【手を取り】ライダー共闘SSスレその6【戦え】

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1氷川君好き
仮面ライダー作品の世界観のアナザーストーリーはもちろん、
時代も世代も違う作品群の夢の競演からオリジナルライダーまで
自由度の高いSSを職人さんに発表してもらうスレです
age,sage自由、批評は良いが煽りをしてはいけないよ
それとここは職人さんの技が披露されるところです。
間違っても「僕が考えたライダー」みたいな俺ガン系のハンパカキコはやめようね。
SSになってれば大歓迎ですよ。

読者の方も感想、激励等どんどんカキコして行きましょう
新しい職人さんもぜひよろしく

バックナンバーはこちら↓
前スレ(その5)
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1059983703/l50
前の前スレ(その4)
【手を取り】ライダー共闘SSスレその4【戦え】
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1053443915/l50
ログ庫 
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Studio/9133/rider/index.html
避難所 
http://jbbs.shitaraba.com/movie/3028/saidestory.html
2名無しより愛をこめて:03/12/09 02:53 ID:00nnRfvT
うっ!は!
3名無しより愛をこめて:03/12/09 03:05 ID:sysSFqH8
僭越ながらスレ立てました
図々しいと思いつつ、荒れる原因のスペック厨に釘を刺す一文を追加致しましたm(_ _)m

皆様今後ともよろしくお願いいたします。
4名無しより愛をこめて:03/12/09 03:16 ID:EOv/FF+Q
>3
乙。それにしても、ロック規制に出くわすの今日3回目だ俺…
もう少しNGワードの文字列を工夫汁、というお話。
5名無しより愛をこめて:03/12/09 09:21 ID:ZGsmFUtd
共闘で検索したら見つかり松田。
6名無しより愛をこめて:03/12/09 09:26 ID:ZGsmFUtd
旧スレにカキコするつもりがゴバーク・・・
とにかく>>1
7彼面雷駄:03/12/09 18:19 ID:Md3mqAE7
>>1さん乙&ありがとう
2章の続き、出来次第upさせていただきます
8Overtime/2章/Act.1:03/12/09 21:31 ID:Md3mqAE7

前スレ(512-542)からの続き
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1059983703/l50


Overtime 仮面ライダー
第二章『救世主』
Act.1『呪われた鎧』


それからというもの、和人と真澄は残されたアンチショッカー同盟の隠れ家に籠もり、
『呪われた鎧』を再び動かす事、そしてその調整に心血を注ぎ込むのであった。
真澄はまずこの秘密のアジトの内部を総点検する事からはじめた。
真澄が内部をチェックすればする程、そこには驚愕の事実が隠されていた。
半永久機関による動力源、それはこの基地が
ショッカーとの長期戦の為に開発されたものである事を意味していた。
さらに基地内に残された数々の兵器と武装、
そこには真澄の母・小沢澄子が残した研究資料にないものも多数存在していた。

「ここは、本当に母さんや滝の叔父さんが、俺達の為に残してくれた遺産なのかもしれないな …」
基地内をチェックしていた真澄は和人にそう言った。
「アンチショッカー同盟が壊滅してから久しく経つというのにだ、
この基地は正常に稼動している、寸分も狂わず、コワイぐらいにな」
和人は真澄の言葉に黙って頷いた。
「『呪われた鎧』の武装も完璧に揃っている… 修理の必要すらないぐらいだ…
GM-01改4式、低空・短距離用4連装対地ミサイルランチャー・ギガント…」
9Overtime/2章/Act.1:03/12/09 21:31 ID:Md3mqAE7

「他に俺の知らないモノもたくさん残っている… 例えば、この黒いサイドカーだな。
武器を備え、何かしらの変形機構を備えているようだが、
今の所どんなものなのか全く検討がつかん、とにかく動かしてみないと何とも言えないな…」
真澄が指す黒いサイドカーをじっと見つめる和人。
「『呪われた鎧』を装着して、こいつに乗る事は可能か?」
「設計思想が全く違うものだから何とも言えんが、
通常のバイクの形態に酷似している点からしても、こいつには普通の人間でも乗れる可能性がある。
だとしたら『呪われた鎧』が乗れる可能性は高い。
まぁもっとも、こいつが『呪われた鎧』の重量に耐えられればの話だがな。」
「こいつがそんなに気になるか?」
「いや、大した理由はないんだが、こいつのサイドカーにギガントを乗せて置くってのはいいかと思ってな。
それにだ『呪われた鎧』を装着してショッカーがいる所迄歩いて行くってのは随分骨が折れる話だぜっ」
和人は笑いながら言った。
「確かに、『呪われた鎧』にも足が必要か …」和人の発言に真澄も改めてその事に気づく。
「まぁ、考えておいてくれ」「わかった、何とかしよう」

「だが、とりあえずは『呪われた鎧』の調整を最優先とさせてもらうぞ。
未調整の段階でお前に着て行かれて、お前に死なれでもしたら、こっちとしても目覚めが悪いからな」
「あぁ、頼りにしてるぜ」和人は真澄の言葉にクスッと笑う。
「装着者が無茶な奴だと、こっちも苦労する。俺の母さんもこんな気分だったんだろうぜ」
「悪いな、無茶なのは父親譲りなんでね」今度は真澄が笑って見せた。
10Overtime/2章/Act.1:03/12/09 22:29 ID:Md3mqAE7

「しかし、これだけの武器があれば、一時的にせよ人間がショッカーと戦う事は可能だ」
「だが、今の人間にはショッカーと戦おうとする者はいない、俺達以外にはな」真澄の言葉に和人は返す。
「そうだ、今の人間にはショッカーと戦う気力すらない …
ショッカーの支配するこの生活に疲れ切ってしまっているんだ …
だが何かきっかけがあれば…人はショッカーと戦う気力を取り戻すかもしれない …」
「きっかけか …例えばどんな?」和人は真澄に問う。
「例えば… 救世主の出現… 仮面ライダーが現れるとか… 」
「真澄っ!お前迄和美みたいな事を言うのかっ!?」和人はむっとする。
「まぁ待て、俺も仮面ライダーが帰って来るのを信じているという訳じゃない。
だがっ、どうだっ、お前がいっその事仮面ライダーになってみたら?
マスクを被ってこのサイドカーに乗れば、お前だって充分に仮面ライダーの資格は満たしているだろ?」
和人は真澄の冗談なのか本気なのか分からない発言に戸惑った。
「よせよっ、俺はあくまで人間としてショッカーと戦うぜっ」
「一人の人間、滝和人としてなっ」和人は瞳にはショッカーと戦う強い決意が溢れていた。
「お前が戦う姿を見て、一人でも多くの人間が戦う気力を取り戻してくれればいいんだがな…」
真澄はそう言って『呪われた鎧』をじっと見つめた。

それから、真澄は『呪われた鎧』の調整に全身全霊を捧げた。
自分の調整次第で友・和人を死なせてしまうかもしれないという畏れと不安、そしてプレッシャー。
だが同時に湧き上がる母が造った最強の強化スーツに挑むという喜びとやる気。
真澄はこの2つの相反する感情の狭間で揺れ動いていた。
数日にも渡り不眠不休の作業が続いたが、それは真澄にとって全く辛いものではなかった。
いや作業をしていない時の方が真澄にとっては不安であり、苦しみであった。
だから真澄はひたすらに作業に夢中になった、まるで心の中にある何かを忘れ去ろうとでもしているかのように。
真澄は和美の様子がおかしい事にも薄々気づいてはいた。
だが自分の事に追われて、和美を気遣ってやる事は出来なかった。
真澄はそんな自分にも苛立ちを感じていた。
何故なら真澄は和美に淡い恋心を寄せていたからだ。
11Overtime/2章/Act.1:03/12/09 22:30 ID:Md3mqAE7

和美はここで『呪われた鎧』の調整に必死になる二人の姿を見るのが辛かった。
和美にとって『呪われた鎧』は、父・滝和也が死に際迄着ていた忌まわしいスーツであり、
和美はこの黒いスーツをどうしても好きになる事が出来なかった。
そして兄・和人がこれを着たら、父と同様に兄もまた遠くに逝ってしまうのではないか、
自分は兄もまた失い一人ぼっちになってしまうのではないか、
そう思えてならなかったし、その不安で和美の胸は押し潰されそうだった。
和人は父・滝和也を、強く逞しい偉大な男として、尊敬し憧れを抱いていた。
和美は優しい父が好きだった。その息子と娘の違いが、兄と妹の考え方の違いだったのかもしれない。
和美にも兄・和人の想いはわからなくはなかったが、
それでも兄には無茶な事は止めて生きて欲しかった、生きて一緒に居て欲しかった。
和美にとっては兄もまた父同様に大好きな人であったからだ。

和人もまたそんな和美の気持ちを痛い程によくわかっていた。
だが、それでも和人は自分の信念を曲げる事は出来なかった。
和人は幼い頃に亡くした父に誓ったのだ、
自分もまた父のように強く逞しい男となり、ショッカーと戦う事を。
和人もまた父と同じぐらいに妹・和美を愛していたが、それでもこれだけは譲る事は出来なかった。

そして或る日、和美は居住エリアに戻ると言い出した。
和美はこれ以上二人の傍で、『呪われた鎧』に心血を注ぐ姿を見ている事がいたたまれなくなったのだ。
和人と真澄は相談して、和人が真澄を居住エリア迄送って行く事にした。
和美は「一人でもショッカーに捕まるようなドジじゃないからいいよ」と断ったが、
和人もまた「ここらでショッカーの動きを探っておく必要がある」そう言って、
無理に和美を送って行く事にしたのであった。
和人は黒いサイドカーの助手席に和美を乗せ、荒野と化した地平を砂煙を上げ駆け抜けた。
兄と妹、二人は互いに何か言いだげであったが、結局最後迄何も話せずじまいで、居住エリアの傍に着いてしまった。
12Overtime/2章/Act.1:03/12/09 23:23 ID:Md3mqAE7

居住エリアに戻った和美。
兄・和人はショッカーの動きを探る為、各地を黒いサイドカーで奔走していた。
和美は兄と一緒に居るのが何か気まずくて、一人居住エリアに残っていた。
そんな和美の前に、以前ショッカーと戦おうとする和人を批難した街の人々が現れる。
驚く和美にその人々達は言う。
「この間はすまなかった… あれから俺達もよく話しあったんだ…果たしてこのままでいいのかって…」
和美はただただ黙って話しを聞いていた。
「そこで出た結論なんだが、俺達もショッカーと戦おうと思うんだ…」
和美はその人達の意外な言葉に驚きの色を隠せない。
「あんたが驚くのも無理はない…だが俺達だって和人の言った事、それを感じていない訳ではなかったんだ」
「このままでは人間はいずれショッカーにみんな滅ぼされてしまうだろう…」
「何もしないでただ死んで行くぐらいなら、俺達だって戦って奴らに一矢報いたい…」
「そうみんなで話し合って、和人と一緒に戦おう、そう決めたんだ」
兄に戦いを止めて欲しい、そう願っていた和美には返す言葉が無かった。
「そこでだ、生き残ったこの辺の人間を集めて、明日日の出と共に決起集会を行うつもりだ…
和人にも是非その集会に参加して欲しい… そう和人に伝えてもらいないだろうか?」
そう言うと人々は和美に決起集会の場所を教えて去って行った。

ただただ茫然とする和美。
今の話を聞けば、兄・和人は今迄の事は無かった事にして、喜んで参加するだろう。
あまり以前の事を根に持つような性格では無い和人の性格を和美はよくわかっていた。
そうすれば多少の無理をしてでも、和美が好きではないあの『呪われた鎧』を兄は使おうとするだろう。
例え、自分の命がその事で果てる事になろうともだ。
和美の脳裏には父・滝和也があの『呪われた鎧』を着て、果てて逝く姿が浮かぶ。
それはまだ幼い和美が父の最期を見て、トラウマとなった光景であり、
今迄毎晩のように夢に現れ、うなされ続けた悪夢でもあった。
その父の姿が今度は兄の姿となって和美の脳裏にオーバーラップする。
「いやぁぁぁっっっ!!」和美は興奮して泣き叫ぶ。
13Overtime/2章/Act.1:03/12/09 23:54 ID:Md3mqAE7

翌日、朝日が昇る頃、和美は人々に教えられた場所へと向かった。
和美は思い悩んだ末、とうとう兄・和人には何も告げずにこの場へと一人で来た。
そこに待つ人々は和美が一人なのを見て驚く。
「和人はどうしたんだ? まさかあの和人が怖気づいたと言う事はないだろう?」
「…お兄ちゃんは来ませんっ …私はお兄ちゃんに戦って欲しくないんです…」
「どういう事なんだいっ?」人々は何処か焦っているかのようでもあった。
「お兄ちゃんは今『呪われた鎧』を再び動かそうとしています…
『呪われた鎧』を着ればお兄ちゃんは死んでしまうかもしれない…
いえ、『呪われた鎧』を無事に動かせたとしても…
ショッカーと戦い続ければいずれは死んでしまう… あたしのお父さんのように…」
「だから、あたしは、あたしは、お兄ちゃんに戦って欲しくないんですっ!」
和美は涙ながらに人々に向かってそう言った。
「これはマズイことになったぞっ…」人々は口々にそう言った。
このざわめきは何かが違う、和美はそう感じ取った、その時であった。

「あらぁ、残念ねぇ。この間の威勢の良い坊やは来ないのねぇっ」
「おーほっほっほっほっほっほっ、これではあなた達みな殺しよっ?」
人々の背後からハートの大使と戦闘員達がその姿を現す。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ、何とかするからっ!」
人々はハートの大使に向かってそう懇願する。

「こっ、これはっ一体どういう事なのっ!?」和美は驚くばかりであった。
「すまないっ、俺達はこの生活に疲れたんだ…
いつショッカーに狩られるかわからない、こんな生活がもう嫌になったんだっ…
そこで俺達はショッカーと取引をしたんだっ…
ショッカーに弓引くあんた達、滝和也の息子と娘を差し出すから、
その代わり俺達の事は見逃してくれってね…」
「そっ、そんなっ!!」その事実を知って愕然とする和美。
「すまないなっ、あんた達二人の命で他の大勢の人間の命が助かるんだっ… 許してくれっ!!」
人々は無情にもそう言い放った。力失せその場に座り込む和美。
14Overtime/2章/Act.1:03/12/10 00:24 ID:dv2LssLt

「そんな事よりあんた達、この落とし前はどうしてくれるつもりっ?」
「やっぱり、みな殺しかしらぁっ?」ハートの大使はその場の人々に迫った。
「まっ、待ってくれっ、ここに居る妹を人質にして、和人を呼び出せばいいじゃないかっ」
人々はさらに容赦無い事を我が身可愛さで言ってのける。
「おーほっほっほっほっほっほっ、それはいいわねぇ、人質はショッカーの伝統ですものねぇ
あんた達、ショッカーのスピリッツがよくわかっているわっ
ショッカーの改造人間にしたら、いい怪人になりそうだわねっ」
「この作戦が上手くいったら、俺達を見逃してくれる約束はっ!!」人々は蒼ざめた顔で言う。
「わかってるわよっ、冗談よっ、冗談っ、おーほっほっほっほっほっほっ」

人々に裏切られ自失茫然、座り込む和美。ハートの大使はその和美に近寄る。
「あなたが、ショッカーの宿敵だった滝和也の娘ね」
和美の顔に、顔を近づけ、鼻をクンクンと動かし、舌を出して奇妙にクネクネ動かすハートの大使。
「いいわぁっ〜、あなたいい匂いがするわぁっ〜、処女の匂いねぇ〜」
気色の悪いハートの大使に怯える和美。
「あなたのような可愛い清楚な子を見ると、疼くのよねぇっ〜」
「泣き叫ぶのを無理矢理犯して、無茶苦茶にしたくなるのよねぇっ〜」
ハートの大使はそう言って鼻息を荒げながら、和美を眺めまわす。
ハートの大使の股間には、服の上からでもハッキリとわかる程にそそり立つ男根が。
それは人間の女が受け入れれば間違いなく、体が真っ二つに裂ける程に巨大なモノであった。
「いやぁっ!」涙ぐむ和美だが、最早逃げ出す事も出来ない。
15Overtime/2章/Act.1:03/12/10 00:24 ID:dv2LssLt

「愚か者がぁっ!これだから下衆な輩とは一緒に居られんのだっ」
そう言って現れたのはダイヤの大佐であった。
「こういう時は、妹を助けに来た兄を打ちのめして、瀕死になった兄の前で妹を犯すものだっ」
「そんな事もわからんのかっ!愚か者がっ!」ダイヤの大佐はハートの大使をなじった。
「自分の妹が目の前で汚されるのを見て、己の無力さを呪い、深い絶望と苦痛を感じ、
我らに刃向かった事を後悔しながら死んで逝く、それが我らにあだ名す者に相応しい最期というもの」
「それにこの女は我らがショッカーの宿敵あの滝和也の娘ぞ。
その娘が我らの玩具となって陵辱の限りを尽くされるのだ、あの世の滝和也もさぞや口惜しい事であろうな。
あの世で泣きながら許してくれと懇願している事であろう、考えただけでもゾクゾクするわっ」
ダイヤの大佐は悦楽の表情を浮かべ、ゾクゾクに身を震わせる。

「このっ、馬鹿者どもめがっ!!」さらにそこへ割って入ったのがクラブの博士であった。
「この娘は、我らがショッカーと戦い続けた滝和也の娘じゃぞっ」
「その肉体や強靭な精神力を受け継いでおるかもしれぬ、これは貴重な実験材料なのじゃ
まずはDNA辺りから調べねばなるまいな。
ひと通りの検査が済んだら、体を切り開いて内臓を触診じゃ、ふふふっ
改造人間にするのもいいかもしれぬ、ふふふっ」クラブの博士もまた悦に入るのであった。

若干冷静さを取り戻した和美は幹部達が言い合っているのを聞いて、
いざと言う時には辱められる前に舌を噛んで自決するしかないと覚悟する。
だが、3人の幹部達は一歩も譲らず、今すぐに和美がどうこうされるような事はなかった。
16Overtime/2章/Act.1:03/12/10 00:47 ID:dv2LssLt

裏切った人々の一人が和人の元に現れ、ショッカーからの伝言を伝えた。
それは和美を人質に取っているから指定の場所迄来いというものであった。
ショッカーは和人が『呪われた鎧』を動かそうとしている事を知っていた、
だがショッカーは武器を持たずに来いとは言わなかった、いやむしろ全くその逆であった。
ショッカーは和人に『呪われた鎧』を着て来いと命じたのだった。
ショッカーにして見れば『呪われた鎧』など畏れずに足らずという所なのだ、
むしろ余興には丁度良い、退屈しなくて済むぐらいにしか思っていないようだ。
そんな事よりも3人の幹部は和美の操を誰が奪うか、それの方が気になってしょうがないようである。

それを知った和人はショッカの所業に怒りに身を震わせながら、黒いサイドカーを飛ばして、
アンチショッカー同盟の秘密のアジトへと向かう。
もちろんこんな状況下にあっても尾行されていないか、細心の注意を払う事だけは忘れなかった。

戻って来た和人から話を聞いた真澄は、机を力一杯叩いて悔しがった。真澄は己を呪った。
和美の様子がおかしいのを知りながら、何もしてやれなかった自分が腹立だしかった。
自分の事で精一杯で恋心を寄せる女を危険な目に合わせでしまった、真澄はその事で自分を激しく責めた。
また自分が惚れた女がショッカーにどんな事をされているのかもわからない、
そう思うと居ても立ってもいられなかった。そこには普段はクールな真澄の姿は無かった。
どんなにクールを装っても真澄もまだ、やっと少年から青年に成ったばかりの年頃であったのだ。

「バキッ!!」慌てふためく真澄を和人の拳がおさめる「落ち着けっ、真澄っ!」
「いくらショッカーだって大事な人質をそう簡単に殺しはしないだろっ」
むしろ今は真澄よりも和人の方が冷静であった。
いや腹の底では腸が煮えくり返るような思いであったに違いないが、
戦いの局面で冷静さを欠いてはならぬ、それは亡き父の教えでもあった。
17氷川君好き:03/12/10 01:32 ID:ZaGA4Oiv
>>彼面さん
感謝!

職人さん達の今スレ確認までしばしageます。

18Overtime/2章/Act.1:03/12/10 01:47 ID:dv2LssLt

「真澄、調整の方はどうなんだっ!?」
吹き飛んだ眼鏡を拾いかける真澄、和人の拳で幾分冷静さを取り戻したようでもあった。
「ああっ、何とか終わってるよ、テストもロクにしてないのが気になるがなっ」
「だが、どうせ調整が終わってなくても行くんだろっ?」
「和美が人質に取られてるんだ、お前だって無理には止めないだろ?」
「あぁっ、そうだなっ」複雑な心境を顔に出す真澄。
「ははっ、いいっていいって。お前が和美に惚れているのは俺にもわかってたからな」
「おまっ…!」真澄は慌てる。
「ここで俺を止めるような奴には和美はやらねぇよ」和人はそう言いながら装着の準備をはじめる。
「だが真澄、俺はお前になら和美をやってもいいと思っている …和美の気持ちは良くわからんが…」
「だからだっ、俺にもしもの事があった時は、和美の事を頼む」
「お前っ……… ああっ」真澄は和人の決意を改めて思い知らされた。

「そう言や、あの黒いサイドカーの方は何にもしてないぞ、お前らが乗って行っちまったからな」
真澄はふと気づいたように言う。
「ああ、あれか、あれなら大丈夫だっ。乗ってて使い方は何とかわかってからな」
「あれにも何かあるのかもしれんが、今はこの状況だ、とりあえず使うさ」

和人は『呪われた鎧』の装着を済ます、スーツを着て、アーマー着け、残るはマスクを被るだけである。
和人はそのマスクを手に取り、その顔をまじまじと眺める。
そして手にしたマスクに語り掛けはじめる。
「お前を装着してはじめてわかったぜ… お前は『呪われた鎧』なんかじゃない」
「親父が着ていたせいかな… お前は何処か親父に似ているな」
「不器用だが、強くて逞しい、真の強さを持っている… お前はそんな奴だ」
「よろしく頼むぜ… もう一人の相棒… 和美を助け出す力を、俺に与えてくれ… 」
「…親父、俺に力を貸してくれ… 和美を助け出す力を…」
和人はマスクにそう祈ると顔を上げる。

「G4っ、起動するっ!!」
マスクを被る和人、そしてG4の青く澄んだ目が光り輝く…
19名無しより愛をこめて:03/12/10 01:57 ID:dv2LssLt
前スレにあった「仮面ライダージュウガ」の設定がUPされたようですので、
みなさん、よかったら感想などをどうぞ
こちら>
http://jbbs.shitaraba.com/movie/3028/saidestory.html
20Overtime/2章/Act.1:03/12/10 09:44 ID:dv2LssLt

荒野と化した地平を、黒いサイドカーに乗り駆け抜ける、黒い鎧・G4、
助手席にはミサイルランチャー・ギガントを積んで。
砂煙を上げて疾走するサイドカー、その後を出来る限りの武器を積んだジープが追走する。
運転しているのはもちろん真澄であった。

その舞い上がる砂煙を遥か遠方の崖の上より眺めているショッカーの軍団。
そして和人達を裏切った人々、囚われた和美。

和人が『呪われた鎧』を再び動かした事を知って、ショッカーはその軍勢を増やしていた。
黒に骨模様の全身タイツ、ショッカーのエンブレムの入ったベルトを
腰に巻いた戦闘員達が大地を埋め尽くさんばかりに溢れ返る。

その後ろに控えているのはショッカーの再生怪人軍団。
サボテグロン、ピラザウルス、ヒトデンジャー、カニバブラー、ドクガンダー、
アマゾニア、ムササビードル、キノコモグル、サンダー、ムカデラス、
クラゲダール、ザンブロンゾ、アリガバリ、ドクダリアン、アルマジロング、
ガマギラー、アリキメデス、エジプタス、トリカブト、エイキング、
総勢20体の再生怪人軍団が手ぐすねを引いて、『呪われた鎧』を待ち構えていた。
21Overtime/2章/Act.1:03/12/10 10:06 ID:dv2LssLt

「たかが『呪われた鎧』一体ぐらいでこれは大袈裟なんじゃないのぉっ?」ハートの大使は不満そうに言った。
「獅子は兎を狩るのにも全力を尽くさなくてはならんっ。
まぁこの軍勢では敵も兎というよりは蟻程度でしかないかもしれんがなっ。
大勢で1人を嬲る、これもまた一興というものよ。
か弱き敵に我先にと群がる野獣と化した怪人達、これぞ究極のギャングバングであろう」
ダイヤの大佐はこのシチュエーションに身震いさせて悦に入る。
「そうじゃ、最近怪人達も暴れる相手が居なくてストレスを溜めておるからのう。
ここらで発散させてやらねばならんのじゃよ。
呆気なさ過ぎて余計にストレスを溜めねばいいんじゃがのう、ふっふっふっ」
「しかし、惜しいのう、我らが宿敵であった滝和也の息子であるならば、実験材料にはこの上ない。
何とか生きたまま捕える事は出来ぬものかのう。」クラブの博士は嘆く。
「血に飢えたあやつらの前では無理であろうな」
「手足がもげていようが構わぬのだがな、
まぁこの際だわい、死にかけ、もしくは死体でも我慢するとするかのう」
22Overtime/2章/Act.1:03/12/10 10:30 ID:dv2LssLt

「でもぉっ、やっぱりスペードの将軍は来ないわねぇっ」
「増援もこんな再生怪人ばかりよこすし、失礼しちゃうわよねっ」
ハートの大使はスペードの将軍の不満を洩らす。
「あ奴は我らの事を良くは思っておらんからな。我らと行動を共にするのも嫌なのであろう。
我らの事を見下し軽蔑しておるのだ、自らこそが愚の愚である事にも気づかずに」
ダイヤの大佐もスペードの将軍には不満を抱いているようだ。
「まぁ、再生怪人にせよ、よこしただけマシというもの。
奴の事だからこのまま知らぬ顔を決め込むつもりかと思ったわい。
いずれにせよ、万一ここで遅れを取るような事があっては
後であ奴に何を言われるかわかったもんではないぞ、心せねばな」
クラブの博士は用心深い側面も持ち合わせていた。
「まさか、蟻一匹に巨象は遅れを取らんよ、何分持つかそっちの方が心配だよ、ふはっはっはっ」
「あたしはあの和美ちゅわぁ〜んが誰のモノになるか、そっちの方が心配だわぁっ」

このショッカーの軍勢に立ち向かうG4を装着した和人。
まさにそれは巨象に向って行く蟻のようなものであった。
23Overtime/2章/Act.1:03/12/10 11:19 ID:dv2LssLt

大地を駆ける和人・G4の目の前に広がる無数のショッカー戦闘員達。
和人は黒いサイドカーのハンドルを切ってバイクを止める。
半円を描き砂煙を上げて止まる黒いサイドカー。
「敵は多いな。人質取ってこの軍勢か、有得ねぇだろ、普通」
和人はそう言うと、サイドカーの助手席のギガントを取り出す。
「まぁ、それだけG4を警戒してるってことか?」
和人は右腰のウェポンアタッチメントポイントにコードを接続する。
走り向かって来る黒い群れ、ショッカーの戦闘員達。
「逝けよっ!!」和人は低空・短距離用4連装対地ミサイルランチャー・ギガントを放つ。
白い煙を上げミサイルが四方に飛び散り、向かって来る戦闘員の大群の中に突っ込んで行く。
轟音と共に大爆発が起こり、爆煙と共に数十人の戦闘員が宙を舞う。
もがきながら宙を舞うおびただしい数の戦闘員達。その様はまさに壮観であった。
「爽快だなっ、今迄のモヤモヤが一気に吹っ飛んだぜ」
和人はそう言うとサイドカーに括り付けてあった予備のギガントに交換する。
「もう一丁いくぜっ!」和人の掛け声と共に再び放たれるギガント。
再び空を裂き突き進むミサイル。轟音と爆発と共に無数の戦闘員が宙を舞う。
和人は後方のジープに駆け寄り、積んであった予備のギガントを三度セットする。
「まだまだっ行くぜっ!」三度発射されるギガント。
弾が続く限りギガントを放ち続ける和人・G4。
24Overtime/2章/Act.1:03/12/10 11:34 ID:dv2LssLt

ショッカーは基本的にその肉体に絶対的な自信を持っている為であろうか、銃などの飛び道具は使わない。
従ってこうした破壊力のある火器で距離を取った攻撃はかなり有効な作戦であった。
ギガントを何度となく発射し続けた和人・G4。
ショッカー戦闘員の数は当初の半数以下にその数を減らしていた。
ギガントの予備が底を尽きると、今度はジープに積載されていたGX-05 ケルベロス を手にする。
本来G3-Xの装備であるGX-05 ケルベロス、
だが同系統の強化スーツであるG4もまたこれを使う事が可能であった。
和人は折りたたまれたアタッシュモードのケルベロスを
暗証コードを入力してロックを解除し、ガトリング砲形態(ガトリングモード)に変形させる。
GX-05 ケルベロスを構え、その引き金を引く和人・G4。
超硬金属ハイメタル製の特殊撤甲弾が毎秒30発発射され、戦闘員達が次々とその場に倒れ込む。
GX-05 ケルベロスの総弾数120を撃ち終えた和人・G4、
スペアのマガジンに交換し、再び向かって来るショッカー戦闘員の群れに連続発射する。
和人・G4の前にショッカー戦闘員の黒い骸の山が出来上がる。
スペアのマガジンが続く限り、GX-05 ケルベロスを連射する和人・G4。

「しかしっ、数が多いな」GX-05 ケルベロスを撃ち尽くしたG4。
「真澄、後方支援は頼んだぞっ」和人はそう言うとハンドマシンガン・GM-01改4式を手にし、
ありったけのマガジンをサイドカーの助手席に放り込み、黒いサイドカーに跨り、走り出す。
「あいよっ」真澄は戦闘員との距離を取りながら、
ジープに装備した遠距離用武装で和人の後方支援に徹する。
黒いサイドカーを駆りハンドマシンガンを手に、ショッカー戦闘員の群れに突っ込む和人・G4。
ショッカー戦闘員もG4の連続攻撃の前にその数はまばらに成りはじめていた。
「邪魔だっ!道を開けろっ!」群がって来る戦闘員にそう叫び、
黒いサイドカーで牽き倒し、ハンドマシンガンを撃ちまくる和人。
25Overtime/2章/Act.1:03/12/10 13:01 ID:dv2LssLt

鉄パイプを手に殴りかかって来る戦闘員を次々と轢き進む黒いサイドカー。
戦闘員はボウガンを手に、G4に狙いを定め、放つ。
だが動き回っているバイクには当らず、同士討ちとなる。
「お前ら、今迄ロクに敵がいなかったから、もしかして平和ボケしてんだろっ?戦い方が俺より劣るぜっ!」
今度はG4にワイヤーが投げられ、これがG4の腕に絡みつく。
G4をバイクから引きずり降ろそうとする戦闘員、
だがG4はこれを逆に手繰り寄せ、ワイヤーを握った戦闘員を引きずり込む。
戦闘員の額にハンドガンを突き付けるG4・和人
「逝けよっ」和人はそう言い引き金を引く。銃声と共に戦闘員は脳漿をぶちまけ崩れ落ちる。

崖の上からG4・和人の奮戦を見つめるショッカー幹部、
和美、そして裏切った人々。
「お兄ちゃん…」手錠をハメられ拘束されている和美は兄・和人の身を案じる。
「あらぁ〜っ、和美ちゅわぁ〜んのお兄ちゃん頑張っているじゃない
あ〜っ可愛い男の子もいいわねぇ〜、兄妹両方一辺に頂くなんてのも最高ねぇ〜」
ハートの大使は舌を気色悪くウネウネさせながら和美に顔を近づける。
露骨に嫌な顔をして顔を背ける和美。
「戦闘員は所詮戦闘員、幾ら集まって役には立たんということか」ダイヤの大佐は手にする鞭を強く握る。
「これは貴重なデータじゃな。ここ十年近く実践での戦闘データは皆無じゃったからな。
戦闘員の強化プランを考えなくては如何のう。」クラブの博士はデータ収集にご執心な様子。
26Overtime/2章/Act.1:03/12/10 13:26 ID:dv2LssLt

ショッカー戦闘員の大半を片付けた和人・G4。
だが遂にハンドマシンガン・GM-01改4式のスペアカートリッジも撃ち尽くした。
「ちっ、弾切れかっ!」和人はGM-01改4式を捨て、
超高周波振動ソード・GS-03 デストロイヤーを右腕 に装着する。
用意した弾丸をすべて撃ち尽くしここからは接近戦を止む無くされる。
だがそれはショッカー怪人の最も得意とする近接格闘を強いられるという事でもあった。
黒いサイドカーを再び走らせるG4、デストロイヤーで生残りの戦闘員をぶった切る。
そして和人・G4の前に姿を現す20体にも及ぶショッカーの再生怪人。
「いよいよ本命のご登場かっ?」「いやっまだ幹部が居る筈、先は長いな」
和人・G4はそう言うとアクセルを全開にして再生怪人軍団にサイドカーごと突っ込む。

「こっちも遂に弾切れか」ジープから後方支援を続けた真澄は呟きを洩らす。
「せめてGトレーラー並みの積載容量がある足があればな」
真澄はそう言うと、ジープに積んであった武器をすべてその場に降ろす。
「武器は貴重だからな、まぁそれも今日を生き残れたらって話だけどねっ」
武器を降ろし再びジープの運転席に乗り込む真澄。
「こっちは生身なんだからな、ちょっとは手加減してくれよっ!」
真澄はそう言い、和人が向かった後を追う。
27Overtime/2章/Act.1:03/12/10 13:44 ID:dv2LssLt

和人・G4は再生怪人ザンブロンゾにサイドカーごと体当りをぶちかます、吹き飛ぶザンブロンゾ。
サイドカーに乗った和人の前に立ちはだかる再生怪人の群れ。
だが今度ばかりは戦闘員のようには行かない。
疾走するサイドカーにサボテグロンのサボテン爆弾が投げつけられる。
G4・和人の乗ったサイドカーの横で爆発が起こる。
次々と投げつけられるサボテン爆弾を、間一髪の所でかわし走り続ける和人・G4。
爆発音と共に立ち上がる爆煙、白い煙に辺りの視界は極端に悪くなる。
空からはエイキングが雷を放つ。蛇行しこれをかわす黒いサイドカー。
走り抜けるG4にエジプタスが火炎を放ち、クラゲダールが雷を放つ。
「おいおいっ、いくら何でもこりゃねぇだろっ」
和人・G4は右腕のデストロイヤーで怪人達を切りつける。

和人の後に追いついた真澄「お手製のジープともこれでお別れだなっ」
真澄はそう言うとガソリンの入った瓶を叩き割る。車に飛び散る液体。
「こういうベタな手が通じるといいんだけどさ」
真澄はそう言うとジープを怪人の群れの中に突っ込ませた。
顔を腕で庇いながらジープから飛び降りる真澄は、砂地に倒れ転げ回る。
再生怪人の群れに突っ込んだジープは怪人達に激突して炎上する。

「少しは援護になったかねぇ」顔を上げる真澄。
だがその前には生残り戦闘員の姿があった。
弱そうな生身の人間を見て嬉々とした表情の戦闘員。
寝転びながら両手を上げる真澄「いや、降参、降参だって」
戦闘員は手にナイフを持ち、そんな真澄に突き刺そうとする。
これを寝転んだまま転げ回りかわす真澄、懐より銃を取り出し、戦闘員を撃つ。
「生身の人間相手にムキになんなよっ」戦闘員は真澄の上に崩れ落ちる。
「おいっ!おいっ!何か格好悪りぃなぁっ〜俺」
28Overtime/2章/Act.1:03/12/10 14:04 ID:dv2LssLt

真澄のジープ特攻で燃え盛る炎の中、火達磨になっている再生怪人。
「真澄く〜んっ、ナイスっ!」G4・和人は火達磨の再生怪人に超高周波振動ソードを突き立てる。
「お前もっ、逝けよっ!!」火で弱った再生怪人の胸部を、G4が手にするソードが貫く。
断末魔を上げて絶命する再生怪人。

決死の近接戦闘により再生怪人数体を倒したG4・和人であったが、最早ここ迄であった。
まだ残り十数体居る再生怪人に捕まるG4。
サイドカーから引きずり降ろされ、再生怪人達の攻撃をもろにくらう。
怪人に殴打され続け、流石のG4のボディもやがて傷つき、やがて軋みはじめる。
電気系回路のショートする音が和人の耳にはハッキリ聞こえる。
怪人に羽交い絞めにされ、袋叩きにされるG4。
サボテグロンのサボテン型の棍棒がG4のマスクを直撃し、G4の目の辺りにひびが入る。
そこを何度も強打され、マスクは壊れ、和人の顔が半分曝け出される。
和人の額からは血が流れ、顔は血に染まっていた。

「勝負あったわね、よく持った方なんじゃない」ハートの大使は感心したように言う。
「おおっ、やはり大勢で一人を嬲る様は快感であるなっ」ダイヤの大佐は妙に興奮していた。
「たった一人にここ迄やられるとは、こりゃ全体の強化プランを見直さなくてはならんのう」とクラブの博士。
「じゃぁっ、和美ちゅわぁ〜ん、行きましょうかっ?」
「次はあなたがボロボロにされる番よぉっ〜、お兄ちゃんが見ている目の前でねぇ〜」
「おーほっほっほっほっほっほっ」ハートの大使はそう言うと
手錠をかけられ拘束された和美の髪の毛をわしづかみにし、引きずりながら崖を降りて行く。
29Overtime/2章/Act.1:03/12/10 14:27 ID:dv2LssLt

マスクを割られ、アーマーを壊され、瀕死のダメージを負って、這いつくばるG4・和人。
「クゥッ… ここ迄なのかよっ…」悔しさのあまりに噛み締めた唇からは赤き血が流れる。

「よく頑張ったわねぇっ〜僕っ〜」和美を引き連れたハートの大使が和人の前に立つ。
「あなたのショーはここ迄よっ。ここからは、和美ちゃんの淫らなショーのはじまりなんだからぁ〜っ」
「誰がお前がやっていいと言った?」ダイヤの大佐もまた和人の前に現れる。
「こらっ!貴重な実験材料を勝手に犯すなっ!
お前らのデカいモノを突っ込んだら体が真っ二つに裂けてしまうじゃろうがっ!」
クラブの博士もまた二人の後を追って来た。

「お兄ちゃんっ!!」涙ながらに兄に叫ぶ和美。だがその体は拘束されており身動きが取れない。
和美の脳裏には父・滝和也の最期の姿が浮かぶ。
その時の父の姿と今の兄の姿、それは全く同じ光景ではないか。
和美の心は深い絶望と悲しみに覆い尽くされる。

「かっ、和美 …」和人は地に這いつくばりながら、渾身の力を振り絞って、手を和美に伸ばそうとする。
ダイヤの大佐は無惨にもその手を力一杯踏み躙る。
「ぐぁぁぁっ!!」和人の唸り声が響く。
「うんうんっ、これだっこれっ。この絶望的な悲劇こそがエロスなのだよ。
そしてこれからこの二人はさらなる悲劇と絶望を味わう事になるのだっ」
ダイヤの大佐はゾクゾクしながら身震いしている。
30Overtime/2章/Act.1:03/12/10 14:55 ID:dv2LssLt

「惚れた女にそんな事させるかよっ!!」
真澄がショッカーの3人の幹部に向かって、手にした小銃を撃ちまくる。
だが3人の幹部は銃の弾丸を浴びてものともせずに、ただ真澄を睨みつけるだけであった。
銃を撃ち尽くした真澄は、銃床でハートの大使に殴りかかるが、
ハートの大使の裏拳に遥か彼方へと吹き飛び、地に転げ回り倒れる。
「うーんっ、惚れた女かっ、ますますいい感じになって来たではないかっ。
人間の持つ夢や希望や憧れ、そのすべてが無力でありと知り、
絶望と苦痛と悲しみの前にひれ伏すのだよ、そして奴隷となるのだ、人間である事を捨ててな」
ダイヤの大佐の恍惚とした表情は益々輝いて行く。

「おーほっほっほっほっほっほっ、それじゃみんなで和美ちゅわぁ〜んをいただきましょうか」
ハートの大使はそう言うと、その腕力で和美の服を引き千切る。
「きゃぁっ!!」和美の上着が引き裂かされる。
ハートの大使は興奮して股間のその男根をこの上ない程大きくさせている。
31Overtime/2章/Act.1:03/12/10 15:18 ID:dv2LssLt

『なんだよ、この無様はよぉ……畜生、俺は妹すら守れないのかよっ…
俺はショッカーと戦って死ぬのはコワクはなかった…
いや俺はむしろ親父のようにショッカーと戦って死にたかったのかもしれねぇ…
だが俺は妹迄、和美迄巻き込んじまった、俺の考えが甘かったってのか?
いやそうかもしれねぇ、俺達を裏切ったあいつらの言う通り、
これは俺一人の問題じゃなかったのかもしれねぇ…
俺は、俺は最初から間違っていったっていうのか?
親父、親父、答えてくれよっ!!親父っ!!』和人は心の中で自問自答する。

「おーほっほっほっほっほっほっ!その可愛らしい悲鳴がまたいいのよねぇっ、そそられるわぁっ」
ハートの大使はそう言うと和美の下着に手を掛けようとする。
だがそれを阻止したのは大破したG4を装着している和人であった。
右腕に装着された超高周波振動ソード、もう既にその刃は折れってしまっているが、
デストロイヤーでハートの大使の拳のハート文様にその折れた刃を突き立てた。

『そんなことはねぇっ!!!親父は言っていたっ
人間の真の敗北は、人間が戦う心を無くした時だってなっ!!』

それは立っている事すら不思議であった。だが和人は最期の気力を振り絞って立ち上がったのだ。
「…和美は俺と親父の宝だっ、お前ら見たいな奴らにゃ、やらねぇよっ!!」
折れた刃をハートの大使に深く突き刺す和人。

「己っ、愚かな人間めっ!!一度ならず二度迄もこの私に傷をつけるなどとはっ!!
ならばお前とお前の父・滝和也の宝とやらを滅茶苦茶にさせてもらおうっ!!
お前の見ている目の前でねぇっ!!」ハートの大使は額に血管を浮かび上がらせて激怒していた。
大破したG4のボディにハートの大使の裏拳が炸裂し、G4・和人の体は遥後方へと吹き飛ぶ。
転がり回りながら地面に落ちるG4・和人。
和人の意識は既にないのであろうか、上を向いたままピクリとも動かない。
32Overtime/2章/Act.1:03/12/10 15:31 ID:dv2LssLt

「お兄ちゃんっ!!」「お兄ちゃんっ!!」兄を何度も呼び泣き叫ぶ和美。
「お前らっ、ここに居る人間どもをみな殺しにしなっ!!」ハートの大使は傍に居た再生怪人に命じる。
「待ってくれっ!!約束が違うじゃないかっ!!」人々は口々にそう叫ぶ。
「馬鹿だねぇっ、お前達、ショッカーが人間との約束を守る筈がないじゃないかぁ」
「あたしは、仲間を裏切るような人間は大嫌いなんだよっ」
「人間はやっぱりこいつのように抵抗しなくちゃねぇっ」
「おーほっほっほっほっほっほっ!」
ハートの大使の暴走ぶりに呆れる、ダイヤの大佐とクラブの博士。
「あ奴がぶち切れてしまっては仕方がないのう」

「和美ちゅわぁ〜ん、あなたも馬鹿なお父さんとお兄ちゃんのせいで苦労するわねぇ〜」
「おかげであなた、ただじゃ死ねないわよっ〜 おーほっほっほっほっほっほっ!」
兄と父を侮辱された和美はハートの大使を睨みつける。
「おおっ、こわぁっ〜 そう言う気の強い目をした和美ちゃんを犯すのもいいわねぇっ〜」
和美の睨みつける目を見たダイヤの大佐は、思わず背中から和美を鞭打つ。
鞭の音と共に和美の唸り声、そして白い柔肌に鞭の赤い後が残る。
「奴隷がそんな目をしてはいかんな、やはりこの娘には調教が必要だな」

ハートの大使は今度こそとばかりに和美に襲いかかる「いやぁっ!!」和美は悲鳴を上げる。
再生怪人は逃げ惑う人々をみな殺しにするべく襲いかかる。
G4・和人は意識を失い、真澄もまた倒れたままであった。
すべてはこのまま終局を迎えるのか・・・
33:03/12/10 15:34 ID:dv2LssLt
ここで終わったら大ブーイング?
34Overtime/2章/Act.1:03/12/10 17:04 ID:dv2LssLt

「待てよっ」地平の彼方より声が響いた。
その気配にその場の全員がその声のする方を振り返った。
荒野と化した地平の彼方より、ゆっくりと歩を進める一人の男の姿。
その男、全身からオーラを放ち、ただならぬ殺気を放っていた。
「俺がいない間に、いつからショッカーは変態どもの集まりになっちまったんだ?」
「まぁもっとも、元から下衆な奴らの集まりだったがな、ショッカーなんてのは」

「お前はっ、一体何者っ?」ハートの大使はその男に向かって問う。
「俺か… 俺は『人々の怒り』だ」
「俺の赤い拳は『人々の怒り』そのものと知れ」
その男の圧倒的な迫力を前に、ショッカー達も脅威を感じずにはいられなかった。
それは遥か遠い昔にショッカーに刻み込まれた記憶だったのかもしれない。
生残りの戦闘員達は、恐怖を振り払うかのようにその男に向かって行く。

その男がベストのチャックを自らの手で降ろすと、腰には赤いベルトが巻かれていた。
「敵は多いな、いや、人々の苦しみに比べたらこの程度、物の数ではないないな」
男は両の手を真横に伸ばし構える。
その伸ばした両の手を半円を描くように振り上げる「ライダーーーっ」
そして胸の前で右腕を立て、左腕を横にしたポーズを構える「変身っ!!」
男の赤いベルトのエンブレムが開き、タイフーンが出現する「トゥ!」
男が空高く飛び上がると、タイフーンが回転して風力エネルギーを吸収する。
ベルトから光が放たれ男の体を包み込む。
光りに包まれた男が再び大地へと降り立った時、それは人の姿ではなかった。

「おっ、おっ、お前は、仮面ライダーっ!!!」
ショッカーの外道3幹部は声を揃えてその名前を呼ぶ。
35Overtime/2章/Act.1:03/12/10 17:27 ID:dv2LssLt

「かっ、仮面ライダーぁっ?」和美はその名前を聞き驚く。
父の友であり、父が死の間際迄必ず来ると信じて疑わなかった仮面ライダー。
和美も仮面ライダーが本当に来ると信じていた訳ではない、
だが父が信じていた者を自分も信じたかった、ただそれだけだった。
だが、仮面ライダーはやって来た、おそらく自分達を助ける為に。

「馬鹿なっ、お前は時の狭間に消えた筈っ …」驚きうろたえるショッカー3幹部達。
「ショッカーある所に必ず仮面ライダーは現れる」
「随分と遅くなってしまったがな …」
仮面ライダーに襲い掛かるショッカーの戦闘員達
「雑魚は引っ込んでろっ!!」仮面ライダーはその驚異的な瞬発力で、
戦闘員達との間合いを一気に詰め、懐に潜り込むと、赤き鉄拳・ライダーパンチを放つ。
生残りのショッカー戦闘員十数人がその威力にまとめて吹き飛ぶ。
次の瞬間ライダーは既に別の場所に移動しており、他の生残りの戦闘員をぶちのめす。
生残りの戦闘員はライダーの前に一瞬の内にみな葬り去られる。

戦闘員をみな殺しにすると、ライダーは唸りを上げて再び構える
「俺がいない間、よくも好き勝手やってくれたな… お前達は全員ぶちのめすっ!!」
ライダーの前に立ちはだかる十数人の再生怪人。
ライダーは全身のバネを活用して、身体のすべての力をその拳に集中して放つ。
必殺のライダーパンチが再生怪人のドテっ腹に叩き込まれる。
その魂を込めた拳は再生怪人の腹を突き破り、怪人の背を突き抜ける。
怪人の身体にライダーの腕が串刺し状に刺さっているようでもある。
ライダーは目に止まらぬ早業で次々と再生怪人の腹に風穴を開ける。
断末魔を共に絶命して逝く再生怪人達。
3634:03/12/10 18:28 ID:dv2LssLt
ゴメン 変身ポーズ、右腕と左腕間違えた
37Overtime/2章/Act.1:03/12/10 19:22 ID:dv2LssLt

満身創痍で倒れているG4・和人。
朦朧とした意識の中で聞こえる『仮面ライダー』という単語。
『仮面ライダーがどうしたってんだっ…』和人はハッキリしない意識の中、無意識に思った。
そして和人が仰向けで寝ているその真上にひとつの影が横切った。
太陽を背に空高く舞上がる仮面ライダーの姿、
和人にはそれが夢なのか現なのかハッキリとはわからなかった。
だが和人の目には自分でも何故だかわからないが、涙が自然と溢れ出して来る。
「…親父… あれが、仮面ライダー、なのかよ… 親父…」
和人は身動きも取れず、意識もハッキリしない中、
仮面ライダーが来ると信じて死んで逝った父・滝和也に呼び掛けた。

宙を舞う仮面ライダー、空中から放たれるライダーパンチが再生怪人の顔面に直撃する。
首が千切れ飛び、爆発炎上する再生怪人。
再びジャンプで宙を舞うライダー、空中で回転やひねりを繰り返し
威力を増したライダーキック・ライダー卍(まんじ)キックが炸裂する。
ライダーは着地と同時に再び空高く舞い、
空中前転で威力を増したライダーキック・ライダー回転キックを決める。
高速スピードで移動、宙を舞い続けるライダーに翻弄される再生怪人達。
トリッキーな動きで撹乱しライダーは再生怪人達に攻撃の隙を与えない。
怪人を抱えてジャンプ、空中で逆さまにして高速回転させそのまま投げ飛ばすライダーきりもみシュート、
怪人を抱え込んでジャンプし、相手を一度回転させてから投げ飛ばすライダー二段返し、
ライダーは次々と必殺技で再生怪人を仕留めて行く。
38Overtime/2章/Act.1:03/12/10 19:23 ID:dv2LssLt

ライダーにより次々と葬られる再生怪人、十数体居た再生怪人達も残り僅かとなっていた。
「クゥッッッッッ、流石は仮面ライダーねっ、再生怪人如きでは歯が立たないわっ」ハートの大使は歯軋りする。
「やはりこういう時こそ、定番の人質であろうな」ダイヤの大佐の片目が光る。
「うむ、そういう事じゃな」クラブの博士も頷く。

「仮面ライダー大人しくして頂戴、こっちには人質がいるのよっ!」
ハートの大使は和美の首を後ろから締めるような体勢で、仮面ライダーを脅す。
「この滝和也の娘の命がどうなってもいいのかしらっ〜!」
「相変わらず卑怯だなっ、ショッカー」仮面ライダーの動きが止まる。
「人質を取られて抵抗出来ないライダーを一方的に嬲る、これぞエロスというものだよ。
まぁお前にはこのハイレベルな考えはわかるまいな」ダイヤの大佐は身震いする。
「しかし、久しぶりに会ったが随分強くなったのう、わしらが弱くなったのかのう」
クラブの博士は冷静に分析を続けた。

「俺のこの強さは、今迄お前達に虐げられて来た人々の、怒りと嘆きと悲しみ …」
「例え、この身が果てようとも、お前達だけは許さんっ!!」
怒りに燃えるライダーの闘志が今のライダーの強さそのものであった。

「そうよっ、ライダーっ、だからあたしの事は気にしないで…
あなたは、あなたは人々の希望なのだからっ…
待ち焦がれた人々の、やっと現れた希望なのだからっ…
ライダーっ、あなたは、あなたは、私達の救世主なのだからっ!」そうライダーに叫び続ける和美。
「ええいっ!五月蝿い小娘ねっ!」ハートの大使は和美を殴りつけた。
39Overtime/2章/Act.1:03/12/10 20:21 ID:dv2LssLt

「畜生っ、あのオカマ野郎っ、人の将来の嫁に酷い事しやがって…」
頭から血を流し、フラフラの状態でやっと立ち上がる真澄。
「勢いでコクっちまったが、このままじゃ格好がつかねぇ…
せめて和人よりは美味しい所持っていかねぇとな、俺もまだまだ終われないんだよっ!」
真澄は最期の力を振り絞って傍にあった黒いサイドカーに跨った。
「鬼が出るか邪が出るか、わからねぇけど、とりあえずはやっとけっ!」
黒いサイドカーのエンジンを再びかけ、思い当たるスイッチを押す。
真澄の思惑通り黒いサイドカーは変形をはじめる。
バイク型のビークルモードから二足歩行型戦闘メカのバトルモードに変形するサイドバッシャー。
真澄を上部に載せたサイドバッシャー、それは怪人達に比べると相当に巨大な戦闘メカであった。
「おいおいっ、こんなスゲぇもんになるのかよっ!もっと早めに使っときゃ良かったぜっ
知ってたら、和美にあんな痛い思いさせないで済んだのによっ」
真澄は武器に関係があると思われるボタンを手当たり次第に押し捲る「逝けぇっ!!」
サイドバッシャーの右アームに装備された4連装バルカン砲・フォトンバルカンが毎秒72発で連射され、
左アームに装備された6連装ミサイル砲・エクザップバスターが敵目がけて発射される。

バルカン砲がショッカーの3人の幹部を狙う、幹部達は何なくこれをかわすが、そこにさらにミサイル砲が降り注ぐ。
これを大きく飛びかわすショッカー幹部達。だがその為には当然和美から手を離さなくてはならなかった。
ハートの大使から逃れた和美、そこにサイドバッシャーのミサイルが飛んで来る。
「仮面ライダー、俺の将来の嫁を頼むぜっ」
ライダーはジャンプして和美の所迄飛び、そのまま和美を抱かかえてミサイルから遠く離れる。
ミサイル砲はそのまま周囲にいた再生怪人達を吹き飛ばす。大きな爆発と共に吹き飛ぶ再生怪人達。
「真澄っ!危ないじゃないっ!あんたあたしを殺す気っ!?」
「それに何なのよっ、勝手に人の事、嫁とか言わないでくれるっ!」
「まぁそう言うなよっ、勢いだっ、勢いっ」照れるように頭を掻く真澄。
「真澄は勢いが多過ぎるのよっ!」顔を赤らめて怒って見せる和美。
何はともあれ人質・和美は仮面ライダーにより救出された。
40Overtime/2章/Act.1:03/12/10 21:46 ID:dv2LssLt

ライダーにより救出された和美は、倒れている兄・和人の元へと駆け寄る。
「お兄ちゃんっ!!」泣きそうになりながら兄を見つめる和美。
和人のG4を装着した手が和美の頬に触れる「お兄ちゃん…」
まだ意識がハッキリしないのか、うつろな目で和美を見つめる和人。
「お兄ちゃん… 仮面ライダーだよっ… 仮面ライダーが来てくれたんだよっ…」
兄の顔を見ながら涙ぐむ和美。和美の頬を伝って落ちる涙が和人の顔にかかる。
「…そうみたいだな …親父とお前の言う通りだったな…」和人はかすかな声でそう言った。
「うんっ… だからあたしが言ったじゃないっ…」
「でもね、でも、お兄ちゃんも立派だったよ… お父さんみたいだった…」
和美はそう言いながら泣きじゃくるのだった。

「クッ、こうなればっ」ハートの大使は口惜しそうに顔を歪め、
その肉体を本来あるべき姿へと変える。ガラガラヘビの怪人へと。
「致し方あるまい」ダイヤの大佐もまた、その姿を狼の怪人の姿へと変えた。
「久しぶりの実践じゃのうっ」クラブの博士はイカの姿をした怪人へと。
怪人へとその姿を変えたショッカーの3幹部と対峙する仮面ライダー、
ライダーファイトのポーズを取り、パワーアップを図る。
41Overtime/2章/Act.1:03/12/10 22:16 ID:dv2LssLt

ガラガランダの両手の鞭が空を裂き、唸りを上げてライダーに襲い掛かる。
これをかわすライダー、だがそこにはイカデビルの触手が待ち構えていた。
イカデビルの触手はライダーの首に絡みつき、ライダーを締め上げる。
そこにガラガランダの鞭が振り下ろされてライダーを打ちのめす。
そして狼男の爪がライダーのボディを切り裂く。
「流石の仮面ライダーも、我らショッカー幹部を3人を相手にはちときつかろう」
首に巻きついた触手を振りほどこうともがくライダー。
イカデビルの触手による締め上げ、ガラガランダの鞭打ち、狼男の殴打に、ライダーは片膝をつく。

だがライダーの燃え盛る闘志が鎮まる事はなかった。
「これぐらいの苦痛、この世界の人々の痛みに比べればっ!」
ライダーはそう叫ぶと、イカデビルの触手をその手で引き千切る。
42Overtime/2章/Act.1:03/12/10 22:19 ID:dv2LssLt

そしてガラガランダの鞭をその手で掴み取り、手繰り寄せ、
超至近距離から、全身のバネを使って、全身の力を拳に集めた
怒りの鉄拳・ライダーパンチを捻り回転を加えて打ち放つ。
鈍い音と共にガラガランダのボディにライダーの拳がめり込む。
「これは、お前達に弄ばれた人々の分っ!!」

さらに殴りかかる狼男に向かって、続け様、必殺のライダーパンチをカウンターで決める。
グッシャという音と共に狼男の顎が砕ける。
「これは、お前達に果敢に立ち向かった若者達の分っ!!」

最後にライダーはその驚異的な瞬発力でイカデビルに詰めより、
走る勢いを利用したライダーパンチを放つ。
鈍い音と共にイカデビルの体がライダーのパンチで持ち上がる。
「そしてこれは、約束を果たせなかった今は亡き友の分っ!!」

怒りのライダーパンチの一撃にその場に沈む3人の幹部。
最早、幹部は怪人の姿すら保っておられず、人間の姿へと戻っていた。
「このままでは如何、ここは引くぞっ」
クラブの博士がそう言うと、わずかに生き残った再生怪人達は仮面ライダーに特攻を仕掛ける。
ライダーはこれを再びライダーパンチで悉く粉砕する。
だがその時、もう既に3人のショッカー幹部の姿は無かった。
後一歩という所で幹部達には逃げられてしまったのであった。
43Overtime/2章/Act.1:03/12/10 22:55 ID:dv2LssLt

「つ、強い… これが仮面ライダーなのかっ」
仮面ライダーの力を目の当たりにした真澄はただただ愕然とするばかりであった。
徐々に意識がハッキリして来た和人は、
和美にその上半身を抱き抱えられ座るようにしてそれを見ていた。

そして仮面ライダーが和人と和美に向かって歩きはじめた、その時であった。
仮面ライダーの体に異変が起こった。
ライダーの体が光り輝いたかと思うと、徐々にライダーの体が消えはじめて行く。
己の手を見て、己が消えて行く事を悟るライダー。
「またか、またなのかっ、やはりこの世界には留まれぬというのか…」
ライダーはそう言い残して、その場から跡形も無く消え去ってしまうのであった。
和人、和美、真澄はライダーが消え行くその様をただ呆気に取られて見ている事しか出来なかった。

意識を完全に取り戻し、回復した和人は、真澄と和美の肩を借りて立ち上がる。
「なんだか、まるで夢でも見ているようだったな」真澄はしみじみと言う。
「この全身の激痛が夢なもんかよ、こっちは痛くてたまんねぇぜ」
元が頑丈な和人は無駄口を叩ける程ではあった。
「仮面ライダーにもいろいろ事情があるようだな」
「あの消え方はどうも本人の意志って訳じゃなさそうだぜ」真澄は敢えてその話を和人に振った。
「そうなんだろうなっ」和人はただそう答えるだけだった。
「お前、内心実はホッとしてるんだろ?仮面ライダーがお前の親父さんを裏切ったわけじゃないって」
「うるせえんだよっ、お前はっ」和人はそう言い返す事しか出来なかった。
真澄の言う事も当ってはいたが、だからと言って
直に仮面ライダーに対する態度を変えられる事は和人には出来なかった。
44Overtime/2章/Act.1:03/12/10 22:57 ID:dv2LssLt

「それよりお前、どうやって帰るんだよっ」
「お前が車燃やしちまったから、帰りの足が無くなっちまったじゃねぇかっ」和人は真澄を責める。
「お前だって、ナイスっ、とか何とか言ってたじゃねぇかよっ」真澄は反論する。
「じゃぁよ、サイドカ−で3人で帰ろうぜっ、俺と和美が助手席乗るからよぉっ、密着してっ」
「やだぁっ、真澄ったらそれセクハラじゃないっ!?
もうあたし当分セクハラ野郎は懲り懲りだからねっ」
「ハイっ、ハイっ、あたし街にバイク止めてあるんでっ、一人でそれ乗って帰りま〜すっ!」
「あっ、だったら俺も和美のバイクのケツにでも乗せてもらうかなっ」
「なんだよそれっ、お前らっ兄妹揃って楽しやがってっ」
「武器が貴重だって言ってたのは、お前だろっ、真澄
武器サイドカーに積んでピストン輸送しろよっ」
「お前ねぇっ、正義の味方が女の後ろ乗っけてもらって恥しくない訳っ?」
「うるせぇんだよっ!」


戦いの後の彼らはごく普通の若者そのものであった。
だが、彼らには束の間の休息もないのかもしれない。
彼らのショッカーとの戦いはまだはじまったばかりである。
そしてこの世界に仮面ライダーは、またしてもいない…


Overtime 仮面ライダー
第二章『救世主』
Act.1『呪われた鎧』
-END-
45:03/12/10 23:02 ID:dv2LssLt
またエライ長くなってゴメソ
こんなハズではなかったんだがなぁ
46:03/12/10 23:47 ID:dv2LssLt

第二章で構想中のネタ(あくまで構想、妄想?)


Act.2『少女を守る者』
今度こそ短編、サイドストーリー的な話。近日公開予定?
<2号ライダーは出て来ません


Act.3『彷徨える機械人形』
荒野を彷徨う機械人形。
記憶を無くした彼は、果たして自分が一体何なのか、その目的も使命すらもわからず、
ただ失われた記憶を求めて彷徨い続けるだけであった。
その機械人形シローと出会う和美。
一方、仮面ライダーの出現により人間達が微かに希望を持ちはじめた事を危惧するショッカー。
その淡い希望を断ち切る為、ショッカーはショッカーライダーを使って人間達を襲わせる。
その罠にはまった和人はやはり仮面ライダーは裏切り者なのではないかと疑う。
G4の修理も終わっておらず、ショッカーに対抗する術を持たない人間達。
襲われる人間達を見て機械人形・シローは自分の使命を思い出す。
自分は人間を守る為に創られた人造人間・機械我(キカイガー)である事を。
機械我(キカイガー)と成りショッカーライダーを撃退するシロー。
そしてシローは光明寺博士とリツコさんを探す為旅に出る。
旅立つシローに和人は言う、「人間が人間の心を忘れたこの時代、
例えカラダは機械であっても、お前の心は人間だお前は充分人間だよ、シロー」と。
47:03/12/10 23:48 ID:dv2LssLt

Act.4『魔に魅入られしベルト(前編)』
再びショッカーライダーが人間達を襲う。
そして突如として帰って来る本物の仮面ライダー。
仮面ライダーは自分にかけられた疑いは晴らせたものの、
やはりこの時代には留まる事が出来ずに、
ショッカーライダーとの戦闘中に消えてしまう。
だが仮面ライダーは和人達にある者を残して行く。
それこそがデルタのベルト、和人はデルタのベルトを使い
ショッカーライダーを倒す事に成功するが…


Act.5『魔に魅入られしベルト(後編)』
和人達の手元にあったデルタのベルトが盗まれた。
盗んだのはどうやら人間であるらしい。
それからというのも人間達の間でデルタのベルトを奪い合って争いが絶えない。
ショッカーの支配から自分を解き放ってくれるデルタのベルトを、
誰もが欲しがるのは無理らしからぬ事ではあった。
だがデルタのベルトを手に入れた者は、やがて他の人間をも支配しようとするようになる。
それが絶対的な力を持った者が行き着く先なのである。
それ自体がショッカーのやっている事となんら変わりはないと言うのに…


Act.6『ショッカーVSゲルショッカー』
今迄、3幹部に不満を抱き続けて来たスペードの将軍が遂にその叛旗を翻した。
スペードの将軍は一人でゲルショッカーを創り、ショッカーに対して宣戦布告する。
ショッカーの内部分裂、これは人間達にとってこれ以上は無いというチャンスなのだが…
48:03/12/10 23:49 ID:dv2LssLt

まぁその他いろいろあって

最終話
遂に和人達は、ショッカー達に囚われている大勢の人間達の解放に成功した。
内紛で弱体化したショッカーを仮面ライダー達と共に叩く和人達。
ショッカーは完全に滅んだ訳では無かったが、これはほぼ人間の勝利と言っても過言ではなかった。
そして仮面ライダー達もこの世界を去らねばならない時が来た。
和人は2号ライダーに向かって言う「俺は親父が大好きだった。
だから親父を助けに来てくれなかったあんたには不満があるが、
だが今は素直にあんたには感謝している、ありがとう」
そして2号ライダーは和人に言う「仮面ライダーはこの世界の救世主ではない。
この世界の真の救世主はお前達だ。俺たちはただお前達の手助けをしたに過ぎない。」
この世界から去って行く仮面ライダー達。
そして仮面ライダーがこの世界に現れる事は二度と無かった…
49名無しより愛をこめて:03/12/11 00:48 ID:Z0R85y/x
かなり昔の話ですいません。聞きたいのですが
過去ログ2に載っている
「仮面ライダー All Batlle 」って結局あれだけで終わりですか?
50 ◆mgnDzvZ1fc :03/12/11 04:27 ID:vxqEbKJE
鐘・・・頭を通り抜けていくような澄んだ鐘の音・・・

「おい啓太郎!お前俺より先にカミサン貰いやがってよ!」
「や、止めてよたっくん。痛いなぁもう!」
笑いながらじゃれる二人。本当に変わらない関係。

だからみんな何もしない。ただ笑ってる。

頭上からは羽のように舞う花びら。
階段を下りる私。
青空が少し眩しくて、でもみんなの顔がよく見える。
園田さん、木場さん、乾さん・・・海棠さんはやっぱりちょっとすねてるけど
みんな自分のようによろこんでて・・・。
おじさんやおばさんも来てくれてるって解ったときはびっくりした。

階段を下りきったら、隣に誰よりも微笑んでる人がいて・・・。
私は彼をちょっと見たら、後ろに向かって振り向かずにブーケを投げる・・・。


鐘・・・・・・鐘が鳴ってる・・・・・・。

ありがとう啓太郎さん。ごめんなさい
51名無しより愛をこめて:03/12/11 15:32 ID:sCX5jTkH
>50
イイ!(ノД`)
52彼面雷駄:03/12/11 20:48 ID:mrWzdsyd
このライダーをこの時代に、などのアイデアを募集しております
また、この話が読んでみたい等リクエストがあれば優先致します

Overtime 仮面ライダー(予定されるラインナップ)
●第一章『彼面雷駄』/1号ライダー/江戸時代
●第二章『救世主』/2号ライダー/近未来
○第三章『未定』/V3
○第四章『対魔迎撃強化服・地参式』/ライダーマン/大正時代
○第五章『スケルトンゴースト』/X/大航海時代
○第六章『南の島の王子様』/アマゾン/近未来(?)
○第七章『未定』/ストロンガー
○第八章『未定』/スカイライダー
○第九章『銀のノーマルスーツ』/スーパー1/宇宙世紀
○第十章『未定』/ZX
○第十一章『黒騎士』/RX/中世ヨーロッパ
○第十二章『未定』/シャドームーン
○第十三章『未定』/真
○第十四章『未定』/ZO
○第十五章『空から降って来た男』/J/開拓時代
○第十六章『赤鬼』/クウガ/古代日本
以下、アギト勢、龍騎勢、555勢など
53名無しより愛をこめて:03/12/11 21:53 ID:1Q5yLA1t
>>52
ライダーマンかクウガ
54名無しより愛をこめて:03/12/11 23:09 ID:T91AJAbN
>>52
5552:03/12/12 02:33 ID:VMpvkVGN
真だとバイオハザードみたいな話が思い浮かぶな
ビジュアル的に全然違和感ないしw
56名無しより愛をこめて:03/12/12 20:22 ID:4n9gvGmq
むしろ
バイオなんて一欠片も感じさせない
めちゃくちゃメカニカルな所にぽつんと真
そんなの萌え
5752:03/12/12 22:13 ID:VMpvkVGN
数多の機動兵器が蠢く戦場を駆け抜ける真、みたいな?
そういや真も軍事兵器だったけか

スーパー1編では機動兵器を出す予定だが、
この際、真・地上編&スーパー1・宇宙編で連作にしちゃうかな
で実は同一時間軸でザッピング風

例えば、
・スーパー1編
コロニー落としを阻止するべく奮戦するスーパー1。
だがその健闘も虚しく、コロニーは地球の引力に惹かれて行く。
スーパー1は気力を振り絞って最期の賭けに出る。
・真編
広大なる空を覆い隠すコロニー。
その巨大なる影が光りを遮り真の頭上を暗くする。
真はただ目の前の機動兵器を倒すのみ、宇宙にいる仲間を信じて…

スパロボ厨か俺は…
58ギルノイズ ◆olKbglHkuQ :03/12/13 01:32 ID:Lu2Aer2q
>52
うわぁ、ライダーマンのいるのって、『太正時代』とかいいませんよね?
59名無しより愛をこめて:03/12/14 00:16 ID:WQ2s1fkH
>>58
サクラ大戦の奴らと共演?
6052:03/12/14 01:58 ID:pRlbpfxx
『太正時代』とかサクラと共演はないんだが(汗
でも『地ノ参式』は霊力で動くことになると思う
<大正時代にG3を再現するにはそっちの方向しか思いつかん(汗
武装は、小銃、日本刀(破邪の剣)、機銃あたりで
61名無しより愛をこめて:03/12/14 08:50 ID:t3ISRhJj
日本が誇る木製からくりを忘れたか!
あと蒸気とか。

言っちゃ悪いが「不思議な力」を使いだしたらG3は魅力値×0,23
6252:03/12/14 19:23 ID:pRlbpfxx
その辺は私も考えましたが、木や蒸気とか中途半端にリアリティが無いものよりは、
弾けまくちゃった方がいいように思ったんだですが、どうですかね?
<ヒートガイJみたいにスチーム噴射しまくるG3も捨てがたいが

後、真っ向勝負のG3は個人的に食傷気味というのもあって、
アレンジを加えてG3であってG3にあらざるものを敢えてやろうかと。
<本とはG3(地ノ参式)という名前でなくてもいいのかもしれない
アレンジは魔導機械とか、覚悟のススメとか、光武みたいなのをイメージしている
63氷川君好き:03/12/15 03:12 ID:OaSK1bbR

しかしながら、氷川君好きとしては、当然氷川君付きで、
バックトゥザフューチャー的にG3そのものの登場を希望致します。

いや、単なる希望ですんで別にいいんですけど…
6452:03/12/15 23:13 ID:PWxdLh+u
まぁ今回はライダーマンのお話なので
氷川G3はそのうちやるのではないかと。
でもG3ってバッテリー切れたらアウトだから、
かなり状況が限定されるんですよね。
逆にその辺を利用したお話つくれればいいんですけど、
それこそバックトゥザフューチャー3みたいに。
65Overtime 仮面ライダー・番外編:03/12/15 23:57 ID:PWxdLh+u

少年は追われていた。
まるでこの世の者とは思えないような化け物達に。
少年は何故自分が追われているのかすらわからなかった。
夜道を一人で歩いていると、突然目の前に化け物達が現れて、
「お前の命をもらう」と叫びながら襲いかかって来たのだ。
少年は無我夢中になって闇雲に逃げた。
もちろん子供の足では逃げ切れるものではなかったが、
少年は森の中に身を隠し、時には罠を仕掛け、兎に角逃げ回った。
少年はただ恐れるだけではなく、立ち向かう勇気と知恵を持っていた。

だが、やがて少年は化け物達に追い詰められる。
最早これ迄かと少年が観念した時、森の深い闇の中にエンジン音が響き渡る。
少年と化け物達の前にその姿を現す、骸骨のような姿にも見える不気味な仮面の男。
少年はその姿に驚きはしたが、不思議と怖さは感じなかった。

仮面の男は、少年を襲おうとしていた化け物達を次々と薙ぎ倒して行く。
その拳に、蹴りに、化け物達は断末魔を上げ絶命して逝く。
少年に迫る化け物達は瞬く間にすべて葬り去られた。
66Overtime 仮面ライダー・番外編:03/12/15 23:58 ID:PWxdLh+u

「あっ、ありがとう …」少年は戸惑いながらも自分を助けてくれた仮面の男に礼を言った。
仮面の男は少年を振り返り、その姿形からは想像もつかないような暖かく優しい声で応えた。
「いや礼には及ばないよ、これは君への恩返しだと思ってくれ」
「恩返し?僕は何もしてないよ?」
「いつか君にもこの言葉の意味が分かる日が来る …」

「あっ、そうだっ、良かったら名前を教えてもらえませんか?」
「… 仮面ライダー」「仮面ライダー?」
「僕は…」「『立花藤兵衛』君だろ?」
「えっ!どうして僕の名前をっ!?」
「知っているさ、決して忘れる事の無い名だ …」

仮面ライダーはそう言い残すと、バイクに跨り再び暗い闇の中へと消えて行った。
「… 仮面ライダーかぁっ」少年は仮面ライダーのその姿に淡い憧れを抱いていた…

時を越えショッカーは、仮面ライダー達の父親的存在でもあり、
良き理解者でもある立花藤兵衛を抹殺しようと試みた。
ショッカーの後を追い時を越えた仮面ライダーはその目論見を打ち砕く、
少年・立花藤兵衛を守る為に …

仮面ライダーと立花藤兵衛が再び再会するのは、この何十年も後の話であった…
67ギルノイズ ◆olKbglHkuQ :03/12/16 00:13 ID:EjThXgg4
>65-66
おお、こんな手が!

そうそう、こんなネタを。

「しまった!俺達は重要な事を見逃していたんだ!」
「何を見逃したと言うんだ、キ○ヤシ!!」
「真澄の母が小沢女史だと言うのは分かった。

だが、

父親は一体誰なのか分からないんだ!!!」
68氷川君好き:03/12/16 05:22 ID:7JvYboTt
>>65-66の彼面さん
思わず「うおっ!」って言っちゃいましたよ。
ホントうまいですねぇ。

>>67のギルノイズさん
そこはやっぱり女王さまにお仕えする氷川君で(苦笑)
「氷川君っ、出しなさいっ!」
「はいっ…あっっ…」
スレ違い失礼m(_ _)m
69名無しより愛をこめて:03/12/16 14:26 ID:4fsViR1W
ダベってる連中よ。特にコテハン。
新スレになってほとんどOvertimeさんしか書いてないわけだが、
こういう雰囲気は他のライターさん書きづらいんで少し自重しる。
スレ容量も他と較べて激しく消費するわけだし。
70Overtime:03/12/16 21:01 ID:2756Q8ow
はい、SSの方も少し自重致します。
Overtime仮面ライダーの続きは避難所にて(多分)
71氷川君好き:03/12/17 11:15 ID:eZlgHnDC
>>Overtime さん
いや、あなたに自重されちゃ困りますってば(苦笑)
容量限界は次スレ移行で対応すればいいだけのことですし。
72名無しより愛をこめて:03/12/17 22:07 ID:VNmBegWY
   | \
   |Д`) ダレモイナイ・・カクノオソクテゴメンナサイ
   |⊂
   |
73龍我another:03/12/17 22:08 ID:VNmBegWY
喫茶店「花鶏」
・・・毎回来る毎に思うのだが、どこを如何読んだら「あとり」と読むのだろう?
俺はそんなどうでも良い事を考えながら、紅茶を一口飲む。
やはり旨い。癖になってしまうな。
一息つくためテーブルに紅茶を置く、肘がポケットの中の四角い物体に当たった。
黒い龍のデッキ・・・・俺はそれを取り出すと、少し眺める。
ちょうど昨日の今頃、俺はコイツを使って戦っていたんだよな・・・・・
ふと、紅茶を見た。水面に黒い龍が映っている。
・・・・・こうして見るとけっこう愛着が湧いてくる。
俺はそう思いながら、龍の映った水面をかき混ぜると又飲もうとする・・・・・そこで俺は動きを止めた。
「何で今なんだよ・・・・・」
そして直ぐに会計を済ますと、俺はバイクに飛び乗った。

公園・・・・俺がガキの頃は公園と言えば子供が奇声を上げながら遊んでいる場所だった。
今も確かに奇声を上げ、走っている奴が居る。
只違うのは、その声を上げている理由が『笑い』じゃなくて『恐怖』だという事だけだ。
・・・俺はそのまま、バイクでガキを追い回している白いモンスターの側面に突っ込む。
人のブレイクタイムを邪魔した罰だ。
吹っ飛んでいくモンスターを尻目に、俺はガキを逃がす。
その間に体勢を立て直し、噴水の中へ逃げて行くモンスター・・・シアゴーストだかトーストだか。
俺はデッキを出すと噴水にかざし、インペラーだった時のポーズを取った。
「変身。」その言葉と同時にデッキ装填。体を覆う黒いスーツ。
ん、何でインペラーの頃のポーズかって?
理由は簡単、このデッキのポーズが判らない事と・・
・・・もう一つは、このポーズを俺が気に入っていることだ。
俺は気合を入れると、噴水からミラーワールドへ入っていった。
74龍我another:03/12/17 22:09 ID:VNmBegWY
噴水の側で辺りを見渡す・・・・誰も居ない?
まさか逃げられた?
・・・・・・・・・・・「のわぁ!」
背後からの体当たり、しかも・・・・増えてる。
それも良く見たら二匹や三匹のレベルじゃない。十人二十人・・・・
近くにいる奴は俺が倒すとして、残りは・・・テイクアウトは・・・無しだよな。
こんな時はやっぱり・・・俺はデッキからカードを抜く。
アドベント―――黒龍ドラグブラッカーが炎を吐き出しながら向かってくる。
それにしても・・・このバイザー声違わないか?前はもっとはっきり聞こえたような気がするが・・・
不良品か?クーリングオフは有るんだろうな?
そう思いつつ何匹ものシアゴーストを蹴散らす俺。
後ろからはドラグブラッカーの炎が正確に援護している。
ま、格の違いって奴だな。
十五分もしたら回りの奴らはほぼ壊滅、後は逃げちまった。
しかし、コイツはよく食べるな・・・・
俺は宙を舞っている龍を見ると、そのまま公園に戻る。
もう六時だ、仕事も無けりゃ用事も無い。・・・・寝るか。
そのままバイクで事務所まで帰った。・・・・・途中でガス欠になるまではな。
あっはっはっは・・・・畜生。

・・・・・・・・鏡の中のもう一つの世界、ミラーワールド・・・・
通常の人間が生きて入る事の出来ない世界・・・・
そこで一枚の鏡を見つめる古びたコートを着た男・・・・・・
その男は静かに呟く。「もう少しだ・・・『優衣』・・・・」
誰も存在することの出来ない世界で、その声は静かに消えていった。
残った物は静寂――――
75『水妖の銀盤』 ◆HqKATooXaI :03/12/18 03:20 ID:QvPoa0Ma
 初秋の浜風が穏やかに吹く海岸で、少年は飼犬と戯れていた。
「それ、取ってこい!」
爽やかに晴れわたった青空に、フリスビーが舞う。
その軌道を追って、白い四肢が岩肌を駆ける。やがて犬は、嬉しそうに尾を振りながら少
年のもとへ戻ってきた。愛犬がしっかりと咥えている円盤を見て、少年が首を傾げる。
「あれぇ…全然違うじゃないか、ジョン!」
少年は薄汚れた金属製の円盤を、海中へと放り棄てた。
買ったばかりのフリスビーを、はやく捜さなければ。少年は飼犬を急きたてて駆けだした。

>エネルギー充填開始 >自己再生モード起動――

ゆっくりと沈んでいく銀色の円盤。海中に、無数の泡がわきあがる。
少年が立ち去った岬で、何かが蠢きはじめていた。

 数日後、千葉県勝浦沖――
「どうだいね、調子は?」
「今ひとつだなぁ…俺も艫のほうに陣取るんだったよ」
きらめく海面を眺めながら、釣り人がぼやいた。次の瞬間、竿が大きくしなる。
「おっと、噂をすれば…こいつは大物だぞ」
興奮に手を震わせながら、リールを巻きあげる。
だが、やがて水面に浮かんできた陰影を見て、釣り人は顔をしかめた。
全長2m弱、無数の藻が絡みついたその影には、四肢の姿がはっきりと確認できた。
土左衛門か――釣り人は竿を置き、船長に報せようと腰をあげた。
そのとき、溺死体と思われていた影がゆらりと動いた。
海藻と得体の知れない粘液とで覆われた腕が、船縁にしがみつく。
ずるり…ぺたり…ずるり…ぺたり…
釣り人が、悲鳴をあげる。水掻きと鋭い鉤爪をもった掌が、その視界を覆った。
76『水妖の銀盤』:03/12/18 03:22 ID:QvPoa0Ma
『千葉県勝浦市で連続不審死発生、アンノウン事件の疑いあり』
不可能犯罪発生の一報をうけて、北條透は愛車で現場へと急行していた。
「お、行川アイランドじゃないか」
フラミンゴの看板を目にして、助手席の河野刑事が呑気な声をあげる。
「懐かしいな、昔はよく孔雀だとかフラミンゴだとか、見物に来たもんだよ」
だが、車窓を流れていく看板には閉園のおしらせを告げる文字が並んでいた。
呆然とする河野の隣で、北條が無感動に読みあげる。
「2001年ファイナルサマーイベント、未来戦隊ショー…ですか」
では、ほんの数ヶ月前まで此処には南国の鳥達や、はしゃぐ親子連れの姿があったのだ。
閑散としたゲートの奥を、寂しげに振り返る河野。
北條は困った表情で小さく咳払いをすると、愛車のアクセルを勢いよく踏み込んだ。

「…なるほど、こりゃ不可能犯罪だな」
ビニールシートを捲りあげ、遺体と対面した河野が唸る。
釣り宿のベッドに安置された被害者は、全身の体液をことごとく奪われて完全にミイラ化
していた。浜行川港を中心として、既に同様の事件が数件報告されている。
巨大な一ツ目をもった怪物を見た、という証言も少なからず寄せられていた。
「地元の巡査が拳銃で応戦、銃弾一発の命中をうけて怪物は逃走した模様です」
片隅に控えていた若い警官が、直立不動のまま敬礼する。興奮いまだ醒めやらぬ様子だ。
成る程――と北條が小さく頷く。
そのとき、聞き込みを終えた氷川誠が合流した。
「釣り船の乗客、港で襲われた作業員、それから釣り宿の経営者…照会してみましたが、
 被害者同士の血縁関係は全く認められませんでした。無差別殺人の疑いがあります」
報告を聞いて、小沢澄子が小首を傾げる。
「アンノウンの行動パターンとは、そぐわないわね」
「以前V−1システムによって撃退された蜂型アンノウンのケースと同様に、なんらかの
 外的要因を受けて暴走している可能性も考えられますよ、小沢さん」
V−1システムによって、という部分を不必要に強調しつつ、北條は意見を述べた。
77『水妖の銀盤』:03/12/18 03:23 ID:QvPoa0Ma
実際のところ蜂型アンノウン、アピス=メリトゥスに引導を渡したのはG3−Xである。
しかし、それは新型AIの暴走という不祥事と切り離しえない歪んだ戦果であったから、
澄子も強く言い返すことはできなかった。
「…あるいは、アンノウンとは全く別種の怪物という線も考えられるわね」
眉根をひそめつつ、推論だけを淡々と口にする。
まさか、と呆れた表情で聞き流す北條。二人の間に、見えない火花が散る。
「まあ…いずれにしても、血縁関係者の護衛だけでは足りないってことだな」
頭を掻きながら、河野がやんわりと結論づけた。
「…そうですね、千葉県警と協力して国道周辺の警戒にあたりましょう。小沢さん、G3
 ユニットは沿岸部を捜索していただけますか。敵は水棲である蓋然性が高いですから」
緑の粘液でぐっしょりと濡れた床を眺めつつ、北條が指示した。

 怪物は、疲れきった脚を引き摺りながら山野を彷徨っていた。
エネルギーは充分に摂取した。あとは、身体を復元する時間が必要だ。
自己再生を完了させて――それから、どうする?
長期にわたる機能停止の影響だろうか、記憶回路には重大な障害が認められた。
薄靄のかかった意識を抱え、ただ本能の赴くままに怪物は歩み続けた。
がさり…がさり…
耳を澄ませ、周囲の様子を探る。
一人、二人――規則正しい足音。徘徊しているのは、銃を提げた警官達だ。
怪物は、慎重に身を潜めた。
先程被弾した脇腹の傷は、ようやく修復しつつあった。僅かに、痛みが残る。
硬化皮膚の再生が終わるまでは、なるべく対峙しないほうがよいだろう。
せっかく蓄えたエネルギーを徒に消耗するわけにはいかない。
とりあえず、夜まで何処かで休息をとることにしよう。
怪物は、ゆるやかな崖をくだっていった。
樹々の隙間に、銀色の巨大な単眼がきらめいた。
78『水妖の銀盤』:03/12/18 03:24 ID:QvPoa0Ma
 合同捜査班による懸命の捜索にも関わらず、怪物の行方はいまだ特定することができな
かった。ただ、怪物が残した様々な痕跡――どろりとした粘液の飛沫や、人間とは明らか
に違う異形の足型――に関する発見報告は、次第に集積されつつあった。
仮の捜査本部が置かれた臨時休講中の小学校では、北條と河野が地図を睨んでいた。
「現在のところ、非常線を突破された形跡はありませんね。もっとも、標的が我々の物理
 常識に従って移動してくれているなら、の話ですが」
その可能性は高いだろう、と北條は推測していた。
怪物の痕跡は、時系列に沿ってほぼ一定の速度で西へと移動しているのだ。そこには、煙
のように消失したり瞬間移動したり、といった説明のつかない現象は認められなかった。
仮に、このまま怪物が逃走するとしたならば。
なおかつ、勝浦市の西へ敷いた非常線を敬遠したならば――
地図上でゆっくりと包囲網を狭めていく北條。
やがて、手にしたペンが一ヶ所で停まった。

「狙撃A班、これより標的の捕獲に向かいます。私の指示に従って下さい」
スーツの裾を翻し、朝礼台の上で大見得をきる北條。
まるで生活指導の新人教師だな、と狙撃班長は内心苦笑した。
「G3−Xの到着、待たなくていいのかね?」
河野が訊ねる。沿岸部の捜索に駆り出されたGトレーラーは、岸壁で立往生していた。
構いませんよ、と北條は微笑した。
目撃情報によれば、怪物は巡査の拳銃で撃退されている。
通常兵器で殺傷できる相手ならば、自分の組織した狙撃班が遅れをとる事はありえない。
「一応、小沢さんにも連絡はいれておきますが…不可能犯罪が発生した時、常にG3−X
 やアギトの協力を仰げるとは限りませんからね。今回の作戦は、我々が積み重ねてきた
 訓練と研鑚の成果を試すのには、絶好の機会ですよ」
そして、その成果は来たるべきアギト捕獲作戦のために――
自信に溢れた北條の笑顔を見て、狙撃隊員達は心のどこかで己の命運を悟った。
79『水妖の銀盤』:03/12/18 03:24 ID:QvPoa0Ma
 ゲートの封印を越えて、隊員達が突入する。
行川アイランド跡地――北條が怪物を追い込んだのは、この場所だった。
入場トンネルを潜りぬけた一同の前に、異様なまでの喪失感がひろがる。
一羽の鳥すらその胎内に抱えていない、空虚な檻の群れ。
子供の歓声ひとつ聴こえることのない、無人の広場。
華やかな非日常という役割を剥がされた空間は、不気味な静寂に満たされていた。
そのさなかを、隊員達は慎重に歩んでいく。
(…ありました!)
身振りで、仲間へ伝える。鉄柵に、異臭を放つ粘液がべったりと付着していた。
隊員達が集合する。以前はアシカでも棲んでいたのだろうか、鉄柵の対岸には落ち葉と雨
水とですっかり澱みきった巨大な水溜りが待ち構えている。北條が、顔をしかめた。
ごぽっ…ごぽっ…
足元に不穏な水音を感じた、次の瞬間。隊員の一人が悲鳴をあげた。
泥濘んだ感触が、足首を捉える。“それ”は凄まじい腕力で彼を泥水へと引き込んだ。
やがて怪物は、生臭い息を吐きながら隊員の上体へと這いあがってきた。
粘液と鋭い鱗に覆われた、長い四肢。赤銅色の光沢を放つ、頑強そうな胴体。
海藻とも体毛ともつかぬものが疎らに生え揃った頭部には、巨大な一ツ目を思わせる鋼鉄
の円盤が爛々と輝いている。怪物は、藻掻き苦しむ隊員の喉笛に牙を突きたてた。
「化け物めっ!」
僚友を救うため、別の隊員が体当たりを敢行した。
脚をすくわれて、怪物が蹌踉めく。その頭部から強酸の飛沫がほとばしり、不快な臭気を
あげて隊員達のジャケットを焦がした。やにわに、怪物が激昂する。
「撃てっ!」
負傷者が奪還されたのを見届けて、班長が命令を下した。ライフル銃が一斉に火を噴く。
だが、怪物はすかさず半身を翻した。赤銅色の背が火花を散らし、銃弾を受けきる。
怪物はその硬度を誇るかのように軽く跳ねると、ゆらゆらと身を揺らすような独特の構え
をとって一歩ずつ歩み寄りはじめた。醜い牙の合間から、涎が滴り落ちる。
たちまち、狙撃隊員の間に言い知れぬ恐怖が伝播した。
80『水妖の銀盤』:03/12/18 03:26 ID:QvPoa0Ma
 怪物は隊員達の姿を見渡すと、ほんの一瞬だけ全身の神経を集中させた。
鼻をつくような強酸の白煙をあげて、円盤から透明の液体が湧きたつ。
体内に取り込んだ生命のエキスと水分とを練りあわせた、いわば純粋なエネルギーの塊。
怪物は、水掻きでそれを掬いあげた。
強酸の液は一瞬水球となり、ついで勢いよく渦巻き紋様を描くと、あたかも円盤それ自体
を複製したかのように平らな水盤となって緑色の掌に躍った。
邪悪な笑みを浮かべた怪物が、それを投擲する。
水盤は狙撃班の足元に着弾し、泥水を巻きあげて激しく爆ぜた。
ほとばしる強酸とエネルギーの飛沫が、隊員達を灼く。
ライフル弾が応戦する。しかし、赤銅色に輝く硬化皮膚の前には、まるで歯がたたない。
「撤甲弾だ、急いで装填しろ!」
班長の指示が飛ぶ。対アンノウン用の特殊撤甲弾ならば、あるいは――
だが、怪物は彼等に装填のいとまを与えなかった。
独特の構えをとり、再び神経を集中させる。
小さな炸裂音とともに、凄まじい刺激臭が周囲に立ち込めた。
円盤で精製される液体が純粋なエネルギーならば、これは精製時に生じた不純物、老廃物
とでも言うべきガスであった。怪物はそれすらも体内に貯蔵し、武器として利用する。
まさしく、生物兵器だ――隊員達は、あらためて戦慄した。
眼と喉をやられて激しく咽せる彼等に、濃緑の影が迫る。
閃光のような掌打。
ある者は気絶し、より運の悪い者は永遠に意識を失った。

 怪物は、すこぶる上機嫌だった。身体の再生を終え、僅かながら余剰エネルギーもある。
生物兵器としての彼が有する欠点は、燃費の悪さだった。現在のように気力が充実してい
る時間は、あまりにも短い。いずれ人間を襲ってエネルギーを精製するか、あるいは外部
から補充を受けなければ、満足に能力を発揮することはできないのだ。
だが、眼前には戦意を喪失した警官達の山がある。
当面のエネルギー源には、事欠かない。
彼はゆらりと身体を揺らして、最後の獲物へと向かった。
81『水妖の銀盤』:03/12/18 03:35 ID:QvPoa0Ma
 残された獲物――北條透は、全てをかなぐり捨てて逃げ出した。
標的の戦力は、当初の予測を大きく上回っていた。致命的な誤算を呪いながら、彼は泥沼
の中を必死で駆けた。背後からは、びしゃびしゃと水音をたてながら怪物が迫りくる。
効くはずもない拳銃で必死に威嚇しながら、ひたすらに逃げる北條。
震える手から放たれた銃弾は狙いを逸れ、怪物の頭上に位置する樹枝を撃ち抜いた。
ばらばらと舞い落ちた枯葉が、怪物の視界を遮る。
一瞬の混乱をついて、北條は泥沼から這いあがった。
怪物は怒りの咆哮をあげると、頭頂にゆっくりと手を翳した。
そのまま、円盤の傍に生えている剛毛を抜き放つ。
放たれた体毛は風にのり、凄まじい速度で増殖を繰り返しながらゆらゆらと宙を舞う。
やがてそれは漆黒の絹布を織りなすと、逃げ惑う北條に覆いかぶさった。
具象化された暗闇――それが毒虫のように全身を這い、ぎりぎりと締めあげていく。
臓腑を握り潰されるような圧迫感。
それが、北條の脳裏に眠る記憶を呼び醒ました。

肋骨を砕き、肺腑を締めつけるガードレールの冷たい感触。

超能力者・榊亜紀による襲撃の悪夢が、現実の危機と重なりあう。
精神と肉体をともに引き裂く恐怖に、北條は声にならない絶叫をあげた。
呪縛から逃れようと、涙と涎を流しながら必死で身を捩る。
そのたびに、全身の骨が不気味な軋みをたてた。
脂汗をかきながら地面に倒れる北條。
藻掻き苦しむその姿を嗤いながら、怪物がゆっくりと歩み寄っていく。
やがてその鉤爪は泥にまみれた刑事の前髪を乱暴に掴むと、そのまま彼を牽き起こした。
無数の牙に覆われた嘴が、眼前に迫る。血生臭い吐息に、嘔吐感がこみあげた。
北條が気を失いかけたその瞬間。
蒼い弾丸が空気を裂き、怪物を弾き飛ばした。
82『水妖の銀盤』:03/12/18 03:40 ID:QvPoa0Ma
「北條さん、大丈夫ですかっ」
ガードチェイサーを停め、鋼鉄の戦士が降りたつ。
北條に駆け寄ったG3−Xの隙を狙うように、背後の泥沼から怪物が躍り出た。警告灯が
瞬時に点滅し、振り向きざまに放ったGM−01の弾丸が次々と赤銅色の胸板を捉える。
弾丸の衝撃を耐え抜いた怪物は、揺らめくような脚捌きで距離を詰めた。
蒼い仮面めがけ、掌打が繰り出される。
鋼鉄の拳がその水掻きを受け、両者はそのまま膠着状態にはいった。
氷川誠の闘志を受けて、硝子の瞳が真紅に燃えあがる。
あれは――
あの輝きは――
円盤に封じられた怪物の記憶が、掻き乱された。
ノイズ混じりの映像が、なぜか底知れぬ憎悪を喚び起こす。

>攻撃目標――仮面――ライダー――

「仮面…ライダァァァッ!」
凄まじい膂力でG3−Xを撥ねのけ、怪物が咆える。
地表へと叩きつけられたG3−Xは、どうにか体勢を立てなおすとガードチェイサーの傍
まで退いた。狙いは、車体に搭載されている最後の切札――GX−05である。
だが、彼が愛銃の封印を紐解くよりも一瞬はやく、怪物は銀の水盤を練りあげるとガード
チェイサー目掛けて投擲した。強酸が弾け、G3−Xの装甲に火花が疾る。
横転したガードチェイサーからGX−05を回収している余裕はない。
そう判断した誠は、電磁ナイフを構えて近距離戦闘へと移行した。
装甲の隙を狙って襲いくる嘴と鉤爪。
その軌道は電磁ナイフの刃と斬り結び、緑の粘液を周囲に迸らせる。
銀の円盤からは白煙がたちこめ、G3−Xのバックルは急激なバッテリー消費を報せる。
互いに決定打のないまま、エネルギーを消耗していく怪物と戦士。
果たして、先に力尽きるのは――
83『水妖の銀盤』:03/12/18 03:43 ID:QvPoa0Ma
 その頃、地面に打ち棄てられたままでいた北條透は、激痛に霞みゆく意識の底で必死に
思索を巡らせていた。怪物の一挙手一投足が、凄まじい速度で脳裏に渦巻いていく。
身体を揺らすような独特の動き。
体当たりを受けての、突然の激昂。
円盤から湧きあがる強酸の液体。
――円盤――振動――液体――そうだ、あの円盤だ。
無秩序に浮かびあがったイメージが、一本の糸へと紡がれる。
蓄積されたエネルギー溶液の坩堝、最大の武器にして――おそらくは、最大の急所。
北條は、その推論をG3−Xに伝えようと唇を開いた。
だが、漆黒の呪縛によって締めつけられた彼の肺腑からは、ごく微かな呻き声が放たれる
ばかりだった。北條は歯を食いしばり、額に大粒の脂汗をかいて呪縛に抗い続けた。
やがてその執念が実り、全身を拘束していた闇に僅かな弛緩が生じる。
堰をきったように肺胞へと染みわたっていく、酸素の奔流。
北條は、全身全霊をこめて叫んだ。
「…氷…川…さん…」

『氷川くん、頭の円盤よ。あれを狙いなさい』

指揮車輌の小沢澄子から通信が届いたのは、まさにその瞬間だった。
ほぼ同時に、怪物の嘴がG3−Xの頚部を捉える。がっくりと片膝をつく蒼い戦士。
だが、その体勢こそが氷川誠の狙いだった。G3−Xの動きにつられて前傾した怪物の首
を、屈強な右腕がしっかりと抱え込む。鉤爪をかざし、怪物がじたばたと藻掻く。
強酸の液が、処構わず撒き散らされる。
G3−Xは最後の力を振り絞ると、逆手に構えた電磁ナイフの柄を銀の円盤へ叩きつけた。
断末魔の絶叫が響きわたる。
円盤が砕かれると同時に、怪物の身体は腐臭漂う液体の塊となって――果てた。

>機能停止 機能停止 機能停…
 
84『水妖の銀盤』:03/12/18 03:51 ID:QvPoa0Ma
 暖かな陽光が差し込む警視庁の廊下で、ふたつの人影がすれ違った。
「あら、もう怪我はいいの?」
「お蔭様で、すっかり完治しましたよ」
憮然とした表情で答える北條透。
「ところで小沢さん、ひとついいですか?」
何かしら、と小沢澄子は無表情のまま応えた。
「怪物の弱点が頭部だと、なぜ判ったんです?天才小沢澄子の直感、という奴ですか」
「知りたいの?」
「ええ。もしもGトレーラーからの指示が誤っていたら、今頃、私も氷川主任も生命が危
 ういところでしたからね。是非、根拠をお聞かせ願いたいものです」
澄子は、北條の頭上に一瞬だけ視線を遣った。
「河童の弱点は頭の皿、大昔から決まってるわ」
唇を半開きにして、なにか言いたげな表情のまま固まった北條透。
その姿を一瞥し、澄子はくるりと身を翻した。


     『Monsters Reborn』 episode:2『水妖の銀盤』

  副題『北條透の華麗なる冒険 怖れていたオカッパ法師の復活宣言』

                                  (おわり)
85 ◆HqKATooXaI :03/12/18 04:05 ID:QvPoa0Ma
某スレのネタに刺激されて、衝動的河童。
遅ればせながら新スレ移行記念ということで、
今後とも、どうぞよろしくお願いします。

       …アク規が早く解けますように。
86Overtime 番外編2:03/12/19 15:24 ID:sjL8+tqH

その男は紛れも無く天才であった。
その男は頭脳明晰、人々の常識を遥かに逸脱した叡智を持ちあわせていた。
だが、男は人々を、そしてこの世を激しく憎み、怨んでいた。
男はその能力が他よりも遥かに突出していた為、
人々から変わり者、変人、酷い時には狂人として扱われ来たからだ。
過ぎたる力を持つ者は、凡人にとってはその存在自体が既に脅威であったのかもしれない。
「クソッ、いつか奴等を見返してみせる」
男は自分の才能を認めようとせず、凡人達に不当な扱いを受けて来た事に憤っていた。
そして、いつかこの愚かな凡人達に復讐してみせると誓う。

それは偶然と言う運命の悪戯であったのかもしれない。
男は見た事もないような化け物達が一人の少年を追っている、その光景を目撃する。
化け物達に追い詰められ、少年の絶対絶命のピンチ、
その時に現れるバイクを操り髑髏の仮面を被ったような異形の者の姿。
異形の者は化け物達を倒して少年を助け出す。
「…仮面を被った、ライダー」男はその異形の者に心奪われた。

男は身を隠し、異形の者と少年がその場を去る迄待った。
誰も居なくなったのを確認すると男は、
その場に放置されたままとなった化け物達の亡骸を調べはじめる。
男にはそれがすぐに何者かの手によって人為的に創り出された者達である事を理解する。
男は化け物達の残骸を余す所無く、掻き集め持ち帰り、その化け物達について研究をはじめる。
優秀な頭脳を持つ男にはそれが、人間を改造して特別な力を与えられた者、
改造人間であるという事を突き止めるのに、それ程時間はかからなかった。
男は昼夜を問わず一心不乱に改造人間の研究を続けた…
87Overtime 番外編2:03/12/19 15:24 ID:sjL8+tqH

そして男の前に、マントで覆われた謎の男が現れる。
その頭の部分は尖っており、まるで何処かの人種差別組織の装束を思わせる。
謎の男は言った「お前の才能は素晴らしい。私がお前の研究をバックアップしよう。
資金や環境を気にする事無く、お前のその才能を思う存分発揮するがいい…」
今迄人々に決して認められる事のなかったその才能が、
謎の男によってはじめて認められた瞬間でもあった。
男は自らの改造人間の研究に対する情熱から謎の男の申し出を受け入れた。
それから男は世俗を離れ、ただひたすらに研究を続けた…

やがて男は長い年月を費やして、自らの手で改造人間を創り出す事に成功する。
男は自らの肉体をも改造し、謎の男が率いる組織の幹部となった。
そして男は次の目的を定める
「あの時の、仮面を被ったライダー、私があれをつくり出すのだ」
その男は組織の中ではこう呼ばれていた、『死神博士』と…

すべてのはじまりは時を越えた仮面ライダーにこそあったのかもしれない。
そしてその何十年前の出来事、因果は遥か後の今に続く事になるのであった…
88名無しより愛をこめて:03/12/20 04:40 ID:KI8rG0KD
ダレモイナイから一転してラッシュ。イイカンジナノニシズカ...
>86
若き日のDr.ヘル外伝を思い出しますた
ライダー自体の開発に絡んだ人が主役でフニャコフニャオ効果しても面白かったかも
89戦闘員の謳:03/12/20 15:34 ID:6Y2szyIH

「義男っ!あなた一体何時まで寝ているつもりなのっ!?」
俺はおふくろの甲高い声に起こされた。
寝起きにあの妙に甲高い声を聞かされるのは不愉快極まりない。
「うるさいなぁっ、わかってるって」
名残惜しいベッドのぬくもりに別れを告げ、俺は布団から抜け出した。
「今日は、お父さんも久しぶりにお休みなのよ、ちゃんとしなさいっ」
「ここの所、お父さんも忙しくてお休みが無かったから…」
おふくろの言葉に俺は適当に返事をしておく。
俺の親父は、世間が言うには警察上層部の偉いさんだ。
だから親としては家での躾も厳しくやって来た、つもりらしい。
でも生憎息子はこんなひねくれた奴に育っちまった。

「まったく、隣の和彦ちゃんが羨ましいわっ」
おふくろはいつもの口癖で、隣の家の俺の幼馴染・和彦を引き合いに出す。
和彦は俺とは同級生で、小さい頃はそれこそ仲が良かったが、
大きくなるにつれ、段々と奴との間には距離が出来て行った。
あいつは俺とは違い、この上なく優秀だったからだ。
成績は常に学年でトップクラス、スポーツ万能、何事も完璧に卒なくこなす。
ストレートで某有名大学にも入った。将来は親の跡を継いで医者になるんじゃないかって話だ。
ルックスも上々で、お洒落だし、女にもモテまくりだ、まぁ本人は女にはあまり興味はないようだが。
爽やかで、笑顔が素敵で、白い歯が眩しくて、人当たりも良い、誰もがあいつには好印象を抱く。
みんなに好かれ、誰もが憧れる、まさに絵に描いたような好青年ってわけだ。
90戦闘員の謳:03/12/20 15:35 ID:6Y2szyIH

まぁ、俺に言わせれば、あいつは健全過ぎて気持ちが悪い。
人間ってのはどんな奴だって心に後ろめたい事のひとつやふたつはある筈だ。
だがあいつはそんな事をまるで感じさせない。そこが逆に俺には気持ちが悪い。
こんな事他人に言ったら僻みだと言われて笑われるのがオチだろうけど…

しょうがない、しがない浪人生の俺は予備校にでも行ってきますか。
俺が家を出る時、おふくろは言った。
「今日はお父さんが久しぶりのお休みだから、晩御飯はみんなで食べるのよ」
「早く帰って来て頂戴ね」
「へいへい」俺は適当な返事をして家を出て予備校に向かった。
91戦闘員の謳:03/12/20 15:36 ID:6Y2szyIH

女がいる訳でもないしやる事も無い俺は、予備校が終わったら、
親に言われた通り素直に帰って来てしまった。
いい年をして親に反抗するのもなんだし、それで親が喜ぶならこれもまたいいだろう。

俺が家に着いた時、辺りは薄暗くなりはじめていた。
だが、俺の家に電気が着いている様子はない。
親父とおふくろふたりで買い物にでも行っているのだろうか…
俺は家の門を手で押し、玄関のドアを開ける。
家の中は暗く、俺は記憶を辿って手探り状態で家の中に入って行く。
その時、俺の足の裏に何か冷たい感触が…水でもこぼれているのだろうか?
俺は咄嗟に自分の足の裏を見たが、暗くて良くわからない。
確かなのは足の裏が濡れているという事だけだ。
俺は手探りで電気のスイッチを入れる。

電気が着き、家の中が明るくなり、
俺の目の前に広がっていたのは、真っ赤な鮮血、血の海だった。
「うぁぁぁぁっ!!」叫び声が咄嗟に口を突いて出る。
心臓の鼓動は一気に加速し、体が熱くなり、汗が噴出す。
何がなんだかまったく訳がわからず、気が動転してパニック状態。
頭がクラクラして来て、立っている事さえままならず、その場にへなへなと座り込む。
何だっ!?一体何が起こったんだっ!?
頭の中は真っ白で、考える事さえ出来ない。

俺はしばらく放心状態だったが、ようやくの事で再び立ち上がり、血の海の先へと進む。
最悪の状況が俺の頭の中を駆け巡る。
先へと進むとやはりそこは最悪の状況であった。
俺のおふくろと親父が血を流して倒れている。
「おふくろ…親父…」俺はそう言うと再びその場に力無く座り込むしか出来なかった。
92戦闘員の謳:03/12/20 15:36 ID:6Y2szyIH

そんな俺の前に現れるひとつの影。
俺は座ったまま思わず体をビックとさせて身構える。
そこには黒い全身タイツを着込んだ侵入者の姿があった。
腰にはエンブレムが入ったベルトが巻かれており、タイツには骨のような紋様が描かれている。
俺が恐怖に支配されていると、侵入者はおもむろに顔に被った黒いマスクを脱ぎ捨てる。
そこには俺の良く知る顔があった。
それは、隣の家の幼馴染、和彦の顔だった。

大汗を掻き、息を荒げ、興奮している和彦は俺に向かって言った。
「すまなかったな、義男」
「だがこうするしかなかったんだっ」
「お前の親父さんは知り過ぎた、俺達の事を」
「だから消えてもらうしかなかったんだっ」
和彦はひとりで一生懸命俺に語りかけていた。
俺には和彦の言っている事がわからなかった。
いや突然の極限に状態にもう頭の中に何も入らなくなってしまっていたのかもしれない。

和彦は悲しそうな顔で俺に向かって言った。
俺は和彦のその言葉だけは、何を言っているのか理解出来た。
「残念だが、お前ともこれでお別れだよ、義男」
次の瞬間、和彦がその手に持つナイフの光が、俺の喉元に向かって来るのが見えた…
93戦闘員の謳:03/12/20 15:55 ID:6Y2szyIH

義男の家には和彦の仲間達が集まって来ていた。
「ああ、掃除屋さんだねっ…」
3人の人間をその手にかけた和彦は、まだ興奮冷めやらない様子であった。
「ご苦労だったな、後始末は俺達に任せてくれっ」
和彦が掃除屋さんと呼んだ仲間は、こうした遺体の後処理などを専門にやる者達であった。
組織の仕業である事を悟られぬ為、偽装工作を行うのも彼ら掃除屋の重要な仕事。

義男達3人の亡骸が転がり、血の海と化した室内を後処理して行く掃除屋達。
「この案件は、放火事件として処理される手筈になっている。
犯人もこちらで用意した40歳の精神を患っている男性という事で、すべて準備は整っている。
何も心配はいらん。」掃除屋のリーダーは和彦にそう説明した。和彦はその男の言葉に深く頷く。

「それでだ、立て続けで悪いんだが…」
「大佐から次の任務について託かっている」
掃除屋のリーダーはそう言い和彦の様子を伺う様にして見る。
和彦は目を輝かせて、力強く言う。
「やるよっ、もちろんっ、それがあのお方の為だからねっ」
その言葉に心の迷いは全くない、あるのは強い決意のみ。
「ああ、そうだっ、すべてはあのお方の為だっ」
今度は掃除屋のリーダーが和彦の言葉に大きく頷いて見せた。
そして早速、大佐から託ったという次の任務の内容を説明しはじめる
「今度はお前の大学の教授なんだが…」

戦闘員による活動はこうして人知れず、だが着実に行われていくのであった…
94名無しより愛をこめて:03/12/20 15:58 ID:6Y2szyIH
↑よく平成に戦闘員の復活をとか言うと笑う人がいますが、
リアルな戦闘員程コワイものはないと思います。
という事で書いてみました
95名無しより愛をこめて:03/12/20 20:25 ID:bBK+8hoy
>>94
サスペンス調っていうのは新しい切り口だね。
新鮮な感じで読ませてもらいました。

でも主人公があっさり死にすぎかな。
知恵と勇気で危機を切り抜けるといった展開を期待してただけに
漏れとしてはちょっと残念。
9694:03/12/21 00:22 ID:romfyLlm
>>95
あなたのアドバイスのおかげで、いろいろアイデアが膨らみました
another ending にもチャレンジしてみようかと思います
ただ大きな問題は、長文確定(汗
なので様子見ながらupしていこうかと
97ギルノイズ ◆olKbglHkuQ :03/12/21 01:17 ID:JzRsZjX/
>>95
え?戦闘員の和彦君が主役じゃないの?
98名無しより愛をこめて:03/12/21 11:28 ID:SKq5VN+s
「戦闘員の和彦君」のシリーズ化キボン
99名無しより愛をこめて:03/12/21 13:21 ID:kjC3SOEZ
最初、義男君視点で話が進んでいたので
てっきり一般人の義男君が主役だと思ってた。
100名無しより愛をこめて:03/12/21 21:25 ID:romfyLlm

玩具板より見つけて来ました
G4&サイドバッシャ−
http://toyup2.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20031216215720.jpg
ギガントをサイドカーに積んでいるとことか
Overtime 第二章のイメージにピッタリですね
101戦闘員の謳/老兵の挽歌:03/12/22 00:02 ID:Uou/T1HO
※another endingよりも、新作の方が先に話がまとまったのでそちらをupさせて頂きます


戦闘員・和彦は次の任務遂行の為、仲間と待合せていた。
指定されたポイントに赴いた和彦。
街の裏路地、廃ビルで和彦を待っていたのは初老の男であった。
「なんだ、こんなガキが、俺達の仲間だってのか?」
初老の男は和彦を一瞥すると、眉間に皺を寄せそう罵った。
「いくら何でもガキは失礼じゃないですか。」
「こう見えても実践も済んでます」和彦は強気にそう言い返した。
「ふんっ、坊や、お前人を殺めた事は?」初老の男は和彦に尋ねる。
「…あります、ついこの間も3人この手にかけました…」
和彦は暗い面持ちで初老の男の問いに答えた。
「坊やみたいなのに、やらせるとはね、余程人が足らないのか…」

「何だい?そんな暗い顔して、人を殺した事を後悔してんのかい?」
「そんなんでこの先やっていけるのかねぇ」初老の男は和彦に嫌味を言ってみせる。
「…後悔している、という訳ではありません、これも理想の為ですから…」
「ただその相手というのが、俺の隣の家の人で、
俺が小さい頃から良く知っていた人達だったんです…その中には俺の幼馴染も居ました」
「ですから後味が悪いというか、やりきれないというか…」
和彦は胸につかえているモヤモヤを初老の男に語った。

その話に初老の男も多少同情したのであろうか、和彦への態度が柔和になった。
「お前はな、今、試されているんだよ。
理想の為に、その手を汚す覚悟があるかどうかをな。」
「…わかっています」和彦は男の言葉に頷いてみせる。
「この不浄の世界を変えるのは口先だけの奴等じゃねぇ。
大義の為に今を我慢して、自らの手を血に染める事の出来る奴だけだ。
お前は今試されているんだよ。お前にその資格があるかどうかをね」
初老の男の言葉に和彦は大きく頷いた。
102戦闘員の謳/老兵の挽歌:03/12/22 00:34 ID:Uou/T1HO

「組織だって、お前程優秀な奴にいつまでも実行部隊をやらせる気はないだろうよ」
初老の男はそう笑いながら和彦に言った。
「俺の事知っているんですか?」和彦は驚いた顔をして尋ねる。
「お前さんの経歴は見させてもらったさ。
俺は古株だからな、一緒に仕事をする奴の経歴を事前に見せてもらうぐらいは訳ない事だ。
「お前さんは、有名大学で医学部を専攻、成績もトップクラス、MITに留学するって話もあったぐらいだ。
組織だって行く行くは科学班にでも配属しようと思っているんじゃねぇかな」
「だからだ、今はお前を試しているんだろうぜ。
お前が自ら進んで泥水を啜る事の出来る奴かどうかって事をな」
「はいっ…」和彦は初老の男の言葉に素直に頷いた。
そこでふと先程の事を思い出す和彦「でも、さっきはこんなガキか、って言ってたじゃないですか?」
「まぁ、新入りには悪態をついてみせるってのが俺の流儀でな、悪く思わないでくれ」
初老の男はそう言い笑ってみせた。
103戦闘員の謳/老兵の挽歌:03/12/22 00:47 ID:Uou/T1HO

「若いってのはいい。
頭が良い奴は組織の頭脳として、これからを担って行く事が出来る。
肉体的に優れている奴は、自ら肉体改造を志願して改造人間にだってなれる。
お前達若者の先には未来が広がっている。
お前達が頑張れば、理想の世界だって実現させる事が出来るかもしれねぇ」
初老の男はしみじみと感慨深げにそう語った。
「でも先輩程のキャリアがあれば、十分やっていけるじゃないですか」
和彦は改めて初老の男に敬意を表して先輩と呼んだ。
「いや俺はもう駄目だ、年を取り過ぎちまった。
『あのお方』が目指す理想の世界が実現される迄、生き残る事が出来るかどうかもわからねぇ。
まぁ頭の方は無理でも、せめてもう少し若ければ改造人間にでも志願したんだがな。」
初老の男は少し寂しそうにそう話した。
「そんな事ないですよっ!
これからの戦いには先輩のような経験豊富な方が必要なんです。
若い世代だけではどうにもならない事だってたくさんあるんです」和彦は初老の男を励ました。
組織の掲げる理想に魅せられた和彦だが、心は元来純粋で真面目である。
いやその純粋で真面目さ故に、組織に魅せられてしまったのかもしれないが。
和彦は初老の男を何とかして励ましたかったのであろう。
104戦闘員の謳/老兵の挽歌:03/12/22 00:48 ID:Uou/T1HO

「こんな新入りに心配されちまうとはなっ、俺もヤキがまわったもんだぜ」初老の男は苦笑する。
和彦と初老の男は初対面でありながら、まるで昔からの知り合いであるかのように打ち解ける事が出来た。
和彦は初老の男の中に強い父性を感じ取っていた。
自分の本当の父は、金と権力に執り憑かれ、己の事だけを考え、
医局での保身ばかりを考えているような男だが、
この初老の男には自らの信念に従い、それに突き進む漢(おとこ)の姿がある、和彦はそう感じていた。
そんな初老の男を和彦はいつの間にか心の底から尊敬するようになっていた。
「いいかい坊や、現場に出たら決してためらうんじゃねぇぜ。
あれこれ考えるのは、実行の前と後だけだ。最中は余計な事を一切考えるな。
ただ決められた事を迅速に正確に実行する事だけに専念しろ。
ためらいはお前さんの命取りになるだけだからな。」初老の男は和彦に強くそう言った。

それから数時間後、今回の任務に参加する後2人の仲間がやって来た。
105戦闘員の謳/老兵の挽歌:03/12/22 01:12 ID:Uou/T1HO

今回の任務は、和彦が通う大学の、ロボット工学の権威でもある教授を拉致する事。
もちろん、それは教授の優れた能力を組織に役立てる為だ。
教授の協力が得られれば、改造人間をはじめとする組織の技術が更に進歩する可能性が大きい。

和彦はキャンパス内の人通りが無い所に大学教授を誘い出し、
初老の男が教授を眠らせ、残る二人と共に教授を運び出す。
和彦と初老の男、そして後二人の仲間は計画通り、教授の拉致に成功した、
かに見えたその時であった。
「止まれっ!!」銃声と共に叫び声が聞こえる。
和彦達、戦闘員が後ろを振り返ると、そこには銃を構えた数人の男達の姿があった。
「アンチショッカー同盟っ!」戦闘員の一人がそう呼んだ。
「アンチショッカー同盟っ!?」和彦は組織と敵対するその者達の名前は知ってはいたが、
実際にその者達を見るのはもちろんはじめてであった。
106戦闘員の謳/老兵の挽歌:03/12/22 01:26 ID:Uou/T1HO

「小僧っ!お前まさかっ!?」戦闘員の一人はそう言い、和彦の方を睨んだ。
その言葉の意味する所を和彦は直に察知した。
「いいや、俺じゃないっ!俺は抜かりなかった筈だっ!」
和彦は自分にミスが無かった事を主張する。
「…これはっ、誰か密告しやがったな…」和彦の隣に居た初老の男はそう呟いた。
「えっ!?」その言葉を聞き逃さなかった和彦。
まさか、この四人の中に裏切り者が居ると言うのか?
根が純粋であり、真面目である和彦にとって、その言葉は大きな衝撃であった。
そんな、みんな同じ理想の為にやっているんだろ?それなのに密告なんて…

その時、和彦の心に大きな隙が出来た。
動きの鈍った和彦をアンチショッカー同盟は見逃さない。
和彦を狙う銃口が大きな銃声を上げて火を噴く。
狙われた和彦を庇ったのは初老の男であった
「馬鹿野郎っ!!」「だから余計な事は考えるなっと言ったろっ!!」
和彦を庇いその胸に弾丸を浴びた初老の男。
手で傷口を押さえながら、それでも大声を上げて和彦を怒鳴りつける。
そうここは命のやり取りの場、迷った者から骸と化す。
初老の男はその事を和彦に教え込むべく、
自らの怪我を押して敢えて和彦を怒鳴りつけたのであった。
「今はこの場から逃げる事だけを考えろっ!!」

初老の男の声に従い、逃げる和彦。
先を行く、教授を抱えた二人の戦闘員は、ちょうど手配してあった車に辿り着き、
拘束した教授をトランクに放り込んだ所であった。
初老の男は最後方で、アンチショッカー同盟と銃撃戦を繰り広げ、
仲間が無事逃げる迄時間稼ぎをするのであった。
107戦闘員の謳/老兵の挽歌:03/12/22 01:42 ID:Uou/T1HO

教授拉致を終えた和彦達、戦闘員が逃走する車の中。
初老の男は何とか車に乗り込み、逃げる事が出来たものの、
銃弾の当り所が悪かったらしく、大量の血を流し、最早息も絶え絶えであった。
和彦は後部座席で初老の男を抱かかえていた。
「先輩っ!!先輩っ!!先輩っ!!」和彦は何度も初老の男に呼び掛け続けた。
「俺のせいだっ、俺のせいで先輩がこんな目にっ」和彦の目からは涙がこぼれ落ちる。
「馬鹿野郎っ… こんな事で泣く奴があるか…
俺達はな、いつだって死と隣あわせなんだよっ…
俺にしてみりゃ、いい死に場所が見つかったってもんよっ… 気にするなっ」
「坊や、俺達の理想の為に… 理想の世界の為に… 後を頼んだぜっ…」
初老の男は最期の力を振り絞って和彦にそう言うと、力無く和彦の腕の中に崩れ落ちた。
「先輩っ…!?」和彦は男の死が信じられないようであった。
やがて和彦は体を震わせ、泣き叫ぶ「先輩っ!!先輩っ!!先輩っ!!」

それは和彦が体験するはじめての仲間の死であった…
常に死と隣あわせである戦闘員、それは非情な定めであるのかもしれぬ…

戦闘員の謳/老兵の挽歌・終
108名無しより愛をこめて:03/12/22 14:53 ID:8Ro/M6ZK
>>101-107
仮面ライダー、というより「超人機メタルダー」の
老兵・ビッグウェインの話を思い出した。
方向性は違うけど、彼と若き戦士・ブルキッドの絡みね。
109戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲:03/12/23 22:22 ID:08FKekow

和彦と他2名の戦闘員は、教授の拉致という任務を遂行した。
その代償に初老の戦闘員の死という犠牲を払いながら…

和彦は初老の男の亡骸が安置されている霊安室に居た。
自分の一瞬の迷いが、隙が、尊敬する先輩を、百戦錬磨の勇敢なる同士を死に追いやってしまった。
まだ若い和彦はこの事実を受け入れ切れずに、己を責め続けた。
涙を流し、冷たく動かなくなった初老の男を見つめる和彦。
「すいません、先輩、俺のせいで…」
己の不甲斐なさに怒り、自らを嘆き、呪う和彦。
だが苦悩する和彦に手を差し伸べてくれる者は誰もいない。
すべて自らの力で乗り越えなくてはならない壁。

絶望する和彦には組織の理想だけが心の支えでもあった。
だが、アンチショッカー同盟が現れた際の初老の男の言葉。
それが和彦の心の中でずっと引っ掛かっていた。
「誰か密告しやがったな」
和彦はその言葉を信じられなかった、いや信じたくは無かった。
生来が純粋であり、真面目で潔癖である和彦、
仲間を疑うような事はしたくなかったのである。
みな組織の崇高な理想の為には自らの命すら問わない同士ではないか、
その同士の中に裏切り者がいるなどとは…
我々は組織のエンブレムの下、固い絆で結ばれた同士であると、
和彦は信じていたかったのである。
110戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲:03/12/23 22:54 ID:08FKekow

だがもし万一組織の中に裏切り者がいるとすれば…
それは和彦にとっては決して許せない事であった。
もし仮に組織を裏切った者が居たとして、
理念の違いから堂々と敵対するのであれば、話はまだわかる、和彦的には。
そう、組織の裏切り者と噂される、仮面ライダーのように…
だが組織に居ながら、敵と密通し、情報を密告するなどの卑劣な行いは許す事は出来ない。
組織の中にそのようなスパイがいるならば何とかしなくてはならない。
自分の上の者に話をしておくべきであろうか?
だが、これは非情にデリケートな話でもある、
もしこれが初老の男の思い過ごしであったならば、
自分は有りもしない情報で組織を混乱させて事になる。
そして何より共に戦う同胞達を疑い、貶めた事にもなるのだ。
和彦は汗を掻き、喉をゴクリと鳴らし、唾を呑み込む。
初老の男が残した言葉に苦悩する和彦。
和彦は冷たく動かなくなった初老の男をじっと見つめる。
『先輩、俺はどうしたらいいんでしょうか?』和彦はそう心の中で問い掛ける。
111戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲:03/12/23 23:09 ID:08FKekow

その時であった、霊安室の扉が開き、誰かが入って来る。
和彦が振り返ると、そこには共に教授拉致の任務に携わった二人の戦闘員の姿があった。
「何だっ、新入りお前もここに来ていたのか?」二人の内の一人が和彦に声を掛けた。
「はいっ」「俺のせいです…先輩は俺をかばって死んだんです…」「俺のせいでっ!」
和彦に再び自分に対する怒りと憤りが込み上げて来るのであった。
「まぁ、そう自分を責めるな」
「お前は新入りでまだわからないかもしれんが、こういう事はそう珍しいもんじゃない」
「俺達はお互いに庇い合って生きているんだ。お前はおっさんに庇ってもらった、
だがお前も何処かで誰かをフォローしている、仮に自分が気づいていなくてもだ。
俺達は、そうやって庇い庇われ、その日その日を生き残っているんだ」
「おっさんは運が悪く死んじまっただけさ、いつまでも気にしていてもしょうがないぞ」
和彦はその言葉に感銘した。
生真面目な和彦は、その言葉で自分のミスを正当化する気などは毛頭無かったが、
だがその言葉の中の、自分達は互いに支え合い生きている仲間であるという内容に和彦は感動したのだった。

和彦はその言葉を聞き、少しでも仲間を疑おうとした自分を恥じた。
そう、組織の戦闘員は理想に対して高い意識を持つ者ばかりである、理想の為に殉じる事を畏れ事もない。
その同胞の中に、仲間を売るような者が居る筈はないと。
そう思い直すと和彦の心は、雲が取り除かれたように晴れやかになり、和彦はホッと安堵した。
112戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲:03/12/23 23:24 ID:08FKekow

「ありがとうございます、俺その言葉に救われました…」
「あの時俺、先輩が言った言葉に動揺してしまって…」
「おっさんは何て言ったんだ?」戦闘員の一人が和彦に問うた。
「アンチショッカーが現れた時先輩は『誰か密告しやがったな』と…」
「でも、そんな事ありませんよねっ、俺達は強い理想で結ばれた仲間ですから…」
和彦の言葉に二人の戦闘員は顔を強張らせた。
「お前その事は誰かに言ったのか?」
「いいえ、そんな事はしませんよ。
きっと先輩の思い過ごしだったんです、俺は組織の仲間の事信じてますから。」
そう言った和彦はの心に迷いは無かった。
「そうか、ならいいんだ。それは非情にデリケートな問題だからな、誰にも言わない方がいい。」
和彦に優しい言葉を掛けた長身の戦闘員はそう言い、その部屋を去ろうとした。

その時、今迄ずっと押し黙っていたゴツイ体型をした戦闘員が口を挟んだ。
「おい、それで済ませちまっていいのかよ?」
「このまま、こいつを放って置くと俺達がヤバイんじゃねぇか?」
ゴツイ戦闘員は長身の戦闘員に向かってそう言った。
「こいつだっていつ口を割るかわからねぇし」
「それはそうだが…」長身の戦闘員は言葉を詰まらせる。
「秘密警察の奴等だって動き出しているっていうぜ、こいつは始末しておいた方が俺達の為だぞ」
ゴツイ体型の戦闘員は強い口調でそう言い放った。

「どっ、どういう事なんですかっ?一体!」和彦の心の中に再び暗雲が立ち込めた。
和彦には薄々その会話の意味がわかっていた、だが和彦には信じられなかった、いや信じたくはなかった。
「すまないなっ、俺達がその密告した奴等なんだよ…」長身の戦闘員はそう和彦に言った。
「!!」「そっ、そんなっ」和彦はその事実の前に愕然とする。
113戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲:03/12/23 23:45 ID:08FKekow

「そっ、そんなっ… あなたはさっき俺に言ってくれたじゃないですか…
俺達はお互いに支え合って生きているって… お互いに生かし、生かされているんだって…」
和彦は長身の戦闘員に問い詰める。
「なのに、なのに何故っ、密告なんて卑怯な真似をっ!」和彦はやりようのない気持ちをその言葉に託した。
「卑怯か、そう呼んでくれていい。」
「新入り、まだ理想だけにしか目が行かないお前にはわからんかもしれない」
「だがな新入り、その理想の為になら何をしてもいいもんなのかな?」
「俺は正直ここのやり方にはついていけなくなったんだよ…」
「来るべき理想の世界を実現させる為、今はみなで敢えて汚名を被り、この手を汚し、泥水を啜ろう」
「その考えは確かに立派だよ、だがなそれにも限度ってもんがある。
いくら大義の為には、少なからず犠牲が必要とはいえ、
今やっている事は大量無差別殺人と何ら変わらないじゃないか」長身の戦闘員はそう力説する。

「だからって、だからって、スパイみたいな真似は卑怯じゃないですかっ」和彦は反論する。
「あなただって、人智を越えた優れた指導者による統制、そこから生まれる醜い争いのない世界、
それを切望したんじゃないんですか?それを可能に出来るのは『あのお方』だけだって!」興奮し叫ぶ和彦。

「それは俺もわかってはいる、だが非人道的にも程があるんだよ。
俺はなぁっ、新入り、もうお前みたいにただ夢ばかりを見てはいられなくなっちまったんだよ…」
「理想に対する情熱も、愛情も、みんな醒めちまったんだよ…」
長身の戦闘員は和彦に向かって少し寂しそうにそう言った。
114戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲:03/12/24 00:09 ID:zyrLfkxd

「おい新入り、お前、仮面ライダーと闘った事はあるか?」ゴツイ戦闘員がそこに突然割って入った。
もちろん新入りの和彦が仮面ライダーと遭遇した事は無かった。和彦はその言葉に大きく首を横に振る。
「俺はなぁ、仮面ライダーと闘った事があるんだよ」
「あいつを見ればわかるぜ、組織の怪人なんかまだまだ可愛い方よ、あいつこそが真の悪魔、俺はそう思ってるぜ」
「俺ら戦闘員はな、あいつのパンチたった一撃で即死だよ」
「俺の仲間はなぁ、みんなあいつが軽く繰り出しただけのパンチやチョップであの世逝きだよ」
「やられた奴はなぁ、全身の骨砕かれ、目ん玉は飛び出して、中には口から内臓が出て来た奴までいたよ」
「あいつのパンチはなぁ、エゲツないんだよ…
俺達戦闘員の、夢や希望や理想や情熱、そう言ったもんすべてを吹き飛ばしちまうんだよ…
たった一撃のパンチだけでなぁ」ゴツイ戦闘員はそうしみじみ語る。
「俺もな、奴と闘って、仲間をみな殺しにされて、俺たった一人だけ生き残ったんだが…
俺の、夢も希望も、理想も情熱も、すべてあいつが持って行っちまった…
後に残された俺には何にもねぇ、真っ白な灰だけが残ったんだよ…
俺はあの時から生きてはいるが死人と全く同じなのさ…」
「だから俺は組織を裏切って、あっちについたのさ」
「お前みたいな新入りには俺の気持ちはわからねぇだろうがな」

そして、長身の戦闘員とゴツイ戦闘員は顔を見合わせ頷いた。
ゴツイ戦闘員は和彦に向かって再び切り出した。
「新入り、すまないが、お前には此処であの世に逝ってもらうぜ」
「!!」和彦にはある程度予測出来た言葉だが、改めて聞くとやはり愕然とするのであった。

「すまないついでで悪いんだが、密告者はお前さんだったって事にさせてもらうぜ」
「俺達の身が安全なようにな、お前さんを犯人だったって事にさせてもらうよ。
そして、お前さんが密告者だった事を知った俺達はお前さんを殺した。
これなら、お前さんを殺してもお咎めはないだろうしな」ゴツイ戦闘員はそう和彦に言った。
「新入り、悪く思わないでくれよ」今度は長身の戦闘員が。
115戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲:03/12/24 00:31 ID:zyrLfkxd

和彦は組織に入ったその日から、その命を惜しいと思った事は無かった。
理想の為に殉じる覚悟はいつでも出来ていた。
だが、この最期は全く和彦の意にそぐわないものであった。
任務の際に闘って死ぬのは構わないが、こんな裏切り者に、
しかも裏切り者の汚名を着せられて死ぬ、それは和彦にとって耐えがたい屈辱以外の何ものでもなかった。

だが今の現実はあまりにはかなく切ない。
口惜しがる和彦に向けられた二つの銃口、武器も無く、逃げ場も無い和彦。
二人の戦闘員はその手にする銃の引き金を引く。
霊安室に響き渡る銃声。
だが床に倒れたのは和彦ではなく、二人の戦闘員の方であった。
和彦が霊安室の入口を見ると、そこには一人の男が立って居た。
和彦はその男によって救われたのだ。
「大丈夫か?」その男は和彦に向かって言った。
「はい、ありがとうございます」「あっ、あなたは?」
「俺は組織の秘密警察の者だ。組織の裏切り者や密告者を内偵するのが俺の仕事でな」
「仲間を疑うという嫌な仕事だが、実際こうした裏切り者がいるんだからこれもまた仕方が無い」
「この二人は以前からマークしていたんだがな、危なくお前さん迄犠牲にしてしまう所だったな」
「もう少し早ければおっさんも助けられたのに、残念だ…」
秘密警察の男は顔を曇らせてそう言った。
116戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲:03/12/24 00:48 ID:zyrLfkxd

「でもおかげで先輩も無念を晴らす事が出来たと思います…」和彦の心中は複雑極まり無かった。
「いいかい?『あのお方』は、真に忠誠を誓う者と、偽りに忠誠を誓う者を見間違う事は決して無い。
真に忠誠を誓う者が、卑劣な裏切り者により、貶められないように、我々は存在する」
その男の口調には何処か人を惹きつけ、味方にさせるような不思議な雰囲気があった。
「はいっ」和彦はその秘密警察の男の力強い語り口調に魅かれて行った。
「だから、これからももし何かあったら我々を頼りにしてはくれないか?」
「我々であればこうした事態にも充分君の力になれると思うのだよ」
「はいっ、こちらこそお願いします」
「我々、秘密警察は『あのお方』の目であり耳であるのだよ。
そして『あのお方』に成り代わり、裏切り者を処罰しているのだ。どうかその事を忘れないでくれ。」
秘密警察の男はそう言い、和彦と握手を交わすとその場を去って行った。

和彦は初老の男に続いて、自分が頼るべき存在が見つかった事に安堵し、嬉しくなったのであった。
だが、和彦はまだ知らなかった。
教授を拉致するという任務自体が、裏切り者に尻尾を出させる為に、
秘密警察が仕掛けた罠であるという事を。
そして、その危険さ故に、使い捨ての駒として選ばれたのが、
老兵である初老の男と、入って間もない新入りの和彦であったという事実を。

信頼出来る存在と出会ったと喜ぶ和彦であったが、
それは和彦が思う程に信頼の置ける存在ではなかった。
だが現時点で和彦がその事を知る由も無かった…。


戦闘員の謳/裏切り者への葬送曲・終
117:03/12/24 00:55 ID:zyrLfkxd
和彦って木場みたい
秘密警察の男<将来アポロガイストになるんだろうか?
これ以上先は考えてないんですが、
いかにも先がありそうな終わり方ですね(汗

次回は「和彦編」じゃなくて、デストロンとV3で
「戦闘員の謳/復讐のバラード」という短編を予定
118名無しより愛をこめて:03/12/24 01:47 ID:8zEqhpFd
漏れはホントはスパイなんかいなかったんだが、あの初老の男が
若く将来のある和彦を惜しむと同時に彼の若さと将来性に嫉妬して、
死に際に嘘を言って彼の理想に燃えた心にほんの少しではあるが、
毒を注ぎ込もうとしたのかと思った。

続きも面白そうですね。期待してます。
119戦闘員の謳/復讐のバラード:03/12/24 23:48 ID:zyrLfkxd
※これはデストロン戦闘員の短編です


「兄さん…」黒い全身タイツに白い蠍の紋様、エンブレムのベルトを巻いた戦闘員の一人が、
倒れた仲間の戦闘員を抱かかえ、そう呼んだ。
その場に居合わせた大勢の戦闘員は、その光景を沈痛な面持ちで見守って居た。
つい先程迄、この場で繰り広げられていた死闘。
組織の宿敵、仮面ライダーV3との戦い、
その中でV3のパンチを受け、吹き飛んだ戦闘員、それは誰の目にも明らかに即死であった。
倒れた戦闘員に走り寄る一人の戦闘員。
それは骸と成ってしまった戦闘員の実の弟であった。

二人は組織の理想に感銘し、兄弟揃って組織の一員になる事を志願して来た。
年齢も一つしか違わないかった為であろうか、二人はそれはそれは仲の良い兄弟でもあった。
苦しい戦闘訓練を互いに励まし、支え合い乗り越え、晴れて組織の戦闘員となったのだ。
この場に居る戦闘員の誰もがその事は良く知っていた。
それを知るが故に、兄を殺された弟の無念に誰も声を掛ける事すら出来なかったのだ。

「兄さん…」弟は血塗れと成った兄の亡骸を抱いて泣いた…
その身を震わせ、慟哭する弟、拳を固く握り締め弟は兄の亡骸に復讐を誓う
「兄さん、この仇は俺が絶対に取ってみせるっ」
「V3は必ずこの俺が倒してみせるっ」
120戦闘員の謳/復讐のバラード:03/12/25 00:20 ID:/bVqPryA

「お願いですっ、結城さんっ!!」
「俺を改造人間にしてくださいっ!!」
兄をV3に殺された弟はデストロンの天才科学者、結城丈二にそう懇願していた。
「しかしな…」結城は直には返事を出来なかった。
次期幹部候補にも上がる程に優秀であった結城丈二、その一方で仲間達からの信頼も非情に厚かった。
特に科学者の間では結城は頼れる存在として絶大なる信頼を得ていた。
復讐を誓った弟は、その結城の人柄を聞き、
結城であれば自分の願いを聞いてくれるのではと考え、単身直訴に来たのであった。
「兄さんを殺されて悔しい君の気持ちはわかる…」

「お願いですっ、結城さんっ!!」復讐鬼と化した弟は結城にその場で土下座迄してみせた。
「俺はあいつが、V3が許せないんですっ」
「はじめは、俺もあいつの身の上を聞いて、同情もしました…
組織の活動に巻き込まれ、両親と妹を失った可哀想な奴だと」
「だが奴は仮面ライダーV3として、俺達に復讐する事を誓ったんです」
「そして奴の復讐で俺達の仲間を次々と死に、俺の兄さん迄…」
「兄さんが死んだ時、今度は俺が奴に復讐すると誓いました」
「もちろん、それが、単なる憎しみの連鎖でしかないという事もわかっています」
「だが奴はそんな事すらわかっていないんです」
「俺達にだって親も居れば兄弟も居る…」
「組織の理想の為に、俺達はこの命を組織に捧げました…だから今更自分の命は惜しくはありません」
「でも例え自分が死のうとも、兄さんには生きていて欲しかった…」
「だから俺は、俺は奴に思い知らせてやりたいんですっ
俺達の命を虫けらの如く扱う奴に、俺達にも親も兄弟もある、守りたいものがあるって事を」
復讐鬼と化した弟は力強く結城にそう語った。その決意には一辺の曇りも無かった。
121戦闘員の謳/復讐のバラード:03/12/25 00:21 ID:/bVqPryA

「それに奴は、現状の世界を守ろうとするだけで、
人々がこの先進むべき道筋を示す事さえ出来ないのです」
「そんな奴よりも、崇高な理想を持って、次世代の先駆者となろうとする
『あのお方』の方が遥かに偉大であるという事を俺は証明したいんですっ!!」
弟は自らが信じる道をも熱く結城に語った。
「お願いですっ、結城さんっ!!」
復讐を誓った弟が再び結城にそう言った時、結城は大きく首を縦に振った。
彼のその決意に結城は心動かされたのであった。
だが、結城はまだ知らなかった。
自らもまたいずれ復讐と謂う名の修羅の道を歩んで行くという事を…

そして数日後、復讐を誓った弟の改造人間手術が行われた…


戦闘員の謳/復讐のバラード・終
122:03/12/25 00:29 ID:/bVqPryA
デストロン&V3じゃないと駄目な理由がおわかりいただけるかと

戦闘員の謳シリーズはここで取り敢えず一旦お休みでしょうか。
戦闘員を主役にしたお話、もし他に誰か書いてくれる人がいれば嬉しいです。
GODやサタン、はてはライオトルーパー迄?
たまには戦闘員という立場ならではのSSというのもいいんではないでしょうか。
私もまた話の続き思い浮かんだらupさせて頂きますので、よろしくです。
123彼面雷駄:03/12/25 10:56 ID:/bVqPryA

Overtime 仮面ライダー
第二章『救世主』
Act.2『少女を守る者』

を避難所の新作スレにて連載開始 
http://jbbs.shitaraba.com/movie/3028/saidestory.html
124名無しより愛をこめて:03/12/25 11:57 ID:ZI/9w0eR

 ─── 、 ⌒ヽ
(___ノ(   )
(ノ ー   |  /
[・][・]─-6 /   ネタバレさん!
⊂      ソ
(!!!!_,_   /
  ヽ、 `/

ネタバレさんを見守るスレ
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1058249233/l50
懐かしいなぁ ネタバレさん  
http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi?bbs=rsfx&key=1072001408&ls=50
125少女とモグラ:03/12/25 22:51 ID:/bVqPryA
S.I.C.アマゾン関連発売記念SS


そう言えば、ここは一体何処なんだろう?
もうかなりここに住んでいるけど、常夏みたいだから南の島なのかな。
青い空に白い雲、綺麗に澄み渡る海、自然のままに残された楽園、
他の人が見たらきっとそう言うのかな。
でもあたしはいつかきっとここから出て行くんだ。
こことは違う世界で、人の友達といっぱいおしゃべりしたり、
一緒に遊んだり、いつか恋だってしてみたい。
だって、ここには人がいないんだもの。
ここに居る人はあたし一人だけだ…
ここはたくさんの獣人達が暮らす平和な島…

そう言えば、あたしがここに来てからどれぐらい経つのだろう?
何故かあんまり良く覚えてないんだけど、
もっと小さい頃は、お父さんとお母さんと暮らしていたような気がする…
モグラに連れられてこの島に来た?ような気がする。

モグラはあたしの身の回りの世話をよくしてくれる。
モグラは人じゃなくて、獣人だけど、可愛いし、いい奴だし、
あたしの面倒みてくれるし、まるでお母さんみたいだ。
あ、でもモグラはメスじゃないかもしれない、オスだったらお父さんか、
でもやっぱりモグラはお母さんっていう方が似合っているような気がする。
モグラはあたしの食べ物取って来てくれたり、
いつもあたしの事気にしてくれて、心配してくれる。
126少女とモグラ:03/12/25 23:13 ID:/bVqPryA

この島にはモグラの他にもいろんな獣人が住んでいる。
モグラの他にもクモやカニにカタツムリ、フクロウ、モモンガー、黒ネコなんてのも居る。
みんな大人しくて、争う事もなく静かに暮らしている。
みんな争うのが嫌でこの島に来たのかもしれない、
あたしはみんなを見ていると時々そんな風に思ったりするんだ。
みんな獣人じゃないあたしを大事にしてくれて、食べ物を持って来てくれたり、
クモなんか自分の糸であたしの服をつくって来てくれたりもする。
この島で人はあたし一人だけど、みんな優しいから、あたしは結構幸せなのかもしれない。

でもやっぱりあたしはいつか人の居る世界に帰りたい…
この島を出て、人と一緒に生きて行きたいんだな…
良くしてくれるモグラや他の獣人達には悪いけど、
だってあたしはやっぱり人なんだもん。
人であって獣人じゃあないんだから、やっぱり人と一緒に暮らすのが自然だと思う。
毎日、毎日、来る日も来る日も、あたしは砂浜で青い海と空を見つめながら、
この島を出て、人の世界に帰りたい、そう想い続けている…

いつかきっと、この島に王子様が現れて、
あたしをこの島から連れ出してくれるんじゃないか、
そんな馬鹿みたいな夢みたいな事を想ってる…
恥しいから誰にも言えないあたしの夢。
でもこの島には人がいないからどっちにしても誰にも言えないのだけど…
127少女とモグラ:03/12/26 00:05 ID:SbZR2uiG

あたしがモグラ達と、森で食べ物を採っている時だった、その人が現れたのは。
木々が茂り薄暗い森に差し込む日の光、その光を背に逆光の中に立つ人の影。
あたしは手に持っていた木の実を思わず落として呆然とした。
人、それは紛れもなく人だった。
半裸で腕輪をしたその人は、まるで野生児のようで、
あたしの王子様のイメージとは大きく違っていたけれど、
それでも久しぶりに人の姿を見るあたしには、その人は輝いて見えた。
本当にあたしが夢見続けていた王子様が現れた、
あたしは胸をときめかせ、その場で踊り出したいぐらいの気分だった。
彼があたしをこの島から連れ出しくれるに違いない、
あたしを人が居る世界に連れて行ってくれる、
あたしはそう思うといてもたってもいられなくなり、
あたしの前に現れたその人の下に走って駆け寄ろうとした。
128少女とモグラ:03/12/26 00:25 ID:SbZR2uiG

だけど、モグラが、あたしの前に立、あたしの行く手を遮った。
モグラを振り払って彼の下に行こうとするあたしを、モグラは必死で止めた。
「なんでっ!!なんでなのよっ!!」
あたしも必死になってモグラを振り払おうとしたけど、
モグラはあたしの事を離そうとはしなかった。
あたしがこの島からいなくなると寂しいから?
あたしと離れ離れになるのが嫌だから?
だからモグラはこんなに必死になってあたしを止めようとするのかしら?
あたしにはモグラが何を考えているのか、全くわからなかった。
でも、モグラがあたしを掴むその手は本気だった。
いつもの優しいモグラとは違う、これがモグラの本当の姿なのかな?
「あたしは、あたしはこの島から出たいのよっ!!」
「あの人と一緒に、人の世界に帰るのっ!!」
「お願いっ!!離してよっ!!モグラっ!!モグラっ!!」
あたしは必死になって叫び続けた。
このままではあの人があたしを置いて行ってしまう、
そう考えるとあたしは気も狂わんばかりだった。
「モグラの馬鹿っ!!」

モグラを罵るあたしの事をよそに、モグラはじっとその人の事を見つめていた。
その人もまたあたしではなく、モグラの事をじっと見つめ、暫くするとモグラに向かって頷いた。
いつに無く真剣なように見えるモグラもまた、その人に向かって大きく頷き返した。
そして、その人は逆行の中に消えて行ってしまった。
あたしはその場に泣き崩れた。
夢にまで見たあたしの王子様が行ってしまった…
あたしをこの島から連れ出してくれる王子様が…
あたしは自分でも涙が枯れるんじゃないかと思う程、いつまでも泣き続けた。
モグラはそんなあたしの姿を悲しそうにずっと見守っていた。
129少女とモグラ:03/12/26 00:46 ID:SbZR2uiG

あたしは寝床にしている洞穴に帰ってもずっと泣き続けた。
それから、何日も何も食べずに、ただ泣いてばかりだった。
モグラは泣き続けるあたしに困った様な顔をして、あたしを慰めようと必死だった。
たくさん食べ物を採って来ては、あたしの前に出して、
食べるように勧めたが、あたしはモグラにソッポを向いてそれを無視した。
モグラは困った様な顔で、ただただおろおろするばかりだった。
あたしにしてみれば、少しはモグラを困らせてやろうという気はあった。
モグラがあの時止めなければ、あたしはあの人と一緒にこの島を出れてかもしれない。
そう思うとモグラに腹が立ってしょうがなかった。

でもあの人も、もしかしたらあたしをこの島から連れ出してはくれなかったのかもしれない、
そんな事も心の中で感じはじめてもいた。
もし本当にこの島からあたしを連れて出してくれるのなら、
あの人が向こうからあたしの傍に近寄って来てくれてもいい筈だ。
だけど、あの人はただモグラとあたしの事を見つめているだけだった…
だからあの人は何か用があってこの島に立ち寄っただけなのかもしれない。
それはわかっていたけど、でもあたしはそうは思いたくはなかった。
この島からあたしが出られるチャンスがあるとすれば、あの人だけが頼りなのだから。
それに久しぶりに出会った人なのだから、せめて少しでも話がしたかった…
そう思うとやっぱりモグラに無性に腹が立ってしょうがなかった。
130少女とモグラ:03/12/26 01:40 ID:SbZR2uiG

ある晩、あたしはモグラの目を盗んで寝床を離れ、島を歩き廻る。
もちろんそれは数日前に見かけた人を探すため。
もしかしたらあの人はまだこの島にいるかもしれない…
あたしはそれにかすかな望みを託す事にしたんだ。
あの人が居た森をあたしは一人で彷徨い歩く。
夜の森は暗くて怖かったけど、それでもあたしはあの人に会いたい一心で、森の中を歩き続けた。
しまいには暗い森の中であたしは迷子になってしまったけど、
朝になったらモグラがあたしの事を探しに来てくれた。
結局あの人を見つける事は出来なかった…

次の日の晩もあたしは寝床を離れ、島を歩き廻る事にした。
モグラはあたしが無茶するのを止める事を諦めたのか、あたしの寝床の傍には居なかった。
ごめんね、モグラ。でもあたしはあの人にもう一度会いたいんだ。会って話をしたいんだよ。
あたしはまるで何かに突き動かされるかのように、あの人の事をただひたすらに探し続けた。
あの人がこの島からあたしを連れ出してくれるかどうかはわからない、
それでもあたしはあの人に会いたかったし、会って話しをしてみたかった。
131少女とモグラ:03/12/26 02:19 ID:SbZR2uiG

月明かりに照らされる海岸の岩場、そこにあの人は立っていた。
あたしは岩場に立つあの人の姿を見つけると、神様にでも感謝したい気分だった。
もうただただあたしは突っ走り、砂浜を駆け、岩場へと登って行った。
息を切らせてその人の前に立つあたし。
その人はあたしの方を振り返り、ただじっとあたしの事を見つめる。
「あっ、あなたは誰っ?」あたしは乱れた呼吸を整えながら、そう聞いた。
「…俺ハ、アマゾン…」人が発する言葉を聞いたのは久しぶりだった。
あたしは何だかとっても嬉しいような、落ち着くような、安心した気持ちだった。
あたしはその人の顔立ちで、その人があたしと同じ国の人だと思い込んでいたけど、
その人の言葉はカタコトだった。でも言葉が通じないという訳ではないみたいだ。

「どうして?」「どうして、あなたはこの島にいるの?」
あたしの呼吸の乱れも大分おさまって来た、あたしはアマゾンと名乗るその人に尋ねた。
「……」だがその人は暗い顔して何も答えてくれようとはしなかった。
「お願いっ、教えて」「あたしはずっとこの島に一人ぼっちなの」
「この島に一人しかいない人間なのよ」
「だからあなたと出会えて嬉しいし、あなたの事いろいろ教えて欲しいの」
あたしは自分でも良くわからなかったが、そんな事を口にしていた。
それがあたしの本当の気持ちなのかもしれない。
あたしの言葉にその人はようやく口を開いてくれた。
だけどあたしにとってその言葉は凄くショックなものだった。
132名無しより愛をこめて:03/12/26 02:34 ID:SbZR2uiG

「…俺、オ前、殺シニ来タ…」
その人の口からは確かにそう聞こえた。
「えっ!?」あたしは思いもよらないその言葉に愕然とした。
淡い期待を抱き、待ち焦がれ、やっと会えたと思った人の口から、
そんな言葉を聞かせれたあたしは一体どうすればいいんだろう…
まさに天国から地獄に突き落とされたような気持ちだ。

一体あたしは何をしたと言うの?
何故、あなたに殺されなければならないの?
あたしは心の中でそう叫んだが、あまりのショックに言葉を口にする事が出来なかった。
あたしの唇はただただ震えるばかりで、目からはいつの間にか涙が溢れ出ていた。

「…デモ…安心シロ…」
「…俺ニハ、オ前、殺セナイ…」
あたしにはその人の顔が涙で滲んで良く見えなかった。
その人は暗く悲しい顔をしているようにも思えたし、優しい笑顔のようにも思えた。
その人はただそう言うと、あたしの横を通り過ぎ、岩場を駆け下りて行った。
あたしはその場に座り込み、また泣き続けた。
そのまま夜が明け、まだあたしがそこで泣いていると、
モグラがまたあたしの事を迎えに来てくれた…
133:03/12/26 02:38 ID:SbZR2uiG
「少女とモグラ」タイトル入れ忘れた
一晩で一気に書き上げようと思っていたのだけれど、
後半の謎解きは明日に持ち越しです、おやすみなさい
134少女とモグラ:03/12/26 13:59 ID:SbZR2uiG

それからしばらくあたしはまた泣き続けた…
そのうち枯れてしまったのか涙も出なくなり、
あたしは何をする訳でもなくただボーっとしていた…

…あたしを殺しに来た…それは一体どういう事なんだろう…
…あたしに何か恨みでもあるのかな?…あたし、何で殺されなきゃならないんだろう…
…そもそも、あの人はあたしの事知っているって事だよね…
…わざわざ、人のいないこんな島まで殺しに来るぐらいだもの…
…いつ、何処で、あたしとはどういう関係だったのだろう?
あたしには不思議と怖さは無かった。
知らない人に、殺しに来たと言われたにも関わらずだ。
例え、それを止めると言われても、普通なら怖くて夜も眠れないだろう。
何故、怖くないのか自分でも不思議なぐらいだ。
やっぱりあたしはあの人の事を知っているのかもしれない。
あの人は酷い人じゃない、あたしのカラダがそう告げているような気がする。

…そう言えばあたし、何でこの島に来る前の事が思い出せないんだろう?
…今迄あまり気にならなかったけど…いや考えないようにしていたのかもしれない…
…確かに昔はお父さんとお母さんと一緒に、人の世界で暮らしていた…
…おぼろげながらお父さんとお母さんの顔も覚えている…
…人々が叫び、逃げ回っている…お父さんとお母さんも叫んでいる…
…赤い、赤い、何だかよくわからないけど、とにかく赤い…
…モグラがあたしの手を引いて逃げてる…
あたしはあの人に会って、失った記憶を取り戻そうとしているのかもしれない。
今迄全く何も思い出せなかった事、徐々に思い出しはじめている…
135少女とモグラ:03/12/26 14:19 ID:SbZR2uiG

…嫌っ…嫌っ…思い出すのは嫌っ!!
あたしのカラダが、思い出す事を拒否している
…嫌っ…嫌っ…思い出すのはコワイっ!!
あたしの頭の中に甦る断片的な記憶の欠片、それらが渦を巻き頭の中を流れる。
「嫌ぁっ!!!」
頭を抱え絶叫し、何処へともなく走り出す。
「…嫌っ…嫌っ…嫌っ…」何処をどう走ったのかあたしは全く覚えていない。
ただただひたすらに走り続けた。
それは何かから逃れたい、という一心だったのかもしれない。
いや過去の呪縛から逃れたかったのかもしれない。

気づいた時にはあたしは奥深い森の中に居た。
興奮醒めやらぬ中、激しく息を切らせ、肩で息をしながら、目を剥いて絶叫を繰り返していた。
それでもあたしの胸の不安や畏れ、モヤモヤとしたものは吹き飛ばなかった。
あたしはその場に崩れ落ち、茫然とした。

その時、あたしには森の草木を掻き分け、誰かが歩いて来る音が聞こえた。
その音を聞き、あたしは咄嗟にあの人の事を思い出した。
ああっ、こんなに苦しいのなら、あの人にこのまま、あたしの事を殺してもらおう。
辛く苦しい事を思い出す前に、あの人に殺してもらおう。
その方がきっとあたしにとっても幸せに違いない…
その時、あたしは本気でそう思っていた。

そして、森の木々の陰から人影が姿を現した。
136少女とモグラ:03/12/26 15:36 ID:SbZR2uiG

その影はあの人ではなかった…いやそれは人ですらなかった。
人のような姿をしているけど、明らかに人ではなかった。
そのカラダは赤く、あたしにはまるで赤鬼のように見えた。
普段から獣人を見慣れているあたしには、多少の事で驚いたり、恐怖したりする事は無い筈だけど、
その赤鬼を見た時、あたしの全身の毛は逆立ち、冷たい汗が大量に溢れ出して、
心の底から恐怖を感じていた…それは外見がどうとかそういう事ではなく、
あたしのカラダと心に刻み込まれた、恐怖の記憶そのものだったのかもしれない…

あたしの方に向ってゆっくり歩いて来る赤鬼は、あたしにその手を差し伸べた。
「ずっと、お前の事を探していたよ」
「さぁ、もういい加減に戻っておいで」
赤鬼は気色の悪い猫撫で声でそう呼び掛けた。
恐怖のあまりただ震えるだけで、逃げ出す事も出来ないあたしは、
それでも必死に泣きそうな顔で首を横に大きく振った。
「我侭を言ってはいけないよ」
「お前は私の分身ではないかっ」
赤鬼の言葉にあたしは愕然とする。
あたしがこの赤鬼の分身!?どういうことっ!?
赤鬼は気味の悪い薄ら笑いを浮かべてあたしに近づいて来る。
あたしの頭の中には忌まわしい記憶の断片が流れ込んでくる
「あっ、あぁっ…」「…ゴッ、ゴルゴスッ?」
あたしは不意にその名前が口から飛び出した。

その時あたしを助けてくれたのはモグラやはりだった。
モグラは突然地中の中からその姿を現し、赤鬼の背後から全体重を掛け体当りを喰らわせた。
不意を突かれた赤鬼は転げ倒れた。
モグラは座り込んだあたしのカラダを抱き起こし、あたしの手を引いて逃げた。
137少女とモグラ:03/12/26 15:52 ID:SbZR2uiG

そうだ、あの時もあたしはモグラに手を引かれて逃げていた…
あたしの頭の中の記憶の断片が、今ひとつになろうとしていた…

あたしがお父さんとお母さんと外出している時だった…
空に突如として現れた大きな赤い化け物、人のような上半身に、大きな岩のような下半身。
その大きな岩の正面には大きな顔がひとつあり、その両脇には幾つもの人の顔が埋められていた。
大きな赤い化け物は、その顔岩の口から火炎を噴き、辺り一面を火の海と化し、
溶解砲を放っては人々や建物を溶かしていった。
叫び、逃げ惑う人々、だがその前にはアイマスクと赤いコスチュームに身を包んだ、
奇妙な女の人達の集団が行く手を遮り、人々に襲い掛かった。
まだ幼いあたしが見てもそこはまさに地獄のような有様だった。

その時、周囲を飛び回るひとつの影が。
緑のカラダに斑模様、赤い大きな目と大きく裂けた口を持つ、獣のような人。
その緑の獣人は、空に浮かぶ大きな赤い化け物に向かって大きく飛んだ。
彼はその腕に着いている刃で、空の大きな赤い化け物を切りつけた。
空からは、赤い大きな化け物が流す血が降り注いだ。

あたしはお父さんに抱っこされて、お母さんも一緒にそこから逃げた。
お父さんもお母さんも必死になって走って逃げた。
まだ幼いあたしはただただコワクて泣いているだけだった。
138少女とモグラ:03/12/26 16:09 ID:SbZR2uiG

逃げるあたし達家族の前に悲劇が追って来た。
あたし達の前に現れたのは、さっき迄空に浮かんで緑色の獣人と戦っていた、大きな赤い化け物だった。
大きな赤い岩の化け物は、顔岩に深い傷を負っていた。
両脇にある人の顔のひとつが切り落とされていたようだった。
傷つけらた大きな赤い化け物は怒りに身を振るわせていた。
お父さんは咄嗟にあたしを背に隠すようにした。
大きな赤い岩の化け物は、顔岩から溶解砲を放った。
お父さんもお母さんもそれを浴びて、瞬く間に溶けて行った。
あたしの目の前でどろどろに溶けて行くお父さんとお母さん…
あたしはショックのあまりに泣く事も出来なかった。

ただひとり生き残ったあたしの前に、大きな赤い化け物は立ちはだかった。
そしてあたしの頭を鷲づかみにして持ち上げると、
あたしの事をじろじろ眺めまわすのだった。
「失った顔の代わりに、お前を俺の顔のひとつにしてやろう」
赤鬼はまだ幼いあたしに向かってそう言った。
「両親を失ってはお前もこの先大変であろう。
だが俺の肉体の一部となれば、何の心配も要らぬ」
赤鬼はそう言うと声を上げて笑った。
あたしには赤鬼が何を言っているのか全くわからなかった。

だが、次の瞬間、あたしにもその意味がわかった。
赤鬼は自らの下半身である顔岩の口の中にあたしを放り込んだ。
あたしはその時はじめて、自分が化け物に食べられたのだという事を理解した…
139少女とモグラ:03/12/26 16:30 ID:SbZR2uiG

あたしは化け物に喰われ、十面鬼ゴルゴスの顔のひとつになった。
もうあたしは人間では無い、その事だけはわかっていた。
深い悲しみと絶望、苦しみと痛み、
あたしは十面鬼の顔のひとつとなった我が身を呪い、嘆き、悲しんだ。
頬に伝う涙が止まる事は無く、その涙を拭く事すら出来なかった。
ゴルゴスは失った顔の代わりを見つけた事で満足していたようだった。

十面鬼の顔のひとつとなったあたしの前に、地中からモグラが顔を現した。
モグラは泣き続けるあたしの顔を悲しそうにじっと見つめる。
十面鬼の肉体の一部となったあたしは、十面鬼の能力が備わったのだろうか、
不思議とモグラの言おうとする事を理解出来た。

『今ならまだ間に合う筈だ、そこから抜け出すんだ』
『君が完全に十面鬼と融合してしまう前に』モグラはあたしの頭にそう呼び掛けた。
『そんな事出来るの?』頭の中であたしも必死にモグラに応えた。
『君が強い気持ちで拒絶すれば、きっと』
あたしはモグラの言葉を信じて、十面鬼の肉体の一部と成る事を拒絶した。

あたしはその肉体の半身を十面鬼の中に残したまま、
魂と半身だけを十面鬼から離脱させる事に成功した。
140少女とモグラ:03/12/26 16:47 ID:SbZR2uiG

「貴様っ、何をするっ!!」ゴルゴスはその事態にようやく気づいたようであった。
モグラは十面鬼の肉体から抜け出したあたしの手を取り、あたしの手を引いて懸命に逃げた。
ゴルゴスは激怒し、あたし達の後を追い掛けて来た。
どうやらゴルゴスは十面鬼の顔をひとつでも欠くと、
顔岩を長時間維持して行く事が難しいらしかった。
だからゴルゴスはむきになってあたし達を追いまわした。

空を飛ぶ十面鬼ゴルゴスのそのスピードに、
あたしとモグラの足で逃げ切れる筈も無く、再び捕まるのは時間の問題だった。
だがその時、あの緑の獣人が再びあたし達の前にその姿を現した。
モグラはその緑の獣人に何かを叫んだようでもあった。
でも十面鬼の肉体を離れたあたしには何を言ってるのかもうわからなかった。
緑の獣人は俊敏な動きで、跳び上がり、再び空を舞った。
その躍動感溢れる肉体は美しささえあたしに感じさせた。

あたしとモグラは緑の獣人のおかげで、何とかそのままゴルゴスから逃れる事が出来た。
モグラはあたしを連れて船に密航し、あたしをこの島まで連れて来てくれた。
ここは十面鬼ゴルゴスに利用される事を嫌い、争いを嫌い、
静かに暮らしたいと願っている獣人達が集まる南の島、獣人達の楽園だった。

あたしはその後しばらくショックで精神を病んでいた。
そしてあたしは自らその忌まわしい過去の記憶を封印する事で、精神崩壊の危機から免れたのだ。
この島に来る以前の記憶がほとんど無かったのもその為だ。
あたしが自分で自分の記憶を封印してしまっていたからだったんだ…
141少女とモグラ:03/12/26 17:12 ID:SbZR2uiG

ゴルゴスはあたしの半身を取り返しに来た、十面鬼の肉体を完璧なものとする為に。
あの人は、アマゾンは、きっとそれを阻止する為に、あたしを殺す筈だったのだろう。
でも、あの人にはそれが出来なかった…
でも、もう一度十面鬼のカラダに戻るぐらいなら、あたしはあの人に殺して欲しかった。
お父さん、お母さんを殺した十面鬼のカラダの一部として
生きて行かなくてはならないなんて、真っ平ご免だ。
そんな事になるぐらいなら、いっその事死んだ方がマシというものだ。
それにあそこは深くて暗くて、悲しくて、辛くて、苦しく、痛くて、とてもじゃないけど耐えられない。
地獄の責め苦というのはきっとああいう感じなのかもしれない。
あんなのが永久に続くのなら、やっぱり死んだ方がマシだ。
あたしは十面鬼に食べられた時に既に一度死んでいるのかもしれないけど…

二本の足であったゴルゴスは、顔岩と一体化し十面鬼ゴルゴスと成って空に浮かび、
あたしとモグラの後を追いかけて来る、ちょうどあの時のように。
空を飛ぶ十面鬼ゴルゴスのスピードに叶う筈もなく、あたし達はすぐに追いつかれてしまった。
あたしを連れ戻そうとする近寄る十面鬼ゴルゴス。
モグラはあたしを押し倒し、覆い被さり、あたしを十面鬼ゴルゴスに渡すまいと必死になっていた。
十面鬼ゴルゴスはそんな健気なモグラを容赦無く殴打し、
モグラをあたしから引き離そうと必死になった。
叩かれ殴られる度に唸り声を上げるモグラ、モグラが傷つく姿にあたしは居た堪れなくなった。

「モグラっ、もういいんだよっ」「もういいんだよっ!」
「このままじゃモグラが死んじゃうよっ!」
「モグラまで死んじゃったらあたし嫌だよっ! …お父さん、お母さんみたいにっ!」
「モグラはあたしの友達でっ、あたしの家族じゃないかっ!!」
あたしは涙ながらにモグラにそう叫んだ。
モグラは傷つきながらも少し嬉しそうな顔をしたようにあたしには見えた。
142少女とモグラ:03/12/26 17:33 ID:SbZR2uiG

あたしが涙ながらにそう叫び、横を向いた時だった。
地平の彼方にあの人が姿を見せたのは。
半裸で腕輪をしたまるで野生児のような人は、胸の前に両腕をクロスさせた。
そしてクロスさせた腕を開き、再び腕を開閉させながらこう叫んだ
「アーー マーー ゾーー ン !!」
すると彼の目が真っ赤に光り、身体がまばゆい光に包まれ、
あの時あたし達を助けてくれた緑の獣人の姿となった。

緑のボディに斑模様、赤い大きな目に大きく裂けた口、
緑の獣人、いやアマゾンは感情の昂ぶりに併せ雄叫びを上げると、
その驚異的な瞬発力で地平を駆け抜けた。
アマゾンは大きく空に跳び上がり、宙を舞い、そのまま十面鬼に襲い掛かった。
十面鬼ゴルゴスのカラダにしがみつき、口の牙で噛み付くアマゾン。
ゴルゴスの肉体をその鋭い牙で切り裂くと、十面鬼の顔岩を踏み台にして、
再び空高く跳び上がり、落下した所で両手の爪でゴルゴスに斬りつける。
ゴルゴスの肉体からは赤い血飛沫が上がり、周囲を血の色に染める。
そして三度宙を舞うアマゾンは、十面鬼ゴルゴスにジャンプから飛び蹴りを決める。

あたしという半身を失って、万全ではない十面鬼ゴルゴスは、
火炎や溶解砲を放ちながら、アマゾンを牽制し、空に浮かび、そのまま空高くどんどん上昇して行く。
おそらくそのままこの場は一旦逃げる気なのではないだろうか。
143少女とモグラ:03/12/26 18:00 ID:SbZR2uiG

アマゾンはこれを逃がすまいと、助走をつけて大きく跳び上がりジャンプする。
空高く浮く十面鬼ゴルゴス、その高さに追いついたアマゾン。
アマゾンは両腕、両足に着いている刃で宙に浮く十面鬼ゴルゴスを切り裂く。
(『大切断ッ!!』)
宙で真っ二つに切り裂かれた十面鬼ゴルゴス。
その肉体は砕け散って、白い結晶となって飛散して行く。
アマゾンはそのまま高空より落下、二度三度、何度となく回転し、上手く地上に着地する。

ああ、あの人は、アマゾンは、やっぱりあたしの王子様だったんだ。
あたしをこの島から連れ出してくれる為に来たんじゃない、
あたしを助けてくれる為にこの島に来てくれたのね。
あたしを苦しみから救い出してくれる為に…
ありがとう、アマゾン、南の島の王子様…
あたしはアマゾンに感謝した。

十面鬼ゴルゴスからあたしの事を庇ってくれたモグラは、
あたしの上をどいてそのまま地面に大の字になって寝転んだ。

あたしもそこに寝転んだまま、ずっと空を見上げていた。
青い空に白い雲、空はいつものように晴れ渡っている。
空から十面鬼ゴルゴスの肉体が白い結晶となって砕け散った粒子が降って来る。
あたしはその空の様をずっと見つめていた。
空を見つめたままあたしはモグラに言った。

「ねぇ、モグラ、まるで雪みたいだよ」
「常夏の南の島に、雪が、降ってるよ」
「メリークリスマスっ!かなぁ?」

あたしの言葉にモグラは同意するかのようにひと鳴きしてくれた。
144少女とモグラ:03/12/26 18:18 ID:SbZR2uiG

あたしは今日もモグラ達と一緒に森に食べ物を採りに来ている。
モグラは綺麗な花を積んで、あたしに差し出してくれた。
あたしはそのままモグラに髪につけてもらった。
今度はあたしがお礼に花でクラウンをつくり、モグラの頭の上に載せてあげた。
今日一緒に森に来たクモ、カニ、カタツムリ、フクロウ、モモンガー、黒ネコ、
みんなあたしに優しくしてれるいい子ばかりだ。

あれから幾月も経つが、あれ以来この島は平和そのものだ。
獣人のみんなも心の安らぎを、平穏を楽しんでいる。
でもあたしがまだ生きているという事は、きっとまだ十面鬼ゴルゴスも生きているに違いない。
あたしの半身は十面鬼にあるのだから、
もし十面鬼ゴルゴスがあの時死んでしまったのならば、あたしだってただで済む筈がない。
あの時の十面鬼ゴルゴスは本体ではなかったのかもしれない。
いつかまた十面鬼ゴルゴスはあたしの前に現れるかもしれない。
その時、あの人は、アマゾンは、また助けに来てくれるかしら。

もし助けに来てもらえなくても、それはそれで仕方無い、
あたしはこの島で今を精一杯生きるだけだ。
あの時から不思議とそう思えるようなった。
それはきっとアマゾンとモグラがあたしの心を救ってくれたからだろう。
今はあたしはモグラ達とこうして居られるだけで幸せだ。

ここは獣人達の島。
戦いを嫌い、平和に静かに暮らす事を望む獣人達が住む島。
ここにいる人はあたしひとり。でもそれでいい。
あたしにとってはモグラ達と暮らす事が一番の幸せなのだから。


少女とモグラ/おしまい
145:03/12/26 18:22 ID:SbZR2uiG
S.I.C.ゴルゴスを見て思いついた、十面鬼ゴルゴスのジンメン風アレンジです
毎度ながら長文スマソ
146名無しより愛をこめて:03/12/27 10:47 ID:RNf4XKOu
じゃ、ここらでちょっと荒れそうな話でもするか。
お前等正直なところ誰のSSが一番好きさね。
147名無しより愛をこめて:03/12/27 12:37 ID:cZSUmqRG
誰の、って言われても現状じゃなあw
148名無しより愛をこめて:03/12/27 15:39 ID:80dyFwO3
俺はぶっちぎりで
日本沈没さんだな。描写力が飛び抜けてる。
heat君は成長したけど本人のキャラが濃すぎて付いていけん。
HandcuffsAndMasksさんは遅すぎ。
同じぐらいの頻度の沈没さん程の技量も無し。

とりあえずその場その場のスレを引っ張ってくれる人は良いね。
たぶん一人だと思うけど。
149名無しより愛をこめて:03/12/27 15:47 ID:8cVWzGNG
そういやheat君はいったいどうしたんだ?
150名無しより愛をこめて:03/12/27 18:05 ID:SoRl/VOi
僕も沈没さんを一番楽しみにしている。
沈没さんの話の中で一番気に入っているのが、加藤保憲が特別出演した2号編。
加藤はまた出てくるのかな。
151名無しより愛をこめて:03/12/28 01:03 ID:WBy4JwAA
やっぱり企画力と速度でheat君かなあ。
どうやったらあの頻度で書けるのか理解の範疇を越えてるw
…って>>148の言う一人で牽引してくれる人がheat君でいいんだよね?
152名無しより愛をこめて:03/12/29 01:35 ID:2ovEGe6X
ご新規さんも募集
この際、ガンダムとか他作品との共闘でも、オリジナルでも良くない?
上がってきたもの見てから言えばいいんだし
いろんな作品が、そこそこの期間で出て来た方がこのスレの為だと思うんだけどな
153名無しより愛をこめて:03/12/29 02:51 ID:DSIHB+ks
だね。個人的に一番楽しかったのはバイオレンスだな。
内容の好き嫌いはともかく、何人かで短編の競作というのがよかった。
154名無しより愛をこめて:03/12/29 08:08 ID:Wm5uLEFv
ちゅーかとりあえずおやっさんスレ415さんキボンヌ。
155ギルノイズ ◆olKbglHkuQ :03/12/31 22:45 ID:fSbnDCp5
>152
……
仮面ライダーギルノイズ(某オリ龍騎スレ)「えっと、シャア板から戻ってきましょうか?(着ぐるみを着たり脱いだり)」
>154
激しく同意。おやっさ〜〜〜ん(注:415さんはおやっさんではありません)。
156名無しより愛をこめて:04/01/01 09:47 ID:7FaDEGj7
↑こういうのがいるから俺はガソダムとかと混ぜるのは反対、と言っておこう。
157名無しより愛をこめて:04/01/01 14:45 ID:w5eQSmxE
あけおめ、ことよろ
前スレいつの間にかDAT落ちしたんだね
158the 仮面ライダー第1話(1):04/01/02 21:36 ID:WJIP9voK
the 仮面ライダ−
第1話「再び始まる悪夢」
1999年、人類は大魔王なる支配者により、滅亡の危機に陥った、しかし、大魔王
と瓜二つの姿をした救世主により大魔王は消え、人類は進歩した科学と共に再興した。
そして時は2003年・・・・・
西暦2003年12月31日 日本
商店街、正月用品を買う人で大賑わいになっている。
そこを通る一人の青年。
彼の名は本郷猛。仮面ライダー1号、11人の仮面ライダーにより死んだが、アンドロイド、否
パーフェクトサイボーグになり復活した。
本郷「(あれからもう4年経ったのか、早いもんだな・・・・)」
商店街を通り抜けた本郷に、バイクに乗った男が話し掛ける。
一文字「おい、本郷!」
彼は一文字隼人。仮面ライダー2号、本郷がパーフェクトサイボーグになるまで代わりに
戦った男、彼はパーフェクトサイボーグではない。
本郷「一文字。」
一文字「探したんだぜ、お前に会いたい奴が居るってんでね。」
本郷「俺に?」
本郷邸、客室に一人の男が座っている。
彼の名は南光太郎。仮面ライダーBLACK、救世主と呼ばれた男である。
客室に本郷が入ってくる。
本郷「君は・・・」
光太郎「あなたが本郷猛・・・・・」
本郷「・・・・・すると君が・・」
光太郎「ええ、最初は嫌でした、親友を殺してしまったんですから。」
本郷「・・・・・・」
街を歩く本郷、その時。
謎の声「本郷猛。」
本郷「(誰だ!)」
本郷の脳裏に聞こえる謎の声
159the 仮面ライダー第1話(2):04/01/02 21:59 ID:WJIP9voK
謎の声「戦いは始まった!さあ、戦え!」
そう話し掛けると、その声はそれっきり聞こえなくなってしまった。
本郷「新しい、戦い・・・」
次の瞬間、本郷の真上から白い糸のような物が降り注ぎ、本郷の体の自由を奪った。
本郷「!、まさか!」
大蜘蛛男「そのまさかだ、本郷猛!」
ビルの壁を伝って降りてくる巨大な蜘蛛男。
現れる無数の戦闘員、聞こえてくる叫び声、逃げ惑う人々。
本郷「くそう、体が自由にさえなれば・・・・」
そこへ
?「待ちな!」
大蜘蛛男「ぬおっ!き,貴様は!」
?「新世紀の救世主、仮面ライダー真!」
本郷「仮面ライダーだと!?」
?「先輩であるあんたにもお見せしよう、新世紀救世主の・・・・」
そう言って腕を左右にクロスし、それをゆっくり降ろす男。
?「変・身!」
すると男の体が緑の飛蝗男へと変わっていくではないか・・・・・
触覚は斜めに立ち、両腕には刺のような物が3本、爪は鋭く、目は赤い・・・・・
大蜘蛛男「ぬっ!?」
真「へへん、どうだ、驚いただろう。」
大蜘蛛男「こしゃくな!行け戦闘員ども!」
戦闘員「キキーーッ!」
真にかかって行く戦闘員。
真「はっ、雑魚が・・・スパインッ!カッター!」
すると真の両腕の刺のような物が伸び、戦闘員を切り裂く。
真「今度はこいつだ・・・・ハイバイブゥ・ネイル!」
今度は爪が戦闘員の心臓を捉える。
真「さあ、雑魚はもういねぇ、次はお前だデカブツ。」
大蜘蛛男と対峙する真。
160名無しより愛をこめて:04/01/02 22:00 ID:2CR9uWd/
石森版とその後のブラックの合体(・∀・)イイ!
161名無しより愛をこめて:04/01/03 00:42 ID:lmwoJ5IF
 C.E.(コズミック.イヤー)…そう呼ばれる歴史を持つ“地球”があった。
 受精卵の段階で遺伝子操作を行ない、生まれてきた新人類『コーディネーター』と、自然のまま生まれてきた旧人類『ナチュラル』の抗争…。
 発端は、妬みであり、嫉妬であり、恐怖であった。
 数こそ少ないもののその能力ゆえに、迫害され追いやられるコーディネーター達は、自分達だけの国を造り、そこへ安住の地を求めた。

 C.E.歴50年代より世界各地に造られ始めたコーディネーター達の国『プラント』は、やがて宇宙へと進出、地球上のプラントは食糧供給用の農業施設。
 宇宙のプラントは、地球へのエネルギー提供と、無重力状態で完成する工業製品の制作場とされてきた。
 しかし、いわれの無い搾取と支配にプラント側は反発し、独立と対等貿易を地球連邦側に求めた。

 そして…『プラント』と『地球連邦』は対談と決裂を繰り返し…緊張は高まり続けた。

 C.E.歴70年…それは、起こるべくして起こったのかも知れない。
 地球最大のプラント『ユニウス・セブン』へ向けての地球側の核攻撃。
 だが…それを阻止しようと奮闘する若者達がいた。
162名無しより愛をこめて:04/01/03 00:42 ID:lmwoJ5IF
ヒーロー戦記・新章 プロローグ・パート1


 日本の首都『東京』。世界でも有数の大都市、その某所の平凡なビルにそれはあった。
 表向きはただのビルであるが、その内部は近代科学の粋を集めた文字通りの秘密基地である。
 こここそが、地球連邦の中に少数だが存在する『穏健派』のメンバーが、近い招来起こるであろうナチュラルとコーディネーターの衝突を防ぐ為、秘密裏に設立した私設治安維持部隊『HOPE』の本部である。
 その司令室では今、2人の青年が物凄い勢いでコンピューターを操作していた。
 2人の名は本郷猛と結城譲二。もう1つの名を仮面ライダー1号とライダーマンと言い、『ショッカー』や『デストロン』と言った数々の悪の秘密結社から人類の自由と平和を護った『仮面ライダー』である。

「『ブルーコスモス』…狂信者の集団だと理解はしていたが……ここまで愚か者揃いとは…」
 コンピューターを操作しながら結城が毒づく。今2人は各地の地球連邦軍基地に片っ端からハッキングを行い、核ミサイルの発射命令を次々と無効化していたのだ。
『こちら、ZX! 北アメリカ基地のシステム掌握に成功した!!』 
『こちらRX! 上海基地のミサイル発射口の破壊に成功しました! このままシステムの掌握に移ります!!』 
 作業を続ける本郷達へ、仲間達の通信が飛び込んでくる。そう、本郷と結城以外の全ライダーは世界各国へと散り、力づくでミサイルの発射を阻止していた。
 だが、仮面ライダー達も万能ではない。どうしてもカバーしきれない地区が何箇所か存在し、ついに核ミサイルは発射された。

「間に合わなかった…あと10分、時間があれば!」
「結城、今はそれを言っても仕方ない。狂信者相手とはいえ、出来る限りのことをしたんだ…。あとは彼らの力を信じるしかない」

 そう言うと司令室の大型スクリーンに目をやる本郷。そこには各地から『ユニウス・セブン』へと迫る核ミサイルと、それに向かっていく勇者達の姿を映し出していた。
163161-162:04/01/03 00:45 ID:lmwoJ5IF
前作で予告していたヒーロー戦記ネタ、プロローグその1を公開させていただきます。
皆さんの反応次第で、続きの掲載を決めます
164名無しより愛をこめて:04/01/03 11:54 ID:anR7D4sI
>>163
SEEDとライダーの共闘?
それともSEEDの世界でのライダーの戦い?
どちらにせよ今の所違和感は無いので続けてみてはいかがでしょうか。
165the 仮面ライダー第1話(3):04/01/03 17:29 ID:yo1E/UU9
大蜘蛛男「ぐ・・・・仕方あるまい、今ここで最強の技を使ってやる!」
真「ほぉ、やってみろよ。」
大蜘蛛男「(本郷の奴もここで殺してしまえば俺の技を見た奴は居なくなる。)死ねぇ!」
口から先の丸い巨大な針のような物を放つ大蜘蛛男。
真「よっと。」
足元に転がっていた戦闘員の死骸を大蜘蛛男の放った針のような物に投げる真。
大蜘蛛男「(いかん!あれの正体がばれてしまう・・・・)」
あせる大蜘蛛男をよそに戦闘員と衝突して爆発する針のような物体。
本郷「あれはまさか小型のミサイル!」
そう、大蜘蛛男の放った針のような物は小型ミサイルだったのだ。
しかし、ミサイルはすでに真に直撃していた。
本郷「遅かったか・・・・・」
大蜘蛛男は勝利を確信していた。
大蜘蛛男「ふふふ、次は本郷、貴様の番だ。」
しかし・・・
真「今のが最強の技か、対した事ねぇな。」
大蜘蛛男「なにっ!」
ミサイルの直撃で出た砂埃の中から無傷の真が姿を現した。
166the 仮面ライダー第1話(3):04/01/03 18:23 ID:Dw7LWvi7
大蜘蛛男「あのミサイルを喰らって、無傷だとぉ!」
真「俺の足元を良く見てみな。」
大蜘蛛男「?」
辺りは戦闘員の死骸だらけ、しかし真の足元から半径1m辺りに戦闘員の死骸は無かった。
大蜘蛛男「まさか戦闘員の死骸を!・・」
真「その通り。」
そう、真は周りの戦闘員の死骸を盾にしたのだ。
本郷「(しかし、半径1m以内から戦闘員の死骸を拾うのには時間がかかるぞ、ましてや
あれだけのミサイル全てをガードする為の戦闘員など1m以内の数では足りないぞ・・・)」
真「さあ、そろそろ終わりにするか。」
そう言って空高くジャンプする真。
真「真・ライダー・・・・」
キックの体勢を取って大蜘蛛男めがけて落下する真。
真「キック!!」
真のキックが大蜘蛛男の顔面に直撃する。
大爆発を起こす大蜘蛛男。
167名無しより愛をこめて:04/01/04 00:14 ID:eSqGaerW
今このスレに必要なのは新しい風
みなさんの活躍を期待して敢えてageるよ
168the 仮面ライダー第1話(5):04/01/04 09:26 ID:nkUdOijr
本郷「(なんて破壊力だ、しかし今の爆発では・・・・・)」
しかし、燃え盛る炎の中から真が現れた。
本郷「!!!」
真「ちょーっち待ってろ。」
本郷の元へ来る真。
本郷「?」
真「よいせっ!と・・・」
爪で大蜘蛛男の糸を引き裂く真。
本郷「ありがとう、助かったよ。」
真「あばよ。」
そう言ってビルの山に飛び移って去っていく真。
本郷「仮面ライダー真・・・・・・」
169the 仮面ライダー次回予告:04/01/04 09:34 ID:tbaOc++c
内務省直属の公安9課から派遣されたサイボーグ刑事バトー、彼と共にやって来た
私立探偵、工藤新一。
そして現れる蝙蝠男、そして仮面ライダー真の正体は・・・
本郷「君も改造人間なのか?」
次回「謎の組織『ザ・ショッカー』」にご期待ください。
俺は変わろうとした。変わらずにはいられなかったし、
変わるしかないと思った。

だが・・・
俺はどこで変わってしまったんだ?


俺を罵った女が居た             俺を頼ってくれたヒトが居た
仲間を殺した奴が居た            守らなければならないと思った人間が居た
オルフェノクを滅ぼすと言った男が居た  人間を愛していると言った男が居た


そして奴は・・・海棠は俺を殴って去っていったんだ・・・。
頬がズキリとした。痛かった。



痛い・・・痛いよ・・・・・・。
         誰か・・・助けてくれ・・・
171ギルノイズ ◆olKbglHkuQ :04/01/04 21:17 ID:ld5FjWux
>169
うわぁ、やりすぎやりすぎ。攻殻は好きだけど……工藤新一は改造人間か?
172名無しより愛をこめて:04/01/04 21:48 ID:WrB7uAu0
age
173名無しより愛をこめて:04/01/04 23:57 ID:wrAjmypH
ある意味改造人間だよな、改造前から怪しげな
知能の高さを有してるあたり含めてw
174the 仮面ライダー第2話:04/01/05 15:28 ID:M3NCKHBe
the 仮面ライダー
第2話「謎の組織『ザ・ショッカー』」
本郷邸 リビング
藤兵衛「ご主人様、来客ですぞ。」
本郷「ああ、すぐ行く。」
客室、二人の男が座っている。
本郷「お待たせしました。」
バトー「あんたが本郷猛か、俺はバトー、公安9課から派遣されてきた。」
本郷「よろしく。」
バトーと握手する本郷。
バトー「こいつは工藤新一、私立探偵だ。」
新一「よろしくどうぞ。」
本郷と握手する新一。
本郷「しかし何でまた普通の私立探偵が?」
新一「ちょいと秘密がありましてね。」
笑う新一。
本郷「で、用件は?」
バトー「今回派遣されてここに来たのは他でもない、先日現れた大蜘蛛男の事だ。」
本郷「!!」
大蜘蛛男についての情報を話すバトー。
バトー「真とか言う奴がバラバラに吹き飛ばした奴の破片からして、あれは改造人間じゃない。」
本郷「すると?」
バトー「遺伝子操作で作られた生命体だ。」
175the 仮面ライダー第2話:04/01/05 15:46 ID:EOhdG/f6
本郷「何だって!」
バトー「それだけじゃない、持ち帰った奴の記憶からすると・・・・」
そこへ一文字が飛び込んできた。
一文字「本郷!」
本郷「どうした!?」
一文字「蝙蝠男が近くの自然公園で暴れまわってるって情報が入ったぞ!」
本郷「!!」
バトー「新一!」
新一「おう!」
猛スピードで走る2台のサイクロンとジープ、そして1台のハーレー。
本郷「それで?」
一文字「今光太郎が食い止めてる所だ!」
自然公園、逃げ惑う小鳥たち、対峙するブラックと蝙蝠男。
蝙蝠男「ふふふ・・・どうした救世主、いや、仮面ライダーブラック!」
ブラック「くっ・・・・」
真「お困りのようだな。」
ブラック「?」
蝙蝠男「ん?」
木の上に立っている真。
真「とう!」
飛び降りてそのまま蝙蝠男を蹴飛ばす真。
蝙蝠男「ぐっ!」
176名無しより愛をこめて:04/01/08 20:18 ID:RwJa2EgE
続きよろ
177名無しより愛をこめて:04/01/12 17:03 ID:LGVl2wz3
555補完スレが落ちました
元旦にカキコしたのに、まさか10日で落ちるとは思わなかった
ここも気をつけましょう
178名無しより愛をこめて:04/01/14 01:11 ID:mqhSDYl2
 沈没さん、新作マダー
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ∧_∧
    /( ・∀・) 
   //\ ̄ ̄旦~
  // ※.\___\
 \\※ ※ ※ ※ ※ヽ
   \`ー──────ヽ
    ────────
179名無しより愛をこめて:04/01/16 20:08 ID:abEDyqOO
 新ライダーの原作のアイデアがいくらかあるんだけど、断片的
なんで小説化したくても出来ない。
180名無しより愛をこめて:04/01/16 20:43 ID:uphSyQOG
>>177
なんか面白いのあった?
正直楽園の崩壊しかやってなかった気がするんだけど。
いや、崩壊は面白いけどさ。
181名無しより愛をこめて:04/01/17 12:40 ID:rzUAFsgs
俺は、断片的なアイディアレベルでも読んでみたいが。
他の人は嫌がるかな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ∧_∧
    /( ・∀・) 
   //\ ̄ ̄旦~
  // ※.\___\
 \\※ ※ ※ ※ ※ヽ
   \`ー──────ヽ
    ────────
182名無しより愛をこめて:04/01/17 13:51 ID:gTICN4CZ
>>179は石ノ森厨の粘着

ライターさんに自分の妄想を形にして欲しくて前々スレあたりから
しつこく貼り付いてるアフォ
183名無しより愛をこめて:04/01/18 09:04 ID:Ox+jETie
555完結記念age
184名無しより愛をこめて:04/01/18 10:26 ID:YzsrWGJV
補完のし甲斐がある終わり方だったね
185名無しより愛をこめて:04/01/18 15:36 ID:R4WlPpEV
>>184
たしかに。

一応王を倒したもののこれからもオリジナルのオルフェノクは生まれてくるだろうし
王が復活する可能性、新たな王が出現する可能性などを考えるとまだまだ戦いは続きそうな気が…

それとも王を失ったことによってオルフェノクは種としても寿命を迎えるのかな?
186スマブレ広報部:04/01/18 19:56 ID:73caBu4H
みんなに聞きたいんだけど何本か構想を練ってある程度完成しつつある話だけどどれがいいか選んでください。
1)X&クウガ
ダグバとの戦いのあとカリブにある小さな島の小さな村で傷付いた心と体を癒す雄介の前に現れた謎の敵、アマダムの力と戦う心を失った雄介に謎の敵の刃が襲いかかる。
2)アギト&555
アンノウン事件から数年が経ち人々から忌まわしい記憶も忘れ去られた頃、不可解な失踪事件が次々と起こる。
スマートブレイン社社員の失踪がその家族から警察に告げられアンノウン事件を整理していた南警視が氷川刑事と共にスマートブレイン社を訪れる。
そして新たにアギトに覚醒した男が津上翔一の前に現れる。
3)龍騎&555
木場の家に洗濯物を配達途中、巧と啓太郎は鏡の中に入っていく謎の人影を目撃する。
以上の三作です。
それぞれ設定と違う部分もありますが戦隊のVSシリーズのような娯楽作品になっています。
187名無しより愛をこめて:04/01/18 20:30 ID:LCjrnQtg
シリアス路線なら、2をキボン。

でも、3も捨てがたい……。
188名無しより愛をこめて:04/01/18 21:52 ID:87VDG1AG
つーか全部見たい
189名無しより愛をこめて :04/01/19 11:35 ID:0zivnyqm
>>186
俺が今書いてる話、2とちょっと内容が被ってるよ・・・
でも他の人の切り口を見てみたいので2をキボン。
190スマブレ広報部:04/01/19 12:19 ID:10bl+nOf
それではクウガ編から書きます。
あまり上手くは書けないと思いますがすみません。
仮面ライダークウガ〜復活〜
Episode.1「恐怖」
0号と4号の戦いから数ヶ月後、その男はカリブ海にある小さな島の小さな村にいる。
その男は心と体に大きな傷を持ち、その男の笑顔を見た者はこの村には誰一人としていなかった。
その男の名前は五代雄介といいかつて4号としてグロンギと戦った男だった。
雄介は畑仕事や漁に精を出して村人の為に働いていた、村人も雄介のことを自分の家族のように可愛がっていた。
それでも雄介は自分の心を閉ざしていて村人もその事を心配していた。
村人たちはいつか雄介も我々に心を開いてくれると信じていた。
そんなある日、村に日本人が訪ねてきた。
彼の名は神敬介。
敬介の話によるとこの近海にかつて滅んだ悪の組織の残党がいて島を荒らし回って村人達を次々に殺しているという事、そして次に襲われる村はこの村かも知れないという事だった。
雄介の脳裏にあの戦いが蘇る、そして「うわぁぁぁーっ。」と叫ぶと村の外に飛び出してしまった。
祐介は怖かったのだ、また誰か殺されてしまう、グロンギに殺された人の顔、そして父を失ったときの実加の顔を。
「俺は何もできない、もう戦いたくない。」
雄介は叫んだ、静かな夜の海岸に雄介の慟哭が響き渡った。
Episode.1「恐怖」終。
次回予告
平和で静かな村に起こる惨劇、三体の怪に人単身戦いを挑む仮面ライダーX。
新たに見付かった古代文字の意味は?そして雄介の運命は?
次回、仮面ライダークウガ〜復活〜Episode.2「決意」
191スマブレ広報部:04/01/19 12:37 ID:10bl+nOf
>189
すみません、レスを見ていませんでした。
アギト&555もクウガ篇のようなクオリティです。
ただ、完全にシリアスなクウガ篇とは違ってリンクを楽しめるような要素があると思います。
龍騎&555も同様です。
クウガ篇いかがでしたでしょうか、次回予告に早速、誤字がありました。
続きがみたい方がおられましたらEpisode.2を発表したいと思います。
それとEpisode.2のタイトルは原作と被っていましたので「憎悪」に変更致します。
192名無しより愛をこめて:04/01/19 13:11 ID:0IYjP5dX
>>190-191
兄さん、ここsage進行で頼むよ。
193なかつかさ:04/01/23 13:21 ID:hTWvgzAN
「…銃声?」
 葦原涼(あしはら・りょう)はバイクを止め、耳を澄ませた。
 深夜の箱根の峠。鬱蒼とした木々には葦原のXR250が放つ駆動音がただ響く。
しかし葦原の、ギルスとしての超感覚はそれ以外の不協和音を確かに捕らえていた。
「(数km先…森の中…銃は複数…これは……)」

         『ぎゃあああああああ━━━━ッ!!』

 遠く男の悲鳴が響く。
「…!…クソ!!」
 葦原は反射的にアクセルを回し、悲鳴の元へと機首を返した。


  【仮面ライダー共闘SS】 咆吼の系譜


「これは…」
 葦原は血臭に顔をしかめた。
 分け入った森の中には、少なくとも5つの惨殺された死体が転がっていた。
 胸をえぐられた死体、顔面を裂かれた死体、そして引きちぎったような手足。
「(…こいつら…ヤクザか?)」
 死体はいずれも黒いスーツを着込み、体格が良く、そして形式こそ違うがみな銃を手に
していたようだ。
 葦原は一人の男の銃を調べる。
 弾倉に弾は残っていない。深夜の森に響いた銃声は彼らのものだったのだろう。
 死体の状態を見れば、男たちの『相手』には銃などもつ必要がないだろうことは想像がつく。
194なかつかさ:04/01/23 13:27 ID:hTWvgzAN
「アンノウン…」
 葦原の脳裏にかつての敵が浮かぶ。
 銃をものともせず、複数の屈強なヤクザを、恐らくは素手で殺すようなバケモノ。
 葦原の知っている奴らならば、この位のことはやってのける。

(…ガサ…)
 葦原はしかし首を振った。闇の力はすでにこの世にはない。
 使役されていたアンノウンも、全て消え去ったはずだ。

(…ザ…ガササ…)
 さらに言えば、いま問題なのはその正体ではない。
 五人もの武装した男を惨殺した、銃の通用しない相手が、まだこの周囲に潜んでいる
かも知れないということ…

「ガアァッ!!!!」
「!!!」
 すでに物音を察知していた葦原は身をかわし、背後からの襲撃を寸前で逃れた。
 襲撃者は、葦原の革ジャンの肩をわずかにえぐると地を蹴り、数m先で体勢を整える。

「貴様か!こいつらを………」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「!!!!!」

 木々を抜けた月光が、咆吼する襲撃者を照らす。
「…な…!?」
 葦原の目前に現れたのは、異形の少女だった。

to be continued...
195名無しより愛をこめて:04/01/24 00:26 ID:KlnQA8ma
ギルスが主人公カコイイ!(・∀・)
196名無しより愛をこめて:04/01/25 06:31 ID:UVMEqvHM
過去スレ2の>>415〜420にあった
仮面ライダー AllBatlleのSSを元にして
RPGルクールで作りました。よかったらどうぞ。

ttp://relayrpg.zive.net/web/upload/updata/TKool_0039.lzh
197196:04/01/25 07:40 ID:xgakL5Nk
すいません。こっちをDLしてください。

ttp://relayrpg.zive.net/web/upload/updata/TKool_0040.lzh
198名無しより愛をこめて:04/01/25 12:01 ID:4OP6WK6b
ブレイドage
199名無しより愛をこめて:04/01/28 10:34 ID:rxFG96ol
神ですね
200名無しより愛をこめて:04/01/29 18:19 ID:4sXIZzPU
>>197
乗り遅れた…
再うぷしてくれませんか
201名無しより愛をこめて:04/01/30 05:38 ID:MrprGrIj
>>200
少し修正して来週末あたりに
再うぷするので少し待っててください。
202名無しより愛をこめて:04/01/30 12:33 ID:iiyxaLI1
>>201
わかりました。
楽しみに待っております。
203名無しより愛をこめて:04/02/01 20:47 ID:qwhZHRsd
SSの続きと新作&196の再うぷ
期待保守。
204名無しより愛をこめて:04/02/04 03:06 ID:PNiYTnpA
ほしゅ
205名無しより愛をこめて:04/02/05 19:34 ID:7xhqJy7Z
明後日までにうぷされるのを願い保守
206なかつかさ:04/02/05 20:57 ID:8SSTIHYo
【仮面ライダー共闘SS】 咆吼の系譜 第2話

「…な…!?」
 葦原の目前に現れた襲撃者は異形の少女であった。
 月に照らされる裸身は全身血にまみれ、長い髪は体中にへばりついている。構えられる
両手には鋭い爪が光り、唸る口腔には血に濡れた犬歯がむき出されていた。
 そして何よりもその異形を際立たせていたのは、全身の皮膚にまるで呪紋のように
赤く光る線条紋様と、瞳孔のない真っ赤な目だろう。

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 少女は再び吼えた。同時に大型の肉食獣のように体を低くたわめると、葦原へと跳ぶ。
「…クソッ!!」
 驚愕に反応が遅れ、浅くえぐられたわき腹に血が滲む。
 アンノウンではない。それは葦原の中の何かがそう確信していた。しかし
「(危険だ!)」
 同時にその何かは目前の少女が容易ならぬ敵であることを示していた。

「ガヴヴヴヴヴヴヴヴ…」
 地に爪をめり込ませ、少女が次の襲撃体制に入る。
「しかたない…」
 先程とちょうど入れ替わるように対峙する葦原と少女。
 月に照らされる葦原は、顔の前で腕をクロスさせた。

「…変身!」

 両腕を腰に構える。同時に葦原の体は緑の異形、仮面ライダーギルスへと変じていた。
207なかつかさ:04/02/05 20:59 ID:8SSTIHYo
「ガ…!!?」
「ゥガウウウウゥゥゥァァァァァァッ!!!」
 みなぎる力に突き動かされ、ギルスは先の少女に負けぬ咆吼を放つと、眼前の敵へと
その裂破の気合いを向けた。


「…タ…タタ!!」
「…なに!?」
 しかしその眼前の敵は、少女の異形は溶けるようにかすれていた。
 皮膚の紋様は消え、そして瞳は人間のそれに転じ…光っていた。
「(…涙?)」
「…タタ! ノカ、マスカッイ…」

 構えるギルス。
 だが少女は、完全にただの人間へと変じた少女は、今までが嘘のように無防備に、
つぶやきながらギルスへと近づいていく。

「(…クソ、いったいどうなってやがる!)」
 じりじりと下がるギルス。
 

『バババババババババ…』
「「!!!!?」」

 そのとき上空をヘリの爆音が覆い、対峙する二人を強力なサーチライトが照らし出した。

『…はい、オルフェノクサンプル発見。直ちに処分します』

…to be continued
208名無しより愛をこめて:04/02/06 21:41 ID:2KaYoUeP
ほほう
209196:04/02/07 06:48 ID:lAfqgSV4
とりあえずHP作ったんでそこで公開。
バグとか、おかしな所あったら、教えてください。

ttp://kanji2004.kt.fc2.com/
210名無しより愛をこめて:04/02/07 12:54 ID:Wof4JXig
キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゜)━(  )━(゜  )━(∀゜ )━(゚∀゚)━━!!!!!
211名無しより愛をこめて:04/02/10 21:25 ID:FivDlLZr
仮面ライダー王蛇として闘う海堂きぼん
212名無しより愛をこめて:04/02/12 10:28 ID:N1FtKsJ/
>>209
403でダウソできんのですが・・・
213名無しより愛をこめて:04/02/12 23:27 ID:qn5AU9qW
>>209
漏れも、403でダウソできんのですが・・・
214196:04/02/13 00:55 ID:XvhWDDPX
すいません。
どうもHP製作はよくわからない。
どなたか代理公開してくれる方はいませんかね?

とりあえずここ↓にウプ。またそのうち落ちちゃいます。
http://relayrpg.zive.net/web/upload/updata/TKool_0411.zip

代理公開してくれる方や、
ウプロダから消えて、落とせないけどやりたい方は
↓の掲示板に書いてくれれば対応するので。
http://jbbs.shitaraba.com/comic/980/kanji24.html
215名無しより愛をこめて:04/02/18 16:11 ID:uzLmY4wr
 
216名無しより愛をこめて:04/02/20 02:21 ID:EZkokVKj
ここも寂れたな…
剣脚本のダメっぷりにみんな軒並みモチベーションが下がったのか?
217名無しより愛をこめて:04/02/21 22:01 ID:1Pmb8Pgt
そういうのは他所で言っとけ
218名無しより愛をこめて:04/02/21 22:20 ID:JXTPodk2
全然ライダーが共闘して無い話を載せます。
219小倉君の日記 1:04/02/21 22:21 ID:JXTPodk2
「君には特別な仕事についてもらいたい」
俺はスマートブレインの社長・・いや、まだそのころは社長じゃなかったんだが、
その一ヵ月後には社長になった男、村上に呼ばれ、そんなことを言われた。
入社から6年、そろそろ結婚なんて・・・と考えていたところで、そう言われた。
分かっているが、俺に断る権利なんて無い。
いくら俺が人間じゃない・・・オルフェノクだとしても、やはり断ることはできない。
「・・・どんな仕事なんです?」
俺が尋ねると、村上は俺に書類の入った封筒を渡してきた。
「極秘?」
「そうだ、ここで見たものは、他の誰にも話してはいけない・・・決して」
「はぁ・・・」
封筒を開ける。すると、1枚の写真と、数枚の資料が出てきた。
「このガキ・・・誰です?」
写真に写っていたのはガキ・・・と言っても差し支えの無い年齢の少年だった。
黒くてボサボサの髪と、だらしないシャツ・・・なのに目はなにか恐ろしいくらいに輝いていた。
「資料を見れば分かると思うが・・・君は、ラッキークローバーというものを知っているかな?」
ラッキークローバー・・・知っている。最強のオルフェノクの集まりだ。
そのメンバーの1人、Mr.Jには俺も会ったことがある。
まぁ、この会社に彼が訪れていた時、英語に堪能な俺が案内をしていた・・・というだけなのだが。
俺が頷くと、村上は話を続ける。
「この少年・・・名前は北崎・・・」
「それは苗字じゃないんですか?」
「余計なことに突っ込むのはやめなさい。確かに北崎は苗字・・・名前は不明ですが、
 私が名前と言って意図したのは、どう呼ぶかということです」
「ハァ・・・すいません」
「彼は、ラッキークローバーの一員です。そして・・・」
「そして・・・?」
「地上最強の、オルフェノクです」
220小倉君の日記 2:04/02/21 22:25 ID:JXTPodk2
俺はオルフェノクだ。
俺は8歳くらいの時、だいたい20年前に、親父とお袋が事故で死んだ。
そのとき、俺は留守番してたから、親父とお袋の死に顔も、死体も見ていない。
それから、流れに流れて、17の時、オルフェノクになった。
そして、今はスマートブレインにいる。

全く厄介な仕事を回されたものだ。
俺の仕事は、そのガキ・・・北崎の御守りをすること。
「何で俺なんです?」という俺の質問に、村上は「君は事務には向かないからです」と言い切った。
いや、確かに書類書いたりするのは得意じゃないんだが・・・ったく、面倒なことも得意じゃねぇ
その北崎とかいうガキが住んでるところ・・・廃車置場まで車で向かう。
「変なトコに住んでるんじゃねぇよ・・・ったく」
廃車置場に着く。すると、そこに写真通りのガキが立っていやがった。
「ヘェ・・・君か」
俺が向かうと、そいつはでかい態度で俺を見てきた。
「村上さんから話を聞いていると思うが・・・宜しく」
俺は握手をしようと手を差し出す・・・ガキ・・北崎も手を差し出す・・・
「うっわぁぁぁぁ!!!!」
奴が手を握った瞬間・・・俺の手袋が灰に・・・!!!
思わず手を放す・・・しまった、資料にあった・・・モノを灰にする特異能力・・・!!
「ヘェ・・・意外と反応速いんだね。前任の人は、握手して腕のこの辺まで灰になっちゃったよ」
肘の辺りを指差す北崎・・・くそっ・・・
「その前の人は、握手もしてくれなかったけどね・・・」
そりゃ・・知ってればしたくは無いだろう・・・俺は握手したけど・・・クセでな。
「・・・まぁとにかく、俺の仕事は、君への伝令や、君からの伝令を伝えることだ」
ああ、手袋気に入ってたっつうのに・・しまったなぁ
221小倉君の日記 3:04/02/21 22:25 ID:JXTPodk2
「あっそ・・・じゃ、僕は寝るから、何か食べ物買って来て」
「(いきなり使いっパシリかよ・・・)・・で、何かリクエストでもあるか?」
「・・・ういろう・・・」
本気で眠いらしく、北崎は少し虚ろな声で言った。
「分かった」
「名古屋の・・名古屋まで行ってね・・・」
「!!」
結局、名古屋まで行った。
村上からの命令で、「奴のリクエストには可能な限り答えろ」と言われていたからだ。
「ハァ・・・」
経費が出るから、交通費とかの心配は要らないのだが・・・

一ヵ月後・・・俺は精神的ストレスで参っていた。
北崎の我侭に付き合うのは疲れる上に、奴は俺の服を灰にするのが楽しいらしい。
貧乏性なんで、服を修繕していたら全然眠れない・・・
「死ね!!」
それで、目に付いた若い男に変身して襲い掛かる。
自慢じゃないが、俺の斧は何でも切り裂くし、俺の網は何者も逃がさない。
「あぁ?」
だが、俺の斧はそいつの指につかまれ、止まる
「・・・なめんなっつぅの!!」
そいつの体が変わる・・・・しまった、コイツもオルフェノク!!
「くっ・・・」
距離を置くため、網を投げつける。粘着性の網だ。抜けるのは・・・
「フン!!」
抜けられた・・・いや、あいつ弾いたのか?
222小倉君の日記 4:04/02/21 22:26 ID:JXTPodk2
「ブッさしてやる・・・テメェは俺の敵だ!!」
相手のオルフェノクが叫ぶ。体から幾百の突起が出ている。
恐らく、ハリネズミかヤマアラシ・・・もしくはウニの性質を持つオルフェノク!!
そういえば・・・こいつ、確か裏切り者のオルフェノク!
あぁ、襲う前に思い出せよ俺!!
「死ねやぁぁぁ!!」
そのまま突っ込んでくる・・・避けられない!
「痛いの覚悟で・・・やるしかないか!」
俺は俺の網を俺の体に巻きつけた。
「ハァァァァ!!!!」
相手の体当たりで、俺の体に針が刺さる刺さる・・・痛ぇ・・・くそっ
「なっ・・」
だが、奴は俺の体に巻いた粘着網で動けない・・・このまま脳天カチ割らせて貰うぜ!!
俺は勝利を確信し、斧を振るった・・・だが
「フン!!」
奴の体が棘の玉に変化しやがった・・・針が伸びて・・・俺の体が・・串・・刺し・・・
畜生・・・ウニかよ・・・
まじぃ・・このままじゃ・・俺・・・死ぬ
「ねぇ、何してるの?」
と、そこに声が響いた。
「き・・・北崎・・?」
北崎は歩いてくる。
「駄目だよ・・僕の楽しみを取っちゃ・・・コイツを殺すのは・・・僕の仕事だ!!」
北崎の喋り方が変わると同時に、北崎がオルフェノクに変身する。
「フンッ!!」
そして北崎は頭から電撃を出し、それを打ち込む
223小倉君の日記 5:04/02/21 22:29 ID:JXTPodk2
「ギャァァアァァ!!」
「はぐぁ・・」
俺と相手と、二人の悲鳴が同時に上がる。ちなみに俺はギャァァァアァァの方
とにかく、奴が元の姿に戻った・・・今なら抜けられる!!
「おりゃぁぁぁあ!!」
俺の秘密の必殺技の頭突きを針の無い額に打ち込む。
「グッ・・・」
怯む相手、今だ!!俺は離脱する・・・あ〜痛てぇ・・・
「おのれ・・・」
だが、相手のウニ野郎はやる気十分・・・と、こっちにもやる気十分な奴が居た。
「遊んでやるよ・・・掛かって来い」
手招きして挑発する。
「コイツ・・・なめるなよっ!!」
体の針を打ち出す。だが、北崎の変化した姿・・・ドラゴンオルフェオノクの硬い装甲が
その全てを弾く。
「それだけか・・・つまらない!」
ドラゴンが再び頭から雷を出そうとする・・・だが
「北崎!!避けろ!!」
無意識の内に叫ぶ・・・打ち出す張りを目隠しに、奴の本体がまた球体になって突っ込んできた!
「何ッ?」
衝突音が響く・・・と、俺の足元に何かが飛んできた・・・これは・・・北崎の・・・腕?
なんだよ・・・あいつ・・・やられたのかよ・・・オイ
そう、俺が思った瞬間・・・俺の目の前を「何か」が過ぎ去った・・・気がした
「へぇ・・なかなかやるみたいだね」
「なっ?」「!!」
俺とウニ野郎が驚いたのは同時・・・そして、ウニ野郎の体のトゲが次々と無くなっていく・・・
「北・・・崎・・・?」
笑い声が聞こえる・・・そして、やっと見えてきた・・・
「アハハハハハハハ・・ハハハハハ・・・!!」
笑いながら・・・姿を変えた北崎が・・・ウニ野郎のトゲを・・・毟ってる!!
224小倉君の日記 6:04/02/21 22:29 ID:JXTPodk2
「あ・・あいつ・・」
俺はオルフェノクの姿を保っていられず、人間の姿に戻る・・・あぁ痛てぇ・・・
「じゃあ、死ね」
俺が人間の姿に戻り、地面に倒れ付した瞬間は、奇しくも北崎が再び鎧を纏い、
ウニ野郎の体にその爪を突き刺し、青い炎に燃え上がらせていた瞬間だった・・・

「借りができたな・・・」
「借り?」
翌日、体に包帯を巻いた俺が北崎に礼を言ったらこう返された。
「いや、昨日の」
「昨日って、何かあったっけ・・・?」
・・・コイツ、記憶力大丈夫か?
「いや、それならいいんだが・・・」
と、去ろうとする俺の肩を奴が掴んだ・・・止めろ!また服が灰になる!!
「ねぇ・・何があったの・・・・ねぇって」
さするな!!被害箇所が拡大する!!
「なんでもねぇよ!!」
振りほどく・・・ったく、今日は何か甘いものでも買っておくか・・・
225小倉君の日記 7:04/02/21 22:30 ID:JXTPodk2
そして、俺と北崎が出会ってから数ヶ月。
奴が周囲を灰にしたら、俺はその後片付けをして、
奴が人前で誰かを灰にしたら、俺はその目撃者を抹殺する・・・
そんな生活が続いていた。俺は結局、意外と奴のことが嫌いになれなかった。
安い服屋も見つけて、服のほうも何とかなった・・・しかし・・・
スマートブレインの方もなかなか大変なことになっていた。
三本のベルト・・・それを使った「流星塾」のメンバーとか言う奴等が、社員を・・・
特に外回りの社員を次々と倒して・・・殺しているらしい。
しかし社長になった村上は俺に今までどおりにしろ・・・と言ってきた。
「もうすぐ、君が忙しくなる可能性が高いです」
と。
そしてあるとき、奴は小林とかいう奴をオルフェノクにしたとか言ってきた。
それから、奴が忙しくなった。・・そう、俺も忙しくなった。
奴は、俺に近況をはしゃいで話した。
奴は話し下手だったが、俺が・・・自分で言うのも難だが、聞き上手だった。
「で、これ凄いんだよ・・・ちゃんと音を識別するし・・しかも、触っても灰にならないんだよ」
デルタギア・・・とかいうモノを俺に嬉々として紹介する北崎・・・
(結局、数日後には飽きて捨てたらしいが・・・)
それから、俺は奴に携帯電話を買ってやった。
「何か在ったら使えよ・・・使わねぇと思うし、使えて1回限りだと思うが・・」
灰にしちまうからなぁ・・・俺は俺の携帯の番号をシールにして奴の携帯に貼り付けた。
「へぇ・・」
一応ズボンのポケットに入れてやると、捨てずに持っていった。
226小倉君の日記 7:04/02/21 22:31 ID:JXTPodk2
そして、今日・・・この日が来た。
俺の携帯が鳴った・・・北崎からだ。
「ちょっと来てくれる・・・相手をして欲しいんだけど・・・」
「相手・・?なんのだ?」
「とっとと来ないと・・・プツ」
ツーツーという音がする。
「あいつ・・・携帯灰にしやがったな!!」
俺はバイクで向かう。場所はバー・・・クローバーの辺りだ。
「ここか・・・!」
俺がバークローバーの前に来る・・・と、そこに文字が刻んであった。
『廃工場』
俺はバイクで一番近い廃工場に向かう・・・廃棄された列車が近くにある廃工場だ。
「・・・居ないじゃねぇか!!」
とりあえず高い所に登る・・・と、入り口近くに見知った顔が居た。
そして、その近くに・・・あれは・・・草加雅人!
「あいつの相手をするのか・・・無茶言うなよ・・・」
しかも、会話の内容からすると、俺が戦うようになってるし・・・
颯爽と登場して攻撃しろってかぁ・・・ったく!
「やってやろうじゃねぇか!!」
変身する。そして、網を取り出す。
草加雅人が携帯電話を取り出したところで、網を投げる!!




あぁ・・・辛い
なんでこうなるんだろうなぁ・・・結局、俺がふがいないせいで、北崎がメインで戦ってる。
カイザに殴られたところは何かズキズキして痛いし・・・
でも・・・勝てそうか・・・流石北崎
227小倉君の日記 7:04/02/21 22:32 ID:JXTPodk2
デルタが現れたけど、それはすぐに倒したし・・・
と、俺がそう思った数秒後・・・俺と北崎の目の前に、赤いファイズが立ちふさがった・・・
なんだよこいつ・・・なんかヤバイって!
歩いてきたところに網を投げつける・・・と、網が奴に当たる前に消滅した・・・?
斧も投げるが、ファイズのパンチがかすった瞬間に灰になる・・・
次の斧を構えたところで、北崎がそいつに殴られて・・・嘘だろ、北崎が押されてる?
飛びやがった・・・うおっ・・!
空中から斬りにくるなんてセコイぞテメェ!!
『Exceed Charge』
なんかヤバイ・・・ヤバイ音が聞こえた・・・気がする。
まずい、北崎、立ち上がるなって・・・って、俺立ち上がってるしっ!!

はがぁつ!!!

・・・・・い・・ま・・・何か・・・通り過ぎた・・・
腹・・が・・・痛いって・・・言うか・・・なんか・・・感覚無い・・・
俺・・・真っ二つに・・・なってんのかな・・・
あ・・・良かった・・・北崎は無事っぽい・・・って、俺が無事じゃなきゃ意味ねぇだろ・・・
ったく・・・ああもう・・・なんでこうなんだよ・・・
走馬灯とか・・・見れんのかな・・・オルフェノクの俺に・・・
あっ・・・やばい・・・意識が朦朧としてきたって言うか・・だんだん胸の方の感覚も・・・
北崎・・・なんで死ぬ間際にあいつの顔が出てくるんだ・・・?
あいつなんて、我侭で俺を困らせただけだって・・・いうのに・・・
そういえば、死んだお袋・・・・・弟が生まれる予定だった・・・っけ
あんなもんだったのかなぁ・・・・・弟っていうのは・・
なぁ・・・北崎・・・
END
228:04/02/21 22:34 ID:JXTPodk2
途中から777となってるのは間違えた・・・ってことで。

The 正体不明のオクラさんの話を考えて、文章にしてみました。
感想とかもらうと、ツクシさんとか書いちゃうかも・・・
229名無しより愛をこめて:04/02/21 22:37 ID:k9GLvjAS
オクラって誰だっけ
メガネ弁当リーマン?
230名無しより愛をこめて:04/02/21 23:15 ID:1snQZRau
>229
>メガネ弁当リーマン?

それはナマコだろ
231名無しより愛をこめて:04/02/22 01:24 ID:jeCxZkKm
8年前のハイキングの事件で何が起こったのか?
 
  そして18歳の誕生日に目覚める「もう一人の自分」!

   「UNIT」とは?「装着者」とは?

         「タタカエ・・・。」 新番組「仮面ライダーUNIT」
232名無しより愛をこめて:04/02/22 02:14 ID:aS20Htz4
ガイバーですか?
233名無しより愛をこめて:04/02/22 02:54 ID:XO+j/Ja/
>>228
オクラ物語とても面白かったです!ファイズ本編で初めて見た時、北崎の舎弟(?)に
なるくらいだから結構実力のある人なのかなーとか漠然と思ったので、具体的に
「小倉君」の話が読めたのが嬉しいです。
(そういえばタイトルを見たときは「ある小倉日記伝」を連想してしまいました。
(読んだことはないのですが))
つくし物語もぜひ読みたいでつ・・・
234名無しより愛をこめて:04/02/25 00:00 ID:ybriDXRj
そこは早朝の歓楽街、特有の饐えた臭いが辺りに立ち込めていた。
狭い道幅の入り組んだ街路は中世の城砦都市を想起させ、雑居ビルの裏階段
は朽ち果てた現代の物見の塔さながらである。

その、雑居ビルの屋上に二人の男が佇んでいた。
小柄でまだまだ少年の面影を残すが、
鍛え上げられ均整の取れた肉体がどこか猫化の肉食獣を思わせる男、
その名を東條悟。
もう一人の男は中背、痩せ型の何処にでもいそうな男だが、何かが欠落していた。
何処なのか、と問われれば、削げ落ちた頬でも、猫背気味の姿勢でもない。
一言で言えば[人間らしさ]を何処かに置き忘れて来た様な物足りなさ。
その男の名は香川英行。

ここ数年「復讐の髑髏」、「仮面ライダー」等と呼称される都市伝説がある。
一方では、人としての節度を踏み越えた犯罪者が、仮面の悪鬼の力を手に入れたと噂し、
また一方では、親兄弟をバラバラに切り刻まれた男が、死体を縫い合わせ死霊として、
復讐の相手を昼夜の別なく追わせ続けているのだとも。
宇宙開発作業用のロボットの暴走、超古代文明の呪いだとするものまであった。
そのどれもが正しく、どれもが一笑に付され、屑籠に丸めた記事を投げ入れるには充分の現実味の無いものだった。
そう、現実と呼ばれる世界では。
現実世界からはじき出されたれた男達の内二人が、ここに会した。


 

 
235名無しより愛をこめて:04/02/25 01:26 ID:ybriDXRj
口を開いたのは香川が先だった。
「メールは読んで貰えたみたいですね。」
遠慮をするような、呆れた様な口調で東條が返す。
「件名に[英雄]なんて入れて来るのは香川先生だけですよ・・・そもそもこんな場所で再会なんて・・・。」
馬鹿にした口調では有るが、師弟の一線は越えていない、その口調に何処か香川は安堵を覚えた。
「すいませんね、この時間のこの程度の場所じゃないといけない理由がありまして。
大学を離れてから今日まで、私は現実の真裏と言って差し支えない世界で戦い、相手の肉体を糧として生き永らえて来ました。
その意味では間違い無く怪物のそれです。貴方の置かれている立場も去る人物を通じて知ることが出来ました。
どうも現状では私よりも貴方の方が私達の目差す[英雄]に近いようです。そこを見込んで御願いが有ります。」
 
 そして香川は自分の情況に付いて説明をした。
自らが調整体−改造人間で或る事、既に家族の肉体は財団の管理下に置かれ、取り返すのが困難で有る事等。
何より財団は現時点では改造人間製造の下位機関でしかなかった事。
 
「どうも次期主力の戦闘員や今までとは全く違ったコンセプトの試験体を作るのが目的みたいですね
その試験体が厄介な相手らしいのですが、まあ、奥の手が在るので、どうにでもなるでしょう。」
 香川は東の方向に視線を移す、もう太陽が昇ろうとしていた。
「もうあまり時間が無い、残りは要点を絞りましょう。」
明らかに香川は焦っていた。
「この世界は明らかに何者かの手に因って改竄された世界です、私も貴方も、その他の髑髏の仮面の伝承を持つ者も、
何者かに我々の様な立場に追い込まれたに過ぎない。」
「改竄した何者かを探すんですか」
東條が確認するように尋ねるが、直に香川が正した。
「それは危険過ぎますね、先ずはOREジャーナルの城戸真司記者を訪ねてください。
一見トンデモ記事しか載せていないようですが、全てが嘘を書いている訳でもありません。」
香川は懐かしい知人でも語る様な風だった。
236名無しより愛をこめて:04/02/25 01:43 ID:ybriDXRj
太陽の日差しはすっかり辺りを白々と照らし出し始めた、そして東條も感じた、何者かに見張られている!
東條と再会した時とあまり変わらぬ様子で香川は言った。
「遂に来ましたね、この場は私が惹きつけます・・・グアアアアアアアアアアァッ!」
日の光を呪う様にに香川が身悶えしつつ、叫ぶと醜悪なLV3改造人間の姿に変わった。
瞳孔の無い両目の間からゆっくりと第三の目が開く、それはまるで獲物を惹きつける様に輝いた。
「東條君、久し振りに君と話せて楽しかった。例の件、頼みますよ」
そう言うと一気に歓楽街の街路まで飛び降りた。そしてバイクに跨ると、可能な限り加速し、瞬く間に見えなくなった。
東條悟はその間、近づいてくる[何者か]を見据えていた。

東の空からゆっくりと、しかし確実にそれは近づいてきた。
その金属色の巨大な紡錘形は東條の存在をまるで無視して香川-真の去った方角へ進んでいく。
完全生命[試験体]ドラス-それがその物体のコードネームとされていた。

「どうにでもなるって・・・やれやれ、香川教授一人じゃ全然ダメそうじゃないか・・・変身!」
 東條悟がぼやきながらも変身体勢を取り終えると、朝日に眩い白銀の光を返す肉体に身を転じた。
軽々と街路へ降り立つと愛車の名前を叫ぶ。
「ブルーバージョン!!」
青い弾丸の様なバイクに跨り、五種類の超兵器ハンドを使いこなす戦士、その名は
仮面ライダースーパー1!!


バイオレンス・仮面ライダーZO序章
                                                                        完 
237234=236:04/02/25 01:59 ID:ybriDXRj
一部の方にはお久し振り、いやいや、書き込むのも1.5スレ振りです。
最近妙に閑散としてますので、静かなうちにチャッチャッと進めるのが狙いだったのですが・・・。
UPすんのに7時間越してしまいました(w
前から結構疑問なのですが、みなさんUPにどの程度の時間を割かれています?

238名無しより愛をこめて:04/02/26 13:39 ID:wTBqV29O
Heat君?
239234(ry:04/02/26 19:18 ID:jjYGildX
>>238
すいません、別人です。
このスレではポッと出の部類ですね。
俺も彼等に帰って来て欲しいんですよね・・・。
文章の拙さを嫁さんにまで指摘される始末で、イヤハヤ・・・。

鬱な事を書きましたが、こうやって恥を忍んでUPするのも、
昔の様な活気を取り戻せたら、と言う気持ちの表れでして。
ウザイ?
次章は日曜のブレイド終了までに、何とか。
と、自分を追い詰めてみる俺なのだった。
240名無しより愛をこめて:04/02/26 21:24 ID:wTBqV29O
つーかHeat君どうした?生きてるの?
241名無しより愛をこめて:04/02/27 17:17 ID:p3OjCr0c
どーしたんかねえ?
555で燃え尽きたか?
242名無しより愛をこめて:04/03/01 21:38 ID:XW0n28E9
燃えろライダー魂!!
243名無しより愛をこめて:04/03/02 00:40 ID:S49wpZmd
登場ライダーのネタならいくらでもあるんだけどね。
24448 ◆CHlKRhz/o6 :04/03/05 03:16 ID:rqliTDLB
>>79
ダメでした。
・・ハァ。新しいPS2買って来ようかなあ。

はなしは変わるけど、携帯ゲーム機"プレイステーションポータブル(PSP)

 久夛良木氏は,“PSPはゲーム業界が待ち望んだ究極の携帯機”として説明。「ここまでやるかと言われるスペックを投入した」という。
 発表によれば「PSP」は,曲面描画エンジン機能を有し,3Dグラフィックでゲームが楽しめる。
7.1chによるサラウンド,E3での発表以来,クリエイターたちにリクエストが高かった無線LANも搭載(802.11)。
MPEG-4(ACV)による美しい動画も楽しめるという。これによりゲーム以外の映画などでのニーズも期待する。
 外部端子で将来,GPSやデジタルチューナーにも接続したいとする。
また,久夛良木氏は,繰り返し「コピープロテクトがしっかりしていること」と力説。会場に集まった開発者たちにアピールしていた。
 さらに,ボタン設定なども明らかにされ,PS同様「○△□×」ボタン,R1・L1,アナログスティックが採用される。

この際、スク・エニもGBAからPSPに乗り換えたらどうでしょう。スク・エニの場合、PSPの方が実力を出しやすいような気がするんですが。
任天堂が携帯ゲーム機で圧倒的なシェアをもってるなら、スク・エニがそれを崩してみるのもおもしろいですし。かつて、PS人気の引き金となったFF7のように。

いきなりこんなこと書いてすまそ・・・
GBAと比べてみてどうなんでしょうか?(シェア以外で)
245名無しより愛をこめて:04/03/10 11:04 ID:C1DeNFon
保守
246名無しより愛をこめて:04/03/11 13:00 ID:B2rK2W0+
誰もいない
247名無しより愛をこめて
お久しぶりですみなさん。
真対蝙蝠男の戦いが始まるところで連載が止まってしまいましたが、実はこの
「the仮面ライダー」は、ここの皆さんがアニメ作品と仮面ライダーを混ぜ合わせた
作品を見たらどう評価するのだろうかと思って書いた物です、私が本当に創りたい
作品の準備です。
今週末には「the仮面ライダー最終回tomorrow」更新したいと思います、では。