホールから食堂に通じる3つの扉 はすべて閉まっている。ホールにいるはずの川瀬綾奈の姿も、どこにも見当たらない。 「食堂に閉じ込められたんだ。行ってくる!」 その時、咲也がホールの一角を指差して、キャアッ!と叫んだ。 「どうした!?」 「…鎧が、鎧が無くなっているわ…」 見ると、階段の脇にあったはずの西洋甲冑が、どこかに消えている。咲也はまたも、へな へなとその場にしゃがみ込んだ。 「まさか…勝手に歩き出したのか?」 「馬鹿なこと言うな。だがこの館、やはりどうかしてやがる! 早くここから逃げ出そう!」
無気味な目を見たショックで錯乱気味の裕美子を抱きしめ、夏彦は彼女の背中を優しく撫 でさすった。 「今日は色々あったからな。疲れてるんだよ。お前は何もしなくていい。探し物なら俺が 代わりにしてやるから。」 夏彦は立ち上がり、再び浴室に入った。「電気が通ってるんなら、湯も使えるかも知れな い。みんなで風呂に入って暖まろうぜ。」 そう言って、蛇口をひねった。 その途端、脱衣場と浴場を隔てるガラス扉がバタン!と音を立てて閉じた。 そして蛇口から、湯の代わりに白いガスが、シュウシュウと吹き出してきた。 夏彦はあわててガラス扉に駆け寄った。力いっぱいドアを引く。だが、扉はびくともしな い。 「夏彦! ねえ夏彦!」裕美子は驚いてガラスを叩いた。 夏彦は「どいてろ!」と叫んで、浴用チェアをガラス目がけて投げつけた。だが激しい音 とともにチェアが跳ね返っただけだった。 白いガスは、浴室内に充満してゆく。それを吸った夏彦は、胸を押さえて苦しみ始めた。 「逃げろ! 裕美子! 早くここから逃げろ!」 「キャア! 夏彦! 夏彦ってば!!」裕美子は半狂乱でガラスを叩く。 ガスを吸い込んだ夏彦は、浴場の床に倒れ伏し、身体を折り曲げて激しくもだえた。そし て、彼の身体には徐々に恐ろしい変化が現れていった。 「い、いやぁ! 夏彦! 夏彦ってば! 誰か、誰か助けてェ!!」
夏彦の身体がドス黒く染まり始め、堅い殻のように変質していった。手の先、足の先は昆 虫の爪のように伸び、関節もカニの足のように変化した。髪の毛はすっかり抜け落ち、真 っ黒に染まった額からは、二本の触角が生えてきた。そして、人間の口を突き破って、昆 虫の大顎のような口器が現れた。 数分の後、夏彦の身体は、巨大な蟻のような姿に変貌していた。 あまりの恐ろしい出来事に、裕美子はもはや声を出すこともできず、床に這いつくばって ガタガタと震えていた。 さっきまで夏彦だった怪物が、二本の足でフラリと立ち上がった。そして着ていたTシャ ツと海水パンツを、ベリベリと引きちぎった。 浴場と更衣室を隔てていたガラス扉が、音もなく開いた。怪物は、四つん這いになっての っそりと更衣室に上がり込み、ガクガク震える裕美子の方に近づいてきた。 怪物の目は昆虫のような複眼ではなく、人間に酷似していた。黒い顔面に白い眼球だけが ギョロギョロと動いているのが無気味だ。裕美子は気付いた。さっき窓の外に見たのも、 これと同じ怪物の目だったことに。 「…な、夏彦なの? …嘘、嘘よね。こんなの嘘よね。…い、いやあ!」 怪物は、裕美子の顔に触角を近づけ、ギョロギョロした目で彼女の顔を凝視した。それは もはや、夏彦の優しい、涼しげな目ではなかった。裕美子は必死で目を閉じ、顔じゅうを まさぐる触角を避けようと必死で顔をそむけた。 やがて、興味を失ったのか怪物は立ち上がった。怪物の首に掛けられた、裕美子とお揃い のネックレスがキラリと光った。かつて夏彦だった怪物は、さっき裕美子が無気味な目を 見た窓をガラリと開け放ち、外に飛び出して行った。 「あ…あ…あ…!」 怪物の姿が見えなくなると、裕美子は息を切らせ、声にならない声を上げた。そして満足 に動かない身体を必死に動かして、更衣室の外へと這い出して行った。
その頃、綾奈はたった一人で、食堂の中に閉じ込められていた。 「ホールに出て待ってろ! 扉は開けておけ!」悲鳴を聞いた翔吾が、そう言い残して食堂 を飛び出していったのは、ついさっきのことだ。綾奈も彼の後を追って外に出ようとした。 だが彼女の目の前で、扉はバターン! という音を立てて閉じてしまった。綾奈がいくら引 っ張っても、頑丈な扉はびくともしなかった。 綾奈は、他に脱出口がないか探すことにした。こんなところには一人でいたくない。最初、 暖炉の裏側にある厨房に飛び込んだが、電気の場所がわからず、暗闇のままだったので引 き返した。仕方がないのでホールへと続く他の扉が開かないかどうか、ひとつひとつ確か めてみることにした。 テラスに面したガラス扉の向こうは、相変わらず漆黒の闇だ。できるだけそちらを見ない ようにしながら、綾奈は食堂の中を移動した。だが、彼女は見てしまった。 ガラスの向こう側に、白いドレスを着た女がいたのだ。長い髪に蒼ざめた肌の、美しい女 だ。 女は暗闇の向こうから、まるで宙を浮いているかのように、ススー、と近づいてきた。そ してガラスに手を当て、綾奈を見て妖しく笑った。 「キャアッ!!」綾奈は叫び、駆け出した。女の姿は再びガラスから遠ざかり、闇の中へと消 えていった。 綾奈は必死で、ホールに通じる扉を引っ張った。もう嫌だ。こんなところにはもういたく ない。だが相変わらず、綾奈の力では扉はびくともしない。 ダーン! 不意に、そばのピアノが大きな音で鳴った。
綾奈の背中は、稲妻が走ったかのように硬直した。心臓がバクバクと鳴り響く。 タ、ターンタ、ターン、タン!! ピアノは、悲壮感に満ちた曲を奏ではじめた。おそるおそるピアノの方を覗き見て、綾奈 はさらに驚いた。演奏を続けるピアノの前には、誰も座ってはいなかったのだ。 綾奈の足はもう、いうことをきかなかった。綾奈は床にくずれ落ち、背中伝いに這いながら、 必死でピアノから逃れようとした。 ピアノが奏でる力強く悲痛な曲は、ますます盛り上がり、耳を聾せんばかりに激しさを増 していった。そして、ピアノの開いた共鳴板の中から、無数の蜂が飛び出してきた。 「いやああ!!」 蜂は、曲に合わせて狂ったように綾奈の周りを舞った。蜂の数はますます多くなり、ブン ブンと音を立てて彼女を追い回す。何匹かは彼女の身体にとまり、綾奈の肌の上を這いま わる。 「…助けて! 誰か助けて!! お願い!」 蜂の群れに覆いつくされながら、綾奈は意識を失った。気を失う前に一瞬、彼女の目にピ アノが映った。ピアノの前にはいつの間にか、さっきの白いドレスの女が座っていた。ピ アノを奏でながら、女はチラリと綾奈の方を見て、またも妖しく微笑んだ。
突然どこからともなく、ピアノの音が聞こえてきた。2階にいた若者たちは驚いて顔を見 合わせた。 「ベートーヴェンの悲愴ソナタよ!」咲也が叫んだ。 「どこからだ!?」「食堂みたいだ!」 翔吾はハッとなって、一番に駆け出した。残りのメンバーも、階段をバタバタと駆け降り る。 翔吾が食堂の扉を、渾身の力で押した。だが、びくともしない。翔吾は扉から離れ、勢い よく扉にタックルをかませた。和樹と遼一も、何度も飛び蹴りをくらわせたが、扉はまっ たく動く気配がない。 「綾奈ちゃん! 綾奈ちゃん!!」るみが、泣きそうな顔で必死に扉を叩く。 悲愴ソナタは、ますます激しさを増し、狂おしく奏でられてゆく。 「食堂に続くドアは、他にないのか!?」 「そうだ! 確か厨房があった。扉もあるはずだ!」 翔吾は階段の裏側へと走った。一番右にある、厨房の扉は開かなかった。だが隣の扉があ っさりと開いた。だが中は真っ暗だった。電灯のスイッチの位置がわからない。 「しめた。懐中電灯だ!」遼一が扉のすぐ脇にあった懐中電灯を見つけ、明かりを点けた。 扉の中は倉庫らしく、ロッカーが立ち並び、ビールのカートンや大きな箱が幾つも積み重 ねてある。地下室へと通じる階段もあった。 「こっちだ!」懐中電灯を持った翔吾が、隣の部屋へと飛び込んだ。 「遼さん! 扉が閉じないよう、突っかえをしておこう! 手を貸してくれ!」 和樹と遼一は、扉が完全に閉じないよう、扉と壁の間に箱を幾つかはさみ込んだ。そして、 翔吾や咲也の後を追った。 悲愴ソナタの演奏が、ようやく終わった。館の中は、再び沈黙に包まれた。 厨房伝いに食堂に飛び込んだ一同は、しかし綾奈の姿を、どこにも見つけることができな かった。 「おーい! 綾奈ちゃーん!! どこだぁーッ! どこにいるんだぁーッ!!」
翔吾の叫びに対する返事は、どこからも返っては来なかった。 咲也がピアノの方に走り寄った。「おい! 危ない! 近寄るな!」和樹が叫んだ。 「…思った通りよ。スタインウェイの、プレイヤーピアノだわ。」 「プレイヤーピアノ?」 「自動演奏ピアノよ。曲をプログラムしたテープをセットしておけば、自動的にその曲を 演奏してくれるの。巨大なオルゴールみたいなものね。」 「…でも、誰かが曲をセットしたことは間違いない。そいつが綾奈ちゃんをさらったんだ。 畜生! いったい誰が、こんな手の込んだいたずらを企てやがったんだ!」和樹は歯がみした。 翔吾はうつ向いて、悔しそうに手を握り締めていた。遼一がなぐさめるように、彼の肩を ポン、と叩いた。 その時、るみが叫んだ。「あ、あれ! あれ見て!!」 一同は、テラスに通じるガラス扉の方を見た。ガラスの向こう側には、白いドレスを着た 長い髪の女の姿があった。振り返って一同をちらりと見た後、ススー、と闇の中に消えて ゆく。 「野郎! 逃がすかよ!」遼一がガラス扉を開けて、テラスに飛び出し、女の後を追った。 「やめろ、遼ちゃん! 引き返せ!! 」翔吾が驚いて大声で叫んだ。 「え? どうして追いかけちゃ駄目なの?」咲也が訊ねた。 「よく見ろ! 雨が全然降ってないだろう! ここは普通の空間じゃないんだ!」 その時初めて、咲也たちは事の異常さに気がついた。一同は、必死に遼一を呼び戻そうと 口々に叫んだ。 「遼ちゃん! ダメだッ! 戻れぇッ!」「相良さぁーん!! 戻って下さぁーい!!」 だが遼一の姿は、暗い闇の中へと消えていった。
白いドレスの女は、遼一を待ち構えるかのように立ち止まり、振り返ったかと思うと、再 びすべるように動きだした。 女の前に、ガラス張りの建物が現れた。どうやら、温室らしい。女が温室に近づくと、扉 がひとりでに開いた。女の姿は、その中へと消えていった。 「畜生! なんでこんなに足が早いんだ!?」遼一はブツクサつぶやきながら、女の後を追っ て温室へと飛び込んだ。 入った途端、ムッとする草いきれが、遼一を包み込んだ。温室の中は背の高い、見たこと も無い植物が繁茂していた。中を動き回るには、植物の中をかき分けて移動しなければな らない。 「おいおい。こんな温室ってアリかよ。これじゃあジャングルじゃねぇか。」 女の姿は、どこにも見当たらなかった。その代わり、ピチャ、ピチャという不思議な音が、 遼一の耳に聞こえてきた。 遼一は、女を追いかけて来たことを後悔し始めていた。前方に聞こえるピチャ、ピチャと いう音が、何だか不吉な響きであるように感じられたからだ。 遼一は歩みを緩めて、おそるおそる草を掻き分けた。前方に急に、開けた場所が現れた。 ピチャ、ピチャという音は、その中央から聞こえてきた。 開けた場所の中央に、黒い人影が4つ、背中を向けて座り込み、しきりに何かをむさぼっ ていた。ピチャピチャという音は、彼らの食事の音らしい。 遼一はその姿を見て、思わず背筋に冷たいものが走るのを感じた。なぜなら彼らの黒い姿 は、さっき館の2階で見た、干からびた死体にそっくりだったからだ。 4つの影が、ふと食事の手を休め、遼一の方を振り返った。 その顔は、人間のものではなかった。触角と大顎を持つ黒い巨大な蟻が、何かの生肉をむ さぼっていたのだ。 「う、うわああッ!!」遼一はその場を逃げ出した。無我夢中で温室の入り口にたどりつき、 ふらつきながらそこから這い出した。
だが、館に戻る道を見つけることはできなかった。周囲は、完全な闇に包まれていた。 遼一は、ガクガクと膝が震えるのを感じた。歯もガタガタと震えて噛み合わない。早くこ こから離れなければ。だが、一体どちらへ行けばいい? その時、遼一の視界に再び白いドレスが飛び込んできた。「おい、あんた!」遼一は彼女 の後を追った。 白い女は、宙に浮いているかのようにススー、と遼一の前を遠ざかってゆく。遼一は必死 で後を追いかけ、あとひと息で追いつこうという場所で、女の肩に向かって手を伸ばした。 だが、遼一の手は女には届かなかった。彼の足元の地面が、不意に消えうせたからだ。 「うわあああああああ!!!」 断崖から足を踏み外し、遼一の身体は海を目がけて真っ逆さまに落下した。宙に浮いた女 は、妖しく笑いながら遼一の方を振り返った。 女の顔は、人間のものではなかった。 「うわあああああああ!!!」 遼一の凄まじい絶叫が、食堂で待つ翔吾たちの耳にも聞こえてきた。 「イヤっ。遼ちゃん!!」咲也が手で顔を覆った。一同は強いショックに打ちのめされ、しば らく動くことができなかった。 「あ、あれを見ろよ!」和樹が、食堂の壁を指差した。 そこには、無数の蜂の群れが蠢いていた。蜂の群れの動きは、やがて壁の上に、ひとつの 言葉を描き出した。 「 あ と 5 人 」 一同は、背筋に冷たいものが走るのを感じた。蜂の群れが作った文字はやがて崩れ去り、 蜂たちはいずこともなく飛び去って行った。 食堂とホールを隔てていた扉が、ギィーッ、と音を立てて開いた。 その向こうから、髪を振り乱した裕美子が這うようにして現れた。 「…夏彦が! 夏彦が! 化け物にされてしまった!!」
綾奈は、自分の顔に何かが触れる奇妙な感触に、目を覚ました。目を開けると、ギョロギ ョロと目を輝かせた奇怪な顔が、すぐ目の前にあった。 「キャアアアアッツ!!!」 その悲鳴に驚いたのか、黒い奇怪な怪物は、綾奈から飛びのいた。 綾奈の身体は、全裸で冷たい台の上に固定されていた。手足を縛られているので、身動き することができない。 「ここは…どこなの!?」ガタガタ震えながら、綾奈は周囲を見渡した。薄暗い、湿った石 造りの部屋の中だ。そこかの地下室らしい。周囲には奇妙な機械が並び、自分の頭上には 底の無いカマボコ型のガラスケースが宙吊りになっている。 綾奈が縛られている台の周囲には、黒い奇怪な生き物が4体いた。離れた場所から四つん 這いの姿勢で、綾奈をじっと見つめている。 「イヤっ! ここから出して! ここから帰して!!」 綾奈の前に、白いドレスの女が現れた。さっき、ガラスの向こう側に見たのと同じ顔だ。 「…あなた、誰? わたしを…どうするの?」 女は、綾奈の美しい肢体をそっと愛撫した。 「可愛らしい子。まだ、男も知らないのね。でも、この身体とも今日でお別れよ。」
「え…何…どういうこと!?」 「あなたは今から、わたしと同じ身体に生まれ変わるの。蜂女にね。」 そう言った女の額が、急にベリッ! と二つに割れた。 「キャアッ!!」 額の割れた部分から、黄色の肉質組織が現れた。肉質組織はみるみる膨らむと、黄色と黒 の縞模様の、蜂を思わせる組織へと変化した。女の閉じたまぶたもムクムクと盛り上がり、 その表面に網目状の模様が浮き出した。みるみるうちに女の頭部は、口の周囲だけを残し て、巨大な蜂の頭部に変貌した。 綾奈は、恐怖のあまり声も出なかった。 女は、ドレスを脱ぎ捨てた。濃いブルーの身体、黄色と黒の同心円模様で彩られた、蠕動 する乳房。それは、まさに蜂女だった。 蜂女は、妖しく微笑むと綾奈の頬を押さえて、こう告げた。 「今から、あなたは蜂女になるのよ。」 綾奈の頭上に吊り下げられていた、カマボコ状のガラスケースが、綾奈目がけて降りてき た。綾奈をすっかり包み込んだガラスケースの中に、白いガスが吹き出し、綾奈の身体を 覆っていった。 「イヤああ! やめて! お願い!」 ガスを吸った綾奈の身体は、みるみるうちに人間ではないものに変化していった。
翔吾たち一同は、安全な場所を求めて2階の客室のうち、階段にいちばん近い広い部屋に 避難した。 この館の主が、彼ら一同に対して悪意を持っているのは間違いない。全員の情報を総合し、 何とか脱出の機会を見つけなければならない。 和樹が、遼一が見つけたボイスレコーダーの音声を、皆に聞かせた。 「“みんな、化け物に、なってしまった”、この「化け物」というのが、夏彦さんが変え られてしまったという、蟻みたいな怪物のことね?」 咲也がノートとボールペンを取り出し、情報を整理する。まったく、彼女のバッグには何 だって入っている。 「そして“蜂のような女に、吸い取られてしまう”、この「蜂のような女」が、さっき蜂 を操って壁に文字を書いた、あの白いドレスの女の人なのかしら?」 「しかし、「蜂のような」という言い方が気になるな。あの女も、化け物の仲間なんじゃ ないか? そしたら、出会っても相手にせず、ひたすら逃げなきゃいけないわけだ。」 「とにかく! 一刻も早くここから脱出しよう。」翔吾が膝を叩いた。 「ちょっと! 夏彦を置いて、逃げろっていうの!? そんなこと、できるわけないじゃない!!」 裕美子がヒステリックに叫んだ。 「そうじゃないよ、ママちゃん。まずここから逃げて、それから警察を呼ぶんだ。」 「…警察で対処できるような相手には、とうてい思えないわ。これを見て!」 咲也が携帯電話を開いて、皆に画面を見せた。 「わたしたちがこの館に入ったのは、午後3時42分。そして今は、午後3時46分。まだ5 分も経っていないのよ。」
「…そんなバカな!!」夏彦と裕美子が、バッグから携帯を取り出して確認した。 「嘘だろ…おい。それじゃあこの館の中だけ、時間の流れが違うとでも言うのか?」 「それだけじゃないわ。さっきから携帯がどこにも通じないのよ。海岸では通じたという のに。きっとこの館だけが、周囲の空間から切り離されているのよ。」 一同は、言いようのない不安に包まれた。自分たちの相手が、人智を絶する存在だという ことを思い知らされたからだ。 「…だが、入った以上、出口も必ずあるはずだ。その出口はきっと、俺たちが入って来た あの場所に違いない。」翔吾が自分に言い聞かせるように言った。 「正面玄関か。強行突破しかないだろうな。」 「…きっと、鍵がかかっているわよ。」 「なら、近くの窓を割って飛び出すまでさ。」 「…ちょっと、みんな! 聞いて!!」るみの声に、一同は耳を凝らした。 ガシャン。ガシャン。ガシャン。金属を打ち合わせるような音を立てて、何物かがこの部 屋に近づいてくる。 「甲冑よ! あの甲冑が襲ってくるんだわ!」咲也が悲鳴を上げた。 「シッ! 静かに!!」和樹が皆を制した。 息を殺した一同の方に向かって、甲冑は少しずつ近づいてくる。翔吾と和樹は、椅子を振 り被って臨戦態勢を取った。裕美子は、おびえるるみをしっかりと抱きしめる。 ガタ! ガタガタ! ガタッ! ドアノブを乱暴に回す音が響く。だは鍵が掛かっているので、 ドアは開かない。 やがて、甲冑はあきらめたのか、再びガシャン、ガシャンという音を立てて去っていった。 一同はホッ、と胸をなでおろした。その時。 「…るみちゃん、わたしよ。ここを開けて…」 聞き慣れた声が、ドアのすぐ外から響いてきた。
「綾奈ちゃん!?」るみが思わず叫んだ。裕美子があわてて、るみの口を塞ぐ。 「…るみちゃん? いるんでしょう? わたし、ひとりで心細いの。早く開けて。お願い…」 るみは、裕美子の腕を振りほどいて叫んだ。「綾奈ちゃんだ。綾奈ちゃんだ。早く開けて あげて! 怪物に襲われちゃうわ。早く! お願い!」 「絶対開けちゃだめよッ!!」咲也がるみの身体を押さえながら叫んだ。 「大将! 鍵を開けてもまだチェーンロックがある。少しだけドアを開けて、確認してみた い。いいか!?」和樹が確認を求めた。 「…わかった。本当に綾奈ちゃんだったら大変だ。じゅうぶん警戒して、少しだけ開けて みよう。」 翔吾と和樹が椅子を振り被り、ドアが開く方向に陣取った。咲也がロックを外し、おそる おそるドアノブを回した。ドアが少しずつ、開いてゆく…。 ドアのすき間から、か細い少女の腕が、少しずつ伸びてきた。身体は見えない。 「るみちゃん。早くここを開けて。わたしを中に入れて。お願い。」 「違う! 綾奈ちゃんじゃない!!」るみが叫んだ。 「閉めて!! 早くッ!!」裕美子も叫んだ。咲也は渾身の力を込めて、ドアを勢いよく閉じた。 「ギャアッ!!」ドアのすき間に挟まれた腕が、激しくもがき痙攣した。 「閉めて!! ねじ切って!!」翔吾と和樹も加勢して、3人で力いっぱいドアを押した。挟まれ た腕は激しくあがき、木の壁をガリガリと掻きむしった。「うおおおおッ!!」渾身の力で3 人はドアを押し込み、腕はブチッ! という嫌な音を立ててちぎれて、床に転がった。咲也 が急いで、ドアにロックを掛けた。 床に転がり落ちた細い腕は、ジタバタと痙攣するように暴れ回り、次第に黒い、蟻の肢に 変わっていった。やがて動かなくなった肢の切断面から、緑色の血がとぷとぷと漏れ出し た。
だが突然、漏れ出た血は蟻の群れに姿を変えた。無数の蟻が肢から這い出し、部屋の中に ザワザワと広がっていった。 「キャアアア!!」咲也が絶叫した。翔吾と和樹は急いで蟻の群れを踏み潰そうとするが、数 が多くてらちがあかない。 「姫ッ、殺虫剤は持ってないのか!?」「…虫除けスプレーならあるわ!」 咲也はかばんの中をまさぐり、和樹にスプレーをトスする。急いで蟻の群れに吹き掛ける が、ただの忌避剤では群れが拡がるばかりで効果が無い。 「そうだ、火だ。火はないのか!?」翔吾が叫んだ。咲也はライターを取り出し、翔吾にト スした。 「はい、雑誌!」裕美子がファッション雑誌を翔吾に手渡した。翔吾は雑誌を丸め、ライ ターで火を点けた。雑誌が燃え上がると、蟻の群れが次々と這い出てくる黒い肢に押しつ け、切断面を煙でいぶしながら焼いた。これが効果があったのか、蟻の群れはそれ以上は 這い出てこなくなった。 和樹はバスタオルを水で濡らし、壁や椅子に這い登った蟻の群れを拭き取った。しばらく 奮闘した結果、蟻の群れはなんとか根絶することができた。一同は疲れ果てて、ベッドに 倒れ込んだ。 ふと、聞き慣れた声がまた聞こえて来た。今度は、窓の外からだ。 「…るみちゃん。わたしよ。綾奈よ。ここを開けて。お願い…」
「キャアッ!!」るみは絶叫した。ここは2階だ。それなのに窓の外側には、川瀬綾奈が宙に 浮かんで窓に貼りついているではないか。綾奈は眼鏡をかけていなかった。そして先程の 女と同じ、白いドレスをまとっていた。 プーーーン。蜂が数匹、どこからともなく部屋に入って来た。驚く一同を尻目に、部屋の 中を舞う蜂の数はどんどん増えてゆく。 「暖炉だッ!! 暖炉を封鎖しろ!!」翔吾と和樹がベッドを持ち上げ、暖炉を塞いだ。裕美子は 先程の火の点いた雑誌を振り回して、蜂を追い回す。るみは水に濡らしたバスタオルをヌ ンチャクのように振り回して、蜂を叩き落とす。虫が苦手な咲也は、部屋の隅で震えるば かりだ。 数分間の格闘の後、ようやく蜂の脅威が去った。窓の外には綾奈の姿ももうない。 「もう、イヤっ!! 早くここから脱出しましょう!!」咲也がヒステリックに叫んだ。一同は頷 いた。 「正面を強硬突破するしかない。じゅうぶんな武器を用意しておこう。」 「蟻の化け物が相手なら、松明が欲しいな。姫! 燃えるオイルは持ってないか?」 「サンオイルならあるわ。」「難燃性だな。こいつはダメだ。」 「そうだわ。洗面台にヘアトニックがあった!」「よし。まだそっちがいい!」 和樹はタオルハンガーを壁からもぎ取り、その一端にタオルをぐるぐる巻きにした。液体 整髪料をたっぷり含ませ、ライターで火を点けると、勢いよく燃え始めた。 「よし。それじゃあ、一気に脱出するぞ。遅れるな!」
翔吾がおそるおそるドアを開けた。その途端! 1階のプレイヤーピアノが待ち構えていた かのように、再び悲愴ソナタを奏で始めた。 ダーン! タ、ターンタ、ターン、タン!! その響きに一瞬気おくれしたが、翔吾は意を決してドアを開け放ち、左右を確認して廊下 に出た。誰もいない。翔吾の合図で、残りの4人も廊下に出た。 急いで階段を降りようとした途端、彼らがいた客室の隣にある倉庫から、人間蟻が4体、 四つん這いでゾロゾロと現れ、彼らと階段の間に立ちふさがった。そのうちの一体は肢を 一本失っていたが、再生が始まったのか、切り口から小さな肢が今にも生えようとしてい た。 和樹は松明を、翔吾は椅子を振りかざして人間蟻たちに迫った。「ここは俺たちに任せて、 早く降りるんだ!」 人間蟻の一体が、フラフラと立ち上がり、彼らの前に立った。その人間蟻の首には、裕美 子とお揃いのネックレスがかかっている。 「…夏彦? 夏彦なの!?」「ママちゃん! 危ない! 近寄るな!」 ネックレスを掛けた人間蟻は、裕美子に向かって手を伸ばした。どこからともなく、聞き 慣れた夏彦の声が聞こえてきた。 「…裕美子。俺だよ、裕美子。何も怖がることはない。さあ、こっちにおいで。」 「…夏彦? 夏彦ね。夏彦なのね!?」「ダメよ、ゆみちゃん! 罠よ!」 裕美子は咲也とるみの手を振りほどき、人間蟻たちの方に向かって駆け出した。 「夏彦ぉーっ!!」 翔吾たちが止める暇もなかった。裕美子の姿はたちまち人間蟻の群れに取り囲まれ、その 中に埋ずもれて見えなくなった。「ゆみちゃーーーんッ!!」
「くそオッ!!」和樹が松明を振り回して人間蟻に迫った。人間蟻たちが一瞬ひるんだ隙に、 階段へ降りる道が開けた。 「今だ! 一気に駆け降りろ!!」悲愴ソナタが鳴り響く中、翔吾の合図で、咲也とるみが急い で階段を駆け降りる。だが1階に降り立った彼女たちの前に、不意に例の甲冑が現れ、立ち ふさがった。「キャアアアア!!!」 「姫ェッ!!」和樹と翔吾が急いで駆け降りる。翔吾が椅子を振りかざし、甲冑目がけて振り 降ろした。ガシャンッ!! だが、甲冑は片手でそれを受け止め、軽々と横に払い流した。 「うわあッ!」 甲冑は倒れた翔吾の首根っこを掴み、宙吊りにした。翔吾はじたばたと足を動かすが、ど うすることもできない。「…俺に、俺に構わず逃げろ!!」振り絞るように翔吾が叫んだ。 「い、石倉くんッ!!」「ダメだ、早く、早く逃げろッ!!」和樹たちは翔吾から目をそむけて、 玄関目がけて駆け出した。 翔吾は必死の形相で、甲冑の胸を蹴り飛ばした。その反動で甲冑がふらつき、兜の面頬が パカッ! と開いた。 「うわああああああ!!」兜の内側には、何も無かった。
和樹たちはようやく、玄関にたどり着いた。ドアの取っ手を渾身の力で降ろそうとしたが、 びくともしない。 「くそッ!! やはりだめかッ!」「…サンルームよ!! サンルームの窓を割って逃げましょう!」 咲也が食堂の扉に駆け寄り、勢いよく開け放った。和樹は迫り来る人間蟻たち目がけて松 明を投げつけ、彼らがひるんだ隙にるみを連れて食堂に飛び込んだ。悲愴ソナタのクライ マックスを奏でる自動ピアノの脇をすり抜け、3人はサンルームへと辿りついた。 「うおおおおおおッ!!」和樹が椅子のひとつを持ち上げ、ガラス窓目がけて投げつける。ガ シャーン!! 窓が砕け散り、外への道が開ける。 人間蟻たちが、和樹の後を追ってサンルームに現れた。「ここは俺に任せて、早く逃げろ!!」 和樹は椅子を振りかざして、人間蟻の群れに立ち向かった。 「早く! るみちゃん!!」咲也がるみの手を引っ張って、窓をくぐり抜けた。外は相変わらず 漆黒の闇だ。雨が降った気配すらない。 「この野郎!!」和樹は狂ったように椅子を振り回した。人間蟻たちはその勢いに一瞬ひるん だが、和樹めがけてプッ! と何かを吐き出した。 ブシュウウウ…ウウウ。和樹の持った椅子が、煙を上げて溶けていった。 「う、うわあああッ!!」
咲也とるみは、植え込みの中を縫って必死に玄関前の道路を目指した。 「ギャアアアアアアッ!!!」背後から、和樹の凄まじい絶叫が聞こえた。「藤原くんッ!!」 だが後ろを振り向いてはいけない。咲也は泣きながら懸命に走った。 ふと、何かに足を取られて咲也は転倒した。「咲也ちゃん!?」 つまづいたのではない。何者かが、咲也の足を掴んでいるのだ。後ろを振り向いた咲也は、 声にならない悲鳴を上げた。地面に空いた穴から人間蟻が顔を出し、咲也の足を掴んで中 に引きずりこもうとしている。 「いやあああ!!」咲也は死に物狂いで、人間蟻の顔を自由な方の足で蹴った。だが人間蟻は 動じることなく、咲也を少しずつ、少しずつ、穴の中へと引き寄せてゆく。 「さ、咲也ちゃん!!」「いいから! わたしに構わず逃げて!!」るみは目をつぶり、大声で叫 びながら駆け出した。 人間蟻が、咲也の腰を掴んで引き寄せた。「い、い、イヤああ!! 」人間蟻は咲也の後ろから 押し被さり、彼女を抱きしめたまま穴の中へ引きずり込む。咲也の顔のすぐ隣に、人間蟻の 醜悪な顔が現れた。シュウシュウという奇怪な呼吸音。ギッ!ギッ!という鳴き声。その どれもが、気の狂いそうなほどにおぞましい。そしていつの間にか、咲也の身体を小さな 蟻の群れが這い昇ってきた。蟻の群れは咲也の服の中に入り込み、太股を、背中を、そし て乳房の上を這い回る。「あ…あ…あ…!!」あまりのおぞましさに、咲也はもう、声を上げ ることすらできない。やがて蟻の群れが咲也の顔を覆いつくし、彼女の姿は穴の中へと消 えていった。
るみは、必死で駆けた。館の玄関から海岸へと延びる下り坂を、目をつぶり、助けを求め ながら必死で駆け抜けた。だがいつまで走っても、坂は終わらない。 「…るみ…ちゃん。」るみのすぐ耳元で、女の声が響いた。「ひィッ!」るみは思わず目 を見開いた。るみのすぐ右側を、白いドレスの綾奈が、宙に浮いたまま飛んでいた。綾奈 の背中からは、黄色い巨大な羽根が伸びていた。 そしてるみの左側には、あの髪の長い女が、やはり羽根を広げて滑空していた。 「ウフフ…フフフフ…ウフフフフ。」 「オホホ…オホホホホ…。」 妖しく笑いながら、綾奈と髪の長い女は、それぞれるみの右手と左手を掴み、引き寄せた。 「イヤアアアアアアア!!」 るみの足元には、既に地面はなかった。彼女の身体は宙を舞っていた。
……… ……… ……… それから、どれほどの時間が過ぎただろう。翔吾、和樹、咲也、裕美子、るみの5人は、 奇妙な物音を耳にし、ほぼ同時に目を覚ました。 彼らがいたのは、薄暗い地下室のような空間だった。その中に直径80センチほどの5つの 円筒形のガラスケースが立ち並び、翔吾たちはそのケースの中にすっぽりと閉じ込められ ていた。 「おい! みんな無事か!? 起きろ!」翔吾が叫んだ。5人は目をこすりながら立ち上がった が、自分たちが全裸にされていることに気付いて完全に目を覚ました。 「キャッ!!」咲也たちは思わず胸と股間を押さえたまま、うずくまった。 一同が目を覚ましたのは、彼らの目の前に展開されている、異様な光景が立てる声のため だった。 彼らの前には白い手術台のようなものが置かれていた。その上で、一組の男女が激しくま ぐわい合っていた。男は手術台の上に横たわり、女がその上に騎乗位にまたがって、しき りに腰を振っていた。「…ん…ん…あン…あン…ああッ…」 まぐわい合う男女が何者であるかに気付き、翔吾たちは愕然となった。 「…遼さん!」「綾奈…ちゃん…!?」 横たわっている男は、相良遼一だった。手術台の上に身動き取れないよう、手足を固定さ れている。「あぅ…あぅ…あああ…」遼一の顔は引きつり、顔面蒼白だった。とても、セ ックスを楽しんでいる男の顔には見えない。
遼一の上にまたがり、腰を揺さぶっているのは、川瀬綾奈だった。だが彼女の肉体は、既 に人間とは呼べないものになっていた。濃いブルーの皮膚で全身を覆われ、手は白い長手 袋状、足はハイヒールのロングブーツ状に変化していた。そして彼女が両手でわし掴みに して揉みしだいている両の乳房は、蜂の腹部のような黄色と黒の同心円状の模様で覆われ ていた。頭部は愛らしい綾奈のままだったが、額からは真っ赤な触角が2本生えていた。 そして彼女の背中には、黄色い半透明の羽根が4枚生え、腰の動きに合わせて開いたり閉 じたりしていた。 「…綾奈ちゃん…綾奈ちゃん…。」るみは泣き出した。 チュパッ! チュパッ!という卑猥な音が響く。綾奈の腰の動きはますます激しくなり、嬌 声を上げてあえぎよがった。 「…はうン…はうン…ああッ…ああッ…いいわ…いい!…いいッ!…アウッ!…アウッ! …アアアアゥッ!!」 絶頂に達した綾奈は、肩で息をしながら遼一の胸に身体を投げ出した。 「ハアッ…ハア…まだよ…もう一度…もう一度よ…」 「やめろ! やめるんだ綾奈ちゃん!!」翔吾が泣きそうな声で訴えた。だが彼女の耳には、 彼らの声は届いていなかった。 ガシャン。ガシャン。鈍い金属音を立てて、あの甲冑が彼らの前に姿を現わした。 「いやはや、実に面白い見世物だったよ、君たちの奮闘ぶりは。どうかね? 君たちも我々 の心からの歓迎を、楽しんでいただけたかね?」
「貴様あ! いったい何物だ! ここは一体どこなんだ!」和樹が怒りに満ちた声で叫んだ。 甲冑は胸を張って答えた。 「我々は、みそぎの日に世界を浄化の炎で焼きつくす集団、秘密結社メギドだ。私はその 幹部、甲冑男爵。そしてここは、我がメギドが新たに作った、改造兵士の実験場だ。君た ちは、我々メギドの兵士、昆虫改造人間の実験体となるべく、この館にまんまと誘い込ま れたというわけだよ。フハハハハ…!」 「か、改造兵士だって!?」 「いいかね? 我々の課題はいかに効率良く、世界を制覇できるかにあった。そのためには、 安価で大量に生産でき、しかも自我を持たず命令に忠実な兵士が必要とされたのだ。我々 は研究の結果、蟻や蜂のような社会性昆虫こそ、我らの兵士のモデルとして最適であると いう結論に達した。我々が開発したこの改造ガスは、それを吸い込んだ人間の遺伝子の中 に眠る“進化の鍵”を刺激し、たちまち昆虫の姿へと変えてくれる。男性ならば人間蟻に。 そして女性ならば蜂女に。たったの5分で改造できるのだよ。改造後の彼らは個性を失い、 同じひとつの意識を共有することになる。つまり、一体に命令を下せば、即座に全員に命 令が伝わるというわけだ。どうだ、素晴らしいだろう!? フハハハハハ!!」 甲冑男爵は、満足そうに肩を上下に揺すった。 「君たちもご承知の通り、人間蟻は頑丈なボディと再生能力を持ち、地中を自由に移動で きる優れた兵士だ。爪と顎、鉄をも溶かす蟻酸という武器も持っている。欠点は、繁殖能 力を持たないので絶えず補充を続けなければならないことぐらいだ。まあ、男性ならばた いがい改造素体として適合するので、補充は楽なんだがね。」
次に甲冑男爵は、セックスに溺れている綾奈の方を指差した。 「そしてこちらが、蜂女だ。人間の顔にも蜂女の顔にも自由に変身できる工作要員だ。飛 行能力も備えているが、身体は人間蟻に比べると華奢だし、武器も乳首の毒針のみだ。そ れに、改造素体が10代後半から20代の若い女性に限定されるので、補充が困難なのも難 点だな。だが、こいつらはそれを上回る長所を持っている。このように捕えた人間の男と 交わって、どんどん繁殖できるのだ。一度セックスをすれば、3週間後に卵が産まれる。 卵からは約ひと月で、母親の記憶をそのまま受け継いだ蜂女が孵る。蜂女は半年で大人に 成長し、新たな男を求めるというわけだ。放っておけば自動的に増殖してゆく、実に素晴 らしい軍団なのだよ。」 一同は、心臓が氷の手で掴まれたような戦慄を覚えた。 「…夏やんや、綾奈ちゃんも、そうやって改造されたのか!!」 「…そうだ、夏彦! 夏彦はどこなの!!」裕美子が叫んだ。 「君の恋人なら、ほら。ここにいるよ。」甲冑男爵の後ろから、ペンダントを首にかけた 人間蟻が姿を現わした。 「夏彦ッ! わたしよ! 裕美子よ! わからないの!?」裕美子は人間蟻に必死で呼びかけた。 「無駄だよ。人間だった時の記憶は残っているが、彼の意識はもう、人間のものではない。 我々メギドの忠実な兵士なのだよ。ワハハハハ!」 夏彦だった人間蟻に続いて、3体の別の人間蟻と、髪の長い女が現れた。女の身体は綾奈 と同様、蜂女のものだった。咲也は思わず顔を赤らめた、蜂女は股間の女性器を、恥ずか しげもなく露出させていたからだ。毛のまったく生えていない青い恥丘の真ん中にスリッ トが走り、そこからピンク色の肉襞がはみ出していた。
「彼らは、君たちよりも前にこの館におびき出し、改造した若者たちだ。最初はこの若い カップルだったよ。改造される前は互いにかばい合っていたが、今では我々の忠実な兵士 だ。お互いのことなど覚えてもおるまい。次は、4人組の男たちだったな。残念ながら一 人は改造に失敗したが、2人は無事に人間蟻に生まれ変わった。そして残る一人は、この 蜂女の種付け用に酷使したので、精気を使い果たして数日で衰弱死してしまったよ。さあ、 君たちも今から、彼らの仲間入りをしてもらおうか!」 「い、いやあああ!!」咲也が絶叫した。 「畜生! 誰がお前らの言いなりになんかなるものか!!」翔吾がガラスの筒を内側からなぐり ながら怒鳴った。 「ほう、君は確かリーダー格だったね。よかろう。まずは君から改造してあげよう。」 甲冑男爵が指を鳴らすと、円筒の上部の空気穴が閉じ、代わりに白いガスが床からシュウ シュウ吹き出してきた。 「う…ぐわあ…あががが…!!」翔吾は身体を折り曲げ、苦しげに喉をかきむしった。白いガ スが充満する中でしきりにもがいていたが、やがて動かなくなった。 ガスが引いてゆくと、円筒の底には、和樹たちが客室で見たものと酷似した、黒く干から びた死体が残されていた。 「おや? 改造ガスが身体に適合しなかったようだね。時折、こういうことがあるんだよ。 改造人間にはなれず、死んでゆく者たちが。こないだの彼もそうだった。」 るみは顔を覆って泣いていた。裕美子と咲也はガタガタ震えて、言葉も出ない。
「どれ、次は誰を改造しようか…よし! お前がいい。」 甲冑男爵が指差したのは、咲也だった。 「君の活躍は見せてもらったよ。なかなか気丈で、機転の効くお嬢さんだ。それに美人で、 ちょっと痩せてるがスタイルもいい。まさに蜂女になるために生まれてきたような娘さん だ。まだ処女のようだが、君ならセックス能力も抜群のいい蜂女になれるよ。」 「い、いや! いやだ!イヤだァ!!」咲也は激しく首を横に振った。 「やめろッ! 咲也に手出しするなッ!!」和樹が甲冑男爵に激しい怒声を浴びせかけた。 「ほう。君は…彼女に惚れているのかね? よろしい。君が望むなら、蜂女に生まれ変わっ た彼女と、最初のセックスをさせてやろう。この手術台の彼と同様、蜂女たちの種付け係 として短い命を楽しむがいい。」 「だ、誰が、お、お前なんかのいいなりになるものかッ!!」 「…ふむ。それは残念だな。ならば君は人間蟻に決定だ。ではお嬢さん。今から蜂女に生 まれ変わってもらうよ。」 「やめてッ! お願い! やめて!! …キャアアアアッ!!」 「やめろォーッ!!」「咲也ちゃん!!」 咲也がいるガラスの筒の床から、白いガスが吹き出した。ガスを吸い込んだ咲也の身体は、 みるみるうちに変化していった。全身が青く染まり、小ぶりだが形の良い乳房に、黄色と 黒の同心円状の模様が浮かび上がった。咲也自身も、堪えがたい不快感と恍惚とした快感 のはざまで、自分の身体がかき回され、人間でないものに変わってゆくのを感じていた。
そして彼女の脳内に、自分のものでない意識がドッと流入してきた。 《…あなたは蜂女。わたしたちと同じ蜂女。さあ、人間の意識を捨てて、私たちの一部に なりなさい…》 『嫌よ! わたしは人間! 蜂女じゃない!!』 《…あなたは蜂女。抵抗してもだめ。あなたは蜂女。あなたは蜂女。あなたは蜂女…》 『違うわ! わたしは人間! 朝倉咲也よ! 蜂女じゃない…蜂女じゃない…』 《…あなたは蜂女。あなたは蜂女。あなたは蜂女。あなたは蜂女。あなたは蜂女…》 『わたしは…蜂女…じゃ…わたしは…蜂女…わたしは…蜂女。わたしは、蜂女!』 《…そう、あなたは蜂女。わたしたちの一部。メギドの改造人間。忠実な僕…》 「…わたしは、蜂女。メギドの改造人間。わたしはもう人間じゃない。わたしは蜂女!」 咲也を閉じ込めていた、ガラスの筒が開いた。中から、すっかり変化した身体を誇らしげ に誇示しながら、生まれ変わった咲也が出てきた。 「よし。無事に生まれ変わったようだな。さあ答えてみろ。お前は一体何物だ?」 「わたしは蜂女。メギドの改造人間。」咲也はそう言って妖しく笑い、両手で自らの乳房 を掴んで揉みしだいた。 「…ウ…ウウッ。…咲也ぁ!」和樹が泣きながら力なく呟いた。 咲也は、相変わらずセックスに夢中の綾奈の方を見ると、急に股間を押さえて、もじもじ とし始めた。 「ほう、生まれ変わったばかりだというのに、もう男が欲しいのか。よかろう。さっそく 繁殖実験に移ろう。さあそこの蜂女! こいつと代わってやれ!」 綾奈がしぶしぶ、遼一から離れた。遼一は横たわったまま、顔面蒼白で口をパクパク痙攣 させている。 咲也は目を輝かせて、手術台の上に這い上がった。
「やめろ咲也! やめてくれ! お願いだ! やめてくれえッ!!」和樹が悲痛な叫びを上げた。 咲也には、和樹の声は届いていなかった。彼女の意識には、既に男をむさぼることしか存 在してなかった。まだ処女だというのに、蜂女としての本能が男の精子を求めてやまなか ったのだ。 咲也は遼一の上に、後ろ向きにまたがり、綾奈とのセックスでさっきからいきり立ったま まの肉茎にむしゃぶりついた。卑猥に蠢く舌が、肉棒をからめ取り、その表面を這い回る。 咲也は遼一の顔面に、女の蜜を分泌しつつある自らの股間を摺りつけた。そのまま腰を動 かして、彼の顔面を愛液でまぶしてゆく。蜂女の愛液は、男の肉欲を最高度に高めるこの 世で一番の媚薬であった。咲也の愛液を皮膚から吸収したことによって、遼一の意思とは 関りなく、彼の陰茎はビンビンにそそり立つのだった。 やおら咲也が起き上がった。身体の向きを変えて、今度は指で押し広げた自らの花芯を、 遼一のいきり立った肉茎に近づけていった。 「やめて…咲也ちゃん! やめて!」るみが、見たくないといったふうに顔を覆う。 充分に濡れそぼった肉孔が、遼一の肉棒に触れた。少しずつ、肉棒が孔の中に侵入してゆ く。 「ウッ!」苦痛で咲也がうめいた。処女膜を引き裂かれる痛みだ。処女の本能がしばらく 咲也の動きを止めたが、やがて意を決したように咲也は、少しずつ腰を降ろしていった。 汚れを知らなかった咲也の膣孔の中に、遼一の陰茎がズブズブとめりこんでゆく。 「いッ、痛いッ!」 根元まで陰茎を飲み込むと、咲也はハァハァと息をついだ。そして、ゆっくりと、リズミ カルに、自らの腰を上げ下げし始めた。 「…あ…あ…ああ…ん…んんっ…んんっ…あっ…あうっ…あっ…んんっ…はあっ…」
人間の女性なら、破瓜の直後に性の快楽を味わうのは難しかったろう。だが咲也はもう人 間ではない。蜂女に生まれ変わった咲也は、処女を失ってわずか数分で、性のエクスタシ ーに開眼した。 「…ああっ…あふう…はあっ…はあっ…はうッ…はうッ…あうン!…あうン!!…」 咲也は顔を上気させ、腰を淫らに打ち揺すった。遼一の腕を掴み、自らの蜂の乳房を揉ま せながら、夢中になって男の肉体をむさぼった。生まれて始めて味わう性の快楽、それも 人間女性には決して味わえないような凄まじい快楽の中で、咲也は理性を失い、肉欲に飢 えた一匹の牝になって女の悦びを全身で味わっていた。 クチュ、クチュという卑猥な音が響き、男と女の発する臭気が部屋に満ちてゆく。 「はうッ! はうッ! ああンッ!ああンッ! アウッ! アウッ! アアアアアーーーッ!!」 咲也はついに絶頂に達した。合図したかのように、遼一の陰茎の先から白濁した牡のエキ スが吹き出した。咲也の膣は遼一の精液を逃すまいと、本能的に彼の肉茎をきつく締め上 げた。子宮の中いっぱいに精子が満ち、咲也は幸福感でいっぱいになって、遼一の胸に身 体を投げ出した。 遼一は、意識を失ったのか口から泡を吹き出している。無理もない。捕らえられてから6 時間の間、蜂女たちに15分おきにセックスを迫られ、無理やり精子を絞り取られているの だ。 「よろしい。なかなか素晴らしい性能の蜂女だ。これならすぐに卵を孕むだろう。では次 の素体の改造に移るとするか。」 甲冑男爵は、残りの3人を見渡した。「よし。次はお前の番だ。」 男爵が指差したのは、るみだった。「い、イヤっ! イヤだあああ!!」
それから、3か月の時が流れた。 秋の気配も深まったこの私鉄沿線は、今日も学校帰りの女子高生たちで混雑していた。 その中に、コートの女がひとり、まぎれ込んでいた。 女はバッグから、缶ジュースのようなものを取り出した。それを飲むでもなく、目立たな いように電車の床に置くと、女は次の駅でそそくさと降りていった。 女は次の電車を待つ。電車に乗り込むと、再び缶を取り出し、床に置いては列車を降りる。 持っていた数十個の缶をすべて電車の中に置いた女は、駅の群集の真ん中で、いきなりコ ートを脱ぎ捨てた。 周囲の人々が、驚きのまなざしを女に向けた。女の身体は、人間のものではなかったから だ。濃いブルーのボディに、黄色と黒の同心円の乳房。それは蜂女だった。 蜂女は群集に向かって妖しく微笑むと、羽根を広げて空に飛び上がった。 やがて、列車の中に置かれた缶の中から、白いガスがシュウシュウと吹き出した。ガスは 車両の中に満ち、隣の車両にどんどん広がっていった。ガスを吸い込んだ乗客たちは身体 を折り曲げて苦しんだが、やがて、別の存在に姿を変えていった。 電車が緊急停車した。誰かが非常コックをひねったのだろう。車両のドアが開き、中から ゾロゾロと、黒い蟻のような人間たちと、羽根を広げた蜂のような少女たちが飛び出して きた。 蜂のような少女たちは、妖しく笑いながら周囲を旋回し、学校帰りのめぼしい美少年を物 色しては、抱きかかえて空中にさらっていった。繁殖の相手にするためだ。 その様子を、缶を並べた蜂女が空から微笑みながら、じっと見守っていた。その蜂女は、 3か月前に海水浴場で仲間とともに失踪した女子大生・朝倉咲也の頭部を持っていた。
あの日、咲也に続いて葉月るみ、西澤裕美子の二人も、蜂女として生まれ変わった。藤原 和樹も元木夏彦と同様、人間蟻の仲間入りをした。相良遼一は、咲也・るみ・裕美子に、 川瀬綾奈ともう一人の蜂女を加えた5体の蜂女たちによって精気を絞り尽くされ、その日 のうちに絶命した。 その後も例の館では、海水浴客をおびき寄せ、昆虫人間に改造する実験が続いた。人間蟻 の数が36体、蜂女が28体を数えた時点で実験は完了し、館は放棄された。 現在人間蟻たちは、東京の地下にアジトを建設するために従事している。そして今日、新 たな兵士たちの補充のために、28体の蜂女たちが都内各地の地下街や列車など、改造ガス の充満しやすい密閉した空間を目指して散っていったのだ。 今日一日で、人間蟻、蜂女それぞれ数千体の兵士が補充できるはずだ。そしてこの行動は、 そのまま一般人類に対するメギドの宣戦布告の合図となるはずであった。 いよいよ明日から、聖戦が始まる。愚かな人類が滅び、メギドに従う者だけが生き残るこ とだろう。かつて咲也だった蜂女は、その日が来るのが待ち遠しかった。 蜂女は、自らの下腹部を優しく撫でた。彼女は卵を身ごもっていた。あと数日すれば、3 回目の産卵を迎えるはずだ。 相良遼一の精子を受け入れて彼女が産んだ最初の卵は、ひと月後に無事孵った。いったい どんな子供が生まれるのか、巨大な蛆虫なのか、それとも蜂女の姿をした赤ん坊なのか、 彼女は不安でしょうがなかったが、実際に生まれてきたのは蜂女をそのまま小さくしたよ うな、妖精のような愛らしい生き物だった。母親の記憶を受け継いだ小さな蜂女は、蜂蜜 を食べて半年で人間大に成長するはずだった。 この調子で増え続ければ、1年後には数十万人規模の蜂女軍団が誕生するであろう。その 全員がひとつの意識を共有し、裏切り者などは決して生まれない。そしてその時には、旧 世界の全てがメギドの火に焼き尽くされ、新たな新時代が始まっているはずだった。 かつて咲也だった蜂女は、その未来を想像し、ニッコリ微笑むと、秋晴れの大空目がけて 飛び立っていった。 (おわり)
>>142 ムカデラスやカブトロングみたいに、子供たちを洗脳する女怪人がいて、
アクターズスクールのセクシーな講師として女子高生や女子中学生を集めては
次々と戦闘員に改造してしまう、って感じのストーリーはどうじゃろ。
けど「戦闘員化処理(あえて改造でなくて)」ってどういうこと?
戦闘員はたいがい、簡単な手術で造られる改造人間なんじゃなかったっけ?
142
>>190 >ムカデラスやカブトロングみたいに、子供たちを洗脳する女怪人がいて、
>アクターズスクールのセクシーな講師として女子高生や女子中学生を集めては
>次々と戦闘員に改造してしまう、って感じのストーリーはどうじゃろ。
良いと思います!
>けど「戦闘員化処理(あえて改造でなくて)」ってどういうこと?
>戦闘員はたいがい、簡単な手術で造られる改造人間なんじゃなかったっけ?
これについて説明させて貰いますと、
簡単な手術さえ省いた手っ取り早い手段、毒ガスやウィルス(今の流行だとナノマシン等で)、
大量の人間の心が塗り替えられてしまうというのに心惹かれまして。
前スレの319さんのベルトコンベアでどんどん変えられていく暴走族や、
BeeFreakさんのメルダンフェルの蜂女が女子校襲う最後のところが、それらしいですかな。
ヒーローもしくは怪人にすら成り得ない一般人でも一人一人はっきりした意志はあるのに、
それも悪の野望と力の前ではあえなく踏みにじられ組織に組み込まれる。
改造手術というスポットライトさえ当てられない有象無象の儚さ。
「処理」と書いたのはそういった意味を込めてのものです。
1個の大きなものより、細かい小さなものが集まっていた方が想像の余地が広がって楽しいということでしょうか。
でも、これってよく考えると戦闘員というよりは、それ以下の怪人の犠牲者レベルかもしれませんね。
わかりにくい書き方してごめんなさい。
改造という力を込めるべきシーンを省くことを望むのはスレ違いですし、
いままでのようにSSの端っこで、ちょっと大量の犠牲者が出れば十分です。
192 :
名無しより愛をこめて :04/11/14 12:11:07 ID:92tX2BdR
改造人間じゃなくて、ウルトラマンタロウのメモールのように、 オニャノコが怪獣に改造される話というのはマイナー? おっさんが怪獣化する話はいっぱいあるのにね。
捜せば、結構あるんじゃないか。 ぱっと思いつくだけでも、 『帰ってきた』で丘隊員がフェミゴンに(あれは改造と言うより憑依で、その描写すら希薄だが)、 『A』で女子大生9人が合体して超獣になるというネタがあった。 こちらも改造前の描写などはないが……。
>>193 えっ!? ユニタングってやっぱり女子大生を改造した超獣だったの?
ヤプールの香具師、な、なんてもったいないことを・・・
(女子大生の数は「くの一」ということで、9+1の10人だったと思われ)
195 :
名無しより愛をこめて :04/11/15 07:18:25 ID:203Q6/Mh
196 :
名無しより愛をこめて :04/11/15 17:09:47 ID:EexzbmVi
改造されたけど元の人間に戻れた香具師っているの?
全然板違いでスマソだが、今週の少年ジャンプの「HUNTER×HUNTER」に登場する サソリ女が、シッポの針で注射するだけで人間を改造する、ってのをやってた。 おつきの侍女2人も、昆虫と半魚人みたいな姿に改造された人間の女らしい。 改造方法にちょっと萌えた。
「モシモシ」 期待をこめて彼は呼んだ。 「モシモシ」 声が出てきた。まぎれもない女の声だった。 やっと繋がったと思ったとたんに心臓が高圧ポンプのように動き出して、額に汗までにじんだ。 何を言っていいか、不器用な戸沢敬二はしばらく沈黙した。 「モシモシ、聞こえてるの?」 女の声がした。 「あ、聞いている」 辛うじて言った戸沢敬二の声はしゃがれ、口が渇いた。 「おかしな人ね。なぜ、黙ってるの」 「いや、なに、びっくりしたもんだから」 「ギャハハハ」 女は突然笑い出した。その甲高い笑い声が、受話器に押し当てた彼の耳の鼓膜を直撃した。戸沢敬二は顔をしかめて、受話器から耳を離した。 「あなた、いま、テレクラなんでしょ」 離した受話器から、女の声が細く流れ出した。彼はあわてて再び耳に受話器を押しつけた。 「そう、そう」 辛うじて彼は言った。 「だったら、電話があるのはアタリマエでしょ。それなのに、何にびっくりしたの?」 テレクラでは大勢の男がめいめい小部屋のなかで、女からかかってくる電話を、電話器とにらめっこしながら待っている。リンとベルが鳴って、いちばん最初にさっと電話を取りあげた男が勝ちで、〇・一秒でも遅れると、ツーという通話中の通信音だけしか聞こえてこない。 テレクラのこのシステムを話そうかと思ったが、戸沢敬二は面倒くさいのでやめた。 「いや、なに」
彼は口ごもりながら言った。 「きみの声があんまりキレイなもんだから」 つい口から出たとしても、これは上出来の言葉だった。 「ギャハハハ」 女の高笑いがまたもや彼の鼓膜をはげしく襲った。痛い。 ちくしょう! このアマめ。耳を撃つ甲高い響きに彼は突如として、怒りを覚えた。 「こんな女、強姦してしまうぞ」 戸沢敬二は小声でつぶやいた。 「いま、あなた、何か言った?」 女の声が問いかけてきた。 「ああ、言ったよ」 「よく聞こえなかったわ。何と言ったの」 「ひとりごとだよ」 「あなたって、おかしなひとねえ。電話でひとりごとを言うなんて。ワタシ、はじめてよ。ねえ何と言ったの」 「気にするな」 「イジワル。何を考えていたの。何か思うことがあるからひとりごとって出るんでしょ。聞かせて」 「聞きたいか」 「聞かせて」 「なら、言ってやる。おまえと、やりたいと言ったのさ」 戸沢敬二は声を吹き込んだ。 「もういちど、言って」 戸沢敬二の握った受話器から女の声がした。 「おれのひとりごとだ」 「だから、それをもういちど聞かせて」 女の声は甘ったるかった。 「いくどでも聞かせてやるよ。おれはおまえとアレをしたいと言ったんだ」 女は笑い出した。こんどは彼の鼓膜をつんざくような甲高い笑いではなかった。まるで耳のなかに生あたたかい息を吹き込むような「フフフ」という含み笑いだった。 「あなたって大胆ね。のっけからそんなことを言い出すなんて」
女の声がした。 「冗談じゃないぜ」 戸沢敬二は応酬した。 「おれはムニャムニャと口のなかで言っただけだ。 そのひとりごとをおまえが聞かせろとうるさく言うから、聞かせたまでだぞ」 このテレクラの小部屋のなかでベルの鳴るたびに、戸沢敬二は電話を取り損ねて、 すばしっこい男に先を越されてツー、ツーという通話中の信号音ばかりを聞かされてきた。 だから電話をつかんで、 「モシモシ」 という女の声を聞いた時には、心臓は高鳴り、どんなふうに女を口説こうか、と思っただけで頭はすっかり混乱し、 舌もまわらなくなっていた。 だいたい戸沢敬二がテレクラにやって来たのははじめてだった。 テレクラ、つまりテレフォンクラブは、ファッション・マッサージのあとをうけて、新風俗営業の主力となる勢いでウヨウヨと出現した。 いまや地方都市でも、盛り場ならどこにでもある。 戸沢敬二がこのテレクラに来た時、キョロキョロしていたので、マネージャーらしい男が、たちまち彼を初心者と見破って、 「女から電話があれば、奪い合いになるので、ちょっとでも早く電話をとらねばなりませんぜ。テレクラに電話をしてくる女は、 みんなアレをやりたがっている女なんだから、遠慮することはない。口説きおとしてデートを約束させるんです。それでデートした時には、 そのあと暗がりに行こうが、ラブホテルに連れ込もうが、それから先はあんたの腕前ひとつなんだから、まあ、ひとつ、がんばってください」 と説明をかねて彼を激励した。 おれは口べただと戸沢敬二は自覚していた。だから、見知らぬ女からの電話にうまく受け答えし、 それからデートに誘うなどという芸当がはたしてできるかどうか、 まったく心もとなかった。 しかし、電話のやりとりにもモタモタし、女がバカにしたような高笑いをしたのを聞くと、とたんに戸沢敬二は怒りを感じた。 お世辞もへちまもあるか。 会話のはじまりから、すでにおれ、おまえ呼ばわりをした。 テレクラでの女へのアプローチとすれば、異例のことには間違いなかった。 「ねぇ」 女の声は心なしか弾んでいるように聞こえた。 「ホントにワタシとやりたいの」 「そうだ」 戸
>>196 ピラザウルス、イソギンジャガー、ボーグ星人に改造された人など。
(最初の二人は洗脳が解けただけで身体は元のままかもしれないけど)
あと、「少女コマンドーIZUMI」のサブヒロインの子は
最終回近くでバイオ戦士に改造(?)されてた筈なんだけど
最終回ではフツーに使えないやつに戻っていた気がした
(洗脳解除と同時に付け焼き刃的バイオフィードバックが消えたのかな?)
203 :
名無しより愛をこめて :04/11/16 01:09:51 ID:/rVTe+2S
誰か女子生徒を戦闘員に改造する話書いてくり。
夜分どうもです。なんだか「女子高生改造」のニーズが高そうなので、ふと思いついたス トーリーを速攻でSSにしてみました。 「秘密結社タイトロン」でお馴染み、いわゆるタイツ改造です。タイツを着用することで 改造されてしまうという、ありがちなストーリーですが、ちょっとだけBeeFreak的アレン ジを入れてみました。 それは、142=191氏、190氏の意見を取り入れた「戦闘員化処理」です。ただし“蜂女” にこだわったので、142氏の嗜好とは全然違う方向に行ってしまったかもしれません。w 今回カラミティ・フォーリングという組織によって蜂女に改造されるのはトップアイドル、 美樹原あゆみちゃん(17歳)、飛島ケイちゃん(17歳)、妹尾麻由ちゃん(18歳)の3人です。 それでは、お楽しみ下さい。
「ねぇ、あゆみちゃん? このオーディション、受けてみなぁい?」 芸能プロダクション「フェイム」の事務所の一角。高校生アイドルの美樹原あゆみは、雑 誌を読みながら時間をつぶしているところを、マネージャーの高村律子に声を掛けられた。 「東都テレビが1月から放映するドラマの主役なの。何でもあの辣腕の後藤プロデューサ ーと、竹内編成局長の肝入りの企画らしいのよ。」 美樹原あゆみは17歳。1年前にダンスの実力を認められて電撃デビューを果たし、グラビ アモデルとしても高い人気を得たトップアイドルの一員だ。本音丸出しの飾らない素直な キャラで同性からも人気が高い。だが先月の初のドラマ出演によって、演技力に非常な難 のあることが明らかとなり、目下延び悩んでいるところだ。 「えー、なになに。懲罰天使エンジェル・ホーネッツ? 何よこれ!? ジャリ番じゃない!」 あゆみは呆れたふうに番組企画書とオーディション案内を放り出した。 「それも、時代遅れの変身ヒロインもの!? もぉーっ! 律子さんたら真面目に仕事引き受け てよ!」 「大真面目よ。後藤プロがウチの社長にね、あゆみちゃんがこの役を引き受けたら、来年 秋の大型ドラマの主役級に抜擢するって、約束したらしいの。ウチの社長ももう、大ノリ 気よ。」 「ちょっとちょっと、約束って…。オーディションをするんじゃないの!?」 「オーディションはかたちだけのものよ。あなたが主役になることはもう内々に決定して るの。」
「そんなァ! 勝手に決めないでよ!!」 「まあまあ、そんなに怒らないで冷静に考えて。後藤プロと竹内局長がバックにつくんだ から、これはビッグチャンスなのよ、あゆみちゃん。変身ヒロイン。と言うより少女版仕 事人といった感じなのかな、半年間ちょっぴり恥ずかしいのをガマンすれば、一気に前途 洋々未来が開けるんだから。」 あゆみは不満そうに鼻を鳴らし、それでも企画書を拾い上げて目を通した。 懲罰天使エンジェル・ホーネッツ。ホーネット(狩人蜂)の名の通り、神に力を与えられた3 人の少女が、社会の裏側にはびこる悪人を狩るというアクションドラマだ。ハリウッド映 画を凌駕する驚異のVFXが駆使され、誰も見たことがない世界が展開されるという。 「“驚異のVFX”って言っても、テレビじゃたかが知れてるでしょ? 予算難でだんだん ショボくなるに決まってるわ。」 「それがね、この番組の制作とスポンサーは共に、あの『C.F.ラボ』なの。新たに映像分 野に進出する記念番組ということで、金に糸目をかけずに制作するらしいのよ。」 『C.F.ラボ』は、数年前に新素材開発で急激に頭角を現わした、ベンチャー企業である。 多角経営を積極的に押し進め、アパレルから玩具に至るまで、今や様々な分野でその名を 耳にする。 「この番組のために新会社まで設立してね、毎週5000万円ずつ投資するっていうから、た いした話よ。」 「ご、ごせんまん!?」あゆみはあわてて、企画書にかぶりついた。 「で、3人の少女ってことは、わたしの他には誰が出るの?」 「飛島(とびしま)ケイと、妹尾(せのお)麻由の二人に内定しているらしいわ。」
飛島ケイは17歳。モデル出身の長身のアイドルで、クールな美貌で男女問わず幅広い世代 に人気がある。一方の妹尾麻由はおっとりした癒し系の18歳。バスト90センチのふくよか なボディに似合わず、恐ろしく頭のきれる才女だという噂だ。 「へえー。ケイちゃんも出るんだ。麻由ちゃんと一緒に仕事するのは始めてだな。」 あゆみはもう、すっかり乗り気になっている。だがヒロインのコスチューム写真を見たと たん、彼女は再び企画書を放り投げた。 「何よこれ! 全身タイツじゃない! 嫌よこんなの、恥っずかしぃー!!」 女性モデルがテストショットで着用しているその衣裳は、首から下の全身をすっかり覆う、 身体のラインがはっきり出るタイプのものだった。全身が青い色で着色され、乳房の部分 だけが蜂の腹部のような黄色と黒の同心円模様でセクシーに彩られていた。手首と足首に は、白い長手袋とロングブーツを着用しているが、ボディに繋がっているようにも見える。 背中には4枚の羽根が取り付けられていた。頭には、蜂の複眼を摸し、真っ赤な触角を前 方に突き出したカチューシャを装着している。 「こーんなこっ恥ずかしい衣裳でアクションするなんて、絶対無理よ、ム・リ!」 「いいや、美樹原くん。君にはもっと、セクシーさが必要なんだ。」 事務所の安西社長がいつ間にか現れて、後ろからあゆみの頭を小突いた。 「水着よりも露出度が低い衣裳を恥ずかしいだなんて、それこそアイドルとして恥ずかし いことだ。いいから君は、後藤プロのところでもっともっと揉まれてきなさい!」 あゆみはブスーッとした表情で、恨みがましく社長の顔を見つめた。
オーディションは衣裳合わせとアクション練習を兼ねて、C.F.ラボが新たに作った新会社 『C.F.イリュージョン』の撮影所がある、N県某所で行われた。広大な敷地だが都心から 離れているため、あゆみたちも泊まりがけのつもりで訪れた。 「わーケイちゃん、久しぶり! 麻由ちゃんもよろしくね!」 「おひさ。」「こちらこそよろしく、あゆみちゃん。」 あゆみの他、飛島ケイ、妹尾麻由の主役3人が揃って待ち構えるところへ、東都テレビの 後藤プロデューサー、竹内編成局長と並んで現れたのは、濃いグレーの縞のスーツをダン ディに着こなした、20代後半の美青年だった。その傍らには、涼しいまなざしの若く美し い女性が付き従っている。 「ようこそお嬢さん方。噂通りの素敵な美女に囲まれて光栄です。わたしはC.F.イリュー ジョンの代表取締役を勤める、犀南(さいなみ)です。そしてこちらが、あなたたちのトレー ナーを担当する、来島美伶君。どうかこれからも、末長くよろしく。」 思っても見なかった穏やかな物腰のイケメンの出現に、あゆみたちは思わず顔を赤らめた。 続く質疑応答においても、軽妙な会話が彼女たちを楽しませた。あゆみたちはすっかり、 犀南たちに対して心を許していた。 「じゃあ、次は衣裳合わせに行きましょうか。来島君。彼女たちを更衣室に案内してくれ たまえ。」 あゆみはこの来島女史が、企画書の中で衣裳を着ていたモデルであることに気がついた。 来島女史から3人に渡されたエンジェル・ホーネッツの衣裳は、思った通り手袋もブーツ も服と一体化した、全身タイツだった。伸縮性のある、布地ともラバーともつかない不思 議な素材で作られており、手で表面を撫でると不思議な快感が伝わってくる。
「そうそう、あゆみちゃん。その衣裳を着る時は、下着を全部脱いで下さい、だって。」 「ええっ!? なんでよ!」あゆみはマネージャーの律子に抗議した。 「下着の線がはっきり出るから、だって。裸よりそっちの方が、ずっと恥ずかしいでしょ う? あ! それから首元にある金具は、まだ引き抜かないでくれ、ですって。」 あゆみはちょっと不審に思った。自分よりも先にC.F.イリュージョン本社に挨拶に行って から、どうも律子の様子がおかしい。律子だけではない。安西社長や、東都テレビの後藤 プロたちの態度も、微妙におかしいのだ。どこがどうおかしいとははっきり言えない。た だ、何となくC.F.イリュージョンの意向に従い過ぎのような気がしてならないのだ。 《まあいいわ。たぶんわたしも気が張っているのよ。それでそんなふうに思うんだわ。》 あゆみは言われた通りブラをはずし、ショーツを脱いで生まれたままの姿になり、渡され た衣裳の中へと脚を入れた。脚が衣裳に包まれた途端、あゆみは身体を電流が走ったかの ような、不思議な快感に襲われた。何だろうこれ。身体がゾクゾクするわ。衣裳のシワを 伸ばしながら、下から上に、太股を、ヒップを、そしてウェストを衣裳の中に包んでゆく。 衣裳に包まれた太股がこすれるごとに、背筋にゾクゾクしたものが這い上がってくる。 手袋の中に腕を通し、胸を衣裳で覆って背中のファスナーを締める。身体全体を包み込む 生地の不思議な密着感に、あゆみは胸の鼓動が高鳴るのを覚えた。まるで身体全部を何物 かに抱きしめられているかのような興奮を覚えるのだ。 頭部を除いた全身をすっかり衣裳で覆ったあゆみは、姿見に映る自分の姿をまじまじと眺 めた。 《…もう!何てエロくて恥ずかしい衣裳なのよ。特にこの、おっぱいのグルグル模様。や り過ぎじゃない!?》 不満をつぶやきながら、あゆみは姿見の前で自分の姿を様々な角度から確かめた。身体が 動くたびに、衣裳が擦れてゾクゾクする快感が身体を包む。 《…何だろう、この気持ち。こんなの、今まで感じたことないわ。》
「あゆみちゃん、もう着替えた?」 何故か顔をほんのり赤らめた、ケイと麻由があゆみに声をかけた。二人ともホーネットの 衣裳に身を包み、ケイのスレンダーな美しいボディラインも、麻由のふくよかな胸と腰も、 水着以上に強調されている。彼女たちも衣裳の触感が気になるらしく、ずっと身体を擦り 合わせてもじもじとしている。下着を着けていないので、時折、まるで全裸でいるような 錯覚におそわれるのだ。 バレエの練習場のような大きなホールの中、犀南社長や、東都テレビの後藤プロデューサ ーたちが居並ぶ前に、ホーネットの姿になったあゆみたちが進み出た。 「うーん。いいですよ。とても魅力的です、皆さん。」犀南が微笑みながら拍手した。 来島女史が、あゆみたちに指示を出した。「それじゃあこれから、演技の試演に移ります。 その前に、衣裳の首についているプラグを、外して下さい。」 そのプラグが何のためにあるのか、さっきからあゆみたちも気になっていた。リングを指 に引っかけ、一気に抜き抜いた。 ヒャッ!! 途端に、衣裳が急に全身に吸い付くように感じられた。それまではまだ関節部を曲げた時 にしわができる程度の密着度だった衣裳が、まるで自分の皮膚と一体化するかのようにキ ュウン!と収縮した。 《わ! いやだ…お尻の割れ目も、乳首も、すっかり衣裳の上に浮かび上がっているじゃな い!》 同時に、全身がムズムズするような、不思議な快感が身体を貫いた。まるで全身をくまな く愛撫されているかのようだ。身体がだんだん火照ってくるのが感じられる。何なの、こ の気持ちは。とても…とても…気持ちがいい!!
あゆみたちはその場をクルクル舞いながら、すっかり皮膚に一体化した衣裳の触感を確か めた。不思議なことに、背中のファスナーがいつの間にか消滅していた。首から下、あゆ みたちの身体は隙間なく衣裳に覆いつくされていた。身体のどこを触っても、電気がビリ ッと走るかのような快感が身体を包む。何て、何てステキなんだろう、この衣裳は。ホー ルの片側の壁が、そのまま大きな鏡になっていた。あゆみはそこに映る、ホーネットの姿 になった自分の全身を、うっとりとなって眺めた。 《…何て、キレイなの! そして、何てセクシーで淫媚な姿なの!》 「皆さん、その衣裳はこれから24時間の間、ずっと脱がずにいて下さい。寝るときも、食 事の時も、そしてトイレやシャワーも。」 え? 何を言ってるの? トイレでもって、どういうこと? でも嬉しい。とても嬉しい。こ の衣裳をずっと着たままでいられるなんて。ずっとホーネットの姿でいられるなんて! 「さあ皆さん。それでは今から、エンジェル・ホーネッツの決め台詞を叫んでもらいます。」 あゆみたちは、その言葉にふと我に返った。いけない。いつまでもこんなことしていては。 ちゃんと演技をしなければ。 あゆみたち三人は、来島女史の指示通りにポーズを組み、与えられた台詞を叫んだ。 あゆみ「ホーネット・ミカエル!」 ケイ「ホーネット・ガブリエル!」 麻由「ホーネット・ラファエル!」 三人「懲罰天使エンジェル・ホーネッツ。悪人ども、乙女の針で、昇天なさいッ♥」 「ブラボー! いい感じですよ3人とも。」犀南社長が立ち上がって拍手した。横に居並ぶ 東都テレビの重鎮たちも無表情で拍手に加わった。あゆみたちのマネージャー連も、やはり 無表情のまま彼女たちを見守っている。ロボットが並んでいるかのようなその態度は、第 三者から見れば極めて奇妙な光景だったろう。だがホーネットの衣裳をまとって夢見心地 になっているあゆみたち三人は、その異常さに気付くよしもなかった。
その後も、演技指導は続いた。奇妙なことに身体を動かして汗をかけばかくほど、快感が 増大してゆくのだ。もはや3人は、自分が今、何をしているのかすらわからなくなってき た。 ふと、あゆみは尿意を覚えた。 「…すみません、来島さん。お手洗いに行きたいんですけど…」 「そう? じゃあこっちに来て。その衣裳の上から、股の間にこれを当ててね。」来島女史 が手渡したのは、長いパイプがついた、先端が股間にピッタリ貼りつく形に拡がったノズ ルであった。「これを…こうやって当てて…さあいくわよ。」 来島女史が、ナイプの先にある機械のスイッチを入れた。ぶぉんぶぉん、という音ととも に、ノズルが吸着を開始した。 「…あ!…あ!…あああ!!」下腹部を凄まじい快感の波が襲い、あゆみは思わず失禁してい た。しかし不思議なことに尿は衣裳をそのまますり抜けて、ノズルの中に吸引されていった。 ノズルが外された途端、あゆみは腰の力が抜け、四つん這いになってハァハァと大きく息 をついだ。 《何て、何て気持ちがいいんだろう。…もうダメ。わたし、この衣裳を脱ぐことはもうで きない!》
日が暮れる頃、演技指導は一段落した。あゆみたちは犀南社長のエスコートで、夕食会に 招待された。もちろん、ホーネットの衣裳は相変わらず着けたままだった。 夕食は高級和牛のステーキと舌平目をメインディッシュとしたフランス料理だった。しか しあゆみたち3人は料理よりも、デザートの蜂蜜菓子に夢中だった。蜂蜜が、蜂蜜がもっ と欲しい! あゆみたちはステーキにはまったく手をつけず、求めに応じて給仕が運んでき た蜂蜜の瓶をひったくり、その中身をむさぼった。 夜、ホーネットの衣裳のまま寝床に入ったあゆみは、しかし寝つくことができなかった。 身体が熱く火照ったまま、動悸が少しも治まらない。わずかでも衣裳が布団に触れるたび に、身体に快感の嵐が貫く。このような不思議な快感は、それまで味わったことがなかっ た。あゆみは我慢できず股間に手を伸ばし、やがて自慰にふけり始めた。身体に密着した 衣裳は股間のスリットの存在をすっかりあらわにしており、クリトリスのふくらみもはっ きり指先に感じられる。指先でクリトリスをいじくり回し、はじきながら、あゆみは身体 を折り曲げて荒く呼吸し、悲鳴を絞り出すように悶え続けるのだった。 結局、あゆみは一睡もすることができなかった。翌朝、真っ赤な瞳で現れたケイと麻由の 様子を見ても、彼女と同様の一夜を過ごしたことは間違いない。 その日の午前中も、ホーネットの衣裳をまとったままの3人の演技は続けられた。もはや あゆみたちは操り人形のように、何も考えず、来島女史の命令に従うだけの存在と化して いた。上気した顔で機械的に決め台詞を唱え、必要以上にセクシーに身体をくねらせなが ら、決めポーズを取った。
午後になり、犀南社長が立ち上がって演技指導の終わりを告げた。 「実に、実によかったですよ皆さん。エンジェル・ホーネッツ、成功間違い無しでしょう。 それじゃあ、今から衣裳を脱いで下さい。」 あゆみたちは、身体に電撃が走ったかのように飛び上がった。そんな! 今さらこの衣裳を 脱ぐなんて! 「嫌です! わたし、絶対に脱ぎたくありません!」 「お願いです、わたしたち、ずっとこのままホーネットでいたいんです!」 「死ぬまでこの姿でいさせて下さい! お願いします!!」 3人の懇願を、犀南は微笑みながら聞いた。「皆さん、心の方もすっかりホーネットに染 まってしまったようですね。元の人間に戻りたくないという気持ち、よくわかりますよ。 でも安心なさい。その衣裳を脱いだら、もっと素晴らしいことがあなたたちを待っている のですよ。」 犀南が指を、パチン! と鳴らすと、身体にピッタリと密着していた衣裳が、途端にゆるん で脱げる状態になった。「いやああ!」あゆみたちは思わず叫んだ。 「大丈夫です。衣裳を脱いで、自分の身体をようく見てごらんなさい。」 あゆみは、それまで衣裳に包まれていた自分の身体を、おそるおそる盗み見た。そして、 思わず目を丸くした。 なんと、衣裳の裏側の彼女の裸体は、いつの間にか、ホーネットの衣裳と同じ、濃いブル ーに染まっていたのだ。乳房にも衣裳同様の、黄色と黒の同心円状の模様が浮かび上がっ ている。
驚いて、あゆみたちは衣裳を脱ぎ捨てた。衣裳を脱いでも、彼女たちの身体はホーネット のままだった。手首は白い長手袋状になり、指先からは爪が消失していた。脚は白いブー ツ状となり、足指はひとつに融合し、かかとはハイヒール状に変形している。そしてボデ ィからは体毛がすべて抜け落ち、皮膚はなめし皮のような不思議な質感のものに置き換わ っていた。 あゆみたちはふと、背中にむず痒さを感じた。背中から、4枚の黄色く透明な羽根が、ゆ っくりと伸びてきた。そして彼女たちの額からは、真っ赤な触角が生えて来た。 自らの身体の驚くべき変化を目の当たりにして、あゆみたちが感じた感情は、何よりもま ず『喜び』であった。自分の身体がすっかりホーネットに変化した。何て、何て素晴らし いことだろう。そして、何て美しい身体なんだろう。 ホールに居並ぶテレビ局の重鎮たちや、あゆみたちのマネージャー連は、この変化を見て も平然としていた。まるで考える力を失った人形のように、彼女たちの肉体の変貌をじっ と見つめていた。 犀南社長が、あゆみたちに向かって告げる。 「あなたたちがまとっていた衣裳は、わが社が開発した特殊ナノマシンを生地の内側に織 り込んだ、特殊素材でできていたのですよ。その名もBB(Be Bee)スキン、蜂化皮膚。こ の素材で作られた衣裳をまとって汗をかけば、汗腺を伝わってナノマシンが体内に侵入し、 着用者の身体を改造してしまうのです。身体の改造、洗脳、そして素体の肉体チェック、 この3つを簡単に同時に行える、素晴らしい発明なのですよ。そう。あなたたちはもう、 人間ではありません。パワー、反応速度、瞬発力などが常人の30倍に強化された、わが 組織の蜂型戦闘員ビーロイド。即ち改造人間・蜂女として生まれ変わったのです。」 衝撃の告白だった。だがあゆみたちは、それを当然のこととして受け入れた。彼女たちの 意識は既に人間のものではなかったからだ。 「…ス・テ・キ。」「改造人間ですって? 何て素晴らしいの。」
「あなたたちはこれから『エンジェル・ホーネッツ』の主演女優として、わが組織のため に働いてもらいます。既に番組の関係者は全員、このように脊髄に洗脳チップを埋め込ん で我らのしもべにしてあります。後は、この来島くんの指示に従いなさい。」 来島美伶が、着ていたスーツを脱ぎ始めた。何と、彼女の身体もまた、蜂女であった。 4人の蜂女は親しげに、お互いの身体に触れ合った。 犀南がさらに、あゆみたちに語りかけた。 「さて、あなたたちの身体は蜂化皮膚によって、蜂型戦闘員ビーロイドになったわけです が、あなたたちにはこれからさらに、追加改造手術を受けてもらわねばなりません。単な る戦闘員ではなく、特殊能力を備えた工作用の蜂型改造人間、ホーネットロイドとなるた めに。どうです、今から改造手術を受けてもらえますか?」 あゆみたちは、顔を輝かせてすかさず答えた。 「はい! 喜んで!」「改造手術なんて、ステキです!」「早く、早くわたしたちを改造し て下さい!」 地下の改造手術室で、あゆみたち三人は円形の手術台に手足を固定され、改造手術を施さ れようとしていた。ナノマシン改造によるビーロイドとは異なり、ホーネットロイドは全 身にバイオセラミック製の人工臓器を移植されることによって作られる。あゆみたちは麻 酔を施されることもなく改造手術に臨んだ。レーザーメスが迫っても、恐怖は微塵も感じ なかった。むしろ、身体を無茶苦茶にいじくり回されることに対する喜びで心がいっぱい だった。正中線に沿って身体が切開され、自分の臓器が次々と摘出されてゆくのを見なが ら、あゆみは夢見心地で改造される幸せに酔いしれていた。あゆみの隣の手術台でも、飛 島ケイと妹尾麻由の二人がやはりうっとりした表情で、改造手術の喜びを噛み締めていた。
翌年1月に放映開始となった新番組『懲罰天使エンジェル・ホーネッツ』は、局の見込み 通りの大ヒット番組となった。人気絶頂の3人のアイドルが、ハリウッド大作映画級のV FXを用いた激しいアクションを演じるということで、放映前から各界の期待を集めてい たが、放映された映像は期待を遥かに上回る素晴らしい出来だった。明らかにCGではな い、いったいどうやって撮影したのか専門家も首をひねる激しいアクションが、華奢な少 女たちの身体から次々と繰り出された。もちろんそれはVFXでも何でもない、改造され た身体を持つ、あゆみたち自身のアクションに他ならなかった。一方で、ホーネットたち のセクシーな衣裳も注目を集めた。ひょっとして全裸ではないのかとの報道も一部でなさ れたが、実際にもその通り、あゆみたちは改造された全裸のボディのままで撮影に臨んで いたのだ。もちろん、露出した女性器だけは巧妙にカバーで隠していたが。 『エンジェル・ホーネッツ』のヒットの要因は、アクションだけではなかった。主演の三 アイドルの演技が実に見事な出来だったこと、そして抜群の歌唱力で彼女たちが歌う主題 歌も、『エンジェル・ホーネッツ』が幅広い世代に受け入れられた大きな要因として識者 たちに分析された。特に三人の中でも主役級の、美樹原あゆみの演技の上達は実にめざま しいものであった。改造人間となった彼女たちは人間とは違い、歌も演技も自分の意思で 100%完璧にコントロールできたから、こうなるのは当然の結果であった。
さらに、『エンジェル・ホーネッツ』を酷評する批評家たちが、途中で論調を切り替え、 次々と擁護派に回っていったことも大きかった。擁護派は事あるごとに番組を絶賛し、信 じられないことに競合他局までが『エンジェル・ホーネッツ』のブームを検証する番組を 組むようになった。これは、あゆみたちの仕業であった。あゆみたちの触角で頭部に触れ られた人間は、またたく間に彼女たちのしもべとして洗脳されてしまうのだ。あゆみたち がプロモーション活動を行うごとに、番組の支持者は増え、ファンの数は増していった。 あゆみたちは常に、ホーネットの衣裳を身につけてプロモーション活動に臨んだ。プライ ベートで街を歩く時にもホーネットの衣裳を欠かさない彼女たちのプロ意識を、メディア は好意的に報道したが、あゆみたちにとっては人工皮膚で人間の姿に変装することこそ、 堪えがたい苦痛であった。極力彼女たちは、改造された蜂女の姿のまま、24時間過ごそう としていたのだ。 『エンジェル・ホーネッツ』の関連商品は、幼児向けの玩具から、同世代の女子学生向け のマスコット、父親世代向けのメッセージ付き写真、ヲタク向けのリアルフィギュアなど、 多岐に及んだ。その全てに、C.F.ラボが“洗脳装置”をこっそりと仕込んでいたことは、 誰一人知るよしもなかった。
「サイナム様。総帥よりのお言葉が届いております。」 C.F.イリュージョンの犀南社長に、秘書の来島美伶が話しかけた。 「何だね、メル。伝えたまえ。」 「はい。来るべきCデイに向けたわが組織の3計画のうち、洗脳した子供たちを玩具に見 せかけた本物の兵器で蜂起させる、ゴオモン様による『ティブル計画』、人気韓国俳優の ピョン様ことピョン・ヘジョンを使ってテレビ・映画・ネットの3大メディアで主婦層の 洗脳を図る、ジュウリン様による『シャドウ計画』の2つは順調に進んでいるのに、サイ ナム様の『ヴェスパ計画』だけが当初の予定よりも遅れていることに対し、総帥はたいへ んご心配されている模様です。」 「…総帥はせっかち過ぎておいでなのだ。真に効率良く計画を運ぶためには、慎重に慎重 を期さなければならん。まだまだCデイまでには時間がある。心配いらぬと総帥には伝え てくれたまえ。」 「…かしこまりました。」 「メル。」犀南は出てゆこうとする来島美伶を呼び止めた。「時に、蜂化皮膚の改良型は いつ出来上がる予定だ?」 「開発部からの連絡ですと、着用後6時間で改造が完了する新タイプが、あと数日中に納 品できるそうです。」 「よろしい。そいつが納品され次第、計画の第2フェイズに移ろう。それにしても6時間 か。ずいぶんと進んだものだ。お前を蜂化皮膚で改造した時は、1週間かかったものだっ たな。憶えているか? モデル事務所から派遣されたお前がホーネッツのプロトタイプ衣裳 を着せられた時のことを。あの時はお前も、すいぶん抵抗したものだった。」 「…嫌ですわ、サイナム様。」サイナムはメルの腰に手を回して引き寄せた。メルは大人 しくそれに身を委ねた。「今のわたしは、身も心もサイナム様の奴隷でございます。」 サイナムの膝の上に腰をおろしたメルの唇が、彼の口元に引き寄せられていった。
『エンジェル・ホーネッツ』の放映は、2クール(6ヶ月)で惜しまれながら終了した。も ちろん、主演女優を一新し、5人のメンバーに増やした『エンジェル・ホーネッツ2』の 放映がそれに続いたことは言うまでもない。 絶大な人気を獲得した美樹原あゆみたち3人は、次々と舞い込む次回の仕事のオファーを すべて断り、新しい事業に手を染めた。8月に開校する、『C.F.アクトレススクール』の 専任講師として着任したのである。 もちろん、彼女たちが表舞台を退くことを惜しむ声は大きかった。だが「私たちがなれた ように、誰にでもシンデレラになれるチャンスがある」という彼女たちの志は、多くの同 世代の少女たちの心を大きく揺り動かすことになった。 7月。『C.F.アクトレススクール』無料体験入学の参加者募集が始まった。2泊3日の 日程で、美樹原あゆみ、飛島ケイ、妹尾麻由の3人じきじきの演技・歌唱指導がもらえる というもので、1回200名、8月末までに15回実施という日程が発表されつや否や、女子 中学生・女子高生たちからの申し込みが殺到した。何と800倍という高倍率を突破した 3000名の幸運な少女たちは、開校から順次、無料送迎バスでC.F.イリュージョン敷地内 に作られた『C.F.アクトレススクール』にやってくることになった。 その第1陣が、あゆみたちの前に揃ったのは、8月1日、スクール開校日の午後であった。 あゆみたちがエンジェル・ホーネッツの衣裳で現れるや否や、少女たちの黄色い歓声が巻 き上がった。 初日は、あゆみたちが参加者の目の前で、自分たちの演技、アクション、それに歌唱を披 露することに充てられた。現役女子高生とは思えない完成された演技に、参加者たちはた め息した。その夜は楽しい会食。ワイワイ騒ぐ参加者の少女たちの質問責めに遭いながら、 あゆみたち3人は「あなたたちこそ、未来のホーネット」と強調した。
翌日、参加者全員に、ホーネットの衣裳が手渡された。全裸になって全身タイツをまとう ことに抵抗を感じる者もいないわけではなかったが、あゆみたちが既にその姿でいる以上、 全員が従うのは当然の成りゆきだった。 衣裳をまとうや否や、参加者の少女たちの目の色が変わった。誰もが夢見るようなまなざ しで、しきりに自らのボディを愛撫し、衣裳の感触を味わうのだった。 蜂女の衣裳をまとった200名の少女は、あゆみたちと共に様々なアクションを行った。汗 をかくごとに、彼女たちの顔は上気し、まなざしは正気を失ってゆく。 6時間後、少女たちは一斉に衣裳を脱いだ。200名の蜂女が、新たに誕生した。 「あなたたちは、もう人間ではありません。わが組織の蜂型戦闘員、ビーロイドなのです。 あなたたちはこれから自宅に戻り、触角を使って家族や周囲の人間を洗脳しながら、組織 の命令を待ちなさい。組織の一斉蜂起の日、Cデイは12月に予定されています。」 少女たちは一斉にうなずいた。 「Cデイ。すなわちカラミティ・デイ(災厄の日)、現在の地上の秩序は崩壊し、我々が新 たな支配者として人間たちの上に君臨することになるでしょう。わが組織の名は、C.F.、 カラミティ・フォーリング!」 「カラミティ・フォーリング!!」蜂女になった少女たちが一斉に叫んだ。 「あなたたちの中でも優秀な者は、これから改造手術を受け、戦闘用改造人間・ワスプロ イドとして生まれ変わってもらいます。次に番号を呼ばれた者は、前に出なさい。…2番、 14番、17番、32番……」 蜂化皮膚のセンサーから送られた情報を分析して、200名の中から15名の少女が、戦闘用 改造人間の素体として選ばれた。彼女たちは地下の手術室で改造手術を施され、次の朝ま でに、乳房に強力な毒針を装備し、飛行能力とパワーを強化された戦闘用改造人間ワスプ ロイドとして生まれ変わった。 それ以外の者たちは、あゆみたちの手によって戦闘訓練を施された。
3日目の昼、人工皮膚で人間に偽装した200名の蜂女たちが、送迎バスでアクターズスク ールを巣立っていった。入れ替わりに、第2陣の少女たちがスクールに到着した。 蜂女に改造されるとも知らず、あどけなく談笑する少女たち。その様子を校舎の窓の裏側 から、カラミティ・フォーリング3大幹部のひとり、サイナムが妖しく笑いながら見つめ ていた。 「メル君。新しい蜂化皮膚の開発のめどがついたそうだね。」 「はいサイナム様。今度の新タイプは、素体のモニター機能を省いて簡素化したため、2 時間で改造・洗脳が完了いたします。」 「…2時間か。それだけ短ければ、大量改造ももう夢ではないな。フフフ。」サイナムの 冷たい笑いが、校長室にこだました。 「ねえ、知ってる? 今流行のヴェスパ・フィットネススタジオ! わたしの知り合いが行っ たらしいんだけど、たった一日通っただけでスタイルが抜群に良くなってるし、身体の動 きが以前とはまるで違うのよ。ねえ、一緒に行ってみない!?」 「えー、でも高いんでしょ、これって?」 「1日だけの無料体験コース、っていうのがあるのよ。1日で効果があるんなら、お金を 払う必要なんかないじゃない! さ、行こ行こ!」 街のあちこちに貼られたポスターを見ながら、女子大生が話し合っている。9月にオープ ンしたばかりの『ヴェスパ・フィットネススタジオ』の無料体験コースは、全国300箇所 に設立されたどの店舗でも、満員盛況だった。そして今日もまた、蜂女に改造されるとも 知らず、2人の女子大生がこの悪魔の店の玄関をくぐろうとしていた。 (おわり)
224 :
名無しより愛をこめて :04/11/16 19:25:56 ID:K2n5r+qR
142です。
>既に番組の関係者は全員、このように脊髄に洗脳チップを埋め込ん
>で我らのしもべにしてあります。
こことか、
>あゆみたちの触角で頭部に触れ
>られた人間は、またたく間に彼女たちのしもべとして洗脳されてしまうのだ。
こことか、
特に
>>221-222 が最高でした!
リクエストお答えいただきありがとうございました、これからも良作期待しております。
失礼しました、お礼の相手の名前も記さないとは・・・興奮しすぎました。 改めて、BeeFreak様大量戦闘員化のSSありがとうございました!
>>225 =142 様
さっそくご感想、ありがとうございます。
なんとか喜んでいただけたようで何よりです。
ただ昨夜UPしたSSは、突然思いついて(睡眠時間削って)一気に書き上げたものだったので、
今読み直してみるとなかなか恥ずかしい出来ばえです。もう少し寝かせればよかったと今
さらながら後悔しています。
ちょっと的を外してしまったような気もするので、ご不満等ありましたら遠慮なくご指摘
いただければ助かります。今後の参考にします。
最近、変化球が多くなってしまったので、スレの皆さまにはあきれられているかも知れま
せん。どういう方向性がいいか、これからも皆さまにご指導いただければ幸いです。
それではまた。
次回はフィニィの「盗まれた町」の翻案で行こうかと画策中のBeeFreakでした。
こういう状況で投下いいですか? 相変わらずプロクシが不安定ですが
あっ、325さんだ!! 遠慮せずにどんどんうpしちゃって下さい! お願いします!! 期待しています!!
えーと、今回も同じヒーロー使います エロより外道度に力いれます 319さんの設定にあったおやっさんや女の子や少年ファイター隊は 何時の間にかいないことになってますので悪しからず
無影灯の無機質な光が目を刺す。 裸の背中に冷たく固い手術台の感触。 だが、体を手術台の上に大の字に固定された彼女には、 その光から眼を背けることさえできない。 そして、彼女を見下ろす異形の科学者たち。 (お願い、助けて…) 哀願しようとするが、口が動かない。 意識はあり、目も見えるが、体は彼女の意思に反して のたうつことさえ、身悶えることさえできないのだ。 「我がサイバーが誇る無痛手術だ。意識はあるが神経は眠る」 「我等の芸術ともいうべき手並みをじっくり体感するがいい」 「この鉄の腕、鋼の足、永遠の命がお前のものになるのだ」 口々に誇らしげに語る科学者達。 (ああ…助けて、あなた!) 科学者たちは、大口径の銃がセットになったロボットの義手、 得体の知れない人工臓器などを、わざと彼女に見せびらかす。 「では、この余計な人間の部位を切り取って行こう」 (ああ、やめて!あなた、赤ちゃん…) 科学者の1人が、彼女の下腹部の方に回る。 (おおお、何をするの…、ああああ)
=================================== ある秋の休日、隼五郎は、新宿の歩行者天国を1人歩いていた あたりは家族連れやカップルでにぎわっている (平和だ。まるで何事もないかのようだ。サイバーの謀略も、あの恐ろしいテロも) 戦いの日々をしばし忘れようとする五郎。 子供「うわーん、パパ、ママ、風船が」 幼児が持っていたガス風船をうっかり手放してしまい、泣いている。 ママ「ほらほら、いい子だから泣かないのよ」 パパ「男の子が泣いちゃみっともないぞ」 両親らしい若夫婦があやそうとしている。 子供の手を離れた黄色い風船は、ビルの谷間から青空へとふわふわと上昇を続けている その風船につい見とれる五郎 「助けて!」
女の悲鳴が響く。 人ごみをかきわけて、1人の女が逃げてくる。 何事かと振り向く人もいるが、この喧騒の中気付かない人も多い。 人ごみをかきわけかきわけ、時々足をもつれさせながら、 その女は走り抜けようとする。少しでも遠くへ 走り抜けようとする。 「こっちだ」「逃がさんぞ」追ってくる数人のサイバー戦闘員 人の波の中にまぎれようとして、五郎の背中にすがる女 戦闘員A「三輪香織、無駄なあがきはやめて出て来い!」 言うなり手にしたカービン銃をフルオートで乱射する戦闘員。 至近距離の銃弾に手足や腹を千切られ、血しぶきを上げて人々が次々倒れる 阿鼻叫喚の地獄絵だ。 五郎の目の前の若夫婦は、反射的に子供を庇おうとしたが、 2人の体を貫通した銃弾はさらに幼子をも絶命させる。 五郎「許さん!」 突然の惨劇、サイバーの暴虐に怒り、ファイターFに変転! 戦闘員のカービン銃をもぎとり、頭に叩き付け絶命させる。 バーン! 大口径の銃声が響き、五郎の手のカービンが衝撃と共に吹き飛んだ。
女怪人の声「邪魔をするな!ファイターF」 F「サイバー、貴様らよくも!」 姿を現す女怪人、全身真紅のレザー服、ピッケルハウベの鉄兜を被った顔に 鉄面。右腕は銃になっている。 女怪人「サイバー突撃隊・マグナサイバーだ。 今はお前の相手をしている暇はない。その女を渡せ」 F「誰が貴様らに」マグナが右腕のマグナム銃を構える刹那、 Fの前蹴りがその鉄の腕を捕らえ、照準を反らせる マグナ「うおっ」。ダメージを受けた腕を押さえ、早くも逃げ腰になる怪人 後を追うFだが見失う。 変転を解いた五郎は、死屍累々の山の中に倒れていた逃亡者の女を抱き上げる 香織「…あなたは?」意識があった。 五郎「奴らはいなくなりました。僕はあなたの味方です」 香織「助けて下さい。主人が、子供があの人たちに…」急に取り乱し泣き出す香織 まず落ち着かせようとする五郎だが、香織の清楚な水色ワンピースの背中が 鉤裂きになっているのを見て目を剥く。 Y−151 裂け目の間からのぞく香織の白い肌には、ナンバーと、 サイバー軍団のシンボル・黒いコウモリとがタトゥーで刻まれていたのだ
================ 手術が終わってもう何日たったのだろう… 彼女にはもう時間の感覚も無かった 全身が何かビニールにでも覆われたかのような違和感、一種の倦怠感があった いや、実際に、今の彼女を覆うのは特殊金属の装甲板と人工皮膚 柔肌はかけらも残っていない そして右腕には、あのおぞましい銃が。 そんな体にされても、悲しみが今一つ彼女の心に湧かないのは、 脳改造のせいか。それとも彼女自身が肉体と共に無機質になったのか… 光一つ見えない暗闇の牢獄の中で、ひざを抱えてうずくまっていても 寂しさ、不安、恐怖さえも感じない 彼女の心を占めるのは空虚、そして、得体の知れない衝動だ (殺せ…、殺せ…、あいつを。わたしの敵を) 突然、闇に光がさし込んだ 牢獄の扉が開かれたのだ 「テストロボット101。出ろ」
================ 五郎「ディストピア?」 香織「はい。私たちは1ヵ月前にさらわれて、そこに閉じ込められたんです」 ここは、東京郊外にある目立たぬ一軒家 五郎の相棒であり協力者であるサイバーハンター、岩井重吾の秘密アジトの1つだ 手と足首に軽いケガをしていた香織は、手当を受けて 五郎の男物のYシャツに着がえてベッドに寝かされている 岩井が香織に淹れてやったハーブティーと、彼のふかす葉巻の香りが入り混じる 岩井「ディストピアは、サイバーが人体実験のために拉致してきた人を住まわせている、 いわば収容キャンプだよ」 五郎「人体実験ですって?」 岩井「捜査当局でも公然の秘密だ。世界征服を狙う奴らがサイボーグを造り続けるには、 膨大な試験データが事前に必要になる。その為に多くの人間を拉致して、 手術の実験台にしているんだ」 香織「そうです。私もこれから実験にかける≠ニ言われ、 夫と引き離されてどこかに運ばれる途中だったんです」 五郎「何ということを…」
岩井「奥さん。失礼ですがあなたの背中のそれは」 香織「はい。さらわれた私たちは名前を奪われ、 全員ヤプー≠ニ呼ばれ、番号で区別されました。 番号はさらわれたその日に、身体検査と一緒に…」 悔しさと恥ずかしさが入り混じり、唇を噛む香織 五郎「あなたと御主人が閉じ込められたそのディストピアというのは、どこなんです」 香織「わかりません。さらわれた時は意識がありませんでしたし…、 ただ、それ自体が大きな街で、住宅を割り振られてそれまで通りのような 暮らしをするよう命令されました。ですがその街がどこかは…」 岩井「奥さん。大事なことです、思い出して下さい。どんな手がかりでもいいんです」 香織「…全く思い出せないんです。連れ出される時は目隠しをされていましたし。 今日はたまたま輸送車が事故を起こして、私だけ逃げ出せたんです」 岩井「もう1度輸送された時のことを思い出して下さい、奥さん」 いつもは年長者らしく冷静な岩井には珍しく、質問に熱が篭もる 香織「でも、でも…」恐怖が頭から去らないのか、震え出す。 「そうだわ。MH551にヤプーを集める≠ニか話していました」 岩井「MH551か。判った。五郎君、行こう!」
香織・五郎「?」 岩井はガンラックからソウドオフしたショットガンとリボルバー、 それぞれの弾丸の箱を取り出す。 岩井「使うかね」リボルバーを五郎に差し出す。 五郎「いや、僕は武器は使いません。素手で十分です」 「それより岩井さん、そんな暗号だけで判ったんですか?」 岩井「事情は道々説明する。急ごう」。ショットガンをベストの裏側のハーネスに 特殊散弾、特殊鋼製のナイフをベルトにさし込みながら急かす 香織「待って下さい。手がかりがあるのなら、 私も連れてって下さい。夫と子供が心配なんです」 岩井「いかん。貴女をみすみす奴らの前にさらす訳にはいかない。 ここでじっとしていなさい」 ランドローバーに乗り込み、出発する五郎と岩井
==================== その男≠ヘ、まっすぐ立つこともできず、這いつくばりながら彼女≠フ前にみじめな姿を晒していた サイバー科学者「さあ、どうした?やれ。その出来そこないを撃つんだ」 右腕に採りつけられたマグナム銃の照準を出来そこない≠ノ合わせる 不思議と感情の乱れはなかった 目の前の出来そこない=B体の右半分が部品剥き出しの機械体、左半分が 表皮も無く赤色青色の血管が浮き出た人工筋肉体の、世にも醜いサイボーグの失敗作だ 声帯を取り付けられていないので、命乞いさえもできない ただただ立たない足をもつれさせながら身悶えている 目で彼女に哀訴しようとする。 (彼を撃つのに躊躇は無い。私には重要な務めがある そして、私が今許されているのはこれだけだ) 彼≠ニ目が合った、お互い鉄面に採りつけられた人工眼だ。 …だが、彼女には、それをためらう感情さえ発生しなかった。 ドゴーン! 爆発四散する彼≠フ体 (さよなら…)
>231-239 おおっ! いよいよ始まりましたな。325さん!! イナズマンFのミスワンやサイレンサーデスパー、デスパーシティーの回を ほうふつとさせるハードな展開。 今回は若妻改造ですな。テストロボット101の正体が今後のミソか? これからの展開、期待しています!!
241 :
名無しより愛をこめて :04/11/18 17:00:26 ID:OwOs9rvP
イナズマンFって、女性の改造シーンあるの?
================ ローバーのハンドルを握り、エンジン全開で飛ばす岩井に五郎が問う 岩井「最近解読されたサイバーの暗号だよ。Mは東京都下、Hは多摩地区 551というコードでやつらの拠点の位置を示しているんだ。 これでディストピアへの手がかりになるぞ」 五郎「岩井さんは知ってたんですか?」 岩井「妻と娘もあそこで生きているかもしれん。食いついて離さんぞ」 悪魔のようなサイバー軍団によって頻発するテロや人間拉致。その被害者の残された家族たちが 「サイバーハンター」として立ち上がったのだった。 サイバーの存在を公式には認めていない政府から、銃器使用の黙認と わずかばかりの情報提供という程度のバックアップを受け、 いや、都合良く利用さえされる形で、彼らは戦ってきた。 そんな蟷螂の斧≠フハンターたちにとって、逃亡者にして正義と復讐の戦士、 サイバーロボットと唯一互角に戦えるファイターF・隼五郎こそ、まさに救いの神だった 岩井もまた、妻子を奪われた1人だ。 自分の肉体と青春を奪われた五郎とは、今や固い絆で結ばれた戦友ともいえる。 その岩井が今、妻と娘の手がかりを得て、五郎も見たことのないほど興奮している。 五郎「岩井さん。考えてることはわかりますが、危険が高いですよ」 岩井「五郎君がいつも覚悟してることに比べたら、大したことじゃないさ」 2人同時に、不敵でそれでいて信頼感に裏打ちされた微笑みが浮かぶ。
============== 科学者A「それでは、投与しようか」 手術台の上で文字通り「まな板の鯉」なっている彼女にはどうしようもない 彼女の下腹部の方に回った科学者に、助手が膣拡張機を手渡す。 科学者はそれを、彼女の肉の合わせ目にゆっくり押し込んだ クスコのねじを回し、ペリカンの嘴部分を少しずつ広げはじめた (い、いや、許して…) 女の体で最も繊細で柔らかいそこを、じわじわおし広げる (あっ、あーっ、だめえ) 麻痺した舌で泣き声をあげようとするが、声は出ない 科学者は、女の最奥があられもなく拡張され、湿って光る粘膜があらわになるのを まるでメカを修理する時のように無感動で見つめると おもむろに注射器を取り出す。 「これを打っておかないと、お前も耐えられまい」
注射器の中身は、サイバー科学班が開発した新種の麻酔薬だ 痛みを全て、快感に転化する効能がある 新開発のそれを、科学者はヤプー=モルモットである彼女でためそうとういうのだ 科学者A「全身の手術になるんだ。6本ほど打たないといけないな お前は自分が切り裂かれながら、無上の快楽を体験するんだ」 その薬を、彼女の最奥の粘膜から吸収させようというのだ いっぱいに開いているクスコの間から、ゆっくりと注射器を挿入した 注射器には、針はつけられていなかった その先が子壷の口に押し当てられた (やめて、赤ちゃんが、赤ちゃんが…) 彼女は妊娠4カ月だった 自分は奴らに辱められても、愛する夫との間に生まれようとする 愛しい嬰児だけは守りたかった 科学者A「心配するな、胎膜はこの薬を吸収しない。 お前は安心して、この薬6本分をたっぷり味わえばいいのだ」
科学者はゆっくりと、注射器の中身を押し出した 繊細な粘膜に傷つけぬよう、細心の注意をはらって薬液を注ぎ込む (ううううう) 充血して赤く熱を持った粘膜に、冷やされた薬液がはきかけられる 彼女の子壷の口は、ヒクヒクと収縮を見せて蠢いてしまう 夫との愛の営みの時に その精を受け入れたことを思い出すかのように 彼女を淫楽の狂気へと誘うおぞましい液を飲み込んで行く 哀しい女の生理だった。 科学者「ふふふ、快いか。まだまだ、あと五本あるぞ」
============== 10分ほどで目的地についた ひっそりとした高台に立つ、古い病院の跡だ 五郎「こんな近くに」 岩井「お互いそれと知らず、お隣さんでアジトを構えてたってわけだ」 岩井は小型のマルチバンド通信機を取りだし、レシーバーにつなぐ 岩井「奴らの通信が傍受できるかもしれん」 建物の周りには、カービンや短機関銃で武装した戦闘員が巡回している 岩井「忍びこむにも骨だな」 五郎「岩井さん。援護して下さい」 五郎はいうが早いか、音も立てずに手近の戦闘員に飛びかかる 振り向きざま銃を構える暇も与えず、銃口を手刀で払い内側に入り身し 戦闘員の首に喉輪の強烈な当身を食らわす 精密な回路が集中している頚部を破壊され、機能停止する戦闘員。 戦闘員B「誰だ?」 同僚の異変に近くの別の戦闘員が気付く。 五郎はその戦闘員に手刀の逆手撃ちを浴びせる 鋭利な刀で斬られたかのように戦闘員の首が胴体から飛ぶ 五郎はその勢いでそのまま転体し さらに背後に迫ったもう1人の戦闘員に鋭い横蹴りをお見舞いする 五郎「岩井さん、今です」 岩井が飛び出しざま、いま1人の戦闘員が建物から飛び出す ショットガンの銃床でその鳩尾を破壊する岩井 戦闘員4人の残骸を後に残し、建物に潜入する2人
どうも。BeeFreakあらため、BeeFです。色々あって、名前を縮めることになってしまい
ました。これからは“牛肉”とでも呼んで下さい。
>>前スレ325 様
いよいよ新作が始まりましたね。まだまだ謎に満ちたストーリーですが、期待しています。
さて、このSSもまとめサイト
http://artofspirit.hp.infoseek.co.jp/other_ss/ に保管させていただきますが、できればSSのタイトルをお教えいただけませんでしょう
か? とりあえず「ディストピア」としておりますが、ご希望に沿って変えさせていただき
ます。また以前の「ファイターF」も、「アイヴィーサイバー」にタイトル変更してあり
ますが、こちらももっと適当なタイトルがあれば、お教え下さい。お願いします。
さて、またも思いつきでSSを書いてしまいました。
と言っても、前回予告してあった「盗まれた街」風ストーリーではありません。
最初は前スレ325さんの“デスパーシティ”風設定に感化されて、プリズナーNo.6風の
話にするはずだったんですが、構想段階でおかしくなってしまい、最終的に「NHK少年
ドラマシリーズ」風の話になってしまいました。
いっそのこと、と開き直って、登場人物の名前は全部パロディにしてあります。
前半がもろ少年ドラマシリーズ(というより中学生日記?)風のかったるい展開なので退
屈される方もおられるかも知れませんが、終盤の鬼畜な展開への伏線ですので、しばらく
我慢いただければと思います。
今回、サイバーヴィルによって蜂女に改造されてしまうのは、香川美紗ちゃん16歳です。
それでは。しばらくお付き合い下さい。
248 :
BeeF :04/11/21 00:54:06 ID:cRIe5pGj
「おはよッ!」「おはよう!」 秋晴れの穏やかな朝。私立英光学園に通う生徒たちでにぎわうこの通りの中、一人の少女 が腕時計をにらみながら誰かを待っている。 「…おはよ、のっぴい! ゴメン、ゴメン…」 「遅いぞッ、ミーシャ! まったくいつもいつもお寝坊さんなんだから!」 親友の落合法子が、肩で大きく息をする香川美紗の背中を、カバンで軽く小突いた。 香川美紗は16歳、高校1年生。笑顔が印象的な、学園きっての輝くばかりの美少女だ。 「昨夜も遅くまで、台本の練習をしてたのよ。もう、なかなか憶えらんなくて…」 「ミーシャ、主役だもんね。まだ1年なのに大変だよ。どう、何とかなりそう?」 「わかんない。あと6日しかないけど、頑張るっきゃないわ。」 親指を立ててガッツポーズをする美紗。親友の法子も笑いながらサムズアップを返す。 「…あれえ? ここ、こんな看板、前からあったっけ?」 古ぼけた洋館の前で、美紗が不意に立ち止まった。 枯れかけた蔦がからまった巨大な門の傍らに、『富良戸ディメンショナル・パワー研究所』 と書かれた真新しい看板が掛けられている。 「ここ…ずいぶん長い間、空き家だったはずだよね?」 「うん。家族がみんな病死して、買い手がなかなか付かないって聞いてたけど。研究所っ てことは、博士か何かが引っ越してきたのかな?」 「…何だかちょっと、いかがわしい名前だよね。」 美紗が咲き誇る花のような笑みを浮かべた。「わたしたちには関係ないね。行こ行こ!」
249 :
BeeF :04/11/21 00:55:05 ID:cRIe5pGj
その日の夕刻のこと。 部活の練習で遅くなった美紗が、家路を目指して歩いていた。英語研究会に所属している 美紗たちは、6日後に控えた文化祭で披露する英語劇「ロミオとジュリエット」の猛特訓 に励んでいるところなのだ。 美紗は1年であったが、その容姿を見込まれて、ヒロイン・ジュリエット役に抜擢された。 ロミオ役は3年の楠本真理子。目下英語研究会は女子ばかりの所帯であり、文化祭を機に 男子部員の新規獲得を目指して、美紗に白羽の矢が立ったというわけだ。ただでさえ難し いシェイクスピア英語。ましてやまだ1年の美紗にとっては、台詞を覚えるだけで一苦労 なのだ。 「ええと、My only love sprung from my only hate! Too early seen unknown, and known too late! (たった一つのわたしの愛が、ただ一つの憎しみから生まれるなんて! 知らぬままにお顔を見るのは早すぎて、知った時にはもう遅い。)」 ブツブツと台詞を呟きながら、すっかり暗くなった道を帰宅する美紗。台詞を暗唱するの に夢中で、その目には何も映ってはいない。 洋館の脇を通り過ぎ、T字路に差しかかった時。彼女は右側から迫ってくる車に気付くの が遅れた。 キキーッ!! 車が急ブレーキを踏んだが間に合わない。ライトの光に目がくらんで、美紗の身 体は思わず硬直した。「きゃああッ!!」 その時、美紗の身体を抱えて風のように駆け抜け、飛び上がったものがあった。車は激しく 右へ左へと揺れながら、やがて遠ざかっていった。
250 :
BeeF :04/11/21 00:56:06 ID:cRIe5pGj
美紗は思わず安堵の息を漏らした。そして、自分の足元を見て再び叫んだ。「キャアッ!」 美紗たちが立っていたのは、身長ほどもあるブロック塀の上だった。思わずふらつく美紗を、 彼女を助けた人影があやうく支えた。美紗は、自分を助けた者の姿を見て、驚いた。 それは、美紗よりも少し背の高い、彼女と同じくらいの年頃の少女だった。きりりとした 眉、長いつややかな髪。顔立ちのはっきりした目のさめるような美少女だ。 少女は、美紗の腰を再び抱えると言った。 「もう一度飛ぶわ。気をつけて。」 ふわり、と宙を舞って地上に着地した二人。少女は美紗を離すと、そのままスタスタと歩 んでゆく。少女は美紗と同じ、英光学園の制服を着ていた。 「ねえ、待って! …あ、ありがとう。」 美紗の声に振り向き、一瞬微笑んだ少女は、再びきびすを返して夜の闇の中に消えていっ た。 《不思議な子…学校じゃ見たことがない顔だったわ。それにしても、わたしを抱えたまま こんな高いところまでジャンプするなんて……とても、人間技とは思えないわ……》 翌日、英語研究会の顧問でもある、1年3組担任の大谷みどり先生が、転校生を紹介した。 「このたびカナダから帰国しました、宮野礼莉です。どうかよろしく。」 とびきりの美少女の出現に、クラスは騒然となった。そして美紗も、転校生の顔を見て思 わず息を飲んだ。彼女こそ、昨夜美紗を助けた、あの身軽な少女だったからだ。 「はいはい、騒がない騒がない。それじゃ宮野さん、香川さんの後ろの席があいているか ら、そっちに座ってくれる?」 少女は美紗の傍らを通りすぎるまぎわ、美紗に向かってニッコリと微笑んだ。
251 :
BeeF :04/11/21 00:57:12 ID:cRIe5pGj
「あ、あの、宮野さん。」 「レリ、でいいわ。」 「あ、じゃあ、レリさん。昨夜は…どうも、どうもありがとう!」 「えっ、なになに!? ミーシャ、もうこの子と知り合いなの?」 休み時間。少女に話しかけた美紗を、級友たちが一斉に取り巻いた。 「…う、うん。昨夜、ちょっとね。」 レリが、美紗に向かって問いかけた。 「あなたのお名前は、何ていうのかしら?」 「あ、美紗よ。香川美紗。」 「美紗さん、わたしはまだこの国についてわからないことがいっぱいなの。教えて下さる?」 「あ、わたしでよければ、喜んで。」美紗は、思わずペコリと頭を下げた。 級友たちがどよめいた。学園一の美少女と、それを上回る転校生の美少女のコンビだ。注 目を集めないわけがない。 だが級友たちはその後で、転校生・宮野レリにもっともっと驚かされることになった。3 時間目の世界史Bの時間。アメリカ独立宣言の全文を日本語でスラスラと暗唱してみせた レリは、驚いた教師に乞われるまま、63か条からなるイギリスの大憲章をも完璧に暗唱し た。 「すごい! すごいね、レリさん!」 「…まあね、ここに来る前に、この世界のことは勉強してきたから。」 “この世界”という言い回しに、美紗はちょっと引っかかった。帰国子女だから、日本の ことを指しているのかな? でもイギリスもアメリカも日本じゃないよ。 そして4時間目、体育の時間。体操服を持ってなかったので、レリは体操部に借りた予備 のレオタードを着て現れた。ふくよかな胸に蜂のようにくびれたウェスト、抜群のプロポ ーション。校庭の反対側でハンドボールをしていた男子たちの手が止まり、がぜん彼女に 皆の視線が集中した。 高鉄棒に飛びついたレリは、いきなり大回転を披露してみせた。しかも、ムーンサルトの 着地付き。 「すっごォーい! 宮野さん! 体操やってたの!?」 「うん。少しね…」あれだけ身体を動かしても、レリは汗ひとつかいていない。 成績優秀、スポーツ万能。レリはまさに完璧な美少女だった。
252 :
BeeF :04/11/21 00:58:05 ID:cRIe5pGj
そして昼休み、美紗と親友の法子は、レリを食事の席に誘った。 レリは弁当を持っていなかったので、購買部ではちみつクッキーを買ってきた。 「え? それだけでいいの?」「うん。蜂蜜があればいいの。」 クッキーの袋を開けようとしたレリの手が、ふと止まった。手が細かく震えたかと思うと、 いきなり袋を放り出した。 「どうしたの!? レリさん!」 「…これよ。ここを読んで。」レリの声は震えている。 袋を手に取った法子が、レリの指差した箇所に書かれた文章を読んだ。 「え…なになに。この商品には、遺伝子組み替えを行った小麦粉を使用しています。…こ れが何だって言うの?」 「これが何、って一体どういうこと!? この世界でも、遺伝子操作が普通に行われているっ て言うの!?」 レリの声は、怒ったような調子になった。 「そうよ。もちろん反対している人もいるけれど、これからはこういう作物が増えてくる だろうって、生物の先生も言ってたわ。」 「…恐ろしい…何て、恐ろしい…」レリは気分が悪くなったかのようにうずくまった。 「大丈夫? レリさん。気分が悪いのなら、保健室に行こうか?」 レリは気を持ち直し、心配そうに顔を覗き込んでいる美紗に向かって微笑んだ。 「…いえ、もう大丈夫よ。心配いらないわ。ちょっとショックだっただけ。」 だが6時間目の理科総合Bの授業で、再びショッキングな出来事が起こった。遺伝子の働 きについての説明で、教師が“わざと遺伝子を欠損させたマウス”の話におよんだ時、い きなりレリが立ち上がって抗議を始めたのだ。 「先生! 人間が自分たちの都合で生き物の遺伝子を操作するなんて、自然の摂理に反した ことだと思います!」 理科の教師は困った様子でレリを見つめた。「しかしね君。こういう実験動物たちの尊い 犠牲があってこそ、我々の今の生活は成り立っているんじゃないか。まさか君は、医学や 生命科学の発展を否定するわけじゃないだろう?」 レリは悔しそうに着席し、授業の間ずっと指を組んで考え込んでいた。
253 :
BeeF :04/11/21 00:59:05 ID:cRIe5pGj
放課後になった。美紗は不機嫌そうなレリの気分を変えようと、部活に彼女を誘うことに した。 「ねえレリさん。わたしたち英語研究会で英語劇やってるんだけど、よかったら遊びに来 ない?」 レリは力なく笑って言った。「ありがとう美紗さん。でも今日は初日だから、早く帰るわ。」 部室に向かって移動する美紗と法子は、レリが校庭で2人の男子生徒と落ち合い、校門を 出てゆこうとするのを見た。 「え? あれは誰なの? レリさんと一緒の二人。」 「なんだミーシャ、知らなかったの? 今日宮野さんと一緒に転校してきた人たちよ。1組 の竹下健一くんと、2組の山沢六郎くん。お父さんの仕事が一緒で、カナダから一緒に帰 国したんだって。二人とも成績優秀、スポーツ万能、しかもそろって美形だというんで、 どのクラスも今日一日大騒ぎだったんだよ。」 「…ふうん。」美紗は遠目で二人の姿を見た。竹下健一は線の細い、クールな印象の少年。 山沢六郎は眉の太い、精悍な少年だった。確かに法子の言うとおり、二人ともたいした美 形だ。 「ねえミーシャ。カナダに行ったら、みんなあんなふうになれるのかな?」 「のっぴいにはムリよ。日本を離れたら大好きな琢哉くんが生放送で見れなくなるって言 って、家族みんなが海外旅行に行ったのに、ひとり留守番してたのは一体誰だったかなぁ?」 美紗と法子はキャラキャラと明るく笑い、部室に入っていった。
254 :
BeeF :04/11/21 01:00:05 ID:cRIe5pGj
翌日、レリが美紗たちの部活を見たいと言い出した。美紗たちは喜んでレリを部室に招待 した。 文化祭まであと4日。英語劇披露への最後の大詰めに向けて、部室の中はてんやわんやだ った。 「シェイクスピアをするわけ?」 「そう。といっても30分のダイジェストだけどね。でも、台詞はオリジナルをそのまま使 うのよ。」 主役の美紗は、さっそくロミオ役の楠本真理子とともに、台詞合わせを始めた。法子は台 詞の少ないロミオの母親役なので、もっぱら衣裳縫いを担当している。 「Lady, by yonder blessed moon I swear That tips with silver all these fruit- tree tops-(ジュリエット、ぼくは誓おう。見渡すかぎり木々の梢を銀色に染める、あの 月の光にかけて)」 「O, swear not by the moon, the inconstant moon, That monthly changes in her circled orb, Lest that thy love prove likewise variable.(いけないわ、月に誓うな んて。ひと月ごとに形を変えてゆく不実な月、あんなふうにあなたの愛が変わっては大変 だもの。)」 美紗の演技も、だんだんさまになってきた。レリは微笑みながら、そんな美紗の演技をじ っと眺めていた。 5時。校門が閉まる時刻ギリギリに、美紗たちは学校を離れた。 「ねえ、レリさんのおうちって、どこにあるの?」 「わたし? わたしの家は、ここよ。」 そう言ってレリが指差したのは、なんとあの、富良戸研究所という看板を掲げた古い洋館 だった。 「父と母がまだ帰国できないので、ひと足先に伯父の家にやっかいになってるのよ。」 そう言ってレリはあっけに取られる美紗たちを尻目に、錆びた巨大な門を開け、扉の中へ と消えていった。
255 :
BeeF :04/11/21 01:01:06 ID:cRIe5pGj
それからの数日は、比較的平穏に過ぎていった。レリは時々物思いに沈み込んで美紗たち を戸惑わせることもあったが、表面的には美紗たちと楽しい毎日を過ごしていた。 そして待ちに待った文化祭当日。美紗たちが緊張して出番を待つ楽屋裏で、ひとつのアク シデントが起こった。 ロミオ役の3年生、楠本真理子が急に腹痛に襲われたのだ。どうやら食あたりらしい。 「ゴメン…みんな…ゴメン…」真理子は青い顔で、医務室に運ばれていった。 肝心の主役が欠けてしまい、残された部員たちは途方に暮れてしまった。顧問の大谷先生 が心配して駆けつけた。 「みんな、気を落とさないで。こうなったらヘタでも何でもいいわ。この中に、ロミオの 台詞を全部憶えている人はいない?」 部員たちは顔を見合わせた。さすがに一番台詞の多いロミオ役をこなせる者はいない。 その時、傍らで見守っていたレリが手を挙げた。 「先生。わたし、できます。英語は母国語みたいなものですから。」 大谷先生は、思わずレリに駆け寄って手を握った。「ホント? 宮野さん!?」 レリは、ロミオの台詞の幾つかをそらんじてみせた。 「ふむ! いけるわ、これなら! 宮野さん、あなたはホントに救世主よ! さあみんな、早 く衣裳を用意して!」 本番の幕が開いた。観客は、代役に立った絶世の美少女を見てどぎもを抜かれた。 学園きっての美少女二人の共演だ。噂を聞いた生徒たちが、続々と講堂に詰めかけた。 レリの演技は完璧だった。台詞だけでなく、演技、立ち居振る舞いのひとつひとつに強い 存在感がこもっていた。
256 :
BeeF :04/11/21 01:02:22 ID:cRIe5pGj
「Romeo, doff thy name, And for that name which is no part of thee Take all myself.(ロミオさま、そのお名前をお捨てになって。そしてあなたの血肉でもないその お名前の代わりに、わたしのすべてをもらって下さい。)」 「I take thee at thy word: Call me but love, and I'll be new baptized; Henceforth I never will be Romeo. (お言葉通り、あなたを頂戴いたしましょう。ただ一言、ぼくを 恋人と呼んで下さい。そうすれば新しく洗礼を受けたかのように、ぼくはもうロミオでは なくなります。)」 ジュリエットの部屋での逢い引き場面。レリはこう言うと、ジュリエット役の美紗の唇を 強引に奪い、ベッドに押し倒した。 「キャー♥!!」観客は思わず立ち上がり、会場は騒然となった。 美紗も突然の出来事に驚いた。何しろそれは、彼女にとってのファースト・キスだったか らだ。だが、本当のところは彼女自身もまんざらではなかった。「ま、いいか…」 美紗はレリに身を預け、彼女のなすがままに従った。心臓はドキドキと高鳴ったが、この キスで逆に、舞台に臨んだ緊張の糸が解けてしまったらしい。その後の美紗の演技はリラ ックスしたものとなり、美紗本来の持ち味が発揮できるようになった。 英語研究会による英語劇「ロミオとジュリエット」は、万雷の拍手の中、幕を降ろした。 「わーん。ミーシャ!」感激のあまり泣きながら法子が抱きついてきた。 「おめでとう!」「よかったよ、レリ!」 二人の男子生徒が、舞台裏でレリに駆け寄り、さっき華道部から買った花を手渡した。転 校生の竹下健一と、山沢六郎の二人だ。 「ケン! ロック!」レリも顔をほころばせて、二人に抱きついた。 「紹介するわ、美紗。こちらはケンとロック。わたしの仲間よ。こちらは美紗。わたしの 大切なお友達。」 「はじめまして。」「よろしく、美紗さん。」健一と六郎は笑いながら美紗に会釈した。 「素晴らしかったわ! もう最高よ、あなたたち!!」 大谷先生が大喜びで駆けつけ、美紗とレリの手を握りブンブンと激しく振った。 「キスはちょっと余計だったけど、ウケてたから結果オーライね。さあ、これでもう、わ がクラブも安泰よ! 男子部員の獲得間違い無し!」 「どっちかと言うと、女子にウケてましたけどね。」法子がさらりと返した。
257 :
BeeF :04/11/21 01:03:15 ID:cRIe5pGj
文化祭が終わり、ジュースでのささやかな祝賀会の後、美紗たちは連れ立って帰宅した。 「それにしても、びっくりしたわ。まさかキスされるなんて、思ってもみなかった。」 「…イヤ…だった?」 「…ううん。そんなことない。怒ってなんかいないよ。ただ、いきなりだったから…」 「ヨッヨッ、ご両人?! お邪魔虫はここで消えるね?!」 法子がそうはやし立てて、二人を残して走り去っていった。後に残された美紗の顔は真っ 赤だ。レリの顔をまともに見ることができない。 「ねえ、美紗?」「…え、なに?」「ほんとに怒ってない?」 「ううん、全然。結果的に劇は大成功だったんだし、わたしも、まあ、レリだったら、い いかな…なんて。」 「嬉しい!! ねえ美紗? わたしたち、これからもずっと親友よね?」 「ええ。ずっと。」「…約束よ。」「うん。」 二人は、レリが住んでいるという研究所の前に差しかかった。 「ねえ、美紗。一度、うちに寄ってかない?」 美紗は一瞬、躊躇した。どうしてだかわからない。この古い洋館のたたずまいに、ちょっ と馴染めないものを感じたからかも知れない。 「うん。いいよ。じゃあ、今度はわたしの家にも招待するからね。」 美紗はレリにうながされるまま、洋館の門をくぐった。塀の中はあまり手入れは行き届い ていない庭園で、枯れかけた植物が繁茂していた。 その時。前方を黒い影のようなものが素早く横切るのが見えた。 「!」 レリは顔色を変え、美紗にこう言い残して走り出した。「そこで動かずに待ってて!」 あっけにとられる美紗。レリの姿は影を追って、建物の向こうに消えた。美紗はその場に 突っ立ったまま、しばらく庭園を眺めていた。「…いったい何だったのかしら?」
258 :
BeeF :04/11/21 01:04:51 ID:SP5hwYbw
突然、美紗の口が、後ろから黒い手で覆われた。「…ん! ん!」 何者かに腰を掴まれ引き寄せられた。美紗は必死に首を振り、相手を振りほどこうとした が、すさまじい力で押さえつけられているため、身動きが取れない。 目を開けた美紗は、自分の顔のかたわらに、自分を拘束している者の姿を認めた。 「…!!」 それは、人間ではなかった。真っ黒な頭部には、巨大な複眼と、触角、それにギチギチと 音を立てる無気味な大顎。巨大な蟻のような生き物が、美紗の身体を押さえつけていたの だ。 あまりの恐怖とおぞましさに、美紗は声にならない悲鳴を上げた。 《なんで!? どうして!? どうしてこんな化け物がいるの!?》 蟻のような怪物は美紗を捉えたまま、後方に引きずってゆく。いくら抵抗しても、振り払 うことができない。美紗は恐怖と絶望で目の前が真っ暗になった。 その時だった。 「美紗!! じっとしてて!!」 レリの声が聞こえた。そして美紗のかたわらを、空を飛ぶ何物かが猛スピードで駆け抜け た。 ブス。ブス。鈍い音が響き、美紗を掴んでいる怪物の力がゆるんだ。美紗はあわてて怪物 の腕を振り払い、その場を逃れた。 「グォ…アガガガ…グヘッ!」 怪物は頭部を抱えて苦しみ始めたかと思うと、身体からブクブクと黒い泡を吹き出し、や がてグズグズに崩れて溶けていった。 「あれは…ANTタイプ。まさか、もう見つかっただなんて…」 大きくあえぎながら、美紗は声のする方を振り返った。レリだった。レリが、地表から高 く突き出た門灯の上に、ふわりと着地しようとしていた。そして、レリの身体を見た美紗 は、思わず息を飲んだ。
259 :
BeeF :04/11/21 01:06:06 ID:SP5hwYbw
レリの背中には、制服を突き破って、輝くような4枚の羽根が生えていた。両の胸にあた る部分も、制服に破けたような穴があいていた。 レリは、美紗の視線に気がつくと、悲しそうな顔をした。そして、羽根を広げて美紗の近 くにふわりと飛び降りた。 「美紗、怪我はなかった?」 「…う、うん。」 美紗の頭の中はパニックになっていた。黒い無気味な怪物、羽根を広げたレリ。突然色々 なことが起こったため、美紗には何がなんだか、わけがわからなくなっていた。 「…とうとう、見られちゃったね。」レリが悲しそうにつぶやいた。 「…レリ、あなたその身体、いったい…?」 「美紗。」レリは美紗の瞳を、真顔で覗き込んだ。 「わたしたち、親友よね。いつまでも、何があっても、親友でいてくれるよね?」 美紗は激しく動揺していたが、レリの悲しそうな瞳を見ていると、たまらなくなった。彼 女の口はこう答えていた。 「…ええ。親友よ。何があっても。」 レリは、美紗の手を取って、涙を流した。 「ありがとう、美紗。ありがとう。」 そしてレリは、美紗の手を離し、彼女から少し離れた位置に立った。 「美紗。あなたに今から、わたしの本当の姿を見せるわ。…本当は、あなたにだけは、見 られたくなかったけど…」 そう言ってレリは、いきなり制服を脱ぎ始めた。背中の羽根をうまくたたみながらセーラ ー服の上衣を脱ぎ、スカートを脱ぎ捨てた。レリは、下着を着けていなかった。ふくよか な胸が、そして陶器のような肌があらわになった。美紗は奇妙なことに気がついた。レリ の身体には、脇の下にも、股間にも、毛がまったく生えていなかったのだ。 レリは、腕を胸の前でクロスした後、高く掲げてこう叫んだ。 「サイバーッ! 変・身!!」 とたんに、レリの身体がまばゆい光で包まれた。思わず目をそらした美紗が再び目を開け た時、目の前のレリの姿は、大きく変貌していた。
260 :
BeeF :04/11/21 01:07:06 ID:SP5hwYbw
それは、人間の身体ではなかった。全身が濃いブルーの、なめし革のような皮膚で覆われ、 ウェストの周りだけが体節状に変色していた。手首は白い長手袋状、脚は白いハイヒール のロングヴーツ状に変化していた。そしてふくよかな両の乳房は、蜂の腹部を思わせる黄 色と黒の同心円状の模様で覆われていた。その乳房は、まるで別の生き物でもあるかのご とく、絶えず艶めかしく蠕動していた。頭部はレリの愛くるしい顔立ちのままだったが、 頭部の両側面には巨大な昆虫の複眼が現れ、額からは二本の真っ赤な触角が生えていた。 その姿は、巨大な蜂を連想させた。 「美紗。これが、わたしの本当の姿。わたしは人間ではないの。蜂の能力を持った改造人 間BEEタイプ。蜂女《レリbee0158》なの。あいつらに捕まって、無理やり改造されたの よ。」 美紗は驚きのあまり、再び頭の中が混乱していた。 「…え? …え? …改造人間って? 蜂女って? どういうこと??」 「美紗。わたしがどんな姿でも、親友でいてくれるよね?」 レリは、再び悲しげな瞳で美紗を見つめた。 「…え、ええ。どんな姿でも、レリは、レリはレリだもん!」 「ありがとう、美紗。それじゃあ、あなたに全て話すわ。わたしたちのこと。わたしたち の世界のことを。」 「え…わたしたちの“世界”って?」 「さあ、こっちに来て。」蜂女の姿をしたレリは、美紗を館の中へと手招きした。
261 :
BeeF :04/11/21 01:08:05 ID:SP5hwYbw
洋館の中の応接室らしき部屋に通された美紗は、どこかに報告に行ったらしいレリが帰っ てくるのを待った。アンティークな趣味の良い調度で飾られた、感じの良い部屋であった。 蜂女の姿のレリが現れた。その後ろから、白くなりかけた長い髪を後ろで束ねた、痩せた 初老の紳士が現れた。陰気な雰囲気の男だったが、どうやら悪い人間ではなさそうだ。男 の後ろからは、レリと一緒に転校してきた竹下健一と山沢六郎の二人が入って来た。 初老の紳士は、ソファに腰かけた美紗の真正面にある椅子に腰をおろした。レリと、2人 の少年はその両側に立って控えた。 「美紗。紹介するわ。こちらがわたしたちのリーダー、ブラド博士。向こうにいるのはあ なたも知ってるでしょう? わたしの仲間、《ケンcml4346》と《ロックscr7915》。二 人ともわたしと同じ、改造人間なの。」 「え…あの、改造人間って、いったい…?」 初老の紳士は、しゃがれた声で美紗に話しかけた。 「お嬢さん、儂らは実は、この世界の人間ではない。サイバーヴィルという世界からこの 世界に逃げて来た、逃亡者なんじゃよ。」 「…サイバー…ヴィル?」 「あなたは、平行世界(パラレルワールド)というものを、知っておいでかな? 無限に拡が る時間軸の、今この瞬間の世界の隣に、1秒後の世界、2秒後の世界、というふうに少し ずつ違う時間の世界が存在していると仮定してごらん? 1秒後の世界は、今この瞬間の世 界と、ほとんど変わりがないはずじゃ。だが1時間後の世界、1日後の世界、1年後の世 界となると、この瞬間の世界とは次第に大きくかけ離れてゆくじゃろう。それと同じよう に、この3次元空間の中には、無数の世界が平行して存在しておる。もちろんすぐ隣にあ る世界は、今あなたがいるこの世界と、たいして変わりはないじゃろて。だが10個離れた 世界、100個離れた世界、1万個離れた世界になると、この世界とは似ても似つかないも のになっているはずじゃ。その中には、第二次世界大戦で日本が勝った世界もある。ナポ レオンがワーテルローで負けなかった世界もある。イエス・キリストが救世主にならず、 ただの大工の息子で終わった世界もあるじゃろう。儂らは、そうしたパラレルワールドの ひとつ、サイバーヴィルと呼ばれる世界からこの世界にやって来たんじゃ。」
262 :
BeeF :04/11/21 01:09:05 ID:SP5hwYbw
「サイバーヴィルは、少数の改造人間が、大多数の普通の人間を家畜のように支配する、 恐ろしい世界なんだ。」山沢六郎が吐き捨てるように言った。 「やつらは元々は人間なんだが、人の心は持っていない。狂ったケダモノさ。遺伝子操作 によって様々な生物の能力を取り入れ、その力で、普通の人間たちを虫ケラのように扱っ ているんだ。」 「…待って!」美紗は混乱して叫んだ。「でも、あなたたちも、改造人間なんでしょう?」 「そうじゃ。」ブラド博士が答えた。「だが儂らは、人の心をまだ捨ててはいない。いい かね、改造人間は普通の人間よりもずっと永い寿命を持っているが、不死身ではない。し かも、遺伝子を操作しているので、子孫を残すこともできない。だから連中は、普通の人 間を改造して、仲間を増やしているんじゃ。サイバーヴィルでは、16歳になった人間は集 められて、頭脳・体力・容姿等に優れた者がコンピュータに選別され、改造手術を施され て連中の仲間入りをするわけなんじゃ。」 「わたしも、一か月前に選ばれて改造されたの。」レリが怒りに満ちた声で叫んだ。「パ パやママは、必死にわたしをかくまったわ。あいつらに見つからないよう、逃げて逃げて 逃げまくった。でも、見つかって手術台に運ばれたの。そして…こんな身体にされてしま った。わたし…この身体が、大ッキライ!!」 ああそうか。美紗は合点がいった。だからレリは、遺伝子操作や生体実験に対して、あん なにもナーバスだったんだ。
263 :
BeeF :04/11/21 01:10:05 ID:SP5hwYbw
「あいつらは、蜂女に改造されたわたしを洗脳して、あいつらに逆らったパパやママを殺 すよう命じたわ。わたしは何のためらいもなく、この胸の毒針を、パパとママに打ち込ん だ。パパとママは、わたしの目の前で、わたしの名を叫びながら…溶けてしまったのよ!!」 レリは、顔を覆って激しく泣き始めた。ケンがレリの肩を抱きしめ、しきりに慰めている。 ブラド博士が、後を続けた。 「儂は、苦しむ人々をこんな世界から、救いたいと思った。儂は科学者として優遇されて おったから、ある程度自由に動ける立場にあった。そこで連中に気付かれないよう、彼ら 若い改造人間を何人か、洗脳を解いて正気に戻し、密かにレジスタンスを組織したんじゃ。」 「博士は本当は、すべての改造人間を正気に戻したいと考えていたんだ。でも、俺たちの ように改造されてから3日以内の者でなければ、正気には戻らなかった。かと言って正面 から普通の人間が革命を挑んでも、力の差がありすぎて歯がたたない。だから博士は、普 通の人間をこっそりと、他の平行世界に大量に逃亡させようと考えたんだ。」 ブラド博士は頷いた。「儂らレジスタンスの科学者たちは、超次元貫通理論を利用したワ ープゲートを開発し、パラレルワールドのうち、サイバーヴィルの支配が届いていない世 界に向けてトンネルを築いたんじゃ。一度に大量に脱出させることはできんので、一回に つき二千名。今までに既に三回、別の世界へのエクソダスを成功させてきた。この世界は、 4回目の挑戦なんじゃ。」 「…ええと、それはつまり…」美紗が、頭を整理しながら言った。「あなたたちはこの世 界に、サイバーヴィルという世界から二千人もの人間を脱走させようと考えているわけね。」 「その通りじゃ。」ブラド博士は、美紗の目を真顔でじっと見つめた。
264 :
BeeF :04/11/21 01:12:04 ID:EIQkKNpe
「お嬢さん。あなたに折り入って頼みがある。どうか彼らを、手伝ってやってはくれんだ ろうか。我々はこの世界がどういうところなのか、よく知らぬ。彼ら3人にはこの世界の 百科全書をまるごと暗記させてあるので、歴史的な知識はあるんじゃが、この世界の一般 的な常識というのがまだまだ身についておらん。ましてや、逃亡してくる二千人の普通の 人間たちは、この世界ではまるで赤子同然じゃ。この世界で無用なトラブルを起こしては、 全ての努力が水の泡になってしまう。そこで彼ら三人には、エクソダスに先立ってこの世 界の調査を行い、脱出者たちがこの世界に適応できる最善の手段を見つけるよう、指示を 出してあるんじゃ。お嬢さん、どうか彼らに手を貸して、この世界のことを色々教えてや ってはもらえんだろうか。」 「俺たちからもお願いします。香川さん!」 「美紗。わたしからもお願い。どうか力になって!」 真剣な4人のまなざしに取り巻かれて、美紗は戸惑ったが、やがてはっきりと答えた。 「ええ、喜んで。あなたたちの立派な行為に、わたしも全力で協力させていただきます!」 レリが、美紗に抱きついてきた。 「美紗! 美紗! ありがとう…」 ケンが不安そうに、ブラド博士に囁いた。 「ところで、さっきレリが倒したっていう、ANTタイプ改造人間なんですが…」 「うむ。おそらく哨戒中に、偶然ゲートに入り込んだんだろう。ANTタイプは遠隔通信能 力を持っておらんから、こちらの計画がバレたとは考えにくいが、念のため警戒しておい た方がよさそうじゃな。よし! 儂はひとまず、レジスタンス本部に戻る。エクソダスの決 行は2週間後。それまでに君たちも、準備を整えておいてくれたまえ!」
265 :
BeeF :04/11/21 01:13:05 ID:EIQkKNpe
それから、美紗は毎日放課後になると富良戸研究所で、レリたちと行動を共にするように なった。脱出してきた人々に配るため、この世界の常識、即ち文字や通貨や交通ルール、 社会の仕組みなどをわかりやすくまとめる作業を、毎日遅くまで行った。親友の法子には 「文化祭が終わったら途端によそよそしくなるなんて、どうかしてるよ!」と怒られたが、 気にしなかった。この作業は単純に正義感から行っているというより、美紗にとっては、 社会の中での自分の立ち位置を確認するような、大切な作業だと思われたからだ。 一般常識を文字にまとめるのと平行して、脱出してきた人々をどこへどう逃がすかについ ても、4人は熱い議論を闘わせた。というより、レリたち3人が出す途方も無いアイディ アを、美紗がひとつひとつチェックし、添削していったといった方が良いだろう。一番の 問題は、二千人もの人間をどこにどう収容するか、ということであった。 「やはり都会よりも田舎の方が、目立たないと思うの。いったん田舎に逃れて、そこで職 業訓練を行うべきよ。でも問題なのは、どうやって田舎まで二千人もの人間を運ぶかとい うこと。ねえケン? いっそのこと、ゲートをこの館じゃなく、田舎のどこかに開くわけに はいかないの?」 「…それが、駄目なんだよ、香川くん。この館に開いたのは、ほんとに偶然なんだ。一度 ゲートを閉じて、別の場所に開くことはできないんだよ。」 「え? どうして?」 「ゲートが、無限に存在するパラレルワールドのどこに開くかは、まったくランダムに決 められるんだ。今回はたまたま、この世界のこの館の中に開いた。けどもう一度同じこと をしても、再びこの世界にゲートが開く確率は、限りなくゼロに近いんだよ。」 「そう、だからこそ、二千人の脱出が終わった後でゲートを閉じれば、もうサイバーヴィ ルの追手はやって来れないってわけさ。ゲートが不安定なことは、むしろ感謝すべきなん だ。」
266 :
BeeF :04/11/21 01:14:06 ID:EIQkKNpe
「…なるほどね。じゃあやっぱり、うまい移動方法を考えなければならないわけね。徒歩 で二千人もの人間がゾロゾロ歩いていたら、ゼッタイ不審な目で見られるし、だからとい って電車やばすcに乗るお金はないし…!」 「ねえ美紗、この世界には“巡礼”って習慣があるんじゃないの?」 「…そうか。お遍路さんみたいに装えば、二千人が並んで歩いても不自然じゃないわね。 …あ! でも駄目よ。この辺には巡礼するようなお寺はないもの。」 4人は再び、考え込んだ。しばらくの後、美紗が急に何かをひらめいた。 「そうだ、みんな! “健康ウォーキング大会”を装えばいいのよ。みんなにゼッケンを 渡して、いかにも大会に参加中です、って感じにすれば、多少汚い格好でも、疲れてフラ フラ歩いていても、誰も不自然には思わないはずだわ。」 4人はうなずき、さっそく二千人分のゼッケンを用意する作業が始まった。 「ねえレリ?」ゼッケンを縫いながら美紗が訊ねた。「あなたたち3人は、脱走が完了し た後はどうするの?」 「…ゲートが閉じる前にサイバーヴィルに戻って、今度は別の世界への脱出を手伝うこと になってるわ。」 「え!? それじゃあ、ゲートが閉じたらもう、二度と会えないってこと?」 「うん…」レリは寂しそうに言った。 「わたしも、この世界に残りたい。美紗とずっと一緒にいたい。でも、でも、私は人間じ ゃないから…こんな身体だから。」 「レリ!」美紗は手を停めて叫んだ。 「身体なんて関係ない。改造人間だっていい。ずっと一緒にいよう! この世界で暮らそう! だってわたしたち……親友だもの!」 「…美紗…嬉しい…!」レリは、涙をいっぱい溜めた目で美紗に抱きついた。
267 :
BeeF :04/11/21 01:15:05 ID:EIQkKNpe
「あと3日ね。」「後は俺たちがやるよ。最後は突貫工事になりそうだけど、頑張ろう!」 日がだんだんと短くなり、7時前ともなるとあたりは真っ暗である。ケンたちに見送られ て、美紗は研究所を後にした。その姿を、館の屋上からこっそり見つめている奇妙な影が あった。 「…ギギギ。なるほど、協力者がいたのか。こいつは、利用のしがいがありそうだ…」 翌日、担任の大谷先生にヤボ用を言いつけられて遅くなった美紗は、一人で研究所の門を くぐった。庭に足を踏み入れたとたん、彼女は何物かに足を取られてころんでしまった。 「何? これ!?」自分の足にからみついている、白い糸のようなものに気をとられた美紗は、 上空からネットのようなものが自分めがけて落下してくるのに気付かなかった。 「キャアッ!!」白い糸でできたネットの中で、美紗は激しくもがいた。奇妙な人影が、彼女 の方に近づいて来た。六角形の目が3つ並び、巨大な大顎を備えた毛むくじゃらの顔。蜘 蛛男だった。 「ギギ。はじめましてお嬢さん。私はサイバーヴィルの治安管理局のものです。このたび、 この世界に向けて3級市民たちの脱走計画が目論まれていると聞いて、やって参りました。 つきましてはあなたに、首謀者の逮捕にご協力いただきたい。」 美紗はハッとした。サイバーヴィルの追っ手だ。早くレリたちに、このことを知らさない と大変なことになる。美紗は大声で叫ぼうとした。だが…糸が喉にからみ付き、声が出ない。 「いけませんねぇ。そんなに暴れると、糸がどんどんからみつきますよ。なぁに、あなた は何も考える必要はないんです。この毒針を身体に受けてくれれば、それでいい。」 蜘蛛男は美紗に向けて、口から何かをプッ! と発射した。首筋に鋭い痛みを感じ、美紗は 目をつぶった。針が刺さったとたん、身体がけだるく感じられ、感覚が次第に薄らいできた。
268 :
BeeF :04/11/21 01:16:05 ID:EIQkKNpe
蜘蛛男は、毛むくじゃらの手で美紗にからみついた糸をほどいていった。蜘蛛男の手で触 れられると、糸は次第に細くなり、消えていった。あとには、呆然とした表情で地べたに 座っている、美紗だけが残された。 「お嬢さん、質問に答えてください。脱走計画の首謀者は、全部で何人ですか?」 美紗の唇が、勝手に動いて答えた。 「…ブラド博士のほか、レリ、ケン、ロックの4人です。」 ダメよ! そんなこと喋っちゃダメ! 美紗の意識は必死に抵抗するが、身体の自由を奪い 命令通りに操る「催眠毒」を注射された美紗の身体は、蜘蛛男のなすがままになっている。 「で、博士はいまどこに? 残りの3名は?」 「博士はサイバーヴィルに戻っています。後の3人は館の中で、脱走の準備をしています。」 「よろしい。ではあなたには、この指輪をはめてもらいましょう。」 蜘蛛男は美紗の右手を取り、中指に針のついた指輪をはめた。 「この指輪の針には、改造人間の身体を麻痺させ、動きを鈍くする毒が塗られています。 あなたはこのまま反逆者3名に接近し、気付かれぬよう身体に針を刺しなさい。」 「…かしこまりました。」 ダメよ! ダメだったら! 美紗の意識は必死に抵抗したが、身体は蜘蛛男の命令通りに動き、 フラフラと立ち上がって館の方に歩み始めた。
269 :
BeeF :04/11/21 01:17:49 ID:qevMHeuz
「今日は遅かったんだね、香川くん。」 サイバーヴィルの言葉で書かれた手引書を手際よくホチキスでとめながら、ケンが話しか けたが、美紗は無言で3人を見つめ、それから再び部屋を出てゆこうとした。 「わたし…お茶を入れてきます。」 「美紗! わたし、蜂蜜入り紅茶をお願いね。」 レリは美紗の態度に釈然としないものを感じながらも、明るい声でオーダーした。 しばらくの後、カップと紅茶のポットが乗ったトレーを持ち、美紗が部屋に戻って来た。 テーブルの上にトレーを置き、カップに紅茶を注いだ美紗は、ロックにカップを手渡しま ぎわ、彼の指先に指輪の針を刺した。 「ウッ!」 ガシャン! ロックが思わず、カップを取り落とした。 「あーあ、何やってるんだよロック。」ケンとレリが思わず駆け寄った。 割れたカップを片づけようとするレリの手に、美紗の指輪が触れた。「痛ッ!」 「美紗ッ! 何だ、その指輪は!?」 指先を押さえながら、ロックが叫んだ。美紗はケンの身 体目がけて反射的に身を乗り出し、彼の脇腹に指輪を押しつけた。「うわッ!」 うずくまって苦しむ3人の中央に、呆然とした表情で立ち尽くす美紗。そこへ、4名の蟻 型改造人間を連れた蜘蛛男が入って来た。 「これはこれは、反逆者の皆さん。いい格好ですな。私からのプレゼント、気に入っても らえましたかな? 」 「畜生ッ! 貴様ぁッ!!」 「あなたたちは今からサイバーヴィル本部に連行し、再び脳改造を受けてもらいます。そ の後は、他の反逆者たちを捕らえるためのスパイとして活躍してもらいましょうか。」 「誰があなたたちの、言いなりになんかなるもんですか!」 「いけませんねえ。そんな態度では、五体満足のまま強制送還できそうにないですよ。」 蜘蛛男の命令で、4体の蟻型改造人間が3人に飛びかかった。
270 :
BeeF :04/11/21 01:19:06 ID:qevMHeuz
3人がその時、一斉に叫んだ。 「サイバーッ! 変・身!!」 3人の衣服がけし飛び、その身体が光に包まれた。蜘蛛男が毛むくじゃらの手で顔を覆っ たとたん、光の中から蜂女になったレリが飛び出してきた。 レリは乳房をプルン、と震わせて、溶解毒の針を放った。1体、2体。蟻型改造人間がそ の場でズブズブと溶けていった。 レリはさらに蜘蛛男に迫った。だが麻痺毒によって動きの鈍ったレリよりも、蜘蛛男の反 応の方が早かった。 ブシャアアアァァア!! 蜘蛛男は口から大量の糸を吐き、レリの身体をからめ取った。その まま、レリごと糸を大きく振り回して、床に叩きつけた。 「キャアアッ!!」 レリが床に叩きつけられたショックで、テーブルがはね飛び、美紗を襲った。テーブルの 直撃を受けて勢いよく倒れた拍子に、美紗の首筋に刺さっていた蜘蛛男の毒針が抜けた。 蜘蛛男の背後に、緑色の人影が突然現れ、蜘蛛男をはがい締めにした。 「野郎ッ!」 「ほう、あなたはカメレオン男だったんですか。私の背後を取るとは、なかなかのもんで すな。だが、背後に注意すべきなのはあなたの方です! 目に見えない罠も、あなただけの 専売特許ではない!」 カメレオン男の背後に張られていた、クモの網が彼めがけてからみついた。 「うわッ!」 たちまち身体の自由を奪われ、カメレオン男はもがいた。蜘蛛男はカメレオン男を振りほ どき、その顔を足で踏んずけた。 「ケン! 大丈夫か!?」 ムチのように長く伸びた尻尾を振り回し、2体の蟻型戦闘員を毒針で倒した真っ赤な影が、 今度は蜘蛛男に向かって突進した。 「今度はサソリ男ですか。普通ならパワー負けしているところですが、今はそうはいかな い!」
271 :
BeeF :04/11/21 01:20:05 ID:qevMHeuz
蜘蛛男はサソリ男=ロックの尻尾をやすやすとかわし、口から吐いた糸でその尻尾をから め取った。 ロックの振り上げた腕を掴んだ蜘蛛男は、そのままロックとの力比べに入った。 「畜生ッ! 身体さえまともに動けば…!」 ロックの方が、徐々に押されてゆく。 美紗は、ようやく自由になった身体を鞭打つように動かして、糸でぐるぐる巻きにされた レリに近づいた。 「レリ、レリ! ごめん! わたしがドジなばっかりに…」 「美紗ッ! 正気に返ったか!」ロックが叫んだ。 「いいか、俺たちはこいつには勝てない! お前に頼みがある! ゲートコントローラーの中 央にある赤いレバーを左にひねって、ゲートを閉じてくれ!!」 閉じる!? 美紗は、ロックの言っていることが信じられなかった。 「ダメよ! ゲートを閉じたら、脱出計画が無駄になっちゃう!」 「馬鹿ッ! サイバーヴィルに気付かれたんだ。ゲートを開けておけば、いつ奴らがこの世 界を侵略するかわからないんだぞ! ゲートを閉じれば、もう奴らはこの世界には来れなく なる。早く! 早く、ゲートを閉じるんだ!!」 「させませんよ、そんなことは!」 蜘蛛男が美紗めがけて、糸を吐こうとした。その時、蜘蛛男の足元にいたカメレオン男= ケンが、長い舌を伸ばして蜘蛛男の顔を覆い尽くした。 「早く! 早く行くんだ!!」 糸に撒かれたレリも、うめきながら美紗に向かって言った。 「美紗…早く…行って!」 美紗は、裏庭に開いているゲート目がけて駆け出した。
272 :
BeeF :04/11/21 01:21:05 ID:qevMHeuz
サイバーヴィルへと通じるゲートは、裏庭の納屋の脇に開いていた。6つの機械が立ち並 ぶ中央に、周囲の風景が溶けたかのように渦巻き流れている奇妙な空間があった。ぶおん ぶおんと、奇妙な音が空間から聞こえてくる。その傍らにある納屋の中に、ゲートをコン トロールする機械が納められていた。美紗は扉を開けて薄暗い納屋の中に入り、ロックが 言っていたレバーを探した。中央にある巨大な赤いレバーはすぐに見つかった。 美紗は、渾身の力を込めて、レバーを左にひねろうとした。だが、固くてなかなか動かな い。 館の方から、鋭い悲鳴が聞こえた。急がないと、蜘蛛男が現れる! 美紗は全身の体重を掛 け、必死にレバーを倒そうとする。 納屋の扉をガタガタ揺する音が聞こえる。扉を開け放ち、蜘蛛男が入って来た。 「さあ、お嬢さん。こっちに来なさい。」 「いやあ!!」 蜘蛛男の手が美紗の腕を掴み、引き寄せた。その瞬間。レバーはぐぐッ、と動いて左側い っぱいに倒れた。 ゲートから流れていた、奇妙な音がやんだ。 ゲートが完全に閉じたらしい…。
273 :
BeeF :04/11/21 01:22:05 ID:qevMHeuz
… … … 美紗は、しばらく気を失っていたらしい。気がつくと、目の前には蜂女の姿をしたレリ、 カメレオン男ケン、サソリ男ロック、それに蜘蛛男の4人が並んで立ち、美紗に対して拍 手を贈っていた。 「よくやったよ、美紗。」「おめでとう!」「おめでとう!」 起き上がった美紗は、わけがわからないといった風に首を何度も振った。 「え?…え?…一体、どういうこと?」 「それは、儂が説明しよう。」蜘蛛男が顔の前で手をクロスさせた。そこに現れた顔は… …何と! ブラド博士のものであった。 「博士!? 博士が…蜘蛛男? それじゃあ、今のはみんな、芝居だったんですか!?」 「さよう。すべては君にゲートを閉じてみらうための、茶番劇だったわけじゃ。」 「…いったい…なぜ? …どうして!?」 「まず第一に、儂は博士などではない。サイバーヴィルの、異世界侵略先遣隊の隊長、 《ブラドspd8029+》じゃ。」 「えっ!?」侵略先遣隊? 美紗の背筋に、冷たいものが走った。 「君にこのゲートを閉じてもらったのは、こういうわけじゃよ。2種類のパラレルワール ド間に偶然開いたゲートは、一箇所きりで、しかも不安定なものじゃ。だが2つの世界が 干渉した場合はその限りではない。一方の世界の住民が、開けようという意思を持ってゲ ートを開け、もう一方の世界の住民が、閉じようという意思を持ってそのゲートを閉じる。 これで2つの世界は干渉し合い、以後、2つの世界は互いに隣り合う密接な関係に置かれ る。いつでも、どこでも、自由にゲートを開けられる状態になるというわけじゃ。」
274 :
BeeF :04/11/21 01:23:44 ID:LqoHmuOQ
「あと数日後に、この世界のあちこちにゲートを開けて、サイバーヴィルの侵略部隊がや って来るわけさ。」ロックが冷たく笑いながら言った。 「君はじゅうぶん、我々の期待に応えてくれたよ。君がいなければ、こうも早く侵略が開 始できるとは思わなんだ。まったく、たいした娘さんじゃわい。ワッハッハッハ!!」 「…非道い! 非道いわ! わたしを…だましてたのね!!」 美紗は怒りと絶望と悲しみで、胸が張り裂けそうになっていた。 「レリ!! あなたも、わたしをだましてたのね! わたしに言ったこと、みんな嘘だったのね!!」 「…嘘じゃないわ、美紗。」レリは妖しい笑みを浮かべながら、美紗に近づいた。 「嘘つき! 近寄らないで! この大嘘付き!!」 レリは美紗に顔を近づけ、こう言った。 「少なくとも、わたしがあなたのことを親友だと思ってるのは、本当のことよ。」 「何が親友よ! 嘘つき! 嘘つきィッ!!」 レリは、ブラドに何か耳打ちした。「よかろう。」ブラドが言った。 「美紗くん。君の活躍のおかげで、我がサイバーヴィルはこの世界の侵略に着手すること ができる。お礼と言っては何だが、君を我々改造人間の仲間に加えてあげよう。君のその 美貌と行動力。じゅうぶんに改造人間になる資格があるよ。」 ロックとケンの二人が、ミサの腕を掴んで身体を拘束した。 「さあ、美紗くんを改造手術室に運びたまえ。」
275 :
BeeF :04/11/21 01:24:32 ID:LqoHmuOQ
美紗は目の前が真っ暗になった。必死で泣き叫び、足をジタバタさせて抵抗した。 「嫌よ! 改造人間なんて嫌ッ! やめて! お願い! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だァッ!!」 手術室と書かれた部屋に運ばれた美紗は、ハサミを手にしたレリによって衣服をすべて脱 がされ、その美しい肢体を円形の改造手術台に固定された。 レリが、美紗の脇腹を撫でながらつぶやいた。 「美紗、好きよ。…最初から目をつけてたの。わたしの恋人にするのは、この子だって。」 「えっ!?」その言葉に美紗は驚いた。 「改造人間は子孫を残せないって言ったでしょう? あれはウソ。同じタイプの改造人間の 間なら、子供を作ることができるのよ。あなたは、わたしの恋人になってわたしの卵を産 む。そして、わたしはあなたの卵を産むの。どう? 素敵でしょう!」 美紗の頭の中は、早鐘をつくように何かがガンガンと鳴っていた。もう、すべてが混乱し て何が何だかわからない。 「それでは今から、改造手術を執り行おう。君はこの世界における、記念すべき最初の改 造人間になれるんだ。光栄に思うがいい。レリの頼みで、君にはBEEタイプの改造人間にな ってもらうことにする。これからは香川美紗ではなく、《ミサbee0001tr》と名乗るがい い。ワッハッハッハ!!」 「イヤっ!! やめてェッ! 改造人間なんてイヤだぁッ!! お願い! 助けて! ママ! ママ!」 美紗の身体の両側に、遺伝子活性化光線を照射するライトが幾つも現れた。色とりどりの ライトが明滅し、美紗の意識はだんだん薄らいでいった。彼女が人間として最後に見たも のは、蜂女の姿をしたレリの、小悪魔のような笑みであった。 (おわり)
276 :
名無しより愛をこめて :04/11/21 22:10:49 ID:5LN2XS1q
http://salad.2ch.net/beatles/kako/998/998688469.html の
>>12 より
> 飯田圭織をショッカーの怪人、蜘蛛女に改造する。
> コンサート中に圭織が急に苦しみだしたかと思うと衣装が破れさり全裸状態になり、
> 会場は驚きと興奮で大パニック。
> 苦しさと恥ずかしさで混乱している圭織は本人の意思に反して突如尿と便を垂れ流し状態
> となり、会場にとんでもない悪臭がたちこめる。
> その悪臭の中、圭織があお向けになりマンコを観客に向けるとマンコから蜘蛛の頭が飛び
> 出しグロい蜘蛛女に変身し、逃げる観客を次々喰い始めるが駆け付けた仮面ライダーの
> ライダーキックをうけ大爆発。
> めでたしめでたし。
> ▲その事件の一週間前に圭織はショッカーに拉致され、ショッカーのアジトで嫌がり
> 泣き叫ぶ中、 無理やり全裸にされ手術台に寝かされ、麻酔無しで拷問のような改造手術を
> 受けた。(余りの激痛の為すぐに気絶したが)
> 手術後、前後の記憶を消されていた為、圭織はコンサート中に自分があんな醜い姿に変身
> するなどとは全く知らなかったのです。
飯田圭織というのがナニだが、このシチュエーションは萌えると思う。
277 :
名無しより愛をこめて :04/11/24 19:59:03 ID:ePYr6Na8
age
278 :
名無しより愛をこめて :04/11/24 19:59:34 ID:ePYr6Na8
age
おまいら、325氏のSSの続きを指をくわえて待ってるだけじゃなく、 UPまでの間、適当な話をして盛り上がろーぜ! 例えばおまいらが「この女怪人の改造シーンを見たかった!」と言える 女怪人は、どの番組のどの香具師だ?
281 :
名無しより愛をこめて :04/11/25 11:57:46 ID:UDvUEMTg
>279 1.仮面ライダーZO小説版の、女の先生がクモ女に改造されるシーンを実写で。 2.仮面ライダーJ企画段階での、主人公の幼馴染みがカマキリ女に改造されるシーンも。 3.仮面ライダーJ企画段階でやはりあったという、地球人の女性がフォグマザーに 取り込まれてハチ女ズーに改造されるというシーンもぜひ。
>>280 GJ。乳と顔だけは改造してないところが(・∀・)イイ!!
>>279 ややトウが立っているがギリーラこと九条みわ、とか。
作中で人間の方が顔出ししていた上に、
滝が「この家の人たちをどうした!?」というと
毒針が飛んできて、咄嗟に手近の写真立てて防ぐ、
するとそれが人間だった頃のみわの写真
そのあとギリーラが自分が改造された経緯を
語り始める(順序違ったかも)・・・というシーンが
なにやら象徴的で色々と想像してしまった
284 :
名無しより愛をこめて :04/11/25 21:59:18 ID:EBwjtn4I
>>279 すがやみつる版V3に出てきたノコギリトカゲ人間体の「マリィ嬢」の改造シーン
(なぜか全裸で手術台の上)を実写無修正で見たいぞオラァ!!
285 :
名無しより愛をこめて :04/11/26 00:45:20 ID:GMIF1bZ1
東映版の「スパイダーマン」に出た、鹿沼えり演じる北沢志摩子が改造された蛇女。 主人公の幼馴染であるところと、改造されても尚、スパイダーマンに寄せる恋心が残っている設定が悲劇的で良かった。 是非、元日活ロマンポルノ女優でも会った彼女の改造シーンが見たかった。
建物内の一室では、あの女怪人が数人の戦闘員を叱責していた マグナサイバー「ヤプーの1人を失ったところで大した損失では無い。だが、 女が我らの敵、ファイターFの手に落ち、我が軍団の秘密が漏れたらどうなるのだ!」 マグナの前で、言い訳もできぬ戦闘員たち 五郎と岩井は、部屋の扉の隙間から中を窺う 五郎「あれは…?」 岩井「新宿で五郎君を襲ったサイバーロボットか」 なおも叱責続けるマグナ マグナ「首領は決して失敗をお許しにはならぬ。 まして、ディストピアの危機につながる失敗はな!」 右腕のマグナム銃を戦闘員の1人に向ける 戦闘員「ひっ!」 「ディストピア」の単語に思わず扉にかぶりつく岩井」 ドゴーン! マグナの銃口は、戦闘員でなく五郎たちの潜む扉に向け発射された 五郎、岩井「!」 マグナ「誰だ!」
====================== 注射器6本分の薬液を膣に「注入」されて間もなく 手術台の上に全裸で仰向けに固定されている彼女の体に変化が起きた 痺れを伴う得体の知れないうずきが全身を支配したのだ 科学者B「さて、これで心置きなく改造を味わえるぞ」 つつーっと彼女の腹部の表皮に指を走らせる。 「あひっ」 それだけで脳天に電気の走るような快感が襲う 科学者B「おやおや、もう十分のようだな」 そう言って、スレンダーな割りにボリュームのある乳房に乗せる 「あうっ、あううっ」 それだけのことで、妊婦にしては黒ずみのない尖塔が これ以上無いというほど固く天を向いて勃つ 愛児を優しく包んでいるはずの子宮は痙攣するような収縮を繰り返し、 早くも蜜をたたえたそこをどうにかして欲しいとでも言わんばかりに、 彼女は不自由に固定された身で腰を振り立てる 科学者C「では、切開だ」 メスが彼女の肌を切り裂いたその刹那、早くも一回目の絶頂に達した
間一髪、マグナム弾に縫われるのを避けた2人 勢いで扉をぶち破り、室内になだれ込む 戦闘員達が五郎と岩井に襲いかかるが、 五郎は変転し、突き、蹴り、投げでたちまち5人を残骸にする。 岩井はショットガンをファンニングし、同じく数人を倒す マグナ「おのれ!」 マグナムを乱射するが、室内の乱戦ではかえって戦闘員の1人をスクラップにしただけだった。 F「マグナサイバー、ディストピアの入り口を教えてもらおう」 マグナ「黙れ!犬ども」 言うが早いか跳びげりをくりだす「マグナム・キック!」 F「飛竜蹴り!」 空中で交差するキックとキック。 だが、Fの蹴りがより強くマグナの脇腹を裂く 交差したまま絡み合って床に転げるFとマグナ マグナはFをふりほどくと、隣室に逃げる F「待て」 Fと岩井が後を追うが、部屋の中は真っ暗だ マグナ「ハハハハハッ、お前ら何をする気だ」 部屋中に響くマグナの声。明かりつけた岩井とFの目の前には 縛り上げられた三輪香織の姿があった
============= バラバラになったできそこない=彼≠フ残骸を無感動に見下ろす彼女 転がったその頭部を踏み潰す足 パチパチパチ 拍手とともに姿を現したサイバーの大幹部 大幹部「おめでとう。可愛い同志101号よ。お前は務めを果たした」 101「ありがとうございます」 大幹部「失敗作とはいえ、かつての夫のなれの果てを躊躇無く始末したお前の働き 見せてもらったぞ」 101「私は身も心もサイバーのもの、当然のことです」 大幹部「お前はテストロボットから栄えあるサイバー突撃隊の一員、 サイバーロボットに昇格した。コードネームはマグナサイバーだ!」 101=マグナ「サイバーに忠誠を!」
================== 香織は全身に、その白い美肌と対照的な黒いレザーボンテージをまとっていた。 いや、そう見えたは錯覚だ。 半裸の彼女は、黒い皮製の拘束具で全身の自由を奪われていたのだ 口はボールギャグで塞がれ、成熟した女の肉体のそこかしこを歪めるほどを強力に、 拘束具は全身を締め上げている そして、全身には電極もつながれているのだ 天井のスピーカーからマグナの冷酷な声が響く 「2人とも抵抗をやめろ」 F「香織さんを離せ。サイバーロボット!」 マグナ「そうか。女を助けたいのか…。 改造前の女なら助けるというのだな」 皮肉っぽく言葉を続ける マグナ「この女は元々モルモットとして飼っていたものだ。 だからお前らに面白い実験を見せてやる」 その言葉が終わるが早いか、後ろでに縛り上げられた香織が急にのけぞる 香織「…!」 言葉を発せないが、電気ショックを与えられたというのだけはわかる 香織(うううううう、あああっ)
291 :
前325 :04/11/26 02:24:53 ID:naQq7P2+
>>247 ありがとうございます。恐縮です
ずうずうしくて申し訳ありませんが、今回の分のタイトルも
怪人の名前にしておいていただけませんでしょうか
勝手ばかりですみません
>>285 鹿沼さんといえば、デスパーの女サイボーグ・ミスワンの悲劇も忘れられませんね
改造がみたいのは同感です
萌えシチュエーションのリクエストいいですか? (がいしゅつだったらごめんなさい) 諜報機関の女工作員、悪の組織に 戦闘員のタイツを奪って潜入に成功 →しかし戦闘員の日課の洗脳光線か何かを 浴びせられそうになり逃走 →結局捕まってしまう。というか、タイツの「何か」の せいですでに彼女の身体は普通の人間ではなくなり かけている →「いい素材が手に入った」とか言われてそのまま改造 ついでに、あとから来た潜入工作員を巧みに改造室に誘導して 「ごめんなさい、私はもう・・」的な後日譚もあると お粗末でした
294 :
名無しより愛をこめて :04/11/26 23:35:21 ID:xcj1w7MO
>281 そのZOの小説,欲しいんだけど見つからない... クモ女への改造の詳しい内容知りたいんで,教えてクレー
296 :
名無しより愛をこめて :04/11/27 13:43:31 ID:E7P90v4m
>>295 ありがとうございます。
欲を言うと,改造された女の先生の詳細も知りたいので,教えてもらえますか?
中古は嫌だけど読みたいし,買おうかな〜。
297 :
おはな刃 ◆JMmE5ppk7Y :04/11/27 13:46:01 ID:1UAwkTZZ
>>296 申し訳ないが、ただ今その本が手元に無いので確認できない。
確か、男の子たちが皆ドキドキの、美人の若い先生だったはず。
大掃除の時にでもひょっこり出てきたら、改めて報告させてもらう。
300 :
292 :04/11/28 04:20:12 ID:E1JV3c4R
>>299 おお!後半普通のエロになるとしたらすごくもったいないですな
301 :
名無しより愛をこめて :04/11/28 12:52:04 ID:YF7ZQiaO
>>298 返答ありがとうございます。
自分も諦めずに本,探してみます。
302 :
名無しより愛をこめて :04/11/29 12:40:46 ID:qVl6mBaH
303 :
名無しより愛をこめて :04/11/30 18:41:00 ID:lkhUTwbY
304 :
BeeF :04/12/01 04:47:11 ID:QjhuXHvx
どうも。早朝に登場のBeeFです。
前スレ325さんのSS、佳境に入ってきましたね。錯綜していた時間軸が次第に整理されて、
物語の全体像が見えてきました。でもこれからどう転ぶのか。期待満々です。
漏れの方は、
>>292 さんのリクエストに応えて「女工作員もの」を書こうとしているので
すが、なかなかシノプシスがまとまらないで苦戦しています。
どうも漏れは「女工作員」というと、チャーリーズエンジェルみたいなちょっと能天気な
ものを連想してしまいがちで…。
292さん、工作員は全員日本人がいいですか? それとも外人がいいですか?
そのあたりを押さえた上で、ストーリーを練ってみたいと思います。
さて、
>>248-275 で書いたSSの続きが読みたいというリクエストを受けましたもので、
ちょっと頑張って書いてみたものをUPいたします。
今度は前回のような「NHK少年ドラマシリーズ」のパロディではありません。むしろ最初
の構想段階に近いもので、極めて鬼畜度の高い内容になっています。
今回サイバーヴィルによって蜂女に改造されるのは、一ノ瀬晶(あきら)ちゃん16歳です。
またしばらくお付き合い下さい。
305 :
BeeF :04/12/01 04:48:07 ID:QjhuXHvx
死んだような街であった。 日本晴れの穏やかな秋の日だというのに、街路には人影ひとつ見えない。 大通りの両側に立ち並ぶ白いマンション群は、まだそれほど古びているようには見えない が、手入れがゆきとどかず、どれも煤けたような雰囲気を漂わせている。 無人の街なのだろうか。いや、家々の窓には黒い人影の動くのがかすかに見える。ここで は人々は皆、息を殺してひっそりと暮らしているのだ。 街の中央の広場には、ま新しい巨大なディスプレイが設置されている。そしてそこからは、 奇妙な映像が大音響で絶え間なく流れている。 「…イヤっ! イヤだぁ! 改造人間なんてイヤだ! 助けて! お父さん! お母さん!」 その映像の中では、ひとりの少女が、全裸で手術台のようなものに縛りつけられていた。 まだ高校生くらいの、とびきり美しい少女だ。 映像に映し出された風景は、白昼の広場の真ん中であった。広場に設置された手術台を取 り巻いて、多くの群集が真っ青な顔でその光景を見守っている。 「美奈子! 美奈子ォッ!!」 少女の両親らしい男女が、群集の中から叫んでいる。だが群集は、蟻のような頭部を持っ た奇怪な黒い人影たちに制止されて、近寄ることができない。 別の黒い人影が、手術台の両側にライトが幾つも並んだ奇妙な機械を設置した。もうひと りの黒い人影が、大の字に縛られた少女の足元にしゃがみ込み、蠕動する太いノズルのよ うなものを、少女の股間目がけて挿入した。 「アウッ!! い、痛い! や、やめて! 痛い! 痛い!…ア、ア、アアッ!」 ノズルは少女の膣の奥深く挿入された。ぐおんぐおんと音を立て、ノズルのパイプを通っ て何かが少女の胎内に大量に注ぎ込まれてゆく。 それと同時に、手術台の両側に設置された無数のライトが激しく明滅を始めた。ライトに 照らされた白い少女の裸身が、みるみるうちに変色してゆく。
306 :
BeeF :04/12/01 04:49:07 ID:QjhuXHvx
「…あ…あうっ…やめて…いや…改造人間なんていや…アアッ…やめ…アフン…はあっ…」 激しく泣き叫んでいた少女は、やがて顔を紅潮させ、快楽のあえぎを上げ始めた。大の字 に身体を固定されたまま、身体をくねらせ、激しく痙攣させ、腰を浮かせてよがり狂った。 「…あン…あン…あうッ…ああッ…あうッ…はうぅ…はうぅん…アウッ…アウッ…」 快楽の増大と共に、少女の首から下の肉体は徐々に透き通り始めた。脈動する真っ赤な心 臓を除いて、内臓もすっかり透明になり、向こうが透けて見えるまでになった。そして腕 と脚の内側に、白い二重円のような吸盤が幾つも幾つも現れた。 「あうッ!…アアッ!…ウッ! …アアアアァッッ!!」 少女が絶頂に達すると共に、ライトの明滅が停まった。股間に挿入されたノズルもその蠕 動を停止した。 やがて、少女を拘束していたリングが外れた。少女は自分で起き上がり、すっかり変貌し た自らの肉体をうっとりとした表情で隅々まで確認した。そして膣の奥深く挿入されたノ ズルを、自分でゆっくりと引き抜いた。ズポン、という音ともに、ねばり気のある液体が 糸を引いてしたたり落ちた。 やがて少女は、カメラの方に向かって妖しい笑みを浮かべた。 「…何て…何て綺麗なの! …わたし、改造人間になったのね。ウフフッ!」 少女の姿と重なるように、画面にテロップの文字が現れた。 『SV10年11月3日、JPN3437地区から選ばれた幸運な少女、相田美奈子16歳は、電気 クラゲ女《ミナコjel45916tr》として生まれ変わり、栄光あるサイバーヴィルの臣民に 加わった。』 突然、画面が切り替わった。別の手術台の上に、今度は別の少女が縛られて、今まさに改 造手術を施されようとしている。 「助けて! 助けて誰か! お願いッ!! 改造人間になんかなりたくない!! やだ! やだぁッ!!」
307 :
BeeF :04/12/01 04:51:39 ID:QjhuXHvx
フオン! フオン! フオン! けたたましいサイレンの音が響いた。はるか上空から銀色の 機体がゆっくりと地上目がけて降りてきた。ヘリコプターくらいの大きさの飛行物体だっ たが、不思議なことにプロペラも無いのに宙に浮いている。 「JPN1492地区の住民に告ぐ! 全員今すぐに住居を離れ、20分以内に中央広場に集合せ よ! 重要な布告を行う! 遅刻した者は厳罰に処す! 繰り返す! JPN1492地区の住民は 今すぐに住居を離れ、20分以内に中央広場に集合せよ!」 飛行物体から大音響で流される高圧的な命令を耳にして、家々から住民たちがゾロゾロと 街路に現れた。みな、古ぼけた衣類をまとい、力無い疲れた表情を浮かべている。 集まった住民たちが見守る中、広場の中央に飛行物体が舞い降りた。飛行物体から降りて きたのは、ツリ目の巨大な複眼と大顎を持った緑色の昆虫改造人間と、黒い全身タイツを まとった長い黒髪の絶世の美女であった。いや、ハイヒールのブーツや手袋と一体になっ たかに見える全身タイツは、よく見ると女の皮膚そのものであった。腰に赤いサッシュを 巻き、首にチョーカー、耳にはイヤリングとひとおおり装飾品を付けてはいるが、真っ黒 な乳房には乳首がはっきりと浮き上がり、つるりとした恥丘の真ん中には女性器の割れ目 が見える。 緑色の改造人間・カマキリ男は、拡声器を通して住民たちにこう告げた。 「JPN1492地区の住民に告ぐ! 本地区は、3か月後の《バトルロワイヤル》対象地区と して選ばれた! ひと月以内に、出場者5名を選出し報告せよ! 本地区の選手が勝った場 合、本地区の住民が来年3月に納める上納金の額を3分の1に減らす! 負けた場合は、上 納金は3倍となる! また出場者が5名に満たなかった場合、上納金は10倍とする! 以上!!」 住民たちの間に、動揺が拡がった。この世界を支配する改造人間たちの娯楽として毎月開 催される《バトルロワイヤル》は、ランダムに選ばれた人間居住地から、女性1名、60歳 以上の高齢者1名を含む5名ずつの選手に武器を持たせて、最後の一人になるまで殺し合 いをさせるという非情な競技であった。
308 :
BeeF :04/12/01 04:52:23 ID:QjhuXHvx
広場に集まった住民たちのほとんどは、女性と老人たちであった。働き盛りの男性たちは 強制労働に駆り出され、もう半年以上も家に帰ってはいなかった。 このような状況で選手の選抜を強制すると、住民たちは必ずエゴを剥き出しにして、お互 いに不信と憎悪を増大させる。こうして人間たちの互いの心の絆を断ち切っておくことが、 改造人間たちが数に勝る人間たちを支配する、テクニックのひとつなのであった。 「解散してよし!」 カマキリ男の許しがおり、住民たちはとぼとぼと家路についた。その時広場の片隅で、女 の怒声が響いた。 「この役たたず! 今日までにブレスレッド20個、揃えて納品すると3日前に約束したはず よね!」 「申し訳ありません! 細工師の手が足りないんです。お許しを! どうかお許しを!」 怒りをあらわにしているのは、カマキリ男と一緒に降りてきた黒髪の女。その前に平身低 頭して謝っているのは40過ぎの宝石職人と、20歳くらいの若い女性店員であった。 「汚らわしい下等動物だけど、お前の作る装身具は、わたしたち女性改造人間の間では結 構評判なのよ。だから今まで、強制労働もさせずに少しはいい暮しをさせてきたけど、約 束も守れないんじゃあね。もう、生きてく価値もないんじゃなくて?」 そう言うと黒髪の女は、男に向かって右腕を伸ばした。その途端、黒い皮膚を破ってトゲ のついたツタが何本も伸び、男の首にからみついた。
309 :
BeeF :04/12/01 04:53:14 ID:QjhuXHvx
「うぐッ…く、苦しい…あがが…!」 「やめてッ! 真弓!」 女性店員が、黒髪の女の腕にしがみついた。 「真弓! あなた、今までずっとお世話になってきた店長さんを、殺す気なの!?」 黒髪の女は、フン!と笑って、店員を払い除けた。 店員は地面に這いつくばったまま、泣きそうな顔で黒髪の女を見上げた。 「真弓! わたしよ! 親友の高石まどかよ。忘れたの!?」 「真弓? …それは、わたしがまだ下等な人間だった、一週間前までの名前よ! 今のわたし はサイバーヴィルの臣民、毒バラ女《マユミros3964tr》。お前たち下等動物と一緒にさ れるなんて、心外だわ!」 毒バラ女はそう言って、まどかに向かって左腕のツタを伸ばした。 「ウッ!」首筋にトゲを刺されて、まどかはうめいた。 「…今、お前を刺したトゲには、致死性の毒が含まれているわ。助かるには、1時間以内 に5人の男とセックスしないといけないの。さあ、下等動物は下等動物らしく、手当たり 次第に男をあさらないと死んでしまうわよ。オホホホホ!」 「…ひ、ひどい…」 「さあ、もういいからお前もお行き!!」 毒バラ女がツタを鞭のように鳴らした。まどかは店長につき添われて、フラフラとその場 から立ち去った。 「店長! お願い! わたしを、わたしを抱いて! わたし、まだ死にたくないッ!!」
310 :
BeeF :04/12/01 04:54:49 ID:zd5AepXy
広場に誰もいなくなると、カマキリ男は毒バラ女を促して、飛行物体に乗り込もうとした。 ふと、カマキリ男が何かに注意を向けた。「おや?」 「どうしたの?」 「いや、あのスクリーンに流れている、公開改造手術の映像。あれはお前じゃないのか?」 「…あらやだ。」 スクリーンには、広場の中央に設置された手術台の上で衆人環視のまま、改造手術を施さ れようとしている全裸の女が映し出されていた。長いつややかな黒髪が魅力的な、20歳く らいの美女。それは毒バラ女がまだ人間だった頃の姿、宝飾店店員・埴科真弓であった。 「やめて! やめて下さいッ! 改造人間なんて嫌です! 助けて! 誰か助けて!!」 手術台を取り巻いている顔面蒼白の群集の中には、先程の宝飾店店長や、高石まどかの姿 も見える。 ぐおん、ぐおん。真弓の膣に挿入された改造ノズルが、活動を開始した。 「…あっ …イヤっ…ああ…あうっ…はううん…はうん…あン…あン…あうン…はうン…」 真弓の身体は首から下が徐々に黒い色に染まり、身体のあちこちから緑色のツタが生えて きた。そして真っ赤なバラの花が、身体の至るところに狂ったように咲き始めた。 カマキリ男と毒バラ女の二体は、しばらくその映像に見入っていた。 「…それにしても、一週間も前の公開改造手術の映像が今頃流されるなんてな。放映しな けりゃならない映像がいっぱいあったのか。それとも、良質の改造素体の数がいよいよ少 なくなって、再放送でお茶を濁しているのか。…たぶん後者だろうな。」 「嫌だわ。自分が下等動物だった頃のことなんて、思い出したくもないのに。」 二体の改造人間は飛行物体に乗り込んだ。上昇した飛行物体は、雲の間へと消えていった。
311 :
BeeF :04/12/01 04:55:41 ID:zd5AepXy
SV10年。この世界が「サイバーヴィル」と呼ばれる異世界の侵略を受けて、既に10年の 時が経過していた。 ちょうど10年前の11月15日。全世界のあらゆるTVモニターが、突如ひとつの映像によ って乗っとられた。どの周波数のどのチャンネルも、みな同じ映像しか映し出さなくなっ た。ラジオからも、中波、短波、FM波を問わずやはり同じ音声が流れてきた。 モニターに映し出されたのは、一人の東洋人の少女の姿であった。長い黒髪に、目鼻立ち のはっきりした、16歳くらいの目の覚めるように美しい少女だった。だが彼女の身体は、 濃いブルーの皮膚に、蜂の腹部のような黄色と黒の同心円模様で覆われた乳房、それに背 中に4枚の透明な羽根を持つ、異形の姿であった。 美少女は、同時に世界各国のあらゆる言語で、人々に語りかけてきた。 「愚かなる人間たちよ。わたしは異世界・サイバーヴィルからの使い、蜂女です。いよい よ今日、お前たちの世界は終わりを告げます。今から5分後に、サイバーヴィルの侵略円 盤部隊が、お前たちの頭上に現れるでしょう。ただちに白旗を上げて降伏なさい。抵抗は 無駄です。抵抗する者は容赦なく処刑します。今日からこの世界は、わたしたち改造人間 が支配することになるのです。」 少女の映像はそこで切れた。そして5分後、少女の予告通り、世界中の大都市の上空に、 小型円盤の群れが現れた。 円盤は国連本部やホワイトハウス、クレムリンなど各国の政治の中枢となる施設や、軍事 施設、マスコミ機関などの上空に停止し、そこから蜘蛛男やサソリ男、蝙蝠男、カメレオ ン男など、異形の改造人間たちが続々と降りてきては要人たちの虐殺を開始した。マスコ ミはまたたく間に改造人間たちに乗っとられ、電話、インターネット、無線を含めたあら ゆる情報手段も、改造人間たちの制圧下に置かれることになった。 すかさず各国の軍隊にスクランブルがかけられた。だが人間と同じサイズでありながら、 強靱な肉体と凄まじいまでの戦闘能力を持つ改造人間たちには、通常の兵力はまったく効 果を持たなかった。核兵器を使うこともかなわぬまま、わずか2日でアメリカ全軍は壊滅 した。他の国々の軍隊は、もっと早くに白旗を上げていた。
312 :
BeeF :04/12/01 04:56:35 ID:zd5AepXy
各国中枢部の制圧が終わると、再びあらゆるTVモニターに、例の美少女の姿が映し出さ れた。 「この世界は、サイバーヴィルの支配下に置かれました。これよりすべての人類の、改造 素体としての選別を開始します。選ばれた幸運な者は、改造手術を受けてわたしたち改造 人間の仲間として生まれ変わることになるでしょう。そうでない者たちは、わたしたち改 造人間たちの家畜として、死ぬまでわたしたちへの奉仕を続けてもらいます。さあ、これ が改造手術の映像です。」 続いて見せられた映像に、世界中の人々は大きなショックを受けた。全裸のひとりの少女 が、手術台の上に大の字で固定され、激しく泣き叫んでいるところだった。 「イヤっ!! やめてェッ! 改造人間なんてイヤだぁッ!! お願い! 助けて! ママ! ママ!」
313 :
BeeF :04/12/01 04:57:23 ID:zd5AepXy
その少女は、サイバーヴィルの使いと名乗った、あの東洋人の娘であった。サソリ男とカ メレオン男の二体の改造人間が手際よく動いて、手術台の両側に明滅するライトを設置し、 少女の股間に奇怪なノズルを挿入してゆく。 「い、痛い! やめて! レリ! 助けて! ア…ア…ア…アアッ…あうッ…あうッ…はうッ…」 少女の苦痛に満ちた悲鳴は、次第に甘い嬌声へと変っていった。それと同時に、少女の白 い裸身に少しずつ変化が現れた。肌の色が青く染まってゆき、ふくよかな乳房に、黄色と 黒の同心円状の模様がうっすらと浮かびあがっていった。 「…あふう…はううん…あうッ…あうッ…やめて…お願い…あうッ…あうッ…あああッ!」 腰を浮かせ、艶めかしく身体をくねらせながらあえぎよがる美少女。やがて彼女の肉体は、 完全な蜂女へと変貌を遂げた。 少女は妖しく微笑み、改造された蜂の乳房を揉みしだきながら手術台から起き上がった。 「これが、遺伝子活性化光線と、改造ノズルから供給されるナノマシンによって肉体を傷 付けることなく行われる、若い女性の改造手術です。男性の場合はこれとは異なり、レー ザーメスを用いた外科的な移植手術によって改造されます。選ばれた人間だけが、改造手 術を受けてサイバーヴィルの臣民となることができるのです。わたしはこの世界の人間と して始めて改造された、《ミサbee0001tr》。あなたたちも、自分が無事改造人間になれ るよう、選別の日まで祈っていなさい。ウフフフフッ…」
314 :
BeeF :04/12/01 04:58:12 ID:zd5AepXy
謎の美少女の言葉通り、翌日からあらゆる街に、集落に、改造素体選別部隊が現れた。強 制的に連行された人々は検査ゲートをくぐらされ、知力・体力・精神力の優れた者が選別 されていった。若い女性の場合は、容姿の優れた者が優先して改造素体として選ばれてい った。 改造手術のほとんどは、サイバーヴィルが建設した巨大改造プラントの中で行われた。た だし、若く美しい女性の改造手術だけは、その女が住んでいた地区において、衆人環視の 中で行われるのが常であった。 この《公開改造手術》もまた、サイバーヴィルが人間を支配するテクニックのひとつであ った。改造された女性はその場で、自分の家族たちを抹殺し、サイバーヴィルに忠誠を誓 う。そして、自分の住んでいた地区の管理責任者となり、人間たちを直接的に抑圧する係 を担うことになる。改造手術の非情さと、改造された女性の変心ぶりが、人々に大きなシ ョックと恐怖を与えるのであった。もちろん、最初のころはこの非情な仕打ちに怒りを覚 え、レジスタンスを組織する者も多かった。だが改造された娘自身による掃討が進むにつ れ、《公開改造手術》は怒りの根元から、人間たちの絶望の象徴へと変っていった。 新聞、テレビ、電話、インターネット。あらゆる情報が寸断され、世界中の人々はそれぞ れ狭い世界の中で、家畜のように生きることを強いられた。代わりに、次々に改造されて ゆく美女たちの映像があちこちに設置された巨大モニターから、今日も街中にエンドレス で流されるのであった。
315 :
BeeF :04/12/01 04:59:11 ID:zd5AepXy
「…どう、異常はない?」野球帽を目深に被った少年が、ドアの門番に話しかけた。 「おう! 同志アキラ。今のところ気付かれた気配は、まったく無しッ!」 門番に礼を言って、少年は地下の小さな部屋の中に足を踏み入れた。部屋の中に集った数 名の男女が、少年に礼をした。 少年は野球帽を取り、着ていたブルゾンを脱いだ。ショートカットのつややかな髪と、腰 のくびれた見事なスタイルがあらわになった。少年を装っていたのは、なんと16歳くらい の美少女だった。 「晶(あきら)、どうだい? お父様の方の準備は?」 一同のリーダーらしき40代前半の男が、少女に向かって問いかけた。須郷克。この地区の レジスタンスの中心的存在である。 「はい。超空間貫通のテストは今回も成功したようです。あと2日もあれば最終調整が終 わり、3日後の本番には充分間に合わせることができるそうです。」 「うむ。良かった。諸君、これで“フーガ”計画も最終段階に入った。だが連中に気付か れたらそれで一巻の終わりだ。少しのミスが即、命取りになる。最後まで気を抜かずに頑 張ってくれたまえ!」 一同は拍手した。須郷は、一同の中にいた20代半ばの女性に向かって深々と礼をした。 「落合さん。これもみな、あなたのお陰です。あなたがいなかったら、我々はとてもここ まで来れなかった。」 「そうよ、法子さん。あなたがいなければパパだって、超空間貫通装置を完成させられな かったわ。」 「いいえ、そんなこと。わたしは大したことはしていませんわ。まあ、美紗ちゃんがあん なことになってしまったから、わたしも少しは責任を感じていました。だから、少しでも 皆さんのお役に立てて、わたしも嬉しいです。」
316 :
BeeF :04/12/01 05:00:39 ID:6a5dCfqw
この女性こそ、サイバーヴィルによって最初に改造人間にされた香川美紗のかつての親友、 落合法子であった。蜂女として生まれ変わった美紗は、まず胸の毒針で自分の両親と兄を 惨殺し、次いで自らの母校である英光学園を蜂女の姿で襲撃して生徒たちを次々と殺め、 自らの肉体の性能を試したのだが、たまたま法子だけは風邪で休んでいたため、難を逃れ たのであった。 サイバーヴィルの支配に抵抗するレジスタンスたちが最も欲した情報は、『サイバーヴィ ルの改造人間たちは、一体どうやってこの世界に来たのか』であった。サイバーヴィルに よって最初に改造された人間、即ち、サイバーヴィルと最初に接触した人間である《ミサ bee0001tr》の身辺を調べることが、それを知るための近道であるのは間違いなかった。 そこでレジスタンスたちは、改造前の彼女、即ち香川美紗の素性と、その知り合いが生き 延びていないかどうかを血眼になって調査し、人目を忍んでひっそり生きていた落合法子 の居場所を、ようやく突き止めたのである。 法子は、たまたま美紗が残したノートを持っていた。美紗が蜂女に改造された日、彼女は 大谷先生の仕事を手伝って下校が遅くなり、うっかり大事なノートを部室の引き出しに忘 れたままにしていた。それに気付いた法子が、後で美紗に返そうと持ち帰ったのだ。 サイバーヴィルによって世界が制圧された後、そのノートを読んで法子は愕然となった。 そこには美紗が、サイバーヴィルとこの世界の橋渡しをしていた証拠が書かれていたのだ。 そして、二つの世界をつなぐ方法、超空間貫通装置のことも。 法子にはもちろん、その装置の持つ意味は理解できなかった。だがレジスタンスの中に、 その装置を再び組み直し、再び可動させることができる科学者がいた。若干41歳の天才物 理学者、一ノ瀬大吾である。
317 :
BeeF :04/12/01 05:01:21 ID:6a5dCfqw
一ノ瀬は10年前、26歳の妻・葉子を目の前で公開改造されてしまった被害者である。彼と、 6歳になる娘・晶の目の前で、若く美しい妻は毒蛾女《ヨーコmth0067tr》へと改造され てしまった。普通、公開改造された女性は自分の家族を惨殺するならわしになっていたが、 一ノ瀬博士は天才と呼ばれるほどの科学者であったため、そして娘の晶は将来改造素体に 選ばれることが期待できる美少女であったため、幸運にも難を逃れたのだ。 妻を奪われた一ノ瀬の恨みは、改造人間を倒すことへの執念へと変った。改造人間の神経 伝達速度の途方もない速さを逆用し、急速に循環する超音波パルスが知覚神経を麻痺させ るデッドマン効果を応用して、改造人間たちの動きを一瞬封じ込めることのできるサイバ ーバスターを開発し、レジスタンスたちに供給した。母を奪われた娘の晶も、武道を修練 してレジスタンスに参加した。こうして須郷たちレジスタンスたちの信頼を得た一ノ瀬親 子は、落合法子のノートに書かれていた超空間貫通装置の調査を、レジスタンスの仲間と ともに開始した。 サイバーヴィルの先遣部隊であった宮野レリたちが住んでいた館は、再び廃屋と化してい た。だが二つの世界を初めて結びつけた超空間貫通装置は、老朽化していたもののそのま まの姿で残されていた。一ノ瀬博士は必死でその構造を解析し、大規模な改修を加えて再 び稼働させることに成功したのだった。 そして、かつて宮野レリたちが美紗についた「嘘」と同じように、普通の人間たち数百名 をサイバーヴィルの支配が及ばない別世界へと脱出させる計画が、レジスタンスたちの手 によって3日後に行われようとしていた。イタリア語で“脱出”を意味する「フーガ計画」 と名付けられたこの計画は、博士と晶を入れてわずか7名の信頼できる同志にだけ明かさ れており、脱出する当の人々にも、その内容は全く知らされていなかった。 これまでのところ、サイバーヴィルの改造人間たちがこの計画に気付いた様子はまったく なかった。この調子でいけば、フーガ計画は無事成功するはずであった。
318 :
BeeF :04/12/01 05:03:07 ID:6a5dCfqw
「食らえッ!」晶が右手のサイバーバスターを、渾身の力で圧しつけた。 「ピギイッ!!」悲鳴を上げて、蟻型改造人間が動きを止めた。 「早く! 早く処理して!」晶が叫ぶよりも早く、数名のレジスタンスが蟻型改造人間に飛 びかかり、緑色の液体が詰まったアンプルを口器の奥に突っ込んだ。 「グ…グワヒャ! ガ…ガ…ゴゲエッ!!」 意識を取り戻した蟻型改造人間は、アンプルの中の液体を飲み込み、しばらく激しい痙攣 を続けた後、完全に動きを停めた。 「…ふう。戦闘員で良かったわ。この薬品でなんとか倒すことができるんだもの。」 「…だが、たとえ戦闘員であれ、こんなところにまで入り込んでくるとは大ごとだ。」 レジスタンスのリーダー、須郷が眉をしかめながら呟いた。 「考えたくはないが…我々6人の中に、裏切り者がいるとしか考えられない。」 「えっ!?」「嘘だろ、おい。」 「裏切りと言っても、内通者とは限らん。本人が意識していない場合だってある。サイバ ーヴィルに逆らう後ろめたさが、無意識のうちに不審な行動を取らせ、連中の注意を引い ているのかも知れん。だがいいか、俺たちはお互いを信頼してここまでやってきた。内容 はともかく裏切りは重罪だ。君たちも裏切り者を発見したら、その場で容赦なく殺せ! そ うしないと、俺たちだけでなく、街の人々全員の命が危険にさらされることになる!」 レジスタンス一同は、沈黙したままゆっくりと頷いた。
319 :
BeeF :04/12/01 05:04:07 ID:6a5dCfqw
そしていよいよ、フーガ計画が実行に移される日がやってきた。一ノ瀬博士と晶を含めた 5人の同志が見守る中、超空間貫通装置は奇妙なうなりをあげながら、周囲の景色が溶け たかのように渦巻き流れる奇妙な空間を作り出した。 「やった!」「やったぞ!」「やったね、パパ!」 「博士、これが異空間へのゲートなんですか?」 「そうだ。だが電力供給が限られているので、約2時間しかゲートを開いておけない。そ の間に、人々を全員無事に通り抜けさせてくれ。」 「畜生! 電気の供給制限さえ受けていなけりゃな!」 「大丈夫ですよ博士。今、西浦と松田の二人が人々を誘導してきますから。」 その時、真っ青な顔をして、西浦たちが飛び込んできた。 「計画は中止だ!! みんな、テレビを見てみろ!!」 テレビのスイッチを入れた彼らは、そこから流れてきた映像を見て愕然となった。 それは、改造手術の映像だった。だが公開改造ではない。薄暗い部屋の中で、一人の少女 が蟻型改造人間に捕まったまま、手術台に身体を縛りつけられようとしていた。 …その少女とは。 「…え、わたし!?」 一同は、凍りついたようなまなざしで一ノ瀬晶の方を振り返った。テレビの中で改造され ようとしているのは、まさしく晶本人に他ならなかったからだ。
320 :
BeeF :04/12/01 05:04:54 ID:6a5dCfqw
「…イヤだ! やめて! 助けてパパ! 改造人間なんてイヤだ! やめて! お願い!」 テレビの中の晶は、全裸で大の字に身体を固定されたまま、激しく泣き叫んでいた。彼女 の方に、極彩色の巨大な羽根と羽毛のような触角を持った一体の女性改造人間が近づいて きた。 「あら晶。ようやくあなたも私と同じ、改造人間になるのね。嬉しいわ。」 それは晶の母親、毒蛾女《ヨーコmth0067tr》であった。10年前に改造された時と、ま ったく同じ美貌を保っている。毒蛾女は妖しい微笑みを浮かべながら、晶の前にしゃがみ 込んでその白い裸身を優しく撫でた。 「やめて! やめてママ! お願い、助けて!!」 蟻型改造人間が、晶の膣孔目がけて改造ノズルを力まかせにねじ込んだ。 「ギャッ! 痛い痛い痛い!! やめて!! 痛い! ああッ!! …アッ…アッ…はあッ…はあッ…」 最初の苦痛が、次第に快楽に変り、晶は身体をなまめかしくくねらせながら、生まれて初 めて味わう性の快楽に身を任せ、激しくもだえよがった。腰を浮かせ、改造ノズルの蠕動 に合わせてリズミカルに振りながら、改造人間にされてゆく喜びを全身でむさぼった。 「…ああん…イヤっ…イヤよ…ああん…あふうん…イヤっ…あうン…あうン…はうッ…」 晶の全身に、変化が現れた。真っ白な肌が次第に青く染まってゆき、ふくよかな乳房に、 黄色と黒の同心円状の模様が浮かび上がってきた。
321 :
BeeF :04/12/01 05:05:40 ID:6a5dCfqw
「嘘よ!! こんなの嘘!! トリックだわ! わたしは改造人間なんかじゃない!!」 テレビの前の晶は、顔を真っ赤にして叫んだ。 だが、晶を見つめるレジスタンスたちの目は、一様に険しかった。 「お前が…お前が裏切り者だったのか!!」 「…おお、晶、なんてことだ。」 「裏切り者は、死ね!!」 西浦が拳銃の引き金を引いた。だが発射された銃弾は、晶の胸で跳ね返り、どこかに飛ん でいった。 「…やっぱり、やっぱり改造人間なんだな! 俺たちを騙してやがったんだな!」 「違うの! わたしは何も知らない! わたしは改造されてない!」 須郷たちレジスタンスが、晶目がけて一斉に拳銃を乱射した。硝煙が立ち上る中、ズタズ タになった衣服をまとった晶の身体には、やはり傷ひとつついていなかった。 その時、部屋の壁に溶け込んでいたカメレオン男たちが一斉に姿を現わし、須郷たちを背 後から拘束した。 「しまった! このッ! このッ!」 「無駄だ。反逆者どもよ。お前たちの行動は全てサイバーヴィルに筒抜けになっている。 異世界になど誰も行かさぬ。お前たちはこれから、広場で公開処刑されるのだ。」 カメレオン男たちに背後から抱きかかえられたまま、激しい怒声を残してレジスタンスた ちは連行されていった。後には、ズタズタに破れた服を着た晶だけが残された。 「…ねえ、なぜ、わたしを捕まえないの?」出てゆこうとするカメレオン男に、晶は訊ね た。 「お前は我々の仲間、改造人間だ、捕まえる必要などない。」 「嘘よ! 嘘ッ!!」 晶は床に膝をついて絶叫した。
322 :
BeeF :04/12/01 05:07:01 ID:vthk3IeC
広場の真ん中に6本の柱が立てられ、須郷や一ノ瀬博士たち6人の反逆者たちが、そこに 縛りつけられた。 集まってきた群集をかき分けて、晶は処刑場の前に出た。 「やめて! やめてお願い!」 晶の姿を認めた須郷が、吐き捨てるように叫んだ。 「何をしに来た! この裏切り者めが!!」 「違う! わたしは改造人間なんかじゃない!」 「いいえ。あなたはもう、改造人間なのよ。」 そう言って群集の中から現れたのは、なんと落合法子だった。 「法子さん…あなた一体!?」 「いいえ。わたしは落合法子じゃないわ。見なさい。わたしの正体を。」 法子は手を胸の前でクロスさせ、上に大きく広げながら叫んだ。 「サイバーッ!変・身!」 法子の身体はまばゆい光に包まれた。思わず目を伏せた晶の前に現れた姿は、何と…あの… 「ミサ!」 そう。そこに立っていたのは蜂女のボディを持ったストレートロングヘアの美少女、この 世界で最初に改造人間にされた伝説的人物、香川美紗こと《ミサbee0001tr》であった。 ミサは10年前と変らない、16歳のままの清楚な美貌を保っていた。 「まさか…法子さんの正体が…ミサだったなんて…」 晶だけでなく、レジスタンスの一同もこれには仰天した様子だった。 「落合法子は、10年前にわたしが処刑したわ。それからわたしは落合法子を装って、愚か な反逆者たちが接近してくるのを待ち構えていたの。レジスタンスなら必ず、昔の美紗の 知り合いに接近してくるだろうことがわかっていたから。わたしはこれまでに3組、こう やって愚かなレジスタンスどもを掃討してきたのよ。」
323 :
BeeF :04/12/01 05:07:43 ID:vthk3IeC
「畜生! それじゃあ最初から、計画はサイバーヴィルに筒抜けだったってわけか!」 須郷がさも無念そうに嘆息した。 「お前たちを泳がしておいたのは、一ノ瀬博士が超空間貫通装置を改修するのを待ってい たからよ。さすがは博士、我がサイバーヴィルが最初に開発したものよりも安定度の高い 装置を完成させてくれたわ。あなたの発明は、サイバーヴィルが有効に活用させていただ くわ。もちろん、別の世界を侵略するための手段としてね。」 一ノ瀬博士が、がっくりと肩を落とした。 「わたしが、わたしが改造人間だって、一体どういうこと!」 晶が叫んだ。ミサはにっこり微笑むと、額から伸びる2本の赤い触角を、ピクリと動かし た。 「アアッ!」全身を貫く苦痛を感じ、晶は思わずのけぞった。 「あなたが信じたくない気持ちはわかるけど、テレビで流れたあの映像は本物よ。あなた は昨夜サイバーヴィルに拉致されて、蜂女に改造されたの。ただし洗脳は行わず、改造さ れた記憶だけを消して、再び元のところに戻してあげたの。なぜそんなことをしたのかっ て? それは、その方が面白い見世物になるからよ。」 ミサはさらにピクピク、と触角を震わせた。激しい苦痛に晶の身体はさらに痙攣し、ボロ ボロになった衣服を掻きむしった。 「あなたが蜂女である以上、蜂女すべての女王であるわたしの命令には逆らえないわ。さ あ、蜂女《アキラbee1493tr》、人間の姿を捨て、蜂女の姿に変身しなさい!」 晶は衣服をビリビリと引き裂いて全裸になり、地面の上を転げ回ってもだえ苦しんだ。 『嘘よ! 嘘! こんなの嘘に決まってる!!』 心の中で必死にそう叫んだが、身体はいうことを聞かなかった。やがて晶はフラフラと立 ち上がり、両手を胸の前でクロスさせ、上に広げて叫んだ。 「サイバーッ!変・身!」
324 :
BeeF :04/12/01 05:08:29 ID:vthk3IeC
とたんに、晶の全身が光に包まれた。まばゆい光の中で晶の身体は真っ青に染まり、乳房 には同心円模様が現れた。光が消えた時、そこに立っていたのは一体の蜂女だった。 「…ウッ…ウウッ…」激しいショックを受けて、晶は嗚咽していた。 「さあ、《アキラbee1493tr》。反逆者たちの処刑はあなたが行うのよ!」 「い、イヤだ! イヤだァッ!!」 晶の意思とは無関係に、晶の両手は自らの乳房を掴み、乳首をレジスタンスたちの方へと 向けた。 「や、やめろ晶! やめてくれッ!」 晶の乳首から、次々と毒針が発射された。毒針を浴びた一ノ瀬博士や須郷たちは、凄まじ い絶叫を上げ、ズブズブと身体が崩れてその場に溶けてしまった。 「…パパ!…パパ! あんまりよ!」晶の目は涙で真っ赤だった。 「《アキラbee1493tr》、あなたが苦しむのは、まだ洗脳を受けていないからよ。さあ 、わたしが洗脳してあげるわ。そうすればもう、苦しむことはなくなるわ。」 ミサは触角を震わせ、笑いながら晶の方に近づいてきた。 「やめて! こっちに来ないで! わたしの中に…入って来ないで!!」 ミサの触角が、晶の触角に触れた。 「アアッ!!」 その途端、晶の脳の中に、大量の思念が流入してきた。蜂女すべてが共有する意識の総体 だった。脳内を荒れ狂う嵐の中で、晶は必死に自分の自我を保とうと踏んばった。だが、 限界があった。晶の意識は思念の波の中に飲み込まれ、どこかに消し飛んでいった。 しゃがみ込んでいた晶が身を起こした。そのまなざしは、妖しい輝きを放っていた。 「わたしは蜂女。サイバーヴィルの改造人間、蜂女。《アキラbee1493tr》。改造人間に なれて、わたしはとても、幸せ!!」 ミサが晶、いや蜂女《アキラbee1493tr》の方に手を伸ばした。 「さあ、いらっしゃい。あなたが住むべき、素晴らしい世界に案内するわ。」 驚く群集を尻目に、二体の蜂女は羽根を広げて舞い上がり、やがて雲の向こうへと小さく なって消えていった。 (おわり)
どなたか女教師のクモ女への改造SSを書いてくださらないでしょうか? もしくはこの作者さんに書いて欲しいと言う作者さんはいませんでしょうか?
>>325 ドユコト? SSを書いてくれる職人さんを探してきて欲しいってコト?
327 :
325 :04/12/02 05:33:03 ID:RsCSuCD3
いえ、ただ単にこの人に改造SSを書いてほしいという作者は誰かと言うことを聞いてみようと思っただけです。
>>327 作者は誰か、と言っても、このスレに常駐しているSS職人さんはPRIME氏、
前スレ325氏、BeeFreak氏の3人しかいないじゃない?
しかもPRIME氏は謹慎中、BeeFreak氏は蜂女しか書かないということだし、
前スレ325氏は目下自分の作品を執筆途中だよ。
あ、他の人に「SS書いてみませんか?」って呼びかけてみるのもいいのかな。
…そういえば、そろそろPRIME氏の謹慎が始まって1ヶ月になるから
謹慎が解ける頃だよな。職人さん2人だけ、というのは寂しいから、
戻ってきて欲しいなぁ。
>>328 PRIMEは名無しで散々書き込んでる謹慎なんかしちゃいない。
>>329 あんまり粘着するのはよせよ。
名無しで書いてるのならSSは発表できないんだから、やっぱり謹慎だろう?
331 :
BeeF :04/12/03 23:53:02 ID:Abz+QcsN
>>325 漏れでよければ、書けないことはないですよ。
ただ、女先生の名前がわからないので伏せ字にするか、仮名になってしまいますが、
それでもよろしいですか?
>>328 漏れもそろそろ、PRIMEさんに戻ってきてもらいたいです。
SSを書かれる方の数は、多ければ多いほど賑やかになっていいです。
確か8日で謹慎が始まってちょうどひと月になるはずなので、その頃にでも
SSの続きを引っさげて復活願いたいと思っています。
この書き込みを読んでおられたら、PRIMEさん、そろそろ準備をお願いしますね。
332 :
325 :04/12/04 00:03:56 ID:Mr7xd7nv
BeeF様、もちろんOKですよ。むしろお願いしたいくらいです。 別に仮面ライダーの設定にはこだわらないので思うとおりに書いてください。 私はこのスレのSS書きの方にとどまらずに、他のサイトでSSをお書きになっている方で、こういう改造SSを書いてみて欲しい人はいないですかというつもりだったのです。 たとえば、BeeF様のところに投稿された舞方雅人氏とか。 私としては舞方氏あたりにも書いてみて欲しい気はします。 もちろんあくまでたとえばの話ですよ。
333 :
BeeF :04/12/05 00:40:28 ID:QZM3Bsn4
>>332 それじゃあ、ちょっと書いてみましょうか。
ただ女先生の名前は、どう付けたって嘘になってしまうので、開き直って「黒沢ゆかり」
にしました(爆)。性格は言うまでもなく、名字さんの方です。
あとドラスの設定とかも本編とはちょっと違いますが、ご愛敬だと思って下さいね。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ずいぶん遅くなったが、ようやく来学期の指導案が仕上がった。あとは教務主任に提出す
るだけだ。
誰もいなくなった職員室で、4年1組の担任である黒沢ゆかりはペンを置き、大きく伸び
をした。
ゆかりは就任3年めの今年、ようやくクラス担任を任されることになった、24歳の新米女
教師である。生来の子供好きで世話好きな性格である上に、人目を惹く美貌の持ち主とあ
って、子供たちの人気も高い。やんちゃ盛りの男子児童たちも、黒沢先生にだけは悪戯の
手が鈍る。クラスの子供たちにとっては、憧れの女神のような存在だ。
ゆかりは立ち上がり、職員室の隅にあるロッカーから懐中電灯を取り出して、見回りの準
備を始めた。用務員が日勤であるこの小学校では、宿直を教職員が順番に義務付けられて
いる。今日はゆかりと、もう一人ベテランの木村先生が宿直当番に当たっていたのだが、
あいにく木村先生が腹痛で欠席したため、今夜はゆかり一人が夜の見回りを行わなければ
ならない。
職員室の鍵をかけ、まず宿直室で湯を沸かす準備をしてから、ゆかりは懐中電灯を片手に、
真っ暗な校舎内を巡回し始めた。
一人での見回りは初めてだ。怖くない、と言ったら嘘になる。しかしもう十数回もこなし
てきた仕事だ。ゆかりはつとめて陽気にふるまい、鼻歌を歌いながら階段の陰やロッカー
の奥などを点検して回った。
334 :
BeeF :04/12/05 00:41:11 ID:QZM3Bsn4
ふと、廊下の前方、学校の正面玄関に当たる場所に白い人影が見えた。予期せぬ出来事に、 ゆかりは一瞬、心臓が止まるくらい驚いた。 よく見るとそれは、10歳くらいの少年だった。身体全体に大きなマントのようなものをは おっている。子供らしくない、冷ややかなまなざしを湛えたその顔に、ゆかりは見覚えが ない。 「…きみ! 何年何組の子!? こんな時間にいったいどうしたの!?」 ゆかりが問いただすと、少年は妖しい微笑みを浮かべ、十字路になった廊下の陰に姿を消 した。 「こら、きみ! 待ちなさい!!」 ゆかりはあわてて少年の後を追った。忘れ物を取りに来たのだろうか。だったら教室まで 案内しないと、真っ暗な廊下は危険過ぎる。 少年が姿を消した十字路を曲がったゆかりは、いきなり、何物かに首根っこを掴まれて宙 吊りにされた。 「キャッ!」 目を開いたゆかりは、自分の首を掴んでいる者の姿を見て、息を飲んだ。 …それは、人間ではなかった。緑がかった土色の、直立した昆虫のような異形の怪物であ った。真っ赤な目をらんらんと輝かせ、額からはアンテナのような二本の長い触角が伸び ている。 先程の少年の姿は、どこにもなかった。代わりに、怪物が少年と同じ色のマントをはおっ ている。 「…あ…あ…ああ…」 恐怖で言葉を失い、ガタガタと震えるゆかりを、怪物は片手で宙吊りにしたまままじまじ と見つめた。 「…ちょうどいいや。こいつにしよう。」 怪物が、まるで子供のような澄んだ声でそう言うと、いきなりゆかりを放り出した。 「キャアッ!!」 ゆかりは自由になったが、恐怖のあまり腰が抜けて、立ち上がることができない。ガタガ タ震えながら、後ずさるのがやっとだった。
335 :
BeeF :04/12/05 00:42:09 ID:QZM3Bsn4
怪物は右手を胸の前にかざすと、手のひらに意識を集中させた。一瞬輝いたかと思うと、 手のひらの中に、小さな怪物が出現した。 人型の怪物が、手の中の小さな怪物を床に放した。それはみるみるうちに巨大化し、体長 80センチほどの大きさになった。 それは、髑髏のような腹部を持った、形の崩れた真っ白な異形の蜘蛛であった。長い8本 の肢をせわしなく動かし、床の上をはい回っている。 「…さっき、うっかり“アイツ”にやられてしまったからね。戦闘エネルギーが不足して、 自由に動けないんだ。仕方がないから分身を造ろうと思ったんだけど、材料が足りなくて、 こんなのしか造れない。だから、キミのからだ、材料に使わせてもらうよ。」 人型の怪物が、ゆかりに向かって無邪気な声でそう言った。 材料ですって!? わたしの身体が? ゆかりには、怪物の言葉の意味がつかみかねた。 怪物がゆかりの方を指差したとたん、床の上を這い回っていた怪物蜘蛛が、キイ、と小さ く鳴いて、ゆかりの方に向かって勢いよく走り出した。 「イヤっ! 来ないで! イヤッ!!」 蜘蛛が自分の方に迫ってくるのを知ったゆかりは、四つんばいになってあわてて逃げ出そ うとした。だが蜘蛛の方が、はるかに足が早かった。蜘蛛はピョン、とジャンプして、ゆ かりの右脚の上に飛び乗った。 「イヤァーーッ!!」 ゆかりは必死で脚をブンブンと振り、怪物蜘蛛を払い除けた。床に落ちた蜘蛛は、ギイ! と一声鳴いて、身体を大きくもたげた。 蜘蛛の身体の前半分が、裂けたかのように大きく開いた。それは巨大な口であった。その 中から息を吐くように、白い霧のようなものが勢いよく噴出された。 それは、目に見えないくらい細い糸の集合体だった。糸は逃げようとするゆかり目がけて 放たれ、彼女の両脚にからまりついた。 怪物蜘蛛は口を閉じ、自ら吐き出した糸をたぐり寄せ始めた。ゆかりの身体が、少しずつ 蜘蛛の方に引きずられてゆく。 ゆかりは必死で踏んばった。爪が裂けて血が流れた。 「イヤっ! 助けて! 誰か助けて!! 誰か!!」 誰も来るはずがなかった。この広い校舎内に、人間はゆかり一人しかいないのだ。どんな に大声を上げたとしても、外まで悲鳴が漏れることもない。
336 :
BeeF :04/12/05 00:43:09 ID:QZM3Bsn4
怪物蜘蛛はゆかりをたぐり寄せると、刃物のように鋭い長い肢をふるい、ゆかりの衣服を 切り裂いていった。 「キャアッ!!」 衣服はたちまちボロボロの布きれとなって舞い散り、雪のように白い柔肌があらわになっ た。 「…いいかい。そいつはエサじゃないよ。そいつはキミの新しい身体だ。傷付けないよう に、大事に扱うんだよ。」 人型の怪物が、優しげに蜘蛛に向かって言った。ゆかりは四つんばいの姿勢のまま何とか 逃げ出そうとあがいたが、どうしても脚に力が入らない。 蜘蛛がジャンプして、ゆかりの形の良い尻の上に飛び乗った。あまりのおぞましさに、ゆ かりは激しく尻を振って蜘蛛を振り払おうとした。だが蜘蛛は8本の肢でしっかりとゆか りの身体にしがみつき、振りほどくことができない。 蜘蛛が腹部を持ち上げた。腹側の皮膚が裂け、そこから内臓のような無数の蠢く触手が現 れた。触手はゆかりの股間めがけて次々と延びてゆく。 「…ああッ!!」 触手の一部が、女性の大切な部分への侵入を開始した。モゾモゾと蠢く無数の触手が、ゆ かりの胎内にわけ入り、膣の内部を荒らし回り、子宮の中にまで入り込んできた。 「イヤッ! イヤッ!! やめて! イヤッ!!」 快楽とはほど遠い、凄まじいまでのおぞましさと不快感が、ゆかりの全身を電気のように 貫いた。別の触手の群が、今度はゆかりの肛門から内部に侵入し、直腸の中を激しく掻き 回した。 「…ウグッ…ゲエッ…いやッ…アガァッ…やめて…やめてッ!」 内臓すべてをまさぐられ、こね回されているかのような異様な感覚だった。ゆかりは堪え がたい苦痛と吐き気に襲われ、四つんばいに固定された身体を激しくよじった。 新たな触手が、ゆかりの顔目がけて延びてきた。触手はゆかりの口から、鼻から、体内へ の侵入を開始した。 「…ん! んぐッ! …ん! ん! ん!」 もはや、声を出すこともかなわなかった。おぞましい蜘蛛の触手がゆかりの全身に入り込 んで、身体の中をグチャグチャに掻き回しているのだ。触手が這いずり回る口の隙間から、 ゆかりは食物をぶしょぶしょと嘔吐した。鼻水が溢れ出し、目が涙でくもって見えなくな った。股間は失禁した尿でグシャグシャに濡れている。
337 :
BeeF :04/12/05 00:44:08 ID:QZM3Bsn4
やがて、ゆかりの腰に乗った蜘蛛の腹部が、ゆかりの皮膚にズブズブと沈み込むように一 体化し始めた。蜘蛛の頭部が腹部からはずれ、口から伸ばした触手に引き寄せられるよう にゆかりの後頭部に移動し、長いつややかな髪の上に陣取るとそのまま融合を開始した。 ゆかりの身体は、少しずつ怪物蜘蛛と一体化し始めたのだ。 《イヤぁ!! やめて!! やめてぇ!!」》身体の中に蜘蛛が入ってくるのをはっきりと感じ、ゆか りは声にならない声で絶叫した。《わたし、蜘蛛になってしまう!!》 人型の怪物が「材料」と言った意味を、ゆかりは今、はっきりと悟った。この蜘蛛は、わ たしの身体を乗っ取ろうとしているのだ。嫌だ嫌だ。蜘蛛になるなんて絶対に嫌だ。ゆか りは身体を狂ったように激しく振り、身体に融合しつつある蜘蛛を振り払おうと無駄な努 力を繰り返した。 「…ダメだよ! そんなに身体を揺らしちゃ。今、大事なところなんだから!」 激しく身体を揺すったせいか、ブチッ! という嫌な音がして、ゆかりの右腕が肩からはず れ、床に転がり落ちた。 《…わたしの! わたしの腕が!! ああッ!》 床に転がった白く細い腕を目にして、ゆかりは絶望の叫びを上げた。 ゆかりと蜘蛛との融合は、どんどん進んでいった。蜘蛛の8本の肢のうち、4本がゆかり の腹部にまわり、しっかりと地面に肢を下ろして踏んばった。ゆかりの両脚は宙に浮き、 やがて太股の付け根からブチッ! と音を立ててちぎれ、床に転がった。ゆかりの腹部は性 器をあらわにしたまま、蜘蛛の腹部に吸収されるようにその裏側に溶け込んでしまった。 残る4本の肢は、ゆかりの肩に移動した。1本の肢が、さっきちぎれたゆかりの右腕の代 わりに長く伸び、残る3本は鋭い爪のように、肩から宙に向かって伸びていった。 蜘蛛の頭部は、ゆかりの頭の上にしっかりと融合した。ゆかりの額に、蜘蛛の3対6個の 真っ赤な単眼が溶着した。小ぶりな愛らしい唇が、二つに大きく裂け、中から幾つも大き な牙が現れた。そしてゆかりの脳の働きも、次第に蜘蛛に乗っとられていった。 もはやゆかりは、自らの意志で身体を動かすことができなくなっていた。単眼の下にある 人間の目から、とめどなく涙を流すことしかできないのだ。
338 :
BeeF :04/12/05 00:45:54 ID:QZM3Bsn4
…そして、黒沢ゆかりという人間は、この世から姿を消した。後に残ったのは、美しい女 性の頭部と乳房を持った、巨大な異形の蜘蛛であった。 クモ女となったゆかりの脳は激しい絶望のあまり、もはや何も考えることができなかった。 「…誕生おめでとう。ボクはドラス。キミの主人だ。」 子供のような無邪気な声で、人型の怪物がクモ女となったゆかりに挨拶をした。 ゆかりは、堪えがたい空腹感を感じていた。いや、ゆかりではなく、自分の身体を乗っ取 った蜘蛛が感じていたのだ。クモ女は、笑うような無気味な声を上げ、自分の主人である 人型の怪物に向かって空腹を訴えた。 「…融合に、エネルギーを使い過ぎたんだね。いいよ。そこに落ちている、その女の腕と 脚を食べなよ。」 許しを得たクモ女は、さっき身体から切り離された、ゆかりの脚にむしゃぶりついた。 《いやあ! わたしの、わたしの脚がッ!!》 ゆかりは涙を流し、声にならない声で絶叫した。だがクモ女は嬉しそうに、ゆかりの白い 柔らかな太股に牙をくい込ませ、その水分をチュウチュウとすすった。やがて一本の脚が ミイラのように干からびると、クモ女はもう一本の脚と、そして右腕もむさぼった。 《やめてッ! やめてやめてぇッ!!》 すっかり手脚をむさぼり尽くしたクモ女は、さらなる空腹を主人に向けて訴えた。 「しようがないなあ。明日の朝まで待ちなよ。ここで巣を張って待っていれば、朝には子 供たちがいっぱいやって来る。一人ずつ異空間にひきずり込んで、食べればいいんだから。」 《やめて! 子供たちに手をあげるのだけはやめて!! お願い! お願いだから! やめてェ!!》 ゆかりの懇願を聞く者は、どこにもいなかった。人間の目から絶望の涙を流しながら、ク モ女は満足そうに笑い、その場に糸を張って巣を作り始めた。 「いいかい。満腹したら、キミの本当の仕事だ。邪魔な“アイツ”を倒して、ヒロシをさ らってくるんだ。期待しているよ。」 ドラスもまた、満足そうに笑った。 (本編に続く)
339 :
325 :04/12/05 01:15:00 ID:9k4EgH4o
BeeF様ありがとうございました。楽しませていただきました。
>>333-338 ふと思ったが「クモの怪物に身体を乗っ取られ、心は拒絶しながらも子供たちを襲う女先生」
というシチュエーションは、ライスピ2号編とビミョーにかぶるんだよな。
まさか村枝、ZO小説版までリスペクトしてたのかな?
341 :
292 :04/12/05 20:59:46 ID:8Z9FA1BR
>>304 遅レスですが、国籍は特に問いません
・・・というか洋もののコミカルなのも
和もののシリアスなのも(なぜかこのペアになってしまう)
どちらも見てみたい気もしますね・・・
342 :
BeeF :04/12/06 00:35:17 ID:X7QvAdkO
>>341 レスありがとうございます。
というか、実はもう、外人を含めた3人の工作員のシリアスな話に向けて、構想を練り始め
ていたところでした。
なかなか構想段階で難儀しているため、発表にはまだ時間がかかりそうですが、そのうちUP
しますので気長にお待ちいただけると嬉しいです。
なお現時点での設定では、女性を誘拐・改造してテロ活動に従事させている悪の組織(既に
どこかで書いたような設定ですが)のアジトに侵入するのは、特務機関XXAM(エグザム)
に所属する3名のプロフェッショナルです。
古武術の名手で射撃のオリンピック選手、元・警官の正義感の塊り「桐島ルイ 24歳」。
香港の犯罪組織「夜龍(イエルン)」によって感情を持たない戦闘マシーンとして育てられた
元・暗殺者「李閃花(リ・シャンファ) 19歳」。
金髪碧眼、アメリカの大富豪の娘でスポーツ万能、知能指数300、人並みはずれた強運の持
ち主「レベッカ・エデルソン 25歳」。
この3人の女性がそれぞれの技能を生かして、小笠原諸島のさらに南にある孤島に作られた
敵のアジトに挑み、結局3人ともそれぞれ違ったシチュエーションで罠にかかり、改造人間
にされてしまうというストーリーになる予定です。
ここまで書いた以上、いずれはUPしますので、よろしく。
343 :
292 :04/12/06 02:15:48 ID:5v+oqbn3
>>342 なんか感動です!すでに妄想が広がります
>>344 なんか作り手の異様な熱意を感じる・・・
このスレの住民って、オニャノコが化け物じみた怪人にされるのに萌えるんじゃないの? 単なる機械化サイボーグ手術でも萌えなの?
漏れは怪人化のほうが萌えるなぁ。 機械化だけじゃ物足りないっす。
>>347 単に改造過程に萌えるの?
それとも、改造後の怪人にもハァハァするの?
349 :
347 :04/12/07 00:07:47 ID:qp6xHEbL
場合によりけりだが、おにゃのこの雰囲気を残した怪人ならハァハァするなぁ。
350 :
名無しより愛をこめて :04/12/07 16:44:32 ID:bhmAnTog
352 :
350 :04/12/07 18:16:24 ID:xJeYW8T1
リンクが切れてるだけでした。スマソ
353 :
名無しより愛をこめて :04/12/07 23:03:56 ID:KTLkjAPQ
そろそろPRIME氏の復活期待age!
☆ チン マチクタビレタ- ☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ ___\(\・∀・)< PRIMEさん、天野姉妹の改造は マダー? チョー期待! \_/⊂ ⊂_)_ \_________________________ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| | | 改造手術台 .|/
>>354 上に乗っているのは怪人どんぶり少女とか(w
356 :
名無しより愛をこめて :04/12/09 02:14:58 ID:xHsMF2Il
講談社版ライダーマガジンのアマゾンの号に載っていた蜂女のメイクシーンに驚愕。 一体どれだけの秘蔵スチールがあるのか。漏れも蜂女ファンの為、彼女のまだ見ぬ姿に思いは尽きない。 そして、岩本良子様の美しさ。ライダー本編での彼女の蜂女への改造シーンが是非、見たかった。 悔しい。
>>356 知ってると思うけど、公式ファイルマガジンに載ってたのとは別の写真。
ttp://www2.wbs.ne.jp/~c-help/gazo2/hachi2.JPG TV版仮面ライダーの、女性怪人が登場する回の脚本はそのほとんどが、女性脚本家の
滝沢真理氏がつとめていて(蜂女、クラゲダール、ドクダリアン、ギリーラ等)、
彼女は当然ながら『女性怪人』に思い入れが無いものだから、他の怪人と大差ない
あっさりした描写になってしまっている。(たぶん平山Pが故意にそうしたんだろう)
もしも原作の石ノ森氏のテイストがそのまま生かされていれば、きっと蜂女にも
「元は普通の女性だった」という背景がドラマに生かされていたに違いない。
そして、改造シーンも・・・
(後になってそれを生かそうとしたのがスカイのサソランジンなんだろうが)
358 :
名無しより愛をこめて :04/12/09 16:53:03 ID:z+c/zgKg
やはりサソランジンの改造シーンは、このスレのテーマに最もあった名シーンだと思う。 そこで、蠍女に改造される上村美也さんのSSを誰かかいていただけませんでしょうか。 何故、美也が蠍怪人の素体に選ばれ、どのように拉致されたのか。そして、改造シーンはエロ度たっぷりに…。 ただ、改造後の姿はいただけませんので、女性怪人としての魅力を出してもらえるとうれしいです。 オリジナルの設定歓迎です。
>>358 >ただ、改造後の姿はいただけませんので、
あれは美しい女性がブサイコな怪人にされるからドラマになるのであって、
改造された身体を見つめて「何て美しいの!」なんて言った日にゃ、
悲劇もへったくれもなくなる罠。
絵心がある方がいれば、サソランジンを今風にアレンジして頂けないだろうか。 美化する必要はないが、女怪人であることが分かるように。
>>358 確か「ネオショッカーと女性怪人の秘密基地」になかったかな?
>>360 そういう意図でデザインしたのが、クウガのゴ・ザザル・バなんだと思うよ。
あのデザインで満足できないなら、コミックだけど「ザ・グリーンアイズ」(巻来功士)の
刺恵(サソリの尻尾が生えた、下半身まる出し巨乳ボンデージファッションのねーちゃん)
みたいにするしかないんじゃないか?
>>361 「ザザル」が確かにそうですね。
指摘されるまで、人間態のだるそーなお姉ちゃんしか覚えて無かったです。
363 :
名無しより愛をこめて :04/12/10 01:56:50 ID:tLZuplo+
>>359 悲劇性に関しては、醜い姿に改造された所にあるのではなく、自らの意思に関係なく無理やり人外の異形に改造されてしまった点にあると思う。
女性怪人としての魅力を充分に発揮する為にも、サソランジンは女のセクシャリティーを維持した形でリニューアルされるべきなのではないだろうか。
美女を改造するシークエンスがある名編の代表として、是非、それは望みたい所なのだが・・・。
サソランジン話が出たので妄想ネタ一つ(あまりエロくはありません) 雪山で遭難した筈の美也がなんであんなヒラヒラしたドレスを着てたのか ・・っていうのは「理不尽スレ」的なツッコミどころとも思えるんだけど、 案外、あの直前ゼネラル・モンスターとの間で、 「ニキータ」の、誕生プレゼントに銃を渡されるみたいなやりとりが あったのかも、と思ったことがある。 大事な素体(適合者?)ゆえ丁重な治療・看護が行われていた美也。 やがて全快し、ゼネラルモンスターよりドレスを贈られ、 豪華な食卓で全快祝いのワインがふるまわれる 無邪気に喜ぶ美也。そのときゼネラルモンスターの目が あやしく光り(以下略)
365 :
364 :04/12/10 03:26:36 ID:iXoWWI78
恨みの文句が「ネオショッカー!」ではなく「ゼネラルモンスター!」 だったあたりからも、改造前にあの二人に何かあったのかも、 という想像はできるのではないかと思う次第です。 (ついでに言うと、あの断末魔状態のときにはタイムリミットが 切れて脳改造の効果がどんどん出てきていたんですよね? あのまま殺されずにいたら・・・)
>>364 面白いけど、城北大学に暗殺に向かった時に着ていたワンピースならば、彼女が
改造された後に与えられた物ではないかい?
たぶんアリコマンドの素体か何かとして捕らえられた、別の女性の衣服と思われ。
少なくとも美也は、改造時は全裸(に見える)にシーツだ。
この時に、美也はなぜかゼネラルモンスターの名前と、自分が改造人間にされそう
になっていることを既に知っていた。
たぶん山で捕らえられ、意識を失う前にそう知らされたのだろう。
「山で遭難した」と言われているが、スカイ4話の放映は10月だから雪山ってわけ
じゃないだろう。むろん夏山でも遭難する時は遭難するが、美也の場合は単に拉致
されて行方不明になったことが「遭難」と報じられただけなんじゃないか?
関係ないが、岬ユリ子とその兄も、登山時にブラックサタンに拉致されたはずだ。
山で遭難し行方不明、というのは改造素体を拉致するための方便としてよく利用
される手段なんじゃないかな?
367 :
名無しより愛をこめて :04/12/10 04:57:07 ID:tLZuplo+
>>366 手術台の上で、美也が自分の運命を知っていた事に興味を覚えることに同感です。
この前に美也に何があったのか。
捕らわれた彼女の肉体に対し、改造人間の適性を調べる様々なテストが行われたのではないでしょうか。
その中で、次第に美也は自分の身に起こる事に気付いていったというのはどうでしょう。
また、美也が一人で登山をしていたとは思えません。
同じ女子大の仲間達がいたはずです。彼女達も一緒にネオショッカーに捕らえられアリコマンドにでも改造されたのでは
ないでしょうか。それも美也の見ている前で。
もしくは、仲間(後輩)を守る為に自らを犠牲にした。始めは改造素体となる事などまったく知らずに、
正義感の命ずるままにゼネラルモンスターにその身を差し出したが・・・。
というのも自分的には萌えるのですが。
>>367 仲間のために自らを犠牲にしたのなら、
「改造人間なんて嫌です!」と叫んだりはしないと思われ。
オニャノコをゲルショッカー怪人に改造するとしたら、どんなのがいい?
ナメクジキノコ
カズノコミミズ(性器限定)
372 :
名無しより愛をこめて :04/12/11 13:51:11 ID:5SuCI36K
>>367 女子大の仲間がアリコマンドに改造される・・・
誰かその話書いてください!
373 :
BeeF :04/12/12 02:42:27 ID:ilXaiyaM
どうも。最近仕事が忙しくて、SSを書いてる暇がなく困っているBeeFです。
それでも何とか、以前約束しておりました、
>>292 さんのリクエストにお応えしての「女
工作員」ものを書き終えましたのでUPさせていただきます。
今回“バズゥ”(BUZZ=虫の羽音)という組織によって蜂女に改造されてしまうのは、桐島
ルイちゃん25歳、レベッカ・スウェンソンちゃん26歳、それに李閃花(リ・シャンファ)ち
ゃん19歳の、3人の美しき工作員です。
長い話ではありますが、お楽しみいただければ幸いです。
374 :
BeeF :04/12/12 02:43:41 ID:ilXaiyaM
嵐が近いのか、鉛色の雲が重く垂れこめていた。 北回帰線に近いこの海域でも、冬の太平洋の波はやはり荒い。不揃いなサンゴ礁が切れ込 んだこの島の北端には、激しい波が叩きつけるように打ち寄せていた。その見上げるよう な断崖の下、海の中から黒い3つの影が現れ、波から逃れるように岸壁にへばり着いた。 「…みんな無事?」 真っ先に上陸した、リーダーらしい人影が、水中メガネと腰に巻きつけた機械を外しなが ら、他の2人に呼びかけた。ウェットスーツのフードを外すと現れたのは、濡れてクシャ クシャになってはいたが、長く美しい金髪だった。ウェットスーツに包まれているのは、 見事なボディラインの悩ましい豊満な肉体。澄んだ青い目をした、20代半ばの絶世の美女 だった。 「…異常なし。」 「装備は全て無事。万事オーライよベッキー。」 手際よくウェットスーツを脱ぎながら、同時にそう答えたのは、まだ10代らしい小柄なシ ョートカットの少女と、長身にロングヘアーの20代半ばの女。どちらもハッとするような 美貌の東洋人女性だ。 「よーし。これまでのところは上出来ね。海中に超音波探査器があったとしても、さっき 外したソニックジャマーがソナー音波を撹乱してくれたはずだから、連中はまだ、わたし たちの存在に気付いてないはずだわ。」 身体にピッタリ密着した黒のボディスーツの上から、様々な器具の付いたホルスターやベ ルト類を幾つも固定しながら、金髪の女性が言った。
375 :
BeeF :04/12/12 02:44:17 ID:ilXaiyaM
「これからが正念場よ。各自別行動を取り、任務を遂行すること。作戦開始時刻は現在、 ○七五○。作戦終了予定時刻は一七○○。この時刻に、この島の上空を回収用の輸送艇が 通り過ぎる手筈になっているわ。島の北端、獅子が鼻と呼ばれる岬に個人用の飛空バック パックが3個投下されるから、必ず回収するように。救出した人質がいる場合は事前に信 号弾を上げること。」 二人の東洋人女性が同時に頷く。 「そして…これがいちばん大事なことだけど、今回の任務で無事生還できる可能性は30% 以下。これは今までの任務もそうだったから気にしなくていいけど、もしも連中に身柄を 拘束されたら、100%確実に改造人間にされてしまうわ。だからもしも捕まった場合は、 迷わず奥歯に仕込んだプラスティック爆弾で自決すること。万一、仲間が改造されてしま った場合は、ためらわず殺すこと。一瞬の迷いが命取りになるわ。」 「ベッキー。」長い黒髪の女性が金髪のリーダーに尋ねた。 「もしも、3人とも生還できなかった場合はどうなるの?」 「明朝9時に、予定通りアメリカ海軍による核攻撃が始まるわ。果たしてそれで“バズゥ” を壊滅させることができるのか。それとも、それが新たな悲劇の幕開けとなるか…それは 神のみぞ知る、ね。」
376 :
BeeF :04/12/12 02:46:50 ID:ilXaiyaM
日本領土の最南端に近い、無人島“神ノ鳥島”。8キロ沖に停泊した工作船から、無数の 機雷をかいくぐってこの島に到達したばかりのこの3人は、各国政府が協力して極秘裏に 結成した特務機関XXAM(エグザム)の、諜報部員であった。メカニックに強いリーダ ーのレベッカ・スウェンソン、26歳。射撃と武術の達人、桐島ルイ、25歳。そして香港の 犯罪組織・夜龍(イエルン)の元・暗殺者という異例の過去を持つ李閃花(リ・シャンファ)、 19歳。組織きっての腕利き諜報部員である彼女たちは、いま世界中をパニックに陥れてい る謎の組織、昆虫人間帝国“バズゥ”の本拠地に、それぞれ任務を携えて侵入しようとし ているところなのだ。 3日前、彼女たちは突然、組織のボスである“ダイモン”の前に呼び出された。スクリー ンに黒いシルエットしか映さない謎の男。“ダイモン”とは古代ギリシアの守護神の意味 であるが、同時に悪魔(デーモン)の語源でもある。裏の世界のあらゆる情報に精通して いるこの男が果たしてどちらなのか、彼女たちは判断しかねている。 3人が揃ったのを確認すると、“ダイモン”は単刀直入に切り出した。黒いシルエットの 背後に次々と新聞記事や写真を映しながら、今回の指令の背景を淡々と説明してゆく。 「よく来てくれた。諸君らもご承知の通り、世界は現在、今から2週間前に突如出現した 昆虫人間帝国“バズゥ”によって激しく混乱している。“バズゥ”は一般の女性を拉致し、 全身の細胞に昆虫の遺伝子を組み込んだ改造人間“インセクトサイバー”に仕立てて様々 なテロ活動に従事させる、謎の組織だ。10代半ばから20代の、若く美しい女性ばかりが誘 拐され、わずか半日後には改造人間に変えられて、テロの片棒をかつがされている。なぜ 女性ばかりを改造するのかは謎だが、残念ながら現代の医学では、改造された女性たちを 元の身体に戻すことはまったく不可能だ。」 長い黒髪の諜報部員、桐島ルイがギリギリと歯がみした。彼女もまた、高校時代の親友が インセクトサイバーに改造された経験の持ち主なのだ。
377 :
BeeF :04/12/12 02:48:04 ID:ilXaiyaM
「9日前に日本のテレビ局占拠によって姿を現わしたこの組織は、わずか5日間で首都東 京の全機能を麻痺させた。この間に拉致改造された被害者は優に6千人を越える。さらに 3日前、今度はアメリカ、イギリス、ロシア等先進12か国に対して一斉に、女性拉致とテ ロ活動が始まった。ホワイトハウス襲撃等による国家機能の麻痺と、交通・通信規制によ る被害総額は、少なく見積もっても全世界でざっと700兆ドル。拉致改造された被害者の 総数は、既に1万人近いものと推測されている。」 それは、文明世界の崩壊と言っても良い惨状だった。改造人間たちは国家中枢の襲撃と同 時に、報道機関の制圧を徹底して行った。インターネットによる情報網だけはかろうじて まだ生きていたが、大手通信社やケーブルテレビネットワークは、テロ活動によって既に ほとんど壊滅状態になっている。 「2日前のホワイトハウス襲撃で、アメリカ大統領はからくも難を逃れたが、補佐官と大 統領夫人が命を落とした。復讐にはやる大統領の命令で、アメリカ全軍に対して“バズゥ” 本拠地を意地でも突き止めろとの命令が出されていたが、今日の未明になって、それが判 明したとの情報が入った。」 3人の前のスクリーンに、日本近海の海図が映し出された。 「“バズゥ”のインセクトサイバーたちは、テロが終わると地中に溶けるようにして消え るか、あるいは空に突然出現する黒雲の中に姿を消す。米軍はこの黒雲の中に“バズゥ” の空間転移装置があると推測し、同日同時刻に別の場所に黒雲が出現した形跡が無いかど うか、地上偵察衛星で世界中を調査した。もしもあるとすれば、そこに転移した可能性が 高いからだ。調査の結果、米軍が連中のアジトとして最も可能性が高いと判断したのが、 日本の南方洋上にあるこの、神ノ鳥島だ。」
378 :
BeeF :04/12/12 02:48:55 ID:ilXaiyaM
スクリーンに映し出されたのは、テーブルのような形状の小ぶりの島の写真だった。 「周囲7.2キロ。まあまあの大きさだが、過去に人間が入植した形跡がない無人島だ。その 理由は、島全体が高さ50メートルの断崖で囲まれているためと、島の北東端の海中から火 山性のガスが噴出しており、硫化水素を含んだ猛毒の霧が島全体を覆うことがあるためと 思われる。そのため島の周囲のサンゴ礁の生育が悪く、港を作れる条件が整っていない。」 「秘密組織のアジトとしては、うってつけと言うわけね。」金髪のレベッカが言った。 「そうだ。本拠地が判明してまもなく、アメリカ大統領は、この島に対する核攻撃を海軍 に命じた。既に北太平洋上にはニミッツ級原子力空母“ビルクリントン”が待機し、水爆 を搭載したB?2スピリット3機がスタンバイしている。」 「そんな! 他国の領土に核を使用するなんて!」ルイが驚いて叫んだ。 「日本政府の内諾は、既に取りつけているらしい。だが、アメリカ政府内でもこの攻撃命 令に対し、疑問の声が上がっている。ひとつには、拉致改造された被害者を巻き添えにす ることに対する懸念からだ。ホワイトハウス襲撃の際捕縛され、現在ニューヨークのシン シン刑務所に収容されている3体のインセクトサイバーの中に、グレアム上院議員の娘が 含まれていることは知っていると思うが、この上院議員が中心となって、改造被害者の家 族たちが現在、『改造被害者は自らの意志で犯罪を犯した訳ではないため罪を問うべきで はない』という運動を展開中だ。極めて強力なマインドコントロールを施された彼女たち を、果たして罪に問うことができるかどうかは、法律学者たちの間でも意見が分かれてい る。テロの被害者の中には『そもそも人間でなくなった者に人権を認めるべきではない』 という強硬意見を出す者までいて、まさに混乱状態だ。このように議論が定まらない中で、 彼女たちを一斉に葬り去ろうという大統領の判断は、まことに軽率と言われても仕方がな い。グレアム上院議員が時期大統領選の有力候補と見なされていることもあって、政府内 には未だ慎重意見が根強い。」 諜報部員たちは思わずうなって考え込んだ。ルイだけはうん、うんとうなずいている。
379 :
BeeF :04/12/12 02:50:31 ID:ilXaiyaM
「そしてもうひとつは、連中に対し核攻撃が本当に有効なのか、疑問視する声が上がって いるからだ。非公式の情報だが、3日前にロサンゼルスで海兵隊がインセクトサイバーと 交戦した際、カリホルニウム核弾頭弾が極秘に使用されたがあっさり退けられたとの報告 が入っている。もしも連中に対し核兵器が効果無いのであれば、アメリカは他国に対して 核を使用したという、歴史上の汚点だけを背負うことになる。だからこそ、米軍は核攻撃 を行う前にもっと多くの情報が必要だと考えているのだ。」 「わかったわ、ボス。無人島に侵入してその情報を得て来るのが、今回の私たちの任務な のね。」 「そうだ。諸君らに与えられる任務の内容は3つ。ひとつ目はアジトの全容の解明と、核 攻撃が行われた際の効果のほどの確認。ふたつ目は拉致被害者の状況確認と、改造技術の 解明、そして可能であれば被害者の救出。そして3つ目が、これまで全く姿を現わしたこ とのない、“バズゥ”を背後で操る支配者の正体解明だ。」 3人の美しき工作員たちは、一斉にうなずいた。 「だが注意してくれたまえ。インセクトサイバーたちは頭部こそ人間の女性だが、そのボ ディは想像を絶する能力を秘めている。人間相手のようなわけにはいかない。これまでに 確認されたインセクトサイバーは8種類。ひとまず順に、その能力を確認してみよう。」 スクリーンに、次々と女性の姿が映し出された。頭部はいずれも美しい女性だったが、ボ ディは全身タイツをまとったかのような奇妙ないでたちで、羽根や触角などを備えている。 それは衣裳ではなく、改造された彼女たち自身の肉体なのだ。その証拠に、彼女たちの下 腹部にはいずれも剥き出しになった女性器が確認できる。
380 :
BeeF :04/12/12 02:51:30 ID:ilXaiyaM
「まず、いちばん多く確認されているのがこの《シャドウアント》と我々が名付けている 黒いタイプだ。一般的な成人男性の100倍程度のパワーを備え、また自らの影の中に溶け 込むように消える能力を持つが、飛行能力や遠距離攻撃の手段は持っていない。まあ、戦 闘員のような位置付けと考えていいだろう。」 「次が《アレストスパイダー》。登山用ナイロンザイルの数十倍の張力に耐える強靱な糸 を口や指先から出す、捕縛用の改造人間だ。《マリオネットモスキート》は、十本の指か ら伸ばした管で血を吸った人間を自由に操ることができる、洗脳用の改造人間。この2種 類は特殊工作用のインセクトサイバーと言えるだろう。」 「次に、《パウダリングモス》は空中を浮遊しながら、麻痺毒や腐食毒、さらには高火力 のガンパウダー(火薬)までも広範囲に撒き散らす毒蛾型の改造人間だ。同じく、幻覚剤を 含んだ鱗粉を撒き散らす蝶型改造人間が《ドリームバタフライ》。《ヒプノシーケイダ》 は催眠音波を発する蝉型の改造人間。この3種類は飛行能力と、広範囲に作用する特殊能 力を持っている反面、単体での戦闘能力は著しく低い。」 「逆に戦闘能力が高いのが、両腕を鋭利な刃物に変えて高速度で飛来する《ビヘッドマン ティス》だ。首切りカマキリの名の通り、戦車の砲身すら一瞬にして輪切りにしてしまう。 また《アームドスコーピオン》は長い尻尾の先に毒針を持つ他、両腕を次々と武器に変形 させて攻撃するサソリ型の改造人間で、飛行能力こそ持たないが攻撃力だけでなく、防御 力にも優れた万能タイプだ。」
381 :
BeeF :04/12/12 02:52:36 ID:ilXaiyaM
「そして、最も恐ろしいのがこの蜂型改造人間《アサルトビー》だ。高機動の飛翔能力を 持ち、厚さ10センチの鋼板をも貫く針を胸から連続して発射する。戦闘機キラーの異名を 持つ恐ろしい改造人間だ。胸の針は麻痺毒や溶解毒、洗脳薬などの発射にも使えるらしく、 一体で一個師団を充分壊滅させることのできる戦力を持っている。この8種類以外にも、 我々がまだ見たことのない改造人間が存在するかも知れない。さて。」 ここで、ダイモンはひと呼吸置いた。 「今回の任務だが、諸君ら女性工作員にとっては極めて過酷なものだ。一体で最新鋭戦車 を凌駕する戦力を持つ改造人間たちの群れに潜入しての調査。しかも身柄を拘束されれば 即、恐ろしい改造手術が待っている。だから今回の任務は強制ではなく、あくまで自由意 志での参加を求める。拒否しても、諸君らには何らの不利益もないことを保証しよう。い かがかね諸君。まず、ルイ?」 ルイはすかさず答えた。 「行きます! 改造人間にされた人たちを元に戻す方法を、私がきっと見つけてきます。」 「閃花?」 「任務なら…行きます。」 「レベッカ?」 「愚問よね、ボス。わたしが今まで任務に失敗したことがあったかしら?」 「よろしい。作戦の開始は3日後。敵との交戦は可能な限り避け、任務の遂行に専念して もらいたい。その他の情報は追って伝える。以上だ。成功を祈る。」
382 :
BeeF :04/12/12 02:53:42 ID:ilXaiyaM
3日前“ダイモン”から与えられた任務を思い起こしながら、XXAMの工作員桐島ルイ は、朝霧に包まれた神の鳥島北岸の断崖を登っていた。不思議なことに、この島の上空に は海鳥の姿がまったく見えない。島全体を覆うこともあるという、火山性ガスのせいだろ うか。植物の生育も概して悪く、島の最高峰アサヨ岳の北東面はほとんど禿げ山になって いる。 岩肌に張り出した、ツルツル滑る植物の根を掴みながら、ルイはようやく断崖の上に達し た。そこは、亜熱帯性の木々が繁茂する森だった。風向きの関係からか、このあたりの植 物の生育はそれほど悪くない。ルイは背の高い草の影に身を隠しながら、島の中央部目指 してゆっくりと進んだ。 “バズゥ”が彼女たち三人の侵入に気付いているかどうかはわからないが、島のあちこち には侵入者を察知するセンサーや、監視カメラが無数に設置されているに違いない。まっ たく見つからずにアジトまで辿り着けるという保証は無い。それでも、インセクトサイバ ーとの交戦は極力避けなければならない。 ルイは、琉球骨法と劈掛(ひか)八極拳の達人である。相手が人間ならば、どんな大男にも負 ける気はしない。だが銃弾を跳ね返す頑丈な外骨格に覆われ、一撃で人間を屠る武器を持 つインセクトサイバーが相手では、いくら武術の達人といっても分が悪すぎる。接近戦を 身上とする骨法や八極拳では、相手にすらならないだろう。だが、遠距離攻撃を得意とす る劈掛拳ならば、相手の不意をついて一撃を与えることは??おそらく一撃が限界であろ うが??不可能ではないだろう。一撃必倒、それがインセクトサイバーと闘う際の絶対条 件であった。一撃で倒せなければ、こちらが反撃に耐えられない。もっともインセクトサ イバーの外骨格に対しては、ルイの会心の一撃をしても、蚊が刺したようなダメージしか 与えられない可能性がある。しかしながら、彼女たち工作員には今回、絶対的な不利を覆 す、とっておきの武器があった。
383 :
BeeF :04/12/12 02:54:29 ID:ilXaiyaM
ルイは空気のわずかな乱れを感知するカレントセンサーを片手に、用心しながら歩を進め た。神経を研ぎ澄まし、周囲の全てに気を配りながら、ブーツが草に擦れる音も極力立て ずに進んでゆく。 突然、カレントセンサーに2つの反応が現れた。ルイは急いで手近な木に音もなくよじ昇 り、樹上に息を潜めて敵の出現を待ち構えた。 真っ黒な人影が2体、ルイのいる方向に歩いてきた。手には何も持っていないが、周囲を キョロキョロ見回しているところを見ると、哨戒中なのだろう。真っ黒なボディからする と、おそらくシャドウアントと呼ばれる戦闘員と思われるが、日本やアメリカで確認され た戦闘員が改造前の素顔をそのまま露わにしていたのに対し、ルイの目の前にいる2体は、 顔面がすっかりマスク状のもので覆われ、目だけをギラつかせている。 ルイは、ふと奇妙なことに気がついた。インセクトサイバーたちのボディは、衣裳ではな く改造された素肌のはずである。しかしながら目の前の2体の戦闘員は、どうやら黒い全 身タイツ状の衣裳をまとっているようなのだ。 《どうしてかしら? ここが亜熱帯のせい?》ルイは首をひねったが、その時ふと良いアイ ディアが浮かんだ。彼女たちのボディが衣裳ならば、それを奪えば戦闘員に変装できるの ではないだろうか? ルイは、右手に拳銃を取った。愛用のワルサーPPKではなく、小ぶりの奇妙な形の銃だ。 そして左手には、丸い弾のようなものを握った。 戦闘員たちが足元まで接近するのを辛抱強く待ち、タイミングを見はからって右手の銃を 前方遠く目掛けて撃った。
384 :
BeeF :04/12/12 02:55:48 ID:ba+nVxex
キュルルルルルル!! かん高い奇妙な音が宙を突っ切って飛んだ。敵の注意をそらせるホイッスル・バレット(鏑 弾)だ。それと同時に、ルイは左手の弾薬を勢いよく地面に叩きつけた。たちまち、もうも うたる煙幕が周囲を包み込んだ。 ルイは木から飛び降り、低い姿勢から身体をムチのようにしならせて、一体目の戦闘員に 真横から脚払いを食らわせた。いくら頑丈な改造人間と言えども、その体重は人間と変り がない。不意を突かれれば転倒する。前のめりになった戦闘員の額めがけて、ルイは渾身 の“穿掌”を繰り出した。 「はァっ!!」 ルイの手のひらが戦闘員の額にヒットした途端、パーン!という炸裂音がはじけ、戦闘員 は額から煙を上げて倒れた。その音に振り向いたもう一体の戦闘員の前に、ジャンプした ルイが飛び降り、後方に大きく身体をしならせながら、戦闘員の額めがけて両の手のひら を同時に叩き込んだ。「やぁッ!!」 激しい炸裂音と共に、2体目の戦闘員も煙を上げて倒れた。ルイの手袋に仕込まれていた のは、対インセクトサイバー用の秘密兵器、サイバーバスターであった。 「あらら? ずいぶんあっけなかったわね。」 頑丈なボディを持つインセクトサイバーたちにもひとつだけ、弱点と呼べる箇所がある。 それは、触角が生えた額の根元であった。サイバーバスターは強力な超音波パルスを改造 人間たちの知覚神経に与え、神経伝達を遮断するという武器で、神経の集中する額に直接 ヒットすれば、どんな改造人間でも一瞬にして卒倒させることができる。ルイたち3人の 工作員の手袋とブーツにはこのサイバーバスターが仕込まれ、攻撃と同時に発動するよう 調整されていたのだ。
385 :
BeeF :04/12/12 02:56:41 ID:ba+nVxex
ルイは、気絶した2体の改造人間たちを引きずって、木の陰に隠れた。完全に気絶してい ることを確認してから、そのボディを検分した。2体とも華奢で小柄な女性で、胸や腰の 発達も未熟である。まだ10代前半らしい。頭部を覆うマスクを苦労して剥ぎ取ると、愛く るしい東洋人少女の顔が現れた。額には改造人間らしく、触角が生えている。 ルイは自分の額のゴーグルを下ろし、脇に付いたダイヤルを調節した。背中のバックパッ クに内蔵された小型スーパーコンピュータに収納された、“バズゥ”の拉致被害者たちの データベースにアクセスしたのだ。たちまち、目の前にある少女の顔が分析され、その素 性がゴーグルの裏側に表示された。 「竹内さくら、13歳。大友絵美、12歳。…ひどいわ。まだ中学生じゃないの!」 こんないたいけな少女たちを改造人間に変えてしまう“バズゥ”の非道さに、ルイは改め て怒りが込み上げるのを感じた。 「ゴメンね。いつか必ず、あなたたちを人間に戻してあげるからね。」 ルイはそう詫びて、2人の中では身体が大きい竹内さくらの全身タイツを脱がせ始めた。 タイツは見たことのない非常に薄い生地だったが、極めて伸縮性に富み、しかも強靱だっ た。 「…あれ? これは…どういうことなの!?」 タイツを脱がせながら、ルイは思わず頭をひねった。何と、タイツの内側に隠れていたさ くらのボディは、全身が真っ青な皮膚で覆われ、乳房が黄色と黒の同心円模様で彩られた、 蜂型改造人間《アサルトビー》のものだったからだ。 もう一人のタイツも脱がせてみた。こちらは《マリオネットモスキート》だった。 《どういうことだろう。改造された後で、黒タイツを着て訓練していたのかしら?》
386 :
BeeF :04/12/12 02:57:57 ID:ba+nVxex
インセクトサイバーたちは、どんな環境の元でも全裸で行動できるよう、肉体を調整され ているはずだ。なぜわざわざ、改造した身体の上からタイツを着なければならないのか、 どう考えてもわからない。とりあえず悩むのはやめて、ルイは自分のボディスーツの上か ら、蜂女・竹内さくらが着ていた全身タイツをまとおうとした。 おかしい。なぜかタイツに拒絶されるかのように、脚が通らない。色々試行錯誤してみた 結果、服を着たままではこのタイツは着用できないということに気付いた。 ルイははたと困ってしまった。様々なギミックを備えた作戦行動用ボディスーツを、ここ で破棄するのは惜しい。だがタイツに着替えなければ、戦闘員に偽装することはできない。 意を決したルイは、ボディスーツを黙々と脱ぎ始めた。ブラジャーも、ショーツも脱ぎ捨 てて生まれたままの姿になった。そうしないと、タイツによって拒絶されてしまうのだ。 全裸になったルイの身体が、タイツの中にピッタリと包み込まれた。身長168センチのル イはさくらよりも20センチ近く高かったが、このタイツはまるでルイのためにあつらえた かのごとく、彼女の身体にピッタリとフィットした。 《ああッ…何だろうこのタイツ! 着ているだけで、身体が、ほてるように気持ちいいわ!!》 まるで全身を誰かに抱きしめられているかのような快感に襲われ、ルイは自分の乳房と股 間を押さえたまましゃがみ込んでしまった。乳首が勃起して固くなり、股間が潤んでくる のが自分でもわかる。ルイはそのまましばらく、太股を擦り合わせ、二の腕を撫でまわし ながら、不思議な恍惚に酔っていた。 《…いけないいけない! 何をしてるのよルイ。任務を忘れちゃダメでしょう!》 我に返ったルイは、自分を叱咤しながら立ち上がった。タイツの上からバックパックやホ ルスター、サイバーバスターが仕込まれた手袋などを身につけ、頭部を覆う黒いマスクを 被って戦闘員を装ったルイは、2体の少女サイバーたちを木の陰に隠したあと、島の中央 部目がけて歩きだした。全身を蝕む、奇妙な快感に絶えず悩まされながら。
387 :
BeeF :04/12/12 02:58:58 ID:ba+nVxex
工作員3人の中で最年少の李閃花(リ・シャンファ)は、島の周囲をぐるりと回り、海蝕 洞(波によって穿たれた洞窟)を探した。“バズゥ”のアジトが地下にあるのなら、必ず 下水の排水口が海に向かって存在するはずだと考えたのだ。もちろん、そんなものを目立 つところに作るはずがない。あるとすればそれは、隠れた洞窟の中に違いない。閃花の読 み通り、3つ目の海蝕洞の中に下水口は発見できた。 異様な匂いが漂う狭い通路を、閃花は用心しながら進んだ。下水道から標的に侵入するの には慣れている。だが注意を払わないと、少しの物音でも遠くまで大きく響く空間だ。幸 い、下水はほとんど流れていない。足元が不快な水音を立てる心配は無さそうだ。 ふと、左手のカレントセンサーが反応を示した。閃花は身を引き締め、前方に拡がる闇を キッと見据えた。 突然、閃花目がけて何かが飛んできた。動物的な本能で、それを素早くかわす。続いて2 発目、3発目。かわし切れなかった3発目を左手の手甲で受け流そうとした閃花は、無数 の糸のようなものが左腕にからみつき、きつく締め上げるのを感じた。 「…捕まーえた。」 前方の闇の中から現れたのは、黒いボディに黄色の縞が入った長い手脚を持った、スレン ダーな美少女だった。妖しくセクシーに腰を振りながら、閃花の方にゆっくりと近づいて くる。年の頃は17歳くらい。黒髪をボブカットにし、目鼻立ちのはっきりした東洋人であ る。閃花の左腕にきつく巻きついた糸は、少女の十本の指先から伸びていた。捕縛用改造 人間、アレストスパイダーの一体らしい。 閃花は、右手でゴーグルのダイヤルを回した。目の前のインセクトサイバーの素性が即座 に分析され、表示される。笠井真奈美17歳。日本人。女子校の修学旅行で東京にやって来 た際、観光バスごとクラスメートと共に拉致されたらしい。
388 :
BeeF :04/12/12 02:59:41 ID:ba+nVxex
「ずっと、誰かが来るのを待っていたの。もう逃げられないわ。あなたは、これからわた しと同じ改造人間になるのよ。」 「……」 妖しい微笑みを浮かべながら、糸を少しずつたぐり寄せ、アレストスパイダーが接近して くる。閃花は少しもあわてず、蜘蛛女が自分の間合いに入って来るのを待った。 充分な距離に近づいたのを見はからって、閃花は拳銃を取り出した。 「無駄よ。わたしたちに銃は効かないわ。」 「…やってみなければ、わからない。」 蜘蛛女はクスリと笑った。閃花は無表情のまま、引き金を引いた。ただし、蜘蛛女に対し てではなく、自分の左腕から伸びる蜘蛛の糸目がけて。 ボウン! 猛烈な臭気とともに、白い煙が上がった。それはただの銃弾ではなく、蛋白質を 溶かす強力酵素弾だった。糸がゆるんだ途端、閃花の身体は宙に舞った。 驚く蜘蛛女の目の前に着地した閃花は、蜘蛛女の眉間目がけて攻撃を繰り出した。 香港の犯罪組織“夜龍(イエルン)”の暗殺者であった閃花の闘法、殺手飛舞(サァソフ ェイウー)は、インドネシアの暗殺武術シラットを空中戦に特化する形で発展させた、独 自の闘法である。接近戦に長けたシラットとは異なり、身体のバネを生かした遠距離から の攻撃を得意とし、鷹翔飛舞、萬蜂飛舞、蝴蝶飛舞など幾つもの型を持つが、どれもシラ ット同様の一撃必中即離脱を特徴としている。
389 :
BeeF :04/12/12 03:00:36 ID:ba+nVxex
あでやかに宙を舞った閃花が蜘蛛女に加えた一撃は、鋒針(フェンジェン)と呼ばれる長 さ15センチほどの鋼鉄の針だった。どんなに強固な外骨格であれ、接合部には必ず耐久力 の弱い部分がある。閃花は最も装甲が弱いと思われる、まぶたの上の急所めがけて、機械 のように正確に鋒針を突き刺したのだ。 「ギャァアアアアアッ!!」 まぶたから大脳の奥深く、鉄の針を打ち込まれ、蜘蛛女は激しい悲鳴を上げてのけぞった。 閃花は素早く飛びのき、充分な間合いを取って第二撃に備えた。だが、その必要はなさそ うだった。 「イヤ! やめて! 改造人間なんてイヤだぁ! 助けて、助けてママ!」 蜘蛛女は頭を抱えて身体を激しく痙攣させ、泣きながら悲鳴を上げている。どうやら閃花 の一撃でマインドコントロールが一部解け、改造された際の記憶が甦ったらしい。 「やめてェッ! 改造されるのはイヤだぁッ!あッ!アアッ!」 汚水にまみれ、のたうち回って苦しむ蜘蛛女に、閃花はゆっくりと近づいた。 「…可哀想に、ずいぶん苦しんで。でも、もう、それも終わり…」 閃花は無表情のままそう言うと、蜘蛛女のまぶたに刺さった鋒針を掴み、渾身の力を込め てグサッ!と押し込んだ。 蜘蛛女は白目を剥き、口から泡を吹いて、動かなくなった。 閃花は鋒針を蜘蛛女の脳から抜き取ると、ハンカチで拭い、肱のホルダーに再びしまい込 んだ。こと切れた蜘蛛女に一瞥を加えると、閃花はそのまま何もなかったかのように、下 水道の奥を目がけて再び歩み始めた。
390 :
BeeF :04/12/12 03:01:51 ID:JOhLxWhr
3名の工作員のリーダーであるレベッカ・スウェンソンは、沢沿いに島の中央を目指して いた。いくら断崖に囲まれたテーブル状の島とはいえ、流れ出る川はある。断崖の裂け目 に小さな沢を見つけたレベッカは、チョロチョロと水が流れるその沢に沿って歩き出した。 歩きはじめてすぐ、改造人間たちが残した踏み跡が見つかった。 「How lucky I am! わたしってば何て運がいいの!このまま行けば、アジトの入り口に辿 りつけるはずね。」 沢伝いの道は、障害物が少なく見通しが良い。おそらくルイや閃花よりも早く、アジト内 部に侵入できるだろう。 彼女たち工作員に与えられた3つの使命のうち、改造手段の解明と拉致被害者の救助はル イが、“バズゥ”支配者の正体解明は閃花が、それぞれ主に担当する手筈になっていた。 レベッカの主な任務は、アジトの規模全容と兵力、耐久力の解明である。アジト内部をく まなく調査する必要があり、そのためには他の2人よりも早く、アジト内部に侵入しなけ ればならない。 そこでレベッカが打った手段は、一見無謀とも思えるものであった。あえて敵の前に身を 晒し、正面から乗り込んでゆく。どうせ島中に仕掛けられたセンサーによって、彼女の潜 入は遅かれ早かれバレてしまうはずだ。それならば逆に目立つ行動を取り、敵が自らアジ トの扉を開くように仕向ければいい。自分ひとりが身を晒せば、ルイや閃花が無事アジト に潜入するための陽動にもなる。“バズゥ”が自分たちを殺すはずがないことを、レベッ カはよくわかっていた。インセクトサイバーの素体にするべく、自分たちから門を開いて くれるはずだ。アジトに乗り込んだ後で騒ぎを起こし、それに乗じて姿を隠せば良い。 見通しの良い沢道は、敵から見つかりやすくなる反面、こちらからも敵の襲撃を察知しや すいというメリットがある。レベッカの左手のカレントセンサーは既に、沢の前方左右に 生えた木々の上に、それぞれ2体の改造人間が待ち受けていることを察知していた。いく ら影に溶け込んで隠れても、カレントセンサーからは逃れられない。
391 :
BeeF :04/12/12 03:02:28 ID:JOhLxWhr
レベッカは何事もないかのように、そのまま沢道を進んだ。彼女のボディスーツの両肩に は、奇妙なアンテナのようなものが伸びている。時折、パチッ、という火花が彼女の頭上 に閃めく。 レベッカが敵の真下に達したとたん、4つの黒い影が彼女目がけて舞い降りてきた。レベ ッカは思わずニヤリ、と笑った。 《来た来た来た来た……来たッ!》 バリバリバリバリバリッ!! 黒い4つの影がレベッカに触れようとしたとたん、凄まじい音と ともに彼女の頭上を白い電光が走り、4つの影を射貫いた。はじかれたように白煙を上げ て地上に叩きつけられる影。 「はあッ!」 レベッカは素早く飛びのき、メリケンサックのように両のこぶしにはめたサイバーバスタ ーを、倒れた4体の改造人間の額めがけて次々と打ち込んだ。わずか数秒の後、レベッカ の周囲には美しい女性の頭部を持った4体のシャドウアントたちが、痙攣しながら転がっ ていた。 「どう? わたしの新発明、電磁銀雷(マクスウェルズ・シルバー・ハンマー)の味は?」 レベッカはショルダーパッドを開き、ウズラ卵大の使用済みバッテリーを取り出して投げ 棄て、新品と交換した。彼女の肩から伸びたアンテナは、彼女の周囲に電磁フィールドを 張り巡らし、侵入者に80万ボルトの強烈な電撃を見舞わせるためのものだった。 《わたしってば運がいい! こんな見事な実験、研究室じゃ到底できないものね。》 技術者としても超一流の腕を持つレベッカは、この他にも様々な発明品を身につけている。 サイバーバスターや、彼女たちを無事に島まで運んだソニックジャマーもまた、彼女の発 明による新兵器であった。
392 :
BeeF :04/12/12 03:03:14 ID:JOhLxWhr
レベッカはアメリカの大富豪の令嬢で、若干9歳でマサチューセッツ工科大に入学した天 才である。IQは300。16の博士号を持ち、取得したパテントは優に千件を超える。スポ ーツも万能で、B98・W62・H98のスーパーモデル級ナイスバディ。北欧系の名字が示 す通り、ゆるやかなウェーブのかかった見事な金髪と、澄んだ青い目が魅力的な絶世の美 女だった。加えて、快活で人当たりの良い性格。ついたあだ名が“ミス・パーフェクト”。 そのミス・パーフェクトが諜報部員を職業として選んだのは、ひとえに「自分のあり余る 才能を遺憾なく発揮できる場」を求めてのことであった。それ以来、レベッカは人並み外 れた強運に守られながら、与えられた全ての任務をそつなくこなしてきた。もっともその 強運というのは、彼女の卓越した観察眼と洞察力のたまものに他ならなかったのだが。 気絶したシャドウアントたちをそのままにして、レベッカは沢道をさらに進んだ。彼女の 期待に反して、改造人間たちの歓迎はそれ以降は無かった。木々が次第にまばらになり、 標高273メートルのアケヨ岳の中腹に差しかかる頃、巨大な岩の陰に、アジトに通じるら しい金属の扉が現れた。 「…なんだ。お出迎えは無しか。」 中からインセクトサイバーたちが大挙して出て来るのを期待していたレベッカは、残念そ うにそうつぶやいた。扉が中から開かないのならば、外から無理やりこじ開けるしかない。 だがチタン合金のような材質で作られたその扉は、彼女の持つプラスティック爆弾では到 底破壊できそうになかった。 レベッカは工具で扉の脇にあった制御盤の蓋を力づくで開き、左腕に篭手のごとく取りつ けられているコンソールのカバーを開いて、制御盤とコードで接続した。コンソールはバ ックパックの中にある、小型スーパーコンピュータに繋がっている。コンソールのキーボ ードを右手で叩きながら、レベッカは扉を制御しているアジトのシステムコンピュータへ のハッキングを開始した。腕づくで開かないのなら、開くように命令するまでだ。
393 :
BeeF :04/12/12 03:03:53 ID:JOhLxWhr
《…ダメだわ。思った通り、見たことも無いアーキテクチャーが使われている。宇宙人の テクノロジーだという噂は本当かも。もう! わたしってば何て運が悪いの!》 何度チャレンジを繰り返しても、システムへのアクセス権は取得できなかった。途方に暮 れていたレベッカはしかし、カレントセンサーが急に反応を示したのを見逃しはしなかっ た。 「!」 バリッ! 電磁銀雷が閃き、勢いよく伸びてきたムチ状の何かをはじき飛ばした。レベッカ はコンソールから素早くコードを引き抜き、岩陰にサッと身を隠した。 藪の中から姿を現わしたのは、全身が赤い全身タイツのような皮膚で覆われた、大柄な黒 人の美女だった。ふくよかな胸を持った、筋肉質の堂々とした体躯。股間に開く大輪の花 びらを恥ずかしげもなく露出したその姿は、まるで野生の女神のようであった。尻からは 長いムチのような尻尾が伸びている。さっきレベッカを襲ったのもこの尻尾らしい。イン セクトサイバーの中でも最も戦闘力と防御力に優れた、アームドスコーピオンである。 《…わたしってば、やっぱり運がいいわ! このままじゃ、らちが明かなかったものね。》 レベッカはゴーグルのダイヤルを操作して、目の前の改造人間の素性をサーチした。ミラ ンダ・ジョンソン、26歳。陸上界のトップアスリートである。 《一般人よりも瞬発力がありそうね。ちょっとやっかいな相手かも。》 サソリ女は胸を張りながら、岩陰のレベッカに向かって落ち着いた声で呼びかけた。 「何をコソコソ嗅ぎ回っているんだ? 下等な人間め。早くお前も、我々インセクトサイバ ーの仲間入りをするがいい。」 サソリ女の手首が徐々に変形し、長い鎌のような形になってゆく。両の手首を互いに組み 合わせると、刃渡り1メートル近い巨大なハサミが完成した。 レベッカは胸のホルスターから、愛用の拳銃を取り出した。シグ・ザウエルP230。だが装 填されているのは、普通の弾丸ではない。 レベッカは右手に拳銃を構えて、岩陰からゆっくり姿を現わした。左手で腰のベルトをま さぐり、何かを取り出す。 サソリ女は、あきれたようにフッ、と鼻を鳴らした。 「やめておけ。私に銃は効かん。」
394 :
BeeF :04/12/12 03:04:55 ID:JOhLxWhr
その言葉が終わらないうちに、レベッカは銃を撃った。2発。3発。サソリ女はハサミを 振り上げ、余裕でそれを跳ね返そうとしたが、1発がハサミのすき間をかいくぐり、サソ リ女の顔を直撃した。 「…グ、グワあッ!」 シュウシュウと煙を上げるサソリ女の顔。両手のハサミを解除したが、あわてているので 元の形にはなかなか戻らない。レベッカが撃ったのは改造人間たちの皮膚を溶かすことが できる、強力酵素弾だった。もちろん銃弾に詰められた少量の酵素弾では、たいしたダメ ージを与えることはできない。だが目潰しとしての役は充分に果たす。 サソリ女の尻尾が、レベッカ目がけて襲いかかってきた。レベッカは素早くそれをかわし、 左手のチェーンウィップ(鎖鞭)を放って尻尾をうまくからめ取った。レベッカはそのまま顔 を覆って苦しむサソリ女の正面に移動し、振り上げた片足を、渾身の力でサソリ女の額め がけて振り下ろした。 「やあッ!!」 かかと落としが決まると同時に、ブーツに仕込まれたサイバーバスターが発動した。 パアン! 鋭い炸裂音とともに、サソリ女は地面に倒れ伏した。 「…ふうッ。ざっとこんなもんね。」 ふと思いついたことがあり、レベッカは気絶したサソリ女を引きずって、扉の前に再び座 り込んだ。コンソールを扉と接続した後、サソリ女の背中を支えて扉の前に立たせた。 『…同志と確認。扉を開きます…』 小さな少女のような愛らしい音声が響き、あっさりと自動扉が開いた。 「やっぱりこうなっていたのね。サソリさん、扉まで開けてくれてアリガト! さっきのシ ステムの反応で、ハッキングの目星もだいたいついてきたわ。」 レベッカはサソリ女を扉の外に放り出すと、薄暗いアジトの内部に乗り込んでいった。
395 :
BeeF :04/12/12 03:05:46 ID:JOhLxWhr
それよりも少し後、ルイはアジトの正面扉に近い場所に辿りつき、周囲を伺っていた。 いくら戦闘員の衣裳を奪ったといっても、ホルスターやバックパックを身につけたその姿 はちょっと目立ち過ぎる。それに、顔全体を覆う黒いマスクがどうにも息苦しい。不快と いうわけではない。逆にマスクを着けているだけで顔が熱くほてり、例えようのない快感 に苛まれるのだ。このままじゃいけない! 快感をふっ切るようにマスクを剥ぎ取ったルイ は、戦闘員に偽装したまま潜入するのを諦めた。だがボディスーツを脱ぎ捨ててしまった 以上、奪ったタイツを着たままで行動を続けなければならない。 そのタイツは、工作員常用のボディスーツ以上に、軽く丈夫で動きやすい素材でできてい た。暑さ寒さも感じない。これまで見たことのない素材だったが、工作員の衣装としては 最高のものに思われた。 《これを着たまま持って帰ってやろう。ベッキーもきっとよろこぶぞ。》 固く閉ざされた正面扉に辿りついたルイは、付近をくまなく捜索した。岩に偽装した、空 調の吹き出し口を発見した。グリルを外して内部を確認する。通風管は一辺50センチほど の矩形だった。人間が通るのに充分な広さがある。 「よし!」 ルイは通風口に潜り込み、真っ暗な送風ダクトの中を、腹這いになって進んでいった。ダ クトは上へ下へと不規則に折れ曲がっていたが、工作員の訓練を積んだルイにとっては何 でもない。途中、何箇所か巨大な送風扇に行く手を遮られたが、ある時は迂回し、またあ る時は送風扇を解体しながら、進路を切り開いていった。 ルイはただ、闇雲に動き回っていたわけではない。迷路のようなダクトの中をどれだけ進 んでも、彼女は常に自らの現在位置を正確に把握していた。東西南北の方向、自分のいる 現在地点の標高、それらを踏まえながら、ルイはアジトの内部構造を自分の身体で理解し ようと努めていたのだ。ルイの目的地は、拉致された女性たちが収容されている場所と、 改造手術室であった。それらはおそらく、深い階にあるに違いない。ルイは目星を付けた 場所を目指して、可能な限り急いだ。
396 :
BeeF :04/12/12 03:07:26 ID:avGwDP0O
戦闘員のタイツをまとったルイの身体は、相変わらず奇妙な感覚に苛まれていた。ほてる ように熱くなったかと思うと、むず痒い感覚に包まれる。じんじんとした痺れが全身を襲 ったかと思うと、不意に感覚が無くなって自分の身体とは思えなくなる。特にふくよかな 両の乳房が、きつく締め付けられるような、誰かに絶えず揉みしだかれているような、不 思議な感覚を強く感じていた。 「あッ…!!」 全身が、今度は強烈な快感に襲われた。ルイは歩みを停めて全身を固くし、その快感に必 死で耐えた。乳首が固くなり、股間は自ら分泌した蜜で既にグショグショになっている。 数分後、ようやく快楽の嵐が去り、ルイは顔を真っ赤にほてらせながらヨタヨタと進み始 めた。 《やっぱり、このタイツは普通じゃないわ。早く別の衣装を手に入れて脱ぎ捨てないと!》 前方から、ブオンブオンと鳴る風の音に混じって、女性の悲鳴が聞こえてきた。 《あそこね!》 ルイは悲鳴のする部屋を探し出し、天井の送風グリルのすき間から、部屋の内部を覗き見 た。 「…やめて …お願いです…お願いだから許して下さい!」 「…助けて! あなた! 助けて! イヤあああッ!!」 「イヤだーッ! イヤだイヤだ! 誰か助けてェッ! お願いッ!」 泣き叫ぶ全裸の女性が何人も、手術台のようなものに手足を縛られたまま、手術台ごとベ ルトコンベアーに乗せられて運ばれてゆくところだった。彼女たちの行く手には、ぐぉん ぐぉんとうなる巨大な機械がトンネルのように待ち受けていた。女性の一人が機械に飲み 込まれると、中から強烈な光がまたたき、悲痛な女性の悲鳴が聞こえる。それが終わると、 3箇所ある出口のいずれかから、女性を乗せた手術台が吐き出されてくる。 機械を操作していたシャドウアントのひとりが、ひとつ目の出口から出てきた20代の東洋 人女性に近寄って、冷たく言い放った。 「残念だったわね。あなたは改造不適格と判断されたわ。我らが偉大な支配者の栄養とな れることに感謝なさい!」 ベルトコンベアーの先は、奈落の底へと通じていた。東洋人の女性は手術台に乗せられた まま、凄まじい悲鳴を上げて暗闇の奥へと落ちていった。 「……キャアアアアアアッッッ!……」
397 :
BeeF :04/12/12 03:08:33 ID:avGwDP0O
ふたつ目の出口から、今度は18歳くらいの白人女性が出てきた。ブルネットの髪のとびき りの美女だ。別のシャドウアントが彼女に向かってこう言った。 「おめでとう。あなたは“バズゥ”のインセクトサイバーとして選ばれたわ。これから改 造手術を受けて、わたしたちの仲間に生まれ変るのよ。」 「イヤあッ! イヤッ!やめて! 助けて! 改造人間なんてイヤだぁッ!」 白人女性を乗せた手術台はそのまま、隣の部屋に続く穴へと消えていった。 《どうやらここは、改造素体の選別室なんだわ。あの向こうに、改造手術室があるのね。》 ルイは怒りがふつふつと胸の奥に込み上げてくるのをこらえながら、周囲をよく観察した。 囚われの女性たちを助けたいのはやまやまだが、部屋の中にはシャドウアントが9体、護 衛のアームドスコーピオンが3体もいる。飛び出していって勝てる相手ではない。ルイは じっと、チャンスの時を待つことにした。 3つ目の出口から出てきた20歳前後の金髪の白人女性は、さらに別の機械の中へと運ばれ ていった。プシュウウ!という音が響き、機械から出てきた女性の身体は、ルイが遭遇し た戦闘員と同じ、黒いタイツを全身に着せられていた。顔をマスクですっぽり覆われたま まウッ、ウッとすすり泣く女性に向かって、シャドウアントがこう告げた。 「あなたは、インセクトサイバーの“候補”として選ばれたわ。今から24時間、その改造 タイツをまとってこの島で過ごしなさい。そのタイツの裏側には、素体を選別改造する特 殊なナノマシンが散布されているの。タイツが発する選別刺激にみごと身体が応えること ができたならば、あなたの身体はタイツによって予備改造され、インセクトサイバーの一 員となれるわ。後で本改造を受けるために、ここに戻ってらっしゃい。もしもタイツに選 ばれなければ、タイツに全身を蝕まれて狂い死にするまでよ。」 黒タイツを着せられた女性は、手術台から解き放たれ、シャドウアントの一体に連れられ て嗚咽しながら部屋を出ていった。 この一部始終を見て、ルイは激しいショックを受けた。 《何ですって! 改造タイツ!? それじゃあ、これを着たままでいるとインセクトサイバーに 改造されちゃうって言うの?》
398 :
BeeF :04/12/12 03:09:22 ID:avGwDP0O
ルイは、あわててタイツの首回りをはだけてみた。薄暗いダクトの中ではよくわからなか ったが、肌の色がすっかり変色していた。特に乳房の回りが奇妙な模様になっている。ル イは顔面蒼白になった。早く、早くこのタイツを脱がなければ! 改造人間にされてしまう! だが肩幅がやっと通る程度の狭いダクトの中では、バックパックやホルスターを外してタ イツを脱ぐのは不可能だった。ルイはあわてて、タイツを脱げる広い空間を探しにダクト の中を進んでいった。気があせるばかりで、身体は遅々として前に進まない。 ようやく、無人の部屋が見つかった。送風グリルを外し、前転しながら通風口から身を乗 り出し、部屋の中央に飛び降りた。バックパックとベルトを外したルイは、あせる手でタ イツを脱いでいった。そして、そこに現れた自らの身体を見て、愕然となった。 《な、何よ、この身体!》 ルイの皮膚は、全身がすっかり濃い青色に染まっていた。手脚の先は白く、両の乳房は黄 色と黒のはっきりした同心円模様になっている。このタイツの元の持ち主だった蜂女と、 まったく同じ姿だ。 ルイはポロポロと涙をこぼしながら、皮膚の表面を激しくこすっみた。ひょっとして色が 剥げないかと期待したのだ。だがどれほどこすっても、皮膚の色は変らなかった。よく見 ると、皮膚表面の感触が既に人間のものとは異なっている。ラバーのような弾力性を持っ た緻密な質感だ。簡単には傷がつきそうにない。全身のうぶ毛だけでなく、脇や股間の毛 がすっかり消失し、ぐっしょりと濡れた性器があらわになっている。そして何よりもルイ を驚かせたのは、手足の指の変化だった。白い長手袋状に変化した手先は関節部のシワが まったくなくなり、指先の爪が消失していた。もちろん、指紋も無くなっている。足の指 は一体化し固くなって、まるでブーツの底のように変化していた。あわてて額に手をやっ たルイは、自分の額に大きな触角が生えているのに気付いてさらに呆然となった。
399 :
BeeF :04/12/12 03:10:01 ID:avGwDP0O
蜂女に変化したのは、表皮だけなんだろうか。どうやらそうではなさそうだった。ルイは 自分の乳房が、自分の意思とは関係なく淫らに蠕動するのを感じていた。身体の側面、脇 の下から太股にかけて、幾つも小さな穴が並んでいた。その穴はルイの呼吸とともに、開 いたり閉じたりを繰り返していた。 《何よこれ! 昆虫の気門じゃないの!?》 どうやら彼女の肉体は、既にかなりの部分がインセクトサイバー化しているようだった。 ルイは混乱して、もはやその場に立っていられなくなった。しばらくその場にしゃがみ込 み、心の中を暴れ回る激情に身を任せて嗚咽を繰り返していたが、やがてブンブンと首を 振って立ち上がった。 《いけないいけない! いつまでも泣いてちゃダメ! 人間を改造できるのなら、必ず元に戻 す手段もあるはずだわ。それを探せばいいのよ。そう! わたしがこの島に潜入した目的は、 それを探すことなんだから!》 自らを叱咤激励して、ルイは全裸の上にバックパックとホルスター、ベルトを装着した。 見張りがいないかよく確認してから、部屋の扉を開けて廊下へと出ていった。改造されて しまった肉体は、もはや寒さも暑さも感じない。それはありがたいことだった。 《この状態でいちばん気をつけなければならないのは、仲間にバッタリ出会うことね。ど こから見ても、今のわたしは改造人間だもの。特に閃花に出会ったりしたら、たちまち攻 撃されるに決まってるわ。》 ルイは、先程の部屋の隣にあった改造手術室を目指して、注意深く進んでいった。
400 :
BeeF :04/12/12 03:10:49 ID:avGwDP0O
レベッカは既に、インセクトサイバーたちの群をくぐり抜けて、アジトの中央コンピュー タ室に侵入していた。左腕のコンソールを開き、ケーブルを端末に接続したまま、必死で ハッキングを繰り返している。 これまで見たことのない、特殊なアーキテクチャーのコンピュータだった。扉の開閉に苦 労した時とは異なり、既にアクセス権は手に入れたものの、どうしてもイニシアティヴを 握ることができない。とりあえずサーチプログラムをインストールし、システムの反応か らカーネルの構造を解析して、データの収納アドレスを突き止めようと何度も試みたが、 拒絶されるばかりでさっぱり前に進まない。やっとのことでアクセスしたデータも、天文 学的な規模の暗号化が施されており、解読は不可能な状態だった。 《参ったな…こんなこと、始めてだわ。私ってば、今日はなんて運が悪いのかしら。》 レベッカはふと、システムの外側にある奇妙な単体プログラムの存在に気付いて、それに アクセスしてみた。とたんに目の前の巨大ディスプレイに、ひとりの少女の姿が映し出さ れた。 不思議の国のアリスのような、クラシックなエプロンドレスをまとった、10歳くらいのプ ラチナブロンドの少女だった。少女のまとうドレスは赤と黒と緑の混ざった、極彩色で彩 られている。少女の背景も、ドラッグで悪酔いしたかのような極彩色のサイケデリック模 様で覆い尽くされていて、見ているだけで目が痛くなりそうだった。 「…お姉ちゃん、だれ?…」 少女は明らかに、レベッカに向かって尋ねていた。レベッカはあわてて、バックパックの スーパーコンピュータを使ってプログラムの素性を解析した。 『仮想人格プログラムの可能性、70%。予想される役割、システムナビゲータ。』 どうやらこの少女は、コンピュータを扱う者を補助する、ナビゲータプログラムらしい。
401 :
BeeF :04/12/12 03:11:45 ID:avGwDP0O
レベッカは思わず微笑んだ。 《考えてみれば、ここに拉致されてきたのは女性ばかりで、コンピュータに弱い人も多い でしょうからね。ナビゲータを用意しているのは、ある意味当然かもね。》 「わたしはベッキーよ。あなたは、一体だあれ?」 「わたしは、アリス。アリス・ザ・キャタピラー(芋虫のアリス)。」 「そう。じゃあアリス、あなたの役割はなあに?」 「わたしは、案内役。わたしがいる、この世界への案内役。」 「あなたの世界って、一体どんなところ?」 「この島のすべて。虫になった、たくさんのお姉ちゃんたちが眠っていたり、わたしたち みんなのママが眠っていたりするの。」 レベッカは内心しめた! と思った。私ってば運がいい。このプログラムをうまく利用すれ ば、システム内部へのアクセスが可能になりそうだ。 「じゃあアリス? わたしをあなたの世界に、案内してちょうだい。」 「だめ。お姉ちゃんは、まだ虫じゃないもの。」 「どうして、虫じゃないってわかるの?」 「だってお姉ちゃんは、この島に入りこんだ、3人のお姉ちゃんのひとりなんでしょう?」 レベッカは驚いた。このプログラムは、自分たち3人の工作員のことを知っている。 「…どうしてそんなことがわかるの? あとの2人がどこにいるかも、あなたは知っている の?」 「この島のことなら、わたしはぜんぶわかるの。お姉ちゃんも、他の2人のお姉ちゃんも、 もうすぐ虫になるのよ。」 「わたしたちは、けっして虫にはならないわ。悪いけど。」 少女はクスクスと笑った。 「もう遅いわ。お姉ちゃんたちのひとりは半分、虫になってるもの。そしてベッキーお姉 ちゃんも、今すぐにここで虫になるの。」
402 :
BeeF :04/12/12 03:13:31 ID:bOEawPhY
レベッカはハッとした。急いでゴーグルのダイヤルを回し、拉致被害者データベースにア クセスする。あった! イヴェット・アルノー。10歳、フランス人。プログラムじゃない! 改造人間だ!! レベッカは急いで、コンソールの非常スイッチを押した。アクセス解除と共に、強烈な電 気パルスがケーブルを伝わって、システムコンピュータに物理的な攻撃を加える。 パァン!! 炸裂音とともに、ディスプレイが煙を上げてダウンした。 レベッカはふらつきながら立ち上がった。頭が痛い。あの少女の背景のサイケデリック模 様を見てから、頭がズキズキする。洗脳パターンだ。油断した。すっかり騙されてしまっ た。いや、初めて出会うプログラムへの好奇心が、注意力を押し殺してしまったのだ。 「ウフフフフッ…アハハハハハッ…」 コンピュータ室の高い天井のどこかから、さっきの少女の笑い声が響く。レベッカは激し い頭痛をこらえて、最後の切り札をホルスターから取り出した。22口径ハイパーブラスタ ー。小型のエネルギー・パックを用いた、小型高出力のレーザー・ガンである。インセク トサイバーの外骨格を撃ち抜けるかも知れない、唯一の武器であった。 アゲハ蝶のような極彩色の羽根を広げて、さっきの少女が天井から舞い降りてきた。ふく らみ始めたばかりの胸、まだ未発達のボディも、極彩色の縞模様によって覆われている。 ドリームバタフライ。催眠を得意とする特殊工作用改造人間だ。 「…お姉ちゃん。そんなことをしてもムダだよ。お姉ちゃんはもう、わたしのとりこなん だから。」 レベッカは、ハイパーブラスターの銃口を少女に向けた。どんなに幼くたって改造人間だ、 容赦はいらない。頭痛をこらえながら狙いを定めて、レベッカは引き金に指を当てた。 だが、彼女の手はひとりでに動き出した。ハイパーブラスターの銃口は、彼女の側頭部へ と向けられた。抵抗しようとしても、身体がまったく言うことを聞かなかった。 「…あ…あ…あ!やめてッ!」 レベッカは、自分の頭目がけて、ハイパーブラスターの引き金をゆっくりと引いた。
403 :
BeeF :04/12/12 03:14:19 ID:bOEawPhY
はッ! レベッカは我にかえった。気がつくと彼女はまだ、コンソールのケーブルをシステ ムコンピュータにつなぎ、アクセスを試みている最中だった。すべては、彼女が見た幻覚 だったらしい。 彼女の後ろに、蝶の羽根を持った少女がいた。 「さあお姉ちゃん。着ている服をぜんぶ脱いで。隣の部屋に、特別に改造手術台を用意し てあるわ。」 レベッカの身体はひとりでに立ち上がり、身につけたコンソールやバックパック、ホルス ター等を外し始めた。 「…ダメ! ダメよ! ダメだったら!!」 口は動くが、身体はまったく言うことを聞かない。レベッカの身体は黙々とボディスーツ を脱ぎ、ブラジャーを外した。98センチの豊満な胸がぷるん、とあらわになった。 「い、イヤよ。改造されるのはイヤ! イヤだったらイヤ!」 レベッカは、レースのついた黒のショーツを脱ぎ捨て、生まれたままの姿になった。 「ふうん。きれいな身体だねお姉ちゃん。でももうすぐ、わたしと同じインセクトサイバ ーに生まれ変るんだよ。」 隣の部屋に通じるドアが開いた。レベッカはゆっくりと、そちらに向けて歩み始めた。 彼女は覚悟を決めた。改造されるくらいなら自爆する方がマシだ。ああ、わたしってば何 て運が悪いんだろう。でも仕方がない。舌の先で奥歯のキャップを外し、プラスティック 爆弾の起爆スイッチを力いっぱいに噛みしめた。 ・・・ 何も、何も起こらなかった。レベッカの歯が、スイッチの手前で止まってしまったのだ。 「…あががが…あがが…」 もはや、レベッカは自分の意思で口を動かすことすら、できなくなっていた。 「ダメだよぅベッキーお姉ちゃん。せっかく生まれ変れるチャンスなんだから。ほら、も っと嬉しそうな顔をして。改造手術が終わったら、きっと生まれ変わったことに感謝する んはずよ。そうそう。改造手術って、とおぅっても気持ちいいのよ!」 《いやぁ! 助けて! 誰か! 助けて!! お願い!!》 レベッカの心の叫びは、誰にも届かなかった。蝶の羽根を持った少女に付き添われたまま、 彼女の真っ白な裸体は、改造手術室の中へと消えていった。
404 :
BeeF :04/12/12 03:15:32 ID:bOEawPhY
その頃、閃花はアジトの中枢区画に潜入し、内部構造を確かめながら移動を繰り返してい た。彼女の主な任務は、“バズゥ”支配者の正体解明だった。だがどの区画にも、手がか りになりそうなものはなかった。 シャドウアントを一体捕らえ、脳に鋒針を突き刺して尋問を試みた。閃花は鍼の極意も心 得ている。相手が人間ならば、これでペラペラ喋るはずであった。だがインセクトサイバ ーの神経組織は人間のものとは異なるのか、脳が壊れただけで何ひとつ聞き出すことはで きなかった。 ひょっとしたら、改造人間たちも自分たちの主人について、何も知らないのかもしれない。 それでも、彼女たちに命令を伝える経路がどこかにあるはずだ。いったいどこで、改造人 間たちは指令を受けとっているのだろう? やむを得ず、閃花は上層に移動した。インセクトサイバーたちがたむろする場所を見つけ れば、きっと手がかりが得られる。多少危険だが、仕方が無いだろう。 階段の陰に身を隠した閃花の後ろから、彼女を呼ぶ声が聞こえた。 「閃花、閃花!」 閃花は拳銃を抜いてキッ! と振り向いた。まさか、このわたしが後ろを取られるなんて。 険しい目でにらむ閃花の前に現れたのは、別行動を取っているはずのレベッカであった。 「閃花。無事で良かったわ。」 「…レベッカ。どうして合流するの。一網打尽にされないよう、別行動を取る手筈よ…」 「緊急自体なのよ閃花。ルイが連中に捕まって、改造されちゃったの。もう、ホントに運 の無い子なんだから!」 「ルイが…」 「そう。この先の改造手術室にいるわ。アサルトビーに改造されて、格段に手強くなって いる。私だけじゃあ歯がたたないわ。だからお願い。手を貸して! あの子を楽にしてあげ なければ!」
405 :
BeeF :04/12/12 03:16:29 ID:bOEawPhY
「…わかった。」 レベッカの案内で、閃花はその階を先に進んだ。ふと、閃花はレベッカに問いかけた。 「レベッカ。どうして、香水がいつもと違うの。」 「…え? ああ今日はね。気分を変えてみたい時ってのもあるじゃない?」 「…そう。」 その答えを聞くや否や、閃花はレベッカの額めがけて強烈なパンチを繰り出した。 パアン! サイバーバスターが炸裂し、レベッカは地に沈んだ。 「工作員が、香水をつけるはず、ないじゃない…」 気絶したレベッカの姿が、徐々に別のものに変っていった。虹色に輝くボディを持った、 20代前半の東洋人の女性だった。背中には、玉虫色をした甲虫の羽根が生えている。 見たことのない、新タイプのインセクトサイバーだった。別の人間に化けることができる 改造人間。姿だけでなく、口癖や身振りのちょっとした癖まで、完璧にコピーしている。 腑に落ちなかったのは、インセクトサイバーが、閃花たち3人のことを既に知っていたこ とだ。誰かが既に“バズゥ”の手に落ちたに違いまるまい。それがルイなのかレベッカな のか。いずれにせよ、それまでの仲間もいったん改造されてしまえば明らかに敵だ。決し て容赦してはならない。閃花はレベッカに化けたインセクトサイバーが案内しようとした、 改造手術室の前に立ち、用心しながらその扉を開いた。
406 :
BeeF :04/12/12 03:17:18 ID:bOEawPhY
急造の改造手術室の中央、レベッカの身体は円形の手術台の上に、大の字に固定されてい た。彼女の両側には、明滅する色とりどりのランプが一列に並び、奇妙な音を立てている。 3体のシャドウアントが手際よく、レベッカの脇、脇腹、太股、そして乳房といった、全 身の性感帯に電極を固定していった。乳首の奥めがけて、鋭い痛みとともに長い針がブス リと差し込まれた。股間の秘唇が広げられ、皮を剥かれたクリトリスに電極キャップが被 せられた。 「い…いやよ…やめて…やめてってば!」 蝶の羽根を持った少女の合図と共に、全身の電極に鋭い刺激が走った。たちまち凄まじい ばかりの快感がレベッカの肉体を襲い、彼女は全身を激しく痙攣させて悶えた。 「ア! ア! ア! やめて! やめてお願い! アアッ!!」 ガクガクと身体を震わせ、口から泡を飛ばしながら、レベッカは腰をくねらせて悶え狂っ た。手術台の両脇にある遺伝子活性化光線も、激しい明滅を繰り返した。 シャドウアントが二人がかりで、レベッカの腰を押さえつけた。蝶の少女が太さ5センチ ほどの蠕動するノズルを取り上げ、すっかり濡れそぼってグショグショになっているレベ ッカの秘孔に、ズブリと押し込んでいった。 「アアッ! 痛いッ…アッ…アッ…アアアッ…アウッ…アウッ…!」 膣の最奥まで挿入されたノズルは、激しく蠕動しながら、レベッカの胎内に何かを次々と 注ぎ込んでゆく。気も狂わんばかりの快楽に、レベッカは腰を浮かせてリズミカルに振り ながら、悩ましい嬌声を上げてあえぎ、よがり、悶えるのだった。 「…あん…あうん…はうん…んッ…んッ…あうンッ…はうッ…はうッ…はああんッ…」 26歳のレベッカは、もちろん処女ではなかった。だが彼女はここ15年以上も、男性と交わ ってはいなかった。 9歳にして大学に入学した天才少女レベッカ・スウェンソンは、その人形のような美貌で 他の学生たちに可愛がられる一方、激しい嫉妬を一身に受けた。負けん気の強い少女は、 見下されないために大人ぶろうと努力した。彼女は大人の恋愛に混ざろうとし、幼女趣味 の男子学生のひとりに処女を捧げ、肉体関係を持つに至った。だが知識は豊富でも、人生 経験のほとんど無い少女には、大人の生々しい性愛は過酷なものだった。
407 :
BeeF :04/12/12 03:18:18 ID:bOEawPhY
自分が愛されていると信じてはいたが、その実、彼女は単なる可愛いペットに過ぎなかっ た。やがてレベッカは妊娠し、さらに中絶を繰り返した。そして10歳になった時には、彼 女はもう一生、子供を産めない身体になっていた。身も心も深く傷付いたレベッカは、以 後男性に対して心を閉ざし、恋愛を自らに禁じた。もっとも、ミス・パーフェクトに釣合 う男性など、この世のどこにも存在しなかった。ナイスバディの絶世の美女に成長したレ ベッカを、男性たちはみな憧れのまなざしで見つめたが、声を掛ける勇気のある男性はほ とんどいなかった。 哀れなレベッカは性の喜びを知らぬまま、年老いてゆく運命だったのかも知れない。だが、 その運命はこの日、大きく変転した。 子宮の奥に改造ナノマシンを注入される改造セックスによって、レベッカは、とうとう女 としての歓びに開眼した。もはや彼女には、思考する力は残されていなかった。ただただ 性欲に飢えた一匹の牝となり、少しでも快楽をむさぼり尽くそうと腰を振りながら、至高 の快楽にあえぎ狂っていた。 「…はうッ! …はうッ! …ああッ…あッ…あッ…あうッ! …あうッ! アアアッ!…」 《これが…これが改造手術なの!? …ステキ!…なんてステキなの!! …わたし、改造人間に されているのね…何て、何て幸せなの! …もっと、もっとわたしを改造して!! …ああッ!! …わたしってば、何て運がいいんだろう! こんな素晴らしい思いができるなんて! 最高 よ、サイコー!!》 レベッカの身体が、次第に青い色に染まってきた。乳房の周囲に、黄色と黒の同心円模様 が、くっきりと浮き上がってきた。 そして半時間後。手術台の上に横たわっているのはもはや諜報部員レベッカ・スウェンソ ンではなく、“バズゥ”の命令通りに動く、蜂型改造人間の最新作であった。
408 :
BeeF :04/12/12 03:19:09 ID:bOEawPhY
部屋に残っていたインセクトサイバーたちを一通り倒し、蜂女の姿のルイは、改造手術室 の設備をひとつひとつ確かめていた。改造された身体を元に戻す方法を見つけるためだ。 《ダメだわ。さっぱり仕組みが理解できない。これは何とかして、ベッキーに事情を説明 して見てもらわないと。けど、果たして今のわたしの姿を見て、信用してもらえるのかし ら?》 ルイが途方に暮れていたその時、手術室の扉がバタンと開き、外から黒い影が飛び込んで 来た。 「閃花!?」 突然のことにルイは驚愕した。いや、驚いたのは閃花も同様だった。互いに見つめ合う一 瞬の呼吸の後、両の拳にサイバーバスターをはめた閃花が、ルイ目がけて襲いかかってき た。 反射的に飛びのくルイ。 「違う! 違うのよ閃花! わたしは、改造されたわけじゃないの!」 閃花はいったん距離を取り、再びジャンプして着地した足を軸に旋転脚を放つ。身体を大 きくムチのようにしならせて、鋭いキックが飛んでくる。だが改造されたルイの肉体には、 それほどダメージを与えることができない。 「話を聞いて! 閃花! わたしは敵じゃないのよ!」 いくらルイが頑丈なボディになったとはいえ、本気になった閃花の戦闘力はかなりのもの だった。次第にルイは、壁際に押されてゆく。必死でガードしているが、額にサイバーバ スターを食らえばそれでおしまいだ。閃花のことだから、必ず自分にとどめを刺して、楽 にしようとするだろう。 とうとうルイは、壁際に追い詰められてしまった。閃花が肱のホルダーから、鋒針を取り 出した。本気で必殺の一撃を放つつもりらしい。 ルイは迷った。今のわたしなら、閃花を倒すことができるかも知れない。でも、そんなこ とをしたら閃花が…! 閃花が呟いた。「さよなら…ルイ。」
409 :
BeeF :04/12/12 03:19:54 ID:bOEawPhY
その時だった。ルイの背中の壁がクルッと回転し、ルイは突然隣の部屋へと投げ出された。 回転扉は再び元のように閉じ、ガンガンと閃花が壁を殴る音だけが響いてくる。 薄暗い部屋の床に倒れて呆然となったルイの前に、別の人影が現れた。 「…怪我はない、ルイ?」 「…ベッキー!?」 その声は間違いなく、レベッカ・スウェンソンだった。だが立ち上がって彼女の姿を見た ルイは、再び呆然となった。 「えへっ。わたしも、ドジっちゃった。」 レベッカの肉体は、真っ青なボディに、黄色と黒の同心円模様の乳房を持った、蜂女のも のだった。額からは真っ赤な触角が、背中には黄色い透明な羽根が生えている。ルイと同 じ姿、いやルイ以上に、インセクトサイバー化された姿だった。 「…じゃあ、ベッキーもあのタイツを?」 「そういうこと。今日は何て運が悪いの、わたしたち。…でも安心して。きちんとした改 造手術の設備さえあれば、元の身体に戻れるわ。」 「ほんと!?」 「任せて。でも、さっきの手術室は閃花に知られてしまったから、もう使えないわね。」 「それなら大丈夫よ、ベッキー。このフロアには改造手術室があと2つあるの。いちばん 小さくて警備が手薄だったのがさっきの部屋。もっと設備が整った部屋が他にあるわ。警 備は厳重だけど、今のわたしとあなたがいれば、きっと突破できるはずよ。」 「よし、それでいくわ。」 レベッカは悪戯っぽくウィンクした。ルイもサムズアップでそれに応えた。だがルイは、 陰でレベッカが妖しい笑みを浮かべたのには、ついに気付くことがなかった。
410 :
BeeF :04/12/12 03:20:47 ID:bOEawPhY
それから10数分後。一度に30人を改造できる巨大な手術室の中を、2体の蜂女が暴れ回り、 あっと言う間に制圧してしまった。床に倒れた十数体の改造人間たちを一箇所に集めて片 づけた後、レベッカが肩で息をするルイに向かって優しく言葉を掛けた。 「ルイ。あなたから先に手術台に乗りなさい。人間への再改造はすぐに終わるわ。」 ルイはバックパックやベルトを外し、勧められるままに手術台の上に横たわった。レベッ カはルイの手足を、手術台に次々と固定していった。 「どうして、手足を固定するの?」 「暴れて、手術台から転げ落ちたりしないようによ。」レベッカはクスリと笑った。 次いで手際よく、レベッカはルイの全身の性感帯に、電極を取りつけていった。手術台の 両脇に遺伝子活性化光線の照射装置をセットし、機械のスイッチを入れた。 「…あ…何よこれ…何…この気持ちいいの…あ…あッ…ああッ…アッ…アッ…」 ルイは身体を硬直させて、身体を貫く奇妙な快感に抵抗した。レベッカは改造ノズルを取 り上げ、ルイの股間の秘裂を押し広げて秘芯の位置を確認した。 「あら? ルイ、あなた…まだ処女だったの?」 ルイは顔を真っ赤にした。「わ、悪い!?」 レベッカは微笑んだ。 「そうじゃないわ。処女だったら、最初から至高の快楽を味わえるわけだから、幸せだな ぁって思ったのよ。もっとも、完全な蜂女になった後は、そんな快楽が毎日味わえるんだ けどね。」 その言葉を聞いて、ルイの心臓は凍りついた。 「え…ベッキー! いま、何て言ったの!?」 「あなたはこれから、本改造を受けて完全な蜂女に生まれ変るのよ。」 そう言ったレベッカの顔は、優しく微笑んでいたが、悪魔のような邪悪さに溢れていた。 「ベッキー! あなた、一体!?」 「わたしはもう、ベッキー・スウェンソンじゃないわ。“バズゥ”のために奉仕するイン セクトサイバー、改造人間・蜂女なの。」 そう言ってレベッカは、妖しく微笑みながら大きく羽根を広げ、空中に浮き上がった。
411 :
BeeF :04/12/12 03:21:41 ID:bOEawPhY
「ちくしょう! 放して! 放してよ! ここから放して! お願い!」 「ダメよ。あなたはこれから、蜂女に生まれ変わるのよ。」 ルイは目の前が真っ暗になった、やがて覚悟を決めて、奥歯のプラスティック爆弾で自爆 しようと試みた。だが、どういうわけか爆発が起こらない。 「無駄よ。あなたが身につけた改造タイツには、爆発物を取り除く力があったの。」 ふわりと着地したレベッカが、ルイの秘唇を押し広げ、膣孔目がけて勢いよく改造ノズル をブスッ! と挿入した。鮮血が飛び散り、ルイの処女膜が破られた。 「…痛い! 痛い痛い痛い! やめて! 痛いッ! …アッ! …アアッ…あッ…あッ…」 破瓜の鋭い苦痛に続き、凄まじい快楽がルイの全身を押し包んだ。生まれて初めて味わう 性の快楽に、ルイは身体を激しく痙攣させて悶えた。 その時。 バタン!! 大きな音とともに、手術室の扉が開いた。一瞬我に返ったルイが見たものは、鋭い 目つきで対峙する、レベッカと閃花の二人だった。 恐いまなざしでレベッカをにらみつけながら身構えている閃花の両の手には、3本ずつの 鋒針が握られていた。確実にとどめをさすつもりなのだ。一方のレベッカは妖しく笑いな がら、両腕と羽根を広げて閃花を挑発している。レベッカの乳首がピクピク痙攣している のは、毒針の発射準備をしているのだろう。 不意に、閃花がジャンプした。レベッカは閃花の一撃を間一髪でかわすと、床を大きくポ ン、と蹴った。たちまち床に大きな穴が開き、レベッカは着地した閃花もろとも、奈落の 底へと落ちていった。 その光景を、ルイは夢見心地で眺めていた。二人が地下に消えると、ルイはもう、二人の ことを考えるのはやめた。今はただ、この快楽を味わっていたい。全身を包むこの素晴ら しい快感を、とことんまでむさぼりたい。ルイにはもう、インセクトサイバーに改造され ることの嫌悪も恐怖もなかった。改造手術! 何て素晴らしいんだろう。わたしは今、改造 手術を受けて蜂女にされてゆく。ああっ、幸せ。もっと、もっとわたしを改造して! 蜂女 にして! お願いッ! 「…ああン…ああン…はうッ…はうッ…ステキ! …ステキよ! …アアッ…アアッ!」
412 :
BeeF :04/12/12 03:22:34 ID:bOEawPhY
真っ暗な空間の中で、閃花は意識を取り戻した。蜂女に改造されたレベッカの姿は、もは やどこにも見当たらない。フラフラと立ち上がった閃花は、この空間に出口はないのか、 五感を集中させて捜し回った。だが、どこまで歩いても壁に到達しない。この空間がどれ だけの広さがあるのかすら、うかがい知ることはできなかった。 レベッカは既に、完全な蜂女に改造されてしまっていた。ルイもあの分だと、既に改造さ れているのだろう。もはや残された工作員は、自分ひとりだ。何としても、最低限の任務 は果たさなければならない。そのためには、何とかしてここから脱出しないと。 不意に、目の前に人影が現れた。レベッカでもルイでもない。30代半ばの、偉丈夫の男性 だ。 「…黄(ウォン)…師匠…?」 それは、香港の犯罪組織・夜龍(イエルン)の幹部のひとりであり、閃花を一流の暗殺者 に育てた男、黄輝鳳(ウォン・ファイフォン)であった。 「…閃花。元気だったか?」黄は、閃花に向かって微笑んだ。 閃花は身構えた。 「…馬鹿め。黄師匠はとっくの昔に死んだ。お前は偽者だ。さっきのレベッカと同様、改 造人間が化けた偽者だ!」 「…偽者かどうか、そなたの拳で確かめて見るがいい。」 「上等!」 ジャンプした閃花は黄の前に着地すると、素早く旋転脚を繰り出した。それがかわされる と、そのまま一回転しながら後ろ旋転脚に切り替え、一撃を黄に放った。 黄はクロスした両腕で閃花の蹴りを受け止めた。気合いとともにそれを跳ね返すと、体勢 を崩した閃花目がけて、掌底の激しいラッシュを見舞った。 両腕でガードしながら、たちまち押されてゆく閃花。一瞬の隙をついて足払いを仕掛けよ うとしたが、逆に軸足を払われ、肱の強烈な一撃を脇腹に受けた。 「…ウ…グッ…」 「どうした。まだ来るか閃花!」 脇腹を押さえながら立ち上がった閃花は、ポロポロと涙を流しながら黄に訴えた。 「師匠! …なぜ、なぜ今頃になって、現れるのですか!?」
413 :
BeeF :04/12/12 03:23:12 ID:bOEawPhY
黄輝鳳は、閃花にとっては拳の師匠であると同時に、大恩ある存在だった。華僑の名家に 生まれた閃花は、両親の死後12歳の時に、一族の後継者争いに巻き込まれ、叔父に全財産 を巻き上げられたあげく売春窟に身売りさせられた。毎晩、野卑た男たちに肉体をむさぼ られる地獄の毎日から救い上げてくれたのが、彼女の才能を見いだした黄だったのだ。 地獄の生活の中で感情を失っていた閃花は、3年間の修行を経て、超一流の暗殺者へと成 長した。感情を持たぬ戦闘マシーン。それが閃花の評判だったが、閃花は黄にだけは人間 らしい感情を露わにした。黄は閃花にとって師匠以上の、まさに神のような存在であり、 自分の存在意義の全てであった。 「閃花。そなたは、私の最後の言葉を忘れたのか?」 忘れるはずがない。夜龍が壊滅し、炎に包まれた館の中で、虫の息の黄は閃花の手を握り 締め、こう言ったのだ。 『…復讐は考えるな。そなたは、もう自由だ。』 「閃花。今のそなたは自由になったと言えるのか! 暗殺者から諜報部員に転身したものの、 相変わらず心を閉ざしたままの日々。そなたには、もっと明るい未来が待っていたはずだ ぞ!」 閃花はボロボロ涙をこぼしながら、拳をギュッと握り締め、こう訴えた。 「しかし師匠! わたしには、わたしには、こんな生き方しか、できそうにありません!」 黄は閃花の肩に手を掛け、優しく諭した。 「なあ閃花。そなたは一度死んだのだ。死んだつもりで、やり直せばいいのだ。新しい自 分に生まれ変わって、自らの心を解き放つのだ。」 「師匠! でもわたしには、どうやれば生まれ変わることができるのか、わかりません。」 「閃花。ならば私に、身を預けてみるか? 今日、今までのそなたは死ぬ。そして、新たな 自分に生まれ変わるのだ。」 「…はい、師匠!わたしは、師匠にわたしの全てをお預けいたします!」 閃花はそう言って、黄の胸に飛び込んでいった。黄は閃花の華奢な肩を、優しく抱きしめ た。チクリ! 何かが閃花の首筋を刺した。 「ウッ…!」 閃花は、黄に抱きしめられたまま、意識を失った。
414 :
BeeF :04/12/12 03:24:04 ID:bOEawPhY
…そこは、そう広くもないありふれた部屋の中だった。閃花は、虹色に輝くボディを持っ た甲虫型改造人間、イミテートジュエルビートルの一体に抱きかかえられていた。その背 後には、ドリームバタフライと、ヒプノシーケイダが二体ずつ控えていた。都合5体のイ ンセクトサイバーたちのコラボレーションによって、“バズゥ”は閃花をようやく手中に 納めたのであった。 「…まったく! 苦労させる子だわ。」 乳首から催眠針を放ったのは、蜂女に改造されたレベッカであった。レベッカはクスリと 笑って イミテートジュエルビートルから閃花の身体を受け取り、改造手術室へと運んだ。 全裸にされた閃花が、改造手術台に大の字に固定されてゆく。全身の性感帯に電極をセッ トされ、電気パルスで充分に潤った閃花の膣孔めがけて、レベッカは改造ノズルを挿入し た。 「ウッ…アアッ…アア…ハァ…ハァ…ハァ…アウッ!…アウッ! …アアウッ!」 たちまち顔を紅潮させて、閃花は改造手術の快楽に飲み込まれていった。 閃花の隣の手術台では、完全な蜂女として生まれ変わったルイが、妖しく微笑みながらゆ っくりと身を起こした。自分の膣孔奥深く挿入された改造ノズルを、ゆっくりと引き抜き、 したたり落ちる粘性の液体を舌を伸ばしてからめ取った。心ゆくまで改造ノズルの先端を しゃぶったルイは、艶めかしく乳房を揉みしだきながら立ち上がり、羽根を大きく広げた。 「…ウフフフフッ。わたしは、“バズゥ”の改造人間・蜂女。ウフフフフッ!」 改造手術を受けている閃花の乳房に、黄色と黒の同心円模様がうっすらと現れた。閃花は 腰を激しく振りながら、全身をくねらせて改造手術の快楽に身を委ね、新しい自分へと生 まれ変わっていった。 「…あン…あン…あううン! …はあッ!…はあッ! …あううッ! …ああンッ!…」
415 :
BeeF :04/12/12 03:24:45 ID:bOEawPhY
同じ日の午後5時。予定通り神の鳥島の上空を通過しながら、飛空バックパックを投下し ようとした輸送艇は、島の中央から凄まじい勢いで上昇してくる、3つの物体に遭遇した。 「…な、何だあれは! は、は、蜂女だぁッ!!」 機長と操縦士はパニックになった。飛行中の輸送艇は、3体の蜂女によって取り囲まれて いたのだ。一体は金髪、一体は長身の黒髪ロングヘアー、そしてもう一体はショートカッ トで小柄な蜂女だった。 蜂女たちは自分の乳房を両手で掴むと、乳首を輸送艇の方に向けた。鋭い針の群れが一斉 に放たれ、輸送艇の外壁は文字通り蜂の巣になって、爆発炎上し太平洋に落下した。 その直後。北太平洋上に停泊していた米国海軍のニミッツ級原子力空母“ビルクリントン” は、突然現れた黒雲にすっぽりと覆われた。黒雲の中からは激しい怒声、悲鳴、銃声が響 いていたが、やがて完全に沈黙した。 それから1時間後。午後7時。世界中のTV放送は、謎の電波によって全てのチャンネル が乗っとられてしまった。TV画面に映し出されるのは、どのチャンネルをひねっても、 美しい3体の蜂女の姿だった。 蜂女たちは、冷たい声で人々にこう宣告した。 「全ての人類に告ぐ! 我々は、昆虫人間帝国“バズゥ”。人類の上に立つ者だ。今から24 時間以内に、全人類は我々“バズゥ”に対し全面降伏せよ。素直に降伏するならば、我々 の奴隷としてこの地球上に生存することを許可しよう。もしも拒むならば、大虐殺がお前 たちを待っている。既に我々は、米国の原子力空母を襲撃して水爆を手に入れた。我々に 敵対するいかなる兵力も、我々は即座に手中にすることができる。一切の抵抗は無駄であ る。繰り返す! 明日の午後7時までに、全人類は我々“バズゥ”に対し全面降伏せよ!」 全世界で、凄まじいパニックが巻き起こった。だがそれは、これから始まる地獄絵図の、 ほんのプロローグにしか過ぎなかったのだ。 (おわり)
ワンパターン
確かにそうだが、偉大なるワンパターンでは?
「オニャノコ登場」→「罠にかかる」→「改造手術」→「怪人化」 この大枠は変えられないんだから、ワンパターンになるのは仕方無いだろ?
420 :
名無しより愛をこめて :04/12/12 22:17:34 ID:7evtg2y9
>>419 待望の絵師さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
禿しくGJ! 特に胸のハートマークがカワ♥イイ。
>>416-418 BeeF氏のSSは、結果が見えているお約束展開の中で、そのディテール描写を楽しむべき
ものだと個人的に思うので、ワンパターンうんぬんを議論しても始まらないと思う罠。
421 :
名無しより愛をこめて :04/12/13 02:46:56 ID:5NjueLx4
だけど人類破滅のオチ方向ばかりじゃチョット・・・
422 :
292 :04/12/13 03:38:00 ID:g2/S4XlD
Beefさま 遅くなりましたが、堪能しました お疲れさまです
BeeFさんの「改造ノズル」も悪くないけど、個人的にはやっぱ白い柔肌に冷たいメスが襲う・・・ てのが萌え(つーてもグロは勘弁なので、この辺の匙具合は難しいが)。 自分ではSS書きもしない癖に文句だけ一丁前ですんません・・・ 絵なら少し描けるのでその辺で参加してみようかなと思ったり。
このスレ専属のSS職人さんに飽きてきたのなら、 ネット上から萌えるおにゃのこ改造SSを漁ってきて貼って欲しい。
>>425 良質な物件を知っているがお前の態度が気に入らない(AA略
蜂女とバトル中に穴に落ち、脱出したいんだが互いに傷を負っていて単体では脱出不可。 敵同士、さーどうする? なんてシチュをキボンヌ。
それじゃスレタイ無関係やん
じゃ、傷を負った怪人と一緒に穴に落ちたのは普通の女性で、怪我は負わなかったが自力で脱出は出来ず。 助かるために一時的に蜂女になるよう提案され、初めは拒否するが結局同意し共に脱出。 元の怪人は穴から出るとコソコソと逃走。 一人残されて途方に暮れた女は正義の味方を発見して助けを求めるが、 怪人と誤解されたまま抵抗も出来ず正義の味方に飛び蹴りされてあぼ〜ん。 なーんてな。
んだって、ムカデ男とは穴に落ちたくはないもの。 蜂女だから一緒に穴に落ちたいのだ。
>>424 今度は絵師さん候補キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
ぜひともうPお願いします!!
>個人的にはやっぱ白い柔肌に冷たいメスが襲う・・・
前スレ525氏のSSがそれなんじゃないかと思ったりする。
改造後はグロくなるけど。
432 :
BeeF :04/12/13 23:54:57 ID:YwtZmkS7
>>357 ,372
上村美也&花園女子大登山部メンバーが改造される話、書こうと思えば書けないことは
ないですよ。
ただ、SSの作風に関してはクライエント側の好みもあると思うので、改めてご指名を
受けたら、書かせていただくことにします。
他のSS作家さんのご執筆がお望みであれば、そちらにお譲りしようと思いますので。
>>421 PRIME氏や前スレ325氏が、正義側に立ってSSを執筆しておられるので、差別化のため
に漏れはあえて、悪側に立ってSSを書いてますからねぇ。
(と言っても、TVゲームで悪側に立ってプレイするような感覚なんですが)
人類の敗北=悪側にとってのハッピーエンドで終わるのは、そりゃ仕方が無いですよ。
あと『蜂女に改造されることで、女性が様々なくびきから自分を解放する』という裏の
テーマがあるので(ラストシーンが空を飛ぶところで終わることが多いのはそのせい)、
この方向性は“決して”変えることができません。あしからず。
>>424 イラストUP、ぜひぜひ期待いたしております!
外科改造手術、書けないことはないので次回以降、試みてみますね。
433 :
名無しより愛をこめて :04/12/14 02:30:41 ID:5OF9LONT
>>432 Beef様、是非是非、上村美也と花園女子大登山部の改造ストーリーを希望いたします。
自分にとって、上村美也は蜂女と並ぶ最高の改造ヒロイン(?)です。
貴兄のペンによって鬼畜度、エロ度、悲劇度満点の女性怪人にしてあげて下さい。
出来れば、ネオショッカーの改造手術はレーザーメスで行われていましたが、そこはそれとして、怜悧なメスで彼女の
白い肌を、異形の蠍女にしてあげていただければと希望します。
434 :
名無しより愛をこめて :04/12/14 11:16:30 ID:/rV1cd8R
435 :
名無しより愛をこめて :04/12/14 18:55:28 ID:PTv57noP
>>435 改造人間かどうかは微妙だが、女怪人であるのは間違いない!
昔『ピンキーパンチ大逆転』で松本伊代が 山田邦子のマッドサイエンティストにつかまって 怪人か何かに改造されかけてるシーンを見た気がする (台に固定されて、顔にくま取りが出来はじめている) 萌え要素はほとんどないし、いまさら映像を見たいとも思わないけど 一応データとして報告
438 :
BeeF :04/12/15 00:39:28 ID:HlmnSwZy
>>433-434 それでは、執筆してみることにします。
今までのリクエストを総合してみると、
(1) サソランジンのデザインは女怪人らしくセクシーなものに変更
(2) 改造方法は光線照射ではなく、肉体を切り刻む外科手術に変更
(3) 改造前の、ゼネラルモンスターとの関係を描写
(4) 仲間の登山部員は全員女アリコマンドに改造。
(5) オリジナルの映像にこだわらず女改造人間の悲劇を描写。エロ度と鬼畜度の高い話に。
といったところでしょうか。書き終えるまでにしばらく時間がかかろうかと思いますので、
その間、別の改造談義に花を咲かせておいて下さい。
(432のレスアンカー、
>>357 は
>>356 の間違いでした。433=356氏ですよね。すみません。)
439 :
PRIME :04/12/15 01:47:27 ID:dC5hU4kN
皆さん、お久しぶりです。PRIMEです。ご無沙汰していました。このたび勝手に謹慎を解いて戻ってまいりました。 この1ヶ月間自分の犯した過ちについて色々考えました。そして自分が以下に死者を冒涜していたのかと言うことを改めて思い知り後悔とザンゲの日々を送ってきたつもりです。 しかし、BeeFさんを始めとするここのスレの皆さんの温かい声を聞きもう一度チャンスを与えていただきたく恥ずかしながら戻ってまいりました。 また新たな気持ちでここで書き込んでいきたいと思います。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。
あ、PRIMEさんだ。SSの続きよろしくお願いします。 言っちゃ悪いけど最近BeeF氏ばかりが書かれているので、ちょっと食傷してました。 ぜひスレに新風をもたらして下さい。 それから前スレ325氏、SSの続きが読みたいです。ご多忙だろうとは思いますが、 可能ならまたUPをお願いします。
441 :
名無しより愛をこめて :04/12/15 02:55:07 ID:7j7/JAk/
そういえばごじらと戦ったビオランテってゴジラとバラと沢口靖子様の 細胞で合成した怪獣だから巨大女怪人とか沢口靖子の改造人間といっても 差し支えないような気がする。 ある意味最強の怪人だ。
442 :
名無しより愛をこめて :04/12/15 03:54:29 ID:sGPQwc5u
こ の ス レ 見 る の 疲 れ る ん だ よ ! !
E=MC2のクリスタルローズの妖女虫化って、改造なんだろうか寄生になるんだろうか?
>>444 E=MC2って何? ぐぐってもイラストレーターの名前とか、
アインシュタイン関係のサイトしか出てこないのだが・・・
BeeFは自分のホームページあるんだろ? なぜ全く同じSSを長文で連続投下してんの? リンク張りゃいいじゃん。 これじゃあまったり情報交換なんてできやしない。
>>446 前スレの住人の誰だったかが、まずこのスレで発表してから
サイトに書いてくれと注文を出して、それに従うと言ってた。
エロSS発表したけりゃエロパロ板でやれよ。
出たな怪人自治オバ!
なんか荒れ気味だが、みんなマターリ汁。 現在このスレはSSの発表がメインになってるから、そのこと自体議論しても 水掛け論にしかならん。雑談したいという香具師の気持ちもわからんではないが、 この流れを変えるのは無理だろう。スレの分割が必要なんじゃないか? 確かこの板はスレの容量制限が550KBくらいで(正確な数値は忘れた)、 それ以上の書き込みはできなくなってしまうが、現在このスレの容量は 確かめてみたら450KBほどだった。つまり単純計算で、あと100レスほど したら、次スレを立てなければならなくなるわけだ。 その時に、改造マターリ雑談スレと、改造SS萌え萌えスレに分割でもすれば いいんじゃなかろうか。
452 :
PRIME :04/12/16 01:02:34 ID:bJjLcq4P
スレの分割ですか。ここ最近BeeFさんを叩くレスが多いですがそのほとんどが荒らしに近いものですね。だからそんな奴らのためにわざわざスレを分割することもないと個人的には思うのですけどね。 ここが現在荒れているのは一部の心無い連中が勝手にほえているだけだからそういう輩は基本的に無視して今までどおりやっていくってわけにはいかないんですかね。 個人的には分割せず今までどおりやっていきたいのですが。何よりもここのスレも前スレもBeeFさんがいなければ寂れていたと思うんですけどね。
453 :
PRIME :04/12/16 01:17:55 ID:bJjLcq4P
ところで今日はここ1ヶ月のいろんなレスやSSについて個人的意見を述べてみたいです。
まず前スレ325さんのSS。これは展開が読めないと言うのが現時点の正直な感想です。手術台の女性は誰なのか?自分はマグナサイバーだと思ってますが。
また岩井の隠れ家にいたはずの香織がなぜサイバーの基地にいたのか?色々謎めいていて頭が混乱しています。早く続きを読みたいものです。
そして
>>276 さんレスにあったの飯田圭織をくも女に改造というアイデアはなかなか秀逸だと思います。
これはただ単に自分がハロプロが嫌いだからその嫌いな女が改造人間にされてあぼーんされるのを喜んでいるだけですが。
ハロプロといえば安倍なつみ。現在の彼女なんか改造人間にできそうですね。盗作騒動で芸能界を追われたなつみは悪の組織に拉致される。
言葉巧みに自分を追い出した芸能界への復讐を持ちかけられそのために改造人間になることを決意する。なんてのを妄想していました。ちなみに改造モチーフはコピー機です。
コピー機、その心は複写つまりパクリつまり盗作と言うこじつけからですが。(^^;
ところで12日の朝日新聞の本の紹介コーナーで「黙って行かせてという本の紹介がありました。
これはナチスの看守を母親に持つ女性がその母を訪ねるというノンフィクションの本です。
朝日新聞の記事によると母親は看守時代のことを自慢げに語ると言う最低の女でした。そこに人体実験の様子が少しだけありました。
この紹介記事を読んで思ったことはやはりナチスではサイボーグの研究もしていたのではと言うことでした。
そしてナチスには当然こういった女看守は他にもいたわけです。この女看守みたいな女を改造人間にしてあぼーんしてやりたいなと言う思いも持ちました。
以上個人的見解でした。
PRIMEさん、ハロプロ好きな人が読んだらどう思うか、考えてから書き込みした方がいいと思うよ。
すぐに馬脚をあらわしたな。
>>453 ここはお前の日記帳じゃねぇんだ
チラシの裏にでも書いてろ。な?
>>454-455 謹慎のときのネタとは重みが違いすぎるだろ?
謹慎につながった「越えてはならない一線」はあるにせよ、
もともと「鬼畜系の話をオトナの距離感で楽しむ」という
スレなんだから(・・と自分は理解している)
そういう配慮をし出したら何も書けなくなるよ
>>451 分割されたスレにロクなのはないと思うのだけど
>>457 いや、それでもPRIME氏にはもうちょっと、読む人への配慮が必要な気がする。
これが、ことさらに自分の内面の好悪をさらけだした文章じゃなく、いきなりSSの体裁を取って
発表されたのであれば、誰も何とも思わないし、受け入れられるのにと思うよ。
276みたいに、安倍な罪をコピー機女に改造して次々と違法コピーを世に送り出し、世の中を混乱
させるようなSSをいきなり発表したのなら、時流に乗ったSSなんだなぁということで楽しめる。
(エイベックスのCCCDに反感を持っている人々が共感するような派生効果も生み出したりして。)
460 :
PRIME :04/12/18 00:56:52 ID:IzE1QDvr
私の書き込みに色々ご意見があるようですね。
中でも
>>459 さんのご意見は結構参考になりました。そういう点でいうと私はまだまだ脇が甘いですね。
まあこれ以上言っても水掛け論にしかならないのでSSの続きを貼り付けさせていただきます。
久しぶりだから感覚が戻ってないのが気になりますが…。
461 :
PRIME :04/12/18 01:09:05 ID:IzE1QDvr
「ねえ天野さん」昼休み、早苗はひなのから声をかけられる。 「石川さん、私に何か用?」早苗は日頃から快く思ってないひなのに対しそっけなく返答する。 「あさって私の家でパーティを行うの。あなたにもぜひ来て欲しいわ」ひなのはそう言うと早苗に招待状を渡した。 「パーティって一体何のパーティなの?」早苗はひなのに聞く。 「クラスの皆と親睦を深めるためのパーティよ。面白いパーティがあるから是非いらしてね」ひなのはそう言うと早苗の下を立ち去り他のクラスメートにも招待状を渡して回った。早苗は怪訝そうに招待状を見つめた。 放課後、早苗は姉の千鶴がバイトしている喫茶店「ブラッカー」に向かう。 「こんにちは」ブラッカーのドアをあけて早苗は声をかける。「あら早苗、どうしたの?」姉の千鶴が声をかける。 「うん、お姉ちゃん。これを見て」早苗は千鶴に招待状を見せた。「あら、石川ひなのって子の家でパーティ?石川さんって早苗がいつも話しているあの子でしょ?」千鶴は早苗に聞く。 「うん、なんかクラスの親睦を深めるためのパーティだってさ。でも私この子あまり好きじゃないの。なんかあまり気乗りしないなあ」早苗はそっけなく言う。 「早苗、そういうこと言うもんじゃないわ。せっかくお友達がパーティに誘ってくれたんだから。でもパーティに行くなら服を買わないと。お姉ちゃんが服を買ってあげようか?」千鶴は早苗に持ちかける。 「早苗ちゃん、よかったなあ」姉妹の話を脇で聞いていたおやっさんが笑顔で早苗に言う。 「うん、お姉ちゃんありがとう。お姉ちゃん大好き」早苗はそう言うと千鶴に抱きついた。「もうこんな時ばかり大好きだなんて。現金なんだから」千鶴は苦笑いをする。 「はっはっは」天野姉妹のほほえましい光景を見ておやっさんや川島貴司も笑っていた。 しかし、その中で啓介だけは招待状を見て浮かない顔をしていた。
462 :
PRIME :04/12/18 01:25:37 ID:IzE1QDvr
「面白いパーティがあるから」は「面白いショーがあるから」の間違いでした。すみません。 「啓介、何浮かない顔しているんだ?」おやっさんが聞く。 「ええ、おやっさん。ちょっと話があるんです。川島も来てくれ」啓介は二人を店の奥に連れ込む。店の奥は悪の軍団ジャマーと戦うための秘密基地になっているのだ。 「啓介、話ってなんだ?」おやっさんが尋ねる。 「ええ、実はこの石川ひなのって子は以前何度かあったことがあるんです。親父狩りグループのリーダーとして、そして確証はないんですが彼女からジャマーの気配を感じたんです。この招待状にはなんとなくジャマーの罠を感ずるんです」啓介は二人に話す。 「啓介、そりゃ考えすぎじゃないのか?」貴司は啓介に言う。「ああ、そうならいいんだけどな」啓介も答える。 「しかし、この子がジャマーの手先だとしたら早苗ちゃんをパーティにいかすのは問題だな。どうする?」おやっさんは腕組みをして思案する。 「早苗ちゃんに発信機を取り付けて監視したらどうだろうか?これを見てくれ」貴司が二人に小指くらいの大きさの発信機を見せる。 「これはICPOで開発された新型発信機だ。靴のかかとに仕込んでおいて100回かかとが地面に着いたら自動的に発信する仕組みになっている。これならスイッチを入れる作業をせずにすむから怪しまれることもない」 「よし、じゃあこれを早苗ちゃんの靴に取り付けよう」啓介はそう言うと靴を買いに街に出た。 1時間後、ヒールを購入した啓介はおやっさんと貴司にヒールを見せる。貴司はヒールのかかとの部分に発信機を仕込む。「よし、これで完了だ」 そこに天野姉妹が戻ってきた。「お姉ちゃん、洋服ありがとう」早苗は無邪気に言う。千鶴も姉らしいことができて嬉しそうだった。 「早苗ちゃん、これは僕たちからのプレゼント」啓介は早苗にヒールを手渡す。「うわあ、可愛い。啓介さんありがとう」早苗は有頂天になった。 パーティ当日、おやっさんが運転するワゴンで早苗は石川家に送られた。ワゴンには貴司や千鶴も同乗していた。 「早苗ちゃん、パーティを楽しんでおいでよ」おやっさんが声をかける。しかし、どことなく重苦しい顔つきだった。 「うん、マスターありがとう。じゃあね」早苗はそう言うと石川家邸宅に姿を消した。
さ あ 、 も り あ が っ て ま い り ま し た
む?続くのかなこのスレ
世に改造のネタは尽きまじ。オニャノコ改造スレはまだまだ続くよー!
467 :
前スレ325−20 :04/12/20 00:21:49 ID:OFkCIF3q
香織(うぐっ、うぐぐぐうううっ) 電撃を体に受け、全身を拘束されながらものたうつかおり 口のギャグボールからは、苦悶の唸り声とともに涎も飛び出す マグナ「さあ、どうする。電圧をもっと大きくしてやってもいいのだぞ」 スピーカーからの声に呼応するかのように、香織の悶え方がさらに激しくなる 電極は女の最も敏感な最奥を狙って、下半身に集中しているのだ 香織(うううううっ。あぐっ、あぐあぐっ)。 エビぞりになり、涙と汗にまみれた顔を Fと岩井に向け、目で助けを求める。 マグナ「あははは。この女の子宮はもうじき裂ける。 2度と子供の産めぬ体にしてやる。あははははあ」 2人の目の前で苦痛に狂う香織、それに合わせるかのように マイクの向こうで狂った笑いをあげるマグナ。
Fと岩井の2人は冷静になった。 岩井「ファイター、やるか?」 F「ええ、援護をお願いします」 岩井のショットガンが火を吹き、スピーカーが吹っ飛ぶ。 それと同時にFの手刀が電線を斬る F「さあ、早く!」 半裸に皮のボンテージ姿の香織を抱えたFと岩井が 飛び出したとたん、建物は爆発した。 完全に焼け落ちたサイバーアジト・MH551の傍ら 五郎「大丈夫か?」 五郎の上着を羽織った香織に言葉をかける。 ショックが大きいのか、茫然として言葉少なな香織。 痛む鳩尾を押さえてうずくまる。 五郎「僕はもう少し、この焼け跡を調べてみます」。 岩井と香織を残し立ち去る。
香織「申し訳ありません。私のためにお2人を危険に…」 岩井「……」。険しい表情の岩井。 彼女への怒りのためか返事も無い。 香織「邪魔になるとも思ったんですが。どうしてもじっとしていられなくて… それで基地まで来てしまったんです。本当にごめんなさい」 おずおずと言葉を続ける香織 岩井「俺は、君にはMH551の意味を教えなかったはずだ。その君がなぜここまで来れた?」 香織「それは、わ、私が奴らに捕まって…」 岩井「君に飲ませたお茶には、大人の男でもすぐに眠る強力な鎮静剤を 入れておいたんだ。けがの痛みがひどいと思ったからな。だが君には効かなかった」 香織「…!」 岩井「君はサイボーグだ」 突然の余りな言葉に目をむく香織。 香織「そんな…ひどいわ…」。涙ながらに訴える 岩井「体内から電波を出すなんて人間にできる芸当ではない」 そう言いながらポケットからマルチバンド通信機を取り出す。 岩井「あの部屋のスピーカーを使って腹話術≠するのに 指向性の電波とワイヤレスマイクを使ったのが運のつきだったな!サイバー!」
香織「犬め。気がつきおったか!」 五郎の上着と、サイバー基地で着せられたボンテージ、下着を破り捨て、 正体を現す香織。 岩井「むだな抵抗はやめろ!」 ショットガンを構えようとした刹那、後頭部を殴りつけられる岩井。 意識を失う寸前に彼が見たのは、サイバー戦闘員の自動小銃の台尻と、 あのいまいましい女サイボーグの顔だった。 ============ 手術はいよいよ大詰めに近づいてきた。 腕を切断され、特製のマグナム銃を溶接され、 豊かな胸を切開され、動力システムを埋め込まれ、 そのたびに香織の全身を快感が襲った。 香織(うう、ぐうう、ううわああああ) 頭部を切り開かれ、脳に得体の知れない装置を組み埋めこまれると 頭の中に七色の虹が点滅し、どこまでも果てしない階段を 法悦境に向け昇っていくような感覚に支配された。 (だめ。だめよ、死ぬ。死んじゃうのお) だがそれは決して苦痛や哀願の叫びではなく、 喜悦のうめき声になっていった。
セックス、夫との愛の営み、2人の絆を深める愛の行為。 彼女の幸福の象徴だったそれでは、決してそんなことはなかった。 これまではそれこそが女の歓びであると思っていた。 だが、今、夫とはまるで違う、彼女を実験動物としか見ていない 外道の科学者たちに体を蹂躙され、異形の怪物に作り変えられる中 夫との営みでは想像もつかなかった性感が剥き出しされていく。 そのたびに、これまで経験したことのない肉の疼きが搾り出され 官能と歓びが体の芯から湧き溢れ出すのを止めようがない香織だった。 なにしろ意識のはっきりしたまま およそ人間の受ける痛感が全て快感に転化されているのだ 香織は4回目の絶頂までは覚えていた。だが、もう この禁断の快楽の中で、自分を見失っていた。 自分がまるで1個の性器に変化したかのように、ただただ快感を受容する 肉の人形になっていった。 大きく開脚させられて固定された股間の周りは 彼女が最奥から噴き出す蜜で洪水のようになっていた。
セックス、夫との愛の営み、2人の絆を深める愛の行為。 彼女の幸福の象徴だったそれでは、決してそんなことはなかった。 これまではそれこそが女の歓びであると思っていた。 だが、今、夫とはまるで違う、彼女を実験動物としか見ていない 外道の科学者たちに体を蹂躙され、異形の怪物に作り変えられる中 夫との営みでは想像もつかなかった性感が剥き出しされていく。 そのたびに、これまで経験したことのない肉の疼きが搾り出され 官能と歓びが体の芯から湧き溢れ出すのを止めようがない香織だった。 なにしろ意識のはっきりしたまま およそ人間の受ける痛感が全て快感に転化されているのだ 香織は4回目の絶頂までは覚えていた。だが、もう この禁断の快楽の中で、自分を見失っていた。 自分がまるで1個の性器に変化したかのように、ただただ快感を受容する 肉の人形になっていった。 大きく開脚させられて固定された股間の周りは 彼女が最奥から噴き出す蜜で洪水のようになっていた。 科学者B「さて、この胎児は邪魔だな」 メスを持った科学者が、妊娠4ヶ月の腹部に狙いを定めた。
香織「隼さん。大変です!」 焼け跡を検分していた五郎のもとに、香織が息せき切ってかけつける 香織「岩井さんが、サイバーに捕まってしまいました」 五郎「何だって!」 思わず香織の手を握り、詰め寄る五郎 香織「私に化けたサイバーが、岩井さんをだまして捕らえたんです」 香織の手を握る五郎に力が入る。 五郎「芝居はもうたくさんだ!サイバーロボット!」 香織「そんな。何をいうの!違います。私の偽物が…」 五郎は香織の手を、けがをしていた右手をねじり上げる 五郎「新宿で俺が蹴ったサイバーの手首と同じ場所をお前が痛めていた。 さっきのキックで鳩尾を仕留めたら今度はお前も苦しんだ」 香織の身につけていたものを剥ぎとる五郎、白い肌が隠す事無く露わになる。 香織「やめて下さい。お願いです。乱暴しないで」 五郎「さっきキックでクロスした時、サイバーの体から匂いがしたんだ 岩井さんの葉巻と、お前に飲ませたハーブティーの匂いがな!」
そう言いながら、香織の右手の人工皮膚をねじり切る その中からは、あのマグナム銃が剥き出しになった 香織「そこまで判ったのなら、もう言うことは無い」 美しい若妻の仮面の下から現れる女サイバー戦士・マグナサイバー。 だが、腕は五郎にねじ上げられたままだ。 五郎「逃げられんぞ。サイバー」 マグナ「逃げるつもりなどない。お前こそ抵抗をやめろ」 気絶した岩井を縛り上げた戦闘員たちが現れる 五郎「岩井さんを離せ。貴様を絞め殺してやるぞ」 マグナ「お前はこの犬を見捨てられまい」 五郎の力が弱まる。 マグナ「お前とこの犬めを、首領様の前に生きたまま引き出してやるのだ」 戦闘員の1人がマグナに具申する。 「命令ではまず前線基地に連呼することになっておりますが」 マグナ「構わん。私の功績と忠誠を首領様に直接ご覧戴くのだ」 その言葉を聞き、急に態度を変え手を離す五郎 マグナ「観念したらしいな」 五郎「岩井さんの命を助けると保障しろ」 マグナ「ふん。それはお前の決めることじゃない」 2人を改めて縛り上げるサイバー一味。 (これだ、サイバー首領に直接対面するにはこの方法しかない!)
================== メスを持った科学者が、妊娠4ヶ月の腹部に狙いを定めた。 (いやーっ。やめて!あなた、助けてーっ!) たゆたっていた快楽の波の中から、現実に戻された香織 科学者は手を止めようとせず、彼女の膨らみつつあった下腹部に無造作にメスを入れた。 (ひいいいいいっ) 鮮血が飛び散り、白い腹が切り開かれた。 普通ならとんでもない痛みになるはずだが、薬の作用でそれは快感に変わる (あう、あううう、ふああっ) まるで重いもので殴りつけられたように 強烈な快感が頭の芯を突き上げる。
(ああ、なんてことを・・。おう、があ、があああっ) あまりのことに泣き崩れ、涙と震えがとまらない だがその涙も震えも、決して悲しみのためだけではなかった。 随喜の涙であり、絶頂の痙攣だった 科学者は腹の皮膚と子宮を切り裂くと、発育途中の4ヶ月の胎児を取り出した。 胎児はまだ、完全には人間の形をしていない。 科学者B「新鮮だな。良質の蛋白質の材料として色々使えるぞ」 科学者C「いや、培養実験にかけてみる方がいいのではないか?」 科学者は血まみれになった胎児の、まだ繋がっている臍の緒をメスで切断すると、 ぐったりした目の開かない胎児を培養液の入った透明のポット入れた。 普通なら母親の胎内から取り出された胎児はすぐに死んでしまうのだが、 多くのヤプー≠フ犠牲のもとに繰り返される人体実験から サイバー軍団は、中絶胎児の生存記録を伸ばしてさえいるのだった。 科学者B「いずれにせよ、使い道はある」 香織(ああ、赤ちゃんが、あなた、助けて、赤ちゃんが!) 夫との愛する子供もまた、悪魔たちの手によってむごい目にあわされるのを目の前に 香織の精神のバランスは崩壊しかけていた。 堕胎の痛みは、これまでになかった快感をさらに与えたのだ 香織(赤ちゃん、私の赤ちゃん。おおおおおおお、あう、あう、あう) 悲しみの涙でなく、生涯最大の快楽の涙にむせびながら、 彼女は愛児の最期を目の当たりにした…
========= いずことも知れぬサイバーの拠点。その首領の執務室。 ハープの音色の響く中、黒衣に身を包んだ総髪・痩身の男が憩いの時を過ごしている 科学者にも見える知性にあふれた端正な顔立ち しかし、目を伏せて思いにふけるその青白い貌には 同時に、狂気の光も宿っているのだ 彼は椅子に身を沈め、血のような真っ赤な酒を満たしたグラスを テーブルの上で弄ぶように揺らしている。 異常なのは、この部屋の調度品だ 彼の座る椅子の2本のアームレストは、白魚のようなスラリとし人間の女の腕 腰を乗せるソファーは、女の腰 テーブルの天板から床にすらりと伸びる脚は、ピンヒールを履いた女の脚4本 そして、部屋に流れるハープを奏でているのは 壁に剥製の鹿頭の如く飾られた、上半身だけの体の全裸の女だ。
ディストピアに捕らえられた人間の中には、単に実験材料としてだけではなく 首領の慰みにと、調度品など改造されて献上される者も多くいた。 首領の眼を汚さないように、専ら、女性がその材料にされた この部屋にいる彼女たち≠焉Aディストピアからの献上品だ。 腕だけ、足だけ、上半身だけの生き物、いや、家具になって生きる彼女たち。 いずれも言葉を話す能力を奪われて改造されているため、その心中はわからない だが、首領を癒す重要な道具になっているのは確かだ。 側仕え「マグナサイバーがお目通りを願っております」 首領「よし、通せ」 後手に縛られた五郎と岩井を引っ立て、マグナが謁見の間に入る。 この部屋の調度品に気付き、息を呑む2人 マグナ「我らサイバーの最大の敵、隼五郎ことファイターF。並びに政府の犬一匹 突撃隊マグナサイバーが首領様に献上致します」 首領「大儀であった。お前はテストロボットからの昇進の日も浅いに 敵の懐に入って見事欺き、こやつらを捕らえた。功績まさに大である」 マグナ「畏れ多い限りでございます」 首領「この愚か者どもを儂に良く見せよ」 マグナ「はっ」 そう言って2人首領の前に押し出す。 首領「こやつら、さてどのように始末してやったものか…、 マグナサイバー、お前に何なりと褒美をやろう」 マグナ「ならば。今ここで!」 首領、五郎、岩井の3人に向けマグナム銃をやにわに構えるマグナ ドゴーン!
================ サイバー科学者「さあ、どうした?やれ。その出来そこないを撃つんだ」 右腕に採りつけられたマグナム銃の照準を出来そこない≠ノ合わせる 目の前の出来そこない=B体の右半分が部品剥き出しの機械体、左半分が 表皮も無く赤色青色の血管が浮き出た人工筋肉体の、世にも醜いサイボーグの失敗作。 香織と一緒に捕らえられ改造された夫、卓也の変わり果てた姿だ。 声帯を取り付けられていないので、命乞いさえもできない だが、その目は彼女に訴えている (ためらわずに俺を撃て。お前だけでも生き残るんだ。 俺はもうこんな体で長くは生きられない。奴らを信用させ、懐に取りついてやれ) 香織(そうよ、あなたの分、奴らに殺された私たちの赤ちゃんの分生き抜くわ。 そして必ず復讐するの。それが私の務めなのね) 卓也と目が合った、お互い鉄面に採りつけられた人工眼だ。 彼女は最早それをためらわなかった。 ドゴーン! 爆発四散する卓也の体 (さよなら…) パチパチパチ 拍手とともに姿を現したサイバーの大幹部 大幹部「おめでとう。可愛い同志101号よ。お前は務めを果たした」 =============
最初の弾は首領の体をかすめ、生体テーブルを粉砕する。 マグナ「逃がすか!」 マグナム弾を乱射する。人間椅子、ハープ人形を砕く 声をあげることさえできぬまま、絶命する彼女たち その隙を見て、隠し持っていた特殊鋼製のナイフで縛めのワイヤを斬る岩井。 岩井「五郎君。今だ!」五郎の縛めも解く 五郎「変転!」 ファイターFの姿になる! マグナ「首領!死ね!」 ついにマグナの弾丸が首領を捕らえる だが倒れたのは、人工皮膚の顔マスクをはがした戦闘員だった F「影武者か!」 大幹部「馬鹿め。貴様ごときの前に軽々しくお出ましになられる首領様か」 何処かのスピーカーから声が響く マグナ「首領はどこだ!」 大幹部「貴様らの知ったことか!それより裏切り者同士殺し合え!」 目と目が合うFとマグナ
先鞭を切ったのはマグナだった マグナ「貴様からまず殺してやる」 F「待て。夫と子供が捕らえられているというのは嘘だったのか」 マグナ「2人ともサイバーに殺されたわ」 そう言ってマグナム銃をFに向ける F「やめろ。なぜ私たちが戦わなければならない 共通の敵はサイバーのはずだ」 F「正義のために君の力が必要だ」 マグナ「そんな安っぽいヒューマニズム、信用しないわ マグナ「お前は最早、私の前をふさぐ障害物でしかない!」 あの人と赤ちゃんの仇をとるのは私。 邪魔者全てを排除するのが私の務めよ」 そう言うが早いか、岩井にマグナムを突きつける
遠く離れた、真の首領の執務室 Fとマグナのやりとりは、隠しカメラで中継されている 首領(本物)「なぜあの女を遠隔爆破せん?」 大幹部「ご覧下さい。マグナサイバーはFめを殺さんとしています」 首領「奴は我らを裏切ったのではないのか?」 大幹部「あの女は自分で、夫や子供の仇をとっているつもりになっていますが サイバーのさだめはそう甘いものではありません。 奴の行動は全てファイターF抹殺≠ノ結論づけられるよう 脳に組み込んだ服従回路にインプットしてあります。 あの女が持っているつもりの自我≠焉Aつまりは服従回路が見せている幻です 狂戦士として戦うための…」。 首領「見事だ」 大幹部「恐縮でございます」
F「やめろ。君とは戦いたくない」 マグナ「さあ。まずはこいつから始末してやってもいいのだぞ。 F「よせ!」 岩井を救うため、Fは床を蹴って飛んだ マグナ「そう来なくては。死ね!」 空中に舞うFを、クレーピジョンのように悠々と狙うマグナ だが、その照門に捕らえられたのは、彼の残像だった F「ファイター反転キック!」 マグナの視界の盲点を経て、頭部に強烈な飛び蹴りが炸裂する マグナ「アアアア…。あなた、赤ちゃん…」 爆発するサイボーグの体 夫と子供を呼びながら、その2人の元に香織は旅立って行ったのだった 最期に人間の意思を取り戻せたのかは定かではない 残骸の中の彼女の脳は95%まで、服従回路の電子頭脳に交換されていたからだ 首領「おのれえええ」 激昂して執務室の人間テーブルを叩く! テーブルが少しかしいだ。 痛みのせいか、それとも、理不尽な仕打ちへの無言の抗議か 彼女≠ェ口を聞けない以上、誰にもわからない
四散した調度品≠フ前に立つ五郎と岩井 五郎「すみません…。ディストピアの手がかりはつかめずじまいでした」 岩井「なあに。次こそ絶対つかんでみせるさ」 五郎「それにしても。この椅子やテーブル、レリーフは…」 女たちの無惨な残骸に目を落とす 岩井「言わないでくれ」強い調子で言葉をさえぎる 「2人は絶対、生身の体で生きている! 哀れな女戦士にも、首領の慰み物にもならずに…。そうだ、生きているとも」 五郎「岩井さん!絶対にディストピアを見つけ、人々を解放します」 岩井「君1人ではない。俺も一緒だ」 悲壮とも言える決意のもと、固く手を握り合う2人だった (この項終わり)
485 :
PRIME :04/12/20 01:26:37 ID:HhFWHXBC
前スレの325さん 一気にSS読ませていただきました。 サイバーとは恐ろしく鬼畜な奴らですね。読んでいる間体が硬直してしまったほどでした。 ただマグナサイバーが死際に夫と子供の名前を呼んで死んだのは服従回路の電子頭脳に交換されていない5%の頭脳つまり彼女本来の人格が言わしめたものだと私は信じています。 ところで今ひとつわからないことがあります。マグナサイバー、手術台の女、そして三輪香織は同一人物でしたが、冒頭街中で香織を追跡していたマグナサイバーは何者だったのでしょうか? ひょっとしてマグナサイバーは2人いたとか?私は馬鹿なので考えれば考えるほど混乱してしまいます。 いずれにしてもSSお疲れ様でした。私も今のSSを完成させるべく頑張ります。
力作なのは分かるが、ここまで来ると板違いな気がする……。 面白さよりも嫌悪感が先立ってしまい、キツイ。 まあ、判断能力がないお子様が読んで影響されないことを祈る。
>PRIME様 次スレ移行前+年越し前にかけ込みで投下してしまいました 多少(どこじゃないか)の乱文は御勘弁下さい 467で「香織」を「かおり」とひらがな表記にしてしまい 24を二重カキコ 474で「連行」を「連呼」と書き間違いました なお、 お言葉通り手術台の女性は香織で、テストロボット101→マグナサイバーになった女です 一応冒頭でも、香織が人ごみの中に一旦消えてから戦闘員、次いでマグナを登場させ 同じ場面に2人いる描写は避けたつもりだったんですが…(汗 >486 申し訳ありません。お目汚しなので遠慮無くスルーして下さい
うーむ そろそろ板移転かな?
489 :
BeeF :04/12/20 23:50:09 ID:UrHviZg8
こんばんわ。年末は仕事が立て込んでいるうえに、連日の忘年会攻勢とあって、なかなか
SSの執筆ができずにいる情けないBeeFです。
なんとかクリスマス前には、サソリ女SSを仕上げたいと思っていますので、ご勘弁を。
(たぶんこれが、今年最後のSSになると思います)
>>前スレ325 様
「マグナサイバー」完結おめでとうございます。
鬼畜、と言うよりも物語中に救いを見いだすのが困難な、悲壮感溢れる話でしたね。
家畜人ヤプー的ネタは、読む人によってはキツイかも知れませんが、デスパー軍団との
差別化を図る意味でも効果的だったと思いますよ。
香織さんの復讐心が仮に幻であったとしても、その心がFたちに受け継がれてゆくならば
必ず報われる日が来る、とそう信じたいですね。
さて、325様がご執筆なされたSSはさっそくまとめサイトにUPしてあるんですが、
http://artofspirit.hp.infoseek.co.jp/other_ss/ 念のため、間違いや不都合な点がないかどうか、チェックしていただければ幸いです。
訂正すべき点は、お気軽にお申し出下されば即座に直します。
PRIME様のSSも同様ですので、PRIME様にもぜひともチェックいただきたいです。
490 :
PRIME :04/12/21 00:36:13 ID:yP61xxXU
早苗は石川家邸宅に入っていった。既にクラスメートたちも集まっている。 「いらっしゃい、天野さん」ひなのが早苗を出迎える。「天野さんが最後よ。これでうちのクラスメート全員揃ったわ」 クラスメートたちは応接室に連れて行かれる。豪邸だけあって応接室もかなりの広さだ。それは早苗たちの教室より広かった。 「皆さん、本日はようこそパーティに来てくださってありがとうございます。今日のパーティで白百合女学園3年A組の親睦を深められたら幸いです。後で面白いショーも用意していますのでどうぞお楽しみください」 ひなのの父豊が早苗たちに挨拶する。ひなのの母亜弥も豊のそばでにこやかに微笑んでいる。そのうちにメイドたちが豪勢な料理を運んできた。 パーティが始まった。乙女たちは料理を食べながら話に花を咲かせている。パーティは和やかに進む。早苗もクラスメートたちといつも以上に打ち解けて話をしている。 その頃石川家邸宅から100mほど離れたところではおやっさんのワゴンが止まっていた。 「発信機が作動しました」ワゴンの後部で貴司がモニターをチェックしながら言う。 「発信機?どういうこと?」千鶴は怪訝そうに尋ねる。千鶴はなぜここでワゴンが止まっているのか理解できていなかった。 「実は今日のパーティはジャマーの罠かもしれないんだ」おやっさんは千鶴に話す。 「罠って、早苗が危ないじゃないですか!!早く何とかしないと」千鶴はワゴンを飛び出そうとする。 「千鶴ちゃん、まだジャマーと決まったわけじゃないんだ。ただ啓介が不安だと言うから我々は早苗ちゃんのヒールに発信機を仕込んでおいたんだ」おやっさんは千鶴を制しながら説明する。 「そんな、もし早苗に何かあったら…」千鶴は声を震わせて言う。「大丈夫だよ。そのためにこうやって監視しているんだ」おやっさんはそういって千鶴をたしなめた。 発信機は限られた範囲内で点滅していた。それは早苗が一つの部屋にいる証拠だった。まだ早苗の身に危険は迫っていないようだ。
491 :
PRIME :04/12/21 01:02:54 ID:yP61xxXU
コンコン。窓をノックする音がする。啓介がバイクでやってきたのだ。 「川島。今の状況はどうだ?」啓介が貴司に尋ねる。「現時点ではまだ異常はない。だが油断は禁物だ。このまま無事にパーティが終了してくれたらいいのだが」貴司が答える。 「確かにな。俺の思い過ごしであればそれに越したことはない」啓介も顔を引き締めて答える。 「啓介さん、早苗は大丈夫なの?早苗にもしものことがあったら私、私…」千鶴はそこで言葉が切れて嗚咽する。けんかなどしてもやはり姉妹。妹のことが気になるのだ。 「千鶴さん、大丈夫だよ。何かあってもこの俺が絶対に早苗ちゃんたちは守ってみせる」啓介は千鶴に約束する。 「そうだな、絶対にジャマーの陰謀は砕かないと」おやっさんもそして川島貴司も力強くうなずいた。千鶴も少しは落ち着いたようだ。 だが、悪魔の魔の手は着実に乙女たちに迫っていた。 「今日は皆さんにワインをご馳走します」豊が早苗たちに言う。 「えー、ワイン?飲んでみたいけど私たちまだ未成年だし…」早苗が言う。「そうよね」「ちょっとやばいかも」クラスメートたちも口々に言う。 「大丈夫よ。1杯だけならいいじゃない」ひなのはそう言うとメイドたちにクラスメートの人数分のグラスを運ばせた。グラスにワインが注がれる。 「それじゃこのワインを飲んだらショーをお見せするわ」ひなのは言う。クラスメートたちはワインを飲む。ひなのは邪悪な笑みを浮かべてそれを見ていた。 異変は次の瞬間起きた。乙女たちは次々と意識を失って倒れたのだ。早苗も例外ではない。 ひなのはその光景を見てニヤリと笑った。メイドたちに言う。「こいつらをトラックに積み込め」 「はっ」そう言うとメイドたちは人工皮膚を剥ぎ取った。なんと素顔は戦闘員に改造されたひなのの手下の少女そして暴走族「紅蜥蜴」のメンバーだった。女性戦闘員たちは乙女たちを運んでいった。 ひなのはローズジャマーに姿を変えた。そしてつぶやく「作戦第一段階終了」 「おやっさん、発信機が移動しています」貴司が報告する。 「何!?」おやっさんは驚きの表情を隠せなかった。千鶴も異変を察知したのか顔が青ざめている。 「よし、俺が乗り込む。おやっさんたちは発信機を追跡してください」啓介はそう言うと石川家邸宅に乗り込んでいった。
492 :
PRIME :04/12/22 00:57:08 ID:09+UEu85
ピンポーン。啓介は石川家の玄関のベルを鳴らす。 「はい、どなたですか?」ひなのの母亜弥がドアを亜弥あける。啓介は亜弥を押しのけあがっていった。 「何なんですあなたは。警察を呼びますよ」亜弥は金切り声を上げるが啓介はそれを無視してどんどん進んでいく。 啓介は応接室に飛び込む。しかし、広い応接室には誰もいなかった。 「これはこれは、一体あなたは誰です?何の御用ですかな。いきなり人の家に上がりこんで」ガウン姿の豊が啓介にたずねる。丁寧だがかなり刺のある口調だ。 「今日はここで白百合女学園3年A組の生徒を集めてパーティがあったはずですよね?彼女たちはどこにいったんです?」啓介は尋ねる。 「…」豊も亜弥も黙ったまま何も言わない。啓介は言葉を続ける。「じゃあ私が答えを言いましょうか。ジャマーの基地に連れて行かれた。どうです?」 「その答えはお前には永遠にわかることはないだろう」豊はそう言うと手にしていたステッキを振り上げ啓介に襲い掛かった。啓介は間一髪それをかわしたがステッキはテーブルに当たった。テーブルは真っ二つになった。それは人間の力ではなしえないことだった。 「もしやこいつらは…」啓介はジャンプすると手刀を豊のこめかみに当てた。すると豊の顔から人工皮膚がはがれジャマー戦闘員の顔が出てきた。啓介は続けて亜弥にも手刀を当てた。すると亜弥の顔からも人工皮膚がはがれてジャマー戦闘員の顔が出てきた。 「ジャマーの敵、羽村啓介。死ね!!」戦闘員に改造された豊と亜弥は啓介に襲い掛かるが改造人間としての性能は啓介のほうが上だった。啓介は二人に必殺の鉄拳を打ち込む。 「グフェ!」奇声を発する二人。続けて啓介は二人の頚動脈に手刀を当てた。啓介の手刀は二人の首を確実にはねた。床に豊と亜弥の首が転がり落ちる。 「やっぱりジャマーの仕業だったか…」啓介はつぶやく。だがその時「ウォー」。戦闘員姿の大樹が短剣を持って襲い掛かってきた。
493 :
PRIME :04/12/22 00:58:04 ID:09+UEu85
「死ね!羽村啓介!」「まだ残党がいたのか」大樹は他の戦闘員に比べるとかなり性能が高いようだ。啓介のままでは勝てそうにない。「よし、変身だ」 啓介は左手を自分の顔面の前に斜めに掲げて半円を描きVサインをした右手を前に突き出して叫ぶ。「ビクトリーオン!」 その瞬間バックル内のVの字が光りだし前に飛び出した。その光は啓介を包んだ。啓介は叫ぶ。「Vサイバー」 悪の組織ジャマーと戦う正義の電脳勇者Vサイバーの登場だ。「現れたな、Vサイバー」大樹は短剣でVサイバーを襲うが所詮は戦闘員。難なくかわされてしまった。 「電撃ニーキック!」Vサイバーのニーキックが大樹のみぞおちをヒットする。「うっ!」大樹はその場にうずくまる。 「ビクトリーパンチ!」Vサイバーの拳が大樹の体をぶち抜いた。「ぎゃあ!」大樹はその場に倒れる。もはや虫の息だ。 Vサイバーは大樹に近寄り言う。「少女たちはどこに運ばれたんだ、言え!」胸ぐらをつかみ拳をちらつかせるVサイバー。 「ポイント603…」そう言うと大樹は絶命した。 Vサイバーはおやっさんにすぐに連絡する。「おやっさん、早苗ちゃんたちはポイント603にとらわれているようです」
母親改造の発端となった前スレの313氏の書き込みにあったバイオレンスジャックのアイアンカイザー編ってどんな話なのかな? そこに母親改造の話があったみたいだが。誰か詳しい話知らない?
ttp://yotsuba.saiin.net/~kanai/roman/kaigakan2/reika.html 「改造人間レイカ」
夕咲麗香は愛する恋人の裏切りで、悪の秘密組織に売り渡され改造人間 にされてしまった。
しかし彼女の心は悪の洗脳に打ち勝ち、その超人的な力で秘密組織を自力 で脱出。自分を売った恋人に復讐を誓ったが、 その恋人もまた組織の手により怪人化されていた。そこで彼女は、自分以外 にも改造をされた人間達がいるという事実を知る事になる。
彼女は自分の正体を隠し、一人孤独に組織の追っ手と戦いながら、 次第に正義の心へと目覚めてゆくのであった、、、
がんばれ、レイカ!!
496 :
BeeF :04/12/26 23:08:05 ID:K0SmmsgL
>>BeeF氏 凄い、オリジナルを越えてる……。 次回作も楽しみにしてます。
>>498 要所要所でオリジナルとオーバーラップするのが面白かったです
(まさか「あの」サソランジンまでネタで出てくるとは!)
BeeF氏の発表形態はこの形でもいいんじゃないでしょうか?
スレ上より改行等の関係もあって読みやすかったですし・・・
499 :
498 :04/12/27 14:14:55 ID:YpRh/Ag+
あ、すみません。少しバレをやっちゃったか?気をつけます・・・
さりげなく500get!
501 :
PRIME :04/12/28 01:39:45 ID:UdCHNZLA
BeeF様 新しいSS読みました。あまりの力作ぶりに一気に読みとおしてしまったほどでした。 改造にいたるまでの精密な描写。私には到底真似できません。私の場合大雑把なもんで。 でも考えてみればあのリカ博士もネオショッカーの犠牲者なんですよね。以前私が書いたSSの石川怜は自らの意志で悪の組織に魂を売り、傲慢な態度を取った挙句仲間に裏切られ改造され殺されました。 それに比べるとリカ博士は拉致されて改造されそして殺された分かわいそうだったと思います。 ところでスカイライダーの第4話で私はゼネラルモンスターに対する感情が一気に悪くなりました。今でも特撮史上最も憎むべき悪役キャラナンバー1です。 それゆえにゼネラルモンスターが仲間であるはずの魔神提督に見捨てられ処刑されると言う惨めな末路には溜飲が下がりました。 一般的にスカイライダーのファンの間ではゼネラルモンスターの末路は否定的にとられてますが自分としてはあの末路は正解だったと考えています。 誇り高い死に方ができるのは愛すべき悪役だけって言うのが自分のポリシーなんで惨めな末路のゼネラルモンスターは正直ざまあみろと言う思いでした。 彼に比べたら魔神提督はマヌケなというか人のいいおっさんにしか見えません。やってることは魔神提督も結構残酷なんですけどね。その点では地獄大使も同じと言えます。 まああそこまで憎々しくゼネラルモンスターを演じ切った堀田さんの演技力には脱帽しますが。 なんかスレ違いになってしまってすみません。私も早くSS仕上げないと。
502 :
PRIME :04/12/28 01:54:46 ID:UdCHNZLA
「何ポイント603?わかった」おやっさんは通信を受け貴司に言う。「ポイント603へ急行してくれ」 「ポイント603というとここですね」貴司が地図を指す。ICPOの暗号解読技術を駆使し貴司はジャマーの基地ポイント603の位置を割り出したのだ。 「早苗、早苗。無事でいて…。」千鶴は祈る思いで妹の名前を口にした。おやっさんはスピードをあげた。 一方ここはポイント603。郊外にある廃業した病院の廃墟がある。ここをジャマーは前線基地にしていたのだ。 廃墟の周りでは男性戦闘員が警備にあたっている。ここの地下にジャマーの基地があるのだ。 おやっさんたちのワゴンがついた。「よし、いくぞ」おやっさん、貴司、千鶴の3人はポイント603に忍び寄る。 白百合女学園3年A組の少女たちはトラックから下ろされた。少女たちは目を覚ます。「う〜ん、ここはどこ?」 「お目覚めのようね」ひなのが邪悪な笑みを浮かべながら少女たちに近づく。「石川さん、これは何の真似なの!?」早苗が叫ぶ。 「あら、言ったでしょう。面白いショーが始まるって。ただしショーを演じるのはあなたたちだけどね」 「それは一体どういうこと!?」早苗の問いかけにひなのは言う。「今日のショーは改造手術よ」 そこへ幹部科学者ドクターゼロがやってくる。「ご苦労だったなローズジャマー。いきのいい新鮮な素材がいっぱいだな」幹部科学者は嬉しそうに言う。 「はっ、お褒めに預かり光栄です。これだけ素材が集まればよりどりみどりでございます」ひなのはねぎらわれ嬉しそうに言葉を返す。 「ではこやつらをわしの開発した改造素体判定機にかけろ」ドクターゼロは言う。 「おら、さっさと歩け」女性戦闘員たちが少女たちを連行する。少女たちの前に奇妙な機械が現れる。 ドクターゼロは得意げに言う。「これは改造人間の素材となる人間を判定する機械だ。この機械のおかげで適材適所が実現するわけだ」 その機械は大きなボックス型で上に信号機のような赤青黄の3色のランプがついていた。少女たちはそこに並ばされる。
503 :
PRIME :04/12/28 02:09:22 ID:UdCHNZLA
まず1人目の少女がボックスに入れられる。しばらくして黄色ランプが点滅した。 「よし、こいつは戦闘員だ」ひなのが叫ぶ。その少女は戦闘員候補の檻に入れられる。 2番目の少女が入れられる。しばらくして赤いランプが点滅した。 「こいつは戦闘員にもならん。奴隷及び実験材料候補の檻に入れろ」ひなのの命令でその少女は別の檻に入れられる。 「石川さん、あなた頭がおかしいわよ。どうしてクラスメートの私たちにこんなひどいことをするの」早苗が叫ぶがひなのは耳を貸そうとはしない。 「私があなたたちのクラスメートだったのは過去の話。今の私は栄光ある組織ジャマーの一員よ。そしてあなたたちも私の仲間にしてあげるわ。クラスメートのよしみで」ひなのは微笑みながら言う。 この間にも次々と少女たちは判定機にかけられ選別されていった。そこには人間の尊厳など微塵もなかった。 そのうち残ったのは早苗一人になった。ドクターゼロが言う。 「まだ青色ランプが点滅したものはおらんな。こいつはどうやら」 ひなのは早苗を押し込める。「さあ天野さん、あなたもここにはいるのよ」「嫌、嫌〜!」抵抗空しく早苗も入れられる。 しばらくして判定機は青ランプが点滅した。「こいつは怪人にふさわしい」 「よかったわね、天野さん。あなた私と同じ怪人になれるのよ。戦闘員よりも上の立場の。私あなたのことが嫌いだったけどこれからは同じ仲間よ。歓迎するわ」 ひなのはおびえる早苗の神経を逆なでするようににこやかに残酷なことを言う。 「嫌、怪人になるなんて嫌!」早苗の絶叫が空しく響く。他の少女たちも震えながらこの光景を見ていた。 その頃おやっさん、貴司、千鶴は突入するタイミングを狙っていた。「やつらの隙を突いて突入するぞ」おやっさんの言葉にうなずく二人。しかし、 「おい、侵入者だ。捕まえろ!!」戦闘員たちに見つかる3人。 「くそ。おやっさん、俺がやつらと戦います。おやっさんたちは早く基地に」貴司が応戦する。 「よし。貴司、頼むぞ」おやっさんと千鶴は基地に突撃しようとするが戦闘員に囲まれてしまう。同時に貴司も多勢に無勢で捕まってしまった。 3人は基地に連行された。
504 :
BeeF :04/12/28 23:27:06 ID:S67zp/LE
>>497 様,
>>498 様
ありがとうございます。感想はとても励みになります。
SSの発表形式ですが、今回のようにした方が良ければ以後そうさせていただきます。
まずこちらに貼ってくれとおっしゃられた、前スレ634氏のご意見が気になりますが、
今後も必ずこのスレで告知はするつもりです。
まあ、他の方のご意見もあるでしょうから、少し様子を見ます。
>>PRIME様
今回はシチュエーションがたまたま、PRIME様のSSとかぶってしまったようですみません。
ただ女科学者のリカちゃんは、PRIME様の009石川怜に感化されて生まれたのも確かです。
ただサソランジンに改造された美也さんには、ゼネラルモンスターを憎んでくれるのはいいけど
自分を改造した科学者には憎しみの矛先を向けて欲しくありませんでした。
(でないとオリジナルの話から離れてしまいますからね)
だから、女科学者はわざと美也さんより精神年齢が低くて子供っぽい、ロリ顔のキャラにして、
あんまり憎しみが湧かないようにしたんです。悪役らしからぬ可愛い名前もそのせいです。
いよいよPRIME様のSSもクライマックスですね。たぶん早苗ちゃんは改造前に助かるんで
しょうが、どんな女怪人にされる予定だったのかだけは、教えて欲しいです。
505 :
PRIME :04/12/29 01:52:25 ID:uKlePXSl
BeeF様 シチュエーションがかぶったと言われますが気になさらないで下さい。まあ素材判定機は私も前々から考えてた小道具ではありましたが。 それと早苗の改造モチーフですが、それはおいおい明かしていくと言うことで。でもBeeF様のご指摘どおり大体展開は見えてますね。 それにしても早く完結させないといけないですね。
506 :
PRIME :04/12/29 02:09:31 ID:uKlePXSl
その頃早苗は手術台に固定されていた。首しか動かすことができずもがく早苗。 「石川さん、私たちをここから解放して」早苗は必死に訴えるがひなのは聞く耳をもたない。 「天野さん、そしてみんな。石川ひなのなんていう人間はもういないのよ。ここにいるのは栄光ある組織ジャマーの戦士ローズジャマー」ひなのはそう言うとローズジャマーに変身した。 「ヒッ、化け物!!」早苗はクラスメートの変身を目の当たりにして思わず悲鳴をあげた。「石川さん!?」「嘘…」「きゃあ!」他の少女たちも次々と悲鳴を上げる。 「あら、化け物とは随分な言い方ね。あなたも私と同じ姿になるのよ。そうでしょ、ドクターゼロ」ひなのはドクターゼロのほうを向く。 「うむ、彼女はさしずめモンシロチョウの改造人間にしよう」そう言うとドクターゼロは完成予想図を見せた。 「いや、いやよ。改造人間なんて嫌!!」早苗は悲鳴をあげる。 「大丈夫よ天野さん。はじめは私も嫌だったけど今は改造人間になれたことを感謝しているわ。あなたもすぐにそうなるわ」ひなのは早苗をなだめるように言う。 とそこに 「ねずみが3匹迷い込みました。Vサイバーの仲間です」戦闘員がおやっさん、貴司、千鶴の3人を連行しドクターゼロに報告する。 「ほほう、ではこいつらも改造素体判定機にかけるとするか」ドクターゼロは言う。 千鶴はふと手術台に目をやる。するとそこには早苗が固定されていた。「早苗!!」千鶴は叫ぶ。 「お姉ちゃん!!お姉ちゃん助けて!!」早苗は姉の姿を見て悲鳴をあげる。 「あんたたち、妹に何するつもり!?」千鶴はドクターゼロやローズジャマーに噛み付くように言う。 「知れたこと。お前の妹を改造人間にするのだ。栄光に思え」ドクターゼロは傲慢に言う。 「冗談じゃないわ。改造人間だなんて。ここにいる皆を解放しなさいよ」千鶴は内心ではおびえながらも精一杯強気を装いながらドクターゼロに噛み付く。しかし 「馬鹿を言え。せっかくの素材をむざむざ手放す馬鹿がどこにいる。心配せずともお前も改造人間にしてやる」ドクターゼロはまったく聞く耳をもたない。
507 :
PRIME :04/12/29 02:37:38 ID:uKlePXSl
その頃啓介もバイクでポイント603にやってきた。ふと見るとおやっさんたちのワゴンが置いてある。 啓介は近づいて中をのぞいてみた。ワゴンには誰も乗っていない。「もうおやっさんたちは中に入ったのか?」啓介はそうつぶやくとジャマーの基地にそっと近づいていった。 基地の周辺はおやっさんたちの侵入の後とあって警備の戦闘員が増員されていた。手にマシンガンを持って戦闘員たちは警戒にあたっている。 「こりゃやすやすと入れそうにないな」啓介はそうつぶやくと物陰に隠れチャンスを待つことにした。 そのうち一人の戦闘員が啓介の潜む物陰のあたりにやってきた。「おや?」不審に思った戦闘員は啓介のところに向かう。 「とりゃ!」啓介は突然戦闘員に襲い掛かる。「貴様は羽村啓介…!!」反撃する間もなく倒される戦闘員。啓介は戦闘員の衣装を奪い取りそれを着た。 そこに他の戦闘員がやってくる。「今物音がしたが何かあったのか?」戦闘員に化けた啓介に尋ねる戦闘員。 「いや、なんでもない。ネコが1匹いただけだ。ここは大丈夫だ。」啓介はそうごまかす。 「そうか。ならいい。さっきVサイバーの仲間が忍び込もうとしたからな。まあすぐに捕まえたが。警備は厳重にしないとローズジャマー様に叱られる。何しろヒステリーな方だからな」戦闘員はウンザリしたように言う。 (何!?おやっさんたちが)啓介は驚きながらも何とか救出のチャンスを狙おうとしていた。 ふと見ると他の戦闘員が秘密の入り口から基地内部に入ろうとしている。(あそこが入り口か)啓介は入り口の場所を確認すると侵入のチャンスを待った。 それからしばらくして啓介はあたりを見回した。幸い誰もいない。(よし今だ) 啓介は秘密の入り口から基地に侵入した。
早苗タンの改造手術、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! PRIME氏へ。せっかくの改造手術を途中で邪魔されるなんてザンコクなことはやめて、 千鶴タンともども、立派な改造人間として生まれ変わらせてあげて下さい。 その後だったら、Vサイバーに助けられて正義のヒロインになるのも可。
やっぱり二人とも脳改造まで施して、ジャマーの一員となるのが萌えです。 悪の心となってVサイバーに倒されるのがよいのでは?
510 :
PRIME :04/12/30 02:04:14 ID:uWYxfLVz
>>508 さん
>>509 さん
う〜ん、随分と難しい注文をされますねえ(苦笑)。
私のSSのパターンからするとBeeF氏も仰っているように大体展開も見えていますからね…。
ただ今のSS執筆と同時に新しいSSも構想中です。新しいSSではいろんな意味で残酷な話になっていると思うのでそっちのほうに期待してもらえれば幸いです。
511 :
PRIME :04/12/31 01:57:19 ID:pTjtGymO
その頃手術台の上では早苗の手術が行われようとしていた。 「やい、ジャマー。早苗ちゃんを皆を解放しろ!」おやっさんは檻の中から叫ぶがドクターゼロは耳を貸そうとはしない。 「黙れ、ジャマーの一員になることによって永遠の命を得ることができるのだ。ありがたく思え」ドクターゼロは手術を執り行おうとする。とそこへ 「大変です!」一人の戦闘員が飛び込んでくる。 「一体何事だ。この忙しい時に」手術開始を邪魔されたドクターゼロは不機嫌に言う。 「Vサイバーが基地に侵入しました」戦闘員は報告する。 「何、Vサイバーが。直ちに警備を強化しろ」ドクターゼロは命令する。ひなのも戦闘配置につこうとする。「お前も早く行かないか!」ドクターゼロは戦闘員に命令する。 「はっ!」しかし、戦闘員は突如手術台のレバーを引く。すると早苗の手足を拘束していた手かせ足かせが外れた。「えっ!?」驚く早苗。 続けて戦闘員はおやっさんたちや少女たちが監禁されている檻にマシンガンを発射した。マシンガンは檻の鍵を破壊した。檻から逃げる人質たち。 「これは何の真似だ。貴様、ジャマーを裏切る気か!?」ドクターゼロは戦闘員に怒りをあらわにするが「はっはっは」戦闘員はマスクを脱ぐ。それは羽村啓介だった。
512 :
PRIME :04/12/31 01:58:48 ID:pTjtGymO
「き、貴様は羽村啓介!!おのれ、よくもこんな真似を」怒るドクターゼロを尻目に啓介は戦闘員めがけマシンガンを乱射する。次々と倒れる戦闘員たち。 啓介はマシンガンを奪い取るとおやっさんと貴司に渡した。「早く少女たちを連れて逃げてください」「わかった」「啓介、死ぬなよ」おやっさんと貴司は人質を連れて脱出を図る。 千鶴は早苗と再会した。「早苗!」「お姉ちゃん…、怖かったよ…」泣きじゃくる早苗を抱きしめる千鶴。しかし、おやっさんがたしなめる。「感動の再会は後だ。まずは皆を脱出させないと」 おやっさんと貴司の手引きで少女たちは逃げ出す。残ったのはドクターゼロに改造手術スタッフ、そして羽村啓介だった。 「おのれ、羽村啓介。よくも我が計画を…!」怒るドクターゼロに啓介は答える。「ドクターゼロ、少女たちを改造してジャマーの手先にしようと目論むとは。許せん!」 啓介はマシンガンを乱射する。銃弾は改造スタッフの命を奪っていった。そしてドクターゼロも流れ弾にあたる。 「わ、わしは死なない…。わしにはまだまだ野望が…」野望を夢見ながら絶命するドクターゼロ。 だが、そこにひなのが現れる。「ジャマーの敵、羽村啓介。ジャマーの野望を阻む者は許さん!」 「やっぱりお前はジャマーだったんだな。クラスメートをだまして悪の手先にするとは。見下げはてた奴だ」啓介は叫ぶ。 「黙れ、ジャマーは偉大なり。バ〜ラ〜」ひなのはローズジャマーに変身する。 「ビクトリーオン!」啓介もVサイバーに変身する。「Vサイバー!」
513 :
PRIME :04/12/31 02:17:06 ID:ReuSkqlz
啓介の変身と同時に女性戦闘員が現れる。ひなのの手下、そして暴走族紅蜥蜴だ。 「親父狩りの少女たちにレディースか。悪事の果てにジャマーに魂を売ったか」啓介は(勘違いの)怒りに燃えた。 「死ね、Vサイバー!」女性戦闘員たちは短剣でVサイバーに襲い掛かる。しかし、「サイバーブレード!」Vサイバーの必殺武器、サイバーブレードだ。 Vサイバーはサイバーブレードで女性戦闘員たちを切り捨てていく。「うっ!」「きゃあ!」「ぐっ!」うめき声をあげて絶命する女性戦闘員たち。 Vサイバーはローズジャマーと対峙する。「なぜ、ジャマーに魂を売った。しかも両親まで改造するとは」Vサイバーは怒りに燃えて叫ぶ。 「お前に答える必要はない。私は栄光あるジャマーの戦士、ローズジャマーだ」ローズジャマーも叫ぶ。 「死ね、ポイズンスティンガー!」毒の刺がVサイバーを襲う。Vサイバーはかろうじてかわすが刺はひっきりなしに飛んでくる。 ブシュ!一瞬の隙をついて刺がVサイバーに刺さる。「うっ!」うめきながらその場に膝をつくVサイバー。 「ほほほ、もう1発この刺を食らうとお前はおしまいよ」笑いながらローズジャマーはVサイバーに迫る。 (くそ、目がかすむ。何とかしなければ…)絶体絶命のVサイバー。しかし、力を振り絞って立ち上がる。「さあこい、ローズジャマー!」
514 :
PRIME :04/12/31 02:21:12 ID:ReuSkqlz
「しぶとい奴。ならこれで最後だ!ポイズンスティンガー」ローズジャマーは刺を発射する。しかし、「ブレードスラッガー」 Vサイバーはサイバーブレードを野球のバットのように握り飛んできた刺を打ち返した。刺は全部跳ね返される。 「な、何!?私の刺が破られるとは…」ローズジャマーは悔しそうに叫ぶ。「スティンガーホイップ!」今度はバラの刺のついた鞭でVサイバーを襲うローズジャマー。しかし必殺のポイズンスティンガーを破られたローズジャマーなどVサイバーの敵ではない。 「サイバーブレード、乱れ切り!」Vサイバーはサイバーブレードでローズジャマーを滅多切りにする。「ぎゃあ!」彼女の悲鳴が基地に響き渡る。 「サイバーエネルギーチャージ!」サイバーブレードが光りだす。サイバーブレードを掲げてVサイバーは突進する。 「ビクトリーブレーク!」サイバーブレードでVの字にローズジャマーを切り裂く。 「う、うう…。私はローズジャマー。ジャマー万歳!」ローズジャマーはそう叫ぶと爆発四散した。石川ひなのはローズジャマーのまま散っていった。 「しくじりおったか、ローズジャマーめ。女性戦闘員の増加どころか今までの女性戦闘員も死なせるとは。この役立たずめ!かくなる上は」 隠しカメラで一部始終を見ていた本部の首領はいまいましげにつぶやき前線基地の自爆スイッチのボタンを押した。爆発し崩れ落ちていく基地。 「ジャマーの裏切り者Vサイバー。このまま死ね。ははは」首領の笑い声が響き渡る。 「このままでは俺も潰される。オートサイバー!」Vサイバーは叫ぶ。するとVサイバーのバイクオートサイバーが壁をぶち破って現れた。 Vサイバーはオートサイバーにまたがり基地を脱出した。直後基地は大爆発を起こして崩壊した。
515 :
PRIME :04/12/31 02:38:37 ID:6YYgKxoH
その頃、おやっさんたちは基地の外にいた。成り行きを見守るおやっさんたち。 すると突然病院の廃墟が爆発した。すさまじい爆風におやっさんたちは思わず地面にひれ伏す。 「おやっさん、俺が様子を見に行きます」貴司が様子を見に行こうとすると「おやっさん!」啓介がひょっこり現れたのだ。 「啓介、お前無事だったのか。よかったよかった」おやっさんも貴司も嬉しそうに啓介に駆け寄る。 だが、早苗や少女たちは未だにショックを隠しきれずにいた。「まさか石川さんがジャマーだったなんて…」千鶴にしがみついたまま早苗はポツリとつぶやく。 他の少女たちもひなのの正体を知って一様に打ちひしがれていた。その光景は痛々しかった。 「彼女たちの心の傷は深いでしょうね。クラスメートが悪の手先だったんですから…」啓介はつぶやく。 「そうだな、だがやがては心の傷も癒えていくだろう。またそうでないとな…」おやっさんも言葉少なげに言う。 「啓介さん、私怖かった…。どうしてもっと早くきてくれなかったの。馬鹿馬鹿」早苗は泣きながら啓介を叩いた。 「さあ、帰ろう。怖い思いはもうたくさんだ」見かねた貴司が早苗たちに声をかける。千鶴も黙って見守っている。 おやっさん、貴司、千鶴に先導されて少女たちは帰路に着いた。 一人残った啓介は廃墟を見つめていた。「ジャマー、なんと恐ろしく油断のならない奴らだ。俺は絶対に奴らを許さない」 啓介は誓いを新たにするとおやっさんたちを追っていった。 (完)
516 :
PRIME :04/12/31 02:48:56 ID:6YYgKxoH
以上でSS完結しました。 今回のSSは正直言って失敗作でした。自分自身の不始末によるブランクによって感覚が鈍ったこともありますが、何よりも設定をうまく生かしきれなかったことが失敗の原因だと思います。 また天野姉妹を改造してという要望もありましたが、この2人はライダーシリーズで言うライダーガールのようなものです。 ライダーガール的キャラを改造することは不適切と思いまた何よりも悪女改造という私のポリシーに反しますので改造しませんでした。申し訳ありませんがその点をご了承くだされば幸いです。 後今新しいSSを構想中です。それでまたお目にかかれればと思います。 いずれにしても私のつまらないSSにお付き合いくださりありがとうございました。また新しいSSを発表する時はよろしくお願いします。 それでは皆様よいお年を。
GB。禿しく乙彼。>>PRIME氏
楽しませていただきました。お疲れ様です。
あけおめ〜。ことよろ〜。
521 :
BeeF :05/01/01 16:34:07 ID:MD7OA1S7
皆様、新年あけましておめでとうございます。
>>PRIME 様
SS完結おめでとうございます。
途中ブランクが開いて大変でしたね。確かに予想通りの展開だったかも知れませんが、
王道の娯楽編として楽しめました。改造手術の魔の手が、もう少しぎりぎりまで早苗ちゃん
たちに迫れば(例えば全裸にされて予備注射を打たれて、レーザーメスが目前に迫る位)、
もっともっと萌えられたかも。次回作も楽しみにしています。
そうそう、完結したSSは既にサイトにUP済みですので、ご安心下さい。
>>519 ご指摘ありがとうございます。
実はCHIELIの正体は、漏れを舞い上がらせてかつごうとした、漏れの相方の仕業でした。
正月早々CHIELI名義で、顔写真付きの年賀メールが送られてきて、激しく萎えました orz。
これまで隠れてサイト運営していたのですが、とうにお見通しだったらしく、恥ずかしい
SSに本名を使われたことへの復讐で悪戯を仕掛けたとのこと。途中何度もヒントを出した
のに漏れがまったく気付かなかったことをなじられましたが、何とか許してもらい、サイト
継続の許可ももらえました。あーよかった。
結果的にCHIELIの物思わしげな書き込みは、一部の人の興味を引いたらしく、他の方々を
巻き込むかたちで迷惑を掛けてしまったので、CHIELIの中の人にはBBSにおいてお詫びを
書かせました。私からもここで謝罪したいと思います。お騒がせいたしました。m(__)m
自分のサイトで自作自演するのは勝手だが、嘘の上塗りは見苦しい。
そっとしといてやれ
この手の相方、同居人、家族がやったという話は大抵がウソ
ここでジサクジエンしすぎて癖がついたんだろうな まあ大目に見てやれや SS職人は生かさず殺さず(・∀・)
はい!!!
それでこのスレ後どの位のレス数で容量がいっぱいになるの?
528 :
BeeF :05/01/04 00:24:20 ID:vedmS49A
おやおや。人が忙しい正月を過ごしていたら、妙な方向にスレが進んでますね。w どうせ騒いでいるのは例の粘着くんただ一人でしょうから、スルーするつもりでいたんですが、 漏れを心配してくれるメールが入りましたので、そういう方々に安心してもらうためにちょっと だけ書き込んでおきます。 粘着くんどうやら、漏れがCHIELIを自作自演したと言いたいみたいだけど、漏れの立場からすると それはあり得ないですよ。正常な判断力をお持ちの方はそれがわかるでしょうから、以下の書き 込みを読まれて、どちらが正しいか各自判断して下さいな。 BeeFは、これまで書いたSSをプロファイリングしてもらえばわかる通り、結構年配です。 漏れくらいの年になると、人間の価値は「その人がどういう成果を残したか」で決まるものだ ということをはっきり悟るものです。偽りの賞賛など何の意味も無い、ということをね。 BeeFとしても漏れの評価は、これまでに書いたSSの全てと、漏れのサイトのアクセス数が 全てです。これだけあれば充分。評価する人は評価するし、他には何ひとつ必要ない。 つまり、仮に漏れが自作自演するとしても、それには何のメリットもないわけです。だいたい 漏れがCHIELIを演じたとしても、第三者がそこに見るのは「若い女の子に手玉に取られる中年男」 の姿でしかないでしょう? 何が悲しゅうて、そんなものを演じなければならないんだろうw それが悲しいかな、引きこもりの社会経験の無い人にはわからないんでしょうね。
529 :
BeeF :05/01/04 00:26:21 ID:vedmS49A
それに、これがもっと大事なことですが、「SS作家は、自作自演するならもっと巧妙に行う」
ということ。何しろ、伏線を張り巡らせてそれを一気に回収するのが普段の仕事なんだから。
仮に漏れが自作自演するとしたら、もっと時間をかけて、第三者の目から見ても不自然になら
ないようにしますね。だいたい「すぐに写真を送る」なんて怪しい台詞は絶対書かない。
今回は、漏れの性格を良く知った相方が、数日で正体を明かすつもりの短期決戦で挑んだので、
騙す対象は漏れ一人で充分。第三者の目から見れば不自然なところがいっぱいあったと思います。
これが自作自演なら、最初から第三者に見せるつもりで書き込むはずなので、そういう部分は
できるだけ排除しますよ。SS作家をなめんじゃねえぜ!w
あと、1日は漏れも激昂していたのでつい
>>519 に社交辞令を送ってしまったけど、BeeFと
CHIELIのIPは全然違いますよ。漏れは自宅から地方弱小ISPを経由して、CHIELIは相方が
自分の事務所から大手ISPを経由して書き込んでます。一致しているわけがない。
BeeFはそもそも、連続投稿規制を回避するために複数のISPと契約しています。自作自演する
としたらそれらを使い分けるのが当然。IPが一致するなどというヘマをするものですか。
はい論破終わり。書き込みを遠慮しておられた皆さん、これでスレも正常化しますからご安心を。
いや、BeeFさん。 それはけんか売ってる。
>>527 あと20レスくらい。そろそろ誰か、次スレを立てた方がいいかと・・・
>BeeF氏 流石に引いた・・・
騙りかとオモタ
536 :
BeeF :05/01/05 01:56:47 ID:r+6Y6WWy
>>530 ,532
確かに。私怨でスレを荒らしているのは私の方ですね。申し訳ございません。
正月からプライベートで色々あったもので、気が立っていたようです。
スレを殺伐としたものにしてしまったお詫びに、ちょうどスレが変わることでもあるし、
今後はBeeFの活動はサイト中心とし、本スレへの書き込みは最小限に留めることにします。
SSは引き続き書きますので、そのURLを告知するためにスレを訪問しますが、それ以外の
書き込みは遠慮させていただきます。もちろん、いかなる煽りも徹底無視いたします。
なおPRIME氏や325氏、そしてまだ見ぬ新SS職人さんたちがSSを書かれたら、まとめ
サイトにこれまでと同様、掲載させていただきますのでご安心下さい。
また漏れに対するSSのリクエストも従来同様受け付けます。ただし具体的に漏れに対して
呼びかけられた場合のみ反応いたしますので、ご注意下さいね。
それでは皆様、新スレで引き続き、改造萌えの世界をお楽しみ下さいませ。
537 :
BeeF :
05/01/05 23:07:25 ID:jacA75aB 皆様には大変申し訳ないのですが、家庭内のトラブルがのっぴきならないところまで 進んでしまい、これ以上、女性改造SSの執筆を続けることができなくなりました。 無期限で、新作SSの執筆をストップさせていただきたいと思います。 双子の女の子が母親に改造され、片方は悪の化身となって“機躰兵団”の先兵となるが、 もう一人が正義に目覚めるという次回SSの構想が完成していた矢先だったので残念です が、決心は変わりません。何卒ご了解下さいませ。 もちろん皆様にご迷惑はお掛けしないよう、「蜂女の館」の、まとめサイトとしての機能 は残します。投稿SSがあれば、告知も行います。 ただ漏れが、新作SSを書けなくなるというだけのことです。名無しでの書き込みも行え ません。 なおこの処置は、漏れが相方との関係を修復するためのもので、漏れの誠意が相方に伝わ れば、いずれ再開することができるかも知れません。 ただそれがいつになるかは、現時点では何とも言えません。かなりの時間が必要と思われ るのは確かです。 それでは皆様、長い間お世話になりました。PRIME様、325様、素晴らしいSSでスレの 始まりを飾って下さった新規登場の職人・SM様、そしてまだ見ぬ多くのSS職人の皆様 方、後はよろしくお願いします。