1 :
オリーブ香る名無しさん:
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∧
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昼飯のスパゲティナポリタンを眺めながら、積年の疑問を考えていた。
それは「なぜナポリタンは赤いのだろうか」という問いである。
簡単に見えて、奥の深い問題だ。
「赤いから赤いのだ」などとトートロジーを並べて悦に入る浅薄な人間もいるが、
それは思考停止に他ならず、知性の敗北以外なにものでもない。
「赤方偏移」という現象がある。
宇宙空間において、地球から高速に遠ざかる天体ほどドップラー効果により、
そのスペクトル線が赤色の方に遷移するという現象である。
つまり、本来のナポリタンが何色であろうとも、ナポリタンが我々から
高速で遠ざかっているとすれば、毒々しく赤く見えるはずなのだ。
目の前のナポリタンは高速で動いているか否か?
それはナポリタンの反対側に回ってみることでわかる。
運動の逆方向から観察することで、スペクトルは青方遷移し、
青く見えるはずなのだ。
逆に回ってみたところ、ナポリタンは赤かった。
よってこのナポリタンは高速移動をしていないと言える。
2 :
オリーブ香る名無しさん:2006/06/25(日) 13:08:44 ID:oQxVcf2I
品大五目恵渋原代新新高目池大巣駒田西日鶯上御秋神東有新浜田新品
川崎反黒比谷宿々宿大田白袋塚鴨込端日暮谷野徒葉田京楽橋松町駅川
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 各駅
●●━━●●━━●━●━●━━━●━●━●━●━●━●━●━● 快速
●━━━━●━━●━━━●━━━●━━━●━━━●━●━━━● 特快
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 超速
いろいろなつかしいな
4 :
オリーブ香る名無しさん:2006/07/23(日) 08:45:47 ID:b2CCvUmp
3行以上は読めない
>>4 、___________
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6 :
オリーブ香る名無しさん:2006/08/08(火) 08:08:46 ID:+O8y0UXf
w
7 :
オリーブ香る名無しさん:2006/08/08(火) 15:14:03 ID:CB99gqAy
ある日、私は森に迷ってしまった。
夜になりお腹も減ってきた。
そんな中、一軒のお店を見つけた。
「ここはとあるレストラン」
変な名前の店だ。
私は人気メニューの「ナポリタン」を注文する。
数分後、ナポリタンがくる。私は食べる。
……なんか変だ。しょっぱい。変にしょっぱい。頭が痛い。
私は苦情を言った。
店長:「すいません作り直します。御代も結構です。」
数分後、ナポリタンがくる。私は食べる。今度は平気みたいだ。
私は店をでる。
しばらくして、私は気づいてしまった……
ここはとあるレストラン……
人気メニューは……ナポリタン……
あぼーん
9 :
オリーブ香る名無しさん:2006/08/12(土) 04:15:25 ID:O2VI+Pcr
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10 :
オリーブ香る名無しさん:2006/08/13(日) 21:48:56 ID:qwMMue9g
岸中君見てる?w
11 :
オリーブ香る名無しさん:2006/09/15(金) 17:29:18 ID:C53wyUiY
なっぽりったーーーーん
13 :
オリーブ香る名無しさん:2006/10/13(金) 07:58:04 ID:MwfNUmjU
>>8
なぁあっぽー
16 :
オリーブ香る名無しさん:2006/11/29(水) 17:11:32 ID:qOSzKPiG
なっぱ?
誰か>>1を要約してくれ
19 :
オリーブ香る名無しさん:2007/03/09(金) 11:44:21 ID:BRAAl2fg
つまりナポリタンは高速移動していないと
なかなかに興味深いな
22 :
オリーブ香る名無しさん:2007/05/25(金) 08:32:58 ID:KhncuuaE
ほほう
23 :
オリーブ香る名無しさん:2007/06/10(日) 12:56:34 ID:aLmpEmMh
24 :
オリーブ香る名無しさん:2007/06/15(金) 12:10:29 ID:wNJns52E
26 :
オリーブ香る名無しさん:2007/08/20(月) 04:14:33 ID:vcrLdIjK
そだな
暗闇でも赤く光る、宇宙に生きる女の宝石!
っていうことか。
28 :
オリーブ香る名無しさん:2007/11/21(水) 19:49:00 ID:qJSDLR+f
test
てst
おっと
あははん♪
そこまでだ
むむむ
お前ら誰萌えよ?
そんなもんアカンアカン(笑)
バジルがええよな
ここがサムライパスタのスレか
>>38 ああ、まあ、麺が替わってもやること一緒ですから
そんな俺の昼ごはんはジェノベーゼ
Test
えっ!!食中毒なったん?来た、来た!
イエローキャブって結構多いよな
知ってる外国人が「日本に住めば女に困ることはない」っよく言っている。
そいつは日本人と結婚してすぐ離婚、現在はアメリカ人彼女でありと日本人のやるだけ彼女2人。
その二人は彼が結婚してることも知らないし、自分が本命だと思ってる。
そんなん知らんわからん
45 :
オリーブ香る名無しさん:2009/04/27(月) 12:13:09 ID:x2TAw+yt
46 :
オリーブ香る名無しさん:2009/04/29(水) 02:24:50 ID:kanQ2VKv
ナポ理たん
身長154センチ
体重45キロ
バスト82センチ
↓
47 :
オリーブ香る名無しさん:2009/04/29(水) 21:44:46 ID:kanQ2VKv
【地デジカ】とプリントされた黄色のスク水着用。
48 :
オリーブ香る名無しさん:2009/05/01(金) 09:22:28 ID:u4PeVeZ3
実はピーマンが苦手
49 :
オリーブ香る名無しさん:2009/05/01(金) 09:26:02 ID:u4PeVeZ3
ナポ理たん
の
二次使用は許されない
50 :
オリーブ香る名無しさん:2009/05/02(土) 03:04:35 ID:3LstFFyd
ナポリタンを鉄板で出して上に目玉焼きが乗ってる店好き。あれが間違いなく日本のナポリタンだ。
51 :
オリーブ香る名無しさん:2009/05/05(火) 20:33:31 ID:6p1cK3Qb
ナポ理たん
(;´Д`)ハァハァ
52 :
オリーブ香る名無しさん:2009/05/19(火) 14:04:20 ID:2IzianCW
奈保里タン…
ナポリはわかる、しかしタンは何だタンは?
54 :
オリーブ香る名無しさん:2010/06/21(月) 16:29:12 ID:l8Jzy2l/
ハァハァ
55 :
オリーブ香る名無しさん:2010/11/11(木) 12:13:03 ID:aAP+vsg2
ハァハァ
58 :
オリーブ香る名無しさん:2011/02/13(日) 19:53:51 ID:XtH2JvCk
ハァハァ
鉄板に溶き卵、その上に熱々のナポリタン。
小さい時からの名古屋の味だわ。
ちなみにあんかけ風?もあるけど王道が旨い(^^)d
62 :
オリーブ香る名無しさん:2011/08/17(水) 02:34:26.66 ID:3ncFRyCG
ひつまぶし…蓬莱軒
味噌カツ…矢場とん
手羽先…風来坊or山ちゃん
味噌煮込みうどん…総本家or本店
きしめん…吉田
どて煮…島正
天むす…千寿
エビフライ…欧味
あんかけスパ…ヨコイ
鉄板スパ…ユキ
台湾ラーメン…味仙
カレーうどん…鯱乃家
名古屋コーチン…三和
小倉トースト…リヨン
変わり種…マウンテン
ファーストフード…スガキヤorコメダ
ういろう…青柳or大須
鬼まんじゅう…鬼作堂
63 :
オリーブ香る名無しさん:2011/09/22(木) 18:54:13.49 ID:7o44JSfa
それは、唾液にまみれた道路標識の清掃に励んでいたある日のことだった。
道行く生コン車に恐れおののくカエル顔の女がいたので、すかさず駆け寄り
田宮模型と書かれたメモをそっと握らせようとしたのだが、女の手には、既に体長5cmほどのバッタが握られていたのであった。
路上に、ポメラニアンがぐったりと横たわっているな……
いやまて、なぜポメラニアンだと言い切れる?
……確認のため、、少し近づいてみるか。
いや失礼、やはりポメラニアンではなかった。
では何だったのかというと、それは少々厄介な質問だ、と言わざるをえない。
ただひとつ言えるのは、辺り一面にスモークサーモンが散乱しているということだけだ。
ある日のこと、喫茶店でコーヒーを飲みながら、アメリカンチェリーを弄んでいたところ
フルーチェを口に含んだウエイトレスが、近くを通りかかったので
当然の義務として、その背中に頭突きをくれてやりました。
やはり、老朽化したガードレールはデコボコしているな……
どれ、くぼみに肘を押し当ててみるか。うむ、ピッタリだな。
ああ、もうすぐ夕飯の時間だというのに、ガードレールにはまった腕が抜けない。
赤くて「ぬろぉっ」とした生き物について、ピアノで弾き語りながら執拗に訴えかけてくる、口裂け女のような女。
……わかります、何を言いたいのかはよく分かります。
口裂け女だから女なのは当たり前だのクラッカーだ、と、そう仰りたいのでしょう?
ところが、よくご覧になってください。女の隣で尊大にふんぞり返っている、あの串団子を。
回転しながら、白い粉末を辺りかまわずまき散らしているでしょう? つまりはそういうことなんです。
ぶら下がり健康機の訪問販売員をしていた父が死んで、すでに五年の月日が過ぎ去った。
姉は、その長すぎる腕を活かそうとトロンボーン奏者を志し、毎日の練習に余念がない。
弟の僕はといえば、自販機に表示されている「あったか〜い」の「〜」の部分へ銀色の塗料を塗りつける、という仕事に就き、毎日町中をかけずり回っている。
そんな僕たち姉弟に転機がおとずれたのは、父の同僚だったという人物が、長寿水の販売会社を一緒に起ち上げないか、と、僕たちの前に現れたときのことだった。
勢いをつけたブランコから水平に飛び出し、頭から砂場に激突しては、公園を訪れる人々を威嚇していた僕に、駆けつけた巡査の往復びんたが飛んできたのは至極当然のことだろう。
だが、その巡査は知らないのだ。自分が往復びんたをくらわせている変質者――つまりは僕が、じつは神の啓示により、近辺の猫除け用ペットボトルからキャップを外してまわっているということを。
やれやれ、この町には、いったいどれだけ猫除け用ペットボトルが存在しているというんだ。
……それにしても巡査の奴、手加減というものを知らないときたもんだ。
おっ、こんなところにペットボトルが……よし、これで頬を冷やすとするか。
73 :
オリーブ香る名無しさん:2011/09/26(月) 21:52:28.18 ID:s7FOyjN5
何このスレこわい
クラゲを象ったかのようなぐにゃぐにゃとした彫像が、夕日を浴びて血のような朱に染まっている。そう、ここは思い出の公園。
かつて、僕と姉さんが、ジャングルジムにせっせと味噌汁を吹きかけていた、ある意味、僕ら姉弟にとって聖地ともいえる場所だ。
そんな思い出の場所に立ち、今僕は、珍しい野鳥の名前がメモされた紙片を握りしめながら、巨大な星について歌った自作の曲を口ずさむのだった。
とある犬ドラマを見ていて、野犬の群のボスが、自ら捕獲網に飛び込むシーンになると
「柵を跳び越える男たち、柵を跳び越える男たち」
と奇声をあげながら部屋中を転げ回り、失禁を繰り返す妹。
そんな妹から逃げ回りつつも、僕は顔に浮かんでくる薄笑いをどうしても止めることができないのだった。
だってそうだろう? 僕の手には、今も超高層ビルの模型がしっかりと握られているのだから……。
ああ、このジャングルジム……すっかりさびついちゃって。
やはり塩分は偉大だ。それはもう揺るがしがたい事実だということだな。
姉さんに見せてやりたかった……そう、塩が勝ったんだ……僕たちの塩が。
まったく……妹の奴ときたら、こんなに絨毯を汚してしまって。
おまけに辺り一面に、戦斧を持った人形をまき散らして……困ったもんだ。
……おや?何だこの甲高い音は。
未だ残暑の厳しい中、公園のベンチに腰掛け語らう、おそらくは高校生であろうカップル。
そんな、幸せまっただ中の二人ではあったが、彼らは気づいていないのだ。
そのベンチの裏側に、巨大な秋田犬が横たわっていることを……。
気持ちのいい天気に誘われるまま、公園へと散歩にきてみたのだが、なにやらベンチの傍らで、巨大な犬が赤黒い何かをむさぼり食っている。
ん、あれは……学生鞄?
かつて、僕の拳法の師でもあった祖父から、繰り返し聞かされた教えがある。
「よいか、練乳入りアイスバーの多くは、ほんの先っちょにしか練乳が入っておらん。そのことさえ忘れなければ、あとは拳が自ら動くであろう」
確かに祖父のいうとおりだった。
今僕は、マジックで鼻下に「コンセント」と書かれた顔をにやつかせる年増女を目の前にして、改めてその教えをかみしめているのであった……。
散歩の途中で遭遇してしまった、かまびすしい女学生の群に恐れをなし、とあるフラメンコ教室へと逃げ込んだところ
そこには、おびただしい数の蟹の残骸が散乱しているのだった――と、そこで僕の意識は途切れてしまう……。
「材質は紙でぇ♪その下にはぁ梅干し大の星印ぃ♪」
そんな歌が聞こえてきたのは、僕がいつものように、竹筒の先にガムを詰めた物を振り回しながら道を歩いていた時のことだった。
慌てて周囲を見回したものの、路上に散乱したボトルガム以外、とくに不審な物は見当たらないのであった。
となると、考えられることは一つ。そう、クラゲおじさんが近くに潜んでいるということだ。
ふう、クラゲおじさんを探してこんな路地裏にまで来てしまった。
おや、あれは……ウーパールーパーの人形!?
それもなんて数だ……。
タンバリンという楽器の可能性を突き詰めたい、と言い残して、兄が家を出てから数ヶ月。
最近、この町では猫の不審死が増えている。
たまにはメンテナンスしてやろうと、分解したPS3にマヨネーズを注入してやったところ、なんと、正常に動作しなくなってしまった。
いきすぎたテクノロジーが我々にもたらすものといったら、いつだって、こんな類の裏切りなのだ。
手にした炭酸飲料の缶から中身がふきこぼれるのも気にせずに、狂ったように手足を激しく上下させつづける女教師とその教え子。
そんな異様な光景を目にした僕の胸に去来したのは、いいようのない哀しみと苛立ちだった。
おそらく二人は知らないのだろう。トランクス工場の見学からの帰り道、生徒たちが乗ったバスの行く手を遮るかのように、路上にばらまかれていた大量のタロットカードのことを……。そして、工場見学をさぼった二人に待ち受けているであろう過酷な運命のことを。
真夜中に、新鮮なブドウを求めて辺りを徘徊しつづける、流線型をした赤ん坊。
その口からは、弾丸のようなブドウが発射され――え、ブドウ!?
ではなぜブドウを探し求めている?
その大学ノートには、神経質そうな細かい文字で「洋梨」「CDシングル」という単語がびっしりと書き込まれていた。
即座に犯罪の臭いを嗅ぎ取った私は、近くの交番へ急ぎ、応対に出た巡査に事情を説明して、共に大学ノートを拾った場所へと急いだのであった。
が、時すでに遅く、現場へ駆けつけた私たちを待ち受けていたのは、「ワッペン」と書かれた紙片と、路上に散らばるおびただしい数の干しブドウだった。
くそっ、どこかでタロットカードを落としてしまったようだ。
あれがないと、M135からの電波が受信できないというのに……。
おまけになんだ、このシュワシュワァっとしたやつは。
米櫃から飛び出す赤ん坊!
キラキラしてる、キラキラしてる。
それを、食卓から見つめる長髪フランケン。
わかっちょります、わかっちょります。
正しくは、フランケン博士の作った、長髪の怪物ぅぅぅ。
方言、ジャージ、ムクムクムクッ
田舎の女教師、もちろん黒髪(怒)
考えすぎだ、勘ぐりすぎだ
オーディオビジュアル、オーディオビジュアル
男は、吹き荒れる砂嵐を気にすることもなく、自らが信じる「純文学」に忠実な作品を書き散らしては、東北名物のラーメンを食べ続けていた。
だが、携帯小説世代の若者たちにとってその小説は、「女の泉」や「青年実業家」といった噴飯ものの語句が頻出する過去の遺物でしかなかった。
男自身にもそのことはわかっていたのだろう。
その鬱憤を晴らすかのように、頭上に王冠を戴いた丸刈りの少年を執拗にいたぶりつづけては、ドラムスティックをなめ回し溜飲を下げるのであった。
ああ、美しいバラードの余韻を台無しにされてしまった。
金切り声のフェイクをうなりまくる、ボランティア好きの豆腐オバサンにも困ったもんだ。
まったくひどい目にあったよ。それにしてもあのオバサン、焼きそば用のモップなんかどこから手に入れたんだか。
まあいいか、どうせたんぽぽの茎が反り返るまでの辛抱だ。
ああ、今日もまた、電話帳からでさえ神の啓示を読み取る連中の宿命論を聞かされるのか……。
まあいい、ガニメデという語の響きに恐れおののいていた日々にくらべればどうってことない。
「ぶくぅぅぅ、ぶくぶくぶくぅぅぅ、」
それは、田舎の教師といった風体の女が、奇妙な声を発しながら、画面の向こうからじっとこちらを見つめている映像だった。
はじめて友人宅でそのDVDを見せられたとき、僕はまだ、その映像の意味する怖ろしさに気付いていなかった。
だが、大量のゴム長靴に囲まれ暮らす今の僕には、その映像が内包する闇が、形ある物のようにはっきりと認識できるのであった。
そう、そのDVDのタイトルは……。
いかにも独り言といった風を装い、ポテトチップスの購入をほのめかす少女。
そんな少女をチラ見しながら、僕は水の流れる階段を、自転車を引きずりながら上っていく。
そうしてたどり着いたその先には、巨大な駐車場が待ち受けているのであった。
さて、子連れ狼の再放送を、側転でもしながら視聴してみるか(無論、すこぶる困難なことは承知の上だ)。
……と思ったら、その肝心の子連れ狼が、どのチャンネルでもやっていないじゃないか。
「悪魔の所業だって? 否、人間の所業だな」
テレビのニュースにそんなコメントを漏らしつつ、食卓の上に大量のグミをまき散らす男。
そんな見え透いたパフォーマンスでは、僕のプラモ狂四郎熱は冷ますことができないというのに。
「赤ん坊によるブドウ栽培、赤ん坊によるブドウ栽培」
と、オキマリのフレーズを吐き散らしながら、今日も僕は狂人を装い町をねり歩く。
が、そんな僕のジーンズのポケットの中では、迫り来る冬の寒さに硬度を増すグミキャンディーが眠っているのであった。
やれやれ、パントマイム教室の授業料があまりに高いので、代わりにセーリングダンス用のコインで払わせてくれ、と頼んでみたのだが
「ボクシング漫画と勉強!」
という謎めいた答えしかもらえなかった。
腹部に鈍痛を覚えると思ったら、なんだ……例のダルマか
ふう、危ない危ない
危うく図書館に、バミューダ海域、についての本を借りにいくとこだった
店員が呼び止めるのを気にした風もなく、男は足早に店外へと出て行った。
私が男をつけてみる気になったのは、カップのアイスクリームを買いながらもスプーンを受け取ろうとしないその態度に不審をおぼえたためではなかった。
私がなにより驚いたのは、男がホッケーマスクを着用していたこと、そして、店員がそのことにまったく動じた風もなかったことだ。
ん、道路に何か書かれているな……なになに、真っ黒になるまで赤ち……と、あとはかすれていて読めないな。
いやまてよ。ははぁん、そういうことか。
さては、この間のブドウ狩りがきっかけだな。
こりゃ、早いとこ千円札を硬貨二枚に両替しなくては。
ここを見ていたら、速やかに連絡されたし。
マグロという響きに、金切り声をあげる婆さんがいて、手が着けられない。
トランクス工場が大火に見舞われる夢を見た。
いや、ものすごい火勢だ……。
ふう、どうやらここいら一帯のツチノコは、すべて駆除できたらしいな
――と思っていたら、今度はパンナコッタっぽい例のアレが大増殖か
やれやれ、となるとスモークサーモンを買い占めとかなくちゃな
ふう、島羽一郎のCDコレクションがとうとう100枚に達したか……
109 :
オリーブ香る名無しさん:2011/11/06(日) 17:24:42.67 ID:zVdL38mt
?
クアラルンプール、と発語したときに得られる快感
いったいどれだけの人が理解しているのだろう……
それにひきかえマチュピチュときたら……
兄さん、これを読んでいたら、連絡をくれ
父さんが、父さんのトランクス工場が……
10円硬貨の匂いの染み着いたTシャツを着て
さて、これからどこをうろつこうか
ふう、危ないところだった
それにしてもあの男、ものすごいマイナスドライバーさばきだったな
奴の手にしていたのが、プラスドライバーだったら、と思うと……
これは……またずいぶんと多機能だな
おや、こんなところにもボタンが
あっ、アンテナまで……
しまった……強く握りすぎてしまったようだ
高層ビルの模型が変形してしまった
おや、中から出てきたこの粉末は
湾曲したアレを首に巻き付けていただけだというのに、お巡りさんに叱責されてしまった
もちろん、マーブルチョコをコンタクトレンズの代わりにはできない、ということは必死に説明した
だが、警棒をご馳走になってしまっては、それ以上なにが言えただろう
まあいいさ、フラフープ工場の探索にはなんら支障はないからな
くそ、まただ
またもや玄関前に大量の野菜くずが……
まあいい、ランボルギーニが到着するまでの戯れにすぎない
そんなことより、星条旗でくるんだ例のソーセージを何とかしなくちゃな
茹でられたエビのように路上を転げ回っている。雪もない道路に体をこすりつけるようにして転げ回っている。
この灼けるような熱を、誰かなんとかしてくれ。
タコは哺乳類だモン!
周囲に人がいないのを確認すると、私は急いでダビデ像のにおいをかいでみた。
……無臭であった。
いや、確かに鉄やチーズのにおいはしたが、それもごくわずかなものであり、無臭といってさしつかえのないレベルのものであった。
なので、私はためらうことなく懐から、「無臭」と書かれたシールを取り出し、ダビデ像のある部分へと貼り付けたのであった。
「左近次……あなた、左近次でしょう? ね、そうなんでしょ」
「あ、はい」
「水飲めっ。水飲めっ。とにかく水を飲め」
上半身裸の男が、そう叫びながら、辛口カレーをつつきまわしている。
なので、ぼくはやむをえず男にこう声をかける。
「……あんた、なんでそんなに髪をおっ立てているんだ」
すると男はこう応じる。
「大気汚染については考えているつもりだ」
ふむ、そう言われては返す言葉もない。
「あら、魔太郎くん、どうしたの? そんなに黒い人形を握りしめて」
「床屋さんっ、床屋さんっ。桃太郎のあらすじを変更せよ。さもなくば……ごねるぞ」
「どうですか、面積のほうは?」
「そうね……ひとくちサイズのゼリーといったところかしら……あ、サクランボ!」
ぼくの質問に考え考え答えていたお姉さんが、突然さけびながら目玉を裏返しはじめた。
無理もない。なにせそのお姉さんが口にしていたゼリーの容器には、側面にでかでかと「輸入」の文字が書かれているのだから。
なおも目玉を裏返したままのお姉さんの口からは、だらだらとよだれがあふれはじめている。
その様子を静かに眺めながら、ぼくは胸の内でほくそ笑み、お姉さん――いや、そのバカ女に決定的な言葉を投げつけた。
「熊は恐い」
痛みについてあれこれ言っているパンダが、手に斧を持ってこちらを脅しつけている。
よせ、やめろっ。そんなことをしてもなんにもならないぞ。
ぬわぁ〜にが和風と魚のコラボじゃあっ。
黒縁めがねぇぇぇっ。高さが足りんのじゃあっ。
……謎ばっかり追いかけやがって。
ああ、むこうはすっかり変わってしまったよ……。
こっちでほそぼそとやるしかないな。
まずは手始めにバケツにたくさんタンポポをつめるとするか。
私は、ソーセージにつまようじを刺して作った「子豚ちゃん」をおもむろに懐から取り出すと、だまってその少女へと差し出した。
が、少女は受け取ろうとはせず、自らの下腹部のあたりにその両手をかざしてゆっくりと上下させはじめる。
その動きはきわめて緩慢なため、手の甲に書かれた「セメダイン」の文字を容易に見て取ることができた。
「これはいったいなんのつもりかしら」
差し出された「子豚ちゃん」を目顔でしめすと少女は冷たく問いかけてくる。
「いいから裏返してみろよ」
少女の素っ気ない態度にこちらもついつっけんどんな物言いになってしまう。
しかしそんな私の態度にとくに腹を立てた様子もなく、少女は言われたとおりに「子豚ちゃん」を裏返す。
「父親……不明……」
「子豚ちゃん」の腹部に書かれた文字を認めたのだろう。そうつぶやいた少女の顔がみるみるうちに青ざめていった。
その様子に暗い悦びをおぼえながら私は少女へと告げた。
「稀少属性同士の利害が一致をみたとき、そこにインモラルはない」
「おいたん、おいたん、これってたぶんヨーロッパ製なんじゃないかな」
「どれ、見せてごらん……ほうほう、たしかにこれにはシールがついていないな」
「だろ? だからものすごく開封しやすいんだ……ほらっ」
びりゅりゅりゅりゅりゅ。
くねくねとした身のこなしで、執拗に囲碁をやらないかと誘ってくるお坊さん。
そのなよなよした動き、神経を逆なでするかのようなしゃべり方……ええい、まったくイライラさせられる。
が、待てよ、もしかしたら奴は、船の舳先に立つ期待はずれ声の例のお姫様の知り合いなのかもしれないぞ。。
さてさて、これはいささかおもしろくなってきた。
よし、ケバい化粧の音楽ユニットの片割れ――優男のほうに連絡をとるとするか。
タイカレーの缶詰を見つめている。
本来、レトルトのカレーなどは口にしないし、どちらかといえば嫌いなほうなのだが。
ではなぜ見つめているのか? 答えは簡単。
その缶詰の表面に、亡き父の顔がプリントされているのである。
それもサイケデリックなデフォルメを加えて、だ。
じゃあ死のう
その日の早朝、通学途中の駅でぼくは奇妙なものを目にしてしまう。
「オキシドール賛歌」
それは下手くそな文字で駅舎の壁に書かれた奇妙な文句だった。
田舎の無人駅のこととて、こうした落書きは日常茶飯事であり、そのときはたいして気にもとめていなかった。
が、翌朝
「オキシドール参加」
昨日とまったく同じ場所、まったく同じ字体でそれはあった。
しかも漢字には微妙な変化が見られていた。多少気になった。
だが、それでも横目でちらりと見てその前を通り過ぎる程度のものだった。
さらに翌朝
「オキシドール酸化」
さすがに足を止め、まじまじと見つめた。
化学には詳しくないが、オキシドールに酸化ときては、なにかしらの意味をもちはじめたようにも思えたからである。
その翌朝、いつもより早く家を出たのは言うまでもない。
予感は的中していた。
いつも落書きがある壁の前、巨大な犬が後肢で立ち上がり、鼻面を押しつけている姿を認めたのである。
近づいてみて確信する。やはりそうだ、そいつは巨大ではあるがあきらかに雑種犬だった。
けた外れに長い鼻面の先、鋭い牙がのぞく口に油性マジックがくわえられている。
「サコンジ」
そっと名前を呼んでみる。……が無視。
当てずっぽうの名前だったのでまあ当然ではあるのだが、それでもやはりいい気分はしない。
なにしろそいつときたら見るからにサコンジっぽい面構えをしているのだ。ほかにどう呼べと?
と、まあ確かに態度自体は生意気な犬なのだが、そのマジックさばきには目を見張るものがあった。
ぼくがボーッと見ている間にも、駅舎の壁にはみるみる例の「オキシドール」の字が表れていく。
が、問題はその次にくる漢字二文字である。
ぼくの乏しい国語力ではほかに「サンカ」に当てはまる漢字を思いつくことができなかった。
「オキシドール産科……」
できあがった文字を見つめ思わず口にだし読んでいた。
それほど「産科」という文字はぼくに衝撃を与えていた。
サコンジ――面倒だからもうそういうことにする――の奴がよこす流し目にもどこか得意げな色がある。
「サコンジ、おまえは……」
早朝の無人駅、予感をはらんだ強い風がぼくたちへ吹きつけていた。
眉間にひどく険のある女が、もじゃもじゃの虫についてかわいらしい声音で歌っている。
だが、生来の性悪さをそう簡単に隠しおおせるわけもなく、Bメロあたりの歌い方に意地悪さが透けているのだった。
とまあ、かような分析もいまにして思えばということで、そのときのぼくは、画面の中、歌のコーナーを終え白塗りのピエロとともに楽しそうに鉄棒をする彼女の姿に、ただただ胸をときめかせているのだった。
ちょっとした夢を見ました。
テレビゲームを眺めてる感じとでもいったらいいのか、なにかこう細かい感じの人が、画面の右に向かっててくてく歩いていくやつです。
ぼくのそんな予想を裏付けるように、なにやら電子音らしきものも鳴っていました(といっても味付け程度のうっすらとしたやつなんですけど)。
やがて、細かい人は崖、というほどでもないわずかな段差に行き当たりますが、特にこれといったトラブるもなくそれを越え、とうとう画面外へと消えていきます。
すると今度は画面が左に向かってスクロールしはじめ、ほどなく巨大な恐竜(詳しくないんでわかりませんけど、たぶんプロントザウルスとかなんとかそんなやつです)が画面いっぱいに広がりはじめます。
長い首をガンガンと地面にたたきつけていて、なんかものすごく凶暴そうでした。
……いや、まあその、それだけなんですけど。
あ、そうそう、つけくわえておくと、巨大恐竜の首はいつのまにか蛇に変じて、これまた画面外へとにょろにょろ去っていきました。
いやあ、夢なので当然といえば当然なのですけど、その変化のスムーズなことといったら、切れ目がまったくわかりませんでしたよ。
まあいずれにせよそのあと、やさしい感じのおばさんになにやらおいしい料理をふるまわれたことだけはおぼえています。
といっても、これまた夢のこととて、なんの料理だったかという具体的なことはさっぱりなのですが……。
オムレツみたいに、ふわとろ卵で包んだナポリタンがあったら食いたい。食いたい。
牛そぼろ風味のふりかけ、これってちょっとしょっぱすぎないか? ものすごく身体に悪そうなんだけど。
といって、ご飯にふりかける量を減らすと、今度はいまひとつ物足りない。
うーん、難しいもんだなあ……やはりチーズ風味ふりかけ一択ということなのか。
でもそうなると、スパゲティヘアのOLにどやしつけられるのを覚悟しておかないとな。
あの女ときたら、やたらとご清潔ぶってるから、ちょっとやっかいなんだよな。
なあおい、あんた箱を知ってるかい? そう、四角くてしゅっとした例の箱だ。
え、なに、知らない……そりゃ驚いたな。
この界隈じゃ、あの箱の話でもちきりだぜ。それを知らないなんて……。
ま、べつにいいけどな。じゃあな、ばいばい。
心躍るクリスマスの季節がやってきた。
いや、見栄を張るのはよそう。ほんとうは心躍ることなんてなにひとつないのだ。
恋人はおろか、一緒にあたたかな食卓を囲む家族さえいないのだから。
おそらくは今年も、暗闇の中で作動する電子レンジのぼんやりとした明かりを眺めながら、ひとりさびしく過ごすことになるのだろう。
……時を旅してきました。
ぐねぐねとしたたこの人形がある。
いや、たこなのだから、たこ形というべきなのかもしれない。
まあ、言葉遊びはいいさ。
とにかくそのたこちゃんの足にバット――もちろんミニチュアのやつだ――を握らせたわけだ。
どうなったと思う? たこバットが完成したのさ。
当イチゴ園では、専用の練乳とボトルシップを用意させていただいております。
このボトルシップ、なんでもアメリカの有名俳優が作ったとか作らなかったとかで、利用者からはたいへんなご好評を頂戴しております。
トイレの芳香剤が切れそうなので思案していたところ、庭先で倒立する母の姿が目に入ってきた。
生け垣を挟んで、お隣さんとなにやら熱心に話している。
「補ですよ補、あたしゃびっくりしましたよ」
甲高い声でそうまくしたてているのは、隣家のおしゃべりおばさんだった。オレンジ色に染められた頭髪がきらきらと陽光に輝いている。
誘いだな、そう直感する。そこですぐに波をだそうと口を開く。が、ガーガー、といいかけてぼくはやめる。しっぽの準備ができていなかったからだ。
とりあえず眠ることにした。おやすみ、植物の人。
148 :
オリーブ香る名無しさん:2013/03/11(月) 12:46:15.65 ID:ETnuGbln
最近近所にできたばかりのコーヒー店の前で、僕はほっと一息ついているところだった。
頭の中ではいまだに忌まわしい曲がリフレインしている。
妹の創作した楽曲に恐れをなし、家を飛び出すようにしてここまで駆けてきたのだった。
「べんぼうざべいばあ……」
幻聴を振り払うように頭を振り、頭上の看板を見上げる。
「スターボックス」とあった。
そういえば、「近くに有名なコーヒー店ができるらしいよ」と教えてくれたのもたしか妹だった。
不意に涙がこみあげてきた。
あんなふうに無邪気に妹が話しかけてきたことが、もうずいぶん昔のことのように思えた。
己の感傷と臆病に思わず自嘲の笑みがもれる。そしてそんな投げやりな気分が、次の瞬間僕に店の扉をくぐらせていたのだった。
薄暗い店内には静かな音楽が流れていた。
客は数人ばかりでそれほど繁盛しているようには見えない。ジャズ喫茶風な雰囲気が今の僕にはありがたかった。
――と、突然店内BGMの音量があがった。それもけた外れの大きさだった。
鼓膜を破りそうなその音の中から、「それ」はたしかに僕の耳へと届いてきた。
「べんぼうざべいばあ♪」
最近、家のまわりを恐ろしげな虎がうろついている。といってもむろん幻視である。
倉持ビルの方角からふらりとやってきては、郵便ポストに激突してかき消えてしまう。とてつもなく巨大な虎だった。
虎というとおおよその人は黄色と黒の模様を思い浮かべるかもしれないが、くだんの虎は全身が真っ黒だった。
そう、月曜日放映のメロドラマが、こんなところにまで悪影響を及ぼしているのである。
151 :
オリーブ香る名無しさん:2013/10/02(水) 21:37:09.79 ID:Hbofao3s
152 :
オリーブ香る名無しさん:2013/10/03(木) 07:25:08.42 ID:hJibW1Dg
絶対に太面
やっぱ1.8mmだと10分以上茹でないとなんか違うな。
卵黄かけてみたがこれも何か違う
インスタント焼きそばの麺をケチャップとソースで炒めたら?
155 :
オリーブ香る名無しさん:2014/02/21(金) 16:48:27.52 ID:I/HfLzt9
茹でうどんとケチャップは相性いいよ
鉄フライパンじゃないとダメだな。
ガリガリ君
158 :
オリーブ香る名無しさん:2014/03/15(土) 03:34:20.25 ID:MmIG1VTn
もう糖質っぽい文章投下されないのか……
ヨーコさん、こびとのようなサイズでぼくのポケットの中にいてくれて、ほんとうにありがとう。
おかげで、トイレの個室の壁越しに大男が覗いてきたとき、ぼんぼりのついた冬用の帽子を速やかに外側へ払いのけることができました。
ヨーコさんがそばにいてくれる、そう思うだけでどんなに心強かったことか。重ねてお礼を言わせてください。ほんとうにありがとう。
それにしてもあの大男、ものすごく恐ろしかったですね。ヨーコさんはポケットの中にいたからわからなかったかもしれませんが、とても四角い顔をしていたんですよ。そう、あれはまさに殺人鬼の顔でした。
あまりの恐ろしさに手がもたついてしまい、ぼんぼり帽子とマフラーのからまりをほどくのにやや手間取ってしまったくらいですから(あれはちょっと焦りました)。
八日ほど歩いたところに沼はない。
そんなあやふやな情報に従って探索にでてみたところ、案の定そのような沼はなかった。
沼がなければ当然水気は存在しない。水気がないということはテッポウウオも生息していない。馬鹿でもわかる帰結であった。
が、私にはいまひとつ納得がいかなかった。なんとなれば、そもそも今回の情報を得るきっかけになったのが、はるかりのファンサイトではなかったからである。
では、どこからそのような情報を? わからなかった。思い出そうにもカプセルがない。それにひどく頭が痛んだ。
リベラリストであろうとするあまり、欲しくもないK-POPのCDを500枚も買ったことが関係しているのかもしれなかった。ああ、男性ボーカルユニット物は嫌いだというのに。
と、私が途方にくれて力なくうずくまったとき、それは視界に飛び込んできたのだった。
毒々しい色の液体を満々とたたえ、さながら地獄の妖気のごとき霧を立ちのぼらせている、明らかに人工物ではないとしれるいくつもの水たまり。
一面に広がる沼地がそこにあった。
僕が話しかけたとき、彼女は隣の席で幾重にも層をなすタオルを見つめていた。
おそらくは繊維の隙間に広がる並列世界に空を見ているのだろう。
女の子らしいその姿は、とてもチャーミングで好もしく映った。
だから、「ビートバンの白さは、人の体の腹部にあらず」と口火を切った僕を無視した態度には、少なからずがっかりさせられた。
まあ、でもしかたないかな、とも思う。川をさかのぼるサケにだって、いくばくかの黒さはあるのだから。
「まどまぜぇ、いいんだよ」
フランス風な言葉で、べつに気分は害していないと伝える。声音が獣医調になってしまったのはご愛敬というところか。
が、それでも彼女は黙ったままだった。温厚な僕もさすがにムッとする。
いくらタオルトリップの真っ最中だからといって、礼儀を欠いていいということにはならない。この子はそれがわからないのだろうか。
それでも気を落ち着け、できるだけ優しい調子で注意しようとしたとき、彼女の口がゆっくりと開いたのだった。
「お坊さん、地質調査のあとでいいから、囲碁やらない」
「おい、あんま移動ばっかしてっと、五郎さんにどやしつけられっぞ」
「いっけね、そうだった。あんがとよ、五郎さん」
「ああ、自作自演をケネス大統領から習ったからな」
「あ、やっぱ五郎さん、果物なんだ?」
「くだもも、と言っときなさい、そこんとこは」
このような会話が日常的に行われていない工事現場があると聞きます。
電文のさらに電文なので、いまひとつ定かではありませんが、いたってまともな現場なのでしょう。
家電売場でオーディオ機器を購入する際、店員さんにモード切り替えのことを詳しく尋ねがちになってしまう僕には、それがとてもよくわかるのでした。
おそらくは噂の出所でも、頻繁にモード切り替えがされていたのだと思われます。
このことは、長押しという概念が老人たちには理解しづらいことの証左となるのではないでしょうか。
力強く引き寄せる場合のそれは、黄桃であるべきか、はたまた白桃であるべきか。
そんな疑問に私が頭を悩ませていたのは、わずか数秒のことでした。
答えはすぐに出ました。言うまでもなく白桃です。
異議を唱える向きもおられましょうが、議論の余地はありませんでした。
引き寄せる側と引き寄せられる側の違い、それはとりもなおさず引き寄せられた場合はインベーダーになる。要はそういうことなのでした。
少し説明が必要でしょうか。私がこのような結論に至ったのは、スペースカンベーダーとの出会いがきっかけでした。
ある日のこと、学校帰りにふと立ち寄ったゲームセンターで、それは私を待ち受けていたのです。
インスタント焼きそばのソースに汚れ、薄暗い店内の片隅に置かれた四角くて黒い物体。
一目でわかりました。店員に聞くまでもありません。まぎれもなくスペースカンベーダーでした。
そう、確かにそのビデオゲームは、世間ではスペースインベーダーの名前で通っていましたが、私は騙されなかったのです。
悟りは瞬く間に訪れました。飛び交う電子音の間を縫い、それはこんなふうに頭の中に囁きかけてきたのです。
「腕、茶色いほうが映えるかもよ」
「あのね、リカね、バスの運行表を見るたびにね、飛び上がってしまうの」
「バス停へは近づくな」
ガチャリ。受話器を置くと、私は長々と溜息をついた。
個人で子供電話相談をはじめてから、すでに3日が経とうとしていた。
それが長いのか短いのかはわからなかったが、限界が近いことだけは確かなようだった。
昔はよかった(といっても、まだほんの3日前のことだが)。よせられてくる相談といえば、そのどれもが可愛いものだった。
「コウノトリはどこから赤ちゃんをつれてくるの?」
「砂糖ってどうして甘いの?」
思い返すだけで口元がほころんでしまう。
それにくらべ、近頃の子供たちの抱える悩みときたらどうだ。
「あのぉ、ピストン式が採用されている工場に、低音の声の男の人っていますか?」
彼らを取り巻く社会環境がどれほど劣悪なのか、いやでもわかろうというものだ。
「ふう……」
再び溜息をつく。そろそろやめどきなのかもしれない。
私は、パタリロのコミックを積み上げ作った即席の椅子を立つと、息を深く吸い込んでから、自身へ言い聞かせるようにつぶやくのだった。
「オーケー、オーケー、仙台のラジオだ」
165 :
オリーブ香る名無しさん:2014/11/22(土) 12:25:39.10 ID:mNE6A0gD
壊れた?
苦い野菜を求め、私は泥道を歩いていました。
ぬかるみに足をとられるたび「ぬちょ、ぬちょ」と粘着質な音がします。
それはひどくいやらしい響きでしたが、一方で心の支えにもなってくれていました。
というのは、苦い野菜と「ぬちょ」との間には明確なつながりがあり、そのことを私自身がよくわかっていたからです。
「石川さん、ぬちょ。石川産、ぬちょ」
足を進めながら呟きます。声音をコントロールして、微妙なニュアンスをつけることも忘れません。
これによってだいぶ道行きは楽なものとなりました。
ほどなくして前方に荒寺が見えてきます。
どうやら目的の場所へとたどり着いたようでした。
「遠路、よく参られた」
出迎えてくれたのは、見るからに徳の高そうなお坊さんでした。
「御坊、苦い野菜を」
それだけ言うのがやっとでした。
本来であればしかるべき手順をふみ、加工された箱を用意すべきだったのでしょうが、疲労と焦りが私に性急な態度をとらせたのでした。
お坊さんの答えはとても冷ややかなものでした。
「寺、寺、寺、寺、寺……お寺」
「なーにが色気だよ、ぼけっ」
と呟きながら、ぼくはケータイの左キーばかりを押していました。
「あ、左キーばっか押してんだ」
隣席の女子が声をかけてきますが無視します。
硬派ぶろうというのではありません。あくまで左キーに集中していたかったのです。
しばらくすると指が疲れてきますが、むろんやめるつもりはありませんでした。
なんとなれば、CDの読み取り面を使って野良猫をさんざん脅しつけてきた今のぼくには、もはやそれしか残されていなかったからです。
と、ここで、ぼくの心にわずかな変化が訪れます。右キーを押してみたくなったのです。
隣席の女子の視線を感じました。彼女にもぼくの内心に生じた異変がわかったのでしょう。
決断を迫られました。深く息を吸い、ゆっくりと、ゆっくりと吐き出していきます。
そして充分に気持ちの整理がついたところで、ぼくはおもむろに口を開いたのでした。
「色気も、ありかな……」
ぐらぐらと揺れるベッドの上で、私は歯ぎしりを繰り返していました。
手にごわごわした紙を握りしめ、頭の中で982式の念波を練り上げていきます。
千葉県の車庫事情に対する様々な想いが、私を強く突き動かしていました。
何かを取ろうとしたはずみに手が触れてしまい、制汗スプレーの缶を倒してしまう。それによく似た衝動でした。
缶はどこまでも転がっていき、やがて車庫へとたどり着くことでしょう。
制汗スプレーの缶、千葉県の車庫事情、ごわごわした紙。すべてが一点に集束していきます。
狂人による脈絡のない妄想のようでいて、そこには確かな世のことわりがあるのでした。
成績がいまひとつふるわなかったことを苦にして、リーダーが叫んでいた。
「成績がさっぱりーだー」
とるにたらないダジャレである。オチャメ、といってもいい。
だがそれはあくまで世間一般からの評価であり、ぼくの考えは違っていた。
「リーダー、あなたのダジャレにはもうこりごりーだー」
簡潔にして明瞭な否定の言葉だった。
リーダーのつまらないダジャレを取り込み、百人が聞けば百人が笑うような面白すぎるダジャレにアレンジしてみせた、そんな自負があった。
判定は雷(いかずち)のかたちをとり下された。
ぼくはいま、四方を暗黒に囲まれた虚無の空間にいる。
肉体という鎖から解き放たれ、意識がどこまでも宇宙と同化していくこの感触……。
ああ、哲学とはなんと暴力的なのだろう。
人の精神をメシのたねにしている女がいる。
そんな噂を耳にした私は、勢いのまま田山専務店の扉をくぐっていた。
たまたま目についただけで、精神ビジネスとは何ら関係のない店と思われたが、そうせずにはいられなかった。
「田山専務っ! すこし話を聞かせてください」
店の奥に向かって叫ぶ。
義憤のあまり声は震え、気分的にはまるで佐山専務を呼んでいるようだった。
ほどなくしてパーディション代わりの高跳び用マットが横にずれ、店員らしき青年が顔を覗かせる。
私の興奮とは対照的に、ひどくのろのろとした動きだった。
そのことが私をさらに怒らせた。我知らず声になってしまう。
「君じゃ話にならん。田山専務を出しなさい」
が、青年から返ってきたのは、いかにも面倒くさいといった調子のこんな言葉だった。
「工務店っす、うち」
……そうなのである。
正義は我にあり、とばかりに突き進んだまではよかったが、ここに至り私は重大な勘違いに気づいたのである。
目を閉じ、入店の際にちらりと目に入った看板のことを思い返す。
そこには黒々と大書された文字が、まぎれもなくこう躍っていた。
「田山工務店」
バレエダンサーになりたいなあと思いながら、今日も一日中寝転がって過ごした。
夢はあれどもこれといって努力はしない。僕が口だけ寝太郎とよばれるゆえんである、。
「寝転がってばかりいないで、バレエ学校とかいってみたら?」
姉や母からはそう小言を頂戴することもあるが、我ながらまったくやる気がおこらない。
「へへ、でもさ、ごろごろしてたいんだよねぇ」
薄ら笑いとともにそんな返事をするのが常だった。
そもそも実のところ、バレエダンサーにはさほどなりたくもなかった。
「へへ、へへへ、バレエダンサーに、ちょっとはなりたいかなあ」
床を転げながら鼻くそをほじる。真剣にバレエに取り組んでいる者たちが目にしたなら、さぞや怒るであろう態度だった。
「バレエの授業、超キツくね」
「マジわかる。バレエ、ゲロあなどれねえみたいな」
外からはかまびすしい少女たちの声が聞こえてくる。
おそらくは下校途中の女子高生たちなのだろう。彼女たちの交わすそんな会話が、僕をますますバレエから遠ざけていく。
「へへ、やっぱバレエはたいへんそうだな……へへ、へへへ」
夢に破れた若者がお定まりの虚無主義へと至る。
わずか一日の間におきた出来事だった。
焼きごてにかぎった話ではなく、魚肉と茶はバッティングする。
その理論を正しく理解するために近所のレンタルビデオ店へ向かったところ、ロボコップの映画を見せられるはめになった。
女性店員が側につき、「男の人のロボットだね」と、しきりに耳元で囁きかけてくる。
なるほどな、と思う。斜陽著しい映画界とは聞いていたが、まさかこんな水商売まがいのサービスまで始めていたとは。
彼女の言葉にはおおむね同意だったが、映画通を気取りたかった僕は、言わずもがなのアドバイスをしてしまった。
「人」を抜かしてみてはどうか、と。
女性店員は一瞬顔をしかめたが、すぐに営業スマイルにもどり僕の言葉に従った。
「男のロボットだね……あら、ほんと、こっちの方がいいわ」
なにもかもが茶番だった。
僕も彼女も、そして男のロボットにでさえもそれはわかっていた。
いや、はじめから知っていた、というほうが正しいだろうか。
白状しよう。僕が観賞させられていた映画は実はロボコップではなかった。そう、それは……
「あらやだ! これ違うじゃない。誰よ、『トレマーズ』なんてセットしておいたの」
除湿器の送風口がゆっくりと開閉するのを見つめながら、自室で一人「ああ、ああ」と声をあげていたところ、ブラジルマネージャーがやってきた。
「どう? ブラジルの調子は」
「わかりません。海外については全般的に情報不足です」
「それもそっか……よし、報告ご苦労、お兄ちゃん」
決まりきった質問に決まりきった答え。いつものお約束だった。
一連の流れをこなしたあと、ブラジルマネージャーこと我が妹は、ぎらぎらした目でこちらを凝視している。
一時退院を許された妹が家にきてから四日が経とうとしていた。
引き取りの際に交わした医師とのやりとりが頭をよぎる。
「いいですか、妹さんは自分のことをブラジルマネージャーだと思い込んでいます。その点を充分考慮したうえで接してください」
「先生、そのブラジルマネージャーというのはいったい……」
「残念ながらわかりません。現在の医学では、ブラジルに関係した何か、としか」
頭を振って回想を断ち切る。いくら考えたところで詮ないことだった。
「ブラジル高校、甲子園にいけるといいなぁ」
妹が無邪気に笑う。一時退院の期限は刻々と迫っていた。
「僕にならできる。愛があるからできるっ」
そう叫び、ギョーザ工場の周囲をうろついてやろうと家を飛び出したところで、はたと思い至った。
そういえばこのあたりにはギョーザ工場なんてなかったか、と。
急遽予定を変更し、母の生んだ長女が生んだ女の子(僕にとっては姪にあたる)の顔を見てから、BUCK-TICKのコンサートにいかないことにした。
姪っ子は可愛いとよく聞くが、コンサート参加の言い訳にするのはおそらく僕くらいだろう。
しかも、コンサートにいく、ならまだしも、コンサートにいかない、のだ。
完全に裏をかいてやったことにぞくぞくするほどの快感を覚えていた。
勢いのまま日記を書くことにする。今の興奮を記録しておきたかったからだ。
「アルファベットは3つ並びませんでした。考えてみてください、えへへへ」
ほとばしる衝動のまま出た文章だった。多少粗いところがあるのは、まあご愛敬といったところだ。
それでも少し考えたあとで、気になった部分を書き直すことにした。
「アルファベットは3つ奈良びませんでした」
男性的マッチョイズムを否定したうえで、土下座をする角張った男にはきっちりと好意を示す。
そんな女性がいたとして、はたしてそれを大和撫子といえるのでしょうか。
私がこうした疑念を抱くに至ったのは、深夜ラジオから長嶋監督の声が聞こえてこなかったのがそもそものきっかけでした。
5人組のアイドルグループが、身の程知らずにも容姿を売りにしているかどうか。
にわかには断じかねるデリケートな問題です。ましてやそのアイドルグループの構成メンバーが、ことごとく糸目だとすればなおさらでしょう。
けれども監督は答えてくれたのです。いえ、正確には無言を貫くことで、ひとつの進むべき思考の順路を示してくれたのでした。
つまりどういうことかというと、タム402星からの思念波がラジオの電波に乗ることで、男女二人からなるラジオDJを誕生させたのです。
むろん彼らに関西地方のなまりがあったことは否定できません。が、深夜モードの恥ずかしい語りの中にあっては、それも些末な違和感以上のものではありませんでした。
タム、タム、タム、タム……ハム。
「盗掘」ってうまく言えない。
妹がそんな相談を持ちかけてきたのは、僕が自室で一人薄ら笑いを浮かべているときのことだった。
「とうぷ……とうぺ……ああんもうっ、いやになっちゃう」
「へへへ」
「ちょっとお兄ちゃんっ、へらへらしてないで、なにかいい案はないわけ?」
「へへ、へへへへ」
しばらくはこんなやりとりが続いた。
世間一般の尺度からいったらどうなのかわからないが、いたって仲のよい兄妹なのであった。
とはいえ、ふざけてばかりもいられない。なんでも妹の話によれば、近頃やけにエジプト関連のニュースが耳に入ってこないのだという。
つまりは、件の語が人の口にのぼる回数が、以前にもまして激減しているというのである。
「へへ、でもさ、だったら盗掘って言う機会なんてないんじゃない。へへ、へへへ」
「あ!」
「なっ、だから言えなくたっていいんだよべつに。へへ、へへへ」
「すごいっ、すごいよお兄ちゃんっ!」
「へへ、へへへ」
「やっぱあたしのお兄ちゃんだ。ロッキーバルボア」
窓から差し込む夕陽に、部屋はいつしか朱く染まっていた。思いの外、悪ふざけに時間を費やしてしまったようだ。
ボクシングを始めるのに、まだ遅くはなかった。
その女は飲料の自販機の前に立っていました。
のろのろとした動きでボタンを押しては、何かに一心に耳を澄ませています。
見てすぐに直感しました。「あっ、ムード歌謡を聞こうとしてるんだな」と。
正直言って迷いました。ムード歌謡は今や深夜ラシオのエンティンクくらいてしか聞けませんよ、と彼女に伝えるべきだろうか。
僕自身、野鳥観察のための双眼鏡を二つに分け、望遠鏡を作ったばかりでしたから、我知らず躊躇していたのかもしれません。
しかし、それもこれもすべて杞憂でした。意を決し、女に声をかけようとしたとき、その音が僕の耳にも飛び込んできたのです。
「はちみつぅぅ、サンドぉぉ、食べて〜たねえ♪」
まぎれもないムード歌謡でした。
驚愕、疑念、歓び、様々な感情が胸をよぎり、僕の体を麻痺させました。が、それもわずか数秒のことでした。
女がゆっくりと、スローモーションさながらの動きでこちらを振り返ったのです。
狂気の光を宿していると思われたその瞳には、案に相違し理性のひらめきが認められました。
自然、視線が絡み合います。「運命」を感じさせるのに充分な熱さをもって、僕たちは見つめ合いました。
先に口を開いたのは女の方でした。
「小銭」
近所のコンビニの店内、銀貨をかたどったチョコレートを見つめながら、僕がへその緒でつくられた鞭について考えていたところ、ひとりの男が話しかけてきた。
「実費を長い顎にはできんもんかね」
「さあ、むしろがっしりした顎、ということにしてくださいよぉ」
ざっとこんなやりとりをする。伯爵と野球部員とのちょっとした言葉遊戯、それ以下でも以上でもない会話だった。
現代社会の隣人事情にあっては別段珍しくもない日常の風景である。少なくとも今のところは。
ところで、上のやりとりを見るかぎりでは、おそらく多くの人が男のほうを伯爵だと思うことだろうが、これが違うのである。
なんと驚いたことに、いかにも菓子づくりに精をだしているといった感じの話し方をしている僕のほうが、実は伯爵なのだ。
これにはきちんとした理由があって、75もの物差しを所持していることが、どうやら原因らしいのである。
つまり、「ものもの」っと連続する音の連なりが、僕になにがしか雅な色を与えているというのだ、えっへん。
※ ×えっへん ○エウヘン
野菜という文字の「菜」の部分を「莱」にすることで、口のうまい傭兵をやりこめてやろうと考えた私は、かつてゲイだったという男に話を持ちかけた。
「なんとかなりませんか」
「無理でぃすね」
「そこをなんとか……ってか『です』ですよね?」
「ノー、でぃすでいいんでぃす」
しばらくそんなやりとりを続けたが、話は平行線をたどるだけだった。
「わかりました、もういいでぃす」
不毛な言い合いに飽き、やがて私のほうから話を切り上げる。
内心の苛立ちが声音と表情に出ていたかもしれない。
が、男はこちらの様子など気にしたふうもなく、どこからか取り出した雑誌をめくっていた。
とくに覗いてやろうというつもりもなかったが、私のところからもその誌面ははっきりと見えた。
そこには東南アジア風の少女のグラビアが載っており、彼女の言葉というていで吹き出しに次ぎのような文字が躍っているのだった。
「会員のみなさん、ワイヤーの入った布を贈ってくださりありがとうです」
路上で一人、ヘルメットにリボンをこすりつけニヤついていたところ、ちょっとした言い争いがおきてしまいました。
といっても誰かを相手にしたものではありません。それは自問自答のかたちをとり、不意に胸中に湧き起こったものでした。
「いま、女の子って言っただろ」と黒い私が問うと、すかさず白い私が「いいえ、女の功と言ったのです」と答える。
ヘルメットを前にしゃがみ込み薄笑いを浮かべる私に、道行く人たちは哀れみとも侮蔑ともつかない一瞥をくれていきましたが、さほど気にはなりませんでした。
乾いた冬の風が、手にしたリボンを揺らしていきます。頬に痛いほどの冷たい風でした。
「CDを聴いただけでぺらぺらなら、誰も苦労はしないぜ……」
気づけば独りごちています。ふとやってきた弱音が思わず漏れた、そんなつぶやきでした。
私も歳をとったなと感じるのはこんなときです。
ともあれパイロットランプの点灯を確認するための旅は、こうしてはじまらなかったのでした。
「げっぽーがっぽーげっぽーしょー♪」
目の前で唾を飛ばさんばかりにして歌う女に、私は腕組みした姿勢のまま冷ややかな視線を向けていた。
ふらりと入ったCDショップでインストアライヴが行われているのだった。
(月報合邦月報粧)
心の中で歌詞に漢字を当てはめていく。
奇抜なパフォーマンスと楽曲が売りの女性アーティストとのことだったが、私にはルックス頼みのB級アイドルにしか見えなかった。
だから漢字の選択も自然とおざなりなものになってしまう。
そんなこちらの胸中を知ってか知らずか、女性アーティストはますますエキセントリックなシャウトを吐きちらかしていた。
限界だった。忍耐的にも尿意的な意味においても。
私はきびすを返すと、すでに雑音と化した歌声を背にし歩き出した。
店を出る際、インストアライヴを告知するポスターがちらりと視界をよぎる。
「ルービックキューブの赤面をお腹にあててごらん」
太字で書かれたその文字はアーティスト名だろうか。
いや違う。それにしては長すぎる。となると……。
背後から一際高い歌声が響いたのはまさにそのときだった。
「あったかいぃ♪ お腹とってもあったかいぃ♪」
日本近海に点在する島々について思いをめぐらす際、あまり電話報、電話報ともいってられないなと考えた私は、早速NTTの消費者ホットラインに電話することにした。
電話報から話を抜いて、本来あるべき文字の形に戻してもらうためである。
「もしもし、デンワポーの件についてなんですけど……」
単刀直入がいちばん、前置きなしにずばりと切り出す。
電報文化それ自体が失われていくのはしようがないとしても、かつてそのような制度が存在したということだけはなんとしても残しておきたかった。
こうしている間にもデンワポー率は高まりをみせているため、長々と説明している時間はないのである。
「ご勝手にどうぞ」
応対にでたオペレーターの返事は冷ややかなものだった。
「デンワポーからワを抜くだけなんです」と、漢字の説明も交えながら食い下がるが相手にされない。
受話器の向こうからは「ご勝手にどうぞ」と同じ返事が繰り返されるばかり。まさにとりつく島もないといった漢字だった。
184 :
オリーブ香る名無しさん:2014/12/11(木) 12:06:47.58 ID:olJYwXK/
>>155 いゃ、それ焼きうどんの味付けの一つでしょ
大昔からある
すべては粒子のなせる業と思いながら、私は雑誌のアイドルグラビアを眺めていた。
縦溝への報告は午後からだったので、はちまきもまだしていない。
いたってリラックマした状態だった。
くっついて離れないページをぺりぺりとめくっては、水着姿の若々しい肢体にぎらぎらした視線を走らせる。
投稿昇降はすでに商工登校しており、もはや最終ページへの到達は時間の問題だった。
ガバメントキャップという商品がないという。カタログ波からの定期メルマガによって知らされた情報だ。
アルモノダケヲシラセロ、そんなふうに私の中のセミ的部分は抗議の声をあげたが、協会からは見事に黙殺されてしまう。
まあどうでもいいことではあった。ガバメント……。
>>184 昭和時代はトマトケチャップな味の焼きうどんあったなw
そう言えば、焼きうどんソース味や醤油味とかあるが
それ思うと、パスタも同じような味付けはありか
まぁナポリタンもケチャップだけじゃなくソースも隠し味程度に入れたりってのはあるが
「東北育ちだからそれなりに大丈夫」
そうつぶやくと、私は手にしたコップの水を一息に飲み干した。
ただの水ではない。それには魚から抽出したエキスがたっぷりと入っている。
いわずとしれた魚の煮汁業だった。
(ぽんぽん平気、ぽんぽん平気)
腹に力を入れ、一心に願う。
故郷の命運をかけた、いちかばちかの大ばくちだった。
勝算はあった。なんかこの頃は腹調子もいいし、たぶんだいじょぶっしょ的な感じがあった。
だがしかし、勝負の女神は私に微笑みはしなかった。
ぎゅるぎゅるぎゅるぅぅっ。
急激な便意と腹痛がいっぺんにやってくる。
魚の煮汁が身体のなんかどっかに障って、猛烈な下痢を引き起こしたのだった。
「かけいぽぉ!」
腹を押さえながら思わず叫んでしまう。
そうせずにいられないほどの強い痛みだった。
これはあとから知ったことだが、このときの私の叫びは、遠くトランシルバニアにまで届き、彼の地の主婦たちの家計簿をつける手をことごとく止めさせたのだという。
すごい友を探していた。とてつもない友人を。
友人の定義はこの際どうでもよかった。ただただすごい人物を求めていた。
だがこれといった策は講じていなかった。黙って待っていればそのうち向こうから現れる、そんな甘えがあったのかもしれない。
そのようなわけだから、裸婦画を専門に扱った美術館がないことを確かめる旅にでるつもりのない私は、相も変わらず家の中でごろごろしていた。
驚いたことに願いはすぐさま叶えられた。しかも、複数の友人、というかたちをとって。
1、2、3……5、全部で5人の美丈夫が私の前に立っていた。
彼らはぎらぎらした目でこちらを見つめ、無言のうちに帰郷を促してくる。
獣性を帯びた視線にそうした意味をこめさせることで、なにかをほのめかそうとしているのは明らかだった。
あらがうすべはなかった。腕っぷしにはまるきり自信がなかったし、なにより暴力はふるうのもふるわれるのも嫌いだった。
私はひとつ溜息をつくと、おとなしく歩き出した。
口の中でごもごもと言葉を転がす。せめてもの反抗だった。
「ご無礼つかまつった」
それは、かつて山本譲二から教わった、反権力の証である呪文だった。
「妹の、ことは、たのんだ、ぞ・・・・・・」
僕は切れ切れに呟くと、足下の銀縁メガネを粉々に踏み砕いた。
分かっていた。自分には妹などいないということは。そして路上に散乱した視力矯正器具の破片が黒色をしているということも。
すべてがこの世界そのもののありようをまざまざと示しているのだった。
そう、この世は虚偽に満ちている。
一人っ子があたかも妹がいるように振る舞ったり、黒縁のメガネを銀縁だと偽る奴がいたり。
もうたくさんだった。こんな世界はなくなってしまえばいい。心から願う。
乾いた冬の風が、路上に佇む僕と銀……黒縁メガネの残骸をなでていく。
すでに破局は避けられなかった。だからCDショップへと向かう。ある決意を秘めて。
試聴機のヘッドホンを外してみるつもりだった。聞こえてきたのが男性ボーカルならセーフ。おとなしく立ち去るつもりだ。
だが、もしも女性ボーカルだったとしたら、ためらわずにその場で宣言するつもりだった。
「ビデオ撮影を申し込んできまーす」と。
>>155 昨日台湾料理のプロの料理人の夜食を作ってもらう番組のコーナーで
お湯+ケチャップに冷凍うどん入れてその他簡素な調味料やトマトなど入れて電子レンジでチンっての作ってた
プロが作るってことは合うってことか
クリスマスムードでにぎわう、とある街頭でのことだった。
私は道行く恋人たちにぎらぎらした視線を送りながら、せっせと蛇の物まねにいそしんでいた。
「しゅほぉぉっ、ぐぱぁぁっ」
先刻からちらつきはじめた雪のなか、澄んだ冬の空気を蛇声が震わせていく。
迷いはなかった。はたして蛇がどのように鳴くか、いやそもそも鳴き声をたてるのかさえ知らなかったが、捨てばちな気分が私を動かしていた。
だが、蛇声すればなんとやら、そのような蛮行は万が一にも見逃されることはないのだった。
「もしもし」
話しかけてきたのはひとりの男だった。
チロチロと舌を覗かせながら、鱗に覆われた口元だけで笑んでみせている。
「ス、スネーク」
「どうも、蛇です」
それが男との――蛇山蛇之臣との出逢いだった。
193 :
オリーブ香る名無しさん:2014/12/19(金) 04:36:57.65 ID:mAO3/ANs
ふと懐かしい匂いがした。どうやらキッチンの方から漂ってくるらしい。
赤ん坊の、ミルクの、つまりは記憶の中にある母の匂いだった。
強い郷愁に駆り立てられるまま、急いでキッチンへと向かう。ところが――
「こんにちは」
そこにいたのは雲を突くような大男だった。
にこやかな笑みを浮かべながら脱脂綿をこちらに差し出している。僕を誘った懐かしい匂いはどうやらそこから発せられているようだった。
「もしかして魚名前の人ですか?」
おそるおそる訊いてみる。
男の風体からすぐさま連想された忌まわしい思いを、あるいは打ち消したかったのかもしれない。
いや違う、そんなはずはない。彼が……であるはずがない、と。
が、男の発した言葉により、そんな僕の願いはもろくも崩れ去るのだった。
「アイスクリーム、くれ」
ナポリタンって
トマトケチャップだけ(主に関東)
トマトケチャップ+トマトソース
トマトケチャップ+トマトソース+ウスターソース
結構微妙に違うのな
「腕のいいギタリストを口の中に入れると虫歯予防になるらしい」
そんな法螺を吹いている奴がいたので
「人間一人がまるまる口に入るかなあ」
と疑問を呈してやったところ、アスファルトを逃げ去っていった。
もちろん、タイヤを切りつけながら。
勝利感はなかった。当たり前のことを指摘し、当たり前の結果を得たにすぎなかった。
さて、話は変わるが、臓物騎士という言葉がある。野球の応援に否を突きつけた夏に関連づけられるユニット名だ。
多くの場合、それは歯を鳴らすこととほぼ同じ意味である。父親の呼びかけもまたしかり。
つまりそう、有り体に言ってしまうとなにもかもがピーターの勘違いに行き着くのである。
笑うことはできない。誰にもオウムの勘違いを笑うことはできない……いや、九官鳥だったか。
とにかく、床は透明、姉は帰省、そういうことになる。はからずもヒップホップ風になってしまったが、まあいいだろう。
ららぁ♪ ららぁ♪ らららららぁ♪
世紀の変わり目には何かの焦げたような臭いがする。
そんな俗説が叫ばれて久しい。
事実、2000年から2001年への年越しの際には、ロビンマスクのマスクが多く売れたのだという。
マスクの重複ではないかとの的外れな指摘は別としても、かなりの物議をかもしたことは今も記憶に新しい。
不良男子にぶつか……体当たりしていく女子生徒が焼きそばに間違われるのに少し似ているかもしれなかった。
「マスク出せっ。転売できねーだろが!」要はそういうことである。
バイヤーと店員がもみ合っているところを見た私が言うのだから確かだ。
体当たり? ああ、店員に体をぶつけて抗議しているバイヤーもいたことはいた。
まるで「ほんと、なるべくこまめに言い直すベッキーよね」とでもいうように。
チクリ……チクリ……ブスゥゥゥゥ。
198 :
オリーブ香る名無しさん:2014/12/23(火) 05:42:28.49 ID:THRgU0EY
ケーキの空き箱がコンピューターになるとして、果たしてその中身に言語は宿るのか。
寝ころんびあ大学での研究を終えた私は、クリスマス気分に浮かれる街並みを眺めたたずんでいた。
道行く恋人たちが奇異の視線をよこしながら通り過ぎていく。
口元に薄笑いを浮かべ、唾をぶじゅぶじゅ垂れ流す男が珍しいのだろう。
あるいはまた、寝ころんびあ大学生と自分たちをくらべ、改めてクリスマスを噛みしめているのかもしれない。
いずれにせよ私にはどうでもいいことだった。
「ロバート・デニーロにくしゃみさせてくれよぉ」
ふと、施設で同房だった男の言葉が頭をよぎる。
ハリウッド俳優とみれば誰彼かまわず絡む男だった。
職員にデンパチを食らいビクビクしていた姿が思い出される。
もしかしたら私は、大麻……オオアサの悪い部分しか見ていなかったのかもしれない。
「リクルートスーツ、どの経路でやってくるかな」
独りつぶやき見上げた空に、今にも墜ちてきそうな雲が垂れ込めていた。
ホワイトクリスマス、それもいいだろう。望むところだった。
俺は、唐辛子を2個くらい軽く切って入れるな
なきゃ七味とうがらし入れてピリ辛ナポリタンにする
つ タバスコ
サラダオイルで和風ナポリタンだと唐辛子
オリーブオイルだとタバスコの方が合いそう
夕方、トマトをざく切りにしてケチャップも適量入れトマトソース作ってパスタと絡めて食べたが、これも一応ナポリタンでいいんだろうか
ナポリタンってイタリアンのことか・・・
コネチカットへの行き方を考えながらブラスバンド部の見学をしていた私は、部員たちが奏で始めたメロディーにふと耳を奪われた。
ほのかに哀愁を帯びた管楽器の音が部室の空気を震わせていく。
コネチカットブルース。すぐにわかった。
驚いたのはほんの一瞬だった。すぐにポーカーフェイスを取り戻す。
そんな私の様子を見て、部員たちがにやにやしている。
やれやれ、どうやら修行が足りないらしい。
楽器を吹きながら薄ら笑いを浮かべてみせる連中の器用さに舌を巻きつつ、心中で独りごちる。
こんなときはおとなしく退散するにかぎる。きびすを返し扉に向かう。
背中にいくつもの視線が突き刺さる。振り返らずともわかった。
それらの多くはあざけりの青を含んでいた。コネチカットブルーが形を得た瞬間だった。
最近よく耳にするようになったあるバンドの曲が、今日もラジオでかかっていた。
王子様のようなメイクとファッションのヴィジュアル系バンドで、なんでも期待の大型新人とのことらしい。
もっとも、そのデビュー曲というのが、高速ビートにのせ「どえええいっ!」と叫んでいるだけの代物なのだから、業界の大きな力が働いているのは明らかだった。
「こりゃ、偽ベートーベンどころの騒ぎじゃないわい」独りごち、蹲踞姿勢について考えをめぐらせる。
左腿の内側に確かな熱を感じていた。
207 :
オリーブ香る名無しさん:2014/12/27(土) 19:37:25.29 ID:P6mLMzIN
濃いナポリタンをご飯にのせて食うと美味いんだよな
>>200 七味いいね
ご飯のおかずにピリ辛が合う
とにかく腹いっぱいになりたい子供の頃や若い世代は
ナポリタンをおかずにご飯を食べるのは欠かせない料理
つか、弁当とかにもナポリタン入ってるだろ
イタリアンな
隠し味に醤油入れるとかあるが
美味しくなってるようには思えない
いゃ不味くもなってはないけど