生物多様性 : 気候変動で聞こえてきたカエルの悲鳴
地球温暖化は感染症の拡大を推し進め、両生類の広範な絶滅を引き起こしている。新た
な研究により、コスタリカのモンテベルデに生息するフキヤガエル属の一種(Atelopus sp.)
が見られなくなったことと、海面温度および気温変化の間に強い相関があることがわかった。
J A Poundsたちは、伝染病と地球温暖化の関係を明らかにすることに取り組んだ。そして、
温暖化が引き金となった、病原性のツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis)の大量
発生と、このカエルの絶滅が直接関連することを明らかにした。Atelopus属の約110種類の
カエルの67%が、同様の運命にあると推定されている。
Poundsたちは、地球温暖化がアメリカ大陸熱帯地域における雲の生成を加速しており、
日中の気温を下げる一方で夜間の温度を上げていると考えている。これはツボカビの最適
成長条件であり、ツボカビは低温下で病原性が強くなり、湿度が高いと致死性がより高く
なる。
今回の研究は、地球温暖化が種の絶滅を既に引き起こしつつあり、また気候変化によって
広がる伝染病が生物多様性に対する差し迫った脅威であることを示している。
Nature Highlight January 12, 2006
http://www.natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?id=1213&issue=7073 環境 地球温暖化で広がる流行性疾患によって両生類が広範に絶滅する
J. Alan Pounds, Martin R. Bustamante, Luis A. Coloma, Jamie A. Consuegra, Michael P. L. Fogden, Pru N. Foster,
Enrique La Marca, Karen L. Masters, Andres Merino-Viteri, Robert Puschendorf, Santiago R. Ron, G. Arturo
Sanchez-Azofeifa, Christopher J. Stilland Bruce E. Young
Nature 439, 161-167 (12 January 2006) | doi:10.1038/nature04246
http://www.nature.com/nature/journal/v439/n7073/abs/nature04246.html News and Views: 種の絶滅:カエルからの警告
Andrew R. Blausteinand Andy Dobson
http://www.nature.com/nature/journal/v439/n7073/full/439143a.html ツボカビ門
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%83%9C%E3%82%AB%E3%83%93%E9%96%80 関連ニュース
【生物】両生類の32%、絶滅の危機 2004/10/15
http://news16.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1097819000/l50 【生化学】尿素が冬眠中のカエルを護っている-冬眠動物への尿素の必要性 2005/11/06
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1131286550/l50 【生物】ヤドクガエルの毒はダニを食べることで得られる 2005/10/15
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1129345545/l50 【生物】カエル1000匹が謎の「膨張、爆発」=ドイツ 2005/04/29
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1114719311/l50 【生物】音に誘引される蚊を確認:カエルの鳴き声を感知し吸血行動を開始[041112] 2004/11/12
http://news16.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1100245425/l50