【PSU】朝起きたら自キャラになってたSSスレ2.5

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1GH450
前スレ落ちてしまったようですので、新たに建てました。
まとめサイトを作りたい方は是非一報入れていただけるとありがたいです。
作るのがいいのかまだ決まってませんし。

単発も歓迎です。

PSU】朝起きたら自キャラになってた、でお話を書くスレ
http://live19.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1158274854/l50

【PSU】朝起きたら自キャラになってたSSスレ2
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1161516493/l50
2名無しオンライン:2007/02/09(金) 03:26:25.39 ID:z9/iE/Ij
>>1乙!
やっぱし落ちちゃったか…。
とりあえずdat落ち防止で定期age
3前スレ57:2007/02/09(金) 03:46:46.64 ID:gNwdX5S0
>>1激しく乙です。
そろそろ保守しないと不味いかな、と思ったら時既に遅し。
神の流れが続いてほしいものです・・・。
4431:2007/02/09(金) 22:03:41.40 ID:f/XN3ELc
前スレ落ちちゃったのか

ちと相談なんだけどスレに書き込んでいくっていう性質上
どうしても長くなりすぎないように細かい部分ははしょって
小さく区切りながら書いていかなきゃいけないんだけど
どうも書きたいことが多くなりすぎてそれじゃ納得いく出来に
なりそうになくなってしまった
だから自分でサイト作ってそこで公開していこうって思ったんだけど
HP作るスキルもなけりゃ学ぶ時間もない(´・ω・`)
無料で簡単にHPが作れるサービスとかあったら教えてもらえないだろうか
スレ違いの相談スマソ
5名無しオンライン:2007/02/09(金) 22:15:38.66 ID:vjn4W78D
どっかのろだにテキストファイルでうpしてここに貼ればいいんじゃね?
6GH450:2007/02/09(金) 22:26:55.01 ID:rlOvMtSD
>>4
本当にHPにUPしたいのでしたら、ご主人様が持っているので
そちらを使われても構わないそうです。
荒らしだどうのこうのはとっくの昔に相手にしているので
その辺りはご無用です。

って、これ全員に発信しても構わない事でしたね
一応上げておきます
7名無しオンライン:2007/02/10(土) 02:03:34.66 ID:LPQVeUwe
引退社続出の中、俺は気の知れた仲間といつものようにネタプレイや、たまにやるガチ冒険を楽しんでいた。
金が貯まってはドゴーンサーセンwwを繰り返した。


今もバースト基盤が二つなくなったとこだ。
それと同時にそれだけの素材だけ消えた。またクバラ集めないといけない。
パシリも育てきれてないわけで、失敗するなんてのは慣れたから平気だった。
それを踏まえても今日は特にツイてねー。グラインダー作ってたのに。

そんなことばっかでいっこうに金の溜まる気配の無い俺を見かねてかどうか、
いつからか仲間のみんなはドロップした銃を取っておいてくれるようになっていた。

と、ゆうこともあり俺がマイルームにいると決まってメールが来る。

「また壊れた?餌もてる?」

ほら、こんな感じ。今日はリリーって友達からメールが。

些細な事だけど俺はそれだけでも‥むしろ、みんながいることだけでも楽しかった。
きっと今後どんどんさびれていっても、みんながいるうちはPSUやめないだろうなという確信が、どこかにあった。

リリーからもらった餌をパシリに食わせ始めた。
彼女は一緒に遊ぶ友達の中でも特に仲がいい。
最初の出会いはブルースミッション。第一印象は、効率厨だなんて言えない。
87:2007/02/10(土) 02:04:33.02 ID:LPQVeUwe
 とりあえず、レンジャーだからって事でリーダーをまかされた。
 出来上がったPTにはFoがいなかった。
 「キャラを代えてきます」といきなり渡されたパトカが俺たちの付き合いの始まり。

 正直、職業とかレベルに全くこだわらないタイプな俺は、
 『うお、職業編成とか別にいいのに・・・やっぱ効率重視になってしまうのもいかがなもんかね』
 と、かなりテンションが下がっていたのを覚えてる。

 ログイン時間が比較的少ない俺は、初めて行った時点で既に乗り遅れていたのに気がつかなかった。
 迷惑かけまくりでね。

 2回やって2回ともグレネードでゴリラを回してしまったのは俺だと、PTメンに指摘された。
 俺はどうでもいいけど迷惑かけたーってショックで、傷心の下PTを抜けた。
 『はうおおおおおおおん。そんな事とはつゆ知らずにマジ調子のってスイマセンでした』
 まさにガラスのハート。部屋に戻って合成をセット。
 凹みまくりで出来てますようにと願い、寝ようと思った。

 「まー、気にしないでいいかと思いますよー」
 「終わった後に言うのもナンセンスだと思うし。うん。」

 ─うお。誰だ。
 『あ、さっきの!』
 ─そこに彼女がいた。
 『いやホント何も知らなくてマジスイマセン』

 ─もう泣きそう。これ以上恥かかせないでくれ。

 「いや。そんな落ち込む事じゃないですよー。正直会話も無くて微妙なPTでした。」
 『うぅ、会話は無かったけど。俺もしてなかったですよ・・・』
 「はい。グレネード出来上がったばっかりではしゃいでるようにみえたので」
 『えw』
 「ちがったら、ごめんなさい。。」

 ─ちょ。エスパーキタコレ。

 『いやw使い始めて2回目なんですがwwどうして?w』

 ─動揺が【w】となって現れる。

 「なんだか、あまりに悲惨な感じだったのでなぐさめてあげようかと!」
 『うっはwwwww』
 「グレネードは壁よせが出来るのがあついんですよー」

 ─効率マンではなくて。実はすごく変な人な気がしてきた。
 出来上がったばかりのグレネードが詳しそうなところに、俺は食いついた。

 『壁よせ?』

 ─【w】の多さに気がついた。

 「うん。実はね。」

まあ、以下略。

リリーの本職はプロトランザー。♀ヒューマンランザーという究極中途半端。
基本中途半端未満なところに惚れたらしい。なんかサバサバした感じのトコもいい。
なにげにネトゲ以外の話も合うという数少ない希少種だ。
97:2007/02/10(土) 02:05:12.68 ID:LPQVeUwe
そんな彼女のくれた餌を食べさせる為に、珍しく思い出してニヤニヤとボタンをポチポチ押し始めた。
「これ…古くないですか?」「これ…古くないですか?」「これ(ry
『ウッセーバーローwww』
そう言って楽しんでたのは9月中旬まで。
これはもはや俺にとって苦行でしかない。ドゴーンサーセンのようなスリルが無いから。

『‥やっぱりめんどい。きっとこんなんだからいつまでたっても育たないんだろうな。そしてそしてドゴーンするんだろうな。』

何個かあげてたらにやけていた顔が徐々に眠そうな顔になってゆくのが自分でもわかった。
全然関係ない事を考えだしたら、眠い証拠。

4ずつ増えるゲージを見つつ、半分寝ながらこんな事を思う。
『あーそういや朝起きたらSSスレで寝落ちしたら自キャラになる話あったな』
『俺はいっそ自キャラになりてぇよ。キャストでもいい。仕事したくねえ…』

意識が朦朧としている中とある銃を食わせたら急にキュイーンと射撃ゲージが増えた。

『うお。』

ふと目が開いた。12も上がると思ったら、下の方はオルトトルがやたら多かった。
一気にテンションが上がってきた。単純なのはわかってる。

オルトトルオルトトルオル。。。

貰ったトラップもあわせたらすげー上がった。
嬉しいから、後でリリーにはルームテロ@自分放置をお見舞いしてやろう。

ところでオルトトルってどいつがドロップするんだろうと、wikiを検索する。
ふむふむ…ディ・ラグナス行ってたのかなー。みてみたいなー。

など、みんなをプチストーキングするのも楽しみだったりする。
実はあまりログイン時間が短い俺でも多少会話に混ざることが出来るのがでかいという噂もあるとか。

あ、ウィンドウ開けたし久々に朝起きたらSSスレでも見ようかな。





…オチトt(ry
10名無しオンライン:2007/02/10(土) 02:10:53.48 ID:LPQVeUwe
人生初SS。死ぬ程疲れた。職人さん達のすごさを改めて感じたんだぜ。
自キャラになってないし朝でもない。最後の一言が言いたかっただけなんだ。
そんな俺、前スレ471。

皆さんの続編死ぬ程楽しみにしています。

まーとりあえず吊ってくる。
11前431:2007/02/10(土) 15:57:38.23 ID:PuD2hRpj
>>6
おぉぉ、それはすごく助かります。
うpロダも考えたんですがどうせなら多くの人に読んでもらえる形にしたいなと
ご迷惑でなければぜひお力添え願いたいっす。

んで、1度はスレではじめたのでとりあえずこちらで完結はさせたいと思うので
続き投下
12前431:2007/02/10(土) 15:59:00.10 ID:PuD2hRpj
ベッドから這い出るとやけに部屋の中が明るかった。
時計を見るとすでに11時をまわっている。
「しまった。」
寝坊してしまった。1分1秒を大事にしたい時だっていうのになんて間抜けだ。
寝巻きを脱ぎ捨て急いで着替えて1階へと駆け下りる。
「ごめん塔子。寝坊した。朝飯どうした?」
洗面所で乱暴に顔を洗いながら妹に声をかける。
しかし返事は返ってこない。
「塔子?」
タオルで顔を拭きながらリビングへと進む。
テーブルの上に一枚のメモがおいてあった。
『少し出かけてきます。夕方には帰ると思います。塔子』
出かけてたのか。
ソファに深く腰かけてなんとなしにメモを読み返す。
僕と違ってきれいな字だ。
母さんの字もこんな風にきれいだった。
「字はその人の性格をあらわしてるのよ。シンちゃんの字は元気がいいわね。」
よくそういってコロコロと笑っていた。
母さん、塔子はやさしい子に育ったよ。
胸がじわりと痛んだ。
・・・あとどれだけだ。どれだけ塔子といられる・・・。
今、この家には僕1人。
家にいるときはいつも2人でいるわけじゃない。こんな日もしょっちゅうあった。
だけど、今日はやけに寂しく感じられた。
落ち着かず、家の中を歩き回る。
父さんが残してくれた家。1人で住むには・・・広すぎるよ。
ふと、沢田さんの顔が眼前に浮かんだ。
今あの人もこうやって1人でいるんだろうか。

―笑ってよ。最後なんだからさ。―

サイフをジーパンのポケットに突っ込んで、玄関に向かう。
以前酔いつぶれた沢田さんを送っていったことがあるから家の位置は知っている。
自転車にまたがって勢いよくこぎだす。
追い返されるかもしれない。
でもいいや。いくだけ、いってみよう。
途中見かけたケーキ屋でいくつかケーキを買った。
沢田さんの好みはわからないから適当に。
こんなヤツ鬱陶しいかもしれないな。
家をでてわずか数分で僕の気持ちは萎えかけていた。
最後の瞬間を邪魔してしまうんじゃないかと。
いいや、さっきも考えただろ。そのときは、そのときだ。
あまりきれいとは言えないアパート。
ココが沢田さんの家だったはずだ。確か・・・205号室。
郵便受けで名前を確認して、階段をのぼる。
いてくれればいいのだけど。インターホンを軽く押す。
耳障りな音とともに部屋の中で物音が聞こえた。
よかった。いるみたいだ。
扉が少しだけ開いた。
13前431:2007/02/10(土) 16:02:19.76 ID:PuD2hRpj
「はいはいどなた・・・?み、宮村君?」
チェーン越しに顔をのぞかせた沢田さんは目を丸くしてこちらを見ていた。
「どうも・・・。」
「ちょっ、ちょっと待ってね。」
扉が閉まり、その奥でカチャカチャと金属音が響いた。
数秒後に、今度は扉が大きく開かれた。
ようやく見えた沢田さんの全身はいつものおしゃれな印象と違い、いかにも部屋着といったジャージ姿だった。
「どうしたの?急に。」
「あ、いや・・・。」
沢田さんの当然といえば当然な問いに言葉がつまる。
特に用があったわけじゃない。強いて言うなら、会いたかったから。
・・・こんなこと言えるか。
「あ、なに?手に持ってるの。もしかして差し入れ?」
目を泳がせるだけの僕に業を煮やしたのか、沢田さんは話題を切り替えた。
助かったけど・・・どうにもダメだな。僕は。
「あ、はい。そこのケーキ屋で買ってきたんですけど。」
「お〜、いいじゃ〜ん。あがって。一緒に食べようよ。」
1歩後ずさって、僕を部屋の中へ招き入れる。
「お邪魔します。」
中央に小さなテーブル、隅っこに布団がたたまれて置かれていた。それだけ。
部屋の中は・・・女性の部屋とは思えないほど閑散としていた。
「ごめんね〜。昨日のうちに家具片付けちゃったのよ。あ、お皿はあるよ。ちょっと待って。」
僕をテーブルの前に座らせて、沢田さんは台所に消えていった。
自分が消えた後のために・・・か。
頭をかきむしる僕の背後で沢田さんの声が聞こえてきた。
「ごめーん。フォークないから割り箸・・・。」
振り向くと小皿に割り箸をのせた沢田さんが恥ずかしそうに笑っていた。
「来るってわかってたらちゃんと準備できたんだけどな。」
テーブルを挟んで僕の向かい側に座る。
「すみません。急に。」
「冗談だよ。さっ、食べよう。わぉ4つもあるじゃない。2つずつ?」
「いえ、僕は1つで。」
「んじゃ私3つ食べちゃうわよ。好きなの選んでいい?」
「どうぞ。」
「やった〜。じゃあこれとこれと・・・」
待ちきれないといった様子で箱からケーキを取り出していく。喜んでくれてるみたいでよかった。
「いただきま〜す。」
大きな口をあけてケーキを頬張る。うれしそうに。
「うん、おいしい。おいしっ・・・。」
だが、急に沢田さんはうつむいてしまった。
「さわ・・・。」
その瞳に、なにか光るものがみえた。
「ごめっごめんね。ちょっと待って。」
明るく振舞っていても、やっぱり色々なものに耐えながら、この5日間を過ごしてたんだ。
目をこすりながらケーキを口に運ぶ沢田さんに、僕は何も言えず、ただ黙ってケーキを食べ続けた。
「ごちそうさま。」
僕がケーキを1つ平らげるのと同時に、沢田さんは3つめを食べ終えた。
「ごめんね。急に泣き出しちゃって。」
「いえ・・・。」
「誰か来てくれるなんて思わなくて。うれしかった。ありがとう。」
「・・・いえ。」
いつもどおりの笑顔を、沢田さんは僕にみせた。
なにか言わなくちゃいけない。だけど昨日のように言葉なんて出てこなかった。
「それで、悪いんだけど・・・そろそろ帰ってもらっていいかな・・・。」
申し訳なさそうに、上目遣いで僕を見る。
14前431:2007/02/10(土) 16:05:07.44 ID:PuD2hRpj
対応の変化に多少驚きながらも、その場から立ち上がる。
「もう、そろそろだと思うから。」
その言葉で、一瞬僕の動きが止まる。
「消えるところ見られたくないんだ。」
ひどく喉がかわく。
沢田さんは僕の背中に手を置いて、玄関まで押しやった。
何が言える。
今から消えていこうとしている人に、何か残せる言葉は無いのか。
なにも思いつかないまま、来たときのように、僕と沢田さんは玄関の前で向かい合っていた。
「本当にありがとう。」
「いえ。」
結局僕は・・・何をしにきたんだ。
「あ、ちょっと待ってて。」
沢田さんは何か思いついた顔をして、部屋の中へ戻っていき、すぐに僕の前に姿を見せた。
「これ、もらってくれないかな。」
その手には、木で作られたストラップ。
「カムイコタンってしってる?阿寒湖に行ったときにね。そこのお土産屋さんで買ったの。みてみて。」
手の上でそれをひっくり返す。
「私の名前が彫ってあるんだよ。」
KAORI
そう彫られていた。思えば僕は沢田さんの下の名前をしらなかった。
「形見みたいで気持ち悪いと思うけど・・・よかったら。」
沢田さんの手の上にあるそれを指でつまんで持ち上げる。
「大事に、します。」
「うん。」
うれしそうに、本当にうれしそうに沢田さんは笑ってくれた。
「じゃあ、ね。ありがと、宮村君。」
「はい。」
扉がしまり、ガチャリとカギが閉まる音が聞こえた。
受け取ったストラップを握り締め、階段を下りる。
自転車にまたがって力なくこぎだす。
最後に笑ってくれた。それだけで僕がここに来た価値があったかもしれない。
なにも出来なかったけど、何もいえなかったけど・・・。
―誰かきてくれるなんて思わなくて。―
沢田さんの言葉が脳裏をよぎる。
―うれしかった。ありがとう。―
いいもんか・・・。
自転車を180度回転させて勢いよくこぎだす。
いいもんか!せめて・・・せめて消えるまで・・・!
自転車を捨てるように飛び降り、階段を一段飛ばしで駆け上る。
間に合って・・・どうか・・・!
インターホンを押す。出ない。
もう一度押す。出ない!
ダメもとでノブに手をかけると、あっけなくそれが回った。開いてる・・・?
扉を開きそっと部屋の中に入る。沢田さんの姿は、もうそこには無かった。
ケーキのクリームがこびりついた皿が、テーブルの上にそのままにされていた。
その脇にさっきまで沢田さんが着ていたジャージが落ちていた。
拾い上げる。まだ、あったかい。
「・・・消えちゃったんだ。」
僕の呟きが部屋の中に吸い込まれる。
確かにあの時、沢田さんはカギをかけていた。でも、カギは開いていた。
もしかしたら、僕が戻ってくることを期待してたのかもしれない。
僕は・・・沢田さんの最後の願いを・・・叶えてあげることができなかった。
職場だけの付き合いだった。そんなに仲がいいわけでもなかった。
でも、最後まで一緒にいてあげられるのは僕だけだったのに・・・。
「馬鹿だな・・・僕は・・・。」
拾い上げたジャージをハンガーにかけて、僕は主のいない部屋を後にした。
15名無しオンライン:2007/02/10(土) 16:05:40.73 ID:Dhgih2Yj
GJ
16前431:2007/02/10(土) 16:06:54.57 ID:PuD2hRpj
家に戻ると、すでに塔子は戻ってきたいた。
「あ、お兄ちゃんお帰り。」
「ただいま。」
「どうしたの?元気ないね。」
塔子が僕の顔をのぞきこむ。
「いや。それよりどうだった?」
「?なにが?」
「行ってきたんだろ?墓参り。」
塔子がはっとしたように顔を伏せた。
僕も塔子もなにかあった時はいつも父さんと母さんの墓参りに行っていた。
そこに2人がいるわけじゃないことはわかっている。
でもそこにいけば2人が語りかけてくれるようなそんな気がしていた。
「なんていってた?父さんと母さん。」
「うん。シャキっとしろって。」
「そっか。」
いかにも2人が言いそうなことだった。塔子は母さんと会ったことが無い。
だけど母さんの言葉を本能的に分かっているようだった。それがなぜかうれしかった。
「何笑ってるの?」
「いや。」
しゃきっとしろか・・・。
消えいく塔子にできること。沢田さんにはできなかったこと。精一杯叶えてやらなきゃいけない。
「塔子、どっか行きたいところあるか?」
「行きたいところ?」
僕が出来ることは、塔子に少しでも多くの思い出を作ってやること。
「あ〜、あそこ行きたいな。えっとね。神様の〜、神?なんか湖?」
「神の子池か?」
「そう!そこ!そこいきたい!」
「車で2時間もありゃいけるかな。よし行こう。明日行こう。」
「やったー!」
少しでも、少しでも多く。僕にはもう、それしかできない。

妹が消えるまで、

後2日。
17GH450:2007/02/10(土) 18:44:56.47 ID:H+JH8HLA
GJです。

まとめの件ですが、出来れば来週までには作りたいと思います
ご主人さま、ずっと更新放置してたから時間が余計にかかってしまいそうなので
18名無しオンライン:2007/02/12(月) 17:11:57.49 ID:ILmeyBCV
ほす
19名無しオンライン:2007/02/13(火) 09:49:42.51 ID:aTSKKJlc
メンテ前?
ttp://www.psu-wiki.info/upbbs/lib/printimage.php?id=00000884.jpeg
メンテ後
ttp://www.psu-wiki.info/upbbs/lib/printimage.php?id=00000885.jpeg

2/13 2:15 時点
あばら4号
キャスト      女性
S武器自分で合成したなら
、BANはないし。胸をは
って使っていいんですよ?
でも装備は覗かれてます
         1003860
20名無しオンライン:2007/02/14(水) 23:54:14.27 ID:p2LH4xxY
ほす
21GH450:2007/02/15(木) 22:41:23.73 ID:+ASnUz+6
ふう、とりあえず保管庫はできました。
結構ミスあったりすると思うので、見つけたらご一方ください。
というか、各中・長編作者様(既に完結されて名無しに戻った方も)
は見てください。メッセージがありますので。

ttp://pokeka-web.hp.infoseek.co.jp/hokan.html


って、GH450が言ってたけど、作業俺しかやってないし……
おまえ紛いなりにもキャストだろうが
22名無しオンライン:2007/02/17(土) 01:36:43.98 ID:YIYepGBq
>>21
凄まじくGJ!本当にお疲れ様です。

「S社・No.51システム」の者なのですが、保守の為に無駄に長く書き続け、
前と後で内容も文章も合っていなくてまるでダメだ・・・。
長く書くとは思っていなかったので、展開が矛盾しまくりで載せて頂くには恥ずかしい限り。
23名無しオンライン:2007/02/18(日) 21:27:11.44 ID:w1mE67mO
保守
2422:2007/02/19(月) 20:20:09.44 ID:fJHghtKM
22に書いてある通りやはり保守目的の投下だったので、せっかく編集をして頂いたのに悪いのですが、S社〜は消して頂きたい。保管される程のものではないと。
25名無しオンライン:2007/02/19(月) 20:58:17.80 ID:E9XdBvwr
俺S社のやつが一番好きなんですが('A`)
26前スレ57:2007/02/20(火) 02:09:00.86 ID:fGatxWTb
「中様。屋敷付近に反応が」
フィルが部屋に入ってきて、そう告げた。
中様って・・・様付けって・・・!
「反応か。もう少し掛かると思っていたが、意外に早かったな」
この部屋、いや、この屋敷全体が静寂に包まれているようだった。

「非戦闘員等は、既に撤収完了しております」
どういう意味か、わからない。口を挟む──
「そうか。では僕、フィル君、ヒート君、アル君だけが残っているという事だね?」
──暇も無い。
「はい、ヒートは相手を肉眼で確認次第、こちらに駆けつけます」
「うん、わかった。こちらも心の準備はOKだ。相手は・・・見吉だろうな」
「でしょうね。あのデータの大きな動き。見吉とその仲間がこちら側に」
「まぁ、見吉は自身では出てこないだろうな。そういう男だ。恐らく酒井か、節政だろう」

「あ、あの・・・」
このままでは取り残される。その前に、何とか口を挟む。
「どうした、アル君」
「中様って・・・なぜに様付け」
場が固まった・・・ような気がした。
「そっちか。いやぁ、一度はそういう呼ばれ方をされてみたくてね」
「それだけッスか?」
「ああ、それだけ。しかも、頼み込んでやっと様付けしてもらっている」
俺は何となくフィルの方を見てみる。
一瞬目が合ったが、すぐに逸らされた。そして、知らないというような顔をしている。
「頼み込んで・・・ッスか」
「フィル君に頼み込んで、何とか呼んで貰えてるよ。アハハー」
大丈夫か、中さん。色んな意味で。

こんな馬鹿げた問答をした瞬間だった。
ヒートが勢いよく扉を蹴り開けて入って来た。
「奴らが来るぞ、アルは俺と一緒に来い!フィルは中さんを頼む」
俺は、訳の分からないまま連れ出されていた。

「ちょ、ちょっと待て!ヒート、状況を説明してくれ」
「何だお前、中さんから聞いていないのか?」
確かに何か話していた気はする、が、気がするだけであって、キャストは細かい事を気にしない。
「知らん」
「・・・まぁいい、見吉の手下が近くまで来ている。それを操っている指揮官を捕まえるんだ」
それからヒートは、少しの説明をしてくれた。ほんの少しだが、キャストは細かい事を気にしない。

扉の前に着き、装備を整え、愛用の槍を持ち出す。
「準備はいいか?」
「いつでも。しかし、あの時もそうだが、こんなところで戦っても大丈夫なのか?」
「ああ、ここら一帯は中さんの貸切ってとこか」
「貸切ねぇ・・・しかし、なぜここだけ屋敷なんだ、まるで「見付けて下さい」って感じじゃ─」
「そういうことだ」
へ?そういう事?
聞き返す暇も無く、ヒートが扉を蹴り開けた。
2726:2007/02/20(火) 02:10:50.53 ID:fGatxWTb
何も居ない。そう見えた。ヒートが無言で進み出る。
屋敷から、少し進んだところで立ち止まった。ここで迎え撃つつもりだろうか。
俺もヒートの隣へと移動した。
ヒートは既に気を放っている。そう思えるほど、力が篭っているようだ。
「で、敵さんはどこだ?」
「お前は、キャストなのに目が悪いのか?」
目を凝らして周囲を見回す、が何も無い。
ヒートは苦笑しながら、空の方を指差した。

そこには、この世界に相応しい輸送機のようなものが浮いていた。PPTシャトル等にも似ている。
それが、ゆっくりとこちら側に向かって降りてきている。

コロニー内でよく見付からずに・・・等と、キャストは細かい事を気にしない。

突然、輸送機のハッチが開いた。そこには、5体のデルセバンが横一列に並んでいた。
奥にもまだ並んでいるようだ。

次の瞬間──

「来るぞ!構えろ!」
ヒートが叫ぶ。

5体のデルセバンが、空中にいる輸送機から一斉に降下してきた。
パラシュート無しでも大丈夫なのだろうか。
地に響く音。着地の衝撃で、煙が舞った。

一瞬の間──

デルセバンが、煙を裂くようにしてこちらに向かってきた。
正直、降下の衝撃で弱っていたらラッキーなどとは思っていない。思っていないからな。


「アル、出来るだけ片付けるぞ!」
「おう!油断するなよ、ヒート」

まだ煙が舞うその中に、男二人が突っ込んで行く。

{続く筈}
2826@保守:2007/02/21(水) 20:11:03.71 ID:9msMWkfE
舞うは煙と男二人。
アルとヒートは奮戦していた。

「くそっ、数が多くてしぶといときやがったか」
ヒートが言った。
「色からしても、まるでゴキブリだな」
「その例えはやめぇい!」
デルセバンは、あの輸送機から次々と降下してきた。
何体か倒せたが、かなりの数を相手にしていることは変わりない。

── 一瞬の隙 ──

見る間に、俺は6体程に囲まれたようだ。
「どうした、助けが必要か?」
「いらん!」

── ドゥース・ロバット ──

槍を大きく旋回させながら、敵を弾き飛ばす。
「どうだっ!」
敵を一気に吹き飛ばし、包囲を崩す。
しかし、倒しきれてはいない。敵の数もまだまだ多い。
俺の力などはこんなものか。ふと、そう思う。
ヒートも奮戦していた。その自慢の斧で、敵を薙ぎ倒している。
負けてはいられない。俺も、自ら敵中に突っ込み、槍を突き出す。

どれくらいの時間が経ったのだろうか。輸送機は既に着陸しているようだ。
かなりの数を片付けたはずだった。キャストだが、さすがに疲れてくる。
ヒートも、肩で息をしているような状態だった。

「どうした、ヒート。疲れが出ているようだが、後ろで休んでいてもいいぜ」
「ははは。お前こそ、無理すんなよ?俺にはまだ、切り札があるんだぜ」
切り札とは、恐らくナノブラストの事だろう。
街中での使用は禁止されているようだが、この状況ではそんな事を言ってられはしない。
俺にも、SUVという切り札がある。使えるかどうかは別として。

それは、突然だった。
急に、デルセバンが動きを止め、両端に寄りだした。何事だ。
真ん中に、キレイに道が開かれる。しかし、相変わらず煙が舞っていて、奥は霞んで見えない。

音。足音だ。今更だがキャストの耳は高性能なようで。
一つは、人の足音だろう。もう一つは、機械の足音か。
煙の中に、人影が見えてくる。一つは、普通の人間のような。片方は、とても大きい。
そして、それは姿を露わにした。

「はじめまして。私は節政という者です。面倒をかけてくれますね」

・・・この男、ルー大柴に似ている。

{続く}
2926@保守:2007/02/21(水) 20:18:29.93 ID:9msMWkfE
上をしっかり見ていなかった(´Д`;)
>>25
レスありがとう。
自分で書いておきながら伏線や配置したものを消化しきる自身が無いんです(´д`)
それよりだったら証拠隠滅で消sdfghあjき

神の投下マダー?
30名無しオンライン:2007/02/23(金) 01:39:07.30 ID:uG1P0GA1
ほしゅ
31名無しオンライン:2007/02/25(日) 00:24:52.06 ID:4p6v7KhP
ほす
32名無しオンライン:2007/02/25(日) 18:28:42.12 ID:H8ETM4bP
HOSYU
33名無しオンライン:2007/02/26(月) 14:08:13.66 ID:EoK0IDlJ
ルー大柴保守
3426:2007/02/26(月) 16:03:24.98 ID:ONpwtgUx
節政の隣にある大きな影。これには、見覚えがあった。
PSUでの中ボスのような存在、グリナビートだ。普通のよりも大きい。
グリナビートの腕に付けられた、大きな砲身がこちらに向けられている。

「さて、お二方。随分と手間を掛けさせてくれますね。今なら遅くありません、降伏しませんか?」
しかし、俺もヒートも元より無い。場が一瞬固まった。
節政が、セイバーのような物を取り出し、振り上げた。
あのフォルムは・・・クリムゾン!
「仕方がありません・・・そろそろ、終いにしましょうかっ!」
節政がその場で、勢いよくクリムゾンを振り下ろした。

「いかん、避けろ!」
ヒートの大きな声。そう思った瞬間だった。

そういえば、オフラインでこれに苦戦してたっけな。
それに、何度もやられたっけ。
ふと、そんな事が頭を過ぎった。

グリナビートから放たれた砲弾。
あの弱い、ビームバルカンのようなあれとは違う。

グレネードのようなそれは──

──確実に──

──俺達を捉えていた。

----------------------------------------------------------------

嫌な予感がしていた。
シャトは丁度、情報を集め終えたところだった。
私だって、やる時はやるんだから。そんな事を思いつつ、端末でアルに連絡を取る。
「あれ、おっかし〜なぁ」
やはり、嫌な予感は当たっているのだろう。

「私に仕事を押し付けて、遊びまわっているに違いないっ!アル様のばかっ」
そんな事を呟きながらも、少しだけ心配していた。本当に少しだけど。
「えぇい!こうなったら、私も遊びに出てやる〜。後で情報を教えてくれって言われても、そう簡単には・・・」
またも呟きながら、部屋を出た。

(まさか、道に迷ってたりしてないかな。もしかして、変なオジさんに声を掛けられたり・・・)
そんな事を思い始める。一部、当たっている。
「アル様のばかっ!私が居ないと何も出来ないんだからっ」
やはり呟きながら、アルを探そうと思い定めたようだ。

{To Be Continued}
35名無しオンライン:2007/02/26(月) 16:09:44.01 ID:ONpwtgUx
急いで修正したら一部変になり申した。
×しかし、俺もヒートも→○しかし、そんなつもりは俺もヒートも

しかし、投下がまるで無いとは・・・。
YOU達、単発もどんどん書いちゃいなYO!!
36前431:2007/02/27(火) 03:52:36.58 ID:+ZmU/aiP
「ピクニック〜ピクニック〜♪」
「ヘイッ!」
「ピクニック〜ピクニック〜♪」
「イェア!」
歌ともいえないような塔子のでたらめなリズムに僕が合いの手をいれる。
「うれしいな〜うれしいな〜♪」
助手席に座る塔子は本当に楽しそうに笑いながら、頭を左右に揺らしていた。
塔子の顔は、かろうじて面影は残しているものの・・・もう別人といえるほど変わってしまっていた。
「あっ!」
突然あげられた素頓狂な声に思わずハンドルを取られる。
「どうした?」
「今キツネがいたの!」
「キツネか。いいな。気づかなかった。」
「可愛かった〜・・・。」
窓の外に流れる景色をうっとりと見つめる。
このいくばくかの妹の影も・・・明日には消えてしまうんだろうか。
「キツネもいいけどさ。ちゃんとナビしてくれよ。」
「だ〜いじょうぶ。ずっとまっすぐ。」
「へいへい。」
父さんが残してくれた時代遅れの車には当然カーナビなんてものはついていない。
地図を広げながら塔子がここまでナビをしてくれていたが・・・。
「あ、そろそろ左・・・いや右?」
「どっちだよ。」
ずっとこの調子だ。予定ではもうとっくについているはずなのに。
「どっちかわかんないけど、わき道がそろそろ・・・あっ!あれだ!お兄ちゃん左!」
「オッケー。」
「ここまっすぐいったらもう着くよ。」
「リョーカイ。」
塔子の指示通りハンドルを左に切る。
唐突にアスファルトの地面が途切れ、思った以上の悪路がそこにあった。
ガタガタと車体が上下に揺れる。オンボロカーにはかなり不安な道だ。
「う〜、気持ち悪い・・・ゆれすぎ・・・。」
「喋るな。舌かむぞ。」
その上クネクネと曲がりくねる。運転している僕でさえ酔ってしまいそうだった。
胃のあたりかたわきあがってくる気持ち悪さと戦いながら車を走らせていると、ようやく視界が開けた。
車が何台かとめられるほどの広場。おそらくここが駐車場でいいんだろう。
他に車は止まっていない。
観光シーズンからは外れているし、こんな場所、よっぽど気合いの入った観光客しかこないだろうから
当然といえば当然かもしれない。
ラインすら引かれていないその場所に車を無造作にとめてエンジンを切ると、
塔子が待っていましたといわんばかりにドアを勢いよく開けて外に飛び出した。
「ついたーー!!」
僕も車を降り、天に向かって大きく背伸びをする。
「3時間のナビごくろーさん。」
「お兄ちゃんも運転ごくろーさん!いこうっ!はやくっ!この奥でしょ?」
「あぁちょっと待て。」
僕の言葉を聞かず、塔子は目的の神の子池に向かって走り出してしまった。
「ったく。」
内心あきれ半分、でもうれしさも半分。
あんなに喜んでいる塔子を、ここ最近見た記憶がなかった。
今日はきてよかった。
僕はトランクから朝早起きして作った会心の弁当と水筒、そしてシートをとりだして塔子のあとを追った。
37前431:2007/02/27(火) 03:55:10.36 ID:+ZmU/aiP
池の手前で塔子は茫然と立ち尽くしていた。
「・・・きれい・・・。」
そこには言葉でも言いあらわせないほどの幻想的な空間が広がっていた。
「すげぇ・・・。」
吸い込まれてしまいそうな深い青と緑の水面・・・。
凡庸な言葉だが、これほど美しいものを僕は見たことがなかった。
決して大きな池ではない。だけど見る人全ての魂をつかむ美しさをこの池は備えていた。
「すごい・・・すご〜い・・・すご〜い!」
塔子はウサギのように飛び跳ねて、喜びを全身で表現していた。
「ねっねっ、お兄ちゃん写真!写真とって!」
「お・・・おぅ。」
嫌いな写真をせがむほど塔子は今感動しているんだ。
「よし、とるぞ。」
「あ、ちょっと待って。せっかくだから一緒に写ろうよ。ね?」
「ん・・・そうだな。」
カメラを段差の上に置き角度を調整する。よし、この位置ならきれいに取れるだろう。
タイマーをセットして、塔子の下へ駆け出す。
「はやくはやく!」
せかす塔子の隣へ立って、同じようにピースサインをつくる。
それと同時にカメラから電子音が響いた。
「どう?ちゃんと撮れた?」
「ほら、うまくとれたよ。」
「ほんとだ。お兄ちゃんのピースってレアじゃない?」
「そうか?」
「そうだよ〜。」
楽しそうに笑う。その笑顔は例え顔が違っても塔子の笑顔そのものだった。
それからいろんな角度で写真を撮った。
塔子の思いを全て受け止めるように、何枚も何枚も、何枚も。
「あ〜疲れた。写真はもういいや〜。」
「そうだな。メモリーももうほとんどないや。」
「そんなことよりお兄ちゃん、お腹すきました。」
「お?メシにするか?」
「メシにします!」
「よし!」
一番池がよく見える場所にシートを広げて弁当を並べる。
それをはさむ様に2人で向かい合って座る。
「でもこんな場所で食べちゃっていいのかな。」
「誰もいないし、汚さなきゃ大丈夫さ。」
「うん、う〜ん、そうだね。うん。」
「よし、手を合わせてください!」
「はい!」
「いただきますっ!」
「いただきますっ!」
2人で元気よく食事の挨拶。
塔子はオニギリをつかんで口いっぱいにそれを頬張った。
「んっ!このオニギリは絶品ですな!」
「そうだろう?全部会心の作だ。から揚げも食え。」
「いただきますっ!」
おいしそうに次々と口の中に納めていく。
気合入れて作ったかいがあったというものだ。
と、唐突に塔子が大きな溜息をついた。
「どうした?」
「ん〜・・・、溜息が出ちゃうくらいほんとにきれいだなって。」
左手にオニギリを持ちながら、透き通るような水面をじっと見つめる。
「ほんと・・・神様でも住んでいそう・・・。」
「神様ね・・・。」
38前431:2007/02/27(火) 03:56:47.52 ID:+ZmU/aiP
その言葉で思い出す。母は敬虔なクリスチャンだった。
毎週日曜日には熱心に教会に通っていて、僕も何回か連れて行かされたが、
あまりに退屈ですぐに行かなくなってしまったのを覚えている。
そう・・・本当に熱心に、母は神を信じていた。
だからこそ僕は・・・
「神様なんていないだろ。」
そいつを信じる気にはなれなかった。自分を信じている人間を短命で終わらせるなんて、どんな神様なんだ、と。
吐き捨てるように呟いた僕の言葉に反応してか、塔子が怖い目で僕を見ていた。
「だめだよ!そんなこといっちゃ!」
「えぇ?」
「神様って絶対いるんだよ。絶対だよ。うん!」
「なんだいそりゃ。」
「そんな気がするの。神様は私たちのこといっつも見てるんだよ。」
「いっつもねぇ。」
「それに、私毎朝お祈りしてるんだよ。神様いなかったらそのお祈りどこにいっちゃうのさ!」
「知らないよ。なにお祈りって。」
「今日も私とお兄ちゃんが笑顔ですごせますようにって。」
「ははっ。そりゃ大事だ。」
「笑うなよー!」
僕は、少なからず驚いていた。
塔子が神様を信じているなんて知らなかった。
母さんと同じ神様ではなくそれが漠然としたものであったとしても、母さんと同じ考えを持っていることが僕には衝撃だった。
これが親子の絆ってやつなんだろうか。母さんの血はまぎれもなく塔子の中に息づいている。
ひとしきり騒ぎながら弁当を平らげ、その後は特になにかしゃべるわけでもなく、ずっと池の水面を見つめていた。
時間の感覚がわからなかったが、かなり長い時間そうしていた気がする。でも退屈ではなかった。
幻想的な空間が帰りたくないと、そんな気にさせた。
そして、この空間なら塔子とずっと一緒にいられるんじゃないか、そんな錯覚さえ抱かせた。
ここならずっと・・・それが可能であると、心のそこから思えた。
「・・・お兄ちゃん。」
「ん?」
「そろそろ帰ろっか。」
「・・・ん。帰るか。」
弁当を片付けてシートを畳んで、車のトランクに放り込む。
もう、ここに塔子と2人で来ることは無いだろう。
エンジンをかけ、あの悪路をまた進む。
塔子ははしゃぎすぎて疲れたのだろうか。車の振動がなくなるとすぐ、隣で寝息を立て始めた。
残された時間は、少ない。
僕にできることがあとどれだけのこっているだろうか。
今はただ願うことしか出来ない。
どうか、塔子が父さんと母さんと同じ場所に逝けますように、と。

妹が消えるまで、

後1日。
39前431:2007/02/27(火) 03:59:38.97 ID:+ZmU/aiP
随分と間があいてしまいましたが次でラスト
GH450さん、今更ですがまとめご苦労様です

それとこれは書き手側って言うか俺のわがままなんだけど
批判でもなんでもいいからGJじゃなくて自分の言葉で
感想を少しでも書いていただけるとモチベーションがグンッと上がるかな
なんて
生意気いってごめんね(;´Д`)
40名無しオンライン:2007/02/27(火) 13:14:58.59 ID:MwvmjSMz
感想を書くと批判や批評気味になった場合あんまり良く思わない作家さんもいるからね…凹んだり
このスレだけじゃないけどそれが元で荒れる場合もあるし下手な事は言えないってのがあるよ

>>前431
あれ…?なんか目から汗が滲み出てきたよ?冗談でなく
刹那的、破滅的なストーリーが文体と合っていて非常に切ないけど引き込まれる
こういう例えは良いのかわからんけど読んでてAIRってエロゲの後半部分やってる時と同じような気持ちになった
41前431:2007/02/27(火) 18:03:53.45 ID:+ZmU/aiP
>>40
言われてみれば確かに
くだらないわがまま言って申し訳ない
そしてわざわざ感想を書いてくれたあなたの人柄に感謝
やる気がわいてくるぜー

できればここ2,3日中には終わらせたいなと思っております
そんな長くない話なのにこんな時間かかってごめんよ
42名無しオンライン:2007/03/01(木) 08:48:08.99 ID:o8ljvFao
ほしゅ〜
43名無しオンライン:2007/03/01(木) 09:10:27.78 ID:9TDmG1ly
>>前431氏
ハッピーエンド…は期待できなさそう(´・ω・`)
奇跡よ起きてくれ
44名無しオンライン:2007/03/01(木) 13:58:49.19 ID:ZD/A7ffC
>>21 GH450さんGJ!!
データ落ちしてから久々に見たら待望の保管庫が?!

SSは不滅ですね〜。
4526@支援:2007/03/01(木) 15:24:03.00 ID:GC0XArpO
>>前431氏
明るく振舞う二人。しかし、確実にその日は近付いている。
あれ、何か目から汗が。
4626:2007/03/01(木) 15:26:23.70 ID:GC0XArpO
装甲の焼ける臭い。
まぁ、キャストだから鼻は無いんだが。

「おい、アル!」
ヒートが俺を抱き起こす。抱き起こす・・・?俺は、倒れていたのか。
「お前・・・俺を庇って・・・」

「よぅ、ヒート。無事だな?良かったぜ」
キャストで良かった。厚い装甲で仲間を護れた。そして、痛みも無いようだ。
声を出す機能にも、何の問題も無い。だから、明るい声も出せる。
「何が、良かった、だ。無茶な事を・・・」
「二人ともこうなるより、俺が盾になって正解だろ?」
「そうだな・・・俺はまだ、戦える」
心なしか、ヒートは身体を震わせているようだった。

「・・・敵ながら、見事な精神です。遅くはありません、降伏しませんか?」
節政が言った。

周囲の状況が良くわからない。
節政の隣に、グリナビートが控えているのが見えるくらいだ。
「断る・・・」
ヒートが、低く言い放った。
「そうですか・・・残念です」
節政が、またもやクリムゾンを振り上げた。

「うおおおぉぉぉおお!」
ヒートが、低く唸り始める。
周囲の空気がざわめく。

──大きな咆哮。それは、天をも切り裂くような。

まぁ、キャストだから耳は無いんだが。
ヒートの身体が、紅い光に包まれる。これは・・・

──ナノブラスト──

ヒートは、真紅に包まれた大きな身体に変身していた。
「貴様らにこの力・・・防げるか?」

ヒートが
、大きく踏み出した。

{To Be Continued}
47名無しオンライン:2007/03/01(木) 15:32:34.68 ID:j0b6+vk+
いつもお世話になってます。
文句言いつつ課金してくれるバカがいるから、俺たちは安心してます。
とりあえず今サーバーメンテ中だからお前らの質問に答えるよ

おう!PSU関係者だが質問あるか? ↓スレにコイ
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/net/1172730242/
48名無しオンライン:2007/03/02(金) 00:41:20.64 ID:8NJKjJmZ
クリムゾン大柴保守
49名無しオンライン:2007/03/02(金) 11:21:42.72 ID:LzDOU656
個人的に「パルム学園」と「塔子」のが気になる…。
他のも良いけどね。
50前431:2007/03/03(土) 02:20:50.04 ID:rxJelEY8
いつも通りの時間に起きて朝食をとって、何をするわけでもなく
ただじっと、リビングのソファーに2人腰かけていた。
つい先ほど昼食をすませて、また何か話すわけでもなく
リビングに2人。
テレビがついているが、ほとんど頭になんて入ってない。
時計をちらりと見る。
午後1時30分。
みぞおちのあたりに靄がかかっているような気持ち悪さを感じる。
最後の日が、ついに来てしまった。
沢田さんが消えたのが、確か夕方ごろだった。
塔子もそれくらいに消えてしまうのか、それとももっと長くいられるのか。
そんなことを考えているとひどく喉が渇いて、気持ち悪さに拍車をかけた。
塔子はクッションを抱えて、ぼーっとテレビを見ていた。
昨日の夜、眠れずにいろいろなことを考えた。
夜が明けたら塔子はいつも通りの姿で僕の前に現れるんじゃないか。
そして5日前の朝をいつも通りにやり直すのだと。
全ては僕の悪い夢だったんだと。
そんな妄想を繰り返した。
だから今日の朝、塔子の姿を見た瞬間、僕は絶望した。
そして、塔子の寂しそうな笑顔を見て気がついた。
最後の日、せめて笑って送ってやろうと、そう心に決めていたのに
僕は一番してはいけない顔をしてしまったのだと。
なんて情け無い兄貴だろう。
妹の不安を取り除いてやることすらできやしない。
「お兄ちゃん。」
「ん?」
今日、何度目かの言葉を交わす。
「私、自分の部屋に行ってるね。そっちのほうが落ち着くから。」
「あぁ・・・。」
塔子がソファーを立ってリビングを出ていく。
塔子が僕の前からいなくなる。
「塔子。」
たまらず呼び止めて、僕も立ち上がる。
「どうしたの?」
「兄ちゃんも部屋いっていいか?」
今日はずっと一緒にいたかった。
沢田さんのように一人でいかせたくはなかった。
塔子がそれを望んでも、それだけは絶対にさせたくなかった。
51前431:2007/03/03(土) 02:22:06.19 ID:rxJelEY8
「うん。いいよ。」
塔子は笑顔で首を縦にふった。
塔子の後ろについて、2階にあがる。
そういえば、塔子の部屋で話をするということは無かったかもしれない。
1度勝手に掃除して怒られてからは部屋にあまり入ったことも無い。
「ど〜ぞど〜ぞ。」
塔子がホテルのボーイのように扉を開けて、僕を先に部屋に通す。
「相変わらず散らかってるな。」
「普通だよ。ちゃんとどこに何があるかわかってるからいいの。」
5日前のあの日以来か・・・。
あの日塔子はこのベッドの上で泣いていたんだ・・・。
「適当に座って。」
「うん。」
壁を背もたれにして、ベッドの上に腰かける。
床に座ろうかと思ったが、漫画やら雑誌やらが散乱していて座るスペースなんてなかった。
塔子は部屋の隅でなにやら探し物をしている。
「あ、あったあった。」
「なにしてんだ。」
「いいからちょっと待ってて。」
塔子は探し出した丸い球体を部屋の中央において、窓際に移動しカーテンを閉めた。
「ちょっと明るすぎて見えにくいかもしれないけど。」
再び部屋の中央に戻り、球体の下腹部にあるスイッチを右にスライドさせた。
「・・・あぁ。」
「結構綺麗でしょ?」
部屋の天井に現れた数え切れないほどの星たち。
塔子は僕の隣に座ると、僕と同じように天井を見上げた。
「去年の誕生日に買ってくれたやつ。眠れないときによく見てるんだ。」
そういえば買ってあげたなぁ・・・。
結構高かったのを覚えている。
当然、そんな高いものを塔子が「買って。」なんて言うわけなくて、
テレビで芸能人が紹介しているのを「いいなぁ。」と呟いただけだった。
テレビのヤツよりも数段グレードは落ちてしまったものの、
プレゼントの箱を開けたときの塔子の笑顔を、たぶん僕は忘れることは無いだろう。
黙って2人で星をみつめる。
不思議と気分が落ち着いていくのがわかった。
神の子池で感じたような、あの感覚。
宮村真治と宮村塔子。
2人がそのまま自然にいられる、そんな穏やかさがあった。
52前431:2007/03/03(土) 02:24:50.67 ID:rxJelEY8
「私ね、昨日寝れなくてずっと考えていたことがあるんだ。」
塔子がポツリと口をひらいた。
僕は黙ってそれを聞く。
「消えちゃった人はどうなるんだろう。どこにいくんだろうって。
それでね、思ったの。
消えちゃった人は死ぬんじゃなくて、ゲームの世界に行っちゃうんじゃないかって。」
塔子の息遣いが聞こえる。
「ゲームのキャラクターになってゲームの世界で生活してるんじゃないかって。
きっと楽しいよ。こっちじゃ経験できないようなことがいっぱいあるんだ。
いっぱい仲間がいて・・・悪いやつらやっつけて・・・
きっとたのし・・・よ。だから・・・わた、し・・・。」
そっと、塔子の肩を抱き寄せた。
塔子は僕の胸に顔をうずめて小刻みに肩を震わせて、嗚咽をもらした。
5日間どれだけ不安だったろう。
結局僕は何もしてやれなかったね。
よくがんばったね。
僕は優しく、塔子の頭を撫でた。
これくらいしかしてあげられない。
やさしい言葉も、全てがうそ臭くなるような気がして、言えなかった。
こみ上げてくる情動を必死で殺して、塔子が泣き止むまでずっと、頭を撫で続けた。
せめて気丈な兄でいてやりたかった。
「ごめん・・・。絶対泣かないぞって決めてたのに。」
僕から身を離して、塔子ははにかむように笑った。
「シャツ、汚しちゃったね。」
「いいよ。これくらい。」
僕も精一杯の笑顔を作ってみせる。
そして予感した。
「お兄ちゃん、お願いがあるの。」
「うん。何でも言え。」
あぁ・・・もうすぐなんだ・・・と。
53前431:2007/03/03(土) 02:25:55.45 ID:rxJelEY8
「私の机の引き出しにね。友達宛の手紙が入ってるから、代わりに出しておいてください。」
「任せとけ。」
「それとね。」
塔子は僕の前に正座をしてベッドの上に両手をつくと、うやうやしく頭を下げた。
僕の背中にいやな汗が走った。
あぁ塔子が・・・塔子が行ってしまう。
塔子が顔を上げて、にこりと笑った。
「今まで、ありがとうございました。」
塔子の顔の輪郭が、ぶれた。
心臓がはねた。どこか心の片隅で信じていたものが崩れていくのがわかった。
「塔子!」
とっさに伸ばした僕の手は、むなしく空を切るだけだった。
僕の目の前にはもう・・・誰もいなかった。
「塔子・・・。」
塔子のまとっていた衣服が力なくベッドの上に横たわっている。
拾い上げ、抱き寄せる。
まだぬくもりがある。塔子の香りが残っている・・・。
母を知らずに育った。父も早くになくした。
受けられるはずの愛情の半分も与えられないまま、15年間生きた。
もうすぐ16歳だった。
欲しいものもいっぱいあったろう。おしゃれもしたかったろう。
これから恋愛もして、結婚して幸せな家庭を築いたはずだ。
塔子ならいい母親になっただろう。
塔子の子供を抱きかかえることが僕の夢だった。
塔子にも何か夢があっただろう。。
僕は・・・僕は何一つ叶えてやれなかった。
もし本当に神様がいるのなら、なんでこんなひどいことをするんだ。
これではあまりにも・・・あまりにも塔子がかわいそうだ。
塔子を幸せにしてあげたかった。
なんにも恵まれなかったから世界一幸せにしてあげたかったのに、
僕にはできなかった。
できなかった・・・。
54前431:2007/03/03(土) 02:28:48.51 ID:rxJelEY8
どれだけ呆けていただろう。
数分だった気がするし、何時間もそうしていた気がする。
塔子の衣服はすっかり冷たくなっていた。
「そうだ・・・。」
塔子に頼まれていたことをやらなくちゃいけない。
立ち上がって、机の引き出しを開けると、封筒の束がそこにあった。
宛名が書かれて切手も貼ってある。
もう出すだけの状態にしてあった。
その中で1つだけ、切手の無い封筒があった。
束から取り出して、宛名を確認する。

『お兄ちゃんへ』

僕宛だ・・・。
震える手で封筒を開くと、かわいい便箋がおさめられていた。
最初から最後の行までびっしりと、綺麗な字で綴られている。

『お兄ちゃんがこれを読んでいる時には、私はもうお兄ちゃんの側にいないんだと思います。
私の最後はどうでしたか?怒ってましたか?泣いていましたか?
たぶんお兄ちゃんがいてくれたら、笑っていられたと思います。
ほんとはちゃんとお話したかったんだけど、たぶん照れくさくていえないから手紙にしました。
私はお兄ちゃんから色々なものを奪いました。最初はお母さん。それにいっぱいの時間。
私がいなかったらお父さんとお母さんは生きてて、お兄ちゃんは好きなこと出来たんじゃないかなって何度も思いました。
お父さんが死んでからお兄ちゃんは嫌な顔一つせず、私のために時間を使ってくれましたね。
それがとってもつらくて、とってもうれしかったです。ごめんなさい。ありがとう。
覚えてますか?私が小学校5年生のとき、授業参観があってお兄ちゃん仕事休んで来てくれましたね。
あの時はお兄ちゃんのブッカブカのスーツ姿が恥ずかしくて知らんぷりしちゃってごめんなさい。
ほんとはすっごくうれしかったです。ありがとう。
それから小学校6年生の時、覚えてるかな。私が―』

僕でも忘れてしまっていたような思い出がそこにいっぱい書かれていた。
謝るなよ塔子。お礼もいらない。
僕はお前と一緒にいて嫌な思いなんてしたことないんだから。
手紙はまだ続いている。

『それから最後にお願いがあります。
どうか私がいなくなっても悲しまないでください。泣かないでください。
もうこれ以上私のために時間を使わないでください。
これからはどうか自分のために生きてください。
やさしい彼女見つけて、結婚して、子供たくさん作って、やさしいお父さんになってください。
孫ができて、そのまたひ孫ができるまで生きてください。
それが塔子からのお願いです。
本当はもっと話したいこといっぱいあったけど、もっと一緒にいたかったけど、
塔子はお兄ちゃんの側からいなくなります。
本当にごめんなさい。本当に、ありがとう。    塔子より
PS.でも私のことは忘れないでね。これは私の最後のわがまま。』
55前431:2007/03/03(土) 02:31:06.59 ID:rxJelEY8
手紙はそこで終わっていた。
胸をじわりじわりと広がる何かがあったが、歯を食いしばって必死で堪えた。
塔子の最後の願いを聞いてやりたかった。
それから何度も何度も読み返した。
塔子の言葉をかみ締めるように一字一句丁寧に、何度も何度も。
そこで、気づく。
便箋の中央に文字が透けて見えた。
裏に何かかいてある?
ひっくり返す。
一行だけ。たった一行。

『PS2.私は幸せでした。』

心臓がトクリ、と脈打った。
塔子の最後の言葉。
ごめんなさいとありがとうで埋め尽くされた手紙。
そこには僕にとっての救いがあった。
幸せだったと、塔子は幸せだったと。
「と・・・こ・・・。」
必死で押さえつけていた衝動はすでに僕の心を支配して張り裂けそうだった。
塔子、約束するよ。
いい彼女見つけて、結婚して、子供いっぱい作るよ。
約束する。幸せになるよ。
だけど今だけは許して欲しい。今だけは・・・今だけは。
「う・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

今日、

妹が消えた。
56前431:2007/03/03(土) 02:34:01.47 ID:rxJelEY8
ベッドからやっとの思いで這い出てカーテンを開ける。
いい天気だ。
時計を見るとすでに12時を回っていた。
塔子が消えてから、3日。
僕の生活は堕落しきっていた。
すぐに仕事に復帰するつもりだったが、社長にもうちょっと休んでいなさいと
仕事禁止令をだされてしまってこの有様だ。
立ち直れたか?といわれれば、うんなんて言えないけれど少なくとも悲しむのはやめた。
僕は塔子が言ったように、塔子はゲームの世界で生きていると、そう信じることにした。
塔子が言うんだから間違いないだろう。
だから父さん母さん、悪いけど塔子はまだそっちにはいかないよ。
とはいってもやはり寂しい気持ちは隠せない。
本棚の前に移動して、アルバムを取り出す。
アルバムを開くと、たくさんの笑顔が僕に向けられた。
昨日夜遅くまでかけて整理したかいがあったな。
例え顔が違っても、間違いなく塔子の笑顔だ。
あっちの世界でもこの笑顔をふりまいてるに違いない。
そう思うと、少しは寂しさが晴れた。
さぁ今日は家の掃除をしよう。
ずっとしてなかったから相当埃がたまってることだろう。
それに明日からは仕事だ。
生活リズムをなおさなければ。
部屋から出ようとドアノブに手をかけたところで気づく。
しまった、今日はまだアレをやってない。
あわてて引き返して、部屋の中央に移動する。
その場に跪いて胸の前で手を組んで、そっと、つぶやく。

「どうか、今日も塔子が笑顔で過ごせますように。」

-Fin-
57前431:2007/03/03(土) 02:37:16.75 ID:rxJelEY8
ようやっと終了です
読み返してみると、しまったこうすればよかった
沢田さんの形見まったく生かしてねぇ
とか反省点いっぱいあるけど
とりあえず書ききれてよかった
最後まで読んでくれた人ありがとう
ちょっとでも心を動かせたらなら幸いです

じゃあ名無しにもどるぜ
58名無しオンライン:2007/03/03(土) 03:49:31.62 ID:anEi9rIJ
>>57
お疲れ様です。感動しました、その一言に尽きます。
何と言いますか、キレイな終わり方で安心しました。

それとGH450氏、S社掲載取りやめに感謝。
59名無しオンライン:2007/03/03(土) 16:40:00.37 ID:DDSpV1O5
な、涙なんかじゃないんだから!そうよ、これは汗なんだから!

……画面が見えないよぉ
60名無しオンライン:2007/03/03(土) 18:49:41.22 ID:huFksOr6
困るんだよ、仕事中にこんなの読んじゃうと。
涙で仕事にならないじゃないか…。

兄貴もPSUをやって追いかける展開を予想してたけど、
いい感じに裏切られた!
61名無しオンライン:2007/03/03(土) 19:02:39.61 ID:dfeTHNf/
なんでだろう?目の洗浄液が止まらない・・・・
62名無しオンライン:2007/03/03(土) 21:01:24.98 ID:w3jmvB0Y
431さん乙です〜

それと、イルミナスの発売予定キター

2にもSSのネタがあるといいですね〜( ´ー`)
63名無しオンライン:2007/03/03(土) 21:11:06.40 ID:C66kvMUd
乙です!
最終章(?)を読んでる時に、丁度BGMにコブクロの「さくら」や「ここにしか咲かない花」とかが流れてて…。
かなりムーディーになって…
かなり…良かったです(;ω;)

ただ、個人的にもう少し兄が足掻いたり(ソニチに問い合わせたり)、最後に塔子のPSUを起動してみたりして欲しかったかなぁ…ってのが本音です。
超素人なのに勝手な意見で、すみません…

次回作を期待してます!
今回のリメイクとかでも期待しちゃいますw
64名無しオンライン:2007/03/04(日) 00:17:29.24 ID:m8vRDjAk
泣いた、それしか言えない…
65名無しオンライン:2007/03/05(月) 23:53:28.72 ID:+sGTnJ+S
涙腺決壊とともにあげ

続き書かなくちゃ…続き…続き…
66名無しオンライン:2007/03/08(木) 13:33:58.95 ID:wy6O2dz/
保守
67GH450:2007/03/09(金) 11:48:26.48 ID:0Xjw+/RE
 私たち、いや、委員たちは取り立ててレベルが高いわけでもない。
というよりキャップが未だに残っていたのであれば、一蹴できてしまう
ようなレベル差は生まれ得ない。確かに一桁台が相手ならば余所見
しながらでもぶっ飛ばせるだろう。しかし、私は思うのだ。そんな弱い
キャラがいるほど、変異したプレイヤーはやりこんではいないのか、と。
そんなことはない。道中に仮説も立てていたのだが、一人では説の
強度がおぼつかないので、仮に、という前提つきでメイメイに今の状況
を話し、考え得る最も可能性の高い変異条件を挙げさせてみた。
「社会的混乱は大きくはなかったのですよね?」
「ええ。不審者がいるって通報はいっぱいあったみたいだけど」
「それなら、起床時――もしくは睡眠時かもしれませんが、その間に
変異した可能性が高いです。何故なら、街中で変異したのであれば、
ここの社会を見る限り、大規模な混乱が予想されます。無論、自覚は
ないでしょうから、感染症のごとき恐怖を抱く者も少なからず存在する
と思われるため、下手をしたら自治組織が動かざるを得なくなる暴動に
発展もしたでしょう。けれど、すぐにはなかった。故に、一番人目につかず
急ぎの対応も求められない状況――起床時が挙げられます。ゲームの
キャラクターになってしまったというなら、睡眠時に出される脳波と、その
ゲームから出される波長がリンク、そして体情報が書き換えられた、とも
推測されます。構成情報の書き換えはフォトンにしか成功していませんが、
ここが我々の知る地でなければ可能、もしくは下地はあったのでしょう」
68GH450:2007/03/09(金) 11:48:36.59 ID:0Xjw+/RE
「リンク……つながり、思い入れ……」
 共鳴、というからには繋がりがなくてはいけない。ゲームとプレイヤーの
繋がり――それは、PSUに対する思い入れなのかもしれない。だから、
高レベルキャラ保持者のような、より多くの時間をプレイし、より多くの思い
を費やしたプレイヤーが変異したのだと、考える。
「高レベばっかりで大変なのはごめんだけど、ねっ!」
 シンツキザシをムサい獣に投げつける。それはヒットしたと同時に手元に
戻り、さらに両手のを交互に、シメにはループザループという、この間交換
してがんばってレベルを上げたヒカイシュウハザンである。このスキル、
レンカイより使い勝手は微妙だと思っていたが、リアルで使うとなると中々
面白い。ゲーム中にあるような方向転換無効がなくなって、中距離飛び道具
として重宝している。
 そういえば、PPはどうなっているのか。背後からの大上段を受け止め、
腹に回し蹴りを叩き込み、ふと思った。
「それなら心配ないわよ」
 疑問には、イヴが答えを出した。
69GH450:2007/03/09(金) 11:48:51.13 ID:0Xjw+/RE
「さっきからバレマス使ってるけど、弾切れの気配すらないし。原理はやっぱり
分からないけど、万が一を除いて気にする事はないと思うわ。それとも、銀
ちゃんが説明してくれんの?」
「銀ちゃん言うな」
 次々と敵兵が打ち上げられていき、イヴがそれを打ち抜いていく。吹っ飛んで
しまった者らは、I’LLがメテオスマッシュで叩き落すか、ISAOが下
から突き刺してさらに吹っ飛ばされている。
 原理。まあ、あとでメイメイにでも聞いてみようか。
 私は迫っていたノス・ゾンデをかわして沼子を蹴り倒し、戦況を確認した。
二割。それが未だに膝を着いていない者の割合だ。残りは当然、本来厳粛
かつ威厳溢れているはずの議事堂の廊下に死屍累々と積み重なっている。
中東辺りの議会を覗けばこんな光景が繰り広げられているかもしれないが、
平和ボケまでしているこの国に現れるとは誰が予想しただろうか。
 と、まったく攻撃をしかけてこようとしない奴らが目に付いた。
「あれは……」
 死んだ魚のような目をした、キャス男、美形ヒュマ、沼子。
 先陣を切って喧嘩を売ってきた、あの三人組だ。
70GH450:2007/03/09(金) 11:49:01.75 ID:0Xjw+/RE
「あら、あれはリーダー格なのかしら」
「そこらへんに転がってるおばかさんたちを焚きつけたって可能性は否定できない
というか、そう考えるのが一番妥当じゃなぁい?」
「そぉう……」
「ひっ――!」
 絨毯真っ二つ。いや、それだけではない。私と舞姫の間を境として、廊下
が分断された。……たった一つの太刀筋で。手にされた、禍々しく闇色に
光る一つの大剣によって。
「待ちなさい! なんであなたスヴァルタスソード持ってるのよ!」
「うふふ、どうやらエクストラのも混じっていたようね……うふふ……」
 ……追及したら殺す、という顔をしている。
 ぱらぱらとコンクリートが落ちてきた。これはもう修復どころの騒ぎでは
済まされないだろう。崩壊レベル的に再建だ。そもそも建物を真っ二つに
されるなど人的災害でも自然災害でもありえないので、建築士たちは貴重な
体験をすると同時に対応に困る事だろう。
「本当は鎌のほうがよかったんだけど、どうせだから言ってみたかったの」
71GH450:2007/03/09(金) 11:49:12.66 ID:0Xjw+/RE
 闇の大剣を背後に流すように構える。本当にこの人は大臣なのだろうか。
それにしてはネタのレベルが高すぎる気がする。
 やっとこちらに気付いたのか、三人組も構えた。一対三で任せるのもどうか
と思い、デルジャグナスを取り出して様々な処理が出来るように構え直した。
補助もいいが、おそらくいらないだろう。
 そして、
「食い殺すぞぉぉぉ!」
 瞬動術でもつかったのかと思うほどのスピードで間合いを詰めていった舞姫の
フォローに入るため、仕方なく私もスタートを再び切ったのだった。
72GH450:2007/03/09(金) 11:50:56.56 ID:0Xjw+/RE
こんにちわ、ひさびさの続きです。
ですが、なんだか方向性がよく分からなくなってきてしまいました。
この後本当にどうしましょうか……

って、俺に勉強するように迫ってくる450が言ってた。
――それ保健の教科書だぞまておまえはきゃs
73名無しオンライン:2007/03/09(金) 12:41:02.31 ID:S2ihIoWJ
奥義PAはヒショウジンレンザンだぞー
74GH450:2007/03/09(金) 22:15:50.60 ID:o7wMxWjZ
ひっ!
や、やってしまいました……。しばらく前線から退いていたもので……
あ、あの……ペナルティは……
75名無しオンライン:2007/03/10(土) 15:49:29.18 ID:51zbGRIz
ヒカイシュウハザンは片手ダガーの未開放奥義PAだな
βの時には初期からあったんだが…
76名無しオンライン:2007/03/11(日) 21:42:41.68 ID:6ZfQliCK
>前スレ431さん
お疲れさまでした、このリアルタイムに進んでいく話の
流れが好きでした。

最後の最後でハッピーエンドに期待しましたが、これも
また一つの形だと思うことにします。
77名無しオンライン:2007/03/13(火) 22:34:21.47 ID:2Ogf5Qqe
ほしゅ
7826@保守:2007/03/14(水) 19:09:18.13 ID:Wk9lTtPW
ヒートがグリナビートに、
強烈なタックルを仕掛けた。
グリナビートが、後方に大きく吹き飛ばされた。
「なんという・・・力だ」
節政が動揺している。
メインシステム復旧率39%.....俺が動けるようになるまで、少々時間が掛かりそうだった。
それまで、持ちこたえてくれ。

デルセバンがヒートを取り囲もうと、一斉に集まってきた。
「無駄だっ!」
真紅の猛獣と化したヒートには、それすら無意味か。
デルセバンを一気に弾き飛ばす。
「何をやっている!早く奴を止めろ」
節政の怒号が聞こえる。
システム復旧率47%.....50%もあれば動ける筈だ・・・もう少し。

大きな影。
後方に飛ばされたグリナビートが戻ってきて、その大きな砲身を構えた。
「避けろ、ヒート!」
叫んだが、遅かった。言った瞬間には、ヒートは爆煙に包まれていた。
システム復旧率51%.....くそっ、無事でいてくれ。
思いながらも、立ち上がり、煙の中へ目を向ける。
煙の中で、薄っすらと真紅に輝く大きな影が、グリナビートに突っ込んで行った。
「この程度でッ!」
グリナビートがまたもや、後方に大きく吹き飛ぶ。
「くっ・・・力が・・・」
満身創痍。疲労したヒートのナノブラストが、解かれてしまった。

「隙あり!」
節政が跳躍し、クリムゾンの切っ先をヒートに向ける。
庇おうにも、この位置からでは間に合わない。
叫ぼうとしたその刹那。
フォトンの弾丸が、節政を捉える──
節政はそれに気付き、クリムゾンでそれを弾いた。

「二人とも、中へ退いて!」
弾丸が放たれた方向を見やる。屋敷のベランダから、フィルが狙撃したようだ。
ヒートを見る。視線が合い、共に頷いた。
「援護は任せて!」
ベランダから敵に向かい、狙撃を続けながらフィルが言った。
俺とヒートは、屋敷に向かって駆け出した。

「逃がすな、追え!」
節政の叫ぶ声が聞こえてくる。
7926@保守:2007/03/14(水) 19:10:54.07 ID:Wk9lTtPW
手負いはしたものの、かなり数を減らせたようだ。
「大丈夫か、ヒート?」
「お前こそ、大丈夫なのか?」
屋敷の中に入り扉を閉め、互いの無事を確認しあう。
「この程度じゃ、かすり傷にも入らねぇよ」
「俺だって、こんなもの──」
言いかけた瞬間、フィルが2階から下りてきた。
「全く・・・二人とも無茶というか、馬鹿というか」
二人とも、傷だらけになっていた。
冗談を言い合わないと、キツイくらいに。

「だが、上手くいっているのであろう?」
「えぇ、お陰様で、ね。早くこっちに来て。作戦Bに移行するわ」
作戦Bって何だ。そんなもの、俺は聞いちゃいない。
「せんせー、とぅいまてぇーん。作戦Bってなんスか?」
「いいから、黙ってついてきて」
言われるまま、ついて行くしか無いようだ。

----------------------------------------------------------------

なんという奴らだ。たかだか二人に、ここまで・・・。
節政は、動揺を隠さずにはいられなかった。
かなりの数の兵を失った。
グリナビートの損害も大きい。
一旦退くべきか・・・それとも援軍を要請するべきか。
いや、そんな事をしても、見吉に見下されるに違いない。
それに、迎撃に出てきたのはたった二人、いや、三人だけだ。
他に居るとすれば、プロテクトを掛けた者。恐らく中さんだろうか。
状況的に、見吉に付くしかなかったが・・・。
しかし、今ここで逡巡している暇は無かった。
「扉を破れ!屋敷内に突撃するぞ!」
グリナビートが屋敷に向け砲撃し、扉を破る。
デルセバンを先行させつつ、節政も動き出す。
8026@保守:2007/03/14(水) 19:12:31.79 ID:Wk9lTtPW
なんという事だ。節政は落胆していた。
二人によって削られた兵は、更に削られ、壊滅状態にあった。
屋敷内には、凄まじい数のトラップが配置されていた。
引き返そうにも、フォトンのバリアのようなものが、扉のあったところに出現し、破れずにいる。
グリナビートも、トラップの前に倒れてしまった。これでは、尚更破れない。
最初の兵の数で突撃していれば、例え削られながらでも押し込めただろう。
もはや、ここまでか。思いながらも、無理に突き進む。
屋敷の一番奥にある扉にたどり着いた時には、節政一人となっていた。
虚しく輝くクリムゾンに目をやる。そして、覚悟を決め、扉を開け放つ。

-------------------------------------------------------------------------

アルとヒートが戦っている間に、フィルが大量のトラップを仕掛けたようだった。
中さんが待機している一番奥の部屋に着いたとき、トラップが反応する様に、操作したようだ。

扉が開け放たれた。そこに立っているのは、節政只一人だった。
荒い息遣い。SEEDフォームは、全てトラップで倒されたようだ。
「やはり貴方でしたか、中さん」
「久しいね、節政君」
中さんは知っていた。節政が、仕方なく見吉の下に付いたことを。
「節政君・・・どうだ、我々と共に戦わないか?」
節政の表情が、一瞬動いた。
「今更・・・今更ですよ、中さん」
「まだ遅くは無い。このグラールが、見吉の手に落ちた訳じゃ無いんだ」
「しかし、私は貴方を・・・」
「仕方なく見吉に付いていたのだろう。今変われば、それでいい」
節政がうつむく。
中さんが、あえてこの人数だけで迎撃したのには、理由があったのかも知れない。
中さんが要請すれば、恐らく多くのガーディアンズが応援に駆けつけただろう。
だが、それでは節政を屈服させらないと、踏んだのかも知れない。

「そうですね・・・今ならまだ、見吉を止められる。これ程強い者達がいれば」
虚しく輝いていたクリムゾンが、不意に煌いた気がした。

{続くか続かぬかは存ぜぬ}
81名無しオンライン:2007/03/16(金) 01:34:19.27 ID:HUkDOtqJ
気、気になる…保守っ!
8226@保守:2007/03/18(日) 01:25:51.83 ID:zKhS+nYJ
「はぁ・・・これからどうするか」
ため息しか出ない。リードは、そんな気分になっていた。
*説明しよう。リードとは、以前マガシやみいに助けられた、地味で冴えなくてよわっちい微妙な男だ。
存在感が薄いせいか、隙を見てなんとか一人で脱出できたものの、まるで状況が掴めない。
気絶している間に、どこかに連れてこられたようだが、ここはどう見ても日本じゃない。
見た感じで、見当はつくものの、未だに信じられない。
自分が、ゲーム内のガーディアンズコロニーにいる事なんて。
「はぁ・・・」
どうしようも無い。ベンチのようなところに腰かけ、頭を抱える。

「はぁ・・・」
ため息。自分のでは無い。隣を見やる。
そこには、ネコミミを付けた小さな女の子が、ちょこんと座っていた。PMだろうか。
「アル様ったら、どこをほっつき歩いているんだか」
アル・・・?聞き覚えがある。
みい隊長が、そんな名前を口にしていた記憶が蘇る。
ここで悩んでいるだけでは、何もできない。みい隊長を助けることも。
その名前に賭け、思い切って声を掛けてみる。
「あの〜・・・。君、ちょっといいかな?」
ネコミミの少女が気付き、こちらをちょっと見てから、立ち上がろうとした。
「あ、ちょっと待って」
「私がそんなに可愛いからって、PMに声を掛けるなんて、サイテーですっ」
「いや、ちょ、ちが」
「オジサン、犯罪級ですよっ。ガーディアンズの人呼びますよっ?」
「いや、だから、ちが、ってか俺まだ若いって・・・って、そうじゃなくて・・・アルさんって、君のご主人?」
「な、なんでそのことをっ!」
何とか引き止める事に成功し、話をする事に成功した。
ここが、まぎれも無くPSU内である事。何が起こっているか。
そして、アルという人の事。やはり、彼も現実世界の人間のようだ。

「彼に話したい事があるんだ。一緒に、探してもいいかな?」
この状況で頼れるのは、この子とアルさんだけだろう。
少女は考える素振りをしてから、
「ん〜、オジサンは悪い人じゃなさそうだし、いいよ。私はシャトっていうの、宜しくね」
「オジサンは止めてくれ、俺の名前はリードだ。宜しく、シャトちゃん」
可愛らしいシャトが、にっこりと微笑んだ。

こうして、おとぼけPMシャトと、地味で冴えないオジサンリードの旅が・・・以下省略!

{続・・・く?}
83名無しオンライン:2007/03/18(日) 01:49:55.43 ID:VwNoDiF3
>>1
糞してもう一回寝てろヴォケ
84名無しオンライン:2007/03/20(火) 12:21:23.50 ID:2Ru0vuOn
保守してやるよ畜生
85名無しオンライン:2007/03/21(水) 07:15:13.11 ID:gv9BKm8A
ほす
86空気を読まずに投下してみる:2007/03/21(水) 13:06:51.19 ID:Y9edkXv3
私の名前は孫。香港在住の中国人だ。
仕事はオンラインゲーム内の通貨をひたすら稼ぐ事。いわゆるRMTってやつだ。
他プレイヤーが何をしているのか、私にはよく分からない。ただひたすら、上司に言われた通りの作業を繰り返すのみだ。
今、私が担当しているのは日本製のPSUとかいうソフト。私はひたすら△ボタンを連打する。

私のキャラクターは右端の腕力のありそうな種族の男性。双小剣らしきものを振り回し、敵らしきものを攻撃する私のキャラクター。上司に聞いた「もっとも効率のいい戦い方」。

他のプレイヤーは日本人だろう。断片的に飛び交う漢字や見知らぬ文字、それに「w」。意味など判っていないが私も「w」と発言する。

ひたすらこの繰り返しだ。来る日も来る日も…来る日も来る日も…。



この「PSU」であるが、ある日を境にどっとユーザー数が増えた。
日本のゲーム情報を仕入れている李によれば、日本で都市伝説的な「変異事件」なる噂が流れ、興味を持ってはじめたプレイヤーが激増したとの事だ。

そんな馬鹿馬鹿しい話を信じる日本人には内心呆れるが、同時に我々の顧客も急増したのだと考えれば悪い話ではないだろう。
今日も私は双小剣を振り回すためPSUを起動させた…
87空気を読まずに投下してみる:2007/03/21(水) 13:27:09.30 ID:Y9edkXv3
…いけない。どうやら私は眠っていたようだ。このゲームはプレイしていてやたらと眠くなってしまう…


「…………」


ここは…?

私は上海のボロオフィスにいたはずだが、どう見てもここは屋外だ。
砂埃が舞い散る、TVなんかで見る西部劇のような……いや、それよりも…

そこは私がプレイしていたゲーム「PSU」の舞台にそっくりだった。
茶色い惑星、一時期日本人が「禿 A 募 集」などと叫んで賑わっていたあの広場にそっくりだった。
わけがわからない。私は夢でも見ているのか?
とにかく、誰か人はいないか……

……いた。
いはしたが、それは「人」ではなかった。
ゲーム内でよく見かけたロボットのような種族。それに耳の長いエルフのような種族。
大きな男性ロボットと耳の長いロリがベンチに座って話し込んでいるのが見えた。

出来れば関わりたくなかったが、今はとにかくなんでもいい、話がしたい。このわけの分からない状況を把握したい。
私はその二人に話しかけた。

「hello!」
88空気を読まずに投下してみる:2007/03/21(水) 13:56:25.91 ID:Y9edkXv3
「?」
「?」

二人は突然の声掛けに驚いたようだ。不思議なことに、彼らが「?」と発言している事が、なぜか分かった。
私はあまり得意ではない英語で喋り続けた。ここはどこだ、貴方達は何者だ、その姿はなんだ、etc...

私が喋っている間、二人は無言だった。しまった、英語圏の人間ではないのかも知れない。
ロボットは論外として、ロリも中国人には見えなかったから英語を使ったのだが…
中国語でもう一度話そうかと考えたまさにそのとき、ロリが口を開いた。

「w」

発音は分からない。だが、「w」と「発言」したことだけは何故か確信できた。

「○○○中華○○?w」「絶対○○○○○www」

漢字混じりで二人が会話している事が分かる。発音も違い、理解などできない筈なのに、まるでゲーム内の日本人の会話を読んでいたときのように、断片的に言葉が読み取れ
る。
とにかく、彼らが日本人らしい事だけは分かった。

「○○○○○w」「wwwww」

意思疎通はできそうもない。だがかつてと違い、ここには彼らの他に人影は見当たらなかった。
他に頼れる人はいない。とにかく、意思疎通を図らなければ。
日本人とはゲーム内で何度もコミュニケーションを取っていた。その記憶を辿れば日本語もあるはず…


「おめでとう あなた^^」


「www」「wwwwwwwwwww」

ロボットとロリが、一斉に噴き出した…好感触らしい。すかさず私も「w」
89名無しオンライン:2007/03/21(水) 14:01:53.48 ID:Y9edkXv3
いけね

×上海のボロオフィス
○香港のボロオフィス
です
90名無しオンライン:2007/03/22(木) 08:35:29.43 ID:qrjReRP5
新しい視点でワロタw
91名無しオンライン:2007/03/22(木) 11:30:32.44 ID:xYG+//ER
あの中華はPSUから出られなくなってたんだなw
92名無しオンライン:2007/03/25(日) 09:11:20.84 ID:TQLNz26j
RIO姫をPSUの世界に閉じ込めてくだしあ><
93名無しオンライン:2007/03/25(日) 20:59:01.36 ID:FtOXR7bB
ほしゅー
94名無しオンライン:2007/03/31(土) 11:50:57.85 ID:x/J+RKtP
保守
95名無しオンライン:2007/04/02(月) 09:33:26.77 ID:m4hFXmUw
保守保守
96名無しオンライン:2007/04/02(月) 09:49:28.54 ID:x28eNI5R
神降臨まだー?
97名無しオンライン:2007/04/05(木) 01:25:53.72 ID:FbioDWHW
AM 5:34。俺は、鏡の前に立ち尽くしていた。

よく、RPGなどの三流主人公が思う「力が欲しい」
常日頃から、俺はそんな下らない事を考えていた。
俺は今、高校生だ。そんな中学生が考えるような事を、何故か思ってしまう。
別に虐められているという訳でもなく、特に目立たない存在としてやってきた。

最近、ニュースで殺人事件の事をよく放送している。
そんな時にも「力があれば」などと、つまらない偽善的な事を思ってしまう。
我ながら、滑稽としか言いようが無い。
俺はそういう気持ちを、PSUというゲームにぶつけていた。
友人に勧められたネットゲームだ。
せめてゲーム内だけでも強く。その思いだけが、俺を突き動かしていた気がする。

ある時、PSUの情報を集める為に大型掲示板を見ていた。
その中に、変わったスレッドを発見した。
「朝起きたら自キャラになってたSSスレ」
何だろう、このスレッドは。軽い気持ちで、そこを覗いてみた。

何時間経過したのだろうか。俺は、そこに掲載されていた全ての作品を読み終えていた。
それこそ、食い入る様に読み、脳裏に焼き付けた。
面白い。本当に、こんな事があったのならば。
続きはもっと無いものか。
しかし、PSUが過疎状態に陥った今となっては、スレへの書き込みも少ないようだった。
俺は諦めて、PSUを開始する事にした。

時間が経ち、人が減り始め、PTが解散となったため、ソロで行動していた。
いつもならば、既に止めているだろう。だが、あのスレを思い出すと、どうしても続けたくなる。
もう少ししたら、終わろう。うとうととし始めた頃、眠い目を擦りながら続ける。

夢。何者かに追われる夢。大勢に追われている。
しかし、自分ではどうしようも無い。何も出来ない。
「力が欲しい」夢の中で、そう叫んだ。

──嫌な目覚め。朝だろうか。まだ外は薄暗いようだが。
しまった、俺は寝落ちしてしまったようだ。
変な夢に起されたせいか、頭は冴えているようだ。
もう一度眠ることは出来ないだろう、そう思い、俺は洗面台に向かった。

鏡の前に、しばらく立ち尽くしていた。

AM 5:39。事は、動き出す。
98名無しオンライン:2007/04/05(木) 01:31:07.66 ID:FbioDWHW
保守の為に書いた。恐らく続かない。でも反省はしない。
26の続きは書いてないけど反省はしな・・うわおまあwせdrftghjこ
99名無しオンライン:2007/04/05(木) 17:33:28.21 ID:NMoPIdyl
つまんね
100名無しオンライン:2007/04/06(金) 21:30:40.65 ID:fqo3gvVn
>>97
続きキボンヌ
どっちの続きでもいいからきぼんぬううううううううううううううううう
101前343:2007/04/08(日) 01:54:55.13 ID:uXHQDreu
「さて、ここはパルム学園内の学生寮。
 PSUによって姿が自キャラになってしまった人々が集まる巨大学園都市。
 その一角にあるいつもは平穏な空気が流れるこの学生寮は、現在戦場もかくやの紛争地帯となっています。
 まぁ、戦っているのは軍隊ではなく二人な訳ですが、そこはキャストである二人ですから、
 そりゃもう『喧嘩ってレベルじゃねーぞ!』と思わず叫んでしまいたくなる有り様です。
 あ、自己紹介が遅れましたね。僕の名前はヒロ。種族はニューマンです。
 性別は女性、身長はやや低め、フォルテクターで頑張ってます。
 ちなみにあそこで戦っている二人とも、僕の知っている人です。
 今ナックルでスピアの連撃を叩き落としている黒を基調としたロリキャストは『シリーナ・レイ』
 サービス開始当初からつるんでいる友人の一人で、彼の……今は彼女ですが、容姿は非常に好みです。
 そして……」
「……やっぱり……その姿でヒロ君を誘惑したんですね……。
 許せない……許すもんですか……
 大人しくこの刃先の餌食となりなさぁぁぁい!!」
「うわっ! っと! てめ、ヒロ! お前自分の彼女を煽ってんじゃねぇよ!
 何考えてんだ! 俺を殺す気か!? 殺人教唆か!?
 そもそも俺はただお前についてきただけだろうが!」
102前343:2007/04/08(日) 01:55:26.45 ID:uXHQDreu
「そう、そして今リーナと戦っているもう一人、青を基調とした背の高い男性キャストが僕の恋人
 名前は……まぁ、後々わかるでしょう。別に複線って訳じゃなさそうですが、
 ま、単純に思いついてないんでしょ。全く……いい加減だよね。
 そんなことは置いておいて、何故その二人が争っているのか?
 それは……大きな声ではいえないけれど、簡単に言えば…痴情関係のもつれ…」
「アホかぁぁ! これのどこがお昼のワイドショー並のゴシップネタに見えるんだよ!
 お前の彼女がお前を追って自キャラになろうとしたら、失敗して店番キャラになっちまったもんで
 ショックのあまり引きこもり状態になったから、お前が外に出そうって俺を誘っただけだろうが!
 歪曲しすぎた情報流してんじゃねえ!」
「彼女は僕たちが二人で部屋にやってきたのをどうやら勘違いして、嫉妬の炎に身を焦がしてしまったようです。
 もともと思い込みの激し……一途な子だったから、言葉での説得は無理っぽいみたいです。
 それにしてもリーナ! わざわざ解説の補足してくれるなんて、まだまだ余裕みたいだねー!」
「ば、おま、んな余裕なんかねぇ! めちゃめちゃこっちは死活問題だ!
 ていうかヒロ! お前、さっきから訳わかんねぇ事一体誰に向かって話してんだ!
 さっさとこっち来てなんとかしろぉ!」
「はいはいっと、さてそろそろいい時間かな。 んじゃ、とりあえず二人とも回復しておくれー」
「二人ともかよ! あっ、しかもお前、どさくさに紛れて攻撃力上昇なんかさせるんじゃねぇ!! バカか!」
「バカ……?! ヒロ君に向かってバカとはなんですか!」
「うんうん。仲よきことは美しき哉だねぇ」
「「どこを見たらそう言えるんだ!/ですか!」」

……そして、舞台はこれより30分程後から再び幕を開ける。
103前343:2007/04/08(日) 01:56:35.47 ID:uXHQDreu
「……それで、一体この状況はどういうことなのか説明してくれるかな?」
先程まで続いていた銃撃や剣戟の音はすっかりなくなり、シンと静まり返った空間に凛とした声が響く。
声を発しているのは俺達の目の前で偉そうにしているキャスト♀…このパルム学園の学園長だ。
そして、騒音の原因であった俺達は、なぜか学園長の前で並んで正座していた。
一体こりゃ、どういう事なんだ? こっちが説明を聞きたいくらいだ。
「黙られても困るんだが……。ふぅ、仕方ない。リズ、状況を」
「Yes、マスター。 本日16:14パルム学園寮ユニバース17においてフォトン使用を観測。
 使用者はフォトンパターンにより本校在籍の……」
学園長の傍に立っていたリズと呼ばれたPMが、淡々とした口調でこれまでの経緯を伝えている。
ってちょっと待て。
「お前ら…最初から知ってたのか?!」
思わず立ち上がり、学園長の前に立つ。やっぱ小さいなこいつ。
「当然だ。学園長たるもの学園内の事は常に把握しておかなくてはならないだろ?
 ま、この私が直々に出向くことはそう滅多にないんだがな……。
 それより、誰が正座を解いて良いと言った?」
「んな事はどうでもいい! それより最初から知ってたのならなんでもっと早く対処しに来なかったんだ!」
「……元凶が言うセリフじゃないと思うんだけど…」
ヒロ、それは今言うんじゃない。
「もちろん調査員を向かわせたさ。観測してからすぐにな」
え? そんなの来たか?
ヒロに顔を向けると、俺を見たヒロは首を横に振る。
そりゃそうだ、誰かが気がついていたらこんな状況にはなってない。
「知らないのは当たり前だ。
 止める直前に『どこかの誰かさん』がナックルで壊した壁の破片が頭に当たって気絶したんだから。
 言っただろう? 私が直々に来るのは滅多にない、と。
 よっくもまぁ、ここまで暴れてくれたもんだ」
ふぅっと大げさに肩を竦ませため息をつく。
「まぁ、こっちの話はこれくらいにしておいて……、そろそろ本題といこうか。
 なんでこうなったか私にじ〜〜っくり聞かせてもらおう。
 と言うわけで、シリーナ・レイ、正座だ」
「……はいよ」
さて、どこから話したもんかね…。
104前343:2007/04/08(日) 01:57:23.25 ID:uXHQDreu
俺が事の顛末を学園長に話していた間、さっきまでの怒りが嘘であるかのように
ヒロの彼女は不思議なことにほとんど話さなかった。
喋ったことと言えば「えぇ」とか「はい」とか、返事ばかり。
さっきまで戦っていた俺としては、何だか調子が狂って仕方がない。
「……ふむ。なるほど、君はただ友人のヒロに着いていったら、
 彼女が襲ってきたのでやむなく戦うことになった、と。
 状況と差違もないようだし、嘘ではないようだけど、もう一方にも聞いてみなくてはね」
俺の話を聞き終えた学園長が彼女の方を向く。
「で、シリーナ・レイさんはこう言ってるようなんだが、君の意見はどうなのかな?」
「……」
学園長が聞いても彼女はさっぱり答えない。
たっぷり10分ほど経った後、ようやく彼女が言葉を発した。
「……あ……あの」
「なんだい?」
「……何で私はこんな所にいるんですか?」
105前343:2007/04/08(日) 01:57:37.23 ID:uXHQDreu

……
………
ナンデワタシハコンナトコロニイルンデスカ?
俺はこれほどの静寂を知らない。いやあ、本当の静寂って耳が痛いもんなんだな。
思わず幻聴が聞こえちゃったよ。
キャストの聴覚センサーも大した事はない…っておい、今何って言った?!
「「「は?」」」
思わずそこにいたヒロ以外の全員の頭の上にクエスチョンマークが表れる。
「ちょ、ちょっと待て、覚えて…ないのか?」
「ま、待ちなさい、貴女…覚えてないの?」
同じ事を聞く俺と学園長。何だか今日は被ってばっかりだな。
学園長も混乱してるせいか、口調が変わってるし。
「…ちょっとレイさん、同じこと聞かないでくれる?」
「それはこっちのセリフだ」
「口答えするんじゃありません!
 ……ったく、せっかく面白い事になりそうだと思ってわざわざ来てみたら…」
「それが本音と本性か、学園長…」
「……マスター」
「……あ、んんっ! で、これは一体どういうこと?」
こいつ猫被ってやがったな。

彼女の爆弾発言に学園長の本性と俺の頭が混乱の極みに達した時、
俺の隣に座っていたニューマン──ヒロがさわやかな笑みを浮かべて彼女にこう言ったんだ。
「おかえり、鈴」
もうさ、俺をこれ以上混乱させてどうする気だよ……。
106前343:2007/04/08(日) 01:59:59.16 ID:uXHQDreu
皆様お久しぶりです。
忘れている方、初めて見る方、くっだらないSS見せてしまってごめんなさいorz
とりあえず、中途半端に終わるのはいやなので、続きを書いてみました。
喜んでもらえればうれしいです。

とりあえず、もうちょっと続きます。
107名無しオンライン:2007/04/08(日) 03:47:20.55 ID:7PBDUf9s
>>99
スマン。だけど、あくまで保守目的なので・・・。
>>100
スレの為に何とか続けます。
>>106
GJJJJ!!!続きも激しく期待してます!
108名無しオンライン:2007/04/13(金) 16:34:01.47 ID:N2yIYpRO
保守しとかないとねー
109名無しオンライン:2007/04/14(土) 20:23:42.67 ID:A6+lOYEy
保守
110名無しオンライン:2007/04/16(月) 09:33:43.93 ID:8CP7Px9j
デスオナニー
111名無しオンライン:2007/04/16(月) 09:34:27.36 ID:8CP7Px9j
誤爆した
すまねぇorz
112名無しオンライン:2007/04/16(月) 17:12:10.85 ID:GMdl9gXf
デスオナニーで何か書こうとした。だが無理だった保守
113名無しオンライン:2007/04/16(月) 18:31:01.66 ID:wW4SsFVf
朝起きたら、女になっていた……

昨日リアフレと一緒にPSUで遊んでいて、そこから記憶が無い。
だが自分は今、間違いなく自分が昨日使っていたキャラになっている。
状況が掴めずボーっとしてる、部屋にフレが、いや正確にはフレのキャラが入ってきた。
「よお、ルームロック、しておいたほうがいいぞ」
フレもフレだが自分も何故ここまで落ち着いていられるのか不思議だった。
「これ何なんだ?お前もソウなのか?」
「ああ、色々調べてみたがゲームの中に閉じ込められているのではなく、ここはモノホンのグラールみたいだ」
唖然とした……
つまり自分たちは異次元にいるという事か?それとも夢なのか?
「ははは、どうするよ、一体」
自暴自棄に聞いてみると、フレいやラッセルというビス男は、頭をかきながら困った表情をした。
「まあ、その、この状況でいきなりだが、仕事が入ってるみたいなんだ。さっきそれの連絡があってな、俺たちはどうも組んでいるらしい」
「深く考える時間もくれないのか、難儀だな。そう思わないか、ラッセル」
「ああ、そっちで呼ぶのか。じゃあお前はアゲハだな」



「えーとニューマンfTのアゲハさんにビーストfFのラッセルさんですね?認証が終わりました。依頼人がミーティングルームにいるので……」
正直、上の空だった。ボーっとしてる自分にゲンコツが飛んできた。
「いってー!なにするんだよ!」
「いくら読んでも返事が無かったからな。ほら依頼人またしてるんだ。いくぞ!」
何故ここまでコイツは割り切れる?
「なあ、待てよ。不思議だとは思わないのか?」
「なにがだ?」
「何で俺たちはここまで詳しく組織や町や色々この世界での日常の事を既に知ってるんだ?」
ラッセルは苦笑して、俺の手を引っ張った。
「そんな事考えても仕方ないだろう。こうなっちまったモンはどうしようもない。そもそも戻るための方法探すにしたって生きるためにはカネがいる。なら仕事はやるしかないだろ。違うか?」
その場に力一杯とどまる俺。
「そんな割り切れるのはお前だけだ!絶対おかしい!なんかのドッキリだろ、これ!」
ん?諦めたのか、手を引っ張るのをやめるラッセル。
そしてニコニコと薄気味悪い笑顔を浮かべて、近づいてくると、
「ったく、世話の焼ける奴っだ!!」
「な、おまえ!降ろせ!!このヘンタイ!!!」
あろうことか奴は、俺をお姫様抱っこしてきたのだ。
「っく、笑われてるじゃねーか!やめろ、はずかしい!!」
「無理な相談だな。降ろせばお前は逃げる」
精一杯あばれて逃れようとするが50cm以上ある身長差に加え、ビーストとニューマンという種族差ではどうしようもない。
結局、そのまま俺はミーティングルームの前まで強制連行されてしまった。
「ったく、なんて事しやがるんだ。この獣野郎が……////」
……あれ?胸お動悸が激しい。なんだ、コレ。
「おし、入るぞ。……おい、聴いてるのか?」
突然、俯いていた顔を覗かれ、至近距離で目が合う。
「わっ!!いや、大丈夫。ななな、なんでもねーよ!?さあ、早く部屋にいこう!」
「な、なんだ?さっきまでは嫌がってたの突然……」
おいおい、冗談だろう?体だけじゃなく、心まで女になってきてるのか?
間違いない、俺はコイツに触られて、間違いなくドキドキしている……////

こうして、突然今までの日常を退場させられた俺たちは、このグラールで奇妙な新生活をはじめたのであった。
11426:2007/04/16(月) 23:57:27.68 ID:G0VbF3av
「配備、完了したな?」
カーツ2は、パルムの草原の中にいた。
「配備完了。後は、敵を待つだけです」
副官として、アリシアが就いていた。なかなか優秀で、狙撃の腕も抜群だ。
ただ、
「この任務が終わったら、一緒に植樹もとい食事でも、DOU?どう?」
「それって死亡フラグですよね」
非常に冷たい。

俺は今、ガルドの指示を受け、PSU内に入っている。
イーサンと共にガーディアンズ本部に出向き、そこで色々と話し合った。
マガシは、「あの人」と呼ばれる者の元へ向かったようだ。

本部で話し合い、決まった事。それは、まず酒井を叩くこと。
見吉はどこかに隠れ、まだ出てこないだろう。だが、節政を失った今、酒井を叩けば・・・。
それに酒井は、SEEDフォームや原生生物を味方につける為に、動き回っている。
早めに手を打たねば、敵は増える一方だ。
話し合いには、同盟軍や各地の有力者なども集まり、協力して敵に当たることが決まった。

酒井は現在、パルムにて味方を増やそうとしている。
速やかにそれを叩く。その為に、カーツ2達もパルムに来ていた。
我が方の主力は、イーサンが率いるガーディアンズの精鋭達と、同盟軍の精鋭部隊。
オフラインで活躍したNPCも、何人か見かけた。

何者かがこちらに歩いてくる。キャストのようだ。
見極めようとして、気付いた。この色、この感覚。このプレッシャー!
「君が、カーツ2か?」
そしてこの声は・・・。
「あああの、かかかカーツささささまでいっらっしゃいまっするか?」
「そうだ、SEED対策指令部直轄下の177遊撃隊小隊長のカーツだ。だが、様はやめてくれ」
緊張ってレベルじゃねーぞ。キャストなのに足がガクガクする。手の震えも止まらない。
その震えた手で、彼と握手をする。両手で。
オンラインより先にオフラインから始め、登場したカーツを好きになり作ったキャラだ。
モノマネをしていて、ご本人がいきなり登場!そんな気分だ。
「声も似ているのだな、外観も似ている」
「ごごごごっめんなっさい!」
俺の本当の性格とかけ離れた存在のカーツ。憧れている分、申し訳なく思えてきた。
「何を謝っている。私と似ているのだ、誇ってくれ」
か、かっこいい・・・。
「あざーっっっす!!」
「では、この方面は任せたぞ」
そう言い残し、カーツは立ち去っていく。その後姿もかっこいい。まじで惚れる。
「うおっし!やるぞおおおーーー!!」
気合が爆発だ。周りから冷たい視線が突き刺さってくるのは気のせいだ。
11526:2007/04/16(月) 23:59:18.92 ID:G0VbF3av
現実の世界のガーディアンズから、援軍が来ている。
その情報を、この西洋風屋敷に持ってきたのは、マガシとミリルだった。
ミリルは俺を見るや否や、いきなりビンタをお見舞いしてきた。泣きそうな顔で。
だが、俺はキャストだ。痛くないどころか、逆にミリルの手が痛そうだ。
「アルのバカ!」
バカで悪いか、と言いそうになったが、この顔を見てしまっては言えない。
「いきなりあんな・・・ちょっとは考えて行動してよね?」
「・・・ああ、悪かった」
それしか言えなかった。
「お二人さん、ちょっといいかね?」
中さんが中に割って入った。ややこしい。

「ミリル君、ガーディアンズと同盟軍が酒井を叩く、そうだね?」
「はい、既に酒井を叩くために、パルムへ部隊が送られています」
酒井を叩けば見吉が出てくる。簡単に言うと、そうらしい。
で、出てきた見吉を叩いて終わり、ということのようだ。
「節政君、どう思う?」
「そうですね、窮地の酒井を助けないほど、見吉は酷薄ではないと思います」
「そうか、見吉自身の今の力は?」
「我々と同程度かと。しかし、更なる力を得ようと画策していました」
更なる力か。しかし、力を得る前に叩けばいいだけの事。

「おいぃ」
低く渋くかっこいい声が響いてきた。マガシだ。
「近くをうろついていた奴らだが、この男は見覚えがある。
 そしてこのちっこいのは、お前の知り合いのようだ」
地味な男と、とても小さな少女。
男は分からないが、ネコミミをつけた少女は良く知っている。
その少女は俺を見るや否や、強烈なビンタを繰り出してきた。泣きそうな顔で。
「アル様のバカッ!」
何というデジャブ。しかし、今回のは痛い。さすが俺のPMだ。
「バカで悪いか!」
「バカバカバカ!どうせ女の人に声を掛けられて、ホイホイと付いていったんでしょ!」
あながち間違っていないだけに、否定できない。
「いや、あれはその、仮面の下が気になりまして・・・」
「やっぱりそうだったんですね・・・バカァッ!」
「アル、そんなことを・・・本当にバカ」
ミリルにも言われる。この言い訳は不味かったか。

「マガシさん、あれはワザと?」
フィルが、二階から降りてきて言った。
「んぁ、何のことだ?」
「その二人、元からつけられてたでしょ。貴方なら撒けると思うけど、気付かなかった?」
「うあ、つけられてたのは多分自分です。あいつら、まさかワザと逃がしたんじゃ・・・」
地味な男が声をあげた。誰だこいつ。何か地味なのは分かる。
「君は?」
「自分はリード言います。アルさん・・・ですよね?俺、エンドラム残党の連中から逃げてきて・・・」
「何!何でその事をもっと早く──」

「おい、お客さんだぞ。出迎えてやろう」
ヒートが二階から駆け下りてきた。
「奴らを逆に捕まえて、アジトを吐かせるか」
マガシが言う。始めからそのつもりで、追手も連れてきたのか?
「リード、話は後だ!君は弱いと聞いている。だから、中さんと中にいてくれ。シャトは二人を頼む」
酷いことを言ったような、言っていないような。
だが細かいことは気にしない。敵を出迎える為に、屋敷の外へ出る。

外の空気は、殺気で満ちていた。だがこちらには、仲間が多く居る。
ミリル、ヒート、フィル、マガシ、節政、シャト。中さんは、戦えないようだから仕方が無い。
あと、誰か居たっけ。
11626:2007/04/17(火) 00:02:57.20 ID:ohN6HETW
「屋敷の裏に回っている奴もいるようだ。ヒート、マガシさん、節政さんは裏の防御へ!」
一瞬、空気が固まった気がした。何故だ。
「アル・・・お前」
「何だ、ヒート。不満でも?」
「そっちは女性二人とお前が組む。こっちは男三人だ」
「だから?俺はキャストの頭脳をフル活用し、戦力を最大に活かす編成をだな─」
「バカ・・・」
ミリルが呟く。バカと言われたのは何度目だ。だが俺の両手に花作戦は見破れまい。
「どうでもいい。裏にも結構いるようだ、俺はそっちへ行く」
マガシが、さっさと移動していく。
「やれやれ、相手は待ってくれませんよ」
節政も、マガシの後に続いていく。
「お前の魂胆なんぞ・・・まぁ、いいさ。敵は、裏の方が多いかも知れん」
「うむ、そういうことだ」
「・・・しっかり守ってやれよ」
ヒートは、最後に呟き、駆け出していった。

相手はまだ、こちらの様子を窺っているようだ。見ている気配は確実に分かる。
ミリルとフィルは何かを話している。時々こちらを見ては、クスっと笑ったりする。
何だ、何なんだ。もしやこれは失策なのか。
まぁいい。ムサイ連中と一緒に戦うよりは華がある。

敵よ、
「来るなら来い!」
気合を入れた声を出し、槍を構えた。

一瞬、凄まじい殺気が俺を貫いた気がした。
人の肌だったら、鳥肌が立っていたところだ。
敵に強い奴がいる。それも、とてつもなく。

槍を改めて構えなおし、まだ見えぬ敵に、気迫で向かい合う。

{続・・・グフッ}
117名無しオンライン:2007/04/17(火) 04:21:27.26 ID:3s2Xofug
節政がかっこいい件
118保守:2007/04/19(木) 06:51:02.26 ID:UQtYA0ac
AM 5:53。仕度を終えた俺は、家族に気付かれないように、こっそりと家を出た。

状況を把握する、それは後だ。自分の身体がどうなっているのか、それも後だ。
俺は混乱しながらも、人通りの無い路地を駆け抜けていった。
こんな姿、家族に見られたらどう思われるだろう。
ウチの親なら・・・理由も聞かずに、不法侵入罪で警察につき出しそうだ。
俺だ、と言っても、絶対に信じてもらえない。自身でも信じられないのだから。

息を切らしながらも、最近では誰も寄り付かない公園へ入る。
寂れた公園。ブランコやベンチなどは、壊れたまま放置されている。
朝は少々寒いが、暖かみが増してきている季節で助かった。
深い事を考えずに・・・考えるのが怖かったのかも知れないが、家を飛び出してきた。
これが冬だったら、どうしていただろう。
ため息をつきながら、ベンチの上を少々掃い、そこに座る。
悔しいかな、地面に足が届かない。
持ってきた手鏡で、改めて自分の姿を見回した。
「俺・・・だよな?」
声を出したが、どう聞いても俺の声では無い。何だこの甘ったるい声は。
身長は・・・とても低い。顔もとても幼い。どう見ても子供だ。
「何であいつの趣味で・・・」
言い訳ではないが、この姿は俺の趣味では無かった。

俺にPSUを勧めた友人。そいつが勝手に、このキャラを作った。
「とりあえず、これでやってみ?ヒュマ子の和風最小黒髪美少女!
 まぁ、キャラ枠まだ3つあるし、慣れてきたら好きなの作れ」
「お前・・・こんなのが趣味なのか?」
「趣味だぁ?違う!夢だね。うん。とりあえず、このキャラ使って俺と一緒に遊べ。
 あ、チャットの言葉もそれっぽくな!」
今思い出すと、腹が立ってくる。
しかし、新たに作り直さず、なんとなく使い続けてきたこのキャラは憎めない。

手鏡で、改めて自分を見回す。・・・なかなか可愛いじゃないか。
服は妹のを勝手に借りてきていた。妹は丁度、おばさんの家に泊まりに行っている。グッドタイミング。
センスには少々自信があった。何故なら、ゲーム内でこのキャラの為に、沢山の服を買い込み、
選び抜いた服を着せていたからだ。フレどころか乱入先でさえ、褒められたものだ。
だが、断じてその手の趣味は無い。

考え込む。姿が変わったのなら、装備は?能力は?
常日頃、力を得たいと思ってきた。姿はどうであれ、大きな力を手に入れたのではないか。

AM 6:27。寂れた公園で、その力を試す。
119保守:2007/04/19(木) 06:51:56.94 ID:UQtYA0ac
AM 6:45。期待と希望は、絶望へと変わっていた。

まずは、腕力のテストから始めた。PSUではほとんどの職をこなしていたが、どうか。
辺りを見渡し、廃棄された大型のタイヤを発見した。
もしもゲーム内のように大剣を振り回し、斧も使いこなせるというならば、この程度片手で・・・。
「う、う〜ん、あれ・・・?」
おかしい。持ち上がらない。片手どころか、両手で踏ん張ってみてもダメだ。
「こんなはずは・・・そうかっ!」
甘ったるい声の独り言。誰も聞いていないのだから、関係無い。

不意に思い出したのは、もしかしたらテクターのまま寝落ちしていたのでは、ということだ。
それならば、これほどの非力な事も理解できる。
装備は・・・あのナノトランサーとかいうやつは?
首を触ってみたが、何も付いていない。
杖が無くても、テクニックは発動できるのだろうか。試すしかない。
大きく息を吸い込み、アクションヒーローが叫ぶように声を出す。
「ふぉいえーっ!」
・・・予想以上に恥ずかしかった。叫ぶ意味は、余り無いかも知れない。
というか、何も起こらない。
「めぇえぇぎぃいぃどぉぉぅうっ!」
誰かに見られたら、こいつ早く何とかしないと、と思われそうな光景だ。
叫んでもダメ、ポ−ズを決めてみてもダメ。

期待と希望は、絶望へと変わっていた。
「くそっ!何で・・・」
俺は苛立ち始めていた。
例えば、キャストやビーストに変わっていたら、凄まじい能力を発揮できたのかも知れない。
しかし俺は今、ヒューマン。そう、人間なのだ。能力も只の人間なのか。
改めて、手鏡で自分を見つめる。
・・・可愛いじゃないか。こいつは憎めない。ナルシストの気分が、分かった気がする。

しかし、絶望からは変わらない。
こんな姿で、どうやってこれから・・・。力も無いというのに。
家へは、戻りたくない。説明が面倒、というより信じてもらえないだろう。
この姿から戻れるのだろうか。どうやって?
「あいつだ・・・あいつのせいで!」
PSUを、そしてこのキャラを俺に勧めた友人、ケン。
八つ当たりや怒りを込めつつ、あいつなら理解出来るかも知れない、そんな思いが俺を動かす。



AM 6:52。あいつに蹴りをお見舞いする為に、俺は駆け出した。
120名無しオンライン:2007/04/19(木) 07:01:17.97 ID:RObUEXz4
まとめサイト死亡か
121名無しオンライン:2007/04/20(金) 18:05:22.00 ID:UzfC+pMH
このスレも死亡だろうか
122名無しオンライン:2007/04/20(金) 22:59:39.13 ID:D3AmKXBU
まだだ!
まだ終わらんよ!
123名無しオンライン:2007/04/21(土) 02:08:09.41 ID:8hi4AOrq
まとめ更新しました。
忘れていたとかそういうわけではなく、多忙が極まり始めているのが原因です。
うちの450もおおわらわなんで、まとまった時間が取れた時にでも書かせます
124名無しオンライン:2007/04/22(日) 15:50:07.97 ID:aDCbX7Lf
どの作品も続きが超きになるぜー!


俺も妄想しまくった世界(多分公衆に出してもおk)
を書いてみるかな・・・?
125名無しオンライン:2007/04/22(日) 22:36:03.80 ID:5BEU9oMr
>>124
やがてその妄想は物語となる
126名無しオンライン:2007/04/23(月) 03:50:49.01 ID:KpiTBo9b
125がいいこと言った!というわけで期待age
12726@保守:2007/04/27(金) 05:43:24.17 ID:zMIRi1h9
あの地味な男をつけてきた連中は既に、多くの仲間を呼び寄せていたようだ。
かなりの数の敵に囲まれている。気配だけでも、それが分かった。
不意に、人影が現れた。見覚えがある。・・・奴だ。
「あの時、追ってくるとは思わなかったよ」
髭の男、無玄。双手剣を持ちながら、こちらを見据えている。
「無謀というか、バカというか」
「へっ、そんな挑発に乗るかよ。こっちは言われ慣れてんだ」
ミリルが笑い出しそうになるのを、必死に堪えていた。

「面白いな君は。変と言ったほうがいいか?」
そう言いながら、奴が近付いてくる。
「それも言われ慣れてんだっ!」
俺は一気に踏み出し、槍を突き出す。この距離ならば─
しかし、無玄は左手の剣で槍をかわしざまに、右手剣の切っ先を向けてきた。
それをバックステップでかわし、更に槍を突き出す。
だが、奴は十分に距離を取り、容易くかわした。

「以前より、突きが速いな。侮れん、すまんが─」
そう言うと、無玄は右手を挙げ、何か合図をした。
「─すまんが、こちらは時間が無いのだ。見られてもいる。早めに終わらせる」
見られて・・・?どういう事だ。
思った瞬間、エンドラムの残党達が現れてくる。結構な数だ。
「あんたも大変なようだが、こっちも譲れないんでね」
槍を構えなおす。
ミリルとフィルが横に来た。
「アルはアイツと戦って。周りは何とかする」
「無玄と因縁でもあるようね。任せたわ」
「おう、そっちも頼むぜ」
この二人をこっちに回したのは危険だったか。一瞬そういう思いが過ぎった。
だが、俺に辞書に後悔の文字は無い・・・はず。

無玄と向き合う。
「今度こそ、決着をつけようや」
「・・・いいだろう。だが、勝つのは私だ」

この瞬間、二人の間に気迫が満ちた。

あの時の殺気・・・こいつでは無い。
見られている?そういう事か。
12826@保守:2007/04/27(金) 05:48:17.98 ID:zMIRi1h9
怖いくらい順調に殲滅していた。
やはり、ガーディアンズと同盟軍は伊達じゃない。
「アリシアちゃん、状況は?」
「ちゃんは止めてください。現在戦闘の行われている草原北部、
 レリクス付近では、こちらが優勢です。今のところ問題はありません」

カーツ2の部隊は、後方の防御。即ち、安全な場所に居た。
無論、理由はある。この部隊には、現実世界から連れてきた者が多くいるからだ。
今のところ、現実世界でキャラクターに変異した人間が死亡した、という報告は無い。
この姿のまま逝けば、どうなってしまうのか。誰も検討がついていなかった。
その事を考える暇も無いくらい、皆忙しく動いていたというのもある。
そして今回の件。志願したこの者達は、どういった考えで付いてきたのだろう。
ガルド隊長も、思い切ったことを──

「・・・緊急の通信が入りました」
「どうした、酒井を追い詰めたのか?」
「いえ、ディラガンの群れが、北部前線部隊との戦闘に入りました」
「何だ、ディラガンか・・・。ん?むれ?ムレムレだとォ?!!」
「はい、群れです。かなりの数が現れ、さすがに苦戦している模様です。
 我が隊も、援軍に来てくれ、と」
スルーされたよな、見事に。
「そうか、分かった」
俺は少し、考えを巡らせた。
一部のキャストは別として、傷を負った者は、キャラとなっても痛みはある。

もしも、命に関わる事があったらどうなる。命を落としたら・・・。
そこまで考えて、こいつらは志願したのだろうか。
ガルド隊長は何故こんな・・・。そして何故、俺を隊長に・・・。

「カーツ2さん。いえ、カーツ2隊長。貴方には考え事は似合いません」
アリシアが声を掛けてきた。言われなくても分かっているつもりだ。
「貴方は今、隊長なんですよ。隊長らしく、判断を」
「そう、だったな。ありがとう」
部隊を見回した。この中に、恐れをいだいている奴なんか、一人もいない。
恐れるならそもそもこの部隊に、ガーディアンズすらも入っていなかっただろう。

「皆、聞こえるか?しっかり聞いてくれ」
決意が固まった。今俺は、現在進行形で隊長らしい。
皆がこちらを向く。見知った顔もいるんだな、コレガ。
「どうやら前線の連中が、ディラガンに苦戦しているらしい。
 そこで俺らが加勢に向かう。お前らの中には、PSUでディラガンを飽きるくらい
 狩った奴もいるだろうが、あくびなんてするんじゃねーぞ」
少し、笑い声が聞こえた。
「飽きるくらい狩ったお前らだ、ディラガンが何匹出てこようと余裕だ。
 だがもし、ちょっとでもピンチになったら俺を盾にしてもイインダヨー。
 バカはそう簡単に死なないからな!」
また笑い声が起きた。でも、グリーンダヨーと返してくれた奴は少ない。
「だが、そのバカに付いて来てくれるな?」
「「「オー!」」」

皆の命、預かったぜ。
12926@保守:2007/04/27(金) 05:51:50.42 ID:zMIRi1h9
長引きすぎですね、すみません。
まだ長引きそうですが、保守だと思って軽くスルーしてくだされ。
130名無しオンライン:2007/04/28(土) 15:08:43.00 ID:imBImgdT
>>113はもっと評価されるべきだと思う
131名無しオンライン:2007/04/28(土) 15:24:37.62 ID:9KlRbab+
>>130
俺は好きなんだぜ?
132名無しオンライン:2007/04/28(土) 19:57:24.01 ID:kFH/gDA1
続きマダー?
133名無しオンライン:2007/04/30(月) 20:16:14.11 ID:tTn2CAsR
保守
134名無しオンライン:2007/05/04(金) 17:32:03.30 ID:U1q5EkBz
保守保守
135名無しオンライン:2007/05/04(金) 18:38:25.38 ID:hJX9PJ3w
もうこのスレ終わりだろ
136名無しオンライン:2007/05/05(土) 14:14:36.48 ID:wt7N26C/
誰か生きてるかー?
137名無しオンライン:2007/05/05(土) 20:01:21.89 ID:RPXE9OAp
私は待ち続ける。
去っていった彼らの帰りを。
最果ての地…この、生命の死に絶えた荒野で。
13826:2007/05/07(月) 16:57:04.23 ID:dDdZW1OW
ミリルとフィルが周りを何とかしてくれている。
こちらも時間は掛けられない。全力で行くしかないようだ。
相手もどうやら焦っている。これならば、隙を衝けるかも知れない。
いや、衝かなければ勝てない。こちらの隙は最小限に抑え、相手の隙を─

無玄が不意に動き出す。ゆらりと動いたように見えた。
─が、目前まで剣先が突きつけられる。素早い剣先の動きで風が舞った。しかし、避けられる。
「へっ、そんなもんかよ!」
そう言ったが内心、これがこいつの本気か、と少々焦りが生じた。
だが、こちらも経験を積んでいる。

俺は横に回り込み、槍で薙ぎ払う。
─ドゥース・ロバット。そんな感じの名前の技だ。
だが、無玄は一撃目をしゃがんで避け、二撃目を剣で弾き、距離を取った。
─と思った瞬間、間髪を容れずに突っ込んでくる。
無玄も焦っているのか。しかし、まだ隙は見えない。
双手に持った剣で巧みに攻めてくる。守るので精一杯だ。
槍を生かすために距離を取ろうとしても、すぐに追い縋られる。
不味い。これでは、こちらに隙が出てしまう。
槍の切先と柄で何とか防いでいるが─

─思った刹那─
双手剣の切先が、俺の左肩を討った。
だが、同時に奴の隙も見えていた。冷静でいられるのは、キャストであるお陰だろうか。
「肉を斬らせて─」
逡巡は無い。槍を思いっきり突き出していた。
「骨を断つ!」
一瞬、時が止まる。俺の槍は奴を捉えたのか?

─槍の切先は、無玄の喉下を捉えていた。
寸止めである。さすがキャストだ、精密機械は凄いぜ。
「・・・私の・・・負けだ」
無玄が双手剣をほうり投げ、その場に座り込んだ。
周りのエンドラムの残党も、攻撃を中止して少し離れた位置に待機し始めた。
「なぜ・・・止めを刺さなかった」
「あんたに個人的な恨みは無いんでね」

ミリルとフィルが近付いてくる。
「凄いじゃない。やったね、アル」
「君、やっぱり強いんだ」

─予感。何だ、これは。身体が一瞬、動かなくなる感じがした。
「なぁ、ミリル、フィルさん。見た感じこっちは片付いたみたいだしさ、
 ちょっと裏の加勢に行ってきてくれないか?」
「え?でも・・・」
「あの連中が動いたら、俺が何とかする。と言っても、リーダーの無玄があの調子だし、大丈夫だ」
無玄はじっと座り込んだまま動かない。捕らえられた敗戦の将、といった感じか。
残っている他の敵も、やはりじっとして動かない。しかし、裏での戦闘は続いているようだ。
「それじゃあ、こっちは任せるね。何かあったら、すぐに連絡を寄こすんだよ?お留守番頑張ってね♪」
「ミリル・・・俺は子供か!まぁ、ちゃちゃっと片付けてきてくれ」
二人が裏のほうへと駆け出していく。

一人になったところで敵兵が!・・・やはり動かない。
「後悔するなよ」
無玄が声を掛けてきた。
「どういう意味だ?」
「素直に、私に倒されていれば良かった、ということだ。命まで奪うつもりは無かったのだが」

近付いてくる。何だ、これは。
人の気配か。しかし、尋常ならざる気。
13926:2007/05/07(月) 17:02:37.71 ID:dDdZW1OW
ゆっくりと歩いてくる、一つの影。
殺気ではない。だが、俺は既に圧されている感覚に囚われていた。
─紫。そう、キリークのようなキャスト男。
敵兵も、無玄も、俺でさえ動かない。いや、動けないのか。
男は無玄に近付いて横に立ち、肩に手を置いた。無玄は下を向いて目を閉じている。
こちらに気付いたのか、男がこちらに歩いてくる。ゆっくりと。だが、俺は動けない。
「アル、だったか?よくここまで頑張ったものだ」
「・・・あんたは?」
「そうだな。Rとでも名乗っておこうか」
「あんたがR(アール)で、俺がアル、か。何の因果かね」
「因果か。その因果も、ここで終わりだな」
「あんた、何者だ?」
「そうだな。あちらのガーディアンズを作った者、と言っておこう」
あちら。現実世界のガーディアンズ、という事か。
少しだけ話を聞いた事がある。英雄とか、そんな類の話はあまり好きじゃない。
しかし、英雄と呼ばれ、変化に戸惑っている人達を助けた人物。なぜ─

「なぜ、ここに。ここで何を─」
「・・・それを聞くのは無意味。君は、ここまでだ」
「どういう意味─」
言い終える前に、斬撃が飛んできた。ぎりぎりで避け─

─られずに、胴体に傷が入った。思った瞬間、奴は既に、元の位置に立っていた。
あれは、スヴァルタスソードか。
「よく動けたな。しかし、イレギュラーには消えてもらわねばならない」
またも、斬撃が飛んでくる。あんな大きな剣を軽々と、どうやって。
速すぎる。防ぎきれない。先程の左肩の傷が響いて、巧く槍を使えない。
何とか攻撃を弾いていた。しかし、またも胴体に─
─今度は直撃か。一撃すらも、反撃はかなわない。
俺はその場に崩れそうになり、槍を杖のようにして何とか身体を支えた。
「あんた、英雄なんだってな」
「古い話だ。さて・・・」
Rが剣を構える。突きの構えのようだ。

「お前の夢は・・・ここで終わりだ」
見えない程の素早い突き。
「な・・・」
スヴァルタスソードが俺の装甲、胸部を貫く。
キャストだから痛くない、などとは言っていられない。
意識が徐々に、少しずつ霧が掛かるように薄れていく。俺は負け、ここで逝くのか。
そんな思いの中、何もかもが真っ白になった。いや、これは真っ暗なのか。
14026:2007/05/07(月) 17:04:40.25 ID:dDdZW1OW
霧が、徐々に晴れていく。
まぶたが重い。まぶた・・・?
徐々にだが、意識がはっきりしてきた。
ここは、どこだ。俺はどういう状態なんだ。

─長い夢を見ていた気がする。どうやら、ここは俺の部屋だ。
何の変哲も無い、少し散らかった普通の部屋。
ゲーム機の稼動音。少しずつ思い出してきた。
「そうか、PSUをやっていたんだ」
呟く。俺はゲームをしていて寝落ちしたのか?何だか情けないな。

─夢。その言葉だけ、頭に思い浮かんだ。

「夢か・・・。夢・・・だったのか。はは・・・ははは」
空虚。虚しい笑い声が部屋の中にこだました。

何も残っていない。今までしてきたことが、苦労してきたことが全て夢だったのか。
出逢った人、物、敵を次々に思い浮かべてみる。しっかりと、はっきりと思い出せる。
なのに、夢だったのか。

しかし、何かがおかしい。改めてゲーム画面を凝視する。

キャラクター選択画面のようだが─



─アルのデータが消えていた。
141名無しオンライン:2007/05/08(火) 14:10:27.08 ID:61YW/5nt
BAD END
142名無しオンライン:2007/05/11(金) 17:30:15.69 ID:4aRRZD5G
保守
143名無しオンライン:2007/05/13(日) 03:29:45.07 ID:NHWZ20ix
このスレ本当に大丈夫か?
保守する意味はあるのか?
144名無しオンライン:2007/05/13(日) 16:19:30.07 ID:nKibjmBU
閉じたまぶたに光が差し込んでいる。
『朝、、、あぁまた寝落ちしちゃった・・・』
元々は毎晩2時間程度、23時には落ちるという遊びかただったPSU
最近、ここ5日くらいは明け方5時頃まで友達と話し込んでしまい
寝てる時間が実質2時間とかだったりして、これじゃいけないと思いつつ
でも気になる人と少しでも長く、ゲームの中だけでも一緒にいたいと・・・

・・・そうだ、昨夜私はその人に振られたのだ。
最初はあちらからのモーションだった。
押しの強い人だった。
ゲーム内でできる愛情表現、抱っこ座りやキスをして、好きと言ってくれた。
リアルの携帯メアドも交換した。
電話もするようになって、、、「可愛い声だね」と言われて恥ずかしくも嬉しかった。

それが突然だった。
「友達関係に戻ってくれないか・・・?」
目の前が真っ暗になった気がした。
自分はそんなに惹かれていないと思っていた。
泣きながら画面を見つめて、チャットで駄々をこねた。
理由は理解できた、でも納得はできなかった。
他のフレも巻き込んで、、、辛い過去まで暴露させて
それでも納得できなくて、困らせていた。
泣き疲れて、最近の睡眠時間の減少も手伝って・・・そのまま落ちちゃったのか。

目を開ける。
今日は日曜日なのに仕事。
出勤人数が少なくて、新人と2人。
休むわけにはいかない・・・
あれ、天井の模様ってこんなだっけ・・・?
ベッド脇に誰か・・・いる?!
「おはようございます、芹華さま」
機械的に、PSU内の私の名前を呼ぶ、女の子と思しき声。

・・・なんだまだ夢か、起きないと遅刻遅刻、と思いつつもう一度ベッドへ・・・
「先ほどからコージさまがお待ちですよ」
コージ。。。リアフレでPSU内では相棒とも言うべき存在。
あぁ、今回のこと、彼には何も言ってなかった、、、言えなかったな。
まだ目覚まし鳴らないみたいだし、もうちょっと夢見ておこうかな。
ベッドから起きて隣に立ってるPM〔華蓮〕にコージにもうちょっと外で待ってもらうように
って、え?
PMの向うにもうひとつ影・・・コージ!!
『っ!!きゃぁぁぁぁ!!』



はい、ありきたりな始まりでスイマセン。。。
145名無しオンライン:2007/05/15(火) 20:42:01.25 ID:CHkf6M3P
テスト前日なのにwktkしちまった・・・
146名無しオンライン:2007/05/17(木) 14:03:51.88 ID:oT0cg70x
ここにある前の作品(単発だけど)を使って
勝手に続きみたいのを考えてみたけど書いちゃってもいいのかな。

頭の中で妄想がががggdrftgyふじこlp;@
147名無しオンライン:2007/05/18(金) 20:33:17.44 ID:NMRzHkoJ
保守
148芹華:2007/05/20(日) 17:27:43.00 ID:A3LFRGh0
>>144

「だからブナミのB3はさ・・・」
微妙に似合っていないグラサンをかけた、小柄なニュマ男・・・今はなぜか頬にひっかき傷がある。
そのコージの顔を呆けっとみながら、先程ドレッシングルームでみた自分の姿を思い出す。
青い髪、青い目のビス子。。。こうなるならもうちょっと美人にしておけばよかったかな、とか考えながら
相変わらず説明下手なコージの話を聞くともなく・・・。
あれだけ騒いだにも関わらず、目は覚めていなかった。
・・・まぁ夢の中でのことなんてアテにならないし。
起きなきゃいけない時間には目覚ましが鳴るだろうからいっか。
それに、目が覚めても、もう・・・

「おい聞いてるのか方向音痴」
む。
『聞いてるよ。理解はできてないけどw』
「おま・・・今の俺の説明の意味は(゜д゜)」
『だって右とか左とか言われてもマップわかんないし!』
「覚えろ!」
『それができりゃ苦労しないわよ!w』
いつものやりとり・・・コージが指摘したとおり、私の方向音痴は周知の事実だったりする。
「まぁいいか(いいのか?)。今から時間あるのか?」
あるのだろうか?
『・・・ま、さくっとどっかいってみようか♪』
「どっか、ね・・・」
不思議なことに、視点が主観なだけでプレイしてるときと比べても問題はなかった。
ドアを出たら、ぐにゃり、という感覚とともに望んだ星に着いていた。
行き先はパルム。
よく考えたら「視点が主観」というのはものすごく怖いのでは、と思ったのだが。
ドラゴン見たさと、メギドは避けたかったのと、あとはマップ慣れという点で。

そして今。
青く澄んで高い空。むせかえるような草木の息吹。
自分より長大な剣を下段に構えたまま、私は・・・
コージの応援をしていた。
『がんばれぇっ!w』
「おま、、、何見てんだ!w」
『だって。。。』結構痛いんだもん、とは言えず
『コージ、その50%防具って無敵ね♪ 手付けはしたから張り切ってどうぞ!』
言ったとたん、コージが吹っ飛ばされてきた。
ヴァーラの中にいたのだが、突如現れたコルトバに蹴られたらしい。
「いってー!!」
痛いのか。
属性が合わないとさすがニュマ、柔らかい。
なぜか、HPが4分の1ほどに減っているのがわかった。
「こら働け!!」
『はいはい。。。』
ゆっくりとこちらに向かってくる敵に向かって気合いを入れる。。。
『たぁっ!』
剣の重みを生かして縦に振り下ろし、回転も加わったそれは、見事に空を切る!(ぇ
「・・・ほんっとにアクション向いてねーな・・・」
放っといて!
そのとき、場違いな能天気な声が聞こえた。
149芹華:2007/05/22(火) 19:55:35.53 ID:qX9EJO/y
>>144
>>148

「おはにょ〜♪」
気の抜けるような、いつもの挨拶。
通信端末から聞こえたその語調に、Tearという名前が思い当たる。
同時に、腰につけていたポケベルのような端末に「ミッション参入 Tear」の表示。
『ティーさん♪おはみょ〜』
「僕ずっと起きてたけどねw」
深夜組である彼は、どちらかというと今から眠るのだろう。
「でも、今日仕事って言ってなかった?あ、午後からなのかな?」
・・・ふむ?
『うん、まぁね。いいのいいの♪』
もしかして寝坊してるのかも?という考えが頭をよぎるが。
彼は、名前から女性にも思われがちだけど、がっちりとしたビス男である。
ヒゲも生えてて、最近はモヒカンヘアーがお気に入り。
北斗○拳に出てくる雑魚キャラのような服を身にまとっているw
昨夜は、泣きじゃくっていた私を労わってくれたフレでもある。。。

「・・・大丈夫?」
私たちに追いついたティーさんが、私の顔を覗き込むようにして、コージには聞こえない小さな声で問う。
『・・・ホントは大丈夫じゃないけど、大丈夫♪』冗談めかして言う。
「うん・・・無理に笑わなくてもいいからね」
昨晩も思ったのだけど、この人はどうして私のココロがわかるのだろう?
やさしい言葉に、また泣きそうになる・・・
『少しずつでも、きっと元に戻れるから。あの人と会う前に。すべて忘れるように頑張るから・・・』
「それは、、、」言いかけた言葉に、無粋な声が重なる。
「おぉ〜〜〜い!!FF2人は後衛かぁぁ〜〜?!w」
コージめ。
「ゴメン、今行くよw」
両手爪をセットして、ティーさんが言う。
「いつでも、話聞くからね。」
『ありがとう。』
私も武器を片手爪に持ち替え、2人でコージのほうへと駆けて行った。

八つ当たりのように敵をなぎ倒しながら進み、ついにディラガンのもとへ。
いつも『ポチお座り!w』なんて言って飛びかかってたものの
・・・デカい。
見ているだけなのに浴びるような熱気と、すさまじい威圧感を感じ、立ち竦んでしまっていた。
ゆっくりとこちらを向くディラガンの、喉の奥に炎の塊が見える・・・
「うわぁっ!!」
となりにいたコージが声をあげる。
炎の塊は、彼に直撃したらしい。
「2人とも、どうしたの〜?」
攻撃の手を休めずに、ティーさんが言っている。
あわててレジュネとレスタをかけているコージを見ながら
『いぁ・・・何も。「さぁ、いきますわよ!」』
アダカ・ヴァルを発動させて、私は半ばヤケになって飛び込んでいった。
150名無しオンライン:2007/05/23(水) 00:55:00.98 ID:2rgFZ2K+
わっふるわっふる
151名無しオンライン:2007/05/25(金) 18:04:05.46 ID:DV8wMOTG
まだ作品が完結していない作者様
感想は書いていませんが全て楽しく読んでます。
気長に続きを待ちますので、どうか皆さんのペースで最後まで世界を見せてください。

そういうわけで、保守。
152名無しオンライン:2007/05/26(土) 10:47:07.92 ID:wu3zeGKV
うおおおお!だれかこのキモ野郎をころせええ!
153芹華:2007/05/26(土) 18:12:58.65 ID:acILLYhE
>>144 >>148 >>149

ディラガンを倒した後、いまだ治まらない熱気の渦と興奮の中で、私たちはおしゃべりを楽しんでいた。
内容なんてほとんどない、ただのおしゃべり。
なんだかんだと文句を言いつつもPSUをやめられない理由は、このためだったりする。
みんなの表情まで見える今日は、いつもより時間を忘れられた。
そして、先ほどの戦いでわかったことがあった。
「死んだ」ら目が覚めるかと思っていたのだけど、そんなことはなかった。
ただ、叩きつけられたような衝撃、逆さまになった景色、一瞬真っ赤に視界が染まって。。。
それだけだった。
・・・足元に転がっていたぼろきれのようなモノが気にはなったけど・・・
まだ夢は続きそうである。
それを、少し・・・いやかなり楽しんでいる自分に気付いた。
「そういえば今週、またスウィーツバイキングがあるぞw」
『え、ホント?!行きたい♪』
そんな会話はリアフレのコージならでは。
「僕も甘いもの好きなんだぁ〜」とティーさん。
モヒ&ヒゲな甘党・・・
『コッチまで来たらオゴるよw』
「う〜ん・・・」悩むでない。

通信端末が続けざまに2回鳴った。
「お邪魔しますよ」
「何してんの、2時間もw」
現れた片割れはヒュマ男、名はシルバ。
推定年齢。。。60代?
白髪にモノクル・・・「執事」とか「探求者」とか、そんな言葉がピタリと当てはまりそうな風貌。
物腰の柔らかな人で、落ち着いた雰囲気を漂わせている。
もう一人は小さなニュマ娘、葉月。
最近壊れかけてると評判になるくらい、歯に衣着せぬ言動でみんなを笑わせるムードメーカー。
はっきりと自分の意思を持って、自分の意見が言える、少し・・・羨ましい。
今一歩踏み出せない私の背中を押してくれるのは、彼女の役目。
先の恋愛でも、応援してくれてた。。。
「あぁ。2時間もたっちゃったか。そろそろ寝ないとw」
ティーさんが言う、、、ってことは今は10時くらい?
『そっかぁ、お疲れさま♪また夜ねw』
「芹華ちゃんは、いいの?」
・・・もし現実の時間が過ぎてても、いいか・・・
『うん、たまには一日遊ぶ!w』
「無理しないようにね」
それから、メンバーが入れ替わり立ち替わり
おしゃべりしてミッションして・・・とても充実した1日を過ごしていた。
154名無しオンライン:2007/05/27(日) 15:45:53.78 ID:JQBLDxzh
>>21 ビス子ッてタイトルのはじめに素数おもいだす所で
[ 1.2.3・・・たくさん。良し冷静だ。]
ってので1素数じゃないなーって・・・どうでもいいか
保守。
155名無しオンライン:2007/05/27(日) 19:51:08.27 ID:JS/TE8Qi

「それじゃ、ありがとねー」
『いえいえ、お仕事頑張って下さい^^』

いつもの様に取材と偽った情報収集を終え、ログアウトしてゲームを終了する。

2006年8月31日ファン待望のネットワークゲーム「PHANTASY STAR UNIVERSE」が発売した。
初期のアクセス集中による不具合の連続、後のロールバックなど。
運営の不手際によりユーザーの大多数はこのゲームから離れていった。
このままサービス終了かと危ぶまれた翌年。
大規模なメンテナンスが行われ、その頃から不穏な噂がネット掲示板で流れ始める。

『なんだかこのゲーム、自分のキャラになれるらしいぜ?w』
『朝起きたら自キャラになってたんだけどwwまじこれすげぇww』
『リアルの友達が失踪してしまったんですけど・・・ゲーム内では元気なんです」

これらの噂が流れ始め徐々にユーザーが増え始めたころ、さらに追い風となるニュースがTVで流れる。

そのニュースの内容とはこうだ。

『路地裏で数人の若者の死体が発見されました。
死体には裂傷が酷く爪痕や噛み付かれた後があることから
熊などの猛獣に襲われたものとして現在付近には警戒を促しています』

普通に考えれば、運悪く若者が熊に襲われた。
ただそれだけの事件に過ぎないが、実はこの話には生存者がいるのだ。
その生存者は事件当時次の様に証言したらしい、

『く、熊なんかじゃねぇよ!!あ、あの野郎始めは人間だったんだ!!
そしたら、いきなり赤い化物になりやがって俺たちを襲ってきやがって!
もう、まじ意味わかんねぇよ!なんなんだよ!』

この情報はこの若者の精神が不安定だったっということで公にはされなかったらしいが。
誰が流したのか、ネット上に瞬く間に広がり、PSUの知名度は大きく上がった。
そして、この噂に興味をもったユーザーがPSUに集まり始めたのだ。
156名無しオンライン:2007/05/27(日) 19:51:45.68 ID:JS/TE8Qi

「ふぅー、一息入れるか」
ティーバッグをカップにいれお湯を注ぐ。
「結局、今日も大した事は分からなかったな・・・」
ずずずずーっと音を立て安い紅茶をすすりながら、今日集まった情報をまとめていく。

何を隠そう俺は生粋のゆとり世代。
都市伝説やら噂やらはもちろん大好きだし、
それがゲームのキャラになれるなんていうガキの頃から夢見てたようなことなら、尚更調べずには居られないってもんだろ?
そんなわけで、あの事件から3ヶ月。
俺は今このPSUってネットゲームを親の仕送りとバイト代を食い潰しながら独自に調べてるってわけだ。
あぁ、もちろん大学には行ってる、三流だけどな。
話が脱線したな、戻すとするか。
とりあえず、現在集めた情報によると自キャラになるってのは大きく分けて二つの傾向がある。

一、PSUで操作してた自キャラになってしまっている。

どういう条件かはわからないが、掲示板なんかを見る限りでは"朝起きたら"ってのが多い気がする。
また、そういった"自キャラになってしまった"という報告するレスやらスレッドは直ぐに削除されてしまう傾向にある。
これに関しては何かしらの裏があると思うが、今だ不明。
それに、自キャラになってしまった人が何故公にでてこないのか・・・
晒し者になるのが嫌なのか・・・うーむ、まったくわからん。

二、PSUの世界自体に自分の人格だけが入ってしまう。

実際にPSUの中に入ってしまったという人には未だに会えていないが、
こちらに関してはニュースにもなってるからほぼ確定であろう。
そのニュースとは"PSUを起動したままある日突然失踪してしまう"というものだ。
起動したままって言うんだから寝オチしてしまうとなるのか・・・?俺も今度試してみるか。
しかし、PSU内に人格が入ってるというなら名乗りでてもいい気がするが・・・
何かしら言えない理由でもあるんだろうか?
それにゲームの世界に入ってしまうって、某RPGに似てる気もするが・・・
あっちはたしか昏睡状態に陥るだったきがするから別物だよな、うん。

「まぁ、こんなもんかな」
現在ネットゲームでの聞き込みと掲示板での聞き込みを行っているが、この調査方法ではこれが限界かもしれない。
兎にも角にも、実際にどちらかの状況に陥ってる人を見つけ出さないことには進展はない・・・か。
「おっと、もうこんな時間か」
時刻は早くも午前3時、そろそろ寝ないと明日が辛い。
「また、明日調べるとしますかね」

そんなわけでPSUを起動し直し、自キャラをマイルームのベットに座らせると。
PSUを起動したままパソコンラックで眠りに付いた。


保守ついでに書いてみた。
スレ違いな内容になってしまったきもするんだが・・・どうだろ?
157名無しオンライン:2007/05/27(日) 19:57:34.12 ID:mJFqhE04
>>156
PSUをつけたままって、放置上げかよ・・・

という冗談は止めて、なかなかGJです。
続き、あるのでしたら楽しみにしています。
158芹華:2007/05/27(日) 20:31:53.47 ID:eOe1IO3W
>>144 >>148 >>149 >>153

「ご飯食べてくるね」そういって《落ちて》いった葉月によると、今は18時頃らしい。
とりあえずの解散となったので、マイルームに戻るとPM〔華蓮〕が待っていてくれた。
「おかえりなさいませ、芹華さま」
シャワーや食事の準備をしてくれていた・・・なんてよくできたコだw
いつもだったら仕事終えて帰ったあと、自分ですべて用意したことを考えると
ずっとココにいてもいいかな、なんて考えが浮かぶ。
・・・現実はどうなってるんだろう?
そんなことを考えながら、結構おしゃべりな華蓮と話をしていると、ドアが開いた。
「・・・カギかっておけよ、無用心だから」
コージだ。
コージもご飯とお風呂、って言ってたのに、そんなに時間経ってないような・・・?
『無用心とか言われてもw』何もないとはいえ、ショップだって開いてるのに。
「・・・どうしてお前は落ちないんだ?」
突然の問いかけに、一瞬ドキっとした。が。
『落ちないって、どういう意味?』わかっているのに聞く、悪いクセかもしれない。
「ログアウト、してないよな。パトカで確認してたんだ」
『・・・落ちる必要がないから、だよw』
「俺・・・ログアウトできないんだ、どうやっても。他のことは思っただけでできるのに」
もし私が現実から《見てる》のであれば、コージの言葉は理解できなかっただろうな。
「ティーさんとか葉月とかが《落ちた》のはわかったんだ・・・」
うん・・・そうね。
「お前は、落ちないのか?違うだろう、落ちることができない。俺と同じで?」
『うん。正解。でもそれが何でなのか、正直わかんないw』
あっけらかんと言った私の言葉に、コージは頭を抱えた・・・。

結局話してても結論などでるわけもない。
「明日は大事な・・・勉強しなきゃなのに・・・どうしてこんな・・・」
ブツブツ言いながら自分の部屋に戻るコージにひらひらと手を振って
『なるようになるよ、目が覚めたら戻ってるかもだしwおやすみぃぃ〜♪』
わざと元気に、気楽な調子で言ってやる。いつものように。
そして、ベッドに横になる・・・ふと。
思いついて起き上がり、パトカを見る。
いる。
あの人が。
もう夜中すぎなのか。
・・・会いたい。
現実に戻るならその前に、一目会って話をしたい。
友達としてなら、きっと受け入れてくれる・・・
長い黒髪、黒いボディ。
私を見つめた黒い瞳。
少しの期待で、たくさんの寂しさを打ち破るように
私はあるキャストの部屋へと向かった・・・。
159155:2007/05/27(日) 23:13:47.44 ID:JS/TE8Qi

ピィ―――――――・・・

朝を知らせるのは耳障りな17kHzの不快音。
この音を聞きながら最低の朝を迎える、それが俺の日常。
音源である携帯を乱暴に黙らせ顔を上げた。
「・・・だよなぁ」
ディスプレイに写った俺の顔は案の定自キャラなどではなく・・・見慣れた自分の顔だった。

もきゅもきゅと何もつけずに食パンをかじりつつ、各所の掲示板を見てまわる。
"朝起きたら"という情報が多いんだ、新鮮な情報を集めるならこの時間だろう。
それに、なるべく早くみつけないと削除されてるなんて最悪の状況に成りかねない。
「んー・・・お?」

『【PSU】ちょっとおまいら聞いてくれwww』

それっぽい、スレをクリックする――クマー・・・
「・・・また釣られたよ」
いいさ、こんなのは日常だ。
掲示板での自キャラになった人探しは一先ず終了、
次はゲーム内に入ってしまった人探しか。
PSUを起動し、人がいそうな場所を片っ端からまわってみる。
不穏な動きしてるキャラには声をかけてみるが・・・うーむ、どうやら収穫なしのようだ。
「まぁ、そう簡単に進展なんてないよな」
さて、そろそろ大学に行かんと流石に間に合わない。出掛けるとするか。


「おはよー桜井」
先に座っている友人に声をかける。
「おはよエース」
ぼーっとした顔で振り向き挨拶を返してきた。
「キャラ名で呼ぶなよ桜井。それに正しくはA.A.A.(エースリー)だ」
「いいじゃねぇ、こっちのが呼びやすいんだ、気にすんなw」
はいはい、ご勝手に。こいつは何度言っても直す気はないらしい。
ちなみにこいつもPSUをやっている、といっても俺が広めたんだけどな。
ついでにいうと、この大学の大抵の奴に声をかけてアドレスをゲットしては一度はPSUを勧めている。
もしかしたら身近な奴の身に起きるかもしれないしな。
「そうそうエース、お前にグッドニュースだ。塚本が今日休んだらしいぜ?無断欠席って話だ」
「おいおい、そりゃマジか?ごめん、次の講義代わりに返事よろしく!!」
桜井にしては使える!これは講義なんて受けてる場合じゃないだろ!
「あいあいリョーカイ。まったくここまでくると病気だな」
呆れたように言う桜井を尻目に俺はもう講義室を出ていた。
160155:2007/05/27(日) 23:15:15.99 ID:JS/TE8Qi

うだる様な暑さの中、大学から2駅ほど離れた不慣れな街をきょろきょろと歩いていた。
「えーと、確かこの辺だった気がするんだけどなぁ」
知り合った奴の家は取敢えず全部把握してるつもりだったんだが・・・
「まいったなぁ・・・」
この調子じゃ次の講義に間に合いそうにない、桜井に可能な限り頑張れとメールしとくか。

―――30分経過

「あじぃー・・・あーあったあった」
駅の周りをぐるりと一周したあたりでやっと発見。
既に見つけた喜びより暑さによる気だるさのが勝っていた。
といっても、はやる気持ちはやはりある。
軽快に階段を上り、塚本の住む部屋の前に立つ。
いざこうしてみると、今俺は期待してるのか、不安なのかわからなくなっていた・・・
この事件に巻き込まれたくない人間だっているはずだよな・・・
「まぁ、ここまで来たら引き下がれない・・・か」
深呼吸をしてからインターホンを押した。

ピーンポーン――――

飾り気の無い電子音が鳴る。
返事がない。
おもむろにドアノブを回す―――
「おいおい、開いてんぞ・・・」
多少後ろめたい気分もあったが、おもいきってドアを開け呼ぶ。
「塚本ー、居るのかー?」
部屋はワンルーム。
暗いといっても日の光がカーテン越しに射しているため見えないなんてことはない。
奥のベットの掛け布団がもそもそと動き、ぽーっとしたままの塚本がむくりと起き上がった。
「なんだ寝過ごしかよ・・・」
そういや、こいつ昨日俺より遅くまでインしてたっけ。
ほっとしたような、残念なような。
「むー・・・あれー?エースくんがいるー・・・なんでだろ?」
塚本は未だぽーっとした状態のままだ。
てか、お前もその名前で呼ぶのか。
「・・・取敢えず、着替えて顔洗え。俺外でてるから」
「あいあいさ〜・・・」
161155:2007/05/27(日) 23:15:57.06 ID:JS/TE8Qi

―――数十分後

俺はまぁ・・・塚本の部屋の中で正座をさせられていた。
「女の子の部屋に勝手にあがるのはー、いけないとおもいますよー?」
ですよねぇ・・・。
「・・・勝手に入ったのは謝るけどさ、鍵かかってないってどうかと思うぞ?」
「あらー・・・開いてました?」
笑顔のまま変な汗をたらしながらこっちを見る。
「おう、チェーンすら掛かってなかったぞ無用心にもほどがある」
「あらあらー・・・時々やっちゃうんだー」
この塚本、予想は付くと思うが俺がPSUを広めた人間のうちで結構親しくしてるうちの一人だ。
ちなみに外見は可愛くのんびり系、女の子には珍しく美少女が大好きらしい・・・キャラはロリ沼子だった。
「そういえばー、なんでエースくんは私の部屋にいるんですかー?」
「あー、お前が無断欠席だってきいてな、例の事件に巻き込まれてるんじゃないかと―――」
思ったんだが、と言おうとしたが塚本の声に遮られる。
「心配してくれたんですかー?・・・エースくんだから期待のが大きかったりしてー」
なはー、的確なとこをついてきますね塚本さん。
「ま、まぁ期待半分、心配半分てとこかな?」
「残念でしたねー、でも自分のキャラにだったらなってみたいなー・・・うふふ」
語尾の笑いが怖いですよ塚本さん。
「塚本の無事も確認できたし、俺帰るよ」
「あれーもう帰るんですかー?」
そりゃ、塚本と一緒にいたってゲームぐらいしかやることないしな。
「だねー、んじゃまた今夜PSUであそぼー」
ほにゃっとした笑顔で塚本が言う。
「お、おう、時間があったらな」
何塚本にドキリとしてんだか・・・。
なんだか期待してたせいか、どっと疲れたな・・・。
「あ・・・講義」
そうだ、今日平日だった。
「いいや・・・帰って寝よう」
桜井が上手くやってくれてる事を願って。


調子にのって書き足してみました。
ものすっごく疲れた・・・職人さんてすごいね。
162名無しオンライン:2007/05/28(月) 05:34:16.43 ID:IUN7TU3F
わっふるわっふる
163113:2007/05/28(月) 08:13:01.31 ID:21JnprLv
「そこだっ!!!」
脳天に大質量のフォトン刃を受け絶命する原生生物。
これがこの一帯にいた最後のSEED反応だった。
場所はパルムの自然公園、SEEDに侵され凶暴化した原生生物の排除。
これが今回のラッセル達の依頼だ。
「ふぅ…はぁ…さ、流石に……疲れた」
「ご苦労さん。しかし、ビーストって言うのはすごい種族だよな。こんなでかい剣を軽々と振り回すんだしさ」
息も絶え絶えな俺の横に来て、感心しているアゲハ。
まて、お前は疲れきった仲間を前にしたら先にすることがあるだろう……
「なんだよ、その眼は?……レスタか?レスタしてほしいのか?」
こちらの意図を読んだのか、ニンマリと笑顔を浮かべる悪魔。
「そうだな、今までのようにホイッとレスタしてやってもいいけど……でも世の中ギブアンドテイクという言葉があるんだ。俺はレスタしてやる代わりにお前から見返りを貰う権利があるんじゃないかと考えたんだ」
とどまるところを知らない悪魔の欲望。
今までにもこういうことはあったが、聞いて良い思いをしたためしがない。
「しかたないな、どうしてもと言うのなら今晩、晩飯をおごってくれれば……」
「もういい。パクッ……モグモグ」
回復薬を口にして俺はすたすたと次の浄化エリアに向かった。
ポツンと残されるアゲハ。
「ち、また誘いそこねた。……でも、こんなことして俺は何がしたいんだ」
自分の気持ちに整理がつかないアゲハは、頭を抱える。
「俺たちは男同士なのに……でも、体は……俺どうしちまったんだ……」
結局、ラッセルが追ってこない彼女を心配に思い引き返してくるまで、そこで悩んで自問自答を繰り返していた。


「綺麗な夕日だな」
依頼を達成してホルテスシティに帰還するシャトル。
それを運転しながら、横目で夕日を見ていたラッセルはあまりの美しさに溜息が出た。
「なにさっきから不貞腐れてるんだよ。こんな綺麗な夕日めったに見れないぞ?」
「…………」
「はあ……何がなんだか」
さっきからそっぽを向き続けるアゲハを手に負えないと感じたのか、ラッセルはシャトルの運転に集中した。


「……なあ、話があるんだ」
アゲハがようやく口を開いたのは、依頼主から報酬を受け取りコロニー行きの空港に向かう途中。
真剣な空気に気圧されつつもラッセルは言葉を返した。
「なんだ、何でもいえよ。今更なんか隠すような仲でもないだろ」
それでも中々、次の言葉を発しないアゲハを急かすべきではないと考えシャトルの運転に意識を切り替えるラッセル。
何分たっただろう、アゲハはまるで今から親の敵でもとりに行くかのような雰囲気のなか口を開いた。
「俺さ……女になったみたいだ」
「は?」
あまりにも当然なことを言う彼女に気を抜かれるラッセル。
「な、なにを当たり前のことを……」
「ち、違うんだ!体とか見た目とかじゃなくて、なんというか、その……」
次の言葉がなかなかでないアゲハ。
そこまできてラッセルはようやく彼女の言わんとすることが理解できた。
「ま、まさか、お前……」
「…………最近、自分でも実感できるんだ。何がどう変わったとかはっきりとはわからない。でも決定的に何かが変わったような気がする」
「いまいち的を得ないな。ただたんに体が女だからそう思うだけじゃないのか?」
なんとか冗談で終わらせたいラッセルはなるべく軽い口調でそう返した。
「……んなんじゃねーよ。本当に変わったんだ」
「そこまで断言できるナニかがあるっていうのか?大丈夫だって、人間環境が変われば……」
「断言できるモノならあるよ!」
アゲハを落ち着かせようと言い聞かせるように話していたラッセルの言葉を悲痛な叫びが遮った。
今にも爆発しそうなアゲハ。
眼をギュッとしめ今にも泣き出しそうな顔をしながら縮こまるように俯いている。

「俺…俺さ……お前のことが…………」
164名無しオンライン:2007/05/28(月) 18:00:34.52 ID:IUN7TU3F
なんという寸止め
wktkが止まらずにわっふるわっふるわっh
165名無しオンライン:2007/05/28(月) 22:29:57.94 ID:IIZeFVpV
>>163
全部読んではないけど、こんな人がいるから楽しいんだよな
頑張って完結させてください
応援してます!
166113:2007/05/28(月) 23:16:31.68 ID:21JnprLv
「先輩、買ってきましたよ、昼飯。おーい、聞こえてます〜?」
「ん?ああ、すまない……ちょっと昔のことを思い出してたんだ……」
あの夜、彼女が自分に言った言葉…そのときの空気…表情……今でも鮮明に思い出すことができる。
あの時、俺は……
「せ〜んぱい!?またトリップしてるんですか?これ先輩の分です」
ラッセルは無言でフランクフルトを受け取ると、気分を切り替え前の建設中のビルに意識を集中した。
「動きはありました?」
「いや、特にないな」
「そーっすか。つか、聞いてくださいよ!さっきコレ買った売店でバイトしてる子すっごい可愛くて……」
さっきから横で一人しゃべっている奴はラッセルの後輩アルド。
種族はヒューマン、パルムの上流階級育ちで腕は立つのだが、いまいち緊張感と言うか危機感がないのが玉に傷だ。
「しっかし本当なんでしょうかね?こんな街中で武器の横流しなんて……」
「安心しろ。ネーヴ先生のお墨付きだ。まあ、情報元は教えてもらってないがな」
GRMの重役の一人が武器の生産数をサバ読みして、ローグスに横流ししている。
その証拠を手に入れ、尚且つ取引を現行犯で押さえろ。
というのが今回の依頼……というか、任務だ。
「ああ、もう深夜零時っすよ?はやく帰りたい………おっ!今入っていった男、この写真のやつじゃないですか?」
「ああ、ログース「レヴェルタ」の幹部、ルチアーノだな。すぐに本部に連絡を、増援の要請を頼む」
「ラジャ!って、どこいくんですか!?」
一人建物の中に入ろうとするラッセルを慌てて止めるアルド。
「ん?先に行って暴れてくる」
「ちょ!暴れるって…ああ、いっちゃった…あの人は本当に無茶というかなんというか。まあ、その無茶をいつも通すから凄いんだけど……」
167113:2007/05/28(月) 23:17:52.25 ID:21JnprLv
「ブツの確認は終わっただろう?じゃあ次はそちらの番だ」
黒服の男が催促すると、ルチアーノは部下に目配せをする。
それに応えるように部下がトランクを持ってくると、それを机の上においた。
仲をあけて確認する男。
「コレはどういうことだ、ルチアーノさん?中には新聞しか入っていないのだが……」
「なに、少し嫌な噂を聞いてね。どうやら君達はアシが付いてるそうじゃないか」
余裕のある笑みを浮かべるルチアーノの意外な発言に、黒服の男は表情一つ変えない。
「もう一度聞く。コレはどういうことだ、ルチアーノさん?」
「ん〜君の様な劣等種にもわかり易く言うとだな、君たちとの取引はコレが最後だ。そして我々は君達のようにヘマはしない。証拠はすべて消す、全てね」
ルチアーノのその言葉を合図に部下のローグス達が黒服の男とその付添い数名を囲んだ。
「理解できたかね。つまり君達にはここで死んでもらう」
付添いの男たちが一斉に銃を取り出そうとする中、黒服の男は身動き一つせずにルチアーノを見つめている。
「それが答えか?」
黒服の問いには答えず、ルチアーノは冷たく言い放った。
「……殺れ」
一斉に撃ち出される銃弾。
モノの数秒でそこには無残な死体が数体出来上がった。
「ふむ、なかなか良い銃だな。それでは引き上げようか」
部下に号令を掛けるとその場を後にするルチアーノ。
だが、聞こえるのは自分の足音だけ。
「おい、手前ら!なに突っ立ってやがる。さっさと引き上げないとガーディアンズの奴らが……」
ルチアーノがそこまで言ったとき、部下達がまるでドミノのように崩れ落ちていった。
唖然とするルチアーノ。
「何だこれは、悪い夢でも見てるのか?そうだ、そうに決まってる。そうじゃないなら俺の腹から突き出てるコレは何だぁ!!」
「夢などではありませんよ。これは貴方を貫いている私の得物です」
いつも間にかルチアーノの背後にいた黒服の男は、さっきと何ひとつ変わらない表情で答える。
しかしルチアーノは既に絶命していた。
「さて、ボスになんと説明しましょうか……何か良い提案はありませんかね、そこのガーディアンズの方」
物陰から出てくるラッセル。
「ははは、これは面白い物を見たな。あんた本当に人間か?」
「どうでしょう、確かめてみますか?」
「では、お言葉に甘えて……っ!!」
言うが早いかラッセルは、男に向かってセイバーで素早い斬撃を繰り出した。
「居合いですか、なかなか良い太刀筋だ」
体を軽くひねっただけでソレをかわす男。
「ヒュウ……やるな、あんた」
「では、こちらから行きますよ」
「!!!」
突然視界から消える男に自分の目を疑うラッセル。
次の瞬間、斜め後ろから予期せぬ攻撃をモロに喰らい吹き飛んでいた。
「ば、馬鹿な!?消えただと?……そうか、光学迷彩か!!」
「ええ、よく気が付きましたね。コレの開発に成功したことは公には発表されていない筈ですが……ふむ、本社に戻ったらネズミ狩りでもするか」
男はそう独り言を言うと、その場からまた姿を消した。
「本社……?お前たちのボスはもう終わりだ。さっきの会話は録らして貰った」
「これですか?」
「!!!」
いつの間にかジャケットに入れていた盗聴機が無くなり、目の前を浮遊している。
そしてグシャリと音を立てて見えない拳に握りつぶされた。
「これで証拠はなくなりましたね。あとは本社に潜伏してるネズミを始末すれば一件落着だ」
こいつ、見えないだけじゃない……殺気や気配がまったく読めない。
「ちっ……厄介だな」
武器を手に取りおもむろに構えなおすラッセル。
「まだやるきですか?」
「当たり前だ。俺はこんなところでくたばる訳にはいかねーんでなっ!!」
168113:2007/05/28(月) 23:23:32.50 ID:21JnprLv
男はラッセルのとった行動に唖然とした。
突然、彼は自分の足元の床を切り裂き下の階に逃げたのだ。
「はははは、逃げる気ですか?無駄ですよ。私はどこまで貴方を追います。必ず目撃者は殺します、必ず」
「逃げるわけじゃねーよ。戦略的撤退だ!」
「なるほど、確かに屋内にまだいるようですね、時間稼ぎですか?無駄ですよ、貴方が仲間を呼び安心したところを殺すだけです」
下の階に降りながら余裕のある発言をするものの、返事は返ってこなかった。
男は耳に付いた集音センサーをフルで作動させ、ラッセルの音を集めようとする。
ガイーーーーーーーンッ!!!
「ぐあああああ!!!」
突然鳴り響く大響音に耳を押さえる男。
「バーカ。考えることが単純なんだよ!」
「ぐう……おのれ」
男はここに来て初めて表情をあらわにしたが、感情には流されず、すぐに体制を取り直しまわりの様子を伺い、今度は慎重にセンサーを起動させる男。
「ん?この音は……何かが燃える音?」
その途端、突然天井から水が噴出すと共に鳴り響くサイレンと避難勧告。
「これはスプリンクラー?まさかわざと火を!?」
「ご明察。あんたが耳を押さえてるうちにやらせてもらった」
いつの間にか背後にいるラッセルに焦りを隠せない男。
「く、貴様!いつの間に……っ」
そういうと共に男は素早い動きで迂回するようにラッセルの背後に回りこみ、死角から避けれない筈の攻撃を繰り出した。
そう、避けれない筈だった。
「馬鹿な!なぜ!?」
ひらりと避けると、ラッセルは男に渾身の一撃を与えた。
崩れる男を見下ろしながら彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「姿は消えても水がお前の形を映し出してるんだよ。体に付いたな……って、もう聞いちゃいないか」

その後、現場に付いたガーディアンズや警察に男は重要参考人として引き渡され、現在も現場検証が念入りに行われていた。
それを傍目に怪我の手当てをしているアルドとされてるラッセル。
「さっすが、先輩っすね。今ガーディアンズでも二番目に輝いてるだけはあるっす」
「お前、しゃべるか手当てするかのどちらかにしろ。包帯がドンドンずれていってるぞ」
あわてて、包帯を巻きなおすアルド。
「で、二番って何だよ二番って……」
「そりゃあ一番はアゲハさんでしょ」
「こなしてる依頼数や実績は大差ないと思うが…?」
それを聞くと、小馬鹿にしたような顔でこちらを見るアルド。
……なんか、ムカツクな、この顔。
「わかってないっすね。アゲハさんはあの美貌もあるでしょ。黒い流れるような長髪。白い透き通るような肌。クールで簡素な性格。そこにしびれる、あこがるるぅ……かたや、ラッセルさんは」
ジトーという効果音がでそうな目でラッセルを見るアルド。
「ガチムチのビーストっすからねー。なんというか美女と野獣って感じですよね。……人相も悪いし」
「はいはい、俺は悪人面だよ。じゃあ本部への報告は頼んだぞ」
すたすたと現場から離れるラッセルにアルドは唖然。
「ちょ、まだ現場検証中ですよ!?これからが忙しいのにどこいくんですか!!」
「帰って寝る!疲れた」
「怪我治ってないでしょ!応急処置しかしてないですよ!?」
「こんなもん寝たら治る。忘れたのか?俺はビーストだぞ」
「ああ、そうか。ビーストか。って、それ関係ないでしょ!!……もういないし」


あの夜、俺はアイツの言葉から、想いから逃げた…
返事を返さずうやむやにしたのだ。
「もう一年か…アイツとコンビを解消して、もう一年になるのか……ハやいな」
自室の部屋から宇宙を眺めつつ、俺は嫌な現実から過去から逃げるように酒を一気に煽った。
「一年たつのに、俺は何も変わってないな……今も逃げ続けてる。なさけねえ」
だんだんと意識が朦朧としてくる。
「……思えばアイツとは今までずっと一緒だったんだな。それが当たり前だった」
今夜も俺は逃げる…あの夜から現実から過去から情けない自分からアイツの想いから……自分の想いからも……
今もはっきりと覚えてる、アイツの真剣な眼差し、言葉……

『俺…俺さ……お前のことが…………好きだ』
169名無しオンライン:2007/05/29(火) 01:30:42.81 ID:w2rru1bH
わっふr
170名無しオンライン:2007/05/30(水) 00:52:49.39 ID:4GKPgURy
最近流行りのアレか
wktkして待たして貰う
171芹華:2007/06/02(土) 16:46:51.91 ID:UqDSIqG+
>>144 >>148 >>149 >>153 >>158

「どうしても無理なのか?アイツ・・・絶対諦めないと思うぞ」
ショップ側に出た私の耳に飛び込んできたのは、葉月の声だった。
口調が男性に戻っている。。。リアルの話し方そのままなんだろう。
「こればかりは、治そうと思っても治せないんだよ」
ティーさんの声もする。
そして・・・
「悪いが、自分が一番よくわかっているんだ」
深く落ち着きのある声。
「俺では芹華を幸せにできない」
突き刺さる、声。
「人を好きになる資格など、元々なかったんだ」
絶望ともとれるその言葉に、また反論したくなる・・・
葉月が昨日の私のセリフを反復する。
「アイツは、お前のいるところならどこにでも行くと。どうしてわかってやれないんだ・・・」
「・・・芹華ちゃんは、考えも生き方も、僕たちとはかけ離れすぎてるんだ」
「芹華の相手は俺じゃないほうがいい」
交互に、ティーさんとあの人が言う。
私にはワカラナイ世界。。。そこに飛び込んでもいいと本気で思っていた。
あの人さえ傍にいてくれれば、どんなことでも耐えてみせると、一緒に幸せになれると思っていた。
私の幸せが何かも知らないあの人。
相談さえ、してもらえなかった・・・。
「じゃあどうして巻き込んだんだ!」
『私は』
堪えられなくなって、寝室のドアを開ける。
『巻き込まれたわけじゃないよ、葉月。ありがとうね。』
笑った私に、ティーさんが表情を曇らせる。何も言わないでいて。
『もう一度だけ聞かせてね。もう私に』躊躇った自分が情けない。
『・・・特別な感情はない。そうよね?』
黒いキャストを見つめて問う。
「・・・あぁ、悪いな」
葉月が怒りの言葉を発するその前に。
『オッケーです。じゃあ元通り・・・お友達ね?』
「あぁ」
『じゃあ、また遊んでね♪今日はちょっと遊びすぎたから寝るけどw』
「そうか・・・おやすみ」
『おやすみなさい』
大きく手を振るのはいつものことなのに、なんだかすごく滑稽だな、と思った。

部屋に戻ると華蓮が歌っていた。
私の大好きな曲・・・聴きたいと思ったのがわかったのだろうか。
「泣かないでください」
涙を流してはいない私に、歌い終わった華蓮が言った。
『泣いてないもん』ちょっと生意気・・・私に似たかな?
「では、Tearさまからメッセージがありますよ」
〔もう彼は誰も好きにならない、それが償いだと言った
 でも僕には・・・好きになっちゃいけない、そう聞こえた
 彼も苦しんでいる、許してあげてね・・・愚痴ならいつでも、いくらでも聞くよ
 僕が彼を紹介したのがすべての元凶。本当にごめんなさい〕
優しすぎるティーさん、何も背負う必要なんてないのに。
『返信を』
〔短い間だったけど、シアワセな夢を見れたよ、感謝してる。
 もうちょっと付き合ってもらうかもしれないけど
 元々引きずらないタイプだから・・・意外と強いんだからね♪
 また遊んでね。ありがとう。おやすみなさい〕
「・・・泣かないでください」
『泣いてないってばw』言ったとたんに、涙がこぼれた。
172芹華:2007/06/03(日) 17:49:18.97 ID:mRTotxrJ
>>144 >>148 >>149 >>153 >>158 >>171

「おはよう」
朦朧とした意識の中で聞こえる声がある。
「最近の君の変わり様が不思議でしょうがなかったけど、やっと理由がわかった」
聞き覚えはあるのだけど、昨夜も遅かったせいで頭が回らない。
「・・・私は、君はそのままでいてほしいと思う。無理してほしくないな」
無理しないと、あの人に近付けないから。。。
「君が壊れるのは、見たくない・・・それだけ伝えにきた」
外が少し明るい。。。今何時だろう?
「まだ6時くらいだよ。でも以前の君ならもう起きだして、お弁当作ってる時間じゃないかな?」
あれ・・・?
「まだ寝呆けてるねw今日も休みならあとで一緒にでかけよう」
空気がゆっくりと動いた気がした。
待って・・・
声に出したつもりだったけど、気配はそのまま消えていき
私の意識ももう一度、沈んでいった・・・。

目が覚めてもやっぱりPSU内だった。
部屋で呆然としていたコージを連れ出し、LLのプラントへと向かう道中。
コージがぼそぼそと喋りだした。
「他にも戻れない人って存在するんだろうか・・・?」
『何か言った〜〜?!』グレタクルで敵を殴り飛ばしながら聞き返す。
「たとえばその人たちとの共通点とかあtt」あ。メギドあたった。
「・・・たとして」おぉ、復活した。
『なんで闇防具着ないの?w』50%あるでしょうにw
「・・・いつ戻れると思う?」
『ん?あ、そのうちじゃない?w』違う敵に向かうところを引っ張られる。
「お前、それでいいのか?!現実がどうなってるかもわからないのに!」
『コージは、現実に戻りたい?』
「!・・・当たり前だろう?」
『私は、正直戻りたくないから・・・コージも戻りたくないから、戻れないんだと思ってた』
「そんな都合のいいことがっ・・・」考え込む。
『そういえば、今日なんかあるって言ってたね?勉強しなきゃとかなんとか』
「・・・そうだ。俺就職することにしたんだ。今日が月曜なら、その面接と試験があるんだ」
『戻りなさいよ!w』
「だから戻れないって言ってんじゃねぇか!」
端末に通信が入る。
「おはよ・・・あれ?取り込み中?w」
「お邪魔して・・・よいのかな?」
長髪をひとつに束ねた白いキャス男、サーラさん。
昨日も一緒だったヒュマ男、シルバさん。
『もちろん♪こんにちわ〜』
「だぁぁぁぁ、もう!!」
自棄になってゾンデをあちこちに飛ばしまくるコージを尻目に
今日はどこを目指そうか、などと話をし始めた。
173芹華:2007/06/03(日) 18:07:20.10 ID:mRTotxrJ
ズルズル、グダグダになってますね・・・ゴメンナサイ。
もうちょっと、書かせていただけたらと思います m(_ _)m
無謀なことをはじめてしまった・・・(ノω・、)
174名無しオンライン:2007/06/03(日) 19:19:16.54 ID:24++v25A
俺は楽しみにしてるから遠慮なく書いてくれ
175名無しオンライン:2007/06/04(月) 10:02:13.45 ID:71IrEWyC
こう言うスレはROMってる人多いからね、自分もふくめ
滅多にレスしないだけで見てる人は結構いると思うよ
176芹華:2007/06/04(月) 20:00:34.02 ID:pJ/euEuU
ありがとう。
もそもそと続けてみる (*´-`)
177芹華:2007/06/07(木) 10:49:51.18 ID:03NDGZt1
>>144 >>148 >>149 >>153 >>158 >>171 >>172

『で、コージはなんの仕事しようと思ったの?』
フォランの滝を眺める喫茶店で、オレンジ色の液体を飲みながら聞く・・・意外においしい。
「いや、中古車販売の整備とか手配とか・・・」
嫌そうに私の飲み物を見ながら、質問にはフツーに答えるコージ。
以前私に、個人情報になるから仕事のこととか言うなって言ってたのにw
『あれ?前やりたいって言ってたのと全然違うじゃない』
「・・・あれは1年みっちり勉強して、資格とらないといけないんだよ」
『前も聞いたような。。。勉強しなさいよw』前も言ったなw
「ゲームも封印して頑張らないといけないんだぞ」
やる気があるのかないのか・・・。
「面接行かなくていいの?せっかくのチャンスかもなのに」と心配顔のサーラさんに
「・・・ちょっと行けなくなったんだ」と言葉を濁す。
『やりたい仕事があるなら、関係ないことで時間つぶしてもしょうがないよ?』もう若くないんだし。
「でも勉強したって、資格取れなきゃ1年無駄にするんだぜ?」
「目指すものがあるなら、結果が失敗でも努力しないと後悔するよ」
シルバさんの穏やかな言葉が、私の胸にも響く。
「そうだよな、わかってるんだけど・・・でも俺はさ・・・」あ。ぶつぶつ病始まった。
『にしても、就職ねぇ・・・』
サーラさんは、月曜定休なので今日はいるけど、普段は夜中だけのイン。
シルバさんは、、、まさかホントに定年じゃないでしょうね?w
「芹華は今日も休みなの?」とサーラさん。
『ん、しばらくリフレッシュ休暇かも?なんてw』どうなるかわかんないし。
「・・・そうだね、たまにはいいんじゃないかな」シルバさんからOKもらったw
『でしょ?じゃあ明日も休んだら、シルバさん付き合ってね♪』
「もちろん、いいよ」おぉ、やったw
「だからそんな約束しても突然戻ったらインできないだろうお前は・・・」ぶつぶつ病は無視して。
慣れてきた環境、ミッション完了の達成感、仲間とおしゃべりしてる時間は嫌なことを忘れられる。
『楽しいなぁっ♪』パンっと手を打って、ぶつぶつ声と不安な何かを打ち消した。

夜。。。今日は待たずに寝てしまおう。
と、その前に、夕方ちょっといじめたら「不貞寝します」と拗ねたコージのとこへ行っておくか。
ロックのかかったその部屋は、私の誕生日がキーになっている・・・あっさり開く、謎。
『やほぉ』「おぅ」・・・何しにきた、的な目で見ないでほしいなぁ。
「・・・お前さ、何で現実に戻りたくないんだ?」
いきなり聞かれたくないことNO.1を言われ、動揺する。
黙った私に「まぁいいさ」とそっぽを向くコージ・・・ゴメンね。
『コージが就職しようとしてるとは思わなかった』思えば失礼な物言いだけど。
コージは一人息子であるにも関わらず、別に働かなくても困らないような家で生活している。
バイトしてるのは自分のお小遣い、ただそれだけのため。
「・・・。」今度はコージが黙る・・・気まずい。
「俺さ。今日受けるはずだったとこ、本気じゃないからダルかったんだよな」
『・・・うん』なんて答えたらいいんだろう?
「でも、夢は叶いそうにないし。いつまでもフリーターなんて社会的にどうか、と思ってな」
『うん』ぶつぶつ、ではなく、私に話しかけるその声は、珍しく真剣だった。
「だけど、正直行きたくなかった。受かっても喜べない気がした・・・だから逃げたのかな」
《逃げた》
その言葉に衝撃を受ける。
『私も、逃げてるんだろうな』ポツリと言った言葉は、コージの耳に届いたかどうか・・・
「・・・どうやったら戻れるんだろうな。俺はお前とスイーツバイキングに行きたいぞ」
暗くなりかけた雰囲気を、少し和らげる口調で言うコージ。
私は、まだ還れそうにない・・・そう思いながら、また明日ね、とコージに告げて部屋に戻った。
178名無しオンライン:2007/06/14(木) 02:47:20.59 ID:IM3yZE4w
続きマダー?
保守保守
179名無しオンライン:2007/06/16(土) 17:00:20.46 ID:RPPtToHW
仕事中にこのスレ読むもんじゃないな
おわんねーよ!
180芹華:2007/06/16(土) 17:30:45.58 ID:WJ8ABZmp
>>144 >>148 >>149 >>153 >>158 >>171 >>172 >>177

部屋に戻った私を待っていたのは、華蓮だけではなかった。
葉月が私のベッドに腰掛けている。まぁいいけどさw
『こんばんわ・・・・・おぉぉい』返事がない、ただの屍のようだ。なんて思ってたら
「生きてるよ!w」と動いた。バレたw
「いつ戻ってくるかわかんなかったから、TV見てた」TV・・・長い間見てない気がする。
『どうかしたの?』
「いや、まぁ・・・一緒にどこか行こうと思ってさ♪」
そういえば数日前までは、今頃から明け方までずっと一緒に遊んでたことを思い出す。
『悪いけど、今日はもう寝ておく〜』
そろそろあの人がインする時間。パトカが光っても今までのようなメールはこない。
「そっか・・・そうだな、無理するなよ」男口調で言ったあと、可愛く付け足す。
「また一緒に遊べるよね?」
『もちろん♪また誘ってくれる?・・・あの人とも一緒したいしね?w』
まだ上手に笑えていないだろう私を見つめて、、、「うそつきだな」とボソッとつぶやいて。
「わかった、じゃあ今日は諦めておくw」
『うん、ありがとう』
「しょうがないから、今日は誰かさんの欲しがってたセラフィでも掘ろうかな」
『え、ありがとう♪』
「いやいやいや。。。自慢するだけw」ぐぅ。
葉月を見送ると、華蓮が「メッセージが届きました」と告げた。
あの人から
〔こんばんは〕
たった一言・・・
寝たふりをして、返信はせずに眠りについた。

3日目。火曜日の朝(たぶん)
やっぱり現実の時間も過ぎてるのかな。
寝たきり・・・いや、眠り姫と化してるのかな、なんて、部屋でぼんやり考えていた。
メールが届く。シルバさんだ。
〔おや、本当に休んでるのかな。遊ぶかい?〕
誘われて行ったところはオアシス。キレイ・・・
シルバさんは「歳じゃからw」なんて言って、ベンチで座ってたけど
私は持ってきた水着に着替えて、浮いたり泳いだりしながらおしゃべりをしてた。
ゆっくりと時間が流れる。あったかくて、気持ちよくて・・・
・・・声が遠くから聞こえる。誰?
「芹華ちゃん・・・芹華。まだ迷子なのかな。
 現実の君に逢いたいよ?還っておいで・・・」誰?!
むくっと起きた私の視界に、コージ、ティーさん、葉月・・・ぇ
D、あんずちゃ、ミスティ、SOUL、ちぃ、ひよりん・・・ざっと15人。
『平日昼間っから何だこの人数わ!w』
「おはよう」真後ろにシルバさん・・・あれ?
「よく寝てたから起こさなかったけど、今はもう夜8時だよ」
「お前ずっとシルバさんの膝枕で寝てたんだぞ!」と仏頂面のコージが言う。
『えぇぇぇ!ご、ごめんなさいぃ!』
平謝りする私に、優しく微笑むシルバさん
何時間待ってたと思ってるんだ、とガミガミコージ。それを見て笑うみんな。
顔で笑いながら私は、誰に呼ばれたのだろう・・・そう思っていた。
181芹華:2007/06/16(土) 17:34:29.51 ID:WJ8ABZmp
仕事中に頑張った(オイw
スイマセン、いつも会社でコッソリ書いてたりして。。。w
もちろん同僚にナイショなので、進まないのとグダグダに困ってます、ハイ。
・・・今日もうちょっと頑張れるかな(ぇ
そろそろ長いな、と反省しつつ、お付き合いいただけたら、と思います m(_ _)m
182名無しオンライン:2007/06/19(火) 00:04:25.81 ID:CrnirL35
age
183名無しオンライン:2007/06/19(火) 16:19:37.28 ID:LeHUEfam
ageeeeeeeee
184名無しオンライン:2007/06/19(火) 20:39:53.97 ID:g/zxrvI0
113の続きマダー?
半殺しだお
185名無しオンライン:2007/06/19(火) 20:44:43.15 ID:aAQ8te97
生殺しの間違いだと思います

しかし確かに続きが読みたいところだな
続きマダー?
186名無しオンライン:2007/06/22(金) 17:38:40.50 ID:XVQFpGz6
保守
187名無しオンライン:2007/06/24(日) 05:24:40.51 ID:SQMUSjBj
ほしゅほしゅ
続きマダー?
188芹華:2007/06/24(日) 19:03:15.28 ID:TbKtFPO5
>>144 >>148 >>149 >>153 >>158 >>171 >>172 >>177 >>180

夜11時くらいに解散になった。。。あれ、ミッション行ってないやw
部屋でくつろいでいたら、シルバさんが訪ねてきてくれた。
「お邪魔します^^」はい、いらっしゃいませw
でも正直、いつももの静かでおっとり、聞き役っていうシルバさんに対して
わいわいがやがや。走って踊って蹴って歌って。そんな感じの私・・・
ミッション行く以外に用事って何?って思ってたらシルバさんが唐突に切り出した。
「ずっと繋ぎっぱなしなんて珍しいなって思ってた。最初は。
 でも自炊してて仕事もある人が、3日続けてはおかしいなって思った」
ヘンって気付く人もいたんだぁ。
でも言っても信じてもらえるかどうか・・・悩んでいる間にシルバさんが続ける。
「前に、同じような人がいたんだ。ある日突然、ずっとインしたままになった人。
 家庭も仕事もあるっていってたのに、ヘンだな、とは思ったけど、何日かしてその人が
 〔ゲームの世界に入り込んでた、でもやるべきことを見つけたから出たい〕って言った。
 意味わからなかったけど、次の日からしばらくインしてなかった。
 そうしたらこの前久しぶりに会ったんだ・・・入院してた、って。
 ゲームの世界にいた間は植物状態だったらしい、って。
 繋ぐの怖かったけど、他にもゲームの世界に入っちゃう人がいるなら忠告したいと言ってた。
 ・・・今日眠ってる君を見て、もしかしてって思ったんだ」

どちらかだとは思っていた。
本当にすべてが夢で、目が覚めたらやっぱり日曜の朝か。
精神はゲームの中で、肉体は眠ったまま時間が過ぎているか。
後者の怖さは、判っていて気付かないフリをしていた・・・
結局その人がどうして入ってしまったのか
どのくらいいたのか
どうやって戻ったのか
そういう話は曖昧にしか覚えていない、と申し訳なさそうに言うシルバさん。
その時はやはり信じていなかったからって。
私は・・・衝撃を受けなかったわけじゃない。
でもどこか、まるで他人事のように『あぁそうなんだ』と上の空のように聞いていた。
そんな私を見て「もしも」と続けるシルバさん
「もしも、現実の君に会いたいって言ったら、OKしてくれるかな?」
『・・・ん?』一瞬意味がわからず
「言っておくけど、本当に年寄りなわけではないよ?これでも」
『へ?』シルバさんを見る。。。あれ?
「しかもやっぱり覚えてないみたいだね?」苦笑している顔が、姿が、30歳くらいの男性と重なる。
「遅くなっちゃったから、今日はこれで失礼するね。また明日^^」
『え、あ、うん・・・えぇ?』返事になってないことに気付いたのは
シルバさんが立ち去ってしばらくしてからだった。
そしてその夜は
なんだかシルバさんに重なった顔を思い出してしまう私がいた。。。
189名無しオンライン:2007/06/24(日) 22:12:18.66 ID:N4A1j1IK
wktk!



113は自分も気になるなーと考えていたら、思い浮かんでしまった。
当然劣りますが、勝手に書かせてもらってます。

当然ですが、後悔はしてるが反省はしていない。
190名無しオンライン:2007/06/24(日) 22:17:15.33 ID:N4A1j1IK
113じゃ中田。

>>118.>>119ですた。
191名無しオンライン:2007/06/26(火) 15:42:05.16 ID:3OMO3+gp
このスレのためにネ実3に居るといっても過言ではない
192名無しオンライン:2007/06/27(水) 19:41:51.37 ID:bwnaysR+
保守
193名無しオンライン:2007/06/30(土) 09:43:53.45 ID:mO9AufyH
保守
194名無しオンライン:2007/07/01(日) 23:26:58.15 ID:0N94py/0
やべぇぇぇぇ
過去ログから読んだが、神過ぎる!!!!1!1
195名無しオンライン:2007/07/03(火) 21:54:33.99 ID:ZbYGEeda
保守上げ
196名無しオンライン:2007/07/03(火) 22:20:31.24 ID:BSLFBleZ
197名無しオンライン:2007/07/03(火) 22:59:32.87 ID:2Qu5C3Kf
>>196
ブラクラ注意
198名無しオンライン:2007/07/06(金) 01:30:13.76 ID:gb68cicL
保守保守
199芹華:2007/07/09(月) 12:33:48.70 ID:sCSN95fh
会社のPCで壷落とせない (´;ω;`)
人多いのね。。。
200名無しオンライン:2007/07/11(水) 11:38:22.00 ID:aMc1EplN
保守
201名無しオンライン:2007/07/12(木) 16:51:51.50 ID:wp/CFwLL
202名無しオンライン:2007/07/14(土) 12:57:48.50 ID:Zs1GnVDM
保守
203名無しオンライン:2007/07/20(金) 16:04:12.51 ID:8nCkh6Bn
おいおい、落ちそうじゃネーか
204名無しオンライン:2007/07/21(土) 15:13:28.47 ID:JXHM+rat
保守
205名無しオンライン:2007/07/24(火) 06:26:07.55 ID:eye64wjr
保守
206名無しオンライン:2007/07/27(金) 17:53:42.96 ID:hC+w1QmA

207名無しオンライン:2007/07/27(金) 18:02:14.00 ID:u1arASCk
【PSU】朝起きたら自キャラになってたSSスレ2.5 終了のお知らせ
長い間ご愛読ありがとうございました
208名無しオンライン:2007/07/27(金) 22:55:59.72 ID:DBmH6hqP
俺の自キャラ女だからまずオナニーするな
209名無しオンライン:2007/07/28(土) 08:04:54.62 ID:w3U0TMCw
ふくらませてSSにするんだ
210名無しオンライン:2007/07/30(月) 17:34:14.46 ID:e4eDpCN0
女の絶頂時の快楽は、男が味わうと気が狂う程と言われるが…
折角の美少女なのに、いきなり基地外キャラ化だなんて酷い話だ。
まぁ俺は基地外女も好きだがね。
211名無しオンライン:2007/08/01(水) 10:08:48.01 ID:vaeNLLX6
保守?
212名無しオンライン:2007/08/02(木) 21:01:02.27 ID:c2Upibog
保守
213名無しオンライン:2007/08/05(日) 12:27:47.08 ID:1Zx3pUqa
保守
214勝手に119の続き:2007/08/06(月) 01:18:11.07 ID:gGHxzgjQ
AM 7:13。 俺はあいつの家についた。


あいつ。
俺にPSUを勧めた友人、ケン。
俺はそいつの好みで作った、和風最小黒髪美少女のヒュマ子になってしまった。


自分てあ言うのもどうかと思うが、なかなか可愛い。
夜道を一人で歩いていたら、怪しいオヤジに誘拐されそうだ・・・

・・・そんなことはおいてだ。

俺は今、ケンの家の前に来ている。
幸い、ケンはアパートで一人暮らしをしており、今日は一日中家に居ると言っていた。

来る途中にも思ったが、最小キャラというのは本当に小さい。
身長はおよそ130cmほどだろうか。
普段の俺は180cmと比較的大きい部類なので、まわりの物が異様高く、大きく見えてしまう。

アパートの呼び鈴もしかり。
俺が手を伸ばしてやっと届く高さだ。


一度呼び鈴を鳴らしたが、ケンは出てこない。
何度も押すと、流石に目が覚めたのか中で音が聞こえた。
何故か「ガチャ・ガチャ」と異様な音が近づいて来る。



AM 7:17。扉の先に居たのは、巨大なパーツを纏った身長2m程のキャス男だった。
215名無しオンライン:2007/08/06(月) 01:19:48.62 ID:gGHxzgjQ
118、119を作った方、ゴメンナサイ。

勝手に作ってしまいました。
拙い文章力で申し訳ありませんm(__)m
216名無しオンライン:2007/08/06(月) 18:15:08.43 ID:MtZ2Id0s
 5days second story 『まっしろチャイム』

 新雪を踏みしめると足首のあたりまで足が沈んでいった。
 空まで伸びる真っ白い坂道には僕の足跡しか残っていない。
 こっちに引っ越してきて二週間がたった。
 すぐ冬休みに入ってしまって、学校には五日間しか行っていない。
 本当は新学期から転校するはずだった。
 だけど長い長い冬休みを一人で過ごすのは寂しくて、無理を言って引越ししてすぐに学校へ通わせてもらった。
 口下手な僕が、たった五日間で遊びに誘ってもらえるほど、クラスメイトと仲良くなれるはずなんてなかったのに。
 僕の甘すぎる目論見は見事に砕け散った。
 足をとられないように、一歩一歩足場を確認しながらゆっくり坂を登っていく。
 少しずつ町が小さくなっていった。
 まだまだ続く冬休み。
 やることがない僕は、新しい故郷を散策しつくすことに決めた。
 前を見ても後ろを見ても、右も左も雪景色。
 姉ちゃんはこの町を「つまらなさそう」と言った。
 母さんは「雪のせいで自転車で買い物にいけない」と腹を立てていた。
 父さんは雪道の運転に慣れていなくせに調子にのったせいで、ここに来て三日目に病院送りになった。
 病室で「ここは呪われた土地だ」なんてうわ言のように呟いてる。
 みんなこの町が好きじゃないみたいだった。
 でも僕にとって、この尋常じゃない雪の量は衝撃だった。
 前に住んでいたところは雪が降ってもこんなに積もることなんてなかったから、靴越しに伝わる雪を踏む感触も、雪を纏うひりつくような風の冷たさも、全てが新鮮だった。
 だから今は、一人が苦じゃなかった。
 歩いてるだけで楽しかった。

「雪を見るだけでそんなにテンション上がるなんて、ガキね」

 昨日、姉ちゃんが呆れたように僕にこう言った。
 十四歳なんだからガキで当然だろって言い返したら履いていたスリッパで頭を叩かれた。
 大人ぶってないで僕みたいに楽しんだらいいじゃないか。
 これ以上ひどい目にあいたくはなかったから、その言葉は喉元で飲み込んだ。
 最後の一歩を踏み出す。
 なんとなく登り始めた小高い丘へと続く坂道。
 さして急でもなく長くもないその坂を、僕は十五分かけてようやく登りきった。
217216:2007/08/06(月) 18:17:03.54 ID:MtZ2Id0s
「あ」

 丘の頂上には球と長方形が合体したような不思議な建物と、小さな鐘をぶら下げた白いアーチが建っていた。
 なにもないと思っていたから、これはうれしい誤算だった。
 ガラス張りになっている部分から建物を覗いてみる。
 中が暗くて、どういった施設なのかはわからなかった。
 アーチに近づいて見上げる。
 僕の二倍くらいの高さに鐘があって、そこから長い鎖が伸びていた。
 鐘のある街なんて、なんだかロマンチックだと思う。
 鳴らしてみようかな。
 そう思って手を伸ばしてみたけれど、小心者の僕はそのまま頭を掻いてポケットに手を突っ込んだ。
 鐘の先は展望台になっていた。
 アーチをくぐってそっちの方へ行ってみる。

「うわぁ」

 町が一望できた。
 今まで見たこともない美しい白銀の世界。
 夜になったら町の明かりでもっと綺麗になるんだろうな。
 そうだ。
 今度、母さんと姉ちゃんと一緒に来てみよう。
 この景色を見たら少しは機嫌をなおしてくれるかもしれない。
 うん、きっと―――

「わっ!」

 ぼんやりと景色を眺めていると背後で突然、甲高い鐘の音が鳴り響いた。
 その不意打ちに驚いた僕は足を滑らせて、背中から雪の上に落ちていった。

「痛……」

 ……くはなかった。
 ただ背中が冷たかった。

「ごめんなさい。大丈夫?」

 仰向けに倒れた僕の眼前に、唐突に女の子の顔が現われた。
 暖かそうなニットの帽子に、ふわふわにウェーブした柔らかそうな髪、吸い込まれそうな蒼い瞳。

「……」

 言葉を失ってしまうほど、可愛い子だった。

「だ、大丈夫?」
「う、うん!」

 不自然なほど素早い動きで立ち上がって、ぎこちない手つきで服についた雪を払っていく。
 なぜだか急に、ここにいることが恥ずかしくなった。

「よかった」

 女の子がにっこりと微笑む。
 たぶん、僕の顔はゆでダコみたいに真っ赤になっていると思う。
218216:2007/08/06(月) 18:19:49.99 ID:MtZ2Id0s
「前からあの鐘、鳴らしてみたかったの。あんなに大きい音でるんだね。私もびっくりしちゃった。ごめんね」
「ううん、僕も鳴らそうと思ってたから、聞けてよかった」

 女の子はびっくりしたような目をした後、手袋をはいた手を口に当てて声を出して笑った。

「変な人だねぇ」
「そ、そう?」

 照れくさくなって、後頭部を掻く。
 そんなにおかしいことを言ったつもりはなかった。
 横目でちらりと彼女を見る。
 まだ肩を震わせて笑っていた。
 たぶん……同い年くらい。
 外国の人だと思うけど、それにしては日本語がすごく上手だと思う。
 ずっと日本に住んでいるのかな?

「どうかした?」

 じっと彼女を見つめていた自分に気付いて慌てて目をそらす。

「ご、ごめん」
「なんで謝るの?」

 また、おかしそうに笑う。
 あんまり女の子と接したことのない僕は、こういうときどんな顔をすればいいのか、どういう話をすればいいのか、さっぱりわからなかった。

「あなたも鳴らしてみる?」

 女の子がアーチに駆け寄って鎖を握る。
 空いた手でおいでおいで、と僕に向かって手招きをした。

「でも、いいのかな」
「大丈夫だよ。私が鳴らしても怒られなかったし」
「それも、そっか」

 手渡された鎖をそっと引いてみる。
 小さく揺れて、控えめな鐘の音があたりに響いた。

「さっきより音小さいね」
「性格が出たのかも」
「それは私が乱暴ってこと?」
「え? いや……えっと」
「うそうそ。でも」

 ほうっと、息を吐く。
 彼女の口の周りを白い粒子がきらきらと舞った。

「綺麗な音だね」
「うん」

 二人で鐘を見上げながら、その音にじっと耳を傾ける。
 余韻を残しながら、鐘の音が消えていく。
219216:2007/08/06(月) 18:22:21.35 ID:MtZ2Id0s
「……」
「……」

 そして、沈黙が僕らを包んだ。
 何を、話せばいいんだろう。
 どこに住んでいるの?
 趣味は?
 好きな食べ物は?

「よいしょっと」

 上を見たまま硬直していると、彼女は足元の雪を手で払って、アーチの土台に腰をおろした。

「少し、話そうよ。いいですか?」

 座ったまま手を動かして、自分の隣の雪も払っていく。

「うん」
「どうぞどうぞ」

 言われるまま、彼女が作ってくれたスペースに僕も腰かける。
 お尻にひんやりとした冷たさが伝わってくる。
 彼女が座りなおしたとき少しだけ肩と肩が触れ合って、僕の心臓がドキリと跳ねた。

「ここにはよく来るの?」
「初めて。引っ越してきたばかりだから」
「そうなんだ。前はどこに住んでたの?」
「名古屋」
「名古屋? んー。エビフリャアの街?」
「当たってるけど……実は誰もエビフライのことエビフリャアなんて言わないんだ」
「えー! ショック……」
 
 とりとめもない会話が続いた。
 もっとも僕は緊張であまり喋れなくて、ほとんど彼女が喋っていた。
 自分の人見知りを、これほど情けないと思ったのは初めてだった。

「この町、つまらないでしょ?」
「そんなことないよ」
「うそっ」

 信じられないといった表情で僕を見る。

「田んぼだらけだし、何にもないよ。服買いにいくのだって、電車で一時間だし。ありえないよ」
「でも、ここからの景色は綺麗だよ」
「うーん」

 僕から視線を外して、まっすぐ前を見る。

「私も、そう思う」

 小さく、微笑む。
 全身が金縛りにあったような、そんな感覚。
 彼女のその顔が本当に可愛くて、きれいで、魅力的で、とても直視できなくて、僕は慌てて首を百八十度捻ってそっぽを向いた。
 このまま見ていたら、心臓が口から飛び出して死んでしまいそうだった。

「あれ」

 そらした視線の先に、男の人が立っていた。
 こっちをじっと見ている。
 スーツ姿で眼鏡をかけていて、知的そうな人だった。
220216:2007/08/06(月) 18:23:38.31 ID:MtZ2Id0s
「あー」

 彼女も気付いて、声をあげる。

「お父さん?」
「うん」

 立ち上がりながら僕の問いに頷いた。

「私もういかなきゃ」

 お尻についた雪を両手で払って、申し訳なさそうな顔をする。

「ごめんね。つき合わせちゃって」
「ううん。楽しかった」
「じゃあ、ね」

 胸元でゆっくりと手を振る。
 座ったまま僕も無言で振り返した。
 どこに住んでいるの?
 趣味は?
 好きな食べ物は?
 結局、なにも聞けなかった。
 手を振りながら見つめる。
 少しずつ、彼女の背中が小さくなっていった。

「あ、あの!」

 気付くと僕は立ち上がって、彼女を呼び止めていた。

「あの! 僕まだ友達いなくて……その、ずっと暇で! また明日もここに来ると思うから……えっと、その……」

 どんどん声が小さくなっていく。
 たぶん僕の顔は猫型ロボットみたいに真っ青になってると思う。
 勢いに任せてとんでもないことをしてしまった。
 今すぐ逃げ出したくなるくらい恥ずかしかった。
 あんな可愛い子が、僕なんかに興味持ってくれるわけないのに。
 でも彼女はニッコリと笑って、こう言ってくれたんだ。 

「また明日ね!」

 手袋をはいた手を大きく振ってくれた。
 僕もそれにこたえるように精一杯に手を振った。
 姿が見えなくなるまで振り続けた。
 たまに振り返って、彼女も手を振ってくれた。
 
 また明日ね。
 
 なんでもない言葉なのに、なにか強力な魔法がかかったみたいに頭の中をグルグルとまわって、僕を幸せな気分にしてくれた。
221216:2007/08/06(月) 18:25:11.43 ID:MtZ2Id0s
「ただいまー」

 家に戻ると、ちょうど二階から降りてきた姉ちゃんと玄関で鉢合わせた。

「なによあんた」

 じとっと僕を見つめる。

「ニヤニヤして、気持ちワルッ」
「うるさいな」

 口を手で隠して、居間へ逃げ込んだ。
 そんなつもりはなかった。
 唇をギュッと引き締める。
 ……気をつけよう。
 ソファに座って、リモコンでテレビをつける。

『あんちゃん!……俺、コユ―――』
『発症後五日間で消滅してしまうという―――』
『いけー!マグナーム!!』

 チャンネルを回していく。
 再放送のドラマ。
 ワイドショー。
 子供向けのアニメ。
 おもしろそうな番組はやっていなかった。
 テレビを消してソファに寝転がる。
 ……。
 可愛い子だった。
 本当に。
 一目ぼれかもしれない。
 ぼうっと頭に彼女の顔を思い描いていく。
 それだけで、僕の胸は高まった。

「そういえば……名前聞いていなかったな……」

 ポツリと呟く。

「誰の?」

 予想外の返事に驚いて、僕は飛び起きた。
 ……姉ちゃんがいた。

「誰でもいいだろ!」

 居間を飛び出して、騒々しい音を立てながら階段を上がっていく。
 会いたい。
 早く会いたい。
 まだ日も暮れていないのに、そんなことばかり考えていた。
 こんなにも明日が楽しみなのは、初めてだった。  
222216:2007/08/06(月) 18:31:06.20 ID:MtZ2Id0s
5daysを書いてたやつです
もうPSUやってないくせに帰ってきました
修行をしてきたので前よりは読みやすくなったかな?かな?
実は修行先で作成するはずだったゲームシナリオ用にあたためていたものだったんですが
諸事情で発表する機会を失ってしまったので
このスレの趣旨に合うように修正して投下
もしこいつで人様を感動させることができたなら
有志を募ってゲーム作成できたりしないかなぁ
なんて身の程知らずなことを考えていたりしますが
なにはともあれ、最後まで読んでいただけたら幸いです
一日一回、リアルタイムで進行させたいなと思っております
223名無しオンライン:2007/08/06(月) 18:32:09.79 ID:2qHRW19f
どこにPSUが
224216:2007/08/06(月) 18:38:03.23 ID:MtZ2Id0s
>>223
申し訳ない
導入部分だからまったく関係ないように見えるけど
前作で書いた
「5日かけてゆっくりとPSUキャラに変化していく」って設定をもりこんであります
考えてみれば前作もPSUである必要性はどこにもないので
なんだこれ、と思われるかもしれませんが
生暖かい目で見守っていただければうれしゅうございます
225名無しオンライン:2007/08/07(火) 02:53:17.45 ID:sZYtLrmj
久々に新作キター!しかもこんなに!
>>215
GJ!気にせずに続きをお願いします

>>222
GJ!同じくもうやってないのに、このスレは見続けてたりしますw
226216:2007/08/07(火) 20:01:42.97 ID:qP7X1ChG
 昨日も登った坂道を、今日も登っていく。
 白いじゅうたんの上には、僕のものよりも少し小さい足跡が、空まで続いていた。
 あの子がもうきてるんだ。
 はやる気持ちを抑えながら転ばないように慎重に、でもできるだけ急いで、僕は坂を駆け上がった。
 頂上について、あたりを見渡してみる。
 彼女は見つけられなかったけど、鐘の真下に大きな雪だるまが作られていた。
 僕の背丈くらいありそうな雪だるま。
 近づいてよく見てみると、まだ出来てそんなに時間がたってないみたいだった。

「わっ!」
「うわぁ!」

 突然、雪だるまの影から何かが飛び出してきて、僕はびっくりして尻餅をついてしまった。

「あははっ。そんなにびっくりすると思わなかった」

 彼女だった。

「中々こないからこんな力作ができてしまいました」
「ご、ごめん」

 彼女の手を借りながら立ち上がる。
 彼女はすねたように口を尖らせたあと、すぐにニコッと笑った。

「うそうそ。私が早く着いちゃっただけ」

 ふと、違和感を覚えた。
 昨日会った女の子。
 そのはずなに、なぜか別人のような、昨日とは違う雰囲気を感じた。

「よくぼーっとするよねぇ」
「あ、う、ごめん」
「すぐ謝るよねぇ」

 おかしそうに、ケラケラと笑う。
 その笑顔と笑い声は、昨日の彼女となんにも違うところはなかった。
 考えてみればまだ会うのは二回目なんだから、昨日と雰囲気が違っても別に不自然なことじゃないのかもしれない。
227216:2007/08/07(火) 20:04:08.24 ID:qP7X1ChG
「名前、なんていうの?」
「へ?」
「名前。昨日聞けなかったから」

 雪だるまの頭の形を整えながら、彼女が言った。

「ユキト」
「ユキトくん? どんな字書くの?」

 しゃがんで雪を掴んで、ぎゅっと握り固めた。

「この雪に、人間の人で、雪人」
「かっこいい名前だね」
「……ありがとう」

 顔から火が出そうなくらい、火照っていた。
 名前を褒められたのは初めてだった。

「私はね、マシロって言うの」
「どんな字?」
「真実の真に、白色の白で、真白」

 可愛い名前だね。
 そう言おうと思ったけど、照れくさくて言えなかった。

「この雪みたいに真っ白いまま、純粋に育って欲しいって意味でつけたんだって」
「へー」
「なんかクサいよねぇ」

 雪だるま影から顔だけ出して、照れくさそうに笑った。 

「でも、親がそういう風にちゃんと名前考えてくれたのは、うらやましいよ」
「どうして?」

 さっき固めた雪を、下手で投げる。
 下り坂をコロコロと転がっていった。

「僕は単純に冬に生まれたから。姉ちゃんも秋生まれで紅葉って名前だし、捻りがないんだ」
「雪人くんが秋に生まれたらどんな名前だったんだろう」
「確か、楓。夏だったら海って書いてカイだったかな」
「春は?」
「なんだと思う?」

 真白ちゃんは雪だるまの頭の上に自分の顔を乗っけて、首をかしげた。

「桜だと女の子の名前だし、梅? はないよねぇ……うーん、わかんない」
「僕の苗字、ミナミなんだ」

 もう一度、雪を丸く固めて上から思いっきり投げた。
 今度は転がることなく、雪の中にずっぽりと埋もれてしまった。

「ハルオってつけるつもりだったんだって」
「へー」

 思ったより真白ちゃんの反応が薄かった。
228216:2007/08/07(火) 20:05:51.58 ID:qP7X1ChG

「ミナミハルオって人、知ってる?」
「誰それ?」

 きょとんとした目で、僕を見る。
 とっておきの話題だったのに……。
 若い子にはわからないだろうなって父さんが言っていた意味が、今はじめてわかった。

「あれ? 拗ねてる?」
「別に……」
「もしかして笑うところだった?」
「……」

 途端に惨めになってくる。
 うまく話せない僕。
 うまく切り返せない僕。
 こんな些細なことでへこむ僕。
 全てが情けなかった。

「あはは! ごめんねぇ」
 
 そんな僕の様子を気にすることもなく、雪だるまに覆いかぶさるように体重を預けて、真白ちゃんは本当におかしそうに笑っていた。
 その時、ぐらりと雪だるまの頭が傾いた。

「わっ! わっ!」

 真白ちゃんと一緒に、雪だるまの頭がごろりと地面に落ちた。

「いったーい」
「大丈夫?」
「うー」

 恨めしそうに、雪だるまの頭を見つめる。

「がんばって作ったのに……」

 大きく丸かった頭は、真白ちゃんの体重と落ちた衝撃で、すっかり潰れてしまっていた。

「また、作ろうよ」
「……そだね」
229216:2007/08/07(火) 20:07:33.68 ID:qP7X1ChG
 雪だるまを作りながら、僕たちは色々な話をした。
 最初はしどろもどろだった僕も徐々に普通に話せるようになっていった。
 趣味の話。
 好きな食べ物の話。
 よく聞く音楽の話。
 まるで好みの違う僕らだったけど、その分、真白ちゃんの話は新鮮で飽きることはなかった。
 真白ちゃんも、僕が前に住んでいた街や学校の話を、興味深げに聞いてくれた。

「完成!」
「うん」

 永遠に続けばいいと思っていた時間は、雪だるまの完成であっさりと終わってしまった。
 さっきよりも小さいけれど、さっきよりもすこし凛々しい雪だるまの新しい頭を、真白ちゃんは満足そうに撫でていた。

「完成記念」

 そう言って、鐘の鎖を力強く引っ張った。
 元気いっぱいの音色が、あたりに響き渡った。

「この音、好き」

 揺れる鐘を見つめながら、ポツリと呟く。
 僕も、うん、と頷いた。

「私、そろそろいかなきゃ」

 鐘の音が終わる頃、真白ちゃんが手袋についた雪を払いながら別れを告げた。
 もう少し一緒にいたかったけれど、それを言葉にする勇気も図々しさも、僕は持ち合わせていなかった。

「じゃあ……」

 胸の辺りまで手を持ち上げて、小さく振る。

「またね」
「うん、また」

 僕も同じように手を振った。
 昨日のように、お互い笑顔で別れ、真白ちゃんの姿が見えなくなるまで見送った。
 でも……

 またね。

 真白ちゃんがその言葉を言う前に、一瞬だけためらったことが、気がかりだった。 
230216:2007/08/07(火) 20:10:18.08 ID:qP7X1ChG
 夕飯時、テレビを見ながら母さんがたいして興味なさそうにこう言った。

「最近こればっかね」

 ニュース番組では、最近多発している怪事件に関する報道がされていた。

『体が徐々に、ファンタシーユニバースというゲームのキャラクターに変化していき、完全に変化した五日後、忽然とその姿を消してしまうという―――』

 キャスターが深刻そうな顔でこちらを見ながら喋っている。
 原因不明。
 不治の病。
 そんな見出しで毎日のように報道されていた。
 事実なんだろうけど、漫画やアニメのような話で、どうしても信じ切れなかった。

「別にうちにゲーム機ないし、関係ないじゃん」

 サラダを口に運びながら、姉ちゃんが言った。
 変化後の姿として、二枚の画像がテレビに映った。
 小柄で目のぱっちりとした、漫画なんかでよく出てくるエルフのような女の子。
 どこか野性味のある、ムキムキな男の人。
 どうみてもCGなその姿に、実際の人間がどう変化していくのか、まるでピンとこなかった。

「あんた、隠れてこのゲームしてないでしょうね?」

 母さんが心配そうな目で僕を見た。

「してないよ」

 味噌のかかったトンカツを頬張りながら、首を横に振った。
 でも、何故だろう。
 僕はそのゲームをやったこともないし、画像をみたのは今日が初めてだったのに、
 あのエルフみたいな女の子を知っているような、そんな気がしてならなかった。
231名無しオンライン:2007/08/07(火) 23:37:13.54 ID:P58X8GNq
イイんだ・・・イイんだが・・・

前に近い作品を同じスレで見たことが有るような無いような・・・


232名無しオンライン:2007/08/08(水) 17:01:04.38 ID:vbq+u4z6
F5F5F5F5....
とても読みやすいです。

>>231
基本設定は同じで、別のストーリーってことかね
233216:2007/08/08(水) 21:09:47.28 ID:QHfHnwV/
 今日の真白ちゃんは、どこかおかしかった。
 楽しそうに笑っていたかと思えば、急に黙ってしまったり、そうかと思えば突然元気になったり。
 僕の頭の中で、昨日の別れ際の様子がちらついた。
 またねって言葉をためらったあの表情が、僕を不安にさせた。
 僕が何か悪いことしてしまった?
 僕の話がつまらないから飽きられてしまった?
 小心者の僕はそんなことばかり考えてしまって、雪合戦しているときも、二人並んで座って話している今も、
 なんとかこれ以上嫌われないようにって必死だった。
 でも、真白ちゃんの不自然さの原因は他の所にあったんだって、すぐにわかった。

「私ね、明日引っ越しちゃうの」

 ショックだった。
 こっちにきて初めてできた友達だから。
 初めて普通に喋ることができるようになった女の子だから。
 そういう理由もあるけど、これからのことを楽観的に妄想してた自分とか、
 真白ちゃんと会うたびに感じていた、胸の奥のふわふわして気持ちよくて、たまにずっしりと不快なこの気持ちが、
 真白ちゃんが僕の目の前からいなくなってしまうことを拒否していた。
 でもだからって、どうしろっていうのか。
 行って欲しくないなんて言ったところで一体何が変わるんだろう。
 彼女を引き止められるほど僕たちは親密では無いし、ドラマみたいに彼女の腕を掴んでどこかに逃げ出す行動力も、僕には無い。

「そうなんだ」

 結局僕は、こんなどうでもいい言葉しか口にすることができなかった。
 真白ちゃんは体育座りをして、膝に顔をうずめながら、町の景色を眺めていた。
 蒼い瞳は悲しげなようで、でもいつもと同じようにも見えて、そこから真白ちゃんの感情を読み取ることはできなかった。
 いつもと違って、なにも喋ってはくれなかった。
 僕も何を喋ったらいいのかわからなくて、真白ちゃんの横顔と町の景色を、ただ交互に見ていた。
234216:2007/08/08(水) 21:11:35.47 ID:QHfHnwV/
「あのね」

 真白ちゃんが体を反転して、言った。
 シャンプーの香りを纏った風が、僕の鼻をくすぐった。

「あの建物、結婚式場だったんだって」

 僕も体の向きを真白ちゃんと同じにする。

「そうだったんだ」
「お父さんが言ってた。お父さんが子供の頃はここでよく結婚式あげてたって。でも、今はやってないんだって。なんでだろう」
「わからない」
「景色もいいし、ここで結婚式できたらすっごく素敵だと思う」
「うん」
「あーあ」

 ぐっと背伸びして大きく息を吐く。
 
「ここで結婚式したかったなぁ」

 残念そうに、目の前の建物を見つめた。

「もう帰ってこれないの?」
「うん」
 
 僕の問いに、小さく首を振って答える。

「そんなに遠いところなの?」
「うん」
「外国?」
「そんなところ、かな?」
「そっか……」

 そのまま、二人で押し黙る。
 考えた。
 去ってしまう彼女にできること。
 僕ができる精一杯のこと。
 たぶん普段の僕ならこんなことは言えなかったと思う。
 でもなぜかこのときは、照れることも恥ずかしがることも無く、本当に自然に、こう言えた。

「じゃああげようよ」
「え?」
「結婚式」

 彼女が僕をどう思っているかわからない。
 何を言ってるんだって、気持ち悪いヤツだって思われるかもしれない。
 でも彼女を喜ばせてあげられる可能性があるのなら、言ってみる価値はあると思ったんだ。

「私たちで?」
「う、うん。って言っても本当の結婚式じゃなくて、ごっこ遊びみたいなものだけど……」

 他人が見たら馬鹿馬鹿しいっていうような、そんな提案だった。

「うん!」

 でも真白ちゃんはそんな僕の幼稚な精一杯に、頬を赤く染めながら頷いてくれた。
235216:2007/08/08(水) 21:15:27.86 ID:QHfHnwV/
「なんか照れるね」

 鐘の前で向かい合う。
 はにかんだ真白ちゃんの顔がすごく可愛くって、僕の頭の中は真っ白になってしまった。

「えーと」

 そもそも結婚式ってどういうことをすればいいんだろう。
 僕の一世一代の思いつきは早くも追い込まれてしまって、僕は目を泳がせることしか出来なかった。

「新郎、雪人くんは新婦、真白に永遠の愛を誓いますか?」

 こんな感じ? と真白ちゃんが微笑む。
 胸に手を当てて、宣誓した。

「誓います」

 満足そうに真白ちゃんは目を細めた。

「新婦、真白ちゃんは新郎、雪人に永遠の愛を誓いますか?」
  
 真白ちゃんが言ったように、僕も勇気を出して問いかけた。

「誓いまーす」

 顔の横に手を掲げて、真白ちゃんも誓った。
 そしてすっと眼を閉じて、僕を見上げるように顔を傾けた。

「え?」

 片目を開けて、戸惑う僕に笑いかける。

「誓いのキス」
「ええー!」

 全身からぶわっと汗が噴き出した。
 こんなことになるなんて、予想もしてなかった。
236216:2007/08/08(水) 21:16:35.64 ID:QHfHnwV/
「だって、結婚式なんでしょ?」

 悪戯っぽく笑って真白ちゃんは再び目を閉じた。
 僕なんかでいいの?
 ただの気まぐれ?
 ネガティブな思考がグルグルと回った。
 膝がガクガクと震えた。
 真白ちゃんは目を閉じたまま、じっと僕を待っていた。
 覚悟を決めなきゃ、いけないみたいだった。
 華奢な肩にそっと手を置いて、唇を近づけた。
 心臓がバクバクと自己主張して、今にも倒れてしまいそうだった。

「……」
「ん……」

 一瞬だけ、触れ合った。
 キスと呼ぶにはあまりにも短く、つたない接触。
 真白ちゃんの体温を感じた瞬間、僕の全身に電流が走ったような、体がふわふわと空中に浮いているような、
 そんな不思議な感覚に襲われた。
 真白ちゃんにとって良い思い出になったんだろうか、かけがいの無い思い出になったんだろうか。
 そんな自信なんて、ない。
 でも僕は、初めて感じた真白ちゃんの柔らかさと、照れくさそうにはにかんだこの笑顔を、一生忘れないと思う。

「誓いの鐘……なんてあるのかな? まあいっか」
 
 二人で聞く、三度目の鐘の音。
 そして最後の鐘の音。

「ごめんね」

 鐘の音に消されてしまうほどの小さな声で、真白ちゃんがそう言った。
 なんて答えていいかわからなくて、僕は聞こえないふりをした。
  
「じゃあ、行くね」
「うん」

 鐘が鳴り終わって、僕たちが一緒にいられる時間も、終わった。

「バイバイ」

 今日の別れの挨拶は、またね。じゃなかった。
237216:2007/08/08(水) 21:20:52.38 ID:QHfHnwV/
 まっすぐ家に帰る気がしなくて、僕はブラブラとあても無く町を歩いていた。
 そんなに長い時間一緒にいたわけじゃない。
 涙を流すほどの思い出もない。
 悲しいのか寂しいのか、それすらもよくわからない。
 でも僕の胸には確かに、大きな穴があいてしまったんだ。
 僕の足を絡めとる雪の深さが、今は鬱陶しかった。
 雪を避けていると、自然と足が町の中心部へ向いた。
 徐々に人通りが多くなっていく。
 無意識に真白ちゃんの姿を探す自分が、惨めだった。
 駅前について、足を止める。
 体格のいい外国人が、路上でシルバーアクセサリーを売っていた。
 ペンダントや指輪、ブレスレッド。
 色々な種類のアクセサリーがそこにあった。
 財布を開いて、千円札の枚数を数えた。
 一番安いものなら、買えそうだった。

「これください」

 たいした装飾もない、地味な指輪。

「ありがとネー」

 お釣りと指輪を乱暴にポケットにつっこんで、僕はそこを立ち去った。
238216:2007/08/08(水) 21:32:26.83 ID:QHfHnwV/
なんとか今日中に仕上がったので投下
1日ずつ進めるなんてとんでもないこと言っちゃったなと思いはじめてますが
予定では後2日、ラストにもう1日とるかもしれないので最大で後3日で終了です
どれだけの人が読んでくれているのか不安ではありますが
最後まで全力で書いていこうと思います

>>231
近い作品というのはたぶん俺が前に書いた作品だと思います
>>232が言ってくれた通り基本設定を引き継いだ、別のお話です
239名無しオンライン:2007/08/08(水) 21:36:21.92 ID:ewXLvzAm
>>238
なるほどー。
そういうことね。

期待してますよー。
頑張って下さいね
240216:2007/08/09(木) 19:24:48.37 ID:JMXM/OBV
 つい、今日も僕はあの丘へ行ってしまった。
 もしかしたら、なんて淡い期待を持って。
 どれだけ待っても、真白ちゃんは来なかった。
 もうこの町にはいないんだろうか。
 今頃は飛行機の中……かな。
 もう少しちゃんとお別れを言えればよかった。
 今更、そんなことを僕は後悔していた。

「ただいま」

 家に帰って、ソファの上でゴロゴロと。
 何もする気は起きなかった。
 町の散策も、もう興味はなかった。
 テレビをつけても、よくわからないサスペンスドラマとか、芸能人カップルが破局したとか、五日間で死ぬあの病気を徹底解明だとか、
 どうでもいい番組ばかりで全然おもしろくなかった。

「ちょっと雪ちゃん」

 台所から母さんが出てきた。

「暇ならお父さんのお見舞い行ってきてよ」
「今日は姉ちゃんの番でしょ?」
「お腹いたいって部屋から出てこないの」

 絶対嘘だ。
 でも、

「わかった」

 家でじっとしているよりはマシだと思ったから、父さんの着替えの入った鞄を母さんから受け取って、
 僕は家を出た。
241216:2007/08/09(木) 19:25:51.80 ID:JMXM/OBV
 病院は家からそんなに遠くない。
 でも歩いていくにはちょっとだけ疲れる距離だった。
 だから姉ちゃんは父さんのお見舞いに行きたがらない。
 ダイエットしなきゃとか言ってるくせに、外に出ずに食っちゃ寝してる姉ちゃんの思考回路が僕にはよくわからない。
 病院の自動ドアをくぐると、独特なピリピリした空気が僕を包んだ。
 何度きても、これには慣れないと思う。
 難しそうな顔して走り回ってる看護師の人とか、醒めた目で歩いてる医者とか、嫌な感じがした。
 階段を昇って、父さんの病室があるフロアに出た。
 曲がり角を曲がろうとしたとき、僕は出会いがしらに女の子とぶつかってしまった。

「ご、ごめんなさい」

 ぶつかった女の子は呆けたように、僕を見ていた。
 僕もたぶん、同じような顔をしていたと思う。
 僕と目があった瞬間、女の子は顔を隠すように、かぶっていたニット帽を両手で引っ張った。
 僕は……この子を知っていた。

「真白……ちゃん?」

 名前を呼ばれてビクリと体を震わせて、真白ちゃんは僕に背を向けて逃げ出した。

「待って……待ってよ!」

 咄嗟に追いかけた。
 僕から逃げた理由なんて考えもしなかった。
 なんでここにいるの?
 引っ越すんじゃなかったの?
 聞きたいことが一杯あった。
 だから僕は、彼女の気持ちを思いやりもせず、ただ追いかけた。
 階段を昇って、廊下を走って、真白ちゃんはある病室に飛び込んだ。
 その病室の扉に、僕は手をかけた。
242216:2007/08/09(木) 19:27:09.94 ID:JMXM/OBV
「入るよ?」

 返事はなかったけど、僕は扉に力をこめた。
 鍵はかかっていなかった。
 そんなに広くはない部屋に、ベッドが一つだけ置かれていた。
 真白ちゃんはそのベッドの上で毛布をかぶって、うずくまっていた。

「父さんのお見舞いにきたんだけど……真白ちゃんがいてびっくりした」

 喋りかけても、答えてはくれなかった。
 どうしていいかわからなくて、僕は病室の入り口で立ち尽くしていた。
 何が真白ちゃんを傷つけたのか、僕にはさっぱりわからなかった。
 それでもなんとか話そうとして、必死に話題を探してやっと出た言葉は、あまりにも無神経だったと思う。

「病気……なの?」

 真白ちゃんがゆっくりと身を起こして、僕を見た。
 いや、見たというよりは、睨むような強い目線で。
 そして、いつもかぶっていたニット帽をゆっくりと脱いだ。

「……見られたくなかったのに」

 言葉が出なかった。
 いつかテレビで見たあの映像。
 目がパッチリしてて耳が長くて、エルフみたいな女の子。
 他人事だって、僕にはまったく関係ないことだって、興味もわかなかった。
 少しずつ姿が変わっていくなんて馬鹿げてる、そう思ってた。
 まさか真白ちゃんがそうだったなんて、僕は夢にも思っていなかったんだ。

「今日で四日目なんだ」

 僕が初めて真白ちゃんに会ったあの日。
 真白ちゃんは、あの時すでに発症してたんだ。
 気付かなかった。
 毎日少しずつ真白ちゃんの雰囲気が変わっていくことも、適当な理由をつけて気にさえしなかった。
 たまに見せた沈んだ顔の理由も、嫌われたんじゃないかって、僕は自分のことしか考えていなかった。
 
「なんできちゃったの……?」

 瞳がかすかに潤んだ。
 きれいな真白ちゃんの顔。
 でも初めて会った時とも、二回目も、昨日とも、その顔はどこか違っていた。
 僕の知ってる真白ちゃんじゃなかった。
 四日目?
 じゃあ、じゃあ明日……真白ちゃんは?
243216:2007/08/09(木) 19:28:33.13 ID:JMXM/OBV
「帰って」

 今にも涙がこぼれそうな目で僕を睨みながら、真白ちゃんがそう言った。
 僕の頭の中はグラグラと揺れて、足が震えて、手が痺れるように痛くて、本当はそうしたかった。
 でも、しちゃいけないと思った。

「帰らないよ」
「帰って!」

 ヒステリックに、叫んだ。
 ボロボロと涙をこぼして、ギュッと毛布を握って。

「見られたくなかったのに! だから昨日バイバイって言ったのに! なんで来たの!? 帰って! 帰ってよ!」

 握った手の甲で涙を拭きながら、真白ちゃんは鬱積したものを吐き出すように叫び続けた。

「帰ってって言ってるじゃない! 一回キスしたくらいでいい気にならないでよ! 帰れ! 帰ってぇ!」

 枕を僕に投げた。
 避けることもできたけど、僕はそこから動けなかった。
  
「こんな顔……私じゃない。……お願い見ないで……帰ってぇ……!」
 
 毛布に顔をうずめて、真白ちゃんは声をあげながら泣き出した。
 真白ちゃんの気持ちとか、ここでとるべき最善の行動とか、僕にはわからない。
 だから僕は、自分の感情に従うことしかできなかった。

「いい気になって悪いか」

 拾い上げた枕を、僕は床に叩き付けた。

「いい気になって悪いか! 初めてだったんだ! 昨日だってそのことばっかり考えてて中々眠れなかった!」

 思えば、こんな風に誰かに怒鳴り散らしたことなんて、生まれて初めてだったと思う。

「ごっこ遊びだけど結婚式もあげた! 僕は真白ちゃんの旦那さんで! 真白ちゃんは僕のお嫁さんなんだ! お嫁さんの側にいたいと思って悪いか!」

 自分でも何を言っているかはわからなかった。
 言い終わるころにはすっかり息が切れて、肩が上下に揺れていた。

「手だして」
「え?」

 驚いたように目を見開いて僕を見ていた真白ちゃんに、近づく。

「手!」
「う、うん」

 ビクッと体を震わせて、恐る恐る小さな手を僕へと差し出した。
 手袋をはいてない手をみるのは、初めてだった。
 僕はポケットに手を突っ込んで、昨日からポケットに入ったままのあれを取り出して、真白ちゃんの手のひらにそっと乗せた。
244216:2007/08/09(木) 19:29:59.66 ID:JMXM/OBV
「昨日、買ったんだ」

 薬指にはめるなんてキザなことは、できなかった。

「別に渡せるなんて思ってなかったけど、なんとなく買っちゃったんだ」

 千円札三枚でお釣りがくる、安物の指輪。

「あげる」
「で、でも」

 プレゼントだなんていうにはおこがましい、ちゃちな指輪。
 でも、僕の精一杯の気持ちがこもっていた。

「もらってよ」

 真白ちゃんはじっとそれを見つめて、胸元で大事そうに両手で包み込んだ。

「うん」

 それから少しだけ、話をした。
 朝起きて自分の目が青くなっていたとき、どれだけ絶望したか。
 医者のお父さんが絶対治してみせると入院させたけど、手の施しようがなくて、
 朝起きるたびに耳が長くなって、体型も少しずつ変わっていって、それがどれほど怖かったか。
 僕の前で平静を装うことに、いかに必死だったか。

「本当はね。昨日会うつもりはなかったんだ」

 三日目の朝、真白ちゃんの顔に明らかな変化が現われた。
 でもどうしてもお別れだけは言いたくて、お母さんに生まれて初めての化粧をしてもらって、
 なんとかごまかして、僕に会いに来てくれた。

「なんか違うねって言われたらどうしようって、ドキドキしてた」

 そういって、ちょっとだけはにかんだ。
 僕を想ってくれていることがわかって、うれしかった。
 もう少し僕の勘がするどかったら、僕に思いやりがあれば。
 そう考えてしまうのは今となっては無意味だけど、
 もしそうだったなら、もっと早く、こんな風にお互い素直な気持ちで接することができたかもしれないのに。
 真白ちゃんの不安を知ってようやく、僕は真白ちゃんそのものに触れることができた気がした。
 でもそれは、あまりにも遅すぎた。

「お父さんのお見舞いにいかなくていいの?」
「あ、そっか」
「お父さんきっと待ってるよ」
「うん」

 ゆっくりと、真白ちゃんが用意してくれたパイプ椅子から腰をあげた。

「また明日も来ていい?」
「いいよ」

 ニッコリと笑ってくれた。

「またね」

 僕は病室から出て行った。
 僕たちの最後の明日の約束をして。 
245名無しオンライン:2007/08/09(木) 21:39:52.40 ID:RknReZef
F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5F5・・・

F5が足りないぞ!
早く持ってくるんだ!
246216:2007/08/10(金) 17:10:11.12 ID:HLkbdZPX
「眠っている間にね、体が変わってるんだって」

 僕は朝早くから、真白ちゃんの病室にいた。
 今日はずっと一緒にいるつもりだった。
 小さいときの思い出とか、忘れたい恥ずかしい話とか、初恋とか、
 普段誰にも話さないようなことを、僕たちはいっぱい話した。
 途中、検査で真白ちゃんがしばらく席を外した。
 その間も僕はずっと病室で、真白ちゃんが戻ってくるのをじっと待っていた。
 真白ちゃんのお父さんは、まだ諦めていないみたいだった。
 真白ちゃんのお母さんも、何度か病室に来た。
 少しだけ話をして出て行って、お菓子とか飲み物を持ってきてくれて、また少しだけ話してから出て行って。
 家族の時間を邪魔しているような気がして席を外そうとしたけれど、
 真白ちゃんのそばにずっといてあげてほしい、とお願いされた。

「じゃあ寝なかったらそのままでいられるの?」
「ううん」

 僕の問いを真白ちゃんは首を振って否定した。
 気付けば、意識的に避けていたこれからの話を、僕たちはしていた。

「夜になるとね、すっごく眠くなっちゃうんだ。寝ないようにしようって毎日がんばってるんだけどねぇ」

 目を細めて、笑う。
 もうその顔には、真白ちゃんの面影なんてどこにも残っていなかった。

「寝てる間に消えちゃうから、苦しくないのがせめてもの救い……なのかなぁ」

 儚げに、窓の外に目線を移した。
 何を話せばいいのかわからなくて、僕も同じように窓の外を眺めた。
 元気出して。
 僕がついてる。
 きっとお父さんが治してくれるよ。
 どんな言葉もうそ臭くて、真白ちゃんには届かない気がした。

「今日は雪、降らないのかなぁ」

 真白ちゃんがポツリと呟いた。
 真っ赤な夕日が、降り積もった雪を眩しく照らしていた。

「雪人くんは雪、好き?」

 こくりと頷く。

「私も好き」

 うれしそうにはにかんだ。
 姿かたちが代わっても、その笑顔だけは真白ちゃんそのものだと、そう思った。
247216:2007/08/10(金) 17:11:05.28 ID:HLkbdZPX
「私の真白って名前は雪を連想してつけたってお父さん言ってたし、雪人くんの名前も雪って時が入ってるし、共通点あるよね」
「うん」
「運命的な出会いだったのかも」

 そうだったらいいなと、心から思った。

「私が消えちゃったら……どうなるんだろう」

 血の気がさっと引いて、指先にチリチリと痛みが走った。
 僕が考えたくなかったこと。
 考えようとしなかったこと。
 漫画や小説みたいにきっと奇跡的なことが起こるんだって、そう信じようとしていた。
 真白ちゃんがいなくなるなんて……想像できなかった。
 したくもなかった。

「消えるってよくわからないよねぇ。骨も残らないんだって」
「そ……うなんだ」

 さもなんてことない、と言った調子で真白ちゃんは喋っていた。
 たぶん、僕に気を使ってくれているんだと思う。
 一番怖いんだと思う。
 すごく不安だと思う。
 泣いてしまいたいんだと思う。
 でも僕のために、普通でいようとしてくれている。
 それに比べて、震える声を隠すことも出来ない僕は、なんて弱いんだろう。

「消えちゃって別のものになるのかなぁ。だったら私は雪になりたいな」

 窓の外を見ながら、楽しそうにそう語った。

「雪になれたら、毎年冬になったらここに帰ってこれるもん」
「うん」
「空から降る雪が全部私なの。どこにだって行きたい所にいけるよ。それって素敵じゃない?」
「うん」
「雪人くんにも会いにくるよ」

 真白ちゃんの瞳から一滴、頬を伝った。

「だから――」
248216:2007/08/10(金) 17:12:04.71 ID:HLkbdZPX
 それから僕たちはなにも話さず、ただじっと窓の外を眺めていた。
 日が落ちて、あたりが暗くなって、街灯がともって、そんな景色の移り変わりをじっと見ていた。
 話したいことはいっぱいあった。
 でも普通に話せる自信がなくて、口を開くことができなかった。
 真白ちゃんもそうだったのかもしれない。
 ただただ、時間だけが過ぎていった。
 その時間が無意味だったのか、ちゃんと意味があったのか、わからない。
 でも真白ちゃんといる一分一秒を、僕は大事にしたかった。
 そのまましばらくして、真白ちゃんが目をこすりだした。

「眠くなってきた」

 それは、二人の時間が終わる合図だった。

「これ……」

 真白ちゃんが毛布から左手を出した。

「返さなくていいよね?」

 薬指に、僕があげた指輪がはめられていた。

「うん」

 僕が頷くと、真白ちゃんは本当にうれしそうに笑ってくれた。

「おやすみなさい」
「おやすみ」
249216:2007/08/10(金) 17:13:12.40 ID:HLkbdZPX
 目を閉じると、真白ちゃんはすぐに寝息をたてはじめた。
 安らかな寝顔だった。
 あとどれだけ時間があるんだろう。
 このままゆっくりと真白ちゃんの体が薄くなって、消えていくんだろうか。
 それとも急にマジックみたいにいなくなってしまうんだろうか。
 そんなことを考えただけで気持ち悪くなって、気が狂いそうだった。
 だから僕は、考えることをやめた。
 何も考えずじっと、真白ちゃんを見ていた。
 物音がして振り返ると、病室の入り口に真白ちゃんのお父さんとお母さんが立っていた。
 静かに病室に入ってきて、僕の隣の椅子に腰かけた。

「真白は眠ってしまったか」

 腰を浮かせて、娘の顔を覗きこむ。

「結局、何もしてあげられなかったな」

 真白ちゃんのお母さんが、声を押し殺して泣きだした。
 最後の時間を僕が独占してしまったことに、いまさら罪悪感を覚えた。

「治してあげたかったんだけどね。本当は私ではどうにもできないとすぐに気付いたんだ」

 真白ちゃんのお父さんが、ぽつりぽつりと喋り始めた。

「でもどうしても諦めきれなくてね。真白をこんな狭い部屋に押し込めて、毎日検査ばかりしてね。退屈だったろう。他にしたいこともあっただろう」

 真白ちゃんの頭を優しく撫でた。

「ずっと側にいてあげられることもできず……私は父親失格だ」

 眼鏡を上げて、こぼれ落ちそうな涙を拭いた。
250216:2007/08/10(金) 17:14:28.91 ID:HLkbdZPX
「雪人くん」

 真白ちゃんのお父さんが僕の名を呼んだ。

「真白はね。君のことが好きだったんだろう。楽しそうに君の話をしていたよ」

 そして、僕に深々と頭を下げた。

「娘の側にずっといてくれて、ありがとう」

 お父さんの肩は、小刻みに震えていた。
 お母さんも堰を切ったように、声をあげて泣き出した。
 ありがとう?
 僕が真白ちゃんに何をしてあげたんだろう。
 一緒に雪だるまを作った。
 雪合戦をした。
 結婚式をあげた。
 キスをした。
 喧嘩をした。
 指輪をあげた。
 それが何だっていうんだ。
 特別なことはなにもしてない。
 今だって、こうやって側にいることしか僕にはできない。
 今、僕にできることがなにかあるだろうか。
 家族でいるべき時間を奪ってしまった。
 だからせめて、一緒にいる以外になにかできることは、ないだろうか。

「雪人くん?」

 無意識に、立ち上がっていた。
 ああそうだ。
 一つだけ、あった。
 真白ちゃんにたった一つ、今の僕ができること。

「僕、出かけてきます」
「しかし……」
「どうしても、真白ちゃんにしてあげたいことがあるんです」
「雪人くん!」
251216:2007/08/10(金) 17:15:56.96 ID:HLkbdZPX
 お父さんの制止も聞かず、僕は病室から飛び出した。
 階段を飛び降りて、廊下を駆け抜けて、病院を出た。
 走った。
 がむしゃらに走った。
 真白ちゃんが消えてしまうその際にあえなくても、どうしてもしてあげたかった。
 息が切れた。
 心臓が破裂しそうだった。
 それでも構わず走った。
 何度も登った坂道。
 凍りかけた雪に足を滑らせて、僕は数メートル転げ落ちた。
 体中に痛みが走った。
 でも、構うもんか。
 彼女が好きだったあの場所へ。
 息を切らして、肩を上下させながら、僕はたどり着いた。
 手の平から血が出ていた。
 その手で僕は、鎖を勢い良く引っ張った。
 大きな鐘の音が、夜の町に響き渡った。
 何度も何度も鎖を引いて、僕は鐘の音を鳴らし続けた。
 届け。
 届け。
 届け!
 一心不乱に僕は鐘を鳴らした。
 彼女が好きだといった鐘の音。
 僕らの誓いの鐘の音。
 聞かせてあげたかった。
 最後に、聞かせてあげたかったんだ。
 どうしても聞かせてあげたかったんだ。
 何度も何度も鎖を引っ張っているうちに、ずるりと手が抜けて僕は雪の上にうつぶせに倒れこんだ。
252216:2007/08/10(金) 17:17:11.00 ID:HLkbdZPX
「聞こえたかな……聞こえたかなぁ」

 倒れた僕の手の甲に、ふわりと真っ白な雪が舞い降りて、とけた。

 ――私は雪になりたいな。

 ――雪人くんにも会いにくるよ。
 
 だから――

 ――そんな顔しないで?

「無理だよ……そんなの……」

 真白ちゃんと一緒にいた、五日間。
 たった五日間。
 友達すら作れないような、短い時間だった。

「……だったんだ……」

 僕は真白ちゃんのことをほとんどしらない。
 真白ちゃんにも僕のすべてを見せてない。
 二人がどういう関係だったかなんて聞かれても、僕には答えられない。
 お互いの関係を深めるには、あまりにも短すぎる時間だった。
 でもそれでも、それでも……

「好きだったんだ!」

 空からふわふわと舞う柔らかい雪が、泣きじゃくる僕の体を優しくつ包み込んでいった。
253216:2007/08/10(金) 17:24:52.92 ID:HLkbdZPX
どうみてもPSUである必要性がありませんがこれで終わりです
最初はこの後にエピローグを書くつもりだったんですが
このまま終わらせることにしました
あまり長くなりすぎてはいけない、と色々はしょったので
いまいち感情移入できなくなってしまったことは反省(;´Д`)

何日か前に述べましたが、
もしある程度の評価をうけることができたのなら、
PSU要素を省いて全面的に書き直し、有志でも募って積極的に動いてみようかな、なんて思ってます
賛否両論、色々な感想をいただけたら幸いです

では失礼
254名無しオンライン:2007/08/10(金) 19:08:31.30 ID:Wa/NTKxB
>>216さん
 お疲れ様でした。
 個人的な感想ですが、ご本人も仰ってる通りPSUである必要はない、
というかPSUじゃ無いほうがいいと思いますよ。
創作系のスレで発表されたほうがいいのではないでしょうか?
文章自体はとても読みやすくキャラクターにも好感が持てますし…

 ただ、本当に個人的な意見ですが、PSUという要素が薄いというか
「ゲームをやっていない人間にも感染する病気」の様な扱いなのが引っかかって
却って純粋な気持ちで読めなかった、というのが正直な感想です。
 画面で見ている「自分のキャラ」になってしまうというテーマがスレにあって
自分もその展開を期待して観ているから、なんですけどね…

 「自分のキャラになってしまう」というハプニングに巻き込まれながらも
それなりに愛着のある自キャラに成り代わっているという状況を、悩んだり楽しんだり
そんな過程を見たかったような気がします。
255216:2007/08/10(金) 20:21:02.39 ID:HLkbdZPX
>>254

感想ありがとうございます
ここしか発表の場を知らなかったというのもありますが
ちょうどテーマが前回書いたものと似通っていたため
軽い気持ちでここに書いていました
今読み直してみれば、確かに関連性が薄すすぎたな
と反省しております
自分のキャラに変わっているという描写を入れ忘れたのも
関係性をさらに希薄にしてしまう失敗でした

趣旨に合わない独りよがりの作品であったことを今更ながらお詫びします
256名無しオンライン:2007/08/11(土) 23:25:28.77 ID:uVe9rDLl
でもPSUで無ければ、俺がこの話を読むことは無かったと思う

それはそうと、そこで終わりってのは生殺し状態でワッフルワッフルワッフr
257名無しオンライン:2007/08/11(土) 23:33:03.77 ID:uVe9rDLl
F5   F5   F5   
  F5   F5   F5
┐  ∧,∧  F5
| (   )    F5
 ̄ ⊂/ ̄ ̄7 F5

だれか エピローグ たのむ
258名無しオンライン:2007/08/12(日) 06:18:03.24 ID:qAoQ+e0r
>216
前作も好きだったけど、このスレ的にはPSU要素を増量してくれればもっと嬉しいな。
先がすごい気になるのでwktk感がある。

オリジナルがどういう構想だったのか分からないので、そっちの方のコメントは迂闊に
できないなぁ。すまない。
259名無しオンライン:2007/08/17(金) 07:03:41.25 ID:NCmBLAQO
260名無しオンライン:2007/08/17(金) 18:15:58.93 ID:N9NFEQEW
久々に来てみたら、涙腺を決壊させるSSが…
GJ、暑さで荒んだ心が洗われたよ。
まぁ俺はハッピーエンド至上主義なんで、少し得心がいかなかったりするけどなw

あと、なんとなく尻切れトンボ感がある。
最近の漫画や小説の、ジャンル別に画一化された終わり方がそう思わせるのかも知れんが。
そこだけちょっと消化不良かなぁ?
繰り返すが、内容は良かった。確かにPSUとは関係ないけどw
261名無しオンライン:2007/08/20(月) 11:18:03.54 ID:+vITMOk0
保守
262名無しオンライン:2007/08/25(土) 14:18:07.88 ID:RciLHRA0
保守
263名無しオンライン:2007/08/27(月) 21:28:03.69 ID:xSj4XzGC
保守
264名無しオンライン:2007/08/28(火) 12:36:14.01 ID:3gyYaSft
5日氏の文の書き方を少しパk・・参考にさせてもらい、久々の保守投下。
自分自身、かなり前にPSUを辞めちゃってるわけですが、何という保守的なスレ。
イルミナスで復活するだろうか・・・。

 朝起きたら、草原が一面に広がっていた。否、これは夢だ。
 心地の良い風、雰囲気。なんと良い夢だろうか。
 夢であるから、そういった感覚は擬似的なものに過ぎないのだろうが。
 草の上に仰向けに寝転がり、空を見つめた。
 ここなら、気持ち良く眠れそうだ。
 夢の中で更に眠る、という夢を見るのも悪くない。

 地面から少しずつ、響く音が聞こえてきた。
 上体だけを起こし、耳を澄ませてみる。
 それは、少しずつ大きくなってきた。そして。
「ん、あれは」
 ピンク色の豚のような生き物が突進してくる。
 不細工な顔だが、本物の豚よりも大きいだろう。
 たまに見るPSUの夢か。何となく、そう思った。
 コルトバという、PSUでは元家畜の敵キャラクター。
 どう見ても、こちらに向かって突進してきている。
 しかし、俺は特に慌てるでもなく、優雅にそれを見つめていた。
 どうせ夢の中だ。あれに吹っ飛ばされたら、その衝撃で目が覚めるだろうか。
 そんな呑気な事を考えながら、必死に突進してくるコルトバを微笑んで見つめる。

 そして、案の定吹っ飛ばされた。綺麗に宙に舞い上がり、一瞬気持ちいいと感じられ─
 草の地面に叩きつけられた。
「いてえ!」
 目が覚めない。それどころか身体に痛みが走った。
 とんでもない夢だ。痛みまでも擬似的に・・・。
 コルトバが、再度こちらに向かって突進してきている。
「やばいかもー!」
 夢とはいえ、痛いのは嫌だ。目が覚めるまで、適当に逃げ回る事に決めた。
 ・・・本当に夢なのだろうか。

続かない。
265名無しオンライン:2007/08/28(火) 14:06:04.81 ID:15SvUsSD
>>264
つ、続いてくれよ〜!!いい導入なのだぜ?
思わず自キャラで想像してしまったので投下しとく、横槍失礼


 鼻息荒く俺を追い掛け回すコルトバから逃げ回っている俺は
 ふと自分の姿の変化に気付いた。

 目に入るのは機械的な指先。
 聞こえてくるのはがしょんがしょんという、やかましい足音。
 肩の辺りを見回せば、どういった理屈でかは判らないが
 俺を守るように羽のような物体が宙に浮いて身体を覆っている。

 …それにしても何て色だ。白、黄色、そして目の覚めるようなコバルトブルー。
 何処の特撮ヒーローかモビルスーツだ。どんだけヒーロー願望あんだよ!
 誰だよこんなド派手な色のキャストを造ったの!!…俺俺、俺だよ俺…

 ん?

 俺の…

 俺のキャスト…なの、か?!

 唐突に理解した途端、頭の中は真っ白になった。
 思考回路が止まったついでに俺の足も止まっていたようで、
 俺は背後から猛ダッシュで突っ込んできたコルトバに
 またも景気良く跳ね飛ばされるハメになった。…空が、青い…な…

「…痛って!!!」

 痛い、痛いぞこのピンク野郎。
 それにしても、二回もど突かれたらいい加減
 目が覚めてくれてもいいんじゃないのか?
 コルトバははまだまだ俺をどつき足りないらしく
 こちらに方向転換して地面を蹴っている。
 草と土が舞い上がり、奴の突進が始まった。

 …冗談じゃない。
 もういい、目が覚めないならど突かれ損だ。
 立ち上がり、俺は初めて奴の正面に向き直る。

 首の後ろ辺りに手をやると、眼前に広がる鮮やかなインターフェイス。
 ナノトランサー。俺はこれが何か、どう使えばいいのか知っている。

 自分の持ち物の中から、愛用のダガーの名前を探してセレクトすると
 その瞬間に右手に転送されて来た。便利なもんだ。

 初めて触る筈なのに、やけに手に馴染んだ蒼い刃を振りかざして
 俺は駆け出した。


文章なんか書いた事ないのに衝動でやってしまったスマン…
266名無しオンライン:2007/08/28(火) 21:34:11.03 ID:lfxdCbUU
5日氏の物語といい
PSUのクローズドβのフラッシュといいコキアのありがとうがはまるな…
ワガママかもしれんがもしまだみてるならマルチエピローグとか書いてくれないだろうか…
このまま切なくおわるVerとハッピーエンド(熱望)Verで!
不本意かもしれないが良作なだけにもやもやがのこるよ…
267名無しオンライン:2007/08/29(水) 02:08:14.10 ID:sJdMPbv2
保留
268名無しオンライン:2007/08/29(水) 19:36:04.16 ID:26X8l5Kq
>>265
いいじゃないか!勢いで続きも書くべし!
269名無しオンライン:2007/09/01(土) 14:20:50.91 ID:gPfnvAG3

270名無しオンライン:2007/09/02(日) 14:32:36.19 ID:u3R6ItKN
しゅ
271名無しオンライン:2007/09/05(水) 22:55:37.47 ID:phSywjzZ
はーい、私は沼子FTのピュア・ホワイト!
ある朝、目が覚めたとき、コロニーのマイルームにいたの。
ま、転生ってヤツ?

ここ、グラール星系ではメセタがすべて。
コルトバジュースもセレブケーキも服だって武器だって、
メセタがなければ手に入らない。
それで私もお決まりのガーディアンズ入隊ってわけ。

ガーディアンズはミッションでメセタを稼ぐんだけど、
沼子の私は超ラッキー!
補助・回復・弱体に、範囲攻撃、長弓で状態異常。
ソロでもパーティーでもまかせなさい!

グラールでできた始めての友達なんて、
劣等種だから、何をやっても2流、3流。
パーティーのお呼びもかからなくて、カワイソー。
じゃあ、また稼ぎに行きますか!
272名無しオンライン:2007/09/05(水) 22:56:15.75 ID:phSywjzZ
はーい、私は沼子FTのピュア・ホワイト!

私のマイルームには、カジノでゲットしたベルが並んでいるの。
もちろん全色コンプよ。
このベルを鳴らしてからミッションに出ると、
稼ぎがいいんだなー!

劣等種のフレはガチャマシーンを置いて、
景品サギで稼いだりしてるけど、
そんな事しなくても、私は周回ハムハムで稼ぎまくりよ!
さあ、今日も一丁行きますか!

グルグル周回してると、自分がどこから来たのかも
どんどん忘れちゃう感じ。
なにしろ最近のミッション報酬、ウマウマだからねー!
変な事考えてる暇があったら、周回しないと損、損!

じゃあ、いってきまーす!
273名無しオンライン:2007/09/05(水) 22:57:07.00 ID:phSywjzZ
はーい、私は沼子FTのピュア・ホワイト!

今日からいよいよ、電撃カップがスタート。
今週だけの高報酬ミッションで、ウマウマ!!
ラスカルからのお誘いを軽く無視して、いざ、ソロへ!

電撃ミッションのエリア3で、
デルセバン×1が出る事があるんだけど、
そいつが、なぜか「ワイタヨ!」をしないの。
出現と同時に私の左手めがけて突進してくるの。

コワイヨー!
ま、走り出すと同時にディーガで瞬殺だけどね。
それにしても、電撃カップ、ウメー!

さーて、また周回しますか!
274名無しオンライン:2007/09/05(水) 22:58:27.12 ID:phSywjzZ
はーい、私はFTのピュア・ホワイト!
ニューデイズ出身のロリ沼子!

今日も元気に電撃ミッションを、ハムハム!
期間限定だから、がんばらないとねー!
そうそう、例のエリア3のデルセバン、
フレの箱fGに聞いたら、ちゃんと「ワイタヨ!」するって。

なにこれ。レアアイテムの抽選かな?!
うひょー!こいつは楽しみだ!

と、思ったら例のデルセバン、今日は突進してこないの。
ワイタヨもせず、地面を掘ってるだけ。
ラプチャじゃないんだからさー、地下になんて逃げれないっつーの!

バータで瞬殺して、さあ周回、周回!
ほんとに電撃ミッションの報酬は、ウマいなー!
275名無しオンライン:2007/09/05(水) 23:01:35.57 ID:phSywjzZ
はーい、私は沼子FTのピュア・ホワイト!

今日はとうとう電撃カップの最終日。
なんとしてもS2杖ドロップを狙うぞ!

が、エリア3に入ったところで、ラスカルからメール。
ウザー。
幸い、湧いたのは例のデルセバン。
こいつは地面いじくってるだけだから、
その間に、メールに適当にお返事しとこ。

さあ、続き続き!
地面をいじくってたデルセバンを一蹴して
落としたメセタを拾おうとしたとき、
地面になにかを見付けた。

なんか字が書いてある。
私の故郷のニューデイズの文字とは違う。
なつかしい文字。

これは…地球の…文字?!
276名無しオンライン:2007/09/05(水) 23:03:10.55 ID:phSywjzZ
「真白」

間違いない!
あのデルセバンは地面に字を書いていたんだ…
真白…忘れていた私の名前…
そういえば、あのデルセバン、私の左手に向かって…

私はミッションを放棄して、すぐ次の周回を始める。

――まさか、まさか、まさかまさか

でも、エリア3のデルセバンが出ない。
出ない。放棄。
出ない。放棄。
出ない。放棄。

そんなにレアなマップでもないのに、
こんな時に限って、出ない!

もう時間がないのに!
フォトンチャージの時間がもどかしい。
出ない。放棄。
出ない。放棄。

23時55分。たぶんこれが最後のチャンス。

出た!デルセバン!
地面に字を書こうとする姿に私は飛びついた。

「雪人くん!!」

2人で抱きあったその瞬間、残酷なメッセージが流れた。

「ハーイ、グラールチャンネル5のハルでーっす!
 ガーディアンズの皆さんは、レアアイテム、ゲットできたかなー?
 電撃カップは、ただいまをもって、終了でーっす!
 まだミッション中の人は、強制放棄でーっす。ごめんねーっ。
 じゃあ、バイバーイ!」
277名無しオンライン:2007/09/05(水) 23:04:05.24 ID:phSywjzZ
私は地球人の真白。

今日もまた、周回に出かける。
連絡通路突破、プラント奪還、暗黒の衛星、SEEDの胎動…

左手には、雪人くんからもらった指輪。
たった一つの、私と地球の絆。

ミッションに出発する前に、いつものようにベルを鳴らす。

――雪人くん、あの鐘の音、聞こえたよ

奇跡を信じて、私は周回を続ける…
278名無しオンライン:2007/09/06(木) 01:01:03.03 ID:qOOtUxYH
最初はなんだこのウザイ池沼子はって思ったけど最後まで読んでなんか…

GJ
279名無しオンライン:2007/09/07(金) 11:33:19.17 ID:llud0Kz0
あまりにも強引な流れに笑った
280名無しオンライン:2007/09/12(水) 17:07:37.24 ID:ABeDl1z2
ほす
281たたかうビス子1:2007/09/14(金) 23:17:12.09 ID:Dx6eyV2X
朝起きたら、愛用のタオルケットがどこかへいってしまっていた。
メガネがなくてぼやけた視界に、ベッドサイドのライトがはいる。
タオルケット、どこにいったんだろ?

「……さま、起きてください」
だれか、私を呼んだ?だれ?私一人暮らしなんだけど……
視界に入る髪は、火のように赤い。そんなに赤く染めた覚え、ないんだけどな。
「ご主人様!起きてください、グラール標準時の朝、起床の時間です」

びっくりして声がした方をみると、黄色いメタルバードのような影が浮いていた。
この……どう考えても羽ばたきじゃなくて反重力で浮いてる塊は、私のパシリ?
なんで?どうして!?
無意識に耳に手をやると、ピアスを開けた人間の耳じゃない。毛が生えて長くのびた、ゲームにでてくるビーストのような耳だった。
もう大慌てで枕元のメガネを掴み、鏡のあるドレッシングルームに駆け込む。

……うそぉ。私、一体、どうしちゃったの!?
特徴的な鼻に、青い瞳。それから、白い独特な上着と、赤いニーソ、白いブーツは脇においてある。服の上には淡い紫に光るシールドライン。
袖をまくりあげれば、白い肌にはブラストバッチ。
これは完璧に、ゲームの中で自分で設定したマイ
282名無しオンライン:2007/09/14(金) 23:19:43.50 ID:Dx6eyV2X
キャラ。
体格はリアルな自分に合わせたから、そこまで違和感とかはないんだけど……
私は、ネットゲームの中に入り込んでしまったみたい。


********

寝起きはあんまりよくない方だから、といってしまえばそれまでなんだけど。
ちょっぴりイライラしつつ、それでもマイルームを隅から隅まで見て回る。機能的ではあるけども、おしゃれさは明らかに足りてないのよね。
そんなときに邪魔なパシリは、2歳の時の弟みたいに、私のうしろをふわふわと付いてくる。
……ってあんた、いつもはビジフォンの脇が定位置でしょうが。なんでついてくるのよ。
「それはその、ご主人様、短気だし。そんなに怒らないでください……あ、二日前にビジフォンがなってました」
え、ビジフォン?
パシリをのけてビジフォンをみる。
ああ、破格って噂の記念ミッション、やってるのね。行ってみるわ。

「いってらっしゃいませ、お帰りをお待ちしてます……」
283たたかうビス子3:2007/09/14(金) 23:22:45.42 ID:Dx6eyV2X
ナノトランサーの荷物を改める。
ファルシオンにダガ・サバッバ、強化済みレイラトルとマッガ・ガト、ムクルッティにダブセ、あとディメイトにアンチメイトにゴーグル……うん。準備ok。
パートナーカードもチェックしてみる。10枚以上あるものの、全部真っ暗。
仕方ないわね……私みたいに入り込んでしまった人はいないみたいね。
私がこうしている間にも、彼らは彼らで、多分リアルで頑張ってるんだと思う。
さあ、がっつり稼ぎにいくわよ〜〜

本部に入ると、格好も種族もバラバラなグループが密集していた。
見覚えはあるような、ないような……
声をかける気分にもなれないので、一直線にミーナのカウンターへ。
カウンターで受付をして、ホループのところへ行けばいいのかしらね。

********
284たたかうビス子4:2007/09/14(金) 23:25:32.89 ID:Dx6eyV2X
ミッションシミュレーション、5周してみた感じでは、モトゥブコースが気に入ったかしら。
ハナビゲットしたし、ちょうどダブセが闇属性だったりするし、ディマゴラスは背中に回り込んで羽を撃ち抜けば墜ちてくるし。
快適、快適♪
一回だけDF出てきてメテオに殺されたけど、まぁそれは報酬に免じて良いことにするわね。

「ご主人様、ワタシ、食べ過ぎ?」

ああはいはい、あんたはいつも通りあと12時間しなきゃ食べられないと。
てか、いい加減私の後を可愛かった頃の弟みたいについて回らないでくれないかしら!?私いまの弟嫌いなのよ!
「ご主人様、そんなに火のように怒らないで下さい。ワタシもあと少しで次のレベルに上がりますから……
ご主人様も、ようやくレベル50ですね。おめでとうございます」

“ようやく”は余計なのよ。でも、まあ、ありがとうと言っておくわね。マッガ・ガトはあんたが生産したものだし、ね。
「レベル50ともなれば、もう上級者ですよね。今まで挑戦なされなかったミッションにも、挑戦されてはいかがですか?」
そうねえ、そろそろ他のアイテムが欲しいかなと思ってたとこなのよね。
いいわ、行ってみようじゃないの。
285たたかうビス子5:2007/09/14(金) 23:28:10.46 ID:Dx6eyV2X
さて、そうは言ったものの……どこに行こうかしら。

モトゥブはもう、ミッションシミュレーションでお腹いっぱいだし、ニューデイズは行く気ないし……行くならウォーテクターのライセンス取らないと。
どうもあの気候風土や敵は性に合わないのよね。面倒くさいったら。
消去法で考えると、パルムもミッションシミュレーションで美味しいとこどりしてるから、HIVEに決めときましょう。
宇宙船ドッグ前でNPCを呼び出す。
呼び出せるってことは、やっぱり私がセガだかイサオだかのサーバーサービスの中に取り込まれてるのよね?
いつもだったら、そろそろ目も指先も疲れてくるから、休憩するんだけど。ビーストは肉体労働向けに生み出されただけあって、全然疲れを感じない。
ミッションシミュレーションは敵が強くなかったのもあるけど、普段は疲れ具合で時間を計ってるからね。時間感覚がおかしくなりそうよ。

ま、いっか。さあレオさん行きましょう。

********
286たたかうビス子6:2007/09/14(金) 23:31:53.17 ID:Dx6eyV2X
せっかく光属性のボーンダンス持ってきたのに、役に立たないわね。やっぱり属性微妙じゃ無理ないか。
ライジングヒットのレベル上げには良いけど、さしものレイラトルにだってPPの限界はある。フォトンチャージャーが尽きたら帰らないと……
そんなことをのほほんと考えてた私は甘かったみたい。

ヴァンスを倒すのに手間取りながらも、じわじわと奥に進んでた私たち。
スターアトマイザとムーンアトマイザがあっさり尽きて(まぁ拾いものだし)、レオさん死亡にジャスナガンが2体。
私のパレットにセットした光のムクルッティとレイラトルはPP切れで大ピンチ!
……ふっ。まだよ!まだ奥の手は残っていてよ!
ビーストでレベル20を越えれば使える(ブラストバッチを付けてからね)、ナノブラスト。
変身中はアイテムが使えないのでディメイトでまず7割まで回復。ここまでけずられる攻撃は来ないわ。
残り3割はリストレイトに任せて、ブラストバッチに集中する。『……さあ、行きますわよ!!』
光の粒子が舞い散って、小柄な女の子の体が猫属を思わせる長身に変わる。
湧き上がる力と青いオーラとをともに、私は拳を振り上げる。
広範囲攻撃と打ち上げ系攻撃を使いわけ、目の前にいたジャスナガン1体をほふった。
と、目の前にわらわらとセンディランが現れた。ああもう、邪魔よザコ共。
ひとまとめに弾き飛ばす私の後ろから、闇のテクニックが襲いかかってくる。
ダム・メギドだと考えた私を裏切るように、全身の力が抜けて、小柄な体は投げ出された。
287たたかうビス子7:2007/09/14(金) 23:38:29.76 ID:Dx6eyV2X
闇のテクニックは、メギド、ラ・メギド、ダム・メギドが攻撃テクニック。
それぞれ闇を模した黒い光球を飛ばすのだけれど。メギドにだけ、即死効果が時々つく。
ちぇ、こんな時に即死がはいるなんて、ついてないわ。
あいにくといま、スケドの用意はないのだ。
死亡ということで、真っ赤に染まった視界の隅から、ジャスナガンが現れる。
ここで死体をやってても仕方ない、体制を立て直してもう一回チャレンジするわよ。
カウンターに戻るを選択しようとして、選択が出てこない事に気がついた。どういうこと!?
ジャスナガンはこちらにじらすような速さでにじり寄ってくる。

まさか……私はここで、本当に死ぬの?訳もわからずネットに取り込まれて、こんな所で……
まだ死ぬのは、いやだ。誰か、助けて。


サッ。
「おはよ〜〜火織、ひさ〜」
“今はとある名無し”というキャラが、パーティーに乱入してきた。真っ暗になってた、パートナーカードの中の一人である。
名無しさん、どうしてここに?
「元気?っつか死んどるwww」
駆けつけたキャスト男性が、私にコスモアトマイザーを使ってくれた。


「助かりました、ありがとう!」
「(^^)〜〜PP補給してさきにすすむ
288たたかうビス子8:2007/09/14(金) 23:45:31.73 ID:Dx6eyV2X
すすむ?」
「はいな!」
ナノブラストはしばらく使えないけど、大丈夫、仲間がいれば先に進める。

********

一瞬、目の前が暗くなる。
華やかなファンファーレと対照的に、消えていくキャリガイン。
画面の中のあちこちに、アイテムの詰まった箱が現れた。
安堵で前のめりになり、コントローラーを取り落として我にかえる。
あら?なんだか違和感。
私、リアルに戻ってこれた?
「おつかれ〜(^^)」
惚けていたら、チャットログが浮かんで消えていた。
「おつかれさま〜。久しぶりね名無しさん」
「あんまり会わなかったね。インはしてたけど……火織はこの時間あまりいないよね?」
「そうね、普段は長時間プレイしないから……」
目をやると、デジタル時計に“9月10日 月曜日 AM6:52”と表示されている。
……はて。
「平日朝遊べるなら、今後はもちっと会えるね〜一緒に遊ぼうぜぃ」

って、家を出なきゃいけない時間よ!今日の仕事のために!!
「ごめん、これから仕事なんで落ちます!忘れてた!!」
「ちょwwおつかれ〜www」

きゃー寝てないご飯食べてない着替えてない〜〜!

辛うじて遅刻を免れて、寝不足をおして仕事を片付けた私は、帰宅早々始めたPSUプレイ中に寝落ち。
また起きたらゲームの中なんてこと、無いわよね??


END
289名無しオンライン:2007/09/14(金) 23:47:02.76 ID:Dx6eyV2X
変な所でレス番号変わって申し訳ない。
ブラウザーの絡みなんで調整できんかった。
290名無しオンライン:2007/09/18(火) 23:32:28.42 ID:S5uuJ7O/
投下乙

でもどっかのラノベみたいだ。
291名無しオンライン
ほす