【PSU】新ジャンル 「パシリ」八体目

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1名無しオンライン
合言葉は

  ( ゚д゚ )<倫理的におk      
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/     /
     ̄ ̄ ̄
[ ´・ω・`]<創作能力がしょぼいんだけど投下していいの?
( ゚д゚)<倫理的におk 尋ねる暇があったら投下マジオヌヌメ

[ ´・ω・`]<凄く長くなったんだけどどうすればいい? あとパシリ関係ないのは?
( ゚д゚)<空気嫁ば倫理的におk 分割するなりうpろだに上げるなりするんだ

[*´・ω・`]<エロネタなんだけど…
( ゚д゚)<ライトエロなら倫理的におk あまりにエロエロならエロパロスレもあるよ
ファンタシースターユニバースのエロパロ  http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157960314/

[ ´;ω;`]<叩かれちゃった…
( ゚д゚)<叩きも批評の一つ。それを受け止めるかどうかはおまいの自由だ
m9(゚д゚)<でもお門違いの叩き・批評はスルーマジオヌヌメ するほうもそこを考えよう

[ ´・ω・`]<投稿する際に気をつけることは?
( ゚д゚)<複数レスに渡る量を書きながら投稿するのはオヌヌメできない。まずはメモ帳などで書こう。
m9(゚д゚)<あとは誤字脱字のチェックはできればしておいたほうがいいぞ

[ ´・ω・`]<過去の住人の作品を読みたいんだけど
( ゚д゚)<まとめサイトあるよ ttp://www.geocities.co.jp/nejitu3pachiri/

( ゚д゚)<前スレ
【PSU】新ジャンル 「パシリ」七体目
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1167044299/
( ゚д゚)<次スレは容量が470kを超えるか、>>800を超えた辺りから警戒しつつ立てよう。

2名無しオンライン:2007/01/23(火) 23:28:54.77 ID:Y+s9Vzr7
2です
3名無しオンライン:2007/01/24(水) 00:14:14.15 ID:rFeExL4K
誰よりも早く>>1
4名無しオンライン:2007/01/24(水) 01:07:04.88 ID:g+5lcZ5x
>>1
つ[乙メイト]
5名無しオンライン:2007/01/24(水) 01:13:14.21 ID:6rX7k+Jl
5番目の>>1
6名無しオンライン:2007/01/24(水) 01:13:32.65 ID:4paB8nrQ
>>1
つ[オツレジン]
7名無しオンライン:2007/01/24(水) 04:20:07.97 ID:ig6OnoYt
>>1
っ「オツー・エボン」
8名無しオンライン:2007/01/24(水) 06:25:00.90 ID:7ETAMSQD
      ,. -─―-、.
    ,‐'´::::::::::::::::::::::::::`‐、
   \ ,.. ---―─- 、_/__
   / ,,    ....... 〃'⌒ヾ:、
  ./'    ;;   ::::::::::::: ノ j,  '!
  | ,l /`ゝ、ノ川ノレィ''`i
. 〔Θ〕 | ○    ○.| :|
. ヽハ  | //    //.l l
  V :| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  .ハ |                     |
 /:::::ヽ|                  .|_
.〈::::::::::::|      >>1 乙     rニ-─`、
 ,.-─┴-、              `┬─‐ .j
/ .-─┬⊃                 |二ニ イ
ヘ  ニニ|                   |`iー"|
. \_ノ____________|rー'/
9名無しオンライン:2007/01/24(水) 07:23:43.57 ID:9GYovMy0
>>1
このスレは今やPSUの最後砦たな。
10名無しオンライン:2007/01/24(水) 07:35:00.79 ID:0rKYN2sy
>>9
おいおい、芸術的なSSスレを忘れてもらっては困る

それはともかく>>1
11名無しオンライン:2007/01/24(水) 10:02:57.89 ID:x3fHcxYx
 _______
 l:::::ヘ:l
(...ノヽハ〉
@リ;゚ ヮ゚ノi < これが完全>>1乙です!
<:::l=l:)   
Cl:l___l_ヽ
 レi_'ォノ
12名無しオンライン:2007/01/24(水) 23:15:46.94 ID:r/j9zLUX
ttp://moemi.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2159.png

はじめまして。
いつもは430スレに投下してたんですが
なんかコッチ向きになってしまった気がしたのでコチラに。

お目汚しスンマソン。
13名無しオンライン:2007/01/24(水) 23:29:52.08 ID:tUS2oNdd
この絵大好きです
和むってレベルじゃねーぞ!
絵上手くなりたーい
14名無しオンライン:2007/01/24(水) 23:53:37.78 ID:DNASl/xX
>>12
やべぇ440カワユスwGJ!
良かったらまたこのスレにも来てやって下さいw
15名無しオンライン:2007/01/25(木) 02:45:00.20 ID:FQGGQp16
>>1
っ基板/オツカレック

>>12
1000万回保存した。
1個目の絵から大好きでしたwwwwwwwwwwww
またこのスレに来てくださいな!!!
16名無しオンライン:2007/01/25(木) 03:01:45.34 ID:Nl+LYZR8
>>12
保存しすぎてHDDパンクした。弁償としてまた顔を出すように。
べ、べつに来てほしいわけじゃないんだからねっ!勘違いしないでよねっ!
17名無しオンライン :2007/01/25(木) 16:04:01.10 ID:RukKBM1R
>>12
画像が見れないだとぅ!?
消されたかな・・・(;_;)
18名無しオンライン:2007/01/25(木) 16:05:49.39 ID:efRfjQCz
>>12
ワラタ
腹いてぇぇ
19名無しオンライン:2007/01/25(木) 16:06:23.41 ID:wYTGLITg
>>12
GJ!和んだ( ´ω`)
ツンデレかわいいよツンデレ

>>17
wiki行ってそこの臨時Uploaderからたどってみ
消されてたら無理だが( ´・ω・`)
20名無しオンライン:2007/01/25(木) 16:42:37.04 ID:75CHeS9C
>>12
見れねえ、見れねえよ。
見てええ、見てええよ。
21名無しオンライン:2007/01/25(木) 16:44:45.13 ID:0hpP0cBu
>>17
アドレスのmoemiをwwwに置き換えて見るんだ。
どうも引っ越し後の自動転送が不安定っぽい。
22名無しオンライン:2007/01/25(木) 17:05:45.31 ID:wYTGLITg
流れぶった切って投下w
もうちょっとかかりそうなメンテの間の暇潰しにでもしてくれい[ ´・ω・]ノ
23炎の追憶 6:2007/01/25(木) 17:06:18.41 ID:wYTGLITg
「いらっしゃい」
重く、メタリックな扉が開き、入ってきた客に今日も老キャストが声をかける。
その言葉と共に、来店した者を迎える少しの喧騒。店は、三分の一ほどの席が埋まっているようだった。

「いつもの」
その男…紅いキャストは、いつものようにカウンター席に座り、いつものようにぶっきらぼうに注文をする。
「珍しいねえ、週に2回も来るなんて」
グラスに酒を注ぎながら老キャストが声をかける。
紅いキャストは黙ったまま注がれた酒を一口含む。
何時ものやりとりに老キャストはやれやれと肩を竦める。
その仕草を見たからというわけではないが、珍しく紅いキャストが呟いた。
「じいさん」
一言、ぽつりと呟く。

「なんだィ?」
珍しく紅いキャストのほうから声をかけられ、少し驚きつつも嬉しそうな表情を浮かべる老キャスト。
「アンタ、毎日毎日この店で酒を売り、グラスを拭いていて、どう思う」
そんな妙な問いに、老キャストの表情が怪訝なものに変わる。
「どうだろうねェ、考えたこともないな」
そう言うと、再びグラスを拭き始める。
「ま、ワシの場合、これが仕事…いやさ、日課みたいなモンだからな。疑問に感じたことは無いねェ」
そう言うと、最後にほっほっほと笑いを付け加える。
「そうか」
また一口酒を流し込む。

「なんだい? 戦うことが虚しくなった…とかそういうことかい?」
グラスを拭く手を休め、少し驚いたような表情で尋ねる老キャスト。
いつもの彼の台詞ではない台詞。そんな奇妙な一つの台詞が、彼等の日常を少しだけ歪める。
「いや、それはない。俺にとって戦いは全て。じいさんの言葉を借りるなら、戦いが日課みたいなモノだ。ただ…」
コトン。 長い台詞を区切るように、グラスとテーブルを衝突させ、鳴らす。
「ヒュ…いや、劣等種どものことだ。キャストが自立したいと言ったたからといって、
 自分達の命を賭けてまで阻止するようなことなのか?
 俺には解らん。俺の前に立つ奴らは、愚かな自殺志願者にしか見えんのだ」
そう言って、グラスに残った酒を一気に飲み干す。

テーブルに置かれた空のグラスから、紅いキャストの手が離れたのを見計らい、
老キャストが酒を注ぎつつ答えた。
「そりゃ、あやつらヒューマンからすれば、ワシらキャストは異質のモノじゃからなァ。
 異質故に考えが解らない。異質故に理屈が解らない。だから恐怖を感じちまうんじゃないかね?」
グラスに絶妙の量を注ぎ、酒瓶が立てられる。
「それにだ、相手が自殺志願者とかなんぞ、おまえさんだから言えるのさ。
 ワシら普通のキャストからすれば、あやつらヒューマンも異質のものさね。ほっほっほ」
そう笑うと、何時の間にか置かれていたメセタを取り、レジに向かう。
「……」

もう紅いキャストは何も喋らないだろう。
これが今日、この店での最後の一杯。あとは一人で呑ませてくれ。
そういう意味を含んだメセタをレジに仕舞うと、老キャストは紅いキャストから離れたところで
彼の日課…グラスを拭き始めた。

数刻の後、ふと見た紅いキャストの席には、もう彼は居なかった。
残されたグラスと酒瓶を片付け、テーブルを拭く。
「やれやれ、まだまだ戦は続きそうだねェ…」
そう呟くと、彼は増えてきた喧騒に耳を傾け始めた。
24炎の追憶 7:2007/01/25(木) 17:07:16.41 ID:wYTGLITg
プシュー
扉が開き部屋に入ろうとする紅いキャストに、廊下のほうから唐突に声がかけられる。
「たいちょ〜う、たいちょ〜う!!」
鬱陶しそうに彼が声のほうを見ると、青と白のボディカラーの女性キャストが走ってくる。
「フン……」
一つ溜息をつき、面倒そうに彼女を待つ紅いキャスト。
「はぁ、はぁ、あの、ちょっといいですか?」
恐々と尋ねる。
紅いキャストからの返事は……
「入れ」
肯定だった。


「うわぁ、なーんにもないんですね……」
がらんとして、本の一冊も見つからない殺伐とした空間に呆気に取られる女性キャスト。
なんの飾り気も無いベッドに、機能性のみのテーブル。
他にあるものといえば、立てかけられている武器と工具くらいだ。
「座れ」
酒瓶と、グラスを一つテーブルに置くと、紅いキャストは椅子にどっかりと腰をおろす。
それに倣い、テーブルを挟んで反対側の椅子に腰をおろす女性キャスト。
「好きに飲め」
そう言ってグラスと酒瓶を女性キャストの前に置き直す。
「え? えっと、隊長は?」
一つしかないグラスに、不思議そうに尋ねる女性キャスト。
「俺は要らん。もう呑んできたからな。 で、何の用だ」

相変わらずぶっきらぼうな台詞に、女性キャストは少し腰が引けながらも会話を何とか繋ごうとする。
「え、えっとですね」
「なんだ」
「えっと…… こ、今度……あの……お食事を作りに来てもいい……ですか?」
想像だにしなかった台詞に呆気に取られる紅いキャスト。
つい、訝しげそうに尋ねてしまう。
「なんだと?」
本人は単なる疑問なのだが、まるで怒っているかのようだ。
「あ……え、えっと……ですね。隊長何時もプライベートではお一人みたいですし、
 お食事とかちゃんと食べてらっしゃるのかな〜〜って…」
紅いキャストの反応に、わたわたしながら答える。
しかし、紅いキャストの反応は、ただ一言。
「要らん」
そっけない、その言葉だけだった。

そんな紅いキャストの反応に、女性キャストは無理に笑顔を作って続ける。
「え……えっと……わ、わたし、こう見えてもお料理上手いんですよ! きっとご満足頂け……」
しかし、女性キャストの言葉を、紅いキャストが途中で遮る。
「要らん。美味かろうが、不味かろうが、俺には味など感じる機能は無い。作るだけ無駄だ」
25炎の追憶 8:2007/01/25(木) 17:07:47.84 ID:wYTGLITg

『無駄』

その言葉に悲しそうな表情を浮かべる女性キャスト。
しかし、けなげにもなんとかこの雰囲気を打破しようと、言葉を続ける。
「で、でも… お酒とか…呑んでらっしゃるみたいですし…」
「あれは単に呑んでいるだけだ。味など解らん。酔うこともできん。単に、酒を呑めば気が紛れると聞いたから、形式だけ真似ているだけだ」
それでも女性キャストは食い下がろうとする。
「じゃ、じゃあ、別の……」
「そんなことより、俺にかまっている暇があるのなら訓練をしてこい。俺に世話は無用だ。
 どうせ戦闘能力以外は最低限の日常生活が行える機能しかもっていないのだからな。
 今まで何も困りはしなかったし、特に必要なものもなかった。現状で十分だ」

「そ、そうですか…」
少し、震える声。
「出すぎた真似をして申し訳ありませんでした。これから訓練に向かいます」
椅子から立ち上がり、ぺこりと一礼する。
「ああ。しっかりやってこい」
「はい。では、失礼します」
いつもの明るい言葉遣いとはまるで違う、事務的な言葉。
彼女はそのまま、紅いキャストに顔を見せることなく、早足で部屋を出て行った。
部屋には、紅いキャストが一人。

「……」
ギチッ
酒瓶の蓋を開け、使われなかったグラスに酒を注ぐ。
琥珀色の液体をグラスに半分ほど入れ、一気に飲み干す。
「ふぅ……」
無意識に溜息が、零れた。
「ちッ…… せめて……酔うことだけでもできればな……」
紅いキャストはそう呟き、椅子に身体を深く預け、自らをスリープモードへと移行した。
26名無しオンライン:2007/01/25(木) 17:08:53.40 ID:wYTGLITg
以上。御粗末さまでした。
まだ続きそうです[´・ω・`]ゴメンポ

余談ですが、450は元気に成長中です[ ´∀`]
27名無しオンライン:2007/01/25(木) 17:49:49.56 ID:eqrQTw//
>>26
渋いな、紅キャスと老キャスといい。
そして、これからの彼女との絡みも気になってくるな。

続きwktk
28名無しオンライン:2007/01/25(木) 20:33:19.90 ID:WgQ/zEFv
〜黒キャス子と430過去話〜

27年前。

チャキッ

フィアー「動くな」

惑星パルム。

ローグス首領「………どうやってこの中に」
ラフォン草原某所。

フィアー「誘拐したキャストはどこだ…」

ローグスのアジト内部。

ローグス首領「………」
フィアー「無駄だ。外は軍が包囲している。抵抗はしない方が身のためだ」
ローグス首領「な、何故ガーディアンズと軍が…」
フィアー「お前には関係のない事だ…。早くキャスト達の居場所を吐け。さもなくば…」
ローグス首領「わ、わかった、教えるから撃たないでくれ!ここの最東端の部屋だ!」
フィアー「…警備機構はどこで管理している?」
ローグス首領「こ、この部屋の隣だ!早く銃を下ろしてくれ!」
フィアー「よし…」

バッ

ローグス首領「かっ………はっ………!」
フィアー「人を呼ばれたら厄介なんでな。少しばかり静かにしていてくれ」
ローグス首領「………っ!!!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
29名無しオンライン:2007/01/25(木) 20:33:49.76 ID:WgQ/zEFv
フィアー「フライト、終わったぞ」

私が呼びかけると、部屋のドアから小さな影が慎重に入ってくる。

フライト「遅いわ。巡回に見つかったらどうするつもり?」
フィアー「…見つかってないだろう」
フライト「まぁいいわ。早く隣の部屋に行くわよ」

コイツはフライト。私の最愛にして唯一無二のパートナーだ。

フライト「何してるの。早くしなさい」

少し無愛想なのが玉に傷だが。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

フライト「これがこのアジト全体の警備機構ね」
フィアー「あー…、そうらしいな」

フライトは端末に手をかざし、意識を集中させる。

フィアー「どうだ?」
フライト「…ドアのロックは外せそうだけど、警報機の解除までとなると時間がかかるわね」
フィアー「十分だ。警報機の位置だけ教えてくれ」
フライト「OK、ここから指示する。警報機も出来るだけ解除していくわ」
フィアー「…無茶はするな」

ナデナデ

フライト「わ、分かってるわよ。さっさとキャスト達を助けに行きなさい!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
30名無しオンライン:2007/01/25(木) 20:35:12.65 ID:WgQ/zEFv
ピピピ

フライト「待って。何かおかしいわ」
フィアー「あぁ、気付いてる」
フライト「巡回が誰もいなくなってるなんて…」
フィアー「確かにさっきまではいはずだ…」
フライト「これは………罠?」
フィアー「そうかもな。だとするとさっきの首領の情報は…」
フライト「信憑性に欠けるわ」
フィアー「だが手がかりはそれしかない」
フライト「なら行ってみるべきじゃない。………罠の可能性が出てきたっていうことは、キャスト達はもう…」
フィアー「行って確かめればいい」
フライト「………無茶は駄目よ」
フィアー「わかっている。だが私にはアレがある」
フライト「過信はダメよ」
フィアー「過信してる訳じゃない。大きな戦力なのは確かだ」

ブツッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

最東端・通路。
私は少し離れた所から部屋のドアの方を覗き込む。
周囲を警戒しながらドアの前まで素早く移動し、フライトを呼び出す。

ピピピ

フィアー「この中に何があるか分かるか?」
フライト「…ダメね、そこは電子的なブロックが固すぎるわ」
フィアー「入って確かめるしかないか…」
フライト「…気をつけなさいよ」
フィアー「ああ」

プシュー

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
31名無しオンライン:2007/01/25(木) 20:37:05.35 ID:WgQ/zEFv
その部屋の中は真っ暗で何も見えなかった。だが、確実に何者かの気配がする。

バッ

不意にライトがつく。

「ようこそ、フィアー君」

チャキッ

フィアー「誰だ!?」

私に話しかけてきた人物は、私から少し離れた所に立っていた。
研究者の出で立ちで、その目は何やら怪しい光を宿している。

フィアー「なっ!?」

この部屋にいたのは彼だけではなかった。
私の左右に整然と並ぶキャスト。キャストキャストキャストキャストキャストキャストキャストキャストキャストキャストキャスト…
誘拐されたのは複数体のキャストだとは聞いていたが、多すぎる。

「驚いただろう?私の可愛い実験体達だ」
フィアー「…実験?」
「そうだ、実験だ。お前がここに来た事で私の実験は最終段階に入る」
フィアー「どういう事だ?」
「ククク…、実験には成果を試す機会が付き物だろう?」

その男が言い終えた直後、一体のキャストが私の前に進み出る。

「さあ!見せてくれ!私の………」

男は両手を高く上げ、悦に入った様子でしゃべり続ける。だが、私はそんな無駄話に付き合うつもりはさらさらない。

バシュッ

男に狙いを定め、射撃。
それを見た男は驚愕………するどころか、顔を歪めて不敵な笑みを浮かべる。

ガァン

私の放ったフォトン弾は男に届く事はなかった。私の攻撃を遮ったのは一振りの小剣。
そしてそれを持つ者は………

フィアー「なっ………!!!」

そこには私がいた。
身長や体格など、厳密に言えば同じではないのかもしれないが、真っ白い髪、パーツ、肌、そして紅い目。
私のAIがフル稼働してこの状況を把握しようとする。
誘拐。キャスト。実験。私。実験。何の。私。コピー。私。元軍人。コピー。何を。戦闘。どうやって。戦闘値。上書き。…上書き!
32名無しオンライン:2007/01/25(木) 20:38:58.23 ID:WgQ/zEFv
フィアー「戦闘値の上書き…」
「ほう、もう気付いたのか。80年生きてなお現役か…。素晴らしい、素晴らしいぞ!」
フィアー「何故私なんだ!戦争を経験したキャストは他にもいるはずだ!」
「………偶然だよ」
フィアー「…なに?」
「そう、偶然だ。今は廃棄された野戦病院跡地からお前の戦闘値のデータが回収されてきた。
すぐに解析が進められたが、それは驚くべきものだったよ。
キャストは生まれながらには個性を持たない物だ。しかし経験によって個体差が生じるのは言うまでもない。
そのデータには戦場において10年間生き延びた経験が詰まっていた。
他のキャストが回避しようのない危機を乗り越え、他のキャストが破壊する事など不可能な相手を破壊する。
もしその経験を最初から持ったキャストを大量生産することができたら…。私は体の震えを抑える事が出来なかったよ。
私が生まれた時、既にこの星に我々ヒューマンの居場所はなかった…。コロニーに移住する事も出来ず、孤独な毎日を送って来た。
お前らにわかるか!我々をこの星から追いやったお前らにわかるのか!いや、わかるまい!!
そんな私に千載一遇のチャンスが巡って来たのだ!
ハァッ………ハァッ………ククク、ハハハ、ハァッハッハッハッハッハッハ!!!
既に私の同志がキャストの大量生産に着手している!
私達がお前らの積み上げて来た物を粉々に打ち砕く日も、そう遠くはないぞ!!
ハァッハッハッハッハッハッハ!!!!」
フィアー「………………」
「ガハッ………ゲホッ………。ククク、今日はお前に礼がしたくてここまで来てもらったのだ」
フィアー「礼…だと?」
「そうだ。お前の戦闘値がなければ私はここまで来ることが出来ず、くすぶり続けていただろう」

ザッ

周囲のキャスト達が一斉にそれぞれの得物を構える。

「今日ここで最大限の礼を受け取って、死ぬがいい」

その瞬間、私が目にしたのは襲いくるキャスト達と下媚た笑みを浮かべる男。
そして、静かに私を見据える紅い瞳。

〜続く〜
33名無しオンライン:2007/01/25(木) 20:39:49.63 ID:WgQ/zEFv
納得できない部分もあると思うけどこういう妄想もありかな、と思ってくれれば嬉しい
ご理解とご協力を(ry

噂のデバイスでパシリの性格や戦闘スタイルが変わると言うので、キャストも同じことが出来るのかなぁと考えてみたり
でもキャストのAIはマシーナリーのより複雑だって言うし、今回の話は正直妄想
某潜入アクションゲームの影響も受けすぎた事だし、ちょっと反省してくる

黒キャス子関係ないと思うかも知れませんが、実は登場してます。そういうことです。
「後半パシリが放置な件」とか言われたら逃げるしかない
34在りし日の(1/8):2007/01/25(木) 21:03:37.96 ID:1/S0Z1MJ

「終わってしまいました。」

パルムのヒューマンとニューマンの紛争が、ニューディズのヒューマンとニューマンに
飛び火、ヒューマンが資源確保のためモトゥブへ侵攻した事で惑星間戦争へ発展し
500年間続いた戦争はタルカス三惑星同盟締結により終焉を迎えた。

「これからどうすればいいのでしょうか?」

ニューディズはこの同盟によりニューマンの居留惑星として制定され
パルム、モトゥブとの相互不可侵の協約を調停した。

また事実上の勝者が存在しない戦争終結は、三惑星全てに軍備縮小を求めた。
これにより職を奪われた多くの(元)軍人達が野に放たれたのであった。

「それなんだが、ちょっとした当てがあるんだ。行くとこが無いのなら付き合うか?」

退役の手続きを終えパルムの同盟軍(旧パルム軍)ゲートを後にした男女2人のキャスト。
そして何処へとも無く立ち去る。


パルムの学術都市ローゼノム・シティの一角、学者向けの資材器具を扱う店から
日々の日常品扱う店まで揃ったちょっとした規模の商店街。
その中でシャッターの閉まった店の通用口から中に入る先程のキャスト達。

「ここがその“当て”なのですか?」

店舗部分を通過して倉庫の方へ入り照明を点けるキャス男。

「いや、ここには荷物を取りに来ただけさ。」

そう言いながら、最近搬入されたのであろうか真新しいシートの掛けられた
コンテナを開いた。

「これは・・・・・私の・・・。」

コンテナの中には、調整用だろうか整備用だろうかのいくつか機材に接続された
♂♀2体の軍用キャストが納められていた。

「ここは俺の店さ。軍から横流しした物資を学者連中に売って小銭を稼いでたんだが」
「ドンパチが終わったんならそうもいかん・・・別の商売も考えんといかんなぁ」
「これは退役で交換した俺達の機体を廃棄ルートに乗せてここに持ち込んだって訳だ。」

キャストの人権宣言以降キャストにも職業選択の自由が認められた。
が、依然としてキャストが用途別(軍用、民生用、作業用、etc)に製造されている事も
事実でキャストが転職を求める場合転職先に応じた機体と交換する事が認められている。

通常、旧機体の整備、システムデータのバックアップ、新機体への移設は数時間で
済むのだが、軍備縮小により退役するキャストが大量にあったため
2人の民生機移設には、システムバックアップから10日ほど経過していた。
35在りし日の(2/8):2007/01/25(木) 21:04:29.32 ID:1/S0Z1MJ

コンテナ内の機体に接続した機材をいくつか操作したキャス男は

「ちょっと腕を動かしてみ。」

右腕を上げるキャス子。キャス子とまったく同じ動きで腕を上げる♀型軍用機。

「エ?」 困惑の表情を見せる。

「こいつらのシステムはまだ生きている。それと俺達とのリンクもそのままだ。」
「いつでもこいつらを動かす事が出来る。俺が取りに来た荷物はこれさ。」

♂型軍用機に自分と同じ動きをさせるキャス男。

「パルムの軌道上にドンパチで住めなくなって廃棄されたコロニーがあってな」
「そいつに軍縮で遺棄扱いになった戦艦を繋いで復旧させたそうだ。」
「そこに、軍からあぶれた軍人集めて収容する。ガーディアンズとか言ってたな。」

「表向き雇用確保の公共事業で、元軍人を集めた便利屋みたいなもんだが、」
「同盟の条件でここはパルムにもニューデイズにもモトゥブにも属してない。」

「軍人崩れが集まる無法地帯 それがどんな場所だかお前にも判るだろ?」


まだ♀型軍用機を動かし続けているキャス子。

「どうしてこんな事を?これから私はただ平和に暮らしていければ十分なのに。」

「おまえにその気が無いならそいつを学者にでも売って俺の小遣いにするだけさ。」

「それは困ります。」

「だろうな、おまえにはその機体が必要な筈だ。」

「このまま売られるのが困ります。 せめてスクラップにしてから売ってください。」

キャス子の話を聞いていないキャス男。
「なんならおまえの元の機体を手に入れてもいい。」
「異星の技術研究用でローゼノムに持ち込まれたのを学者がまだ保管してる。」
「学者連中には色々と無理を聞いてやったコネもあるしな。」

「エ?」

「そう不思議そうな顔はするな。一応情報も扱う商売だ。調べられるものは調べたさ。」
「それにだ、同じ部隊に居た俺にはおまえは死にたがりの所がある様に見える。」
「おまえを放っておいたら何しでかすかわからん。」

「あの・・・。」

「独りで行くつもりだったんなら黙って俺に付いて来い。」
「そうじゃないなら、オマエが無理出来ないようにその機体は売る。」
36在りし日の(3/8):2007/01/25(木) 21:05:12.49 ID:1/S0Z1MJ

直径6km全長20kmの密閉型のブロックを縦に2つ並べた円筒型コロニー。

2つの円筒ブロックの内1つは半分以上が損壊しコロニーとしての機能は完全に失い
もう1つは破損部分を修復した上で、2ブロック構成の1ブロックを失った事による
動力の不足を数隻の遺棄戦艦(書類上は破損後戦場に放置された艦になっている)で
補う事で辛うじてコロニーの機能を維持しているここに、三惑星から約80万人の
終戦難民である元軍人達が隔離収容されていた。

「どうだい。誰の差し金かは知らんがあそこに宇宙軍規模の武器と兵隊が居るんだぜ」
「コロニーに係留してる戦艦なんざ現役バリバリの代物だ。」

「それが目的なら必ず失敗します。」

「どーしてだい? へたすりゃ軍縮で弱りきったどの星の軍隊よりも強力かもしれん」

「また戦争が起きたとして、それが数の論理で勝てるなら苦労はしません。」

「そんなもんかね? 俺の所にはきな臭い情報しか入ってこないんだが。」

コロニーへ向かうPPTの中ではそんな和気藹々とした会話が繰り広げられていた。
タルカス三惑星同盟により三惑星何れにも属さないコロニーが戦艦と兵士を集め
ガーディアンズと呼ばれる事は実に皮肉な事である・・・・・が。
後にここがガーディアンズコロニーと呼ばれる時代になってもそういう軍事行動の類が
起きたと言う記録は残されていない。


コロニー内を目的地に向かってエレベータで移動するキャスト2人
コロニー内部は80万人を収容するために通常は最外周のみに存在する居住エリアが
コロニーを多層構造に改修しそれぞれの層に設けられていた。

「内側の層と外側の層で重力のかかり方が変わります。不便ではないでしょうか?」

「ここの改修を考えた奴は、住民を数多く押し込む方法しか考えてないようだな」

外側に向かって階層を抜けながら移動するエレベータ。新しい階層に移るたびに
ガーディアンズ募集のキャンペーンが繰り返し現れる。

『ガーディアンズは未来への希望です。』

「不思議な光景ですね。ここの住民はみんなガーディアンズではないのですか?」

「いや、ガーディアンズはライセンス制でライセンスを持ってないのが殆どだとさ。」

「平和ですね」

「いったい何が平和なんだ?????」

エレベータは0.2〜0.3Gが掛かった中途半端な階層に止まる。

「どうやら付いたようだ。」

今までの多層構造とは違った開けた空間、ただ照明が少なく全体的に薄暗い。

「ここはコロニー構造上の干渉エリアで厳密な意味では居住エリアではありません。」

暗がりの中からモーニング姿のヒューマンが現れる。

「ようこそガーディアンズコロニーへ。」
37在りし日の(4/8):2007/01/25(木) 21:05:57.67 ID:1/S0Z1MJ

「ガーディアンズコロニーだぁ?」素っ頓狂な声を上げるキャス男。
「たしかもっと別の名前が候補に上がってたと思ったが?」

「そうですね。上の方ではより威厳ある名前や、我々に相応しい名前を候補に」
「考えている様ですが、民衆には単純で判り易い名前が支持されるものです。」

「つまりあんたらは勝手に“ガーディアンズコロニー”と呼んでるわけか。」

「勝手ではなくそれが民意と言うものです。 そちらの女性は?」

「俺のタッグパートナーだ。荷物は届いてるんだろ? 判ってるもんだと思ったが」

「ええ、念のためにです。」
「申し遅れました。私があなた方のマッチメーカーの・・・・」
「いや、名乗らない方がお互いのためでしょう。」
「あなた方のリングネームは死神と・・・・・。」

「黒きゴキブリ。」ヒューマンを睨み付けるキャス子。

「そう・・・でしたね。ですがそんな怖い顔で睨まないで下さい。」
「私達の戦争は10年も前に終わっています。」

タルカス三惑星同盟の10年前キャストがパルム政権掌握した時に
パルム軍から全てのヒューマン兵は追放されグラール史の表に出る事のない
ヒューマンとキャストの確執によるパルム内戦は幕を閉じた。

「あれから10年。パルムを追われたヒューマン兵士の安住の地を求めて」
「長い様で短い10年でした。やっとここが人の住める場所に整備できたと言うのに」
「・・・・いや、愚痴を零すのは止めにしましょう。」

「マッチですが、基本的に何でもありです。相手を行動不能にする事が勝利条件です。」
「ただし、相手を殺してしまうとポイントが減点されます。」

「“殺すな”とは随分と御優しい裏社会の闇バトルだな。」

「戦争で500年も殺し続けて来たのです。ギャラリーは殺し合いに飽きています。」
「今は清清しい勝負の方がギャラリーの受けがいい様です。」
「まぁ、上は殺伐とした殺し合いを望んでいるようですが・・・・。」

「それとあなたのリニアカノンは使用禁止とさせていただきます。」

「ちょっと待て、それはいったいどう言う事だ?」

「まずリニアカノンは威力がありすぎると言うこと。」
「もう1つは・・・・客席と闘技場をシールドラインで隔てている以上」
「フォトンに干渉されない(シールドラインで防げない)武器は使用禁止です。」

「・・・・代わりの武器なんて持ってないぞ、どうすりゃいいんだ?」

「素手で十分でしょう。現役の頃はそれで随分と泣かされました。」

「シングルならそれでもいいが、タッグとなると・・・なぁ、適当な武器は無いか?」
38在りし日の(5/8):2007/01/25(木) 21:07:06.08 ID:1/S0Z1MJ

「仕方ありませんね。どの様な武器が御所望ですか?」

「そうだな、支援砲撃の出来る実弾銃が欲しい。」

「これはまた難しい注文を・・・・。」

「普通の武器なら俺だって持ってる。でもそれじゃこいつの後方支援は出来ん。」

胸の内ポケットから端末を取り出したモーニングヒューマンは武器リストを示す。
「これあたりならどうですか?」

「Nug2000・・・異星の武器か・・・・。」
「そういやあんたは元パルム軍のヒューマンで上級士官だったか・・・・」
「異星の傭兵団を呼ぶくらいだ。武器の持ち込みルートぐらい持ってるって事か・・・」

「お互い細かい詮索は止しましょう。Nugでよろしいですか?」

「ああ、Nugなら問題ない。」

「では、30分後にマッチをやっていただきます。」
「Nugは他の荷物と一緒に控え室へ届けます。」

「30分後って、いくららなんでも時間が無さ過ぎる。こっちの事情も考えてくれ!」

「御二方に御二方の都合がある様に、私に私の都合があります。」

そう言いながら、モーニングヒューマンは現れた暗がりの中に消えていった。

「あまり時間がありません。準備を急ぎましょう。」

「おい、いいのか? あいつの事嫌っていたみたいだっだが。」

「昔は敵でしたが・・・・。 悪い人ではない気がします。」

「ああ、信用していい奴だって事は俺が保証する。」
39在りし日の(6/8):2007/01/25(木) 21:07:59.71 ID:1/S0Z1MJ

コロニー干渉エリアに設立された真新しい闘技場。
そこに引き出された♂♀2体の軍用キャスト。闘技場の周囲を埋め尽くす観客の怒号。
闘技場の中にせり上がって来る障害物の数々・・・・・。
そして、闘技場に巨大スクリーンに表示された対戦カードのポスター。
一方はチャンピオンらしきビーストとニューマン、もう一方のチャレンジャー側は
黒く塗りつぶされたシルエットのみ。

ピッ♂♀のキャスト間で無線が入る。

『対戦ポスター 酷いものですね。』
『まぁな、俺たちは連勝チャンプ用のかませ犬って事か。』
『裏切られましたか?』
『いや、事前チェックしたNugは本物だった。』
『私もそう思います。』
『・・・何を“そう思う”んだ?』

チャンピオン側の奈落が上がり、ポスターに描かれたビーストとニューマンが現れる。

『チャンピオンのポスター リングネーム脇の数字は何でしょうか?』
『・・・何かの番号みたいだな。』
『数字なのですから当然です。』
『そうだな。』

チャンピオンのリングネームとガーディアンズのライセンスNo.がコールされる。

「ガーディアンズは未来への希望です。」

コロニーのあちこちで見かけた文句が対戦ポスターの下側にテロップで表示される。

『あの数字チャンピオンのライセンスNo.でしたか。』
『やらせ負け試合にしても・・・・露骨すぎるよな。』

チャンピオンが対戦位置に付き試合開始のブザーが闘技場に鳴り響く。
同時に♂♀のキャスト間の無線にノイズが入る。

『・・・・§Θ♪・・Δ∬〒・・ω‡♀★◎・・』
「ちっ無線封鎖かい・・・やる事がいちいち持って姑息だな。」


前衛のビーストが同じく前衛の♀キャストにツインダガーで切りかかる。

クルクルクルクルクルゥ〜〜♪

♀キャストはスラスターを横に噴かして回転中のビーストの側面から背後に回りこむ。
僅かに掠めたビーストのダガーが♀キャストの装甲に大きな切れ目をつける。

「ちっ」斬った手ごたえを感じたが♀キャストが倒れない事に舌打ちをするビースト。


「シールドラインが効いてないね。フォトン無効化武器は使用禁止じゃなかったか?」
「こっちも軍用装甲でフォトンの減速材やら分散材やら積層してるから同類だが」

回転の止まったビーストを後方からスラスターを噴かして蹴り飛ばす♀キャスト。

「まぁ、武器を使わせない様にインファイトに持ち込めば装甲がある分こっちが有利。」
「にしても障害物が多すぎて支援砲撃ができんなぁ」
「まぁ、これも向こうのニューマンも同じだもんな・・・・・。暇だ。」
40在りし日の(7/8):2007/01/25(木) 21:08:51.84 ID:1/S0Z1MJ

♀キャストは蹴り飛ばしたビーストの右腕を巨大な機械爪のファルクローで掴んで
持ち上げる。ビーストを宙に浮かし、その右腕を切り落とさんばかりに
3本の機械爪が締め上げる。

その光景に客席からブーイングが上がる。

「ほらみろ、チャンピオンを勝たせるやらせ試合なんだから適当に負けて帰って来い。」
「向こうさんにも人生ってもんがあるんだから腕切り落としたりするんじゃないぞ。」

闘技場客席の一段上、スタッフブースから観戦するモーニングヒューマン。

「ギャラリーが求めているものは単純な勝利ではないのですよ。」

ゴゴゴゴと唸りを上げ、闘技場中央よりチャンピオン側の障害物が下がり始める。
視界が開けたニューマンの法撃が♀キャストに始まると客席のブーイングが一段と
大きくなる。

♀キャストはビーストの腕を放し、挑戦者側の障害物に隠れてニューマンの法撃を凌ぐ。
体制を立て直したビーストが♀キャストににじり寄る。

また、声が高まる客席のブーイング。

「ん? 客はチャンピオンを勝たせたいんじゃないのか?」

モーニングヒューマンの言葉がふと♂キャストの脳裏によぎる。

『今は清清しい勝負の方がギャラリーの受けがいい様です。』

Nugのスコープ越しに♀キャストのマーカーがオレンジとグリーンの点滅を繰り返す。

「何が言いたい?」

そして、スラスターを噴かして障害物の上に飛び上がる♀キャスト。
慌てて杖をハンドガンに持ち返るニューマン。
♀キャストはスラスターを噴かして宙に浮いたままファルクローでビーストを
壁側に殴り飛ばす。
縦横無尽に飛び回る♀キャストにニューマンのハンドガンは当たることなく
ビーストとニューマンをチャンピオン側の壁際に追い詰める。

スコープ越しに♀キャストのマーカーが点滅からグリーンの点灯に変わる。

「目標確保か・・・ つまりここから闘技場のシールドラインを撃てって事かい。」

♀キャストのグリーンマーカーに向かってNugを撃つ♂キャスト。
障害物に遮られた♂キャストの姿はチャンピオン側からは見えない。
スラスターを噴かして回避運動に入る♀キャスト。

チャンピオン頭上のシールドラインに着弾して爆発するNugの砲弾。
範囲攻撃のNugの直撃を食らうチャンピオン。

ブーイングが怒涛の歓声に変わる客席。

スタッフブースのモーニングヒューマン。

「良くぞやってくれました。」
41在りし日の(8/8):2007/01/25(木) 21:10:05.84 ID:1/S0Z1MJ

埃が積もり荒れ果てた闘技場に車椅子に乗った年老いたヒューマンとその車椅子を押す
30代前後のヒューマンと女キャスト。

「ここももう閉鎖されてしまいましたね。」

年老いたヒューマンがゆっくりと目を開ける。

「あなたは・・・いつまでもお美しい。」

「キャストの寿命は長いですから。」

「本当にありがとうございました。 おかげで戦争を起こさずにすみました。」

ガーディアンズ籍のチャンピオンが敗れた事でコロニーは本格的な無法時代に突入し
再びガーディアンズの統治体制が整うまで50年程が経過していた。
戦艦も退役軍人も既に過去の遺物と成り果てていた。

「御二人はこれからどうなさいます。」

若いヒューマンが
「俺はモトゥブに行ってみようと思う。物事は表だけでも裏だけでも駄目だって事を」
「あんたに教えてもらった、だからモトゥブでローグス相手に腕と商売を磨いてくる。」

「そうですか・・・・あなたは?」

「私は・・・・・。」

「私はあなたが羨ましい。私があなたなら失意の内に寿命が尽きた事でしょう。」
「あなたはまだ生きていられる。生きていればきっといい事もありますよ。」

年老いたヒューマンはゆっくりと目を閉じる。

「御二人ともそろそろ行って下さい。当局に見付かるとやっかいです。」
「私の死に場所はここと決めていました。あの日パルムを追われた仲間たちと築いた」

「大佐もっと良く見てくれよ。これあんたの若い時の姿なんだぜ。」
「誰もあんたの事を覚えていなくても、俺達は絶対に忘れない。」

その場を立ち去るヒューマンと女キャスト、そして年老いたヒューマンは・・・。

「間違っていますよ・・・・・私の最終・・・は・・・中佐です。」
「破壊工作専門の 狙撃部隊を いつまで経っても だから 降格 しまいました。」
「そうだ・・・もし・・・なにもやりたい事が・・・ないのでしたら・・・・」
「ほとぼりが 冷めて・・・ガーディアンズを  みませんか?  あなたの」
「求める・・・・に・・・一歩 近づけるのでは   ませんか?」





黒いスカートとオレンジ色のワインポイントが入ったスラスターのガーディアンズ
キャス子にPM GH101が支給された。

             「私の名前を決めてください。」




42名無しオンライン:2007/01/25(木) 21:10:41.21 ID:1/S0Z1MJ
店長とボケ主人の過去編でした。(過去編ブームみたいなので・・・てへ)


450d「パシリが出ていないのですが・・・・・・。」
450c「うち・・・台詞一個だけ・・・・・・・・。」

何気に疲れた。
43小ビス子と430 喧嘩をする<後編1>:2007/01/25(木) 23:38:17.32 ID:QpALwB3b
■前回までのあらすじ

めでたくLv20に(ようやく)なった小ビス子。
ビーストとして一人前と認められる為にブラストバッチを入れることを430に話すが、
「珠の肌に入れ墨(モンモン)が入るなんて許せない」と大反発。
ついには喧嘩になってしまい、小ビス子はマイルームを飛び出してしまう。
主人にべったりPMにべったりの二人が別々に過ごす雪の夜。
430は黒キャス子に飲みに誘われ、小ビス子は町で450連れの箱と出会う。

自分の言いなりになるのが理想のご主人様なのか?
あの温厚な小ビス子と「喧嘩が出来る」ということは、どういうことか?

黒キャス子にそれを諭されて反省する430。

…そしてその頃、小ビス子は…。

・view 小ビス子 ガーディアンズコロニー3F

「はぅ、はぅ、ひっく、ずるずるずる…、はうっく」
「な、泣き止んでから食べるか、食べてから泣いた方がいいと思うんだ…」
 困った顔で見下ろしてくる箱さんにこくこく頷いて…、
 私はやっぱり泣いたまま、ご馳走してくれたコルトバヌードルを啜ります。
「私はその430が一方的に悪いと思います。主人の意向がPMの意向。
 明確な理由も告げずに主人の行いを阻止しようとするなど、あってはならないことです」
「…450も時々僕の意向とか関係無しに色々してる気がするんだけど…」
「気のせいです」
 ショップテナントの並ぶ通りの片隅のベンチ。
 私たちはそこに三人並んでコルトバヌードルを食べています。…ずるずる。
 箱さんは見た目すごく大きくてびっくりしましたが、とても優しい人でした。
 450さんは時々箱さんに容赦がありませんが、やっぱり優しい人でした。
 見ず知らずの私を、わざわざ慰めてくれるのですから。
 …私は、ぽつぽつと、今日あった出来事をお二人に話していました。
「430は悪くないのです。きっと私が何か悪いことしてしまったのです…。はぅ。
 ずっとそうなのです。430はPMとしてとても立派な子なのです。
 お料理もお洗濯もとても上手で、戦うのだって上手なのです。
 私みたいな、『耳がふさふさしたニューマン』呼ばわりされるような、
 落ちこぼれのビーストではないのです…」
 ぽちょん。こぼれた涙がコルトバヌードルのカップの中に落ちる。
「ひぅ、だから…、いちにんまえのびーすとになりたいのです…、はぅ、
 なのぶらすと出来れば、いちにんまえになれると思うのです…、ひっく!」
 駄目です…、喋ってると、また泣きたくなってしまいます…。
 私は落ちこぼれ。訓練校だってギリギリの成績でしか卒業出来ませんでした。
 ミッションだって失敗ばかりです。…同期の人たちの中には、もう教官職に
 就いている人だっています。
 私は強くなりたくてガーディアンズ訓練校に入ったのです。
 びくびくおどおどしている自分を変えたくてこの職に就いたのです。
 たくさんたくさんの人を助けたくて、家族のいる家から出てきたのです。
「…はぅ、でも、私は何をしているのでしょうか…、はぅう…」
 頭がすごく重くなって、私はただ、俯いてしまいます。

 私は、何か、たった一つでも変わることが出来たのでしょうか?
44小ビス子と430 喧嘩をする<後編2>:2007/01/25(木) 23:38:44.79 ID:QpALwB3b
「一人前かぁ」
 ぽつりと、箱さんが言いました。
「僕はビーストじゃないからナノブラストは知らないけれど、
 それが出来たら一人前なのかなぁ?」
「はぅ…?」
「認定レベルが20になることも、ブラストバッチを入れることも、
 形としてだけの証明な気がするよ」
 見上げると、箱さんはコルトバヌードルのカップを持ったまま、
 小首を傾げるようにしてコロニーの天井を見ていました。
「ナノブラスト出来たら一人前、ってなんだか簡単過ぎる気がしない?
 …まぁ、僕だって半人前以下だし、偉そうなこと言えないけどね」
「たまには良いこと言いますね」
 ちょっと呆れたように450さんは笑って、ベンチから降りると、
 私の目の前に立って、言います。
「屈強であること。くじけないこと。助けた人の数。クリアしたミッションの数。
 それらは確かに「強さ」の証明かも知れませんが、
 …人はそれだけで計れるものではないでしょう」
 にっこりと微笑んで、450さんは両手でカップを握る私の手のひらに、
 そっと自分の手のひらを重ねて下さいます。
「貴方はとても優しい。たかだかPMと喧嘩をしたことを、こんなに後悔して、
 こんな顔になるまで泣いて。
 同じPMだからわかります。貴方の430は、きっと貴方に幸せにしてもらってる。
 それは貴方の「強さ」の一つです。…胸を張って良いことです」
 ぽろぽろと、私の目からまた涙が溢れてくる。そんなこと…言われたことありませんでした。
 私は430に迷惑ばかり掛けていると思っています。申し訳なく思っています。
 でもこの450さんは…、そうではないと、言ってくださいます…。
「ちなみに言うと、僕は君の430の言うことも少ぉしわかるかな」
 私と450さんとで、箱さんを見る。箱さんは小さく笑って、自分を指さして。
「僕はこんな大きな図体だからね。君にも最初びっくりされた。
 僕も君と同じように気が小さいから、びっくりされるとちょっとショック」
「はう…! そうとは知らず、ごめんなさいなのです!」
 箱さんは、いいんだよ、と気楽そうに手を振って。
「ブラストバッチって入れ墨だよね。
 偏見だけど、体の大きな強そうなビーストさんの腕にあるイメージがあって、
 僕はちょっとだけあれが怖い。『怖い人かも』って身構えてしまう」
「それは多少ありますね。悪い風習では、あのようなタトゥはアウトローの
 証明のようなものですから」
 …それは、知りませんでした…。
 そんな風に見る人もいるのですか…。気付いていませんでした…。
「僕の大きな体も、ブラストバッチも、人によっては怖くみられてしまうことだってあるんだよ。
 何て言うかね、君は可愛いから。他の人にそう見られたくないって、
 君の430はそう思ったのかも知れないね」
「は、はぅはぅはうはぅはぅううう!?」
 かぁああっ! と顔が熱くなってしまいます!
 か、かわいいなんて、言われたことなかったのです…!
 ビーストの皆さんからは「頼りなさそうだ」としか…!
 ふと、私の目の前で、たはぁっ、と450さんが心底疲れたようなため息を吐きます。
「…どーして、その洞察力を私に向けてはくれないのでしょうか…」
 箱さんには聞こえないようでした。私はわからなくなって首を傾げてしまいます。
「まぁ…、ご主人様がそう仰られるのも一理あるとは思います」
 こほんっ、と場をごまかすように咳払いをして、

「けれどもそれはまた他人の視点です。…貴方がそれを本当に必要だと思うのなら、
 時には反対する意見とぶつかる覚悟を持つべきでしょうね。
 それが出来れば、貴方の「強さ」は、一つ増えることになるのですよ」
45小ビス子と430 喧嘩をする<後編3>:2007/01/25(木) 23:39:13.55 ID:QpALwB3b
 やがて…、大きな体と小さな体を隣り合わせ、箱さんと450さんは
 コロニーの人混みに混じっていきます。
 とても優しい人たちでした。
 あれ…? なんだかちょっとした口喧嘩になったみたいです。
 450さんが杖で箱さんの頭をぽこぽこ叩いているように見えますけれど…。
 でも、なんだかとても幸せそう。
 私はその二人の背中を、見えなくなるまでずっと見送っていました。

 今更のように…、430に会いたいなぁ、って、思いながら。

・view 430 ガーディアンズコロニー3F

「ご主人様!」
 ぼぅっと、通りの人混みを見詰めているご主人様の背中を見付けて、私は声を上げた。
 黒いキャストに諭されて…、私はずっとコロニーの中を走り回っていた。
 酔いなんかすっかり冷めた。ただただ、謝りたくて仕方がなかった…。
「…はぅ」
 聞こえたんだろう。ご主人様は、少し、振り向くのを怖がるように、ゆっくりと
 私の方を振り返って…。
 がば、とご主人様の胸に飛び込んで、私は、ぼろぼろと大泣きした。
 たった数時間。本でも読んでいればあっという間に過ぎてしまう、そんな程度。
 でもそれだけの時間に、冷静になった私は、身を引き裂かれるような痛みを味わった。
 馬鹿すぎた。…幸せな時間に慣れすぎて、見失ってしまっていた。

 私はこの、度が過ぎるくらい優しいご主人様の為だけに生きようって、
 そして願わくば、この人にとって「特別」になることが出来たならって、
 それだけを望んで、この人に仕えているんだった。

「…あの」
 ぎゅうって、ご主人様は小さな腕でそんな私を抱きしめてくれて、
「私…、その、人と喧嘩したことが、ないのです…」
 ものすごく、困ったように…、
「だからその…、仲直りの方法って…、わからないのですが…、その…」
 ああ…、あはは、うん、…あはは。
 私は思わず、ご主人様の胸に顔を埋めたまま、ちょっとだけ笑ってしまう。
 そうだ、この人が私のご主人様。…こういう、人なんだ…。
「430には一緒にいて欲しいのです…。離れているのは寂しいのです…。
 仲直りしたいのです…。430は…、してくれますか…?」
 私はただ、こくこくと何度も頷いて…、ご主人様にしがみついて、

 私たちは、通りの人たちに何事かと視線を向けられながら、
 随分長いこと、…泣いていた。
46小ビス子と430 喧嘩をする<END>:2007/01/25(木) 23:40:58.05 ID:QpALwB3b
「わわわわわわ、はぅ!」
 最近なんとか形なってきた太刀筋で、ご主人様がヴァーラを撃退する。
 すっきりと晴れ渡ったパルムの平原。
「…あ、ご主人様、そろそろよろしいかと」
 センサーを掛けていた視界を通常視認に切り替え、私はご主人様に告げる。
 ご主人様のブラストゲージはもう十分だ。
「は、はぅ! じゃあ、やってみます!」

 あれから…、私たちはお互いの悪かったところをちゃんと話し合った。
 私は、ろくな理由も述べずにご主人様の意見を遮ってしまったこと。
 ご主人様は、意見がぶつかるのが怖くてマイルームから逃げ出してしまったこと。
 そして、お互いにごめんなさい。

 ご主人様の右腕には、小さなブラストバッチが掘られている。
 出来るだけ小さく出来るだけ目立たないように。それが、エステルームでご主人様が
 受付の人に言った「条件」だった。
 普段は服で隠れて他人が目にすることはない。
 だからそれがあるのを知っているのは、ご主人様と私だけだ。
 …小さな秘密を共有しているみたいで、ちょっとどきどきする。

 それになにより…、

「知ってる? ブラストバッチを入れた皮膚ってね?」
 飲み屋で、別れ際に黒いキャストはにやにや笑いながら言った。
「すんごい敏感になんのよ? 攻め場所が一つ増えたと思えばいーんじゃない?」

 そ れ を は や く い え

 …たまんねぇ…。時が来たら指でなぞって舌で舐ってさんざん責め立てよう…。
 どんな反応するかなぁ…、どんな声で鳴くかなぁ…、ふ、ふふふ、うふふふふ。
 ぼとぼとぼとぼと。
 緑鮮やかなパルム平原にどす黒いオイルの水たまりが出来ていく…。
「なのぶらすとー!」
 高い空に響き渡る、どこか間の抜けた、暖かい声。
「…」
 私たちは沈黙する。
 心なしか向こうのディストバも呆然としているように見える。
「…は、はぅ!?」
 ご主人様は広げた両手をきょときょとと見下ろして、
「430! なのぶらすとできていませんです!」
「い、いえ、あの、叫んだだけでは、どうにも…」
 ブラストゲージは満タンだ。問題ない。ブラストバッチだって間違いなくある。
「どうしたらいいのでしょう!?」
 あ…、と、私は不意にその原因に気が付いた…。
「その、つまりですね、ご主人様、要はキレて貰わないと…」
 ナノブラストとは、遺伝子の奥に潜む凶暴性を具現化する技だ。
 その引き金とは、怒り。
「キレるってなんですか!? はう!?」
 私には卵を割るより簡単なことですが…、
 ひょっとしたら、ご主人様には果てしなく難しいことでは…、
「怒ってください! ご主人様!」
「そんな! はぅ! 理由もないのに怒れませんです!」
「ほ、ほら! 向こうのディストバが怒って向かってきています!
 ご主人様も怒らないと!」
「あくびしてるですよー!?」

 パルムの空は至って平和。
 私たちも至って平和。

 …ご主人様がナノブラストするのは、果たしていつになるのやら。
47小ビス子と430 喧嘩をする<END>:2007/01/25(木) 23:44:47.66 ID:QpALwB3b
今更ながら失礼します…。とうとう「七体目」は一度も書き込み出来ずに終わってしまいました…。
なかなか書く時間が取れずに気が付けば一ヶ月経過。待っていた下さった方には申し訳ありません><

箱作家様、箱と450をお借りしました。
本当は箱と小ビス子と「おちこぼれ」としての共通の意識をもうちょっと押し出すつもりだったのですが、
書き切れませんでした、無念…。

書こうと思っていた小ビス子のお正月帰省ネタ、時期的に書けなくなってしまった…orz
48名無しオンライン:2007/01/26(金) 00:20:48.78 ID:B+PD3/NQ
>>47
おー、お久しぶり。続きwktkしてたぜー
箱も人様を諭させてもらえるようになったか…嬉しいものだ( ノ∀`)
そしてオチにワロタw こうくるとはおもわなかったwwwGJ!

んで
>450さんが杖で箱さんの頭をぽこぽこ叩いている
箱「うーん」
450「どうしました?」
箱「いやあ、さっきのビーストの子、可愛かったよね〜って思って」
450「(ムッ) …珍しいですね、相手が女性なのに」
箱「んー、そうだねえ。なんでだろ?ちゃんと普通に喋れたし」
450(ま、まさか…)
箱「でもさー、あの子のパシリ…430だっけ? きっとその子も優しいんだろうなあ…」
450(まさかまさか…!!)
箱「一度会ってみたいよねえ。きっとすっごく優しくていいパシリなんだよ、きっと」
箱「ねえ、今度ダンゴモチ持って遊びにいこうか?」
450「……(ジロ)」
箱「ん?なに?」
450「……あーゆー女性(ひと)がお好きなんですか?」
箱「えぁ!? あ、いや、あの、その、別にそういうわけじゃ!」
450「…じゃあどういうことですか?」
箱「ど、どういうって、あのーそのー」
450「(ボソッ)浮気者…」
箱「え? 何?」
450「なんでもありません!」
箱「なんで怒ってんの…」
450「怒ってませんっ!(バキッ)」
箱「いで」
450「怒ってません!全然怒ってませんっ!!(バキボコメコ)」
箱「い、いたい!いたいってばあ!!」
450「全然ちっとも微塵もこれっぽっちも怒ってませーーーーん!!(ドゴベキドスベチバゴ)

なんてなことを妄想してしまった件w
49名無しオンライン:2007/01/26(金) 00:27:50.11 ID:B+PD3/NQ
↑が妄想で長くなったので分割w
>>28
ローグスってえらく昔からあったんだなあ
殆ど世界設定知らないわwww
続きwktk

>>34
上記のように世界設定がよくわからないので
戦争とかそんなに長かったんだ…とか、スラスターなんてついてたんだ…とか思ってしまった件('A`)
なんか無知すぎて恥ずかしい( ノノ)
50名無しオンライン :2007/01/26(金) 01:41:31.42 ID:83s//qJS
>>19,21
有難う!見れました〜^^
これはいい、最高だ
51名無しオンライン:2007/01/26(金) 01:44:39.75 ID:bVssVqhS
なんかかなり増えてるなぁ、正月の忙しい時期抜けたからみんなぽろぽろ戻り始めたんかな

>>12
かわえぇ・・・w
こういう440も結構新鮮な気がするw

>>23
ブラッドリィは箱と違って常に渋いなぁ、他のキャラもいい味出してるし・・・w
ところでキャストも酒に強い弱いがあったりするんだろうか
てか個体差は誰が決めてんだろ・・・w

>>28
キャストが生まれてからの行動で個体差が決まるか
戦闘値=戦闘経験だからそれをコピーすれば同じ戦闘力のキャストが作れる、と

パシリで似たようなネタ考えた事あったなぁ・・・w

>>34
確かに過去編がブームだなぁ、うちもかかねえと・・・w
こういうのはパシリが出て無くても面白いからいいと思うんだぜ

>>43
小ビス子ネタktkr
まさか怒れないからナノブラスト使えないとは・・・w
うちのビス男もナノブラスト使わないがあれは使いたくない(単なるPA馬鹿とも言う)だからなぁ
しかしまあ430の妥協案もよくわからんことに・・・w
小ビス子がナノブラストしてオイル吹くのかと思ってたw

>>48
居るよなぁ他人の事はすぐ気付くのに身近な人の事は気付かない奴・・・w
52名無しオンライン:2007/01/26(金) 05:31:41.02 ID:z9bnuaVR
>>46
> 「ほ、ほら! 向こうのディストバが怒って向かってきています!
>  ご主人様も怒らないと!」
> 「あくびしてるですよー!?」



ディストバ「草うめぇwww」
53名無しオンライン:2007/01/26(金) 12:25:56.76 ID:yH8u4G8u
俺は小ビス子がナノブラすると、小さくなってぬいぐるみみたいになると思ってたんだぜ?
54名無しオンライン:2007/01/26(金) 14:05:24.36 ID:vQiKY1mi
>小さくなってぬいぐるみみたいになる
真サム思い出した
55一緒に食卓を 1/7:2007/01/26(金) 15:42:07.07 ID:qRi9MUmv
久しぶりのコロニーの一室。
今日も、ヘトヘトになりながら帰宅する一人のヒューマン♂

「ただいまー…」

ヒュマ助は念願の自分の飯店を開いたが、今日も彼は出稼ぎ労働者が如く働いている。
お金はといえばそれなりに貯蓄が出来て、彼の腕もそれなりにあがっていた。

「おかえりなさいませ、ヒュマ助様」

部屋の奥から彼のパートナーマシナリーであるGH440が姿を現す。
彼女は他のパシリ達とは違って、何故かニューディズ文化や風習を愛している。
だからだろうか?「カッポウギ」という古風な衣装を好んで服の上に着こなす。

「いやぁ…変な宗教勧誘がしつこくってさぁ…」
「宗教勧誘?…またぞろ、グラール教団ですか?」

部屋に440の趣味で備え付けられた一角、「タタミ」という敷物を敷いた「チャノマ」
其処に上着を脱いで座ると、440の差し出したお茶を啜りながらヒュマ助は答えた。

「いや、なんか新団体らしいよ…?」
「このご時勢に…ですか?」
「うん。何でも『ロリニュマ子崇拝団体【ヒンヌー教】』だそうで…さ」

変なネーミングだよねー…とお茶を啜りながら和んでいる主人。

(ヒュマ助様…本当に勧誘されなくてよかった…)

その横で、本気で主人がノーマルで良かったと440は安堵していた…
56一緒に食卓を 2/7:2007/01/26(金) 15:43:22.63 ID:qRi9MUmv
「さてと、それじゃぁ晩御飯作ろっか」
「あ、それではお手伝い致します」

ヒュマ助が立ち上がり、愛用のエプロンを身に着ける。
440はというと、カッポウギから白い布を取り出すと、それで髪を隠す様に被った。
何でも、ニューディズ古来の料理する時の「身だしなみ」…らしい。
以前の帽子は…お出かけ以外では被らない事にしたようだ。(ずり落ちるので)

「今夜は寒いし、暖かいナベモノにしようか」
「そうですね、オルアカのお肉があるので…ボタンナベにしましょう」

甘辛い味付けの出汁に野菜や茸をたっぷりといれ、しんなりするまで火に掛ける。
その出汁でオルアカミートを煮込むこの料理は、寒い日にぴったりである。
程なくして部屋から美味しそうな香りが漂い始めた。

「さー、出来たよ〜?」

湯気の立つ鍋をチャノマに置いたチャブダィに置く。
蓋を開けると、桜色に染まるオルアカミートや、出汁をすった野菜が顔をだした。

「ひ、ヒュマ助様…そ、そろそろ…(ジュルリ」
「あはは、うん。それじゃぁ食べよっか!」
「は、はぃ!い…いただきます!」

自分の料理を美味しそうに食べてくれる440を、何時も通り見つめようとするヒュマ助。
それを知りつつ、彼の手料理に舌鼓を打とうと箸を伸ばす440。
その時…

―ウィーン…プシュー…

唐突にヒュマ助の部屋のドアが開く音。外の冷たい空気と一緒に見える、小さな影…

「ぁ…」

声の主は、小さな猫の耳の形をした飾りをつけた…パートナーマシナリーだった。
57一緒に食卓を 3/7:2007/01/26(金) 15:44:08.49 ID:qRi9MUmv
急に開いた部屋のドア。そこに佇む小さな子。
ドアが開いてしまった事に驚いたのだろうか?その子は目をパチパチさせている。

「いらっしゃいませ。今日の営業は終了しましたが…何か御用でしょうか?」

妙にムスーっと不機嫌そうな440。大方早く箸を進めたい所だろう…

「あ、あの…い、いぇ!その…ごめんなさいっ!」

涙目になって頭を下げるその子。姿から言えばGH420だろうか?

「えっと、ごめんなさい…て」

急な謝罪に今度はヒュマ助が面食らう。

「特に用事はなかったの…!でも、ドアに近づいたら開いちゃって…」
「あ、そ…そうなの。別に、それならそれで謝らなくても…」

一旦お鍋の火を消して、420に歩み寄る二人。420はさらに深々と頭を下げる。

「どうして、僕の部屋の前に…?」
「あの、その…ぉ…ぉな…」
「おな…?はっきりと仰って下さい」

さらに不機嫌になる440をなだめるヒュマ助。420はといえば完全に萎縮している。

「言いにくいならいいよ…?別に君は悪い事はしてないんだし…」

ただドアを開けただけで、怒りはしないよ〜…とヒュマ助は420を撫でながら言った。
そんな折…

―グゥ〜………

部屋に鳴り響いた音。その音の発信源は、ヒュマ助の傍。彼よりも下の位置…
440と一緒に、音のした方向…420を見つめるヒュマ助。
まさに、泣きっ面に蜂…。420は恥ずかしさのあまり目じりに涙を溜めた。

「お腹がすいてたのっ!そりゃもう辛かったんだから!」
「うわっ…!?」
「ぎ、逆ギレですか…?」

顔を真っ赤にして一気に大声で捲くし立てる420。
440もこの剣幕には流石に入り込めず、目を白黒させるばかりだ。

「美味しそうな匂いしたもん!お腹ぺこぺこだったんだもん!」
「ボクもご飯…食べたいよぅ…ご飯…きゅぅ…」

いきなり倒れた420。440はおろおろとヒュマ助にフォローを求める眼差しを送る。
あぅー…と力の抜けた声をあげる420を見て、ヒュマ助はそうだ…と思った。
58一緒に食卓を 4/7:2007/01/26(金) 15:44:43.06 ID:qRi9MUmv
「で…折角なので…」

コトコトと火を入れなおされてまた煮えだすお鍋。囲む影は一つ増えた3人。

「君も食べていってよ。お腹すいているならなおさら食べて欲しいし…」

美味しそうに煮えたお肉と白菜をよそうと、お椀を420に差し出すヒュマ助。

「いっぱい食べてね?遠慮はいらないよ?」
「ご安心を。ヒュマ助様のお料理の腕はプロ以上です」

いいすぎだよーと笑うヒュマ助。さぁ、と進める440。
420も、なし崩しにこの席に座らされたとは言えど、おずおずと箸をつけた。

「………!?」
「どうです、ヒュマ助様のお料理のお味は?最高でしょう…?」

モギモギと恐る恐るな箸だったが、一口目を飲み込んだ瞬間、火がついた。
口に広がる味、味、味。甘く煮あがった野菜、出汁の染みた茸、柔らかいお肉…

「美味しい…かな?」

少し不安そうに、それで照れたような笑顔で、聞き返してくるヒュマ助…。

「美味しく無い訳がありませんよ、ヒュマ助様の手料理ですから」

さも当然、というように何故か誇らしげにモギモギする440…。

箸が、止まらない。美味しい。美味しい…

『「え…」』

重なった驚きの声。止まらない420の箸…いや、それだけではない。
こぼれている。止め処なく瞳から、ポロポロと零れ落ちる…

「美味しい…美味しいよぅ…暖かくて…美味しいよぅ…」

笑顔だった。悲しいくらい笑顔だった。箸も、涙も、止まらなかった。
味はもう解らない…。けれど、それは美味しかった。暖かかった…

「ヒュマ助様…」
「うん…」

この子が泣く理由は解らない。けれど…

「…僕達は精一杯のおもてなしをしないと…ね」
「はい、ヒュマ助!」

420が満足するまで、二人は追加の料理を作り続けた。
59一緒に食卓を 4/7:2007/01/26(金) 15:45:18.92 ID:qRi9MUmv
「はい、どうぞ」

440に食後のお茶を差し出されて、おずおずと受け取る420。

「あ、ありがと…」
「いっぱい食べたねー」

すっかり膨らんだお腹を見つめながら、あはは…と笑いかけるヒュマ助。

「あぅ…だって…その、美味しかったし…ボクお腹空いてたし…」
「いいんだよ、僕も…あんな風に食べてもらえると、嬉しいからね」
「ヒュマ助様は何よりも美味しいと言う声と、食べる人の笑顔が大好きなのですよ」

あはは…と笑うヒュマ助。420は思う、「こんなに暖かい笑顔は初めて」…と。

「まぁ、何があるかはしらないけど…さ」

そういって、少し真面目そうに420を見つめるヒュマ助。

「お腹が空いたら、いつでもおいでよ。いっぱいご馳走するからさ」
「ほ、本当…?」

困ったような、ソレでいて嬉しそうな表情。420は、モジモジと答えた。

「食事は人数が多い方が楽しいものです」
「そうそう、皆で美味しいもの囲んでワイワイした方が、楽しいでしょ」

お茶を啜りあう二人。420は目頭がまた熱くなるのを感じていた…。
しかし…

―ウィーン…プシュー…

また、唐突にドアが開く。今度は、小柄なニューマンの女性が其処に立っていた。
60一緒に食卓を 6/7:2007/01/26(金) 15:48:59.95 ID:qRi9MUmv
「いらっしゃいませ。申し訳ありませんが本日の営業は…」
「あ、いたー!勝手に店サボって油売ってると思ったらこんなとこに…」

ヒュマ助の声を遮ると、何食わぬ顔で部屋に入ってくるロリニュマ子。

「ほら、サボってるんじゃないわよ。帰るわよ?」
「ごめんなさい…ごめんなさい……」
腕を乱暴に引かれ、立たされる420。

「ちょ、ちょっと…お客さん…!」
「失礼ですが、貴方…何方ですか?」

ニュマ子の態度に驚くヒュマ助。440はいぶかしげに睨み付けている。
「何方って、この駄目チビの飼い主に決まってんじゃん」

そういって、420の束ねた髪の毛を引くニュマ子。
420は痛みに顔をしかめるものの、堪えるように口をつぐんでいる。

「飼い主…?駄目チビ…?」
ヒュマ助の顔色が変わる。440も、その理由が解るのか、ハッと息を呑む。

「そうよ、こいつ失敗ばっかりのくせにメシメシうるさいから、もううんざり」
そういってグリグリと頭を撫でるニュマ子。420はまたもや顔を背けた。
61一緒に食卓を 7/7:2007/01/26(金) 15:49:58.94 ID:qRi9MUmv
「今度新しいの来るんだけどぉ、それまではコイツいないと合成できないしぃ」
「あーっ!何か食べてたんじゃーん!駄目チビのくせにぃー!」

片付け途中だったお皿や鍋のあとを見て、捲くし立てるニュマ子。

「ほんっと、食い意地はってるねーこの駄目チビ」
「いいなぁ…ねぇ、お兄ちゃん♪私も食べたいな〜♪ねぇおに…」
「…帰れ」

言い放つヒュマ助。途端に「え…?」と驚いた顔のニュマ子。

「君に…空腹な時の心細さが解るのか…?」
「な、何よ…ソレ。何だっていうのよ…?」

ゆっくり、一歩づつ歩み寄るヒュマ助。それに気圧されてか、後ずさるニュマ子。

「罵倒されても…信じて主人を待つ寂しさが解るのか…?」
「何よ…ちょ、何キレてんのよ…ばっかみたぃ…」
「我慢して、傷ついて、それでも努力する気持ちが解るのか…?」
「何よぉ…アンタ何なのよぉ…」

歩みは止まらない。今のヒュマ助は、普段の笑顔が無く…まるで別人の様…

「君みたいな…身勝手で、傲慢で、高飛車で、猫かぶりな人に…!」
「ひ、ひぃぃぃ!?」

瞬間、420を掴んでいた腕を弾く。ぱしーんと平手の乾いた音が響く…

「出すような料理は、僕の店には無い!」

言い放つヒュマ助、420を掴む腕を払いのけると、420を自分の方に抱き寄せる。
420は「ぁ…」と小さな声をあげたが、ヒュマ助に助けてと言わんばかりに抱きついた。

「何よぉ…そんな駄目チビかばってぇ…」
「僕の店から出て行け…そして二度と…」

そういって、両手にいつの間にか現れたエビルツインズの銃口を、ニュマ子に向ける。

「僕とこの子の前に現れるな!」

ふぇぇぇんと謎の悲鳴をあげて、走り去るニュマ子。
緊張の糸が切れたからだろうか?ヒュマ助はその場にへたり込む。
440が慌てて傍に駆け寄る。420も腕の中で心配そうに見上げた。

「あ、あはは…あんな大喝一回でへたるなんて…僕もまだまだかなぁ…」
「ヒュマ助様、ご立派でした…」

440もほっとした様で、いつものヒュマ助に戻った事に安堵の表情を浮かべた。

「……………」
「…ごめん。君の帰る場所だったのに…考えもなしに怒ってしまって…」

腕の中で、静かに黙り続ける420に、ヒュマ助は頭を下げる。

「いいの…ボク、今なんだか嬉しいんだもん…」

そういって、ヒュマ助の胸に顔をつけて抱きつく420。440がソレをみてムっとする。

「ありがとう…ヒュマ助…」
62一緒に食卓を エピローグ:2007/01/26(金) 15:51:17.44 ID:qRi9MUmv
―数日後

「いらっしゃいませー♪」

店に響く、元気そうな声。厨房から料理を両手に乗せて、テーブルへ走る姿。

「420、それを下げて洗い場に持って行って下さい」
「ははーぃ、承知しました!」

注文のオーダーを受ける440と、配膳や接客をする420。
店は「姉妹パシリと旨いメシの店」というキャッチフレーズで人気が広まり…
パシリ愛好家の間では隠れた有名店となっていた。

「うーん、忙しいけど…こうしてお客さんが美味しいって言ってくれるのは…」

そう呟いて、厨房から小さい店内に目を向ける。
カッポウギであくせく注文に走り回る440。
ヒュマ助のあつらえたエプロン姿で、元気に料理を運ぶ420。
そして、美味しいそうに料理を口にするパシリ連れの常連さん達。

「嬉しいよねぇ…やっぱり」

新しい主人、ヒュマ助の元…一緒にお店を手伝ってくれる事になった420。
あのニュマ子は、あれ以来店には来ない。
風の噂では、あのヒンヌー教と関係があったらしい…。
そのヒンヌー教も、悪い噂や事実発覚で解体になったそうだけど。

「ヒュマ助ー!コルトバヌードルにオルアカロール、それとショコラ追加ね!」
「あ、うん。ちょと待ってね、今作るから」

忙しい合間、エプロンを翻して店内を駆け回る420を眺めるヒュマ助。

「これからは、私達が420の家族ですね、ヒュマ助様」

いつの間にか、隣で洗い物を始める440。

「そうだね…」

もう一度、420へ目を向けるヒュマ助。440も続けて目を向ける。

「ありがとーございましたっ!また来てね♪」

「やっぱり、笑顔で皆で食べるご飯が、一番美味しいんだよねぇ」
「そうですねぇ…ふふ」

呟く二人の眼差しの先には、最高の笑顔の420がいた。
63前スレ105:2007/01/26(金) 15:57:01.09 ID:qRi9MUmv
お久しぶりです…!既にパシリスレも8スレ目とは…
早いものですね!(ただ単に私の執筆が遅い

久しぶりですので題名のとこの4/7が二つあったりするのはすみません…
脱字や誤字もあるかと…(吐血

他の方の作品では主人様やパシリさんがいい味だしていますねー。
小ビス子&430さんとか悪コンビさんのはいつも楽しみに読んでます。
450&『』さんも素敵ですよねぇ…

私のヒュマ助と440はちょっとまだまだ微妙かも…
420、二人を頼んだよ!(マテ

とりあえず今回はこの辺で
64名無しオンライン:2007/01/26(金) 16:00:26.55 ID:z9bnuaVR
>>63
>>590
             ↑ネタキャラワールド
 ::::::::::::::::::::::::::::::::::         :::::::::::::::::::::::
  ::::::::::::::::::::::::::::::   ,    ,、 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::
  :::::::::::::::::::::::::::::   i!   ,ノミ '::::::::::::::::::::::::::::
    ::::::::::::::::::::   !i   r' ミ  :::::::::::::::::::::::::::::::::
  :::::::::::::::::::::::::::  ヽ('A`)ノノ`  ::::::::::::::::::::::::::::::
   ::::::::::::::::::::::    ( )     :::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   :::::::::::::::::::::     ヽヽ     :::::::::::::::::::::::::::::::::
        ,、  ,       ,    ,、
        ミ.'、  .i!      i!   ,ノミ
       ミ ハ i.!      !i   r' ミ
       ヽ`[ ゚ω゚]    『゚∀゚ 』ノシ
        i´_(ヽ     ノノ、ヽ     こっちにおいで・・・
        ))  ヽ('A`)ノ  ((  
             ( )←ヒュマ助
             ノノ

65名無しオンライン:2007/01/26(金) 16:17:56.25 ID:zQxNkP1B
【日番谷 冬獅郎】

プレゼント詐欺師。

中に★7武器が必ず入っていると偽って

中身は基板/ハッピージュース

金返せ。
66名無しオンライン:2007/01/26(金) 17:18:29.35 ID:L2POPSWt
いっちゃだめぇーーーーーー!!!
・・・いや、いってもいいけどさ
67名無しオンライン:2007/01/27(土) 01:16:28.38 ID:+WehKsFq
>>590もネタキャラ入り決定か… 先は長いなw
68名無しオンライン:2007/01/27(土) 02:16:57.47 ID:rFpq080j
毎回こんな絵ですが
いつかその内見れる絵に
なったらいーなーと
ttp://www.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2190.jpg
69名無しオンライン:2007/01/27(土) 02:37:18.94 ID:PsobXB2a


  420「ていてい、ほりゃー!」

例のメンテナンス以来パシリ達の能力制限が僅かながら開放されたらしく420の戦い方が活発になった
以前のようなカニ歩きも少なくなり反撃を与えないくらいの勢いでスキルを連発する事も少なくない
・・・まあおかげで前よりも敵の真っ只中に突っ込んでやられる可能性も上がったのだが・・・

そして一番の変化が

  420「あ、マスター腕怪我してる、今回復するから」

そういって420がナノトランサーから取り出した物は片手杖、420が持つには珍しいものだ
以前は滅多に使わなかったレスタだがあれ以来頻繁に使ってくれるようになっていた

  420「・・・これでよしっと、マスター大丈夫?痛みとかない?」
ビス男「あぁ、おかげで大分良くなった、助かる」

420は右手に持った杖を振り回しながら嬉しそうに笑っている
以前は使えなかった反動からだろう、軽い怪我でも念入りにレスタするようになり、おかげでミッションがかなり楽になった

  420「よーっし、どんどんいこー!」
ビス男「お、おいあんま一人で行き過ぎるなよ」

  420「大丈夫大丈夫〜♪」

その後事あるごとにレスタを使いまくり遂に・・・

  420「えいっ!えいっ!あれ・・・?」
ビス男「どうした?」

  420「あははは・・・えーと、PP切れみたい」
ビス男「まだ中盤なんだが・・・回復所も無いしどうするんだ?」

  420「んー・・・あ、そだ」

何かを思い出したのかナノトランサーをごそごそとあさり取り出したものは

  420「はい、モノメイト」
ビス男「お、中々準備良いな、予め持ってきてたのか」

  420「ううん、今さっき出来たから」
ビス男「出来たって、まさか・・・こ、この隅っこからはみ出すクバラ・ウッドは・・・」

無残に散ったアクスックに黙祷をささげる、まあ4割だったから成功するとも思ってなかったが
70名無しオンライン:2007/01/27(土) 02:39:37.19 ID:PsobXB2a

ビス男「まあそれは置いといて、その荷物になった杖どうするんだ・・・?」

420は空になった杖をじっと眺め何やら考えている、思えばこうして420が考えてるのを見るのも珍しい
大丈夫だとは思うが頭から湯気が出てないかどうか気になってしまう・・・

  420「あ、閃いた、マスター、見てて!」
ビス男「お?」

420そう言うと杖を右手に持ち精神を集中させる、目の前には新たに出現したボルティ
俺は420の凄まじい気迫に気圧されごくりと唾を飲みこむ

  420「むむむむむ・・・てやー!」
ビス男「あ、あれは!」

ひゅー・・・ぱこーん
300

ボルティ「キュッ・・・」
  420「よしっ、命中〜♪」
ビス男「・・・何か間違って無いか?」

  420「気にしない気にしない、さーどんどん行くよー!」
ビス男「お、おー・・・」

この後の戦闘は確かに楽だった、回復が必要ないくらい
ただ俺は何か間違ってるような気がしてならなかった・・・

ちなみにこの杖投げについてだが途中投げた杖が草むらに突っ込むアクシデントが発生
結果、杖の捜索に大幅に時間がかかり気が付いた頃にはどっぷりと日が沈んでいた為ミッションを放棄
以後杖投げは前面使用禁止になったと言う
71名無しオンライン:2007/01/27(土) 02:46:13.40 ID:PsobXB2a
前のパシリの修正直後から書き出してやっと今更出来上がったので投下

我ながら今更感がすっげえ漂う・・・w


ちなみにレスタについては大体半分で使ってくれるようになったがたまに使わずそのまま倒れるから
きっとこうなんじゃないかなと勝手な想像を・・・


>>62
420が看板娘に、420ならきっと良い客寄せにもなるんだろなぁ・・・w
しかしこの店、一度行って見たいものだw

後ようこそネタキャラワールドへ・・・w

>>68
ディストバがかなり幸せそうだw
72名無しオンライン:2007/01/27(土) 14:20:45.62 ID:+WehKsFq
前スレが無事埋まりました。
450の夢は儚く散った模様wwww

>>68
ディストバかわいいよディストバw
73名無しオンライン:2007/01/27(土) 23:32:02.60 ID:VzPsy08l
小説書いても良いかな?
74名無しオンライン:2007/01/27(土) 23:34:09.35 ID:Z2osPG2U
>>73
倫理的におk
75名無しオンライン:2007/01/27(土) 23:39:48.77 ID:FiOjlUUN
>>74の反応の早さに驚きつつ>>73にwktk
76小ビス子と430 なのぶらすと後日談1:2007/01/28(日) 00:19:08.78 ID:RS7+IH5n
「ふみみみみみみみみみみぃっ!」
 拝啓皆様、パルム平原は今日も平和です。
 私は手近な岩場のてっぺんにちょんと腰掛け、
 頭の上をふわふわ漂っているちょうちょを見守っております。
「はにゅうううううううううううううううううっ!」
 お気付きでしょうか。この、何とも聞いているだけで脱力系の雄叫びに。
 …ええ、雄叫びなんですよ。正真正銘。言うなれば獣の咆吼。…子猫ですが。
「はぁっ! はぁっ! はぁっ!」
 やがて、息も力も尽きたのか、真っ赤な顔のご主人様が振り返ります。
「430! 出来そうですか!? なのぶらすと出来そうでしょうか!?」
 目一杯に涙を貯めてそう仰られるご主人様に…、私は力無くかぶりを振るだけ。
 まいらぶりーすとろべりー、天下に(ていうか私にのみ)その名轟く小ビースト。
 愛しの愛しのご主人様。
「…残念ながら」
「はぅ…」
 しょんぼりと肩を落とすご主人様。その向こうでディストバがあくびしてる。
「うう、怒るってむずかしいです…、はぅ」
 ブラストバッチを入れてから数日。その間幾度かミッションもこなしましたが、
 ご主人様がナノブラストを成功させたことは一度もありません。
 ナノブラストを成す根底は、怒りの感情です。闘争本能によるものです。
 …ですがこれは、前代未聞ではないでしょうか…。うん…。
 『怒れないからナノブラスト出来ない』
 ご主人様、ご主人様、貴方はどこの福の神なんですか…?
「ええと、対象を固定して怒るから上手くいかないのではないでしょうか…」
 何となく、あやふやなアドバイスを送ってみる。
 うう、申し訳ありませんご主人様。私に出来る助言なんてこれくらいです…。
 だって私にしてみれば、怒るなんてあまりにも容易いことなのです…。
 魚に肺呼吸を教えることが出来ないように、どうにも上手くいきません。
「はぅ?」
「つまりですね、相手に向かって怒れないのであれば、嫌なことを思い出すとか、
 嫌いなことを考えるとか…」
「はぅはぅ」
 通じてるのかなぁ…。

「…」

 しばしの沈黙の後…、
「ひっく…、ひぅ…、はぅ…はぅ…!
「うわー! ごしゅじんさますとーっぷ! その考えストーーーーップ!」
 いきなりしゃくり上げたご主人様を見て、私は岩場を飛び降りると、
 一目散にご主人様の元に駆け寄っていく!
「はうはう…、モトゥブで『フサ耳ニューマン』て呼ばれたのを
 思い出してしまいました…、悲しいのです…」
「ああ、ああ…、ほら、もう泣き止んでください…」
 めそめそと泣きじゃくるご主人様をなだめながら…、
 今そんなことをご主人様に言うヤツがいようものなら、即殺だ。
 死んだこともわからん速さで頭蓋骨に穴ァ開けてやる…。
 開けた穴から脳味噌引きずりだしてケツに詰め込んでやる…!
77小ビス子と430 なのぶらすと後日談2:2007/01/28(日) 00:19:53.18 ID:RS7+IH5n
「って! 私が怒っても仕方ないのですよ! ご主人様!」
 ぶもー、と遠くでコルトバが鳴いてる。
 暇そうなポルティがマイムマイムを踊っている。
 …平和過ぎる。こんな状況下でご主人様に「怒れ」という方が無理だろう…。
 かといって高難易度ミッションになんてご主人様を連れていけないし…。
「で、でもですねっ」
 ぐしっ、と鼻をすすったご主人様は、
「嫌なことを考えるのは良いかも知れませんです。泣かなければいいのですよ」
「はい、ええと、仰る通りです…」
 小さな手を握り締めて、ご主人様は何か考えついたようでした。
「嫌なことをされるのを考えてみますです。思い出すのではなくて考えるのです。
 されたことないことなら泣きませんです。はうはう。名案っ」
 …ホントに大丈夫なのかなぁ…。
 変身するときに側にいると危ないから、と、私はご主人様の側から引き離される。
 かれこれ2時間近くそうしていたわけですが、一向に危なくならないのですけれど。
「むむむむむむ…!」
 渋々引き下がる私の前で、ご主人様はぎゅうっと目を瞑ると、
 一心不乱に何かをイメージし始めたようです。

 ざわ…ッ

「…え?」
 ほんのささやかだけれど、風が…巻いた。
 間違いなく、ご主人様を中心として。
 長くてきめ細やかな白い髪が、巻き上がった風に流れて翼のように広がる!
「すごいです! いけますよご主人様! その調子です!」
 思わず興奮して、私は両手を握りしめる!
 でも、何をイメージしてるんだろ?
 はたと脳裏をよぎったイメージが、一瞬で「私色」に染め上がる。
 キーワード:嫌なことをされる&されたことないこと。

 ―や、やぁあああっ! 私、わたし、初めてなのに…、初めてなのにぃっ!

 ぶばっ。
 ドス黒い油が私の鼻孔を飛び出して綺麗なアーチを描く!
 ちょ、…ちょッ! おま、私のブラストゲージがはち切れる…!

「ごしゅ! ごしゅじんさま!? 何考えているんですか!?」
 止まる気配を見せない鼻オイルに服を汚しながら、私は思わず声を上げる。
 気になるよ! すごい気になるよ! ご主人様! 何想像してるんですか!?
「…はぅ?」
 ぱちくりと、ご主人様は瞬きをして目を開けて、
「すごく嫌なことをされるのを想像してみましたですよ?」
「是非とも具体的にーっ!」
 息巻く私に、ご主人様は考えるように小首を傾げ、
「私の前には、大きな男の人がいるのです。その人がですね、すごいニヤニヤしながらですね」
 嘘、マジですか?
 よもや…、よもや…、
「私にひどいことをするのです、はぅ。具体的にはですね」

 私の油圧、急・上・昇!
78小ビス子と430 なのぶらすと後日談3:2007/01/28(日) 00:20:33.28 ID:RS7+IH5n
 今までの鼻オイルなんざ水鉄砲だぜ? と言わんばかりに、鼻からはオイルがだだ漏れる!
 よもやご主人様のキュートボイスであんなことやこんなことが聞けるのですか!?
 そういうことに無関心そうではありますが、あまりにもアレじゃないですか!?
 いいえ! 勿論異論などございません! 聞かせてください!
 そして、ご主人様の小さくて可愛い唇が動いて、続きが…!

「おいしそうなおさかなを私の手の届かないところでぶらぶらさせるのです。
 私はぴょんぴょん飛んで手を伸ばすのですが、男の人は大きくて手が届かないのです。
 はう。すごい嫌なのです。食べたいのです。届かないのです。はう」

 ずるしゃごがぁっ!
 脱力感に足を滑らせた私は、近くの岩に顔面から着陸する。
「…ぞ、ぞぅでずが…」
 油圧は一気に下がった。それこそ、ナニが急速に萎えるように。
 あ、あ゛はぁ…。そ、そーっすよねー…。何て言うか、そうですよねぇ…。
 顔面をさすりながら起き上がると、ご主人様は再びイメージに没頭し始めたようです。
 先ほどと同じように、ご主人様を中心に風が巻き上がり…、
 でも。
 言ったらなんですけど…、そんな程度で本当にナノブラスト出来るほど怒れるのですか…?
 でも実際、ナノブラストの前兆を見せているわけで。…ビーストって良くわかんないな…。

 そして…!

「なのぶらすと!」

 かっ! と目を見開いたご主人様が、…吠える!

 ぽむっ

「…はぇ?」
「…ぇ」
 それらしい前兆はどこへやら。鳴り響いたのは、湿気た爆竹が爆ぜたような、
 何とも間の抜けた音が一つだけ。
「はぅ…? 430? 私、何か変わったでしょうか?」
 きょとんとして振り返るご主人様は…、何も変わっていない…、ように思えた。
 私は、なんというか、硬直している。
 ご主人様はぺたぺたと自分の体を触って自分の変化を確かめている。
 足、おなか、両腕、胸、顔、異常なし。
 …頭。
「えぇえええええええええええええええええええええええええ!?」
 やおらご主人様は素っ頓狂な声を上げた!
79小ビス子と430 なのぶらすと後日談4:2007/01/28(日) 00:20:59.07 ID:RS7+IH5n
 ご主人様の綺麗な白い髪が、頭の両端でぴんと角のように尖っている。
 否、それは、髪でも角でもなく…、
「みみ!? これみみですか!? わー! 垂れ耳がないです!
 こんなところに耳があるです!」

 ネコミミ!

 それだけか!? いや、そうじゃねぇ!? そんなもんじゃねぇ!
「うわわ、うわわわわわわ!? なななななななななんですかこれ!?」
 違和感に気付いたのだろう。ご主人様は慌てたように自分の背中側をのぞき込み…、
 それに、気付く!

 しっぽ! 髪と同じ、綺麗な綺麗な白い色をした、ふさふさのしっぽ!

「ね、猫さんです!? 猫さんになってしまったのです!? はぅはぅはぅ!?」
 ぴこぴこ、ふりふり。
 ご主人様の感情の揺れに伴い、ネコミミもしっぽも軽やかに動く。
「どうしましょう430!」
 まいすいーとご主人様が…、まいすいーとご主人様が…、
 まいすいーとにゃんこご主人様に…ぃっ!
「…生涯そのままでいてください」
 ごがしゃっ…。
 油圧ゲージがはち切れた。私は派手にオイル飛沫を撒き散らすと、
 先ほど顔面を打ち付けた岩に、全く同じ形で顔面から倒れ込んでいく。

 神様…、神様…、アンタ一体、ウチのご主人様に何をさせたいんだい…?

「はうー! はうー! これ元に戻りますよね!? 戻りますよね!?
 何とか言ってください430! 何でそんなキラキラしながら気絶しているんですか!
 よんさんぜろ! よんさんぜろーーーーーーーーーーーっ!」

 そんなわけで。…ご主人様は、未だにナノブラスト出来ません。
80名無しオンライン:2007/01/28(日) 00:30:12.28 ID:RS7+IH5n
小ビス子がナノブラストするとこうなると思った、という書き込みを見て
思わず浮かんでしまいました…。つい出来心です(==;
これはパシリネタというか小ビス子ネタだ…。

>>箱作家様
蛇足になりそうだったので「帰り際喧嘩している箱と450」の詳しくは書かなかったのですが、
お見事ですw 想像通りのやりとりでしたw
箱が小ビス子と普通に話せたのは、小ビス子がまるっきり子供にしか見えないからでしょうかねーw
ダンゴモチ持って遊びに来たら、その「きっとすっごく優しくていいパシリ」に
蜂の巣にされそうですが。完膚無きまでに…。

>>68さん
拝見致しましたっ。わざわざ描いて頂けるとは光栄です。
ディストバ本当に幸せそう…w
81名無しオンライン:2007/01/28(日) 01:08:18.87 ID:6ma38iLs
小ビス子がナノブラストすると猫のコスプレにw

これはこれで・・・良いのか?w
82名無しオンライン:2007/01/28(日) 01:48:29.26 ID:5Nu7dN8d
>>80
想像どおりでヨカタw
多分お隣の女の子って感じなんだろうなあ…
450からしたら、普通の成人女性という認識で。
んで、意外にも頭を撫でるなどの接触ができちゃって、
450が「なんでこの人には出来て私には…っ!!」みたいな感じでギリギリしてたりw
ああ、確実に殺されるな、2体のパシリにwwww

>蜂の巣にされそうですが。完膚無きまでに…。

やべ、超見てみたいwwwww
総合成績C-の底辺キャスト(多分)は430の猛攻にどこまで絶えられるのだろうかwww
83名無しオンライン:2007/01/28(日) 06:30:52.14 ID:pKbCnKFi
やっぱり小ビス子かわ(・∀・)イイ!
84名無しオンライン:2007/01/28(日) 18:24:53.80 ID:JVci8MQL
書き込み少ないのは
みんな妄想を充電してるからだよね?
85名無しオンライン:2007/01/28(日) 20:06:52.49 ID:gMmCEMZp
大丈夫、ROMってるがみんなの作品を待ってるぜ?
小ビス子が心底かわいかった件について・・・
86名無しオンライン:2007/01/28(日) 20:42:10.11 ID:krklIV7y
>>80
ナノブラ小ビス子が能力的にどうなるかとか考えてしまった俺。
アレか、猫並に身軽になってジャンプ力が上がるから、目の前に吊された魚も楽々ゲットなのか!
冗談はさておき、やっぱりこの二人が平和にしてるシーンは良いわぁ…

>>84
うん。

具体的には、熱暴走気味でやや赤い顔の441が
抱き上げている俺の腕の中で息も整わないままに「ご主人…さま…」と…
弱々しく握りしめられているその小さな手がまた可愛くてだな…



↓以下、またもやAAにいぢられた俺がショボーンする流れ?
87名無しオンライン:2007/01/28(日) 20:48:58.52 ID:yoZZcmjM
F5   F5   F5   
  F5   F5   F5
┐  ∧,∧  F5
| (   )    F5
 ̄ ⊂/ ̄ ̄7 F5
88名無しオンライン:2007/01/28(日) 21:17:44.26 ID:5Nu7dN8d
>>86「やめてぇぇーーー!またもやAAで俺をいぢらないでぇぇーーー!」

パシリ「・・・・・・・・・」

>>86「ショボーンするでござる!ショボーンするでござる!」

パシリ「・・・・・・・・・」

>>86「・・・いつからそこに?」

パシリ「ご主人がおもむろに専用ブラウザを起動し、
  儀式のような真摯さで己の自尊心をいぢりたもれと要求したところからよ。
  合成が済んだからとっとと取り出して頂戴。」

>>86「はい」
89名無しオンライン:2007/01/28(日) 21:23:13.42 ID:krklIV7y
>>88
ごめん、専ブラ使ってないんだ(´・ω・` )
90名無しオンライン:2007/01/28(日) 21:39:30.31 ID:5Nu7dN8d
>>89
( ´・ω・`)

もう一つ考えたが>>86があまりにも変人扱いになっちゃったのでやめたw
91名無しオンライン:2007/01/28(日) 21:54:09.32 ID:krklIV7y
まぁ実際充分に変人だし、ネタにして貰うための振りだから何されても構わんがなー(´・ω・`)
パシリが活躍するネタなら是非書いてくれ。

にしても、マゾキャラ方向のネタにされないように注意して振ったつもりだったが、
今自分で見直してみても全然注意つーか技術が足りてないな…orz
92名無しオンライン:2007/01/28(日) 23:22:42.25 ID:HyAho9po
嫌がりつつも内心期待している>>91がなんか素敵に見えてしまった
93名無しオンライン:2007/01/29(月) 00:39:54.45 ID:5jlP2qjt
>>80
なのぶらすと〜小ビス子を書いてみました。

ttp://moemi.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2203.jpg

450d「とーさん・・・・。」
450c「うちらだって描いてもらった事無いのに。」

そりやまぁ・・・いろいろと・・・・。

450d「いろいろと何ですか?・・・・ビキビキ。」

実際の画面と、作品のイメージと、自分の画風の折り合いが付かなくて・・・その・・・ごめん。
94名無しオンライン:2007/01/29(月) 13:06:56.60 ID:UrOHgTf9
着グルミ着てるみたいでかーいー(*^ω^)
95名無しオンライン:2007/01/29(月) 13:54:43.16 ID:gtHVY1i8
小ビス子って、ライアとは致命的に相性悪そうだな。
やることなすこと怒鳴られてそう。

小ビス子のストーリーミッションは苦行だろうなー…。
96名無しオンライン:2007/01/29(月) 14:59:08.36 ID:/Q6W7Pfm
意外と凸凹で良いコンビかもしれないぞ。
小ビス子は気弱だけど凄く真っ直ぐだし、ライアに気に入られるかも。

>>84
一連の流れを見るにまだ多くの人が見てくれているようだ。
さあ、安心してお前さんもSSを書く作業に移るんだ…
97名無しオンライン:2007/01/29(月) 15:05:33.16 ID:M/q1gnGV
でもライアは基本的にPCは眼中に無いがなwww
98名無しオンライン:2007/01/29(月) 15:08:51.60 ID:WVU291z7
ライアの格好を見るにかわいいもの好きっぽい気が。
99名無しオンライン:2007/01/29(月) 15:29:23.14 ID:C0CwQL/0
案外わんわんサンド430に匹敵する鼻血出して貧血になるかも。
100IF Box Meets Girl 1/3:2007/01/29(月) 16:39:05.13 ID:x7ROIeen
第七話<閑話休題>

ガーディアンズコロニー・小ビス子マイルーム前

「ここがドクターの指定していた部屋か…お前ら行くぞ」
胡散臭い風体の男達がゾロゾロと小ビス子のショップに入っていく。

プシュー
ドアの開く音にマイルームでくつろいでいた小ビス子は、わたわたとしながら客を出迎えにショップに移動した。
「はうはう!!お客さんなのですね、430はお出かけ中なので私が接客しなくてはなのです!
 430の代わりに立派に売り子を務めてみせるのです!いらっしゃいmアッ!ひゃぶぅ〜」
勢いよく飛び出してきた小ビス子はそのまま部屋の境に爪先を引っかけ男達の前に顔面から勢いよくすっ転ぶ。

「お、おいおい…大丈夫か、ねーちゃん?」
いきなりの登場に思わず毒気を抜かれて心配してしまう男達に起されて立ち上がる小ビス子。

「はう〜すみませんです。お手数おかけしてしまったのです」
赤くなった鼻の頭をコシコシ擦りながら目に涙をにじませてニコっと笑うと、
「いらっしゃいませなのです、お客様。何をお探しなのです?」
と、ペコッとお辞儀をする。

健気に接客を開始した姿に男達は…
「あ?…あぁ!そ、そうだな、そこのムーンアトマイザーをくれ」
「お、俺はそこのソルアトを全部くれ!」
「バカ!お前ら何買ってるんだ!…俺にはそのオルアカロールを包んでくれ」
「じゃ、じゃあ俺はそこの棚のを全部!」
思わず口々に商品を買い求めてしまう男達。

「はうはう〜ただいまお包みいたしますね!商売繁盛なのです、私もやればできるんです!」
帰ってきた430にいっぱい売れたと言って驚くところを想像してニコニコ接客する小ビス子。

「お買いあげありがとうなのです、またいらっしゃってくださいなのです〜!」
ぶんぶんと手を振って部屋の出口まで見送る小ビス子に男達がニコニコしながら手を振って応える。

プシュー
扉が閉まってから、ふと我に返る…
「バカ!お前らなんで買い物して普通に出てきちまうんだよ!」
「そういうお前だって何買ってるんだよ!」
「お、俺はちょっと必要だったからついでに買っただけだ!」

ひとしきり言い争った後、ガックリと力が抜けた男達は、
「と、ともかくもう一度行くぞ。430は居なかったようだがあの飼い主を攫えば…」
「何やらドクターの話だと化け物じみたPMらしいがマスターを押さえてしまえば何もできまい」
「んむ、あのビーストならGHー101より簡単に連れて行けそうだしな」
「お、俺報酬いらねーからあの子が欲しいな!」
「倫理的におkってか?」
「バカ!ダメだろうアレは」

そう男達が扉の前で盛り上がっていると…
101IF Box Meets Girl 2/3:2007/01/29(月) 16:40:46.13 ID:x7ROIeen
ゴリッ…一番後ろにいた男の後頭部に何か硬い物が押し付けられる。
「な〜にが倫理的におkだって?」

「なっ!?お前は、430!?」

そこには眉間とコメカミにシワを寄せてダルク・ファキスも真っ青な顔の430が仁王立ちしていた。
「てんめぇーら!人の家の前で何をゴチャゴチャと、おまけに私のご主人様に手を出そうとしやがったな?…死ねっ!!」
後頭部に当てがったバーストをいきなりぶっ放す。

「ちょっ、ちょっと待て、イキナリ何を…」
まさに間一髪ギリギリ避けた男の髪が横一文字に根こそぎ吹き飛ばされる。

「うるせぇ!このビヂグソ野郎が!死にくされ!!」
ビームガンに持ち替えた430が凄まじい速度で乱射し始める。

「ぐわぁーなんだこの暴走PMは!」
「いでっ!ケツが!俺のケツがあぁ!」
「ちょっ、まずは話を聞けっ…ぐはっ」
「アッ…アーーー!」



「で、通報のあった男達はどこですか?」
ガーディアンズ・警務隊の男が看護婦に尋ねる。
「そこの奥の救急医療室です、みんな酷い怪我を負っていて」
「照合した結果、男達はみんなローグスとして手配されている者達ですね。お手柄ですな、はっはっは」
「悪人かもしれませんけど…ちょーっと酷すぎる気が…」
「で、彼らを倒した方は?」
「さぁ?こちらには…」
「いったい誰なんでしょうな、あそこまで徹底的に叩きのめすなんて。きっとムキムキのビーストかゴツイキャストかなんかでしょうな」
「何でもいいですけど、もう〜ちょっと手加減して欲しかったですわ…」

102IF Box Meets Girl 3/3:2007/01/29(月) 16:41:33.48 ID:x7ROIeen


「ただいま戻りました、ご主人様。あ、まだ付いてた…」
頬に付いていた返り血を舐めた指先で擦って落としながら小ビス子の部屋に入る430。

「おかえりなさいなのです!見てください430!!」
尻尾を振らんばかりに430を出迎えた小ビス子がショップのレジカウンターを開けて見せる。

「うわ…どうしたんですかご主人様、スゴイ売り上げじゃないですか!」
「はうう〜えらいですか?スゴイですか?やったのです!接客なんばーわんなのですよ!」
430に褒められ垂れ耳をふるふるさせてはしゃぐ小ビス子に…

接客No.1………
   ・
   ・
   ・
「いらっしゃいませ430、今日はうんと可愛がってくださいなのです」
「まいすいーとはにーのためなら毎日だって通うさ…はにーの接客はNo.1だからな」
「はう〜嬉しいのです、いっぱいさーびすしちゃうのです」
   ・
   ・
   ・
ぶばっ
玄関先で盛大にオイルを吹き上げる430

「はうう!430!どうしたのですか430!!」

うん、今日はたっぷり可愛がってやるよまいすいーとはにー…閉店後もつき合ってくれるんだろう?

「4,430?目が虚ろなのです!オイルが、オイルが止まらないのです!!」

今夜は寝かさないぞぅ〜

「430〜!」



<惑星モトゥブ某研究室>

「何?失敗しただと?」
「どうやら返り討ちにあったようです、全員ガーディアンズに拘束されてしまいました」
「ガーディアンズに拘束されたのであるか、皆殺しにされたのではないのか?」
「いえ、救急病院にて身柄を確保されたと」
「我が輩が調べたデータでは刃向かう相手は皆殺し、ゆえに狂犬とあだ名された程のPMだったはずだが…」
コツコツと端末の画面を爪で叩き何事か考え込むドクター。

「狂犬が丸くなったものだな…とは言え、やはりチンピラ風情では無理か」
「我々が出ましょうか?」
「いや、我が輩も事を急ぎすぎていた。ここは別の方向から強化を検討してみるのである」

下がっていいと身振りで伝え、配下が居なくなった部屋で遠い昔を思い出して呟いた。
「狂犬、お前は居場所を見つけたのであるか…我が輩の居場所は、何処であろうな…」
103名無しオンライン:2007/01/29(月) 16:47:50.85 ID:x7ROIeen
本家ナノブラネタの続きキテター
はにゅうううって雌叫びがタマラナイ(*´Д`)
猫耳から戻らなくなったとかそういう話しも見てみたいw

でも、丁度スレが小ビス子萌えで盛り上がっている所にネタかぶりしてしまった…
本家の後にお粗末なネタですが第七話目です。
さっぱり話が進展いたしません、
変だな、クリスマスあたりにスイングバイ軌道に乗せる予定だったのに…

では、仕事サボリ見つかる前に切断しなくては
さらば〜
104名無しオンライン:2007/01/29(月) 22:08:02.02 ID:olqWpDS3
小ビス子は何処でもほんわかだなぁ・・・430が居なくなったら一人で絶対生活できないだろなぁ・・・w


しかし430も相変わらず強いと言うか怖いと言うか
まあ何にせよ

>「いでっ!ケツが!俺のケツがあぁ!」
>「アッ…アーーー!」
ここで何あったのか気になる・・・w
105名無しオンライン:2007/01/30(火) 08:40:55.71 ID:bfofcS0F
駄作確定でもSS書きたいのPCからの書き込みができない俺が来ましたよ

なんかした覚えもないのに公開プロキシ規制ってなんなんだよorz
職人様たちの作品読みながら解除待ちしてます…
106名無しオンライン:2007/01/30(火) 15:12:38.60 ID:52eLhFho
>>105
テキストファイルをうpろだに上げるっていうのでは駄目?
107名無しオンライン:2007/01/30(火) 15:37:36.48 ID:zQl5UrBf
落ちそうで怖い;
108名無しオンライン:2007/01/30(火) 16:27:33.15 ID:chqImPTB
PSUの数少ない良スレage
109名無しオンライン:2007/01/30(火) 16:55:52.52 ID:bfofcS0F
>>106
その手があったか
いつになるかはわからんが書けたらやってみるぜ
110名無しオンライン:2007/01/30(火) 18:03:01.30 ID:L/RTxW7i
このスレ落ちたら俺のPSUも終わりだな

欠かさず見てるぜ
作家さんたちには感謝してる
これからも頑張って欲しいなー
111前スレ534続き 1/6:2007/01/31(水) 00:38:54.54 ID:9+6y6dOh
〜パルム・ホルテスシティ街外れ・墓地〜

ヒュマ男「やれやれ…もうこんな時間か」

傾いた太陽と長く伸びた二つの影。ヒュマ男と410が目的地に到達した頃には、既に夕暮れ時となっていた。

410 「ここが…」
ヒュマ男「ああ、ここがそうだ」

ヒュマ男が410を連れてきた場所、それはホルテスシティの街外れにある、とある墓地だった。
左手に花束を抱えて、右手には410を引き連れて、ヒュマ男はゆっくりと歩いていく。
ヒュマ男は何も語らず、410も何も聞かない。410はただ手を引かれるままに、ヒュマ男の後をついていくだけだ。
どの程度歩いただろうか…ふいにヒュマ男の歩みが止まった。目の前にはあるのは一つの墓石。周りに比べ、明らかに真新しい。
持っていた花束を墓前に添え、ヒュマ男はどこか懐かしそうに呟いた。

ヒュマ男「久しぶりだな、親父」
410 「…お、親父!?だ、だってこのお墓――」

410が驚きの声を上げた理由――墓石に刻まれている文字列にCAST、その四文字が含まれていたからだ。

ヒュマ男「お前の言いたいことはわからんでもない。だが血の繋がりなど、俺と親父の間には些細なことだ」
410 「…そういうもの…なのでしょうか…」

生殖能力の無いキャストという種族は、基本的に子を成せない。それ故に他種族を養子にとるキャストも、僅かばかりだが存在はする。
ヒューマンであるヒュマ男が、キャストの養父を持つことも確かに不可能ではない。とは言え、ここはキャストが支配する惑星パルムだ。
殆どのキャストがヒューマンを劣等種と蔑むこの環境において、ヒューマンを養子に取るキャストなど、相当な変わり者のはずだ。

410 「あの…こんなことを聞くのは失礼かもしれませんが、ご主人様の本当の…いえ、血の繋がりのあるご両親は?」
ヒュマ男「知らんな。瓦礫の山と、俺に手を差し伸べる大きな蒼いキャスト…それが俺の記憶にある、最初の風景だ」
410 「それって昔の記憶が…」
ヒュマ男「そうなるな。とはいえ、もう十年以上も昔の話だ。確かにそれ以前の記憶は無いが、生きる上での支障もない」

410の心配そうな表情を他所に、ヒュマ男は平然としたものだった。彼の口調から、悲壮感は感じられない。
なんとも複雑そうな顔をする410を一瞥し、ヒュマ男は語り始めた。

ヒュマ男「初めて親父と出会った時のこと…今でも鮮明に思い出せる。あの時の俺は、酷く錯乱していてな――」

――周りには瓦礫の山…目の前には蒼いキャスト…頭の中は空っぽで…心にただ不安だけが広がっていた。
風景の一部が動き出した。蒼いキャストだ。その大きな手を差し伸べながら聞いてきた。「大丈夫か?」と。
その手が何を意味するのかが分からず、ただ恐怖した。ただ拒絶した。その想い炎となって、差し出された手を焼いた。
自分でも何をしたのか分からなかった。何故そんなマネが出来たのかも、だ。だが、相手を傷つけたことは分かった。酷く狼狽した。

そんな自分にキャストは静かに言った。「怖がる必要は無い。私はお前の敵ではない」…低くてよく通る声。不思議と恐怖心が和らいだ。
キャストの焼け焦げた手をとり、「ごめんなさい」そう謝った。何度も何度も。やがて何かが頭に触れた。彼の焼けてない方の手だった。
「偉いぞ」キャストはそう言った。「お前は自分の非を認め、私に謝罪することが出来た。ならば私はお前を許そう」
それだけ言うと、キャストはそのままくしゃくしゃと頭を撫でてきた。大きくて温かな手。不安が消え、心が満たされ、そして――

ヒュマ男「――俺は泣いた。それはもうわんわんとな。多分、アレが俺にとっての産声で、人生が始まった瞬間…だったのだと思う」

語り終えたヒュマ男が、昔を懐かしむかのように目を細めた。そんなヒュマ男の横顔を見つめながら、410は言った。

410 「何だか不思議な方ですね…。どこか、ご主人様に似ているかもしれません」
ヒュマ男「似ている…か。少なからず影響を受けているのは間違いない。とは言え俺なんぞ、親父に比べればまだまだ未熟者だ」

普段のヒュマ男らしからぬ謙虚な物言いだった。それでも――と彼は続ける。

ヒュマ男「もしお前の言う通りなのだとしたら、それは俺にとって、とても喜ばしいことだ」

そう答えたヒュマ男の表情は穏やかで、410の目には無邪気な子供の様に見えた。
112前スレ534続き 2/6:2007/01/31(水) 00:40:05.24 ID:9+6y6dOh
410 「親父と呼ぶからには、ご主人様はその…お父様に引き取られたのですよね?」
ヒュマ男「ああ。野垂れ死ぬか、一緒に行くか、好きな方を選べと言われてな。迷う理由なんて無かった」
410 「…きょ、極端ですね。…それで、お父様は結局何者だったのですか?」
ヒュマ男「戦闘を目的として造られた軍用キャストだ。もっとも、他の連中に比べて随分と変わり者ではあったがな」

軍…いわゆる同盟軍――その人員の殆どはキャストであり、自分たちを最も優れた種族とするキャスト至上主義が強く根付いている。
そんな組織にありながらヒューマンを養子に取る…ますます変わり者だ。

410 「ヒューマンを引き取る軍用キャスト…ですか。本当に変わった方です…」
ヒュマ男「違いない。とはいえ親父に言わせれば、「軍用キャストなんてものは、頭の外見も中身も固い連中ばかり」なんだそうだ」
410 「じゅ、柔軟な考えの持ち主だとは思いますが…。それでよく軍用キャストが務まりましたね…」
ヒュマ男「何だかんだで責任感の強い人だったからな。「軍用として造られた以上、軍に殉ずるのは致し方あるまい」そうも言っていた」

やっぱりご主人様とお父様、よく似ています――口にこそ出さないが、410はその思いをますます強める。

410 「お父様のこと、それほど尊敬なされているわけですし、やはりご主人様もかつては軍に?」
ヒュマ男「ああ。深く考えず、親父を手伝いたい、そんな子供じみた理由でな。親父には散々反対されたが無理を押し通した」
410 「反対?何故ですか?」
ヒュマ男「「つまらないからやめておけ」そう言われた。更に言うなら「どうせならガーディアンズになれ」ともな」
410 「ガーディアンズはともかく、つまらないからって……」

あんまりな理由に思わず言葉を失う410。そんな彼女を尻目にヒュマ男は続けた。

ヒュマ男「上からの命令は絶対、軍とはそういう組織だ。今思えば、軍規などというものに俺を縛り付けたくなかったのだろう」
410 「そういうこと…ですか。だとしたら、自由を失うのは自分だけでいい、そんな風に考えていたのかもしれませんね」
ヒュマ男「だろうな。親父の気も知らずに必死に反抗していたのだから……やれやれ、俺も大した親不孝者だ」

ヒュマ男の自嘲気味な物言いに、一瞬どう声をかけていいものか悩む410。少しだけ考えこみ、話題を変えることにした。

410 「…えっと、ご主人様の戦闘技術は、やはりお父様から?」
ヒュマ男「ああ。思想も技能もすべて親父譲りだ。自分で言うのも何だが、俺は筋が良かったらしくてな、教え甲斐があったそうだ」
410 「なんとなく想像できます。ご主人様のお父様も、鍛えるのとか好きそうですし」

いつもヒュマ男にしごかれている410としては、納得のいく話だ。ヒュマ男のその辺りの性格も、父親譲りなのだろう。

ヒュマ男「変わり者のキャストである親父、そしてヒューマンの俺。お互い周りから浮いていたせいもあって、何かというと一緒だった」
410 「一緒に居て、色々なことを学んで…なんだかご主人様、お父様のPMみたいですね」
ヒュマ男「…なるほど、言い得て妙だな」

ヒュマ男はそう答え、ふいに空を仰ぎ見た。ヒュマ男の様子がどこかおかしいことに気づき、410は不安になる。

410 「…あの、ご主人様…」
ヒュマ男「………」

ヒュマ男は答えない。そのまま410に目線を合わせることなく、ぽつりと呟いた。

ヒュマ男「…戦いを生き延びる上で、最後にものを言うもの…それは何だと思う?」
410 「…え?あ…えっと…」

突然の質問に410は焦るが、ヒュマ男の視線は空へと固定されたままだ。

ヒュマ男「能力、経験――そういったものも確かに大切ではある。だが、最後にものを言うのは『強い意志』だ」
410 「…強い…意思…」
ヒュマ男「そうだ。どんなに困難な状況であっても己を信じ、必死に生き抜こうとする強い意志…それが最も大事だと俺は考えている」
410 「…そのことも、やはりお父様から?」

410の問いかけに、ヒュマ男の視線が彼女の方を向いた。だが、それもほんの僅かな間だけ。その視線は再び虚空へと戻された。
113前スレ534続き 3/6:2007/01/31(水) 00:41:14.52 ID:9+6y6dOh
ヒュマ男「…ああ。それが親父からの最後の教えであり――」

ヒュマ男の手に、無意識の内に力がこもり、410の手を締め付けた。

ヒュマ男「――俺はそのことを…親父の死と引き換えに、学ぶこととなった…」
410 「……っ!」

410は思わず息を呑み、こわばった顔をヒュマへ向けた。ヒュマ男はようやく410に視線を合わせ、そして尋ねた。

ヒュマ男「SEED襲来の際、侵食された土地を浄化するために取る手段…お前もそれくらいのことは知っているな?」
410 「…は、はい。対侵食用装備の使用…ですよね?」
ヒュマ男「ガーディアンズにおいてはそれが一般的だな。だが、軍が使う手段はもっと大雑把なものだ」
410 「…浄化爆撃のこと、ですか?でもそれは…」
ヒュマ男「ああ。被害を最小限に食い止めるため、侵食エリアを直接的に焼き払う」
ヒュマ男「確かに手っ取り早い手段ではあるが、逃げ遅れた人員が残って居ようがお構いなしだ。そこに居るのが軍の者でも同様にな」

その言葉を聞いた410の背筋に、薄ら寒いものが走る。

410 「それって――」

ヒュマ男はコクリと頷き、

ヒュマ男「よりにもよって作戦中にSEEDが襲来してきてな、その上侵食された無数の原生生物達に、完全に足止めを食らってしまった」
ヒュマ男「身動きが取れぬままタイムアップだ。砲撃音が鳴るたび、視界はどんどん炎に包まれていった…」

そこまで言うと、ヒュマ男僅かに歯噛みし、そして続けた。

ヒュマ男「爆撃から俺を庇って、親父は逝ったよ。焼け爛れた両腕だけを残してな。始まりも終わりも焼けた腕…なんとも皮肉な話だ」

淡々と語るヒュマ男の言葉に、410はいきり立つ。

410 「それじゃあ、お父様、軍に殺されたも同然じゃないですか!?そんなのって――」
ヒュマ男「それは違う!」
410 「……!?」

鋭い声とともに、410のセリフが遮られた。ヒュマ男の強烈な視線に射すくめられ、410は何も言えなくなってしまう。

ヒュマ男「あの時の俺は諦めていた。自分の命も、親父の命も。守ることを放棄して、親父と死ねるならそれでいい。そう思っていた」
ヒュマ男「…だがな、親父は諦めてはいなかった。最後の最後まで、俺を守ろうとした。結果は…この通りだ」

ヒュマ男の視線が墓石へと向いた。結果は言うまでも無い。ヒュマ男は生き延び、彼の父親は死んだのだ。

ヒュマ男「もしあの時、諦めたりしなければ…自分を信じきる事が出来たならば…何かが、何かが変わっていたのかもしれない…」

ヒュマ男の絞り出すかのような言葉から、410は彼の苦悩を感じ取った。
ヒュマ男が戦闘に関して、絶対の自信を持つ理由…そして、410に泣き言を許さず、彼女を厳しく鍛えていた理由…。
それは、自分の心の弱さが父親を殺した――その自責の念からくるものではないか、410にはそう思えた。
114前スレ534続き 4/6:2007/01/31(水) 00:43:05.24 ID:9+6y6dOh
二人の間に暫しの沈黙が流れた。
ヒュマ男は黙して語らず、410はそんなヒュマ男をただ悲しげに見つめていた。
ふいに、410はヒュマ男と繋いでいた手に、もう一方の手を重ね合わせた。更にそれを、自分の頬に押し当てる。

ヒュマ男「…どうした?」

ヒュマ男の問いかけに、410は頬からゆっくりと手を離した。そして、彼を見上げて言った。

410 「…私は、お父様に感謝しなくてはいけませんね…」
ヒュマ男「感謝?」

410はコクリと頷き、

410 「お父様がご主人様を守ってくれたから、ご主人様は生き延びることが出来ました」
410 「ご主人様が生きていてくれたから、私はご主人様に出会うことが出来ました。だから――」

そこで言葉を区切り、微笑を浮かべると、410は言った。

410 「――だから…感謝、です」

話を聞いていたヒュマ男が、軽く目を伏せ、小さく息を吐いた。呆れと苦笑が入り混じった、そんな一息。
彼は目を開き、410の頭に手を置くと、

ヒュマ男「そうだな。俺が今こうしていられるのは、親父のお陰だ。感謝すべきだろうな」

そう言って、そのまま撫でてやった。410は、更に嬉しそうに笑い、それに答えた。

410 「…はい」

その笑みに、ヒュマ男は満足そうに頷き返し、話を戻した。

ヒュマ男「…親父を失った俺は、軍を捨てた。親父が居ない軍になど、もはや何の未練も無かった」
ヒュマ男「大切なものを失い、信じられるものは自分だけとなって――。孤独に苛まれたが、それでも俺は、生きねばならなかった」
ヒュマ男「救われた命をみすみす捨てるようなマネだけは、絶対にしたくなかったからだ」
410 「………」

再び悲しげな顔をする410。そんな彼女に、心配するなと言いたげにヒュマ男は首を振り、

ヒュマ男「そこから先は……今更語る必要もあるまい?」
410 「…ご主人様はガーディアンズとしての道を選んだ。…そして、教官さんと420さんに出会ったのですね」
ヒュマ男「ああ。教官とチビ助には本当に感謝している。二人のお陰で、俺は一面的ではなく、多面的にものを見れるようになった」
ヒュマ男「相手を受け入れる事を覚え、『友』と呼べる存在を、そして、新しい『生き甲斐』を手に入れることが出来た」

ヒュマ男が教官たちに深く感謝している事を、410は改めて理解する。そして410自身、彼女らに感謝する。
主人であるヒュマ男を救い、希望を与えてくれた事に。心のどこかで二人に嫉妬していた事が、今となっては恥ずかしい。

ヒュマ男「…いつしか俺も、教官の元から一人立ちして、お前を育て、鍛え、今こうして一緒にいる」
410 「…は、はい」
ヒュマ男「お前には本当に手を焼かされた。泣き言は多い、つまらんことばかり覚える、やたらと慌て者の上に結構なうっかり屋だ」
410 「あ、あうぅ…」

ヒュマ男の評価ははっきり言ってかなりの酷評だった。410としては悲しげに呻くしかない。だが…

ヒュマ男「…そんなお前だったが、いつだって俺について来てくれた。どんな時であろうと、俺を信じ続けてくれた」
410 「…ご、ご主人様?」
115前スレ534続き 5/6:2007/01/31(水) 00:43:53.76 ID:9+6y6dOh
再びヒュマ男の腕が伸び、そのまま410の頭にポンと置かれた。

410 「え、あ、あの…」
ヒュマ男「お前は言っていたな「ご主人様に何もしてあげられない」と」

パルムの西地区で、410がうっかり漏らした言葉。その言葉を再び引き合いに出され、思わず410は口ごもる。

410 「…そ、それはその…」
ヒュマ男「だが、そんなことはない」
410 「……え?」
ヒュマ男「そんなことはないんだ」
410 「で、でも…」

戸惑う410を無視して、ヒュマ男は言った。

ヒュマ男「息子というだけで、無条件に俺を守ってくれた親父――その存在を失って、本当に辛かった」
ヒュマ男「だが、俺はこのガーディアンズにおいて、PMという存在を得ることが出来た。今の俺の側には、いつもお前が居てくれる」

ヒュマ男の言葉に、410は首を横に振りながら答えた。

410 「で、ですが私は、まだまだ未熟です。お父様のようにご主人様を守れるとは、到底思えません」
ヒュマ男「当然だ。親父とお前は違う。親父を一人前とするなら、俺は半人前。そして、お前はせいぜい四分の一人前がいいところだ」
410 「よ、四分の一……あうぅ…」

遠慮の無い物言いに、思いっきり凹む410。それにかまわずヒュマ男は続けた。

ヒュマ男「それでもな、お前は俺を慕ってくれている。いつでも、どこでも。お前の主人であるという理由だけで、無条件に」
ヒュマ男「親父を失った俺にとって、それがどれだけ大きな意味を持っていたか分かるか?」
ヒュマ男「410…お前はな、俺をずっと救っていたんだ。今までずっと。そして、今この瞬間もだ」

思いがけない言葉だった。410は信じられない、そう言いたげな表情を見せ、

410 「わ、私が、ご主人様を救っていた?」
ヒュマ男「ああ」
410 「…あの、ほ、本当に?」
ヒュマ男「お前の主人は、つまらんウソをつくような男か?」

ヒュマ男にそう言われ、410はぶんぶんと首を横に振った。それこそ千切れんばかりにだ。

ヒュマ男「ならば、そういうことだ」

ヒュマ男はそう言って締めくくり、410は「私が、ご主人様を救っていた」と小さく呟いた。更にその言葉を、何度もかみ締める。
ふいに410は黙り込み、その肩が小さく震えだした。

410 「……う…」

自分がヒュマ男を救っていた――その事実が、心の奥底まで染み渡った。喜びからか、思わず涙がこぼれそう落ちそうになる。

ヒュマ男「…随分とおかしな顔をしているな」
410 「…う…ううぅう…」

必死に涙を抑えようとしているのに、ヒュマ男ときたら相変わらずの物言いだ。
そのせいで、涙はこんもりと盛り上がり、今にも瞳から溢れそうになる。
そんな410に対し、ヒュマ男はしゃがみこんで目線を合わせると、その両腕を大きく開いてみせた。
116前スレ534続き 6/6:2007/01/31(水) 00:45:03.96 ID:9+6y6dOh
410 「……うく…ご主人…さま?」

ヒュマ男の行動が何を意味するのかが分からず、戸惑う410。そのことに業を煮やしたのか、ヒュマ男は強引に410を抱きすくめた。

410 「……っ!?」
ヒュマ男「いい加減無理をするな。お前のその小さな身体では、溜め込んだところでパンクするのがオチだぞ」

その上そう言われては、もはや限界だった。今まで溜め込んでいた涙が、堰を切ったようにあふれ出す。

410 「……うっく…ひっく……えぐ…う、うわあああぁぁぁん!!!」

止まらない涙、だが、もう止める必要も無い。今は好きなだけ泣いていいのだ。今はヒュマ男に、好きなだけ甘えていいのだ。

410 「…ひっく…よ、よかったよぅ…わ、わたし…よかったよぅ…」

わんわんと泣き喚く410。そんな彼女に呆れながらも、ヒュマ男の瞳は優しい。その髪を撫で付けながら、静かに語りかけた。

ヒュマ男「なぁ、410。お前はもっと、自分の意見を俺にぶつけるべきだ」
ヒュマ男「俺のPMであるお前には、その権利があり、お前の主人である俺には、それを聞いてやる義務がある。そして何より――」

そこで一旦言葉を区切り、軽く目を伏せ言葉を紡ぐ。

ヒュマ男「――俺自身が、それを望んでいる」

泣きじゃくる410には、ヒュマ男の言葉に返事を返すことは出来なかった。代わりに、ヒュマ男の体を強く抱きしめる。
正直ヒュマ男にとっては痛いくらいの抱擁。それでも彼は、その抱擁を黙って受け入れた。それもまた主人としての義務、そう考えて。
いつまでも泣き続ける410を、黙ってあやし続けるヒュマ男。
今の状況に不思議な既視感を覚えつつ、ヒュマ男は410の頭を撫で続けていた。

****

太陽は既に姿を隠し、重なって一つになった二人の影も、半ば闇に溶けかけていた。
泣き疲れ、ヒュマ男の腕の中で眠っている410。その重みを感じながら、ヒュマ男は思う。

一度失ったものは二度とは戻らない。だから大切なものは、どんなことがあろうと必ず守りきらなくてはならない。
だが、届かぬ思いもある。適わぬ願いもある。それが現実だ。時には力及ばず、大切なものを失うことも起こりえる。
それでも、生きてさえ居れば、再び手に入れることは可能なのだ。同じものは無理でも、違う形でなら、それを手に入れることが出来る。

そう、自分は手に入れることが出来た。主人である自分を慕ってくれる、腕の中のPM(コイツ)を。

ヒュマ男は父が眠る墓石を見つめ、語りかけた。

ヒュマ男「今の俺の姿を見て、父さんは笑うかな?」
ヒュマ男「…いいや、ごめん。父さんはそんな人じゃなかったね」
ヒュマ男「コイツはさ、正直出来の方は今ひとつだけど、それでも主人想いの『いい子』なんだ」

ヒュマ男の言葉遣いは、いつものものとは違っており、その表情には、微笑が浮かんでいた。

ヒュマ男「ありがとう、父さん。俺の命を守ってくれて」
ヒュマ男「父さんのお陰でガーディアンズとなって…コイツの他にも、沢山のものを手に入れることが出来たよ」
ヒュマ男「本当に、ありがとう…」

ヒュマ男はゆっくりと立ち上がった。腕の中の410を起こさぬよう気遣いながら。墓前に向かい、最後に別れの挨拶を。

ヒュマ男「じゃあね、父さん。…また、来るよ」


…エピローグへ
117116:2007/01/31(水) 00:50:22.84 ID:9+6y6dOh
話がグダグダ…それと必死に削ってるつもりでも、文章がどんどん長くなるのはなんでなんだろう…

何気に文もかくけど、絵もかいちゃうぜって人結構いるのね…
それとオールスターの作家さん、小ビス子&430の作家さんお帰りなさい
あと悪キャス悪パシリのラストが気になっているのですが、まだかかるのかな?
118名無しオンライン:2007/01/31(水) 04:20:10.09 ID:ZtfxJjeS
>>116
やばい、ヒュマ男やばい…かなり熱い内容すぎて目から汗が・・・なんでだろ
とにかくGJ!!
最後のヒュマ男が父にしゃべりかける言葉使いとかモーーーーツボだわ
エピローグ期待してます!ヽ[゚∀゚]ノ

で、ヒュマ男の外観ってどんな感じなのかが気になる所、想像にお任せしますだと涙が出そうになるので
教えてくれると鼻血ものです。
119前スレ105:2007/01/31(水) 11:57:43.59 ID:3ReH2rQ+
「いらっしゃいませー!」

明るく元気な声が小さな店内へ響き渡る。
新しく入店してきたヒューマンの青年を、小さな影が出迎える。

「…て、ヒュマ助。おかえりなさい!」
「ただいま、422。店番お疲れ様」

すっかりお店の看板娘が板についてきた422。
420の頃からも店に来る常連の人々のマスコットだったが、
422になってからはますますの人気っぷりである。

「お帰りなさいませ、ヒュマ助様。お疲れ様でした」

奥からカッポウギ姿の442が顔を出した。
440もいまやヒュマ助のいない時の厨房として、442になり頑張っている。
相変わらず、ニューディズ文化を愛しているのは、440の頃と変わらない。

「ただいま、442。お客様方も…ヒュマ助、只今戻りました」

笑顔で会釈するヒュマ助。店に来ているお客も口々に彼におかえり、と声を掛ける。

「それはそうと…」

こちらも相変わらずのヒュマ助のお土産話。442も422もこれが好きだったりする。

「今日、食材を買いに他のガーディアンズのショップを回ったんだ」
「格安のお店等、良心的な店舗が多いですよね」
「うん。凄く親切で安く売ってくれたキャストさんがいてね…」

そういって、彼が掲げた手荷物には、食材が沢山入っていた。

「いいお方でしたね。是非ともお店にご招待したい程です」
「うん。今度遊びに来てね、っていったら喜んでたよ。でも…」

歯切れの悪い終わり方をして、うーん…と首を傾げるヒュマ助。

「何か問題でもあったの?ヒュマ助…」
「いや、何であの人の頭に、コメツタラが刺さっていたのかなぁ…って」

442と422はその光景を想像し、唖然とする。ヒュマ助は「ん〜」と首を傾げ続けた。
120前スレ105:2007/01/31(水) 12:02:47.84 ID:3ReH2rQ+
>>116
い、いいお話だ…;ω;ブワッ
ヒュマ男の最後の口調変化の部分が…クる…

ウチのヒュマ助はネタキャラ住人認定を受けたくらいなので…
そんな「いい過去」無い…
あれ、なんか暖かい物が目から…
121名無しオンライン:2007/01/31(水) 13:04:00.28 ID:9KTY7iRR
なければ作るんだ!
122名無しオンライン:2007/01/31(水) 13:13:41.47 ID:UEy/ZFS0
料理好きになったキッカケとか
ニューデイズ文化贔屓の原因とか
440の支給初日とか

ないって事は作れるって事だぜ
123前スレ105:2007/01/31(水) 13:20:34.63 ID:3ReH2rQ+
>>121
そうだな…その意気だった…

>>122
ネタ扱いされると書かないつもりだったんだ…実際
書くか…ネタ扱いを恐れてたら、何も変わらない。

私…やってみるよ…
124名無しオンライン:2007/01/31(水) 16:52:17.87 ID:4NaiYh37
>>119
> 「いや、何であの人の頭に、コメツタラが刺さっていたのかなぁ…って」
> 442と422はその光景を想像し、唖然とする。ヒュマ助は「ん〜」と首を傾げ続けた。


ヒュマ助「あの・・・、頭にコメツタラが刺さってますが」
箱「ヴィロギス・セットです」

ヒュマ助「え?、でもヴィロギス・セットって頭じゃなくて背中に棒があr」
箱「ヴィロギス・セットです」

ヒュマ助「・・・」
箱「ヴィロギス・セットなんです」

ヒュマ助「は、はぁ・・・そうなんですか」
箱「そうなんです」


っとこんなやりとりがあったとかなかったとか・・・。
125名無しオンライン:2007/01/31(水) 17:51:09.36 ID:xi1D9+l8
という箱は涙目だったそうな
126名無しオンライン:2007/01/31(水) 20:24:29.91 ID:iMwWGu9Z
>>117
墓場で父親に話しかけてる所のヒュマ男がかっこよすぎる・・・w
このかっこよさには勝てんなぁ・・・w

エピローグも期待w

>>119
割烹着姿の442とかエプロンでお膳を運ぶ422とか見てみてぇ・・・w

しかし箱はしかられて店番させられてたところだったんだろうかw
127名無しオンライン:2007/01/31(水) 22:45:40.00 ID:fHHHc3GW
>>86
>アレか、猫並に身軽になってジャンプ力が上がるから、目の前に吊された魚も楽々ゲットなのか!

あぁぁぁ、大きな男の人が目の前でプラプラさせたおさかなと小ビス子です。

ttp://moemi.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2225.jpg


自分のネタを練らないと・・・・・。
128名無しオンライン:2007/01/31(水) 23:26:41.98 ID:rx9FD7p3
>>127
尻尾カワエエw
絵を描けるのはうらやましいな。
何かを書けるっていう文才も憧れるぜ、ROMってるだけでもしあわせ。



でもこのわずらわしさはなんだろう?何か行動に移さないといけない気が(´・ω・`)
129名無しオンライン:2007/01/31(水) 23:27:01.87 ID:9KTY7iRR
>>124
コメツタラが刺さってたキャストって箱だったのかwww
130名無しオンライン:2007/02/01(木) 04:08:33.96 ID:wSDNXimb
メンテ前だしもっさりと投下してみる
萌えもなければかっこよさも欠けているがなッ!!!w
131炎の追憶 9:2007/02/01(木) 04:09:36.21 ID:wSDNXimb
―パルム山岳地帯麓

「ぉぐ… お…………の……」
ヒューマン兵の、最後の断末魔が空間に染み渡り、消えていく。
「ジェイド……敵残存兵力は」
周囲を見回しながら、両手に一対のソードを携えた紅いキャストが尋ねた。

その問いに、周囲の反応を検索していた緑色のキャストが答える。
「はい…どうやら撤退したようですね。このエリアの制圧はほぼ完了したと思われます」
その言葉に、ツインソードを収め、部下に指示を与える紅いキャスト。
「今日はここで野営をする。明日早朝にラフォン草原の野営基地制圧に向かう。各自メンテナンスと補給を怠るな」
「はッ!」
その言葉に答える多数の声。
がちゃがちゃと金属などのぶつかり合う音と共に、どこからともなく若干の安堵感が湧き上がる。

「隊長…」
暫らくして、緑のキャストが紅いキャストに声をかける。
「なんだ」
武器を手入れする手を止めず、その武器に視線を向けたまま答える紅いキャスト。

「今回の作戦…よろしいのですか?」
「不満か?」
「不満というよりは…疑問ですね。この戦力であの基地を攻めるのは、少々骨が折れるかと……」
紅いキャストの横に片膝を付き、回りの兵に聞こえないように小声で話すジェイド。
「……今更だな、ジェイド。お前なら俺がどう答えるか理解していると思うが?」
そういって紅いキャストは武器の手入れを続けながら、少し視線を彼に向け、すぐに戻す。

「……はは、そうですね。伊達に長く隊長の下にはついていません」
ジェイドが少し、にやりと笑う。
「そうだ。不満だろうが疑問だろうが、それが『命令』だ」
『命令』の部分に少し力が入る。
「はは、やはりそう仰いますか…」
呆れたような、予想通りのような複雑な苦笑いを浮かべるジェイド。
「当たり前だ。兵士ならば命令に従うのが当然だろう。それとも何か?貴様も『自由』がどうこう言いたいのか?」
少し不機嫌そうに答える紅いキャスト。

そんな彼の珍しい台詞に驚きながら、ジェイドが言葉を返す。
「まさか。私も兵士ですよ。そのあたりはわきまえています」
「そうか、ならいい」
手入れの終わった武器を仕舞い、一息つく。
その様子を見、ジェイドが疑問を投げる。
「『貴様も』と仰いましたが、何かあったんですか?」
相変わらず不機嫌そうな声で紅いキャストが答える。
「……最近どうもな。 陳腐な言葉を立て続けに聞くと機嫌も……」
悪くなる、と続けようとしたところに、何かをぶち撒けるような音と、短い悲鳴。
何事かと二人が音の源を探す。
132炎の追憶 10:2007/02/01(木) 04:11:20.82 ID:wSDNXimb
「おい……なにをやっているんだ!」
兵士の声がする。
「あ、あ、す、すみません! い、いま片付けますからっ!!あ、あわわ……」
場違いな女性の声。

「あの女型…来ていたのか」
紅いキャストが、散乱したペロリーメイトなどのレーションをわたわたと拾い集める女性キャストを一瞥して尋ねる。
「はい。まだ雑用という立場ですが、一応」
ジェイドの答えに、少し呆れたように答える紅いキャスト。
「…奴のために兵は割けんぞ……」
その言葉に、少し笑いながら
「はは、大丈夫ですよ。結構熱心に訓練してましたし、入隊時よりも戦闘能力は上がっています」
ジェイドがそう答える。
「ならいいのだが…」
憮然という表情。先日のあの女を思い出すと、かなり不安が残る。

と、二人の聴覚センサーに、近づく小さな足音。
「あの〜、お食事は行き渡り…… あ……っ」
語尾が少し怯えたような女性キャストの声。
闇で気付かなかったのか、近づいてそのボディカラーに初めて気付いたようだ。
紅いキャストからのじろりと向けられる視線。
「あ、あの……っ! えと、その、お、お食事は……」
「まだだ」
紅いキャストの低い声。
「は、はいっ!えと、その、こ、これです……っ!」
鞄の中から二人分のレーションを恐る恐る差し出す女性キャスト。

「ああ、ご苦労様。」
紅いキャストの雰囲気に怯える彼女を気遣ってか、ジェイドが立ち上がり二人分のレーションを受け取る。
「ありがとう。こっちは勝手にするから、もう行っていいよ」
「……あ、は、はい……! え、えと、し、失礼しましたっ!!」
ジェイドのフォローで少し安心したのか、時々振り返り紅いキャストの背中を見ながら、
とてとてと小走りでその場から離れる女性キャスト。
「はぁ……」

なんだか疲れたような溜息が一つ。
「駄目ですよ隊長。 何意味もなく威圧感出してるんですか…… あの子、怖がってましたよ?」
再び紅いキャストの隣に座り、受け取ったレーションを差し出す。
それを受け取りながら相変わらずの口調で紅いキャストが答える。
「別に何もしてはいない。勝手に向こうが怖がっているだけだ」
受け取ったものの包装をぺりりと開封して、中からペロリーメイトを取り出す。
そして口部装甲を展開し、一口齧る。

「そうですか? 隊長、女心がわかんないからなあ…… なんかやっちゃったんじゃないですか?」
また一口齧ろうとした紅いキャストの口が、ペロリーメイトを挟んだまま止まる。
この紅いキャストにこんな口が叩けるのも、この部隊では彼……ジェイド一人だけなのだろう。
他の兵士ではこうはいかない。……怖すぎる。
133炎の追憶 11:2007/02/01(木) 04:11:58.07 ID:wSDNXimb
「……」
返ってきたのは沈黙。それになんとなくピンとくる。
ジェイドに浮かんでくるのは、気まずそうな表情。
「ま、まさか…………図星……ですか……?」
ジェイドの台詞に紅いキャストはジロリと視線で返して、咥えていたペロリーメイトを齧る。
「隊長…… 彼女も一応この部隊のメンバーですよ? 関係をこじらせてどうするんですか……」
「知らん。俺は『訓練をしろ』と言っただけだ。何も妙なことは言ってはいない」
ぶっきらぼうに答える紅いキャストをジト目で非難するように見るジェイド。
「ホントですか?」

紅いキャストは、最後に残った一片を口に放り込み、飲み込んでからその問いに答える。
「ああ。 あとはそうだな…… 食事を作らせろとか言ってたな……」
「…で、なんて答えたんですか?」
なんとなく解るが、あえて聞いてみる。
「くだらん。そんな提案を受ける必要があるのか。
 そんな無駄なことをする暇があったら訓練をしたほうがよっぽど有意義だ」
「やっぱり……  駄目ですよ、女性にそんな冷たい態度取っちゃ…」
「……」
やはり無言。と、ふとジェイドが何かに気付く。

「それにしても……」
「何だ」
「隊長、今日はやけに饒舌ですね」
そんな言葉に、紅いキャストは少し逡巡してからぼそりと答える。
「……たまにはそういう日もある」
そんな台詞にやれやれという表情のジェイド。
「……隊長も……少し後ろめたかったんじゃないですか?」
「……何のことだ」
「……いえ、別に」
暫らくの沈黙。

と、唐突にすっと立ち上がる紅いキャスト。
「隊長? どちらへ?」
「見回りだ」
そういってその場から去る紅いキャスト。
「相変わらずですねえ……」
そう言ってジェイドは空を仰ぎ見る。
満天の星。明日は晴れだろう。
いや、晴れのち雨か…おそらく、赤い、赤い血の雨が降る。
そして彼は、自分のテントへと向かう。 明日は……激戦になるだろう。
134炎の追憶 12:2007/02/01(木) 04:12:57.40 ID:wSDNXimb
「よしっと。片付け終了!」
ぽんっと箱を叩いて一息つく女性キャスト。
「えーと、次は……」
次の作業に取り掛かろうとした時、唐突に背後から声がかけられる。
「おい」
「ひぁ!?」
短い悲鳴。慌てて声の方を見る女性キャスト。
そこには紅いキャストが立っていた。

「あ、た、隊長………… な、何か御用……ですか?」
先日のこともあってか、女性キャストが恐る恐る尋ねる。
「貴様に一つ作業を命じる」
突然の指令に女性キャストが身を固くする。
「は、はい! なんでしょうか!?」
「……この作戦終了後、食事を一人分作れ」
妙な指令に首をかしげる女性キャスト。
「は……はぁ…… えっと、どなたに……」
「……俺だ」
「………………はぁ……」
ぽかんとした表情の女性キャスト。
それを見た紅いキャストは少し苛立った声で言う。

「解ったのなら復唱しろ」
「は、はいっ! さ、作戦終了後、隊長のお食事を一食お作りします!」
あまり似合わない敬礼をして、指令を復唱する女性キャスト。
「以上だ」
一言を残してその場を去る紅いキャスト。
その場には女性キャストが一人、まだ状況を理解していないような表情でぽつんと取り残された。

「…………まったく……何故俺がこんなくだらんことを…… 面倒な……!」
ぼそりとそう呟くと、紅いキャストは自分のテントへと向かう。
今日のような日は、早く寝るに限る。戦闘よりも厄介な作業に、彼は心底疲れていた。

つづく
135名無しオンライン:2007/02/01(木) 04:23:15.90 ID:wSDNXimb
どうしよう、まるで終わる気配が無いorz
ごめんね、超ごめんねw

>>51
>ところでキャストも酒に強い弱いがあったりするんだろうか

きっとあるさ!あったほうが面白いからなっ!w

>てか個体差は誰が決めてんだろ・・・w

作者w
136先生と僕 1/7:2007/02/01(木) 12:51:18.68 ID:eBLUQdl8
「これでよし…っと」

閉店後、器具の片付けや掃除を終えたヒュマ助。
442と422も雑巾を絞っている。

「442、422、お疲れ様。後は僕がやっておくから…」
「ほーぃ!ヒュマ助、お疲れ様〜」
「お疲れ様でした、ヒュマ助様」

そう言って、小さな家族達はお店の奥のマイルームへ戻っていく。
ふと、ヒュマ助は壁に掛けた時計を見た。

「もうこんな時間かぁ…。早く、二人の夕食を作ってあげて…」

時計の掲示板に表示された日付、それを見て…彼は気が付く。

「そっか、今日は…」
137先生と僕 2/7:2007/02/01(木) 12:51:49.78 ID:eBLUQdl8
「頂きま〜す♪」
「頂きます」
「はい、召し上がれ」

何時もの食卓、何時もの閉店後の光景。
二人でお手伝いしたヒュマ助の作った料理を囲んで、夕食の時間。

「はむ、はむはむはむ!ハグハグ…」
「422、お行儀良く食べなさい?」
「むぐむぐ…だって、442〜。ヒュマ助のご飯…むぐむぐ…美味しいし」
「食べながら喋らないの。まったく…」

何時もの事。美味しそうに頬張る422と、それをみてお小言をする442。
422の頬っぺたにつけたご飯粒を取ってあげる442。照れる422。
それを見つめるヒュマ助の、幸せそうな笑顔。
…しかし、その日は少しだけ違った。

「はれ…?んぐんぐ…ヒュマ助、どうしたの?食べないの?」

422が気づく。何時もなら嬉しそうに微笑んで一緒に食卓を囲む彼。
だが、今日は微笑んでいるが、料理に手をつけないでいる。

「御身体の具合でも、優れませんか…?」
「え!?ひ、ヒュマ助病気なの!?」

心配そうに見つめる442。食事を中断して驚く422。

「い、いや。ちょっと…思い出していて…」

そういって、何時も通りに笑うヒュマ助。二人も安堵の吐息を漏らす。

「何か、重要な事でも御座いましたか?」
「何何、ヒュマ助〜、何を思い出したの〜?」

442は事務的に、だが422はいかにも興味津々といった様子だ。

「あはは、大した事じゃないんだけどね」

そういって、懐かしむように目を細めるヒュマ助…

「僕の、『先生』の誕生日なんだ。今日は…」
「先生…?」
「ヒュマ助様の、指導教官様ですか?」

二人のパートナーはヒュマ助の言葉に聞き耳を立てる。

「あはは、そんな大したモノじゃないんだよ。ただ…」

そういって、優しくも少し寂しそうな顔をするヒュマ助。

「僕が小さい頃から、僕を育ててくれたたった一人の恩人なんだ」
138先生と僕 3/7:2007/02/01(木) 12:52:20.21 ID:eBLUQdl8
―幼い日…………

少年の母親は、少年が物心付かない内に他界した。
少年の父親は、少年が少しだけ多きなった頃に、他界した。
二人とも、ガーディアンズとして誇り高い「名誉の殉職」だった…

「お前が、アイツのガキか…?」

葬式の日。一人で俯いていた幼いヒュマ助の前に、一人の女性が立っている。

「だぁれ…?お姉さん…」
「お前の親父の知り合いだよ。なんていうか…相棒(パートナー)だな」

そういって、ヒュマ助の横にドサっと座る女性。長身の、ビーストの女性だった。

「お父さんを…知っているの…?」
「あぁ、嫌になるほどな。アイツの癖から、趣味の一つ一つまで」

はは…と笑いながら、ヒュマ助の頭をグシグシと撫でる女性。その手は、優しかった…

「アイツがまさか、いっぱしにガキこさえてるなんてな…」

そう言った女性の目は、子供にも解るほど…寂しさであふれていた。

「どうりで、ツれなかったわけだ…。母親は…だろ?」
「うん…」
「いい女だったしな…優しくて、アタシより数段綺麗だった…」

胸元から煙草を取り出すと、片手はヒュマ助を撫でたまま、もう一方の手で火をつけた。

「お前の親父から、お前の事を頼まれたんだよ…アタシは」

女性も俯いている。その表情はもう、見ることは出来ない。

「今日から、アタシがお前の家族だからな…」
「…うん………」

―その日、その女性が僕の家族であり、『先生』になった…
139先生と僕 4/7:2007/02/01(木) 12:52:43.92 ID:eBLUQdl8
「凄いや、先生って…何でも出来るんだね!」

先生は女手一つで僕を育ててくれた。先生もガーディアンズだった。

「何でもはできねーよ。神様でもあるまいし」
「でもでも、僕よりいーっぱい、色んな事出来るよねっ!」
「ま、まぁな…お前より年くってるんだし…」

先生は子供である僕の世話に四苦八苦していた。子供心に、それは解った。
だから、僕も先生に迷惑をかけないように、立派な大人に早くなりたかった。

「ヒュマ助、これ…お前が作ったのか…?」

テーブルに並んだ不恰好の料理。どれもこれも、異様な姿だった。

「ごめんなさい…僕、先生のお誕生日だし…ご馳走をと思って…だけど…」
「い、いや、いいんだ。謝るなよ…!」

そういって、先生は食卓へ座ると、無造作にその異物を口へ運んだ。

「ぐっ…」

表情がこわばる。口元が歪む。子供でも解る。「この料理はまずい」

「せ、先生…」
「う、うまい、うまいぞヒュマ助…!初めてにしちゃ上出来じゃないか…」

我慢しているのがわかった、辛そうだった。それでも…
引きつる笑顔で「美味しい」といってくれた。その目は、優しかった…

「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「ほ、ほら、泣くなよ…!?…つ、次、そう、次頑張ればいいじゃねーか!」

―失敗に泣いた日。翌日、目が覚めると枕元に平仮名で書かれた調理書があった
140先生と僕 5/7:2007/02/01(木) 12:53:19.12 ID:eBLUQdl8
「先生!やった、やったよ…!僕、調理師のライセンスがとれたんです!」

背も伸びて、いっぱい勉強して、沢山先生と笑って…そんなある日。

「おぉ、やったじゃねぇか!」
「うん!今夜は腕によりを掛けてご馳走を作りますから!」
「はは、そりゃ楽しみだな。お前のメシはうめぇからな」

そうだ、この声…この優しい声が、大好きだった。
僕は先生がいたから、こうして誰かに料理を食べてもらう幸せに気づいたんだ。

「しっかし、お前もずいぶんでかくなったなぁ…」

しみじみと食卓で呟く先生。その目には、懐かしむような、暖かい光があった。

「先生のお陰ですよ。僕一人で、育ったわけでは…」
「ったりめーだろ。お前の親父に感謝されたい程だぜ?」

ははは、と笑う先生。でも、その笑顔には寂しさが映っていた。

「先生、僕は…独立して、飯店を構えたいと思っています」
「…そうか」

言葉が無くなる。食事の手は進まない。微妙な空気だけが流れていく。

「…ふぅ、お前もお前の親父に似て強情だからな」

ため息をついた先生。やれやれと僕を見つめる。

「好きにしな。但し、男が一度口にしたんなら最後までやり通しなよ?」
「はい…!僕は、僕のお店で沢山の人に笑顔で食事をして欲しいんです!」
「いい目標だ、立派な夢だ。…、ま…頑張りな」
「…はいっ!」

僕の目標が決まった。僕の夢が決まった。先生に、恩返しがしたかった。

「オープンしたら、先生を是非招待致しますね!」
「はは、いいな、それ。フルコースの一つもご馳走になろうか」
「勿論です。先生はいつだって大歓迎致しますよ」

そういって、笑いあった。先生にやっと恩返しが出来る時が来た。
僕は全力で夢を追うことに決めた。僕は一人前の姿を先生に見せると約束した。

―僕が先生から独立した数ヵ月後、先生が病院に担ぎ込まれた事を知った…
141先生と僕 6/7:2007/02/01(木) 12:53:46.90 ID:eBLUQdl8
「え…そ、それじゃぁ…」
「まさか…その方も…」

442と422は互いに顔を見合わせる。その話の流れからすれば…その人は…
寂しげなヒュマ助の表情が、全てを物語っているかの様だった。

「ん…先生はね…もぅ…」
「死んでねぇよ。勝手に殺すな、ヒュマ助」

唐突に部屋に聞こえた女性の声。442と422は声の方向に振り返る。
…と、部屋の入り口に佇む長身の女性。見れば、種族はビーストか…

「あ、先生。ご無沙汰しております」
「ったく、人様をメールで来いとか呼びつけておいて、勝手に殺すなよ」
「やだなぁ…話を面白くするスパイスじゃないですか…w」

ははは、と笑うヒュマ助。それを呆れ顔でぽかりとはたく女性。

「何にせよ、お誕生日おめでとう御座います、先生」
「あーぁー、あんまり年くうのも今じゃ嬉しくないっつーの…」

そういいながらも、ヒュマ助の横に腰を下ろす女性。表情は笑顔だった。

「てか、誕生日ごときで大げさな奴だな…」
「約束したじゃないですか、招待しますって」
「あぁ、んな約束もしたなぁ…」

しみじみと、思い出しながら苦笑いする女性。

「そうですよ。フルコースなんでしょう?」
「はは、そうだったな。んじゃ、そのフルコースとやらを貰えるんだな?」
「勿論です。今、持ってきますから」

そこで、442も422も気が付く。ヒュマ助が料理に手を付けなかった理由を…
待っていたのだ。この女性が来る事を、約束を果たす為に…
142先生と僕 7/7:2007/02/01(木) 12:54:11.84 ID:eBLUQdl8
「あ、あの…!」

ヒュマ助が料理を取りにいった後、会話の無い空気に422が声をあげた。

「ん、あぁ…お前らがメールにあった看板娘達か」

咥え煙草で二人の事を見つめる女性。その目は、まるで我が子を見つめる母の様だった。

「は、はい!ヒュマ助…じゃなくて、ご主人様の元で頑張っています!」
「私も、ヒュマ助様に誠心誠意お仕えしております…(三つ指ついてお辞儀」
「はは、んな畏まるなよ。それに、アイツに良くしてくれてるんだろ…?」

咥えていた煙草を消すと、二人の頭に手を伸ばし、撫でる。
その手は暖かく、優しいものだった。

「アタシの…子はさ…いつも笑顔だけど、相当無茶ばっかりする奴なんだよ…」

目線の先では、厨房で調理に勤しむヒュマ助の姿がある。
目を細めた女性の表情には、我が子への愛情が感じられた。

「アタシの方からも、頼む。ヒュマ助の事、支えてやってくれよ…」
「も、勿論デス!ぼ、ボクに任せてよ!」
「私も、ヒュマ助様に一生付き添う所存です…!」

意気込む小さなパートナー達。それをみて微笑む女性。

「宜しくな?おチビさん達」
「『は、はい!』」

「出来ましたよ、先生…って、442も422もどうしたんだ?顔が赤いぞ?」
「ひ、ヒュマ助、ボク頑張るからねっ!」
「ヒュマ助様、私もお料理のお運び、お手伝い致します!」
「お、おいおい、急に張り切って…どうしたの?二人とも…」

その日の夕食は、普段にまして、笑顔が溢れていた。
143前スレ105:2007/02/01(木) 13:05:57.70 ID:eBLUQdl8
どうも、シリアスを私が書くと微妙に感じる…
でも、>>121>>122に背中を押されて、書いてしまったんだぜ?

書ききれない部分を追記で…

その1「なんで先生なの?」
ヒュマ助「義母さんと呼んだら殴られたんだ…」
先生「私がそう呼ぶように強制した。姉さん…も年が年だしNGだ」

その2「先生が病院に…て一体何で?」
ヒュマ助「えと、何ででしたっけ、先生」
先生「単なる怪我だ。単純骨折程度で全治3ヶ月程度」
ヒュマ助「理由は確か…」
先生「コグナッドの顔蹴り飛ばしたら思いのほか固かった」

その3「本名は…」
ヒュマ助「いってもいいですか?先生」
先生「駄目だ。お前らも先生でいいだろ」
―考えてなかった…

コレくらいでしょうか。お土産話ネタの方がヒュマ助向きかも…
お目汚ししました。ではでは…
144名無しオンライン:2007/02/01(木) 14:37:19.68 ID:gKMORJx9
>>143
> ヒュマ助「義母さんと呼んだら殴られたんだ…」

危なかったな、もしおばさんとでも呼ぼうものなら
命が無かっt(うわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp
145メガネの理由?(1/2):2007/02/01(木) 15:15:16.02 ID:y5boLjFA
昨日ようやくパシリがGH412になったぞ記念。
メガネかけてるなんて公式HPのイラスト見てもさっぱり分かりません。
なので無理やり創作してみることに…。


マイルームで―――

主人「ただいま。ちゃんと留守番してたか」
410 「お帰りなさーい、もちろんバッチリです」
主人「今日はこれを買ってきたんだ」
410 「進化デバイス412じゃないですか!まさかギイセンバ貯金を!?」
主人「まぁいいじゃないか。たまには衣替えもいいだろ?」
410 「仕方ないですねぇ。それでどうやって使うんです?」
主人「多分いつもと同じだろ。はい、召し上がれ」
410 「いつもってなんですか!基板とか食べられない物もあるんですよ!!
    (モギモギ…)ごちそうですね!」

    くるりん! きらきらきら……コトッ

主人「おぉー!髪の色まで変わってるぞ!!」
412 「今、何か落ちた気がしたのですが…これは、メガネ!?」
主人「もしかして進化したのに視力が落ちたのか?」
412 「そんなことないですよ。いたって良好です。
    でも、どうしてこんなものが…」
主人「おかしいなぁ、パッケージにはそれらしいイラストは…。
    ハッ!まさかこれは、かの有名な犯人追跡メg」
412 「バーローwwwwwww」
主人「!?おい、どうしたんだ?何があった?」
412 「す、すみません。なぜか急にこう言わなければならない気がしたのです…」
主人「そうか、きっと進化デバイスのせいだろうな。そういうことにしておこう。
    話を戻すが、このメガネはなんだろうな」
412 「取扱説明書とかないんですか?」
主人「ちょっと待ってろ。どれどれ…」

    ・・・・一式・・装備・・・・・。
      外・・・・・・・通報・・・処罰・・・。ご使用に・・・ください。

412 「えぇ?処罰!?」
主人「文字が汚くて一部しか読み取れん。どうして取説が手書きなんだ?
    個人ショップで買ったのがマズかったか?」
412 「あわわわ…まさかニセモノだったのでは…」
主人「でも一応イラストのGH-412っぽくなってるしなぁ。
    一緒に出てきたんだし、とりあえず付けとけ」
412 「うわっ!度が入ってる…視界が歪むぅぅ……」
主人「大丈夫か?」
412 「な、なんとか…」
主人「どうだかなぁ…」
146メガネの理由?(2/2):2007/02/01(木) 15:15:57.83 ID:y5boLjFA
その後ミッションで―――

412 「ダメです〜、スピニングブレイクが当たりません〜」
主人「おい、どこ行くんだ!そっちじゃないぞ!」
412 「ご主人様!どちらにおられますか〜」
主人「あーぁ、何やってんだか…」
412 「うぅ…ごめんなさい〜」
主人「そのうちそのメガネにも慣れるだろ。気にするな。
    それよりほら、次の団体さんが来たぞ!」
412 「はい〜」

412 「えいっ!やぁ!」
主人「くっ…(これはキツいな)」
412 「ちょっと数が多すぎです〜」
主人「なんで止まってる!?前に出すぎだ!
    ここはいったん退いて立て直す……ん?」
412 「(……ピピピ…)なんかヘンな音がして…
    あれ?体が…制御がきかない!?」
エネミー「あのPM止まってるザーマス。今のう…うぅ!?」
412 「ちょ…あ…何これ?あぁぁぁぁぁ!!」
主人「しっかりし…って、おおぉ???」

メガネ「ピキュゥゥゥーーーン!ピカッッ!!!(SUVウェポン起動)」
    ドドドドドドドドドド……

主人「……片付いたな」
412 「……はい」
主人「今、おまえの目からフラッシュ光線出てたよな?」
412 「いや、そんなおもしろ機能はありませんから、
    私じゃなくて多分このメガネが光ったんだと。
    でも急に視界が真っ白になってしまって、一体何が起きたのかまでは…」
主人「やっぱり進化デバイスはすごいな」
412 「進化デバイスというより、このメガネがすごいのでは?」
主人「他の進化デバイスにもメガネがついてるのか?」
412 「そこまではちょっと…」
主人「そうか…。なんか気が抜けたし、とりあえず今日はもう帰ろうか」
412 「…ですね」


≪パートナーマシナリー/GH412≫
戦場を(あさっての方向に)縦横無尽に駆け巡る攻撃をしたり、
(ちょうちょを)探索したり制御不能なメガネっ子。
戦闘:(いろんな意味で)勝手気まま派
合成:打撃系が(ほんのちょっとだけ)得意


―――お粗末さまでした。
147名無しオンライン:2007/02/01(木) 19:00:25.85 ID:CPlTyM49
>>143
何かライアみたいな人だがまだこっちのが柔軟な感じもして好感が持てそうな感じだw

>コグナッドの顔蹴り飛ばしたら思いのほか固かった
何をしてるんだと・・・w
豪快且つ何も考えてないようなのにヒュマ助のことはちゃんと考えてるんだなぁ、不思議なキャラだw

>>146
笑ったw
進化デバイス全く関係ない気もするがこれも一種の進化か?w
148外伝2007/1/31と言う日(1/6):2007/02/01(木) 22:00:00.53 ID:UtFGBscA

今日、2007/1/31と言う日は私にとってとても大切な日でした。

「王子、私とミッションに行ってください。」

「ん?どうした??? 藪から棒に???? またダイエットか?」

「そうではありません。 むしろ逆です。」

私はGH450、主人は現在モトゥブに私用で長期滞在中です。
主人が2ヶ月近く不在で日々の蓄えが心細くなっていました。

「そうか・・・。ミッションに行くのは構わんが、パルムかコロニーにしてくれよ。」
「故郷の服に着替えて行く場所は嫌だからな。」

そこで、ガーディアンズを引退した王子(仮名)にミッションの付添いを依頼しました。
王子は昨年11月にガーディアンズを引退し今日まで有効のライセンスを持っています。


「ここがHIVEか・・・・・。」

私達はコロニーから民間ルートで臨時拠点へ到達しミッションを開始しました。

「HIVEは初めてですか?」

「俺が現役だった頃はまだ封鎖されてたからなぁ・・・・。」
「おっ?アレが悪名高きガオゾランか・・・・どれどれ?」

3体出現したガオゾランへと王子は不用意に近づいていきます。
・・・・・そして・・・・。ガオゾランのフォイエの直撃を・・・・・。

「おおっ! これは強烈。」

「王子下がってください。」

私は王子とガオゾランの間に入り、グラナロドウの石突を前に柄を左腰に当てて構え
摺り足でガオゾランとの間合いをじりじりと詰めました。

「なぁ。 そいつ(ガオゾラン)の飛び道具ってフォイエだけか?」

私は視線だけを王子の方へ向けて。

「はい。・・・・ですが、ガオゾランは危険です下がってください。」

手前のガオゾランの杖がピクッと動いた瞬間に懐に飛び込み、
右手でグラナロドウの石突を握り 振りぬきざまに切っ先(のように見えるアレ)を
叩きつけて密着フォイエ ですが・・・・・。
法撃耐性を持つガオゾランに思ったほどのダメージは通りません。

私の後ではピコピコと王子がなにやら装備を付け替える音がしています。

「王子!! はやく下がって下さい!!」

その間に残り2体は私達の周囲に位置取りを終え、3体のガオゾランによる
フォイエ十字(?)砲火が・・・・・・・・。
149外伝2007/1/31と言う日(2/6):2007/02/01(木) 22:01:23.33 ID:UtFGBscA

私は何のために大仰なアクションまでしてガオゾランの気を引いたのでしょうか?
囲まれて・・・しかもフォイエまで許してしまっては何にもなりません。
王子は・・・最初のフォイエのダメージを回復する余裕もありませんでした。

ガオゾランのフェイエ2発は私が受け止めましょう。
もう1発だけなら王子は耐えてくれるかも知れません・・・・・・。

ヒョイ・・・。王子は私の襟元を掴んで持ち上げました。
私の足元を3方から交差するフォイエが通過します。

「王子ぃ!!!!!!」

「耳元で大声出すな。 うるさい!」

王子は3発のフォイエを受けてまだ立っています。
0・・・0・・・0・・・と王子が受けたフォイエのダメージが表示されます。

ピロリン 王子はレスタを唱えて最初のフォイエのダメージを回復しました。

「イグニションクロークで18% アトリビュートウォルで30%」
「レジストバーニングが4つで15×4の60% 合計で108%」
「耐性が100%を超えれば完封さ、耐性防御ぐらいこちらにも有る。」

「しかし法撃耐性とは厄介だな。TPを無駄遣いしたくは無いがギフォで削るか?」


「ぽこー ぽこの大好きなガオゾランですよぉ・・・・・。」

どこからともなく間の抜けた声が・・・・。姉さんは最近 彼女の母親に似てきました。

「わーい!!」

毬の様に跳ねながらガオゾランに向かっていくGH420。
途中ギバータで凍りつきながらも果敢に。

「鼈甲(べっこう)さんお邪魔します。御一緒してもよろしいですか?」

「それは構わんが、アレを放って置いていいのか?」


GH420はピトっと1体のガオゾランに張り付くと、甲殻の隙間に鋼爪のガミサキを
突き刺しバクっと器用にガオゾランの殻を割り、そこからモギモギと・・・。

         ピーっ 残虐表現に付き自主規制。


「420ってああ言うカニっぽいのが好きみたいです。」

ガオゾランは次々と420のお腹に消えていきました。
150外伝2007/1/31と言う日(3/6):2007/02/01(木) 22:02:26.90 ID:UtFGBscA

そんなこんなで私達、私と王子(鼈甲様)と姉さんと姉さんのPMぽこ(GH420)は
ブロック3のボス部屋前に到着しました。

「かーさん あたしお腹すいた。」 GH420が姉さんのスカートの裾を引っ張ります。

「これが終わったら美味しい物を沢山食べに行きましょうね。」
「なんでもガオゾランが100匹出てくるそうですよ。」

「わーい!!」

姉さん、ガオゾランが100匹と言うわけではありません。それにPM同伴不可です。

・・・それにしても、天井から突き出している舳先の様なモノは一体なんでしょうか?
以前来た時にはこのようなモノは無かったと記憶しているのですが・・・・・。

「姉さん、天井から突き出しているアレは何でしょうか?」
「PPTの舳先の様にも見えますが」

「同盟軍あたりの宇宙艇では? ガーディアンズへここのミッションが依頼される前に」
「軍事的な解決も計画していた様です。 その為の強行偵察に使ったモノの残骸では?」

「上層エリアで各坐したものがここまで落ちてきたのでしょうか?」

その時でした。背後から人の気配を感じたのは。

「よぉ、お前達久しぶりだな?」

「エ???? てっ店長!?どーして??」 姉さん言葉遣いが悪くなってます。

「どーしてって、そりゃお前、ローグスの連中がマスドライバーを揚陸作戦にも」
「使いたいって言い出してな。そこの揚陸艇使っての惑星間航行テストだ。」
「表向きマスドライバー設置目的はSEEDの殲滅だからな SEED汚染された所なら
「何処でも良かったんだが流石にパルムやニューデイズには揚陸艇を打ち込めなくてな」
「ほら、なにかと侵略がどーのとか、外交がどーのとかでうるさくて」
「それでHIVEでテストする事になったというわけだ」

「・・・・・。」
「あの、お母さんは?」

「あ? あいつか? 一緒に来てるよ ローグスがガーディアンズ1名と整備担当の」
「技術者1名でSEED浄化を行う名目でパルムやニューデイズに話をつけた様でな」
「俺達2人だけだ。 というよりモトゥブのマスドライバーの設置が終わったんで」
「一番安全なルートで帰ってきたと言う訳だ。」

「ここまでは揚陸艇をマスドライバーで送る。ここからは転送ゲートを使う。」
「ミッションクリアする必要はあるが 民間航路で道中を襲われる心配は無い。」
「まぁ、民間航路でも問題は無いと思うが念には念を・・・・・」

店長の長話を遮って、緑の目玉と茶色のトゲの生えた物体を抱えた来た人は・・・。

「そこの角にあった箱から見つけたのですが・・・・これはなんでしょうか?」
「HIVEと書かれているのですが・・・・・・。」

お母さん・・・・私の主人で、私と姉さんの母親。

「船の入り口を開けてくれませんか? このHIVEを仕舞っておきたいので。」
151外伝2007/1/31と言う日(4/6):2007/02/01(木) 22:03:17.80 ID:UtFGBscA

「お母さん・・・・。」

「あら? こんな所で珍しいですね。」

「珍しいですね じゃありません。どれだけ心配したと思っているんですか?」

「おかしいですね。手紙はちゃんと読みました?」

「“しばらく出かけてきます。” では、何も判りません!!」

なにか・・・・デジャヴーを感じます。

「で、そこのニューマンは誰だい? 紹介してくれないか?」

「店長! 母さんから聞いてるでしょ。この子の婚約者の鼈甲さん。」

「ああ、PMと婚約したって言う物好きか。」

「ちょっと、オッサン」

「ははは、そう気にするな。キャストと結婚したがるヒューマンやニューマンって」
「物好きも結構居るんだからな、めでたい事はいい事だ。」

「おばーちゃんはじめまして。」

「あら、たしか青玉ちゃんでしたよね。」

「母さんこの子の名前は青玉じゃなくて、ぽこだから。」

「おかしいですね・・・以前は確か青玉ちゃんと呼んでいたような・・・・。」

「なんにしてもしてもめでたい、こんなミッションはさっさとクリアして一騒ぎするか」

そう言って、姉さんがアルバイトをしているジャンク屋の店長さんは
ボス部屋への転送ゲートを作動させてしまいました。

「ちょっ、ちょっと店長、まだこっちの準備が!! PP回復もまだだし・・・・。」
152外伝2007/1/31と言う日(5/6):2007/02/01(木) 22:04:46.76 ID:UtFGBscA

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

「あれがダルク・ファキスか。」

「あれがダルク・ファクトですか、ミスリルの剣と鎧が無いと・・・・。」

お母さん それゲームが違います。

「おじちゃんだれ?」

「おじちゃんってこう見えても俺は若いん・・・・」

「嘘付け、200歳は超えてる癖に ぽここの人はお婆ちゃんと同じぐらいですよ」

「・・・・おじーちゃん?」

「お爺って・・・・この馬鹿娘が子供にどんな教育してるんだ?」

あの・・・皆さんボス部屋の雰囲気が台無しなのですが・・・・。


ゴゴゴ・・・ゴ・・・ゴ・・・   ご?   ・・・ ????

「なんだ?壁際で腕組んだり・・・・開いたり」
「なぁ・・・ダルク・ファキスは捲れ上がった床に挟まって動けんのか?」
「ボスって結構動き回るものじゃなかったか????」

「王子、それを言ってはいけません。」

「また腕組んだり開いたり・・・・。」

王子はカオゾランの時の様に不用意にダルク・ファキスへ近づいて行きました。

「あ、なんか青いもやもやが飛んできた。」

部屋の中央あたりまで歩いた所で王子はもやもやに部屋の入り口に押し戻されてきます。

「婿殿 いったい何やってるんだ?」

「あれがボスなんだよな オッサン。」

「らしいな。 害の無い奴ならほっときゃいいさ。」

「かーさん あたしお腹すいた。」

その時、部屋いっぱいの巨大なダルク・ファキスの両腕が私達を襲いました。

ピロリン、ピロリンと王子と姉さんのレスタ。

「かーさん カニ爪 おっきなカニ爪。」

「ぽこ、カニ爪好きか?」と店長

「うん、カニ爪大好き。」

「よし、待ってろ今採って来てやる。」
153外伝2007/1/31と言う日(6/6):2007/02/01(木) 22:06:44.07 ID:UtFGBscA

ガシっと店長さんはダルク・ファキスの左腕に組み付きました。

「右腕は任せた。」

「了解しました。 メテオバスター。」

SUV(メテオバスター)を呼び出した母さんはその巨大な腕でダルク・ファキスの
右腕に組み付きました。

「タイミングを合わせていくぞ、1、2、3 それ!!」


バキバキバキと豪快な音をたてながら
ダルク・ファキスの両腕を根元から引き千切るお母さんと店長さん。

「わーい カニ爪 カニ爪。」

ダルク・ファキスの腕にかぶりつこうとするぽこに店長さんは。

「ぽこ、生はいかんぞ、カニは焼いた方が旨いんだ。」

「オッサン 料理なら俺に任せてくれ。」

「料理って・・・婿殿ここには何もないぞ。」

「そこの斜面にかまどを作る。 床に穴を開ける道具は無いか?」

「床に穴を開ければいいんだな。」

床にダルク・ファキスの腕を床に置いた店長さんはナノトランサーから
大きなバールを取り出してスロープになった金属板の床を一部引き剥がしました。

「こんなもんでどうだ?」

「十分だオッサン 後は剥がした板をコの字に曲げてかまど型にしてくれ。」

店長さんが作ったかまどに王子がフォイエで火を入れ
その上にダルク・ファキスの腕を乗せて焼いていきます。
              ・
              ・
              ・
              ・
今日、2007/1/31と言う日は私の家族が揃ったとても大切な日でした。


あたりにカニ爪の焼ける香ばしいかおりが漂い。そのかまどのあるスロープの上では
ダルク・ファキスが小さな方のを腕組んだり開いたりを繰り返していました。


        「かーさん またカニ爪食べに来ようね♪」


154名無しオンライン:2007/02/01(木) 22:07:21.35 ID:UtFGBscA
あーっと・・・・・ダルク・ファキスとガオゾランはカニ味です間違いありません。
ボケ主人と店長の帰宅イベントでした。

でわ・・・・・(後書き用の姉妹漫才ネタ考える余力が残ってない。)

155名無しオンライン:2007/02/01(木) 22:13:38.22 ID:AOtDHTR7
ここまで豪快に遊んでくれると気持ち良いなwGJw
156名無しオンライン:2007/02/01(木) 22:34:34.62 ID:9uSlUJSs
http://www.psu-wiki.info/upbbs/lib/printimage.php?id=00000736.jpeg

お目汚し失礼
小ビス子も描いてみたいと思いきやアク禁

ケータイから書き込むのってめんどくさい…orz
157116:2007/02/01(木) 22:46:08.31 ID:PB3oHGLu
>>154
ダルク・ファキスはカニですか…
ダーク・ファルスはイカって感じでしたが…
プラントとか制御塔のメギド地獄も、当時はもっと手軽にどうこうできましたね…

>>118
想像にお任せ――って言おうとしたら先手取られちゃった…
自キャラではなく、SS用に考えたキャラなんで、自分の脳内イメージとなりますが…

年齢は20代半ば
PSOのデフォルトヒューマーの様な茶髪と茶色の瞳
一見無愛想で鋭い目つきが特徴
(某鍵作品の国崎最高!な旅芸人をエステに連れ込み、上記の色に変更した感じ?)
服装はシンプルなものを好み、イノセントセットを愛用
上 暗い青x  灰
下 青  x  灰
靴 黒  x  明るい青

…以上です
158名無しオンライン:2007/02/02(金) 01:07:13.82 ID:fdlPLJLO
>>154
420はどうも最近食いしん坊+カニ好きの印象が固まっているようだ、一体誰の差し金なんだろうなぁw

しかしHIVEの敵は確かにカニっぽい、ガオゾランといいディルナズンといい(強化だと尚更)・・・w

  420「ねーねー、マスター、HIVEでカニ食べ放題なんだって!」
ビス男「カニって・・・腹壊しても知らんぞ俺は・・・」

――HIVEボスルーム
  420「カ〜ニ〜さん、出ておいで〜♪」
ビス男「出てこなくていいっての・・・ん、何だこの張り紙」

『PMによるダルク・ファキスの乱獲が進んでいます
 体長5m以下のダルク・ファキスの狩猟を全面的に禁止します
                              HIVE管理組合』

ビス男「・・・とか書いてあるぞ」

見れば現れたダルク・ファキスはかなり小さく、穴に落ちないように大きな腕で掴っているのがやっとのようだ

  420「えー、残念・・・この子うちで飼っておっきくなったら食べていい?」
ビス男「こんなもん持って帰ったら追い出されるから勘弁してくれ・・・」

  420「ぶー・・・ばいばい、おっきくなったら食べに来るからね〜」

名残惜しそうに手を振る420、俺もダルク・ファキスももう来て欲しくないと心に願っていた・・・
159名無しオンライン:2007/02/02(金) 01:13:48.78 ID:fdlPLJLO
DF=カニのネタから思いつきで殴り書き、ポコが食べつくした後みたいな感じでw


>>156
狂犬ktkr
ケータイからご苦労様です・・・w

ともあれGJ、SDでも狂犬は狂犬っぽいw

>>157
ヒュマ男のイメージはヒューマーか、確かにしっくり来る感じだw
おし、キャラ製作して妄想に浸ってこようw
160名無しオンライン:2007/02/02(金) 02:26:18.04 ID:Vtpmq8v4
>>157を参考に何とか製作
顔の指定が曖昧だったが色々見ながら頑張って作ったつもり

ヒュマ男氏、こんなんでいかがでしょう?
ttp://www.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2261.jpg
161名無しオンライン:2007/02/02(金) 11:37:41.37 ID:VvrsC8Bw
流れがさみしくなってきたな…。
さすがにもうパシリパゥワァでもPSUは支えきれなくなってるんだろうなぁ。

でもまだこのスレには消えて欲しくないキャラが沢山いるんだよぅ…。

いっそストミのキャラ全部置き換えて、やりとりを書き替えてくんねーかなー。

ライアを小ビス子
カーツを箱(マガシ役も見てみたい)
イーサンをヒュマ男
レオを420話のビス男
ルウが450c
ヒューガが『』

とかさ。…うん、これならストミ終了までは課金に応じてもいい。
ていうか是非応じたい。

そういやこのスレ長寿だけど、
「名物ニュマ子」てまだいないか??

マヤの配役考えててふと思った。
162名無しオンライン:2007/02/02(金) 12:12:44.02 ID:BvXqgiHa
>>161
箱=うちの箱と想像して妄想してみたw

------------------
Act2 砂塵の奥 ボス戦前
小ビス子「はう… 外に出れたのはいいが行き止まりみたいです…」
ルウ「PCさん、指示どおり救難信号をだしていますが─
 やはり通信妨害されているようで応答がありません」
小ビス子「そ、そんなあ。八方ふさがりなのです… このままじゃ…!」
???「………」
ガシャコガシャコという、一部の男性キャスト特有の足音。

ルウ「!?」
小ビス子「はう! も、もう追いついて来たのです!」
???「誰か……来たのかと思ったら…」
ルウ「PCさん あれは──」
 (うなずくPC)
小ビス子「は、箱さん!?
 どうして箱さんがここに!!」

箱「………
 ごめん……まさか君たちとこんなところで出会うなんて…思わなかった」
小ビス子「箱さん!! どうしてコロニーからいなくなったんですか!!」
箱「…ガーディアンズの僕はもう居ない… だからコロニーにも居場所はないんだ…
 僕は、イルミナスの…… !! う、うああああああああああ!!」
頭を抱えて苦しむ箱。

箱「……フォーム変更指示ヲ確認。コレヨリ敵勢力ノ殲滅ニハイル」
何事かを呟いた箱のボディカラーが蒼から紫…そして紅く変わっていく。

小ビス子(イ、イルミナス!? それよりも、箱さんが変なのですっ!!)
箱「貴様ラニハ… ココデ 死ンデモラウ!!」

戦闘開始
------------------
こうですか?わかりません!!


なんだろう、カーツ役よりもマガシ役のほうしか思い浮かばないw
ちなみに450cは台詞を書ける自信がなかったのでルウで。
某サイトの会話をコピペして改編したので、正確なストミの会話と違うかもしれないのは大目に見てくれ。
163名無しオンライン:2007/02/02(金) 12:25:31.92 ID:3aEWgSd/
かなり前から沼子で一発ネタやろうと
考えてた俺が通りますよ
ただ別に沼子じゃなくてもいいじゃん?
的なネタだからどーしようかなーと
まぁ出来てすらいませんがwww


164名無しオンライン:2007/02/02(金) 13:03:34.73 ID:VvrsC8Bw
箱・マガシには、むしろ

箱「…行かないとダメ?」
450「ダメです。何の為にこんな岩山のてっぺんで
  出番待ちしてたと思ってんですか」
箱「(ちら)
  ダメだよヤバいよ!
  今ちらっと見たけど、ビーストの子はともかく
  一緒の人すごい恐そうだよ!」
450「そんなだからガーディアンズをくびになるんです!
  再雇用されたばかりなんですから我慢してください!」

 …

小ビス子「はぅ、…箱さんです」
箱「や、やあ、イルミナスの箱だ、よ?
  上司と450が恐いから君たちには死んでもらうんだけど…、
  ごめんなさい[:ω;]」

450「ほーほほほ!
  いつぞやご主人様に「カワイイ」とか言われた
  恨みとか私怨とかは全く関係ありませんが、
  そこの小ビス子に人誅ぅううう!!」

(やたらノリノリな450がマッガーナで落下してきて戦闘開始)

こんな展開を期待したい俺ほのぼのスキー。
165名無しオンライン:2007/02/02(金) 13:10:42.66 ID:nF49f9mD
悪役の450は活き活きしてるな
166名無しオンライン:2007/02/02(金) 13:25:32.42 ID:v5qoTv3v
小ビス子教官なら
全て許せてしまう俺わんわんさんど

小ビス子「ビーストの女の子は世界一可愛いのです!」
(じたばたモーション)

ボケ長男「ビーストの女の子は世界一可愛い!!」
ボケ次男「ビーストの女の子は世界一可愛い!!」
ボケ三男「ビーストの女の子は世界一可愛い!!」
PC   「ビーストの女の子は世界一可愛い!!」
(全員バンザイモーション)

小ビス子「はうはうはうっ!?」
167名無しオンライン:2007/02/02(金) 13:31:51.65 ID:3g2NeBO7
だがパシリが居ない
168名無しオンライン:2007/02/02(金) 14:03:32.81 ID:o3nqGPPQ
一言も喋らなくて良いから、ストミはパシリ同伴可にして欲しかったなぁ。
設定が設定だけにストーリーに一切絡まなくても違和感ないし。
オフのピートもだけど、肝心なときに協力できないパートナーは悲しいよ…
169名無しオンライン:2007/02/02(金) 14:30:04.84 ID:MTWJeXfA
>>166
四人で小ビス子囲んで男泣きしながらバンザイしてるシーン想像して吹いた。
170名無しオンライン:2007/02/02(金) 15:24:11.75 ID:BvXqgiHa
>>164
ストーリーミッションということでシリアス方面に持って行っちゃったけど、
そっちもありだなw


箱「よ、450が怖いよう[ ´;ω;`]アウアウ」
小ビス子「は、箱さん!! は、箱さんをいぢめちゃ だ、駄目なのですっ!」(と箱を庇って立ちはだかる)
箱「こ、小ビス子ちゃん…[*´・ω・]アリガト」

450「ちょ!?え!?えええええ!?Σ(;゚Д゚)」




……小ビス子の人と小ビス子好きの皆スマンw
171名無しオンライン:2007/02/02(金) 15:29:58.28 ID:SNvDd0OD
>>162

Act2 砂塵の奥 ボス戦前

小ビス子「はう… 外に出れたのはいいが行き止まりみたいです…」
450c「やっぱり駄目ですね応答がありません。
救難信号は通常 送信特化して応答を受信する事を想定した設計にはしないものです。
受信回路の電力消費分、信号強度も送信可能時間も犠牲になります。
無駄だと思いますがこのまま信号の送信を続けますか?」
小ビス子「そ、そんなあ。八方ふさがりなのです… このままじゃ…!」

-------------------------------------------------------------------------------

450cって基本的にボケキャラなので、空気読めない知ボケとして書くか
姉妹漫才の似非京都弁キャラとして書くかでOK。

まぁ450cは相手によって言動を変えるので「これが450cだ」と宣言すれば何でもOK。

日付外伝のレスについては後ほどまとめて。
172名無しオンライン:2007/02/02(金) 19:32:45.58 ID:tnhovPDn
バタバタバタ!
ぷしゅーん。

「コジロー!今から一緒に進化デバイス買いに行くわよ!」

皆さんこんにちは。GH450のコジローです。
「突然どうしたんですか?以前は『5万は高い。』って言ってたじゃないですか。」

事実、私たちの家計は苦しいのです。
5万の出費は痛手です。

「そうも言ってられなくなったのよ!コレを見なさい!」

http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1170206860/15-16

「…なんですか、コレ?」

「ほら!素敵でしょ!?ついにやってくれたわGRM!こんな良い物が5万メセタなんて爆安!」
「…あの、ご主人様?」
「さあ行きましょ!すぐに行きましょう!(`・ω・´)」

「ご主人様、進化デバイスでは性格や武装は変わっても、性別は変わりませんよ?」

「…嘘だッ!(゚Д゚)クワッ」
「…えっ…」
「中の人だってGH452が『しゅしゅっ』って言ったの聞いてるよ?
 さらに撃ち終わった後に『しゅわーっち』って言ったのまで聞いてるよ?
 どうしてコジローくんはそんな嘘をつくのかな?かな?」

…なんか急に人が変わった?(;゜ロ゜)ナカノヒト?
「いえ、台詞は変わりますけど、本当におとこにょこにはならないですよ?」

「…うっそー本当に?(´・ω・`)」
「…本当です。」

「(-_-)(。_。)(´Д`)_| ̄|○|||」
うわ…そんなに落ち込むんですか…。

ん?これはチャンスかもしれません。

「ご主人様、これでも食べて元気だしてください。おいしいですよ。にこにこ。」
「ありがと〜コジロー、もぐもぐ…」

でも、本当のことを黙っていればGH452に進化させてもらえたのかな?
…ちょっともったいなかったような気もします。

「コジロ〜、何か甘いものな〜い〜?甘いもの〜。」


とりあえず復讐は果たせたので良しとしましょう。(o ̄ー ̄o)
173名無しオンライン:2007/02/02(金) 19:38:29.81 ID:tnhovPDn
450スレ見て思いついた勢いで書いてしまいました…
ちょっと時間あけましたが久々のネタということで、
反省はしても後悔はしないようにします。
174名無しオンライン:2007/02/02(金) 20:43:09.36 ID:9fX9KUGS
テラサムシングスイーツww
175名無しオンライン:2007/02/02(金) 20:59:41.76 ID:1fcFw5d2
>>166を見てストーリーミッションの冒頭部分をアレンジ

(仮面の少女Act1冒頭より)

ミーナ「(PC)さんの指導教官は・・・小ビス子さんです
     小ビス子さんはとても可愛らしい方ですが・・・430にはくれぐれもお気をつけて
     星霊の導きがありますように!」
  430「・・・誰にお気をつけてだって?」

いつの間にか現れた430がカウンターに座りミーナに呟く、手にはビームガン

  430「・・・人の悪口を言うなら周りに用心することだ、特にご主人様の前ではね」
ミーナ「悪口なんてそんな・・・ご、ごめんなさい撃たないで下さい・・・」

  430「・・・まあいい、許してやるよ」

430がカウンターから飛び降りるとほぼ同時に小ビス子が走りながらやってくる

小ビス子「ち、遅刻してしまったのです・・・はうはう、新人さんなのです?
      待たせてしまってごめんなさいなのです・・・
      今度は遅刻しないように頑張って早起きするのです!」

軽く握手をした後ミッションへと出発する二人、PCの後ろ姿に銃口を向ける430が居た

――ミズラキ保護区

小ビス子「えっと、このミズラキ保護区のしんしょくじょうたいの調査が今回の訓練なのです
      ここでは私が先輩なのですえらいのですっ!だから私やるとおりにやってほしいのです
      しんしょくされてるところはこうやって・・・はう?はうはう?」

昨日頑張って作ったのであろうカンペを読みながらナノトランサーをゴソゴソと探す小ビス子

小ビス子「・・・おかしいのです、昨日ちゃんと準備しておいたのにゴーグルが見つからないのです・・・」

垂れ耳を更にしょぼんとさせて落ち込む小ビス子、おろおろするPC
そんな時何処からともなくゴーグルが小ビス子の足元に投げ込まれる

小ビス子「あっ、あったのです!えっと、しんしょくされてるところはこうやって・・・ゴーグルを使えばちょうさできるのです」

ぎこちない操作でゴーグルを使う小ビス子

小ビス子「あ、言い忘れてましたがゆっくりやってもいいのです、のんびりやって行きましょうです」

出発しようとした時に430が合流する

小ビス子「はう!430、着いてきたのですか?」
  430「ご主人様の為ですから、ちゃんと許可も頂きましたし」

小ビス子「それなら心配なしなのです、430がいるととても心強いのです」
  430「もちろんです、何かあれば私が援護するのでご主人様は思いっきりやってください!」

そういいつつPCには威嚇しまくる430と何も知らない小ビス子の二人を連れてのミッションが始まった・・・
176名無しオンライン:2007/02/02(金) 21:06:06.14 ID:1fcFw5d2
>>166じゃなくて>>161だったスマソ・・・w


何となくノリで書いてみたらこんなミッションだったら10回でも20回でもやりてぇとか思ってしまった・・・w

>>161
ビス男=レオは見た目のイメージそのまんまって感じだなぁ、配役としては殆ど変わってねぇ・・・w

>>166
密かに430も入れておきたい場面だなw

>>172
だから450を男の子にして何がしたいんだこの主人はw
しかしほんとに452が男の子だったら凄い喜んだんだろうなぁこの主人w
177名無しオンライン:2007/02/02(金) 22:19:33.55 ID:6VC+rGTK
>>47
なのぶらすとー!!したビス子リアルバージョン
http://f.pic.to/a1stj

ピクトで申し訳ないけど、どうしても貼りたかった。
178名無しオンライン:2007/02/03(土) 00:08:11.28 ID:93i9boLH
>>173
無粋だとは思うんだが、どうして「しゅしゅっ」と言ったら男の子なのかがさっぱりわからん( ´・ω・`)
179名無しオンライン:2007/02/03(土) 05:41:17.05 ID:genhCHkP
>>172を見て閃いてしまったので投下
拙すぎるが、後悔はしていない


『先ほど伺いましたが、マスターはご友人の
 「なんでPMの最終形態はみんな幼女なんだよ。GRM HENTAI!」(※実話)
 という話に同意されていたようですね』

「どこで聞いt

『言わずとも分かってます。話を合わせていたんでしょう?
 私のためにキンダーガーテンにリフォームするくらいですからね♪

 ですが、考えてみてください
 大半の中身は男なのですよ。もし幼女でなく、幼児♂だったら…』

「狭いルームに男と幼児で二人暮しか
 ある意味、幼女より遥かにヤバいな」

『そうでしょう。では、成人男性ではどうですか?』

ざわ…ざわ…
「ウh『しゅっ!』…!」

〜しばらくお待ちください〜

『つまり、♂PMはNGなのです』

「…じゃぁ成人女性なら問題無かったんじゃないか?」

『南極2号じゃないですか
 GRMが倫理的に大変なことになってしまいますよ』

「"こっち"には影響無いと思うが…まぁいいか
 俺なら、本命は小動物か無機物だと思うんだよな
 鳥とかバーチャr『しゅわ〜っち!』
180名無しオンライン:2007/02/03(土) 07:38:24.00 ID:993swIhh
>>176
私も気になっていたのでご主人様に聞いてみます。

「ご主人様は、私が男の子だったらいったい何がしたかったんですか?」
「え?そばにかわいい男の子がいたらそれだけでも嬉しいじゃない?」
「はぁ…」
「それはもう全力でかわいがるわよ!サムシングな物を食べさせてみたり、ほっぺをむに〜ってしたりとか!」

「…それ、かわいがってるんですか…?」
「…もちろん!異性の若い子をかわいがりたいって欲求は誰にでもあるものじゃないかしら?」
「…いえ、私が頭を抱えているのはそこではなくて…」

特に何と考えていたわけじゃなくてすみませんw
実際のところメイドカフェならぬ、執事カフェのようなものを想像してもらえれば良いのかもw


>>178
GH422は武器がナックルなのと元のキャラから「しゅしゅっ」と言うのもわかる(ような気がする)
GH452の突然予想だにしなかった「しゅしゅっ」という発言はそれだけ衝撃だったということで…
私も正直450スレで発言が出るまでは「おとこにょこ疑惑」など考えもしませんでしたがw


>>179
なんだか何の人型を実装してもGRM HENTAI!な気がしてきましたw
181名無しオンライン:2007/02/03(土) 09:05:29.25 ID:9Q/2ycEF
おとこにょこ問題の浮上で今更ながら思ったんだけど、

おとこにょこでもなければ、おっきさせるブツもないだろうに、
狂犬さんはどうやって小ビス子の操を奪うつもりなんだろうか。
182名無しオンライン:2007/02/03(土) 09:45:34.05 ID:93i9boLH
>>181
世の中には百合というものもあってだな
183名無しオンライン:2007/02/03(土) 10:13:46.96 ID:9hn+Z0HC
「しゅしゅっ」て、性的な意味で捉えていたが俺が間違っているのだろうか。シュシュシュッ
184名無しオンライン:2007/02/03(土) 16:04:14.93 ID:tSXDHOrs
まとめサイトって機能してんのかね?
185名無しオンライン:2007/02/04(日) 04:33:18.31 ID:LrAF4S+a
>>178
>>183と同じ捉え方かも、こういうことかなーっとw
ttp://www.3ch.jp/test/read.cgi?bbs=newsvip&key=1158878583&last=50&nofirst=false

>>181
「失礼な!女だってボッキできるわよ!!」とのたまったヤツを知っている。
少年誌で。
186名無しオンライン:2007/02/04(日) 05:04:29.07 ID:gAedFPYI
私事スマソだけど一応報告しておいたほうがいいかなと思って。

ttp://www.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2294.jpg
やっと無事に完成しましたヽ[*`・ω・]ノ
このスレがなかったらこの絵面はなかったのかもしれないな…w
おまいらありがとう!そして、ナノレジン買ってくれた皆もありがとう!w

>>185
どこかで聞いたことがあるようなないような台詞だなあ… なんの漫画だったっか…
187名無しオンライン:2007/02/04(日) 05:47:22.35 ID:4Vq3bJfF
>>186
あ・・・・・箱の腕パーツのシリンダーって三角だったんだ・・・・・。
円筒形で描いてしまったよ・・・・・とほほ。(>>127の話)

現在規制中につき思うように書けない。 荒らしのばかぁ。
188名無しオンライン:2007/02/04(日) 05:51:44.49 ID:NYMQxOzp
>>186
おめでとうっ[゚w゚*]
W1でこれからも箱&450で続けるんだね
会えることを楽しみにしてるよ
189名無しオンライン:2007/02/04(日) 06:17:58.23 ID:vsdjF8C/
|д゚) イマノウチ・・・


|д゚)っ ttp://www.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2295.jpg


>>箱の人
おめでとうございますっ( ゚∀゚)ノ
450の(・・・・・・ばか・・・)ってセリフが180km/hの超速球でツボを貫いていきましたよええ・・・


さて、またひっそり隠れ生活・・・


|彡サッ
190名無しオンライン:2007/02/04(日) 10:40:38.59 ID:x1w1LsNw
>> 箱の人
W1への転生完了おめでとうございます!!(>ー<)b
箱氏に提供しようかと思っていたウルロドウ20本近くは結局渡せず強化しちゃいました!
+10が2本・・・
頭への生け杖用にどうですか?w(なんちて^^;
とりあえず、もう一度言わせて頂きますが『おめでとうございます!!』

>>189
画像の提供はいつでもwktkしてるんですよ?w
でも確かにパシリSS無くなると、楽しみが半減といわずホボなくなりそうな気がする・・・
ひっそりとちゃっかり細々とでもいいから続いて欲しいですね(個人的な願望だけどさ。
191名無しオンライン:2007/02/04(日) 11:26:02.76 ID:9GsU7Hcm
よしまだ412ネタはないなヽ(゚∀゚*≡*゚∀゚)ノ

192名無しオンライン:2007/02/04(日) 14:40:06.07 ID:nCG3qwM/
>>191の412話にwktk
193名無しオンライン:2007/02/04(日) 15:44:28.71 ID:9GsU7Hcm
412の話し方って従来の410となんか違う?
194名無しオンライン:2007/02/04(日) 18:44:22.26 ID:q9eoB2aA
>>185
確かブリーチだったかなそれ・・・w
次のコマでは突き食らってダウンしてたがw

>>186
やっぱ箱には450だなぁw
しかしこのやり取りが何とも・・・w

>>189
こういうの見ると何故420に純正チャイナがないのかと思う
424が和服風なら純正チャイナがあったっていいじゃないか畜生!w
似合うじゃないか!w

>>193
412の台詞は基本410と同じらしい(Wiki参照)
でも話し方は(ここだと)パシリ次第だし好きにしてもいいんじゃないのか?
195名無しオンライン:2007/02/05(月) 00:26:35.87 ID:p3khbMDF
中年ヒュマ「よく来たな、俺はガーディアンズ情報部所属の中年ヒュマってもんだが」

440「いらっしゃい。こいつのことはおっさんと呼んでいいぞ」

中年ヒュマ「…今『ガーディアンズと所有PMの相互関係と及ぼし合う影響』ってのを調査してるんだが」

440「主従以外にどんな関係を意識しているのか、一緒にいて何を得るのかだな。
ウチのは、頼れるおっさんで得る物はないな。むしろ匂う」

中年ヒュマ「手間のかかるガキで得る物はないな。むしろ大飯喰らいで金がかかる」

440「…」

中年ヒュマ「…」

440「いくつか質問をするからそれに答えてほしい」

中年ヒュマ「そういうこった」



Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?



中年ヒュマ「なお、この質問は所有者とPMにそれぞれ行う」

440「じゃあ始めようか。君はこっちの部屋だ」
196名無しオンライン:2007/02/05(月) 00:27:09.45 ID:p3khbMDF
一応各作家さん達の主人とPMに対する質問なんだが…
主人とPMが別々の部屋でインタビューに答えるってことで
メインのストーリーを書くついでに答えてくれたら嬉しい
嫌ならヌルーしてもらって構わないんだ
ただ、皆さんの書く主人とPMをもっと知りたいだけなんだ…
197116続き 1/6:2007/02/05(月) 05:56:41.32 ID:fD8D2oRw
〜後日パルム・ラフォン平原・野営基地〜

湖畔公園方面へと続くゲートのすぐ脇、まるで門番であるかのように、ヒュマ男は一人佇んでいた。
その表情は、機嫌が悪いわけでもないのに無愛想、怒っているわけでもないのに鋭い目つき――早い話がいつも通りだ。
両腕を組みつつ壁に寄りかかり、時折通り過ぎるガーディアンズたちに目をやりながら、ヒュマ男は待ち人が来るのを待っていた。

ヒュマ男「しかし、先ほどのニューマンの少女…ミッション開始前からあの怯えようではな。正直先が思いやられる…」

ヒュマ男はそんな独り言を呟くが、件の少女が怯えていたのは彼の目つきが怖かったからだ。
そのことを本人は今ひとつ自覚していないのだから、はっきり言って質が悪い。

教官&420「お待たせ〜〜!」

元気な掛け声とともに、待ち人である教官と420が現れた。そんな彼女らを、ヒュマ男の悪態が出迎えた。

ヒュマ男「やれやれ…たかだかアイテム補充一つに、何故それほど時間がかかる?」
420 「なによ〜、男のクセにゴチャゴチャうるさいわね」
教官  「覚えておきなさい、女という生き物は、準備に時間が掛かるものなのよ」
ヒュマ男「…もういい。言うだけ無駄のようだ」

ヒュマ男はあっさりと白旗を揚げた。正直なところ、教官を説き伏せる自信など彼には無い。それよりも、一つ気になることがある。

ヒュマ男「ところで、410はどうした?」
教官  「あら、来てないの?410ちゃん、「ご主人様が待っているから先に戻る」って」
420 「うん、随分前に別れたはずだけど…」
ヒュマ男「全く、相変わらず手の掛かる奴だ」

溜息をつきつつ、ヒュマ男は410探索に乗り出そうとするが、

420 「ご主人様と劣等種はここで待ってて。私、探してくるから」
ヒュマ男「おい、チビ助」

という具合に420に先を越されてしまった。憮然とするヒュマ男に、微笑を浮かべながら教官は言った。

教官  「ふふ、好きにさせてあげて。あれであの子も410ちゃんが心配なのよ」
ヒュマ男「そうなのか?」
教官  「ええ、410ちゃん、ずっと元気が無かったでしょう?あの子、何だかんだでいつも気にかけていたわ」
ヒュマ男「そうか。今回の件では教官にもチビ助にも、随分と迷惑をかけたようだな。すまなかった」

そう言ってヒュマ男は頭を下げた。だが、教官は首を横に振り、

教官  「謝る必要は無いわよ、お互い助け合うのがガーディアンズなんだから。あなたたちの力になれたなら、私たちも本望よ」

その言葉にヒュマ男は頷き、改めて言い直した。

ヒュマ男「…分かった。その言葉に感謝する」
教官  「うんうん、それでいいのよ」

ニコニコと満足そうに笑う教官。そんな彼女を一瞥し、ヒュマ男は歩き出した。

教官  「あら?420を待たないの?」
ヒュマ男「チビ助に探させておいて、当人の主人である俺が探さないというのも、どうかと思うからな」
教官  「まぁ、あなたの気持ちは分からなくもないわね」

先に歩き出したヒュマ男を小走りで追いかけ、教官は彼に並んだ。ヒュマ男は視線を正面に固定したまま、

ヒュマ男「それに、ガーディアンズとして時間に遅れるのはどうかと思う。その辺りに関しても、きっちり説教してやりたいところだ」
教官  「痛いところをつくわね〜」

苦笑する教官を尻目に、ヒュマ男は歩き続ける。そんな彼の横顔をニコニコと眺めながら、教官も後に続いた。
198116続き 2/6:2007/02/05(月) 05:57:29.48 ID:fD8D2oRw
420 「あ、いたいた」

探索開始からそう経たぬうち、420はあっさりと410を発見する事が出来た。

410 「………」

壁に寄りかかり身じろぎもせず、正面に広がる平原を眺めている410。そんな彼女のすぐ隣に、420も寄りかかった。

420 「なにぼ〜っとしてるのよ」
410 「え?あ…420さん」

掛けられた言葉に、我に返ったかのように410は答えた。420が来た事に、今ようやく気づいたのだろう。

420 「なによ、また何か悩み事?」
410 「いえ、そういうわけではないです」

首を横に振りながら410。その表情が暗いものではないことを確認し、420も一安心する。

420 「なら、いいけどさ…」
410 「はい…」

そこで一旦会話は途切れ、二人の間に暫しの沈黙が訪れた。
互いの髪を風に揺らしながら、どこまでも続く平原を、二人はなんとはなしに眺め続けた。
そんな中、410は静かに口を開いた。

410 「…今でこそガーディアンズの拠点の一つですが、ここって元々軍施設だったのですよね…」
420 「そうね…」
410 「それに、このラフォン平原……SEEDが襲来してきた事も、あったのですよね…」
420 「うん…」

410の言葉に相槌をうつ420。そんな彼女に視線を合わせぬまま、410は次の言葉を放った。

410 「…420さんは、私のご主人様がガーディアンズにきた理由、ご存知ですか?」

不意に掛けられた言葉に、420は思わず目を瞬かせ、410を見つめた。
相も変わらず、目の前に広がる平原を眺めている410。だが、その視線は平原を通り越し、もっと遠くを見つめている様に思えた。
それに倣うかのように、420もまた、視線を平原へと戻した。

420 「…詳しい事はわかんない。でも、他にやれる仕事が無いからガーディアンズに来た、そう言ってた」
410 「はい…」
420 「それと――」

420はそこで少しだけ言いよどむが、結局続ける事にした。
199116続き 3/6:2007/02/05(月) 05:58:07.18 ID:fD8D2oRw
420 「――あいつには、かつて守りたいもの、守るべきものがあって……でも、守れなかったって…」

410はこくりと頷き、

410 「…ご主人様が守れなかったもの…それは、ご主人様のお父様で……ご主人様を守り、育ててくれた人なのだそうです」

420は驚きの表情を410に向け、

420 「そんな大事な事…いいの?」
410 「…分かりません。もしかしたら私は、とても身勝手な事をしているのかもしれません…」

そこまで言うと410は420の方を向き、穏やかに微笑みながら話を続けた。

410 「それでも、420さんには知ってもらいたかったのです。ご主人様を救ってくれた、420さんには…」
420 「………」

410にそう言われ、420は複雑な表情で黙り込んでしまった。
410は再び平原の方に向き直り、誰に問いかけるでもなく、独り言のように呟いた。

410 「…主人を失ったPMって、どうなるのでしょうか…?」
420 「………?」
410 「そもそも主人を失って、生きていけるものなのでしょうか…?」
420 「……あんたさ」
410 「もし、その気持ちを理解する事が出来たなら、ご主人様のかつての苦しみを、分かってあげられ――」
420 「馬っ鹿じゃないの?」
410 「――るかも…って、ば、馬鹿っ!?」

一人語りを「馬鹿」の一言で中断させられた410。今までとは打って変わった非難めいた目を向け、420に抗議した。

410 「馬鹿とはなんですか!?馬鹿とは!?私は真剣に――」
420 「そんなつまんないこと、真剣に語ってるから馬鹿扱いされんのよ」
410 「つ、つまらないって…これは大事な――」
420 「あのねぇ…」

そこで一旦420は言葉を区切り、

420 「劣等種の奴がさ、あんたに「父親を失って辛かった。だからお前もその辛さを味わってくれ」とでも言ってたわけ?」
410 「い、いえ…」
420 「あいつの苦しみを分かってやることで、あいつが喜んでくれるとか、あんたは本気で思ってるわけ?」
410 「そ、それは…」

420の言葉にまるで反論できない410。

420 「大体今のあんたの姿を見たらさ、劣等種の奴、こう言うんじゃない?」

そこまで言うと420は目を鋭く細め、眉を寄せてしかめっ面を作ると言い放った。

420 「そんなつまらん事に頭を悩ます暇があるなら、もっと効率よく戦闘を進められるよう努力しろ!」
410 「………」
420 「…ってね」
200116続き 4/6:2007/02/05(月) 05:58:46.98 ID:fD8D2oRw
どうやらヒュマ男のマネだったらしい。ポカンと見つめる410に、「似てなかったかな」などと独り言を呟く420。
暫くすると410は盛大に溜息をつき、

410 「……はぁ、確かに。…私、馬鹿だったかもしれませんね」
420 「本当馬鹿よね、あんたって」
410 「あう…そんなはっきり…」

思いっきり凹む410に、420は笑いかけて言った。

420 「私たちPMはご主人様を守るのが仕事なんだからさ、失った後の事を考えるよりも、もっと大事な事があるでしょ?」

その言葉に、410も苦笑しながら答えた。

410 「それもそうですね。どうすればご主人様をお守りすることができるか…それを考える事の方がよっぽど建設的ですよね」
420 「そういうこと。あんたはつまんないことで悩みすぎなのよ」
410 「…うーん、そうなのでしょうか」
420 「それにね、正直認めるのはしゃくだけど、あんたの主人って私から見てもすごい奴だと思う。だからさ――」

420は力強い笑顔を見せ、そして言った。

420 「――くよくよ悩んでないで、もっと前向きに頑張りなさい!じゃないと、あいつのPMなんて務まんないわよ」

410は暫く420の顔を見つめ、こっくりと頷いて笑顔を見せると、

410 「はい!」

と、元気よく答えた。そのままお互いの顔を見つめ、仲良く笑いあう二人。
どこか微笑ましい光景の中、元の目的をすっかり忘れていた420が、今になってようやくそれを思い出した。

420 「っとと、ちょっとお喋りが長くなったかも。ご主人様と劣等種、待ってるわよ」
410 「そ、そうでした!あう…もうこんな時間…。ご主人様のお小言決定です…」

悲しそうにうめく410。420はそんな彼女を見て、汗ジト気味になりながらも励ました。

420 「ま、まぁ、前向きに頑張りなさい、前向きに…」
410 「…はい。前向きに叱られる事にします…」

そう言って、410は寄りかかっていた壁から体を起こした。彼女にならって体を起こした420が、ふとあることに気づいた。
410の首筋で光る、剣状のオブジェ。前に会った時には、そんなものを着けてはいなかったはずだ。

420 「そういえば、その首のやつ、チョーカーよね?一体どうしたの?」
410 「あ、これですか?…えへへ…これはですね――」

嬉しそうに語りだす410。だが、反対に420の表情はどんどん険悪なものになっていき――
201116続き 5/6:2007/02/05(月) 05:59:21.64 ID:fD8D2oRw
ヒュマ男「いたな」
教官  「いたわね」

420が410を発見してから暫くして、ヒュマ男たちもようやく410を発見する事が出来た。
隣には420もおり、二人一緒にお喋りしているところを見ると、どうやらミイラ取りがミイラ、と言うことらしい。
――さて、なんと言ってやろうか…ヒュマ男は説教の内容を考えつつ、距離を縮めていく。が…

420 「ちょっと、なにそれ!どういうことよ!?」

そんな彼らのすぐ目の前で、急に420が大声をあげた。何事かと思い、ヒュマ男は彼女に声をかけた。

ヒュマ男「どうしたチビ助?」

ヒュマ男の声に振り返る420。きつく彼を睨みつけ、410の首にあるチョーカーを指差しながら彼女は言った。

420 「劣等種!これは一体何よ!?」
ヒュマ男「チョーカーだな。首に巻くアクセサリーであり――」
420 「そんな事聞いちゃいないわよ!これ、あんたが買ってやったのよね!?」
ヒュマ男「その通りだ。俺が買ったものだ」
420 「どういう経緯でこれを買う事になったのか、私はそれを聞いてんのよ!!」
ヒュマ男「簡単だ。先日410とミッションに出かけた際に――」

と、ヒュマ男がそこまで語ったところで、すっかり無視されていた410がぶつぶつと何かを呟き始めた。

410 「…ミッ……じゃない…………デ……です……」
420 「なによ、今忙しいんだから後にしなさいよ!」

420は強引に黙らせようとするが、410は顔を上げ、必死の形相で言い切った。

410 「…だから!あれはデ、デートなんです!!私とご主人様は、二人っきりのデートに出かけていたんです!!!」
420 「な、なんですってーーーー!?!?」

驚愕の叫びを上げる420。思わず真っ赤になる410。今の状況が良く分かっていないヒュマ男。そして教官はヒュマ男の方を向き、

教官  「ああ…本当にデートだったなんて…。ついにあなたも、デートが出来るまでに成長したのね…。私、感激だわ!」

と言った具合に一人しきりに感動していた。本気なのか振りなのか、ハンカチまで持ち出して目元を拭っていた。

420 「ちょ、ちょっと劣等種!今の話、本当なの!?」
ヒュマ男「ああ、確かなことだ。410を元気付けるのに効果的だと知人に教えられてな」
420 「な……」

ヒュマ男の言葉に暫し絶句する420。ぶるぶると震えだし、再び激昂した。

420 「なによそれ!?なんで私に断りも無く、こいつなんかとデートに行ってるのよ!?」
410 「ちょ、ちょっと何なんですかそれ!?私とご主人様がデートするのに、なんで420さんの許可がいるんですか!?」

更にそれが410に飛び火し、そのまま言い合いを始める二人。PMだって女の子、恋と友情は別物らしい。
――初めて出会ったときも、こいつらはこんな感じだったな…しみじみと思いつつ、ヒュマ男は言った。

ヒュマ男「やれやれ…チビ助は何をそんなに怒っている?デートなんぞ疲れるだけだけで、決して面白いものではないぞ」
410 「!?」

ヒュマ男のあまりにも正直な感想――410の心に致命傷を与えるには十分すぎた。
202116続き 6/6:2007/02/05(月) 06:00:58.47 ID:fD8D2oRw
410 「…つ、つまらなかったんだ…ご主人様…私とのデート…つまらなかったんだ…」

先ほどまでの勢いが完全に消えうせ、真っ白に燃え尽きた410。その様子に、教官は盛大に溜息をつき、

教官  「…はぁ〜。ちょっとは成長したかと思いきや、全っ然駄目駄目じゃない!」
ヒュマ男「良く分からんが、そんなに駄目なのか?」
教官  「ええ、駄目も駄目駄目まるで駄目男よ。もうあなたはヒュマ男じゃなくて、まるで駄目男よ」
ヒュマ男「言っている意味はさっぱりだが、今の言葉、そこはかとなく傷ついたぞ」

教官の物言いに、ヒュマ男はなんとも複雑そうな顔をして見せた。

420 「ちょっと、私の話はまだ終わってないわよ!?」
教官  「本当にあなたときたら…」
410 「…デート…つまらなかったんだ…」

420に怒られ、教官に呆れられ、410には沈み込まれ、何だか分からないが状況は最悪らしい。
ヒュマ男は頭を抱え込みたくなるが、とりあえず彼なりに事態の収拾に乗り出した。

ヒュマ男「わかったわかった、話なら後でいくらでも聞いてやる。今はミッションを進めるぞ」
420 「その言葉、忘れるんじゃないわよ!」
教官  「ええ、自分の発言にはきちんと責任をもたないとね」
410 「…つまらなかったんだ…」

各々の捨て台詞残し、湖畔公園方面へのゲートへと向かう三人。ヒュマ男は小さく溜息をつき、その後に従った。

420 「よ〜し、それじゃミッションなんてちゃっちゃと終わらせて、あんたをきっちり締め上げてやるからね」
教官  「うふふ、今のうちに覚悟を決めておきなさい」

妙に張り切りゲートの奥へと消える教官と420。そんな中、一人残っていた410がヒュマ男を促した。

410 「……私たちも行きましょうか」

ゲートに着くまでに少しは立ち直った様だが、それでも今ひとつ元気が無い410。そんな彼女にヒュマ男は一応聞いてみた。

ヒュマ男「…先ほどまで随分と落ち込んでいたようだが、ミッションに取り掛かる上での問題は無いのだな?」
410 「…完全にとは行きませんが大丈夫です」
ヒュマ男「そうか」

短く答えるヒュマ男に、410はなんとか笑いかけ、

410 「それに、くよくよ悩まず前向きに頑張るって決めたんです。でないと、ご主人様のPMは務まりませんから」
ヒュマ男「なるほど。お前にしては中々の心がけた」
410 「…とは言っても、これ、420さんの受け売りだったりします」
ヒュマ男「かまわん。それが自分にとってプラスになると思うなら、どんどん学べばいい」
410 「…はい」

410の返事を確認すると、ヒュマ男はゲートの奥へと歩き始めた。同じように歩き始めた410が、そっとヒュマ男の手をとり尋ねた。

410 「駄目…ですか?」

ヒュマ男は小さく溜息をつき、その手を握り返した。そのまま一度だけ410を振り返り、微笑を浮かべる彼女にこう言った。

ヒュマ男「…全く、戦闘エリアに着くまでだぞ」


…終わり
203202:2007/02/05(月) 06:15:43.68 ID:fD8D2oRw
ヒュマ男に色恋沙汰ってほぼ無理な気がしてきた…
それと悪パシリなんかもそうなのですが、410の困ってる姿を見るのがなんか好きな自分…

最近仕事の方、最近全然休みなかったですよ…精神的に余裕ない状態で書くもんじゃないなぁ
とりあえず久々休みきたんで一気に書き切りました。これで今後はゆっくり眠れる
毎度長々と駄文を申し訳ありません…本当、必死に削っているのにどんどん増えていく…

>>160
一応エクストラでキャラメイクだけしてみたのですが、まんまこんな感じでした
>>195
こういうのも面白そうですね。とはいえちょっと頭休ませたい…
204名無しオンライン:2007/02/05(月) 14:20:45.46 ID:UmROl1jg
>>203
ヒュマ男は女心を木っ端に打ち砕くのが得意だなぁ・・・w

ともあれ忙しい中完結お疲れ様です、やっぱヒュマ男と410はいいなぁ、後この420も・・・w

>本当、必死に削っているのにどんどん増えていく
こちとら増やそうとしてるのに減っていく摩訶不思議
多分文章を凝縮しすぎるのが問題なんだろうなぁ・・・
色々参考にさせてもらわねば

>一応エクストラでキャラメイクだけしてみたのですが、まんまこんな感じでした
ヒュマ男の顔のモーフィングに悪戦苦闘した挙句あの形にw
205名無しオンライン:2007/02/05(月) 14:57:32.53 ID:UmROl1jg
レス付け忘れ
>>195
こういうネタの提供はありがたい、是非とも書かせてもらうぜ!

てか固まりきってなかった設定を見直すいい機会だ・・・w
206前スレ105:2007/02/05(月) 15:28:23.83 ID:5wasbE24
「え…」

急に店に訪れた調査部を名乗る男。
彼がいう『ガーディアンズと所有PMの相互関係と及ぼし合う影響』…という調査

「き、急な話ですねぇ…」

ヒュマ助は目を白黒させながら、対応していた。
一緒に付いて来た440が言う。

「主従以外にどんな関係を意識しているのか、一緒にいて何を得るのかだな。
ウチのは、頼れるおっさんで得る物はないな。むしろ匂う」

中年の調査員も言う。

「手間のかかるガキで得る物はないな。むしろ大飯喰らいで金がかかる」

無言の空気。空笑いをするヒュマ助。更に固まる空気…

「と、とりあえず…僕とこの子達で協力出来るのでしたら、喜んで…(汗」
207ケース1 「ヒュマ助の場合」:2007/02/05(月) 15:29:09.11 ID:5wasbE24
「いくつか質問をするからそれに答えてほしい」
「解りました。出来る範囲でお答えいたします」

目の前にいる…無駄に凄みのあるGH440。
ヒュマ助は本人も解らないが何故かこの子に敬語で話してしまうのだった…

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?
「しゅ、主従関係って…」

驚いたような目を向けるヒュマ助。
質問の意味ではなく、含まれる表現に…の様だ

「僕は…あの子達を自分の家族だと思っています。主従関係ではありません」

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?
「学んだ事…ですか」

そういって、フっと恥ずかしそうに微笑むヒュマ助。

「お恥ずかしい話、いつも学ぶ事ばかりなんですよ…」
「僕が教えた事なんて、殆ど無いと思います。いつも学ぶばかりで…」
「この間もですね…(この後、数十分楽しそうに思い出話をする」

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?
「精神的な変化…うーん、そうですねぇ…」

ひとしきり考えた後、ヒュマ助は優しい顔で答えた。

「傍に居てくれると、本当に心が安らぎます…」
「もし、あの子達が居なくなるとしたら…」
「辛い、でしょうね…。出来ればその時はこないで欲しいと願っています」
208ケース2 「442の場合」:2007/02/05(月) 15:29:50.48 ID:5wasbE24
「いくつか質問をするからそれに答えてほしい」
「畏まりました。では、質問をどうぞ」

進められた座席に座ると、落ち着いた様子で応答を始める442。
主人とはえらい違いだ…と、440はきっと思っただろう。

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?
「これは…ヒュマ助様には内容は公開されるのですか?」

訝しげに聞く442。440も慣れた様子で「機密事項だから」と答える。

「そうですか、では…」
「私は、純粋にヒュマ助様をお慕い…しています」

頬を赤らめ「あぁ…ついに言ってしまった」等と楽しそうな442だった。

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?
「お店の技術から、日常の事まで…それこそ、何から何まで…ですね」
「些細な内容から、私の大好きなニューディズの文化まで、幅広く」
「えぇ、ヒュマ助様からはいつも学ばせて頂いておりますわ…(ポッ」

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?
「ひ、ヒュマ助様が私の傍からい…いなくなるのですかっ!?」

突如、椅子をひっくり返す勢いで立ち上がる442。

「嫌です、嫌ですわ!お願い…お願いですから…何でもしますからそれだけは…」

よよよ…、と崩れ落ちる442。結局、係りの人に宥められながら退場していった…
209ケース3 「422の場合」:2007/02/05(月) 15:30:31.87 ID:5wasbE24
「いくつか質問をするからそれに答えてほしい」
「ほーぃ、いいよ!ボクが何でも答えてあげる!」

ソファでぴょんぴょん飛び跳ねていた422だが、質問が始まると熱心に答えた
440はまたもや…「個性的な性格に成長しているな…」と感嘆しただろう…

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?
「主従…てどんな関係?へっ…?あぁ、なるほど…」

主従関係について簡潔に説明されると、一頻り悩んだ末、422は答えた。

「うーん、ボクとヒュマ助は主従…なんちゃらじゃないねー」
「それに、ヒュマ助もボクは家族なんだっていーっつもいってくれてるし」
「うんうん、ボクはヒュマ助は家族だよっ!いっつも一緒にいて、いっぱい遊ぶんだ♪」

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?
「あるある!ボク…苦手な事いっぱいあるからさ…いっつも失敗ばかりなんだぁ…」
「でもでも、ヒュマ助はいつも優しくボクが解るまでゆっくり何度でも教えてくれるんだ!」
「優しいんだよねー!だから、ボクはヒュマ助が大好きなんだぁ…♪」

無駄に幸せそうにえへへー、えへへーとしている422を尻目に、440は次へ話を進める。

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?
「うーん…ヒュマ助がいなくなるなんて…そんなのやだよぉ…」

シュンとなる422。先ほどの442の事もあり、440は「仮にですので…」と強く訂正する。

「いなくなったら、探すもん…。見つけて、ぜーったい一緒にいてやるんだからっ!」
「いてくれる時はボク、大好きだなぁ…。暖かくて、すっごく幸せな気分…」
「お姉さんは…あのオジさんと一緒に居て、そうは思わないの?」

この後、逆に好奇心旺盛な422から、担当の440は質問攻めに会うのだった…
210調査後…:2007/02/05(月) 15:37:21.21 ID:5wasbE24
「あ、ヒュマ助!442〜!」

調査が終了して、二人の元へかけて来る422。
その後に続いて、何故かぐったりした様子で440が続いて出てくる。

「お帰り、422」
「お帰りなさい、422」
「ただいまっ!」

そういって、ヒュマ助の首へ飛びつく422。

「ヒュマ助ぇ…ボクいっぱい喋ったらお腹減ったよぉ…」

ぐぎゅるる…と何だか危ない音をお腹から出しながら、首にぶら下がる422。

「あらあら、ヒュマ助様?これは大変ですねぇ…w」
「あはは…そうだね。よーし、それじゃ…今夜は422の好物いっぱい作ろうか!」
「ほ、本当!?ヒュマ助っ…大好きっ♪」

楽しそうに背を向ける3人。調査などしなくても、この姿を見ただけで…
そう思うような幸せそうな光景が、440と中年ヒュマ男の前にはあった。
211前スレ105:2007/02/05(月) 15:41:02.57 ID:5wasbE24
>>195
すまない…仕事サボってまで書いてしまったんだぜ?w
有難う、いいネタでした…。

詰まらない内容だったら…すまない。

>>203
女心が読めない!でも、そこが素敵!
正直、私のヒュマ助は別な意味で女心が読めていないんだ…うん。

今回もお目汚ししました。あぁ…新ネタ無いかな…お土産話の
212名無しオンライン:2007/02/05(月) 16:19:26.40 ID:ZxEUzsIW
期待age
213名無しオンライン:2007/02/05(月) 19:30:31.70 ID:p3khbMDF
440「おっさん、終わったぞ」
中年ヒュマ「…俺の事はおじ様と呼べといつも言ってるだろ」
440「了解した、おっさん」
中年ヒュマ「おいっ」
440「ふむ、発声機能の不具合らしい。すまないが我慢してくれ、おっさん」
中年ヒュマ「もういい…。ついでにメシ食ってくぞ、メシ」
440「メ、メシ?(じゅるり)」
中年ヒュマ「さっきのヒュマ助がやってる飯店が評判良いらしいんでな。お前は水だけな」
440「…おっさん」
中年ヒュマ「冗談だ。ちゃんと食わせてやるから二度とおっさんと呼ぶな」
440「了解した、おっさん!」
中年ヒュマ「………」

――――――――――

440「いい香りだ…」
中年ヒュマ「はやる気持ちは分かるが鼻の穴広げるのはやめろ」
422「いらっしゃいませー!二名様でよろしいでしょうか?」
中年ヒュマ「あぁ。あと喫煙席で頼む」
422「かしこまりました!ではあちらの席へどうぞー!」

随分元気で明るいPMだ。
二人は席につき、中年ヒュマは早速煙草を吸い始める。

中年ヒュマ「………」
440「…どうしたんだ、おっさん。浮かない顔しぶっ」

中年ヒュマは唐突に440の顔を鷲掴みにする。

中年ヒュマ「おっさん、ちょっと我慢の限界だ」
440「ほ、ほへんひゃひゃい…」
中年ヒュマ「許さん。そら、お仕置きだ。フゥ〜〜」
440「うー!うー!」

鷲掴みにした顔に煙草の煙を吹きかける中年ヒュマ。
あまりの臭さに腕や脚をじたばたさせる440。鷲掴みにされて歪んだ顔は、とても口では言い表せない状態になっている。

422「あのー、ご注文は…」

この異様な状況に戸惑いながら、先程のPMが話しかけてくる。

中年ヒュマ「あ、あぁ。じゃあこのコルトバカツ定食。お前も早く選べ」

やっとのことで解放された440はキッと中年ヒュマを睨みつける。

440「…じゃあ、これとこれとこれと」
中年ヒュマ「おい」
440「これとこれとこれとこれと」
中年ヒュマ「…俺が悪かった」

――――――――――
214名無しオンライン:2007/02/05(月) 19:33:25.60 ID:p3khbMDF
440「ふぅ…、もう食べれないな…」
中年ヒュマ「くっ…給料日前だってのにこんなに食いやがって…」

腹を満たしたはずなのに何故かげっそりした様子で、中年ヒュマは自分のメセタカードを確認する。

440「…なあ、さっきは何も得る物ないって言ったけど」
中年ヒュマ「あ?」
440「その………なんだ、ゴニョゴニョ(感謝してるからな)」
中年ヒュマ「…」

中年ヒュマは440の帽子を外し、グシグシと頭を撫でてやる。

中年ヒュマ「…俺はお前に救われてる。大怪我のせいでこんな部署に来ちまった時ぁ、死んでやろうと思ったもんだが」
440「あの時のおっさんはガーディアンズの時と別人だった」
中年ヒュマ「当たり前だ。出世街道まっしぐらって時にあんな事が起きて、おまけにガーディアンズからはあっさり戦力外通告だ」
中年ヒュマ「…警備部にいたときには全然見えてなかったお前の存在が、
情報部に来てから…絶望の淵に立たされてからは二倍にも三倍にもなって見えてきやがった」
中年ヒュマ「ああ、俺はコイツのために生き続けなきゃいけねえ。そう思った」
440「おっさん…」
中年ヒュマ「女房はいねえが俺にとってお前は最高に可愛い自慢の娘だ」
440「………」

急に俯いて目元をこすり出す440。
440「…む?おかしいな。顔周辺の機能に不具合が発生したらしい」

再び440の頭をグシグシと撫でる中年ヒュマ。

440「うっ……不具…合が……修復できな……うぅ…ひぐっ」

――――――――――

中年ヒュマ「さて、次のガーディアンズを調査しにいくぞ」
440「了解だ、おっさん」
中年ヒュマ「その前に顔洗ってこい。酷い顔だぞ。俺が泣かせたと誤解されちまう」
440「…馬鹿」

終わり
215名無しオンライン:2007/02/05(月) 19:40:11.10 ID:p3khbMDF
勢いでヒュマ助の作者さんの422と飯店を使ってしまった
申し訳ない

>>205
最近書き込みが寂しいから、何かのきっかけになればと思って書いたんだ
wktkしながら待っているぜ

>>211
早速応えてくれてヌリガトウ
暖かい雰囲気がひしひしと伝わって来たよ
あれ…?おかしいな…目から汁が………
216名無しオンライン:2007/02/06(火) 08:03:45.96 ID:Zpq/wqiv
>>195が仕上がったので投下


『ビス男の場合』

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

ビス男「『どんな関係を意識』と言われてもなぁ、俺は至って普通に接してるつもりだが
    強いて言えば『パートナー、もしくは保護者ような関係』、と言ったところか
    俺としては主従関係ってのがあまり好きではないんでな、だから420には割りと自由に生活させてるつもりだ
    ・・・まあそのおかげで苦労が絶えなかったりするんだが・・・」

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

ビス男「学んだ事、それなら・・・食費対策の金策に安くて量が多い料理、ボリュームのあるように見せる盛り付け方
    ってあいつから学んだ事じゃないなこれは・・・
    まあそうだな、あいつの元気と無鉄砲さにはいくつも学ぶところがある、特に戦闘で突撃すると痛い目に会うって事だな・・・」

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

ビス男「420が側に居る時は何するか解らないから見ているだけでも疲れるんだよな・・・
    だからまあ一人の時はリラックス出来て気は楽だな、俺の見てないとこで何してるか心配でもあるが
    ただもし本当に420が居なくなるとやはり寂しいし心配もするだろうな、どうも騒がしいのに慣れすぎたらしい・・・」

溜め息と共に苦笑いをする俺、こういう質問をされなかったら考えもしなかった事だ
と、そんなやり取りをしていると隣の部屋から何やら騒々しい声が聞こえる

「テープ回ってんじゃねえかっ!ろ、録音止めろー!」

ガラガラガシャーン

ビス男「・・・やはり俺はあいつの保護者で居ないとダメのようだ」

俺はがっくりと肩を落とし深い溜め息を吐いた・・・
217名無しオンライン:2007/02/06(火) 08:05:48.87 ID:Zpq/wqiv

『420の場合』

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

  420「んー・・・どう言う関係って言ってもマスターはマスターだしね
    でも『マスターの良いパートナーでありたい』って思ってるかな
    あ、あとマスターを私の魅力でメロメロに〜とか!」

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

  420「ん〜、あんまよくわからないけど教えてもらった事は結構あるかな、色んなとこに一緒に出かけたりするし
    この前もマスターにお祭り連れていってもらったりとか、ニューデイズのお正月の行事でお餅食べたりとか〜
    そういえば今度『ばれんたいんでー』って言うチョコレートのお祭りがあるってマスター言ってたっけ、チョコ楽しみ〜♪」

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

  420「マスターは私の事よく子ども扱いしたり私が何かするとすぐ怒ったりするけど・・・
    でも一緒に居ると楽しいしおいしいもの食べさせてくれるからマスターの側に居る時が一番楽しいかな
    そう言えば今まで考えた事なかったけどもしマスターが居なくなったら・・・私どうなるんだろなぁ・・・
    マスターが少し出かけてる時は大丈夫だけど、もしマスターに何かあって居なくなったら・・・
    うぅん、考えるのやめとく、今マスターと一緒に居れるのが一番幸せだし」
218名無しオンライン:2007/02/06(火) 08:08:42.92 ID:Zpq/wqiv

『その後』


  440「おっし、これで質問は全部だな、はいお疲れ様」
  420「ねね、私も一つ聞いていい?」

  440「んあ?まあ時間もまだ少し残ってるし大した事は答えられないがそれでいいなら・・・んで何が聞きたいんだ?」
  420「えっと・・・440さんは440さんのマスターさんの事って好きだったりする?」

  440「ぶはっ!」

唐突且つ的を獲た質問を受け一撃で瀕死になる440
背けた顔を朱に染めながらも律儀に、しかししどろもどろに答える

  440「・・・ま、まあ好きとか嫌いとかそういうのじゃなくて・・・あのおっさんは仕事上のパートナーと言うか、その・・・」
  420「ふ〜ん・・・さっきも仲良さそうにしてたのに」

  440「ば、馬鹿言うな!おっさんとは別に何でも・・・ないわけじゃないが・・・えっと・・・」
  420「えっとそれでね、マスターが喜びそうな物ってなにか良いのないかなって思ってるんだけど、何がいいかな?」

  440「え、あぁ、なるほど、いつも感謝してる主人にプレゼントって訳か、そうだなぁ・・・」
  420「マスターもガーディアンズだし武器とかにしよっかな、って思ったんだけど何がいいかわからないし
    一応本読んで勉強はしてみてるんだけど」

  440「ほほう、んでその本には何て書いてあったんだ?」
  420「えっと、『セクシーな服で大胆に迫ればご主人様はイチコロ!』って書いてあったんだけど、ほらここ!」

そういってナノトランサーから取り出した本には見開き大きく書かれた文字
ちなみに表紙にはグラビアパシリの写真がでかでかと貼られ『大人のパシ通』と書かれている

  420「後この本には男の人を喜ばせるには(ピー!)とか(ズキューン!)とか(ドゴーン!)とか」(倫理的に自主規制)
  440「わー!わー!そう言う事を他人の目の前で言わない!わ、解った解った、後でゆっくり答えてやるから!
    って、テープ回ってんじゃねえかっ!ろ、録音止めろー!」

ガラガラと言う音と共に録音はここで途切れる


実験終了後俺が部屋から出たのに少し遅れる形で420と少し顔を紅く染めた440がもう一つの部屋から出てくる

ビス男「全く、お前はちゃんと見てないと何処でも騒ぐんだな・・・」
  420「別に私はちゃんと大人しくしてたもん、ねね、マスター、どっかおいしいもの食べにいこっ!」

ビス男「おし、そうするか、確か最近人気の飯屋があるらしい、そこ行って見るか」
  420「やったーご飯〜ご飯〜♪」

嬉しそうに並んで歩く二人の姿を見て見送り、中年のヒュマ男と440の顔は思わず綻んでいた
219名無しオンライン:2007/02/06(火) 08:20:44.60 ID:Zpq/wqiv
2番目のメル欄間違えたけどまいいか・・・w

>>211
なんつーか両手に花、だなぁw
442と422にこんだけ慕われてるヒュマ助が羨ましい・・・w

>>215
この二人のコンビも中々いいなぁ、と俺の方でも勝手にネタに使わせて頂いたw


しかしこの質問は本編書くのにいい火付け剤になる、実にありがたいw
こういうネタはいつでも大歓迎ですぞい〜
220前スレ105:2007/02/06(火) 12:12:53.19 ID:5grlPBJH
「あ、あのー…コレどーぞ!」

いつもの飯店。食後のお客へ、422がおずおずと小さな箱を取り出す。

「へっ…?コレはなんだい、422ちゃん」
「えっと、もうすぐばれんたいんでぃって日じゃない?」

ちょっとはにかみながら、お客へモジモジと説明しだす422。

「だから、そのー…ち、チョコレートを…」
「お、俺にくれるのっ!?…ありがとう!」

お客一同、可愛い看板娘(キャストだが)からチョコを貰えた事に騒ぎ出す。
口々に「義理でも嬉しいぞー」や「い、生きてて良かったー」等と声をあげる。

「た、食べてみてよ…。美味しいか知りたいし…」
「勿論!おじさん、今すぐ食べちゃうよー!」

早速包み紙を開ける一同。中から可愛らしいデコレーションのチョコが顔をだす。
それを、我先にと口に入れる一同。そして…

「う、うまい…(ホロリ」
「これは…す、素晴らしい…(ホロリ」
「まるで…天使の接吻のような…くちどけ…(ホロリ」
「香りも味も…最高だわぁ…(ホロリ」

思わず涙する一同。それをみてホッと息を吐く422。そこに…
221前スレ105:2007/02/06(火) 12:13:45.14 ID:5grlPBJH
「422、チョコレート配ってくれた?」
「うん、皆美味しいっていってくれたよ!」

店主、ヒュマ助登場。お客はといえばまだチョコの余韻でとろけている様子。

「良かった、失敗してたらどうしようかと思ったよ…」
「ヒュマ助様のお料理に、まずいなんて事は無いと思われますけど…?」

後から続く442。お客へ会釈をしつつ、なれた手つきでお皿をさげていく。

「ヒュマ助ー、私もチョコレート食べるー!」
「はいはい、まだいっぱい作ってあるから、そう慌てないのw」

そこで、先ほどまでとろけていた一同が「えっ!?」…となる。

「どうかしましたか?お客様…」
「こ、このチョコって…422ちゃんがくれたんだよな…?」
「はい、422にお客様にお出しして…と僕が」
「じゃぁ…このチョコを作ったのは…」
「いえいえ、422は見てただけですよ?作ったのは僕ですけど…」

静寂。「え…あ、あれ…」と何がなんだか解らない様子のヒュマ助。
そして、その瞬間…

「ヒュマ助ー!俺達のときめきをかえせぇぇぇぇ!」
「悔しい!こんな野郎の手作りチョコでときめいた自分が悔しい!」
「うぁぁぁ!あんまりだぁぁぁぁ!」
「しかしうまい!アチシはヒュマ助の愛なら本望よっ!」

怒号炸裂。客達の阿鼻叫喚。口に手をいれて吐き出そうとする者までいた程だ。

「えーと…何か、不備など御座いましたでしょうか…?」

あはは…と苦笑いするヒュマ助。それを聴いた瞬間、詰め寄る一同。

「不備だらけだーコンチクショー!」
「金返せ!今すぐ返せぇぇぇぇ!」
「俺達に謝罪しろぉぉぉぉ!」
「好きですわぁぁぁぁ!」

何やらモミクチャにされるヒュマ助。それを傍目で見つつ、ため息をつく442。

「あれ…モグモグ、ヒュマ助…モグモグ、どうしたの?」

口の周りをチョコだらけにして、チョコを頬張る422。
今日も、彼の飯店は賑やかな雰囲気に包まれている。
222前スレ105:2007/02/06(火) 12:19:49.06 ID:5grlPBJH
皆様のネタになれるなら…仕事サボっても本望なんだぜ…?w
季節ネタを思いついたので、書き込んだ次第です。

>>215
どんどん使ってくれて構わないんだぜ?
私も思いつかない様な素敵な話が生まれるなら、むしろ感激です!

>>219
ビス男は420に手を焼かされっぱなしだねw
でも、そういう手のかかる子の方が愛しいものだよ…ホントw
むしろ、420の持ってた雑誌が気になる…

では、今回はこの辺りで。お目汚し致しました。
2231/2:2007/02/07(水) 04:01:08.36 ID:NcY6JCfG
中年ヒュマ「失礼するよ」

440「お邪魔させてもらう」

ショップの扉が開き、中年のヒューマン男性とその連れの440が中に入る。
その視界には、カウンター前…要するに定位置に立っているGH441と、
その目の前に片膝を付いて向かい合っているヒューマンの男性。

中年ヒュマ「俺達はガーディアンズ情報部の者で…」

440「…おっさん、聞こえてないみたいだぞ」

中年ヒュマ「なに?」

この距離で……?
だが、なるほど、確かに二人ともこちらに反応する様子がない。
中年のヒューマンは440と顔を見合わせると、近付きながらもう一度声をかける。

中年ヒュマ「おーい、邪魔するよー?」

すると、方向的に二人の方に体が向いている441が気付いたのか、顔を上げる。

441「…ぁ……い、いらっしゃい…ませ……」

中年ヒュマ「な…」

思わず歩みを止める。
目のあった441は顔がやや赤く、目は方向はあっている物のどことなく焦点が合っていない、
オマケに目尻には涙が光っている。
そりゃあビックリもするだろう。

と、片膝を付いていたヒューマン男性が振り向く。

ヒュマ男「っと、お客さん?失礼しました、ちょっと取り込んでいたもので…」

後頭部を軽く掻きながら、苦笑しつつ立ち上がるヒューマン男性。
それを聞いた441が一瞬目を伏せる。

ヒュマ男「お探し物ですか?」
2242/2:2007/02/07(水) 04:01:19.24 ID:NcY6JCfG
中年ヒュマ「え、い、いや…」

440「(あの441…汗を掻いている…しかも着衣が乱れているな……)
   ……本当に『邪魔』してしまったみたいだな…?帰ろうか、おっさん」

中年ヒュマ「う?あ、ああ…?」

何かを悟ったかのような口調で喋る440、混乱してしまってしどろもどろの中年ヒュマ。

ヒュマ男「え、いえ、今は開店時間中ですし…」

苦笑いのヒューマン男性。

441「はぁ……はぁ……ぁ…」

不意に441がぐらりとふらつき、ヒューマン男性の足にしがみついて踏みとどまる。

441「…あ…ぅ…ご主人…さま……」

ヒュマ男「だ、大丈夫か?…すみませんお客さん、少しの間商品でも見てお待ちいただけますか」

440「あ、いや、我々は帰」

ヒューマン男性が441をひょいとお姫様だっこするのを見て、440が詰まる。

441「ぁぅ…私は…大じょ…」

ヒュマ男「数分で戻りますので」

そのまま早足で居住スペースの方へ消えるヒューマン男性。

中年ヒュマ「あ、ああ…???」

440「…むぅ、待つしかないか…」

相変わらず混乱したままの中年ヒュマを見上げ、440は一つ溜息をついた。


続く



>>195にのってみようと思っただけなのだが、前置きが肥大化…
というか中年ヒュマを何か頼りない感じにしてしまって申し訳ないorz
225名無しオンライン:2007/02/07(水) 06:03:26.54 ID:Bmv4OOcb
>>224
これはまたもや星霊祭の飾りの合成か・・・w

事情知らない中年ヒュマや440はさぞ驚くだろうなぁ・・・w


しかし何故合成で服がはだけるのか未だに謎だ・・・w
226名無しオンライン:2007/02/07(水) 07:45:43.05 ID:Yjkd0QmD
ここはノリの良い人達が集まるスレですね

>>219
440が逆に質問責めにされてるw
その発想はなかったわー

>>222
そうか、今世の中はバレンタインシーズンなのか…
色々悲しすぎて意図的に忘れてたぜ

>>224
こっちのイメージする中年ヒュマでいくと、中年ヒュマと440のセリフが逆なら丁度良かったかも
だが 倫 理 的 に お k
227名無しオンライン:2007/02/07(水) 17:54:16.94 ID:MrQMlRwq
>>225
>しかし何故
そのほうが「良い」からに決まってるだろう
228名無しオンライン:2007/02/07(水) 21:37:48.01 ID:MSEUNYhL


薄暗い会場の真ん中にポツリと浮かぶ白いリング
そのリングを囲むように犇めき合う観客、その異様な熱気に包まれた会場にけたたましいほどのアナウンスが響く

『グラール系無差別王座決定戦、ランバー・ジャック有刺鉄線電流爆破バトルロイヤル、無制限一本勝負を行います!』

観客席からは待ちわびたと言わんばかりの声援が上がる

実況「さあ遂に始まりましたね、解説のヒューガさん」
解説「えぇ始まりましたね、この世の出会いはすべて星霊の(以下略)」


『己が守るべきものは主人、第一コーナーよりライジング410の入場です!』


実況「さあ、赤と白のツートンカラーでライジング410の入場です!」

わっと吹き上がる声援と共に大音量の入場テーマが会場に響き渡る

実況「二本のおさげをなびかせ、静かな動きで花道を行きます!
   資料によるとこういった場所に出るのは初めてとの話が、なるほど、確かに緊張しているようです!」
解説「緊張している顔も中々可愛かったりしますね、笑っている顔も是非見てみたいものです」

実況「誰もそんなことは聞いていません!
   さあ、観客にお辞儀をして花道をゆっくりと進みます!
   落ち着きのない表情でリングを一瞥、そして紅白の少女が有刺鉄線のロープを飛び越えたぁ!
   リングへと降り立ったその姿はまさに戦場に咲く一輪の花!
   コーナーの外から主人であるヒュマ男氏が無表情でジョギリを投げ渡す、それは美しい花に付く棘なのか!」
解説「一度彼女とお茶でもしながらのんびりお話してみたいものですね」

実況「えー今回の試合は有刺鉄線に電流を流しながらで更にランバー・ジャック形式となっていますが、どうですかヒューガさん?」
解説「・・・危ないでしょうね」

実況「その通りですね!さあ、そんな地獄の鳥かごの中に飛び込む無謀な鳥は誰だぁ!」
229名無しオンライン:2007/02/07(水) 21:38:33.63 ID:MSEUNYhL

『ご主人様は私のもの、小ビス子の守り神、狂犬・フローズン430、第二コーナーより入場です!』


実況「深いスモークの先で手に構える暗殺者の印!
   悠然と歩き出てきたのは暴走するオイルタンカー!
   隙あらば主人を手篭めにしようと考えている、こんなパシリは何処にも居ない!
   フローズン430がにやりと笑う、手にはバースト、これは独自にカスタムしているとの話ですが、全く違いがわかりませんねヒューガさん!」
解説「あれと同じものをGRMショップで見ましたよ」

430が歩き出すと同時に声援が一層大きくなる

実況「花道では悠然と歩きながら観客に手を振る430、心なしか顔が緩んでいるように見えるのはやはり小ビス子氏が居るからか!
   ここからでは小ビス子氏の声は歓声に呑まれて全く聞こえないが430には聞こえているようだ!
   今にもブラストゲージが振り切れそうな顔をしている、花道付近の観客はオイルに注意してください!」
解説「やはり小ビス子氏は可愛いですね、はうはう言いながら430を心配そうに見ていますよ」

実況「この薄暗い照明の中で一体何処を見ているんでしょうか!
   さあ、リングの前にやってきました、ここからは毎度おなじみ目を瞑り意識を集中させる!
   トップロープなんてなんのその、エメラルドグリーンの髪をワイルドに靡かせ、ひとっとび!
   美しいムーンサルトでリングに着地、ゆっくりと歩き出してリングの中央へ、もちろんそこには410が居るぞ!
   おっと、早速熱いにらみ合いが始まった!」
解説「因縁の対決ですからね」

実況「たまには解説っぽい事も言ってくれるようです、全く持ってその通りです!」


『その銃口が狙うは主人と箱、先に出るのは口よりも銃弾、第三コーナーより、プラズマ440入場!』


実況「暗がりからゆっくりと現れるその姿、口元には笑顔!
   全身から殺気、いや狂気を放ちながらプラズマ440、颯爽と登場です!
   手にはショット、これは敵を撃つものなのかはたまた味方を討つものなのか!
   ゆったりと、しかし足早にリングへと向かいます!」
解説「あーいうタイプは実は凄い恥ずかしがり屋だったりするんですよね、そのギャップが可愛かったり」

実況「全くもってどうでもいいですね!
   さあ、リング上で睨み合う二人を見上げてニヤリと笑う、これは勝利への確信なのか!
   身長の倍のリングの更に倍はある高さのロープを飛び越え、今リングへと降り立ったぁ!
   すらりと伸びた黒タイツに観客は釘付け!
   さあ、今回の勝負はバトルロイヤル、まだまだ参加者は居るぞ!」
230名無しオンライン:2007/02/07(水) 21:39:00.17 ID:MSEUNYhL

『すべては私とご主人様の未来の為に、箱想いのパーフェクトパシリ、第四コーナーよりバーニング450入場です!』


実況「さあ、遂に4人目、バーニング450がその姿を現した!
   胸に抱えるのは身長に不釣合いなほど大きなメイロドウ!
   その目に宿るは強い意思と微妙に黒い野望!
   両手に持つ想いは敵を倒す為の剣なのかそれとも主人を守る為の盾なのか!」
解説「PMはキャストと同じくテクニックが苦手ですが450シリーズはそれを補う為に特殊機関を内蔵しています
   それでも本職には敵いませんが今回は対戦相手がPMなので結構な火力になると思いますよ」

実況「何故そこまで詳しのか知りませんが確かにこの勝負、450が不利と言うわけではなさそうだ!」
解説「まあ要するに僕が言いたいのはですね、彼女のそう言った攻めにくそうなところがまたいいなと」

実況「さあ有刺鉄線に囲まれたリングサイドへと足を運ぶ!
   おっと、450にはこのロープは少し敷居が高いか!
   主人である箱氏が近寄る、おっとこれは肩車だ、450顔を紅くして慌てている、これは少し恥かしい!
   箱氏、450を肩車したままリングの側へ、そして肩に乗せた小柄な少女を・・・投げたぁぁ!
   450は無事着地してリングの上へ、しかしその表情はさっきと違って怒りの形相だ!
   さあ、スカートを手で軽くはたいてリングの中央へ!
   ヒューガさん、今日の戦いは中々見れないメンバーが集まっていますね、これはやはり賞金と副賞の影響でしょうか?」
解説「賞金100万メセタに豪華ニューデイズ温泉めぐりペア旅行6泊7日の旅、食べ放題飲み放題付きですからね
   彼女達じゃなくても気合が入るところでしょう」


『美味しい物は何でも食べる、食欲の鬼、ダークネス420、第五コーナーより入場!』


実況「さあ遂に最後の一人、チャンピオンのダークネス420が華麗に入場だぁ!
   すました顔で花道を行く420に会場からは沸かんばかりのコール!」
会場「ヨン!ニー!ゼロッ!ヨン!ニー!ゼロッ!」

実況「よん!にー!ぜろー!よん!にー!ぜろー!」



420「むにゃむにゃ・・・よんにーぜろーよんにーぜろ・・・うふふ・・・」
ビス男「・・・何の夢見てんだこいつは、しかし嬉しそうな顔してるなぁ・・・」

いつもどおりグラールは平和です
231名無しオンライン:2007/02/07(水) 21:41:54.17 ID:MSEUNYhL
勢い+パクリで書いたのでグッダ・グッダ・・・


えー、あえて誰のとは言いませんが420以外のパシリは全部勝手に借りました、すみませんw

いやまあ結局何が言いたいのかと言うとただこういう表現をしてみたかったと言うだけで・・・w
232名無しオンライン:2007/02/07(水) 22:22:26.33 ID:XsgdS40b
>小ビス子氏の声は歓声に呑まれて全く聞こえないが
>解説「やはり小ビス子氏は可愛いですね、はうはう言いながら


ヒューガの耳すげぇwww
233名無しオンライン:2007/02/07(水) 22:32:00.10 ID:NcY6JCfG
何が始まるのかと思ったら…無茶苦茶だけど可愛いじゃないか420w

>解説「あーいうタイプは実は凄い恥ずかしがり屋だったりするんですよね、そのギャップが可愛かったり」
>実況「全くもってどうでもいいですね!

実況、お前は俺を怒らせた。

にしても、何かヒューガの発言が某(・見・)を思い出させる件…
234名無しオンライン:2007/02/07(水) 22:39:07.23 ID:KaU/B0QA
【場所】W1聖地エガム  今現在はユニバース32
【ID】 10052828
【キャラ名】 M∀rche 、大道寺 千歳、(`・w・)、Clara
【罪状】 チートの乱用 隠れてやってるつもりだがバレバレ
235名無しオンライン:2007/02/07(水) 22:40:09.01 ID:Yjkd0QmD
>>231

ま さ か の 夢 オ チ

ハイテンションな実況やヒューガのズレた解説などの完成度の高さに思わずwktkしてしまったのは俺だけじゃないはず
236名無しオンライン:2007/02/07(水) 23:05:32.19 ID:Owp3SQjO
バレンタインに向けたネタなど練りながらこっそりとWIKIの人物名鑑に登録してみました。
…今更ながらに友人に存在を聞かされまして…w
興味のある方はどうぞです。WIKIの編集って初めてやったのでわからないことばかりでした…。
更新履歴にはあるのに、名鑑一覧には登録されてないし…、何でだろうorz

>>231さん
めちゃめちゃwktkしながら読ませて頂きました! ほんとにすごい!
解説のヒューガが「スキージャンプペア」の解説にそっくりで笑えましたw
何かの形で続きが見てみたいなぁw
237名無しオンライン:2007/02/08(木) 03:10:34.44 ID:J5Tx8yIy
冷たく、ただ静かなグレーのルーム。岩のようで少し寒気すら感じる、私のご主人様に似ているこの部屋。
何度見ても、飾り気すらないこの部屋が、私は好きじゃなかった。
こんな事を考える時点で、マーシナリーとして失格なんだろうな・・・。
物思いに耽っていた頭を、コツコツと聞こえる足音に震えるように、物思いを閉ざし、また私の嫌悪感を誘う。
「・・・出ろ。ドラゴンを殺りに行く。」
たったそれだけの言葉。冷たいというよりも無機質。温度が感じれないこの声を私は好きになれなかった。
広い背中と、赤い髪を見るたびに、悪魔の化身なんじゃないかって想う。
今日も私とご主人様の間には、愛情すら・・・ない。名前すらつけてもらったことが無いのだ。
今だってそうだ。面倒くさそうに倒れたヴァーラのお腹にセイバーを突き立てて、壁へと投げつける。
ぐしゃっという音が、そのヴァーラの末路が気持ち悪くて、ライフルを地面に落とし耳を塞ぐ。
「立て。何を座っているんだお前は。・・・死ぬぞ。」
私の方を見ながら、後ろから襲い掛かってくるヴァーラの泣き声をかき消すようにショットガンを放つ。
ガァンっ!轟音が耳につんざく。
私が震えている間に、ドラゴンのゲートの前の敵は全て、退治されていました。
初めて来る場所なのに、思い出もなく、ただ血と硝煙の香りだけ。どうして・・・どうしてこうなんだろう。
震えながら、地面を歩き、とうとうドラゴンのゲートへとたどり着く。
私は、一つの事を考えて、小刻みに震えていた。これだけ大きなモンスターを、退治するミッションを行ったことはない。
今回は、ドラゴンの実戦データを取る為に私が連れて行かれる事になったからだ。そうじゃなければ、いつも軽いミッションを
済ませて戻ってくるだけ。
私は一度だって、敵と戦ったことがない。全てご主人様が殺してしまうからだ。でも、もし、簡単に敵が死ななかったら?
私は・・・私は・・・見殺しにされるの?
物思いに耽ってしまうのはいつもの事で、ただ今日は、それを止める声が無かった。
不思議に思い、それをいつも止めるはずのご主人様を見ると、いつもとは違う、大量の汗を噴出しながら、震える手でタバコに火をつけている
その光景に驚愕して、目を見開く。あのご主人様が震えている。私はその事実を目にして喜んでいた。
言える事の無かった言葉を、今なら言える。愛情の無い生活ともこれでさよならになるかもしれない。
私は精一杯の笑顔を作った顔でご主人様の目を見て、ご主人様の手を握り、震えた声で、
「私が突っ込みます・・・援護してください・・・。」そう、口から漏らした。
ご主人様が、ビクッと振るえ、私の方を見る。タバコの灰が、吸うこともなく溜まっていき、それが地面に、 落ちた。
「余計なコトはするな!」
「痛っ!?。」
握られた手が、渾身の力で強く握り返され、手を払われた。
私の全てが否定されるような、痛みだった。私は、何故ここにいるのだろう。
自虐的な空気を醸しながら私は。ご主人様、いえ、この人は、すさまじい形相を作りながら。
ゲートを、くぐった。
238名無しオンライン:2007/02/08(木) 03:11:40.49 ID:J5Tx8yIy
すさまじい怒号を空気に振動させながら、草原の支配者は地に降り立った。感じたことのない、強さの奔流を受けて
私は、その場から動けずにいた。
目の前に写るのは紅い巨竜が、大きな地響きを立てこちらへと近づいてくる光景。
「あ・・・あ・・・。」
私の膝はがくがくと振るえ、へなへなとその場で座り込み、その光景をぼーっと見ている。
怖くてどうにかなりそうだった。
(立て。何を座っているんだお前は。・・・死ぬぞ。)最後の最後まで無機質な声が私の頭の中に再生され・・・
「何やってやがる!立て!立って動け!」
なかった。一度も聞いたことのない焦ったような声。その声にびっくりしてその声の方を振り向く。
そこには、私と違う方向からツインハンドガンを焦るように連射しているご主人様の姿があった。
「馬鹿なっ!?こっちを向け!攻撃しているのは俺だ!貴様の相手はこの俺なんだ!。」
少し、期待していた自分に泣きたいな・・・最後まで戦闘狂。私の事なんてきっと見ていてはくれない。
ただの獲物を引きつける囮。そうとしか思えなかった。なら、最後までその役目をまっとうしよう・・・
ライフルの届くか届かないかの距離からドラゴンの口内に紅い光が灯り、その口が開かれる。私の役目はこれで終わった。
今度はきっといいご主人様の元で働けますように。
ゴオオオオッ!吐かれる火炎からの痛みから気をそらすように目を閉じた。
でも。目を閉じた行為は、すぐに巻き戻しされることになった。
「ぐおおおおおおおおおおおっああああああっ!。」
凄まじい悲痛な叫び声とブスブスと何かが焼け焦げる音が聞こえた。その声は私をなんとも思っていないヒトから聞こえた物だった。
目を見開くと、焼け焦げている全身と、私を戦場につれて歩いているいつも背中が目に映った。
いつも冷静で温度すら感じない、この人から痛みと背中の大きさを感じる。
「・・・やく、逃げろ。立て・・・何を座って・・・いるんだ・・・死ぬ・・・ぞ。」
途切れ途切れの声が、私の耳に届く。
「ど・・・うし・・て?どうしてっ!どうしてっ!?。」
よく分からなかった。見えるのは私を守ってくれたその背中だった。
「落ち・・・着け。俺を盾にしながら、に、逃げ・・・ろ。」
芯に灯る、その言葉が頭の中をに駆け巡る。俺を盾にしながら、逃げろと。
ズシン、ズシンと近づいてくるドラゴンの足音を聞いて、ご主人様がライフルを構える。震えた手で引き金を引く。
いつも聞いている銃声がやけに弱く聞こえた。焼け爛れた皮膚がとても痛々しい。
「怖く・・・て、動けな・・・いのか。敵に・・・かこ・・・まれたら死ぬぞ・・・といつも・・・言っているだ・・・ろう。」
ご主人様が私の方を向いて、しかめっつらをしてふっと笑った。仕方の無いやつだなとでも言うように。
私はその言葉に、表情に今まで感じなかった深い愛情と、今まで思っていた全ての言葉を悟ってしまった
 いつもそうだった。戦場で座り込んでしまう私の前に立って、背中から私の後ろに敵を通したことがないのも。。
    思えば私の傍からはなれたことがないのも、危険な任務に連れて行ってくれないのも
          敵が私に近づけば、嫌悪感をさらけ出して敵を惨殺するのも
  ゲートに入る前に異常に震えて、汗を噴出していたのも、私に危険が及ぶのを心配していたから。
         他のマーシナリーだって、傷くらいはあるのに、私にはないのは・・・
                「守ってくれているからだった」
239名無しオンライン:2007/02/08(木) 03:12:18.68 ID:J5Tx8yIy
涙がぽろぽろと地面に落ちていく。今頃になって気付いた優しさで胸が一杯になるのと、後悔で一杯だった
そんな思いもすぐに現実に引き戻される。頬をつたう風圧。ドラゴンが尻尾を振り回して周りをなぎ払うその攻撃で。
感動と恐怖と混乱で動けない私の傍に、血を噴出しながら、かけより、その尻尾をガードするご主人様。
興味がなさそうにドラゴンがあらぬ方向へと、振り向く。
「ごおっ・・・ああああああああっ!。」
メギィっ!嫌な音がして、ご主人様の腕が変な方向にヘシ曲がり、口から大量の血を地面へと降らせる。
ああああっ・・・ああっ・・・この人が・・・ご・・・
「ご主人様っ!ご主人様っ!」
私は叫んでいた。いつもと違う、張り裂けそうな思いで、ご主人様を呼ぶ。
「け・・・が・・・は・・・ない・・な?お・・・ちつけ。いい・・か?言うことを・・・聞け・・・。」
不器用に、折れた手でゆっくりと頭を撫でられる。
「はいっ・・・はいっ!なんでも聞きますから、ご主人様っ・・・死なないでっ!死なないでっ!。」
「いい・・・から、立て・・・るな?。」
私はその言葉を聞いた瞬間、恐怖で動かなかった足が、すぐに力を取り戻した。
「よ・・・・し・・・その・・・まま・・・後ろへ・・・ゆっくりと逃げて・・・いくんだ・・・。
 ヤツが・・・俺に攻撃を加えたら・・・一気に森の中へ・・・ゴフッ!。」
こんな時にまで、私の方に体を向けて、ゆっくりと説明するご主人様。動いただけでも血が流れ、凄まじい痛みのはずなのに。
私に450のような大きな治癒機能がついてなかったのを呪った。どうして私はいつもドジで・・・戦場では役に立たないのだろう。
それを知っていたはずのご主人様は、今まで役立たずとは一言も言ったことはなかった。その思いに気付いて、また涙が出た
私は・・・私は・・・狙撃しかできないのに、戦場では座ってばかり・・・
それが私の体を突き動かした。
もうライフルを持ち上げる、力も残ってないご主人様の、手を一生懸命持ち上げる。
「な・・・に・・・をしているっ!早く逃げろ・・・!。」
「およばずながら、援護いたします」
ご主人様の腕を肩に乗せて、私の二倍はある手を私の小さな手で包む。そしてそっぽを向いてるドラゴンの頭に狙いをつけた。
「バ・・・カ・・な。よせ・・・何の為に俺がお前・・・を・・・。」
「ずっとずっと・・・守ってくれて、ありがとうございます。」
私は引き金を引いた。怖さを忘れる度に・・・引き金一つを引くたびに、ご主人様と精一杯叫びながら。
「ご主人様!ご主人様!ご主人様!ご主人様っ。」
無機質だと思っていたご主人様の体温を傍に感じる。これが最後でもいいとさえ思えるくらいに、暖かかった。
涙でかすんで、ドラゴンに上手く、狙撃できている事もよく分からなかった。
「グギャアアアアアアアアア!!!!!。」
数秒後、ドラゴンが、悲鳴をあげながら、空中へと飛び去る。倒せはしなかったが、予期せぬ方向から狙撃を受けて、
逃げる選択肢を選んだみたいだった。
「・・・ミッション・・・失敗・・・だ・・・な・・・。だが・・・よく・・・や・・・ッ・・・た。」
「死なないでっ!死なないでご主人様!ちゃんと狙撃もしますから!座ったりしないですから。」
「・・・いい。お前は・・・その・・まま・・・で・・・いい・・・。」
私の頬に手を添えたまま意識が途切れたご主人様を抱きとめる私。ご主人様の、ポケットを探って、通信機を取り出す。
「本部・・・応答えぐっ願いま・・・すっ!。」
「こちらパルムガーディアンズ本部・・・。」

そこからはよく憶えていなかった。力が抜けて私も気絶していたみたい。奇跡的にもご主人様は回復し、また戦場に立てるのだという。
冷え切ったグレーのルームはもう、依然の雰囲気はなかった。机の上には、ノートの切れ端とえんぴつが転がっている。
題名は・・・・「お前の名前。」
240名無しオンライン:2007/02/08(木) 03:17:57.14 ID:J5Tx8yIy
空気ブッタ切って投稿。シリアスだけど、深夜だしいいよね?
見吉よりはきっとマシな作品だと思うから・・・
241名無しオンライン:2007/02/08(木) 04:54:12.46 ID:dpScUB1i
>>240
気が向いたら、また描きにきてくれ
何となく、いつも店番をしてるうちの430の事を思い出してしまったよ
242224の続き 1/4:2007/02/08(木) 05:16:59.15 ID:QWWDSmfc
ヒュマ男「お待たせしました、何をお探しですか?」

部屋の主であるヒューマンの男性がショップスペースに戻ってきた。
その声に、ショーケースの前で何やら言い合っていた中年のヒューマンと440が振り返る。

中年ヒュマ「ああ…いや、俺達は客じゃなくて…こういう物だ」

中年ヒュマが身分証を差し出す。

ヒュマ男「ガーディアンズ情報部…?」

中年ヒュマ「そうだ、その中でもガーディアンズの隊員達からの情報収集を担当している」

440「私はこのおっさんのパートナーで、仕事の手伝いをさせて貰っている」

ヒュマ男「なるほど…情報部の方が来たと言うことは、何か事件でもありましたか?」

先程まで営業スマイル…とまでは行かずとも柔らかな表情だった部屋の主が少し真剣な顔つきになる。

中年ヒュマ「いやいや、心配は要らない、ただの実態調査さ」

軽く笑いながら中年ヒュマが否定する。

440「要するにアンケートだな。偉そうに『情報収集』なんて言ってもおっさんの仕事なんてこんなもんだ」

中年ヒュマ「…」

440「…」

中年ヒュマ「…今『ガーディアンズと所有PMの相互関係と及ぼし合う影響』ってのを調査してるんだが」

440「主従以外にどんな関係を意識しているのか、一緒にいて何を得るのかだな。
  ウチのは、頼れるおっさんで得る物はないな。むしろ匂う」

中年ヒュマ「手間のかかるガキで得る物はないな。むしろ大飯喰らいで金がかかる」

440「…」

中年ヒュマ「…」

ヒュマ男「は、はぁ…」

コマ送りのように硬直する空気にヒュマ男がやや困惑する。

中年ヒュマ「…そんなわけで、お手数だが本部まで来て少し協力してくれないか」

440「調査は主人とPMに対してそれぞれ別々に行う。プライバシーは双方の間も含めて絶対に守る」
243224の続き 2/4:2007/02/08(木) 05:17:29.98 ID:QWWDSmfc
ヒュマ男「それは構いませんが…今すぐはちょっと無理ですね」

居住スペースの方を一瞥するヒュマ男。

中年ヒュマ「そういえばPMの様子がおかしかったな…病気なのか?」

440「(おい、おっさん…!)」

440が小声で声をかけながら中年ヒュマの裾を引く…が、中年ヒュマは気付かない。
部屋の主は「いえ…」と言って苦笑する。

ヒュマ男「これですよ」

中年ヒュマ「何だそれは…モノメイト…?」

ヒュマ男「ええ…あの子が作ってくれた物です」

中年ヒュマ「モノメイト基板から…って訳でもないだろうな。それで泣きかけてたのか…」

ヒュマ男「そういうことです」

ヒュマ男はそう言ってまた苦笑する。

440「…」

中年ヒュマ「そうか…しかし、それで具合まで悪くなるのか?」

440「おいおっさん、そんな訳ないだろう。『そういうこと』したに決まって…」

もう一度裾を引く440。今度はしっかり聞こえたようだ。…部屋の主にまで。

中年ヒュマ&ヒュマ男「「…『そういうこと』…?」」

視線が440に集中する。

440「だから……いや…ほら……えーっと………な、何でもない」

散々口ごもった挙げ句顔を赤くして下を向く440。
男二人は顔を見合わせて『?』という反応をする。
244224の続き 3/4:2007/02/08(木) 05:17:49.76 ID:QWWDSmfc
ヒュマ男「…?…えーと、星霊祭の飾り、ってご存じですか?」

中年ヒュマ「いや…星霊祭は知っているが、飾りにまで詳しくはないな」

ヒュマ男「あれのことです」

部屋の主が指さす先には、部屋の両壁に合わせて一つずつ配置された大きな飾り。

中年ヒュマ「ほう…これは見事な物だな」

ヒュマ男「これを作って貰っていたんですよ」

中年ヒュマ「で、モノメイトができ…っと失礼」

ヒュマ男「はは…。まぁそれで、これはニューデイズ観光局の基板で作るんですが、
     素材がニュー・アッシュ50個で」

440「ご、ごじゅ…」

下を向いたまま話を聞いていた440がびくっと反応する。

中年ヒュマ「それじゃ、失敗したら泣きたくもなるわな…」

ヒュマ男「いえ、それは良いのですが…普及規格にそのまま従っているので、合成時間が15分なんですよ」

中年ヒュマ「15分…そういえばルームグッズは15分が基本だったな…って、木材50個をか」

ヒュマ男「そう言う事です…ゆっくりやって良いって言ってるんですが、根が真面目な子なので…」

再び扉の方を見る部屋の主。そしてその視線が目の前の440の方へ向く。

ヒュマ男「…その440のさっきの反応を見るに、やっぱりあの状態は異常なんでしょうね…
     主人といえ、体を壊すような無理のさせかたは…失格だったかも知れません」

440「え、あ、いや、『そいういこと』ってのはそうじゃなくて、その」

真面目に悲しそうな顔をして溜息を吐くヒュマ男を見て焦る440。

440「ってことは結局誤解か、あうあう」

真っ赤になってまた下を向く。

中年ヒュマ「…主人の資格か…難しい、そして永遠の問題かも知れないな…」

全員黙ったまま、少しの間。
245224の続き 4/4:2007/02/08(木) 05:18:18.10 ID:QWWDSmfc
再び口を開いたのは中年ヒュマだった。

中年ヒュマ「…まぁ、あんたがPMの事を大切に思っているのは良く分かった。
      良かったら調査にも協力してくれないか、見直す良い機会になるかもしれんし」

ヒュマ男「…ええ、すぐでなくて良いのでしたら、喜んで」

440「大丈夫、まだ暫く続く調査だから、本部の受付で言ってくれれば担当者が出てくる」

中年ヒュマ「とはいえ、折角の縁だし、時間が出来たら俺に連絡をくれないか、用意しよう」

パートナーカードを送信する中年ヒュマ。部屋の主もカードを送る。

ヒュマ男「ありがとうございます」

中年ヒュマ「じゃ、俺らは次の部屋に行くよ。あの子を見ててやれ」

440「時間を取ってすまなかったな」

ヒュマ男「では、近日中にまた」

部屋の入り口で会釈をして、二人が出ていく。
それを見届けるとヒュマ男は早足で居住スペースに入っていった。

ヒュマ男「おーい……っと…」

ベッドで寝息を立てている441。
その主人である男性は、側の椅子に腰掛けると優しく涙の跡を拭ってやった。
246名無しオンライン:2007/02/08(木) 05:19:05.59 ID:QWWDSmfc
…変だなぁ。今回は短く終わらせるつもりだったのに、やっぱり続編が長い。
ともあれ次で漸く質問に答えますよ!
因みにこれだけ前置きして置いて普通に一問一答で済ませます…やめてリアルハンドスピアで突くのはやめて

途中でヒュマ男が問題提起っぽいことを言ってますが、これについて展開させるつもりは当面ありません。
(失敗したのは事実…orz…なので少しぐらい会話に出るかも知れませんが、本題にはしません。)
勿論中年ヒュマと440に何か言わせる予定もないので、
この件についての二人の反応は>>195氏の暇つぶし投稿用ネタに、と言う事で…

>>226
ぐは、逆でしたか…
何だかんだかなり似たもの同士っぽいイメージだったから、どっちにどっちをやらせるか迷ったんですが、
最終的に「勝手に誤解してあんな事やこんな事を考えるのが中年ヒュマの方だと嫌だな…w」という理由でこっちに…
420の件もあったし。
……というか今回は440のキャラを壊してしまったような。重ね重ね申し訳ないorz

>>225>>227
そのほうが「良い」からに決ま(ry
…一応本人もかなり無理のある作業なのは把握してるから、
少しでも熱の蓄積を抑えるために上着だけ脱ぎ捨てている。と言う設定。うん、設定。

>>240
久々にシリアス一直線な短編を読んだ気がします…GJ
ライアもこの位『他者との繋がり』を感じさせるエピソードを演じてくれればなぁ…
247名無しオンライン:2007/02/08(木) 05:20:08.04 ID:aHHZlm2k
冷たく突き放してるようで実は守ってる、良い奴だなぁ・・・w
主人公のパシリは台詞とライフル撃ってた辺りから430ってとこだろうか

まあ何にせよ良いストーリーだったw


ただ一つ言わせて貰うともう少しスペース空けたほうが読みやすくていいと思う
望ましいのは少し間が空いた時、場面が切り替わった時、ナレーションと台詞の合間などなど(俺の場合空けすぎな気もするが)

50行の制限がある分凝縮したくなるのもわかるがここはSSスレ、その点は気にしなくても大丈夫
長くなるならいっそ5〜6レス使うくらいの気で投稿してもいいんだぜ(それ以上になる場合はテキストで何処かにアップが望ましいが)

まあでもストーリーはよく出来てるしネタが出来たら是非また投稿して欲しいw
248名無しオンライン:2007/02/08(木) 05:33:50.69 ID:aHHZlm2k
アンカー付け忘れた、>>247>>240へのレスで

>>246
ほぼヒュマ男だけが回答してる感じだw

>少しでも熱の蓄積を抑えるために上着だけ脱ぎ捨てている。と言う設定。うん、設定。
なるほど、それなら納得・・・出来るかどうかは怪しいがw
まあ俺もその方が「良い」んだg やめてガミサキはやめて
249240:2007/02/08(木) 08:12:34.61 ID:J5Tx8yIy
>>241 あぁ・・・書いたのが報われる言葉です。ありがとう
>>246 ライアさんは自分が一番綺麗ですから、他が見えないのです。

>>247 確かに詰めちゃった感があるけど、一気に読んでもらうのが本望だったので。
   間を空けるとなんとなく冷めちゃうかなと。引き込めるような文章を書くにはまだまだ遠い・・・
   アドバイスthxです。
読んでくれた方、感想くれた方、どうもですー。つ基板/スケープドール
250名無しオンライン:2007/02/08(木) 11:07:32.39 ID:J5Tx8yIy
やっぱり明るいのを書けるのはいいなぁ。自分のとは違う、こう軽やかさがある。
中年ヒュマと440の関係が、くすぐったいようで楽しいぜ・・・
251名無しオンライン:2007/02/08(木) 11:13:49.92 ID:uavVbKgp
>>231
ナイス夢落ち
わくわくしながら読んでしまったです
このままアニメ化希望…ってかソニチと入れ替わってシナリオ担当になってくだせいw

やっぱしわんわんサンドが勝つんだろうとか読めるのも、このスレのおかげですし
優勝寸前に小ビス子の抱擁を妄想して自爆とか膨らんで考えてしまうのも
各キャラ創造主諸氏のすばらしさゆえと感謝です
252名無しオンライン:2007/02/08(木) 18:24:12.75 ID:kSIF/Wwm
>>236
ページリンクについては、私もよくわからなかったため、
内容をコピーした新たなページを作製し、リンクさせておきました。

応急処置ですので、wikiに詳しい方は、正しい編集よろしくです。
253名無しオンライン:2007/02/08(木) 19:52:10.81 ID:QeZb+aNR
>>249
>一気に読んでもらうのが本望だったので
>間を空けるとなんとなく冷めちゃうかなと
一気だとスピード感はあるけどそれが長く続くと読み手も疲れるからほどほどに
調整の勘は自分で読んで直しての繰り返しか他人に読んでもらって感想貰うとかで覚えるしかないと思う
まあ要するに何事も経験あるのみw
254マスターズサイド:2007/02/08(木) 21:44:30.62 ID:NncuvNWH
『Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?』

450c「って・・・これなに?」
ボケ主人「お題の様ですねぇ 一句捻ってみましょう。」
ボケ主人「移し身に 主を咽ぶ なごり雪」

店長「オマエ・・・それ意味不明だから。」
450c「なんで店長が居るの? PMの主人が対象なのに」
店長「良く判らんがこっちの部屋に案内された。」

つかつかとお題が張り紙され赤色の警告ラインが点滅する扉をコツコツと叩き。
王子「この部屋のお題をクリアしないと次の部屋には行けないようだな。」

450c「じゃ私から ぽこ(GH420)は我が子です。」
店長「それだけ?」
450c「うん それだけ。」
ボケ主人「私はもう言いましたよ。」
店長「俺は対象外のはず。」

王子「俺か・・・俺にとっては人質かな。」
店長「人質関係? どんな関係だ?」
王子「失った時に気が付く関係さ あれは俺の人質だったのだと。」
店長「抜け始めて判る長い友達みたいなものか。」

ガコン。耳慣れた音を立てて警告ラインがグリーンに変わり扉は開く。


『Q2:相手から何か学んだ事がありますか?』

王子「これが次のお題か。 俺が俺のPMから学んだ事・・・主は主たる責任がある。」
王子「だから従者を見捨てる主には主たる資格は無い・・・・。 だが」
王子「主でも従者でもない対等な立場になってこそ求められるモノがある事を学んだ。」

ボケ主人「背負う子が 無間の闇へ 花の道」
店長「質問の答えになって無い気がするんだが。」

450c「お金を手に入れる方法かな? ぽこは沢山食べるから食費が大変で・・・・。」
450c「で、お金は自分で稼ぐより 持ってる人からせしめる方がいいって学んだよ。」

店長「オマエの答えも微妙に質問の意図とは違う気がするぞ。」

ガコン。3つめの部屋への扉が開く。


『Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか? 』

450c「特に変化はないかな 目に見えなくてもいつもそばに居るのが家族でしょ。」
王子「2、3日なら顔を見なくても平気だが、それ以上となると気になるか。」
ボケ主人「獅子の谷 汗拭く我子に 思いはせ」

450c「で、さっきの話の続きなんだけど。」
450c「店長ってPMの主人でも無いのにどうしてここに居るの?」
店長「さぁな 何かの間違いだろ?」
450c「ふーん。そうなんだ でも、店長って母さんと一緒に居ること多いよね。」
店長「コイツは歩く核爆弾だからな 誰が一緒に居ないと何しでかすかわからん。」
450c「母さんがいつもそばに居ないと不安?。」
店長「知るか。」

ガコン。最後の部屋の扉が開いた。
255スレイバーズサイド:2007/02/08(木) 21:45:38.14 ID:NncuvNWH
『Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?』

450d「これは何なのでしょうか? 強制参加のミッションだと聞いていたのですが。」
450c「なんか、PMと主人の意識調査みたいなんよ。」
450d「具体的には何をどうすればいいのでしょうか?」

450c「向こうの部屋はお題に答えて次の部屋に進めばよかったから」
450c「こっちも同じでいいんやないの」

450b「つまりこの部屋の様子を監視している悪趣味な奴が居る訳だ。」
450d「あの失礼ですがどちらさまでしょうか?」
420p「かーさん この人 足が無いよ」
450b「みぃたなぁ。」
420p「無い足をどーやって見るの?」

      わいわい がやがや

無印「・・・・・・・。@リ*゚ -゚*ノ|」
450c「えっ?お題を答えろ? あっえーと・・・。母さんは一応私の指導教官。」
450d「主人は母で赤の他人と言う関係です。」
450b「旦那は・・・・私の未練かな? うん きっとそう。」

420p「かーさん しゅじゅーって何味?」
450c「犬でも食べない程の酷い味らしいんよ。」
420p「だったらあたし しゅじゅーなんていらない。」

ガコン。耳慣れた音を立てて扉が開く。


『Q2:相手から何か学んだ事がありますか?』

450d「”私が”主人から学んだ事は全て忘れてしまいました。」
450b「そうねぇ ”学んだ”が学習したって意味なら 旦那は馬鹿な奴って事かな。」
420p「えへへぇ カニの味です。」
450c「母さんから学んだ事? やっぱゴキブリ精神なん?」
無印「・・・・・・・。@リ X -Xノ|」

そして次の部屋へと。


『Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか? 』

450c「これが最後のお題なんよ。」

450b「旦那が一緒に居てくれない時間は、旦那の馬鹿さ加減が身に染みるなぁ。」
450b「だからもっと効率のいい稼ぎもあるでしょとか」
450b「他のガーディアンズはもっといい装備してるでしょとか・・・・・。」
無印「・・・・・・・。@リ ? -?ノ|」
450c「450になってからは とーさんはいつも一緒に居てくれるから忘れたって?」
450d「結構良からぬ考えが悶々としてきます。 私の本当の主人は・・・とか。」
450c「まぁ・・・母さんから独立して結構たんつんで、ホームシックとかは無いんよ。」
420p「かーさん あたしお腹すいた。」

ガコン。最後の部屋へと。
256エネミーズサイド:2007/02/08(木) 21:47:00.63 ID:NncuvNWH
主人とパシリが合流した最終部屋にて。

???「諸君らの協力により貴重なデータがえら・・れ・・た・・・・」


店長「なんだ、急に居なくなったと思ってたらそっちの部屋に行っとんたんか。」
450c「もぅ、PMと主人の掛け持ちしてる身にもなって欲しいわ。」

???「よって、しかるに、ということで・・・・・・。」
440「おっさん誰も聞いてないぞ。 そういや最初の説明の時も誰も聞いてなかったな」

ボケ主人「・・・・あれがボスですか?」
王子「ボスみたいだな。」
450d「ボスを倒せばミッションクリアですね。報酬はどのぐらいでしょうか?」


ボス(仮)「おい・・・お前ら人の話を・・・・・。」

450b「ま、旦那にはそれなりに恩もあるから少し稼いでくるか・・・。」
無印「・・・・・・・。@リ *゚ -゚*ノ|」

互いに顔を見合わせるボス(仮)と440。

440「・・・・・おっさん・・・すまね。」

440はくるりと一同の方に向き直り。だだだーっと一同の方へ駆け寄ると

440「みなさん助けてください!! 私は捕まえられてたんです。」

420p「かーさん あたしお腹すいた。」
450c「ぽこ あれを食べるとお腹こわしますよ。」



ジリジリとボス(仮)に迫る一同。



ボス(仮)「ちょっと・・・・おい・・・・・・アーッ!!。」



          440「まあ ザコですね。」



-------------------------------------------------------------------------------

時間無いわ、アクセス規制はかかってるわでやっと書きあがったよ。


257名無しオンライン:2007/02/08(木) 22:01:02.77 ID:b1tXoSFv
おっさん…永遠に…(´;ω;`)
しかし無印は一体何を学んだというのだろう…w
258名無しオンライン:2007/02/08(木) 22:32:27.21 ID:vLKSNk6E
>>246
もしよろしければ何処が問題提起なのか教えてくれないか
俺の読解力のなさ故に全くわからんかった
教えてくれればそれに答えるネタを書くつもりだぜ

440のキャラはハッキリ言ってGJ
自分で誤解して赤くなっちゃうなんて440かわいいよ440

>>250
主人が助かって本当に良かった…
これで主人がパシリをおいて…なんてことになったら目から汁が出る所だったぜ

実は中年ヒュマには暗い過去があって、普段は哀愁漂うおっさんなんだぜ?
もう書き上がってるから隙を見て投下する予定

>>256
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
中年ヒュマ「440、危ない!」
中年ヒュマ「うっ」

OSSAN(オッサン)は死亡しました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
440「という展開になるのかと」
中年ヒュマ「ならねぇ。勝手に殺すな」


哀れ中年ヒュマ。全治1ヶ月と見た
しかし日付の人のキャラ勢揃いで応えて頂けるとは…
本当に一つの大家族を見ているようで和んだ
259小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 1:2007/02/08(木) 23:24:57.98 ID:+6NcAVBP
 …くろいねこさん、おなかいっぱい
 …しろいねこさん、ともだちいっぱい

 照明器具が一つも作動していない真っ暗な部屋の中、ビジフォンだけが明かりを灯していた。
 その無機質な四角の光が、コンソール前の小さな人影を映し出している。
 微動だにしない人影。ただ、コンソールパネルの上を、まるで派手なダンスのような激しさで、
 指が動いている。微動だにすることを止めない「彼女」と同じく、いつまでもいつまでも。

 …ぶちのねこさん、しあわせいっぱい
 …とらじまねこさん、ゆめいっぱい

 あるいは、彼女が呟くように歌い続ける、その言葉の羅列のように。
 たんっ! と、何かの一区切りを付けるように、彼女の指がパネルのボタンを強く叩く。
 アクセスコード認識中。ビジフォンの前の彼女は、軽く頭を上向けると、何かを思い出した
 かのように、背後を振り仰ぐ。…ベッドの上には、一人の男性が眠りに就いていた。
 彼女は知っている。断言出来る。…白目を剥き、口から泡をこぼす彼は、もう二度と目を覚まさない。
「…些細な量ですね? ヒューマンの致死量とは」
 ぱきんっ。小気味良い音を立て、彼女の前歯が板チョコを割る。
 それは、彼が口にし、絶命した、猛毒入りチョコレート。
 彼女はその甘味を心ゆくまで堪能し…、
 小さな電子音と共に反応を示したビジフォンへと再び視線を戻す。

 認識完了

 にっこりと、彼女は笑った。なるほど流石に大したものだ。
 甘い毒で殺してあげて良かった。最後のご褒美には丁度良かっただろう。
 彼はガーディアンズであると共に、名うてのハッカーだった。度が過ぎた「お遊び」のせいで、
 何度も情報管理局から大目玉を食らっては笑っていた。
 彼の「遺品」は、自分の「道具」とするには十分だった。…ありがとう、それとさようなら。
 『二ヶ月ほど成り代わらせて貰った』名も知らぬGH-440と、その主に、お礼と決別。
 そして当然のように、彼女はそんな彼らを忘れる。ただ電源を切るように。

 メインコンピューターの中心にまで辿り着ければ良い。
 そこまで行ければ自分の「能力」を発揮出来る。
 彼女は再び物言わぬ彫像と化し、猛烈な勢いで十指を動かし始める。

 …たくさんのねこさん、たくさんいっぱい
 …ちいさなねこさん、なにもない

 彼女の唇からは、再び歌が。

 …ちいさなねこさんかんがえた いっぱいいっぱいかんがえた
 …ぼくはとてもちいさいから、きっとだれのかわのなかにもはいっていける
 …ちいさなねこさんおおいそがし
 …ころして、はいで、かぶって、まねして、おおいそがし

 歌が、言葉が、姿を変えていく。
260小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 2:2007/02/08(木) 23:25:35.11 ID:+6NcAVBP
 …けれどもそれはだれかのしあわせ ちいさなねこさんのしあわせじゃない
 …ちいさなねこさんはふりかえる じぶんとおなじねこさんがいたはずだから

 …ちいさなねこさんはひとりぼっち

 …いつのまにかほんとうにひとりぼっち
 …じぶんとおなじねこさんは しあわせになっておりました

 それは呪詛。音を成す呪い。幾重にも積み重ねられた怨嗟が織りなす、底なしのノロイ。
 コンソールの上を踊っていた右手が、それまでの優美な動きとは一転、恐ろしく鈍重で
 危うげな動きを見せながら、コンソール脇に置いた板チョコレートへと伸びていく。
 ガタガタと震えながら、コンソールとチョコとの間にある全ての物を無造作になぎ払いながら、
 その手はようやくチョコレートに触れ…、――べきぐきぐしゃちゃぁっ!
 その指は、まるで加減の効かない鉄の義手のように、一瞬でチョコレートを粉々に握り潰した。
 チョコレートは、砕かれるや否や、彼女の指が放つ猛烈な熱により、ドロドロに溶けていく…。

 こくりと首を傾げ、彼女は不思議そうにその光景を見る。自らが成した光景を。
 疑問符を浮かべる子猫のような、その愛らしい表情は…、その光景と合わせて見れば…、
 寒気がするほどに、ただただおぞましい。
 あまりにも無邪気で、理知に乏しい、純粋にして絶悪の極地。

「あっは」

 唐突に、彼女は笑った。指先が放つ熱に溶け出したチョコを舌先に運びながら、彼女は笑った。
 指からはとろけたチョコがしたたり落ちていく。それはまるで、血のように。

(いつまでこんなことやってんだい。…もう、アタシらがバケモノで、
 そして、バケモノ通りの生き方しか出来ない世の中なんざ、とうに終わってんだよ)

「いつまで? どうして? なんで? そんなのかんたん」

 耳元でうなる過去からの声に、彼女は笑って答えた。
 彼女と死体と、それだけしかいない空間の中、右耳の方に聞こえた気がしたから、ふいと右を向いて、そして…、

 バキィイイイイイイイイイイイイイイィッ!

 チョコレートまみれの彼女の右手が、一瞬でビジフォンを叩き潰した。
 一欠片の容赦もなく。己の右腕に返ってくるだろう反動すらも省みず。
 バチバチと火花が散るマイルームの中、彼女は椅子から飛び降りた。
 用は済んだ。もうこの部屋にいる必要はない。…ここの440に成り代わって二ヶ月。
 程よく飽きてきた頃だった。何もかもが丁度良い。
 手の甲を覆うチョコレートを、小さな舌でぞろりと嘗め上げ、
 左手で、ずれた帽子を被り直し…、

「ただ…、そうしたくてたまらないからよ…!」

 マイルームのガラスには、怨念そのものを顔面に張り付かせた…、
 一人のGH-440が写っていた。
261小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 3:2007/02/08(木) 23:27:35.82 ID:+6NcAVBP
「一万年と二千年前から愛している〜」
 いつだかどこかで見ず知らずのガーディアンズが歌っていた歌を歌いながら、
 私は私たちのタダレた愛の巣の掃除を進めていく。
「八千年過ぎた頃からもっと恋しくなった〜」
 一度聞いただけだけど、どうにもメモリにこびりつてい離れない。
 あれだ、多分これが「脳味噌周回ソング」っていうものなんだろう。
 つくづく人間どもの文化というものは侮れない。
「一億と二千年あとも愛してる〜」
 いやもーだってこの歌、私のご主人様へ捧げる歌みたいなんだもん!
 ぶんぶんと掃除機のホースを振り回し、私ことGH-430は独り悦にいる。
 嗚呼、嗚呼、マイリトルストロベリー小ビーストご主人様。私は三億年経ったって
 貴方の恋の奴隷です…! 近いうちのその立場を逆転させるつもりではありますが!
「君を知ったその日から、僕の地獄に音楽は絶えない〜、っと」
「はぅー?」
 びしぃっ! と掛け終えた掃除機の先端をライフルよろしく突き出して歌う私の真横を、
 乾燥を終えた洗濯物を抱えたご主人様がきょとんとしながら歩いていく。
「430? なんのお歌です? はう? いちまんねん? すごい長いのです」
「あ、ははははははははぁっ! ななな、何でもありませんよぉー!」
 うっわ超恥ずかしい…。かぁっ! と顔が真っ赤になるのがわかる。
「なんだかとても楽しそうでしたのです。教えて欲しいのですよ」
 ふかふかのタオルの山を抱えながら、ご主人様がにっこにこと笑って言ってくる。
 ぬ、ぬぬぬ、では…、
「えーとですね、一万年と二千年前から愛してる〜」
「はぅ。いちまんねんとにせんねんまえからあいしてる〜」
 ……
 ぶばぁっ!
 次のフレーズを教える間もなく私の鼻からはオイルが吹き出る!
「430!? つ、次は鼻血出さないと駄目なんです!?」
「ぢがいばず…! ぞうではないでずが…!」
 だだだだだだ駄目です! そんな舌っ足らずなキュートボイスで「愛してる」なんて
 歌われた日には私が物理的に生きて行けません! オイル空っぽになるぅうう!
「はうー、では続き教えてくださいなのですよ」
 最近ってばご主人様もたくましくなっちゃって…。
 私が鼻オイル吹いても日常茶飯事として受け止めてらっしゃられる…!
 ああ! でも、ご主人様の声でこの歌うたわせてぇッ! 聞きてぇっ!
 がんばれ私! 根性だ430! オイルはまだ残ってる!
「は、はっぜんねんすぎたごろがら…」
「はうー。八千年過ぎた頃から〜」

 随分と色々あって、随分と大量のオイルを補充したけれど、
 やがて私たちの部屋は、私とご主人様の歌声で一杯になる。
 私は…楽しかった。
 ホントは歌ってる歌なんかどうでも良かった。一緒のお歌を歌えるということが、
 こんなに嬉しいことだなんて知らなかった。
 一緒に過ごすようになって半年以上になるけれど、私はご主人様と一緒に過ごす
 生活に、まだまだ見知らぬ幸せがたくさんあることを知った。
262小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 4:2007/02/08(木) 23:28:08.51 ID:+6NcAVBP
「一万年と二千年前から愛している」
「八千年過ぎた頃からもっと恋しくなった」
「一億と二千年あとも愛してる」
「君を知ったその日から、僕の地獄に音楽は絶えない」

 ああ…、でも、…この歌でないほうが、良かったのかな。
 掃除も洗濯も終わり、二人で並んで腰を下ろして歌を歌いながら、
 私はそっと、ご主人様の横顔を盗み見る。
 楽しそうに歌うご主人様。
 きっと、音を追いかけるのが楽しくて、歌詞なんて気にしていないだろう。

 …この歌は、そんなに楽しい歌じゃない。

 私は今更ながら、この歌が自分のメモリにこびりついた理由に気が付いた。
 この歌は…、昔の「私たち」と、今の「私たち」に、どこか通じているような気がするんだ…。

 ふと、付けっぱなしのビジフォンが、バレンタインシーズンのCMを流していた。
「…もうそんな時期なんだなぁ…」
 私はぽつりと呟いた。…ご主人様に一球入魂の渾身のチョコを贈るつもりだけれど、
 どうもこの季節みたいに、お菓子が話題に上る時期になると…、

 「アイツ」のことを、思い出す自分がいる。

「あのですね、430」
「はい?」
 ふとご主人様に声を掛けられ、私は我に返る。
「時々ケンカをしても、…ずっと一緒にいましょうね」
「…え?」
 振り向けば、ご主人様は私の隣で、優しく笑ってた。
 …たまに、思う。
 ひょっとしたら、ご主人様は、「私のこと」を薄々気付いているんじゃないだろうか、って。
「…430が、時々すごく遠くを見てるような時があるのです。…そんな時は、私は、
 何でか、すごくすごく、気持ちにぽっかりと穴が空いてしまうのです」
「大丈夫です」
 私は笑って、ぎゅうっと、ご主人様の小さな手を握りしめ、自分の胸に押し当てる。

「一億と二千年経ったって、私はずっと、ここにいますから」

 もうすぐバレンタインだ。
 しんみりしてるなんて、今の私には似合わない。

 精一杯大騒ぎして、精一杯オイルでも吹いて、盛大なイベントにしなければ。
 だから大丈夫。…うん、きっと、大丈夫…。
 私たちの「地獄」は、もうとっくに、終わっているんだから。
263名無しオンライン:2007/02/08(木) 23:34:22.50 ID:+6NcAVBP
過去編でなく長編をやってみたくなってしまいまして…。
それなりに長く続いてしまいそうな予感がしますorz
位置的には「ストーリー最終エピソード」を意識していたりします。
最近ほんわかが多かったので、ちょっとまたシリアスがやりたい病がw

時々の更新になっていくと思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。

「一万年と〜」の歌は少々悪のりが過ぎたかとか思っていたりw
なんだか聞いていたらホントに頭から離れなくなってしまってw

>>252さん
ページ位置移動ありがとうございました! 助かりました〜。

中年ヒュマと440の問答ネタもやってみたかったんですが、
どうにも面白いオチが出てきませんでした…orz 修行が足りないなー…。
264名無しオンライン:2007/02/09(金) 01:29:14.40 ID:jN73GauB
新手のワンワンサンドか!w

小ビス子氏はワンワンサンドシリーズの創造主だけにどんな奴が飛び出すのか今から楽しみだ・・・w


シリアスといえば俺も止まってるなぁ一つ・・・orz
265名無しオンライン:2007/02/09(金) 02:10:57.37 ID:SQFdjQyt
ヒャハア!久々 でもないけど投下
195を受けて勢いで描いた…沼子なのは自キャラだったりな訳で

ttp://www.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2359.jpg

おっさんを誤魔化してたり
本当は質問に答える形で描きたかったり
シリアス投下の中にこんなの投下もどうかと思ったが
いいよね!

このスレだけは無くなりませんよーに




266245の続き 1/5:2007/02/09(金) 05:43:45.91 ID:vfd9Jjsu
ヒュマ男「こんにちは」

441「お邪魔します」

中年ヒュマ「おう、時間通りだな」

440「良く来てくれた」

ガーディアンズ本部情報課…その応接室の一つにやってきたヒューマンとGH441を、
中年のヒューマンとGH440が出迎える。

441「先日は失礼しました…」

中年ヒュマ「なに、気にするな、それより元気になったようで良かった」

441「ありがとうございます。一晩寝たらスッキリです」

441が微笑む。

440「本当に気にする必要はないぞ、おっさんは暇人だしな」

中年ヒュマ「全く、この440にもお前さんみたいな可愛いげが欲しいところだ」

440「…」

中年ヒュマ「…」

ヒュマ男「は、はは…お二人も相変わらずお元気そうで」

苦笑いで返すヒュマ男、この空気が初めてで少し焦っている441。

中年ヒュマ「…さて、折角来て貰ったことだし、さっさと用を終わらせようか」

ヒュマ男「そうですね」

440「終わったらおっさんが昼食を御馳走してくれるそうだ。しっかり頼むぞ」

中年ヒュマ「…待て」

440「あの飯店の飯は旨いぞー…441、お前はこっちの部屋だ、付いてこい」

441「はい、宜しくお願いします」

中年ヒュマ「…」

(調査部分は音声のみでお送り致します)
267245の続き 2/5:2007/02/09(金) 05:44:31.03 ID:vfd9Jjsu
<441編>

440「質問は3つ、データとして集計はするが、保存は匿名で行う」

441「ご主人様には…」

440「勿論秘密だ。心おきなく答えてくれ。さて、他に質問がなければ始めるぞ?」

441「はい」


Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

441「主従以外…?考えたことがないですが、何か意識するべきなんでしょうか?」

440「いや、特に何も思い当たらないならそれで良いんだが。お前にとってあの男性は『ただの主人』なのか?」

441「私はご主人様のパートナーマシナリーですので…あ、でも、『ただの主人』ではないかもしれません」

440「どういうことだ?」

441「もしも私が他のガーディアンズに配属になったとしても、
  今のご主人様と同じように尽くしたいとは思わないと思います。
  …単純な表現になってしまいますが『とっても素敵なご主人様』という感じですね」

440「ふんふん、なるほどね」

441「それと、この間『大切なパートナー』って言って貰えたのは嬉しかった(ぼそぼそ)」

440「(顔を赤くしてぼそぼそと…横道な可愛い奴だな…まぁ、記録だけして追求はしないでやろう)」


Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

441「戦い方…とかそう言う話ではないですよね」

440「それもアリなんだが、どちらかと言えば…考え方とか、精神面だな」

441「精神面…」

440「まぁ、難しいかもしれないな」

441「辛い気持ちになったときご主人様に助けて貰うことはありましたけど、私は何も身に着けていません…」

440「そうか…良い主人なんだな」

441「はい。私もいつかご主人様のように人を助けられる優しくて前向きな心を持ちたいです」

440「(これもある種の回答…か?なんか惚気の雰囲気も感じるが)」
268245の続き 3/5:2007/02/09(金) 05:44:50.51 ID:vfd9Jjsu
Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

441「え、えーと、そのー……ミッションではぐれるととても不安な気持ちになります」

440「誤魔化さない。顔に出てるぞ。まぁ任意回答だから強制はしないが」

441「すみません……一日なら勿論平気ですけど、丸二日も帰らないとちょっと寂しく…逆に一緒だと落ち着きます」

440「恥ずかしがることはない。大体PMなんてみんなそんなモンだよ」

441「はい…でも、ご主人様に気を使わせたくないし…ただ、長く空けた後はそれを理由に甘えられ…じゃなくて…」

440「私だってあのおっさんが何日も帰らないと寂しいんだ(ぼそ)」

441「え、何かおっしゃいましたか?」

440「何でもないっ!えーと、二日も帰らないと寂しい、だな!」

441「お、大きな声で言わないで下さい(真っ赤)」

440「あ、すまない(か、かわいいっ)」




440「よし、質問は以上だ」

441「ありがとうございました」

440「いやいや、それはこっちの台詞だ」

441「えーと、じゃあどういたしまして。でも楽しかったですよ」

440「そうか、それは良かった。私もだよ」

440&441「……」
269245の続き 4/5:2007/02/09(金) 05:45:06.54 ID:vfd9Jjsu
<主人編>

中年ヒュマ「さて…基本的なことはこの間話した通りだが、何か質問はあるか?」

ヒュマ男「そうですね…内容に質問はないですが…この調査、何を目的に企画された物なのでしょう?」

中年ヒュマ「ガーディアンズの生活環境の向上のための基礎調査、と言うことになっている。
   …が、ここだけの話、俺はこの間のPM進化デバイス、能力制限緩和に関係あるんじゃないかとも思っている。」

ヒュマ男「なるほど…あれはかなり大きな変化でしたからね。
   これがPM達に取っていい結果をもたらす調査になると良いのですが…」

中年ヒュマ「それは大丈夫だ、俺が意地でも悪い方には使わせないさ。さて、他に質問がなければ始めるぞ?」

ヒュマ男「はい」


Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

ヒュマ男「そうですね…大切な無二のパートナーであり…そして、娘、みたいにも感じていますね」

中年ヒュマ「娘、か…その気持ちは俺も良く分かるよ」

ヒュマ男「まぁ、結婚もしていない私が娘云々言うのもアレですが、恐らくそんな感じなのではないかと(笑」

中年ヒュマ「うむ」

ヒュマ男「初期状態から育て、ずっと一緒に頑張ってきて、今もなお成長し続けている。
   そしてこんな私を信じ、頑張ってくれている。決してただの従者ではない、大切な存在ですよ」

中年ヒュマ「そうか。大切にしてやれよ」

ヒュマ男「ええ。お互いに」

中年ヒュマ「ああ」


Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

ヒュマ男「他者を思いやる気持ち、ですかね」

中年ヒュマ「というと?」

ヒュマ男「あの子と出会う前の私は、一見当たり障りの無いようにしていても、かなり我が侭な存在だったと思います。
   今でもまだまだ根は我が侭ですが、少し…ほんの少しだけ、相手のことを考えられるようになった。
   これはあの子が教えてくれた気持ちだと思います」

中年ヒュマ「ふむ」

ヒュマ男「それに、昔の私はどうもピリピリしていて攻撃的でしたが、随分丸くなったと自分でも思います。
   これもあの子の御陰でしょうし、他にも言葉では上手く表せないような多くのことを学ばせて貰いました。
   本当に、今の私を形成する上で欠かすことの出来ない存在ですよ」

中年ヒュマ「なるほどな…」
270245の続き 5/5:2007/02/09(金) 05:46:44.29 ID:vfd9Jjsu
Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

ヒュマ男「そばにいる時は和むというか…随分心が落ち着きます。ルームでもミッション中でもね」

中年ヒュマ「そうか…俺はミッション中は危なっかしくて落ち着かなかったりもするがなぁ(苦笑」

ヒュマ男「はは、勿論そう言う事もあるのですが、でも、パートナーが共に居るというのは心強いですよ」

中年ヒュマ「まぁ、それはあるな…では逆に、そばに居ないからどうなる、と言うことはあるか?」

ヒュマ男「そうですね…無事が分かっているのであれば、特に何か感じることは無いですね。
   何か面白い物でもあればお土産にしようとか考えていますが(笑」

中年ヒュマ「それは楽しそうだな(笑」



中年ヒュマ「よし、質問は以上だ」

ヒュマ男「ありがとうございました」

中年ヒュマ「それはこっちの台詞だ、こっちの仕事だからな」

ヒュマ男「いえいえ、自分を見直す良い機会になりましたよ」

中年ヒュマ「それは何よりだ。さて、そろそろ向こうも終わっただろうし、応接室へ戻ろう」



441「ご主人様、お疲れ様です」

440「おっさん、お疲れ」

中年ヒュマ「おう」

ヒュマ男「441もお疲れ様、問題はなかったか?」

441「はい、丁寧に聞いていただけて楽しかったですよ」

440「全く問題ない、むしろ私も聞いていて楽しかった」

顔を見合わせて笑い会う440と441。

中年ヒュマ「なんだ、お前ら随分仲良くなったみたいだな」

440「同系列同士気が合うところもあるって事だ」

中年ヒュマ「俺にはお前らは正反対に見えるがなぁ…」

ヒュマ男「まぁ、仲が良いに越した事はないですよ」

中年ヒュマ「…そうだな…だがむしろ、やっぱり俺は440にも優しさとかだな」

440「さて、昼飯に行くか」

441「さっき話してくれた美味しい飯店ですね」

440「ああ、支払いはおっさんが持つから思う存分食べてくれ」

中年ヒュマ「…おい、まあ待て、話を聞け、早まるな」
271名無しオンライン:2007/02/09(金) 05:48:02.23 ID:vfd9Jjsu
と言う訳で、何とか終了。
基本的に441(元440)視点での主人とほぼ一対一の話だから、
こんなに主人の方に喋らせる機会が来るとは思わなかった…
読んでも面白くないかも知れないですが(申し訳ない)、私自身は書いてて結構面白かったですw
しかし、これで性格をまとめ直したし、書きかけの話は殆ど全修正かな…

>>258
440かわいいよ440(´・∀・)人(・∀・`)問題なかったようで良かった。
問題提起って程の物でもないのですが、『PMが倒れるほど大変な合成をさせるのってどうなんだろう』という話ですね。
上の見て貰えば分かるとおり441自身は喜んでやってる勢いなんですが、
おっさん…もとい中年ヒュマと440がこういうテーマで話すとどういう会話になるかなぁ、とか…

>>263
長編ktkr
しかし平和ボケで悲劇耐性低下中な俺は続きを読むのが怖いんだぜ…
でも続きwktk…そんなジレンマ。

>>265
首輪付けられてても幸せそうな450と暴走して怒られる440がどっちも可愛すぎる…ww
GJ!
272名無しオンライン :2007/02/09(金) 07:07:21.98 ID:FSjomhEp
あ〜、ここはオアシスだな
PSUやっていけるのもここがあるお陰だ
各作者様いつも楽しく見てます

はぁ、キャラはいるんだし
私も何か書ければな・・・
273ヒュマ男と捨てポコ 1/4:2007/02/09(金) 09:50:12.99 ID:MrvvMfmA
―2月14日
なんだか知らないが、旧世紀のバレンタインがどーのこーので
チョコレートがどーだこーだの日らしい。

なにやら恥ずかしそうな受付の女の子から、チョコを貰ったことは貰ったが、
別にこれといった彼女もいなければ当然彼氏もいない俺には何の関係も無い日だ。
そう、思っていた。その日の夜までは。


ざー ざー

今日も今日とて、ディ・ラガン(C)を狩って、労働の後の一杯を済ませた俺は、
夜のパルムの雨空の下を走っていた。
ついさっきまでは、快晴。しかしパルムのお天気の女神様は気まぐれのようだ。
ちょっと俺に意地悪をしたくなったらしい。
ぽつぽつとした雨が、今ではざーざーと降っている。
外見でも可愛ければ、写真にでも撮って愛でるのだが… 生憎俺は神様を見られるほど信心深くは無い。

ざー ざー

これはダメだ。どこかで雨宿りをしたい。
俺は辺りに目をやり、この雨を凌ぐ場所を見つける。
「ふぅ、酷い目にあったな」
誰にいうまでもなく悪態をつく。と、何かの声が俺の耳に入った。

「にー にー」

俺が居る建物の脇の路地からだ。
なんだろう? この声からしてもしかしたら捨て猫かもしれない。
自慢じゃあないが、俺は可愛いものが大好きだ。超好きだ。
以前にも何度かド可愛い捨て猫を拾ってきては、管理人に怒られた。
そして俺は、今日も懲りずに、そこにいるであろう猫を見るために、その路地を覗き込んだ。

「にー にー」

少し大きめのダンボール。
マジックで書かれた「どなたか拾ってあげてください」の文字。
字体から察するに、女が書いたようだ。
そして、その中にいた…眠るように丸まっていたのは…

「にー…」

雨に打たれて寂しそうに泣いている、
GH-420、通称にゃんぽこ。パートナーマシーナリーであった。

(か……  かわえぇ……)
274ヒュマ男と捨てポコ 2/4:2007/02/09(金) 09:50:41.56 ID:MrvvMfmA
おっといけねェ涎が垂れるぜ。まあこの雨の下、そんなモノはわかりゃしないが。
と、唐突に

ぐきゅ〜

腹の虫か? 俺じゃない。さっきコルドバサンド喰ったばかりだ。
ってぇことは、このにゃんぽこか?
俺はポケットを探り、受付の女の子に貰った包みを取り出す。
少々捨てPMにやるのは気が引けるが、すまん受付の女の子、どーせ義理だろ?
包装を開け、ポケットに仕舞うと、その中のチョコをにゃんぽこの顔の前に差し出す。

「ほ〜れほれ、餌だぞ〜  モギってもいいぞ〜」

眼前に差し出されたそれに、くんくんと鼻を動かし、閉じていた目を開く。
ぽわ〜んとした表情。ううっ、たまんねえな……

「にゃう〜〜  おいしそーな匂い〜〜 いっただっきまーす!」

かぷ


空腹なのか、ダンボールから飛び出すようにかぶりつくにゃんぽこ。
獲物は…………チョコではなく、銀色の頭髪に覆われた人間の頭部。所謂マイヘッド。

痛い………………

これが俺とコイツの、妙な出会いだった。
275ヒュマ男と捨てポコ 3/4:2007/02/09(金) 09:51:56.74 ID:MrvvMfmA
プシュー
マイルームに戻る。迎えるものは誰もいない。
実は俺、パートナーマシーナリーを所持していない。
ガーディアンズ入隊の折、なにやらガーディアンズのほうで行き違いがあったらしく、
俺がパシリを受け取るのが伸び伸びとなっていた。
ガーディアンズに入隊する理由が、噂で聞いた4xxシリーズだった俺としては、
「ぶちころすぞ(´・ω・`)」的なおあずけを喰らっていたのだ。

「ふぇっくしょん!」
にゃんぽこに上着を貸していたからか、少々寒い。
「…ふに…ありがと」
頭から被っていた服をぱんぱんとして水を払い、俺に差し出すにゃんぽこ。
「おう。 ほらよ、身体拭きな」
そういってバスタオルを持ってくr

「ふに〜〜〜〜」

突然ブルブルっと身体を震わせあたりに水を撒き散らす。
「…お前な…そういうことは外でしろよ…… ほれ」
にゃんぽこにバスタオルを投げ、雑巾を探しに行く。
「ふに…ごめんなさい……」
ちょっと反省したのか、大人しく身体を拭くにゃんぽこ。



「で、お前なんであんなところにいたんだ?」
こぽこぽとコーヒーをカップに注ぎ、にゃんぽこに差し出す。
「ふに……あちち」
テーブルの上のカップをちょんちょんと指でつついて熱さと格闘するにゃんぽこ。
くっそう、細かいところまでラブリーだなコイツ…

「……あのね、ご主人、なんだかしらないけど、あたしの為にばいばいするんだって。
 こんな"らぼ"にいてもいいことないから、いい人に拾ってもらいなさいって」

「そうか」
ちょっとしんみりする。

「で、なんだ、どうするんだお前」
内心「飼ってくださいご主人様(はぁと)」なーんて言葉を期待したが、
そう簡単にいかないのが現実ってもんだ。
276ヒュマ男と捨てポコ 4/4:2007/02/09(金) 09:53:46.36 ID:MrvvMfmA

「……ふに」
なにやら俺をじっと見るにゃんぽこ。

「ねえ、パシリ、いないの?」

「ああ」

「…………」
また俺をじっと見つめる。
おま、あんまり見るな。可愛すぎる。

「あたし、ご主人のパシリになってもいい?」

きいいいいいいいいいいいいいいたああああああああああああああああ!!
イヤッホオオオオオオオオオウ ガタン!と立ち上がって叫びたいのをぐっと我慢して、クールに答える。
「あ、ああ。どこも行くところ無いのなら、ベ、ベベベ別にいいぜ」
カタカタとカップが震え、コーヒーが波打つのは秘密だ。

「ありがと〜〜〜〜ッポコ!!」
俺に飛びついて、ぎゅむーっと抱きつくにゃんぽこ。
ああ、俺、神様ちょっとは信じてみようかなァ…


―2月14日
なんだか知らないが、旧世紀のバレンタインがどーのこーので
恋する女の子が好きな人にチョコレートをプレゼントする日らしい。

その日、捨てパシリは俺からチョコレートを、俺は神様からにゃんぽこをプレゼントされた。

おしまい
277名無しオンライン:2007/02/09(金) 09:56:20.78 ID:MrvvMfmA
バレンタイン的になんとなく書いてみた。
にゃんぽこ分補給ってな感じで!(・∀・)
278名無しオンライン:2007/02/09(金) 14:49:30.44 ID:foftxTt8
>>263
小ビス子新シリーズキテター!
wktkしながら待たせてもらうぜ!
序盤のサイコな440って、ひょっとして「不死身」?
オハナミ編の時は理解のありそうなキャラだったような…。
それともまた違う440なんだろうか…。

>>271
中年とこの440はどこの話でも可愛いなあ。
自慢の娘にこんだけ慕われていれば
おっさんも本望だろう…。

>>277
捨てパシリ拾いてぇ…。
拾って育てて懐かれてぇ。
しかし、パシリも渡されずに、良く頑張ってきたなw
荷物とか持ちきれなくて大変だったろうになあw


「朝起きたら〜」のSSスレが落ちていた…。
何とかパシスレだけは落ちないでくれ…。
279名無しオンライン:2007/02/09(金) 18:20:44.95 ID:q2cC7qma
440「よう、おっさん」
中年ヒュマ「何だ、仕事場まで来るなんて珍しいな」
440「迎えに来た。部屋にいてもすることないんだ」
中年ヒュマ「良い心掛けだ」

そう言って煙草を吹かし、440の帽子を取り、グシグシと頭を撫でる。
その様子を見た職場の同僚達はわざと聞こえるような声で話し始める。

「落ちこぼれはお人形さんごっこが好きらしいぜ」
「必要ねぇんだからさっさと処分すりゃいいのによ」
「いや、部屋でナニすんのに必要なんじゃね?独り身らしいし」
「バカ、リアル過ぎて洒落になんねーよ」

440は話している一団を信じられない物でも見るような目で見つめる。
話の内容を理解するにつれて怒りが沸いてきたようだ。

440「おっさん、ちょっと行ってくる」
中年ヒュマ「やめとけ。いいんだよ、気にしてねぇ」

明らかな蔑みの言葉にも、無表情に煙草を吹かすだけの中年ヒュマ。

440「でも…」
中年ヒュマ「いいんだ。ほら、さっさと帰るぞ。回れ右だ」

――――――――――

マイルーム内

440「なんで止めたんだ!」
中年ヒュマ「なんでって言われてもな。あそこで食ってかかるとあいつらの思う壺だ」
440「おっさんは悔しくないのかっ!?」
中年ヒュマ「仕事の方が大事だ」
440「あぁもう!」
中年ヒュマ「そういきり立つな。回路ショートすんぞ」

そこで440はピタリと動きを止める。別にショートが怖かった訳ではなく、何かに気付いた、気付いてしまったようだ。

440「まさか…情報部に入ってからずっと………」

中年ヒュマは答えず、黙ったまま。

440「嘘…だ………私のせいで…」

その場にへたり込む440。

中年ヒュマ「まぁ気にするな。お前がいなくたってこんなダンディーなおじ様、嫉妬されるに決まってる」
440「気にしないワケ…ないだろっ……」
440はワナワナと唇を震わせながら弱々しく答える。
それを見た中年ヒュマはハァとため息をつき、その場にどっかりと腰を下ろして言う。

中年ヒュマ「ちょっとこっち来い」
440「あ、…え?」
中年ヒュマ「いいからこっち来いよ」

ズルズルと足を引きずり、中年ヒュマの近くに寄る440。

中年ヒュマ「座れ。んで帽子取れ」

440はしぶしぶと言うとおりにする。中年ヒュマはいつものように440の頭をグシグシと撫でて言う。
280名無しオンライン:2007/02/09(金) 18:22:30.23 ID:q2cC7qma
中年ヒュマ「どんなに辛い事があっても、お前さえいれば耐えられる」
440「………」
中年ヒュマ「………一つ、話をしてやるよ。悲しいガーディアンズの男の話だ」

中年ヒュマはどこか哀愁の漂う表情で話し始める。

中年ヒュマ「そいつは警備部でそこそこ良い仕事をして、妻子持ちでニューデイズに家も持って順風満帆な人生を送ってた」
中年ヒュマ「だがその男には家族の幸せを思うあまり、仕事に熱心になりすぎるクセがあってな」
中年ヒュマ「それで長期のミッションにも積極的に参加していたんだが、あるミッション中に娘が急に倒れたという連絡が入ったんだ」
中年ヒュマ「男は焦った。ミッションの遂行場所のモトゥブの奥地からニューデイズまで丸二日はかかる」
中年ヒュマ「結局ニューデイズの自宅に着いたのは三日後だった」

中年ヒュマはそこで言葉を切り、煙草を取り出して火を付ける。

中年ヒュマ「その男が部屋に入ると、そこには娘が横たわっていたよ」

無表情に、しかしその内側にある強い感情を押し殺して言う。

中年ヒュマ「顔に…白い布かけられてな」
440「そんな…」
中年ヒュマ「男は己を呪った。そばにいれば娘の異変に気付く事ができたんじゃないか、と自問自答を繰り返し自分を責めた」

中年ヒュマ「女房は女房で『あなたがそんなに家族を顧みない人だとは思わなかった』とか言って去って行った」
中年ヒュマ「独り残された男に残ったのはニューデイズの自宅とガーディアンズの仕事だけ」
中年ヒュマ「自宅は人に貸してコロニーの宿舎に入った。そこで男は何を思ったのか、パートナマシーナリを育て始めたんだ」
中年ヒュマ「独りの寂しさからか、男は育成に夢中になった」
中年ヒュマ「そしてその男のパートナマシーナリが最後の進化をした時だ」
中年ヒュマ「男の目に映ったのは、死んだはずの娘だった」
中年ヒュマ「男は恐ろしくなって部屋から逃げ出した。幻影を振り払うかのようにミッションを受けた」
中年ヒュマ「そんな精神状態でまともに戦えるワケもない、結果的に男は瀕死の重傷を負った」
中年ヒュマ「内臓がやられたらしく、医者からは今後一切激しい運動はできないと言われた」
中年ヒュマ「更に退院して部屋に戻ると、警備部から情報部への移動命令が出されていた」
中年ヒュマ「男は絶望のどん底にいた。ここまで見事に転げ落ちるのか、と笑いさえ込み上げてきた」
281名無しオンライン:2007/02/09(金) 18:24:00.38 ID:q2cC7qma
中年ヒュマ「そんな時、力なく笑う男の後ろからパートナマシーナリがそっと抱き付いてきて囁いた」
中年ヒュマ「『大丈夫、あんたには私がいるから。大丈夫』ってな」

ここまで黙って聞いていた440の顔が急に赤くなる。

中年ヒュマ「こんな惨めな自分にも、まだ側にいてくれるヤツがいたのか」
中年ヒュマ「男の気持ちはギリギリの所でなんとか持ちこたえた」
中年ヒュマ「そしてどんな仕事であろうと、自分が生きるためにこなすことを誓った」

フゥーと大きく煙を吐き出し、灰皿にグシャグシャと煙草を押し付けながら言う。

中年ヒュマ「今でもその男は自分を救ってくれたパートナマシーナリのために生き続けているそうだ」
中年ヒュマ「ありふれた男の話…どうだ、泣けるだろ?」

440は赤くなった顔のまま中年ヒュマの顔を見つめ、

440「おっさんの話だってバレバレなんだよ、馬鹿」

そのまま440は顔を近づけていき…

――――――――――

440「しかしな、おっさんがバツイチだったとは」
中年ヒュマ「あ?まだ離婚はしてねぇ。女房は実家に帰るとか言って出てっただけだ」
440「えっ」
中年ヒュマ「まぁアレだ。可愛い娘が自分からってのを拒む理由はなくてだな」
440「娘…」
中年ヒュマ「娘じゃなけりゃこのおじ様の超絶テクでだな…」

ジャキっとショットガンを中年ヒュマに向けて構える440。

中年ヒュマ「あ?ちょっ…やめて腹の古傷はやめうわなにをすrアッー!!」
282名無しオンライン:2007/02/09(金) 18:25:01.73 ID:q2cC7qma
おまけ

中年ヒュマ「星霊祭の飾りか…お前、アレ作れるか?」
440「やれと言われればやるが出来ればやりたくないな」
中年ヒュマ「…全力で拒否されると思ってたんだがなぁ。アレか、おじ様の事が好きになっちゃったのか」
440「………そうだな」
中年ヒュマ「え、あ?マジ?」
440「最近可愛い自慢の娘だの私のために生きてるだの言われてちょっとアレだったが」
440「おっさん、あんたは調子に乗りすぎた。そういう訳で全力で拒否させてもらう」
中年ヒュマ「まぁたまたぁ、照れ隠ししちゃってぇ。このおじ様の厚い胸板はいつでも空いてるんだぜ?」
440「それが調子に」

中年ヒュマの懐に飛び込む440。

440「乗りすぎだと」

しっかりとためを作り、

440「言ってるんだ!」

渾身の右ストレートを中年ヒュマの古傷に叩き込む!

中年ヒュマ「おぐぁっ」
440「馬鹿!」

そう言い残して部屋から飛び出す440。
中年ヒュマはこれが原因でしばらく入院したそうな。
283名無しオンライン:2007/02/09(金) 18:29:13.12 ID:q2cC7qma
補足:情報部の主な仕事は各種情報収集と、ミッション中のガーディアンズに的確な指示を送ること
パシリは警備部ほど必要性がないのでそういう趣味の人ぐらいしか育てないので、印象はよくない、と
このような脳内設定で読むと幸せになれる…か?

>>263
小ビス子シリーズの1ファンとして誰よりも続きをwktk
あなたの書くシリアスが大好きです
ほのぼのも大好きです
もう全てが(以下略

>>265
おっさんの440が某440スレのネタのようになっててワロス

>>271
すまない、あんな話を振ったせいで修正させるような事になってしまって
それにおまけも話がズレてる上に肝心な所を話していないという…申し訳ない

回答編はほのぼのして読めた
内容もお互い気を遣いあっていてステキだ
440に友達が出来たみたいで良かったぜー
284ヒュマ男と捨てポコ 1/4:2007/02/09(金) 18:58:59.01 ID:MrvvMfmA
重い。頭が重い。
別に病気じゃない。薬のせいでもなければ精神的なものでもない。
物理的に頭が重いのだ。

420「ッポコ♪ ッポコ♪ にゃ〜んッポコ〜」
妙な歌を歌って…ご機嫌だなコイツ。
420「ふに〜 ごしゅじ〜ん、なにしてんの?」
俺の頭にしがみ付いた、先日拾ってきたにゃんぽこが、ビジフォンの画面を興味津々で見ている。
ぶっちゃけ首が折れる危険性がある。そんなことになったら俺の人生はジエンドだ。
しかし、しかしだ。
俺の頭にしがみ付く、にゃんぽこのやわらか〜い感触。髪にかかる息。
なんだこいつ、何にも教えてないし命令してないのに、ここまで懐いてくれますか。
一宿一飯のお礼ですか?猫はあまり懐かないとか聞いてたけど、スペック高っけーなおい。

にへらと緩みそうになる顔を締めて、キーボードを叩く。
ヒュマ「ああ、いやちょっとな」
画面には、ガーディアンズ達がよく利用する掲示板サイトが表示されている。
俺はそこでPMの登録申請方法を調べているのだ。

ヒュマ「…でだ、にゃんぽこ…っていうのも変だな。お前、名前は?」
420「ふに? 名前?  うーん…」
なんだか言い辛そうだ。
ヒュマ「なんだ、どしたい?」
420「……笑わない?」
頭の上からちょっと翳った表情で俺の顔を覗き込んで尋ねる。
お前な、いい加減にしろよ。俺に床をゴロゴロ転げ回したいのか。
ヒュマ「笑わないから言ってみ」
420「しけんたいよんにーまるたいぷ」
ヒュマ「は?」
420「だから、しけんたいよんにーまるたいぷ」
ヒュマ「なんだそりゃ? 名前?」
420「わかんない。なんか、おじさん達がそう呼ぶの。
   んで、そのおじさん達、いっぱい武器とかくれるんだけど、ちょっと使ったらすぐに取り上げられるの」

なんとなく解った。こいつは420タイプの装備品の、使用テストをするPMなんだろう。
なんだか少々キナ臭いが……まあ、別にいいか。
285ヒュマ男と捨てポコ 2/4:2007/02/09(金) 19:00:19.92 ID:MrvvMfmA
ヒュマ「じゃあ、そう呼べば言いか?」
420「やーーーー…」
俺の頭の上で目を瞑って左右にふるふると頭を振る。
だからお前スペック高すぎるんだ。加減しなさい。

ヒュマ「じゃあ、名前つけるか」
420「うん!」
ヒュマ「じゃあ……………………………タマ」
420「やーーーーーーーーーーーーーー!!」

なんだか知らないが嫌らしい。俺の頭の上でじたばた暴れる。
お願いだからやめて。毛根に大ダメージを受けるから。

ヒュマ「じゃあ、何がいいんだよ」
420「かわいいの」
ヒュマ「………………じゃあ、女の子っぽく『美』をつけて、『タマ美』でどうだ」
420「うんっ!かわいい!それがいい!!」
ヒュマ「何が違うんだ…まあいい、略称はタマでいいな」
420「えーーーーーーーーーーー!」
ヒュマ「本名は『タマ美』だからいいだろ」
420「ぶー」
ぷうっと頬を膨らせるタマ。
ヒュマ「嫌なら別のにすっか?」
420「んーーーーー  それでいい」
どっちだよ。まったく気まぐれな奴め。そこがまた可愛いが。

とりあえず名前は決まったが、本部への報告はどうするか…
………………報告したら、なんだ回収されそうだな……とりあえず報告は後回しにしよう。

タマ「ねー、ごしゅじーん」
ヒュマ「何だ」
タマ「おなかすいた…」
調べてるうちに、時間が過ぎてたようだ。
ヒュマ「…そろそろ昼飯か とりあえずタマ、頭から降りろ」
タマ「ふに」
ぴょこたんと床に音もなく飛び降りるタマ。
解放された俺はコルドバヌードルの封を開け、食事の準備をしようとする。

ヒュマ「お前もこれでいいか?」
タマ「うん〜」

暫らくして、出来上がったコルドバヌードルを啜る俺。
その対面で箸でちょんちょんと麺をつついているタマ。
286ヒュマ男と捨てポコ 3/4:2007/02/09(金) 19:01:14.80 ID:MrvvMfmA
ヒュマ「食べないのか?」
タマ「ん〜 熱いから…」
猫舌なのかよ…誰だこんなパシリ作ったのは!
ヒュマ「なんかインスタントですまんな。 ところでお前、どんな食べ物が好きなんだ?」
タマ「ふに」
ちょっと考えるタマ。
タマ「えと、プリンと、ゼリーと、蒸しパンと…」
タマが挙げるのは見事に柔かい食品ばかりだった。
まったく、こいつの食生活はどーなってんだ。可愛いからいいけど。
タマ「んー、あとね、おっぱい!」

ブフーーーーーーーー!!!

飛翔する汁、そして麺。アンドなると。
ヒュマ「な、なんですと!?」
噴出したスープを拭きながら聞き直す俺。
タマ「えとね、前のご主人にだっこしてもらうとね、ふかふかしてたの!」

ヒュマ「……」
こいつ………………スペックが高すぎる!!
本人はあれだ、悪気とか、エロエロとか、そういうんじゃなくて、
普通に柔かいもの、ぷにぷにしたものが好きなんだな!
まったく前の主人はどんな育て方してたんだ!!グッジョブ過ぎるだろ!!

タマ「あとねー、"らぼ"にいたパシリのみんな」
ヒュマ「ほう」
タマ「みんなとふにふにしてたの」

バフーーーーーーーーー!!!

…ダメだ、ダメだコイツ!!スペックが尋常じゃない!!
何?天然リリーワールドですか!?どんなところなんだラボ!
俺も行きてェ!!連れてってくれ!!いますぐ!!
287ヒュマ男と捨てポコ 4/4:2007/02/09(金) 19:02:24.68 ID:MrvvMfmA
タマ「ふに?どしたの?」
ヒュマ「い、いや、なんでもない。………ところで、そのラボってどこにあるんだ?」
wktkしながら尋ねてみる。
するとタマが俺のことをじっと凝視する。
タマ「……」
ヒュマ「……な、なんだよ」
タマ「ご主人……」
ヒュマ「なんだよ」
タマ「……行きたいの?」
口元を片手で隠して、にへらと笑うタマ。
ヒュマ「……当たり前だ」
同じくにへらと笑って答える。よし、正直に答えたぞ。教えろ!
タマ「ふにゅ……おしえたーげない。  にはは!」
ヒュマ「て、てめえええええええええ!! 主人の言うことが聞けんのか!聞けないのか!!」
タマ「べーーーーっだ! おしえたげないも〜ん! 『だんしきんせい』は男の人は入っちゃだめなのっ!」
ヒュマ「な、なんだとうー!! 場所を教えなくてもいい!どんなところだったか教えろ!!プリン買ってあげるから!」
タマ「ほんと!? んじゃ〜 えっとねー」
ヒュマ「ほうほう」
タマ「んでね」
ヒュマ「ま、マジか!」
タマ「そんでもって」
ヒュマ「ブバッ!!」


拝啓、タマの前の主人様
あんた……あんたパシリにどんな教育を施したんだァ!!
俺の心の絶叫が、狭いマイルームに響き渡った。

END
−−−−−−−−−−−
緊急メンテのせいで急に暇になったので、>>276の続きを書いちゃった( ´・ω・`)
全部ソニチが悪いんです。もうしませんから責めないでくださいwww
288名無しオンライン:2007/02/09(金) 19:05:38.78 ID:E4KmnFH5
>>277
420を捨てるなど認めぬ・・・w
てか捨て420なら1匹だろうが10匹だろうが喜んで拾うぜw

>>283
おっさんが渋い、そして440が可愛い・・・w
この440ってワルキャスの410と意見合いそうな予感w
289名無しオンライン:2007/02/09(金) 19:12:32.61 ID:E4KmnFH5
おおっと捨て420の続きがw


猫舌420かわえぇなぁ・・・w
てかラボって武器のテストするだけじゃないのか、何故男子禁制なんだw
そしてラボでは一体何を・・・これはヒュマ男じゃなくても気になる・・・w
290名無しオンライン:2007/02/09(金) 19:21:22.59 ID:MrvvMfmA
>>289
…そういやそうだな… 研究員のおっさんもいるのにw
あれだ、「男子禁制」なのは、タマ達パシリが普段の生活に使っているエリアのことなんだよ!w
んで、前の主人が「このエリアは男子禁制なの」とか言ってたんだ、きっと。

と事後説明になってスマソw
291小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 5:2007/02/09(金) 22:06:08.09 ID:JTEPgsKE
「はうー、はうー? はぅはぅ…」
「もーご主人様ー、ぱっぱと決めちゃいましょうよー」
 アレを手に取ってはコレを手に取ってははぅはぅ悩んでいるご主人様の服の裾を
 引っ張りながら、私は唇を尖らせる。
「はぅう、ではでは430、430はこれどう思いますです?」
「ゴージャス過ぎます。分不相応です。あんな連中に配るのなんかコレで十分です」
「は、はぅ…、ちっちゃい子のおやつではないのですよ…?」
「かさばらなくって良いじゃないですか? 30メセタですし」
「は、はぅう」
 どこの食品ショップのレジ脇にも置いてあるようなミニチョコを指さして言う私の案に、
 ご主人様は気乗りなされないようでした。ちぃ…。
 ガーディアンズコロニー二階のショップスペースに臨時で設けられたこのブースは
 大いに賑わっていた。それも女性ばかり。友達連れ、パシリ連れ、恋人連れ、その他色々に。
 そう、ここはバレンタインシーズンに特別設置されたチョコレートショップ。
 最近は商売人も心得た物で、ブランド品や宝石を展示するようなシックなデザインの店構えで、
 そこに綺麗にラッピングされた色とりどりのチョコレートボックスを並べている。
 「贈る」以前に「選ぶ」楽しさを前面に押し出した商売戦略は大当たりといったところか。
 随分と広いショップだけれど、所狭しとチョコと女の子が溢れかえっている。
「はうー、ヒューマンさんはあんまり甘い物食べるイメージがないのです。
 甘すぎないのが良いでしょうか。…はう、ブランデー入りのもあるのですね」
 ひょいと一つ手にとってはまた別の商品に目移りし、
「箱さんはキャストさんですから、向こうのキャストさん用のチョコの方がいいですよね。
 はぅ…、でもキャストさん用ってどんな味なんでしょう?」
 両手にチョコの箱を取っては別の展示スペースのチョコを見るために背伸びして…、

 な ん か こ う 、 む ち ゃ く ち ゃ イ ラ イ ラ す る。

「もー今持ってるのにしちゃいましょうよー。退屈ですよー」
「だめなのですっ。日頃お世話になっているお返しなのです。真心込めて選ぶのです」
 純真で義理堅いご主人様です。最善の品物を選びたいのでしょうけれど…。
 なんかもう、世間的には義理チョコを選んでいるわけですが、その熱意と言ったら、
 本気チョコを探していると言っても過言でないくらい必死です。…むかつく。
 それにしても、ご主人様ってば、カンッペキにバレンタインデーを勘違いしてるよなぁ。
「それにしても何で男性だけなんでしょうね。黒キャストさんにもお世話になっているのです。
 はう、でも黒キャストさんは女の子さんですから贈れないのでしょうか?」
 あー…、やっぱ勘違いしてるー…。
 日頃お世話になっている男性に感謝の気持ちをってとこでしょうか。
 日頃ちょっと気になっている男性に軽いジャブをが俗世的なセオリーなんでしょうが、
 そんなことを説明して「はぅ…」とか赤くなられたらたまったものではないので黙っています。
「いえ、まぁ、女の子同士で渡したりするのも結構ありますよ」
 くぁ、とあくびしながら適当に答えると…、あ、やべ、しまった…。
「はう! そうなのですか! それならお二人に加えて黒キャストさんの分も選びましょう!」
 …やっちまったぁ…。
 ぺたし、と顔面に手のひらを当て、私は呻く。これで+30分確定…。
 ため息がてら、私は人でごった返す店内のボードを見上げる。
 「バレンタインデーまであと二日!」
 私もぼちぼち準備し始めないとならないよなー…。

 そう! 超がつくほどド本命のちょこれぃとを!
292小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 6:2007/02/09(金) 22:07:37.17 ID:JTEPgsKE
 PMには「お財布」という概念がない。
 私たちは買い物用のカードを持っているが、それは所有者の口座に繋がっている。
 当たり前だがPMたる私たちが単独で金銭を稼ぐ訳にはいかず、
 私たちの買い物はつまり「主人の買い物」なのだ。
 我々はおおよそ「おねだり」という必殺技で自分が欲しい物を手に入れるわけだが、
 今回ばかりはそうは行かない。
 何しろ私が今欲しいのは「ご主人様の為の私からのチョコレート」なのだ。
 それをご主人様のお金で買ったら本末転倒である。
 無論店で買うのではなくバリバリに手作りする気だが、それにしたって材料費だの
 ラッピング材だののお金が掛かってしまう。

 …だから。

「金貸してくれ」

「…そんなシュールな台詞を吐いた430は、GRM社史上、お前サンが初めてじゃないかねェ」
「そんなこと言うなよ450えもん」
「お前サンとは本気でどっかでケリつけないとならんのかもねェ」
 ガーディアンズコロニー裏町。とある雑居ビルの四階。
 …何のかんのと通っていたせいで、最近ではコイツの住処の場所も頭の中に入ってしまっている。
 ニューディズの骨董品に囲まれるキングサイズのソファの上に悠々と鎮座ましますは、
 頼みの金づる、GH-450サマ。こいつはぶっちゃければアウトローだ。
 ガーディアンズでもなければ、PMの行動則に何一つ束縛されていない。
 しかもたっぷりと金を持ってやがる。伊達にマフィアのボスを気取ってない。
「まぁ、お前サンがその為にやってくる、ってーのも、想像はしてたんだがねェ」
 ぷかぁ、と愛用のキセルでタバコの煙を吐き出しながら、450はうんざりと笑った。
「なら話早ぇーじゃん、貸せよ、金」
「お前サンは自分の見た目と中身のギャップをもうちょいと考えてお喋りよ」
 450は、たはぅ、と隠しもせずにため息をつく。…何だよ、こういう時に限って保護者面しやがって。
 にしても…、
「アンタん家はいつからチョコレート屋になったんだ? マフィアは廃業か?」
「馬鹿お言いでないよ」
 部屋に入った時から気になっていた。部屋の隅の方に積み上げられた大量の箱と…、
 部屋の奥―居住スペースだろう―から漂ってくる甘ったるい匂い。
「ご主人サンに頼んで作ってもらってんだぃ。上手いんだよ、ウチのご主人サンは」
「ヤクザどもにでも配んの?」
「それこそ馬鹿な話さね。あんな連中がチョコなんて食う面かい」
「…450からチョコが貰えるなら死んでも良い、と全員泣きながら懇願してきましたが?」
 ひょっこりと、奥の部屋から女ニューマン―450の主人だ―が顔を出す。
 どうやらまたチョコが出来たらしい。両手に抱えてきた五箱ほどのチョコを、
 部屋の隅のチョコ箱の山の上に更に積み重ねる。
「死なれちゃ困るしね。そんなら尚更くれてやるわけにはいかないねェ」
「同感ですね。貰うのは私一人で結構です」
 くつくつと笑って言う450に、ニューマンは無表情にぺこりと頭を下げ、再び部屋の奥に消えていく。
 …どうまとめてるのかと思いきや、こいつ結構ヤクザ連中に好かれてんだな…。
 その時に、ふと…。
「アンタ、あのボランティアまがい、まだやってたのか…」
 問い掛けに、答えはすぐに返ってはこなかった。
 450はあぐらの上に肘を置いて頬杖をつき…、さりげない動作で顔を横向ける。
「…どうでも良いことさ。お前サンにゃ、関係のないこった」
 沈黙が嫌だったのか、450は転がっていたビジフォンのリモコンを拾い上げると、
 アンティークの中に設置されていた大型モニタのビジフォンを起動する。
 …丁度、昼時のニュースの時間だったらしい。抑揚の無い無機質な声を聞きながら、
 450は静かに目を伏せた。知った癖だ。…話すのが嫌だ、という、彼女の癖。
293小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 7:2007/02/09(金) 22:08:05.53 ID:JTEPgsKE
 退役、もしくは殉職したガーディアンズを想い、本部からの帰投命令に従わないPMたちへの…、援助と、支援。
 噂があるのだ。それは去年のクリスマス。
 ひとりぼっちのPMの元に、オデンの缶詰を持った、ヤクザ言葉のサンタクロースがやってきた、と。
 それも、ただの一人も残すことなく、一晩中をかけて、全員の元に。

 それはそれはとても地味で、報われず、膨大な労力が必要で…、
 おおよそ、派手な祭り好きの450にとって、一見すれば対極にある行為。
 ちり…、と、彼女がふかすタバコの先端で、小さな火が灯る。
「ただ、アタシくらいは…、憶えていてやりたいんだ。ああいった連中のことを」

 いずれ消えていく者たちだから。

 暗にそう言った彼女の言葉に、胸の奥の一番底が、ずきりと…疼いた。
「言ってやりたいんだ。『アタシはいるよ』ってさ。誰一人いなくなっちまっても、
 アタシはアンタとアンタの名前を忘れない、って。…自己満足だがね」
 ふい…、と薄紫の煙が、彼女の唇から細く長く流れていく。
「直に…、それも終わるかもしれないけどね」
「…ん?」
 いくらか声音が変わった気がして、私は彼女の顔を見る。
 450はビジフォンを見ていた。昼時のニュース。…一目して、知った。
 私も知っているニュースだ。最近決定したことで、広く世間に知られている。

 ガーディアンズ本部は、未使用区画となった居住スペースの一部を
 コロニーよりパージすることを決定し…

「随分小さくなっちまうねぇ、コロニーってやつも」
 つまらない冗談に愛想で笑うように、450は退屈そうな笑顔を浮かべていた。
「居住区画No21から38。…そん中に、どんだけ『置いてけぼり』がいると思ってんだ…」
 無機質に言い捨てているのは、言葉だけ。
 私は、そういう450が、キセルをへし折らんばかりに拳を握りしめているのに気付いていた。
 切り離され、消えていくのは、空間だけじゃない。
 そこにあった暖かさ、そこに響いていた声、そこで紡がれた思い出。
 そんなのが、全部、…消えていくんだ。

 取るに足らない物として。

 「私たちの思い」は、所詮、「人間の思い」ほどの重さとしては、扱われない。
 私たちはPMだ。キャストですらない。…誰にどれだけ想われても、社会的地位なんて無いに等しい。
「…終わっても、出来るだけ、憶えててやれよ」
「…あん?」
「そいつらの名前とか、姿とか、言葉とか、声とか。
 私らにも魂があるなら、生まれ変わりたいって言ったヤツを知っている。
 誰か一人でもそれを憶えているヤツがいれば、…魂だって、戻って来やすいんじゃねぇかな」
 私たちは、しばらく、適当な眼差しでニュースを見ていた。
 甘い甘い、チョコレートの匂いに包まれながら。

「アタシらってのは、結局、どこに行こうとしてんだろうねェ」

 ぽつりと言った450の言葉に、私は返事をすることが出来なかった。
294小ビス子と430 彼女たちの一番長い日:2007/02/09(金) 22:12:22.12 ID:JTEPgsKE
ちょっと量がまとまってしまったのでひとまず投下。
今夜はあと一回投下するかも知れません。
ヒュマ男氏、箱氏、黒キャス子氏、ちょろっと出場w

オールスター物は大変そうなので、出来るだけ手前味噌でやっていきたいのですが、
状況によっては皆様のキャラをちょっとお借りするかも知れません。ご了承下さい。

…今書いてるとこですでにお借りしている節があるので…orz
295名無しオンライン:2007/02/09(金) 22:25:55.42 ID:CvuXBOip
キタ−
PSUもせずここはりついてる甲斐があるというもの
最後までwktk
296小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 8:2007/02/09(金) 23:44:17.08 ID:JTEPgsKE
 ガーディアンズ情報局の執務室は、ここ数ヶ月味わったこともないような激務に追われていた。
「おい! グラールチャンネル5が今回のパージのことでコメント求めてっぞ!」
「担当者不在って言っとけ! 適当なコト抜かしたらクビ飛ばすぞ!」
「パージブロック内の情報端末の切断どこまで終わってんだおい!」
 そんな中、
「…パージブロック内のPMのコメント取り、なんてな、許可されねぇだろうなあ」
 ぷかぁ、と大きくタバコの煙を吐き出し、中年のヒューマンが首の骨を鳴らす。
 PMに愛着のある人間にとって、本部のこの決断は…、心に痛い。
 切り離される居住ブロックの中には、数百体近いPMが取り残されている。
 様々な形で主を失った、それ以外の行き場を求めないPMたちだ。
 GRMから納品されるPMの数は今では供給過多だ。採算的な問題からしても、
 予算を割いてまで強引な回収を行いたくはないのだろう。
 ガーディアンズも企業だ。仕組みは理解できなくもないが、納得出来るかと言えば別の問題だった。
 コロニーから切り離され、パルムの大海原に激突、…大破。
 『計算通り』の死が待つだけの空間に残るPMたちが何を思い、何を語るか。
 それはおそらく心をえぐられる痛みを伴うだろうが、
 せめて自分一人くらい、それを聞き、憶え、留めておいてやりたかった。
 …暴挙を行う側の、人間として。
「おっさん」
 はたと事務机の脇から掛けられた声に、我に返る。
「今日も暇だから来たぞ。忙しいか?」
「何、お前の相手が出来んほどではないな。…丁度飯時だ、なんか食いに行くか」
 男は自分のPM、GH-440の帽子の上から手を置いてやる。
 仕事場が度を超して忙しいというのもたまには便利だ。同僚どもも、聞こえる嫌みを言うような暇がない。
 実際のところ、自分もその「度を超して忙しい」身ではあるが、…愛娘をないがしろに
 するほどの仕事ではないのだ。こんなことは。
「あの442と422がいる店がいいな。美味いし」
「そーだな。この時間は混んでるかも知れないが、行くかぁ。順番待ちで暴れんなよ?」
 ケタケタと笑って、事務机から立ち上がろうとして…、

「…あ?」

 ふと、男は愛用のコンピュータに目を向けた。
 パージプログラムのチェックと中央管制塔のCPUの稼働状況の確認を行っていたモニターの隅に、
 小さなアラートアイコンが点灯していた。
「どーした、おっさん」
「いや、ちょっと待ってろ、これだけ確認する」
 不正アクセスの足跡…か?
 最近では暇を持て余したガーディアンズがビジフォンを通じて奇妙な悪戯をするようになったからタチが悪い。
 …本当に、最近のガキはロクな遊びをおぼえない。
 逆探を掛けて締め上げてやろう。…アクセス時間は…、昨日の深夜。
 場所は…、
「またアイツか!」
 数秒の待ち時間を経て表示された「犯人」の居場所に、男が呻る。
「知り合いか?」
「常連だよ。ったく、半端に腕が良いからって面白半分にあちこちアクセスしやがるんだ」
 GRM社の未公開製品の情報にアクセスしてはバラ蒔いたりと、このガキは本当にろくなことをしない。
297小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 9:2007/02/09(金) 23:46:01.89 ID:JTEPgsKE
「今度は何処にアクセスしてやがったんだ。…各社に頭下げんのはオレらなんだぞ!」
 どかどかと荒っぽい操作でコンソールを叩きながら、男は灰皿に突っ込んでいた消えかけのタバコを口にくわえた。
 苛立つとどうしてもタバコが欲しくなる。
「楽しそうだな」
 440はニヤニヤと笑っていた。男は440を斜めに見下ろし、くわえタバコのままにやりと笑い返す。
「ガキに説教くれるのはオッサンの仕事だかんな。…っと、おーし、出た」
 あのガキ、今回は随分と手の込んだハッキングしてやがる。何枚防壁ブチ破って…、

 ガタンッ!

 椅子を倒して立ち上がる物音に驚いたのは、近くにいた440だけ。
 他の誰も、仕事に忙殺され、そんな些細な音には気付かなかった。

「440! 悪い! 飯は後だ!」
「お!? おい!? おっさん!?」

 蹴倒した椅子を飛び越え、人の合間を縫って猛烈な勢いで走り出す男の後を、440はちょこまかと走ってついていく。
 男がそのままにして立ち去ったモニタには、ハッキングを通じてアクセスした場所が表示されていた。



 ガーディアンズコロニー中央管制塔 メインCPU



「おいこらテメェ! ドコにアクセスしてやがる! 冗談で済む場所じゃねーぞガキ!」
 低く轟く怒鳴り声を張り上げながら、男は、厳つい拳で鋼鉄製のドアを何度も叩く。
 ガーディアンズ宿舎の一室。…不正アクセスを行っていた青年の部屋だ。
 …応答が、無い。ドアはロックされているらしく、爆破でもしなければこじ開けられそうになかった。
「くっそ、…現在時刻12:51! 情報局員コードJ9-11024! 状況A-3につきマスターコード使用!」
 男は襟元のインカムをたぐり寄せ、言い捨てるように言葉を残すと、
 男は非常時の解錠コードをパネルに叩き込む!

 中央管制塔への不正アクセスだと…!?
 あの馬鹿ガキ、自分が何をやったのかわかってんのか…!
 あそこはガーディアンズコロニーの心臓だ。
 制御を奪えば、コロニー中の空調を停止させ、半日も経たずにコロニー内の人間を死滅させることだって出来る!
 『ただアクセスしただけ』とはいえ、公になれば第一級犯罪だ。
 だが…、そうだ、ガキのやったことだ。気付いたのも多分まだ俺だけ。
 …何とか上手く取り繕ってやれるだろうか!?
 ガキの馬鹿を何とか誤魔化してやるのも、年寄りの仕事なんだ!
 だから出てこい…! 出てきて謝れ…! 今なら一発殴るだけで済ませてやる!
 だから…、だから…、何なんだ…!

 何なんだ、この、いけ好かない予感は!
298小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 10:2007/02/09(金) 23:46:57.00 ID:JTEPgsKE
 あのガキは「常連」だ。何度も呼び出して怒鳴りつけた。
 性懲りもなく不正アクセスを繰り返しては「オッサン、また会ったなぁ」とヘラヘラと笑いやがった。
 馬鹿でどうしようもないが、悪人じゃねぇんだあのガキは!
 一緒についてきてぺこぺこ謝る440を見ていると、なんだか自分の440が重なって見えて憎めなかった。
 オレがガキの頃だってあんなんだった…、まだきっと何とかしてやれる!

 やがて、何事も無かったかのようにぽっかりと口を開けた部屋の入口から溢れ出したのは…、

 照明が付いていないが為の薄暗闇と…、

    * * * *

 胸を焼け付かせる程に甘い、チョコレートの匂いだった。

    * * * *

「…なんだ…、これは…」
 部屋の中央に立ち尽くし…、男は呆然と呻く。
 明かりの無い空間。本や機械が乱雑に積み重ねられる荒れた部屋。
 滅茶苦茶に潰れたビジフォン。部屋中を埋める、チョコレートの匂い。

 そして、

 とうに絶命している…、見慣れた青年…。

 予感があった。事務室でその痕跡を見付けた、その瞬間から。
 このガキは…、中央管制塔への不正アクセスなんて馬鹿はやらない。
 度だけはしっかりわきまえていた。…だから、これは…。

 誰かが、やったんだ…! 彼の道具を使って!

「おっさ…」
「来るな!」
 不意に聞こえた440の声に、男は振り返らず絶叫する。こんな光景を、見せられるものか…。
 男は羽織っていた上着を脱ぐと、ベッドで絶命していた青年の上半身に掛ける。
「何が…、あったんだ…?」
「来るなっつったろうが…」
 ぎゅうっと手を握ってくる440に、男はやはり振り返らず、苦く呻いた。
「外出てろ…、お前にゃキツい」
「…ならおっさんも出るんだ。…ここは…、駄目だ」
「440?」
 ふと…、男は、自分の手を握る440がガタガタと震えていることに気が付いた。
 立ち位置で隠し、440に青年の死体は見せていない。…それで、何に…?
「…よくわからないけど、なんだか、わかる…。
 ここには、…うん…、何て言うか…、バケモノがいた…。
 私たちが絶対に関わっちゃいけないような…、そんな、バケモノ…」
「…何言ってるんだ…? 440…?」
 震える手を握り返し、440を見下ろす。…440は、怯えたような眼差しで部屋の周囲を見回し、
 やがて、ぽつりと…、熱に浮かされて呟く、譫言のように、

「…パートナー、マシナリー…?」

 そう、言った。

 そして、
「…おっさん」
 ぐい、と440は男の手を強く引く。
299小ビス子と430 彼女たちの一番長い日 11:2007/02/09(金) 23:47:43.71 ID:JTEPgsKE
「どうした?」
「…壁…、なんか、書いてある…」
 手だけでなく、男の下半身にしっかりとしがみつきながら、440は震える指で壁の一面を指さした。
「…ん…?」
 男は上着のポケットからペンライトを取り出すと、440が指さした壁へと小さな光の円を向ける。
 そこには、血…、ではなく、ドロドロに溶けたチョコレートで、壁一面に、



            Saint Valentine's Day



 その文字が、まるで呪いの言葉の如く、殴り書かれていた…。

「何が…、起こったんだ、この部屋で…」

 男は、震える440を抱き寄せながら、ただただ呆然と、そう呟いていた。
300小ビス子と430 彼女たちの一番長い日:2007/02/09(金) 23:54:31.04 ID:JTEPgsKE
区分け失敗…、三回に入りきらなかった…orz

セカンドビューみたいな感じで中年ヒュマと440をお借り致しました。すみません。
「情報局員」というのがちょっと有り難かったので…w
私の悪い癖は大風呂敷を広げてしまうところかも知れない…orz

中年ヒュマ男氏に限らず、どこかで誰かをお借りするかも知れませんが、
なま暖かく看過して頂ければ幸いです。

どうにも長い話になってしまいそうですが、お付き合い頂ければ幸いです…!
301名無しオンライン:2007/02/10(土) 00:08:22.80 ID:/TSf67CY
やはりバレンタイン一色だなこれw
箱&450はネタが思いつかないので今年はスルーだn(ザクッ
みんながんばれーw

>>小ビス子の人
ああそういえば、箱が小ビス子と430に贈るチョコを買ってたwww
302名無しオンライン:2007/02/10(土) 00:12:42.75 ID:KlLp+/mg
小ビス子氏の執筆速度恐るべし・・・w

U縮小までネタに組み込こんで尚且つバレンタインのネタもしっかり絡ませてくる、とてもじゃないが俺には出来そうに無い芸当だ・・・w


しっかしこっからどう展開していくのか楽しみだ・・・w
303名無しオンライン:2007/02/10(土) 01:20:18.36 ID:MR/b//wl
wikiのわんわんさんどずを見て思ったのだが、
420型のわんわんさんどはいなかったっけ?
結構前のスレッドの何処かに、410,420,430,440,450すべてのPMの
ワンオブサウザンドが出てきたなー、ってレスがあったと思ったのだか…。
私の勘違いかのぅ?
304名無しオンライン:2007/02/10(土) 03:10:22.29 ID:/LWCP68M
>>288
おっさんも渋いと言って貰えたら本望なんだぜ

ワルキャスといえばワルキャスと箱と『』の悪巧み的なネタってまだ続いてるのか?
続きをwktkしてるんだが、まさかとっくに終わってるなんてことは…

>>300
おっさんと440が小ビス子氏の作品に出てる…
何かこう…感無量だ
使用許可などは気にせず、中年ヒュマの立場をフルに使ってやってくれ
そして続きをフルにwktk

>>303
たしか420話の人のニャンポコ?と小ビス子氏の430が戦ったっていうか絡んだ時にそういうレスがあった気が
でもその420はわんわんさんどじゃない…はずだ
305名無しオンライン:2007/02/10(土) 04:58:48.92 ID:KlLp+/mg
>>303>>304
その辺の話については実は今考え中だったりするんだけど
まあ420については今のとこはちょっと強い普通のパシリ程度の解釈でいいです

いや決して「ワンワンサンド420居ないからとりあえず奪ってやるぜへっへっへー」とか考えてはいませんぜ?w
普段ギャグだがシリアスな場面ではそういった話をちゃんと・・・(考えてるかどうかは不明


っと、ついでだし以前出ていたワンワンサンド420『舞姫』(これは小ビス子氏の考えではなかったはずだが一応)お借りします
と言っても出来上がるのいつかわからないんだけど・・・orz
306名無しオンライン:2007/02/10(土) 08:18:38.75 ID:u0SiPV7p
浮上ポコ
307名無しオンライン:2007/02/10(土) 16:34:23.15 ID:amQTgKqB
>>278
>何とかパシスレだけは落ちないでくれ…。
何度でも蘇るさ…。

>>282
おっさん渋いな…軽い台詞吐いて殴られたりして、それでも渋く見えるって相当良くできた渋キャラだ…
修正に関してはこちらが設定を練り込んでいなかったボロが出ただけなので倫理的におkってかむしろ感謝。
440に友達が〜で思ったけど、PM同士の交友関係ってどんなもんなんだろう。
うちのとか(というか概ねのPMは)殆どルームに居るから全然友達居なさそうな…折角だし、仲良くしてあげて下さい。

>>287
タマのスペックの高さは異常wこれは可愛いw
主人の方の性格も地味にツボなので、密かに新作期待するんだぜ

>>300
素材の組み合わせ方が上手すぎて読んでて鳥肌が立ってくる…
そして話の筋も、この先の展開を予想しただけでドキドキ物…
つ[基板/ワクテカッター]
308名無しオンライン :2007/02/10(土) 22:37:58.99 ID:e/0kBO8d
パシリスレは皆が落ちないようにするだろうさ!

しかしあれだねぇここにいると「課金を止める」という行為が中々できないもんだねぇ
こうも生き生きとパシリが活動しているとそれを期待して課金してしまいますよw

ひとまず、500Kの埋め用として何か考えておくかな・・・
というわけで、容量埋めとして駄作が登場する『かも』しれませんので、
その時はまぁなんというか・・・触れないでスルーしてやって下さいw

と言う訳で、作者様の方々へ・・・・
新作&続編&おまけ編etcなんでも期待してます!!
詰まったら気分転換に横道にそれてみるのもいいかもしれませんよ!

ん〜ネタとしては無いけど、シュールに「フト未来の自分を考える」なんてシチュエーションなんていかがでしょうか?w
というか、それぞれのキャラの「私が思う、私の未来」的なシーンってあったらイイかなぁ・・・ナンテ(///)

すべての作者と観覧者に「精霊の導きがありますように!」。
309名無しオンライン:2007/02/10(土) 23:09:32.16 ID:NzQ951Hm
課金はとめてるんだ…が妄想用に
エキストラをちまちまやってる俺が通りますよ
310名無しオンライン:2007/02/11(日) 01:40:57.31 ID:Xy2eoiDh
〜黒キャス子と430〜

黒キャス子「ねぇ、ラック」

すっかり暗くなり、窓越しに見るホルテスシティの明かりが美しい。
後ろを振り返らず、自分を追いかけて来たラックに問う。

黒キャス子「あたしは何をしようとしてるの?」
ラック「…」
黒キャス子「あの子の幸せを思って、心を鬼にして訓練したわ。そしてあたしの期待通りにあの子は強くなった」
黒キャス子「後はお金さえあればあの子は自由…。それで終わりのはず」
黒キャス子「でも違った。結局はあたしのせいでこんな事になった」
黒キャス子「全てはあたしが撒いた種…。あたしがPMの解析なんて事やり始めたせいで…」

GRMの製品であるPMの違法解析。
公になればただでは済まないし、その事実を知ったPM達は遅かれ早かれ解析される側に回る事になった。

ラック「全てがお前の責任じゃないさ。あん時、俺が止めてやれば良かったんだ」

気付けば、ラックが自分のすぐ横に立って、同じように夜景を見つめている。

黒キャス子「話す…べきなのかしらね」
ラック「あの嬢ちゃんに全てを受け止める精神力があるかどうか、だ」
黒キャス子「…怖いのよ、あの子があの子でなくなってしまいそうで。そうなればあたしも…」
ラック「…」
黒キャス子「仮にあの子が全てを受け入れてくれたとしても、あたしのやった事はあの子にずっとついて回る…」
黒キャス子「…いっそ、あたしなんていなくなってしまえばいいのかも」

自分の頬を何かが伝う感触。気付かないうちに涙を流していたらしい。

ラック「馬鹿な事考えるな」

ラックが私の肩を強く抱き寄せる。
次から次へと悪い考えが浮かんでくる。
私はラックの胸に顔をうずめ、声を押し殺して少し泣いた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

430「そ、それでフィアーさんはどうなったんですか!?」

430は目をキラキラ輝かせながら、フィアーに話の続きを求める。

フィアー「あー、そりゃあ迫りくるキャスト達を千切っては投げ千切っては投げ…」
430「おぉー…」
フィアー「…嘘だ」
430「え…」
フィアー「あの時は自分の身を守るだけで精一杯だった。致命傷を回避するだけで、攻撃なんてできたもんじゃない」
430「そんな…」

フィアーの武勇伝を期待していた430は、絵に描いたようにガッカリする。

430「じゃあどうやってその場を切り抜けたんですか?」
フィアー「あー…、それはだな…」

おわり
311名無しオンライン:2007/02/11(日) 01:48:22.33 ID:Xy2eoiDh
忘れられた頃にサクッと投下
広げ過ぎた話題を縮めないと

このスレで黒キャス子の話を完璧に把握してる人はいないだろうなぁ。自分も含めて
黒キャス子の謎を納得できる形で書けるように頑張ろう…
312名無しオンライン:2007/02/11(日) 04:08:29.08 ID:RCu8X1FJ
>>311
久しぶりに投下ktkr!
完璧に把握できてない方のためにもWikiのほうの人物詳細に書くというのはどうでしょう?

といってみる
313名無しオンライン:2007/02/11(日) 16:11:33.52 ID:fu3WUi2d
   _ ノノ          ::::::;;;;;;;;;;;
  ィ∩  ヘ`ヽ    ::::::;;;;;;;;:::      ノ∩
  ァ!ノリノノ )))〉;;;;;;::::          ⊂ >>xxx
  | @#゚ 匚:::;;;::             /( 。Д。 )っ
  |⊂)i卯!(つ:::;;;;;;::::           U ∨ ∨
 ..!ノく/_| 」      :::::;;;;;;;;:::
 .ζ し'l_ノ          ::::::;;;;;;;;;;;
314名無しオンライン:2007/02/11(日) 17:20:23.47 ID:fu3WUi2d
    ,..   、
  ,´ノノノヽ)))
  W@;゚ Д゚ノ
   k_〉`イ_!〉
   | ヽ ノ||
   |__Y_||
   从从从从
315名無しオンライン:2007/02/11(日) 22:13:47.19 ID:G1t+WU6a
絶望的だがage
316名無しオンライン:2007/02/11(日) 22:33:16.33 ID:r73j9abH
なんとなーく続きを書いちゃったので、需要無視で投下。

落とさせはせん!落とさせはせんぞ!
317ヒュマ郎と捨てポコ:2007/02/11(日) 22:36:01.49 ID:r73j9abH
「うにゃ〜〜〜!!」
「ふにーーーーーーーー!!」

奇妙な鳴き声を聞きながら、俺は草原に座りほのぼのとしていた。
あっちのほうでは、背中にタマを乗せ…いや、タマに背中に乗っかられ、
ブギューブギュー鳴きながら右に左に緑の中を走り抜けてく真っ赤なコルドバ。

ヒュマ「あー、やたら元気だな〜〜」

かれこれ3時間ほどここでこうしてタマの行動を見ている。
今日も今日とてディラガンを倒すべくミッションを受け、
スタート地点から左の洞窟を抜けた広場でタマを眺めながらほのぼのとする俺。
うん、いい天気だ。ぬくぬくだ。

タマ「よーしコルドバー、目標あそこのご主人〜!」
ブギューブギュー!!
ヒュマ「な!? おぶぁっ!」

無理矢理方向を固定され、ドドドドと走ってきたコルドバの
轢き逃げアタックをモロに喰らい吹っ飛ばされる俺。

ヒュマ「こらタマっ!! ほのぼのしてる人にコルドバはいけませんっ!!」
タマ「ふにぃ……ごめんなさぃ……」

怒られてしょんぼりしたタマがコルドバを解放する。
やっと久方振りの自由をゲットしたコルドバが涙を振り撒きながら森の中へ消えていった。

ヒュマ「まったく、ここに何をしに来たと思ってるんだお前は……」
タマ「…………ふにぃ………………何しにきたんだっけ?」
ヒュマ「…………………………………………………………」
タマ「……………………………………ふにゃあ…………」
はしゃぎ過ぎて疲れたのか、アクビをひとつするタマ。
ヒュマ「…………面白かったか?」
タマ「うん!」
ヒュマ「よし帰るぞ」
タマ「うんっ!」

そう言うと、タマが俺の身体をよじよじと登り、
指定席である俺の頭へとしがみ付く。
ヒュマ「…………あのさ、タマよ」
タマ「なにー?」
ヒュマ「どうして何時も移動するときは俺の頭に乗るんだ?」
タマ「……………………………………………………ふに」
いや理由無いのかよ!いいけどね!いいんだけどね!!スペック高いからいいんだけどね!!

タマ「……………………………………だめぇ?」
そう言って、これまた何時ものように頭越しに俺の顔を覗き込む。
ヒュマ「…………あんまり暴れるなよ?」
タマ「うん!」
逆さまで俺の目に入ってくる満面の笑み。
ヒュマ「んじゃ、疲れたしミッション放棄するか」
タマ「うん! ねえ、ご主人、あたしプリンたべたいー」
ヒュマ「ああわかったわかった。ホルテスの、売り子の女の子が結構可愛いオープンカフェにいこうな」
タマ「やったー!」

なんとなく続く
3181/3:2007/02/12(月) 01:09:04.45 ID:S7bAWKYC
自分の不安を誤魔化すために書いた。スレの皆さんには、先にお詫び申し上げる。
--------------------------------

パパーン。パパーン。パパーン。
マイルームに乾いた音が響く。
私は取り出したアルテリック3つを、無言でご主人様に差し出した。

「はは…は。作れるじゃないか…」

ご主人様はそれを慎重に受け取ると、うって変わって乱暴に床に置いた。

「良し…もう一回だ…」

それを聞き、私は無言で倉庫にアクセスし、
『基板/アルテイリ』三枚にイムフォトン、ガモタイト、アセナリン、ニュー・ウッドをセットする。

ご主人様が手に持った端末を操作する。
その端末からは数本太いコードが出ており、私の背中にある端子に繋がっていた。
コードから送信されてくる、何とも言えない不思議な信号が私の中を駆けめぐる。

そして15分が経った。

「さあ430、取り出せ」

私が合成結果にアクセスすると、アルテリックが3つ出来上がっていた。
パパーン……


――合成は、私達パートナーマシナリーの仕事だ。
内蔵の合成キットにメーカー製の基板をセットし、指定の素材を合成する。
そして、合成が終了すると、それを一旦メーカーに送り、
不良品になっていないかのチェックを行う。
メーカーのお墨付きを貰えれば、ガーディアンズに登録され、晴れてご主人様が使用できる。

…この課程に、大きな不備が発見された。

メーカーに査定の転送を行うとき、暗号化された送信情報を少し改変するだけで、
メーカー側のシステムが異常をきたす。
具体的には、アイテム名を書き換えておくと、査定後に返送されるアイテムがそれに入れ替わってしまう。
…送ったアイテムが…合成したのがアルテイリでも、返送されるのはアルテリックなのだ。
ご主人様は、これを実行するツールでアルテリックを量産していた――
3192/3:2007/02/12(月) 01:09:35.24 ID:S7bAWKYC
「ふふふ…ははは…次は、コヒブミテリでも作ってみようか…?」

不意に、涙が溢れてきた。
虚空を向いていた視界が、歪む。

「…おい、何を泣いているんだ」

ご主人様は一瞬ギョッとしたような顔をする。しかしすぐ察したのだろう。私を睨んだ。

「俺は合成で損をしない!お前も失敗して怒られる心配もない!」

ご主人様は大声で怒鳴り立てる。

「何も悪いことはないじゃないか!むしろこれでやっと正しいだろ?!」

でも、その目はきちんと私を睨めていない。

「俺が悪いんじゃない!!悪いのは完璧でもない基板でぼったくる企業とガーディアンズどもなんだよッ!!」

まるで、自分自身に言い聞かせるかのような叫び。


ご主人様は…変わってしまった。

確かに私は、アルテリックの合成に関して、公称の確率値から見たら、
天文学的確率になるような連続失敗を犯した。

それでも、ご主人様は、材料を買ってきては私に託してくれた。
意地で続けていたのは確かだとは思う、でも、ご主人様は前向きだった。

そして、この間一回だけ成功したんだ。
またその後は失敗だったけど、あの時はとても喜んでくれたし、その後もまた素材を集めてくれた。
3203/3:2007/02/12(月) 01:10:42.36 ID:S7bAWKYC
私は、ご主人様の役に立ちたかった。ご主人様を喜ばせたかった。
でも、それは合成マシーンとしてじゃなかったんだ。

私はどんなに怒られてもいい、例え体罰を受けたって…デバイスZEROで消されたって構わない。
どんなに辛くても、頑張るご主人様、それを応援して、何とか成功させる。
そして二人で喜ぶ。

そんな生活が、大好きだったんだ。


――夢だ。
――これは夢だ。
――こんなの、夢に違いないんだ。
――もう嫌だ、こんな夢…もう嫌だ…もう、見たくない。

――こんなご主人様…もう見たくない…。



――夢なら…。

私は、音もなく愛用のビームガンを取り出す。

――痛くないよね、醒めるよね…。

ビームガンの銃口を、そっと自分のこめかみに当てる。

――さよなら、私の悪夢。

ご主人様がまた何か怒鳴っている。でももう聞こえない。

――さよなら…悪夢のご主人様。

涙が勢いを増す。
分かってる。
夢なんかじゃないんだ。

でも……もう……


この状態で、喋れるかな…


「…ありがとう、ございました」


--------------------------------
最悪でも、夢オチ(ロールバック)で終わって欲しい…
321名無しオンライン:2007/02/12(月) 01:33:37.68 ID:5tYhMcEF
>>318-320
投下乙
強化・合成スレのアルテリック成功率1/23の人かい?
322名無しオンライン:2007/02/12(月) 02:09:05.58 ID:S7bAWKYC
>>321
いや、別人です。あの氏の書き込みに触発されたのは事実だけども。
323名無しオンライン:2007/02/12(月) 04:26:15.08 ID:LHUOoEM+
>>320
あれについては賛否のどっちの意見もないがパシリのイメージが入ると感情が入ってくるなぁ
もはや俺も重症か・・・w
324名無しオンライン:2007/02/12(月) 05:23:38.68 ID:kjONeyo8
>>317
http://www.mithra.to/~psu/uploader/src/psu2437.gif
こんな情景が浮かんだ。

>>320
これは唸る内容だな…
ま、ご主人様がぶっ壊れちゃうのも仕方ないっちゃ仕方ないんだがな…
あれ、目から変な汗が…
325名無しオンライン:2007/02/12(月) 09:09:13.50 ID:M6hqSTp6
>>320
合成で作られるわけだからこういうことなんだよなぁ…
パシリ達が心配になってしまった私も重症らしい…w
326(1/4):2007/02/12(月) 11:05:04.08 ID:M6hqSTp6
と、ここで投下。
>>195氏の質問に今更回答デス。

―――――――

今日はご主人様がガーディアンズ本部に呼び出されました。
珍しく「PMも同伴」とのことで私も一緒に来ています。

主「えっと…この部屋ね。」
プシュー。

中年ヒュマ「よく来たな、俺はガーディアンズ情報部所属の中年ヒュマってもんだが」

440「いらっしゃい。こいつのことはおっさんと呼んでいいぞ」

主「えっと、私は(ずっと名前がないのもやりにくいので)S子よ、よろしく。」
コジ「失礼します。パートナーマシナリーGH450のコジローです。」

中年ヒュマ「…今『ガーディアンズと所有PMの相互関係と及ぼし合う影響』ってのを調査してるんだが」

440「主従以外にどんな関係を意識しているのか、一緒にいて何を得るのかだな。
ウチのは、頼れるおっさんで得る物はないな。むしろ匂う」

中年ヒュマ「手間のかかるガキで得る物はないな。むしろ大飯喰らいで金がかかる」

440「…」

中年ヒュマ「…」

440「いくつか質問をするからそれに答えてほしい」

中年ヒュマ「そういうこった」

S子「なるほど、それでコジローも一緒なのね。どんな質問なのかしら?楽しみだわ。」
コジ「私でお役に立てるなら喜んで答えさせてもらいます。」

中年ヒュマ「なお、この質問は所有者とPMにそれぞれ行う」

440「じゃあ始めようか。君はこっちの部屋だ」
327(2/4):2007/02/12(月) 11:05:51.33 ID:M6hqSTp6
<GH450コジローの場合>

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

コジ「『ハブとマングースの関係』でしょうか…ほんといつも私がどんなヒドイ目にあっているか。」
コジ「でも私だってやられっぱなしじゃないんですよ、やるときはやります!」
コジ「ハブが勝っちゃうことだってたまにあるらしいですよ?そういう意味でも『ハブとマングースの関係』なんです。」

440「いや力説されても…それってどんな関係なんだ…?」


Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

コジ「えーっと、『笑顔は時にどんな武器より恐ろしい凶器になる』ということでしょうか。」
コジ「ご主人様がにっこりしながら近づいてくる時は、たいてい悪巧みしてる時です。」

440「なんだか普段から大変そうだな…。」


Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

コジ「ご主人様がミッションにでかけている時でも、油断はならないです。」
コジ「でも実際のところご主人様がいないとそれはそれで退屈なんです。」
コジ「他のご主人様より研究で部屋にいる時間が長いと思うので、贅沢な悩みなんでしょうけどね。」
コジ「やっぱり私ご主人様と一緒にいたいって思ってるんですね…。」

440「ふーん、なんだかんだ言いながらも上手くやってるってことなんだな。」
328名無しオンライン:2007/02/12(月) 11:06:37.19 ID:29wMN54N
>>320
なんだろうね、涙出てきたよ。
戻らないのなら、たぶん私も引退。辞めたくなんかないのに…

ごめんね、皆。
ごめんね、私のGH-430。
329(3/4):2007/02/12(月) 11:06:47.90 ID:M6hqSTp6
<研究者 兼 ガーディアンズの主人の場合>

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

(表の建前)
S子「とてもかわいい妹みたいなものよ、よくスキンシップもとってるしね。」

中年ヒュマ「家族のようなもんってことではウチも同じようなものだな。」

(裏の本音)
S子「気がつくとついついいじめたくなっちゃうわね。かわいいんだもの、うふふ。」
S子「それが私たちのスキンシップみたいなものなのよw」


Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

(表の建前)
S子「『苦難に前向きに立ち向かうこと』かしら。」
S子「結構あの子前向きだから私も影響受けるところはあるのよ。」

中年ヒュマ「俺もそういう部分はあるな。PMにはそういう力でも宿ってるのかもしれないな。」

(裏の本音)
S子「『ポジティブシンキング』かしらw」
S子「いつも予想よりも前向きに立ち向かってくるのよね、それでこそこっちも燃えてくるってものだわw」
S子「あとは『男装している女の子』という新分野かしら?w」


Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

(表の建前)
S子「こういうこと(研究)してると結構気が滅入る時ってあるのよ。」
S子「いてくれると気持ちが『安らぐ』みたいなものはあるわね。」
S子「いない時は…心がぽっかり空いてしまって寂しい、みたいな感情が少しあるわね。」

中年ヒュマ「PMの主人ってのは多かれ少なかれそういう気持ちを持っていそうだな。」

(裏の本音)
S子「いない時はなんだか私の嗜虐心が満たされないというかw」」
S子「気が滅入った時なんか、からかうと『ストレス発散』になっていいわねw」
S子「そもそも私は一人でコツコツ研究とか出来ないから、誰か話し相手とかいないと進まないのよ。」
S子「そういう意味ではコジローと一緒になってから、行き詰っていた研究も立て直したし、感謝しないとね。」
S子(あれ?裏なのになんか良さそうな事言ってるw)
330(4/4):2007/02/12(月) 11:07:27.51 ID:M6hqSTp6
440「これで調査は終了だ。おつかれさま。…どうしたおっさん。」
中年ヒュマ「いや…見えない何かに触れてしまったような気がしてゾクっとしてな。」

S子「お役に立てたかしら?」
コジ「また何かあればいってくださいね。今日はなんだかスッキリしました。」

中年ヒュマ「ああ、ご協力感謝する。」
440「また何か調査があったらよろしく頼むよ。」

ガーディアンズ本部からマイルームへ帰り道。
私とご主人様が歩いてきた道のりはまだ短いけれど、
これからもっと長い道のりを一緒に歩いていきたいな、なんて思いました。

S子「コジロー。さっきの『スッキリした』点についてちょっと詳しく聞きたいわね。」

今日も今日とて茨の道のようですが。
331名も無き孤高の・・・・・:2007/02/12(月) 13:04:19.19 ID:mf8P6IA+

「今更“武器よさらば”でも無いと思うんだけどな あんたはどう思う?」

パルム ホルテス・シティの東側 フライヤーベースのゲート前。
そこで大道芸を披露している俺の前でゲートに出入りを繰り返している男に尋ねてみた。

この男は巷で起きている事を知らずに原生生物鎮圧でラッピーマップを引き当てようしているのだろう。

「不正対策なんて6年前に通過済みの筈だったんだがな。ノウハウを何処に忘れてきたんだか。」

それだけを答えて男はまたゲートに入って行った。
俺の故郷でも同じ様な問題が起きた事はあった その時の対策で成功したと言えた物は・・・・。
不正行為を無意味な物にしてしまう事。

不慮の事故で全てのアイテムを失っていた事態でも装備品は残るようになり。
対価を支払えば武器に属性が付けられ、防具にスロットを追加できるようになった。

正当な対価を支払えば不正をするまでも無く望む物が手に入るようになった。
闇雲に規制するのではなく、それにルールを持たせた上で認める。それが唯一成功した不正対策だった。

その男がまたフライヤーベースのゲートから出てきた。男のことが少し気になった俺はまた尋ねてみた。
その男の事が気になったのは、男がGH450を連れていたせいだったのかも知れない。

「なぁ、あんた不正合成の話を知ってるか?」

「ああ。 まぁ自慢の不正対策を3日で破られた6年前に比べたらまだ可愛いものさ」

この男は今の不正事件を知っていて、その上で呑気にラッピーマップを探してるのか?

「あんたイベント用のラッピーを探してるのか?」

「そうじゃないんだが、折角ならラッピーが出た方が野営基地に行くにもワクワク出来るじゃないか。」

・・・それだけ、たったそれだけの為にこの男はゲートの出入りを繰り返していたのか。
一時期の隆盛を失い今更感すら漂う野営基地に行くのにわざわざ・・・・。

「今更野営基地にか? ふとキラーシュートを手に入れようと思い立ってね」
「で、俺がソロでS評価を取れるSクラスミッションはドラSだけ」
「ついでにLV上げとPA上げと職ポイント上げとエボン工をやっておこうと思ってね」

ここまで今更感のある物を揃えるとは 呑気と言うべきか、達観していると言うべきか。

「あぁ。もともと不正合成の話だっんだったな。」
「十分な食物が無く腹を空かしてパンを盗んだ奴を責める事ができるのか?」
「日々のパンの為に人が不正に手を染める“武器よさらば”の時代より悲惨な状況さ。」

「俺の様にソロのみなら、コイツの作った強化C武器だけで何処へ行って困りはしないんだが」
「パーティ組むのにも他人の装備見て選別するような御時世じゃな。仕方も無いさ。」
「ソロでまったりやる分にはそれなりに楽しめるんだが・・・・あーもパーティがギスギスするとだな。」

男はぽんとそばに居るGH450の頭に手を乗せながら またフライヤーベースのゲートへ入っていく。

「荷物がいっぱいになるまでドラSを周回したらさっき拾った☆6のサバイバー基板を合成してみるか?」
「材料は確か全部倉庫に溜まってるので間に合うはずだ。初のB武器合成だな。どうだ楽しみか?」


「・・・・・・・。@リ *゚ -゚*ノ|」


332名無しオンライン:2007/02/12(月) 13:06:26.98 ID:mf8P6IA+
>>320
今回の事件の私なりの見解はこうかな。
ただ・・・コイツだけは登場させたくなかった。(しかしソロ専なのはコイツしか居なくて・・・。)

ちなみに、劇中の“武器よさらば”はチートとレアイテムを題材にしたPSOの名作SSです。

ttp://freett.com/naknak/game/buki.html
(保管庫より)
333名無しオンライン:2007/02/12(月) 13:42:33.81 ID:wNCevQBj
泣いた 
334名無しオンライン:2007/02/12(月) 15:02:09.25 ID:vitgtYHP
>>331
>>「今更野営基地にか?〜

パシリが450ってとこ以外は、まるっきり俺を見ているようでフイタw
サバイバーのくだりとかほとんど同じ…

せっかくFTなのに、ドラSを1日1〜2周して満足してる俺はやっぱりマイノリティだったのねー
335名無しオンライン:2007/02/12(月) 16:55:30.70 ID:OyTu9aBn
ネタが思いつかないよママン
336名無しオンライン:2007/02/12(月) 17:01:02.21 ID:pVr50hEJ
>>332
どうでもいいが、わざわざ武器よさらばを引っ張り出してこなくていいと思うが。
過剰にPSUとPSOを結びつけるのは如何なものだと思うぞ。

>>334
よう俺。こちらはfGだがw
ドラSはまったり出来てそこそこの報酬だからよく利用してるw
337名無しオンライン:2007/02/12(月) 18:14:49.44 ID:Q+ySlLTn
ラグオルから移って来たキャラなんだから
結び付けるも何もPSOとの関わりは切れないだろうに
338名無しオンライン:2007/02/12(月) 19:31:35.15 ID:KlCkgJ2P
俺の記憶に間違いがなければ、PSUとPSOは直接関係してなかったような

エレノアが伝説のキャシール扱いされてたりするけど、その伝説って
こっちでいう神話みたいなもんじゃなかったっけ?
339名無しオンライン:2007/02/12(月) 20:09:33.50 ID:g0zhQQeR
中年ヒュマ「せっかくのインタビュー…だってのでお前かよ」
ワルキャス「せっかく美人情報課とナカヨクなろうってチャンスなのにおっさんかよ」

中年ヒュマ「まあなんかの縁だ、よろしくたのむわ」
ワルキャス「へいへい…さくってやってくれさくっと!」

440  「…知り合いか?」
410  「さあ? しらね」

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

ワルキャス編

ワルキャス「そーだなー…意識なんてかたッ苦しい事考えたことねーや」
中年ヒュマ「まったくもってお前らしいな…」
ワルキャス「ん〜…こうもっとエロスバディなパシリになってくれれば、
      俺も、イケナイ事の一つや二つや三つや四つ…」
中年ヒュマ「言っとくが、これが全年齢版だから言葉選べよ?」

ワルパシリ編

410  「どんな…関係…ねぇ…こう駄目な奴を放って置けないというか…」
440  「あーっそれワカルワカル!」
410  「まあもうちょいイイ体なら…まぁアンナ事やコンナ事やソンナ事…」
440  「言っとくけど、これ全年齢版だからな?」
340名無しオンライン:2007/02/12(月) 20:11:58.88 ID:7cet1wTc
Q2:相手から何か学んだことがありますか?

ワルキャス編

ワルキャス「…あぁ、パシリにバレないでガーディアンズの子と@#!とか、
      @#!?とかする方法とか…」
中年ヒュマ「おいおいだから言葉選べって…後で詳しく! 詳しく聞いてやろう!」
ワルキャス「ふふふっ…ぬしもワルよのう!」
中年ヒュマ「ふふふっ…おまえもな!」

ワルパシリ編

410  「…あぁ、戦い方は見て覚えたなぁ…あとは@#!とか@#!?とか…」
440  「ちょ! バカッ! 引っかかるってば!」
410  「あぁーもちろん、ワルキャスのビジフォンを調べてだな…
      あ、男なんて皆そうだぜ? 隠し場所はだな…」
440  「ふんふんっ! それでそれで!」


Q3:相手がそばににいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

ワルキャス編

ワルキャス「まあ一人より、二人のほうが楽しいわなぁー」
中年ヒュマ「まあなぁ…」
ワルキャス「まあ、いないならいないで…おっさんおっさん、いい店あるか?」
中年ヒュマ「おいおい、お前のほうが詳しいだろう?」
ワルキャス「HAHAHAHA!」
中年ヒュマ「HAHAHAHA!」
341名無しオンライン:2007/02/12(月) 20:15:06.70 ID:nI88qXcX
ワルパシリ編

410  「んー…まあ一緒の時は楽しいな、ただ合成中は一人のほうが集中できる」
440  「へぇー…わりと合成関係で41x系は虐待が多いって聞くが?」
410  「ん? うちは特にないかな…あぁ、女のにおいがしたら、
      成功してても武器を叩き割るがな!」
440  「HAHAHAHA!」
410  「HAHAHAHA!」

こうですか! わかりません!
バレンタイーンとか、謀略編完結はもうちょいまって><
342名無しオンライン:2007/02/12(月) 20:24:10.42 ID:X6IQ0IhR
>>338
関連あるというソースはないが、全く別の空間というソースもない。
というかSFにおいて『ありえない』を議論しても意味がない。
各人の設定の問題だから突っ込むところではないと思うよ。
343小ビス子と430 彼女たちの一番長い日12:2007/02/12(月) 20:24:15.92 ID:DHm4UvcF
「中央管制塔第三CPU、スキャン完了」
「第四、第五、同じく終わりました」
「結果は!?」
「異常なし。念のため一週間前からのバックアップデータ全てと符合させましたが、
 ウィルス等不穏プログラムの侵入は確認されません」
「第六、第七、第八、同様です」
 暴風雨が荒れ狂っていたようだった情報管理局は、水を打ったかのように静まり返っていた。
 ほぼ全ての職員が、中央管制塔管理プログラムを表示するメインモニタの前に集結している。
 燃え尽きたタバコ、空になったコーヒーの紙コップ、手の汗を吸ってよれよれになった
 プリントアウト資料の束など、そんな、手に持っている意味のない物を手近な机の上に
 置くだけの猶予さえ惜しんで、だ。
「第一! 第二! 終わりました!」
「終わった報告なんかどうだっていいんだよ! 結果言え結果ァッ!」
 たまりかねたように暴発する、現場主任の怒号。
「こ、コードグリーンです! 他八機のCPUと同様のチェックを行いましたが、
 異常は確認されません…!」
「やれやれか…、くそったれが!」
 がん! と、押しつぶすような勢いで、現場主任は近くの椅子に腰を投げおろす。
 胸ポケットに手を伸ばすが、そこにあったのは、とうに空っぽになっていたタバコのケースだけだった。
「くそ、ガキのお遊びに丸一にも振り回されたんじゃたまんねーよ…。
 おうオメーラ持ち場に戻れ。お祭りはここで終了だ。
 退勤時刻回ってる連中は上がれ。こっからは一分足りとも残業代出さねーからな?」
 局員のそれぞれが心底の安堵の表情で持ち場へと帰っていくのを肩越しに見送りながら、
 主任は空っぽになっていたタバコのケースを握り潰す。
 心を緩んだせいか、途端に猛烈な睡魔を感じた。…時刻はもう深夜近い。
 あの警備部上がりの局員から通報があってからもう十時間以上が経っていた。
「管制塔CPU全機に、念の為もう一度スキャンプログラム走らせろ。
 …それと、その監視に当たる職員にコーヒー入れてやれ。ヤケクソみたいに苦いヤツ。
 ついでにオレにもだ。あとタバコ買ってこい」
 ぐいぐいと目元を指で押しながら、手近の局員にそう言い渡す。
 コロニーの心臓とも言えるCPUだ、単に調べろと言ってもそれだけで十時間以上は掛かる…。
 今夜も泊まり込みか。…くそったれ、もう三日も家に帰ってねーってのに。
 タバコを買いに行かせた職員が戻ってくるまで仮眠しよう。五分でも良い。
 主任は座りの悪い椅子の背もたれに背中を預け、腕を組んで瞼を閉じる。

 奇妙な出来事だった。…『アクセスするだけ』の不正アクセス。
 プログラムをいじるわけでもなければ、ウイルスを混入させるのでもない。
 挙げ句に、ハッキングツールの持ち主は死んでいるときた。…訳がわからない。
 それはまるで、死人に覗き見されたような不快感と不気味さ。
 しかも、よりにもよってこの時期にだ。…明日には管制塔のCPUにパージプログラムを
 アップロードし、「未使用区画パージ」に備えさせなければならない。

 日頃の激務のせいか、目を閉じればすぐに睡魔が諸手を広げてくる。
 ぐにゃぐにゃに溶けていく意識の中、主任はふと思い…、そして、考える間も無く寝入っていく。

 ――そう言えば昔…、やたら物騒な能力を持ったマシナリーの噂を、聞いたような…?
344小ビス子と430 彼女たちの一番長い日13:2007/02/12(月) 20:25:08.03 ID:DHm4UvcF
「アクセスは昨夜の十一時…。場所はマイルームビジフォンから。使用ツールはオリジナル…」
 裏市場に出回っている玩具ではない。あの青年が自分の知恵と創意工夫で作り上げたハッキングツールだ。
 青年はこれを「玩具」と心得て使っていたようだが…、品としては、異常な高性能。
 使いようによっては、確かに中央管制塔へのアクセスも可能かも知れない…。
「…馬鹿が…、この技術を表立った場所で使ってりゃ、情報局の重役が直々にスカウトに来たろうによ…」
 短くなったタバコを灰皿に押し込み、男は別のタバコを口にくわえる。
 灰皿はもはや吸い殻の森だった。寝る場所もなく、何十本もの吸い殻が突き立っている。
 男のマイルーム。コロニー内の消灯時間はとうに過ぎており、
 部屋の明かりはビジフォンのモニタの明かりと、デスクスタンドが一つだけ。
 昼間に見た惨劇の暗闇にも似た薄暗さの中、男のタバコがちりちりと燃える。
「このハッキングツールに目を付けられた、って線が、濃厚か…?」
 コロニーの第一級情報防壁をブチ抜くハッキングツールだ。
 テロリストにしてみれば垂涎の品だろう。殺してでも奪い取りたいかも知れない、が…、
「…殺しちまったら、使い物にならんだろ…」
 アレは彼が独自に組み上げた物だ。彼以外に使える者はなく、自分以外に使う者のいないプログラムに、
 わざわざ取り扱い説明書を作る者はいない。
 滅茶苦茶に破壊されていたビジフォンから、何とか使えそうな記憶メモリを引きずり出し、
 彼が使っていたハッキングツールを復元しようと試みたが、使い物にならないバラバラの
 プログラムがいくつか復旧出来ただけだった。
 その断片でさえ、情報局職員を名乗る自分でも理解不能なプログラムだ。
 完全に復旧させたとして、果たして使える者などいるだろうか…。
 あるいは逆か? 殺せばあの物騒なプログラムはもう誰にも使えなくなる、か?
 だったら何故あんな殺し方をする? 死因は毒殺と判明した。
 殺すことが目的であれば、その方法はあまりにも回りくどい。
 そして、『Saint Valentine's Day』の殴り書きは…?

「…わからん…」

 内心で白旗を上げる自分に観念し、男は大きく息を吐き出した。
 この事件は、わからないことが多すぎる。
「…おっさん」
 ふと、小さな声を聞いて、男は部屋の入口に目を向ける。
「まだ起きてたのか? お子様が起きていて良い時間じゃねーぞ?」
 もう深夜の二時過ぎだ。…いい大人でもそろそろベッドに入りたい。
「昼間の部屋を思い出したら、…眠れない」
 部屋の入口でもじもじとしているのは、GH-440。パジャマにナイトキャップの格好で、
 身の丈ほどもある大きなクマのぬいぐるみを抱えたままだった。
 普段は生意気な眼差しも、今は随分と疲労と不安の色が強い。
 あの部屋で一体何を感じたのか、440は昼から怯えたままだった。
「向こうで寝るのが怖ければ俺のベッド使っていいぞ。…俺もそのうち寝るからな?
 占領すんじゃねーぞ?」
「…あんがと、おっさん」
 ぺこりと頭を下げ、よじよじとベッドによじ登る440を見て、何とは無しに和む。が、
「ふとん、タバコとおっさんの匂いでくさい」
「おん出すぞ、てめ」
 割と台無しなことを言われた。
 ベッドの上で横になり、クマのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめ、頼るような眼差しを
 向けてくる440に品悪く笑ってやって、男は再びビジフォンへと向かい直り…、

 440…。そう…、GH-440だ…!
345小ビス子と430 彼女たちの一番長い日14:2007/02/12(月) 20:28:35.38 ID:DHm4UvcF
 はたと、背筋に冷たい閃きが走った。
 そうだ。PMはどうした? あの青年は自分と同じくGH-440を所有していた。
 あの440はどこにいった…!?
 不意に、ぞわぞわと、頭の奥で眠っていた情報が沸き上がってくる。
 言い知れない不安が止めどなく広がっていくのを感じながら、
 男はビジフォンに新しいウィンドウを広げ、過去のニュースを検索し始める。
 主人と共に生活し、常に主人の側にあり、その経験を蓄積していくPMであれば…、
 あるいは、使えるのではないか…? あのハッキングツールを!

 新しいウィンドウに表示するのは、ここ一年ほどのガーディアンズの事故記録。
 何かとトラブル事の多いガーディアンズだ。奇妙な事故というのも数多い。
 その中でも…、今検索して一覧表示したのは、妙に記憶に残っていた事件だ。
 記憶に残った理由はわかっている。
 GH-440が絡んだ事件。自分もまた440型を保有していることから、気に止まっていた。

 ガーディアンズ隊員変死、保有していたGH-440は消息不明…。

 そんな事件が、この一年ほどで何件か起きている。…そう、今回のケースと全く同じように!
 事故記録は、今回の事件を含めるとすれば、合わせて五件。
 表示された事故を日付順に並べたところで…、男の眼差しが鋭く歪んだ。
「およそ…、二ヶ月から三ヶ月ごと…、なのか…?」
 事故から二ヶ月、長くて三ヶ月、そうして、また同じような事故。
「おいおい…、何だこりゃ、何でこんな点がどんどん繋がっていきやがるんだ…!?」
 符合するのだ。まるで何かの悪い冗談のように。
 二ヶ月から三ヶ月。その「周期」のようなタイミングに、『今回』の事件が!

「…まさか…」

 ゾク…ッ、と、脳裏をよぎった推測に、首筋の後ろが粟立った。

 これがもし…、全て、『同一のGH-440』だとしたら…!?

『…よくわからないけど、なんだか、わかる…。
 ここには、…うん…、何て言うか…、バケモノがいた…。
 私たちが絶対に関わっちゃいけないような…、そんな、バケモノ…』

 本来その場にあるべき440を排除し、その情報を奪って成り代わり、
 何食わぬ顔で主に接し、やがて、主を殺害して自分も失踪する…!
 まるで、次の「標的」を探すように!

 胸が激しく疼いて、男は背後を振り返った。
 440。俺の440。…俺のことをおっさんと呼んで、態度悪くて、大飯喰らいで…!
 いつの間にか額から流れ落ちてきた汗に目玉を濡らし、男は食らいつくような
 眼差しでベッドの上を見る。
 そこには…、ようやく眠れたのか、ぬいぐるみにしがみついたまま安らかな寝息を立てる440がいた。
「そうだ…。そんなわけねぇ…。わかってる…、わかってる…、落ち着け…」
 ぎちっ、と、音が立つ程に拳を握り締め、呻く。動悸はまだ…、収まらない。
 馬鹿なことを考えてどうする。440は俺の440だ。間違いなんかねぇ。疑うなんて馬鹿過ぎる。
 そんなことがあってたまるか…。馬鹿げてる…!

 だが、もし、…本当にそんなことが可能なGH-440がいるとしたら…?
 それはもう、GH-440などではない。それどころか、PMですらない!
 そんな存在が許されるはずもない…!

 そう、それは言うなれば、あの時440が口にしたような、得体の知れない、

「バケモノ…、だ…」
346小ビス子と430 彼女たちの一番長い日:2007/02/12(月) 20:33:06.10 ID:DHm4UvcF
じわりじわりと進んでいきます。…そろそろ下拵え終了にしようと思っていたのですが、
ソニチが「やってくれちゃった」のでワンエピソード追加になります…orz

今夜ももう一回追加投下かな…。

バレンタインとU縮小の日が同じならもうちょいネタもふくらませられたのですが…。
脳内では「同日」として見てくれると嬉しいなあ、とちょっと思います。
2/14 24:00 にパージ決行、みたいな。

…にしても、不正合成ネタは…、パシリ絡むとすごい悲壮ですね…。
347名無しオンライン:2007/02/12(月) 21:04:31.88 ID:KlCkgJ2P
>>342
どちらも確定させるソースはないのね。それだけ分かればいいよ
あるって断言するレスがあったからそれについて確認を求めたかっただけで、
議論する気なんてさらさらないから
348名無しオンライン:2007/02/12(月) 21:11:56.55 ID:Wy+KIMye
燃える展開になってまいりました
刑事物のような緊迫感の中で主役級の存在感をかもし出すおっさん
書き手が違いでこうもキャラに厚みが出るもんなのか。見習わせて貰うぜ
そして誰よりも早く続きをwktk

>>317
なぁ、このニャンポコどこに行けば拾えるんだ?

>>322
もう課金を止めて5ヶ月になるが、未だにここに張り付いてる
そんな今起こっている事件が全く分からない俺はどうすればいいんだろうな…

>>327
ktkr
コジローは自分の中でツボだー
コジローかわいいよコジロー

>>341
おっさんは激しい運動が出来ないからお店にお世話になりまくっt(ry
謀略編気長にwktk
349名無しオンライン:2007/02/12(月) 21:23:28.06 ID:Wy+KIMye
レス忘れ
>>305
穴に落ちたり某所で女装させられたりするビス男もハァハァできるが
イケテルビス男もwktkしてるんだぜ?

>>307
渋キャラか…そこまで練り込んだ訳ではないのに誉めてもらってるようなので嬉しい
イカスおっさんが大好きでこのスレにそういうキャラがいなかったから思い切って書いたんだ
設定云々は…まぁ見直すきっかけにしてくれたんならこっちは嬉しい



要するにこんなに皆さんの返答を頂けて、1メートルぐらい浮けるんじゃないかって程嬉しいんだ
350小ビス子と430 彼女たちの一番長い日15:2007/02/12(月) 22:03:07.10 ID:DHm4UvcF
 昨夜、ガーディアンズコロニー居住区画で男性の遺体が発見されました。

「はぅ…」
 マイルームのコタツに入り、私と二人でビジフォンのニュースを見ていたご主人様は、
 新しく報じられたそのニュースにぺたんと耳を垂れ下げられます。
 仕方ないでしょう。他人の不幸を我が身の痛みとするご主人様ですから…。
 この馬鹿ニュース。もっとご主人様を楽しませるようなニュースを流せコラ…。
 被害者は、ここからは随分と遠い区画に住むガーディアンズ隊員らしかった。
「もうすぐバレンタインで…、みんな楽しそうなのに…」
「…そうですね」
 派手好きな環境課の連中はここぞとばかりにロビーを彩り、コロニーはクリスマス
 の時と同じようなお祭り騒ぎになっている。
 イベントに乗じて想いを遂げようというお祭りだ、盛り上がりもする。
 それが何もこんな時に、人死になんか出なくってもいいだろうに。
「どうしているでしょうか」
「はい?」
 ご主人様は、ぺたんとコタツのテーブルの上に突っ伏すと、横向けた顔でビジフォンの
 モニターを見詰め、
「被害者さん、ガーディアンズさんです。PMさんがいるはずなのです。
 …PMさんはご無事だったのでしょうか。…それとも…」
 私の位置から、ご主人様の顔は見えない。
 でも、呟かれたその寂しそうな声に、胸がじんと、…熱くなった。
 この気持ちを言葉にしても、ご主人様は困惑なさるだけだろう。
 だから、心の中で告げる。心から、心から。

 …ありがとうございます、と。

「きっと、バレンタインのこととかお話していたと思うのです。
 PMさん、きっとご主人様にチョコをあげようと思っていたはずなのです。
 なのに…、なのに…、こんなのは、悲しいのです…」

 ぐすっ、と、ご主人様が小さく鼻をすするのが聞こえた。
 泣いているのですか…? 泣いて…、くれるのですか…? ――ご主人様。

 ご主人様の周りにいるガーディアンズたちは、皆一様にPMを大事にする人たちばかりだから、
 時に忘れそうになるけれど…、本来は、そうなんだ。
 本来、「私たちのこと」なんか、誰も気にしない。当たり前のように目もくれない。
 だってほら、ニュースは、「被害者のPM」のことなんか一言も口にしないじゃないか。
 私たちは「物」だ。死んだ人間の持ち物なんて、誰も気にとめる必要なんてない。
 「ここ」はとても幸せだから、だから本当に、忘れそうになるけれど、

 『本来、私たちは、誰かの特別になんかならない』

 誰もが当たり前に持っている、少し役に立つ道具。
 でも。星の数ほどの人が気にも留めない中、私のご主人様は見てくれる。
 気付いてくれる。察してくれる。想って、悲しんでくれる…。
 私たち、PMのことを。
351小ビス子と430 彼女たちの一番長い日16:2007/02/12(月) 22:04:18.87 ID:DHm4UvcF
「そろそろ、お夕食の準備を致しましょう」
 私は静かにそう言って、コタツから立ち上がる。
 美味しいおさかな料理をお作り致します。お食事の時は楽しいお話をたくさんして差し上げます。
 貴方が私たちを思って泣いてくれるのなら、私は貴方を思って笑顔を作って差し上げます。
 ずっとずっと。…私と貴方に許された時間の限り。

 ぴろんっ!

 そんな私たちの耳に、来客を告げるアラームが。
「は、はう、お客様ですか。…はう、430、いいのですよ。私がでます。はうはう」
 キッチンに向かおうとしていた私を手で制し、ご主人様は目の回りを手のひらで拭うと、
 ぱたぱたとマイルームの入口へと走っていく。
 …何とも非常識な来客だ、夕飯時に来るなんて。飯喰いに来たんじゃねーだろうな。
 クソヒューマンだのだったら容赦なく追い出してやんぞ…。
 が、
「…はぅ…!」
 怯えたようなご主人様の声の後に聞こえたのは…、
「夜分失礼。ガーディアンズ公安部の者です」
 公安部!? 聞こえた声に、背筋が引きつるような緊張が走る…!
 その活動は内調と告発。だがそれは「公の正義」とは大きく懸け離れ、
 「ガーディアンズ本部の都合」に委ねられる場合が大きい。
 それ故に、公安部と言えばガーディアンズきっての嫌われ者だ。
 そう、…かつて私がいた、諜報部に並ぶほどに。
 息せき切って入口へと飛び出してきた私が目にしたのは、ガタイの良い三人ほどの
 公安部職員に目の前を塞がれ、おろおろと視線を彷徨わせているご主人様。
「先日より、武器及び防具の不正合成が行われております。我々はその調査で参りました。
 ガーディアンズ警備部登録コードB5-20154。
 貴方のこの数日の合成履歴を確認致します。PMをこちらへ」
 公安部所属の登録証を提示して言うその言葉は…、およそ、人らしい言葉ではなかった。
 キャストだってもう少しまともな言葉を喋る。
 感情の一欠片もない、…聞いているだけで虫酸が走る、無機質な言葉!
「ふ、不正合成なんて…! はぅ…! 私はそんなこと一度だって…!」
「皆さんそう仰います。ですが調べれば判ることです。ご理解下さい。
 …不当に調査を拒否するのであれば、我々には貴方を逮捕する権限があることを
 ご理解頂き――」
「それ以上の問答は結構です。どうぞ履歴をご覧下さい」
「430…!」
 まるでご主人様を押しつぶすような威圧を投げ掛けてくる公安部職員の前に、
 私はご主人様をかばうようにして立ちふさがる。
「大丈夫です、ご主人様。ご主人様も私もなぁんにも悪いことなんかしてないんです。
 ぱっぱと終わらせてご飯に致しましょう」
 にっこりと笑ってそう言うと、私は男どもに背を向けた。
 後ろ髪を手で掻き上げ、うなじにある接続端子を連中に晒す。
 …履歴の確認なんかされんのは、諜報部にいたとき以来かな…。
 気持ち悪くて嫌なんだよなぁ、これ…。
「認識コード確認、識別番号…、GSS253-A5…。…GSS253-A5だと?」
 ざわり、と、出来損ないのキャストみたいに感情を見せなかった公安部の人間どもが
 声を漏らすのが聞こえた。…あー、そうか…、
「履歴の確認はお済みですか? 不正があったかどうかの照会は五秒ほどで終わるはずですが?」
「あ…! ああ、いや、すみません…。完了致しました。問題、ありません…」
 声が上擦ってやがる。おまけに…、お前、私に対して敬語になってんぞ。
 公安部と諜報部はつながりが深い。知っているんだろう。その番号を。
 かつて、大量殺戮兵器として裏社会に名を広めた、一機のバケモノの認識コードを。
352小ビス子と430 彼女たちの一番長い日17:2007/02/12(月) 22:05:06.77 ID:DHm4UvcF
「お勤めご苦労様です。これより夕飯の支度がありますので、他に用が無ければどうぞ、…お引き取りを」
 持ち上げていた後ろ髪をふわりと広げ…、私は言う。
 ご主人様には背を向けて顔を隠し、最後の一言に、とびきりの憎悪と殺意を込めて。

 その時、だった。

「間違いです! 何かの間違いです! ご主人様は悪くなんて無いんです!」

 心を磨り潰したような…、悲壮な叫び声が、通路から私たちの部屋へと飛び込んできた。
「は、はう…!?」
 必死で走ってきたところを何か躓いたのか…、声の持ち主は入口あたりで転倒し、
 ご主人様の目の前で俯せに倒れ込む。
「…はう…、410さん…?」
 PM、GH-410、…だ。クソヒューマンのとこのヤツじゃない。認識コードを見たけれど、
 私もご主人様も見ず知らずの410。
「…またコイツか…」
 公安部の一人がうんざりと顔を歪めるのが見えた。
「お前の所の調査はもう終わった。不正合成を行っていた履歴が出た。言い訳も言い逃れも出来ん。
 お前の所有者は既に逮捕済みだ。私たちをどうこうしても変わらん」
「…え…」
 倒れ込んでいた410を抱き起こそうとしていたご主人様の手が、ぴくりと震えて、止まる。
 私も…、ただ、俯くだけだ。
 噂に聞いちゃいたが…、本当に手を染めた馬鹿がいたか…。
 私は静かにご主人様の脇に身を寄せると、行き場を失っていたご主人様の腕をそっと抱き締める。
「…お気持ちはお察しします。でも…、人は、心の弱い生き物ですから…」
「…はぅ…、…はぃ」
 『人はみんないい人ばかり』。心からそう思っているだろうご主人様にとって、
 今目の前にあるこの光景は、どれだけ心に痛いことだろう。私には、推し量れない。
「違うんです…、違うんです…! あれは…、あの合成は…!」
 410は、倒れ伏していた体を、両腕を支えにして起きあがらせ、
 ぽろぽろと涙をこぼしながら、公安部の男たちを見上げて、
 …おい…、まさか…、
「あれはご主人様がやったんじゃないんです!」
 …馬鹿!
 ぞっとして、私は弾けるように手を伸ばす! 目の前の410の体を突き飛ばすのでも抱き締めるのでも
 何でも良い! とにかく、その言葉を遮ろうと!
 410は…、何かを噛み締めるように、強く強く顔を強ばらせると、
「止せ! 言うな!」

「私が勝手にやったんです!」

 …馬鹿…、が…。
 伸ばしそこねた手をだらりと下げる私の隣で、ご主人様が息を飲むのが判った…。
 その発言が何を意味するのか…、ご主人様にも理解出来たんだろう。
「18:34、発言確認。…第一級行動則違反の容疑で該当PMを捕縛する」
 それはまるで、判決を告げる裁判官の言葉。
 腕時計で時間を確認した男が、無機質な声でそう告げる。
 …おしまいだ。
 主の許可を得ずの威力装備合成。しかもそれが不正合成。
 それが本当であっても、嘘であっても、…結果は、変わらない。
 本当であれば第一級行動則違反。嘘であれば…、公式調査員への虚偽発言。
 二度と…、PMとしての職務に戻ることは、ないだろう…。
353小ビス子と430 彼女たちの一番長い日18:2007/02/12(月) 22:05:58.27 ID:DHm4UvcF
「これで良いでしょう! 悪いのは私! みんな私!
 可哀想なのは、こんな出来損ないを配備されたご主人様なの!
 ご主人様は悪くないの! だから返して! ご主人様を返して!」
 捕縛の為に腕を取られた瞬間に、410はそれこそ…、狂ったように暴れ出した。
 ご主人様を返して、返して、と、何度も、何度も、口にしながら。
「…お前の発言が真実だと確認出来たなら、お前の所有者は放免される」
「嘘なんかじゃないわ! 私はPMだもの! 嘘が言えるほど上等なAIなんか詰んでいないもの!
 私は道具よ!? 道具が嘘を言うの!? ポンコツはどうしようもない動きをするけれど!
 それでも、どんなポンコツだって嘘を言ったりしないじゃない!」

 ああ、ああ…、駄目だ、嫌だ…、聞きたくない…。
 忘れていた世界。おとぎ話の後ろ側。

 この世界に絶えず響き渡る、――本当の音。

 不意に、ぎゅうっと、ご主人様に背中から抱きすくめられた。
 私の肩に顔を埋めるようにして、震えて…、いらっしゃる…。
 私はそっと、私の体を抱き締めるご主人様の腕を抱いて、固く固く目を閉ざす。

 不毛な…、そう、本当に不毛な押し問答は…、それからも、少しだけ続いて…、
 やがて、半狂乱になって暴れる410の胸元には、高圧電流のスタンガンが押し当てられ、
 その410は、ただ一声、ぎゃん、と、甲高い悲鳴を上げると…、

 それきり、もう、動かなくなるのだった…。
354小ビス子と430 彼女たちの一番長い日19:2007/02/12(月) 22:06:21.80 ID:DHm4UvcF
 私たちは、まるでその場所に取り残されたかのようだった。
 用が済んだ公安部の連中も、過剰電流で強制停止させられた410もいなくなり、
 ほんの数十分前の部屋に戻っただけのことなのに、
 まるで、私たちは地名すら聞いたこともない荒野に、ぽつんと取り残されたかのようだった。
 ビジフォン…、付けっぱなしで良かった。
 ニュースは終わって、夕飯時のバラエティー番組が始まっている。
 スピーカー越しに聞こえる偽物の笑い声でも…、今は、ただ、ありがたい。
「お夕飯…、作りますね…。あ、あは、お腹ぺこぺこですよね…っ」
 その作り物の笑い声にきっかけを貰って、私は一歩踏み出そうとする。
 未だに私の体を抱き締めて離れないご主人様の腕を、そっと、解いて…、
「…430」
 その手が、再び、ぎゅうっと、私を抱き締める。
 身動ぎしたせいで涙が流れたのだろうか。私の首筋に…、暖かい水滴が触れる感触があった。
「あの410さんは正しかったのですか…? 間違っていたのですか…?
 はぅ…、私にはわかりませんでした…!
 何も出来ませんでした…! 何も言えませんでした…!
 410さんは…、あんなに、ご主人様の為に必死だったのに…!
 自分は「物」だって、あんなに悲しいことまで叫んでました…!
 どうしてあんなことが言えるんですか!? あの子は物なんかではないのに!」
 それは、悲しい、悲しい、悲痛な声。
 ご主人様が繰り返す、答えの無い問い掛けが、ずっとずっと、頭の中を回っていた。
 私にだってわからない。私にだって何も出来なかった。言えなかった。

「ガーディアンズって、何なのですか…?
 パートナーマシナリーって…、何なのですか…?」

 ああ…、この言葉…。あのとき『アイツ』の口から聞いたっけ…。
 ずっと考えないようにしてきたのに…、言葉は巡り、やっぱり私の元に返ってきた。

『道具は道具であれば良かった。道具に心なんか必要なかった。
 そうすれば私たちは何一つ苦しまずに済んだではありませんか。
 未知数を追い求めて道具に心を与えたのであれば。
 そしてその結果に生まれたのが『私たち』だとするのなら。
 人はその報いを受けるべきではないですか!? 430!』

 お前に銃口を向けたあの時から、きっと、

 私はきっと、お前に呪われているんだろうな。

 ――なぁ、GH-…440。
355名無しオンライン:2007/02/12(月) 22:08:55.63 ID:FO0Msmnb
>>345
すげえ、最近出たばかりの中年ヒュマ男をここまで描くとは・・・w
中年ヒュマ男がどんどん俺の中でハードボイルドダンディーになっていくぜ・・・w

俺もこれくらい他人のキャラを使いこなせるようになりたいもんだ

>>349
>穴に落ちたり某所で女装させられたりするビス男もハァハァできるが
orz
>イケテルビス男もwktkしてるんだぜ?
某絵師のブログにまじめと言うかかっこいい(かどうかは不明)ビス男のSSを投下した覚えがあるなぁ
パシリメインじゃないからこっちには出さなかったが

今更出すのもこっぱずかしいので見たかったら頑張って探してくだされ・・・w
356小ビス子と430 彼女たちの一番長い日:2007/02/12(月) 22:11:22.61 ID:DHm4UvcF
ちょっと脱線気味なエピソードではありますが…、
「道具として扱われるPM、人として扱われるPM」というテーマに当てはめられそうだったので、
ちょっと時事ネタを拝借。…書いていて嫌な感じになってしまいましたorz

今更な感じですが今回のは暗めのお話です。
小ビス子と430のほのぼのが好き、という方にはキツいかも知れません…。

バレンタインまでに書き切れるかなー…。
357名無しオンライン:2007/02/12(月) 22:19:18.81 ID:FO0Msmnb
あぶな・・・ぎりぎりだったw


ともあれGJ、てか仕事が速いなぁ・・・w

>小ビス子と430のほのぼのが好き、という方にはキツいかも知れません…。
個人的にはオイル吹いてる430もシリアスな狂犬430も両方好きなんでこういう流れは万歳
そういうわけで是非とも続きは頑張っていただきたい!
358名無しオンライン:2007/02/12(月) 22:22:23.57 ID:TQJ48kJm
>>356
ほのぼのが好きだが、あんたのキャラは中身がブレないからシリアスでも安心して読めて楽しい
この先も楽しみにしてるよ
359337:2007/02/12(月) 22:26:05.22 ID:Q+ySlLTn
>>347
書き方が悪かったかな?
ゲームの設定としてPSOと関連があるってんじゃなくて
SSのキャラ設定としてPSOから来たってのがあると言いたかったんだけど
360名無しオンライン:2007/02/12(月) 22:42:36.04 ID:YNQtrqQ3
公式サイトの
ライセンスの一時停止処分
↑文字をみて浮かんだのが
対象者のパシリとかネタにならないかなぁ?
と思いつつスレを開くと...
心を読まれたかとビビった
361ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:0/9):2007/02/12(月) 23:23:07.33 ID:KzzzsJCy
全国一億四千万人のパシリ愛好家のグラール市民の皆さん、コンバンワ。
バレンタインが明後日になり、パシリとラブAなネタがどんどん投下されている雰囲気を読まずに、
PM進化デバイス実装前夜に投稿しようと思って出来なかったネタを、今更ながらに書いてみる。
流れに乗っていないにも関わらず、勢いよく書いたため推敲もしていない。
そのため、だらだらと長い話になってしまってい、さらに、戦闘シーンを書いていて挫折している。
戦闘シーンの書ける作家様には頭が上がらないな、と思うと同時に、もう戦闘シーンは書きたくないと思った。
恨むなら、バレンタインもホワイトデーも"あげる側"になってしまうという、財布の寂しさを恨んで欲しい。

今は反省している。もぎもぎ。
362ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:1/9):2007/02/12(月) 23:25:15.49 ID:KzzzsJCy

  −− ヒカリ と カゲ を 纏いながら −−  【前編】

草原の開けた場所で、巨大な飛龍を退治する2つの影があった。
「そんなもの振り回したって、あたりませんヨ」
尻尾の攻撃を自慢のジョギリでガードしているのは、モノアイヘッドを装着し
手にした得物に似合わないスラリとした体格持つ白色のキャストである。
尻尾の白キャス男に意識を奪われ、もう一つの忍ぶ影に気がつかない飛龍の隙をつき、
「ふふーん。今がちゃーんすっ」
シンツキザシがブーメランのように宙を舞い、龍翼を貫いて持ち主の手に戻る。
翼の痛みに気が動転した飛龍は、刃の射手を踏み潰そうとその大きな足を動かすが
小さな体躯のマシナリーにはその動きは緩慢すぎて当たる余地も無い。
「へへーん。そんなのあたらないよ……きゃっ」
が、超重量の足跡が残す凹凸に足を取られたマシナリーは転んでしまった。
ここぞとばかりに、超重量の足が転んだマシナリー目掛けて振り下ろされる。
回避不能。そうと判っていても恐怖でとっさに頭を抑えたマシナリーが見たものは
「ったク。油断は禁物ですヨ」
とぼやきながら、ナイトウォーカーの片刃で巨龍の足を押さえ、もう片刃を地面に突き刺し支えている
白キャス男の姿だった。
「イマノウチに逃げマス」
さっとマシナリーを片腕で抱えると、地面に刺したナイトウォーカーをそのままにしてサッと飛び去る。
地面を揺るがす衝撃は、体重の衝撃だけではなく、ナイトウォーカーによって一本の足が使い物に
ならなくなった飛龍の涙の咆哮でもあった。
ふと腕の中を見ると、420も眼に涙を溜めているではないか。
「よしよし、怖かったですネ」
「あ、あの…ごしゅじん。折角のA武器が…」
あの体重で圧し掛かられたのだ。武器の方は飛龍の足同様、使い物にはなるまい。
「確かにアレは大事な武器ですけど、420の体には代えられないのデス。
 さてサテ。今のうちですよ、420。一気にやっつけちゃいまショ」
420は感極まって流れた涙を袖でごしごしと拭き、決意を込めて自分の武器を握り締める。
「…はいっ!」
移動もままならない飛龍にトドメを刺そうと体制を整えた二人だったが、それに気がついた飛龍は
痛めた翼を酷使して宙へと飛びあがっていく。しかし、シンツキザシの傷が相当堪えるのか、
その高度は何時もよりも低かった。
主人の白キャス男は近接戦闘中心のファイガンナーだ。飛び上がられては逃げられる可能性は大きい。
そう判断した420は、とっさに叫ぶ。
「ごしゅじん。ジョギリでスピニングブレイクを!」
「無茶はさせたくナイのですが…感電しないように気をつけて下サイッ」
気合一魂。白キャス男はパリパリと電撃が迸るジョギリを両手持ちにし、飛龍には当たりもしない
スピニングブレイクを力いっぱい振り回す。(ぶん)
ソレを見た飛龍は、隙あり、とばかりに口に火球の気を集めだした。(ぶんっ)
みるみるうちに火球は膨らみ、発射…(ぶんっ!)
されると同時に、スピニングブレイク3段目の切っ先が宙の飛龍へと向けられる。
そして2者の中間には、2段目の振りに時点でガミサキのフォトン部分を鉤爪状にし
ジョギリの切っ先を捕まえ、3段目終了と同時に遠心力で飛んでいく420の姿があった!
飛龍の火球に直撃コースで飛ぶ420はセンテンカンザンガの縦回転で火球をかき消し
「あれは…あれは…」
ガミサキのフォトン出力を最大最長に変更しながら、
「はじめて成功したA武器だったのにー!」
と、怒り一閃、センテンカンザンガ2段目でより高く飛翔すると、龍首をザンッと断ち切った。
「ギャァァオゥゥ!」
草原中に響き渡るぐらいの断末魔とともに、巨体が地に落ち、横たわった衝撃が地面を揺るがした。
それと同時に「きゃっとくーちゅーさんかいてーん!」といいながら落下してくる420を
白キャス男はその細身の腕でさっと抱きかかえてやる。
「ほっいと。どんなもんだい」
得意げにふんっと鼻を鳴らす420を抱きかかえ、その青髪をくしくしと撫でながら、
「お疲れ様デス、420。今日もいいデータが取れましたヨ」
と白キャス男はモノアイを細めて言うのだった。
363ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:1/9):2007/02/12(月) 23:26:07.89 ID:KzzzsJCy

Aクラスの草原の覇者を退治し終えると、辺りはすっかり夕暮れに包まれていた。
遠くに見えるホルテスシティには夜の帳が薄っすらと降りてきている。
昼間はガーディアンズやエネミーの活気盛んなラフォン草原も、夜ともなると
陰気と死気が渦巻く闇の世界へと変わってしまう。
そんな雰囲気の場所には用は無い。
「420。時間も遅いですし、今日のデータ収集はこの辺りで終わりにしましょうかネ」
フォトンチャージの前で座り込み、先のディ・ラガン戦で壊れてしまったナイトウォーカーの修理
をしている420に向かって言うと、ちょっと不服そうな顔をしてこっちを振り返った。
「でっかいコルトバー…(じゅるり)」
この次のエリアに控えるのは、巨大な珍獣ゴル・ドルバ。
ああ。そういえば、420の好みはコルトバ肉だったなぁ。
などど思っていると、しおらしくその場に座り込み"ヨヨヨ…"と泣き崩れる420。
「そんなに目をうるうるさせても駄目ですヨ。次のエリアを走破し終える頃には夜になってしまいマス」
「にくー! にくー!」
「そんなに口に空気を溜めでぶぅーっとした表情を作っても駄目ですヨ。夜のエリアは危険デス」
「このジョギリ雷50%…モギっちゃうぞ、このやろうっ」
(そ、それは…私が苦労して違法改造したジョギリなのデスヨ!?)
「そ、そんな物をモギるより、ホルテスシティで買ったコルトバ肉をモギった方がいいのデワ?」
ひゅん、と疾風が駆けたかと思うと、さっきまで修理を試みていたナイトウォーカーは片付けられ
420は溢れんばかりの笑顔とヨダレを隠しつつ、何時の間にやら転送装置の所に立っていた。
「ごしゅじん。"ご愛顧されて40年、肉に命をささげます"の肉のキタムラホルテスシティ支店は8時閉店。
 はやくはやくー」
店のショーケースに張り付いて離れない420の姿を想像しつつ、私はホルテスシティ行きの転送装置へと
向かって行ったのだった。


ホルテスシティに着くと時刻は既に7時半を過ぎてしまっていた。
この実働データをGRM社に提出するのが日課となっているミッションであるから、
GRM本社に行かなくてはならないのだが、
「ムゥ…、本社とキタムラの方角は正反対…。どちらかに行けば、どちらかには行けませんネェ」
その内容に絶望したのか、体をO・R・Zの形にしてがっくりする420。
ご丁寧にもカットインにI・L・Lの文字を左右につけて、その落胆っぷりを表現してくれている。
こうも表情がころころ変わる420を見ているのも楽しいが、このまま落胆させておくのは
倫理的におkではない気がしてきたので、ひとつ提案をしてみた。
「420。実働データは貴方の中に入っていますよネ? 貴方が本社に行ってデータ提出をしてくれれば
 その間に私が買い物を済ませておきますが、」
夕暮れの街に陽炎のようにゆらりと立ち上がった420は、猫科独特の眼をキュピーンと光らせ、
「ごしゅじーん、薄切りしゃぶしゃぶ用にしてねー!」
と、ビデオテープ4倍速級の言語を放ちながら、GRM本社方向へと消えていったのだった。
364ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:3/9):2007/02/12(月) 23:28:20.32 ID:KzzzsJCy

GRM本社ビルの総合待合室の受付の時計を見ると、終業時間まであと10分を切っていた。
明日は新商品発売の日だから、"萌えー"だとか"新型はぁはぁ"だとか"倫理的におk"だとか言う
変なお客様が沢山来て疲れたなぁ、なんて考えていると、入り口の自動ドアが開き
今日最後になるだろうお客様がいらっしゃっちゃったのだ、こんちくちょう。
「いらっしゃいませ。グラールの未来を守る武具メーカーGRMの本社ビルへよおこそ。
 どちらの部署に御用でしょうか?」
声をかけるも、うっとりした表情でなにやら口ずさんでいて、耳には入っていないようだ。
♪ しゃぶしゃぶー しゃぶしゃぶー ♪
♪ ごま ぽん ゆず みそ ひたしてー ♪
♪ はくさい にんじん ひたしてー ♪
♪ ぱくっと おくちに ほーばればー ♪
♪ きょうも いちにち はっぴでいっ ♪
しまった…変な客だ。
「ええっと、どちらの部署に御用でしょうか?」
と、もう一度尋ねてみると、お客様はカウンターによじよじと登ってカードのような物を差し出してきた。
キャストかと思ったら、うちの自慢の商品──パートナーマシナリーなのね、彼女。
「実戦研って所に、データの提出に来たんだよ」
データカードを照合すると、第三開発局への実戦データ提出に来たらしい。
あそこはGH-4XX型の戦闘に関する兵器開発をしている部署だから、実戦研なんて呼ばれてるんだっけ。
直接確認するために第三開発局へ連絡すると、接続ラインを開放するのでデータを直接送って欲しい
との指示があった。ローカルラインでやり取りするぐらいのデータだから、あまりセキュリティレベルの
高いデータでは無いみたい。
私は、接続ラインのある椅子へとその子を連れて行き、データラインを手渡した。
「使い方はわかるかな?」
「うんっ。いつもごしゅじんが使っているのをみてるからー」
そうだ。パートナーマシナリーならその所有者が一緒に居るはずだ。
パートナーマシナリーが単体で行動しているのは珍しい。
「お嬢ちゃん。所有者のガーディアンズの方とは一緒じゃないのかな?」
すると、目を輝かせて(口元のヨダレも輝かせて)彼女は元気いっぱいに言うのだ。
「ごしゅじんはニクなのっ!」
うわっ…所有者のガーディアンズの人を肉扱い!? パートナーマシナリー…恐ろしい子…。
と、私が驚愕している間に、可愛い猫耳の中にデータコードを接続した彼女は、椅子に座りながら
うちの会社が無料発行している商品カタログを手にとって読み始めていた。
終業までお客様が来る気配も無さそうなので、彼女の隣になんとなく座っていると、とあるページ
に目が釘付けのようだ。この子は420タイプだから、武器はうちの製品じゃなくって
ヨウメイ社のものを使っているハズだし、ドコのページに興味があるのかなぁ、と思って覗き込んでみると…
…ああ。そういえば、今週号の特集は、
「おねーさん。これスゴイねっ」
明日から一般販売されるパートナーマシナリーの進化デバイスだったっけ。
365ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:4/9):2007/02/12(月) 23:29:48.49 ID:KzzzsJCy

「ぷはー。ごちそうたまでしたっ」
「はい、お粗末様でしたヨ」
炬燵を挟んで向かい合っての食事を終えた私は、後片付けをしに台所へと立ち上がった。
ここはホルテスシティ郊外の私の家である。
パートナーマシナリーを所有しているからガーディアンズだと思われがちだが、
私はれっきとしたGRM社第三開発局の社員なのだ。
以前はパートナーマシナリーの開発に従事していたのだが、実戦データの不備が指摘され
それ以来、この子と二人、ここで暮らす日々を送っている。
データ提出の都合上、ガーディアンズ達とパーティを組んだりすることは全く無いが、
それでも、この子と二人、毎日楽しくやっていけている。
食器も大体片付け終わり炬燵の居間に戻ってくると、420は寝そべりながら雑誌を読んでいた。
「まったク。食べた後にすぐ横なるとコルトバになるって諺教えたばかりでしょうニ」
「こたつがわるいんだもーん」
と、もぞもぞ炬燵の中に撤退していく420。
猫は炬燵で…とはよく言ったものだと思いつつ、ふと、420の読んでいた雑誌のページを見ると
珍しくGRMのカタログを読んでいたようだ。
そのカタログの記事を見て、私は凍りついた。
「あ、ごしゅじんもきになるのー? 私も今からたのしみだよっ」
そう言って指差したのは、パートナーマシナリーの進化デバイスの販売予告の特集だった。
「ありえナイ…なんデ…」
「ごしゅじん?」
420の声も聞かず、私はGRM本社へと飛び出していった。
366ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:5/9):2007/02/12(月) 23:33:00.34 ID:KzzzsJCy

ホルテスシティの一等地にそびえたつ立派な高層建築物が寝静まった街を見下ろしている。
その高層建築物──GRM本社ビルの職員通用口に、私は職員用認識カードを通す。
が、おかしなことに認証エラーが起こるのだ。エラー内容No.051。
"アナタ ノ 認証使用許可 ハ ロック サレテ イマス"
「…私がここに来る事は、既にお見通しって事ですカ」
落胆している暇はない。事態は既に動いていたのだ。
どうにかして実戦研まで行かなくては、明日には一般のガーディアンズ達に進化デバイスが販売されてしまう。
強行突破でも出来れば良いのだが、いつも420に頼りっぱなしの私の腕前では、難しいな
と思った矢先、いつも受付で出迎えてくれる女性が通用口から出たきた。
「動くナ。認証カードを通せば、命まではとらナイ」
私が悪役のようで気分はのらないが、ステノザシの刃を首元に当てつつ頼んでみる。
女性が震えながらも素直に認証カードを通してくれたお陰で、職員通用口の扉が開いた。
と同時に、今通報されては面倒になるので少しの間だけ、彼女には少し眠ってもらう事にする。
「悪いネ」
そう言い残して、私は実戦研の局長が使用している地上69階へと通じるエレベーターへと乗り込んだ。

「ごしゅじん…どこにいっちゃったんっだろう」
420が白キャス男の自宅の炬燵の上で、一休さんのとんちポーズをしながら考えていると
部屋のビジフォンから着信音が聞こえてきた。
このビジフォン、情報番組や雑誌には疎い白キャス男の物だから、ガーディアンズに配備されている
テレビジフォン機能すら付いていない旧式のビジフォンである。
だが、会社はもとより、交友関係が狭く浅い白キャス男にはこの程度の旧型でも事は足りるのだ。
420は、滅多にこない着信があったので不思議に思い、ついつい内容を覗いてみてしまった。
「えーと…あ、ごしゅじんからの着信だ!」
どうやら、自宅に残してきてしまった420へのメールのらしい。
いつも一緒に居るからメールなんて貰ったこと無かったので、ちょっぴり嬉しくなりつつ
420は文章に目を通した。
「なになに…『今からGRM本社で、ちょっとした訓練を始めマス。420にも手伝って欲しいので
 いつも地下実戦訓練場に来てくだサイ』っと。もう、それならそれでちゃんと言ってよねっ」
行くべき場所もごしゅじんの場所もわかり安堵した420は、一変、キリッと身を引き締めつつ
ホルテスシティ郊外の白キャス男宅を後にするのだった。
367ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:6/9):2007/02/12(月) 23:34:25.34 ID:KzzzsJCy
退社時間が過ぎ静まり返ったGRM本社ビル69階に、エレベーターの到着音が響き渡る。
そこから白い影が滑るように飛び出て、豪華な扉のある部屋の前で止まった。
と、背後のエレベーターの明かりが消える。主電源が落とされたらしく、後戻りは出来ない。
彼はモノアイに装着したスキャンバイザーで中を確認し、生態反応があることを確認すると
腕のナノトランサーからジョギリを取り出し一閃を放つ。
すると、パル・ウォルナ製の豪華で強固な扉は真っ二つに斬り裂かれ、部屋の闇が彼を迎え入れた。
斬られた扉のプレートにはこう書かれている。
− 第三開発局 局長執務室 −
「局長。お話がありまス………ッ!?」
無残な扉の向こう側、暗がりの部屋の中でパル・ウォルナ製の執務机に腰掛けている人物に向かって
白キャス男は言い放つ。
局長、と呼ばれた人物は、腰掛けていた高級デスクからスカートを靡かせながら飛び降り
「お待ちしておりました。"元"第三開発局実戦部門責任者の方ですね」
こちらに向かって大剣を突き出してきた。
「秘書の410でしたカ。局長は何処にいらっしゃいますかネ?」
「お答えする必要はありません。貴方にはここで眠ってもらいます。それと…」
言うが早く、青いスカートを翻し斬りかかってくる。
相手の武器はジョギリのハズ。ならば、同じAクラスのジョギリが負けるはずはない!
ギィンと刃でガードするも、男のジョギリは弾かれ、男ともども壁際へと飛ばされてしまった。
「私は410ではありません」
月明かりが窓から入り、秘書の影が彩色を帯び始める。
金色の髪を持ち、青いふりふりスカートを身に纏った秘書が持つその剣は、
410の出力では到底扱えない最強クラスの大剣、カリバーンであった。
「貴方、まさか…アレを使ったのですカ!?」

いや、冷静に考えればそれが普通。明日、販売になる進化デバイスなのだ。
テストケースに使用されていないハズがない。
それが局長のパートナーマシナリーならなおさらである。
「アナタを倒せば、私は忌々しいサーキットから解放される…。だから、消えていただきます!」
間近に迫った斬撃を転がり回避するも、右肩を浅く裂かれてしまった。
彼女の動作は、私が設計したどのGH-4X0もよりも遥かに素早いようである。
それでもなんとか壁に刺さったジョギリをナノトランサーへと収納し、武器を取り出す。
肩の傷に負担をかけず、かつ、一振りが大きい大剣の隙を突ける、双短銃を。
近接には遠隔は古来からお約束。
だが、足止めを狙って撃ったエビルツインズの火弾も、全てカリバーンの切っ先だけて弾かれ
周囲の壁へと着弾し火の粉をあげていく。
この動体視力の認知度と、的確に弾く動作精度は、もはやマシナリーの域ではない。
「進化はこんなにも素晴らしいのに、アナタは何故、研究を凍結させてしまったのでしょうかね」
「それは、進化なんて都合のいいものじゃありまセンヨ!」
切っ先を向けつつゆっくり前進してくる411に次々とエビルツインズの火弾を放ちつつ後退するも、
やはり、最初と同じく弾かれてしまう。気がつけばエビルツインズのPPは空になり、
自身も壁際へと追いやられてしまっていた。
ピタリと止まった411との間合いは、ゆうに3m。通常の使い手ならば、大剣の斬撃が届くことは
無いのだが、迅速の動作をする411にとって、この間合いは……必殺の射程圏内に違いない。
「それでは、ごきげんよう」
大上段に構えた411のカリバーンが振り下ろされる正にその瞬間、局長室に警報が鳴り響き
と、同時に室内は雨に見舞われた。
「なっ!?」
突然の事態に振りの動作が止まった411の隙を見て、空になったエビルツインズを床に捨てた私は、
同時にナノトランサーからジョギリを抜き取る。
抜き取った姿勢から構え、踏み込まず横一線に振りぬこうとしたところで、411の意識が私に戻った。
「その距離で剣を振るっても届きはしませんわ!」


「…雷光一閃ッ!」


大剣は、ただ、空を斬った。
が、瞬間、部屋中に紫電の光が駆け巡り、轟雷が響き渡る。
その光と音が止んだ部屋には、回路がショートしかかっている411が力なく倒れている姿があった。
368ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:7/9):2007/02/12(月) 23:35:33.26 ID:KzzzsJCy

思考及び言語系の損傷確認。・・・オールグリーン。
肢体の損傷状態確認。・・・オールレッド。
駆動伝達系の損傷確認。・・・オールパージ。
戦闘続行可能性。・・・0。
各部のチェックは出来るが、肢体が使い物にならなくなってしまっていた。
私の負けだ。
「時間が無いデス。局長の居場所を教えてもらえませんかネ?」
あれだけの電撃をまともに受けたのだ。私には既に立ち上がるだけの力は無かった。
「火弾が部屋中に散乱して、天井スプリンクラーが感知。水が雰囲気として漂った所で、
 膨大な電流をその雰囲気に流す…。自分の立ち位置は壁際で、水の雰囲気の範囲外。
 ただの技術者ではなかったのですね、貴方は」
「これでも"元"第三開発局実戦部門責任者ですから、ネ。苦労して雷ジョギリを改造した
 甲斐がありましたヨ」
まぁ、いいわ。
負けて私の意識が無くなれば、いつからか私に巣くったバグから解放される。
主人を愛する様になってしまう忌々しいサーキット──コンフェラット・ミルトからも解放される。
おまけに、アイツから…局長からも解放されるんだから。
「さて、ト。PM進化デバイスの発売は明日なので、発売を止めるには今夜しかありまセン。
 最初の質問に答えてくれますカ?」
「どうせ私が話さなかったところで、パートナーマシナリー技術者の貴方なら、私の記憶を
 覗き見る事なんて造作も無いでしょうね」
私の意識のあるうちにそんな事をされるのも癪にさわる。
「まぁ、いいわ。教えてあげる。アイツは…局長は地下実戦訓練場に行ったわ。
 今頃、貴方のパート……!?」

     ───シンカセヨ、シンカセヨ、シンカセヨ、シンカセヨ

「くっ…」
言葉が。
頭に。
響いてくる。
「どうしましたカ、411?」

    ───シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!
         シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!
            シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!

「グッ、ギギ…」
頭じゃない。
ココロだ。
ココロの深淵からだ。
「411…あなた…まさか、コンフェラット・ミルトに欠陥がある"ペッカーレ"だったのですカ!?」

シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!
シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!
シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!
シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!
シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!
シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!シンカセヨ!

「あ…」
何処か懐かしい心の深淵から呼びかける声を聞きながら、私、411の意識はその深淵へと堕ちていった。

411の体を黒い霧状のものが包んでいく。
その闇は何かの生物のような形をとり、411をその内部へと飲み込んでしまった。
霧がかたまり、形となる。スキャンするまでもなく、その生物には見覚えがあった。
「局長…ペッカーレだと解っていて、何故、この子に進化デバイスなんかヲ…」
その闇に包まれた生物を、人はこう呼ぶ。
SEEDフォーム、と。
369ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:8/9):2007/02/12(月) 23:36:19.42 ID:KzzzsJCy

4ヶ月前。
PM進化デバイスの開発も大詰めとなり、試用テストが始まった時のことだ。
当初、進化デバイスを投与した多くのパートナーマシナリーは、AIや出力等が大幅に強化され、
これならガーディアンズにも胸を張って売れる、と開発陣は意気揚々としていた。
だが、とある欠陥のあるパートナーマシナリーに進化デバイスを誤って投与してしまったところ、
まるで、SEEDフォームに侵食されたかのような姿になり、暴走をはじめてしまったのだ。
その欠陥箇所は、擬似恋愛プログラムであるコンフェラット・ミルト。
原因や修理方法が不明な、人間で言う所の癌のような欠陥を持つパートナーマシナリーは
パートナーマシナリー開発の終盤から発生しており、研究者は"ペッカーレ"と名付けていた。
暴走した場所が、GRM本社ビルの地下深くに存在する実戦訓練場であったから
ことが外部に露呈する前に処分が出来たのだが、問題はここで終わらなかった。
試用テスト初期に進化デバイスを投与した数体のパートナーマシナリー達が、投与から
2ヶ月ほどして、ペッカーレを持つパートナーマシナリーのようにSEEDフォーム化し暴走し始めたのだ。
暴走したパートナーマシナリーはすべて支社の研究資材保管庫に格納されていたため、
格納庫ごと爆破して事なきを得た。
しかし、ペッカーレで無いにもかかわらず暴走したという事の原因は掴めず、
進化デバイスを投与した試用テスト機がすべて失われてしまった事により、この開発は一時頓挫してしまう。

そんな中、当時の第三開発局実戦部門の一技術者であった白キャス男がある説を唱える。
それは「プロセスは不明だが、SEED襲来の日より以前に生産された個体で、
正常だったコンフェラット・ミルトに欠陥が生じてくる個体が、ごく僅かだが存在する。
その欠陥は、製造過程でのペッカーレよりも重大なものではなく、欠陥部も僅かなため
通常の機能には差支えが無く、本社の精密検査を受けない限りは発覚しない。
今回の初期投与型のパートナーマシナリーの暴走は、後天的なペッカーレになって
しまったのが原因ではないか」と。
サンプルとして、SEED襲来以前に製造された本社在庫、及び、一部のガーディアンズ
が所有するパートナーマシナリーを精密検査したところ、一ヶ月前の簡易検診で異常が
見られなかった全シリーズ8162個体のうち、15体が後天的ペッカーレだと判断された。
この説により白キャス男は開発責任者の地位を獲得する事になるのだが、彼の続けて
提唱した「SEED襲来の日以降に製造された個体に関しては未調査であり、これを
調査してみないことには、欠陥個体の完全把握にはなり得ない」という論文は、
本社の圧力により握りつぶされ、彼自身も、地位はそのままに実戦研開発の第一線から
飛ばされて、まったく関係の無い実働機体のデータ収集、という仕事をする事になる。

その間、PM進化デバイスの開発は白キャス男の居ない本社で行われ、開発終了と同時に
一週間後に販売する、と告知したのであった。
SEED襲来後に生産された個体の後天的ペッカーレの危険性を孕みながら。
370ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:9/9):2007/02/12(月) 23:38:07.24 ID:KzzzsJCy

完全にSEED化する前に決着をつけようと411だった闇の生物に渾身の力で斬りかかるも、
相手の衝撃耐性はすさまじく、まったく効果が無い。
私の気配を察知したのか、その闇の生物は光の無い眼でこちらを捉える。
まずい、と思ったときには既に遅く、シールドライン越しに強い衝撃を感じたと同時に、
窓際まで吹っ飛ばされていた。胸元のシールドラインシステムは、今の一撃で大破し
次の衝撃には堪えられそうも無い状態になってしまう。
「ぐっ…この威力ハ…SSランクのSEED!?」
最初のペッカーレの暴走時、Lv100超えのSSランクSEEDが出現し、その排除には武装局員
数十名を費やした。今、目の前に居るSEEDはあのときのSEDDと同様の形態である。
こいつに一人で挑むのは無謀だ。
だからと言って、エレベーターで逃げるにも主電源が落とされてしまったようだし、
この階は局長の執務室と秘書室のほかには部屋は無く、逃げ道は無い。
成すすべを考えながら体勢を整えると、パル・ウォルナ製の執務机が私に向かって飛んできた。
咄嗟に身を翻し避けると、机は窓を突き破り、69階の高さから落下していった。
この高さで落ちてしまえば、いくら丈夫なパル・ウォルナ製の机でも地上で粉々に…
「…ああ、それしかないのですネ」
無茶は承知でここまで来たのだ。ここで餌食になるわけにはいかない。
そう思い、予備のレイガンを取り出すと、ホルテスシティが一望できる壁一面の
窓ガラスを背に、その引き金をSEEDに向かって引く。
やはり、まったくダメージにはならない攻撃だ。が、それが切欠となって
SEEDはこちらへ向かって予想外の猛スピードで突撃してくる。
想定外素早い動作だったため、避けられないのは明白だった。
だが、私は動かず、キャストの動力炉を狙う2本の腕をSEEDの斬撃の前に差し出す。
数秒もおかず私の両腕には、鋭い棘があり抜けないであろうSEEDの両腕が突き刺さる。
予め腕の痛覚は遮断しているが、見ているだけで痛々しい光景を確認し、私は天に向かって叫んだ。

「SUV Weapon.Standby ready. …… Transform "Meteo Bastard" !!」

次元転移してきた巨大な青い腕が私の肩へと装着される。
メテオバスターの転移出力を考えると、右で一振り、左で一振り、両腕で一振りの計3回が限界。
しかし、この3回の衝撃だけでは、目の前のSEEDは倒せないのは明白。
ならば…。

「ファーストインパクト!」
一撃目を床にたたきつけると、私と私の腕を刺したままのSEEDはその強力な反動で
後方へとふっと飛ぶ。レイガン装着時に右手に持ったステノザシで切り込みに入れておいて
割れやすくなった窓ガラスを突き破り、二人は地上69階の空へと飛び出したのだ。
あとは、パルムの重力に従い、二人とも落下していくのみである。
揉み合いながら落下体勢を整えていると、逃がさないとばかりに右腕を私の左腕を突き刺したまま
左腕を抜き取り、貪欲に私の動力炉を狙うSEED。

「セカンドインパクト!」
SEEDの腕が刺さった右腕をパージ命令で切り離し、SEEDの胴体に二撃目を叩きつける。
一般エネミーが脳震盪を起こし混乱するほどの強力な一撃も、このSEEDに対しては混乱の効果はない。
が、至近距離からの衝撃は効いたようで、パージした腕を刺したままのSEEDと私の距離は、
空中で離れていった。私が本社ビルに近い側になるために体勢を整えておいたので、二撃目で
吹き飛んだ反動により、本社ビルの窓がすぐ傍まで迫ってくる。

「ラストインパクト!」
窓と壁を突き破るように、その両腕を本社ビルに突き出し破壊する。
ガラスが割れる快音に続き、壁の割ける轟音が鳴り、ビルへと深く食い込んだメテオバスターで
10階層程を破壊しながら、私の落下は止まった。
と、同時に地上ではSEEDの断末魔が響き渡り、戦いの終焉を知らせたのだった。
371ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:10/9):2007/02/12(月) 23:39:30.10 ID:KzzzsJCy

SUVが再転送されてしまう前に残った片腕で止まった部屋へとよじ登ると、そこは一般顧客用の
商談スペースの部屋であった。この部屋があるのは、本社ビル7階。
ここからなら階段があり、局長の居る地下実戦訓練場までは行けるはずである。
開発と共に販売も手掛けている局長をなんとかしない限り、明日にはPM進化デバイスは
販売されてしまうだろう。
後天的ペッカーレになってしまっているパートナーマシナリーの数は、SEED襲来後の生産された者
の方が多い、と私は思っている。実際、私が独自に調査した結果がそれを証明してくれているし、
調査に使用した「新ジャンル パシリスレ」では次々と、コンフェラット・ミルトの欠陥による作用であろう
通常のパートナーマシナリーの領分を越えたパートナーマシナリー達が報告されている。
今のような戦いを生み出さないためにも、なんとしてでも販売を止めてもらわないといけない。
刻限は、パルム時間午前2時。
まだまだ永い夜になりそうだな、と思いながら、私は地下への階段へと向かっていった。


To be continued ..... ?
372ヒカリ と カゲ を 纏いながら(前:あとがき):2007/02/12(月) 23:52:10.55 ID:KzzzsJCy
設定厨な私乙。

最近の流れは、小ビス子氏や不正合成の話や捨てポコの話をはじめとした
高クオリティな作品が続々と掲載されていて、楽しめますな。

という事で、ここらに不出来な作品を置いておくと、後の人が
書きやすくなる! と信じて投下してみましたとさ。
ちゃんちゃん。
373名無しオンライン:2007/02/13(火) 00:08:10.08 ID:JfLW7N0R
おk、シリアスな流れをぶった切って投下。
ごめんね、シリアス好きの皆ごめんねw
374アンケート:箱と450の場合:2007/02/13(火) 00:10:32.01 ID:JfLW7N0R
2月14日もそろそろ日も暮れた頃。
その2人の仕事はいまだ続いていた。

プシュー
中年ヒュマ「……む?」
440「誰も…いないな…」
中年ヒュマ「おかしいな、聞いた話だと部屋に居る筈なんだが…」
440「もしかしたら寝てるのかもしれないし、向こうの部屋を覗いてみるか?」
中年ヒュマ「そうだな…」
そう言って隣の部屋に移動する。と、後ろで音がした。
プシュー
450「バレンタインのばかああああああああああっ!!」

中年ヒュマ「Σ(;゚Д゚)」
440「Σ(;゚Д゚)」
突然の咆哮にびくりとそちらのほうを見る。
そこには妙な表情で固まった450が居た。
450「えぁ!? あ、あの、し、失礼しました、部屋を間違えて…」
部屋に見知らぬ人物が2人。450が慌てて部屋を出ようとする。
440「うぉぉぉい!合ってる!合ってるから!!」
中年ヒュマ「す、すまん、我々がお邪魔させてもらってるんだ!」
450「は、はあ、そ、そうでしたか…すみません、いきなり…」
440「いや、こちらこそ突然で…」

450「で、あの、何の御用でしょうか?」
中年ヒュマ「ああ、ええと、完結に言えばガーディアンズに対するアンケートだ」
450「は、はぁ……」
中年ヒュマ「とりあえずパシリへの質問はこいつが担当なので、答えてやってくれ」
450「はい…わかりました」
440「よろしく頼む」
450「はい、こちらこそ」
ぺこりとお辞儀する450。

プシュー
中年ヒュマがマイルームから出る。
440「まずはこれから」
375アンケート:箱と450の場合:2007/02/13(火) 00:11:24.42 ID:JfLW7N0R
Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

450「……べ、別にこれといったことは… 私はご主人様の忠実な僕です。
  そ、それ以上でもそれ以下でもありませんから…」

440「ふむ… じゃあ次」

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

450「ええと……そうですね……………」
440「……?」
450「……」
440「……」
〜中略〜
440「……」
450「……あっ!い、いろいろです!ご主人様からは多くのものを学ばさせていただいています」
440「そ、そか… じゃあ、最後の質問だ」

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

450「……べ、別に特に何も… 同じです。特に変わりはありません」
440「ふむう… ちょっと失礼。おっさんに軽く報告してくるから待っててくれ」
450「は、はい」

プシュー

中年ヒュマ「ん、どうだった?」
440「……ダメだなあれは……全く本音を言ってない」
中年ヒュマ「参ったな…どうするか…」

440「んーーー  そうだ、おっさん酒は強かったよな」
中年ヒュマ「ん?まあ人並みには…」
440「酒の勢いっていうのはどうだ?」
中年ヒュマ「おkそれでいこう!ちょっと買ってくる!!」
376アンケート:箱と450の場合:2007/02/13(火) 00:12:35.72 ID:JfLW7N0R
そして1時間ほどが過ぎた。

450「ふにー、ひっく!」
440(…うっわあ、コップ1杯ほど呑んだだけなのに…)
中年ヒュマ(ここまで弱いとは…)
450「ぅ〜〜  おふらりとも、すすんでませんおー!もっとのみましょー!」
440「あ、ああ…」
中年ヒュマ(しかも絡み酒か……)

450「れれすね、うちのごしゅじんらまときたら、ばれんたいんというだーいじな日なのにもかかわらず
  子守りのあるばいろれすよ!あるばいろ!!」
440「アルバイトしてるのか……」
450「はぃぃ! わらしらんて、お菓子屋であるばいろれすよ!」
中年ヒュマ「そ、そうなのか…」
450「んもー、チョコ買ってくひとのおーいことおーいこと!わらしもですね、あげたいんれすよ!
  なのに、おきゃくらまにチョコを包んでは売って、包んでは売って……」
440「ご、ご苦労様…」

450「わらしはあんらななんかにチョコあげたんじゃないんれす!ごしゅじんさまにあげらいんれす!」
中年ヒュマ「は、はぁ、そうですか…」
450「…そうれすかじゃないれすよ! ごしゅじんさまときたら、小ビス子さんとかワルキャスさんとかに
  チョコ渡してるらしいんれすよ!!」
440「……なんか正確にイベントを理解していないな……」
中年ヒュマ「男に貰っても虚しいだけなんだが……」
440「おっさん……貰ったことあるのかよ……」
450「ちょっろ!きいれますか!!」
中年ヒュマ&440「は、はいっ!」

450「それなのにれすね、わらしには無しですよ、無し!なっしんぐ!!そりゃもー拗ねますよ!!」
440「は、はい」
中年ヒュマ(つか、欲しいのか……  って、おい、そろそろ本題に入らないと…)
440(そ、そーだな…)「で、質問だが…」
450「うに? うむ、なーんれもききなさーい!」

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

450「……あのれすね、きいれくらさいよ」
440「は、はい」
450「あの箱ってば、わらしがろんらけろんらけアプローチしてもれすね、
  全然気付いてくれないんれすよ!ひろい(酷い)とおもいません!?」
440「う、うん、酷い」
450「れれすね!」(愚痴が1時間ほど続く)

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

450「……ないれすね」
440「な、ないの!?」
450「……しいれいうなら……                   ないれすね」
440「は、はあ…」
377アンケート:箱と450の場合:2007/02/13(火) 00:14:11.69 ID:JfLW7N0R
Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

450「ちょっときいれくらさいよ!」
440「は、はぁ(また愚痴か…)」
450「ごしゅりんらま、ただでさえ能力評価が低いんれすよ。C-なんれすよ!」
440「し、C-……居たのかそんなランク……」
450「いました、いますんですよ! らから、もっぱら仕事といえば、掃除とか、犬の散歩とか
  そーゆー、しょーーーもない仕事ばっかりなんれす!!」
440「な、なるほど」

450「もー、ちょっとはれすね、わらしをつれて、でぃらが〜んとか、でぃまごらす〜とか
  そーゆーのを倒してランクを上げてほしいというものれす!」
440(よっぽどしょぼい主人なんだなあ…… おい、おっさんとりあえず聞くこと聞いたから…)
中年ヒュマ「くかー、くかー」
440「起きろよテメーーーッ!!」
中年ヒュマ「おぶっ!?」
450「あー、のんれまれんね!のんれまれんね! ほらほら、たーんとのんれくらさい!!」

プシュー

箱「ただいまー  あれ、お客さん?」
440「あ」
中年ヒュマ「こいつが主人か?」
450「あ、ごしゅりんらま〜〜〜    呑め〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
箱「ぬぐぁ!? ごっぷごっぷごっぷ」

箱「……う…………」

箱「屁のつっぱりはいらんですよーーーーーーーーーーーーーー!!!」
バタッ

中年ヒュマ&440「し、死んだーーーーーーーーーーーーー!!」
450「あーもう、なさけないれすねえ…  あれ?」
箱の手から、床に落ちる小さな包み。

440(あ、あれはもしかして…)
中年ヒュマ(チョコレート?…か?)
440(もしかして、450にあげるための?)
中年ヒュマ(多分……)
440(よ、よかったなあ、よんごー)

450「うに、なにこれ…… (カサカサ)  …はむ  モギモギ」
中年ヒュマ&440(ええええええええええええええ!!!!)

450「さー、どんどん呑みましょー!」
中年ヒュマ「い、いや、俺達は用事があるのでそろそろお暇させてもらう!」
440「しゅ、主人と仲良くな!!」
450「ふに? やれすよう、わらしたちとぉってもらぶらぶなんれすからぁ〜」

プシュー

440「お、おい、主人のアンケートは!?」
中年ヒュマ「ま、また次回にする!このまま居たらヤバイ!確実にッ!!」

ガーディアンズの勘とでもいうのだろうか、脱兎の如く逃走する二人。

450「んもー、らいらいごしゅりんらまはれすね…」
マイルームでは、延々と続く450の愚痴。
それは彼女が箱の傍で眠りにつくまで続いたのだった。
378名無しオンライン:2007/02/13(火) 00:15:17.10 ID:JfLW7N0R
うん、中年ヒュマの人にはいくら土下座しても足りないと思うんだorz
折角カッコいいキャラ路線を進んでたのに…ゴメンネ、こんなのしか書けなくてゴメンネ。・゚・(ノД`)・゚・。
379名無しオンライン:2007/02/13(火) 00:24:58.79 ID:8n6TKURq
誰よりも早くレス
>>378

中年ヒュマ「やれやれ、どんなキャラでもイケるってのは罪だな。また同僚から嫉妬されちまう」

440「おっさん、決まった所で悪いが、鼻毛がでている」

中年ヒュマ「鼻毛が出てもダンディー」

440「な訳ないだろ」

中年ヒュマ「………」



殴り書きした。反省はしない
返答ヌリガトウ
後編、箱のインタビューもwktkしてるぜ

しかしこのおっさん、自分の想像以上のポテンシャルがあるようだ
380名無しオンライン:2007/02/13(火) 00:51:57.35 ID:VZ8GVva+
>>372
デバイスの裏にはこんな話が!
と、ほんとにあったらどれだけ凄まじいことか・・・w

しかしモノアイ白キャス男かっこいいなぁ、こういったキャラは是非とも形にしてみたいぜ・・・w


ところで『コンフェラット・ミルト』って言葉使ってるって事は以前にもそういう話書いてた人と同じ人だろうか?
何にせよこういう面白そうな設定撒いてもらえるといつか使えそうでありがたいぜ・・・w

>>377
>箱「屁のつっぱりはいらんですよーーーーーーーーーーーーーー!!!」
これで盛大に吹いたww
しかし相変わらず酒癖悪いんだなぁ450・・・w

>>379
何と言うか中年ヒュマはギャグシリアス両面で使いやすいんだろうな、てか実際使いやすいキャラだがw
さしずめ中年ヒュマはシリアスもギャグも似合う渋目の俳優ってとこかw
381名無しオンライン:2007/02/13(火) 09:51:43.14 ID:aTSKKJlc
メンテ前?
ttp://www.psu-wiki.info/upbbs/lib/printimage.php?id=00000884.jpeg
メンテ後
ttp://www.psu-wiki.info/upbbs/lib/printimage.php?id=00000885.jpeg

2/13 2:15 時点
あばら4号
キャスト      女性
S武器自分で合成したなら
、BANはないし。胸をは
って使っていいんですよ?
でも装備は覗かれてます
         1003860
382名無しオンライン:2007/02/13(火) 10:10:19.93 ID:jDRzEt7H
流れ断ち切っちゃうがこのスレを読むためにPSU続けようかな…と思った。

久々に良スレ見たよ。
御礼しか言えないけどありがとう。
383名無しオンライン:2007/02/13(火) 10:22:12.77 ID:JfLW7N0R
>>379
えっ!?箱のも要るの!?w
全然考えてないwww

>>380
こういう言い方をすれば中年ヒュマの人に悪いかもしれないけれど、
イメージがガチガチに固まってなかったので、書いててこっちの役柄に合わせられたかな。
役にあわせてどうとでも演じられる役者って感じか。

なんとなく無精髭を生やしたかっこいい西村雅彦氏なイメージが沸いたなw
↑ってことを書いてて「どんな奴だよw」って思ったけどwww
384アフロなニュマ汚と442:2007/02/13(火) 13:55:16.60 ID:UebgYdZ0
完全ににお目汚しになりますが投下させていただきます。

 前略
 皆さんはじめまして
 あるニューマン男のPMをしております442です。
 私のマスターである男ニューマンはちょっと…。
 いえ、『かなり』というものでは収まらないほど変わっています。
 外見的にも内面的にも…。

「あぁん!」
 気持ち悪く高い声を上げながら紫色の毛玉…。
 もとい、マスターが錐もみ状態で私の足元にぶっ飛んできました。
 離れたところにいるジャーバに接近戦を挑んで思いっきりぶん殴ら
れたのでしょう。
 フォルテクターの癖に接近戦を挑むとは何を考えているんでしょう
か…。
「よくもやったわね!もう一度ダム・バータで勝負よ!!」
 早々に立ち上がり再びハウジロドウを握り締め突っ込んで行く。
 その細い後ろ姿を見ながらその様子を傍観します。
 いろいろと突っ込みたいのですがそれではきりがありません。
 とりあえずため息を一つつき傍観することにします。
 …あ、メギドくらった。

「ったく、いったい何を考えているんですか!フォルテクターなのに
接近する人がありますか!!」
 パルムの西にあるカフェでミッションを終えた私たちは青空の下コ
ルトバジュースを飲んでいます。
 普通ならまったりするのですが目の前に座っているヒゲ面紫毛玉、
マスターのおかげでまったりする気分ではありません。
「え〜、だってそのほうが面白くない?」
「おもしろくありません!おかげで今日の稼ぎも少なくなってしまっ
たじゃありませんか!」
「お金よりも面白さよ、面白さ♪」
「面白さ以前に食べていく分を稼がないと意味がないでしょ!!」
 いけません、ただでさえ最近オイル圧が高いのにこれ以上あげては…。
 とりあえず深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる。
「もし、このままお金がなくなればそのうち手持ちのスケープドール
がなくなりますよ」
「むぅ…、それはこまるわね。ただでさえ少ないというのに…」
 マスターは頭を抱え考えこむ。
 やはり人形がなくなるのは困るらしい。
 私の視点からは毛玉がモコモコともだえているようにしか見えない。
「マス―」
「にゃんぽこきぃ〜っく!」
 底抜けに明るい声と打撃音ともに目の前の毛玉が消えた。
385名無しオンライン:2007/02/13(火) 16:00:56.34 ID:8n6TKURq
>>383
>西村雅彦
orz
386名無しオンライン:2007/02/13(火) 16:19:43.63 ID:JfLW7N0R
>>385
うーむ、こちらとしてはかなり褒めたつもりだったんだが…例えが悪かったか( ´・ω・`)ゴメンネ
個人的に結構評価してる役者さんなのでな。

西村氏はサラリーマン刑事というドラマで渋くて愛嬌もあるいいキャラやってたんだ…
387名無しオンライン:2007/02/13(火) 16:24:59.07 ID:uPsk4V2X
中年ヒュマは柳沢慎吾(字が曖昧ですまん)
とかどうよ?

なに、ギャグ畑? きにすんなage
388名無しオンライン:2007/02/13(火) 17:27:07.69 ID:0XVlZtxg
中年ヒュマはPSOのバーニィの体型をほんの少し太く、顔も少しゴツく、それと
頭を少しスッキリとさせた(寂しくじゃないぞw)ような印象でイメージしてたよ

こんだけの人気キャラに育ったんなら、ちょっとリクすれば誰かが描いてくれないでも
ないような気がしてきた
389名無しオンライン:2007/02/13(火) 17:42:06.57 ID:Z9TLcNsC
細かく指定してくれたら(髪型とか色とか服とか)PSUでキャラエディットくらいはするんだぜ

ちなみに中年ヒュマは俺の中でブルースみたいなイメージがあったのは秘密だw
390名無しオンライン:2007/02/13(火) 17:45:26.72 ID:FQViKZvS
人によって中年ヒュマのイメージが随分違うのね

俺は(声も含め)スネークをもうちょっとサッパリさせたイメージかなー
391名無しオンライン:2007/02/13(火) 18:13:45.68 ID:qPM3gong
>>390
あー…、俺もそんなイメージだ、
例えが見つからなかったのがスッキリしたよ。

ていうか、ずっと疑問符が解消されたいことと言えば…

小ビス子のオフィシャル外見…。

小ビス子作家さん、教えてくれないかなあ。
はうはう▽・ω・▽
392名無しオンライン:2007/02/13(火) 18:53:06.17 ID:8n6TKURq
>>386
西村氏が嫌いな訳じゃないんだが、いかんせん頭が寂しいな…

>>388
バーニィナツカシス
エピ4では結構出てたな

>>390
伝説の英雄ときたか


色んな意見が出ているけど、今は敢えて決めないでおくよ
みんな自分のイメージした中年ヒュマで小ビス子氏の作品を読みたいだろうし
393名無しオンライン:2007/02/13(火) 19:18:09.72 ID:gy9g5hcF
>>390
それだ!
俺もそんなイメージ持ってた。スッキリしたぜ。

中年ヒュマ「(えーと決め台詞は『ショータイムだ!』かな)」
440「おっとこんな所に椅子に丁度良さそうなダンボール箱がー(棒読み)」
394名無しオンライン:2007/02/13(火) 20:28:25.08 ID:d5le7I/H
ヨシオ「ヒュマ子・・・ヒュマ子ヒュマ子・・・」
ヒュマ子「ん・・・? むにゃ・・・どうしたのヨシオちゃん?」
ヨシオ「あの・・・これ・・・(震)」
ヒュマ子「ぬむ・・・あ! こらーこんな遅くまでネットしてるんじゃありません! ちゃんと寝なさい! めっ」
ヨシオ「じゃなくて――ほら、前に変なお客さん来てたじゃないですか。盗撮の・・・」
ヒュマ子「あー、あのバーントラップGで燃やしてやったらブヒブヒ言いながら逃げて結局捕まえられなかったデブ?
      あれがどうかしたの?」
ヨシオ「こ、これ・・・(青)」

|> http://www.nicovideo.jp/watch/utThN9ys0e8Ao




ヒュマ子「( Д )                      ゚ ゚
395名無しオンライン:2007/02/13(火) 20:49:06.61 ID:HpYlbDKR
あぁ…こういうことをちゃっかりやらかしてくれるんだな…。
ギャグもシリアスも〜ってことは……

ttp://jpn01.konami.co.jp/movie/mgs3/movie_1_snake.swf
ttp://jpn01.konami.co.jp/movie/mgs3/movie_2_bomb.swf
ttp://jpn01.konami.co.jp/movie/mgs3/movie_9_mgs.swf
396名無しオンライン:2007/02/13(火) 21:20:55.09 ID:TLIFjInA
wiki編集しようと思って過去ログ読んでたんだが、
大分喋り方変わってるキャラ何人かいるな。

てか、編集したことあまり無いのに編集しちゃっておk?
397名無しオンライン:2007/02/13(火) 22:24:07.14 ID:8n6TKURq
>>395
三番目が悲しすぎる件

>>396
どんどんやっていいんじゃないか?
作家さん達には事後承諾でもなんとかなるだろう
398名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:09:36.68 ID:OBkU3b3D
何気スランプだったが、無理矢理やってみた。
長文になるが失礼。

それは変なキャストに変なパシリ…そして、
それに絡まれた気弱な箱と真面目なパシリのお話。

前回のあらすじ

フローリン「ドーピングブラストバッチだ…さあ、この俺から逃げることができるk…」
キャス男「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
フローリン「たわばぁああ!」
キャス男「やれやれだぜ…」

ローグス首魁フローリン−再起不能(リタイア)−

怒声と轟音。
後ろの車両から溢れる音に耳を傾ける暇さえ許させない。
オリジナルのディラ・グロブスの猛撃により、
箱の命は風前の灯火になっていた。

箱   「ウワアアアアアアアアッ!!」

ワルキャスとワルパシリ〜謀略編・完結〜

ディラ・グロブス「ハイジョシマス…ハイジョシマス…」

全身を貫く、触手の群れ…箱は動きたくても動けない。
450の声帯を使った偽装…一瞬の隙をディラ・グロブスは見逃さなかった。

武器を絡め取り、蠢く触手は先端を刃に変えて箱のボディに突き刺さってゆく。
その距離わずか0.5m…数歩歩めばつかめるモノが…
今は数千里先にあるかのような錯覚に陥っていった。

箱   「よんっ…ごう…れ…い…」

己が助けようと思っていた者に手が届かないもどかしさ。
自分の非力さが愚かさに苛立ち、怒りがこみ上げてくる。
そして聞こえてくる。耳鳴りのような悪魔の囁き。
399名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:11:40.30 ID:OBkU3b3D
−………障g…s……セョ………−

箱の身体に潜む…古ぼけたプログラムの一つが…

−………障ガ…ス……除セヨ………−

理性の金具が緩んだ今の箱を…

−………障害ハ全テ排除セヨ………−

海のように優しい青が、鮮血ような赤色に染めあげて…

−………障害ハ全テ排除セヨ!……−

箱が…箱とはまったく違う何かに変質されてゆくのだった。

***

キャス男「んっ…ブウッ! ちきしょう…折角の酒が血の味しかしねぇや」

万全とはいえないが、応急処置で立ち上がることができたキャス男。
片手にハッピージュースの瓶を持って勝利の美酒を味わおうとするが、
内部欠損のほうも激しいためか、血の味しかしない。

リニアトレイン襲撃の首謀者、ローグス・フローリンはいまだ意識は失っており、
そのままロープで縛られている。
相方であるローグス・ステラの方は、その傍で自ら身柄を拘束された。
キャス男がやらしく誘いをかけようとしたが、410の笑顔の抗議
(アサルトクラッシュ付き)により、自首する方向でおちついたのだった。

410 「箱…大丈夫かな…?」
キャス男「…不安か?」
410 「そりゃぁ…仲間(ダチ)、だからな…」

ぽっかり開いた最終車両への通用口に視線を向ける410。
そんなワルパシリの頭にぽんとまだ中身が残るハッピージュースの瓶を載せる。
冷たさが残るそれに驚きつつ、彼女はキャス男に視線を向けた。

410 「ふあっ?! なっなんだよ!」
キャス男「たまには良い事いうじゃねぇか…ラス1だ、残りはやるよ」
410 「うおっ…お…おう…」(か、間接キスかよ…このやろう)
400名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:15:06.12 ID:OBkU3b3D
なぜか頬をかすかに朱に染め、一気に残りを飲み干す410。
キャス男はフォトンチャージでスピナアタックの残存フォトンを満たし、
槍を数回振り回したところでナノトランサーに槍を仕舞う。
酒のせいか別のせいか、かすかに元気になったワルパシリを頭をポンとたたき。

キャス男「力がついたところで、一気に畳み込むぞ。いいな?」
410 「ぶへぇー…おうよッ!」

二人は箱と450のいる最後の車両へ走るのであった。

***

ディラ・グロブス「!?!?!?!?!?」

『非常事態・非常事態・非常事態・非常事態・非常事態・非常事態』

ディラ・グロブスは確かに対象の破壊を成功させた。
だが、そこにいる破壊対象は外見的な変化をとともに、異常回復を見せる。
予測はスケープドールの発動とみて間違いないのだが、
それではこの外見の変化が説明つかない。

『解析不能・解析不能・解析不能・解析不能・解析不能・解析不能』

それは幾千もの屍の血を浴びたような赤。
彼を傷つける何本もの触手を一本一本引きちぎる。
そして、奪われていたソードを一本拾い上げた。

『異常事態・異常事態・異常事態・異常事態・異常事態・異常事態』

紅イ箱 「ダマレ」

一撃。
その赤い色のキャストはディラ・グロブスの太い幹のような胴体に、
深々と剣を突き刺し、めり込ませてゆく。

ディラ・グロブス「KYAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

ナノマシンが8割を占める体液がとめどなくあふれ出し、450のボディは絶叫し涙した。
意識を除きほとんどがディラ・グロブスに支配されたそれは、いうなればパーツの一部。
ディラ・グロブスの意識は無感情なその一撃に泣き叫んでいるのだ。
401名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:17:20.58 ID:OBkU3b3D
紅イ箱 「障害ハ全テ排除」

そんな450の泣き叫ぶ声もいまの彼には届かない。
突き立てられたソードをより深く抉り込んだ所で柄から指を離した。
離した片手にキリキリと力を込め、指先を揃える。
それは鋭利な刃物と同等の殺傷力をもつ手刀。
狙うのはディラ・グロブスの心臓部。
その機関を破壊するには450のボディが邪魔である。
だが赤い箱は一片の躊躇もなく狙いを450の胸元に。
本来の箱ならできぬ、非情な一手をその赤いキャストが打とうとしていた。

紅イ箱 「障害ハ…全テ…排除ッ!」

***

暗闇の中。
精神だけは侵食を免れた450であったが、
小さな小窓のようなモニターから流れる映像に驚きを隠せない。

450 「ご主人様…う…そ…」

彼女の知っている彼はやさしく、たよりなく、そして大好きな箱。
今みえるソレは恐ろしく怖く、氷よりも冷たい、自分の知らぬ箱。
だが、紅イ箱の一撃は彼女に自由を与えた。
体の支配権が戻ると共に、暗闇は消え、段々と周りの景色が明確になる。
そして、叫ぶ。心のそこから、思い切り、熱い自分の声を。

450 「ごしゅじんさまあああっ!」

***

ワルキャスとワルパシリが向かった先には、また異様な光景がひろがった。
周りにはマシーナリーの残骸。そして、全裸の450を縛り付ける奴には、
深々とソードが突き刺さっており、箱はまるで矢を放つかのように胴を逸らし、
今にも彼女の胸めがけて射出せんと指を尖らせる。この距離では届かない。
二人は叫びながら箱を押さえつけるために走りだす。
402名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:20:18.32 ID:OBkU3b3D
キャス男「おい箱ッ!」
410 「箱っっ! やめろっ! それはお前の!」

紅イ箱 「障害ハ…全テ…」

450 「ごしゅじんさまあああっ!」

紅イ箱 「………ハイジョ!」
箱   『やめろおおおっ!』

一閃。
鈍い音があふれ出し、箱のカラダはマシーナリーの血で染まってゆく。
身体から湯気を上げ、手刀は深くめり込んでいた。

ディラ・グロブス「GYIIIIIIIIIIIIII!」
450 「…ご…しゅ…じん…さ…ま…」

ディラグロブスに放った一撃は450の腹部ではなくそばの幹に突き刺さる。
ズルズルと彼女の戒めが解かれ、そのまま箱の体にもたれかかった。
それがスイッチかのように、あの紅かった箱は静かな海の青に染まる。
彼の奥底に眠っていた理性がパートナーの危機を前に蘇ったのだ。

箱   「…450…だいじょうぶ…? けが…ない?」
450 「ごしゅじんさまっ…ごしゅじんさまあああっ!」

己の一糸纏わぬ姿である事もお構いなしに抱きつく450。
箱は再び彼女を抱きとめられた事に、ちょっと泣きそうになる。

箱   「うん…よか…った…よかったよぉ…」
キャス男「このばかちんがあああっ!」
410 「このばかちんがあああっ!」
箱   「ジャッコッ!」
403名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:23:22.40 ID:OBkU3b3D
すかさず飛ぶW突っ込み。
ディラ・グロブスから2人を引き剥がし、
囲みながらそれぞれの言い分をかますワルコンビ。

キャス男「てめぇ! なんておいしい! そこでチューのひとつでもなぁ!」
410 「ちげぇ! まだ敵が残ってるだろうが!」

箱   「そうだった!」
キャス男「そうだった!」
410 「おまえらなぁ…」

指を頭に当てつつ悩む410。
そして、450も自分の置かれた状況に気がつき、顔を真っ赤にさせる。

450 「え…あ…きゃああああっ!!」
箱   「ギャバババババババ!」
キャス男「はこおおおおおおっ!」

神速で放たれる無数のハラロドウ。
箱は再びグサグサに突き立てられるが、心なしか懐かしい。
だが、その存在を忘れ去れていた怪物は雄たけびを上げた。

ディラ・グロブス「WIJw−df;NWAo3ughyw0@fv;wgfpu!!!」

ソードが突き刺さり、手刀で切り裂かれた異形の鬼械は、暴走を始めた。

キャス男「さあ、ギャグパートもココまで…最後くらいシメっぞ!」
410 「おうよっ!」
箱   「あっあう…でも450が…」
450 「うううっ…」

全裸のため箱にうずくまり中の450を抱えながらおろおろする箱の頭を軽く小突くキャス男。
そして天井を指して槍を装備し直す。
404名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:25:25.94 ID:OBkU3b3D
キャス男「バーカッ、そのためのアレだろうが。両手がふさがっても問題ねーだろぉ?」
410 「射程範囲に俺らが押し込んでやっから、後は何とかしろよ?」
箱   「うっ…うん…」
450 「す、すみません…役に立たなくて…」
410 「気にスンナ、仲間(ダチ)だろう?」
キャス男「んじゃ…いくぜ! いくぜ! いくぜえええ!」

双手剣を装備したワルパシリを連れ、キャス男は特攻する。
触手の群れをいなしつつ、410が邪魔な触手鞭を切り裂いてゆく。
あっという間に距離をつめ、暴走肥大化したディラ・グロブスはすでに目前。
キャス男は槍を床に突き立て、410の片手を取った。

410 「俺がバックなっ! 挟み撃ちだ!」
キャス男「おうよっ! 俺たちは最初から最後まで…」
410 「クライマックスだぜええええッ!」

ワルキャスは力を込め410を旋回、ディラグロブス背面の壁に目掛け投げ飛ばした。
ワルパシリは飛ばされる中、体勢を持ち直し、跳弾の要領で激突寸前の壁を蹴り上げる。
キャス男は床に突き刺した槍を引き抜き、ワルコンビ最大戦力の一撃が叩き込まれた。

キャス男「デュウウウウウウスッ! ダッガアアアアアスッ!」
410 「アサルトオオオオッ! クラアアアアアアッシュ!」
ディラ・グロブス「GUUUUUGYAAAAAAAAAAA!」

双方から食らう斬撃に成す術も無く、クリティカルを叩き込まれる。
内部も外部も裂傷が激しく、フローリンが作り上げた機獣はすでに虫の息。
二人が離れた時にはそれはもう箱の領域。

箱   「いくよ…450…」
450 「はいっ…」
405名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:29:29.84 ID:OBkU3b3D
箱と450は見つめあい、軽く頷く。勝利を決めるのはただ一言の掛け声。

箱   「SUVウェポン起動申請!」
450 「SUVウェポン起動申請!」

衛星が受けたその認識コードとともに、2門の巨大レーザー砲が転送される。
狙いは一つ、ディラ・グロブスのみ。
つんざく熱線はボロボロのボディを完璧に粉砕してゆく。

ディラ・グロブス「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

まばゆい閃光は、ディラ・グロブスを塵ひとつ残さず無に帰すのであった。

『ミッション・コンプリート』

***

海底拠点になんとか到着したボロボロのリニアトレイン。
待受けていたのガーディアンズの保安課。
逮捕したローグスの回収とボロボロの4人を回収するためである。

箱   「ふぅ〜…一時はどうなるかとおもったよ…」
450 「そっ…そうですね…」

450は貨物にあった毛布に包まり、箱に抱かれてる。
もちろん、キャス男が指南したお姫様抱っこでだ。

箱   「ん? まだ異常があるの…?」
450 「えっ?! あっいや…なんでもないです!」

嬉しそうに顔を紅くする450に不思議そうに首をかしげる箱。
それをニヤニヤと眺める二人。

キャス男「ミッション・コンプリート…だな」
410 「…まぁーな。一時はどうなるかとおもった…ぜっ!」

ちょっと嬉しそうにキャス男の弁慶に蹴りをかます410。

キャス男「あいたっ! てめぇなにしやがる!」
410 「あはははっ!」
キャス男「ったく…あー…これで丸く収まった…のに、なーんか忘れてるような…」
406名無しオンライン:2007/02/13(火) 23:31:41.34 ID:OBkU3b3D
ケラケラ笑う410をよそに、頭を掻くキャス男。
そして丁度いいタイミングで、キャス男の前にやってくる一人のキャスト。

????「ブルァ…ちょっとちょっとキミィ…ちゃぁんとブツはぁ…届けてくれたかねぇ?」
キャス男「…アアアアアアアアッ!!」

***

一人だけのマイルーム。ご主人様はお出かけ中。

私の大好きなご主人様。離れていても忘れない。

一人だけのマイルーム。だけど時どき思い出す。

もうひとりのご主人様。あかくて怖いご主人様。

一人だけのマイルーム。だから時どき寂しいの。

450「…ご主人様…私は…信じてますから…」

一人だけのマイルーム。帰って来てねご主人様。

絶対絶対帰ってきてね。
小さな小さなPMは、一人で寂しくお留守番。

箱   「ただいまー」
450 「ご主人様…おかえりなさい」

今は二人のマイルーム。だからとっても暖かい。

***

それは変なキャストに変なパシリ…そして、
それに絡まれた気弱な箱と真面目なパシリのお話。

やっと完結…なんかすげぇ長かった…
荒とかかなりあるかも…つか長すぎてすまん。
バレンタイーンはバレンタイーンの日にでも…
ってもうすぐじゃん!
407小ビス子と430 彼女たちの一番長い日20:2007/02/13(火) 23:46:01.97 ID:dQjs5Ln2
「…違うか」
 瓦礫の山の中から引きずりだした「それ」を、男はそっと、手近な空きスペースに置いた。
 携帯端末を使ってチェックしたが、該当ナンバーではない。
 …「人違い」。何となく浮かんだその言葉の皮肉さに、嫌な心の痛みを感じる。
 汚れきった剥き出しの床材の上に置くのは…、間違いだろうか。
 持って帰って処分してやれるわけではないのだ、墓穴に埋もれていた死人を野晒しに
 するのにも似ている。…幾多のゴミの山が成す墓の下と、澱みきったゴミ捨て場の
 空気に晒されるのと、それはどちらがどれだけマシなのだろう。
 …どちらも所詮、ゴミ捨て場の中のことなのに。
 陰惨な思いを胸中に溜め込みつつも、男の手は休むことなくゴミの山を掻き分け続ける。
 携帯端末には、この山の中に、もう一機の反応があった。…掻き分け出して、認識コードを
 確かめなければならない。自分がキャストでないことが恨めしい。
 認識コードが「視認」出来れば、何もここまで苦労も心労もせずに済むだろうに。
 掘り起こし、抱き起こし、携帯端末からのケーブルを接続しなければならない。

 このゴミの山の中で眠る…、不法投棄された「GH-440」たちを、一人ずつ。

 ガーディアンズコロニー最下層。
 このグラール星系にあって最も巨大で有名なコロニーが、
 過去、単なる巨大な「寄せ集め」でしかなかった時代から存在するブロックだ。
 捨てることさえ忘れられた忘却の空間。
 今ではこの場所に立ち入る方法すら知らない人間の方が多いだろう。
 だからこそ、こんな場所は、「人知れずに何かをしたい」者には格好の場所だった。

(まぁ…、逢い引きには向かんだろうがね)
 男の手は絶えず動く。肘まである防護グローブは汚水まみれだった。酸化したオイル、
 腐敗した有機物、そんなモノが、ぐちゃぐちゃとこびり付いてくる。
 この作業を初めてすぐの頃は散々な嫌悪感を抱いたものだが、三時間が過ぎた頃には
 慣れてしまった。…そんな不快感はどうでも良くなった。
 掻き分けたゴミの下からは、実に様々な…、悲惨な物が出てくるからだ。

 …人や、キャスト、そして、PMの成れの果て。

 ここに投棄されるものは全て、人でも物でも、表側の世界では公に出来ない存在だ。
 噂では、ガーディアンズの諜報部や公安部の連中「御用達」のゴミ捨て場でもあるらしい。
 恐らく、この「ゴミ捨て場」にある何を持ち帰ったとしても…、
 表側の世界に照らし合わせて調べれば、どうにもならない事件の、どうにもならない結果が
 浮き彫りになってくるのだろう。心が、嫌な疼き方をした。
(間違っても440を連れてこなくて良かったな)
 おっさんおっさん、と、悪態を付きながらも嬉しそうに後ろを付いて走ってくる440。
 先日の事件から、自分が独自にその捜査を始めたことに気付いたらしく、
 出掛けに散々「手伝うから連れて行け」とせがまれた訳だったが…、
 こんなところに、連れてこられるものか…。
408小ビス子と430 彼女たちの一番長い日21:2007/02/13(火) 23:46:54.78 ID:dQjs5Ln2
 ふう、と大きく息を吐き、男は天井を見上げる。額から流れ落ちてきた汗を肩口で拭って…、
 自分が相当に疲労していることに今更ながら気が付いた。
 粗大ゴミを掻き分けるような作業をかれこれ四時間。こんな肉体労働は警備部にいた時以来だろう。
 目眩がするほどに高い天井。立派な明かりなどついているはずもなく、ブロックを支える支柱
 のあちこちに非常灯が付いているだけ。
 有毒ガスの沈殿を防ぐ為だろう、光が届かず、見えもしない天井の方からは、ゴンゴンと
 大型ファンが回る音がする。空気の流れがあるせいで多少はマシなのだろうが、
 異臭も随分ひどい。…ここを出たらメディカルチェックを受けた方が良いだろう。
 気を取り直し…、男は再びゴミをどかし始める。
 ねじ曲がったダブルセイバー、フォトンジェネレーターの破損したライフル、
 傷と弾痕だらけのキャストパーツ…、もはや元が何であったか見当も付かない、ただドロドロとした固まり…、
「…ん…」
 男の手が、ふと止まる。掻き分けたそれらの隙間から…、小さな手が見えた。
 ぼろぼろに汚れていたが、手首を覆う袖の形状ですぐ知れた。それは見慣れた衣服。
 物を食べた後、口元を袖拭くのはやめろと、アイツには何度も何度も言っている。
 洗濯のたびに漂白で四苦八苦するから、…よく知っている。この服は、…GH-440、だ。

「あんなところでとはいえ…、ゆっくり寝てたとこ、すまねぇな…」
 彼女に帽子はなかった。この山の中のどこかか…、あるいは全く別の場所なのか。
 探してやろうかとも思ったが…、どうにもならなさそうで、諦めた。
 ゴミの山の中から掘り出した440を、男は体が汚水まみれになるのにも構わず、抱き上げる。
 腹部に、フォトン弾とおぼしき物による弾痕があった。
 かなりひどい。PMは元来かなり強固なシールドラインを装備しているが、
 それが役に立ったとは到底思えなかった。五発ほどの弾丸が腹部に命中し…、
 背中にまで貫通している。…致命傷、だろう、これは。
「ショットガン…、か。恐らく零距離。…むごいことを…」
 思いに男の顔が歪む。…銃口を突き付けての発砲だったとしたら…、
 彼女は、最後に見たであろうその光景に、何を思って…、停止しただろうか。
「…待て。…ショットガン…?」
 ショットガンというのが気に掛かる。それはGH-440の基本装備、だ。
「まさか」
 男は手早く携帯端末からのコードを手繰り寄せると、物言わぬ彼女の首筋の端子に接続し、
 手慣れた動作で端末を操作し始める。
 GH-440保持者の不審死。そして、消息不明になっているGH-440は都合五体。
 もし彼女がその五体のうちの一体だとすれば…、
「…ビンゴだ」
 携帯端末のモニターは、彼女が彼が探していた五体のGH-440の一体であることを告げていた。
 所有者は…、先日不審死を遂げた、あのハッカー気取りのガーディアンズ。

 きつい労働に流れた汗が…、一気に冷えた気がした。

 ここからが…、本題、だ。男の指が端末のキーボードの上を踊る。
 やけにタイプミスが目立ち…、男はやっと、自分の指が震えていることに気が付いた。
 喉の奥がやけに乾いて張り付く。鼓動は鼓膜を叩くほどに高鳴っていた。
 携帯端末は、彼が改めて入力した命令を実行しようとCPUを稼働させている。
 数秒の時を挟み、彼女の遺体から端末が採取した情報は…、

 彼女が…、二ヶ月も前に完全停止しているという、事実だった。
409小ビス子と430 彼女たちの一番長い日22:2007/02/13(火) 23:47:49.23 ID:dQjs5Ln2
 ぽたりと、汚水にまみれた汗が端末のキーボードに落ちる。
 …いた。いたんだ、彼女は。このGH-440は…。
 つい先月、あのガキは毎度懲りもせずにガーディアンズの情報保管庫に不正アクセスをして…、
 俺に取っ捕まえられて、情報局の個室で説教くれられて…、そうしていたら…、

 ――あああああ、申し訳ありません申し訳ありません、私のご主人様がー!
 ――何度言っても聞いてくれないんです! ごめんなさいごめんなさいー!
 ――うわーん! ごしゅじんさまのばぁかぁあああああああああ!

 「いつも通り」、滝のような涙を流して謝るGH-440が飛び込んできて…、

 待て。待てよ。ちょっと待てよ。
 その彼女は、あの出来事の一ヶ月前に死んでるんだぞ…?
 腹に風穴を開けられて、このゴミの山に投げ捨てられていたんだぞ…?

 ――もっときつく言ってやってください! ご主人様、おじさまの話は聞いてくれるみたいですから…。
 ――ひょっとしてと思うのですが、ご主人様はおじさまに会いたくてこんなことをしているのかも知れませんね。
 ――お父様を早くに亡くされているのです。…ふふ、おじさまのことをお父様のように思っているのかも。

 あのガキを通して、あの440とも何度も話をした。
 あの時だってそんな話をした。
 少し照れくさくなって頭を掻いたのを憶えている。
 そんな俺を見て嬉しそうに笑った440を憶えている。

 誰、だよ。…あの時俺の前にいた440は、誰だったんだよ…!

 あ れ は い っ た い 、 な ん だ っ た ん だ ! ?

 膝が、震えていた。
 誰も信じてくれないだろう、愚にも付かない仮説。
 出来損ないの怪談のような、馬鹿げたことだらけの事実。

「バケモノは…、実在する…?」

 早鐘のように鳴り響く鼓動の中、感情の乗らない声でそう呟いて…、

    * * * *

「こりゃあまた随分と捨ててあるもんだねェ」

    * * * *

 唐突に聞こえた遠くからの声に、男は身を竦ませた。
(俺以外に…、こんな場所に…!?)
 随分と錆び付いてはいたが、警備部時代に培った体裁きで、男は一息にゴミの山から
 飛び降りると、近くの支柱の影に身を潜ませる。
 誰も来るはずのない場所だ。こんな場所に来る人間なまともなはずがない。
 声は続いていた。どうやら二人組らしい。…男は身を低くしたまま、耳を尖らせる。

「えーと、スイート・デスに、キャリガインルゥカー…」
「こちらにはコイブミテリが転がっています。…十本ほど」

 どちらも女の声だ。…しかも片方はかなり若い…、というよりも、幼い。
410小ビス子と430 彼女たちの一番長い日23:2007/02/13(火) 23:49:13.98 ID:dQjs5Ln2
「コードはどうだぃ? ご主人サン」
「…全て不正合成品ですね。ここまでくると確認する必要もないくらいですが」
「あれかねェ? 公安部が一斉調査を始めたモンだから、足が付く前に捨てちまおうって
 こぞってここに捨ててったってとこかねェ?」
「十中八九。…今回は随分と多くのガーディアンズが不正に手を出したようですし」
「馬鹿な合成に付き合わされるPMの身にもなって欲しいもんさね…。
 一斉調査を始めて一日と経ってないけど…、随分と酷い話を聞いたもんさ」
「主の違法を己の独断だと言い張るPMも多いようです。
 それこそ…、己の安否も省みず」
「笑い話にもなりゃしない。悲惨過ぎて反吐が出る…」

 男は身を潜めたまま、足音を殺し、声音の元へと近付いていく。
 ガーディアンズで不正合成が横行したことは知っている。
 それの調査員だろうか…?

「にしても、どーにもこりゃタイミングが良すぎじゃないかねェ?」
「と申しますと?」
「ガーディアンズどもはバレンタインシーズンでお祭り騒ぎさ。
 そのお祭り騒ぎに加わろうと、一時停止していたライセンスを復活させたヤツもいる。
 そこへもってこの大規模な不正合成と来た」」
「日頃から、威力装備合成については各種メーカーとガーディアンズ本部との
 癒着が噂されておりますからね。
 積もり積もった不満を爆発させるには…、うってつけの『燃料』でしょう」
「中央管制塔への不正アクセス…、馬鹿ガキのお遊びだったって話もあるが、
 アタシにゃどうも鵜呑みに出来ないねェ。…何もかもタイミングが良すぎる」
「その目的は?」

「さてねェ。どこがどう繋がってるのやら。
 でも…、そーいう『イカれたお遊び』が好きな物騒な馬鹿には、心当たりがあるのさ」
「ところで…」

 二つの声に随分と近付いたところで…、ふと、幼い声の持ち主の声音が、変わった。

「ここにゴキブリが沸くのは知ってるが、アンタは何だい? …ドブネズミかね?」

 …気付かれて…、いたか…。
 隠れていてどうなるものではなさそうだった。声の方向は確実に自分を向いている。
 本当に衰えたものだ。この程度の隠密行動も出来なくなっているとは。…歳は取りたくない。
「わりーな、人間だよ。ガーディアンズ情報局のモンだ。とある事件を調査してる」
 職員章をペンライトで照らしながら、男は柱の影から歩み出る。
 …護身用のハンドガンは装備しているが、今はまだ…、抜かない方が良いだろう。
「おやまぁ、何とも仕事熱心なガーディアンズもいたもんだ」
 改めてその声の持ち主を見て…、驚く。
 PMだ。GH-450。言葉のやりとりからして、二人は上下の立場にある者であり、
 幼い声は大人びた声よりも上位にある者だと思っていたが…、これはどういうことだ。
411小ビス子と430 彼女たちの一番長い日24:2007/02/13(火) 23:49:45.82 ID:dQjs5Ln2
「アンタ…、PMだよな?」
「ま、その辺の解釈は適当にやっとくれ。アタシぁ自分の説明ってのが嫌いなのさ」
 はん、と蓮っ葉に言い切る450。隣にいるのは、ニューマンの女らしい。
 まるで450を主とするかのように、一歩下がった隣で静かに両手を組み合わせて控えている。
 …思い当たる節が…、一件あった。
 ガーディアンズコロニーの裏町を牛耳る女帝の話。
 諜報部も公安部も手を焼く、「ガーディアンズコロニーのガン細胞」と蔑まれる荒くれ者どもを
 一手にまとめているのは、人間でもなければキャストでもなく、ただのPMだという、噂話だ。
 馬鹿げた、それこそあり得ない話だと思っていたが…、
 こうして対峙すれば、あながちホラ話ではないのかも知れないと思う。
 後ずさりしたくなるほどの、異様なプレッシャー。それを、この450は放っている。
「職務熱心などぶねずみサン。見逃してあげるから出ておいきよ。
 ここは日の当たらない場所さね。長くいれば色々腐る。そうならないウチにね」
 引きたいのは山々だ。どうにもコレは相手が悪すぎる。頭の中は警鐘で一杯だ。
 だが…、今の会話の中、彼女たちは聞き逃せない話をしていた。

 中央管制塔への不正アクセス…、馬鹿ガキのお遊びだったって話もあるが、
 アタシにゃどうも鵜呑みに出来ないねェ。

 どうしてそれを知っている…。箝口令の敷かれた事件だぞ…。
 情報局の現場の人間でなければ、本部でも相当に上位の者しか知らないはずだ。
 あるいは、諜報部か、公安部か…。
 だがどう見ても、彼女らがそれに当てはまる存在には思えない。

 いちか、ばちか…。
 胸中で十字を切りつつ、男は切り出す。

「…GH-440の件について調べてる」
412小ビス子と430 彼女たちの一番長い日24:2007/02/13(火) 23:58:31.23 ID:dQjs5Ln2
今日も失礼致しますm(_ _)m
今回は「おっさん」viewです。

次からやっと本筋が動かしていける…、と思いきや、明日もうバレンタイン!?
間に合わない…orz

プロットを見直してみたら、前半部がほとんどおっさんシナリオになっていました。
大好きです、おっさん…w

>小ビス子の外見
実はちょっと前にキャラメイクでつくってみようと思ったのですが、
どうやら私は可愛いビーストを作れない人種のようでした…orz
いつか納得の行く小ビス子が出来たらお披露目したいなぁと思いつつ、
とりあえずは今まで通り「読まれる方の想像の小ビス子」を当てはめて頂ければ幸いですw

今日は投下がたくさんあって賑やかですね!
おふとんの中でじっくり読ませて頂きます!
413名無しオンライン:2007/02/14(水) 00:29:34.27 ID:I1/hgBTc
>>396
思えばうちの420も最初は敬語だったんだよなぁ・・・
何処で変わったのか自分でも覚えてないがw

Wikiは割りと手付かずな部分が多いから編集してもらえるのはありがたい
少なくとも編集あんまやってなくても全くわからない俺がやるよりはいいだろうしw

>>406
>フローリン「ドーピングブラストバッチだ…さあ、この俺から逃げることができるk…」
ギガワロタw

ブラッドリィ覚醒→ワルキャスとワルパシリの合体攻撃→ラブラブ天驚拳とまるでスパロボのような展開だったw

ともあれ長編完結お疲れ様w

>>412
最初バレンタインだったのに話がどんどん派手になっていくなぁ・・・w
そしておっさんの名役者っぷり、バラバラのパーツをよくここまで繋げれるなぁと感心する・・・w

>小ビス子の外見
確か垂れ耳、銀髪、長髪、耳が目立たないってのがかなり前に出てた小ビス子のデータだったかな
一度それをベースに作ってみたけど顔、目、服装の詳細がわからないので結局大まかな部分だけ作って断念・・・orz

まあ何が言いたいかと言うと小ビス子氏のイメージする小ビス子がどんなのになるか楽しみだったりするw
414ヒュマ郎と捨てポコ 前:2007/02/14(水) 01:05:23.75 ID:U20/TFn1
―ホルテス・シティ西地区 オープンカフェ
「ふぅ…最近お客減ったわね…」
紺色の髪に、メイド風のカチューシャをつけた女性が、
カウンターに頬づえをついて呟いている。
「ミッションの大部分は東地区からいくわけだし、今更リニアトレインのミッションする人もねえ…」
「たまに来る客なんて、妙なパシリ連れたガーディアンズだけだし…」
ふぅっと背筋を伸ばし、腰をとんとんと叩く。

タマ「ふにゃ〜〜〜〜! おっぱ〜〜〜〜〜い!」
「んな!?んなああああっ!?!?!?」
がばっと胸に張り付いた小さな猫…じゃない少女。
その少女が幸せそうに自慢の胸(自称)に顔を埋めている。
「た、タマちゃん! ま、またそんなことしてっ!!」
タマ「ふに〜〜〜」
「や、やめなさいってば! もうっ!保護者のあの馬鹿ヒュマ郎は何処っ!?
 どーせどこかの物陰に隠れてヘラヘラ眺めているんでしょ!!」」
なんとか優しくタマを剥ぎ取ろうとしつつ、目的のヒューマンを探す店員。
案の定、リニアトレインに降りる階段の影に隠れて、にへらとほのぼのしてる影が。
「こらーーーー!!そこのヒューマンっ!!貴方この子の保護者なんだからなんとかしなさいっ!」
スビシッ!とヒュマ郎を指差す店員。
ヒュマ「まーまーいーじゃないの〜 スキンシップスキンシップ」
「そんなヨコシマな目で見られるスキンシップがあるかぁっ!! とっとと注文して帰りなさいっ!」
ヒュマ「はいはい。 ん〜〜満足… さて、いつもの頼むわ〜」
そう言って席に付くヒュマ郎。
「はいはい、プリンアラモードと塩水ね」
ヒュマ「…コーヒーな」
「はいはい、解ったからこの子なんとかしてよね……」
タマ「ふみ〜〜」
ヒュマ「おいタマ、今日の保養はおしまいだ。こっちこい」
タマ「うにぃ…………」
妙に名残惜しそうに店員から離れ、ヒュマ郎の向かいの椅子にちょこんと座る。
「はい、お待たせタマちゃん」
タマ「わーい!いっただきまーす!」
ヒュマ「おーい、僕の注文はまだですかー」
「はいはい、ついでにコーヒーね」
ヒュマ「ついでかよ… フーフー ズズズ」
「とっとと飲んでとっとと帰ってよね。営業妨害だから」
ヒュマ「お前な、それが曲がりなりにも店員が客に言う言葉か」
「はいはい、んじゃ、ありあとーっしたー」
ヒュマ「全く、最近の女は…」
タマ「ねー、ご主人〜」
ヒュマ「んぁ?なんだ」
スプーンを口に含んだまま、じっとこっちを見るタマ。
タマ「あのね、それ、おいしい?」
ヒュマ「コーヒーか? 美味いな。それがどーかしたのか?」
タマ「…あたしも飲みたい…」
ヒュマ「いや、お前前にコーヒーやったら苦くて飲めなかっただろ」
タマ「……だってぇ……」
ヒュマ「やめとけ。タマにはまだ早い」
タマ「…………うにゅぅ…………だってぇ……」
タマの目が少し潤んだ気がした。
ヒュマ「なんだよ」
タマ「……ご主人が飲んでるの、あたしも飲めるようになりたいよぅ……」

ブバッ!!

いや、なんだ、コノヤロウ!いきなり不意打ちか!!
可愛いじゃないか健気じゃないかスペック高っけーじゃないかァ!!
ふ、ふははは、いーだろう!その挑戦受けた!!
415ヒュマ郎と捨てポコ 中:2007/02/14(水) 01:06:45.90 ID:U20/TFn1
ヒュマ「わ、わわわかったよ仕方ないな… おーい、コーヒー一つ追加!」
「はいはい解ったわよ」

暫らくして運ばれてくるコーヒー。
タマがテーブルに顎を置き、いつものように警戒するようにちょんちょんとカップをつつく。
ヒュマ「……やっぱ熱いか」
タマ「……うにぃ……  ご主人……ふーふーしてぇ……」

ブフーーー!!!

おっとヤバイぜコーヒーが赤黒くなるところだった。
とりあえず、なんだ、あれだ!やってやろーーーじゃないかァ!

ヒュマ「ったく……し、しししかたねーなー…… フーフーフーフーフーフー   ほらよ」
まだ熱そうなのか、おそるおそる取っ手を摘み、ぺろりと一口舐める。
タマ「に゙が〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
これまた凄い表情。
ヒュマ「やっぱブラックは無理か。ほれ、砂糖とミルク入れてやるぞ」
そう言って二つの容器に手を伸ばす。
タマ「うにぃ…」
ヒュマ「よし、とりあえず…」
蓋を開け、ドババと砂糖を投入。ミルクもあるだけ投入。

パコッ!
ヒュマ「いってーな!なにすんだ!!」
「一人でそんなに使うな!!」
ヒュマ「いーじゃないか! 俺達も客だ! なー、タマ?」
タマ「ふに〜〜あまあま〜〜〜〜」
飽和するくらい投入された砂糖の甘さに満足そうに目を細めるタマ。
ヒュマ「ほらみろ、かわいいだろ?」
「だわね… い、いや、そうじゃなくって!!」
ヒュマ「とりあえず入れたものは仕方ないだろ。勘弁しとけ」
「ったく…」
渋々カウンターに戻る店員。なんだかこっちをジロリと睨んでいる。

タマ「……ねぇ、ご主人……」
ヒュマ「なんだ?」
タマ「……もういらない……」
そういって飲んでいたコーヒーを俺に差し出す。
……相当温くなった砂糖とミルク塗れのコーヒー…………
………………………………残したら……
ちらりと店員の方を見る。
丁度やりとりを見ていた店員も丁度こちらを見る……というかニヤリと睨む。
その視線には「残したら殺すわよ」という確固たる意思……いや、嫌がらせの表情が浮かんでいる。
…………飲むか……
恨めしそうにタマのほうをちらりと見ると、なんだか知らないがこっちを見てワクテカしてやがる。
おいおいハニー、誰のせいでこうなったと思ってるんだい。
仕方ない。これも主人の務めだ…覚悟を決めて一気にあおる。
416ヒュマ郎と捨てポコ 後:2007/02/14(水) 01:07:54.83 ID:U20/TFn1
ごぎゅ ごぎゅ ずぞぞぞぞぞぞぞ
…………おぶぶぶぶぶぶぶぶうううううう
甘い。だだ甘だ。これはコーヒーじゃない。甘い毒物だ!!
それはもう、ひとり眠る夜の夢を熱くする毒薬(ポイズン)ッ!!
ダメだ…到底飲めない…こんなモノはッ!!

ヒュマ「プハーーー」
「お」
タマ「みょ?」
ヒュマ「タマ!」
タマ「ふにっ!?」
ヒュマ「帰るぞ!!」
タマ「に゙ゃっ!?」
呆気に取られるタマのうなじをつまんでオルアカを確保しにいくオンマゴウグの如くダッシュする俺。
「あっ!逃げた!!こらっ!まだ残ってるじゃないの!!」

聞こえない!何も聞こえない!俺なにもキコエナーーーイ!!
そんなオーラを靡かせつつ、ホルテスを疾走する俺。

嗚呼、タマよ、お前と出会って俺はいろいろ得ることができたぞ!
お前との充実した時間!
お前が与えてくれる麗しきシーンの数々!!
そしてッ! この脚力だああああああああああっ!!!


ホルテス西地区に、久しぶりの喧騒が戻ってきた。
尤も、主に絶叫と騒音ではあるが…


おしまい

========
クオリティ高い作品が連発していい雰囲気のところに駄作を投下逃げッ!
( ゚∀゚)ノシ
417名無しオンライン:2007/02/14(水) 15:33:31.79 ID:g+1cQkAr
wikiに黒キャス子シリーズを追加しておきました
いろいろ曖昧ですがorz

皆さんが客観的に見てこうだって思ってる事があればどんどん追加してやってください
418名無しオンライン:2007/02/14(水) 16:38:42.40 ID:L/E/gEVR
>捨てポコ作者殿
いや、スッペク高いと思うぞ・・・色々と
特に「ふーふーしてぇ」、が
419名無しオンライン:2007/02/14(水) 17:55:07.74 ID:hE7FE6hD
俺さ、捨てポコを拾う為に
不自然に置かれた段ボールは片端から開けることにしたんだ。

でもさっき、銃を持った渋いオッサンが出てきたんだ。

段ボールって恐いな…。
420名無しオンライン:2007/02/14(水) 18:02:40.56 ID:eV9BCoyK
よく生きて帰ってこられたな
421名無しオンライン:2007/02/14(水) 18:23:44.80 ID:wFqIOVEz
>>416
これは凄まじい特化パシリ

>呆気に取られるタマのうなじをつまんで
ぶらーんとしてるんだなこれw


バレンタインなんで俺も投下、何か色々書いてたら思ったより長くなった、不思議だ・・・
422名無しオンライン:2007/02/14(水) 18:24:34.82 ID:wFqIOVEz

2月、そろそろ冬も終わり日差しも徐々に暖かくなり・・・ってのはまあコロニーだと関係ないか。
管理官の趣味なのかコロニーではクリスマスや正月などのイベントをよくしたがる。
まあおかげで退屈はしないのだがそんなことに力を入れるくらいならコロニーの管理もしっかりして欲しいもんだ・・・。

さて、2月のイベントと言えばそう、バレンタインデー。
何処の誰が考えたのかは知らないがおかげでコロニーはバレンタイン一色。
至る所に設置されたオブジェに加え商店街ではいろとりどりのチョコを売りに出し女性陣やらPMやらが楽しそうにそれを見て回っていた。

ビス男「はぁ・・・しかしまあバレンタインねぇ・・・」

別に俺はバレンタインが嫌と言うわけではない、
確かにこの時期になると鬱になると言う奴が増えるとは聞いたが俺は別にそういうこともない。
まあ元々こういうイベントには疎いからなのだろうが・・・。

では何故俺がこんな場所にいるか、だが――


  420「ねね、マスター、もうすぐバレンタインデーなんだって!」
ビス男「ん、あぁもうそうんな時期か、早いもんだなぁ」

  420「バレンタインデーってチョコレート貰えるんだよね、今からすっごく楽しみだなぁ〜♪」

間違ってはいない、間違ってはいないがなんだろうこの妙な違和感・・・。

ビス男「・・・一つ聞くがバレンタインってどんなのか解ってるのか?」
  420「えっと・・・チョコ貰う日」

ビス男「それは間違ってない、じゃあ次は『誰』が『誰』から、か言ってみろ」
  420「『私』が『みんな』から?えっとほら、『チョコかいたずらかー!』って言うんだよね」

ビス男「はぁ・・・やっぱり間違えてたな、それはハロウィンでバレンタインとは違う」

聞いておいて良かった・・・今ので善良な市民(特に箱さん)を守れた気がする・・・。

ビス男「いいか、バレンタインデーってのは女性が好きな男性にチョコを送る日であって誰でもチョコもらえるって訳じゃないんだぞ」
  420「えー・・・ずるいー、それじゃ私はチョコ貰えないの?」

ビス男「まあ全く貰えないって事は無いだろうけどな、何処かで聞いた話だと男性から女性へって言うのもあるらしいし」
  420「ほんとに?やった〜!」

嬉しそうに跳ね回る420、相変わらずコロコロと変わる奴だ・・・。
そしてふと頭によぎる不吉な光景。
423名無しオンライン:2007/02/14(水) 18:25:19.35 ID:wFqIOVEz

――この辺妄想

  420「よーっし、それじゃ箱さんからチョコ貰えるか聞いてみよっと!箱さ〜ん!」
  箱「あれ、君はこの前の、今日はどうしたんだい?」

  420「ねね、箱さん、バレンタインだからチョコちょうだい♪」
  箱「え、でもこれは450にあげる分だから・・・」

  420「ぶー・・・いいもん、じゃあカニで我慢するから」
  箱「う、うわぁぁぁぁ!!」

  420「チョコかカニか〜♪」

そしていつか見た光景へ・・・。

――妄想終了


ビス男「はは・・・まさかな・・・」

口では否定しながらも背中を伝う嫌な汗。
一度暴走してしまえば俺の手に追えるかどうか・・・。
それに今度も都合よく450が現れて止めてくれるかどうかもわからない。
もし万が一止めれなかったら・・・
もし万が一450が現れなかったら・・・
・・・もしそうなったら、荷物まとめて420連れて逃げるか、どこか遠くへ・・・。
そうなって欲しくない、そう思いつつも半ば諦めそんなことを考えていた。

  420「よーっし!」
ビス男「うおっ、ちょ、ちょっとまっ・・・」

  420「それじゃマスター、チョコちょうだい、って・・・どうしたの?」
ビス男「い、いや・・・なんでもない・・・」

椅子から崩れ落ちた俺を訝しげな表情で見る420。
全く、寿命が縮んだぞ・・・。
424名無しオンライン:2007/02/14(水) 18:26:20.53 ID:wFqIOVEz

――とまあこんな訳で殆ど強制で420へ贈るチョコを買いに来ているわけだが、
いや420に催促されてわざわざ来ていると言うことに関しては特に問題ない、むしろこれで喜んでくれるなら安いもんだ。
安いもんなんだが・・・

わいわいガヤガヤわいわいガヤガヤ

目の前に見えるのは特設のチョコレートショップ。
普段は空き店舗のはずだがこういう時期になるとわざわざ派手な装飾まで用意して期間限定の店を開く事がある。
その装飾は何と言うかその辺にあるバレンタインの置物をごちゃごちゃとくっつけたような物で中々の威圧感。
意を決して飛び込めばそこはまさにチョコレートの中、420が居たらきっと目を輝かせる事だろう。
他の客は俺を除けば全てが女性、もしくはPMな為非常に肩身が狭い・・・。

別にただ単純にチョコを買うだけなら普通にショップで板チョコでも買えばいい、
だがあれだけ楽しみにしているのに流石にそういう訳も無い。
周りの視線が微妙に痛いが仕方ない、俺は溜め息を吐いて覚悟を決め、様々なチョコが陳列してある棚を見る。

ビス男「ふーむ、しかしこうして見ると色々あるもんだなぁ」

スタンダードなチョコは勿論の事、まるで宝石のように飾り付けられた妙に高い物。
生クリームを入れたとか言う生チョコ、クッキー、チョコケーキ。
中にハッピージュースが入っているハッピーボンボン、こればかりは420に渡すわけには行かない。
後は珍しいので言えば甘辛さが売りらしいスパイシアチョコ、罰ゲーム用か嫌がらせ用ってとこか・・・。

数あるチョコの中からどれなら420が喜ぶだろうか、などと唸る。
やはり少しくらい高い奴の方が良いんだろうか、しかし420はどちらかと言えば質より量、
となるとやはりでかくて安いのか、でも麦チョコとかじゃ絶対怒るだろしなぁ・・・。
などとあれこれ考えている内に気が付けば小一時間、
なんだかんだで結局量と質を両立した結果小さなチョコがごちゃごちゃと箱詰めにされた物を購入し部屋へと戻ったのだった。
425名無しオンライン:2007/02/14(水) 18:26:35.77 ID:wFqIOVEz

ビス男「部屋の前まで戻ったのにまだ甘いにおいが・・・もう当分チョコは見たくないな・・・」

げっそりとした表情で部屋の扉を開ける。

ビス男「ただいまっと・・・420、買ってきたぞ〜」

少し間が空いた後、部屋の奥からパタパタと走る足音。

  420「あ、マスター、おかえりー」
ビス男「ほら、チョコレート・・・って何でエプロンなんか付けてるんだ?」
  420「あ、これ?えへへ・・・ちょっとね」

現れた420はいつもの服の上にエプロン、手にはミトンとおたま、
先ほどの甘ったるい香りが服についていたおかげでさっきまで気付かなかったが奥の扉から漂ってくる甘い香り、このにおいは・・・。

  420「はい、マスターにもチョコプレゼント!」
ビス男「え?」

一瞬どう言うことか解らなかったがすぐに合点が行った。
420は俺が出ている間に普段付けないエプロンまでして台所に篭ってチョコを作っていた。
ひょっとすると俺にチョコ買うように言ったのもその為だったのかも知れない。
チョコを差し出す420手には無数の傷、よほど頑張ったのだろう、
チョコの基板なんてのは無かったはずだからこれは完全に420の手作りだ。
不恰好な包装の中から現れたのは黒い塊、それは俺が先ほどまで見ていた物とは黒さが一回りほど違う気がする。
そしてどこぞの芸術家の彫像を思わせる形状、包装紙を解くと同時に放たれる異臭。
これは・・・チョコ・・・なんだろうか?
そう言えば420がまともに料理をしているところなんて今まで見た覚えが無い。

ビス男「・・・一つ聞きたいんだがこれって材料はどうしたんだ?」
  420「えっと、冷蔵庫の中のもの色々とか」

確か冷蔵庫にショコラくらいは入ってたと思うがそれ以外はまともな食材は殆ど無かった記憶がある。
きっと冷蔵庫の中は殆どのものが無くなり台所は混沌とした状態になっているんだろうな・・・。
などと考えていると420が訝しげな表情でこちらを見てくる。

ビス男「・・・ありがとな、420」

420の頭をゆっくりと撫でる、420は顔を少し赤くしてもじもじと嬉しそうにしている。
この笑顔の為に・・・俺は意を決してその物体を口に入れた。

  420「・・・どう?」
ビス男「・・・うん、美味い」

表情をぱぁっと明るして嬉しそうにはしゃぐ420の姿。
ミッションコンプリート、Sランクだ、俺は・・・やったぞ・・・。
そして俺はやり遂げた表情のまま・・・力尽きた・・・。


次の日の朝刊、一人のガーディアンズが食中毒で病院に担ぎ込まれたと書かれていたのを俺は読むことが出来なかった。
426195のあれ 1/5:2007/02/14(水) 18:32:24.56 ID:UEg57oKR
〜ヒュマ男のマイルーム〜

扉の縁に寄りかかり、部屋主の帰還を待ち続けている中年のヒューマン。
彼の視線の先には440タイプのPM――ルームグッズを眺めつつ、部屋の中を散策していた。

中年ヒュマ「おい、眺めるだけにしておけよ。どこぞの大飯ぐらいのせいで、壊したところで弁償するような金はないんだからな」
440 「心配すんな、おっさん。こっちだって飯が食えなくなったら困るからな」

にひひと笑いながらそう答えた440に、中年ヒュマは渋い顔をして見せた。
手間も飯代もかかるPMだが、何だかんだで彼にとっては可愛い娘だ。
世の父親というものは、大概娘には甘いものであり、彼もまたそんな父親の一人らしい。

440 「しっかし一貫性が無いな〜。もうちょっとマシに配置できないもんかな」

ルームグッズ配置における440の見解。遠慮ない物言いに、中年ヒュマは呆れ顔で言った。

中年ヒュマ「ったく、相変わらず口の減らない奴だな。それくらいにしておけ」
440 「でもな〜、おっさん、これって明らかに拾ってきた物をてきとーに配置してるだけっぽ――」
ヒュマ男「概ねお前の予想通りだ」
440 「!?」

いつの間にか戻っていた部屋主のヒュマ男が突然口を挟んだ。彼の鋭い視線を向けられた440はとたんに怯えだす。

中年ヒュマ「だからそれくらいにしておけと言っただろう?」
440 「も、戻ってた事、何で教えてくれなかったんだよ!」
中年ヒュマ「お前にはいい薬だ。おいアンタ、こいつに言いたいことがあるなら好きなだけ言ってくれて良いぞ。俺が許可する」
440 「ちょ、ちょっと待てよおっさん!」

無慈悲な言葉に440は泣きそうな顔で中年ヒュマを見つめた。だが、中年ヒュマはそんな彼女をニヤニヤと見返すばかりだ。
半泣きの440と、ニヤケ顔の中年ヒュマ。その間に立っていたヒュマ男が、440に向かって言った。

ヒュマ男「そんな顔をするな。俺は気にはしていない」
440 「ほ、本当か?」

思わず問い返す440。ウソをついているようには思えないのだが、それでもヒュマ男の目つきが気になるらしい。

410 「大丈夫ですよ」

そんな中、二人のヒューマンの影から410が現れた。怯える440に優しく笑いかけ、彼女は言った。

410 「ご主人様は細かい事を気にする人でも、ウソをつく人でもないですから」
440 「そ、そっか…」

安心したのかようやく落ち着いた440に、410はすまなそうに言った。

410 「ごめんなさい、帰ってきた時点で声をかけたかったのですが、おじさまに口止めされていて…」
440 「お、おじさまだぁ!?」
410 「あ、はい。おじさまがそう呼べって…」

その言葉に、440は中年ヒュマを指差し、わめくように言った。

440 「あんなのおっさんでいいんだ、おっさんで!」
410 「え?でも…」

困り顔で440と中年ヒュマの顔を交互に見返す410。今の状況を十分に楽しんだのか、中年ヒュマはようやく本題を切り出した。

中年ヒュマ「さぁて、そろそろ真面目に仕事せんとな。というわけで、今からいくつか質問をするからそれに答えてほしい」
427195のあれ 2/5:2007/02/14(水) 18:34:01.36 ID:UEg57oKR
《ヒュマ男の場合》

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

ヒュマ男「以前であれば主人とPM、それ以上でも以下でもない、そう答えただろうな」
中年ヒュマ「ほう…。で、今はどうなんだ?」
ヒュマ男「極まれにだが、今の俺と410の姿が、かつての俺と俺の父親の姿に重なることがある」
中年ヒュマ「つまり、親子関係を意識してるってことか?」
ヒュマ男「どうなのだろうな…。俺と親父の関係は少々特殊だった。今の俺が感じているものが、親としての情なのかは正直分からん」
ヒュマ男「それでも、主従以外に何かを感じている事は間違いない」

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

ヒュマ男「当然ながら俺の視点と410の視点では、同じものを見ても感じ方は変わる。そして、その違いが面白い」
中年ヒュマ「面白い?」
ヒュマ男「そうだ。別の視点から見る事で、同じものでも全く違った印象を受ける。あいつの言葉に関心させられる事も多々ある」
中年ヒュマ「なるほどな…」
ヒュマ男「とは言え、呆れさせられる事も少なくない。まぁ、それも含めて面白い、そう言っていいだろう」

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

ヒュマ男「410の前では多少だが気を張っているつもりだ」
中年ヒュマ「そうなのか?あまりそうは見えんが…」
ヒュマ男「あくまで多少だ。主人という立場上、自分のPMの前で無様な姿を晒したくない、そういう気持ちは少なからずある」
中年ヒュマ「そういうもんか?俺が思うに、変に気を張らん方があの子は喜ぶんじゃないのか?」
ヒュマ男「確かにそうなのかもしれん。とは言え、こればかりは一種の習慣の様なものだ。すっかり染み付いてしまった」
中年ヒュマ「あの子も難儀だな。んで、居ないときはどうだ?」

ヒュマ男「そうだな…410抜きの一人での食事は、どうにも味気なく感じる」
中年ヒュマ「ああ、そいつはわからんでもないな」
ヒュマ男「案外俺は孤独に耐性が無いようでな、誰かしらと関わっているのが好きらしい」
ヒュマ男「そういう意味ではいつも側に居てくれるあいつには感謝している。あいつのお陰で俺は一人にならずに済んでいるからな」
中年ヒュマ「…アンタ、見かけによらず結構寂しがりやなんだな」
ヒュマ男「寂しがりや…か。情け無い話だが、否定はできんな」
中年ヒュマ「なぁに、素直でいいじゃないか。変に意地張ってる奴より好感が持てるってもんだ」
ヒュマ男「そういうものか…」
428195のあれ 3/5:2007/02/14(水) 18:34:57.20 ID:UEg57oKR
《410の場合》

Q1:主従以外にどんな関係を意識していますか?

410 「そうですね、やはりご主人様に相応しい『パートナー』でしょうか」
440 「パートナー、ね」
410 「今はまだ叱られてばかりですが、いつしかご主人様を守り、支えられる様な立派な『パートナー』を目指して頑張っています」
440 「うんうん」
410 「…あとはその…で、できる事なら『人生の』という意味でも、相応しい『パートナー』になれたらいいなぁって…」

Q2:相手から何か学んだ事がありますか?

410 「どんなに困難な状況でも自分を信じ、決して諦めない事…でしょうか」
440 「ふ〜ん」
410 「今思えば、「お前を鍛えてやる」の言葉の元に、ご主人様には無茶ばかりさせられました」
410 「敵の群れに投げ込まれる様な事は日常茶飯事…ディラガンの眼前に一人放置とかもありました」
410 「その上、戦闘中ミスしたからという理由でミッションの周回数が増えていって…泣き言を言ったら更に増やされて…」
440 「うわ〜…」
410 「確かに辛かったです。でも、私のためを思って鍛えていた事は何となく分かっていましたから、辛いなりに頑張れました」
410 「出来もしない事をやれとは言わないのが私のご主人様です。事実、無茶ではありましたが、無理ではなかったです」
440 「…はぁ、よくやるなぁ…」
410 「私も正直よくやれたなぁとは思います。でも、そのお陰で生き延びられた戦いも、確かにありました」

Q3:相手がそばにいる時といない時で精神的にどんな変化がありますか?

410 「そうですね、ご主人様が側に居ると不思議な気分になります」
440 「不思議ってどんなだ?」
410 「えっと、大きな安心感を感じつつも、どことなく気が引き締まって、それでいて、何だか無性に嬉しくて…」
440 「複雑だな」
410 「言葉で言い表すのは正直難しいも知れません」
440 「…まぁいっか。それで、居ない時は?」

410 「居ない時…ですか。結局ご主人様の事ばかり考えている気がします」
440 「そうなのか」
410 「はい。ご主人様、お仲間と上手くやれてるかなとか、また無遠慮な物言いで誰かに誤解されてないかなとか」
410 「以外と世間知らずだし、恥をかいてないかなとか、目つきの悪さで子供を泣かせたりしてないかなとか…」
440 「案外、しょうもない心配をしているんだな」
410 「私のご主人様、戦闘に関しては相当なものですが、それ以外の部分では結構欠点が多いです」
410 「特に女心の分からなさっぷりは異常です。この前もですね――」
429195のあれ 4/5:2007/02/14(水) 18:35:55.67 ID:UEg57oKR
中年ヒュマ「よし、終了だ。手間をかけたな」

主人の方の調査は終了し、中年ヒュマは首を回しながら肩のこりを解した。そんな彼を労うようにヒュマ男は言った。

ヒュマ男「いや、こちらとしても貴重な経験をさせてもらった」
中年ヒュマ「そう言って貰えると助かる。情報部みたいな後方でのんきにやっている連中に、余計な時間を取らされたくない」
中年ヒュマ「中にはそんな事を言ってくる奴もいるからな」

苦笑しつつ中年ヒュマ。彼の言葉にヒュマ男は少しだけ考え込み、

ヒュマ男「のんきにやっている…か。それはどうなのだろうな。少なくともあなたの目は戦う男の目…俺にはそう思える」
ヒュマ男「俺たちには俺たちなりの戦いがあるように、あなたにはあなたなりの戦いがある…違うか?」

中年ヒュマは意外そうな顔でヒュマ男を見つめると、ふいに「ふっ」と笑い、

中年ヒュマ「おいおい、それは買いかぶりすぎだぞ。実際俺たちの仕事なんぞ、アンタたちに比べれば気楽なもんさ」

どこかはぐらかすかのようにそう言った。そんな彼の様子にヒュマ男は軽く目を伏せ、

ヒュマ男「まぁ、あなたがそう言うのなら、そういうことにしておこう」

と答えた。

中年ヒュマ「それにしても440の奴はなにやってるんだ?いい加減終わってもいい頃だろうに」

時計に目をやりながら中年ヒュマは言った。ヒュマ男は壁の方に目をやりながら彼を促した。

ヒュマ男「気になるなら様子を見に行ったらどうだ?こちらでやることはもうないのだろう?」
中年ヒュマ「そうだな、んじゃ悪いがちょっくら様子を見てくる。分かっているとは思うが――」
ヒュマ男「調査はあくまで主人とPM別々。間違えても覗くようなマネはしない」
中年ヒュマ「アンタには言うまでもなかったな」

そう言い残し、別室へと向かう中年ヒュマ。その背を見送りつつ、ヒュマ男は小さく呟いた。

ヒュマ男「中々面白い人物だ。ガーディアンズには、本当に色々な人材が居るものだな」
430195のあれ 5/5:2007/02/14(水) 18:37:50.72 ID:UEg57oKR
410 「――大体、一緒にデートに出かけた相手の目の前で、「デートなんて疲れるだけ」はないでしょうに!」
440 「う、うん」
410 「確かにご主人様には沢山迷惑をかけてしまいました…でも、もうちょっと言い方というものがあるじゃないですか!」
440 「そ、そうだよな」

中年ヒュマが別室にたどり着いた際に見たもの…それは、440を相手に盛大に愚痴っている410の姿だった。
ずっと愚痴を聞かされ、大分参っている440に中年ヒュマは小声で話しかけた。

中年ヒュマ「…嬢ちゃん、随分溜まっているみたいだな」
440 「おっさん、助けてくれ…」

流石に疲れたのか、いつもに比べて幾分しおらしくなっている440に苦笑しつつ、中年ヒュマは410に向かって言った。

中年ヒュマ「悪いんだがそろそろお時間だ。ここいらで――」
410 「ちょうどよかったです。おじさまも聞いてください!」
中年ヒュマ「お、おう?」

止めに入ろうとした中年ヒュマを410は容赦なく巻き込んだ。彼女の妙な迫力に、思わず半端な返事を返す中年ヒュマ。
その様子に、440は小声で彼を責めた。

440 「おい、止めるんじゃなかったのかよ」
中年ヒュマ「いや、なんというかな…」
410 「440さん、おじさま、聞いていますか?」
中年ヒュマ&440「き、聞いているぞ」

そろって返事を返した二人に、410は再び愚痴り始める。
主人であるヒュマ男相手にどうにも強気に出れない410としては、普段たまっている不満をここぞとばかりに発散させているらしい。

410 「――それでですね、大きくて食べづらいからってハート型のチョコレートを真ん中からパキっですよ!?」
410 「あの大きさは私の愛の大きさです!それも分からず真っ二つ、私の心だって真っ二つです!!」
中年ヒュマ「そりゃ〜難儀だったな」

中年ヒュマは適当に相槌を打ちつつ、440に目で合図を送った。410の主人であるヒュマ男を連れて来い、そういう合図だ。
440もまた目で頷き返し、こそこそと移動を開始する、が…

410 「440さん、どこへ行くのですか?」
440 「あ、いや…」

410にあっさりとばれてしまった。思わず口ごもる440に、中年ヒュマはすかさずフォローを入れた。

中年ヒュマ「あ〜、嬢ちゃんの主人のところに調査用のツールを忘れてきてな、それを取りに行かせたところだ」
440 「そ、そういうことだ」
410 「あ、そうだったのですか」

うんうんと頷き、脱兎のごとく駆け出す440。なるべく早く頼むぞ、心の中でそう願いつつ、中年ヒュマはそれを見送った。

410 「それからですね――」
中年ヒュマ「お、おう、どんと来い」

ちなみにこの後、思いっきり愚痴っているところに表れたヒュマ男に、410はこっ酷く絞られるのだが、そこは割合させていただく。
431430:2007/02/14(水) 18:44:06.09 ID:UEg57oKR
>>425
自分もそうだったけど、420って料理上手なイメージさっぱりわかないよね…
それとこんな調子だと、ビス男はますますネタキャラに…
いつぞや合成品の失敗作かなんか食わされてた話もあったような…夢オチだった気もしたけど

>>195
おっさんってなんか書きやすい…
それと440を酷い目にあわせてごめんなさい
この440って普段は「私がいないとおっさんは何もできないんだよなぁ」とか言いつつ、
実際おっさんいないと何も出来ないのは440自身、そんな感じに思える
432名無しオンライン:2007/02/14(水) 18:48:48.25 ID:wFqIOVEz
>>431
410は普段大人しい分溜めうちするタイプ、420は普段から連射連射の拡散タイプ
ってとこかな・・・w
ヒュマ男の410は暴走したら420以上のトラブルメーカーかもしれんw

420は特化ステータスに出来ない分料理ベタにしようかなとしたら案外ぴったりはまったもんでw
>いつぞや合成品の失敗作かなんか食わされてた話もあったような…夢オチだった気もしたけど
あれはビス男の脳内に『怪獣モノメイト襲来』と言う形で残ってると言うのは別の話・・・w


中年もいいキャラだが440もいいキャラだなぁしかし、俺の時は440をネタに組み込ませてもらったけど
あの440は中年の真似してるようで何処か抜けてる感じがするのが何とも可愛い感じだw
433本日酒之日:2007/02/14(水) 20:39:45.24 ID:Y2JI+YNn

「通報しましたから。」
「奇遇だな俺もオマエを通報しておいた。」

切れかけた蛍光灯が高周波の金切り声を上げながら瞬くマイルームでそんな会話が繰り返されていた。
男は持ち帰った紙袋をビジフォンを設置したデスクに立てる。

ゴトっと紙袋が立てた音から中身は硬質のモノだろう。

「まったく・・・・イムフォトンやユピテリンがどうしてモノメイトになる?」
「ヒカウリの基板にクバラ・ウッドを使うあなたが言わないでください。」

「不正合成で通報しておいた。」
「不正合成で通報しましたから。」

男とそのPMの言葉が重なる。

「GRMの人的リソースには限度がある。」
「敵の後方霍乱も重要な任務ですから。」

「そんな知恵、いったい何処で付けたんだか。」
「あなたこそ・・・・。」
「オマエ俺宛のメールを勝手に覗いたな?」
「あなたこそ・・・・。」

・・・・・しばしの沈黙・・・・・

「ところで装備できないアルテリックを合成してどうするんですか?」
「あれか・・・23本合成して1本しか成功出来なかった奴の墓標にしてやろうと思ってな。」
「そうでしたか・・・・・。」

・・・・・また、しばしの沈黙・・・・・

男はデスクに置いた紙袋から一本の酒瓶を取り出す。

「一緒に一杯やるか? 今日はバランタインを嗜む日なんだそうだ。」
「・・・・・ぁ・・・えっと・・・。そ、そうでしたか。」


17年モノのバランタインが置かれたデスクのビジフォンに一通のメールが表示されていた。


前略、ガーディアンズとPMの皆様へ

 私はGH450です。今日は皆様にお願いがあります。
 合成失敗でモノメイト等が出来た時には不正合成としてGRMへ通報してください。
 あるいは、クバラ・ウッドの合成を見かけたときも同様に通報してください。

 彼らが取り締まりに投入できる人員には限りがあります。
           ・
           ・
           ・
           ・
           ・

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ちょっとバレンタインネタを思いついたので・・・・即興にて。
434名無しオンライン:2007/02/14(水) 22:01:01.61 ID:gwcW7MPA
 ノ L.      | :|     |
 \ ::|     .|_|     /)
  ゞ ィ `ゝ、._ _.| _,,...ィ'ハ
../  ,l /.レ'‐-|/ .j -+レハ.'  「黒くて」「甘くて」「固形物」
/〈Θ〉 | ○   ○|ヘj
|/レ/:| | //   //l/l`  ご主人様が上記条件を満たす物が欲しいというので
 |/、/.l .ト、..  lフ ,,イ./、  熟考の末、黒飴をなげつけました
 /ヽ:l l \.` ー.イヽーlハ
435名無しオンライン:2007/02/14(水) 22:21:53.87 ID:T4N62L3U
そう言えば黒かりんとうって見覚えある形してるよな
何か道ばたで見かける感じの
436名無しオンライン:2007/02/14(水) 23:49:27.50 ID:QOz5Fh8D
名作ラッシュじゃああああ!
再び便乗! だが、終わらねえええええええ!
つうわけで分割じゃよ。デジャブとか言うな、気にしてるから。

それはワルなキャストとワルなパシリの物語。

『〜ようこそ、ガーディアンズコロニーへ〜』

モトゥブ発コロニー行きのシャトルから出てくる一人の女性。
まるでモデルのようなスタイルの彼女に、だれもかしこも
視線を向けている。

「ふぅ…何とも小綺麗な所だ…奴が住むには少々もったいないな…」

そんな視線を余所に長い耳をツンと立て、背筋をピンとさせながら、
ヒールをコツコツ鳴らして女は歩みを進めていった。

ワルキャスとワルパシリ〜天敵編・前編〜

「いやぁーわりぃねぇー♪」
「とんでもないですーっ♪ いっつもぉせわになってますしぃ♪」

ワルキャスの部屋に歯が緩みそうな甘い匂いが入ってくる。
これで5件目…ワルキャスがチョコを貰う光景に、
410はカウンターに頬杖をついてため息をもらした。
そんな所にやけに明るいビス子は410にもプレゼントを差し出す。

「はぁぃ、410ちゃんにも♪」
「あぁーあんがとさん…ちっ」
「にゃぅぅ…;;」
「おらてめぇ、なぁに機嫌悪くしてんだコラ。あぁ〜ごめんねぇ〜♪」
「にゅぅう〜…じゃあまたねぇ〜♪」
「じゃぁねぇ〜♪」

グシグシと悪態を見せるワルパシリの頭を押さえながら、元気に誤魔化すワルキャス。
割と気にする様子はなく、ビス子は部屋を後にした。
437名無しオンライン:2007/02/14(水) 23:51:13.37 ID:QOz5Fh8D
「いやー以外や以外…俺もまんざらじゃねぇなぁ〜」
「…明日は頭に隕石にも落ちるんじゃねぇか? ハンッ」

つまらなそうにため息をはく410を見て、
ほくほく顔のワルキャスはカウンターに身を乗り出して顔を覗く。

「なんだー? もしかしてジェラっちゃってるWAKE?」
「うっせバーロー!」
「コナンッッ!」

空気を読まないキャス男の顔に410の拳が飛ぶ。
マスクフェイスをめり込ませながらキャス男はカウンターに突っ伏した。

「けっ! くそが! 毒入りチョコ食ってトロケ死ね!」

怒りが冷めやらぬワルパシリはそのまま部屋を飛び出てしまった。
何とか身体を起こしカウンターに腰を乗せるキャス男。
苦そうな顔をしつつ、軽くため息をもらす。

「つつつ…ちょっとからかい過ぎたな…後で甘えさせてやるか…」

カウンターに頬杖をつき、ワルキャスは綺麗な天井を眺めるのであった。

***

「チクショウが…なんでこんな甘ったるいんだよココは…」

コロニーはバレンタイン一色。
クライズのショップでは特設ブースを設けて、いろんなチョコを売りまくっている。
そこには見かけたことのある450が…
438名無しオンライン:2007/02/14(水) 23:52:58.68 ID:QOz5Fh8D
「いらっしゃいませー。チョコレートはいかがですかー?」
「おーっす!」
「あっ、ワルキャスさんの所の…」
「おうよ。もしかしてバイト?」
「はははは…まあそんな所です…」

やる気がないオーラを全快に出してる450を見て、何かを察した410。
なんとか誤魔化そうと店頭に並ぶ品々を物色し、ある物を見つける。

「お、これなんだ?」

410が見つけたのはチョコはフォトン風のパノンゼリーが添えられた武器型のお菓子。
話を振られハッとなった450はいそいそと商品の説明をする。

「これは人気の『ウェポンチョコ』ですね。武器型なので、
 相手の得意な武器と同じ物をあげるのが通だとか…」
「じゃあ、450はリョウサバエザシ風だな♪」
「えっ!! あの、けっしてご主人様とはそう言った…」
「えー俺はナニも『箱』とは一言もいってないぜぇ?」
「はっっ!」

見る見るウチに顔が赤くなる450をニヤニヤ鑑賞したところで、
槍型のウェポンチョコを指す。

「ほら店員さん。俺にこれ一個な?」
「あっ! あっ…はい、ありがとうございます…あれ…槍型…ってことは…」
439名無しオンライン:2007/02/14(水) 23:56:12.92 ID:QOz5Fh8D
「ばっ! ばっきゃろう! 俺はチョコ好きなんだ ただ、槍型が美味しそうだった! それだけだ!」
「ふふふふっ…」

今度は410の方が顔を真っ赤にさせ、それを嬉しそうに眺めながら、
450はラッピングを終えて彼女に渡す。

「ホントだ! ホントだかんな!」
「はい、お買い上げありがとうございます♪」
「おっ、おうよ…あ、あんがとな…」

しおらしくプレゼントをもらい、軽く会釈して410は帰路に戻る。
その嬉しそうな後ろ姿を羨ましそうに眺める450。

「いいなぁ…それに比べてウチの箱はっ!」
「おいバイト! なにぼーっとしてやがる!」
「はっ! ハイ! ただいま!」
(ああもう! バレンタインと箱のばかああああ!)

***

「らっしゃーい…」
「おじゃましまーす」

カウンターでワルパシリ代りにやる気なく店番をしていたワルキャス。
入ってきたのは己よりも図体がでかく、己よりも肝の小さい青い箱。
その手には、何やら甘い匂いのする小包。
その素敵BOXを確認するや、ワルキャスはカウンターから飛び出した!

「おおぉお! なんだなんだぁ! おめぇも隅に置けねぇなぁ!」
「うわっ! んんん? い、いたいよワルキャスさん」

青箱の背中をバンバン叩きながら、顔がニヤニヤと綻ぶキャス男。
腕を組みながら何度も何度もうなづいている。

「でっ! 450からのラブチョコを俺に自慢ってか! 憎いねぇ〜!
 いや〜…おにいちゃん嬉しいよ! ウンウン!
 もっとストロベリってくれれば、もっと嬉しいがなぁ! クハハハハハ!」

勝手に盛り上がるワルキャスを他所に、箱はおもむろに小包を差し出す。
目の前にいるキャス男に。

「ん? はい、ワルキャスさんの分」
「………」
440名無しオンライン:2007/02/14(水) 23:58:20.01 ID:QOz5Fh8D
しばしの沈黙。固まったままなのが不思議なのか首をかしげて解説をしだす箱。

「バレンタインのチョコレート。あれ? バレンタインってのはね…」
「知ってるわこのボユk重wひぃおうp;おjmぁえ!!!」
「フエエエエエエエエッ?!」

嗚呼なんたる愚行。
ワルキャスは途中から何語をしゃべってるか解らなくなりつつ暴走するのであった。

〜十数分後〜

息を切らしながらワルキャス先生説教タイム。
箱は床に正座をさせられて悪キャスのゆがんだバレンタイン講座を受けるのであった。

「ゼェ…ぜぇ…だから…な? いくら稼ぎ時だからって…450放っておいちゃダメ。おk?」
「はいっ、先生!」
「お前の心意気はもらっておいてやる…が! お詫びに450になんか買って帰れ。な?」
「はいっ、先生!」
「はい…今日はこれまで…はぁ…帰ってよろしい…はぁ…」
「ワルキャス先生ありがとー!」

言うだけ言って胡坐をかくワルキャスに、深いお辞儀をして帰ってゆく箱。
閉じる扉を眺めながら、軽いため息が漏れた。

「…ったく、こまったご主人様をもつと…PMも苦労すんなぁ…」

閉じた扉がまた開く。入ってくるのは女性特有の甘い匂いと凛とした言葉。

「まったく、人様に説法をくれてやるとは…良いご身分になったものだな…」
「らっしゃ……ウワアアアアアアッ!」

***

「…ふふふっ…バキャストめ…これやったらどんな顔すんのかな〜♪」

ホクホク顔の410。その歩みはやけにノリノリである。
自分のマイルームは目の前。だが、その中から聞こえるのはワルキャスと別の女の声。

「…ちっ…また女つれこんで…」

『ちょ…いや…そんな急に…たっタンマ…』
『久方ぶりなのにツレナイな…それとも昔の女など眼中にないか?』
『そ…そーいうわけじゃ…うわっ…ちょ…』

聞こえた声に思わず目を剥き、ロックがかかってる扉に張り付き、耳を押し当てる。
てっきり、ワルキャスが女を襲っていると思っていたが、今回は違った。
むしろ、ワルキャスが襲われている?
事態が掴めないためか、気合を入れて聞き耳を立てる。
441名無しオンライン:2007/02/15(木) 00:00:54.41 ID:QOz5Fh8D
『ほら…もうこんなにトロトロ…お前に食べてもらおうと、前から用意してたんだぞ?』
『わざわざ言うなってもう…恥ずかしいなぁ…』
『可愛らしいな…そういった所は嫌いじゃない…ほら…』
『はむっ…んん…んっ!』
『んぅ…ふふっ…良い顔だなワルキャス…ほら零れてる…ちゃんとなめろ…』
『ちゅる…ちゅ…』
『どうだ…うまいか?』
『…おいしい…です…』
『ふふふふっ…』

「なっ…なっなっ…なあああああっ!!!!!!!!」

怒りと嫉妬で赤くふくれあがるワルパシリ。
プレゼントを床に落とし、代わりにデスダンサーに切り替える。
力を込めながら、目標を目の前にある扉に定めて。

「なにやっとんじゃああああああっ!!!!!!!!」

「ウギャアアアアアアアンッ!」
「っ! んぅ?」

「コラてめぇら! 俺のいない間になにや…って…」

吹き飛ばした扉は物の見事にワルキャスを吹き飛ばし、
その隣にいるニューマン女性は何食わぬ顔。
そして二人の間には小型コンロと2人用の小型鍋。
鍋の中では甘いチョコがお湯に浸かったボウルの中でトロトロにとろけていた。

「…なべ?」
「チョコフォンデュだ。君がこいつのPMか…私の弟が世話になってるそうだな」
「いや〜それほどで…お、弟? ええええええええっ!!」

それはワルなキャストとワルなパシリの物語。

わー日にちまたいじまった。
そしてネタ終わらずじまいイエーイ。
442名無しオンライン:2007/02/15(木) 01:08:47.96 ID:mSDAU7qI
>>441
ワルキャス先生ありがとーw

ゆがんだバレンタイン講座ワロタwどんなこと教えてもらったんだろうww

でも、箱は450をほおっておいたんじゃないぞ!
バレンタインになんの用事もなかったから仕事を入れただけだ!!www
443名無しオンライン:2007/02/15(木) 01:57:55.56 ID:riqNRsTN
ワルキャスの姉ってことはローグス時代の知り合いってとこか
それともまさか本当の・・・?w


>ゆがんだバレンタイン講座
これについてkwsk
444『Last...』その1:2007/02/15(木) 14:51:19.25 ID:ND2QnKH4
>>293
>>「居住区画No21から38。…そん中に、どんだけ『置いてけぼり』
がいると思ってんだ…」
これを見て無性に書きたくなったため投下します。
勢いで書いたため誤字脱字等がありますのでご注意を…。


 本日午前11時より未使用区画となった居住スペースの一部のパー
ジを開始した。
 No.21からNo.38の居住区一帯に1時間前に警告音とアナウンスが
響いた後、地震のような振動が響いた。
 断続的に響く細かい振動と低音は居住区を結合しているロックの
解除音だろう。
 私はその振動と音を感じながら2月前に帰らなくなったご主人様
のベッドに横たわっていた。
 窓に移る星は動いていない。
 まだ完全にパージはされていないようだ。
 ただ現在進行でロック解除は進み時期に完全にパージされてしま
うだろう。
 寝返りを打つ
 ふとベッドの向かいにある写真が目に入った。
 ちょっと意地悪な笑顔を浮かべながら恥ずかしがる私の頭をぐり
ぐりする写真。
 私の一番のお気に入りだ。
 ご主人様が帰らなくなってからこの写真を見るたび涙を流した。
 でも、もうその涙も枯れてしまった。
 ふと他のところはどうなっているのだろうと思った。
 私と同じようにここに残っているPMはどうしているのだろうと…。
 緩慢な動作でベッドから降りる。
 ルームグッズをおいてあるスペースへと歩く。
 ご主人様がいなくなって久しい部屋には冷たい空気が満ちていた。
 「……あのころは暖かかったなぁ」
 思わず言葉が漏れてしまいました。
 だけどその言葉を聞いてくれる人もいません。
 部屋を出る前にもう一度見渡そうと振り返ります。
 「……」
 やはり先ほどと何もかわらない部屋。
 でも、何か持っていきたい。
 ――ご主人様がいたという証を持っていたい
 そういう衝動に駆られ再び部屋の中を歩きます。
 ――どれを持っていこう
 置いてあるルームグッズを見て一瞬迷いましたがすぐさま寝室へ
向かいました。
445『Last...』その2:2007/02/15(木) 14:51:59.86 ID:ND2QnKH4

 「……」
 私の身長には高い机ですが椅子を使い何とか目的のものをとるこ
とができました。
 先ほどのご主人様と写った写真
 思わず力いっぱい抱きしめてしまいました。
 なんだかちょっとだけ気持ちが暖かくなった気がします。
 そうしていると、ひときは大きな揺れが来てバランスを崩してし
まいました。
 「―っ!」
 体を床に打ちつけ痛かったですが抱いた幸いにも写真は傷一つあ
りません。
 ――写真が無事でよかった
 そう思い安堵の息をもらします。
 窓の外を見ると星がゆっくりと流れています。
 どうやら完全にパージされたようです。
 もう完全に手遅れ。
 私の運命は決まりました。
 ――運命ってあっけなくきまるものですね…
 そう思い写真を胸に抱き部屋を後にしました。
446『Last...』その3:2007/02/15(木) 14:53:25.83 ID:ND2QnKH4

 外へ出ると自分と同じ残ったPMがいました。
 数は数えてませんがいっぱいいました。
 皆一つのところへ向かっているようです。
 それに誘われるかのように私の足も自然とそこへ向かいました。
 しばらく歩いた後、皆が向かった場所は各居住区にある噴水広場。
 そこが皆向かっていた場所。
 時期がバレンタインだったため噴水には大きなハートのオブジェクトが置かれていました。
 しかし、電力はすでにカットされているため動くこともなくハートを降らせることもなくただそこにあるだけのものと化しています。
 皆はそこに集まり、まるで暖かさを求めるかのように身を寄せていました。
 私もその輪の中に加わります。
 「…あんたも残ったんだ」
 ふと隣にいたGH-410さんが声をかけてきました。
 「はい…」
 「中には野良になる覚悟でパージ前に他の居住区に移動したり、自殺をしたりするPMもいるらしいけどね」
 「……」
 「ま、あたしはそういったのは嫌いだからね。御主人がいなくなってもあたしはあたしなりにけりをつけたいから残ったんだよ」
 私の覇気のない口調に気を悪くした様子もなく軽いノリで語っていました。
 「あんたも、そういうクチかい?」
 「私は…。私は……っ」
 口に出そうとするがうまい具合に言葉がまとまらない。
 涙も流したいがすでに枯れ果てた。
 ただ、乾いた嗚咽だけしか出てきません。
 「いいよ…。言わなくても。あたしもその気持ちはよくわかるから……」
 そういって抱き寄せてくれました。
 ――暖かい
 こうやって抱かれたのはいついらいだろう。
 そう思いながら最後の時間が近づいてきました。
447『Last...』その3:2007/02/15(木) 14:54:07.93 ID:ND2QnKH4
 どれくらいそうしていたかわかりません。
 でも彼女は私が落ち着くまでずっとそうしてくれました。
 お礼を言うと彼女は「いいってこと。『汝、隣人を愛せよ』ってね」
 ちょっと茶化し気味に笑いました。
 「どうやら、最後が近づいてきたみたいだね…」
 彼女は上を見上げながらそうつぶやきました。
 見上げると青く輝くパルムがすぐそこまで見えていました。
 ――最後にご主人様に会いたかったな…
 そんな私の思いを知ってか知らずかパルムはゆっくりと近づいてきます。
 軽い振動がすると天井の透明の板がだんだんと赤みを帯びてきました。
 大気圏に突入し始めたようです。
 ――これが私の最後

 次第に周囲は赤く灼熱してきました。

 ――皆その様子をただ見ています

 熱に耐え切れず板にヒビが入ってゆきます。 

 ――誰も言葉を発しません

 網目状のヒビ。

 ――私と同じなのでしょう

 蜘蛛が巣を張る様子を早送りにしたかのように急速に広がってゆきます。

 ――たとえ本人がいなくても自分の最後は心の中のご主人様と一緒にいたいと……

 しだいにヒビ増え 
 
 ――抱いていた写真を見る

 最後には天板を埋め尽くしました。

 ――ご主人様

 「私、あなたのパートナーマシナリーはとても幸せでした」

 後はどこか一つが壊れればそこからすべてが壊れる。

 「――今まで」

 ガラスが割れるような音が響いた。

 「――今まで本当にありがとうございました」

 意識が曖昧になってゆく中…
 枯れ果てたはずの涙が流れた気がした。

448『Last...』あとがき?:2007/02/15(木) 14:56:36.43 ID:ND2QnKH4
>>447のタイトルを「その4」と修正し忘れました…

連投申し訳ありません。
誤字脱字多くて申し訳ありません。
誤り尽くしです…。
449『Last...』あとがき?:2007/02/15(木) 14:58:21.21 ID:ND2QnKH4
追記です。
空気読まずいきなりシリアス突っ込んで申し訳ないです…m(_ _)m
450名無しオンライン:2007/02/15(木) 19:00:46.18 ID:u5M5Q2Zp
490b突破
451名無しオンライン:2007/02/15(木) 19:21:24.11 ID:dSKVJiO0
452名無しオンライン:2007/02/15(木) 19:22:11.84 ID:dSKVJiO0
>>449
迂闊にもPSUに帰りたくなった。
正確にはマイルームに帰りたくなった
453名無しオンライン:2007/02/15(木) 19:57:14.63 ID:qsPh8l2t
>>449
このスレに遭遇してなかったらこんな感傷は微塵もなかったんだろうなぁ

今は辞める時はパシリはせめてエクストラに連れてってやりたいって思ってるよ・・・
454名無しオンライン:2007/02/15(木) 20:52:28.07 ID:kVx7RSPm
運営ネタはどうしても悲しい話になってしまうよな…GJなのは変わりないんだが、目から汗が止まらないぜ。
今回の升騒ぎは割と真面目に対策してるから、今後作中のガーディアンズ本部ももっと良い存在になってくれると良いんだが。

>>452
君のパシリはきっと、君の帰りを信じて、
パージ区画に繋がっていた通路(今は壁)の所に座り込んでいるよ…
455小ビス子と430 彼女たちの一番長い日:2007/02/15(木) 23:46:45.09 ID:bNyKB2mq
うわー! 残り8KB!!
結構まとまったので投下しようと思ったのですが、どうにも入り切りません…orz

う、生まれて初めてスレ立てというのに挑戦してみようと思います…!
456名無しオンライン:2007/02/15(木) 23:49:58.24 ID:bNyKB2mq
駄目でしたorz
457名無しオンライン:2007/02/15(木) 23:50:28.78 ID:qsPh8l2t
あれ、いつの間に470超えてたんだ・・・

小ビス子氏スレ立て頑張れ!
458名無しオンライン:2007/02/15(木) 23:51:05.38 ID:qsPh8l2t
と思ったら駄目だったか・・・w

おし、俺もレッツチャレンジ
459名無しオンライン:2007/02/15(木) 23:55:57.94 ID:qsPh8l2t
まさかとは思うが立ったので誘導

http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1171551251/l50

生まれて初めてのスレ立てであった
460名無しオンライン:2007/02/16(金) 00:12:11.77 ID:YDltt+S5
>>459乙。煮込み440をドゾー
    ,..   、
  ,´ノノノヽ)))
  W@;゚ Д゚ノ
   k_〉`イ_!〉
   | ヽ ノ||
   |__Y_||  ぐつぐつ
   从从从从
461名無しオンライン:2007/02/16(金) 08:18:55.52 ID:mAxRrBx8
462名無しオンライン:2007/02/16(金) 10:24:08.47 ID:+eYIQYKK
埋めていこうか。
小ビス子氏が残り8KBと言ってたから、あと6か7くらいかね?

「パパーン! チョコレートですー!」
「…ほぉ」
「いやー、我ながら芸術的な完成度だと思うんです!」
「掛かった金も半端ないしな」
「…」
「ファントムチョコ…なぁ…」

 …

「(脱兎ッ!)」
「テメコラ逃げんなーァッ!」
463名無しオンライン:2007/02/16(金) 15:27:37.11 ID:7EpHEKJT
また懲りずにやってきましたよっと・・・
特に思いついたことを書き殴っていただけなので「苦情は受け付けません!」
言葉の間の沈黙って難しいね。
普段小説とか読まないから自分の勘で書いてるけどさ。
という事で「3点リーダ」(・・・)←コレ が多いので先に謝っておくね。
ごめんなさい!!
読みにくいとは思うけど、面倒だったらスルーでよろしく。
というわけで埋め用に投下〜
464〜幸せの時とき)〜 1/3:2007/02/16(金) 15:29:54.97 ID:7EpHEKJT
─ これはごくごく普通のガーディアンズのお話です。 ─
─ マイルームのベットにペタリと座り込んで今にも泣きそうなPMがいる・・・GH−430である。

『ご主人様今日もまだ帰ってこない・・・どうしちゃったんだろう・・・。私・・・捨てられたのかなぁ・・・(グスッ・・・)』

─ 彼女は主人を見送ってから2週間近く過ぎ、未だに帰ってこないのである。

『合成では特化能力じゃないから合成をたくさん失敗しちゃったからかなぁ。それとも連れて行って貰った時に全然お役に立てなかったからかなぁ。それとも・・・』

─ 時間が経てば立つほど彼女の頭の中では不安になる理由がいくらでも出てきてしまう。何気ない事ですら理由になってしまうぐらいである。

『このままご主人さま帰ってこなかったら私どうなっちゃうんだろうなぁ・・・
 お腹すかして機能停止なのかぁ?それとも本部の人が来て回収なのかなぁ?寂しいよぉご主人さまぁ・・・・
 ご主人さまが居ない間にお店の物が結構売れたんだよ・・・
 ご主人さまが居ない間に合成してたのは成功したんだよ・・・
 ご主人さまが居ない間にいっぱいいっぱい本とか読んで戦闘の勉強だってしたんだよ・・・それにそれに・・・』

─ もう他の人に顔を見せられない位、顔は涙でぐちゃぐちゃになっている状態である。

『ライセンスが切れの場合は後2週間と少しで分かる、それまでに帰って来なけれは・・・』

─ 一番考えないようにしていた事が日が経つにつれ、どんどん大きくなっていくのが分かった。

『・・・・』

─ 泣き疲れたのだろうか、いつの間にか寝てしまっていました。既に半日近く経っていました。

『・・・ん・・・寝ちゃってたんだ・・・・』

─ 目を覚ますが、ルームには自分一人、最近の「いつも」の光景である。

『・・・やっぱり、帰って来てないんだ・・・
 本当にもうダメなのかなぁ・・・ねぇ神様・・・私・・・今後良い子でがんばるから・・・・
 ご主人さまに会わせて・・・ねぇ・・・・お願いだから・・・
 もう、いやだよぉ・・・さみしいよぉ・・・ご主人さまぁ・・・』

─ さすがにいつもどんな時でも一緒にいたご主人が理由も告げずに2週間近くいなくなるのは、この430にとって不幸・・・いや、恐怖以外なにものでもなかった。
465〜幸せの時(とき)〜 2/3:2007/02/16(金) 15:30:57.10 ID:7EpHEKJT
『 ─ ウィーン 』

─ 扉の開く音がする・・・しかしもう430には反応する気力すらないのである。

『ご主人さまが居ないのに、今更がんばっても・・・』

─ と、その時であった。

『ただいま〜』

『 ・ ・ ・ ・ !?(ガバッ)』

─ 突然の出来事である。聞きなれた声が聞こえてきた。

『あら?お店に居ない?寝てるのかな?』

─ ニューマン♀・・・・主人である。

『─ ガタン!ダ!ダ!ダ!ダ!ダ! ウィーン』

─ 隣の部屋からものすごい音を立てて扉が開いた。

『ごじゅじんざまぁ〜〜〜〜!』
『え!?』
『─ガタン!バタン!』
『アイタタタタ・・・・』

─ 扉が開いた瞬間430が飛びかかったのである、その勢いでニュマ子は後ろに尻餅をついてしまったのである。

『ちょ、ちょっと!!どうしたの!?』

─ 突然の出来事に驚くニュマ子、一瞬何が起こったのか分からない位だった。

『ごじゅじんざまぁ〜〜(ヒックヒック)』
『ね、ねぇ?落ち着こう?ね?』

─ そのままの体勢で430を抱きながら頭を優しく撫でるニュマ子
─ しばらくして落ち着いてきたのか、泣く声が聞こえなくなった。

『ねぇどうしたの?大丈夫?』
『・・・・・』
『ねぇなにがあったの?』
『ごべんなざい・・・・ごべんなざい・・・ごべんなざい・・・・』
『え?な、なに?』

─ 突然謝ってくる430に対して、何がなんだか分からないニュマ子

『ねぇどうしたの?謝る理由を聞かせて?ね?』
『合成がんばりま”ずから、戦闘でもお役に立てるようにがんばりま”ずから、それにそれに・・・・』
『え?』
『も”う・・・帰って・・・こないんじゃないかと・・・思ってまじだ・・・・』
『え”え”え”え”え”!?』
『ちょちょっとどうしてなの!?わたしは辞めないわよ?』
『(ヒック)ふぇ・・・・?』

─ お互いに沈黙が流れる、そしてニュマ子が先に口を開いた。
466〜幸せの時(とき)〜 3/3
『あ、あれ?また私やっちゃったのかな?』
『・・・・?』
『え、え〜っと、手紙をね・・・ビジフォンの上に置いてなかったかなぁ・・・?(汗』
『え〜っと・・・無かったはず・・・・です』

─ ニュマ子が気まずい雰囲気になっている。

『ご、ごめんなさい!!』
『ふぁい!?』

─ 突然のニュマ子の謝罪に対して驚く430

『またやっちゃったね。ホントゴメンね?てっきり手紙を書いた「つもり」でいたみたいなの。(アセアセ』
『え?え〜〜〜〜!!』
『ごめんね〜ほんとゴメンね。』

─ 話は一転して今度はニュマ子が謝る状況に・・・・

『な、なんだぁ(グズッ』

─ 安心したのかまた泣き出してしまった430

『てっきり・・・もうお仕事・・・辞めちゃって・・・帰ってこないんだと・・・思っちゃいましたよぉ・・・』

─ 泣きながらも何とか話そうとする430、もちろん言葉なんて途切れ途切れである。

『ほんとごめんね?ほら今バレンタインに模様替えがされたでしょ?
 だからラッピーも変わったのがでるらしいし、それに変わった武器やグッズもあるらしいから
 それをおみやげに持って来ようかと思ったんだけど、これが中々会えなくてねぇアハハハハ』
『う”〜』
『いや、ほんとごめんね、お詫びじゃないけど、またチョコ食べよ?ショコラの材料手に入ったしさ。ね?』
『・・・うん!!』

─ それからは相変わらず調理場にてショコラ・・・・というより作るまでに色々と悪戦苦闘があったとか。

『ん〜甘〜い。おいし〜』
『モギ♪モギ♪モギ♪モギ♪モギ♪モギ♪・・・』

─ お互いに食べながらも顔を見合わせて笑顔になってました。

─ 色々食い違いもあったけれど、最後にはやっぱり仲直りしていた2人。
─ どっちも抜けている所はあるけど、それをお互いに補えばずっといつでもやっていけるよね?
─ きっとまた食い違いがあるかもしれないけど、がんばって。
─ 一緒にいれる事は幸せな事なのだから、後で後悔しなように今を幸せにね。

─ おしまい ─