このスレはゾンビ好きな人がゾンビをネタにした小説をupするスレです。
2:@Zsして終了wwwwwwwwwwwwww
3 :
本当にあった怖い名無し:04/11/15 23:48:36 ID:5obOoCsO
2get
下のスレで作品をうpしていたのですが、次スレが立たないので自分で立てちゃいました。
zombie ゾンビその9
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1083297464/ 前スレの1の◆dve/1Ebaqs さん勝手にやってしまってごめんなさい。
ルールは上のスレに準じます。
【スレのお約束】
1 基本的にsage進行。
2 作品投稿のage・sageは作者の任意。
3 作品には感想をお願いします。感想についての批判は作者・読者ともに控えましょう。
「感想・意見・批評」と「誹謗中傷」は異なります。また表現にはくれぐれも気をつけましょう。
4 煽り・荒らしは放置、反応なしで。
【マナー。その他】
1 連続投稿数は5〜10レスを目安に。
2 作品投稿は間隔に気をつけてください。場合に応じて間隔をあけましょう
投稿前と投稿後に宣言するとスレの流れがスムーズになります
3 自分の意見に返事を期待する方はトリップを付けましょう
4 個人攻撃、的外れな批難の類は流して。
5 496KBで警告メッセージが出力されます。512KBでスレッドが終了なので、950からか450KBを過ぎた時点で新スレッドへの移行の話し合いを
おながいします。
2getはやいなォィ
出来れば前スレで書いていたみなさんにも続きを書いてもらいたい今日この頃
シチュエーションは各自の判断で
あまりゾンビ作品から逸脱した設定はご遠慮ください
基本的にゾンビの世界で戦っていく作品をおながい
こんなところでしょうか?
他に意見があったらどんどん出していきましょう
目に映ることだけが真実じゃない。
所詮は単なる映像、反射した光だ。虚構はいくらでも紛れる。
そもそも目に映ったものの解釈だって人それぞれだ。
人は観たいものを見る。脳が見たものを観たいものへと組替える。
先を観ることができるのは人だけだ。予測できるからこそ、想像できるからこそ様々なものを生みだしてきた。
人は事実を見てそこに真実を観る。各自の真実をだ。
事実は真実へと移ろう。「映る」ものとは「移る」ものだ。
とはいえ今の教室の様子を見れば、100人が100人ともボクを責めるだろう。
ボクから離れようと這い蹲る男子生徒。その肩からは血がにじみシャツを汚している。
ボクの足元にはもぎ取られたノコギリ。よく見れば刃先に布と血が絡み付いている。
ボクの右腕にしがみつく女子生徒。保健室でふざけあった雰囲気はどこにも残っていない。
ボクの周囲には非難と恐れの混じった視線ばかり。すべてボクに向けられている。
つまるところ、噂好きのクラスメイトで、今はおびえて必死に離れようとしている彼――何かと意味なく絡んでくる森山君――の企みは成功したと言うわけだ。
――大事故で一人生き残った生存者だってよ。へーそうなんだ。
――でもなんで転校してきたんだ。前の学校追い出されたみたいだぜ。すっげー騒いだんだって。
――その騒ぎの理由がさ、幽霊に襲われたとか言い出して止めようとした教師にまで怪我させたらしいんだわ。
――うわっ、幽霊ってなんだそりゃ。いやいやマジで、入院してた病院でも精神科のお世話になってたって。
――へー、見かけによらないね。おとなしいやつだと思ったんだけど。そういうやつほど危ないんだよ。
ただでさえ閉鎖された場所では噂の伝達は早い。そして同年代のみの環境ではエラーを訂正する役がいない。
他人の噂なんて面白い方が良い。どうせ噂だ。怪我をさせているわけでもない。聞いたことを伝えるだけだ。
ちょっとだけ話を付け加えてもなんてことはない。聞いたやつが言わなければ良いだけだし。
そう私は、俺は、悪くない。噂される方に原因があるんだ。噂されるようなことをしなければ良いんだから。
いまだ右腕にしがみついたまま、額をぎゅっとこちらの肩に押し付ける彼女――志保に離れるよう右腕の動きで示す。けれど彼女はだだっ子みたいに頭を振って離れようとしてくれない。
さっさとここから出ていきたかった。
周りからの視線は鋭さを増し続けている。恐怖をもたらした異端者を排斥する理由ができたからだろう。
心の古傷をえぐり失神までさせたきまりの悪さが、翻って忌避感を煽りたてている。
自分たちのしたことから目をそらすには理由が必要だ。仕方のなかったことだと思わせるだけの何かが必要だ。
その理由をボクは愚かにも自分から差し出してしまった。
森山がいくら侮蔑の言葉を吐きトラウマを刺激しても、結局傷ついたと実感するのはボクだけだ。
それに比べて流れ出る血の色は、だれに対しても抗えない力で苦痛と恐怖を呼び覚ます。
忙しい中の失神騒ぎと作業中の暴力は本質的に同一だ。
皆が楽しく騒いでいる「祭り」の妨害。「ハレ」を楽しみに水を差す部外者。
しかも「ケ」においても「事故の生き残り」という穢れ、まさしく「ケ」枯れを持ち込んだマレビトだ。
相容れるはずがない。受け入れてもらえるはずがない。居場所なんてあるわけがない。
その証拠に、親しかった――理解してもらえていたはずの彼女までが腕にしがみつき、次の行動を封じている。
なぜだろう。どうしてこんなことになってしまったのだろう。
冗談のつもりだったのに。
本気なんかじゃなかった。半分はふざけていた。
ノコギリも挽くつもりなんてなかった。軽く動かして怯えたあいつを笑ってすませるはずだった。
それなのに。それなのに、それなのに!
飛びかかられた拍子で思いがけず深く挽いてしまった。させるつもりのない怪我をさせてしまった。
そして今、冗談であることを示そうにも片腕にしがみついた彼女に動きを封じられている。
彼女があまりにも必死だから、周囲もボクが遊びのつもりだとは到底思えないだろう。
どうして彼女も分かってくれないんだ。
理解されなくてもいい。ただ、傍にいさせてくれたらそれだけで良かったのに。
どう言えばボクの声は届くのだろう?
どう話せばみんなに分かってもらえるのだろう?
悲しみと怒りと憎しみと苛つきが混じり合う。
混乱の末に出た言葉は出したかった言葉とまったく別ものだった。
「離してくれ。……離せよ」
彼女が顔を上げる。
ボクはドアの方へと視線をそらして、未だ絡みついたままの彼女の腕ををふりほどいた。
「……っ」
彼女が何か言おうとする。
ボクはその言葉に怯えて、教室から駈けだした。
そのままの勢いで廊下を一目散に走る。とにかく逃げ出したかった。
いくつもの教室の前を駆け抜けていく。通りすぎるどの教室からも灯りと笑い声が漏れだしていた。
まるで自分が嗤われているようで、さらに走り続ける。
息が切れ足が重くなるまで逃げ続け、ようやく「祭り」から逃げ出すことができた。
笑い声と灯りから逃げ延びた先は、だれもいない旧校舎だった。
古びた校舎は静まりかえり、非常灯が濃く深い影を生み出している。
ところどころに放置された傷んだ机や椅子たちが薄明かりに照らされて墓標のようにも見えた。
老朽化に伴う解体と新校舎の建設。つまり近い将来存在しなくなる場所だ。
手近な場所に座り、壁に背をあずける。冷えた床と壁があふれ出す熱を受け止めてくれるのが心地よかった。
しばらくすると呼吸も収まり、なんとなく手持ちぶさたで近くに転がっていた棒を拾い上げる。
握った手から伝わる感触と重さから建材にでも使う鉄棒だと知れた。
「ちょうどいいね」
ボクは重さを確かめるように鉄棒をそろそろと振り上げ、そのまま脇へと一気に振り下ろした。
床と鉄棒の激突する音は聞こえなかった。かわりになにか柔らかく水分のつまったものが砕ける音がする。
すぐに鉄錆の臭いがあたりに広がっていく。
見るまでもなかった。あたりの隙間という隙間から腐りかけた腕たちが突きでていた。
おお! ◆dve/1Ebaqs さんおかえりなさい
しかも早くも新作が!!
そうでしたか、30分の差でしたか・・・
どうします? このまま続行しますか?
やっぱりスレタイが変わるとみんな戻ってきませんかねぇ・・・
おお、乙であります!
いや〜、オレも立てようかと、ずっと奮戦してたんだけど、
立てられなかった・・・
なんか規制があるみたいでさ〜
ところでなんか「ゾンビ9」が復活してるんですが、
コッチに投下したほうがいいんすかねぇ?
>>PIP隊長
おお、何気にオレのスレタイを採用するつもりでしたか(w
ありがとうございます。
とりあえず即死回避のため用意してたモノを、ちょっと投下してみます。
〜 良 い 子 の 皆 さ ん へ 〜
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i:::!:::::';:::::ト、:::;;l,--、|i /`ト、::::::i::::::::!::::::!::ト、::::::i::::::!::::::!::i
i::::'、::::`ーi r'";;;;;;;;Oiヽ.ヾハ/レ'レ',,.-、、/!::`ソ:::::::ノ::::::;':;'::
,,.、 ,'::::::i\::::::|l l:;;;;;;;;;;;;;;l r';;;;;;;Oヾレ'!::/::::::/:;'
i, `ヽ、 /ノ|:::'、 \、 ゝo;;;;;;;ノ |;;;;;;;;;;;;;;! i .|"::::::;r'::::i
. `ヽ、 \ .レviヽ、,,! ``'''''" ,. ゝo:::::ノ ノ/:::::;:イ::::::;'
\ \ |:::ノ|:'、 r---, ```" _,r'-''" /::::::!
.ゝ-=ーく ̄`',r\ | ./ /‐-‐'"::ト、::| グロが嫌いなヒトは
/ -─-、 `7 '、`"レ-、, `ー' _,,.r'"ハ::::/レ' `ヽ
! -─-、`) '、 |`''ー---‐ァi''"`"`_,,..-'r‐-、 NG指定にしてくださいネ!
`、 ,r-、ノ 、 ト--‐'"i`''ー-ii''" | ̄ ̄ |: :', `ヽ、
`、 ', i'ー-、 r'⌒`ヽ, __,,..-': :,! `、
\_. < ヽノ. |フ !: : : : : :! `''ーァ: : i .',
/、,\. ,,.r'" ヽ、 i、 : : : ノ`! ,!: : ;' `、,,.
うお! タノスィミ!
【前スレまでのあらすじ】
平凡な女子高生だったキョウコは、ある日突然、意味不明な暴動騒ぎに
巻き込まれてしまう。
深夜まで鳴り響くパトカーや救急車のサイレン。
わけの分からない熱気に包まれる報道番組。
行方不明になってしまった親友。
そしてついに公共機関が麻痺し、通っていた高校も閉鎖を余儀なくされる。
そんな異常な状況のなか、キョウコはクラスのイジメられっ子だった
「ゾンビ」とあだ名されていた少年を、不注意から殺してしまった。
やがて彼は甦り、屍人と化して、キョウコと友達のアケミに襲いかかる。
キョウコはアケミを見捨てて難を逃れるが、その後、職員室で激しい
自己嫌悪に陥るのであった。
ふいに吐き気を催した彼女は、トイレに駆け込むが、そこへ恐ろしい姿
となったアケミが現れた。
職員室から締め出されたキョウコは、血に塗れた廊下をひたすら逃げ回る。
死人が墓から起き上がり、陽光のもと血肉を求め、街をさまよい歩く。
世界はいま、変貌を遂げようとしていた。
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(16)
怖いよ、怖いよ、怖いよ、怖いよ、怖いよ、怖いよ、怖いよ、怖いよ・・・
人間、恐怖の限界点にまで達すると、笑うしかなくなってしまうようだ。
口元を歪ませながら、廊下を四つん這いになって必死で逃げた。
やがてわたしは、2−2の教室の前まで来る。
たしかクマカワ先生が、ここにいたはずだ。
熊のような肉付きの良い体格の、温和な国語教師は、柔道部の顧問でもあった。
担任のクマカワ先生なら、なんとかしてくれるにちがいない。
助けてもらいたかった。
心底、そう思った。
そのとき急に、教室の扉がバンッと乱暴に開かれた。
「・・・先せ・・・・・・」
『ゲボウォワアアァ・・・』
穴の開いた咽喉から血を撒き散らし、クマカワ先生が飛びかかってきた。
「ひえええっ・・・!?」
立ち上がりかけたわたしは、また腰が抜けるように廊下をずっこけ、その上をクマカワ
先生の両手が空を切る。
その風圧で、わたしのおさげ頭がゆらゆらと揺れた。
廊下に滴らせている自らの血に滑ったのか、化け物になってしまった先生もドテッと
尻餅をつき、そこへアケミが突っ込んできた。
学校の床は、本当に滑りやすい。
だから三人とも、大量の血のおかげで、廊下を派手に転ぶハメになった。
なんというバカバカしい展開だろうか。
わたしは笑い声を出したが、残りのふたりはすぐに起き上がって、この異常な
鬼ごっこを余韻の欠片も見せずに再開した。
クマカワ先生は、お腹からこぼれ出たはらわたを拾い集め、それらを片手で押し込み
ながら、もう片方の手をわたしに向かって突き出してくる。
アケミ同様、わたしのカラダを捕まえるためだ。
『ハアァウゥウウ・・・』
声にならない空気が漏れてくる。
それはものすごく臭かった。
咽喉を噛み切られているせいか、口からゴプゴプッと、どす黒くて粘っこい血の泡を
吹き出し、それがまるで苦痛に喘ぐ呻き声のように聞こえる。
教室中に響き渡ることで有名な、あの自慢の大きな声ではなかった。
いまの彼には、しわがれた老人のような呻き声しか出すことができないのだろう。
それが悔しいのか、先生の両眼からは大量の、血の涙が溢れていた。
たぶんクマカワ先生は、アケミに襲われたのだ。
咽喉を潰され、お腹の臓物を食べられてしまったのだ。
なんということだろうか。
死者が甦り、そして人間に襲いかかるなんて。
まるで生きながら、地獄に堕とされたような気分だ。
アケミとクマカワ先生は、ヨタヨタとこちらに向かってくる。
考えているヒマはない。
わたしはまた四つん這いになって、廊下を逃げ続けるしかなかった。
スリッパが脱げて裸足になったためか、血のぬるつきがなくなった廊下は、かえって
下半身を安定させてくれた。
だから床を這っている状態から身を起こすと、今度はスムーズに走り出せた。
階段に辿り着くと、手すりに身をもたれさせ、震える足取りで下へ降りる。
ここは2階だから、このまま階段を降りれば、下駄箱のある昇降口へ出られる。
早く外に逃げなければ。
しかし後ろから追いかけてくるふたりは、わたしを逃がすまいとでもいうかのように、
ますます足を速めたようで、さっきよりも差が縮まってきているように思えた。
背後から、ハアアッ〜、ハアアアッ〜〜という、苦しそうな息遣いが聞こえてくる。
もはや後ろを振り返る余裕すらなかった。
階段の踊り場に辿り着くと、すぐさまカーブを描き、再び階段へと足を踏み出すが、
慌てるあまり足が絡まってしまい、そのまま頭から落ちそうになった。
それを「あぶない!」と叫び、落ちかけたわたしを抱きとめ、支えてくれるヒトがいた。
「こらっ!階段で走らないっ!!」
白いTシャツとジャージ姿の保健体育教師、ホンジョウ先生は張りのある声を出した。
でも鋭く射抜く声とは裏腹に、温かみのある優しげな眼差しを浮かべていたので、
それほど嫌な気持ちはしなかった。
彼女は学生時代、国体の選手に選ばれるほど、将来を有望視された陸上スプリンター
だったが、膝の故障で引退を余儀なくされた経歴を持っている。
そんな屈折した過去を持っていても、高校教師になった彼女はいつも堂々としており、
学校の生徒たちからも人気のある先生だった。
このホンジョウ先生は、アケミが殺害されたことを知ると怒り心頭になり、犯人捜索に
積極的に参加・・・というか、むしろ彼女自身が音頭を取っていたような気がする。
わたしと鉢合わせになったのは、どうやらその殺人鬼探しの途中だったようだ。
「はあっ、はあっ、いやあ、やっと追いついた・・・」
その傍らへ、ハンカチで額の汗を拭いながら、サスマタを小脇に抱えた校長先生が
階段を上ってきた。
「こりゃ、カラダを鍛え直さなきゃいかんかなあ、ハハハ・・・」
頭が禿げ上がった校長先生も、人懐っこい笑顔を浮かべていた。
だがわたしは、話しかけようとするふたりを押しのけ、必死で階段を駆け降りる。
そして間もなく、背後から獣のような声とともに、ふたりの悲鳴が聞こえてきた。
「うわあっ・・・!?」
「きゃあっ!!」
ふたりは屍人と化したアケミたちに抱きつかれ、そのまま踊り場へ倒れていく。
壁際に押さえ込まれた校長先生の脂ぎった頭へ、全裸のアケミが容赦なく噛みついた。
ガッ・・・ガリリッ・・・ガリガリリリッ・・・・・・
歯が頭蓋骨に当たり、嫌な音が聞こえた。
ふと昔のことを思い出す。
わたしは小学生の頃、ヘンな癖があった。
コンビニで売っていた100円のかき氷アイスを食べるとき、カチカチに凍っている
アイスの表面に、歯を滑らせる遊びをよくしていた。
歯がキ〜〜ンとしたけれど、少しずつかき氷を剥ぎ取る感触が面白かった。
それを母に見つかると、お行儀が悪いと叱られた。
アケミが校長先生の頭蓋骨に齧りつく様は、まさにそんな感じだった。
ガッ・・・ガリリッ・・・ガリガリリリッ・・・・・・
「うぎゃあああ・・・!!」
校長先生はものすごい悲鳴を上げるが、がっちりと組みつかれたアケミを振り放す
ことはできず、ただひたすら脳漿から吹き出る血を階段に撒き散らしていく。
顎が外れるぐらい大きな口を開けて、脂ぎった頭にかぶりつく、卑しい餓鬼のような
アケミの姿を見て、わたしはまた吐き気に襲われた。
校内に侵入した犯罪者を捕まえるために、全国でもいち早く導入された、我が校自慢の
サスマタは、使う間もなく校長の手から離れてしまった。
階段の踊り場から下駄箱まで、スルスルッとサスマタが滑り落ちてきた。
クマカワ先生は、血とよだれとはらわたをボタボタと垂らし続けながら、ホンジョウ
先生の上に圧し掛かった。
彼女の白いTシャツは、悪臭とドス黒い汚物で染められていく。
遠目で見ると、酔っ払ったクマカワ先生が悪乗りして、女性にキスをせがむセクハラ
でもしているかのような格好だが、実際にはさらに酷いものであった。
なにしろキスではなく、カラダを食べようとしているのだから。
「やめろよ、クマ!バカやってんじゃねぇよ!クマ!!やめろってば!!」
普段から親しかったのか、年上のオトコにタメ口を叩き、組みつかれたカラダを必死で
引き剥がそうとするが、すさまじい怪力に彼女はなす術もない。
「痛い!!」
悲鳴が上がった。
ホンジョウ先生の指が、喰い千切られたようだ。
「ひいいいっ・・・!!」
失った指を眺めながら、引きつった顔で泣き声を絞り出す。
凄まじい恐怖に支配されたのか、さすがに気丈な彼女も、もはやなりふり構わぬ格好で、
階段を這いずり降りようとした。
階段の下にいるわたしに向かって、助けを求めるように手が伸びてくる。
だがそのときのわたしは、全身が硬直して、ただ見ていることしかできなかった。
先生の下半身はがっちり固められていたため、階段を下りようとするたびにトレパンと
下着が脱げていき、肉付きのよいお尻がどんどんあらわになってくる。
そこへクマカワ先生が噛りついたのだから、オンナとしては堪ったものではない。
空気を切り裂くような、甲高い絶叫が響き渡った。
屍人の餌食にされているふたりは、結果的にわたしの身代わりになってくれたような
ものだった。
罪悪感で、胸が締めつけられるように痛い。
・・・ふたりを助けなければ。
でもどうしたらいいのか判らない。
ふと足元を見ると、校長先生が落したサスマタがある。
わたしはそれを拾った。
「・・・・・・」
ずっしりとした重みが、手に伝わってくる。
これでアケミたちを押さえ込み、その隙にふたりを助けよう。
「・・・・・・」
・・・無理よ、そんなの。
そんなこと、できるわけがないじゃない。
だってわたしは、ただの女子高生なのよ。
ハリウッド映画に出てくるような主人公みたいに、さっとカッコよく、救出できる
芸当なんて、わたしにあるわけない・・・
・・・無理よ、無理!
絶対、無理!
そのときふいに、アケミがゾンビに襲われたときの光景が頭を過ぎった。
(・・・アケミ)
アケミがあんな姿になったのは、わたしのせいだ。
そしてクマカワ先生が襲われたのも、わたしの行動が招いた結果だ。
・・・助けなきゃ!
アケミたちのためにも、あのふたりを助けなきゃ!
今度は絶対、見捨てたりはしない!!
そのときだった。
「あぎゃあああいあああああひいいああああああああ・・・!!」
さっきから叫びっぱなしだった校長先生は、さらに大きな叫び声を上げ始めた。
「ひっ・・・!」
わたしはサスマタを床に落すと、その場へしゃがみ込み、眼を閉じ、そして耳を塞いだ。
無理よ・・・わたしには、絶対無理だってば・・・
「うぎゃあああわあああああふぎゃああああああああ・・・!!」
ホンジョウ先生も、まさに断末魔ともいうべき叫び声を加速させていく。
かき集めた勇気が急速に萎んでいき、カラダの震えが止まらなくなった。
生きたまま食べられるのはすごい苦痛らしく、襲われたふたりはずっと叫んでいた。
皮肉のようだけど、クマカワ先生のように喉を喰い破られて、早い段階で窒息死して
いれば、ふたりの死に様はここまで酷くはなかったのかもしれない。
長い時間(のように思えた)のすえ、抵抗の証である悲鳴はまったく聞こえなくなった。
かわりに耳を打つのは、一心不乱に人肉を貪り喰うアケミたちの気配だ。
ブチュリュッ・・・ハフッ・・・ガリリッ・・・ブチッ・・・ズルルルッ・・・ズズッ・・・パキッ・・・
いままで聴いたこともない異様な音は、わたしの耳から脳へと刻み込まれていく。
歯を使って肉を引き千切り、骨を噛み砕く音だった。
そっと薄目を開けると、痙攣している校長先生の鼻を齧っているアケミが見えた。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
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怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
(・・・来週に続く)
【キョコさんの知らない、ちょっとした裏話】
校長先生がサスマタを持っていたのは、
「オンナの人を危険な目に遭わせるわけにはいかない」
とかなんとか言って、ホンジョウ先生から取り上げてしまったからなのである。
もっともこの校長、小太りで背も低く(おまけにハゲ)、運動不足のおじさんなので、
本当はサスマタ係には、ホンジョウ先生のほうが適任だった。
でも校長先生の申し出は、善意から出たものだったので、ホンジョウ先生は
とくに我を張ることもなく、お願いしますネ、と笑顔でサスマタを渡したのだ。
こういうところが、彼女が男女を問わず、みんなから好かれる理由なんだネ。
かくして校長・ホンジョウ班では、スタスタと軽快に歩くホンジョウ先生が、
先に教室を見廻り、その後ろから校長がヒイヒイハアハアと、肩で息をしながら
くっついてくる、非常に微笑ましいスタイルになってしまったわけで(笑)
時々、持ちましょうか?とホンジョウ先生が申し訳なさそうに尋ねるが、そのたびに
大丈夫です、大丈夫です、と校長は真っ赤な形相で、サスマタをひっしと抱え込み、
オトコの義務を果たそうとしていたんだネ。
ちなみに最近のサスマタは、かなり軽量化されているわけで、なんつーか、まあ、
ガンバレ校長って感じだけど、アケミに喰われちゃったよ。
おふたりのご冥福をお祈り申し上げます。
>>16さん
いや、即死回避のため用意してたモノといっても、
たんに前スレの続き(ちょっと増量)+αなんで、肩透かしを食ったかも
しれないですね。
il||li _| ̄|○ il||li
それはともかく、新キャラが登場しました!
でも、すぐに死んじゃいました!
それでもまあ、彼女たちの今後の活躍にご期待ください!
東京くだんさんお疲れ様でした!!
まさに学園ゾンビ天国、ぶっとばしてくれます。
校長が頭を齧られる様も、アイスのたとえが効いていて
なまなましく感じられました。
ところで、ゾンビ化してしまうと筋力がUPするんですかね?
映画なんかで頭や骨を齧っているゾンビをみますけど、
俺なんかは鳥の骨でさえ噛み切るのが難しいのに、
いとも簡単にガジガジやってますよね。
とりあえず、登場後すぐにやられてしまった二人に黙祷。
>>28 PIP隊長
乙であります。
>>29 一応、理由付けはあるんですけど、あえてそこら辺は
ボカしたほうがいいのかな、とか思ってるんですよねぇ〜
そういえば前スレのちえんぶらっど氏、ここに来てくんないかなあ。
続きが気になるんだよねぇ。
あの西部劇風のゾンビ小説って、ゾンビスレ初じゃない?
>>28 ◆dve/1Ebaqs さん乙
ところでこのスレが立った1時間後に[zombie その9]が立ってましたし、
◆dve/1Ebaqsさんも30分後にはスレたててたよって言うし、
みんな同じこと考えてたんだなぁ、とシンパシーを感じました。
ホンジョウ先生はお尻から骨まで食われたから
ゾンビになってもそんな怖ないね。えぇ人や
乙です。
狂気の宴でした。ゾンビって腹にいれたものはどうなるんだろ?四次元?
クマカワセンセはいつまでたっても空腹な気もするけど。
新スレの紹介age
ボシュッ
37 :
本当にあった怖い名無し:04/11/20 22:28:12 ID:GbyR/E4i
だれか昔あったなりきりスレのアドレス貼ってくれないだろうか?たのんます
ただいま〜、ようやく見つけたZE。
公務員にはなるもんじゃね〜な・・・日本も末だ。
「確かに・・・この病院には屋上にヘリがある、でも問題は3つある。」
「うん。」
ヒースが人差し指を立てる。
「まず、この緊急事態のせいでヘリが出てしまっている可能性がある。」
中指。
「そして、そのヘリがあっても俺もお前も運転できない。」
薬指。
「そして、アレをどうするか。」
人差し指を入り口に向ける。
ダンッダンッと激しく音を立てる扉。
レインはそれを一瞥すると静かに口を開いた。
「あなたがこの薬品室に逃げ込むとき、何人ついてきたの?」
「・・・少なくとも1人じゃねえなぁ、この様子じゃ。」
扉の横にPULLと書かれているのをレインは確認すると
「少なくとも3つ目の問題は解決できそうだわ。」
と、もう何も入ってないポシェットを手に取った。
「・・・んで、2つ目の問題なんだが・・・その・・・。」
「ええ、分かってるわ。 このセントラル医大って5年前は騒がしかったからね。」
「ああ。」
「じゃ、彼女はまだ。」
「第3隔離病棟だ。」
2人には思い当たる人物がいた。
それは5年前、このセントラルシティで発生した大規模なテロ。
当時マスコミが取り上げたのは、そのテログループの全員が高校生だったということ。
そして、その首謀者がヘリで逃走しようとしたこと・・・
「世間が揺れたわね、あの時は。」
「ああ、何せその首謀者が17歳の少女だったんだからな。」
「・・・ミリー・シーカー・・・」
レインが口にした、その犯罪歴史に大きく残るその名。
「でも、精神に異常があって、今では隔離病棟でしょ? 大丈夫なの?」
「いや、精神にも心にも異常なんてなかった。」
「え、じゃあ。」
「そうでも言わなければマスコミが、世間が納得しないだろ?」
「・・・。」
「それに、異常が無かったわけじゃない・・・頭だ。」
レインが首を少しかしげる。
「異常なんだよ、あの女の頭は! 知能が・・・神そのものだ。 下手すりゃあんたと同じ
いや、それ以上なんだよ。」
ダリオさんキタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
公務員も大変なんですね。
無理しないでできる範囲でガン( ゚д゚)ガレ
レインはポシェットを膝の高さに構える、ヒースは扉の横に立ち
ノブを握った。
「1・・・2の・・・3!」
扉を勢いよく開く。
「キシャー!!」
いきなり放たれた扉に飛び込んでくる死者、刹那
レインの構えていたポシェットの紐に足が引っかかり倒れる。
2匹目、3匹目と勢いがすかされて転ぶ。
その隙をついてヒースとレインは廊下に飛び出した。
「うまくいったか。」
「そうかしら。」
とレインは前方を睨んだ、反対側の廊下から3つの影が走ってくる。
ヒースはベレッタを構えると1、2発と撃つ。
1発は肩に、2発目は見事に別のヤツの眉間を打ち抜いてつんのめらせた。
「ちっ。」
ヒースが足を止めると、その横をレインが飛び出す。
「お、おい。」
「シャー!!!」
レインは自分目掛けて襲ってくる死者の首元を思い切り蹴り上げた。
そしてレインは腰を落として、天井を仰ぐ形になった死者の顎にレイジングブルの銃口を突き付ける。
バァン!
454カスールの弾は容赦なく頭を、叩きつけたトマトのように爆ぜらせた。
そしてレインはヒースに肩を撃たれてよろめきながらも向かってくる死者の位置を確認すると
落とした腰を一気に跳ね上げて後方宙返り、空中で逆さになると再びレイジングブルが火を噴く、
と同時に天井を思い切り蹴飛ばした。
スタっと華麗に着地すると2匹の首なし死体はドサリと地面に伏した。
「・・・すげぇ・・・。」
ヒースは改めて、目の前の天才が「天才」と思い知らされるのだった。
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(17)
「なにやってんだ、おまえら!?」
ふいに背後から、男の人たちの怒鳴り声が聞こえた。
校庭にいた先生たちが、昇降口から駆け込んで来たらしい。
1階を探索していた別の先生たちも、ふたりの絶叫を聞いて集まってくる。
6人ほどの男子教師が、屍人と化したアケミたちに近づいていく。
そのうちのひとりが、わたしのカラダを引っ張り、昇降口まで下がらせた。
「・・・クマカワ先生!?」
女性体育教師のお尻にむしゃぶりつく変質者の正体が、クマカワ先生であることに
気がついた教師のひとりは、呆けたように言った。
「あっ・・・あんた、なにやってんスか!?」
だがもはや人間の言葉など理解できないクマカワ先生は、ざわつく教師たちをよそに
ふっくらとした温かい肉を、機械的に頬張っている。
「えっ?・・・ホッ・・・ホンジョウさん・・・・・・!?」
彼に組み敷かれ、貪り喰われている人間も、自分たちのよく知っている同僚だと知って、
教師たちは明らかに動揺していた。
下半身が血に染まったホンジョウ先生はすでに虫の息で、かつての男勝りの行動力や
精神的な強さをそこから見出すのは難しかった。
彼女は口から血の泡を吹き、泣き笑いの表情で痙攣している。
小声でなにかブツブツと、呟いているのがかすかに聞こえた。
精神が完全に、逝ってしまったのかもしれない。
屍人に生きたまま貪り喰われるというのは、それほど過酷なことなのだ。
クマカワ先生はさらにお尻の奥まで頭を突っ込むと、なにかを引っ張り出してきた。
ピンク色の、大腸だった。
ホンジョウ先生にはまだかろうじて意識が残っていたようで、かっと眼を見開くと、
口からドボドボと大量の血と舌を吐き出した。
踊り場から垂れ流された液体は、階段の下で血の池地獄を作った。
クマカワ先生は歯を使って、グウウッとチューインガムでも伸ばすかのように大腸を
肛門から引き摺り出し、中身が入っているにもかまわず、そのまま咀嚼しだした。
それは身の毛もよだつ光景だったが、一番嫌なのが匂いだ。
大量の血も吐き気を催す酷い匂いがしたけど、体内の、とくに臓物の匂いは最悪だった。
眼が沁みるような悪臭が、周囲の空気を犯していく。
ブプッ、ブリブリッ・・・というオナラのような音に、男性教師たちは皆、顔をしかめた。
ホンジョウ先生は化粧が薄かったけど、わりと綺麗な女性だった。
だから男子生徒たちや男性教師たちからのウケも良かったらしい。
そういうヒトは大概、同性からは嫌われるものだけど、ホンジョウ先生に限っては、
女子生徒の間でも悪口がほとんど出てこなかった。
性格がさばけていて話の判る先生だったし、たとえ相手が上司であろうと、自分が
間違っていないという信念がある限り、一歩も退かない強さも持っていた。
また他人に負けたくないという強迫観念に縛られた、強気一辺倒な底の浅い人間では
なく、男女の区別なく優しく接し、なおかつ他人の心の傷がよく判る大人、という
評価もあった。
おそらくそれは、かつて挫折した経験を持っているからだろう、とわたしは思う。
わたしが在籍中、不登校になっていた女子生徒をひとり、学校に戻した実績があり、
放課後になると、彼女にいろいろと相談する女子生徒が、何人かいたともいう。
(ひょっとするとアケミも、そのうちのひとりだったのかもしれない)
うちの高校には保健体育の教師が4人おり、残念ながら彼女の授業を受けることは
ついになかったけれど、傍から見ていてもいいヒトそうな先生のように見えた。
少なくともこんな恥ずかしい死に方を強要される、人生の幕引きをするべき女性では
なかったのだ。
「喰うのをやめろ・・・」
先生のひとりが声を震わせながら言った。
だが屍人化しているクマカワ先生の耳には当然届かず、濁った眼をこちらに向けながら
なんの感情も伴わない咀嚼に勤しんでいた。
喰い破られた咽喉から、細かく砕かれた肉片や汚物が、ボロボロとこぼれていく。
「やっ、やめろって、いっ、言ってんだよぉぉぉ〜〜〜〜!!」
子供の癇癪みたいな声を張り上げると、その先生はわたしの落としたサスマタを拾い、
思いっきりクマカワ先生の頭部へ垂直に叩きつけた。
ゴズッという鈍い音とともに、クマカワ先生の両眼が飛び出し、鼻からブッと血を吹き出す。
しかしそれでも平然と、大腸を口の中に入れ続けていた。
「うわあああ・・・!!」
ぶちキレたのか、サスマタを手にした先生は、狂ったように彼の頭を殴り続けた。
ドカッ、ガキッ、ゴズッ、グチュッ、メキッ、バキッ、ゴキッ、ズプッ・・・
アルミパイプ製のサスマタは、繰り返された衝撃に耐え切れずグネグネに折れ曲がり、
Uの字の先端部分は、もはや原型をとどめていない。
クマカワ先生の顔面も、グチャグチャになっていた。
眼球が血の糸を引いて垂れ下がり、鼻は潰され、耳はサスマタの先端にでも引っ掛けた
のか、半分ほど千切れ飛んでいた。
すでに生体活動を終了しているはずなのに、まだ内出血があるようで、顔が倍近く
膨れあがっている。
頭頂部が凹んでいることもあり、以前のクマカワ先生とは似ても似つかない、誰だか
判らない醜い顔に変形してしまっていた。
それまで茫然自失状態で固まっていた同僚の先生たちは、サスマタで殴り続ける彼を
止めようと、ようやく動き始めた。
「もういい!もうやめろ、やめるんだ!」
「このままじゃ、クマカワさんが死んじまうだろうが!!」
「クマだって、ウイルスに感染した被害者かもしれないんだぞ!」
後ろから羽交い絞めにされ、はあっ、はあっ、と肩で息をするサスマタの先生は、
アケミを指差しながら叫んだ。
「アレを見てもまだ、おまえらはそんなこと言ってんのか!?」
先生たちの視線が集まった先に、アケミがいた。
生気の抜けた表情をしているためか、自分の身になにが起こっているのか判らず、
ポカンと首をかしげているような印象を受ける。
いつの間にか、校長先生を足元に放り出して、彼女は立ち上がっていた。
校長先生の顔面は、表面の皮膚を乱暴に剥ぎ取られ、上半分が白骨化している。
アケミの口のなかに、まだ肉の欠片が残っているのか、行儀悪くクチャクチャと歯を
動かしながら、一歩、また一歩と、階段を下り始めた。
気だるそうに上下に動かしている口元から、毛のような物体(おそらくハゲ頭だった
校長先生の頭皮に残っていた、貴重な髪の毛の一部分だと思う)が見えた。
足を踏み出すごとに、乳房を喰い千切られた胸肉の奥にある生々しい白骨が、水分が
抜けて凝血した血肉と混ぜ合わさって、わたしたちの視界に飛び込んでくる。
密かに羨んでいたスタイルの良い体型は、大量に飲み込んだ肉のおかげで、胃の辺りが
ポッコリと膨らんでいた。
満腹という観念が失われているせいか、限界近くまで詰め込んだらしく、その膨らみは
不自然なほど大きかった。
アケミの姿をよく見ると、股間からブラブラとなにかを露出させていた。
なんだろうと思う間もなく、それがいきなりズルッと、下に落ちてきた。
細い麺の束や血の塊のようなものだった。
胃に詰め込んだ肉片が多すぎて、お腹の臓物が押し出されたのだろうか。
血にまみれた子宮を引きずりながら、アケミが階段を下りてくる。
次の瞬間、アケミは自分の臓器に足を滑らせ、階段をずり落ちてしまった。
うわっと悲鳴を上げて、教師たちはいっせいに飛び退いた。
ゴキキッ、という鈍い音がする。
アケミの左足は、不自然な方向へと捻じれていた。
『・・・アッ・・・アッ・・・ア〜〜イルルルル〜〜ヒャアアア〜〜ヒイイヒャアア〜〜〜〜〜』
折れた足を眺めながら、彼女は突然、甲高い声を出した。
そしてアケミはうつろな表情に戻ると、汚物と臓物を顔や体にへばりつかせたまま、
何事もなかったかのように、再び立ち上がった。
彼女は足を引きずりながら、また新たな獲物を求める。
限界一杯にまで膨らんだ胃袋、体内から垂れ流す臓物、生気を失った眼、意味不明な言動。
これらはどう見ても人間の行動ではない。
ウイルス感染による痛覚の麻痺、暴力的な本能の暴走、などといったレベルで語れる
現象ではないことはたしかだ。
全身の骨格が、ゴキゴキッ、ミシミシッ、と軋んでいる音が、嫌でも耳に残る。
アケミはまさに、歩く死人だった。
「ゾンビだ・・・」
誰かが呟いた。
「ガキの頃、テレビで観た『ゾンビ』そっくりだ・・・人間じゃない・・・」
サスマタの先生が、それに呼応するように叫んだ。
「そうだ!こいつらは人間じゃねぇ!病人でもねぇ!化け物だ!!
暴徒の正体は、化け物だったんだよぉ!!畜生!畜生!ふざけんじゃねぇぜ!!
そんな話、聞いてねぇぞぉぉぉ〜〜〜!!畜生めぇえぇええ!!」
涙交じりの声を上げながら、ホンジョウ先生の下の名前を叫び、彼はまたサスマタを
振り回した。
もはや彼を止める者は、誰もいない。
たぶんこの先生は、ホンジョウ先生のことが好きだったのだ。
恋人同士だったのかは判らないが、彼は愛していた女性を失ったことに怒り狂っていた。
グニャグニャに曲がったサスマタを、アケミに押し付け、動きを止めようとする。
だが彼女の力はものすごく強く、とても彼だけで押さえつけるのは無理だった。
人間は普段、筋肉の力を無意識にコントロールしている。
限界以上の力を出せば、人間の体が壊れてしまうからだ。
痛覚や精神的なリミッターを失っている屍人たちは、こうした制約など意にも介さず、
人間以上の力を発揮し、人々に襲いかかる。
「こいつを止めろ!・・・足だ!もう片方の足を折れぇ!!」
メガネをかけた小太りな先生が、サスマタでアケミの足を思いっきり叩いた。
太ももに当たったようで、ビッチ〜〜ン!と音が鳴った。
わたしは痛そうな音に、ひいっ、と思わず首をすくめた。
「・・・なにやってんだ!そこじゃねぇよ、バカ!膝の関節の裏側を狙えってば!!」
そう言われても、さすがに教職を選んだだけあって、暴力的な経験値が足りないであろう
その先生は、オロオロとするだけだった。
「おいっ!貸せ!」
それを見かねたちがう先生がサスマタを奪い取ると、アケミの背後からまた攻撃した。
ガスッ!ドガッ!・・・ボキッ!!
三度連続で叩きつけて、彼らはようやく右の足の骨を折ることに成功した。
「よしっ!ナイス!!」
サスマタの先生は、笑顔で言った。
(・・・来週に続く)
というわけで、まだホンジョウ先生たちは生きていたりしますw
我ながら残酷な話だなあ、とか思うわけですが、まあカニバリズムの
原点を振り返ると、こんなもんだろうなあ、とか思うわけです。
けっして楽しんで書いているわけではないんですよ、ええ (・∀・)
>>ダリオさん
お待ちしておりました。
ついに主人公のライバルが登場ですか!
新キャラブームの到来の予感。
面白くなってきましたね。
ダリオさん、東京くだんさん、乙です!
次スレ立ってたんだなやっと見つけたよ。
やっぱゾンビ相手に銃で戦う展開が好きだけど、サスマタってのも新鮮だった。
アケミよりホンジョウ先生が気になりだした…尻に惹かれる
バイトもだりぃ。勉強もめんどくせぇ。
「こんな世界地震でもテロでも起きてブッ壊されちまえ。」
…とは思ってたんだが…ゾンビとは…。
そもそもの始まりは昨日の深夜。
その日は学校も祝日で休み。バイトのシフトは入ってなかった。
つーことで、ダチのコウイチの家でする事も無く夕方までダベッてた。
するとコウイチのケータイにメールが一通。
だるそうにケータイを手にとりメールを見る。
数秒後、コウイチの「おい!今すぐ出かけんぞ!」
という嬉しそうな顔で絶叫するコウイチに、床に転がって夢の世界に踏み入れかかってた俺は、叩き起こされた。
「あぁ?なんだよ、うるせーな。」
起こされて半分キレ気味だった俺は、コウイチの返事が「合コン・カラオケ(女の子付き)」の類だと予想…いや、期待していた。
ちなみに俺とコウイチは高二。二人ともID偽造してよく札幌の「KING XMHU」で遊ぶんだが、こいつはアゲる為に必ずネタを喰っていく(その上バイトの給料も八割ネタに消える)ような人間で、
遊ぶコトよりネタ目的で夜の街にでる。
そんなコウイチの口から俺の期待した言葉が出るわけない。
「すげえよ!今日札幌で日本初公開の、新作ネタ試用イベントやるってよ!」
俺はドラッグとか興味無かったが、コウイチに半ば引きずられるように連れ出された。
コウイチに連れられ、着いた所は「電気通ってるのか?」と頭上に?マークが浮かびそうな、空きビル。
「ガセじゃねーの?チェンメとか。」と最もな疑問を口にすると,
「ぜってーココだって!いっつも俺に売ってくれるオッサンからのメールだぞ!?」
と、コウイチは件の場所案内の画像付きメールを俺に突きつけた。
開いてるシャッターから中に入ると、既に先客がいるらしく、俺たちは声の聞こえる方へ歩いていった。
奥のホールのような部屋には五、六十人の「客」らしき人間と、そのさらに奥にまるで全校集会で説教かます教師のような位置関係で、「主催者」サイドらしき人間が六人。
小さな照明で良く見えないが、右端の一人は黒人のようだ。
真ん中の男がマイクを持つと、ざわついていた客達が静まり返った。
「えー、毎度俺らの作品買ってくれてありがとう。」
「俺らは、基本的に作品の制作には理系のヤツしか加えないんだけど、今回はブードゥー教で有名なハイチから来てもらった彼、キング・カーリーに協力してもらいました。」
端の黒人は不気味な笑みを浮かべて会釈した。
「今回の新作はお得意さんのみ限定公開!彼の作品に俺らがアレンジ加えた『ZOMBIE』を先行無料お試し配布だっ!!」
司会の男が叫ぶと客から歓声が湧き上がった。
司会は話を続けた。
「この『ZOMBIE』は正にケミカルとナチュラルの融合した最高傑作だ!」
そう言うと、小さなパケに入った緑色のタブレットを取り出して、
「まずこいつを二錠、普通に服用してくれ。特徴はまず服用から一時間で急激なダウナーが入り眠りに落ちる、更に約一時間で目が覚め、最強の超アッパーになる。最高の天国に導かれるぜ。」
「ただし、最初の一回は自宅で服用してくれ。」
最後にそう言い、客に主催者達はパケを配っていった。
もちろんコウイチはしっかり受け取っていた。満面の笑みで。
俺は家に帰るのが面倒だったので、結局コウイチ宅に泊まる事に。
部屋に入るとコウイチはさっそく、パケを開け始めた。
…「開 け 始 め た」?
俺はパケを取り上げ怒鳴った。「おい!親が帰って来たらどうすんだよ!?」
ヤツはあっけらかんと「旅行行ってるから、三日は帰ってこねーよ。」
と答えてパケを俺から奪い取った。
俺は色々言いたい事は有ったが泊めてもらう以上、強くは出れない。
「俺はもう寝るけど…どうなってもしらねーからなー?」
とだけ言って、俺は二階のコウイチの部屋から出て、一階のリビングのソファで横になった。
アイツはへらへらして「ヤバかったら救急車でも呼んでくれ」と答えた。
すっかり夢の世界で合コン三昧だった俺は、女とホテルでチェックインする寸前で『ガシャーン!…ガゴッ!!』って感じの轟音で現実に引き戻された。
強盗か…それともアイツがラリッて暴れてるのか……。
とりあえずコウイチの父の物らしいゴルフクラブを持って、物音のする二階に上がる。
明らかにアイツの部屋から音がする。
「おい!大丈夫か?」と言いながらドアを開けると、口から泡を吹き白く濁った目でコウイチが立っていた。
ゴルフクラブを構えつつ「お、おい…」と声を掛けた所で、アイツは掴みかかってきた!
アップで顔を見ると、やはりまともな形相ではない。
歯をむき出して…、この野郎噛みつこうとしてやがる!
しかも、とんでもねぇ力だ!普段のコウイチじゃあ、腕相撲で中学生の弟にも負けてたはずだぞ!?
噛みつかれそうになって、俺はとっさに足を掛けて転ばせた。
するとコウイチは思い切りテーブルの角に頭をぶつけたらしく、血が飛び散った。
普通なら助け起こすはずだが、その時の俺はダチの異常な行動に恐ろしくなって動けずにいた。
火サス流なら死ぬところだが、コウイチは普通に起き上がった!!俺は何かヤバいと思い、とっさに戸を閉めて階段まで走った。
階段までさしかかった所で、戸をブチ破って、頭から尋常じゃない量の血を流しながら追ってきたコウイチに追いつかれた。
また掴みあいになり、俺は「おい!病院に行かないとお前死んじまうぞ!!」とか何とか説得してたが、結局階段から突き落としちまった。
だがアイツは目から血を流しながら、逆方向に曲がった両足を引きずって、奇妙な方向に曲がって骨の突き出した腕で這い上がって来た。
俺は恐怖に駆られゴルフクラブでダチの頭を滅多打ちにした。
あいつが動かなくなってから、警察を呼ぼうだの逮捕されるだの自首するだの「常識的」な考えが頭を駆け巡った。
だが、妙な諦めが頭をよぎり、コウイチの死体をバスルームに突っ込んで寝ることにした…。
…もう……何がなんだかワケわかんねぇ…疲れた…。
自首とかは…起きてから考えよう…。
61 :
「前略、北の国から。」作者:04/11/24 00:49:18 ID:Z85va3vs
一気にアップしました…。
駄文ですが、暇つぶしにでもどうぞ。
続きはまた後日。
62 :
本当にあった怖い名無し:04/11/24 00:52:32 ID:TWT2g78G
コウイチではなく、彦一とかではだめか。
あるいは彦一郎でもよいのだが。
63 :
作者:04/11/24 00:56:11 ID:Z85va3vs
キャラの名前はなんでもいいですよ〜。
主人公の名前すら、今のところ未定で「俺」としてますから。
◆dve/1Ebaqs氏の
>>7-9も主人公は名無しだな。
あいつも名前が思いつかないのだろう。
作者さん乙
続き待ってます
死んでもまってます
ところで、「おやじ」さん、来ないね。
新スレ見つからないのかな?
ズンビードラッグってかなりテロの予感がしますね。
社会不安を煽るという点では下手な伝染病によるバイオテロより怖いですし。
他人を信じられなくなる状況というのもゾンビものの醍醐味ですね。
>新スレが見つからない
作品を貼るときぐらいは上げた方がいいのかなぁ。
見つけたけど筆が進んでないというほかの作者さんも見てるよ―って書き込みしてもらえたら安心できるんですが。
したらばの雑談スレの方でもけっこうですので、何か書いて欲しいですね。
保守
「よいこのみなさんへ これまでのあらすじ」
ある日ある時、二日酔いで目覚めた自称建設業の「おやじ」は、世界中を襲ったゾンビ渦に巻き込まれる。
死人が街を徘徊し、襲われた人々は次々にゾンビ化していく阿鼻叫喚の地獄の中で、おやじの「かかあ」と「息子」は、
なすすべもなく帰らぬ人となり、おやじもまた失意のうちに脱出を試みる。
・・・しかし、おやじを待っていたのはゾンビ症候群を解明するべく、死人の街で研究を続ける「学者先生」からの、助けを
求める無線通信だ。
どうせ人生一度きり。と割り切るおやじは、途中で助けた「姉ちゃん」と「娘っ子」を、愛車10トンダンプの道連れに
死人の街へ突き進む・・・。
って言う感じだな。
時間が無くてなかなか書けねぇけど、気長にまっててくれや。
下谷警察署の建物に立てこもってる奴等は、何人居るかは知らねぇけど、助けてやるつもりでオレは昭和通りと
金杉通りをダンプで周回しながら、周辺の状況を確認したのよ。
・・・警察署の前を通るたびに何匹かのゾンビ野郎がダンプを追いかけて来たが、大部分の奴等は昭和通り側の
入り口に押しかけてるらしくて、他の通りに人影は無かったな。
みんなまとめて火葬にしてやりゃ、野郎どもも成仏できるだろう。
それでオレは、ダンプを転がしながら、自分の装備を確かめた。・・・十二番口径の上下二連散弾銃は装填済みだが、
残念なことにクレー射撃用の散弾銃だから、ショルダーベルトは付いて無ぇ。
銃身と銃床をそのロープで結んで肩に担げば、取りあえず両手はフリーで使えるだろから、足下に放り出してあった
トラロープを、姉ちゃんに適当な長さに切らせて、即席のショルダーベルトを作らせた。
そんで接近戦になった時の獲物を選んだんだが、ダチの倉庫に置いてあったナタと、台所で見つけた包丁ぐらいしか
無ぇんだよ。
歯が立たねぇかもしれねぇが、素手よりゃマシだろうから、取りあえずナタを腰のベルトに差し込んで、心細いが
武器の準備は完了だ。
次は防御の方だけど、こっちもろくなモンは有りゃしねぇ。精々商売道具の軍手とヘルメットぐらいしか見つからねぇが、
こんなモンでも何かの役には立つだろう。
ヘルメット被って、軍手はめると散弾銃の予備弾をドカジャンのポケット一杯詰め込んで、ダンプを走らせながら
姉ちゃんと運転を代わったのよ。
・・・姉ちゃんもダンプの運転に慣れてきたのか、何とかまともに走らせることが出来るようになってきた。
オレは助手席のアシストグリップにしがみついてる娘っ子に、「周りをよく見てて、ゾンビ野郎が来たら姉ちゃんに
教えるんだぞ。」って言いながら、助手席のドア側に体を移した。娘っ子は真剣な眼差しで頷いてたなぁ。
それでオレは、「自分が帰って来るまで、今のコースを周回しろ。」ってことと、「三十分たっても出てこなければ、来た道を
引き返して北に向かえ。」って姉ちゃんに指示したのよ。・・・ダンプの燃料計の目盛りは半分ぐらいを差しているから、
巧く行けば宮城辺りまでは行けるだろう・・・。
交差点にスタンドが見えてきた。
オレは散弾銃を背中に袈裟懸けに背負うと、ゾンビ野郎に注意しながら、助手席のドアを開けたのよ。
それで「オレが飛び降りるまでゆっくり走れ。」って姉ちゃんに言うと、ドアの後ろっ側に取り付けられてる梯子に掴まって
ダンプの外に出た。
姉ちゃんに指示されたらしい娘っ子が、助手席のドアを閉めながら窓ガラスを細く開けたから、「頼んだぜ。」って
言いながら、タイミングを合わせて巧く飛び降りた。・・・危なく転倒するかと思ったけど、とりあえずダンプに轢かれずには
済んだのよ。
けどよ、ゆっくりしちゃ居られねぇ。オレは散弾銃を構えながら、スタンドのタンクローリー車に近づいた。そいつの運転席に、
ゾンビ野郎が居たらやだからよ、用心しながらドアを開けた。
・・・幸い誰も居ねぇし、ラッキーなことに鍵も付けっぱなしだったなぁ。
それでオレは車内に散弾銃を放り込むと、タンクローリーのエンジンを始動させてから、脇に回ってタンクの放出バルブを
探したのさ。
・・・配送の仕事なんか、やったこと無ぇから、どれがどれだか判らねぇ。構やしねぇから、それらしいバルブを手当たり
次第に回してやったよ。
そしたら青色の管から突然ガソリンが吹き出して来てツンとする匂いが広がった。・・・空っぽじゃなくて助かったし、
タンクの放出バルブが判れば、第一関門はクリアだろ。オレはガソリンが漏れねぇように、取りあえずバルブを閉じたんだが
いつの間にか、後ろが疎かになっちまったみてぇで、気がついたら背中に嫌な気配を感じたのよ。
・・・咄嗟に振り返ると、真っ白い顔したサラリーマンが、今にも跳びかかって来ようとしてるじゃねぇか。
食われちゃたまらねぇ。・・・オレはアスファルトの路面に転がりながら、そいつの第一波攻撃を避けたんだが、散弾銃は
運転席ん中だから、簡単に応戦できやしねぇ。
それにそいつは、ゾンビ野郎にしちゃ素早い身のこなしで、こっちが攻撃に移る機会を与えちゃくれねぇ。オレは必死で
逃げながら、何とか腰のベルトからナタを取り出した。
そんで、ネクタイを振り乱したサラリーマンゾンビが、跳びかかってくる次のタイミングを見計らって、ナタを思いっきり
横に振った。
・・・野郎の左頬がざっくり割れて、下あごの骨が飛び散ったんだが、こっちも体当たりされて歩道のブロックに
転がっちまった。ヘルメット被ってなきゃ、頭を打って脳震盪でも起こしたかも知れねぇけど、何とか気を失うのだけは
免れた。
けどよ。ゾンビ野郎は、オレの上に馬乗りになって、噛み付こうとしてるんだ。
男に乗っかられるような趣味は無ぇけど、野郎は馬鹿力でぐいぐい押さえ込んで来やがるから、押し返すことも
出来やしねぇ。
そのうち野郎の汚ねぇ口から、唾液が糸引いてオレのジャンパーに滴り落ちて来て、ホントにヤバイ状況よ。
なんたってこいつが病魔の原液だろうから、見たくも無ぇんだが野郎の顔がだんだん近づいて、終いにゃ
野菜の腐ったような臭いまでして来やがった。
やられる。・・・と思った瞬間、ダンプのホーンの音がして、野郎の注意が一瞬逸れた。
オレは肩に掛かった野郎の腕の力が弱まったのを見逃さず、転がったまま思いっきりナタを振ったぜ。
もちろん、野郎の肉片や体液がオレの目や口に入らねぇように、顔は横向いて目は瞑ってたけど、野郎の首の骨が
折れる手応えだけは、はっきり伝わってきた。
奴の体液がジャンパーに飛び散って、オレを押さえつける力がガクッと弱まったモンで、やっとそいつを振りほどくことに
成功したのよ。
ありがてぇ。・・・ホーンは、周回してきたダンプの姉ちゃんが、機転利かせて鳴らしてくれたんだ。・・・オレはゲンコツを
突き出して、無事だっていう合図を送りながら、ふらふらっと立ち上がったゾンビ野郎を、ダンプが曲がっていく交差点の
中央に蹴り出してやった。
姉ちゃんも、ちょっとビックリしたみてぇだが、ダンプが丁度いいラインで曲がってきたから、フロントタイヤに乗っかられ
リアのダブルタイヤで伸ばされて、ゾンビ野郎の煎餅の出来上がりよ。
・・・奴の臓物がパンクして散らばってるから、次に廻って来た時ゃ、姉ちゃんもアワ食って真っ青だろうなぁ。
そんなこと考えながらオレは、他の野郎が来ねぇうちに、タンクローリーに乗り込んで、今度はしっかり散弾銃を
抱え込んだのよ。
おやじキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
親父乙
待ってたぞ
…10時ごろ目が覚め、前夜の出来事は夢オチだったという事を期待したけど、やっぱりアイツは死んでた。
俺はヒコイチの死体を前に今後の身の振り方を考えた。
(自首するか?…でも……あんな状態になってまで、襲って来たなんて誰が信じてくれんだ?)
(手と足が折れて頭なんかグシャグシャじゃん。あれじゃあ正当防衛なんか認められるワケねぇよな。)
(とはいえ逃げきるのは無理。アテは有るけど金が無い。指紋も家の中にかなり残ってるし。)
しばらく考えた末、一服して自首する決心を固める事にした。
TVを点ける。「のりゆきのトークDE北海道」がやっていたはずだ。
…『奥さーん、気をつけなきゃダメだよ。オレオレ詐欺なんて引っかかっちゃあ』…
相変わらずつまらない。ムショ入り前の最後の娯楽がクソ番組にどこでも買えるセブンスター。
(せめてもう一本吸ってから…)と、さらに火を点けようとした所で、画面が臨時ニュースに切り替わった。
『番組の途中ですがここで臨時ニュースをお伝えします。』
『本日未明、全国の主要都市で傷害、殺人未遂及び殺人事件が多発。一部の地域では暴動も起きており、現在各自治体が事態の収拾に乗り出している模様です。』
『現場と中継が繋がっています。現場の金村さん?』
「はい、こちら札幌上空からヘリで撮影をしております。本日未明、北区の住宅街で殺人事件が発生、現場に向かった警察官二名の内、一人が死亡、もう一人が重傷との事です。
えー、発砲が有ったという情報も入っていますが現段階では未確認です!犯人グループと見られる男女数名は現在徒歩で逃走中…」
俺は灰がポロポロ落ちるのも気づかず呆然と画面を見つめていた。
情報を要約するとこういう事だった。
・原因は不明(テロ説が有力)
・全国の主要都市でほぼ同時に発生
・住宅地やホテル周辺で多発
・自衛隊はまだ動いていない
・一部都市では機動隊が出動
・自治体では自宅待機を呼び掛けている
…だが俺には確信が有った。間違いなくあのクスリのせいだ。
ますます自首の決心が薄らいでいく。
…中継映像は応援の警官五人がヒコイチと似たようなやつらに襲われ、噛み殺された所で「しばらくお待ち下さい」と例の画面に切り替わり止まった…。
【自首】の選択肢は頭から吹っ飛んだ。
普通は親の安否を確認すんだろうけど、俺の親はどっちも事故で去年死んでいて今は遺産と保険金、それにバイトで一人暮らしだ。
この状況で一人はマズい。とりあえずアタマの良い奴とケンカの強い奴が必要だろう。
というわけで、今年学校を辞めて(もちろんケンカで退学)、元族で今はガテン系の仕事で食ってるシュンスケと、学校で常に学年トップ…で、ややオタク系のカズシの二人に連絡を取り、カズシの家で合流する事にした…。
ヒコイチの車をパクって。
ラジオを付けても情報は大したものは流れていなかった。
しばらく走っていると道路に倒れていたり逃げている人や、ヒコイチと似たような状態の奴らをちらほらと見かけた。
カズシの家に着いて10分ぐらいでシュンスケも来た……VIPカーかよ!
シュンスケは銀髪で色黒、上下ジャージで鼻ピアスで現れた。180程度でかなりガタイが良い。
明らかにヤン系で実際中身もそうだったけど、この状況じゃ頼りになる。
「よぉ、ひさびさ。わりいな、急に呼んじまって。」
『や、俺も今日は休みになっちまってよ。パチ屋も閉まってるし。』
「そっか。お前んトコ大丈夫だったか?」
『あー。…でも現場の先輩で連絡取れねー人が結構いるから、ヤバいみたいだな。』
「まぁ、とりあえず中入るべ。」
『ん…、あぁ。』
インターホンを鳴らす。『あー、入っていーよー』カズシの声だ。
玄関を開けるとカズシんちの母さんが出迎えてくれた。
おばさんはシュンスケの変貌振りに驚きつつも、久しぶりに家に来た事を喜んでいた。
というのも俺たち三人は幼なじみで中学まで一緒で良く遊んでいたからだ。
当のシュンスケはどこか罰が悪そうな感じだ。
カズシの父が警察に勤めているのを知っているからだろう、しかし、今回の騒動で駆り出され家に居ない事を知って少しホッとしているようだ。
挨拶もそこそこに俺らは奥のカズシの部屋に向かった。
ドアを開けると、パソコンに向かっていたカズシが振り向いた。
『おぉ、お前生きてたのか。おっ、シュンスケだ!すげー!鼻ピアスしてるじゃん!それ痛くないの?』
相変わらず良く喋る。肩まで伸びたツイストパーマの掛かった髪に女みたいな顔。
160cmの細身。かなりモテそうな外見だけど中身はオタだ。
学校でも恥ずかしげもなく「萌え」だの「「ウマー」だの口走り、様々なマニア談義に花を咲かせる。
俺たちが揃うと正に大中小と色々な意味で形容するしかない。
喋り続けるカズシを止め、コウイチの一件を話した。
『うーん…、そのクスリの名前といい、今起こってる状態といい、まるっきり【ゾンビ】だね。』
シュンスケが口を挟む。『あぁ?ゾンビって映画だろ?んな事あるワケねーだろ』
もっともな意見だ。
しかしカズシは話を続けた。『観たことあるなら話は早い。僕も信じたくはないけど、そのクスリの一件とこの動画をみる限りそうとしか思えないんだ。』
カズシがパソコンを操作すると、ニュース映像らしき動画が再生された。
東京の渋谷を映したものらしい。
交差点をふらふらと歩く十数人の【奴ら】。その中には警官の姿をした【奴ら】も混じっている。
そして、逃げ遅れたらしい二人の若い女。必死に逃げ込む所を探し出しているが、どこもシャッターが下ろされている。
それを見つけた【奴ら】は一斉に走り出し……あとは、言わなくてもわかるだろう。
『警官姿の奴が居たでしょ?つまり、伝染するんだ。【不死身・噛みつく・伝染】この三つの要素から考えられるのはゾンビしかない。』
呆然とする俺とシュンスケ。
更にトドメを刺したのがカズシの一言だった。
『更に、これは世界中で起きてるらしい。』
84 :
作者:04/11/27 23:37:46 ID:esgFeKSz
まとめてUP第二弾です。
なお、作中「コウイチ」の名前を62さんのご意見で「ヒコイチ」にしました。
読んでくださっている方、ご了承ください。
※主人公の名前募集中!
・日本人の名前
・五〜六文字以内
・笑える名前やエロ系、自分が付けられたら嫌な名前はご遠慮ください。
・作者のこだわりで原則カタカナになります。
82がコウイチのままになってる…。
脳内変換して御鑑賞下さい。orz
個性的な主人公達キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
名前、俺にとってのアイドルのジャッキーやらサモハンやらユンピョウしかでなかったけど、日本人じゃ無かった…
おやじ、これからも続きよろしくな
ズガーン!!
上方で銃声が聞こえてくる。
基地外でも暴れているのだろうか?
「ま、カンケイないけどね。」
重厚なガラスの扉、その向こうの部屋には頭を掻き毟りながら
暴れまわっているヤツがいる。
音は聞こえないが、あの狂いようではあと数刻ともたないだろう。
いつもなら看守が無理やり押さえつけて鎮静剤とかいろいろ打ち込んでいる
光景が、今日はない。
というか、そもそも看守がいない。
「テロでも起こったのか・・・?」
思わず微笑してしまう、あたしも人のこと言えないか。
とうとう向かい部屋のガラスに血が張り付き始めた、タメ息をつき
部屋の監視カメラを覗き込む。
「おーい、おめ〜さんたちよぉ、向かいのヤツがどうなろうと知ったことじゃないけどさ〜
あたしのメシはいつですか〜? すでに5時間も過ぎてるんですが〜。」
反応がないことは分かっている・・・すでに何回目の呼びかけだろうか。
ズガーン!!
また銃声・・・しかも割と近い。
ガラス越しに廊下の奥を伺うと、人影があった・・・首のない。
ドサリとソレが倒れる。
「・・・!」
廊下の闇の中から現れたのは医者と・・・女?
2人は部屋の前まできて尋ねた。
「ミリー・シーカーか?」
あぁ、久しぶりにその名を聞いたな・・・。
あたしは黙って頷いた。
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(18)
「・・・で、どうするんだ?」
「とにかく手足の骨を砕いちまえ!あと頭を潰すもん、誰か持って来い!!」
「・・・なんで、頭なんだよ?」
「ゾンビは、頭部が弱点じゃねぇのか?ダメならダメで、あとで考えればいい!
とにかく一階の工作準備室から、ノコギリとかトンカチとか、持って来いよ!!」
教師たちは無慈悲にも、二本のサスマタを使い、アケミの頭と胴体を押さえ込み、さらに
カラダを土足で踏みつけて、身動きが取れない状態にしていた。
彼女はすごい奇声を上げて、ヌルついたカラダを激しく捩じらせ始めた。
「こいつめ!どうだ!この野郎!死ね、死んじまえ!!」
サスマタの先生は、アケミの頭を押さえつけ、彼女の歯が届かない背中に回り込み、
足で後頭部を何度も何度も蹴りつけていた。
アケミの歯が床に当たっているのか、時々、ガキンッという硬い音がする。
『グヘェエエ・・・ウゲエエ・・・ヒャハハ・・・キヒャア・・・ウグウゥ・・・オエェェ・・・』
そんなことなど気にすることなく、彼女は床に叩きつけられるたびに、呻き声なのか
笑い声なのか、よく判らない声を漏らしていた。
白痴のような奇声が神経に障ったのか、サスマタの先生は、さらに激しく、彼女の頭を
メチャクチャに踏みつける。
「こいつめ!こいつめ!舐めんじゃねぇぞ、ゴラァ!!この野郎!死ね!死ねぇ!!」
『グヒイィ・・・グヒッ・・・イデッ・・・グウゥゥ・・・・・・ゲフッ・・・・・・』
相手が屍人だとはいえ、教師が元生徒に対して行う振る舞いとは、とても思えないほど
乱暴な仕打ちだった。
サスマタを持っていない教師が、容赦なくアケミの両手の関節を折ろうとしていた。
「せーのっ!」
ボギッ・・・!バキンッ!
威勢の良い掛け声とともに、アケミの片腕があらぬ方向へと曲げられた。
オトコたちに足蹴にされたアケミは、奇声を上げながら痙攣している。
『イイッ・・・イデェイ・・・イッ・・・ダァ・・・イ・・・マ・・・マァァ・・・・・・』
(・・・痛い?・・・ママ!?・・・いっ、いまなんて言ったの、アケミ!?)
わたしは、ハッとした。
実を言うと、このとき彼女が口にした言葉が、本当に「痛い」「ママ」という発音だった
のか、ちょっと自信がない。
あまりにも惨い展開に頭が追いつかず、混乱していたかもしれないし、またアケミを
人間以外の化け物と思いたくなかったかもしれない。
屍人には、人間としての意識や記憶がないという。
しかしわたしは、屍人化した人間が、生前の記憶に基づいた振る舞いをしているのを
何度か目撃している。
禁断の地下実験施設「YM−003」に残されていた研究レポートでは、それらは
ただの肉体的な反射現象と結論付けされていた。
つまり人間としての生命活動が終了しているのは、ほぼ間違いないらしい。
しかしこうも言っている。
『・・・暴徒化した被験者が生前、なんらかの特定の強い感情を抱いていた人間に対し、
過剰な反射的行為をとるケースもいくつか見受けられる。
この場合、被験者の対象者に対する愛情や憎悪は、同等の価値を有する・・・』
屍人とはいったいなんなのだろうか。
わたしには判らない。
アケミはもう、元に戻ることはできないのだろうか。
いや、まだ間に合うかもしれない。
アケミをお医者さんに連れて行けば、人間に戻るかもしれない。
人間として戻らなくても、人間として死ぬことができるかもしれない。
そんなあり得ない妄想にすがりたいくらい、わたしはまだアケミに未練があった。
先生たちは知らないのだ。
アケミがどれだけ頭が良く、綺麗で、スポーツ万能で、やさしくて、頼りがいがあって、
そしてとても繊細な一面があることを。
アケミがどれだけ素晴らしい人間なのか、先生たちが知っていたらあんな酷いことなんか、
絶対にできるはずがない。
(やめて!アケミにそんなヒドイことしないで!!
アケミは、アケミはまだ、生きているかもしれないのよ・・・!!)
だがわたしの抗議は、声に出した形とはならなかった。
実際このときのわたしは、どうしたらいいのか戸惑ってばかりだった。
アケミが怪物になってしまい、人間たちを襲っているから止めなければならない。
たしかにそれは、あの頃のわたしにも理解できる理屈だ。
でもオトコの大人たちが寄って集って、かつての教え子だった彼女のことを残虐に
殺そうとしていることに、嫌悪感が湧いてしまってどうしようもなかった。
人間としての意識がわずかにでも残っているなら、もう少しなんとかならないのだろうか。
・・・だいたいさあ、ホンジョウ先生を襲っているのは、クマカワ先生のほうでしょ?
なんだかあのサスマタの先生は、怒りをぶつける相手を間違えているような気がする。
わたしは、そのことを彼らに伝えるべきなのだろうか。
でも必死な先生たちがすごく怖いし、屍人化したアケミたちから守ってもらっている
わたしが、なにか言えるような立場でも雰囲気でもないし、このままじっと黙っている
ほうがいいのかもしれない。
だってわたしは、まだ子供なんだもん・・・
なにもしなくても、黙っていればそのうち大人たちが、なんとかしてくれるはず・・・
卑怯者、という声が聞こえた。
アケミやホンジョウ先生があんな風になったのは、誰のせいなの?
わたしを責める声は、わたし自身の声によく似ていた。
(アケミ・・・)
わたしは口を開いた。
「・・・あの・・・」
恐る恐る意見を述べようとするわたしだったが、その小さな声は、オトコたちの荒々しい
怒鳴り声にかき消されてしまう。
「おいっ!頭を潰す道具はまだか!!」
「いまほかの奴らが持ってくるから、喚くんじゃねぇ!!」
「早くしろ!こっちのサスマタは折れかかってんだ!早く、早くしろよ!!」
「オレに言うなって、言ってんだよ!この野郎!!」
「うわっ、汚ねぇ!なんか汁が、跳ね飛んだぞ!!」
「んなこたぁいいからよっ!押さえてろって!しっかり押さえろよ、このバカ!!」
教師という面影はすでになく、興奮状態に陥った凶暴なオトコたちがそこにいた。
それを見て、屍人たちからわたしを守る、などといったムシの良い考えは吹き飛んだ。
彼らが戦っているのは、そういうことではないようだった。
みんな自分の身を守ることで精一杯なのだ。
そして屍人たちの異様な姿や振る舞いに嫌悪感が刺激されたのか、防衛本能がかなり
暴走しているような気がしてならない。
職員室に入れてもらえなかったことを思い出して、いまさらながらにゾッとする。
これからは、誰もが弱い者たちを守ってくれるとは限らない。
女性だから、子供だから、老人だから、病人だから、周りから特別扱いを受ける・・・
そんな理屈など、もはや通用しない時代が来るのだ。
役に立たないと判断された人間は、容赦なく切り捨てられる世界になっていくのだ。
そう思う反面、当時のわたしはそういった過酷な予想を受け入れることができなかった。
下駄箱周辺で繰り広げられている捕り物などにおかまいなく、あいかわらず大腸を
貪り喰っていたクマカワ先生は、ふいにピタッとその動きをやめた。
しばらく呆然としていたが、ホンジョウ先生に対する興味をなくしてしまったのか、
手に持っていた大腸を、力なく下に落とした。
口の周りを赤と黒と茶色でベタベタに汚した彼は、呻き声を出しながら立ち上がった。
後ろを振り返った先生のひとりが叫ぶ。
「うっわ!やべぇ!クマがこっちに来るぞ!!」
「バカッ!サスマタを緩めるな!ちゃんと押さえてろ!放すんじゃねぇよ!!」
クマカワ先生のワイシャツの内側から、臓物と一緒に、いままでひたすら胃に押し込んで
いた咀嚼物が、ドボドボと吐き出されていく。
「うええええっ!?マジかよ、あいつ!!」
ずっと階段に寝転んでいたから、アケミによって喰い破られたクマカワ先生のお腹の
状態を知らなかった先生たちは、大きなショックを受けていたようだ。
かつてのホンジョウ先生の一部だったモノが、いっせいに垂れ流され、それが昇降口に
まで広がっていった。
そのグロテスクな汁や肉片は、凄まじい臭気を放っていた。
わたしを始め、ほかの先生たちも我慢できずに、ゲェーゲェーと吐いた。
わたしは嫌いだったけど、当時の日本には、ホラービデオが好きなヒトがたくさんいた。
そういう趣味を持っているヒトたちは、グロテスクなものを視覚的に受け入れる耐久性が
それなりにあったのかもしれない。
しかし匂いは別だ。
というか、死の匂いに慣れた日本人など、警察や病院関係者、または葬儀屋といった生業を
している、一部の国民ぐらいしかいなかったはずだ。
いや、というかコレはすでに、死の匂いどころの話ではない。
とにかく、ものスゴく臭いのだ。
正常な判断ができないくらいに。
わたしたちの前に差し出されたものは、ただの腐敗臭だけではなく、生臭い血の匂いで
あったり、ウンチの匂いであったり、そのほかに嗅いだこともないような、形容し難い
モノまで含まれていた。
ホントにもう、泣きたくなってくる。
さらにその悪臭の元である、屍人の姿。
たとえこの場に、筋金入りのホラーマニアがいたとしても、平常心を保つことは、
かなり厳しかったと思う。
なぜなら屍人化した生前の彼らをよく知っているヒトほど、恐怖を味わうのだから。
ここにいる教師たちは、いままさにその最中にいた。
だいたい食べた物をそのまま下に垂れ流すとは、いったいどういうことなのか。
これでは、食べる意味なんて無に等しい。
すべてが無意味だ。
そして意味のない行為を理解することは、人間にはけっしてできない。
それゆえ人々は、屍人化した人間が、かつては素晴らしい内面性を持っていれば
いるほどに、この意味不明な行動がおぞましく、また痛ましくも感じてしまう。
そしてこの汚れた屍人たちこそ、将来の自分たちの姿なのかもしれないのだ。
閉ざされた未来への象徴。
わたしは思う。
人間社会が崩壊してしまったのは、屍人の高い戦闘能力のせいではなく、人間自身の
精神力が脆弱だったからではないのかと。
そう、人間は自らの恐怖心によって自滅したのだ。
戦う相手が宇宙人や怪獣だったら、こんなことにはならなかったのかもしれないのに・・・
(・・・来週に続く)
【近況報告】
この間さあ、「CASSHERN」なる映画のDVDを観たんだけど、主人公はなぜ全身タイツ
ではないのだろうか?
そこが一番、重要なのになあ。(フレンダーもいないし・・・)
孤独と疎外感、無機質な敵、世界が滅亡寸前の混乱状態など、原作のテーマがオレの
描いてるSSと似ているのを思い出しちゃって、どうでもいいけどスゴク気になる。
映画自体、ゾンビものの亜種と言えるような妙な展開だったけど、あの斬新な
ビジュアル感は捨てがたい。
あー、めちゃくちゃ手直ししたいぞ。
いつになるか判らんが、次回作は「CASSHERN」でも描こうかなあ。
・・・とかなんとか妄想してるので、この頃、創作スピードが落ちまくってる。
先は長いので、もっと集中せねばな。
96 :
本当にあった怖い名無し:04/11/30 21:24:54 ID:uoyTszvM
東京くだんさん乙。
オモシロカッタヨー
hosyu
寂しい
ホシュ
100 :
北の…作者:04/12/06 00:53:39 ID:i5pJPJcf
当方、大学受験の為に二ヶ月程書き込めません。
話の構想はまとまっています(かなり無理の有る展開で軍オタとかに叩かれるの確実なシナリオですが)ので、合格できれば最後まできっちり完結させるつもりです。
読んで下さっている方、もうしばらくお待ちください。
ゴメン、今回は間に合わなかった。
さすがに年末間近というだけあって、なかなか執筆時間が取れないんだけど、
「CASSHERN」に対する脳内妄想もひと段落着いたし、また日曜日から
週一ペースで淡々と投下しようと思っているんで、読んでくれてる人は
ちょっと待っててネ。
>>北の作者さん
受験生だったのか。
大変だけど頑張ってな。
札幌が舞台で、軍オタ云々ということは、第7・第11師団が出てくるのかな?
ソッチには戦闘車両が、山盛りあっていいよなあ〜
コッチは都心にしちゃったから、もうショボショボだよ。
主力がトラックですよ、トラック、ええ。
第12旅団や木更津・立川のヘリ部隊、富士の戦車教導隊なんか、いまの展開からして
無理っぽいしな。
う〜ん、ゾンビ相手に白兵戦かあ・・・
こりゃあ、マジ悲惨だよなあ・・・
>>101 都心か?
府中の航空総体は役に立たんな。
横須賀の自衛艦隊司令部の役立たずだし。
第一、第三一、第三二 普通化連隊位か。
第1連隊だね。
朝霞の部隊は移転しちゃったしな。
一応、保守がてらに書き込みをするわけですが。
>>104さん
朝霞にはちょっと前まで、第31普通科(歩兵)連隊が駐屯してましたね。
平成7年度の「防衛計画の大綱」で13個師団、2個混成団体制が崩れて、陸上
自衛隊は大幅にリストラされちゃいました。(現在も骨抜き続行中)
コンパクト化といえば聞こえはいいのですが、上の制服組はそのままだったみたい
なので、やはり予算不足による自衛隊の縮小と考えたほうがよろしいかと。
そのしわ寄せなのか、平成15年になる頃には第31連隊は、横須賀の武山へ
移転してます。(移転した正確な年は知りませんが)
師団を構成するための数合わせのようで、予備自衛官が主体みたいですね。
このように現在の朝霞には、東部方面総監部としての機能や支援部隊は配備されて
いますが、純粋な戦闘部隊は残っていません。
ゾンビは一方向から進撃してくるのではなく、同時多発的に生まれ、懐に潜り込んで
くるので、おそらく自衛隊は分断された状態で対処を余儀なくされるでしょう。
ゆえに首都防衛には、練馬の第1連隊しかいないわけです。
彼らには、孤軍奮闘で頑張ってもらいたいものです。
さて、風呂に入ってから、物語の続きを書かねば。
106 :
本当にあった怖い名無し:04/12/09 21:52:51 ID:IgoIr2nL
紫煙
ガッポイ
>>105 すみません、詳しい解説頂いてしまって。
かなり前に退官して、記憶があやふやでした。
勤務は潜水艦でしたし。
スレ汚しスマソ
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(19)
ガラアアアン・・・と、廊下に工具箱を落す音がした。
「クッ、クマカワさん・・・」
アケミの頭部を破壊するために、いろんな道具をかき集めてきた先生たちは、階段から
降りてきたクマカワ先生を見て、みんな震え上がった。
眼球がブラ〜〜ンと垂れ下がり、頭部がポコッと凹み、顔がプックリと倍以上に膨れ
上がったクマカワ先生は、昇降口にいるわたしたちの手前で立ち止まり、声のした
方向へと顔を向けた。
何度もサスマタで殴られたせいか、首の骨が折れ曲がっており、グラグラしている。
『アボアアアァァ〜〜〜』
とても人間の出す声とは思えない、気味の悪い呻き声が廊下に響き渡った。
喰いちぎられた咽喉に、ホンジョウ先生の体内からむしり取った、黒っぽい色の大便の
塊が引っかかっていたが、声を出したことによる振動で、ボトボトと押し出されてきた。
もう本当に、これはどんな精神的猛者でも耐えられないくらい、壮絶な光景だった。
「うっ、うわあああ・・・!!」
廊下にいた先生たちは、道具を拾う余裕すらなく、逃げ出してしまった。
アケミのときとは、ずいぶんちがう態度だった。
彼女が子供だったり、生徒だったり、女の子だったから、強気に出ていたのだろうか。
アケミを押さえつけ、手の骨を折っていた先生たちは、変わり果てた姿のクマカワ先生が、
自分たちのところへやって来るのを見て、パニックになっていた。
「おっ、おい!こっちにクマが来るぞ!!」
が、ホンジョウ先生の仇討ち(?)に熱中していた、サスマタの先生は
「サスマタを放すんじゃねぇ!押さえてろ!押さえろってば!!」
と怒鳴り散らすだけで、アケミを解放して逃げる選択は、頭のなかにはないようだ。
そんな彼に呆れたのか、もはや自分たちの命を守ることで精一杯の先生たちは、
先ほどの道具を集めていたグループ同様、いっせいに逃げ始めた。
わたしの存在すら眼中になく、我先にと校庭へ走り出す聖職者たち。
「こらっ!なに逃げてんだよ!こっ、こいつを・・・」
この場合、どちらが正しいのだろうか。
自分の身の安全を第一に考えた先生たちか、屍人を殺すことに固執した彼か。
「いっ、痛てぇ・・・!?てめぇ!!かっ、噛みやがったなあぁぁ!!」
もはやアケミを押さえつけているのは、復讐で狂いつつあるサスマタ先生しかおらず、
暴れるアケミの血に濡れた歯を、防ぐことは不可能だった。
アケミは激しく身を震わせたすえ、サスマタ先生の足元に飛びつき、ブチンッという
嫌な音とともにアキレス腱をむしり取ると、嬉しそうに咀嚼しだした。
「ちっ、畜生!オレの・・・オ、オレの、あっ、あっ、足ををを・・・!!」
片足を上げた拍子に尻餅をついた彼は、腰を浮かせながら、背後の柱へと後ずさる。
それを追いかけるように、アケミはカラダをくねらせて、まるで芋虫のように床を
這いずり回り、自分を足蹴にしてきたオトコへと迫っていく。
恐怖に心を支配されたのか、追い詰められつつある彼は、捻じれて使い物にならない
サスマタを、狂ったように振り回して叫んだ。
「来るなあ!来るなあああ!!来ぅるぅなぁああぁぁよおぉぉぉ〜〜〜〜!!!!」
ガスッとサスマタの先端が、アケミの片眼に突き刺さり、それを見てサスマタの先生は
ヒヒヒッと笑い、しかし眼を潰されたアケミも凶悪な笑いを浮かべたような表情で、
何事もなかったかのように平然と、彼の股間にむしゃぶりついた。
その瞬間、彼は子供のような泣き声を出し、サスマタを放り捨てると、その場から這って
逃げようとしたが、ようやく辿り着いたクマカワ先生にその首根っこを掴まれ、仰向けに
倒される間もなく、お腹に喰い付かれてしまった。
「あががああ〜〜〜〜!!」
それでも床を這ってくるアケミを狙って、足で執拗に蹴りつける泣き顔のサスマタ先生。
もっともその抵抗は、長くは続かなかった。
股間を狙う歯を足の裏で必死に食い止めていた、サスマタ先生とアケミの均衡状態は、
クマカワ先生に腸をビビビッと引っ張り出された瞬間、終わりを告げた。
「ひぎゃああぁぁぁぁ〜〜〜〜!!」
緩んだ足裏攻撃の間隙を縫って、床を這ってきたアケミが、再び股座に顔を埋める。
スラックスの上から、容赦なく噛み付かれたようだった。
「ぎいいぃぃ〜に゛ゃあぁ〜〜ぁあ゛あぁああぁ〜〜〜〜〜!!」
かなりの激痛らしく、サスマタの先生は痙攣しながら、両手両足をピンッと掲げる妙な
格好で、全身から紅い鮮血を迸らせた。
そんな地獄絵図のなか、2時間目終了のチャイムが鳴る。
10時45分。
ふいにわたしは金縛りが解けたかのように、あわてて自分の下駄箱から靴を取り出し、
素足のままそこへ滑り込ませた。
外へ逃げる前に、わたしはもう一度、後ろを振り返った。
踊り場の壁にもたれかかった校長先生と、階段の途中でうつぶせになって倒れている
ホンジョウ先生の、血まみれの遺体が眼に入る。
彼らもやがて、血肉を漁る屍人へと生まれ変わり、人間を襲うのだろうか。
その下の昇降口で、サスマタの先生に群がる二匹の獣たち。
クマカワ先生は授業を脱線して、よく雑談してくれた。
見かけによらず温和な性格で、男子生徒たちからはクマセン、クマセンと慕われていた。
「いまの自分がすべてじゃないぞ。大人になれば、ちがう自分を発見することもある。
失敗したり、うまくいかなかったりした自分を許すこと。その気持ちが大切なんだ。
人生は、たった一度きりだろ?なのに自暴自棄になって、短絡的な行動をするのは、
あまりに視野が狭い行為だと思わないか?
たくさん想い悩めばいい。恥をいっぱい、かけばいい。
それこそまさに、キミたちの財産だ。けっして無意味な経験じゃないんだぞ。
豊かな心の財産があるヒトほど、実り多き人生を送れる。先生は、そう信じているよ」
小学校の女子児童が、カッターで首を切って親友を殺害した事件について、クマカワ
先生は、わたしたちにそう語ってくれた。
休み時間、あの先生は金八先生の観すぎだと、わたしたちは笑った。
でも本当は、それは照れていたからであって、みんなけっこう感動していたりする。
キミたちの未来は輝かしい、なんて真顔で言ってくれる大人って、いそうでいなかったのが
当時の日本だったし、クールに振舞うのがけっこう格好良いと思っていた時期でもあった。
「キョウコって、絶対クールなキャラじゃないってw」
入学当初のアケミはよく、わたしをからかっていた。
わたしが口を尖らせ抗議すると、彼女は顔を緩ませ
「いや〜ん、この娘、か〜わ〜い〜い〜ww」
と抱きしめてくれたものだ。
アケミとの想い出は尽きない。
一年の頃からの付き合いで、涼しい目元をした彼女とは性格的に正反対だったにも
かかわらず、とても仲が良かった。
わたしは自分のことをしっかり者だと思っていたが、仲良しクループのなかでの評価は、
「天然ボケ」だったようだ。
だからアケミは、わたしを赤ちゃんのように扱っては、その反応を見て喜んでいた。
たまにわたしが顔を真っ赤にして口答えすると、
「はいはい、キョコちゃんは大人でちゅよねぇ〜」
とからかいつつ、ギュッと抱きしめてくれた。
それは嫌なことではなかった。
彼女の体温は温かかったし、それにほのかに香る、香水の匂いはとても心地よかった。
そのうち気がついたのだが、どうもアケミはわたしを抱きしめる口実が欲しかったらしい。
なにしろ学生時代のわたしたちは、すごくハイテンションで、互いに抱き合うことも
スキンシップのひとつだったのだ。
男子たちのシラけた視線を横目に、きゃあきゃあ笑いながら、抱き合いっこをした。
どうでもいいようなバカバカしいことでも、やたらと会話が盛り上がった。
休みの前日、メールを明け方までやり、お昼まで寝て、午後からアケミと待ち合わせ
して、雑誌でチェックしていたお店をあてもなくふらつき、お金がなかったから公園で
ソフトクリームを食べ、また明日学校で会おうネって、屈託のない笑顔を浮かべ、
お互いの姿が見えなくなるまでいつまでも手を振っていた、平和だったあの頃、あの
時代がとても懐かしい。
寂しい夕暮れ時、バスを使わず、川原の土手を一緒に駅まで歩いた。
感受性が強い思春期だったから、沈んでゆく夕日を、眼を潤ませ眺めていたっけ。
そのあと手を繋ぎ、「七つの子」をふたりで口ずさみながら帰ったよね。
2年生に進級する頃になると、アケミはずいぶんと変わってしまった。
わたしたちより一足先に、急激に大人っぽくなった感じがした。
不良を気取ったフミヤという、彼氏ができたこととなにか関係があるのかもしれない。
同じクラスになったエリと意気投合したせいもあって、わたしとアケミの間は、以前の
ようにべったりの仲ではなくなった。
アケミは苛立つことが多くなり、そのくせわたしたち仲良しグループの前では明るく
振舞おうとしていたみたいだったが、同じく同級生になったゾンビのイジメにこっそりと
加担していたり、夜遊びが多くなったりしていたようだ。
きっと当時の彼女には、いろいろと悩み事があったのだろう。
わたしが悔しいのは、そうした愚痴や悩みを打ち明けてくれなかったことだ。
たぶんわたしが子供だったから、自分の負の面を見せたくなかったのかもしれない。
水臭いな、と思う。
でもアケミはアケミで、わたしのことを気遣ってくれたんだろうなあ、とも思う。
いまのわたしだったら、アケミを支えることができたのだろうか。
彼女の心の負担を、軽くしてあげることができたのだろうか。
ねぇ?どうなの、アケミ?
わたしの記憶に残っている彼女の最後の姿は、服を食い破って、男根を笑いながら
貪り喰う、おぞましいものだった。
『キョウコ!!逃げてぇ!!』
彼女の声が、聞こえたような気がした。
わたしは溢れ出る涙を拭うと、その場を後にする。
そして二度と振り返ることはなかった。
(・・・来週に続く)
嗚呼・・・某大河が終わってしまった・・・
寂しいのぅ・・・
こちらも「学校編」は、次週で最終回です。
来年から「崩壊編」が始まります。
>>108 うひゃあ〜〜、本物の自衛官の方でしたか!
釈迦に説法だったですね(汗
潜水艦乗りだったということは、かなりの猛者とお見受けします。
なにしろ我が国の潜水艦は、お隣の原潜部隊以上の能力を持っていますからね。
ちなみに朝霞の第一施設大隊は、「自衛隊編」でちょこっと出てきますよ。
くだんさん乙!
耐久力の高いゾンビは恐ろしい(((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
保守
118 :
本当にあった怖い名無し:04/12/16 22:09:00 ID:PjxtrP+q
保守age
120 :
本当にあった怖い名無し:04/12/18 15:08:19 ID:Pp+UT3Ii
おやじ乙
おやじさん…
携帯から見られんよ…
くやすぃ〜!
122 :
本当にあった怖い名無し:04/12/20 06:52:50 ID:qT6QL6bW
オレも小説カキコミしたいんだけど、携帯からなので凄い駄文になりそう(汗)ネットカフェでカキコミしようかな?(^^;
ありがとう…
でも、おいらW21Sなんです。
まだ、W21S用のは出来ないって言われた…
おぉ仲間よ。
漏れは、W21Sだったけどjig使いたいばかりにW11Kにしたよ。
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(20)
洒落た赤いレンガの校門を出て、しばらく坂を下っていくとバス停がある。
臨時の送迎バスによって根こそぎ運ばれたのか、大勢並んでいた生徒たちの姿はすでに
なく、そのためいつもの見慣れたバス停が、とても寂しく感じた。
肩で息を切らせながら、わたしは傍らのベンチに腰掛ける。
「・・・・・・」
雲ひとつない、澄み切った青空を見上げると、鳥がのどかに飛んでいた。
陽光の暖かさが、とても気持ちいい。
「・・・・・・」
そのままぼんやりと、ただ空の蒼さと高さを感じていた。
やがて遠くから、低いエンジン音が聞こえてきた。
緩やかな上り坂を、一台のバスが登ってくるのが見える。
バスはいつものようにバス停で停まり、プシュウという独特の音とともにドアを開けた。
「・・・・・・」
わたしは呆けた表情のまま、扉の開かれたバスを眺めていた。
『乗らないの?』
若い運転手の馴れ馴れしい声が、乗降口にあるマイクから聞こえてきた。
わたしはフラフラと立ち上がると、よろめきながらステップへ足をかける。
どうしたわけか、バスのなかに客はいなかった。
この時間は、いつもこうなのだろうか。
車内は、し〜んと静まり返っている。
わたしが一番うしろの席に座るのを見計らって扉が閉まり、再び重々しいエンジン音を
響かせながら、ゆっくりとバスが発車する。
後ろを振り返ると、学校の校舎がどんどん小さくなっていく。
わたしがあの高校に入学したのは、両親に強く勧められたからだ。
偏差値が高いところだったので、毎日塾へ通い、家庭教師を雇い、夜遅くまで勉強を
しなければならなかった。
反抗期だったから、そういう生活を強いる大人たちが嫌いだった。
とはいえほかにすることもなかったので、与えられた課題を淡々とこなし、その日の
スケジュールをきちんと消化し、なんとなく日々を送っていた。
合格したとき、両親は泣きながら喜んだ(わたしもつられて泣いた)。
当事者でもないのに、どうしてこう自分のことのように、泣いたり喜んだりするのか
不思議だったが、まあたぶん、それだけ子供のわたしが可愛かったのだろう。
父や母は、若い頃とても苦労したそうだ。
ふたりでずっと仕事ばかりしていて、その甲斐があり、ようやく人並み以上の暮らしを
手に入れた頃、わたしが生まれた。
だからとても甘やかされていたし、また厳しくもあった。
もっともわたしは箱入り娘だったし、ぼんやりとした女の子だったから、将来のこととか
あまり考えていなかった。
だんだん口うるさくなってきた親たちが鬱陶しかったけど、反抗するほどの気概もなく、
ただ与えられたものを黙って受け入れるだけだった。
高校受験の結果、第一志望の学校に入れたことが本当に嬉しかったのかどうなのか、
自分の気持ちを確認できたのは、入学式のときだった。
学校は小高い丘に囲まれた、都心のわりに閑静な場所にあり、緑も多かった。
背の低い、人の良さそうな校長先生が、マイクでなにか喋っている。
わたしは人見知りするほうで、すごく緊張していた。
同じクラスになる予定の、隣の女の子とふと眼が合う。
涼しい目元の彼女は、わたしを見るとニコッと笑った。
わたしは頬を染めて、そのまま下を向く。
ノリの効いた真新しい制服と、レンガ造りの広々とした講堂。
大人びて見える先輩たち。
蔦の絡まった風格のある校舎と、桜の花びらが風に舞う美しい校庭。
なんだかなにもかも新鮮で、ドキドキしていた。
きっと自分はここで笑ったり泣いたりしながら、短い三年間を過ごすのだろう。
これから謳歌する青春時代を想像して、胸を高鳴らせる。
この高校に入学できて良かった、と初めて実感した。
そんなことを想い出しながら、小さくなっていく校舎をぼんやり眺めていた。
やがてバスは大通りに入る。
丘の上の学校は、たちまち見えなくなった。
あっ、と小声が漏れた。
しかし無常にも、バスはそのまま走り続ける。
わたしの青春時代は、終わったのだ・・・
(・・・来年へ続く)
来年から新章。
130 :
本当にあった怖い名無し:04/12/22 09:17:28 ID:MSI6lfvM
乙
俺ではない。俺がやっているのではない。鮮血にまみれた屍骸どもの首が飛ぶ
剣を固く握りしめた俺の腕は、意識の介入なしに、振り回され、切り裂いている。
俺ではない。俺は眠っているようだ。はっきりと見える、今にも肌に喰い込みそうな鉤爪が、
鼻先にまで迫る歯を剥き出しにしたあの崩れた顔が、それらはすべて赤い血の色をしている、
だが俺が見る前にそれらはすべて切り落とされ、あるいは遠くへ小さくなって飛んでいく。
音が頭のまわりのあらゆる所から聴こえる、草を踏む足音、無数の野獣の唸り、生暖かい熱気をともなう喘ぐような息、
俺を囲むそれらの音はそれぞれはっきりしているが、しかし目眩にも似た曖昧な、遠くからやってくるただの音でしかない。
そして剣が風を切り、肉を断つ音が聴こえる。それはずっと遠くで、ずっと近くで、それは他の音をさえぎっているが、
それよりも大きな音が時折り、もっと近く、頭の中に響いてそれ以外のすべての音をなくしてしまう。
叫び・・・・・・・俺は叫んでいる。
・・・・・・・・・・・・
「さ、さ、お次をどうぞ。いやいや、遠慮なさることはない。あなたがたはまたもや英雄なのです、この店の酒でよければ、好きなだけ飲んでください、ぜひ」
「しかしもうずいぶん飲んだ。それに英雄などと・・・我々は立派な人間ではない」
「まったくだ、レイス」少しでも減ったグラスを見ればすばやく溢れるほどに酒を注ぎたがる店主を巧く避けながら言った。
「俺たちは好き勝手やってるだけだからな。あくどいこともしょっちゅうやるし」
「酒樽に火をつけてみたりな」とアルバート。
みんなにつられてか店主も笑って、「あれは水に流しましょう。今回のすばらしい功績に比べれば無かったも同然のことです」
「ではあと二三回燃やしても構わないな?」今度は一人だけ笑わず、店主がレイスを睨んだ。
「どうしてもやるなら店の外でどうぞ」レイスの冗談に店主がまじめに答えたのが面白かった。「店の外じゃつまらんのだがな」
後ろに持たれかかっている女が聞いてきた。「ねえ、でもあんたたち、どうやってあの盗賊どもを片付けたのか、もっかい詳しく聞かせてよ」
またか、という顔でアルバート。「もう100回くらい話したぞ」レイスが付け加える。「他の奴のほうが我々より多分ずっと詳しいと思うね」
「お望みなら私がお話しますぞ。それはもう詳しく、一字一句に至るまで誇張も不足もなく、ありのままをお話しましょう、
とはいえ尾ひれをつける必要が無いほど実に驚くべき・・・」店主を遮って女。「そうじゃなくて、本人の口から聞きたいの」
「しかたない」ほろ酔い気分ゆえか、あるいは女の美しさゆえか。俺は面倒くささを感じなかった。「ええと、そうだな、最初は・・・・」
Shaun of the Dead到着。
お正月はこれを見てゾンビ小説への情熱をかき立てるつもりです。
年内は忙しすぎてムリポ
ぽしゅ
保守!誰か・・・!!
そ
う
か
!
皆
の
衆
キ
ン
タ
マ
様
の
登
場
だ
ぞ
137 :
本当にあった怖い名無し:04/12/30 15:03:21 ID:+9RvPLDm
ホッシュ
おやじさーん
PIPさーん
ダリオさーん
クソスレ
新年あけまし,,うわなにを、ぎゃぁ(ry
posyu
保守
巡査物語さーん
サンゲルアさーん
143 :
本当にあった怖い名無し:05/01/03 19:19:55 ID:3Y4m6HZQ
守
守保守
守
ageちゃいました
すいまそん(ノд`)
ハッハッハッハッハッハッハ!!!
HDDぶっ飛びました。
もうかなりいい感じにMBRやら破壊されているようです。
お年玉をあげて金欠なので、最小限のシステム構成でしばらく乗り切らなければならないのがつらいです。
まあ正月に実家で作業するために最小限のバックアップをしていたのが救いとは言えるかも知れませんねぇ。
PIPさん災難でしたね・・・・
無理なさらずに頑張ってくださいね
なーも考えずにお年玉要求できてたころが懐かしい・・・・・w
「Sクンの話」
ビデオを返し忘れたことに気がついたのは、すでに夜の8時を回っている頃だった。
高校生のボクにとっては、延滞料金を取られるのも苦しい財政事情だ。
両親の制止を振り切り、ボクは自転車に飛び乗った。
片道30分の道のり。
ここは田舎なので、人通りはほとんどなく、街灯も数えるほどしかない。
田んぼとあぜ道が広がる真っ暗な世界を、ボクはひたすらペダルをこぐ。
しかし寂しくはなかった。
蛙やコオロギ、そしてセミの鳴き声。
田舎の夜は人がいなくても、とても賑やかなのだ。
もうすぐ秋になるせいか、頬に当たる風が心地よい。
ふと前方の電信柱に、数十人の人だかりが見えた。
電信柱に付いている電灯のほかに、2台の自動販売機があり、それらが煌々と明かりを
垂れ流しているなかで、こちらに背を向けたまま、というか円陣を組んでいるような
形でしゃがみ込み、なにかをしている様子が、ぼうっと浮かび上がってくる。
あれだけ大勢いるのにも関わらず、話し声すら聞こえてこない。
近づくにつれ、彼らの姿がハッキリしてくる。
白装束をまとった老人、着物を着た女性、リュックを背負った登山服の男。
ビックリしたのは、ちょんまげ姿のおじさんが何人かいたことだ。
こちらに背を向けたままなので、顔は見えないけど、年齢や性別や服装がバラバラ
なのは、ここからでもなんとなく判った。
映画のロケ?
というか、こんな真っ暗闇のなか、大勢でしゃがみ込んでなにをしているのか・・・
薄気味悪くなって、ボクは自転車を止めた。
止めるとき、ブレーキが軋んで、ブギギィッという音が、辺りに響き渡った。
それでボクに気がついたのか、彼らが一斉に振り返る。
よろよろと立ち上がると、いきなりコッチに向かって走り出してきた。
ボクは本能的に恐ろしくなって、自転車を放り出すと、一目散でもと来た道へと
引き返す。
見てしまったのだ。
近づいてくる彼らの口元が血だらけだったことを。
そして彼らのなかに、かつての友達の姿があったことを。
・・・Sクンだった。
小学生の頃、山のなかに遊びに行ったきり、彼は戻ってこなかった。
警察や地元の青年団の連日の捜索も空しく、Sクンはついに発見されなかった。
神隠しにあったのではないかと学校で噂されたが、その山は山といっても、小高い
丘にある、ただの雑木林みたいなものだったし、神隠し伝説なんてこの辺りでは
聞いたこともなかった。
でもことの真相はどうあれ、Sクンがいなくなってしまったのは事実だ。
ボクの目の前に現れるまでは。
自転車に乗らず、走って逃げるなんて、バカみたいなもんだよ。
でも恐怖のあまり、パニくっていたんだから仕方がない。
とにかくボクは、月明かりに照らされた夜道を、ひたすらに走ったんだ。
10分くらい経っただろうか。
走りながら振り返ると、Sクンたちはまだ追いかけてくる。
ボクを逃がす気なんてないようだった。
息が上がって、苦しい。
でも走るのをやめたら、もっと苦しいことが待ち受けている。
ボクは子供のように泣きながら、懸命に走った。
走って、走って、走り続けた。
永遠ともいえる恐怖の鬼ごっこのすえ、ようやく家の明かりが見えてきた。
玄関を開けるなり、テレビを観ていた両親とおじいちゃんのところに飛び込んだ。
靴を履いたままのボクは泣きながら、Sクンたちのことを話した。
内容は支離滅裂だったが、ボクの必死さに不安感を煽られた父さんとおじいちゃんは、
外に出て家の周りを調べてくれたけど、誰もいなかったそうだ。
そのあと、警察のパトカーも来た。
Sクンたちのいた自動販売機には、一台の軽自動車がハザードを点滅させた状態で
放置されていたという。
持ち主は他県から来たアベックだったそうだけど、いまでも行方不明らしい。
このアベックたちが、実際にはどうなったのか、ボクには判っている。
Sくんたちに襲われ、ふたりは生きながら喰われてしまったのだろう。
そしてたぶん、彼らの仲間になったはずだ。
ボクは見てしまったのだ。
Sクンの首から下が、どす黒い血で汚れているのを。
Sクンの片腕が、もぎ取られていたのを。
Sクンは喰い殺されて、しかし死ぬことも許されず、新たな餌食を求め、子供の頃の
姿のまま、いまもなお夜の世界を彷徨っているのかもしれない。
数日後、ボクの自転車は雑木林のなかから発見された。
自転車はグネグネに折れ曲がり、タイヤは引き千切られ、原形を留めない無残な姿で
我が家に戻ってきた。
ボクの身代わりになってくれたのだろうか。
それ以来、夜に外出することはなくなった。
ホラービデオも観なくなった。
あの夜、返却する予定だったビデオは「ドーン・オブ・ザ・デッド」。
ゾンビ映画だった。
自転車のカゴに入れていたそのビデオは、けっきょく見つからず、そのまま紛失扱い
になってしまった。
それでビデオ屋にきっちりと弁償させられたわけだ。
まあ、ゾンビの仲間にならなかっただけでも、自分はとてもラッキーだったとは
思うんだけどさ。
世の中には、想像を絶する怖い出来事がある。
どんな奇想天外な内容でも、ひょっとすると実話かもしれないって思うと、怖くて
いまでも観れないんだよ。
ホラー映画、とくにゾンビものが、ね。
(おわり)
もう正月は過ぎたが、とりあえず、おめでとさん。
気分転換に短編を書いてみた。
本編は来週あたり。
適当にマイペースで。
>>145 PIP隊長
怖い話を書いてるときって、PCの調子が悪くならない?
オレのPCも最近フリーズ・その他が多くて、まいっちゃうよ。
1年半ほど前だったか、オカ板でダチの怖い体験談を書いてるときも、なんかいろいろ
ヤバかったっけ。
PCの調子が悪くなるし、なんか知らないババアが覗き込んでたしな。
あと小さな手が伸びてきたりさ。
あんときゃ、マジでビビったなぁ。
霊感のないオレですら、こうだからね。
オレの昔のダチ(霊感があった)が15年ほど前に言ってたよ。
霊的なものは、電力(や水)で実体化したり、電気系統に影響を与えるらしいんだな。
将来、電化製品が溢れると、妙な体験をする人が増えるって予測してた。
これはオレの考えだけど、たぶん自分の精神が媒体になっちゃってる可能性がある。
なにかに集中してるとき、ふっと我にかえると、なんか見られてる気がしない?
あと、怪談とかしてると、寄ってくるって言うじゃん。
それって、コッチの思考に反応するってことだわな。
霊が実在するなら、彼らにもぼんやりとした思考能力がまだ残っていて、それが
なんらかの受信能力とかになってるのかもよ。
だから実話系の怖い話を書くのって、けっこう嫌なんだよねぇ・・・
(これ書いてるいまも、なんか・・・)
「信はチカラ」って言うからね。
カメラに霊的なものが映るのはさ、電化製品の一種だからで、その根本的な原因は、
機械のせいじゃなくて、人間の目を通してるから実体化できる、というような気がする。
人間の無意識層に働きかけてでも、この世に出たいもんなのかねぇ。
だからね、PCってさ、ヘタをすると霊界に通じる窓の役割になるのかもしれんぜ。
153 :
本当にあった怖い名無し:05/01/05 08:37:08 ID:oLyLA2Vd
ガクガク((((゚д゚))))ブルブル
独り言
-------------《独り言開始》----------------
何だ、このスレまだあったんだ。作品倉庫には、
以前名無しで書いた、駄文があった。
PART1〜2の頃だったな。
当時の作者さんたちは、全くいないのね。
-------------《独り言終了》----------------
ヘェ
ヘェ
懐かしいスレを見つけたので記念カキコ。
見てるよー。つーか復活してたのか…。
神が降臨!
こんにちは数学屋さん
是非復帰して下され!
>>156 数学屋様
リアルタイムでは存じ上げませんが、まとめサイトで作品を
読ませていただきました。
ゾンビの怖さよりも人間の怖さを描いた作品(ゾンビ禍後数ヵ月後
の話等)が印象的でした。
また作品を読ませていただければ、幸いに思います。
>>138=142=157みたいな書き込み辞めろよ
特定のコテにしか反応しないレスもしないってどういう神経してんだヴォケ氏ね
160 :
本当にあった怖い名無し:05/01/07 00:09:00 ID:vA06PTc/
>152
(・∀・)考え過ぎ。
161 :
眼鏡:05/01/07 11:48:04 ID:41N/hW3O
ところでここは、自由に作品投下してもいいのですか!
隊長!
162 :
本当にあった怖い名無し:05/01/07 12:58:23 ID:vSTMUDe1
それでオレはシェルのタンクローリーのギアを入れて、金杉通りに乗り出した。
アクセルの踏み加減とローリー車の加速のノリ具合から、どうやらタンクの中は満タンみてぇだ。
姉ちゃんが運転するダンプとは反対方向にタンクローリーを進めながら、オレはフッと、昔見た映画を思い出したのよ・・・。
あのタンクローリーには、「油」の代わりに「砂」が入ってたんだっけかなぁ。
・・・信号が消えた昭和通りの交差点で、一旦停止したオレは、下谷警察署の方を確認したぜ。
丁度、姉ちゃんのダンプが向こうの交差点を曲がってくるところで、ゾンビ野郎が何匹か、そのダンプに向かっていくのが見えたなぁ。
オレは、奴等が向こうに気を取られてる隙に、そっと運転席を降りて、ローリー車のタンクの放出バルブを捻ったのよ。
茶色い液体が、勢いよく噴き出して、これで準備は完了ってこった・・・。
「てめぇら、覚悟しやがれ。」・・・オレは自分の行動に踏ん切り付けるように呟くと、ローリー車のアクセルをグイと踏み込んだ。
何匹かの野郎どもが、こっちに気づいて向かって来やがる。
なるたけガソリンを道一杯ぶり播くように、オレはローリーを蛇行させながら、警察署に近づいたのよ。
けど、そんなことしてるから、たちまち二〜三十匹のゾンビ野郎に囲まれちまったが、そいつ等のほとんどは、ガソリンまみれになったから、こっちの思う壺ってこったろ。
さぁて、警察署の正面まで来たけど、敷地の中もゾンビどもで一杯だ。・・・オレは、「やっちまったかも知れねぇ?。」と思ったんだが、ここまで来たら止めることなんて出来やしねぇだろ。
正門の前で一時停止すると、運転席の窓を細めに開けて、中の奴等に「これからローリーで突っ込むから、鉄砲撃つんじゃねぇぞ。」って怒鳴ったのよ。
ゾンビ野郎がフロントガラスを撲っ叩きやがるから、今にも割れるんじゃねぇかと、ビクビクモンだったけど、オレが怒鳴り終わるまで、何とかそいつは持ちこたえてくれた。
だけどよぅ。助手席側のサイドウインドウは根性が無かったみてぇで、ゾンビ野郎のヘッドバットに降参しやがったのよ。
その割れたサイドウインドウに、真っ白い「ばばぁ」の顔が見えた瞬間、オレは狙いすまして散弾銃の引き金を引いてやったのさ・・・。
それから、その「ゾンビばばぁ」が地面に落ちるより先に、タンクローリーを発車させたぜ。
警察の敷地の中にゃ、パトカーや一般の車が止めっぱなしになってるから、タンクローリーを動かすのは手狭なんだが、出来る限り建物に近づくように、ローリー車を走らせた。
もちろん、駐車してる車両に激しくぶつけたりしたら、衝撃でガソリンに引火しちまうかも知れねぇから慎重に走らせたんだが、あんまりトロトロ走ったら、ゾンビ野郎に乗り込まれちまうから、こっちも気を遣いながらローリー車を運転したぜ。
何匹かのゾンビ野郎を轢き殺し、パトカーを押し除けながら、やっと下谷警察署の玄関の車寄せにタンクローリーを近づけた。
まごまごしちゃ居られねぇ。
・・・オレは、ギアをニュートラルに入れるが早いか、助手席側の割れたサイドガラスから身を乗り出して、ついでに、下からオレを睨みつけてる中年おやじのゾンビ野郎に、十二番口径の散弾を一発お見舞いすると、ローリー車の屋根の上に這い上がったのさ。
ざっと見た感じ、そこらにはゾンビ野郎が二百匹近くは居たろうなぁ。
それからオレは、急いでローリー車の屋根から警察署の車寄せの屋根に飛び移った。
・・・「移った。」って言っても、建物の屋根の方が高かったから、「何とか這い上がった。」って感じだったがよ・・・。
ゾンビ野郎はオレを追いかけて、タンクローリー車に昇りはじめたんだが、警察署の三階から、何発かの援護射撃があって足止めを食らってた。
オレは三階の窓から顔を出した自衛隊のヘルメット野郎に、「すまねぇな。」って怒鳴ったのよ。
それで、チッと時間が出来たから、散弾銃の弾を替えてから、ジャンパーのポケットからタバコを取り出し火を点けたのさ。
・・・余裕の一服なんか、してる暇は無ぇだろうって?。
そりゃそうだが、やっぱり幕引きはこれに限るし、ここで言うべきセリフも決まってる。
オレは「地獄へ堕ちろ。ベイビィ。」って怒鳴ってから、下のゾンビ野郎を目掛けて、火の点いたタバコを放り投げてやったのよ・・・。
けどよ・・・、映画みてぇに、簡単には燃えねぇんだな。
仕方が無ぇから、タンクローリーの放出バルブの辺りを狙って、散弾銃の引き金を引いた。
今度は効いたぜ。・・・いや、効き過ぎちまって、一瞬で火の海よ。
・・・熱いの何のって、オレの眉毛までチリチリ言い出しやがるから、慌てて身を屈めたんだが、チラッと下を見たら人の形をした炎が、狂ったように踊ってた。
それから、あっという間に、炎が広がって駐車場と、その前の昭和通り一帯は火炎地獄って感じになっちまって、嫌な臭いや煙も漂ってきた。
真っ黒い煙で、噎せ返っちまったオレは、手近の窓から建物の中に入り込もうとしたんだが、その窓は、ちっと高い位置にあって、飛び付いたって届きゃしねぇんだ。
オレも焦っちまったが、こんなところでお終いにする訳には行かねぇだろ。
それで、交通安全の横断幕を張るため、建物の壁に埋め込まれてる鉄パイプを足掛かりに、必死こいて二階の窓に登ったのよ。
腰のベルトに挟んでたナタで、窓ガラスをぶち割って、立ち昇る炎に尻を煽られながらも、何とか建物の中に逃げ込むことが出来たって訳さ・・・。
もうチッと遅かったら、燃料に引火したパトカーの爆発に巻き込まれて、危なかったかも知れなかったぜ。
それでも、ゆっくりしてる訳には行かねぇのが辛いところ・・・。
部屋ン中を確認しながら、散弾銃の弾を詰め替えると、出入り口らしいドアに向かって走ったのよ。
開けたドアの向こう側には、残念ながらゾンビ野郎が一匹居やがった。
オレは、突っ掛かって来たそのゾンビ野郎の眉間に、銃口を押しつけるようにして、散弾銃の引き金を引いてやった。
「玉屋〜。」って感じで、花火が上がって野郎は後ろに吹っ飛んだんだが、よく見たらそいつは警察官の制服を着ていやがったのよ・・・。
ヒョッとして?。と思って、気持ち悪かったんだが、そいつの制服の下を探ったら、ホルスター納められた拳銃が見つかったぜ。・・・ラッキーじゃねぇか。
オレはナタを使って、そのニューナンブって奴のグリップに繋がってる盗難防止のヒモをぶった切ってから、拳銃をジャンパーのポケットに押し込んだのよ。
・・・そりゃぁ、撃ち方なんか知らねぇけど、この状況じゃ、武器は有った方が良いに決まってるからよぅ。
それから、階段使って三階に上がったんだが、ホールの先にゾンビ野郎が五、六匹、たむろってやがった。
どうやら、その先にビッシリと積まれてる机や椅子のバリケードが、人間とゾンビの境界線みてぇだ。
オレは、奴等が振り向く前に散弾をぶっ放したんだが、さっきの「お巡りゾンビ」に一発お見舞いしちまったから、上下二連の散弾銃じゃ、弾切れってことだろう。
畜生・・・まどろっこしくてしょうがねぇ。
散弾銃のバレルを折って空の薬莢を排出しながら、素早く次の弾を込めようとしたんだがよ・・・、目の前の奴等がこっちに迫って来るモンで、オレも慌てちまってポケットの弾を床にバラ播いちまったのよ。
喉から悲鳴が出掛かったけど、てめぇの足下に転がった散弾の弾を拾うのが先よ。
奴等を睨みつけながら、オレがしゃがみ込んだ瞬間、タン・タン・タンと小気味いい機関銃の連射音がして、頭の上を熱いモンがチュンって音立てながら抜けてった。
そしたらゾンビ野郎は、オレの方に向かってぶっ倒れながら、床を滑って来るじゃねぇか。
・・・自衛隊の奴等も、アブねぇことしやがる。・・・こっちが頭を下げなけりゃ、オレのおでこに大穴が開いてたぜ。
それで、オレは急いで散弾銃の弾を込めてから、あいにく致命傷にならなかったらしくて、立ち上がりかけてる茶髪娘のゾンビの腹を蹴っ飛ばしてやったのさ。
そんで、・・・「ゾンビになったお前らが悪いんだからな。」って、心ん中で呟きながら、散弾の銃口を口に押し込んで、そっと引き金を引いてやった。
寒くって、風邪ひいちまったぜ。・・・とりあえず4話投下な。
んじゃ、またな。
おやじさん、お疲れさまです!
ゾンビと戦ってるほうのおやじさんも無事建物に入れたようで
合流した人たちとどんなふうに絡んでいくのか楽しみです。
風邪こじらせないようお大事に〜
おやじさん乙であります!!
170 :
本当にあった怖い名無し:05/01/08 03:20:36 ID:lljbclLL
>>170 なんだ、バタリアンスレの157さんじゃないですか!。
こちらにも、ギボン
ちょっと前に投稿した眼鏡です。投下させていただきます。
-11月22日-
北海道の秋は寒い。11月の下旬となればなおのこと。というか、11月ではもはや東京の冬並みか・・・やってられないナァ。
この民家に逃げ込んでから一週間になる。短いようで長い・・・どうしたものだろうか。
すでに敷地内の中(門の中)には複数の「成れの果て」、「ゾンビ」、「感染者」、etc...等と呼ばれている物がある。居る。
私はその中の一匹のゾンビ(と呼べばいいのか?)・・・とたった今、自分の部屋―・・・家主が居ないこの家の部屋の隅で肉薄している
トコロなのだ。
「師匠達は寝てるのか?いい気なもんだ!」
「奴等」が現れたのは唐突だった。
11月11日―11日前の話である。
「「ダンッ!ダンダンッ!!」」
窓を叩く音。それに続く悲鳴・・・。
この平和な町に、何だ?と、私は昼食のオニギリを片手に持ち、今の窓の方へと向かった。
「・・・・・・・」
沈黙。
窓の外に気持ちの悪いものが張り付いている・・・。持っていたオニギリを落す所であった。
「ン・・・・・・・???」
しかし、これは一体何だ?死体の出来損ない?
もしかして映画の撮影?にしては、おかしい。そんな話は聞いていなかった。
「周辺住民の俺に連絡も無し・・・・かぁ・・・。映画だったらどうしょ?」
.。oO(そういえば銀のエ○ゼルって映画の撮影やってたなぁ・・・)
と無邪気に誰に向けた物でもなく、独り言を言っていた。
これから起きる事も知らずに・・・・・
こんなんで良ければ、続きを投稿しますが・・・・
174 :
本当にあった怖い名無し:05/01/08 16:33:59 ID:/UVEepwX
イイヨイイヨー
ゾンビだけでなく寒さとも戦うのでしょうか
続き期待して待ってますぜ
-5分後-
脇目をしたうちに、あの気持ち悪いのは消えていた。
多少自分には知識もあり、何かと気に掛かることもあるがひとまずは周りに連絡を取ってからだ。
この辺りは、引越しして間もないので詳しくは知らない。昔住んでいたんだが、すっかり変わってしまった。
まず親友の翔史(しょうじ)に電話してみることにした。
昔(消防時代)間違えて、フリガナに『ししょう』と書いていたところから仲間内では師匠と呼ばれている。
情報網も広いし、ここの古株、何より近所だ。まぁ、歩いても一分も掛からない位近いが、外にまだアイツがいるかもしれない
ということもあって、止めて置いた。
その時はソレで命拾いしていたとは俺も翔史も思わなかった。
(トゥルルル・・・トゥルルル・・・トゥルッ、ブツ・・・プー・・プー・・プー・・)
二回と半分で切る。
これが俺の電話であるという証拠だ。
翔史の家は色々と複雑で、大きな声で言えた様な家族柄ではない。
何かと問題が多いのだ。それにこのミニ暗号を俺達も楽しんでいるので気にしてはいない。
でもまぁ、私は翔史の家族とも仲は悪くないのでこんなことする必要はないのだが・・・。
今度は翔史から電話が来る。ナンバーディスプレイとは世の中便利になった物だ。
(トゥルルル・・・トゥルッ、ブツ・・・プー・・プー・・プー・・)
翔史が居るときはこの様な返答が返される。とりあえず無事が確認された。
そして今度は私から電話を掛ける。ようやく通話。長い・・・・・・・・
これならPCを立ち上げた方が楽だし、ケータイでメールで良いと思うのだが、文面では時間がかかるし、言葉で伝えた
方が早いと言うことである。無論、此れは私の意見ではない。
(プッ)繋がった。この間2分・・・ええい、煩わしい。
続く
続き
翔史:『ほいほい、あーい、ノリちゃん、元気ー?』
変な言葉遣い・・・こいつは昔から変わらない。
ついでに「タマちゃん」というのは俺のあだ名、気にしなくてもいい。高3になってまでそのあだ名でか!?というのを堪えて、聞いてみる。
俺:「さっきの見た??つか、何か見た?」
少し考えながら、私はこう言った。
翔史:『アレ何よ?ゾンビ?映画の撮影?にしてはリアルだよね。ハリウッドかなー?』
オカルトマニアの翔史・・・・こんな時にその知識を発揮してくれないと困る。
俺:「俺はゾンビかなんかだと思うがな。・・・そういえば、テレビは?」
俺の家にはテレビが無い。家というか、部屋なわけだが。引越しの荷物運び中の昼休みにこれだ、仕方が無い・・・・か?
多分、ラジオの要求が来るだろうから、三つラジオをつけておく。
翔史:『おう、つけたがな、札幌方面で暴動が起こったそうだ。日本はこんなことがないからメディアも大慌てだろう。
お前はラジオつけてみろ。』
そらキタ━━━(゚∀゚)━━━!!得意気になって返答。
俺:「もうつけてるさ。短波は影響無し。AMは若干番組の乱れ有り。各地で暴動が、のところで音が広い切れてわからないが、
おそらくは札幌と同じ状況なんだろう。それはテレビの方が分かりやすいんじゃないか?」
翔史:『人に噛み付いてるそうだ。間違いねー。ゾンビだね。』
翔史:『どーするよ?』
俺:「30分以内にサバイバル準備しよか。避難場所は覚えてるよね?」
翔史:『おーらい。何か武器も調達したほうがいいよね。まったくあづましくない。』
来たよ来たよ・・・・。
中学生からこんなんだ。翔史の声には興奮の色がありありと見える。
まさか本当にゾンビとは・・・この時はまだ、信じ切れないでいた。
続く
続き
−10分後−
その後電話片手に色々と話合いながら準備をしていた。俺はもともと、引越して荷物運びの途中なワケで、既にまとまっていたから準備ものの十分で終わった。
荷物運びの途中の休憩で昼飯を喰ってた所だったんだ・・・・
そう、引越しの荷物運びの途中・・・
・・・・・!?
(そうだ!!玄関の鍵が開いたままだった!)
俺にしては迂闊だった。
北海道に帰ってきてからはすっかり油断していた。ここ辺りでは空き巣や泥棒といった被害は殆ど無い、平和な町である。
引越し途中であったからと言って鍵を掛けないのは迂闊であったし、さっきの「ゾンビ」らしき物を見た時点で
鍵を掛けておくべきだった・・・!!!
翔史といえば俺がさっきから何も喋っていないのに気付いたようだ。
翔史:『おい!もすっかしてじょっぺんかってねぇのかい!?』(おい!もしかして鍵を掛けていないのか?)
翔史は東北訛りが強い。一瞬死んだ父を思い出してしまった。それにしても察しが良い、ありがたや。
俺:「ああ・・・そっちからこちらの玄関に入ろうとする影は見えないか?」
・・・・間。
翔史:『大丈夫さー。早く鍵さ閉めてけれ。』
俺は木刀片手にドアへ歩み寄って行く
丁度、その時。電話の奥で小さな悲鳴が聞こえた。これは最初にゾンビらしきものが出てきた時と同じ声だ!
俺はすぐさま、二階へと登る。
このマンションは四階建てで四世帯が住めるようになっている。
東棟と西棟があり、私は東棟の一階二階、つまり下の住人。上の住人は居ない。そして西棟の下の住人が翔史というわけだ。
二階と三階にはには西棟と東棟を繋ぐ渡り廊下がある。
このマンションは普通の建物とはちと違う。今は私の養父と言うべき翔史の父さんが設計し、俺の親父が建てたのだ。地下にはシェルターもあり、屋上にはヘリポートまである。凝った建物。正直ここまでするのは有りえない(笑)
何があっても大丈夫だとは言っていたが・・・・。それはともかく、ようやく渡り廊下まで辿り着いた。ここの家の作りは熟知している。
設計図から、作っていく段階まで見守ったのだ。親父も渡り廊下は8mもある。今日は不気味に長く感じる・・・・。
本日は投稿終了でつ!隊長!
眼鏡さん乙であります!
ある程度篭城ができそうなマンションのようですが
プロローグからすると他の場所で移動するみたいですね。
その辺どんな展開になっていくのか楽しみです。
次回もお待ちしてます、頑張ってくださいね。
(´-`).。oO(眼鏡さんを契機に皆さん盛り上がってくるといいなぁ
ROMの人が多いんですかね
( ´゚д゚`)ダッ!
181 :
本当にあった怖い名無し:05/01/08 20:57:15 ID:/UVEepwX
オツカレー
俺もなにか書こうかな。
おやじさん、銀縁の眼鏡さん、乙です。
続きを楽しみに待ってますね。
朝(8:00)から夜(22:00)までLet's ski!!
ナノデ(゚∀゚;)アーシタはトーコウデキマセーヌ。深謝
184 :
みどり:05/01/09 02:22:51 ID:KqrwNGn5
1日目
23:10
宿題をしたあと、夜のニュースをぼんやり見ていた。
アメリカでまたテロが起こったと話している。
細菌とかバイオとか言ってる。
難しい事はよくわかんないけど、
細菌の毒にやられて、たくさんの人が暴動を起こしているみたい。
なんだか怖い。
ひょっとして、菌は空気に乗って日本にもやってくるのかな。
11時になったので寝ようとしたらお父さんとお母さんが仕事から帰ってきた。
病院が忙しいらしくて、最近はいつもこのくらいの時間に帰ってくる。
二人とも深刻な表情をしていて、なんだかとても疲れているようだった。
コーヒーを入れてあげると、とても喜んでくれたけど、
その後は黙ってテレビを見入っていた。
そっとしておこう。
わたしは先に寝る事にした。
185 :
みどり:05/01/09 02:24:47 ID:KqrwNGn5
2日目
5:50
朝、パトカーのサイレンで目を覚ました。
外を見るとまだ暗い。
普段より1時間も早く起きちゃったけど、
外がうるさくて、もう眠れそうもない。
窓を開けると近くの道路で
パトカーがたくさん走っていくのが見えた。
遠くの方では何かが真っ赤に光っていた。
なんだろう。火事かな。
マンションの下の道路を見下ろすと、
マラソンの人?が道路をふらふらと歩いているのが見えた。
わたしはトイレに行ってから、お母さんを起こしに行った。
最初は「眠い」と言って不機嫌だったけど、
私が「パトカーがたくさん走っているわ」と言うと急に起きだして窓へ見に行った。
赤い光を見て「火事ね。近いわ」とお母さんが言って、お父さんを起こしに行った。
やっぱり火事なのか、とわたしは思った。
186 :
みどり:05/01/09 02:27:36 ID:KqrwNGn5
6:30
テレビではニュースが緊急放送というのをやっている。
私が寝ている間に、アメリカで起こった細菌テロが日本にも来たみたい。
怖い。
どうなるんだろう。
日本でも暴動がたくさん起きていて、大混乱みたい。
お父さんとお母さんは、パンを少し食べて病院に行く支度を始めた。
私は行かないでと言ったけど、お母さんは仕方が無いのと悲しそうに言った。
レントゲン技師とナースなので、行かなくちゃだめ。
それは分っているけど、でも、なんだか怖かった。
お母さんが、今日は学校を休むように言った。家から一歩も出ないように、とも。
そして、二人して出かけていった。
窓から見ていると、マンションの駐車場から二人の乗った車が走っていくのが見えた。
だけど、車の後を追いかけていく人の姿も見えた。
あの人たちはなんだったんろう?
187 :
みどり:05/01/09 13:34:47 ID:KqrwNGn5
7:10
クリームパンを食べながらテレビを見ていると、電話が鳴った。
学校の連絡網で、亜美ちゃんからだった。
今日は学校が休みになるみたい。
二人で少し話をしていると、急に電話が切れた。
遠くの方で人の話し声がたくさん聞こえるだけで、
いくらボタンを押しても何もならなかった。
次の人に連絡網をまわさなくちゃいけないのに・・・。
後でかけ直そう。
テレビはずっと緊急放送だった。
世界のあちこちで暴動が起こっているみたいだけど、
アメリカとインドからの話では、死んだ人が暴れていて、
生きている人に噛み付いていると言っていた。
気持ち悪い画像がたくさん流れている。
日本の大阪では、たくさんのおまわりさんが、
たくさんの人を棒で殴っていた。だけど、どんなに叩いても
暴動は収まらなくて、おまわりさんが何人も襲われていた。
そんなビデオが流れていて、わたしは気持ちが悪くなった。
本当にこんなことが起こっているんだろうか。
新しい作品キテルー!!
みどりさん乙。
1/4
「どうぞ。すぐに準備しますから」
そこにいたのは、どこにでもいるような平凡な主婦だった。
「もう少し待ってくださいね…聞いた話だと、あと一時間くらいは大丈夫だって…」
「個人差はある。一概には言えない」
俺は相手の言葉を制止した。
情を移すつもりも心配もないが、これから殺す相手と会話をするのはやはり避けたい。
「だから早めに来てもらったんです。いざというときはお願いします。主人には話してありますから」
「子供は?」
データによればここには子供が二人いるはず。
男の子と女の子。
「…話せるわけ、ないじゃないですか…」
「今はどこにいる?」
「主人と、実家へ遊びに行ってます。実家のほうでも話は知っていますから…」
「どうやって納得させるんだ?」
「…そちらのほうで事故に見せかけてくれるんじゃないんですか?」
「事故であろうとなんであろうと、母親を失うことに代わりはない」
饒舌だった。自分でも拙いと思い始めたが、もう遅い。
「それじゃあ…正直に言えっていうんですか?」
彼女は、妙な笑いをその表情に貼りつかせていた。
「お母さんはうっかりゾンビに噛まれたから、ゾンビになる前に当局に殺されたって…」
「すまん……少なくとも、俺はそう教えられて育ったんでな」
2/4
鍋が噴きこぼれそうになり、彼女は慌ててスイッチを切り蓋を上げた。
「…何故、料理を?」
「冷凍しておこうと思って…ハンバーグや、カレーや…あの子たち、お店の物は嫌だって、お母さんのが食べたいっていつも言うから…」
見ると、たくさんのタッパーが所狭しと並べられていた。
冷蔵庫の隣には、新品の家庭用冷凍庫もある。
彼女の主人の、せめてものことなのだろうか。
「あの子たちに、もっと食べさせてあげたかった…。どうしてこんなことに…」
「子供達はいつ帰ってくるんだ?」
「…明後日の予定ですけど、それが何か?」
「台所を汚すことになるかもしれないから、あらかじめ謝っておく」
「え?」
「ギリギリまで料理を続けてくれ。貴方が理性を失った瞬間、俺が始末してやるから」
「……ありがとう…」
俺は返事をする代わりに、銃を構えた。
3/4
俺は予期するべきだった。
子供というものは、時に不思議な感応力を持っている。
今回もそうだった。
あらかたのものを作り終えた彼女は、俺の前にコーヒーを置いた。
「こんなものしか今は作れないけど…」
「構うな。そんな時間があるなら子供達に何かつくってやれ」
「その時間をくれたのが、貴方です」
彼女はしっかりとした目で俺を見つめていた。
「飲み終わったら、始末を付けてください」
「いいのか?」
「この感覚…なった人にしかわからないんでしょうね。自分が自分でない者に替わっていくのが判るんです…恐い…とても恐いです」
俺はカップを左手に取った。
「最後の理性があるのなら、風呂場に行こう。台所を汚すことはない」
「はい…」
コーヒーを飲み干し、俺は銃を構え直した。
ドアの開く音。
俺は引き金を引いた。
「ママ!」
男の子の声。
俺はさらに引き金を引いた。
「ママッ!」
女の子の声。
俺は、三度目の引き金を引いた。
4/4
子供達を引き留めることができなかった男が涙を流しながら、破壊されたゾンビにすがりついている。
俺は、四つの目に繋ぎ止められていた。
憎悪の眼差しに。
言い訳はしない。
俺は子供達の母親を殺したのだから。
「…人殺し…」
「そうだな」
「…人殺し…」
「その通りだ」
「人殺し!!!」
「まったく、お前達の言うとおりだよ」
視線を引きはがすように、俺はその場を後にしようとした。
背中に衝撃。
振り向くと、男の子が拳をぶつけていた。
俺は、その拳を黙って受け止める。
そして、殴り返した。
「アンタ何を!」
父親を視線で黙らせる。
男の子はもう向かっては来ない。しかしその視線は子供なりの殺意をたたえていた。
「俺が憎いなら…殺しにこい。いつでもいいから」
視線が揺れた。
「ゾンビが憎いなら、早く大人になれ。対策を作れ。俺たちにできなかったことをやってみろ!」
俺は声を押し殺すように叫んでいた。
「俺にはできなかった。俺たちにはできなかった。だからお前達がやれ。お前達がゾンビを絶滅させる手を考えろ!」
次に歩き始めたとき、背後からすすり泣く声が聞こえてきた。
俺は、もう振り向かなかった。
…久しぶりは緊張しますな。どうも。
あはは。完全に腕鈍ってるわ。
最近はすっかり別名別スレ別活動なんでROMが多いと思いますが、
気が向いたらまたスレ汚しをお目にかけると思いますんで、
新しい人も旧知の人もよろしゅうに。
では。
うぉー、数学屋さんも新作乙!
ご自分では鈍ってるとか書いてますが、変わらずあなたらしい作品だと思います。
新人の方も来てくれたし、ここんとこいい感じだなー
195 :
本当にあった怖い名無し:05/01/09 19:32:55 ID:0kzYA0Sc
モツカレー
なんか新作いっぱいキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
作者さん達乙っす〜
197 :
みどり:05/01/10 08:00:05 ID:G022IOq1
8:00
さっき、トイレで少し吐いた。
おまわりさんの悲鳴とかが、今でも耳に残っている。
夏休みには、いつもこの時間に小倉さんのテレビを見ているけど、
今日はずっとニュースをやっている。
わたしはテレビをつけたままにして、窓の外を眺めていた。
まだ火事が燃えている。お母さんが言ったように、ここからでも
火がよく見えるくらい近くだった。
明け方は暗くてよく分からなかったけど、
道のあちこちに事故を起こした車や、走り回っている人が見える。
テレビで見た場面と同じように、
数人の人が一人の人を襲っているのが見えた。叫び声が聞こえる。
人が人に噛み付いている。
・・・うそ。・・・うそよ。
こんなの、信じられない。
警察に連絡をしようと思ったけど、
電話はやっぱり通じなかった。
また窓の外を見ると、襲われた人が血だらけになって道の真ん中で倒れていた。
だけど、しばらくすると立ち上がって歩き出した。
よかった。だいじょうぶみたい。
198 :
本当にあった怖い名無し:05/01/10 08:23:24 ID:JQ8GB5zu
イイヨイイヨー
みどりさん、乙です。
ドキドキしながら、続きを待っています。
数学屋さん、乙です。
哀しいお話ですね。
子供たちのために手作りの料理を冷凍して、っていう
くだりで目が潤んでしまいました。
主人公も、かっこ(・∀・)イイ!!
200 :
kuzh:05/01/10 14:57:01 ID:A/mAQZNj
初めて書きます。
かなりの乱文かも。
すいません。
*******************************
正月。
久々の休み。
彼女と一緒にゴロゴロ。
正月番組でダラダラ。
・・・3が日も終わろうと言うのに変わり映えのしないお笑い芸人達の正月ネタ。
さすがに飽きてきた。
彼女の方を横目で見ると、こっちに退屈を目で訴えている。
無言のプレッシャー。
とりあえず気づかなかった振りをしとくか。
5分後。
やばいっ!!見てるっ!!まだこっち見てる!!
しかも目が合ったっっ!!
「わーかったよ。何かビデオでも借りてくんよ。」
「さすが。ついでにダイエ・・」
「500ミリのペットボトルでいい?」
「あ、ついでに甘いもん。」
・・・ダイエットコーラと菓子。おまえはやせたいのか太りたいのか。
201 :
kuzh:05/01/10 14:57:52 ID:A/mAQZNj
釈然としないまままずはビデオ屋。結構借りられてて正直品揃えは良くない。
無難そうな恋愛モノとアクションを借りる。
後は他になんかあるかな。
「ナイトオブザリビングデッド」「24時間後」「ゾンビ」
「キャプテンスーパーマーケット」「バタリアン」等々・・
新ドーン発売の影響か、ゾンビ物特集コーナーが出来ている。
やばい借りてー。久々に見てー。
・・・あいつ嫌いなんだよな。無理やり見せるか一人で見るか。
悩みどころだ。
えーえーわたしゃ愛に生きますよ。(将来の)家庭の平和を守りますよ。
怖い映画なんか借りませんよ。
2本のビデオを持ってレジに向かう。
「7泊8日でよろしいですか?」
「はいはい」
ウゥー、ウゥー
「600円になります。」
あれ、今パトカー通った?
正月なのにせわしないな。
202 :
kuzh:05/01/10 14:58:33 ID:A/mAQZNj
さてとコンビニ行きますか。
雑誌もあまり出てないし立ち読みするもんも無い。
とりあえずマロンカスタードパイとダイエットコーク。あと、ビールとつまみ購入。
ウゥー、ウゥー
あらまたパトカー。なんか有るんか?
お、餅があるじゃないすか。購入購入。
「・・1135円になります。」
ウゥー、ウゥー
「1505円で。あ、何かパトカー多くないすか??」
「何か朝から多いんですよねー。」
「正月なのに何かいやっすよねー。」
「そうですよねー。370円のお返しです。ありがとうございましたー。」
うーしおつかい終了。帰るベーか。
コンビニから10分かー。この道人がほとんど居ないから
寂しいんだよなー。
203 :
kuzh:05/01/10 15:01:25 ID:A/mAQZNj
ん、誰かいる。珍しい。
ふらふらしている。酔っ払いか?
何かスーツがえらい汚いぞ。ゲロか?つーかあの首周りの赤い汚れは?
あ、こっち見た。
つーか、無い!!片方の目と、腕が!!
・・・表情も無いっ!!
こりゃあれか?例の?
てことはさっきのパトカーはあれが発生しつつあるってことか?
「イツむぉおsHfi○Oiydifpoui!」
無表情なのになんだこのデカイ声は。
フラフラしながら俺の方に向かってきてる!
やべー!絶対こいつあれだ!!
ゾンビだ!!
武器になるもの!武器になるもの!なんかねーか!
おっしゃ!有った!!正月で良かったー!!
204 :
kuzh:05/01/10 15:03:34 ID:A/mAQZNj
門松から引っこ抜いた竹を、奴の腹に突き刺す!
「いつムォオセひゃfi○Oiydifpoui」
竹が刺さった衝撃で奴はぶっ倒れた。だが当然死にはしない。
ここまでは当然予想通りだ。
起き上がろうとしている奴の腹に刺さった竹を蹴り、奴をうつ伏せに転がす。
頭目掛けてもう一本ぶっさそうとした瞬間、奴のさっきから叫んでいた叫び声の
意味がわかった。
「イツモオセワニナッテオリマス」
・・・そっか。こいつ。元人間だったんだよな。
今自分が元人間を殺したのに、嫌悪感や恐怖心、気持ち悪さは不思議と感じなかった。
ただ、状況の現実感の無さに、しばらくその場でボーっとしていた。
あ、やばい!!あいつ大丈夫か!?
彼女の家に向かって走り出す。
こんな映画みたいな状況起こっちまって、あいつになんて説明すればいいかな。
あいつ怖い映画嫌いなのに、この世界に適応できるかなー。
こんな状況なのに、少しワクワクし始めている自分を感じながら、
俺は彼女の家に向けて走り続けた。
*******************************
終了です。
なんかほんとにまとまりない文章になっちまいました。
やっぱ作家の方々はすげーと改めて実感。
それではみなさんこれからも作品を期待しています。
正月ネタ乙。
門松を武器にしたのは初めて見たと思うw
わー逃げろー
「ゾンビゾンビゾンビゾンビ」
気がつけば一帯をゾンビに囲まれていた。
「ぞんびぞんびぞんびぞんび」
ウエスタンウェルカムトゥーウェスタん!
はっぷんはっぷん!
ほれすとれっくにすとらる
だむすた
とれとれの
りかるてぃっくれあるすてぃ
のーびす
のびす
207 :
みどり:05/01/10 20:38:20 ID:G022IOq1
9:02
ニュースを見ていると
いろんな所でパニックになっていると分かった。
大地震のときでも、こんな風ではなかったと思う。
日本の色々なところで、人が人に襲いかかって噛み付くという
事件が起こっているみたいだった。
あまりにも早く広がっているから、
どれくらいの人が怪我したのかわからないみたい。
少しでも噛み付かれたら、
ちょっとの傷でも1時間くらいで死んでしまうようだった。
東京や大阪は人が集まっているから、特にひどいみたい。
火事も起こっているし、強盗もたくさん起こっていると
ニュースの人が言っていた。
じゃあ、さっき私が窓から見た噛まれた人は、あれから死んでしまったのだろうか。
お父さんからメールが届いた。
「絶対に外へ出るな。誰かが来てもドアを開けるな。
風呂に水を溜めておけ。肉や腐れそうな物を炒め料理にしておけ。
ありったけの飯を炊け」
ドアにもう鍵はかかっているので、わたしはお風呂に水を溜めた。
そして5合のお米を炊く事にした。
208 :
みどり:05/01/10 20:40:23 ID:G022IOq1
10:00
テレビに小泉さんが出て、国家的な非常事態だと言った。
それからアメリカの政府の人もテレビに出て
死人が人を襲っているとも言った。かまれた人は、傷から菌が入って
死んでしまい、やっぱり人を襲いだすらしい。
菌の正体が分からないので、今は噛まれないようにするしかないみたい。
ニュースの人が、日本で初めての非常事態宣言だと言った。
家から出てはいけないらしい。
でも、そんなことは小泉さんより早くお父さんの方が言っていた。
お米が炊けたので、また新しいお米を炊く事にした。
そして冷蔵庫にある鶏肉に塩とこしょうをかけて、フライパンで焼いた。
お父さんはどうしてこんなことをやらせるんだろう。
209 :
みどり:05/01/10 20:42:01 ID:G022IOq1
11:10
マンションの前の道を、血だらけの人が何人か歩いていた。
あれが死んで生き返った人たちなのかしら。
近くの家からモウモウと煙が上がっている。きっと火事だ。
遠くの方でサイレンがなっているのが聞こえるけど、
こっちにはなかなか来ない。
下の階の部屋で、ドタバタと騒ぐ音がしばらく聞こえた。
210 :
みどり:05/01/10 20:42:58 ID:G022IOq1
11:15
テレビの人が、
大阪は壊滅だと言った。
生き返った死人の群れが、次々に人を襲って
防ぎようが無く、自衛隊が道路を通行止めにした、と。
テレビの人はビルの屋上からヘリコプターで逃げるところだった。
まるで映画を見ているようだ。
俺:「どうしたんだ?今二階の渡り廊下に居る、開けてくれ。」
ドアが開く・・・・・・、女の子・・・・!?
誰だ?翔史の家族ではない。あいつの母親は二年前に死んでいる。それに若い・・・・中2かな?
ゾンビ?のはずはない、何所にも傷は見られないし、第一に目が生気を帯びている。
俺:「だ、誰だ?」
女の子:「い、妹・・・・・。」
嘘だ。絶対嘘だ。妹など聞いたことが無い。俺だって― 養子であるわけだが・・・一応家族だ。んな妹なんているなら聞かされていないはずがない。いまはそんなこと気にしてはダメだ!
俺:「それより、翔史は何所だ!?」
自称妹:「え?誰?」
俺:「・・・何だこいつぁっ!?」
と俺が思わず叫んだその時
「オラアァァァァァァァァァァァ!!!」
(ドシンッ!ダン!ダン!ゴロゴロッグシャァ…)
俺:「下か!」
今の雄叫びは翔史だ!そして何かを潰した音。これは・・・・
翔史:「タマー!早く来いよ、糞っ!」
血だらけの階段を下りる。臭い。腐臭・・・・死のにおい、あたまがくらくらする。あれ?どうしちゃったんだろ、おれ・・・・なにもかんがえられない・・・・
「こ...し..だ・・じょうぶ・・・っ!」
だれかのこえがきこえる、だれだろう
「おい!大丈夫か!?しっかりしろ!!」
んっ!?ここはどこだ?俺は何をしている?俺は誰だ?そうだ、俺は・・・・・
翔史:「おいっ!お、おい!しっかりするんだよ!!」
俺:「う・・・ンン・・・くぅ・・・・ハァハァ」
頭がクラクラする。全く、俺はどうしちまったんだろう。
翔史:「お前?タマか?」
・・・誰がタマだよっ、オラ!? と、見上げた翔史の顔は凄い剣幕に満ちている
俺:「誰がタマだってさ・・・」
思わず思っていた事が口にでた。その言葉で翔史の顔に笑みがこぼれた。
続く
213 :
みどり:05/01/10 22:55:15 ID:G022IOq1
11:30
突然、電話が鳴った。受話器をとったけど、
プツプツと聞こえるだけで、それ以外の音は聞こえない。
朝からずっとテレビをつけっぱなし。
NHKとフジはやっているけど、
それ以外は、しばらくお待ちくださいという文字が
10分以上続いていた。
お父さんとお母さんのケータイに
何十回もメールを送っているけど
何も返ってこない。
テレビで怪我人がたくさん出ていると言っていたから
きっと病院が急がしいのだろう。
わたしはものすごく不安になった。
何が起こっているんだろう。
死んだ人が動き出す事なんてあるんだろうか。
お父さんの部屋に行って、
ノートタイプのマックを持ってきた。
わたしはインターネットを使って調べてみる事にした。
ヤフーにつながったら、真ん中に大きな赤い文字で
更新が滞っています、と書いてあった。
そして右端に「世界中で奇病発生」と書いてあった。
トピックスを見ると、
みんなその病気のことばかりだった。
炊けたご飯を全部おにぎりにした。
214 :
みどり:05/01/10 22:57:49 ID:G022IOq1
13:30
テレビをつけながら、ずっとインターネットをしていた。
つながらないところが多かった。
いろいろな掲示板を見ると、
いろんな人が別々の事を書いているので、
分からなくなってしまった。
でも、日本だけではなく、世界中で同時に起こっていると知った。
特にアフリカとか中国はひどいらしい。
テレビでは、皇居と国会議事堂が閉鎖された、と言っていた。
街の役所も閉まっているところが多いみたい。
電車も飛行機も止まっている。
外国のテレビの人が、死んだ人が生き返ったのだから、
これはゾンビなのだと言っていた。
お父さんとお母さんはまだ帰ってこない。
不安で涙が出てきた。
215 :
本当にあった怖い名無し:05/01/11 04:16:44 ID:YoqsfpOD
乙カレー、どんどん続けて下さい。
216 :
本当にあった怖い名無し:05/01/11 19:13:07 ID:6RT07pL7
>>200-204 かなりワロタw
常連コテ以外にはレスがつかない礼儀知らずのスレですまん
でもこのスレで一番面白かった作品だよ。ぜひ続けてください。
一応オレがレスしてるっつーの 。・゚・(ノД`)・゚・。
しかし、思うに最近はレス自体減ってるような気がしないでもない
やはり人減ったんだろうか・・・
それはそれとして眼鏡さんにみどりさん、続編乙です
眼鏡さんの作品は何か面白い仕掛けがある予感
みどりさんのは米炊いておくとか妙にリアルな感じがしました
どちらも楽しみにしております
今日みたよ
219 :
みどり:05/01/11 23:31:10 ID:ABdV83In
15:14
関西の方では停電しているところが多くて、
たくさんの人がゾンビに襲われてしまったみたいだ。
本州のどこかでは、放射能の数値が上がっていると言っている。
ロシアの原子力発電所が危ないっていう話だけど、
わたしにはよく分からなかった。
でも、放射能は体に良くないという事は知っている。
こっちにも流れてくるんだろうか。
220 :
みどり:05/01/11 23:32:13 ID:ABdV83In
15:25
中国とパキスタンのどこかで核爆弾が爆発して、
いくつかの街が消えてしまったらしい。
放射能はそこから来ているという話だ。
221 :
みどり:05/01/11 23:33:14 ID:ABdV83In
15:35
テレビが映らなくなり、ヤフーにもつながらなくなった。
仕方なく、ラジオをつけると、
天皇と総理大臣は安全な場所に移動中だと言った。
どこかは言えない。
死人が襲いかかってくる現象は、
アメリカではゾンビだと言っているので、
日本でもそれにならう、とのこと。
16:07
窓の外はどんどん暗くなっている。
わたしはカーテンを閉めて、ちいさな電気スタンドだけ
スイッチを入れた。
そっと窓の外を見てみると、
数人の人が歩いているのが見える。
きっとあれがゾンビだ。
北朝鮮の方から飛んできたミサイルが
日本のどこかに落ちたらしい。
222 :
みどり:05/01/11 23:34:17 ID:ABdV83In
16:20
マンションの廊下で誰かが騒いでいる。
インターホンのカメラで見てみたら、
血だらけの人が何かを叫びながら
フラフラと歩いていた。
怖い。
ヤフーがつながるようになった。
自家発電で機械を動かしていると書いている。
17:39
NHKが映った。
大阪の街がゾンビでいっぱいになったので
だれも近づけないみたいだ。
生きているひとはみんなどこかに逃げたらしい。
223 :
みどり:05/01/11 23:35:01 ID:ABdV83In
18:20
ラジオでは評論家の人が怒っていた。
アメリカではすぐに軍隊を出して街を封鎖したのに、
日本では対応が遅い、と。
20:11
おなかが減ってきたので、炒めた肉とご飯を食べた。
わたしの街では、
生き残ったたくさんの人が自衛隊の基地へ向かっていると
テレビのニュースで言っていた。
だけど、インターネットでは、今は外に出ず、
家でじっとしている方が良いと書かれている。
わたしもそう思った。
日本にいるアメリカの軍隊が、
みんな脱出したという話だ。
224 :
みどり:05/01/11 23:36:38 ID:ABdV83In
22:00
マンションの外で、すごい音と振動がした。
その瞬間、部屋の電気が消えてしまった。
なんだろうと思って窓の外を見ると、
トラックが電柱にぶつかっていた。
きっと電線が切れたんだわ。
たくさんの人(ゾンビ?)がトラックの周りに駆け寄ってくるのが
月明かりで見えた。
悲鳴が聞こえたので、私はすぐに窓を閉めた。
運転していた人が襲われたのかもしれない。
0:30
寒くなってきたので、毛布をかぶった。
ラジオはNHKだけだが聞こえる。
避難所の名前を言っているけど、
私は家を出る気にはなれなかった。
北朝鮮軍の動きが活発になっているので
またミサイルが飛んでくるかもしれない、と
ニュースが言っていた。
やばい!兵糧切れやばい!
226 :
本当にあった怖い名無し:05/01/12 05:35:35 ID:BruduNI+
乙 キタチョンシネあいつらクズだからまじでやりそう
みどりさん、乙です。
主人公の感情が直接書かれているのが
>>222の「怖い」だけで、あとは事実が淡々と描写されて
いますが、それがかえって恐怖感と緊迫感を盛り上げて
いますね。続きが楽しみです。
このスレおもしろ過ぎ。オレも書いてみたいけど読めるモノにはならないだろうな(´・ω・`)
どちらかというと痛すぎ
230 :
本当にあった怖い名無し:05/01/12 17:30:11 ID:BruduNI+
まあ、残党組は叩かれ慣れてるからね。
>230
一応それっぽいモノのサワリの部分だけ書いたけど…見るかい?拙いけどさ。
>>232 オレは230じゃないが書いたんなら見てみたいよ
見る前から拙いかどうかなんてわからんじゃないか!
234 :
みどり:05/01/12 22:58:07 ID:B8KKv78V
4:15
少し眠ったみたい。外はまだ暗かった。
ラジオからはザーザーと雑音が流れている。
電気はつかない。
お腹がすいたので、おにぎりとお肉を少し食べた。
電気の通じているうちにご飯を用意しておいてよかった。
停電になっていたら、何もできなかった。
お父さんは、きっと、この事を予想していたのだろう。
電話は相変わらずダメだった。
ケータイも圏外になっていた。
6:37
私は急に不安になった。
お父さんとお母さんは、いつ帰ってくるのだろう。
もし、帰ってこなかったら、
この先、私は一体どうしたら良いのだろう。
何日もこのままだったら、どのくらい食べ物が続くだろう。
じっとしていられなくなって、
外へ出ようと鍵を外そうとしたけど、
お父さんの言葉を思い出して、やめた。
235 :
みどり:05/01/12 23:00:31 ID:B8KKv78V
7:00
NHKのラジオニュースが放送し始めた。
東京がもうダメなので、今はスタジオを仙台に移している。
だけど、ここの街もゾンビが一杯なので、
いつまで保つか分からない。
いつでも逃げる準備はできている、と。
ラジオから人の声が聞こえてきたのが嬉しかった。
7:55
外にどのくらいゾンビがいるのだろう。
私は窓から道路を見下ろしてみた。
遠くの方で、数人がフラフラと歩いているのが見える。
あれがゾンビだろうか。
私は試しに、お父さんの使っている鉄の灰皿を部屋の窓から落としてみた。
ガランガランと大きな音がして、灰皿が道路を転がっていく。
すると、あちこちの建物の陰から数人のゾンビが
灰皿めがけて走ってきた。
ゾンビが音に反応するのだと、なんとなく感じた。
236 :
みどり:05/01/12 23:01:18 ID:B8KKv78V
12:16
また少し眠ってしまった。
やけに体が重く、眠い。
トイレに行ってから
またソファの上で眠ってしまった。
14:20
お父さんの部屋に携帯テレビがあることを思い出したから
使ってみた。
電波が悪いけど、NHKが見れた。
緊急放送と書かれた画面とピーという音が聞こえるだけだったけど、
画面の下の方に、次のニュースは15:00からと書かれてあったので
スイッチを切って待つ事にした。
237 :
みどり:05/01/12 23:02:10 ID:B8KKv78V
15:00
携帯テレビをつけた。
ニュースが始まった。テレビの人は疲れきった顔をしている。
全国の各地で停電が起こっていると話している。修理は困難だ、とも。
どのくらいの人が死んで、まだ生き残っている人が
どの程度いるのかがわからないと話している。
自衛隊が用意した避難所も、
次々に襲われているらしい。
政府も機能していない。
事態が急速に変わっているので、
情報もあまり当てにならない。
デマなどを信用してはいけない。
テレビの人はそう言っていた。
仙台もダメなので
これから青森に向かうと言っていた。
次のニュースは21:00。
私は携帯テレビのスイッチを切った。
18:27
トイレの水が流れなくなった。
きっとマンションのタンクが無くなったんだわ。
お父さんの言う通り、お風呂に水を溜めていてよかった。
ケータイはぜんぜん使えない。
238 :
みどり:05/01/12 23:02:58 ID:B8KKv78V
21:00
携帯テレビをつけた。
ニュースが始まった。
スタジオが青森に変わったとニュースの人が言っている。
これからは、テレビとラジオの合同になり、
放送は1日3回、7:00、0:00、18:00。
ゾンビに関してはあまり情報が無い。
とにかくゾンビから離れるように。
家に鍵をかけて外へ出ないように。
ニュースの人が泣いていた。
怖い。
239 :
1/2:05/01/12 23:24:58 ID:pooiRC+6
じゃあ投下します。
…その夜、オレは中々寝付けなくて夜風を浴びに外へ出た。オレの家は特殊で、一階が中華料理屋、二階と三階が住居、四階が電線・配電盤・アンテナ等が集合した屋上になっている。
二階にはオレの曽祖母、三階には祖父母、母、オレ、妹が住んでいる。父とは夫婦仲が悪くて別居中だ。
そして家の正面には国道が、裏手には公園が面している。オレは夜風に当たりながら何を考える訳でもなく、裏のベランダから公園の中心にある結構大きな電灯を眺めていた。
すると、その下に何か2つ影がいて、1つは動いている。(野良犬…?)それにしてはかなり大きい。「どっかのカップルがイチャついてるのか?」と思ったがそんな感じでもない。「まぁ五月蝿くないし良いか…」そう思いながら、心地良い夜風に吹かれていた。
すると夜風に混じって「…ッ …キッ …クチャ …ジュルズルッ」という不気味な音があの『動く影』から聞こえてきた。「おい…マジで何やってんだよ…?」と不審に思っていると、不意にその『動くモノ』はオレの方を向いた。
240 :
2/2:05/01/12 23:31:41 ID:pooiRC+6
「……ッッ!!?」
『動く影』の1つは若い男だった。だが何かおかしい。眼の焦点が合っていないし、動きがおかしい。夢遊病の患者のように地に足が着いていないみたいだ。
そして何より口の周りが気持ち悪いぐらい紅い液体でテラテラして、後ろには何か倒れている。
眼を凝らすと、それらが何なのかおぼろげながら解った。男の口に付いている紅い液体はおそらく血液で、後ろにあるもう1つの影は…若い女性。
オレは眼を疑った。こんな光景は映画や本でしか見た事が無い。が、『その光景』は紛れも無くオレの眼の前で起きていた。
オレが呆然としていると、男は死んでいるのか意識が無いのか解らないが動かない女性の足を持って、緩慢な動きで女性を引きずりながら闇の中へ消えた。
…その後、オレはさっき見た光景が夢である事を祈りながら寝る事にした。そう、オレは悪い夢を見たんだ。あれは現実じゃないんだ…と自分に言い聞かせながら。
…どうかな?携帯からなんで不具合あったらスマソ。
お、みどりさんの続編と232の作品も来てる!
まずは二人とも乙!
みどりさんの方の主人公はじわりじわりと状況が悪化していってるが
ここからどう展開していくのか楽しみ。体調が・・・?
232のは特に不具合は無かったよ。
謙遜しまくってたけどしっかり雰囲気も出てると思う。
こっちもどう続いていくのかな〜
242 :
232:05/01/13 00:13:54 ID:5uRAGLLR
>241
いやいや嬉しいな。ちなみに家の構造や立地条件、家族構成等はガチです。これからも出てくるモノは人名以外ほぼ全てガチと思って下さって結構です。
とりあえずまた明日(って言ってももう今日だけど)来ます。ではでは。
243 :
みどり:05/01/13 22:44:35 ID:bu5E3Teg
3日目
6:28
きのう作ったおにぎりは全部で23コ。
肉と野菜の炒めものが4人分。
停電したままなので、冷蔵庫に入れても
たぶん、3日くらいで腐ってしまう。
おにぎりを食べた後、私は家中にある食べ物を探して
そのまま食べられるものをテーブルに並べた。
カンズメが3コ。パンが1枚。
ポテチが4袋。
お漬け物、煮豆、佃煮、冷凍シュウマイが少し。
牛乳、ジュース、ウーロン茶。
腐るものから先に食べて、
節約すれば、7日くらいは大丈夫かも。
244 :
みどり:05/01/13 22:45:14 ID:bu5E3Teg
7:00
携帯テレビをつけた。
放送が始まった。
病院や学校などは危険なので近づかないこと。
日本のいろんな所で停電。
飛行機の墜落とか列車の脱線。
ゾンビと戦っちゃだめ。
とにかく逃げること。
ニュースの人がそう言っていた。
青森も危なくなってきたので、
今度は札幌に行くとのこと。
インターネットは、まだ生きていると言っている。
ただ、停電がひどいので、
それもいつまでもつか分からないみたい。
245 :
みどり:05/01/13 22:46:00 ID:bu5E3Teg
13:00
お母さんのノートパソコンから
インターネットに繋いでみた。
電話線が無くても電波でできるはず。
ヤフーが無くなっていた。
いろいろ探したらライブドアというページを見つけた。
緊急の掲示板ができていて、
生き残っている人たちが話し合っていた。
だけど、だれが本当のことを言っているのかわからない。
何が起こっているのか知りたい。
これからどうすれば良いのか、
誰かに教えてもらいたい。
みんな必死。
私も必死。
お父さんとお母さんに、
早く帰ってきてとメッセージを書いた。
246 :
みどり:05/01/13 22:46:43 ID:bu5E3Teg
18:01
ラジオをつけた。
流れてくるのはノイズだけ。
いくら待っても放送は始まらない。
掲示板に来る人も少なくなっていた。
30分前にゾンビに噛まれたという人が、
「さよなら」と書き込んでいた。
怖い。
怖い。
膝が震えた。
247 :
みどり:05/01/13 22:47:53 ID:bu5E3Teg
4日目
おにぎりを1つ食べた。
窓の外を見ると、ゾンビになった人たちが、
フラフラと歩いているのが見えた。
昨日は人数が多かったけど、
今朝は少ない。3人くらいだ。
ずっと家にいるので気がおかしくなりそう。
電気が来ていないのが分かっているけど、
テレビを何度もつけてしまった。
時間になってもラジオからは
何の放送も流れてこなかった。
外で何が起こっているんだろう。
お父さんとお母さんはいつ帰ってくるんだろう。
生きている人はどこにいるんだろう。
肉と野菜の炒め物が腐ったので、お皿と一緒に窓から投げた。
みどりさん乙。
いよいよ状況は悪くなっていますね。
あくまで主人公立てこもり続けることを選ぶのか、
それ以前に立てこもり続けられるのか・・・?
体調は深読みしすぎだったみたいなorz
ここしばらく作品投下がいいペースで
このスレ覗くのが楽しみだよ。
249 :
本当にあった怖い名無し:05/01/13 23:55:35 ID:YjU2Cw8s
みどりさんおつです。
読んでいると胸が苦しくなります。
なんか久々に感じる苦しさです。
でも、嫌じゃないので頑張ってください。
差し出がましいですが出来れば最後は、
ハッピーエンドでお願いします。
250 :
本当にあった怖い名無し:05/01/13 23:59:48 ID:R475/HsR
同人臭漂うスレだな
251 :
本当にあった怖い名無し:05/01/14 12:49:21 ID:qM1AUQSj
楽しみだ〜
('A`)眼鏡氏と232氏はどこかへ行ってしまったのか・・・?
253 :
みどり:05/01/14 23:12:36 ID:giTzAoTr
5日目
インターネットをしたいけど、
電池が少ないから我慢しなくちゃ。
退屈なので
ベランダに出て道路を歩いているゾンビに向かって
お皿をぶつけてみた。
ガシャンとぶつかると、そのたびに
ゾンビたちが辺りをきょろきょろする。
気味の悪い、動物の様な声。
血だらけの体。
あいつらさえいなければ、
こんな目に合わずにすんだのに。
私は何枚もお皿をぶつけた。
おかげで食器が無くなっちゃった。
254 :
みどり:05/01/14 23:13:16 ID:giTzAoTr
6日目
おにぎりが腐った。全部。
むしゃくりゃしたので、
ベランダから色々な物を投げた。
大きな音を聞きつけてゾンビがたくさんやってくる。
みんな私を見上げている。
気味が悪い。
重たいガラスの灰皿を投げたら
ゾンビの頭に当たった。
そのゾンビは倒れたまま動かなくなった。
こんどは、電子レンジを投げた。
また別のゾンビに当たって倒れた。
もしかして、頭を狙えばいいのかしら。
255 :
みどり:05/01/14 23:13:56 ID:giTzAoTr
7日目
お母さんのノートパソコンでライブドアに繋いでみた。
まだ生きている。
例の掲示板に行ってみた。
私の書き込みに、昨夜遅く誰かが返事を書いてくれた。
「がんばれ」と一言。
涙が出た。
私は、泣きながら自分の事を書いた。
食べ物がもうあまりないこと。
お父さんとお母さんが帰ってこない事。
他にも書きたい事があったけど、
急に画面が消えた。
ノートパソコンの電池がなくなった。
だめだ。
もうだめだ。
256 :
みどり:05/01/14 23:14:48 ID:giTzAoTr
8日目
お風呂の水が残り少ない。
食べ物はあとポテチが1袋半。
イライラしていたので、
寝室にある小さなテレビをベランダから落とした。
大きな音がして画面が粉々になった。
音を聞きつけて、ゾンビがまた来る。
掃除機を落としたけど、
今度はゾンビに当たらなかった。
257 :
みどり:05/01/14 23:15:21 ID:giTzAoTr
9日目
体が重だるい。
おなかが減ったけど、節約しなくちゃ。
音楽が聴きたい。
私はケータイでダウンロードした曲を聴いた。
いつの間にか眠ってしまい、
気がついたら、ケータイの充電が無くなっていた。
258 :
232:05/01/14 23:20:05 ID:Hy0EgFsj
眠い…が、このまま寝ていたら遅刻してしまう。そうすれば面倒臭い指導がオレを待っている。…それだけは何としても避けたい。寝ぼけて壁にぶつかりながら台所に辿り着き、朝食を摂る。
そして身だしなみを整え、片道30分の道を自転車で通学する。毎日これの繰り返しだ。いい加減何か刺激が欲しい所だったが…昨夜の「アレ」は刺激にしては充分過ぎた。驚いた事に、「アレ」はクラス内の人間にも散発的に目撃されているらしい。
一体何なのかは誰も知らない。だが「アレ」は確実に増えている。みんな言いようの無い恐怖に襲われていた。そしてその夜、友達の良平から電話があった。
「…なぁ、『アレ』の事なんだけどさ…」
「どした?また出たのか?」
「…どうやら岡田が襲われたらしい」
「…マジかよ……んでその後どうなったんだ?」
「なんかすぐ研究員みたいな人が来て連れてったらしいんだ」
「じゃあ周りに被害は無いって事か…」
「多分な…」
その後沈黙が続き、他に話す事も無いので電話を切った。
「明日もオレは生きてるのかな…」
いつしかオレは寝る前にそう考えるのが習慣になってしまっていた。
259 :
みどり:05/01/14 23:21:38 ID:giTzAoTr
10日目
最後のポテチを食べた。
食べ物が無くなった。
どうしよう。
ポテチ食べるのを我慢した方が良かったの?
でもお腹が減っていたの。
どうしても食べたかったの。
どうしよう。
どうしよう。
この先どうしたらいいんだろう。
このままここにいてもいいんだろうか。
誰か助けにきてくれないかな。
避難所に行った方がいいのかな。
でも、外に出たらゾンビに襲われるかもしれないし。
頭を狙えばいいの?
そんなの無理よ。できない。
そうだ。
お父さんとお母さんが帰ってくるかもしれない。
ここで待たなきゃ。
260 :
232:05/01/14 23:21:44 ID:Hy0EgFsj
「良かった…まだ生きてる」
起きる度にそう思う自分が無性に悲しい。が、今の状況では仕方ない。そう結論を出して納得し、学校へ行く。昨日の良平からの電話通り、学校に岡田の姿は無かった。担任は「岡田は事故に遭って長期入院する事になった」と説明した。
まぁあながち間違いじゃないだろう。まだ生きているのかどうかは知らないが。そしていつも通り授業を受けた後、学校の近くにあるガンショップでありったけの鉛玉とP90、AK、M93R AUTO9の追加マガジン、バッテリー、ガスを買った。
ギアやスプリング、モーター等は全部規格違反のモノに換えてあるから、「アレ」の足止めぐらいにはなるだろう。普通の人間にならめりこむ、もしくは貫通する威力だ。その後、以前ネットで調べた手製爆弾を作ってみた。
外に出て、ティッシュの導火線に火を着けた。数秒後、乾いた炸裂音と共に地面がえぐれた。
その威力に感心した後、家の中に戻ってテレビをつけた。すると天皇直々に、我が国始まって以来初めての国家非常事態宣言をしていた。自衛隊が地域の警備に当たると言っているが、そんな人数がいる筈は無い。
呆れながら床に就いた。明日、世界はどうなっているのだろう…
261 :
232:05/01/14 23:23:17 ID:Hy0EgFsj
なんかリアリティを追求しすぎてまだまだサワリの部分なんですが、そこは勘弁してやって下さい。
262 :
本当にあった怖い名無し:05/01/14 23:58:30 ID:qM1AUQSj
みどりさん、どうなるんだろう…
不安だけど、続きが気になる。
263 :
本当にあった怖い名無し:05/01/15 00:57:43 ID:b1dMkBvE
>>232 乙 ベア弾装備のエアガンですか。
身近にあるけどなかなか思いつかなかったなー。
みんな警官から銃を奪ったりみたいなことばかりだったし。
エアガンてかなり新鮮。
自衛隊が動き出した時には既におそし。
ゾンビは圧倒的な繁殖力でほぼ町を覆いつくしていた。
窓から見える雰囲気は死体だらけ。しかも歩いている。
このいったい何なのだろうか。
ゲーセンにおいていたバイオハザード、ハウスオブザデッドのような雰囲気だ。
奴等はただ歩いているだけ。そう、獲物を探すタメにただ歩くしか脳がない。
頭は馬鹿そのものなのだが数が多い。一筋縄ではいかないだろう。
銃声が遠くから聞こえる。たまに爆音。
何かスティンガーでも使用しているのだろうか。
弱点は頭だ。それ以外は何しても意味は無いというのに。
ライフラインはまだちゃんと動く。
食料さえなくならなければ大丈夫だ。
武器になりそうなものは灯油を染み込ませた布や紙。
あとはナイフを竿竹に縛って作った薙刀だけだ。
奴等は動きは遅い。が、これだけでは到底叶わない。
どうすればいいのだろう。ふと携帯電話が鳴っている。
「もしもし」と、出れば「俺だ!」と友人の声が聞こえた。
「どうした?」といえば「そちらに屋根の上を渡って行ってもいいか」
「いいぞ」と返事をすると「サンキュー!」と嬉しそうに言って電話を切った。
しばらくしてソイツが本当に屋根の上を渡ってこちらに来ていた。
ここら周辺が密集地じゃなければ来れなかっただろう。
窓を開けて中に入れる。友人は食料など色々と持ってきていた。
「なんでここに来た?」とたずねたら「ゾンビが多すぎだからだ」と言う。
ここらも多いと思うがそれ以上にいるのだという。
たとえるなら死人の満員電車という感じらしい。
「これからどうする」と訊かれた。俺は静かにいった。
「出るよ、町を。なんとかしてな」
友人はそうこなくっちゃ!と親指を立てた。
こうして俺たちの町脱出計画は始まった。
265 :
タカヒロ:05/01/15 01:27:35 ID:hbaHz4Di
世の中腐りまくってる。
こんなクソみたいな世の中無くなっちまえばいい。
そう思ってた。
けれど、まさか本当にその日が来るなんて。
逃げ回る人々。
襲ってくるアイツら。
狂気と混乱の渦の中でも、俺は不思議と冷静でいられた。
学生の頃に族のダチとバカばっかやってたおかげで、逃げ足と悪知恵はよく働いた。
ガキの頃にカッコつけで習った空手も、身を守るのに多少の役には立った。
ダチと一緒に逃げてて、逃げて、逃げて、どうしようもなくなったら戦って。
また逃げて。
時折拾うガキどもや女、そして疲れたオッサンたち。
気付けば仲間は20人以上にもなり、ちょっとした大所帯だ。
266 :
タカヒロ:05/01/15 01:28:08 ID:hbaHz4Di
俺たちはいつも高い場所で寝る。
廃ビルや建造途中のビル。鉄骨なんかがむき出しで、周囲の状況が見れるほどいい。すきま風はきついが、最低限の屋根があれば問題なしだ。壁なんてものがあったらイザって時に逃げ場を限定されてしまう。
その点、造りかけや壊れかけのビルは最高だ。どこからでも逃げられるし、ゾンビじゃ登れないような場所にもいける。
感覚が鋭いガキは自ら夜の見張りを買って出るやつもいる。
今のこの状況に年齢なんて関係ない。
こいつみたいに9歳で生き残るやつもいれば、態度とガタイだけ大きくてあっけなくゾンビに食われた大人だって沢山いる。
267 :
タカヒロ:05/01/15 01:28:49 ID:hbaHz4Di
仲間に女子大生が1人いた。
根暗で顔はイケてないが、コンピューター関係は詳しい。
電気屋で拝借したノートパソコンとバッテリー。
インターネットに繋がせる。
情報が欲しい。
それが例えアテにならなくても。
世界のどこかでこうして俺たちみたいにしぶとく生き残っている奴らがいるってことを、形として感じたかった。
ライブドアに繋がった。
あったのは緊急の掲示板だけ。
生き残っているヤツらが話し合っていた。
デマやら憶測やら、好き勝手だ。
けど、必死に生きのびようとしているのだけはわかる。
9歳のガキがネットに繋がったのを見て泣き出した。
女子大生も声を殺して泣いている。
他の仲間も、みんな声を殺して泣いていた。
みんな知りたかったんだ。
俺たち以外の人間がまだこの世界に生き残っているかを。
268 :
タカヒロ:05/01/15 01:29:19 ID:hbaHz4Di
親とはぐれたヤツ。
両親を失ったヤツ。
自暴自棄になっているヤツ。
掲示板には色々な書き込みがあった。
ゾンビに噛まれたというヤツもいた。
「さよなら」
そう一言書いてあった。
269 :
タカヒロ:05/01/15 01:30:40 ID:hbaHz4Di
掲示板は日に日に書き込みが少なくなっている。
女子大生の女は励ましの言葉を時折書き込んでいるが、効果があるのかどうかなんて自分自身が一番よく知っているはずだ。
けれど、書かずにはいられないのだろう。
掲示板越しにいるヤツらは、もう1人の自分みたいなものなのだから。
俺にはかける言葉は見つからない。
けれど心にモヤだけは残った。
270 :
タカヒロ:05/01/15 01:31:44 ID:hbaHz4Di
ある晩。
ガキが俺を叩き起こした。
無言で指さしたのは女が起動させたパソコン。
俺は首を振った。
人が死んで、死んで、死んで、また死んで。
生き残った人間も次々と死んでいくこの狂った世界で、警察でも偉い人間でもない俺なんかが一体何を書けるって言うんだ?
けれど、
ガキは俺から瞳を逸らさない。
俺は観念した。
ゆっくりとたどたどしい動きでキーを押す。
気の利いた言葉なんて打てない。
気休めなんて書く気にもなれない。
けれど、これだけは俺自身の嘘偽りのない気持ちだ。
この世界に生き残っているヤツら全員に…
『がんばれ』
作者の皆様、乙です。
どの作品も読み応えがあるので、とても
ありがたいです。
タカヒロさんの
>>270の「がんばれ」は
みどりさんの
>>255につながるんですね。
なんかスゲー大量にキテルー!!
皆さん、乙です!
みどりさんはとうとう後が無くなったが果たして
もしかしてタカヒロさんの中の人は同一人物なのかな
物語がリンクするのは面白いですね
いろんな視点で同じ物語を描くのは遊園地編以来では
232さんの主人公は実際に手に入りそうなものを武器にしてますね
エアガンのBB弾でもかなり痛いのに改造した上でベアリングか・・・
実際ゾンビに撃ってどれだけの効果が出るのか楽しみです
Yuliさんの作品は街脱出を描くんですか
屋根伝いとかいろいろシチュエーションが作れそうですね
もしよければyuliさんの頭の中で「街」の構造がどんな感じだとか
書いてくださると嬉しいです
おおっ、増えてる!
皆さん乙カレーでつ
タカヒロさんとみどりさんの中の人はやっぱり同じなんでしょうか?
気になります
期待大!
274 :
本当にあった怖い名無し:05/01/15 15:50:39 ID:b1dMkBvE
>>銀縁の眼鏡さん
作品まだですかー?早く読ませてくれ。
275 :
タカヒロ:05/01/15 16:08:15 ID:d0NrXZ/w
俺たちの武器は足だと思っている。
ダチの1人が族の関係でボウガンを持っていた。
そいつはもうこの世にはいない。
街に数限りなくいる化け物相手に、矢に限りがある武器で何とかしようとしたのが失敗だった。
飛び道具を構えられる距離があるなら走って逃げた方がいい。
俺はダチが目の前で死んでいくのを見てそう思った。
今の俺たちの武器は、鉄パイプの一撃でゾンビを倒せる腕力などではなく、あいつらから逃げ切るための足だ。
まずは逃げろ。
高いところに登れ。
戦うのはどうしようもなくなった時だけにしろ。
俺は仲間にそう教えている。
今日はあいつらに襲撃される事もなくなんとか過ごせた。
問題は食糧だ。
276 :
タカヒロ:05/01/15 16:08:49 ID:d0NrXZ/w
電気が来ていないので生ものは持ちが悪い。
缶詰が欲しい。
缶詰なら日持ちもするし、逃げる時に多少手荒く扱ってもまるで問題もない。
けど…もうこの近辺じゃ何も残っていない。スーパー、コンビニ、全部ダメだ。
騒動が起きた最初の頃に買いあさられたのか、それとも俺たちみたいに生き残ったやつが持って行ったのか。
水はまだ少し余裕があるが、油断は出来ない。
一番足の速い仲間がいい知らせを持ってきた。
少し離れた場所に手つかずのスーパーがあるらしい。
277 :
タカヒロ:05/01/15 16:09:21 ID:d0NrXZ/w
油断があった。
気の緩みだったのかもしれない。
俺たちは仲間の1人を失った。
その日俺は、足に自身のある仲間3人と一緒に、スーパーへと食料調達に行った。
中に入れば食料があふれんばかりにあった。
今の俺たちからすれば宝の山同然だ。
リュックに詰め込む。
大収穫。
その喜びが油断を招いたのかもしれない。
帰り道。
俺たちはあいつらの集団に襲われた。
278 :
タカヒロ:05/01/15 16:09:58 ID:d0NrXZ/w
俺たちの足には追いつけない。
慣れが生んだ僅かな油断。
仲間の1人が転んだ。
小柄な中年のオッサンだ。
道にブチまけられていたガラクタに足を取られ、体勢を崩し、落ちていた電子レンジの角に右目をぶつける。
激痛にのたうちまわった5秒の空白。
俺たちは青ざめた、急いでオッサンの元へ駆けよる。
あいつらの1匹がオッサンの右足を掴んだ。
もう1匹が左足。
「来るな!」
その言葉はゾンビへと浴びせかけられたものではなく、俺たちへと向けられたもの。
オッサンは缶詰で重くなった背中のリュックを手にして、ゾンビどもへふりかざす。
ごん。
ごん。
鈍い音がするが、それだけだ。
ゾンビの歯がオッサンの肉に食い込んだ。
絶叫が上がった。
けれど一言として助けてとは口にしない。
オッサンはわかっていた。もう自分が助からない事を。
俺:「俺はどうなってたんだ?」
翔史:「なんかフラフラしてたからさ・・・目が虚ろでさ・・・・まるでゾン...」
俺:「やめてくれ。」
冗談にしてはキツい。噛まれてもいないのにゾンビ化なんてしたら・・・やっていられない。
翔史:「死体は片付けといたぜっ!」
俺:「外にか?」
翔史:「いいや、堀ん中だ。落しといて、埋めてやった。」
俺:「・・・・そうか。」
翔史:「荷物は準備できたのか?」
俺:「ん?ああ、あとは車に詰め込むだけだな・・・。」
そう言って、俺は自分の棟へ戻ろうと、渡り廊下へと歩を進める。翔史の後ろには先ほどの女の子(自称妹 中学生ぐらい)が並んで歩く。
誰かと翔史に問い詰めることも出来たが。何分今はそんな気持ちじゃぁない・・・。疲れた。
渡り廊下の入り口のドアを開ける。通路に出るとそこには、ゾンビが居た。腐敗してただれた顔、血まみれのシャツ、引き裂かれた頬・・・
私は何故か、あまり驚かなかった。ゾンビの方も攻撃しようとはしてこない。俺もゾンビも互いに無防備にしていた。
その時、バールを持った翔史が俺の脇から凄いスピードで現れ、ゾンビの頭をカチ割った。
茫然と立ちすくんでる俺。その俺を数人の俺が見つめている様な奇妙な感覚におそわれた。
無言で死体を片付ける翔史。思えば変な光景だ。俺は「任せた、準備してくる。」とだけ言い、下の階へ下り、ガレージへと荷物を持って向かった。
(お、そうだ!忘れていた。)と自分の部屋からさ○まさしのアルバムとBUMP ○○ CHICKENのアルバムを手に取り、CDプレイヤへと入れておく。そして、自分のバンに乗る。
そんなことをしていたら、すぐ車の無線に連絡が入った。
続く
280 :
タカヒロ:05/01/15 16:11:50 ID:d0NrXZ/w
リュックが振り回される。
ゾンビがまた1匹おっさんの体を掴んだ。
リュックがゾンビの頭を直撃する。
嫌な音がして、ゾンビがよろめく。
リュックの缶詰が道路へとぶちまけられた。
ゾンビたちは次々にオッサンの体へと覆い被さっていく。
絶叫は悲鳴になった。
俺たちは走った。
それしかできない。
それだけしかできない。
281 :
タカヒロ:05/01/15 16:12:23 ID:d0NrXZ/w
食い意地が張っていたけど気のいいオッサンだった。
名前だって教えてもらっていない。
出会って数日のオッサンだ。
けれど俺たちにはかけがえのない仲間だった。
終わりなんていつもそうだ。
あっけなくやってくる。
族のダチがカーブを曲がり損ねてハンドルで腹を切った時もそうだ。
腸を道路にまきちらして、あっけなく事切れた。
その日俺たちは大切な仲間を1人失った。
食料が手に入ったというのに、その日の夕食は皆無口だった。
続き
翔史:『ガガッ....出る準備はできたか?どうぞ』
俺:「いいよ、早く出ないと。」
車庫のシャッターがゆっくりと上がる。よかった・・・何も居ない。完全に開いた、向こう側のシャッターから車体が見える。
翔史の車はカンペキな改造車だ。元々の車種がよくわからない。そして俺のバンも改造車。翔史と俺の車はトラックが体当たりしてきても耐えれる、らしい。
ヤーさんの運び屋の仕事をしてて、この車を貰ったのだ。運ぶ時意外はあまり使った事がないので車のスペックは良くわからん。
翔史:『行くかっ!』
俺:「あ、そういえば、あの女の子はどうなったのさ?」
さっき居た女の子のことを聞いてみる。
翔史:『え?誰?』
俺:「いや、居たじゃんよ。中学生くらいの女の子。」
翔史:『居ないって、そんな子。お前の妄想だべ。』
鳥肌が立ってしまった。
-郊外の自宅から町へと-
それからの道のりは順調だった。元々俺らのように行動してる人などそう居ないからだろう。
それでも、約40万人くらいの町だ。やはり、暴動とか何とか言って、ゾンビが出ているらしい。確かめる為にも、町の中心部へ言ってみた。
やはり、地獄が広がっていた。警官隊が盾をつかって防衛しているが、持たないだろう。自衛隊の姿は見当たらない。駐屯地は4km離れた所にあるのだが・・・
許可が出ていないのだろう。国の対応は、遅い。
続く
続き
「止まれ!止まらないと実力行使d」
拡声器を持っていた警官が喰われている。銃は持っていたようだが、まぁもともと相手が武器を使ってない以上警官は銃を撃てないのだろう。
周りは黙って銃を向けて黙っているだけだ。我慢ではなく、怖がっているだけとも言えるが・・・
一人が撃った。それに続いて続々と周りも思い出したように撃ち始める。装弾数は5発と少ない。20人ほどの警官隊に、2〜300匹くらいのゾンビだから
あっという間にタマを撃ち尽くすだろう。第一頭を狙っていないので死ぬ事もない。
俺:「どうする?」
翔史:『ピッガガ…助け舟はだせねぇなぁ・・・、逃げろって言ってみるか。』
窓から顔を出して、「「にっげろー!!」」と言ってみる。続々と警官が走って逃げる。俺たちはとりあえず車を降り、パトカーに乗る。
パトカーでゾンビ共を轢き殺す。一台がオシャカになった。次のパトカーに乗る。六台あったので一人三台、とにかく轢きまくる。
車の移し変えの時が一番危険だった、後は順調にいき、ゾンビの残りは100体前後くらいだ。
頭を潰せなかったゾンビ共は口をパクパクさせながら呻いている。ゾンビ共が少なくなった隙に、警官の死体からニューナンブを取り出す。
弾もポシェットから取る。ローダーは見つからない。畜生、ちゃんと用意しとけよ。
次の警官はちゃんと持ってたが、何分次弾装填はできたようで弾が少ない・・・後、四人から、弾と拳銃を頂戴する。ASPバトンも持っていたのでついでに失敬。
翔史の方も色々と取っていた。俺はすぐさま自分のバンへ乗り込む。翔史も自分の改造ハマー(なのか?)に乗り込む。
翔史:『何所行こうか?』
俺:「とりあえず、郊外のマートだな。」
翔史:『家はどうしようか?』
俺:「あの自宅基点でいいだろ、装備も整ってるし。」
そういって、俺等は町の端にある、閉店セールを始めていたダ○エーへと向かった。
続く〜
おー途中、被りましたか、墨間線
おぉ、タカヒロさんに眼鏡さん続編乙!
タカヒロさんのはみどり編とは違って積極的に外へ出てますね
しかし近場ではもう物資は尽きたようで・・・
その次はどのように打って出るのでしょうか
眼鏡さんもお久しぶりです。
主人公達は自宅を拠点にするつもりのようですが
それがなぜ民家に逃げ込むことになるのか・・・?
謎の女の子も居ますし、伏線が楽しみです
286 :
232:05/01/15 19:05:24 ID:MxLKsvtC
ヤツらが頻発に出没するようになった。それだけ人間が襲われたのだろう。昨日の政府の放送で「全ての国民はいかなる理由があろうとも外出を自粛せよ」との事だったので、オレはする事も無く家に居た。
まぁそれでも外には結構な人数が居たが、ヤツの姿を見て殺そうとする者、一目散に逃げる者、それらを見て楽しんでいる者など様々だった。
しかし幸いというかやはりというか、ヤツらは走れない。突然変異した個体もまだ確認されていないし、ドアを開けたり階段を昇ったりして家屋に侵入してくる事も無い。こちらから何もしなければ殆ど人畜無害だ。唯一する事といえばたまに群れるぐらいである。
しかし武器を持たずにヤツらの近くに行くなど、いくらヤツらの動きが緩慢とはいえ自殺行為に変わりは無い。まるで初心者向けのバイオハザードだな…そう思いながら今日は寝る事にした。明日は友達を連れてヤツらを少しでも減らそうと思う。
287 :
232:05/01/15 19:07:47 ID:MxLKsvtC
一緒に行くメンバーが決まった。越智君、ノッくん、ハジメ、良平。オレと良平以外は全員運動神経が良い。まぁヤツらからは少し早く歩くだけで逃げられるから大丈夫だろう。
とりあえずオレは違法AK+鉛玉入り500連マガジン2つと、鉛玉入りAUTO9と予備マガジン2つ、それにガスを持って行った。他のみんなはバットかバールだった。そして目撃情報が多い本通商店街に行った。…前とは打って変わってゴーストタウンのようだ。
そう思っていると、早速一匹現れた。オレはAUTO9のロックを外し、おもむろにヤツの頭目掛けて引き金を引いた。ブローバックの心地良い衝撃、そして「ビシィッッ!!!」という音と共に、鉛玉はヤツの頭に意外に大きめな風穴を開けた。
その数秒後、ヤツは真っ直ぐ前に倒れた。ヤツらの躯が腐っているのもあるだろうが、こんなに威力があるとは頼もしい限りだ。AKやP90はもっと凄いのだろう。オレが感心していると、他のみんなはヤツらの個体数を次々と減らしていた。
バイオハザードを見習ってか、確実に頭を狙っている。まぁ人体が頭を破壊されても動く事は無いなんて事は承知の事実だから当然か。そんな感じで今日は30匹ぐらい減ったと思う。だがこんな生活はいつまで続くのか…
288 :
232:05/01/15 19:11:12 ID:MxLKsvtC
>286
訂正です。
×「頻発に出没」
○「頻繁に出没」
ですね。大変失礼しました。
289 :
本当にあった怖い名無し:05/01/15 19:24:20 ID:b1dMkBvE
すげーたくさん作品が来てる。
みなさん乙です。
290 :
本当にあった怖い名無し:05/01/15 20:26:14 ID:ueSEW1lm
(;゜∀゜)ワクワク
ageるのかっ!?Σ(゚∀゚)
今日始めてここへ来たけど皆さん面白い話を書きますね(;´Д`)御疲れ様です
自分も物書きになりたいとか思ってたけれど面白い話かけないからなあ・・・
下手な小説より全然面白いですよ、頑張ってください〜
293 :
232:05/01/15 21:01:02 ID:MxLKsvtC
>292
そう言わずに書いてみては?このスレ遡ったらオレも同じような事言ってますよw
295 :
292:05/01/15 21:12:44 ID:72sLaMZd
反応が気になるけれど書いてみようかな
本当に詰まらなかったらそう言って下さいよ〜?(?
232殿の話にはワクワクさせられる
自分にこんなものが書けるのか心配・・・
ちょっと考えて書いてみますね、一応期待はしないで下さい('A`)
期待するなと
言われたら期待してしまうのが人情ってものでつね。
297 :
232:05/01/15 22:04:40 ID:MxLKsvtC
>295
ファイトです(=゚ω゚)ノシ
頑張って下さいね!待ってますよ〜。オレはまた明日書きますw
298 :
292:05/01/15 22:08:25 ID:72sLaMZd
朝。起きるといつも通りの退屈な一日が待っていた
もう3ヶ月近く陽の光を浴びていない
高校を卒業し、職を見つけたが続かなかった
俺には何のとりえも無く、新たな職を見つけるのは困難だった
高校時代からの相棒、パソコンの電源をつけ、一日が始まる
朝起きたばかりだが小腹が空いたので買い置きしていたコンビニの弁当を食う
飯を買う金は親が用意する、けれど最近親の顔を見ていない
俺が外出する時間は夜中の2時〜3時、近所のコンビニへ行くだけだ
見慣れた店員の顔が気に障る、俺の事をどう思っているのだろうか・・・
俺はつまり世間で言う「ひきこもり」って奴だ
趣味はパソコンと銃いじり、ミリタリー関連の本を読むこと
高校時代、サバイバルゲームをやっていたが、友人と口論になりやめた
いつも行っているサバゲー関連のサイトでは常連の一人
けれど俺と話しているこいつらはどうせ俺の事を俺が見ていないところで馬鹿にしているに違いない
現実世界で疲れ、データで作られた第二の世界にも嫌気がさしている、俺は死んだほうが良いのだろうか
世に必要とされず、親にも必要とされていない、いっそ消えてしまったほうが良いのかな?
オンラインゲーム、チャット、掲示板めぐり・・・腹が減った、飯を食う、眠い、寝る
そんな日を重ね、俺は成長していく
自分に嫌気がさしているのだが、この生活を止めようとは思わない、何にも縛られない自由な生活
299 :
292:05/01/15 22:30:54 ID:72sLaMZd
けれどそんな生活に、終わりが来た
ネットに繋がらない、一体どうしたのか・・・
俺はイライラして壁を叩いた、痛い
買い置きしていたおにぎりを食った、が、いくらが変色している
妙な臭いがする、壁におにぎりを投げつけた、ああ、イライラする
ベッドに寝転んでマンガを読む
寝てばかりいると、体が寝ている状態を当たり前の事だと錯覚するのだろうか
いつの間にか寝てしまった、起きたが、ネットには繋がらない
大声で親の名前を呼ぶが何も返ってこない
「糞、役にたたねー奴だ!」
自己中心的な思考回路がそう叫んだ
なんとかイライラを抑えようと銃を無意味に構えたりする
親の金を使って手に入れた銃も増えたな、と思う
もちろん「悪い」なんてこれっぽっちも思っちゃいない
ベッドでゴロゴロしながら*ガスブローバックの銃で遊ぶ
また、いつの間にか寝てしまった・・・ネットには繋がっていない
いつの間にか時計が止っていた、携帯も部屋の何処かへ行ってしまった
つい、今は何日なのか忘れてしまった、パソコンで見れると言う事さえ忘れていた
ネットに繋がらなくなって何日経ったのか、俺はまたイライラしていた
親の名を呼ぶが返事が無い、ふとパソコンを見ると時計が夜中の3時を示していた
コンビニにでも行こう、そう思って部屋のドアを開けた、目の前には真っ暗な玄関がある
靴を履き、歩いてコンビニへ向かう
不思議とどの家も明かりがついていない
人の気配がしない、この感じは不気味だ
コンビニに着いたが、明かりがついていない
店員の気配もなくて、ただ自動ドアの前で立ち尽くしている自分がいる
300 :
292:05/01/15 22:43:46 ID:72sLaMZd
ふと気付くと、交差点の向こうに人影があった、4〜5人はいるだろうか
なんとも頼りない感じでヨロヨロしている
「ホームレスか、キチガイか・・・」そう思った
車の通らない交差点を、その人影が歩いてくる
近づいてきた人影が段々と姿かたちが見える程度になった、俺は言葉を失った
恐怖と共に、鼻を突く刺激臭を感じた、即座に吐き気をもよおす様な臭いだ
腐った魚?いや違う、けれど肉が腐った臭いのようだ・・・
そう、近づいてきた人影は明らかに「腐った物」だった、いや、性格には「者」だろうか
人形(ひとがた)のその生き物は腐った人間・・・いや、それでは死体と変わらない
明らかにこちらへ歩いてくるものは「死んだ人間」であると気がつくのに時間はかからなかった
どっかの馬鹿がふざけているのかと思った、けれどそんな事を考えている間に、その「恐怖」は目の前に迫っていた
口を大きく開け、濁った目をし、骨の露出した頭、よく見れば腕が血だらけだ
俺は逃げた
なにやらあの生き物は走ることが出来ないようだ、俺は家へ息切れしながら帰った
この際関係ない、親へこの事を知らせるんだ・・・そう思いかーちゃんの居る部屋のドアを開けた
誰もいない、オヤジの部屋も同じだった、一体どうしたと言うのか・・・
俺は得体の知れない恐怖に、ただおびえることしか出来なかった
悪い夢だろうか、いや違う・・・これは現実、そう、リアルなのだ
301 :
292:05/01/15 22:45:24 ID:72sLaMZd
一応だらだらと書いてみましたがどうでしょう?
指摘とかありましたら何なりと(;´Д`)b
続きは店頭にて・・・では無くて暇な時にでも^^;
302 :
本当にあった怖い名無し:05/01/15 23:30:09 ID:hAn52nFQ
292さん乙です。続き楽しみにしてますよ。
ヒッキーの主人公イイ。
みどりさんの続編も期待しております。ワクワク
303 :
みどり:05/01/15 23:53:55 ID:hhmID16I
11日目
しんとした部屋。
窓を閉めていても聞こえてくる
ゾンビのうめき声。
気が狂いそう。
電話が鳴ったような気がして、受話器を取る。
ブツブツというノイズ。
廊下からノックの音が聞こえた気がして、
慌てて玄関の覗き窓から見る。
誰もいなかった。
もう、イヤ。
304 :
みどり:05/01/15 23:55:34 ID:hhmID16I
12日目
もう10日以上もお風呂に入っていない。
誰とも話をしていない。
気持ちが落ち込んで
どうしようもないので、
お父さんのウィスキーを飲んだ。
お腹にキリキリとしみる。
初めてのお酒。
意識がもうろうとしてきて
なんだかわからなくなった。
気がついたら、
服をぜんぶ脱いだまま玄関で寝ていた。
体中が痛くて、鏡で見ると
あちこちに刃物で切った傷があった。
部屋が血だらけだった。
ベッドの上にカッターが落ちている。
そっか。
自分で傷つけたんだ。
305 :
みどり:05/01/15 23:56:32 ID:hhmID16I
13日目
体中が包帯だらけになって
まるでミイラみたい。
傷が痛い。
だけど、痛さで正気が戻ってくる。
傷に消毒薬をつけた。
飛び上がるほど痛い。
だけど、頭がすっきりする。
このスキにこれからどうするか考えなくちゃ。
このままだと飢え死にしちゃう。
なんとかしよう。
今日は服を着たくなくて裸のまま過ごした。
306 :
みどり:05/01/15 23:57:15 ID:hhmID16I
14日目
今日は朝から雨。
ベランダに洗面器を出して雨水をためた。
お腹が減って我慢できなかったので、
台所にあったパン粉を食べた。
ちょっと元気が出てきた。
水がお風呂の5分の1くらいまでたまった。
今日も裸のままだった。
307 :
みどり:05/01/15 23:57:54 ID:hhmID16I
15日目
ラジオもケータイもパソコンも
テレビも電話も使えない。
誰とも話せない。
どうなっているの?!
私はこれからどうすれば良いの?!
気が狂いそう。
お腹が減った!
モスバーガーが食べたい。
お母さんのカレーが食べたい。
リンゴが食べたい。
お風呂に入りたい。
お父さんとお母さんに会いたい。
・・・会いたいよう。
308 :
みどり:05/01/15 23:58:47 ID:hhmID16I
16日目
もうトイレに行けない。
詰まって流れなくなっちゃった。
髪もボサボサ。
お風呂に入りたくて入りたくて、我慢できない。
体中が臭くてベタベタする!
頭がかゆい。
こんな臭い体のまま服を着たくない。
イヤ!イヤ!
私はベビーパウダーを裸の体中にこすりつけた。
全身真っ白になったけど、
少しすっきり。
もう、この部屋にはいられない。
ここから出よう。
でも、どこへ?
外はゾンビが歩いている。
私。死にたくない。
309 :
みどり:05/01/16 00:00:36 ID:TvcvDk5C
そうだ。
ベランダから隣の部屋に行けるはず。
どうしてそれに気がつかなかったんだろう。
誰かいるかもしれない。
これからどうしたらいいのか教えてほしい。
何が起こっているの。
私を助けて。
窓を開けてベランダに出た。
そして鉄柵に上ってソロソロと歩いた。
ここは4階。
落ちないように、ゆっくり。
下を見ると、何人かのゾンビが歩いていた。
隣のベランダに降りた。
窓にはカーテンが無い。
部屋の中がガランとしている。
そうだ。
お隣は引っ越したんだっけ。
私はまた柵に上って
さらに隣へ向かった。
窓が見える。
私はベランダに置いている植木鉢を取って
鍵の部分のガラスを割った。
310 :
みどり:05/01/16 00:02:08 ID:hhmID16I
手を少し切ったけど、
鍵を開ける事ができた。
カラカラという音と一緒に窓がひらく。
ガラスを踏まないように中に入った。
他人の部屋。
荷物が散乱して荒れている。
空気が少し生暖かい。
食器棚、机、ソファ。
テーブルに食べかけのカロリーメイト。
私はそれを取って夢中で食べた。
ここには、誰もいない・・・のかな。
キッチンと、お風呂場が見える。
同じマンション。
ウチと同じ作りなのに、
別世界みたいだ。
寝室に通じている部屋をあけた。
そのとたん、悲鳴が聞こえた。
私はびっくりした。
中年の男の人と女の人がいる。
ああ。
知っているおじさんとおばさんだわ。
生きていたのね。
私は嬉しくなって近寄ろうとした。
311 :
みどり:05/01/16 00:03:20 ID:hhmID16I
おばさんが叫んでいる。
おじさんが私に向かって怒鳴った。
この化け物め!ゾンビめ!
え。
どうして?
私はゾンビじゃないわ。
側にあったドレッサーが見えた。
私の姿が映っている。
体中に巻いた包帯。血がにじんでいて汚い。
見開いた目。
ベビーパウダーで全身が白い。
痩せてゲッソリ。
やだ。
私、裸のままだわ。
312 :
みどり:05/01/16 00:06:34 ID:TvcvDk5C
おじさんが私を突き飛ばした。
シリモチをつく。
起き上がろうとしたら、今度は蹴っ飛ばしてきた。
おじさんが台所に走って包丁を持ってきた。
そして私に向かって振り回す。
やめて!やめて!
わたしゾンビじゃないの。
隣の隣に住んでいるのよ。
忘れちゃったの?
イタッ!!
肩を切られた!
おじさんは顔を真っ赤にして、
向かってきた。
私は慌ててベランダに引き返した。
柵にのぼって部屋に戻ろうとしたら、
おじさんが私の脚を
ザクザクと刺してきた。
イタイ!
イタイ!
やめて!!
やめ・・・!
・・・あ。
手が滑っちゃった。
空が見える。
・・・私、落ちている。
313 :
みどり:05/01/16 00:08:12 ID:TvcvDk5C
ガキン!
と音がして頭と背中にショックが起こった。
いままで感じたことがない、すごい痛み。
息が止まる。
空気を吸い込もうとしても吸えない。
耳元でチョロチョロと音がして
生暖かくなった。
これって、血なの?
・・・誰?
そこにいるのだれ?
何人もの誰かが覗き込んでいる。
眩しくて、目が・・・。
あ。
ゾンビ。
逃げなきゃ。
襲われちゃう。
逃げなきゃ・・・
逃げ・・・
ー 終 ー
314 :
みどり:05/01/16 00:10:01 ID:TvcvDk5C
読んでいただき
ありがとうございました。
そろそろ脱出だ。ここらの地区は一軒屋が集中している。
そのせいか屋根と屋根との距離がなんと言っても短い。
おそらく幼稚園児でも屋根と屋根をつたっていける。
俺たちは武器になりそうなものを持って二階の窓から外に出た。
「行くか」「そうだな」
屋根から屋根へ。屋根渡りだけで町の郊外に出られるはずだ。
「ちょっと待て」いきなり友人が制してきた。
「どうした」「ここの家、ミキの家だ」
ミキとは俺達の幼馴染だ。ちなみに今一緒にいるのが景太で俺は祐一。
「入ってみるか」「そうしてみよう」
景太と俺は窓ガラスを金槌で割った。部屋の中に入る。
それにしても窓ガラス割るときに凄い音がなったな。
出たときに音でゾンビ達がこっちに来ると厄介だ。
部屋の中にあった鉛筆削りをなるべく遠くに投げた。
バリン!!バキン!!ドスッ!
途中不気味な音がなったがこれでゾンビどもは向こうへいくはずだ。
景太が部屋の扉を開けた。階段がすぐそこにある。一回は薄暗くよく見えない。
「おーい・・・ミキ、いるか?」友人が一言階段の下へ向かって大声でいったときだ。
ガチャ
部屋のクローゼットの中から泣いているミキ、ともう一人見たことある奴が出てきた。
「雪もいたのか」「うん」雪も俺と景太、ミキの幼馴染だ。
昔、四人でウルトラマン&ハカイダーVSセーラームーン&チビムーンとやらをやっていた。
「俺たち、町から出ようと思ってるんだがついてこないか?」景太が早速提案。
「危険だよ!」ミキが言う。確かに危険だ。屋根から滑り落ちれば助からないだろう。しかし
「仕方が無い。俺達とて危険性は承知だ」「祐一くんまでそんなこと言うの?」
「なら訊くが、野垂れ死にしていつか奴等の餌になるのと逃げて生きる。どちらがいい?」
「・・・私は行くよ」雪が呟く。「雪ちゃん、危ないよ?」それを急いでミキが制する。
「このままなら100%死んじゃう。それより生きのびれる確立にかけたいの」
「どうする、ミキ」「一人にはなりたくない。私も行くよ」
これで仲間は4人だ。とりあえずミキと雪の武器を調達しようと俺と天野は一階に降りた。
「・・・ここが台所だったよな」「たぶん」俺たちは台所に入ろうとした。と、
――うぉぉおおお・・・
廊下の奥から聞こえるうめき声。それは低い低い、そう“ヤツラ”の。
「ちっ!!」俺と天野はすぐに台所へ転がり込んだ。そして包丁を二本とるとすぐに出た。
「相沢、右!!」景太が叫ぶ。暗がりの中、ゆっくりとこちらへ歩いてくる死者が見える。
「早く上に上がるぞ!!」俺たちは二階に転がり込んだ。雪とミキが心配そうな顔をしてる。
「マズい。ここ、一階に一匹いる」「多分こっちへ来る出るぞ!」
景太は家出作った武器、「ガス火炎瓶」を手に持った。
階段を見ると奴が上ってこようとしているのが見えた。
ガス火炎瓶を手に持ち一階へ投げつけた。
轟く爆音。雷のような閃光。すさまじい熱風。
「す、すげー威力」景太が冷や汗まじりにつぶやいた。
俺達はミキの家を後にした。二階の窓から出ると再び屋根から屋根へと飛び移った。
数十分後ぐらいだろうか。遠くでミキの家が燃え上がっているのが見える。
「たぶん外にあるLPガスに引火したら大爆発だぞ」
と、炎が一瞬物凄い勢いで天を仰いだ。爆発したのだ。
「町の郊外まで今のペースなら二日で出れるはずだ」
「そんなにでかかったか?この町」「小さい町でも1日はかかるはずだからな」
「まったく、まるでバイオのアウトブレイクだ」「まるで、じゃない。そのものだ」
「景太くんも祐一くん、わかってると思うけどこれはゲームじゃないんだよ」
「いや、恐怖シミュレーション型町脱出アクションゲームだ。難易度は至上最高のな」
攻略本のないリアリティゲーム。いや、ゲーム的リアル。3日間のうち、1日目の終わり。
攻略本がないということは俺たちにはこれから何が起こるかは全てわからない。
これから出会う仲間たちと死んでいく仲間たちと俺たちが求める生への渇望の結果。
それは今はわからず、これからわかっていく。
ただ、俺はうすうす感づいていた。きっと――・・・
317 :
292:05/01/16 00:26:05 ID:oBK2/i1t
みどり殿の話はリアリティがかなりありますなあ(;´Д`)b
ついつい画面に顔を近づけて見てしまいました・・・
なんとも衝撃的な結末・・・自分もこんな作品を書いてみたいものです
御疲れ様でした、次回作を期待してましゅノシ
318 :
292:05/01/16 00:26:43 ID:oBK2/i1t
sage忘れました、すみましぇん。・゚・(ノД`)・゚・。
232さん、292さん乙!
232さんのベアリング弾は結構な威力でしたな
積極的に狩りに出た主人公達が現実的に手に入る武器だけで
どこまでやっていけるのか、続編楽しみにしてますぜ
292さんの主人公がヒキなのは斬新だと思うw
ミリタリーマニアってことでモデルガンとか使うんでしょうか
体力的には辛そうだけど・・・w
そしてみどりさん完走お疲れ様でした!
結局主人公は助かりませんでしたが、あの追い込まれ方では
助かるほうが不自然かもしれませんね。
最後まで淡々とした描写で楽しませていただきました。
良かったらまた別の作品をお願いします。できればトリップとか・・・w
(どうやらタカヒロさんとは別人のようですねw
Yuliさんも乙です!
とりあえず屋根伝いで街から脱出できそうですが
まだ道のりは長いようですね
脱出したあと彼らはどうするのか・・・・
そして主人公はきっとどうなのか!
続編お待ちしてます
みどりさん、面白かったです。
同じ時間軸をまた別の他人の視点から
書いてくれるとうれしいです。
例えばとなりのおじさんおばさんとか
3日間のうち、2日目の始まり。
「ちょ、ちょっと休まない?」雪がバテたのか座り込む。
「そういえば雪は生まれつき体が弱いんだったな」「うん。ごめんね」
俺達は誰かの家の二階の屋根に座って視界にうつる世界を見た。
ミキの家が爆発したこともあってか視界に映るゾンビはいない。
「・・・相沢」「わかっている、天野」景太と俺は感づいていた。
――後ろに誰かいる。
俺と景太は手元にあった手作り薙刀を持って立ち上がる。そして振り返った。
「・・・ゾンビ、じゃないな」「そうらしい」
いきなり薙刀持って立ち上がった俺と景太にビックリしている雪とミキを気にせず呟く。
「な、なんだ。ゾンビかと思ってビックリしたじゃないか。驚かせないで欲しいな」
後ろに立っていた奴の手には包丁よりも刃の部分が長い物が握られていた。
「・・・青龍刀?」俺はそれを見て呟いた。後ろにいた人は関心したかのように目を丸くした。
「よくわかったな」「もしかしてヤクザですか?」「ああ。そうだ」
さわやかな笑顔で答えてくれた。これじゃヤクザというより好青年だ。
「俺はタカオカミヤビ、高岡雅だ」そう名乗った。俺たちもとりあえず自己紹介。
「それにしてもお前らよくこんなところまで来たなー」
雅さんは部屋に入れてくれた。更に俺たちにお茶を出してくれた。本当にヤクザなのか。
「屋根と屋根との隙間のおかげですよ」「子供なのに頑張るんだなー」
雅さんがお茶を一口すする。律儀にも正座だ。
テレビの電源をつける。ライフラインは通っているおかげで電化製品が使える。
『―・・・政府はこのゾンビ化元凶のそろそろ解明できると発表』
ニュースはその後も情報を流し続けた。
よくあるゾンビではなく噛まれて死なないとゾンビにならない。
頭を破壊すると活動停止するということ。
ゾンビ化がウイルスによるものではないこと。
「うひゃー。こいつはヒデェな」雅さんがミカンを食べながらいった。迫力なし。
外はいつの間にかに暗い。ふと気付いたがところどころの家に電気がついている。
「俺たち以外にもこんなに生存者がいるのか・・・」景太が外を見る。
「ビックリだよね」「うん」雪とミキも外を見ている。
俺は雅さんが出してくれたコーヒーを飲んでいた。案外美味い。ふとTV画面を見た。
「これは・・・」俺は間違いなくテレビの映像がミキの家爆発の瞬間であることを確認した。
「どうやって映像を提供した。はっ、インターネットか」「どうしたの、祐一くん?」
「雅さん、インターネットって出来ますか?」「ああ、出来るぞ」
俺はすぐにとあるサイト、2つに接続した。
2ちゃんねる THE掲示板
どちらも巨大掲示板としては有名だ。ここから情報をもらう。
「『ゾンビ達は視力がないため物音などで判断をする。仲間を食わない理由は不明』」
俺はゾンビに関する情報をデマ、本当に関わらずまとめた。そしてゾンビのデータ完成。
「凄いな。これはいい」「うん。すごいよ」「GJ!」「ちょっと難しいー」
雅さんも仲間に入れて町脱出計画を考えた。
「問題はこの地点だな・・・」「そうだ。ここの時だけ下に下りなきゃいけないんだ」
町の地図の一つを見て呟く。郊外脱出の成功か失敗かの鍵となる場所。川だ。川があるのだ。
そのため橋を渡ることになる。地図の情報によるとわたるべき橋の長さが500m。
さほど長くは無いが幅が車二台分。ゾンビが50体でもいようものなら戦闘は免れない。
「・・・やるしかないんだな」景太が呟く。「そうだろうな」「面倒だなぁ、をい」
ふと雅さんが立ち上がり電話を始めた。内容を盗み聞きしてみると
「お前らも来い。なかなかいい子供たちだ。この計画なら町を脱出できるぞ」
町脱出の勧誘のようだ。とりあえず俺達は雅さんの家にその日は一泊した。
朝。俺達は早速町の郊外への脱出を再開した。雅さんは朝早くに用意した荷物を持っている。
「俺たち五人で橋を突破できるかどうか・・・」景太が呟く。「行けばわかる」
3日目の始まり。雅さんが電話で勧誘していたメンバーも合流した。
俺たち4人、雅さん、雅さんに誘われた人6人という計11人で出発した。
この3日目、町を脱出する日。やはり橋で事件はおきる。
>313
みどりさん、お疲れ様です。
面白かったけど、可哀想だよぅ。(つД`).゜.
325 :
292:05/01/16 01:47:39 ID:oBK2/i1t
退屈で窮屈な俺の部屋、けれど今は違う
久しぶりに走った事で息切れが激しい
苦しい、そして今まで感じた事の無い「恐怖」が体を蝕んでいくような感覚に襲われている
電源のついたままのパソコンでさえも、俺と外部が連絡を取り合う事を阻んでいる
*トイガンの箱で遮られていたベランダへの窓、箱を勢い良くどけ、3ヶ月の封印を解いた
見えるのは薄暗く静かな町並み、高校時代ここで見た夕日がやけに綺麗に見えたっけ・・・
見える建物、全てが真っ暗だ
いくらなんでもこれはおかしい、さっきの生物の仕業なのだろうか?
俺が外部との連絡が途絶えていた間、何があったのか
必死で考えてみたがただただ恐怖が襲ってくる、どうすれば良いのか?
戦う?いや、こんな俺が戦えるはず無い、まだ敵なのかさえわからない
必死に自分に負の心が言い聞かせた、弱い自分を守ろうとしているのだ
気付けば服を涙で濡らしていた、いつの間に俺はこんなに臆病になってしまったのか
その時、静寂をかき消す叫び声が耳に入る
声のするほうに顔を向けると、そこには狂ったように走る女の子がいた
ライフルスコープを手に取り、目を細めてみてみる
女の子の後ろに「居る」のはさっきの・・・・
女の子が何かにつまづいた、頭を撃ちつけるように凄い勢いで転ぶ
死んでしまったのだろうか・・・全く動かない
そしてその女の子の元にはあの得体の知れない生物が近づいていく
俺は目を疑った
その生物は倒れた女の子の前で屈むと、無造作にかじり始めたのだ
今まで生きていた人間を喰らう生物、あれは「ゾンビ」なのだろうか
気付けば死体にはゾンビが数体群がっていた、血だらけになりながらもお構い無しに食っている
ああ、どこかのグロサイトでみた動画の数倍は恐ろしい・・・
326 :
292:05/01/16 02:00:42 ID:oBK2/i1t
気付けば手がグッショリと汗に濡れ、小刻みに震えている
映像で見た死、「グロテスク」の数倍は恐怖を与える「現実」
ふと、吐き気を感じた。気付いた時には嘔吐を繰り返していた
「怖い」作り物じゃない恐怖が全身を包んでいた
ふらふらと部屋の中へ戻り、親父の寝室へ足を運んだ
親父のパソコンの電源を入れる、見慣れたアイコンをクリックした
良かった、繋がった・・・
毎日見ていたサイトが妙に懐かしく感じられた
震える手でタイピングする、俺が連日覗いていたサイトへ辿り着いた
けれど、俺がネットに繋げ無くなった辺りからなんの書き込みも無い
良く見たら大型検索サイトの更新まで止ってるじゃないか・・・
部屋の片隅にあったテレビの電源をつけた
色々チャンネルを変えるが「放送中止」なんて文字ばかりだ
ニュースがやっていた
「非常事態発生 日本全域に食人生物発生」
まさにあのゾンビを指している、日本全域・・・どうなってるんだ・・・
細菌兵器だとか色々考えたが、結局行き着く先は同じだった
「俺は どうなってしまうのか」
何を思ったか、自分の部屋へ入り、服を脱ぐ
タンスを開け、*B.D.Uを取り出し、着る
なんの意味も無いが、気持ちが落ち着いた
俺はゲームの主人公にでもなった気持ちでいる
死と言う恐怖が迫り来る中、俺は冷静さを取り戻そうとしていた
327 :
292:05/01/16 02:20:03 ID:oBK2/i1t
*電動ガンを持ち、装備を固めた、マガジンにも玉を込め、サバゲならば始められる勢いだ
格好とは裏腹に、手は震え、まだ半泣き状態で、人に見せられる顔ではない
日本全域にあんな化け物がいる、何をすべきか
海外逃亡?どうやっても無理だ
安全地帯の確保、どれだけの時間がかかるのか
あえて危険を冒す必要はあるのだろうか?そんな考えが頭を過ぎる
物語の主人公ならば「意味が無いからこそ」とか格好良い事を言うべきなんだろう
けれど俺はそんな勇気も無い、死にたくない、そう死にたくないのだ
ベッドに座り、色々考えていた
考えることで何かが変わるなんて思っちゃいない
けれど俺みたいな弱虫は考えるしかないんだ、そう・・・考えるしか・・・
考え疲れて寝てしまった
ふと気付くと窓からは明るく優しい陽の光が射しこんでいた
「そうだ、朝になればゾンビはいなくなるんじゃ・・・」
そう思い窓の外を覗いた俺は心臓が止るほど驚いた
ズボンを独特の臭いの液体が濡らしていた、けれどそれどころでは無い
ベランダには、俺の親父とお袋がいた
けれどそれは親父でもお袋でも無かった
変わり果てた姿の2人は、俺を覗き込んでいる
腰が抜けた俺は動くことも出来ず、変わり果てた2人を見つめるだけだった
「急げ!予定より1時間遅れてるぞ」雅さんが急かす。
俺は体が弱いおかげで早くバテた雪を背中に背負って雅さんを追う。屋根の上をドタバタ走る。
家に立てこもっている生存者の方々がたまにビックリして窓から顔をひょっこりと出す。
その中には俺たちの後をついてくる奴がいて11人からさらに17人に増えた。
「よし、予定通りになってきた」「つ、疲れてきたー」「ここからはゆっくり行こう」
その後、順調に川まで来た。俺達はゾンビがいないことを確認すると屋根から下りた。
「橋は大丈夫だろうか・・・」「大丈夫だと信じよう」
まぁ、そんなに世の中は甘くないわけで・・・
「何匹ぐらいいる?」「あまりにも、多すぎじゃないか?」「同意」「37、38、39・・・」
「うひゃー。橋をほぼ埋め尽くしてるよ。ひでぇ」「雅さん、ミカン早く食べ終わって下さい」
「73、74、75、76・・・76人いるよ」「多っ!!」「仕方ない、ガス火炎瓶用意」
物陰で作戦を練り直す。そして新しい作戦が完成した。
「天野、行くぞ」「合点!」まず俺と天野が片手に1つずつガス火炎瓶を持って橋へ近づく。
ゾンビ達が気付いてこちらへ近づいてくる。俺と天野はガス火炎瓶を手から放った。
何回見ても物凄い威力だ。26匹ぐらいはこれで殺したはずだ。
その後、後から来た雅さんたちとゾンビの群れへ突っ込む。
俺と景太の薙刀がいい武器となった。これは竿竹の先にナイフを結びつけて作っているものだ。
おかげでリーチが長く自分に対する危険が少ない。雪たちも俺たち同様の武器だが扱いが下手だった。
雅さん達は竿竹の先にくぎ抜きつきの金槌を結びつけて武器を作った。
雅たちは「グングニル」と名づけていたが槍じゃないので違うと思った。
そんなことは置いといて威力は相当のものだった。ゾンビ達の頭を潰していくグングニル(?)。
ふと、後ろを振り返ったすると町の方角からゾンビ達が来ようとしていた。
「は、半端なく多っ!」「絶対100超える」「どうするの・・・」「殺るしかない」
俺と景太はガス火炎瓶のように自作の武器、「透け惨拡散」を使用することにした。
導火線に火をつけて投げ飛ばす。町方角から来るゾンビ達の真ん中あたりに落ちた。
ふと甲高い破裂音とともにゾンビのうめき声が聞こえる。
透け惨拡散は名前こそ馬鹿馬鹿しいがそこそこ強いはずだ。
丸い入れ物に圧縮した火薬をいれているという単純なものだ。
火薬に引火すると入れ物が破裂し四方八方に飛び散る。多分弾丸と速さは変わらないだろう。
もともと橋にいたゾンビは残り10体ほどにまでなっている。
後から来るゾンビは透け惨拡散の威力で残り70体ほどだろう。
「誰か後方のゾンビを倒しにいくから援護頼む!」
誰かが叫ぶ。俺たち17人のうち10人が後方の約70体へ、残りは10体相手をしていた。
「・・・な、なんじゃアリャ・・・」雅さんが一体のゾンビを見て呟いた。
恐らく身長2m以上はあるだろうという巨大なゾンビ。
「これは頭叩くの大変だな」俺は手作り薙刀を握る手の力をさらに強めた。
「前方ゾンビ全員ぶっ殺し終えたぜ!」景太が俺の横に立つ。
「こっちは17人。相手はおおよそ70体、か」「やるしかないだろ。行くぞ!」
俺と景太が薙刀を一気に前へ向いて突き出した。ナイフの刃が眼球をつらぬき、脳へ食い込む。
「う、うわぁぁぁぁあああ!!」
一人が絶叫した。見ると腕を噛まれたらしい。血が出ているところを見るとかなりの力のようだ。
俺はすぐに駆け寄り噛んでいる奴を薙刀でなぎ払った。
「死ななければ大丈夫って政府が言ってるから大丈夫だ」と俺は噛まれた奴に言った。
「ち、2m以上ゾンビなんて邪魔だ!」景太が薙刀を2mゾンビに突き刺した。と、
「・・・!!抜けない」薙刀を手から放す。深々と胸に突き刺さってるのに動きは変わらない。
「コイツ、ヤバい」2m以上ゾンビの後ろにいた雅さんは青龍刀で斬りつけようとしていた。
しかし、その光景を見て2mゾンビの周りのゾンビを殺すことに目標を変えた。
「でかいからか?」俺は周りをみた。橋を支える鉄骨が目に入る。
俺は薙刀を持ったまんま鉄骨を上った。少しバランス崩せば川に落ちるという恐怖。
2m以上ゾンビの視線と俺の視線が同じになるような位置に立った。
足元に集るゾンビは雅と景太が蹴散らしてくれる。俺は薙刀を構えた。
そしてジャンプ。2m以上ゾンビの頭に深く深くこめかみからこめかみへ突き抜ける薙刀。
うめき声をあげた。いや、うめき声ではない。叫び声だ。ゾンビの叫び声。
俺は背伸びして薙刀を掴み、引っこ抜いた。そして2m以上ゾンビのあごのしたから上へと突き上げた。
その後、さらに抉る。グチョグチョという気色悪い音が響く。
「相沢・・・もう、いいだろう」景太が俺の肩に手を置く。
「・・・そうだな・・・」俺はゆっくり倒れる巨体のゾンビを見送った。
しかし、俺は何かが起こりそうだと薄々感じていた。ふと何か強い衝撃が俺を襲った。
「なっ・・・!!」俺の腹を薙刀が貫いている。振り向くと死んだはずの2mゾンビがいた。
――明らかに笑っている。
いきなり目を見開き、2m以上ゾンビのともし火が消えたのが確認できた。
「相沢、大丈夫か」
「こ、これが・・・大丈、夫に見える、か?と、とりあえ、ず・・・自衛隊のとこ・・・ろ・・・へ」
朦朧とする視界。腹を突き抜けた自作薙刀の刃が見える。俺の意識はそこで途絶えた・・・。
「・・・・・」
目覚めてみれば朝だった。鏡が見える。なんともない。普通の俺だ。
まわりは見たことないような場所だ。どこだろうか・・・ここは。
「・・・天野達は」
景太、雪、ミキ、雅さんの姿が見えない。俺は立ち上がると部屋を出た。
廊下には白衣の人が沢山、あとは病人らしき人。どうやら病院のようだ。
「ん?」ふと新聞が視界にうつった。
『日本政府、上空からゾンビ化の原因抹殺用の霧を各地で散布し始める』
「助かった・・・のか?」俺は詳細が読みたくなり新聞に手を伸ばした。
「『ゾンビにならなかった人の中には不死身(イモータル)というものになる人もいる。
これは常人では考えられないことに体全体が万能細胞で出来ているという人である』・・・何のことだか」
俺は自分が寝ていた病室らしき部屋に戻った。
「それにしても天野達はいったい何処へ」
俺がそう呟いた瞬間だった。ベッドの下、荷物入れなどから天野達が出てきた。
「心臓に悪いぞ」「すまん」景太達はさほどの怪我ではないようだ。雅さんが骨折したのかギブスをはめている。
「俺、よく生きてるよな」「医者もビックリするほどの奇跡だ。意識に限っては百兆人に一人の確立だとさ」
景太は「一週間も寝やがって」と愚痴った。ふと俺は自分の手に瘡蓋があるのに気付いた。
――一週間あったんだから瘡蓋がなくなるぐらいにまで治ってくれればよかったのになー。
俺はそう思った。途端だった。いきなり瘡蓋が小さくなり、やがて消え正常な皮膚が現れた。
一瞬俺は動揺した。それを景太達に悟られないように冷静さを取り繕った。
いったい何がおきたというのだろうか。俺は先ほど見た記事を思い出した。
ゾンビにならなかった人の中には不死身(イモータル)というものになる人もいる。
これは常人では考えられないことに体全体が万能細胞で出来ているという人である
この記事には続きがあった。
『万能細胞を思うがままに操れる』
俺は無傷の手を握った。そして「掌に瘡蓋」とイメージした。
手を広げるとそこにはイメージした瘡蓋そのものがあった。
「・・・俺は・・・なんなんだ・・・?」
俺は生き残った。しかし俺は人間なのか?ゾンビ?イモータル?
その答えはあのゾンビが知っているはず。俺が殺したあのゾンビの微笑だけが。
イモータル以外はどんなのが
333 :
本当にあった怖い名無し:05/01/16 03:29:29 ID:YNIPUk0c
オィこそが 333へとー
334 :
本当にあった怖い名無し:05/01/16 04:43:32 ID:WfsQ6R89
揚
335 :
本当にあった怖い名無し:05/01/16 15:21:01 ID:pmuZxu1P
吐け!
336 :
292:05/01/16 16:08:36 ID:fYdEGJi6
数秒の時間が過ぎた
俺にはとても長く感じられた
ゾンビになった俺の両親は、俺に襲い掛かって来る気配は無い
だが俺は逃げ出した、部屋の扉を勢い良く開け、玄関を出た
もう何がなんだか分からない、助けて・・・・助けて・・・
町は異様な静けさに包まれていた
そこをひたすらに走る俺の足音と息切れだけが聞こえる
よく見ればどこかの軍隊にでも入ったかのような格好をしている
重い、銃を持っていないのに弾ばかり持ってきてしまった、重い
けれど何故か捨てる気になれなかった、何かを失うのが怖かった
いつも通りの街並み
いつもと違うのは陽が射していると言う事
誰一人いないであろう町は、不思議と自然に感じられた
苦しいので歩いた、本格的に揃えた装備は俺の悲鳴を欲しているのだろうか
喰い込む紐や足の指を曲げさせてくれない硬いブーツ・・・
辺りを警戒しながら進んでいくが、一行に何も現われはしない
ゾンビになった両親の顔が頭を過ぎった
不思議と涙は出てこなかったが、胸が苦しい
偽りで作り上げた「俺」の中で何かが動いている
「親孝行の1つも出来ない馬鹿な息子でごめんね」
自分の意思に反して、遂には涙を流した、こんな気持ちは初めてだ
極限状態であるのは間違いないが、俺の中から緊張感が消えていった
目の前で見た死、そしてそれが自分に襲い掛かろうとしている
死ねば良いと思っていた俺が、今変わりつつある
死にたくない、死ねない
俺は奴等に屈することなく、生き延びてやるんだと心に誓った
Yuliさん、292さん乙!
脱出劇メインで話が進んでいくのかと思っていましたが
相沢がこういうことになるとは全く予想していませんでした
果たして助かったといえるのかどうか…
ヒキの主人公はやはり体力がないようですが大丈夫なのでしょうか
サバイバルゲームのことは分かりませんがゾンビに対して有効に使えそうな
技術があったりするのかな?(所々にあるアスタリスクは注釈ですよねw
*どこにあるの?
ん?
何かトイガンとか電動ガンの前のとこだよ
340 :
本当にあった怖い名無し:05/01/16 21:25:45 ID:I25IMkw+
Yuriさん、292さん乙です!
相沢のイモータル化という予想外な展開には驚きました。
ヒキの主人公も今は不安がありますが今後の展開に期待!
二人とも頑張れ〜!
すみません、sage忘れてました。
342 :
232:05/01/16 22:15:33 ID:1Zx9p2Lc
最近一層ヤツらが増えてきた。そこで広範囲を一掃出来るだろうと思い、モロトフを二種類作ってみた。一つは普通に酒で、もう一つは以前調べた手製爆弾と同じページにあった特殊なモノだ。
作り方は至って簡単で、ガソリンとモーターオイルを粘りが出るまでよく混ぜたら出来上がり。これに点火すると、
踏み付けたり強風が吹いたとしても中々消えない。部屋の中で点火しようものなら、たちまち爆発して周りの壁や天井にへばり付き、あっという間に燃え広がる。
これをヤツらに試してみた。まず広場に集まるのを待ってから両方一本ずつヤツらの中心に投げ込む。するとそこに火柱が上がり、
さながらキャンプファイヤーのようになった。燃えているのは積み上げられた木ではなく、「人」から「唯本能のままに活動する蛋白質に成り下がったモノ」だが。
343 :
232:05/01/16 22:17:18 ID:1Zx9p2Lc
それで20匹ほど減った後、狙撃用スコープ付きAKで数体の頭を撃ってみた。「ズバァンッッ!!!」という音と同時にヤツらの頭が半分、もしくはそれに近いぐらい吹き飛んだ。
AUTO9とは桁違いだが、これほどに高威力だとは夢にも思わなかった。今まともに警察が機能していれば銃刀法違反で捕まるだろう。
しかしその警察も今は自宅待機中だ。今現在外で活動しているのは自衛隊ぐらいのものだろう。だがオレのように地方に住んでいる人間には関係無い。
それにしても政府は何をしているのか…原因ぐらい解明してくれれば、国民に希望の一つだって生まれるだろうに。
幸いライフラインは全て生きている。が、それだけに今の生活には何とも言えない違和感がある。こんな生活では、皆いずれ発狂してしまうだろう。
ヤツらより、狂った人間の方が格段に恐ろしい。人間には「知能」があるからだ。そうなる事はどうしても避けたいが、オレ一人ではどうにもならない。
…考えていてもキリが無いので、今日は早めに寝る事にした。
344 :
232:05/01/16 22:22:06 ID:1Zx9p2Lc
なんかAKの威力が異常ですが気にしないで下さいw 他の皆さんも乙です〜。
345 :
マサヒコ:05/01/17 02:27:46 ID:jxPaO4/4†
奴らは突然やってきた。
当時8歳だった俺は、ただ兄貴と一緒に逃げることしかできなかった。何があっても兄貴がなんとかしてくれる。そう信じていた。
事件がおきたとき、すでに両親は化け物になっていた。変わり果てた姿になった両親を見て、俺は恐怖に縛られ動くことができなかった。
346 :
マサヒコ:05/01/17 02:56:47 ID:jxPaO4/4†
動けない俺に一歩ずつ近づいてくる両親。そして、ついに俺の目の前まで来て俺に噛みつこうとした瞬間……突然俺は誰かに突き飛ばされた。そして、俺の両親は奇声を発して倒れた。
何が起こったのか混乱しきった俺はすぐに認識することができなかった。だが次の一声で俺は正気に戻ることができた。
「おい、大丈夫か恭介?」
そう、動くことのできなかった俺を助けてくれたのは兄貴だった。
「うん、大丈夫、ありがとう。……!!!兄ちゃんその腕どうしたの!!」
兄貴の腕からは血が流れでていた。
「……今やりあったときに切ったみたいだな。けど大丈夫だ心配ない。」
兄貴はそう言って腕に包帯を巻いて俺に心配をかけないようにした。その時はまさかあんな事になってしまうとは思ってもいなかった。
347 :
マサヒコ:05/01/17 03:01:24 ID:jxPaO4/4†
なんとなく書いてはみたけど、こんな駄文でいいのかな?
もしよかったら続けようかと思っています。問題があったら教えてください。
348 :
本当にあった怖い名無し:05/01/17 03:27:32 ID:nOOOVX+W†
続けてください。私は今ストーリー考えてる最中です。
232さん、Yuliさん、銀縁の眼鏡さん、292さん、乙です。
みどりさん、完結乙でした。ゲームで言えばバッドエンド
ですけど、現実ならやはりこういうふうになっちゃいますね。
マサヒコさん、ぜひ続きをお願いします。
350 :
マサヒコ:05/01/17 19:02:28 ID:jxPaO4/4†
兄貴は俺が冷静になったのを確認すると俺にこう言った。
「これからある所に行くが、ここからだとかなりの距離がある。恭介は食べ物をできるだけ用意しておいてくれ。」
俺は兄貴に言われた通り、リュックに食料を詰め始めた。その間に兄貴はガスガンや竹ぼうきを加工して竹槍を作ったりしていた。
「よし、準備は整ったな?恭介はこれを持っていろ。」
そう言って俺に火炎瓶や手製の手榴弾を俺に渡してくれた。
「車に乗り込む間に奴らが近づいてきたらそいつをおみまいしてやれ!行くぞ恭介!」
そう言って俺たちは外に飛び出していった……
現代のサバイバルゲームは一部を除き大体が銃での撃ち合いになります
よりスポーツとしての活動が増えてきており、名前の通り過酷なわけではありません
その面を考えてしまうと実際は得に有効なものはないかもしれません
文章中の*については専門的用語を示すものとしてつけました
一応後に解説を入れる予定でしたが分かりにくかったですね、失礼しました
もう少し早めに返事を書きたかったのですが回線の問題でアクセス禁止になってしまってまして(;´Д`)
352 :
マサヒコ:05/01/17 19:33:51 ID:jxPaO4/4†
外に出ると化け物が2、3匹いた。
兄貴はそいつらにむかってガスガンを撃ち込んだ。
奴らは肉体が腐っているため、兄貴の改造ガスガンの弾幕の前に簡単に崩れ落ちた。
「こいつら以外に仲間はいないな!走るぞ恭介!!」
兄貴の車は家から少し離れた駐車場に停めてあるため俺たちは急いでそこまで走った。
途中化け物と遭遇したが数が少なかったため兄貴の敵ではなかった。
「よし!なんとか無事にたどり着いたな。!?恭介後ろ!!」
振り返るとそこには化け物がすぐ後ろに迫ってきていた。
奴が襲いかかってきた瞬間俺は驚いて転んでしまった。だがそのおかげで運よく攻撃をかわすことができた。
「このやろう!くたばりやがれ!」
兄貴はそいつの頭にめがけて竹槍を突き刺した。
「アギイイウギャィーー」
奴は断末魔の悲鳴をあげその場に崩れ落ちた。
「ばかやろう!気を付けろ!お前も俺みたいに!………いや、何でもない。とにかく気を付けろよ。今みたいに突然くることだってあるんだからな。とにかく早く車に乗れ。」
そう言って兄貴は車の中に入っていき俺もその後につづいた。
さっき兄貴が何を言いかけたのかはその時はまだわからなかった……
353 :
マサヒコ:05/01/17 19:45:59 ID:jxPaO4/4.
とりあえず続きを投下。
訂正
×ガスガンや竹ぼうきを加工して
〇ガスガンを用意したり竹ぼうきを加工して
書いた後に気付きました。いったいどうやったらガスガン+竹ぼうきで竹槍になるんですかねぇ(笑)
こんな情けない作者ですがこれからも暇な時はどんどん書いていきたいと思います。
354 :
292:05/01/17 20:51:36 ID:dBpKE0VL0
確実に近づいているであろう恐怖は、まだ俺の見える所には現れないようだ
まだ「奴等」に関する情報が無いのが不安だった、怖かった
とりあえず何をすれば良いかを最優先に考えていたが、得に見つかるものは無かった
戦う力の無い俺が武器を持っても仕方ないし、非難するにしても確実な安全は無い
ああ、そういえばしばらく何も食べてないな・・・お腹がすいた
ドアの開いたコンビニがある、けれど俺は入れなかった
あの狭い空間で奴等と遭遇してしまったら、もし複数いたら・・・
俺は恐怖する事に疲れていたが、恐怖は消えなかった
歌でも歌ってごまかそうとしたが、声にならない
この3ヶ月の間に、街は少しではあるが変化していた
俺が行ったことの無い大型のデパート・・・ここは安全だろうか?
どうせ誰もいやしない、そう思いドアを開けようと手を伸ばしたが、開かない
「そうか・・・カギがしまってるんだよな・・・」
諦めようとしたその時、ふと目に入ったのはすぐ隣の半開きの自動ドアだった
体を横にして滑り込む、中は昼だと言うのに薄暗い、妙な臭いがする
これは・・・肉の腐った臭い・・・まさか・・・・・
355 :
292:05/01/17 21:04:49 ID:dBpKE0VL0
俺はあのゾンビを思い浮かべた
体が動かない、胸が苦しい・・・
けれど臭いの正体は以外なものだった
少し歩いた所にある食品コーナー
腐った牛肉、豚肉・・・魚・・・
いつもの俺ならば目をそむけていたであろう、けれど俺はまじまじと見続けていた
ふと気付いた、食料が沢山ある事に
飲料水や保存食どころでは無い、新鮮な肉類は無いとしても、十分な食料はある
そうだ、ここにいれば何日でも、何ヶ月でも生活が出来るんじゃないか?
俺は一通り店内を見回ることにした
1階は衣類、食料
2階はスポーツ用品やブランド物のバッグや靴、生活用品がある
3階はゲームセンターのコーナー、ゲームショップ、玩具屋、CDショップもある
これ以上は屋上だが、駐車場になっており、まだ複数の車が放置されていた
キーの挿しっぱなしの車を見つけたが、俺は運転することが出来ない
とりあえず食料の確保は出来た、暇つぶしも十分に出来る
あとはやはり武器、力の無い俺でも扱える武器・・・
玩具屋には多少の*トイガンが並んでいたが、ノーマルでどれだけのダメージを与えられるか・・・
まずは相手を知る必要があるな・・・
けれどもちろんあんな奴等にはもう会いたくも無い
俺は疲れてしまったのか、装備類を一度外して、2階の生活用品コーナーのベッドに寝転び
売り物の雑誌を読みながら、眠りに就いたのであった・・・
356 :
本当にあった怖い名無し:05/01/17 21:15:30 ID:HqvwVZdIO
ワクワク(・∀・)
357 :
292:05/01/17 21:19:51 ID:dBpKE0VL0
デパートに砦を構えて1日目
安全な経路の確保を俺は欠かさなかった
1階、出口が東西南北、4方にある
2、3階にはそれぞれ下の階に通じる階段があるのみ、エレベータは止っている
屋上には車で通る外に通じる道が2箇所ある
各階に駐車場があるのにも気付いた
俺はまず、生活用品のコーナーで見つけた釘や木材で1階4方の出入り口を塞いだ
勝手な想像だが、奴等には「登る」力が無いのではないかと考えたからだ
もし、万が一4階から侵入されたとしたら・・・・
俺は対策を必死で考えていた、解決策とまでは行かないがいくつか考えが浮かんだ
安心したのも束の間、武器を調達に出かけることにした
生活用品コーナーで見つけた可燃性のスプレー
花火、金属、木製バット、硬球、工具各種、チェーンソー・・・
かなり接近しなければ効果の無いものばかりだ
トイガンのコーナーへ向かい、銃をいくつか調達した
カスタム・パーツを見つけ、組み込もうかと思ったのだが
肝心の内部分解用の工具が見つからなかった・・・
*電動ガンのパワー・アップは無理だと考え、*ボルトアクションライフルのカスタムを行った
威力的には空のアルミ缶を両面貫通程度にはなっているが、どれだけの効果があるやら・・・
このライフルは1発ずつ弾を装填させる必要があり、複数の敵では攻撃が困難になる
ましてや威力さえそれほど強いわけでは無い、これが問題なのだ
必死で考えていると、なにやら1階で大きな物音がした・・・
358 :
新人:05/01/17 23:01:05 ID:rw8Pxp7W0
「んんん〜〜〜」
思いっきり伸びをしながら目が覚めた。
寒い、ん、ここ玄関だよ。
そうか、昨日は帰ってくるなり寝ちゃったんだな。
無理もない、ちょっと大酒飲み過ぎた。
新宿で友達と別れた後、どうやって下北沢のワンルームまで
戻ってきたのか全然思い出せない。ま、いいか。
変な姿勢のまま寝込んだせいか体が重い。腕が痺れてる。
タバコが吸いたい、タバコ、タバコ、、、あれ、無い。買いに行こ。
よろよろ立ち上がって表に出た。俺もバカだね。我慢しろよ。
まあ自販機は通り出てすぐのとこだからいいか。
ついでに飲み物も買おう。
通りに出た。暗い。あれ、今何時だっけ、、、
ここで初めて時計を見た。朝の5時、なんだよ全然寝てないじゃん。
こんな時間は人間の活動時間外、起きてる香具師は糞。
と、思うが結構人が歩いてるもんだ。
向こうから酔っ払いが歩いてきた。
そうだよ、こいつこそこの時間の主。千鳥足でブツブツいってる。
あれ、こっち向かってくる、、、いいからあっち行けよ。
藻舞なんか知らねーよ。それにしても汚ねーな。服汚しちゃってさ。
その点俺なんか深酒してても頭は正常だよw
念が通じたね。酔っ払いはこっちを見ながらも通り過ぎていった。
359 :
新人:05/01/17 23:03:09 ID:rw8Pxp7W0
ドーーーンと音がした。そっちを見る。
車が停まっている。
あれ、電信柱にめり込んじゃってるよ。事故だ!!
中を覗くと女の人がうずくまっている。怪我してるのかな。
周りの人も集まってきた。急がなくちゃ。
運転席の方にまわって窓を叩いてみる。もの凄い悲鳴。
ちょっとムカっときた。でも助けなきゃ。
ドアノブに手をかける。女はロックしようとしたが間に合った。開いた。
女が助手席に逃げようとする。
そんなぁ、怪しいものじゃありませんよ、、、
女の足を掴んだ。何となくかじってしまった。あれ、、、
普通こういうシーンじゃパンツ脱がせるよな、などとおバカなことを
考えつつ、、、もう一回かじってしまった。何でこんなことすんだろ。
何の味もしない、歯ざわりも感じない、血まみれになった俺の手に
血の生温かさが伝わってこない、、、でもかじるの止まらない、、、
思い出した。家に帰る途中、酔っ払いが絡んできていきなり俺の手
かじったんだっけ。振りほどいて蹴りいれたら動かなくなったんで
あわてて逃げてきたんだっけな。
左手を見たら指が3本無くなってる。このあとどうしよ、、、
おしまい
360 :
232:05/01/17 23:04:01 ID:mHmdRAYkO
最近外が妙に静かだ。この辺のヤツらは一匹残らず死んだのか…?だがローカルニュースでは相変わらず警報が出されている。まぁ県全域の警報だから、県の中心部にはまだいるのだろう。
幸いにも、家の近辺で襲われた人間はまだ一人もいない。以前来ていたヤツらは違う所から来たらしい。特にする事も無いので、今日もヤツらの数を減らしに出掛けた。今日の武器はP90。確か外国の特殊部隊にも採用されているシロモノだ。
そうは言っても、所詮は改造で極端に殺傷能力の秀でたオモチャなのだが、ヤツらに対してはかなり頼りになる。早速アホなヤツが一匹、フラフラと頼りなさ気に歩いていた。ギアをフルオートにして引き金を引く。
「スタタタタタタッ」という軽い音を出してヤツの頭を鉛玉が削り飛ばし、段々向こうの景色が見えてくる。気が付くとヤツの下顎から上が無くなっていた。
361 :
232:05/01/17 23:05:49 ID:mHmdRAYkO
周りにヤツらがいないことを確認して、商店街の店の中に使えるモノが無いか探す事にした。まずは行きつけのガンショップ。奇跡的に一つも荒らされてなく、鍵も開いていた。
オレが以前から目をつけていたモノ…それはディスプレイ用のガトリングガンだった。ディスプレイ用とは書いてあるが実際に撃てる。そしてまたたっぷり鉛玉をもらって店を出た後、もう一軒違う店に寄った。
美術店。ここは、この街で唯一刀剣を置いている店だ。早速日本刀を手に取り重さの程度を確認した後、試し斬りをしてみた。ヤツの背後に忍び寄って、横に一閃する。
斬れ味はあまり感じなかった。外したのか…?と思いもう一度ヤツを斬ろうとした矢先、ヤツは上下別々に崩れた。斬れてなかったのではなく、斬れ味が良すぎてわからなかったのだ。今日の収穫に満足した後、二つの店に鍵をかけ、帰路についた。
家に帰ってテレビをつけ、ニュースを見ていたらどうやらヤツらはこっちに向かって来ているらしい。政府や自衛隊は何やってんだよ…とボヤきながら、ここを素通りしてくれるよう願った後、寝る事にした。
362 :
232:05/01/17 23:10:12 ID:mHmdRAYkO
>360
何か文章が矛盾してる…本当すいませんm(__)m
232さん、マサヒコさん、292さん、新人さん、作品投下乙です!
232さんの主人公は次第に装備が整ってきてるようですな。
矛盾した部分は遠出してみたんだと脳内補完しておきますw
ベアリングだと弾も再利用できそうだし、敵の数多いとかえって有利なのかな
と思いました。
マサヒコさんの作品の「兄貴」はやはりやばいことになってしまいそうな感じですね。
頼れそうな兄貴なのですが・・・
竹ぼうきとガスガンを組み合わせた武器を想像してしまいました(*´д`*)
続編お待ちしてます。
新人さんもお疲れ様でした。笑い事ではないのになんとも気楽な感じが漂ってましたね。
実際ゾンビの頭の中ってこんなのかもしれませんね。
良かったらまたお願いします。
292さん、遅くなりましたが回答ありがとうございました。
なるほど、実際には生存術とかトラップみたいなのはサバイバルゲームの
範疇ではないんですか。しかしそれだと主人公体力ないしますます・・・(;´Д`)
364 :
292:05/01/18 00:32:16 ID:qvv9pZl60
恐怖に震えながらも止ったエスカレーターを降りる
確かに大きな音がしたはずなのだが、何の気配も無い
聞き違いでは無い、確かに聞こえたはずなのだ・・・
四方のバリケードも突破された様子は無い、一体どうしたと言うのか
2階に戻ろうとしたその瞬間にまたも乾いた音が鳴り響いた
音はデパート内からではなく、バリケードの隙間、外から聞こえてきている
東口だろうか、恐る恐る駆け寄る
すると、ほんの数センチの隙間から紺色の服の端が見えた
隙間から光が差し込む、どうやら移動したようだ・・・
「バン!」
飛び上がるように俺は驚いた、心臓が止る想いだった
その後、耳を劈くような悲鳴と、生の肉を食いちぎるような音が聞こえた
奴等だ、人が奴等に襲われているんだ・・・助けなきゃ・・・
でもどうする?俺が襲われたらどうする?見ず知らずの人間を助けるほどお人良しなのか俺は!?
その場に立ち尽くし数十分、いつしか音は消えていた
バリケードの隙間から流れ入るドス黒い血
恐る恐る近づき、そこから外を覗いてみた
「うおわぁっ!?」
思わず悲鳴を上げてしまった、そこにはこちらを見つめ死んでいる男がいたのだ
血しぶきに顔を汚し、服を裂かれ血だらけになっているが、その男が何なのかはわかる
警官だ、制服を着ているし、拳銃を握ったまま死んでいる
俺はその時、何が起こっていたのか理解した
必死で逃げて逃げて、辿り着いた先がこのデパート
けれどバリケードが張られ、そのでくたびれ倒れた男
いつしかやってきたゾンビ達、男は拳銃で抵抗した
けれど、奴等には敵わなかった、もし、バリケードが無かったら・・・
365 :
292:05/01/18 00:38:44 ID:qvv9pZl60
そんな事を考えていたが、目の前に落ちている武器に目が行った
拳銃である、間違いなく実弾を発射できる強力な武器
勢い良く隙間に手を押入れ、奪い取る
もう死体に恐怖心など抱いていなかった
息切れしている、興奮なのだろうか、始めて触る銃に惚れたのか
おもむろに壁側のショー・ウィンドウに向け、引き金を引いた
「カチッ」
弾は出ない、弾切れのようだ
ガッカリしたと言うよりは、何か情けないような心境だった
思い切り銃を投げ捨てると、俺は2階へ戻った
目の前で失った強力な武器が使えなかった事に苛立っていた
いや、苛立ちではなく、極度の恐怖を味わっている状態だ
がむしゃらに、気が狂ったようにコップや食器を投げ捨てる
大きな音を立てて割れる食器、俺は気分がスーっとした
CDプレイヤー・CD、電池を見つけたので音楽を聴く
流行の音楽など興味は無い、懐かしい曲やアニソンを聴いたりする
デパートの一角にある店だ、大した品は置いてなかった
366 :
本当にあった怖い名無し:05/01/18 00:50:51 ID:H/dgxaegO
>新人さん
面白いですよ!ゾンビ視点の話って、無かった気がします。
出来れば続きが読みたいです。
もしくは、僕が自分で書いてみようかなぁ…
自信は無いけど。^^;
ご閲覧頂き有難う御座います
最近のサバイバルゲームは先程申した通りに、より「スポーツ」に近づいてきてます
安全面を徹底的に考慮したレギュレーションを設ける等様々な「安全性」があります
そんな中でのんびりとやる「ゲーム」ですので実戦では得に有利になる点はありません
銃の取り扱い方や戦闘体勢といったような事は常人離れはしていると思いますけどね^^;
232氏の物語のように好戦的な物語を書いては見たいのですが
一応私もサバイバルゲーム等趣味としてやっている身でして
違法的改造を描写するのは少し気が引けてしまって(;´Д`)
それと微妙なアドバイスと言うか指摘と言うか・・・ですが
電動ガンでベアリング弾を使うと銃自体かなりの負荷がかかる状態です
元々電動ガンはパワーアップ改造には限度がありまして・・・;
揚げ足を取るようで申し訳ありませんが社会的認知度が低い物故、それを楽しんでいる身である私が安全性を説くのはある意味自然であること
その辺りをご理解頂けますと幸いですm(_ _)m
(以下 専門用語解説)
*ガスブローバックガン=パワー・ソースが専用のガス、ガスの力を利用し、実銃の様なアクションを楽しめる(スライドが後退します)
*トイガン=名の通り玩具の銃を指す言葉、サバイバルゲーム等で使用される銃全般を指す
*B.D.U=バトル・ドレス・ユニフォームの略、主に迷彩服(戦闘服)を指す、装備類は別
*電動ガン=パワー・ソースがバッテリー(電気)、電気でモーターを回転させる構造で連射できるのが魅力
長々と失礼しました、皆さんのお話に負けないよう頑張ります
今夜はこの辺で〜^^;
368 :
新人:05/01/18 01:33:20 ID:h4iQJYQ40
まいった。本当にまいった。
いやー ゾンビなんて殴り倒すもんだと思ってたけど、
まさか自分がなるとはね。
俺も嫌いじゃないからいろいろゾンビ映画観たり、
そういう世界に投げ出されたらどうやって生き延びようか
想像してみたりしてたよ。とりあえずコンビニに篭ろうとか。
2ちゃんも見てた。ヲタが小説書いてうpしてるの見て
「こいつらバカだなー」とか藁ってた。
あいつら今頃楽しんでんだろーなー。うらやますい。
あれから1ヶ月、何人か襲ったけど結構本当にいるのな。
2ちゃんの書き込みそのままにランボーになりきってるの。
でもね、聖闘士星矢の格好はないだろ・・・プゲラ
こっちもキモいから襲いたくないんだけど襲わずには
いられない本能?が哀しい。でもやっぱキモい。
でもこんな香具師の臭い気にしなくていいのは楽だね。
こっちも風呂入れないし、それ以前に体腐ってきてるから
かなーり臭ってそうなんだけど嗅覚死んでるし。お互い様。
今なら夏場のラジオ会館行っても平気だね。
それにしても腐りの進行が早くなってきた今日この頃、、、
ちょっと心配。
このスレを見て、ちょっと書いてみたんですが、
エアガンとかガスガンネタが292氏や232氏と被ってる上に
中途半端な知識で書いているもので、投下していいものかと^^;
GOサインが出たら、投稿してみようかと思ってる次第で
370 :
232:05/01/18 08:01:25 ID:G2lr9wmYO
>292さん
まぁまぁ、所詮は唯のリア工が書いてる駄文なんで、サバゲやってる292さんがそういう事を気にするのは仕方ない事だと思いますよ。
実際オレはそんなに銃に詳しい訳でもなく、292さん的に「オイちょっと待てよ」っていう部分も多々あるかと思います。
でもこれはフィクションですし、そういう細かい事はとっぱらって読んでいただけると幸いです。
マサヒコさん、292さん、新人さん、232さん、乙です。
新人さんの作品は、怖いですね。
自分が意識を残したままゾンビ化したらと
思うと… (((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
>>366さん、
>>369さん
GO GO!!
どんどんいっちゃいましょ!
GOサインが出たので投稿したいと思います
俺はこの小屋で昼寝するのが好きだ。
子供の頃、友達数人と木の間に作った小屋。
そこで昼寝するのが俺の日課のようなものだった。
俺の住んでいるこの村は山に近い田舎町。
住民も200から300ぐらいしかいない小さな町だ。
特に事件もなく、住民同士の仲も良好、至って平穏な町。
だけど、まさかあんな事件に巻き込まれるとは、
俺も…いや、誰一人して思ってはいなかった。
微かに聞こえる鳥の囀りで目を覚ます。
まだ覚醒しきってない目で腕時計に目を向けると午後4時。
ここについたのが1時ぐらいだから、3時間も寝てたか。
「ちと寝過ぎたかなぁ…」
そう一人ごちながら、小屋から飛び降りる。
上を見上げると木々の間から、オレンジがかった空が見えた。
それを見上げながら、山から道までの短い道を下っていく。
道に出た直後、周囲に妙な異臭が漂っている事に気付いた。
だが、今の俺にはそれが何なのかわからなかった。
大方外に出したままだった食い物が腐ったとか、その程度にしか考えられない。
しばらく道なりに歩いていくと、お爺さんが倒れていた。
その側には介抱しているのか、お婆さんがかがんでいる。
「どうかしましたか?」
そう声をかけながら近づいていく。
だが、近づいていく毎に耳に妙な音が入ってきた。
ガシュだかムシャだが、何か柔らかいものを噛み砕いているような…。
そして、少し前に感じた異臭も強くなっていく。
嫌な予感がした。
明らかにおかしい、周りにそんな匂いを発するようなものはないし、それにこの音。
おかしい、おかしい…そう思いつつも俺は歩を進め、そのお婆さんへ声をかけた。
「あの、何かあったんですか?」
そう聞いた直後だった。
お婆さんがこちらに振り向いた。
「ヒッ!」
我ながら情けない声を上げたと思う。
それも当然だ。
お婆さんが明らかにおかしかった。
口…というより顔中血だらけ、肌はただれ、溶けたようになり、青紫色に変わっている。
そして、一瞬見えたお爺さんの腹は、おそらくお婆さんがやったのだろう。
文字通り『喰われて』いた。
腰を抜かしたように座り込んでしまった俺を見ながら、お婆さんが立ち上がる。
血だらけの口を開き、俺に覆いかぶさるように迫ってきた。
あまりの事態と衝撃に動けずにいた俺だが、咄嗟に脚が出た。
覆い被さろうとしたお婆さんの腹を蹴り上げ、その衝撃でお婆さんは後ろへ仰向けに倒れた。
逃げないと逃げないと、本能がそう伝えてくる。
ぎこちない動作で立ち上がると、一目散に逃げ出した。
後ろを振り向くと、お婆さんも立ち上がり、俺を追いかけてくる。
荒い息で、脚がもつれつつも走り続ける。
確か、確かあんなのを映画で見たぞ、あれは…あれは確か。
頭がうまく働かない。
ただ走っているだけなのに、普段以上に体力が消費され、息も荒くなっていく。
ぼやけた視線を前に向けると、この状況には似つかわしくない人間の姿が目に入った。
女の子だ。
膝より少し上の黒いスカート、スカートと同じく黒いセーラー服…
かどうかはイマイチわからないが、そんなようなの。
そして、腰まで伸びたその服よりもさらに黒い髪。
おかしくなったお婆さんに追われる男という妙なシチュに似合わない、その優雅な立ち振る舞い。
こんな状況だってのに、俺は少し見とれてしまった。
しかし、その優雅さに反して、肩の高さまで上げた右腕に握られているのは…銃?
「伏せて…」
透き通るような声で…おそらく俺にだろうが、そう告げてきた。
さっきから状況が変わりまくって頭は混乱していたが、その言葉に身体は素直に従った。
俺が転がるように地面に倒れるのを確認すると、その子が手にもった銃の引き金を引いた、
バシュッっと、何か空気が排出されるような音と同時に、
後ろから迫ってきていたお婆さんが仰け反った。
弾が発射されたらしい。
彼女は顔色一つ変えず、仰け反ったお婆さんの頭部へ銃弾を発射していく。
4発か5発ほど撃った後だろうか、お婆さんは後ろへ倒れ、そのまま動かなくなった。
急にその場に沈黙が広がる。
そんな中、自分の荒い息使いだけが妙に耳障りだった。
地面に座ったまま呆けていると、後ろから手が差し伸べられた。
「…生きてる?」
さっき聞いた透き通るような声。
振り返ると、少し腰を落として俺に手を差し伸べている女の子の姿が見えた。
「あ、ああ…」
状況が把握できない俺はそう答えるのが精一杯だった。
彼女の手を取り、立ち上がる。
よく見てみれば、服装以上に彼女の姿は異常だった。
小さな身体には大き過ぎるリュック、腰にはホルスター二つ、片方に銃が入れてあり、
胸にもホルスターがあって、そこに銃、肩にはスリングをつけたショットガン。
セーラー服っぽい外見に反して、その装備は異常だ。
さっぱり意味がわからない。
お婆さんがお爺さん喰って、俺に襲い掛かってきて、さらに妙な女の子が銃でお婆さん倒して…。
俺が昼寝している間に一体何があったんだ…。
彼女の方を見ると、上着の内ポケットからマガジンを取り出して、入れ替えているところだ。
とりあえず、状況を把握するのが先決だと俺は思った。
今のところこんなところです
ほとんどゾンビ出てきてないのでアレですが
こんなのでよければ、また続きを書こうかと思います
377 :
マサヒコ:05/01/18 18:19:59 ID:Xcqcs9K1O
車で移動を開始してから約5時間。俺たちが向かう所は、軍の人間が中心になって集まった地下シェルターである。その間に奴らに関する情報をある程度教えてもらった。
奴らが現れた原因は不明だが、ある細菌が死体に感染し動き出したという。また、この細菌は生きている人間には効果は無いらしい。
感染した死体は、まず肉体が腐り始め、一時間程度で動き出すという。そして、奴らは生きている人間を襲いだす。奴らに殺られた人間も同じように感染し、また人を襲うという。
奴らの唯一の弱点は頭部であり、そこを破壊されると活動を停止する。
この事から奴らの名称をこう呼ぶらしい………「ゾンビ」と………
378 :
マサヒコ:05/01/18 18:34:11 ID:Xcqcs9K1O
兄貴は突然車を止めた。
「ちぃ、やっぱりガス欠になっちまったか。ここからは歩いて行くぞ恭介!」
そう言って俺たちはまわりにゾンビがいないのを確認するとその場から走り去った。
車から降りて既に四時間がたった。まわりは暗くなっていて、8歳の俺には体力的にかなりきつかったが、幸いにもまわりには民家が少なく、ゾンビの数も少なかったためゾンビと遭遇しても兄貴は簡単に退けることができた。
俺たちが歩いていると50mくらい先に民家が見えた。兄貴は
「かなり暗くなってきたからこれ以上は危険だな。今日はあそこの家で休もう。」
そう言って俺たちは民家に向かった。
379 :
マサヒコ:05/01/18 18:45:39 ID:Xcqcs9K1O
民家に入るとそこにはゾンビが3体いた。きっとこの家の住人だったのだろう……
兄貴がゾンビと戦っている中、俺は一匹のゾンビを見ていた。
そのゾンビはまだ子供で歳は俺よりも下だっただろう。
そのゾンビは俺に気づいたのか、こっちに向かってきた。
俺は近くにあった置物を投げつけようとしたが人間だった時の子供の姿が頭をよぎり、攻撃することができなかった。
そんな事はおかまいなしに俺にゆっくりと近づいてくるゾンビ……
そして、ついに俺の目の前まできて大きく口を開いた……
俺はもうだめだと思い目をつぶった。
……だがそいつは俺に噛みつく事はなかった。
そう、間一髪のところで兄貴がそのゾンビを殺ったのだ。
380 :
マサヒコ:05/01/18 19:13:32 ID:Xcqcs9K1O
とりあえず3話投下。
シナリオは出来上がってるのに自分の構成力不足に悩まされる今日この頃……
(最初に考えてたのと少し違ってきてるし……)
232さん、292さん、新人さん、ドロドロさん、乙です。
ドロドロさん、ぜひ続きを!
381 :
マサヒコ:05/01/18 19:16:30 ID:Xcqcs9K1O
とりあえず3話投下。
シナリオは出来上がってるのに自分の構成力不足に悩まされる今日この頃……
(最初に考えてたのと少し違ってきてるし……)
232さん、292さん、新人さん、ドロドロさん乙です。
ドロドロさん、ぜひ続きを!
382 :
マサヒコ:05/01/18 19:23:38 ID:Xcqcs9K1O
すみません、携帯の調子悪くて二重カキコやっちまいました。
皆さん、お許しをm(_ _)m
383 :
292:05/01/18 22:26:32 ID:IJzbncT10
暇だった俺はトイガンを使って店の品物を撃っていた
割れるプラスチックの容器、プラモデル・・・
俺はどうしても「不安」を自分から取り除く事が出来なかった
やる気が起きない、このままじっとしていたい
奴等に食われるくらいなら・・・このまま餓死するのも良いかな・・・
大きな窓から街を見下ろす、奴等の姿は無い
一体いつまでこんな生活が続くのか・・・
日本は、いや、世界は今どうなっているのか
このデパートは電気が通っていない
外部との連絡手段を探しているのだが、見つからない
やり場の無い気持ちが俺に暴動を起こすことを指示する
それを必死にこらえ、今日は寝ることにした
柔らかなベッドに寝転び、目を閉じる
驚くほど静かな店内で、1人ぼっちの俺、寂しい
明日は・・・外へ出てみようか・・・
そんな事を思いつつ、深い眠りに就いたのであった
384 :
292:05/01/18 22:42:37 ID:IJzbncT10
俺が目を覚ましたのは、16時間後だった
眠りすぎですっかり鈍ってしまった体を引きずり、1階食品売り場で飯を食う
ライターやマッチはあるが、火を使った料理は食べていない、料理は出来ないのだ
引きこもっていたあの部屋へ、ある日お袋が料理を作って持ってきたっけ・・・
そうだ、あの時俺は・・・投げ捨てて・・・
涙に拭いて勢い良く立ち上がる
けれど俺は、何かをしようと思ったわけではなかった
動いていないと、孤独に押しつぶされそうだったからだ
光の漏れる東の入り口、少しずつ近づき、隙間から外を見る
あの警官はすっかり干からびていた
けれど光が心地よい、外に・・・出てみようか・・・
気付けば4階にいた
4階からは外へ通じる車用の道がある
そこを歩いていけば、危険性は薄いはずだ
進む足取りはとても重かったが、進み続けた
怖い、怖い、怖い
怖いはずなのに俺は止らなかった
遂に外に出た、辺りは昼間とは思えない静けさに包まれている
外に出たのは良いが、何をしよう・・・
下手に動けば奴等に見つかるかもしれない
まずは武器を探そうか、それとも奴等の手から逃れる術を見つけようか
悩みに悩んだのだが、結局答えは出ずに、ぶらぶらと街を歩いた
ガンショップ○× ○□鉄砲火薬店・・・
鉄砲火薬店・・・ここならば実銃が置いてあるのではないだろうか
1階はトイガンショップ、2階が猟銃専門店になっているこの店
迷わず2階へと通じる階段を駆け上がり、店内を見回す
そこに、俺の探していたものは、あった――――
385 :
ななしさん:05/01/18 23:15:10 ID:pmYdY/saO
では漏れも投下
韓国、ソウル郊外にある公園のゴミ箱に男が大きな箱を捨てた。早朝で公園には誰もいないようだ。
男が箱を捨てた数分後に2人組のホームレスのような身なりをした男達が現れ、その箱を拾っていった。
箱を拾っていった2人組の男達は小さな空き家に入った。箱を開けるとVZ64スコルピオンサブマシンガンにその銃弾数十発、
そしてガラスの小さなケース十数個が入っていた。
ケースには得体の知れない液体が入っている。
「大変な作戦になりそうですね中尉」
2人組のうちの若いほうの男が初老の男に話かけた。
若い男は興奮を隠しきれないようだ。
「落ち着いて行けよ、催(チェ)軍曹」
中尉と呼ばれた男は催軍曹にそう言いながら立ち上がった。
人民軍偵察局の工作員2人は短いやり取りをしたのちに、装備を持って空き家を後にした。
続きはまた後日。
386 :
新人:05/01/19 00:31:08 ID:D2e8sSSc0
だめだ!だめだ!!だめだ!!!
腐敗がとまらない
手が動かない、ますぐ歩けない、きおつけできない
387 :
新人:05/01/19 01:06:26 ID:D2e8sSSc0
ここ数日誰も生きている人を見かけない。
俺以外、みんな死んでしまったのだろうか。
ゾンビもだいぶ減ってきた。いや減ってはいない。
道端に転がってて動かないのばっかり。
ひどいのはバラバラ、五体満足なのはいない。
時たま歩き回っているのを見かけるが動きが鈍い。
イラッこいつらも手がなかったりする。
首だけ落ちててませきうあh何名さmですか。
目だけがきょろきょろしてるのもいる。
生き残ってる人たちよ、もう少しの辛抱だ。
御注文を繰り返シマrhぴskshごpsjは
みんなどこにいったんだ?
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(21)
バスが渋滞に捕まり、さっきから全然動かない。
普段なら15分くらいで駅に着くはずだ。
たしかにこの道は、通勤時間や夕方になると混むので、時間帯によっては駅周辺で
もたつくこともあるのだが、いまはまだお昼前。
苛立たしげにクラクションを鳴らす車が、道路中に溢れている。
いつもと変わりないように見えて、やはり社会が麻痺し始めてきているようだった。
遠くのほうで怒鳴りあう声が聞こえてくる。
スカートの裾が乱れていたので手を伸ばしたら、ヌルッとした嫌な感触がした。
濃い色使いのブレザーだったから気がつかなかったが、さっきまで血に濡れた廊下を
転げまわっていたせいで、制服がベトベトだった。
片腕を上げ、匂いを嗅いでみる。
生臭い血と腐敗臭が、カラダ全体にこびりついているような感じだ。
早く家に帰って、お風呂に入りたかった。
指にこびりついた血痰を前の椅子に擦り付けながら、そう思った。
ふいに携帯の着メロが鳴る。
エリからのTELだと思って、あわててポケットから携帯を取り出した。
興奮しているのか、わたしの手は震え、折りたたまれた携帯を開くのももどかしい。
「もっ、もしもし・・・!もしもし・・・!!」
『・・・キョ・・・・・・・・・か・・・』
雑音が酷くて、よく聞き取れない。
『・・・キョ・・・・・・コか?』
父の声だった。
わたしの携帯にかけてくるなんて、初めてだったので驚いた。
最近はほとんど口も聞かなくなっていたくせに、父の声を聞いて安堵したのか、また涙が
止まらなくなってくる。
カラダもガクガクと震えてきた。
「パッ、パパ・・・!?パパなの!?」
『学校はいいから・・・・・・早く家に・・・・・・ママと長野のおばあちゃ・・・・・・行きな・・・・・・』
「パパ!聞いて!さっき学校で・・・」
『オレはも・・・・・・メだ・・・・・・会社で・・・・・・若い・・・・・・発病し・・・・・・逃げられ・・・・・・』
ガラスが割れ落ち、メキメキとなにかが軋む音が、携帯の向こう側から聞こえた。
男のわめき声と女の悲鳴が入り混じり、父のいる場所がパニックになっているのが判る。
『・・・社長!・・・ヤバイっすよ!!あいつらが・・・入って・・・・・・』
『・・・いま行く!・・・バリケードを押さえ・・・・・・』
いきなり携帯が切れた。
「パパ!!パパ!!」
わたしは怖くなって、父に向かって叫んだ。
だが両腕で握り締めた携帯の待ち受け画面には、お気に入りの可愛いマスコットたちの
姿はなく、まるで化粧がポロリと剥がれ落ちたかのように消え失せていた。
白くなった液晶画面の中央に『しばらくお待ちください』という、味もそっけもない文字が
静かに浮かんでいるだけだった。
どうしようもない喪失感に、わたしの胸がはちきれそうになる。
だが、なにをどうしていいのか判らない。
勢いよく座席から立ち上がったが、立ち上がった状態のままその場をウロウロとし、
「もうっ!」という苛立ちの声を吐き出すと、周囲の座席の背もたれをぺチッと叩き、
そのままドスンッと乱暴な音を立てて、元の椅子に座り直す。
しばらくするとまた立ち上がり、同じことをして再び席に戻る。
内心の焦燥を押し殺すかのように、わたしは訳の分からない行動を繰り返した。
もちろんなんの解決にもならないけど、とにかく焦っていたのだ。
父が死んでしまうかもしれないことが、たまらなく怖かった。
バスの運転手が、コッチをちらちらと見ている。
でもなにを言うでもなく、ハンドルを握ったままだ。
いかにも現代の若者っぽい、クールな対応だった。
『ただ気になるのは、ほかの・・・』
父が前夜、母とわたしになにか話そうとして、寸前で飲み込んでしまった言葉を思い出す。
たぶん屍人騒動を見物していた若い社員のなかで、屍人に噛まれたけど病院へ運ばれ
なかった人がいたのだろう。
事態を軽く考えていたのか、それとも怖くて黙っていたのかは判らないけど、ともかく
その噛まれた張本人が屍人化してしまい、社内で暴れまわっていたんだと思う。
父たちが会社から逃げ出せないのは、父の部下が『あいつら』と言っていたように、
屍人がひとりではなく複数いるからで、それは屍人化現象があっという間に広がって
しまった日本の社会的事情が、父の会社でも当てはまっていたということに他ならない。
日本は外国に比べ、のんびりとした民族性を持っている。
島国だから、外敵に滅ぼされる危険性が少なかったからだ。
そのためか、日本人が慌てるのは実際にコトが起こってからで、それゆえに極端な
行動を起こしやすい。
最悪な事態に対し、予測したり準備したりする人間、とくに周囲を煽って商売にする
マスコミ関係者ではなく、力のない普通の一般人は、均一的なシステムを築いてきた
日本人社会では異端視されてしまう風潮がある。
父だって、薄々は気がついていたはずなのだ。
しかしあえて口にしなかったのは、いたずらに母やわたしを刺激したくなかったのと、
万が一のときは国やマスコミが何とかしてくれる、という安易な思い込みがあったから
ではないだろうか。
屍人化の恐れのある社員に対しても、きっと本人の判断に任せ、通報や拘束といった
強引な選択肢は、最初から存在しなかったにちがいない。
父は優しいヒトだったから・・・
でもその恩情がけっきょくは事態を悪化させ、見えないところで犠牲者がどんどんと
広がり、気がついたときにはもはや手遅れ、という最悪な展開になってしまった。
誰かがそのうち、なんとかしてくれるはず。
それは裕福で安全な営みを享受してきたわたしたちだからこその発想であり、非常事態が
起こったら、けっきょく一番に頼れるのは自分自身の力でしかないのだということを
忘れてさせてしまうほど、居心地のいい社会に浸っていたツケでもあった。
これから起こる地獄を潜り抜けられたのは、物事に大らかな善人ではなく、狡猾で
残忍で貪欲で薄汚い悪人たちばかりだった。
わたしは、そういう人間たちに搾取され続けてきた。
口に入れられる食べ物のような「モノ」を得るために、どれだけの屈辱が必要だった
ことだろうか。
泥水を啜りながら懸命に耐え、なんとか独りで生きていくチカラを手に入れた。
それは、いまのわたしにとっての誇りだ。
でも本音を言えば、なにもできなかった頃の自分のほうが好きだ。
甘えん坊で、ワガママで、無力な子供だったわたし。
それが許された、あの時代が好きだ。
なにもできなかった当時のわたしは、「父がいなくなる」という、ジリジリと心の奥底
から湧き上がってくる不安に耐えられず、顔をくしゃくしゃにして、ただ大声で泣き喚く
だけのバカそのものだった。
「・・・うわああああ〜〜〜〜ん!!!!」
手足をバタバタとさせ、まるで子供が駄々をこねるように、おんおんと泣いた。
バスの運転手は、あいかわらず知らん振りを決め込んでいる。
父がいなくなる。
死んでしまう。
突然訪れた離別に、高校生のわたしは感情の赴くまま地団駄を踏む。
「イヤだ!こんなの、ヒドイよ!パパ!」
自分が急に放り出されたような気がした。
それが心細くて、寂しくて、腹立たしくて、無性に悲しかったのだ。
幼稚園の頃、わたしは父に甘えてばかりいた。
欲しいものはなんでも買ってくれたし、ワガママも聞いてくれた。
仕事が忙しかったくせに、夕方になると父は、いつも家に帰ってきていたらしい。
わたしとお風呂に入るのが日課で、そのあとは一緒に晩御飯も食べた。
食べ終わると同時に慌しく家をあとにし、そのまま夜更けまで仕事を続けていたそうだ。
あまり覚えてはいないのだけれど、父がいないとわたしの機嫌が悪くなり、当時は
かなりの父親っ子だったと、母が語っていた。
小学校に入ってからも蜜月関係は続いていたが、あるとき自分の父がほかの友達の父親と
比べ、歳を取っていることに気が付き、それがなんとなく恥ずかしく思った。
当時のわたしの勝手気ままな性格は、だんだん内向的なものへと変わってきていた。
なにが原因かは判らない。
学校でイジメられるのが怖くて、目立たないような、他人の顔色を伺うような、そんな
小心者を演じることで、学校生活をなんとか乗り切ろうとしていたような気がする。
家の中ではお姫様扱いだったが、学校の共同生活を味わうことで、外と内との落差を
子供なりに感じていたのだろう。
他人の存在が怖かったのだ。
その他人を拒絶する性向は、生理が始まる頃には、父の拒絶へと繋がっていく。
友達の父親たちよりも、白髪交じりの父が老けていることを笑われるのが嫌だった。
無邪気な子供から大人の女への脱皮が間近だったことから、わたしは父のことを自分
とはちがう生き物、つまり「オトコ」と認識していたのかもしれない。
だから父を避けるようになり、また父もそのことを敏感に察知していたようだ。
わたしたちは、互いにどうコミュニケーションをとっていいのか判らず、また理解する
ために傷つけ合うことも避けたかったので、結果的にふたりの間には見えない壁のような
ものができてしまっていた。
母は教育熱に火がついたのか、急に口やかましくなってきた。
父も母の方針にとくに口を挟まず、むしろ彼女を応援しているフシがあったので、
相対的にわたしへの厳しさが増していき、昔のようなお姫様扱いはされなくなった。
それでも平均的な日本の家庭よりは、大切に育ててくれたのは間違いない。
もっとも当時のわたしは、昔の名残なのか、内向的なわりにワガママで内弁慶なところが
あったので、愚かにも両親たちをずっと敵視して恨んでいたものだ。
平和な時代が続いていれば、こうした葛藤もやがては時が解決してくれるはずだった。
だがすでに父も母もいない。
子供じみた意地なんか張らず、もっとやさしく接してあげれば良かった。
両親へ感謝する気持ちを伝えられないのが、とても残念だ。
いまでも時々、平和だったあの頃の夢を見る。
父と母、そしてわたしがテーブルを囲み、仲良くカレーライスを食べている夢だ。
(・・・来週に続く)
あーあ、ようやく規制が解けて書き込める。
PIP隊長、お騒がせしました(汗
そんなオレ様も、ようやくショーンをゲット!
レンタルで済ませようと思ったけど、ずっと貸し出し中だったし、
日本未公開だったからガマンできんかった。
すげぇ面白かったから、買ってよかったよ。(選曲がまたいいんだ、コレが)
去年は「新丼」「バイオU」「アンデッド」、過去の作品のDVD化等、
ゾンビものの当たり年だったねぇ。
このスレもみんなが投下してきたから、面白くなってきたな。
書くのも好きだけど、読むのも好き。
たくさんの人の生き様と死に様に触れると、人の何倍も生きたような気がする。
だからどんな流れにせよ、ひとつひとつが尊いんだ。
前スレで未完の人たちも、続きをぜひ書いてほしいね。
・・・エアガンやばい。
ウチでも、ちょっと出てくる。
ずっと先だけど。
主人公とすれ違うだけだけど、あんま気にしないで。
元「月刊GUN」読者として、見逃してちょ。
396 :
新人:05/01/19 01:43:49 ID:D2e8sSSc0
だめだ!だめだ!!だめだ!!!
腐敗がとまらない 。
手が動かない、真っ直ぐ歩けない、気をつけできないよ。
一つわかったことがある。
体全体が腐っていく中、一番最初に噛まれた左手のあたりだけ
妙に生々しい。毒がいい方に効いてるのかな。
この毒を全身に塗れば直るかも。
397 :
新人:05/01/19 01:45:09 ID:D2e8sSSc0
仕事に行かなきゃと毎日駅に行くが電車が来ないので
しばらく電車を待っても来ないのでコンビニに寄って
家に帰るがコンビニも真っ暗で何も無い。だから
空が明るくなると仕事に行かなきゃと毎日駅に行くが
電車が来ないのでしばらく電車を待ったけど毎日
何も来ないから帰るのです。いらっしゃいませ、
何名様ですか、御注文を繰り返しますと毎日毎日
言っているんだけれども俺は何を言ってるんだろう。
でもまあみんながいたころと変わらない毎日だな。
電車に乗るかどうかの違いだけであってあのころも
別に誰と会ったか何があったかなんて家に帰れば
忘れて次の日が来てたし、このことを偉い人が
習慣とよんでいた言葉なのだね。
398 :
新人:05/01/19 01:47:05 ID:D2e8sSSc0
今日は仕事があるので駅に行く。
いい匂いがしてきた。人間がいた。懐かしい。
最近誰とも喋っていないので話したかった。
おなかが空いた。匂いなんてするわけないと理性が
わかっていたけどいい匂い。音が聞こえるわけは
ないんだけど、これが人の言葉だったっけかな、
なんか音が聞こえる。
向こうに行っちゃう。待ってよ。俺がいるんだよ。
お互いよく生き延びられたもんだな。
言いたいことが山ほどあったので叫んだ。
待ってよ。聞こえないのかよ。
その人が戻ってきた。よかった。口を動かすのも
久しぶりだ。嬉しい。思い切り口を開ける。
なんだよ、この人。何か持ってる。
思い出した、これ野球っていうんだ。
見たことある。でもこんな近くで見たことない。
いつになく素早く動けた。
動いたつもりはなかったけど、
今来た道を何10mも一気に戻った。世界がまわる。
399 :
新人:05/01/19 01:48:09 ID:D2e8sSSc0
あ、 まぶしい光
>>新人さん
やあ、投下が被っちゃいましたね。
すんません。
悲しいお話だね。
でもある意味、ハッピーエンドなのかな?
ゾンビの魂にも還るところがあってほしいね。
ともかく乙です。
作者のみなさま、乙です。
>>ドロドロさん
GOサイン出してよかった!
女の子がかっこいい! 長い黒髪フェチの私は
ハァハァしちゃいますw 続きもよろしくお願いしますね。
>>マサヒコさん
子供のゾンビは、攻撃するのをためらっちゃいそうです
ね。まして主人公は、まだ8歳ですし。
>>292さん
昔からよく言われることですが、
「孝行をしたいときには親はゾンビ」(チガウ
主人公の涙が印象的でした。
>>ななしさんさん
ゾンビ化テロリストでしょうか。怖いですね。
>>新人さん
完結乙です。ラスト
>>399が救いですね。
次回作も期待してます。
>>東京くだんさん
規制解除おめでとうございます。
私、新参者ゆえ、東京くだんさんの作品を最初からは
読んでいないんです。1〜3は
ttp://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/occult/1083297464/ で読めたのですが、4〜15が読めるところはありません
でしょうか?
402 :
本当にあった怖い名無し:05/01/19 13:03:31 ID:0XsLyeuoO
>新人さん
ゾンビの心情って、まさにそんな感じなんでしょうね。
面白かった〜。最後がちょっと泣けた。(ノ∀`).・゜。
403 :
292:05/01/19 15:23:36 ID:NmEjz4lN0
ガラス・ケースの中に飾られた「それ」は
その場の空気を最高に重いものにしていた
嬉しい反面、恐怖さえ覚える威圧感
そう、殺人の道具「銃」である
クレー射撃用、狩猟用ライフル・・・空気銃・・・
使用する場は違おうとも、その破壊力は想定できない
散弾を発射するもの、単発で発射するもの、平たく分ければこの2種類だ
メディアが俺に感じさせた軍用ライフルとは違う
しかし飾られた全ての銃は俺に訴えかけてくる「撃ってみろ」と・・・
放置された椅子を、ガラス・ケースに叩きつける
俺の非力でも、椅子は強力な力になり、ガラスを粉々に砕いた
そして中から姿を現した銃達
俺はその1つを手に取った・・・
ズッシリと来るその重量から、俺の腕は悲鳴をあげ、震えている
それでもストックを肩にあて、射撃体勢を取る 感動的だ
幸い説明書があったのが幸いだった
銃身を折るタイプのこの銃はクレー射撃に用いられる物だと分かった
様々な弾薬が並べられているが、全てが装填できるわけでは無いようだ
色々と試してみるが、なかなか入るものが見つからない・・・
ようやく合う物を見つけ、装填する
銃身を元に戻した時の音が、なんとも心地よいものだ
安全装置を外し、2階の窓を開け、向かいのコンビニへ銃口を向けた
404 :
292:05/01/19 15:32:17 ID:NmEjz4lN0
高鳴る鼓動を感じつつ、唾を飲み込む
息を吸い込み、全身に力を溜める
俺は思い切り引き金を引いた
「ズバァン!」
その反動は凄まじく、俺はビックリして銃を外に落としてしまった
耳が聞こえ無い、腕が痛い・・・
ふと目を元に戻すと、自動ドア部のガラスが粉々になっているコンビニがあった
その威力に俺は、ただただ驚かされるばかりだった
1階に置いてあった米軍使用のリュックに弾をありったけ詰める
*イヤー・プロテクターも念のため頂戴した、まだ耳は治らない
耳鳴りが酷い、けれどお構い無しに銃を3丁、スリングを通し、背負う
体が後ろに傾いてしまうほど重い、肩が痛い、辛い・・・
けれど俺は、とてつもない力を手に入れた
その足でデパートに戻り、眺める
なんとも良いものだ
これが「力」・・・暴力の象徴ではあるが、俺には素晴らしいものに見える
来てみろゾンビども
全員こいつで吹き飛ばしてやる・・・
初めて手に入れた強大な力を盾に、俺は強気でいた
405 :
292:05/01/19 15:42:05 ID:NmEjz4lN0
銃を手にして2日間、幾度と無く試し撃ちをした
店内は穴だらけ、我ながら調子に乗りすぎたな・・・
俺は撃ちたくて撃ちたくてたまらなかった
そして今日、弾丸を調達にあの店へもう一度向かうことにした
弾帯を腰に巻きつけ、一番お気に入りの銃を持ち、4階から街へと繰り出した
街は、静かだ
奴等はもう街を離れてしまったのではないか?
そんな安心感を覚えていた、これは愚かなのだろうか
あの店に着いた、2階へと通じる階段を登る
ありったけの弾薬をリュックに詰め、1丁の銃を手にした
単発を発射するタイプの「ライフル」だ
ライフル・スコープを付け、狙撃が可能な状態である
俺はこの銃も背負い、店を出ようとしたその時だった
「チュイーン!!!」
とっさに姿勢を低くする、パニック状態である
そして視線の先には、ライフルを持った女がいた
次弾を装填しようとしているようだが*ジャムってしまったようだ
「まってくれ、俺は人だ!!!!」
必死の思いで声にした言葉に彼女は驚いた
その場に座り込み、しばらくは放心状態であった
必死で謝り泣きじゃくる彼女を、俺はデパートへ案内した
406 :
292:05/01/19 15:51:01 ID:NmEjz4lN0
落ち着いてから聞いた話では、彼女の名前は愛(あい)
高校3年生、詳しくは聞かなかったが、俺と同じような生活をしていたらしい
見つけたのは彼女の手首に残った生々しい切り傷
もちろん追求はしなかったが、大体の予想はついた
俺の想像していた「女性」とはかけ離れた存在であった
狂ったように水を飲み、流し込むようにパンを食べている
よほどお腹が空いているのか、俺の3倍近くを平気で平らげてしまった
食事が終わると、さっきの事を必死で謝ってきた
俺は気にしていないと言ったが、涙まで見せてくれた事には驚いた
泣かしてしまったようでやりきれない気持ちがあったが
平凡な人生でまともに話した異性は、この子だけである
初めての異性を意識しながらも、俺はゾンビの事ばかり考えていた
それを察したのか、彼女も黙ってしまう
顔はそこそこスタイルそこそこ・・・と評価してみた
馬鹿だな・・・俺は・・・
その日は隣のベッドで彼女を寝かせた
意識しすぎて、なかなか寝付けなかった・・・
そして、朝がやってきた
俺はライフルの調整ばかりしていた
彼女はデパート内を見回っている、初めて感じる「平穏」だった
昼間分(?)upしました^^;
当初の予想を覆す「実銃」の登場
そして2人目の「人間」である登場人物
続きを想像しつつ次の話をお待ち下さい;
>>401殿 「昔からよく言われる事ですが」がツボでしたorz
「ゾンビ」と言う生命に関する能力が無い生物
無くす事を「倒した」とするならば、やはり銃と言うものが登場するのは自然な事ですね
遠距離より大きなダメージを与えるものはやはり必須になるんでしょうかね、対ゾンビでは・・・
わがままを言えば、日本で軍用ライフルを手に入れる方法を知りたい(物語中に登場させるためですよ!w
自衛隊の89式小銃なんてのもありますが、今の主人公との接点が見当たりません(苦笑
しかしながら皆さんの作品は個性溢れる凄い作品でまいっちゃいます(;´Д`)
408 :
本当にあった怖い名無し:05/01/19 20:25:27 ID:aTOWLcJ10
>>407 >日本で軍用ライフルを手に入れる方法を知りたい
小説ネタになるけど・・・たしか大藪ハル彦のハードボイルド物「凶銃ルガーP08」
では確か小遣い稼ぎをしたがってる海兵隊員から9mm弾を買い付けるって描
写がありましたよ。
なにやら私が密輸でもし始める勢いと勘違いされそうですが、あくまで小説のネタですからね><
>海兵隊員から9mm弾を買い付ける
ふむふむ、かなりリアルな描写になってますね
ライフル弾は買い付けることが出来るのかな・・・
いや、それ以前に小説の中では海兵隊が生きているかどうかさえ・・・orz
408さん、お答え有難う御座いました^^
>>409 292殿
こういうのはどうでしょう。
ある家に忍び込んだとき、そこの祖父が使っていた38式小銃が倉の中に眠っていたとか。
38式だったら、1000万丁ほど作られたので、残っていても不思議じゃないです。
戦前の日本の小銃は、とにかく射程が長かったですからね。
38式のスナイパーライフルバージョンの97式、ってのもありますが、一般的に使われ
ていた38式でも2,800mの狙撃が可能でした。
グレネードランチャーや手榴弾発射装置も装備できるし、長距離射撃の命中精度も
高いし、ボルトアクションだから埃に強く、無駄撃ちもせず、分解しやすいので
お手入れも楽ちんです。
とくに銃剣。
帝國陸軍の銃剣は52センチと異常に長く、殺傷能力が高いので、対ゾンビ戦で
重宝できます。
38式のバリエーションのひとつ、44式騎銃の折りたたみ式銃剣は、モシン・ナガンや
AK47小銃に移植されるほど画期的でした。
口径は異なりますが、後継(シャレじゃなく)の99式だと軽量で、弾の威力は38式
よりもありますが、狙撃に関しては、38式より命中精度が劣るらしいです。
ちなみに松本零士の名作潜水艦マンガ「スーパー99」では、主人公の兄が99式を
スポーツ用に改造して、うれしそうに持ち歩いていました。
孫がガンマニアで、戦時中の小銃を違法改造して、こっそり倉の中に隠していた、という
展開とかどうですか?
少なくとも戦後、自衛隊が使っていた64式小銃よりまともに弾が飛びますし、弱装弾
でもないから殺傷能力は高いですし、ビニールテープで補強する必要もないですしね。
89式は切り替えレバーの位置を除いて、なかなか良い小銃だけど、一般人が手に入れる
にはちょっと無理がありますね。
全滅した部隊から拾ってくる、とかならアリかも。(でも弾切れでしょう)
とにかく対ゾンビ戦なら、安全な場所から攻撃できる狙撃銃がおすすめ。
その際には、38式か99式の改造銃という線でw
412 :
本当にあった怖い名無し:05/01/19 23:26:55 ID:lD+zJB2PO
マニア乙
413 :
新人:05/01/19 23:30:35 ID:ZqqsEdzj0
講評くださった皆さん、ありがとうございます。
かねがねゾンビの中の人にだって「思い」はあるんじゃないか、と
思ってました。一番好きなのはデイ・オブ・ザ・デッドのバブですし、
一番泣けたのはバタリアンで自ら焼却炉に入る墓荒らしでしたから。
私の表現力じゃ「頭逝っちゃった系」にしかなりませんでしたが
また思いついたら変わった視点から書いてみたいと思います。
414 :
新人@:05/01/19 23:49:41 ID:ZqqsEdzj0
面接官「特技はザラキとありますが?」
学生 「はい。ザラキです。」
面接官「ザラキとは何のことですか?」
学生 「魔法です。」
面接官「え、魔法?」
学生 「はい。魔法です。敵の命を奪います。」
面接官「・・・で、そのザラキは当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」
学生 「はい。敵が襲って来ても守れます。」
面接官「いや、当社には襲ってくるような、、、丁度良かった、ゾンビに囲まれてるとこです。」
学生 「え、でも、ゾンビには勝てませんよ。」
面接官「いや、勝つとかそういう問題じゃなくてですね・・・」
学生 「死んでる敵には効かないんですよ。」
面接官「ふざけないでください。すぐに表に出て呪文唱えなさい。勝ったら採用しますから。」
学生 「、、、、、、、、、、、、、、、、、m9(^Д^)ノシ 、ザ、ザ、、ザオリク!!」
ゾンビ「ぅ〜ん・・・あ、私はいったい?あなたが私を?ありがと・・・」
学生「m9(^Д^)ノシ ザラキッ!!」
ゾンビ「うぐぅ」
学生 「どうです。勝ちましたよ。」
面接官「一緒に死ねよ。」
415 :
本当にあった怖い名無し:05/01/20 00:01:17 ID:bpXtvJl70
新人@さん おもろいwd(-_☆) グッ!!
三八式歩兵銃と来ましたか
当時各国の歩兵銃が直連ねる中一際目に留まったのが三八式ですね
日本人の体格に見合わぬあの長さと良い・・・
(刀の様にし使用するためだ、とどこかで聞いた覚えもありますが)
当時の他国と全く違った信念にて作られた三八式、ひきこもりの主人公が銃剣突撃は無理がありそうですね^^;
劇中に取り入れるのであればやはり軍隊や自衛隊の落とした軍用ライフルって流れが良いですね
どうも急展開を描くのは苦手でして・・・けれど大変参考になりました、有難う御座います
オカルト板で銃の話が聞けるとは思わなかったので感動ですね
他の方にはお目汚しにしかならないと思い大変恐縮ですがご容赦ください^^;
417 :
新人@:05/01/20 00:37:34 ID:Ty8/wHuY0
三八式歩兵銃使ってる。昨日ある家に行って家捜したら見た瞬間に即決した。
カッコイイ、マジで。そして強い。引き金を引くと弾が出る、マジで。ちょっと
感動。しかも鉄砲なのに銃剣付きだから操作も簡単で良い。三八式は威力が無いと
言われてるけど個人的には強いと思う。89式と比べればそりゃちょっとは違うかもし
れないけど、そんなに大差はないって爺さんも言ってたし、それは間違いないと思う。
ただゾンビが大勢とかで来るとちょっと怖いね。ボルト式だから連射出来ないし。
威力にかんしては多分89式も三八式も変わらないでしょ。89式撃ったことないから
知らないけど連射があるかないかでそんなに変わったらアホ臭くてだれも三八式な
んて買わないでしょ。個人的には三八式でも十分に強い。
嘘かと思われるかも知れないけど元米国海兵隊っぽいゾンビの頭を銃床で殴って
割った。つまりはUSマリーンですら三八式には勝てないと言うわけで、それだけでも
個人的には大満足です。
じゃなくて、、、せっかく手に入れたけど素人じゃ当たらなくて銃剣振り回したり
銃床で殴りつけたりして戦い生き延びる、ってのがリアルですかね。
それと熊撃ちだっけな、都会のハンターが高性能な銃を持ってやってくるんだけど
怖がって離れたところから撃つから結局手負いにしか出来なくて却って凶暴化する、
最期は地元の爺さんの古ぼけた銃で超近距離射撃で頭ブチ抜いてとどめさす、
なんて話を聞いたことあります。(小説かマンガかもしれんです)
よけいな一言、スレ汚しすまんです。
>>417氏最初の2文は・・・ネタ・・ですよね?
あれ、全文がネタであればすみませんm(_ _)m
三八式小銃→第二次世界大戦日本軍標準装備
89式小銃→現行日本国自衛隊標準装備
双方とも「購入」は出来ませんね、配給されるものです
可動品を所持していればそれだけで法に触れますし・・・
銃は人殺しの道具、強い強くないは実際の歩兵戦では大した問題ではありません
当時は三八式は「優れた」銃として出回っていました
セミ・オートの米国の銃を拾って使用する日本兵も多々いたようですが(苦笑
ちなみにアクションとしてはストックで殴り倒すのも良いのですが
本当に銃を扱うものであれば、確実に銃にダメージのあるような事はしません
なにやらクドクドと薀蓄垂れているだけで物語進んでませんねorz
ここで語るべきでは無いと分かっていながらまたレスを・・・、すみません><
419 :
眼鏡:05/01/20 01:45:45 ID:tj7XllX8O
どうも
銀縁のアレです
口に出してはいけないアレです
規制中(現在携帯から投稿中)なのと、風邪悪化なので続編の投下が滞ります。ごめんなさい。
ヒィ、食べないで
おじいちゃーん、見てますかぁー!
サンパチ、まだまだいけてますよ!
やっぱアレだ。
三点バーストで、パララッ、パララッって派手に弾をばら撒くハリウッド映画より、
弾をチビチビッと使っては逃げ、チビチビッと使っては進み、みたいな貧乏臭さこそ、
ワビサビの日本風土によく似合うんだよねぇ。
経済大国とか言っちゃってるけど、日本人って貧乏性が染み付いてるからさ。
つーかね、世間的には万歳突撃のイメージが強いけど、オレには職人芸的な猛者って
カンジなんだよね、サンパチ。
オレ、ちょっとサンパチvsゾンビの短編、書いてみようかなあ。
292氏は89式路線ですよね?
421 :
しがてら:05/01/20 03:02:20 ID:FMdlFvPD0
小説うpさせていただきます。
銃などの知識がまったくない為、なんだか庶民的な内容に
なっちゃいますが、読みやすい文章心がけて書くので
よろしくお願いしますです。
423 :
しがてら:05/01/20 03:06:57 ID:FMdlFvPD0
もう雪も降らないだろう、と一人の老人が大きな河川敷に
架かった橋の下から、日が昇れば日当たりのよさそうな場所へと
大量のダンボールの束を運び居を構えた。
いわゆるホームレスだ。
シワだらけの赤ら顔に、大黒様のような耳、
何年伸ばしたか分からない白い髭は道端で拾ったのか
薄汚れた赤いリボンで一くくりにされたいた。
いつも顔をしわくちゃにして笑って、
時代劇に出てきそうな小さな村の村長といった感じの老人だった。
この河川敷沿いに10分程歩くと江西高校があり、江西高の生徒達からは
「ぶりじい」等と呼ばれていた。
(実は下界の様子を見に来た仙人か神様で、ダンボールの家にテスト用紙を
貼るとご利益がある等と言い出した者がおり、家の外側は
点数の低いテスト用紙だらけだった。)
424 :
しがてら:05/01/20 03:09:03 ID:FMdlFvPD0
真夜中、
橋についている外灯と月明りを頼りに家を組み立て終えたぶりじいは、
早速中に新聞紙を敷き毛布の中に身を埋めた。
バッシャァァアアンッ
何かが高いところから川に落ちる音がした。
だが毛糸の帽子を深くかぶり、頭まで毛布にくるまったぶりじいは
聞こえなかったのかそのまま眠りについてしまった。
こんな感じで始めていきやす
忙しくて書き込めなかった…
続きの方はまだ書けてません、頭の中では出来ているんですが
とりあえず皆様の小説を読んでテンションあげておきます
新人さん面白いなぁw
しばらく見ない間にこんなに作者が増えてるとは・・・・・・
作者の皆さんお疲れさん
人数がめちゃめちゃ多いから一人一人レスできないけど
どれも面白い
楽しみにしてるからガンバレ!
427 :
401:05/01/20 12:10:23 ID:KLHiNPhm0
>>410 東京くだんさん、ありがとうございます。
にくちゃんは知っていたのですが、ボランティアさんは
知りませんでした。依頼までしていただいて、感謝
感激です。
html化されて東京くだんさんの作品が読める日を
心待ちにしています。
作者のみなさん、乙です。
>>292さん
新キャラ登場ですね。異性に不器用そうな主人公と
じれったいようなロマンスを想像しちゃいます。
>>新人さん
イオナズンとGTOコピペですね。笑っちゃいました。
>>しがてらさん
ぶりじい、面白い人物設定ですね。続きを期待して
ます。
429 :
マサヒコ:05/01/20 16:46:24 ID:yGfnK/iwO
「恭介、なんで攻撃しなかったんだ!」
兄貴は呆然としていた俺に怒鳴りつけた。その声で俺は正気に戻りこう答えた。
「……だって相手はまだ小さい子供だったんだよ!いくらゾンビでも僕にはそんな事できないよ!!」
俺は兄貴にその時の心情をおもいきりぶつけた。最後の方は目から涙が溢れだしていた……
兄貴はそんな俺にこう聞いてきた。
「ならお前はどうしたいんだ?」
突然の問いに俺はどう答えていいのかわからなかった。
俺が答えに迷っていると兄貴は俺にこう言った。
「確かにお前の気持ちはよくわかる。だけど、俺は奴らを倒すことによって死ぬことの出来ない身体から解放してやれると信じている。
だから俺は奴らを倒すことにためらいがない。それが生きている俺たちが唯一してやれる事だから……」
そう言うと兄貴は家の奥へと入っていった。
430 :
マサヒコ:05/01/20 16:47:59 ID:yGfnK/iwO
俺はしばらくその場に立ち尽くして、兄貴の言った事を何度も頭の中で繰り返していた。
(僕にもそうやって割り切ることができるのかな……)
俺はずっと考えていたが兄貴が
「早くこっちに来い!飯にするぞ!」
そう言ってきたので俺は考えるのを一度やめ、兄貴のいる部屋へと向かった。
俺が部屋に入ると兄貴は既に飯を食っていた。
「お前も早くこれを食べろ。」
兄貴はそう言って俺に飯を渡してきた。
飯といっても非常食ばかりで味もあまり良くはなかった。
俺はふいにお袋が作った料理を思い出して、目の下が熱くなるのを感じた。
食事が終わると兄貴は別の部屋から布団を持ってきた。
「明日は明け方には出発するから今日はもう休んだ方がいい。」
兄貴はそう言って布団を敷くと別の部屋に移動した。
俺は疲れきっていたためか、布団に入ると体から力が抜けていき意識が薄れていった……
431 :
マサヒコ:05/01/20 16:57:24 ID:yGfnK/iwO
今日は2話投下しました。
風邪が少し悪化してきたため、しばらく投下出来ないと思います。
風邪が治りしだい続きを投下しますので少しばかりお待ち下さい。
432 :
232:05/01/20 20:38:59 ID:XF3+JC3BO
…何だ?
いつもと同じように朝が来た。だが何かが違う。おかしい。外から音が全く聞こえない。普通なら多少なりとも車の走る音やヤツらの姿を見た人間の声が聞こえる筈だ。
緊張しながら出窓の障子を開けた。…ありえない。「生活感」というモノが一切合切消え去っていた。そこかしこにヤツらのパーツが転がり、道路には弱く炎上している車もある。今は朝の七時だ。冬だからまだ薄暗い。だが、唯一の明かりは道路の炎上している車だけだ。
何だ?一体オレが寝ている内に何があった?…そうだ、それより家族のみんなはどこへ行った?部屋を出る。明かりは無い。台所に行く。テーブルの上に何か書き置きがあった。
「四国に行きます。あなたが夕べ帰って来るのが遅かったので、本当に可哀相だけど置いて行かざるを得ませんでした。一刻も早く、こっちに来て下さい。場所は……」
躯から一気に力が抜けた。そうか、通りで昨日誰も居なかったのか…その上オレが昨日帰ると同時に寝たのも原因の一つだろう。携帯に幾つも着信があった。
―その後どうしようもない寂寥感がオレを襲い、オレは年甲斐も無く雄叫びのような声をあげて泣いた。
433 :
232:05/01/20 20:39:44 ID:XF3+JC3BO
「…そうか、これが「孤独」か。身に染みて解った。まるで戦時中の孤児だな。ハハ…」
自嘲の笑いが更にオレを惨めな気分にさせる。
どうにか気を取り直して、何故いきなり家族揃って四国に行ってしまったのか考えた。数が激増したのか…?とりあえずテレビを見る。ちょうどニュースをしていた。
「本州で突然発生した、人を襲う"人ならざるモノ"の数は最低でも1000万を越え…」
…愕然とした。1000万だって?日本人口の十数分の一がヤツら?何てこった…しかし、まだ希望はあった。ニュースの続きで、
「…が、政府は着実に"人ならざるモノ"を滅殺する、普通の人間には全く害の無い特殊な薬品の製造を進めています。これは完全な"人ならざるモノ"になっていない人にも効果があり、その場合は人間に戻る事が出来ます」
だが、その薬品の製造にはまだ時間が必要らしい。それよりまず、オレは家族のいる四国に行く事にした。旅行鞄に要るモノを無理矢理全て詰め込み、腰にAUTO9を差し込み、昨日頂戴した日本刀を背負った。
「八つ墓村もお手上げだなこりゃ…」
そう言いながら、オレはオレ以外に人気の無い家を後にした。オレはまたここに戻って来れるのだろうか―?
434 :
232:05/01/20 20:43:10 ID:XF3+JC3BO
え〜、主人公が一気にドン底になりましたw
今回は戦闘(というか一方的な殺戮ですがw)はありませんが、御了承下さい。
435 :
292:05/01/21 16:01:50 ID:hcwcAlw+0
今日はやけに腹が減ったので食パン1袋を食べた
彼女とはこの極限状態で感じる「仲間」であるはずなのだが
2人の間にはだいぶ距離がある、何故だろう
平穏を感じ取ることが出来たこのデパートの中
ここ数日の間で全て見回った
「・・・外に行ってみるよ」
彼女にそう言い残し、俺は街を歩くことにした
彼女は俺についてこようとはしない、孤独に慣れているのだろうか
街はいつもと変わらずに静かだった
安心しきっていた俺は銃も持たずに無防備な状態で冒険していた
あるコンビニを覗いてみようとドアに近づいた、するとドアが自動で開いた
「まだ電源が生きているのか・・・?」
中は嫌な空気が漂っていたが、構わず惣菜コーナーにあったおにぎりを頂戴した
昆布や梅干などの保存の利くものだけを取り、店を後にした
この街は死んでしまったのだろうか・・・
もう少し探検してみよう、そう思いまた俺は歩き出す
子供の頃通っていた小学校
初恋の子の家
いつしか会わなくなった友達の家
いつも仲間達と集まっていた公園
思い出を振り返りながら、腐ってしまった俺に後悔していた
436 :
292:05/01/21 16:10:16 ID:hcwcAlw+0
街をこれだけ見回っても、奴等に遭遇しない
やはりこの街には奴等はいない、そう確信した
俺はデパートへ戻り、彼女へそう話す事にした
デパートへ入ると、彼女の姿は無かった
4階、3階、2階・・・1階・・・一体どこへ・・・
そう思った瞬間に、女性物の洋服売り場から音がした
どうやら洋服を替えていたようだ
ラフと言うのだろうか、ジーパンにヒラヒラがついた上着、チャラチャラしてないだけマシか
わけのわからない事を考えつつも「何してるの?」と話しかける
「いつまでも汚い服のままじゃ・・・」と彼女は答える
「こんな時に、服かよっ!」と思ったのだが声にはしなかった
彼女へ街の様子を話した
その間、自分の臭いを仕切り無しに嗅いでいた
俺を前にしているからなのか、それともただ気になるだけなのか
こんな状況で形振りを気にする、女ってのはわからんもんだな、と心底から思っていた
彼女は街を離れるのを嫌がっていた
「ここは安全だから」「外へ出たら食べられてしまう」
何故そこまでおびえているのか、俺にはわからなかった
この時は、分かるはずも無かったのだ
437 :
292:05/01/21 16:23:45 ID:hcwcAlw+0
「大丈夫だよ、俺が見回った時は猫1匹いやしなかった」
そう言うと彼女は黙り込んでしまった
俺が困っていると、恐る恐る語り始めた
父親が目の前で食われた事
母親が自分を守って死んだ事
自分の住んでいたアパートの住人が、全て食われてしまった事
兄がいるらしいが、生きているかもわからないそうだ
俺はどうすれば良いのか分からなかった
慰める?いや、俺にそんな事が出来るはずも無い
やはり俺たちはこのデパートの中で、食料が尽きるまで暮らすしかないのだろうか
俺はその時、ふと気付いた
ラジオである
これならば外の状況がわかるかもしれない、期待に胸を膨らませ、電池を入れる
何処の局もやっていないのだろうか・・・何も聞こえない
そんな中、途切れ途切れではあったが、放送をしている局があった
「アメリカの住民が半数以上死んだ
軍隊が出動、制圧はまだまだ先になる
世界各国で未確認生命体による殺戮が繰り返されている
軍隊や特殊部隊が全面的に制圧に乗り出している
日本の自衛隊も出動しているようだが、逃亡する者が絶えないそうだ
都心部を中心に爆撃を行う予定、生存者は一刻も早くその場から離れるように」
ここで放送が終わった
世界でも同じことが起きている・・・俺たちは一体どうすれば・・・
438 :
本当にあった怖い名無し:05/01/21 19:23:36 ID:14WCI+6g0
クソスレage
話は変わって、サンパチ物語の件。
すでに頭のなかで完成してるけど、書き出した感触ではちょっと長くなりそう
なので、投下作業はある程度完成したらやろうかと思います。
本編との同時連載は、ちょっと無理だな。
ノリも全然違うから、書いてる途中で混乱しそうなんだよね。
完成したら一日おきに、集中投下しようと思います。
>>411の訂正をいくつか。
サンパチの射程距離は、3,700m。(メモリは2,400まであるけど)
スコープなしだと、一般的有効射程距離は、たぶん300ぐらいじゃないかな。
名人クラスだと800ぐらいはいったみたい。
あと命中精度を上げるため、火薬の量を減らしてたみたいだけど、これって
ある意味、弱装弾(減装薬)なのかなあ。
自衛隊で自虐的に言われてるような、ションベン弾ではないと思うんだけどね。
・・・まあ、あんまりリアルにするとつまんなくなるんだけどね。
創作って、ウソを書くことじゃん。
もっともらしいことを書いて、ウソをつくんだ。
だから知識マニアな奴ほど、実は創作が苦手なんだよ。
オレは、知ったかぶりの、薄い人間だからさ。(広く薄くw)
開き直って書いてる。
ゾンビものには銃はよく出てくるけど、ようは弾が出りゃいいんだよ、弾がな。
だから知識がない奴だって、好きなように書けばいいんだ。
自分が面白ければ、それでいいと思うよ。
みんなも遠慮せず、どんどん投下してね。
>>411 遅レスで申し訳無いが、皇軍の兵器なら敗戦後は野積みになっていたみたいだから、
入手は可能だったんじゃないの?
漏れの祖父は、満州からの引き上げ組だけど、敗戦後には武装解除された日本軍の
兵器が集積所に野積みされていたようだよ。別に見張りもいなかったようで、
シナ人が、持ち出す例も多々あったようです。
戦車とか重砲は別に管理されていて、毛沢東側に引き渡されたみたいだけど。
あと、戊辰戦争の頃に使われた官軍の鉄砲が旧家の蔵の中から見つかるなんて
事もあるので、あながち鉄砲の類が民家に無い訳では無いと思います。
書いている私の家にも、水平2連の散弾銃あるし。
>>441 銃を持ってる家って結構ありますよね。
でも弾の類って結構劣化してたり、無くなってたり。
結局使えない事がおおいんですよね。
>>440 まぁリアルにし過ぎても確かに創作と言う面では詰まらなくなる点もあるかもしれませんね
私自身もそれほど詳しいわけでは無いのですが、知識は活用すべきだと力みすぎてましたね^^;
近づくと噛まれる→感染 と言ったイメージに対して有好なのは
遠距離より強力なダメージを与える銃ですからね
「銃について知識の無い者」が創作できないようなものになるのは私としても少し悲しいですね
いちいちツッコミ入れてた人間の発言とは思えないような事書いてますがご理解ください(;´Д`)
うちの親父は狩猟用ライフルを持ってますね
10数年前より趣味で山行ったりしてたみたいですし・・・
軍用ライフル、一度は手にしてみたいものです
弾が無くとも無可動品であっても・・・
細かい描写は、個々の想像にてお楽しみくださいm(__)m
希望【第一章】
今年も色々あった…。度重なる地震で沢山の人が死んだ。幾度も続く津波でも沢山の人が亡くなった。戦争やテロ…多くの命が消えていった…。
まあ、良いニュースと言えば、サッカーで日本がワールドカップベスト4に入って3位になった事ぐらいか…。でも、代表キャプテンの中田の引退にはびっくりだった…まあ、そんな事はどうでも良い。
俺はそんな事を考えながら、今年最後の仕事を終え職場を後にした。
街は、クリスマスで賑わっている…俺も早く彼女の待つ家に帰ろう。電車に揺られ地方都市の自宅マンションまでの道のりは長い。
電車の中から見る夜の風景もさすがに見飽きた。出版社に勤めてもう何年経っただろう。もう何千回…この風景を見ただろう…。
そんな事を考えていた時に電車の窓の外が赤い…あれ、火事か…。
それにしても、かなり燃えてるな…あの場所は、未来宇宙博の開催している付近じゃないか…
まあ、明日から長期有給休暇の俺には関係ないか…それに休暇が終わったら仕事を辞めようかな…本当…疲れたし。
マンションに帰宅すると彼女が満面の笑みで迎えてくれた。うん、美味しそうな料理の匂いもする。俺は抱きよせ優しくキスをして、プレゼントの指輪を照れくさそうに渡した。彼女は子供の様にはしゃぎながら受け取ってくれた。
テレビを付けるとクリスマス特番ばかりかと思いきや、緊急ニュースで騒いでいた。どうやら先ほど見た未来宇宙博の火事についてらしい。
ニュースでは、なぜか米軍や自衛隊の派遣と地域住民の避難宣告が出されたらしい。まるで、テロ戦争の様だ…。
彼女と楽しい時間を過ごし、明日からの旅行の為に早めに寝る事にした。
明け方、トイレに起き何気なくテレビをつけた。テレビからは、まだ未来宇宙博のニュースをやっている…、ん、違う?ん、戦争か?
自走式ミサイル砲や戦車まで画面に映り、ライフルで人を吹っ飛ばしている。でも、相手は武器も持たずだだ走って向かって来るだけの民間人では…。
俺は、自分の職場の上司に連絡をして、今、テレビで起きている事件の情報を教えてくれと頼んだ。
上司は、低い声を震わせながら話し出す。話の内容は、信じられない事だった。
日本国民全員に、緊急避難警告が出されたらしい。なにやら、米国の指示で…いや、命令で本州から避難し、北海道、九州、四国に避難を急げとの事。
国連軍も、日本海や太平洋に向かい、本州を包囲するらしい。
俺はこの時、1年前に起きた事件の記事を思い出した。確か、ハワイで起きた死人が生き返り人を襲う事件を…。
ハワイは今でも国連の管理下にあり、隔離されているんだっけ…。まさか、あの時と同じ事が…。
俺は、彼女を起こし出かける準備を急がせる。俺の様子を見ただけで何かの異変を感じ、真剣な眼差しで準備を続けた。
俺は、ただ一言、1年前のハワイの事件と同じ事が今の日本で起きているとだけ伝えた。
旅行を取り止め、俺はレンタカーを借りに行った。キャンピングカーを選び、次にデパートに行き車に積めるだけの米や缶詰等の食料とミネラルウォーターと生活必需品を買いあさった。
また、ガソリンスタンドに行き、ポリタンクにガソリンを入れて、もしもの時に備えた。
そして、とりあえず北海道を目指して彼女とドライブする事にした…すべてから逃げるように…。
俺は知っていた…この目で見ていた…1年前に…ハワイでの取材で…。忘れていた…いや、忘れたかったあの…地獄の景色を…。
俺は心に誓った。これから起こり行く地獄を受け入れる覚悟を…。
そして、彼女を守り抜き…生きて行く決心を…。
ボランティアのルクダル ◆guIdE/2ChI氏と、向こうの866氏により
↓が、サルベージされました。
「zombie ゾンビその9」
http://ruku.qp.tc/dat2ch/0501/22/1083297464.html 自分が依頼したものじゃないのですが、一応報告まで。
>>292氏
いやいや、292氏の話は、オレは好きですよ。
常人には得がたい知識は、もちろん大切なものです。
銃の話ばかりして、その方面に興味が無い人が投下しづらい流れが
できると思って、知識が無くても書きたいように書けばいい、と言ったわけで。
書きたい意欲>知識というモチベーションが、重要なんだよね。
ぶっちゃけ、ゾンビと戦った人なんて実際にはいないわけだし、そういう
意味ではどこまでリアルっぽく追求できるかという挑戦をするのも、
また面白いですね。
>>444さん
サッカー、ベスト4、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
未来宇宙博、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ゾンビ、やっぱクル━━━━━━(;゚∀゚)━━━━━━ !!
なにげに444、ギャ━━━━ ノ(。A。)ヽ━━━━iiii
>>441さん、眼鏡氏
実はネットでちょっと調べたんだけど、アメリカでは三八式歩兵銃って
いまだ根強い人気があって、売ってたり、実際に射撃もできるようだね。
こんなカンジ↓
ttp://www103.sakura.ne.jp/~taka25th/newpage353b.htm 三八式騎銃(騎兵用だから、ジャマにならないように短い)なので、
発砲時の反動があるけど、本家サンパチはすんげぇ銃身が長いから、
反動はこんなには無いみたいよ。
現代のライフル銃に劣らず、長距離での命中精度が高いけど、その反面、
射手を選ぶ銃なんだって。
当時、陸軍の各中隊には必ず射撃名人がいたから、ある意味納得。
(製造された銃にも当たりハズレがあって、戦時中は、いい銃は名人や
狙撃銃に回されたらしい)
あとアメリカでは、専用弾がちゃんと売られてるみたい。
ほかの銃弾より、割高だそうだけど。
ほかには、スイスのノーマ社が供給してるネ。
日本で銃の所持が認められるのは、「散弾銃」「空気銃」「ライフル(小銃)」の
三種類で、軍用小銃は当然許可されないけど、歴史的価値が高い三八式、九九式、
ほか旧皇軍の小銃は大丈夫みたい。
マニアのなかには九九式のバレルを交換して、猟銃として使ってる人もいるとか。
探せばけっこう、日本でも銃ってゴロゴロしてるかもね。
ボケかかったじいさん連中が、青春時代の思い出の詰まった軍服を着て、
「天皇陛下万歳!」
「無敵皇軍、攻撃前進!」
とかなんとか言って、ゾンビと戦うなんてシュールだけど素敵。
旧日本軍とゾンビの戦闘おもしろそう。
戦国自衛隊みたいにゾンビの大群が硫黄島にタイムスリップ、そのとき日本軍は、米軍は?
ってな感じのストーリー(´д`*)ハアハア
おぉ、新たな作者さんが!
主人公、死なないように頑張れ〜
292さんの主人公は意外に女性とは喋れるようでヒキじゃないのかなw
くだんさんサルベージ報告乙です。
作者さん同士の交流もなかなか見てて面白いです
>>453がかなりいいことを言っている
書 い て み な い か ?
ともあれ、作者の皆さん乙!
タイムスリップより「もとの世界から放逐されたゾンビ」とか「転送されてしまったゾンビ化因子」のほうが書きやすそうですね。
PIP隊長様・・・・書いてくだされw
東京くだん様、乙です。勉強になりました、さんぱっつぁん(何
というより、家の近く(っても遠い)に実銃射撃場があるので苦労はしないかなーって考えてたり。
こんな話してると、銃の反動も大した事無いと思ってしまうが実は普通の銃でも結構な反動な罠
『私は、日本未来研究所の長谷川です。
今、未来宇宙博で起きている事件について、ご報告致します。』
私は、教授のまとめた報告書を読み上げた。しかしまぁ、国の極秘会議に立ち会えるなんて素敵☆…いや、何考えてんだろ…それどころじゃないよ…。
私だって見たんだ…あの生き物…いや、死に者…。この国は…いや、世界は…いや…人類はもうだめかもしれない…。
私は、報告書を読み終え、続いて別の資料を説明しだした。説明を終えたあと、偉い人達の全員の顔が、完全に希望をなくした死に行く者の様に思えた。
米国政府にも報告書をメールした結果の反応、判断、対応は驚く程速かった。しかしなにより、日本政府のその後の行動も速かったのには驚いたが…。
本州全土からの避難宣告…自衛隊の出動、国連に協力依頼…こんな、実例も無い国事を迅速に行えるなんて、度重なる近年の自然災害や、テロ戦争の教訓だろう。それと、1年前のハワイ壊滅の怪事…。
私は、今日の夕方には、北海道に居るんだろうなぁ。政府研究施設が対策本部になると言っていたし…。
はぁ…今年のクリスマスも何もあったもんじゃないよ。最悪だよ…。去年も、クリスマスは1人ぼっちで最悪だったなぁ…元彼が仕事で会ってくれなかったし…。
あ、妹に連絡しなくちゃ…北海道へ行けって…。もう会えないかも…みんなに…。
飛行機に乗り、政府研究施設に着いた私は、教授と一緒に、ある研究に専念した。
そして、10日が経ち、正月も関係なく研究は続いき、ある恐ろしい…いや、今の状況なら素晴らしい研究が、米国と共同で完成した……。
悪魔の希望が…。
だれか
>>453書いてくれ、まじで読みたくなってきた。
希望さん乙です。
なんか主人公はユルい性格ですねw
ある計画とはどんなもんなんでしょうか。
続編お待ちしてます。
463 :
…希望:05/01/23 17:41:37 ID:pN7qSuXtO
>454様>462様、ありがd
お茶どうぞ( ^-^)_旦~
「あ、あのさ」
「…何?」
彼女は首だけ俺の方に向けて答えた。
手元は未だに銃を弄っている。
「これは…一体何なんだ?」
これ…とはもちろんお婆さんのあの姿だ。
チラっと視線を向けると、お婆さんの身体はドロドロに溶け出していた。
服がなければ人間であったとはわからないほどだ。
青紫色の液体に浮かぶ眼球や髪がさらに不気味さを煽っている。
うっ…何か酸っぱいもんが喉の奥から…。
俺は彼女と二人…キャンピングカーを走らせ2日目になった。
ラジオからは、生きる屍=ゾンビと呼ぶ事を統一し、ゾンビに対する情報がいつでも流れていた。
当初、関東の未来宇宙博周辺と思われていた被害も、神戸や新潟でも起きていたらしい。なにやら、新幹線内での発症らしく、気が付いた時には手遅れだったらしい…。
新幹線か…かなりの地域に飛び火してるはずだ…もう、本州壊滅は時間の問題だ…。
雪景色を見ながら慎重に車を飛ばす…もうすぐ北海道だ…。ただ、少し気になったのは、俺みたいに避難する人がまだまだ少ない事だ…。
「…ゾンビ」
「…は?」
その言葉が最初は理解できなかった。
いや、理解したくなかったんだ。
「簡単に言うと、そういう事…」
しかし、彼女は肯定した。
だが、俺も追い掛けられてる時に考えた筈だ。
これは映画やゲームで見た事があるゾンビみたいだ、と。
だが、そうは思ってもこれを現実と認識したくはなかった。
ああいうのがそういう仮想世界での話しで充分だ。
「…信じられない?」
相変わらず透き通るような声で彼女が聞いてくる。
信じたくない…いや、待てよ…これは夢じゃないか。
まだ俺は小屋で寝てるんじゃないのか。
「そうか、なるほど、これは夢か、夢だな、間ぁ違いない」
そう言った直後、彼女の鋭い右フックが俺の左頬をえぐった。
これがアニメだったら口から派手に吐血してる事だろう。
「目、覚めた?」
「お陰様で」
彼女は少し変わってるのかも知れない。
痛む左頬を抑えながら、俺は呑気にそう思っていた。
未だにまともにゾンビが出てねぇ_| ̄|○
>希望さん
投下が被ってしまいましたか、すみません
北海道ついたとこでまた何かあるんでしょうか
続き、楽しみです
>銃云々
僕は所詮エアガンとかの知識しかないので、
この先銃の描写でおかしな事があっても
見逃して頂きたいところです
銃自体は好きなので、東京くだん氏や292氏の話は興味深かったですよ
468 :
本当にあった怖い名無し:05/01/23 19:17:38 ID:qKRQrVRz0
>>452 ROMの身分で横からヤリするの堪忍です(^h^)
実は何とべトナム戦争でも使われてたそうですよ・・・38式
勿論使ってたのはベトコン側ですが。(;^^)特にジャングルに潜伏していた
ベトコンのスナイパーなんかが好んで使ってたとか・・・。
おかげで海兵隊の、特に士官なんかに不意を突かれた戦死者が続出してた
らしい・・・。(;^_^)y-~~マジデス
469 :
…希望:05/01/23 20:16:57 ID:pN7qSuXtO
>369様、こちらこそゴメンナサイ
そして、投下乙★
普通に何事も無くみんな生活している…コンビニも開いているし、学制服を来ている高校生の集団も居る…。
身近に危険が起きないと、分からないのが日本人だ…。気が付いてからでは手遅れなのに…。
二日後ぐらいには、きっとココも駄目だな…、でも俺はそんな他人らをかまってられない…俺には守らなきゃならない大切な彼女がいるんだ…。
無事、国の検問を通り北海道に到着。さあ、これからどうするか…、ガソリンの給油をすませ、とりあえず人が少ない所へ行こう…。
あっ、その前に板金屋に行こう…、どうせこのレンタカー…返す場所は無いだろうし…。俺は無理を言って頭をさげ板金屋のオヤジに車を補強してもらった…。
オヤジは以外に快く受けてくれた…そして礼を言われた。オヤジは、『俺も真似をする、良い事を教わったよ』そういって、会社名の入ったワンボックスを補強すると笑顔で言った。
補強の完了したキャンピングカーに俺は勝手に【ノア】と、名前を付けてみた。彼女は、この箱舟で天国の楽園へ連れてってなんて冗談を言う。
俺は、楽園に言ったら結婚しようと言った…彼女は、黙ってうなずいた。
こんな臭いセリフも今は不自然に感じる事はない…今を精一杯生きるだけだ…後悔をしない為に…
二人の幸せな未来の希望を乗せたノアは、また目的地も無く走り出す…安全な天国の楽園を目指して……地獄が待っているとも知らずに…。
【第四章】に続く…
オツカレーオモシロイヨ
>>452 とアンカーしつつ全然関係ないですが、、、
新谷かおるの戦争漫画で親友の日本人から譲り受けた38式で戦う
ドイツ人スナイパーと日系米兵として戦うその親友の息子の
スナイパーの一騎打ち、なんてのがありましたな。
>>453 例えばガタルカナル、一夜にして米軍が汚染されてゾンビ集団に。
飢えた日本兵が米兵ゾンビを襲って糧食を奪う現世地獄、
喰うか喰われるかの世界、、、
あるいは
「ヘーイ、今日のジャップは丸腰で突撃してくるぜ!
Oh!NO!!撃っても死なねー・・・オーマイガッ!うぎゃ〜」
いや、やめよう。死んでいった方々を茶化しちゃいけない。
このスレのテーマソングは
CANNIBAL CORPSEのPIT OF ZOMBIESで決まりだ。
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(22)
バスから降りて、駅まで走ろう。
意を決してイスから立ち上がると、わたしは運転席へと向かった。
「・・・なんかあったの?」
平静を装った運転手は、気さくに話しかけてきた。
「キミ、何年生?そろそろ文化祭の季節じゃん?
あそこの文化祭ってさぁ、チケットがないと入れないんだよねぇ〜」
客がいなくてヒマなのか、単なるナンパ目的なのかは判らないけど、彼の話を聞いて
いる余裕のないわたしは、慌ただしくポケットから定期券を取り出した。
瞬間、運転手の顔色が変わる。
バスに乗るとき、うっかり整理券を取らなかったことに気がついたが、彼が驚いたのは
そのことではなく、差し出されたわたしの手を見たからだった。
乾いた血がこびり付いていた。
う〜ん、いろいろとあったからねぇ・・・
わたしはぼんやりと自分の手を見ているだけだったし、運転手もそれっきり黙りこんで
しまったので、途中下車に関してだけはスムーズに事が運んだ。
ガードレールを跨ぎ、歩道の中に入ると、わたしはもつれかかる足を懸命に動かして
走り出した。
家に帰ろう。
ただそれだけを考えた。
真っ白なクロスのカーテン、足ざわりが気持ちいいカーペット。
そしていつも寝ている、ふかふかのベッド。
小窓に置いた観葉植物や、お気に入りのぬいぐるみたち。
愛用しているMDプレーヤー、愛読している「mc Sister」と「CUTiE」。
ちびちび使っていたスキンケア化粧品。
エリたちとシャレで買ったアロマオイルのハーブの香り。
いつもの風景が、こんなにも懐かしくなるなんて。
まるでもう、世界が終わっちゃうみたいじゃない・・・
鼻の奥がツンッとしてきた。
でも立ち止まって泣いている場合じゃない。
早くママと合流して、おばあちゃんのところに行かなくては。
そのうちきっと、パパだって帰ってくる。
そう、まだなにもかも終わったわけじゃないんだ。
まだ間に合う。
『絶対に、寄り道はするなぁ〜!
でないとみんな、ウチに帰れなくなるぞぉ〜!!』
クマカワ先生の大声が、心の中に響き渡る。
はあっ、はあっ、はあっ・・・
大丈夫、まだ間に合う。
だってわたし、寄り道なんてしてないもん。
『・・・イヤだ!・・・殺しちゃった!・・・殺しちゃったよぉ!』
泣き叫ぶわたしと、無表情で起き上がるゾンビの姿が思い浮かぶ。
はあっ、はあっ、はあっ・・・
大丈夫、大丈夫。
あれからそんなに時間は経ってないし。
『・・・電車が本当に止まりそうだから、みんなと相談して帰ることにした。』
『・・・電車が本当に止まりそうだから、』
『本当に止まりそうだから、』
ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ!
電車はきっとまだ、動いている!
まだ大丈夫よ!
家に帰れる!
家に帰るんだ!!
わたしは、帰る・・・!!
全身を駆け巡る悪寒を振り払うかのように、ひたすら走り続けた。
・・・帰りたい。
帰りたいよ。
ママ。
ギュルルルッ・・・・ガッシャアアアンッ!!
突然、タイヤが擦れる音と、金属同士がつぶれる甲高い音が聞こえた。
その瞬間、周囲から一斉に、クラクションが鳴り響く。
道路を見ると、一台のスポーツカーが、前にいる車に向かって突進している。
「てめぇ!なにやってんだあ!!」
後ろにいた車の運転手が、窓から顔を出して怒鳴り始めた。
が、今度はそのスポーツカーがバックしてきたではないか。
ドッギャアアッ・・・ンンンッ!!
その衝撃で運転手は窓から上半身が飛び出し、そのさい頭でも打ってしまったのか、
彼はドアに覆い被さるような格好のまま、グッタリと動かなくなってしまった。
件のスポーツカーは、それからも狂ったように何度も突進とバックを繰り返し、わずかに
空いたスペースを利用してUターンしようとする。
段差のある中央分離帯を無理やり乗り越えたものの、車のバンパーがバキッという
嫌な音を立てて折れ曲がり、片側が外れてしまった。
ガリガリガリッ・・・ズザザザ・・・とアスファルトに傷をつけながらも、その車は停まる
気配がない。
ものすごい騒音を撒き散らし、駅とは反対の方向へ行こうとした。
とはいえ反対車線のほうだって、ガラガラに空いているわけじゃなかった。
「・・・危ない!!」
わたしは、思わず叫んだ。
キキッーーー!!ガッシャ〜〜〜ン!!
無理な横入りに対応できず、別の車がスポーツカーの横っ腹に突っ込んでしまった。
わずかな時間で、ピカピカに磨き上げられていたその車は、表面が凸凹している廃車寸前の
スクラップに変わり果てていく。
「この野郎!!人殺しめ!!」
狂ったように鳴らされるクラクションをバックに、ほかの車から出てきた男たちが、白い
煙を吐いているスポーツカーに群がり、運転手を引きずり出そうとした。
もはや動くこともないように思えたスポーツカーは、まさかの行動に出た。
急発進して、逃げようとしたのだ。
それがいきなりだったので、逃げ遅れた何人かは、車に跳ね飛ばされ宙に舞った。
運転手の方も混乱しているのか、苦労して乗り越えたはずの中央分離帯に向かって
もう一度、突っ込んでいく
しかし今度は片側のタイヤが乗り上げてしまい、そこで急ハンドルを切ってしまった
から、車は派手に横転した。
ドッカアアア〜〜〜ン!!
鼓膜が破れるほどの爆発が起こり、スポーツカーは炎に包まれた。
どうもガソリンが漏れていたらしい。
ガランガランと引き摺っていたバンパーの放つ火花で、引火でもしたのだろう。
わたしの目の前に、捻じれたホイールが落下する。
「うわあああっ・・・!!」
「・・・眼がっ!眼がああっ・・・!!」
「救急車!救急車!!」
服に火が燃え移ったり、破裂したフロントガラスが眼に突き刺さったりした人々が、
まるで屍人のように周囲をうろつき回り始めた。
勇敢な男の人が上着を脱いで、火に焼かれる人を懸命に助けようとしたが、背後から
近づいてきた別の火まみれの人に抱きつかれ、彼もまた炎に飲み込まれていく。
この事故の元凶であるスポーツカーの運転手だって、ただの渋滞だったなら、こんな
メチャクチャなコトなんてしなかったはずだ。
おそらく彼は、カーラジオから次々に流れてくるニュースを聞いて、我慢ができない
くらい恐ろしくなったのだろう。
その恐怖に耐え切れず、パニックに陥ったのだ。
ひょっとしたらこの人も、自分の家に帰りたかっただけなのかもしれない。
(・・・来週に続く)
第二次世界大戦の、とある戦場にゾンビの群れがタイムスリップしてきて、それに
対処すべく国や人種を乗り越え、お互いに協力して闘うって展開とか面白そうだね。
米軍の援護射撃のなか、機動性の高い日本の豆戦車が、ゾンビの群れに突撃したり、
ティーガーとスターリン重戦車が、並んでゾンビ軍団を踏み潰していくとかさ。
無骨な話が苦手なら、人類が滅んだ未来から美少女もしくは美少年(いっそのこと双子の
姉弟とか)がタイムスリップしてきて、世界を滅亡させたゾンビウイルスを開発することに
なる、マッドサイエンティストもしくは秘密結社を倒しに来たっていうストーリーに
したらいいかも。(死人を利用して兵士不足を解消することが目的だった)
萌えは大切だよね。
で、それを戦場の兵士が助けることになってさ。
最初は疑心暗鬼だった彼らの前に立ちふさがるのが、死んだ兵士を甦らせて作ったゾンビ
アーミーで、そのなかに死んだはずの戦友の姿を見つけて、兵隊たちは戦う決意をする。
ゾンビアーミーは、プロトタイプだから旧丼ゾンビ(鈍い)、未来を滅ぼしたのは新型
だから新丼ゾンビ(走る)w
美少女もしくは美少年は、未来の兵器や遺伝子操作で生み出された特殊能力で戦うんだ
けど、経験値の低い子供だからちょっと危なっかしい。
それを戦場のプロフェッショナルたちが、うまくサポートするわけ。
緊張感を高めるなら、舞台を孤立した場所にして、限られた人員と兵装しかないことにする。
もっとラノベ風にするなら、未来から追ってきたゾンビ大元帥と新丼ゾンビ部隊が現れ、
主人公たち(混成部隊)、旧丼ゾンビ(暴走した大群)、新丼ゾンビ(少数精鋭)の三つ巴の
闘いにするとかさ。
こんなカンジで、誰か書いてw
>>455 PIP隊長、尚也シリーズはその後、いかがいたしましたでしょうか・・・ _| ̄|○
>>467 ドロドロ氏
オレ、けっこう薄いよ。
銃、撃ったことないしw
>>468 へー、そうなんですか。
事実は奇なりですね。
そういえば従軍記物を読んでいると、敗戦を知った兵士が現地の解放戦線に武器を
渡したり、こっそり参加する軍人がけっこういたみたい。
国が敗れても、自らの理想に殉じようとしたんでしょう。
彼らのその後はほとんど消息不明なんだけど、武器は廻り廻って、ずっと戦っていた
わけですかね。
ひょっとして、いまこのときも・・・
>>474 新人氏
戦場ロマンシリーズかな?
482 :
…希望:05/01/24 00:16:05 ID:ykBRsLfNO
>473様、サンキューデス
皆様のお話大好きさ★
このスレ大好きさ☆
>>481 orz
その件につきましては鋭意努力を重ねておりつきましてはしかるべき時点で公表する所存ではありますが
現状において不完全なままでのそれはいかにも心苦しく(ry
すいません、年度変わりの引継ぎ等で忙しく2レス分ぐらいしか書いてません。
2月に入れば時間も取れるので、もう少々のお待ちを。
研究にて…トライオキシン245Sの開発に成功した私は、今後の対策会議に出席した。
【調査員の報告】
今回の死者が活動を始め、人を襲う事件を、イスラム系のテロ組織による、テロ事件と断定致しました。
1年前のハワイの怪事も、同テロ組織によるテロ事件と断定。
前回と今回の感染体の調査の結果、同一の細菌兵器による攻撃と分かりました。
この兵器は、あの…例のイラク戦争で焦点となっていたが、結果発見されなかった、大量破壊生物兵器と推測されます。
戦争が始まる前に、テロ組織が持ち出し隠して持っていたと考えられています。
そしてこの細菌は、かのロズウェル事件の宇宙人の脳に感染していた細菌との報告を、米国から隠密的に連絡を頂きました。
この細菌は人間の脳に集まり、脳で電気信号を起こし肉体を支配する。どちらかと言うと寄生虫的細菌だと考えて下さい。
地球上では大気には弱く、空気感染の可能性は少ない。感染経路は、直接血液に細菌を送り込む。従って、細菌としての種族の繁栄増殖の為に、噛んだり、傷つけたりします。
この細菌に感染すると、脳が活動停止になり、呼吸を止めてしまう為、人間は死んでしまう。
そして、肉体を奪い繁殖の為に、脳から同じ電気信号が出ていない生きている人間を狙うと考えられます。
…したがって、脳を破壊すると活動を停止する事になります。
余談になりますが、現在の感染体は、動きが鈍いので、頭部の破壊が容易にできますが、気温が30度を超えると、細菌活動が活発になり高電圧の電気信号を出すため、感染体の動く速度やパワーが段違いに上がるようです。
そして、零度を下回ると、動きが半減するようです。
幸い日本が今が冬だったのがせめてもの救いです…。
しかし、これだけ感染者が増えるともう…手の付けようがありません。人の手で駆除するのは、また新たなる感染者を増やす危険性があります…。
危険ではありますが、米国で極秘に開発された化学薬品、トライオキシン245を、改良した【トライオキシン245S】を使い、奴らゾンビ…いや、感染者を駆除する計画を提案致します。
では、長谷川君…トライオキシンについて説明をお願いする。
〈あ〜やっと私の番かぁ〜。〉〈ここは私のうぐいす嬢的美声でイコッ☆〉
トライオキシン245とは米軍が開発した、対感染者用、生物兵器です。
ロズウェル事件の宇宙人の脳の細菌データが盗まれた後に、それに対抗すべく開発されたのが、このトライオキシン245です。
しかし、なんどか、米国内で深刻な事故を起こし取り扱いの難しさが課題となっていました。
この、トライオキシン245に感染すると、生きている人間も死んでいる人間も…生き物すべてが、活動を開始致します。
今、問題となっているゾンビに似ています。しかし、活動の目的が違います。脳ミソを補食する目的を持ちます…。
そして、脳を破壊されても活動を停止せず、五体をバラバラにしても各部位で活動を続けようとします…。
さらに、人間並の知能をもち、言語も喋ります。
感染方法は、一定以上トライオキシンを体内に取り入れると発症致します。そして、生きている者より、死んでいる者の方が、格段に発症しやすい…。
このトライオキシン感染体を止めるには二つの方法しかありません。
一つは、トライオキシンの活動が少量の酸素を必要とするため、窒素か二酸化炭素で感染体を完全密閉確保する。
二つ目は、完全に焼却する…。しかし、米国の報告では、トライオキシンが気化し、雨を降らせ、濃度は低いがトライオキシンを含むの雨になり、その雨を一定以上浴びると、死者が生き返るとの事です…。
そこで、気化しにくいのが、【トライオキシン245S】となります…。改良前の10%に押さえられています…。
実験の結果、トライオキシン感染者は、ゾンビの脳を補食し、ゾンビの活動を停止させる事が出来ます。
また、トライオキシン感染体に活動を停止させられた死体は、細菌に感染されているので、トライオキシン感染者にはなりません。
トライオキシン感染体は、細菌感染すると、脳を支配されるおそれがあります。
脳を破壊されても活動しているトライオキシン感染体は細菌感染をしても、活動パターンは変わりません。
脳を破壊されてないトライオキシン感染体は、細菌感染体になる可能性はありますが…。
…要するに…このトライオキシン感染体とゾンビを戦わせます…。ゾンビの個体が減った所で、数の少ないトライオキシン感染体を駆除致します…。
これが、我が国の、選択です…未来の希望を賭けた…危険な賭けですが…。
それと、トライオキシンとは、ロズウェル事件の宇宙人の血液の中にあった例の細菌に対する抗体を元に作られています…。
〈あっ、私の今の報告完璧じゃ〜ん☆キマッタ〉
こんな愚かな作戦に希望を見出した…この時の私、いえ…私達…日本政府は、まだまだ甘かった…それに気が付くには、そう時間は掛からなかった…。
【第五章】へ続く…
スゴイコトニナッテキター
バタリアンキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
495 :
本当にあった怖い名無し:05/01/24 19:37:23 ID:w16OSHiwO
ひゃ〜トライオキシンですか!
二重の危機だね〜!
496 :
本当にあった怖い名無し:05/01/24 19:50:11 ID:rzOgJ96+0
むおっ 大作の予感・・
497 :
…希望:05/01/25 00:07:12 ID:uKDfphqYO
>493様.494様.495様.496様
読んで頂いてありがとう御座います。
駄文ですが頑張ります
『俺は、九州政府本部の特殊部隊・第1特務隊の隊長の森田だ。本日より、第一次掃討作戦を開始する』
新しく編成された、俺の部隊の初陣が本州に向けて出撃を開始した。
今回の任務は、本州の西日本地区の、感染体の現状と、北海道政府で研究された、対感染体兵器のテストだ。
しかし、こんな化け物が兵器とは…、ま、頭の良い科学者達が考える事は…理解できないが…。
戦車と装甲車、又、海岸沿いの米国空母から出撃するヘリコプターとの大がかりな作戦だ…だが、安心は出来ないだろう…。嫌な胸騒ぎがする…。
本州に入ると、街は異様な光景だった…。街には、人影は無く、死体も殆どない…これが廃墟か…あぁ…そうだった…死体は動くんだっけか…。
しかし、しばらく進むと大きなデパートの周りに、人だかりが出来ていた…いや、化け物の大群だ…。
デパートの屋上を見ると、カーテンか何かで作られた旗が見える。ヘリに連絡し、上空から屋上を確認してもらうと、まだ生き残っている人間が助けを求めていた。
生き残っていた人間は8人だった。ヘリは、ゆっくりと屋上に着陸し民間人を保護し九州に輸送する事になった…。
ヘリが飛び立つと、デパートを囲んでいた化け者達は、こちらに向かって移動してきた…。
今回は、直接の戦闘が任務ではない俺の部隊は、後退し逃げる事を選択した。
翌日、俺の部隊ではヘリから対感染体兵器の、トライオキシン245S感染体10体が、街に投下された。また、陸上部隊からも10体街に放たれた…。
観察を続けると、化け者達は、脳ミソ…と言いながら戦車や装甲車にまとわりつく…気持ち悪い奴らだ…。
そのうち、街のどこからかゾンビ達が現れてきた…。
ゾンビは集団行動をとるらしいと報告のメモをとる。
ゾンビに気が付いたトライオキシン感染体は、ゾンビ達に襲いかかり、頭にかじりつき脳ミソをえぐりだし、夢中で貪りついた。
ゾンビもトライオキシン感染体に噛みつき肉を食らう…。しかし、トライオキシン感染体は平気な様だ…活動は停止しない…。
どんどんゾンビの頭にかじりつき、脳をえぐりだし、貪る…その度にゾンビは動かなくなる…。
しかし、脳ミソを食べるのに必死な感染体も、ゾンビに肉を喰いちぎられ、腕や足が無くなる奴も出てきた。
それでも、ピンピンとしているトライオキシン感染体…早速、報告書を作り本部に連絡をとった。
本部では、扱いによっては伝染力の弱いトライオキシン感染体だが、一度に大量に投入するのは危険と考えた。
また、死体の損傷がはげしい朽ち果てた感染体は攻撃力、耐久力が落ち、効果よりもリスクがあると判断し、五体満足な新鮮な死体を限定して、対感染体兵器を増やして行くと方針を決めた…。
また、本州での民間人の保護は…全面的に禁止となった…。もちろん、これは非公開だが…。
この決定は、先日、俺たちの部隊が保護した民間人の中に、感染者が居た為に、輸送に使ったヘリは、墜落し、全員死亡した…。
幸い、九州本土に入る前に機内で発症して墜落した為に、九州本土は無事だったのが救いか…、いや、なんでこんなのが救いなんだ…。
俺達の部隊はその後も、数日間本州にて作戦を遂行したが…、まだ人間でいる民間人を多数発見したが…保護する事無く見殺しにし…九州に帰還した…。
これからは、質の良いトライオキシン感染体の確保と増えすぎない様にの…数の調整と…。俺達の未来は…希望は…本州に残された民間人を助ける事も許されずに…この化け物達にかかっていると言うのか…。
俺は、悪魔になると決めた…この地獄が終わるまでは…。
>>439 東京くだんさん、いろいろとフォローしていただき、
ありがとうございます。
お察しのとおり、html化依頼は私がしたものです。
(「やさしい人がレスしてくれる質問スレ」で鯖移転
のことを教えてもらいました)
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」の4〜15を
やっと読むことができました。すごく面白かったです。
『2ちゃんねらー ここに眠る』のあたりは、かなり心に
じーんとクるものがありましたし、トイレのドアの隙間から
アケミの白濁した眼がのぞいている、というくだりは
最高に怖かったです。
「ゾンビ」のゾンビ(ややこしい)がどこへ行ったのかも
気になりますね。普通のゾンビとは異なるような描写が
ありましたし、生前から変な能力を持っていそうな雰囲気
でしたし。(単なるサイコだったというセンも)
ともあれ、今後も楽しみにしています。
って書いてたら、(22)がキテター!
今後はこういうパニックが日常茶飯事になっていくので
しょうね。デビルマン(原作版)で例えれば、「私、不動明
の物語」から「読者であるあなたの物語」へと移っていくよ
うに。(意味不明な例えでごめんなさい)
作者の皆様、乙です。
>>マサヒコさん
成仏させてやるため、そう割り切ることのできる「兄貴」は、
強くそして優しい人なんでしょうね。
マサヒコさんのお風邪が早く治るように、お祈りしてます。
>>232さん
薄情な家族だなぁとは思いますけど、この場合は仕方ない
のかな。仲間たちも避難しちゃったんでしょうか。
>>292さん
爆撃… とりあえずデパートから離れないといけないようですが、
体力的にキツそうですね。
>>…希望さん
毒をもって毒を制する、って一歩間違えるととんでもないことに
なりそうですね。デビルマンの飛鳥了の「人類の味方を作ろうとして
最大の敵を作ってしまったのでは」というセリフを思い出しました。
>>ドロドロさん
なかなか過激なヒロインですね。容姿、性格ともに私好みですw
希望さん乙
507 :
…希望:05/01/25 14:42:42 ID:uKDfphqYO
>505様、>506様、サンキュー
毒をもって毒を…
貞子を伽椰子で…
…あの事件発症からどのくらい経っただろ…きっと一ヶ月ぐらいか…。俺は、彼女と相変わらずキャンピングカー暮らしだ。まあ、仕事で時間に追われる事もなく、それなりに幸せだ。
米国内でも、発症が確認され問題になっているらしいが…まだ、奴らはこの北海道には広がっていないらしい。
近頃、本州での怪事が他人事の様に思えてしまう時がある。そう錯覚させる位に平和だ…。彼女と過ごす時間は、俺を平和惚けさせる程に、幸せだった。
気になる事と言えば、今朝、北朝鮮からのミサイル数発が北海道に着弾したらしい…。
本州では、ゾンビ掃討作戦が順調で、ゾンビの数が確実に減っているらしい。
あと、雨が多くなり、酸性雨か何かで肌がピリピリするらしい。政府からは、あまり雨にあたらない様にとの発表があったが、北海道では、最近は雪しか降らないし酸性雨かどうかなどよく分からない。
最大のニュースは、彼女のお腹の中に、命が芽生えていた事だ…三ヶ月らしい。
早く、この怪事が解決し、三人で幸せに暮らせる事を…俺は祈った…希望の溢れる明日を信じていた…。
【第六章】に続く…
【ある日の朝】
…教授大丈夫ですか…、今のは何だったんでしょう…。
あっ、警報機が鳴っています。研究施設倉庫からです。私、見てきます。
【30分後】
ゴホゴホッ……教授…米国からのサンプルのトライオキシン感染体が、燃えてガスを出しています…ま、まずい…ですよね…
【1時間後】
ゴホッ…教授…先ほどの事故は、北朝鮮がミサイルを発射し日本海の米軍が迎撃仕切れなかった数発が、この施設の近くに着弾したのが原因です。
【2時間後】
…大変です…先ほどの事故で死亡した作業員数名が、活動し出しました…ゴホッ…
【2時間30分後】
ゴホッ…現在、駐留の自衛隊により、感染体の確保に全力を注いでます…
【3時間後】
ゴホッ…先ほどの、施設外に逃げた感染体の被害が地域住民に…また、近隣で、死者が蘇って、人間を襲い脳ミソを食べていると…ゴホッゴホッ
【3時間30分後】
…先ほどの、感染体の確保に失敗しました。感染体は…施設の外へ…助かる希望は何パーセントですか…教授…。教授…私、少し気分が優れません…。私、少し休んでいいですか…ゴホゴホッ…
【四時間後】
………。教授…脳ミソ…ゴチソウサマデシタ…。
ガクガクブルブル
514 :
…希望:05/01/26 18:42:01 ID:XqBW86zmO
東京くだん様、銀縁の眼鏡様、ドロドロ様、タカヒロ様…みんなの続きが待ち遠しいです☆
翌日、車のラジオから政府の放送を聴いていた俺は…嫌な胸騒ぎがした…。北朝鮮のミサイルは、北海道のある研究施設付近に着弾し、北海道の政府の本部は壊滅状態らしい…。
北海道に避難中の人は九州又は、四国まで自力で避難するように…だそうだ…。
幾ら、本州が鎮圧化して来ているとはいえ、本州横断は、無理だろう…無謀だろう…。俺は、どうすべきなのか…やはり政府はあてにならないのか…自分の力だけしか信じれないのか…。
俺の不安な顔色を察した彼女は、姉に会いたいと哀しげな顔で言い出した。会って謝りたいらしい……。
彼女の姉は、政府の研究施設で働いている。もしかしたら、先ほどのラジオの…まさか、そんな偶然はないはず…。
俺は、港に向かった…船を手に入れる為に…。船などもう無いとは思ったが何もしないよりは…。
港に着くとやはり船は無い…自力で本州を横断するしかないのか…いや、なんとかなるさ…してみせるさ…。
次の日、俺は本州へ向かった。青森県に繋がる道は、厳重な警備がしてあるはずだが…なぜか警備されて居ない。
それどころかあちらこちらに、頭部を破壊された死体がゴロゴロと転がっている…。
そして、橋に差し掛かろうとした時、物陰から一斉に人らしき者が飛び出して来た。
車の周りを取り囲み、脳ミソと言いながら車を揺らす。俺はアクセル全快で引き殺す…いや、死なない…頭が吹っ飛んでも活動を止めない…な、なんなんだ…これがゾンビか…?
フロントガラスに張りついているゾンビが俺の名前を呼んだ…!?その時、彼女が『お姉ちゃん!!』…と言った。
フロントガラスに張り付いているゾンビは、変わり果てた彼女の姉だった…そして、俺が三年間付き合っていた元彼女だった…。
彼女は変わり果てた姉に泣きながら言った…
『…お姉ちゃん…ゴメンね…お姉ちゃんの大切な人を奪っちゃって……ずっと…謝りたかったの…ゴメンね…』
俺は、気が強く、自由奔放で、わがままな元彼女に疲れ、一緒にいて安らぐ妹の方を…いつしか選んでしまっていた…。
しかし、変わり果てた元彼女を見ると…心が苦しくなるが…今は…今、何よりも大事な…愛する彼女を助けなきゃ…。
俺は、アクセルを深く踏みこみ、警備の居なくなった本州へ続く橋に向かい走り出した。
奴らの何人…いや、何匹かは、車にしがみついたままだったが、そんな事はかまいはしない。どんどん速度を上げていく…。
橋の上は思ったより障害物が少ない。時折、人らしき死体が横たわるが目もくれず直進する…。
橋の中程ぐらいまで来た頃、人らしき群が見えた…いや、ゾンビか…。一気に突っ切るのも、無理と分かる程大量にいる…。
俺はブレーキをかけたが…橋が凍っていて滑りながら、奴らの群に突っ込んでいった…。
フロントガラスには、ドス黒い血しぶきが噴きかかり、奴らの体が砕けたのが分かる。肉や臓器もグチャグチャに…。
ただ、先ほどの奴らと違い、どうやら、体をある程度…いや、頭部か…、とにかく、損傷の度合いか何かで活動を停止する様に思えた。
奴らは、脳ミソとは呻かない…言語も喋らない…先ほどの奴らとは、明らかに違うのは分かる。
車は奴らにもまれ、凍結した橋のせいでズルズル滑り押される…。アクセルを踏んでも、タイヤが微妙に空回りして巧く進めない…。
そんな中、来た道の方から先ほどの奴らの大群がこちらに向かってきた…、もう駄目か…。
少しあきらめかけた時、不思議な事が起こった…後から来た奴らが一斉に車を取り囲んでいる奴らに襲いかかった…なっ、なぜだ…。
頭部に噛みつき脳を食べているみたいだ…。脳を食べられた方は、活動を停止する。
そして脳を食べられるまでは、首や腕に噛みつき肉を食おうとしているみたいだ…。元人間と元人間が喰い殺し合う…おぞましい光景だ…。
奴ら…種類が違うのだろうか…、車の包囲が手薄になったのを見計らって車を慎重に発進させた…。横目で見ると、しゃがみ込んだ元彼女が脳を食べている姿が見えた…。
…車は、本州までようやくたどり着いた。
俺の隣で、彼女はうつむき震えていた。あんな光景を見たら、まあ当たり前だ…俺だってアクセルを踏む足の震えが止まらない…。
ここは、敢えて姉の事に触れるのはやめよう…。どちらにしても…言葉がない…。今は生き延びる事だけ考えよう…。
ガソリンはまだある。高速道路が途中崩れていない事を願って、高速道路で西に向かう事にした……これが最後の未来への希望の旅になる気がしていた…。
【第八章】へ続く
乙 オモシロイヨ
「まあ、それはわかったけど…君は一体何者なんだよ?」
「……」
そう聞くと、彼女は手を止め、考え込むように口を閉じた。
落ち着いて考えれば奇妙な話だ。
明らかにこの町の住民じゃないし、口振りからしてあのゾンビみたいなのについて知ってるみたいだし。
「この事態を…伝えに来たの」
「え?」
「それで、少しでも多くの人を助けたかった……でも、私が来た時にはもう感染は進んでた……」
表情はほとんど変わっていないように見えた。
でも、その声からはある種の無念さが感じられた。
「だから…あなたに会えて嬉しかった…生きてる人がいてくれてよかった…」
「じゃ、じゃあ、あのゾンビみたくなったらもう…助から、ないのか…?」
自分でも声が震えていたのがわかった。
その答えを聞きたくない、でも聞かずにはいられない。
まだ頭が混乱してるのか、そんな事を考えていた。
「うん、ああなったらもう…助からない…というより…もう死んでるの」
死。
今まで身近ではなかった単語。
だが、あれを見たら信じるしかなかった。
さっきのお婆さんはすでにただの液体と化していた。
「ああなったら生きた肉を求めて彷徨う…そして噛まれたら感染し、その人もゾンビになる…
だから、そのサイクルを止めるには…ゾンビを倒すしかない…」
「…………」
彼女も辛そうだった。
やはりああなってしまったとはいえ、人の姿をしたものを殺すのは抵抗があるんだろう。
とはいえ、噛まれたら感染するって言うなら、そうしないとドンドン数だけが増えていきそうだ。
その時、彼女の目つきが変わった。
視線を追うと、どうやら俺の後ろを見ているようだ。
振り返ると、そこにはさっきお婆さんに腹を食われていたお爺さんがゾンビとなって
こちらへ向かってきているところだった。
「下がって…」
そう制して、一歩前に出て、銃を構えた。
向こうの動きは鈍い、やっぱり感染して身体能力が落ちているんだろうか。
そんな事を考えていると、彼女は引き金を引いた。
さっきより距離があったせいか、あまり仰け反らなかった。
だが、間違いなく頭部には当たっている。
8発目を撃った直後、ゾンビはゆっくりと前のめりに倒れた。
ビチャっという液体が広がるような音がここからも聞こえた。
「やっぱり…感染直後は少ししぶとい…」
ボソッと彼女はそう呟いた。
…一体どういう意味だろう。
「ここも安全じゃない…」
彼女は振り向くと、左手で腰の銃を引き抜き、俺へ差し出してきた。
「…へっ?」
俺が素っ頓狂な顔をしていると。
「私一人じゃ守りきれるかわからない…だから、あなたも戦って」
「……マジで?」
「マジで」
どうやら冗談で言ってるわけじゃないらしい。
おそらくさっき言ってた通り、彼女はこれから生存者を探しに行くんだろう。
その際、俺をここに放置しておくわけにもいかないわけだし。
つまり、協力しろって事か、これは。
「…わかった、女の子に守られてるってのも格好悪いしな」
「そうなの?」
「そうなの」
差し出された銃を受け取る。
映画とかでよく見た事ある…ベレッタM92だっけか、それもシルバーモデルだ。
「…本物じゃないよな?」
「当たり前…」
はは、そりゃそうだよな…日本でマジチャカが手に入るわけないか…。
「…違法改造したガスガン…ゾンビはウィルスで皮膚や骨が溶け出してきてるから、これでも倒せる…」
「普通に売ってるのじゃ駄目なのか?」
「…威力が足りないと思う…」
「そっか…」
そりゃいくら溶け出してきてるとは言え、人の皮膚や骨だもんな。
撃ち抜けるわけないか…。
「後、これ…」
「ん?」
そういって肩に掛けてたショットガンも俺に手渡してきた。
「…使えと?」
「うん…私にはちょっと使い辛いの…」
使い辛いのに何で持ってきてんだよ、と突っ込みたくなったが、とりあえずやめておく。
「撃ち方わかる…?」
「まあ、大体は」
「そう…ならいい…」
ああ、そうだ、肝心な事聞き忘れてた。
「あのさ、ちょっと聞いていいか?」
「何…?」
「これから一緒に行動するんだし、名前、教えてくれないか?」
俺がそう聞くと何故か不思議そうな顔をした。
あら? 何か変な事聞いちまったか…。
「……荒凪結衣…」
しばらく考え込んでいたみたいだけど、彼女は顔を背けながらもそう答えてくれた。
「荒凪結衣…ね」
「今度は…そっち」
今度は顔を少しこっちに向けながら言う。
何かその様子が小動物みたいで少しおかしくなってしまった。
「何…?」
俺が笑いをこらえているの訝しげに見ている。
おっと、つい表情に出ちまったか。
「いや、何でもない…俺は竹川信哉、単なる学生だ」
「……愛称は竹ちゃん?」
「違うわ」
何を考え込んでるかと思えば…やっぱりこの子は変わってる。
>東京くだんさん
不謹慎だと思ったんですが、事故の後の
「・・・眼がっ!眼がああっ・・・!!」 のセリフ見て
『ムスカ大佐!?』とか思ってしました;
>希望さん
ゾンビ以外にも色々厄介なのが出てきましたね
ゾンビの脳しか食わないってわけじゃないみたいですから
これから主人公達はどうなるんでしょう…
投下ペースも早くて羨ましいです、自分は遅筆で;
>希望さん
ゾンビvsバタリアンというのは、初めて見ました。
面白いです。(^∀^)
ただちょっと気になったのですが、
北海道と本州を結ぶ橋って、なに…?
531 :
…希望:05/01/27 12:23:57 ID:WhpFOZQWO
>523様、アンガトサン☆サンキューです。
>ドロドロ様、投下乙でした。主人公と女の子の漫才チックなやりとりイイ━━━好きかも♪
>530様、サンチュー☆ゾンvsバタ…ちょっとやってみたかったもので…。
橋ですか?青函トンネルって…トンネルぢゃん!!(゚o゚)ハッ!
きっと小説の中では、海の上に大きな橋が架かっているんです…そう言う事にしといてやって下さい…(;-_-)=3 フゥ
……気がつくと私は、教授の頭部にかじり付き、脳を貪っていた…。
脳を食べると、表現しきれない体の痛みが緩和され無性に安らぐ…まるでドラックの様だ…。
あ、私は感染してしまったのか…あの、化け物になってしまったのか…。支配される意識の中で、脳を食べたいと言う本能と、非人道的な行為に対する自己嫌悪…。
それでも私は、次々と施設の人間にかじり付き脳ミソを堪能した…。脳ミソを堪能する度に、自己嫌悪はなくなっていった…。
翌日…、車に乗っている男と女を見かけると、なぜか、懐かしい気がした…それと同時に、言いしれぬ憎しみに似た気になった…。
仲間達と車に全力で走り寄った…。フロントガラスにへばり付き、車内の男と女を覗く…。なにやら、女は何か言っているようだが……先ほど感じた憎しみに似た気分がなくなり涙が出るような気分になった。
もう私は人間ではない…気持ちなど存在しない…苦しみを和らげる為だけに、脳ミソを求める…
車内の男と女に私は本能で言った…
『オマエ達ノ…ノウミソ…クワセロ…』
もう、何も考えられない…脳ミソの事以外は……。
希望さんといい新人さんといいゾンビの気持ちがよくおわかりですね。
これならいつゾンビになってもおかしくない。失礼。
次のパターンはゾンビの側から人間食いまくる描写の戦闘作品ですかね。
このスレ面白いですね。オカルト好きな私には、タマラナイワ♪
くだんさんや、眼鏡さんのは、本格的小説みたいで読み応えある。
ドロ×2さんのは、早く次の展開が知りたいワ!!
みどりさんのは、日記みたいで、親しみやくく色々想像して、主人公の女の子を心配しちゃった。
希望さんのは、ストーリーと取り巻く背景が凝ってて、何度か読み返すと、時間と場所が絡み合ってるのが良く分かってパズルみたいで面白い。
新人さんのは、続いてるのかなぁ〜ゾンビになったその後が興味ありなんだけどw
作者の皆様、これからも素敵な作品を読ましてくださいネ(*^_^*)
536 :
マサヒコ:05/01/28 18:18:26 ID:izb5IrCMO
翌日、兄貴の声で俺は起きた。
兄貴の声がする部屋に行くと、兄貴はすでに出発する準備が終わっていた。
「やっと起きたか。お前も早く飯を食って、準備しろよ。」
俺は飯を食うと、すぐに準備を終わらせ、兄貴と共に玄関に向かった。
外にはかなりの数のゾンビがいた。
「さすがにこれだけの数を相手にするのは無理だな……
恭介、昨日渡しておいた手榴弾を使え!」
俺はケースから手榴弾を取り出したが、俺はその手榴弾を見て昨日兄貴が言っていた事を思い出した。
兄貴はそんな俺を見てこう言った。
「無理なら俺が代わりにやってやるからな。」
俺は少し考えたが、やはりためらってしまい、兄貴に手榴弾を渡した……
「そうか……わかった、俺がやるよ。お前は奥に下がっていろ。」
そう言って兄貴は俺から手榴弾を受けとった。
俺が奥に入っていったのを確認すると、兄貴はゾンビに向かって投げつけた。
その直後、激しい爆発音とともに、衝撃によって家が少し揺れたのがわかった。
537 :
マサヒコ:05/01/28 18:19:38 ID:izb5IrCMO
「もう出てきていいぞ。」
俺は兄貴がそう言ったので玄関に行くと、先程までゾンビがいた所には爆発によって穴があいていた。
「ゾンビがまた集まってこないうちにここから離れるぞ!」
兄貴がそう言うと、俺たちは急いでその場から離れた。
しばらく俺たちは走っていたが、周りに何もいないのがわかると俺たちは少し立ち止まって息を整えた。
兄貴は俺が落ち着くとこう言った。
「もう少し進むと森に入るけど、そこだとゾンビがどこにいるのかわかりずらい。だから、何か動くものを見たら注意しろよ。」
それから30分くらい歩くと先程兄貴が言っていた森が見えてきた。
森に入ると、まだ朝の9時だというのに辺りはかなり暗かった。
森に入ってから約20分、少し離れた所にゾンビが数匹いるのが見えた。
奴らはこちらに気付いたようでこっちにゆっくりと向かってきた。
兄貴もガスガンを用意したが、突然大きな発砲音がしてゾンビの頭が吹き飛んだ。
俺たちが音のした方を見ると一人の男が立っていた……
538 :
マサヒコ:05/01/28 18:45:21 ID:izb5IrCMO
風邪が治ってきたんでとりあえず投下しました。
そろそろ過去の話が終わるんで主人公がゾンビと戦う日も近いかと。
(ホントは2、3話で終わらせるはずだったのに〇TL)
ダウンしてる間他の作者の小説を読んで楽しく(?)過ごしていました。
自分も皆様に遅れをとらないよう頑張りたいと思います。
539 :
P.P.P:05/01/28 22:29:31 ID:vr+DcSRLO
「!?…………」 目が覚めた。頭が痛い。いや、体のあちこちが痛い。 「な…んだ?」 辺りを見渡す。街が壊れている。ビル、大型デパート、車、家。すべてが壊れきっている。 「地…震……?」
俺は壊れた車の中にいた。。そうか。運転中に。思い出した。俺は今あいつの迎えに行く途中だった。その時に………!!
「迎えにいかなきゃ。」
身体が痛い。
行かなきゃ。。。
新しい作品キター
541 :
P.P.P〜2〜:05/01/29 00:40:48 ID:aT2lndjqO
「都心…部は…ほ………み…なさ…な…離…れ…から……さい……都」
あいつを迎えに行かなきゃ。もうどれくらい歩いただろう。 身体の傷は廃墟と化したコンビニなどで一応治癒はした。食料も食べ放題だった。ラジオも拾った。放送はしているみたいだ。生きてる人はいる。都心部はダメだと言っていた………。
まぁ都心部は関係ないか。なんてことを考え歩き続けた。。
廃墟と化した街を。
タンクローリーで乗り込んだ下谷警察署の中にゃ、四人の奴らが立て籠もってた。
そいつらは、ゾンビ野郎が、ぶっ倒れてるバリケードの向こう側から、慌てて飛び出して来やがった。
二人は迷彩服着た自衛隊のヘルメット、もう一人は警官らしい制服のおやじで、最後の一人はパーマ頭の「ばぁさん」だ・・・。
ローリー車の火災で、建物の中にも煙が充満して来たから、「早く逃げた方が良いぜ。」って言いながら、オレは散弾銃の弾を込めたのよ。
そいつ等は、自衛隊の二人が自動小銃、中年の「お巡り」はニューナンブの二丁拳銃、パーマ「ばぁさん」は手ぶらだったが、重そうなリュックサックを背負ってた。
・・・階段を下りかけてたオレに向かって、自衛隊の「小太り」の方が、声を掛けて来やがった。
「集めた武器や食料を持って行くから、手分けして運んでくれ。」って言ったんだ。
オレはもう一人の「メガネ」の迷彩服から食料らしい背嚢袋《はいのうぶくろ》を受け取って肩に担ぐと、下で拾った拳銃を「お巡り」に渡してやった。
撃ち方を知らねぇオレじゃ、こんなの持ってたって、宝の持ち腐れだろうから、専門家に渡してやったのよ。
そいつは、虚ろな目をしながらも、受け取った拳銃を腰のベルトに挟み込んでたんだが、・・・よく見たら、そのベルトには他に2丁も拳銃を吊してた。
「メガネ」の自衛隊野郎が言うには、警察の装備室や資料保管庫から、使えそうな物を運び上げたらしい。
ついでにオレも、ヤクザからの押収品らしい日本刀を手渡されたから、散弾銃の弾を撃ち尽くしたら、こっちを使うつもりで刀の鞘をしっかり握ったのよ。
どうやらこのチームのリーダーは迷彩服の「小太り」らしい。
そいつを先頭に、「オレ」、「お巡り」、「ばぁさん」、「メガネ」の順に撤収を開始した。
先頭を行く「小太り」の自衛隊野郎が、廻りに注意を払いながら、独り言を言うようにオレに話しかけてきた。
そいつの名前は佐藤、後ろの「メガネ」は中村って言う名前で、千葉の習志野から仲間の奴らと来たらしい。
・・・佐藤の話じゃ、「おとといの夜中に、都内で大規模な暴動が発生。」って連絡で、第一陣の部隊が、都内の警備に来たんだと。
けど、その先遣隊はタダの暴徒鎮圧目的だったから、軽装備しか持ってこなくて、あっという間に消息不明・・・。
それで、こいつ等が救出に来たんだが、葛飾の平井大橋辺りでゾンビ野郎の大群に襲われて、部隊はちりぢり、逃げる間に一人減り、二人減りで小便ちびるような体験をして来たらしい。
命からがら逃げ延びて、無線で「SOS」を呼びかけたのが、夜勤でここの連絡係をやってた、小松って「お巡り」の耳に飛び込んできたって訳だ。
ここまで来たとき、自衛隊の生き残りは、たった三人しか居なくって、そのうちの一人は、途中で食いつかれて手傷を負ってたから、可哀想だが地下の留置場に鍵掛けられて入ってるんだと。
そんで、「ばぁさん」の方は、警察の近所に住んでる一人暮らしの「タマ子」ってばぁさんで、今朝、自分の荷物を纏めて、警察に逃げ込んできたんだが、あいにくみんな出払って、残念ながら残ってたのは無線係の「お巡り」だけ・・・。
佐藤って自衛隊はそんな経緯《いきさつ》をオレに話しながら、階段を上がってきた一匹のゾンビ野郎に、小銃弾をお見舞いしてた。
オレは「頭を狙わなきゃダメだぜ。」って教えながら、昨日からのことを話し始めたのよ。
・・・そしたら突然、建物の外で、もの凄い爆発が起こりゃがった。どうやらタンクローリーのガソリンが、いっぺんに爆発したらしい。
建物の窓ガラスやドアが吹き飛んで、そこから熱い炎が、グワッと吹き出して来やがったから、こっちも焦っちまった。
炎に煽られて、「ばぁさん」が尻餅つくようにひっくり返ったが、どうやら命は無事らしい。
「ばぁさん」は「なんまいだ。だんまいだ・・・。」って、念仏唱えながら、ヨロヨロと立ち上がりかけたから、オレと「お巡り」が両脇を抱えて、燃える廊下を走り抜けたのよ。
タンクローリーの大爆発が、警察の部屋ん中に飛び火して、あっちこっちを火の海にしちまったから、てめぇの髪の毛まで燃え上がりそうなほど熱くなって来やがった。
それでも何とか一階の窓をブチ割って、建物の裏側に逃げ延びたぜ。
それから佐藤と中村が、その辺に居るゾンビ野郎を自動小銃で始末しながら、取りあえず昭和通り側へ移動したのよ。
中村の奴・・・、あんまりバラバラと、小銃の弾を無駄遣いするモンで、「無闇に撃つな。単発にしろ。」って、佐藤にぶん殴られてたっけ。
何でも、奴等が持ってる小銃は、自衛隊の標準装備「八九式小銃」とか言うらしくて、機関銃みてぇに連射も出来るけど、切り替えレバーで単発とか、三連射にもなるらしい。
威力は有るんだが、的が近いと弾がゾンビ野郎の体を突き抜けちまうから、きっちり狙わねぇと致命傷を与えられねぇんだとよ。
やっぱ、接近戦には、オレが持ってるみてぇな散弾銃が一番良いらしい。
そんなこと話しながらも建物の影や、電柱の後ろに注意して、路地を移動したんだが、タンクローリーの火災で、この辺りも真っ黒い煙が立ちこめてたから、生きた心地もしなかったぜ。
それでもどうにか大通り側へ脱出して、警察署の方を振り返ったら、炎のゾンビ野郎が、炭化したボロボロの服や皮膚を引き摺りながら、蠢くように歩いてやがった。
奴ら、熱で目蓋の皮膚が膨れあがったり、眼球が破裂したりして、目が見えねぇらしが、それでも気配を察して、夢遊病者のように動いてやがる。
そんな奴らから逃げるように、交差点の中央まで移動すると、向こうからオレのダンプが曲がってきた。
・・・どうやら「姉ちゃん」達も無事らしい。
急ブレーキ掛けながら、目の前に止まったダンプの助手席に「ばぁさん」を押し込んで、キャビンの方は定員になっちまったから、他の奴らはオレと一緒にダンプの荷台に直行さ。
運転手役の「姉ちゃん」は、こっちがとっとと荷台に乗っちまったんで不服そうだったけど、オレの合図で渋々ダンプを発車させた。
けどよ。ダンプの荷台ってのは、人が乗るモンじゃ無ぇんだ。
ケツは痛くなるし、掴まるところも有りゃしねぇから、安心して乗っちゃいられねぇんだが、この際、背に腹は替えられねぇ。
そんなオレ達四人は荷台の枠に必死に掴まりながら、今後のことを話し合ったのよ・・・。
自衛隊の奴らは、何とか本隊に合流したいらしいが、本部からの無線通信は途切れたままで、どうしたらいいのか判からねぇ。
それに補給が無ぇから、この先どれだけ死人の街で生きていけるか、見当もつかねぇらしい。
小松って「お巡り」は、「東京はお終いだから、遠くへ逃げるんだ。」って言い張ってる。
オレは「学者先生の救出が最優先だぜ。」って言ったんだが、「人の命を助けるより、まずは自分達が助かる方が先だ。」って「お巡り」の奴が言いやがる。
取りあえず、みんなの意見が一致したのは、「ダンプよりケツが痛くならねぇ乗り物に乗り換えよう。」ってことだけだったなぁ。
そんな話ししてたから、「姉ちゃん」に指示するのが遅れちまって、オレ達はダンプに乗ったまんま、国道四号から首都高速上野線に入り込んじまったのよ・・・。
嫌な予感がしたんだが、ちょっと進んだら、思った通り高速の上は大渋滞、その上、動かねぇ車の間からフラフラ歩く、ゾンビ野郎の姿が見え隠れしてる。
「姉ちゃん」みてぇな不器用は、前に走らせるだけで精一杯で、バックなんて出来やしねから、にっちもさっちも行かなくなって、結局、オレのダンプは渋滞の最後尾の車に、オカマ掘って立ち往生。ってことになっちまった。
運の悪いことは続くモンで、ドンとぶつかった拍子に、前輪のタイヤがパンクしやがって、車体がガクッと傾いたのよ。
オレ達も運転席の女子供も、体はどうやら無事らしいが、のんびりタイヤ交換なんかしてる暇は無ぇみてぇだ。
・・・奴らの影が近づいてくる。
オレは自衛隊の佐藤と顔を見合わせると、二人して手近の武器を引っ掴んで、ダンプの荷台から飛び降りたのよ。
4話投下
ちょっと来ない間に、すげぇレスが進むなぁ。
新作が一杯なんで、オレのことなんか忘れちまったかな。
んじゃな。
>>546 おやじさんの作品、楽しみにまってましたよー
他の方々の内容も楽しく拝見させてもらってます。
皆さんおもしろいっ!
つまらんまじでやめろクソども
549 :
P.P.P〜3〜:05/01/29 14:20:30 ID:aT2lndjqO
ラジオの声で目が覚めた。昨日は歩き疲れて寝てしまったようだ。眠い目をこすりラジオに耳を傾ける。
やはり地震だったようだ。それもかなりの。
まぁそうだろうな。これだけ街が滅茶苦茶じゃ。
「ぃ…暴徒…模……心部…に……は 地下………」
暴徒?地下?
はっ?
550 :
P.P.P〜4〜:05/01/29 14:32:48 ID:aT2lndjqO
「あいつ無事かなぁ。」
そればかり考えていた。
………ゴッ……
あれ?なんだこれ?血?
頭から血が流れてきた。…何か落ちてきた? いや…俺……殴られ た? それだけは分かった。「痛…っっ。」
目の前が……。
最後に見たもの。
……ありえないぐらい笑った人の顔。
死ぬのかな。。。
だからつまらんって言ってるだろまじでやめろ
552 :
本当にあった怖い名無し:05/01/29 15:35:05 ID:MIxfW+oK0
↑
死なねぇよwwww
おやじとかまじ死ね。
それじゃあオサーンは死んでみようか。
それサン、ニ、イチ
>>548>>551>>553 おまい、リアル厨房丸出しだけど、ただ寂しいだけなんじゃないか…。
こんなスレを嵐てどうなる…。
嵐の癖にきっちりサゲるし…本当はイイ奴なんだろ…。
ま、子供はチンチンしごいてスッコンデロ(´・ω・`)
同意。エロゲにも劣る駄文しか書かれてないのに
どうして皆こうも面白いを連発すんだ?
むしろ他でよくある二次創作SSのほうがずっと出来がいいくらいなんだが。
まともな小説読んだことないのか君らは
あるいはそういうのを読んで理解し得るだけの頭を持ち合わせてないのか
まじでおもしろくないからおもしろくないって言ってるんだよ。
つまらなかったらつまらない、おもしろかったらおもしろい。
ただそれだけのことでしょ。
荒らしとか言ってる人の方がおかしいと思うよ。
マジでおもしろくないよね、ほんとヲタのマスターベーションでしかないのに
いろいろ読んだ挙句、「つまらん」の一言で済む感想を御丁寧に何回にも、
何行にも渡って書き連ねてくれるそんな親切なeNU〜さん、どうもサンクス。
こんなオカ板にだってまともなスレはイパーイあるのによりによって
こんなつまらんスレで貴重な時間を潰させて ( ノ゚Д゚)すまん
>>557 ふ〜ん、ヲタの〜って認めてるんだw
あっあんたの作品全くおもしろくなかったよ。ってかパクリでしょ。
挙げ句の果てに少し批判されたらファビョるんですかw
いい按配な香ばしさになってまいりましたっ
>>558 読んでくださってどうもありがとうございます。
>>561 見てりゃあわかることだけど
作品うp→ソッコーでほめる
この無限ループにレスアンカーが必要ですか?
>562
そのループは必要無いけどね、罵りとは違う批評はして欲しいと思うよ
あと間違いとかの指摘とか
ヤヴァイ、反応しちまった・・・
あははは。
スマン。古参の作者、読者はこの流れに懐かしさを感じていると思うよ。
いやあ、いっそ懐かしいね、荒らしの連中が。
豚進行形禿ワロス
>>542 おやじさん
佐藤、中村、小松ってまさか一等自営業閣下の・・・
数スレ時間が戻ったようで懐かしいな。
あのときは入り込んだ荒らしに引っかき回されたもんだ。
レスアンカーは荒らしが削除されないように会話に見せかけるためにつけていたんだよな。
>>567 各作品をひとっ通り読んでるみたいだからこのスレの大ファンってことでw
>556の坊や
ココは批評批判するスレじゃないのは、分かるよね?
坊やちゃんを楽しませる為の小説を書くスレじゃないんだよ。
なんなら、自分で面白いの書いてもいいぞ。それが出来なきゃ、このスレに来なきゃいいだけの事さ!
都会から来た青年にアドバイスをもらった俺は、仕事で使うワンボックスにありったけの食料と水を準備し、鉄板で補強しといたのが、役立つ時が来た…。
政府施設の爆発事故の後から、街には変な奴らが出没するようになった…。なんだか、『脳ミソ脳ミソ』と、やけに五月蠅い奴らだ…。
俺の車はちょっと目立つ…。カッコ良すぎだな…かなりイケてる。
街では、奴らに追われ助けを求める者も居るが、あの青年には、自分の命が惜しければ心を鬼にして、無視する様に教わった…。
俺の車の目の前で、小さな子供連れの親子が襲われていたが…俺は見殺しにした……。
俺は、去年…家族を全員事故で亡くし、俺だけ生き残っちまった。家族を亡くす辛さは知っている…でもどうする事も出来ない…。
天国で俺の家族は…俺が、そちらの世界に来る事を望んでいるのか…いや、いないだろうな…。
そう、あの事故の時も俺だけ仕事で、一人だけ日本に居たんだった。『お父さんには、おみあげ買って帰るから…』
結局、おみあげは、細菌テロにより、ハワイ全域全滅…遺体も汚染されていて、回収不可…。それでも葬式と墓は用意した…。
俺は、殺されゆく家族をみながら、自分の家族を思いだし、無性に墓参りがしたくなった…だれも埋められてない、墓石だけの家族の墓だが…。
そして、墓に行くと、車を降りるのは無理と判断した…。なんと、すでに、人間の原型をとどめていない…化け物が大量にうごめいている…。
ここらの墓は古い土葬の習慣がある…きっと死体が動いているんだと、素人の俺にもすぐに分かった…。
しかし、ほぼ、白骨化した朽ち果てきった死体も動くとは…この北海道はどうなってしまったんだ…。
俺はこの時初めて、家族の遺体がハワイから戻って来なくて良かったと思った…もし戻って来ていたら、奴らの様になっていたかもしれない…。
俺は、生き抜く事だけに専念すると決めた…あの青年の様に…ただ、人の心を捨てるのではなく、いつか、人を守るために…。
そして、ある日、軍隊みたいな奴らが来た。俺の車をみて、『まるで武装した装甲車だな』なんて、冷やかし半分に感心していた。このセンスが良いと分かるなんて、センスの良い奴らだ…。
俺は、自分の知っている北海道の現状を教えてやった。奴らの指揮官らしき男は、顔色を変えたのが分かった…。
俺は、その男に『北海道はもうだめだ、本州を抜けて九州へ来い、その車なら関東を避ければなんとかなるだろう…ただ、規則で俺達が保護し輸送する事は出来ない…幸運を祈る』と、敬礼された。
俺は、九州へ行く事を決めた。俺は九州へ向かう前に、家族と過ごした家をこの目に焼き付けようと我が家に向かった…。
車の中から、家族との思い出が詰まってる我が家を見て、感傷に浸っていると、悲鳴をあげながら小さな子供を連れて、逃げるように走っている女が目に入ってきた。
そして、女は、行き止まりの路地に入ってしまった…。もちろん後からは、化け物達が脳ミソと呻きながら追ってきている。
俺は、あの青年の忠告を破る様に、車を急発進し、化け物達の中に突っ込んでいった…。何匹がひき殺し…いや、引き潰し車で路地を塞ぎ、車に乗るように女に叫んだ。
女と子供は、慌てて車に乗り込み、俺は急発進した。
女に、旦那はと確認すると…『頭を食べられて…』と言う。
女に何度も、『助けて頂いてありがとう』と、礼を言われたが俺は無表情のまま、付いてくるかと聞くと、『ありがとうございます…』と、また言われた。
俺は、二人の希望を乗せて九州へ向かう事にした…でも、まずは…この後ろから…街角から…増殖しながら追ってくる化け物達から逃げ無くては……俺の車はカッコ良く目立ち過ぎかな…。
【最終章】へ続く
577 :
本当にあった怖い名無し:05/01/30 15:00:49 ID:O04tTmATO
(;゜∀゜)ワクワク…
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(23)
この混乱は、もうどうしようもないほどの勢いで、瞬く間に周囲へと感染していく。
またすぐそばで、車の衝突があった。
その手前でドライバー同士が、殴り合いのケンカをしている。
おそらく当時の日本では、こんな光景があちこちで繰り広げられていたのだろう。
彼らはみんな、車載テレビやラジオのニュースを観たり聴いたりしているうちに、
精神的に追い詰められ、おかしくなってしまったのだ。
いったいマスコミは、どんな情報を流しているのだろうか。
いずれにせよ、このままではわたしもパニックに巻き込まれてしまう恐れがある。
耳を塞ぎながら、駅に向かって再び走り出す。
頭から血を流し、ぼんやりと道路の端に座っている子供がいる。
わたしに向かって、泣きながらなにかを叫んでいるおばあさんがいる。
OLのお姉さんが、潰れた車の中から男の人を一生懸命、引っ張り出している。
みんな無視した。
なぜならわたしには、家でわたしのことをずっと待ち続けているママがいるからだ。
そして一緒におばあちゃん家に行って、パパの帰りを待たなければいけないからだ。
パパが帰ってきたら、今度はもう少しやさしくしてあげよう、と思った。
あのときのわたしには、他人に関わっている余裕なんてなかった。
だから見なかったフリをした。
駅に近づくにつれ、大通りは車で埋まってしまい、歩道には人の群れが右往左往して
いて、まともに歩くことすらできそうになかった。
大通りと五日市街道が重なっている交差点は、まるでお祭でもやっているみたいに
異様に騒がしかった。
こんな状態が続いているうちは、駅まで辿り着くことなんて絶対に不可能だ。
右横を見ると、神社の境内が見えた。
ここに入って、近道をしよう。
そう思った瞬間、わたしは大胆にも身の丈よりも高いフェンスによじ登った。
『トッポいワリには、運動神経がいい』
とエリに皮肉を言われていた絶妙なバランス感覚を発揮し、力を最小限に抑え、ヒョイ
ヒョイと勢いだけでフェンスを乗り越え、神社に侵入した。
どちらかというと本番には弱いタチなので、たった一度でこんなにうまくいくなんて、
ちょっと信じられなかった。
これってさ、やっぱり火事場の馬鹿力ってやつなのかな。
すごい音がしたので振り返ると、わたしのマネをして境内に入ろうとした中年の
おじさんが、バランスを崩して頭から落ちてしまったようだ。
苦しそうな呻き声が、呪いのようにわたしの体にまとわりつく。
でも気遣う余裕がないので、また無視して走り出す。
そのまま大きな鳥居のある正門方向へと向かうが、そこでも人波が溢れていた。
「・・・・・・」
そういえばここには、もうひとつの出入り口があったんだっけ。
わたしは、大木が林立する神社の境内を横切り、その隣りにあるお寺へと進んだ。
この街は近代的なビルの合間に、たくさんのお寺や神社がひしめいているので、裏道に
入ったりすると、ふいにぽっかりと不思議な空間が出現する。
こんなところにこんな場所があるなんて、よく注意していないと案外と判らないものだ。
わたしも学校のレポートを書くために、ここへいろいろと調べに来なければ、卒業するまで
ずっと素通りしていただろう。
神社やお寺には、表の喧騒が届かない隠れ家的な空気が漂っていた。
だが屍人の影は、ここにも達していたようだ。
本堂の奥から悲鳴が聞こえた。
格子状の古臭いガラス戸の向こうに、死に装束のような白い着物を着た人が、ふっと
横切るのが視界に飛び込んできた。
いやだ、いやだ。
見てない、見てない。
わたしは全力で、そこを通り過ぎた。
消防署の脇にあるお寺の門を潜り抜けたが、わたしの目の前に広がるのは、やはり
ものすごい数の人たちで道路が埋まっている光景だった。
駅に向かう人とその逆方向へ行く人が交じり合い、わけの判らない混乱状態だ。
それにしてもなんで、こんなに混乱しているのだろうか。
とにかく一般人の自動車での外出は、いますぐやめさせるべきだ。
これじゃあさ、消防車だって救急車だってパトカーだって、なにもできないじゃん。
まったく政府は、なんでこんな簡単なことも判らないのか。
バッカみたい。
・・・あれ?
それをいま議論してるんだっけ?
なんか昨日のテレビで、いろいろとやってたなあ・・・
憲法違反が、どうとかなんとか・・・
まあ、そんな大人の事情なんて興味ないから、どうでもいいや
早く家に帰らなきゃ。
けっきょくこの混乱は、恐怖から来る心理状態が影響していたと思う。
屍人は一方向から来るわけではなく、同時多発的に出現していた。
駅に向かう人の背後から、屍人が追いかけてくる。
駅から逃げようとする人の背後から、屍人が追いかけてくる。
どこから襲われるか判らない、見えない恐怖。
その結果がこれだ。
もっとも屍人の数は、生きている人間に比べたらずっと少なかっただろう。
少子化が進んだとはいえ、この狭い島国は当時、世界人口第九位を誇っていた。
家や会社で傷の痛みに耐えていた人が、屍人化して襲い掛かってきたり、あるいは病院や
隔離施設から抜け出してきたりした屍人なんて、日本の人口に比較したら、実際には
たいしたものではなかったはずだ。
問題は屍人化現象が、普通に死んだ人間にまで及ぶことだった。
このパニックで悪戯に死者を増やしたことが、屍人を街に溢れさせる原因にもなった。
マスコミが、むやみに情報を垂れ流したおかげだ。
有事の際、このようなパニックを防ぐため報道管制をきちんと行う取り決めが、戦後
60年を経て、ようやく話し合われるようになってきたのだとあとで知った。
しかしそれでもなお、マスコミ各社は報道の自由という名目にこだわっていた。
たしかに国家権力の言いなりになるような報道機関は最悪だし、絶対にあってはならない。
だが日本では、第4の権力と言われるマスコミの力は非常に強かった。
気に入らない政治家や思想の合わない個人を、捏造した情報を使って、揺るぎのない
正義の名のもと、社会的に抹殺したことが多かったそうだ。
たとえどんな事情があったにせよ、有権者が選挙で選んだ政治家や、世の中を良くしよう
と思って行動した人間を、言論の暴力で消してしまうなんてちょっとやりすぎだ。
でもそれが彼らのチカラだったし、自分たちの行為こそが常に正しい、としか思って
いないので、反省することもなく、いままでずっとやりたい放題だった。
この傲慢な態度が、日本を死の国へと変えていった。
日本を麻痺させる間接的要因を作った屍人報道においてマスコミは、必要な情報を国民に
渡さず、いつものように茶化して煽る報道を行い、そのくせ裏ではどこらへんで本当の
情報を流すべきか、自分たちの安全が確保できるまで、各社が睨み合いをしていたという。
ヘタにフライングをしてパニックが起こると、彼らの責任問題にまで飛び火するからだ。
その姿勢は、報道機関の存在理由が国民への奉仕にあるわけではなく、自らの出世や
利益や思想こそがもっとも大切なのだ、という浅ましさを見事に体現していた。
そしてどこが最初だったのか知らないが、いざ屍人報道を始めると、各社が待ってました
とばかりに、おどろおどろしい映像をいっせいに垂れ流し始め、お互いがスクープを競い
合うかのように、悲惨な光景をわたしたちに容赦なく投げつけてきた。
不安を増大させ思考能力を奪い、その責任を取ることもなく高給を手にする。
そうした行為が、どれだけ多くの国民の命を奪うことになってしまったことか。
機能しなくなった政府と、歯止めが利かなくなった報道機関の相乗効果で、パニックが
どんどんと加速し、収拾がつかないまでに拡大していく。
わたしたちは腐敗臭の漂うなかで、死のダンスをずっと踊り続けさせられた。
公平で客観的な報道なんて、そんなものは最初からなかったのだ。
口では外出を控えてくださいとか、危険な地域はどこそこですとか、神妙な顔つきで
言っていても、けっきょくショッキングな展開を一番に望んでいたのは、彼らだった。
そして自分たちが狼狽する過程すらも曝け出し、最後は自暴自棄のヤケクソな態度で
ショッキングなニュースを延々と流し続けた。
衝撃のあまり、わたしたちの精神が崩壊するまで、平和だった社会の息の根が止まる
まで、延々と、ただひたすらに・・・
人の不幸を飯の種にする薄汚いハイエナ。
災害や殺人、そして屍人を興奮気味に取材する彼らの姿を見れば、そう思いたくもなる。
北朝鮮を廻る報道の経緯だって、まさにそうだった。
安全な場所を確保してから世間を煽って自ら潤うという仕組みは、戦前からまったく
変わっていない。
のちに生き残った人々の間でマスコミ狩りが横行するのは、こうした背景があったからだ。
わたしが初めて人を殺した(ゾンビを計算に入れなければ)のもマスコミの人だった。
責任を放棄し、とっとと逃げてしまった政府関係者は、いま頃どこかのシェルターにでも
隠れているのか、人前に現れなかったので、生き延びた人たちの憎悪は彼らに集中した。
なにしろ元マスコミ関係者は、メモを片手に絶望に打ちひしがれる人々へ平然と取材を
敢行するわけだから、ことさらに相手の感情を逆なでさせてしまうのだ。
逃げ場もなく、食べ物のない人に向かって、いまのお気持ちはとか、亡くなったお子さん
はいくつでしたかとか、無神経な質問に我慢して答えられるほど、人間は無機質的な
存在ではない。
人間とは、まさに感情の動物だ。
空気が読めない彼らを傍で見ていて、ハラハラしたことが何度かあった。
自分だけ特別な存在だと思っていたのだろうか。
事態が落ち着き、平和な時代に戻ったら、この惨状の記録を公開して、後世に語り継ごう
と真面目に考えていた人間もいたのかもしれない。
でも社会が元通りになるなんて、あり得なかった。
人類はまもなく、跡形もなく消え失せてしまうのだから。
そんな行き場のない怒りを、みんな誰かにぶつけたかった。
誰かを裁く権利なんて、誰にもありはしないのに。
わたしたちは、どこまでも愚かだった。
そんな悲惨な運命が待ち受けていることを露ほども知らぬマスコミに煽られた、無数の
国民たちによって、社会秩序が崩壊しつつある我が祖国、日本。
逃げなければ、と焦り家から飛び出してきた人々。
隠れなくては、と息を潜めて家に閉じこもる人々。
そのどちらにも、この先の未来は用意されていない・・・
思い切って人波の中へ飛び込んだわたしだったが、すぐに後悔した。
前に進むことができず、後ろからもグイグイと押され、永遠に続く無意味な押し競饅頭に
音を上げてしまい、けっきょく車道に面している消防署の車庫へ一時的に退避する。
消防車は一台も止まっていない。
きっとあちこちに駆り出され、そのあげく渋滞にでも捕まって、いまのわたし同様、
動けなくなって途方にくれていることだろう。
とにかくなんとかして、ここから脱出しなければ。
消防署の車庫からヒョコッと顔を出し、状況を確認する。
右側にはさっきまでいた大通りが見える。
車でギュウギュウ。
人も一杯。
反対側を見る。
左手方向へ進み、右に曲がれば、駅に向かう別の通りがある。
でも右側も車と人で、ギチギチの満杯だ。
腕を組んで、考え込むこと数秒。
判ったことといえば、まともに動けないということだった。
泣きそうになってくる。
わたしが避難していた車庫にも、人波に押されてどんどん人が入り込んでくる。
ヤバイよ、ヤバイ。
このままじゃあ、もっと身動きが取れなくなる。
マジ、ヤバイ。
(・・・・・・!)
すぐそこにアーケード街の入り口があることを思い出した。
車道を越えた斜め向かいに、ゲートがあるはずだ。
直進すれば、駅の真正面に出られる。
それが一番の近道だ、とわたしは考えた。
あそこは普段なら外の道よりももっと混んでいるが、アーケードの上には通路がある。
点検用のものなのかどうなのかは知らないけど、たしかにあったような気がする。
柱をよじ登るのが難しかったら、どっかのお店にでも入って、そこの2階や3階から飛び
移れば大丈夫だと思った。
このままでは時間が過ぎるごとに、取り返しがつかない事態になっていく。
怖かった。
家に帰って、母の顔が見たかった。
お風呂に入って、なにか食べて、ゆっくりとベッドで眠りたかった。
もうそんな普通の生活は、二度とは来ない。
わたしの心の奥底から、冷たい声が聞こえてきた。
恐怖で心臓が締め付けられる。
わたしはなにかを叫んだ。
金切り声を出して、前に向かって走り出す。
必死だった。
狂ったように人波を掻き分け、道路に並んでいる車の上に飛び乗った。
帰るんだ。
家に、帰るんだ。
電車に乗って、帰らなきゃ。
汚れた制服を脱いで、お風呂に入って体を洗いたい・・・
体中がベタついて、すごく気持ちが悪い。
髪もボサボサだった。
お腹もすいた。
吐いてばかりだったから、胃の中が空っぽだ。
なにか食べたいよ・・・ママ。
母の手料理を思い浮かべる。
ピザトースト、ウインナーのチャーハン、厚焼き玉子、コーンスープ・・・
ゴクッ、と喉が鳴る。
ママ、お腹すいたよ・・・
今朝、ちょっと口ゲンカしたことを思い出した。
わたしがエリから聞いた噂話を、朝ご飯のときに喋ったからだ。
そんなことぐらいで怒るなんて、バッカじゃないの、とか思ってた。
きっと母は、死体が街をうろつき回っているという話が、怖かったのだろう。
謝らなくちゃ。
でも、わたしの言ってたこと、やっぱりホントだったでしょ、ママ・・・
ビッ!ビイイイ〜〜〜〜ッ!!
車のクラクションとはまたちがう、甲高い音で我に返った。
ボンネットにへばり付いたまま後ろを見ると、モトクロスのバイクが車列をすり抜け、
強引に突き進んでくる。
ぼうっと眺めていると、わたしが乗っかっている車の運転手が怒鳴った。
「降りろ、クソ餓鬼!」
わたしが乗ってしまったため、ボンネットが凹んでしまっている。
「あーあ!てめぇ、凹んじまったじゃねぇか!弁償しろよ!!」
怒鳴り散らしているおじさんは、このままずっと車に乗っているつもりだろうか。
この先の道は、事故で壊れたり、乗り捨てられたりした車で一杯だから、たぶん百年
経っても、この位置から動くことはできないだろう。
そう思うと、笑いがこみ上げてきた。
「なに笑ってんだ!!」
怒ったおじさんは、車から降りようとしてドアを開けた。
そこへモトクロスが突っ込んでくる。
・・・・キュキュッ!キッ!・・・ドッガコンンッ!!
「・・・グェッ!?」
鈍い音とともに、背骨に向かって突っ込んできたバイクと車のドアに押しつぶされ、
おじさんは低い悲鳴を上げた。
フルフェイスのヘルメットを被ったバイクの人は、ドアを飛び越え空中を一回転しながら、
アスファルトに投げ出された。
車道も人で溢れていたから、巻き添えになった人が何人かいた。
幸いわたしは、とっさに顔を腕で覆ったから、撒き散らされた破片で怪我することは
なかったし、バイクも車のドアを突き破ることはなかったので無事だった。
でもバイクが当たった衝撃で、わたしも道路に落っこちた。
作業着を着たおじさんは、体をピクピク痙攣させているが、起き上がる気配はない。
革ジャンを着たバイクの人も、首がねじれたような格好のまま、全然動かなかった。
白シャツの胸のあたりがちょっと膨らんでいたから、女の人だったのかな。
わたしは路上の彼らを横目に、反対側の歩道に向かって、一生懸命に這いずった。
体中が痛くてたまらない。
ママ、お腹すいたよ・・・
(・・・来週に続く)
>>504さん
>今後はこういうパニックが日常茶飯事になっていくので
>しょうね。
ゾンビも怖いけど、生き残った人間たちの争いも壮絶ですね。
まともな人ほど、狂っていきます。
悪人たちは狂いませんが、わが身可愛さのあまりなんでもやります。
というわけで、今後はタフな悪人たちがどんどん出てくる予定。
ある意味、そういう人たちのほうが好きだったりしますw(傍で見ているだけなら)
バトロアみたいなカンジ。
でもお話の基本的なテイストは、やっぱりオカルトですね。
隠し味にグロとブラックユーモア、あとパロディをグチャグチャに混ぜ込んでいます。
これからもパニック描写が続きますが、その行き着くところはかなり悲惨です。
でもそれをなんとか頑張って、乗り越えてみようよ、と。
終点に思えても、実はその先がまだまだあるんだよ、と。
絶望的な暗闇に包まれたって、やがては暖かい日差しとともに朝がやって来るんだよ、
という話になる予定です。
まだ完結していないのに、作ってる本人があれやこれや語るのは滑稽ですが、
まあ一種の予防線ですなw
差別用語やタブーな展開が今後たくさん出てきますが、それはその先にある、まだ見ぬ
希望(?)に辿り着きたいからであって、そこへの道のりは長く険しい、ということ
なので、最後までお見捨てなきようお願いいたします(汗
590 :
本当にあった怖い名無し:05/01/30 15:35:49 ID:O04tTmATO
(;゜∀゜)キャー…ワクワク ドキドキ!
>>514 希望様
いや、オレは週一ペースだからね。
あんま、量産ができないんだな、これが。(頭のなかでは、すでに完成してるんだけど)
希望さんのゾンビvsバタリアンの展開もスゴイね。
夢の競演w
>>507にあった貞子vs伽椰子も、すげぇ読みてぇぜ。
って、次回で最終回ですか?
>>529 ドロドロ様
ムスカですw
地方から出てきたこの大学生(♂)は、近所のアパートに下宿しています。
テレビのニュースを観ているうちに怖くなって、コンビニで(残り少ない)おにぎりと
ウーロン茶を買い込んだあと、この爆発事故に遭遇。
爆発した破片で眼を傷つけ、周囲をうろついたあげく、傷のショック&煙を吸って
意識不明の重体。
助ける者がないまま路上(というか、中央分離帯に倒れこむ)に放置され、翌日の
夕方、雨のなかで死んでしまいます。
この場面から30時間近くを経て、ゾンビになるんですね。
(このお話では、普通に死んでもゾンビになるのです)
心の裏設定では、彼はかなりの宮崎アニメファン(2chでよくムスカAAを貼ってたw)
で、最後の言葉が皮肉にもコレだった、というわけです。
死んでいくチョイ役でも、きっとコイツはこんな奴だったんだろうな、とか妄想しながら
書いているので、どうでもいい裏設定があったりしますw
主要キャラが死ぬときも、この人はああでこうでとか、ぐだぐだと書いてるから、
話がちっとも進まねぇや。
>>535さん
いやもうね、ひたすら頑張りますよ。
ハラワタとか、脳みそとか、血がブチュブチュとか、もうね、とにかくやりますよ。
>>546 おやじ殿
さすが軍板から来ただけあって、新キャラの名前が・・・w
乙です。
>>292さん
ヒッキーのその後の運命は・・・
ちゃんと童貞を捨て・・・じゃなくて、生き延びられるのか・・・
続き、プリーズ!
そういえば、昔「ざくろの味」っていう
サウンドノベルのゲームがあったなぁ……。
594 :
…希望:05/01/30 18:54:33 ID:TeyKiqGpO
>>東京くだん様…乙です。
週1でも、くだん様のは描写が巧いし、ボリューム満点で、楽しみです。まるで、週刊ジャンプを待つ気分で待ってます。
貞子vs伽椰子…ジェイソンvsフレディー、エイリアンvsプレデター、ゴジラvsガメラwに次ぐ、期待度ですよねw
自分の駄作は次回で…。
お、たくさん来てるぞ!作者の、みなさん乙です!
東京くだんさん、続きがめちゃ気になる所で次回に続く所が、ドラゴンボールみたいだ…(´・ω・`)
希望さん、もう終わりなの?いろんな主人公が、入り乱れて繋っていくのが、おもしろいよ!よく読まないと見落としちゃうけど…。ちょっと、流れまとめてくれたら嬉しいのだが…。
一寸参考迄に
書き込みされたIDの末尾が
”0”ゼロはパソコンからの書き込み。
”O”オーは携帯電話からの書き込みです。
煽りに合の手いれてるパターンを見れば、バレバレですね。
嵐の自作自演です。
詳しくは運営板をご覧下さい。
才能があると勘違いしてる文盲が書くどうしようもないゴミSSばっかり
と率直な感想を書いた所で「煽り」「荒し」扱いに終わり
批判の対象になってる作者自身も見ないふり。謙虚な態度じゃないし向上心も見受けられん。
そんな馬鹿どもを擁護する名無しはもっと性質が悪い。だからクソスレなんだよ
素直な感想ねぇ。
「ゴミSS」というのが感想なんだ?
謙虚とか向上心とか言うのならばそれなりの「批評」を書いて欲しいものですね。
まともな批評も書かずに喚くだけでは相手のしようもないですな。
自分の感想=大多数の感想と勘違いした、まともな文も書けない煽りには困ったものだ。
不思議なことに、読まない権利を使わずなぜか他人の楽しむ権利を妨害するんですよね、こういう方々は。
↑自称同人作家w
>598は売れない軍事作家
どこかに晒されているのか、過去の粘着君が復活したようですね。
皆さんはスルーしてください。
釣られた私は吊ってきます。
↑ID!ID!
>>597 あなたの言ってることは正しいよ。
ただ馴れ合い大好きなこのスレの住人にはまた荒らし扱いされるだろう。
でも俺は応援するよ。ガンガレってな。
そしてサーバーに負担をかけるしか脳が無いクソスレが無くなることを祈るよ。
>>おやじ
自衛隊じゃなくて自衛官な。
公の場所にクソSS載せるんなら単語ぐらい間違えないようにしようか。
精神病患者が能書きたれてるところが笑えるw
躁鬱病治して生活保護やめてから来な(爆
605 :
本当にあった怖い名無し:05/01/31 21:39:57 ID:KrzaYFsp0
よぅ!キヌ○ィ 乙!最近湧いて来ないと思ったら
ここに居たのか!相変わらず粘着してるなw
このスレの皆さんキ○ティとはこんなヤツでつ!www
149 :名無し三等兵 :04/09/30 23:14:49 ID:gXOjjLc3
>>92、96、99
ぷっ ( ´,_ゝ`)
知人に聞いたら、リストラされた方らしいですね。
逆恨みはみっともないです。私が通報したら、社内ではバレバレらしいですよ。
知人は「根はいい人だと思ってましたけど…」と困惑してました。
リンク先もジサクジエンですか?御苦労様です。
そんな性格だからリストラされるのでは?少しは元同僚の気持ちも考えてやって
下さい。閣下へのタメ口といい、これでは便厨とかわりませんよ。
このスレみてゾンビ好きになりますた。前まではゾンビなんてと思ってました
が、みなさんのおかげでおもしろさに気づき、丼も買ってしまいました。
みなさんのおかげで人生の楽しみが一つふえましたよ。
これからも荒らしをシカトし続け、面白い作品を書いていってください。
みなさん応援してます!!
>>597 「便所の落書き」に何を期待してるのやら(プゲラ
素人相手(このスレの皆さん決して悪意ではありません。漏れもド素人です。)
なら勝てると思ってんだろw
絹(精神病)の考えそうなことだ(爆
書き手が入れ替わっているのに荒らしが入れ替わらないこの不思議w
610 :
本当にあった怖い名無し:05/01/31 22:20:34 ID:x/2XpYPsO
荒らしは何をしたいのだろうか?
僕は普通にワクワクしながら読んでるけどね。
別にプロの作家じゃないんだし、多少の荒があっても当然でしょう。
アマチュア相手にエセ批評を展開して、つまらない自己満足に浸るのは、
やめたほうが良いよ。
>>610 あげてまで言うことか?
自己顕示欲旺盛ですね。
↑釣られた(核爆
>>597 本気で才能があると思ってたらここで書いてないと思うがw
また、読者代表が来たのか。
PART1〜2の頃にいたよな。
単発IDばかりというところが昔の荒らしを思いださせるよねー。
まだ、嵐のリアル厨房来てたのか…!オナニーしてスッコンデロって言っただろ。
お前の、『つまらないから、つまらないと言って何が悪い』みたいな子供の所が、間違っていると言うか、正しくない。
まず、世の中にはルールがある。例えば2ちゃんには2ちゃんの。スレタイよくみろ。もし、このスレタイが、【マジに本にして売り出せるくらいな】とかついてりゃ、つまらん無理とかレスすりゃ良いが、ココはちゃうぞ。
お前が主張してるのは、一皿百円の回り寿司に行って、ネタが不味いと言ってるようなもんだ。美味いネタが希望なら、市販の小説でも買いな。
つまらん話だと思ったら読まなきゃいいし、つまらんスレだと思ったら来なきゃいい。
それに、つまらんと思ったからといって、それを表現するのは悪くないとか思っている厨房丸出しも、もう世界一のアホかと!
例えば、自分から合コンに行って、お前に危害をくわえようとしてないブスに、ブスと言うのは良い事じゃないだろ。でも、可愛いって言うなら悪くはないよな。
自分中心に物事考え過ぎなんだよ。謙虚じゃないのは、お前だろって。現社会で自己主張出来ないやつに限って、本人が相手にバレない匿名掲示板で勘違い主張始める。
ま、知能がゾンビ以下だな!と言いたい所だが、お前場合は、知能より性格の問題だ。
>>616 中々高度な縦読み
ていうか長文書いて訴えてもアレはナニなもんですから、
これもひとつのオブジェと捕らえてまーたり進行でいくですよ☆
文末に「w」「プゲラ 」「爆 」つけてる君(二人称単数にした理由くらい汲み取れるよな)
バレバレの自作自演乙。未だに厨丸出しの文章平気で書いてるの君くらいなもんだ
粘着と連呼する側が1レスごとにID変えてまで必死に反論している、これこそ典型的な粘着じゃないか?
これではSS作者と同一人物の自演と思われても仕方ないだろう。だってあまりに必死過ぎるもの
619 :
本当にあった怖い名無し:05/02/01 18:06:07 ID:n+UCscZ60
自作自演、厨、粘着、必死
ボキャブラリー増やそうよ(和良
>>620 あのな、2ちゃんでそれらの語句をわざわざ言い換える必要があると思うか?
語彙の問題じゃないんだぞ。そんなんで揚げ足取りしたつもりか
わざわざ二人称単数使ってるんだからお前の相手してくれてる人って
一人しかいないってわかってるんだろ。もっと感謝しろよな。
SSの中の人だってもっと仲間多いぞ。
>617
オブジェか、なるほどね。『W』
だからさ、荒らすにしても新ネタ出そうよ。
自演ネタはもう飽きたよ。
つーか、昔は全SSが同一人物の自演と言い張る奴までいたんだぞ。
それに比べりゃ、今の荒らしはネタがつまらなさすぎる。
なんだかんだ言って結局釣り堀かよ(ハゲワラ
確か、以前の嵐君はアク禁喰らったんだよな。
627 :
毎回楽しみにしてる:05/02/02 15:34:19 ID:/gCcQuINO
毎回楽しみに読ましてもらってます(ёэё)〜♪
私は女ですが、ゾンビ系の映画などが大好きです☆(o〃∇〃o)☆
これからも書き手のみなさん頑張ってくださいな★
お前は絶対に女じゃない、って言って欲しいんだろ。言ってやるよ。
いいから誰かうpしる!!
630 :
…希望:05/02/02 18:00:13 ID:XOL7wrMLO
>>595様、ありがとうございます。
流れがちょっと分かりづらい所も有りゴメン。どう表現したら良いか分からないのですが…
本編
主人公【男】編
研究所【長谷川】編
サイドストーリ
政府軍【森田】編
板金屋【オヤジ】編
一章【男】→二章【長谷川】→三章【男】→四章【長谷川】→アナザー1【森田】→五章【男】→六章【長谷川】→七章【男】→八章【長谷川】→アナザー2【オヤジ】→つづく
です。ほんとゴメン。
俺は…いや、俺達二人は、順調に高速道路を西に進み、広島あたりまで来れた。九州までもう少しだ…。
九州が近くなると、ラジオからは九州と四国の日本政府の放送が聴ける様になった。どうやら、九州と四国は無事な様だ。
絶望の連続の中で希望を捨てなくて良かった…。
確かに、彼女の姉…俺の元彼女が、あんな化け物に変わり果てていたのは、ショックが強すぎるが…。
政府の発表では、近々、本州と北海道に、国連軍と協力して、最終掃討作戦が実行されるらしい。
そして、北朝鮮や細菌テロの発端となった武装テロ組織壊滅作戦も、世界的規模で実行されるらしい。
なにやら、米国のサンフランシスコでも細菌テロがあり、完全に米国をキレさせた様だ。
それなのに…もう少し…もう少しだった…のに…。
地域一帯に強い地震が…いや、何かで地響きが聞こえ、俺たちの車は、その衝撃で崩壊した高速道路から…転落した…。
気がつくと車は横倒しになり、大破していた。
隣の彼女は苦しそうに呻き声をあげている……『あぁ…わ…私の赤ちゃんがぁ〜…』と、とても…とっても…苦しそうに…。
さらに、車の周りには人影が見える…、きっと奴らだ…。多数の腕が手を伸ばし、俺の腕を掴もうとしている。
しかし、俺は全身を強く打ち、身動きがとれない…。体に力が入らない…。感覚もない…。痛みもない…。モウ…ヨク…ワカラナイ…。次第に、完全に意識が薄れていった……。
そして…気が付くと俺は、彼女を抱きしめる様に…覆い被さっていた……そして、彼女は、頭から血を噴き出していた…。
俺の手は、真っ赤に血に染まり、ネチョネチョな何かの固まりが付いていた…そして口の中には、ネチャネチャした何かが入っている…それは、とてつもなく美味い…。
そして、俺は全てを理解した……彼女の頭の中身を貪りながら……。
しばらくし、彼女は立ち上がり、俺も立ち上がった。
大破した、車から外へ出て、二人別々な方向へ歩きだした…
そして何も考えられなくなった…
もう、俺がどうなろうが…、
彼女がどうなろうが…、
世界がどうなろうが…、
もう…
全てどうでも良い…。
すべての希望は、願うだけで、何一つと実現出来なかった…。
〈本当にゴメンナサイ…〉
でも…もし…もしも……、
もう1度生まれ変わる事が出来たら…君を守り抜くと誓うから……
こんな地獄が来ない安らかな世界で…もう一度めぐり会いたい。。。
きっと俺は、最後に残った人間としての素直な感情でこう思ったであろう。
しかし、人間の感情が消えた俺の口から出たのは…、
…でもね……オマエの…脳ミソ……トテモ……ウマ……。
【死して生きる事は、生きて死ぬよりも、残酷かもしれない…。】
第一部【最終章】終わり
636 :
本当にあった怖い名無し:05/02/02 22:15:40 ID:rYkdkb0G0
【読み切り編】
「何なんだよ?!」
「あの人達?!いきなり襲い掛かってきやがって!! ハァァ…ハァア…ハァア…」
(ウゥ〜ウゥ〜ウゥ〜ウゥ…) (…無数の呻き声…)
「?!」
「ヤバイまたあいつらだ…」
「兎に角、休める場所を探さないと」
「カン!カン!カン!カン!カン…」 (階段を駆け上がる音)
「此処なら安心だな… 一先ずここで休もう」
http://cgi.2chan.net/up2/src/f68698.jpg 続きは…
ここの598は俺なんだが、絹ってだれ?
軍板の荒らし?
どうもここを荒らしている奴が、俺を絹って奴だと決めつけて話をそらしているようにしかみえんよ。
荒らしなんかスルースルー
>635
・゚・(ノД`)・゚・ もう少しだったのに・・・・・・・・・・・・
だが、急に嵐が止まったのは確かだw
こう書いたら早速出て来そうだがなw
643 :
sage:05/02/03 21:39:16 ID:R4V7ImG10
んじゃ嵐が来る前にちょこっと最近見たバイオな夢。初かきこです。
日和見な奴は夢でも物語でも死ぬってこと。
1/3
ゾンビに支配された町。
自分はその町の地下工場で仲間10人ほどで脱出を図っていた。
仲間といっても、みな必死に逃げてきた連中が集まっただけで知り合いなどいない。武器は全員拳銃を所持。
まだ電気の通っている地下工場の部屋を1列になって小走りに走り抜けていた。
日和見な自分は丁度列の真中にいた。
この位置なら前からゾンビが来ても後ろからゾンビが来ても何とかなるだろう。
所詮知り合いは居ないんだ。他の奴らが襲われているうちに逃げれば良い。
2/3
広い部屋にでた。倉庫かなにかのようだ。反対側のドアを目指して走る。
丁度部屋の真中辺りでチャウチャウのゾンビ犬が一匹襲ってきた。
当然襲われたのは列の真中の自分。
普段は愛らしい小型犬も、白い毛並みは赤黒く汚れ、顔は半分崩れている。
とっさに蹴飛ばし、拳銃でとどめをさした。
ほっとしたのもつかの間、自分を境に前の連中は先のドアへ。
後ろの連中は入ってきたドアへ。まさに最後の一人がドアをくぐろうとしているところだった。
3/3
一瞬、どっちに付いて行けば安全か迷った。
その一瞬の間に最後の一人が部屋を出て行き、後にはドアの閉まる音と遠ざかる足音だけ。
完全に逃げるタイミングを失った自分は、ただ交互にドアを見てオロオロしてるだけ。
そして部屋の奥でうごめく黒い大きな影に気付く。
そいつはゆっくりと自分に近づいてくる。
完全にパニックに陥った自分は二つのドアと黒い影に激しく視線を移す。
足が動かない。逃げるという考えも浮かばない。ただ激しく視線を動かすだけ。
ゆっくりと影が近づいてくる・・・。
そこで目が覚めました。
俺は一人だけ助かろうとしたり、他人を犠牲にして助かろうとして
死ぬタイプなんだなーと思って朝から鬱だった。
646 :
…希望:05/02/03 22:47:35 ID:xMMRdqpOO
>>640様、いつも読んで頂いてありがとう( ^-^)_旦~
>>643様、その、黒い影の正体が気になります…
俺は、九州政府本部の特殊部隊・第1特務隊隊長をしている…名前は森田…様々な任務をこなしゾンビにも慣れてきた…。
あの日…、世界的規模の掃討作戦が開始された。
感染体の個体数を減らすのに、トライオキシン245Sの、脳補食効果は有効だった。
もし、トライオキシン感染体が、ゾンビ細菌に感染しても、結果的に脳を破壊すれば済む事だし、一度、細菌感染した死体は、トライオキシンでの活動は再開しないし…確実に個体が減る。
しかし、肉体の若い新鮮なトライオキシン感染体の数が足りず、作戦の効果に頭を悩ませていた。
そんな時に、政府は恐ろしい決断をした。ゾンビ感染していない死体の脳を取り除き、トライオキシン感染者にする。
九州からも若くて病死した死体を中心に、脳を取り除き、トライオキシンに感染させ、本州に送り込む。
また、現地にてゾンビ細菌感染の無い死体を見かけたら、トライオキシンの入った注射にて、感染体とし、日本の人々の為に…ゾンビを減らしてもらうと言う…指示があった…。
そんな中…ある時、北朝鮮からのミサイル攻撃が、あった…北海道に続いて2回目だ…。
ミサイルは、九州までは届かず、関西地方にかなりの数が着弾した。
その着弾の威力は、まるで地震の様にも感じさせた。あちこちで、街が燃え、道路が破壊した。もちろん、高速道路も例外ではない。
俺の部隊は、さっそく着弾のあった地域へ、ヘリコプターで向かった。
その時…1カ所にゾンビが集まっている気になる場所を見つけた…。
上空から、マシンガンで奴らの頭を次々と吹き飛ばしていくと、1台の大破したキャンピングカーを発見した。
ヘリを降ろし、車内を確認した。中には、すでに息絶えた男と、もう助からないであろう女が乗っていた。
万が一、ゾンビ細菌感染体である可能性を考えると、虫の息の女性も九州本土までは、連れて帰る事は出来ない…そう、政府の方針で出来なかった…。
九州政府の決まりにより、ゾンビ細菌の感染の可能性が少なく、若き新鮮な体だったので、トライオキシンの注射をした…この、息絶えた男性にも……虫の息の女性にも…。
実は、俺は…この作戦の2ヶ月後…また、この男女に会った。
ゾンビ細菌個体数が減り、トライオキシン感染体の駆除に乗り出した時だった…。
トライオキシンが実は、高圧電流に弱いと言う事が米国からの報告でわかり、高圧電流の流れる武器や仕掛けを搭載した、装甲車が作戦に投入された。
トライオキシンは高圧電流を流すと、化学反応を起こし、別な物質になるらしい。
ある時、組織的に装甲車で大量のトライオキシン感染体を追い込む事に成功した。
高圧電流を流す為に電極を向けると、一体の女の感染体が目に入った…。
それが、あの時の女性だと分かったが、俺の気持ちに罪悪感はない…きっとない…。
高圧電流を流し出すと、痙攣を始め、感染体は青白く輝き出す。きっとトライオキシンが化学反応している色なんだろう。
あの女性も、青白く輝きながら痙攣を始めた…そんな時だった…。
一体の男性の感染体がその女性に力強く歩み寄り、かばうように、抱きしめた。
俺には分かった…この男性は、あの時の死んでいた男だ…。死して…なお、人間じゃなくなっても、愛していた者を守るのか…。
俺は、この世界から、テロをなくす為に命を賭ける事を心に誓った…、そして、この男女に約束をした…。未来への希望は、俺が引き継ぐと……。
>希望さん
くそ〜〜〜風呂からでたら「なんで広島にバタリアン型がいるのよ?」って
指摘してやろうと思ってたのにぃ〜
乙です。
希望さん乙でした!
それとは関係ないけど、荒らしがなんだかんだいって
作者さんが投下している間に邪魔しないだけかわいいもんだね。
荒らしと鬱病の人を同一視してほしくないがな…
本当にきついんだぞ鬱は。こんなところで荒らしなんかしてる暇ない。
精神障害と、バカにするのは荒らしよりもタチが悪いな。
身体障害者をバカにするのと一緒だな・・・
Kitty害のプライド>>>>>>>>>>>>>嵐
>>654 当たり前だろ。作品があり、それを読んで初めてクズかどうか判断できるんだからな。
単に荒らすだけならもっともらしい理由付ける必要すらない。俺がしてるのはあくまで批判なんだからな。
658 :
↑↑↑:05/02/04 23:13:50 ID:J6tB4D8pO
試しにおまえも作品書いてみろよ(w
俺がたっぷり批判してやるゼ(w
人様の作品を批判するだけじゃあ、筋が通らない。
批判するならば
まず、お前の実力を見せてからにしな
さっさと投稿しろw
自作自演・・・なのか?
>>658-659 これは恥ずかしい。
ってかその作品がいいか悪いか判断
するのにわざわざ作品うpっていう理屈がわからん。
662 :
…希望:05/02/05 14:42:02 ID:ffnmeEK4O
>653様、指摘されなくてよかったですw
伝染タイプのバタリアンは、あの時は広島に居ないはずなのに、気が付いた貴方は、きっと良く読んで頂いているからですね。ありがとう御座います。
実は、人間の手によってっていうオチでした。
>654様、読んでいただいて乙彼様でした。
>>661 お前はクソだがその理屈は正しい。
料理のうまいまずいに「じゃあお前が作れ」
サッカーのうまいへたに「じゃあお前がやってみろ」
と同じ屁理屈。
作品を作る力と批評する力とは本来別物だと思う。
まあ大概は実績をもった経験者が語るから説得力があるんだが。
お前のは批評じゃないし感想にすらいたらないゴミレスだけどw
じ、自作自演???
665 :
657:05/02/05 16:36:07 ID:sxaDh/ay0
>>663 おまえ
>>661は俺じゃないんだからクソとか言うなよ。
根拠もなく決め付けて勘違いだったら失礼だとは思わんのか?
そういう風に「批判してる奴は一人だけ」って思い込んでるから
話が建設的な方向に進まんのだ
素直に作品マンセーしてる奴ばかりじゃないってことも認めろ。
荒らしが少し発生しただけで過剰反応する
一部の住民と一部の作者は荒らしと同レベル。
荒らしを厨扱いするのもいいが自分達もそのレベルだということを自覚すべき。
あと少し批判されたからと言って荒らし扱いするのはやめれ。全員が
いい気分ですべての作品を読んでいると
思ったら大きな間違い(まあこれくらいはわかるだろうが)。
当然、批判してくる人もいると思うのが普通。むやみな馴れ合いは端から見てても迷惑。
最後に
「見たくないなら読まなきゃ言いじゃん」
などという厨丸出しのレスが極まれにある。
批評している人たちははじめからそういうつもりで読んでいたのか、いや違う
読んでいるうちに作者に対する疑問がわいてきたと
いう人がほとんどであろう。(そうでないならはじめから荒らし目的の人ではないか?)
つまり下手な馴れ合いはやめて少しは人の意見を聞けということだ。
最後に俺は東京くだんさんの作品は
楽しみにしているということをつけ加えておこう。
読者代表ウザイ
逝ってよし
もっともな批評であれば、皆が耳を傾ける。
単なる批難でしかなければ、皆は耳をふさぐ。
ただそれだけのこと。
ここで話し合うようなことでもない。
しばらく完全にスルーしてみたらどうなるんだろう???
673 :
サナトリウム:05/02/06 14:27:33 ID:W+BQpu0Y0
「桶よりい出し様まさに幽鬼の如し妻子を殺(しい)しその腸を揉み破り
食らう様、実に恐怖ともいうべかりし・・・」
五臓なる百姓の記録の断片、この閉鎖的な街からようやく入手した紙の切れ端
の数々、老婆の嘆息を横に私はそれを読み漁った。
「後年山より降りたるものに異形あり、9尺の女、1尺5寸の童たち
いずれも押込め帳に記するもの無く、結城達の山より生まれでた
悪鬼とも言うべく村人役人にいたるも恐れおののく・・・・」
「アレに付いて取り上げた手記や記録を、役人に命じられた庄屋が
取り上げ口止めし、それらの記録はこの神社に封じ込めた。山と
唯一繋がるこの道にあるこの飯森神社こそが、アレらの管理を
行う幕府直轄の管理者だった訳ですね」
老婆は深い溜息をついて無言となった、背後には憎悪の念を隠すことなく
こちらを見つめる神主がいた、様々な隠ぺい工作を行ってきた呪われた
一族の末裔が見せる圧迫感は、正常な人間には耐えられないかもしれない。
674 :
サナトリウム:05/02/06 14:32:59 ID:W+BQpu0Y0
「飯森神社はかつて(飯盛神社)だった。神社に隠されたこの穴道から
山頂に登り、江戸から送られる腑分け死体をアレらに与えていた」
私の言葉に老婆は顔も上げないままケラケラと小さく笑い出した。
「上の穴から屍人を掻き分けココまで来たモンは初めてだ、恐れ入ったハハ
多摩は御天領なもんで、なんもかんも葬るには清水様にゃご都合が
良かった、天災もあって色々と紛れに困らん時節でもあったしな・・」
沈黙と街ぐるみの圧力で私を威圧した一族の長が、これほど饒舌になる
のは初めてだったこともあり、私は少しあっけに取られたが、その言葉には、
ある程度以上の知識を持つものには告白に値する内容が列挙されていた。
「清水・・・・将軍家が御三卿移行して後、災害の多い頃・・・明和か安永ですね」
私は確認した。
「明和9年だ、安永になってからいらしたのが中川様で、煩われたのが3年だ」
675 :
サナトリウム:05/02/06 14:50:09 ID:W+BQpu0Y0
老婆の口から遂に中川順庵の名が出たことに驚きを隠せなかった。
(前野良沢・杉田玄白等)と共に解体新書の翻訳を行った医者である。
彼は後年(桂川浦周)と共にスウェーデン人植物学者(ツンベリー)の
語学の弟子となり、彼と数回にわたる文通さえしている人物だ
幕末以前の閉鎖社会で、ヨーロッパとの交流を持った数少ない個人だ。
「この山に・・・この村に屍人を封じるために仕方なかったことだ
堀を作り見張り飯を盛り、その為に煩ったものも大勢おったが
焼く訳にはイカンのも知っての通り・・・・」
676 :
サナトリウム:05/02/06 14:59:43 ID:W+BQpu0Y0
「中川様を通じてアレが海をわたっちまったのもしっておるよ
ここは200年前から西洋医者のいた土地だ・・・・」
老婆は不適に笑った。
愚かで閉鎖的というこの村、いやこの街の印象は仮面に過ぎない、
様々な薬草の取れる山々、そのふもとにには薬草園を持ち
かつては日本屈指の薬問屋があり、難病患者と腑分け死体の
豊富な自然を利用した監獄があり、全国より野心的な医者たちが
裏に表に関わってきた土地なのである。
地主たちの知識レヴェルは、通常では計り知れない。
学問だけではない、政治的な面においてもしかりだ。
全部釣り
俺も釣り
吊ってくる
678 :
天才小説家:05/02/06 20:16:56 ID:4gu1EdNd0
俺もなんか書くってばよ!
夜露死苦だってばよ!!
679 :
テナー35:05/02/06 20:18:12 ID:22+Q9aTO0
680 :
天才小説家:05/02/06 20:24:06 ID:4gu1EdNd0
到来する学校祭シーズン。正直な話、通常授業の方がありがたい。授業中は漫画を読もうがMDを聞こうがまったくお咎めなしのクラスメイトたちが、この時期に限って怠惰な者や協調性のない者を一斉にバッシングする。
僕は決して孤高を貫き通して生活しているわけではない。でも面白くもない冗談を言いあって過ごす日々にうんざりしていた。
ついでに僕に与えられた、ひたすらダンボールを切り刻むという仕事にもうんざりしている。
ああ、泣いてる、教壇の上で女子がまた泣いている。学校祭名物「まじめに仕事しないなら帰ってよ(涙)」だ。
さらにお決まりの台詞「悪かったよ、これからは真面目にやるよ。」、「うん、私も怒ったりしてごめん。」が続く。
今年の主演女優賞と助演男優賞にまた新たに二人がノミネートされた。
ああいう風にステージの真ん中に立ってスポットライトを浴びたがる人種がいることが不思議でたまらない。学校祭の成功を自分の手柄にしたいからだろうか?
「お前さぁ、もうちょっと丁寧に切れよ。後で皆のやつと合わせるから、お前の切ったところだけ目立つんだよね。」
やれやれといった様子で言う男の両手は完全にemptyだった。
"ヨーロッパの骨董品店"という大雑把なモチーフで教室の内装が計画されていた。壁にダンボールで作ったレンガを一つ一つ貼り付けるらしい。
「だったら皆ももっと雑にやれば目立たないだろ。」
「……もういい、勝手にしろ。」
"レンガにこだわりを持つ男"が教室を出て行くのを見送ってまたダンボールにカッターを入れる。
こんなことなら部活の方を手伝いたい。絵も彫刻も人よりできない僕だが、一年生の夏から美術部に所属している。当時の担任に部活をすることを強く勧められた。
スポーツが嫌いという時点で残されたカードは美術部と合唱部だけだった。
熱血教師が率い、NHKのコンクールで入賞するために学校の期待を一身にうける合唱部なんてごめんだったので、しぶしぶ美術室に入部届けを出しに行ったのだった。
681 :
天才小説家:05/02/06 20:26:22 ID:4gu1EdNd0
どお?すごい?それっぽい?
友達は皆、俺のこと小説家になれる才能があるって言うよ?
682 :
本当にあった怖い名無し:05/02/06 20:28:46 ID:4gu1EdNd0
>>680 なんかそれっぽいな。ちょっとわくわくする感じかもしれん。
急がないでいいから納得のいく作品ができたら投稿してくれよ。
陰ながら応援してる。
683 :
テナー35:05/02/06 20:32:06 ID:22+Q9aTO0
>>680 お前すげーよ!こんな興奮して読んだのこのスレじゃ初めてだよ。
ちょっぴり太宰の香りがするな。川端なんて目じゃない。
天才の前に「大」つけたほうがいいね。
次回作を期待してるよ。
おお
確かにいい
天災だ
ひゃー
686 :
本当にあった怖い名無し:05/02/06 22:25:15 ID:1pfDDQh70
青年: なんだ!?
ゾンビ: ふが?
「ZOMBIE 〜ONE OF THE DEAD〜」(24)
この突発的に起こった事故で、一瞬だけど車道にまで溢れ出た人波が止まり、そのわずかに
空いた足もとの隙間を狙って、わたしは体を這いずりながら前へと進んだ。
「きゃあっ!」
そんなわたしを屍人と間違えたのか、何人かが飛び跳ねるように後退った。
失敬な。
しかしそのおかげで、思ったよりも早く反対側の歩道まで辿り着くことができた。
わたしはガードレールにしがみ付くようにして、ヨロヨロと立ち上がる。
車から落ちる寸前、左腕で体を庇ったので、鈍い痛みが残っていた。
歯を食いしばりながら痛みを堪え、左腕を押さえながらアーケードへ向かう。
だがアーケード街の入り口周辺には、ほとんど人がいなかった。
というか、バタバタと入り口から出てくるだけで、誰もなかへ入ろうとはしないのだ。
みんななにかを叫びながら走っているけど、騒然としているこの状況では、なにを言って
いるのかはっきりと聞き取れなかった。
車から転げ落ちたショックで、頭がぼんやりとしていたせいもある。
だからわたしはとくに気にすることもなく、人波に逆らってアーケード街のなかに強引に
割って入った。
大きなゲートが、視界一杯に広がる。
屋根にあるはずの通路を探すため上を向いたけど、そこにはなにもなかった。
「・・・・・・」
呆然として立ち尽くすわたしの肩に、入り口から吐き出されてきた人たちが、次々と
当たっていく。
誰もわたしのことなんか、見向きもしなかった。
視線をずらし、高いポールの上にある時計をぼうっと眺める。
時刻は12時少し前。
学校からここまで、1時間以上もかかってしまったようだ。
わたしが入学してまもなく、アーケード街の全面改装が行われ、今年の春にようやく
すべての工事が完了したばかりだ。
天井がとても高く、開閉式の屋根がつけられ、そして夕方になるとイルミネーション
ライトによってカラフルな色彩がめまぐるしく変化し、幻想的な空間を演出して通行人を
いつも楽しませてくれた。
横道が碁盤の目のように広がっており、大小さまざまな有名店が数多く軒を並べた、新しさと
古さを併せ持つファッションストリート。
直線距離で約300メートルにも及ぶ、この広大なアーケード街は、いまなお健在であった。
わたしのなかの、いつもの風景。
可愛いものが一杯の小物ショップに、金欠の高校生にはありがたい中古CD屋さん。
参考書を買うのによく利用する本屋さん。
学校の帰り道、みんなでここのクレープ屋さんに寄るのが流行っていた時期があった。
「マリオン」という店の名前が「マリアン」に見え、「マリアン」「マリアン」と笑いながら
クレープを注文して、困った顔の店員さんを見ながらまた大笑い。
それでエリったら、ひとりで三つもクレープを食べちゃうんだから。
もう、信じらんない。
あのときはみんなで、大笑いしたっけ。
いつも他愛のないことで、わたしたちは笑いあってばかりだった。
あの頃は、楽しかったなあ・・・
そんなことを想い出していたら気が抜けたのか、急に足が痛み出してきた。
そういえば、靴下を履いてなかったんだっけ・・・
柱に寄りかかり、靴を脱いでみた。
足の踵や小指が真っ赤になっている。
たかだか靴下を履かないぐらいで、靴擦れを起こすなんて・・・
自分の柔らかい足を意識してしまったためか、両足がジンジンと痺れてきた。
体のあちこちもズキズキと痛み出してくる。
そのときわたしの脇を、西友の制服を着た若い女性が走り抜けていった。
「・・・・・・」
ぼんやりしているとまた向こうのほうから、西友の店員たちが大勢やって来る。
みんな慌てて、どこへ行くつもりなんだろ?
ああ、それにしても足が痛いや・・・
わたしは足を引き摺りながら、再び歩き始めた。
店員たちは、わたしを避けるようにして、全力疾走で駆けていく。
なぜかわたしを見る、彼らの顔つきは引きつっていた。
やなカンジ。
ふと横を向くと、ショーウインドに飾られている、たくさんの薄型テレビが眼に入った。
ニュースをやっているが、音声は聞こえてこない。
耳に入るのは、隣のジーンズショップから流れてくるBGMぐらいだ。
There's a man going round taking names.
And he decides who to free and who to blame.
Everybody won't be treated the same.
There'll be a golden ladder reaching down.
When the Man comes around.
物悲しいカントリーミュージックを聴きながら、わたしはテレビの映像を凝視する。
これはいったい、どこの国なんだろう・・・
まるで内戦状態のようだ。
大勢の人々が逃げ回っている。
子供を抱えた母親が、カメラに気が付きチラッと視線を送るが、それどころではないと
でもいうかのように、そのまま無視して通り過ぎていく。
黒々とした煙を身に纏った真っ赤な炎が、ビルから立ち昇っていた。
そのビルには、109という文字が掲げられている。
・・・えっ!?
あれって、渋谷?
うそっ!?
ハチ公前の交差点で中継しているレポーターの後ろから、蛇行運転していたワゴン車が
ついにコントロールを失い、人波を踏みしめながら突っ込んでくる。
暗転する画面。
隣の液晶テレビは、プロテクターで身を守る機動隊員たちが二列縦隊で、強化プラス
チックの盾を抱えたまま、封鎖された道を小走りでどこかへ向かっていく映像。
その上の段にあるプラズマテレビは、スタジオで討論している様子を映し出していた。
作り笑顔の女性アナウンサーが、『ドラえもん募金』と書かれたパネルを手にしている。
スタッフが傍らの司会者に、こっそりとなにかの紙切れを渡す。
メモの内容を覗き見た女性アナウンサーの顔色が変わった。
我慢の限界に達したのか、無造作にパネルを放り出し、髪を狂ったように掻き毟る。
彼女はなにかを叫びながら立ち上がり、泣きながらどこかへ逃げようとしたが、慌てた
ほかの出演者たちに取り押さえられた。
『しばらくお待ちください』という文字を映したまま、いきなり放送が途切れた。
遠くから大勢の悲鳴が聞こえてくる。
ビクッとして振り向くけど、あいかわらずアーケード内には人影がない。
ドキドキする心臓を必死でなだめながら、わたしは別のテレビに眼を向けた。
ニュース速報のテロップが、ひっきりなしに画面の上を流れている。
『国会議事堂に暴徒が乱入』
『首相の安否、いまだ不明』
『大阪市中央区で大規模な火災発生 淀川区に濃霧警報』
『福岡ドームに人々が殺到 死傷者多数』
『首都高、現在封鎖中』
日本の混乱振りを見て、各国が慌てて声明を出してくる。
『アメリカで国家非常事態宣言発令』
『イギリスで国家非常事態宣言発令』
『フランスで国家非常事態宣言発令』
『ロシアで国家非常事態宣言発令』
『中国で国家非常事態宣言発令』
日本でも現存している部署が、ようやくなんらかの動きを見せ始めた。
『東京都知事、府中基地へ退避 30分後に記者会見を開く模様』
『皇居へ自衛隊のヘリを派遣することが法的に可能か、宮内庁と防衛庁で検討会』
一台だけ雰囲気のちがうテレビがある。
いきなり日本刀で人を斬りつける場面が流れた。
・・・なんだ、時代劇か。
画面の右上に、12の数字が出ている。
こんな状況でも、我が道を貫くテレビ東京って、本当にスゴイわ・・・
と思ったら、ふいに画面が報道番組に切り替わった。
わたしの背筋が、ゾッとする。
ガラガラガラガラッ・・・!!
斜め後方のジュエリーショップが、入り口のシャッターを閉めた。
それを合図に、ほかのお店もシャッターを一斉に下ろし始める。
あれよあれよという間に、アーケードのなかは全店休業状態になってしまった。
一軒だけまだ空いているお店があった。
薬局屋さんだった。
店番のおじいさんは、サトちゃん人形をしまうのに手間取っているらしい。
わたしに気がついたおじいさんは、一瞬ビクッとしたが、しばらくするとまた何事も
なかったかのように、サトちゃん人形をズルズルと店内に引きずり込む。
ようやく作業を終えると、みんなと同じようにシャッターをヨロヨロと下げた。
閉まりきる寸前、ヒョコッと器用に顔を覗かせ、
「お嬢しゃん、ここは危ないから早く逃げなしゃいよ」
とフガフガ口を動かした。
その言葉を最後にアーケード街は、し〜〜〜んと静まりかえってしまった。
誰もいない。
なにも聞こえて来ない。
ひゅううう〜〜、と冷たい風がただ通り過ぎるだけ。
そのとき、お昼の12時を告げる鐘の音が鳴った。
わたしを嘲るような、明るい音色だった。
「・・・・・・」
楽しい鐘の音が鳴り響くなか、わたしはこの長い道のりを独りで歩き続ける。
(・・・来週に続く)
ネットってのはさ、突き詰めると鏡と一緒なんだよ。
面識のない他人の存在がどうこうより、自分がなにをどうしたいのか、その行動が
常に自分の心のなかで問われ続ける世界。
だから見知らぬ誰かの存在にこだわってばかりいると、自分を見失ってしまう。
鏡に映った自分の姿がどんなものであろうと、そいつ自身が納得しているのであれば、
他人が口を出す問題じゃない。
それに関する議論も時間の無駄。
見えない敵はモニターの向こう側じゃなくて、疑心暗鬼な自分の心のなかにいると思う。
作品を投下するのも、批評・批判するのも、やりたいようにやればいい。
(さすがにコピペ荒しとかは、別だけどさ)
まあ、あえて言うなら、暇つぶしの遊びなんだから、みんなもっと気楽にやろうぜって
ことぐらいだね。
無意味な争いをして生存者が自滅するパニックもののマネをすることないじゃん。
ケンカの記録も削除されない限り、永久に残るしな。(現実よりシビアだろ?)
オレは自分の作った世界観が、好きな2chを使って存在できるだけで満足だよ。
>>希望さん
乙でした。
第二部も期待してます。
>>天才小説家さん
自分で天才と言うだけあって、文才はあると思うよ。
あとは持続力だな。
続きを待ってるよん。(マジで)
ほかの作者さんも続きに期待。
695 :
本当にあった怖い名無し:05/02/07 01:26:09 ID:L1mrIgRhO
696 :
本当にあった怖い名無し:05/02/07 01:48:47 ID:VKd+n7ZrO
【ゾンビ的思考】
なんだ…いままで居た彼女が彼女では無くなって行く。でもそこに居るのは紛れもなく、笑顔のかわいい彼女。自分という存在が周りの人と違って行く。悲鳴が上がる中、この空間に生きるなかで、まともなのは自分だけのような気がする。
…あぁ…
お腹がすいた。彼女の柔らかい体はさぞかし旨いだろう。
マジレスするとジャック・ロンドン(「白い牙」の人)みたいな
唯物論的描写になるんだろうな。
オレが掴んだ獲物は、ダチの家から持ってきたエンジンチェーンソーよ・・・。
見た感じ、奴らの数が多そうだから、オレが背負ってる上下二連の散弾銃じゃ、弾込めにモタついたら危ねぇだろ。
それで、チェーンソーを選んだんだが、万一のことも考えて、手持ちの日本刀を、ダンプの運転席から飛び降りてきた「姉ちゃん」に預けてから、思い切りプルスターターを引き絞った。
パランパランとツーサイクルの排気音が響き渡って、チェーンソー持ってるオレは、ゾンビ野郎どもの注目の的になっちまった。
奴らが迫ってきた次の瞬間、自衛隊の「メガネ」野郎が、オレの後ろから、小銃を乱射し始めた。
その弾は、何匹かのゾンビ野郎に命中したんだが、そいつ等との距離が近すぎたから、体を貫通するだけで、致命傷は与えられねぇ。
オレは「頭を狙え。」って怒鳴りながら、チェーンソーのアクセルグリップを握りしめて、目の前に来たゾンビ野郎にノコギリの歯を、思いっきり叩きつけてやったのよ。
ガガッと言う衝撃で、ひげ面の中年男の首が、胴体から離れて綺麗な円を描くように宙を舞ったぜ・・・。
ダンプの向こう側じゃ、自衛隊の佐藤の旦那が狙い定めて、1匹ずつを確実に血祭りにあげてたが、ゾンビの数は増える一方で、チッとマズイ状況よ。
オレは、襲い掛かってきた女ゾンビの、張り出した胸にチェーンソーの歯を押し付けながら、佐藤の奴を呼んだのよ。
「旦那ぁ・・・、どうするんだぁ?。」って、でっかい声で呼びかけたら、佐藤は、ある方向をアゴで示しやがった。
奴が示した先は、三十メートルほど離れてたが、首都高の合流路が有ったんだ。
・・・どうやら高速の「上野」の入り口で、そこから下に降りる。って言いてぇらしい。
けど、そこまで行く間にゃ数十匹ものゾンビ野郎が控えてるから、簡単には行かねぇぜ。
それでもオレ達は、女、子供を真ん中に、前と後ろを男共が囲んで、襲い掛かってくる死人の群れを、打ちのめしながら、移動を開始したのよ。
佐藤や中村の自動小銃、小松の三十八口径、それに、オレのチェーンソーが唸りを上げる度に、ゾンビ野郎の破片は増えていったけど、一向に数が減らねぇのは、奴らタフな上に、この騒ぎを聞きつけて、あっちこっちからゾロゾロと集まって来るからさ。
そんな姿を見て、「娘っ子」は恐怖で泣き出しちまうし、「ばぁさん」は手を合わせたまま、ブツブツと念仏を唱えてる。
真っ青な顔した「姉ちゃん」だけは、オレ達の邪魔にならねぇように、ばぁさんと娘っこを抱き抱えながらも、遅れずについて来た。
いったい、何匹の奴らをチェーンソーで、ぶった切ってやったか判らねぇが、奴らの肉片や脂で、チェーンソウの切れ味も悪くなってきた頃、何とか首都高上野の入り口にたどり着いた。
オレは、正面を邪魔する最後のゾンビ野郎に、脳天からチェーンソウを振り下ろすと、思いっきりエンジンを吹かしてやったんだ。
そいつの頭蓋骨は、真っ二つに切り裂けたんだが、無理が祟ったのか、遂にチェーンソウは、ゾンビ野郎のアゴの辺りで動きを止めちまった。
オレは、顔からチェーンソウを生やした、そのゾンビ野郎を蹴っ飛ばすと、「姉ちゃん」の手から日本刀を引ったくりながら、逃げ道の方を伺ったのよ。
どうやら、高速を降りる斜路に、ゾンビの姿は無ぇらしい。
佐藤の奴が、「急げ。」って怒鳴って駆け出したから、オレは、怯えて泣いてる「娘っ子」を抱えると、必死こいて走ったのよ。
隣じゃ、佐藤に言われた中村の奴が、ふて腐れながら「ばぁさん」を背負って走ってる。
「お巡り」の小松が先頭に立って、拳銃を構えながら、高速の斜路を下っていったけど、下から来る奴は、そんなに多くは無かったから、ニューナンブの三十八口径を食らって、そいつらみんな動きを止めたみてぇだ。
だけど、こちとら大荷物だから、それほど早くも走れねぇ。
殿《しんがり》の佐藤が、後から来るゾンビ野郎を、食い止めてくれなけりゃ、オレや中村は、食われてたろうなぁ。
それでも、どうにか下道に降りて、走りながら逃げる方法を考えたんだが、全力疾走したモンで、息が上がって来ちまって、どうしたら良いんだか判らねぇ。
佐藤の奴が、「やたらな所に逃げ込むと、前みてぇに脱出できなくなるから、動きそうな車を探せ。」って命令口調で言いやがった。
それで、先頭の「お巡り」が、通りに止められてる車に、走り寄ったのよ。
乗用車じゃ、オレ達全員は乗りきらねぇ。
そんなことを考えてか、「お巡り」の奴が走り寄ったのは、緑色した路線バスだったのよ。
軽乗用車にぶつかって、斜めに停車してたその都バスの中に、動く影は見当たらねぇ。
開けっ放しのドアから飛び込んだ小松が、エンジンを始動させたらしい・・・。
ジーゼルの黒い排気ガスが見えたから、オレも内心「ほっ」とした。
それからオレは、「姉ちゃん」や「ばぁさん」担いだ中村に続いて、何とか都バスに飛び乗ったんだが、佐藤の奴が来ねぇんだ。
オレの後ろを走ってきたはずだが、追いかけてきたゾンビ野郎の足止めに、時間食って二十メートルぐらい遅れてる。
オレは、「お巡り」にバックさせるように言いながら、自衛隊の中村に指示して援護射撃をさせたんだが、佐藤の奴・・・何をグズグズしているのか、なかなかこっちに来ねぇんだ。
どうしたのかと思ったら、佐藤は歩道に乗り上げて横転している幌付きジープに走り寄って行ったのよ。
バスの窓から小銃構えた中村が「七三式トラックだ。」って呟いたから、どうやら自衛隊の車両らしい。
佐藤は、その車両の中から、何かを引っ張り出そうとしてやがるんだが、ゾンビ野郎の邪魔が入って、簡単には行かねぇらしい。
オレは、思い切って都バスを飛び降りると、佐藤の側に行ったのよ・・・。
「弾《たま》が無ぇ。・・・こいつの弾を探せ。」って叫んだ佐藤は、振り向きながら、向かってきたゾンビ野郎に、小銃弾をお見舞いしてた。
それでオレは、割れたフロントガラスから、体を突っ込んで、ジープの車体の中を引っかき回したのよ。
そしたら、オレが今、背負ってるみてぇな背嚢袋が、二つ見つかったんで「これかぁ。」って怒鳴って、あいつに見せた・・・。
けど、佐藤の奴、こっちを振り向いてる暇も無ぇみてぇだ。
・・・奴は、ゾロゾロと沸き出してくるゾンビ野郎に向かって、懐から取り出した何かを放り投げやがった。
それが「手榴弾」だってのは、爆発するまで気が付かなかったが、その爆風に吹き飛ばされて、オレは道路に転がっちまった。
工事用のヘルメットを被ったまんまだから、頭は打たなかったけど、転んだ拍子に左肘を嫌と言うほど打ち付けて、作業服が裂けちまったぜ。
それに、作業服だけじゃねぇ。・・・ナマ暖けぇモンが左腕を滴って、ジンジンして来やがったから、腕の方もどうにかなっちまったみてぇだ。
まぁ、骨は折れちゃいねぇ感じだから、右手で背嚢袋を引っ掴むと、佐藤の側に急いだのよ。
・・・けどよ。・・・オレより先に、佐藤の側には、両足の無ぇ、腐れゾンビが居やがった・・・。
佐藤の奴は、ゾンビ野郎の額に拳銃を押し付けて、引き金を引き絞ったんだが、それより先に、高校生らしいゾンビ野郎のむき出した歯は、しっかり迷彩服の「向こう脛」に食い付いてた。
・・・気を失った佐藤を引き摺って、オレが都バスの中に飛び込むのと、小松の奴がバスを発車させるのとが、ほとんど同時だったな。
揺れる都バスの中で、正気に戻った佐藤は、「自分を置いていけ。」と、呟くように言ってたけど、まだまだ正気の野郎を置いて行けるかい。
同じ自衛隊の中村の奴は、オロオロしながら背嚢袋から包帯やら止血剤取り出して、佐藤の怪我の治療を始めたんだが、不器用だから包帯もロクに巻けやしねぇ。
元看護婦の「姉ちゃん」が代わって手当をしたんだが、ゾンビ症候群に効く薬なんて、どこにも有りゃしねぇから寂しいモンだよ。
ついでにオレの腕にも包帯を巻いてくれたが、こっちもガックリ来ちまって、タバコ吸って気を紛らわせるのが精一杯だったな。
そのうち小松の奴が、「行く先をどうするか決めろ。」って言い出しやがった。
もちろん学者先生の所に決まってるだろ・・・。
もしかしたら学者先生が、この病気の治療法を知ってるかも知れねぇからよ。
それまで佐藤の奴が、正気で居てくれたらいいんだが・・・。
この板は「オカルトを娯楽として楽しむ人」のために有るんだから、他人に迷惑を掛けない限り、どんなこと書いても良いんだろ。
オレは書く方が面白れぇんだから、下手くそでも書かせろや。
(駄文でレスを汚してるんだ)って言う奴も居るかも知れねぇけど、便所の落書きみてぇに「器物損壊」でホントに人に迷惑を掛けてる訳じゃ無ぇし、
ちょっと待ってりゃ、すぐに上の方に行っちまって、見えなくなるから、少しくらいはいいだろう。
それから、
>>603 氏から忠告を頂いているんだが、「おやじ」が「自衛官の○○」とか、「三等陸曹」とか言うのはキャラに合わないような気がするんだよな。
やっぱり「おやじ」は「自衛隊の奴ら」とか「自衛隊の○○」って言う方が似合ってる気がするから、このまま続けるけど気になるんなら脳内変換してくれ。
ところでよぅ。
この前、ゾンビ小説の勉強のつもりで「ドーン・オブ・ザ・デッド」を見たんだが、ゾンビ対策として考えそうなことは、だいたい同じになっちまうようだな。
奇抜なアイデアを出さねぇと、ほんとに駄文になっちまいそうだ。
じゃ、またな。
ま、荒しじゃないって自称している連中も、持続力は作者の皆さん以下だと過去スレで証明されていますから。
頑張ってください。
>>702 別に書くのがダメとは言ってない、っていうか思ってもいないよ
ただ駄文多いにも関わらず作者を過剰に擁護するやつばっかりだから
批判くらい素直に受け入れろって事を言ってるだけ。
あとそれ以前の問題としてこのスレは新規の作者を冷遇してるじゃない
古参の作者には声援送るけどそれじゃ逆に新規を疎外してるも同然だし
そこが一番気に食わないところ。
ついでに言えばおやじのSSはまともな方だと思うけどね
つーか話が終わってないヤシ大杉。
投稿するならちゃんと構想を練って時間がかかってでもいいから完結させるべき。
それができないなら荒らしより迷惑。
今更だけど292さん続き書かないのかな・・・
結構良く出来てると思ったんだけど
>投稿するならちゃんと構想を練って時間がかかってでもいいから完結させるべき。
>それができないなら荒らしより迷惑
正直、耳に痛い言葉ですね。
別段金銭報酬もなく、それゆえ契約もないのだからと開き直ることもできますが
期待をさせたという点ではやはり不誠実と言われても仕方のないところです。
なにより中途半端で投げ出すと言うことは、物語の登場人物たちに対してこれ以上ない仕打ちですからね。
とは言っても、やはり書き手も人間ですし、職業的作家でもありません。
それぞれの生活あっての趣味であればこそ、好き勝手書けるという点もあると思います。
もしよろしければ、みなさん、もっと感想をいただけないでしょうか。
やはり反応があるということ、褒められると言うことほど気力を奮い起こさせるものはありません。
続きの気になっている話があるのならば、どうか感想や希望や提案といった読み手の方からの働きかけをしてください。
ここに書きこんでいただかなくては、書き手はどのような反応も受け取ることができません。
何気のない一言や、ちょっとしたお褒めの言葉。それはとてもとても書き手の心に響くものです。
新規の方も増え、しばし離れていた方たちも再び壇上に上がって、ますますスレは盛りあがっています。
さらに、さらにスレを盛り上げる為には皆さんのご参加が不可欠です。
どうか、書き手に多くの励ましとそして優しさからのご批判を賜りますよう。
710 :
本当にあった怖い名無し:05/02/09 22:28:52 ID:rMIiE5Ay0
<プロローグ>
友達の訃報を聞いた時、やはり死への憧れを捨てきれずにいる自分を自覚した。
死にたいという思いを克服しても、死んだ人に対するある種の憧れがつきまとっている。
もはや苦しむことも悩むこともない、静寂の一部と化した者が羨ましかった。
教室の窓側、ぽつんと空いた席の上には一厘の白い花が生けられた花瓶が置かれていた。
それが置かれるようになってから一週間の時が過ぎていたが、生徒たちが整然と並んだ教室の中ではやはり目に留まる光景であった。
前の机の上に置かれた白い花瓶をヤマダショウヘイは虚ろに眺めていた。
花を手向けられているのはショウヘイの唯一といってもいい友達、カネスエダイキだった。
その事故の知らせは、ダイキの訃報とともにショウヘイの耳に入った。
ショウヘイは打ちひしがれた。
一人の人間の死が自分にこんなにも大きな影響を与えるとは思ってもいなかった。
悲しくて苦しくて、……そしてどこか羨ましかった。
耳障りなガラガラという音とともに担任の教師が教室に入ってくる。
一通りの挨拶を終えた担任はまた昨日と同じことを話した。
「学校も午前中で終わるから親御さんに迎えに来てもらえるものはそのまままっすぐ帰るように。
そうでない者もニュースや新聞で聞いているだろうが、くれぐれも一人では帰らないこと。
おかしいと思うような人が……、いや、アレがいたら全速力で逃げるんだぞ。
ダイキの時とは違う、この危険は自ら君たちに歩み寄ってくるんだ。
テレビではこの辺はまだまだ大丈夫だと言っているが、先生は君たちのことが心配だ。
用心にこしたことはない。」
その日の夕方、担任の懸念は現実のものへと姿を変えた。
711 :
本当にあった怖い名無し:05/02/10 01:52:45 ID:fYEEuKXKO
>710
乙!面白そう、楽しみです。
作家の皆さんお疲れ様です。
駄文かもですが書き込んでみます。
713 :
kuzh:05/02/10 13:20:50 ID:22kpy96V0
割合
@怖いもの見たさのカップル3組
A酔っ払い1
Bマニア(予測)7
ま、今時ゾンビ映画のオールナイト上映なんて、客数はこんなもんだろ。
大体名前が悪い。[Night of the “night of the living dead” ]
長すぎる。イメージつきにくい。舌噛む。
ちなみに俺は@とBの中間のグループに属する。
俺はB。隣で涙目になっている彼女が@。
714 :
kuzh:05/02/10 13:21:37 ID:22kpy96V0
いやいやいや。恨めしそうな目で見るなよ。
俺は一人で見に行くっつったよ。
こえーよ?とも言ったぞ?
ずっと俺にしがみついてんのは、少しうれしいが。
ただ、画面ほとんど見てないし、もったいなくね?
え、便所?
えぇぇぇ。
だって今「ヘリ坊や」がエレベーターに入ったところで・・・
やばいの?限界なの?
便所くらい一人で行くのは・・・無理と。
わかった。行くぞ?
715 :
kuzh:05/02/10 13:22:19 ID:22kpy96V0
意外に俺も行きたかったみたい。
なかなかの勢い。
窓の外はそろそろ白みはじめてるな。
なんか下の道路はやけに酔っ払い多いな。
寒くないんか?
あ、さっきまで斜め前に座ってたカップルだ。
もう出ちゃったんだ。
始発までもうちょいあるのに。
結構怖がってたもんな。しゃーないか。
716 :
kuzh:05/02/10 13:23:49 ID:22kpy96V0
あれ、酔っ払いたちが・・・・
取り囲んで、あれ、悲鳴が。
あれ、あれ、食っjdぽいうくぃ@qぴ***!!
ゾンビじゃん。
マジか?
あ、さっきのカップルが倒れた状態から起き・・・
やっぱそうだよ。男の方片腕無くなってるもん。
ゾンビじゃん!!!!!!!
717 :
kuzh:05/02/10 13:25:08 ID:22kpy96V0
マじかよ。まジカヨ。マジだよな!?
ヤバイヤバイヤバイ!
どーするどーするどーするどーする!!
とりあえず彼女!
女子便所!
「何!?」
メールしてる場合じゃねーって。
多少てこずったが何とか説明完了。
718 :
kuzh:05/02/10 13:26:06 ID:22kpy96V0
さーて。どうするか。
とりあえず外の様子を確認だ。
んー・・・
外に出るのは今は無理っぽいな。
出口を閉めて立てこもるしか無いよな。
・・・これで良しと。
何とか奴らに気づかれずに鍵をかけるのに成功
しかし、ドアも鍵もちゃっちいな。
本格的に奴らが押し寄せたら一発だ。
バリケードとか作っても、気休めかもな。
719 :
kuzh:05/02/10 13:27:40 ID:22kpy96V0
お、映画が終わったのか。
みんないいところに来た!・・・のか?
「ちょっとみんな外出るの待ってくれ。」
「今から変なこと言うけど、ウソじゃないし気も狂ってない。」
「・・・外にマジでゾンビが居る」
なんか我ながら頭悪い言い方だな。
ただ、これしか言い様が無いよな。
状況が非現実過ぎる。
「便所から窓の外、見てみ?わかるから。」
・・・どうやら信じてくれたようだ。
さて、これからどうする?みんなの意見を聞こうか。
俺の横で不安そうな顔をしてる彼女に目で大丈夫だと告げる。
この状況で、人数が多いのがこれだけ頼もしいとは思わなかった。
720 :
kuzh:05/02/10 13:28:44 ID:22kpy96V0
さすがにみんなマニアだけ有って、状況の分析、
その状況への適応、対応が異常に早い。
妙にワクワクした顔の奴が多いのと、ホームセンターに篭城ってセリフの
出現頻度が高いのは気になるが。
みんな、この辺に有るのはドンキと東急ハンズだけだから・・・
よっぽど郊外に行かないとホームセンターとか無いから・・・
便所からの観察によると、奴らはどうやら旧丼タイプのゾンビだ。
数は、映画館の場所が繁華街に位置してるからか、かなり多い。
とりあえず、バタリアンタイプや新丼タイプで無いだけ、助かったってとこか。
オモシロイヨー
ドンドンツヅケテ
722 :
kuzh:05/02/10 18:12:03 ID:22kpy96V0
>>721さんありがとうございます。
調子にのって続き書いてみます。
現在居る映画館の出入り口は一つ。
食糧は、売店のスナック、軽食の在庫がまだまだあり、この人数なら1,2週間は何とかなりそうだ。
武器になりそうなものは、正直あまり無いが、座席の椅子とかをぶち壊せば、
手製の槍くらいは作れるだろう。
当面の問題は、出入り口の扉の強度だ。探してみた限りでは、釘やハンマーなどの工具は無い。
バリケードを作ったとしても、机や椅子を
積み重ねたり、良くて結び合わせる位しか出来ない。
今はまだ1、2人がたまに扉を叩いてる程度だが、
やつらが集団で押し寄せてきたら、ひとたまりも無いだろう。
どうにかしなければ・・・・
どうにか・・・・
どうにか・・・・
723 :
kuzh:05/02/10 18:14:08 ID:22kpy96V0
ん!そうだ!
今居る人数が・・12人と。
一人2時間か。何とかいけるな。
試してみる価値はある。
便所の窓から叫んでみる
「こっち来てみろやオルゥア」
「エサはこっちだ!!」
・・・よしゃ。
予定通り奴ら集まってきた。
映画館の出入り口は通りを隔てて反対側に有る。
こいつらをこっち側に集中させちまえば、ドアにはほとんど寄りつかねーだろう。
これで当面は何とかなるはずだ。
後は脱出の方法をゆっくり考えるか・・・
彼女のほうに軽く無理しながら笑いかけて、心の中でつぶやく。
お前だけは絶対守るからな。
まだ続きは考えてないです・・・
才能ね−な俺も。
>>kuzhさん
いいぞ。でも話を練ってたら鮮度が落ちそうだな。
連休潰して勢いで書きまくれよ、ゴルァ! w
725 :
サナトリウム:05/02/10 22:33:37 ID:Rc/8iUw50
私はうしろに立つ不快な神主の額を357弾で打ち抜いた。
老婆は後ろを振り向き「ケヒィッ!」と悲鳴とも驚嘆とも思える不気味な声を上げた。
「今までココに来た哀れな人間と私がどれくらい違う種類の人間か、
出来れば理解してもらいたいが、まあいいでしょう」
私は振り向いたままの老婆の背中に2発ほど撃ち込んだ。
老婆はガヒッ!と悲鳴を上げて回転しながら神主の近くまで吹き飛んだ。
それなりにイジった弾丸をこのリボルバーから至近距離で撃たれれば、
普通の老婆なら即死のはずだ、しかし当然のように老婆の身体は
不自然な、例えるならば人間の着ぐるみの中でうごめく(何か)の
ように、ズルズルと再び動き出した。
「あなたは違うタイプのようだ、素早い動きをされる前に脊髄は
破壊させてもらった、さぁ話を続けましょう・・・・」
振り向いた老婆には、もう平静や深慮を装う仮面は残されていなかった。
「何というヤツだ・・・バチアタリが!」
「ははは、そんな無知蒙昧な脅しが私に通じるとでも?」
「ナニモンだお前は!」
私は外の様子の変化も気にかかったが、この老婆から聞き出す事が
出来れば、都合の良い事もまだ残っていた。
726 :
サナトリウム:05/02/10 22:42:03 ID:Rc/8iUw50
「かなり珍しいタイプが近年生まれましたね、貴女が
今呼び寄せたゾンビなどとは違う、特殊なヤツが」
老婆が話を引き伸ばしていたのは、もう外に20体はいる
ゾンビを呼び寄せて、私を襲わせるつもりだったのは先刻
承知していた。それゆえに聞きだせる事を私は老婆の口から
得たかったのだが、思いの外、ゾンビの集まるのが早かったのは
少し残念な誤算だった。
「そとの連中よりもう少し頑丈なゾンビを一晩で63体
始末した事もあります、もっと多いときもあったのですが
まぁそんな話は今は言いでしょう、さぁ教えてもらいましょうか」
私はもう1発老婆の腰に弾丸を撃ち込んだ。
727 :
セバスタン:05/02/10 23:01:16 ID:HpXIfv8IO
ケイタイからだが、投下しようか?一日2.3レスになるけどちなみにパソ使えんです。
ケイタイでSS書くなんてゾンビと戦うより大変そうだな
729 :
サナトリウム:05/02/11 03:45:34 ID:IDqkyNq10
「適応者の中に更なる組織変質をするものが現れた
しかも遺伝子レベルの変質を、恐らくある程度以上
意思で行っている者が・・・これは地球史上でも初めての
生物と言って差し支えない個体だった・・・・・」
老婆の口調が理知的な標準語のイントネーションとなった。
私には都合のいい展開だ、こちらの出自の深さをようやく認識
した老婆は、フラフラと立ち上がった。骨と筋肉を連動させた
動きではなかった。組織自体が粘動して這いずる様な動き。
背中を壁に吸着させるように、ナメクジが壁を登るような緩慢な
動作でそれを老婆は果たした。
「この街で、そんな風に暴れていていればスグに会えるさ」
納屋の方から2対のゾンビがこちらに向かっているのは認識して
いたが、ソレらが私の後方にあるドアのガラス部分を割り、
ドアチェーンを外してまで進入するのは、又も計算外だった。
私は2体の頭部に1発づつ打ち込むと、空になったシリンダーから
カートを落とし、スピードローダーで弾丸を装填した。
4秒とかからなかったはずだ。
730 :
サナトリウム:05/02/11 04:06:45 ID:IDqkyNq10
私はドア越しに外を確認した。
30対以上のゾンビがこちらに向かっている、老婆の
コントロールによるものだろう。
壁に寄り掛っていた中腰の老婆は力尽きたのか、ズルズルと
身体を崩し始め、ぺたりと座り込んだ。
「もう喋る気はありませんか?」
「ない、それ以上はお前よりも知らないだろう・・・」
私は老婆の頭に足裏をあてがった。
壁と私の足の間に潰された老婆の脳漿に一瞥をくれ、私は
神社を後にした。
ゾンビたちは先ほどと違い、様々な方向に無目的に徘徊していた。
私を嗅ぎ付けた数対がノロノロとこちらに向かってくる。
街の人波で違うように、それらをやり過ごしながら車へ向かう途中、
私はかつて無い戦慄を覚え振り向いた。
ソコにはマタギのようないでたちの老人と振袖の少女が、
神社を囲む雑木林に溶け込むように並んでいた。
一目見て二人がゾンビでは無いことは分かった、しかしその半径
10メートルには少なくとも7対のゾンビがいたにも関わらず、
奴等はその二人に無関心、というよりも気付いてさえいない様子だった。
731 :
サナトリウム:05/02/11 04:21:31 ID:IDqkyNq10
それよりも驚いたのは、少女の手に私のサブマシンガンが握られていた事、
私の車は防弾性を始め、様々な特殊セキュリティに守られている。
並みのプロでも開錠することは困難なはずだった。
少女が手にしたMP5を持ち上げた、よく見れば老人が杖にしているのは
ベネリ、私のショットガンだ、私は自分の慢心を恥じた。
「これ以上死者たちの魂を惑わさないで・・・・」少女はか細い声で
そう言うと、老人と共に歩み寄り、私にMP5マシンガンを手渡した。
泰然とした面持ちの中にも峻険な怒りを湛えた白眉の老人は、私の足元に
ベネリを投げた。「ここから立ち去れい・・・」
足元に落ちたショットガンを見下ろしていた私は、その声の荘厳さに
驚嘆して我に返り、顔を上げた。
そして私は、この地区に潜入して初めての恐怖に襲われた。
理解不能の事態だった、顔を上げると二人の姿は無かった。
半径30メートル以上には隠れる場所など無かった。
いや、私が地面に顔を下ろした時間など、ほんの2秒もなかったはずだ。
二人は忽然と、煙のように、まさに姿を消したのだ。
732 :
サナトリウム:05/02/11 04:40:15 ID:IDqkyNq10
車に向かう私が手にする2丁の銃は、間違いなく私が
車内に置いて来た者だった。しかし車内に戻った私は
セキュリティカウンターを確認し、更なる恐怖に襲われた。
「私がさっき開けてから、このドアは一度も開いていない?」
私は珍しく独り言で事態を語っていた。
理解不能の恐怖は、私は平静を保つ事に随分と苦労していた。
簡単な名詞を口にすることを、唯物主義者の私は頑なに拒んでいた。
「貴方も見捨てられるわ、早くここから出た方がいいわ」
車内に響いたのは、先ほどの少女の声だった。
私は声にならない悲鳴を上げ、社外に飛び出ていた。
とにかく落ち着きたかった。
老婆が死んだからか、街はもう恥も外聞も無く、ゾンビで
あふれかえっていた。そんな1体と私の肩がぶつかった。
成りたてなのかそのゾンビは「ああっスイマセン・・・スイマセン」と
壊れた笛のような不快な音を、気管支炎の咽頭に、肛門から空気を
流し込んだ時のような音を、腐敗臭と共に私に解き放った。
私はその初老の男の後頭部に弾丸を撃ち込んだ。
背広の背中が不自然に破れ、縫われていた、棺に入っていた
死体だったのだろう。
733 :
サナトリウム:05/02/11 04:59:47 ID:IDqkyNq10
私は続けて視界にいるゾンビを手当たり次第に射撃した。
クイックローダーを7個分、30匹以上のゾンビを打ち倒す間、
私の耳には「・・・やめて・・・やめて・・・」という少女の
声が鳴り響き、やむ事はなかった。
「呪われよ!永遠の地獄をめしいのまま這いずり回るがいい!」
その声は間違いなく先ほどの少女と同じ声帯から発せられた声に
違いなかったが、その調べは悪魔に憑依されたような陰惨なものだった。
「幻聴なのか?・・・それとも私は科学的で無い事象と対峙しているのか?」
少女の声はそれきり聞こえなくなった。
若干落ち着いた私は車に戻り、ムダ弾を消費した自分に舌打ちをし、
新しいケースから出した357弾を9つのクイックローダーに装填した。
道路には先ほど撃ちもらしたゾンビが1匹、頭を狙って首に当ててしまった
女だ、うつぶせになって頭を不自然な速さで前後させ、蛇のように腰を
縦に伸縮させてはピクピクと蠢いている、小刻みに踊る不快な動作が、
どうにも私の癇に障った。
ランクルの左前輪でそれを踏み潰すと、シート越しに「メキリッ」と
肉を圧砕し骨を砕く感触が伝わった。
私は車を神社の対面にある団地に向けた、先ほどの現象に付いては
考慮の外に保留する事にして、今は目的を最優先することにした。
734 :
サナトリウム:05/02/11 05:21:24 ID:IDqkyNq10
「由紀子、父さんだよ・・・・開けてくれ、由紀子!」
お父さんの声がドア越しにしている、でも私はドアを
開けてはいけないのだ、なぜならそれが父さんとの約束だから
「由紀子、早く空けてくれ!父さんだょお・・!由紀子ぉ・・・」
父さんは自分からドアを出て行った、その時に最後のお別れをした。
お母さんが死んでからずっと私はお父さんと二人だった。
裕福ではない団地暮らしだったけど、お父さんのお陰で私は特に
金銭的な不自由をすることなく、今日まで楽しく暮らしてきた。
「大学は私立でもいいんだぞ、高校だってオマエ、気兼ねして
公立に行ったけど、大学はもっといいところに行っていいんだ
お金のことは心配するな、自分が受かる一番いい大学にいきなさい」
父さんは先週そう言ってくれた、だから私は大学で一杯勉強して
1日も早く父さんに楽な暮らしをしてもらうのが夢だった。
735 :
サナトリウム:05/02/11 05:33:11 ID:IDqkyNq10
でもそんな夢は3日前に終わった。
隣の小学生、裕子ちゃんが血まみれで家の
チャイムを鳴らした時から・・・・・
ドアレンズ越しに映った血まみれの裕子ちゃんを見た父は
スグにドアを開けて裕子ちゃんを介抱しようとした。
傷口を確かめようと中腰になったお父さんは、裕子ちゃんに
突然首筋を噛まれた。
私はスグに裕子ちゃんを突き飛ばし、ドアを閉めた。
「ギャャァアアアッ」と言う悲鳴みたいな声と同時に
閉めたドアを子供とは思えない力で裕子ちゃんは叩いていた。
私はお父さんの首にタオルを巻いて止血し、ドアの前に
箪笥や机を置いてバリケードを造った。
ドアはガンガンと物凄い勢いで叩かれていて、その音は
何時までもやまなかった。
警察に電話したら「絶対に外へ出ないでください」と言われた。
少し落ち着いたお父さんが私と電話を変わり、しばらく警察の人と
話していたけれど、電話を切るとお父さんはテレビをつけて
ニュースを見ようと言った。
736 :
サナトリウム:05/02/11 05:44:29 ID:IDqkyNq10
「そうか・・・本当なのか・・・・」お父さんは溜息を付いた。
私は泣きながら「お父さんおとうさんっ!」と何度も叫んだ。
それ以外の言葉をお父さんにかける術が私には無かった。
ニュースから流れてくる絶望的な状況は、私たち親子にも
例外なく降りかかる結末を物語っていた。
「いよいよとなったらお父さんはココを出て行く」
「いやだよお父さん!そんなの絶対いや!」
「いいか裕子、もう一度お父さんが帰ってきても絶対
ドアを開けるんじゃないぞ、解ったな!」
「いや・・・お父さん・・・いやぁ・・・・」
私は泣きじゃくってお父さんにすがりついたけれど、お父さんは
私がお父さんに触れることももう許さなかった。
737 :
サナトリウム:05/02/11 05:52:08 ID:IDqkyNq10
しばらくして「ガタン」とベランダから音がした。
お父さんと私がキッチンの方を見ると、ベランダへ出る
ガラスドアの向こうに裕子ちゃんがいた。
隣のベランダを乗り越えて、家のベランダに降りたのだ。
灰色に濁った瞳で私を見つめる血まみれの裕子ちゃんは
ニタニタと笑ったような表情で、ガラスに手をかけていた。
「下がっていなさい由紀子!」
お父さんは包丁を手にしてガラスドアを開けて、裕子ちゃんの
顔に包丁を付きたてた。「ギニャアアッ!と言う裕子ちゃんの
悲鳴、でもお父さんはひるむことなく裕子ちゃんを持ち上げて
4階から地面に投げ落とした。
738 :
サナトリウム:05/02/11 06:00:04 ID:IDqkyNq10
地面に落ちた裕子ちゃんは、手足を不自然な方向に
曲げながらもまだモゾモゾと動いていた。
「キィキィ・・・!」と泣き声のような声も上げていたけれど
しばらくしておとなしくなった。
私はお父さんとベランダから下を見た。
沢山の人がフラフラと歩いていた、まるで幽霊みたいな人たち・・・
でもその中には沢山のして散る人たちもいた。
「ゾンビだ・・・・ここはもうゾンビに囲まれてるのか・・・」
お父さんがそう呟いた。
「由紀子、窓からわかるように自分が生存者だと言う紙を
書いて張りなさい、出来るだけ大きくつくるんだ」
「うん・・・」わたしはそう返事をした。
「お父さんはもうここを出る、さっきまた噛まれてしまった
もうお父さんは長くはお父さんではいられないどろう・・」
「いや・・お父さん、一緒にいよう!お父さん!」
「ダメだ!お父さんが帰ってきてしまっても絶対ドアを開けるなよ
解ったな由紀子!絶対だぞ!」
739 :
サナトリウム:05/02/11 06:08:12 ID:IDqkyNq10
私が泣いている間、お父さんはずっと側にいてくれた。
でも、泣きつかれた私が眠っている間に、お父さんは
いなくなっていた。「絶対にドアを開けてはいけない
救助が来るまでがんばれ由紀子」と書かれたメモがテーブルに置いてあった。
それを読んだ私は半狂乱になっていつの間にかまた気を失っていた。
その夜、私は不思議なものを見た。
悲しみのあまり放心していた私は、窓から下の様子を何となく
眺めていた。近所の人や知らない人がゾンビとなってウロウロしていた。
その中にお父さんがいないかと探してみたけれど、一度もお父さんを
見ることは出来なかった。
いや。 おもしろい。 うん、おもしろいなぁ。
741 :
サナトリウム:05/02/11 08:06:09 ID:IDqkyNq10
ボーっと下にいるゾンビたちを見ていた私は、
その中に奇妙な人影を見つけた。最初は何が奇妙なのか
解らなかった。白いワンピースを着た髪の長い女の人、外のゾンビたち
とは明らかに違う感じの歩き方、そう、ちゃんと意思を持った人間の歩き方だった。
商店街の酒屋さんだったおじさんのゾンビとその女の人が
すれ違うのを見て、私はその女の人の身長が、物凄く高い事に
気が付いた。背が高いと言うよりも巨人と言った方がいいと思う。
背の高かった酒屋のおじさんの頭がその女の人の胸の下あたり
だったから、3メートル近い身長だった。
怖くなった私は顔を窓際に置いてある鉢の間に隠すように低くして
その女の人を見ていた。
やがて女の人は見えなくなり、私は眠ってしまった。
742 :
サナトリウム:05/02/11 08:38:19 ID:IDqkyNq10
目が覚めた私は何か生きる気力を失っていて呆然としていた。
「もう死んじゃいたいな・・・・・」
そんなことを何度も何度も呟いていた私は
「シニタイノカ?」と言う声で我に返った。
キッチンに座り込んでいた私の周りを囲むように30センチくらいの
不思議な生き物が並んでいた。
数を数えると5匹?、お父さんと裕子ちゃんが揉み合った時に割れた
ドアガラスの隙間から、さらに2匹が入ってきた。
「シニタイノカ?」そのうちの1匹が私にまた質問した。
よく見るとそれは胎児だった。7ヶ月か8ヶ月未満ぐらいの胎児だった。
ただそれらは、自分で二足歩行をして素早く歩き、起用に台所にある
引き出しを開けて、果物ナイフを取り出していた。
余程異常な精神状態だったのだろう、私は彼等の行動が、自分へ向けての
殺意である事を察っしていたにも関わらず、座り込んで頬杖をついたまま
その様子を眺めていた。
743 :
サナトリウム:05/02/11 08:53:31 ID:IDqkyNq10
「ギギィ!」と言う音が窓の外でした。
何かを捻じ曲げるような大きな音、その音と同時に
胎児たちは、玄関に向かって一目散に走り出した。
私はガラスドアを開けてベランダから下の方を見た。
昨日見た大きな女の人がベランダ伝いに団地をよじ登っていた。
怖くなった私は、ガラスドアを閉めて、奥の4畳半に飛び込んだ。
ふすまにつっかえ棒をして一息ついて振り向いた私は、次の瞬間に
腰を抜かしていた。
自分で閉ざした4畳半の中にベランダ伝いに壁をよじ登っていた
はずの女の人が、部屋の中で四つんばいで私を眺めていた。
744 :
サナトリウム:05/02/11 09:06:16 ID:IDqkyNq10
どれくらいの時間がたったのか、私は長い間気絶していた。
目覚めた時には女の人はいなかった。
恐ろしい姿や形相であった事は覚えていたけれど、それが
どんなものだったかについてはもう思い出せなかった。
忘れてしまうほど怖いものだったのかもしれない。
「ドンドン」と言う音が私の耳に飛び込んだ。
「由紀子ぉ・・・ゆきかぉぉ・・・」お父さんの声だった。
私は玄関に走ってドアのレンズを覗き込んだ。
私は息を飲んだ、ドアの向こうにいたのは間違いなくお父さんだった。
でももうそれはお父さんではないかもしれなかった。
灰色に混濁した白目、灰色に近い肌の色、むき出しの歯茎、それは
下でウロウロしているゾンビのそれと全く同じだった。
「お父さんだよぉ・・・ゆきこぉ・・・お父さん・・・」
「ごめんなさい!お父さん、開けられない、開けられないよぉ」
私はお父さんにそう叫んだ。
745 :
サナトリウム:05/02/11 09:13:58 ID:IDqkyNq10
「どうしてだぁゆきこぉ・・・おとうさんをどうして入れナインだぁ?」
「お父さんと約束したの、お父さんを入れないって!」
「・・・・じゃあ由紀子ぉお父さんの言う事をきいてくれないかぁ?」
お父さんはもしかしたらまだ成城なのかも知れない、こんなに会話が
できるゾンビは下にはいなかった様な気がする。
私がそんな淡い希望にすがり付こうとした時、お父さんは信じられない
ような言葉を私に投げかけた。
「それじゃあ由紀子ぉお父さんに指を1本だけ食べさせてくれないかぁ」
心臓が凍り付いたような衝撃だった。
「な、何を言ってるのお父さん?」
「オマエの肉をたべたいんだよぉ・・・たのむぅゆきこぉ・・・」
父の手が郵便受けから飛び出した、獣のように何かをまさぐろうとする
動作には、理性の欠片も感じることが出来なかった。
746 :
サナトリウム:05/02/11 09:26:50 ID:IDqkyNq10
「父さん母さんがまだ若イ時に死んだから寂しかったんだぞぅ・・・
でもオマエを犯したりしなかったろぅ?ガマンしてたんだぞう・・
指くらいだから食べさせるぉよゆきこぉ・・・」
私は嘔吐した。胃の中に何もなくなってもまだ吐いていた。
「うわああぁぁっ!死んでぇぇっ!しんでぇぇおとうさんんっ!」
私は絶叫していた、こんな言葉を聞く位なら、死んだ方が良かった。
世界が無くなってしまえばいいと思った。
「じゃぁぁゆきこぉ地だけでも良い、血だけでも少しくれないかぁ
ホラ、父さんの手のひらに少しだけでいいから垂らしてくれよぅ」
私は床に転がっていた果物ナイフをお父さんの手の平に刺した。
「ああああ・・じゃあトイレにもういらなくなったオマエの血がある
だろう?あれでもイイ・・お父さんにオマエの血をすすらせてぇぇぇ」
私の中で何かがプツリと切れた。外にいる薄汚い汚物に、これ以上
お父さんの尊厳を怪我されたくなかった。
747 :
サナトリウム:05/02/11 09:38:07 ID:IDqkyNq10
人間には誰でも人に言えないような欲望がある。
でもそれを理性で押さえて生きているからこそ高潔なの
だと私は思った。欲望の無い人間が偉いのではなくて、それを
押さえ込んで他人や愛するものを傷付けないように生きる
人こそが高潔なのだと、だからお父さんも立派な人だった。
それをこのドアの外にいる肉の塊は、どこまでも汚して恥じ入らない。
コレはお父さんの尊厳と名誉を汚す許しがたい汚物だと私は思った。
私は昔映画で見た光景を思い出し、殺虫剤とライターを持ち出した。
あらかじめ殺虫剤を噴射させ、ライターでそれに火を付けた。
先週買ったばかりの大き目の缶は幸いまだ満タンに近かった。
私は意を決して鍵を回し、ドアを開けた。
748 :
サナトリウム:05/02/11 09:50:34 ID:IDqkyNq10
私は例え自分が死んでもこの肉の塊を黙らせてお父さんの尊厳を守りたかった。
その後にゾンビに殺されても全く構わなかった。
ドアが悪や否や顔を滑り込ました肉塊に向け、私は即席の火炎放射器をお見舞いした。
「グブワッ!」と言ってソレは顔を両手で覆ったけれど、私は
さらに衣服や燃えそうなところ全てに火を付けた。
「○○○!○○○○!」と、聞くに堪えない卑猥な言葉と
ゴボゴボという奇怪な呼吸音をさせながら、ソレはやがて
全身に広がった炎に焼かれて動かなくなった。
幸いそのスキに私が他のゾンビに襲われる事はなかった。
再びドアを閉めた私は、玄関にペタリと座り込んだ。
「・・・お父さんと寝てあげれば良かったのかな?・・・
・・お父さん・・・おとうさぁん・・うわああぁぁぁん」
随分と長い間、私は声を上げて泣いていたと思う。
749 :
サナトリウム:05/02/11 10:02:24 ID:IDqkyNq10
団地に入って10分ほどした頃、私は珍しいものを見つけた。
チョロチョロと走り回る30センチくらいの物体
「へぇ胎児の適応体か・・・珍しいな知能はどれくらいかな?」
私は車を降りてそれらを追った。全部はいらないと思ったので
MP5のバースト撃ちで4匹程が床にぶちまけたゼリーのようになった。
「ちゃんと話せるやつだけ生かしてやるぞー?」
私は一応の交渉を試みたが、連中は逃げるばかりで取り付く島がなかった。
15分ほどの鬼ごっこに勝利した私は、残る2匹もゼリーに戻し、最後の
1匹を捕獲して、車内にあるシリンダーに詰め込んだ。小遣い位にはなるだろう。
750 :
本当にあった怖い名無し:05/02/11 10:08:12 ID:xblCoEtb0
劣化バイオハザード
劣化サイレン
ばかりだな
>サナトリウムさん続きキボンヌ
>>750 その二つを凌ぐやつが書けたら作家デビューできるだろ
753 :
サナトリウム:05/02/11 17:59:26 ID:IDqkyNq10
団地の中央に位置する商店街広場、ソコには300体以上のゾンビが
無目的に徘徊していた。
商店街にある公団事務所にたどり着くには、これらを回避するか
排除するしたないようだが、いかんせん数が多すぎる。
商店街はコノ字型に立つ団地建物の1階部分を使用して形成されていた。
私は団地の上部にある住居部分を伝って公団事務所の部分の真上に行き、
最低限のゾンビを排除する事、もしくは2階内部から1階事務所部分へ
進入する事にした。
幸い上部住居部分には容易くト取り付く事が出来、2階連絡通路を伝い
数対のゾンビを下へ放り投げるだけで、事務所2階部分の侵入に成功した。
さらに都合の良いことに、1階の事務所と2階は階段で繋がった同一物件で、
入り口部分はシャッターで閉ざされていたため、ゾンビも進入していなかった。
「うん、コレだな・・・」ローカーキーを拳銃で吹き飛ばすと、目的の
キーボックスが目に入った。「サナトリウム関係・・・コレか!」
私は街外れにあるサナトリウムの地下入り口の鍵を入手した。
念のため、サナトリウム関係の鍵は全てチェーンに纏めてポケットに入れ、
わつぃは事務所を後にした。
754 :
サナトリウム:05/02/11 18:19:24 ID:IDqkyNq10
団地伝いに最もゾンビの少ない箇所に下りて車に戻る為、私は
2階連絡通路部分を歩きながら、下の広場の惨状を一瞥した。
ホンの数時間前まで、まとまった人数がゾンビに懸命に抗っていたようだ。
30対以上の死体を、広場でヤツらは引きちぎり、かぶりつき、貪っていた。
それにしても酷い匂いだ、どんなに場数を踏んでもこの匂いにだけは
無神経になれない、災害現場・戦場・それにこういった場所を転々とした
私の持論だが、人間とはつまるところ「大便を詰めたソーセージのようなもの」
なのだ。老いも若きも男も女も、ひとたび皮を剥いだら大便か生ゴミの臭いしか
しない、たとえどんな絶世の美女でもソレは例外ではない、人間などは所詮
動植物の溶けた腐敗物と大便を詰めたまま歩く生ゴミ袋に過ぎないのだ。
755 :
本当にあった怖い名無し:05/02/11 18:41:10 ID:tKrf9ezd0
「ゾンビ屋れい子」おすすめ
756 :
サナトリウム:05/02/11 18:50:04 ID:IDqkyNq10
私は地上に降り、進行方向にいる、特に邪魔そうなゾンビの
頭を4個程リボルバーで吹き飛ばすと、車の座席に滑り込んだ。
サナトリウムは先程の神社のスグ近くにある。老人と娘のことが
頭を過ぎり、私の気分は幾分か沈んだ。
「私のような人間にも僅かに残された良心や罪悪感の見せた幻像だ」
私は口に出して自分を納得させた。
視界に入れないように努めて神社を横切り、私はサナトリム病院の
正面口に車を止めた、ゾンビは周辺には見当たらなかった。
装備を多目に携帯し、私はサナトリウムの扉を開けた。
「ショシンデゴアイマスカ?ジョシンデゴアイマスカ?」
ロビーの右手にアル受け付けに、口の周りを真っ赤に血で染めた
看護婦が座っていた。
「ショシンデゴザイアウカ?」私はリボルバーのハンマーを起こして
彼女に近づいた。「第9病棟の連絡口は何処ですか?」
「ソコはイッパンナオカタハ、タチイリきんしでございます・・・」
誰かに食われたのか、彼女の眼球は2つとも無かった。
大きくぽっかり開いた部分には、つぶらな瞳があったのだろう。
若く美しい、評判の看護婦だったに違いない。
「もうスコシちかくにきていただぇればぁ・・・オシエられますヨォ」
私はナイフを彼女の脳天に突き立てた。
「そんなことしたらかまれちゃうじゃないですか?」
私はロビーにある院内地図に向かった。
サナトリウム
758 :
サナトリウム:05/02/11 19:11:43 ID:IDqkyNq10
「悪い子は第9棟に連れていっちゃうぞぉ!」
ソレが看護婦さんたちが僕たちを脅かす最高のお説教だった。
レントゲン検査で近くを通るときに少しだけ見える狭い通路。
そこをもう一度曲がって突き当たりのドアを開けると
地下への階段があって、そこにはこの病院で死んでしまった
お化けがたくさん住んでいるのだと、看護婦さんはいつも言っていた。
でも今は、この薄暗い病錬よりもボクは看護婦さんの方が怖かった。
最初におかしいなと思ったのは1週間前、いつもの採血の時間だった。
「今日はちょっと長めにお注射するわね」と看護婦さんが言った。
あまり上手くない看護婦さんだったのでボクはとても嫌な気持ちに
なったけど、もうしょうがない事と思っていたし、となりのベットの
ノボルくんに笑われたくないのでガマンしていた。
「今日はうつぶせに寝ていてね、手はコッチに向けて」
と看護婦さんが、いつもとはかなり違うやり方で注射を始めた。
「もう一回打つからじっとしててね・・・ゴキュズルッ・・・」
5回以上注射をされるのは初めてだったので、ボクはとても辛かった。
759 :
本当にあった怖い名無し:05/02/11 19:16:59 ID:N76pBTfWO
サイリウム麺ってあったよね
760 :
サナトリウム:05/02/11 19:24:05 ID:IDqkyNq10
「看護婦さんまだぁ!」いいかげん痛くなって嫌だったボクは
看護婦さんの方を振り向いた。「ウワァアァッ!」ボクは悲鳴を上げた。
看護婦さんは注射器の中にある僕の血をペチャペチャと舐めていた。
ボクの血で真っ赤な注射器が4本足元に転がっていた。
「じっとしていない悪い子は第9棟につれてくぞぉ」
口の周りを真っ赤にして看護婦さんが言った。その後ろに見える
ベットでは看護婦さんに馬乗りされたノボルくんがいた。
両手を押さえられたノボルくんの首から点滴用の一番太い針が
刺さっていて、その管はろぼる君に乗りかかっている看護婦さんの
口に繋がっていた。「ウーッウーッ!」と呻いているノボルくんの
口にはタオルが詰め込まれていて苦しそうだった。
「何やってんだキミタチ!」
二人の看護婦さんは、ベットのカーテンの中で何をしているか
気が付いた昌子ちゃんのお母さんが呼んだ先生たちに取り押さえられた。
なんでゾンビなのにしゃべったり多少の理性があったりするの?
元ネタわかんね
762 :
サナトリウム:05/02/11 19:54:47 ID:IDqkyNq10
ノボルくんは次の日ベットに帰ってきたけれど
何にも喋らないようになってしまっていた。
先生がお母さんに凄く謝っていた。二人の看護婦さんは
もう病院にはいなくなったとお母さんが話してくれた。
でもそれから何日かして、病院中の人があの看護婦さんたち
みたいになってしまった。
ボクはネフローゼですぐ疲れてしまう。でもそんなことも
忘れるくらいの勢いで、血だらけで噛み付いてくる人からボクは逃げ回った。
ボクは大人が通れない小窓や外せる格子などを使った子供たち専用の
通路を使って第9棟の階段の入り口までたどり着いた。
この道を教えてくれたノブルくんは、看護婦さんに捕まってしまった。
764 :
7/12:05/02/11 21:14:36 ID:iXnZuyqI0
ナオキは悩んでいた。今目の前にいる友を殺すべきか否か…
ここはガンショップの中、といってもエアガンショップの中だ。
こんな国では実銃など撃っているはずもない。とはいえ、
エアガンがなぜか実銃になっているのだが…
事のあらましはこうだ。ナオキは異常なガンマニア、
いつも銃を手放さないという結構重症な高校生だ。
こんな経験はあるだろうか?朝起きる寸前の時間帯に夢を見るという経験は?
たまたま今日の夢はエアガンの代わりに実銃を持って戦う、という夢だった。
しかし、起きたらその夢が実世界で再現されてしまっていた。
本当だったらありえない話だ。だがしかし、現実に起きていることをどうやって
否定しろというのだ?
この高校生の頭の中には、混乱が広がっていた。
しかも敵がゾンビだという日には…
とりあえず身を守るものは腐るほどあるってわけか…
やっぱりこの前スパスとイサカを買っといたのが大きかったな。
とりあえずBB弾が銃弾に全部変わってるからとうぶん
弾に困ることはないだろう。
ゴメン。本文そんな書かずにナレーションだけで終わってしまった。
こんなもんでもいいでつか?
俺はずっと目を閉じていた。
目を開いても何の変化も起きない蛍光灯と白い天井しか見えないのだから、
目を閉じて物思いに耽るほうがよほど精神衛生上好ましいことではないだろうか。
毎日耳に入ってくる他の患者のうめき声も、今となっては眠りの妨げになることもない。
初日は屈辱的とも取れるこの状況に対する怒りに加え、隣から聞こえてくる患者のうめき声に、
自分があの患者たちと同等の扱いをされている自分が情けなくなり、あまり眠れなかった。
しかし、両手両足をベットに縛り付けられ、更には口まで完全に固定されてしまっている状態に浮かぶ疑問が解決される時には、
初日の感情を超えるものがあった。まず、二日目に食事はどうするのかという疑問が解決された。
その答えは極単純で、それはないだろうと俺が思っていたことであった。食事が無いのだ。代わりに、栄養分が入った点滴を腕に入れられた。
そして、次に排便と排尿の疑問が解決された。これが一番屈辱的だった。オムツを履かされるのだ。
それ自体も充分屈辱的だが、本当に屈辱だったのは看護士にオムツを取り換えられることだった。二人が足を押さえつけ、もう一人が取り換える。
外気に晒される下半身の感覚に耐えられず、やめてくれと叫ぼうとしたが、出た声はふがふがと何を言っているのかわからない。
交換が終了した時、俺は人知れず泣いた。
そんな屈辱に満ちた日も今日で終わりだ。医者が言っていた、七日間すれば検査が終了し、問題なければ帰れる、と。
そして昨日明日が退院だねとも言った。待ちわびた七日目、俺は周りの患者のように奇妙な声も上げていない。
俺は自信を持って言える、健康そのものであると。健康、そう健康診断だった。
俺が隔離病棟に入院させられる羽目になったのは会社の健康診断だった―――――
気軽に投下。
つまらん言われても続けようとは今のところ思ってる。
読むの面倒だから3行くらいでまとめてくれ
768 :
サナトリウム:05/02/12 04:09:57 ID:uVMei0Q00
ロビーからここに繋がるドアを、誰かがドンドンと叩いていた。
いつも鍵のかかっているドアだから大丈夫だとは思ったけど、ボクは
一応確認のためにドアに近づいた。
「あらぁタカシくんじゃなぁい!」ノボルくんを捕まえた看護婦さんが
狭い覗き孔からボクに声をかけてきた。口の周りは血だらけだった。
「タカシくんこの鍵をあけてぇ」
「イヤダ!」ボクは叫んだ。すると看護婦さんは怖い顔になって
ボクをにらめ付けると「あけろぉっアケロォォォー!」と叫んだ。
鍵のかかっている事を確認したボクは、そのまま奥に逃げた。
その時「パンパン!」と言う大きな音がして、看護婦さんの「ウゴォ!」と言う叫び声がした。
それから「カチャカチャ」と言う音がしてドアの鍵が開いた。
ボクは怖くなって奥に逃げようとして走った。
でも細い廊下を2階曲がったところで、またドアが壁になった行き止まりになっていた。
「コツコツコツ」と言う足音が近づいて来て、怖くなったボクはとうとう泣き出してしまった。
「うん、人間か?」男の人の声が僕に向けられた。
769 :
サナトリウム:05/02/12 04:21:11 ID:uVMei0Q00
輸入禁止となって税関された大量のTOPガス、R22よりも
強力なガスだ、しかしソレでさえオレにとってはパワーソース
としてはサブに過ぎない、オレのメインのパワーソースは、自作の
窒素混合ガスだ、これは常時100気圧以上の気圧を、おれのカスタム
ガスガンに送り込んでくれる。勿論コレだけの気圧を開放するには
無圧バルブと強化ハンマースプリングが絶対に必要だ、入手が容易な時期に
大量にコレを買い占めておいて良かった。
このガスガンはカーと式の単発撃ちだったが、バレルからカート部分までを
一体化させる削り出しのバレルシステムと、銃口上に長く配置した60連の
ケースレスチャンバーキットで、即射性能を飛躍的に上げているのだ、簡単に言えば
引き金を引けば、この6mmのスチールボールを次々と打ち出せるのだ。
770 :
サナトリウム:05/02/12 04:38:39 ID:uVMei0Q00
グリップ内のガスタンクとガスルートも、一体型のスチール削り出しだ。
コレだけで3万5千円もかかったけど、これでこの銃はガスの通る
全ての場所が、150気圧に耐えられる構造になっている。
オレは木製のカスタムストックに頬をつけ、20メートル先のゾンビを
覗き込んだ。「パアァン!」と大きな音がして、18インチのバレルから
6mmのスチールボールが飛び出す。
弾はゾンビの頭を貫通した。後ろにあった車のサイドガラスが割れたので
ソレが解った。ゾンビは少し歩いてバタリと倒れた。
もうコレで60体以上やったと思う。
「イヤーいい時代に生まれたなぁー・・・こんな体験が出来るとは思わなかったよ」
オレは背中を合わせにゾンビを撃っている中村にそういった。
「全くだぜ窪田ぁ!」そういって中村はにっこり笑った。
771 :
サナトリウム:05/02/12 04:52:30 ID:uVMei0Q00
「オモチャとは思えない威力だよな、実際使ってみてビックりだ!」
オレの言葉に中村はうなずいた。
「人間なんて絶対撃てないと思っていたモンナ、一時はこのパーツ全部
合法品だったんだから、警察なんて目が節穴だよな!」
「もうこの辺には1匹もいないな!」
俺達二人は周辺のあらかたのゾンビを撃ち殺していた。殺すと言うのは、
正確では無いかもしれないが、動き出すゾンビはこの辺りにはもういなかった。
「燃やしたのも入れたら、昨日だけで500以上やったもんな、でもまだ
意識のあるヤツなんかは、逃げ出していたから、まだまだいるはずだぜ!」
772 :
サナトリウム:05/02/12 05:07:37 ID:uVMei0Q00
中村のやる気満々の声はオレの気分を心地よく高揚させた。
まるでいつものサバイバルゲームの延長のような感じだ。
「な、何だアイツは・・・・?」中村が背中越しに驚嘆の声を上げた。
お互いのバックをカバーし合っていた俺は、付近にもうゾンビも
いなくなったこともあり、中村の口頭による説明を聞く前に中村の
視線の先であろう自分の後方に首を向けた。
「何だ?アレは?」オレも中村同様の叫び声をあげた。
俺たちの視線の先20メートルには巨人がいた。
白いワンピースを着た3メートル近い背丈の女が、こちらにゆっくりと
歩み寄って来ていた。
「止まれ!止まらないと射殺するぞ!」俺たちは女に威嚇射撃をした。
その瞬間、オレは立ちくらみがして、一瞬視界がぼやけてしまった。
目をこすり、再び巨大女の方に視線をやると、そこには巨人の姿は無かった。
「何だ、どこに行ったんだあの女!」中村が叫んだ。
「見ていなかったのか?」オレは中村に質問した。
「何か目がクラっとして、そしたらいなくなってた!」
「オレも同じだ・・・」どういうことか判断が付かなかった。
「アレはなんだろうな?」窪田がオレに尋ねた。
773 :
サナトリウム:05/02/12 05:27:13 ID:uVMei0Q00
3メートル近い巨人女の立っていた場所には、160センチくらいの女の子が立っていた。
「それ以上近づくな!」オレはまた威嚇射撃をした。
女の子の右上にあった木の枝を、オレの弾丸が打ち抜いて折った。
折れた枝は女の子の足元に落ちた。巨人同様ゆっくりと歩み寄っていた女の子は
足を止めた。「由紀子・・・・」15メートル先の、か細い声だったが、オレには
その声がはっきり聞こえた。「なんだ人間か・・・ヤベェヤベェ撃つトコだったぜ」
中村がそういいながら銃をおろした。女の子を怖がらせるのはオレも趣味じゃない、
同様に銃をおろしたオレは、女の子が手に持った物が何であるかを見て驚いた。
女の子が手に提げるように持っていたのはボウガンだった。
それをゆっくりと構える女の子は間違いなくコッチを狙っていたが、よく見ると
ボウガンに矢はつがえられていなかった。
「ゴ・・・・ガァッ・・・」奇妙なうめき声に、オレは中村の方に目をやった。
大きく開いた中村の口にボウガンの矢が刺さっていた。
中村を串刺しにした矢は、後ろの松の木に深々と刺さっていた。
松の木に打ち付けられた中村の額にボウガンの矢が刺さった。
今度も木の幹に鏃が飲み込まれていた。
774 :
サナトリウム:05/02/12 05:36:48 ID:uVMei0Q00
オレは振り向いて由紀子と名乗った女の子を凝視した。
素早すぎる!打ち込むのも矢を番えるのも、そして恐ろしく
正確なグルーピングも、素人技じゃない!
「オアアァッ!」オレはダッシュで逃げ出した。
腰を低くして、遮蔽物に隠れながら、出来るだけ素早く走った。
そんなオレの足元の地面には3度矢が刺さり、耳元を2回も
「ビュンッ!」という音が掠めた。
「ボウガン魔だ!ありゃ伝説のボウガン魔だぞ!」
オレは夢中で走って逃げた。
ほらな、言ったとおり新規には誰もレスしないだろ
サナトリウムおもしろい
たった半日足らずでそんなこと言われても、その、なんだ。
困る。
サナトリウムさんは句読点と三点リーダー、あとは改行位置が気になる。
行頭下げもまちまちなので、読みにくい。
アイデアが面白いのに読みづらさで損をしているよ。
778 :
サナトリウム:05/02/12 19:07:14 ID:uVMei0Q00
「落ち着け、ボウガンの矢は無限にあるわけじゃない、オレにはまだ
5000発以上の弾があるじゃないか、逃げ切る為に考えるんだ」
ひっきりなしにオレの周辺を掠め飛んできたボウガンの矢は、もう5分ほど
飛んでこなくなっていた。オレを見失ったのか、矢が尽きたのか、どちらに
しても反撃の時間を稼ぐ、貴重な時間を得たのだとオレは少し安堵した。
だがそんな安堵も、パリッ!と言う小さな破裂音で完全に消え去った。
走る俺の右前にあった団地の窓ガラスに小さな穴が開いた。
極限まで強化したガスガンから発射された金属製のBB弾が、住居程度に
使われているガラスに当たれば、ガラスは割れることなく小さな穴が開く。
「パリッパリッ!」ガラスに穿たれる小さな穴は、徐々にオレの頭に近づいていた。
取り返しの付かない失敗をしてしまった。そして、何という恐ろしいヤツに
オレは追われているのだろうか!
779 :
サナトリウム:05/02/12 19:21:07 ID:uVMei0Q00
「発射音がしない!」
信じられない事態だった。錯乱したオレにもあの女の子が中村の
ガスガンを使って俺を撃っている事はすぐに理解できた。
しかしその発射音がオレには聞こえなかった。正確に言えば3発目の
発射音は「パズッ!」と聞こえていた。判断が遅れたのだ。
「中村のリュックからサイレンサーを取り出して装着している?」
「なんであんな女の子がそんなに装備に詳しいんだ?」
電動ガン中心のゲームでもガスガンでのスナイパーに徹する中村は、
装備に必ず自作のカスタムサイレンサーを入れていた。
市販のサイレンサーの中身を取り出し消音用の穴をさらに数十個は開け、
入っていた消音剤を抜いてその2倍近い寮のスチールウールを詰め込んだ
特性サイレンサーの消音効果は絶大だった。
電動ガン特有の機械音も無く超高性能なサイレンサーを取り付けた
中村のガスガンの銃声は、風の音にまぎれて発射された場合、殆ど
無音に近い状態であった。スチール弾が空気を切り裂く「ビュウッ!」
と言う音と着弾した物体との衝突音のみがその存在を教える。
780 :
サナトリウム:05/02/12 19:34:31 ID:uVMei0Q00
「まずい、まずいぞ!」オレは団地の中を出来るだけ不規則に逃げ回った。
日本有数の規模を誇るこの団地は、数キロに渡って規則正しく5階建ての
団地建物が並んでいる。何時までも同じような田の字型の団地の十字路を
オレは最も生還率の高い道を選んで走った。
弾は時折オレの身体を掠めたが、気のせいか5分前以上にオレを追い立てた
正確な弾道では無くなっていた。
そしてもう一つ気になる事があった。
団地のベランダや窓から、無数のゾンビが顔を出していたのだ。
「おかしいぞ、まだあんなにいたのか?」オレは少なからず驚いた。
おれは55号棟と56号棟の間を抜け、十字路に差し掛かった。
左右と前の選択肢は左右に絞られていた。
前方の道は65号棟とその一つ先の66号棟の各階段からあふれ出す50体以上の
ゾンビがこちらに歩いてきていた。左右は上りと下り、オレは右の下り坂を選択した。
781 :
サナトリウム:05/02/12 19:45:47 ID:uVMei0Q00
次の十字路では、さらに選択が無くなっていた。
右と前方からウヨウヨとゾンビが這い出していた。
いつもならば、中村と二人で1時間もあれば始末できる数だったが
追跡者がいる今、オレはゾンビを射撃している時間は無い。
「おかしい?家に篭ってた奴等が一斉に出てきたのか?」
無数のゾンビがオレを追いかけていた。大概はノロノロとしたヤツ
だったが、中には小走り程度の奴もいた。
しかし、真の恐怖はこれほどの数のゾンビが、一つの目標に対して
行動している事だった。今あんことは今まで無かったからだ。
782 :
サナトリウム:05/02/12 19:58:34 ID:uVMei0Q00
「間違いない、全部ががオレを追いかけてる!何でだ?」
ヤツらの目的はオレを食う事だ、そんなことは解っている。
問題は何故こんなに組織的な行動が取れるかということだ。
オレは間違いなくゾンビに追い込まれていた。
十字路をどちらに曲がるかと言う選択肢は遂に尽きた。
86号棟と87号棟の間を走るオレの後ろには無数のゾンビが
迫っていた。そこへ、前方からも大量のゾンビが現れたからだ。
唯一安全な選択は、右側の87強盗のベランダ伝いに上に登る事だ。
各部屋に4・5匹のゾンビがいたところで撃ち殺すまでだ。
「バスッ!」と言う布を裂く音と共に、オレの右のふくらはぎに
激痛がはしった。「・・・まだ・・・ボウガンも持ってたのかよ・・・」
選択肢は生存確率を大幅に引き下げた上、一つしか残されていなかった。
「この階段か・・・ドアが全部閉まってたらお終いだな・・・」
783 :
サナトリウム:05/02/12 20:07:30 ID:uVMei0Q00
右足を貫いた矢を抜く時間は無かった。
ベランダを登る能力を失ったオレは、左の86号棟、しかも
目の前にある階段を登るしかなかった。前後に迫るゾンビは
もう20以下の距離まで迫っていたからだ。
1階から3階までのドアは鍵がかかっていた。
4階に差し掛かると、踊り場に黒焦げの死体があった。いやゾンビだ
この状態でまだモゾモゾと動いているのがその証拠だ。
「・・・・コォ・・・・ウゥ・・」と何か口にしているようにも聞こえた。
邪魔な黒コゲを会談したに蹴り落とした時、ソレが女性器や陰核亀頭の
俗称を連呼している事がわかった。
オレは黒コゲの頭部に5発ほどスチール弾を撃ち込んだ。
生きていてもくだらない人間だったのだろう。
784 :
サナトリウム:05/02/12 20:22:24 ID:uVMei0Q00
4階の右側のドアは開いていた。男物の革靴が挟まって
ドアが少し開いていたのでオレはすがりつくような気持ちでドアを開け、
鍵を閉めた。玄関はゲロまみれだった。靴の中に大き目の殺虫剤の缶が
転がっていた。「ああ、なるほど・・・」オレは外の黒コゲの顛末を知った。
近くにライターが転がっていたからだ。
幸い部屋には誰もいなかった。風呂場で右足に刺さった矢を抜いたオレは
消毒剤とタオルを拝借して応急手当をした。水がまだ出たのも幸運だった。
オレは全てのだどのカーテンを閉め、全ての鍵をかけた。
「気休めだな・・・・オレをなぶり殺しにしたいんだろうな・・・」
追跡者の女の子は、いつでもオレを撃ち殺せたのだと思う。
多分その判断は間違っていない。
785 :
サナトリウム:05/02/12 20:34:28 ID:uVMei0Q00
「ほんとだったんだなあの話・・・・」
この団地には25年以上前から「ボウガン魔」という
殺人鬼の伝説があった。いや、実際に殺された人間もいた。
その殺人事件は容疑者も見つからないままに時効になった。
近所の山の中には、大量のボウガンが刺さった木が見つかって
警察が指紋を照合したら、とっくに死んだ犯罪者の指紋だったとか、
保健所から7匹の犬を引き取った男がいて、次の日に猟師が山の中で
奇妙深い穴を見つけ、その中に無数のボウガンの矢で貫かれた
6匹の犬の死体があったなど、色んなはなしがあり、何時の頃からか
この街には「ボウガン魔が住んでいる」と言う都市伝説になっていたのだ。
「まさか女の子だとはなぁ・・・」
うはっサナトリウムおもしろすぎ
787 :
サナトリウム:05/02/12 20:46:48 ID:uVMei0Q00
そんなはずは無い、ボウガン魔は20年以上前からこの団地に
いたはずだ、あんな少女であるわけがない。
「カチャリ、キーバタン」
オレは銃を手にして飛び起きた。
玄関のドアキーを回す音と、ドアを少し開けてすぐ閉める音がした。
音の感じから言って奇妙だった。人間が入れるほど開けた感じの
音ではなかった、本のチョット、顔半分が覗き込めるくらい開けて
スグ閉めた、そんな感じだった。
玄関に飛び込んだオレはドアの外を覗いて誰もいないことを確認した。
家の中に誰かが入ってきた形跡も無かった。
オレが不可思議な事に顔を傾げたその時、郵便受けから女の白い手が
ズルッと飛び出した。「ウワアアアァッ!」おれは絶叫した。
真っ赤な爪の真っ白い女の手、だがその大きさは50センチ以上あった。
おれは白い手に4・5発発砲した。スチール製のBB弾がその白い手に
吸い込まれるように消えて、女の手は郵便受けから引き抜かれた。
おれは震えながらドア前に冷蔵庫でバリケードを作った。
788 :
本当にあった怖い名無し:05/02/12 21:03:35 ID:mgf9VlA0O
うんこちんちん
トゥハート2のバイオハザードネタは笑った。
790 :
サナトリウム:05/02/12 21:34:17 ID:uVMei0Q00
「鍵・・・開いてた・・・・」
鍵の音は幻聴ではなかった。ドアの鍵は確かに開いていたからだ。
おれはスグに鍵を閉め、ドアチェーンをかけていた。
あの白い巨大な手が飛び出す前にソレを行った事は幸いだった。
「どうすればいいんだ・・・どうすれば!」
外にはこの部屋の鍵を持っている何かがいる。
巨大な化け物も、無数のゾンビもいる。
落胆したオレは元の6畳部屋に戻った。
「な・・何だ・・・どういうことだ!」
オレがさっきまで座っていた6畳部屋の角、その壁に寄り掛るように
女の子が座っていた。「由紀子」と名乗った追跡者の女の子だった。
しかし彼女は虚ろな表情で、ぐったりとして座っていた。
791 :
サナトリウム:05/02/12 21:43:39 ID:uVMei0Q00
「どうやってココに入った!」オレは彼女の額に銃口を突きつけて叫んだ。
彼女は手ぶらで座っていた。顔かたちや服装こそ同じだったが、
おれを追ってきた人物とは、どうにも同一ではない印象だった。
「・・・私・・・ずっとココにいたよ・・・お父さんの言うとおり
ずっとココに座っていたよ・・・・」
目を伏せたまま、誰に語るでもないような、独り言のような
イントネーションで彼女はそう答えた。
「ウソだ、あの巨人の女と一緒にオレと中村を襲っただろ?
オマエ、中村をボウガンで撃ち殺したじゃないか!あの
巨人女だって、今までそこにいたじゃないか!」
しかし彼女は、そんなオレの叫び声にも無反応だった。
792 :
サナトリウム:05/02/12 22:08:31 ID:uVMei0Q00
「ガチャリ」と言う音が再び玄関からした。
「ガチャーン!」と言う音は、開けようとしたドアが、ドアチェーンで
途中までしか開かなかった音に違いなかった。
さらに「ドカァッ」とバリケードにしていた冷蔵庫が倒れる音がした。
オレは急いで玄関に向かうと、倒れた冷蔵庫越しに、巨大な白い手が
半開きの玄関ドアから消えていくのを見た。
オレは急いでドアを閉めて鍵をかけた。
足場の悪さにふと下を見ると、意外極まりないものが玄関に転がっていた。
中村の銃とリュックの装備意思息とスチールボールを満載したBB弾用の
クイックローダー・・・・そしてあろう事かボウガンと大量の矢が置いてあった。
「な・・・なんだよ・・・どういうことだよ・・・・」
「キヒィヒヒッヒヒ」不気味な笑い声にオレが振り向くと、そこには
由紀子と名乗った女が立っていた。
次スレは?
雑談所で告知?
794 :
サナトリウム:05/02/12 22:21:00 ID:uVMei0Q00
「活ける亡者メ!せいぜい苦しんでから地獄へおいでぇ・・ヒヒヒヒ」
目を不自然なまでに見開いた由紀子と名乗る女の子は、そういうと
崩れるように倒れて気絶した。
オレは彼女を抱き上げた。「オイ、大丈夫か?」
「窓・・・ベランダから・・・見て・・・来て・・・」
「何?窓?見るのか?」オレは彼女を6畳部屋に運んで寝かせると、
ベランダから外を見た。
団地の周りを、考えられないほどの数のゾンビが囲んでいた。
1階からベランダ伝いにそれらは次々と登ってきていた。
もう思考能力の無くなったヤツも、まだある程度知能のあるヤツも
一同に介していた。
玄関ドアを無意味に叩くものも、ベランダをよじ登るものも、
机や家具を積み上げるものも、数対で協力して梯子を運んでくる
ヤツらも、全てが俺のいるこの部屋を目指している。
795 :
サナトリウム:05/02/12 22:34:52 ID:uVMei0Q00
「なるほど・・・・こりゃムリかな?」
オレは自嘲気味な独り言でオチャラケてみたが、スグに
何とも言えない怒りが込み上げて、激昂した。
「弾とパワーソースのあるうちは諦めないぜ!かかって来い!」
何千匹道連れに出来るか解らないが、自分の戦略の限りを尽くして
戦ってやると、おれはその時決心した。
篭城は比較的楽で有利な戦闘だ、十分な物資と援軍の存在が
大前提ではあるが・・・・まぁあのふざけた亡霊女が驚くほどの
人数なら3日で片付けられるはずだ、その後は同にでもなれだ。
「さぁ始めようぜ!ゾンビども!」ゲーム開始の声が団地に鳴り響いた。
イイヨイイヨー
やべぇ、サナトリウムさん
メチャメチャ面白いよ!
白い女こえーよ
799 :
本当にあった怖い名無し:05/02/13 00:05:11 ID:yWvKEYj+0
白い女がラスボスなん?
800 :
本当にあった怖い名無し:05/02/13 00:26:00 ID:ZchqAN1I0
オィこそが 800へとー
801 :
サナトリウム:05/02/13 00:46:43 ID:7/LwpR9b0
「タカシくんはどうしてこの場所へ来れたんだい?」
私の質問に少年は自慢げなゼスチャーをして笑った。
「ここに入院している子達の中で教え合った秘密の組織情報さ
大人には絶対教えちゃいけない約束なんだ、でもオジサンは
ぼくを助けてくれたから特別に教えてあげるよ」
こんな会話から案外何かを聞き出せるかもしれない、事実この通路の
中に、一般人が存在するとは夢にも思わなかったのも確かだった。
「この先にあるって言われてる地下病棟にはね、入院名簿に載ってない
子供が入院しているんだって、その子がこの病院にいる子供たちのボスなんだ」
思いの他興味深い内容だったので、私は質問した。
「その子の事や組織の事は秘密なのかい?」少年は力強く頷いた。
「うん、絶対に秘密さ、お父さんやお母さんにもお父さんにも絶対ナイショ!」
「へえ、でも退院した後に誰かに話しちゃう事なんかないのかな?」
少年の表情が少し陰ったのを私は感じ、少しつらい質問だったかなと案じた。
「・・・僕たちの組織のメンバーの子は、退院とか出来ない子が多いんだ。
って言うかメンバーの子で退院した子いないよ、みんな死んじゃった・・・・」
802 :
サナトリウム:05/02/13 00:59:54 ID:7/LwpR9b0
「ゴメンよ、嫌なコト聞いちゃったね」
「いいよ、別に気にして無いよ」
気丈な少年だった、重病を患った子供特有の大人びた態度と
死への達観は、健気でもあり哀れでもある。
「病院がこんなことになった時もね、その子が色々と教えて
くれたからみんな最初は逃げられたんだ」
「へぇ、こんな地下のそのまた下からどうやって教えてくれたのかな?」
「うん、声が聞こえたんだ、多分ナースコールの放送かな?
ウワアアンってかんじで響く声だったけどね!」
「大人の人はソレを聴いていなかったのかな?」
「ア!そういえば大人の人は聞こえてなかったのかなぁ?」
「お鶴ちゃんに言われたとおりに逃げれば捕まらなかった
人が一杯いたよなぁ聞こえなかったのかなぁ?アッいけね!」
キタキタキター
804 :
サナトリウム:05/02/13 01:13:11 ID:7/LwpR9b0
「その子、お鶴ちゃんって言うのかい?女の子?」
少年はかなり気まずそうな表情になっていた。
「そうだよ・・・・困ったなぁ・・・」
少年の表情は先程にも増して空虚なものになっていた。
困ったと言いながらも、諦めたような落ち着きは、不気味でさえあった。
「大人に名前を教えるの、そんなにマズいのかい?」
ガリガリと頭を書いていた少年が顔を上げた。
その瞳は形容しがたい不気味な透明感を持っていた。
「聞かされた大人も、教えちゃった子供もね」
何かおかしい、少年は自分の身の上の危機に対して薄笑いさえ浮かべている。
「みんな死んじゃったんだぁ」
少年の言葉に、私は少し戦慄した。
805 :
サナトリウム:05/02/13 01:27:53 ID:7/LwpR9b0
「ココから先は初めて行くなぁ!」
途切れた会話を再び繋いだのは少年の方だった。
私は先刻から、何とも言えない不安を少年に抱き、明確に言葉が少なくなっていた。
「はら、ココの下の通気孔ね、フタがこんな風に取れちゃうんだよ!」
少年は得意げにソレを私に持って見せた。
「だからココまでは結構来た子がいるんだよ、でもこの先は誰も知らない
場所なんだぁ、楽しみだなぁ・・・・・・・」
自分を殺してしまうかも知れない存在に近づいているにも関わらず、
少年は上機嫌のようだった。
情報が正確であれば、この先はココまでのような狭い通路ではないはずだった。
私は3個目のドアの鍵を差込んで回した。
「ひろーい!」少年が叫んだ。
806 :
サナトリウム:05/02/13 01:36:32 ID:7/LwpR9b0
3メートル四方の薄暗い通路はここで終わっていた。
幅10メートル以上ある通路の壁に非常口よろしくへばりつく
通路のドアは、こちらに出てしまえば、小さな扉の一つに過ぎない
ような意匠として、埋め込まれている感じだった。
数少ない外界への重要通路といった感じには見えない、
そのようにしているのかもしれない。
通路は天井も高く、自家発電なのか不必要なくらい多くの
照明に煌々と照らされていた。
一見しただけでも大きな十字路が3つは見えた。
どんな広さなのだろう、この町全体の半分以上あるのではないか?
807 :
サナトリウム:05/02/13 01:52:53 ID:7/LwpR9b0
「ウワアアッ!」
少年が悲鳴を上げた。
メイン通路に繋がる連絡用の小さな通路から
這いつくばった中年女性が少年の足にしがみ付いてきた。
「タカシくん?タカシくんね・・・」
3メートル弱の白い通路は、這ってココまで来た女の血液で
赤く染まっていた。まるでナメクジの通ったような模様だった。
女は、下半身はもとより胸の下20センチぐらいまでしか
胴体がなかった。腕だけで上半身を引きずってココまで来たのだ。
「タカシくん、タカシくんでしょおばちゃんよ!」
「あぁっ!ノボルくんのオバチャン!」
女は息も絶え絶えだったが、すぐに死ぬと言う感じでもなかった。
「タカシくん、ノボル、ノボルを知らない?
808 :
サナトリウム:05/02/13 02:00:26 ID:7/LwpR9b0
少年は怯えながらも気丈だった。
「ノボル・・・くんはボクより先に逃げたよ、ボクが一番
逃げるの遅かったんだ、ぼくスグしんどくなっちゃうでしょ?
だからきっともうこの辺にいると思ったんだけど・・・・」
通路入り口で頭を吹き飛ばした看護婦がかじりながら持っていた
死体の名札にそんな名前が書いてあったのを思い出した。
何とも感心な執念だと私は嘆息した。
「ありがとうタカシくん、おばちゃんじゃあ行くね」
女の上半身は、ズルズルと大通路を這っていった。
母親の執念か、実験の賜物か知れないが、何とも見るに忍びなかった。
少年は声を殺して泣いていた。7年前の私なら、愛しいとさえ思っただろう。
>サナトリウム
スピード感も臨場感もいいんだけどさ、誤字誤変換やめてよねw
せっかくの勢いが途切れて萎えるからさ。
810 :
サナトリウム:05/02/13 02:07:31 ID:7/LwpR9b0
女が這い出した小さな通路から3人の白衣の男が歩いてきた。
一見して完全に知性を失ったゾンビだと解る歩行だった。
私はゆっくりとリボルバーを構え、3つの頭を吹き飛ばした。
女の鎮魂歌位にはなるだろうか?
「もうこの中も感染が進んでいるのか、それとも人為的な処置か?」
「行こうよオジちゃん・・・・」
涙声の少年の言葉に私は我に返った。
「行こうってどこにだい?」
「オジちゃんが探しているところだよ、お鶴ちゃんがさっきから
道を教えてくれるじゃない、聞こえないの?」
サナトリウムさん
乙です。話のスタートは
>>673でいいんですか?
812 :
7/12:05/02/13 21:04:56 ID:QOPkvcbW0
まずは店だよな。そう自問自答して歩き出したオレの足元に何かがしがみついてきやがった。
よく見ると前の店の店長だ。
ウザかったからイサカの散弾をぶち込んでさらに進む。
やはり人間を殺すのは気分のいいものじゃない。元クラスメートなどを見ると吐き気を催す。
早く人間に会いたいものだ。などと思っていたらあった。
こういうときは運悪く、会いたくない奴にあってしまう。隣のクラスの斉藤だ。
このデブオタが、などと思いつつ2人で歩く。一応武器を渡しておこう。
「はいよ。これはパイソンつー銃で威力は強力だけど、弾が6発しか入らないから気をつけろよ。」
「ああ、ありがとう!これで僕も大丈夫そうだね。」
(大丈夫そうだね、じゃねーよ。)
「ナオキ君、動かないでくれ。」(なんだよデブ)
「そのカバンをこっちに渡してくれ。どうせ中には色々はいってるんだろう?」
「僕が生き残るためにはそれが必要だからね。」
「本当に自己中な奴だ。あったとき殺しときゃよかったぜ。」
「だまれだまれだまれ!僕が生き残るためにはしょうがないのさ!」
作品の良し悪しは脇役の出来次第
主人公をバリバリの暴走族でだれか小説を書いてくれ
始まりはこうだ
集会で子分が一人だけこない
しばらく待つと血まみれの子分登場
話しかけても返事はなくいきなり他の奴に噛み付く
こんな始まりかたで・・・・
珍走か ダサっ
816 :
本当にあった怖い名無し:05/02/13 22:21:11 ID:4UVGew+g0
ぶっちゃけ、俺バリバリで品川ヒールズのヘッドやってるモンなんだけどよォ、
今日集会だってのに、手下が全然こねェんで今度全殺ししてやろうかと思ってたらよォ、
ようやくきたワケよぉ、いっぱい。なんか血まみれで。
俺、マジでブチ切れたべ?だって遅れてきた上、血まみれだべ?
しかもなんか隣の奴に噛み付いて遊んでやがんの。
俺ァェ、もう超ブチ切れたね。あぁ、マジで切れた。
俺もう自分で自分をヤベッ!マジヤベッって思ったモン。それってマジヤバクね?
↓ツヅキヨロスク
やめろ、つまらん
818 :
本当にあった怖い名無し:05/02/13 23:27:54 ID:4UVGew+g0
うるさいハゲ
いや、マジ面白いっすよ。バリバリヨロスコ!
あと
>>1のスレ立て途中で支援カキコすると、被っちゃうからさ。
カキコが終わるまで、みんなでじっと待っていよう。
スレを立て終わった
>>1さんは、ここで誘導をしてください。
でないと重複スレができちゃうからね。
また新スレの書き込みが少ないと、即死判定でdat落ちするから、
新スレができたら、みんなでたくさん投下しよう。
次スレのタイトルは、
○ 【ゾンビ】ZOMBIE ホームセンター攻防編 十一日目【SS】
もしくは
○ 【小説】ZOMBIE ゾンビその11【創作】
なんてのはどうだろうか。
まあ、スレタイはなんでもいいけど、「ゾンビ」「ZONBIE」の単語は
検索する都合上、必ず入れておいてね。
ここで投下していた作者さんは、新スレでこれまでの「あらすじ」を
書いといたほうがいいかもしれないよ。
話を中断している人も、そのほうがやりやすいじゃん。
巡査氏やダリオ氏とか、みんなどうしているのか気になる今日この頃です。
自治厨うざい
824 :
本当にあった怖い名無し:05/02/14 07:16:20 ID:INcQenPiO
自治じゃなくて親切じゃないか。
>>814 その日、俺たちは××海浜公園で集会をしていたんだ。
ほぼ全員が時間通り(深夜3時)に集まったんだが、向井の野郎だけは何分待っても
来なかった。それで俺は仕方なくこれから走るルートの説明を始めた。
俺たちは他のゾクみたく隊列を組んで走ったりはしない。
誰が一番速く目的地に着くかを競う「キャノン・ボール」スタイルを常としていた。
要するに、バイクでのかけっこだ。
説明が終わった時、時間は4時を回っていて、少し明るくなり始めていた。
もう始めよう、そう考えていた時、向井は現れた。何故か歩きで。
「おう、向井。重役出勤かよ?」
お調子者の松田が言う。ドッと笑いが起きた。
しかし、向井の様子がどこかおかしい。右足をひきずっているし、フラフラしている。
「どうした、向井?」
俺が聞いても向井は答えず、足を引きずりながら近づいてくる。
「大丈夫か?」
山村が向井の方へと走り、向井の肩を掴んだ。すると向井はさっきの動きからは想像
も出来ない速さで山村の手を振りほどき、山村を押し倒した。
そして・・・山村の首に噛みついた。山村は声にならない声を上げ、必死にもがいた。
しかし、10秒もすると動かなくなった。クチャクチャと嫌な音が聞こえる。
朝の光が血塗れの向井と山村を照らした。向井は山村の、血の滴る新鮮な肉を口の端から
覗かせながら、嬉しそうに咀嚼していた。
こんなイイスレがあるとは思わなんだ。
サナトリウムの降臨キボンヌ
珍走話はうざいからやめてね。
ちょっくらスレを立ててくら。
まあサナトリウムは物理学の勉強をしたほうがいい、って事はわかった
832 :
本当にあった怖い名無し:05/02/15 08:03:58 ID:HZ/21wAfO
清掃作業596さまでつ
>>831 それ以前に現代文の勉強をしたほうがいい
馬鹿にしてるんじゃなくてまじめな話、そういう基礎をすっ飛ばして文章書く人多いし
>>834 グダグダ言ってる間に自分で書けよ(笑)
忙しくて書いてる暇ないんだよ
838 :
本当にあった怖い名無し:05/02/16 12:01:06 ID:tKg+EnuUO
(・∀・)ノωキンタマトレター!
このスレは>837の言い訳に>839がツッコミをして>838がオチを取るスレになりますた
とりあえず、雑談でもいいからスレを使い切れ。
運営側に糞スレ乱立と言われないように
サナトリウムさん続ききぼーーーーーーん(´Д`)
まじ夜眠れねえ 大好きです