1 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :
ジョージ系改変の専用スレです。
このスレは「有名な怖い話をクールに反撃しよう」スレッドの別館です。
クールでハードボイルドキャラの私立探偵ジョージとその仲間たちが、
数々の怪談に挑みます。
参加は自由です。
オリジナルキャラクター、設定など、皆で作っていくスレッドです。
作品投下、感想、ツッコミ、アドバイス歓迎します。
ただし、煽り、荒らしはスルーで。
〜おもな登場人物〜
・私立探偵 ジョージ
・探偵見習い マコト
・ベテラン刑事 近藤
・小学校の用務員 悟
・新米警察官 岡島
・アパートの大家 サオリ
・女弁護士 ミキ
・闇医者 毒島
・猫又 ミケ
…etc
2 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/07(水) 08:49:42 ID:nTwFZFFR0
3 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/07(水) 09:01:01 ID:nTwFZFFR0
<人物相関想像図>
注、職人諸氏の意図とは異なる場合があります
悟
↑ ┌愛情・助力―――近
マコト―見習・尊敬 ┐ 悪友|┌尊敬・感謝―→藤
│ | | |│ ↑
世話 | | |│ 尊敬・上司
↓ ↓ ↓ ↓│ |
ミケ――居候――→ ジョージ 岡島
↑|↑|↑
|||||
||||└―知己・好意→サオリ
||||
毒―施術・利用―┘||└―得意先・警戒―→ミ
島――助力―-――┘└――利用・愛情?――キ
<人物相関想像図>
注、職人諸氏の意図とは異なる場合があります
悟
↑ ┌愛情・助力―――近
マコト―見習・尊敬 ┐ 悪友|┌尊敬・感謝―→藤
│ | | |│ ↑
世話 | | |│ 尊敬・上司
↓ ↓ ↓ ↓│ |
ミケ――居候――→ ジョージ 岡島
↑|↑|↑
|||||
||||└―知己・好意→サオリ
||||
毒―施術・利用―┘||└―得意先・警戒―→ミ
島――助力―-――┘└――利用・愛情?――キ
失敗しましたので再挑戦
orz
上手くいかないなぁ…すみませんどなたか修正よろしくお願いします
8 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/07(水) 19:25:43 ID:rRLdmeGn0
このスレを見させて頂いていて、とても面白かったので私も書いてみました!
文章を書くのは初めてなので、下手くそなのは堪忍してください。
俺の名前はマコト。とある探偵事務所で探偵見習いをしている。
まあ給料もろくに出さないくせに、人使いだけは荒い事務所さ。
今日は、先日の合コンで知り合ったA子とのデートをしている。このA子がまたいい女で、
スタイルもよくデートまでこじつけた俺は軽く浮かれ気分だった。
まあ、デートといってもとりあえず飯でも食おうということになってイタ飯屋に入り、
馴染みのBARで何杯か酒を飲んだところさ。
今日はこれでお別れかな…と思っていると、A子から
「もし良かったら私の部屋で飲みなおさない?」
とお誘いの言葉。据え膳食わねば男の恥ということで即OK。
A子のアパートは割合近く程なくして到着した。
「明日はジョージさんに自慢できるな」と思いながら部屋に入り、二人の出会いに再び乾杯し
飲み始めた。
しかし見れば見るほどいい女だ。アルコールが回り赤く染まった頬はA子の艶やかさを
より一層引き立たせた。
「今日は泊っていけるよね?」とA子。やれやれそちらからお誘いの言葉がでるとは…
いがいと遊び人なのか?まあそれならということで、A子の方に手を回しベットに寝かそうとすると、
9 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/07(水) 19:27:02 ID:rRLdmeGn0
>8 の続き
よく見るとベットの下に包丁をもった男が息を潜めているのがチラリと見えた・・・
そうか・・・どうもうまい話だと思ってたら、この女・・・美人局だな!
「なるほど、そういうことか。確かに君ほど魅力的な女性なら簡単に引っかかる男もいるだろうな」
俺がこの言葉をいっても、A子は何のことやらととぼけた顔をしている。とんだペテン師だ。
「君がこんなことをするにも色々と訳があるんだろうな。だがあえてそれは聞かないことにしておくよ。
早く足を洗った方がいいよ。いつかは警察に通報されてお縄に付くことになるだろう。でも、そうなって
からでは遅いんだよ。今日は楽しかったよ・・・おやすみ」
俺はこう言い残してA子の部屋を後にした、本当なら近藤さんに連絡するのだが、なまじA子が
タイプなため今回はやめておいた。これを機に更正してくれればいいが・・・
後味の悪い酒だ・・・俺はもう一度飲みなおすためにネオンの中に足をすすめていった。
>>8-9 個人的にだけどマコトのイメージじゃないなと思った
>>8-9 私も
>>10さんと同じ、マコトのイメージではないと思います。
マコトは俺とはいわないし、雰囲気としては悟かと。
12 :
8:2007/02/07(水) 21:30:18 ID:ZkhdNNWR0
ありゃりゃ〜…まだまだ俺は修行不足っすね。
また思いついたら今度は精度を上げて頑張ります。
13 :
ぽんぽん:2007/02/07(水) 22:05:53 ID:SK7zCsYY0
俺の名前は悟。昼は女子の世話係、夜は女の世話係さ。あ〜ちょっと恥ずかしい。
ちょいと前に知り合った女の子から「家に来てね」とメールが来たのが仕事中の午後5時。
よって仕事はいつもより速く終わらせた。
その子の名前はマイちゃんと言った。今は大学生で一人暮らしだ、その割にはけっこうなマンションに住んでいる。
なんでも最近は残しておいたケーキが無くなったり、部屋が少し荒らされていたりと、誰かいる気がして怖い、と言う。
更にお近づきになれるチャンス。俺は早速彼女の家に上がらせてもらった。
家の中をちょっと見回してみると実に女の子っぽいつくりになっている、ぬいぐるみ等可愛いものもたくさんだ。
しかし寝室だけは違うようだ。ちょっと大人の、ムーディーなとでも表現すればいいのだろうか、そんな感じだ。
アロマが良い香りだ。
その後は一緒に夕飯を食べ、夜のお楽しみの前の儀式をしていた、あんな良い香りで出来るなんて…。
鼻歌交じりでシャワーを浴びていると部屋から男の声がしてきた。ん?男の声?
「うん、風呂に入ったわ、後は手はず通りでグーよ」
「毎度毎度えげつない事やってるな、マイ。」
「だまされる方がバカなのよ。あのおじさん、ああごめんおじいさんだったかしら?」
「まあ、奪ったお金で楽しもうぜ」
最後の方は何を言っていたか聞いていなかった。バスタオル一枚で出て行った俺は二人に折檻の限りを尽くした。
ごめんなさい?聞こえねえよ!このやろう、折角仕事をがんばって終わらせたのによう!
やっぱり身の丈にあった幸せがいいな、行きずりなんてこりごりだ。
元ねた洒落コワPART5「下男3」
前スレより抜粋。
14 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/07(水) 22:09:57 ID:53wjHey60
只今戻りました^^; なんか中途半端のまま放り出してすみません >>ALL
相関図…悔しいなぁ、なんで半角が認識されないんだろうorz
>>8 キャラクターはともかく“そんな感じ”のスレなんです^^
次回作も期待していますねb
>ぽんぽんさん
前スレに感想書いてもすぐ消えてしまうのでこちらで
「てめえじゃねえ」…まだ居たんですねぇ(笑)
あと、グーって…いつの時代の言葉ですか(笑)
<人物相関想像図>
注、職人諸氏の意図とは異なる場合があります
悟
↑ ┌愛情・助力―――近
マコト―見習・尊敬 ┐ 悪友|┌尊敬・感謝―→藤
│ | | |│ ↑
世話 | | |│ 尊敬・上司
↓ ↓ ↓ ↓│ |
ミケ――居候――→ ジョージ 岡島
↑|↑|↑
|||||
||||└―知己・好意→サオリ
||||
毒―施術・利用―┘||└―得意先・警戒―→ミ
島――助力―-――┘└――利用・愛情?――キ
上手く表示できるようになったので、こちらにも投下
16 :
ぽんぽん:2007/02/07(水) 22:47:03 ID:SK7zCsYY0
わかりました。他の二つはこちらに落とします。
17 :
ぽんぽん:2007/02/07(水) 22:47:48 ID:SK7zCsYY0
私の名前はクロ、部屋でぬくぬく、まさに温室で育てられた犬です。
私の目の前にいるのは飼い主の悟さん、なにやら机の上のチョコらしきものを見て頭を抱えております。
ちょっと目を離せば食べてしまうのに、私のマスターはそんな暇さえ与えません。
「赤い目…?赤い手…?一体何なんだ?」
この台詞を十分に一回は言っている、悟さん時間掛けすぎですよ、仕事はいいんですか?
ん?ドアを誰か叩いてる、あ、この香りは涼子先生だ。撫でられると気持ち良いんだよな、安らぐから。
あれ、先生どこ行くんですか?あ、先生の隣ですね。最近なんかあったんですか、そんなにぴったりとくっついて。
ところで悟さんを見るのはかまいませんが合間になんでチョコ見てるんですか?
「美味しそうですね、このチョコ。じゃあもらいます」
そう言うと口の中にチョコを放り込んだ。あっけに取られる私とマイマスター、僕だって食べたかったのに。
まあ、でもこれで悟さんの疑問も解決しそうですね。僕は欲求不満ですが。
「悟さん、このチョコ…」
さあ何でしょう、何なんでしょう。
「体がぽかぽかしていい気持ちですね」
へえ〜なるほど、徐々に温まっていくんだ〜、犬にはわからないな、毛に覆われてるから。
あれ?涼子先生もう帰るんですか?また来てくださいね〜。
「まさかさっきのチョコ…ガラナ?だからか〜、へ〜。可愛いな、先生」
悟さん、ガラナって何ですか?教えてくださいよう。
「ああクロ、犬が食うもんじゃないぞ。ほら、ぺディグリーやるから」
教えてくださいよう。噛み付きますよ。
元ねた、洒落コワpart5「チョコ」
18 :
ぽんぽん:2007/02/07(水) 22:48:42 ID:SK7zCsYY0
私の名前はミキ。一応弁護士と言うものをやってるわ。
仕事の後の一杯は美味しいけど相手にも寄るのよね、ちょうど今はそんな感じだわ。
氷が溶けてグラスに当たる音と私のため息が重なる。全く、何でこんな男に捕まっちゃったのかしら。
その男は私の隣でスコッチを飲んでいる。しかし、何杯も飲んでいるのに全く酔ったそぶりは見えない。
”あなたのその姿に惹かれました。すいませんが少し時間を取らせていただけませんか?”
ナンパの文句としては物凄く丁寧な部類に入るだろう、たいていの女ならば少しの時間は取らせてしまいそうだ。
私も取られてしまった。失敗だった…。
その男はノブヒロと言った。年齢は50と言ったが白髪がなく、髪も生え揃っている所為か年齢を感じさせない。
職業は画家と言った、まあどうとでも偽ることが出来るからね、職業なんて。
”とりあえずアトリエに来てくれませんか?”どうやらそれが本題らしいね。でもごめんね、私はそれほど暇な身じゃないの
まだまだ仕事が入ってくるんだから、これでおさらばするわ。
なに?まだ言いたいことがあるの?悪いけどこれ以上は時間を取らせられないの、言いたいことがまだわからないの?つまり
「『てめえ』に興味のある女『じゃねえ』!!」
こう言いたいわけなの、じゃあさよならね、御代は此処においていくから。
数日後、その男が別の女をナンパしていた。なあに、別にどうとでもないわね。
元ねた。怪談新耳袋第七夜『ノブヒロさん』編
pDOGさん新スレ立て&AAズレ修正乙です。
いや、心底スマンカッタ。一週間後に意見集約するつもりが容量超え。
もっと練ってから貼るべきだった。
相関図はAAズレだけでなく語がしっくり来ないままで貼ってしまった。知己とか。
警戒の根拠も
>>31で「とびきり鋭い棘」、
>>498で「……今度は何を企んで」しかないし。
おすすめ作品集は、キャラ別と作者別を作れば面白かったかも。
両方を含めて十程度にまとめる計画自体に無理があったみたい。
>>186は合ってた。サカナのリョウメンスクナ君でなくスルーされた「お前だ」君を題名にした。
あと28はメリーさんでは?
特に2ちゃんねるにURL載せるのは控えたほうがいい
…その通りだ。吊ってきまつ。
20 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/08(木) 00:08:34 ID:1AmbR9+z0
>>19 言われて見れば^^; あの
>>186は「お前だ」が話の筋でしたよね。
干物のインパクトが強くてすっかり忘れ(ry
私も吊ってきまつ
あらためてぽんぽんさん乙でした。
実は前スレこんなに早く埋まるとは思っていなくて、のんびり次スレの相談でもしながら次を書くかぁ、
とか悠長に構えていましたので、次の話はまだ一文字も書いていませんorz
と、いうわけで
書き手さん募集age
このスレは誰でも参加おkです
新キャラ作っても新設定作ってもおk
コテハンじゃなくてもおk
短くてもおk長くてもおk
皆様気軽に参加してください^^
前スレ519さんとか、帰ってきてくれないかなぁ
21 :
1/2:2007/02/08(木) 01:07:16 ID:lhEvM2mm0
僕の名前はユウスケ。民放のテレビ局でADをやっています。
あ、ADとは言っても、まだ入社して1年程度ですし、都合のいい雑用係みたいなものですけどね。
それでも短いドキュメンタリーとかでは、撮影を任されたりするんで、上司には気に入られてるみたいです。
で、今はストーカー被害のドキュメンタリーを撮ってる最中なんですけど……なんだか雲行きが怪しいんですよね。
毎日のようにノゾミさん――ストーカー被害に遭われている女性です――のマンションの部屋の前にやってきて、激しいノックと怨みのこ
もった手紙を置いていくストーカーは、僕らの取材で明らかになったのですが、既に亡くなっているらしいんです。
取材に同行しているフリーライターの筒井さんが、その事実を告げるとノゾミさんは怯えて泣き出してしまいました。
そりゃそうです。現に今だって、玄関の方からは鉄扉を激しく叩く音が聞こえてくるんですから。
彼女がどれだけ不安で、どれだけ怖がっているかがファインダー越しにひしひしと伝わってきます。
泣いて、叫んで、意味不明のことを喚き散らしている彼女の姿は、本当に痛ましく、目を背けたくなるほどです。
「……今の彼女の発言。録音できました?」
筒井さんが、急に聞いてきました。
どうやら彼女が喚いていた内容を録画したかどうか知りたいようです。
僕がVTRが回っていることを告げると、彼女は満足したようにノゾミさんに背を向けて部屋を出て――
22 :
2/2:2007/02/08(木) 01:07:47 ID:lhEvM2mm0
いこうとした所で、呆然と立ち止まりました。
当たり前ですよね。
逃げているはずのストーカー役の共犯者が、傷だらけで部屋の中へ連行されているのですから。
「あんたが筒井さんか。この男は全部吐いたよ」
ストーカー男の腕を捻り上げながら部屋に入ってきたのは、以前、ある仕事でお世話になった探偵のジョージさんでした。
中学の同級生だった友人から彼の話を聞かされてましたけど、確かに噂に違わぬ腕利きです。
彼はストーカーのA氏が亡くなっていることだけではなく、そのA氏が筒井さんの実の兄だという事までも突き止めてくれたのですから。
つまり、このストーカー事件は筒井と共犯者によるノゾミさんへの復讐劇だったわけです。
二十分後、通報で駆けつけた刑事さんに筒井と共犯者は逮捕されました。
逆恨みからの犯行ですし、やり口も悪質ですから実刑は免れないでしょう。
笑顔が戻ったノゾミさんは、僕らスタッフやジョージさんに何度もお礼を言ってました。
ジョージさんは「礼を言われるようなことじゃない」と言ってましたけど、その点は僕も同感ですね。
だって、愛する人を守るのに理由なんて要らないでしょう?
もう怖がる必要なんて、ないんだよ……ノゾミさん……
元ネタ:放送禁止「ストーカー地獄編」
ttp://www.geocities.jp/swfblog/kinshi/4.html
24 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/08(木) 23:33:00 ID:5ZMI1m8W0
>>21-22 乙でした。519さん…だよなぁ…
あらためて最初の「放送禁止」も519さんの作品ですよね^^
やっぱり上手いし面白い。私も頑張らねば^^
25 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/11(日) 00:55:35 ID:eRx/yHox0
保守ageついでに小ネタ
「センセ、次の患者さんですわ。」
「ふむ、名前はカシマレイコ、か。どれどれ手と足と首をつけて欲しいとな。
ふむ、剣が出てくるのがいいか、銃になるのがいいか…膝はバズーカかの。
ふひひひ、楽しみじゃワイ。加速装置もあるぞぃ。」
「センセ、今日は妙に鼻が大きいですわ(ry」
最近、毒島&口裂けコンビがお気に入りです^^
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
時にはヤバイ依頼も舞い込んで来るが、今回のは少し不可解な代物だった。
「病室に響く謎の歌声…?」
俺の問掛けに頷く依頼者を見、心の中で「またか」と呟く。
またか…今回の依頼は二度目だし、しかも立場は違えど同じ人物がらみの依頼だ。
それに…
俺は心霊や怪奇現象とかの類を一切信じていないのに、最近そういう類の依頼ばかり来やがる。
「自己責任」とか「廃ビルに消えた撮影隊」とか…おかしな依頼ばかりだ。
おまけに、そう言う物の裏には決まってどす黒い闇の世界の片鱗が混じっているのだ。
だから数時間前に同じ事を依頼しに来た大病院の院長には警戒して帰って貰った。
別に信用していない訳では無いが、念の為と言う事だ。
だが、今回の依頼者は被害者と思われる男性の家族…しかも、被害者の死は病院の陰謀とまで思い始めている。
別に病院の肩を持つ訳では無いが、こう言うのは事態をハッキリとさせないと、後々お互いの為にならない。
結局、この依頼を受ける事にしたのだ…
車に乗り込む準備をしながら今回の依頼を軽く整理する。
被害者と思われる人物は青年、感染系疾患の末期患者。
感染が発覚してから隔離病棟の一室にいたが、その疾患は末期には感染能力を失うと医師から説明されても周囲の反発にあってずっと隔離されていたらしい。
被害者の家族は「隔離継続は病院の陰謀」と考えているらしいが、今は考え無いでおこう。
死因は病死と説明された…その疾患の最期は眠る様に死ねるらしい。
生憎病気の知識は無いので、これに関しては後で毒島に訊くしか無い。
そして、事件の経緯…今回の依頼のメインはこれの検証だ。
夜の十時頃、巡回中の看護婦が被害者の病室から聴こえて来る歌声に気付いたらしい。
声が被害者の物では無かった事に気付き、面会を許されていないのに被害者以外の誰かが病室にいると知った看護婦は医師を呼びに行ったらしい。
医師を連れて戻って来るまで十数分、その間に誰かが出入りしたかは分からないそうだ。
そこが分からないのは悔やまれる事だが、医師達が到着した時には既に被害者は死んでいたそうだ。
眠る様に、安らかに…
歌声の謎さえ無ければただの病死だ、俺の出る幕は無い。
だが、歌声の他にもう一つ不可解な物があったので俺に依頼が来た。
それは被害者が持っていた携帯…発見当時は枕元に置いてあったらしいが。
一旦区切ります…バイトがι
30 :
21:2007/02/11(日) 22:43:18 ID:XZNehiWL0
感想ありがとうございます。
前スレの放送禁止は自分ですが、前スレ519は自分じゃないですよ。
IDとか変わっちゃってるんで信憑性無いですけど。
これだけでは寂しいんで、短い話を投下しておきますね。
31 :
21:2007/02/11(日) 22:44:05 ID:XZNehiWL0
俺の名はジョージ。人情が錆付いた都会の片隅で探偵をやっている。
どんなに糞ったれな街でも朝は必ずやって来る。
乾いた朝陽が差し込む窓際のデスクに腰かけ、バタートーストにかじりついた。
新聞を片手に、年代物のテレビのスイッチを入れる。仕事が無くても情報収集をするのは探偵としての日課だった。
情報をおろそかにする奴は探偵として二流だぜ――
アメリカにいた頃、コンビを組んでいた奴が口癖のように繰り返していた言葉だ。
少なからず、俺はアイツの影響を受けているのかもしれない。
感傷に浸っている間にも、テレビは次から次へと出来事を語ってゆく。
『本日の犠牲者は――』
『大型タンカーが座礁――』
『麻生外務大臣が秋葉ジャック――』
起きてしまった事、避けられなかった事、これから始まる事。
だがどれもニュースは暗い話題ばかり。21世紀だってのに世の中は血生臭い事件で、いっぱいだ。
……哀しいことだよ、まったく。
嫌気がさした俺は、海外のニュースにチャンネルを合わせた。
画面に映ったのは若い女性レポーター。
「ただいまから流血事件をカラー映像でお送りいたします」
……ここもか。
俺はうんざりとした気分でチャンネルを変えた。
バタートーストは残り半分。
はなまるマーケットが始まる頃には、マコトも出社してくるだろう。
それまで、みのさんの顔でもぼんやり眺めているとするか。
元ネタ:洒落怖Part51より『ニュース番組』
32 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/11(日) 22:56:43 ID:bAq9KVBB0
ちょwここで「続く」かよww
麻生がぁ麻生がぁぁGJ
失礼、
>>32は鴉氏へのレスね
21氏(いいのかな)も乙
上手いよなぁ、俺も前スレ519氏かと思ってたよ
ジョージのアメリカ時代wktk
35 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/12(月) 01:53:08 ID:XiTIAmPt0
あら^^;
>>21さんと519さんは別人でしたか、失礼いたしましたorz
上手い書き手さん多いなぁ、これは私ももっと頑張らねばっ(ぐっ
ジョージの昔の相棒、私もwktkです^^b GJ!
36 :
21:2007/02/12(月) 03:12:10 ID:qwRW4r940
なんだかwktkしてもらえたみたいなんで、もう一本投下します。
……てか、気付いたら、もうこんな時間だし。
では、皆さんおやすみなさいませ。
37 :
21:2007/02/12(月) 03:13:20 ID:qwRW4r940
俺の名はジョージ。相棒と事務所を開いたばかりの、駆け出しの探偵だ。
摩天楼の名に相応しい高層建築が建ち並ぶ街、ニューヨーク。
人種の坩堝と呼ばれる国の、その経済の要であっても、探偵の仕事はたいして変わらない。
結局のところ、素行調査か浮気調査が飯の種だった。
特に俺たちは開業したばかりで実績も信頼も少なすぎる。依頼を選り好みしている余裕なんて無い。
……だから今日も俺は、ブロンドの人妻の尻を追っかけてるってわけだ。
尾行を開始してから2時間後。ターゲットの女性はアラブ系の男に、なにやら話しかけられていた。
ナンパだろうか。誘いに乗るようなら、浮気の現場として証拠を撮らねばなるまい。
彼女との距離が開いているため、何を話しているかは聞き取りづらい。
通り過ぎる振りをして、俺は二人の会話に耳をそばだてた。
「世界貿易センターなら、この先の地下鉄で――」
「ああ、助かりました。貴女は親切だからお礼に良い事を教えてあげましょう」
……なんだ。単に道を教えていただけか。
どうやら彼女に浮気の事実は無さそうだ。報告書には、そう書くとしよう。
俺は上着のポケットから煙草を出して火をつけた。
しかし、あのアラブ人。なんで、9月11日は貿易センターに行くなって言ってたんだろう?
38 :
ぽんぽん:2007/02/12(月) 03:42:55 ID:6H3endyx0
悟関係投下します。
皆さん上手だな、うらやましく思う今日この頃。
39 :
ぽんぽん:2007/02/12(月) 03:44:26 ID:6H3endyx0
俺の名前は悟、用務員なんて時代遅れな仕事をしている。まあなんとこの仕事の自由なこと。
この前ジョージとのみに行った時のこと、久しぶり、と言うこともあって昔話に花が咲いた。
そしてどんどん進んでいくにつれアキヒコとの話、そして奴はこんなことを洩らした。
「そういえば、お前の性癖はあの時開発されたんだよな?確かその、年下好きっていうやつか
もともと女好きだったということはわかっていたが…」
年下好き…もともとじゃなかったか?、いや、あの時だ。そうかあのときか!
しかし断片的な記憶しかなかったのでジョージに聞くことにした。
「まあ覚えていなかったのも無理は無いな、しかしさすがに引いたぜ」
今は昔、俺とジョージとアキヒコで川原で一日過ごしてみようということをしたのだ。誰が言い出したのかは
ジョージも覚えていない、俺だって此処までは覚えている。
ジョージの話によると、着いた後は各々が役割分担をしていた、俺はテント、ジョージは飯、アキヒコはそのほかの雑務
を担当。飯はそんなにうまくも無かったが不思議と食っていて不快さは無かった。
40 :
ぽんぽん:2007/02/12(月) 03:45:04 ID:6H3endyx0
その後はちゃんと後片付けをし、テントで寝ていた。そしたらテントに石が当たってくる。
そのうちテントを突き破るんじゃないか、そう思って俺はジョージと出た、アキヒコは寝ている。
外に出て川原の対岸を見ると女の子、年は奈津子より二つ下って所だろう、その子が石を拾っては投げ拾っては投げ
を繰り返していた。ジョージは既に逃げたようだ、アキヒコを起こす声が聞こえる。
その子が急に俺の前に来た、何か言いたそうな顔をしている。しかしそれよりも可愛いと言うことに目が行った。
そこから先は覚えていない、かろうじて思い出せることは女の子がちょっと嫌がっている声が聞こえたことと
ジョージとアキヒコが止めようとして俺を殴ったことだ。そのときの傷はまだある。
どうやら今日の飲み会は此処で終わりらしい。俺とジョージはバーの前で別れた。
今日はそのまま家に帰ろう、歩いていると聞こえてくる足音、音からして背は小さい。
「たまたま話したからって憑いてくるなよ、もう昔だろが」
だって寂しいんだもん、そいつはそう言って着いてくる。さすがに自宅まで入れるわけには行かないので立ち去ってもらった。
そのときに月1で会うという約束を交わしたのはまずかったかな。
元ねた新耳袋十夜「河原の子」
41 :
ぽんぽん:2007/02/12(月) 03:45:42 ID:6H3endyx0
私の名前はクロ、今ではこの学校の番犬を勤めています。
今は悟さんが買い物から帰ってくるまでのお留守番です、いや〜此処ってたくさんの人が訪れるんですね。
小学生だけでなく先生まで、でもたまにちょっと体の透けた人が来るんですけど、でもまあいいか。
遅いですね、悟さん。何をしてるんでしょうか餌もあげないで、道草食ってたら噛み千切ってやる。いや、草をだけどね。
そんな風にちょっといらいらしてたら聞こえてきたのは「ハァハァ」と言う息を切らした声。
「くっ、クロちゃん、早く来て。悟さんが、悟さんが」
困った様子で僕に助けを求めるのは涼子先生、とりあえず火急の用事のようだった。
急いで駆けつける先生と自分、あれ、先生大丈夫ですか?なんなら乗りますか?多少ゆれますけど。
「有難うクロ、ちょっと重いかもしれないけど頑張ってね」
人一人くらいなら余裕ですよ、大型犬をなめないでください。でもゆっくり行こ、振り落とすとまずいし。
現場に駆けつけると悟さんが夢遊病者のような足取りで歩いている、ああ、涼子先生が驚くのもわかるなあ。
「悟さんが、突然あんなふうに。買い物のときは大丈夫だったのに…」
へ〜いきなり〜ってあんたら二人で買い物行ってたんですか!遅くなるのはその所為か。
さ、行きますよマイマスター。む、なかなか動きませんねじゃあもっと力を入れて…フン!
よし出来た、頭を打ったみたいだけど大丈夫か、そのまま連れて行くか。
「おいクロ!俺はもう大丈夫だ、離せ!って言うか引きずるな、いてえ、助けて誰か〜」
何が大丈夫ですか、餌もあげないで女とちゃらちゃら買い物ですか、ふざけないでください。
おかげで腹ペコですよ。全く、涼子先生も先生です、でも撫でられると気持ちいいから許しちゃう。
「そういえば餌をやるの忘れてたな、ほれクロ、いつものペディグリーだ」
やっぱりペディグリーはいいですね、でもそう考えるとあんまり痛めつけるのも駄目なのかな。
悟さんがいなくなるとどうなるかわからないし。今回はたいしたことが無くてよかった。
元ねた新耳袋第九夜「迷走」
42 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/13(火) 00:06:28 ID:FSdXmADl0
21さん(決定ですか^^;)、ぽんぽんさん乙でした。
まだ名前も出てきてませんが相棒も気になります。
マコトとコンビじゃない「もうひとつのジョージ」もいいですねー
ぽんぽんさんも実はだんだんレベルアップしてると思いますよ^^
あせらずマイペースでb
43 :
プロローグ:2007/02/13(火) 00:19:24 ID:x1SsxA8w0
─セピア色の時間
少年は泣いていた。
少女は少年の頭をやさしく撫で、
そしてゆっくりと、包み込むようにその身体を抱きしめた。
「タカト。」
少女は少年の名前を呼んだ。
おねえちゃんが守ってあげる──
ずっと守ってあげるから──
そしてもう一度、少女は少年の名前を呼んだ。
二人はそっと抱き合い、その小さな身体を支えあった。
それは遠い日の、二人の淡い誓い──
「河野タカト…だな。」
俺の言葉に奴は身を強張らせた。
新宿、大ガードの下は今日も排気ガスと舞い上がる埃で薄く煙っている。
何故か落ち着く喧騒と、絶え間なく続くアスファルトの削れる音の中で、
俺はターゲットである河野タカトを見つけた。
快晴の天気にも関わらず、薄暗い影の中に漂う饐えた臭いは夜のままだ。
「河野由美の依頼で来た。警察じゃない。」
姉の名前を出すとほんの少しだけ、タカトの瞳の色が緩んだ。
「警察じゃ……ない?」
「河野由美が待っている。一緒に来い。」
姉の名前にタカトは反応する。
抜き身の日本刀のようなその危うさに、僅かに穏やかな表情が戻る。
俺の呼びかけはうまくいくかのように見えた。
だが、追われる野犬はすぐに警戒を取り戻し、その牙を剥いた。
俺の後ろから警官が、奴の名前を叫びながら駆けて来たからだ。
なんてタイミングの悪さだ。
「騙しやがって……。」
奴の目には激しい怒りと悲しみが浮かんでいた。
タカトは少しずつ俺との距離を離し始めた。
45 :
犬神 2/10:2007/02/13(火) 00:21:25 ID:x1SsxA8w0
「どいつもこいつも俺を追い回しやがって。」
タカトは顔を赤らめ、いきなり興奮しだしたように見えた。
まるで何かの発作だ。怒りをコントロールできない子供のようだ。
「俺が“犬神”だからか!そうなのか!」
タカトは力任せに立て掛けてあった看板を蹴り飛ばした。
通行人が振り返る。
ちくしょう。マコト、逃がすな。
俺の合図で背後に回っていたマコトが飛び掛る。
同時に俺も奴と向けて走り出した。
河野タカトを捕まえてオマワリから逃れる。一瞬の勝負だ。
だが奴はマコトが手を伸ばして捕らえようとしたその刹那、
あり得ない跳躍を見せて目の前から消えた。
ガード下の剥きだしになった鉄骨に指を掛け、さらに遠く飛び上がる。
そのまま高架の上へと姿を消した。
呆気に取られている俺たちを尻目に見事な逃げっぷりだ。
鮮やかに追跡を振り切ったタカトを追って、警官が慌しく無線で連絡を取っている。
俺たちも姿を消すことにした。
これ以上ここに留まっていてもろくなことはないからな。
俺の名前はジョージ。獲物に逃げられた間抜けな猟犬さ。
幼い少年と少女。
「ねぇ、なに、それ。」
手の中の小さな命。
白く震える“それ”は一見してまるで小さなハツカネズミのようにも見える。
「かわいいー。」
その言葉の主もそう思ったようだった。でも、“これ”は違う。
「かわいいでしょ。でもね。」
笑顔の中に幼い狂気が混ざる。
その小さな両手が白い命を掴む。左手は首に、右手は身体に。
そして、渾身の力を込めて捻り上げた。
悲鳴。
幼い目にもわかる。それはやっちゃいけないことなんだ、と。
「やめてよう。やめてよう。」
大丈夫、泣かないで。“これ”は死んでない。
殺せない。何をしても殺せない。
もう何度も殺したはずなのに。
もう何度も殺したはずなのに──
47 :
犬神 4/10:2007/02/13(火) 00:23:51 ID:x1SsxA8w0
俺たちは新宿の片隅にある寂れた個人診療所へと逃げ込んだ。
そこは金さえ積めばどんな患者でも請け負う、闇の医者の住む場所だ。
昨日、俺たちはここへと一人の女性を預けたばかりだ。
預けた患者の名前は河野由美。
俺の依頼人だ。
「様子はどうだ?ドク。」
「逃げられたようじゃの?」
俺たちの気配を察して奥の部屋から姿を見せた“ドクター”毒島は
俺の質問などには耳を貸さず、意地悪くヒッヒッヒ、と笑い声を上げた。
その背後には顔を半分もマスクで隠した白衣の看護婦が控えている。
最近雇った助手と聞いたが、このじじいの傍にこんな美人が訳も無く居る筈が無い。
あまり近づかないほうがいいぞ、マコト。
“ドク”毒島はひとしきり俺に情けないだの悪態をついた後、
やっと質問を思い出してくれたようだった。
「ただの貧血じゃよ。今は精神安定剤の効果でぐっすり寝ておる。」
「料金はいつもどおりツケでよろしいですね。ジョージ様。」
辛辣な看護婦の言葉に苦笑して、俺たちはとりあえず固いソファに腰を降ろした。
「ただ…。」
「?」
「いや…あの娘……、恐らく妊娠しておるぞ。まあ、検査をしたわけじゃない。
触診だけだから確実とは言えんが儂の見立てじゃまず間違いなかろう。
その、例の事件とも、何か関係あるのかも知れんな。」
「なんで、姉さんはそれでいいのかよ!」
またタカトのいつもの発作が始まる。
怒りをコントロールできない弟はその感情の波に揉まれ、激しく身体を震わせた。
何かに怯え、怒りをぶつけ、衝動のままに生きている。
由美の婚約は今日、一方的に破棄された。
その理由を、タカトは自分のせいだと何度も言った。
俺が“犬神”だからなのか。
この地方では古くから犬神憑きの家との婚姻を嫌う。
古い風習だが、それは現代でも根強く人々の心に染み付いていた。
由美は何も言わなかった。
誰のせいとも言わない。笑いもしないが泣きもしない。
ただ、ありのままに、現実だけを受け止めようとしていた。
タカトはあまりの怒りに気も狂わんばかりに暴れ、泣き、吠えた。
暫く暴れた後、タカトは家を飛び出していった。
由美の元婚約者が殺されたのは、その夜のことだ。
タカトには発作が起こっている間の記憶が無い。
重要参考人として全国に指名手配されたのは次の日の正午近く。
東京で発見されたのはそれから三日後のことだった。
由美はタカトを助けるために、ツテを辿って興信所へと足を運んだ。
49 :
犬神 6/10:2007/02/13(火) 00:28:01 ID:x1SsxA8w0
出されたコーヒーは味はまあまあだったが、熱かった。冷えた体にはそれだけで美味い。
俺は機嫌を良くして気になっていた質問をぶつけてみる事にした。
奴が逃げる前に口走った“犬神”というものを俺は知らなかったからだ。
確か、九州や四国に伝わる呪詛じゃな。とドクが答えた。
俺は呪いなんてものは信じちゃいない。俺が聞きたいのはそんなことじゃない。
そんな俺の表情はちゃんとドクに伝わったようだった。
犬神とは何だ?精神病なのか?
ドクはふん、と鼻で笑うと“ドクター”としての意見を述べ始めた。
「凶暴性を増す病気はいくつもある。狂犬病、脳炎、うつ病など精神や脳が正常に
働かなくなったときに理性のコントロールが効かなくなるんじゃな。
“犬神憑き”の症状は今の若いモンが診れば間違いなく統合失調症と診断を
下すじゃろうな。情緒が不安定になり、凶暴になり、幻覚を見たり幻聴を聞いたりする。
周りの人間すべてが敵に思えたり、時には凶暴性を発揮して激しく敵対したりもする。
じゃがな、真の“犬神憑き”はこの病気じゃないぞぃ。
まぁ頭の固いお前さんに言っても無駄かの。ヒッヒッヒ。」
この薮医者、一言多いぜ──
俺のターゲット=河野タカトがこの“犬神憑き”とやらだとして、
河野由美の元婚約者殺害の可能性はあるのだろうか。俺の知りたいのはその一点だ。
由美の元婚約者は鋭い刃物のようなもので頚動脈を切られていた。
あんなに興奮して暴れるような奴が、果たして冷静にナイフを扱えるものだろうか。
俺にはどうしても奴が犯人だとは思えない。
「私、河野君とはもう付き合えないわ。」
「……。」
「だって…河野君の家って…犬神の家なんでしょ。」
「誰が…そんなことを……、」
「誰だっていいわ。ねえ、なんで教えてくれなかったの?」
「……。」
「なんで黙っていたの?
私を騙すつもりだったの?
犬神の家だってばれたら、付き合えないと思ったから?
嘘をついて付き合うつもりだったワケ?」
「…ちがう。おれは…」
「私、もうあなたのコト、信じられない。」
さよなら──
「タカトさんが見つかりました!」
違う男の声が混ざる。景色が急速に色を帯びて薄れてゆく。
あれは…誰の声?
51 :
犬神 8/10:2007/02/13(火) 00:30:12 ID:x1SsxA8w0
マコトを俺の馴染みの情報屋へと走らせてから30分も経っていない。
いい知らせじゃないことは明らかだった。
「今、中央公園で警官隊に取り囲まれているようです。かなり派手に
立ち回りをしたみたいで…警官が何人も負傷したって言っていました。」
ちくしょう、最悪の展開だぜ。
河野由美の依頼は弟を助けて欲しい、だった。
タカトは婚約者を殺してなんかいない。調べてもらえば解る。と由美は言った。
興奮して逃げたタカトを自首させるように説得する予定だった。
もしも発作が始まり手に負えないようなら、由美の元に連れてくれば、
由美が説得に当たるという手はずだった。
警官に怪我をさせたとなれば、もう何を言っても逮捕は免れない。
ちくしょう。いくぞ、マコト。
コートを掴んで立ち上がった俺の耳に、さらに追い討ちをかけるように最悪な音が続く。
あれは、ガラスの割れる音だ。
しかも間違いなく由美の寝ていた部屋からした。
開けたドアの向こうにはやはりからっぽのベッドがあるだけだ。
俺はさらに襲い掛かる悪い予感を振り払うように走り出した。
「センセは動かないでくださいね。」
まだ、居ますわ──
看護婦がわけのわからない事を呟いているのが聞こえたが、気にしている場合じゃない。
欲望のままに想いを果たした弟は、姉の腕の中で今、安らかに眠っていた。
二人とも服を着たままだ。
弟はズボンと下着を半分ほど降ろしただけ。
姉はスカートをただ腰の位置まで上げ、僅かに下着をずらしただけだった。
いつもの発作。
誰にも受け入れられない弟は、いつも激しく姉を求める。
前戯も愛撫も無い、獣の欲求。
犬神の家
社会から孤立したこの家系の歴史では、それは取り立てて珍しいことではなかった。
タカトは激しかった。
激しく固い肉の欲に、由美は快感よりも痛みを覚えた。
だが、それは幸せな苦痛。
痛みも、悲しみも、孤独も
すべて彼女が
彼女だけが受け止められる。
二人きりの誓いの時間
由美は果てた弟の身体をいつまでも優しく、強く抱きしめていた。
息を切らせて俺たちが人だかりに辿りついた時。そこには倒れているタカトと、
タカトに覆いかぶさるように抱きつき、彼を守っている由美の姿があった。
タカトは気を失っているようだ。由美の手と顔に血が飛んでいるのが見えた。
撃たれたのかと錯覚したが、どうやらそうではないらしい。
血まみれで運び出される警官の姿が数人見えたからだ。
二人は程無くして警官たちに逮捕された。
由美はなにも抵抗しなかった。指を咥えて見ていることしかできない俺たちを一瞥して、
由美は警官たちに取り囲まれて歩き去っていった。
あの時、俺たちが辿り着くまでの短い時間に何が起こったのか。
俺は周囲の野次馬たちにしつこく食い下がったが、誰一人としてきちんと
説明できた人は居なかった。
由美はタカトを取り押さえようと襲い掛かる警官たちに噛み付き、暴れ、
そしてタカトを守って地に伏せた。
彼女に近づく警官たちは何故か腕や顔を切られるために次第に包囲するのみになり、
結局彼女が落ち着くまで待つことになった。と、いう展開だったらしい。
「これでよかったんでしょうか……?」
ひと通り聞き込みを終えた後、マコトがそう呟いた。
全てはこれからだ。疑いを晴らすのも、罪を償うのも。全てはこれからだ。
マコトはそのことを解っている。
だが、俺は吐き捨てるように言い放った。
「いいはずねえだろ。」
俺たちがあの二人の、何の力になれたっていうんだ。
由美はいつも弟に身体を許した後、彼の頭を抱いて優しく髪を撫でる。
荒ぶる塊を開放した弟は、すぐに安らかな寝息を立てる。
その彼の額、唇、瞼、耳、鼻、すべてにキスをして、由美は満たされる。
彼女だけが受け止められる、孤独な弟
「そうね。ねえさんが、ずっと守ってあげる。」
そして由美は寝ている弟の耳元で、小さく囁くのだった。
「愛しているわ、タカト。」
あなたは、私だけのものよ──
ずっと──
ずっとね───
55 :
ぽんぽん:2007/02/13(火) 01:25:51 ID:Fkvb10pT0
僕の名前はマコト、ジョージさんのアシスタントさ。とりあえず今は勉強しないと。
そんな僕も勉強ばっかりではない。たまにはソロで仕事をしたりする
もちろん簡単な浮気調査やその他の簡単な調査関係だ。危険なときはジョージさんがヘルプできたりするけど。
そして今来ている場所はとあるホテル、仕事内容は浮気の証拠をつかめと言うものだ。
仕掛けは流々、後は証拠をテープに取るだけだ。
「仕事熱心なのね、少しは楽しもうって気にもならないのかな?ここ、けっこう高いホテルなのよ」
そう言ってくるのは本来のヘルプの代わりのミキさん。やっぱり余裕のある人だなあ。まあ確かに
ずっとテープを回していればいいんだけどね。
さて、とりあえず終了だ。ラウンジで酒でも飲むかな、あれ?ミキさんなんで取り上げるんですか?
「まだ終わってないでしょ、ジョージみたいなことはしないで。これは私が飲むから」
ジョージさんみたいなことって…俺はジョージさんを目指しているんですけど。
「いい、マコト。言う機会は今回しかないから言っておくけど、別にジョージに憧れるのは勝手だわ
でも、何も生活リズムをジョージのコピーにする必要は無いの、それとジョージが言っとけって
『あいつには俺と同じようにはならないで欲しい』だって」
同じようにって…じゃあどうすりゃいいのさ、ジョージさん。
「あっ、見て見てマコト、月が二つもあるよ。」
そうだ、今回は恋人としてきてるんだった。身を乗り出して見た川には月が二つ、同じ形で移っていた。
「本当だ、綺麗だねミキ。」
優しい笑顔で彼女は返す、全くこの人は綺麗だな。何でジョージさんは近づこうとしないんだろう。
調査は完了、情報もしっかり取れた。これで依頼は終わった。
でも一人前になるにはまだまだ遠いな。
元ねた新耳袋第九夜「水面に映る月」
>55
うわ、何が怖かったのかさっぱり分からんw
……というのはマコト話としてはよくできてるってことだな
57 :
ぽんぽん:2007/02/13(火) 22:07:04 ID:Fkvb10pT0
ああ、すいません。もともとが怖がらせる話ではなくロマンチックな話だったもので。
詳しいことは書店や図書館で元ねたを見てください。
俺も元ねた読んでないからさっぱり…
pDOG氏の話もさっぱりだ。
反撃なのか創作なのかわかからんが雰囲気はいい。GJ!
僕の名前はマコト。何故だか分からないけど危ない仕事ばかり来る探偵・ジョージさんの助手をしている。
この日、ジョージさんは朝からだらけていた。電話が来ても無視。
あげく、僕に任せるとか言い出した。多分冗談だろう。というか、うちの経済状況を考えると冗談じゃなかったら困る。
ともかく、ソファに寝っ転がって動く気配の無いジョージさんの代わりに受話器を取る。
電話だけは止められるわけにはいかないし。
「私、メリーさん。今、駅前にいるの」
…それだけ言うと、電話は切れてしまった。
何なんだか。来いという事か?
ジョージさんに話すと、いつも来る悪戯電話だから無視しろと言われた。
でも、そういうわけにもいかない。実は依頼なのかもしれないし、他の人からも電話が来るかもしれないし。
…さすがに、そろそろお風呂に入りたいから。
また電話が鳴る。ため息を吐きつつ取る。また彼女だ。
「私、メリーさん。今、三丁目の公園にいるの」
場所が変わってる。駅よりは近い…けど、駅前から公園まで、この短時間じゃ移動はできない。
やっぱり悪戯か。でも、こうなったら気が済むまで付き合ってやる。
まだ見ぬ相手に、僕はよく分からない闘志を燃やした。
「私、メリーさん。今、あなたの部屋の前にいるの」
なかなか粘ったじゃないか。…絶対途中で諦めると思ったのに。ちょっと尊敬。
でも、もうネタはないだろう。これで終わりだ。
僕の勝ち。ふふん、とジョージさんに笑いかける。やれやれ、と呆れた様子。
と、思ったのに。
――電話が鳴った。
すわ負け惜しみの嫌がらせか、それとも敗北宣言か。どちらにせよ、思いっきり勝ち誇ってやろう。
――そう思いながら、受話器を取って。
「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」
――声は、受話器と背後の両方から聞こえて来て。
――瞬間、横から飛んで来た黒い何かに弾き飛ばされ、僕は意識を手放した。
俺の名前はジョージ。何故厄介事ってのが俺のところに殺到するのか分からない探偵だ。
この日、悪戯電話にかまけるマコトに、俺は呆れを隠さない視線を送っていた。
今日は二日酔いで怠いから休業だ。もしマコトが依頼を受けたとしても、マコトにやらせる。
俺は朝一にそう宣言した。
そういつもいつも大事件に遭遇したり死にかけたりしてるわけじゃあない、鷹も羽根を休める事はある。
何より、本当に大事な依頼なんてのは一日捕まらなかったくらいで諦めたりしないさ。
…まあ、以前マコトにそう言った時は、
「だから他の人が受けないような、変な依頼ばっかり来るんじゃないですか」
と返されたが。
マコトが勝ち誇った視線を送ってくる、どうやら悪戯電話に勝利したらしい。
やれやれ、とため息を吐き、煙草を買いに行こうと起き上がって――
――電話が鳴った。
…マコトの奴、全然駄目じゃねぇか。
一瞬、驚愕に顔を染め、しかし持ち直した様子。一呼吸置いて、受話器を取り――
――同時、マコトの背後に、携帯と大鎌を持った少女が現れた。
「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」
言い捨て、少女は大鎌を振りかぶる。
咄嗟に踏み込んでマコトを蹴り飛ばし、反動を利用して自分は逆側へ。マコトへの追撃を牽制しつつ、少女と距離を取る。
「やれやれ…」
呟き、最後の一本に火を点けた。全く、厄介事ってのは、暫く俺を休ませる気はないらしい。
この少女は、おそらく本当にいきなり現れたわけではないだろう。
電話に気をとられている隙に入り込み、気配を断って近づく。そして、射程内に入った時点で大鎌を振り抜いた。
…だが、解せないな。
「聞いたことがある。華僑が抱える暗殺集団、その精鋭達はどんなセキュリティも突破して標的を"変死"させる、と。
それが、しがない探偵事務所の見習いに何の用だ?」
少女は答えない。ただ一言、
「…そう、邪魔するのね。なら、貴方から殺すわ」
呟き、俺に殺気を叩きつけた。
少女はいつの間にか背後に回っていた。
背後から殺気を孕んだ風が吹き、咄嗟に前へ跳ぶ。
体勢を立て直しながら叫んだ。
「お前のような小さい子が、何故こんな血生臭い真似をする!?」
今度は返って来た。
「わたし、メリーさん。棄てられたの。
――だから壊すの、憎いから」
糞、まただ。
いつの間にか声は後ろから聞こえていて、その時初めて視界から少女が消えたことに気付く。
「厄介だな…!」
右の下段。一瞬速く左へのロンダートで逃げる。一張羅のスーツが斬られた、畜生。
あまりマコトから離れれば今度はあいつが狙われる。かといってこのままじゃあジリ貧だ。
ヤバイ状況だってことは分かってるが、それでも自然と笑みが浮かぶ。
ははっ、楽しくなってきやがった!
二発、三発と少女の鎌を避けるうち、俺は奇妙な事に気付いた。
――後ろにしか回らない?
ふと疑問に思い、そして理解する。あの鎌がデカすぎるんだ。
アレを振り抜くには、少女の身体は小さすぎる。
折角気配を断って近づいても、前からでは対処されてしまう可能性が高いのだ。
なら――
「マコト、こっちだ!」
マコトの腕を引っつかみ、共に事務所の壁に張り付く。
どうだ、これなら。
「…やっぱりそうするのね。残念、終わりよ。
――わたし、メリーさん。今、貴方の上にいるの」
「ああ、知ってるさ――」
振り向きざま、こちらへと迫る鎌の柄を掴み、そのまま天井の少女に掌低を打ち込む。
見事に脳が揺さぶられ、崩れ落ちる少女を危なげなく抱き抱えた。
「どうして…?」
驚き顔のマコト。ふふん、説明してやろう。
「後ろが駄目なら上――確かに不意を衝くには正しかった。
だが、此処の低い天井じゃ、思い切り大鎌を振り抜くにはスペースが少な過ぎる。
更に俺とお前が並ぶことで、俺の側から鎌が来るよう仕向けた。
お前が斬られた隙に俺が一矢報いるのは有り得るが、その逆は無いだろうからな…」
ま、作戦勝ちって奴だ。
とりあえずこの少女はソファで寝かせておこう。目が覚めたら、里親捜しから始めようか――
結果から言うと、件の少女にはその後すぐに逃げられた。
考えてみれば当たり前だ、目の前から姿を消せるような達人を拘束もせずソファで寝かせてたのだから。
だが、その少女とはそれっきりだ、というわけでもない。
ヤバい仕事のときに遭遇することもよくあるし、今回、ドジ踏んだ俺を助けにも来てくれた。借りを返したかったらしい。
――そういえば、分からないことがあるんだが。
「何?」
「おまえほどの手練だ、気付かれないうちに俺達を消すことも出来たろう。」
「…」
「何故、わざわざ声を掛けて後ろに回ったことを教えたり、殺気を孕んだ大振りな攻撃ばかりしたんだ?」
「……ばか。」
返事はそれだけだった。気付けば姿も消えている。
誰も居なくなった視界に、真っ赤に染まる夕焼けだけが映えていた――
その頭上、街路樹の上。
夕日にも負けぬほどに顔を朱に染めた少女が座っていた。
「言えるわけないじゃない…一目惚れだった、なんて」
彼はきっと覚えてすらいないのだろう。かつて、雨の日、路地裏に倒れていた少女に傘をやったことなど。
「……前途多難だわ」
やれやれ、と首を振り、次のターゲットを探す。
いいかげん、クールに反撃してこない奴に当たりたいものだ。
以前職人さんに触発されて書いちゃったものを投下してみました。4レスに纏めたつもりだったのにやたら冗長。すんませんorz
最後のは前(前?)スレの
>>163氏の勝手な後日談のつもりです。
犯罪組織に拘束されたジョージにメリーさんから着信が…ってそれだけでこんなもん妄想しちゃった俺…orz
なんていうか皆GJ!
67 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/14(水) 09:23:45 ID:YSKUoehL0
一瞬メリースレかとw
でも面白かったな。こんなジョージもいいかも知れない^^
またぜひ続編などを。
>(私の名前はメリー、)いいかげん、クールに反撃してこない奴に当たりたいものだ。
このラストの台詞が一番吹いたw
68 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/14(水) 09:27:16 ID:Ie3HnoIUO
私の名前はジョニ〜
69 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/14(水) 09:31:53 ID:YSKUoehL0
>>58 犬神編ははっきり言って創作ですorz
私、反撃とか既に考えてn(ry
なんかジョージのコンセプトを根本から否定しますが“怖い話”にしてみたくて(汗
メリーさんが一目惚れしたのはマコトだよね?
すみません、読解力なくてorz
ジョージの方だと思う・・・
俺もジョージだと思っていたのだが…
73 :
59-:2007/02/15(木) 02:48:22 ID:JMcjWzLDO
ジョージのつもりでした。ごめん、確かに分かりづらかったかもしれん…。
そういや自分はメリーさんも都市伝説のメリーさんのつもりだったんだけどそれで合ってたのかな?
電波無いところで受信してたんで163氏のメリーさんは妖怪だと思ったんだけど…自分のはどっちとも取れるからいいのか。
…ちなみに没案。
ジョージは実は鬼の家系でメリーさんの瞬間移動に対応していく内に覚醒、行方不明に。
数年後、マコトが『ジョージ』を継ぎ、ジョージをなぞるように怪奇に手を出していた。そして電話が鳴り――
うん、Ifとはいえさすがにこりゃダメだと止めた。というかこの邪気眼を上手く料理する自信がなかった。
ジョージは(マコトも)霊感ありすぎで、確かに変な家系なのかも知れんけど、
妙な超能力や霊能力なんかはかえって興醒めしてしまうんじゃないだろうか。
ボツにして正解だったと思う。きっと俺を含めてジョージファンから叩かれていたよ。
狭い事務所でロンダートするのは無理があると思ったけど、それ以外では面白かった。
GJ!でした。
75 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/16(金) 00:54:21 ID:QQJZFb8W0
そうですねぇ…
確かに人一倍霊感強いし、近所にはダミ○ン坊やと酒呑坊やと(恐らく)茨木坊やも住んでいますし
猫又飼ってるし、メリーさんに惚れられてるし、町内とんでもない妖怪遭遇率だったりしますが
私もジョージは普通の人間がよろしいかと^^;
霊に遭遇しても全く気付かない鈍さが愛しいんです。
ジョージもマコトも岡島君も
77 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/18(日) 09:21:10 ID:xJXY4VV70
補修
78 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/20(火) 02:14:25 ID:nArLmakT0
age
鴉さんは何のバイトをしているんだろう・・・
鴉氏の続編気になるなw
81 :
ぽんぽん:2007/02/20(火) 22:38:47 ID:9jOyZc2f0
鴉氏も気になるけど他の作者方々の生業は何だろう。
ジョージに変な設定つけると料理しにくくなると思うので普通の人でいいと。
82 :
ぽんぽん:2007/02/21(水) 00:31:00 ID:zPKxV6hi0
俺の名前は悟、最近では雪合戦を懐かしんでるお兄さんさ。おじさんじゃあないぜ。
最近の子供は外に出ることが少なくなったと聞いて、俺が不安に思ったことは「雪合戦」だ。
まあいざ始めてみるとそんな心配など杞憂だったかのようだがな。
その日は他の先生も一緒になってやっていた、子供たちの生き生きとした笑顔。いや、先生までも
満面の笑みだ。雪球が顔に当たってもちょっと許せる、固めたら許さないけどな。
時間を忘れた後に待っているのは皆が慌てる表情だ、子供たちは教室に駆け込めばいいが
先生はそれ以上に忙しい。その所為か最近は先生の愚痴を聞かされる羽目になっている。まあ仕様がないけどな。
しかし俺は時間の制約がそんなに無いので悠々と部屋に戻れる。普段ならクロでも呼んで一緒に散歩するところだが
今日は違った。
部屋に入ると味噌汁の匂い、しかもちょい薄めの。そして机の上には「寒かったでしょ」とのお手紙。
しかし部屋の中には俺とクロしかいない。もちろんこの犬に作れるはずは無い、だって教えてないもん。
とりあえずそんな日が一週間は続いた。
俺が用事を終わらして戻ると必ず温かい味噌汁が準備されている。しかも最初はそれほどでもなかったが
徐々に上達しているのがわかる。炬燵とセットで飲むと体が温まるな。
まあとりあえず後一ヶ月くらいは付き合ってやるか、どこまで美味しくなるのも楽しみだからな。
元ねた新耳袋第九夜「味噌汁の匂い」
83 :
ぽんぽん:2007/02/21(水) 00:31:37 ID:zPKxV6hi0
休日を自分の思いのままに過ごすのは久しぶりだな、おかげで風がとても気持ちいい。
クロは学校に預けてきた、世話役は子供たちが買ってくれた。飲み仲間は予定があるそうだ。
ちょっと寂しいがまあいいだろう。
だがモテル男って言うのは自然と人を惹きつけるものらしい、路肩に困った人がいる。しかも女だ。
”車が止まってしまいました。目的地まで連れて行ってくれませんか。”
彼女はそうお願いしてきた、無下に断るのも咎められたので俺はその女を乗せることにした。
話を聞いた限りじゃ男との思い出の場所へ行くようだった。俺は略奪愛には興味ない、だから目的地に着いたら
さっさと帰ろうと思っていた。その時だった。
突然視界が回ったと思ったら路上に叩きつけられていた、見渡してみるとガードレールがつぶれている。
しかもガードレールの向こう側は谷底だ。…バイク!そうだ、俺のドゥカティは…?そして女は?
俺のバイクはちょっと潰れていたものの、走るのは異常はなかった。スピードは出せなかったが
まあ壊れなかっただけでましだろう。
女の姿は既にいなかった、まあ目的地が近かったこともあってそのまま行ってしまったのだろう、
しかしガタイ強いんだな、血のあとがまったく路上には無い、俺の怪我も軽すぎるくらいだが。
エンジンを掛けると同時になった携帯、当然の反応でそれを取るとついさっき聞いた声。
「…何で落ちなかったのよ…もう、絶対に落としてやる」
一言多い、何でそんなに甘ったるい声なんだ。ともかくこれ以上は関わる奴を増やしたくない。
返事もせずに俺は携帯を切った。しつこそうだから番号も変えるか。
元ねた、洒落こわPART18「良い霊3」
84 :
ぽんぽん:2007/02/21(水) 00:32:52 ID:zPKxV6hi0
俺の名前はジョージ、今は別件で動いている。
別に本業で動いているわけではない、その証拠に俺の車の面子は後部に悟、助手席にサオリという感じだ。
そう、今回はアキヒコの墓参りだ。どんなことがあっても必ず三人で行く。
そうでもしないとあいつ拗ねるからな。
しかし、目的地まではかなりの時間を要する。よって後ろの悟は寝てしまった。サオリは俺が眠らないよう
色々と手を尽くしていた。ガムを食わせたり、ブラックガムを食わせたり、メントスを食わせたり。
とりあえず刺激物ばっかり食わせていた。いや、嬉しいんだけどなさすがにちょっとな。
さすがにもう口と鼻がスースーしすぎている。もう無理だ、次からは出し物を変えてくれ
と俺はサオリに呼びかけた。何も言わず、隣からごそごそという音がして、別のものが手渡された。
手に乗ったのは一口サイズのおにぎり、しかもちゃんと海苔が巻いてある。
それが口元まで寄って来る。「はい、どうぞ」そんな声が聞こえてきそうだ、生憎聞こえてこないのだが。
そろそろアキヒコのいるところだ、此処までくればサオリもわかってくれそうなものだが
おにぎり攻撃は続いてる、それもちょうどいいタイミングで来るから無下に断れない。
おにぎりの方も俺の具合を察知したのか次第に引っ込んでいった。ふう、おかげで腹いっぱいだぜ。
そろそろ着くな、悟の奴、いびきが煩すぎる。おかげでいらいらしちまったぜ。
85 :
ぽんぽん:2007/02/21(水) 00:34:50 ID:zPKxV6hi0
それと、ありがとサオリ。全く寝たふりなんかしやがって、ちゃんとお返しはするからな。
そして墓参りは終わった…。
「ありがとなサオリ。おにぎり美味しかった」
「おにぎり?あれ?何で作ってきたこと知ってるの?サプライズにしようと思ったのに」
「あ、いやちょっとな」
あれ?ちょっと話が食い違ってるな。まあいいか、悟も美味しそうに食っている。サオリもそれをみて笑っている。
別にいいか、気にすることは無い。
「美味しいな、このおにぎり。食べやすいし。」
「そうでしょ、なぜかちょっと少なくなってるけど、たぶんジョージが食べたんだ
お預けね。ジョージ」
「ふふ、さもしいな。あんたは」
お前にそんなことは言われたくないな、っておにぎりお預けかよ。楽しみにしてたのに。
「はい、じゃこれは、アキヒコに供えるということで」
おいどうだアキヒコ。この二人、ひどくなったぞ。特にお前の妻は意地悪になってきたぞ。
86 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/21(水) 21:33:00 ID:QVzJLlgs0
ぽんぽんさん乙でした。
ところで
>>84-85の元ネタはなんでしょうか?まとめに載せられないので教えてください ; ;
鴉さんの続きもどうなったのか気になりますねぇ^^;
>>84-85を読んで、何かこう…違和感を感じたんだけど、なんだろう。
88 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/21(水) 23:40:03 ID:QVzJLlgs0
ジョージ、おにぎり食べて腹いっぱい
↓
ジョージ「ありがとなサオリ。おにぎり美味しかった」
↓
悟(?)「美味しいな、このおにぎり。食べやすいし。」
(悟の台詞なのかどうかわかりにくいです…ジョージだともっと不自然ですが^^;)
↓
ジョージ「っておにぎりお預けかよ。楽しみにしてたのに。 」
この流れかなぁ、文体とか雰囲気はぽんぽんさんの作風なのでいい感じだと思いますが、
腹一杯まで食べて、「楽しみにしてたのに」は変かなぁ、と。
元ネタ読めば理解できるのかと思って待っていました^^
89 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/21(水) 23:42:42 ID:QVzJLlgs0
じゃ、鴉さんとぽんぽんさん待ちの間に一本投下。
元ネタは「牡丹灯篭」です。
俺の名前は悟。小学校の用務員として働いている。
こうして俺に働き口をくれた校長の奴に感謝しなきゃな。
さて、今夜もそろそろマンションに帰るとするか。
ここのところ宿直室には泊まらずに、ちゃんと自分の部屋に帰っているんだ。
なんでかって、そりゃあ毎晩やってくる女が居るからに決まってるだろ。
この間知り合ったばかりだけど、結構な美人の上に体の相性もバッチリだぜ。
しかも今日はちょっと特別な仕掛けもしてある。
今朝のことだ、出勤しようとしたらいきなり坊さんに呼び止められた。
っていうか、俺の部屋の前になんで坊主が居るんだ?と思ったら、
「おぬし、物の怪に取り憑かれておるぞ。」だと。
俺の部屋に毎晩来ている女は実は幽霊…って偉そうに。
んなこたぁ解ってるんだよ。
この真冬に浴衣だし、手には今どき提灯だぞ、しかも牡丹の絵が描いてあるやつ。
え?随分生気も吸い取られているようじゃ、って照れるじゃねーか。
やつれてるのはここのところ毎晩朝までだから仕方ないしな。
で、なんかお札をマンションのドアに貼っていきやがった。
これを貼っておけば幽霊は俺の部屋に入ってこれないそうだ。
一瞬、何しやがるとぶん殴りそうになったが、まてよ、こいつは使えそうだな。
さんざん焦らしてから…くくく、笑いが込み上げてくるぜ。
さてと後のことは頼んだぜ、クロ。俺は帰って夜までひと眠りだ。
91 :
ぽんぽん:2007/02/23(金) 00:33:24 ID:Y1XC92kj0
すいません、非常に焦って書いたものですから。
元ねたは新耳袋第十夜の「お結び」です。流れはpDOGさんの指摘であってます。
>>90をみたときは新耳袋の「お初天神の幽霊」を最初に思ったな。
もしかしてこの話が元なのかな?
92 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/25(日) 01:46:15 ID:Ixv0BWGo0
元ネタは古典の「牡丹灯篭」ですよ^^
保守ageしときます。
相変わらずオカ板全体でage進行ですよね…
93 :
牡丹灯篭 Case by Makoto:2007/02/26(月) 09:48:58 ID:ksY6ehIS0
「お前、最近痩せたんじゃないか?」
マコトです。ジョージさんに言われるくらいだからかなり痩せたんだろうな。
でも僕は大丈夫。だって、ほら、その、今、幸せですから。
花火大会の夜に一人の女性と出逢ったんだ。名前は露さん。
綺麗に着こなした浴衣と牡丹の絵が描いてある提灯がとても可愛い人だ。
僕たちはひと目で恋に落ちた。
こうして出会うことが運命だったと思うくらい、自然に触れ合うようになった。
見た目とは裏腹に積極的な彼女はそれから毎晩僕の部屋にやってくる。
そして朝までベッドで二人で過ごして、夜が明ける前に帰ってゆく。
今夜もドアを小さくノックする音が聞こえた。彼女だ。
鍵を開けると露さんはニコッと微笑んで中に入ってきた。
提灯の火を消していつもの場所に座る。ホントに可愛いなぁ。
あ、そうだ。
忘れていた。今朝、お坊さんにお札をもらったんだっけ。
「おぬし、物の怪に取り憑かれておるぞ。」
だって、変な人だったなぁ。
このお札を扉に貼り付けておけば物の怪は入って来れないって言っていたな。
邪魔しないでよ。何も来て欲しくないよ。
ちょっと待っててね、と僕は露さんに頼んでからお札をドアの内側に貼り付けた。
これでよしっ、っと。
あれ、どうしたの露さん?笑ってるけど何かいいことでもあったのかな?
94 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/26(月) 09:56:33 ID:ksY6ehIS0
まったり進行ですがいつの間にか200話を越えてましたね^^
95 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月) 23:10:25 ID:A47FYxw+0
93爆笑。強制的に同棲相手が出来たマコト君に乾杯。
なぜかゴミ出しから買物までマコトがやる羽目になるが。
上手い発想の書き手が現れたなと思ったら、pDOGさんか。
さすが。
96 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月) 23:58:03 ID:+ZtwtTpj0
同棲ってwマコト死亡フラグ立ってるよww
>96
それでもギリギリのところで死なないのがマコトクオリティ
いぢりがいのあるキャラですなーw
98 :
牡丹灯篭クロ's side >>90の続き:2007/02/27(火) 14:42:07 ID:qZB0+QDT0
皆さんこんにちは、クロです。飼い主に恵まれた一握りの犬です。
最近は「育てられない」とかほざきやがって捨てていく飼い主が多いですしね。そういう意味では恵まれた方です。
今日はというか今夜は、いつもと違う場所に連れられて「玄関の前にいろ」と言われました。
にしてもここは普段いた場所とは違う景色ですね、なんというか、高いです。
そして風が強く感じます。まあ多聞考えあっての事なのでしょう、どうせ女の人が来たら知らせろって言う奴でしょうが。
だってやけに嬉しそうなんだもん。
前言撤回、なんかちょっと嫌いになってきたかも。こんな寒いところに長時間いさせやがって、
来ても知らせ…ん?
ちょっと、そこのお姉さん、そんな格好で大丈夫ですか?風邪引きますよ、今飼い主を呼んできますから。
悟さ〜ん、悟さーん。
あれ?なんで僕を止めるんですか?あ、ちょっと苦しいです。あれ何で抱きしめるの?
相手は違うでしょ?そして何で泣いてるのさ。
「なんで入れさせないのよ…せっかく会えたと思ったのに。なんで…なんで…」
最後の方はちょっと聞き取れませんでしたがどうやら悟さん、泣かせてしまったみたいですよ。
まったく、この調子じゃおちおち吠えることも出来ないよ、静かに鳴くことしか出来ませんって。
悟さんもほんとに罪な人ですね、早く出てこないとこの人帰っちゃいますよ、私は何もいえませんからね。
その後は眠ってしまったのでよくわかりませんが、起きて気づいたことは部屋の中に居たこと
それと、悟さんが何故か私にその日だけとても世話をしてくれたことです。
えっと、自業自得って事でいいのかな?
ここって作品はいいの揃ってるのに人いないよなぁ
100 :
本当にあった怖い名無し:2007/02/27(火) 23:26:54 ID:f0TkTOqv0
どうかな、好みが分かれるところじゃないか?
とりあえずage
ほ
102 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/02(金) 09:58:40 ID:REKKJofq0
保守
103 :
ぽんぽん:2007/03/02(金) 22:14:47 ID:h2/XS5q/0
私の名前は毒島、闇医者じゃ、ヤブ医者じゃあない。そこ、間違えないように。
私の仕事場には普通の日にはまるっきり音が無い。
有ったとしても自分のいびきとテレビの音くらいだ。まあ無いと言うか少ない。
しかし今日は違った、寝て、起きて、飯食って、ドアを乱暴に叩く音が響いた。
普段はない、全く無い、ジョージだって乱暴に叩かない、しかも女だ。
「これを治して、代金はいいから、速く!」
彼女の見せた腕は一部分が紫色だった。ふん、手術で失敗した所為だろう。
手術自体は簡単だったのですぐに治せた。
落ち着いた彼女は私のことを知っていたのか札束を3,4束ほど机の上においてくれた。
そしてわけを話した。
ふん、やっぱりあの病院の医者か、あの病院全体が駄目医者の巣窟だからな。
これからはこっちの方に来い。もちろん格安で診てやる。
これで太客も取れた。まったく、これで少しは潤うってもんだ。
む、4時からジョージと話があるんだ。まったく、無理はしないで欲しいな。
元ねた洒落コワ東京伝説PART1「ヤブ医者」
104 :
ぽんぽん:2007/03/02(金) 22:15:18 ID:h2/XS5q/0
今日は誰も依頼が来なさそうだからとりあえず事務所の掃除。
と言ってもやるのは僕だけだけどね、ジョージさんはミケの世話。なんか手を焼いてるみたいだけど
大丈夫でしょう。
こんにちは、僕の名前はマコトです。一応助手と言うものをやっております。
ジョージさんは全く掃除をしません、初めてここに入ったときは驚きましたよ。ちょっと、物をどかしたら
得体の知れないものがそこらに生えていたんですから。
そう思えば今のこの環境はとてもよくなったと思います。まあこの仕事は信用あってですからねえ。
あれ?ミケ、駄目だよ此処来ちゃ、今掃除中だから、ね。
ふう、床周りと机の裏は大体終わったから、後は天井か。机の上に乗らないと。
この天井意外と汚いんだな〜あ、しみが変な形になってるな。
こりゃ本腰入れないと、クレンザーつけて、たわしでゴシゴシ〜。
あ〜落ちないな。これは困った、ジョージさんに聞くか。
え?そんなもの適当にごまかしておけ?は〜い、じゃペンキでも塗っておきますね。
う〜ん一部分がこれだけ白いとな、やっぱり全部塗らないと。
「お、マコト、部屋が明るくなったみたいだな」
ね、やっぱりこっちの方がいいでしょ。染みも見えなくなったしこれで依頼人も増えるでしょ。
ね、ジョージさん。
元ねたパート24「天井のシミ」
105 :
ぽんぽん:2007/03/02(金) 22:16:50 ID:h2/XS5q/0
普段この商店街は夜になると犬の吠える声しかしない。
しかし今日は違った。声が、叫ぶ声がしたからだ。
もちろん時間が時間だった所為か気づいた人はいなかった。だがそうしてる間にも
徐々に二人の距離は縮まって行った。
このままじゃ捕まる、そう感じた男はごみバケツの中に隠れて奴が通り過ぎるのを待った。
防寒具は手袋のみ、バケツの中で過ごしていくにはあまりにも心もとない。
何時間過ぎただろうか、徐々に生活の音が聞こえてきた。シャッターを開ける音、近所に挨拶する音。
もう安心だ、ごみバケツの中から出て、伸びをしたそのとき。
男の延ばした腕は後ろの人につかまれていた。振りほどこうとしても一行に離れない、それどころか
腕をひねりあげている。たまらず痛みにあえぐ男。
「痛たたたたたたたたた。痛いですって、おやっさ〜ん!」
そう、逃げていたのは岡島、そして追いかけていたのは近藤のおやっさんだ。
「イテテテ、って言うかどうやって見つけたんですか?ここから」
「そんなのは簡単だ、逃亡者の気持ちになれば分かる。まあお前にはまだわからんだろうがな」
部下を引きずっていく上司、傍からみれば強盗犯を捕まえたベテラン刑事と言ったところか、とりあえず騒ぎは終わった。
「ほら岡島行くぞ、しゃきっとせんか!」
「え〜、このまま行くんですか?せめて風呂に」
本当にこいつは大丈夫なのだろうか…たまには役に立つときもあるのだが…。
元ねた洒落コワ25「追いかける男」
106 :
ぽんぽん:2007/03/02(金) 22:18:36 ID:h2/XS5q/0
あと一つ毒島関係の話がありますが、それはもうちょっとひねりたいので。
クールに反撃スレからきたけど面白いなここ
109 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/02(金) 23:37:05 ID:aa020rhO0
ぽんぽんさん乙でした。上手くなってるよね、素直に面白かった。
毒島の一人称って儂じゃなかったっけ
細かくてすみません^^;
111 :
ぽんぽん:2007/03/02(金) 23:55:07 ID:h2/XS5q/0
あ!そうでした。すいません、そそっかしいもので。次からは気をつけます。
>>109さん、ありがとうございます。
112 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/03/05(月) 18:42:23 ID:5+5SjeaS0
ぽんぽんさん乙でした^^
確かにだんだん上手くなってますよね。他のキャラクターの書き分けもしっかりできてますし、GJ!です。
私の仕事は某所に書いた通りですが、どうも忙しいのとストレス?が続いて最近何も書いてないですorz
そろそろ書かなきゃ、とは思ってるんですけどねー
と、いうわけでまったり保守
113 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/09(金) 01:42:38 ID:J8JMREGj0
保守
114 :
ぽんぽん:2007/03/10(土) 01:14:53 ID:2agzgGl/0
なんとなく書き溜めていた奴を出してみます。
115 :
ぽんぽん:2007/03/10(土) 01:17:02 ID:2agzgGl/0
わしの名前は毒島、闇医者なんてやっているはぐれ物さ。
まったく、この部屋も随分と物があふれてきたな。片づけするのはさすがに答えるはい。
お〜い、手伝ってくれ…ってそうだ、あの看護師は休みだったんだ。
仕様がない、適当なものでも引っ張り出して整理するか。
よいしょっと。お、お?ぬお〜っ。た、たんすが倒れて来る〜っ。
イテテテテテテテテ、医者の不養生とはこのことじゃわい、箪笥は危うく脇に倒れたが早く立たんと。
なんか取っ手は、ん?何じゃこのアルバムは。
おお、懐かしいな。何年前のことだろうかのう、闇医者を始めるもっと前、そうだ、これは確か免許を取った日の記念の写真か。
どおりで背景が白黒なわけか、どれ、少し昔に浸りますか。腰が痛んでるのに無理にすることは無いからのう。
その昔、晴れて医者になった俺はその成績から行く行くは大病院の院長になるのが妥当とされていた。
もちろん自分にもそのビジョンはなんとなく見えていた。しかしその期待は俺一人にされたものではなかった。
もう一人いたのだ、しかしそいつとはとても仲がよく、別の病院となったがたまに会うこともあった。
ところが働き始めて数年たった後、変わってしまった。
発端は俺の伯父が入院してきたことだ。入院したのは友人の病院だったので、そいつから病状を聞いていた。
結論から言うと病院側の医療ミスで伯父は命を落とした。俺は友人にどうにかするように頼んだ。
「告発は無理だ。お前もうすうすは気づいているとは思うけど病院の封建制は異常ともいえる。
お前と同じようになって告発しようとした奴がいたんだがそいつは、飛ばされた。辺鄙な土地にな」
つまり、何も出来ないことだ。そのときからだろうか、俺の仕事の態度は落ちぶれていった。
そしてカルテを見せてくれた奴も別の医療ミスを告発しようとしたがばれて、閑職となっていた。
その奴は俺に向かって「もう誰も信じられない」とうわ言の様に言っていた。
程なくして俺も病院をやめた。もういやだったのだ、病気にかかってしまうのが怖かったのだ。
そして数ヶ月たったころ…、患者が俺の元へやってきた。
116 :
ぽんぽん:2007/03/10(土) 01:18:30 ID:2agzgGl/0
「あんた毒島さんだろ。噂を聞いて此処に来た。早く開けてくれ!」
そいつは俺の学校の後輩だった。
俺は日ごろから暇な日課だったので自分で病院を再現したりしていた。治療は簡単なものだったが、得たものは大きかった。
再び人のために医療を出来る、俺にも人を救うことは出来る。それに此処には人が作る負の思いがない。
それから闇医者というジャンルでだが医療の道を再び始めた。
「先生〜大きな音がしたんですけど大丈夫ですか?」
おっと、どうやら休みじゃなかったみたいだな。随分散らかってしまった、こりゃ夜通しで片付けねばならんぞ。
よっこらせっと…あ!腰がぁあ…。
「あ〜、先生は休んでてください。私がやるんで、あれ?先生これ昔の写真ですか?随分カッコいいですね。」
褒めたって何も出ないぞ。それにしてもあいつらは元気でやってるかな。今度手紙を出すか。
「どうしたんですか、先生。笑顔なんて滅多に見せないじゃないですか」
む?そうか、笑っているのか。そういえばこいつの前で笑うことは初めてだったな。
元ねた、心霊ちょっといい話。PART1「医者になった理由」
117 :
ぽんぽん:2007/03/10(土) 01:20:18 ID:2agzgGl/0
俺の名前は悟、実は意外と読書家なんだぜ。まあ言ったって誰も信じないがな。
借りた本を返してまた別の本を借りる、しかし小学校とは言っても随分と種類が豊富で数も多い。
おかげで読むのには事欠かない。ちなみに俺が読んでいるのは時代劇物だ。
やはり浅田次郎は良い、暇があればジョージにも勧めようか、お、次の章はっと。ん?
何だコリャ、しおりかな。あ、裏に何か書かれてる。
「こんにちは」
他には何も書かれてない、ただの挨拶の言葉だけだ。なんかいいことがありそうだ、俺は適当な言葉を書き留めておいた。
そして本のしおりとして使った。
暫く経ち、また本を読みに来る。読み終えてないので同じ本となる。続き続き、っと。
そしたらまた挟んであった。しかも前とは違っていた。
その後暫くは姿無き人との文通があった。誰だろうか、全く思いつかない。唯一の可能性も「知らない」と答えている。
次第に誰なのか気にしなくなっていった。わけではない、少しずつ布石を置いていった。まあ予想できたけどな。
そしてある日、用務員室にはいつものメンバーが集まっていた。俺、里崎先生、涼子先生、奈津子だ。
くだらない雑談に花を咲かせていたころ、変な話題へ移った。
言い出したのは里崎先生だ。
内容は俺の考えていたものと一緒だった、単なる思い付きで書いてみたものの、偶然返事が返ってきてしまったので
困っている人がいる、と言う。相談者は誰であろうか、
校長先生だ…。っまあ、幸い誤解されるようなことは書いてないのだが…。
その日から俺は読む本のジャンルを変えた。
っていうか校長先生「こんにちは」は無いだろう。
元ねたPART22「本の中のメモ」
118 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土) 03:09:25 ID:gLo8srh00
115-116の元ねた見つかりません
心霊ちょっといい話。PART1に「医者になった理由」ってあります?
119 :
ぽんぽん:2007/03/10(土) 23:54:36 ID:2agzgGl/0
すいませんでした。PART5でした。
でもなあ、いまさらだけどだーいぶ元ねたと違っちゃってるからなあ。
闇医者になったわけって事になるんだよなあ。ちゃんと元ねたに沿って書かないと。
120 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/13(火) 02:43:39 ID:bcaVfRVv0
保守
121 :
ぽんぽん:2007/03/14(水) 02:24:59 ID:P3Vbl7Iq0
今度はちゃんと元ねたに沿えそうです。
122 :
ぽんぽん:2007/03/14(水) 02:26:52 ID:P3Vbl7Iq0
俺の名前は悟、体の良い使い走りさ。しかし最近は温かいな、でも風が強いな…ん?。
何だありゃ、あんな生徒いたか?いや、いない、明らかに不審者だが動きも無いしな。話でも聞くか。
「あの、どうしたんですか。用があるならこっちで話を聞くんで」
そう言ってもその人、いやその女は動く様子が無い、ずっと門に頭を傾けていた。
よ〜く見ると体のあちこちに絆創膏を貼っている。うわ、怪我人か、こりゃ速く連れて行かないと。
動こうとしないその女を無理やり引きずり連れてきたのはやっぱり保健室。畜生、この女重いぞ。
「すいませ〜ん。香苗先生。ちょっと出てくれませんか?」
明るい声で出てきたのはこの部屋の主、香苗先生。俺と女を見るや否や、いきなり指図を出し始めた。特に断る理由も無い、従うことにした。
まず絆創膏を取る事にして湯船にお湯を張る、そしてその中に女を放り込む。お湯は熱くも無く冷たくも無く、ちょうどよい温度だ。
その間俺は外で待っていた。次の指示はなんだろな、時折「ひいっ」と言う声が聞こえるが気にしない。
「悟さ〜ん。消毒液とガーゼ、ありったけお願いします。後時間が有ればこのこの服を洗濯して下さい」
先生に言われたとおりに俺は仕事をした。何事もつつがなく終わる、そう思っていた。…あのときまでは。
というのも、先生が消毒液で傷の消毒を始めた瞬間。
物凄い嬌声が用務員室に、いや学校に響く。数分後には大勢人が来るだろう。果たして間に合うのだろうか。
とりあえず聞いてみる。
「先生、大丈夫ですか?このままでは不味いですよ」
しかし女の叫ぶ声で聞こえない、たぶんこっちの質問は届いてないだろう、しかしあっちの声はこっちに聞こえてきた。
けっこう手荒に治療しているようだ。まあ仕様がない、暴れるんだもの。
そのうち気づかないうちに、と言うかギャラリーへの対応に追われているうちに治療は終わったらしい。
戻ってみると浴場がもぬけの殻だったからだ。
その後その女は少しばかり学校のお世話になった。でも変わったことに保健室を根城としてたんだよな。
暫くするとその女は学校から去っていった。心なしか少し寂しそうに見えた先生であった。ま、今回は俺が慰める場合じゃないな。
元ねた新耳袋「絆創膏」
123 :
ぽんぽん:2007/03/14(水) 02:28:20 ID:P3Vbl7Iq0
「これを何とか守ってください!お願いします」
そう言って、今回の依頼人は机に有るものを出した。ネガだ。
今回はこのネガの所為で色々と巻き込まれることになる。まあ俺らしいといっちゃあ俺らしいかな。
俺の名はジョージ、奇妙な珍妙な依頼なら何でもござれの探偵さ。
今回の依頼はこのネガをテレビ局まで届けてくれと言うものだった。そんな簡単な依頼、自分でやれ。最初はそう思ったさ、
依頼人と連絡が取れなくなるまでな…。
依頼を受けて2日後、依頼人、確か名前は羽鳥と言ったか…、そいつに連絡したがつながらなかった。
マコトに頼んで2時間おきに連絡してみたものの、電話口からは「電波の届く…」だった。
しっかしなんでテレビ局なんだ?マコト、テープ確認するぞ、ほら早く。
テープの映像には広い高原と牧場のようなものが移されていた。カメラは徐々に牧場に近づいていく、
どうやらこの撮影は3人で行われているようだ。羽鳥ともう二人
牧場の中をカメラで映していく、そのうちに俺には違和感を感じた。が、それは撮影していた奴らが代弁してくれた。
それからも撮影は続けられていった。結局決定的証拠みたいなものは分からなかったがこれが原因で依頼人が消えた、と言う可能性は強くなった。
その後も暫くテープを見ていたり連絡を取ろうとしてみたりと色々とやってみた。
なんせ依頼人が消えるようなものだ、迂闊に外に出るのは危険て言うものだろう、もし出るとしたら、アイツを使わなければならない。
でも今は勤務時間帯だからなあ。
124 :
ぽんぽん:2007/03/14(水) 02:29:49 ID:P3Vbl7Iq0
とりあえずメールだけでもしておくか。送信っと、あれ?お客か、マコト、ちょっと覗いて来い。
ん?どうしたマコト、「黒い…黒い男たちが…」
まあ落ち着けマコト、俺が出て行こう。
「はいは〜い、荷物は何でしょうか?」
「分かっているんだろ。テープを渡せ、男に聞いたら此処にあると聴いた。だから渡せ」
こんなことはあらかじめ分かっていた、まあ渡したものは外見こそは全く同じだが内容はUFO特番の奴だ。俺の趣味の一つって所よ。
そして何事も無くドアを閉める。遠ざかっていく車の音、そして…。
その後すぐに事務所を飛び降りるように出た。あれがばれたら真っ先に追われる。メイフェアもそろそろ車検に出さないとな。
悟の奴、早く返せよ。それとテレビ局だからな、あいつにもメールしておくか。「火急の用事」とすれば大丈夫だろ。
おい!マコト、早くしろ!ったく時間が無いのに。まあいい、依頼人の意向どおりに出来りゃ十分だからな。
「すいませんジョージさん。テープにちょっと異常が、ほら、発信機。使えるかなと思って外してました」
へえ、なかなかいいとこに気づくじゃん、褒めたくはなったがそれはこれが終わってからだ。それより返信しなくてもいいからとりあえず動いてくれよ…。
あんたにかかってるんだ。
125 :
ぽんぽん:2007/03/14(水) 02:30:25 ID:P3Vbl7Iq0
とりあえずテープ関連のものは袋に一つにまとめさせ、車を走らせていた。せいぜい気をつけることは囲まれないことだ。
とはいえさすがに腹も減ってくる。途中に立ち寄ったコンビニで手頃な物を買って食べていた。やっぱり肉まんよりあんまんだよな。
その時だった、車上荒らしへの警戒の為買い物にも袋を持ってきたのだが。その袋が取られた。俗に言う引ったくりだ。
誰がどうみても立派な引ったくりであった、そしてマコトの面は間が抜けていた。まあそうだろう、なんせ突然の出来事だからな。
引ったくり犯はそのままバイクで逃走していった。ん、あのバイク…、やっぱり見てくれたようだな。
「ジョージさん!!速く、速く追わないと!テープが」
わかった、テープを追わなくちゃいけないんだよな、そうだよな、追わないとな。
だあマコト、ギャーギャー騒ぐな。とりあえずあんまんでも食ってろ。あ、マコトが煩いから、見失っちまった…。もう追えねえや。
よし、マコトは煩いが作戦は終了したな。あいつには後でディナーでもおごってやるかな。
それとあいつにもまた連絡だな、特徴を伝えておかないと円滑に進まんからな。今回はスピードが第一だからしっかりしないと。
後は頼んだぜ、悟。少し危険だがお前なら大丈夫だろ。
そうだマコト、今夜はどっかのホテルで泊まることになるぞ、それと事務所は荒らされてるかも知れないから帰りに掃除用品でも買っておくか。
しっかし、どうも平和主義者になりつつあるな…。ちょっと前はこの後の状況を楽しんでたのにな…。
元ねた新耳袋「黒い男たち」
http://www.youtube.com/watch?v=g1JBHW_XkzY ※第四夜でもいいと思う、と言うかそっちの方がいいと思う。
126 :
ぽんぽん:2007/03/14(水) 02:31:01 ID:P3Vbl7Iq0
とりあえずここまで出しておきます。
127 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/03/14(水) 22:45:25 ID:cbmxHSJn0
ぽんぽんさん乙でした^^
とりあえずってことは…続きがあるのかな。
期待age
消化不良起こしそうなので、勝手ながら続きを期待
129 :
ぽんぽん:2007/03/15(木) 21:47:30 ID:RQkYbO1g0
分かりました。でも今書いているのはサイドストーリーの方なので
少し待ってください。
でもpDOGさん、ストレスには気をつけてください。
ある事例では過度のストレスによりそれまで全く異常のなかった人が胃潰瘍になったりするんですから。
130 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/03/16(金) 02:05:54 ID:EEv6R1ga0
>ぽんぽんさん
^^どうもですー
まぁ、あまり深く悩まないタイプなので大丈夫ですよー
やっと書きあがったので投下。
んー、あまりノッてないときに書くものじゃないかもしれませんorz
ジョージでホラー(サスペンス)をっ、と狙って見たのですが…ん〜アウアウ(AA略
俺の名前はジョージ。しがない探偵なんて稼業をしている。
俺の元にはいろいろと変な依頼が舞い込んでくる。
そりゃそうだ。こんな弱小の私立探偵の所に駆け込んでくるのは
世間知らずの甘ちゃんか、大手の探偵事務所をどこも断られた奴くらいなもんだ。
その日、俺の事務所に飛び込んできた依頼も、そんな変り種の一つだった。
「彼女を…僕のお嫁さんを探して欲しいんです。」
その言葉にマコトと傍に居た猫までもが目を丸くした。
まるで冗談のような仕事だが、依頼人は極めて真剣な表情をしていた。
依頼人は都内の電機メーカーのエンジニア。高見沢修一、28歳。
ひょろっとしていて顔色が悪い。冴えないボケた顔立ちで言葉にキレが無い。
不器用に仕事と趣味に生きてきた、誠実さが取り得のタイプのようだった。
話を聞いてみると一緒に住んでいた"山崎かおる"という名の女性が
つい先日、何も言わず、書置きひとつ残さずに消えてしまったのだという。
二人は付き合いだしてたったの一ヶ月だったが、もう結婚の約束も交わしていた。
週末に式場めぐりでも、という話が出た矢先の出来事だった。
失礼ですが…、と俺は聞かなければならないことを質問した。
その言葉に依頼人の青白い顔が少しだけ朱に染まった。
どうやら怒らせてしまったらしい。
「とんでもない!無くなった物なんて無いですよ!通帳も!カードも全部無事です。
今までに彼女にお金を貸したこともありません!」
結婚詐欺を疑うのはまず当たり前の事なのだが、今まで一度も疑わなかったのだろうか。
それだけでこの男の生きてきた半生を見ているような気がした。
もちろんこんな依頼は受けられない。
分かっているのは「山崎かおる」という名前だけ。
現住所、電話番号、本籍、交友関係まですべて不明な上に写真一枚無い。
見つけろというほうが無理な話だ。
そもそもそのありきたりの苗字と名前からして偽名である可能性が高い。
この男に近づいた目的は不明だが、おそらくデート商法まがいのやり口だろう。
まぁ、忘れるのが懸命な判断って奴だ。せっかくの依頼人だが丁重にお帰りいただく事にする。
無駄に高い必要経費を日割りで請求する悪徳業者ならともかく、
うちのような成功報酬中心の探偵事務所はこんな依頼受けたらタダ働き同然だ。
惚れた男の悲しい性って奴か。あまりに必死な願いを断るのは気が引けるが、
まぁ、今後悪いところに当たらないことを願うとするさ。
それはあまり記憶にも留まらない様な些細な出来事だった。
肩を落として帰っていった依頼人の靴の色も忘れてしまうほど。
俺の記憶からその顔まで失われてしまいそうになったとき、
依頼人は再び、俺たちの前に姿を現した。
──死体となって。
毎日の習慣になっている新聞とTVのチェック中、JRへの飛び込み自殺のニュース。
テレビの画面に映し出された無表情な顔と名前は、間違いなく高見沢のものだった。
これがはじまりだった。
だがこのとき、俺はまだこの事件の重要性をちっとも把握していなかった。
高見沢の死を知った日も、依頼を断った後味の悪さを喉の奥で味わっただけだった。
「ある女性を探して欲しいんですが…」
依頼人、須藤孝の口からその言葉を聞いた時、俺は妙な胸騒ぎを感じた。
あの仕事を断った依頼人の死からちょうど一ヶ月が経過していた。
春の暖かな日差しの中で眠そうにしていた猫が薄目を開けてこちらを見た。
俺の予感は的中した。
その女性の名前は山崎かおるだった。
恋人だったと思う、という控えめな関係。だが数日前からかおると連絡がつかなくなり、
彼女のマンションに行って見ると部屋の中がからっぽになっていたという。
俺は前の依頼人に出来なかった質問を無理に須藤に聞いてみた。
須藤は俺よりも年上だったし、落ち着いた判断が出来ると思ったからだ。
結婚詐欺の可能性、なし。
宗教の勧誘の線、なし。
何か高額な商品を買わされた様子も無い。
身体の関係、あり。
既にもぬけの殻だが住所も判明した。
解約されていたが携帯電話の番号も手に入れた。
これだけあれば仕事になる。現住所を突き止めることなど簡単なことだ。
俺はこの依頼を受けることに決めた。
まあ、仕事を請けないと家賃が払えないから、という理由もあったが
俺自身そのかおるという女にちょっと興味も湧いてきていた。
高見沢も須藤も、二人とも付き合いの短い女を必死になって探している。
どれほどのいい女なのか、ぜひお会いして見たいものだ。
須藤はこのまま泣き出すのかと思うくらい感動して何度も礼を言い、帰っていった。
事務所の窓から見送ったベージュのスーツ姿は、初春の短い夕日の中で
まるでスキップでもしだすかのように軽やかで晴れ晴れとしていた。
俺は一週間の調査時間を貰った。
実際にはもっと簡単に突き止められるはずだ。明日にでも早速取り掛かる予定だった。
だが、この依頼も思わぬ形でキャンセルされることになった。
翌朝、俺は須藤が自殺したという報告を聞くことになったからだ。
自分の住んでいたマンションの屋上から飛び降りたらしい。
と、俺は事務所に駆け込んできたマコトから聞かされた。
冗談じゃない。
もちろん報酬もパアだ。
しかし、飛び降り自殺ということだが、何故だ?
俺は確かに依頼を受けた。
断られて絶望して、というならともかくあれだけいい結果を期待していた人間が、
次の瞬間に死を選ぶなどということが起こり得るだろうか。
「山崎かおる」を追っていたから、なのか?
警察は思ったよりも早く来た。
須藤の自殺した日の足取りを追い、俺のところに辿りつくまで二日。
近藤さんは優秀な部下を持っているらしい。
次から次へと須藤の死について質問をぶつける俺に近藤さんは苦笑して
「これじゃどっちが取り調べられてるかわからないな」とボヤいた。
須藤孝、36歳。品川にある公営住宅在住のサラリーマンだ。
家族構成は妻と子供が一人。
山崎かおるとはどうやら不倫関係にあったらしい。
二日前、仕事帰りに俺のところに仕事を依頼しに来た須藤は、
帰宅た後、家族と夕食を共にし、発泡酒を二缶開けてふらりと外に出た。
15分後、屋上へと足を進めている姿が目撃されている。
他殺の可能性はまったく出てこない。
だが動機もまったく無い。
不思議な自殺だった。
それと、
地上に叩きつけられた須藤の体からは、妙な事に血が少量しか流れ出てこなかったそうだ。
そういえば最初の依頼人である高見沢も、須藤も、妙に青白い顔をしていた。
俺はひとしきり質問を終えると近藤さんに「山崎かおる」の依頼について説明した。
近藤さんは二人の依頼人の話を聞くと眉を曇らせた。
「そうか…その女性を洗い出してみる必要があるな。ん?ああ、いい。
ジョージ、お前は待っていろ。結果は教えてやるから。こういうことは税金でやるもんだ。」
まかせておけ、と笑って出て行った近藤さんの背中がいつもより小さく見えた。
嫌な感じだ。
今までに感じたことの無い、嫌な怖さ。
俺は近藤さんを呼びとめようと手を伸ばし…そして、やめた。
須藤の死は自殺として結論付けられた。
そして「山崎かおる」は存在していなかった。
マンションに住んでいた人物「山崎かおる」はもちろん偽名だった。
そんな人間はこの世に存在していない。
足取りも途絶えた。
だが、この女が何かを知っていることは間違いのない事実だ。
同じ女を追っていた男が続けて二人も自殺するなんて、とても偶然とは思えない。
嫌な感じだ。
近藤さんが調べ直してくれた。
最初の依頼人、高見沢の列車事故も自殺であることは間違いないそうだ。
ホームの一番前に立ち、自然に身を電車の前に晒したらしい。
目撃者も多数存在していた。
そして、
高見沢の自殺時も須藤同様、血液の少なさは問題視されたらしい。
──血液、か。
確かに血液の売買組織は存在する。
献血などというレベルではなく、死の間際まで血液を売り買いする連中だ。
血液を冷凍保存する倉庫、血清を取り出す技術、密輸するルート。
これがその組織が絡んでいるのなら、かなり大きなヤマになりそうだった。
俺が密輸組織の説について話している間、近藤さんはじっと俺の話に耳を傾けていた。
そして話がひと段落すると、お茶をひと啜りしてこう言った。
「ジョージ、この事件は警察の仕事だ。お前は手を引け、いいな。」
「山崎かおる」の一件は気にはなったが、俺の元には次の仕事が舞い込んできていた。
俺はすべてを警察に任せ、この事件から身を引くことに決めた。
だが、俺がこの事件の呪縛から逃れられるようになるのはもっとずっと後のことだ。
その夜、俺はある別件の仕事を片付けてアパートへ帰ろうとしていた。
人ごみに揉まれて駅の改札を抜け、疲れた足を引き摺って家路を急いでいた。
時刻は夜の十時を少し過ぎていた。
アパートが見えてくる。
ふと、二階にある俺の事務所の明かりがついている事に気がついた。
サオリか、それともマコトか。猫の世話にでも来てくれたのだろうか。
そんなことを考えながら近づいて、その予想がどれも外れていることを知った。
四階の窓から見えた人影は、俺の見知らぬ女のものだった。
まだ夜風の冷たい春先の陽気に対応できる、大きなストールのような黒いコート。
肩よりも長い黒髪。
後姿のために顔は解らないが、どうやら事務所の中を見回しているらしい。
俺はオペラグラスを仕舞いこみ、気付かれぬように音を立てずアパートの中へと侵入した。
他に見張りや仲間は居ないようだ。
俺は敢えて階段を使って二階まで進み、事務所の中の様子を伺った。
何の物音もしない。
俺は今更ながら事務所に防犯対策を加えていない己の馬鹿さ加減を後悔していた。
俺は鍵を取り出して開け、一気にドアの中へと踊りこんだ。
動くな、と叫ぼうとして、やめた。
部屋の中は真っ暗だった。電気など点いていない。
誰も居ない。
何の音も、気配もしない。
いつもの誰も居ない事務所のままだ。
俺は用心深くすべての部屋を調べたが、誰も居なかった。
何かを取られたような形跡も無い。
──あれは……目の錯覚だったのか?
だが、ここにはあの女が確かに居たらしい。
俺の嗅ぎ慣れない香水か、シャンプーの匂いがまだかすかに部屋の中に残っていた。
事務所のドアが小さく音を立てた。
身構えた俺の前に三毛猫が顔を出して、不思議そうな表情をしていた。
鼻を動かしている。ミケも部屋の中の様子が違うことに神経質になっているらしい。
いつもは深夜の集会から帰ってくるとすぐお気に入りの場所に行くのだが、
今夜はじっくりと部屋の中を見回し、臭いを嗅いで回っている。
目の錯覚などではなかった。
確かにここに、俺たちの知らない誰かが侵入したようだった。
何か、嫌な感じだ。
そして俺は三度、山崎かおるの名前を耳にすることになる。
新しく舞い込んできた依頼のターゲットがかおるだったのだ。
結婚を約束してくれた女性。
かおるの身辺調査の仕事だった。
依頼人は田中辰夫、30歳。墨田区にあるチェーン店の居酒屋の雇われ店長だった。
ある休日──これは後に判った事なのだが須藤の死の翌日だ──に、
かおると出会い、そのまま意気投合してホテルになだれ込んだ。
山崎かおる、25歳。
解っているのは名前と年齢、そして現住所。
残念ながら写真は無いが身長は155cmくらい、体重は45kgくらい。
普通の体型、普通の顔立ち。
そして肩より少し長めのソバージュがかった黒髪。
あの夜、俺の事務所の窓に見えた女性の姿に条件は当てはまる。
かおるは特別美人というわけではなかったが、不思議な魅力を持つ女性だった。
田中はかおるを抱いた瞬間から虜になり、もうかおるの事しか考えられなくなっていた。
結婚しよう、と言うと「いいよ」と返事をしてくれたらしい。
そして田中は俺のところにかおるの身辺調査を依頼に来たのだった。
苦笑するしかないことだが、これは田中の両親の命令だそうだ。
これが三十にもなった大の男の姿とは思いたくないが、舞い上がって呆けた頭には
まだまだ歴史を積み重ねた人間の経験とカンが必要らしい。
田中は青白い顔で、少し落ちつかな無そうに事務所の中を見回していた。
俺は帰る田中の後をつけた。
それが「山崎かおる」に会える最短の道だと思ったからだ。
田中は新宿駅の山手線ホームで夕刊を買い、読みながら列車を待っていた。
俺はその背後で田中と、その周囲を警戒していた。
田中が不意に手にしていた夕刊を落とした。
様子がおかしい。
手は夕刊を持った形のそのままに、ゆっくりとホーム端へと歩いてゆく。
列車がホームに入ってくるアナウンス。
山手線独特のメロディ。
俺は咄嗟に人ごみを掻き分けて田中の下へと駆け寄った。
田中は本当に自然に、ホーム外にその一歩を踏み出した。
ホームに入ってきた銀色の車両がけたたましいブレーキの音を立てた。
悲鳴──
俺は田中の身体を地面に引き摺り倒していた。
怒声と悲鳴と安堵の声の中で、俺は意識を失っている田中を見下ろしていた。
そして……見つけた。
線路を挟んだ向かいのホームに、あの黒いすっぽりと包むコート姿を見つけたのだ。
141 :
エピローグ:2007/03/16(金) 02:30:56 ID:EEv6R1ga0
女を見かけたのほんの一瞬だった。
だが、あの一瞬俺を振り返った冷たい氷のような目を、俺は生涯忘れないだろう。
帰宅ラッシュの人ごみに紛れ、ホームへと走りこんできた列車に阻まれ、
その姿はあっという間に消え去ってしまったが。
そして、もう二度とその姿を見つけることなどできなかったが…
駆け寄ってきた駅員に田中を任せ、俺はその気配の消えた人ごみをいつまでも目で追い続けていた。
運ばれてゆく田中の血の気の失せた青白い首筋に、二つの傷跡が見えた。
それはまるで物語の吸血鬼を思い出させるような傷跡だった。
嫌な感じだ。とても嫌な感じだ。
血液の売買組織に、恐らく真相心理の中に擦り込まれた口封じのキーワード。
詳しくは知らないが高度な催眠術かマインドコントロールの一種だろう。
意識を取り戻した田中の証言では、駅のホームで新聞を読んでいる途中から記憶がなくなっているそうだ。
もちろん田中には血液を売った記憶どころか、血を失っている自覚すら無かった。
近藤さんは一連の事件を追い続けているが、いまだ手掛かりは何も掴めていない。
俺は事務所の硬いソファに身体を横たえ、帽子を日よけにして暖かな陽気の中でまどろんでいた。
いつか遠くない未来、俺は「山崎かおる」に会うような気がしていた。
その時は… 逃がしはしない。
あの女吸血鬼を追う決意を固めるにはまるで場違いな、柔らかで、穏やかな昼下がりだった。
春は、もうまもなく盛りを迎えようとしていた。
pDOGさん、乙です。
書き込みが進むのと並行して読ませていただきました。
やはりpDOGさんの作品あってのジヨージスレですね。
>いつか遠くない未来、俺は「山崎かおる」に会うような気がしていた。
続き書いて欲しいです。よろしくお願いします。
143 :
ぽんぽん:2007/03/16(金) 22:32:17 ID:yg97jszy0
むむむ…さすがpDOGさん。
ほ
145 :
ぽんぽん:2007/03/20(火) 19:24:17 ID:cXNWevWF0
し
ゅ
う
148 :
ぽんぽん:2007/03/22(木) 23:43:12 ID:pspkI2lf0
じ
149 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/23(金) 02:52:47 ID:sdamt2OlO
ゅ
ぎ
151 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/03/26(月) 04:43:49 ID:L+3cO5SK0
やっと書けるようになった。
ぢおん軍一斉アクセス規制に巻き込まれて一週間以上書き込めませんでしたorz
何にもしてないのに; ;
早速ですが新作投下しますー
21さんの設定、勝手に使わせていただきました^^;
シャワーの音がする。地下の部屋では特に音が響くようだ。
薄目を開けて相棒のダニエルのベットを見ると既に誰も居なかった。
いつも俺には水の無駄遣いするなとか言うくせに、こんな朝っぱらからシャワーかよ。
俺は眠い目を無理矢理こじ開けて文句を言いにシャワールームへと向かった。
「おいダニー、ダニー聞こえないのか?朝っぱらからなにやってんだよ。」
その俺の声に応えたのは背後からの大きなあくびだった。
「おいジョージ、朝から大きな声出さないでくれよ。」
部屋の隅の寝袋からダニエルが伸びをしながら体を起こしていた。
「いいか、ジョージ。人生に必要なものは静かな朝なんだぜ。」
俺は少し驚いていた。じゃあ、今シャワーを浴びているのは誰なんだ。
「そうよ、それと柔らかいタオル。」
また俺の背後から声がした。
ダニエルを振り返っていた俺の背後、シャワーを浴びていた主が顔を出していた。
声は随分下から聞こえた。
見下ろすと金髪の、十歳くらいの少女が俺を見上げて両手を伸ばしていた。
「何してるの?早く持ってきなさいよね。」
少女は裸のまま腰に手を当てて頬を膨らませて見せた。
こうしてこの朝、俺はわけのわからないまま見知らぬ少女のために
タオルを取りに行かされることになったんだ。
俺の名前はジョージ、まだ当分この街には馴染めそうもない生粋の日本人だ。
少女の名前はエイミーと聞かされた。昨夜ダニエルが"拾って"きたらしい。
「待ってろ、とびきりの美女を捕まえてきてやるからな。」
と昨日の夕方大見得を切って出て行った男は、今、待ちきれず寝てしまった俺の前で
白々しくコーヒーを飲んでいる。
「ジョージ、食べないのか?またコーヒーだけで済ませるつもりなのか?
いいか、俺たちの人生に必要なものはちゃんとした朝食なんだぜ。」
「この冷め切ったピザがちゃんとした食事ですって?」
またお説教を始めたダニエルを遮って、エイミーが喋りだした。
「電子レンジくらい無いの?せめてフライパンでもいいから暖め直すべきよ。
冷めた生地はまだいいけれど固まったチーズなんて私、耐えられないわ。
それにサラダもミルクも無いんだからフルーツの一つくらい用意するべきじゃなくって?
さらに言わせてもらえればコーヒーも苦すぎるわね。」
あまりにもお喋りな女の声に俺が顔をしかめて文句を言おうとすると、
ダニエルが肩をすくめて言い訳を始めた。
「電子レンジなんて贅沢品はこのアパート中を探したって出てこないぜ。
それとフライパンはあるんだが…ガスが無い。地下室だからな。」
「サラダとミルクとフルーツは?」
「スーパーに行けば沢山置いてある。」
「ここには無いってはっきり言ったら?」
「コーヒーはフレッシュだぜ。」
「日本人が煎れたにしては味はいいわね。でもこんな濃いコーヒー、胃に悪いわ。」
「まったくだ。明日からもっと不味く煎れてくれよ、ジョージ。」
「そうじゃないわよ。」
まったく、こんな騒々しい朝は初めてだ。
ダニエル一人だけでもうるさいって言うのに、二人になった日にはたまったもんじゃない。
「ねぇダニエル、この人も探偵なの?」
エイミーが俺を見上げながら聞いた。
「いいや、違うぜレディ。俺たちは"国際"探偵だ。」
ダニエルがお得意の営業スマイルを見せながら答えた。
「あらためて紹介するぜジョージ、俺たちの"依頼人"ミス・エイミーだ。」
「よろしくね、ジョージ。」
まだ仕事の内容も報酬も聞いていないが、俺は依頼人と握手を交わした。
小さな手は暖かかった。
仕事は父親を助けて欲しい、というものだった。
エイミーの父親は近くにある大学の教授で有名な生物学の権威だった。
もちろん俺は知らなかったが本当なのか嘘なのか、ダニエルは知っていると答えていた。
エイミーの母親は彼女を生んだと同時に天に召された、と言う。
その偉い学者の父親が研究していた新薬が、先日ついに完成したらしい。
「ついに完成したぞエイミー。今夜は帰る。二人でパーティをしよう。」
それが、父親からの最後の電話だった。
大学から家までは徒歩15分、しかし父親は帰ってこなかった。
薬の完成が近づいた頃から家の周りを不審な人物がうろついていたのは気付いていた。
「きっとパパはあの男たちに捕まったのよ。」
そういって目を伏せたエイミーの表情に不安げな影が落ちた。
ポリスには相談したのか?とダニエルが聞くと警察は駄目、という返事。
警察は助けてなんてくれないわ。
子供から発せられたその言葉に、俺たちは顔を見合わせて肩を竦めるしか無かった。
「それで…大事な話しをしたいんだが、いいかな、レディ。」
「いいわよ、報酬の話でしょ。」
ダニエルは少し上目がちに依頼人の顔色を伺っていた。
その表情を読み取ったのだろうが…生意気な娘だな、と俺は思っていた。
だが母親も無く、父親も留守がちな家で一人で暮らす子供はこんなものだろうか。
俺がそうだったように。
エイミーはポシェットの中を探して、ダニエルに二粒のキャンディーを渡した。
「今はこれしか持ってないの。家に帰ればお金もあるんだけど…少しは……
あとはきちんと仕事をこなしてからね。」
「だ、そうだぞジョージ。ほら、お前のぶんだ……なんだよその顔は。
いいか、ジョージ。人生に必要なものは一粒のキャンディーなんだぜ。」
俺はこいつにブラームスとどちらが大事か聞いてやりたかったが、やめた。
とにかく仕事をこなすしかないようだ。
俺たち三人は父親の研究していた大学へと向かった。
研究室は綺麗に片付けられていた。
と、いうより何も無かった。
荒らされた形跡を探すどころじゃない。すべて持ち去られたようだ。
エイミーの父親ごと。
何を研究していたのかすらわからない。見事に組織立った拉致事件のようだった。
俺の手をエイミーが握った。
小さな手が、俺の手を力いっぱい握り締めていた。
俺たちは研究室の中で何か手掛かりになるものは無いか、隅々までくまなく探していた。
情報をおろそかにする奴は探偵として二流だぜ――
ダニエルはお得意の口癖でそう俺をせき立てた。
手掛かりどころか髪の毛一本落ちていない室内に、俺たちがため息を漏らしそうになった時、
部屋に備え付けられている電話が静かに鳴り出した。
ダニエルは俺と顔を見合わせて頷くと受話器を手に取った。
「スタンフォード教授の娘に代わってもらおうか。」
電話の主はまるでこちらの部屋の中が見えてるかのような口調でそう言った。
あとで聞いた話だがメキシコ系の"訛り"があったらしい。
「エイミーと話がしたいのならまずマネージャーを通してもらおうか。
そうだな、まずギャラを聞かないことには始まらないな、2000ドルを下回ることは無いぜ。」
「冗談が言いたいなら他を当たってもらおうか。それとも三人纏めて仲良く……。」
「オーケイオーケイ、わかったよ。ジョークの通じない奴だぜ。」
受話器を受け取ったエイミーの手は震えていた。
それでも気丈に振舞っていたという。
「パパは無事なんでしょうね。」
「それは君次第、と言っておく。君が大人しく我々の元に来るなら
きっと元気なパパと再開できるだろう。」
この会話で状況はほぼすべて筒抜けになったようなものだ。
奴らはエイミーの父親=スタンフォード教授を攫ったものの、
教授は奴らの言いなりになんかならなかったらしい。
そこで奴らは娘を人質に、教授を言いなりにさせようと企んでいるわけだ。
「嫌だ、と言ったら。」
受話器を奪い取ってダニエルが答えた。
「言いなりにさせる方法ならいくらでもあるのだがね。」
「そんなことはさせない。」
「とりあえず、君たちは邪魔なようだ。」
電話が一方的に切られると同時に、部屋の窓が破られて人が転がり込んできた。
大ごとにしたくない様子だった奴らにしては、恐ろしく派手な登場だった。
部屋に飛び込んできた男は一見ホームレスのようだった。
ボロボロの腐ったような服、土気色の肌、鼻をつく悪臭。
髪の毛も何日もシャワーを浴びてないようだ。黒く固まっている。
男はどう見ても正気を失っているようだった。
真っ直ぐ二人をめがけて走りこんでくる。
伸ばしてきた手の爪が三枚も剥がれて無くなっていた。
エイミーが悲鳴を上げてダニエルの後ろに隠れた。
ダニエルはエイミーを抱きかかえてその一撃をかわすと、懐から拳銃を取り出した。
「おっと、そのイカレた頭でもこいつは理解できるだろう?
死にたくなけりゃ動くんじゃないぞ。そうだな、床に腹ばいになってもらおうか。
それと、お前の雇い主について知ってることを全部喋って…おい、止まれって。」
お得意の軽口と脅し文句は何一つ通じなかった。
男は怯むことなく二人に向かってくる。
ダニエルは男に向けて三発、引き金を引いた。
胸に三発。
だが、男は止まらない。
続けて頭に狙いを定めて、引き金を引いた。
血と髪の毛と脳漿が飛び散った。
だが、男は止まらない。
「なんだよ、こいつは?あれか?ゲームであったなこういうの、なんだっけ…」
「そんなのいいから、早く撃って!」
さらに二発、確かに当たっているのだが男は少しも弱まる様子を見せない。
S&WのM60はそれで弾切れだ。
空しく空撃ちをする撃鉄の音。
「ダニエル!弾が無いわ!」
「わかってる!」
「わかってるなら早く入れて!」
「ツケでいいかい?」
「この貧乏探偵。」
男は黄ばんで所々腐り落ちた歯を剥き出しにして、二人に襲い掛かろうとした。
襲い掛かろうとして、真横に吹っ飛び、本棚に頭から飛び込んで膨大な本の中に埋もれた。
俺が横から痛烈な跳び蹴りを喰らわせたからだ。
「ナイスだジョージ!逃げるぞ!」
目の端で男が起き上がる姿が見えた。まるで悪夢を見ているようだった。
俺たちはアパートの地下にある倉庫=俺たちの部屋まで休まず走った。
あれは一体何だったのか、と俺は聞いた。
「あれが何かって?ゾンビだ。Zombie!、Living Dead!、Ghoul! 」
取り乱してゾンビだと言い張るダニエルを俺は哀れみの目で見つめる。
「オーケイ、きっとジャンキーだ。」
俺は頷いた。
痛みをまったく感じないなんてPCPのさらに上をいく悪性のドラッグだろう。
もしかしてスタンフォード教授の研究にも何か関係があったのだろうか。
「これからどうするのよ。」
エイミーが心配そうな声を上げた。
「もちろんパパを助けに行くつもりさ。」
「でも、また"あいつ"がいるわよ。」
「風呂にでも入ってる隙を狙うさ。」
「入ってなさそうよ。」
ダニエルとエイミーが飽きずに軽口を叩き合っている間に、
俺はキッチンと呼んでいるスペースからコーヒーを持ってきていた。
確かに奴はやっかいだ。
頭に銃弾を撃ちこんでも平気で動く奴をどうやって止めたらいい?
「それでジョージ、首尾はどうだったんだ?」
ダニエルが俺に話しを振った。
「何のこと?」
エイミーはまったく気付いていない。俺はあの時…
ドアが蹴破られた。
一番来て欲しくない奴が来たようだ。
エイミーは手当たり次第にそこらじゅうにあるものを投げつけた。
だが男は止まらない。
「ああ、それは1977年もののムートン・ロートシルト。それだけは勘弁してくれ。」
ダニエルが王冠のラベルを掴んだエイミーにすがりつく。
男がダニエルに襲いかかった。
どうやら基本的な命令は"エイミーをつかまえろ"というものらしい。
そしてその障害になるものは排除せよ、という二次的な命令もあるようだ。
だからこうして俺は襲われてるダニエルを見下ろしながらコーヒーを飲んでいられる。
「助けてくれジョージ!のん気にコーヒーなんか飲んでないで!」
「助けて欲しいってさ。」
となりのエイミーもかなりのん気に構えるつもりらしい。
ダニエルは今にも喰らいつかれそうだった。
痛みを感じないばかりか、力も人間の許容をかなり上回っているようだ。
俺はコーヒーを飲み干しながらそう分析していた。
助ける?だが、どうやって?
相手は拳銃も効かないジャンキーだ。単純な動きしかしないがそれだけに厄介な奴だ。
「あきらめろってさ。」
「おいジョージ!!」
俺が答えに困ってるとエイミーが代わりに答えてくれた。
「そうだ!塩だ!!塩を持ってきてくれ!」
絶体絶命な状態のダニエルが声を限りに叫んだ。
「塩だ!ジョージ!今、俺の人生に必要なものは塩だ!
早く塩をこいつのイカレた口に突っ込んでくれジョージ!」
何を考えているのかわからないが、俺は塩を探しにキッチンへと向かった。
塩の容器はカラだった。
「切らしているようだぞダニー。買ってくるか?」
「もうもたない!いいから他になんかないか!?」
見回してみたが砂糖も胡椒もシナモンも無い。
俺は自分のバッグを取りに行った。
少しもったいないが"とっておき"を出すしかないようだ。
俺はデイバッグから"とっておき"の瓶を取り出すと中身を一掴み取った。
男の髪を掴んで上を向かせると、その開いた口に手に取ったものを押し込む。
口を塞がれた男は白目を剥いて唸り声を出した。
体が痙攣し、激しく震える。
ダニエルから手を離し、床に転がってのた打ち回った。
髪の毛や皮膚が床の上に散らばり、黒く固まった血がぽろぽろとこぼれた。
そして、やがて動きを止め……そこで始めて死ぬことを思い出した。
ダニエルは立ち上がり、ネクタイを直しながら俺の横で男を見下ろしていた。
「何を食わせたんだ?」
その質問に俺は手に持った"とっておき"を見せる。
それは日本から持ってきた梅干の瓶だった。
ダニエルの指示は古くから伝わるゾンビの退治法だったそうだ。
まぁ、ジャンキーにも効いたからよかったものの、適当なことを言う奴だ。
俺たちは男の遺体を連れて"奴ら"のアジトへ殴りこんだ。
研究所でダニエルが奴らと電話をしているとき、奴らには俺たちの姿が見えていた。
近くに居ると踏んだ俺はダニエルが時間を稼いでいる間に奴らの車を発見し、
発信機を取り付けておいたってわけだ。
奴らには男の死体にノシをつけてお返しをさせてもらった。
スタンフォード教授も無事助け出した。
エイミーは父親の胸に飛び込み声を上げて泣いた。
それは俺たちに初めて見せた、十歳の少女の顔だった。
俺たちの仕事は終わった。
俺とダニエルは同時にポケットからキャンディーを取り出して口に入れた。
お互い同じ考えだったらしい。顔を見合わせてニヤリとする。
もうほかには何もいらない。俺たちはエイミー親子を残してこっそりアジトを後にした。
並んでアパートへの家路に着く俺たちの影の腕が、堅くぶつかり合った。
それはもう10年も昔の話。ニューヨークの片隅で俺たちはまた歩き出す。
運命が二人を分かつときまで……
CITY HUNTER
164 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/26(月) 20:25:00 ID:/cbyl2Z20
少し雰囲気変わっちゃったかな・・・?
165 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/29(木) 09:44:39 ID:PheX2/Y1O
ほ
166 :
本当にあった怖い名無し:2007/03/29(木) 10:36:16 ID:+t8+VBvD0
し
167 :
ぽんぽん:2007/03/30(金) 02:25:47 ID:E0CtRaL/0
俺の名前は悟、いたって普通の、たぶん普通の用務員さ。そう思いたいよ…。
『それ』がやってきたのはいたって平凡な、のどかな、心温まるような、そんな昼下がりの頃だった。
「春眠暁を覚えず…か。オーボ(ry)…ふっ。面白いな」
べたべたなギャグで一人笑っていたところ、やってきたのは一件のメール。
「ふうん、こんな時間にジョージからか、珍しいな。どれ」
そのメールはジョージからの助け、じゃなくて協力を求めるメールだった。
最初はどうせスーパーのタイムセールだろう、そんなくだらない事だろう、と思っていた。しかし来た文面をよーく見ると…。
うっわ〜、思いっきり危険な奴じゃねえか。しかも何なんだよ、『黒い男たちに〜』って、どんなヤバイ物に手を出したんだよ。
ん、ふ〜ん、あ、これならぎりぎり出来そうだな。よかった〜、立ち回りとか殺陣と血みどろな物やらなくて。
さて、こうしちゃおれんな、予定はすべてキャンセル、たまにスリルを味わうのもいいか。
その前に先生にメールしとかないと。『今日はいけません』とな。送信っと。
しっかしジョージの野郎、ずいぶんと珍妙な作戦じゃないか。引ったくりに見せかけて所有者を移すなんてな。
おっと、そろそろ例の場所に着くな、お、マコト袋持ってやがる。あれだな、せーのっと!!
「あーー!!袋がーーー!!ジョージさん!!速く、速く追わないと!テープが」
これで第一段階はクリアか、そういえば先のメールはこれをどうするかは書かれてなかったな。だとするとそろそろ来る頃だな。
お、携帯が振動してる。誰からかな〜、やっぱりジョージだ。しっかしこれはやばいだろ運転中に携帯って。よいこの皆さんは守るんだぞ。
え〜っと内容は…?ふんふん、へ〜『発信機』ですか。それと・・誰だよユウスケって…。こいつに届けりゃいいのかな。
168 :
ぽんぽん:2007/03/30(金) 02:26:28 ID:E0CtRaL/0
とりあえず発信機はこのポストに放り込んでおくとして。問題はユウスケってやつとこいつが勤めてるテレビ局だな。
まあこれはジョージに送っておくか。『場所を教えてくれ』と、送信。おし。
それにしても何だよ『黒い男たち』って、絶対係わり合いになりたくない人種だな、あんなふうに黒一色って怪しすぎるぜ。
ってあれか!?ってことはやべえ、何かこっち見てる。もしかしてばれたか!?なんか急いで車に乗ってるしな〜。
さてと、逃走劇って所かな?まったく、速く場所を教えてくれよジョージさんよ。じゃないと俺捕まっちゃうよ。
向こうから追いかけて来るっぽいし。駆動音が聞こえてるし。ブオ〜ンって、ほらブオ〜ンって。
暫く走ってみたけど何か勘違いだったぽいな、それともあっちが間違えたのかな。これでようやく落ち着けるよ。お、メールだ。
お、ジョージからだ。内容はっと…ユウスケの写真と、それとテレビ局の地図か…。おっけ、これで依頼を終わらせられる。こうしてみるとジョージみたいだな、自分。
しっかしなんか張り合いが無いな〜。昔はもうちょっと危ない橋もあったのに、もうテレビ局に着いちゃったな。
お、あれがユウスケって奴かな。
「あ、今晩は。えっと、悟さんですか?ジョージさんから話は聞いています、自分がユウスケです」
どうやらこいつらしい、袋を渡してと。これで俺の仕事は終わりだな、ジョージに送信っと、これでようやく帰れる。
でも先にクロに餌やらないとな、こんな時間だけどまあ仕様が無いよな。
先生とも飲めなかったし、まあ埋め合わせは近いうちにしようかな。あ、そろそろホワイトデーかあ、計画立てないと。
その後、ローカル局でミステリー特番が放送されているのを見た。恐らくテープが元となっている奴だろう。
でもジョージは見ていなかったらしい、テレビないのかな?あそこは。でもあの番組、結構リアリティあったな。
そういえばあれからあいつらの身に何も起こっていないよな?
「悟さん、そんな怖いもの見ないで行きましょうよ。さ」
む、そうだな。埋め合わせしなきゃいけなかったんだよな、今行きま〜す。
「黒い男たち」悟,s side。
169 :
ぽんぽん:2007/03/30(金) 02:38:09 ID:E0CtRaL/0
『3月○日。今日も綺麗に生えている。最近虫が寄ってきているようだが全く気にも留めていないようだ。
このまま私のものになってくれればと思う。』
『3月◎日。今日は何故か虫が多い、とはいえうかつに薬を使って成長を阻害するのも
よくはならない。しかし、これ以上荒らしていくのならば黙っているわけにも行かない。』
『3月×日。堪忍袋の緒が切れた。今まで我慢したがさすがに限界だ。
花のことも考えて薄めの薬をまいておいた。これで暫くは近寄ってこれない。』
『3月△日。花はすくすく変わらず育っている。しかしめげずに虫はやってくる。
少し小さいが悪い芽は早いうちに摘んでおくに限る。』
・
・
なんか…暇だな。今日は先生たちや女子が何故か来ない、よってクロの散歩時間も3割増しだ。
いつもだと「悟さ〜ん」と言う声が聞こえてきたり駆けてくる足音が聞こえたりしたのになあ。
お前も寂しいよな、あ、もう餌の時間だ。やべえ!ペディグリー少ねえよ!
またジョージに頼むか。しっかし大丈夫かな、皆。何か変な事起こってないよな?
『3月▲日。作戦は功を奏したようだ。全く虫が寄り付いてこない。これで付きっ切りで
世話が出来そうだ。えへへ。』
えへへ、悟さん困ってるみたい。ま、当然かな?どんどん近づいって、
行く行くは…えへへ〜ん。きゃっ、私ったらはしたない。さて、まずは用務員室に行こうっ。
元ねたPART31「観察日記」
170 :
ぽんぽん:2007/03/30(金) 02:43:27 ID:E0CtRaL/0
とりあえず書いてみました。
171 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/03/30(金) 04:20:10 ID:TJOH6OyL0
ぽんぽんさん乙でした^^
ちょっと寂しくなっちゃいましたけど、まったり進行でヨロです。
保守age
ho
俺の名前はジョージ、嫌な仕事もこなさなけりゃならないほど懐が厳しい探偵だ。
依頼主は人よりもちょっとは小金持ちのオヤジ。そのせいか娘が付き合っている男が金目当てだと信じきっていて、
そいつの素行調査をして欲しいという依頼だった。
まったくいくら娘とはいえ、成人してんだ……そこまで干渉することもないだろうに。
だからといって背に腹は変えられない、俺はさっそく尾行をメインとした調査を始めることにした。
男は会社員。実家は一戸建てで庭有りの立派なモノ。その家に両親と一緒に住んでるものの、
表札から次男とわかって将来親の介護をしなければならない可能性は薄い。
朝はまっすぐ会社へ出勤。夜も飲み歩くことも、風俗通いをすることもない真面目なもの。
休みの日にはのんびりと犬の散歩をしたり、依頼主の娘とデートをしたり、はっきり言って好青年と言っていいだろう。
調査を終えて帰ろうとしたある日、俺は後ろをついてくる何かに気がついた。
何気ないそぶりを装って振り返った俺の目に飛び込んできたのは、電柱に足を上げて小便を引っ掛けている犬の姿。
やれやれ、こいつはいつものヤバい仕事じゃないんだ。ついつい過剰反応しちまったようだ。
調べてわかったのは、ごくありふれた会社員の男であるということ。
あとはツテからカードの使用状況などを入手して終りにしようかと思って事務所をでたとき、
そこに調査対象である青年が立っていることに気がついた。
平静を装っているものの、俺の頭はフル回転だ。尾行中、気がつかれたようなそぶりは一切なかった。
帰りに後をつけられたこともない。なのになぜこいつは俺の事務所を知ってるんだ?
「ずっと尾行してたと聞いたんですが……」
ちらりと上にある俺の事務所の看板を見て、男は何もかも察したようだ。
「探偵なんですね。もしかして依頼主は、彼女の父親ですか?」
「そいつは悪いが答えられないんだ、守秘義務があるからな」
まぁ、これじゃ答えたも同然だけどな。さて、こいつはどうでるか。それでこいつの本性もわかるってもんだ。
174 :
本当にあった怖い名無し:2007/04/03(火) 11:50:33 ID:YvQx/5rl0
男はしばらく考え込むと、やがてひとつ頷いた。
「なんか怪しい男が様子を伺ってると聞いて、いま流行の窃盗団か何かと思ったんですが……
探偵だとわかって安心しました。調査を続けるなら続けてください、報告もお好きなように。
あなたが尾行してるからといって、俺は普段の生活を変えるつもりもないですから」
この言葉に、俺はかなり交換を抱いた。潔い男は嫌いじゃない。
「仕事の邪魔をしてすいませんでした。それじゃ」
「おい」
行きかけた男が振り返る。
「どうして俺のことと、ここがわかったんだ? 聞いたってことは誰かに教えてもらったのか?」
ここはどうしても聞いておかなければならないだろう。
「ええ、まぁ」
「誰にだ?」
教えられたというなら、俺の尾行は素人には感づかれるほどじゃないってことだ。だが、その教えたヤツはどうだ。
まさかあっちの世界の人間だとしたら……いくら好青年に見えたとはいえ、あっちの世界と繋がりを持つ人間と
知り合いというならその評価を変えざる得ない。
「言っても信じてもらえないと思いますよ?」
「いいから、教えろ。尾行が気づかれたとあっちゃ、探偵生命の危機なんだよ」
素直に答えないのは、ただ単に教えたヤツに迷惑がかかるのが嫌だからなのか、それともあちらの世界との繋がりがあるからなのか。
前者ならば、好青年という評価に拍車がかかるだけだ。だが後者ならば……。
「こいつに教えて貰ったんですよ」
男が指差したのは足元。そこに一匹の犬がいることに、今更ながら俺は気がついた。男の家の飼い犬だ。
「犬が教えてくれたとはね」
「信じようと信じまいと、事実ですから」
そんな突拍子も無いことを言ってまで隠そうとする男に、どうしても疑念がわいてくる。
「引き止めて悪かった」
「いえ、それじゃ」
男は踵を返すとゆっくりと歩き出した。綱もつけてないのに犬もまた素直に男についていく。よくしつけられてるもんだ。
とはいえ、もうすこし男に関する調査は続けたほうがよさそうだ。それも特に周囲のヤツを。
そう決心した俺の目に、男と犬がのんびりと歩く後ろ姿が映っていた。ふいに犬が立ち止まり、
後ろを……いや、俺を確かめるように振り返った。その犬が笑っているように見えたのは、多分俺の気のせいだろう。
元ネタはenigmaスレのじじ犬からでした
176 :
本当にあった怖い名無し:2007/04/03(火) 21:28:38 ID:ZHCkkOAI0
乙でした。
上手いし読みやすい。なんか好きな文体だなぁ
元ネタ探したんですが見つかりませんでした。
でも元ネタなくても読める。GJ
>>175 乙でした。
私も好きだな、この文体。
なんか安心して読めるというか、文に安定感がありますね。
しかも面白い。
179 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/04/05(木) 17:31:31 ID:jyZxcrD60
乙でした^^
ご新規さん、なのかなぁ?
良作age
私も負けじと何か書かなきゃ
173を書いた者です。お褒めいただきありがとうございました。
前からスレは見てたのですが、書いたのは初めてです。
またネタができたら書き込みたいと思いますので、その時はよろしくお願いします。
>>176 enigmaスレのPart33からです。
まとめサイトで見れます。
あ
182 :
本当にあった怖い名無し:2007/04/10(火) 06:07:01 ID:H9/4IHbx0
保守
183 :
本当にあった怖い名無し:2007/04/15(日) 02:19:07 ID:j2/4iuItO
ほ
184 :
本当にあった怖い名無し:2007/04/16(月) 18:12:57 ID:wD7a9UaWO
し
うぜぇ
186 :
ぽんぽん:2007/04/18(水) 20:29:53 ID:7iNDaWBZ0
今度もジョージと飲む機会があったので暫くの間昔話に花を咲かせていた。
ちなみに今回はアキヒコと会う前の、更に昔の物語だ。
その頃はまだ青春真っ盛りと呼ばれ始めた年齢で、悪いことと言っても校舎に忍び込んだり
イタ電したりと今思えばちゃちい物だった(校舎に忍び込むのは久しぶりにやると燃えるけどな)。
そういえばこいつ昔のことを話すと笑顔になるよな。楽しいことがたくさんあったからな、まあ当然か。
そしてジョージは気になることを口にした。
「そういや、あれは何だったんだろうな。ほら、覚えてるだろ、一回だけその学校の先生に見つかっちゃった奴」
見つかった…ああ!あれか。懐かしいな、間、確かにジョージが気になるのも分かるな。
でも俺もあの部分以外は覚えてないんだよな、此処はジョージと照らし合わせてみるか。
話を進めていくとあの時の記憶が鮮明になってきた。
ジョージと俺はある日夜の校舎に入り込み、適当に物色していた。やっていたことは
本当に時代を感じるようなことだが二人とも楽しんでいた。
暫くすると、唸り声のようなものが聞こえて来たから声のする方へ行ったんだ。
そしたらさ…女が走ってきたんだよな。物凄い声を出して。
その後俺たちは分かれて逃げたんだよな、時間がたったら校門前に集合って事で、ん?何だジョージ。
「そういやお前は、あの時どうしたんだ?まあ、俺はすぐに校門に行ったんだがお前がくるのが遅かったからさ。
あの時も結局はぐらかされた。んで、何をやってたんだ?悟」
あ〜、逃れられないな。ジョージは興味深深だし肩をつかまれている。
でも本当のこと言うとジョージに怒られそうだからな、さすがにあの女と同じ時間を過ごしたなんていえないもんな。
ま、厭らしい物じゃなかったんだけどな。
ああもう!くどいぜジョージ。わかった、話してやるから、とりあえずこの手を離せ。
そして何か一杯おごれ。昔のことだから思い出す材料が無いと駄目なのさ。
元ねたpart39「もう一人の共有者」
187 :
ぽんぽん:2007/04/18(水) 20:31:22 ID:7iNDaWBZ0
俺の名前は悟。水も滴るいい男さ…傘を忘れてずぶ濡れになりそうなところだけどな…。
とりあえず傘を買わないと、おっあったあった。あ、店員さん領収書お願いします。
やっぱり傘を持つと持たないじゃ全然違う。濡れないから心にも余裕が出来る。余裕が出来るからこうして上を見上げれば、
ほら、雨粒が落ちてくる。今日はそんなに雨脚は強くないんだな。でも濡れたらちょいとやばいくらいだ。
まあ、スーパーが近くてほんとに良かった。ここならクロの散歩コースにもちょうどいいかな。あれ?あの人傘持ってないのかな。
「どうしたんですか?そこにいると濡れて風邪引きますよ」
黙って傘を差し出すと女は申し訳なさそうに入った。顔を見せたくない為か、うつむいている。
しかしこの人…相当の美人だな。俺が見た中でも多分三本の指にはい…るな。目鼻立ちもしっかりしてるし顔立ちも日本人離れしてる。
全身黒い服となると恐らく喪服だろう。うん、今日はとてもいい一日で終われそうだ。
このまま黙っているのもあれだったので適当に話題を…と思ったらよく聞く声と共に何者かが近づいてきた。
「悟さ〜ん。あんまり遅いんでクロと一緒に迎えに来ちゃいましたよ〜。あれ?もしかしてお邪魔でした〜?」
このくそガキィィィィィィィィ。邪魔しやがって、ほら、お姉さんも困っているし帰ってくれよ。
「え〜となんか、お邪魔しちゃったみたいですね。あ、雨も上がった。悟さん、それでは」
お姉さんはそのまま行ってしまった。傘の方はもちろん返してもらった、つまり返してもらう為に
再び会う事は無理、と言うこととなる。やってくれたな小娘。
「ばれちゃいましたか?」
『ばれちゃいましたか?』じゃねえよ!白々しい。なんだか天に見放された。
仕様がない、帰るぞお前ら。お仕置きはその後だ。
その夜、俺は不思議な夢を見た。夢の内容は他愛の無い話をするものだが登場人物があの女だった。
よくは覚えてないが感謝されていたと思う。そして意味深なことを言われた。
さっきはあんなことを思ったが多分また会うことになるだろう、なんとなくだがそんな気はした。
元ねたpart160「黒い貴婦人」
188 :
pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/04/19(木) 00:12:19 ID:5uIA8ozx0
ぽんぽんさん乙でした。
書かなきゃなぁ、と思いながらまったく筆が進まないので、書きたくなるまで私はお休みします。
スレはチェックしてますし、ブログの更新もやっていきますので、また何かできましたら読ませてくださいね^^
ぽんぽんさん乙です。
>>187 確かジョージは悟より、アキヒコとの付き合いの方が長いんじゃなかったかな。
ま、いっか
190 :
ぽんぽん:2007/04/20(金) 20:28:37 ID:vZQr8BHm0
ほんとだ!!!
やっちまったぜ。
191 :
本当にあった怖い名無し:2007/04/24(火) 22:12:07 ID:2yTIUXXR0
韓国型精神分裂病の遺伝的要素を発見
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1106466435/ 1 :リスナァφ ★ :05/01/23 16:47:15 ID:???
西洋の人にはなく、韓国人の精神分裂病患者にのみあらわれる遺伝子の変移が、韓国内の研究陣
によって確認された。
蔚山(ウルサン)医大・ソウル峨山(アサン)病院の宋奎暎(ソン・ギュヨン、生化学科)、金昌潤(キム・
チャンウン、精神科)教授らは23日、精神分裂病の患者320人と正常な人379人を対象に、体内の
COMT(カテコール−0−メチル基転移酵素)遺伝子の一塩基変異多型(SNP、特定遺伝子の変移)を
調べたところ、72番のアミノ酸が「アラニン」から「リン酸」に変わる場合、精神分裂病の危険性が高まる
ことが分かった、と発表した。
今回の研究結果は、遺伝体研究分野の米学術誌「ヒューマンジェナティックス」(Human Genetics)の
今年1月号に掲載された。
ソース:中央日報
http://japanese.joins.com/html/2005/0123/20050123162933400.html ----------------------
>929 :マンセー名無しさん :2007/01/27(土) 00:43:51 ID:L/VmuxqS
>【診断名サイコパス―身近にひそむ異常人格者たち 】
>“ロバート D. ヘア (著), Robert D. Hare (原著), 小林 宏明 (翻訳)”
>韓国人や朝鮮人、それ以外にも韓国系や朝鮮系日本人の相手を配偶者にしようと考えている人は
>上記の書籍を一度読んだほうがいい。もう10年以上前の本だけど可也重要なことが書かれている。
>サイコパスの発生要因を、環境因よりも生物学的要因、特に遺伝的な要因に重きを(それとなく)
>置いているようだが、実際にそのとおりだと思う。
>特に読んでほしいところは、不運にもそういった子を持ってしまった親たちのところ。
>APDは18歳以上に適用される理由は環境因を重視しているからだろうが、ヘアはサイコパスの場合は
>子供にも適用できるのではないかと考えているようだ。
192 :
ぽんぽん:2007/04/27(金) 23:37:37 ID:Dz9bVelN0
こんにちは、僕の名前は岡島です。なんとこの度、合コン(久しぶりに!!)参加することになりました。
彼女がいる身で最初はちょっと気が引けたんですがまあ、一回くらいいいでしょう。パーッと楽しまないと。パーッと。
それに久しぶりですから気合が入るってもんです。でも仕事をおろそかにしたらおやっさんにどやされるんだよな。
理由を説明したら殴られそうですしね。なので今日は今までに無いくらい集中しましたよ。でも逆に怪しまれちゃったんですけどね。
さてようやく仕事も終わり、会場に駆けつけました。どうやらちょっと遅れたみたいです。
「遅いぞ岡島。役者がそろわないと舞台は完成しないだろ?」
久しぶりに会ったことであっちも多少の遅刻は許してくれた。うん、変わってない。
このまま雑談をしてたら本当に不味いことになりそうなので会場へ向かった。
相手側は既に着席していた。どうやら某有名大学の女子大生で、外れも無かった。素晴らしいなあ。
全員集合するとすぐに始まり、とても盛り上がった。そりゃ久しぶりですから。
今回の合コンは一次会の時点で大成功と言ってもいい出来でしたよ。何てったって全員メルアド交換できたんですから。
お目当ての香澄ちゃんとも交換できたしね。しかもみんな目当てがそれぞれ違った子だから喧嘩にならなかったし。
そして二次会のカラオケも順調に終わり、それぞれペアで別れる時、女の子の一人が奇妙なことを言われた。
「変な事言うかもしれないけど、そこは受け止めてね」と、なんだか後のことを任せられてみたいでちょっと困ったな。
193 :
ぽんぽん:2007/04/27(金) 23:39:25 ID:Dz9bVelN0
合コンが終わり、時間を見てみるともう終電が出た頃であった。仕様がない、ホテルでも…と言ったときの彼女の視線は
とても冷ややかだった。やましいことはあるけど、分かるはずもないし。
「ん〜。やっぱりこれ以上は駄目ですね。あなたにも悪いし彼女にも悪いし」
その後は最寄のファミレスに連れ込まれて始発の時間までずっと彼女に怒られていました。と言うより、説得されていました。
私のことはあきらめてって言われちゃいましたよ。自分が言うのもなんですが悪いことはするものじゃないですね。
それ以来、何とかやりくりして彼女に会うように努めています。でも相手からはちょっと不思議に思われちゃいましたが。
結局あの後香澄ちゃんとは連絡は取っていません、まあ社会人としてのけじめかな。
でもなんであんなことをいったんでしょうか。勘にしては具体的過ぎるしなあ…。
PART46「超能力少女」
194 :
本当にあった怖い名無し: