君のセンス五段階+αで評価するよ[vol.39]

このエントリーをはてなブックマークに追加
597「月の朝」
ー盲目ー
まだ陽の上らぬ未明の朝
風紋が鮮やかに浮き出る灰色の砂丘を
暁の月へとむかう 黒烏

凄絶な月の海に至る道は
白い光に照らされて
泥だらけの足で踏みこんではいけない

ー失語ー
可聴できない月光の音が
砂の上に紋を刻んでゆく
あれは風ではなかった
月がしたたり落ちて
発話できない言葉を残していった

波打ち際で繰り返し
ぼろぼろの足を洗い
爪の間流れる水ひりひりと
ようやく満足のいく足で
道 踏み出そうとすれば  もうそこに
赤黒く染み込んだ穢れを見つけ途方にくれる  

ー手無しー
杖持たぬ犬 月の朝 烏が鳴いた



ソラ そら 空!