2 :
◆2Get.0News :03/03/01 02:24
名スレ応援
新スレ祝に一席
『鬼の唾で姿が見えなくなる話』―今昔物語より―
今は昔のこと、京に身分の低い若侍があった。常日頃観音を信仰して六角堂に御参りしていた。
この男が十二月の大晦日の夜、一人で知り合いの所を訪ね、夜も遅くなってから我が家へ帰る途中
一条堀川の橋を渡って西のほうへと歩いていた。すると西のほうから、大勢の人が松明をともして
こちらへ歩いてくる様子なので、これは高貴な方のお通りであろう、と思って、急いで橋の下におり
隠れて立っていると、火をともした行列が橋の上を東のほうへと通り過ぎた。
その時、男が首をのばして見上げれば、何と通り過ぎるのは人ではなく、恐ろしい鬼どもが行くので
あった。それもよく見れば、一つ目の鬼もあれば、角の生えたのもある。何本も手のある奴、
足が一本で踊るように跳ねていく奴もある。見るからに生きた心地はなく、前後不覚になって茫然と
していると、一行の鬼どもが通り過ぎた後に、しんがりをつとめる一人の鬼が
「や、ここに人間の姿がみえるわ」と叫んだ。すると近くにまた一人いて
「確かに見えた。早速ひっとらえて来い」と命じている。
…続き
男が、もう駄目だ、と観念していると、一人の鬼が走って来て、男をひっかかえると橋の上まで
引っ張り上げた。すると一人の鬼が、
「この男はたいして重い罪咎をおかしたわけでもない。勘弁してやれ」と寛大な事を
言ってくれたので、そこに集まった四、五人ばかりの鬼が、男に唾を吐きかけただけで
みな通り過ぎてしまった。
そこで男は、やれ命だけは助かったと喜びながら、頭も痛いし気分も悪いけど、早くうちに帰って
この話を妻に聞かせてやろうと、我慢しながら急いで我が家へ戻った。ところが家の中にはいって
行ったのに、妻や子が自分を見ても知らん顔をしている。自分のほうで話しかけても家族の者は
返事もしない。何てことだとあきれ返って、すぐそばまで近づいてみても、妻子はどうやらそばに
人がいるとは思ってもいない様子である。
…続き
その時、男は初めて気がついた。これはつまり鬼どもが唾を吐きかけたので、そのために自分の
姿が隠れてしまったのだ。と思えば、悲しいとも何とも言いようがない。自分のほうでは以前の
とおりに物も見えるし、人の言う事も聞こえる。人のほうは、自分の形も見えなければ声も聞かない。
そこで置いてある物を取って食ってみたが、誰も知らない。そうこうするうちに夜が明けたが、妻は
「昨晩きっと誰かに殺されておしまいになったのだわ」などと言って、子供を抱きしめて
嘆き悲しんでいる。日数が経ったが、どうしようもない。
そこで男は六角堂に参篭して
「観音様、どうぞお助けください。長年のあいだ信心をして御参りしておりますのですから、
哀れと思召して、もとのように私の姿をあらわしてください」と一心に祈念した。
…続き
お篭りをしている他の人たちのお米やおかずを取って食ったが、誰も気がつかない。こうして十四日
ばかりも過ぎたが、その晩寝ていると、暁近く夢を見た。御帳の陰からありがたいお坊様が現われて
男のそばに立って告げられるには
「あくる朝早くここから出て立ち、初めて会った者の言うとおりにするがよい」と見るまに夢を見た。
夜が明けたので六角堂を出て行くと、門のところで、恐ろしげな牛使いの童が、大きな牛を引っ張って
いるのに出会った。その童が男に向って
「そこの方、一緒に来なされ」と言うので、男はさては自分の姿が目に見えるようになったのかと
うれしくてならず、喜びながら夢のお告げのとおりにいっしょについて行った。
西のほうに十町ばかりいくと、大きな棟門があった。門はしまっていて開かない。すると牛飼いは、
牛を柱につなぎ、扉と扉との、とても人間の通れそうもない隙間からはいろうとして、男の手を
引っ張りながら
「お前もいっしょにはいれ」と言うから
「どうして、こんな狭い隙間からはいれるものか」と驚くのを
「いいからはいれ」と言って男の手を取って引っ張ると、何とするすると中へはいってしまった。
…続き
見ると屋敷の中には人が大勢いる。童は男を連れて板敷にのぼり、そのままずんずんと奥へ入って
行くが、誰一人とめる者ももいない。はるか奥まで通ると、そこに姫君が病み煩って寝ておいでに
なった。枕もとにも足もとにも、女房達が居並び、姫君の看病をしている。童は男を連れて行くと
小さな槌を手に持たせて寝ている姫君のすぐそばにすわらせ、その槌で姫君の頭や腰を打たせた。
すると姫君は頭を起して、哀れな声を上げて苦しみ悶えた。それを見て両親も
「この子はもう助からぬ。今が最後だ」と言って、泣き合っている。見れば別室ではありがたい
お経を読んでいるし、某という偉い祈祷僧を急いで呼びにやる様子。
時を移さずに、そのお坊さんがここに現われて、病人のそば近くすわると、般若心経を読んで
祈祷を始めたが、その尊さに、男は思わず総身の毛穴が開いてぞっと寒くなる様な気がした。
一方、例の牛飼いの童は、このお坊さんを見るや否や家の外へと逃げ去った。
祈祷僧が、不動明王の火界の呪文を唱えて病人を加持すると、男の着物に火がついた。
…続き
着物がどんどん燃え出したので、男は大声を上げて叫んだ。すると今まで姿が隠れていたのが、
たちまち人目に見えるようになった。その時初めて家中の人が、姫君の父母をはじめ一座の女房
達まで、見も知らぬ賤しげな男が病人のそばに控えているのに気がついた。驚きあわてて、
まず男を捉えて引き出し
「どうしたわけか」と訊問した。
そこで男はこれまでのことを初めから詳しく物語った。聞いた人も、不思議な事があればあるもの
と感心した。男の姿が顕れるとともに、姫君の病気もかき消すように平癒してしまった。
そこで家中の者が喜び合った。その時祈祷僧が
「この男には罪がない。これは六角堂の観音の御利益をこうむった者である。早く許しておやりなされ」
と言ってくれたので、咎めもなく放免された。そこで男は我が家に帰り事の仔細を話して聞かせたから
妻も驚くとともに夫の無事をうれしがった。
かの牛飼いというのは鬼神の一族の者であったろう。人に頼まれこの姫君に取り付き、悩ましていた
のであった。その後、姫君も男も、少しも煩うことがなかった。
9 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/01 10:51
で、前スレは埋め立てずに大人しくdat落ちさせます?
10 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/01 18:41
新スレ立ちましたが、好爺さんも前スレに書き込みだしたことだし、埋めてしまいますか。
11 :
Zanoni:03/03/02 01:36
12 :
Zanoni:03/03/02 01:39
それにしても好爺さん最近勢いありますね。
お疲れさまです。
13 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/02 01:41
>9, >10
前スレもまた伸び出したので、それでいいでしょう。
15 :
日本不思議発見:03/03/05 21:01
これって既出ネタかも…。
『うつほ船』
昔、豊後(今の大分県)のとある漁村の浜辺に一隻の船が漂着した。
見目きらびやかな装飾が施された船であったが、何か神秘的な雰囲気だった。
「何じゃあ、この船は?」
「異国のものかいのう?」
と船の周りに村人達が集まると、船の中から3人の女が出てきた。
見たことの無い服を着ており、女達の顔形もどことなく異国のもののような感じであった。
「我々はここより遠方の国から参った。実はわが国は戦に負け、姫君をお守りするために
落ち延びてきたのだ。頼む、迎えが来るまでここにおいてもらえまいか?」
村人達の答えは…否。落人をかくまえば死罪になってしまうからだ。
彼らは幼い姫君ともども、従者の女達を殺し、浜に埋めた。船は燃やしてしまった(燃やして
も何故か燃えず、不思議な金属で加工されているような記述あり)。
それから数日後、再び船が浜辺に現れた。
「数日前、この浜辺に船が漂着しなかったか? 3人の女子がいたはず。どこにおられる?」
その者どもも面妖な服装をした者達であった。手には鈍く光る黒い箱を持ち、まるで姫達が間違いなく
この浜辺に来たのを知っているような口ぶりだった。
「いえ、ここ最近そんな船や女子は見ておりませんが」
「…本当か? おかしいな、確かにこの辺りであると思ったのだが…時間を取らせて悪かった。さらばだ」
と言い、者どもは船に乗り込むと疾風の如き素早さで海の彼方に消えた。
村人が姫君達を殺してからちょうど3年経ったある日、漁村に病が流行った。
目が見えなくなり、腐ってボトリと落ちてしまうという恐ろしいもので、姫君達を殺した村人数人を
筆頭に次々と目が腐っていった。
村人達はあの時の女達の呪いににがいないと噂しあい、高名な祈祷師を呼んで祈祷をし、お堂を建てた。
16 :
日本不思議発見:03/03/05 21:14
それからというもの呪いはおさまり、あの船はいつしか『うつほ船』と呼ばれるようになった。
だが、あの船は一体どこの国で作られたものだったのか?
あの姫君達は何者だったのか? 今となってはそれも分からない…。
この話、全国各地に出回っている模様。船の形も様々で、乗っていたのも
共通して女(1人の場合と数人の場合あり)だが、異国の者らしい。
黒い箱を大事そうに抱えていたという記述もある(大分県版では迎えの者が所持)。
船が謎の物質で出来ていた、言葉が通じなかった、などを考慮すると異国の船が漂流
した結果、流れ着いたものだろう。
が、もしかしたら宇宙人だったのかも?
銀河征服を企む帝国軍から逃げてきた反乱軍の王女とお供の2人=3人
お迎えの者ども=反乱軍の兵士もしくは帝国軍の追手
黒い箱=銀河共通言語翻訳機もしくは高性能銀河全域探知小型レーダー
…とか考えてみたりして。昔話ってホント、不思議な話が多いよな♪
17 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/05 23:11
>>15-16 新しい人だと、やっぱり話の傾向も違って面白いですね。
外出じゃないですよ。
これからもお願いします。
(前スレがまだ埋まってないので、できれば埋め立てに協力してください。)
18 :
日本不思議発見:03/03/06 01:06
>>17 別の人が書いてる途中だし、もう埋まりそうなんでこっちに書くよ。
大分は昔話の宝庫だよん。鬼・龍・河童・大蛇…大抵の妖怪はいるし、ミイラ
なんかも寺にゴロゴロしてる。田舎の方にいけば、まだまだ自然も残ってるしね。
あと、船幽霊も大分の豊後水道に出たんだって。大分には平家の落人も多いから
>>15−
>>16みたいな話が生まれちゃったのね。あと、弘法大師も頻繁に話しに出てくるね。
『大分の誕生』
ある日、熊本を支配するクマソを討伐にいらっしゃった天皇は休憩のために丘にあがった。
すると、眼前には鏡を平らにしたかのように広大な土地が広がっていた。
あまりの広大な土地と恵まれた自然に驚いた天皇は
「広く大きなる地かも。この地を『おおきだ』と名づくべし」
とおっしゃられた。また、数十年経ち、おおきだを支配する豪族・宇名手が管理
する畑にたくさんのサトイモがこれでもかという程育ち、ますます天皇を喜ばせた。
天皇はサトイモを『豊の草』と呼んで食物として珍重し、おおきだを『豊の国』と
呼ぶようになった。これが豊後の国、大分の始まりである。
…怖くなくてスマソ。
悔しいなぁ。・・・第2話の1000番目も昔話で終わりたかったのに・・・。
1000で終るとは芸のない奴が終らせたものだ。
千番目の話にしようと思っていた話
『尼が崎伝左衛門、湯治して化け物にあひし事』―諸国百物語―
摂州尼ケ崎に伝左衛門という人がいた。
有馬へ湯治していたが、折りしも何処ともしらずに美しく若い女が一人来た。
「私も湯に入れてください」といったので、女の事なので、伝左衛門もゆるして入れてやった。
この女は、伝左衛門のうしろの垢をかいてあげましょうといったので、かかせてやると
いかにも心地よく、垢をかき、とろとろと寝入るようにかいていた。
いつのまにか、背中の肉が少しもなく骨ばかりになっていて、女も消えていた。
21 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/06 12:26
>>15 普通「うつろ船」伝説、あるいは「うつぼ船」伝説、と言いませんか?
22 :
日本不思議発見:03/03/06 13:01
>>21 んにゃ、大分では「うつほ船」だね。
あと、「大神秘博物館」っていう未確認動物とかのフィギュアのおまけシリーズ
にうつほ船もラインナップされてたけど、やっぱ「うつほ船」だった。
それによると中に乗ってたのはロシア人の女だったとか。
まあ、ツチノコとか河童も日本全国で呼び名が違うし、その地方での固有名詞
と思ってね。
「耳袋」より
徳川御三卿のひとつ、清水家の守役、永井主膳正が亡くなるときの話。
死期が近づいてから急に床に起き直り、布団の間を探し回るようなので
「いかがなさいましたか。」と聞くと、
「首が二つ三つあるはずだ。」という。
女どもは恐ろしがり、男どもは「病のせいだ。」と痛ましく思った。
が、主膳正が亡くなってから埋葬のため墓穴を掘ると、
石地蔵の首が三つ出てきたのであった。
24 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/06 20:03
>>21 「うつろ船」伝説って、UFOまがいの話じゃなかったっけ?
25 :
Zanoni:03/03/06 21:08
髑髏の復讐 (子不語)
孫君寿という男、獰猛で凶悪、霊魂なんかはてんで頭から馬鹿にしきって、村人からは
爪弾きにされていました。
この男がある日遊びに出かけ、腹が張ってどうしようもなくなり用をたそうとしたところ、
荒れ果てた古塚に髑髏が転がっていました。
26 :
髑髏の復讐 (子不語):03/03/06 21:12
孫は髑髏の口を大きく開け、尻をあてがって糞をし、思う存分に飲み込ませました。
そして、
「どうだ貴様、うまいだろ!」
と、からかいました。
そのとき、髑髏の口がカッと開いたかと思うと、
「うまいぞ!」
と叫びました。
27 :
髑髏の復讐 (子不語):03/03/06 21:17
驚いた孫は、思わず
「わっ!」
と声をあげ、一目散に逃げ出しました。
すると髑髏も、ころころと転がりながら追いかけてきます。
ところが孫が川にかかった橋を渡ると、髑髏は橋が怖いのかそれ以上追いかけて来ませんでした。
そしてまた、塚の方に転がりながら戻っていきました。
28 :
髑髏の復讐 (子不語):03/03/06 21:24
その日から孫は大小便を垂れ流しするようになり、そのたびに自分の糞を手にとって飲み込み、大声で
「貴様、うまいか?」
と叫ぶようになりました。
そして食べ終わると更に垂れ流し、それが終わると更に糞をズルズルと飲み込むといった具合で、とうとう
三日目に死んでしまいました。
糞死としかいいようがありません。
-- 終わり --
29 :
Zanoni:03/03/06 21:44
30 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/06 22:18
31 :
日本不思議発見:03/03/07 00:49
これって外出?
『ふるやんぼるど』
昔々、雨がザーザーと降る夜。山から腹を空かした狼が里に下りてきた。
狼は適当な家を見つけると、馬小屋の馬を食うために家の天井に忍び込んだ。
すると、家の主であろう老夫婦の話し声が聞こえてくる。自然と狼も息を殺して聞き入った。
「なあ、じいさんや。こんな雨の夜には裏山から腹を空かした狼が来やせんかのう?」
「何を言っとるか、ばあさんよ。この世の中に『ふるやんぼるど』よりおじい(怖い)もの
があるかいな。虎や狼なんぞより、ふるやんぼるどがおじいに決まっておろう。
うん、今夜あたり来そうじゃな。おじいことじゃ」
これを聞いていた狼、顔が真っ青になった。
「こりゃあおおごとじゃあ! この世の中ん俺様よりもおじいもんがおったとは!
ふるやんぼるどが来る前にはよ逃げな!」
と大慌てで天井から馬小屋へ降りた。
と、ちょうどそのころ。おじいさんの馬をこの雨に乗じて盗もうとしていた馬泥棒が馬小屋におった。
狼は気が動転して馬泥棒と気づかず、ふるやんぼるどという化け物と勘違いして一目散に山に逃げ帰った。
馬泥棒の方も狼が突然飛び出てきたので大慌てで外に飛び出し、山のふもとまで逃げたものの、足をすべらせて
深い穴に落ちてしまった。
山に戻った狼は息を切らして座り込んでいた。すると、顔なじみの猿が現れた。
「狼さん、こげな雨の夜にどげえしたんな? 化け物でも見たような顔して」
狼は気を失いそうになりながら、猿に事情を説明した。
「どうも合点がいかんな。狼さんより怖い『ふるやんぼるど』なぞ、本当におるんやろうか?」
そこで、朝になるのを待って、ふるやんぼるど(馬泥棒)が落ちた穴に向かうことになった。
32 :
日本不思議発見:03/03/07 01:01
穴は予想以上に深く、馬泥棒はどうやって出ようかと路頭にまとっていた。
すると丁度、狼と猿が穴の側にやって来た。
「こん穴やな、狼さん?」
「ああ、気いつけや。ふるやんぼるどはとんでもねえ化け物じゃあ」
そこで猿が中の様子を探るため、自慢の長い尻尾を穴の中に垂らしてみた。
泥棒は上から縄が降りてきたと勘違い。
「おお、助かった!」
と猿の尻尾を思いきり掴んだ。驚いたのは猿の方。
「ぎゃっ! ふるやんぼるどが噛み付いた!」
と叫び、地面に爪を立てて穴に引きずり込まれまいとふんばった。
馬泥棒もこれを逃してなるものか、と思い切り尻尾を引っ張った。
「狼さん、助けてくれ〜!」
が、猿が「ふるやんぼるどに噛み付かれた」と聞いた瞬間から狼はガタガタと
震えだし、腰を抜かしてしまったために、全然役に立たなかった。
そしてプツン、と猿の尻尾はちぎれてしまった。
猿はガタガタ震える狼を慰めつつ、真っ赤になった尻を抑えながら山に帰っていった。
それ以来、猿の尻は真っ赤になったそうな。狼はもう威張らなくなったそうな。
ところで「ふるやんぼるど」とは何だと思うかいの? それは雨の日に天井が雨漏りする家じゃ。
この世の中、貧乏より怖いものはないということじゃな。
…ちょっと待て! 馬泥棒はどーなったんだよ!?
この話、全国的には「ふるやのもり」って名前の方がメジャー。
狼でなくて虎のパターンもあるよ。
『狸廿五の菩薩の来迎をせし事』―諸国百物語より―
東近江、さこうたう村という所があった。山の奥に惣堂(村人が共同で建てた堂)があった。
この惣堂の坊主が里に出て行くと、狸がその跡を着いてきて、坊主の食べ物をとって食べていた。
あるとき坊主が横川にて餅の形をした石を一つ拾って、帰ってから炉で焼いて、日が暮れるのを
待っていると、案の定、狸がやって来て、いつものように食物のありかを捜していた。
坊主は「今から後、盗みをしなかったら、土産をやるぞ」といって、かの焼け石を火箸で
投げてやると、狸はとって食べようとして、したたか火傷をして、逃げ帰った。
そののち、仏壇の本尊が時折光明が輝き見えると、坊主はありがたく思って、いよいよ信心深く
思っていたが、ある夜、如来が枕元にたち
「汝、早く此の娑婆を立ち去って、火定(自ら焼身して弥陀の世界に入る事)に入るべし。
我、その時来迎して、西方へ救いとってあげよう」と宣うと思えば、目が覚めた。
…続き
坊主は有りがたく思って、村中へふれまわり
「いついつの日、それがし火定に入りて往生いたします。御参り願います」といえば、村中の人々は
「さては殊勝なる事であるかな」といって感涙をながし、さてその日になれば、方々の村々より
拝みに参りに来て、群衆があつまった。みんな仏の御来迎を拝もうと待っていた。
さて惣堂の坊主は、堂の前に、一間四方に石垣を積み、その中に炭、薪を積み、白衣に新しい衣を着て
もうすをかぶって出てきて、薪の上に上って、観念して座った。すると、その日の午の刻ばかりに
西の方より三尊、その外の二十五の菩薩達、笙、篳篥、管弦にて光を放って来迎あれば、
人々は有りがたやと拝んでいた。
「さらば火をかけよ」と言って一度に薪に火をかければ、坊主は焼け死んだ。その間にくだんの
仏達はみな姿をあらわして、いちどにどっと笑いだし、人々が驚いて見ると、古狸ども二、三千匹ほど
山へ逃げていった。かの焼け石の狸の仕返しであったという。
36 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/08 13:12
あげ
37 :
Zanoni:03/03/08 13:32
>>31 ふるやのもり自体、まだ出てなかったと思います。
それにしても大分弁懐かしいですね。
私も10代は大分で過ごしたので。
38 :
Zanoni:03/03/08 19:38
杭州に、劉以賢という肖像画の名手がいた。
右隣は銭という家で親子二人暮らしだったが、ある日父親の銭翁が急死した。
息子は棺を買いに行くとき、そのまた右隣の唐という家にわけを話し、
「劉先生に父の顔を描いておいてもらいたいと思います。急ぎますので頼んでおいてください。」
と言って出ていった。
39 :
Zanoni:03/03/08 19:58
唐から事情を聞いた劉は、銭の家へ行った。
二階へ上がると、寝台の上に銭翁が横たわっている。
黙祷のあと、劉は椅子に座り絵筆を手に取った。
そのとき死体が起きあがり、劉の顔を正視した。
劉が驚いて、
「おお・・・、銭さん、生き返ったのか!」
と言うと、銭翁は劉の顔を正視したまま口真似するように口を動かした。
しかし声は聞こえない。
死体はその右手を劉と同じように絵筆を持った格好に上げているのだった。
40 :
Zanoni:03/03/08 20:11
劉は身の凍るような思いの中で、これが走屍(そうし)というものであることを悟った。
走屍は人を追う。
逃げても逃げてもどこまでも追いかけてきて相手に絡みつき、息の根を止めてしまう
までは離れない、と言われている。
目をそらしたら途端に襲いかかってくる、とも聞いている。
劉が生きた心地もせず、しかし身動きもせずに死体の顔を見つめていると、
死体も動かずに劉を見つめているのだった。
鬼気がひしひしと迫ってくる。
「誰か来てくれ!誰か来てくれ!」
劉は死体の顔から目を離さずに叫んだ。
すると死体も絶叫するように大きく口を開けた。
劉はもう一度叫んだ。
しかし死体が口真似をするように大きく口を開けただけで、誰も助けに来てはくれない。
42 :
Zanoni:03/03/08 20:54
そのとき階下に足音が聞こえた。
劉は、
「早く来て!助けてくれ!」
と叫んだ。
すると死体は劉に噛みつくように大きく口を開けた。
そこへ銭の息子が上がってきたが、父親の死体が起きあがって口を開けているのを見て、
「あっ!」
と叫んで倒れてしまった。
息子のあとから唐も続いて上がってきたが、驚いてはしごから転げ落ちた。
しかし死体は息子や唐には気づかないらしく、劉をだけを見つめているのだった。
43 :
Zanoni:03/03/08 21:32
また階下に足音が聞こえた。
棺桶屋が棺を運んできたようであった。
先ほどはしごから転げ落ちた唐が棺桶屋に介抱されて正気に返り、何やら話している声が聞こえた。
しばらくすると棺桶屋が大声で劉を呼んでいった。
「先生、死体の顔から眼を離しちゃいけませんよ!今、上がっていって死体を打ち倒しますから。」
「頼む!早く来てくれ!」
と劉が叫ぶと、死体はまた大きく口を開けた。
44 :
Zanoni:03/03/08 21:38
棺桶屋はほうきを持って上がってきた。
そしてそのほうきで死体を打ったところ、死体は倒れてまた寝台の上に横たわった。
劉はそれを見た途端、気を失ってしまった。
棺桶屋は銭翁の死体を棺に納めてから気絶している息子と劉に生姜湯を飲ませて息をふき返させ、
「この死人は、死顔を描かれることが嫌だったのかもしれん。」
と言った。
- 終わり -
45 :
Zanoni:03/03/08 23:31
46 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/09 00:24
訂正
>30と同一スレでした。
48 :
日本で一番長〜い妖怪話 :03/03/09 16:52
49 :
ダヌル・ウェブスター:03/03/09 16:57
うまいぞ!
50 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/09 17:16
弁天丸最近見ないな
51 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/09 17:38
52 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/09 21:16
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あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/09 21:16
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ノωヽ ノωヽ ノωヽ
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『老女を猟師が射たる事』―曾呂利物語より―
伊賀の国南張と言う所から、辰巳の方向に山里があった。この場所で夜な夜な人が一人づつ消えていった。
「どういう事か」と皆不審がっていた。
その村に猟師がいたが、ある時夜になって、山に入っていこうとした時に、山の奥から
年、百歳にもなろうかという老女、髪は雪を頂いたように白く、眼は周囲も明るくなるほど輝き
凄まじい姿で出てきた。猟師は何者であろうと矢をはずす事は無い様にと狙いをつけて
大雁股(矢じりが大型で二股に開いた矢)にて腹を射通した。老女は射られて何処ともなく逃げ失せた。
猟師は前にはなかった不思議に逢ったのでまずその夜は帰った。
夜が明けてから彼が射た所を見ると道も無いような山の奥を彼方此方と血の跡がついていたので
それをたよりに歩いていくと、自分が住んでいる村へ来た。不思議に思って見ると、庄屋の家の後ろの小家
中へ血の後が続いていた。
…続き
そこで、庄屋の家に行き、失礼ですがと、昨晩の事を話すと、庄屋は不思議に堪えかねて
「この家は私の母の住まいですが、夕べより、風邪を引いたみたいだとかで、私に逢うのさえ
拒んでいるのです」と言って、一緒に見にいくと、家のあたり、戸口から血糊がしたたっていた。
いよいよ怪しんで、押し入ろうとすると、雷電のように鳴りはためいて、庄屋の母は、家の内より
抜け出ていった。くだんの矢は食い折れて、軒に差してあった。
さて、庄屋の母のいた場所を見ると、おびただしく血糊が流れてあった。床をはずして此処彼処を
見ると、人の骨が山のようにあった。それで、村の者共、山々へ入って捜してみると
山の奥に大きなほら穴があった。このほら穴の中に大きな古狸が胸板を射抜かれて死んでいた。
これを考えると庄屋の母を食い殺して、化けていたに違いなかった。
いつも面白いお話をありがとう
57 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/09 23:09
58 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/10 16:48
関係ないが一休さんの琵琶法師が怖いし
59 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/10 20:47
一休さんと琵琶法師って関係あるの?
たまに脈絡も無く出てきてひたすら一休さんも恐れてる謎の人
61 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/12 19:15
62 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/12 20:26
63 :
Zanoni:03/03/14 22:45
亡父妖と化す (続子不語)
某長官は西北地区の人で、その父親はとっくに亡くなっていました。
ところがある日、生前と変わらぬ姿の父親が馬に乗って帰宅し、
「私は仙人になったが、お前への愛情が忘れられず会いに来た。私のために、清らかで静かな部屋を用意してくれ。」
と命じました。
長官は疑いましたが、声といい、表情といい亡父とそっくりです。
そこで生前の父にしたのと同じように使えることにし、次第に打ち解けるようになりました。
64 :
亡父妖と化す (続子不語):03/03/14 22:51
それから一年ほど経った頃、江西の張仙人がお通りになり、長官の話を聞くとこう言いました。
「それは妖怪じゃ。仙人ならば町の中に長いこといるはずはない。ほんの少しでも普通人と異なる
ことがないというなら、このわしが会おう。化け物ならば、わしに会えないはずじゃが。」
65 :
亡父妖と化す (続子不語):03/03/14 23:01
父親に張仙人のことを話すと、たいへん喜んで、
「私も調度天師にお会いしたかったのだ。」
と言って、張天師と談笑することを望みました。
張天師も化け物についてはまったく心当たりがなく、老法官に相談を持ちかけ、化け物の不意をついて
正体を見破ることになりました。
66 :
亡父妖と化す (続子不語):03/03/14 23:38
ある日法官は、父親が書を習っているところを狙って背後から急に
「カッ」
と怒鳴りました。
すると父親は放心状態で木彫りの鶏のように立ったまま固まってしまい、身じろぎもしなくなりました。
67 :
亡父妖と化す (続子不語):03/03/15 00:33
法官は袖の中から天蓬尺を取りだして頭から計ろうとしましたが、一尺計ると一尺縮み、
一寸計ると一寸縮み、足まで計ると消えて無くなってしまいました。
衣冠は抜け殻で、細いすねの骨が一筋残っているだけでした。
法官は長官に向かって、
「これが亡き父君の本当の骨です。狐が棺に穴を明け、野犬が口にくわえて外に出し、長い年月の間に
純粋で優れた精気を受けてこんな化け物になったのです。
それで父君の生前のこともよく知っていたのでしょう。
もしも再び女人と交媾して陰精を得たら、そのわざわいはさらにひどくなりますよ。」
と言いました。
68 :
亡父妖と化す (続子不語):03/03/15 00:33
長官は骨を葬ろうとしましたが、法官は
「止めた方がいいですよ。わざわいをあとに残してしまいます。」
と言って、骨を持ち去りました。
-- 終わり --
69 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/15 00:36
ぼ〜くのニーナを救いだすため〜
ふ〜たりでな〜かよく帰る日まで〜
70 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/15 10:13
71 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/15 13:37
72 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/16 14:09
最近このスレの読者減った?
『御池町の化け物の事』―曾呂利物語より―
都の御池町のさる者の家に化け物がでるという噂が立った。主も人に家を貸しており、外に出ていた。
そういう噂はあったが、確かに見たと言う者もいなかった。
此処に愚か者が二人いて
「あの化け物が出ると言う噂の家に行き、化け物がいるかどうかを見届けよう」と言って、
かの家に宿を借りている者は、銀細工をする者であるが、夜な夜なの変化の物にも恐れず
又化け物もなにもしないので、常に二、三人いた。
その宿主に訳を話して、ある夜に三人で忍んでいき、かの家が裏に生い茂った藪があるので
「此処から化け物がでるのであろう」などといい、裏の戸を固く閉め、多くのつっかい棒をして
内側には石臼や米俵などの重い物、石などを多く置いて二十人ほどの男がいないと容易には
動かせないようにして、夜を待った。
丑の時(午前二時頃)ばかりに裏の戸口に物の音がしたが、ほどなく何者かが知らぬうちに来た。
二、三人愕いていれば、いつものように唐臼を踏み鳴らした。その夜は朧月夜ではあったので
三人ながら臥して隙間から見ると白い着物を着た坊主が丈七尺ばかりで、目、鼻、口もなく唐臼を踏み
その後、三人の方へ顔を向けた。
日頃は「いかなる化け物にであっても逢ったら切り付けてやる」と言っていたが、息も立てずにいた。
程なく化け物は何処ともなく消え失せた。
夜が明けて裏の戸も唐臼も、夕方のまま少しも動いていなかった。
75 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/20 03:09
ほっしゅ!
76 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/22 01:24
弁天丸どうしちまった?
新スレ立ってから一度も来てないけど。
77 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/22 13:40
,,--―'''""`ヽ'  ̄`ヽ、
/ ヾ / ~`ヽ
/ ヽ;:/""""ヾ ミ ヽ
/ ;:;;:::''''"""" \ i
/ / ヽ ヾヽ
/ / / ;/ ヾ ヽ
/ ;:;:ヽ 'ヽ ;:|
i / ヽ ヽ
| | | /\ /\ ヾ ヽ
| | ヾ | | ;:|
| ;:| | :|
| ヽ | /|!
| ヽ ヾ |;:/
| | /|
|| `、ヽ /;:|
| ヽ \ /ノ
| i `ー-::、_ ,,..-'|ヽ
ヽ;:;:;:;: ;:人 `ー――'''''"~ / ヽ
79 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/22 14:53
このスレ死んだ?
80 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/22 14:58
良スレは死なない! ただ ユクーリ、マターリ育つ
81 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/22 14:58
おまんこー
82 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/22 15:24
>>80 前スレが立ったときと状況がそっくりだな。
また起爆剤が欲しい。
『万の物、年を経ては必ず化くる事』―曾呂利物語より―
伊予国、出石(愛媛県大洲市)と云う所に山寺があった。郷里から三里ほど離れていた。
この寺は、草創のはじめ、二位と云う某の者が本願(自家の私寺)として年月を送っていたが
いつの頃よりか、この寺に化け物が出て、住持の僧を取り殺し、行方知れずになった。
その後度々住持の僧がきたが、いずれもほどなく取り殺されてしまった。
今は、主無き寺になってしまった為、いかにも壊れ崩れて、霧が煙のように立ち込めて
扉は落ちて、八月には人魂が常に飛び回っていると言われていた。
このような場所に関東より足利で学んだ僧が、二位の元に来て、かの寺の住持をしたいと
望んだ。二位が云うには
「この寺はしかじかの仔細があって、なかなか一時も耐え忍ぶ事はできないでしょう。
寺自体はさいわい無住ですので住まわせるのは何でもないのですが」と言った。
「だからこそ、望んでぜひともその寺に行きたいのです」と言った。二位は、更に断ったが
押して頼んで、かの寺に行って見ると、まことに年久しく人が住んでいない為、荒れ果てた様
まさに変化の物も住んでいようかという有り様だった。
…続き
かくして夜になり、少し時間が立つと門より「物申さん」と声が聞こえた。さては、二位が
自宅より使いの者でも来たかと思えば、内より何処とも無く「どれ」と答えた。
「ひょうたん坊は中にいらっしゃるか。こんかのこねん、けんやのはとう、そんけいが三足、
こんざんのきうぼくにて候。お見舞い申すとて参りたり」
ひょうたん坊が出てきて様々にもてなした後に
「ご存知の如く、久しく生魚、絶えて無かった所に、不思議なる者一人、出て来ている。
おもてなしにおいては不足はないだろう」と言った。
「客人も宴に珍しい事がある。何よりのおもてなしはそこにいる僧にに違いない。
夜は共に酒盛りして最後に食べようではないか」と興に入っていた。
かの僧は、もとより覚悟して来た事ながら、彼等の餌食になるのは、悔しい事だと思い
考えた。まず、化け物の名字を確かに聞いたので、ひょうたん坊とは、丸瓢箪が化けた物で
あろう。こんかのこねんは坤家の小鯰で羊申(南西)の方向の鯰、けんやのはとうは
乾谷の馬頭で戌亥(北西)の方の馬の頭、そんけいの三足は巽渓の三足で辰巳(南東)の
方の三足の蛙、こんざんのきうぼくとは艮山の朽木で丑寅(北東)の方の古い朽ちた木が
それぞれ化けた物に違いあるまい。
…続き
彼らごとき物がいかに年数を経て霊力を持ったとしても、何ほどの事があるものか。
常に鉄棒を仕込んだ錫杖をついて来た。かの錫杖にていづれも一打ちして勝負してみよう。
大音声をあげて「各々の変化の正体を知ったぞ。前々の住持はその根源を知らずして、
ついに取り殺されたが、我はそれとは異なるぞ。手並みの程を見せよう」といって錫杖を
取り直して、此処にて打ち倒し、彼処にては追い詰め、丸瓢箪をはじめとして、
皆一打ちづつに打ち割り、四つの物どもを散々に打ち砕き、その他の子分達の化け物ども
或いは、とっくり、すり小鉢の割れた物、欠けた鉢、擂り粉木、下駄、草履、茣蓙の切れ端
味噌漉しなど、数百年を経たるものども、その形を変じてつきまとっている所であった。
かの錫杖にて一あて当てられて、一つも残らず打ち砕き、捨ててしまった。
夜が明けて二位の屋敷より使いが寺に来てみると、僧は普通にしていた。そこで二位が寺に
来て、昨晩の事を聞いてみると、あった事を詳しく語った。真に知恵者なりとして褒め、
その寺の住持として迎えた。
86 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/23 10:13
好爺 タソおつです! チョトりくえすとなぞ... 何か春っぽいのないですかね?
87 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/23 10:24
好爺さんばかりに負担をかけないようにしないといけないけど、
もっとこういう風にして欲しいというようなリクエストは必要だな。
88 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/23 21:58
ずるりんばったん、ずるりんばったん。
深夜ほっしゅ
90 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/27 21:25
>89
せめて揚げよう
いや・・・ほら最近荒れ模様だから 地味に保守しょうと思って(w
上げるのは着底寸前でいいかな、と
92 :
ガイゾナイト:03/03/28 12:22
漁師がエイを犯した話は何だっけ?
生まれた子供の行く末が気になる。
お化けとか信じてるのって餓鬼だけだと思った・・・。あっ、合ってるか!
>91
なるほど。
でも少しぐらい荒れても、全くレスがないよりはまだましなんじゃないかな?
95 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/28 23:21
前スレの勇者たちはどこに行ってしまったんだろう?
>>33 なんか山本周五郎の小説思い出した。
それほど似ているというわけではないが、
坊さんと民衆が狸(または狐)に騙されるというあたりが。
97 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/28 23:45
98 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/28 23:51
>95
前スレの最初の頃はちょっと話を書くだけで、拍手喝采だったのに、
最近は話を紹介しても、反応ないこと多かったからなー。
99 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/29 00:13
100 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/29 00:37
砂丘より100げとー
101 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/29 00:42
砂丘より?
>91, >94
春房シーズンが過ぎてから、どんどん上げていけば問題ないでしょう。
103 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/29 19:08
132 名前:海千山千 投稿日:2001/12/15(土) 15:00 ID:OomRsHuG
エイはちと注意。胎児をはらんでいることがあり、胎児の尻尾の
付け根にある毒棘に刺されるおそれがあります。やられた漁師も
いるそうです。マンタなら大丈夫だろうがユルユルか。
104 :
リトアニアの民間伝承:03/03/30 00:40
むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。
二人には子供がいませんでした。
ある日、おばあさんはおじいさんに言いました。
「じいさんや、たきぎを取りにいっておくれ」
105 :
リトアニアの民間伝承:03/03/30 00:42
おじいさんはたきぎを取りに出かけましたが、森の中でばったり熊に出会いました。
熊はおじいさんに言いました。
「じいさん、ひとつおれと相撲をとろうぜ」
すると、おじいさんはやにわに斧を振るって熊のあしを切り落としました。
106 :
リトアニアの民間伝承:03/03/30 00:45
おじいさんはそのあしを家に持ち帰り、おばあさんに渡して言いました。
「ばあさんや、熊のあしを料理しておくれ」
おばあさんは即座に熊のあしを受け取って皮をはぎ、その上に座り込んで、
毛をむしりはじめ、あしは料理するためにかまどに入れました。
107 :
リトアニアの民間伝承:03/03/30 00:48
熊はうなりにうなって考えたすえ、菩提樹の木で義足を作ることにしました。
熊は村のおじいさんの家に出かけて行って歌いました。
あしよ軋め
菩提樹のあしよ、軋め
水は眠り
大地は眠り
大村は眠り
小村も眠る
ただ独り婆さんが眠らずにおり
おれの皮の上に座っている
おれの毛で糸をつむいでいる
おれの肉を煮込んでいる
おれの毛を乾かしている
108 :
リトアニアの民間伝承:03/03/30 00:51
そのときおじいさんとおばあさんはびっくり仰天しました。
おじいさんは寝棚の上の桶の下に隠れ、おばあさんは暖炉の上に黒い上着にくるまって隠れました。
熊は家の中に入ってきました。
おじいさんは恐ろしさのあまりうめき声を出し、おばあさんは咳が出てしまいました。
熊は二人を見つけ、すぐさま食べてしまいました。
109 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/30 01:53
新人か?
これからもたのんます
おつです! またヨロシク(はぁと
早朝ほっしゅ
112 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/02 01:54
書き込みたいと思っている者ですが、本から抜粋すると
著作権等には引っかからないのでしょうか?
書名、出版社、著者などを併記すれば問題無いのでしょうか?
わかる方いらっしゃいましたら教えて下さい。
出典を記載しても基本的に著作権に引っ掛かると思うよ
でもそれを言い出すとココも伝説逸話も成立できないし(汗
あとはあなた次第でしょう。でも新たなる勇者の出現を心待ちにしております。
114 :
Zanoni:03/04/02 20:57
>112
本来引っかかりますが、2chのスレッドに書き込める分量なんて単行本からすれば
ごくわずかなものなので、現実に問題にされることはないでしょう。
また出典を明記して少量の文章を引用することは、その本の宣伝にもなるので、
いいことだと個人的には思っています。
著作権で問題にされにくくするためにも、できるだけ広範囲の本から少量ずつ話を
集めることが好ましいと思います。
紹介者が少なくなってくると、ネタ元が限られ特定の本に依存するという、著作権的に
好ましくない状況になってくるので、ぜひ参加してくださるようお願いします。
著作物の引用に関しては、ここの
ttp://www.cric.or.jp/qa/multimedia/multi14_qa.html 「(b)引用」が参考になります。
>113、114
それでは、とりあえず1話書かせていただきますね。
草川隆著、「幽霊と妖怪の世界」から
「犬神」の話
{ ある夏の夜、寝ていた一人の男がとつぜんうめき声を上げた。
その額に油汗をにじませて、ゲッソリほおがこけた男の顔は
ゾッとするほど青白かった。
かけよった家の人々が、抱きかかえるようにして背をさすったが、
男は身をよじって苦しがるばかり。
「医者だ、医者をよべ」
とだれかがさけぶと、男は恐ろしい形相でふり向き、
低いかすれた声で言った。
「医者はよぶな」
別人のような声だった。
「な、なぜ?」
家の人が聞いたが、こんどはあお向けに身をそらせて
苦しみはじめた。家の人が、はずれた枕をあてがおうと
頭に手をかけた時、男は異様な声を発しながら、
その腕にかみついた。
そして、ふとんからころがり出て腰を浮かし、
背をそらせ、頭のうしろを畳にすりつけて、
恐ろしげなうめき声を上げ、口走った。
「わ、わしが悪かった。あやまる。あやまるから許してくれ」
「犬神だ。犬神に憑かれたのだ」
かけつけた村の老人がさけんだ。
「さ、早く犬神持ちの家にいくのじゃ」
さっそく家族の一人が、この村にある「犬神持ち」の家に
手みやげを持ってかけつけた。
しばらくして、竹カゴにさまざまな食物を入れて
「犬神持ち」の家の人がやってくると、男に向かって、
「さ、おれはおまえをつれにきたよ」
と言った次のしゅんかん、男は苦しみから解放されたように、
静かな寝息をたてはじめた。
これは「犬神持ち」の家族のだれかに
うらまれるような行為をした人に、犬神が憑いた例であるが、
この場合は、被害者の家族の人が、「犬神持ち」の家に
礼をつくしたので、比較的かんたんに、
とり憑かれた人から「犬神」ははなれてくれた。
この犬神はおもに中国、四国、九州などの地方にみられる
憑きものだ。これにまつわる話は古くから多く伝えられているが、
江戸時代に書かれた「土佐国淵岳誌(とさのくにえんがくし)」には
次のような話が記されている。
昔、親の敵討ちを願っていた男がいた。
だが、敵は手ごわく、自分の実力ではとてもかなわない。
そこで、犬の念力を身につけようとした。
男は飼い犬を首だけ出して土の中に埋め、
その口のそばに好物の肉を置いた。
飢えた犬は、肉を食べようと必死に首をのばすが、
とどかない。男は刀をふりかざすと次のように念じた。
「汝の魂を我に与えたまえ」
祈り終えると、男は刀をふりおろした。
次のしゅんかん、犬の首は胴からはなれた。
と、同時に、犬の霊は男に乗りうつった。
こうして犬の念力を自分のものにした男は、
めざす敵の前に出て、名乗りをあげた。
「うむ、返り討ちにしてくれん」
敵は男の力をみくびり、ゆとりのある態度で
挑戦に応じた。
だが、この時、犬の力をそなえた男は、
まるで犬のようにびんしょうに敵の喉笛にかみついた。
「ギャーッ」
男は敵が息の根をとめるまで、喉に喰らいついて離れなかった。
敵討ちはみごとに成しとげられたのである。
この男の子孫は、その後も代々、
「犬神憑き」の家柄になったと伝えられる。}
以上、抜粋でした。
120 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/03 22:22
乙
なかなかいい雰囲気出してますね。
怖い系の話歓迎します。
121 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/05 00:03
春房シーズンも過ぎたようだし、どんどん上げていきましょう。
122 :
ずるりんばったん:03/04/05 12:43
じいさん、おるかい?
「おりますおります」
123 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/05 15:06
アタイこそが 123げとー
124 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/06 22:18
角川書店 松谷みよ子、瀬川拓男、清水真弓 共著
「日本の民話7 妖怪と人間」より
「ひひ猿の仇討ち」
むかし、夜ふけの沼で糸車の回る音がした。
じん、じーん。じん、じーん。
寝静まった村里に糸車の音は恐ろしげに響いた。そして妖怪のうわさが
村内に広がった。
ある夜のこと、腕のいい狩人が正体を見定めに沼へ向かった。すると、
くるくる回る糸車が、沼の向こう岸にほんのりと白く見えた。近づくと、
二つの赤い目がギナギナとこちらに向いた。大きな黒い影が糸車を回しているのだ。
狩人はすばやく鉄砲を構え、ドガンとぶっ放した。
じん、じーん。じん、じーん。
糸車は回っている。黒い影はにかッと笑った。赤い口が三日月のように
闇に引き裂けた。
ドガン、ドガン・・・。
狩人は十発の弾を撃ち尽くしたが、手ごたえはなかった。妖怪はケタケタと
声をたてて笑った。そしてペカリと消えたあとに、遠い村里で一番どりが鳴いた。
うっすらと夜が明けてきた。
狩人は悔しかった。そのころ、狩人の神さまといわれた
女猟師ヤマオのところへ出かけた。訳を話すとヤマオはいった。
「そらあかん。黒い影をねろうてもむだじゃ。糸車の軸のところをねらえ。
すればきっと手ごたえがある。」
知恵を授けられた狩人は再び沼へ向かった。
じん、じーん。じん、じーん。
その日も夜ふけに糸車が鳴り出した。
狩人はねらいを定めて、糸車の軸を撃った。
ギャーッ。
天も裂けるほどの悲鳴が上がった。糸車の音がやんで、のしのしと
地を揺るがす音が山の奥へ遠ざかった。駆けつけてみると、沼の土手に
ベッタリと血がついていた。てらてらと光る血の跡をたどって、
狩人は山深くはいった。
大きな岩窟に行きあたった。血は岩穴に消えていた。耳を澄ますと、
穴の奥からぼそぼそと話す声が聞えてきた。
「とうとうやられた。おれはもうだめだ。どうでもおまえが
仇を討ってくれ」
ウォーンとなく声も聞えてきた。それからばったりと静かになった。
濃い霧がわいて、あたりを包んだ。
その朝、狩人の家に赤子が生まれた。
男の子だった。これで猟師の後継ぎができたと、狩人はひどく喜んだ。
赤子はじょうぶに育ったが、手に負えぬきかん坊でかかさんを困らせた。
かかさんは手も放せず、ほとほと弱りぬいていると、そこへ、
十四、十五の少女が通りかかった。
「あれ、あれ、雷さんのようにわめいておるよ」
少女はつと立ち寄って赤子を抱いた。少女の手に抱かれると、
赤子はすぐに泣きやんで、すやすやと寝入った。
かかさんはその少女が気に入った。
「あんたは、どこの村の娘かね」
「ずっと遠い村。これから町へ行って、子もり女に雇うてもらうんよ」
「よかったら、しばらくうちで子もりをしてみんかね」
「ええ。あたしはいいけど」
「なら、お願いするよ。ほんと、願ってもないこっちゃ」
こうして少女は狩人の家に居ついた。
かかさんは心から喜んでいたが、狩人には気になることがあった。
「糸車の変化もんを退治したとき、おれの仇を討ってくれいというとったが、
まさか、化け物が娘に化けて来たのでは・・・?」
しばらくは油断なく様子をうかがっていたが、別に怪しげな娘でもなかった。
子もりばかりか、何かと気づいて、かかさんの手伝いをよくした。
赤子はすくすくと育った。
こうして一年がたち、誕生祝いの日になった。
132 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/08 02:24
ど、どうなるんだ!?
近くの女子衆も集まって、朝からごちそうの用意で忙しかった。
膳の用意もでき、吸い物の椀も並んだが、どうしたわけか、
神主の膳の魚が消えていた。特別にあつらえた大きな魚だった。
「あれ、さっきはここにあったのに、のうなっとるよ。どげんしたっか?」
「まさか、猫が取ったわけでもあるめいよ」
そこでもう一匹あつらえたが、いよいよ客が集まったとき、また、
それも消えた。
これはおかしい・・・。
台所の女子衆の騒ぎを聞いて、狩人は思った。今までにも、
こうしたことが何度かあった。台所の魚がちょいちょい見えなくなった。
こら、いよいよおかしい。どうして油断ならん。
その夜、赤子の誕生祝いが終わって、親類や近所の衆が引き上げてから、
狩人は鉄砲を手にして天井裏へ忍んだ。
あとかたづけの女子衆も引き上げることになった。隣の衆に誘われて、
かかさんは赤子をだいてもらい風呂に出かけた。
あとに残ったのは子もりの少女だった。
しばらくあたりをうかがっていた少女は、ほっとため息をついた。
「このままでは、あの赤子にも、かかさんにも情が移る。
殺された夫の仇を討つこともできなくなる。どうしたらよいかー」
とたんに狩人は鉄砲をぶっ放した。
少女は血に染まって倒れた。鉄砲の音に、かかさんも隣の衆も飛んできた。
死んだ少女を見て一同は色を失った。
「そばへ寄るな。その娘は変化もんじゃ」
天井裏から降りて来た狩人はそういったが、やはり不安でならなかった。
少女は人間の姿のままだった。娘を見つめたまま、
狩人はまんじりともせずに夜を明かした。
朝が来ても、昼になっても娘は人間の姿のままだった。
136 :
もぐら ◆JEhW0nJ.FE :03/04/08 02:45
最近水銀はどうした?
これも昔のオカルトに入るか?
「おれは人殺しをやらかしたかもしれん」
これがほんとの娘ならば、わしは人殺しの罪に落ちる・・・。
赤子の誕生祝いの日に、殺人を犯した。これこそ、
あの変化もんのたたりかもしれん。そう思うと、居ても立ってもおれなんだ。
夜になって、かかさんは泣きだした。親類の者が再び集まって、
ゆうべとは打って変わって青い顔を堅くしていた。
真夜中・・・あッと一同は息を飲んだ。
美しい少女の死に顔が、くしゃくしゃとゆがんだと見る間に、
恐ろしげなひひ猿の顔に変わった。少女の着物が音をたてて引き裂けると、
そこには、人の倍もあるひひ猿が倒れていた。
殺された夫の仇を討とうと、女房のひひ猿は少女に化けて来たのだが、
あえなく命を落とし、夫のあとを追ったという。
以上、抜粋でした。
140 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/08 03:02
( ・∀・) パチパチ ひさびさにリアルタイムで読ましてもらいました
おもしろかたーよ!
141 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/08 03:04
小僧 タソ これはどこらへんの物語り?
>141
九州地方になってますね。具体的な県まではわかりません。
反応があると、書いてる方にとっても嬉しいです。
また、時間がある時に書き込みたいと思います。
143 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/08 18:29
>小僧さーん、仕事から帰ってきて一気に読みました。
ありがとうございました。
寝不足にならないように気をつけて下さい。
144 :
Zanoni:03/04/08 23:41
>142
「どげんしたっか?」
という言葉からみて、熊本近辺だと思います。
ひひざるの女房がかなりいいヤシだということですねえ
どう考えても猟師のが悪玉に思えるよなあ
でも久しぶりにゾクゾクしながら読ませてもらいました。乙>小僧さん
散る桜の花びらの様にそ〜っと ほっしゅ!
147 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/12 10:50
定期挙げ
小学館 水木しげる 著
「世界の妖怪100話」より
「妖虎」(中国)
既出だったら、ゴメンナサイ
唐の時代に、猟師の稽胡(けいこ)という男がいた。
あるとき、胡は、鹿を追って奥山に入っていった。すると、
あるお堂へ鹿が入ったので、近づいてみると、
お堂の中に仙人が座っていて、
「ここへ、なにしに来た」と胡に聞いた。
胡は、自分の名を言い、鹿を追ってきたのだと、
失礼をわびた。すると仙人は、
「わしは虎の王だ。すべての虎の食いものを、わしが指定している。
おまえが稽胡という人間なら、おまえはわしの食いものだ」と、
かたわらの卓上の名簿を、胡に見せた。
胡が、ふるえて、助けてくれるように頼むと、仙人は、
「助けてやりたいが、わしに食われるのが、おまえの運命だ。
しかし、なんとかしよう」と、考えていたが、やがて、
「あした、わら人形におまえの服を着せたものと、
豚の血を三斗(約五十四リットル)、
それに絹一匹(一匹は約二十一メートルの長さの布)
を持って来いと言うので、胡は礼をのべて帰り、翌日、
言われたとおりのものを用意して、仙人をおとずれた。
「おまえは、なかなかまじめな男だな」と、笑って、
仙人は、人形と豚の血を庭に置き、
胡を高い木の上に絹でしっかりとしばりつけた。
やがて、仙人は、部屋にもどったかと思うと、
たちまち一匹の猛虎になって現れた。猛虎は、
木の上の胡をにらんで吠えたけり、なんども木にとびかかったが、
どうしてもだめだとわかると、
わら人形をはねあげて豚の血を飲み干し、また、部屋にもどった。
仙人はもとの姿にかえって部屋から出てきて、胡に、
「さあ、降りてきたまえ」と言う。
胡が木から降りて、あつく礼をのべると、
仙人は、朱筆をとって、名簿のなかの胡の名を消し去った。
152 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/15 23:45
パチパチパチ。
風変わりな話ですね。
大丈夫、外出じゃないですよ。
153 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/16 00:52
小僧タソ 乙です!
そういや日本では男が化ける話って少ないですよね
ン?そうか・・・そんな気が(自信ナク)
『水蜘蛛』―「日本の昔話」柳田国男
ある人が沼で魚をつっていると、その日はいつもより魚がたくさんとれた。
突然水の中から一匹の小さな蜘蛛があらわれて、漁師の足の親指に糸をひっかけて帰っていく。
黙ってみていると、またやって来てもう一度糸をひっかけて帰っていく。
何度もやってきては糸をかけて帰るのでおかしいと思って近くの木の幹に糸をそっくり移しておいた。
しばらくすると沼の底で、太郎も次郎もみんな来いと呼ぶ声がきこえ、びくの中の魚が
みんな沼へ帰っていった。つづいて、底の方から、えんと、えんやらさあ、と大勢のかけ声がして
糸をぐいぐいひっぱり、しまいには大きな木が根本からぽっきり折れて沼の底へ引きずり込まれて行った。
155 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/19 12:33
自分は厨房のころ読んだ、中国の怪談集が決定的だったなー。
短い話が多いんで読みやすいし、夢中になって読んでたよ。
怖い話はむかし話に限る。
「長い間、多くの人々の脳を通りぬけてきた話には、
ある種のすごさが宿るのではないか」
って本当っすね。
外出の「犬神」って于七の乱の話、
駒田信二さんの中国怪談集で「脳みそとり」
という題で読んだことがあります。
好爺さん、もしかして、話の途中だったらスマソ。
157 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/19 12:39
159 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/19 12:56
「凶宅」(中国の怪談集だったと思う)
あるところに凶宅であるといううわさの家があった。
そこに住むものは必ず不幸な死に方をするので
赴任してきた役人に、そのことを忠告するものが
あったが、その役人は
「そんなことがあるものか。すべて気の迷いだ」
と、家族を引き連れてきて、任期が終わるまで何もなかった。
160 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/19 13:02
続き
任期も終わり、家を出る際宴を催し、その席で
「ここに住むなというものもいたが、妖気は
すべて気の迷いだ。
私は無事に勤め上げ、明日はこの家を出ていくではないか」
と、役人は言って厠へ用足しに行った。
すると、厠にむしろを縛ったようなものがいる。
怪しいやつと真っ二つに切ると、二人の人間になった。
さらに四つに切ると、四人の人間になった。
彼らは刀を持っていて宴の席に切り込み、
役人とその家族は全員切り殺されてしまったという。
161 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/19 13:43
>>148 中国の怪談って、なんか奇妙に理屈を通してるのが多いよね。
「わしは本当は虎だが、神像のときにおまえに出会ったので
助けてやろう」
日本昔話なら、俺は実は虎だ!正体をあらわして食べちゃった。
それを不憫に思って神様が助けてくれた、って話になりそう。
162 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/19 13:57
やっぱり中国人は現実主義というか、日本人の叙情的な話とは話の肝となるところで決定的に違う気がする
163 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/19 15:06
そうでもないよ。
164 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/19 19:26
そうだと思うよ
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
167 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/21 23:33
168 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/24 10:53
∧_∧
( ^^ )< ぬるPO
169 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/26 11:34
消防のころ中国の奇談集を読んで、
「中国って、虎がいるの?すげー!」
と思った。
よく考えりゃ、絵画なんかに出てくるんだから、いるの解るだろ、
って思うんだが。
ライオンも虎も、アフリカにいるものと思ってますた。(恥
170 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/26 12:17
諸国百物語の「奥州小松の城化け物の事」
小松城の留守居番の妻が、ある夜雪隠にいった所、
お歯黒をつけた女の首が向こうから飛んできて、
妻を見てにこにこと笑った。
妻は恐ろしい事限りなかったが、ここでにらみ負けてはよくないと、
首を睨み付けると、首はだんだんと遠ざかって消えた。
やれうれしやと寝屋に帰ると、灯火がみんな消えている。
これにはさすがの妻も気を失った。
幸い、皆が薬を飲ませるなどして、息を吹き返した。
その後、雪隠の場所を変えると、二度とは出てこなかった。
睨み負けたとしたら出てきただろう。
当時の挿し絵がなんか怖い。
その後、小松城主は、伊達氏への謀反の罪で誅殺されるんだけど、
こんなに勇気のある留守居番の奥さん、どうなったんだろう。
171 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/26 12:17
昔は日本にもライオンがいた
172 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/27 15:29
Part1って、11月にdat落ちしたのにまだ見れない
どうなってんだ?
∧ ∧
(゜∀゜ )<GOOD LUCK
174 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/27 15:54
ちょっとネットを離れてたので、倉庫行きになったのが
見られないと、外出話を書きこみそうなんだよなー。
176 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/27 18:24
その話は既出なんだよゴルア... なんつーアフォはここにはいないと思うよ
( ・∀・) 期待してまつ ごーごー!
177 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/27 19:00
>174
心配だったら、
「こんな話あった?」
と事前にちょっと聞いてみるとか。
178 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/29 23:56
新人物往来社 三谷茉沙夫、南峻太郎 著
「世界妖怪妖獣妖人図鑑」より
「積怨の山姥」
「老媼茶話」は寛保二年(一七四二)、会津藩士の松風庵寒流によって
書かれた。近世初期の巷間に伝わった奇談や口碑、著名人の逸話などを
筆録したものである。
そのなかに、山姥に憑かれた男の話が記されている。
180 :
動画直リン:03/04/30 01:10
江戸麹町に甚九郎という男が小間物屋を営んでいた。
江戸麹町といえば、現在では高級住宅地だが、当時は長屋も多く、
甚九郎の店も、とある長屋の一角にあった。
近所のおかみさん相手のささやかな店である。
ある日、ひとりの若い女が甚九郎の店に入って来た。
はじめは櫛や簪などを物色していたが、そのうち店先に座り込んで、
日暮れの店を閉める時間になっても帰ろうとはしない。
「恐れ入りますが、店仕舞いでございます。また明日お願いします」
甚九郎が声をかけると、女は、
「申しわけありません。実は先程から頭痛と目まいがしまして、
ここで休ませていただいていました。でも、まだ体の具合が悪くて、
とても歩けそうもありません。ご迷惑でしょうが、今晩だけ、
ここに泊めてはいただけないでしょうか」
と言う。突然言われて、甚九郎は戸惑った。男のひとり暮らしである。
若い女を泊めるわけにはいかない。
「ご無理なのはわかりますが、私は遠い在郷のもので、
いまから帰るわけにもいきません。なんとか土間の隅にでも、
お泊め願えないでしょうか」
女は懐からなにがしかの金を出して、
「これはほんの気持ちです」
と甚九郎に手渡した。
このところ商売のほうもあまりうまくいっていないので、
とにかく金はありがたかった。甚九郎は女を部屋で休ませ、
買い置きの薬を与えたりして介抱してやった。
あくる日の朝、女は甚九郎の前に両手をついて言った。
「失礼ですが、あなたさまは独身とお見受けしました。
つきましては、あつかましいお願いですが、
私をおかみさんにもらっては頂けませんでしょうか。
といってはなんですが、少しはお金も用意していますので、
商売のほうにでも役立ててもらえば・・・」
女は三十両の金を甚九郎に差し出した。
当時の三十両といえば、大金である。これだけの金があれば、
当分、楽に暮らせるだろう。
それにこの女はまだ若いし、けっこう美しい。甚九郎の中で、
打算がはたらいた。彼は、いきなり店にやって来た正体不明の女を、
女房にすることにしたのである。
女が家に居つくようになって、一週間が経過した。
甚九郎は、商品の仕入れがあって、
数日ほど家を留守にすることになった。
「後のことは頼んだよ」
甚九郎は、女房に機嫌のいい笑顔を見せて家を出ていった。
甚九郎の長屋の隣には、源吉という職人が住んでいた。
甚九郎とは気が合って、始終行き来をして、酒を飲んだり、
世間話にふけったりする仲である。
甚九郎が旅に出て何日かしたある日の深夜、
厠に立った源吉がふと見ると、隣の甚九郎の長屋から、
稲妻のような奇怪な光が発しているのに気がついた。
こんな時間に何事だろうと、不審に思った源吉は、
そっと足音を忍ばして窓越しに中の様子を覗き、
息がつまるほど驚いた。
ふだんは愛らしい甚九郎の女房の顔が、
異様な化け物に変わっていたのである。
化け物は、源吉が震えながら覗き込んでいるのも知らず、
行灯の油を傍らにあった皿になみなみと注ぐと、
それを一気に飲み干した。
そして油をすべて飲みつくすと、行灯の火を吹き消し、
ごろりと横になった。
窓から差し込む、月の光に照らし出された化け物の姿は、
まるで牛が寝ているように見えた。源吉は、肝をつぶした。
「甚さん、実は大変な話があるんだ」
旅から帰って来て、隣家の源吉からこの話を聞いた甚九郎は、
驚きのあまり声も出なかった。
だが、このことを女房に覚られてはならない。
自分が妖怪であることがわかれば、
どんな危害を加えられるかしれないのだ。
甚九郎が、それとなく女房の様子をうかがってみると、
やはり常人とは違う様子がある。
ふだんはおとなしいが、なにかで腹を立てると、
ギラギラした目が異様に吊り上り、口が裂けるように広がる。
そして、これは気のせいかもしれないが、
時おり異常に背が高くなったり、
子供のように小さくなったりするようだ。
こんな女とひとつ屋根の下に住んでいたら、
しまいには取り殺されてしまう。
甚九郎は、思いきって麹町の家から逃げ出すことにした。
しかし、本当のことを言えば、なにをされるかしれない。
そこで甚九郎は、一計を案じて女に言った。
「私は江戸を引き払って、川崎で商売しようと思う。
おまえには言わなかったが、川崎には親戚があって、
いろいろと面倒を見てくれるんだ。私は、準備のために、
ひと足先に川崎に行って来る。
適当な家が見つかったらかならず迎えに来るから、少しの間、
ここで待っていてくれ」
だが、これはすべて、女房から逃げ出すための嘘だった。
甚九郎は奥州の三春に下り、二日町というところに宿を取った。
ひとまず女房から逃れ、
ここにしばらく滞在して骨を休めようと思ったのである。
女房は川崎に行ったと信じているから、
ここに追求の手が伸びることは絶対にない。
甚九郎は、手頃な一軒家を借り、
久しぶりにのんびりした気分を味わった。
しかし甚九郎の安息もわずか二十日あまりしか続かなかった。
ある日の夜ふけ、甚九郎の家の庭に突然
稲妻のような怪光が走ったかと思うと、
寝室の戸をあわただしく叩くものがあった。
「おまえさん、早くここを開けておくれ」
それは忘れもしない、あの女房の声だった。
甚九郎は驚愕した。布団を引っかぶって震えていると、
女はいつの間にか部屋の中に入ってきて、
恨み言を延々と述べ立てた。
その場はどうにか治まったが、
相手が妖怪とあっては一刻も同じ場所にいるわけにはいかない。
甚九郎は、ついにこの女を殺す決心を固めたのである。
「川崎よりも、ここのほうが商売に向くと考えて来てみたのだが、
どうも思わしくない。いっそ仙台に行って出直そうと思っているんだ。
おまえも一緒に行って、店探しを手伝ってくれないか」
甚九郎は、言葉たくみに女を誘い、仙台に向けて出発した。
途中、深い山の中にある辻堂で休憩した時、
甚九郎はついに計画を実行した。
女の隙を見て、隠し持った短剣を胸に突き立てたのである。
不意をつかれて、女は絶命した。恐ろしさにかられて、
甚九郎は必死に山道を走り降りた。
ふと見ると、小さく古ぼけた寺があった。
甚九郎は、夢中でその寺に駆け込んだ。
息を切らして倒れこんでいると、
なかから現れたこの寺の住職が言った。
「おまえは山姥の霊に会ったであろう。
顔に死相が出ている。なにがあったのか詳しく話してみなさい」
甚九郎が経緯を話すと、住職は、
「それでわかった。その霊鬼の魂が、おまえに取り付いているのだ。
恐らく今夜、霊鬼はおまえの生き血を吸い、
肉をむさぼり食うであろう。とにかく、
いますぐその死体を持って来い。
わしが、その災いを払ってやろう」
と言った。甚九郎は恐怖に震えながらふたたび辻堂に引き返し、
死体を運んできた。
住職は、女の死体をひと目見ると、
「これは、まさしく山姥だ」
と言って、死体の首に数珠を巻きつけて合掌し、
甚九郎にその棺の前で、ひと晩じゅう念仏を唱えるように命じた。
深夜、突然、雷鳴が轟いたと思うと棺の蓋が開き、
女の死体が立ち上がった。
髪をおどろに振り乱し、額に牛のような二本の角を生やしたその怪物は、
異様に光る目と耳まで裂けた口を持っていた。
身の丈は、なんと七尺(約二三〇センチ)もある。
怪物は必死に甚九郎めがけて飛びかかろうとしたが、
首に数珠を巻かれているので、どうしても飛びかかることができない。
そして、ついに力が絶え、ふたたび起きあがることはなかった。
霊鬼の怨念は消滅した。甚九郎は髪を下ろして仏門に入り、
一生菩提を弔ったという。
以上、抜粋でした。
194 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/04 01:26
久しぶりに怖い話が読めたよ
またよろしく
195 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/08 23:27
サルベージ
196 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/12 20:36
197 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/15 10:24