sample

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1nata
nata
2名前はいらない:04/02/27 01:05 ID:rlRx+nZ/

        ∩___∩   
         | ノ      ヽ   
        /  ●   ● |    
        |    ( _●_)  ミ  なんか変なスレが出来たクマクマ
       彡、   |∪|  、`    
      /      ヽノ ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  クマ
        i     \ ::::/ クマ
        \     |::/
          |\_//
          \_/

3ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 01:37 ID:dckQhr1p
>2  つよく つよく  抱きしめてほしい
4ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 01:38 ID:dckQhr1p
ああ!!  もっと  バキ

ハグハグー   ググ    バキ


(死)
5ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 01:41 ID:dckQhr1p

        ∩___∩   
         | ノ      ヽ   
        /  ●   ● |    
        |    ( _●_)  ミ   クマー!!に変身!! ☆
       彡、   |∪|  、`    
      /      ヽノ ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  クマ
        i     \ ::::/ クマ
        \     |::/
          |\_//
          \_/
6ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 01:44 ID:dckQhr1p

        ∩___∩   
         | ノ      ヽ   
        /  ●   ● |    
        |    ( _●_)  ミ  おなか空いたくまー ネー
       彡、   |∪|  、`    
      /      ヽノ ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  クマ
        i     \ ::::/ クマ
        \     |::/
          |\_//
          \_/
7ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 01:49 ID:dckQhr1p
ジュー

たこやき? おこのみやき?  モンジャやきってなんだっけ
カンカン

ボクは クマーの着ぐるみと  ミニクマーのぬいぐるみ
カンカン


ジュー

うわー おいしそー
ぬいぐるみの クマーのクビを うごかし  うん!おいしそー
8ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 02:08 ID:dckQhr1p

        ∩___∩   
         | ノ      ヽ   
        /  ●   ● |    
        |    ( _●_)  ミ     くいにげー
       彡、   |∪|  、`    
      /      ヽノ ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  クマ
        i     \ ::::/ クマ
        \     |::/
          |\_//
          \_/
9ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 02:14 ID:dckQhr1p
『 クマー サワー  ランドー     △ 』


クッキーにキス☆
クマーのぬいぐるみに  キス☆  ほっぺた キスー ☆


さよならバイバイー
白いトリさんは     パタパタァー



かいさつ  ひらいてー   ボクはコシをふるぅー
10ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 02:31 ID:dckQhr1p

つくしー  つくしー  りょうりー☆  おくちにー  くわえたらぁー



プイン  プイーン


スーパー  バイクでー   港街の 高速どうろで  かそくさせよー  ☆
11ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 02:36 ID:dckQhr1p

その空き缶は  どこから  拾いましたー ぁー


グビ  グビ    ちゃんと  のこりが  入っているか どうかー  確認しちゃうー  ☆

----------------------------------------------------------------------------


パックを はずしましょー


こおりが たくさんはいっていますー

----------------------------------------------------------------------------

『 クマーは  おおきー  おおきーい!   』


あめが  フッテも  安心さぁー


このおおきなー  カサでー   ☆    きっと  あなたも入っちゃえるー  
12ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 02:43 ID:dckQhr1p
ガガ  ガガ  ガオイガー   の時間だよー   ☆




メガメガ  パンチィー  ☆             ピーン!!



----------------------------------------------------------------



てんじょうせんぷーきー  に  一生  ぶらさがっていたいー


なんて  なんてなの   バット  KIDS  −  ☆   


---------------------------------------------------------------



ピット イーン!!  

13ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 02:45 ID:dckQhr1p
はっぱさんに こんにちわー  ☆


ゆらーり   ゆられてー



ん  んー!?     クサ  まきまき〜   @



----------------------------------------------------------------


『 しゅりけん パーイ 』



シュ  ッシュ   シュッシュ     ☆



タタタン   タタタン

----------------------------------------------------------------
14ねふぉん ◆FSnm09kHak :04/02/27 02:48 ID:dckQhr1p
『  ピカあー  』


水色のクリスタルをー  はっけんしましたー



どこまで  輝けるかなー   キュッキュ       ハァー  ハァー  したらー


光さんと   ひかりの  ごあいさつー   ♪  ☆



---------------------------------------------------------------------------------
15北 ◆tr.t4dJfuU :04/02/27 03:35 ID:NxIm2XSQ
u98to967riyhoij@:09yp6fd56s45aslp7;@:u^
16名前はいらない:04/02/27 18:28 ID:oMRRxrRq
ねほんっちファイトだ!

もっと作品見せてくれ〜☆
17はなまる:04/02/27 18:37 ID:nFrdHLBr
不自由だ
僕らは
不自由だ
不自由だ
僕らは
君の悩み事で
不自由になってる人がいる
僕だよ
僕だよ
支配されてる
ケツ毛の一本一本まで

僕のわがままで
不自由になってる人がいる
君なんだって
ごめんね
無理やりだよ
困ればいいって思った
実は
ごめん
ほんとごめん
18はなまる:04/02/27 18:38 ID:nFrdHLBr
不自由だ
僕らは
不自由だ
頬の痛みが
教えてくれる
言葉は無力だ
愛は力だ
立ち上がれよ僕
痛みと生きて愛へ
愛へ
不自由な
愛へ
詩的な愛とは
かくも辛き
不自由
不自由だ
僕らは
不自由だ
19はなまる:04/02/27 18:41 ID:nFrdHLBr
少年は
いつから見失ったのか
星と星屑と光は全く
違うものなのに

長い尾を引いて光る
光る
僕の心には何も残らない
傷も
熱も

通り過ぎていく
少年を変えてしまったものが
少年の歌声が
衝動が
ただそれだけが
僕の中を
滑る
20名前はいらない:04/02/28 14:33 ID:vscD+VwY
ポエポエ〜ッとage
21はなまる:04/02/28 16:41 ID:TAHtgWL/

ブルーベリーキス
ブルーベリーキス

おじいさんその子はもう死んでる

ブルーベリーキス
ブルーベリーキス

おじいさんその子はもう死んでる

ブルーベリーキス
ブルーベリーキス

おじいさんその子はもう死んでる

ブルーベリーキス
ブルーベリーキス

おじいさんその子はもう死んでる

ブルーベリーキス
ブルーベリーキス

おじいさんその子はもう死んでる

ブルーベリーキス
ブルーベリーキス

おじいさんその子はもう死んでる

 
22名前はいらない:04/03/03 16:46 ID:FXiDbrt2
詩のサンプル

それはどこにもない

世界を持たない

自分でもない

何か

何か

何か

何かでしかない

何か
23名前はいらない:04/03/30 13:04 ID:HZ0zD7ua
何もかも

あらゆるものが

ひとつ

ひつとのところへ
24Mana魔名:04/04/14 00:41 ID:I0W3ZX7f
sadness I feel , madness I have
as if a rat , I'm running without thinking
meaningless tasks and useless texts
pulse:nomal heart-rate:normal brain:clash
legal drug injection to non-sensed hypophysis
empathy with neighbors , ID-dependence Syndrome
25名前はいらない:04/06/23 14:28 ID:yMThJm3T
26リーフレイン:04/07/01 22:02 ID:qKKNr1pr
見つけた!!
27リーフレイン:04/07/01 22:04 ID:qKKNr1pr
情けをかけられし身なればと、想うことこそ情けなきかな。
いと尋常なる頭蓋の中身に、悔しき枕を食いちぎる。
心半分、彼岸に置きし彼らこそ、この世の美と快楽と彩りを司る。
吾、犬となりて、かの足元に這い蹲らんや。
猫ほどの矜持も許されまじ。

這い蹲りし犬もまた、この大地に足をつけ、この大気に包まれる。
何ものかを喰らい、いずこにてか眠り、なにものかを慈しむ。
なんぞ、想いが軽ろうはずもあらんや。
まさに、今、ここに、この身のある幸福を思ふ。
28リーフレイン:04/07/01 22:06 ID:qKKNr1pr
男が女に心を砕く、
いかに、その要求が苛烈であろうとも、
否、苛烈であればあるほどに、心を砕く。
かの苦心苦労を、一生重ね通すには、
女にも力と手ごたえがあるに相違なし。
愛憎の諧謔の極致となる法悦。
29リーフレイン:04/07/01 22:09 ID:qKKNr1pr
鼠が針を立てる。
用もないのに針を立てる。
ただ、安心がしたいのだ。
針を立てれば、かえって疲れるというのに。
針を立てれば、眠ることすらできないというに。

独りでは生きられない、独りでは絶対に生きられない。
針を立ててみても、穴に隠れてみても、独りでは生きられない。
どきどきしてる命が、ゆっくり螺旋を描いて、水の底に沈むように、
沈みきってしまって、腑におちたら、
一本づつ針をしまって、穴から出ていこうかと思う。


鋏を持って、枝を切る。
鎌を持って、草を刈る。
箒を持って、畳を掃く。
包丁を持って、胡瓜を刻む。
針鼠が一本づつ、針を収めていく。
30リーフレイン:04/07/01 22:26 ID:qKKNr1pr
この世の喜びに思いをはせん

思い至るは、自然の造形。
いずれの人をも、その美と力と混沌を賛美せしむる。
万象を語る空。
無数の指先を持つ風。
原始の営みを悠然と続く海。
碧なす山々。荒涼たる原野。
人と人の造形のない世界がいかに凄絶なることか

思い至るは、人の想いの残滓。
およそ生をうけ、この世にてその生をまっとうせしむる人
いずれの一人をもってしても、その想いは熱く、あるいは冷たく、
ささやかに、または騒がしげに、この世のどこかに刻まれる。
げに、その想いの切なく胸を打つことか。

思い至るは、吾の五感が受けし喜び。
喰らいし美味、飲みし甘露。抱かれし胸。抱きえた子。
読んだ書物。絵画、音楽。
いずれもまた人の手をヘし喜び。

なにゆえ、君、この世に喜びの無きを嘆く。
31リーフレイン:04/07/01 22:41 ID:qKKNr1pr
嘘を許されたる領域にて、
嘘の夢を編みあげていく。

いと、うれしや。

嘘の夢に逃げ込んではいけないと、人が言う。
されど、虚飾の彩りをもて、ようよう語られる事もきっとある。

斯くあれかしと語る時、いかでその斯くが夢なるをしらんや?
32リーフレイン:04/07/01 22:57 ID:qKKNr1pr
感傷は糞だ、虹色の糞だ。
さっさと流してしまおう。
33リーフレイン:04/07/01 23:31 ID:qKKNr1pr
ロンドンで教会へ行った。
女の人がみな白いレースのスカーフを頭から被っていた。
黒いコートを急いで脱いだ。

ボストンで教会へ行った。
女の人がなぜか小さい帽子を被っていて、中でも脱がないのだ。
帽子のない女性は一人だけだった。

イスタンブールで市場へ行った。
女の人が、華やかなスカーフを愛染桂風に巻いていた。
真似をして、真知子巻きをしてみたら、ターキッシュで話しかけられた。
紹介もないのに話してくるとは失礼な男だった。

イランでバスに乗った。
女の人が黒い服で頭から足まですっぽり被い、目だけが出ていた。
手も足も顔も出てる自分が変に感じられた。

小汚い格好のまま、ロンドンからエジンバラへ行く列車にのり、
ファーストクラスのフリー切符を持っていたので、ファーストクラスに座る。
この小汚いアジア人がいたので、様々な人が同じ車両にすわり、
数分後太った黒人の車掌に追い払われる。
小汚い格好でファーストクラスに座ってはいけないらしいと学んだ。

正月に寺へお参りに行った。
年頭のお経があがり、みな正装で訪れる。
寺の帰りに、氏神さまの神社により、年頭のお参りを済ませる。
家で、お屠蘇をいただき、お節料理を重箱からつつく。
角餅の雑煮。水菜。かまぼこ。
良く見知った習慣のいかに気が楽なことか。
34名前はいらない:04/07/01 23:33 ID:CnxziA5P
>>29へ。
評価じゃないけど返詩でもないけど、
思い出した詩があるのでスレ汚し失礼。
自己完結している人は美しくも哀しく見えることがある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


キミはハリネズミのように身を屈め
ボクはハリネズミのように寄り添っている

小さい頃ふしぎだった
ハリネズミのお母さんはどうやって
ハリネズミの赤ちゃんを抱くのだろう

針のすきまに抱くのかな
針をたたんで抱くのかな
それともほんとうはあの針は
触れても痛くない針なのかな

答えは今も分からないまま
ボクはハリネズミのように身を屈め
キミはハリネズミのように寄り添っている
35名前はいらない:04/07/01 23:35 ID:CnxziA5P
>>34 ごめん、書き間違えた。最後2行のキミとボクは逆です。失礼。
36リーフレイン:04/07/01 23:50 ID:qKKNr1pr
>>34-35
一人で頑張るのは辛いのだけれども、
心を開いて頑張るのも実は難しいであります。
およそ、この世は不自由なもので、一度構築された関係は
ある幅の中での行為を期待。それを壊すのは、
流石に怖くてできなかったりするのであります。
あぶれた想いの欠片が、ここに来ていたり致します。

ですが、ありがとうございます。
37リーフレイン:04/07/02 00:40 ID:SFtdXajV
双頭の鷲が獲物を決めたか?
否、自らが獲物となるを決めたか?

双頭の鷲が見つめる獲物は2つ。
彼岸に残した心をこの世に繋ぐ獲物、
彼岸に残した心をこの世にて満たす獲物。
いずれもかの鷲にとりて、欠くべからざるものやしれぬ。

げに、かの生を容赦なく扱うことや。
38リーフレイン:04/07/02 10:36 ID:FSC86gIn
”習慣がもたらす日常への困惑”
ロンドンで教会へ行った。
女の人がみな白いレースのスカーフを頭から被っていた。
黒いコートを急いで脱いだ。
正月に寺へお参り。
年頭のお経があがり、みな正装。
氏神さまの神社により、年頭のお参り。
お屠蘇をいただき、お節料理の重箱。
尾膾、はぜ、黒豆、栗きんとん。
角餅の雑煮。水菜。かまぼこ。
ボストンで教会へ行った。
女の人がなぜか小さい帽子を被っていて、中でも脱がないのだ。
帽子のない女性は一人だけだった。
イスタンブールで市場へ行った。
女の人が、華やかなスカーフを愛染桂風に巻いていた。
真似をして、真知子巻きをしてみたら、ターキッシュで話しかけられた。
紹介もないのに話してくるとは失礼な男だった。
7日に七草粥、
せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。
鏡割り、餅をよく干して、揚げ煎餅。
小豆で餡をつくり、ぜんざいに仕立てる。
鰯の頭、いった豆、年の数だけ。
39リーフレイン:04/07/02 10:36 ID:FSC86gIn
イランでバスに乗った。
女の人が黒い服で頭から足まですっぽり被い、目だけが出ていた。
手も足も顔も出てる自分が変に感じられた。
小汚い格好のまま、ロンドンからエジンバラへ行く列車にのり、
ファーストクラスのフリー切符を持っていたので、ファーストクラスに座る。
この小汚いアジア人がいたので、様々な人が同じ車両にすわり、
数分後太った黒人の車掌に追い払われる。
小汚い格好でファーストクラスに座ってはいけないらしいと学んだ。
桃の節句、甘酒、菱餅、雛あられ。
春祭り、端午の節句、粽、柏餅。
東ドイツで英語が通じなかった。
ドレスデンはまだ銃弾の痕だらけ。アイスクリームの砂糖は代用砂糖。
教会のコーラスが天から降り降りる。
クリスマスプディングを鍋で煮る。
七夕、短冊、盆踊り。
彼岸花、名月、団子、ススキの穂。
神無月、稲刈り、師走の声、来年のことを言えば鬼が笑う。
40リーフレイン:04/07/02 11:22 ID:FSC86gIn

丸く切り取った壁の障子窓の、竹細工の文様を透かして
白砂とツツジの庭が見える。
幽かに響く獅子脅しの音。水琴窟を埋めようかと相談せしが、
諦めたものであった。
竹垣に半円を囲まれた庭は、裏の山を借景に端正な趣を見せる。

猫が迷いこんできた。
なかなかに性悪な子らしく、石の上の苔を削ってしまう。
黒く、白い足袋だけが特徴のいかにも若い猫であった。
掃除の手を止め、如何にしようかと思案。
苔ぐらいよろしいから、あの子が来てもぼわずにおこうか。
大声を出して追いやってしまおうか。

鄙びた陶器の絵皿を選び、−−−欠けてしまっているが、
接ぐほどのものでもない品をーーかつぶしを置いて
縁側の下に出してみた。
あの猫が寛ぐ姿を見てみたい。
41リーフレイン:04/07/02 11:47 ID:FSC86gIn

文字を読む。文字を書く。文字を交わす。
さような喜びの中で、かくも慕わしい事ができるのかと驚く。
顔も知らず、触れることもなく、背景も知らず、まこと
現実味のない存在であるはずであるのに、
いかにも不自由なはずの文字というたった一つの方法で
現実よりもさらに現実味を帯びた、
人といふものの核へ、真っ直ぐに通じているらしい。

嘘の上にたつ真実。真実の上にたつ嘘。
相対化しきれない甘露な対象性が
いかにも魅惑的に、誠実な、醜悪でもあり、
赤裸々でもある、潔い芯なる人を浮かびあがらせるのである。

人の身を持つ人なれば、いずれかには
声を聞きたし、かの躯体にこなたの肌でもって触れてみたし、
との望みを持つのやもしれぬのであるが、、
辛うじて保つ均衡のごとき、ひそやかな煌きを、
今少し味わっていたいと想うのである。
42黒い猫の目 ◆sbeGYb7ycc :04/07/02 17:41 ID:fQmU2iA/
のっとり完了オメデ記念カキコw
43リーフレイン:04/07/02 19:51 ID:SFtdXajV
>>42
あ、どうも、へへへ のっとり してしまいました。よろしう。。。。
44リーフレイン:04/07/02 19:56 ID:SFtdXajV
夏の絽の着物をのべて、墨で睡蓮の花を置き、白地の帯に
金と墨の青海波をあしらった。小さい小さい、鼈甲の帯止めに
半襟は純白。帯揚げはグレーを選ぶ。
髪を上げ、白粉をはき、紅を差す。

着物を収めてある桐の箪笥は、引き出しを閉めると別の段が開くので、
少し加減をしながら、ゆっくりと閉める。
45リーフレイン:04/07/02 19:59 ID:SFtdXajV
ぐるぐる回るイメージの嵐に荒らしのままに使いまわされるとき、
彼の頭の中はもしかして、カオスの大王が鎮座ましましているのかもしれないなと思わないでもない。
カオスの大王様は、彼が御出でを希い、座布団を敷いてお待ち申し上げた御方であったため、
これ幸いと我が物顔で饅頭をむさぼり食らい、あまつさえお茶のお代わりを
要求し、側女が欲しいと厚顔無恥にものたもうているらしい。
大王様は、どうやら、短気であらせられるらしくって、ご意見を伺うのも難しい。
通訳なしにはお側使いもままならぬよう見受けられるのであった。

他人任せの構って小僧。お前のかあちゃんでべそ。断片化だけで食ってこうなんて
100年早いわ。提示と転倒だけじゃ足らん。ニーチェの兄ちゃん気づくの
遅すぎ。ヘッセのガラスもガチャンと割れる。フッサールがいったいなんぞ
現象なんかあたりまえ。カント、カントと理性が騒ぐ、自由であるための提示なんぞに
誰がいったいだまされる。近代化の蛇が持ってきた知恵のりんごは半分腐り、
意味をなくした幻想に足場をとられた人間がすがりついたは、ポストモダンの夢の糸。
ソシュール、デリダ、二クラス・ルーマン。システム視観の限界は、アーレント
の夢にまた戻る。2次ルネッサンスの始まりか?
最終指令。オメラスを崩壊せしめよ。
46北 ◆Ui8SfUmIUc :04/07/02 23:33 ID:RTvWWrku
やぁ、こんばんは。おじゃましますよ^^



たとえばわたしは好きだ

技術や言葉では解決することの出来ない

大きな問題を 

越えることのできる光が

そして、歌を発信する眩しい珠のようなものが

そして、そういったところまで思念を誘導してくれる

技術や言葉が好きだ

時空を超えた虚空から、このわが身まで、

情緒の糸をつなげてくれる刹那の住人が大好きだ


*祝いの言葉にかえさせてもらいます。


47リーフレイン:04/07/03 00:55 ID:DePTcOut
>>46
過分な祝いを・・・ 恐悦至極に存じまする。
なんというか、私は言葉のセンスとか、インスピレーションとかがあるわけでは
なくて、ただ、行き場の失くしたような想いを口にする術が欲しいという
意図で、詩を書いていたりします。それが単なる自己満足のレベルでしかないにせよ、
やはりそこで発露する意味はあるだろうと。。
よろしうお願いいたします。
48リーフレイン:04/07/03 07:54 ID:DePTcOut

浅くて幅広の石段が ほんの少し山にそって曲がりながら、門へと続く。
色濃い木々に両側を囲まれ、参道が暗い。
その階段を24段ほど上がった果てに、黒い、質素な山門があり、
まるで額縁のように矩形に中の情景を切り出していた。

両側へ開かれた扉の向こうは、こちらとはうって変わって、
白い風景が覗かれる。
参道と異なり、広く敷地を切り取った境内は、
白砂を敷き詰めた石庭が手前に置かれ、下からでは山門の額縁で区切られて、
他の構築物は見ることが叶わない。

暗い道を昇り、昇りて、慈悲の彼岸を垣間見る。
49リーフレイン:04/07/05 09:45 ID:mfuRG10p
新月の黒猫

白い足袋をはいた黒い猫が、忍び足で屋根をいく。
密やかに、しなやかに、夜にとろける。
白い足袋がリズムのないリズムを踊る。
4っつの点が黒い夜に舞い上がる。

主のいない今夜、
結界を越えて、かの庭へ行く。
鍵のない扉を開けて、
密やかに、秘めやかに、夜のクリームを舐めにゆく。
50リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/06 08:20 ID:QjcNMGap
206個の構築物

肋骨、脊柱、上腕骨。
もうすぐ地面に落ちるわけだが、
今頭が下向きだから、確実に頚椎が折れるか。
頭蓋も多少割れるかもしらんなあ。
鎖骨、恥骨、肩甲骨。
あっさりそれで即死だと嬉しいが、
下手に生き残ると麻痺してまずいだろなあ。
指骨、坐骨、大腿骨。
手を下に出すと、まずいかな。顔だけは覆っとこか。
尺骨、膝蓋骨、誹骨。
げ、しまった、人が出てきた。

どけーっ!
51リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/06 10:51 ID:QjcNMGap
”フェチ”

穴の開いた頭蓋骨。
頭頂部に打撃を受けて、べこんとへこんだ頭蓋骨。
汚らしい肉も、ずるずるまとわりつく髪の毛も、
蕩けたように赤むけていた皮膚も、
灰色とピンクの脳漿も、赤茶けた血あとも、
眼球もすべて取り除いた潔癖な骨。
ざらつく手触り、白でもなく灰色でもなく、黄色も混じったような
これこそが、人の形を保っていた芯であったのだ。

2本目が折れた肋骨。
鳥籠のように、椎骨と胸骨を芯にまあるく閉じる網。
折れた骨は、肺を引き裂き、皮膚を破り、
外へはみ出ていたのだろう。
とがってギザギザになった折れ口がそれを語る。

鎖骨と肩甲骨を天秤軸に、両側にたれた上腕骨、
トウ骨と尺骨によって、ばねとなる前腕骨。
腕は折れていない。最後まで動かせたかもしれない。

脊柱の端にある坐骨、恥骨 仙骨、臀部を支えた彼らも
いまはもう、その虚飾を棄て、このうえもなく細く、
きりつめたラインを描く。

大腿骨、下腿骨、バラバラに複雑骨折をおこしている。
挟み込まれ、押さえつけられ、あらぬ方向へと曲線を描いたに
相違ないのだ。
復元不能。
52リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/06 12:48 ID:QjcNMGap
赤黒い憂鬱

磨耗する心。いつのまにか鈍くなる言葉。
昨日の涙も、今朝は枯れて、いったい何に心が痛んだのかも
しかとは想い出せない。
ゆるやかに腐っていく肉の塊。腐臭が漂う。
53リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/06 12:51 ID:QjcNMGap
誤爆に事欠いて、こんな詩を誤爆せんでもいいのにーーーーうつつつつ。
54リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/06 13:07 ID:QjcNMGap
結界の向こう

古いしめ縄が道をふさぐ。薄暗い庭。
古びた竹で編まれた小さい門。
剪定の行き届いていない、木々が好き勝手に手足を伸ばす。
下刈りの成されていない足元に、雑草が生い茂る。

おそるおそる結界を越える。パキーンとどこかで
何かがはじけた音が聞こえた。
草の間に垣間見える、苔だらけの踏み石をまさぐるように
道を辿る。この踏み石を踏み違えたらさらにどこか
とりかえしのつかない場所へ往ってしまいそうな
気がするのだ。

呼ばれもしないのに、決してここに来る資格があるわけでもないのに、
強情で、融通がきかず、貪欲な自分が
結界を越えて、かそけき庭を踏みにじる。
僥倖があれば、垣間見ることが叶うやもしれないと、
我侭な願いがあえかな世界を消してしまうのか。

道は果てもなく庭の深みに続いていた。
刻々と影がましていく木々の間を、
どこまでも歩みいっていった。
55リーフレイン:04/07/06 15:37 ID:zZoziptr

彼はいつも怖がっていた。
結界の向こうから手招きをするものどもを。
心半分あちらに生まれた男であったので、
さぞやいい匂いがしたのだろう。

ふと振り向いた先にあった暗がりに、
暑い夏の日の焦げた道をいく帰還兵の影に、
埃くさい階段の先の屋根裏部屋に。

夜のお稲荷さんのお狐さまは、提灯を持って、
その子を呼んだ。一緒にいた女に目もくれずに。
縁日のすみにいたお面をかぶった年寄り。

古い、人気のない洋館が崩れ落ちる日を怖れ、
色が違うアジサイの下に埋もれたのは何か、
桜の木の下に何が棲む。
56リーフレイン:04/07/06 15:53 ID:zZoziptr
傍観者。
森羅万象、轟音を立てて、横をすり抜けていく。
ただ見送る。
57リーフレイン:04/07/06 16:16 ID:zZoziptr

お盆の夜の盆踊りには、彼岸から還りし人が
面をつけて踊るのだそうや。
どこか懐かしいあの浴衣、祖母の箪笥の朝顔か。

”あの面を譲り受け、このおもてに被りしや、
   かの人と代わりて彼岸へ向かうのやろか。”

想いを想いのままに、また、あちらにお還しやし。
還りきたりとて、せんもなし。
58リーフレイン:04/07/06 16:49 ID:zZoziptr

茄子の牛、素麺の鞍、蓮の葉の風借りて、
万里の道を駆け抜ける。
松の枝、煙も高く、道しるべなる。
盆提灯に灯りをともし、
幻燈の青い仕掛けがゆっくり回る。
餓鬼の施し怠りなく、待ち申し上げし人
つつがなく着くやうに。
幾としを経ても、夏のこのひと時に、
暫しの夢を胸に抱く。
あるは、かの人の声なりか、
こなた、かの人の手となりか。
59リーフレイン:04/07/06 17:19 ID:zZoziptr
西へ往く船に

彼が手をひいて乗せてくれるという。
切符はないのだが。
行きたい、怖い、不安がつのる。
きっと同乗の連れの半分も、
この目で観ることはあたうまい。
甲板の床板を見失う日もあるやもしれぬ。

豪奢にして、残酷、醜悪にして甘美。
蕩ける菓子のような優しさ、毒を含んだ刺激。
幻惑、眩惑、眩暈、

金と白、銀と黒、朱と紺碧、
金の尻尾のある猿。9つの命を持つ猫、
鶺鴒の甲高い鳴き声。聞き知らぬ楽の音。
意味のわからぬ印の万国旗
やんごとなき姫君のおはす籠、
素顔のなき面を被るもの。

鬼の角に象徴されるものとは何なのだろうか。
60黒い猫の目 ◆sbeGYb7ycc :04/07/06 18:06 ID:fDU/fQG3
人間の面を破って出てきた尖った感情かナァ。。。。
61リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/06 19:49 ID:QjcNMGap
>>60
あ、いらっしゃいまし。ちょっとけふは、彼岸に気をとられてまして、
詩が暗いくらい暗いですーーーー。あしからず。。。。

どうでしょかねえ、とがった感情ばかりではないと想うですよ。
この世からはみ出た部分じゃなかろうかとも。。。もう少し追ってみようかと
考えてます。善も悪も越えた部分がありそうですね。
62黒い猫の目 ◆sbeGYb7ycc :04/07/06 20:15 ID:fDU/fQG3
よい、真理を手土産にきたいしまする。
63リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/07 11:10 ID:xl0BdDfM

松明の炎そこここに置かれ。
整いたりける白装束、白面、闇に浮かぶ。

どこを通り来るのかも判らぬままに
正面にそろい来る面をつけし舞びと

鼓の音が響き渡った
低く、朗々と、謡い続く

かなた狂いしおなご、こなた忍徳の神
秘めやかに花が舞い散るらむ
64リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/07 14:40 ID:xl0BdDfM
七夕

今年こそ、吾妻にあいたしと、つくりし坊主をどこにおきたや。

ひととせに一夜会ふとの、約あればこそ、
この想い命を絶えず、かの人を請い願う。

いかで、熱き想いであれど、希みなきものなれば、
さぞや、移ろいもはやかろうぞと、紙縒りよる指とがりおる。

永の時、流れし今は、
もし、あの人なきならば、いかな吾ここにありしかと、
否、あの人なきときならば、いかなる吾もここにはおはさん。
ただ、悠久の情のみが、幾千万の星を越ゆ。

65リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/07 16:13 ID:xl0BdDfM

不安が夢に逃げ込ませるのだ
明日を疑う気持ちが、目の前の人を霞ませる。
明日がある必要はどこにもないのに、
誰であれ明日を頼みになどできもしないのに。
束の間の夢が魅せるものは、
在ったかもしれない自分であり、
決して今はない自分であり、
我侭で、欲しがりの自分なのかもしれない。
66リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/08 13:22 ID:/1ZY8TLV
「結い上げ直したばかりの髪に」

長年連れ添った夫が髪を伸ばして欲しいとせがむので、
ようよう結い上げられるほどへと戻った、その結い上げたその髪に
彼が手を伸ばして、ほどいてしまう。
もう昔と違って、細くなってしまった黒髪は、心なしか艶もあせてきて
いるのだけれど、飽きもせずに梳きあげては落としている
長くて骨のごつごつした指先の感触を目を閉じて受けてとめていると、
時が巻き戻されたかのような眩暈がおこる。

腰まで伸ばしたあの髪を、短くも短く切ったのは、
背中におぶいし乳飲み子の、顔にあたるを厭いしや。

畳の好きな夫で、寝室も8畳ほどの畳を敷き詰めた。
小さな鏡台を一つだけ置き、他は積み重なった本が2,3箇所、
地味なスタンドが一対置いてあるだけの部屋の中、
しんと静まりかえった宵闇に包まれて、
影のなかの影のようで、見えもせず、触れることもできず、香りすらない、
言葉ではなく、想いでもなく、ただそこにある情に酔う。
67リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/08 13:29 ID:/1ZY8TLV
点描

訥々と詠う男。
グレーな世界の狭間に立ちて、右の目で現象をとらえ、左の目で次元をとらう。
左目の強き光は、現象の世界を透かし通して、かの世界の果てを覗きみる。

足元に沼が広がった。
ぬめぬめとした藻に足をとられ、魚の腐ったような澱んだ匂いが鼻をつく。
何かが蠢き、足裏にざわざわとあたる。
大地はこの沼の果てにしかないのだろうか?

男は左目を閉じ、現象の世界に立ち返る。
68リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/11 13:38 ID:rGsFjiuZ

肉が重い。さほどあるわけでもないのに、重い。
全部削ぎ落としたら、
スキップしながら軽々と走っていけるんだろうか。
69リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/11 13:55 ID:rGsFjiuZ


ぼんやりとしか見えない片目に魅入られる。
二重瞼、比較的大きなしかし睫が少ないシンプルな右の目。
疲れきったようなたるみがわずかに目の下に感じられる。
血の気のない白。
何かを、もしかしたら全てを諦めたかのような瞳。
欲望がない。彼が欲しいと思うものがここにはないのかもしれない。

もしあの目が鏡であったのならば、私自身の目もまた
このような目であるのかもしれない。
いや、己の目はもっとさもしい。
70リーフレイン:04/07/12 09:41 ID:ws07L01u
絢爛豪奢な夕暮れの文様の中に立ちて、
赤みをいや増していく空を見つめる。
肌色の影を帯びた黄金色の雲がたなびき、
太陽の最後の微笑みが彩りを磨く。

いかに情けない一日であろうとも、
この地は営々と、曇りなくも正しく回転し続け、
いかに酷い人間であろうとも、
この空気は、公平に、偽りなくこの身を包む。

瀝青より漆黒へと変化する背後を振り返り、
緑より、影へと姿を変えゆく山々に恐れを抱く。
彼の地には吾の見知らぬものが棲んでいる。
否、よく知るものかもしれない。
71リーフレイン:04/07/12 11:20 ID:ws07L01u

独りである重みを腕に持ちて、人と寄り添う。
二人の重みを4本の腕で持つように。
72リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/12 13:57 ID:d8Ehv8d+

一枚の厚い椋の扉があった。
見覚えのない複雑な紋様が刻み込まれている。
華やかでありながらも、調子を抑えた色が置かれ、
見る人をゆるやかに誘い込む。

おそるおそる、扉を叩いてみた。
どん、どん、と、力いっぱい叩いてみた。
斧を持って、叩き壊す勢いで殴りつけてみた。

やがて、疲れきったころ、足元においてあった鍵を見つけた。
73リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/12 15:12 ID:d8Ehv8d+
鍵穴壊した後だったりして。。。
74リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/13 07:40 ID:Shq/hww6

磨きこんだ鏡台は、紅い漆塗り仕立てに
螺鈿の小菊が片隅に寄せられた扉がついていた。
そっと開けると互い違いになった2枚鏡が内側に現れ、
大きな3面を作り出す。
かすかな香水と白粉の香りが漂う引き出しを恐る恐るあけ、
母の口紅を唇に落としてみる。
見よう見まねで紅筆を使い、輪郭を辿った。生ぬるい味。
ふと顔を上げると、3枚の鏡の中に無数の女が立っていた。
75リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/13 07:44 ID:Shq/hww6

弁解、戯言、ただの言い訳。
ぬるい言葉で飾っているだけの弁解。
怠惰、卑怯、保身
潔癖さを愛しんだのは嘘でしかない。
76リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/13 07:54 ID:Shq/hww6

街灯のない、闇。
電灯のない、闇。
ちょこっと星明り、たまに大きく光る月。
障子窓から漏れる行灯。
ゆれる提灯。けえり道。

電気が来たれる前の夜たあ、さぞや縁無きものどもが
うじゃうじゃおったにちげえねえや。
77リーフレイン:04/07/13 09:03 ID:LF6FDiWU

”エレキテルの無い夜に、女はさぞや美しかりしと、匂い袋に頬寄せる。”

かすかな手灯り、御簾の奥。
衣擦れの音が耳の残るしじまの中にて、
零れる黒髪、重なる衣、香と女のにおひを深く飲む。
手触りの肌、ひんやりしどけなく、幻想ふ(うつろふ)女体を伴に抱く。

78リーフレイン:04/07/13 09:14 ID:LF6FDiWU

言葉を飾る、言葉を飾らなくてはいられない時。
隠したくても、隠し切れなくなった想いが形を欲しがる。
気がつかなかった深みに淀む、醜く、恥を知らない餓鬼どもが。
われもわれもと手を延ばす。
餓鬼は所詮餓鬼でしかないゆえに、餓鬼のままに見るのが辛い。
あれに衣を着せたとて、なんぞ意味があろうかと、
思うそばから、色が足される。
いまだ、心弱き吾なれば、裸の餓鬼は登られないのか。
口の端が苦く歪む。
79リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/14 13:02 ID:f8hPFiSp

四季折々のしきたりというものが
生活を彩ってまいります。
餅をつき、お節をこしらえ、重箱を蔵から出し、
家を清め、掛け軸をかえ、花を生ける。
正月から始まる一年に如何にも多くのしきたりがあり、
細々とした日常のなかに、たいしたことではないのだけれど
気にすべき作法がございます。
80リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/14 14:42 ID:f8hPFiSp

四角いきちんとした箱に、
四角くきちんと詰める喜びがあり、

四角いきちんとした箱に、
うまく詰めきることのできない焦りがある。
81リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/14 14:51 ID:f8hPFiSp
色づいてきた桃が、色づいてきている自分にまだ気づかない時、
それを気づかせる喜び。

色づいてきた桃が、媚を持ってそれを誇示する時、
それを踏みつける喜び。
82リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/15 10:06 ID:ZVXo9p65

廃屋となった古い旅館を安価で借り受け、なにやら得をしたような
気分で引越しをした。
築100年の余を越えたもとの建築はもちろん木造で、廊下の椋の
板も黒光りし、真ん中がどことなくへこんでしまっている。
梁や柱の材も曲がっているそのままが使われ、節もあり、
湧き水を流れる水のようなくねくねとした木目を見せている。
増築を繰り返し、迷路になった廊下、
あちこちに1段、2段の段差があり、唐突に階段に出くわす。
その階段も規則性がなく、3階のあの部屋へ行くには
こことは別の階段を使わなくてはいかれないという有様だった。
15部屋を数える居室は、全部を使うのは到底叶わず、使い易い
5部屋ほどを選び、各々の住まいと、倉庫と居間に定めてみた。
83リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/15 12:21 ID:ZVXo9p65
夜店(リライト)

背の高い鎮守の森の木々の中、灯りの入った石灯籠の列の間を
通りぬけたその先に、わっと騒がしい夜店が軒を並べていた。
祭り提灯、音の割れた太鼓の音。テキヤの呼び込みもかびすましく、
綿あめ、たい焼き、大阪たこ焼き。チュロス、シャーピン、韓国チヂミ。
金平糖、水中花。ビー玉、ヨーヨー、おもちゃくじ。
射的、鉄砲、弓、輪投げ。いかがわしくも、怖くない安普請の化け屋敷。
浴衣姿の若い乙女と髪の黄色い男が嬉しそうに歩き、孫につれられた爺が
孫よりおぼつかないような足取りで、追いかける。
中ほどにあったお面の屋台の影に、狐のお面をつけたどうも年配らしい男が
しゃがみこんでいた。妙に古びた面で、材質もプラスチックではない。
いぶかしく思って、足を止めてみていると、男が立ち上がり、声をかけてきた。
”面が欲しいか。いい買いもんだよ、お代はあんたの記憶の1時間分だ”
どの一時間?
”あんたの初めての夜の記憶がいいなあ”
それだけの価値があるの?その面に。
”買ってみてのお楽しみかな、俺が見えたあんたになら、きっと価値があるぜ。”
あんな記憶でいいならいいよ。
”よっしゃ、商談成立。”
狐の面をつけると、なるほど世界が様変わりしていた。
84リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/16 16:50 ID:/upokjmz

古い旋律が頭の片隅を流れているような、
冬の最初の雪の結晶を手の平に受けてみたような、
この一瞬をあと5分でいいから続けたいと望むとき
抑えようもなく涙がこぼれる。

たあいもない会話を交わしているとき、
黙って一緒に道を歩いているとき、
なんの変哲もない日常の一瞬に
永遠を望み、それが在りえない事実を想い、
たあいもなく笑い、涙を流す。
85リーフレイン:04/07/18 13:18 ID:QhGvg7pV

”金襴緞子の帯しめながら、花嫁御陵は何泣くのだろう?”

涙は、心を洗いあぐ。
独りの涙は浅葱色、独りの涙は、意地汚しか。
吾の独りを嘆くまじ、吾もまた独りなり。
86リーフレイン:04/07/18 13:24 ID:QhGvg7pV
プライドが剥ぎ取られる。
服を脱がされるように。
言葉を奪われる。接吻ではなく。
愛、尊厳、畏怖、美、あらゆるものを
ひとつづつ削いで、そいで、その後に、
情欲すらも剥ぎ落とす。
何ももたず、何者でもなく、
泡立つ白い闇。


鎖と枷をはずしたら、何をするんだろうか

多分、独りになりにいく。
人並みに寂しがりやで、めんどくさがりやで、
誰かの手がいつも欲しくって、、
手をかける誰かをいつも欲しがっているのに、
きっと、枷がはずれたら、独りになりたがる。
邪魔されずに立て直すために。
誰にも見られることなく歯を食いしばれるように。

独りになれたら、何を思うだろうか
きっと誰かがほしくなる。メビウスの輪。

多面体な認識の形が混沌と溢れる世界、
対応しきれなくなる瞬間、
どうしようもなく欲しくなる無地のキャンパス。
多面体な自分が存在する限りにおいて、
無地ではありえない世界の寂しさに耐えかねる。
87リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/20 22:49 ID:c6jWAPP5
花火大会

この日のためだけに、広くとられた河川敷は、
2メートル四方ほどの枡に区切られ、茣蓙が敷かれた。
結構な金額の升席券を買い求めた人々が、
とてもその狭い空間には入りきれないほどの密度で
枡につめこまれていく。
弁当、酒、菓子。

前座の水上花火が点火され、
夜空には大輪のこがねの菊が広がった。
1秒おいて どんっ と音がやってくる。
子供たちが耳をふさぎ、母の膝にわれ先にと乗ってくる。

どんっ どんっ ぱちぱちぱちっ、どんっ どどんっ、
おおーっというどよめきの声を背景に、
幾つもの花が広がり、命がおちてくるように空から落ちてくる。
88リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/20 23:42 ID:c6jWAPP5
 1時間前にホノルル港を出航したパナマ船籍の貨物船の上空を、
一基のヘリコプターが旋回していた。「ハッピー・マリッジ」と書かれた
旗がぶら下がり、白いドレスの女性らしき影が手を振っている。
ノリのいい音楽がかすかに聞こえる。米つぶとボンボンと小麦粉
のような白い粉が振りまかれた。
 10日後、黄色い検疫フラグを掲げたくだんの貨物船があとわずかで
名古屋港に着くという時、一本の無線が入った。
「そのまま錨を下ろして待つように。医者を派遣する。」
事情を聞くと、国際テロリストグループから犯行声明が発表された
という事だった。日本への輸入貨物船、およびタンカーにターゲットを
絞り、この船を含めた20隻に炭素菌を撒いた。
この声明の事実の確認後、日本向けの船舶の保険掛け金が20倍にはねあがった。
実質資源の移動という点で、この国は鎖国状態へと後戻りしたのだった。
89リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/20 23:57 ID:c6jWAPP5
「忘」

人は自分の記憶からは逃れられない。

三合土の感触、
散らばった藁、
乾いたおしっこの匂い、
高いところの明り取りの穴、
下の隙間から覗きこんでいる猿、
内側から掛けた鍵。

90リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/22 22:01 ID:GGh+zjVA

”頭のない猿の形の良心が、女と俺の間に横たわっている”
 こう、書いた詩人がいたような気がした。
女を愛し、女をいたぶるように追い詰める。互いの情欲を感じながら、
互いに知らぬふりをしながら我慢をする。その我慢に勝ち抜いた方が
恋の勝者となるのだろうか。いや、恋ではあるまい、欲望のゲーム。
待たされ、じらされ尽くした女はやがてプライドを捨て、跪き、
自ら足を開くに違いない。 残酷な、あるいは枯れ果てた想いを頭の
隅に抱えながら、目の前の女の全てを引き裂き、踏みにじる。
嬉々としてそれを受け入れる奇妙な生き物がそこにいるのだ。

樽に集められた葡萄を処女の足が踏みつける。
やがて芳醇な酒ができあがるだろう。
頭のない猿とともに、飲み干してしまうつもりだ。
91リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/24 12:48 ID:XWE97Moq
意志というものが形造るもの

あまりにも普通の材料でできている頭は、
あまりにも普通の夢を見て、
あまりにも普通の形を作り上げる。

さほど、ありきたりなものであるとも、
形にせずにはいられないのに、
貧相な薄っぺらさにため息をつく。

花が咲かない、
建物が鋭い輪郭でもって空を区切る。
空には変な形の雲が散らばり、
暑すぎる熱波が身を包む。

蚊が舞っていないのだ、
雨もない梅雨で田んぼがひび割れる。
エアコンの音が静かに響き、
動けない粘土の塊がとろけていく。

形のないものを捉えたいと、形を与える。
形に憧れ、形に逃げ込むのだろうか。
こぼれるものの多さに、道を失う。

92リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/24 13:02 ID:XWE97Moq
意志が形を決めていく

オカシイと決めるのは一体誰なのか
オカシイ人であるのが嬉しいのか
免罪符ではないのだ、
何かに形を与えられたとしても、
それはそれだけのことでしかない。

いくつもの心が様々に流れていく
じっとしゃがみこんでいる粘土に
溶けかけている粘土に
万象は横をすり抜けていくのではなく
手をかけていく

そして意志だけが、粘土に形を与えられる
93リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/24 21:39 ID:XWE97Moq
何はともあれ、書庫を確保しなくてはいけない。
宴会用の大広間であった20畳の部屋を書庫にしようと、
畳をはいだ。床板をはずし、コンクリートブロックを
積んでゆく。床の強度の補強のためである。100個ほど
床下に設置した後、再び床板をはめ、さらに合板をしきつめた。
本棚を端から背中合わせに設置。ジャンルわけしながら本を
置いていくつもりだ。小さめの図書館ほどの量があった。
94リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/25 11:46 ID:T2j0h1Vf
傍らに眠る寝息をおしはかり、何故この肌が触れるほどに近い人が
遠くになってしまうかと、薄い紙が挟まっているような
もどかしくも、砂をかむ想いを抱え込む。

口を開くのがどうにも重く、何かを伝えようとすると
まるで高い壁を攀じ登るように困難なことに感じられる。
ただ、黙ってしまう。

夢のような、とらえどころのない話は、受け付けてはもらえない。
毎日の生活を編み上げていくほうが本当はずっと大事なことであり、
そのための細かなことが沢山あるのだから。

ここで何を感じたのかを話してみたい。誰に会ったのかを話してみたい。
夢をみたことを知って欲しいのかもしれない。
また少し秘密を仕舞い込んで、ただ、傍らに眠る寝息をはかる。
95リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/25 12:02 ID:T2j0h1Vf
涙ではなく 微笑みを、愚痴ではなく 笑い声を、
入れ物に入れるものは、いいものを選ぶ。
96リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/25 12:53 ID:T2j0h1Vf

畳の部屋をふききよめ、香炉に香を焚きしめる。
花を飾り、四角いものをきちっと置いておく。
青磁の皿に、色合いの良いキャンディを盛ってみた。
97リーフレイン:04/07/26 11:12 ID:+7m2h/YN

古い歌を口ずさむ、箒を持って立ち働くのだ。
今日の事は今日してしまおう、明日は明日の扉が開く。

白い埃が払われる、黒ずんだ床が光りを取り戻す。
シーツが日に干され、鼠の居場所が狭くなる。
鼠を住まわせるような家ではいけないのだ。

一匹ぐらいならいいか。
98リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/26 15:47 ID:a5DPK9aj
百日紅の木

百日紅の木に花が咲いた。
丸く手を伸ばしたその先に、
レースをまとった花嫁のように、
紅色の花が咲き誇る。

百日紅の木の下で、
一冊の本を読む。
夏の日差しを目の前に、
どこからか風が吹く。

百日紅の木の陰で、
帽子をはずし、風に聞く。
夏の鋭い視線を避けながら、
秋の訪れを予感する。

百日紅の木が想いにふける。
花嫁のレース、束の間の夢。
手元の本を紐解くように、
やがて実りの秋がくる。
99リーフレイン:04/07/28 13:23 ID:GeHIipE8

城跡の公園のお堀には、防空壕が残っていた。
お堀の崖の中ごろにぽっかりと人が3人並んで立てるほどの穴があき、
堀の中で大きく半円を描いて、別の出口へ通じていた。
どちらの口もセメントでふさいであったのだけれども、
上の方と、横が少しすきまがあって、子供の体であれば
とおりぬけることができた。子供が少ない校区の中で、
そんなとこにまだ防空壕があると知っている子は少なかったのだろう。
毎日のようにその入り口を覗きこんでいたのは自分だけだった。
ある日、数人の子供が防空壕の前に集まっていた。
自分も当たり前のように仲間に入り、順番に中にもぐりこんでいった。
防空壕は柱で補強もなされていない、ただの掘りっぱなしの穴だった。
骸骨があるんじゃないか、幽霊がでるんじゃないかと、おそるおそる
入っていったのだけれど、実際、心配だったのは、崩れて生き埋め
になるのではないかということだった。
一緒に入った仲間は、そのときだけしか会っていない。
名前も知らない。顔は覚えているのだけれど。時々、彼らこそが
幽霊だったんじゃないかと思ったりする。
防空壕の中には、鉄兜がひとつ残っていた。
100リーフレイン:04/07/28 13:37 ID:GeHIipE8

狭い入り口から、光が入る。
闇に浮かぶ、穴の内部、
丸い小さな石がいくつも露出してみえる
いかにももろそうな壁面が、ゆるくカーブを描いて
ぼこぼこした天井を支えている。

3人も並べば精一杯の幅しかない通路に、
幾人の人が詰め込まれたのだろうか。
とうに過ぎた時間であるのに、
小便と汗と人いきれのにおひを感じる。

一緒にもぐりこんだ仲間たちの、一様に怯えた
感覚が、つなげた手の平から伝わってきた。
大きな声を出せば、それだけで天井が落ちて
きそうな気がしてくる。

空襲は夜が多かった。闇の中で、灯りをともすこともなく、
じっと潜んでいたのだろうか。

どくどくとやけに大きな音を立てて打つ心臓をなだめながら、
そっと通り抜けた。
101リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/29 10:04 ID:t7xsoqD9

大事にしていた磨き上げた小石を、
目の大きめの笊にあけてしまいました。
おそるおそる、ゆすっていると、
いくつもの光る小石が下に落ちていってしまいます。
一体何かが残るのでしょうか?

残ったもので、おはじきをしてみようかと、
隣の席に座ってくれた子にたのんでみました。
とても優しい子だったから、いいよ、といって、
笊でこすのを待ってくれています。

何一つ残らなかったらおはじきもできないね。どうしようか?
102リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/29 10:20 ID:t7xsoqD9

何かが堰きとめていて、水の流れが滞る。
時間が尽きるまで、まどろんでいたいのだろうか
底に溜まる焦燥感がヘドロをかき混ぜ、水を濁らしているというのに。

水はただの泥水で、腐った匂いしかしない。
いやもしかして、
何かがあるのかとさもしい願いが堰を作っているのだろうか。
どこでもいいから切り崩して、全て流してしまいたい。
103リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/29 10:48 ID:t7xsoqD9

日差しが眩しい、東風が吹く。
湿気が空を飛ぶ大きな木偶を引き連れてまとわりついてくる。
土が湿ってきた。
草が揺れる。
104リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/30 08:00 ID:HIn4BpU8

人の間に人が、人と伴に棲む。
鬼を隠して人が棲む。

およそ、生ある限り、人の世に在り、
人であるが故に、鬼は棲む。
105リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/30 08:03 ID:HIn4BpU8

鬼の間に鬼が、鬼と伴に棲む。
鬼であることを知りながら、見ないふりをして鬼が棲む。

無垢なる時を過ぎ越したモノ、
すべからく、鬼の罪を知る。
罪をしりたる鬼、人へ還る日を願いおり、
それが叶うべくもなきことを知る。
106リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/30 08:06 ID:HIn4BpU8

鬼が人を希う。さればこそ、道。
107リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/30 08:12 ID:HIn4BpU8
”祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり”

無常なる人の世にて、人であらんことを希う。
希う想い、常であれと、重ねて願う。

げにこの身の情けなきこと、想いは願いを裏返す。
108リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/31 10:59 ID:EgFa1Zr2

季節はずれのクリスマスソングのMD
古い詩の文庫本
音の出ない携帯
時折降りしきる雨
ネズミ捕りに捕まったネズミ
餌にしたパン粉
唐突に晴れる空 蝉
何もしないでいる幸せ

109リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/07/31 11:04 ID:EgFa1Zr2


指先のぴりぴりする感覚
まとわりつく湿気
肌をかすめていく風
酔っ払ったような心臓

110リーフレイン:04/07/31 16:25 ID:EgFa1Zr2
居間は、広い玄関と一体になっていて、
囲炉裏を切った板敷きの間と、畳の部屋とが隣り合っている。
一枚板でできた4本戸が板敷きと畳の間を区切り、
とりはずせば、30畳ほどの空間が広がった。
玄関から居間にかけてのこの部分は、宿の一番古い時期の建築で、
天井がなく、黒くて太い梁と、屋根の野地の裏がそのまま見える。
岐阜の奥で見られるような、高く、急勾配の大屋根でできていて、
頭上の空間が深い。
111リーフレイン:04/07/31 22:18 ID:EgFa1Zr2
深夜番組

涙があふれそうな夜、さほど見たくもない番組をつけておく。
安っぽいドラマの前に座って、安っぽい涙に酔いしれる。

泣けないことが哀しかった、
今は、情けないことに涙をこぼすのが、情けない。
自分を哀れむ涙が卑しく、さもしく、情けない。

深夜放送の古いドラマを前にして、薄汚れた頬に溜め息をつく。
112リーフレイン:04/08/01 09:37 ID:vZWt6XYR

鬼の間に人が棲むのではない
人の間に鬼がいるのでもない
鬼は人、また人は鬼。
なんぞ、吾独り、一人であらんや。
皆独りなり、独りはまた一なるものなりや。
113リーフレイン:04/08/01 10:09 ID:vZWt6XYR

一本の指が
示す先にある薄汚れた雑巾

二本目の指が
示す先にあったぎざぎざに切り裂かれた空き缶

3本目の指が
示す先にある一つの函

指の指していないところへ
彷徨い歩く


114リーフレイン:04/08/01 21:49 ID:vZWt6XYR

床板をあげて、床下を覗き込む。
さぞやけったいなものがあるやろうと思っていたのだが、案外ときれいな
ものだった。床の間の下にあたる場所に、小さな仏像が3体転がしてあった。
仏像の中に納める小さな仏像だと思われる。彫りはぞんざいで、手慰みに
彫ったような10センチほどのものだった。顔はいい。
この場においておくのがきっといいのだろうと、小さな座布団を用意して、
再び床下へ置き、床板を閉じた。
115リーフレイン:04/08/01 23:35 ID:vZWt6XYR
今日のオカズは何ですか

9匹目のネズミが
台所に顔を出した。黒い目が見詰め合う。

にんじんがありませんね。
たまには美味しいものが食べたいです。

ネズミ捕りに貼りついたネズミがキュウキュウと鳴く。

今年は葡萄が食べれない、食べれないったら、食べれない。

今日のオカズは何ですか?
漬物が少し酸いようですね。

ネズミの通り道は決まっている。
だんだんと大胆になるネズミ。

ご飯は前の晩から研いで水に浸しておいておくものです。

10匹目のネズミは、机の上に登り、置いてあった5つのおやつを
食べてしまった。
帰りには20この糞をふりまいていく。
116リーフレイン:04/08/01 23:50 ID:vZWt6XYR

飾る

灰色の顔に、白粉を塗る。
ピンクの頬紅を差して、花を装う。
複雑な色のルージュを塗る。
接吻お断りの標識をかかげ、その裏で誘う。
目元に白いシャドーをかける。
本当は無い秘密をほのめかすように。

中身の無い箱を美しい包装紙で包み、
あでやかなリボンをかけた。
決してあけられる日が来ないように、
鍵を厳重にかけたショーウインドウに
100円均一で買った花と一緒にさりげなく置いた。
117リーフレイン:04/08/02 15:43 ID:axhnm6uf

鬼は、鬼であるのが好きなのだ。
美も、混沌も、善も、悪も
鬼であることから、発するのかもしれない。

影なくして、光は無い。
最高に明るい光は、最高に暗い闇を同伴している。
118リーフレイン:04/08/02 21:50 ID:axhnm6uf

西へ往く船が港に停泊している。
乗れないのであれば、いっそ破壊してしまいたくも思う。
彼らなくしては、
この世の儚い夢はいっそう儚くなってしまうのだろうから。
彼らにとっての、最期の夢に違いないあの船を。

多分手遅れになるまで、決別する潔さもなく、
ここに立ちすくんでいるのだろう。
視線をそらすことすらできないままに。
119リーフレイン:04/08/03 11:56 ID:iCmua3b2

善良な女

人の悪意は気持ちがいいの。
コインの両面、嘘と本当が裏返る。
たまたま表に出たほうが本当なのよ。

現象そのものですら人の意識の限界でしか認識できないのなら、
意図は、カオスの海に溶け込んでゆく。

私はただの基地外です。
いえいえ、ただの母なのです。
男たちは、勝手きままにいろんなものを
私の中へ注ぎ込みます。
わけのわからない子供をカオスの海に産み出しているんです。
120リーフレイン:04/08/03 13:00 ID:iCmua3b2
666は悪魔の数字

涎を垂らして、せがむの、
お願い、お願い、お願い。

恐怖と自己嫌悪の苦くて甘い味が
鉄臭い香りと一緒になって、口一杯に広がるの。
ブランコを漕いでいたら、一周しちゃった。

知っていること、感じていること、そっと箱にしまい込み、
ただ畏怖だけを抜き出しておいた。

121リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/05 11:43 ID:mWlUUOoP

私は貴方の作品です。
きっとそんなつもりはなかったのでしょうが、
風変わりな文字を読むにつれ、
私という名前の粘土の塊は、
変形を重ねてまいりました。

昔の私と、変化しつつある今の作品を比べることは
本当に意味がないのですが、
自身は いびつで、さして見るべきところもない今の作品が、
とても気にいっているのです。
122リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/05 11:48 ID:mWlUUOoP
夏の雨

厚い黒い雲の塊、
突然ふりしきる雨粒。
横殴りの風。
稲光。
エネルギーが集約しているの。
123リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/05 20:42 ID:mWlUUOoP

少しづつ、螺旋階段を下りていったら、
奇妙なことに、
日々のことがうまくできなくなってしまいました。

買い物ひとつ満足にできず、店の前を通り過ぎ、
3周も回ってから、やっと店内に入る始末です。

ろくでもない女になっているというのに、
前の女よりは、よほど今の方がよろしいなと思うのは、
きっと心の風通しが良いからなのでしょう。
124リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/05 20:48 ID:mWlUUOoP

言葉が空気を振動させながら、伝わってまいります。
感情が波紋に色を添えるのです。

あのキンキンした色を作ってしまったのは、わたくしであり、
それを和らげることができるのも、
また わたくしだけなのでしょう。

速く中和しなければいけません。
125リーフレイン:04/08/07 19:54 ID:nfNpk695

葡萄が黒く実っていた。

小さい粒で、
手が入っていない、だらだらと伸びた房で、
虫食いのあとだらけだったのだけれど、

美味だった。

ただ、ただ、美味だった。
126リーフレイン:04/08/08 18:03 ID:MSy4Z5k4

気がつくと、歯を食いしばっている。
いったいなにを食いしめているのやら。
形のない鬼に追われているのかもしれない。

笑う猫の面を顔に被ってみようかと思う。
つられて、鬼が笑ってくれだろう。
127リーフレイン:04/08/09 20:00 ID:tv0IRbYo

白い箱のような部屋の中から、
一つだけある窓へ向かって金色のラッパを吹いた。
大きく開けられた窓から、金色の鐘のような音が、
青い、青い空へ散らばっていった。

白くて小さい鳥が、金色の音を一つ捕まえて、
そっとくわえて、お日様のところへ運んでいった。
お日様は、にっこり笑って、金色の音をぱくっと食べてしまった。
光がまた少し輝きを増した。
128リーフレイン:04/08/13 09:53 ID:xkYjEv72

お盆の客が来ている。
生者も亡者も伴にきていて、
いちように口をあけて、空っぽの茶碗を箸で叩いて待っている。
129リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/19 07:58 ID:avfWDlnL

皿にとった醤油の海で
小さな虫が蠢いている。
運転している車のガラスにカエルがへばりついていた。

いちいち本物かどうかを
疑うのは面倒なので、とりあえず本物だと思ってみた。

黒板に書いた字をきちんと読み取れないのは本当に困る。
130リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/20 23:49 ID:V6VWXzfG

船首に掲げられた女神像は
いまだ乙女にもならない少女の姿で、
かすかな丸みを帯びた乳と、すんなりとした四肢
額にユニコーンの角を頂いていた。
誇らかに頭をあげ、強い光を目に宿し、
風を予知し、嵐を避け、幸運を呼ぶというその女神は
期待にそむくことなく、航海を導いた。

ある凪いだ夜、一人の神が訪れた。
船首の女神に一目ぼれしたイルカの神。
彼女を海へと誘う。誘う。
気を引かれる女神に、船乗りがおののいたのだ。

銛が打たれた。血が流された。
女神の角が黒く染まり、
船首像はひび割れた。
後悔の想いはすでに遅く、
船は海へと飲まれ、藻屑と化した。
131名前はいらない:04/08/21 15:50 ID:VCsWIQA0
あまりよくわかりません。
132リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/21 20:22 ID:qVm24lHk
>>131
あ、どうもすみませんです・・・・。こりずにまた、寄って下さい。
読んでくださったみたいでありがとうございます。
133リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/21 20:30 ID:qVm24lHk

世界のどこかに
一本の木がある。
ごくありふれた、どこにでもあるような木だが、
それは、一人の老女が心をこめて育てあげ、
春には白い花を咲かせ、
夏には深い緑の木陰をつくり、
秋には実をたわわにつけ、
冬には、枝のなにがしかを、
暖をとる糧にと提供してくれた。

老女は、枝を整え、肥料をほどこし、
土をほぐし、虫をとり、わらをひき、
水を運んだ。

秋にはその実で10瓶のジャムを作り、
そのジャムは世界中で待ちわびている
たった10人の手へと運ばれていった。
134リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/21 20:31 ID:qVm24lHk
やがて、老女の骸が木の根元に埋められた時、
木は自分が老女の生命そのものであったこと、
そして、そのことを 人 に伝えたいと想った。

その春、木は自分の花びらと葉を、
渾身の思いを込めて、
はるか遠い、街の雑踏の中へ吹き落とした。

真珠のように白い花びらと、つややかな深緑の葉に
一人の青年が眼をとめ、拾い上げた。
周りを見渡してから、そっと手のひらにのせ、
深いため息をついた。

木もそっとため息をついた。

そして、青年は、ひとつの詩を書き始めたのだ。
”世界のどこかに一本の木があった。・・・・・・”
135131:04/08/21 22:34 ID:Q0ByJX87
>>132
こちらこそ乱入して失礼しました。
>>133も他で読みましたが、やはりよく解らない‥‥
「深いため息」のイメージは、リーフレインさんの伝えようとしている
意図どおりに伝わっていないような気がします。

深いため息、とあれば 普通は「ガッカリ」みたいな感じですが。
136 :04/08/22 10:18 ID:zawLIWnR
やあ。。。。
丸一日 2chから離れると永く留守ったよなカンジです
起きぬけの酒の肴には ポエムよりホームのほがラクだわ

殺伐とした前線のがいいのはもどにもならないのよね
「ああああ」てあなたはゆだろうけどw

あすこならば天と地がある 
天と地があれば眩暈がマシなの 
無重力で漂う躯体で眩暈を起こすと脳もココロも分散しちゃうんだよね
キツク結んで繋ぎ抑えてるモンがばらばらとこぼれそうでこわいや
ボクの成層圏が重力を失ってしまうよでグルグルしてきちゃう

夢見の蜘蛛の糸をあなた繋ぎながら 文字を拾っちゃうの
あなたのせいじゃないんだけどね シンクロなのだろうと思います

ナナメ読みにしとくw 無理してるわけじゃないよ
だからこんなコトを書いたのさ

ここを汚しちゃったかしら でもそんなコトを気にしてる場合じゃあないかとw
137 :04/08/22 11:02 ID:zawLIWnR
勝手に押しかけてなんたる言い草なんでそうね
胡瓜じゃなくてトマトとタマネギを刻んできました
タマネギのせいじゃなくて俎板の前でも涙が止まらないなら
もう無理なんだよね じゃあまた



138リーフレイン:04/08/23 10:26 ID:wf2M+vQA
>>135
返事遅くてすみません。深いため息の意図は、木の死です。最終行で、過去形に
なるのは、詩人である青年が、葉っぱと花びらの主の生命がもうなくなることを
感知したためだと思ってください。明確に書かなかったのは、暗くなりすぎると
思ったからです。世界のどこか遠くの山から、街の雑踏まで、春のまだ葉が
青々しているのに切り飛ばしてしまえば、生命力もなくなろうというものです。
もともと、果樹系の木というのは比較的寿命が短いのです。
139リーフレイン:04/08/23 10:28 ID:wf2M+vQA
>>136-137
いらっしゃいまし。あまり無理しないで、できたら糸をつながないでくれるほうが
いいみたいです。あまり綺麗ではない。でも、泣いてくださってありがとうございます。
今日、ホームへも書きます。多分それで整理できる予感がします。
140リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/31 09:02 ID:Z0qNZZpx

風が怖いです。
ヒューヒューする音が怖いです。
キンキンする音が怖いです。

怖いのは、抱かれるのに似ています。
いつも、いつもとても怖い。
怖いのは、気持ちがいいのです。

ちょうど、とろとろに煮詰めて、ブランデーを入れた
いちごジャムのようです。
スプーンですくって口に頬張ると、
頭がずきずきするほど甘くて、苦くて、
酔っぱらってしまうのです。
141リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/08/31 09:03 ID:Z0qNZZpx


風が鳴る、屋根が鳴る、ガラスが軋む。
光が揺れる、心が揺れる、視線が揺らぐ。

大風が吹き荒れる、空気を乱して。
荒ぶれる神がやってくる、大雨を伴にして。

誰もいない、誰もいない、誰もいない、誰もいない。
しがみつくもののないままに、
視線だけがおどおどと彷徨いあぐねる。
142リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/01 12:39 ID:hZY6XnZo

2階から蛇が一匹降りてくるのに出会った。
細くて長い蛇で、頭が小さく黄緑色の背模様だった。
家の2階に住んでいるのは自分だけだと思っていたのが
どうやら間違っていたらしい。
お互いビックリして、暫く顔を見合わせて固まって
いたのだけれども、気を取り直して上がっていくと、
蛇も、するするっと降りていった。
やはり少々動転していたのか、最後の3段ほどは
ぼてっぼてっとたごまるように落ちてしまっていた。
143リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/06 09:47 ID:4YwKqMMf

きんかんの白い花が落ちて、黄色い実が育つ。
柿の浅黄色の固い花が、にび色の実を結ぶ。
虫食いの穴が黒くうがたれている。

彼岸花が鬼のような顔を見せて、畦道を彩る田んぼに、
夜這いの草蔓が、密やかに這い巡っている。
144リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/06 11:44 ID:4YwKqMMf
「迷惑」

善良な女ががにまたで歩く。
昨日善意の言葉をまくしたてて悦にいっていた。

善良な政治家が、胸を張って歩く。
善意が嵩じて、戦争を始めた男だった。

善良な少年が密やかに歩く。
善意のままに、善良な政治家を殺そうと心に決めている。

誇りを捨てよ、と猫が振り向きざまにささやいた。
それを聞いた少女は、自分の舌を引き抜いたのだった。
145リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/07 15:56 ID:76EJnL6L
"生命の有様のやるせなさに涙を流し、
今ここにある偶然に涙する"

口にできぬ想いのたけを、
文字になし、
そっと沈める黒々とした淵

名も知らぬ、顔も知らない誰かの文字を、
拾い拾いて、途方にくるる

黒々とした淵を彩る彼岸花、
空を仰ぎて 風にのる君
146リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/07 15:57 ID:76EJnL6L

死神の訪れは、一切の意味を持たず、
吾が吾であることと死とは、本来的に断絶されている。

生まれもしなかった、カエルのような赤子は、
産院の手術台から、どこかへ流されていく。
彼我の区別もない幼児もまた、無差別に死を迎える。
90の余を越えた老人が、骨となる。

誕生と死は、同等に意味なく発生し、そこに吾はない。

何故今?
何故吾が?
何故この子が?

虚しい問いががらんどうの世界の隅で発せられ、
応えられることなく、木霊する。

意味のない、区切りと区切りの狭間に在りて、
吾が、貴方が、この子が生きる。
意思を持ち、想いを遺す。

一本の雑草のごとく、生きる。
147リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/08 15:56 ID:cBhcbXSd
「無限ループ」

善良な人々が、自らの善良さのために、
世界を壊し始めたので、
悪意ある人々は、苦笑を浮かべて、私利私欲のために、
世界を守ることにした。

誇りを捨てよ、と言われ、
自分の舌を切り取った。

とことんまで堕落してみろ、と叫び声が聞こえ、
少女であった身を豚の餌にした。

守るものに拘るな、と耳元でどなられて、
自分の子宮をえぐりとってみたのだ。

はて、我ながら、これでどうして生きているといえるのかと、
すんべらぼうになった自分をためすがえす眺めてみてから、
銃を手にとって、そんなことを言い出した奴を
殺してやろうと歩き出したのだった。

善良な人々が、自らの善良さのために、
世界を壊し始めたので、
悪意ある人々は、苦笑を浮かべて、私利私欲のために、
世界を守ることにしたわけだった。
148リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/09 20:52 ID:JejJlh9g

虫が鳴いている
声のならい叫びが頭の中に響く
不自由な、言葉にならない叫びがわんわんと反響する。

干からびた豆腐のような灰色の脳みそに
ひびが入ってばらばらに壊れていくのだろうか。

言葉を組み立てるのが辛い
虫が鳴いている
149リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/13 20:02:55 ID:59fMTfy9

月明かりの参道を上がっていくと、
いっとう上には小さなお稲荷さんがあった。
朱塗りの鳥居がいくつも並び、
石畳の両脇に蝋燭の灯った石灯籠の列。
その光を下から受けて二匹のお狐様が笑っていなした。

つっかけを脱ぐと、手と足を洗い清め、
階段を登り、鳥居の列をくぐり抜け、お参りをする。
石ころを一つ拾っては、最初の鳥居の足元へ置いていく。
素足のしゅっしゅっという足音がかすかに響き、
遠い雑踏の轍の音が遠雷のように木霊する。
お稲荷様に信仰心があるわけではないのだ。何かご加護があると
信じているわけでもない。ただ、何かしないではいられないうずうずした
思いが、ここに来させているのだろう。
石ころが50も越えるころには、そんな思いもどこかに消えていて、
ただ、歩くだけのものに成り果ててきたような気がした。
150リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/13 20:03:59 ID:59fMTfy9

石灯籠の灯りが、一つ、また一つと消え、また一つ、一つと点いている。
頭のどこかで、そんなわけはないだろう、と思いながらも、
一方で、当然の出来事のようにも感じる。
灯篭の後ろから、影のようなものの気配が集まってくる。
怖いんじゃないの?と誰かが聞き。
怖くないなあ。と誰かが応える。
ヒエヒエと笑う声が頭の後ろで響く。
何かを置いてくるような、どこか透明になっていくような。

100度を終えて、手と足を清め、月明かりの帰路につく。
闇が暖かい。木々の向こうにある闇が身の内のように感じられる。

影のようなものが、一緒に歩いている。
奇妙に暖かく、冷たく、一緒にいたがっているのがわかった。
傍らの岩に座り、目を閉じてそれを見る。
きっと、今ならば、あれは思うがままの形をとれるのだろう、
男にでも、女にでも、狐にも、獏にもなるのだとわかる。
今日は影のままがいい、と思った。
明日もくるから、待っていてくれと頼んだ。
151北 ◆Ui8SfUmIUc :04/09/16 04:39:45 ID:VJEuIWyn
まいど、コテ使ってくれてて嬉しいっす。

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トラックバックとは というヘルプから引用しました。
どうもプログ同士の情報交換をより円滑にするシステムのようでした。
俺のとこには必要なさそうだったので、外しました。

カキコのときはコメントからおねがいします。

ありがとう。

152 :04/09/16 04:42:30 ID:dDDF9twu
落ちぶれてまどろんで 今目覚める時かもね
そう告げた鵺が朝日を浴びて風見鶏を模った影を残す

天高く翻る雲雀 闇夜の烏 そして孔雀の羽のベッドに変化する
本当の泣き声は絶対に聴かせない ただただ優しく羽の先で稜線をなで
綺麗だと賛美する 風を読む私 雲を動かす翼の獣

さらに天上を飛ぶあなたに私はどう見える?




それが聞きたくて仕掛けるのよ
 

再会の印を刻むの
153リーフレイン:04/09/16 20:08:22 ID:mfKimZTp
>>151
丁寧な説明ありがとうございます。ランダムな議題が乱れ飛ぶ議論に
便利な機能なんですね。見た目が乱雑になる弊害もありそうだなと
思ったりいたしました。また、寄らせて頂きますです。よろしくお願い致します。
154リーフレイン:04/09/16 20:22:54 ID:mfKimZTp

月明かりの凪いだ海、一人船を漕ぎ出した。
そっと、服を脱ぎたたみ、
黒々とした波の合間に足から身を浸す。

海の中には、蛸ひとり、待ちかねたように
受け止めて、息をつぐのも忘れ果て、優しく、
そっと睦みあう。

しまいに、彼はその口に、そっと私を吸い込んだ。
鋭い歯で傷つけぬようにと、そっとそっと吸い込んだ。
最後に長い髪の毛を自分の手でたくしこみ、
彼の中でまあるくなった。

半透明の彼の中、月明かりがかすかに揺れる。
まあるく、まあるく ちいさくなって、
ゆっくり、ゆっくり、眠りについた。
155リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/16 21:07:54 ID:5MkuXh3u
>>152
また難しい宿題をーーーーーー。
土の中で寝ほうけているがま蛙が空を飛ぶ鷹に一体何がいえましょうか・・・。


しなやかに、のびやかに、空をゆかれんことを祈りあげます。
肉体の糸を切らさずに、バランスをとってゆかれよ。
156 :04/09/17 00:56:10 ID:LPuUBFjQ
や 

あれは 雲を駆ける天馬に捧げたの ごめんよ ここに刻むべきじゃなかたかも
失礼しました でも僕には大切な印なの


僕はいつも彼等を目指す彼等を想う
彼がそして彼が注ぎ水門の封印を解いたのです
策士を気取ってるんじゃないのよ
季節が変わるように 波がとろんと穏やかになり陽が沈んで潮が引き
海から風が吹くように暦が巡り僕は息吹く

その先が見たいんだ 見せてよね
生来から死に至る寸前の瞼の重みが消失しても そこに昔から在る星の永遠の目が欲しい 
づっと見ていたいんだ 見せてよね どうなるか見たいんだ

追わずも全てが見渡せる大きな惑星になりたいの
そこは孤独かもしれないが 僕は僕が在る場所に導かれ終焉を待つ

もう眠いや 
157リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/17 07:45:46 ID:XMd4QFWh
>>156
いやいや、そういう事情であれば、是非ここ使ってくださいまし。
あまり遠くばかり見るのでもなく、足元も見てくださいましな。
案外くるっと回っているのやもしれません。

ウロボロスの蛇の輪のように。
おやすみなさい。
158リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/17 07:56:06 ID:XMd4QFWh

涙が小さな天使の像を濡らし、

微笑みがその天使を照らし出す

いざ、詠わん 死への歌を、生命の歌を 祈りの歌を
159リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/17 08:25:49 ID:XMd4QFWh
「高校2年の秋に」
3軒となりのなおにいが、プロポーズをしてくれた。
5つ上のなおにいは、来春大学卒業で、内定もらって、
嫁ごが欲しいと言っていた。

5つ上のなおにいは、ずっと憧れのにいさまで、
思わず心が跳ねとんだものだけど、やっぱり不安がつのります。
うちもあちらも農家のいえで、一人息子の一人娘。
農家の仕事はようくしってて、やっぱり不安がつのります。
今はジリ貧の百姓なれば、にいさま勤めにでなさるし、
おうちに残るじじばばたちと、一緒に田畑を守るのやろなあ。

ため息一つついてから、窓から外を見やってみれば、
赤い柿のみが3つ4っつ、青い空にはえまする。
高い空に風がふき、深い木々が華やかよ。

居間にもどれば、かあさまが、洗濯物をたたんでました。
”かあさん、私、大学行ってもいいかしら?”
”そらかまわんけどが、何を急に言い出すのやら?”
”西のなおにいさまが、うちと結婚したがってんよ”
”ほう”
”そんで、なんか不安になってん”
”まあ、そら自分で考えななあ。大学行ってもええんだけどが、
 きちんとせんと、とうさん怒ると思うええ。
 あとな、浪人はあかんえ。お金かかるでねえ。”

赤い夕やけ、西の空
3軒となりのにいさまの、窓の下へと走ります。
”ねえねえ、にいさま、キスしてください。”
160名前はいらない:04/09/18 19:55:34 ID:TFgDUc35
>>159
これは実話ですか?
切ない農家の悩みが伝わってきます。
身内も農家ですから良く分かります。
特に、じじばばたちと一緒に生活は嫌です。
161リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/19 08:17:16 ID:Ajn2sWfb
>>160
残念ながら、実話ではないのです。私はこういう、長い時間お互いを見つめて
はぐくむような恋愛はしたことがないので。。。羨ましいような気します。
農家については、同じく身内がそうで、よく知っていますです。
この詩は
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/poem/1035221277/538-539
ここの鑑定スレでの詩に触発され、逆視点からのを書いてみようかなと思って、
書いたものです。キスの結果がどきどきしますよね。w
じじばばたちとの生活というのは、まあ、いずれは発生しちゃいますね、
老いれば、介護も必要になるし、土地の管理も労働力がかかります。
ただ、お元気なうちは、頑張っていただいて、核家族してればいいと思います。
そう考えると、速く結婚しちゃって、2人で遊べる時間が長いほがいいのかなあ?
微妙ですです。
162リーフレイン:04/09/20 09:12:03 ID:QXwlu93Q
「フェチ」

どうぞ、野原に連れていってくださいまし。
花は手折らずにおきませう。

今ならきっと、とげとげした草の実が、
たくさん、お服につきませう。

そうしたら、わたくしが、ひとつひとつ
とってさしあげます。

貴方もきっと、わたくしを
綺麗にしていただけませうか?
163リーフレイン:04/09/20 10:47:05 ID:QXwlu93Q

丹念に綿に包み、桐の箱に入れ、袱紗に包み
慎重にいずこにか隠した秘密は、
暴かれることを期待している。

秘密を隠した存在は、胸の動悸を抑えきれずに、
ちょうどかくれんぼで探してもらえるのを
息をころして待つように、
最後のカタルシスを待ち望む。

明かされることがなかった秘密ほど、
期待はずれなものはないのだ。

汚らしい秘密を隠す、
唾棄すべき秘密を隠す。

その心の裏で、いつかそれを誰かが探し当て、
なじり、この重みを降ろす日を待ち望み、
願わくば、その後に許されることを夢見るのだろう。
164:04/09/20 21:44:28 ID:bBdYXsdu
>>162

「夏休み」

君ん家のテラスで

おでこくっつけて

一つのアイスキャンデ−

二人で食べてたら

君のママがみつけて

「やあねえ」って言ったんだ

白いブラウス

昼下がり

時計もみてみぬふりしてた

大人戦争1勝0敗


165:04/09/20 22:07:06 ID:bBdYXsdu
前髪は上げないでいて 白い額にかかるのが綺麗さ

ほおずき口に含んで ゲッて吐きだす茶気が好きさ

庭で摘んできた レンゲの束を贈るよ

君は町娘 僕は郊外のカウボーイ

もすこし大きくなったら 窓辺に迎えに来よう

最新型の自転車で隣りの町を見に行こう
166リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/21 08:17:51 ID:iJH0EQ9T

曇りと雨が続く日々の中で
思いがけなくも、晴れ間が訪れ、
束の間の青空と太陽が見える。

本当に本当に、思いがけなくて、
本当に本当に、考えてもみなかったので、
折角の青空が、滲んでしまって見えない。

夢を紡ぐ、

束の間の夢を紡ぎだす。

できるならば、この上もなく美しい夢を
紡いでみたいと思わないでもない。
さあればこそ、生きる糧にもなるのだろうと。

浸るのではなく、
乾いた心の受け皿に
水を注ぐような夢でありたいとも思う。
167160:04/09/22 02:18:32 ID:YRzgPQPm
>>166
この詩は何を意味してるんですか?
夢って何ですか?
168リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/22 12:52:17 ID:vXjlBhOI
>>167
申し訳ないけれど、この詩は構築性を意識して書いたものではないの。
どうぞ、感じるままに感じてください。
169北 ◆Ui8SfUmIUc :04/09/22 13:12:43 ID:BjYH2+zu
デかきむち
170北 ◆Ui8SfUmIUc :04/09/22 13:13:05 ID:BjYH2+zu
あああ、誤爆
171北 ◆Ui8SfUmIUc :04/09/22 13:13:34 ID:BjYH2+zu
ああゴメン、誤爆しました
172リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/22 13:30:36 ID:vXjlBhOI
>>169-171
www。お気遣いなく。。。ww。

時折、お客さんがみえるのは
忘れられていないような気がして、
ちょと嬉しいです。
あまり、掃除もしていない乱雑な部屋ですが、
本の一冊でも読む間ぐらい、ゆっくりしていっていただけると
よろしいなと思います。
173北 ◆Ui8SfUmIUc :04/09/22 13:39:48 ID:BjYH2+zu
「泥沼に足が浸っている」

僕の周りに人が居る
その人数が増えるほどに、
僕は泥沼に沈殿してゆく

深く孤独に沈んで

僕は一人で生まれ、そして一人で帰って逝く
いったいどこから来て、どこへ往くのか

そんなことを考える

けれど結局は頂戴した人生なのだ
これからもこうして、
僕の周りに人が増えてくると、
謝ることが多くなるだろう・・

感謝できればそれでいい

そう思えたらね

泥沼の底に、なんか入り口のような
明るい光が見えてきた!



174リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/22 15:52:54 ID:vXjlBhOI
>>173
ドゥエンデ (映画、恋は魔術師より)

アントニオ・カデス フラメンコ舞踊団の映画にであったのは
京都 八坂神社前 古い三本立ての映画館で、
午前中の空きコマを埋めるためと入ったのだけれど、
深夜まで席を立つことがかなわなかった。

冒頭で、ロマの男の子が唄う。
”この世には男と女しかいない”
汚い差し掛け小屋の前で、
やるせない真実を淡々と唄う。

わからない、
わからないのだけれども、
ロマの少年が唄っているのは、一種の絶望であり、
どん底であり、一切の虚飾を削いだ姿なのではないかと思う。
フラメンコという人生のありようは、
そこから出発し、
それなければ、命はいらないというものだけを
生きていく人生ではないかと思う。

冒頭で少年が唄う。
それはフラメンコの最初のサパテアードなのではなかろうか
リズムのない、つんのめったようなパッションの塊は
憤りを、絶望を、虚飾をタブーをも削ぐ前奏で、
ピュアな核を剥き出しにする儀式にも思える。

命と引き換えて悔いのないドゥエンデ。
175北 ◆Ui8SfUmIUc :04/09/22 17:07:20 ID:BjYH2+zu
>>174
アイレ=フラメンコらしさ

ドゥエンデはこのアイレがまず最初にないと話にならない。
フラメンコな生き方、フラメンコな人生 フラメンコな空気の中、
ある条件が揃ったとき、ドゥエンデは出現する。

それはまるで、遠く離れた二人が同じ太陽の下で、
同じ落日を観るようなものだ。

同じ思い出に浸るようなものだ。

そして何かを共有するようなものだ。

フラメンコは成長する。新しい楽器を使ったり、
新しい文化を取り入れる。

けれどもフラメンコというものはこのアイレによって、
フラメンコを外さないでいられる。

人間も成長する。新しい知識を取り入れたり、
新たな人間と出会ったりする。

けれども人間というものが、人間を外さないでいられているか、
それは死の捉えかたでそれを大きく左右する。

人間らしさの問題。




176 :04/09/23 17:34:39 ID:8tnEGE52
幼子が転びました

私のせいだそうです
私は触れてない でも そう彼が言うように私のせいなんです
私は触れていない でも ずっと見ていたんです 彼もその目線の先を



無邪鬼とういう若い魔物がいいました

「幼子が転ぶのをあなたは知っていたのだ」

それを知りえた理由は自然界の法則に近いもので
人知では計れない

私は知っていたんです 幼子が転ぶのを でもそれに気がつかなかった
自分で知っていることを気がつかなかった

気がついたら私は預言者となります
「不幸」を当てる預言者です 
不幸と伝える者は不幸を持ってくる鬼です


だから私は気がつかないんです


そうやって小さな封を留めて自分の中を彷徨います
それは永遠の旅なんです

177:04/09/23 21:37:43 ID:jknXSik3
いいのさ

この世界はもとより

俺たちのものでないのだ

ルール埒外なら

裏のテグスを見よう

いっしょに世界の

軋む音を聴こう





178リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/23 21:47:46 ID:9XMT/8bc

とがった耳を持った人間が
丸い耳の中に混じる。

丸い耳であるように振る舞いながら、
自らも丸い耳であるように思い込みながら、
丸い耳の中に混じる。

嫉妬、憧憬、疎外、期待、怒り、依存、愛おしさ
異界を見る者への複雑な感情が錯綜する。

憧れてやまない君らへ、しなやかに通り抜けていかれんことを
179160:04/09/24 03:06:26 ID:brJDaVaL
>>168
理解不能です。
すみません。
どうしたらそういう詩を書けるんでしょうか?
自分の生活の中から詩に結びつくような事を探してもなかなか見つかりません。
でもいつも読ませて頂いてます。
これからも楽しませてください。
180 :04/09/26 23:31:27 ID:B59r87HV

籠の鳥が死ぬ理由を知っています


あたしが空に触れたから。。
181 :04/09/26 23:48:41 ID:4hHLaiH2
歳をとるのは怖くない
老いるのも 微々たる美貌も若さも失うのも怖くはない
残るのは少しの宝飾と楽観の裏に潜む闇


この身を省みることなく醜態を晒すのが怖いです
それは目が見えないのと同じです
鼻が利かないのと同じです
考えないのと同じ

それはとても楽なことって知ってる

そうなるのが怖いんです
売り渡したら容易に買い戻せない脈拍なんです
いつも暗いトンネルを裸足で歩いてるよう
足の指が凍えても暗くても耐えられる でも行き先が見えないのは怖いです

風が吹いていれば その方角に向かって歩けばいい
肩にかかる髪がなびくその先が暗闇でも手つたいに進めば
出口はそちらにあるんです 出口に灯りが見えなくても夜空が暗く新月でも
風が吹けば私は歩ける

気が流れる先にある場所 石畳の冷たさ

滞ったら自分で湿気を含む風を起こすしかないの

見えないのが怖いからです
182リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/27 08:07:57 ID:/mbWcrMc
「女」

ダリの絵のような歪んだ風景の向こうに
深い森が広がっている

手前の白茶けた荒れ野には、さまざまな心象がちらばり、
シュールでありながら、どことなく全体に統一がある。

角度を変えると表情を変える奇妙なオブジェが 一つ
黄金率を少しはずした地点に横たわる。

男でもあり、女でもあり、
汚辱でもあり、静謐でもある。

卑猥でもあり、純潔でもある。
地に埋め込まれ、うごめくようでもあり、同時に宙に浮き漂うようにも見える。

オブジェは鏡であり、白い布でもあった。
いかようにも染まり、虹のごとく見る人の目を幻惑させる。
めくるめく花束、カラフルなキャンディーの入ったガラスの球体。万華鏡。
鏡の迷路に迷い込んだ人間は、どうやって道をみつけたらいいのだろうか?

背後に控えた森は深く、濃い。
森のどこかに朽ち果てた大木が横たわる。

大木の洞の中で
小さな少女が泣いているのかもしれない。
ずっとずっと、泣いているのかもしれない。
183リーフレイン:04/09/27 10:16:26 ID:QOleV5tL
>>180-181
鳥かごは、天辺が開いている。

一人の詩人がいた。
自由な思想が許されないと、箱に閉じ込められた詩人だった。
来る日も来る日も、灰色の箱の中、
窓もなく、身を横たえるほどの空間もなかった。
詩人は、心の中へと心を飛ばした。
長い、長い、長い日々、
狂うことなく、心のなかに楽園を描き、現実を描き、思想を組み立てる。
体は弱り、現実を失う仲間を一人、また一人と見送りながら、
心を構築し、現実を認識しつづけ、楽園を夢にみた。
詩人の体は箱の中であったのだが、心は天を翔けめぐるのだ。

時がめぐり、詩人は外へと連れ出された。
罪はなく、英雄であると讃えられる。
詩人は、箱を作り、自らそこへ入ったのだ。
もはやそこでしか詩を作ることができなくなっていたから。

鳥かごは天辺が開いている。
風をきき、風に触れ、涙を流し、笑いを飛ばしたまえ。
人に触れ、愛し、愛されたまえ。

184リーフレイン:04/09/27 10:23:21 ID:QOleV5tL
「子守唄」

家の東側の少し高台になったところに、昔ながらの井戸がある。
もう、どこでも見なくなったような、釣るべ式の木桶の井戸で、
普段は、重い蓋がのっているけれど、今でも冷たい水が汲める。
最初の2,3杯は、表面を掬うように上澄みをすくい捨て、
ようやく使う水を汲むのだけれども、
身を乗り出した拍子に、誤って声を落としてしまった。
あっと思うまもなく、白い小石のような声が黒い井戸へ消えていき、
”あっ”という声をたてて、水に沈んでいってしまった。
急いで桶で、すくってみたが、沈んでしまった声を拾う術もなく、
諦めて家へ戻った。

失くしてみれば、案外と良いことも多くて、
嘘や、失言、言い訳、ひがみ、陰口、皮肉一切合切
つい口をつく嫌な言葉を言わなくてすむ。
中々調子がいいなと思うのだ。
もちろん、励ましや愛情、慰め、誉め言葉も失くしたのだけれども、
よくしたもので、手を握り、肩を抱きしめ、頬を摺り寄せるほうが
余程気持ちがよく伝わる。

ただ一つだけ残念なのは、歌を失くしたことで、
これだけは、ときおり、とてもとても哀しく思う。

185リーフレイン:04/09/27 10:25:46 ID:QOleV5tL

そんな夜には、あの白い小石が
井戸の底で
子守唄を歌っているような気がしてならない
186リーフレイン:04/09/27 10:41:38 ID:QOleV5tL
幻想

いぶし銀の男が一人、夜の街を歩いている。
薄汚れた路地を通り抜けぬけ、壁の薄い部屋へと帰る。
手にはコンビ二の袋を提げ、今日の食事となるおにぎりと
飲み物が入っていた。

たった一人で棲む部屋は、洗濯物がかけられ、ハンガーで
吊るした背広が目につく、片隅に積まれた布団がうら寂しい。
青い鳥はもういない、ほんの少しの事しか望んでいなかったのに、
青い鳥はもういない。

いぶし銀の鎧は薄く薄く削られ、中に仕舞う宝物もないままに
いまにも曲がりこんでしまいそうだ。

奇跡の一夜、月が心を2重に映し出す。
いぶし銀の男は、薔薇水晶の女に出会った。
疲れ果てた薔薇水晶は、ひびがはいり、今にも砕け落ちてしまいそうだった。
いぶし銀の鎧が、そっと水晶を包み込む。
男の滴りが、ひびを癒し薔薇水晶が光に満ちる。

僅かな望みしかないのだ。
ほんの僅かな望みを、手探りで探す男と女を
映し出す夜がある。
187リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/27 12:22:15 ID:/mbWcrMc
「豚さん枕に顔を埋めて寝てしまいたいときに」

最初は黄色だったんだけど、この頃は黄土色になりつつある豚さん枕があって
なんだかわかんない染みが洗っても洗ってもとれなかったりするんだけど、
この枕に顔を埋め込んで、なんか変な匂いを嗅ぎながらふて寝してしまいたいとき。

豚さんの顔は妙に歪んで笑っていて、
それをみているとこちらも妙な笑顔を浮かべてみたりするわけ。
もう、いい年だもんだから、そう思っても中々そんなことはできなくて、
脳内処理だったりするわけであった。

なんにもなかったんだけど、なんにもなかったのがやるせない日。
あったんだけど、どうにもどうにもどうにもどうにも、どうにもならなかった日。
しないといけなかったなのに、しないといけなかったのに、しないといけなかったのに。
今日しないといけないわけじゃないけど、ぜったいにあとで困るってわかるのが微妙。
時間てのはきっと一生分が一瓶の砂時計になっててさ、ほとほとと静かに砂が
落ちてるのにちがいなくって、たまにはさかしまにおいてやりたいなんてずるいことを
考えると、逆にスピードが速まってしまうような気がしたりして、まあ、きっと手をかけて
振ってしまうと案外速くなるのかもしれないんだけど。それもまた馬鹿みたいだし。
上のふたを開けて砂をたしてしまいたい衝動にかられつつ、そんなことも不可能。

気がおちつくまで、この豚さんの歪んだ笑いにつられつつ、顔を枕に押し付けて
まあ、涙なんかはもう流さないんだけど、記憶の中の誰かや誰かや誰かあたりを
数え上げて夢に浸っていたりするわけであった。

188 :04/09/28 19:27:22 ID:4+SUSfMI
ボクね 菊枕 で寝てみたいんです
清張のあの小説大好きなんですよ

壊れているが心配はないかと ごめんありがと

文体が似てたの もういないのだけど似てたのでちょっとね
いげろうが消えて20日くらい経つかしら

づっと同じ場所にいると 何人も昇華するの ボクは見送る
ある日 ふっと 


ああ もういないんだ と確信する


そのたびに泣くけど悲しいからじゃない
愛しかったからなんです 
疲れたよ 早く時間がすぎないかと また戻ってこれるのだけどとても苦しい

私だけじゃないと思うのね こゆの みんなどうしてるンですかね
彼がとてもとても苦しんでるんですよ そりゃそうだ
ああ そうか あのこと同様に彼も殺すべきなんですね 
でも彼がいないと怖いです どうしたものか 
189リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/28 21:05:44 ID:Jovx1faS
地下鉄の駅を出て、暫く歩くと目立たない雑居ビルがある。
地下へと続くやけに長い階段を下りていくと、
一枚の厚い板の扉があり、表面に細かな彫り物がしてある。
花や蔦、幾何学模様が複雑に描かれた扉の中ほどに、
飾り文字で”ウロボロス”と刻み込まれている。

重い扉を押し開けて入ると、中は薄暗い小さなBARで、
カウンターと僅かなテーブルがある。
蝋燭の光と、間接照明で柔らかな雰囲気がかもし出され、
ギター音楽が微かに流されている。

カウンターの隅の席には、いつも彼が座っていた。
空のデミグラスが差し出され、
自分の鱗を一枚その中にいれる。
彼もまた、自分のグラスに鱗を一枚いれる。
バーテンが、心得たようにグラスを持ち上げ、
シェーカーにいれ、ジントニックと氷とともにシェークする。
すると、二人の鱗の色が絡まって美しいカクテルができあがる。

たいていは、私の鱗が色つきで、ピンクであったり、
薄緑であったりする。彼は心得たように、銀色の鱗を選ぶ。
すると、ピンクや薄緑の色に銀の結晶が散らばる。
ときには、彼がグラスに一枚の鱗を入れて待っている。
そういう時は、鱗は暗い緑や、灰色が多く、
気をつけて中和できるような薄い色を選んでいれるようにする。
シェークしたときに、明るい色ができるように。

”彼”を殺すことはない、一緒に溶かして飲んでみないか。
飲み終われば、カクテル色の鱗が生えてくる。
190リーフレイン:04/09/30 11:58:41 ID:rYPbEc+Q

野分け後

すがしい空 晴れ晴れと高い
191名前はいらない:04/09/30 20:22:58 ID:JIX8DZxU
>>190
質問。
野分けって何ですか?
192リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/30 20:41:34 ID:rYPbEc+Q
>>191
〔野の草を吹き分ける風、の意〕
秋口に吹く暴風。台風。あるいはその余波の風。
また、秋から初冬にかけて吹く強い風。のわけ。のわきのかぜ。
[季]秋。《吹飛ばす石は浅間の―かな/芭蕉》
193名前はいらない:04/09/30 20:47:23 ID:JIX8DZxU
>>192
ありがとうございます。
気持ちいい詩ですね。
短いながらもその中に含まれる意味は私の今の状況を救ってくれます。
194リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/30 20:55:15 ID:rYPbEc+Q
>>193
読んでもらえて嬉しい。どうもありがとう。
195リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/09/30 21:22:42 ID:rYPbEc+Q
「私の好きな殿方に」

”貴方が好き”と申します。

私の好きな殿方は、
心じょうぶな方なので、
そっとかすかに微笑んで
嬉しく思ってくださいまする。

私の好きな殿方の
かすかな、かすかな微笑みは
私の心に明かりを灯してくれまする。

ぽっ、ぽっ、ぽっつ 

話はここでおしまいですが、
およそ、大事なことなのは、
きっとここだけなのでございましょう。

ぽっ、ぽっ、ぽっと灯りまするよ。
196リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/03 20:29:19 ID:Pf3x8fZY
「後ろからの風」

後ろから風が吹きつけてくる。
背中を押すように、吹いてくる。
早足で歩いていたのが小走りになってしまいそうだ。
速く、速くとせかしている。
遅れるな、遅れるなとしかりつけている。

後ろから風が吹きつけてくる。
足がからんで転んでしまいそうだ。
道端の花もよくみてみたいのに、
青い空も仰いでみたいのに、
そんな余裕はないのだと、吹いてくる。

寒い、コートの襟を立てて、前をかき合せる。
転ばないように、足元ばかりをみる。
後ろからの風が止まないのだ。
こけまろびながらも前へと走る。

もう、息ができない。目も霞む。
思わずしゃがみこんで頭をふせた。
風は暴風のように吹き付ける。
小さく、小さくなってもまだ吹き付けてくる。
おそるおそる後ろを覗き見てみると、
表情のない自分自身が扇風機を持って立っていた。

涙があふれた。
197リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/03 20:33:16 ID:Pf3x8fZY

手が白く、柔らかくなってしまった。
この頃 何もしていないから

恥ずかしいことです。

黒くて、固い手が 好きです。
198リーフレイン:04/10/04 19:04:31 ID:M4WvNkn6
「病葉」 (わくらば)  ーーー題 不満ーーー

はらはらと、病んだ葉が落ちてくる
言の葉が欲しいのか、
穴をふさいで欲しいのか。

かさかさと、病んだ葉が舞い上がる
踏まないで欲しいのか、
手にとって欲しいのか。

めがけたように、病んだ葉が追いかける。
言の葉が欲しいのだ、
ひらひらと風にのって追いかける。

いっそほのをで炙ってしまえ
マッチを擦った、
マッチを擦った、
しゅっと擦った。

火がつくそばから、
しとしとと雫が滴る。
天の雫か、吾の雫か、かなたの雫か。


199リーフレイン:04/10/04 19:21:13 ID:M4WvNkn6
「実りの秋に」

きんかんの白い花が落ちて、黄色い実が育つ。
柿の浅黄色の固い花が、にび色の実を結ぶ。
虫食いの穴が黒くうがたれている。

彼岸花が鬼のような顔を見せて、畦道を彩る田んぼに、
夜這いの草蔓が、密やかに這い巡っている。

黄金色の実りの穂が、雨に打たれ、風に吹かれ、
打ち倒された。
機械の足が入らずに、手で刈り取りをはじめた
実直な農夫がため息をつく。

おてんとうさまが
むごい仕打ちをなさる年もある。

200リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/05 08:38:45 ID:w2LRudeE

いつも生意気で、きっちり仕事をしあげ、
口の悪い彼女の中には
一人の少女が怯えて隠れている。
心の中の深い森で
いつも、いつも泣いてばかりいる。

僕は、少女のために、花束を用意する。
僕は、少女のために、絵本を用意する。
僕は、少女のために、チョコレートを用意する。

僕は、牡だから、
時々少女を力づくで犯してしまいたいと夢想する。
一匹の牝になってしまうまで、容赦なく奪ってみたい。
きっと魔女が一人できあがると思うから。

本当に望んでいるのは、
いつか怯えて泣いている少女が泣き止んで、
僕を見つめて頬を染める瞬間なのだろう。

手をつないで、ゆっくりと森を歩み出るにつれ、
きっと、少しづつ少女が乙女になり、
僕の横にいる彼女に同化していくに違いない。

僕は、彼女にもう一度 恋をするんだ。

そして、もういない怯えた少女を惜しむんだ。
201リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/07 01:19:28 ID:+jDjgF6i

風邪をひきました
蒲団乾燥機が動いている部屋で眠っていたからです
乾燥した空気は体を壊しますね
蒲団乾燥機でふくらんでいるふとんに
手をあてているのは 妙に嬉しかったんです
まるで、そこに人がいるような気がして
嬉しかったんですよ
だけど失敗ですね
風邪をひいてしまって
尚更 部屋から出られないんです
失敗です。

202リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/12 08:01:34 ID:k+ZvIYPy
「エーテルガス」

痛くない。痛くない。
歯を抜いても痛くない。
だめになった腕をのこぎりで切り取っても痛くない。
足を切っても痛くない。
阿鼻叫喚の巣窟だった外科ー床屋の店が
静かになったんだ。

店の前の竿には、血でよごれた包帯が
赤と白のだんだら模様になってぐるぐる巻きにかかってる。
洗えよな。そんな膿みのついたままで乾かすから
敗血症がおこるんだよ。

切断のショックで死んだ男が
恨みがましい目でエーテルガスのフラスコを見ている。
そうさ、お前は間に合わなかった。
残念だったな。
人生はそんなもんさ。
いいことも、自分のすぐ後から起こるんだ。

死神が歯噛みしてるのが聞こえる。
嬉しいじゃないか。
無慈悲で、確かな腕前の奴でさえ
悔しい想いを抱える日があるわけだ。

神様、もしおいでになるのなら、
さまよえる魂に安らぎをおあたえください。
203リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/12 21:46:03 ID:k+ZvIYPy

A音をもらった、チューニングする。
上ずった音を、きれいに合致するまで下げていく。
うねりが細かくなる。



波打っていた心が、チューニングされて平らになっていく。
もうあと少しなのだと思う。

Aに一致するまで。
204かみ締めながらゆっくり漂います:04/10/14 21:12:55 ID:b5xndjSZ
     .,ヘ ,ヘ
    / / ノ 気の利いた挨拶が
   ,rー" 〈 思いつかないままに
   〈゚ ・ ゚ ,,l     ご挨拶
    `7 `ヽo
   // (⌒ヽ) ただいまレス40あたりで
   ((_,ノ `ヽ ノ 漂っています
       '~   お気に入りはレス29(>204)
205リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/14 21:46:15 ID:tva83Bxn
>>204
ようこそ。。乱雑なところですが、どうぞ座布団でもお使いくだされ。__
206リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/14 22:02:27 ID:tva83Bxn
>>204
真珠貝の中に、一つの真珠が育まれている。
核となったのは、角のある黒い芥の塊で、さほど特別なものではなかった。
貝の濡れて柔らかな、女の秘めた場所にも似た腹部に包まれ、
暗い海の泥の中、幾重にも白い殻をまとっていく。

やがて
人が真珠貝を見つけ出す。
秘めた赤黒い肉をそっと掻き分けて、白く輝く真珠を取り出すのだろう。
そのまったき白いさまを愛でるのだろう。
207リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/16 22:59:22 ID:gjVEuI3M
3軒となりのじろべえさん、
うーなぎとって、
逃がしやった。

籠編んで、きーじ。
逃がしやった。

ウサギがかーご。
逃がしやった。

いのしし、衝突。きいうしなった。
逃がしやった。

あり踏むとこやった。
逃がしやった。

ネズミにおにぎり。
よろこんどった。

さあ、恩返しよ来るかいな、わくわくしやって待った夜、
じろべえさんの家の前、
我が我がとけんかが始まり、
朝までもめて、じろべえさんに会えなんだ。
ひもじゅうてなみだ。

あけたつぎの日 じろべえさん、
鰻を食べた。きじ焼いた。
ウサギ皮はぎ、いのししゃ鍋。
ありの巣ごと踏んづけて、
ネズミ殺しをまかしゃった。
お腹くちくなって、しあわせやった。
208リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/17 21:01:21 ID:AiVd3gXG

赤いコートを着た男が一人
厚手のダッフルコート、痩せたからだに少し大きめ。
胸の中で鳩がクックルーと笑った。
クックルー、クックルー
笑い出しそうな足取りで、
会社帰りのおにいさん、よく似合いますね。
2羽目の鳩がクックルーと笑う。

宵の街を鳩がよちよち
帽子屋で、黒い帽子
狐狩り用のつばのついた丸帽子。
赤いコートの男に被せる。
クックルー、クックルー

赤い花のコサージュ
黒いコートの女の髪に飾る
ビロードの深紅の椿
クックルー、クックルー

銀杏の木の葉が黄色くなった
はらはらと風に舞う
街灯の光にゆらゆら映る
夜の月

2羽の鳩がくるくる踊る
大声で歌う賛美歌
赤いコートの大きな右ポケットに入った
二つの手のひら
2羽の鳩がクックルーと笑った。
209リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/21 10:24:01 ID:8c4/OvJK

があがあと啼きわめく駕鳥がそばにいる
静かにしていた奴だったのに、
なにやら餌をもらって元気になったらしく
頭が壊れてしまいそうに煩い。

どろどろの水溜りの中に、座り込んでしまったら、
案外居心地がいいそうで動こうとしない。
駕鳥というのも頑固なのだろう、
怒ったような顔をして、こちらを見て啼いている。

好きにさせてみたら、静かになるんだろか
少しお仕置きがいるのかもしれない。
あれも、一緒に歩いていかないといけない奴だ、
歩いてくれなければ困る。

駕鳥を足で蹴り上げて、よたよたと歩き始めた。
210リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/21 13:18:24 ID:8c4/OvJK

父の家には、一部屋抜群に居心地のよい部屋があった
庭に張り出すようにして建てられた翼で
東と南に庭が見える。西側は敷地の境だったが、
そちらの壁はコンクリートの打ちっぱなしに
ガラスブロックが点々と埋められ、外は見えないが
眩しくない程度に光が入るようになっている。
東側は大きくとられた掃きだし窓で、庭に続くデッキに
出られ、南側は、腰高までずっと本棚になった
大きな出窓になっていた。

12畳ほどの室内は、磨いた床の上に丸いラグが敷かれ、
大きめのクッションが数個。
人が横たわれるほどのソファが一つと小さめのテーブルが一つ
父の使うマッサージ椅子が一つ置かれていた。

父は、この部屋で音楽を聞きながら本を読むのを好んでいた。
子供であった私たちも、暇をみつけては飼い猫よろしく
部屋の片隅に座り込んで本を読んだり、昼寝をしたりした。
211リーフレイン:04/10/22 12:39:46 ID:DMDfjPTB

毛の長いムートンの敷物は、白かった色が黄ばんでいた
父の姉の部屋として作られたというその空間は
母には苦手の場所で、どこか別の女性の感性が漂う。
窓辺の本棚にはSFと純文学に占領され
宝の山のようにも思っていた。
ここに篭もるのを好んだ父は、もしかして母からの休息が
いや、生活そのものからの休息を欲していたのかもしれない。
母もまた、父のそういう嗜好を理解していたのだと思う。

大きく開かれた窓から見える庭は、
田舎風の丈の低い雑木と藤棚でできていた。
母屋の端正な日本庭園とは築山で視線をさえぎり、
外界とは竹林で隔離され、
独りでぼんやりしているときには一層
この世にたったひとり存在しているような気がしたものだった。
212リーフレイン:04/10/22 12:53:59 ID:DMDfjPTB

寂しいという想いと、清々しいという想いが
奇妙に同居する空間で、
人というものが、人に対して
いかに暖かく、いかに酷いかを
心の奥で感じ取ることができる場所だったのだと思う。

時折、窓からの風景が、
目に食い入るように鮮烈に見える日があった。

庭の奥に植えられた、背の高い山桜から
はらはらと雪が降るように、花びらが散る、
四季咲きの雲南萩の花が、風に吹かれて踊り狂う、
いたずらに撒き散らしたおしろいばなの種が
大きな株となり、幾場所も花盛りになる。

涙を流したいのに流せないでいる時ほど
風景は視界を圧倒し、
鮮明な輪郭が浮かび上がり、
時間の経過すら、ゆっくりと意識された。

幸せな場所を持っていたのだとつくづく想う。
213リーフレイン:04/10/22 12:56:53 ID:DMDfjPTB

記憶は、もしかして財産なのかもしれないと想う。

今、こうして、あの場所へ

自在に還ることができるのだから。

214リーフレイン:04/10/22 13:14:09 ID:DMDfjPTB

ここにある手は、今 存在している。
ここにある頭は、今 ものを考えている。
ここにある私は、今 この瞬間を生きている。

どうか、今を失うことがないように
何に祈るべきなのか解らないけれども、
あらゆる現象に祈りたい。

すべての人に誓いたい。
生きていることを、今、ここに生きていることを。

そしてあなたが生きていることを。
215北 ◆Ui8SfUmIUc :04/10/24 22:46:31 ID:oIIF3AN8

にわとり
ケッタンコー

なにもかもが
ビッタンコ

ばさばさばっさ
ばさっばさ

首をかしげるその前に

空を蹴り上げ
ケッタンコ

なにもかもが
ビッタンコ

僕のいたことと
いないことが

こっこっこっこ

びったんこー

嬉しいな
216リーフレイン:04/10/25 22:12:24 ID:bFjnrCjR

取り返しのつかない後悔の
苦い雨が降る
どこかに甘みを感じるのは
それを楽しむ烏が棲み付いているからか

かあ、かあ、と烏が鳴く
本当は後悔なんかしてへんやろ
かあ、かあ、と烏がささやく

ああ、そうだよ
後悔なんかしてないさ
恥しらずだからねえ
217リーフレイン:04/10/25 22:40:38 ID:bFjnrCjR
>>215
明るさが暗がりを背後に秘めているように、
正常に見える振る舞いには、狂気の種が育つのかもしれないです。
飼いならしたくはないのだけれども
狂気も大事にしてみたい。
引き回されたくもないのだけれどね。
我がままなことです。

大事にしてみたいと思った瞬間から、その狂気は、もとの狂気ではなくなってしまう。
恐怖にも似た構造を持っていますね。
恐怖もまた、愛しいと思った瞬間から変質してしまうので。
218リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/27 09:21:28 ID:v5Ji/kFR
「心を澄ませて、聞き惚れる朝」 

白い箱のような部屋の中から、
一つだけある窓へ向かって金色のラッパを吹いた。
大きく開けられた窓から、金色の鐘のような音が、
青い、青い空へ散らばっていった。

白くて小さい鳥が、金色の音を一つ捕まえて、
そっとくわえて、お日様のところへ運んでいった。
お日様は、にっこり笑って、金色の音をぱくっと食べてしまった。
光がまた少し輝きを増した。

黒い街の片隅で、恋人に殺された女の
  最期の吐息が、砕けたガラスのように散らばった

  涙と血と すれ違ってしまった愛の響きを
  黒い鴉がそっとくわえて、お日様のところへ運んでいった。
  お日様は、少し寂しげに笑って、砕けた音を食べてしまった。
  光が少し、深みを増した。

明けた朝、天上のシンフォニーが奏でられる。
金色のラッパも、砕けたガラスも、
バラ色の雲と、沸き立つ雲に彩られ、
光のカーテンとなって地へ降り注ぐ。
219リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/27 09:24:29 ID:v5Ji/kFR

街角で、携帯を持って喋っている男は、
自室でこっそり笑う少女とつながっている。
暗い道で語る男は、彼女の知らなかった世界を
ささやいているのだろう。
少女が2階で”女”の笑い声をたてている。

お菓子の箱に詰めらていたキャンデーは
バラバラにばらまかれてしまった。
そのもろいセロファンの包み紙で、
世の中を渡っていくんだろうか
ほどけてはしまわないのだろうか
中身が雨に打たれてはしまわないのだろうか。

”いつでも、どこでも、誰とでも。
会話も、文字も、画像でも。
監視の眼の届かない通信が可能です。”
220リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/27 09:27:04 ID:v5Ji/kFR

オナニーを覚えた猿が、
監視の眼のない部屋に棲み付いた。

揺るぎない個である自信?
自分を常に律するだって?
笑っちまうよ。

回線をはさみで切っちまえ。
携帯を川に投げ捨てろ。
背中を向けて携帯にメールを打ち込む頭に
くさった花瓶の中の水をぶちまけろ。
221リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/27 09:43:42 ID:v5Ji/kFR

取り返しのつかない変化が訪れたのだろう。
底のない海に、放り込まれたように、
翻弄される人間性。

点々と浮島が浮かぶ、海の実相を
果たしてどこまで掴み得るのだろうか、
溺れることなく、何処を目指し得るのだろうか?

戦争に溺れる現実社会の裏側で、速やかに進む通信革命が、
人間の存在の意味を裏返しにしつつあるのかもしれない。

222リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/27 11:28:15 ID:v5Ji/kFR

怯えた目を向ける口のきけない女を
傍らに置く男が
何を思って抱きしめるのだろうか


声にならない子守唄を口ずさむ。
223リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/10/29 21:06:51 ID:IWuIm4Wa

目をつむって、梨の肌を触ってみると、
少しざらざらした表面は、しっとり固くて、
もぎたての香りがする。

青臭いような梨の甘くてしゃりっとした味が
押し付けた唇に苦く広がる。

くまなく探す
柔らかく感じやすい場所がないかと
両手の中でまろび、蕩けていく梨がある。


224 :04/10/31 13:55:41 ID:xwoT7esm
疲れちゃうのよね
逃げ出したいがそうもできない
少しでも楽にしようと興奮しないようにしようとすると
退行が始まるんです 子供みたいな言動になる
分裂してもそのつど殺せば分裂じゃないんです

225リーフレイン:04/11/01 10:42:40 ID:HVXDJDxE
>>224

人の精神の許容量を、時折考えるんです。
ネットで増幅される感受性を
受け止めきれないなと感じるときなんかにね。

もともと、鈍感であったはずなのに
ごく限られた範囲に、アンテナを張っていただけだったのに、
広く拡散された意識は
この凡庸な人間にはちと重荷のようでした。
今、知恵遅れのような話方になってしまうのは
反動というより、防衛じゃないかと思うんです。

見えをはらないでいこうと思うんですが、
なかなか実行できないのが、情けない限りだったりします。

その都度殺すのも大変じゃないですか?
一緒に幼稚園へいきませうか。。
それもまずいのかなあ。。。
226リーフレイン:04/11/01 11:05:07 ID:HVXDJDxE

時折、何が欲しいのだろうかと不思議に思う
愛という言葉ほど、女を当惑させる言葉も少ない
男を愛したことなど、ないのかもしれない。

情を交わす、枕を交わす、
糸一筋も残らぬ裸体を
目の前に晒す羞恥と悦楽は
多分、この上もなく知っているのだろう。

そこにある畏怖も、恐怖も、嫌悪も、裏返しになる快楽も
知っている。
この人だけへの、開放も、歓喜も
知っている。
委ね切った愉悦と、後ろ髪をひかれつつも、引き返す諦めも
知っている。

そんな記憶はいらない、
邪魔だから。

227リーフレイン:04/11/01 11:05:54 ID:HVXDJDxE

同じ羞恥を感じているのを
知っている。
肌を流れる快感を感じているのも
知っている。
陵辱の残虐な快楽を意識しているのを
知っている。
赤裸々な嫌悪も、
生に翻弄される自身への軽蔑と開放を感じているのを
知っている。

たったそれだけのことを糊塗する言葉が愛だというのなら、
邪魔な言葉だと思わないでもない。

228リーフレイン:04/11/01 11:06:57 ID:HVXDJDxE

ただ、触れたい。
一年の最初に積もった雪に手を触れるように
触れてみたい。

ただ、口寄せてみたい、
今年最初の葡萄を含む瞬間のように、
心をはずませて。

229リーフレイン:04/11/01 11:17:56 ID:HVXDJDxE

雨が しとしと と降る

ぼたぼたと、赤い血液が滴り落ちるように

人の想いが、世界に滴り満ちていく

ここにも、あそこにも、

みずから握り締めた
ガラスのように尖った気持ちの欠片で

滴り始めた想いが 水溜りとなっていく

掬い取ってなめてみてもきりもなく

きりもなく きりもない





230 :04/11/02 02:27:24 ID:7TRmkyFP
苦しくて錯乱してしまいました


>>225
確かに防衛なんです 不浄に耐えられず
許容を超えた現実を受けながすには子供になるように脳は仕組んでるようですよ
ストレスに耐えかね腫れ上がった患部からリンパ液が滲み膿が出るように
私はの奇形児がクビをもたげようとした
生まれてしまったなら泣き叫ぶんです イヤダ と 
そうなったら私は私でなくなる

抑圧する門番が鎌を振り下ろす 

それを繰り返す時間がどんなにも苦しいものなのかを知ってるヒトは少ないでしょう
ベリベリとカサブタをはがされ引き千切られる瞬間です


生まれた子はあなたを欲するでしょう
嫌なものから逃げるために逸脱し理解し許し優しく抱きしめてくれる母を欲する
私は耐えようとしその子は個として防衛するんです その子に時間を奪われてはならないのです
記憶も時間も全部私のものなんです 私の仕事です私の生活なんです

逃がさないよ 絶対に

頭を押さえつけもとの場所に戻す 還れと意識を集中させ
生まれなかった子供は堕胎される 掻爬されず腫瘍になりました
傷を負ってしまったが私でいられる

怖かったよ もう狂うのは嫌だ


レスどうもね
231リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/02 10:07:08 ID:iSgxoUek

銀杏の実が落ちる
ぼた ぼた とおちてくる

銀杏の黄色く軟らかく、臭い実には
きっと汚らしい欲望が詰まっているのだろう

ほんの少し、心を覗くと
ぼろぼろと 零れ出てくる
理不尽な欲望は
あの 臭くてぐしゅぐしゅの果肉が
よく似合う

ぼた ぼた と地面に落ちるざまも
よく似合う

黄色くなった葉と一緒に
気にもかけない、いろんな足に踏まれ
車に挽かれ
猫がしっこをかけていく

あの汚らしい肉の奥に
堅い殻に包まれたぎんなんがある
232リーフレイン:04/11/02 14:45:29 ID:+JRAE+0R
オメヨゴシ シツレイ シマス。。スミヤカニ チカニ モグリマスノデ・・・。
233ρ(=$ω\)ノ さぃきょぅ ◆PsyCHO8eyE :04/11/02 14:53:40 ID:4nEP5uKU
保守はageなくても大丈夫。
234リーフレイン:04/11/02 15:28:43 ID:+JRAE+0R
>>233
ありがとうございます。
あまり下にへばりつくのもなんとなくやなんです。。400ぐらいで漂うのが
好きなんですが、中々思うようにはいかないですねw。
235リーフレイン:04/11/02 15:41:21 ID:+JRAE+0R
>>230
戦って勝ち取る人生であり、生活であり、自身なんですね。

潔い抜き身の刀を思い浮かべてしまいました。
鞘に憩う時もあってよいかとも思うので、
どうか、少し休憩をなすって下さい。
いつもいつも、危ういわけでは無かろうと思うので・・・。
236リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/04 13:11:47 ID:G8wS7ov/
知らぬ間に、アキアカネが飛ばなくなってしまった。
ススキの穂も真っ白にぼうぼうとそよいでいたのが
すっかり茶けた藁束のように野原に横たわり、
柿の実も人の手を待たずして落ちた。

今年の秋ほど、秋を感じないままに
過ぎていった年はないような気がする。

ぼつぼつと摘んでは仏花に寄せてもらった
秋明菊の花も、そろそろ終わる。
疲れたと、声に出してしまっては
いけないのだといましめる気持ちが
さらに心を縛ってしまう。

いくつもの訪ないが、
空からも、地からも、人からもあるのだが、
扉を開けて迎え入れる
柔らかさがない。
何故だろうか、開けてしまえば
頑なな自分が砕け散ってしまいそうな
不安がとれない。
237リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/04 13:13:28 ID:G8wS7ov/

決してそんなことはないのだと
解かっていながら、
訪ないを何故受け入れないのかと
叱咤する自分が
愚かな鶏のようにも豚のようにも思われる。

しなやかにありたいと、
心やわらかな、おんなでありたいと、
願っているというのに。

目の前にある、美しいものを 
大きく広げた手で抱きしめてみたいのに。

涙の数を数えてはいけない。
238リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/04 13:20:10 ID:G8wS7ov/

人様の好意に甘えて、
ずるを構える狐がここにいる。

怯えた兎のふりをして、
心配を貪り喰らう女狐が棲み付いている。

そうか怯えたふりはそんなに楽か
肥え太ったその躯体で、もう山々を駆け巡ることは
できまいなあ。

草の実を齧ることもできまいなあ。
239リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/04 13:23:00 ID:G8wS7ov/

お師匠さんが
このひとときがすべてなのだと
いわしゃった。

240リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/04 13:26:45 ID:G8wS7ov/

絢爛豪華な文字の森に
迷う阿呆が
道を失った怯えのあまりに
森の恵みが目に入らない。
なんとこの阿呆が阿呆なことよ。
せめてその魅に溺れてしまえば幸せやろに。
241リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/04 13:32:48 ID:G8wS7ov/

物事のことわりを手放してしまうのは
なんと楽なことかと
手放すふりをする阿呆は
本当には手放してはいない。
所詮、ことわり なしには
そこに いることすらできかねる
卑怯な阿呆にすぎないのだ。

狂いたいか と梟が聞いた
ああ、狂いたい と 嘘つきが答える。

そんな度胸はもちあわせちゃおらんよ と
どこかに棲んでる ひとらしき鬼が つぶやいた。

狂ってみせるさ、
できやしないよ、おまえさんは、凡人なんさ。
242リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/04 14:01:38 ID:G8wS7ov/
凡庸であることへのあきらめが
哀しい色で
塗りつぶす。

凡庸でなければ、一体なにが許されると
思っているんか、この馬鹿は。

許されることなど、なにもないさね。

できることをやらないやつは
凡庸であろうとなかろうと
ただ、もったいない阿呆に堕ちるだけさね。
243リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/04 20:48:32 ID:G8wS7ov/

真白き陽、ひめやかに沈み往き
常になく、荒れる川面が海へとあふるる
風雨、凄絶なる爪跡
粛々と、横たわれし柱を再び立つる
草木 未だ通年の姿にかえらずして
ただ、大地の癒しを待つのみ
244リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/06 22:34:25 ID:YLmR2caF
「駅裏の路地」

初めまして、突然すみません。
お願いがあるんです。

あれ、してくれませんか?
あの・・・あれです。
お願いします。

あたし、公衆便所なんです。
もうずっと前からそうで、
ずっと前から、そうだってわかってたんです。
だけど、誰も使ってくれなくって、
寂しくてたまんないんです。

ほんとは、落書きがあって、いつも誰かが
使ってくれて、おしっこの匂いがするような
のが好きなんです。
だけど、ほら、きれいでしょ?
どこもかしこも、ぴかぴかなんですよ。

公衆便所だって、誰かにわかっちゃうと
嫌だなってずっとおもってたりしたんですが、
でも、やっぱり本当なんだし、
それを誰かが知ってるって思うと
もっと気持ちいいですよね。

あたし、公衆便所だなあって思うだけで、
ほら、こんなん。
痛いのって、気持ちいいです。

だめですか?
245リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/07 09:17:06 ID:2hcoTpTK

学生時代からの友人が小さな茶店をやってる。
裁縫のうまい、さっぱりした気性の女で、
ちっさくて、よく弾むスーパーボールのような雰囲気がある。
店は、ちょび髭をたくわえた、ユーモラスな顔の
マスターと2人で切り盛りし、本当は彼女の店で、マスターは
彼女のアマン(情人)だということまで知っているのは、
ごく僅かの客だけだったと思う。

彼女は毎朝、ケーキを焼く。
マドレーヌのようなしっかりめの生地の四角いスポンジケーキだ。
切り分けたそれを3種類ほどのシロップ入りの洋酒にそれぞれ漬け込み、
銀紙で包んで、しっとりしたサバランを作る。
メニューは、このサバランと、スパゲッティだけの店で、
マスターが淹れる泥のように濃いトルココーヒーか、
彼女の淹れる、数種類の紅茶かが選べる。
夜には、酒も飲めた。

スパゲッティは、手製のトマトソースのみ。
刻みバジルと、やはり手製のハーブオイル(オリーブオイルベース)、
天然の岩塩、質のいい削りチーズがカウンターに常に用意してあり、
客は、好き勝手に使っていいことになっていた。

店の壁には、4分の1サイズに縮小されているリトグラフが
ここかしこにピンでとめられ、それぞれの下には、売価の札が
品よくつけられている。売ってもらえるのは本物のほうだ。
これはマスターの趣味で、時折買い付けにいっているのだという。
値段は数千円から数万円程度の品ばかりで、案外とこのリトグラフを
目当てに足を運ぶ客も多かった。
246リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/07 09:19:43 ID:2hcoTpTK
6月の中ごろ、店は2週間の休みをとる。
1年分のトマトソースを仕込むためだ。
この時だけは、店のコンロはフル回転でトマトを煮続ける。
酸味の強いイタリアントマトの収穫の時期なのだ。

今日、店にはユトリロ風のリトグラフがあった。
ラム酒のサバランをつまみながら、眺める。
威勢のいい、友人のアホっぽい話に相槌を打ちながら、
コーヒーを飲んだ。
ふと気づくと、壁の絵画が、写真に変わっている。
白黒の写真で、綺麗な少女が川の中に横たわっていた。
めずらしいね
と聞こうと、友人を振り返ると、友人の姿が無かった。
吸っていた煙草の煙だけがかすかに漂う。
マスターが今日は特別だから、とぼそっとつぶやいた。

見たことのないバイトらしき少年が、壁に黒い布を
張り巡らしていく。
どうして隠してしまうの?気持ち悪いよ、黒なんて。
マスターが暗い目をしてこちらを見た。

ああ、そうだ、友人は昨日死んでしまったんだ。
今日は葬式で、
あの子は、こんな店は持っていなかった。
アマン(情人)も持っていなかった。
これは、彼女の夢だったんだなと
やっと気がついた。
247リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/08 23:56:26 ID:pUEbi5Si

死者の代理人になる権利など
ないのだけれども
生真面目で、いつも一生懸命で、はずれ籤を引いてばかりいて、
裁縫と、料理が上手で、
本当は、可愛いお嫁さんになりたくて、亭主関白に憧れて、
だけど、我慢して、
もう、こりごりだと、一人で仕事ばっかりして、
女だからと、部署をたらいまわしにされても、きっちりと仕事して、
病気になっても、黙ったままで
黙ったままで逝っちまった女で
なんで黙ったまま逝っちまったのかと
残ったほうが勝手に怒るんだけども、
そんだけ頼りになんなかったかと
うつむいて
ただ夢を見て、
自分をなぐさめてみる。
次に生きるときは、
もうちょっと、我がまましなよね とつぶやいてみる。




248リーフレイン:04/11/10 10:49:00 ID:qW1YGeCG

秋の黄昏まで指一本という
まだ太陽の微笑みが力に満ちている時、
微かに赤らんだ雲がたなびき、空はいまだ青く、
奇妙にろうらかな空間が浮かび上がる。

海上に光の道が拓かれた。

ゆるやかに波立つ海上に
この世の全ての色を映し出したような
細かな鏡の欠片が敷き詰められて、
一瞬ごとに形を変える無数の破片が
約束の地へと真っ直ぐな道を造りだす。

彼の地には、愛が手に取れるに違いない。
彼の地では、美が万遍なく行き渡るに違いない。

彼の地に至る道は、きっと足を引き裂くに違いない。
彼の地へ至る道に吹く風は、心も引き裂くに違いない。

青い空が薔薇色を増し、太陽の輪郭が拡散し、
光が柔らかく空に溶けていく。
今日もまた、彼の道を歩み得ないまま、
陽が落ち往きて、黒い海を迎えた。
よく見知ったこの海に、この世の全てが内包される。
ここに示される道は、黒い蜘蛛の糸で編み出したように
無限にひろがり、闇に収束していく。

この道をたどる。
すべての分岐を闇の中で迎え、闇の中で選ぶ。
手探りで、這いつくばって、にじにじと歩む。
249リーフレイン:04/11/16 21:09:37 ID:WMkddxYJ
               ☆                ☆ ささやかな             ☆

     ☆                ☆
                                                           ☆
                           ★                              
夜の帳がおり                ☆                           ★

                    一日の業を成し終える
                                               ☆

         ☆                             微笑みながら蒲団に抱きついて眠る
  

      吾子のかお                     
                     口ずさむ、静かな子守唄 
                                                          ★
    ☆

隣に眠る、父もまた、       ☆                  その子と同じ姿であどけなく眠り

               この光景を今日与えてもらった全てに
     ☆                                       祈りを捧ぐ

                ★




                                                ☆


                                      主よ 人の望みの喜びを
250リーフレイン:04/11/16 21:19:30 ID:WMkddxYJ
▲▼▲▼▲★★▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲★▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲★▲▼
▼▲▼▲★★▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲★▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲★▲▼▲
▲▼▲▼▲★★▼△▽☆▼▲▼▲▼▲☆▲▼▲▼▲★▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲☆▲▼▲▼▲
▲▼▲▼▲★★▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
▼▲▼▲★★▼▲▼▲▼☆☆▲▼▲▼▲▼▲▼▲★▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲★▲▼▲▼▲▼▲▼▲
▼▲▼☆▼▲▼▲★★▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲★★★       夜の闇はあたたかく
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲★★★▲▼▲▼▲▼▲    
▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲     慈悲深い帳が赤裸々な真実を
▲▼▲▼▲▽△▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲★★★           優しく覆い隠すのだろうか
▼▲▼▲▼▲★★★★▼▲▼▲★▲         
▲▼▲▼▲▼▲▼▲★▲▼▲▼▲▼▲▼▲                ほんの少し
▼▲▽▲▼▲▼▲▼☆☆☆▼▲▼▲▼▲                  自分が生きていても良い
▲▼▲▼▲▼▲▼▲★▲▼△▼▲▼▲▼▲                人間のように感じられる
▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲                        
▲▼★★▲▼▲▼▲▼▲▼▲▲▼▲                  
▼▲▼▲△▼▲▼▲★★★★                ありがとうございます と    
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲                     ささやいてみると。
▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼              どこからということもなく返事がおりてくる。  
▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲                   ☆☆☆☆☆。
|
251リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/17 09:33:13 ID:LqiSG6ei

白く濁った湯につかり、ゆっくりと温まった後、
湯を止め、浴槽を覗き込む。
4匹の鼠の死骸が底に転がっていた。
こみ上げる嘔吐をこらえきれず、湯船に吐いた。

酸っぱい匂いが充満する浴室
白くふくれあがった鼠の死骸、吐しゃ物
裸体のまま立ちつくす自分自身が
そのまま窮屈な箱へ仕舞いこまれていった。

収束する心象風景。
ガンジス川には死体が流れ、糞尿も流れ、沐浴する人が水に浸かる。
海は全ての死骸を懐に抱く。
万象の響きは濁り、判別しえない音の塊となって、心を押しつぶす。

4匹の鼠の死骸を食べるハイエナをわが身に飼う。
あの湯に浸かり、かみ締めるハイエナを愛しく撫でる。
あのハイエナは私だ。
あの鼠が私であったように
嘔吐する私も私であったように。

一なる日に、果たして心を壊さずに迎えることができるのだろうか?
252リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/17 09:34:31 ID:LqiSG6ei

ねえ、あなた。
どうして私達は一緒にいるんでしょうか?
あなたは、私を見ていないです。
私もあなたを見てないですよねえ。
だって、この鼠の死骸は、あなたのあずかり知らぬものですから。
きっとあなたにも、何かの死骸があると思うんですよ。
見えないんですけどね。

そんなところまで、見せ合うのは失礼ってもんですかねえ。
そうかもしれないです。
でも、いつかきっと、そういうものも、
拾い上げないといけない気がしてならないんですよ。
拾っちゃいけないですか?

風が耳元でささやいていくんです。
”あれ、どうした?”って
あの風は、きっと人らしき鬼なんだと思うんです。

ねえ、あなた。
一緒に人である鬼になってみましょうよ。


南部風鈴の音が聞こえます。
もう、仕舞わないといけません。
”ちりん ちりん”っていうあの澄んだ音は、
南部鉄の鍛えぬいた密度の濃さが作り出すんです。
ああいう音は、綺麗ですねえ。混じり物がなくって。

在り難いから、綺麗なんですね、きっと。
253リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/17 09:40:34 ID:LqiSG6ei
”何故、この戦いを回避できないのだろうか?”

発端は資源の奪い合いだった。
遊牧の民が、遊牧する地を囲い込まなければいけなくなった時、
占有をめぐって、牙を剥いた。
ロレンスが約束した権利は,狭間に棲む民の力の前に崩れ去り、
様々な色合いを持つ、二つとない宝石をめぐって
争いが続けられる。

あの地の戦いには、
地下に眠る黒い果実が、火を注ぐ。
巨体になった武装した象に戦いを挑むため、
原理に忠実なる白蟻が、武器を持った。
白蟻の駆除のため、象がのしっのしっと歩く。
黒い果実を視界にいれながら、長い鼻を振り回す。
何故、家屋まで解体せねばならぬのか?
不器用を装う狡猾な計算なのか、
一体誰ための計算なのか、
世知がらい、だけども品のない一匹の犬が、
毛皮に染みがつかないように、
慎重について回る姿が見苦しい。

玉虫色をした思想が外側を彩る戦いは
どんな戦いよりも痛ましく、果てがない。
”テロとの戦い”という言葉は
過去のどの戦争の大義名分にも劣らずに、思想的だ。
”八紘一宇”という言葉を思い出さずにはいられない。
一体、あの大戦で、何を学んだのだろうか?
どうして、警鐘が大音響で鳴り響かないのだろうか?
すでに、この手は赤く染まりつつあるというのに。
254リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/20 07:48:01 ID:sbgDTs8x
愛という言葉が嫌いです。
強すぎる力があるので。

そんな言葉に値するような
真摯な感情を持ったことなど
ないような気がするので。

愛するという言葉が、
ただ、大事に生きる、大事に生かす。
彼我の区別なく
というのであればと、いつも考えるのですが、
どうももう少し個に由来するものがある。
我を忘れて、しがみつくものがある。

そうした響きに、
打ちのめされてしまうのです。
255リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/20 07:48:43 ID:sbgDTs8x

所有という言葉が浮かびます。
誰かを所有することなど、ありえないのだけれども、
愛するというのは
一面対象を自分の中に取り込み、
同時に相手へ自分を委ねるような気がします。
占有に近いかもしれないです。

そして、その占有を厭う私がどこかにいます。


256リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/20 07:49:15 ID:sbgDTs8x

空を伝う風のように
飄々としていたい

空を落ちる雨のように
愛を注いでみたい

雨を浸み込ませる大地のように
愛を抱きしめてみたい

私はきっと、私であるのが嫌なんだと思います。


257リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/20 07:50:20 ID:sbgDTs8x

わがままなもので
人に触るのはとても好きです。

独りではきっといられない。

だけど、独りも好きです。
大勢では窒息してしまう。
引き裂かれてしまうような気がするからです。

あの想いとこの想いに


何年かに一度ぐらい
”愛しています”
と呟いてみることがあります。


そういう時、その言葉は誰かに発しているのではなくて、
多分、世界に向かっている。
そして、その世界の端っこに棲んでいる
私に向かっているような気がします。


傲慢な言葉だと
呟いてから、思うのです。

258リーフレイン:04/11/22 10:11:13 ID:MLm7O1BL
「夜雪」

さらさらと、闇の中から雪が歌い降りてまいります。
くりん、くりんと、まわり舞いながら、
静寂を作り出していくようでありまする。

今宵の雪は
六角形。花弁を重ねた、六角形。
六花の結晶が、少しづつその華やぎを増しながら、
ゆっくりと音のない歌を歌っておりまする。

椿の葉が、白く染まりおり、
暗い道がうっすらと色づいてまいりまする。

薄いコートの前をかきあわせ、
しんしんと足元から冷え込んでくる夜の道で、
仰いで立ちすくんでおりました。

冷たい、暖かい、静かな花が、
少しこの身を洗い流してくださるようにも
思われました。


259わに ◆Wani6uvhK. :04/11/23 02:03:36 ID:q8lHldA0
おじゃまします。

「雪キライ」


眠れなくて洗面所の窓から
背伸びしてみた窓
真夜中なのに明るくて
雪の夜はキライ
夜の空が白い闇になるから

寒くて白い息を指先にかけて
パジャマの袖に手をみんな隠す

どんな物音立てても
咳を何度も繰り返しても
寒い空気が音を吸収する
雪の夜は怖い
此の世で独りぼっちな気がする
260リーフレイン:04/11/23 18:56:40 ID:7K3idsKk
>>259 わにさん 、いらっしゃいませ。このごろちょっとさびしかったので
嬉しいです〜〜〜〜〜。

雪の夜って、音なくなりますね。
そちらは雪国さんだから、きっと命がかかってるんじゃないでしょうか?
今年、凍死する人がでないように祈ります。。。。

うちのほは、暖かいので、雪というと贅沢な贈り物のような気分です。
すぐ溶けてしまいますし。。粉雪も珍しくて、ボタン雪が多いです。
261わに ◆Wani6uvhK. :04/11/23 19:27:23 ID:yNy3SyxT
これから雪の季節です。
暖かいところに引っ越したいです・・・

凍死しないようにがんばりますw
262リーフレイン:04/11/23 19:42:04 ID:7K3idsKk
”逢瀬唄”

一夜かぎりのちぎりをかわし、借りる枕とかりそめの腕
なんぞ、未練がありましょうかと、嘯く口元、紅が濃い

滲む涙を見せもせず、震える声を笑いで隠す
知って知らぬは、判った仲の、見て見ぬふりの優しさよ

雪が降る降る、しんしんと、もれる音さえ、消す雪に
束の間のなさけをあずけおく

いつか雪の降る夜に、きっと戻してくれましょう
雪をも溶かす想いの丈を、雪にあずけたこの時を

今宵ひと時、静寂の、雪の花にと成り果てて、
雪にまかせて、借りる腕(かいな)よ。
-----------------------------
とち狂ってポエム大会に出してしまったやつですう。北さんとこですねい。。
凍死しないでねーーー。不用意に酒飲んじゃだめよう。。
263リーフレイン:04/11/24 12:01:07 ID:pplRkfaF

もしかしたら、

独占したいという想いと
それを厭う想いがせめぎあう狭間こそに
愛が棲むのかもしれません。

痛みと喜びを抱きしめて。

264リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/11/29 07:55:04 ID:4F/JwY/L

”一晩2000円で泊まれるカプセル炬燵”
看板が出ていた、白いそっけないビル。
2000円を払って中にはいると、読み取りコード付キーが渡される。5階A105号。
フロアに下りると、そのまま各階ロビーに出る。
正面には上下二段になった扉がずらっとならび、左右には、サニタリーコーナー。
昔なつかしの、青いのれんと赤いのれんが掛けられて、男湯と女湯、ランドリー、ラバトリー。
男女別に利用ができる。
自分の扉に向かうと、2重になった扉の奥には、
4畳半ほどの畳の空間に、コタツがひとつと毛布が2枚、クッション、
テレビが置かれていた。ロビーの空間を上下二段にきりこんだ、
各カプセルは、やっと立って歩けるほどの高さだが、コタツに
こもってしまえば、それも気にはならない。窓も一応ついていた。
ロビーには、すわり心地のよい椅子と、机、各種自販機、ネット接続用端子と、
パソコンが数台おいてある。
キーの読み取りコードを提示すれば、時間100円でネットもできた。
コピー、指定媒体へのデータ移動も料金を払えばやってもらえる。
防犯ブザーがある、防犯カメラもある。呼べば警備員も対処してくれる
セキュリティのよさが売りでもあった。
一人で使っても、2人で使っても一晩2000円の低料金にも引かれて、
様々な人が利用に訪れていた。長逗留の客も多かった。
265リーフレイン:04/12/01 13:36:55 ID:k3Orui8Y
"乳飲み子"

生まれて間もない乳飲み子の
かあいいうんちは
黄な粉色

かおりもどこか穀物の
乾いた麦か、もろこしか

生まれて間もない乳飲み子は
未だ汚れを身に受けず
母がこしたか、自然のみわざか、
きれいなかあいいうんちです。

いつかこの子もたくさんの
林檎やパンや肉を食べ
血肉となしてゆきましょう
うんちも臭くなりましょう
266リーフレイン:04/12/01 13:37:52 ID:k3Orui8Y
「印度童話集」

旅人が2人の鬼に会った。死体を巡って争っている。
一人の鬼が、旅人の手をもぎとった。
もう一人が死骸の手をとって、旅人につけてくれた。
先の鬼が、足をもぎとった。
やはり足をつけてくれた。
もう片方、の、手、足、腹と続き、しまいに頭をもぎとっていった。
鬼がやはり死骸の頭をつけてくれた。
旅人は、自分が誰だかわからなくなって、
坊さんに尋ねた。
「あんたの体がなくなったのは、今に始まったことじゃないのです。
人は自分にとらわれて色々苦しみますが、自分なんてものはもともとないのですよ。」
    ーーーーーーーーーー

授業中にSF読んで、本で殴られ、ついでにその本破られたけど、
先生は神様じゃないから、我慢できない事もあるんだ。
職員室までお詫びに行った。
鞄の中には、自分で作った致死量のニコチン抽出液の壜。
とっくの昔に女になってて、
ツンドラ地帯な頭ン中、皮膚の外はぬるいお湯。
尊敬してます、お父さん、お母さん。
今日も寝る場所がある。ご飯がある。
成績はキープして、
秘密は決して明かしません。
思いっきり痛めつけたら、壊れるかな?
案外壊れないもん。
泣けない、泣きたい、涙が出ない。
神様、今日頑張ったら、何かいいことありますか?
267リーフレイン:04/12/03 19:12:20 ID:LsY7V8e0

夜中、ふと起きて、明かりをつける、
髪の毛の中に、7ミリほどの小さい毛虫が何匹も這っていた。
尺取虫に似た体躯で、鮮やかな緑色をしており、細かい黒い毛がびっしりと生えている。
尺取虫のように、体を真ん中で大きく曲げてゆらゆらとゆれていた。
何故、自分の頭皮がこんなに明確に見えるのだろうかと、当然のような疑問を
抱きつつ、当然感じてしかるべき嫌悪感もあまりないまま、櫛ではがしていってみる。
白い大きな紙の上に落としていくのだが、長い髪の毛の中にもつれてしまう。
困ったなあと思いながら、まあ、いいかと、虫がもつれたままの髪の毛を枕に
また、寝てしまった。

翌朝、あれはなんだったかと思うに、どうやら、そこが昔、蚕部屋であったらしい
ことに気がついた。髪の毛はいつもと変わりなく、せいぜいが白いふけが
少々あるだけだ。あの虫は蚕じゃないが、虫が虫を呼んだかもしれない。
元の主人の蚕がしっかりしていれば、ああいうものはこないような気がする。

白い障子紙に、桑の木を墨で書き、緑の葉をたわわに書きそえた。
緑色だけを、濃淡をつけて、墨の上へ置いていく。
少々ものたりなかったので、金粉をすこし散らす。
まあまあの出来となったので、先の部屋の障子をそれに張り替えてみた。
その晩、蚕がむしゃむしゃと無心に葉を食らう夢を見た。毛虫はいない。
268リーフレイン:04/12/10 10:49:51 ID:bylVrX2C
「ひとしずく」

朝、
ご飯が光って、ほかほかと湯気を立てていた

窓の外、銀杏の葉が黄色い

茶の縞猫家族、
東の家のガラス戸棚の中でたごまって寝ている

道を歩く小学生、
帽子を飛ばす 塀の中

物干しの白いシーツ、
雪の気配のする風が吹く

そこはかとない気配、
足を片方上げて座っておられる弥勒様の微笑み

藁束の下に、蛙が冬眠
トラクターの刃が入るはずの田んぼ、
そっとすくいあげて、畦の穴へと移した
269リーフレイン:04/12/10 10:56:10 ID:bylVrX2C
なんか寂しいので、あげてみます。。ダレカ アソンデクダサイ。。ヘンジ スグニハ デキナイデスガ。。
270 ◆88.8AAUPYM :04/12/10 19:45:17 ID:ixr0nH3I
星があった 光があった
空があり 深い闇があった
終わり無きものがあった
水 そして岩があり 見えないもの 大気があった
雲の下に 緑の木があった
木の下に 息をするものが居た
息をするものは心を持ち
生きるものは 死ぬことを知った
一滴の涙から 言葉が育った
こうして
我々の物語が育った
土と共に 微生物と共に
人間とはなんだろうという問いと共に
沈黙があった
宇宙の真中でありながら 隅っこである場所に・・・


私が出すものですし、もちろん作者・題名共に不明です。
年末に突入で忙しくなりそうですがゆるりとね〜
271リーフレイン:04/12/11 09:28:27 ID:7txccG3f
>>270
世界の始まりってどうだったんでしょうか?
いつか、世界が始まる音が聴けるといいなと思います。

想いはきっと、時空を駆けるのじゃないかと
夢をみるんです。

ーーーーーー
なんか人恋しくなってしまいまして、ありがとう。風邪ひかないよにね。。。
272リーフレイン ◆LeafL/oiO. :04/12/11 20:18:25 ID:7txccG3f

座っている女、
ほつけた日本髪を結っていて、粗末な紬をまとい、半襟の代わりに
茶色の木綿を縫いこんである。

”千本格子の障子の向こう、うなぎの寝床の古家の中で、
お宮参りの吾子が寝る。
羽二重羽織は虎の背模様、いまだ薄い髪の毛の、小さい頭がかしいで見ゆる。
ようやく眠った晴れ舞台。ねんねん、そっと、口ずさむ。”

呟くようにこんな歌を繰り返し唄っている。
暫く眺めていると、顔をあげてこちらを見た。
泣き笑いのような表情で、何かを言う。
わからないまま、立ちすくんでいると、
ふっと、女の顔が変わった。眼窩が落ち窪み、真っ黒な穴となり、
鼻も二つの穴に変わる、全体が青黒く、くすんで見える。
背筋がぞっとした。悪意のような冷たい意志が伝わってくる。
ああ、この女はあちらのものだったかと、あらためて感じた。
今までこの家で出会ったものに、恐怖を抱いたことはなかったのだが、
あまり無用心でもいけないらしいと、少し反省した。
273 ◆mooN.KttY. :04/12/11 21:23:53 ID:dVhu3U1x
光あれと神がいった そしてブルーズがはじまった
274名前はいらない:04/12/13 00:21:05 ID:0xvf3T++
何者かに成らんと欲し
何者でもないと知る
何かをなさんと欲し
なにも出来ぬと知る
言の葉を重ねて
己が欺瞞の業を知る

準備万端整い候
お楽しみはこれからだ
275名前はいらない:04/12/13 00:23:14 ID:0xvf3T++
スレ主さんすいません。
上げてしまいました。
276名前はいらない:04/12/13 00:31:27 ID:Qk09wlcU
>>1はいづこへ
277リーフレイン:04/12/13 17:54:00 ID:M56uHC9R
>>274
ブルース、ブルーズ、憂鬱な日々。

魂が啼き、生まれ、死ぬ。
闇があった。
278リーフレイン:04/12/13 17:58:34 ID:M56uHC9R
>>274 (ごめんなさい、さっきのは>>273あてです)

何者でもなくていい、
何かを成すと思うこともない。
生きる、ただ生きる、今日の糧を購い、明日につなぐ。
願わくば、一片の微笑みがそこにあらんことを。

>>276
1月以降お見かけしておりませんので、居候しております。
279名前はいらない:04/12/15 01:43:19 ID:4aMwR5cD
  「道化師の憂鬱」

 大げさに手足を振り回せ
(ホントは悲しいんでしょ)
 足を絡ませてぶざまに転げまわれ
(ホントは悲しいんでしょ)
 今だ!綱から落ちろ!
(ホントは悲しいんでしょ)
 
 ほっといてくれ!!
 オイラ笑わせるのが楽しいんだ
 アンタは何を見てるんだい?
280リーフレイン:04/12/15 21:14:57 ID:xsHe9v7B
極彩色の球が現れた
やけに大きな朱色の靴が乗っている
赤と白のたて縞の右足。
白地に青の星模様の左足。
だばだばとした白とピンクの水玉模様の上着が
あらわれて、ピエロの顔が白く浮かびあがった。
顔に涙の水玉。
弧を描いた赤い唇が、微妙に歪む。

薔薇水晶のコロンビーナよ、
コロンビーナよ。
貴女のために、白いレースを用意しよう。
(こんな万国旗じゃない)
凍れる瞳のコロンビーナよ、
コロンビーナよ。
貴女のために、花束を持ってきた。
(なんてこった、萎れてしまった)
冷たい微笑みのコロンビーナよ、
コロンビーナよ。
貴女に接吻をしてもいかい?
(ああ、唇がかじかんでしまいそうだ)
美しいコロンビーナよ、
コロンビーナよ。
お願いだから、抱きしめておくれよ。
(動きやしないんだ)
(コロンビーナ おめなんかえらね、こわれっちまいな。)

愛しいコロンビーナ
あれは嘘だよ。
薔薇水晶のコロンビーナ
月を宿したコロンビーナ
凍れる女神のコロンビーナよ
281リーフレイン:04/12/15 21:43:34 ID:xsHe9v7B
>>279
客は贅沢だから、提供された笑いじゃきっと嫌なんかもね。
そこに本物の感情が、ピエロの血と涙が見たい。
見せる人というのは、すべからくそうなのかもしれないです。怖いですね。
282名前はいらない:04/12/19 01:00:25 ID:gr4chWou
>>281
贅沢なんかじゃないよ、我儘なだけなんだ。
他人に自分を投影して酔ってるのさ。
最初はね、「ピエロが悲しく感じられるようになったのはいつからだろう?」
って考えてたんだけど、それって違うんじゃないかって思ったんだ。
ピエロを悲しいと思うお前の心が悲しいんだってね。
ピエロは素直に笑って欲しいんじゃないかな。
283名前はいらない:04/12/19 01:03:24 ID:gr4chWou
僕のID4chウォウ!
おしいw
おじゃましますた。
284リーフレイン:04/12/20 18:26:56 ID:bNwP5itO
>>283
また、来てくださいね。
ところで、マルセル・マルソーっていうパントマイムの人知ってますか?
パントマイムの神様って呼ばれてる人なんですが、
前にNHKでスペシャルを組んでて、みたことあるんだけど、すごい迫力なんです。
機会があったら、是非見てみてください。(すでに知ってたらごめん)
芸をつきつめていくと出発点である、”素直に笑ってほしい”
に戻るかもしれないな、とレスみながら考えてましたです。
285リーフレイン:04/12/21 21:58:45 ID:qs3Kzc9C
「ある夜、一人の男がギターを弾いた」

コロン、コロンとゆるやかに転がりながら
はんなりした音をたてる人形。
赤いセルロイドでできていて、
だるまさんが優しいお顔になったような、
手足のない丸が二つあるっきりの人形で、
子供が手で押すと、少し傾いてコロンと鳴る。
また傾いて違う音でコロコロンと鳴る。

ギターのトレモロを聴いていると、
いつもあの人形を思い出す。
風が風車を回しながらコロコロと
通り抜けていくようなトレモロが、懐かしいあの人形の
妙に響きのあるコロンという音と重なって聞こえる。

古いギターの音は小さい。
ごく近い人だけ聞かせるための楽器らしくて、
大切な秘密をそっと渡してもらえるような気持ちになる。
小さな火を僅かな人数で囲み、
お互いのぬくもりを確かめあうような想いがする。

ああ、静かな唄が始まった。
心の奥の秘めやかな真実を、
そっと、そっと手で囲い込んで渡すような唄だ。
泪が知らぬ間に頬を伝う。
風が吹き止み、
地表の全てが息をひそめて聞き入っている唄だ。

月が白い。
286リーフレイン:04/12/23 23:19:52 ID:VAFj0ypP
「今日、たんぽぽがあたまに咲いて」

なんかしらんけど、頭が春。

黄色い電球がいつもついているみたいで、

あつい。

そのうち綿帽子ができて、飛んでいってしまうんだ。

脳味噌と一緒に。
287:04/12/29 21:35:00 ID:TKrbhgEu
親を捨て、国を捨て、故里を捨てて駆けてゆく者たちの天真爛漫
288リーフレイン:04/12/29 21:59:06 ID:NMZDjWiK
>>287
力強くあれかし、心強くあれかし、
そは、頼るものなき子等なり、

陽が上り、また沈む。
そは、独り立つ猛き子等なり。
289リーフレイン:04/12/29 22:09:32 ID:NMZDjWiK
琥珀色をした夢を破るのは誰なのか、
滴り落ちる雫を舐めとりながら、
目覚めの予感に震えが走る。
時は来る。
灰色の帷子を纏い終えないまま、
ひんやりした外気が吹きつけてきた。
290リーフレイン:04/12/29 22:12:30 ID:NMZDjWiK
「プランテーション」

机の上にチョコレートに、
もう少しで手が届く。
甘いチョコを食べれば、どこかに行ける。

ココナッツの森に住む
一匹のいたちが 気配に気づく。
風が、来た。
西の空から木々を揺らして近づいてくる。
轟音が通り過ぎていった。
神々の通り道だ。

ココナッツの実が揺れる。
コーン、コンコン、カンカンカン。
華やかな音が枝の音に加わってきた。
祝祭の音

ココナッツの実が割れるとき、
虫が、鳥が、獣が集まる。
呼び合う鳥の鳴き声が風の後に続く。
ココナツの森の祝祭の音。

チョコレートを口に含み、
遥か南の森へ飛ぶ。
カカオ、ココナツ、砂糖黍。
ゴム、バナナ、コーヒー豆。
綿花、オリーブ、胡椒粒。
黒々とした肌、真昼の太陽。
291リーフレイン:04/12/30 21:37:02 ID:glmzoFga

熱い手をおそるおそるに伸ばして
届く先にあるのは、
冷たい肌。

石膏のメディチ像が冷ややかな横顔を
微動だにせずに見せている夜の寝室で、
微かな振動を気配で探る。

時間が月の明かりに溶け出して、
じんやりと手足が震えだす。
生ぬるい闇の中に
うまく入り込めない苛立ちが、
幾千もの細かい刺となって、肌を刺す。
292リーフレイン ◆LeafL/oiO. :05/01/04 22:28:27 ID:P2+YwbcQ

太った豚のふくよかな臀部に
痩せたソクラテスの細い脛が果敢に立ち向かう。

空を飛ぶネズミの微妙になびくピンクの尻尾が
赤い羽根のハーピーのたっぷりとした乳房を
くすぐっている。

胸の中心の肋骨がへこんだ男の胸板に
頬をよせている女が林檎を食べて、
にっこり笑って、その一欠片を男の口に押し込んだ。

双頭の鷲が熊と番をなし、
血が流されても気づかれることもない。
幼い子が乳を求めて泣き、
たまたま運がよければなにかにありつくことができる。

愚者の楽園には罪はなく、
昼夜を問わず凄惨な宴が催され、
密やかな掃除人がそれと気づかれることなく徘徊する。

豊潤であれ、
無垢であれ、
無知であれ、
神の厳かな宣託に満ち溢れる。

手足があった蛇が女の目の前に林檎を置いた
産みの苦しみもなく、子を孕み、子を成していた女は、
罰の意味を知らず、罪という言葉もまだ持っていない。
293リーフレイン ◆LeafL/oiO. :05/01/05 10:20:01 ID:T5fyqyxm

会社に箪笥を持ち込んだ女子社員が、
クビになった。

カシミアのコート、セリーヌのスカーフ、
シャネルのスーツ、シルクのパンティ、
死んだ猫の干からびた死体、
部長の秘蔵品だった、ロイヤルコペンハーゲンのお茶の缶、
伊万里の皿、烏の黒い羽、
銀の幅広の指輪、喪服の着物セット、
昔の男の指、切った黒髪の束、
ベルギーレースのハンカチ、
生理用ナプキン、SSRIのピル、
ティッシュペーパーの山、平原綾香のCD、
エトセトラが入っていた箪笥を運び出す。

「蒲団も入っていたら、このままこの箪笥があればどこでも暮らせそうだな」
と悪口を言ったとたん、箪笥の裏側から蒲団がこぼれ出てきた。

294リーフレイン:05/01/06 10:00:57 ID:8kLHLPlT

祈り

かくあれかしと祈るときに、
裏に潜む卑しい人を恥じる。

この手にあるものを、足らぬと思う人を恥じる。

それでもなお、
祈りをなす、人らしき人。

祈る場を持ちえる事に、感謝を捧ぐ。
295リーフレイン:05/01/06 10:14:51 ID:8kLHLPlT
慟哭すること

我慢しろと、命令。
納得できるものもあれば、理不尽と思うものもあり、
頑丈な机の上に、石を重ねておくように、心をきしませてゆく。
”重いんだ”と、言ってもよい場所で言葉を重ね、
重さのなにがしが、幻想であることを知る。
重さのなにがしが、喜びでもあることを知る。
人と人の中で、人だけでは抱えきれない思いの重さを
神という名のもとに、祈り、慟哭し、訴え、
やがて、昇華にいたるのだろうか。

あるがままにあり、為せることを為し、
見えるものを見て、聞けることを聞く。
足らぬことを嘆き、足ることを嬉しく想う。
歩ける処を歩き、触れ得るものに、触れる。
世界は気配に溢れ、光に充ち、
そして、言葉がある。
296リーフレイン ◆LeafL/oiO. :05/01/08 20:49:26 ID:FLnUFOBj

子供達が声をあげて笑っています。
何気ない日常の、

ふとんの中で、
食卓で、
狭い風呂で、
テレビの前で、

家も笑っています。

壁が、屋根が、床が
笑い声を覚えているに違いありません。

傲慢だとなじってください。
私はこの子供達が
今ここに笑っていることが
この上もない祝福であると思えるのです。

今流す泪は、途方もなく贅沢な泪です。
297リーフレイン ◆LeafL/oiO. :05/01/08 20:56:32 ID:FLnUFOBj
光こぼれるランタン
ぎらつく太陽、
凍れる月。

木々をならして走る風、
たゆたう水面、
底がぬけたように青い空。

畏怖をもて感じる全てにもまして、
人のぬくもりが愛おしいのは
想いがあり、
想うことができるから。

298リーフレイン ◆LeafL/oiO. :05/01/10 22:31:49 ID:CHASQZ8y

寄せては返す波に漂う 一片の流木であるように、
風のまにまに吹かれ、舞い踊る一ひらの羽毛であるように、
心が定まることがなく、
ある時は光を臨み、
またある時は影の中に溺れゆく。

時は一瞬の躊躇いもなく、刻々と針を刻み、
澱みに嵌りつつも、前を見る。
漂う贅沢を舌に甘く、苦く感じながら、
この一足をどこに降ろしたらよいのだろうか?

跳躍。
目をつぶって、飛べ。
299リーフレイン:05/01/12 13:52:15 ID:RLugMgYu
「月」

薄紅色に染め抜いた絹の雲に、
白い月が小さく浮かぶ。

紅を差し、髪を結い上げ、
待ち人の来るのを待つ。
きりきりと、時計のねじを巻き上げて、
秒針がかちこちと回っているのを凝視する。

空が暗さを取り戻し、紅色の雲が灰に消え、
月が煌々と光りだす。

しんと尖りだす空気に身をまかせ、
中身のなくなってしまったドロップの缶のような
空っぽな頭のままで、
月の模様を数えだした。

あばたのような穴が開いている。
300リーフレイン:05/01/13 21:08:32 ID:SY++eL1U

アーケード街の中は、バラックのような店が
所狭しと軒を並べている。
ピーマンとなにやらの肉を串刺しにした焼肉、
ナスの丸焼き、焼き魚、ドーナッツ、
でっぷり太ったおばちゃんと、
野球帽を後ろ向きに被った てらてらした顔の男が
大きい声で喋りながら、客寄せをしている。
猫が天井の隅にあった穴にひょいと飛びついて、消えていった。

壁や天井は、でこぼこした塗装で、あちこち色が変わっている。
その天井そのものも、大きく斜めに傾斜した格好で、どうやら
屋根の形そのもののようだ。屋根裏が殆どとっていない。
自転車を引きずりながら、通り抜けていく。
買わずに帰ろうと思ったが、少し買って帰ることにした。
待つ間、コンクリートの道路に横になって寝る。
このまま眠ってしまいたい。
301リーフレイン:05/01/13 21:43:27 ID:SY++eL1U

この間死んだ女が、にこにこと笑いながら歩いている。
挨拶を交わして通り過ぎてから、それと気づいた。
市民ホールで、古い玩具の新幹線が子供達を乗せて走り回る。
新幹線は空中を飛び回って、時間を越える。

昼間の野球広場でバーベキューが提供されて、
母親たちが笑いながら肉を焼く。
言葉も一緒にこんがりと焼き上げる。
噂話を調味料に。

302リーフレイン:05/01/14 08:24:17 ID:DAs9dCVC

夢と現実の境目に落ち込んで、
キャラメルのおまけの紙のサイコロが
今日の天気を教えてくれる。
言葉が回転木馬に乗っかって、
回る回る 串刺しの馬。

螺旋の道がきりきりと巻き上げられて、
とめどもなく上へはみだして、
チューブをしぼった練り歯磨きが
中空に搾り出された。
303リーフレイン:05/01/16 21:19:56 ID:sZR4wja0
「空」

大声を出して、呼んでみたら、
あの雲が返事をしてくれるだろうか。
冬の空は青紫の影が彩っている。
冬の空は、薄紅色の雲がたなびいている。
哀しみの白を刷毛ではき、自嘲の銀粉をほんの少し散らし、
清々とした空気が、ひりひりと肌を焼く。
涙を流したら、
あの空が頬をぬぐってくれるだろうか。
304リーフレイン:05/01/17 09:31:51 ID:p86JGivp
「冬」

何百羽と集まっていた電線の椋鳥が、一斉に飛び立った。
歩道に残された黒い糞が雨を待っている。

広葉樹の木々が化粧を落とし、
骸骨のように手を伸ばした影を地上に写す。

ひんやりと清い空気が胸を刺し、
生ぬるい澱みに慣れきった肌をあざ笑う。

目やにだらけの老いた犬が、頭をあげて歩み去った。
305リーフレイン:05/01/17 11:58:32 ID:p86JGivp

幻惑されることについて

君は記号に惑わされている。
ラベルを貼ってはいけない。
行為の結果の予想に怖気づいてはいけない。
記号化する作業に疲れきってはいけない。
小川の水が下流へ流れるように、
ゆるゆると意識を流し、現象に無用に足を止められぬようにしたまえ。
306リーフレイン:05/01/18 11:33:05 ID:Ltiiwb0R
公園

皇帝ペンギンの冠がぺんぺんとゆれ、
ホームレスが寝転がっている昼下がり
太陽が黄色く褪せ、花が枯れかけていた。

猫がゴミ箱からこっそり這い出して、
閉じられていた空間に爪を立てて引っかいた。

裂け目からこぼれだした蒲公英の花。
307リーフレイン:05/01/18 21:40:56 ID:Ltiiwb0R
知らぬ間に開いてしまった玉手箱
寿ぐ時を惜しむ間もなし
308リーフレイン:05/01/19 10:02:12 ID:iVQ8DBjd

「自由」

蝋梅の硬い花が
葉の落ちた枝に黄色く咲き残る
あえかな香り

新しい風が吹く

309リーフレイン:05/01/19 20:35:08 ID:RxIXDy0Q

今日、風が吹いてきて、
自由を思った。

正しいと感じることは、正しいで構わない。
間違っていると感じることは、そう思ってもいい。
楽しいと思ったら、それは楽しい。
嫌だと思えば、本当に嫌だ。

感じる事を嘘にしてしまうな。
その判断こそが自由で、
私は、自由を持っている。
気がついていなかったけれども、
私は、自由を持っている。
310リーフレイン:05/01/21 09:00:52 ID:cPmHo7Rp
そのトルソーには顔が二つあった。
好奇心に満ち、明るく優しい右の顔
見通したようでありながら、にやりと笑い、
幻想へ堕ちていく人間を誘いこみ、嘲笑するような左の顔。
二つながら、魅力的で、コインの裏表であるような気がした。

やっとのことで立ち上がり、ドアをあけて歩き出すと、
「やあ、それで本当にお前は満足なのか? 俺はあっちのお前の方が好きだ。」
どぶでのたうっている間は、優しく手を差し伸べ、
身体を引き起こした瞬間に、踏みにじる足。

所詮、見世物でしかない。
世界のすべては冗談ごとで、面白がせてくれればいい。
そして左に、より魅了されてしまっている自分もまた、
左の顔がある。
311リーフレイン:05/01/21 09:01:29 ID:cPmHo7Rp

キャラメルのおまけのサイコロ3回ふって、
今日の天気は雨、雨、雨。
寝転んだ道路のコンクリ ひんやり硬い。
綱渡りの綱がふらふら揺れて、天秤棒をもて踊る。
ふうわり歌う子守唄、
ねんねん良い子はくびらずに、かあいい良い子はおとなしい
金銀細工の更紗の布を、シャレンと広げて雨あがり。

左の顔がにんまり笑い、
まだだ、まだだと煽りたて、スキップしながら案山子が走る。
手に握り締めたキャラメルが、とろとろ溶けてつぶれた蛙。
ぼろぼろ零れる藁のくず。あれあれ、あれは大事な思い。
みるみる変わる、石の顔。

思わず止まったその先は、二手に分かれた別れ道。
足を置くのはどの石の上。
312リーフレイン:05/01/21 11:20:08 ID:cPmHo7Rp
懐古趣味

辛辣な自転車が空回りする駅前広場
疲れきった少年がよちよち歩き、
乳母車を押した老人がとっぴょうしもないスピードで
駆け抜けていく。

老人ホームで、猪狩りが催され、
ゲートボールのスティックで、獲物が仕留められた。
しし鍋はうまい。

あからさまなショーウインドウに飾られた
古びた少女の裸に金を出す男がいなくなり、
空き缶がカラカラと道を転がっていった。

313:05/01/21 20:32:38 ID:M4hbnM/3
南風が吹く夜
虫達がいつもと
異う声で鳴いたら
懐かしい人達が迎えにくるから
月をみてはいけない
ほんとうだよ

むかしの夢で会った
中国の古老が
こっそり教えてくれた
だからこんな夜は
月をみてはいけない
ほんとうだよ

世界の半分じゃ
ちょっとした祭り
月の裏側じゃ
創造主さんたち
舌出して笑ってる
だからこんな夜は
月をみてはいけない
ほんとうだよ
314怪魚:05/01/21 20:36:38 ID:M4hbnM/3
コンクリートリバーに身重く臥して
呻き上げよと浮かぶ瀬もなし
315リーフレイン:05/01/21 21:08:31 ID:cPmHo7Rp
>>313
どこか懐かしい響きのする唄ですね。
後ろの正面を見てしまいそうな気がします。

月が青く染まった夜は
影が一人で歩きだし、
ぞろり、ぞろりと舌なめずりの
蛇が蛙を飲み込んで、
井戸の奥から泡が立つ。

月がこっそり踊る夜、
星も真っ赤な烏帽子をかぶり
軌道を越えて旅立って
流星群ができあがる。

月が声あげ笑う夜
窓の向こうは逢魔の世界
とうさま、かあさま、ごめんなさい
あたしはあそこにまいります。
316わに ◆Wani6uvhK. :05/01/21 21:37:10 ID:37En2I6A
[ティッシュ]

滴っているのは
あたしの液体?
零れているのは
あなたの液体?

ティッシュでふき取って
ゴミ箱に投げる
二人の残骸
混ざり合ってた白い液体
ゴミ袋ごと明日の燃えるごみの日に
出せばきっと燃やされてしまう
愛とか言うものの痕

*

 お邪魔しま〜〜す。
317リーフレイン:05/01/21 21:46:15 ID:cPmHo7Rp
>>316
いらっしゃい、わにさん。 お元気でしたか?雪だらけになってきましたね。




                          エロ*ティッシュ
318リーフレイン:05/01/21 21:57:47 ID:cPmHo7Rp
>>317 オヘンジデス

慣れていないページをめくる時、
空回りする頭が
ずきずきと痛む不安な心臓を従えて
勝手のわからぬティッシュペーパーを
シーツの波に浮かばせていた。

ああ、どうしよう。
319タクト ◆ZS.csZP.D2 :05/01/22 00:13:46 ID:qsHmPdjo
女性2人でこっそりエッチ詩の交換なんて反則です。



_| ̄|○ 寝られねぇー    
320リーフレイン:05/01/22 11:03:43 ID:ljFK9n51
>>319
ww。コレカラ コノ スレッドハ [Q歳未満ROM禁止] ニシマスカネwww。
321わに ◆Wani6uvhK. :05/01/22 19:48:08 ID:dGSOqPA2
うふふ。
寝られないといわれたら本望です。
322わに ◆Wani6uvhK. :05/01/22 19:50:52 ID:dGSOqPA2
>>318
ティッシュって
想像力書き立てますよね
日常のものなのに。

返詩ありがとうです^^
323リーフレイン:05/01/23 14:54:39 ID:lvoRbBPU
「ここに一脚の椅子がある」

磨き上げられた焦げ茶色のチーク材で、
複雑な透かし模様が背の中央部分に彫られている。
唐草模様に縁取られ、
後ろからも前からも楽しめるようにと、
同じ輪郭の中に、前は薔薇が、後ろには鳥が浮かび上がる。
背の登頂部は、金箔の型押しがなされ、
家紋と思われる盾に獅子と旗と組みあさった2本の槍が見える。
緩やかなカーブを描く座面。
猫足の優雅な脚部が、しなやかな媚を醸し出す。

鯨の骨のフープで大きく膨らませたずっしりと重いドレスが座り、
華奢なブーツが置かれ、レース襟の少年がよじ登る。
気の抜けたバロック音楽が響き、睦言がささやかれ、
いくつもの手によって磨かれる。
カードルームの煙草の香り、酒の雫、
凋落。
束の間の影のように重みをゆだね、消えていく人間。

巧みなる手によって形を成し、数脚が揃いであったであろうこの椅子も、
海を越え、異国の部屋に一脚だけがたどりつく。
そこここに傷がつき、チークの色もだんだらに褪せ、
複雑であるが故に、埃をかぶりやすい彫り物も
角が落ち、塵をためていく。押印の金箔も既に色はない。
今は白い猫がその上で眠り、
やがて、土へと還る。
324リーフレイン:05/01/24 15:17:55 ID:sdi7Jhk5

ここでしか書けない事を書いてみるのは





                              好きです。
325リーフレイン:05/01/24 22:17:43 ID:sdi7Jhk5
「電気うなぎはゴムの上でのたうつ」

浅ましい夢を見る夜、
裏側にあるのは生命。

お上品な倫理が掃き捨てるのは
本当はそれなしには生きていけない
塩の塊。

言っちまいなよ、「欲しい」てさ。
ほら、頭の後ろから手が出てる。
326リーフレイン:05/01/25 21:27:10 ID:3edfNXit

雑踏のなかの悲しみは
石が石でなくなってしまう悲しみで、
電信柱がつんつん並ぶコンクリートを
馬とびしながら走ってた。

人が人になったなら
心が潰れてしまうから、
舌噛んで唄う、目隠し鬼よ。
327リーフレイン:05/01/25 21:27:54 ID:3edfNXit

ほう、ほうと梟が鳴き、
きゅうと小さい吐息がもれる林の中で、
木々が風にすれ、
暗い雲が音を立てて、空を駆けていく。

しんしんと冷え込む空気が影を呼び、
背中をそっとさすりあげて鳥肌を誘いこむ。
覚束ない心をだましだまし慰めて、
深く夜を吸い込んで、影の中へ入り込む。

とろりと滴るような夜のなかは、
何を隠すこともなく、
赤黒い内臓をそのまま裏返しにして、
まどろんでもいい。
328寂 ◆vCF10QNWUk :05/01/26 01:28:34 ID:ZW2KdHGD
『幼少期に対する感傷 ハルジオンと古い記憶に残る響きの連結』

世界に暗い色が付いてしまう前の記憶
空がそのまま青く感じられ
緑がそのまま鮮やかに感じられ
無心にハルジオンを摘み取っていたときの記憶
それを自らに思い出させるために
古い記憶に残る響きを探す

以外にもそれは無機質で単調な電子音で
あの清清しい記憶とは結びつきそうもない響きだった

弱さとは可塑的という事
悪意によって歪められれば二度と元に戻れないという事

脳は可塑的で歪んだ思考はもう元に戻らないけれど
もしかして一瞬それを忘れることができるのではないか
そんな希望を持って電子音に無心に聞き入り
時は飛ぶように過ぎる

そもそも暗い色が
世界の元元の性質だったのか
それとも清清しい記憶が
世界の元元の性質だったのか

それが判断できないのであった
329寂 ◆vCF10QNWUk :05/01/26 01:35:11 ID:ZW2KdHGD
失礼します。なんとかまともな詩らしい物を書いてみようとしました。
柔らかい表現ができませんで相済みません。

>>311のような柔らかい表現を見習いたいものです。

気の利いた事は言えませんがこのスレッドの作品は多く読んでおります。
330リーフレイン:05/01/26 11:03:04 ID:f2Tn/dyF
>>328-329 
寂法師さんいらっしゃいまし。(読んで下さってありがとうございます)
詩を見ていて、実は吉岡実の
「サフラン摘み」を思い出していました。
この方は、現代象徴詩の代表者といえそうな詩人で、
少し難解な詩句を使い、とぎすまされたイメージを
展開していく詩を書かれます。
語調は、翻訳調とでもいうのか、少々固めの口語自由律です。
是非一度読んでほしいのは、
「静物」「過去」「僧侶」「サフラン摘み」の4作品です。

「サフラン摘み」はクレタ島の壁画にあるサフランを摘む少年を
きっかけに、非常に繊細で凄絶な詩世界を展開します。
裏にある概念は「死」と「青臭さの香る性」それらを「歌」という
一つの焦点に絞り込み再び花へと転化させ、詩世界から
こちらへもどってきます。
詩を書く醍醐味というのは、一つはこういう世界の構築なのだろうと
思います。「死」「性」「猿」といった裏の概念は、作者本人の持つ
過去かもしれない、認識かもしれない、考察かもしれない、あるいは
葛藤であるかもしれないです。それをそれとは書かずに、象徴にして
詩の中へ入れ込み、それをそれと知らずに読んだ人間にも、
一つの知というか、驚きというか、陶酔を与えてくれます。

ハルジオンのタイプの詩は、詩を書く詩人の葛藤をそのまま、
裏に秘めて描ききるという綱渡りが必要なんじゃないかと少し思います。
最初に提示されるイメージと音楽が美しいだけに、ちょっと惜しいです。
こちらも若輩なんで、えらそうな事は言えませんが。。
331リーフレイン:05/01/26 11:08:43 ID:f2Tn/dyF
寂法師さんの、さびしいという書き込みを見て、一緒だなあと思っていたんです。
私がここで書く詩は、寂法師さんが地の文で書いている言葉をそのまま
詩にしてあるようなものです。ただ、少し婉曲にしてあるだけでして。w
お恥ずかしい限りです。

詩句や、語形は、私自身も実験途中で、あれなんですが、
形に合わせるのではなくて、できるだけ拘らずに書きたいと思ってます。
(型に嵌めるときもあれば、とっぱずす時もありって感じ)
通常は、一つの曲を(それぞれで違うんですが)頭の中に流します。
それでリズムを整えるみたいな感じ。まあ、これが成功してるかってと
そうでもないんで、やはりえらそうなことはいえません。
332リーフレイン:05/01/30 08:14:15 ID:0UgJso4l
「うなぎなんて知らないわ」

日常になった枕って、妙な開放感が漂っていて、
隠微な興奮が少し減った代わりっていっちゃあなんだけど
大声で笑うウルトラマンごっこ。

コップに挿した一輪のチューリップに、
休みの日の明るくてやけに黄色い太陽が、水に透けて
洗濯したシーツの日向の匂いが
昨日の痕とからまりあって、ちょっと健全。

くすくすと笑いながら、
味噌汁の出汁を真面目にとってたりする。
宗田の厚削り。
333リーフレイン:05/02/01 10:23:30 ID:jfmnbAQh

星のランタン、夜の森
どうでもいいよなよた話
どうでもいいよな瞬間に
ねえ、あの星とって
と頼んだら、
いいよ、っと飛んでもいできた。

星は二つの手の中で
ふわふわふわとあふれ出て
甘くはかない綿飴よ
せんない味に口をつけ
ふと後ろを振り見れば
影が痛そにしかめった。

ああ、この人はまた、無理をして
ああ、あたしはまた、気づかずに
甘えたことを頼んだか

星のランタンゆらゆらと
おぼろに光る夜の森、
少しもたれた肩の甘さが
ほろり苦くもうれしやな。

ごめんなし。
334リーフレイン:05/02/01 11:20:36 ID:jfmnbAQh

「武士に二言はない」ってえらそうに言った二重螺旋のくせに、
二次関数との交点が1点ばかりじゃなかったのだ。
二重真理説を唱えて、しきりに逃げようとしたけど、
それはまったくの二枚舌でしかない。
二号扱いはごめんだと、二重人格の煮魚が、
二重あごした二重まぶたの青二才ににじりよったら、
煮っ転がしで手を打たないかと二重帳簿を持ちかけてくる。
思わず二重丸を書いてしまった両面体は
すっかり二次感染してしまい、二重唱を歌うはめに陥った。
ああ、なんて世の中は二重構造になっているんだろうか?
335リーフレイン:05/02/01 11:48:41 ID:jfmnbAQh

京都、下賀茂、糺の森に、
流鏑馬勇んで走るとき
一陣の突風吹き抜けて
鎧兜のもののふが
やあら、やあらと駆け抜けた。

白拍子の装束が、先折れ烏帽子に従って、
手ふり足ふり舞い踊る。
ちんとんしゃんの鐘の音

粉雪降りしくいにしえの
舞台をみやれと、手の中の
古紙に住み着く墨染めの蚯蚓が
枯れた声を絞り出す
336寂 ◆vCF10QNWUk :05/02/02 12:44:51 ID:OAAzfFiA
なかなか本が見つからなかったのですが、昨日
思潮社の『続・吉岡実詩集』を買って読んでみました。
「サフラン摘み」は思ったより過激な内容でした。
気恥ずかしいと言うか何と言うか。
「サフラン摘み」と「タコ」と「樹」が何となく良いと思いました。
普段読まない傾向の詩でしたので参考になりました。

と感想を書いてみました。
337リーフレイン:05/02/02 19:20:03 ID:wmayYCj6
>>336
あ、読んでくださったんですね。
過激ですか?そうかもしれないです。私なんかは、当たり前のように
受け付けてしまうんですが、年とりました。w
「タコ」も「樹」も女性を描いた詩で、こちらからするとどことなく
腹が立つような気もするんです。w でもとても美しいです。
漢詩とはえらい違いますが、あの象徴詩の詩作方法というのはどんな形式の
詩形をとっても、利用可能だと思いませんか?
吉岡実の鋭角で、無駄のない話法は男性的で好きです。
スネグローチカ1号さんは元気ですか?美しい人ですね。しかもマニアックで。
338リーフレイン:05/02/08 14:35:03 ID:tUF0I74z
「恋」

花が咲いている。

暗闇の中で、ぼんやりと光るように、
一輪の花が咲いている。

すくっとこうべを上げて、
しなやかに茎を伸ばし、
数枚の葉を
翼を広げるように誇らしげに見せて
花が咲いている。

薄紅色をした花びらは、
満開には少し早いほころびで、
二十歳の娘の匂い立つような恥らいの、
咲き初めの露がひとつふたつと化粧を置く。

ああ、
かすかに草いきれのする、
甘く、爽やかな香りが
闇を碧く染めていった。
339リーフレイン:05/02/09 09:35:24 ID:Nk2kT6ob

口を開くと、
出るそばから言葉がぼろぼろの結晶になって
下にこぼれてしまってお困りの方へ。

こぼれ落ちた言葉の欠片を
ざらざらっと手にすくい、
手早く水洗いしてから
鍋で暖めますと、
不可思議な音が聞こえます。

この時、音になる前の温い温度のままで、
適当な調味料を加えますと、
さらによい味になります。

塩コショウで、辛味をつけるのもよし、
砂糖あるいは蜂蜜で、甘みをつけるのもよし。
お好みでどうそ。

味をつけたところで、もう一度冷まして、
冷凍庫へいれ、シャーベットにしてみてもよろしいです。
ひんやりした舌触りの音が
口のなかで溶けるにつれて、はじけます。
そのまま飲み込みますと、お腹がくだる場合もあるので、
ご注意ください。
340リーフレイン:05/02/09 22:25:16 ID:Nk2kT6ob

だらんと開けたままの口から、
言葉のツララができて、
ぼろぼろに零れ落ちてしまった。
伝わることのなかったなにかが
涙となって、目から流れる。

待っていた耳に届くことなく、

ストーブの火、
黒いセーターの男が、
凍れる炎を持ってきた。
ぬくいのに、冷たい。冷たい。
生まれたての子猫が凍りつき、
いつまでも舐めている母猫が
諦めてしまうまで待っていた。

341リーフレイン:05/02/10 11:16:57 ID:IMq9/qFm
「鉄が夢を見ていた」

黄土色に枯れた草が残る大地に
粉雪が舞い散っている。
身体の芯まで突き刺してくるような 
風に乗って。
茫漠なる、荒涼なる、立ち枯れの木々が
点々と転がる大地に、
粉雪が舞い散っている。

花が咲かない、緑が消えた。
生けるものの気配が 地表から消えうせ、
躍動する生命が 無機質な結晶へ変化し、 
硬く落ちていく。
心がかたくなにこわばり、
言葉が口を出ることもなしに、凍りつく。
静寂と鎮魂。

春を待つ。
ただ、内側深くに燃える何かをじっと抑え込みながら、
息を殺して 待つ。

溶鉱炉を開け、斜めに傾けた炉の出口から、
どうっと鉄が流れ出す。
噴出する熱、飛沫する鉄、
焼け爛れる肉塊、熱く濡れた子宮。
阿鼻叫喚のうめきとともに、歓喜の叫びが発せられる。


夢を見るのだ。
待ち続ける冬の中で、
342リーフレイン:05/02/14 07:57:59 ID:5+aXXTdW

一杯の水、
ひと時の愛、
歩む一足のその下にある小石。
夢、眠り、時間、想い、人、世界。
もろもろの事象が溶解していくその先を
見つめる事を望み、
歩み続けることを望み、
ウロボロスの蛇のように、
円環を流れる。

343リーフレイン:05/02/17 12:05:30 ID:Ka9ZsD3i
ーある書簡
**、
この手紙を書くかどうか迷っていた。
あの日の君はおかしかった。僕はあの乱れた君を思い出す。
気が狂いそうになる。
君は今日も平気な顔をして、隣で授業を受けている。
あの日、君の唇はぬめぬめと光り、目が、
ああ、あの目が、哀願するようでもあり、怯えるようでも
ありながら、執拗にせがむあの目が
僕の中の始原の記憶を呼び覚ます。

あの日、君は「あたしは、お便所なの」と、か細い声でささやいた。
僕は、そんなことはないのだと言いたい。
だが、誰か知らない男の下で、
蒼ざめたカエルのようにあえいでいる君を考えると、
気がおかしくなりそうだ。
その男をけりだしてやりたいと思うのか、
いや、僕がその男になりたい。

思うままに、君を殴りつけ、「違うだろう!」と言う。
血が染み出るまで、全身を吸いだしてやろう。
「痛い」と泣き出すまで、さいなんでやろう。
君はそれを望んでいた、あの日。
僕も望む。

軽蔑の目も欲しいのか? まったく際限のない欲望だな。
無垢を装った貪欲なト犬だ。
ひらひらと骨をみせびらかしてやろう。

お前は犬だ。
344リーフレイン:05/02/17 12:06:00 ID:Ka9ZsD3i
ー独白

彼女から、離れるべきなのだと理性は思う。
奴隷は彼女ではなく僕だ。
執拗な要求を求めるのは、あの懇願する卑屈な目であり、
僕はその暴力的ともいえる力に拮抗する支配を彼女に与える。
より醜悪で、より刺激的で、より甘美な支配を
僕のなにものかをこそげ落としながら搾り出し、歓喜する。
彼女は、支配を求めることで僕を支配する。


干からびた猿の頭が、からんからんと転がっていく。

345リーフレイン:05/02/17 20:05:12 ID:UjRQjFKh
「どうやっておりればいいんだ!」

今日の天気は晴れで、
物干しには、白く乾いたハリネズミがぶら下がっている。

昨日の泥を洗い流して、
じりじり暑い。
346リーフレイン:05/02/18 12:38:32 ID:W2S8zng7
日常

困る。困るよ、まったく。
喋れないなんて、役に立たないじゃん。
電話出れないでしょ?
仕事なんないよ。

え、なんだって、震えて立っていられない?
甘えてんじゃないよ、まったく。
杖でもなんでも使えよ。
困るな。自覚のないやつって。

買い物いったら、ゴジラに遭っただって?
そりゃ、運が悪かったな。
だけどそのまま帰ってきたらだめじゃんか。
もう一度買ってこい。

ほれ、しょうがないな。
泣くんじゃない。こっちが悪者みたいじゃないか。
いいから、行ってこい。待っててやるからさ。

馬鹿、寝るな!
347リーフレイン:05/02/18 21:47:24 ID:W2S8zng7
「乖離しているんだ、なにもかもが」

胃の中で烏が泣き喚いているような、
落ち着きのない気分のまま、
トラックのハンドルにしがみつく。

法務局の駐車場は無駄に4階建て。
銀行の前の道は駐車禁止で、
いつも車とパトカーが
床屋の看板のように順繰りに停まっていた。
都市再生融資を受けて、
潰れた大規模デパートの跡地にマンションが建つ。
駅前のビルは、閑散として空き店舗が増えた。

中途半端に時代に踊った地方都市は
蝉の抜け殻のように中身がない。
街と一緒に眠ってしまいそうな怠惰な気分を
唇を噛んで抑え込む。
こわばってしまった足で踏む
アクセルを
ようやくのことで緩めた。
348リーフレイン:05/02/18 21:48:28 ID:W2S8zng7

缶拾いのホームレスが
自転車をひいている。
冷たい風が吹き上げる、橋の下には
青ビニールのテントがもう4年。
引っ越す気配もない。
雑草が生い茂る畑が増えた。
開発の術もなく、手をいれる人も死んだ。

スポンジを金槌で叩くような
手ごたえのない空を
鋏で切り裂いてしまいたい。
きっと、流れる血も真っ赤ではなくて、
濁った茶色にちがいない。
349リーフレイン:05/02/18 21:56:35 ID:W2S8zng7

三角錐のブロックが口から出てきた。
食いしばった歯の隙間から、はみ出してくる。
出てくるそばからむしりとって、窓から捨てた。




350心霊写真:05/02/19 01:41:59 ID:eguQm7OA
壁|^∀^)ノ゛こんばんは
>>346あっちで見て色々想像して面白かったのでカキコ(笑)
351リーフレイン:05/02/19 18:05:08 ID:qbOaontH
>>350
へへへ、面目なし。。。
352リーフレイン:05/02/26 20:53:48 ID:eK8+pD5Y
「ミヨーを聞きながら」
プリズム 窓 ゆらゆら          
             風レース 
    虹色 
        眩暈。

            雲の滑り台が空からするする降りてきて、
            邪悪な天使が白いわっかをつけたまま
            花束を持って滑り降りた。

窓 開けて風、
   
   底抜けた青        ドレミファソーッラソッラソファミレ

            三つ編み、四つ編み、
            白く光る女体が編みあげられた 朝食のパン
            天使のコーヒーカップ 羽つき

ぞうっさん、 ぞおおうさん、ずうん、ずん、ずうん。
        足跡、足あと 丸、 まある、○。      
                うんち。

            ガラス瓶のビー玉が散らばって、
            干からびた蜥蜴の死体
            白い子猫が、天使の足を引っかいた。

とてちてとてちてとてちてたー
     とてちてとてちてとてちてたー
           進軍ラッパ、ラッパ、ラッパ ラッパ ラッパ銃。

                                
                                疾走。
353リーフレイン:05/03/01 09:07:19 ID:B79heVwa
「現象」


ぐんにゃりと溶解しはじめた ”今” ダリの時計。 

在り得ない”今”    在り得る”今”
    認識をのり超えて、混沌。

ぽよぽよになった輪郭が溶けていく。
崩れ落ちる指先。

見ずに済むのならば、このまま赤黒い水溜りになって、
世界に溶解してしまおう。
354名前はいらない:05/03/01 13:30:56 ID:yL9Kyv/P
リーフさんてS代なのヵナ・・・??
355リーフレイン:05/03/01 21:21:30 ID:B79heVwa
>>354
シリタイデスカ??                      ハズカシイノデ、ナイショデス。。
356名前はいらない:05/03/02 20:16:35 ID:5nAZbcD2
>>355
ぃぇぃぇ、失礼シマスタ・・・。了解デスYO
357リーフレイン:05/03/03 14:34:58 ID:S+k6wV1R
「濃くて、クリーム色で、泡立っている」

薄暗い牛舎の中、
足から朝の霜が冷えびえと上がってくる
牛臭い。
藁と牛糞のどこか香ばしい匂い
手の平に張り付きそうに冷たい
アルミのバケツ 座り慣れた箱
たっぷりした牝牛の腹、指に余る乳首

乳を搾る。

ほとばしる乳
白い湯気が立ち上る。

ぬっくりした 濃い乳は



奇跡だ。
358リーフレイン:05/03/03 21:26:27 ID:S+k6wV1R
まじめに書いたんだけど、これを下ネタスレに投下したら別の意味になるんだろうかと
考えてしまった。。。。
359わに ◆Wani6uvhK. :05/03/04 21:31:13 ID:oGAPWKq+
最近のポエム大会の詩は
そんなんばっかりですね〜w
360リーフレイン:05/03/04 22:16:35 ID:o/OAyGUW
>>359
イヤア、オタガイ 何モ イエマセンネ。。。
361リーフレイン:05/03/08 21:08:16 ID:svymR6Ln
「空回り」

からからと、糸のかかっていない糸車が回っている。
からから、からから、からから、からから
糸を縒りだす間もなく、突拍子もないスピードで
回転を始める糸車を前にして、
途方にくれてしまった。
362名前はいらない:05/03/08 22:22:35 ID:Eoqo3pdh
リーフさん^^;
363リーフレイン:05/03/08 22:31:38 ID:svymR6Ln
>>362
はい、なんでしょうか?
364名前はいらない:05/03/08 22:39:01 ID:Eoqo3pdh
>>363
ぁ、なんでもナィデス。。。ぉ邪魔しまスタ^^;;;
365リーフレイン:05/03/08 22:40:57 ID:svymR6Ln
wwww ご心配なく、上の詩はちょっと用途があって書いた詩です。
366リーフレイン:05/03/09 09:35:08 ID:VLKuypaj
考える事で、足が止まってしまうのならば、考えない方がいい。

弁解だけを探して回るのは醜悪だ。
367リーフレイン:05/03/09 22:11:13 ID:VLKuypaj

お師匠さんは、明治の生まれの横浜育ちで、
もうとうに鬼籍に入ってしまわれたのですが、
生前、4畳半の茶室の亭主の座に、きちっと正座されたご様子は、
一輪そっと活けられた侘びた華のように見えました。
丁寧に場を拭き清め、しつらえを整え、時間を計って焚かれた香と、
時折ピシッと音を立てる炭火置かれた空間はしんとした緊張が漂い、とても好きでした。
それがたった一人のお稽古のためだけに整えられたものであったので、
尚更貴重なものに感じられました。

ご教授のたびに、とつとつと昔の思い出話をされておられたのですが、
今ではないような、濃い生活が眼前に広げられていくようで、羨ましくも思い、
陶然と聞き入っておりました。
実のお姉さまが宗匠様のお妾さんであったそうで、宗匠様に可愛がっていただいて、
お稽古をつけていただいた大正時代がことのほか思い出の中で光り輝いておられるようすで、
後の戦中戦後のきっと辛かったであろう時代は殆ど口にはなさいませんでした。
案外人生というのはそういうものらしくて、誰でも「あの時」という時があるようです。
そして、その期間はさほど長くは続かないのだろうとも思います。
368リーフレイン:05/03/10 22:09:52 ID:ncXFc4g7
「元気がでる言葉が欲しいって言われて」

困った、
あたしはアンパンマンは歌えない。
ヤッターマンもとてもだめ。
あえかな風や、諦めたようなか細い光じゃ、
ものの役にもたちゃしない。
役に立とうって思うのが間違いっちゃ間違いなんだけど。

祝祭の歌を歌えたらいいなと思う。
恵みの風が吹いたらいいなと思う。
生命の爆発が見えたらいいなと思う。
369:05/03/11 19:07:49 ID:OXk5ZECp
そんなときは賛美歌「また逢う日まで」を
370:05/03/12 08:22:36 ID:PeIgHlWB
いかん、これ聴くと泣いちゃうんだよ。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~pst/sanbika/sound/kami_t_k.htm
371リーフレイン:05/03/12 12:53:24 ID:KDW3T77v
>>369-370
アリガトー。。。
372リーフレイン:05/03/14 20:29:18 ID:sBKcK+KF
「夜、霧の中に・・・・・・」

夜、一人 街を歩きます。
街灯の光が円を描く曲がりくねった道を
背中を伸ばして歩きます。

冷たかった夜の空気は 私の熱でひんやり心地良く、
怯えていた闇の中に 私はぬっくりと溶け出して、
夜の一部になっていきます。

「言葉が意味を為さなくなる狭間、
 呻き声がもれ、皮膚が溶解し、くずくずと崩れいく眼差し」

ぼんやり浮かぶ街灯に引き寄せられて、
白い月に憧れて、
風に騒ぐ木々の音色は怖いのに聞きたくて、聞きたくて、
だけど、嬉しく憩うのは
人の言葉と人の肌。
          
傍らにある貴方の肌に頬を寄せ、 
ささやかな言葉を微笑みと一緒に交わしているのに、
どこかでかすかに想うのは、
一人歩く夜への誘い。

公園通りの道端に、石ころが一つ落ちていました。
あれはきっと私です。
隣にあった雑草は、きっと貴方なのだと思います。
373リーフレイン:05/03/14 20:34:04 ID:sBKcK+KF
「慕情」

とうに枯れた枝に、一輪の花が咲いた
   
  折りとらずに置く。
374 ◆88.8AAUPYM :05/03/17 11:24:09 ID:O5KThDRq
               _,. ----- 、_
      _,,,,,,,,_  ,. :'´::::::::::::::::::::::::::::::`:ヽ、
  ,.-‐''"´ ̄ ゙̄=`丶、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::―‐-ヽ,,_
  ´      /´:::::::::`>'´::::::::,:::::::::::::::::::::、::::::::::::::::::',
        !:::::::,.:'"´::::::::::::::://::::::::::',:::::::::`丶、::::::::::',
          l:::::::i::::::::::::::::::::::,':,':::::::::::::::',:::::::::::::::::`ヽ:::::',
          !::::::l::::::::::::::::::::::i:::!:::::::::::::::::',:::::::::::::::::::::ご無沙汰しています
        ,':::::::!:::::::::::::::::::::|:::!:::::::::::::::',::i:::::::::::::::::::::::',::::すいません こんなんで
       ,:':::::::::!:::::::::::::,::::::/!::!::::::::::::::::|::|',::::::::::::::::::::花粉症のおかげで
  _,../ィ:::::::::,'::::::::::|::! !::i !:|!|:::::::::::::!!:! ',::i、::::::::::i、::::::`ヾ:、 ヘロヘロです
   _,../,. ァ,.,:'::::::::::::l:l'''l:::!'''',:!',!',::::::::;T,'''''ゾヾ、::::::!:',:::!ヾこの季節になると
     -‐''´,:':,::::::::::/ヾーヾ‐、ァ ヽ',::::,' リ''''i::、T'ゞ:、::':,:ヾ:、  改めて
       '/,:':::::,イ::',   、ヽ::ノ  ヾ'  -ヽ ' /:::`'ト::::鼻呼吸の重要性
それにしても・・・!::::、ヽ、  ̄   __i __    ,:'::::::::::!:::::':,ヽ  再認識します
 この天性:::::::::::::|:::::::':,`  、,='ブ! lヾ:、`i /フ::::::::!l:::、、ヽヽ
憎らしい・・!、__:::,::',:::::::、>、, ', '/´! l、ヽヾ:、<:::::::/,'::ヾ、゙ーヽ
         ゙' ,ニ',:、:::ヽ, ', ', '// !、ヽヾ `'i::/;、,,-'''
 連作でぎりぎりセーフだと'/  | ' ,ヽ  !  .:: , '`',
  いいね。/ `',:、 ::.   !   ,'!|  !!  |'   ,' ..:: //  ',
 大会の方・・    ヽ\ ::.. !    !  l |  ',   !::/ /   !(>374)
375リーフレイン:05/03/19 23:11:17 ID:UhhIjdg2
ごめんねえ
2chの全板トーナメントにほにかかりっきりで、折角来てくれてたのに、、、
読んでなかったですーーー。詩板敗退。。。
でも、快挙なんですよ。このさ、6時間で5レスしか板全体でレスが無いような過疎板で、
ボーダー争いに残ってたんです。(他板さんの援助でなんですが。。)
どっかで、おしゃべりしたいですね。
花粉症今年は最悪だそうで、気をつけてください。劇症になるとやばいです。
376リーフレイン:05/03/20 10:08:21 ID:B290uyR/
ーー詩板にてーー

恥ずかしげもなく、詩にはまったのは体調を崩してからだった。
妙に心が弱くなり、突っ走ってきた人生の歪みのようなものが、
大きな亀裂になって迫ってきていた。
言葉を綴る、詩を形作る。
実にたどたどしい手法ではあったが、
少しづつ溜め込んだ汚泥が溶け出していくような気がした。
オメラスの街に棲む民は、歪みを生け贄として内包していた。
オメラスではないここに棲む我々は、自らの中にある生け贄を
いつにかは開放しなければならないのだろうと思う。
詩で少しでもそれに近づくのならば、これほど幸せな事はあるまい。

匿名掲示板の上で、
文字と文字を交わす喜びをしる。
現実ではとうてい望み得ないほどの、率直で赤裸々な人間と知り合った。
ほんの少し、虚構をおりまぜた文字を通じて、芳醇ななにものかに浸る喜びを知った。
               全板トーナメント 詩板宣伝メッセージ 
377リーフレイン:05/03/20 10:09:04 ID:B290uyR/
「春」

てふてふが一匹 韃靼海峡を渡つて行つた。 (安西冬衛 )


詩人安西は、戦中を中国で過ごし、此の詩は大連で書かれたのだという。
清岡卓行が同じく大連育ちであった三木卓に、そういう話を伝えてくれたという
エピソードがある。
大連には日本人の街ができていて、丘の上にあった中学への坂道で、海に向かって
わたっていく光景が眼前に浮かぶ。
韃靼海峡は、日本でいう間宮海峡であるが、あえて韃靼という言葉を選んだ
詩的センスー大陸的感受性とも感じられるがーがとてもすばらしい。
安西は戦争で片足をなくしている。その欠落感と、生来の美意識のアンバランスな
バランスが、安西の美の中枢であろうとも思う。
やっと没後50年を過ぎ、著作権の心配なしに紹介できるようになった詩人

                トーナメント詩板宣伝メッセージ
378:05/03/20 21:00:37 ID:s3T7c4kY
>>376
かの姫ならまたシね!とでも言ふところでしょうか。
我々はオメラスのような楽園に棲んでいるわけではないですよ。
隣の家には要介護の独居老人が居、
3軒先には障碍児を抱えた母親が居る。
身代わりになってくれる生贄など何処にも居ず、
境界なき身体の一部としてソれは在る。
隠されてもない、見えないふりもできず。
その子を殺して街を崩壊させるカタルシスさへ望めないとしたら。
そう、独り荒野に向かうしかないんです。
文字通りのスペースでもサイバースペースでもインナースペースでもね
コミュニズムはそこんとこ判ってなくて失敗した。
我々に希望があるとしたら、それは古いカードを切りなおすことではなく
まだしたことのないことを試すのが許されているということ。
うーんエントロピー

>>377
きっとクニに帰りたかったんだね、頼りない羽で以っても。
379リーフレイン:05/03/20 22:02:34 ID:B290uyR/
「本当のもの 」
        八木重吉

どうしてもわからなくなると
さびしくてしかたなくなると
さびしさのなかへ掌をいれ
本当のものにそっとさわってみたくなる


「素朴な琴」

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかねて
琴は静かに鳴りいだすだろう


詩人八木重吉。純粋で素朴な語り口で心をあらわしている。
生前はたった一冊の薄い詩集しかなく29歳の若さで亡くなった。(肺結核)
明治31年の生まれだが、今読んでもまったく違和感がない。時代を超えた新しさがある。

             全板トーナメント 詩板宣伝メッセージ 
380リーフレイン:05/03/20 22:08:29 ID:B290uyR/
>>378
かの姫は怒るんだろうけれども、目の前にあるものを
もう一度きちんと抱き上げている最中です。
許容量があまりないので、ちょっとづつしかできないんですが。

新しいことである必要はないんです。
私にとって新しいことであれば、それが陳腐であろうとかまいません。
社会としてどうか?という話であれば、それはまあ、社会は個人の総体であるから
ということで語ってみたい。
ありがとうございます。
381リーフレイン:05/03/20 22:09:39 ID:B290uyR/
ーー金子光春という詩人
没後50年経ていないため、作品の紹介はできないが、なんといっても、
詩集 鮫 に収められた「おっとせい」だろう。彼を世に知らしめた作品だ。

そのいきの臭いこと
くちからむんと蒸れる。

ここ展開される社会への痛烈な皮肉は
読む人に、その気でもって読む人に赤裸々な爽快感すら与えると思う。
戦中派の詩人の例にもれず、戦争との関わりあいなくしては
ありえない詩を多く書いた。そのあたりの心情は、随筆「絶望の精神史」でも、
読み取ることができる。世を斜に見て、ぶったぎったような狸の姿かもしれない。
しかし一方では、詩集「女たちへのエレジー」を中心とした、
生々しくも愛情に満ちた女体への視線、艶も得意としていた。
そちらの代表作となる「洗面器」には一種独特のにおいが漂っている。
ーーーーーーー
「洗面器」
 (僕は長年のあひだ、洗面器といふうつはは、僕たちが顔や手を洗ふのに湯、水を
  入れるものとばかり思つていた。ところが。ジャワ人たちはそれに、羊や魚や、
  鶏や果実などを煮込んだカレー汁をなみなみとたたへて、花咲くねむの木陰で
  お客を待っているし、その同じ洗面器にまたがって広東の女たちは、客の目の前で
  不浄をきよめしゃぼりしゃぼりとさびしい音をたてて尿をする。)
ーーーーーーー
この導入から始まる。エロスあふれた音と匂いと感触がある。
382リーフレイン:05/03/20 22:10:42 ID:B290uyR/
「かなりや」 西条八十

唄を忘れた金糸雀は、
象牙の船に、銀の櫂、
月夜の海に浮かべれば、
忘れた歌をおもひだす。

童謡で有名な西条のもっとも有名かもしれない作品。
生活のため文芸から遠ざかざるを得なかった彼が、本格的に執筆に
もどるきっかけとなったといわれる。
蘇州夜曲、東京行進曲、銀座の柳、お山の大将、青い山脈、王将、
記憶の片隅にありそうな懐かしの詞の数々を執筆している。
金子みすずも、女学校時代に西条八十に絶賛されていた。
すでに童謡詩雑誌「赤い鳥」にて大御所であった西条は、金子みすずの
最初の投稿からそのセンスを大いに評価していたという。
383リーフレイン:2005/03/24(木) 12:44:56 ID:5oTf9cua
「雨あがり」

湿気が上がるまえの、清しい風

白い雲

空に鋭く輪郭線

水たまりに映る青い空

空を跳ね上げて遊ぶ 小さい黄色い長靴

記憶の中に 幼い笑い声

残響

ぽつんぽつんと弾いたピアノの波紋が広がった。
384リーフレイン:2005/03/24(木) 12:53:38 ID:5oTf9cua
「荒野を駆け抜けて、ゲートをくぐる」

この門の下に立つことは、
本当はどの門だろうと、あるいは荒野の中だろうと
かわりはないのかもしれない。

後ろめたい気持ちはゴミ箱へ捨て、
安堵の思いも一緒に捨てて、
楽園ではなく、荒野となそう。
この門の向こうも。

12方位から吹き付ける風は
さほどしっかりもしていない背骨を
12の逆方位へときしませた。

どこへいくのか、いきつく先があるのか、
荒野を駆ける。

傍らに人がいる時も、いない時も
しなやかに、笑いながら 涙しながら、
荒野を駆ける。
385リーフレイン:2005/03/27(日) 21:35:53 ID:glzGDY3I
一本のくいがポケットに入っていたおかげで、
運よくドラキュラを退治できた事はありませんか?
銀の弾丸のほうが効果的かもしれませんが、
如何せん、拳銃の持ち合わせがないときには便利です。
”ポケットに一本、くいをどうぞ忘れずに”

一瓶のルミノール反応液のおかげで、
不動産屋で紹介された部屋が殺人事件の舞台だったことを
証明できたことはありませんか?
”ポケットに一本、ルミノール反応液をどうぞ。リトマス試験紙と、王水も便利です”

”ドライバー一本で、密かに家宅捜索ができます。
 少し頑丈なカードと手袋を忘れずにお持ちください。”

ちなみに、ご近所の老婆の昔話を聞きだすには、饅頭の手土産が有効です。
386リーフレイン:2005/03/28(月) 10:03:10 ID:18DIwCyI
「都会の林檎」

アスファルトに散り急ぐ
薄赤い白 斜めに走る金色の線。
金のウイッグ 黒紅の唇 艶かしい真夜中の蛾。

力、 チカラ、 こぶしを握れ!
涙はいらない、 泥を食え!
嘆きはいらない、怒りを歌え!
おんなの時は短くて 美しい何かが愛しくて 誰かを熱く愛したい。

回る、回る、三日月が、
くるんと回って、おんなをしゃくる。
踊れ、踊れ、月の上 刹那の夜の夢を見よ。
387リーフレイン:2005/03/31(木) 09:21:18 ID:TdRzEn0s
あたしは心が弱いので、あじの開きになるのは辛い。
丸干しならばましかなと思ってしまったりする。

誰かに美味しく食べていただければなんて
綺麗なことは言っていられなくて
開かれるのは痛い。

自分の指で、おそるおそる裂いて
こっそりと日陰に干してみたら、
銀バエがたかり、カビが生えてきたらしい。
388リーフレイン:2005/03/31(木) 09:28:51 ID:TdRzEn0s
あ、しまった。。日干しにしてしまった。。
389リーフレイン:2005/04/02(土) 12:31:24 ID:IBGKyrvl

行き行きて、鞄の重みにうちひしがれて、
還るあてのないままに、次の街へと歩みを進む。

明日の糧を今日紡ぎ、今日の屋根を今日稼ぐ。
一本の蝋燭を灯す皿が、どこかにあればいいのにと
一本の蝋燭の光の中に、笑顔が見えるといいのにと
行き行く道にうちひしがれて、
なお還るあてもなく、歩みを進む。

何故、旅に出たのだろうか、風が問う。
流れのままに、来ただけなのか、
足を止めるは、勇気だろうか、
足を踏み出す、勇気だろうか、

冷たい蒲団に夜の不安をくるみこみ、
時計の針が、とろりとろけて、
夢と一緒に流れ落ちるのを じっと待つ。


390リーフレイン:2005/04/04(月) 11:07:43 ID:dAQYNr3J
「古梅酒」

床下の古い梅酒の甕の中に
老女が一人 ちんまりと正座している。
皺だらけの顔でにこにこと笑いながら
一匹の小さな透明な竜と遊んでいる。

琥珀色に澄んだ酒の中で 軽く竜を弾く。
竜はきゅうきゅうと笑いながら
ゆらり たゆたい 音のない歌を謳う
透明な音の軌跡が束の間の模様を描き出す。

白い梅の花を髪に挿した老女は
手を叩いて ほろほろと 喜ぶのだ。

391リーフレイン:2005/04/05(火) 15:05:22 ID:F4Kj93ym

キーを打つ手が記すのは、欺瞞という文字だ。
鋤を置いて生っちろくなってしまった手で打つのは、怠惰。
泥や水を好んでいた手が記す文字は、弁解だった。

愛を詠う裏で裏切り、
裏切りを歌う横で、越えられない線を引く。
綺麗で、ありきたりで、ありえないようなメルヘンを
知恵遅れの頭で創り出す。

傲慢なプライドが腐りかけた衝立のように
部屋の入り口を塞いでいる。
392リーフレイン:2005/04/05(火) 15:10:23 ID:F4Kj93ym

どうか誉めてください。
あたしは頭がいいでしょ?
ほら、バナナの皮が剥けるんですよ。

ねえ、あたしはここに居てもいいですか?
だって、バナナの皮が剥けるんです。

バナナが食べられるかどうかは気にしないです。
あたしはバナナが嫌いです。

393リーフレイン:2005/04/05(火) 15:19:22 ID:F4Kj93ym

大きなナメクジがバナナの皮の中にいました。
塩をかけたら、茶色く縮んでしまいました。
食べられません。食べられません。

食欲って大事ですよね、生きていく糧ですから。
あれ、変ですね。
生きていたいと思うのはおなかが空くからなんですか?
人間も生き物ですから、そうなんでしょうねえ。

バナナの皮の中にあるのは、
食べるためだけのもんじゃないです。
394リーフレイン:2005/04/05(火) 15:23:44 ID:F4Kj93ym

腐りかけた衝立を燃やしてしまったら、
汚いものが丸見えになってしまって恥ずかしい。
腐りかけた衝立と、その奥の汚いものと、どちらも恥ずかしいので、
一緒に燃やしてしまいたいと



思った。
395リーフレイン:2005/04/05(火) 15:38:54 ID:F4Kj93ym
「空回りする羽根の折れた換気扇」
396リーフレイン:2005/04/12(火) 07:41:05 ID:eoKan11o
「猫は、海を泳ぐ」

ピンクの雨が降って、
緑がだんだらに汚らしい灰色に変わってしまった日、
豚に羽がはえ(だけど飛べなかった)
猿は町に下りてきてズボンをはき、
猫は海へ入っていった。
犬は絶望のあまりに自らを噛み、
人間は悄然と頭を垂れるのであった。

誰が母を殺したのだろうか?

ーーーーーーーーーーーーーーミステリ板投票テンプレ
397リーフレイン:2005/04/18(月) 19:37:02 ID:fwqxsS10
「海岸へ走る猫」

ウインドウにはショッキングピンクの斑点が不規則に浮かんでいる
視線を動かしても、そのまま移動していく
車の前に広がる灰色に濁ったスープ。

奇妙な形にこわばってしまっている指を一本づつ折り曲げる
力をこめて握り締めると
目の前の世界が見知った風景に戻る
歯を食いしばりすぎて、奥歯がまた少し砕けた。

曲が終わった。
癇に障るオブジェのようなDJが かたかたと流れてくる
運転からそれた気を正面に戻した。

この街には猫が多い
海が近い
猫は不思議と海岸に向かって道を横切っていく
黒い猫、茶色い猫、まだらな猫が
踊るように道を横断し、運の悪いやつが轢かれていく
ぶちまけられた中身に、朱色のゴムひもが見えた
くずれた豆腐。
2度、3度と轢かれるうちに、黒っぽい煎餅に変わる
ひかびかになった毛皮。
398リーフレイン:2005/04/18(月) 19:37:41 ID:fwqxsS10

猫は海に惹かれるのだろう
人も同じだ。

神経になぜシナプスがいるかといえば、
生き物も、生き物のシステムも、情報そのものを直に受け取ると
オーバーフローしてしまうという話がある。
あえて、受け渡しというクッションをはさみこみ、
情報を曖昧に薄め、あるいは受け取りやすい形に作り変えるという操作を
無数の箇所で行っている。

システムの安全性確保のために精度を落とし、
システムの変異性を確保するために、思いがけない事が起こる要素を保持し続ける。
つまり、自己変化することのないシステムは結果として恒常的な生存が期待できない。

猫が、道路の脇からこちらを見ている。
視界にまたピンクの斑点が浮かび始めた。
濡れそぼった猫の群れが、浅黄色の海を泳いでいくのが見える。


399リーフレイン:2005/04/18(月) 20:18:30 ID:fwqxsS10

風が吹いて、ジャガイモが腐ったような甘酸っぱい匂いを持ってきた。
酸化鉄とプルーンのワイン煮。
潰れた豆腐は醤油が少しかかった白で
付け合せに、黄色いつぶつぶのコーン。
今日の晩御飯は半生ステーキ。

たらった、たらった、たらったらったらったら。

あたしの背中に羽根はない。
今日のご飯もしっかり食べよう。
400リーフレイン:2005/04/18(月) 20:41:15 ID:fwqxsS10
「ああ、彼方の岸辺へ至る鳥が、窓辺に暫し足を留めたんだ」

夢を見た。

空を泳ぐように飛ぶ夢を視た。

飛行機なんかに頼らず、
手足で空気を切って
密度の濃い空気の間隙に身体を挟み込んで
滑るように空を飛んでいた。

音の波紋が
色のグラデーションになって見える。
朝もやの薄薔薇色から白の縞模様のなかに、
空が切り裂かれる音が
「ミョーーーン」と薄い黄色の楕円を描いた。

指先から蒼い粒子。
世界はゼリーのプールのように濃密だ。
401リーフレイン:2005/04/21(木) 23:13:21 ID:nihXkLNI
「華奢で誇り高い蝶」

ガラスでできた蝶が
生きて羽根をはためかせていた
あの日。

もろく、本当に壊れそうに見えて
手に触れるのも怖かった
あの時。

濁った壜の壁にぶつかってきた
蝶が

かしゃーんと音を立てて割れた。

薄紫と薔薇と浅黄色の破片が
白熱球の光を反射して
とりかえしのつかない後悔を彩っていた。
402リーフレイン:2005/04/26(火) 21:49:13 ID:wFXU7qKs
延々と引き伸ばされた黄昏の中で
歩き回る影に出会った。

後ろにある扉の向こうには
それぞれの陽が待っていたのだが
アラクネの糸を引きずりながら
影は影のまま 薄暮の世界を歩く。

叶えることがなかった夢の残滓が
錆色を帯びたガラスの破片となって散らばり、
叶えられることがなかった憧れが
死した猿で飾られた棺に眠る。
空間を越えて絡み合う広大な迷路は湾曲した鏡面で飾られ、
影は、自らの容貌に驚き、喜び、醜悪さに目を逸らした。

影と出会い、
互いの灰色に染まった指を絡めた。
それぞれの陽の世界では、青ざめた白の手袋で隠された指は
この黄昏の中では 肌に生えた棘も、後ろめたく染まった色も
安堵とともに晒される。
冷え冷えとした腕に抱かれ、底の見えない琥珀の溜りに手を差し入れる。
音にならない悲鳴のサイレン
しどけない哄笑   命の透明な焔。

”アラクネの糸を切るものよ
自らの糸を切るものよ
どの扉の果てへ還るのか”

あらゆる影は 陽の向こう、たった一つの扉に向かう。
403リーフレイン:2005/04/30(土) 20:24:20 ID:5iKEcYeN
寝付いてしまってから、棘のように突き刺さってしまった言葉は
”具合悪いんだから、仕事しなくていいよ、諦めたから、
家のことだけしっかりやっててくれればいいから”
という優しい言葉だったりする。
ああ、この家にいるためには、役に立っていないと許可がもらえないんだ。
と感じてしまったのは、やはり心が弱くなっていたのだと思う。
甘えたがりのいじけた意識が底辺にある。

だけれど、許可は要らない。家族というのは許可がいらない繋がりなのだ。
ただ絆がある。
互いが大事だから、互いのために心を使い体を使う。
それは許可をもらうためではなく、大事に思うことから始まっている。
結果として、絆が深まっていく。
互いが互いに家族であるための許可を出し合っているのなら、
もう、そこは家ではなくて監視しあう監獄になってしまうのだろう。

家族という繋がりにとどまらず、”生きている”ことに許可はいらない。
誰かの役に立ちたいと感じることは自然な思いだけれども、
役に立ってなければ価値がないと感じるのは心を縛る罠になる。
罠にはまった状態で、誰かをそして自分を大事に思うことは難しい。
”人を大事にする”というのは案外難しいものだと思う。
生きるのに許可はいらない。しかし、一人では生きられないのだから。

初めて自転車に乗った時のことを思い出した。
バランスをとって、走っていれば倒れない。目的と手段が重なっていた。
うまく支えあっているとき人はなんとか生きていくことができる。
404リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/05/07(土) 22:13:53 ID:Ink2LUZl
「針の上の天使」

”卵型のガラスの球体の中に浮かぶ銀色の針 その針の頭の上で千人の天使が踊る”

ルーペで覗き込む針の頭
千個の白いわっかと二千枚の白い羽をひらめかせながら
複雑なフーガにのって
躍る 躍る。
万華鏡をまわすように
回る 回る 回る。
天上の微笑みが飽き飽きするように針の上に漂っていた。

ガラスの球体が割れた。
ささくれだった破片の中にある銀色の針は鋼だった。
糸を通し、布を刺し、指を刺し、血のりを吸って茶色。
針を手にとる。

405リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/05/07(土) 22:14:34 ID:Ink2LUZl

”お椀のようになった針の天辺の縁に両手でしがみついているのに気がついた”

天辺には広大な言葉の海になっていた。
手を離すこともできず、かといって中に入ることもできずにぶらさがっていると、
海が波立ち、極彩色に泡だっているのが見える。
国民の義務と権利についてあなたあたしを裏切ったのねバーかばーか
もーりもいーやーあーがーるーー愛してる アイシテル 愛 あいセックスに意味はない
哲学の杜に立ちて現実行為が詩的認識であり 詩的認識が現実行為である
たまには美味しいご飯が食べたいよあんたは料理が下手だから
稼ぎのない男だ 不満、 不満、不和雷同 目を閉じて風が吹いた トラックトラックかーかーか
今日の天気電車脱線事故は速度違反による人為的な事故であって戦争反対反日でもにだにだ
大人はきらいだから人間がこわいだからまだ人間になっていない幼女が好き何だ最初がかんじん
レイプ包丁で人を刺したら血が出てきて釘のついた棒をねじこんだらあれは幽霊だったはずなのに
ききききききちがいふりきちがいの本物きちがいの葉っぱ発破ハレルヤ
波荒立ち言葉のシャワー。
溺れる、溺れる、口も鼻も目もゼリーのような言葉の海があふれる
息できない できない できない できない いき  ふふふっふあー
音 雑音。
カコカコカコ ココ ここ かかかかかか カッキカッキカッキくーーーーーー


406リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/05/07(土) 22:15:09 ID:Ink2LUZl

”事象は言葉の海を形成し、その海水は認識のざるによって掬い上げられる。”

詩的認識のざるによって掬い上げられた事象は
論理的認識のプールを破壊し、拡張し、共同幻想をなしていた認識プール入力を一旦遮断する。


天使はいない。                    
                     

           
                                 針の上で踊れ


407リーフレイン:2005/05/10(火) 12:53:39 ID:2yZZPlst
掲示板

駅前の地下通路に、両足の膝から下がない兵隊が
膝まづいて座っていた。
両手を通路にひいた筵につき、
古びた歩兵帽子のひさしの中にはぎらついたマナコがあった。
音がとぎれとぎれになるカセットの軍歌。
前に置かれたアルマイト製の弁当箱には、10円玉が数枚。
筵の横には、取り外された足が2本。
薄汚れた包帯を巻いた松葉杖が2本。
地下通路の端のほうは、乾いた小便の匂いが鼻につく。
その匂いがきれるか切れないかの微妙な場所に座る。

点滅する天井灯。

誰とも知れぬ落書きが壁に浮かび上がる。
気がつけば、壁は落書きでいっぱいになっていた。
薄い影のような男女が笑いざわめきながら通路にひしめき、
書かれては消されていく。

夕方、ハーモニカを吹く青年が階段に現れる。
空き缶を踊り場の隅に置いている。
明るい音が通路にあふれた。
疲れたような兵隊は筵をたたみ、ゆっくりと足をとりつけ、
ぼろぼろになった背嚢を背負う。
ハーモニカの青年に一瞥を送り、通路向こうへ去っていった。

かつん           かつん。
408リーフレイン:2005/05/17(火) 09:03:00 ID:V9iOhLcN
いつか
家族に読んでもらえるものを
書いてみたいと思うようになった。
409リーフレイン:2005/05/17(火) 14:30:46 ID:pEkKxtkm

しどけなく ほころびていく 花びらの
  柔らかきかな 野に咲く薔薇の

淡き白、淡き紅 野の薔薇の
 ほどけゆく様 いとおしく 枯れゆきてなお いとおしきかな

いのち零れる 花、爛漫
410リーフレイン:2005/05/20(金) 21:19:14 ID:IDRTVXNB

秘めたるは、閨の秘め事 密やかに
       黙した舌に 姫顕われる
411リーフレイン:2005/05/23(月) 08:12:08 ID:MSlGr/V2

待ち合わせ

駅前広場のからくり時計が12時を打った。
7つの音色の鐘がハンマーで叩かれる。
7人のカラクリ人形の兵隊が、楽器を鳴らしながら行進する。

待ち合わせ場所。
携帯画面に夢中になっていた男女がひと時、からくり時計に心を奪われ、
互いに顔を見合わせ、恥ずかしげな苦笑を交わした。

「今日はいい日になるかもしれない。」
僕は携帯の音を切った。
改札口からまた、人があふれ出した。彼女もあの中にいるだろう。
412リーフレイン:2005/06/01(水) 10:03:02 ID:u8TaKItT
「砂遊び」

波打ち際に残る 小さな砂の城。
疲れきった残照の中で
黒々と濡れ、溶けかけたアイスクリームのように
静かに崩壊を進める。

惜しげもなく造り、壊し、また造る。
無数の繰り返しの中で
なにかが降り積もり、
愛惜とともに どことない満足が陽炎のようにゆれている。

目的語のない焦燥感がへばりついていた 幼い手が
今 握り締めているのは
父の手だろうか。


海の界ての彼方の果てへ 夕陽がおちた。
月明かりの中、波の下へ沈んだ砂は
記憶をたどり、再び城を造り始める。
造っては壊し、壊しては造る。

ゆらり ゆらゆら 砂が舞い、
ハマグリがひとつ ぽかんと口を開けていた。
413リーフレイン:2005/06/01(水) 22:19:50 ID:u8TaKItT
「艶話」

頭山に アジサイ咲いて 今日の花見は骸骨と
かたかた かたかた 歯が鳴って、
息もしてない骸骨は 言葉ももちろんないけれど
冷たいお手をにぎらはったわ
ぽっと頬染め そっともたれて
華が色めく 頭山 
414名前はいらない:2005/06/02(木) 01:17:31 ID:0Hnpdbpy
頭山の アジサイ抜いて ぽっかり穴が開きました
ぽろぽろ ぽろぽろ 涙が寄せて 
舟を浮かべる頭池 太鼓に合わせて骸骨は
ひらひら舳先で踊らはったわ
そっと見つめて 手を取りあって
トポンと飛び込む 頭池
415リーフレイン:2005/06/02(木) 12:24:49 ID:wxQAgScx
>>414
あ、これはいい対句です。ありがとーー。「頭山 心中道行き」ですね。
なにがウレシイって、このすっかり倉庫になってしまっていたスレッドに
書き込んでもらえてウレシイ、、、、いらっしゃいまし。
416414:2005/06/02(木) 22:46:42 ID:0Hnpdbpy
古典落語の「頭山」から取ったのかな?
頭山とくれば頭池、頭池とくれば身投げ。
艶話で繋げたかったのですが申し訳ない。
417:2005/06/02(木) 23:08:39 ID:y8q7ukHv
タイのなんだかわけのわからない寺院跡(ただの原っぱ)の土産物屋に
関公ってなペナントが売られていたんは笑いました。
いや毛唐にはみなオリエンタルエキゾシズムなんだろーけどさ。
418 ◆mooN.KttY. :2005/06/03(金) 02:22:12 ID:s9RskuoH

蛇精は能く 想いの埒
殺められた 紫陽花の下 
眼窩の奥 埋められた
お前の生まれた 朝より
俺は そこに いる


419リーフレイン:2005/06/03(金) 14:23:42 ID:FZA28Qxg
はい、頭山は落語からとりました。艶話になってるじゃないですか。。。

>>417
あんで関公なんだろね。三国志ファン?案外日本からのナガレモノ?

>>418
一面の紫陽花が花開く地面の下に蛇が眠る。
雨が降り、紫陽花の色が移り変わる。
蛇の鱗も色を変え年輪を刻みこんでゆくのだ。

片方の目を開けて慎重に眠っているそれの眠りを妨げてみたい。
浅はかな墓石の前で。

420:2005/06/03(金) 22:01:24 ID:O3x6rPvo
いや、落語の艶話で
道端の髑髏に情をかけて弔ったら
その晩、美女が訪ねてきてぜひ礼をってんで云々かんぬん。
そんなら俺もとしてみたところが、
やってきたのは関羽が。。ってのあるじゃない。
や、張飛だったかも知れん。
でもなんで三国志なんだろうね。
別に鍾馗さまでも後藤又兵衛でも何でもよかろうに。
421414:2005/06/03(金) 23:04:59 ID:qDZLr6BD
タイには道教寺院も多くあるからじゃない?
関羽も道教の神様の一人だし。
422リーフレイン:2005/06/04(土) 22:27:11 ID:+S0jGYrO
>>421
あ、なるほど。(とっここで膝をぽんと叩く)
423414:2005/06/04(土) 23:38:19 ID:v3Xi8sQl
>>420
最初の男が「どなたです?」って尋ねたら、「妃(ひ)です」って楊貴妃が
訪ねてきた。まねした男が「誰です?」って尋ねたら「張(ひ)です」って
んで喜んで戸を開けたら張飛だったって話でしょ。
もともと中国の小話らしいよ。
424リーフレイン:2005/06/05(日) 20:01:23 ID:wBBwC6+W

「苦々しい笑い顔が壁一面に貼り付けられている部屋で」(お題 [自嘲])


無数の鏡像は、それぞれが違う。

「自意識に足をとられるな。」

そう思う自意識が、そう思う自意識が、そう思う自意識が、そう思う自意識が・・・・・・

カビが床を覆い尽くすように 記号が脳裏を侵食していく。


頭蓋骨には穴が開いているんだ!
425リーフレイン:2005/06/05(日) 20:02:18 ID:wBBwC6+W

「泣き笑い顔が壁一面に貼り付けられている部屋で」(バリエーション)

向かい合わせに置いた鏡の中心に向かって、
塩味のきいた鉛の兵隊が行進してくる。

左、左、ひだりみぎひだり、
右、右、みぎひだりみぎ、

fool, fall, fool fool fool.
fool, wright, fool fool fool.

一番目の兵隊が、向かい合わせの兵隊を殴っていった。
ぐらついた兵隊は、よろめきながらすれ違っていく。
426414:2005/06/07(火) 03:55:36 ID:gqJyG7IO
「安らかな笑い顔が壁一面に貼り付けられている部屋で」(Part1)

(対立するのは嫌なんだ)
(いつも笑って過ごしたいんだ)

ゴルが胸にアゴを乗せて眠っている
頭の上ではバニが丸まっている
寝息に合わせてベッドがゆるやかにゆれる
鼻に触っても眼も開けやしない
427414:2005/06/07(火) 03:56:12 ID:gqJyG7IO
「安らかな笑い顔が壁一面に貼り付けられている部屋で」(Part2)

本能を無理やり意識下に押し込む
対立する感情が仮面を形作る
群生した仮面が防波堤のように固まる
エガオ エガオ ギコチナイエガオ

(対立するのは嫌なんだ)
(いつも笑って過ごしたいんだ)
428414:2005/06/07(火) 03:56:59 ID:gqJyG7IO
「安らかな笑い顔が壁一面に貼り付けられている部屋で」(Part3)

ゴルが不思議そうな顔をして僕を見ている
バニがやさしく顔を舐めてくれた
仮面のコロニーは優しさに弱いらしい
堤防決壊 シッポがゆらゆら揺れていた
429リーフレイン:2005/06/07(火) 21:00:15 ID:Bu6OC3BL
>>426-428
ええと、どうしようかな。。。感想が欲しいですか?辛口批評が欲しいですか?
詩論を戦わせたいですか?返詩がいいですか??
なんにせよ、お返事遅くなってすんません。
430414:2005/06/08(水) 03:07:29 ID:Azi+dtLn
ゴメン、調子にのりすぎた。
感想もなにもいらないよ。
431リーフレイン:2005/06/11(土) 21:37:40 ID:8ZO+a6OT
>>430
またまた、返事遅くなってごめん。。ちょっと用事が重なってまして。。
調子にのっていいですよーーーー。
書き込みあって嬉しかったんです。。
上の方に書いたバリエーションは、同じ主題(自嘲)の変奏曲です。言っていることは
実は一緒で、それを少し暗喩にまわしてみて遊んでみました。(2つの詩ですね)
414さんのバリエーションは、一つの主題の場面展開ですね。ちょうど1幕、2幕のように
連なっています。(全部で一つの詩です。)主題は”優しさに溶けだした自嘲”
第一印象は、
(対立するのは嫌なんだ)
(いつも笑って過ごしたいんだ)
この繰り返しが少々くどく感じました。あとね、いつも笑って過ごしたいっていうのも
随分な主張かもしれない。。個人的にはかえって傲慢に感じてしまいました。
そうしたひりひりするような違和感が最終連で優しさに溶けていくっていうのは
予定調和的な部分もあるけど、優しくて嬉しかったです。
また寄ってみてください。。
432リーフレイン:2005/06/13(月) 10:52:19 ID:VQsRxLfh
人のいない風景

どこまでも、どこまでも、どこまでも広がる言葉のいらない空
雑然と石ころが散らばり、
使い古された箒のような木々が生えている地平。
刻々と姿を変えていく雲。
空色とは本当に空の色なんだ。

風。


言葉は猥雑だ。
言葉を持つ人は、石ころのままではいない。
どこか卑猥な直線が風景を切り出して、
礼儀正しい電信柱がお辞儀をする。


すべてに光が影をつけている。


433リーフレイン:2005/06/14(火) 17:28:05 ID:TSq47l5K
「戯れ歌」

主(ぬし)の頭に船こぎいれて
  あの子の記憶を汐に流そう

ぎっこん、ばったん
  半円の 櫂の波紋に月が出た

ほんのり濃くなる あちきの海よ
434リーフレイン:2005/06/19(日) 10:47:05 ID:DGnfpL4p
「裂け目が足元に広がる」

見えない手 闇から伸びてきた一対の手が シーツの上を滑る

白い長い指が 蛇のようにしとやかに 這いこんできた

背中から伝わってきた 硬い蛇  赤くぬめる唇 

目を見開いて待つ 男が女を忘れる瞬間を 
435わに ◆Wani6uvhK. :2005/06/20(月) 14:32:00 ID:v2CHelDY
>>434
これ、えろくてスキv
436顔無:2005/06/21(火) 01:35:46 ID:vUfj8sGS
白い牙と同じ程度に潔白の骨
目がくらむほどあなたの血はかおる
ぬれた髪と同じ程度に細い吐息
私の黒目と同じ程度に孤独なあなた
握ったこぶしのようにだんまりを決める
わたしはこのまま涙に溶けゆく
あなたが朽ち果ててゆくのなら
437リーフレイン:2005/06/21(火) 11:16:55 ID:4W/Qtisx
>>435 わにさん、サンクス。。女性視点ですよねえ、こいうの、、

>>436

動物園のペンギンが
夏の生ぬるい水に浸かりながら
冷たい氷の夢を見るように

手袋をした愛撫の手の
その手袋をむしりとってしまいたい衝動にかられ
束の間のときめきを夢に落とし込み
そのままでは溶けて消えてしまう
地上に落ちた月の欠片を
粘土で固める。

いびつで、不恰好な夢の模倣が
ほんの少し
氷の夢に繋がって
今日の水は少し冷たい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
主の涙の池のほとりに
      蛙となりて 住まいたし


438リーフレイン:2005/06/26(日) 20:31:50 ID:E6XGdw+j

「はるか彼方の少女へ」

恋人に
一番きれいな女を知っていて欲しい。

森に隠れていた少女が
ゆっくり立ち上がって、 歩き出した瞬間を
知っていて欲しい。

高度1万メートルの空に
朝日が燃え立つ一瞬のように 鮮やかな夢を
知っていて欲しい。

襞をたたんでいくように あの時の少女をそっとくるみこみ、
傍らにいる人が知らない涙を 喉の奥底へ飲み込んで、
くたびれた新聞紙を  きちんとたたむ。

一面の雲に覆われた泥色の空も、嵐の空も、
積乱雲がもこもこと立っている夏の空でも。
今日の空を見つめる笑顔を誓って。
439リーフレイン:2005/06/27(月) 19:42:53 ID:vRFOxbm2
生きていたい。

まだ、読んでいない本があって
まだ、聞いていない音楽があって、
まだ、会っていない人がいて、
まだ、見ていない風景があって、
まだ、書いていない言葉がある。

           ・・・・・・まだ、見ていたい人がいる。
440リーフレイン:2005/06/28(火) 14:52:49 ID:9IOWySQ/
父が死んだ
リビングの真ん中にあるリクライニングシートに
座る人は もういない。

父が死んで、
母はこわばってしまった冷たい頬を
いつまでも、いつまでもなぜていた。
「まだ、目を開けるような気がするでしょ?」

父が死んで、
もうあの冷静で暖かい目は開かない。
シャイで、ひねくれていて、面と向かっては
絶対に誉めてくれなかった口も。

父が死んで、
「父だったらどう思うかな」と考える。
すると「ああ。こうだな」と返事がかえる。
そんなときは、「ああ、父はここにいるんだな」と思う。

死した人の夢を、生ある人が見る。
生ある人の夢を、死した人が見ているのかもしれない。

もういない人が愛した庭を、愛した音楽を、愛した人を、
死した人の記憶と一緒に愛する、生ある人の夢を
死した人が見ているのだろう。
441リーフレイン:2005/06/28(火) 15:24:35 ID:9IOWySQ/
昔、中国の山奥で綺麗なクーニャンが
梅の木の下で恋人と逢引していた。
ある日、恋人は兵隊に殺されて、
クーニャンは待っても待っても来ない恋人を
いつまでも待つために、木の下に自分を埋め込んだ。
いつ恋人が来てもいいように、綺麗な夢の中に自分を埋め込んで
年をとらないように願いを立てた。

そんなわけで、梅干は、いつも少し酸っぱくて、いい匂いがして、
ほんの少しきれいになった気がするらしい。
そんなわけで年ふりた梅干は、クーニャンの願いがいや増して、
価値が高くなっているらしい。
442リーフレイン:2005/06/28(火) 15:48:35 ID:9IOWySQ/
「生きたけりゃ、酸味を愛せ!! 」

酸味のきいたののしり言葉が風呂桶いっぱいにたまったので 湯に沸かしてみた。
風呂の中では、マングースとハブがにらみ合いをしていたらしい。
おかげで 言葉の風呂は酸味がいやまして、
ゆっくりつかれば苦味走ったいい男ができるらしい。

女のおっぱいは酸っぱくて、ミルクはあっというまにヨーグルトになった。
おっぱいを欲しがって泣く赤子はまだまだ、ヨーグルトが消化できず
飢えて死んでしまったらしい。
酸っぱい女は悲しくて、いっぱいいっぱい泣いたので、
おっぱいはまた一段と酸っぱくなっていったのだ。

涙が酸味を作るのだ
生きることの力が酸味なら、たくさんの涙がたくさんの酸味を作るのだ。

泣け。
443顔無:2005/06/29(水) 01:44:29 ID:+bENJsQr
風が傾いた
肌を滑り出した
何億もの砂粒
砂漠の中央で 
私は骨になる








この苦痛が、私に降りかかっている厄災だとして、
それと同じだけの意味を君が有すると確信するのは傲慢だろうか。
しかし、君は安らかに眠るだろう。
身を削る苦痛は、すでに私の問題でもなくなりつつあった。
常に苦痛は、私の肉体の限界を超えないのであり、
その点において苦痛は死の危険をはかる尺度であって、
あとは、単純に私自身の象徴に過ぎない。

太陽の降り注ぐ光線に身をゆだねて目を瞑れば、
そこに海に浮かぶ角の生えた頭蓋が見える・・・・・・・・・・・・・

444リーフレイン:2005/06/29(水) 07:32:04 ID:794h1Sxp
>>443

やがて白々とした白骨に変化していくだろう屍が
砂漠の砂になかば埋もれ、
乾いた空気と、乾いた太陽の下に晒されている。

黴の生えた古いかばんのようになってしまった肌は
残酷な太陽に焙られ、ぼろぼろと崩れた斑紋をつくり、
その体内にささやかにあった塩分が白く粉を吹いていた。

死臭はすでにない、
本来ならば生命の名残を周囲に知らせていただろう
甘ずっぱい糞便のような腐敗臭は
すべてのものを削ぎとっていってしまう この砂漠の地では
ほんの僅かの間しか、留まることがない。

魂もまたそうなのだろうか。
黒い穴になってしまっている眼窩の奥に
まだこの屍の主が
煩悶しているのだろうか。
いや、真っ先に焼き尽くされてしまったに違いない。
峻厳な太陽の、大いなる慈悲によって。



はげたかが、はるか頭上を円を描いて飛んでいた。
445リーフレイン:2005/06/29(水) 07:34:44 ID:794h1Sxp
「窓の外へ、   目を閉じて跳躍しろ」


暗闇の中に一つの窓が浮かんでいる。
光りはその窓の向こうにあふれているのに、
窓は絵画のようで、そちらの光が光線となって
部屋の内部へ差し込むことがなかった。
ただ、ぼんやりとその窓だけが 明るく見えている。

窓の向こうへの憧憬がひたすら窓を見つめさせるのだが、
眩んでしまった目では
闇に閉ざされた室内を判別することができなくなる。
闇の中であっても住まうものはおり、
愛しいといえなくもないそれらを抱き上げるのが好きだった。

窓のカーテンをひき、
闇に住まうものどもに語りかけながら、
あの窓のガラスをあけて、
みな一緒にその風景の中へ溶け込む日を夢に見る。

赤子を抱いた母親が、光りの中を歩いている。
あの赤子は
昨日の私だった。
あの赤子は
昨日のこれらだった。

あの赤子は、明日の私たちになる。
446リーフレイン:2005/07/15(金) 07:50:30 ID:kegPCQSw

雨の白い線が
不連続に視界を切り裂いている夜の道路を

走る。

街灯の下に、ごく普通でしかも奇妙な男が立っていた。

”あっ”と思い、背筋が冷えた。

違和感の原因をたぐると
男が大きかった。
ごく普通の太めで、青い作業服にタオルを巻いた
髪の短い丸顔の男は
カーネル・サンダースの人形看板のように大きかった。
顔、手足、胴体、全てが微妙に大きい。
背景の電柱やガードレール、彼が立っていた角にある家の塀、
そうしたものと、人間との寸法が合っていなかった。

違和感の原因に気が付いた瞬間、
男の姿が掻き消えた。

”ああ、あれはそういうものだったのか”と思った。

人外の人は
どこか寸法が違うことが多い。
きっと、彼らも間違えてしまうのだろう。

447リーフレイン:2005/07/15(金) 21:00:13 ID:kegPCQSw
紙が燃えた 
縺れた髪が戦場となった街の残骸で揺れていた

ジャガイモの腐ったような甘い匂いが
束の間の風にのって吹きすぎて
清々とした朝日が昇る 
448リーフレイン:2005/07/15(金) 21:52:53 ID:kegPCQSw
まん丸の満月の夜

まん丸のさかまつげの男

まん丸のうんちが落ちていたのを

まん丸の目の玉がみのがして

まんまるのせんべいになるまで

ふんだ ふんだ ふんだ

449リーフレイン:2005/07/15(金) 21:54:15 ID:kegPCQSw
「満月の団子」

月夜に団子を食った狸が、
月でタンゴを踊り、
築地に団子を買いに来た狐が
月のたんこぶにつまづいた。
痛かった月は歪んだ顔を雲に隠してしまい
狐はあせって団子を月にあげた。
団子を食べた狸、団子が食べれない狐。
回る団子、団子は天下のまわりもち。
団子食べて光る月。
450リーフレイン:2005/07/15(金) 22:10:16 ID:kegPCQSw
白いご飯

焚きたての 白いご飯

きちんと蒸らした 光る 白いご飯

大きめの茶碗に たっぷりと盛られた 白いご飯

ほかほかと湯気がたち、梅干が添えられている 白いご飯

という夢を見た。

神は夢の中にしかいないのかもしれないとしみじみ感じた朝だった。
451リーフレイン:2005/07/15(金) 22:11:19 ID:kegPCQSw
神の手は

月の光のようにあまねく

俺たちの上を

ただ通り過ぎていった。
452リーフレイン:2005/07/15(金) 23:13:20 ID:kegPCQSw
満月の夜には

猫が にっそりと笑いながら

墓石の上で踊るらしい。
453顔無:2005/07/19(火) 08:08:19 ID:bnoUXPez
十五夜

人形ナナは目を覚ましてる、子どもたちは眠ってる、
月がカーテンの陰になる、
ナナはちょっとカーテンをずらす、
月はちょっと身をひく、人形ナナは目を覚ましてる。
454リーフレイン:2005/07/19(火) 11:06:42 ID:MqJFijpa
>>453
ベットの下には手だけの化け物がいるし、
ピエロの人形やぞうさんのぬいぐるみは、見てないときは動いていて
ついでに文句も言っているのです。扱いが悪いって。
お陰で妙に後ろめたくて、一緒に遊ぶ時謝ってばかりいたような気がします。
455リーフレイン:2005/07/19(火) 14:09:56 ID:MqJFijpa
「鈍感さの功罪」

酸性雨が降っている町を
それと気付かずに歩く人は
本当に幸いだろうか

それと知りながら、なお濡れる人は
きっと
余計に痛い

どうかみなさん、傘を差してください。



色とりどりの傘が道に溢れる日を待ちわびて
待ちわびて


             まちわびて



よく晴れた酸性雨の日に
見えないその雨に打たれないように、傘をさし

傘をさしている人を選別しないように

詩を書いてみる。
456リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/07/21(木) 23:21:09 ID:Np0qNd4T
「寂しいの?」

突然やってきた暑さに
つゆの雨も干上がって
びっくりしたようになきだした蝉の声も
どことなく疲れているよ

ささやかな日蔭じゃあ、痩せた猫がべたりと座り込んで
「寂しい」なんて言葉は
とっくの昔にカリカリに干上がって
猫の座布団ぐらいにしきゃなりゃしないのさ

(ちょっと甘酸っぱい味がして、噛るのにちょうどいいかもね)

今日のご飯
何にしようか。
457リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/02(火) 19:53:43 ID:pJzDpnSB
病院へ急ぐ電車は 朝の通勤時間にぶつかった。
膝の力が抜けて、がくがくと崩れ落ちそうになる体は
隣の体温に支えらて揺れていた。

永遠に着かないのだろうかと思うほどに、
時間は遅々として進まず、
どこか現実味を失った電線が 間延びするように
みょーんと電車の外を流れていった。

既に間に合わない事を知っていたのだ。
なのに、一刻も早く着きたいと願った。
既に間に合わない事を知っていたのだ。
だからこのまま永遠に、冷や汗と涙をこぼしながら
電車の中で揺れていたいと願った。

朝日が明るく射し込んでいる霊安室で、
母は父の頬をなぜていた。

生前の苦痛をこらえたような緊張がなくなり、
少しはりのなくなった、穏やかで、まだ生暖かい頬に顔を摺り寄せ、
「ねえ、今にも目を開けてくれそうでしょう。」
いつまでも、慈しむように、頬をなぜていた。

私は、涙でくしゃくしゃになったまま病室へ入り、
父母の、 いや母のその姿に言葉を失ってしまった。
「もったいないねえ。 本当にもったいない。
       まだ生きていなきゃいけなかったのよ。」
そうも呟きながら、ただ ただ死人(しびと)の頬をなぜる女の姿に、
また別の涙が溢れてきた。

#題「おかあさん」
458リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/03(水) 08:36:30 ID:2Ii8RRrz
某スレの公募投稿用に「おかあさん」って題で書き始めたら、しらんまにこんな詩になっちゃった。
とても投稿の主旨にあっていそうもないんで没。
「おかあさん」って題はとりあえずベタな詩ができやすいなあと思った次第です。
459♦ &rlo; ♦ :&rlo; ♦:2005/08/04(木) 16:37:09 ID:skwp3y4+
あー、やっぱりそうだったんだ。
童謡作家が審査員だもんねぇ。
460リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/06(土) 16:19:26 ID:1KFlA0ql
「流れ行く魂の船」

ガード下のスナック
はやりの歌を口ずさんでいる男
被り慣れたようなベレー帽に口ひげが濃い
赤いサスペンダー、タックをとったズボン
細襟のカッターシャツにネクタイはない
細身の躯体に長い手足をもてあますようで、
どこか不器用で、どこかなまめかしい

ほんの少し、魂が露出していて、
皮膚の周りの空間がひりひりと痛み、
語られない言葉がじゅくじゅくと膿む
コップの中には半分飲んでしまった樹氷
磨耗させた神経は錆色で優しい

黄金色の黄昏の中に
黄金色の鏡のような凪いだ湖が広がり、
1軒の赤い三角屋根の家と
両端に突き出た突堤と
白い小さな灯台のある島が
黄金色の影を湖に落としながら
浮かんで見える

男がこれから行くのは、あの島で、
一緒にボートに乗るのは、
黄金色の目をした艶やかな猫だった。
461リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/06(土) 16:41:41 ID:1KFlA0ql
>>459
そうなんですよ、、今もう一つ書きかけておりやす。。
462ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY :2005/08/12(金) 12:30:06 ID:Nm17kRjW
「感謝」

出窓の桟にわがもの顔で陣取った彼女の猫
黄金色の目を気にしながら
ぼくは汗だくで腰をつかう彼女のベッド上
ニコチンも切れて息も絶え絶え、
どうかなと視線を落とせば
まだまだとにっと笑うきみだ。
うおりゃあああ
と気合入れなおせば、すると
すこし高い場所でにゃおんとあくびなぞされ、
日曜の午後の公園では
子供たちが走り回っていて、
遠くから聞こえてくる。
463リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/13(土) 06:24:58 ID:3kZoJWQg
あいや、そんなに頑張らなくても。。。w

地下までわざわざ、すみませんでした。

「金色の瞳の猫」

満足げにクリームのついた前足をゆっくりと舐め取る彼女が好きで、
ときおり、極上のクリームを買ってきたりする。
牛乳を攪拌するとできると聞いたのでやってみたが
市販の牛乳では脂肪分が足らないらしかった。

猫は猫であるだけで 愛がもらえるらしいので羨ましい。
もっとも、人の家にいる猫だけなのだろうとは思う。
彼女は彼女なりの苦労があるのかもしれないと
ちょっと反省して見直すと、
「そうだよ」といわんばかりに、ウインクを返した。
464リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/14(日) 10:28:44 ID:kM5pTagK
祝祭

星の祭祀が一年の幸運を柄杓で掬い上げ、
空全体に 散りばめる夜が来た。

一年分の幸運は、祭祀の大きな銀色の鍋の中で
ぐつぐつと湯気を立てて煮込まれている。
祭祀は、このたった一夜のために半年をかけて幸運の材料を捜し歩き
残りの半年をかけて、じっくりと煮込んでいく。

今年は、よい弟子にめぐまれて材料がふんだんに集まった。
ー祭祀は終身役ではあるのだが、3人の弟子を抱えることになっている。
いずれ、時が満ちたとき、3人は一人の祭祀へと融合するー

一等星の欠片、 黒色惑星の影、 宇宙の狭間を飛ぶ鳥の羽、
ブラックホールの蓋、白鳥座にいる最古の賢者の爪、星が生まれた瞬間の花火、
銀河の回りを巡るウロボロスの鱗、全ての太陽の微笑み、
水のある惑星の朝の雫、 重力嵐の吹きすさぶ雲。

どれ一つとってもやっかいこの上ない材料が柔らかな色彩の光りを放ちながら
鍋の中でぐるぐる回り、やがて細かな結晶へ変貌していく。

鍋の光りが薔薇水晶の破片のようになった瞬間
祭祀は柄杓で祝祭の鐘を打ち鳴らし、
一年の幸運が全世界の空へと飛び出していく。

祭祀の星の住民たちは、その瞬間を見逃すまいと星の祭祀の階段の前へ集まっていた。
晴れやかな音響が鳴り響く時、
無数の光りが空へ向かってまるでケープを翻すように広がっていくのだ。
465リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/16(火) 08:05:38 ID:XLD4z2cX
柔らかな光がひらひらと 
   
ガラス壜に詰めた 小さな光の渦巻き

誰に渡そうかと、 暖かな喜びが溢れ出る
466リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/20(土) 21:52:00 ID:oiy+Llm1

休耕田が連なる田舎道を群れを作って歩く歩く椋鳥

羽なくした鳥 羽使わない鳥 羽欲しがる鳥 歩く歩く




見上げれば 
青い青い 空
467リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/21(日) 12:39:56 ID:792gYQi/
現代詩手帖の8月号(今売ってるの)と9月号は、戦後の詩人特集をしていて、
物凄い読みでがあります。。値段考えても買い!!
前半の詩は、超有名な詩が目白押しなので、どっちかってと既にもってるのが
多いんですが、後半は70年代以降の詩人さんばっかりで、なかなか読めなくて困ってた人ばかりで
とてもウレシイ。。。
冒頭に、荒川氏と、北川氏と、野村氏と、吉増氏と・・・という面々(選者なんだけど)で座談会があるんだけど
これもまた、面白しろかったです。
468リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/21(日) 17:02:09 ID:792gYQi/
8月号掲載 戦後60年名詩選95 <現代詩再考>

西脇順三郎 「旅人かへらず」  金子光春「ニッパ椰子の唄」  吉本隆明「日時計」
安東次男「花々」 中村稔「海女」  御庄博美「岩国組曲」 吉本隆明「火の秋の物語」
谷川雁「商人」  鮎川信夫「死んだ男」  浜田知章「恐怖の誕生カード」 田村隆一「幻を見る人」
岩田宏「独裁」 会田綱雄「伝説」 長谷川龍生「瞠視慾」 永瀬清子 「熊山橋を渡る」
吉岡実「僧侶」 茨木のり子「わたしが一番きれいだったとき」  石垣りん「家」
清岡卓行「石膏」  黒田喜夫「毒虫飼育」 黒田三郎「秋の日の午後三時」
牟礼慶子「落日」  天沢退二郎「朝の河」  田村隆一「帰途」 大岡信「マリリン」
石原吉郎「葬式列車」 堀川正美「新鮮で苦しみ多い日々」  岡田隆彦「史乃命」
高橋睦郎「薔薇の木」  秋山清「落葉」  鈴木志郎康「売春処女プアプアが家庭的アイウエオを行う」
石垣りん「杖突峠」  新川和江「比喩でなく」  入沢康夫「わが出雲」  谷川俊太郎「鳥羽」
宮本善一「通勤列車」 白石かずこ「聖なる淫者の季節」 富岡多恵子「that's my business」
吉増剛造「燃える」  佐々木幹郎「死者の鞭」  入沢康夫「木の船のための素描」
粕谷栄市「水仙」  北村太郎「小詩集」  小野十三郎「拒絶の木」  渋沢孝輔「その粗暴なまでの」
鈴木志郎康「終電車の風景」  清水哲夫「チャーリー・ブラウン」 
続く
469リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/21(日) 17:02:53 ID:792gYQi/
続き
大岡信「霧のなかから出現する船のための頌歌」  稲川方人「償われた者の伝記のために」
山口哲夫「月潟のニジンスキー」 草野心平「サッコ・ヴァンゼッチの手紙抄」  北村太郎「波の目」 
辻井喬「箱」  崔華國「洛東江」  藤井貞和「石語ー夏虫によせて」  平出隆「胡桃の戦意のために」
寺山修司「懐かしのわが家」 吉岡実「青海波」  那珂太郎「歳晩散策」  鳴海英吉「へんろみち」
寺門仁「押す女」  永瀬清子「あけがたにくる人よ」  高橋睦郎「猿を食う人びと」
松浦寿輝「不寝番」  伊藤比呂美「いやさかさかさかさのさのさ」 白石かずこ「黄色い夜」
中村稔「浮沈漂蕩」  安藤元雄「カドミウム・グリーン」 財部鳥子「修辞の犬」 新井豊美「耳のよろこび」
野村喜和夫「反復彷徨」  守中高明「文字」  谷川俊太郎「父の死」 吉原幸子「散歩」
池井昌樹「一万四千六百泊」  新川和江「骨つきハム その他」  
中村俊夫「ばあやが呟く十一月の夜」  宋敏高(金偏がついてます)「ブルックリン」
伊藤聚「そう遠くない未来の ある快適な夕方」  辻征夫「玉虫」  藤井貞和「口語不自由詩ーいろは歌」
小池昌代「Penis from Heaven」  城戸朱里「秋の平安」  荒川洋治「完成交響曲」
高貝弘也「再生する光」  和合亮一「世界」  岩成達也「一月/しじみ蝶」  井坂洋子「山伏記」
飯島耕一「コルトレーンの九月」  安永稔和「蟹場まで」  高橋昭八郎「わが50音図」
粕谷栄市「モートン・パートレット」  渋谷卓男「広島へ煙草を買いに」  小笠原鳥類「虹色脳油、ながれ」
多和田葉子「傘の死体とわたしの妻」
470リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/23(火) 13:06:25 ID:PqAtdB1S
「薄緑色に濁った海の中でぽかんと漂って」

海の水に屈折しながらやってくる
お日様の光がゆらゆらと歪みながら作るモザイク模様
ミジンコのようなプランクトンの群れが白いベールを濁った海水にたなびかせ、
上へ向かっているのやら下へ向かっているのやら
きらきらと黄色く光るのは細かい砂の粒とビニールの輪郭で、
もう少し水の色が青かったら、もっときれいなのになと
海の中でちょっと哀しく思った人魚の夢が
ぼんやり涙を流していた。

死んで流れてきた猫が
その夢の涙をぺろぺろと舐めて通り過ぎていく。
471リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/25(木) 20:19:18 ID:g3JGDb7p
小学5年の夏休み、
部活の昼食に持たせてくれた弁当箱の中にあったのは
丸い缶詰のカマンベールチーズ一個と、硬くて噛みちぎれないパン一個でしたね。
ああ、おかあさん、
子供にあれはないんじゃないですか?
開けてあったカマンベールは銀紙ごと夏の温度で生ぬるく、
期限を過ぎた匂いは強烈で、まるっと一個は多かったですよ。

カマンベールは高級品で、なかなか口にはできない品で、
子供の弁当にはもったいないんですよね。
それもまた親心?
いやいや、どうみても、行き当たりばったりなあの中身。
私は2度と弁当に期待をしませんでした。
472名前はいらない:2005/08/26(金) 00:49:32 ID:+nzNHdrs
なかなかナウイお母様に乾杯ですねw
473リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/26(金) 08:48:04 ID:OC7cpKAJ
>>472 あい。。インパクトのある母でつ。。w
474リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/27(土) 19:42:53 ID:23P3iq3E
「楽園の扉」

少女の気が狂うのは

世界が少女のためにあるのではないのだと
気がついたためです。

どうしてあの楽園の扉は
少女をしめだして、閉じてしまうのでしょうか?

そして、
どうしてあの扉の中が
前ほど美しく見えなくなってしまうのでしょうか?

あの混沌をうわばみのように
飲み込んしまいましょう
そうしたらきっと 次の扉が開けられる

475リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/27(土) 20:19:39 ID:23P3iq3E
「おかえり」

どこからか風が吹く
てらいのない、丸いひらがなの風が
頬をなでていく。

まっさらな時に帰ったように
在るべき世界を垣間見たように
心がすとんと落ち着いた。
476リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/28(日) 11:29:07 ID:dIYgQbkt
駄作でも書く!
この頃ペイントプロでお絵かき。
駄作の谷間をふらふらふらついている状態w。
あたしが偉いんじゃなくてペイントプロが偉いので、どこか釈然としないですね。。いやあ、質感とか色々、ホンモンとは当然違うんだけどね。
とはいえ、詩を書くのもある意味似ていて、何を書いてもどこかで既存の文字列を頭に浮かべているところがあります。
ものが言語である以上、ベースにあるのは過去の使用の積み重ねであるわけだから、ある程度はしかたがないんでしょね。。。
その上で、何かを描き出すのが詩であり、絵なわけですわ。
絵も詩と一緒で、書いて書いているうちには、なにか光が見えるのかもしんないと、、駄作に嘆息しながら、叱咤激励。。

なんで、今更絵なんか描くんだろうかとまあ、気にもしているんだけれど、一面は逃避かもしれないとも感じるし、一面は
詩だけでは表現できないものがあるかもしれないっていう漠然とした疑いがごろごろしてます。
まあ、ただ色を載せてみるのが楽しいということも大きいんだろうなあ。
なんつか絵にしてみると自分のセンスの無さというのが詩よりもわかりやすい気がする。
凡庸で当たり障りのない絵を見ながら、「ああ、あたしの詩と一緒だ」と思うわけでした。ハア

477リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/28(日) 15:49:24 ID:dIYgQbkt
混沌とした状態って好きです。
たぶん幸せだけでは、あたしたちは幸せが見つけられないんじゃないですか?
たまにね、戦後の詩って、戦争のもたらす不幸を噛み締めて幸せを書き出すことの
衝撃にほれきってしまって、悲劇なしには表現ができない思い込みのなかに浸っちゃったんじゃないかと思いますよ。
海底に漂うプランクトンとゴミと海草と猫の死体と人魚の夢を楽しく書けるといいなあと思います。
いつだって、何でもここにあるんじゃないでしょうか。混沌の中で幸福を書き出すことができたらいいなあと思うんですよ。
478ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY :2005/08/29(月) 15:16:54 ID:CdDfxI3I
>476
絵もいいですよね。私は最近ちょっと落書きが趣味でして(バーリトゥードに出品)。
詩は表現じゃないのと同じぐらい絵も表現じゃないんだなあ、
というお題目唱えてると、ただ描くことが楽しくなりますよね。

リーフさんの絵はどこかで見ることが出来ますか?
479リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/08/30(火) 08:18:47 ID:sE9zYXyW
>>478 絵もいいですね。ストレートに感覚にきいてきます。。
ttp://umaa.s19.xrea.com/cgi-bin/sakuhin/leafrain/anthologys.cgi
の画像付詩 試作にまとめてありやす、、、
(ゼッケンさんのはイメージそのものの具現化でしたね。使ってる色があっかるくてゼッケンさんらしいなと思ってみてました。)
480ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY :2005/08/30(火) 13:28:48 ID:10ZF+3OR
うあ、すごい。
画像と文字が重なると見にくい部分もあったけど。
でも、イメージが怒涛のごとく。
楽園の扉と椋鳥にはどっか連れて行かれそうになっちゃいました。
これだとあれですね、詩は読む時間軸に沿ってイメージが展開されるわけですから、
絵も静止画じゃなくて動画にしたくなってきますね(ムチャ言う)。
481リーフレイン:2005/08/30(火) 19:52:58 ID:sE9zYXyW
>>480
それはフラッシュでは。。。
心霊さんのカッパのとかそんな感じでしたよ。あれかあいかったなあ。
とりあえずフラッシュの技術は持ってないのと、基本的に画像の技術が
ないと意味がないっていう話があるんで。。w
画面を大きくとって、見るヒトが画面を探すことでイメージの変化を狙ってみてるんですが、
たしかに、一枚の画像だけだと、一気に最終イメージに突入しちゃいがちなのはデメリットですね。
482名前はいらない:2005/08/31(水) 13:43:18 ID:AtJficu4
コテ大会の摘便の詩良かったですよー。あれを読んでわたしも一丁

「お便所」

丁寧に「お」を付けてみた だけなのに
古式ゆかしく日本語で 表現してみただけなのに 
便便便所 便便所 ただのトイレのことなのに

どこですかって尋ねてみたら 目が思い切り笑ってた  
びりびりぶちぶち君もさあ 一緒に流れてゆきましょう

-------------------------------------
・・・・ごめん。

483リーフレイン:2005/08/31(水) 18:42:42 ID:7VF/JxUq
>>482
いやいや、慰めてくれてありがとお。
さあ、一緒に流れてゆきましょう  がイイ。

とあいえ、摘便という言葉を知っているあなたはもしやw。。
484 ◆Wani6uvhK. :2005/08/31(水) 23:58:38 ID:0p8i2Bln
摘便摘便摘便摘便。
ズブズブズブズブ。
ぐりぐりぐりぐり。
むりむりむり。
ぽろり。

ごめん。血が出ちゃった。
485名前はいらない:2005/09/01(木) 08:38:22 ID:2HedAjwJ
484を書いて一晩立ってまた思いついたんですけど、
今度は具体的であんまりここにふさわしくないから控えます。どこかいい所はないかにゃ〜
厳密な意味での自スレって持ってないからにゃ〜・・・
486名前はいらない:2005/09/01(木) 08:39:06 ID:2HedAjwJ
ごめん482の間違い〜わにさんごめんね〜(´・ω・`)
487リーフレイン:2005/09/01(木) 09:39:27 ID:lv13EQNg
>>485
あ、あたしも書こうかと思ったんで、ここでもいいよ、

お前らうんこを題材に切ない詩をつくろうぜ
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/poem/1029145924/l50

探してみれば、ここかな?
488リーフレイン:2005/09/01(木) 11:08:25 ID:lv13EQNg
「ばかっ 」

ひゅんと飛ぶうんち 手づかみ
ベッドからこぼれる大便
たたみに染みをつくる小便の水溜り
悪臭の真ん中に、転がったばばあ

なんではよこんのや
死ね、しんでまえ
おまえらみんな、しんでまえや
はよ、いってまえばええっておもってるやろ

そうや、おもっとる
なんでまっとらんの
おむつまでとってもうて
あと、だれがそうじするおもってん
あんたやないやろ
あたしがやるんや

まてれんわ、あほー
おのれも、おむつしてみい
どんなにいやかわかるわい
わしはあかんぼうやないわ

あかんぼうならまだましや
すぐ大きくなるしな
なきごえかて、かあいいもんや
うんちも、くさくないでえ
ああ、くさいくさい
ようがまんできんな
ああ、自分のへはくさくないゆうもんな
489リーフレイン:2005/09/01(木) 11:08:55 ID:lv13EQNg


くさいにきまっとるわ
ばかにせんといてや
はよきれいにしたって
ほれ、あんたのしごとやで

あ、またそんなとこにべちゃっとつけて
わけわからんとこにのこすと、あとくさいやんか
ほんまに、てのかかるばばあやな
いつもゆっとるけ、あたしはあんたのめしつかいやないで
そこんとこわすれんといてや

すまんなあ、あての全財産あんたにのこしたるかんな
すまんなあ

あほー、そんなでまかせゆうとらんと
ちょっとしりをあげなはれ
おこっとるほうがまだましや
きもちわりい

うそやないで、ほんまや
ほんまにあるんやで

はいはい、あんたのあたまんなかいっぺんみてみたいわ
490リーフレイン:2005/09/01(木) 11:36:14 ID:lv13EQNg
>>484 わにさん
肛門の内側って妙に粘膜がやあらかいですよね。わりと広いんですが。
さすが現役。明るい。
491リーフレイン:2005/09/01(木) 11:53:10 ID:lv13EQNg
屈折しながらやってくる 日の光が
ゆらゆらと歪みながら映るモザイク模様で
ミジンコみたいなプランクトンの白いベールがたなびき
上へ向かっているのやら
下へ向かっているのやら

きらきらと黄色く光るのは 細かい砂の粒とビニールの輪郭で
もう少し水の色が青かったら もっときれいなのにと
ちょっと哀しく思った人魚の夢が
いびつな楕円の水玉を ふわふわ零す

死んで流れてきた猫が
その夢の涙をぺろと舐めて通り過ぎ
今日の夢は美しいなと気がつけば
「夢じゃあないよ」と件の猫がささやきに

#副題 「詩板に浮かぶ水死体の夢」
---------------------------------------
リライト。。
492名前はいらない:2005/09/01(木) 12:54:12 ID:+og+ybrE
「便にもつい『お』をつけてしまうことに関する一考察」

ねりねりの 粘土を加えた 例えば 豆腐
がちがちの 乾きかけてる 例えば お味噌
かすかすの 水とスジ肉の 例えば 鍋物
たぷたぷの 固まる途中の 例えば 羊羹

便便便も 千差便別

底のない 穴 すぐ行き詰る 穴
指で出すのは生易しいが
10年選手のカントリーホールは
フィスト××x×と行かなくちゃと来た

今日もお昼をみんなで広げて
ぶちゃっと出たこと 目に染みたこと 
大空洞をお持ちの人のこと
失礼ながら 話していただく

いっただきます おべ いや おべんとう。

----------------------------------
ナハハハハ失礼しました。あんまりこういうの書くと
不謹慎だって怒られるから書かないんですけどね・・・。
 
493名前はいらない:2005/09/01(木) 12:56:03 ID:+og+ybrE
>>487
昨日書いた482でした、失礼、失礼。
494リーフレイン:2005/09/01(木) 13:27:51 ID:lv13EQNg
hahaha 随分前に、このスレッドは18歳未満ROM禁止にしたんですが、
食事の前後もROM禁止にしませう。。www
495リーフレイン:2005/09/01(木) 14:56:00 ID:lv13EQNg
496リーフレイン:2005/09/01(木) 14:56:45 ID:lv13EQNg
あ、
497名前はいらない:2005/09/01(木) 14:58:30 ID:rtPNNZ+L
サンプル(試料)
498リーフレイン:2005/09/01(木) 20:34:02 ID:wKoQEPoX
>>497 wwww
499リーフレイン:2005/09/05(月) 17:14:28 ID:bdq/COXI
夕飯を盛ったどんぶりが
犬ご飯のように見えたので
テレビだけでは哀しいと
パソコンをつけてみる

誰かいないかと、探し回って
ようやくみつけた文字列に
愛想をつかれないようにと
面白いキーをひねりだす

誰かが抱いてくれないかと
頭の片隅にぼんやり浮かんだが
束の間抱き合ってみたといって
一緒にいるわけじゃないんだと
少し斜にかまえて現実をのみこんだ

黄土色の日常が
ほんの少しの起伏をもって
ぼうぼうと続いていく
これはこれなりに
楽しいかもしれないと
悟ったようなことを考える

一杯の酒と
ほんの少しの夢の欠片を
ゆうらり ゆらりと めぐらして
抱きしめながら眠りにつこう
今日はそんなに、寂しくはない
500リーフレイン:2005/09/05(月) 17:58:22 ID:bdq/COXI
最初、この海は、真っ黒な膜で覆われた。
備蓄されていた石油、漏れ出した汚水、放置された車両
化学系物質を扱う工場からもれた有害ななにものかが
渾然一体となって、ぎらぎらと虹色に光るどす茶色い膜を海面に張った。
取り残された遺体を回収することもままならず、
なにがあるかわからない危険の中、都市部を深い底へ沈めた海は
静かに沈黙をしていた。
やがて膜はちりぢりに分裂し、汚らしいボロ玉がひらひらと舞うようになっていった。
海と太陽の力だ。

海上にはりつくように残った陸
海は前にもまして資源の海となり、
残飯をかすめとる犬のように全てを奪っていったあの海へまた戻る。
波間に点在するオイル玉を集めるオイル船と
誰がつけたのか”宝探し船”が出航する。本当の名は沈没物回収船だ。
水没したビルの谷間に点々と残るまだ使える金属、繊維、
海水に浸かってもなんとか使えるものを拾い集める船だ。

もと深海魚であった魚が、変異した。
窒素養分の多い陸地を突然くわえ込み、死と背中合わせの有害物質の洗礼をあびた
彼らは、伝説のリヴァイアサンのごとき怪魚へと変異して生き残った。
同様に生き残った着色海月とともに、ビルの谷間に跋扈する。
宝探し船の最大のライバルは彼らだった。
海中へ下ろされた潜水船は彼らの餌に見えるらしい。
もはや力関係は逆転してしまった。

ゆらり、ゆっくりと 魚たちが王者のように泳ぎまわる。 
極彩色の海月が燐光を放つように彼らの周りに集まっていた。 
海は昔とは違う青さを創りつつあるのだ。
まだこの星に 生きられる生命があることを感謝すべきなのかもしれない。
水球となった母なる星よ。
501リーフレイン:2005/09/06(火) 14:24:26 ID:k6s0Y7IY
フロートプランターの緑が視界の隅に広がる。
海水でも生育する植物群だ。酸素供給と繊維質獲得、貴重な食料にもなっている。
フロートプランターの世話に回る小船が境界海域の中をくるくると回っているのが見える。

われわれの体も もうもとのままじゃない。
背に腹に変えられないまま、えたいのしれない汚染物質を食べ続け、得体の知れない変異魚類を食べ続け、赤子も稀になった。
紫外線が肌に食い入るのがわかるようにもなった。
ただ生き残ること、それ以上に大切なことはなかった。
502リーフレイン:2005/09/06(火) 17:41:55 ID:CFKl9ZCM
子が欲しいと女が啼く。
503リーフレイン:2005/09/09(金) 11:32:09 ID:6G3iV3IS
「鮫に食われた幼女と・・・・・・」

水死体があがると 若衆が急いでやってくる
なまあったかい死体
なまあったかい女の死体
なまあったかい幼女の肢体

おいちゃん?

じょうちゃん、海んなかは冷たかろう
はよあったまろうかの

504リーフレイン:2005/09/10(土) 22:26:13 ID:Rf+sfWl1
待ちわびて 待ちわびて

待ちわびて

待ちくたびれて、何を待っていたのか忘れたころに

深紅の薔薇が咲いた。

私はすでに この花が咲くのを待っていたのかどうかわからなくなってしまっていたので

うっかり花を摘んでしまい、

摘んでしまってから、途方もない後悔に襲われた。
505リーフレイン:2005/09/10(土) 22:27:22 ID:Rf+sfWl1
ああ、、orz
506:2005/09/10(土) 22:32:35 ID:qQs6Gd/Q
(´・ω・)ノ<ドンマイ
507ドンマイケル:2005/09/10(土) 22:41:55 ID:o5nUc0qG

   [ ♪ 西の海へサラリ ♪ ]

    西のうみへと

     ふねを出し

    不思議な国へおくりましょう

    ゴメンナサイな ことだとか

    うそ や かなしいこころもち

    しとねのように よこたえて

     白くかがやく帆をはった

    ふねに浮かべて流しましょう

508☆キキ+キ゚Д゚♪ ◆8JINgFqdIE :2005/09/10(土) 22:56:13 ID:jkRJc148


そんな事より、今日の柔道はヤリマン宮本と処女横澤だぞ≧(´▽`)≦アハハハ

九時半からだ≧(´▽`)≦アハハハ

ヤリマンの動きに注目≧(´▽`)≦アハハハ



509リーフレイン:2005/09/11(日) 11:14:35 ID:+WSJ8gdO
Thank you。
510名前はいらない:2005/09/12(月) 16:51:33 ID:QWwgPwdm
「一過」

家にこもっているうちに
風が吹き抜けてったのね

屋根は飛ばずに車も無事で
水も止まらずありがたい
命が取られずありがたい

またすぐ来るかも知れないけれど
しばらくばいばい 台風ばいばい
災いじゃなくて 自然みんなと
お話できれば いいのにね

「喰っちゃうぞ」って
言われるかも だけど
-------------------------------------------
忙しい週末でした。投票は暫定自民支持のわたし。
元公務員としては郵政民営化大賛成!ですから〜。
小選挙区は・・・何だか分らん。消去法で入れました・・・。
511 ◆mooN.KttY. :2005/09/12(月) 18:50:41 ID:3FNegbfv
国賊めっ
512リーフレイン:2005/09/13(火) 08:33:49 ID:gA/UCAjF
>>510
「喰っちゃうぞ」ww

まなざしは優しくて
秋の陽の柔らかな残照
吹き抜けた風(轟々と)
知らぬ顔でそよぐ
しなやかな葦の君
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
郵政民営化だけを争点にしちゃった自○党はずるすぎって思ってるのでした。。

>>511 ww
513リーフレイン:2005/09/14(水) 20:54:48 ID:27WokKpm

えんえんと続く田で
網笠を被った男たちが草をひいている

盆を越して穂を出した青い稲の列は
つたない手で無数の線をひいたように並び
地平線に消える

編み笠を被った3人の男たちが
だまったままで草をひいている

秋祭りの太鼓
山車にのるお稚児さんの赤い口紅
屋台、おなごしゅの化粧の香

編み笠を被った3人の男たちが
俯いて草をひきつづける

赤子、筵の屋根の下に置く籠
剥き出しの乳房に吸い付く口
薬缶の水

草をひく男たち

514リーフレイン:2005/09/14(水) 20:55:25 ID:27WokKpm
「銀色の免許」

裏通りに「免許屋」があった。
蛇がのろのろ歩く道で、腐ったアドアの匂いがしている。
免許屋の中に入ると、白髪の老人が独り座っていた。
「どんな免許をお求めになりたいんで?」
「恋人を愛す免許が欲しいんですが。」
「恋人を持つ免許はもうお持ちですかい?」
「はい」
「ああ、それなら話は早い、ちょっとお待ちを」

ーこの免許によって、あなたは恋人を殺すことができますー

そう彫り込まれた銀色のプレートを出してきた。
「おやっさん、これ違うよ」
「いや、いいんですよ、これで。」

半信半疑のまま代金を払い、店を出た。
やっぱり蛇はのろのろ歩いているし、腐ったアドアはどこかに転がっている。
じりじりした夏の光が突然吹いてきた突風で吹き飛ばされていった。

515リーフレイン:2005/09/15(木) 07:52:46 ID:eidQD1At
作者の当事者性が芸術としての詩の鑑賞を拒否してしまう点

たとえば、恋人の死であるとか、事故であるとか、重病であるとか、
が現実の作者の背景としてあるとき、詩は他者の批評を受け付けられない場合が多いです。
哀悼の言葉を掛けざるを得ない。表現よりはその内容に気を使わなければいけなくなってしまう。
表現するという意味ではずるい手段じゃないかと思ったりします。
そういう話とは裏腹に、作者にとってすればそういった背景は詩を書かせる強い動機になります。
詩はパッションであり、パッションを喚起する事象が個人の経験であるからです。
美しいものに触れる、醜いものに触れる、理不尽な状況に置かれる、苦しむ、喜ぶ、疎ましく思う、
空虚に思う、全ての感情が詩への道へ続き、強烈な背景は強烈なパッションを産み出してくる。
書かずにはいられないのです。
動機を詩にまで昇華するには、その当事者性を凌駕するだけのイメージ、シーンを創り出す必要が
あるんじゃないかとこのごろ思いはじめました。つまり作者の背景を知らずとも味わうことができる
質であり、作者の背景を踏まえたとしても、批評性を排除しない作品であることでしょうか。

「自分はこうで、こうで、こう思う」を真摯に訴える詩はその訴えの内容が真摯で切羽詰ったもので
あればあるほど、詩本体のポエジーではなくその思想性なり現実性に力点が置かれてしまう。
それでは芸術としての詩の価値はいったいどこに見出せばいいのか?という話になっていく。
思想性なり、なんなりは大事な土台であり、さらに”芸術”(ポエジー)として顕在化することが
求められるのじゃないかと。
516名前はいらない:2005/09/15(木) 18:09:49 ID:vAdgtQQq
>>515
それはそうでしょう。

詩に限らず表現作品は全て『表現せずにいられない衝動』
に拠るものだと思います。ですからあらゆる作品は
表現し終えた時点で作者の目的が完遂したと言えるでしょう。

ですが、それを他人の目から見たらどうか?
という点においてはとても完全とは言えません。
万人の目に美しく、あるいは凄まじく映る
『芸事としての表現』はやはり自分ではなく
他人のためという目的の元に作られなければ
ならないでしょう。

もっとも絶対誰にも見せない日記であってすらも
『他人の目』は意識しないではいられないのが
人間ですから、その辺の境界はあいまいだと思うのですが。
517リーフレイン:2005/09/15(木) 19:32:26 ID:75wuHVgN
>>516
>他人のためという目的の元
というのはちょっと微妙かな。。他人の目の元で というほうが近いかも。。

えっと515のレスは一般的な問題を言っているだけで、このごろ板に迷惑かけちゃった
駄作についての弁解じゃあないんよ。。w
あれは、あっちでも言ってたように、表現構造として”「オナニー日記」を「オナニー」ていう
題一発で転倒させて詩とみなす”っていう荒業を試したかっただけでさ、、、
選んだ日記は一番オナニーな日記でありゃあどうでもいいっていう観点だったんよ。すまん。
中身を云々されるとは思ってなかったっていう迂闊な女ですわ。。(これは弁解)

上の観点からみりゃあ、あの中身の部分なんかは論外。
ただまあ、作者の当事者性についてはあの一件がきっかけで考えていたかな。。
日記っていうのは当事者性の塊なんだよね。よく評価スレで日記だとか、チラシの裏とか
言われてしまうやつなんだけど。自分との対話でしかないから、自分に自明なことは
いちいち書かない。読み手へ伝えるという観点ももってない。
518 ◆mooN.KttY. :2005/09/16(金) 02:04:53 ID:gUOqbE/x
しゃぼん玉とんだ、は
背景を知らずにまず愛され、
背景を知ると、またあれだよね。
519リーフレイン:2005/09/16(金) 08:45:20 ID:HVkpb1sG
>>518
シャボン玉は、背景を知ると胸に迫ってしまって、もうもとの気持ちでは
歌えないです。。知っていても、知らなくても、本当にいい歌ですね。
520 ◆mooN.KttY. :2005/09/17(土) 02:11:21 ID:ZXckTfky
いや、ある程度分別ついてから知るならいいんだけど
年端もいかぬ子に、嬉々としてそれ教える母親ってどうかと思う。
521 ◆mooN.KttY. :2005/09/17(土) 02:12:33 ID:ZXckTfky
だいたい寝物語がポーの黒猫とかアッシャー家の崩壊ってのはどうよ。
522リーフレイン:2005/09/17(土) 08:01:22 ID:j6LjPl1C
>>520-521
もともとナイーブな子がさらに敏感になっちゃったかもしれないですね。
523リーフレイン:2005/09/19(月) 09:18:21 ID:tpCcSuzU

カオスであること。
鈍感さと敏感さの混在。 正邪の融解。変化し続ける現象。価値の喪失と創造。
立たないでいる場を溺れつつ泳ぐ。 灰色の断片が舞い踊る。 風。
場の喪失。 尚存在するものと存在せざるものは同値。
伸びていく触感。 存在しない痛み。 存在しない快感。
整合する瞬間が断続的に現れること。音楽。

信仰とは、あらゆる理知を超えて信じることである。
524 ◆mooN.KttY. :2005/09/19(月) 21:14:38 ID:+WuaKLS5
正しきことよ ああ、そのなんと 正しくなきことか
525 ◆mooN.KttY. :2005/09/19(月) 21:20:50 ID:+WuaKLS5
倒立した自画像

遠眼鏡でみたら

からっぽの箱に

昨日の俺が消えてった


だぁれも知らないここだけの話(盗作
526リーフレイン:2005/09/19(月) 21:35:56 ID:tpCcSuzU
一体どこから盗作をっと検索してみたら、関係ないけど面白いサイトがヒット
これはラッキとお気に入りにいれました
ttp://www.asahi-net.or.jp/~RL2Y-MRKW/index.htm
527リーフレイン:2005/09/22(木) 10:05:53 ID:6e3ByHT/
めざむれば エロは世のため 人のため
528リーフレイン:2005/09/22(木) 10:07:09 ID:6e3ByHT/
天候不順 生理不順 脈拍不順 動機不純
529リーフレイン:2005/09/27(火) 09:44:33 ID:q7KDUBNe
画像詩
(梁山泊に投稿した作品につけた絵)
http://www.geocities.jp/leaf_parsley/table1/umineko1.htm
「海岸へ走る猫」

くどいかもしれない。。
530金色夜叉:2005/09/29(木) 17:51:41 ID:cy6wuyiU
来年の今月今夜になったなら
531リーフレイン:2005/09/29(木) 20:42:24 ID:v47ITkC3
>>530
何處(どこ)で此月(このつき)を見るのだか
532 ◆mooN.KttY. :2005/09/29(木) 21:40:39 ID:6UTctOda
おまえが俺を殺したのはちやうどこんな晩だったね
533やさぐれ:2005/09/29(木) 22:37:29 ID:cy6wuyiU
>>531>>532
だから貴女達が嫌いじゃないんだ
ありがとう
534リーフレイン:2005/09/29(木) 22:56:30 ID:v47ITkC3
あの晩の月も あなたを恨んで、今夜のやうに泣いて居たわね
535リーフレイン:2005/09/29(木) 23:20:06 ID:v47ITkC3
>>533
こちらこそ。。ありがとう。。(文体に悩んでたら、レスが重なってしまってごめんね)
536リーフレイン:2005/10/05(水) 09:26:30 ID:QjD94lfh
アスファルトの道がほんのり湿る霧の夜

上向けば、寂れたネオンがぼんやり光り
電線がゆらりと連なる街の片隅で
ふいに、森の匂いがした

鼻腔をくすぐる湿った空気の
夜の森の静謐な匂いが
束の間
眼前のビルを、まばらな車道を
猥雑な音を視界から消しさった

乱雑で、くたびれた街に
見覚えのない森の影がうっすらとさして
深い緑が暗い

人の手にならないその森に
引き寄せられるように歩み入る



537リーフレイン:2005/10/05(水) 09:30:11 ID:QjD94lfh
詩の周辺あれこれ ーほとんどレビューになっちゃいそうだけど。。覚書代わりに

「詩を読む人のために」 三好達治  岩波文庫
まず前書きが良い。
「誰かもいったように、詩を読み、詩を愛する者は既に彼が詩人だからであります。
既に彼は詩人でありますから、独りで合点し、独りで納得することを喜ぶでしょう。
そばからとやかく解説などを加えてもらいたくないのが、この種の人物の特色であります。
それはもうその通りなのであって、人の手引きによってようやく詩を理解し、まして
詩を愛するというだんどりはたいていの人間が、−つむじ曲がりだからというのではありません、
そこのところを我流にやってみなKればいっこうに面白くないのが詩という文芸の本来
でありますから、−さよう注文どおりに段取りよくは参りますまい。それはそれでいいのであります。」
中略
「詩は一本立ちの孤独な心で読むべきものです。
中略
詩は各自めいめいの心で読むべきものです、しかしながら もしも幸いに、傍らに同感同意者の声を
きくならば、彼等めいめいの受け取り方にもいっそうの力と感興とを加えることでしょう。」
-----------------------------
実に納得のいく言葉で、詩を読むにあたってすらこうなんだから、詩を書くなんてもう、
他人の口出すところではまったくないもんだとしみじみ思うわけでした。。

1 「千曲川旅情の歌」 島崎藤村
 小諸なる古城のほとり  / 雲白く遊子悲しむ  / 緑なす繁縷は萌えず  / 若草もしくによしなし
・・・・・・
鑑賞にあたって、参照している詩 (表現の音楽性に近似しているという理由で)
「落ち葉」 ポール・ヴェルレーヌ 上田敏 訳
秋の日の / ヴィオロンの / ため息の / 身にしみて / ひたぶるに / うらがなし
・・・・・・
538リーフレイン:2005/10/05(水) 09:31:29 ID:QjD94lfh
2 「ああ大和にしあらましかば」 薄田泣菫 『白羊宮』の巻頭
ああ、大和にしあらましかば、 / いま神無月、 / うは葉散り透く神無備の森の小路を、
・・・・・・
フランス象徴主義の影響で書かれた複雑な構造かつ、複雑な象徴性をもつ作品の分解

3 「有明集」の3章 蒲原有明 『有明集』
智慧の相者は我を見て
・・・・・・
14行詩ソネット形式。形式美、定型詩としての魅力。

4 「邪宗門」の2章  北原白秋の処女詩集『邪宗門』より

5 「漂泊」  その他 伊良子清白 『孔雀舟』 唯一の詩集
蓆戸に  / 秋風吹いて / 河沿いの / 旅籠屋さびし / 哀れなる旅の男は
夕暮れの空を眺めて / いと低く歌ひはじめぬ
・・・・・・
感傷的かつあどけないほどの童話めいた雰囲気が混在。

6 口語自由律詩について (話言葉の持つ素朴な親近感)
雨にうたれるカテドラル /高村光太郎 
雨の詩  雲 飴売り爺 こんな老木になっても /山村慕鳥 
秘密  母と子 落ち葉 /千家元麻呂
京都人の夜景色 /村山魁多
三郎といふびっこの犬とぼく  秋思 /中川一政
永久に よき友とともに  都会の川  不思議なる顔 /室生犀星
水兵  田舎女の航海 /佐藤惣之助
北見の海岸 夜明け前のさよなら 県知事 /中野重治
539リーフレイン:2005/10/05(水) 09:34:22 ID:QjD94lfh
7 一つの補則として (口語自由詩が上昇期であった時でも存在した定型詩)
小曲 ふるさと あゆふきもの /大木惇夫
病める蚕 夜の街(スケッチ) 友どち 小春日和 /佐藤一英

8 荻原朔太郎の詩法の一面
「山に登る」「さびしい人格」「再会」「小出新道」「猫」
人格の単数複数変化、空間/時間の曖昧性、文法的論理の無視といった語法の混用曖昧を効果的に利用した詩法を確立。

9 「夕暮の時はよい時」 / 堀口大学
さっぱりした瀟洒な気品 連続性のある分解構造 リズム
「彼等」 気品のある誇り

10  数人の詩人について
丸山薫 / 竹中郁 / 田中冬二 / 津村信夫 / 立原道造
中原中也 / 伊藤静雄 / 萩原朔太郎 / 室生犀星 / 堀口大学
540リーフレイン:2005/10/05(水) 09:52:30 ID:QjD94lfh
「朝の放屁」
明け方の 夢うつつ
ばふん
腸が活動し始めた音が聞こえる
なさけない笑みがもれて
熟睡している夜中は ああいう音はでないもんね
不思議と

布団は別のほうがいいかな
男の人はいいなあと思う瞬間

揃って並べられたことのない靴
読んだことのない本が増えていく本棚
煙草の香り

しめった紙に違う色の絵の具を落としたように
色がにじんで新しい色になっていく日々は
ぽつんと落とした最初の輪郭も次第に曖昧で
あえて分けようというのも馬鹿らしくなっていく

ほんの少し甘辛い味付け
沢庵の銘柄 モルト
入浴剤 今日のニュース

できあがっていく中間色は
泥のように濁っていくようでもあり
目が覚めるような色合いが出来上がるときもあり
とり返しのつかない工程を繰り返して
二つとない紙を作っていく

とりあえず、おならは我慢
541リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/10/07(金) 08:47:08 ID:lAQpTyBC
現代詩に関する”なからうか”

 わたしがこれから書くことは現代詩のすべて、現代詩人のすべてに当て嵌まることではないだらう。
しかし別にどうしても読まなきゃならないわけがあるのではなく現代詩を読むとき、大抵いつも感ぜられ、
つひ印刷された紙の束を置いてしまふ原因のひとつに当たることの多いことだ。
 それは二通りに言ひ現はされるだらう。一方の言ひ方をとれば、もうわれわれは現代詩ーそれも比較的
若い方のひとびとのをー読むことでは、詩を読む喜びを味わへなくなったのかしら、といふやうな感じである。
大づかみな言ひかたをすると、詩を読む喜びのひとつは、いくらでも障涜なしに変調展開して行きさうな
詩中のヴィジョンが、詩の音楽性と言ってもいいが、詩の内部にはたらき詩ひきずり追いたて旋回させ、
波打たせまた飛び立たせる内面の動きによって、かへって引き止められ、むやみと増殖することも阻まれ、
そのかはり輝きを増し、生命観をえて、みづみづしくなるのをまのあたりに見るという一種の
ディレヤレクチックにあると思うが、さういふ多元相互性が現代詩からは失われ、その多元性は詩中に盛られた
ヴィジョンや思考の多数性によって代置され、辛うじて単調でなくなっているとふ感じがある。つまり結局表面
をにぎやかな多数性が覆っているが、実は貧寒な一本調子がその内部を貫いていやしないかといふことである。
542リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/10/07(金) 08:52:16 ID:lAQpTyBC

 これはもう一通りの言ひ方をすると、詩人と言はれる若者たちが、いまや、調子のいい、調子づいた、
したがってほとんど無限に恣意のゆるされる散文の一種を書くみたいな具合にその詩を書いているのではないか
という疑問形で言ひあらはされる。散文で書けばそれですむやうなこと、口頭で言ひまくればそれでいいやうなこと、
それを、散文で書くのは、散文の性質上現実の物的秩序と論理の次序の要求に一応は従順に従ひ、
その試験を経た上、あるひは受けつつでなければ書きおほせず、要するに体をなさないので、これを避け、
また口頭で云ふには、相手が自分の存在を認めてくれるかどうかのそもそもの場面を組織するに必要な自信がなく、
それに、自分もそれであるところの人間の声といふやつと自分の言はうとすることのあひだのみじめな不協和音が
不安で、要するにどっちから見ても自己不信が拭へないために詩が表現形態として採用されたのぢゃなからうかと
思われることがあまりにも多い。
543リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/10/07(金) 08:55:43 ID:lAQpTyBC

 同じそのことは、詩を書くといふことが、近代社会のさまざまな職業と同じく、一通りの技術を覚えさへすれば、
別に特別の型と素質の人間でないものにも容易に出来ると見做されて来たといふことでもあり、いくら職業は自由、
詩は盛んとは言へやはり「詩人」にならふといふものは少数なので、少し辛抱づよく書きやめずにいればいまでは
詩人扱ひしてもらへるといふことになったのぢゃないかといふ風にも言へる。現代何々詩人これこれ詩人といはれる
人々にもさう呼ばれた詩人が昔から大勢いて、それぞれに絶唱と言へるやうなものを残しているのに、
それらに負けない詩句を作る自信、作らねばならぬという義務感は、今、あるのかしら。それがないから、現代詩は現象的だ、
現実と対抗しこれを凌駕する何者かを持たうとする意志によって饗化されていない、とふ感が起こることにもなるのではなからうか。
 イマージュとイデーをもっと煮詰めて、そこから多くのイマージュとイデーが読者の脳裏で湧き出しうるやうにエッセンス化さうとつとめ、
詩は長いばかりが脳ぢゃないと思ふへきではなからうか。
 また短いしを主として書く人のうちのある人々は、余り自分の感覚をいぢりまはして快を得ようとするオナニーやナルシシスムの
習癖を絶つべきではなからうか。

1960 9月 「文学界」14−3
「寺田透評論集 近代日本のことばと詩 」より抜粋
544リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2005/10/07(金) 09:01:13 ID:lAQpTyBC
短かったんで全文記載。(もろ著作権侵害。。んだけど、この本あまりにも出回ってないので、ちょっと掲載する価値があるかななんて。。)
 書かれたのは1960年で既に45年が経過しているんだけど、今読んでも「そうかも」って思ったりしますね。
とくに、”どっちから見ても自己不信が拭えないために、詩が表現形態として・・・・”の部分は耳が痛いは。。
まあ、今は詩っていうのはもしかして文芸作品としての舞台よりも、”個人のオナニー的発露 、逸脱あるいは
抑圧されてしまった自己の表現”としての舞台のほうが大きいかもしんないので、そういう意味合いでは
この評論は「詩の価値を芸術性に置き過ぎている」と読めるだろうし、また、詩の芸術性に純粋に期待をしている人であるともいえます。
多分両方の価値を認めつつ、芸術性という点で優れたものを掬い取っていく作業が地道に必要なんだろうなあ。
書き手にとって見る目のある観客は必要なわけだろうから。同時に、詩の芸術としての存在価値を真正面から認めて
その頂に挑む書き手も必要なんだろうと思います。 (相対化の時代を経てしまってるんで、その価値をつい
相対化しちゃうディレッタントなスタンスをとっちゃうんだよね。。。詩書く人ってセンスに敏感だもんだから。
まあ、振り子みたいにゆれながらでも頂を目指してほしいです。)
545名前はいらない:2005/10/07(金) 23:23:05 ID:1PEHvRCI
あっそ。おめでとう
546名前はいらない:2005/10/08(土) 20:16:49 ID:yr87ABpY
寺田透 評論集「近代日本のことばと詩」より 現代詩について抜粋

現代詩は絶対的な規範を持ちません。それは詩人それぞれの生活を基盤として
書かれており、よそから見れば個人的主観的なことの客体化をめざしている。
ただそのときの書く主体が、さっきも言ったように、生身の人間ではなくなって
いるのが問題です。
したがって、その扱うものも、歌ったり、嘆いたりできる実体とはちがった、
触感性のない、しかし現実性はあるものということになります。
そして、この現実性も一般性とか、普遍性とかとは相容れないものです。
それで、それがどういうことかは、読者の言葉に直しては言えないことであり、作者にも
違う言葉でもう一回言う可能性はないのかもしれません。
当然、そういう立脚点をもつ詩は受け取る側の詩の理想や趣味とは無関係に書かれます。
しかし読者には読者の存在理由があるのであり、かれらがどういう詩をいいと思うかを
無視はできません。
547名前はいらない:2005/10/08(土) 20:18:01 ID:yr87ABpY
たとえば、絵の場合ですと、抽象画でも非具象でも、というよりそういう作品ならば
なおのこと充実が全体にゆきわたっていると感ぜられるとき、どこにも無力さの証拠
である欠落や空白がないとき、初めてわれわれに良い作品と思われるのです。
それ以外によいといえる基準はないようでさへあります。
詩の場合ですと、一つの行と次の行との間に意識の進み方がなだらかに行っていないとき、
意識の欠落があるとき、その間に合わないリズムがあるとき、われわれは急に足元を
さらはれたようになり、水っぽい感じを受けます。人為的、恣意的なものではないか
という疑いを抱きます。詩が詩の素材をとらえそこね、その世界を生きていないと
感じるわけです、それは魔術性が弱いということでしょうが、非力な証拠であるとも
いえるでしょう。詩が良いしとして読めるためには、意識の緊密性、快い持続が
どうしても必要になってくるのではないでしょうか。
548名前はいらない:2005/10/08(土) 20:19:52 ID:yr87ABpY
言葉と言葉の間にある流れと緊密性。。。。うーーーn
549 ◆mooN.KttY. :2005/10/09(日) 18:06:47 ID:sYMMxMTo
夢十夜の「木の中に仏が在る」の話じゃないけど
最初に意(完成形)みたいなんがあって、
あとは思いの大さや技巧なりで
どんだけ脳内とテクストの差を埋められるか、って話ですな。
あんまし緻密に彫ると勢いが失われる。
大胆にざっくり彫り進むと全てがわやになる可能性もある。
出来ちまったもんは、いつだって不満足なもんですよ。
永遠の未完成品、人生にせよ、なんにせよ。
だめだこりゃ次いってみよー@いかりや、の精神が大切でね。
そこらをね、びしいって切り捨てれる精神がプロ根性というものだと
あたしは思ってます。
550名前はいらない:2005/10/09(日) 20:42:42 ID:VU6RTMBh
>>549
プロ根性ですか。。とてもそこまで考えてなかったです。

>どんだけ脳内とテクストの差を埋められるか?
これかなり難しいです。書いてる間に移動していくもんもありますしね。。
てか、書いてる間に移動しないものはだめなんじゃないかと思ったりします。
551名前はいらない:2005/10/09(日) 21:30:41 ID:H8Ne/1ga
酒井田柿右衛門的努力が日本のプロの在り方
552 ◆mooN.KttY. :2005/10/10(月) 20:19:20 ID:/KBAeo++
けっきょくね、俵マチや桝野浩一なんかのアレは詩か。
ただの口語、日常会話体をポンと投げ出しただけぢゃないかって
ポエムプロパーが言いたくなる気持ちもわかるんだけどさ。
んーと、あれですよ。
ロックミュージックもアートであるべきだ、なんだって言われだして
鹿爪顔のおっさんらが40分ものインプロビゼーションやらかして
自己満足で陶酔していたような時代。
そのどうしようもない行き詰まりの閉塞感を打ち砕いたのは
髪を赤く染めたジョニー・ロットンのアイ・アム・ミー!って
シンプル極まりない怒声と3コードだったわけで。
やっぱね芸術でも芸能でも、つーか芸ってのは
最初にエモーションとパッションありきなわけで、
テクニークなんて後付け、
つーか最後に入れる香辛料みたいなもんでいいんじゃないかと。
ゴッドハンドと呼ばれた大山倍達さんに言わせると
体重×スピード×握力=破壊力なんだそうですが
文章に置き換えると、エモーション×パッション×テクニークとでも申しましょうか。
いま適当に考えたんで、こう書くと3つ並立でみな重要って感じですが
(そのくらいの数学知識はある)
まあ、あれですね。こういうものはそのときの流行りすたりで
くるくると螺旋を描いて先に進む、進歩ってのはだいたいそんなもんですね。
作用と反作用。(よく判ってない)
553名前はいらない:2005/10/10(月) 20:51:20 ID:NRFsTb0V
>>551
柿右衛門ですかあ、、柿の赤を求めて困難辛苦の・・・・・・・。
ところで、今詩を書いてプロって言われる(つまり職業詩人さん)は
いるんでしょうか?どことなく"持ち出し”の世界のような気が。(涙
それとは別に、優れた詩を書いている人てな当然おられるわけですが。。。
554 ◆mooN.KttY. :2005/10/10(月) 21:04:20 ID:/KBAeo++
谷川俊太郎、植草甚一、寺山修司より後に詩人と呼べる人が出たような気がしない。
555名前はいらない:2005/10/10(月) 21:21:33 ID:NRFsTb0V
>>552 と >>554
ないねえ。とりあえず詩だけで喰っていけてる人はいないと思いますよ。

あとさ、上の寺田先生の話は、ちょうど吉岡実とかが最高の仕事してたころの
話で、「現代詩」ってもんを物凄く評価してるのね。。
今はもっと色んな表現形式がパラレルに存在してると思うのだけどもきっと。。
だけど、絵画をみるときのように、”緊密で力にみちた”という鑑賞は
多分間違ってない気がします。んでもって、その”緊密で力にみちた”っていのは
テクだけの話じゃなくて、やっぱしパッションとかエモーショナルな部分がなくちゃ
お話しになんないと、あたしも思ったりしますです、はい。
556 ◆mooN.KttY. :2005/10/10(月) 22:59:59 ID:/KBAeo++
現代詩っていうと
ほんとは明治以降の詩全般を指すんだろうけど
なんかエキセントリックな女性が舞台の上で
目ぇつり上げて早口で朗読してる様みたいなんが目に浮かぶ。
名前で挙げると伊藤比呂美さんみたいな。
いや、伊藤さんが朗読してるかなんて知らないけどさ。
あと、だれだ白石かずこだっけ。そんな名前のひと。
557名前はいらない:2005/10/11(火) 08:20:17 ID:g+utNSW/
>>556
「現代詩」っていうと、実際にはその狭い認識で正しいかもしんない。
現代詩=現代に詠まれている詩 じゃなくて、なんてのかな 
”口語自由形でもって、抽象的かつ破壊的に物事を書いた詩”が近いかも。。
エキセントリックな女性が舞台で・・・・・・てなあ笑った。あたしは朗読っつと
”ニート軍団が舞台でラップを”っていうイメージが大きいなあ。 
558名前はいらない:2005/10/11(火) 08:57:19 ID:g+utNSW/
いつのまにか、 
街は溢れた言葉の切れ端で 道を歩くのも難儀になった
ゴミ箱はもう一杯で 烏も来ない 臭い匂いがぷんぷんしてる
ゴミ処理場へも持ち込み禁止さ

なあ
シュレッダーにかけようぜ 燃やしちまえよ いらないんだろ?

沈黙は金って言ったのは誰だっけ
大人しくしろって意味だよな
言えば言っただけ損するって意味だよな
あれはズルイ手だっただろ?

ははは
そうだよ、 吐き出したい言葉で腹がはちきれそうだよ
おまえも俺もな わかって欲しいさ
ここにいるってことをな

あふれちまった言葉の中に 埋もれたくないんだ
俺とおまえは違う ちがうんだよ 同じって言うなよ ちがうだろ?
なあ、ちがうんだよ だからあふれてるんじゃないかよお。
俺はとうさんじゃない、俺はかあさんじゃない、
俺はあいつとチガウんだ
どこがチガウって?んなこと聞くなよ わかんねえじゃねえか
俺は俺だ、馬鹿やろー
ちがってるのは同じだって?ごまかすなよ おまえ あほじゃないか?
ちがうんだろ? ちがうんだよ

なあ、
食えよ、このゴミの山 
俺も食うよ、 おまえも食えよ はちきれるまで食い散らかして
一緒に燃やしてしまおうぜ
559名前はいらない:2005/10/13(木) 08:23:25 ID:ETYAzDdl
持斎が甲板の隅で 蹲っている


伸び放題の髭と髪
潮風にあたり こわごわとからみあい
清められることのない躯体が異臭を放つ
一日2度の食事が憚られるようにそっと運ばれ、そっと片付けられる
持斎に話しかける者はいない
持斎が話しかける者もいない
持斎はそこにいて、そこにいない
持斎は神の前に蹲る

生け贄に約束された者よ
既に、その身を神の前に差し出された者よ
我らに祝福を 我らに幸運を 我らに豊潤な恵みを

我は我のために 後ろめたい祈りを捧ぐ

彼の者が我でなきことに安堵し
彼の者が受けるであろう報酬に嫉妬し
彼の者が贖うかもしれぬ代償に恐怖し
彼の者なくして船に乗りえなかった我を嫌悪するのだ

やがて時満ちて、贖いの代償を払う暁に
悋気に襲われることがないように我をいましめるのだ

持斎の歯ぎしりが甲板に響く
あの盲いた目に
光が満ちてないことに 何よりも感謝しているのだ
560名前はいらない:2005/10/13(木) 09:37:03 ID:ETYAzDdl
持斎 というのは、魏志倭人伝に記述がある、航海の無事を祈願する生贄だそうです。
航海の間中、体を洗うこともなく、爪も髭も切ることなく、身をつつしんでいるらしいです。
つつがなく航海を終えることができた時は、多額の報酬を貰えるけれども、
暴風なり、何かが発生した場合は、持斎の不心得の結果そういうことを招いたのだ
ということで、生贄になるということです。(これも立派な職業だったらしいです。。ハイリスク・ハイリターン)
目が見えないという設定は、勝手につけたしたもので、史実ではないです。
んでも、目が見えなくなった人間が、自棄になって持斎に立候補するっていう話はなんとなく
ありそうだななんて思います。
561名前はいらない:2005/10/13(木) 10:14:56 ID:ETYAzDdl
深夜 驟雨にあう  暗闇に浮かび上がった音の華
562 ◆mooN.KttY. :2005/10/13(木) 18:50:30 ID:3p7T/x0Z
アスファルトの上 咲き誇る名も無き王冠 地の塩に融けて流れよ
563名前はいらない:2005/10/13(木) 22:44:17 ID:ETYAzDdl
束の間の時を 惜しむことなかれ
564名前はいらない:2005/10/15(土) 11:13:56 ID:/E7ky9LO

メッセージ゙が待っていた
もうそこにいない相手に返事を書く
静かに続く 答えを焦らない会話
弾力性を失ったスポンジがへこんでしまった
それでも じんわり 鈍い反作用を返していく
秋を迎えた銀杏の葉が 
今ではなく、もう少し後でもなく、いつのまにか黄色く染まっていくように
緩慢な反作用 

キーボードを叩こう 口を開く代わりに
文字を綴ろう
目の前を流れる時間に追いつけない間だけは


565名前はいらない:2005/10/15(土) 11:15:39 ID:/E7ky9LO
キーボードの先には
怒りと悲しみと後悔が 泥のように溜まっていて
セックスと 妬みと 踏みつけられた希望の残骸が
海岸に打ち寄せられたゴミのように散乱してる
半分腐った西瓜の皮に蝿がたかって
腹が膨れて破裂した鼠色の魚から蛆虫が這う

ぼんやりとその中に寝転んで
ここだったら、居てもいいかもしれないと
それでも美しい海を見る

もう少し経ったら、潮が満ち
このゴミも海底にさらわれる
崩れた蛋白質も、植物繊維も 分解されて
ささやかな感情の欠片も記憶の海の彼方へ散っていく
名前も知らない過去の誰かが
想いを抱いて、消え去ったように
名前のない自分も いつか波にさらわれていくだろう

キーボードを叩こう 口を開く代わりに
文字を綴ろう
ほんの少しの間だけ、想いを岸辺にとどめるために
566名前はいらない:2005/10/15(土) 11:19:16 ID:/E7ky9LO
「階段の柱」


ばんばんばんっ ばん

丸めた雑誌   ばんばん

何怒ってるの?
ばん

ご飯?
ばん

待ってた?
ばん ばん

  どかどか どかっ  とん


(抱っこ)

・・・・・・なんか恥ずかしいね。
567名前はいらない:2005/10/17(月) 23:08:04 ID:7n+dE3Hi
たまに見に行く詩サイトmemo

詩人が街にやってきた  (朗読会)
ttp://www.poetry.jp/hear_fl4.html

poeca !   (詩のイベント情報サイト)
ttp://www.poeca.net/

ポエトリー カレンダー トーキョー (休刊中)
ttp://pct_web.tripod.com/

現代詩フォーラム
ttp://po-m.com/forum/

詩の出版社 midnight press
ttp://www.midnightpress.co.jp/

「NET古書の赤羽耕心舎」
ttp://www12.ocn.ne.jp/~akabane/index.html

田村隆一詩集
ttp://www.eonet.ne.jp/~mansonge/trp/
568名前はいらない:2005/10/23(日) 19:46:58 ID:TeYRmlDf
物心ついた時には、戦争はもう文字だけの世界で、僅かに祖父母の世代が
語るそれは古い小説を読むようで、奇妙なうしろめたさがまとわりつき 
(だから、おまえたちは幸せなんだよ)
その中で涙を流してはいけないもののようだった。
強い共感を抱いてはいけないもののようだった。

コンニチハ、
今日は戦争を一つお届けにあがりました。
さあ、明日にはあなたの大事な誰かが死んでいきます。
あさってにはあなたの大事なおうちがなくなるでしょう。
その次の日のはあなたの大事な手か足が、
そして、あなたの命もいつまでもちますか?
さあ戦争を、生きている実感を味わいましょう。

Bーロワイヤルが欲しがられていたのは、理不尽な暴力の中で密度の高い生
を生きる幻想を間接的に味わうためなのだろうか。
あるいは、自らに潜む暴力的欲望のカタルシスのためだろうか。

コンニチハ、
主義主張のために明日の命を賭けましょう。
生きる確からしさのために、明日の生活を賭けましょう。
あの海底油田はあたしたちのものです。
月の資源はあたしたちにも権利があります。
鉱物資源はすでに椅子取りゲームの時代に入りました。
戦って勝ち取らなければいけません。

569名前はいらない:2005/10/23(日) 19:49:30 ID:TeYRmlDf
国家が土地の陣取りゲームのために必要な駒(概念)であったとすると、
すでに硬直化した線引きの中で国家間戦争による陣取り合戦のメリットは失われた。

戦争が”人道に対する罪”として裁かれる時代になったことをわたくしは、
本当に喜ばしいことであると思うのです。
戦争、および戦争を理由になされたこと一切が必要悪として許容されるのでは
なく、勝っても負けても その中の行為においてなされた全てが、”人道への罪”
に該当されるか否かを厳しく問われるということは、戦争と戦争行為の間に線引き
を行うということであり、戦争というフレーズの中において行き過ぎた行為が
なされることに制限をかけることであります。同時に、どこで線を引くかということが
常に問われる状況でもあります。過去、当然のように認められた戦争行為も、
終わってみれば犯罪として裁かれることが容易に想像される以上、奇妙な表現では
ありますが、われわれは非常に倫理的な節度を保ちながら戦争を遂行していく
必要があるわけです。このダブルスタンダードな状況そのものが、戦争のメリットを
著しく損ない、戦争を起こす価値を削減していくことでしょう。

テロリズムは、国家間交渉という枠組みからはずれた概念が、国家間補償
というデメリットをも無視して暴発している必然的なエネルギーである。
ルールを無視して暴力を行使することが戦争本来のエッセンスであったとすると、
がんじがらめになった国家間のルールを無視することが次に来る段階であったのだ。
570名前はいらない:2005/10/23(日) 19:51:33 ID:TeYRmlDf
コンニチハ、
戦争のルールを宣伝しに参りました。
戦争は勝ったもんが勝ちです。
勝てない戦争は、できるだけ被害を抑えるようにして早めに負けてしまいましょう。

国家という枠組みが既に陳腐化しつつある今、人間は宗教、主義、企業、民族、言語ブロック、
生活地域等々のさまざまなスキームによる対立関係に入ってきた。対立構造を顕在化させる
ことすら困難な混沌とした状況の中でも、ゆずれない一線が誰にでもあるように、ゆずれない
一線がそれぞれのスキームに潜在し、その一線が互いにうまくひけないときに、衝突が起こる。

コンニチハ、
儲け口を提供しにまいりました。
武器の製造元へ投資しませんか?
無尽蔵ともいえる消費市場を持つ武器製造こそ古来より最高の安定投資先であります。
勝っても負けても、勝ち組に入るために、あなたもどうぞ一口。

571名前はいらない:2005/10/23(日) 21:51:12 ID:0/9W7Yn9
「捨てられた吸殻」

コンドームしててもできちゃったって
そんな感じの衝撃
思ってもいなかったことがどんどん起きて
とても、手におえないって思うんだけど
ほかに代わってくれる人もいないんで
濁流におぼれてるみたいな気分で
今日が始まって

なんで止めなかったんだよって
そんなのわかるわけないじゃんか
あたしだってまさかと思ったよ
どうやって止めるのよ、そんなの

あたしが悪いわけじゃなーいー。

庭にグラジオラスの花が咲いて
陽だまりに野良猫が緊張しながら眠っていて
朝のご飯がおいしく焚けて
洗濯物がいい匂いに干しあがって
ふとんがふかふかしていて
廊下が光っていて
毎日はとても贅沢で
ちょっと信じられないぐらい手がかかって
風が吹いて 呆れるぐらい退屈で
あたしは
そのどれも無くしたくないと
思ってた

#ラノベの冒頭部分みたいになっちゃったな。
572 ◆mooN.KttY. :2005/10/23(日) 22:28:38 ID:xfPTCX9L
そう、そんなとき『不幸』は天使の顔をして突然やってくる。
「やあ!」そいつは(ry

まあ、こんな風に続く確率89%
573名前はいらない:2005/10/24(月) 08:14:53 ID:zm1jTym3
>>572
w そうだよね。。で、可憐な少女は爆裂な世界に。。
574名前はいらない:2005/10/27(木) 16:17:40 ID:HRQ/Yym8
 殆ど客の訪れのない寂れた薬屋は、妙に馴れ馴れしい意地の悪そうな親父さんと、
昔はお嬢様だったに違いないと思わせる何処となく上品な奥さんが店番をしていた。
回覧板を持っていくと、その苦手な親父さんが出てきてきまって下から上へなめる
ような視線をはわせてから、戦時中の話をひとくさりする。もう何十年も前の事なのに
昨日のことのように、やれマラリアに軽くかかったのをいいことに軍医を脅して傷病兵
証明をもらって内地へ戻っただの、大陸では御大尽がうまいしるを吸ってただの、
人間の胸を刺すのは豆腐を切るようだった、だの聞きたくもないような話をえんえんと
続ける。 こちらの身体を品定めするような視線は話の間中もゆっくりと上下し、嫌悪を
隠せないでいる様子を舌なめずりをしながら楽しんでいる風情があった。漏れ聞くところ
では、今の薬屋は奥さんのもので,戦時中の男がいない時期に婿養子にきてもらったそうだ。
先代はとうに亡くなり、多少あった土地を少しづつ切り売りしながら身上を食いつぶして
きたらしい。こんな親父さんの嫁さんをつとめているのは嫌なんじゃないだろうかと、その
上品な奥さんの胸のうちをよそ事ながら同情してしまうのだが、奥さんは何を思っているの
やら近所にもらすような事は決してなく、奇妙にすずやかな微笑を絶やすこともなく静かに
暮らしていた。
 
575名前はいらない:2005/10/27(木) 16:18:25 ID:HRQ/Yym8
 雨の降る夜、薬屋の親父さんが急死したと訃報の回覧があった。深夜、雨の中に突然
親父さんが何処かに出かけてしまい明け方になっても戻らなかったそうだ。心配になった
奥さんが近所を探し回り、500メートルほど離れた用水の泥水の中にうつぶせに浮かんで
いるのを見つけた。履いていたサンダルが用水の脇にそろえてあったそうで、突発的な
自殺だろうという話に落ちついた。あの殺しても死なないようなずうずうしい親父さんが自殺
というのはしっくりこないなと、近所ではひそかに話題になったが、誰の頭にも「ようやく厄介
払いできた」という安堵が浮かび、警察の聞き込みにはそんな話はおくびにもださなかったらしい。
 親父さんの四十九日が終わったころ、奥さんは店の改築に手をつけた。ゆっくりと住まいを
整え、居心地の良いしつらえに直し、前と同じようにひっそりと暮らしを続けている。
もう一つ変わった事があって、店に花が飾られるようになった。
576名前はいらない:2005/10/27(木) 16:19:32 ID:HRQ/Yym8

 道向かいの3軒先の家には、居候のおばあさんが「東の家」とよばれる古家にひっそりと暮らしている。
「東の家」というのは、通常母屋の東側に位置している古家のことで、この付近の農家では、50年から
100年に一度母屋を新築する際に古いほうの家屋を少し位置をずらし、納屋や、作業場、あるいは
若夫婦の家、居候家族の家、と状況に応じて再利用する習慣があった。当然母屋に対して
50年ぐらいは古い家屋で手入れもろくにせず、ぼろぼろである場合が多かった。
そろそろ90の声を聞くらしいおばあさんは、もう何十年も顔を見せることがない。 今でも近所で話題
にあがるには、彼女は財産のない家の長女に生まれ、兄弟衆のために身売りして1町5反の土地を
家族のために手にいれたそうだ。親は空襲でなくし、兄弟衆も早々に亡くなってしまい、残った甥っ子
が家を継いだ。年季が明けて帰ってきたときにはもう、ただの厄介者でしかなかったらしい。
どんなに暑い日でも、きっちりと障子を締め切った東の家は、姑が嫁に来たころから変わりがなく、
もう40年はここにいる姑でさえ、いまだに彼女の顔を見たことがない。
577名前はいらない:2005/10/27(木) 16:28:11 ID:HRQ/Yym8
 足が片方ないおばあさんがいる家があって、そのおばあさんのご主人は頭が少し鈍い人だった。
もともとは彼女の姉が嫁してきた家で、当時は多少難のある男であっても家長であれば嫁が来た。
最初の嫁である姉が亡くなったとき、丁度出戻ってきていたおばあさんに(気が強すぎて最初の婚家から
飛び出してしまったそうだ。)渡りに船とばかりに白羽の矢が立ち、言い含められて嫁に来たといっていた。
ご主人はきちんと話しをすることができない人だったが、始終にこにことして、力仕事も厭わず
こつこつといつまでも仕事を続けることができた。 一度、その大きくて頑丈な手が大きなブロックを持ち上げる
のを見る機会があったが、実に軽々と持ち上げていて吃驚した覚えがある。ご主人は気の強くて賢い
嫁さんの言うとおりに何でもこなし、また彼女もとても上手にご主人を立てて、家をおさめていた。
足を失くしたのは空襲の傷が膿んでしまったせいで、気の強いままに自分の身体の調子が悪いのを放置
していた挙句、切り落とす羽目になった。さばさばとした性格で、足が片方ないぐらい
なんの問題もないとばかりに松葉杖をつきながら仕事に精を出していた。
578名前はいらない:2005/10/28(金) 08:51:15 ID:kR4r3qME
読後感がちと悪いので、もう少し推敲してみます。
579名前はいらない:2005/11/05(土) 20:19:32 ID:0MYj3RwK
「揶揄ではなく」

精神は肉体の前に頭を垂れる
私の精神が 幾度となく肉体の呻き声に屈するのであるから
大風に吹かれる葦の茎のようにしなやかでありたいと願う
たおやかなその足元の泥の中に、強靭な地下茎を作ることを望む
いずこにかある大木を憧れるも、自らの術を成すよりほかはないと思いとる

しこうして、とあるものは、探索にでかけ また別のものが、待つ
またある時には、待っていたものが 探索に出る
複雑に絡み合った多重螺旋を描くように
密やかに絡み合い、あるいは引きちぎり、よりそい、そして離別する

神の手があなたのこうべにあらんことを願う
580名前はいらない:2005/11/05(土) 20:20:23 ID:0MYj3RwK
「言葉がもたらす腐敗」

つやつやした木製の顔で、あごまで口が切れている腹話術人形が
腹話術士の男を抱えて立っている。
人間でありながら、まるで生きた人間に見えない腹話術士は
黒いスーツ姿のままだらんと弛緩して、右手が力なくぶらぶらとぶら下がって揺れている
顔はこちらを向いているが、力のない開かれた両眼は焦点が鈍い
人形の力で重い人間を持ち上げるはずはなかろうにと思うのだが
軽々と抱え揚げているようにみえた。

言葉は生きている。 だが 言葉だけが生きているのではない
人形が力を増す一方で、操っていた人間がその一言一言によって
病みつかれ、腐敗を増していくのを
何故、茫々と見つめ続けなければいけないのか?




人が生まれ、言葉が生まれ、やがて言葉は操られるのを終え、一人 歩き始める
人と言葉もまた、多重螺旋を描くのだろうか?


581名前はいらない:2005/11/05(土) 20:21:52 ID:0MYj3RwK
「対話を聞くものへの鎮魂」

問いかけがなされ、回答が試みられる
森羅万象は私の傍らを轟音をたてて通り過ぎ
私でない回答が私でないものへなされていく
光に閉ざされた観客席にある私は
光と影を織り成す舞台の上への羨望と嫉妬に胸を焦がされ
片鱗なりともその輝きをこの手になすりつけたいと、傲慢にも希求する
言葉は、書かれることによってその存在を顕した
対話を聞くものは、対話を聞いていることを書かれることで
ひとつの物語の中へはいりこんでいく
誰がその物語を書きだすのか?

意識は浮遊する

私は対話をなすものである
私は涙する観客である
私は傲慢なる観客を書きだすものである

あらゆる現象は不平等であり、あらゆる現象は置換可能である
生と死の間にある全ては その区切りの中において
それぞれの価値を創出し それぞれの価値を置換する
道に落ちた一枚の葉は私の意識に上った瞬間から
既に道の落ちた一枚の葉ではありえない

582名前はいらない:2005/11/09(水) 21:22:53 ID:hnWzkaz7
 「バツ1通り」とこっそりと呼ばれている道がある。
旧姫街道だった道で道幅はあまりなく、軽く曲がりくねっている。もとは近在の表玄関であった。
20年ほど前に広いバイパス道が平行して作られたためすっかり裏道になってしまい、人通りが
無くなるにつれ歯が欠けるように店がたたまれ、ほそぼそと老夫婦が続けているような覇気のな
い古びた店舗がいくつか残っていた。長さにして500メートルもないような短い通りなのに、ここ
10数年のうちに10軒近くの家で離婚騒ぎが起きていることからそう呼ばれるようになった。
 山本さんの家もその通りに面していて、綺麗な嫁さんと子供が2人いるごく平凡な家だったのだが、
いつのまにか嫁さんが子供を連れて家を出て行き、山本さん一人が残っていた。ジンクスに負けた
のだろうかと近在で噂が流れていたが、本人は念願だった髭を伸ばしてゆらゆらと暮らしている。
凋落する土地というのは人にも勢いがない。どうやら人の運気も一緒に持っていってしまうように見える。
一面”金の切れ目が縁の切れ目”というドライな話もありがちなのだが、それだけではなく、覇気のない
場所に気を削ぎとられるのを嫌がる人間が、跳ね返す力を持ちえずに、逃げてしまうのじゃないかと思う。
そうした土地は地縁も強く、生粋の住民であればあるほど身動きがとれずに囚われてしまうのだろう。
583名前はいらない:2005/11/09(水) 21:23:34 ID:hnWzkaz7
 「バツ1通り」の南端は若宮と呼ばれるT字路になっていて、もともとは宮様が奉ってあったらしい。
戦時中のごたごたにまぎれてお社が取り壊され、若宮の名前だけが残った。
”若宮”というのは、なかなか際どい名前で、過去のいずれかの時に早死にしてしまった若様の
無念の気持ちを抑えるために奉る場合が多い。”荒ぶる神”の範疇に入るのである。
地名だけが残っていて社がないというのは実に怖いものがあると、通るたびに考えてしまう。
若宮の一番南にある3角形の土地は、ずいぶん長い間空き地になって放置されていたが、
先ごろ新しい家が建設された。古い住人は「何か起こるのではないか」と密かに危惧を抱いている。
建売ではなく注文建築であったのに、建ってから3年、未だ人が住む気配はない。
584名前はいらない:2005/11/09(水) 22:10:58 ID:hnWzkaz7
A Chipped Diamond

疲れて帰る最終電車のホーム
模造ダイヤの欠片が落ちていて 
いびつな欠片 硬い光 揃わない面 接着剤

指に挟み、おしつぶす
プチッと血の玉
ささやかな意地 ささやかな輝き

チップ、チップ、チップ
チップ、スキップ、チップ

駅裏の路地から猫が来る
彼女のしなやかなステップに
落ちた欠片がきらきら光る

気がつけば道はダイヤでいっぱいだ

チップ、チップ、チップ
チップ、スキップ、チップ

夜空の月の向こうから箒星がやってきた
そっと夜空の大掃除
ぐるっとまわした箒の先に
落ちた欠片がきらきら光る

気がつけば空もダイヤでいっぱいだ

585名前はいらない:2005/11/17(木) 20:37:57 ID:902P9X1t
”汝ら、神とその法の勇士たち”

最初は一匹の白い蛇
草の中からおずおずと顔をだした
くすんだ目 かすかに浮き出る金色の縞模様
なめらかにくゆらすS字 羞恥の躊躇い
用意されている臨終の秘蹟
 
      夜が明けた 人の子の鐘が鳴り響く

空を引き裂く鸚鵡の鳴き声
初夜の朝、窓に掛けられる朱染めのシーツ
童貞の幻想 たわわに実った乳房
男女の寝台の下より生まれる蛇たちが
幾千の夜の帳に隠れるように秘めやかに這い巡る
  
      神の目よ、神の英知よ、神の御技に祝福を

奏でない旋律 赤いドレスを纏う醜女 打ち鳴らされる不協和音 
密かに隠された暗い秘密 女が握り締めたナイフ 生まれない赤子  
倒立した塔 老いた猿の夢が若者を狩り立てた 

      神の法を守る勇士たちが行進を始める
      汝らは神の目なり
      汝らは全てを知るものなり
      汝らは全てを断罪するものなり

全ての汚物の甕の蓋を開け あらゆる隙間を通り抜け
うとましく思う足に踏みにじられて、真紅に染まった蛇たちは
ざわざわと ぬるぬると どこまでも道を覆いつくしていく

白い陽の光の下 紅に蠢く石畳 燃え上がる金色の紋様
586名前はいらない:2005/11/17(木) 21:02:43 ID:902P9X1t
「いつか 風に」

足元の砂を巻き上げるように
風が通りすぎていきました
昨日、雨が降ったことなんか
まるで知らぬ顔をして、今日の空は青い、青い。

あたしが
あたしの足跡を残すこともできないままでも
世界はあたしを置き去りに通り過ぎていきます

だけど
貴方が
貴方の足跡が
もう、どこにもなくなったときにでも
あたしは貴方の姿を
きっと思い浮かべることができるでしょう
あたしは貴方の手触りを
きっと思い浮かべることができるでしょう

古い 誰が作ったかのかもわからない古い歌が
いつまでも唄われているように
あたしも、貴方も
きっと誰かのどこかに
積み重なっていくのです

青い青い、空は 青いまま 
束の間のあたしたちは 透明な風になって通りすぎていきます
587名前はいらない:2005/11/18(金) 10:45:21 ID:8naajEeD
闇の中のどこかで、巨大な豚が餌を食らっている。
でっぷりと太り、太ったあげくに肉がだんだらの皺になってだらんと下がり、
ぶきゅぶきゅと唾を飛ばしながら餌を貪り食い、食いながら屁をぶっ放し、
処構わず糞を垂れ流している。悪臭が濁った緑色をしてあたりを覆っているのが感じられた。
餌を食っているのか自分の糞を食っているのかすら定かではあるまい。
私は、暗闇の中でそろそろと足元を探りながら、顔の向いた方向へ彷徨っていた。
自分があの豚の処へ行きたいのか、それとも豚から逃げたいのか決めあぐねていた。
私はあの豚の餌なのだろうか? 餌の一部が逃げたのだろうか? なんとなくそうかもしれない。
いつのまにか立ち止まってしまったまま考えを追う。
どこかで皮肉な声がする。
「いや、あの豚はおまえ自身だろ? ほら、あの醜く太っていつまでも餌を食い止める
ことのない卑しい、ただ食い続けるだけの無意味な存在。汚物にまみれて構うことない
だらしなさ、そっくりじゃないか?」
ああ、その通りだな。そっくりだな。じゃあここにいるのはそれを嫌った自分の一部
ってわけか?そりゃあ あんまり都合がいいじゃないか。
「なんで、ここにいるのか考えてみろよ。」
自分はあの豚を殺すためにここにいるのだろうか?ははは、あの醜さはそれだけで万死
に値するかもしれないな。私はあの豚を食らうためにここにいるのだろうか。 
いや、やはり豚に食われるためにか?
思考が彷徨うにつれ、手の中に 肉切り包丁、棍棒、ライフル銃、両手鍋がまぼろしの
ように現われては消えていった。 あの豚が食らっている餌を自分も貪り食えば、
もしかしてもう1頭の豚になれるのだろうか?・・・・・・それもいいかもしれない。
私は、豚へ向かって歩き出した。なんにせよ、全てはあの豚からしか始まらないのだ。
588名前はいらない:2005/11/20(日) 21:15:58 ID:C0fE9i68

男と女しかいない ここで
あなたがあたしを殴っていった

男と女しかいない ここで
あなたがあたしを置いて行った

男と女しかいない ここで
あなたはあたしを守って死んだ

あたしが涙を流すのは
あなたが踏みにじっていった大地の上に
たった一つ残った花が 咲いているから
ただそれだけ


何もない大地の上に 風が吹いた
白い鳥が飛び去っていった 
あなたの羽は 叶えられなかった昨日の願い
あなたのくちばしは 答えられることがなかった昨日の問いかけ
そして、あなたの飛び去っていく先は すべての門が開かれる

さいわいあれ、愛しい鳥よ 

☆繰り返し
--------------------------
某スレで書いた鎮魂歌。。難しい。。
589 ◆mooN.KttY. :2005/11/21(月) 18:54:36 ID:jo75HOfl
舞台の上でエ(ry
590名前はいらない:2005/11/21(月) 19:24:21 ID:5QieVozS
あわわ、、、
つまり、SF仕立てのラノベの作中で流れる鎮魂歌を
募集してたんですよー。スレッドで、、、
591お題 闇 習作2:2005/11/22(火) 11:09:43 ID:TdPm6M4e
一人の兵士が纏ったのは銀のマントだった。
猛々しい角の付いた兜を被る。
別の兵士は赤い鎧をピカピカに磨いて頭には鉄の帯を巻いた。
隊列のメンバーはそれぞれに意匠を凝らしてわが身を装い、
ガチャリ、ガチャリと鎖帷子の音をさせながら行進する。
現実離れした華やかな高揚感が隊を彩る。
窓には色とりどりの旗がひらめき、女たちが笑いながら手を振る。
勝利を、勝つことを疑うことのない 高らかなラッパの音が響く。

金の鈴がついた三角帽子の小人
横笛を吹きながら隊列の横を踊り歩く。
笛の音は隊列のリズムを作り、
奇妙に滑稽な旋律が執拗に刻まれていく。

”進め、進め、さあ進め
たたかいの時が やっときた
進め、進め、さあ進め 
あいつの家をぶち壊せ、
あいつの首をちょんぎっちまえ

進め、進め、さあ進め
俺たちゃしがない兵隊さ
今日はあいつで、あしたは俺だ
あしたがくるまで 進め、進め さあ進め”

やがて、街の門をくぐる隊列は、そこで当然のように消えていく。
振り向けば、街は廃墟だ。
夜毎、モザイク模様に彩色された石の街が現われ、きらびやかな旗が飾られる。
夜毎、彼等は装束を調えて行進し、女たちは手を振る。
三角帽子の小人が飽きることなく笛を吹き続けて。
592 ◆mooN.KttY. :2005/11/23(水) 20:19:50 ID:vgx3JzBF
「ニルスのふしぎな旅」に夜な夜なあらわれる呪われた町の話があったね。
593名前はいらない:2005/11/23(水) 21:03:23 ID:/AxfssVT
>>592
あったね、、モチーフはあちこちにあるよ。矢野徹さんも一個書いてたし。
夏至の日だけとか、60年に一回とか大晦日の夜だけとか日時限定も多い。
もともとは何かなあ?
594名前はいらない:2005/11/23(水) 21:05:26 ID:/AxfssVT
男の身体は大きながらんどうのような壺でできていた。
ワイシャツのボタンを開けると、大きな壺の口が胸の上あたりに斜め向きに
開いているのが見える。肩甲骨のあたりから覗き込むようにすると、
真っ暗な中身がどこまでも続いていて、底が見えない。
「ちょっとごめんね」
と断ってから、「ああああああ」と大声を壺の中に入れてみる。
鈍い反響音がずっと底のほうから返ってきて、まるで深い井戸に音を
落としたようだった。
男は、ここをゴミ箱代わりに使っているのだと言っていた。
捨てるのも、人に渡すのも惜しいが、かといって自分でも持て余してしまったものを
入れておくのだそうだ。読み終わった厖大な量の本、昔のラブレター、聞き終わった音楽、
初恋、受け損なった試験、破れた結婚、夜道で出合ったわけのわからないもの、
やっかいな母親、酒飲みの父親・・・・・・。底なしに入っていってしまうのだそうだ。
なんでこんな話になったかといえば、どうやら私もここに入るらしい。
なるほどなあ。そういうわけだから、見せてくれたわけね、と納得してしまう。
怖いと思いつつ、どこかときめきを感じながら男の胸に抱きこまれていった。
595ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY :2005/11/25(金) 14:05:13 ID:kv5uBGdY
>>594
がらんどうの男よりも、その空洞に落ちることにときめきを感じる女の人にこそ
得体の知れなさをおぼえるのでございます。これが女の人のエロさなんだなあ。
ありがとうございました。
596名前はいらない:2005/11/26(土) 19:26:31 ID:+/B1oV01
>>595
あ、こちらこそありがとうございます。。
男の人はこういう感じかたしないんですか??違うもんですねい。。

「饒舌な舌」

饒舌な兎の舌を切り取ってしまおう
よくもまあ、ああぺらぺらと話し続けられるものだ
今夜の皿の上に、あの小さなピンクの舌をソテーして
私は、静寂をゆっくりと咀嚼しよう。

まあ、おにいさん、ちょっと聞いてください
ここでは少女はおまんこを切り取られてしまうそうですよ
あの入り口のびらびらの部分とクリトリスらしいですが
痛そうですね。きっととても不自由すると思いますよ
おちんちんの先っちょを切り取っちゃうようなもんですから
兎の舌ってあそこに似てませんか?
そういえば中世のヨーロッパでも貞操帯ってありましたね
頑丈な鉄のパンツで鍵がついてる
あれもおしっこのときどうしたんでしょうか?
毎回、召使が鍵をガチャってはずしておしっこするんですかね
なんか召使の奴隷になっちゃいそうなお姫様ができそうです。
処女を守るのってとてもたいへんなんですね
血と涙が滲むような努力の歴史です。

やれやれ、兎の舌は皿の上でも喋り続けていた。
597名前はいらない:2005/11/28(月) 18:59:01 ID:OpxdLPCR
田村隆一  散文「肉体は悲しい」より、詩について抜粋
別の機会の述べたことがあるが、詩は感情の発露ではなくて、なまの
感情を隠匿するところだ。感情の豊かな人物を冷静に観察してみたまえ、
彼等は、あらゆる意味で感情的ではない。ヒステリックな感情の表出は、
感情の貧しさ、卑小さを示すにすぎない。感情過多は、感情の豊かさという
ものと、なんら関係がない。すばらしい機会的な詩、即興的な詩はある。
しかし詩そのものは機会的な感情の表現ではない。あくまで不分明の感情を
分明のものとし、はっきり眼にみせ、はっきりと耳に響かせる、つまり、
「物」として明確な形をあたえるものなのである。それは、リズムによって、
色彩によって、イメージによって、語と語のデリケートな関係によって、内側
から補強される固有の構築物なのだ。詩は、特定の観念や漠然とした情緒
によってつくられるものではない。
「詩は言葉でつくられる」この自明の原理を銘記して欲しい。そして、観念や
感情がくっきりとした形になって生まれるのは、詩という構築物によってである。
詩人自身にとって不分明の感情や観念が、詩を書くことによって、すなわち、
形をあたえることによって、はじめて可視的なものになるのだ。そのとき観念は、
その新鮮さと生命的活力とによって、読むもの(作者もふくめて)の感性を
全面的に震撼させ、そのとき感情は、その内的な論理と浸透力とによって、
読むものの知性に根源的に働きかける。「思想を薔薇の花のように感じる」
というT・S・エリオットの言葉は、こと詩の享受に関するかぎり逆説ではないのである。
現代詩読本 田村隆一より引用 初出 「現代の詩人3 田村隆一」1983年中央公論社
598恋文:2005/11/30(水) 08:26:57 ID:YJ3rxKEM
秋のろうろうとした空が あなたの空までつながって
ここにあなたがいないのが とても寂しく思われます。

風が冷たくなりました。どうぞご自愛なさってください。
599名前はいらない:2005/11/30(水) 13:21:05 ID:YJ3rxKEM

能天気な風船がふわふわと酔っぱらって
とげとげの石だった女に触れると、
風船が割れて、一抹の後悔ならぬ紅茶の葉が飛び散った。
とりあえず葉っぱを集めて暖かい紅茶を淹れて飲む。

風船は酔っ払っていてもいいから
空に浮かんでいて欲しいものだと思った。
600名前はいらない:2005/12/01(木) 09:18:49 ID:F4pUVV55
ユウジ君

しなやかなユウジ君は、最初は頑固なロバのように青く固まっています。
ゆっくりほどいて、柔らかにひろげてあげてから、
細い棒を差し込んで、きつく銅線で巻き込みます。
上の方は敏感なので細い糸を使って慎重に形をつけていきます。
ご機嫌を損ねてしまってはだいなしなのです。
一気に切り開いた2枚の間に花魁の爪のような銀色の雛形をさしこんで
すこおしづつ表面を削り、円やかな洗練を目指します。
左右は均等でなければいけません。根元はしっかりと、先端は敏感なまでに敏感に
薄く削り上げます。中心部分には楕円を帯びた芯が気丈なプライドの現れのように残ります。
そうこうしているうちに、ユウジ君は初々しい乙女のぽっと染まったほおのように
しなやかに、誇り高く、敏感になっていくんです。
私の口の中でふるふると震えて頭の後ろ側に響くような鳴き声をあげてくれるようになります。
私は口の中を締め付け、広げ、息を吸い、息をはいて
彼の声が私の体全体に広がって一つの音を作り、さらには私自身を追い詰めていく快楽を
ひとしずく残らず味わいます。
2枚リードのファゴットのユウジ君は私の恋人です。
601名前はいらない:2005/12/02(金) 14:11:37 ID:H/rhyQl9
小さい頃、ばあちゃんが色々いってたお話は、
嘘をつくと閻魔さまが舌を引っこ抜いてしまうよ
死んだら、生きてた間のいいことと悪い事を天秤にかけて、
天国か地獄か送られるのさ
どっかで帳尻が合うもんだよ、因果応報ていってね
仏さんは何でもみてるんだよ
なんていう話で、なんだかしらないけど悪いことをしたらばれて怖い目にあうし、
いい事をすればどっかでいい事があるんだなって刷り込まれちまった。

今はもうあんまり、神様とか仏様とか閻魔様とか
天国とか地獄とか信じてないんだけども、
あの時、ああいう怖い話の中でどっか嬉しかったのは、
帳尻が合うっていうことだったんだと思う。
よく考えてみりゃあ、俗世間にいる間は、そんな公平さなんて
ありえないもんだから、死んでから帳尻を合わせてくれるっていうお話でもあって、
それはもう、生きてる間は確めようもない事だから、
壮大な詐欺かもしんないし、ささやかな白い嘘かもしんない。
もしかしたら、本当にそういう事を知っている人がいて、きちんと話してくれたのが
語り継がれてきたのかもしんない。

善とか悪が、つきつめてしまうと、まるで同じものになっちまうように、
何が良くて、何が悪いかなんて、真面目に考えると最後は感覚みたいなもんに
頼るようになる。
だって 「なんで殺しちゃいけないんだ」って聞かれたときに、
「自分も死にたくないから」って返答っじゃどっか納得いかないじゃないか?
はぐらかされたように思う部分がありゃしないか?
だけど、もっと正直に自分に問い詰めるとやっぱり
「殺しはだめだ」って思う。理由なんかわかんないが、そう思う。
”理由なんかわかんないけど確信できる”ことって大事で、
そういうもんをかっこ悪くても大事にしたいって思ったりする。
人生がどっかで(それがこの世のあとだっていいから)帳尻が合うって感覚は
妙に信じられる事の一つで、無知蒙昧だって言われてもいいから、そう思っていたい。
602名前はいらない:2005/12/02(金) 18:25:55 ID:H/rhyQl9
いや、読み返してみると、新興宗教に転ぶ瞬間ってわかるなああ。。。
603 ◆mooN.KttY. :2005/12/02(金) 23:47:19 ID:vghFfuNA
>>599
宮崎駿は火垂るの墓でなくてアメリカひじきを採用すればよかったと思う。
あの重苦しさを本邦の子供らにみな背負わせるのは。
アメリカひじきのオチのユーモアには救いがあるもの。
>>601
あたしゃ生まれてすぐの弟が死んで以来、因果応報なんて信じちゃいません。
神だか仏だかに会ったら言ってやるんだ。
「やい、てめえよくも何も悪いことしていねえ俺様の弟を殺しやがったな」ってなあ。
604名前はいらない:2005/12/03(土) 08:47:02 ID:s8PRIE4e
>>603
あの映画作ったときはさ、まだジブリブランドって定着してなかった頃じゃあないかな。
ナウシカの前だったけ?よう覚えてないんだけど。だから選択としてあっちを
選んじゃうのは無理ないような気がする。インパクトあるもん。
だけど、重苦しさを背負わせるのは。。。っていう意見は賛成。少なくとも
小学生が見せ付けられなくてもいい内容だね。なんか原罪感みたいなもんが
刷り込まれるね、あれは。

神だか仏だかに会う気になってるやんかw
605 ◆mooN.KttY. :2005/12/03(土) 20:46:40 ID:E5u5BSmK
あれは宮崎でなくて高畑って人がメインで作ったらしいけれども、
あーいう暗いのいくら見せても人はサヨクにはなってかんよねー
左翼ってのは先に希望が見通せてこそ、理想として語られるんであって
みんな戦後という原罪背負って鹿爪らしく生きてきましょうの
平等主義だけじゃ、ただ単に貧乏神住まわせてるのと同じようなものだもの。

松谷みよ子の「貝になった子供」がね
生まれてすぐ死んだ穢れのない子供は
深海の美しい貝に生まれ変わるって話で
それ読んで救われた気がした。
606名前はいらない:2005/12/04(日) 19:44:29 ID:W0etF7UW
子供の本って、すこし残酷でも夢がないと厳しいね。
(悲しみと救いってセットの場合が多い)
そういえばさ、取替えっ子民話もその類らしいよ、つまりこの場合は
本当の自分の子はどこかにいて、いつか会えるかもしれないという夢を
子殺しをしてしまった(あるいは共同体的に子殺しを迫られた)親へ与える。
要するに、極端に規格はずれの子ってのはいつの時代もいて、それを許容できるだけの
キャパのない共同体が多かったってことかな?
607 ◆mooN.KttY. :2005/12/04(日) 22:33:45 ID:3IDck9wb
取替えっ子はなあ、貴種幻想ってのも入ってると思うんだよね。
わしだってうちの親はただの下僕かなにかで
いつかエルフの王族かなにかが俗世での御修行ご苦労さまですって
迎えにくるんじゃないかと未だ信じているもの。
あと、子が死んだのを認めることのできない狂女ってのは
能のすみだ川とか姑獲鳥伝承とか古くからあるモチーフだよね。
608名前はいらない:2005/12/06(火) 08:36:47 ID:QexN/p4k
>>607
渋い例ですね。。。
貴種幻想のほうは2次的効果って感じがするなあ、もともとの話を逆手にとった
子供の側の防御思考っていうのかな?「お前は橋の下に捨てられてたんだ」
「じゃあ僕の本当の両親はどこかにいるんだ」ってのと似てる。

仏教ではさ、女人は業が深いから成仏できないんだそうですよ。地獄行き決定なのだ。
609名前はいらない:2005/12/06(火) 08:40:20 ID:MSaL7jsX
はーい!感謝の手紙送ってもいい?長いんだけど・・・・良い?
610名前はいらない:2005/12/06(火) 08:42:20 ID:QexN/p4k
いいよ。多分スレッド容量もまだ持つと思うし。。ただしmail欄にsageって書いてくださいね。&ハート
611偶然的相転移と知識の相対性。:2005/12/06(火) 08:55:04 ID:MSaL7jsX
いつか貴方に告げ様と決め思い考えてた・・・・・。俺の一方的な思い込みかも知れないが聞いほしい・・・その思い今此処に書き綴りその内を示す・・・・。俺はたまたま偶然に此処に来た、そして自らの意志を言葉に託しこの場へ書き記した。
612偶然的相転移と知識の相対性。二:2005/12/06(火) 08:58:27 ID:MSaL7jsX
それを見付けその息吹に対して、まるで太陽みたいだった・・・。
そして貴方はその知識をこうこうと輝かせ目覚めたばかりの俺の意識にはっきりとした意志を持ち照らしてくれた・・・。
・・・光も影も・・・・・・そう、光も影も・・・。そう、痛みと優しも・・。
613偶然的相転移と知識の相対性。三:2005/12/06(火) 09:05:40 ID:MSaL7jsX
そう、痛みと優しも・・。俺の思考や思想、又は言葉達の礎を築き基礎となった多くの、詩人や思想家、又は音楽家も皆、同じだった・・。俺が心引かれ夢中になり我を忘れ没頭出来た彼らの言葉や意識達そこに書き記された
614偶然的相転移と知識の相対性。4:2005/12/06(火) 10:42:55 ID:MSaL7jsX
知識の欠けら達は真っ正面からきちんと向き合い対話した時に彼らはきちんとした返答を返してくれた、その有り余るエネルギーと知識をこうこうと輝かして・・・・。
今だ俺の意識はまだ旅の途中、そして何が素晴らしくて何が虚空な詩なのかなんて解らない・・・。
615偶然的相転移と知識の相対性。:2005/12/06(火) 10:46:12 ID:MSaL7jsX
けど何が良いものかって言うのは、はっきりと解るぜ・・・・俺の友人の一人がこんな言葉を教えてくれた・・・・この言葉を貴方への感謝の印しとして贈りたい・・・・。
「良いものは一目で見て取れる、同じ理由で誰も太陽には望遠鏡なんて向けたりしはないのさ」
 ジョー・ストラマー さんきゅー!!博学を撒く暇な偉い人!!
616名前はいらない:2005/12/06(火) 10:47:38 ID:MSaL7jsX
あっ御免!さげんの忘れてた!
617名前はいらない:2005/12/07(水) 10:15:36 ID:79Y+WSMh
>偶然的相転移と知識の相対性さんへ

お礼ありがとうございます。
えっと、なんですねえ、あまり過大評価されても困るんですが。。。
んでも、あなたの詩は熱いので熱さをなくさないように書き続けてくださいね。
618名前はいらない:2005/12/08(木) 08:51:05 ID:j8M4J8+d
道端で鬼に出会ってしまって、右手の手首から先をひきちぎられた。
医学の進歩もたいしたもので、再生医学という分野がある。数年前に使われ始めた
神経系の即効薬を使うと、損傷した部分の神経の記憶に作用して、記憶どおりの
形状に復活させてしまうことができるようになった。
ただ、時間制限のようなものがあって、神経の記憶は刻一刻と薄れてしまうので
形状が復帰できるのは、最長でも24時間以内の投薬が必要とされる。
通常2時間を越えると、奇妙な奇形がどこかにはいるようになる。
さて、ひきちぎられてしまった右手だが、やはり不自由なのでこの薬を使用する。
ただ、少々辺鄙な道で出合ったのと、暫く痛みで失神していたのが不運で、
5時間ほど経過してしまっていた。危惧していたとおり、私の右手には奇形が現われた。
人差し指が曲がったままで伸ばすことが思うようにできないのは、リハビリでなんとか
なると思うのだが、親指の先端1センチほどが3つできてしまったのには 閉口した。
爪も3枚。ちょうど花のつぼみがみっつ付いたような感じで 3つの指先がぷりん、
ぷりん、ぷりんとできてしまった。整形を受けてもいいのだが、なんともなんともな気分である。
この夢のような薬が発売されてから、奇形の動物、人間が実は増えた。
安価であったこともあって、どうも実験に勤しんだ奴が多かったらしい。
件の鬼も多分その実験のあげくで、頭部の一部、あるいは人体のかなりの部分に
この再生薬を使用してしまった誰かの成れの果てなのだと思う。
既に一部の宗教関係者からは、”悪魔の薬”と糾弾を受け始めていて、”人間は神の領域を
侵してはいけない”と古来から幾度も聞いたような台詞が世界中を走り回っている。
私は花が咲いた親指をぶらぶらと振りながら、「人間ってなんだろうか」とぼんやり考えていた。
619名前はいらない:2005/12/08(木) 13:43:39 ID:j8M4J8+d
"あなたの中の花がとてもとても赤いので”

花が焼け焦げてしまいそうです。
620 ◆mooN.KttY. :2005/12/10(土) 21:54:28 ID:PMLz1CM3
ショイヨル?
621名前はいらない:2005/12/11(日) 10:33:05 ID:HALUvNBU
>>620
見た夢そのまんま。。。親指が3つできたのがショックだった。。
ただ、起きてから思い出したのは、EE・スミスのレンズマン。
キニボール・キニスンがピンク色の豚によく似た宇宙人に治療してもらうとこ。
622リーフレイン:2005/12/14(水) 08:18:24 ID:KKQRZqB+
初雪が
ほたほたと降っていて
道に溢れていた音を消し去ってゆく
                       目の奥底には 白い顔をした女が一人
                       小さくしゃがみ込んで
                       真っ白な顔で上を見上げている
銀杏の葉の
歩道に降り積もった絨毯に
白粉の刷毛がすっとはかれて 消えてゆく
                       表情のない顔を少し傾け
                       目だけがこちらを凝視していて

                       怖い
沈静した記憶の向こう岸へ
ここにではない手を伸ばす
                       怖い

                       あれは 小さくなってしまった自分の良心で
                       まだ生きている、死んだあたしの母の顔で
                       美しかった芯の青い花
えんやーとれ やっさい さ
えんやーとれ やっさい は
かいさーった  やっさい さ                    
                       不毛に見詰め合う女達が
                       水飴を
白くなるまで空気を攪拌して
固く固く固く固く

623リーフレイン:2005/12/16(金) 21:19:52 ID:AItxGRxP
あと足を大きく広げ媚びた目の猫にむかつく節操のなさ

連弾を独奏に変える野暮なやつ あんたは客じゃあないんだからさ 

殺伐と氷の空気を読まぬ指 いつにかきっと噛み切ってやる

赤いトラ縞のバターになって シーツの滲みに成り果てた朝

ちはやぶる 神代の昔もさもあろう いくつになっても竿自慢なり

唇をとりあえずねだる野暮なやつ あんたは所詮客なんだって 

殺伐とした気分で歌を詠む、鋏を持った阿部定のごと

3人でまわしてまわして コーヒーカップ 三角木馬のメリゴーランド

はらはらどきどき、きゃあきゃあ ああああん、ジェットコースターが滑り込む穴

いまどきの 姫はガラスの靴割って 魔法のお城でドレスを脱ぐの 
624名前はいらない:2005/12/20(火) 20:49:35 ID:kyfc3pqf
なにかたりないものの代わりに 手当たりしだいに詰め込んで
風船みたいなファオグラガチョウになっちまっても
なにかたりないままのガチョウだったさ
影が鏡でせせら笑ってヒップホップを踊りだしたよ
ムーンウォークなんてできやしないさ

終わっちまった万博の 片付けられた会場跡から
走って家へ帰るんだ
走行時計が回りだす
ポイントで待っていた男の顔はアンパンマン
冷たいじゃないか、笑っておくれよ 君の顔食べていいかい?
少し後ろを走りながら やけに煩く話しかける骸骨
返事をする余裕もないんだよ 君は息しなくてもいいんだね
先にいっちまってくれ、うざいよでぶっちょ

トヨタ経由で1号線 道を埋めるトラックの列
神社の角を曲がったら、海岸へ 腐った潮の匂いが臭い
肌に張り付く海の吐息が
還っていく、走っていくヒトを 迎えてくれる

走って、走って、走って、走って、
重い足をひきずりたおして
肺がやけついちゃいそうだ 乳酸ってできちゃうんだっけ?
筋肉の中 走行時計がちっくっちっく
酸素が欲しいよ
心臓っていつまで打っていてくれるのかな?

手あたり次第につめこんだ 全部全部、走って落として
なんにも残ってないただのからっぽけになっちまったら
灰色の海の上 走って通り抜けていってやる
625リーフレイン:2005/12/24(土) 20:26:37 ID:aj12Rclk
                           ,. -‐==、、
             ,. ===、、 o   ○o.  i       :::ト、
           _,/      `ヾ´´`ヽ、 ゚ .l       :::ト、\    メリークリスマス。。 
           //      .::::/  :::::!===l      :::|ス. ',
             /./       .::::/   ::::l    |  __ ..... _::::|} ヽ l-、
.           ,ィク ,'..__    .::::/    ::::l    :l '´    `)'`ヽ ヾ;\
       /::{゙ ヽ、 ``丶、;/‐‐- 、::::l     `'::┬‐--<_   } ./;:::::\  
     /::::::::!   ,>---‐'゙ー- ...__)イ ,. -‐‐-、ト、   |l::ヽ /;';';';';::::\
.     /|::::::;';';'\/} (ヽ、  _/|   (´    _,.ィ!::ヽ.  ヾー'´;';';';';';';';';:: /ヽ、
   / ,ノ:::;';';';';';';';';'/  /ヽ、二ニ-イ   ヾT ¨´ ,/;';';::`、. \';';';';';';';';';';〈::...
. /  i::;';';';';';';';';';'/ ,イ.:::::::::::::::::: !    ヽ`ー‐'";';';';';';';ヽ   \';';';';';';';';';!:::::      
626:2005/12/24(土) 22:04:59 ID:I/qJ4AjG
  /⌒○ ゴソゴソ
 (二二二)
 (・∀・ ,,) <メリクリ〜
(( o ; と )
(__ノ―J

 ○⌒\  ドゾ
 (二二二)
. _(,, ・∀・). v
/ o   つ田
(_し―J

627リーフレイン:2005/12/26(月) 10:15:55 ID:g7unqgOC
「ピンクのチューリップ」

模様つきタイルを吐き出したので
アマガエルの心理学者と一緒にタイルを床に張った
タイルの上でワルツを踊る

タイルは踏むと 幾何学模様が宙に浮き出して
一枚一枚 音がでた
ずん ぽん ぽん ずん ぽん ぴん

アマガエルの心理学者は
テンポをとりながら ウインナーワルツを歌っていたが
あたしは天邪鬼だから 五木の子守唄を歌って躍る

ピンクのチューリップ模様が浮いて出たら
ご褒美に涙を返してくれると言っていた

笑い声が先に欲しいといえば、
「笑い声は涙の後なんだよ」 と
そっとキスして教えてくれた

#雨さん、ゴチデス。。
628リーフレイン:2005/12/27(火) 16:49:04 ID:J5VC2ruL
「破けてきたんですって」

まあ、奥様聞きました?あそこのお嬢さん破けてきたんですって。
まあ、なんてことでせうねえ、破けてきたなんて、親御さんの良識を疑いますよ。
ほんとにねえ、かわいそうに。
女の子が破けちゃあいけませんもんねえ、おくさま。
ほほほほ、あたくしたちの時代だったあらねえ。。ほほほほ
ちょいと口にあできませんが。
もう犬の餌にしかなりませんわね アノ子。

ほほほほほほほほ(声を揃えて)






こういうのは付け火をしてもいいんだとお父さんが言っていました。
あたしもそう思います。◎
629名前はいらない:2005/12/29(木) 21:36:03 ID:xgv/Ba7X
「年越しの夢」

天井から御婦人方が降りてきて綾取りを始めた
あれよ、あれよという間に8畳の部屋は妙齢の美しい御婦人方
で占領されてしまい私は急いで起き上がって正座した

そんな部屋の主の事など全くおかまいなく、
御婦人方はにこにこと複雑な綾取りをとっている
2,3人で一つの模様を作り上げ、次の模様へと渡っていく
流れるような仕草で金色の鎖紐やら、赤い毛糸のようなものやら、
いつともなしに追加され、花が次々咲いていくような眩暈

ふと一人の御婦人と目があった
にっこり笑って、彼女の綾取りを私の方に差し出してくる
いやはや、これをどうしろというのだ
おっかなびっくり手を伸ばし、
右小指に一本、左小指にもう一本
顔をあげると、婦人方が一斉にこちらを覗き込んでいる。
冷や汗が たらあり

きゃいきゃいと笑い声
黒豆がゆすゆす
お盆の中で揺れていた

630願いはいつでも満願成就:2005/12/31(土) 21:38:36 ID:FqQ1t/1k
新年おめでたう
よき一年であるやう祈らず動きます
631リーフレイン:2006/01/01(日) 08:14:53 ID:fTkELdRq
>>630
あけましておめでとうございます。。よき一年でありますよう。
(しかしスゴイHNですねい。)
632名前はいらない:2006/01/02(月) 21:32:08 ID:WkdJpWEY

正月の二日に雨が降り
ハレの気配が流れさって
日常が穏やかに戻ってくる
自分の中に育ててしまった違和は
怠惰という言葉に置き換えられるのかもしれないと
苦笑を浮かべつつ
ひりひりと神経が削れていく現実から
ささやかな夢の中へと滑り込む

生きていくのは、2本の綱を渡る綱渡りのようで
そこにはない物語の中を歩む足と
ここにある傲慢な現実を歩む足と
ふらふらと ふらふらと 
覚束ない足取りで伝い、伝って、
いったい何処へつながっているのかと
遥か彼方をのぞきみるのだ

とはいえ、いずれの綱も断ち切る気はなく、
もしどうしても選べと請われれば、迷わずにうつつの綱を
切ってしまうだろうと声があがる
傲慢な声だと思うのだ
いや、あるべき声だと思うのだ
633名前はいらない:2006/01/02(月) 21:32:57 ID:WkdJpWEY

手足を使って、歩く、歩く
暫くすると痛みが胸に生まれ、
筋肉が悲鳴を上げる
生きるとはこういうことで
しゃがみこんで夢を見るのではなくて、

なのに夢を見たいと思うのは何なのだろうか?
足りないと思う心は何なのだろうか?
価値を 意味を 求めたいと思うのは何なのだろうか?

空を走る一瞬の閃光に
地に咲く一輪の花に
風にのるひとひらの音楽に
涙を流すのは何故なのだろうか?

634リーフレイン:2006/01/06(金) 15:45:12 ID:bRcTwwWI
冬の或る日 山奥の隅に車を停め、
赤茶けた斜面を登って第2東名の上に降り立った

人気のない高架道路を歩く
ガードレールも、灯りもついていない裸のコンクリートの道が
延々と、寒々と連なっていく
635リーフレイン:2006/01/07(土) 08:16:46 ID:I9xa4Aom
何かを捨てるのはとても簡単だった
大事にしていたものを
大切に作り上げてきたものを
意識の外へ放り出して関係のないものにしてしまう
捨てられた道路は拾い上げる人もないままに
寒々と永遠の未完成のまま老朽化を開始する
時間の流れは無慈悲で
離された手を待ちながら、ただ待ちながら、
追憶すらもないままに速やかな老いを重ね始めた道に
足跡
636リーフレイン:2006/01/07(土) 08:31:59 ID:I9xa4Aom
#第2東名は県単位で建設が推進されていて、愛知県静岡県ともに建設継続中。
 現在、実際に通れる区間は愛知万博関連で整備された部分。
637ピーピングトム:2006/01/10(火) 20:26:11 ID:iiTNIZ9q
曇り空のうえでは、神様がファックしてる。
(案外恥ずかしがりやさんなのね)

あたしたちは、 つい、おどおどと

空を覗き見してしまう。

638名前はいらない:2006/01/10(火) 20:40:13 ID:iiTNIZ9q
痛みって   あふん
脳貧血であたしの指は真っ青で
きーーーーん、ってつんざく 音叉 ガラスの軋み きしきしきしきし きしきしきし
手で触れてくださいましな、あったかいその指で 湯たんぽが氷水でシーツが濡れみみずく犬の舌
ああ、しゃべらないでください
639名前はいらない:2006/01/12(木) 21:04:04 ID:NAtfiMpP
「なんとなく新しい傘がほしかった日」

よっぱらったような空気を
置き去りにして、
どこかへ通じるバスへ (循環バスじゃあなく)

雪がチラツイテ
コートが薄くて
靴も薄くて
世の中って寒いなっ



思うだけでも家へ帰れる

640名前はいらない:2006/01/13(金) 13:04:15 ID:6ZYlisMn
「鉛筆の話」

日々 ゆるやかなマラソンが続いていて
束の間の休憩を 仏間でいただくわけ
お線香の匂いって地味だけど落ち着く
 
   ココナラ スワッテイテ イインデスヨ 

「忙しいからあたしが代わりにお参りしてあげますね」

   イ イエ  ヨケイナ オセワデアリマス

や、つまり、仏教信じているわけじゃあなくてさ 
暗黙の了解っつの?
走り続けてないといけないって、どっかで思っちゃうんだけど
仏壇の前だったら座っててもいいってみんなが許してくれるんよ

いつだって座っていいんだよね本当は
だけど、誰も「いいよ」って言ってくれないのよ 生きてる人は 
「ご先祖様に申し訳ないでしょ」

   ア、ソレワカンナイナ。。

人間ってさ、互いに所有するんだよね、使われちゃって、使い倒すの
だけどさ、死んだ人って優しいよ 所有するだけで、使わないもの 
そこに在るだけ ほんとはいないけど そこにある
それも共同幻想なんだけどさ ありがたや ありがたや

鉛筆がさ 丸いの 
鉛筆の先っちょの話ね
丸い鉛筆で 柔らかい字を書くよ
641リーフレイン:2006/01/16(月) 09:34:01 ID:7vlRxP63
「冬」

くすんだ空の色は後ろめたさの混濁で
大きな三角柱の輪郭線がいつものように浮かび上がって
捕まえた鼠の檻を作る
三角柱の4つの角はバランスがとれていなくて
通り抜ける音がハウリングしていた

風が通り過ぎていった道で
忘れ去られた少年が半ば道に埋まったまま腐り
串刺しになった小学生のランドセルが
防犯用の警官看板にかけられて
ゆらゆらと、ゆらゆらと
”参加募集中”と書かれたビラが
その看板の前を舞っていく

窓辺でピンクの飴をとりあげられた少女が
乾いた唇のままに 叶えられない約束を知り
凍った涙の壜詰めを売りだした
かさかさとかさつく 泥まじりの雪が
なにもかもを さえぎって 砂を噛むように
色を失って 物語がめりはりをなくし 安い値段をつけられて

どんつくどんつく、経文を唱える太鼓の音が
いやまして 大きく
陳腐な、どうしようもなく古臭い、すえたジャガイモのような
太鼓の音が 耳の中に居座ってしまった
642名前はいらない:2006/01/18(水) 10:45:07 ID:AoGsWd4A
貧乏な国になるってことを考えてしまいますよ。
うまく貧乏を抱擁できる祭りになるといいと思います。
643名前はいらない:2006/01/18(水) 12:50:28 ID:who1Ep6h
ん。もうでももう確実にお祭りは始まっている、と思います。
踊ってるのか見てるのかは自分たち自身は分からないけど・・・

                            @バブルで踊らなかった世帯
644名前はいらない:2006/01/18(水) 20:00:44 ID:3bgdL8pH
>>643
そうですねえ、、自殺者が3万人になったあたりからずっと
続いているのかもしれませんや。
645 ◆mooN.KttY. :2006/01/18(水) 20:43:32 ID:XYkWq1cG
金なんて卑しいものさと
青山在の三河産武士みたいな凛とした節度のある国は美しいだろうけどさ、
それでも花森安治さんのように庶民と一銭五厘の旗を振る側に立とうと思うよ。
646名前はいらない:2006/01/19(木) 12:57:11 ID:2DXe23ji
清貧は美しきかな貧乏臭いのはいやだとおもうけれど c
647名前はいらない:2006/01/19(木) 14:13:01 ID:UYpPU/ko
>>645
つきさんは、そういうとこが潔いですねい。
あたしはちょっと不安です、、いざとなったら保身しちゃいそうな気がしてこわいですよ。

>>646
清貧さと貧乏臭さの間には”夢”が挟まってるんでせうかねえ
648名前はいらない:2006/01/20(金) 01:09:00 ID:pNX6UmBh
>>647
うん何で清貧が美しいのか今考えてるんですよ
中野孝次の本を読んでも本当のところは誰も教えてくれない
649名前はいらない:2006/01/20(金) 11:19:25 ID:ThZjmEhk
>>648
精神の美しさでせうかねえ?直裁な言い方をすれば。
”さもしさ”を厭い、”美しさ”を愛で、”現実をいたづらに引き比べない”心の持ちよう?
野の花を愛でるのにお金はいらないですから。
欲望の種類の問題かもしれませんや。
いやあ、あたしもちょっとわかんないですよ。躾って漢字は身を美しくと書くんですが、
心も体も清潔で美しい状態を保つよう習慣付けるってことなんだろうと思います。
いや、ナニが美しいか?って話は問題なんですけんね。。まあ、うちの小僧とか
みてると、ほかっときゃあ小汚いまんまでいようとするから、人間なんて本来そんなもんですかいね?
650名前はいらない:2006/01/20(金) 15:07:04 ID:ez5LABWm
まあ。美しくありたいですね特に年を取ったら・・・(きゃー)。
ありたいじゃなくて なりたいの間違いです。雑談になったのでぽちっと↓


「あかちゃん」

可愛いね ニコニコニココ
ばたばたばたこん 
ぷ〜ん ぷ〜ん もわわわわ〜ん

どろんこハリー みたいで無垢だ
すっごく可愛い 垢ちゃんだ・・・・








651名前はいらない:2006/01/20(金) 20:55:39 ID:ThZjmEhk
「世界はアイスクリームより大事じゃなかった」

”わかった”
振り向かないで歩くのがやっとで
抑えきれない涙が
化粧をくしゃくしゃにしながら 見苦しく流れて、
そんな涙を流せる自分がどこかで嬉しくて、
嬉しく思う覚めた目が疎ましくて、
泣きながら笑み崩れて、
駅でアイスクリームを買って、

涙が愛惜だろうと、自己憐憫だろうと、きもちよかったな、なんて考えて、
いつまでも浸っていたら膝の上にあるアイスクリームが
蕩けてしまってまずくなるから
「美味しいうちに食べてしまおう」

アイスクリームの電気をつけて、
アイスクリームのソファに座って、
アイスクリームのテレビをつけて、
アイスクリームの音楽をかけて、
アイスクリームの蕩けた、やらかい、甘い、だらしない
冷たいかたまりを 頭痛がするまで ほおばって、

こんにちはアイスクリーム、さようならアイスクリーム、
お元気でアイスクリーム、死んじゃってアイスクリーム、
2度と視界にはいるんじゃねえよアイスクリーム
ダイエットだぜアイスクリーム
もう食べないアイスクリーム 大好きなアイスクリーム
ごめんねごめんねごめんね 明日も食べる。
652名前はいらない:2006/01/23(月) 19:14:22 ID:BSrWL1c1
「花」

呼び鈴が鳴った。古アパートの玄関を振り返る。
こちらが開けるのを待たずに硝子戸がガラガラと乱暴にひかれた。
女が一人立っていた。
赤子を背負っているようでねんねこをはおり、化粧ッ気のないおかっぱ頭の中年女でお世辞にもきれいだとはいえないご面相。
何を怒っているのか顔が歪み、白目の目立つマナコがふるふるとゆれてこちらをにらんでいる。
見覚えも全くない女で、一体何事なんだ?と怖かった。
「あんた、いい加減にしてよ!」
と、女は言うなり、づかづかと部屋に踏み込んできた。
「あたしたち、今日からここに住まわせてもらいますからね。家族なんだから当たり前です。」
「はあぁ? お前いったい何モンだよ」
「ああ、またそういう事を。情けない、忘れちまったんですか? あたしはあんたの女房で、この子は長男の均です。」
「俺は結婚なんかしてやせんぜ、おまえさん人ちがいしてないか?」
「してません。」
女と赤子はずっぱりと言い切ったまま、俺の部屋に居座った。
ベビーカー一杯分の荷物が運び込まれ、紙おむつやら着替えやらが部屋の片隅に積まれていく。
その所帯臭さに押しやられるように俺は黙り込んでしまった。

毎朝6時、日雇い土方仕事へ出るわけだが、翌日から朝ご飯が出現するようになった。
仕事上何がいるかよく知った風で、ペットボトルに入れられた冷やし麦茶と凍らせた麦茶2Lが何の説明もなしに
テーブルの上に置かれる。その用意周到さを気味悪く思いながら、正直ありがたいと持って出る。
その日一日考えこみつつ、いつもの飲み屋で夕飯を食べてから帰途につく。


653名前はいらない:2006/01/23(月) 19:15:05 ID:BSrWL1c1
灯りのついた硝子戸が夜目にまぶしい。
「おかえんなさい」
「おまえさん、まだおったんかい。」
「あたりまえでしょ、夕飯はどうしますか?」
「もう食ったよ。」
むずがる赤に乳をやっている。中年と思ったのは間違いで、白い乳はまだまだ若さを感じさせるものだった。
プツンと張りのある乳房を惜しげもなく出して口に含ませる。30前の肌だ。
「ほう、母乳か。」
「安いですからね」
口では蓮っ葉ないい様だが、顔はうっとりと赤子を見つめ、母の顔とはこういうものかと思った。ひとっぷろ浴びて寝る。
コップに雑草が挿してあった。

数日後、「今日は夕飯も頼む」といい置いて、1000円を渡す。
 
この女を抱いちまったら俺の負けなんだろう。
まあ、このご面相だ、赤がいるっつだけでも不思議ってなもんだ。いや、どこのどいつがこんな女に、はは。肌が白いぜ。
しかし女ってなあ体臭がきつい。乳やってるせいなんやろか?脂粉てなあこういうのいうんだ。
歌なんか歌ってやがるぜ。雨が降ってきやあがった。仕事はなしだな。

「今日はタンポポかぁ。」

654リーフレイン:2006/01/27(金) 21:15:12 ID:k61FubSm
「ひさかたの」

溶けかけた雪を数ふる ややの声に
蜃気楼 追うて飛ぶ鳥影重なりて
うつつ 覚め
また 灰色に沈む眠りの重みの暖かさ


655リーフレイン:2006/01/30(月) 13:25:45 ID:FoE6yhTQ
「古箪笥」

あたしは、ちょいと古い人間あんで、相方にこういう事は一切いいませぬよ。
なんつのかな、自分んなかは身近なやつにぶちまけるもんじゃあないような気がするんですよ、近すぎてあきまへん。
家族とか相方とか、肌が触れ合うやつあ、そんだけでええんとちゃいますかねえ?
あたしの相方は多分聞かないと思いますしねえ
あたしも相方には話しちゃあいけんような気がしますよ。
656リーフレイン:2006/01/30(月) 13:32:42 ID:FoE6yhTQ

敷き蒲団のはしっこが突然ほころびて、
水色の綿のようなもんが、ごほっ ごほっとせきをするように零れだした

綿の次には生後2週間ぐらいの子猫がぼろぼろと続き、耳も目も大きい、
いかにもかわいらしい子猫がおよそ10匹ぐらい転がって
あれあれ、どうやらあたしの敷布団の中で猫がお産をしたらしいと
いそいで蒲団から出て、残りの猫をさばきだした。


657ゼッケン ◆YWWQB7OsPw :2006/01/31(火) 02:37:41 ID:k4p5wRA8
なるほど。めもめも。
658リーフレイン:2006/01/31(火) 20:03:50 ID:onxbxKxI
>>657
いや、これは詩で。。。実際にはこういう心境になったのはつい最近。。
んでも、これは案外そうだなと今は思うんですよ。
659名前はいらない:2006/02/07(火) 19:54:59 ID:td7wTWMP

押入れの左隅の柱に、剪定していない葡萄の房のようにだらだらと
羽虫が連なってとまっている
とまっているとみたのは間違いで、透明な羽をぶんぶんと動かしながら集まっているのだ 
蜂のような羽虫で燐粉のような白い光があちこちに光り、
2本の黄色い長い足のようなものが背の真ん中あたりから下に突き出ていた
十数匹にも見えるそんな虫が部屋の中に同居していうるのはなんとも気持ちが悪く、
手ではらうのも少々危険に思ったので、とりあえず外へ通じる窓を開けた

暗い夜がひろがっている
羽虫は突然入ってきた冷たい外気にすばやく反応して
硝子戸のふちから一斉に外へと出て行った
これ幸いと窓を閉める

黄色い長い足と思ったのは黄色い羽だった
外へでた虫は次々と2枚目の羽を広げ、大きな黄色い蝶のような羽に
黒い丸い斑点を2つづつつけながら窓の外側へはりついていく
2枚の硝子でできた窓は あっというまに その羽虫の黄色い丸い羽で覆われてしまった
660名前はいらない:2006/02/08(水) 09:42:55 ID:ClXjNqz2
「嫁が卒塔婆の上に座った朝××曲がって」

やかん かんかん かんかん へっこみ
皿 さら がしゃーん ああ、もったいないよ
ぐさっと突き刺す目打ちうち博打鳥打帽競馬見物
なんかいも岩魚泳いで龍ヶ淵包丁
  
ああ、ああ、そうや、あんさんいうとおりやで、うちがあほやったんや
もうわかったからそう嬉しそうにいいなはんなや
あんさんがいいたいのは、「おれさま一番」ってことやんか、アイがないでえほんまやで
瓦いちまいわれて かわらけ祭り 壬生のお猿が狂言まわして 面がなし
”あっさり黙れっていわんかいこのだあほ”
善人ぶって、ぶたのつら つらつらつらつらつららたれて ぼっきした先っちょとげとげとげ
あんさん、だいとくれなはれ ずいぶんごぶさたぎりまんこ
ええまあきもちはわかりますえ がまんしましょお がんまんこ
がまん汁たれたれたれたれ たれたれたれた
きょうのおかずは がんこ鍋がまんじる味ちからうどん入り おなかいっぱい

”きゃあああ、ほとけさんが歩いてはるでえ
この世の終わりがきはったんかいな しらんかったえ ほなさいなら”

661名前はいらない:2006/02/14(火) 15:23:05 ID:EfswjcY2
「辛いんだと口に出して言えない男は
     愛しているとも言えないのだろう」

けして涙を見せない男は
きっとどこかで血を流さずにはいられない
寂しさが現実を超えて夢を形造るのだから
その僅かな夢を
ほんの少しでいいから見せてほしいと望むのは
やはりわがままな女の わがままなのだろう

”窓の外には赤い色をした海が広がって
原初の営みそのままに古代の風が吹き荒れて
見たこともない、荒々しい鳥が
見たこともない大きな魚に食べられている”
そんな窓のある部屋の真ん中に
ブロンズの女の裸体をはべらせ
思うさまに精液をぶっ掛けて高笑いをし、
次の日に洗い流して、涙を流し、
金槌で打ち壊す夢を見て眠る男の夢を

乾いた目のまま見つめ続ける
662名前はいらない:2006/02/14(火) 15:35:28 ID:EfswjcY2
枯れた花がさらさらと降る草原で
ブロンズの角に刺し貫かれて死んでいくフェレットになりたい
663名前はいらない:2006/02/20(月) 20:34:09 ID:QjniQ5zK
あの白い箱には少年が一人はいっているんだ
四角い箱のそのままの形にギコギコと身体を折り曲げて
彼はもう長いことあの中にいる

ポツリポツリ 星がためらいがちに曲を奏でる夜に
落ちるのを忘れていた銀杏の葉がやっと気が付いたように地面へ向かう
その茶色になってしまった葉が地面につく前に
握り締めれば
葉は少年の手の中で 約束された歌を歌うはずだ
ぶつぶつとつぶやくように、彼のために、彼の箱を焼き尽くす歌を歌うはずだった

長い長い夜の蛇がえんえんと連なって道を横切る
曲はまだ続いている
少年は 箱の中にいる

664名前はいらない:2006/02/21(火) 16:53:04 ID:m29dKIIO
凄絶な月の海に至る道は
煌々と白い光に照らされて
泥だらけの足で踏みこんではいけない

波打ち際で幾度も幾度も
ぼろぼろの足を洗う
爪の間流れる水ひりひりと
ようやく満足のいく足
道 踏み出そうとすれば
もうそこに
赤黒く染み込んだ穢れを見つけ途方にくれる

穢れたまま歩む道を探す
後ろめたさの足跡つけながら
665名前はいらない:2006/02/21(火) 16:53:52 ID:m29dKIIO
ー盲目ー
まだ陽の上らぬ未明の朝
風紋が鮮やかに浮き出る灰色の砂丘を
暁の月へとむかう
黒々とした烏


ー失語ー
可聴できない月光の音
砂の上に紋を刻んでゆく
あれは風ではなかった
月がしたたり落ちて
発話できない言葉を残していった
666名前はいらない:2006/02/21(火) 16:54:33 ID:m29dKIIO
ー手なしー
杖持たぬ犬 月の朝 烏が鳴いた

ー卑怯者ー
ああ、良く知っている
いつも一緒にいる女だ
ろうらかな笑い声が響く女だ

ー強姦犯ー
愛しているよ ちょんぎってもいい? あんたはあたしの犬なんだから

ー無銭滞在ー
ああ、お客さんすみません
足を止めるには料金が必要なんですよ
払わない方は先へ進んでください
667名前はいらない:2006/02/23(木) 20:52:26 ID:wH02zNaf
ごめんなさい、できません
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
できません
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
668名前はいらない:2006/02/23(木) 20:56:50 ID:wH02zNaf
いつかきっとやりますからゆるしてください
ああ、でもきっとできない うそです
ごめんなさい
怒らないでください、くらべないでください、期待しないでください
見ないでください、怒らないでください、ごめんなさい
669名前はいらない:2006/02/26(日) 18:04:16 ID:6S+jE4gO
”祭りというお題をもらって”
 
昔、自分が秘密を持つ子供だったのを思い出した。
隠しこんだ秘密は、わくわくしながら暴かれる日を待ち望み、うずうずと蠢いていた。
ランドセルの隅に隠した答案用紙は数日後には母の目にとまり、
黄色い閃光を発して嬉しそうに消えた。
公園の木の穴にいれた古銭は兄の宝物箱に収まった。
机の中のラブレターの下書きはみんなの前で読み上げられて赤面をつくった。
そうしたちょっとした秘密は、濁りを洗い流して消えていったが、
前髪の裏に隠した秘密だけは ずっと隠されたまま腐っていった。
”無垢な子供”というイメージは神話に近いのだと思う。

明かしてはまずい秘密というのはある。
君が、猫を殺して遊んだことがあるのなら
それは明かしてはいけない。
君が、少女を強姦したことがあるのなら
それは明かしてはいけない。
君が、羽目撮りをされたことがあるのなら
それは明かしてはいけない。
君が、匿名な書き手であるのなら
どこで何を書いているか明かしてはいけない。
(こうした線引きは、君がどういう社会にいるかでもちろん違ってくる。)
670名前はいらない:2006/02/26(日) 18:06:05 ID:6S+jE4gO
正直に言おう、
人は身近な秘密を気楽に許すことができるほど柔軟ではないのだ。
しかし、知らないのならば、知らされないことを怒ったりはしない。
同時に、社会は何もかも許してしまえるほど混沌としていては成り立たないのだ。
しかし知らされないのであれば、それを見ないふりをすることぐらいはやってくれる。

あのお父さんは、もしかしてどこかで少女を買ったかもしれない。
でも自分の娘を愛している。
あの青年は、もしかして誰か他の少女を強姦したことがあったかもしれない。
でも、今の恋人を愛している。
あの女性は、もしかしてリストカットをしたことがあったかもしれない。
でも今の家族を愛している。
君はもしかして、どこかで猫を殺して遊んだかもしれない。
でも君は恋人と暖かい家庭を作りたいのだろう?

許されない秘密を許してもらおうと期待をするな。
うわばみのように 秘密を飲み込んでしまえ。 嘘はきっちりつくもんだ。
何でもかんでも話すのが正しいなんてそれこそただの幻想だ。
後ろめたさを友として生きていけ。
そしてその後ろめたさに銘じて他人の秘密に鈍感であれ。
671名前はいらない:2006/02/26(日) 18:07:26 ID:6S+jE4gO
”暖かい家庭”という神話が”無垢な子供”神話と一緒に語られる。
”完璧な愛”という神話が”変わらぬ心”神話と一緒に語られる。
完璧な人間がいるわけではない。結果論でしか存在しえない話でもある。
どこかに傷をもった神話が傷を持ったままでも失墜しないですむように
ほんの少し、強くなりたいと願う。ほんの少し鈍感でありたいと願う。
守りたいと思う神話はやはりある 神話とは そうありたいという願いであるのだから。
672名前はいらない:2006/02/26(日) 18:21:15 ID:6S+jE4gO
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/poem/1140095234/597

↑考え込みすぎてどうしたらいいかわかんなくなっちゃったやつ。。。
セン5にオネガイシテミル。。 
673名前はいらない:2006/03/01(水) 18:37:18 ID:mZmtgl6f
なんか、いいエロが書けない。。。
いいエロが書けないっつのあ、どうしょうもなくダメなきがする。。。
674名前はいらない:2006/03/01(水) 21:23:56 ID:mZmtgl6f
とりあえず

| |
| |∧_,,∧
|_|・ω・`)   愛をどうぞ…
|愛|o愛o
| ̄|―u'
""""""""""
675 ◆mooN.KttY. :2006/03/01(水) 21:52:11 ID:97A/tvIR
>>673
いいエロなんてものは存在しない、
よくないエロを書くのだ。とサド侯爵も言ってます。
嘘だけど。
676リーフレイン:2006/03/06(月) 19:29:47 ID:5ieBzhZu
「春祭り」

神殿で奉納舞を舞う数え年11の巫女は生娘ではなかった
山桜満開の4月 とっぷりと暮れた夜に
十二単の装束の巫女が鈴鳴らして奉納石舞台へ登る
松明の炎 爛々と照りわたり
前髪を垂らし顔を隠した巫女が奉納の扇を広げた刹那 神殿の奥扉 開かれ
精霊宿る木々が憂いを含んだ露を散らす一陣の風が吹く

   ”我が怖いか?”
   はい、主様  どうぞお見逃しください
   ”何故、そこで踊る”
   はい、ちちははに打ち明けるのができませなんだ
   ”ほう、我より ちちははが怖いか”
   はい
   山桜満開の花びら頭上高くより降りしきる石舞台
   顔のない笛が奏でられ 手に持たぬ鼓の甲高い音が響きわたる
   白足袋の草履  ダン トン トン 
   銀鈴の杓   リン トン シャン
   ”いかずちもて打ちもうそうか 田を干上げてしまおうか 不埒な娘”
   いかずちを どうか いかずちを
   ”娘、我がもとへこよ  髪をあげ 額をあけよ 其処にしるしを刻みつけようぞ ”
   白地の扇  くうる くる はらり
677リーフレイン:2006/03/06(月) 19:32:17 ID:5ieBzhZu

ねっとりと湿った春の夜
山桜の花びらは嬉しそうに肌に吸い付き
木々は卑猥な笑い声を立てて白い露を飛ばす
十二単の端々から素肌をみせる巫女の踊りは 四股をふみ、腕を交え
そこにいない相方と睦みあっているような錯覚をもたらした
奉納の石舞台の中央に見たことも無い階段が地下へ向って開き
何によってか、金色にぼうっと明るい石壁の奥へ巫女が走り去っていく
祭りは絶頂を迎え松明が点される境内のそこここで、睦みあう影が見える
それらは人ではない 山桜の木の根元より妖艶な異形 立ち上がる 嬌声

石舞台に階段はない 祭りの夜、人々は禁足を守る
巫女は額に印をつけられて 祭りが終わる
678名前はいらない:2006/03/06(月) 19:52:57 ID:5ieBzhZu
「そのちゃん」

「そのちゃんいくよ」
「♪ぞおおおさんっ  ぞおおおおおさんっ  おおおおおはあながっ ながいのよっと」
 あたし除夜の鐘が ごおおおん  ばらら死体 ばらばらばらばら 紅い死体がばら薔薇たんぽぽ綿毛犬の牙で
ぐんぐんぐんおえ あろはおえ きゅうきゅうしゃ きゅうきゅうしゃ ぴーぽーぴー まま、ママ、まま
夢よ、夢なの、ゆめにきまってるやろばかやろーー、ゆめ列車ばっくん しゅうー 死ねしねしねしね 
あ、殺されたんはこっちかあほらしこんなことならあのときああどうせこんなもんよねあたしの人生
走馬灯って走るはしるやまのあなあなあなあいて、空も穴、海も穴、地面に墓穴 バケツ大の血だばだば ばしゃん
鉄といかてつといか鉄と海、ああそうか、おんなが山でおとこが海で 海からきた生死が山の穴で子供が生まれる
こっきんこっきんこっきんこっきん たまぶくろせいしくん こんにちは さようなら、ママ きょうはお赤飯たいてください おとうさん
なかないで、おとうさん、なかないで、おとうさん、ないしょにしときます
「。。。。。。ほなごちそうさん。」

そのこ、むっくりおきあがって正座 ふかぶかと頭を下げる
「あけまして おめでとうございます」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
>>675 よくないエロってあらためて思うと書きにくいデス、
679リーフレイン:2006/03/07(火) 14:29:46 ID:sg+0W2uj


何もない
ポケットの中はからっぽで、
裏返しにして歩いたら風がふいたよ
たんぽぽぽ、たんぽぽ、たんぽぽぽ
綿毛
ふわんと ぽけっと一緒に 飛んでった
680阿呆烏≒雨森 通:2006/03/08(水) 05:12:58 ID:aSxGbwmT
「笑い」

おれの冷えた一日の外でひとの笑いがある
それを為す一片の寄与も許されぬ来歴を
喜びながら厭々偽って今あるおれの盲目

おれの前には既に決定がなされた事柄が
雨に濡れそびた心許ない未来の風景を
そのかなしい計画のままに着々と築いている

それをぶち壊す何の算段もなくおれは困却する
ひとがおれの荒廃の外にいることに困却する
困却する
重たい雲が何時になっても動かない

おれの心は笑いを知っている
おれの心は一時の幸福の所在を知っている
だがその風景への遠さは目測では測り切れず
細めた眼はいつか閉ざされた

鈍色を深める空の下ひとの笑いが響く
無意識におれの心は呼ばれ
数多いひとの不在を連れてくる

ゆっくり風が流れ始めた
それと共に流れては行かないひとつの風景が
今宵かくもおれの視野を暗くする
681リーフレイン:2006/03/08(水) 09:01:04 ID:EoVHBfoH
「へんてつもない石」

優しさてなあ気まぐれなしろもんで
まあ、言ってみりゃあ、道端の石を拾ってポケットに入れるのに似ております
拾われた石に 「ありがとう」
なんて言われた日にゃあ、なんか気恥ずかしい気分に襲われちまって
つい、意地悪にどぶに捨てたくなったり
きっとあれです、石が喋るって知ってたら、拾わなかったんじゃありゃせんかね

まあ、そんなことを言ってる自分も拾われた石じゃあありましてね、
やっぱり妙に気恥ずかしくっていけねえ
拾い主にはだまっちゃあいるけど
そりゃあ、嬉しいもんです
まあ、せいぜい、ポケットの中を温めてやりてえと思うわけですよ

お、ちょいとおねえさん、そこ歩いてるおねえさん、
石拾ってみなせえよ
ポケットの重さって案外ええもんでっせ
682リーフレイン:2006/03/08(水) 09:08:23 ID:EoVHBfoH
>>680
沈鬱な響きの鐘が 水の底で静かに鳴っているような詩ですね。
水琴窟を思い出しました。鎌倉のどこかの寺で音を聴いたことがあるんですが、
土の底に埋められた水を張った甕に、雫がおちて、ぴちゃーーん、しとーーん と
音が響きます。地面の上からはそれとはわからない場所で、密かに響いている音で、
心も、体も、静かにしていないときちんと聞こえないんです。
また 来てくださいましね。
683雨森 通:2006/03/08(水) 18:54:02 ID:aSxGbwmT
>>682
感想をありがとう
たまに書込ませて貰いますね
684リーフレイン:2006/03/14(火) 08:03:50 ID:5YyDiLlb
梁山泊が力作。。
685リーフレイン:2006/03/15(水) 09:49:38 ID:TCLlbVpL
「ののちゃん のりとはさみで野原を作る」

ののちゃん、お空 切り取って、のりのりぺたた
ののちゃん、地面も 切りとって、のりのりぺったん
ののちゃん、草の花の虫の鳥の川の沼の石の砂のキリ絵きりきり
ののちゃん、雨の晴れの影の風の雲の雪の霧の吹き絵ぷうぷう
ののちゃん、裏返して 夜の月の星の影絵はりはり

のねずみさんこんにちは、のぶたさんこんにちは
        のらいぬさんもいらっしゃい のらねこさんおひさしぶりですね

「ののちゃん?」
「うーん、まだなんかさびしいの」

それでは、コホン。 「おおかみさんがきましたよお」 がぶがぶがぶのがぶのがぶ 

686リーフレイン:2006/03/16(木) 09:51:19 ID:I+B+5Hvu
「腐った卵」

あたしの体の毛穴の数だけ
世の中の人に嘘をつくよ
あたしが何をしたかなんて
わかんないようにかくしておくから
大事な大事なゆで卵 あたしが飲み込んでおくから
あんた知らないでいい

一億個の涙が
誰かのほおを流れていたって
あたしはあんたのほおが乾いていれば気にしない
十億個の叫びが
誰かの空に響いていたって
あんたの手がぎりぎりと握りこまれてないんだったら
あたしにしったこっちゃあない

黄色いスタンド ゆうらりゆれて
灰色の冷蔵庫が子守唄を 歌いはじめて
閉じた逆螺旋の空気のねじが 部屋の真ん中に澱んできたって
とんでもなく正確に直角に曲がって歩く鉛の兵隊
たったか たったか たったか たったか たったか
規則正しい接吻でシーツが濡れる

だからさ
あんたはあたしのほおをぶんなぐってから
あたしを外に放り出してくれりゃあいいのさ
687リーフレイン:2006/03/16(木) 10:23:43 ID:I+B+5Hvu
卵は 割れる瞬間を待ち望む股間
688リーフレイン:2006/03/16(木) 10:34:41 ID:I+B+5Hvu
ほのかに香る土の匂いと花
視界は夜の沼に潜ったようにぼやけ、松明の光だけが滲むように闇に浮かぶ
冷たい指が後ろからそっと頬へ触れ、そのまま首筋へとくだっていった
幾本の腕があるのか、一体、腕であるのか、さらさらした手触りだけが身体の上を滑っていく
ほのかに感じる熱量 胸に押し付けられた柔らかい塊が
何とは解からぬまま乳房の感触と重なる 指をゆっくり持ち上げて輪郭を確かめる
ほうっと躊躇うような声が落ち、もっともっと触ってほしいといわんばかりに押し付けられて
ぎりぎりと握りこめば、喜びの声が脳裏に響いた
翁が謡をうたう 豊穣の謡が ことほぎの声が 低い抑揚で延々と続く
689リーフレイン:2006/03/16(木) 20:26:36 ID:I+B+5Hvu
「風邪」

葛根湯を飲む
鉄剤を飲む
髪が洗えないのでいらつく
肩の力が抜けない詩になってしまって削除する
詩の森文庫の「吉岡実散文抄」が手に入って、早速読む
高潔な精神に触れて恥じ入る。
690リーフレイン:2006/03/17(金) 09:31:52 ID:XrEFmhK/
「肩に力はいってんね、あんたたまってない?」

ま、なんだね、欲求不満ってやつかい?
酒でも喰らって、わすれちまいなよ。
泣けてくるって?
ま、なんだね、ま、そんなもんだよ。


691リーフレイン:2006/03/17(金) 11:17:18 ID:XrEFmhK/
「あんたが死のうと、生きていようと関係ないっさ」

りんご一緒にかじろうよ

一個しかないんだけどさ

きっとあんたの歯は歯槽膿漏で、赤い血の痕がつくんだ
あたしはその赤い痕を噛み締めて
歯槽膿漏の臭い匂いと、鉄の味と、甘酸っぱいりんごの味を
口いっぱいにほうばって
まずいって言って涙を流すよ

雨上がりの春の空あ
とんでもなく晴れていて
ひゅーひゅーと
ぷうぷうと
ぎゃーぎゃーと
風が吹いてて

りんごは一個だけ穴倉に残ってた去年のやつで
つやつやしてたんだ

あたしが生きてても、死んでても、やっぱり関係ないっさ

692名前はいらない:2006/03/22(水) 20:02:40 ID:XQEudQcB
若さというものの持っている
美しい予定のバリエーションは
途方もない空の青さに似て
胸が痛い
693名前はいらない:2006/03/23(木) 12:17:18 ID:PNr0Ufm3

時間は等しく容赦なく流れ
希望していた様々に美しい枝は
流れによって確実に剪定されていく
最後に待つものは
公平なる腐敗と逃げることのできない消去であるのに
ある時
偶然のようにできあがる美つくしさに目を見はる

《瞬間》は永遠であり
          《永遠》の中に人が住まいする
694名前はいらない:2006/03/26(日) 10:21:22 ID:QEKerru1
それは決まって一対の腕で、上腕の真ん中あたりから唐突に存在していた
人のものより少し大きめの掌とごつごつした指と固い筋肉を持ち、
丁度そこに人が一人いるように闇の中を動きまわる
手はいつも容赦がなかった

白い箱を開ける
優しい手ではないので、 箱はひしゃげてしまい中身がだらだらと流れおちる
手は疎ましそうにその雫を払い箱を放り投げ
どこからか杖をとりだして、箱を打つ
箱を広げていく
四つの面しかない箱であるのに、花びらを毟っていくように 幾枚もの面が広げられ
指が食い込んで 柔らかな中身に痕をつけた
桃の実の種を探す固い中指
手は箱から生まれでたものであった

ほんの少しの媚態が引き寄せる蜂
琥珀色の蜜がとろけて
毟られるのをふるふると震えて待つ青い草が
猛々しい欲情を隠した唇に姿を変え
耐え切れずに噛み切って流れる朱が
まろやかな象牙色の柔らかいぎりぎりを握りこむ

種を地面に
硬くこわばった手で浅く柔らかな穴を掘り
糧となるものを埋け、水を注ぎ、
容赦のない双面の種を地面に蒔く

一対の腕は上腕の真ん中あたりから存在して なめらかな白い皮膚におおわれていた
細く蒼ざめた指が小刻みに震えている
それは等しく最初の腕と同じもので 全く同じものではない
3日目にして声が出ません なははは。。
小僧はわかってないけど (わかってもなあ。。 母の威厳があああ、
   (あ、もともとそんなものはない
       (こんなかあさんを持った小僧はしあわせになれるのだろうか?
ネットジャンキーなかあさんはとりあえずあんたに言いたい
小僧、あんたはまだこの道を歩いてくれるな
いつならいいって?コアができてから?そんなもんはないって?
お前さんが消えてなくならないぐらいの色を持ってからかな?消失ポイント無限大の罠ありまくり
喰うか喰われるかの掲示板世界なのだ (w
ここでお勉強するためには代価が必要なのだ
そいちゃあ、現実に身につけたものしか使えんし、
財布が軽いやつは擦り切れるのも早い(はははは、嘘だよ
       (たれながしなオナニー、空回りをする時間の群れがぼこぼこきゅうう停滞注意注意ちゅうい
       (厖大な多層世界 混沌なんて言葉はきらいだ ちんぷ しなちく ラーメンライス卵つき
       (かあさんは万華鏡の穴でせっくすしてる年寄りロバのパン屋ピーポーちりりんです 嘘だけど
可愛らしい清潔で規則正しい羊の群れのいる囲いを一歩外にでれば
優しくてうらぶれたおおかみさんがいるんだよ
母はおおかみさんと散歩するのが好きだけど
あんたはまだしらないで、
囲いをきちんと作らないとね
安心して眠れるような囲いをね
きちんと作れないうちは、お外にでたらだめですよ
      (アンビバレンツのソーシャルな実体を作っちまってからでないとしんどいのだ
      (あんたの人生が崩壊しちまうとまずいから
      (少なくともだなあ、アンビバレンツの意味がわからんうちは、だめなのだ
      (はっきりいやあ、太って清潔で規則正しい羊の皮をきちんとかぶれるようになってから、
      (痩せたおおかみになったほうがいいとゆうとんのよ
      (いやあ、すまん、きちがいな母のいうことなんて聞き流していいよ ごめんね
おねがいです、きちがいにはならないでください
いや、なってもいい、きっとなるのにちがいないけど
ふてぶてしいきちがいになってください
長生きできるきちがいになってください
696名前はいらない:2006/03/32(土) 21:45:13 ID:jY9y/egv
桜の樹の下には少年が寝転んでいる
大人の身勝手さに憤り、人生の不条理にすっかり不貞腐れてしまっている彼には
頭の上に展開している豪奢な饗宴に
ちらとも注意を払う気はないのだ

人生で初めての酒は
苦くて、まずくて、ぽっぽぽ、ぽっぽぽ うとましく
期待した禁断の妙味は
タブーのタの字もなく酒を勧める酔客に囲まれたせいで幻滅と消え
いらだたしい熱とすえたアルコールの匂いだけが身にまといつく
母は父ではない男に見苦しく媚びを売っているし
自分に気を使ってくれるはずの幻少女もここにはいない

少年の頭の上では
満開の桜 恥じらいをこめた宴 華やかに
薄墨色した花一つまた一つとほころばせ
ほたほたとその身震わせて散り踊る舞
柔かな猫の若毛の風が
春の音調で曲を奏でているというのに
なんともったいない盲目さよ
697名前はいらない:2006/04/03(月) 09:15:27 ID:RFUZIJKR
息子へ

せっくすは深海を泳ぐちょうちんあんこうの分厚いくちびるなのだ
698:2006/04/03(月) 16:04:46 ID:6I26rKPG
かあさんへ

爺は森林から飛び出したルーシーの短い足なのだ
699名前はいらない:2006/04/04(火) 10:41:30 ID:56gTOTw3
>>698
森に棲む淫乱な兎が ぽろぽろと子を孕むので
       ルーシーは足を伸ばす暇もなかったのだね
すっかり爺になってしまって不憫なことです(ウソ)

#お元気そうでなによりです
700牝犬:2006/04/04(火) 10:48:00 ID:56gTOTw3
寂しいよって牝犬が啼いて
それはもう、どうしようもないことなのだけれども
くぅーん、くぅーん、きゅい きゅうい きゅい と
黄昏のおぼろげなスピードが一層速まってしまう 一番星

家の明かりがぽつんぽつんとつく頃には
もう諦めた牝犬の
顔を隠して座り込んだその場所が
いくら座り続けても温まらないのは
何かが熱を奪い取ってしまうからで
それは、黄昏の中で彼女が呼び出してしまった何か

口あけないで 舌垂らさないで
こっそりと隠した牙をぐきっと噛んで
灰色の何かがよりそってくるのは
自分のあずかり知らぬことだから
いない振りを
そこに見えない振りを
触られたことなどない振りを して

ようやく温まった地面の上で
ぼやぼやの尻尾をくるみこみ 目を閉じる
影のそのまた影の尻尾を
踏みつけてしまわないように
物言わぬ犬の影ふみ遊びが続く明日が
待っているから
701名前はいらない:2006/04/04(火) 13:20:32 ID:33sK9zms
「おしになりたい」

牛になりたい
何も喋らない牛になりたい
牛になって、ゆっくりとオレンジの匂いのする干し草をはみ
むしゃむしゃと反雛し
呑みこんで、またもどって反雛し
ぐにゃぐにゃと反雛し
呑みこんで、またもどって反雛し
もぎゅもぎゅと反雛し
呑みこんで、またもどって反雛し
あたしは ただ はむことだけを考えて
悦楽を反雛して、酸味を反雛して、苦悩を反雛して
やがて誰かの口に入って反雛されることを夢みていたい
702名前はいらない:2006/04/04(火) 23:57:30 ID:Q8KhIX6E
ご無沙汰してます。
ちと情緒不安定ぎみなので、毒抜きに帰ってきました。
無精者にとって健全な生活ってのは精神衛生上よろしくないようです。
>>701
韻を含んだリズムが面白いですね。退廃的だけど、今こんな気分ですw
ご自愛なさりますよう。

703名前はいらない:2006/04/05(水) 08:13:22 ID:RVnmi2Cs
モーフ・ザ・キャットを聞きながら

マンハッタンじゃあないけれど
今日は軽いふわんふわん
猫のモーフが屋根の上を散歩する

ペットボトルとチョコの包み紙
四角い時計 100円の枯れない花束
花火の音が聞こえてきて
四月の日曜日の朝

いいせっくすの後の眠りに似てるね
安心毛布のライナス
コーヒーをいれよう
とっときの豆を挽いて

黄色い豚さん枕を抱いてる熊が
蜂蜜を食べたくなって眼をさます
はーん パンケーキが欲しいって? w
バターが焦げて香ばしい

コンビニのプリンを買ってこようか
一緒にさ
モーフ・ザ・キャットを聞きながら
ゆっくり食べよう
今日の時間は彼がくれたらしいよ
704名前はいらない:2006/04/13(木) 10:27:44 ID:vWDz1OZk
庭の畑に一本 葡萄の樹があって、これが
「俺がいるんだから詩なんか書くな」とゆうてくるようになった
本も読まんでいい とゆう
聞けば、「俺よりも深い詩はあるわけがないし、俺よりも良い本も書かれた試しはないのだ」
とゆう
あいちゃあ自分の世話をしてほしい一心が見え隠れしているわけだが
なんとなくうなづいてしまう話だった

そうはいわれたところで
もうすでにかあいらしい愛人を抱えこんでしまった旦那の気分なものだから
背中の後ろで指組合わして、「頼むから見逃しておくんなさい」
と心の中で唱えつつ、それでも視線はまっすぐに
「そうか、あいわかった」
と答えておくことにした
705隻眼のレンズ:2006/04/15(土) 16:37:59 ID:Iw67PZuy
いくらといても、といても、白い細かなわたぼこりのようなふけが
ブラシについて、髪がねとつく。髪の毛も一緒に抜けてきている
ようで、ブラシには白い点々が無数についた髪の束がからみ
ついている。頭皮がかゆい。
馬の尻尾のような抜け毛の束をゴミ箱へぶち込んだところで
心配になって姿見を覗き込んだ。頭皮はクリーム色のふわふわの
ふけで覆われ、ところどころはがれて、赤剥けになった地が見える。
赤剥けになったところは極端に髪が少なく、細かい無数の十字の
毛穴が黒く斑点になっていた。白いふわふわをやっきになって櫛で
はがすと、一緒に髪の毛もすっと抜けていった。
気がつけば、自慢だった長い髪は殆どなく、赤剥けした薄汚い丸い頭が鏡に映っていた。
額の境目から肌色の皮膚が始まっている。数本づつ束になったまばらな髪が
長いだけにかえって見苦しくゆらゆらとゆれていた。

久しぶりにハードな幻覚だなと、落ち着いて回りを見渡せば、
そこは、とうになくなってしまった生家の高校時代を過ごした自室で
2重になった意識の違和感にほっと安堵を覚えた。
まだ痒い頭に白いスカーフを巻き、机に腰をかける。
暫く待てば今に戻れるのだろうと、もうわかってはいるのだが、
この奇妙な2重時間から、もし戻れなかったらどうなるのだろうかと
少し不謹慎な想像にかられてしまう。自分が持っているレンズはどこまで
現実を覗いているだろうか。
正直なところ、還れないのはもうあまり怖くない。むしろ、あちらで自分が見せているだろう
ちぐはぐな姿が恥ずかしい。
壁にもたれて両目を閉じた。眠ってしまおう。

どこかで赤子が泣いている。
さかりの季節の猫の鳴き声と人の赤子の声はどうして似ているのだろうか。
706名前はいらない:2006/04/19(水) 07:24:01 ID:lbAw+nbF
泣きたいとき、泣いて良いのは幸福である
泣きたいとき、涙が出るのは幸福である
泣きたいとき、泣き顔を見せられるのは幸福である
泣いているとき、心が溶けて世界を浸していくような感触を味わえるのは幸福である
707名前はいらない:2006/04/19(水) 07:30:00 ID:lbAw+nbF


あたしは手はそこにあってさ
あんたの手はここにあるよ

あったかいよぅ
708リーフレイン:2006/04/19(水) 11:07:30 ID:YeNtnjzO
「赤いマントを纏う御方を崇める歌」

女王様の僕たるわたくしは
日々爪をとぎながらおつかえもうしております
女王様の僕たるわたくしは
語る言葉がございませんので舌を切りもうしました
女王様は舌のないわたしめにひどく落胆されたご様子でしたが
それはどちらかといえば、失言をとがめる楽しみを削がれたためのようにも思います
女王様は孤独でいらっしゃいます
ですがそれは女王様でいらせられますので
仕方のないことと思われるのです


709リーフレイン:2006/04/19(水) 11:09:18 ID:YeNtnjzO
た、た、たけのこ
たけたけたけたけたけのこ
白いたけのこ、たけのこ、たけのこ たけたけたけのこーーー
たけのこごはんーーーーー
710名前はいらない:2006/04/21(金) 11:21:01 ID:IyligUW9
基地外になりましょう

きっきっきっちがい
きっきっきっちがい
みんなでわたればこわくない

携帯でナがあい文の文法合わせんのは津らい



雲が速い
711名前はいらない:2006/04/25(火) 13:28:56 ID:lSTfHqq/
寺山修司詩集が手にはいる
あっさりはまる
712名前はいらない:2006/04/26(水) 08:49:01 ID:P+KU2453
昨日の箱はつぶれてしまった
残骸を踏みにじって
今日の箱を開いた
713名前はいらない:2006/04/26(水) 19:44:25 ID:P+KU2453
人間が人間らしくあるために
手放さなければならない人間性の
辿る向こう側に立ちすくんでいる詩
714名前はいらない:2006/04/28(金) 11:20:55 ID:6DSf8WdJ
人気のない公園は草が伸びて
糞と硝子の破片、コンビニのビニール袋
天井の低い階層を重ねた団地の 錆びたブランコは
ろーぷが張られて使用禁止の札が揺れる
撤去する金も出ないらしい

水道水のタンクが汚染されたっていう噂が流れ
赤く錆びた水で浴槽が染まってしまった
鼠の毛が混じっていたって
異様にカルキ臭い水はもう恐くて飲めない
715名前はいらない:2006/04/28(金) 12:55:05 ID:6DSf8WdJ
心臓の音はたよりなくて
やけに大きく響くのに不規則なびっこをひく
けんけんぱっ けんぱっ けんぱっ けんけんぱっ
コンクリートに石で円をかいてスキップをしてみる
息がキレて情けない

いつのまにか子供たちをみかけなくなった
こんな団地にいるのは取り残された老人か
いくあてのない老人予備軍
猫だけが増えた 交尾の季節
716名前はいらない:2006/04/28(金) 20:48:09 ID:81iNp+VG
夜になると眼が煌々と光って
使い古しの毛布のように毛羽立った
見苦しい猫たちがらんらんと重なって
ふわふわの子猫が生まれる

小さい猫、茶色い猫、縞の猫 片目の猫
猫の王国では猫の王様が君臨していて
人間など、眼中にないのだが

酷薄で密やかで柔らかい
猫の王国の片隅で私は
幸福になった
717名前はいらない:2006/04/28(金) 20:49:38 ID:81iNp+VG
「Box Box-in Box-out」

無数に机が並んでいる部屋
机の上にはやはり無数のスイッチが置いてある。
一体何処に通じているのか、一つのスイッチを押すごとに何かが起こった。
スイッチを入れる。甲高い鶏の鳴き声がする。切った。
スイッチを入れる。部屋の中に雨が降り始めた。これも切る。
スイッチを入れる。カーテンが開いた。暗い窓が見える。
スイッチを入れる。照明がつく。
スイッチを入れる。石が現われる。消えた。

男が一人、真っ白に塗りこめた体で踊り始める。声をかけるも、反応はない。
繰り返し、繰り返し同じ踊りを踊るので切る。消えた。
木が一本現われる。触ることができる。耳をつけると木の音がした。初めて何かが得られたような気がした。
音楽が流れる。切った。
窓の外が明るくなった。窓へよって外を見る。何もない。
レーション:軍用携帯食料の銀色のパッケージが現われる。食べた。水が欲しい。
水が欲しい、水が欲しい。手当たり次第にスイッチをいれていく。水が欲しいのだ。
轟音、白い手、花が咲いた、何語で書いてあるのか不明な本、ヌードピンナップ、缶コーヒー
缶コーヒー?
飲む。


718名前はいらない:2006/04/28(金) 20:51:41 ID:81iNp+VG
鉛筆で机に何のスイッチであったかを書いておくことにする。
一部忘れてしまっているのに気がつく。
丁寧に確認をする。
Boxと書かれたスイッチを見つけた。押すと、ボックスが現われた。
そのボックスにものが移動するスイッチのBox-inがある。直前に発生したものがそのボックスに入る。
ボックスの内部のものが、窓の外へ移動するスイッチBox-outを発見した。外の風景が変わる。
回収できるかどうかはまだわからない。
暫く考え、大事な木を外へ送った。
雨も送る。

眠る。起きると、鉛筆で書き込みをしたスイッチはまっさらになっていた。内容も違う。
Box, Box-in, Box-outはそのままあった。窓の外に送ったものは消えていない。
外へ出たい。誰かと会いたい。


慎重に、スイッチを押す。
窓の外へ置きたいものを選び、一度送ったものを回収できるスイッチを、外への扉が出現するスイッチを、
自発的な会話のできる人間が現われるスイッチを、探し続ける。
この部屋そのものを消滅させてくれるスイッチでもいい。それとも私自身が出現するスイッチもどこかにあるのだろうか?
空白だった窓の外には木が茂り、花が咲き、風が吹き、時折雨も降る。
数日前に送り込んだ鳥が飛んでいる。

今日、一人の眠る少女が現われた。
スイッチを押し続けながら、彼女が眼を覚ますのを待っている。
私は睡魔に負けてしまうぎりぎりまで待って、彼女を外へ送ろうと思っている。


719名前はいらない:2006/04/28(金) 20:57:03 ID:81iNp+VG
あたしが子供だったとき、処女でない少女はヒーローだったので
みんなこっそりと、処女でないふりをしていた
それは少し複雑な演技で、本当のところは全くわからなくって、
わからないままに、あせって捨ててしまった少女もいたかもしれない
妊娠しなければとりあえずセーフの危ういゲーム

あたしが子供だったとき、
なんで男は処女が好きなんだろうかと考えて
実は劣等感が強すぎるから、他のちんこと比べられるのが嫌なんだろうと思っていた
飽き飽きするほど秘密を知った後では処女はいいものかもしれないと思う
とりかえしのつかない瞬間の味がする
もし ”初潮がきたら医者に処女膜をとってもらう”なんて習慣だったらありがたさも半減 ははは
快楽と秘密はセットなんだって 。。。あれ、快楽と痛みかな?

あたしが子供だったとき
親はやっきになって、こっそり娘の純潔を守ろうとしてて、そいつは全く無駄だった
あたしが子供だったとき
男は純潔な少女を夢想して、だけど自分だけは例外だときまってきめこんでいた
一回こっきり、使い捨てな純潔?
どこかおかしいんじゃあないかといつもいつもいつも不思議だった

あたしはいつのまにか親になっていて
やっぱり子供の純潔をやっきになって守っている
案外と貴重なものだから、何かの手段にするんじゃありませんことよ
だけど、それがなくなったといって人生はおしまいじゃないからね
シーソーみたいな価値観をあっちへふらふらこっちへふらふらしながら
どうやって伝えようかとあぐねているわけだ

晴れたる青空ただよう雲よ
奇跡的にも男と女がいるんだから
祝福の音楽を奏でよう
720 ◆mooN.KttY. :2006/04/29(土) 01:24:18 ID:q4KhVLg0
文春文庫で出てる寺山修司の評伝おもしろいよ。
2ちゃんばりに自画自賛の自作自演やりまくりwww
721名前はいらない:2006/04/29(土) 19:19:28 ID:WdaG0mhl
2chがなまぬるく見えるようになっちまってやれやれって気分です
722 ◆mooN.KttY. :2006/04/29(土) 21:32:05 ID:sidaYKkU
老害のきざしですね
723名前はいらない:2006/04/30(日) 10:50:14 ID:zm8XmgvI
そう。
724名前はいらない:2006/04/30(日) 10:59:04 ID:zm8XmgvI
何もしない
無駄に無駄
消費すんのは
時間と感情と生きているだけでかかる費用
体力値 運動能力 思考能力
迷走する神経系 鈍化する感受性
費用効率はマイナス
期待値もマイナス

机の上で蛙が笑った
かっかっかっかっ
けろけろけろけろ
臨界点



はない
725 ◆mooN.KttY. :2006/04/30(日) 11:12:19 ID:a7EhEidm
醜くぶよぶよに太り熱量の落ちた赤色の星はやがて黒い穴になるんですよ。
726名前はいらない:2006/04/30(日) 11:13:13 ID:zm8XmgvI
働かないのは罪
犯罪を犯したものは罰を受けたまえよ
727名前はいらない:2006/04/30(日) 11:15:01 ID:zm8XmgvI
太るのは嫌
728名前はいらない:2006/05/10(水) 13:48:32 ID:/rcll6xv
怒っているときにレスを書いてはいけないと
反省しました

ごめんなさい
729 ◆mooN.KttY. :2006/05/10(水) 22:11:12 ID:tBv+vzye
板の重鎮とかそういうのは変態とかマゾがやるもんですから。
730名前はいらない:2006/05/10(水) 22:45:42 ID:/rcll6xv
基地外で老害かもしれないけど変態ぢゃないよ
マゾは微妙だけど
もちろん重鎮なんかやってないし

いやさー後で後悔するようなことは書いちゃまずいと
(当たり前だわ)
731名前はいらない:2006/05/10(水) 23:24:04 ID:/rcll6xv
海龍


果てしない岸辺の片隅に

寄せては返す柔かな塩水は聖別されたショクザイの涙

明日の向こう側へ年老いた龍が飛んでゆく
732名前はいらない:2006/05/11(木) 21:25:16 ID:ciicSGtM
亀ですが葡萄の木の詩、共感しました・・・あーもう、ホントにです。イラっとします。
飼ってる生き物は自分がわたしを飼ってると思ってる、
一見対等にして、その実お互いが支配したがってる、ヤラシイ均衡です。
733リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2006/05/12(金) 09:50:24 ID:tNKSqfJV
リチャード・ブローティガン詩集  中上哲夫訳 思潮社 

詩板に、いや巷にあふれかえっている詩に似ている。
いや、そこまで言っては申し訳ない、語句の形式が近似なのだった。
(飛び方はこちらのほうがもちろん格段にいい)
シンプルで、センスのいい、ある意味ものすごくストレートな文字列を見ていると、
つくづくあたしたちの時代(ひとくくりするのはあれだが)はこういう文字列が好きなんだと思う。
アイロニーと日常性、残酷で、引き裂かれながらバランスを保つ乾いた感覚。
よけいな飾りはいらないとばかりに平易な言葉を 連ねた文字列は、
ネットで誰かとしゃべり、恋人と当たり前にセックスをして、おやつを買いにコンビニに走って、
大文字の二文字熟語に人生をかけるなんてことはセンスがないと感じてて、
あまりいろんな期待をしない時代の言葉なんかなと思う。



男がふたり車から降りる

男がふたり車から降りる
そして車の脇に立っている。ふたりは
ほかにどうしたらいいかわからないのだ   (p13)
734リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2006/05/12(金) 09:55:03 ID:tNKSqfJV
>>732
ありがとうございます。。泣けてきますよね。つくづく人間の行為ってなあパワーゲーム
だと思いますよ。でさ、実は人間同士だけじゃあないのだ、生き物全部が互いに
パワーゲームを展開しちまう。ここを美しい合一とみるか、地獄の所業と見るかは
気のもちようひとつ??   あいやあ。。。
735リーフレイン:2006/05/17(水) 09:57:45 ID:PcbR3zHE
「稼動」


うわーーーーーーんーー



まるで一夜漬けの受験勉強のようだ・・・
そういえばそうだった。
そういえばそうだった。

736リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2006/05/18(木) 20:41:27 ID:6wVeEbof
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
ブロッコリーと胡瓜を買って ご飯を作ろう
737ゼッケン:2006/05/19(金) 16:24:57 ID:Qnkn2ENH
>>736
すごくいいです
リーフレインさんは天才ですね
738名前はいらない:2006/05/19(金) 18:58:10 ID:KlpSb4Q9
ドラゴンボールを思いついたのはオレだけだろうか?
73919 ◆gwnULb/9mw :2006/05/19(金) 19:51:03 ID:d/woqGPU
初カキコさせていただきます
今日、>>440を読んで思ったのですが
リーフレインさんはそのときそのときにいろんな人を描いているようでいて
実はずっと同じ人間を描いてるのかもしれないという気がしましました
ロムっていると、作風が変化してると思うのだけど、通しで読むと一貫してるというか
描かれる人物に置いている距離と性格が共通してるような気がします
「固有の誰か」って意味でもなくて、もっとシンプルな顔形のような感じがします
それを描いているときが一番気分がいいんじゃないかというような
740ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2006/05/20(土) 02:40:58 ID:J7RInjkC
>>737はおれじゃないです。
741名前はいらない:2006/05/20(土) 09:57:22 ID:O5K38CW+
>>740は私じゃないです
742名前はいらない:2006/05/21(日) 17:01:15 ID:F+PF9FVK
おねがいですからもう二度と出てこないでください
743リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2006/05/21(日) 21:12:37 ID:Ju16Ucr8
上に上がるとお客さん多いですね。。


>ゼッケンさんと とりなしゼッケンさんこんばんは。。

>>739 19さん、ありがとうございます。
全体的に自分の記憶を材料にしてる場合が多いので、描かれた人物は
結局のとこ自分かもしれません。>>440のあたりは、自分では嫌いな詩で、
今だったらもっと別の書き方になってたと思います。。あの時はああいう距離しか
おけなくて、(いい子チャンぶった距離ていうんですかね?)そんな感じです。

>742 ごめん。。
744名前はいらない:2006/05/24(水) 01:07:40 ID:gSDq0FLG
リーフレインを買ってお家に帰ろう。
リーフレインを駆ってお家に帰ろう。
リーフレインを食べてお家に帰ろう。


ほいほい、いい夕焼けだよお母さーん。
745リーフレイン ◆LeafL/oiO. :2006/05/24(水) 09:03:07 ID:xVYDdWEk
>>744
はいはい。。いい夕焼けでありまする。。 (何となく涙
746名前はいらない:2006/05/24(水) 09:27:22 ID:/a/CR7l1
もう出てこなくていいよ
747名前はいらない:2006/06/10(土) 20:48:04 ID:OiWr37xv
厚くたちこめた 6月の雲の下
眠っていた右目が張り付いた

右目を開けると、そこだけ切り取ったような青空が見え、
青空の中を白い飛行機が飛んでいく
748名前はいらない:2006/06/16(金) 20:15:51 ID:1G3k4hBo
昨日大雨だったから
今日は芋の葉が元気で

昨日大雨だったから
トマトの苗がつぶれて消えて

田んぼの稲の水が
大水になりすぎて
蛇が泳いでるんだよ

山んなか

柿の畑に黒猫が
散歩してた

夕方
踊ってるみたいで
なんか探し回ってる

かたつむりが
道に流されて
一個踏んじゃった
:
すずめが、電気メータのボックスの上に巣をつくっちまって:
糞だらけにする

海棠の大きな葉の上に
シマヘビの抜け殻が脱ぎ捨ててあった

雨が
色んなものを
持ち込んでくる
749名前はいらない:2006/06/17(土) 20:39:38 ID:pySep65i

月ご飯 白ご飯 笹ご飯 雨ご飯

おむすひを喰らう月待ちの畑 子の呼ばう声


750名前はいらない:2006/06/17(土) 20:40:21 ID:pySep65i

夕立の後に 光る月

紫陽花がしとどに濡れて
むんと土くさい叢の中
まだ幼い黒猫が踊りありく

雨上がりの月白
埃を洗い落とした気が背筋を伸ばす
稟とした猫の眼差し

踊る猫 ネコ ね 猫 黒い足
叢をさまよい踊る足先にある王国の




751:2006/06/18(日) 07:52:43 ID:WlY82+cw
足を濡らす羊歯
朝靄の森の入り口は白濁として
湿った匂いがたちこめる
ようやく開きはじめた草花が
羊歯の葉に寄り添うように顔をのぞかせ
しんなりと冷ややかに雫を垂らす
初夏の落葉樹の木々が淡い色を枝にのせる

数メートルほどの空き地にあった柿の木は
それと気付かれることもなく
硬くしまった蝋細工のような浅黄色の花をたわわにつけた
少し斜めになっている幹に竜のひげやら、苔やらがびっしりと生えている
剪定されることもなくのびやかに枝をはりめぐらせ、人の背をはるかに越えた
(もろい柿の枝は木登りにはむかない)
あの花が実となっても到底人の手に落ちることはない
秋にはさぞや、鳥の群れの口を潤すだろうと
まばゆくなってきた朝日に手をかざしながら緑に溶けてしまいそうな花を見上げる

かさかさと音が聞こえ
なにかが枝の上を走り去るのが見えた
明け方にはられたらしい蜘蛛の巣をかきよせて
目当ての水場へと足を速める 腐土を踏みしめる音
眼を覚ました虫たちが足元に纏わりつくのを手で払う
(人気のない森は わずらわしくはないがにぎやかだ)
鳥が鳴いた 水場はすぐだ
752森 (続き):2006/06/18(日) 07:54:14 ID:WlY82+cw
こんもりとした森は、低い平地の山の半分を占めているだけで
もう片方はすでに市街地になっていた
山頂を越えてしまえば、名前もしらない誰かの裏庭にでる
耳をすませば 街の音が聞こえる
先月、喰うに困った狸が民家の庭で捕まった
今もそこで鎖につながれて飼われているという

この森の持ち主を知っている
知り合いがふらつくぐらいは大目に見てくれる老人だった
誰のものでもない厳かな森のふりをしながら
ほんの少し苦い想いをかみしめて他人の森を歩き回る
(稜線をはさんで対照的な姿を見せる森は舞台の書割のようだ)
どちら側に観客席があるのだろうかと ちらと考えてしまうのは
傲慢さがすぎるせいか
753名前はいらない:2006/06/21(水) 10:15:36 ID:xuY7+O3c

梅の風 さわさわ さわさわ さ
754名前はいらない:2006/06/21(水) 11:56:58 ID:xuY7+O3c

いつ孵るのかもわからない卵が
黄ばんだ色のまま
胎の真ん中にこっそりあけた袋に入っている

生まれるのは縞のついた緑の蛇で
透明なヒカル羽根を背中に隠しているはずだ

いつか、かちり、かちり と小さな音が聞こえて
かすかにひびが入る

そうしたら私は
彼を連れて 太陽の西、月の東にある泉で沐浴をする
755名前はいらない:2006/06/21(水) 12:13:36 ID:xuY7+O3c
「雨の夜」

車輪が水溜りをはねる音が聞こえた、12時
買ったばかりのレインコート 
長靴を履いて
花柄模様の傘、水に街灯の光が反射して、
白い輪
いくつも作る鮮やかな夜に滑り込む

黒のカーテン  水のメロディ

ステップ  スキップ ステップ キック 
回る、回る、空が落とす白いラインズ

傘が回る、花が回る、白いコートが翻る
靴が回る、水が回る、レースのしぶきを作りだす

かすれた歌を口ずさむ、真夜中の雨
柔らかな光  ここにない町
あの人もいらない、あの子もいらない
夢の雫に溶けていく


#公民館スレ用
756名前はいらない:2006/06/21(水) 12:21:55 ID:xuY7+O3c
コンビ二弁当に飽きてしまうのは、きっと何かが足らないせいで
それは絶対に愛情ではない
757名前はいらない:2006/06/25(日) 18:38:53 ID:3pvzISCJ
「雨の魚」

雨に濡れながら歩いていると
死んだ魚の匂いが漂ってくることがある
湿った空気が ねっとりとまつわりつき
地球が水の星だったことを思い出す

そんな時、あたしの横には本当に死んだ魚が
ぎちぎちと目を光らせながら泳いでいる
少し膨らんでしまった腹を斜めにかしぎながら
ゆらゆらとゆらめいて泳ぎ過ぎていく
匂いは ほんの束の間で、
通り過ぎると同時にすっと掻き消えてしまった

足元に蛇の死骸を見つけた
車輪でひき潰されてしまったようで
腹の一部がへこんでいた
死骸は硬い
蛇のつややかな柔軟さはもう失われている

アリランブルーという名の紫陽花が
濃い青い色の花をつけて、雨に濡れていた
蛇を根元に埋めた
あの硬い骸が 紫陽花に抱かれて
ほどけていく

雨の中を泳ぎまわるのは
生きたままでは無理なのだろう
758名前はいらない:2006/06/27(火) 08:34:49 ID:Z+ZCeF2J
崖だった

途方もなく大きい岩壁にしがみついていた。
傾きは急だがすべりの悪い滑り台の途中に留っているようで、
手を離してもすぐ落ちるわけではない。
しかし体を岩壁から離してしまえば、バランスを失って落ちていく予感があった。

これから登ろうとしているのか、それとも降りようとしているのかさだかではなく、
いつから、そして何故ここにいるのかもわからなかった。

モーツアルト ヴァイオリン協奏曲第1番 ロマンティックなヴァイオリンの音色を背景に
指揮者のバーンスタインの白黒反転写真が岩壁に刷り込まれていく。

何を食っているのだろうか?糞尿はどうしてるのだろうか?
垂れ流しだったら、きっとここも上からの糞尿で汚れているはずだが
岩は岩でしかない。 空腹感はない、尿意もない、そういうことなのだ。

他にも同様な人間が見える。まるで、岩にふなむしがたかっているようだ。
岩壁のはるか上は青い空が広がる。下はかすんでしまって見えない。

演奏が終わって拍手をしなければいけないが、手を離すのが怖い。
近くにしがみつく男は拍手をしていた。いや、拍手をしながら落ちていった。
片手で岩の角をしっかりつかみながら、岩肌を叩く。

ブラボーという声がこだまする。
好演を伝える英字の新聞記事がバーンスタインの写真の横に刷り込まれ、

人々が一斉に登り始めた。 
759名前はいらない:2006/06/28(水) 18:41:22 ID:uwsrwMCa
薦められてトリスタン・ツァラを読む。
ヨーロッパ人の彼の体の中には
小麦畑の風が吹き 芳醇な葡萄酒が血管に流れている。
そして、あたしの耳には届かないが、あの曖昧で流れるような
フランス語の音律が聞こえているのだろう。
アジアの島国のあたしの体の中には
カルキ臭い井戸水が流れ
商業作物としての葡萄と、大根の漬物と梅干が奥に仕舞われ、
コンビ二弁当のからが表面にへばりついている。
あたしの中にあるリズムは、モノシラブルの国語に祝福として
あるいは、呪いとして刻印されているもので、
定まった間隔で射出される機関銃の音に似ている。

美と悲嘆と混沌への渇望があった。
幸福?
彼は幸福を希求する詩句を
その実、悲嘆と混沌こそ真の主人であることを暗示しながら書いてみせる。
幸福は詩にとって重要ではないのかもしれない。
世界の重みを十全に書き出すには、幸福はそれだけでは足りなかった。
幸福であること、は、
幸福と感じる一つの幻想であるのにひきかえ、
幸福を希求することは
さまざまな不幸の幻想の中からさまざまな幸福を幻想することである。
表現は「もし」という仮定を記述することにその基盤があるとするならば、
「もし」が多層になっている構造は、より世界に近いのだろう。
逆を書いてみよう。
不幸であること、は、
不幸であると感じる一つの幻想であるのにひきかえ、
不幸を希求することは
さまざまな幸福の幻想の中からさまざまな不幸を幻想することである。
後略
それでは、詩は、一体どちらにあたっているだろうか?
760名前はいらない:2006/06/29(木) 13:08:29 ID:gdLakJn1
「錆鉄格子」

本日のメイン ボンジュール鉄格子
一度入れば錆びるまで
今生の別れとなるや鉄格子のこちらと向うに
ああ、汝、何を置いて格子の果てに向かうなりしや

ダリの扉が開くのは25時の時報
月と太陽が夜這いに這い回る
深い絶望の淵に立つ少年たちが、
もはやその男根を断種せんとバタフライナイフを手に取った 鉄錆
遅すぎたのだ 彼の取り分はない
はん、遅すぎただと?そんなものを欲しがった覚えはない
ささやかなプラスチックの鎧を身にかき寄せて
赤裸々な色つき石膏像の行進を盗み見る

フェイク、フェイク、フェイクだ、ニセモノの神を殺せ
溝で溺れた鼠のごとくに張りぼての巨像に 蹴散らされる草燃える
きちきちきちきち きちきちきちきち ジージージージー

赤子泣いたら たいらなおっぱいふくませて
紅く染まって ちゅうちゅうちゅう
ああ、おっぱい豊穣のおっぱい、白いおっぱい、ああ、ああ、ああ
跪く太鼓 破れた皮よ

錆、錆、錆、紅い錆が青黒い格子の一本一本に繁殖してまいりました
毎日ひっそりと、粗末なおかずの塩分を我が貴重なる唾液にまぜて
ぬりぬりぬりぬりぬりぬり ぬりぬりぬりぬり ぬり
塩分よ、我が滋養分よ、錆を大きく育てたまいや
花の音 ふたたび地に渡る時 我が鉄格子錆落ちん
761リーフレイン:2006/07/07(金) 19:38:57 ID:w6IqztIU
仕事をためすぎてしまって、首がまわらないので
遊んでいるわけにはいけないのに
なぜかスレッドを開いてしまうのは 根性が足らないせいだな
うん
根性なんかゴミ箱へ捨ててしまえばいいのだ




ああ、ごめんなさい、絶対に間に合わせますからまっててください。。
762リーフレイン:2006/07/08(土) 20:38:33 ID:FhtYt10w
ポエケット戦利品気が向いたら報告 その1 

まずは都立家政さん(馬野幹氏)
「下敷きで光りを」(文庫本より小さいサイズ40p)で泣いています。あの本はもっと沢山の人に
読んでほしいです。ごく普通の人に読んでほしいです。
ああ、詩ってすごいです。
まず。世の中の編集者全部に強制的に読ませてやりたい。
重箱にしまいこんだような詩を嬉々として掲載してる目のないやつらは
いっぺん死んだほうがいいです。
それよりもっと、重箱の隅に入り込むような詩を嬉々として書いてる
自称詩人(妄想の桂冠詩人たち)の口の中にねじこんでやりたいです。
ポエトリージャパン ISBN4-9901806-3-1 C0092 800円
763リーフレイン:2006/07/08(土) 21:22:23 ID:FhtYt10w
気が向いたら報告 その2

文学極道特集  狼 13号
ネット上で投稿された作品の年間受賞作品集
A5サイズ 表紙が硬くてピカピカしていて文字満載。硬派な印象。
(カノープスさんも載ってたりする。)
縦書き編集、長編詩が多。 アンソロジーなので読むのに力がいります。
764名前はいらない:2006/07/12(水) 10:31:22 ID:7g3wJvag
某氏が女の書く詩には期待をしないのだとゆう。
そうかもしれない。身体性の強い詩が多いとは思う。
別の男が、「女は子を産むだけで世界に繋がってしまうのだから、それだけでいいんだ」
とゆっていた。羨ましさと、慰めの両方が匂う言葉だった。
子を成すことと、人が孤立した存在であることは 関係がないのだと思う。
子はある時点までは「自分が孤立した存在」であることを認められない。
母は子の持っている幻想を支える必要がある。
彼が独りの重さに耐えられる程度に強くなるまでは。
765リーフレイン:2006/07/12(水) 21:08:43 ID:7g3wJvag
全て「一途」がほとばしるとき、人間は「歌う」ものである。
その人その人の容器に従って、悲しさを歌い、苦しさを歌い、
悦びを歌い、笑いを歌い、無意味を歌う。それが一番芸術に必要なのだ。
これ程素直な、これ程素朴な、これ程無邪気なものはない。
この時芸術は最も高尚なものになる。素直さは奇術の反対である。
そして、この素直さから、その人柄にしたがって、泪の裏打ちをした笑いが
ほとばしるなら、それはそれで一番正しい。

「ピエロの伝道者」より抜粋 坂口安吾
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時々読み返さないといけない、、、
芸術なんとけったいなものをやっているわけではないけれど、
つい忘れてしまう。。素直であることは厳しい。
766名前はいらない:2006/07/15(土) 17:19:45 ID:TEgEryxM
地下スレ撲滅運動の会
767リーフレイン:2006/07/15(土) 18:51:21 ID:rLFNuILK


「常夜灯に燕の巣」  

雨あがりの夕方 むんっと沸き立つ足跡

月が痘痕顔晒してあざ笑い

蚊のなまぬるい羽音がえんえんと続く

鳴き枯れた咽喉に 髭しおたれて 

腹満たす猫飯待つとも

主帰らず

主帰らず



常夜灯に燕の巣 寄り来る夜虫の群れを見る

768リーフレイン:2006/07/15(土) 18:54:47 ID:rLFNuILK
あがりましたか、、、あがってますね。。お客さん、いらっさいまし。
769リーフレイン:2006/07/17(月) 20:05:07 ID:Pi9vgX/h
「幸福」

あたしは仕合わせでしてねえ
そりゃあもう、言葉には言い尽くせないぐらい
色んなことで仕合わせです

空青いですしね

からす、道路の真ん中で猫の死骸喰らってました
柔らかいとこから喰らうんですね あれは
腹つっついてます。

庭にコンクリートのたたきがあって、ひびがはいってるんですが
草が生えてきたんです。
よくよく見ないとわからないようなちっさな花が
さきっちょに咲いてるんですよ。
明日にはあれ抜いちゃわないとまずいんですが
今日はそれを見て
泣いてもいいかなって思います。

空青いですね。


770名前はいらない:2006/07/18(火) 10:19:58 ID:bU6pKNYl
地下で書くなら日記か馴れ合い
太陽の下でその生白い肌を焼け
771リーフレイン:2006/07/18(火) 20:24:19 ID:6Zzvtc6n
ゼッケンさんとこでお世話になったのでお礼をこめて
詩の会を開こうかと思います。
2ラウンド形式。得点は不詳葉っぱがつけさせていただきやす。。
参加者募集 (先着5名)
772リーフレイン:2006/07/19(水) 08:53:46 ID:60tkpBg1

一本の美しい花があり
少年と少女がそこにいる
どうしてか少女はその花が自分に属するもののように感じ、
優先的に愛でる権利を持っているかのごとく振舞う

少年は本当はそっと眺めていたいだけの花を
なぜか折り取って傍らの少女へ捧げるか
あるいは靴で踏みにじってしまわないといけないような気になってしまう

何かを捧げられる少女はもういないのだ
少女たちは自分の手で花をむしりとることができるのだから
だから少年は、安心して自分のために花を愛でる

手の中のむしりとった花を見つめる少女は
一体この花をどうすればいいのだろうかと途方にくれた


773リーフレイン:2006/07/20(木) 21:26:46 ID:MGejQ+u3
詩の会 募集あげ。。( >>771 )
5人。 1ラウンド目のお題は 「夏」です。 2ラウンドまでお付き合いしてください。
点数は持ち点1ラウンドごとに3点を適当につけさせていただきます。
774ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2006/07/22(土) 06:50:15 ID:oBvo0RGz
「八月はさよなら」

八月はさよなら
水面を切る光 からだを伸ばして浮く
雲といっしょに流れる
つかめない空 ロケット花火に点火
ひたいにかざした手のひら
葉ずれの風
775し ◆FCXRNaWgHs :2006/07/22(土) 15:47:47 ID:J63p5Q82
「扇風機」

エアコンなんか消して
扇風機をつけなきゃ
それでもって
いつものあれをやるのです

あーー やっぱ夏はこれにかぎる
片手には冷えたジュース

あーー 宿題やらなきゃ
むりやり机に向かってみれば
紙が飛ぶ飛ぶ
風鈴鳴る鳴る

スイカでも割ろうかな
あまり好きじゃないけど

あーー 今日は
悲しいほどに 夏休み
あーー 僕は
苦しいぐらい 夏が好き なのに

夏はたった43日で終わっちゃう
776リーフレイン:2006/07/22(土) 21:41:32 ID:OhoUkTEC
2名様、エントリー。。ありがとうございます。。夏ですねえ。。。
夏です。
777エントリーNo.3 ◆xB9KelIVCM :2006/07/22(土) 22:00:56 ID:OGC45BrZ
「テトラポット」

ドラマで見たぜ、ロマンチックな海辺の出会い
映画で見たぜ、夕日が沈む水平線
主役を目指して勇んで出かけた
海パン姿の小僧ども

練りに練った口説きのセリフもどこへやら
化粧面したグラマス姉ちゃん前にして
尻がはみ出た水着をからかうだけの
海パン姿の小僧ども

だいだい色した空を背中に
寄り添う二人の影もなく



波打ち際には花火の残骸、コンドーム
かたわら寝転び、片手に缶ビール
青空を背にした昔の海パン姿に
懐かしさを込めて
涙を浮かべて
ひとり

乾杯!
778北 ◆FUCKcjokcg :2006/07/22(土) 22:25:27 ID:YtJZNmuE

「味噌汁」

昆布や若布が海の中で

もっとも夢に近い場所で

揺れているというではないか

でもさ、彼等の夢はいつも

思い出と背中合わせに

あるというのは

なんか切なくなるね。



779リーフレイン:2006/07/22(土) 22:46:03 ID:OhoUkTEC
3番さん、北さんご参加感謝。。。
あと一名お待ちいたしております。。
780c:2006/07/23(日) 13:32:57 ID:ca3wVvJX
「夏」

この地、この丘、ひたすら照って現れている。

青と群青、黄金色の、深緑の畑(はた)、painterの業。
(作者の名前は皆が知っている)

君と私がそれぞれ被った、いい振りのはずの可笑しな帽子、
そんな物に意味はないのだと
ひたすら、ひたすら、気付かせてくれる

ああこの台地はまた明瞭過ぎて
端も期限も目の後ろから後ろ、区切れるものなど一つも見えない
右も上もなく、どの空もまた、今年のひと月は迸りすぎて
滲みて、滲みて、滲みて、目が眩むよ

自尊を省みず君を愛そうか
ほら凄い画だよ、と言い顔を並べて
一緒の画の中にいる、一瞬の、ひと月の、同じ中にいる。


781リーフレイン:2006/07/23(日) 14:49:15 ID:04Uy6KAu
5名集まりました、ありがとうございます。

エントリー1番 >>774 :ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 「八月はさよなら」
エントリー2番 >>775 :し ◆FCXRNaWgHs 「扇風機」
エントリー3番 >>777 :エントリーNo.3 ◆xB9KelIVCM 「テトラポット」
エントリー4番 >>778 :北 ◆FUCKcjokcg 「味噌汁」
エントリー5番 >>780 :c 「夏」

第一ラウンド 評、得点 明日の晩までお待ちください。
染み渡るように甘美な夏に浸っています。シバラクは点数を忘れて噛み締めてきますね。
782リーフレイン:2006/07/24(月) 19:56:21 ID:B+gG02ew
すいません、、ちょっと寝込んでしまったので も一日。
783リーフレイン:2006/07/25(火) 10:33:50 ID:I4TbKbbw
1ラウンド目 寸評。
情景とその情景を裏打ちする情感が両者ともに見事に浮かび上がる詩が
集まりました。点をつけるつけないという無粋な話はさておき、本当にありがとうございます。

>774ゼッケンさん 「八月はさよなら」
この水面は湖水でしょうか、どこか涼しげなものを感じます。葉ずれの音が聞こえる
せいですか? 静寂がバックに流れる風景。
題と冒頭でいきなり夏の惜別が唄われます。ああ、夏の熱さは別れを内包してるんだっ。
断片を抜き出した夏の鮮烈な風景、その風景は主題の「さよなら」に沿うかのように
別れのイメージを誘い、最終行で静かな葉ずれの音へ収束します。胸が痛い。
ゼッケンさんの詩はヤケッパチにはちゃけた詩と、どこか青年らしい叙情詩をよく読みますが、
この作品は後者のタイプでした。主人公からの視点でもって美しい夏の風景を切り取りながら、
タイトにテーマを描いた良作。 

>775 しさん 「扇風機」
共感しまくり。。あーーという擬音が最高。扇風機のまん前に陣取って顔を扇風機に当てながら
あーーと振動する音を楽しんでる姿が思い浮かびます。。
しさんの詩は背伸びをしない、のびのびした詩で、思わずにやりっとしてしまいました。

>777 エントリーNo.3さん 「テトラポット」
短い詩行の中に、すっきりと長いストーリー構成が畳み込まれています。
かなり書きなれている方の手ですね。
海に心を躍らせる小僧ども(その心はかなりなんつかロマンチックかつエロチックな願望を
埋め込んであるっ!)2連目で百戦錬磨のおねいさまを前にあえなく轟沈w。
3連目の鮮やかな描写は落胆に終わった冒険。
4連目、前連が過去の記憶であったことを明示しつつ、現在の海辺の姿を描き出し、
なおかつその轟沈した記憶でさえ懐かしむ今の自分に涙し、
過去へ、今へ、そして 人生へ 
乾杯!。
多分主人公は壮年の男性なんでしょうか? 嫌味のない”懐古”が乾杯の一言で肯定的な
なにものかへ昇華されたように感じられて、読後感がものすごくいい。
784リーフレイン:2006/07/25(火) 10:38:25 ID:I4TbKbbw
>778 北さん 「味噌汁」
不条理な連想イメージの名手ですが、今回は 海が味噌汁の椀になっちゃいました。
冒頭3行、味噌汁になった海のなかで揺れる昆布やわかめがシュールに浮かびます
で、4行目から、ここは実は評価の分かれ目!
めずらしく北さん、読者を詩の中に引き込んでます。いきなり切なくなるよね?っと尋ねられた
あたしは、「まったくそのとおりで」と答えたくなってしまいました。
詩の中に場所をあけていただいたような、暖かい気分。
一方では、この時点で、味噌汁椀になった海は、北さんとあたしの目の前にある朝食のお椀に
ひきもどってまいります、イメージが二重になった瞬間でもあり、壮大な海の味噌汁が
朝食の椀にもどっちまったザンネンな一瞬でもありました。
どっちをより評価すべきか、微妙な一作であります。

785リーフレイン:2006/07/25(火) 10:39:29 ID:I4TbKbbw
>780 cさん 「夏」
ええええん、泣けたよお。。美しい。あたしは、この詩、沢山の人に読んでもらいたい。
cさんは、ここ1年ほど、食べてしまいたいほどかわいらしい、愛情に満ちた赤ちゃん詩を数多く
書かれてきたんですが、それが、一方で書き続けていた少しアンニョイな抒情詩と旨くマッチングした傑作です。
冒頭2連、絵画的に切り出した夏の風景はどこまでも広く、どこまでも美しい 自然でした。
3連目の 「いい振りのはずの可笑しな帽子」このセンスの良さに脱帽。
風景の中にいる自分と誰かの姿がユーモラスかつリアリティを持って迫ってきます。
そして4連目 ここはもう、浸るしかない、
>端も期限も目の後ろから後ろ、区切れるものなど一つも見えない
明瞭でありながら、簡単にはでてこない言葉にめまいを感じながら、どこまでも続く夏に滲みて、滲みて、
そして、最終連
>自尊を省みず君を愛そうか
に篭められた確固たる自我へのプライドとそれを越える愛情が、抱き上げられて親子の顔を並べた姿を
>一緒の画の中にいる、一瞬の、ひと月の、同じ中にいる。
どこまでも続く夏の台地に写しこみ、その刹那を文字に焼き付けたような喜びと痛み。
作者は、この風景がこの一瞬が、本当に一瞬であるのだと理解している。なおかつ永遠でもあるのです。

今回のみなさんの夏は根底にあるものが似ています。
風景(および記憶)そのものへの愛惜みたいなものがそうなんじゃないかと思います。
そして その風景が一瞬でしかないことを知っている。
詩を書くというのは案外そういうことを書きだす作業なのかもしれないと、少し考えこみました。
786リーフレイン:2006/07/25(火) 10:53:15 ID:I4TbKbbw
点数
ゼッケンさん 「八月はさよなら」 2点
しさん    「扇風機」     1点
エントリーNO,3さん 「テトラポット」 2点
北さん  「味噌汁」  1点
cさん  「夏」 3点

2ラウンド目のお題は 「祭り」 。
787リーフレイン:2006/07/25(火) 12:27:55 ID:I4TbKbbw
ゼッケンさんのスレッドで、クレームタイムがあって、楽しかったので
今回もぜひ、みなさん感想を。。(点つけちゃったんであれですが、、
なるほどおおおと納得すれば、変更するかも、、かも、、かも?あれ?)
788名前はいらない:2006/07/25(火) 23:38:12 ID:lEm3YcP1
>リーフレイン
感想(評?)ありがとうございます。そしてお疲れ様です。
自分の詩をあらためて人に説明する、ということは初めてでして、
なんか、少し不安ですが、ちょっと試みてみます。

書く前、夏という語からイメージするものを単純に描写しようと思った。
海、入道雲、花火、浴衣等など。で、まとまらないので、思い出を「思い出して」みた。
で、おっしゃるとおりですわ、私の思い出。
ただ、壮年の男性ではなく、青年なのですorz
「夏だ、海だ、セックスだ!」ってのに、憧れていたイガグリ頭の厨房たちが、
まぁ、成長して青年になった時、確かにそんな「夏」を体験したのだけれども、
友達とワイワイやっていたあの頃のほうが、一夜限りの人と過ごす夏よりも
はるかに貴重で、懐かしく、自分には、今、あの頃みたいな友達は
ひとりもいねぇなぁ、って感じ。

平日はあまり来れないので、何とか今夜中に「祭り」投稿します。

ありがとうございました。
789エントリーNo.3 ◆xB9KelIVCM :2006/07/25(火) 23:41:32 ID:lEm3YcP1
すいません、名前入れ忘れました。
790エントリーNo.3 ◆xB9KelIVCM :2006/07/26(水) 00:16:26 ID:VwW72eEV

 「無我夢中」


怒声ともつかぬかけ声がリズムを刻む
調和を嫌って つんざくカネの音 乱れ打ち
見ていたはずが のみ込まれ
聴いていたのに 溶けあった

脳が揺り動かされて心臓は?
混濁する意識がひとつ
流れる涎はぬぐわれず
刹那をとらえて瞳は何を見た

神輿じゃあるまい
空っぽの
神輿じゃあるまい

燦燦とした陽光の下
原始の律動は夏にこそふさわしく
血走った眼は青空に
眩しくて
明るくて
白くなった青空に

 
791cレール ◆n/ANJuS0Pg :2006/07/26(水) 00:17:56 ID:fIFxxGUe
cです。リーフさんありがとうございました。
一日の疲れが吹っ飛びましたよー(嬉しくて)。

こちらはほんとは毎日悪天候で、皆様の暑い「夏」で私も季節感を取り戻していた感じです。

大抵レス窓見ながら直打ちで書くんですが、
今回いつものようにぼっちらぼっちら打って書き込みボタンを押したら
何か固まってしまったんで・・・、

その状態で表示されてた後半半分を紙に書き写し、
前半を思い出しながら書き直しました。

一瞬泣きましたが結果的に推敲になって良かったかも知れないですね・・・。

書いた背景の種明かし・解説はつまらなくなるので今回伏せておかせて下さい。

ではおやすみなさいませ・・・。
792ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2006/07/26(水) 04:12:38 ID:1h3I96oy
リーフさん、ありがとう。
ヤケッパチ(現在)→やつあたり(夜)→美化(泣き)→現在に戻る
ダメ男スパイラル。ゼッケンです。

5人並べてみると、どうやら現在進行形の夏を過ごしてらっしゃるのは し さんだけのご様子。
せつないっ!
この状況がせつない。
793し ◆FCXRNaWgHs :2006/07/26(水) 15:04:06 ID:0TbDZVEB
「マツリバヤシ」

風が吹いても
台風 来ても マツリバヤシ

息を吸って 吐いて
人ごみのなか 隙間を縫って
たどり着いたら マツリバヤシ

ああ 楽しい 楽しいな

雨が降っても
雷 鳴っても マツリバヤシ

悪夢見て 飛び起きて
夕暮れのような表情でも
また眠り込んだら マツリバヤシ

雪が降ったら マツリバヤシ
晴れてくれたら マツリバヤシ

ああ 楽しい 楽しいな
ずっと こんな風に生きていけたらいいのに
794し ◆FCXRNaWgHs :2006/07/26(水) 15:06:33 ID:0TbDZVEB
>>783
リーフさん評ありがとうございました
795北スペシャル98 ◆SkTIcYmWdg :2006/07/26(水) 22:40:58 ID:YauVsE/r
>>781
ありがとう
796ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2006/07/27(木) 01:33:24 ID:KS+ygBDl
「夜祭」

大人たちに連れて行ってもらったお祭りの夜は楽しかった
いちいちねだっては買ってもらったりんごアメ
いつも食べきれずに残した
いまなら残さずに食べてしまえるが 買わない
傷んだりんごはおいしくないことを知っている

いまは
日が落ちてにぎやかな
色とりどりにぶら下がった提灯を見て歩くぐらいで

離ればなれになっていく宇宙

いまこの瞬間も広がりつづけているそうだ、ぼくたち
火星人さん、こんばんは。地球人です 水星人さんも
金星人さんも今夜はいらっしゃってます イオからも
タイタンからも 土星の輪っかで潮を吹き上げる鯨も

太陽の周りで手をつないで踊った
天の川銀河の川原から
白鳥座に上がる超新星の花火を見た チョキン
星雲の蟹がはさみをふるって

ぼくはこんなにきれいなものたちから離れていっているのだ

祭りの夜、手をつなぎ、いっしょに歩いた人たちは
手を伸ばしてもやがて届かなくなる場所へと
それぞれ御用があって

宇宙が縮み始めたら また あいましょう
797リーフレイン:2006/07/27(木) 07:49:32 ID:9Qgni5kR
「雨の日」

コロシアムには雨が降っていた
広い闘技場の地面に整然と並べられた卵型万華鏡を
眺めながら、明日の見回りが重労働になることを覚悟した
卵型万華鏡は転がりやすい
打たれる雨で変わる模様は そのまま誰かの人生で、
突然の運命の変化をもたらすだろう。
深いため息をつきながら、彼らの人生がさほど厳しいものでないようにと
祈りを捧げ、今日は闘技場の地下で卵型万華鏡を作る

風にふかれてことんと回る
いたずらな雨の前足でことんと
回る 
コロシアムに吹く風と 隔たりの無い日光を受けながら
多彩な模様を描きだす

時が尽きた万華鏡は砂の城が崩れ波にさらわれるように無くなってしまい、
跡には一握の灰が残る
明日は、そうなってしまった灰をかき清め、今日作った万華鏡を置いて歩く

風にふかれてことんと回る
いたずらな雨の前足でことんと
回る 
流転する人生の卵が気まぐれに回って
いつか、コロシアム模様も描くだろうか?
798リーフレイン:2006/07/27(木) 07:51:44 ID:9Qgni5kR
「雨の日ー展開」

少年の夏の葉には蛇の抜け殻の模様がついている
彼があの時流した涙は自己嫌悪の錆びた味がする
乳飲み子の口に含んだ乳は黄色くて甘い 母からもらう最初の贅沢
一生の間働きつかれ黒ずんだ農夫の爪を真綿に包もう
乙女の破瓜の瞬間に呑み込まれた甘美な悲鳴は誰の食卓に上ったのだろうか
朝一番に結ばれた芋の葉の露を舐めたのは、一夜中眠らなかった猫だった
今年最初の葡萄を手に乗せた幸運を 一行の詩に引き換えてしまった後悔
恋人の靴の軽快な音色
夜の風車の風音は泣き女の死者の予言に似ているから、耳をすませてはいけない
女郎蜘蛛が食事をとった 祝祭の生贄
磨かれていない石英が砂山に混じって光る
記憶の断片を次々と結晶化させて 雲のハンマーで砕いた


799リーフレイン:2006/07/27(木) 07:55:18 ID:9Qgni5kR
2ラウンド目作品待ち。

(この2作目って難しいです、ゼッケン杯のときしみじみ)
クレームタイムご参加ありがとう!
800名前はいらない:2006/07/27(木) 16:37:59 ID:/PgKm6/L
美夕タソまた三行スレでエロチャ希望(*´Д`)ハァハァ
801名前はいらない:2006/07/29(土) 13:42:07 ID:anPpz5pU
日に焼けた破れ障子
風吹いて馬哩雑言
天井の染みが怒り狂って
泣いたアカオニ 石の下

ほんとあ他人様なんてどうでもいいよ
ただ寂しいっからさあ
安っぽい心配振りまいて

安っぽさにいやけぇさして
黙って障子戸しめたんは
どんな心配でもないよりましだって
わかる前の話だったさ
802リーフレイン:2006/07/30(日) 08:54:27 ID:++SA7yQX
北さんとcレールさんの2ラウンド目投稿を待ちながら、
気が向いたら報告ポエケット戦利品 

駅員観察日記  松岡宮

B5サイズp64 手作り装丁、カラーコピーの表紙
縦書き3段組 フォントサイズは10ぐらいかな?写真コピーが随所に入る。
大きい紙一杯に文字がつめこんであるのでお得感。
散文詩、主観パラダイス(パラダイムではなくて)な観察日記
64Pという量が圧巻。鉄道員さんとキスができる!w
803リーフレイン:2006/07/30(日) 08:55:32 ID:++SA7yQX
気が向いたら報告続き

hotel 第2章 no.14  (500円)
A5サイズ p50 縦書き編集 クリーム色の凹凸のある表紙の中央に薄い灰色1色の
シュールな絵本のようなイラストが印刷されている。小さなロゴで左上にタイトル 全体に上品。
ポエケット主催してくださっているグループ同人誌中身は、昔の歴程を思い出させる端正な趣がある。
同人の数人がフォーラム参加者(フォーラム主催者も含む)ということでもあり、
フォーラムで読むことが出来る作品も混じっていて既視感。
野村喜和夫氏の散文詩(いや散文そのものかもしれないが)光の成就/老年の日
から、”人生は永遠よりほんの少し短いだけだ。”という文字列に心がとまった。


えこし通信  創刊準備8号 (詩と詩論と文芸作品の詩誌)
A4サイズ28P(A3のコピー紙を重ねて半分に折り曲げてある、閉じていない。日刊新聞のような雰囲気)
1段組、2段組み、3段組編集に、新聞タイプの多段構成の宣伝頁も含んでいる。無料配布?
1998年より 詩人中村文昭氏を中心に発会。
詩人吉原幸子の小特集が組まれていた。非常に丁寧で読んでいて気持ちがよい。
804リーフレイン:2006/07/30(日) 08:57:04 ID:++SA7yQX
GRAIL-2005 春号 Vol.4
龍生塾 発行 B5サイズ 薄いブルーグレーの光る素材の滑らかな表紙、昔の聖書の挿絵のような
イラストが下半分に四角く額縁を切って薄いブルーで印刷。 98P (800円)
詩人長谷川龍生を中心とした同人誌。読み応えあり。 
作品部分は1段組でフォントサイズも大きいためか、妙に読みづらさを感じた。
詩作品はそれ自体が視覚的効果を狙うので、むやみと一杯詰め込んでも機能しづらいが、
大きく載せるのも良し悪しらしい。
全体に”余裕の筆力”というような安定感。


馬野幹攻略本 
激辛正当派氏が冒頭に2CHとの関係を書いていて、当時を知らない自分には
かなり面白かった。今の板と比べて、さぞダイナミックだったのだろうと少々羨ましくもある。
805北スペシャル98 ◆SkTIcYmWdg :2006/07/31(月) 06:57:31 ID:cX88IVzu

「祭り」

ああ、脳味噌に虻が飛んでいる。

ひまわり





806北スペシャル98 ◆SkTIcYmWdg :2006/07/31(月) 06:58:53 ID:cX88IVzu
おまたせしてすみませんでした。
807リーフレイン:2006/07/31(月) 12:33:34 ID:zvqghfTm
>>806
北さん、催促しちゃってすみませんでした、ありがとうございます。。
808c:2006/08/01(火) 00:13:51 ID:oYRndWF8
「祭りリアル」

さあこの時刻 洗濯物と夕飯を早く片付けようよ

浴衣地域の踊り観光客と地元客の混ざり合う吐息
お祭り電車交通規制ありゃ回り道して帰らなきゃ!

沈む夕日が待ちきれなくて
港そわそわ
船はゆらゆら
坂道はむふー
教会はしーん
一番笑いを我慢していた極彩色の大輪の火花

寝ぼけまなこの海鳥たちを散らし
それは爆音、それは閃光、白以外の色、
次、次、散り、散り、
ああ、ああ、明日は皆で踊り歩くね

月と同じ高さにいるから
ここからはよく見えるよ見える
ほら全員の驚く顔まで

・・・笑ってる?笑ってるよ!
809リーフレイン:2006/08/01(火) 08:22:39 ID:uxOtZhPs
揃いました、、夜までお待ちください。
810c:2006/08/01(火) 09:23:47 ID:oYRndWF8
ドン尻、げれっぱ、ごめんなさいm(_ _)m
811リーフレイン:2006/08/01(火) 22:44:16 ID:uxOtZhPs
>>790 エントリー No.3さん 「無我夢中」
お題、祭。勇壮な神輿の情景に巻き込まれていく。

なわけなんだけど、実はこの作品は5作品中で一番フラストレーションの高かった作品で、
非常にうまくて、構成も言葉回しもいいのだけれども、詩に入り込んでいない
雰囲気があって、なんというのか、まどろっこしかったです。
あたしの師匠と仰いでいる人がですね、「詩なんて一番自分の痛いとこを書かないと
あかん」ってゆうてるんですが、手馴れてしまった作品は妙に予定調和的で
及び腰というのかな?詩と本気でお付き合いしてないような気がします。

1連目の ”怒声ともつかぬ” がちょい勢いを削いでしまってますが、
速やかに神輿かつぎの若衆にとりこまれていく様があざやかです
2連目、3連目、ここはゆうことない。3連目もいい展開。これはどういう情景に
転んでいってもきちんと受け止められる綺麗な誘導。
で、実は問題が4連目ですね。祭の熱気の中にいた読み手はここで突然
観客に戻されます、しかも、なんつか予定調和的な〆に逃げられて
しまったようで、そこまで続いていた熱気がさわやかに拡散してしまう。
これはないんじゃないのーーーというのが本音でした。

812リーフレイン:2006/08/01(火) 22:46:34 ID:uxOtZhPs
>>793 しさん  「マツリバヤシ」
1ラウンド目と同様に、素直でつっぱっていない詩が素敵です。
ちょっと想像して笑ってしまったのがこの「マツリバヤシ」を「2ちゃんねる」に置き換えてしまっても
成り立つななんて。。。
最後の一行が気になりました。
蛇足とみるべきか、それともこのおかげで詩にアイロニーが入ったとみるべきか。。
うーーん、もう一つ推敲が欲しいとこかな?

>>796 ゼッケンさん 「夜祭」
宇宙人と夜祭が融合。
>離ればなれになっていく宇宙
>ほくはこんなきれいなものたちから離れていっているのだ
>宇宙が縮み始めたら また あいましょう
というフレーズが素敵。
ゼッケンさんは疎外と希望をテーマに書くのがうまいです。

>>805 北さん 「祭」
センスいいんだけど、夏が思い浮かんじゃいました。
ひまわり のせいかな? 

>>808 Cさん 「祭リアル」
ごくありきたりな内容なのだけれども、言葉の選択が抜群にいいです。
やわらかくて、よそ行きでなくて、あったかい。
地に足がついた良い詩。
813リーフレイン:2006/08/01(火) 22:47:18 ID:uxOtZhPs
さて、2ラウンド目点数です

エントリーNo.3さん「無我夢中」 1点
しさん       「マツリバヤシ」 0
ゼッケンさん    「夜祭」  1点
北さん       「祭」    1点
Cさん       「祭リアル」 2点

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
というわけで、優勝は、総合5点となったCさん!  おめでとうございます
次点は エントリーNO.3さんと、ゼッケンさんでした。

みなさん、ご参加ありがとうございます。
2ラウンドセットってかなり厳しいですねえ。あと、締め切りも設定しておいたほうが
どうも親切だったような気がしました。申し訳ありません。
よかったら、感想なぞよせてください。。
814c:2006/08/01(火) 23:26:50 ID:oYRndWF8
皆さんごめんなさい。
私実は2ラウンド制の意味を理解しておりませんでした。
一作でもういいものだと思っていたので二作目を慌てて投稿しましたが、
PCの使えない日だったので改行もきっと変なままだと思うし・・・

点数など頂く価値ないです、重ねてリーフさん皆さんすみませんでした。
815野次異 ◆34law0hz56 :2006/08/01(火) 23:38:13 ID:zwGAq5N/
割り込みごめんなさい♪
見させてもらったけど、Cさんの作品は上出来だと思います♪
つかウラヤマシス♪ 勢いで書いたら上出来だったというパターンではないでしょうか?!
816ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2006/08/02(水) 04:15:14 ID:/WHT2O9P
詩集「はみちん」序文

ぼくは戦後昭和という時代の第二次ベビーブームにより生まれた。
映画やテレビや漫画では自らの科学技術によって人類は華々しく何度でも全滅した。
あらゆる事件がスパイの陰謀だった。
ベルリンの壁は越えられないものだったし、日本列島は不沈空母だった。
みなは学校に行って、学校の窓を割った。ぼくはしょっちゅうずる休みした。
ぼくの十代の終わりに人々はベルリンの壁を両側から登った。
よろこびの歌が響き渡って冷戦は終結し、日本では地上げが始まった。
おとなたちは世界に幕を引く潮時を逃したようだった。
ぼくらは日本で最後に大量生産された世代となった。
バブルが崩壊して20代はじめのぼくらは余剰だった。そして気楽だった。
ぼくらの大部分に時代はあまり味方したように思えない。
しかし、縛りつけることもなかった。
時代はぼくらに疎外と希望しか与えなかったが、両方をきちんと与えてくれた。

こんな感じ? ありがとう、リーフさん。

cレールさんの、いいですね。
817し ◆FCXRNaWgHs :2006/08/02(水) 19:41:49 ID:STlP/l69
僕も2ラウンド制よく解ってなかったw
評価ありがとうございました。
818リーフレイン:2006/08/02(水) 20:26:43 ID:ewIKygiB
>cさん
多分ね、どの方も急いで書いて急いで投稿なんじゃないかなw。。
いい詩です。改行もばっちり決まってます。

>野次異さん
あたしもそう思います。

>ゼッケンさん
めずらしいですね、現実が垣間見えるような詩。
最後の一行からさらにいい詩が生まれそうな気します。

>しさん
やっぱ説明不足だったですね。反省してます。
またいつか開催したらよろしくーーー。(楽しかったです)
しかし、強豪ぞろいでしたね、あたし書くほうじゃなくて良かったーーなんて
ちょっと思っちゃいましたよ。
819リーフレイン:2006/08/02(水) 21:03:50 ID:ewIKygiB
「くびくくりの木」

小学校裏の、共有地だった林の端っこには
くびくくりの木と呼ばれている木があった。
林の奥はすぐ裏山に繋がっていて、山の上り口でT字路になった
道が林の真ん中を通っているのだが、そのT字路の西へ曲がった
行き止まりにその木はあった。 どうにも枝ぶりがよかった。
普段は人気もないない上に、そこからの眺めが妙に良くて、
奇妙な音のついた風に吹き晒されている場所だった。

くびくくりというのもどうやらスタイルがある。
手ごろだからといって、物干し竿にぶら下がるのはまずい。
できるなら、太い梁に古式ゆかしいロープか、
あるいは緋色の襦袢紐でぶら下がりたい。
安アパートの一室ではちとあかんような気がするのだ。
その点、くびくくりの木には伝統がある。
最初のくくったのは 裏山の中腹にある禅宗の寺の小僧さんだったという話しだが、
男に逃げられたおなごであったり、徴兵から逃げた男だったり、
最近では都落ちしてきた中年の男がくくって死んだ。 

小学校では決して言ってはいけない罵倒というのがあって、
それは「お前なんかくびくくりの木でくくっちまえ」という罵倒だった。
どんなに怒ったときでもそれだけは口にしてはいけなかった。
たった一度だけ教室の中で聞いたことがあるのだが、
あの瞬間、皆一様に押し黙り、室温が3度は下がった。
口にした当人も蒼ざめて、こわごわと後ろに視線を迷わせた。
きっと彼はあのとき、くびくくりの木の誘いの声を聞いたのではないかと思う。
820 ◆mooN.KttY. :2006/08/02(水) 22:22:10 ID:7jsBqrHB
うちの近所に通称くび吊り神社というものがありまして
マジに数年周期で(ry
821リーフレイン:2006/08/02(水) 22:26:51 ID:ewIKygiB
>>820
悪しき伝統ですかね、、そういう場所というのはできてしまうと
つい犠牲者を増やす傾向がありますね。
822とある湯治場:2006/08/07(月) 09:17:36 ID:2J7ZySHi
一歳ぐらいのちいさなもみじのようなてのひらが、縁にずらっと並んでうごめいている。
ほんのりと紅く染まったかわいらしい手を踏んづけてしまわないように気をつけて湯船に浸かる。
気になってしかたがない手は、手だけしかなくて、
湯船の中に子供達が潜んでいるなんていうこともなかった。
健康そうな血色で、おおらかな動きをしていて、死んだ子の最後の助けを求める手というよりは、
こっちを見て欲しい幼子が父母に向かって振る手のようでかわいらしい。
だが、手しかない。

同じく湯に浸かっていた酌婦が嫌そうな目でこちらをのぞき見る。
視線をはずすことができないまま会釈をする。返礼はない。
嫌らしい優越感の壁がぎぎぎぎと音を軋ませながら湯船の中に立ち上がる。
旦那を捕まえて、子を産み、容色の衰えが人生に直結しない女の傲慢さが立てた壁。
乳房のゆるみは乳を含ませたやわらぎで、クリームを舐める猫ほどに満ち足りている。

一人の女がもう一人の女を見て思い巡らすことはなんと無礼であることか
赤子の手のオブジェに指をからませながら、目を閉じて湯の侵食に身をまかせた。

赤子の手
乳を飲みながら乳房を押さえる
眠る間も母の肌を探す小さな
握り締める 手
涙が頬を伝うのがわかる。 もう一人の女もきっと湯気の向うで泣いているのだろう。

ああ、そうか、この湯治場は
逢えなかった子と逢うための湯で
通り過ぎてしまった追憶の涙なのだ。
823 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/08(火) 02:07:06 ID:5F0rQ1qA
公衆便所脇ヤプ十番勝負実況所

リーフレインさんと一番勝負したいです

受けていただけますか?

お題はリーフレインさんが出す。

作品発表日もリーフレインさんが決める

審判員3名によるジャッジいう流れです

是非一番勝負してください


ぺこり
824zekken ◆ZkkenDgUE6 :2006/08/08(火) 02:10:19 ID:N3FgXD4+
審判させてください。こりゃ楽しみだね。

>>822 泣けてしょうがないです。ありがとうございます。
825 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/08(火) 02:23:23 ID:5F0rQ1qA
>>824
ゼッケンさん
審判ありがとデス

ヤプ十番勝負には
ゼッケンさんと○番勝負
第2回天下一決勝で負けたリベンジとして



おーいぇ
826リーフレイン:2006/08/08(火) 08:39:19 ID:olegnCtb
>>823 ヤプさん
はい、喜んでお受けいたします(ちょっと怖いけど)
ですが題は是非一人目の審査員のゼッケンさんにお願いします。期日だけはすみませんが
お題提示後3日ください。。(すいません即興詩が苦手でして。あとPC時間制限が近頃やけに厳しくて。。。)

さて、鬼が出るか蛇がでるか、、、ハズカシデス、、
(ヤプさん、放浪詩人さんみたいでかっこいいです。)
827リーフレイン:2006/08/08(火) 08:42:25 ID:olegnCtb
>ゼッケンさん、湯治場読んでくださって、ありがとうございます。 んでもって、よろしくお願いします。
828 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/08(火) 08:55:46 ID:5F0rQ1qA
公衆便所脇ヤプ十番勝負/リーフレインさん

リーフレインさん勝負受けていただいて

ぺこり

ヤプも落書きを推敲しちゃたりしてカレーの二日目を目指しマス


ゼッケン審判員はお題発表

審判員さん募集中
829 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/08(火) 23:08:14 ID:5F0rQ1qA
公衆便所脇ヤプ十番勝負/リーフレインさん

審判員さん
ゼッケンさん
批評家ちっちさん
娘z1さん


リーフレインさん
VS
ヤプ

あとはリーフレインさんの進行日程に合わせます




ぺこり
830zekken ◆ZkkenDgUE6 :2006/08/09(水) 00:24:34 ID:Cp/eEUpK
お題「詩」
831リーフ携帯:2006/08/09(水) 11:30:21 ID:FJz0bVt8
ヤフーさん色々ありがとうございます

作品投稿期限は11日いっぱいまでとして 出来上がり次第投稿しましょう
2作品そろったら審査お願い致します。(引き受けて下さったお三方 感謝です)
ゼッケンさんお題ありがとう
832リーフレイン:2006/08/09(水) 14:55:30 ID:oMlfykdI
「コップの中の詩」  お題 詩  

なんだかすっかりやわな作りになってしまった近頃の傘は
数回雨にあうと、必ず骨が少し曲がってしまう。
もう1000円ぐらいは余分に出してもいいから、3年か4年は持つ傘が買いたいと
近所の傘直しのおじいさんに頼んでみると、
「もう、そういう傘は作らんようになりましたなあ。あっしの手で直せるのも1回こっきり。
傘そのものに気力がないんですぁ。
どうもかったるい世の中になっちまったみたいですぁ。」
と、ちょっとけだるい笑いを浮かべて答えてくれた。

気力、気力 と 口の中で言いまわしていると、口の中がまずくなってしまった。
むつかしいもんだなあと そばにあった芋の葉のしずくで口を漱ぐ。
裏の川の魚も、このごろどうも水が金臭いと文句を言うので、
すまんねえ と、とりあえず雨雲に「一雨降らして下さい」と伝言を送るが、
伝言板になっていた空が黄色く褪せてしまって、うまく書き込むことができない。

台風が来た。

むつかしいもんだなあ。

8分目ほどまで溜まったコップの中の雨は
くるくると回り始め
綺麗な竜巻を作ってコップの底からどこかへ流れていってしまった。

あたしもコップに消しゴムを浮かべて、どこでもいいから一緒に流れていきたいとまじめに考えるが
結局のところこうやって見送ることが、生活ってもんかもしれないと
残念に思いながら ほっとして空っぽになったコップを眺めている。
833 ◆b7XA3yg51E :2006/08/11(金) 01:58:32 ID:6gC3snfG
公衆便所脇ヤプ十番勝負/リーフレインさん

お題「詩」

ぼくの落書きの題「ぼくには幼くして死んだ詩人が宿っている」


青い空へと届いた空き缶


まだ、あの空き缶と空を追いかけている
834 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/11(金) 02:00:16 ID:6gC3snfG
>>833

間違った(汗)

ヤプです
835ちっち ◆FMiYTdsunc :2006/08/11(金) 04:58:44 ID:uFqk2T+I
「コップの中の詩」 by リーフレイン

第一印象、何かの寓話かな、、。プラスのオーラが出ている。

いきなり傘の話から始まる。傘修理のおじさんと共に。

>傘そのものに気力がないんですぁ。
>どうもかったるい世の中になっちまったみたいですぁ。

現在の日本を象徴するよな文章だ。勝ち組負け組という言葉は、私
としては、あまり好きでわ無いけれど、負け組の話なのだろう。たぶん。

無気力さは、今の日本に蔓延しているような気がする。少子化、ニート、
という言葉がある様に。要は、気合いが足りないのでわなくて、
気合いが入る余地さえ無いくらいの状況なのであろうと察する。

最終連が、少し解りづらいが、、、パラダイスという場所を意識しての
言葉なのかと思ったりする。


「ぼくには幼くして死んだ詩人が宿っている」by YAPoo

第一印象、驚きの2行詩。w プラスのオーラが出ている。

>青い空へと届いた空き缶
幼き頃、缶蹴りという遊びをしていた事を思い浮かべた。
思いっきり蹴り飛ばす爽快感は今でも忘られない。
あの頃に戻りたいとは思わないけど、今でも、缶蹴り遊びは楽しそうだ。


ジャッジ→リーフレインさんです☆☆☆☆☆
836zekken ◆ZkkenDgUE6 :2006/08/11(金) 09:34:34 ID:fBOpZEXh
>>832
作者にとり、詩は不穏なもののようです。
「コップの中の詩」は「コップの底からどこかへ流れ」、
作者は「空っぽになったコップを眺めて」「ほっと」する。

すぐに骨の曲がる傘しか売っていない世の中。
その中で維持することがまず第一の生活。
台風が来る。作者の心中に詩が不穏な渦を形成する。
しかし、日常の平穏を維持しなければならない作者は
「残念に思いながら」も、それを見送るしかない。
作者は台風一過の何もない青空で満足してみせなければならない。
この繰り返しに耐える強固な精神、感傷を感傷として留め置く「気力」を作者は欲している。

綱渡りをする熟練の道化がバランスを保つ棒をわざと振ってみせた、その直後のよろめき。

>>833
幼くして死んだという詩人に、まさに書かされた。
しかし、現在の作者は幼くもなければ死んでもいない。
いまを生きる作者は、だから、詩ではなく、
この瞬間しか残らない落書きをする、
はずだったが、今回は過去の死人に書かされたために言葉に本来の生気がない。
作者にとっての詩の説明としては過不足ないが、
それは出発点であって、詩をテーマにした作品までには至っていない。

こういう感じです。

リーフさんの作品の方が面白かったです。
837娘z1 ◆666.SaoPvk :2006/08/12(土) 02:21:16 ID:BmUN9Ax1
>832【コップの中の詩】リフレイン作
時代の空気を上手に比喩していて感心します。
此処に描かれているのはアンチ競争主義なのでしょうが、最終連でそれに対する悟りのようなものが描かれ、多くの人々が思うであろう覚悟と云いますか媚態と云ったら言い過ぎかも知れませんが、
大きなウネリに流されるさまはいつの時代も同じですね。
只、“消しゴム”というキーワードが出てきますけど、この言葉には力強いイメージがない。
けれど、お題に対する言葉としてはこれが最も無難なのでしょう。
“修正液”や“修正ぺん”なんて言葉も面白かったかも知れません。
兎角、“口の中がまずくなった”だとか“水が金臭い”だとか想像力が豊かであろうにも、
何となく余技で作られた印象を受けます。
まは、それでも全体の流れの中では、最も妥当な表現方法だと思うし、興味深い作品です。
個人的には、、、なんでしょう、、、お参考にしたい作品です♪

>833【ぼくには幼くして死んだ詩人が宿っている】ヤプー作
たった、二行のみですけど、伝わってくるものはビリビリときます♪
それは誰もが経験する幼い頃の遊びと無邪気なまでの青い空との戯れ
人は大人になるにつれて、空を見上げては嘆息し希求することが多くなる。
けれど、見上げれば幼い頃と変らないマンマの青い空が広がっている。
そんな空に空き缶を飛ばす表現はお上手ですね。
作者も我々もそれを追い駆け続けているのでしょう。
以前、ヤプーさんのことをハスラーなんてお呼びしているお人がいましたけど、セン五での評文などを見ていても、
この人はかなり詩作の上手い人だと思うし、詩が好きなんだと思う。
でもみんなこのキャラに騙されている。と云ったら失礼かも知れません。
で、三行目が是非欲しいと思いました♪いい2行であることには変りありませんが♪
838娘z1 ◆666.SaoPvk :2006/08/12(土) 02:22:53 ID:BmUN9Ax1
【Judge】迷う。この場合、お題に沿うているか、それ関係なしに片方に魅力があるかどうかで軍配を上げます。
今回、私の心の琴線を弾かせたのは、両者なのです。となると別の差異を見出さなくてはいけない♪
ヤプーさんの秀逸な2行とリーフさんの所々に見られる比喩表現や全体の構造とメーセージを比べると・・・・・・
リフレインさんの勝利であります♪おめでとう

拙い評文で毎度だうも♪ ※今回両作品とも面白い作品でした。
と同時にマイッタ♪
839娘z1 ◆666.SaoPvk :2006/08/12(土) 02:38:11 ID:BmUN9Ax1
【勝敗結果】
    リーフレイン vs YAPoo
     3  対  0
※ヤプー十番勝負・・・・・・初戦は滅多斬り・・・・・・先は長いぜよ
 お気楽にo(^д^)o
 ※仕切りみたいなことしてごめんね♪
840リーフレイン:2006/08/12(土) 11:23:21 ID:IxQGSS6Z
勝っちゃいました。、へへへうれしゅうございます。
審査のみなさんありがとうございました。
じっくり3人もの方に読んでいただけてなんというか、幸せです。。
それぞれに見るものが異なっていて、書いたほうも目をみはらされる思いです。

>ちっちさん
ふふ、負け組みの話ではないんですよ、、

>ゼッケンさん
そういえばねえ、傘直しなんていまどきはいませんね、昔は公園に傘直しのおじさんが来て、
みんな傘もって集まった覚えがありますが。
分かったすれでトリビュートしてくださってありがとうございます。そこまで厳しくは見てないんですが
どうでしょうかねえ、戦前の話で恐縮なんですがね、うちのおおじいちゃんと言う人はやけに隠居すんのが
早かったそうで、毎日文鳥を手に乗せてあすんでたそうですわ。まあ早くになくなったので体も弱かったでしょうね、
だけど家は貧乏のどん底で1円の金もなかったらしいですよ、、あ、つまりさ、もうそろそろ一つの転換期の中盤に
さしかかってんじゃあないですかねえ、、生活の質ってえもんを計る尺度をね。時間の流れの尺度って言えるかもしれませんが。
841リーフレイン:2006/08/12(土) 11:24:20 ID:IxQGSS6Z
>娘z1さん
丁寧に読んでくださってありがとうございます。詩書くってなあ一種の贅沢なんですよ。(生活至上主義的な観点からですとね)
とはいえ贅沢もないと人間にっちもさっちもいかん気もしてきてるんで中庸ってとこですかねえ。
あたしはセンスがない詩書きでして、光る言葉というのは捕まえることはできません。
どっちかってと泥臭いありきたりな表現で物事をとらえます。
詩という題を頂いて、浮かんだのがコップの中で渦を巻いている水で、小さな竜巻は物凄く綺麗でした
コップという小さな枠はあたし自身の限界であるかもしれないとも思っていました。
(だからといって悲観的になっているわけでもなくて、およそセンスのない詩が世の中に
あっても別にかまわないだろうなあとも思っています。)

ヤフーさん、刺激的な機会を作っていただいてありがとうございました。
あと9番、がんがってください。
ヤフーさんの詩はあたしの詩の真逆をゆくほうで、センスが光ります。
個人的には、あの題がネックで、(というのはあそこに含まれたメッセージは
インパクトが強い、それだけで独り歩きしちゃうほどのものだったので)本体の詩のよさを
殺してしまっていたような気がしました、もし、あの題でなくてもっと無機質な題だったら
あたし自身はヤフーさんの詩の瞬間の詩情の上質さを買いたいと思いました。
コップの中の詩は冗漫な散文詩の弊害を免れていないですね。
842リーフレイン:2006/08/12(土) 18:38:58 ID:IxQGSS6Z
「いやになるほどお天気だから」

お気に入りのパラソルさして
今日は浜辺でストリップパーティー

ブルーのペディキュア白のミュール
隣のおぢさんお誘いあげて

”おばさま一緒にいかがでしょうか?
坊やももちろんご一緒に ”
レースのパンティ 薔薇のブラジャー
お臍のピアスがグレイジーキャッツ
一緒に浜までダンス ダンス ダンス 

歌う懐メロ パラソルまわして
踊る筋肉、揺れるお尻、回る回る乳房が回る
今日は浜辺でストリップパーティー

踊るちんこ濡れる陰毛 ふるふる揺れるかんかん帽子
唇 舐めて 舌が見えるよ
白い歯だね フラボノ食べた?
ああん、にいさん かあいらしいわん

浜辺は裸でいっぱいだ 
843 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/12(土) 19:04:01 ID:E/YpHv3e
公衆便所脇ヤプ十番勝負実況/リーフレインさん

批評家ちっちさん、ゼッケンさん、娘z1さん

そしてリーフレインさん


ありがとうごさいますデス

感想はのちに書き込みさせていただきます


楽しませていただいてホントありがとうごさいますデス


ずんずんずんばらりんとぼくを斬る

844リーフレイン:2006/08/13(日) 14:43:29 ID:2/7suHit
>>843
ww、斬って欲しかったんじゃあありやせんかw
あたしも、勇気がでたらお願いにあがりまする、、(小心者)
845 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/13(日) 23:36:18 ID:lJOBCxtF
公衆便所脇ヤプ十番勝負感想/リーフレインさん

批評家ちっちさん、娘z1さんは立会人としてヤプがお願いしましたデス

ぜっけんさんは楽しそうだで立会人参加

そしてリーフレインさんが胸を貸してくれて

一番勝負は無事に

あーヤプざんばらりんと滅多斬り(笑)


これは立会人がいて一番勝負が成り立ったと思うのデスが


十番勝負で立会人を30人を誘うデス


リーフレインさん、また楽しみましょうね

皆さん


ぺこぺこり〜な

あざーっす


ぺこり
846リーフレイン:2006/08/14(月) 11:20:18 ID:LwY1ZEGu
「盆前」

真夏の墓石の
黴苔を削り取るようにしてサンドペーパーで磨く
荒っぽいたわしではいけなかった
墓石が磨耗していくのは思いのほか速いのだから

墓所に真夏のトンボが番う
しなやかにつながって飛ぶトンボは群れの中のほんの僅かだ

繁茂する雑草に
打ちひしがれる手を
持ち上げる 持ち上げる、持ち上げて
持ち上げる、ああ、君らはなんと生命に満ちていて
わたしは持ち上げた手で刈り取らなければならないのに

真夏の空に
疲れきった一杯のビールは気の抜けた苦味が生ぬるい
847エントリーNo.3 ◆xB9KelIVCM :2006/08/16(水) 11:44:10 ID:3Ir633w5
>>811 寸評ありがとうございました。で、レス遅くなり、ごめんなさい。

>>790は、お題からアポロンとディオニッソスを連想して書きました。
タイトルを「オルガズム」か「絶頂」にしようか迷いましたが、
フラストレーションを感じさせる結果になったようなので、
最初に浮かんだタイトルをそのままにしておいてよかったと、ホッとしました(笑

お題にもとづいて詩作することがあまりなかったので、今回参加してみて、
気がつくことも多く、楽しかったです。
また機会があれば参加したいです。ありがとうございました。
848リーフレイン:2006/08/17(木) 20:58:48 ID:lewo/Hze
>>847
ななんと、あたしは思いっきり読み間違えてましたよ、、
うう、、、エロに反応しそこなうとは、、情けなや。。
しまったしまったしまったしまった  ごめんなさい。

いやそういうことなら結果は大きく違って。。。うーーん びみょーーー

まあ、初読はそういうことでってことでご勘弁をお願いして、
また機会作りますからよろしくーー
849名前はいらない:2006/08/18(金) 00:58:32 ID:toDnbA8N
リーフレイン←こいつ馬鹿?
850エントリーNo.3 ◆xB9KelIVCM :2006/08/18(金) 01:52:26 ID:U5jBwix5
>>848
いやいや、リフレインさんの評は的確であり、参考になりましたよ。
>>847で書いたとおり、「気がついたこと」のひとつは、例えば次のようなこと。

いつも私は、書きたい衝動というものが生じた結果、詩作をし、
できれば読む人への「共感」を求めて、書きなぐった言葉を推敲します。
今回のように「お題」があって詩作する際には、何か書きたいものが先にあるわけではない。
結果、私は「頭」で考えながら書く、そんな内容の詩になってしまった。

祭りから「明晰」と「酩酊」を連想した私は、確かに知識で詩作したのであり、
その結果、リフレインさんに、まどろっこしさや、(悪い意味での)作為を感じさせてしまった。
私はそのように受け取りました。

自分の衝動(心の動きのようなもの、上手く表現できない)を読む人にも伝えたい、あるいは
読む人の心にも生じさせたい、というものがない限り、やはり寸評にもあったように、
「妙に予定調和的」な印象を与えてしまうのだな、と再認識した次第です。

いつも詩を投稿するだけのスタイルでここ(2ch)を楽しんでいる自分にとっては、
自分の詩や、あるいはそれに対する感想や評を話せるような雰囲気があった
今回のような企画は、ほんと、楽しかったです。

それでは、また。
851リーフレイン:2006/08/18(金) 19:52:35 ID:5ZYIMlmc
>>850
お返事ありがとうございます。
衝動ができたときに書く というのはきっと詩を書く一番自然なスタンスなんですね。
あたしは、しばしば”書く”ということのテンションが欲しくて書いていまして、、
お題をきっかけにさせていただいて書くことも多いです。(要するにまだまだなんで)
詩がたちあがって、なかに入り込んだ作品を書けるようになりたいと、よく思います。
少しおちついたらまた募集しますので、よかったら覗きにきてください。
852名前はいらない:2006/08/18(金) 22:21:24 ID:toDnbA8N
a
853リーフレイン:2006/08/19(土) 12:34:24 ID:rvHCatth
旅に出るときは どこか後ろめたい気がする
854 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/19(土) 22:55:20 ID:rO1iF9V0
ヤプ十番勝負/練りものハンターさん

の、立会人を受けていただけませんか

空気が読めないスレにて


ぺこり
855名前はいらない:2006/08/20(日) 00:51:19 ID:2zdyeOej
「誕生日」

ラジオ体操の朝
逆さに空
吸い込まれそうに怖いね
上にいる僕たちは誰よりも勇気がある気がして
鼻下を擦ってやりたくなったよ

1番上の草、千切ってやりたくなった
奴らキラキラ光りながら揺れるんだ
まるでテレビに移る音楽家に嫉妬した気分だ

もう悔しいから下に行ってやる
誰よりも深く潜ってやる

今日は僕の誕生日
足元にはセミの抜け殻があった
856名前はいらない:2006/08/20(日) 19:03:13 ID:OptV8R4R
>>851
注目されたくて書いているからそうなるんですよ
857リーフレイン:2006/08/20(日) 20:13:38 ID:Ym7IbY8B
>>856
うんそうかもしれない、 そうでないかもしれない、
多分両方が入り混じってるんだと思う。
今はさ、醜態さらしてもなにやってでも、書くことにしがみつきたい、、
(目立つことに批判的みたいだから、できたらsageといてくださいな、、)
858リーフレイン:2006/08/20(日) 20:45:06 ID:Ym7IbY8B
>>855
まずは誕生日おめでとうございます。。
ラジオ体操の股の間から逆さまに世界をのぞき見る視点ですね。
悔しいから下へ行ってやる の下の向きはもしかしたら空へ向かうんでしょうか?
嫉妬とか潜るとか抜け殻というキーワードが主人公の厭世観を表現していて、
爽やかな朝のラジオ体操が胸につまされました。
書きたいもの と 書けるもの と 読みたいもの てなんだろうなって考えてました。
859名前はいらない:2006/08/20(日) 20:47:02 ID:Iz1pkxgB
書くならチラ裏でおねがいします
860777:2006/08/20(日) 20:53:42 ID:h5biDTdY
めでてえスレだな
861しん ◆SHIN/Bmpqc :2006/08/20(日) 21:30:15 ID:2zdyeOej
>>858
リーフさん、初めまして


ごめんなさい
評価もされているスレだとは気がつかなかったです
しかもリーフさんのスレだったとは失礼しました

ホント858は落書きなので、スレ汚しすみませんでした

うー評価まで・・・ああ恥ずかしいやら、嬉しいやらでもう・・・


じゃ、またどこかで(^^)ノ
862リーフ:2006/08/21(月) 09:54:00 ID:+A/fA5On
>>861
どなたかなと思っていたら、しんさんだったんですか
こんにちは はじめまして。雑談スレ拝見しております。おかえりなさい。
評価なんてしてなくて、お返事兼感想ってぐらいですよ、、
あまり人が来ないスレッドなので、嬉しかったです、、ありがとうございます。

>>859
パンツ裏返してみるといいことがあるらしいです。

>>860
めでたいHNでw。 いらっしゃいまし。
863 ◆Rumble.9/U :2006/08/23(水) 10:06:36 ID:qYq6HUDV

セン5の投稿作品をろくすっぽ確認もせずチャリオットを盗作扱いした件について

謝罪文を求める

カスアンダーお前にだよ
864 ◆YAPoo/LC/g :2006/08/23(水) 17:15:54 ID:kb/kly0D
飛び火して



ぺこり
865名前はいらない:2006/08/23(水) 22:33:47 ID:B6SXQETn
39 シアーハートアタック(粘着) ◆YAPoo/LC/g 2006/08/23(水) 19:51:40 ID:kb/kly0D

セン5の投稿作品をろくすっぽ確認もせずチャリオットを盗作者扱いした件について

謝罪文を求める

カス◆UnderDv67Mお前にだよ
866名前はいらない:2006/08/25(金) 05:54:43 ID:s9ruGDYB
年老いて
脚萎えの母を車椅子に乗せて
歩道橋の上にいた
これから降りるのだ 急坂の斜路を
……車椅子で降りる?
母と顔を見合わせ
子供を抱くように抱き上げた
幼い子ほどな重さしかなくて
乾いて 薄紙のようにきゃしゃでしわだらけで
ママの腕にすっぽりと納まった
ゆっくり階段を下まで降りて
車椅子を取りに戻ろうかと考えたけれど
地面に母を置くのはだめな気がしたので
抱いたまま歩いて、家へ帰った。
867リーフレイン:2006/09/01(金) 09:45:44 ID:LwbRgFnW
「夏の終わり列車」

忽然とレールが現われ、夏の終わり列車がやってくる

あるはずのない轟音が聞こえてきたら、それがそうだ
あの列車には 
夏が乗っているんだ

座席に座るのは海で死んだ子供で
真剣な表情で手の中にある大波を
右に傾けては ざぶーーん
左に傾けては ざぶーーん 
時折後ろを振り返り、父の姿を探す
暑すぎて鳴く間もなかった蝉が
カーテンレールに並んで少女を眺める カメムシの夏
果物には彼らの刻印が押され 甘みは硬い渋みに凝縮した
少女は濡れた水着を引っ張って、引っ張って
だけど 隠し切れない 真っ白なお尻の秘密
薄紅の乳首 甘酸っぱいファーストキスの夢
素足になって走った明け方の砂浜に
腐りかけの西瓜とペットボトルと海草
ぱくんと傷が開いてしまった指は黒い糸で縫った
欲しかったナイフも手に握ることはなく、座席の横においてある
百日紅の花が褪せた色で窓辺を飾る

夏の終わり列車が 
通り過ぎていく
868施餓鬼:2006/09/02(土) 21:28:32 ID:L+nTW17B
黄ばんで細かいひびが線になっている皿に添えられているはしは
祖母が葬式の棺おけのなかで挿したカンザシに似ていた

大八車の車輪をちゃぶ台にして蓮の葉を敷き、お膳が供される
あれは薪を満載して町に運んだ車だった
コロという名の大型の犬が皮ひもを肩にかけられて一緒にひいて歩いた
コロが死んだあとは、自転車を買った
重くてがっしりして、めったなことでは壊れない
サドルは高くて硬いから、背の低い祖母はペダルの上で立ちこぎをする
祖母のこぐ自転車がちゃぶ台の回りをぐるぐる走る
数年前に父親を一人皿の上に載せて差し出した 
父は半身になって返され、真半分のまま生活している
二枚におろされた魚の切り身のようでほんの少し血が滲む
表情の読めない半分の顔のまま、花火を見に行きたいとしきりにせがむようになった
一本足がひょうひょうと跳び歩き ひゅーきゅーと空気の抜けた音で笑う
今年の膳にも供された半身が干物になって乗っているのが見える
全ての料理は別々の小さな皿に盛り付けられる
用意した皿の一つでは、兄がお経の五色紙を頭に巻いて踊っている
紙は長く伸びていて、母のふところに繋がったままだった
母はあきめくらなので兄の踊りを見ることはない 手探りで漬物を切っている
漬物は三十年前、祖父が漬け込んだ黒瓜と茄子だ
皿をはしでかちんかちんと鳴らして餓鬼が催促の歌を歌う
調子っぱずれが楽しい 
家中で一番若い娘がお酒を杯についでご機嫌をとっている
餓鬼の飲み料は多いから 家中の入れ物全部に酒を満たしておかなければならない
母はまだ漬物を切っている
上機嫌で餓鬼と一緒に酒を飲んでいる大伯父は、
中途半端に酔いが回ると説教魔に変わるので、うまく酔いつぶす算段をする
869施餓鬼:2006/09/02(土) 21:29:13 ID:L+nTW17B
母はまだ漬物を切っている わたしはそうめんをゆでる 
そうめんがゆであがる間に、墓磨きにいってこなければならないので焦る
年ごとに、施餓鬼の宴は騒々しさを増していく
苔むした墓石を草の束で磨きながら、

ふぇふぇふぇ
ふぇふぇ ふぇふぇ ふぇ 

笑った
870TABIBITO:2006/09/03(日) 10:59:15 ID:0xh5yjhH
オメラスを出た旅人たちが時折訪れる庭には
ガラスの壁が屹立している


ガラスにレリーフが
生まれたばかりの赤子が顔をしかめて泣く
数十年も世の中で生きていたかのように皺深く、疲れきった目をしている
硬く握り締めた拳に握っているのは臍の尾の端で、
それはまだ母の胎内に繋がっているのか 壁の向こうへ伸びて切れていた
壁に触れ、涙を流す

供物を持って
花の種、花の苗、草の実、樹木の苗
彼らは、壁の回りの土へそれらを埋め、自然の行いに任せたまま去っていく
庭では、さまざまな植物が繁茂し、枯れていく

庭に旗を
旗はいつかの旅人が作り、かなたの旅人が立てる
ガラスの壁が開かれ、新たなレリーフが現われる
巡礼が始まる

ガラスのレリーフ
言葉を教わることがない男は 人の手の温かみも知らず母の乳房も知らない
女の秘所の香りも知らず、自らを慰める術も知らない
世界の地図を夢見ることもなく、怯え、吠え、眠る
生まれてこのかた一度も髪を切ったことがなく、髭も剃られたことがない
焦点を決して結ぶことがない眼球があさっての方向を向いて静止する
彼を見る者は、彼の視線の先に立つことはないので、安堵し、安堵することに嫌悪する
沈黙のままに、彼に触れる
871TABIBITO:2006/09/03(日) 11:00:49 ID:0xh5yjhH
つかのま
壁に背をもたれ、世界を眺める
華やかな歌は少ない
さまざまな風が吹き、血が流れる
死は詩よりも身近で、醜いものは美しいものよりも現われやすい
雑草が繁茂し 様々なものが乱雑に建てられては壊れていく
弱いものは殴られ、裏切りが行われる
荒々しい風が吹き、荒々しい雨が降る
晴れやかな笑い声が響く

オメラスを出た旅人は
すぎし日にオメラスの中心にあった建物を訪れたように、庭を訪れる
オメラスには帰らない
だが、彼らはオメラスの子らでもあったので
オメラスを破壊することを夢想し、怯え、夢想でしかないことを恥じる
今は、涙を流すことができる 

いつか
数え切れない日の後で、ガラスの壁が溶解する日がくるだろう
全てのレリーフが溶けて流れて、花々で覆われた地面と混ざり合い
そして、砕け 
何もない砂原になる
永遠に続くものは何一つないのだから

その砂原に音楽が流れる
美しいものと醜いものが同値になった音楽が
風にのって微かに
流れる

872TABIBITO:2006/09/03(日) 11:01:09 ID:0xh5yjhH
注)オメラス「オメラスを出る人々」A・K・ル=グゥィン(早川SF「風の十二方位」に収録の短編)
オメラスと言う名のユートピアの街。
その快楽はごく少数の犠牲の存在の上に成立していた。
住人は何を犠牲にして何を自分たちが享受しているかを熟知し、なおかつその享受を手放すことがなかった。
873名前はいらない:2006/09/03(日) 11:17:51 ID:0xh5yjhH
日本の現代劇 舞踊劇の脚本のホンを数冊借りてきた、、
スゴイ、
まだスゴイの内容をきちんと分解できないけど、
まず、長い、台詞が詩になってる、筋も詩になってる、
筋がないものも舞台が詩になってる、装束とか背景とかも綿密に定義がしてある、役者によってどうやら台詞が
かわっていくらしいのもある、エネルギーが濃くて長くて、熱い、
詩書きはメンヘルが多いけど、どうも脚本書きは体育会系なんじゃあなかろうか?胆力がものすごい。
で、シバラクは詩劇関係のホンあさってみます 。
874名前はいらない:2006/09/05(火) 22:06:11 ID:q4p2g3uo
今日は雑談スレが楽しい
875名前はいらない:2006/09/07(木) 21:00:09 ID:3cjNpEv3
秋になったんで詩を書く

秋になっても詩は書けない

秋になったから詩を書け

秋になって詩

秋のし
 
秋篠の宮様 めでたきかな
876名前はいらない:2006/09/07(木) 21:17:11 ID:3cjNpEv3
書けない。。。
877リーフレイン:2006/09/13(水) 11:01:12 ID:wbLgCljR
なんとなく消耗してしまって(あたりまえといえばあたりまえ)書けないんだけども
これはやっぱり、充足感があるせいかもしれない
ということは、何かしらの不足感が文字に向かわせるということで、
つまりは不満を抱えた人ほど文字を書きやすいということになる。。(あいやあぁぁぁ)
だからといって、不幸なものほど良いものが書けるということには直結しないわけだけど
沢山書くことによる繰り返しの上達は期待できるわけだから、
不幸な時間が長い人ほど、良い(?)文字が書ける可能性が高くなる??(凡人に限るよね、もちろん)
なんてことを考えているうちに、書くことを弁解に使ってやしないかと反省をしたりする。
つまり、”○○で、うまく社会に適応できないけど、詩書いてるしまだましやんか。”という開き直った態度である。
(いや、実際には詩書いてるなんて、誰にもいえないのだけれども、それは
どっか家庭の主婦がパチンコやってるとかいう話しに似てて、本来なんかもっと
いいことやってないといけないのに、やくざなことで遊んでいるという罪悪感のせいだったりする。
読まれちゃあこまるような後ろめたいことしか書いていないという話でもあるし、
読まれていいほどにかしこまったものなら、およそ書く意味が半分ぐらいしきゃないという話しでもある。)
つまりまあ、詩=パチンコ? (あいやあぁぁぁぁ)
878リーフレイン:2006/09/16(土) 09:59:38 ID:BgKSPjWB


みんなで踊れば怖くない


世界は気違いでいっぱいなんだから

                             ミ
                       ミ  ( ,,,,,, ∧,,∧
                    ∧,,∧   η ミ,,゚Д゚彡
           ミ __    ミ,,゚Д゚彡   (/(/     ミ  /)
            て"  ミ   ミ つつ     彡      ミ `つ
             ⊂   ミ    ミつつ 彡          ⊂  つ
            彡"  ミ                   彡"。γ。ミ
       ∧,,∧    ∨"∨ 彡                   ∨"∨ 彡
   (                                                                       ∵`:’’・
ピョン!



879リーフレイン:2006/09/16(土) 10:12:24 ID:BgKSPjWB
著作権の保護期間が死後50年から70年に延長されるかもしんない。。。
青空文庫で読めなくなる作品が若干増えるかなあ。
死後70年ってと、戦前にお亡くなりになった方も含まれるし、、うーーむ。
880ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2006/09/19(火) 04:46:46 ID:MMCvLO4h
>>877
でも、詩は、読む他人がいるから。
詩を書く根源的な動機は読者には関係ない話だし
(評論家には関係あるかもしれないけど)


衝動が吹き抜ける穴。いまは凪。
飽きたのかもしれない それとも
衝動が大きすぎて
穴につっかえてるのかもしれない
無理なさらずに
と、言うべきところですが
機械的に拡張せよ!
じゃないと
さみしいじゃん
881リーフレイン:2006/09/19(火) 12:19:09 ID:L12xhbTT
>>880
サンクス。

機械的に拡張! ww やってみます。(結果?ハハハ)
882:2006/09/19(火) 21:37:59 ID:L12xhbTT
大家も手をいれてくれない壊れたままの浴室
蟲の潜んでいる押入れ
小さい台所は妙に黒ずんでべたべた
ゴキブリの足跡がつきそうな 埃がこびりついた床
クモの巣の残骸が壁
糞便の乾いたはての鼻をツンとつく悪臭が
妙な生臭い魚の内臓のにおいと一緒に漂って
ずっしりと重くなった蒲団はいったいどこにあるのかも
わからないほどにゴミに埋もれて
そこに毎日、帰るのがいやで
コンビ二の前に
座るが
白い目が通り過ぎていき、通り過ぎていき
しまいには白い目の圧力に負けて
立ち上がり
立ち上がりざまに転び
雨が降っていて
だるい足をひきずりながら
でもまだホームレスではないのだ
883:2006/09/19(火) 21:40:12 ID:L12xhbTT
人間の尊厳は
清潔さに棲むのだと
日々汚れていく部屋の中に
その穢れが自分の精神の腐れと同値に感じられて
ああ、この部屋は自分だ
自分だ
自分の姿だ
だから、掃除をしてはいけないのだ
自分は屑だから屑らしい部屋に住まうのだ
腐れ落ちるまで
884:2006/09/19(火) 21:41:55 ID:L12xhbTT
一本のしけもくを拾い
もう2本を探す
ばらして一本のタバコを作るために
濡れたタバコを
乾かして巻き込んで
震える手で火をつける
ごみは
ごみを吸えばいい
ゴミ置き場にあったフリースを重ねて
いつだったか灰皿を投げて割ってしまったガラスの
張り合わせたセロテープの
黄色く褪せてしまった干からびた
四角いびらびら
多少ともあったかもしれない気力は
きっとこういうものによって吸い上げられて
なんで起き上がらないといけないのかも
さだかではなく
だらだらと
だらだらと肉がほどけて
部屋の気だるい臭気に融けていく
885:2006/09/19(火) 21:43:03 ID:L12xhbTT
生きることに意味はない
天井に漂うタバコの煙は
そこはかとない罪悪感で
意味はないはずの生が
だらだらと流れ落ちていくことへ
どうしてだろうか負い目を

何故

自分はこうではいけないと
思うのだろうか?

生きることに意味はないはずなのだ
そうだろう?
なあ?

そうだろう?


なあ

886名前はいらない:2006/09/19(火) 22:02:10 ID:L12xhbTT
梁山泊だしそこない、、、
887:2006/09/19(火) 22:28:07 ID:kQy/14m7
予想通り(σ´∀`)σ
888名前はいらない:2006/09/20(水) 07:51:17 ID:F94pCtoe
>>887
あ、ばればれ?(汗
889名前はいらない:2006/09/20(水) 09:47:07 ID:F94pCtoe
祇園精舎の鐘が鳴る

安逸の中に棲まううちに
いつのまにか堕していく汚泥の底
さらに底に
棲む一匹の鼠が屑を食い散らかして
痩せ細りつつ肥え太る

”一切のものが通り過ぎていき、そこに意味はない” 

それもまた意味のない言葉が
汚泥の中でどんよりとこもる

安逸の中で発してはいけない言葉であったのだ
あれは、地獄で聞くべき音色で、
地獄を招き寄せる鐘だ

汚泥の中で
かりかりと
かりかりと堅い殻をかきむしるようにして
しがみつく
時間

生命を与えられている時間は
一切のものが通り過ぎてゆくのを観るほどにはなく
永遠ではない時間の核に
爪をたて
歯をつきたて

一瞬を

握りこんだ
890名前はいらない:2006/09/20(水) 10:10:38 ID:F94pCtoe
”意味はない”というペダンティックな言葉は多分神の視点で語られるものであって
一瞬にしか生きていない人間自身に演繹すべき言葉ではないのだろうと思う。
あえてよしとするならば、絶望のはてに全てを忘却したいと望む人にのみ救いとなるかもしれない。
意味はある
どのように生きるとしても、意味は発生し、その責任はやはり本人にある
汚泥を汚泥(悪)と感じてしまっているのならば、すでにその感情に対して私は責任を取らなければならないし、
「汚泥の中にすまったとしても、所詮意味はないのだ」と、いたずらに神の視点を振りかざすのは生命にとって卑怯なのだ。

卑怯であることを知りながら、卑怯者であるのはひりひりと辛い
すでに安逸はそこになく
汚泥は 巣ではなく 檻に変わる
891名前はいらない:2006/09/20(水) 10:17:29 ID:F94pCtoe
>>880
ちっとも詩じゃあなくなっちまった。。ですよ。。
892名前はいらない:2006/09/20(水) 12:41:19 ID:F94pCtoe
あ、でもまだなんか違う気がする
893名前はいらない:2006/09/21(木) 12:42:31 ID:c9bZzx5C
夏が凝縮した果実を喰らう

流れた汗 かんかん太陽 青い草
地下をめぐる冷たい水で凍りつき滴る甘露

秋の法悦
894名前はいらない:2006/09/22(金) 17:01:35 ID:bL2DeSeW
一時は十数匹もいた野良猫が、この夏急激に減ってしまった
どうも県道の中央分離帯をきちんと作ってしまったのが遠因のようで、
前よりも安心して走る車に今日も一匹、先週も一匹と
轢かれていった

昨日、結構長いこと縁の下あたりに遊んでいた茶色の縞がクルマに跳ねられた
寄って行くとばりばりと元気に逃げるが、いかにも足をひきずっているので
猟の網でつかまえて、医者へもってゆく。
元気に抵抗していたくせに両前足が折れ、腹がやぶけ(筋肉がはみ出て)
腰も折れていた。軽くあたっただけに見え、猫も動いていたのだが
やはり車には勝てないらしい。
腹の治療をお願いすると、麻酔で死んでしまった。

今残っているのは、もともと眼が余り見えないためか
道を往復することもない 年寄りの白猫一匹だけになった。
895名前はいらない:2006/09/22(金) 22:46:20 ID:p9f+FSIA
本当に詩が下手ですよね…
896リーフレイン:2006/09/23(土) 08:07:14 ID:0chyekfU
うん、、まあ、自分では今一わかんないのが難点なんだけどが
1000個書いていいのが一個ありゃあいいかななんて思ったり、、
(一個もなかったら悲しいけど、、まあそれはそれだよね)
ああ、そういえばもうスグ900番台に。。うう。
897名前はいらない:2006/09/23(土) 17:20:36 ID:Dter5M/t
このスレッドは、GL5 掲示板・スレッドの趣旨とは違う投稿の
スレッド 「掲示板の趣旨に無関係なもの」 に該当すると判断します。

削除依頼を望まないのであれば、自治スレ
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/poem/1155999946/
にて、一週間以内にスレッドの方針を説明し、存続に対する詩板住人の合意を得て下さい。

期限 2006/09/30 23:00 まで。
898体力切れの葉っぱ:2006/09/23(土) 17:33:10 ID:0chyekfU
ううむ。。これは特定コテハンの占有目的に該当するというご批判ですね。。

さて、あと100レスなわけですが削除というのも寂しいので
ご助言をつのります。
899名前はいらない:2006/09/23(土) 17:49:26 ID:hujxRWdy
別に占有してるとは思いませんけどね。
どこをどう判断して占有なのか分かりかねますが。
900名前はいらない:2006/09/23(土) 17:59:40 ID:Dter5M/t
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期限 2006/09/30 23:00 まで。
901ρ(=$ω\)ノ さぃきょぅ ◇PsyCHO8eyE:2006/09/23(土) 18:02:15 ID:WOsc8xR3
>>899
スレッド 「掲示板の趣旨に無関係なもの」 に該当すると判断します。
902ρ(=$ω\)ノ さぃきょぅ ◇PsyCHO8eyE:2006/09/23(土) 18:04:24 ID:WOsc8xR3
それとついでにリーフレインて馬鹿じゃねの
903名前はいらない:2006/09/23(土) 18:07:11 ID:aadKuGh/
>>901
あのぅ、◇になってるんですが、、、
904名前はいらない:2006/09/23(土) 18:24:31 ID:Dter5M/t
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削除依頼を望まないのであれば、自治スレ
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期限 2006/09/30 23:00 まで。
905名前はいらない:2006/09/23(土) 18:30:40 ID:hujxRWdy
依頼して確実に削除されるか、というとそうではない。
削除人の判断で決まる。
「詩板」で「詩」を書いているのだ。占有してるわけでもない。
どうということはないでしょう。
906名前はいらない:2006/09/23(土) 18:32:41 ID:Dter5M/t
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削除依頼を望まないのであれば、自治スレ
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にて、一週間以内にスレッドの方針を説明し、存続に対する詩板住人の合意を得て下さい。

期限 2006/09/30 23:00 まで。
90719 ◆gwnULb/9mw :2006/09/24(日) 01:34:04 ID:PLhSjQiT
俺はこの人、うざいって言われたいんだと思います
908体力切れの葉っぱ:2006/09/24(日) 12:47:05 ID:iAqyO7Cx
>>899 >>905  ID:hujxRWdy さん どうもありがとうございます。
あちこちスゴイです。 うちだけだったら、真面目にここが気にいらないということかなと
思ったんですが、軒並みということなので、丁寧に判断された警告ではなくて、
荒らし目的の(もしかして他の目的があるかもしれませんが)騒擾犯ということになりそうです。
レスありがとうございます、なんとなくほっとしました。

>903 ww。
>>907 19さん
どうもそうらしいですね。、、

909名前はいらない:2006/09/24(日) 21:12:39 ID:iAqyO7Cx
銀杏がぼとぼと 音をたてて
踏み潰さないように下を見ながらあるく

田んぼの稲はまだ青みの残る装いで
黄金に染まる日を頭を下ろしながら待っている

畦を飾る赤い彼岸花
910名前はいらない:2006/09/25(月) 11:59:42 ID:iCeKd1Xc
「黄緑色をした子供達は純白を欲しがる」

彼の恋人は緑色の女性で
彼女は多分、彼を愛している
彼女は彼女自身のことについて決して嘘をつかない
だから、あまり自分について話をしない
嘘をつかないといけなくなるかもしれないし
明日も正しいことは少ないからだった

彼自身は金色の男性で
彼は多分、彼女を愛していて、
いつも彼女自身について語る
それは嘘かもしれないが、そうであったとしても
決して嘘だということを知らせない
明日も嘘のままとはかぎらないからだった

”多分”のついた愛に包まれた彼らは少しいびつなガラスの置物になり、
決して溶け合うことのない 熱くもなくかといって生ぬるいわけでもない緊張が彼らを繋ぐ
彼らは繊細なダンスを正確に踊り
互いのいびつさをひんやりした手で撫であって
しとやかに 秘めやかに キスを交わす

二人は落ち着いた良いカップルになって
黄緑色をした子供達を作った
子供達は結局のところ語られることがほとんどない両親に育てられ
信じることと、行うことと、語られることの違いがちっともわからないままに
むやみに、真実を欲しがる癖がついた
そのため、両親より少し不幸になりやすい大人に育ってしまったようだ
911リーフレイン:2006/09/26(火) 20:02:33 ID:Z7haUKUR

ドーナツの穴の中に永遠が見えて

つい、指にさしてみた。
912リーフレイン:2006/09/26(火) 20:06:23 ID:Z7haUKUR
誰かが抱き込んだ絶望が
ドーナツの穴に流れ込んで
誰かが流した涙のしずくが
ドーナツの穴にたまってしまって

ああ、あの穴は

ああ、あの穴を

食べることはできないんだなあ
913書けないよ詩なんてさ:2006/09/27(水) 10:01:51 ID:N//z3t2Q

パッションフルーツゼリーみっくす without パッション
どうでもいいよ
暑いとか寒いとかアイシテルとか憎んでるとか
めんどくさいし


ニトログリセリン
液状爆薬を
落として
足元の世界を割っちゃったんだ
914名前はいらない:2006/10/01(日) 11:05:52 ID:Lg/HJDDQ
秋雨の朝の 滲みる優しさ
915名前はいらない:2006/10/02(月) 08:18:37 ID:LtC0zvcC
凡庸
916リーフレイン:2006/10/04(水) 09:57:03 ID:qahALlMc
うっ   (;;;

読んでもらえたみたいで、ありがとうございます。
917名前はいらない:2006/10/04(水) 20:06:47 ID:qahALlMc
「誰かが書いてた ”このまま死ねば逃げ切って僕の勝ち”」

だからさ、今あるものでらっきいって思っちゃうわけよ、後のほうが辛そうだからね
年金だって自分がもらえるんなら、余分なことあ知らないっていってるわけだし
公害だって自分が便利なら多少は目つぶっちゃおうってことだし
戦争責任だって目を伏せていたらいつかなんとかなってるだろうってことなんだと思うし
国債だって いつか徳政令でもさ出してちゃらにできるんじゃないのぐらいに
無責任で楽観的で享楽してて

あとは野となれ山となれ

ぴっ ぴっ ぴーひゃららっ と  ばーいでばいで しっしっ
918名前はいらない:2006/10/04(水) 20:22:56 ID:qahALlMc
いや、まじ、これは屑の再生産の論理だなあ。。
91919 ◆gwnULb/9mw :2006/10/05(木) 01:00:28 ID:8Phqa5pf
「抜本的改革」というのは
必要ないような気がします
920名前はいらない:2006/10/05(木) 08:28:39 ID:+5PE6wFx
>>919
そうだね、書いてから思ったのはさ、これは2つの問題がごっちゃになってる
「死んだら勝ち」ってのはさ 多分うえの世代にまで広がってて(あたしも思うかもしれない)
そいちゃあやっぱし、若い世代からみりゃあずるいわけだし、年寄りがそうなら
若い方だって死んだら勝ちって思ってもおかしくないよね。(この意味で屑の拡大再生産)
多分さ全ての世代で10年後20年後も自分が生きてると思って行動したほうがいいみたい。
(だけどやっぱ、〜〜しないといけないって思うのはしんどいわ。。←ここんとこが我ながら屑。。)
下の例は概ね政治の話しだから個人的な身体性とはかけはなれて、
長く線をのばしゃあ、個人と国家はリンクするわけだけどその線は長すぎて
一般人にゃあ手がとどきようもない。。まあ、心底 百姓。。

所信表明演説とか聞いててちょっと怒っちゃってね、、そんなわけで妙な詩になっちゃった。。
921 ◆mooN.KttY. :2006/10/05(木) 23:38:42 ID:68sImBjh
自分の生きてる時間帯にだけ責任取れりゃぁ充分でしょう。
ゼニカネや経済システムが破綻したってそんくらいじゃ全然ヒトは死なないしね。
60年前にこの国はいっぺん焼けちゃったらしいけど
いま60のヒト、けっこう帳尻あってるでしょ。そんなもんよ。
若者の未来に残してあげるのはちょっとのオプチミズム。
旅に出るにはほほえみを。
922 ◆n/ANJuS0Pg :2006/10/06(金) 02:13:16 ID:AcgZ8g3z
残る者への責任感を持つ持たないの差は
自分が縦にでも横にでも必ず誰かと繋がって存在してると言う
意識の差だと思います。
自分は孤立し得てる、だーれの世話になどなっていないわ、なっててもそんなの当然
(私○○なんだから・年寄り・障害者・学生・女・いつも苦労させられてるん)と言う人は
他人のために何かしようなんて絶対思いませんから。


まだ呑気が蔓延してるんです。この国は一度どん底まで行って這い上がれたのだから・・
だから、もう一度どん底まで行かないとだめかも知れないいつも思いますよ。
923名前はいらない:2006/10/06(金) 20:27:06 ID:/wiryDdo
これはもしかして、まっこうからの対立意見?w

人間てさ、あんまし考えないような気がする。生きるのに。
つまりさ、上手に生きていくことー>みんなで上手に生きていくこと
にうまくリンクしてるような構造が自然にできてるのが望ましいんだと思う。
単純に5人組式な相互監視的共同体ってわけじゃなくて、、
自分がうまく生きることが 10年後の誰かがうまく生きることにつながってたらいいなあ。。
どん底までみなくてもいいからさ。。
924 ◆n/ANJuS0Pg :2006/10/06(金) 21:20:02 ID:AcgZ8g3z
そうかなあ・・デモ私資本主義大好きですよ。テヘヘ。
ヘタレの癖に生き馬の目を抜く生き方に憧れすらするし。
ただどうにも楽観的にはなれないのです・色々想起するとですね。
皆貧乏に向かってると思うし皆呑気になってると思うし皆新しい物を産みだす力を失いつつあると思うし。
これは単なる性格なのかも知れないので気にしないで下さい。
925 ◆mooN.KttY. :2006/10/06(金) 21:59:46 ID:o5N6RvFM
人は変らないものさへあれば生きていけると言ったのは八百比丘尼だそうですが
変るのが世の常なら壊すのもまた理でしょう。
偉いおサムライの世を捨てて堕落せよっつったの誰でしたっけ。
見よあれが僕ら一銭五厘の旗だって謳ったの誰でしたっけか。
あとが野となるならいずれ草は萌えそれを千切り踏み越えていく
少年たちの伸びた足のあることを。

92619 ◆gwnULb/9mw :2006/10/07(土) 02:14:26 ID:J9No9bNr
「このまま死ねば逃げ切って僕の勝ち」というのは
ツケを「払わない」か「払い切る」というのに似てますね
俺は、多分どちらも不可能なのだろうという気がします
どうでしょう。出来るんだろうか
927 ◆LeafL/oiO. :2006/10/10(火) 12:42:27 ID:eLDGwr66
土日祝日で返事ができなくてごめんなはい。。(瞬間的にしか来れないので。。)

>>924
思うにね、何が大切かということであって
人が一番大切なわけで、 自分が一番でその次に回りの人で
っていう大切さでちっともかまわないんだけど、そこでその次っていう部分が
あんまりにもあれなんじゃあないかって話しなんですよね。 
資本主義好きですよ、やっぱね、頑張った人が多少大目に手に入る可能性があるわけだし。
(頑張ったからといって必ずしも手に入るわけでもないけどね)

>>925 さんのはまあ、極論でもあり、基本でもあり。つまり
”主義主張より生き残ること” であるわけですよ。だけどさそれをいうに当たって
やっぱりある種の潔さが前提にある、なにもなくてもいいじゃあないか っていう話しは
自分もまた徹底的に放棄してる。。そのへんがさ今は違うような気もしますよ
あるとこにはある(あるいは自分だけはなんとか)っていうのがわかってて それを言うのは変ですしねえ。

>>926
ツケは回ってくるもんだけども、まあ無理なんでしょうね観念的に
まあその辺の不公平感を緩和するためにも、来世とか閻魔様とかもってきちゃったんだろうしね。
928 ◆n/ANJuS0Pg :2006/10/10(火) 22:57:35 ID:YJj9emze
星のヨに皆でほんのり笑えれば後は野山と言えるのに

よごれつちまつてるのはわたくしです。

リーフさんは優しい方ですね( ^‐^)
929 ◆LeafL/oiO. :2006/10/11(水) 09:18:51 ID:jQyMU4sQ
とうに古家と名のついている我が家には詩が一人住み着いていて、
昔ホンヤだったせいか、説教が好きな詩だった。

詩は思いつくと、家人をつかまえては仏間に連れ込み
正座させてこんこんと説教を続ける

とうとうと流れるその説教は
まことに詩の名にたがうことなく、精神にぎしぎしと
顔が蒼ざめるほどに響き、実に迷惑しごくであった

近隣に住まうほかの詩の あるは踊り、こなたは唄う楽しげな様を垣間見るにつけ
ああ、うちの詩も、もう少し柔らかかったらよろしいのにと密かに泣いていたりする。

>>928
いや、優しくなんかないっですよお。。
930リーフレイン:2006/10/12(木) 20:29:38 ID:+0Du9fjs
月が満ちる前

誠意とかプライドとか品位とか常識とか
建て前とか愛とか見栄っぱりとか
少しづつ羽が生えて飛んでいってしまって
赤裸々なスケルトンが
恥ずかしそうに震えながら立っている

ああ、月が欲しいのだ
931リーフレイン:2006/10/14(土) 21:35:30 ID:bRbCFySS
庭の一角に建てられた離れの小部屋の柱には
朝倉様と言い習わした 能面がかかっていた。
”朝倉尉”という名で 翁が少々威張ったように笑う面だった。
普段は人気のない離れの見張りをなすってたらしかった。
子供とはしょうもないもので
黄ばんだ白の長いあごひげをきれいに三つ編みに編んでは、叱られて、を繰り返していた。
それだけだと怖い面が、三つ編みにしてしまうだけでなにやら怖さがなくなっていくような
気がしたのを覚えている。母に叱られるよりも、面に叱られるほうが怖かったらしい。

4畳半に切った茶室のしつらえだった離れの 畳の真ん中に寝転んで本を読んでいるときに
柱のわりに上のほうにかけられた面と眼が合ってしまうと
「娘が寝転んではならぬ」と叱られてしまったような気がして 急いで居住まいを正し、
正座が長く続き、足がしびれてくると、いかにも自分ばバカなことをやっているような気がしてきて
また寝転ぶ。するとまた 翁の面と眼があってしまう。
こうしたことを数回繰り返すと嫌気がさしてきて、あごひげを編みに立ち上がるのだ。
翁もえらい迷惑をしたことと思う。
932名前はいらない:2006/10/17(火) 11:24:49 ID:66HSR6Zm
なにかを考えると、すかさず命令を下して
頭の上にのっかってしまう鸚鵡は 今日はお出かけです
933名前はいらない
質問、ポエムと現代詩ってどういう定義なんでしょうか>
(誰か知ってたらお願いします。。。)