文才無いからって小説書く

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1愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中
ここは筆力のある人・ない人がお題をもらって自由に小説を書き、それぞれの筆力を向上させるスレです
※※※お題をもらわないでの小説投下はスレの主旨と違いますのでご遠慮下さい※※※
各まとめ入口:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/
まとめwikiコラム:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%A5%B3%A5%E9%A5%E0
初心者の方は上記のまとめwikiコラムの他、掲示板を一度ご覧下さい。
小説を書く際の禁則やテクニック等が具体例付で説明されています

(三行テンプレート)
1:お題をもらう(安価より「↓」を推奨)
2:もらったお題に沿った作品を書いて、完成させる。
3:「投下します」と宣言し、作品投下。メール欄は無記入、名前欄には「もらったお題」を表記する。タイトルは無くても可。

・1レスは30行、4096バイトまで、一行は全角128文字まで(読みやすさの為に50〜60文字推奨)
・書きながらの投下は禁止
・お題をもらっていない作品はたとえ投下されてもまとめサイトには掲載されません

詳細は>>2-3辺りをご覧下さい
2愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 10:10:01.71 ID:Ydt/3kUy0
まずはお題をもらいましょう。基本的に過疎スレなので↓でもらうと良いです
→人のお題を使って書くのもありです。作品がたくさん投下されればスレも盛り上がります

▽投下の際の注意点
・投下宣言は「投下してもいいですか?」ではなく「投下します」。投下宣言が被らない限り、許可はいりません
・投下する人は最後に「終」「完」「了」など、投下完了の合図をお願いします
・名前欄 に『タイトル(お題:○○) 現在レス数/総レス数』 (例:『BNSK(お題:文才) 1/5』)を書いて下さい
・まとめる際にコピペがしづらいので、メール欄は空にして投下してください。
・作品を投下する際は、テキストエディタで仕上げてから、完成品をまとめて投下して下さい

▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい

▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です
・落ちた場合は立てられる人が新スレを立てて下さい。人がいる時間を目安に

▽その他
・通常作品でもトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
3愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 10:10:29.01 ID:Ydt/3kUy0
▲週末品評会
毎週木曜日の夜〜土曜日の午前中に、お題が出されます
作品は土曜日の0:00から日曜日の23:30までの間に投稿してください
その後それぞれに評価をして頂き、月曜日の0:00から火曜日の24:00まで投票を受け付けます

▽作品投稿
・ジャンルは自由、時間を過ぎての投稿も選考外ではありますがまとめサイトに掲載します
・スムーズな流れを保つため、メモ帳等の機能を使って全部書き終わってから投下するようにお願いします
・優勝時の本人確認のため、週末品評会参加者は出来れば酉を付けて下さい(酉は名前欄に#と自由な文字列)
→毎回同じコテや酉で出続けると周囲にわかりやすいです
・作品のタイトルは現在レス数/総レス数、酉を除いて、全角二十文字以内にしてください。

▽締め切り間際の作品投稿について
週末品評会では、投下締切時間の間際に集中的に投下が起こります。
それを無管理で放っておくと大変な事になるので、23時から「予約」という形を取り、運営の指示に従って順番に投下してもらいます。
予約締切は23:30で、以降は時間外の扱いになります

▽投票
・本スレへの書き込みでお願いします(複数選択可)
・ぜひ書き手の方も他の人への感想や投票を行って下さい
・簡単でよいので、感想、批評等書いて下さい。書き手の次への糧になります!
・投票は投票用テンプレを使うか、【投票】と書いて書き込んで下さい

▽優勝者特権
・投票で一番支持を得た作品の作者の方には、次回品評会のお題決定権が与えられます
・投票数が同数の場合は、気になった作品の投票数の差で決定します
・お題の発表時間は優勝者に一任されますが、遅くても土曜日の午前中には提示して下さい
4愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 10:11:01.78 ID:Ydt/3kUy0
356 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 投稿日:2008/06/18(水) 01:14:59.06 ID:tYQXQLZh0
【第115回週末品評会】

お題:「縛る」


執筆手法によるお題消化禁止
例:約物を使わずに書く……etc

規制事項:5レス以内。
投稿期間: 2008/06/21(土) 00:00〜2008/06/22(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外になります。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※
投票期間: 2008/06/23(月) 00:00〜2008/06/24(火) 24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※
5愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 10:14:14.94 ID:sLIWUpuH0
>>1
前スレもってるかたいらっしゃいましたら
DATあげてくださいませ
6愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 10:20:38.37 ID:lITNM0UlO
>>1
7愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 10:52:11.61 ID:lITNM0UlO
8愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 11:00:17.30 ID:xmUaXrkfO
前前スレでいた上手い奴は品評会やらんのかな
9愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 11:21:42.46 ID:J+RkJoxd0
>>5
文才のない19歳童貞が小説書く 27までだがあげた
10愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 11:30:27.52 ID:ab5ApS0N0
お題を召喚・・・!
11愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 11:32:15.40 ID:J+RkJoxd0
>>10
街灯
12愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 11:36:35.12 ID:ab5ApS0N0
>>11
ありがとう
13愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 11:38:11.68 ID:sLIWUpuH0
>>9
ありがとう

とりあえず投下されてた品評会作品まとめにあげました。
14愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:04:52.88 ID:Ydt/3kUy0
15愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:15:59.50 ID:lITNM0UlO
品評会作品できたー
16愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:16:50.45 ID:sLIWUpuH0
>>15
しっかり推敲するんですよ!
17愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:19:47.74 ID:J+RkJoxd0
豆知識

携帯のメール読み上げ機能を使うと
誤字脱字や変な句読点を洗い出せることがある
18愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:23:12.36 ID:BxJjMdzT0
5レス分の膨大な文章を読み上げる電子音声に耐えれる気がしない
19愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:28:01.23 ID:sLIWUpuH0
自分の作品朗読されるのってちょっとキツイかもしれない
20愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:28:33.91 ID:Ydt/3kUy0
羞恥心
21愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:28:51.82 ID:lITNM0UlO
>>16
がってん承知
22愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:29:40.31 ID:t5OyEodh0
だまってワードの機能使えばいいのに……
23愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:51:00.78 ID:lITNM0UlO
地震きた保守
24愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 12:51:16.34 ID:X3TLhnvlO
25愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:06:18.93 ID:Tm6W7/a1O
品評会作品終わらねー
見直す時間欲しいのに
26愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:10:57.62 ID:BxJjMdzT0
いいや、品評会諦めてまもって守護月天観るわ
27愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:48:31.20 ID:Ydt/3kUy0
28愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:49:57.66 ID:lITNM0UlO
保守
29愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:59:39.71 ID:MFqNtyJd0
ほしゅ
30愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:31:45.38 ID:YaQDwAd70
保守ついでにお題クレ
31愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:33:38.85 ID:lITNM0UlO
レストラン
32愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:53:29.26 ID:5Auyy+N20
久々文才来たんだけど
まとめサイト見てたらまとめの人が…

いったい何があったのですか?
33愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:53:53.92 ID:YYBtx3to0
           イ三三三三 \
         /イニニニニ\ヽ\ゝ_
       /イニニニニニ\\V/彡\、
       |三ニ>───、\V//彡\ヽヽ
       |三ニ|         ̄ \\ヽ|
       ハ三シ∠ミヽ,        \ミ l
      {!レ/  ミゝ.,_     ∠三ゝ |ミ l
       | レ  彡ヽ`'ゝ   f=・xミ;  |ミ/
       '┤      ノ  i `''     /}
       l  ーイ⌒(、  ':i      / /   
       |   《三ヲ`7≦     〃    しゃ〜んじゅしゃ〜ん
       ト、   斤  ̄`''キ≧   /´     
      <| 丶  ヽニ--ソ'"   /
     ノ| \ \    ̄   /\
    / l / ヽ、ヽミ _彡'´.〉  /\
__/   .ト、ヽ  i    |  /  |.  \_
34愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:57:54.15 ID:YaQDwAd70
>>31
レストラン了解
35 ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/22(日) 15:29:18.80 ID:lITNM0UlO
悲しみを乗り越えて救済スレに品評会投下しました。
どなたか転載よろしくお願いします。
36愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 15:29:50.08 ID:Ydt/3kUy0
過疎ほ
37愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 15:39:37.32 ID:sLIWUpuH0
>>35
なぜ「もう一作書き上げたんですけどこっちは間に合わなくて
両方時間外になっちゃいました。てへ☆」というオチにしないのですか!!

それは置いておいて、転載いきますね。
38小さな火 1/5  ◇zmMEjNb3Ok:2008/06/22(日) 15:40:13.13 ID:sLIWUpuH0
 暗い土蔵の中で佳奈は一人、涙を流している。厚い扉はかたく閉められ、幼い少女の力ではびくともしないはずだ。佳奈自身、
何度も試したことがあったから、それはよくわかっている。最初に閉じ込められた時は声が枯れるまで泣き喚き、手の感覚が鈍る
まで扉を叩いた。しかし外は無反応である。扉は微動だにしない。何度も閉じ込められる度に、佳奈の抵抗は消沈してゆき、今で
は放り込まれるとすぐに隅へ退いて、膝を抱えてすすり泣くだけになった。そうしているうちに、睡魔が来るのを待つのである。
この日も同じだ。じっとしていると、だんだん空腹が気にならなくなってきた。頭と瞼が重く感じられる。そして眠りに落ちた。
 気付けば佳奈は狭い岩の上に立っていた。周囲にはふちと底の見えない、暗い大穴が広がっている。穴の中心の、岩が底から塔
のように細長くのびた先に佳奈はいたのである。八方の地平は、頂が剣のように尖った灰色の山々に遮られている。空は赤く染ま
り、点々と浮かぶ黒い雲の塊に稲妻が走った。おぞましい光景である。
「ああ、いやだな。怖い夢ね」
 佳奈は穴に落ちないように、その場にうずくまる。目と耳を閉ざして、夢が終わるのを待とうと思った。耳を塞ぐ手の感触が、
妙にはっきりと感じられる。
「早く、終わらないかな。この夢」
 しかし佳奈の願いとは裏腹に、夢はますます生々しさを増してゆく。穴の底から響く、低い地鳴りに身がすくんだ。しばらく体
を震わせていると、雷鳴や地響きにまじって、どこからか人の声が聞こえてきた。直接に、頭に響くような声だ。
「なんだろう、何か話してるみたいだけど……。あ、私の名前を呼んだ。誰なのかな。なんで私の名前を知ってるんだろう」
「聞こえたみたいだね。さっきからずっと呼んでいたんだけど。僕の住処へようこそ、佳奈」
「あなたは誰? どこにいるの? どうして私を知っているの?」
「君のことは、よく知っているよ。ずっと見ていたからね。佳奈、君とお話がしたい。僕の話を聞いてくれるかい」
 佳奈は頷く。やさしい声色と語り口は、悪い人のものとは思えない。
「ありがとう。なら僕の名前を呼んで。僕の名前は──」
 佳奈が教えられた名を口にすると、その瞬間、足元の岩が消えた。落ちる、と思った佳奈はぎゅっと目をつむる。しかしまた次
の瞬間、硬いものが足を支えた。目を開けると、佳奈は大小のいびつな形をした岩が、無造作に転がる荒れた斜面にいた。はるか
下方に、先ほどまで囲われていた大穴が見える。地平を覆っていた岩山の一角に来たようだった。
「こっちだよ」背後から声がした。佳奈が振り返ると、巨大な岩に、四肢を鎖でつながれた若い男が立っている。佳奈は目を見張
る。彼女が今まで見たことのないような姿だった。裸体に白い腰布一枚をまとい、褐色の皮膚は薄い光を帯びている。輝く銀の髪
は下方から吹き上げる風に波打ち、瞳は燃えるように赤い。きれいだな、と佳奈は思った。胸からは恐怖が消えていた。
「僕が怖いかい?」鎖の男が訊いた。佳奈はつよくかぶりを振る。男はにっこりと微笑んで、それは良かった、と言った。
「ここはどこなの? ねえ、おじさんは誰?」
「僕は、君たち人間を作った者だよ」男は穏やかに言った。一つ目の質問には答えなかった。
「人間を作った? それじゃあ、おじさんは神様なの?」
39小さな火 2/5  ◇zmMEjNb3Ok:2008/06/22(日) 15:40:37.63 ID:sLIWUpuH0
「確かにずっと昔は、そんな風に呼ばれていたこともあったね」
「それじゃあ、もと神様ね。なら私おじさんの事、もと神様って呼ぶわ。よく見るとおじさん、ってほどの見た目じゃないし、そ
れにおじさんの名前、言いにくいから。ねえ、どうしてこんなところにつながれているの? なにか悪いことをしたお仕置?」
 無垢な面持ちでたずねる佳奈に、男は苦笑する。
「悪いこと。そうだね。僕がここに繋がれているのは、まさに君たち人間を作ったからなんだよ」
 佳奈は不思議そうに男を見つめる。どうしてそれが悪いことなの? とでも言いたげな表情だ。男は口角を上げた意味ありげな
顔をすると、ぱちりと指を鳴らした。そして佳奈に空を見るように促す。佳奈が見上げると、空はにわかに黒く変容した。そして
その中心に、ある映像が浮かびあがった。それはどろどろの汚泥の塊のような、醜い姿の生き物だった。太った胴体に短い足が二
本生え、指のない手は地の寸前までのびている。顔に鼻はなく、丸い眼窩と口が、繰りぬいたように穿たれていた。
「あれが君たち人間の、もともとの姿だよ」
「あれが人間? でも私たちと全然似てないわ」
「うん。でも確かにあれが君たちの祖先なんだ。僕は最初、君たちをああいう姿かたちに作った。神様たちの奴隷としてね」
 奴隷という言葉に、佳奈は一瞬体をこわばらせる。それは佳奈の両親が、彼女を呼ぶときの言葉だった。
「神様たちは自分より綺麗なものに嫉妬するんだよ。だから僕は君たちを醜いものとして作ったんだ」
 それから男は、彼が人間を作った経緯を佳奈に語り聞かせた。空のスクリーンが、映画のように映像を映し出す。
 人間は神が住む土地を整えるために作られた。地上には神々が降り立つ前、不毛の土地だけが広がっていた。至る所からマグマ
が噴出し、火山から登る黒煙が汚く濁った雨を降らせた。生命は存在しない。そこで鎖の男が他の神々の依頼を受けて、もと彼ら
がいた場所から運んだ泥で人間を作った。泥人形として生まれた人間は、増殖しながら地上を徘徊し、大地に向かって口から泥を
吐き続けた。人間が吐いた泥は肥沃な土壌となり、そこから様々な植物が生まれた。そうして大地が美しく生まれ変わった後、鎖
の男は神々の目を愉しませるために動物たちを作った。だが人間は依然として醜い姿のままだった。
「じゃあ、もと神様は人間だけじゃなくて、他の動物たちもぜんぶ一人で作ったのね。すごい。でも人間を作って、他の神様たち
が住む場所を用意してあげて、動物たちまで作ってあげたのに、どうしてこんなお仕置を受けているの? かわいそうだわ」
「……地上が楽園へと再生して、神様たちがみんな降りてくると、人間たちはもう用済みになったんだ。すると楽園の果ての果て
に追いやられてしまった。そこは太陽の光や温もりがほとんど届かない、暗くて、寒い場所だった」
 佳奈はあの土蔵の中を思い浮かべる。あそこも暗くて、寒いところだった。楽園を追われた人間たちに自分の姿を重ねる。
「人間たちはそこも一生懸命、楽園に塗り変えようとしたんだ。でも神様たちの取り分を作るのに、自分たちの力を使いきってし
まっていてね。とても無理だった。そのうち人間たちは弱り始めた。しばらくして最初の死者が出ると、それを皮切りに、バタバ
タと倒れていった。僕はそれを黙って見過ごせなかった。僕は神々の宝箱から太陽の火を盗んだ。そしてそれを人間たちのところ
に運んだ。僕は残り少なくなっていた人間たちを、一人ひとりその火にあててやろうとした。最初の人間を火にあてたとき、泥の
体がみるみる輝きを放ち始めた。そして彼は僕とそっくりな姿に変身したんだ。僕は彼をロムルスと名付けた」
40小さな火 3/5  ◇zmMEjNb3Ok:2008/06/22(日) 15:40:58.03 ID:sLIWUpuH0
 スクリーンに、暗い洞窟のような場所で、火を挟んで向き合う、鎖の男とロムルスの姿が映し出される。ゆらめく紅蓮の炎に照
り映える褐色の皮膚に、輝く銀の髪。瞳が泥の色であることを除けば、ロムルスの姿はまさに鎖の男の写し身である。鎖の男はロ
ムルスに火を差し出し、他の人間たちも同じようにあててやるよう命じる。ロムルスは無言で火を受け取ると、後方に密集してう
ごめく仲間たちのもとへ歩みよった。ロムルスが命令どおり行動するのを確かめると、鎖の男は神々の元へ帰った。
 楽園の神々は、酒をあおり、音楽に陶然とし、あらゆる享楽にふけっている。鎖の男は人間たちの惨めな境遇と引き比べて、神
神の底抜けの淫蕩を忌々しく思った。自分が宝である太陽の火を盗み、人間たちに与えたことにも気付かない。自分はいったい何
のために神々の命を受け、彼らに住処を提供したのだろうか。苦い疑問が霧のように彼の胸を覆った。
 ロムルスに火を任せて以来、鎖の男は人間のもとを訪れなかった。神々に怪しまれると思ったからだ。人間たちの様子は千里眼
で見通すことができた。火に洗われた人間たちの姿は、神々に劣らず美しく変貌していた。彼らはロムルスを長とする社会を形成
し、衣服を身につけ、道具を用いて質素な生活を営んでいる。鎖の男は、神々に人間たちの営為が発覚するのを恐れた。だが幸い
神々は人間のことなどとうに忘れ、悦楽に酔いしれている。そこで鎖の男は密かに楽園と人間たちの住処の境に険しい山脈を築き、
両者を完全に隔絶しようと試みた。山を作った後は、もはや人間たちを覗くこともせず、彼らのなすがままに任せることにした。
 長い年月が経ち、鎖の男自身も人間たちの事を忘れた頃、楽園のはずれの森で火の手があがった。はるか離れた神々の宮殿から
見通せるほど、太く、高い、猛烈な黒煙を巻き上げている。風の神の僕が、神々とよく似た姿をした者達が、大軍をなして攻めて
きたことを告げた。
 それを聞いて、鎖の男は息を飲んだ。
「人間に違いない」
 彼はすぐに火の元へ飛んだ。軍勢の最前線に、木々よりも巨大な、象のような生き物に立つロムルスの姿を見つけた。大剣を携
え、赤い鎧に身を包んでいる。彼も鎖の男の存在に気付いたようだ。引き返すように、鎖の男は空からロムルスに叫んだが、森を
焼き払いながら進む軍勢の怒号にかき消されて声は届かない。見ると宮殿の方角から軍神たちが、竜や翼の生えた獅子の軍勢を率
いてやってきている。鎖の男は双方に留まるよう叫び続けたが、間もなく両軍は激突した。怒声と轟音が巻き起こる。どちらから
か飛来した炎の矢に、鎖の男は撃ち落されてしまった。

「人間と神様たちが戦争をはじめちゃったの?」
「そうだよ。どっちが勝ったと思う?」
「神様たちのほうが強いと思うわ」
「いや、人間が勝ったんだよ。彼らは僕が与えた火で、新しくて強い生き物を生み出し、強力な武器や防具を作っていたんだ。竜
も、戦いの神様も、それには太刀打ちできなかった」
「そう……。でも、どうして人間は楽園に攻めてきたの? もと神様や他の神様たちはどうなっちゃったの?」
 それはね、と言って男は空を指差した。佳奈は再びスクリーンを見上げる。
41小さな火 4/5  ◇zmMEjNb3Ok:2008/06/22(日) 15:41:18.00 ID:sLIWUpuH0
 鎖の男は、柔らかい寝台の上で目を覚ました。寝台は意匠をこらしたきらびやかな天蓋で覆われている。身を起して室内を見回
すと、白い壁面に、ところ狭しと宝石が埋め込まれていた。扉が開き、一人の男が入ってきた。ロムルスだ。
「ああ、ようやく目を覚まされたのですね」
 ロムルスの声を耳にするのは初めてだった。声色までもが瓜二つである。
「申し訳ございません、我が軍の兵士が、あなたを敵と見なして攻撃したのです。その兵士は戦闘終了後、直ちに粛清しました」
「戦闘終了後? 戦争は終わったのか? いったい、どうなったのだ」
「結果は、私がこの場所にいることが雄弁に語っているではありませんか。ここはあなたたち神々の王の寝室ですよ」
「……神々はどうなった」
「あなた以外、皆殺しにいたしました」ロムルスは愉快そうに答える。鎖の男は、鋭い衝撃に胸をつかれた。
「どうしてあんなまねをしたのだ?」唇を震わせながら言った。
「どうしてですって? あなたが我々に火を与えてくれたのではないですか。神々に見放された私たちを、あなたは救ってくださ
った。あなたに似せて我々を作り直されたのは、我々こそが地上の支配者となるべきだということではなかったのですか? 我々
は見事神々を討ち取りました。なんと喜ばしいことでしょう。さあ、どうか私の手を取ってください。あなたは私たちの救い主で
す。あなたこそが唯一の神。どうか、私たちをお導きになってください」
 ロムルスは跪き、鎖の男に手を差し伸べる。しかし男はそれを強く払いのけた。ロムルスは呆然と払われた右手を見つめる。
 鎖の男は手で顔を覆った。こんな結末を望んでいたのではない。人間と神々が相容れないのなら、それぞれが領有する土地で、
別れて暮らしていればよい。そう思っていた。それがなぜ戦争などという事態に陥ってしまうのか。
「馬鹿なことを……。どうして自分たちの住処で大人しくしていなかったのだ。なぜ攻めてきたりしたのだ」
「何をおっしゃっているのです? だからそれはあなたが……」
「私は戦争など望んでいなかった! 私はお前たちに、神々の目の届かない所で、ひっそりと静かに生きていて欲しかったのだ」
 その言葉にロムルスの顔色が一変する。にわかに怒りの形相を浮かべ、体全体を小刻みに震わせた。
「あなたも結局、他の神々と同じだったというのか? 太陽の火があったとはいえ、我々の生活は、辛く、厳しいものだった。ど
うして楽園を求めてはならないのだ。狭く暗い場所で、虫ケラのように生きていればよかったというのか!」
 立ち上がったロムルスは激しい口吻で叫んだ。そうではない、と鎖の男は口ずさむ。だがロムルスは耳を貸そうとしない。
「よろしい。あなたまでもが我々を見捨てるというのなら、もはや神などいらぬ。我々自らが自らを導いてみせよう。あなたには
我々が暮らした土地で、我々の行く末を見ていてもらおう。孤独の中で、我々の栄光を見つめ続けるがいい」
 憎憎しげに言うと、ロムルスは部屋を去った。鎖の男はその後姿を、苦痛に耐えるような顔で見送っていた。

「……そうして、僕は彼らによってこの場所に閉じ込められてしまったんだ。こうして鎖につながれてね。はるか昔のお話さ」
 鎖の男は佳奈に、淋しげに笑いかける。
42小さな火 5/5  ◇zmMEjNb3Ok:2008/06/22(日) 15:41:40.81 ID:sLIWUpuH0
「それじゃあもと神様は、ずっと前からここでひとりぼっちなの?」男は頷く。佳奈の目から熱いものがこぼれ落ちた。
「かわいそう。だって、もと神様は、ぜんぜん悪くないじゃない」声をつまらせながら言った。
「いいや、悪いのは僕だ。身勝手な神々を傍観し、人間たちに救いの道を示さなかった。彼らは僕の子どもなのにね。僕はロムル
スの言うとおり、彼らを見捨てていたんだよ」
「でも、もと神様が人間に火をくれたから、私は生まれることができたんだと思うわ。私が生きているのはもと神様のおかげよ」
 佳奈は潤んだ瞳でまっすぐ鎖の男を見つめる。
「佳奈、僕のそばにおいで」うん、と頷くと佳奈は涙を拭って、男の前に歩み寄る。佳奈が足元に来たとき、男は何か呪文のよう
な言葉を口にした。すると佳奈の体が浮かび上がり、男の頭と同じ位置でとまった。
「ありがとう、佳奈。君のおかげで、僕の心はとても慰められた。君は本当に優しい子だね。君自身がいつも一人ぼっちで、暗い
場所に閉じ込められて泣いているのに、こうして僕のことを思いやってくれる。君にお礼がしたい。目を閉じて、佳奈」
 佳奈が目を閉じると、佳奈の額が男の口元に寄った。男は佳奈の額にそっと口付けをする。柔らかくて暖かい感覚が、佳奈の額
から全身に広がった。男が口を離すと佳奈の体はゆっくりと下降し、地に足をついた。佳奈は目を開ける。
「僕は今、君の中に小さな火を灯した。どうかそれを大切に育ててほしい。それじゃあ佳奈、そろそろお別れの時間だ」
「お別れ? でも私が帰ったら、もと神様、また一人きりになっちゃう」
 佳奈は男の顔を見上げる。男は顔を斜めにそらし、何かをこらえるようにかたく目を閉ざした。再び目を開くと優しい、穏やか
なまなざしを佳奈に注いで言った。
「大丈夫。君が時々僕を思い出してくれたら、僕は淋しくなんかないからね。佳奈、君は僕の子どもだ。いつまでも君の事を見守
っているよ。さようなら、佳奈」
「……わかったわ。私毎日、もと神様のこと思いだすね。さようなら、もと神様」そう言って佳奈は男の足を抱擁する。
 二人は最後の微笑みを交した。鎖の男が指を鳴らすと、あたりは暗闇に包まれた。佳奈の五感から感覚が失われてゆく。意識の
糸が揺れたわみ、ぷつりと切れた。

 佳奈は目を覚ます。土蔵の中は相変わらず暗かった。しかしなぜか寒さを感じない。額に手をあててみる。体温とは違った、陽
だまりのような温もりが伝わった。佳奈はふと、自分が怯えていないことに気付いた。恐ろしかったはずの暗闇の中で、今はまっ
たく落ち着いていられる。佳奈は不思議に思う。「もと神様」が分けてくれたという、小さな火のおかげなのだろうか。佳奈は鎖
の男との対話を、夢の中の出来事だとは思わなかった。
 扉が開いた。朝日の光を背にして、中年の女が入って来た。女は佳奈の前でかがみ、侮蔑の言葉を浴びせる。佳奈は臆すること
なく女を睨み返した。女は佳奈の視線にたじろいだが、それをごまかすように佳奈の頬をぶった。そして表に出るよう佳奈に告げ、
扉の向こうへ去った。
「負けるもんか」佳奈はそう呟いて立ち上がる。もう一度手を額にあて、よし、と意気込むと、出口へと歩き出した。   <了>
43愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 15:43:27.13 ID:Ydt/3kUy0
2作とも5レスとはすげーな
44愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 15:46:14.11 ID:lITNM0UlO
>>37
そのネタちょっと考えたけどねw
今日の予定キャンセルしてまで書いたからまあ真面目に投稿しようかと。
ともあれ転載ありがとうございました。
45愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:00:19.43 ID:/txcfhnB0
123456789012345678901234567890123456789012345678901234567890123456789012345678901234567890123456789012345678901234567890
46愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:01:12.08 ID:/txcfhnB0
字数制限きついなぁ ほす
47愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:22:12.95 ID:TViJDdL4O
今見てみたら、品評会お題「呪文」の時の投稿数すごいなww
けっこう長続きなスレだわさ
48愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:23:01.43 ID:sLIWUpuH0
さらにほしゅー
49愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:27:36.90 ID:A+EkKd4n0
さわやかな惨劇って、ショットガンやAK担いだイケメンのあんちゃん達が、
「うぉらー待てぇー☆」
「あははきやがれこのビチグソがー☆」
「タマァ取ったるぁー☆」
とか言いながら実弾の嵐を形成し、腕とか顔とか足とかが吹っ飛んでるようなのだろうか。
お題が難解すぎるので違うのくれい
50愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:30:18.37 ID:/jrBapB70
和やかな寸劇
51愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:30:20.09 ID:xmUaXrkfO
例えば人を殺すのが安定剤の主人公なら
52愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:35:45.31 ID:BPgOxpqM0
桜吹雪のように、血と肉片が飛び交ってるとさわやかな感じ
53愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 16:56:10.99 ID:sLIWUpuH0
さわやかさにー
54愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:05:50.72 ID:1SjOo8Im0
ペルタンペットン
55愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:07:01.37 ID:Nvu+urT2O
雨降りのプラットフォームで遅れる電車を待つ自分にぴったりなお題を下さい
56愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:08:51.65 ID:Ydt/3kUy0
アジサイ
57愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:11:21.64 ID:Nvu+urT2O
把握
58愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:13:14.73 ID:lITNM0UlO
久しぶりに綺麗なお題を見た
59 ◆AHSIH.WsAs :2008/06/22(日) 17:41:14.29 ID:/txcfhnB0
よし……
品評会投下します
予想レス数は5です
60狂人の眼 1/5 ◆AHSIH.WsAs :2008/06/22(日) 17:41:58.20 ID:/txcfhnB0
 「画家は作家の作り出した言葉の束縛から、常に自由でなければいけない」という事が口癖の男が居た。勿論男の職業も画家であったが、四十も近くなってから、芸術活動として行う事といえば絵を描く事よりもその真髄について一人で悶々と考えることが多くなっていた。
 その男の名前は竹川と言う。心地よい春の陽気に少しずつ雨の湿り気が混じり始める五月の暮れ、竹川はいつものように彼自身の質素なアトリエの中で、腕を組みつつ難しい顔をして考え込んでいた。
 竹川は幾度も幾度も反復した内容を、不毛にもまた頭の中で繰り返している。つまり、言葉で考えて描いた絵は、その瞬間に言葉に縛られてしまうという事についてだ。
 具体的な物で言えば見た瞬間に心が動いた風景を、抽象的な物で言えば頭に浮かんだ不定形のイメージを、いざ白いキャンバスに描き出そうとすれば、途端に頭が「優雅な緑」だとか「透き通るような空気」だとか「情熱を表す炎」だとかいった余計な事を考えてしまうのだ。
 言外の美しさを良しとする芸術に対して、ここでこう感じて、ここがこれを表していて、と逐一説明をされているような物だ。 その時点で筆を握った瞬間に感じていた感動は白々しく薄らいでいき、出来上がる絵もその題材とは程遠い、あざとい物になってしまうのだ。
 竹川が思うに、そういった絵は、乾いた絵の具が汚らしく集積しただけの物であり、写真の方が何倍もマシだと思えるような駄作である。
 部屋の片隅に乱雑に放り投げられた、そういった駄作の数々を横目に見ながら、そこまでは竹川は気がついていた。しかし問題はその先なのである。言葉で考えないようにしよう、という制約ほど難しいものは無い。そもそもその制約自体が言葉である。
 苛立ち気味に竹川は乾いた筆で空白のキャンバスをなぞってみる。描きたかった風景、表現がしたかったイメージなど沢山あったけれども、悉く「言葉で考えないように」に失敗して無駄にしてしまった。一度薄れてしまった感動は、もう二度と同じ物では戻ってこないのだ。
 言葉の束縛。厄介な事だ、と竹川は何度も何度も考えた。優れた作家の作品を読めば読むほどに、それに感動すればするほどに、より高位の美しさにまで既存の言葉の手が伸びてくる。
 読書に限った事ではない、人が物を考えるときに用いるのが言語である以上、なんでもかんでも物を見れば見るほど、知れば知るほどに言葉の束縛は一層強まってきて、竹川の手から筆を折ろう、折ろうと締め付けてくるのだ。
(いっその事、狂人にでもなれれば楽なのだろうに)
 遂に竹川はそういった事を考えるようになっていった。一日の大半を腕を組んで小さな硬い椅子に座りっぱなしで、そうやって何日も何日も過ごしている竹川は常人の眼から見れば十分に狂っているように見えたに違いない。
 事実、時折彼に会った人は皆、「芸術への道なんかに、安易に踏み出していったからだ」と彼の精神を案じるのである。
 ただ、悲しいことに彼の狂い方は全くまともな狂い方だったのだ。まともな言葉で、まともな精神が突出していく過程で少しずつ狂っていくというあり方で、彼は最初から全くの狂人ではなかった。言葉に縛られた、ただの貧相な男であった。
 言葉から自由になりたい、と常々考えていた竹川にとって、それは最も不都合な狂い方だった。
(いっその事、狂人にでもなれれば…………)
 アトリエには、時計がコチコチと単調に時間を刻む音と、柔らかな筆がキャンパスを幾度も幾度も無意味になぞる、しゅらしゅらという音が小さく響き渡っていた。

 その日は朝から細かい雨が降っていて、外の空気は青白く染まっていた。
 昼から竹川のアトリエに、画商をやっている友人がやってきて、竹川の描いた絵の中から数点を取り出して丹念にその一枚一枚を眺めていた。
「うん。この絵も良いな。佇む木々の落ち着きと、やや不気味な静けさが、よくあっている。俗な言葉で言うなら神秘的だ」
「そうかい」
「うん、うん。君はただ風景を書くだけじゃなくて、それの含む詩を十分に表現できる画家なのだな。知り合いからは狂っているなんて言われているようだけど、画家なんてものは君くらい狂っていて丁度いいくらいだ」
「そうかい」
 しきりに彼の絵を褒める友人に、竹川は苦りきった顔を悟られぬように眼をあわせず答えた。しかし、そういったことをせずとも友人の両目は数々の絵を眺めるのに忙しく、竹川の方に向いてくる事は殆ど無い。
 竹川は何も無い部屋の隅を眺めながら、友人が眼を輝かせて「放り投げた絵」に噛り付いている姿を想像して少しばかり悲しくなった。
61狂人の眼 2/5 ◆AHSIH.WsAs :2008/06/22(日) 17:42:36.82 ID:/txcfhnB0
 そうしてしばらく空虚なやりとりをした後、友人は立ち上がってふうと一つ溜息をついた。小脇には何枚か絵を抱えている。
「……それじゃあ今日はこれくらいにしておこう。迷ったけれども、この絵を買うことにした。幾らが良いね?」
「幾らでも」
(ただでくれてやりたいくらいだ。そんな絵)
 画商の友人は少し笑い。
「君はいつでも謙虚だね。これは確かに十分狂っているかもしれないな」
 と言って代金を竹川の前の机に置いた。商売の為に絵を買ったと言うにしては、多すぎるともとれる額だ。
「それじゃあ、またしばらくしたら来よう。いい絵を描いておいてくれよ」
 扉を開けて霧雨の中に出て行く友人を「うむ」とも「ああ」ともつかない、間抜けなうなり声で送り出した竹川は、一人になるとすぐさま、またいつもの様に腕を組んで考え事をしようとした。
 友人が買っていった絵がどういった絵だったかは、もう思い出せなくなってしまっていた。
(自由に、なりたい)

 しばらくして、竹川は机に置かれた金をひっつかみ、ノソリと立ち上がった。絵と絵の間に挟まるように投げ出されていたハンチング帽を拾い上げ、幾度か埃を払って深くかぶる。
 酒でも飲めば、いくらかこの凝り固まった思考もほぐれるだろうと竹川は久々の外出をする事にした。アルコールならまだかなりの量が買い溜めしてあったのだが、柄にも無く外に出たい気分であった。
 細かい雨は止まずとも降りしきるともつかずにさわさわと気中を揺らいでいる。それが日暮れの藍色と相まって、薄いカーテンのようだった。小さな、ほんの産まれたての金魚なら、もしかするとこの空気中を泳いでいけるかもしれない。
 布の手触りを確かめるように、竹川は手の平を幾度か滑らせつつ、そういった事を思って知らず知らずその絵を描くとどうなるだろうと思っていた。無論、その絵が満足のいく出来で完成することはきっと無いのだが。
 幾度も外出はしないにせよ、一度の買出しで買い込む食糧が多いために竹川のアトリエは繁華街からは近い場所にある。知り合いからは「芸術家らしくない」と言われるのだが、本当の芸術家は場所を選ばないというのが竹川の信念であったために頑としてそこに住み続けた。
 それだけ暮らしていながら居酒屋に脚を運んだのは数度しかない。どこに行けば良いかも分からなかったために、最も手近な一軒で竹川は酒を頼んだ。酒が出で来るまでの間も、酒を飲む間もひたすらに芸術について考え始める。
 脳に渦巻く言葉の奔流がすっかりアルコールの浮遊感や酔いを邪魔してしまって、竹川は少しも良い気分になれない。言うならば、竹川はガラスのコップを揺らしながらも、とめどなく流れ出てくる想像に悪酔いしてしまっていたのだ。
 酔おう酔おうと飲み続けて、何杯目かの酒を飲み下したとき、完全に竹川の思考は意味を持つ理念から、ただの単調な言葉の反復になり下がってしまっていた。例えば、言葉の束縛から自由になる事への渇望は、ただ「自由」と「言葉」という二つの言葉に。
(自由。自由。自由。言葉。言葉。言葉。言葉。自由。言葉。狂人。狂人………)
 脳に胃袋がついていたなら、とっくに言葉の波を吐き戻してしまっていただろう帰路の中で、不意に目の前に現れた看板が竹川の思考に合致した。
「狂人の眼 売ります」
 ――狂人。
 丁度竹川の脳の中身を読み取ったかのような具合で現れたその二字の言葉が、不気味な鮮烈さをもって竹川の両目に映りこむ。是も非も無く、知らず竹川はフラフラとその看板の下に歩いていっていた。
 それは地下に続く階段で、その再奥には錆付いた鉄の扉が鎮座していた。扉に白いペンキで直接書かれていた文句は、「うえるかむ」。
 竹川は同じようにフラフラ、フラフラと、その一段一段を下っていった。脳を満たしていた言葉の渦はいつのまにか消え、代わりに、異国の地で友人に出会った様な不思議な感動を覚えていた。扉の上で、消えかけの蛍光灯がヂヂヂと音をたてていた。
62狂人の眼 3/5 ◆AHSIH.WsAs :2008/06/22(日) 17:43:28.39 ID:/txcfhnB0

「いらっしゃい」
 扉を開けて最初に竹川が気がついたのは、所狭しと積み重ねられた本や衣服のカビの匂い。次いで店の奥の明かり、その下にすわる老人に目が行き、そしてやっと「いらっしゃい」がその老人の言葉だったと気がつく。
 店内を見回せども、此処が主に何を扱う店なのかといった事は全く分からない。竹川は慎重に一歩一歩老人に近づきながら、その老人の顔を遠目に見ようとした。が、丁度老人の頭上から降り注ぐ蛍光灯の光が影を作っていて見えない。
 革靴が剥き晒しのコンクリートを叩く音に混ざって、老人から再び竹川に声がかかった。
「何かをお探しかね?」
 竹川は歩みを止めて、黒い影の中で小さく光っている老人の目を見つめる。既に両者の距離は殆ど無くなっていた。座る老人の目の前に立つ竹川と、それを見上げる老人。竹川は、きっぱりと答えた。
「狂人の眼、と表に書いてあったが」
 ホ、と老人の目が歪んだ。どうやらそれは笑みらしかった。
「あるよ、狂人の眼」
「どう言った物か聞きたい」
「聞いたまんまさ、狂った人間から抉り出した目の玉だよ。例えばアンタの眼とその狂人の眼を入れ替えたら、アンタには……」
「狂人が見る世界が見える?」
「……そういう事だね。目玉の入れ替えまでこっちでやっているから、アンタは金を払うだけすればいい」
 短い言葉の押収が、静かな店内でいやに大きく響いた。目玉を入れ替えると聞いて、流石に竹川は少しだけ考え込む。が、結局この奇妙な商品、仕組まれたような偶然を見過ごすことは芸術家としての竹川が許さなかった。或いは、半ば自暴自棄になっていたのかもしれない。
 熱く火照った顔で、竹川は老人に言い放った。
「買おう」
「毎度あり、それじゃあ早速入れ替えちまうから、こっちに来な」
 暗い店には更に奥があったらしく、老人は立ち上がってその闇の中に溶けるように消えていく。かろうじて見えるその後姿が、完全に溶け去ってしまわない内に、竹川は老人の後を追って歩き出して行った。
 まだ店内に入ってから数分と経っていないのに、看板を見つけた時の事がひどく昔のことに思われた。
(俺は芸術家だ)
 何度も何度もそう繰り返し、もしかすると取り返しのつかない事をしようとしているのではないかという懸念を必死に押さえつけながら店内を歩いていく。背後の鳥かごの中で、不意に大きなカラスがギャアギャアと鳴きだした。
 ――そこから先を竹川はよく覚えていない。ただ店の奥には不釣合いなほど本格的な手術室があって、そこの青白い光が清潔さを超えて不気味だった事。
 手術台に縛り付けられて痛み止めだという注射をされた事、それをされたら意識だけ残して体から全くの触覚が消え去ってしまった事、青白い光の中で見ても老人の顔は依然影であった事――
 意識が遠くなった、というより記憶と理解が追いつかなくなったといった方が的確かもしれない。気がつけば、竹川は本降りになり始めた雨に打たれながら、自らのアトリエの前に阿呆のように突っ立っていた。左目を覆う、「一夜経てば剥がしてよい」という眼帯と共に。

 泥のような眠りから覚めたのは、翌朝の昼を回ってからだった。顔の裏側が疼くような感覚に襲われて布団から身を起こす。
 二日酔いにはなっていなかった。が、また別種の吐き気がある。冷静になって昨夜の事を思い返し、竹川はやっと人間外の存在に触れてしまったことに対する戦慄に震えた。夢と割り切ろうにも、顔にさわればそこにしっかりと眼帯はあるのだ。
(なんて事を俺はしてしまったのだろう)
 酒の酔いか、言葉の酔いか、若しくは自らの理念に対する酔いだったのか。竹川は口を開けたまま左の指先で眼帯をさする。清潔な布の感触が指先に伝わり、さらにその奥の柔らかな皮膚を連想させる。そして、その皮膚の向こう側。
63狂人の眼  ◆AHSIH.WsAs :2008/06/22(日) 17:49:22.01 ID:/txcfhnB0
ちょ……
行数制限と一行の字数制限の更に先に、本文が長すぎる制限があるなんて……

すいません何回か削ってみても全然です。
まだ時間がかかりそうなんで出なおします。本当に申し訳ないです。
64愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:51:41.13 ID:FEbuK4Ou0
>>63
ttp://be-sp.com/bnsk/tool/count.html

VIPの仕様に合わせた文字数カウント。
もし知らなかったら活用してみると良いかも
65愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:54:36.64 ID:1HoGrf300
お題ください。
66愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:54:55.72 ID:sLIWUpuH0
頑張って。
5レス制限を、一行を横に延ばすことで対応しようとすると
陥る罠ですな。

テンプレの通り、50〜60文字で区切るとよいです。
それを超えると読みにくいという指摘が入りますよ。
67愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:55:15.08 ID:sLIWUpuH0
>>65
失敬。
お題:夕時の雨
68愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:56:30.69 ID:1HoGrf300
>>67
了解しました
69愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 17:58:57.95 ID:/txcfhnB0
>>64
ありがとうございます、使ってみます。
>>66
5レスって思ったよりも短いですね……
相当無理やりです。
ちょっと色々と手直ししてみます。間に合えば。ありがとうございます
70アジサイ 0/2:2008/06/22(日) 18:00:10.50 ID:Nvu+urT2O
通常作投下します。
71アジサイ 1/2:2008/06/22(日) 18:00:50.80 ID:Nvu+urT2O
 露に濡れたアジサイが、花壇の一角で咲き誇っていた。屈んでみると、葉を食んでいる蝸牛の姿がいかにも梅雨らしい。
 普段なら素通りする広美がそれを見留めたのは、少し疲れていたせいもあるのだろう。
小学一年生のクラスを受け持つには、彼女は繊細すぎるきらいがある。喚く児童達を静めるにも、
口を出してくる保護者達の相手をするのにも、広美は疲れきっていた。
 どれくらい眺めていたか、ふと我に返ると広美は降り続けていた雨が止んでいることに気付く。
 ゆっくりと立ち上がり、白黒のチェックの傘を折り畳むと、彼女は目を閉じた。

「笹原さん」

 かけられた声に振り返ると、折り畳んだ傘を持った小さな女の子がそこに立っていた。
 あ、と小さく声をあげるが、広美は上手く答えられない。
「アジサイ、キレイだよね。私も好きだよ」
 女の子が隣に並び、先程の広美のように屈んでアジサイを見る。
「あ、でんでん虫」
 悪戯っぽい顔を向け、女の子はつまんだそれを広美に見せる。
 広美は何と言っていいのか分からないまま、見せられたそれを眺める。笑顔がよく似合う女の子だ、と広美は思う。
72アジサイ 2/2:2008/06/22(日) 18:01:09.73 ID:Nvu+urT2O
「最近、元気ないよね」
 蝸牛をそっとアジサイの根元に置くと、女の子はアジサイを眺めたまま言う。
「笹原さんがさ。いつもここのお花のお世話をしてるの、私知ってるよ。女子も皆、笹原さん偉いね、って言ってるんだ。知ってた?」
 ああ、と広美の喉に熱いものが込み上げてくる。遠い昔のことだ。雨上がり、蝸牛、アジサイ。
 曇り空から陽が白く差した。その眩さに目を閉じる。
 やがて目を開けた時、その女の子の姿はなかった。陽に照らされたアジサイの露が、白く輝いている。
 広美が教師になるのを勧めたのは、親友の笹原敦子だ。敦子とは、そう――雨上がりのアジサイがきっかけで、仲良くなって。
 
 幼き日の自分は、何を伝えに来てくれたのだろうか。
 胸の辺りにほの暖かいものを感じ、広美は大きく息を吸った。濡れた植物が薫り立っている。
 灰の雲の向こうに眩い青を見ると、広美は歩き出した。はっきりと、力強い歩調で。

―了―
73アジサイ:2008/06/22(日) 18:01:46.67 ID:Nvu+urT2O
移譲です。
感想、批評ありましたら忌憚なくお願いします。
74愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:10:44.95 ID:FEbuK4Ou0
>>71
雰囲気は結構好き。

1・広美が笹原さんに教師になれば良いと勧めた。
2・なんやかんやあって、広美が教師になった。
3・疲れたときに昔の自分の姿を見た。

2のなんやかんやの部分、それから現在笹原さんがどうなっているのか。
そこが語られていないから、結局どういう話なのかわからない。

例えば、笹原さんと仲良くする内、広美もまた教師になって、
笹原さんもどこかで教師をやっているのなら、
これは「私も頑張ろう」とかそういう話になる。

例えば、笹原さんが何らかの理由で教師になれず、
代わりに広美が教師になったのなら、
これは「私が頑張らないと」とかそういう話になる。

この二つは物語の意味が行って帰ってくるほど変わってくるし、
それ以外の理由で、無数の展開や意味を持たせることができると思う。
けれど、この話ではその肝心の部分が語られていない。
もったいないと思う。
75愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:16:18.78 ID:Nvu+urT2O
>>74
批評・感想ありがとう。
読み返してみると。
>広美が教師になるのを
……。
笹原さんが、広美に教師になるように勧めたと書きたかったのです。
「広美に教師になるのを〜
と書くべきでした。
雰囲気を褒めて貰えたのは嬉しい。ありがとう。
76 ◆AHSIH.WsAs :2008/06/22(日) 18:19:29.31 ID:/txcfhnB0
文字数カウントしてみたら、なんかエラくはみ出していました。
色々と5レスに詰め込むに当たって無理しすぎたみたいっす。ちょっとこれ改めて読みやすさだとかも加味して全部要約しなおすとすれば、本筋自体改変しなければいけなさそうです。
本筋改変して話を組み立てなおす余裕はちょっと今日中には無さそうです。今後の色々とかも考えて。
投下するかもしれないししないかもしれないみたいなスタンスだと、もしかしたら投下時間ギリギリとかになって誰かに迷惑かけたりしちゃいそうですんで、今回の投下は控えるという事をここに言っておきます。
ややこしいことして申し訳ねぇ
77愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:20:16.18 ID:lITNM0UlO
>>73
読んだ。ベタな話だけど文章がきちんと書けてるからストレスなく読めた。
ちょっと混乱したんだけど、少女の幻は、かつて主人公なんだよね?
普通に「笹原さん」の幻を登場させて、主人公に話かける展開の方がすんなり飲みこめる気がする。
「笹原さん」自体は全く登場しないから、笹原さんとの思い出にふける主人公の感慨が弱いと思った。

>曇り空から陽が白く差した。その眩さに目を閉じる。
の一文がヴィヴィッドで良い。下手に修辞をこねくりまわした文章より、
こういうすっきりと印象的な文章のほうが本当の文章力をうかがわせる。
でも「曇り空から」というより「雲の隙間から」だよね。視覚的には。
全体に面白く読めました。
78愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:26:12.10 ID:sjHvvewX0
>>76
間に合わない時は時間外投下とかもありじゃね?
とりあえず、せっかく書いたのだから頑張って完成させてみるべき……と言っておく。
79愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:32:34.72 ID:BPgOxpqM0
>>76
時間外なら
6レスでも7レスでもオッケーだったはずだから、
そっちに出しちゃえば。せっかく頑張って書いたんだし。
よほど長くない限りは誰か読んでくれるだろう。
80愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:45:19.00 ID:/txcfhnB0
>>78-79

ありがとうございます。時間外か、若しくは日にち外ぐらいになるかもしれませんが、そっちで出してみようかと思います。
アジサイと>>77氏の批評読んで本当にその通りだと。
これで書いてくぜっ!ていう一貫したスタンスがないゆえに揺さぶられやすい……すっきりとって大切だなぁ。凄く。

81愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:50:01.19 ID:sLIWUpuH0
>>76
時間外希望

すごい気になるじゃないか
82愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:50:30.97 ID:Nvu+urT2O
>>77
批評・感想ありがとう。
うーん、褒められたの久しぶりだわ。
とは言え、笹原さんの件はやっぱり分かりにくかったみたいですね。
変な色気を出さずに素直に笹原さんを登場させた方が良かったか。
曇り空の指摘は、全くその通りで。視点に沿ってかかないと読み手が引っ掛かっちゃいますよね。
ビビッドなんて、本当、照れるからやめて下さい。もう。
83愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 18:58:29.83 ID:gqj7Rvt50
夕飯がないので、代わりにお題を食いつぶします
84愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 19:01:15.23 ID:sLIWUpuH0
>>83
ダイエット
85愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 19:02:05.01 ID:gqj7Rvt50
>>84
「御飯がなければ、スイーツを食べればいいじゃない。だって別バラだもん(笑)」


把握
86愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 19:27:54.64 ID:lITNM0UlO
あ? んだよだりーな。ああ、わーったわーった。わぁかったってば。まじしつけーし。
ちっ、しゃあない。じゃあやるか。

保守。
87愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 19:45:13.52 ID:lITNM0UlO
88愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 19:53:08.77 ID:sLIWUpuH0
日本対保守
89愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 19:57:34.13 ID:lITNM0UlO
批評を書くのも文章修行だと思った保守
90愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 20:07:40.31 ID:sLIWUpuH0
友愛、博愛、保守、BGM。
91愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 20:23:23.97 ID:FEbuK4Ou0
92愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 20:23:55.62 ID:BPgOxpqM0
厨二っぽい文章って書くのはずかしいな
考えるのは楽しいけどw
93愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 20:29:39.52 ID:EivZ2D4S0
まとめ掲示板のNo.00って何? これ時間外じゃないの?
94愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 20:35:58.17 ID:sLIWUpuH0
>>93
時間外っす

とりあえずNo.00でいいんじゃね?という流れでとりあえずまとめにあげています

まずいようなら運営様に削除してもらって時間外No.1として再まとめしてもらえれば
いいかなと思ってます。

95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 20:52:48.28 ID:sLIWUpuH0
ほほほー
96縛られた男と四人の女0/3 ◆LBPyCcG946 :2008/06/22(日) 21:03:51.55 ID:J4Ir+6zx0
品評会投下しますよ
97縛られた男と四人の女1/3 ◆LBPyCcG946 :2008/06/22(日) 21:04:36.84 ID:J4Ir+6zx0
 その男は両手をがっちりと縛られていた。身動きはとれない。もしとれたとしても、周りを取り囲む四人の
女から逃げる事など、この男にはできないだろう。四人の女はそれぞれ男の妻と愛人だった。
「これから私達、あなたを殺すけど何か文句ある?」
 四人の中で一番男の愛していた女が言った。
「いや、無いよ」
 男の本心だった。四又もかけたのだから、バレた時は潔くどんな罰も受けようと思っていたからだ。男は惚
れ惚れするほど清々しい性格をしている。
「それで私達相談して決めたのだけれど、あなたを殺す前に、私達があなたの好きだった部分をそれぞれもら
っていく事にしたの」
「できれば死んでからやってくれないかな」
「それは無理ね。これはあなたを苦しめる為でもあるんだもの」
 男はため息をついて、諦めたように首を振った。男だって痛いのはいやだった。
「それじゃあまずあなた、どの部分が欲しい?」
 気の弱そうな女が前に歩み出た。
「私は腕が欲しいです。彼の腕枕で、私は心底安心できたのです」
「そう、でも困ったわね。腕を切ってしまったら、縛っていられないわ。それは最後でいいかしら?」
「ええ」
 そう言うと、気の弱そうな女は後ろに下がった。
「それじゃああなたはどこが欲しい?」
 次は背の高い女だ。
「私は唇と舌が欲しいわ。彼のキスは最高でしょ?」
「そうね、でもそれも困るわ。唇と舌を切ってしまったら喋れなくなるわ。それじゃあ彼の苦しむ声が聞けな
い」
「それもそうね」
 その次は男の妻だった女だ。
「私が欲しいのは……」
 女の視線が下がる。男の股間の所を凝視している。
「彼のは私が出会ったどんな男のよりもすごい。だから彼と結婚したの」
「そう、それじゃあそこから切り落とそうかしら」
98縛られた男と四人の女2/3 ◆LBPyCcG946 :2008/06/22(日) 21:05:07.55 ID:J4Ir+6zx0
「ちょっと待ってくれ!」
 男が悲鳴にも似た声を上げた。
「それだけは勘弁してくれ! 後生だ。それに、自分のが切られる所なんて見たらショック死してしまうかも
しれない」
「確かにそれもそうね」
 妻だった女が残念そうに下がった。
「それじゃ、私の欲しい物からでいいかしら?」
 男の最も愛した女だ。
「ええ、どうぞ」
 他の三人が声を揃えて答えた。
「私は、あなたの真実の言葉が欲しいわ。質問に答えてくれるだけでいいの」
「真実の言葉? どういう意味だろう」
「質問するのは私」
 男はもう何だって良かった。半ば投げやりに、女の質問を待った。
「私の事、愛してる?」
 この質問、男があらゆる女に何度も聞かれた質問だ。男はその度に、「愛してるよ」と答えてきた。しかし
そんなのはもちろん、質問に対する最も適切な答えがそうだからであって、例え本心でなくとも男はそう言う
生き物なのだ。男は悩んだ。「愛してる」といえば満足するだろうか、いや他の三人が許さないかもしれない
し、嘘だと言われれば反論のしようがない。実際に男はこうして浮気をしていたのだからこんな悲惨な状況に
なっている。しかし「愛していない」といえばそれも嘘になる。それに女が激怒して、もっと残忍な方法で殺
されてしまうかもしれない。
 迷った挙句、男は自分の心というものに任せる事にした。男の長い恋愛遍歴の中で、初めての経験だった。
何も考えず、自分の心の中にある言葉をそのまま吐き出す。男とは最も遠い位置にある行動だった。
 その末、出た言葉、
「愛してるよ」
 女は表情を変えず、ただ立っていた。他の三人も、同様だった。長い沈黙の後、気の弱そうな女が口を開い
た。
「嘘は言ってないみたい」
 次は背の高い女。
99縛られた男と四人の女3/3 ◆LBPyCcG946 :2008/06/22(日) 21:05:37.98 ID:J4Ir+6zx0
「いつも嘘ばっかりだったのにね」
 最後に、妻だった女。
「結局私達は、私達が欲しいと思った物しか彼に求めていなかった訳ね」
 三人の女はくやしそうに、だけれども半分嬉しそうに、男の側を立ち去っていった。残されたのは縛られた男と、男の最も愛した女の二人だけ。
「色んな女と付き合ってきたけど、『愛してる』なんて心の底から言ったのはこれが始めてかもしれないな」
「そうかもね」
 男は安堵した。殺されなくて良かったという安心もあるが、何より自分の心にまだ純粋な部分が残っていた事に、おだやかな感動を覚えたのだ。
「さあ、この縄をほどいてくれ」
「それは出来ないわよ」
 女の眼は、縄以上に男を縛って離さなかった。
「どうして?」
 男は問う。女は包丁を取り出しながら答える。
「だって私は、あなたの全てが欲しいんだもの」


100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 21:14:08.90 ID:sLIWUpuH0
投下乙でした
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 21:14:58.13 ID:JGuCyDj/0
100げt
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 21:18:06.82 ID:ukthhq/T0
103サボテン 0/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/22(日) 21:33:20.51 ID:b7P9t7U90
品評会投下します。

お題:縛り
タイトル:サボテン
レス数:5
104サボテン 1/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/22(日) 21:33:34.64 ID:b7P9t7U90
 午後3時に新宿駅を出発した特急は、2時間足らずの間に甲府駅に到着した。思いの外早く着いたため、くつろ
いでおこうという思惑は少々肩透かしを食らう恰好となった。この乗車時間であれば考えようによってはギリギリ
通学圏内だが、ここから東京にある大学に通おうと思ったことは一度もない。
 久しぶりの帰省である。
 ショルダーバッグを抱えて、僕は北口のロータリーへと向かった。狭い方のロータリーだ。繁華街とは逆側にな
るけれども、香奈と待ち合わせるときはいつもこちら側を選ぶことにしている。
 まだ夕方と呼ぶには少し早いような日差しが、遠くの山から目の前のタクシー乗り場までをまんべんなく照らして
いる。街中から放散される熱気が肌で感じられる季節になった。盆地という地形は、なぜだか熱を貯め込みやすい。
「こっちだよ」
 ちょうど木陰となる位置に香奈は立っていた。膝下でカットされたジーンズにパンプス。上にはレースの付いた白
いキャミソールを着ている。同世代と比較してもやや小柄な香奈の姿を見つけるのは、実はそれなりに大変だっ
たりするのだ。
「や、お待たせ。こんな時間でも結構暑いね」
「大丈夫、待ってないよ。どこかに涼みに入ろう」
 やりとりに少しぎこちなさを感じながら、僕は香奈の手を取った。案の定、手をつなぐ動作一つをとっても様にな
らない。香奈が東京に遊びに来たのがおよそ1ヶ月前で、会うのもそれ以来と言うことになる。よって、カップルと
しての勘を取り戻すのには少々時間を要するのだ。
「髪切ったんだよ、分かる?」香奈が前髪をいじりながら言った。「それに少しやせたし」
「難しいな、前の髪型だってあんまり覚えてないのに」
「ひどいよー」
 ある種の儀式のような不毛なやりとりを交わしながら、僕たちは喫茶店に入った。冷房からは冷たい風が流れ
ている。「2名様ですね、空いてるお席へどうぞ」と言われたので、僕たちは窓際の席に向かい合って座った。
「アイスコーヒー」
「じゃ、私はアイスティーで」
 手短に注文を伝える。まだ食事をするには全然早い時間帯だ。かといって、ケーキなどを注文する気が起きる
わけでもない。落ち着いて腰を下ろせる場所と喉が渇かないだけの水分があれば、とりあえず不満はなかった。
「お花屋さんの調子はどう?」僕がまず口を開いた。香奈の実家は花屋を経営しているのだ。
「いつも通りだよ。6月だからなのか何なのか、結婚式でまとまった注文が入ったりもするし。学業と手伝いとの両
立が結構大変でさ。どうせ花屋継ぐから、就活がないってのだけが救いだよ」
「就活? もうそんな時期なのか」
105サボテン 2/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/22(日) 21:34:04.54 ID:b7P9t7U90
「お互いもう3年生でしょ。ま、修一みたいに歯学部だと6年間学生やれるから、あまり実感ないだろうけどさ。ほと
んど遊んで暮らせるわけでしょ、うらやましいなあ」
「いや、僕たちにだって最終的には国家試験とか色々あるわけで。今は比較的楽だけど」
「ふう、何かね。私とか、何のために大学に行ってるんだか分からなくなるよ」
 ちょうど香奈がため息をついたと同時くらいのタイミングで、注文した飲み物が運ばれてきた。細長いグラスの中
で、氷の塊がカランコロンと音を立てる。
 香奈がストローに口を付け、ゆっくりとアイスティーをすすり始めた。そして、しばらく口をそこから離さなかった。
一度、会話をリセットしたいのだろう。この手の話題が持ち上がると、どうにも言い表しがたい焦りのようなものが
生まれてくるらしく、あまり突っ込んだ議論をしたがらないのだ。理解できる話ではあるし、僕にも心当たりがある。
そして、今は何かを考えても、何ら実のある回答にたどり着かないであろうことも承知しているのだ。世の中なるよ
うにしかならないし、先のことなんて分からない。
 僕も無言でアイスコーヒーに口を付けた。じんわりと冷たい苦みが口の中に広がってくる。そうこうする内に、何
となく昔のことを思い出していた。
 高校を卒業する際に、僕たちは将来のことを巡っていささか激しく言い合いをしたのだ。

 高校の卒業式の日、香奈はひどく青白い顔をしていた。まぶたは腫れぼったく、視線もやけに虚ろだったように
記憶している。一言で言えばやつれた顔だった。誰が見てもそれが異常だと思えるくらいに。香奈は、卒業式の間
ずっと両隣の女友達に心配されていたけれども、頼りなさげに「大丈夫」と繰り返しては、しきりにため息をついて
いた。
 全体行事が終わり、教室で記念品などが手渡され、解散となった。ちょうどみんなが記念写真を撮りに正門に向
かって移動を始めた頃合いだった。荷物をまとめていた僕の前に香奈が現れて、僕の袖を掴んだ。
「話したいことがあるから、一緒に帰ろう」
 記念写真を撮ってからでもいいんじゃないかと思ったけれども、それは口に出さなかった。それを許さない雰囲
気があった。思い返してみても、その日の香奈の表情はひどいものだった。むしろ記念写真なんか撮らなくて正解
だったかも知れない。
 学校を出て、二人ともずっと無言で歩いた。まだ街中には肌寒さの残る季節だった。桜はまだつぼみをちょこん
と付けているだけだったし、コートを着て歩いている人も珍しくなかった。
 僕たちは緩やかな勾配を上り続けた。山梨大学のキャンパスを抜けて更に北に進むと、山の入り口くらいの位
置に武田神社の境内が見えてくる。祭りのシーズンになると人で溢れるのだけれども、そうでない大半の時期は
ひっそりとしていた。参拝コースを外れて脇道に入ると、閑散とした林道へと続いていた。
106サボテン 3/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/22(日) 21:34:26.02 ID:b7P9t7U90
「別れよう」突如、香奈が振り返って言った。「私は地元に残る。修一は東京に出る」
 この時以上に驚いた経験は、僕の記憶にはない。
「ちょっと待てよ」負けじと僕も吠えた。「それでもいいって散々話し合ってきたじゃないか。東京・甲府間はせいぜ
い2時間かそこらだろ。会う機会は減るけれども、決して無理な距離じゃない」
「私はいずれ花屋を継ぐ。修一は歯医者を継ぐ。どのみち私たちは一緒にはなれないよ」
 香奈が言うには、こういうことだった。花屋の仕事は大変なのだ。女手一つでつとまるような仕事ではない。仕入
れ先との関係も上手く保つ必要があるし、大きい仕事を落としたりしたら大変なことになる。それに、花は生き物
なのだ。いい加減な仕事に対して花は嘘を吐かない。私は、一緒にこの仕事を頑張っていける相手を探さなけれ
ばならないのだ。修一とでは無理だよ。
 僕は面食らってしまった。確かに、僕には香奈の家の花屋を継ぐことは出来ない。それは当時もそうであったし、
現在に至るまで変わらない事実だ。だが実際、香奈のお父さんが店を切り盛りしているうちは大丈夫なはずだ、
とも考えた。だから僕は食い下がるように言った。
「香奈のお父さんだってまだ若いだろ。あと15年くらいは働けるんじゃないか。なんでそんな先のことを今、急いで
考えないといけないんだ?」
 僕の言葉を受けて、香奈が黙り込んだ。この時の沈黙は、まるで永遠に続くのではないかとさえ思えた。もう少
し考えれば、もっとマシなことが言えたのかも知れない。しかしこの時点での僕の限界はこの辺にあった。僕はじっ
と待った。
 沈黙を破って、微かにすすり泣く声を耳にした。泣いていたのは香奈だ。それが更に追い打ちをかけるように、
僕の頭の中を真っ白にした。
――え? え?
 かける言葉も見つけられないまま、僕は香奈の肩をそっと抱いた。香奈は僕の胸に顔を埋めてきた。しばらくそ
うしていたように思う。どれだけの時間が過ぎたかなど覚えていない。そのまま香奈が寝てしまうのではないかと
まで心配したほどだった。
 しかし香奈は寝たりはしなかった。ひとしきり泣いた後、ふと顔を上げて言った。
「後になればなるほど、別れるのが辛くなるでしょ――」

 結局、その日僕たちは別れなかった。何とか香奈が落ち着くのを待って、そのまま家に帰った。そして次の日か
らは、まるで何事もなかったかのように振る舞った。
 ただ僕は、あの時香奈が言った言葉がただの気の迷いであるように、とずっと思いながら暮らしてきた。雨の日
も風の日も。あれから2年と少しが過ぎた。未だにその答えは見いだせていない。
107サボテン 4/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/22(日) 21:35:59.87 ID:b7P9t7U90
「修一、何ボーッとしてるの?」
 気がつくと、香奈はとっくにアイスティーを飲み終えていた。僕のアイスコーヒーもそれなりに減ってはいたが、氷
は半分溶けかかっており、幾分薄まってしまった。
「いや、香奈に見とれてたんだよ」
「見え透いた嘘だね。でもいいよ、そういうことにしておくから」
 僕たちが勘定を済ませて喫茶店を出る頃には、ようやく街も夕方らしくなってきていた。薄雲が夕日に照らされて、
まるで赤い糸のように空に浮かんでいた。月がいよいよ明るく灯り始めている。風がさっきよりも涼しく感じられた。
「送っていくよ」香奈の手を取って、僕が言った。
「うん」
 久しぶりに歩く道は、驚くほど東京とは風情が違った。コンビニには駐車場があり、沿道には2階建ての民家が
所狭しと並んでいる。僕が初めて上京した時の驚きを、中身をひっくり返して逆輸入してきたようだった。しかし、
僕が人生の大半を過ごしてきたのは紛れもなくこの街なのだ。
「なあ、香奈。この間東京に来たでしょ。どう思った?」
「何、その質問。そりゃあ都会だと思ったよ。あと案外甲府から近いともね。まさか、これからずっと東京で暮らそ
うとか考えてるの?」
「いやいや、その逆だよ。僕は必ずこの街に帰ってくる」
「そりゃ、歯科医院を継がなきゃだもんね」
 香奈の実家は、少し寂れた商店街の一角にあった。軒先には所狭しと色とりどりの花が並べられていて、それ
らがまさに店じまいのために取り込まれようとしているところだった。
 店先には香奈のお母さんがいた。見知った仲であり、僕たちの関係についても知っている。とりあえず僕と軽く
挨拶を交わすと、彼女はそそくさと店の奥へ消えていった。知っている限り裏表のある人ではない。きっと、忙し
かったのか僕たちに気を遣うかしただけのことだろう。
「ねえ、香奈。一つ鉢植えを見繕ってくれないかな」
「え、修一が買うの? もちろんいいけど」
「出来れば、東京にまで持ち運べるようなやつが欲しいな」
「本気?」香奈の声が裏返った。「じゃあ、ずぼらな修一にでも育てられそうなやつにしよう」
 そう言って、香奈が店の中から取り出してきたのは小さなサボテンだった。雪だるまのような形をしていて、産毛
のようなトゲが生えていた。中々にかわいい。かわいいやつだ。
「ね、かわいいでしょ。花も咲くんだよ。それに水をほとんどあげなくても育つから、ものぐさな修一にもぴったりだ
ね。むしろ、水をあげすぎると腐っちゃうから気をつけて。そのくらいかな」
108サボテン 5/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/22(日) 21:36:35.39 ID:b7P9t7U90
「うん、ありがとう」
 お礼を言いがてら、僕は背を少しかがめて香奈の唇にキスをした。久しぶりに味わう感触はどこか夢見心地め
いていて、ほんの少し不安を和らげてくれるようだった。そのまま会計を済ませて、「じゃあ」と声をかけた。そろそ
ろお腹も空き始めていたし、それは香奈も同じだったと思う。
「待って」香奈が言った。
 僕は、きびすを返しかけていた身体を元に戻した。香奈が僕を見上げている。結構な身長差があるのだな、と
改めて思う。
「今日はありがとう。一つだけ言っておきたかったんだ。私、お花が大好きで、お花屋さんをやっているお父さんと
お母さんを心から尊敬している。私もこのお花屋さんを継いで、この仕事を続けていけたらいいな、って思う。でも
ね、何が一番大切なのかって、ちゃんと分かってるから。だから不安に思わないでね」
 そう言いきると、香奈は気ぜわしげに咳き込んだ。満面の笑みだったけれど、咳き込んだ後の目には涙を浮か
べていた。
 そんな加奈の態度に半ば気圧されるように、僕は小さくうなずいた。
 僕はきっと今の自分を捨てられない。かといって香奈を失うことだって怖い。色々なものから逃げ回った挙げ句、
ある日がんじがらめになった自分に気付くのだ。
 だからせめて、香奈が大事に思っているものを僕も大事にしたいと思う。
 僕はサボテンの鉢植えをぎゅっと握りしめる。東京のような不毛地帯でも育つこのサボテンを、僕はこれからずっ
と育て続けていく。それが、香奈が守ろうとしている小さな世界の、さらに小さな一部を守ることでもあるはずだか
らだ。
「毎年、ここに花を買いに来るから」別れ際、僕はそう言い足した。
「うん、待ってるよ。あと、枯らさないであげてね」

 帰り道、僕は妙なことを思い返していた。昔、音に反応して踊り出すサボテンのおもちゃが売っていたような覚え
がある。もちろん、このサボテンは踊ったりしないのだけれど、何となくそのイメージと重なるのだ。
 僕は、サボテン以外の誰にも聞かれないようにつぶやいた。
――きっと、お前はお前なりに生きてるんだろうね。
 ふと、微かに返事が聞こえたような気がした。僕の声が小さかったせいか、その声も全く聞き取れないくらいに小
さかったけれど。

     <fin>
109サボテン:2008/06/22(日) 21:36:55.53 ID:b7P9t7U90
終わりですタイ
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 21:37:41.81 ID:LilvkZY20
ほんの〜ち〜いさな〜できごとに〜♪
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 21:50:59.05 ID:sLIWUpuH0
サボテンと言われると
聖剣伝説のサボテン君を思い出すます。
あの日記が大好きでした。
112銀色 0/3 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/22(日) 22:00:05.42 ID:fHOJoSur0
品評会投下しますぜ。
113銀色 1/3 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/22(日) 22:01:37.08 ID:fHOJoSur0
逃げて逃げて、結局ふたりが辿り着いたのは男の小さな部屋だった。
埃っぽい部屋には簡易ベッドとスチール机くらいしか置かれてなくて、安いビジネスホテルみたいだとあたし
は思った。目の前の男はあたしが何を思っているかなんて考えている余裕はなさそうだけど。影になっていて表
情は見えないけれど、肩の上下する間隔の短さで男の呼吸の荒さを感じることができる。最近、急に白髪が増え
たのは、もしかしなくてもあたしのせいだ。
あたしはベッドに座った。男は畏怖の眼差しであたしの顔を見つめている。神様のように畏れているのか、下衆
のように蔑んでいるのかはわからない。指先が震えていた。
「うわああああああっ」
 スイッチが入ったように男は叫んで、あたしを押し倒した。そのまま、セーラー服からタイをもぎとってあたし
の腕を縛る。ポリエステルのさらさらとした冷たさがあたしの腕に食い込む。痛い。男はその勢いのまま、スチー
ル机から果物ナイフを取り出してあたしを見つめた。
 空っぽだ。さっきまであんなにあたしに怯えてた目が今はもう空っぽだ。
「殺すんだったらさっさと殺せばいいじゃない。抵抗なんてしないわ」
 うら若き乙女だもの。そりゃ、まだ死にたくはない。だけど、もし、彼の手で殺されたなら彼の心に一生、誰より
も強く残り続けることができる。彼の妻よりも、息子たちよりも強く強く。だったら、今ここで殺されたってかまわ
ない。
 ナイフの鈍い反射があたしの目を刺す。一度深く呼吸をして、あたしは男を睨みつけた。
「あたしが邪魔なんでしょう?なんで今更現われるんだって言いたいんでしょ?
殺したらいいじゃない。あたしは地の果てまであなたを追いかけるわよ」
男のうめくような声が床に静かに落ちていく。
「ねえ、なんとか言ってよ。お父さん」
114銀色 2/3 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/22(日) 22:03:09.11 ID:fHOJoSur0
ママが若い頃、そう、今のあたしから1つ2つ歳をとったくらいの頃、ママは恋をした。激しく身を焦がす一
生に一度の恋だったんだ、ママにとっては。あたしを身ごもった瞬間がきっとママの幸せのピークだったんじゃ
ないかな。だって、そのことを伝えた愛しのダーリンはその翌日、きれいに姿を消してしまったんだもの。消息
を調べても、偽名を名乗ってたことがわかっただけだったらしいわ。あたしを産んだ後、ママは少しずつおかし
くなって、とうとう『帰ってこれない場所』へと行ってしまった。確かに、ママにも愚かなところはいっぱいあ
ったんだと思う。でも、ママは全てを受け入れるには若すぎたのよ。
「ねえ、今のあたしってその頃のママの生き写しってよく言われるの。」
 そう言うと、あたしはママの声色を真似て男の名前を呼んだ。
「やめろっ。やめてくれっ」
 男の顔からは汗が滴り落ちている。
ママとあたしを捨てた男は成功者になった。若くして立ち上げた事業は繁盛し、美しい女と結婚し、2人の息子に
恵まれた。ナイフを握る左手には銀色の指輪が輝いている。
おんなじ銀色なのに、娘のあたしに向けるのはナイフなんだ。
「あはははははははは」
 なぜだか、腹の底から笑いが込み上げてきた。
 こんな男許せるわけない。幸せになっていいはずがない。冗談じゃない。
 15歳の誕生日にあたしは彼の『亡霊』になった。彼の行くところにはどこまでもついていって呪いの言葉を唱え
続けた。興信所を雇って、あたしが誰だかわかった時の彼の顔ったら、本物の幽霊に呪われたみたいに真っ青でと
てもとてもユカイだったわ。
115銀色 3/3 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/22(日) 22:04:17.94 ID:fHOJoSur0
「なんで……なんで笑うんだっ」
男はナイフを振りかざした。ああ、もう終わりだ。ぎゅっと目をつぶったあたしにやってきたのは鋭い痛みで
はなく『父親』の感触だった。カラン、と果物ナイフが床に落ちる音が響く。
男はあたしを抱きしめたまま、嗚咽を漏らし続けた。
肩に入れる力がぎゅっと強まった瞬間、低く掠れた声で言った。
「君たちには本当にすまないことをした」
 男の涙があたしの頬を伝う。
「謝りたいの?」
 男は黙ってうなずいた。
「じゃあ、まずこの腕を解いて。それから、ママと同じところへ行ってよ」
  
あたしは鞄から手錠を取り出すと、片方の輪をお父さんの腕に、もう片方の輪をベッドの脚に留めた。
「素敵!これでママとお揃いね!」
次に来るときにはママとお揃いの真っ白なパジャマを持ってきてあげよう。 
 追いかけるあたしから逃げきれなかったお父さんが辿り着いたのは
 家族にも会社にも存在を教えていない1番小さな彼の別宅だった。
「お父さん、じゃあね」
あたしは『お父さん』の部屋の鍵をカチャリと締めた。

<終>
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:10:59.29 ID:FEbuK4Ou0
随分前にもらったお題ですが、
通常作品投下します。

5レスいただきます。
117僕の夏休み (お題:消しゴム、日記帳) 1/5 ◆bsoaZfzTPo :2008/06/22(日) 22:12:13.72 ID:FEbuK4Ou0
 八月十四日 日よう日 天気・はれ 崎田ゆうき

 きょうは、お父さんとお母さんといっしょに、動物えんにいきました。
 ライオンがずっとねていてつまらなかったです。でも、キリンはぼくの出した葉っぱを食べてく
れました。ベロがむらさき色で、少しこわかったです。
 お昼ごはんはレストランで食べました。お父さんがビールを飲んだので、帰りの車はお母さん
が運転しました。家に帰ってくると、お父さんはきもちわるいと言って、トイレに走っていきまし
た。ぼくは、お母さんといっしょに「ダメなお父さんだね」と言って笑いました。
 とても楽しかったです。

 がしがしと、力任せに消しゴムをかけた。日記のページが折れ曲がってぐしゃぐしゃになった
けれど、構わずに消しゴムをかけた。破れてしまっても良いと思った。
「くそっ、こんなの、消えろよっ」
 黄色の色鉛筆で書いたキリンがなかなか消えない。声を出すと、こらえきれずに涙が落ちた。
 日記を書いたのはほんの一時間前なのに、嘘ばかりの偽物に思えて仕方が無かった。いや、
偽物と言うなら、嘘だと言うのなら、今この状況がそうであって欲しかった。

 夏休みの宿題で、絵日記ほど面倒な物は無かった。そう毎日毎日、日記に書けるような面白
いことが起きるわけが無いのだ。その点、今日は動物園に言ったから、簡単にに書くことが出
来た。
 二十分ほどで今日の分の日記を書き上げた僕は、お風呂に入ろうと上機嫌で部屋を出た。居
間ではお父さんとお母さんが、テレビもつけずに向かい合ってソファーに座っていた。こういう時
は「大人の話」という奴をしているらしくて、僕に出番は無い。
 けれど、さっさと通り過ぎるつもりだった僕に、お父さんが声をかけた。
118僕の夏休み (お題:消しゴム、日記帳) 2/5 ◆bsoaZfzTPo :2008/06/22(日) 22:13:02.15 ID:FEbuK4Ou0
「裕樹、ちょうど良い。こっちに来なさい」
 お父さんの声は低い。これは不機嫌な時の声だ。お父さんとお母さんが真剣に話し合わなけ
ればならないほど悪いことをしただろうかと考えながら、おそるおそるソファーに近づいた。
「座りなさい」
 お父さんが自分の隣を示した。僕を怒る時はいつも向かい側に座るから、今日はそういう話で
はないのかもしれない。では、なんで怒っているのだろう。
「裕樹、こっち」
 それまで黙っていたお母さんが、いきなり僕の腕をつかんで引っ張った。尻餅をつくような形で
お母さんの隣に座った僕を、お父さんが驚くほど怖い目で見た。
 お父さんは一度視線を外し、大きく息を吸って、吐いた。それから僕の目をしっかりと見て、
言った。
「裕樹、お父さんとお母さんは、離婚することになった」
 一瞬、何を言われているのかわからなかった。離婚という言葉の意味がわからなかったので
はない。予想もしていなかった言葉に、考えが追いつかなかったのだ。けれど、お父さんは勘違
いしたらしく、離婚という言葉の意味をゆっくりと話し始めた。
「つまり、お父さんとお母さんは、これから別々に暮らすんだ。家も違うところに住むし、ご飯も一
緒に食べない。一緒にどこかへ出かけることも無い。もう会わない。離婚というのは、そういうこ
とだよ」
 そんな事は知っていた。離婚すると名字が変わる事だって知っていた。三年生の時、同じクラ
スだったきーくんの両親が離婚したのだ。その時、きーくんは岸田から平野に名字が変わった
のだ。今はお母さんと一緒に、おじいちゃんとおばあちゃんの家に居ると言っていた。
 だから、僕が問題にしたいのは、離婚がどういうことかではなくて、なんでうちが離婚するのか
という事の方なのだ。
 僕がぐるぐると考えていると、ようやくお母さんが口を開いた。
「だからね、裕樹にはお父さんかお母さん、どっちと一緒に来るか、選んでもらいたいの。わか
る?」
119僕の夏休み (お題:消しゴム、日記帳) 3/5 ◆bsoaZfzTPo :2008/06/22(日) 22:13:35.39 ID:FEbuK4Ou0
 わかっている。それは、どちらについていったところで、選ばなかった方とは会えなくなるという
ことだ。いや、そもそも両方と会えたところで、意味が無い。僕は二人一緒に居て欲しいのだ。
「嫌だ、どっちかなんて選べない! お父さんもお母さんも好きだもの!」
「わがままを言うんじゃない」
 お父さんが困った顔をしたけれど、そんな事は知らない。わがままなんかじゃない。自分の大
切なものを望むことが、悪いことであるはずがない。
「なんで? お父さんもお母さんも仲良しじゃないか。今日だって動物園に行って、楽しかった
じゃない。なんで離婚なんてするの」
 そうだ、今日みたいに楽しいことがこれからだっていくらでも出来るのに、なんで別々に暮らす
なんて言うのだろう。一緒に居れば楽しいのだから、一緒に居れば良いんだ。
 それなのに、お父さんは僕から目をそらして言ったのだ。
「いや、三人で出かけるのも最後になるし、お前に楽しい思い出を残してやろうと思ってだな……」
 そんな言葉が聞きたかったのではない。なぜお父さんはそんなに自信の無さそうな顔でぼそ
ぼそとしゃべるのだろう。伝えたいことは相手の目を見て話せと、そう教えてくれたのはお父さん
なのに。
「ほら、言ったじゃない。そんなことしてもこの子には酷なだけだって。やっぱりあなたは、裕樹
の事が全然わかってないんだわ」
 お母さんは僕の肩を抱いて、勝ち誇った様に言った。お母さんが僕をわざわざ隣に座らせた
のは、このためだったのだ。僕を連れて行って、お父さんともう会わないためなのだ。
「嫌だっ!」
 僕はお母さんの手を振り払って、居間から飛び出た。お母さんの呼ぶ声を無視して、そのまま
自分の部屋に駆け込んだ。お父さんも、お母さんも、僕を連れて行こうとしている。だったら、こ
の部屋から出なければ良い。僕がここに居る間は、僕を連れて行けないから、ずっと家に居てく
れるはずだ。そう考えて、後ろ手で閉めたドアに鍵をかけた。
120僕の夏休み (お題:消しゴム、日記帳) 4/5 ◆bsoaZfzTPo :2008/06/22(日) 22:13:56.85 ID:FEbuK4Ou0
 どれだけ待っても、お父さんもお母さんも来なかった。すぐに追いかけてくると思ったのに、居
間のほうから「よういくひ」だとか「しんけん」だとかいった、荒い声が聞こえてくるだけだ。もう、
僕を説得するなんていう段階は通り越していたのだ。お父さんとお母さんが離婚するのは決まっ
てしまっていて、僕に与えられたのは、どちらについていくかを選ぶことだけだったのだ。僕が出
てこないから、お父さんとお母さんは、どちらが僕と一緒にいくかを言い合っているのだろう。
 嘘だったのだ。
 仲の良かったお父さんとお母さんも、平凡で退屈な毎日も、今日動物園で楽しかったことも。
 全部が全部、偽物だったのだ。
 机の上に出しっぱなしにしてあった日記帳が目に入った。
 そうだ、嘘だったのなら、今日の日記は消さなければならない。日記は本当のことを書くもの
だ。嘘を書いてはいけない。
 昨日、お母さんの手伝いをして、笑いながら夕飯を作ったのも嘘だったのだろう。この間、お
父さんとバッティングセンターに行ったのだって偽物に違いない。
 平凡で、退屈で、楽しかった夏休みなんて来ていなかったのだ。日記に書くことが無いだなん
て悩めるような、そんな日常は僕が勝手に思い込んでいたものだ。
 消してしまおう。
 僕は、筆箱から消しゴムを取り出した。

 日記帳は、もうぼろぼろだった。無理やり消そうとした色鉛筆の絵は、ところどころ汚く残って
いるし、涙で濡れてふやけたところに消しゴムをかけたせいで、千切れてしまったページもある。
 けれど、もういいやと思った。
 きっと、これが僕の正しい夏休みだった。仲の良かったお父さんとお母さんが、あんな言い合
いをするようになるほど、どうしようもない日々が、僕の気づかないところで進行していた。
 気づいていれば、僕にも何か出来たかもしれない。まだ、お父さんとお母さんが僕を追いかけ
て、この部屋に来てくれる頃に気づいていれば、僕が離婚を止められたかもしれないのだ。
121僕の夏休み (お題:消しゴム、日記帳) 5/5 ◆bsoaZfzTPo :2008/06/22(日) 22:14:27.87 ID:FEbuK4Ou0
 僕が嘘の生活に騙されていたのがいけない。そもそも、僕を騙さなければならないと、お父さ
んとお母さんに思わせたのがいけない。僕はたしかに子供だけれど、僕にも相談するのが自然
であるくらい、大人でなければいけなかった。
 だから、大人になろう。お父さんと一緒に行っても、お母さんと一緒に行っても、今日までのよ
うな偽物の日々よりもずっと楽しい、本物の生活を作れるように。
 明日には僕がどちらと一緒に行くか決まっているだろう。お父さんかお母さん、どちらかともう
会えないのは悲しいけれど、もう泣いてなんかやらないのだ。二人だから楽しいことを見つけ
て、毎日笑って暮らしてやろう。
 夏休みが明けたら、この日記帳をそのまま提出しよう。ページが破れたり折れ曲がっていたり
して、せっかく書いたのに消そうとした偽物の生活があって、それでも消しきれなかった汚い日
記だけれど。
 それが、僕の夏休みだったのだ。

<了>
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:16:54.91 ID:PIdM2fOC0
御題をください
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:17:38.50 ID:Ydt/3kUy0
合わせ鏡
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:18:47.81 ID:PIdM2fOC0
>>123
把握
夏は会談の季節ですね
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:22:27.39 ID:1mz6gqvJ0
品評会って1作品しか出しちゃいけないですか?
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:24:00.12 ID:b7P9t7U90
>>125
そんなことないよ 俺も昔2作品出したよー
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:27:43.50 ID:FEbuK4Ou0
>>125
駄目ってことはないはず。

以前、運営の人が30作(25だっけ?)超えたら自重して、みたいなことを
どこかに書いてた気はする。

実際のとこ、酉を変えればわかんないし。
128 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/22(日) 22:33:17.52 ID:1mz6gqvJ0
なる。じゃあお言葉に甘えて、品評会投下します
129フリーダム・ロード 1/5 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/22(日) 22:34:32.42 ID:1mz6gqvJ0
 時代は暗雲の最中にあった。
 ソクバック王国の大王シバールは横暴な規律の数々で、多くの民衆を縛り付けていた。
 隣国カイ=ホーの王子リーダムは、大王に天誅を与えるべく、伝説の拘束剣を手にする。
 拘束剣とは、大地に災いなすものが現れた時、それを拘束すべく鍛えられた五つの剣である。
 リーダム王子はその内の一つ、【大地の拘束剣】を手に、単身敵国へと乗り込んだ。

 国境の砦ミハールで、リーダム王子を待ち受けていたのは王国四天王の一人である。
 その名もトマレ。四天王のうち最も若く、そして信念をもつと名高い戦士であった。
「貴公がカイ=ホーのリーダム王子か。ここより先へは通さぬ」
 言うや否やトマレはリーダム王子に斬りかかって来た。
 その剣閃は雷光の如く鋭く、そして凄絶であった。
「くっ、さすが四天王! ボクがここまで押されるなんてっ!?」
 リーダム王子は、かろうじてその剣閃を防ぐのが精いっぱいである。
 しかし、トマレはリーダム王子を追い詰めるでもなく、いったん距離を取って言い放った。
「ここで引き返すというのであれば命は取らぬ、立ち去るがいい」
「な――に――!?」
「どのみち、そのような腕前では大王に適うはずもない。拘束剣とやらも、名ばかりの玩具に過ぎぬようだ」
 そう言って笑ったトマレは、次の瞬間、信じられないものを目にした。
 大地が、波打っている。小さな波紋が、大きな渦となり、荒波を呼び起こす。戦場は嵐の大海原と化した。
「な、なんだ。何が起こっている!?」
「ボクは弱いかもしれない……それでも、行かなくちゃいけないんだーッ!」
「こ、これが、拘束剣の力だというのかッ! ぐわァーッ!」
 押し寄せた土砂の波が、トマレの身体を軽々と呑み込んだ。

 かろうじて頭だけが地上に出た状態で、トマレは束縛されていた。
 トマレを呑み込んだ土砂は、その瞬間に硬化し、大地となってトマレを封じ込めたのである。
「うごけん……なるほど、拘束剣とは文字通りか。ふ、とどめを刺すがいい」
「そんなことはしない。ボクは、ソクバック王国の人々を救うために来た。あなたを殺したいわけじゃない」
 リーダム王子は、悠々とミハール砦を通り抜ける。すでに砦の兵士は、四天王敗北の現場を見て、戦意を失っていた。
 リーダム王子の背中を眺めながら、トマレはこの借りをいつ返してくれようかと考えていた。
130フリーダム・ロード 2/5 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/22(日) 22:35:00.26 ID:1mz6gqvJ0
「トマレが敗れたとな?」
 ソクバック王国、そびえ立つ王城シール=バインド。その玉座の間にて。
 四天王の一人にして国王の右腕、トップスはその報告を耳にした。
「ほほう。拘束剣か、厄介じゃのう」
 言葉とは裏腹にニヤニヤと笑いを深めるトップスを、もう一人の四天王がたしなめた。
「じさま。笑っている場合じゃないにゃあ」
 ぴこぴこ、とネコミミを動かすのは、四天王の紅一点、ネム。
 少女のような外見とは裏腹に、トップスに次ぐ地位にある四天王であった。
「拘束剣が相手じゃあ、並の兵士じゃ相手にならんにゃあ」
「そうじゃな。では、並ではない兵士をぶつけるしかないのう」
 そんな2人の後ろで、玉座の影は沈黙を保ち続けていた。

 宿場町ヤドーにて、リーダム王子は謎の戦士に挑まれた。
 野獣のような体つきをしたそいつは、身を低くして構える。
「さあ、見せてみろよ! 大地の拘束剣の力をな!」
「この剣の力は、そう易々と使っていいものじゃない……」
「へっ、そうかよ!」
 二人は宿を前に対峙していた。吹きすさぶ風、集まるギャラリー、そして転がる回転草。
 謎の戦士はよりいっそう身をかがめると、短刀を取り出した。
「だったらこっちから、行かせてもらうぜ……【炎天の拘束剣】よッ!」
 謎の戦士が気合いを発すると、短刀は赤く燃え上がり、凄まじい熱気を放つ。
 その業火に、ギャラリー達は思わず顔をそむけた。
「なっ!? こ、これが炎天の拘束剣……凄いパワーだ。まるで太陽がもう一つあるような」
「オラオラオラッ!」
 灼熱の輝きは、閃光と熱量をもってリーダム王子を苦しめる。
 今にも溶けてしまいそうな身体を、精神力だけで動かし、相手の攻撃になんとか対応した。
 しかし、地上にあるまじき炎の嵐は、リーダム王子の体に火傷一つ負わせることはなかった。
 そう。炎天の拘束剣は、その有り余る輝きと、るつぼの如き熱気によって相手を拘束するのだ。
 滴り落ちる汗に、リーダム王子が死を覚悟した、その瞬間であった。
 二人の剣戟を引き裂くように、一条の流星が飛来した。
131フリーダム・ロード 3/5 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/22(日) 22:35:31.59 ID:1mz6gqvJ0
 流星の正体は、一本の剣だった。リーダム王子と謎の戦士は同時に、その剣を放った相手を見る。
 そこに居たのは、ネコミミと猫尻尾をもつ四天王――ネムであった。
「にゅっふっふ。リーダム王子はあちきのエモノだにゃあ、邪魔者はあっちいくにゃあ」
 ちりん。と、その喉元で黄金の鈴が鳴る。途端、彼女の両手に、それぞれ五本の剣が現れた。殺気は、謎の戦士へ。
 謎の戦士はその俊敏さを最大限に発揮し、大きく距離を取る。掲げた拘束剣から放たれる熱波。
 ネムはそれを物ともせず、両手の剣を弾丸のように放り投げた。
 剣は直線の軌跡を少し描いたかと思うと、次の一瞬で大きく蛇行し、そして旋回。
 謎の戦士は、多方向から襲いくる剣を紙一重でかわしきると、その勢いで建物の屋根に飛び、姿を消した。
 その姿を見送って、ネムはぽりぽりと頭をかいた。
「やっぱり拘束じゃない用途に使うと、精度が悪いにゃあ」
「拘束だって? まさか、拘束剣!?」
「その通りだにゃあ。あちきは【黄金の拘束剣】の使い手にして、王国四天王の一人、ネムだにゃあ」
 ちりん。鈴――黄金の拘束剣が、澄んだ音色を響かせると、先ほど投擲された剣が独りでに宙に浮く。
「リーダム王子。おまえをやっつけるにゃあ」
 浮遊する剣が、ゆっくりとリーダム王子を取り囲み、値踏みするかのように周囲を旋回し始めた。
 リーダム王子は大地の拘束剣を握りしめた。そして。
「拘束するにゃあ!」
 ネムの一声で、剣は高速で周囲を巡る。あまりの残像に、円環のように連なって見える。否。
 剣はいつの間にか金属の円環となって、リーダム王子をその中央に据えていた。
 リーダム王子は咄嗟に剣の力を使う。隆起した大地で、自らの身体を覆い隠す。そびえ立つ岩石。だが。
「ムダにゃあ。大地の拘束剣の力は、この黄金の拘束剣の力を高めるんだにゃあ」
 金属の円環はその岩石を打ち砕き、内部のリーダム王子を見事に捕縛してしまった。

「ちっ。見てられねえな」
 突然の熱波が、その円環を吹き飛ばした。炎天の拘束剣の力である。見れば、謎の戦士がそこにいた。
「炎天の拘束剣は黄金の拘束剣を弱め、大地の拘束剣を強める――助太刀してやるぜ」
「キミは一体……どうして助けてくれるんだ!?」
「俺はセーギ王国のジャスティ王子。リーダム王子に助太刀するためやって来た。ま、力を試させて貰ったのさ」
 自由になったリーダム王子は、ジャスティ王子と肩を並べた。対するネムは尻尾を膨らませる。
「えーっ、ずっこいにゃあ! 二体一とは卑怯にゃあー!?」
132フリーダム・ロード 4/5 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/22(日) 22:36:34.96 ID:1mz6gqvJ0
 玉座の間には、ことの一部始終が魔法画面で映し出されていた。
『えーっ、ずっこいにゃあ! 二体一とは卑怯にゃあー!?』
『うるせえ! 力こそ正義! 勝ちゃいいんだ勝ちゃ!』
『にゃふーんッ!?』
『ごめんよ、これも民の自由のためなんだ……』
「まさかセーギ王国の者まで動いていたとは、誤算じゃったのう」
 魔法画面の中では、ネムがぐるぐる巻きにされて縛られていく様子が映されていた。
「このままでは城に迫られるも時間の問題……じゃが、果たしてお主らに、その森を抜けられるかのう」
 画面のリーダム王子たちは、簀巻きのネムを抱えたまま、鬱蒼と茂る森の前に立っていた。

 森の中でリーダム王子は、いつの間にか簀巻きを担いだジャスティ王子とはぐれていた。
 どうもこの森は迷いの森らしく、どの方向に向かっても見覚えのある地形ばかりに出てしまう。
 迷い続けていたリーダム王子は、唐突に背後から声をかけられた。
「どうしたのですかしら、わかものよ」
 驚いて振り返ると、そこには美しい女性が立っていた。
「あなたは一体……?」
「まよっているのですわね、わかものよ」
 リーダム王子の問いには答えず、女性は更に続けていく。
「このもりは【密林の拘束剣】によってうみだされていますわ。だいちのきを、さぐりなさいな。わかものよ」
 それだけ言い残すと、女性はふらふらと木々の合間へ消えていってしまった。
 あまりの美しさと、その神々しさに、リーダム王子はつい、その姿を見送ってしまった。

 女性の言ったとおり、大地の気を探って、リーダム王子は森の出口にたどり着いた。
 そこには、既にジャスティ王子達が居た。なぜかへばっているネムを見て、リーダム王子が首をかしげると。
「ああ、拘束剣で木を斬らせまくって直進してきたんだ」
 と、ジャスティ王子は豪快に笑ったのであった。

 王城シール=バインドの城門前で、一人の男が待ち構えていた。それは四天王のトマレであった。
「私はお前達と戦うつもりはない。いや、一緒に行かせてほしいのだ。王の真意を確かめるために、案内しよう」
 リーダム王子は頷いた。こうして、新たな仲間が加わった。
133フリーダム・ロード 5/5 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/22(日) 22:38:23.32 ID:1mz6gqvJ0
 トマレの案内で、リーダム王子達はついに玉座の間へ到達した。叫ぶリーダム王子。
「大王シバール! 人々をいろいろ縛るのをやめろ!」
 玉座の影は黙して語らず、トップスが何事か反論しようとしたときであった。ついに、影は言った。
「いつまで眠っているんですか、目覚めなさい。オキよ」
 その途端、簀巻きにされていたネムが激しく唸り声をあげる。すかさず、はじけ飛ぶ簀巻き。
 黒い疾風が玉座の傍らに舞い上がり、恭しく首を垂れる。その身体は黄金の鎧に包まれていた。
「グルルル……四天王が一人、オキ、ただいま覚醒……アオーンッ!」
「まさかっ、最後の四天王!?」
「さよう。オキは黄金の拘束剣によって拘束されてきたもう一つの姿じゃ、今こそ、その拘束は解き放たれたのじゃ」
 トップスが笑う。そして、トマレを見て、その笑いを更に強めた。
「ほほう。トマレよ、裏切りおったか。まあよい、大人しくそこで、拘束剣使いの戦いを見ている事じゃ」
「いや、それには及ばぬ。私もまた、海底神殿より【深海の拘束剣】を授かってきたのだ」
 その手には深き闇を放つ、濡れそぼった刀身が揺らめいていた。驚愕するトップス。
 リーダム王子の大地、ジャスティ王子の炎天、トマレの深海。対するはネム改めオキの黄金。そして。
「五つの拘束剣がここに揃ったのじゃな! シバール大王が、己を災いとして呼び寄せた五本の剣が!」
 大王シバールの身体には無数のツタが巻きついていた。それこそが密林の拘束剣であった。
「これは、女神スーフリーを完全に封じるチャンスですね。あの自由なる災いを、ここに拘束します!」
 大王シバールは力を集中させ始めた。何が起ころうとしているのか、身を固くする一同の中で。
「自由のために倒れろ、大王シバール!」
 一人、飛び出す影があった。それはリーダム王子だった。剣は深々と大王シバールの胸板を貫いた。
 そのリーダム王子の背に、半透明の女性の姿が浮かぶ、美しい女性だった。
《ふふ、密林の拘束剣で封じられていたわたくしが、同じく拘束された迷いの森に出られぬ道理があって?》
「女神スーフリー……! 人類に真なる自由をもたらす滅びの神……! リーダム王子に憑いて出ましたか……ッ!」
 女神は大王シバールを一瞥した。すると、彼の身体は自由になり過ぎて変貌、膨張し、そして破裂した。
 そして女神は優しい微笑みを残して、玉座の間から消え去った。

 時代の暗雲は渦を巻く。人々を解放する女神が降臨した。自由を望む人々は、その加護をすぐに受け入れた。
 そして窮屈な日常生活、面倒な人付き合い、代り映えしない家族生活、あらゆる社会の束縛から自由になった。
 人々は思い思いの姿形を取り、適当にやりたい事をして、死にたくなるまで生きられるようになった。
 自由を捨てたいと、誰かが思うその日まで。嵐は止まない。
134 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/22(日) 22:38:58.03 ID:1mz6gqvJ0
いじょう。たぶん今度はちゃんと小説だと思う
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:39:07.37 ID:sjHvvewX0
じゃあ、品評会投下 全5レス
136キッコーマンよ、月に啼け 1/5  ◆0CH8r0HG.A :2008/06/22(日) 22:40:19.81 ID:sjHvvewX0
 「ああ、分かってるよ」
 もう、何度目か分からない。親父のその滑稽な姿を見つめながら、俺は答えた。それを聞いた親父はもう何も言わず、ただ頷くばかり。
「いよいよ今夜だな、親父」
 蝋燭のみが頼りの暗い部屋。俺は窓のそばに歩み寄り、カーテンを開ける。淡い月明かりが部屋の中に入り込んで、俺達二人を照らし出す。
 しかし、親父の目は最早何も捉えられない。夜の闇とは別の力によって、視界を奪われているのだから。
「あんたの仇は俺が取ってやるさ」
 うぅ、と獣が弱弱しく唸るような声を一つあげて、親父は肩を震わせた。そこにある感情はあの女への憎しみか、それとも復讐の宴が迫ったことへの歓喜か。
 顔全体を覆うレザーの全頭マスク。その向こう側で流れる涙と涎が、親父の首を伝って落ち、床に水溜りを作る。
「泣くのは全てが終わってからだろ。なぁ親父」
 俺があんたから学んだ全てを使って、あの女を捻じ伏せてみせる。だから、なぁ親父よ。あんたはただそこで、息子の勝利を信じていればいい。
 俺は心の中で語りかける。それだけで、俺たち親子は通じ合えたのだ。俺は、盲いた亀と化した親父を残し部屋を出る。ドアをしめてきっかり十秒後、全裸の亀はオルガスムスに達したことを嬌声によって示した。

 親父は日本最高の縄師だった。人間の体を知り尽くしたその縛りは、幾人もの女達を虜にした。苦痛と快楽の境界線、それを一瞬で見極めて絶妙の圧力をかける。親父にかかれば、どんな女王様も雌豚に変わる、とまで言われたという。
 だが、そんな親父の栄光は、たった一人の女によって叩き壊された。何をされたのかは知らない。聞いても、答えてはくれなかった。しかし、実際に親父はプライドと自信を粉々にされ、身体も心も再起不能。結局、縄師の世界から身を引く羽目になったのだ。
「頼む、息子よ。俺に代わって、あの女に恥辱と快楽に塗れた敗北を味あわせてくれ」
 その言葉と共に、親父は俺に自分の技術の全てを叩き込んだ。親父は復讐のために、俺は尊敬する親父を超えるために、歯を食いしばって屈辱に耐えてきたのだ。そして今夜、ついにその瞬間が訪れるのである。

「さぁ勝負だ、おふくろ! いや、山本カシオペア!」
 俺は、愛用の麻縄を片手に、居間でテレビを見ているおふくろに向かって怒鳴る。俺の気合に気圧されたのか、おふくろは煎餅をくわえながら呆気に取られていた。
「突然どうしたの? またあの人に変なこと吹き込まれたんじゃない?」
「突然なんかじゃない。親父はこの日のために、自分の体を犠牲にして俺を訓練させてきたんだ」
 俺はおふくろに、親父が今までどれほどの辛酸を舐めてきたかを切々と訴えた。熱くなっていく目頭を押さえながら。泣いてはいけない、と親父に言ったばかりなのにこみ上げるものを抑えられない。自分を戒めるために一つ深呼吸をして、おふくろに向き直る。
「なるほどねぇ。あの人、そんなに悔しかったんだ。毎晩毎晩、あんたに縛られてよがってるから、てっきり今の生活を楽しんでるんだと思ったわ」
「楽しんでるは楽しんでるだろうよ。だけど、楽しんでいる自分が不甲斐ないんだよ。親父だって男なんだ。プライドはあるんだよ」
 俺は縄を構えなおす。掌に伝わるちくちくとした痛みが俺を高揚させる。
「勝負だ、おふくろ。親父の無念は俺が晴らす。おふくろの体に縄が食い込む喜びを教えてやるぜ!」
 人差し指を鼻先に突きつける。しかし、おふくろは溜息を一つ吐いて手を振った。
「やーよ。息子に縛られるなんて、冗談じゃないわ。大体、あんただって自分の母親に縄打つなんて嫌でしょうよ」
「そんな倫理観は、親父に初めて縄打ったときに、とうに捨て去ったのさ」
「……あんた、それ自慢できるようなことじゃないわよ?」
137キッコーマンよ、月に啼け 2/5  ◆0CH8r0HG.A :2008/06/22(日) 22:40:50.72 ID:sjHvvewX0
 おふくろは中々挑発に乗ってこない。俺は仕方なく最後のカードを切った。
「俺との勝負から逃げるのなら、『こづかい倍にしろ』って親父が……」
「挑戦とあらば逃げるわけにはいかないわね。受けてたってあげる」
 現金なものだ、と俺はほくそ笑む。かくして、決戦の幕は上がったのだ。

「ただねぇ、勝負するのはいいんだけど、あんたをその歳でお父さんみたいにはしたくないのよねぇ」
 おふくろはレザーのボンテージファッションに身を包み、腕を組んでいる。息子の俺でさえ、いや息子だからこそ果てしなく見苦しい光景だ。
 部屋の隅っこでは、俺が先ほど亀甲縛りにした親父が、絶頂の余韻に浸って小刻みに跳ねている。家の中、俺が幼い頃から親父と訓練してきたこの部屋を決闘の場所に選んだのだ。
 しばらくして、おもむろにおふくろが口を開いた。
「こうしましょう。もし、あんたがあたしの一番弟子を倒すことが出来たなら、あたしは自分の負けを認めるわ。お父さんの要求を聞いてあげる。それでいいわよね?」
 おふくろが親父に尋ねた。親父は震えながら、何度か首を縦に振る。
「というわけ。あんたもいいわね? 当然だけど、あたしの弟子が勝ったら、あんたにはペナルティを課すわよ?」
「そんなのは覚悟の上だ。まぁ、俺が負けることなどありえないけどな」
「あら、大した自信ねぇ。聞いての通りよ。さぁ、入ってきなさい」
 おふくろが手に持った鞭をしならせ、床に叩きつける。と、閉じられたドアがゆっくりと開いていく。
「あの子があんたの相手よ」
 開ききったドアの前にたっていた者。それは、母親と同じファッションに身を包んだ、俺の愛する妹、山本アンドロメダだった。

「な、何でお前がそんな格好をしてるんだよ。嘘だろ? 嘘だと言ってくれよ! なぁ、アンドロメダ!」
「残念ながら、全ては現実ですわ。お兄様」
 膨らみかけの胸を張る、堂々とした立ち居振る舞い。いつもの妹からは想像も出来ない姿がそこにあった。
 おふくろは、狼狽する俺を見て不敵な笑みを浮かべている。
「さぁ、あんた自慢の技とやらを見せてもらおうじゃない? 言っておくけど、舐めてかかると痛い目見るわよ?」
「汚いぞ、おふくろ! 妹をこの手に掛けろっていうのか!? あんたはそれでも人の親か!」
 俺の怒りの咆哮におふくろは答えない。代わりに反応を寄越したのは妹だった。
「お兄様。あまり腑抜けたことを仰っていただきたくありませんわ。御安心ください。お兄様程度の腕で、私がイくことなどありえませんから」
 妖艶かつ蠱惑的な声で嘲笑う姿は、まさに女王の風格だ。おふくろの血を色濃く受け継いでいることがはっきりと伝わってくる。
「ほら。あんまりぐずぐずしてると、あんたのこづかいを半分に……」
「いくぞ、アンドロメダ! 俺の技でお前の身も心もこの縄の虜にしてやる!」
138キッコーマンよ、月に啼け 3/5  ◆0CH8r0HG.A :2008/06/22(日) 22:41:28.80 ID:sjHvvewX0
 口車に乗せられたことに唇を噛みながら、俺は前を見据えた。あそこで震えている親父のためにも俺は進まなければならないのだ。せめて、一瞬の内に終わらせる。そんな覚悟を胸に、俺は縄を握りなおす。
 一つ大きく息を吐き、そして自分の体を加速させた。今まで何度も繰り返してきた動きだ。目を瞑っていてもこなせるだろう。
 俺は妹の肩口に縄を引っ掛けると、指先に力を込めた。唇を舌で湿らせて、発展途上のアンドロメダの体に縄を食い込ませていく。抵抗は感じられない。
 だが、それも当然だ。俺の縄が食い込んだ者には、快楽に身悶えするしか道が無いのだ。
 彼女の体に独特の幾何学的模様が描かれたのを確認して、俺は呟く。
「……完成」
 山本流縄縛術の一、眠り姫。食い込んだ縄が体中に存在する快楽中枢に影響を与えるツボを刺激し、意識を飛ばす大技だ。それはまさに、茨に包まれた城の中で眠る美姫。
「せめて、快楽の中で眠ってくれ、アンドロメダ」
 呆気ないが、これで終わった……はずだった。しかし
「甘い! 甘いですわ、お兄様。蜂蜜と餡子をまぶしたティラミスよりも甘い!」
「なっ!?」
「これが快感? これが快楽? 笑止! 片腹痛いですわ、お兄様!」
 妹は食い込んだ縄の結び目を軽く触ると、瞬く間にそれを解く。おふくろはその姿をさも当然のように見つめている。
「なるほど、一筋縄ではいかないってわけか」
「上手いこと言ったつもりですの、お兄様? さぁ、いらして。お兄様の努力が全て徒労に終わることを教えてあげますわ」
 背中につめたい汗が流れるのを感じつつ、俺は右手に再び力を込めた。

「これで……終わりだ!」
 妹の振るう鞭をかい潜り、その身体を縄で縛っていく。これは先ほど眠り姫に使った縄ではない。それよりも細く、しなやかなものだ。
 山本流縄縛術の二、伽汰平(キャタピラ)。繭の中で幼虫は、その身体を一度ドロドロに溶かし、自らの体を作り変えるという。この技を味わった者は、自らを縛る縄に身も心も解かされ、快楽の虜へと作り変えられる。
「あ、くぅ……」
 狙い通りだ。今度のは麻縄ではないから、縄と縄の結び目に空間が無い。先ほどのように簡単には解けないはずだ。
「負けを認めるなら解いてやるぞ。それとも、そのまま快楽の虜になりたいか?」
 俺は苦しそうに喘ぎ声を漏らす妹に近寄る。が、次の瞬間、俺の頬を鞭が切り裂いた。
「なんてね。温い。温いですわ、お兄様。幼虫は、殻を破って美しい蝶になるものですわよ?」
 体中が締め付けられているというのに、手首のスナップだけで鞭を振ると、縄を細切れにするアンドロメダ。
「じょ、冗談だろ……」
「悲しいことにマジですわ、お兄様。繭を破った美しい蝶に対する賛美としては物足りないですわね」
 バラバラにされた縄と、平然と立つ妹。おふくろはやはり余裕の笑みを浮かべ、親父は陸に打ち上げられた海老のようだ。
 俺は大きく深呼吸をし、跳ねる心臓を落ち着かせる。
139キッコーマンよ、月に啼け 4/5  ◆0CH8r0HG.A :2008/06/22(日) 22:42:01.36 ID:sjHvvewX0
「さぁ、お兄様。それで終わりですの? ならば……」
「まだだっ!」
 俺は、どこまでも妹を見誤っていたようだ。加減をするとか、手の内を隠すとか、無駄に気を使って勝てる相手ではなかったのだ。
「いいだろう、アンドロメダ。今から、俺の最高の技を見せてやる。それを食らっても今のように立っていられるか。見せてもらおうか!」
 俺は、今から妹を壊す。心の中で呟くと、頭の中が急速に冷えていった。

 妹の鞭が目の前を切り裂く。一度、二度、三度。俺の腕と肩に痣と傷が一つ、また一つと増えていく。見事な力加減だ、と思う。痛みと快楽の間を完全に理解した鞭捌き。こいつはまさしくあの女の娘だ。
 俺は何とか意識をつなぎとめる。隙だ。隙を見つけなければならない。次の技がまさしく最後になるだろうから。
「さぁ、どうしましたの!? さっきのはハッタリですの、お兄様?」
 アンドロメダの呼吸が少しずつ荒くなっていく。技術に体力が追いついていないのだろう。もう少し、あと少しだ。
「これで、堕ちなさい!」
 全体重を乗せた渾身の一撃。飛びそうになる理性を総動員して快感に耐える。海綿体に流れ込もうとする血液を意思の力で止めた。ぼやける視界の奥に、妹の体勢がぐらつくのを捉えた瞬間、俺は舌を噛み意識を呼び戻した。
「今だっ!」
 俺は裂帛の気合と共に、妹との間合いを詰めた。手の中にある、最も手に馴染んだ直径一センチほどの麻縄を妹の太腿へ。
「お前は言ったな。自分を蝶だ、と」
「な……!?」
「違うな。繭から生まれるのは蝶ではなく蛾なんだよ!」
 最後の力を振り絞って、アンドロメダを縛っていく。弱弱しく振るわれた鞭などものともせず、彼女の体に俺の最大の技を。
「蛾を捕えるのは蜘蛛だっ!」
 俺の言葉と共に、アンドロメダの体は巨大な蜘蛛の巣に囚われていた。

 山本流縄縛術の終、女郎雲。しなやかな糸に捕えられた獲物達は、逃げることもできずに蜘蛛の毒に犯され、その身を食いちぎられる。親父の技術と野生の蜘蛛を研究し、俺が編み出したオリジナル。
「あんたに使うつもりだったけどなぁ! おふくろ!」
 先ほどまでの笑みは消え、おふくろは呆然としていた。親父は、いつの間にかマスクをとって妹を見ていた。
「あんた、こんなものを考えるなんて……」
 妹に歩み寄り、震える手でその頬に触れる。すまない、と心の中で詫びた。ここまでするつもりは無かったのだ。
「あ、ああんっ、ううっ」
 ほんの少し、縄が揺れるだけで、妹の体を凄まじい量の快楽が襲っているはずだ。巣に捕らわれた蛾がもがけばもがくほど、その糸は身体に食い込んでいくのだ。
「負けを認めろ。あまり我慢していると、狂っちまうぞ」
「お、お兄様」
140キッコーマンよ、月に啼け 5/5  ◆0CH8r0HG.A :2008/06/22(日) 22:42:30.93 ID:sjHvvewX0
 うん、と頷き先を促す。不本意な結果に終わったが、これで復讐を果たすことが出来た。
「ざ、残念ですわ、お兄様」
「残念ね、息子」
 二人の言葉が、俺の自尊心を満たしていく。遂に俺は親父を超えたのだと、実感がわいてくる。俺は勝ったのだ。
『もう少しだったのに』
 おふくろと妹の声が揃って同じ言葉を紡ぎ、次の瞬間、妹は蜘蛛の巣から脱出を果たしていた。

「え!? な、何で……」
 今までに無い動揺が俺の心を覆う。親父はとても悲しそうに首を横に振った。何故そんな顔をしているのだろう。何が起こったのかも理解出来ない。
「何故、この子が平気でいられたか、知りたい?」
 おふくろが憐憫の眼差しを向けてくる。妹は肩を回し、体の動きを一つ一つ確認している。上気した頬が色っぽいとか、くだらない考えが頭を過ぎった。
「何故……。俺の縛り方は完璧だったはずだ。巣に捕えられた蛾が、自ら脱出するなんてありえない。そもそも、快楽で身動きがとれないはずなのに……」
 膝をつき呆然とする。力を使い果たした俺に、妹はゆっくりと歩み寄ってきた。
「確かに、お兄様の縛り方は完璧でした。まさしく、蜘蛛の巣。ですが、完璧過ぎるあまり、唯一無二の弱点さえも忠実にコピーしてしまったのです」
 困惑した思考に滑り込んだ妹の言葉に、何とか反応するように顔を上げた。妹は鞭の握りで俺の顎を持ち上げて言った。
「蜘蛛の巣と同様、横縄には快楽があっても、縦縄には無かったのですわ。お兄様」
 そして、振り下ろされる鞭。俺は遂に、彼女の鞭を受けて、オルガスムスに達する。その時響いた破裂音は、俺の縄師としての人生に終わりを告げる鐘の音となった。

 親父もこうして、おふくろにM心を引き出されたのだと、後に教えられた。Mに目覚めた俺は、今は縄師でなく一介の豚として、妹に仕えている。
 人はすべからくSとM、両方を備えているらしい。いつしか、妹が男によがり狂わされるときが来るのだろうか。
 アンドロメダの名に相応しい怪物に、身を差し出す妹を想像すると股間が熱くなる。
 俺はその時のために、極上の快楽を生み出す縛り方を日夜研究していく所存である。    

 快感
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:43:05.03 ID:sjHvvewX0
投下完了
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 22:44:06.56 ID:FEbuK4Ou0
>>129-133
>>136-140

まとめ済み
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:02:15.26 ID:FEbuK4Ou0
23時過ぎた保守
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:08:08.65 ID:FEbuK4Ou0
運営さんいないのか・・・?
一応アナウンス。

23時を超えました。
これ以降投下する方は、予約後、指示に従って投下してください。
予約条件は「レス区切りまで終わって、後は投下するだけ」の状態であること。

予約締め切りは23:30です。
予約前にテンプレの確認をもう一度。
145 ◆pxtUOeh2oI :2008/06/22(日) 23:09:40.30 ID:BPgOxpqM0
よ、よ、よ、よ、アポイントメントプリーズ!


予約。カオスに入ったの初めてだ。
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:10:38.75 ID:FEbuK4Ou0
◆pxtUOeh2oI 氏どうぞー
sageはずしてねー


順番

なし
147キピク 1/5 ◆pxtUOeh2oI :2008/06/22(日) 23:11:28.36 ID:BPgOxpqM0
 少年が牧舎の入口に立っていた。草々を揺らす風が少年の布服をたなびかせる。少年の名はサロ。まだ十年ちょっとしか生きていない
サロにとって、今日は大きな意味を持つ日だった。サロは、頭に載った若草色の布帽子が風に飛ばされないようしっかりと被り直す。
牧舎へと入る勇気のでないサロは、肩から下げた革鞄を軽く抑え、ふと顔上げ左側を見た。柵の中に広がる草原には、大きなカウロが
張った乳を揺らし、むしゃむしゃと草をほおばる。不安だな。サロは軽く溜息を吐き、右を見る。そこは崖。柵の外に広がる青空には、
近い将来、サロが行くことになるだろう、浮遊大陸が雲の中に見えた。そこは、サロの立つ特徴の少ない浮島に住む住民は、
九割が行くことのできない場所。噂でしか聞いたことがない夢と暗黒の世界。サロは首に掛けた兎の足を握りしめる。
小さい頃に母から貰った幸運のお守りは、毛が抜けかけ色褪せていた。サロは息を吸い込み、覚悟決め牧舎へと入る。
それは、これから始まる冒険への大きな一歩だった。

「すいません。アウテパ村から来た、サロと言います。これからしばらくよろしくお願いします」
 大きな声を出し、挨拶をするサロ。その声に、忙しなく動いていた筋肉質の男と、蛇を大きくしたような竜が止まり、
きょとんとしたサロの顔を、調べるように見た。頭に布を巻き、銀ダライを持ったガタイの良い男が、快活で勢いのある声を出す。
「俺はドシ、こっちはタムア。こう見えても雌だ」
 ドシと名乗った男が、大人三人分ぐらいある竜を軽く叩く。タムアと呼ばれた蛇竜は、ドシに何か不満を告げるように唸った。
サロは、初めて見た竜に、驚き思う。これが竜か、もうすぐ僕にも竜の友達ができるんだ。仲良くなれるかな、ちょっと怖いや。
様々な未来を想像し、呆けるサロ。ドシはそんなサロの服を引っ張り上げ、浮かぶタムアの背にサロを乗っけた。
「ゆくりしてる暇はねえ、早くこい。生まれそうなんだよ、お前の竜が」
 ドシが走って、タムアが飛ぶ。サロは、わけもわからずタムアの背で風を受けた。堅い鱗の感触が、手から伝わる。
 辿り着いた場所には、卵があった。サロの腰ほどまで達する大きな卵が藁山の上に鎮座する。
サロは生まれそうだという、卵に近づいて見ようとしたが、ドシが間に入った。
148キピク 2/5 ◆pxtUOeh2oI :2008/06/22(日) 23:11:58.13 ID:BPgOxpqM0
「お前は、こっちを手伝ってくれ。」
 銀ダライと液体の入ったなめし革を渡された。なんだろうとサロが思ていると、ドシが続けた。
「これから俺が、いろいろ渡すから、それをその水で拭いてくれ。こぼすなよ。その水は、ザイバンの山で、取ってきた特別な水だからな」
 この水がどれだけの価値があり意味あるのか、サロにはわからなかったが、ザイバンの山が島で一番の大きな山であり、
一般人には、とても登ることのできない場所だと聞いていたので、サロは気を引き締めた。なにより、来たばかりの自分に、
仕事をくれたことがうれしいと思った。ただアンビの手も借りたいぐらいの忙しさなだなのだけど。
「ほら、これを拭け。割るなよ」
 渡されたものは、卵の上半分らしかった。生まれたの? とサロは思うが、ドシの影に隠れて、良くは見えない。
生まれてくるのは僕の竜なのにと、サロは少し不満に思いながらも、一生懸命に卵を拭いた。白く滑らかな卵は、山の水を付ける度に、
淡い緑色のかすかな光を発した。
「拭き終わりました!」
 サロが言う。その元気な声には、早く竜が見たいという意思が込められていた。
「次はこれだ、やさしくな」
 まだ見せてもらえないのかと、少し落ち込むサロ。けど、これも仕事だと、サロは渡されたものを見る。
 目があった。くりんとした目がサロを見つめ、くぁーふと欠伸のように鳴いた。竜だ。
「何をぼーっとしてんだ、早く拭け」
「はい」
 サロは慌てて返事をする。これが僕の竜か。全体的にオレンジがかった柔らかい体。この竜は丸っこく、蛇のようなタムアとは
違う種類のようだ。蝙蝠猫のような、翼を広げ、小さな爪が生えた腕を手に取る。かわいいなあと、サロは思った。
やさしく静かに、竜を拭く。竜が気持ちよさそうに目を細めると、サロには自分まで良い気分になった。
 サロが竜を拭き終わると、ドシが竜を取り上げ、脱脂綿を敷き詰めた卵に入れた。
「名付けの儀式だ。そいつに左手を当てて、これを読め」
 ドシが、古い羊皮紙をサロに渡す。サロは言われた通りに、竜の腹に左手を添え、羊皮紙に書かれた文字列を読み始めた。
添えた左手からは、強く脈打つ鼓動が感じられた。
「月と太陽が浮かぶ空にガラツカの子が降落する。白い闇が覆うはサドバ、消えた世界は朱の模様にえ……すいません、
これ何て読むんですか?」
「センイだよ。ガラツカやサドバは読めて、そっちが読めないのか」
 古代語を読むことのできるサロに驚き、ドシは言った。
149キピク 3/5 ◆pxtUOeh2oI :2008/06/22(日) 23:12:25.88 ID:BPgOxpqM0
「ありがとうございます。古代マグラ語は、おばあちゃんに教わったのでわかるんです」
 サロははずかしそうに頭を掻きながらそう言った。卵の殻で、名付けを待つ竜は、眠たそうに欠伸をした。
「そうだ、言い忘れてたけど、名前は決めとけよ。それ読んだ後に“あー”とか“えーと”とか言ってるとそれが名前になっちまうから」
「わかりました。じゃあ、もう一回やりますね。月と太陽が浮かぶ空にガラツカの子が降落する。白い闇が覆うはサドバ、
消えた世界は朱の模様に遷移し、踊る者は子とキピク。名を与えよう。約を授かろう。今、それを決めんとする。汝の名は……」
 サロが、文面を読み終えた。力強い拍動から息吹を感じ、サロは目を瞑り告げる。
「エスタ」
 透き通った声が部屋に響いた。けれど、特に大きな変化があるわけではなく、エスタと名付けられた竜は眠ってしまった。
「じゃあ、そいつを持ってついて来い。食糧を取りに行くぞ」
 そういうとドシはタムアと伴に、外へと足を進めた。期待していたものよりも、さっぱりしていて少し残念に感じたサロだったが、
ぱぁーぷと鼻提灯を膨らませる殻の中のエスタを見て、顔が綻んだ。

 牧場近くの森へついた。近くといっても、サロにはかなりの距離で、途中タムアの背に乗せてもらったりもした。
「エスタを起こして、食糧を取ってきな。これ貸してやるよ」
 ドシが革に包まれたナイフをサロに投げ渡す。うまく取れず、ナイフを地面に落としたサロを見て、ドシは不安そうに言った。
「わかってると思うけど、これは訓練だからな。お前たちは、これから先、自分で……」
 ドシが説明を続ける。サロとエスタが、始める冒険について、遙か遠くに霞む大陸に渡り、端から端まで、旅をせねばならないこと。
サロはまれに生まれる多大な魔力の持ち主であり、竜はそれを自身の力に変えて生きていること。竜は選ばれた旅をする者のみに、
与えられること。サロが島から選ばれた代表であり、多くの人が平穏に暮らすために、エスタをギタナの都へと連れて行かねばならないこと。
様々なことを、島の住民ならば誰もが知ってはいることだけれど、ドシはサロにしっかりと説明した。
「それと、エスタとはあまり離れないようにな。まだ小さいから魔力の蓄えも……」
 次々とドシが説明を続ける。だが、その半分も、緊張していたサロには伝わらなかった。
「じゃあ、行ってこい。取れなかったら飯抜きな」
 タムアがドシを背に乗せ空へと舞い上がった。辺りは急に静かになり、風にざわめく葉音だけがサロの耳に届いた。
「エスタ、起きて」
 サロがエスタを揺らす。ふぁーふ。エスタは寝言で答えた。サロは、もう一度エスタを揺らす。今度は先程よりも少し強く。
ぷぁーぷ。エスタは鼻提灯で、サロに答えた。
 ぱつん。サロがエスタの鼻提灯を割った。きょろきょろと首を動かし、目をぱちくりさせるエスタ。大きく息を吸い込むと、
炎を一吐きし、飛びあがった。サロの周りを、エスタがくるくると飛ぶ。そして落ちた。
「あー、まだ無茶しちゃダメだよう。生まれたばかりなんだから」
150キピク 4/5 ◆pxtUOeh2oI :2008/06/22(日) 23:12:53.38 ID:BPgOxpqM0
 そうは言ったが、サロは楽しかった。エスタも、すぐに起きあがりまた翼を羽ばたかせる。やっぱり竜はすごいやとサロは思う。
「よし、ごはんを探そう」
 サロはナイフを掲げ、元気に笑う。エスタが羽根をバタつかせ、サロの布帽子を飛ばす。
「もう、止めてよ」
 笑顔で帽子を拾うサロ、その顔からは緊張や不安は消えていた。くぁーふぁ。エスタも笑った。

「待てー」
 滑空するアイカ鳥を追いかけるサロとエスタ。回り込もうとするエスタだが、鳥よりも大きな体を持つエスタは広がる枝葉に遮られ
上手く飛べない。そうこうしている内に、アイカ鳥は木のうろにある巣穴へと逃げ込んでしまった。エスタが顔を入れようとするが届かない。
 サロの革鞄には、いくらかの果物は入っていた。木の上に鳴る赤い実をエスタが落とし、サロが受け取った物。
でも動物はまだ獲ることができなかった。
「どうしようね」
 項垂れるサロ。そんなサロの前を、ひょこひょことソイマと呼ばれる森兎が飛び跳ねた。かぁーく、と襲いかかるエスタだが、
避けられる。地を蹴り、逃げだす森兎。サロも今度こそはと追いかけた。
 ふぁーふ。炎を吐くが、まだ大した火力のないエスタの炎では、脅かすにも心もとない。兎が跳ねる。サロが追う。
エスタが鳴いて、サロも声を出す。
「止まってよー」
 兎は小さな洞穴へと逃げ込んだ。サロは、その穴に顔を入れてみる。暗いけど、そんなに奥は深くないように感じられた。
顔を出し、手を伸ばす。革鞄の肩掛けが邪魔な気がしたので、一度、腕を出し、鞄を下ろした。えい、えいと穴をまさぐる。
「痛い!」
 兎に噛まれたようだ。サロは、ムキになって兎を取ろうとする。噛まれたということは、届くところにいるはずだ。
サロは肩をできるだけ穴に押し込み、手を伸ばす。あっ。手に柔らかい毛と革の感触。捕まえた! サロは歓喜の声を上げる。
穴から兎を引っ張りだし、暴れる兎を摘みあげた。
「ほら見て、エスタ。やっと獲れたよ」
 鼻の頭に泥を載せ笑顔を見せる。土まみれの腕で元気に掲げられた森兎。けれど、そこに、エスタの姿は無かった……。

「馬鹿やろう!」
 ドシが、サロを叱る。その手にはぐったりとしたエスタが抱えられていた。
「言ったよな? こいつはまだ小さいから離れるなって。こいつはお前から魔力を貰って生きてるんだ、説明しただろ!」
 怒鳴り続けるドシ。サロは、ただ俯き、ドシに抱えられたエスタを見る。サロの手から離れた兎は、元気に逃げだしていった。
151キピク 5/5 ◆pxtUOeh2oI :2008/06/22(日) 23:13:21.45 ID:BPgOxpqM0
 サロが、兎を追い詰めているとき、エスタは上空を飛ぶ鳥を見つけ追い掛けたらしい。エスタの倒れていたそばには、
息絶えた鳥が転がっていた。元気に鳥を獲ったエスタだったが、サロから離れ過ぎた為、魔力の供給が途絶え倒れたという話だった。
「エスタ……」
 サロが涙を流す。その雫は地面に落ちてすぐに消えた。まるで初めから何の意味も持たないかのように。
「泣くんじゃねー! 涙なんて自分がかわいそうだから流すんだ!」
 ドシが怒る。サロが流す涙は、ドシをイラつかせた。カラカルル。タムアが、ドシを諌める。怒り続けていたドシも、
タムアの声に、我を取り戻した。
「今日の飯は抜き、明日は気を付けろよ。お前たちの寝床は、卵の置いてあった部屋の隣な」
 ドシがサロにエスタを渡す。ふぁー。エスタは力無く、サロに鳴いた。
「帰るぞ。……嫌なことを思い出しちまった」
 ドシがタムアの背に乗り、サロも跨る。サロはエスタを落とさないようにしっかりと抱きしめた。

 夜。藁が敷き詰められた寝床に、サロとエスタが寝ていた。サロが少し泣きながら呟く。
「お腹すいたなあ、お母さん……」
 サロは首から下げた兎の足を握りしめる。頬を伝う涙は、藁を濡らした。あの後、牧場へと帰りついたころには、
エスタはすぐに元気になっていた。ドシが言うには、早く元気になって欲しいという気持ちが伝わったのだろうとのことだった。
 サロは考えていた。なんで自分が選ばれたんだろう。お父さんもお母さんもお婆ちゃんも知っていて、知らなかったのは僕だけだった。
学校でみんなと話していて、選ばれたら良いよねと笑っていたけど、まさか本当に自分がそんな魔力を持っていたなんて思わなかった。
 サロは、魔法が苦手だった。学校の授業でも、クラスで一番の下手くそ。でも、それは本当のことを告げられたときに、理由を知った。
生まれたときから、竜と伴に旅する為に、魔力を封じ、ずっと貯めていたのだと。
 サロは、思った。そんな特別な人間じゃなくて良いから、友達と普通に暮らしたい。だけど、それはもう叶わない。サロは呟く。
「お母さん……」
 ふぁーふ。エスタが鳴いた。サロは起きているのかなとエスタの顔を見たが、ただの寝言のようだった。エスタは少し震えていた。
寒いのかなと、サロはエスタに藁を被せる。エスタは暖かくなったことに喜んだのか眠りながら笑った。
 ぱぁーぷ。エスタの鼻提灯。サロは思う。僕は一人じゃないんだな、がんばらなくっちゃ。サロは手で涙を拭い、エスタを撫でる。
「エスタ」
 サロは、自分の首から、兎足のお守りを外し、エスタの首に掛けた。新しくできた友達に、これからか伴に旅をする相棒に、
印として、大切なものを渡した。
「ちょっとだけ貸してあげるね」
 サロは、名付けの儀式を思い出す。その中にでてきた、古代マグラ語の言葉。キピク。それは友達の意。    <了>
152キピク 6/5 ◆pxtUOeh2oI :2008/06/22(日) 23:14:12.38 ID:BPgOxpqM0
以上です。注意してくれてありがとう。
おもいっきりsageたまま投下するところだった。
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:14:25.59 ID:FEbuK4Ou0
◆pxtUOeh2oI氏、おつかれさまです。

順番

なし
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:14:57.33 ID:b7P9t7U90
>>121
 夏休みに起きた一家の悲劇を、子供の視点から見た作品ですね。大人が誤魔化して作り上げた愉楽の本態を
子供ながらに見抜いてしまった。そういう書き方をされていると思う。
 この作品の優れた部分というか、徹底的にこだわって書かれた部分に、あくまで子供の視点に忠実な記述を心
がけている点があると思う。これに関しては徹頭徹尾こだわり抜かれた形跡がある。日記の文面と地の文との間に
漢字使用率の差が見受けられたが、あくまでこの主人公が意味を理解していると思われる言葉にのみ、地の文で
漢字が割り当てられている。だから、「よういくひ」であり、「しんけん」なのだ。

 しかし、僕がこの作品に不満を持った一番大きな点こそが、氏のかかる試みに起因しているというのも少し皮肉
めいている。つまり、全文が子供目線、子供思考で統一されているのだ。それだからこそ完成度も高いのだけれど
も、大人の目線からこの作品を楽しむことはかなり難しい。少なくとも、僕にとってはそうであった。
 これがある時点からの回想という形式を取っていれば、そういった弊害はなかったと思う。しかし、そう言う風にして
しまうと、絵日記だとかいうアイテムにリアリティがなくなってしまう(大人目線で絵日記の話題を延々とされても、
それはそれで違和感がたっぷりあるだろう)。

 しかし、この子供は自分の気持ちに正直であるばかりか、いささかアイロニストですらある。と言うのも、破かれて
無残になった日記帳こそ、この悲劇の顛末をもっとも風刺的に表現しているアイテムであるからだ。
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:16:13.70 ID:7SvXKpG2O
さて、まだ一行も書けていないわけだが
156 ◆TtwtmrylOY :2008/06/22(日) 23:17:49.71 ID:1dFZ/rmG0
予約します
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:18:20.66 ID:sjHvvewX0
>>117
読みました。
涙の上から消しゴムをかけた日記帳というのが上手いと思いました。
両親が子供と、悪い意味で線引きをしているのも効果的だったと思います。
果てしなく鬱になれました。
けれど、最後が気に入りませんでした。
汚れて破けた日記帳は最早過去なのかもしれませんが、だからといって未来をポジティブに見据えてしまうと、それまでの展開が全て無駄に感じてしまうと思います。
過去を捨てて、ということなのかもしれませんが、そんなに簡単に割り切れるものでは無いと思ってしまいました。
むしろ、マイナス方向に突っ走るか、両親のキャラをもう少しなんとかするかしないと、ラストが浮くのではないかと。
希望を持って終わるのは好きですが、物語の流れとしては微妙な終わり方だと思いました。
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:18:31.89 ID:FEbuK4Ou0
◆TtwtmrylOY氏どうぞー

順番

なし
159春待ちの少女1/5 ◆TtwtmrylOY :2008/06/22(日) 23:19:39.64 ID:1dFZ/rmG0
 誰になんと言われようとも、温室は私の聖域に他ならなかった。
 一年を通して快適さを保つこの空間は、私に至上の読書の時間を与えてくれていた。学内には図書館もあるの
だが、温室がやはり私の性には合っているようだった。
 ある日を境に、学園内では幽霊が出るだの、夜に誰かが居たなどという与太話を耳にすることが多くなっても、
私にはそのようなことは瑣末な問題でしかなかった。

 ◇

 残蝉も久しく、すっかり秋めいた青空を仰ぐと私は一人ため息をついた。
 あの温室には何処か欠けていると、今日も今日とて温室に足しげく通う私は思うのだ。
 そう――季節感のある花とか。いや、花じゃなくてもいい。
 花なら幾らでも咲いているのだが、私が求めるのはそうではなく、季節を感じさせてくれるような花だった。
だが自分で手を加えるなんていう恐れ多い真似はできない。
 その温室に入ってまず感じたのは、ある種の違和感だった。つぶさに観察すると、数ヶ月の間に所々に手が加
わっていて、見たことの無い植木鉢までもが並んでいる。はて、これはどうしたものか。
 極彩色の花々に囲まれながら尚も歩みを進めると、ガーデンテーブルとチェアが姿を現した。
 そこには観葉植物が所々に影を差し、背景には手入れの行き届いた花達が我先にと咲き誇っている。冬を控え
た季節には余りにも似つかわしくないのだが、だからこそ美しいと思えるのかもしれない。
 そして、最も驚くべきは――その地帯の一角のチェアには、一人の少女が居た。それはさながらひっそりと咲
く小花のように、今にも消え入りそうだった。艶めいた長い黒髪を垂らし、表情にはほのかに憂いを帯び、読書
に耽っている。規則的に本のページを繰る、細長く、白い指が印象的だった。
 ――すごく、きれい。
 切実にそう思った。彼女が誰だろうと、私にはもう関係なかった。
「こんにちは」そう言い、目の前の少女は呆然とする私を大きな黒い瞳でもって見つめると、儚げに微笑する。
 私はまたも虚を突かれ、何も言えないでいた。
「座って」と、少女は私に促した。私は声に酔うように、ふらふらと席に着くしかなかった。私はすっかり、彼
女を取り巻く独特の空気に呑まれきっていた。
「私はいつもここに居るんだけど、貴方は?」おずおずと私は切り出した。
 目の前の少女はしばし考え込むような動作を見せ、言いよどんだ。
「うーん……」
160春待ちの少女2/5 ◆TtwtmrylOY :2008/06/22(日) 23:20:18.65 ID:1dFZ/rmG0
 往年の名探偵を思わせるように、顎に手を当て考え始める彼女を見ていると、心にも無く笑いがこみ上げてき
た。
 くすくすと口元を抑える私をねめつけて、少女はふくれた。私がなぜ笑ってしまったのか理由を話すと、ます
ますもって彼女はふくれた。
 その後、彼女の話を聞くと、名前は秋瀬と言うらしいことが分かった。読書傾向はミステリーを主としていて、
エラリークイーンを敬愛しているらしい。
 また会うための口実を作るために、クイーンの傑作、『Yの悲劇』を借りる約束までしてしまった。それにし
ても、ミステリーといわれると、考え込む動作がつい思い出されてしまう。秋瀬の前で笑うのは失礼なのでなる
べくは控えようと、私は固く心に決めたのだった。

 ◇

 秋も瞬く間に過ぎ去ってしまった。特に今日は、寒さが格別に苛烈を極めていた。コートを深く着込んでも、
私は身震いする。
 しかし陰鬱な天気でいても私の足は、かの場所に運ばれていくのだった。
「静希、貴方も物好きね」
 私の方へは目もくれずに、秋瀬は声だけで返事した。彼女の読む本の傍らには、湯気立ち上るティーカップが
一つと空のそれがもう一つ。
 それらがわずかに暗く見えるのは、とりわけ影の掛かるテーブルを好む性質が彼女にはあるようだった。こう
も暗いと本を読むのに不便ではないのだろうかと常々疑問である。
「秋瀬も気が利くのね、でも……」続けようとして私はやめた。
 秋瀬は私の為に紅茶を注ぐほど、甲斐甲斐しい一面を持ち合わせていないことを私は知っていた。いつかは秋
瀬の注いだ紅茶を飲んでみたいと思いつつ、自分で紅茶を注いだ。すると澄んだ茶色でもって、カップが満たさ
れた。アールグレイのかぐわしい香りが私の鼻孔をくすぐる。
「前々から聞きたかったんだけど、秋瀬は花が好きなの?」
「もちろんよ、なら、静希はペチュニアって知ってるかしら」
 ペチュニア――そもそも花についてすらよく分からないのだが――のことなど微塵も分からない私は、やっか
みとばかりに秋瀬の考え込む動作を真似してみせた。
 秋瀬は照れと不満をない交ぜにしたような表情を覗かせるも、おどける私には取り合わず「ペチュニアはたく
さんの改良種が生まれていて、どれも綺麗なのよ。春に咲くのだけれど、寒さに弱いから温室みたいな所でしか
161春待ちの少女3/5 ◆TtwtmrylOY :2008/06/22(日) 23:21:04.85 ID:1dFZ/rmG0
栽培できないの」と説明してくれた。
 紅茶を片手に、秋瀬の指差す方向には、植木鉢が櫛比している。私が近づいて覗き込むと、そこにはまだ青々
とした若葉が広がるばかりで、花は見当たらない。
 咲いていないのは当然、先ほどの説明の通り、ペチュニアは春を一途に待っているに違いないのだ。
「心の安らぎ――」ぽつりと秋瀬がつぶやいた。
「心の安らぎ?」
「そう、ペチュニアの花言葉」
「いい花言葉だね」
 私がそう言うと、秋瀬は柔らかに笑って、さぞ嬉しそうに切れ長の目を細めた。
「春になれば、ここはもっと心地よくなるのかもね」と、私。
「そうね……でも、貴方が来てから、私はもっと楽しいわ」
「私もだよ。だから、私のことももっと一杯、秋瀬に知ってほしいな」
 こうして秋瀬と話していて思うのだが、この温室は秋瀬の全てが詰まっているような気がした。私は秋瀬とこ
こで会ったことしかなく、さして温室外に出ようと思ったこともなかった。しかし、気づいてみれば、私は秋瀬
のことを知っていても、秋瀬は私のことは何も知らないのだった。だから、かねてから秋瀬を連れ出そうと思っ
ていたのだ。
 色好い返事を期待していただけあって、目の前の少女の口をついて出た言葉は私を困惑させた。
「ごめんなさい、でも……」
 私はひたすらに言葉を待った。
「ごめんなさい」秋瀬は伏し目がちにそう言った。
 その愁いを帯びた真剣な面持ちは、私を納得させるには十分すぎるぐらいだった。
「分かったよ。秋瀬の頼みじゃ、断れないよねぇ」
 私が笑顔で返すと、秋瀬はぎこちなく笑った。
 その日、私達は普段より少し早く別れた。
 温室から出ると、鋭い現実感が私の胸を突く。そう、この温室でのひと時は夢にも等しいのだ。見上げれば、
空にひしめく鈍色の雲がいつになく重々しかった。
 翌日、秋瀬は忽然と消えた。

 ◇
162春待ちの少女4/5 ◆TtwtmrylOY :2008/06/22(日) 23:21:31.35 ID:1dFZ/rmG0
 秋瀬が消えて以来、私が温室へ出向くこともないまま、春は容赦なく訪れた。抜けるような青空が春の到来を
象徴していた。季節の移ろいは、かくも早いものだ。
 ――ペチュニアは春に咲く。
 何故そんなことを思い出せたのか自分にも良く分からなかった。ただ、足だけははあの温室へと吸い寄せられ
ていった。
 すると、私の頭の中に秋瀬との数ヶ月が走馬灯のように駆け巡った。温室の中だけの付き合いなのに、私の生
活を最も彩っていた。秋瀬の笑顔、しっとりとした長い睫毛、指先のしぐさ、形のよい鼻、ときどき笑うとちら
りと覗く白い歯、思い出せないことはないような気すらした。
 温室に入り、私は駆けた。たどり着いた先で、秋瀬はあの場所に――居た。
 彼女は、満開のペチュニアにじょうろでもって水を与えているようだった。
 「秋瀬!」
 私の声に、秋瀬は勢いよく振り返った。整いすぎるぐらいに整った顔が、私との巡り会わせを前に硬直してい
た。
「私、ずっと待ってた。行こうよ!」
 私は秋瀬の手を半ば強引に取ると、細い腕を握って、元来た道を走り出した。本の虫の美少女はなされるがま
まに息せき切らして、私の後ろを付いて来た。
 私は遮二無二走る。今はどのあたりだろうか。これからの予定なんて考えておらず、地の果てまで駆け抜けて
しまいたい心地だった。
「私、秋瀬のことは知ってるのに、私のことは何も教えてあげられなくて、だから今日こそは、って……また会
えて嬉しい! 私、秋瀬のこと大好き――」自分でも何を言っているか要領を得なかった。
 気持ちとは裏腹に、私の足は既に悲鳴を上げていた。足の痛みにふと我に帰ると、秋瀬を掴んでいた手が空を
切っていることに気が付いた。
 私はとっさに振り向くと、確かに秋瀬は付いて来ていた。しかし、彼女の足元からは――影が伸びていなかっ
た。
 目の前の状況を飲み込めずに居る私の前で、秋瀬はこう言った。
「忘れ物しちゃった……」
 そして、見る間に少女は薄れ行き、私の目の前から跡形も無く消失した。

 ◇
163春待ちの少女5/5 ◆TtwtmrylOY :2008/06/22(日) 23:21:52.10 ID:1dFZ/rmG0
「地縛霊?」
「幽霊には影が無いって言うでしょ、それはきっと地縛霊」温室内を見回しながら彼女は言った。
 温室をくまなく捜索しながら私は友人に耳を貸す。私の数少ない友人の話を聞くに、地縛霊とはある人間が何
らかの理由で命を落とした場合、土地や建物に霊や魂が縛り付けられ、成仏できない状態のことらしい。
 ならば、秋瀬は何故成仏してしまったのか? まさか、私が無理やり連れ出したばかりに、土地とのしがらみ
から解き放たれてしまったのだろうか。もしそうならば私は取り返しの付かないことを――
「あれ、本があるよ、静希」と、友人。
 友人が手渡した本のタイトルは『Yの悲劇』だった。私と秋瀬が出会ったあの日、借りることを約束していた
あの本だった。本のページをパラパラとめくると、一枚の紙が木の葉のように舞い落ちた。
 紙切れの中身にはこう、手紙としてしたためてあった。

『ようやく、家の本棚から"Yの悲劇"が見つかりました。待たせちゃったみたいで、ごめんなさい。突然居なく
なったのは、ここから出てしまったらもう会えなくなってしまうような、嫌な予感がしたからなのです。
 それと、今から私が話すことは、実に荒唐無稽で、静希には恐らく信じてもらえないかもしれません。それで
も、私は言わなければならないのです。何が言いたいのかと言うと、私は死を経験した人間です。いや、今とな
っては人間という言い方がおかしいのかもしれません。俗に言う幽霊というものなのでしょうか。
 私は生前も、ここで本を読みながら花を栽培していました。そして春に向けてペチュニアを育てようとした矢
先、不慮の事故で私は死んだのです。そして気づけば、また温室にいました。私がここに戻ることが出来たのは、
ペチュニアの花を見ることが出来なかったことに対しての未練もあったのかもしれません。でも、私は静希が強
く願ってくれたから戻ってくることが出来たのだと、固く信じています。
 今、こうしてペチュニアの花が咲き、私は天にも昇る心地です。それでも、不思議なことに成仏できないので
す。何故なのでしょうか? やりたいことは全てやったはずなのに、未練が晴れないのです。
 だから、これからも静希とは長い付き合いになりそうです。その中で私の心に引っかかる何かが見つかればい
いなと思っています。最後に、面と向かっては、恥ずかしくて言えないけれど、私は静希が、大好きです。』

 私は手紙をくしゃくしゃに折りたたみ、無造作にポケットに突っ込んだ。彼女は地縛霊などではなく、どこへ
でも移動できたのだ。それに――私は秋瀬に発した言葉を思い出す。秋瀬は私の言葉のせいで成仏してしまった
のだ。しかし、悪い心地はしなかった。秋瀬は今、一番幸せなのだろうから。
 ガーデンテーブルに座り『Yの悲劇』を読みながら、まるで名探偵のような気分で顎に手を当てると、私はあ
の日々を思い出して、くすくすと思い出し笑いに耽るのだった。
164 ◆TtwtmrylOY :2008/06/22(日) 23:22:31.13 ID:1dFZ/rmG0
おしまい

以上です。
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:22:32.24 ID:FEbuK4Ou0
◆TtwtmrylOY氏、お疲れ様です。

順番

なし
166 ◆EqtePewCZE :2008/06/22(日) 23:23:31.17 ID:irpnjET60
予約させてください
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:23:51.71 ID:FEbuK4Ou0
◆EqtePewCZE氏、どうぞー。

順番

なし
168青天白日の下1/5 ◆EqtePewCZE :2008/06/22(日) 23:27:13.25 ID:irpnjET60
 「本日晴天につき、私、本川基子は家出を敢行いたします」
 右手を高らかに上げて、宣誓。まあ、相手は猫だけれども。あたしはバッグを持ち上げて、むん、と胸を張った。
ひんやりとした三和土でローファーを履いていると、後ろから「なーん」と声がした。振り向くと、五匹の猫達が重なるようにしてあたしを見ていた。
「ええい、止めてくれるな。あたしは行かねばならぬのだ」
 あばよ。あたしは最上級の愛をこめて、とびきりのスマイルを彼らに捧げた。

 真っ昼間の光が水色のブラウスに反射する。ミルクをこぼしたような薄い雲が、ゆるやかに空を滑っていく。
本来、とあたしは思う。本来、制服はこんな眩しい太陽の下にさらすのが正しいのだ。
ひざ上15センチのグレーのスカートからにょきっと突き出した二本の足でさばさばと歩く。
すれ違ったサラリーマンが、腕時計を見たのを横目で確認する。時刻は、多分五時間目が始まった頃だろう。
だけどあたしが何時間目にサボろうがサラリーマンには何の関係もないので、変わらず毅然として歩き続けた。

 西条家は純和風で、古き良き時代の家って感じ。玄関をからからと少し開ける。中からふうわりといい匂いがした。
「翠さぁーん。いるー?」
居ないわけはないと思ったけれど、一応あたしはそう声をかけた。
 パタパタとスリッパの音が響く。今日の翠さんはリネン素材らしい、軽やかなカーキ色のワンピースを着ている。
衿元とスカートのふちにレースがついていてかわいい。あたしがそう口にすると、翠さんはふふふ、と柔らかく笑った。
甘いものが好きな翠さんは笑顔も甘やかだ。
「匂いのことよりまず着ているものを褒めるのね。トコさんのそういうところが素敵よ」
「でしょ。んーんいい匂い」
「スコーンなの。ちょうど今できたとこ」
「うっわぁ、ラッキィ!」
 あたしは跳ねるように玄関を上がった。スカートがひらりと舞う。
169青天白日の下2/5 ◆EqtePewCZE :2008/06/22(日) 23:27:54.32 ID:irpnjET60
 廊下を突き進んで、翠さんの家の一番奥。庭に面した大きな窓は開かれていて、夏が近いこの時期特有の爽やかな風が吹き抜けていた。
 あたしは同じ制服を着てにこにこと微笑んでいる皆実に「よっ」と片手を上げて軽く挨拶した。皆実は変わらずにこにこ笑っている。
翠さんが丸いお盆にスコーンを乗せてやってきた。チョコチップだ。すぐさまあたしは確認する。
できたてのスコーンを二つ白いお皿に乗せて皆実の前に置く。それからあたしの前に。
この順番は変わらない。もしも変わることがあったら、あたしは翠さんをうんと叱るつもりだ。
だけど、そんなことはたとえ地球が逆に回り始めたとしてもありえないとは思うけど。。
「今日はずいぶん早いじゃない」
「うん。お昼食べたら帰っちゃったんだ」
「あら、じゃあトコさんたらお昼を食べに学校行ったようなものね」
まあね。あたしはもごもごと口を動かしながら答える。ふと思い出して、バッグからミスドのドーナツを取り出した。
「おみやげー」
ありがとう。翠さんは綿の木に生ったできたての綿みたいにふわんと微笑む。
「大きい荷物ね」
「家出したんだ。・・・ねえ翠さん、モノは相談なんだけどさあ」
「ふふ、つまりこのドーナツは袖の下ってことかしら?」
「さっすが。話が早いね。ねえ、いいよねえ、皆実」
皆実はにこにこ笑っている。四角くて黒い額に収まった皆実の横には、あのときあたしがいた。
170青天白日の下3/5 ◆EqtePewCZE :2008/06/22(日) 23:28:28.41 ID:irpnjET60
 皆実は、春の長雨が続いたある日に逝ってしまった。春の長雨なんて現実には情緒もなんにもなくて、ただ川を氾濫させるだけだった。
濁流に飲み込まれてしまった皆実の最期を見たのは、たったの三人だった。川に落ちた子供と、たまたま通りかかったおじさんとおばさん。
ひどい雨。息が塞がるような灰色の空から、ざんざんと音を立てて雨が降っていた。どうどういう雨と川の怒号の合間から、皆実は小さな叫びを聞いた。
それでも、皆実を突き動かすには十分な音量だった。
川に飛び込んだ皆実に、土手を歩いていたおじさんとおばさんがすぐに気がついたのは本当に運がよかったことだと思う。
タオルの端にしがみ付いた子供と、引き上げたおじさん。それから携帯で救急車を呼んだおばさん。
川の真ん中にある岩に頭を打ち付けた皆実。

 翠さんに初めて会ったのは、皆実のお葬式だった。皆実と翠さんはほんとうによく似ている。ふくふくしたほっぺも、形のいい耳も。
翠さんは泣きはらした真っ赤な目で、制服を着た集団――あたしたちだ――に近づいた。
翠さんはあたしたちに、来てくれてありがとうということと、ひとつのお願いをした。
これからもあたしたちの姿を見せてほしいというお願い。
 あたしたちは断れなかった。断りたかったということじゃない。皆実と翠さんはほんとうによく似ていたから、あたしたちはそろって息を呑んだ。
皆実に会いたいと思った。どうしようもなく痛切にそう思った。思うと同時に、涙がこぼれてきた。
次の瞬間にはもう決めていた。あたしたちはこの人を手放せない。だってこの人は、皆実に一番近い。
そしてそれは翠さんにとっても同じだったのだ。眩しい青いブラウスに身を包んだあたしたちは、翠さんにとって一番皆実に近かったのだ。
あたしはぽろぽろ泣きながら、お葬式の会場に飾られていた皆実の写真を思い出していた。
あれは合唱祭が終わった帰り。
優勝した帰り道は興奮が冷めなくて、あたしたちは道を大声で歌いながら歩いていたら一眼レフをぶら下げたお姉さんが撮ってくれた。
信じられないくらい楽しくて、空は感動的な青さだった。
その後お姉さんは律儀にあたしたちの学校に写真を送ってくれた。写真のなかのあたしたちは、信じられないくらい楽しそうだった。
171 ◆VXDElOORQI :2008/06/22(日) 23:29:16.67 ID:1SjOo8Im0
予約予約ー
172青天白日の下4/5 ◆EqtePewCZE :2008/06/22(日) 23:29:54.57 ID:irpnjET60
 「翠さーん。お、なんだなんだ本川がいるぞう」
「あ、千ちゃん達来たわね」翠さんが立ち上がる。
他の大人たちから見れば、あたしたちのこの関係はすごく残酷なものだろう。
あたしたちは足しげく翠さんと皆実に会いに行く。死んだ娘と同じ格好をしたあたしたちが。
時間が止まってしまった娘。でも翠さんの時間は流れていく。
ぞろぞろという足音がして、千田と江波っちゃん、それから横川っちが顔を出した。
バスケ部の千田が仁王立ちしてあたしを指差す。なかなかの威圧感だ。
「おい本川ぁ、お前宮島の授業が終わったら帰ったろう」
 宮島とはうちの高校の古典の先生。国語の先生は話が通じるから好き。脳みそまで筋肉で出来た体育教師なんかとは話が出来ない。
あたしたちチーム西条の中ではあたしが宮島先生にラブ、という図式が出来てる。別にいいんだけど。
それから千田と江波っちゃんと横川っちはそれぞれ皆実に軽く挨拶する。
「なんだ、トコさん。お昼ごはんのためだけじゃなかったのね」翠さんがくすくす笑う。
「でも今日宮島先生あたしのこと当ててくれなかったんだ。アイムソーサッドだよ」
「それはお前がわかんないくせに手を挙げるからだろう」千田が胡坐をかきつつツッコミをいれてくる。
「ま、宮島もトコちゃんのことはお気に入りだと思うよ」横川っちが嬉しいことをいう。
「バカな子ほどかわいいってね」千田はうるさいよ。
 江波っちゃんはころころ笑っている。
173青天白日の下5/5 ◆EqtePewCZE :2008/06/22(日) 23:31:44.44 ID:irpnjET60
 これでも、江波っちゃんは最初大変だったのだ。皆実の写真に挨拶することも出来なかった。
初めてあたしたちが翠さんの家に来たとき、こわばりながら皆実の写真に挨拶するあたしたちを見て
「ここにいないのに、ここにいないのに」と言って泣き崩れてしまった。
ゼリーみたいに柔らかな心の場所を抉られたはずの翠さんは優しく、――それはあたしが思うに世界中で最も優しく――江波っちゃんの背中をなでた。
 人間って、人の間って書くのだ。隣の人と隣の人で互いに縛っておかなきゃいけないのだ。
「本川は周りがみえてないなー。冷静に考えてみ?相手にされなかったからって授業サボって帰るか?普通」
「直情的なとこはあるよね、トコちゃんって」
「ぽっきり折れちゃやだよぅ?」
「あら、知らなかったの?好きって強いのよ」
「知ってたわ」
 翠さんが即答する。あたしたちは顔を見合わせて笑う。
 縛られてなきゃふわふわ浮いて、どこかに行っちゃいそうな軽い魂をつなぎとめて笑っている。
 長い長い階段に目が眩みそうになっても。
 何かがあたしたちを分かつまで。青い空の下。白い太陽の下。
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:32:12.79 ID:FEbuK4Ou0
◆EqtePewCZE氏、おつかれさまでした。

◆VXDElOORQI氏、どうぞー。



順番

予約締め切り済み
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:32:27.23 ID:ukthhq/T0
◆VXDElOORQI氏は覚えてしまった
期待
176青天白日の下了/5 ◆EqtePewCZE :2008/06/22(日) 23:32:30.41 ID:irpnjET60
ごめんなさい「了」付け忘れましたが、終了です。
177ポニーテール・メモリー 1/4 ◆VXDElOORQI :2008/06/22(日) 23:34:58.50 ID:1SjOo8Im0
 昼時、腹が減ったので台所に行ってみると、そこにはすでに妹がいた。
 楽しそうに鼻歌を口ずさみながら、フライパンを振っていた。
 水色のエプロンを着て、いつもは肩まで伸ばしている髪は一つに結われていた。妹が動くたびにそ
の髪がしっぽのように揺れる。そうポニーテールだ。あごの先から耳の中心に向けて線を引き、その
延長線上で髪を結う。そういわゆるゴールデンポイントもしっかり押さえている。
 前髪まで縛らず、なおかつしっかりと後れ毛も残してある。もちろん白く美しいうなじも健在である。
その二つが揺れるポニーテールのよさを何倍も引き出している。
 洒落っ気を押さえた黒の輪ゴムというのもポイントが高い。さらにおそらく結ぶ瞬間、口にその輪
ゴムをくわえていただろうと想像するだけで、ご飯三杯は軽くいけそうである。
 更に妹のポニーテールは大変珍しい。普段は料理するときでも髪を縛ったりしないのだ。その希少
種っぷりがさらに心をわしづかみにする。なんで今日は縛っているのだろうか。いや、そんなことは
今、どうでもいい。大した問題ではない。目の前に揺れる髪の毛がある。そうなればすることは一つ
だろう。
 俺は妹に気付かれないように、そっと近づき、可愛く揺れる髪の毛にそっと手を伸ばす。
 もうすぐ掴めると思った瞬間、妹が振り向いた。
「残念でしたー」
 妹はしてやったりという顔でにっと笑った。
「……なにが?」
「髪の毛掴もうとしてたでしょー」
「そんなことしてないですよ?」
「お兄ちゃん、負け惜しみはよくないよー?」
 さらに口元を緩め妹は笑う。勝ち誇った顔しやがって。キスしてやろうか。
「だから俺はお前のポニーテールを掴もうなんてしてないから」
「あれ? じゃあこの手はなにを掴もうとしてたのかなぁ?」
 妹が俺の片腕を指差す。髪の毛を掴みそこなった手は行き場を失い、まだ宙を漂っていた。
「明日かな」
「ふーん」
 その反応。虚しくなるじゃないか。
 俺が肩を落とすと、妹がぽんぽんとその肩を叩く。
「もうすぐご飯出来るから元気だせよ」
178ポニーテール・メモリー 2/4 ◆VXDElOORQI :2008/06/22(日) 23:35:39.78 ID:1SjOo8Im0
「……うん」

 しばらくして俺と妹は二人で食卓を囲んでいた。食卓の上にはチャーハン。黄金色をしたチャーハ
ンである。
「いただきます」
「いただきまぁす」
 二人揃って手を合わせてから、俺はスプーンを手に取り、チャーハンをひとくち、口へと運ぶ。
 ああ、美味い。ご飯と卵が絶妙に絡み合い、それだけでもハーモニーを奏でているというのに、そ
こに他の具が合わさるとまさに絶妙。パーフェクトハーモニーである。

 俺は一皿、一気に食い終え、妹に皿を差し出しおかわりを要求する。妹は「はいはい」と苦笑いを
浮かべて、席を立つ。おかわりをよそいに行く途中でも妹の髪の毛は当たり前のように揺れている。
大自然の神秘だ。
「ところでさ、なんで今日は髪の毛縛っているの?」
「んー。ちょっと昔を思い出してねー。どう似合ってる?」
 妹は皿を持ったままくるりとその場で一回転。妹の回転が止まり、少し遅れて髪の毛の動きも止まる。
「似合っているよ」
 妹は、嬉しそうにえへへと笑い、しっぽをいじり回している。
「でも昔を思い出してって? 昔もポニーテールにしてたっけ?」
 その言葉に嬉しそうにしてた表情は一瞬で無表情へと変わり、妹は俺を睨みつけてくる。
「覚えてないの?」
「残念ながら」
 そう言った瞬間、俺の顔に皿がまっすぐ飛んできた。それは俺のおでこに見事に命中して、小気味
いい音を立てる。目の前に火花が散る。プラスチックの皿で本当によかった。
「お兄ちゃんのばかー!」
 そんな妹の声がしたあと走り去る音が聞こえる。おそらく部屋に戻ったのだろう。俺は走り去る妹
を引き止めることが、それどころか見ることすら出来なかった。なぜなら痛むおでこを押さえて蹲っ
ていたから。
179ポニーテール・メモリー 3/4 ◆VXDElOORQI :2008/06/22(日) 23:36:18.69 ID:1SjOo8Im0
 痛むおでこをさすりながら、妹の部屋に向かう。さっきの痛みで思い出した。確かに妹は昔よくポ
ニーテールにしていた。それも俺が結ってあげていたのだ。
 妹はお出かけをするときはいつもポニーテールにしていた。可愛らしいかざりがついた輪ゴムを持
ってきては、俺にそれを渡し、後ろを向く。そして言うのだ。
『あたし今日はお馬さんになるー』
 あぁ。なんで俺はこんな大切なことを忘れていたのだろうか。これが俺がポニーテール好きになる
きっかけではないか。人は時に己のルーツを忘れてしまうものなのだろうか。ポニーテールはいわば
心のソウルフードだというのに。
 そうこうしているうちに妹の部屋の前に到着した。ドアをノックすると、妹は少しだけ扉を開け、
そこからこちらを覗く。
「なに?」
 髪はもう下ろしてしまっている。
「部屋。入ってもいい?」
「ダメ」
「そこをなんとか」
 しばしの沈黙のあと妹はドアを開けてくれた。俺は「ありがとう」と言ってから部屋に入る。
 やっぱり妹は髪をもう下ろしてしまっていた。
 妹の机の上にはさっきまで妹の髪を縛っていた黒い輪ゴムが置いてあった。俺はそれを手に取り、
妹と向かい合う。
「後ろ向いてみ?」
「なんで?」
「お馬さんにしてあげる」
 一瞬驚いた顔をした妹はすぐに微笑み、頷いた。

 妹を椅子に座らせ、俺は妹の髪を結う。久しぶりに触る妹の髪は昔と同じようにさらさらで、良い
匂いがした。
 三つ編みをするわけじゃない。ポニーテールにするだけだ。だからすぐに結い終わる。それでも俺
にとってこの時間はとても大切なものになった。
「よし。出来た」
 妹の背中をぽんを叩く。
180ポニーテール・メモリー 4/4 ◆VXDElOORQI :2008/06/22(日) 23:37:23.11 ID:1SjOo8Im0
 ゆっくりと立ち上がった妹は、先ほどのように、でもさっきよりもゆっくりとその場でくるりと一
回転して見せた。ワンテンポ遅れてしっぽが追いつき、動きを止める。
「どう。お兄ちゃん?」
「うん。可愛いよ」
「お兄ちゃん。さっきはごめんね」
「いや、いいって。こっちこそごめんな」
「うん。あ、まだおかわりいる?」
「お願いするよ。妹の飯。美味いからな」
「うん」
 妹は台所へ向かうために部屋の扉に向かって歩き出す。妹が一歩歩くたびに、しっぽが揺れる。ふ
わりふわりと揺れるポニーテール。そんなものを見てしまったら、することは一つだろう。
 俺は手を伸ばす。だが、またしてもあと一歩のところで、妹が振り返ってしまった。
「えへへ、残念でしたー」
 そう言って妹はにっと笑った。

おしまい
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:37:52.69 ID:FEbuK4Ou0
◆VXDElOORQI氏、お疲れ様です。
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:38:26.56 ID:FEbuK4Ou0
現在、週末品評会116thの投票受付中です。今回の品評会お題は『縛る』でした。
投稿された作品は■まとめ http://yy46.60.kg/bnsk/ -週末品評会116th- にてご覧頂けます。
投票期間は2008/06/24(火)24:00:00までとなっております。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票には以下のテンプレートを使用していただくと集計の手助けとなります。
(投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません)

******************【投票用紙】******************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
               ―感想―
      <<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
               ―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
**********************************************
携帯から投票される方は、今まで通り名前欄に【投票】と入力してください。
たくさんの方の投票をお待ちしています。 
時間外の方も、月曜中なら感想、関心票のチャンスがあります。書き途中の方は是非。
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:38:47.01 ID:FEbuK4Ou0
第116回週末品評会「縛る」 作品一覧

No.00 別ちがたきもの 1/5  ◆zmMEjNb3Ok (時間外No.01?)
No.01 女神像 1/5 ◆zH52hPBzFs
No.02 呪縛〜 sky 〜 1/5 ◆DppZDahiPc
No.03 星へ 1/1 ◆bOdJFf7Ps6
No.04 ミコハル 1/3 ◆A9epGInhJg
No.05 縄 1/4 ◆ibD9/neH06
No.06 小さな火 1/5 ◆zmMEjNb3Ok
No.07 縛られた男と四人の女 1/3 ◆LBPyCcG946
No.08 サボテン 1/5 ◆D8MoDpzBRE
No.09 銀色 1/3 ◆uv1Jg5Qw7Q
No.10 フリーダム・ロード 1/5 ◆bOdJFf7Ps6
No.11 キッコーマンよ、月に啼け 1/5 ◆0CH8r0HG.A
No.12 キピク 1/5 ◆pxtUOeh2oI
No.13 春待ちの少女 1/5 ◆TtwtmrylOY
No.14 青天白日の下 1/5 ◆EqtePewCZE
No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◆VXDElOORQI
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:39:01.13 ID:sjHvvewX0
運営&転載おつー
185 ◆AnyTD/7AYY :2008/06/22(日) 23:40:34.01 ID:BCkNm/1t0
週末品評会の時間外を投下します。
186ミラクル・クルクルプラント 1/5 ◆AnyTD/7AYY :2008/06/22(日) 23:42:14.80 ID:BCkNm/1t0
 ピンポーンと、間の伸びたインターホンの音がマンションの部屋に響いた。
 こんな時間にいったい誰だろうか。佐藤和雄は疲れた身体をソファに投げ出したまま、
目線だけを玄関に向けた。すっかり塗装の剥げ落ちたドアの向こうから、「宅配便でーす」
というくぐもった声が届く。
「やれやれ」
 立ち上がろうとした拍子、無意識に声がもれた。家の中でぐらい他人に邪魔されずにゆっくりと
休みたいものだ。ギシギシと鳴る扉を開けると、和雄より一回り身長の高い、
がっしりとした青年が大きなダンボールを両手で抱えて立っていた。
目が合うと青年は、テレビコマーシャルでも見ているような見事な笑顔をつくり、
ダンボールを地面に下ろした。見た目通りにかなりの重さなのだろう、ずしりとした振動が伝わってきた。
「こちらにサインをお願いします」
 笑顔のまま差し出された伝票にサインをすると、青年は「ありがとうございます」と大きく頭を下げた後、
小走りに駆け出していった。かんかんと階段を駆け下りる音が小さくなっていくのを聞きながら、
和雄は自分にもあんな時期があっただろうかと考えた。若い頃の自分の姿を思い浮かべてみるが、今と同じ
ようにくたびれている姿しか思いつかなかった。

 ダンボールは石でも詰めてあるのかと疑うほど重たかった。なんとか苦労して部屋の中まで引きずり
込んだが、それだけで汗びっしょりになってしまった。いったいこれはなんだろうか。差出人の欄には
聞いたこともない会社名が英語で書かれており、品名は空白になっている。全く怪しいことこの上ない。
開けてしまっても良いのか悩んだが、中身も分からず放置しておくことも躊躇われた。べりべりと
ガムテープを剥がし、中に詰まっていた細かい発泡スチロールを取り除くと、中から出てきたのは
やたらと立派な鉢植えに植えられた観葉植物だった。
 重たいはずだ。呆気に取られながらダンボールを破って中身を取り出した。和雄は鉢植えといえば、
プラスチックやレンガで作られたものしか知らなかったが、これは陶器と金属の間のような不思議な光沢
を放つ物体でできている。表面に凹凸で描かれた複雑な模様が、どことなく高級感をかもし出している。
先の尖がった葉を広げた植物が、えっへんと胸を張るように鎮座している。
 なぜこんなものが自分に送られてきたのだろう。疑問と焦燥感が頭を駆け巡る。ふと植物の葉の中に
一枚のカードが添えられているのに気づいた。名刺サイズのそれを抜き出してみると、小さな文字が印刷
されていた。
187ミラクル・クルクルプラント 2/5 ◆AnyTD/7AYY :2008/06/22(日) 23:42:37.07 ID:BCkNm/1t0
『新製品“ミラクル・クルクルプラント”これであなたも毎日がハッピーライフ!
バイオテクノロジーの力によって生み出された、今までの常識を覆すミラクルな観葉植物。
脅威の光合成でお部屋の空気を常にクリーンアップ、さらに一日に必要な栄養素をたっぷり含んだ果実が
毎日実ります。ただいま市場調査のために試用期間として無料で貸し出しております。』
 もう一度植物を見る。量販店に売っていそうな、ごくごく普通の観葉植物である。頭に浮かんだのは、
いたずらにしては手が混みすぎているなということだけだった。疲労感のせいか意識がぼんやりとして
きた、考えるのは明日にしよう。ひょいとカードを裏返したとき、赤い文字が目に入った。
『※注意事項
1.携帯電話を近くで使用しないでください
2.果実は一日につき一つだけお召し上がりください
3.観葉植物は燃えるゴミに出さないでください』

 翌朝は7時に目が覚めた。いつもはあれだけ悪い寝起きがやけにすっきりしていた。ベッドの隣りには
昨日の観葉植物が置かれている。まさかとは思うがこいつのおかげなのだろうか。宅配便で運ばれてきた
のだ、しばらく水を与えられていないはずにもかかわらず、朝日を浴びて青々と葉を広げている。葉の先
に、昨日はなかった青色の丸い物がくっついていた。これが例の果実というやつだろう。ぶどう粒
ぐらいの大きさのそれは、表面に水滴がつき瑞々しく朝日を反射している。なかなか美味そうだと思うう
ちに、一つを千切って口に入れていた。熟れた果実のように柔らかいそれを噛むと、じゅわりとした甘い
水分が口いっぱいに広がった。乾いた喉が瞬く間に潤い、食道から胃へと流れていく。体の内側から疲れ
が消えていき、代わりに猛然としたやる気が沸いてきた。こんな気分はいつ以来だろうか。仕事への情熱
を失っていなかったころの自分を思い出す。和雄は
「おはようございます」
背筋を伸ばし、大きな声であいさつをする。始業時間の三十分前、ちらほらとした社内から驚いたような
視線が返ってくる。そうだ、昨日までの自分は背中を丸め、始業ぎりぎりの時間に来ていた。いつからだ
ろう仕事がつまらないと感じるようになったのは。
「今日はお早いですね」
営業回りの準備をしていた部下の田中がにこにこ笑いながら近づいてきた。思い起こせば自分は、まじめ
だがどんくさいところがある彼をいつも叱ってばかりいた気がする。一生懸命にやっているのは分かって
いたが、それが余計に鼻につき、つい怒ってしまっていた。
188ミラクル・クルクルプラント 3/5 ◆AnyTD/7AYY :2008/06/22(日) 23:42:55.99 ID:BCkNm/1t0
「いつもすまなかったな」
本心から言葉がでた。田中は目を丸くすると笑い出した。
「どうしたんですかいったい。変なものでも食べたんですか」

 その日から和雄の生活は変わった。日々の仕事をただ流れ作業のようにこなすだけでなく、自ら新しい
企画を発案し、会議で意見を主張した。自分でも不思議に思うほど仕事が楽しくなり、会社のために働き
続けた。突然人が変わったような和雄を、始めは周りも一時的なものだろうと面白がっていたが、時間と
ともに社内での評価も上がり、一月も過ぎだ頃にはすっかり社内で中心的な存在にまでなっていた。

 甲高い電子音が鳴り響いた。それが携帯電話の音だと気付くのにしばらく時間がかかった。ベッドから
身を起こし、脇のサイドボードに手を伸ばしたが、そこにあるはずの携帯がない。スリッパを履いて立ち
上がる。携帯はサイドボードから落ちたのか、鉢植えの中にあった。緑色のランプが点滅するそれを拾い
上げて、通話ボタンを押す。スピーカーからは取引相手の声が聞こえてきた。朝早く申し訳ありませんと
軽く詫びた後、相手は商談の件についての話をし始めた。今度の和雄の企画の中で一番難関だった部分だ。
どうやら上手くいきそうな雰囲気になり、ひとまず安心する。頭を下げてお礼を言った後に電話を切る。
 ふぅ、と息を吐き、観葉植物を見つめた。この植物のおかげで今の自分がある。和雄にとってこれはも
はや、なくてはならない大切なものになっている。さて今日も頑張ろうと手を伸ばしたところで気付いた。
果実の色が黄色になっている。なんだろうか、昨日までは青い色をしていたはずだ。ぐるっと見回してみ
たがどの果実もみな黄色くなっている。季節が変わったせいかもな、和雄は深く意識せず、一つちぎって
口に放り込むと会社に出かけた。

「どうしたんですか佐藤さん」
昼休みに田中が話しかけてきた。弁当を食べた後、机につっぷして寝ていた和雄は頭をあげる。
「何がどうしたんだ」
「だって今日は朝から元気がないですよ。いつもなら昼休みだって仕事してる勢いですし」
言われてみて気付いた。そういえばいつもは昼休みだろうが休むことはなかった。ましてや居眠りなど論
外のはずだ。
「いや、ちょっと疲れたんだ」
「そうですよね。たまには休むのも大切ですよね」
笑いながら自分の席に戻る田中を見ながら、和雄は「あぁそうだ疲れたんだ」と自分に言い聞かせるように呟いた。
189ミラクル・クルクルプラント 4/5 ◆AnyTD/7AYY :2008/06/22(日) 23:43:17.24 ID:BCkNm/1t0
 翌日の朝、寝起きは悪かった。頭がどんよりとし、体がもっと睡眠を寄こせと抵抗する。和雄は黄色い
果実を食べた。しかしいつものような充足感はこなかった。これではだめだ、和雄はもう一つ実をちぎる。
二つ目でようやく人心地がついた。深呼吸をして伸びをする。やはりこいつは役に立つと思い目を向けて
ぎょっとした。観葉植物の実は赤い色をしていた。
「佐藤さん、本当に辛そうですよ。少し会社休んだらどうですか」
 果実が赤くなってから、その効果はさらに薄くなった。それでも最初のうちは三つ四つと食べればなんと
かなった。その分赤みを増す果実の摂取量は増えていき、今では毎日生っている実をすべて食べている。そ
れでも効果が足りなくなってきている。
「いや、大丈夫だ」
 和雄は気力で体を包み込むだるさに対抗する。田中は肩をすくめる。
「ほんとにやばくなったら無理やりにでも休んでもらいますよ」

 カーテンの隙間からのぞく空には、厚い雲が渦を巻いている。じっとりとした湿度の高い室内で和雄は
寝返りをうつ。冷たい汗をびっしょりとかき体が鉛のように重かった。そろそろ会社に行かなければならな
い時間だ。毛布を握り締めるようにして、なんとか上半身だけ起こした。ぜぇぜぇと息が切れている。ベッド
の隣を見る。鉢植えに植えられた観葉植物があった。暗くどんよりとした室内の中で、そこだけ妙に生き生
きとした生命の輝きがあった。そういえば結局一度も水をやらなかった、と和雄は思った。倒れるように
ベッドから身を起こす。頭はふらふらとし、吐き気がこみ上げる。あれを食べればましになるはずだ。和雄は
果実をむしるようにちぎり取る。指に挟まれた実は真っ黒になっていた。迷わず口に入れた。石のようにざら
ざらとした食感、口の中に絵の具をぶちまけたような味が広がった。たまらず吐き出した。タバコを溶かして
たような黒い液体が喉を焼く。目が充血し、頭に血が上ったのが分かった。
「こ、の、、役立たず」
 和雄は訳の分からない言葉を叫ぶと、植物の幹をつかみ、手がすりむけるのも構わず思いっきり引っこ抜いた。
そのままベランダにでると外に放り投げた。しばらく重力に逆らった後、植物は下に落ちていった。どさりと
いう音が聞こえた気がした。はぁはぁと和雄があえぐ音だけが響いている。
 車がこちらへ向かってくる音が聞こえた。虚ろな目のまま下を見ると、ゴミ収集車がマンションに来ていた。
目を凝らすと植物はちょうどゴミ置き場の上に落下したらしい。そういえば今日は燃えるゴミの日だったな。
燃えるゴミ……。
190ミラクル・クルクルプラント 5/5 ◆AnyTD/7AYY :2008/06/22(日) 23:43:33.43 ID:BCkNm/1t0
 瞬間体中の毛が逆立った。ゆっくりと、顔だけを後ろに向けていく。部屋の中は先ほどと変わらず薄暗い。
その中央を、場違いな大きな鉢植えが陣取っている。先ほどはベッドの真横に置いてあったはずのものだ。
「あぁ、あぅ」
言葉にならない声が和雄の喉から出た。足に力が入らず、腰が砕けた。ぺたりの座り込み、ただ鉢植えを見つめた。
鉢植えがにやりと笑った。心臓の奥に響くような耳障りな音で、げらげらという笑っている。すっと近づいてきた。
目の前にいる。和雄は動くことができない。半笑いの顔のまま、ひゅーひゅーと喉が風をきる。鉢植えが一層
笑い声を強める。耳の奥で、体の奥で反響してわんわんと震える。鉢植えが大きく口を開けた。そのまま迫り、
和雄を頭から飲み込んだ。



ピンポーン
「宅配便でーす」

<終>
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/22(日) 23:46:19.84 ID:FEbuK4Ou0
ここまでの品評会作品まとめ済み
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:06:50.61 ID:NeDH4t+m0
ふと気になったんだけど
まとめバトンタッチ前後で、品評会の顔ぶれ変わった?
前から見てた酉見なくなったようなそうでもないような
193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:10:50.27 ID:GERYUNGX0
******************【投票用紙】******************
【投票】: No.11 キッコーマンよ、月に啼け ◆0CH8r0HG.A
               ―感想―
これほどお題に真正面からぶちあたった、潔い作品は他に無い。
内容的にもきっちりエンターテイメントしてる。
シモ性が強いので人によっては良い・悪いが分かれるだろうが、
俺は全然平気だった。だから投票。

気になった作品:なし
**********************************************
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:19:10.21 ID:iTCNPxW50
結局まとめもほとんど前の人がやってるよね
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:21:39.13 ID:JzXVKmDG0
>>192
変わってるね。飽きたんじゃね?
196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:24:30.18 ID:Btf1yYSB0
なあに、中の人が同じでも酉を変えればわからなくなる
文体? ささいなことだ
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:24:37.24 ID:Chszl3xJ0
友達と同じテーマで書きたいから、何か題材クレ。
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:25:09.81 ID:ERGOH4aZ0
お前らが持ってるお題を今すぐ出せ!
199以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:25:13.13 ID:JzXVKmDG0
>>197
偽善
200 ◆EqtePewCZE :2008/06/23(月) 00:25:32.37 ID:rFno0YzV0
あの、No.14 青天白日の下5/5がまとめにないす・・・
いや5/5はあるんだけど内容だけ4/5です・・・
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:25:33.15 ID:JzXVKmDG0
>>198
何もない
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:29:16.95 ID:ERGOH4aZ0
>>201
しけたやろうだな。まあいい、頂くぜ
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:33:53.34 ID:duTX1rSLO
さて、一眠りして起きたつもりが20時間ほど経ってるわけだが。
品評会を華麗にスルーしたようなので何かお題を
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:36:36.86 ID:rFno0YzV0
>>198
アルファベット
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:37:30.96 ID:BRqbJSnL0
>>203
石楠花
206 ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:47:12.51 ID:eIdqgksn0
色々ややこしい事になった時間外投下です
207 ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:47:53.73 ID:eIdqgksn0
あれ?トリおかしい?
208狂人の眼 1/5 ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:48:42.59 ID:eIdqgksn0
 「画家は作家の作り出した言葉の束縛から、常に自由でなければいけない」という事が口癖の男が居た。勿論男の職業も画家であったが、四十も近くなってから、芸術活動として行う事といえば絵を描く事よりもその真髄について一人で悶々と考えることが多くなっていた。
 その男の名前は竹川と言う。心地よい春の陽気に少しずつ雨の湿り気が混じり始める五月の暮れ、竹川はいつものように彼自身の質素なアトリエの中で、腕を組みつつ難しい顔をして考え込んでいた。
 竹川は幾度も幾度も反復した内容を、不毛にもまた頭の中で繰り返している。つまり、言葉で考えて描いた絵は、その瞬間に言葉に縛られてしまうという事についてだ。
 具体的な物で言えば見た瞬間に心が動いた風景を、抽象的な物で言えば頭に浮かんだ不定形のイメージを、いざ白いキャンバスに描き出そうとすれば、途端に頭が「優雅な緑」だとか「透き通るような空気」だとか「情熱を表す炎」だとかいった余計な事を考えてしまうのだ。
 言外の美しさを良しとする芸術に対して、ここでこう感じて、ここがこれを表していて、と逐一説明をされているような物だ。 その時点で筆を握った瞬間に感じていた感動は白々しく薄らいでいき、出来上がる絵もその題材とは程遠い、あざとい物になってしまうのだ。
 竹川が思うに、そういった絵は、乾いた絵の具が汚らしく集積しただけの物であり、写真の方が何倍もマシだと思えるような駄作である。
 部屋の片隅に乱雑に放り投げられた、そういった駄作の数々を横目に見ながら、そこまでは竹川は気がついていた。しかし問題はその先なのである。言葉で考えないようにしよう、という制約ほど難しいものは無い。そもそもその制約自体が言葉である。
 苛立ち気味に竹川は乾いた筆で空白のキャンバスをなぞってみる。描きたかった風景、表現がしたかったイメージなど沢山あったけれども、悉く「言葉で考えないように」に失敗して無駄にしてしまった。一度薄れてしまった感動は、もう二度と同じ物では戻ってこないのだ。
 言葉の束縛。厄介な事だ、と竹川は何度も何度も考えた。優れた作家の作品を読めば読むほどに、それに感動すればするほどに、より高位の美しさにまで既存の言葉の手が伸びてくる。
 読書に限った事ではない、人が物を考えるときに用いるのが言語である以上、なんでもかんでも物を見れば見るほど、知れば知るほどに言葉の束縛は一層強まってきて、竹川の手から筆を折ろう、折ろうと締め付けてくるのだ。
(いっその事、狂人にでもなれれば楽なのだろうに)
 遂に竹川はそういった事を考えるようになっていった。一日の大半を腕を組んで小さな硬い椅子に座りっぱなしで、そうやって何日も何日も過ごしている竹川は常人の眼から見れば十分に狂っているように見えたに違いない。
 事実、時折彼に会った人は皆、「芸術への道なんかに、安易に踏み出していったからだ」と彼の精神を案じるのである。
 ただ、悲しいことに彼の狂い方は全くまともな狂い方だったのだ。まともな言葉で、まともな精神が突出していく過程で少しずつ狂っていくというあり方で、彼は最初から全くの狂人ではなかった。言葉に縛られた、ただの貧相な男であった。
 言葉から自由になりたい、と常々考えていた竹川にとって、それは最も不都合な狂い方だった。
(いっその事、狂人にでもなれれば…………)
 アトリエには、時計がコチコチと単調に時間を刻む音と、柔らかな筆がキャンパスを幾度も幾度も無意味になぞる、しゅらしゅらという音が小さく響き渡っていた。

 その日は朝から細かい雨が降っていて、外の空気は青白く染まっていた。
 昼から竹川のアトリエに、画商をやっている友人がやってきて、竹川の描いた絵の中から数点を取り出して丹念にその一枚一枚を眺めていた。
「うん。この絵も良いな。佇む木々の落ち着きと、やや不気味な静けさが、よくあっている。俗な言葉で言うなら神秘的だ」
「そうかい」
「うん、うん。君はただ風景を書くだけじゃなくて、それの含む詩を十分に表現できる画家なのだな。知り合いからは狂っているなんて言われているようだけど、画家なんてものは君くらい狂っていて丁度いいくらいだ」
「そうかい」
 しきりに彼の絵を褒める友人に、竹川は苦りきった顔を悟られぬように眼をあわせず答えた。しかし、そういったことをせずとも友人の両目は数々の絵を眺めるのに忙しく、竹川の方に向いてくる事は殆ど無い。
 竹川は何も無い部屋の隅を眺めながら、友人が眼を輝かせて「放り投げた絵」に噛り付いている姿を想像して少しばかり悲しくなった。
209狂人の眼 2/5 ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:49:05.84 ID:eIdqgksn0
 そうしてしばらく空虚なやりとりをした後、友人は立ち上がってふうと一つ溜息をついた。小脇には何枚か絵を抱えている。
「……それじゃあ今日はこれくらいにしておこう。迷ったけれども、この絵を買うことにした。幾らが良いね?」
「幾らでも」
(ただでくれてやりたいくらいだ。そんな絵)
 画商の友人は少し笑い。
「君はいつでも謙虚だね。これは確かに十分狂っているかもしれないな」
 と言って代金を竹川の前の机に置いた。商売の為に絵を買ったと言うにしては、多すぎるともとれる額だ。
「それじゃあ、またしばらくしたら来よう。いい絵を描いておいてくれよ」
 扉を開けて霧雨の中に出て行く友人を「うむ」とも「ああ」ともつかない、間抜けなうなり声で送り出した竹川は、一人になるとすぐさま、またいつもの様に腕を組んで考え事をしようとした。
 友人が買っていった絵がどういった絵だったかは、もう思い出せなくなってしまっていた。
(自由に、なりたい)

 しばらくして、竹川は机に置かれた金をひっつかみ、ノソリと立ち上がった。絵と絵の間に挟まるように投げ出されていたハンチング帽を拾い上げ、幾度か埃を払って深くかぶる。
 酒でも飲めば、いくらかこの凝り固まった思考もほぐれるだろうと竹川は久々の外出をする事にした。アルコールならまだかなりの量が買い溜めしてあったのだが、柄にも無く外に出たい気分であった。
 細かい雨は止まずとも降りしきるともつかずにさわさわと気中を揺らいでいる。それが日暮れの藍色と相まって、薄いカーテンのようだった。小さな、ほんの産まれたての金魚なら、もしかするとこの空気中を泳いでいけるかもしれない。
 布の手触りを確かめるように、竹川は手の平を幾度か滑らせつつ、そういった事を思って知らず知らずその絵を描くとどうなるだろうと思っていた。無論、その絵が満足のいく出来で完成することはきっと無いのだが。
 幾度も外出はしないにせよ、一度の買出しで買い込む食糧が多いために竹川のアトリエは繁華街からは近い場所にある。知り合いからは「芸術家らしくない」と言われるのだが、本当の芸術家は場所を選ばないというのが竹川の信念であったために頑としてそこに住み続けた。
 それだけ暮らしていながら居酒屋に脚を運んだのは数度しかない。どこに行けば良いかも分からなかったために、最も手近な一軒で竹川は酒を頼んだ。酒が出で来るまでの間も、酒を飲む間もひたすらに芸術について考え始める。
 脳に渦巻く言葉の奔流がすっかりアルコールの浮遊感や酔いを邪魔してしまって、竹川は少しも良い気分になれない。言うならば、竹川はガラスのコップを揺らしながらも、とめどなく流れ出てくる想像に悪酔いしてしまっていたのだ。
 酔おう酔おうと飲み続けて、何杯目かの酒を飲み下したとき、完全に竹川の思考は意味を持つ理念から、ただの単調な言葉の反復になり下がってしまっていた。例えば、言葉の束縛から自由になる事への渇望は、ただ「自由」と「言葉」という二つの言葉に。
(自由。自由。自由。言葉。言葉。言葉。言葉。自由。言葉。狂人。狂人………)
 脳に胃袋がついていたなら、とっくに言葉の波を吐き戻してしまっていただろう帰路の中で、不意に目の前に現れた看板が竹川の思考に合致した。
「狂人の眼 売ります」
 ――狂人。
 丁度竹川の脳の中身を読み取ったかのような具合で現れたその二字の言葉が、不気味な鮮烈さをもって竹川の両目に映りこむ。是も非も無く、知らず竹川はフラフラとその看板の下に歩いていっていた。
 それは地下に続く階段で、その再奥には錆付いた鉄の扉が鎮座していた。扉に白いペンキで直接書かれていた文句は、「うえるかむ」。
 竹川は同じようにフラフラ、フラフラと、その一段一段を下っていった。脳を満たしていた言葉の渦はいつのまにか消え、代わりに、異国の地で友人に出会った様な不思議な感動を覚えていた。扉の上で、消えかけの蛍光灯がヂヂヂと音をたてていた。
210狂人の眼 3/5 ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:49:34.83 ID:eIdqgksn0

「いらっしゃい」
 扉を開けて最初に竹川が気がついたのは、所狭しと積み重ねられた本や衣服のカビの匂い。次いで店の奥の明かり、その下にすわる老人に目が行き、そしてやっと「いらっしゃい」がその老人の言葉だったと気がつく。
 店内を見回せども、此処が主に何を扱う店なのかといった事は全く分からない。竹川は慎重に一歩一歩老人に近づきながら、その老人の顔を遠目に見ようとした。が、丁度老人の頭上から降り注ぐ蛍光灯の光が影を作っていて見えない。
 革靴が剥き晒しのコンクリートを叩く音に混ざって、老人から再び竹川に声がかかった。
「何かをお探しかね?」
 竹川は歩みを止めて、黒い影の中で小さく光っている老人の目を見つめる。既に両者の距離は殆ど無くなっていた。座る老人の目の前に立つ竹川と、それを見上げる老人。竹川は、きっぱりと答えた。
「狂人の眼、と表に書いてあったが」
 ホ、と老人の目が歪んだ。どうやらそれは笑みらしかった。
「あるよ、狂人の眼」
「どう言った物か聞きたい」
「聞いたまんまさ、狂った人間から抉り出した目の玉だよ。例えばアンタの眼とその狂人の眼を入れ替えたら、アンタには……」
「狂人が見る世界が見える?」
「……そういう事だね。目玉の入れ替えまでこっちでやっているから、アンタは金を払うだけすればいい」
 短い言葉の押収が、静かな店内でいやに大きく響いた。目玉を入れ替えると聞いて、流石に竹川は少しだけ考え込む。が、結局この奇妙な商品、仕組まれたような偶然を見過ごすことは芸術家としての竹川が許さなかった。或いは、半ば自暴自棄になっていたのかもしれない。
 熱く火照った顔で、竹川は老人に言い放った。
「買おう」
「毎度あり、それじゃあ早速入れ替えちまうから、こっちに来な」
 暗い店には更に奥があったらしく、老人は立ち上がってその闇の中に溶けるように消えていく。かろうじて見えるその後姿が、完全に溶け去ってしまわない内に、竹川は老人の後を追って歩き出して行った。
 まだ店内に入ってから数分と経っていないのに、看板を見つけた時の事がひどく昔のことに思われた。
(俺は芸術家だ)
 何度も何度もそう繰り返し、もしかすると取り返しのつかない事をしようとしているのではないかという懸念を必死に押さえつけながら店内を歩いていく。背後の鳥かごの中で、不意に大きなカラスがギャアギャアと鳴きだした。
 ――そこから先を竹川はよく覚えていない。ただ店の奥には不釣合いなほど本格的な手術室があって、そこの青白い光が清潔さを超えて不気味だった事。
 手術台に縛り付けられて痛み止めだという注射をされた事、それをされたら意識だけ残して体から全くの触覚が消え去ってしまった事、青白い光の中で見ても老人の顔は依然影であった事――
 意識が遠くなった、というより記憶と理解が追いつかなくなったといった方が的確かもしれない。気がつけば、竹川は本降りになり始めた雨に打たれながら、自らのアトリエの前に阿呆のように突っ立っていた。左目を覆う、「一夜経てば剥がしてよい」という眼帯と共に。

 泥のような眠りから覚めたのは、翌朝の昼を回ってからだった。顔の裏側が疼くような感覚に襲われて布団から身を起こす。
 二日酔いにはなっていなかった。が、また別種の吐き気がある。冷静になって昨夜の事を思い返し、竹川はやっと人間外の存在に触れてしまったことに対する戦慄に震えた。夢と割り切ろうにも、顔にさわればそこにしっかりと眼帯はあるのだ。
(なんて事を俺はしてしまったのだろう)
 酒の酔いか、言葉の酔いか、若しくは自らの理念に対する酔いだったのか。竹川は口を開けたまま左の指先で眼帯をさする。清潔な布の感触が指先に伝わり、さらにその奥の柔らかな皮膚を連想させる。そして、その皮膚の向こう側。
211狂人の眼 4/5 ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:50:27.05 ID:eIdqgksn0
 長い躊躇の後、恐る恐る竹川は眼帯を外した。血は出ていなかったが、粘ついた涙が出ていた。ガーゼの表面がひっかかるような音をたてて剥がれる。
 そして、左目が、狂人の眼が光を受けた瞬間、人間としての竹川は気を失いそうになった。代わりに、芸術家としての竹川が歓喜に身を震わせる。
 眼前に広がっていたのはいつも通りの見慣れたアトリエではなく、まさに「言葉に出来ない」風景。既存の概念に置き換えるなら、赤や黒、緑や黄色の曲線が入り混じった、しかし単に「赤」や「黒」と言い切る事の出来ない様な、そんなグロテスクな光景であった。
 竹川の口から乾いた笑いがこぼれる。左目を閉じれば、いつも通りの簡素なアトリエの風景が、左目をあければ長年ずっと求めていた芸術家の宝に変わっている。
(凄い)
 瞬きをする一瞬も惜しくなるほどに、目の前の風景、常人が決して行き着くことの出来ない束縛を超えた境地に見惚れ続ける。理性はとっくに掻き消えている。芸術の為に己の目玉を抉り出す事までした竹川の「本能」は、ただそれを絵に起こすだけである。
 布団を出て、寝巻きのままキャンバスの前に座る。
 絵の具の色も言外の色へと変わってしまっている。そこに単色の均一さは無く、同じチューブからとめどなく乱雑な色が流れ出てくるように見える。その乱雑な色の洪水を必死に探りながら、竹川はグロテスクな色のうねりを忠実にキャンバスに再現しだした。
 言葉が入り込む余地の無い作業、殆ど筋肉の赴くままに、体の求めるままに色を搾り出し、水で溶いて撫で付ける。もう乾いた筆の単調な音は響かない、湿った筆が断続的にぺたぺたとキャンバスに触れる音だけが聞こえてくる。
 丸一日を竹川は小さなキャンバスの前で過ごした。夜明けの薄い光を感じて蛍光灯を消し、心地よい溜息を一つつく。座っていた椅子が、背もたれの無いストールである事が口惜しかった。筆を握ったまま、どこかに身を投げ出したい気分だった。
 今、最後の色を塗りつけた筆が手を離れて床に落ちる。ゆっくりと左目を閉じると、視界にはいつも通りの質素なアトリエが浮かび上がった。 そして、キャンパスの中にはそのアトリエの様相が生々しく、多彩な色で描かれきっていた。
 感じた風景を完全に描ききった作品。言葉のフィルターを挟まない忠実さ、生命感。
(なんて、自由なんだ)
 その見慣れた風景こそ、長い間、真に竹川が追い求め続けてきた物だった。
212狂人の眼 5/5 ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:50:49.43 ID:eIdqgksn0
それから竹川はひたすらに絵を描き続けた。それは時に簡素なスケッチであり、時に優美な風景画だった。
 その悉くが評価され、竹川の名声も上昇していった。友人曰く、詩を超えた表現がある種の均一性を保って調和しているらしい。竹川は画商の友人を芸術家だとは思っていなかったが、その言葉は心地よかった。
 賞賛されれば賞賛されるほど、竹川の自身は確かな物になっていく。
(何せ俺には、この眼が有るのだからな)
 そうして日々を重ねる内、ふと竹川は思い立った。竹川の左目が見るこの風景を、自分を成功させてくれた愛しい風景を、それ自体をキャンバスに描いたらどうなるのだろうと。
 今まで書いてきた絵は、左目で見た風景を左目で見た絵の具の色で再現していた。結果、それは写真より生々しく、只の絵画より神秘的に描かれていた。しかし、左目で見た風景自体を、そのままの色で描き起こす事はした事が無かった。
 左目で風景を確認しながら右目で絵の具を選んでそれを現世に再現する作業、その考えは不気味な高揚を伴って竹川の脳を捕らえ、離さなくなる。その風景は自分だけの物に留めておく方が良いのかもしれない、という懸念はあったが芸術の喜びがそれを上回った。
 この風景を、自らの手で現世に育てる。本来そこに存在できない物を、常人の世界に出現させる。気がつけば、竹川はキャンバスの前に座っていた。窓の外の風景を眺めながらありったけの絵の具を傍らに並べる。
 左目で見れば、相変わらず狂人の世界はそこにあった。赤く、黒く喘ぐように震えるそれは子宮の中の胎動を思わせる。ただし実際は、そんな言葉も及ばぬほどの狂気なのだが。
 狂人の「赤」を通常の絵の具で再現することには骨が折れた。竹川は幾度も幾度も、何重にも赤に赤を重ね、これという色がでるまでごてごてと粘土のような絵の具を塗り重ね、黒に赤を、赤に黒を、キャンバスを突き破らんばかりの勢いで筆を叩きつけていた。
(これだ、この世界だ)
 時折左目を閉じて、現世に侵食していく愛しい我が子を眺める。そして再び暴力的に色を重ねていく。それは竹川にとっての、狂人の世界に対する芸術家らしい愛情表現とも言えたのかもしれない。
 そうして竹川が狂人の世界を思えば思うほど、左の眼球の奥から、何かが根を張るように脳に進んでゆく。
 筆が駄目になった。新しい筆を持ち出したが、またすぐに毛が広がりきって駄目になった。むせ返る絵の具の匂いに酔いそうで、竹川は今、鎖を外された獣の様に己の芸術性へと向き合っていた。
 肉食獣が爪を振るうように、筆を叩きつける。左目を閉じる度、複製された「我が子」は現世に染み渡り、キャンバスの周りにだけ、アトリエに異質の空間を作り出しつつあった。言葉の束縛などといった話はもう竹川の頭には残ってはいない。
 左目から根を張る何かが頭蓋の奥で脳血管を擦る感覚。産まれつつある狂気の歓喜と、父親たる竹川の至上の興奮が重なりきった時、その絵は完成した。頭の奥でぶつりと音がする。
 そうして竹川は壊れた。
213狂人の眼 6/5 ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:51:19.63 ID:eIdqgksn0

「ははは……どうだい。この絵は、幾らで買い取れるんだい。いや、やっぱり売らない。これは売らないぞ……」
 ノックしても返事が無いドアを開けて、画商の友人がアトリエに脚を踏み入れた時、真っ先に目に付いたのは竹川の微笑だった。目だけで笑う、という言葉があるが、竹川の表情はさらに異様で際立っていた。眼だけが顔から立ち上がって大笑いをしているといった印象だ。
「幾らといったって、君。この絵は……」
 次いで目に付いたのはアトリエの窓際に置かれた禍々しい塊であり、それがキャンバスだと理解するのに友人には数秒がかかった。見れば見るほどに吸い込まれるような、絶えず蠢いているような絵だ。
「見ろ、この絵は生きているじゃないか。キャンバスに縛られている絵は、駄目だ。この絵は何からも自由だ」
 友人は、決して自らのことを高尚な芸術家であるとは思っていなかった。腹の底では自分の事を芸術家きどりの俗人だ、とすら嘲っていた。しかし、この今までに無い絵が、もしかすれば芸術の結晶であるかもしれない傑物が、危険極まりない物である事はすぐに分かった。
「狂っている……」
 呟いて友人は立ち去ろうとした。これ以上この絵と、狂人を相手にしたくは無かった。一言竹川が喋るごとに、かつて自分が敬服した、筆を持つ詩人たる竹川が汚されていくような心持ちだった。
「狂っているさ、しかし君たちはずいぶん窮屈そうだ。アハハハハ……そうだ、窮屈だ」
「もう来ない。君の絵がもう見れなくなるのは残念だが、こうなってしまってはもう駄目だ」
「そうかい。……いや、待て。…………待て!!」
 友人の背中に伸ばした腕が、更に竹川自身の意思を離れて勝手に動いていくのは、まるで絵を描いている時の感覚だった。竹川の狭い視界の隅であの絵が嗤っていた。

 そこから先を竹川はよく覚えていない。以前にもこういった記憶の欠落があった事すら竹川は忘れている。
 友人が冷たくなって倒れていた事。誰かに腕を掴まれた事。絶えず聞こえていた笑い声が、実は自分の物だと分かって驚いた事。
 気がつけば清潔なベッドに皮紐で縛り付けられていたこと。医者の漏らした「いかん、狂っている」の一言が妙に可笑しかった事。
 (なんて、自由なんだ)
 連れ込まれた精神病患者の病棟にはキャンバスが無かったけれども、竹川には気にならなかった。あの絵を描いてから、目の前に佇む風景が我が子だとわかったのだ。左目さえ開けていられれば、竹川は満足だった。
 しかしそうではなかった。竹川自身も驚いた事に、両目を失っても狂人の風景は依然としてそこに見えていたのだ。いつかどこかで見たようなカラスが枕元におり、縛られている竹川の顔から両目を抜きとり、何処かへ飛んでいってしまった時に竹川は気がついたのだが。
 その事が分かって竹川は安心した。何が有ろうとこの世界と自分は切り離されることが無い。その事を知った竹川は、革紐を軋ませて大笑いした。
「アハハハハハ、アハハハハハハハ、ハハハハハハハハ…………」

 此処はとある精神病棟の保護室。その一室に常に笑い声の絶えない部屋がある。
 その部屋の主は両目が無く、常にベッドに縛り付けられているが、特別凶暴だということは無いらしい。食事の時の振る舞いなどは紳士的とも言えるほどで、自らで自らの目を抉り取るという深刻な自傷行為さえしていなければ拘束する必要も無いのだろうにと職員は語る。
 笑い声というのも、不快でまとわりつくような笑い声ではなく、乾ききった微かな笑い声である。何をするでもなく、常に男は満足そうだという。
 清潔なベッドの上で厳重に四肢を縛り付けられているその男が、かつて誰よりも自由を求めた男だった事を知る者は、誰も居ない。〈終〉
214狂人の眼  ◆hbrb0Zig0g :2008/06/23(月) 00:53:41.51 ID:eIdqgksn0
以上、本文文字数制限にひっかかって投下できなかったやつです。
なぜだかトリップが変わってしまった。仕様なんだろうか。

とりあえず上の方で言ったとおり色々無理やりすぎました。一行の奨励文字数50〜60の倍近くいってる行があったり。

そんな感じです。ありがとうございました。
215偽善:2008/06/23(月) 00:55:46.44 ID:Chszl3xJ0
薄煙の中、今日の帰り道に見たスズメの死体の事を思う。
羽が折れていた。どんな状況で羽が折れたのかはわからないが、上空から地面へと叩きつけられたのだろう。口から血を吐き出して死んでいた。
まだその生命の火が消えてから間もない時間の様に受け取れる。
車通りの少ない道とはいえ、いずれ来る車に轢かれるのか。またはゆっくりと、アスファルトと同じ温度になっていくのだろうか。
日に当たり、雨に打たれ。腐敗し、虫に蹂躙され。骨だけを残しこの世から姿を消していくのか。
そう思うと、自然に涙がこぼれていた。
頬を伝う涙を拭き、死体を手でやさしく持つと、歩道の傍らにある花壇に小さな穴を掘って埋めてやる。
そう。死体など見ているだけでも心が痛む。

私は今日のそんな憂鬱なる一瞬を思い出しつつ、ジュウジュウと食欲をそそる音を立てる焼肉を頬張った。
うん。うまい。
216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 00:58:16.39 ID:wrevL7PoO
お前らの大好物のDQN女でつ
http://pr.cgiboy.com/11772228/
足跡に記念ど〜ぞ

窃チャを2008年5月6日のブログに書き込むも、その記述だけ消去。同9日には器物破損か?
警察に通報済み。
住所特定済み。

217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:08:48.41 ID:hHNDBcB30
ほー
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:09:03.94 ID:eEzWOcUa0
憂鬱な月曜日を打ち砕くべくお題をいただきたい
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:09:34.12 ID:EYdBhIeM0
>>218
クリスタル・スカル
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:09:56.20 ID:py7sScWa0
電波
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:12:29.95 ID:eEzWOcUa0
>>219-220
把握
まずはクリスタル・スカルをぐぐる作業からだ……っ!
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:13:14.63 ID:rFno0YzV0
ああ背骨が痛い
223全感  ◆pxtUOeh2oI :2008/06/23(月) 01:20:53.50 ID:AJMXifJ+0
ぜんかんします。
今回はオブラートを2、3枚剥がしてみた。

たまに本性が出したくなる。
224全感  ◆pxtUOeh2oI :2008/06/23(月) 01:21:26.34 ID:AJMXifJ+0
No.00 別ちがたきもの 1/5  ◇zmMEjNb3Ok
投下後書かれた漢字云々の長めのが、俺の感想なんでそれ見て。

No.01 女神像 1/5 ◇zH52hPBzFs
>奴隷として、子供や若い女が〜
性奴隷の間違いか? 奴隷ならば、働き手の男の方が需要がありそうな気がするが。
女神像の説明が力強さに溢れてることばかりを強調してるようで、
やさしさや慈愛は感じられなかった。むしろこっちが民を扇動する軍神のようだと思った。
全体的に微妙。悪くはないが良くも無い。最後も突撃しろとも言わないが、
もうちょっと別の最後はないかと思う。

No.02 呪縛〜 sky 〜 3/5 ◇DppZDahiPc
偶然は嫌い。キザな言葉はもっと嫌い。
>「それはありがたきお言葉」
ここで読むの止めようか一瞬迷った。
あとセリフ多すぎ、改行多すぎ。本だったら下がスカスカ。

No.03 星へ 1/1 ◇bOdJFf7Ps6
小説じゃない。ここが詩のスレなら、文句は言わない。
よくわからない。

No.04 ミコハル 1/3 ◇A9epGInhJg
最後のお前は誰だ。気持ち悪かった。現実、生活は無理そうだ。
過去も未来も無い小説のキャラだから別に良いけど。
あと改行する場所を考えろ。無駄な改行と必要な改行。
225全感  ◆pxtUOeh2oI :2008/06/23(月) 01:21:45.71 ID:AJMXifJ+0
No.05 縄 1/4 ◇ibD9/neH06
合わなかった。ただ合わなかった。
別にハムスターでも、ゴキブリでもマトリューシカでも良くねとちょっと思った。
合う人には、合うだろう。

No.06 小さな火 1/5 ◇zmMEjNb3Ok
5レス目途中ですっとばした。もと神様と女の子いらねー。
真ん中の部分だけ、神話っぽく書いてくれてれば好みだった。

No.07 縛られた男と四人の女 1/3 ◇LBPyCcG946
男に存在感が無い。4人とも本気で愛してたから、浮気したとかにしとけば良いと思った。
そう書いてるつもりなら、そうは感じられなかった。
諦めが早いのか悪いのかわからん。途中でキャラが変わったように見えた。

No.08 サボテン 1/5 ◇D8MoDpzBRE
恋愛話は嫌い。ままごとにしか見えないから。

No.09 銀色 1/3 ◇uv1Jg5Qw7Q
よくわからんかった。最初の一行も、よくわからんかった。
そういう意図があったのかも知れないが、よくわからんかった。

No.10 フリーダム・ロード 1/5 ◇bOdJFf7Ps6
改行多すぎ。一行ごとに改行すんな。
最初数行読んで、どっかで、中学生が書いた劇中作になるのかと思ったが、
そんなことはなかった。中学生の頃にノートへ書いた黒歴史でも打ちなおして発表した?
それならその勇気を褒めてあげる。
くだらなくて笑えるだろうと思って書いたなら、失敗作。
226全感  ◆pxtUOeh2oI :2008/06/23(月) 01:22:07.73 ID:AJMXifJ+0
No.11 キッコーマンよ、月に啼け 1/5 ◇0CH8r0HG.A
横に長い。早めに改行しろ。読みにくい。山本カシオペアだかアンドロメダだかを、
この文量で読む気にはなれなかった。

No.12 キピク 1/5 ◇pxtUOeh2oI
自分の。最近、暗い話しばかり書いてたので、
ほのぼのとした話の書き方忘れた。

No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY
温室に季節を感じさせる花を求めるとはどういうこっちゃ。
温室に他に人がいなのもどういうこっちゃ。
温室である意味がわからなかった。
地縛霊ぐらい普通知らない? 読書家なんでしょ、このキャラ。
雰囲気系の話はあまり好きじゃない。

No.14 青天白日の下1/5 ◇EqtePewCZE
こういうキャラは嫌い。こういう話も嫌い。
読みはしたけど、流し読み。

No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◇VXDElOORQI
この前のことがあってから、しばらく読む気はしない。
作品の優劣に人間性は関係ないかもしれないが、
読む気になるかどうかには関係がある。
227全感  ◆pxtUOeh2oI :2008/06/23(月) 01:22:28.34 ID:AJMXifJ+0
時間外No.02(?) ミラクル・クルクルプラント 1/5 ◇AnyTD/7AYY
部屋の中で、驚異の光合成もくそもないだろう。
そもそもこいつは、カーテン開け放して寝るのか。
主人公の年が最初の方でわからなかったから混乱した。
中年だぐらいは書いてほしい。話しの雰囲気で最後は、バッドエンドだろうなと思ったので、
特に何も感じなかった。どっかで見たような話だし。
最後に宅配便が来た意味がわからなかった。
観葉植物って段ボールで送るもんじゃないんじゃね。


総評:何かもっと、心にぐっさと来るような話がみたい。自分でもそんなの書けてないけど。
うわべだけのどこかで見たような話は見飽きた。
美少女や美少年っぽいのがいっぱいで、現代が舞台でも現実味が感じられない。
出てくるような人物が現実に存在できそうな話を読みたい。

******************【投票用紙】******************
【投票】:無し。

気になった作品:No.00 別ちがたきもの 1/5  ◇zmMEjNb3Ok
        No.01 女神像 1/5 ◇zH52hPBzFs氏
        No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY
            ―両者感想―
        あまり好きじゃないけど、まともに感じた。
        表記順は、優劣の順。
**********************************************
次点:No.06

以上です。
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:25:05.34 ID:NT9GOGKP0
最近精神的に不安定だから何か書けそうな気がする
お題をおくれ
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:26:17.99 ID:py7sScWa0
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:27:21.98 ID:NT9GOGKP0
>>229
鏡か。おk、フタコイ見終わったら書く
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:28:12.52 ID:41L8M2M70
普通
232 ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/23(月) 01:35:08.16 ID:v7uanWhIO
全館乙
続けて俺が全館。品評会に続いて一番乗り目指してたけど先を越されて悔しい。
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:36:31.17 ID:PLRuUe/N0
初めてだけど挑戦したい。
お題が欲しいのです
234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:37:27.47 ID:EYdBhIeM0
>>233
太陽
235 ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/23(月) 01:38:06.91 ID:v7uanWhIO
No.00(時間外No.01) 別ちがたきもの 1/5  ◇zmMEjNb3Ok
m9(^Д^)プギャー

No.01 女神像 1/5 ◆zH52hPBzFs氏
この書き手さんの文章はだいたい読みやすいんだけど、今回はまずかったかな。いきなり文章が枯れちゃって、どうしたの?って思った。
全体に硬い文体がこなれてない。無理して書いた感じ。
文体が硬いから読みづらいんじゃなくて、硬い文体を使いこなせてないから読みづらい。
「推敲したのかな?」と思いながら読んだ。推敲したうえでこれなら、はっきり言ってこの文体が肌に合ってないんだと思う。
思うにこの人は前に書いた核シェルターとか、あの世の空港の話みたいな、ソフトな感じの、
何となく女性的な雰囲気の文体の方が合ってるんじゃないかな。
希望を与えるための女神像が、かえって島を滅ぼす契機となった、という主題はなかなか興味深い。不条理だね。
総督府が女神像に加えた意匠の発想も面白い。象徴的に、うまくお題を使えたと思う。
他はハリ君の人となりの解説に分量を割きすぎだと思った。さっさと一人立ちした時点から始めても良かった気がする。
そしたら他の島民や総督を交えた群像劇的な部分をもっと詳しく書き込めたと思うし。
あと個人的にはハリ君の「天才」の設定も余計だったかな。「技量」よりも「想い」によって刻まれたことをもっと強調した方が、
希望の象徴としての女神像の輝きが増すと思うし、結末の悲劇性も際立ったと思う。
それと***以下のエピローグのくだりはいらなかった。破滅を仄めかして終わる〆方の方がよい。いきなり現代に飛ばされると、
それまで生きていて、そして破滅へと推移していくハリ達の世界の暗い運動が、いきなり固定されて、
血を抜かれてしまった、という感がある。「昔話」にしない方が良かった。
破滅を予感しつつ進行するという、その悲劇的、必然的な運動の感覚がこの話の核だと俺は思ったんだけど、
エピローグのせいでその作用が死んでしまった。残念だね。
因みにこの像のモチーフってニケーなのかな?そうだとするとニケーて確か勝利の女神だから、
勝利の女神が破滅をもたらしたっていう悲壮な逆説を示す意図があったんだろうか、このエピローグには。
仮にそうだとしてもやっぱり不要だったと思う。でも全体的に面白くは読めた。
236 ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/23(月) 01:40:13.77 ID:v7uanWhIO
No.02 呪縛〜sky〜1/5 ◆DppZDahiPc氏
マンガ的な印象を受ける作品。
ともかくダッシュが邪魔すぎる。記号を安易に使って雰囲気作りをはかるのはよしたほうがいい。文章自体もイマイチ。
内容もイマイチ。でも10レスくらいめいっぱい使って、じっくり、
今回の投下分の間隙を埋めるようにして書いたら良くなるような雰囲気はある。

No.03 星へ 1/1 ◆bOdJFf7Ps6氏
小説じゃないよね。

No.04 ミコハル1/3 ◆A9epGInhJg氏
よさが理解できない。
少女たちの繊細だが歪んだ愛着、妖艶さ、淫猥といったものさが主題なのだろうか。
でも俺はその香りを嗅ぎとることができなかった。最後に「私」が出てこられても何がなんだか。
そもそもゴス系に美を全く見い出せないから仕方ないかも。厨二病の亜種としか思えないし。

No.05 縄1/4 ◆ibD9/neH06氏
1レスで読むのやめた。てらった文体が生理的に無理。

No.06 小さな火 1/5 ◇zmMEjNb3Ok
はい2作品目。

No.07 縛られた男と四人の女 1/3 ◆LBPyCcG946氏
面白くなかった。
惚れ惚れするほどすがすがしい性格という割には、質問にどう答えたらいいかウジウジ悩むのはどうかと。
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:43:06.34 ID:v7uanWhIO
No.08 サボテン 1/5 ◆D8MoDpzBRE
文章がたどたどしくて読みづらい。砂利道を自転車で走るみたいな居心地の悪さ。
コーヒーすすってなんとなく昔を思い出された時点で読むの止めた。
ただ描写を疎かにしない心意気はかう。練習すれば上手くなるはず。

No.09 銀色 1/3 ◆uv1Jg5Qw7Q氏
わけわからん。とりあえずなんか笑ってしまった。

No.10 1/5 ◆bOdJFf7Ps6氏
固有名のセンスだけはかう。
ギャグなんだろうと思って最初の数行読んだあとにラストにとんだらそうじゃなさそうだったので驚いた。

No.11 キッコーマンよ、月に啼け 1/5 ◆0CH8r0HG.A氏
なんて馬鹿なんだ……。

No.12 キピク 1/5 ◆pxtUOeh2oI氏
この書き手さんも酉覚えちゃったな。ちょっとぎこちない部分もあるけど文章はだいぶこなれてきた感じ。
話もほのぼのしてて良かった。続きがあれば読みたいと思った。

No.13 春待ちの少女1/5◆TtwtmrylOY氏
悪くない。でも積極的に好きかと言えばそうでもない。
好きな人もいるんだろうなとは思う。だからこれ以上は何も言わない。
ただこの書き手さんが別の話を書いたら読んでみたい。

No.14 青天白日の下 1/5 ◆EqtePewCZE氏
ごめん文体が合わないからパス。でも文章自体は書けるみたいだから、これも合う人には面白いんだろうと思う。
駄作というわけじゃなくて、俺に批評できるタイプのものじゃないみたいだからパス、といった感じです。

238 ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/23(月) 01:44:21.56 ID:v7uanWhIO
No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◇VXDElOORQI氏
これが妹萌えか。くそ、いいじゃないか。末っ子の俺には羨ましい話だ。
軽妙な文章はいいと思う。俺は大体、あんまり軽い感じの文章は見下してしまう癖があるんだけど、
この書き手さんの文体は軽いんだけどどこか妙に大人びてるというか、落ち着いたところがあって、
首をかしげながらもついつい読んでしまう。不思議な文体だ。
普通の日常(でもないのか?)を多少のユーモアを添えて普通に書ききるのはすごいと思う。

時間外No.02(?) ミラクル・クルクルプラント 1/5 ◇AnyTD/7AYY氏
ごめんこれも俺は批評できないタイプ。

時間外No.03 狂人の眼 1/5◆hbrb0Zig0g氏
>>80のレスみたいな考えを持てたのならここでは何も言うことはないよ。
俺も人の事いえた柄じゃないけど、頑張って文章を磨こう。
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:46:26.46 ID:v7uanWhIO
******************【投票用紙】******************
【投票】: No.11 キッコーマンよ、月に啼け ◆0CH8r0HG.A
馬鹿すぎる。ええ笑いましたよ。降参。

気になった作品:
No.01 女神像 1/5 ◆zH52hPBzFs
主題への関心と、俺ならどう書くかと創作意欲を書き立てられた点をかって。

No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◆VXDElOORQI
文体が興味深い
**********************************************
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:48:20.08 ID:8yJTBNbU0
全感の人たち乙
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:50:49.40 ID:bI/9JLly0
全感おつつー
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:51:22.44 ID:BRqbJSnL0
おちゅぅ
243重力 0/1 ◆4BI9wm.ZTA :2008/06/23(月) 01:52:35.26 ID:xQEqORrTO
るる〜るる〜おじさん特急22ごう〜
じかんがいーとーかー
244重力 1/1 ◆4BI9wm.ZTA :2008/06/23(月) 01:54:44.22 ID:xQEqORrTO
 重力がぼくちんをじめんに縛り付ける。もっとふわふわちゅるりんと泳ぎたいのに、世界じゅうを。
「重力はあまりにも情熱的に自分の存在を信じた。真実の重力などはありはしなかったけれど、
自分が淫乱人妻の不倫とおなじ、嘘の存在だとは、目を見開いてけっして信じなかった。」
ぐるぐる雨が、回りながら素早く落ちる。

「こんなにもあめはふるのに」
重力は雨の重心に向かってそういったけれど、雨は、じつは世界にとって嘘だった。
だから、あめがふることと、きみの存在はかんけいなかったんだ。
ざんねん!
(さっきこれ書いてるとき、マッサージ機(ホームセンターニテ、一マン九セン八ピャク九ジュウ円税込デコウニュウ)の角に頭をぶつけました。髪の毛の生えた皮がじんじんする。のうが頭蓋骨の内側にぶつかり変形した。
これも重力がなければ、ありえなかったことなんだ、と思いました。感動して、じんじんとした皮を手の平でなでてみると、ごっそり毛が抜けてしまいました。かなしい。
悲しいけれど、感動しました。おわり。)
 けれどまだ終わらない僕の生活。

 校舎裏で、夕日が重力によってゆがめられ、重力によって風がふいて、飛び回る風は乾燥した柔らかさで僕の肌をなでる。
 指をうしろで組んでもじもじしながらぼくは、夕日のように赤く照れてて、……過去のじぶんに“こくはく”した。
すきだよ、って。
(その過去の自分は、決して名前を思い出せない友人と、蟻の巣を柔らかい木の枝でほじくりながら遊んでいた。公園の空のしたで、六時を知らせる時計の音がなると、すべては過去に消えてしまった。)

おもいだせない世界にも、重力は働いていた。それは過去の匂いがする公園にも。
決して思い出せない友人の名前にも、記憶のなかでは重力がはたらいていた。
そのため、古い記憶は過去の隅へと小さく落ちてきえてしまう。
僕は彼らにいいたかった。
すきだよっ、って。
245重力 2/1 ◆4BI9wm.ZTA :2008/06/23(月) 01:55:52.02 ID:xQEqORrTO
おわりーっ
ゼカーンの人おつ
246以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 01:57:33.98 ID:xQEqORrTO
あ、ごめん、ちゃんと買いく
>>244
品評会時間外作品
【品評会作品】【時間外】
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 02:06:02.88 ID:slI2pKkh0
ぜんかのつ!

時間外まとめようかと思ったが>>200の件どうしようかね
弄れる権限ある人でも、レス削除はできても差し替えなんてできないよね…

とりあえずこうかな
時間外03 >>208-213
時間外04 >>244
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 02:14:07.69 ID:bI/9JLly0
ここまで、作品および全感まとめ済み。
ただ、何箇所か時間外3の転載に関してミスッた部分があります。
ごめんなさい。
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 02:24:35.18 ID:NT9GOGKP0
ここからプロが出たら面白いよねぇ

でわそろそろ書いてくんぜ
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 02:57:32.56 ID:g6v2KiVp0
ほほほほ酒
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 02:59:32.10 ID:bI/9JLly0
さて、寝る前にお題ください。
誰か人がいれば……ですが。
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 03:01:29.08 ID:ERGOH4aZ0
>>251
毒殺
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 03:02:12.69 ID:bI/9JLly0
把握 おやすみなさい
254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 03:53:12.91 ID:FZi/kK3h0
保守
品評会参加者様方お疲れさまでした
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 04:10:59.28 ID:g6v2KiVp0
保守
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 04:39:10.75 ID:FZi/kK3h0
ほほほほ
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 05:24:01.64 ID:FZi/kK3h0
保守ーーー
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 05:43:49.43 ID:hLZp+EzzO
お題を下さい↓
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 05:55:58.71 ID:FZi/kK3h0
充電
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 06:05:45.79 ID:hLZp+EzzO
把握
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 07:22:07.11 ID:v7uanWhIO
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 07:41:06.64 ID:UhE9ojrQ0
おっだいをよっこせー
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 07:52:20.93 ID:xQEqORrTO
>>262
モッコリ
264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 08:07:39.43 ID:UhE9ojrQ0
>>263
モッコリはいささか辛いっす
ほかの頂けないですか?
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 08:08:52.54 ID:thUN7Ja6O
中世のヨーロッパ
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 08:11:09.52 ID:UhE9ojrQ0
把握しますた
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 08:17:30.00 ID:BWaYL6V70
>>200
修正しました
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 08:48:05.67 ID:e4KxJMRX0
おdkds
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 08:51:20.83 ID:QRrcs90IO
賞味期限
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 08:55:21.00 ID:e4KxJMRX0
おk
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 09:49:00.05 ID:e4KxJMRX0
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 10:44:59.30 ID:QbfI2Wyj0
       ,-'"ヽ         ∩___∩
      /   i、  _,、    | ノ      ヽ
      { ノ    "'"  "'"'"/  ●   ● |
      /         |    ( _●_)  ミ
      /          彡、   |∪|   ミ  _/\/\/\/|_
     i              \  ヽノ  /   \          /
    /              `ー-ー'" }   <  ニャーン! >
    i'    /、                 ,i   /          \
    い _/  `-、.,,     、_       i     ̄|/\/\/\/ ̄
   /' /     _/  \`i   "   /゙   ./ 
  (,,/     , '  _,,-'" i  ヾi__,,,...--t'"  ,|
       ,/ /     \  ヽ、   i  |
       (、,,/       〉、 、,}    |  .i
                `` `     ! 、、\
                       !、_n_,〉>

    /'''7'''7     /'''7       / ̄ ̄ ̄/    / ̄ ̄ ̄ /
    / /i  |      / /      .. ̄ .フ ./.    / ./二/ /  . . ____
  _ノ / i  i__ . ノ /__,l ̄i   __/  (___   /__,--,  /    /____/
 /__,/  ゝ、__| /___,、__i  /___,.ノゝ_/    /___ノ
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 10:52:20.34 ID:Qt6X/bfh0
お題 く れ な い か
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:01:58.02 ID:v7uanWhIO
>>237
太陽
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:05:13.18 ID:Qt6X/bfh0
はあく
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:09:56.71 ID:xQEqORrTO
マスター、いつものを
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:20:15.57 ID:v7uanWhIO
>>276
侮辱
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:22:54.27 ID:xQEqORrTO
>>277
やっぱりマスターは判ってるねえ
把握したよ
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:25:15.55 ID:xQEqORrTO
>>277
やっぱりマスターは判ってるねえ
把握したよ
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:28:24.07 ID:eb8NKzP0O
今週もつまらんな。
なんかスレの中で変な馴れ合いみたいのが始まってるし。
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:46:23.72 ID:4+biMpvqO
おだいくりゃれ
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 11:54:53.06 ID:FZi/kK3h0
>>281
感電
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 12:07:47.50 ID:imGn3m2HO
携帯で長文は書けないと思ってたけど、逆にSSを書けばいいじゃないか

というわけでodikr
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 12:14:10.23 ID:xDGZK9GIO
鋼鉄
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 12:44:30.64 ID:imGn3m2HO
>>284

はあく
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 12:55:43.96 ID:4+biMpvqO
>>282
把握じゃ
287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 13:13:42.35 ID:Tk1gvaXXO
まみむめもしゅ
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 13:23:24.53 ID:jCVyhZUf0
お題をいただきたい
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 13:24:29.97 ID:iCm6i7M+O
最期の言葉

俺にもodai
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 13:24:58.03 ID:jCVyhZUf0
>>289
把握
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 13:32:07.40 ID:oQmWK9CS0
>>289
嬉しくて、すこし照れくさくて
292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 13:35:03.70 ID:iCm6i7M+O
>>291HAAKU
293以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 13:54:55.57 ID:Tk1gvaXXO
ほはほほほ
294 ◆LBPyCcG946 :2008/06/23(月) 14:06:09.83 ID:VxFeXW9W0
全感いっくよー
4レスだから猿はいらない
295全感想 ◆LBPyCcG946 :2008/06/23(月) 14:06:42.34 ID:VxFeXW9W0
No.00 別ちがたきもの 1/5  ◇zmMEjNb3Ok
 「明日の記憶」を思い出した。それと比べちゃうとどうしても超劣化って感じだけど、まあ短編だし単純に
比べられるものでもないな。文章がパンパンに詰まってて、悪い意味で隙間がなかったかな。意味の無い文章
をダラダラ書くのは短編では悪い例かもしれないけど、取った行動とか大事な情報を近い位置に置いて詰め込
みすぎるのも良くはないな。
 まあそもそも5レスでやるのに適した話でもないだろう。その辺、主人公の葛藤の書き込みが不十分だと感
じた。その結果、主人公の性格勝手すぎるだろ、と距離を置いてしまったので感動も無かったし面白くも無か
った。またフライングしたら昇竜拳で迎え打つぞ。

No.01 女神像 1/5 ◇zH52hPBzFs
 1レス目丸々を舞台と時代背景と主人公の生い立ちに使ってしまうのはどうなんだろうな。好みの問題かも
しれないけど、俺は読んでてダレた。本筋が始まってから、うまい事その必要な情報を織り込んでおいてくれ
ればまだよかった。待ちガイル同士の対決を見てもあんま面白くない感覚に似てる。
 あとはリアリティーが疑わしい部分がちらほらとあって、オチはまあまあとしてもうまくひっかかってこな
かった。

No.02 呪縛〜 sky 〜 1/5 ◇DppZDahiPc
 下手な鉄砲云々はなんか意味違くね? 違和感。洗濯屋、とか穴だらけになった死体とかなんとかが最初に
出てたから、てっきり外国か異世界が舞台なのかと思ったら、「西園学園」って単語がヨガテレポートしてき
てちょっとビビった。日本かー、まあ日本でもありえなくはないのかもしれないけど、ちょっとリアルじゃな
いな。大抵そういう職業の人は下っ端が処理するもんだと思うんだが。
 少女とのやりとりはちょっと面白いなと思ったけど、鬱落ちは弱いかな〜。お題との接点も、精神的な意味
での縛るなんだろうけど、意識して補足しなければ感じないほどに薄かった。

No.03 星へ 1/1 ◇bOdJFf7Ps6
 詩かよ。俺個人としては何でもアリ派だから、そこを否定はしないけど、なんか詩としても半端だな。まあ
でも、みっちり詰まった文章が立て続けだったので、スト2で言うところの車破壊するボーナスステージみた
いな感じで息抜きにはなった。ただ車の持ち主には悪い事したな。
296全感想 ◆LBPyCcG946 :2008/06/23(月) 14:07:12.72 ID:VxFeXW9W0
No.04 ミコハル 1/3 ◇A9epGInhJg
 設定だけ書いてぶん投げるとはなんたる事だ。まずは起承転結から、いや、波動拳コマンドを覚えてからス
ト2をやってくれ。設定自体は、明らかに不自然で理屈もなく共感も出来ないが、それ全部に目を瞑ればちょ
っとだけ面白いかもしれない。あと最後に「私」が唐突に出るのもいかがなものか。三人称で書くなら三人称
で書ききったほうが良かったんじゃないかな。いきなり変わる事によって何らかの効果があるとも思えない。

No.05 縄 1/4 ◇ibD9/neH06
 面白かった。軽快な語り口と話の展開で飽きなく読めた。特に秀逸なのが1レス目で、多少しつこい部分も
あったけど、ザンギエフのスクリューパイル並に吸い込まれた。あとはおまけみたいなもんで、特に病気だの
なんだのってのは理屈付けの為だけに添えられたみたいでちょっと邪魔だな。でも縛る→縄→紐→ヒモという
風な解釈も今回のお題の取り扱い方的には十分満足いくものだった。

No.06 小さな火 1/5 ◇zmMEjNb3Ok
 なんだか描写が訳分からんな。8行目でもう見失った。情報を1文に載せすぎているせいだと思う。その割
インパクトのある情景って訳でも無さそうだ。演出面では超バッド。主人公のキャラクターもちゃんと立って
ない。奴隷なんて呼ばれてる人はこんな喋り方する物かな。2レス目後半十行はもはや意味が分からない。追
う気も失せるほどだった。スト2で言うと、制限時間残り5秒で相手のライフ真っ黄色でこっち真っ赤って感
じだ。30レスくらいでやって、ゆっくり進めていったらもうちょっと読めたかもしれない。あるいはいらな
い部分丸ごと削って軽量化してたら。

No.08 サボテン 1/5 ◇D8MoDpzBRE
 盛り上がりどころに欠けるかな。これは、っていう工夫も見当たらない。お題との関わりも普通。特にこれ
といった荒がある訳じゃないんだが、褒めるべき点も見つからない。すげえ普通でした。スト2のキャラで言
うところの「タイガー」って一言も言わないサガット。
297全感想 ◆LBPyCcG946 :2008/06/23(月) 14:07:43.25 ID:VxFeXW9W0
No.09 銀色 1/3 ◇uv1Jg5Qw7Q
 文章がねじれてる。例え喋り口調の文体でも、小説としての体裁は保たないといけないってのも厄介な仕事
の1つだと思う。ってか、ベッドの脚に手錠止めたら、ベッドひっくり返したら脱出できるんじゃね? とい
う疑問。文中にどういう形のベッドだったか書かれてないし、その辺も含めてサスペンス的な話としては現実
実が無さ過ぎるかな。あと個人的な希望を言えば、男に女が迫られるシーンをチュンリーのスピニングバード
キック並に書き込んで欲しかった。

No.10 フリーダム・ロード 1/5 ◇bOdJFf7Ps6
 これ何てソードマスターヤマト? 戦闘シーンを5レス内で書くっていうのは、俺も前に1回挑戦してボロ
クソに大失敗した事があったからなんか共感した。しかし話の展開が速すぎる気がするなぁ。読者おいてけぼ
りって感じだった。スト2で例えるなら、ダルシムがゴムゴムの能力で飛んでって、それをベガがサイコクラ
ッシャーで追いかけて、俺はというとチュンリーステージの背景にいる自転車に乗ってるおっさんって気分だ
った。

No.11 キッコーマンよ、月に啼け 1/5 ◇0CH8r0HG.A
 馬鹿な話だなぁ。というのは感想で、読むのにかかった約10分、ずっと真顔だったのは事実。笑いを求め
てる感じってのはあんまり読者に伝わらない方がそりゃ良い訳で、もちろんそういう風に読むか読まないかも
読者の勝手だから、ってもう言い訳はこの辺にして単純に面白くなかった。
 ただ台詞と地の文のバランスとか、展開という部分では評価は高い。スト2でいうと、ウメハラ的ではない
んだけど、大体ヌキくらい。

No.12 キピク 1/5 ◇pxtUOeh2oI
 誤字と捻れがある。いちいち言わんでも分かるレベルだと思うけど。世界観というか、全体に流れる空気み
たいな物はなかなか好みだった。鈴木央の絵で漫画化したらなんか面白そうだ。あと気になるところといえば、
いっぱい出てくる固有名詞。特に登場人物の名前なんかは、例えば名づけの理由だとかをちょろっと入れて読
者に印象付けたりとかそういう工夫が必要だ。ファンタジーとしての完成度は高いが、まだまだ設定に練りこ
みが足らない部分もあるように思う。短編としてはこれで十分かもしれないけど、ファンタジー書く時は広が
りが大事だから。もうスト2に例えるのもいい加減飽きてきたんだが、強いていえばバルログだな。
298全感想 ◆LBPyCcG946 :2008/06/23(月) 14:08:14.43 ID:VxFeXW9W0
No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY
 確かに描写はうまいんだけど、とってつけたような感じがする。話自体は王道というかどこまでも範囲内で
突出した部分がなかった。別にこういう話が嫌いとかそういう訳じゃないんだが、なぜか素直に楽しめなかっ
たな。花言葉、本を貸す、手紙、幽霊とどれも違和感なく収まりすぎてて、つまらないというより面白味がな
かった。まあ自分はスト2を初めてやる時でもリュウとかケンじゃなくてダルシムとかブランカを使う人間な
ので、その辺は好みかな。

No.14 青天白日の下1/5 ◇EqtePewCZE
 心理描写の割合が多い気がする。いや、違うのかな。なんかよくわかんないけど、話を見失った。一文も見
落とさず拾っていっても、情景が頭に浮かんでこないんだな。あと皆実っていう名前は、なんか……微妙? 
「みんなじつは」って最初読んでたから名前だこれって気づいたのが2レス目後半だった。あとはなんだか会
話分が邪魔に感じるくらいかなぁ。雰囲気を作るのに必要といえば必要なんだが、なんか全体的にうぜえ。
 物凄い関係ないけど、まとめスレで読んだから5レス目が飛んでるのが不幸だったな。まあちゃんと検索し
て読みましたけど。ほらスト2は面白いけど、プレイしたゲーセンの弱パンチボタンがたまたま壊れてたら楽
しめないだろ? そういう問題だ。そういう問題じゃねえな。

No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◇VXDElOORQI
 軽快な書き口の上で、要点はしっかりと書けてると思う。ただねー、おしむらくは俺が妹派ではなく姉派な
事だな。妹派だったらまず間違いなくニヤニヤしてるだろうと思う。赤ケンじゃなくて白ケンって事だね。あ
とちょっとだけ気になったのは4レス目「妹の飯」。名前を出してないから、こう表現したんだと思うんだけ
ど、名前を使わないなら使わないでその辺うまい事カバーできたらよかったと思う。とりあえず妹派に改宗さ
せられる前に、この妹の顔をスト2で負けた後のベガのフルボッコ顔に変換する事で何とか凌ぐ事にする。


 時間外は感想しようかどうか迷ったけど結局しない事にした。リアル事情でしょうがなく投下が遅れる場合
は仕方ないし、筆力の問題だろうけど、締め切りの後から投下する事を予定していた作品はどうも好きになれ
ん。1つの画面に入ってレディー、ファイトしないとスト2は始まらないって事だな。まあそういう狙いなの
かどうかなんて作者以外正確には判別できないし、優勝しえない作品を投下する事によってその人にとって何
らかの利益があるかってのも分かんないが、とにかく時間内に仕上げるのは大事。できたらカオスは回避で。
299全感想 ◆LBPyCcG946 :2008/06/23(月) 14:11:36.20 ID:VxFeXW9W0
******************【投票用紙】******************
【投票】: No.05 縄 1/4 ◇ibD9/neH06
 
気になった作品:No.12 キピク 1/5 ◇pxtUOeh2oI

**********************************************
 欲を言えば、エドモンド本田のさば折りのような、もうちょっとインパクトのある作品が欲しかったね
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 14:17:00.37 ID:FZi/kK3h0
全館乙です
エドモンド本田のデザインが大好きです
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 14:18:49.81 ID:g6v2KiVp0
前漢乙
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 14:40:46.28 ID:ietLDO850
保守ついでにお題ください↓
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 14:46:13.22 ID:oQmWK9CS0
>>302
おかえりなさい
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 14:47:13.88 ID:g6v2KiVp0
せせらぎ
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 14:57:46.38 ID:ietLDO850
把握しました
306以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 15:45:40.76 ID:aHLXTewt0
307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 16:07:35.78 ID:oQmWK9CS0
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 16:09:01.02 ID:yuvxIuP+0
ほしゅ
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 16:09:09.05 ID:PCBG+3Am0
310以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 16:44:02.00 ID:Qt6X/bfh0
保守しようじゃないの
311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 17:07:26.60 ID:aHLXTewt0
今回も零票っぽいからお題でももらっちゃおっかな
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 17:08:26.45 ID:6QaUF/fm0
黒い水
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 17:08:42.70 ID:oQmWK9CS0
無様
314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 17:08:58.65 ID:aHLXTewt0
はあく
315お題:おかえりなさい ◆eNPvDYhdu2 :2008/06/23(月) 17:29:19.36 ID:ietLDO850
投下します。全3レスです
316お題:おかえりなさい(1/3) ◆eNPvDYhdu2 :2008/06/23(月) 17:30:54.98 ID:ietLDO850
「おかえりなさい」の言葉を聞かなくなってもう何ヶ月経っただろう。
大学合格、上京、ひとり暮らし。魅力的な言葉に囲まれながら、僕は家族と車に乗り、東京へやってきた。
引越しの日のあの高揚感もまだ記憶に浅い。

 ワンルームのアパート。その二階の一部屋に所狭しと運び込まれていく家具。
テレビ、洗濯機、冷蔵庫にその他もろもろ。三種の神器はまだまだ現役だ。
 布団を中へ運ぶ最中にチラリと見える小さなキッチン。料理初心者の僕にはこれぐらいがお似合いかな。
これから何を作ろうか。ハンバーグ、カレー、パスタもいいな。想像力が刺激される。
親父の声が思考をかき消す。おっと、まだ運ぶものが残ってたのか。慌てて踵を返し、車へ向かう。

 家財道具もあらかた運び終え、ほっと一段落。母さんが近くの自販機で飲み物を買ってきてくれた。
気が付けばもう午後二時。ここに着いたのが午前十一時頃だったから…もう三時間か。
階段を何回も上り下りした。足が悲鳴をあげる。少しはカロリーを消費しただろうか。
痛みの分ぐらいは減っていて欲しい。受験期間からもう太りっぱなし。大学が始まったら、何か運動でも始めよう。

 狭い室内で遅めの昼食。母さんが弁当を作ってきてくれていた。
力仕事で後れを取る分、こういう所で巻き返してもらわないとね。
唐揚げに、玉子焼き、チーズの入った野菜サラダ。ステレオタイプな弁当だけれど、美味しいものは美味しい。
317お題:おかえりなさい(2/3) ◆eNPvDYhdu2 :2008/06/23(月) 17:32:09.78 ID:ietLDO850
「なぁ、ほっひではほまえ、なにをはんばるつもりだ? (なぁ、こっちではお前、何を頑張るつもりだ?)」
おにぎりをほおばりながら、親父が俺に尋ねてくる。口に含んだまま喋るのは止めろって言われているのに。
「頑張るって…漠然としてるな…。とりあえずまぁ、勉強頑張って、沢山友達作って、サークルで遊ぶよ」
「お前の答えこそ漠然としてるだろうが。そんなんじゃ全部中途半端なままで終わるぞ?」
「そうは言っても何もかも未体験な事ばっかなんだし…これ以上具体的には言えないよ」
折角の高揚感に水を差された気分になりながら、唐揚げを箸でひとつまみ。
「半年ぐらい生活すれば何か見えてくるんじゃない?」
母さんが助け舟を出してくれた。すかさずそれに乗り込む。
「そうそう、何事もやってみなけりゃ分からない。ってね」
「…そんなもんかね」
「そんなもんだよ。多分。きっと」
粉薬を舐めたように苦い顔をする親父。ったく、元々こんなのここで議論すべきことじゃないだろうに。
弁当を食べ終え、お茶を飲み干し、少し眠気を感じながらそう考えた。さて、あとは細かい作業だけか。


 家電の配線や洋服の整理も終わり、いよいよ念願叶う時が来た。後は両親を見送るだけ。
外に停めてある大きめの白いワゴンへ向かう。反射光が眩しい。運転席と助手席のドアが開く。
「ま、泣きついて家に帰ってこなければいいや。気楽にやんなさい」
母さんが助手席から笑いかける。奥には渋い顔の親父。まだ心配してるのかこの人は。
「…留年だけはするなよ」
「はいはいはいはい。分かってる分かってる。大丈夫だいじょうぶ! 頑張る頑張る!」
夢のひとり暮らしを目前にしてか、少々応答がそっけなくなる。
「夏休みには帰ってきなさいよ? おかえりなさいを言う相手がパパだけってのも寂しいから」
「うん。分かった。高速バスあたりでも使うよ」
「日用品は切らさないようにしてね? ゴミは溜めないように、こまめに出すのよ?」
「あぁ分かった分かったはいはいはいはいはいはい」
無理矢理会話を中断させ、送り出す。気楽にやるんじゃなかったのか、おい。
まったく、今生の別れじゃないんだからもっとあっさりして欲しいなぁ。
318お題:おかえりなさい(3/3) ◆eNPvDYhdu2 :2008/06/23(月) 17:33:26.33 ID:ietLDO850
「お金は毎月25日に振り込むからね! 無駄遣いしないでよ!」
「まぁ、頑張れ」
ワゴン車が遠ざかっていく。反射光も気にならなくなった。
後ろを向く。2階建てのアパート。今日からここが、我が都。階段を駆け上がる。カンカンカンカン、小気味いい音が鳴る。
さて、まずは両隣の部屋への挨拶周りか。買っておいたタオル、どこだっけ。


 あれから時が経ち、もう季節は夏本番。強い日差しが容赦無く僕を照らし、虐め、痛めつける。
起こしてくれる人のいない朝の目覚めにも、押しつぶされる満員電車にも、
そして何から何まで自分でやらなきゃいけないこの大学生活にももう慣れた。
 授業は難しいし勉強する気もあまり起きない。けれども何とかついて行こうとはしてる。あくまでも気持ちだけど。
友達は沢山は出来なかったけど数人、話せる友達は出来た。様子を見てもっと仲良くしていこう。
サークルは適当な飲みサーに入った。ちょっとテンションは高めだけど、まぁ楽しい。
…親父の言った通りの結果になりそうなのは癪だけどまだ1年。いくらでも取り返しがつくはずさ。
 もうすぐ期末試験。それが終わったら夏休み。約束どおり「おかえりなさい」の相手を増やしに帰ろう。
ドアを開けても誰も居ない生活はやっぱりちょっと、寂しかったから。何はともあれまずは目の前の期末試験。落とすわけにはいかないな。
 
 朝起きたらまずシャワー。眠くても、疲れていても、まずシャワー。
その後パンを一枚くわえ、卵を焼きつつ朝ごはん。20分ぐらい休んだら、用意を済ませてさあ駅へ。
いつものリズムをきっちり守り、今日も一日、がんばろう。
319 ◆eNPvDYhdu2 :2008/06/23(月) 17:34:01.62 ID:ietLDO850
おしまいです
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 17:38:31.88 ID:4FhzDDUw0
odaikure
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 17:46:55.88 ID:Qt6X/bfh0
ハードカバー
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 18:10:38.18 ID:a3qhyy4u0
久しぶりにお題をもらいにきました
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 18:10:50.71 ID:aHLXTewt0
みかん畑
324以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 18:11:17.40 ID:a3qhyy4u0
把握しました
325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 18:23:16.50 ID:g6v2KiVp0
>>319
読んだ
家族との団欒シーンがほのぼのしてとても良かったけど、何だか読み物として味気ない印象
もう少し、注を引くような強烈なエピソードを挿入してもいいかもしれない
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 18:24:51.44 ID:FZi/kK3h0
>>315
読みました。お題もらってからそれほど時間が経っていないのに、
丁寧な描写があってよかったです。
なんか頑張ろうという気になるよね。

最初、主人公、女の子かと思いました。僕なんだけど。
難を言うならば、これではただの日記になってしまっているので
次はちょっとしたストーリーが欲しいかもしれません。
これはこれでいいものだと思いますけど。
327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 18:54:06.86 ID:hHNDBcB30
ho-
328以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 18:55:03.82 ID:ghsHuVFt0
☆★☆★☆★指名手配☆★☆★☆★

安価スレにてスレ主が逃亡致しました。
この変態に
http://www.hsjp.net/upload/src/up24064.jpg
この顔に
http://www.hsjp.net/upload/src/up24054.jpg
もしくはこのチンコに
http://www.hsjp.net/upload/src/up24060.jpg
もしくはこのアナルに
http://www.hsjp.net/upload/src/up24062.jpg
もしくはこの部屋に
http://www.hsjp.net/upload/src/up24052.jpg
もしくは上の部屋から撮ったこの景色
http://www.hsjp.net/upload/src/up24053.jpg
にピンときましたら

なんか暇だし安価でなんかうp
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1214194470/l50

までおねがいします。
329以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 18:57:52.38 ID:ietLDO850
感想ありがとうございます。
一人称が僕と俺がごちゃ混ぜになってました。推敲以前の問題ですねごめんなさい。
次はチラシの裏に書いた日記にならないように起伏のある文章にしたいと思います。

次のお題を下さい↓
330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:03:14.43 ID:FZi/kK3h0
鈍行列車
331お題:黒い水、無様0/3:2008/06/23(月) 19:13:33.47 ID:aHLXTewt0
通常作品投下
いつもいつもラノベっぽくなる
332お題:黒い水、無様1/3:2008/06/23(月) 19:14:32.61 ID:aHLXTewt0
 夜中。雨が降る繁華街の路地裏に男がいた。
 彼はどうやら賭博で全財産失ったらしい。服装もぼろぼろで、表情も
この世の終わりみたいな顔をしている。
 男が水溜りをきにせず、雨に打たれながらとぼとぼと歩いていると、
ふいに曲がり角から人影が現れた。
 この暗い状況だと輪郭がぼやけて見える。全身を黒い服で包んでいる女だった。
 女が口を開いた。
「おじさん、無様だね。目どころか全身から死臭がするよ。
ほっといても死ぬだろうけど、私の楽しみのために今死んでね。キャハハ」
 男がセリフを理解し、口を開く。
 しかし男のノドにはナイフが刺さっていた。
「叫んじゃやーよ」
 投擲ナイフが無くなり開いた女の手には、さらにナイフが握られていた。
「キャハハハ」

『連続惨殺事件またもや』
 街頭テレビがニュースを放送していた。
「うわーまたかよ」
「警察は何してるんだろう」
 ざわざわ、ざわざわと、スクリーンの下に集まった人々が口々にぼやいていた。
「友達から聞いたんだけどさー、あの事件で殺された人たちってみんな
殺される直前に莫大な借金してたり、リストラにあったりしてたんだってさ」
「俺の聞いた話だと雨の降る夜にしか現れないんだって」
「えー何それ、信念でもあるのかな」
「さぁ、ただ単にばれにくいからじゃないの」
「なんだ、ただの人殺しなの?」
「どんな理由があっても人殺しは人殺しだよ」
 若者は被害者のことなどまるで考えてないかのように噂話をしていた。
 人々の真ん中には、真っ赤な女が無言でスクリーンを眺めていた。
333お題:黒い水、無様2/3:2008/06/23(月) 19:15:15.00 ID:aHLXTewt0
 今日も雨が降っている。
 あれから二週間、事件はやむこともなく被害者の数だけが増えていった。
 しかし――。
「ハァハァ、なんなのあの人、さっきからずっとついてきて、
せっかく雨が降っているのに、これじゃ楽しめないじゃないの」
 殺人鬼は追われていた。本来は夕日のまぶしい時刻だが、
空は雨雲で当然のように隠れている。
 黒い服をはためかせて走る殺人鬼。
「なんなの、あの人、警察? にしては格好が」
 殺人鬼はまた振り返る。こちらに向かって走ってくる人影は、
 赤かった。
 徹底して赤かった。
「ハァハァ、私何か、追われるような事したかな。
もしかしてサインが、ほしいとか」
 走って走って走り続け、あたりはすっかり真っ暗になっていた。
 殺人鬼は、走っているうちにクセなのか人気の無い路地裏に入った。
 舞台は整った。人気の無い、夜、雨も降っている。
 しかし相手の女を殺人鬼は知らない。
「ハァー、もうしょうがないよね、一応聞いておくけどサイン欲しい?」
「クフ、クフフ、ねぇどうして人を殺したの? あなたでしょ?
今噂の殺人鬼って」
 赤い女は殺人鬼の言葉を無視して聞いた。
334お題:黒い水、無様3/3:2008/06/23(月) 19:16:19.64 ID:aHLXTewt0
 殺人鬼は多少驚いた様子。
「楽しいからに決まってるじゃない。
でも何でばれてるんだろう。人に見られたはず無いのに」
「楽しいだけじゃ駄目なの、それじゃ【私達】の品位が問われるでしょう?
散らかしすぎじゃあ警察だって大変よ」
 赤い女の言葉に殺人鬼はナイフを構える。
 赤い女はナイフを気にもせず喋る。
「私は血が嫌いなの。最初は赤いけど……すぐ黒くなっちゃうでしょう?
それに人には人の形のまま綺麗に死んでもらいたいの。勿論あなたにも」
 突然殺人鬼はナイフを投擲。赤い女はさらりとよける。
 殺人鬼は取り出したナイフを手に突進。赤い女は殺人鬼の手首をはらう。
 殺人鬼はひらりと回転するようにナイフを振るう。
 赤い女はひらりと回転するように殺人鬼の後ろにまわる。その手には注射器。
「クフフ」
 黒い女は動脈に空気を注射され、事切れた。
「綺麗な死体って美しいわぁ。惨殺死体なんて無様よね」
 赤い殺人鬼は嬉しそうに死体を眺めていた。
 夜の黒い雨水が一人とひとつをざあざあと、容赦なく打った。
335お題:黒い水、無様3/3:2008/06/23(月) 19:17:24.54 ID:aHLXTewt0

つけわすれ
336以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:19:36.50 ID:cKt+tfR50
T R P G は 「 サ イ レ ン ト ラ ン ス (仮) 」 で 、 神 話 を 超 え る 。
世 界 最 高 フ ァ ン タ ジ ー T R P G 、「 サ イ レ ン ト ラ ン ス (仮) 」

かつてファンタジーTRPGは、何度も神話というものを目指した。
しかし、それは実際には、神話を真似ただけの「神話以下」のものでしかなかった。
だが、ついにファンタジーTRPGが、神話をも超える時が来たと確信する。

このチームVIPの最新作が、そのすべての答えを握っている。
あらゆるエンターテインメントの頂点に、1本ファンタジーTRPGが降り立つのである。
未経験者筆頭に究極のスタッフによって完成されつつある。

2ちゃんねるという現行スレでありながら、古典作品のような輝きのあるリアルテキスト。
ゲームマスターのすばらしい采配に、心が振るえ、体が熱くなることだろう。
まちがいなくこのTRPGは、史上最高のTRPG・・いや、至高のエンターテインメントになるだろう。

 フ ァ ン タ ジ ー テ ー ブ ル ト ー ク R P G サ イ レ ン ト ラ ン ス  (仮)

                         ――――――さ ぁ ふ る え る が い い


単純かつ重厚!! TRPG「サイレントランス(仮)」開発中。
第一回テストプレイ開始間近!! 参加者募集!!
シナリオライター、ミリタリーデザイナー、プレイヤー、ゲームマスターも随時募集。

私TRPG未経験者だけどTRPGを皆で作って皆で遊ぶといいと思う4
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1214209572/l50
337以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:21:46.62 ID:iCm6i7M+O
グギャー
338以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:23:28.87 ID:FZi/kK3h0
>>332
読みました。両者の口調が似通っているのは減点対象かな。
このストーリーだったらどう書いてもラノベっぽくなるから、
ラノベっぽいのは気にしなくていいと思います。ストーリーがラノベっぽいのを
悩んでいるんでしたら、根本的な修正が必要でしょうけど。

"黒い水”を血で消化するのは、心のカユイところに手が届く感じでした。


339以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:25:37.13 ID:6QaUF/fm0
>>332
読んだ。
うーん、つまらない。
これをラノベと言ったら、ラノベ作家に失礼だと思う。むしろ、出来の悪い携帯小説かな。
クフフとかハァハァとかキャハハとか、相当に上手く使わないと安っぽく見えるから止めた方がいいと思う。
殺人鬼のキャラも、今一イカレてないから、怖くもないし魅力も無い。
唯一、最初は赤い血が黒くなるってところだけは良いと思った。
340以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:29:34.71 ID:aHLXTewt0
>これをラノベと言ったら、ラノベ作家に失礼だと思う。むしろ、出来の悪い携帯小説かな。
言われると思った。
341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:31:32.40 ID:iCm6i7M+O
>>335
展開が綺麗じゃないかなー。繋がってる感じがしない。
あと逃げてる殺人鬼の独り言が何ともアニメ的。個人的には心理描写で消化して欲しい。
これ全体で物語の起、なら十分。連鎖する殺人鬼達の戦いが期待される。
一つの作品としては弱いかな。
342さよならだけが人生だ(みかん畑)0/3 ◆fSBTW8KS4E :2008/06/23(月) 19:34:15.41 ID:a3qhyy4u0
通常作投下します。
お題・みかん畑
タイトル・さよならだけが人生だ
レス数・3レス

楽しんでいただけたら幸いです。
343さよならだけが人生だ(みかん畑)1/3 ◆fSBTW8KS4E :2008/06/23(月) 19:34:40.38 ID:a3qhyy4u0
「私たちはなんで泣いていたのかしら」
 ヨーコさんがそんなことを言いだしたのは、三時間目のチャイムが鳴ってからだ。風の強い屋上でヨーコさん
の白衣がショートヘアと一緒になびいている。保健室開けっ放しにしといていいんですかと聞いたら、君の席開
けっ放しにしといていいんですかと返された。数学の授業は嫌いなんだからしょうがない。
 俺は何か言い返そうか色々考えて結局最初の質問に戻った。「泣いていたっていつのことですか」
「生まれた時よ」
 ヨーコさんは白衣のポケットからラッキーストライクを取り出して、一本に火をつける。近くにある段々畑の
みかん農園から吹き降りてきた風が、主流煙を流し、ヨーコさんの口から出た副流煙を流した。
「保健室の先生ってそう言うのは知っているものだと思っていましたけど、呼吸器官がどうとかの話じゃないん
でしたっけ」
 ヨーコさんはこちらへ振り向くと不機嫌そうな顔をして、「じゃあアナタは喉が詰まりそうになった時だけに
亡くの? そうじゃないでしょ。感動したり、悲しくなったりした時に人は涙を流すのよ」とラッキーストライ
クの煙を口から鼻から出して言った。
「先生の話の終着点が見えません」
「そうね、簡単に言えば『私たちは生まれたとき嬉しかったのか、それとも悲しかったのか』って疑問よ」
 そう言われて、俺は手元の文庫本に目を落とす。
「花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ。って言うぐらいですし、こんな説明書も攻略本も無い人生
を強制されて悲しんでるんじゃないですかね」
 ヨーコさんは腕組みをしながら僕の言葉を聞いていた。ゆっくりと咀嚼して僕の話を聞いてくれるのが、彼女
の良いところだ。こういう姿勢の彼女を持てる事に俺は誇りに思う。
「肯定はしたくないけど、否定する気にもなれないわね。アナタの一言でその詩が嫌いになりそうだわ」
「ヨーコさんはどう思うの、泣いていた理由」
344さよならだけが人生だ(みかん畑)2/3 ◆fSBTW8KS4E :2008/06/23(月) 19:34:58.10 ID:a3qhyy4u0
「よく考えるのよ。もし私たちに昨日がなければ、幸せな今日かしら、って」
 四分の一も吸っていないラッキーストライクを排水溝へ捨てた。
「いちいち詩的すぎて解釈に自信が無いんですけど、俺は昨日がなければ良いと思う事はありますね」
 考え事を昨日から明日へと持ち越すのは難しい事だ。
「もしかして」俺はふと思った事を口から漏らす。「ヨーコさん、どこかに行くの?」
 ヨーコさんはこちらへ歩いてきて、僕の隣に座った。一緒に立つと背丈は俺よりも高いが、座るとほぼ同じに
なる。だから俺は彼女と同じ場所に座るのが好きだ。
「アナタとの関係が知られちゃってね、最近面倒な事ばかり。昨日がなければ良いって、私でさえ思ったわ」
 大きな風が山を降りて吹いてくる。柑橘類の匂いは、少しだけ心地がいい。
「じゃあ俺も学校辞める」
 ヨーコさんは少しだけ笑い、肘で俺の脇腹をつついた。
「そうやってアナタが軽々しく言える事も、今日ここでアナタの隣に座っているのも、私が職員室で白い目に見
られて、大人げも無く叱られていた昨日の次の日の事よ。そう考えると昨日も捨てたものじゃない」
 ヨーコさん、俺は軽々しくいってない、俺はあんたが好きだ。保健医のくせに図書室に常駐していて、寺山修
司の話をした時から、ずっと好きだよ。家族にも話せないこの関係が面倒だとも思わない、あんたが一緒に逃げ
ようと言えば俺はすぐにでもリュックサックを掴んでコンバースを履くよ。
 くさい台詞はつきないが、どれも僕の口からは出て行こうとしない。
 やっとのこと「ヨーコさんの事が好きだ」と声に出すと、ヨーコさんは微笑んで俺の頭を撫でてくれた。
「あなたはちゃんとこの高校を卒業して、大学で自分をのばして、友人を作って、恋人を作って、それから詩人
にでもなりなさい」
 ヨーコさんはポケットにしまっていたラッキーストライクと銀色に太陽を跳ね返すジッポーライターを俺に渡
してきた。
345さよならだけが人生だ(みかん畑)3/3 ◆fSBTW8KS4E :2008/06/23(月) 19:35:22.50 ID:a3qhyy4u0
「さよならだけが人生よ」
 ヨーコさんはもう一度俺の頭を撫でて、屋上のドアへと歩いていく。
「最後に、私は生まれてた時の自分が嬉しくて泣いていたと思うわ。でなきゃ昨日は作れなかった。明日を作る
のは簡単よ、思えば良いの。でも昨日は違う。昨日なんてのは手順が必要よ。時間が立てば昨日はできるけど、
それは定義上の問題でしょ。昨日までを昨日と決定づけるには、勇気が必要なの。でもその肯定を踏んだ時に私
たちは今日に生きられる。人にしかできない事をこれからやれるんだ、って生まれたての私は思った事ね。じゃ
あ、明日の朝礼であうと思うけど、さよなら」
 長い長い別れの言葉は、風の音に邪魔されながら俺の耳に届く。いちども俺たちは目を合わせなかった。俺が
さようならを言おうとした時、扉のしまる音が聞こえて、それから少しして三時間目の終わりを告げるチャイム
が鳴った。下の廊下からは解放された生徒たちのはしゃぎ声が聞こえてきて、俺は慣れない手つきでラッキース
トライクを一本取り出した。ジッポーライターに手間取りながら、見よう見まねで灯をともす。唇が熱くなって、
それを我慢する。火がついたのかどうかわからないので大きく吸い込むと、辛い煙が喉を焼いた。
 俺はあきらめて排水溝へと捨てた。
 また大きく、風が吹いた。みかんの香りが目にしみて、右目から少しだけ涙が出てきた。
 ヨーコさん、まだ整理がつかないから、さっきの話をしたのは明日にしよう。三時間目が始まるまで昨日、ヨ
ーコさんが話しだすまでを今日、そして別れの話は明日の事だ。
 ひとまず、今日が終わったので寝る事にしよう。俺は屋上のドアを抜けて階段を下りる。
 陽気な学生が廊下ではしゃいでいる。
 さよなら学生諸君。さよなら教師諸君。さよなら昨日、今日、明日。

346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:36:47.60 ID:aHLXTewt0
夜の雨の最中に無様な人を殺しに来る殺人鬼の話
夜雨
また一人無様な人間が生まれた
そこへ現れる殺人鬼
殺人鬼のニュース

二週間後
追われる殺人鬼
追う殺人鬼
無様に殺人鬼死亡

これがプロットでした
やっぱり薄い感じですね
347 ◆fSBTW8KS4E :2008/06/23(月) 19:36:49.59 ID:a3qhyy4u0
「花に嵐のたとえもあるぞさよならだけが人生だ」が井伏鱒二です。
「花に嵐のたとえもあるささよならだけが人生だ」が寺山修司です。

感想いただけたら喜びます。
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:41:41.49 ID:a3qhyy4u0
>>332
読んだ。
黒い雨から血っていうのは面白かった。
ただ会話が誰喋っているのかわかりづらいし、どれも薄っぺらいです。
1レスのショートショートで殺人鬼はもう一人いたって落とした方が綺麗な感じだし文体にもあってる気がします。
描写が似たような文章の連続で飽きてしまいます。
辛口で申し訳ないですが、お互い頑張りましょう。
349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:43:17.53 ID:FZi/kK3h0
>>342
読みました。今ちょうど、センチメンタルデブの曲を聞いていたんですが
それととても合った作品でした。

自分はこういう作品は好きです。
>あんたが一緒に逃げようと言えば俺はすぐにでもリュックサックを掴んでコンバースを履くよ。
こういう表現が好きです。
こういう話は好きですけど、何かせつなくなりますね。
350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:51:37.94 ID:iCm6i7M+O
>>345
若さって罪作り。いやん。
「僕は勉強が出来ない」っぽいね。湯本かずみだっけ。アレは俺嫌いだけど、まあそれはともかく。
しっかりと語り手の声が聞こえてきて良かった。
若干のあざとさはあるけど味の範囲内だね。
しかし良くある話感は抜け出せない。それはそれで良いんだけどね。
351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:52:29.25 ID:a3qhyy4u0
>>349
センチメンタルデブ聞いた事無いっす。今度探す。
読んでくれてありがとう。
表現は鹿島田真希のピカルディーの三度の主人公を真似てみました。
自分としてはやりきれない爽快さを書きたい。
感想ありがとうございました。

そして喉が詰まりそうになった時だけ『亡くの?』
『泣くの』です、ごめんなさい。
352以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:55:02.38 ID:UuIaQt0bO
おいおまいら!2chでまた新しい名言が生まれたぞ!

837:非通知さん@アプリ起動中 2008/06/23(月) 17:47:19 ID:MMW197m/O[sage]
>>825
今の2ちゃんでそういうこと言わない方がいいぞ
今回は見逃してやるが次そんな口聞いたら本当に通報するからな

http://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/appli/1213266275/

さあ名言の誕生に立ち会えたそこの君!
「VIPからきますた記念パピコ」とレス汁!
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:55:18.05 ID:a3qhyy4u0
>>350
読んでくれてありがとう。
「僕は勉強ができない」はメジャー性に反抗して読んだ事がない。
ただ「僕は落ち着きが無い」が面白そうなのであれを読んだら読んでみようと思う。
声が聞こえたってのは嬉しいですね。
これから僕達はよくある話と戦っていかなければならんのです。
感想ありがとうございました。
354 ◆zH52hPBzFs :2008/06/23(月) 19:56:54.66 ID:FZi/kK3h0
>>351
ごめんなさい。
センチメンタルデブってバンド名じゃなくて俗称なのですよ。
GOING UNDER GROUNDをよろしくお願いいたします。こないだベスト盤がでました。

ということで、全館いきます。
もしかしたらさる必要かもしれないんで、そのときは宜しくです。
355 ◆zH52hPBzFs :2008/06/23(月) 19:57:23.18 ID:FZi/kK3h0
No.00 別ちがたきもの ◆zmMEjNb3Ok氏
色々と、ドンマイです。
作者様もそうでしょうけど、自分から見ても年齢が離れている方の一人称で、空気を把握するのに苦労しました。
漢字のひらくひらかないには多分意見は様々だと思うのですが、
自分はこの作品なら(というか老人の語り口なら)漢字を多用するのは
有りだと思います。自分がどちらかと言えば気になったのは表現のほうですかね。
要所要所に、若い言葉が出てきているように思えました。
他の箇所で老人の言葉遣いを意識しているので、そのあたりの表現がなおさら気になりました。
主人公の考え方には、自分は共感できませんでした。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.01 女神像 ◇zH52hPBzFs
自作です。ファンタジーです。自分版、『ペンは剣より強し』のエピソードです。ペンじゃないですけど。
ご指摘もありましたが、像のモデルは「サモトラケのニケ」像です。展示されている踊り場で半日以上眺めていた
くらい大好きです。最初はニケ像の話と明示しようかと思ったのですが、ギリシャの当時の政治体制や技術レベルが
調べ切れなさそうなので名前を削って、オリジナルのファンタジーとしました。
そもそも、サモトラケのニケ像は片腕が発見されているらしいですしね。展示されていないだけで。
以前、話にあった「ラノベっぽくない文体」とはどういうものなのか、というのを意識して書いてみました。
これはこれで書いていて楽しかったです。
一人称、もしくは三人称でも通常作で投下した手弱女云々の話の文体のほうが書きやすいのですが、
これも修練だと思いまして頑張ってみました。こなれていない印象を与えてしまったようですので、
これは反省して、しっかり自分の文体として身につけられるように精進したいと思います。
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No.02 呪縛〜 sky 〜 ◆DppZDahiPc氏
洗濯屋という職業に微妙に疑問を持ちました。いや、持つところじゃないのかも知れないですけど。
突発的に起きた殺人事件を洗濯する、という職業ならなんとなくわかるのですが、
殺し屋が殺した内容を洗濯するなら最初から同行すればいいのに、みたいな。
文章はとても読みやすかったです。ただ、シーンの最初が雲一つない晴天、
シーンの終了時には雨の予感。それはちょっと急すぎるかなと思いました。
終わりの方の構成は、まるで良くできた詩のように綺麗な構成だと思います。
ところで熊ってバックプリントじゃないんですよね?
356 ◆zH52hPBzFs :2008/06/23(月) 19:57:40.30 ID:FZi/kK3h0
No.03 星へ ◆bOdJFf7Ps6氏
SFですね。SF。
みんなに詩だ詩だと言われてらっしゃいましたが、自分もこれは詩だと思います。
ストーリーのある詩。小説として膨らませて欲しかったです。
この話全てを5レスで小説と表現するのは難しいと思いますので、
この話の一部をスポットした小説でも味のある作品になったと思います。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.04 ミコハル ◆9epGInhJg氏
双子の話。何よりもびっくりしたのは最後にいきなり出てきた“私”の存在。
この“私”というのは作者様とおもっていいのでしょうか。それとももっと他の存在を
深読みしたほうがいいのでしょうか。
この話、続編が読みたいです。作者様の意図とは全く違うでしょうけど、二人の手が離れる場面の話。
どうやってこの手ははだけるのでしょうね。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.05 縄 ◆ibD9/neH06氏
面白かったです。色々と突っ込みどころがありすぎてアレな感じでしたが。フィリピンなめんな。
コミカルな掛け合いが素敵でした。ただ、最初のうちに縄についてもう少し詳細な説明が欲しかった気がします。
あと、詳細な設定がわかりませんでした。非常用の電池式の小型冷蔵庫だったり、
青空教室だったりの描写から、そのあたりがオチに影響するのかな、と思ったのですが
そうでもなかったです。この辺りの設定は何のためだったのでしょう。
ちなみにヒモは愛玩用の人間というりっぱな職業だと思っています。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.06 小さな火 ◆zmMEjNb3Ok氏
速筆は才能ですよね。とても羨ましいです。
相変わらず文章は読みやすいと思います。ただ、特殊な環境の描写はもう少し丁寧に書いて貰えた方が
よかったような気がします。非日常の風景は幾分か想像がしずらいので。
中盤の描写が、「スクリーンに表示された内容の描写」ならば、心象の描写は避けるべきだったと思います。
個人的には、全て『神様』の語りにしたほうがよかったのかな、と思いました。読後感は悪くなかったです。
神様が、何をしようとしていたのか、と女の子が「あなた」と神様を呼ぶのが少しだけ気になりました。
357 ◆zH52hPBzFs :2008/06/23(月) 19:57:56.64 ID:FZi/kK3h0
No.07 縛られた男と四人の女 ◆LBPyCcG946氏
ブラック・ジョークな小説。この作者様はこういう話を作るのが上手ですよね。見習いたいです。
こういう話は文体は簡潔であればあるほどいいと思いますので、文体は話にとても合っていると思います。
オチはもうすこし意外性があったほうがよかったかな、という気はしました。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.08 サボテン ◆D8MoDpzBRE氏
産まれた家に縛られる、という話でいいのでしょうか。
丁寧に言葉を選んでいるな、という印象を受けました。自分だったら別の言葉を選ぶかな、という箇所も
ありましたが、それは別にそのほうがいいというわけではないので、いいと思います。
>修一とでは無理だよ。
それまでが地の文による説明だったのに、ここだけ香奈の言葉になっている点が気になりました。
あとは、最後の部分。サボテンのイメージがダンシングフラワー(サボテン?)と重なる理由が少し読み取れませんでした。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.09 銀色 ◆uv1Jg5Qw7Q氏
銀色の対比は素晴らしかったと思います。
一度読み終わってからまた最初から読み直してみたのですが、どういう展開だったのかが
ちょっとわからない箇所がありました。
「逃げて逃げて」がかかるのは男だけなのですね。それなら「ふたり」という表現はちょっとフェアではないかも。
あと、主人公がどうやって追いかけることができたのか、も少し気になりました。
このあたりに納得出来る設定が書いてあれば、印象もまた変わったのではないかと感じました。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.10 フリーダム・ロード ◆bOdJFf7Ps6氏
命名の適当さがとても素敵です。
>「大王シバール! 人々をいろいろ縛るのをやめろ!」
この台詞なんかはセンス溢れまくりです。素晴らしいです。なかなかこんな台詞は狙って作れないと思います。
>人々は思い思いの姿形を取り、適当にやりたい事をして、死にたくなるまで生きられるようになった。
このいい加減さもすごく素敵だとおもいました。
オチらしいオチも用意せず、予定調和のまま話を終わらせるのもいいと思います。
願わくば作者様の意図を読み違えしていませんように。
358 ◆zH52hPBzFs :2008/06/23(月) 19:58:13.42 ID:FZi/kK3h0
No.11 キッコーマンよ、月に啼け ◆0CH8r0HG.A氏
お題を真っ向から受け止め、表現した内容ですね。素晴らしいですよね。
よくわからない世界観を力と熱のこもった筆力で書き上げた魂の籠もった文章に見受けられます。
素晴らしいです。今後、この作者様の作品を読む度に
「ああ、あのキッコーマンを書いた……」と思いながら読もうと思います。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.12 キピク ◆pxtUOeh2oI氏
文章はとてもこなれている感じを受けました。場面場面のイメージが上手く想像出来て、
よかったです。この話は、最後のオチ(というのかはわからないですけど)はない方がいいのかな、
と感じました。あるいは、竜の名前自体をキピクにするとか。
特に意外性のある言葉の意味ではないので、引っ張る必要はない気がしました。
それはそれとして、内容は楽しめました。好きです。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.13 春待ちの少女 ◆TtwtmrylOY氏
この作品は他の全館のなかでどういう感想を得るんだろう、というのがすごく気になりました。
まあ、幽霊なんだろうな、とは最初の前文で検討はつきますが、多分そんなことは些細なことなのでしょう。
3/5の終わりから4/5の始まりにかけて、秋瀬が消えるエピソードはなくてもいい気がしました。
そもそも、学校の中の話じゃないほうがいいんじゃないのかな、とも思います。
秋瀬は授業中も温室にいるのでしょうし。
不思議な空気は上手く醸し出せているのに、なにかが惜しいと思いました。
うまく説明できなくてすみません。
ところで、Yの悲劇って原作で読まないと全く意味解らないトリックですよね。
自分は解説を読むまでトリックの意味が全くわからなかったです。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
No.14 青天白日の下 ◆EqtePewCZE氏
面白かったです。こういう話好き。
家出の理由は、書かれなかったのはわざとなのかな。家に一度帰ってから、荷物をまとめたってことでしょうか。
そのあたりは表層的な文章読みである自分にもわかるようにしてくれてあればより良かったのではないかと感じました。
それ以外には特に言うことはありません。好きです。
359 ◆zH52hPBzFs :2008/06/23(月) 19:58:30.07 ID:FZi/kK3h0
No.15 ポニーテール・メモリー ◆VXDElOORQI氏
自分が好きな文体のような、そうではないような、そんな感じを受けました。なんなんだろう。自分でも上手くわかりません。
なんとでもない話を、なんとでもなく終わらせた。そんな印象を受けました。
文章は読みやすかったのですが、うまく自分の心には届かないというか、なんというか。説明が下手ですみません。
なんでだろう。キャラクタが二人ともステレオタイプだから、なのかなぁ。わかりません。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
時間外No.02 ミラクル・クルクルプラント ◆AnyTD/7AYY氏
今回、時間外多いですね。
いかにもショートショートらしい作品だな思いました。
禁忌事項、カタルシス。文体はすこしテンポが悪い感じがしました。人のことはいえないですけど。
ところで、これはお題をどこで消化したのでしょうか。自分にはわかりませんでした。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
時間外No.03 狂人の眼 ◆hbrb0Zig0g氏
「言葉で表現できないもの」をどうやって小説に表現するんだろう、というのに興味をもって
読まさせていただきました。雰囲気が出ていたと思います。面白かったです。
個人的には友人を殺す必要は無かったかな、と思います。でも、これでもいいのかな、という気もします。
次はレス数に気をつけてくださいね。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
時間外No.4 重力 ◆4BI9wm.ZTA氏
ああ、この空気は好きです。多分自分が生涯において書けないであろう文章、これは好き。
だけど、これは残念ながら詩だと思います。二割くらいは小説が入っていると思うのですが、これは詩です。
偉そうなことを言わせて貰えば、作者様のすすむべきは、これでいいと思います。文章気持ちいいし。
あとはストーリーです。この文体にあうストーリーを語ることが出来れば、きっと素晴らしい作品になるのでは、
自分などはそう思います。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
全体を通しての感想です。今回も色々な作品があって楽しめました(もしかすると自分は「面白い」と感じる
閾値が低いのかもしれませんが、この閾値が低いって得だよねって思います)。
縛るというお題。これも暗いテーマにしやすいと思っていたのですが、おもったよりポジティブな話が
多かったように思えました。自分はかなり苦戦しましたが、あからさまに書くのを楽しんでいる作品があって、
それはとても素晴らしいことだとおもいました。キッコーマン。
360以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:58:39.88 ID:iCm6i7M+O
さるああああああ
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:58:42.06 ID:a3qhyy4u0
ゴーイングアンダーグラウンドなら聞いた事あるや、俗称に納得しサル
362 ◆zH52hPBzFs :2008/06/23(月) 19:58:49.66 ID:FZi/kK3h0
******************【投票用紙】******************
【投票】: No.14 青天白日の下 ◆EqtePewCZE氏
 
気になった作品:No.05 縄 ◆ibD9/neH06氏
No.10 フリーダム・ロード ◆bOdJFf7Ps6氏
No.12 キピク ◆pxtUOeh2oI氏
**********************************************
以上です。皆様お疲れさまでした。
また週末に、よろしくお願いいたします。
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:59:15.37 ID:FZi/kK3h0
さるありがとうございましたー
364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 19:59:17.10 ID:a3qhyy4u0
全館乙
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:00:32.28 ID:iCm6i7M+O
善管乙乙乙
366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:03:15.31 ID:aHLXTewt0
全巻乙ー
367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:22:08.04 ID:beSLhXlnO
368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:29:22.83 ID:v7uanWhIO
暗い感じのお題暮れ
369以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:30:17.68 ID:FZi/kK3h0
>>368
ダムの底
370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:31:43.74 ID:v7uanWhIO
把握
371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:33:54.91 ID:54RfOCo80
レポート書くくらいなら小説書くからお題もらう
372以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:34:20.83 ID:aHLXTewt0
373以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:34:46.07 ID:54RfOCo80
>>372
把握しましたー
374以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:34:50.28 ID:mS76nUA7O
>>371
テレポート
375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:35:42.68 ID:mS76nUA7O
orz
376以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:35:47.95 ID:aHLXTewt0
できの悪いケータイ小説にふさわしいお題くれ
377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:38:28.22 ID:54RfOCo80
>>374
おっと、こいつもいただくぜ

>>376
ポリ
378以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:39:17.82 ID:aHLXTewt0
ポリってなに?
警察?
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:39:21.94 ID:FZi/kK3h0
>>376
卑下しちゃいけませんよ

お題:三日間
380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:39:30.54 ID:iCm6i7M+O
遥かなる高み
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:39:55.46 ID:aHLXTewt0
はあく
382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:40:19.37 ID:54RfOCo80
>>378
バケツでも。自由に料理してください
383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:42:19.22 ID:FZi/kK3h0
>>382
ポリシックスで料理するしかないよね、うん。
384以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:48:14.17 ID:iCm6i7M+O
ポリンキーだろ……jk
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:55:04.06 ID:WBqANLro0
お題plz
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:56:12.10 ID:mS76nUA7O
>>385
プリントアウト
387以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:57:46.56 ID:ds5lB4eh0
>>385
ゼノフォビック
388以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 20:58:57.22 ID:xCWM09b20
【爆破予告】 東海大学付属第四高等学校
http://school7.2ch.net/test/read.cgi/edu/1214212282/
通報通報おまえらきてくれ。
これは糞バエとかと違ってガチだwwwwwwwwwww


389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 21:18:19.84 ID:8vFa+fa50
まとめがなんかピンクになっててクソワロタwww
390お題:クリスタル・スカル0/2:2008/06/23(月) 21:22:30.69 ID:eEzWOcUa0
「電波」というお題ももらったのでうまく絡めようとしたのですがうまくいきませんでした。
お題を下さったかたには申し訳ない
では投下いきます
391お題:クリスタル・スカル1/2:2008/06/23(月) 21:23:37.86 ID:eEzWOcUa0
 『クリスタル・スカル』、別名水晶髑髏には不思議な言い伝えがある。なんでも二千十二年までに、世界中に散らばる十二

のこの髑髏を一箇所に集めないと、世界が滅んでしまう、らしい。
「だからアニキ、世界を救うために二人で探索チームを立ち上げようよ。隊長はアニキでいいからさ」
 いきなり何を言い出すんだこいつは。情報化社会の現代に、お前以外の誰がそんな馬鹿馬鹿しい話を信じるっていうのか。
「お前、今年で十七だろ。いつまでそんな子供みたいなこと言ってるんだよ」
「なにさ、二つしか違わないくせに大人ぶって。アニキだってまだ子供ジャン」
 そう言って妹はむすっとした顔をして頬をふくらませた。

 昔から俺は「しっかり者のお兄ちゃん」でとおっていた。別に俺にそんな意識は無かったが、
妹がこんな風だから、普通な俺が相対的に高く見えるのだろう。
 昔から妹は困り者だった。俺が普通なのに対して、妹はいつでも馬鹿馬鹿しい夢を見ているような奴で、ある時には翌日の
マラソン大会を中止にするために躊躇無く大量の蟻を踏み潰したり、千九百九十九年夏には、どうせ死ぬならとなけなしの小
遣いをはたいて好物の小豆アイスをたらふく食べたりしていた。
 サンタだって、俺は小一の時にはその存在に疑問を感じ、小二の時に見事その正体を暴いていたのに、妹は中二になるまで
その存在になんら疑問を抱いていなかった。俺がそれとなく、
「今年はサンタに何を買ってもらいたいんだ?」
とヒントを与えていなければ、たぶんこの年になっても妹はサンタからプレゼントを貰い続けていただろう。
 こういう疑うということを知らないヤツだから、しょっちゅう「お兄ちゃんを見習いなさい」と叱られていた。俺もつい調
子に乗って、「俺を見習えよ」と自分勝手なことを言ってしまったこともたびたびある。
 しかしもうすぐ十七になろうというのに、いまだこの夢見心地病は治らなかった。
392お題:クリスタル・スカル2/2:2008/06/23(月) 21:24:38.30 ID:eEzWOcUa0
 そんな妹のことだから、どうせ何を言っても『髑髏』を追い求めるだろう。俺は観念した。しょうがない手伝ってやろう。
きっとこいつ、俺がいないと無茶して怪我するだろうからな。
「わかったよ。俺もその髑髏とやらを探してやる」
 妹はマラソン大会の日に雨が降った時のように顔を輝かせた。
「ホントに!? うれしい! じゃあ早速裏山に探しに行こう? ささ、これ持って」
そう言うとどこからか取り出した小さなスコップを俺に押し付け、部屋を飛び出し玄関のほうへと走っていった。
「ち、ちょっと待て」
俺はたまらず呼び止めた。どこを探しても髑髏が見つかるはずなど無いので場所に問題は無かったが、問題はその広さだ。
いくら裏山とはいえ二人で探し回るには中々広い上に、土の下まで探すとなると、たぶん日が暮れてしまうだろう。晩飯まで
に帰ってこれないかもしれない。
「先に聞いておくけど何時まで探すつもりだ? もしかして、見つかるまでか?」
俺はそんなことないよな、という意味を多分に込めて玄関のほうへ言った。伝わればいいのだが。
「やだなーアニキ、そんな訳無いジャン。夕飯までには終わらせるよ」
玄関から返事が返ってきた。どうやら伝わったようだ。
「そんなに延々と同じことしてたってつまらないジャン。おもしろいと思ううちにやめないとね」
続けて出た妹のその言葉は、いつものように幼稚な台詞だったが、どこか大人びた言葉かのように聞こえた。
「ね、そう思うでしょアニキ?」
 俺はなんだか肩の荷が下りた気がした。そして、自分の思い上がりを恥じた。

 玄関に行くと既に妹は靴を履き終え待っていた。
「さあアニキ、はやくはやく! 何もしないうちに日が暮れちゃうよ!」
 俺はゆっくりと、普段は履かない安いスニーカーを履き終えると、尊大な態度でもって妹に言ってやった。
「待ちたまえアンナ隊員。忘れたのか? 隊長は私だぞ」

     ―了―
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 21:50:03.71 ID:FZi/kK3h0
ほしゅしゅしゅしゅ
投下作これからよみます
394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:02:22.91 ID:hHNDBcB30
ho-
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:18:15.18 ID:FZi/kK3h0
保!
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:27:47.05 ID:8vFa+fa50
お題くれ
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:27:52.63 ID:FZi/kK3h0
守!
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:28:05.93 ID:FZi/kK3h0
>>396
ごめんなさい。
「地図」で
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:28:27.06 ID:8vFa+fa50
>>398
ういうい
400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:29:36.95 ID:8vFa+fa50
ていうかちょうど今チーズ食ってたとこなんだよな…
401以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:41:11.26 ID:FeVZ2J6tO
402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:41:52.58 ID:Pbre6/gWO
403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:42:19.56 ID:v7uanWhIO
だめだ「ダムの底」まるでアイデアが浮かばねー。
なんかもっと書きやすいお題紅
404以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:42:43.90 ID:Pbre6/gWO
地底湖
405以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:44:29.60 ID:AJMXifJ+0
どん底
406以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:45:31.78 ID:rFno0YzV0
靴底
407以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 22:46:21.92 ID:v7uanWhIO
>>404-405
頑張ってみる
408以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 23:01:11.81 ID:rFno0YzV0
(´・ω・`)・・・
409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 23:02:31.59 ID:FZi/kK3h0
>>408
あなたにも素敵なお題:靴底
410以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 23:12:23.37 ID:rFno0YzV0
(´・ω・`)了解
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 23:24:03.64 ID:8vFa+fa50
とうかー。
412宝探し(お題:地図):2008/06/23(月) 23:24:35.92 ID:8vFa+fa50
 宝の地図を手に入れた。
 古ぼけた地図は、母さんに言われて蔵の整理をしていたら出てきた。埃をかぶって、
ところどころ錆び付いた宝箱の中にそれは大切そうにしまわれていた。
「さ・が・そ・う・ぜ! お・た・か・ら!」
 明らかに「おたから」の部分は無理矢理だったが、田中がリズミカルにビートを刻んだ。
田中は僕の幼なじみで、今日も蔵の整理を手伝ってくれていた。僕は田中に賛同した。
「さ・が・そ・う・ぜ! たなかとおたから!」
 微妙にアレンジすると早口言葉みたいになった。
 宝の地図の示す場所は、僕の家から電車で一時間弱離れた町にある山の中だった。
「こんなに近いなら誰か探せばよかったのにな」
 電車の中で、田中が言った。僕も田中の言う通りだと思う。だって、宝の地図なんて蔵に
大切にしまっておいて、一体何の意味があるのだろう。それもこんなに近くなのに。誰も宝を
探そうとか考えなかったのだろうか。考えるだけで、こんなにも胸が高鳴るのに。
「まあ、かなり奥の方にあったし、誰も気づかなかったんじゃないかな」
 僕がそう言うと、田中は「ふーん」と気のない返事をした。その目は、流れていく景色を見つめていた。
目的の山はもう見えている。きっと、宝探しのことを考えているのだろう。
 山道は思っていたよりも険しかった。道と呼べるものは存在するものの、舗装なんて当然されていないし、
ただ周りと比べれば草が生えていないから少し通りやすいといった程度だ。僕も田中も何度か転んで、膝を
すりむいた。田中はガーゼや消毒液や絆創膏を持ってきていて、それで適当に手当てをした。準備のいい奴だ。
「お前は良いお嫁さんになるな」
「何言ってんだよ、気持ち悪ぃ」
 僕らは二人して笑いながら、地図に従って山道を登っていった。
 途中から山道を逸れて進むことになり、更に険しい木々の間の道を僕らは進んだ。たくさん汗をかいた。
 暫らくそうやって突き進んでいると僅かに開けた空間に出て、そこに、ぽっかりと空いた洞穴を見つけた。
地図に書いてある通りだ。僕と田中はお互いを見合ってにやりと笑った。
 洞穴の中には、誰が仕掛けたのだか罠が幾つかあった。最初は驚いたけど、大したことはない。僕たち若人の
冒険を妨げることなどできはしない。僕は自分がどんどん興奮していくのを感じた。
 そして、とうとう洞穴の奥に宝箱を見つけた。でもそのとき、一瞬の絶頂の後に、自分の興奮が一気に冷めて
いくのを僕は感じた。田中はどうだろう。笑っているようにも見えた。もう少しでもっとはっきり分かるかもしれない。
 僕らは宝箱を開けた。古びて錆び付いた宝箱の中には、古ぼけた宝の地図が入っていた。   −おわり−
413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 23:24:51.99 ID:8vFa+fa50
いじょう。
414お題:ポリ、三日間、遥かなる高み0/3:2008/06/23(月) 23:40:32.41 ID:aHLXTewt0
通常作品投下
ポリとジャズについてはググった程度の知識。
415お題:ポリ、三日間、遥かなる高み1/3:2008/06/23(月) 23:41:22.72 ID:aHLXTewt0
 フィンランドの南西部にポリという小さな都市があった。
 人口は八万人ほど。
 年に一度、夏にポリジャズという何十年も続いている
フェスティバルが開催されている。
 開催中はピーマ(すっぱい飲むヨーグルト)の屋台などが並ぶ。
 これはポリに住みジャズを習う、少女の小さな物語。

 少女は、今日は練習をせずに他の子の歌を聴いてみようかと
いつも通う教室から少しはなれた別の教室へ向かう。
 季節は夏、冬に雪の積もるポリでも夏は暑かった。
 広い道路の横を通りそれから細い道へ。
 しばらく歩くと少女がいつも通ってる所より大きな、歌の教室があった。
 少女はここに来て、急に入っていいものか戸惑った。
 そうしてうろうろしていると、その教室の生徒らしき人が中からでてきた。
 少女と同い年くらいの女の子だった。
 綺麗な声で言う。
「どうしたの、教室の前でうろうろして」
「あの見学してもいいですか?」
「もしかして、新しく入りたいの?」
 少女は手を振って応えた。
「いえいえ、もう別の所に通ってるんだけど他の子の歌も聴いてみたくて」
「そっか、じゃあ行きましょうか。今先生が風邪でいないけど……
歌を聴くだけなら大丈夫ね」
 二人の少女は教室に入った。
 そこでは数人の子が熱心に発声練習したり筋トレしたりしていた。
 どうやら外で声をかけてきた子が最年長のようだ。
 その子が皆に向けて言った。
「この子が見学したいんだってさ。ねえ名前は?」
 少女が応えた。
「私はポーラ、今日はよろしくおねがいします」
416お題:ポリ、三日間、遥かなる高み2/3:2008/06/23(月) 23:42:27.94 ID:aHLXTewt0
 ポーラは頭を少し下げた。それから最年長の子が言った。
「私はモニカよ」
 続いて皆が一人づつ自己紹介をしていった。
「じゃあ私から歌おっか。あ、でも別の教室通ってるって言ってたよね。
後で聞かせてね」
 モニカはそういうと、アカペラで歌いだした。
 その瞬間周りの空気が変わった。他の子は目を閉じて集中している。
 しかしポーラにはその余裕はなかった。モニカから目が離せなかった。
 ポーラはモニカの歌声を天使のようだと思った。
 それでいてジャズ特有の力強さも併せ持っていた。
 モニカはその時確かに遥かなる高みにいた。
 そして、ポーラからすればあっという間に歌が終わった。
「ふう」
 それに続いて他の子も一人一人歌っていったが、モニカほどの歌い手は
いなかった。ポーラも歌ったがモニカの前では歌うのが恥ずかしかった。
 ポーラは天才を前にしてこれからの事を考えていた。
 歌をやめるか、自分の教室の先生に教えてもらい練習時間を増やすか。
 しかし、ポーラはどちらも選ばなかった。
 一方モニカも、ポーラの歌を聴いて何かが引っかかっていた。
「ねえ、モニカさん、あなたに弟子入りさせて」
「え、何を言ってるの、さっき会ったばかりだし……
それに同い年じゃないの?」
「年は関係ないわ、あなたの歌をもっと聞きたい。
そしてわたしももっと歌がうまくなりたいんです」
「急にそんなこと言われても」
 しかしモニカはさっきの事が気になっていた。
417お題:ポリ、三日間、遥かなる高み3/3:2008/06/23(月) 23:43:59.88 ID:aHLXTewt0
「じゃあ先生が戻るまで一緒に練習しましょ。
たぶん三日くらいかな? 最後に先生に聞いてみるの」
「ありがとうモニカさん。普段どんな練習してるの?」
 そうして二人の少女は練習に励んだ。
 ポーラは今まで通っていた教室の先生に事情を話して
モニカのいる教室に通った。
 二日、三日と一緒にいてポーラはだんだんモニカの歌に近づいていった。
 声質は変わらなかったが、呼吸やリズムの取り方が似通い始めた。
 モニカにはポーラの歌は確かな味があるように思えたが、
ポーラは気づいていない様子だった。
 自分に自信が無いのかもしれない。
 そして先生が戻ってきた。先生は事情を聞き、ポーラの歌を聴いた。
 先生は二人に聞いた。
「君達一緒に歌ってみたかい?」
 二人は顔を見合わせた。
「いいえまだ一緒には歌ってません。ずっと練習していたので」
 モニカが言った。先生は頷いた。
「やはりね。今から一緒に歌ってみなさい」
 二人がリズムをとり口を開いた。
 天使の羽が二枚から八枚に増えたように、
モニカの歌声がポーラの歌声と合わさってとても綺麗に響いた。
 その時モニカの中で引っかかっていた事がはっきりとした。
「うん。二人はとても相性がいい。モニカは天才的だと思っていたが
ポーラといったか、君も同じくらい歌の天才だ」
 
 こうして少女は一人から二人になり、後の大スターユニットへと
成長していった。
 二人は出会った年のポリジャズで、ピーマを乾杯した。
418以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 23:45:04.18 ID:aHLXTewt0
また-了-つけわすれ
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/23(月) 23:58:22.27 ID:8vFa+fa50
こうして感想がつかないまま作品が溜まっていくのね…
420以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:04:42.71 ID:USZghINZ0
>>419
誰も他人の作品になんて興味ないのさ。
自分がもらえないと憤るくせに他人がもらえないことには無関心。
当然の行動だ。誰だってそうだし、俺だってそうだ。
だから感想もらってない奴ちょっと来い相手になれ。
421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:06:45.07 ID:v1ul+TnK0
何度か書いたと思うけど、
感想が無いのはそれ自体が感想なんだよ。
422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:08:25.24 ID:j1orJ3vX0
言わないと伝わらないことだってあると思うんだ
お題くれ
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:09:03.46 ID:vgoOBzbL0
>>422
感想
424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:09:09.82 ID:RpWGMF4n0
悪意
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:09:24.00 ID:USZghINZ0
それでも、欲しい感想があるんだ――ってガンダムじゃねぇんだよってな。
とりあえず近いとこからさかのぼって読んでいくかな。
ついさっきラノベ一気読みしてきたから読み違いとか普通に連打するが怒るなよ。
426以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:09:25.11 ID:v1ul+TnK0
イワンのばか
427以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:17:22.15 ID:j1orJ3vX0
把握した
428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:18:13.34 ID:LdezIjhg0
文才スレ久々来たぜw
半年くらいぶりかもしれない…
429以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:19:20.86 ID:v1ul+TnK0
おかえり
430以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:22:55.68 ID:USZghINZ0
>>415
やっちゃあいけねぇ心得違いをしちまってる。
こういう冒頭で始めていいのは長編。それもある程度名の知れた作家。
素人同士でこういうことをするとたいがいの人間は読む気を失う。
VIPPERは三行以上の特別目を引かれる文章以外は読まないって知ってるだろ?
他にも文章全体から漂う、小説を書くのに慣れていない感じ。ちょっぴり海外文学風。
わざとやっているのならあまり追求しないけどあんまり成功してないと思う。
以前俺も指摘を受けたのだけれど、登場人物が自分で名乗るまでは地の文でも名前を言わない、
というのは時折誤読やもったいぶってる感を与えるので、一レス目最後まで主人公が少女Aじゃあ、
いささかまずい。三レスの作品なのに主人公がこれほど薄いのはどうかと。
というかこれを言うのはひどく心苦しいのだけれど、起承転結もうっすらとあるし、
お話としての形はしっかりなしているけど。おもんない。
この辺も書きなれてくると変わるから、次以降に期待。
431 ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/24(火) 00:23:54.72 ID:FNdbdf8/O
最近品評会しか書いてなかったから。通常作品は久しぶりだ。気負わなくていいからのびのび書けるな。
てなわけで投下。
お題:どん底
タイトル:息子
レス:2
432以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:24:45.33 ID:frS5yXJM0
 感想が付いていないので、適当に付けていくね。

>>417
>ポリとジャズについてはググった程度の知識。
 この但し書きがなくても、あなたが特にポリやらジャズに詳しくないことは本文を読めば分かる。結局、
ポリやらジャズやらの設定はお題を消化するためだけに用意されたものだという印象を最後まで拭え
なかった。だって、別にこのシチュエーションでなければ書けない話ではないでしょ? もう少し突っ込
んだ言い方をすると、もう少し卑近な世界を舞台にして話を書いた方が、きっと自然な話を書けたと思う。
あなたがポリとかジャズに関して生半可な知識しか持っていなかったがために、内容もあまり深く書き
込めていない。
 歌の能力とか相性というものは、多くが天性に依存している、って話だと思う。少なくとも僕はそう読ん
だ。そして、希少な天才同士の出会いが生まれたのだと。う〜ん、と思ってしまう。と言うのも、主人公が
天才認定されるまでがあまりにあっさりとしすぎている。と言うか、そこまでにまるで物語がない。

 ここまでがストーリー面およびテーマ面に関する感想だけれども、キャラの造形に関しても同様に作り
込みが足りない。だから全体として読ませたいポイントが分かりませんでした。
433息子 1/2  ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/24(火) 00:25:14.10 ID:FNdbdf8/O
 上京して最初にやってみたいと思った事は、息子の通う大学を見物することだ。私は部屋に荷を下ろすと、息子の大学に向かった。
 駅を出ると歩行者に道を聞いた。幸いすぐ近くにあったので、迷わずに辿り着けた。校門に立つと、中に向かって、なだらかなスロ
ープが真っ直ぐに伸びている。左右に葉を繁らせた細長い樹が連なり、その間にベンチが置かれている。若い学生たちがじゃれあって
いるのを見ると、私のようなやつれた中年が足を踏み入れていいものかと躊躇してしまう。一応スーツを身につけて来て良かった。教
員か職員とでも思ってくれればしめたものだ。
 スロープを登りきった先にネズミ色の校舎が建っている。背の高い立派な建物で、壁面は賽の目のように窓で埋められている。縱の
列を数えたら二十ほどあった。郷土で一番高いのは町役場だが、それでもこの半分もない。ここで息子が学んでいるのかと思うと誇らしくなる。
 息子は私に似ず小さい頃から勉強ができた。家計が苦しかったので、塾どころか参考書もろくに与えてやることができなかった。し
かし息子は独習で励み、私などはその名を聞くだけでかしこまってしまうほど立派な大学に合格した。学費も全て奨学金とアルバイト
で賄っているのだから、本当に、私にはすぎた息子だ。
 立ち止まって校舎を見上げていると、男女の学生二人組から声をかけられた。
「見物に来たんですか?」
 男の方がはっきりした声で言った。髪を短く刈り上げ、色の黒い、いかにもスポーツマンといった面持ちだ。
「ええまあ。でも、どうしてわかったんですか?」
「いや、僕たちおじさんの後ろを歩いてたんですけど、もの珍しそうに首をまわしてたから。あ、見物の人だなって」
434以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:25:26.97 ID:USZghINZ0
>>412
昔やったなあ。次のチェックポイントを示す紙をたくさん使って宝探し。あの頃の純真さ……
っていうけど小学生が純真かっつったら疑わしいよね。以上。
435息子 2/2  ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/24(火) 00:26:02.66 ID:FNdbdf8/O
「はあ。いや、息子が通ってるんです。東京に来たので、ちょっと見てみようと思って」
「結構多いと思いますよ、そういう方。私の親も、一度見に来ましたから」
 女の方はおしとやかな物言いだ。色が白く、育ちのよさが滲んでいる。田舎者である私は、二人に好感を持ったものの、少々気後れ
もした。
「良かったら、私たちが案内しましょうか」
「いやいや、大丈夫ですから」
「どうせ僕たち暇ですから。せっかく来たんだから、おもてなしさせて下さいよ」
 二人は愛想よく笑う。正直なところ不要なお節介ではあるが、せっかくの好意を無下にするのもしのびなかったので、私は二人の案
内に応じることにした。

 案内の道すがら話を聞くと、二人は息子と同学年だった。ボランティアなどをやっているらしく、なるほど世話好きなわけだとふに
落ちた。二人はあれこれと大学の成り立ちなどを教えてくれた。よほど母国に愛着があるようで、生き生きと目を輝かせて語る。学生
に好かれるのなら、いい大学に違いない。
 一通り見物すると、私は満足した。ありがとうと礼を述べると、二人はにこやかに笑って頭を下げてくれた。
 すがすがしい気持で私は大学を去った。どうやら息子は恵まれた環境にいるようだ。ほっと胸をなでおろす。
 部屋に戻ると私は途中で買った弁当を開けた。日の光と緑陰の対比が美しかった大学と違って、まだ昼なのに薄暗い、陰気な部屋だ。
しかし今の私には相応だろう。
 ふとした気の緩みから賭事に身を持ち崩し、方々に借金を抱え、田舎にいられなくなった。妻に書き置きと、判をついた離婚届だけ
残して逃げ出し出したのが一週間だ。上京することは伝えなかった。だから息子は私が東京にいることなど知るよしもない。会わせる
顔もないので、この先息子を見ることはないだろう。だがせめて息子の学び舎だけは目にしたかった。
 明日からはさっそく現場作業が始まる。斡旋してくれた者によると誰でもできる楽な仕事だそうだが、怪しいものだ。少なくともろ
くに力仕事もしたことのない私は、数週間の筋肉痛くらい覚悟しなければなるまい。私は掻きこむように弁当を口へ放った。
(了)
436 ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/24(火) 00:27:36.63 ID:FNdbdf8/O
以上です。感想ついたら泣いて喜ぶ。
437以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:30:12.70 ID:v1ul+TnK0
お題を

もらおうか
438以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:30:39.24 ID:USZghINZ0
>>391
横長っ!
話始まってねー終わってねー。当然読んでて面白くねー。
個人的に千九百九十九年と表記するより一九九九年の方が年号の書き方としてはスマートに思える。
個人的な趣味の問題だが。
ラストの『私』は、男の子とは言えない年齢の男の子が気取って言ってるんだよな?
間違ってもそこまでの地の文台詞文で俺俺言いまくってたのに性別トリックでしたァンとか、
そういうことは言わないよね?
前者だったとしてもちょっとわかりにくい感じ。つーかオチてねぇ。
439 ◆zmMEjNb3Ok :2008/06/24(火) 00:32:25.99 ID:FNdbdf8/O
>>435
母国→母校
440 ◆IDurKKGqBU :2008/06/24(火) 00:33:44.87 ID:UcnsyOEK0
全感想いきます

No.00(時間外No.01) 別ちがたきもの 1/5  ◇zmMEjNb3Ok
ざwwwwwwwwwwwwまwwwwwwwwwwwwぁwwwwwwwwwwwwwwwwwww

No.01 女神像 1/5 ◇zH52hPBzFs
最初の世界観の説明がダラダラと長くて読みにくかったです。

No.02 呪縛〜 sky 〜 5/5 ◇DppZDahiPc
オチへの繋ぎみたいなのが弱いと思った。ただ偶然に仕事してて死体にあっただけってのが。くまさんは好きです。

No.03 星へ 1/1 ◇bOdJFf7Ps6
詩。

No.04 ミコハル 1/3 ◇A9epGInhJg
中盤までオチがどうなるかなあ、とすごい期待してたんだがスカシくらった。
転と結が欲しい。

No.05 縄 1/4 ◇ibD9/neH06
語り口がおもしろかった。自分はフリーダム一人称書けない畑の住人なので羨ましい。
手紙のところで終わらせずに手紙読み終わった後の「私」視点で思ったことみたいなのがあったほうがよかったと思う。

No.06 小さな火 1/5 ◇zmMEjNb3Ok
無駄が多いと思った。女の子の変化や神様と女の子の因果関係が薄い。

No.07 縛られた男と四人の女 1/3 ◇LBPyCcG946
なんかあっちこっちいってる感じがした。これはむしろ妻を一人にしてどうかしたほうがよかったかも。
441以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:33:55.17 ID:LdezIjhg0
>>415
導入がいまいちだと思います
説明から入るよりも、エピソードから入ったほうが引き込みますよ
基本的に説明・自分語りで入るのは面白くないといわれてます
実際読んでみると、情報のインプットばっかりで疲れますよね

文章についてはよくもわるくも平易
インパクトもないけど、不快に感じる部分もなかったです
三人称だからか、心理描写が少なかった
読者は展開を楽しむというよりも
心の動きでどう展開が動いていくかを楽しみますよ

一番残念部分が展開
結構強引なんだよね、作者の都合でキャラが動いてると
読者が感じてしまうのは良くない
先生いないのに勝手に練習所を貸すか?ってまず思うはず
モニカにそれだけの権限があるのか
もしくは、モニカがどうしてもポーラを止めたい事情があったか
膨らませる部分は結構あると思う
他にも作者の都合で動いてる部分があると思うところがあったので
自然な流れを意識してほしいです
動作が先じゃなくて、心が先です
心が人を動かします
442 ◆IDurKKGqBU :2008/06/24(火) 00:34:14.24 ID:UcnsyOEK0
No.08 サボテン 1/5 ◇D8MoDpzBRE
自分は甘い甘い恋愛書けないよ畑の住人だからこういう甘いのは好き。
でも展開に起伏が少ないかなと思った。もっと本気で本音をぶつけたり、焦燥感みたいなのが出せたらいいと思いました。

No.09 銀色 1/3 ◇uv1Jg5Qw7Q
人称が混じってます。
こういうサイコは割りと好きなんだが緊張感がもっと欲しかった。

No.10 フリーダム・ロード 1/5 ◇bOdJFf7Ps6
どこぞの中学生の黒歴史的な意味で笑えました。でも残念ながら私は評価は出来ない。

No.11 キッコーマンよ、月に啼け 1/5 ◇0CH8r0HG.A
下品。好きな人も多いだろうけど自分には合わない。タイトルは好き。

No.12 キピク 1/5 ◇pxtUOeh2oI
雰囲気がほんわりしてていいね、オチにも癒された。自分はファンタジー畑(ry。
しいていえば回り道が多いかな。エスタと旅立つところまで書いたらよかったかも。

No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY
女の子同士の友情、みたいなリリィフラワーが香るお話は大好物です。
意外性や起伏はあまりなかったけれど好みでこれに投票。

No.14 青天白日の下 1/5 ◇EqtePewCZE
いわゆる青春ものなんでしょうけど、皆実ちゃんとの関係をもっと掘り下げてほしかったかな。
それにしても最初の家出はいるのだろうか。

No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◇VXDElOORQI
第一印象がお兄ちゃん気持ち悪いなあだった。お姉ちゃんなら萌えた。
忘れていた過去がちょっと弱い気がしたけど軽く読めるのはいいかも。
443 ◆IDurKKGqBU :2008/06/24(火) 00:35:07.57 ID:UcnsyOEK0
******************【投票用紙】******************
【投票】:No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY
これはもう自分の好みですね、ええ。

気になった作品:No.12 キピク 1/5 ◇pxtUOeh2oI
僅差、誤字がなければこっちに投票していたかも。

No.04 ミコハル 1/3 ◇A9epGInhJg
ちゃんと小説になってさえいれば。手錠に繋がれた双子というシチュだけで興奮しました。
**********************************************


縛るっていうネガティブなイメージ漂うテーマだと難しいだろうな、とは思いました。
時間外はNo.00以外は都合により自粛しました。
私はBNSKに来て二週間、まだ一作通常作品を投下しただけなのに初めて全感想を書きました。
失礼で至らなく厳しい部分もあったかと思いますが忌憚のない感想を述べた方がよかったと思いましたのでどうぞご容赦ください。
444以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:35:59.72 ID:USZghINZ0
>>433
挟まって非常にごめんなさい。心の底から謝罪します。
どん底らしく、話のテンションも下がったまま低空飛行しつづけて、上がりも下がりもしない印象。
意図どおりに行っていると思う。
で、これも横長っ!
こういう閉じもしない開きもしない話をニレスで読ませるのは非常にハードだぜ。以上。

>>443
全館乙。
445以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:39:54.51 ID:UcnsyOEK0
>>433
文章のリズムが少し悪いなあと思いました。接続語があるといいかも。
あと何か妙にへこんだwwwwwwww
446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:40:02.19 ID:frS5yXJM0
>>436
 割り込み失礼。

 落ちぶれた人の話。縁者にも合わせる顔がなく、息子にすら上京したことを言えない中年が主人公
ですね。話は分かりやすいです。テーマも充分伝わります。だが、肝心な面白さはどうかと言われる
と、微妙でした。
 大学見物のパートと、身の上話のパート。あまり前半でネタバレになるようなことを書けないとはい
え、前後半で内容のタッチが違いすぎる。そこのギャップを楽しむ話だと言われるかも知れない。しか
し、この話は息子にすら顔を合わせられない男の劣等感が一番の見せ場とならなければいけない。
それが真っ当な価値観だと思う。そう言った観点に照らしてこの作品を読むと、驚くほどにそういった
劣等感に関する記述が希薄である。オチを知った上でこの大学見物のパートを読み直すと、その傾
向は顕著だ。こんなのんびりとしたコメントは出来ないだろう、というような地の文が延々と続く。

 文体は読みやすい感じでした。
447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:43:32.37 ID:LdezIjhg0
>>434
文章うまい

構成もうまい
あえて息子から近況を聞くんじゃなくて
伝聞で状況を描くのは説得力でて本当に関心しました

ただ、上手いんだけれども、そこで終わってる
技術面は相当ですし、文を考えて書いているのも伝わってくる
面白さがやっぱ欠けていると思います

ベタですけど、やっぱり転で読者を揺すぶってください
最後に申し訳なさそうに書いてますけど
そういう設定にしたのなら、決定的に「私」が欠けていますよ
448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:43:38.89 ID:NpFGmYC20
説明から入るのはまずかったですね
そして投下するときには何も言わないほうがいいな
ラノベっぽいとかググッた程度とか
お題を消化しないとしょうがないから難しいね
あと心理描写とか心とか一番良く分からない
今までここで10作ちょっと書いたけど
全部心理描写ほとんどない
本は結構読んでるけど
449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:50:07.37 ID:USZghINZ0
>>448
特別な話を書こうなんて意気込んだところでどう考えてもファッキンストーリーになるのは確定。
だって素人だから。僕も素人あなたも素人。
だから、お題を貰った瞬間にふっと頭を駆け抜けるベタなストーリーをていねいに仕上げるのオススメ。
駆け足の品評会ともただ消化するためのお題とも違う何かを見出せる。
このシーンではどう考えてもこの人物ならこう思う。とか考えるだろ?
この人物はとりあえず何も考えずに目の前の奴をぶん殴るとか、そういうのもある意味心理描写さね。
投下前に余計なことを言わないほうがいいのはいわずもがな。
これは駄目だと作者が宣言した作品を匿名掲示板でわざわざ読もうってHENNTAIはレアケースだ。
むしろこれは最高傑作ださあフルボッコしやがれ愚民ども! っつってくれた方がまだ興味が持てる。
450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:55:36.40 ID:frS5yXJM0
>>412
 残念ながら面白いと思える要素を探すのに苦労した。
 1レスものというのは難しい。こんな尺で深遠なテーマを展開することは事実上不可能だから、
何かしら分かりやすいトリックとか、印象に残る言い回しで読み手の注意を喚起しないといけない。
で、そんなものがあったかどうかだ。
 まず冒頭。短い作品だからと言って導入部をおろそかにして欲しいとは思わないけれど、それ
にしてもこの冒頭には工夫がない。突如出現する宝の地図。必然性もなければ意外性もなく、
かといって先の展開が気になるような期待感もない。少なくとも、この宝の地図に関する由緒が
はっきり示されれば、必然性と期待感の二つの項目はクリアできる可能性があるのに。
 そしてオチ。これが絶望的に面白くない。敢えてみなまで言わないけれど、だから何? と言わ
れる典型だと思うよ。
451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 00:59:26.71 ID:LdezIjhg0
>>448
難しく考えないでおk

一番簡単なのは、その行動を取った動機を書けばいいんだ
小説って作者が登場人物のことを知ってるんだよね
知ってるからこそ、うっかり書かないってことが起きるんだ

友達とケンカをしてA君は家に帰ってきた
彼は家に帰ってごはんを食べなかった

実はこれだけでも、ご飯を食べなかった理由はわかるよね
下手な作者はケンカしたからで全てが伝わると思う
伝わるっちゃ伝わるけれど、実はそうじゃない
ケンカして本当に怒りに奮えて食べる気がしなかったのか
それとも、実は自分に非があることに対して情けなくなって食事どころじゃない
はたまた、本当にお腹が空いてなかったのか
漠然とした出来事を示すよりも、明確なWhyを示してあげたほうが
読者は疲れないで読むことができます

書かなかったら、読者は自分の経験則から
モノゴトを判断してしまうわけ
なおかつ、自分が遭遇したことない状況で心理描写がなかったら
なにこの無理な展開っていう風に感じてしまうんだ

難しく考えないでおkとか言いながら
変に長くなってしまってごめんよ
452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:03:53.76 ID:NpFGmYC20
うーんなるほど
453以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:10:59.26 ID:v1ul+TnK0
短い話書くからお題ください
454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:11:52.93 ID:f8D9vL1e0
>>453
疾走
455以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:19:42.02 ID:II11lrueO
俺にも何かお題を
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:20:09.10 ID:RpWGMF4n0
失踪
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:20:19.81 ID:f8D9vL1e0
>>455
失踪
458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:21:36.44 ID:VAbSmtnW0
>>456-457
仲良いな
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:21:50.54 ID:II11lrueO
>>456-457
なんという
把握
460お題:疾走 ◆LUdEVzdrco :2008/06/24(火) 01:23:56.67 ID:v1ul+TnK0
土曜日の午後、マンションの壁をきらきらと光が滑っていく、
窓と窓、ベランダとベランダ、棟の間を縫って、ゆらゆらと光が壁を疾走する。
光と対角にあるアパートのベランダでは、小さな男の子が手鏡を揺らしている。
街を往く人々はだれもがその美しい光景に足を止める。
しかし、その軌跡がSOSの文字を描いている事には誰一人気付かない。
461以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:25:39.68 ID:VAbSmtnW0
>>460
どのようにも話が膨らんでいきそうなのに、これで終わりかよw
設定としては大好きだ。
462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:28:29.34 ID:f8D9vL1e0
>>460
はええ!
これはこれで完結されてる世界だから十分だと自分は思った。
小説と呼べるかは怪しいけど。ブラックジョークに近いかもしれない。
とにかく、発想力に感服。
463お題:疾走 ◆LUdEVzdrco :2008/06/24(火) 01:36:41.78 ID:v1ul+TnK0
感想ありがとう。
それじゃ、おやすみなさい。
464以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:38:00.50 ID:AwVFmBBu0
小説を書くのと舞台の脚本を書くのではどう違うのだろうか
全く違わない?それとも全然違う?
今まで小説しか書いたこと無い人間がいきなり脚本を書けるもんだろうか
だれか見解をplz
465以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:40:46.33 ID:frS5yXJM0
>>460
 ショートショートとしての肝を抑えていると思う。この分量にして充分。5行で書ける作品
としてはベストなのではないでしょうか。素晴らしいです。
466以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:47:02.51 ID:VAbSmtnW0
>>464
台本だけなら、小説書ける人は書けるんじゃないの?
むしろ、舞台を面白くするのは演出。
プロットと台詞さえまともなら、後は演出の良し悪しで舞台の全てが決まる。
467以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 01:55:30.65 ID:FjyWkX/o0
小説も脚本・シナリオも、やる事は殆んど同じ。起承転結つくって登場人物設定して
ただ書き方が違う
468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 02:03:20.98 ID:AwVFmBBu0
>>466-467
超参考になりました。
有り難う御座いました
469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 02:24:29.15 ID:MmONqUZqO
ぬーん
470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 02:30:51.83 ID:pkx0zTeS0
>>467
ttp://www.aozora.gr.jp/cards/000083/files/502_19914.html

脚本ってこんな感じに書くことかい?
471以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 02:35:09.25 ID:FjyWkX/o0
>>470
俺が考えてる脚本は概ねそんな感じ
セリフの合間にも、こまかい指示は書いてあったと思うけど
472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 03:20:29.56 ID:96WIloD00
>>471
細かい指示を入れるのは脚本家よりも演出家が多い気がする。
もちろん、脚本家が演出も兼ねることは多々あるけど、そうなるともう小説とは完全に別物だよね。
473以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 04:11:49.97 ID:EK8E+tqs0
ほしゅ
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 04:18:41.99 ID:pkx0zTeS0
保守
475以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 04:48:22.84 ID:FNdbdf8/O
>>444-447
詳しい感想ありがとう。
参考にします。


しゃあまたお題下さい
476以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 04:48:42.15 ID:ZWz6MabPO
>>470
これ戯曲じゃね
477 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/24(火) 04:49:23.63 ID:vgoOBzbL0
他者のつながりか、自由か、とりあえず縛ってみるかの3タイプに分かれてる感じですな
とにかく全感想いきまーす
478 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/24(火) 04:50:03.03 ID:vgoOBzbL0
No.00 別ちがたきもの 1/5  ◇zmMEjNb3Ok氏
神にすがる所とか共感できない部分もちょっとあるけど、
介護の大変さは祖父で身にしみてるから、まさにこういう感じだというところはばっちり。
そんな思いを反転させられるのは、やはり愛の力かー。とことん、きれいな話だと感じる。
ただ「私」が燃え尽きて死にたがっているのが残念でならない。まあしょうがないのかな……。
語り手が語り手だし、漢字云々はこういう形がやっぱいいと思う。

No.01 女神像 1/5 ◇zH52hPBzFs氏
すまぬ、青年って出るまでハリ女だと思ってた。
生きていくのがやっとのわずかな物資とか、行動の制限とかあったみたいだけど像作れるのか?
アレコス赴任の後にハリが彫刻を開始したようだけど、石切りの動きとかは報告されなかったのか?
まあ大丈夫だったんだよ、とか言われればそれでいいんだけど。その一言もないのでふと気になった。
アレコスのヤな奴っぷりは見事だと思う。あと実在の物品を話に組みこむのは俺にはあんまできないので感心した。
ラストへの展開でいったん話のつながりがわからなくなったのは、俺の読解力不足ってことで……。

No.02 呪縛〜 sky 〜 1/5 ◇DppZDahiPc氏
スラッシュを使った表現に少し驚く。でもダッシュ多くね?
背筋がむずがゆい。そしてこいつら、会話がすごい。しかしこれは当人同士が認識を共有しているという演出だなっ?!
ラストは、きっとあるいは、彼の先輩もこうやって病んでいったのかな、と思わされた。
少しオチが読めたのが残念。あるいは最後の最後でもうひとひねりきたらどうか、ないか。

No.03 星へ 1/1 ◇bOdJFf7Ps6
「縛る」って言ったらテーマは「自由」かな、と思ったので書いた。
以前スレで聞いた「短いのはいいこと」っていうようなのが耳に残っていたのがまず一つ。
あと、これまで短い話で誉めてもらっていたので、とことん短くしたくなった。詩の事は指摘まで全然失念、無念。
そいでこうなった。詩としては中途半端って言われてるけど、詩のつもりで書いてないのでごもっともだと思う。
479 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/24(火) 04:50:44.95 ID:vgoOBzbL0
No.04 ミコハル 1/3 ◇A9epGInhJg氏
会話の間に入るダッシュはなんだろう。ちょっと見かけない表現。時間経過とか?
双子はやっぱり双子一緒だからいいと思う、が二人で完結してるのは寂しいものだなぁ。
何気にこの双子って仲良いけどユニゾンしてないね、やっぱり何かズレてるってこと?
真に一緒なものって、わざわざ束縛しあう必要はないと思うんだよなぁ……だから多分きっと。

No.05 縄 1/4 ◇ibD9/neH06氏
好きかも。キャラが。実際に居てかかわると嫌だけど、物語の中にこういう連中がいると癒されます。こと小説では。
なんか有島と「私」のセリフまわし、というか文体というかがなんか似てるように思えるのはやはり同類的な?
締めのセリフのもつであろう意味にほんの少し戦慄する。

No.06 小さな火 1/5 ◇zmMEjNb3Ok氏
後に戻ってくるときは改行されているのに、初めでは改行されてないのにちょっと不思議を感じた。
神話パートが長くて、その部分だけでもお話になりそう。そうするとバッドエンドぽいけど……。
それを挟んだら、こう、ちょっといい話ぽくできるんだなぁ、と勉強になった。
蛇足だとわかってあえて言うと、佳奈は精神的には強くなったけど、ぶたれとるし、その後が不安すぎる。
そういう方向ではスッキリしない。まぁ、それが現実ってことなのかな。

No.07 縛られた男と四人の女 1/3 ◇LBPyCcG946氏
男の悩み方の部分でテンポが悪くなった気がする。
あるいは悩んでる故の停滞なのかもしれないけど、そこだけ読みにくくなったのが残念。
ブラックジョークなオチなので、もっと最後までスパーンと逝っちゃった方がよくないかな。雰囲気は好き。

No.08 サボテン 1/5 ◇D8MoDpzBRE氏
青春の1ページ的な。いきなり歯学部を菌学部と読んでしまった俺。
色々いちゃいちゃしてるけど、根本的な問題は解決してないわけで。
きっとあれですね。人生なんてそんな感じなのだ、ってメッセージなのかもしれない。
この作品は、これくらいの長さで、続きが無いからこそ映える話じゃないかな、と思った。
が、なんか冒頭の「一度もない」がひっかかるんだよな……恋人のために一度くらい考えない? 考えないか……。
480 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/24(火) 04:51:24.37 ID:vgoOBzbL0
No.09 銀色 1/3 ◇uv1Jg5Qw7Q氏
なんでオヤジが急に心変わりしたのか、よくわからないんだ。
「その頃のママの」って、セリフで言ってるけど、「どの頃」がセリフになってないのは不適切じゃね?
小さな別宅が何かを示唆しているのかなーとも思ったのだが、そういうわけでもないようで。
とにかくやたら閉鎖的な印象を受けるのだが、その奥で結局なにを言いたいのかがはっきり見えない。もやもやする。

No.10 フリーダム・ロード 1/5 ◇bOdJFf7Ps6
二作目。第一のコンセプトは低レベル。黒歴史とか思ってもらえればそれで本望。
ふと思い立って、適当そうな話を投下したくなった。テーマは相変わらず自由について。ついでに俺も自由になった。
一作目の直後の作品で「必要じゃないところも書く」というご意見を頂いたので、参考にして5レスまで今度は書こうと。
そしたら必要なところと不必要なところの区別がつかなくなってしまったのかも。精進しあす……。

No.11 キッコーマンよ、月に啼け 1/5 ◇0CH8r0HG.A氏
おバカ! 縛る縛る言って住人が冗談こいてた夢物語がこうして完全に形をなしたか!
まさに直球勝負。感服。アンドロメダとかカシオペアとか、あとは技とかののたわけた名前も好き。
まあ内容が内容だから好き嫌い分かれるのはしょうがない、が、それを大真面目にやるからこそ燃える。
でも、でも、一体息子は親父の何を尊敬していたんだっ、やっぱ技かっ?

No.12 キピク 1/5 ◇pxtUOeh2oI氏
古代語の書いてある紙を渡してサロに読ませる→古代語は読めるけど遷移にひっかかる→古代語を読める事に驚くドシ。
なんかここがひっかかる。ドシはサロが「古代語読めません」って言ってくる事を期待してたのか?
蝙蝠猫ってことは飛膜の翼だと思うんだが、一度だけ「羽根」って表記されてる。これは適切じゃないと思う。
「《人物名》は」とか「《人物名》が」っていう表現がかなり多いように思える。好きなら別にいい、いらんこと言った。
世界観が広がっている感じがして、長編で読んでいきたい。
冒険に心躍らせているのかな、と思っていたらサロが意外に乗り気じゃなかったのには驚いた。ここからが本番だなっ。
481 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/24(火) 04:52:09.83 ID:vgoOBzbL0
No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY氏
些細なところだとは思うけど「エラリー・クイーン」にしたほうがよくね? いや、明確な理由はないんだが。
秋〜冬に秋瀬と会い続けていた、という説明がなく少しひっかかる。続き読めば理解はできるが、スムーズさに欠ける様な。
更に「私」の唐突なハイテンションに圧倒される。実は「私」こそが春待ちの少女ではないか。
まあ全体的に暖かな雰囲気がして、気持ち良く読むことができた。でも、友人が出なくても話は締められたんじゃない?
二人の聖域に友人が入ってきて、さらに友人が本を見つけてしまうのがどこか悔しい、かも。
最後に、これこそ些細なつっこみなんだが『今から私が話すことは』←話してない

No.14 青天白日の下1/5 ◇EqtePewCZE氏
タイトルがさわやかきれい。語り口か、はたまたそのタイトルのせいか、全体的にカラっとしている印象。
回想の中で回想してるのがややこしい。あの時あたしは→雨・葬式→《あの時》って、間に違う時間を挟んでいるからかな。
「人間」の考えには共感する。いいテーマだし、しっかりくっきり伝えていると感心。
ただ、家出の話題が最後まで引っ張られないのが、仕方ないと思いつつ残念。出だしのインパクトとしては悪くない。
ぬこー。

氏の作品だけに限ったことじゃないけど、ルビのふれない小説では漢字名はありふれた名前を使った方がいいと思う。
あるいはカタカナで表記するとか。何か特別な伏線とかがあって、その名前を選ぶならまあしょうがない。
この名前はこう読むのかな、っていったん読み込みが止まってしまうのが俺だけだったら、ごめんな。

No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◇VXDElOORQI氏
わかる、わかる。しっぽ掴みたいよね。悔しいので自分で髪伸ばしたほどだ。しかし、それこそ虚しかった……。
にしてもこの主人公はいちいち大袈裟だな、いやそんなことはない。そこがいい。痛みで思い出すとか好き。
そして名前が。妹よ、いや兄につっこむべきなのか。まあこの二人にそんなの必要ない、宇宙が完結しているのでな。
という訳で、要点をおさえている作品だと思った……ぐふっ。
482 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/24(火) 04:53:01.71 ID:vgoOBzbL0
時間外No.02(?) ミラクル・クルクルプラント 1/5 ◇AnyTD/7AYY氏
なんか世にも奇妙なアウターゾーン的系統の話だな。あっちではタモリとかミザリーとかが解説してくれるんだけど。
約束事を守らないせいで痛い目見る、というこっち系の王道だと思うが、望んで破ったわけでもないから教訓にならんの。
ホラーにしては偶然でしかないし、いっそ植物とか業者が電話かけてきたら陰謀ぽかったのにな。
携帯による植物変質、過剰摂取による体質変化はわかるが、燃えるゴミの結末はなんかぴんとこない……。

時間外No.03 狂人の眼 1/5◇hbrb0Zig0g氏
おお。自由ですね。わかります。
多分前置きである、交換を行うまでの話、が長かったような感じを受けた。そこから面白くなったので、まあいっか。
ただ一行目を読んだ瞬間に、よくわからないのだがすごい読む気が無くなった、あぶない。一行が長かったからかな。
芸術家って、頭の中で言葉を作っても、その言葉がどんな感覚で色彩か、自分の中で構築できてると思うんだ。
いわば自分用のパレットみたいな。そこに疑問を持ってしまったのが、竹川の過ちなのかもしれない。
自由になっていいものと、なっちゃいけないものがある、ってわけで?
話のエンジンのかかりは遅い気がするが、嫌いじゃない。

時間外No.4 重力 1/1 ◇4BI9wm.ZTA氏
うう、だめだ。謎かけは好きだけど謎ときはダメなんだ。わからん。
こういうわからん文章を書けるのは素直に羨ましい。わからないものは心地いいと思う。
483 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/24(火) 04:54:20.99 ID:vgoOBzbL0
全感想ここまで
投票用紙書いてないことに今更気づく、かきかき
484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 04:58:43.10 ID:lUTETN6Y0
その間にいちおさる
485以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 04:58:50.57 ID:ZWz6MabPO
>>475
天使の梯子
486以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 05:01:56.51 ID:ZWz6MabPO
禅姦おつー
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 05:02:22.19 ID:EK8E+tqs0
全感おつ
488 ◆bOdJFf7Ps6 :2008/06/24(火) 05:06:27.70 ID:vgoOBzbL0
******************【投票用紙】******************
【投票】:No.14 青天白日の下1/5 ◇EqtePewCZE氏
一番、読み終わった後にスッキリしたのはこれかな。雰囲気が明るいし、分かりやすかった。

気になった作品:No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◇VXDElOORQI氏
そのポニテに愛を感じたい。

No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY氏
全体を通してスッキリしているんだけど、最後がなんとなくつまづいた感じ。
**********************************************

はじめての品評会だったけどいろいろ勉強になったー、詩的とかー……

さるありがたし。んであ
489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 05:07:03.10 ID:FNdbdf8/O
>>485
はあく

>>486
その表記はないわ

あと全巻乙
490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 05:09:57.74 ID:lUTETN6Y0
ぜんかのつ!
491以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 05:14:41.04 ID:pkx0zTeS0
ほしゅ
492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 05:27:56.82 ID:EK8E+tqs0
ここまでの全感まとめずみ
493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 05:33:51.87 ID:pXiyKz8fO
保守
494以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 06:11:00.60 ID:FNdbdf8/O
495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 06:41:51.20 ID:LueLmpLBO
496以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 06:45:14.85 ID:EK8E+tqs0
出かけるほ
497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 07:26:45.68 ID:MmONqUZqO
498以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 07:50:31.00 ID:LueLmpLBO
499以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 07:54:44.42 ID:sOlZgKBVO
お題ください
500愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/24(火) 07:59:24.92 ID:2ibiw+i+0
777
501以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 08:00:39.13 ID:eI30Q31PO
壁画
502以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 08:09:21.68 ID:574FhOWZO
だいくれ
503以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 08:15:24.96 ID:WJU/L+5VO
UFO
504以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 08:24:05.24 ID:574FhOWZO
はあく
505以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 09:11:47.74 ID:FNdbdf8/O
保守
506以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 09:56:53.16 ID:MmONqUZqO
507以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 10:59:45.27 ID:FNdbdf8/O
保守
508以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 11:14:25.19 ID:MmONqUZqO
509以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 11:41:23.78 ID:FNdbdf8/O
お題よこしやがってください
510以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 11:49:08.64 ID:MmONqUZqO
曇天
511以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 11:50:19.78 ID:FNdbdf8/O
私の心の中を書けばいいんですね。
512以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 12:01:17.82 ID:Us+B20m60
どなたかお題を下さいー
513以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 12:04:57.59 ID:m4ZQVFCF0
>>512
タイムアップ
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 12:10:23.04 ID:Us+B20m60
把握しました
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 12:28:45.37 ID:MmONqUZqO
保守
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 12:44:58.60 ID:/oD4dWKv0
お題下さいな
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 12:52:12.57 ID:MmONqUZqO
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 12:56:27.66 ID:/oD4dWKv0
>>517
把握したー
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 13:19:35.46 ID:a7nJXEJp0
文才無いからお題二つおくれ
520以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 13:20:39.79 ID:pkx0zTeS0
>>519
無い
521以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 13:39:05.45 ID:WJU/L+5VO
双頭
522以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 13:40:05.62 ID:a7nJXEJp0
>>520-521

d。相当無いことは無い、と思いたい
523以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 13:53:00.09 ID:MmONqUZqO
保守
524以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 14:42:48.87 ID:WJU/L+5VO
525以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 15:00:32.94 ID:/oD4dWKv0
526以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 15:22:46.78 ID:TaxzCvZzO
527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 15:44:50.29 ID:NpFGmYC20
528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 16:01:43.36 ID:TaxzCvZzO
529以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 16:12:10.63 ID:TaxzCvZzO
お題ください
530以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 16:17:33.80 ID:y5fo/xE70
百物語
531以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 16:29:13.49 ID:tDEhn8lpO
干し鮃
532以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 16:43:48.73 ID:MmONqUZqO
保守
533以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 16:49:48.57 ID:TaxzCvZzO
>>530
むつかしそう… ぱあく
>>531
吹いたwwwwwwwwwはあくwww
534以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 17:00:58.17 ID:pkx0zTeS0
五時保守
535以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 17:01:38.59 ID:pkx0zTeS0
もしかして保守時はageたほうがいい?
536以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 17:12:23.30 ID:qBPvhzNy0
あげないと保守にはならない
537以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 17:24:57.71 ID:MmONqUZqO
さげでも保守出来るがな
538以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 17:45:52.41 ID:YHw6/nRsO
お題下さい
539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 17:48:03.51 ID:/oD4dWKv0
アイス

こういう暑い時に喰うアイスはたまらないよ
うん、君らの分は無いんだ、すまない
540以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 17:54:21.37 ID:WJU/L+5VO
>>539
このレスまるごとお題か
541以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 18:00:15.06 ID:/oD4dWKv0
>>540
凄い縛りだなw
542以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 18:12:32.16 ID:y5fo/xE70
夏といえば怪談話だろうけど

小説にしたら、怖さが半減するんだよね
小説といえば終わっているような、途切れ途切れの詩的な文や
報告形式や、語り口調そのままの文の方がいいんだが
543以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 18:21:09.38 ID:pkx0zTeS0
そう?スティーブンキングとか普通に怖さ感じるけど
おどろおどろしい描写とかが
544以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 18:23:26.33 ID:tqdfrFv60
用は想像力なのです。
読解力は無いが妄想力なら自信があります。
545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 18:31:29.14 ID:qBPvhzNy0
ここはお題じゃないやつ書いても指摘とかしてもらえるのかね
546以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 18:33:13.04 ID:AppjuqmS0
>>545
お題をもらって書くのがこのスレの本分です。
547以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 18:57:23.31 ID:NpFGmYC20
いずれもほしゅ
548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:09:41.57 ID:T6ZNxbPm0
乱立してるな
すぐ落ちそうになる保守
549以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:12:39.34 ID:y5fo/xE70
ごみごみほしゅ
550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:16:42.76 ID:frS5yXJM0
お題暮れ
551以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:17:40.35 ID:NpFGmYC20
きらきら
552以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:19:41.36 ID:frS5yXJM0
>>551
把握
553以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:28:34.71 ID:tqdfrFv60
投下島。武者修行シリーズ第三弾。いい加減飽きてきた
お題:空色
予想レス数:4
554お題:空色 1/4 ◆BqgMEgxWzg :2008/06/24(火) 19:29:19.70 ID:tqdfrFv60
 川原に、まるで大豊作の田んぼの稲のように、びっしりとアシが生えている。
稲と同じ小麦色のアシの畑に、一箇所だけ、ペンで紙をつついたような点が染みを作っていた。
 その点が畑の外まで出てきて大きく伸びをする。アシと背比べしても負けるほど、小さな少年である。
 少年は上下左右、さまざまな方向を見回しながら歩いては何かを見つけて拾っている。
彼が拾っているのは鳥の羽だった。彼は鳥の羽を集めて額縁に入れ、飾るつもりなのだ。
すでにいくつかの額縁は完成していて、彼の部屋に飾られていた。彼が鳥の羽を集めだしたのは
随分前のことである
 それは、羽を伸ばせば空まで届く鳥への憧れであり、空そのものへの憧れでもあった。
 少年はきれいな羽を見つけた。まだ見たことのない、ふわふわした羽だった。鳥の胸毛なのだろうか。
木の葉っぱに引っかかっている。
「んっ! んっ!」
 少年が羽を取ろうと飛び上がっても、彼の身長では羽まで届かない。木を揺らして落とそうとしても、
びくともしない。葉は丈夫な枝へ、枝はがっしりとした立派な幹へと続いていた。
 少年が四苦八苦していると、後ろからじゃりごり、と川原の石を踏んで、何かがこちらに向かってくる音が
聞こえた。
 振り向くと、少年は目を疑った。それは巨人だった。その背の丈はアシを二本継ぎ足してもまだ足りぬ
ほどである。しかし、その体の線は、アシのように細い。一本ではすぐ折れてしまう矢も、
三本合わせれば中々折れないと言うが、彼の体は三本重ねても簡単に折れてしまいそうなくらいだ。
ナナフシを人間サイズにしたらこんな感じじゃなかろうか、と思う。
 少年があっけに取られていると、巨人は少年に近づいてきた。少年は身を堅くした。
 しかし彼は少年をどうするわけでもなく、さきほど少年が格闘していた木の根元まで行き、
少年が取ろうとしていた羽をつまむと、少年に差し出した。
「………………」
 少年は黙ってそれを受け取った。めいっぱい手を伸ばさないと届かなかった。数秒、双方が黙り込む。
始めに口を開いたのは巨人の方であった。
「どうして羽を集めているの?」
555お題:空色 2/4 ◆BqgMEgxWzg :2008/06/24(火) 19:29:47.51 ID:tqdfrFv60
 少年は巨人を見上げた。首が痛くなるくらい見上げないと、彼の顔は見えなかった。
「あ、あの……。羽をありがとうございます。僕の名前は豊っていいます」
ちぐはぐな答えに巨人は苦笑した。
「どういたしまして。僕の名前は隆です。ところでどうして羽を集めているの?」
巨人が改めて聞く。
「えっ……。空が……、あの、空に憧れているから。鳥は空まで飛ぶし。それにきれいだし。」
どもりながら豊は答えた。隆は何か興味深そうに手を顎に添えて、薄く笑った。
「へえ……、空が」
「あ、はい……」
どうにも男らしくない豊であった。
 隆は伸びをし、腕の間から空を仰ぐ。それから豊は、僕はね……、と話し始める。
 僕はね、気象予報士なんだ。空を見る仕事、空に手を伸ばす仕事。なろうと思ったきっかけは
なんだっけかな、忘れちゃった。気づいたら空の色眺めてたなあ。ずっと飽きないで。こうね、空ってさ、
一度目を閉じてからもう一回空を見ても変わらないじゃない?でもずっと空を見てれば変化に
気づくじゃない。あ、雲が動いたな、とか形が変わったな、とか。面白くってね。いつのまにか
眺めるだけじゃなくて手を伸ばしてた。そしたらね、届くの。背が大きいからかな。届いたの。空に。
そして、いつのまにか気象予報士。
 隆はもわもわと暖かく笑いながらそう語った。
 豊は黙ってそれを聞いていた。話が終わると一度空を仰ぎ、何か考えるようにぼうっとどこかを見ている。
それから決心したように口を開く。
「僕は……、豊って言います。湾曲の曲に豆。僕って背が小さいでしょ。豆みたい……。
小さい時からずっと、豆、豆、って言われてきた。小学校の中学年にもなると、
結構漢字も覚えるじゃないですか。豊か、っていう漢字も習ったんですね。僕の名前。
それからもっと多くの人が僕のことを豆って呼びます……。豊をもじって」
 隆は黙って聞いている。
「豆でも……、豆でも、空に手が届くでしょうか」
 豊かの目がわずかに潤んでいる。隆はちらりと豊かの目を見るがすぐに逸らしてしまう。
隆は何の表情も浮かべず言った。
「わからない」
それを聞いて豊かの目の潤みが厚くなる。彼はまた空を仰ぐ。しばらく彼はそうしていた。
556お題:空色 3/4 ◆BqgMEgxWzg :2008/06/24(火) 19:30:11.76 ID:tqdfrFv60
 豊は両の拳を握り締め、顔だけ自嘲気味に歪めた。
「豆には、豆には無理ですよね……、はは」
「わからない」
隆はそれだけ答える。彼は今何を考えているのだろう。
「はは……。はは……」
 豊は相変わらず自嘲気味に笑う。ペラペラの笑い。
 一分くらい豊は笑い、隆は黙っていた。しかしやっと隆が豊に話し掛ける。
「ずっと……、憧れてればいい。空に届かなかったとしても、忘れようとしちゃダメだ。届かなくてもいい、
掴めなくてもいい。その憧れが報いられる方法は他にたくさんあるじゃないか。人並みのことなんだけどさ、
自分の身の丈にあったことだけすればいいんだよ。できることをすれば」
 豊はまた空を見上げた。豊は今何を求めて空を見上げているのだろう。
 ざんがざんが、と川が流れる。さわわ、とアシが揺れる。川の周りで色んな音が鳴っていた。
その上には空がある。

「私は今、イタリアに来ています」
アナウンサーがマイクを握ってテレビカメラに向かって説明する。
「ここイタリアでは、ご覧下さい、とてつもなく大きな塔が建築されている真っ最中です。
何メートルあるのでしょうか。立って下から見上げるだけでは頂上が見えません」
アナウンサーとカメラマンがぐるぐると塔の周りをまわる。
「イタリアの自然に囲まれて、この塔は建てられています。近くには川が流れ、辺り一面にはアシが
びっしりと生え、上には綺麗な空が広がっています。手を伸ばせば届きそうです」
しゃくしゃく、とアシを踏みつけながら進む。
「かのガウディも唸るほどの立派な塔です。……しかし、この塔を設計し、建築したのは、なんと、
日本人の建築家だそうです。その方にお話をうかがってみましょう。豊さん?」
カメラの前に、アシの茂みから、呼ばれた男が出てきた。白髪頭の小柄な老人だった。腰は曲がっている。
口には立派な口髭が生えており、丸く小さい体の中でそこだけ浮いていた。
「彼がこの立派な塔を設計、建築した、豊さんです。こんにちは、豊さん」
「こ、こんにちは」
どもりながら豊は答える。その体はかちこちに固まり、小刻みに震えている。
557お題:空色 4/4 ◆BqgMEgxWzg :2008/06/24(火) 19:30:28.46 ID:tqdfrFv60
「さて、豊さん。豊さんはどうしてこのような塔を建てようと思ったのですか?」
俯き、手慰みに手をいじりながら、とつとつと彼は答える。
「あの……、えっと。……空に。空にも届くような大きな塔が建てないな……、と」
「それはどうして?」
アナウンサーは豊の言葉に被せるように質問をつむぐ。豊の都合など考えていない。
「えっと、あの……。豆がいまして」
「豆?」
アナウンサーが首をかしげる。何を言ってるんだろう、このおじいさんは、とでも言いたげな顔である。
 豊は下げていた顔を上げ、空を仰ぐ。豊は話し始めた。それはアナウンサーに向かってではなく、
カメラ向かってでもなかった。
 豆は空に憧れていたんですね。叶わぬ恋。シンデレラと王子様みたい。豆は空に手を伸ばしても
届かなかった。でも豆なりに一生懸命、空に近づこうとしてました。イカロスと太陽みたい。
でも豆は気づいたんです。教えてくれる人がいました。「豆はどんなにがんばっても空には手は届かない」。
だから手じゃなく、他の手段で空に憧れよう、と。空に憧れよう、ってなんか変ですね。とにかく、
豆は探しました、手段を。憧れが報いられる手段。そして豆は見つけました。その手段。
彼は空に染まろうとした。空色に染まろう、とした。だから高いところに行こうとした。染まるために。
出来るだけ高いところに。
 アナウンサーは、おしのように黙っていた。彼女はしばらくして、その職業意識から、
豊に聞くべき質問を捜した。
「……えー、……。名前は? この塔を何と名づけようと思いますか、豊かさん」
 豊は空を見上げずに言った。
「空豆、にしようと思います」
558お題:空色 5/4 ◆BqgMEgxWzg :2008/06/24(火) 19:31:08.05 ID:tqdfrFv60
以上です。辛口評価待ってます。ずっと...いつまでも...
559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:35:03.36 ID:ltLFdKQQ0
俺は甘口だからやめとくか……
560以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:36:06.38 ID:qBPvhzNy0
中辛のおれもやめとくか・・・
561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:37:05.06 ID:tqdfrFv60
>>559
(*ΦuΦ)………………。
562以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:37:32.37 ID:tqdfrFv60
>>560
((*ΦuΦ))…………//
563以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:39:09.81 ID:AppjuqmS0
つまり、激辛な俺もだめということか。
564以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:41:33.04 ID:tqdfrFv60
>>563
(#ΦuΦ)…………。
565以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:45:52.70 ID:WJU/L+5VO
俺は辛口だからやめておこう
566以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:47:46.28 ID:tqdfrFv60
>>565
ガクガク((((;゚Д゚)))ブルブル
567以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:52:49.19 ID:PoqLAPQW0
>>554
面白くないわけじゃない。
むしろ、書いてある世界観は凄く好みだ。

ただ、なんだかテンポが悪い。
地の文の繋がりだったり、台詞のリズムだったり、
時間を飛ばしてアナウンサーが登場するタイミングだったり。

ああ、短すぎるのかもしれない。
4レス目の独白とか、もっともっと掘り下げたい部分だし、
隆と豊のやりとりも、きっかけとしてやや弱い。
人生を決めたのは何でもない出会いと一言、それは
それで素敵なのだけれど、そのなんでもない出会いは、
読者にとってすとんと納得の行くものでないと、
説得力を持たないと思う。
568以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 19:53:51.70 ID:PoqLAPQW0
>>554
あ、忘れてた。
目欄のsageは消しておいた方がまとめる時に楽らしい。
569以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:02:47.70 ID:pO9x8l1xO
>>568
さっきの書いた人です。規制されたので携帯から
酷評ありがとう。何より顔文字ネタが尽きてたとこをぶったぎってくれてありがとう
570以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:04:59.08 ID:AppjuqmS0
>>554
書かれている設定や物語は物凄く面白い(というか面白そう)なのだけど、総合すると微妙。
文章がやたらと稚拙で野暮ったいせいで、作者が見せたいであろう光景をイメージ出来ない。
特に1〜2レス目が顕著で、説明のしかた(説明への持って生き方)が下手だとか、湾曲なんてこの年齢で使わないだろとか、直喩が鬱陶しいとか色々と不満がある。
これで話もつまらないのなら何とも思わないのだけど、前述のように面白そうなことが書いてあるだけにとてももったいないと思った。
物語の方は申し分ないと思うので、疲れてきたとか言わずに描写や構成の技術を磨いて下さい。
571以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:10:49.14 ID:tqdfrFv60
>>570
とっても参考になる。とってもありがとう
稚拙な表現を直して鬱陶しい表現を直して尚且つ洗練した文章にしなきゃいけないのか
把握。がんばるよ
572 ◆BqgMEgxWzg :2008/06/24(火) 20:11:27.59 ID:tqdfrFv60
あ、ためしで書いたっけ書けた。
お騒がせしてスマンかった
573以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:21:43.60 ID:qBPvhzNy0
>>554
とりあえずまだ1/4しか読んでないんだが
指摘ってむずかしいよな・・・でもとりあえず確実におかしいといえるところは

>ナナフシを人間サイズにしたらこんな感じじゃなかろうか、と思う。

「ナナフシをおおきくしたような」って意味がほしいとおもうんだけど
ナナフシの人間サイズってなに?少年は人間サイズじゃないの?ってつっこまれるときびしいだろ
574以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:26:29.45 ID:LueLmpLBO
575以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:30:21.65 ID:tqdfrFv60
>>573
ありがとう。正直スマンかった
576以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:49:07.17 ID:tqdfrFv60
まだまだ修行が必要なようなのでお題くれ
577以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:50:20.87 ID:PoqLAPQW0
>>576
剥きかけのりんご

あと余裕があったら「タイトルを考える」も挑戦してみてほしい
578以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 20:59:37.28 ID:pO9x8l1xO
また難しそうなお題だな。把握しました。
実はまだまともに題名つけたこと無いんだよね
579以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 21:28:40.92 ID:PoqLAPQW0
ho
580以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 21:42:51.15 ID:byJ4V+GtO
保守
581以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 21:59:03.41 ID:IED4HejN0
誰かお題をくれ
582以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:01:53.34 ID:Ve43Usvo0
>>581
583以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:23:36.02 ID:NpFGmYC20
584以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:28:54.21 ID:3tjzJ9pV0
では半感想投下します。基本的に激辛なので、読む方は御注意を。
偶数ナンバーだけです。
奇数で、自分のは?という方は(いないと思いますが、もしいるようなら)言って下さい。
585以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:29:28.52 ID:3tjzJ9pV0
No.02 呪縛〜 sky 〜 1/5 ◆DppZDahiPc
とても中二っぽい話だと思いました。
台詞回しもそれっぽくて、そういうのが苦手な自分としてはごめんなさいでした。

No.04 ミコハル 1/3 ◆A9epGInhJg
何かのアニメにありそうな設定ですね。
アニメには絵と音楽がある分、マシだと思いました。

No.06 小さな火 1/5 ◆zmMEjNb3Ok
ひたすら読むのがだるかったです。文章が上手いとか下手とかではなく、文体がどうこうではなく。
多分構成の問題だと思います。
言い方は悪いのですが、馬鹿の一つ覚えのように思えてなりませんでした。

No.08 サボテン 1/5 ◆D8MoDpzBRE
何か読みづらかったです。
扱いなれてないというよりも、どう書けばいいのか迷ってる感じでした。
葛藤とかそういうのって現実では早々解決しないし、そういうものだというのは分かりますけど、
結論すら出ていないように見えたので最後の彼女の台詞もイミフになってしまいました

No.10 フリーダム・ロード 1/5 ◆bOdJFf7Ps6
ネーミングセンスが素晴らしいと思いました。
話は微妙でした。

No.12 キピク 1/5 ◆pxtUOeh2oI
頭の中で、昔のラノベが何本が頭を過ぎりました。
ダンスインザウィンドとか、魔法戦士リウイとか、モンコレノベルとか。
あくまでこの書き方では友情ではなく、配下の域を出ていないと思えて、友達という言葉が薄ら寒く感じました。
586以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:29:56.65 ID:3tjzJ9pV0
No.14 青天白日の下 1/5 ◆EqtePewCZE
1レス目でとても面白そうだと思ったら、2レス目以降どんどんつまらなくなっていきました。
何故かと考えたら、1レス目には猫がいるのにそれ以降にはと思い至り、猫可愛いになりました。

No.00 別ちがたきもの ◆zmMEjNb3Ok氏
携帯小説を、大衆小説的に描くとこうなるのかな、と思いました。
それなら、恋愛体質の愛されガールの方がいいと思いました。

時間外No.02 ミラクル・クルクルプラント ◆AnyTD/7AYY氏
題名で微妙そうだと思いました。
でも、それほどでもありませんでした。

時間外No.04 重力 ◆4BI9wm.ZTA氏
意味が分かりませんでした。
こういうものの良さが分かるのが文才ならば、僕はいらないなと思いました。

******************【投票用紙】******************
【投票】:無し

気になった作品:
No.05 縄 ◆ibD9/neH06
No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◆VXDElOORQI
**********************************************
587以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:30:57.05 ID:3tjzJ9pV0
以上です
588以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:34:47.30 ID:PoqLAPQW0
>>586


でも関心票入れた2作品にくらい、
奇数でも感想書いてやれよw
589以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:41:24.11 ID:iTmuDVn50
辛口というより、ルーのかかってないごはんをカレーだよと言われた感じだ
590以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:43:24.05 ID:NpFGmYC20
これは保存しても何の役にもたたなそうだな
591以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:44:54.11 ID:BJbXXkShO
とりあえずお題ください
592以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:48:30.21 ID:NpFGmYC20
消失
593以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:49:18.56 ID:574FhOWZO
来訪
594以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:49:35.66 ID:pkx0zTeS0
夏祭り
595以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 22:52:30.35 ID:FNdbdf8/O
電車
596以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:09:21.86 ID:1wMWLYNB0
ho
597 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/24(火) 23:09:21.43 ID:frS5yXJM0
 ほめ方を忘れた全感想。麺のないラーメンにだって、こだわりの鶏ガラスープがある。
 あ、でもすごく尻すぼみだよ。ごめんね。

No.00 別ちがたきもの 1/5  ◆zmMEjNb3Ok氏
 『明日の記憶』に似ていると誰かが言っていた。確かに。扱っているモチーフが同じである以上、どこかしら似てしま
うのは仕方がないだろう。
 アルツハイマー型認知症に罹患した妻を巡るストーリー。発病から最期までを追いつつ、主人公の心の変化を綴る
という展開になっている。さながら闘病日記のダイジェスト版のようでもあり、アルツハイマーの典型的な経過を書き
示した教科書のようでもある。
 この話の核となる、というか「転」に当たる部分はどこか。
>「私のようなつまらぬ女を娶ってくださるとは〜
 この台詞が飛び出すシーンであろう。このシーンにおけるやりとりが主人公に与えた影響はここで語るまでもない。
 この作品の中で一番大事なこのシーンを、果たしてしっかり書き切れていたかが争点になると思う。この点には、
いくつか僕なりに不満がある。@これが病状の進行に矛盾しない行動と言えるのか。A感情移入できるコンテクス
トに支えられているか。
 @について。僕の経験論だけで断じてしまうのはいささか乱暴かも知れないけれど、これだけ進行した認知症患
者が、ここまでしっかりと物事を言えるかどうかについては疑問がある。もっとも、この作品の中でもっとも大事なシ
ーンであるだけに、ある程度神秘性のある脚色がなされていても許容されるかも知れない。そこで、Aの要素が関
わってくる。
 Aについて。僕は感想の冒頭で、この話はダイジェスト版的だと言った。分量的に仕方がないとは言え、充分な
感情移入を可能とするだけのコンテクストを与えられているとは言い難いと思う。「病状の経過」は書けていても、
「病気になった人間、それを支えている人間」が充分書かれているかと言ったらそれは微妙な気がする。
 僕が言いたいのは、@のような疑問が起こったとしても、Aの要素をしっかりと詰めていれば勢いで乗り切れるこ
ともある、という点だ。ただ、この尺では厳しいかも知れない。話の尺に対してどうしたら良いか、というのはここで論
ずる話でもないと思われるので割愛する。
598 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/24(火) 23:09:37.70 ID:frS5yXJM0
No.01 女神像 1/5 ◆zH52hPBzFs氏
 人の希望のよりどころとして、女神像というモチーフが描かれている。未完の女神像を巡って、ささやかな希望を
食い合うといった内容の話。
 舞台設定が、まず僕らの住む世界と違いすぎて、そういった世界観を受け入れさせる努力が足りてないと思わさ
れた。まず、人間が描かれていない。突然女神像を作ろうと思い立ったハリという人物が出てきても、僕たちは彼
の人となりをまるで知らないので感情移入の対象にならない。観察者の目で眺めざるを得ないから、この人がどん
なに熱い想いを持っていても残念ながら他人事のようにしか感じられないのだ。女神像製作の詳細を描写するよ
りも、そちらを優先して書いていただけたら嬉しかった。
 最後の蜂起するシーンも、同様の理由でどちらにも肩入れ困難でした。

No.02 呪縛〜 sky 〜 1/5 ◆DppZDahiPc氏
 話全体から、必然性があまり感じられなかった。筆が流れるままに書かれた、という印象。つまり、洗濯屋(この
設定も結局はあまり活かされていない)と少女が出会う部分の必然性だったり、最後少女が一家まとめて殺されて
しまう部分の必然性であったり。パンツの描写に何行も使うくらいなら、その辺をもう少し意識して書いてくれたら話
に入り込めるのではないかと思う。

No.03 星へ 1/1 ◆bOdJFf7Ps6氏
 このテーマ性に、何らかの具体性をともなったフィクションを当てはめてみるといいと思うよ。

No.04 ミコハル 1/3 ◆A9epGInhJg氏
 手錠をはめて行動するという行為が一般人には理解不能な上、作中でもこの行為に関して何ら説得力のある
説明をしてくれていないので、話に入れませんでした。
 で、私って誰だよ、となる。最後の一文の収まりも死ぬほど悪かった。
599 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/24(火) 23:09:49.71 ID:frS5yXJM0
No.05 縄 1/4 ◆ibD9/neH06氏
 特徴的な文体。読みやすい文体ではないけれど、読者の関心を惹くような文体ではあると思った。
 設定も妙ちくりん。しかし、きちんと状況が説明されているので、ここまでのトンデモ設定であっても、これはこれ
で許せる感じで読み進められた。しかし、最後まで読み進めて、やはり納得がいかない。納得がいかない、という
かどうもこの話はこの設定を持て余しているように感じる。ヒモだった男が縄になってしまう。馬鹿げていて面白い
のだけれど、実際に縄になった男が、どのようにヒモ的であり、そのヒモ性が高じてこのような姿になってしまった
のか。そして、この姿になって以降の彼がこのような体験を経てどうなったのか、その辺が考え込まれていればか
なり面白くなったと思う。

No.06 小さな火 1/5 ◆zmMEjNb3Ok氏
 何故神話を書こうと思ったのだろう。作中作としての神話はかなり頑張って書かれていたけれど、女の子の境遇
と言えば、かなり投げ出されたような乏しい描写しかない。作中作だけでは不満だったのだろうか。
 そして、この作中作と女の子の境遇との間に、何か重なるものがあるのだろうか。よく分からない。どちらかとい
うとあまり関係のない両者であるように思われる。閉じ込められた、と言うくらいしか共通点がないのではないか。

No.07 縛られた男と四人の女 1/3 ◆LBPyCcG946氏
 2chのコピペにありそうな風味。ショートショートとしてのエッセンスが随所に発揮されている。ただ、面白いとまで
は言えなくて残念。
 愛人3人+妻が一堂に会して修羅場。見事におぞましいシチュエーションだ。やりたい放題やられているこのシ
チュは現実世界ではあり得ない(やったら殺人だもんね)けれど、舞台装置としてはアリだと思う。ただ、こう何で
もアリが通用する世界では、余程のオチを用意していなくては逆に拍子抜けしてしまう。
 僕が一番白けてしまったのは、あれほど興奮していた人たちが、結局最後主人公を放って消えてしまったところ
だ。あれほどチンポを切り落とすとか息巻いていたのに。それが、たった一言他の女に「愛している」と言っただけ
で引き下がるものだろうか。他の女たちは、主人公に少なからず人生を影響されて(特に妻)、こういう状況になっ
たのではないだろうか? あまりにディテールをおざなりにされては、如何に起こりえないシチュエーションの話と
はいえ、楽しめないところだ。
600 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/24(火) 23:10:02.65 ID:frS5yXJM0
No.09 銀色 1/3 ◆uv1Jg5Qw7Q氏
 登場人物二人を巡るヒストリーは分かったけれど、目の前で繰り広げられているドラマはいっこうに理解不能。
そういった感想。誰も来る見込みのない場所に手錠をかけられて固定されるって、要は死ぬってことじゃない。
で、男は抵抗すればむざむざ手錠をかけられることもないでしょ? その辺からしてよく分からない。それ以外に
も、いちいち行動の動機が読めない感じでした。

No.10 フリーダム・ロード 1/5 ◆bOdJFf7Ps6氏
 登場人物が多すぎるんじゃないかなあ。

No.11 キッコーマンよ、月に啼け 1/5 ◆0CH8r0HG.A氏
 まず、この手の話が苦手。この手の話っていうのが何かというと、何を争っているのか分からない妙な対決。妙
に規模のでかい寿司コンクールみたいなのも、僕の中ではその範疇に入る。
 この作品がギャグたと言うことはよく分かるけれども、僕の笑いどころとは少し違うらしい。
 荒唐無稽バトルでの勝敗の付け方が、「横縄には快楽があっても、縦縄には無かった」とかいう理解不能な上
になんかせせこましい感じのオチで、やれやれと思った。どうせならもっとぶちこわせば良かったのに。

No.12 キピク 1/5 ◆pxtUOeh2oI氏
 物語の冒頭部分では。設定があまり壮大だと、尺の短い話では得てして設定負けすると思う。

No.13 春待ちの少女 1/5 ◆TtwtmrylOY氏
 成仏した理由は分かったけれど、それまで成仏しなかった理由がイマイチ分からなかった。
 ほんのり友情してていい情景だと思う。ただ、幽霊の出自がボンヤリしていた。この辺りを書き込めば、成仏し
なかった前後のストーリーにも説得力が出たと思う。

No.14 青天白日の下 1/5 ◆EqtePewCZE氏
 舞台設定の説明で話が終わっていたように思う。

No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◆VXDElOORQI氏
 いつも通りの安定感。
601 ◆D8MoDpzBRE :2008/06/24(火) 23:10:15.55 ID:frS5yXJM0
時間外No.02 ミラクル・クルクルプラント ◆AnyTD/7AYY氏
 型どおりという感じ。オチもあまりすっきりとはしていない。

時間外No.03 狂人の眼 ◆hbrb0Zig0g氏
 今回の品評会では一番上手いと思う。ただ、面白いかと言われると微妙。
 言葉に縛られる、という部分の観念がかなり曖昧だった。どうやらソシュール的に論じているとか言うわけでもな
さそうだし。「言葉に縛られる」というキーワードを単なる一種のガジェットとして扱っているように思った。それは
「狂う」という概念についてもそうだと思う。
 狂うという状態をどう作者が定義しているのか、掘り下げてもいいと思う。これ、声を大きくしていったら怒られる
だろうけれど、例えば統合失調症的な狂うって、これとも違うと思うし。部分的には似てるけれど。体の一部がす
げ替えられた、って言う部分からして妄想だというのなら、これは統合失調症として結構典型的ではあるが。


******************【投票用紙】******************
【投票】:無し

【関心】:No.05 縄 ◆ibD9/neH06氏
     時間外No.03 狂人の眼 ◆hbrb0Zig0g氏
**********************************************
【総評】もう23時とか、俺の人生を返して欲しいよ。
602以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:11:08.01 ID:Q/vqryawO
23:30になったら窓から一斉に「ウルトラソウル!!!!!!! 」って叫ぼうぜ
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1214313892/

支援たのむ
603以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:19:43.59 ID:1hL39F560
暴言吐き散らすお( ^ω^)
604以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:20:12.89 ID:1hL39F560
No.00 別ちがたきもの◇zmMEjNb3Ok氏
短編には向いてないなと思いました。
理由としては、医学的用語に関する知識と経緯が作中で語りきれず、
私にとってはどうしても陳腐なものにしか見えなくなってしまうからです。
もし書くというのなら、病名は意図的に伏せるか架空の病名を出したほうが
よろしいかと思います。何故なら言及していない以上、真相は本人以外誰にも判らないからです。
この手の作品を書くのは非常に難しいことだと思います。

No.01 女神像 ◇zH52hPBzFs氏
序盤の彫刻家になる過程を描くより、総督府に対する島民達の思想や行動などが
広く書かれていれば物語に面白みが増していたのかもしれません。
いわゆる竜頭蛇尾ですが、それでも中々の完成度だと思いました。

No.02 呪縛〜 sky 〜 ◇DppZDahiPc氏
大層なプロットの割には中身が薄っぺらいなと思いました。
プロット自体は好みなのであとは密度の問題なのでしょう。

No.03 星へ ◇bOdJFf7Ps6氏
大地と空と宇宙という名の大海へ。
そこで彼は何を感じ、何を思い浮かべたのでしょうか。
何故そこに留まることを決めたのでしょうか。

No.04 ミコハル ◇A9epGInhJg氏
「私」とは誰のことでしょうか?
双子の片方か、常時張付いている親なのか。
出来の悪いサブカル小説を観ているような感じでした。

No.05 縄 ◇ibD9/neH06氏
チープで軽い文体ですが、外していると感じました。
おそらく物語自体が面白くなかったからそう思えるのでしょう。
605以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:20:56.06 ID:1hL39F560
No.06 小さな火 ◇zmMEjNb3Ok氏
どっかの神話の焼き直しみたいですね。
終始に渡って神話内容を語っており、そのせいで主人公と神の
対話ややり取りに深みが生まれず、中途半端に終わっている印象を受けました。

No.07 縛られた男と四人の女 ◇LBPyCcG946氏
例えれば、阿刀田高のSSの広場に載っていても何ら遜色の無い作品ですね。
落ちは読めましたし面白みも感じなかったのですが、上手くまとまっています。
この手の作風は非常に強力な武器となるので、次作を期待したいと思います。

No.08 サボテン ◇D8MoDpzBRE氏
実験小説という感じが見受けられました。
情景描写に特化した分、肝心のお話の変動が薄いといいましょうか。
まあ作品として完成している分、これも一つの成果なのでしょう。

No.09 銀色 ◇uv1Jg5Qw7Q氏
意味不明ですね。
話の流れがぎくしゃくしているので、もっと推敲し改訂した方がいいと思いました。

No.10 フリーダム・ロード ◇bOdJFf7Ps6氏
地の文は至ってまともで、会話文が陳腐というのは珍しいですね。
多分意図的にやっているので凄いと思うのですが、個人的に合いませんでした。
これは私がキャラクターを好きになれなかったせいでもあるのでしょう。
ええ、ハリボテのようなキャラのせいで面白く無かったです。

No.11 キッコーマンよ、月に啼け ◇0CH8r0HG.A氏
この作品は物語にだけ焦点を当てれば、そこからはもう好みの問題なのでしょう。
抽象的ですが、嫌いではないが私には合わなかったというのが正直な感想です。
それ以外の言葉を私は持ち合わせておりません。
606以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:21:33.05 ID:1hL39F560
No.12 キピク ◇pxtUOeh2oI氏
ジュブナイル・ファンタジーという枠に抑えれば、雰囲気だけは醸し出せていますね。

No.13 春待ちの少女 ◇TtwtmrylOY氏
物語の核をかたどるのには少々尺が足りなかったかな、という印象を受けました。
あるいは装飾された舞台装置を少し削ればいいかなと。
個人的には、クイーンの伏線をもっと生かして欲しかったですね。

No.14 青天白日の下 ◇EqtePewCZE氏
共感も何も感じないまま読了してしまいました。

No.15 ポニーテール・メモリー ◇VXDElOORQI氏
チャーハン食って妹の髪の毛を語っただけで終わりましたね。
プロット自体が陳腐な故に、話の起伏は無いに等しいと思いました。
もしこの作品が萌えに重点を置いているのなら、髪だけではなくキャラ自体を深く書き込むべきでは。
判りやすいのはいいのですが、ええ、面白くも何とも感じませんでした。

時間外No.02 ミラクル・クルクルプラント ◇AnyTD/7AYY氏
落ちが残念ですね。
というかそれまでの過程がおざなりになっているなと思いました。

時間外No.03 狂人の眼 ◇hbrb0Zig0g氏
発想自体は面白いですね。ただ文章がくどいかな、と。
そこさえ改善できれば良い作品に昇華していたと思います。

時間外No.04 重力 ◇4BI9wm.ZTA氏
アングラ作品のような印象を受けました。
これも上記と同じ、発想はいいと思います。
後は物語を展開するだけですね。
607以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:22:19.11 ID:1hL39F560
******************【投票用紙】******************
【投票】:無し

気になった作品:
No.00 別ちがたきもの◇zmMEjNb3Ok氏
No.01 女神像 ◇zH52hPBzFs氏
**********************************************


以前このスレで見かけた「感想なんて居酒屋でケチを吐けてくる酔っ払い親父程度に思っとけ」という
レスが印象に残っています。
批評感想なんてものは九割方的外れであり、かつ平等に皆正論でもあります。
どう受け取るかは人それぞれですが、「作品の批評」に対する反論異論(評者にも言える事ですが)は
暖簾に腕押し、無意味な事だと思います。
気に入らない批評があったらさっさと切り捨てましょう。
そんなものは、その人にとって何の役にも立たないのですから。
608 ◆EqtePewCZE :2008/06/24(火) 23:23:32.48 ID:f8D9vL1e0
自分も全感投下します
609 ◆EqtePewCZE :2008/06/24(火) 23:24:17.79 ID:f8D9vL1e0
o.01 女神像 1/5 ◇zH52hPBzFs
>苦しく貧しい生活を強いている筈の島民ども
どもはどうだろう・・・。と思ったけど、その後を読んで、ああ総督の心内か、と思ったんですが
またすぐ後は島民達、なんですよね。こんなことここまで細かく言うのもあれなんですけど。
教訓が組み込まれてて、いい勉強になったなーと思いました。
よいお話をかかれる人だ。まとめて子供に読ますべき。うん。

No.02 呪縛〜 sky 〜 1/5 ◇DppZDahiPc
洗濯屋という設定は好きです。報酬が良さそうだ。(けど作品を見る限りそうでもない?)
ただ5レス目の展開は読めすぎたなあーー。空が赤で染まるとこまで読めた。
「一家丸ごと」というワードだけでばれちゃいますよ。もう一ひねりほしかった。

No.03 星へ 1/1 ◇bOdJFf7Ps6
「縛る」というお題で自分が最初に浮かんだイメージと似ていると思いました。
もっと細かい描写を入れて小説にしてもよいものができそうな作品。もしできたら読ませてほしい。

No.04 ミコハル 1/3 ◇A9epGInhJg
途中の会話の内容があまりにもたあいないというか一般的というか世間的というか。
たあいないにしてももうちょっと奇抜でよかったかな。
最期の一行、宮沢賢治の猫の事務所みたいですね。

No.05 縄 1/4 ◇ibD9/neH06
面白かった!自分がこの手紙をもらったらまずラジオ体操は踊るものではないと突っ込んだだろう。
ちょっと森見登美彦的な・・・?見当はずれでしたらごめんなさい。
これからも面白い作品をたくさん書いてください。
楽しみにしてます。
610 ◆EqtePewCZE :2008/06/24(火) 23:24:44.87 ID:f8D9vL1e0
No.06 小さな火 1/5 ◇zmMEjNb3Ok
全体がまとまっていて読みやすかったです。ファンタジーのように感じました。細かい定義はわかりませんが。
児童文学みたいです。もちろんこれは褒め言葉です。
世界観を活かし続けて下さい。

No.07 縛られた男と四人の女 1/3 ◇LBPyCcG946
劇みたいですね。最後、暗転、バツン。みたいな。
セリフも台本みたいで、動きも登場して下がる、というとこからしても。意識してましたかね。
きれいにまとまりすぎてるかも。もっとぐちゃぐちゃしてもいいのではとあえて言ってみる。この場合はね。

No.08 サボテン 1/5 ◇D8MoDpzBRE
なんだかかわいらしい物語でしたね。作者的にはそうでないにせよ。サボテンに話しかけたり。
>全然早い時間帯だ。昨今批判を食らう表現ですね。この場合の全然の後には否定や打消しの語を伴って。
「縛る」というお題が薄かったか、自分に感じにくかったのか。ううむ。

No.09 銀色 1/3 ◇uv1Jg5Qw7Q
なんという皮肉小説。
「あたし」は悪魔ですなあ。
抽象的ですが、空中でくるくる回ったけど、着地は成功。そんな感じ。

No.10 フリーダム・ロード 1/5 ◇bOdJFf7Ps6
妙に笑えました。なんだこの情熱だけもてあましたような作品はwwwww
611 ◆EqtePewCZE :2008/06/24(火) 23:25:55.58 ID:f8D9vL1e0
No.11 キッコーマンよ、月に啼け 1/5 ◇0CH8r0HG.A
うわははははああははああwwww
どんな顔してこれ書いたんですかwwwww
No.10‐No.11とおもしろすぎるんだがwwwwww

No.12 キピク 1/5 ◇pxtUOeh2oI
文章を書きなれてる感じがしました。うらやましい。
挿絵が描きやすそう。それは描写がうまいって事なんでしょうね。
どこか朴訥とした雰囲気が好きです。

No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY
似たシチュエーションを考えたことがあります。
女の子同士の友情ってきれいに書こうと思えばいくらでもできていいですよね。
温室、紅茶、といったワードも素敵です。好みです。

No.14 青天白日の下 1/5 ◇EqtePewCZE
イッツマイン。
句点が連続したところはわざとじゃないです・・・。自分で気づいてから気になってしょうがない・・・。
ええと、まず名前。執筆手法によるお題消化禁止ということから、ほんの遊び心のつもりだったんですが、
登場人物の名前が全部広島の地名で縛ってます。「皆実」は読みにくかったですよね。ごめんなさい。当て字にすればよかったかな。
次、家出の原因。おそらく猫関係で母親とけんかしたのでしょう。
猫の名前が当初「民生・拓郎・モナ・省吾・永吉」で、やりすぎだろうwwwとけずったとこでそのエピソードも飛んじゃったんだと思います。
最初の印象を裏切る、というのが好きなので「家出=束縛からの逃亡」というテーマで書くのかな?と思わせておいて、女の子が何かを縛りに行くという内容にしたかった。
まだまだ鍛錬が足りない・・・説明がながくなってしまった・・・。やはりまだ説明不足王ですね・・・。

No.15 ポニーテール・メモリー 1/4 ◇VXDElOORQI
単純なお話ですが、だがそこがいいってやつですね。
さらさら読めるし。ほんの他愛ない、だけど奇跡みたいな一瞬ですね。大仰ですか。
612 ◆EqtePewCZE :2008/06/24(火) 23:26:20.95 ID:f8D9vL1e0
******************【投票用紙】******************
【投票】:No.05 縄 1/4 ◇ibD9/neH06氏
     大好きです。楽しいってのが一番。
               
気になった作品:No.13 春待ちの少女1/5 ◇TtwtmrylOY氏
     設定が好みでした。雰囲気も好き。
**********************************************

今回は自分好みの作品が多かったと思います。
合わなかった人は合わなかったってことで。精進します。
613以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:29:31.24 ID:MjpoBdC50
全感人たち乙


******************【投票用紙】******************
【投票】: No.11 キッコーマンよ、月に啼け◇0CH8r0HG.A
               ―感想―
      濃い。
              
【気になった作品】:No.12 キピク◇pxtUOeh2oI
**********************************************
614以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:31:17.70 ID:FjyWkX/o0
おだいくらさい
615以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:31:57.87 ID:NpFGmYC20
無意味
616以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:32:03.63 ID:3F2/uhAvO
みんな全巻乙

>>607
> 以前このスレで見かけた「感想なんて居酒屋でケチを吐けてくる酔っ払い親父程度に思っとけ」という
> レスが印象に残っています。
「全感は占い」ってのがよく言われるね
617以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:33:36.43 ID:3tjzJ9pV0
全感乙です。
なんか、自分の感想のせいで微妙な空気にしてしまったようですみません。
以後、感想を書くのは自粛して、投票だけにしておきます。
618以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:34:15.10 ID:tDEhn8lpO
******************【投票用紙】******************
【投票】:
No.13 春待ちの少女 1/5 ◆TtwtmrylOY氏
気になった作品:
No.03 星へ 1/1 ◆bOdJFf7Ps6氏
No.05 縄 ◆ibD9/neH06氏
**********************************************
運営さん、まとめさん、書き手さん、読み手さん、保守氏等々おつ全感想ってやっぱ偉業だと思う
619以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:37:19.09 ID:3F2/uhAvO
小田育レ
620以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:37:24.63 ID:frS5yXJM0
>>617
それは気にしすぎだと思う。ちょっと>>589が上手いこと言った気になってるだけだと思うよ。
621以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:37:28.31 ID:FjyWkX/o0
無意味把握
622以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:40:12.99 ID:T6ZNxbPm0
全館に定評のある氏マダー?
623 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/24(火) 23:40:47.93 ID:aC/j0QED0
遅くなったけど全感投下します。
時間外は割愛させていただく。
624 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/24(火) 23:41:38.61 ID:aC/j0QED0
No.01 女神像◇zH52hPBzFs
エピローグつけたいならもうちょっと別のオチはなかったもんかなぁ。
ハリたちの世界で女神像に笑顔を取り戻させてあげたかったと一読者として思った。
アレコスの統治の哲学と女神像の腕が鎖に縛られてるシーンは惹き込まれた。

No.02 呪縛〜 sky 〜 ◇DppZDahiPc
エピソードの一個一個が陳腐。
特に「空が灰色」は物書きのほとんどが一度は思いつくエピソードだと思う。
同じエピソードでもキャラがもっと立ってれば面白くなったかもしれないのに
少女の性格も小説によくいそうなキャラとだけ感じてしまって感情移入しにくい。

No.03 星へ◇bOdJFf7Ps6
これは詩。
出だしの具体性が詩の中でも浮いている。
小説を書きたいならその「学び舎」の部分を突き詰めて書いていくべきだし
詩を書きたいなら学び舎から開放され〜の部分だけスケールが異なる
ただの状況説明なのでいらない。

No.04 ミコハル ◇A9epGInhJg
「双子が手錠をしている」っていうのは個人的に好きな設定なので
わくわくしながら読んだら話が展開しなくてがっかりした。
「私」が出てくるならはじめから双子以外の第三者を語り部に立てて
双子と他者の比較をした方が双子の異質感が生きると思った。

No.05 縄◇ibD9/neH06
自分にはツボで、文章のテンポの良さに笑った。
文体は古めかしいのに「生春巻き」とか「電池式小型冷蔵庫」とか出てきて
時代背景がいまいちわからないところに違和感があった。
625以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:42:17.52 ID:NpFGmYC20
まぁすべての全館でつまらいと言われたら
それはもう占いのレベルじゃないね
626 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/24(火) 23:42:25.94 ID:aC/j0QED0
No.06 小さな火◇zmMEjNb3Ok
読んでて疲れた。佳奈が虐待されている必然性はあるの?
虐げられたもと神様と虐待されている佳奈を重ねるのなら
なぜ虐待される子供の中で佳奈だけがもと神様に会えたのかがわからない。
ロムルスのもと神様へのセリフは人間の愚かしさが現れてて好きだ。

No.07 縛られた男と四人の女◇LBPyCcG946
アメリカン・ジョークでありそうな話だと思った。
ううん。それ以上の感想を持てませんでした。

No.08 サボテン◇D8MoDpzBRE
一番大事なサボテンのシーンの書き込みが足りなくて物足りない。
花屋の娘らしく、一言、品種名を付け加えるとかここを印象的にすれば
最後に突然サボテンのおもちゃを思い出さなくてもいいんじゃないだろうか。

No.09 銀色 ◇uv1Jg5Qw7Q
本人です。
「女の子」って生き物の閉塞性と残酷さを出したかったのだけど
背景設定などの作りこみが足りなくて物語として作りきれなかった。
主人公の捩れた性格を表したかったために
文章としてはすごく読みにくく読者を混乱させたことを反省。

No.10 フリーダム・ロード◇bOdJFf7Ps6
ごめんなさい。途中でギブアップした。
627 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/24(火) 23:43:52.00 ID:aC/j0QED0
No.11 キッコーマンよ、月に啼け◇0CH8r0HG.A
作者のド変態wwwwwwww
始めは家族、特に母親相手でSMっていうのにひいたけど
読んでるうちにバカさが勝って面白くなってきた。
アングラ系の自主制作映画なんかでありそう。

No.12 キピク◇pxtUOeh2oI
大長編のうちの1シーンという印象。
続きが読みたいし、ひとつひとつのエピソードももっと丁寧に読みたかった。
たとえば、おばあちゃんに古代マグラ語を教えてもらう話だけで5レスの小説になりそう。

No.13 春待ちの少女◇TtwtmrylOY
ペチュニアって確かにきれいだけど
幽霊の儚げな雰囲気とはイメージが異なる花じゃないか?
それと、自縛霊であるか(秋瀬が移動できるか否か)はそんなに重要なのだろうか。
いくつか引っかかる点はあったけど自分好みの作品でした。

No.14 青天白日の下◇EqtePewCZE
他の人も指摘してたけど名前が読めない。「江波っちゃん」って言いにくくない?
セリフの言い回しや文体などが自分の好みでした。
>「あら、知らなかったの?好きって強いのよ」
>「知ってたわ」
この翠さんの即答のシーンが好き。ここに惹かれて今回はこの作品に投票。

No.15 ポニーテール・メモリー◇VXDElOORQI
兄弟仲のよさが伝わるセリフのやり取りがよかった。
冒頭のポニーテール萌えの表現はお兄ちゃんが妹をイケナイ目線で見ている?と
余計な誤解を産みそうです。

628以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:45:17.74 ID:BJbXXkShO
>>593
把握
629以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:46:02.59 ID:v1ul+TnK0
おだいほしいな
630 ◆uv1Jg5Qw7Q :2008/06/24(火) 23:47:24.86 ID:aC/j0QED0
******************【投票用紙】******************
【投票】:
No.14 青天白日の下◇EqtePewCZE氏
関心作:
No.15 ポニーテール・メモリー◇VXDElOORQI
**********************************************
初の品評会投下&全感でちょっと緊張。
631以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:47:51.39 ID:NpFGmYC20
めくるめく
632以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:48:47.40 ID:3F2/uhAvO
小田井ヲ! 我ニモ小田井ヲ!
633以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:49:25.54 ID:NpFGmYC20
634以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:49:46.74 ID:UcnsyOEK0
>>632
堕落
635以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:50:47.55 ID:3F2/uhAvO
>>633-632
ありがとっ!
636以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:53:10.88 ID:o9rYCaVCO
おだいくだしあ
637以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:54:14.21 ID:ltLFdKQQ0
ゲーム
638以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:56:02.66 ID:o9rYCaVCO
>>636
はあく
639以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/24(火) 23:58:55.58 ID:3tjzJ9pV0
>>620
ありがとうございます
640以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:03:26.49 ID:1yrh9HP40
捕手
641お題:めくるめく:2008/06/25(水) 00:07:25.55 ID:mxOrK8rj0
チルチルは言います。
「ぼくたちは、まちがっていたんだね」
ミチルが言いました。
「ええ、私達は間違えてしまったわね。」
吹きすさぶ風は、二人を容赦なく責めました。
チルチルの細い腕がミチルをしっかりと抱きしめました。
物語は今や終わりを告げ、彼等はゆっくりと深い深いところへと落ちていこうとしていました。
チルチルは言います。
「僕はきっと忘れないよ。きみの小さな頭が、僕の腕にぴったりと収まった事を」
ミチルはぎゅっと彼の体を抱いて言いました。
「私も忘れないわ。あなたの小さな手のひらが、私を包んでくれた事」
風が、ごうっ、と吹いて二人の体は、ぽろぽろと崩れていきました。
腕の中で、ばらばらになっていくミチルをしっかりと抱きしめながらチルチルは叫びました。
「さようなら、さようなら。ぼくたちは多分どうしようもなくまちがってしまいました。」
風がミチルを黒い灰にして空に吹き飛ばします。
チルチルも、ばらばらと崩れながら、地面に落ちていこうとしていました。
地面に落ちて砕けるほんのちょっとの時間彼はこう尋ねました。

「でも、神様。ぼくたちに他に何ができたと言うんでしょうか」

(了)
642以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:14:06.13 ID:mxOrK8rj0
うん、まあ、感想が無いのも感想だな。
スレ汚し失礼
643以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:14:27.00 ID:ysQmjgP+0
 投 関
 −  3 No.01 女神像 ◆zH52hPBzFs氏
 − − No.02 呪縛〜 sky 〜 ◆DppZDahiPc氏
 −  1 No.03 星へ ◆bOdJFf7Ps6氏
 −  1 No.04 ミコハル ◆A9epGInhJg氏
  2  4 No.05 縄 ◆ibD9/neH06氏
 − − No.06 小さな火 ◆zmMEjNb3Ok氏
 − − No.07 縛られた男と四人の女 ◆LBPyCcG946氏
 − − No.08 サボテン ◆D8MoDpzBRE氏
 − − No.09 銀色 ◆uv1Jg5Qw7Q氏
 −  1 No.10 フリーダム・ロード ◆bOdJFf7Ps6氏
  3 − No.11 キッコーマンよ、月に啼け ◆0CH8r0HG.A氏
 −  4 No.12 キピク ◆pxtUOeh2oI氏
  2  3 No.13 春待ちの少女 ◆TtwtmrylOY氏
  3 − No.14 青天白日の下 ◆EqtePewCZE氏
 −  4 No.15 ポニーテール・メモリー ◆VXDElOORQI氏
 −  2 時間外No.01 別ちがたきもの ◆zmMEjNb3Ok氏
 − − 時間外No.02 ミラクル・クルクルプラント ◆AnyTD/7AYY氏
 −  1 時間外No.03 狂人の眼 ◆hbrb0Zig0g氏
 − − 時間外No.04 重力 ◆4BI9wm.ZTA氏
644以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:14:35.53 ID:JqFQqEqRO
全館の人たち乙
今回はなんか全館少なかったな。
みんな忙しいのか、全館やる意欲がわくほど作品が面白くなかったからか。
全館が厳しいなら、全部でなくてもいいから、これならと思った作品に感想書いてくれると有難いんだけども。
自分のもの以外の作品への批評を読みのも勉強になるしね。

でもまあ感想って色々だよな。みんなどの点に重点を置い読むのかも違うし。
個人的にはキッコーマンは相当にツボだったんだが(電車内で読んでたら笑いを抑えきれなかったので読むのやめたくらい)、
全く受け入れなかった人もいて、ああやっぱり感性って人それぞれなんだなあ、と。
645以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:16:21.15 ID:mxOrK8rj0
空気読まずにお題を募集
646以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:17:20.59 ID:ImZ3RXIV0
>>645
治安維持法
647以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:18:15.10 ID:KjwD4L3+0
全館多かっただろ、jk……
648以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:18:33.41 ID:ClCn/U/N0
これは優勝二人か
649以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:19:49.68 ID:4BlQCnQ+0
全館を目指して挫折した跡


No.0 別ちがたきもの 1/5  ◇zmMEjNb3Ok氏
 ごめん覚えちゃった。この文体で福祉関連が出てくるとこの人だ。って感じで、
だからニュートラルな読み手ではないかもしれない。
 認知症の残酷さを割とあっさり流したのが個人的には好き。意図的ではないとしても。
文章は難しい漢字多くてとっつきにくい、でもそれは作者さんの持ち味だと思います。
どうかこのまま突っ走ってください。
 お題のせいかもしれないけど、最後の二行があまり好きじゃありません。
そこまで言わんでもと思ってしまいました。
>しかし主よ、願わくば  さえ出せばあとは伝わる気がするし
時間外やり取りの際の作者 ★★★★
おばあちゃん大好き ★★★


女神像 1/5 ◆zH52hPBzFs氏
 ごめん覚えちゃった。むやみにSF好きなのはこの人だ。って感じで、
だからニュートラルな読み手ではないんだろうな。
 時代が最初よくわからんかった。歴史も苦手なもので……
 巨大な女神像といわれてバーミヤンの仏像想像してしまっていて
三メートルのところであれ? となってしまった。読み手が悪いとおもう。
 
何かに対して一途なキャラ大好き★★★





早くに作品を仕上げるというのも重要な力だと思う次第です
650以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:20:42.26 ID:4BlQCnQ+0
◆0CH8r0HG.A氏 & ◆EqtePewCZE氏
おめ
651以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:20:59.24 ID:ClCn/U/N0
前来てた時の二倍くらい全館あったけどな〜
652以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:21:34.97 ID:AKbV4qCV0
今回は感想多かったよね
653以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:21:45.19 ID:KjwD4L3+0
◆0CH8r0HG.A氏
◆EqtePewCZE氏
おめでとうございます。とっととお題発表しやがれです。
654以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:24:06.17 ID:4BlQCnQ+0
>>641
チルチルミチルって青い鳥だっけ
で、どこいらへんがめくるめくなんだろう
という感想

ごめん感想苦手なんだ
655以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:24:53.16 ID:TF2LxsDE0
さて、投票します。
656 ◆0CH8r0HG.A :2008/06/25(水) 00:26:30.69 ID:1yrh9HP40
読んでくれた皆様、全感書いてくれた皆様、票入れてくれた皆様
運営さん、及びこのスレに関わった全ての方に感謝します。

皆様ありがとうございました。

◆EqtePewCZE氏おめでとうございます。
いらっしゃったらレスください。
657以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:29:16.14 ID:mxOrK8rj0
>>654
「めくるめく」って言葉を使わずに「めくるめいた(?)」雰囲気をかいてみたかったのです。
感想の感想とかもっと苦手なのです。
658 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 00:29:27.64 ID:yanpH95y0
はい来ました。
キッコーマン氏と同票とはwww光栄です

ええと・・・この場合どうすればいいんでしょうか
659以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:30:15.44 ID:mxOrK8rj0
>>654
でも、ありがとう
660 ◆0CH8r0HG.A :2008/06/25(水) 00:30:58.17 ID:1yrh9HP40
>>658
いっせいのせでレスをして、時間の下一桁が大きい方がお題を決めるというのはどうでしょう?
661以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:31:25.44 ID:ANpURPQI0
出したい方が出せばいいさ 困ったらカキコ時間が00ピタリに近いほうとかにして決めればいい
662以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:32:37.90 ID:TF2LxsDE0
とりあえずくじ用意しときますね。

A B
| |
| |
| |
-----------------------
663 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 00:32:46.34 ID:yanpH95y0
>>660
おおおおkです
おおおお題を考えなきゃ
664以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:33:42.13 ID:mxOrK8rj0
ふたりとも出して好きな方を使えばいいじゃない
665以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:34:01.93 ID:ILlv9KI00
いっそお題二つにしちゃえばいいじゃない
666以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:34:07.08 ID:VojGzXMC0
今週も同時優勝か だぶぅおめー!
運営諸氏に感謝!

そしてwktk
667 ◆0CH8r0HG.A :2008/06/25(水) 00:34:28.99 ID:1yrh9HP40
>>663
いや、とりあえずどちらが出すかだけ決めておいて、お題は後で考えればいいと思います。
禁止事項とか今決めたりするのは面倒ですし。
668以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:34:28.92 ID:h9LLyJvo0
久々に来た
お題ください↓
669以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:34:35.81 ID:HEGs+KUM0
変なコテが暴れてるの…助けて!

SUMMER SONIC TOKYO Part26
http://music8.2ch.net/test/read.cgi/musice/1214320166/

823 名前:和製フーリガン ◆MudvayneKs [] 投稿日:2008/06/24(火) 22:28:26 ID:XHTX0b8G
>>821
はあ?バカかてめえ?彼女いるし互いに本音を打ち明けられる親友いるのも誇りに思うし。
てめえらには疎遠な海外フェス行くことや医学部に入れたことも自慢じゃ。
ネットなんて単なる暇つぶし自慢でも何でもねえよ。
充実した日々送れてることが俺の何よりの自慢さ。
そんなてめえは海外フェス行ったことあんのかよ?
彼女いんのかよ?てめえのほうがずっとか惨めなの気付よ低能。
670以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:35:08.62 ID:mxOrK8rj0
>>668
小説未満
671 ◆0CH8r0HG.A :2008/06/25(水) 00:36:20.78 ID:1yrh9HP40
あ、お題二つっていうのもいいかもしれないですね。
672 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 00:36:44.97 ID:yanpH95y0
>>667
ああ確かにそうですね。
了解しました。
673 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 00:37:22.42 ID:yanpH95y0
>>671
自分もそう思いました。平和的解決になりそうですし。
それでいきますか
674 ◆0CH8r0HG.A :2008/06/25(水) 00:38:08.78 ID:1yrh9HP40
>>673
じゃあ、出す時間だけ決めちゃいましょう。
いつ頃が都合いいですか?
675以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:39:45.19 ID:h9LLyJvo0
>>670
把握サンクス
676以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:39:53.84 ID:TF2LxsDE0
10分後なんてどうでしょう?
677以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:40:12.79 ID:mxOrK8rj0
いいね
678 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 00:40:29.32 ID:yanpH95y0
>>674
木曜の夜なら何時でもおkです
時間指定はどうぞ◆0CH8r0HG.A氏が。
679以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:41:16.52 ID:KlEt4oON0
複数になったばあい、両方使うのは必須? それとも任意?
どっちを使ったか、ってのはどう記載するの?
680以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:41:57.97 ID:TF2LxsDE0
>>679
ひとつをタイトルに使えば良くない?
681 ◆0CH8r0HG.A :2008/06/25(水) 00:43:50.55 ID:1yrh9HP40
>>679
任意でいいと思います。二つ使って無理矢理な話になったらあれですし。

>>678
では、木曜の夜10時頃を目安にしましょう。
禁則事項は複数お題ですと面倒臭いので、レス制限くらいにしておいた方がいいかもしれません。
その時間にまた ノ
682以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:44:26.62 ID:KlEt4oON0
自分がやるわけじゃないけど、まとめはどうすんだろうね。
683以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:45:19.63 ID:mxOrK8rj0
もちろん全部任意で
書く方も評価する方も
684以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:46:21.62 ID:z84eA3wL0
685以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:46:25.24 ID:ANpURPQI0
選ぶ形式だと、お題の難易度も違うだろうから一緒に評価していいのか迷うな
お題はひとつの法がいいと思うけど
686以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:47:05.83 ID:KlEt4oON0
どうでもいいや。なんかやる気失せた。
687以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:48:18.26 ID:cfSM+JhU0
やっべええ! ガゼンやる気わいてきた!!!!!!11
688 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 00:50:14.55 ID:yanpH95y0
>>687
ごめんちょっと・・・いやかなり嬉しかったわ
みんなのやる気が沸くようにしたい・・・
689お題:治安維持法:2008/06/25(水) 00:50:34.36 ID:mxOrK8rj0
結婚式の会場で、僕は仕事を下さいと言った。
周りにいた人達は随分と気の毒そうに僕を見たのだけど、僕はそれでも黙る事は無かった。
その内花嫁がブーケを投げ、みんなは花束の奪い合いに夢中になった。
僕に仕事をくれる人などいようはずも無く。僕はただその喧噪に包まれていた。
「仕事が欲しければ、他の場所にお行きなさい。多分そのほうが、今よりもずっといいわ」

誰かが言った。
ぼくは、静かに頷いた。
花嫁たちの記念すべき日を汚す権利など誰にも無いのだ。
690以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:52:14.97 ID:ClCn/U/N0
お題二つとか伝統を崩すんじゃないかなー
691以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:53:15.76 ID:KjwD4L3+0
お題100個の回もあったしいいんじゃね?
692以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:53:25.92 ID:VojGzXMC0
第100回のような例だってあるんだし、いいんじゃね?
693以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:54:01.36 ID:mxOrK8rj0
前にもお題二つとかなかったっけ?
694以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 00:55:33.57 ID:ClCn/U/N0
                      __
                   , ´     ヽ    そーなのかー
   そーなのかー       /        ノヽ
                  |ノレ_,ヽ/ヽ,_ヽノ</    そーなのかー
 そーなのかー      // ∩|)イO   Oア| | ||
               // | ̄ i" ┌┐"uノ| ノゝi   _   そーなのかー
              ⊂/ ̄|ノ ` _─ ´ .レ ̄ ̄ ̄/つ )
           ,;'"´``';,.~ヽ    |ヽV ノ i___|/
          |ニニニニ|   ̄ ̄ゝ ∞   ヽi
695以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:00:48.29 ID:zyjhVIIx0
>>689
終わり?
無職の人を他人の結婚式と絡める意味がわからない話だった
696 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 01:00:48.47 ID:yanpH95y0
よし、じゃあ
木曜10時頃に自分と◆0CH8r0HG.A氏がお題をだす。
そのお題は書き手が選択できるものとする。
べつべつに二作書いてもいいが、二つのお題を混ぜたものはナシ。
という感じになりそうですね。
それじゃあ、お題考えておきます。
おやすみなさい。
697以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:01:28.50 ID:ILlv9KI00
>二つのお題を混ぜたものはなし
えっ……
698 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 01:02:18.46 ID:yanpH95y0
>>697
まとめにくいかと思ったからそうしたんだけど・・・
なんかまずかったか
699以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:02:30.09 ID:KjwD4L3+0
無しでなくてもいいだろ
100個お題出た時、100個ともクリアした人がいたくらいなのに
700以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:02:37.57 ID:JqFQqEqRO
>>689
さっぱり意味がわからん。
読者が頭を使って真相を探ってくれるのを期待してるのかも知れないけど、
とても頭を使って読み解く気にはなるほどの魅力を感じない。
どこぞのアホが結婚式に紛れこんだだけじゃん。
仕事欲しけりゃハロワ行けとしか思わん。
701以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:04:03.14 ID:JqFQqEqRO
>>698
優勝者が自由に決めればいいよ
702以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:04:44.70 ID:cfSM+JhU0
>>689
気の毒そうにみられてもめげなかったんだから、注意されたくらいであきらめちゃダメ!
アタックあるのみよ! と思った
703以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:04:50.59 ID:ILlv9KI00
>>698
いや、まずくはないw
ただ両方使う気満々だったからしょんぼりしただけwwごめんw
704以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:05:35.78 ID:VojGzXMC0
片方はお題でありながら、選ばなかった方はNGワード って感じ?
705 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 01:06:07.76 ID:yanpH95y0
ううむ、お題100個だったときの詳細はまとめでみられないのか・・・?
どんなふうにお題が出されたのかkwsk
706以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:06:56.14 ID:BjXJ8vTOO
あー

なんか楽しそうだコレ
難易度なんて捉え方次第だしね
ただ定期的にとかじゃなくて、こういう、特例であるべき楽しみだな
707 ◆0CH8r0HG.A :2008/06/25(水) 01:07:45.59 ID:1yrh9HP40
>>705
どのお題を選んだかを、投下する際に明記してから投下していました>100回の時
708以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:08:04.91 ID:VojGzXMC0
>>705
まとめるときに不便だから、メインとなるお題を1つ明記 後は何個使ってもいい、って感じだったかと
709以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:08:10.15 ID:2BBoZ/a50
何個使ってもいいけど、一番メインに使ったお題を明記するんじゃなかったっけ
710以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:08:58.16 ID:ILlv9KI00
ちなみに100回目の品評会だからそこ参照
711以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:09:49.81 ID:mxOrK8rj0
それはそれとして、おだいください
712以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:10:17.70 ID:JqFQqEqRO
>>711
大迷惑
713 ◆EqtePewCZE :2008/06/25(水) 01:10:29.36 ID:yanpH95y0
なるほど、メインになるやつを明記か。
それで100個クリアした人も出たわけですね。ありがとう

>>704
第100回のを踏まえて、選ばなかったほうはNGワードっていうより、
メインになった方を明記してもらおうかな
714お題:大迷惑:2008/06/25(水) 01:23:48.51 ID:mxOrK8rj0
「もう、こないでくれ!」
僕はドア越しにそう叫んだのだけれど、ノックの音は鳴り止まなかった。
彼は少し耳が不自由なのかもしれない。そう思って僕はドア越しに手話を試みたのだけど、
ドア越しの手話が相手に届くはずも無く、僕は部屋の中で一人パラパラでもやっているような醜態を五分ほど晒して死にたくなった。
それから僕は相手がエスパーなのかもしれないと思い、テレパシーを送ってみたのだけど、それも通じなかったのでごはんを食べて寝た。
715以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:25:01.73 ID:2BBoZ/a50
すっげー面白いね
716以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:25:32.42 ID:cfSM+JhU0
>>714
嫌いじゃないけど、もっといろいろやってほしかった
717以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:27:48.03 ID:E5/JtMS10
これは、以前同じような人を見た記憶が…
奴のことは別に嫌いじゃなかったが
718以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:32:24.36 ID:zyjhVIIx0
>>714
>ごはんを食べて寝た。

         ワロタ
このテキトー具合に嘲笑
719以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:36:49.64 ID:kiqOismB0
>>714
最後、書くのに飽きたんだろw
720以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 01:38:29.15 ID:mxOrK8rj0
文才が無いのだから小説未満を書くところからで直す事にした。
例え罵詈雑言を浴びようとも文章を書くのが久しぶりに楽しい。
今はそれで充分だと思ったり思わなかったり、チラシの裏で済ませろと思ったり。

それじゃ、おやすみ
721以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 02:02:20.98 ID:KjwD4L3+0
ここで保守
722以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 02:12:41.02 ID:OcO94qcO0
ここでも保守
723以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 02:20:43.06 ID:xmtd7mWU0
颯爽と保守
724以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 02:21:22.96 ID:1yrh9HP40
ここまで全感まとめずみ
725以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 02:57:15.56 ID:T6s/h2CPO
保守
726以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 03:22:55.35 ID:NlKsP1Bb0
かすめとったお題投下。
お題:無様
レス:3
727無様1/3:2008/06/25(水) 03:23:14.15 ID:NlKsP1Bb0
 がんばってるくせに、うまくならない。がんばってるくせに、うまくいかない。
 私は知っている。彼が悔しがっていることを。私は知っている。彼が人知れず泣いていることを。私は知っている。彼が生徒の中で一番遅く門をくぐるっていることを。

 くだらない幻想と、くだらない妄想が私という媒体を通し、三次元の世界に絵となって出て行く。
 今日もまた私のモデルはそこにいる。いない日など、ない。彼の絵を描くのが私の日課で私の仕事。学業とは名ばかりで、結局は趣味に転じるのが顛末。
 校舎二階、グラウンドがよく見える特等席。モデルは外にいる。サッカーをやっているあの人。
 彼は私を知らない。私は彼を知らない。学年すらわからない小さく、とても閉鎖的な世界の中で私は彼を見い出し、惹かれていく。
 初めて見たのはデッサンがうまく行かず、暇つぶしに外を眺めていたとき。試合だったのか、それとも練習だったのかすら私にはわからないし、どうだっていい。重要なのは彼を見つけたこと。
「なにー? また見てるの?」
「……そうですけど。別にいいモデルになりそうだなぁ、って見てるだけですから」
 声をかけてきた先輩に振り返り、私は半眼になりながら答える。
「はーいはい」
「その疑って仕方ないですっていう返事と、やれやれっていう風に首を振るのやめてください。さっきも言いましたけど、私はあくまでも頑張ってる姿がいいモデルになりそうだと思って」
 先輩が私の言葉を待っていたかのように意地悪そうに笑う。
「ふっふ、まあまあそういいなさんな」
「だから先ぱ……なんですか?」
 先輩が私の肩に手を回し密会するような形になる。おかげで言葉を無理やり変更せざる得ない。
「彼女いないらしいよ?」
「……だから、なんですか……」
「なーんでうつむいちゃってるの?」
「別に……」
 自然下を向いていた。顔を合わせるのもなんか嫌だし。
「ふっふ、まー、そういうわけだから頑張りなさい!」
 言って満足したのか先輩は肩を回してた手を戻し、ほかの部員の所へ行ってしまった。
 だいたいなんで彼女いない、だなんて知ってるのか。そんなこと知ってるならもっと必要なこと、名前とかクラスとか教えてくれればいいのに。
728無様2/3:2008/06/25(水) 03:23:32.55 ID:NlKsP1Bb0
「じゃ、私たち先に帰るよ。いつも言うけどさ、あんまり遅くならないでね」
「わかりました」
 先輩をいつものように見送る。ここからは窓の外の彼と、二人だけの時間。ただ眺める私と、ひたすらに練習する彼。邪魔なものは何一つない。距離だけが、私と彼を離すもの。
 リフティング。ああ、ボール落とした。十回も続かない。何度も何度も何度も何度も、彼はただひたすら繰り返す。
 その様子は一月前と大して変わらない、うまくならない。
 呆れてしまうくらい熱心で、それでもなかなかうまくならなくて、どうしようもなく可哀想で、そしてちょっとだけ手際が悪くて、とてもかっこ悪い。
 無様で、どうしようもなく無様なのに、私は彼に惹かれていく。
 泣いている、と思うところも何度も見た。それもまた、可哀想なくらいに無様だった。確かあれはレギュラー発表のような場面だったんじゃないかと思う。落胆の様子が見て取れて、誰もいなくなった後の彼は動かずに、ただひたすら泣いていたんだと思う。
 嗚咽すら届かない位置から眺めていたはずなのに、私にはその嗚咽が聞こえた気がした。悲しくて悲しくて、そんなのが伝わってきたのかもしれない。
 そんなことを考えながら彼を見ていた。何十回目か、彼はまたボールを落とした。しかしそれを拾いにいくことはなかった。取り落としたボールを拾いにいく必要がなかった。持ってきたのは彼を待っていたであろう女の子。
 その瞬間に、私の中の時計の針が音を立てなくなった。

 心臓が飛び出すかと思った。
 失恋? 私が? 昨日の夜、あの瞬間? あれが失恋?
「ち……」
「見てたんでしょ?」
「違います」
 違う、私は別に彼のことを好きだなんて思ってなかった。ただ彼を見ていると自分もがんばらなきゃとか、きっとそういう風に思って、彼を見ていたんだと思う。
 だから別にそんな好きだとか……
「元気ないね。どうしたの?」
「……別にどうもしないですけど」
 おせっかいにも先輩は私の顔を覗き込んでくる。
729無様3/3:2008/06/25(水) 03:23:46.03 ID:NlKsP1Bb0
「の、割にはいつもの場所にいかないのはどうして?」
「別に、彼をモデルにしてもこれ以上得るものはないと思ったまでです」
 だいたい私が黙々と絵を書いているだけでなぜ元気がないとわかったのか。私にはその先輩の感性のほうが不思議で仕方ない。
「ふんふん、なるほど。失恋か」
「話しかみ合ってないよ?」
「え? あ、いえ。えっと見てました……?」
 ああ、だめだ。少し頭を冷やさないと。冷静に、冷静に。
「え、ええと、たぶん先輩の言ってることとあってると思いますけど、見てました」
「ふーん、やっぱり。彼ね、昨日告白されて付き合ったんだって。まあ見てたんなら言うまでもないと思うけどさ」
 あのときの雰囲気は、そうだったと思う。たった一人で練習してるところに――
 でも別に私に関係はない。それなのに、なんで?
 なんで?
「ああ、泣かないの。ね?」
「な、泣いてなんかいませんよ、先輩」
「泣いてる」
 先輩が私の目にハンカチを当ててくる。
「ごめんね」
 なにがですか。嗚咽がその言葉を飲み込んでしまう。
「そんなに本気だったんならクラスとか、名前とか教えてあげればよかったね」
 それは私が悪かったこと、きっと気づかないふりをしてただけ。ずうっと思ってたのに、ずうっと気がつかないふりをしてただけ。
 首を振る。
「そんなことないです」
 きっと私は好きで好きでしょうがなかったのに、何にもしなくて、ただ見てるだけで、彼のことを可哀想だとか思って、かっこ悪いとか思っていたのに、
 本当に、本当にどうしようもなくかっこ悪くて、無様だったのは、きっと私なのだ。
730タイトル「なにこれ小説かけばいいの?おk」:2008/06/25(水) 03:48:44.68 ID:gaHY0EYH0
「聞いてる?なぁ?おい?紀伊店のか!」

---うんこが喋った---

男「ふぁ!?」

うんこ「こっちみろ!!直視しろ!!!」

男「ううう、うんこが・・・喋った・・・!?」

うんこ「そりゃ喋りますよ」

男「そ、そりゃって・・・」

うんこ「Don't cry!!泣かないで!!!」

男「君の〜その瞳が 曇って〜しまわ〜ぬよう」

うんこ「You say good!!駆け抜けろ!!!」

男「狭い管通り抜け 海へ〜たどりつけ!!!」

うんこ「おっときたぜ 浄化槽」

男「ここで終わる俺じゃない〜」

うんこ「いつか〜行くぜ 大海原」

うんこ&男「時 代 は 汲み取り式〜〜〜〜!!!!!」
うんこ「I don't dirty!!」
731以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 04:26:42.42 ID:MuyWzlay0
お題くれ
732以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 04:31:19.61 ID:GVWJ7hI7O
空き缶
733以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 04:33:45.81 ID:MuyWzlay0
把握
734以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 05:34:34.20 ID:bY7qF3kk0
保守
735以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 05:39:38.81 ID:JqFQqEqRO
>>726
読んだ。ニレス目後半からの展開がわけわからん。なんとなく想像つかなくもないが説明不足。
あと全体に漂うポエム臭をなんとかして欲しい。
冒頭の「がんばってるくせに〜くぐっていることを」で読むのやめた人がかなりいると思う。
736以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 05:49:41.94 ID:0yfqBHnt0
受験がひと段落したので遊びに来ました。
やさしめのお題下さい。
737以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 05:51:46.20 ID:213oHl4MO
>>726
描写が疎かで何もかもがよくわからん
冒頭から最後まで小説というより詩もどきみたいな文章になってる
738以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 06:13:40.63 ID:NgCnRqql0
>>736
毎日
739以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 06:14:41.25 ID:0yfqBHnt0
>>738
さんくすかいてくる!
740以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 07:12:39.06 ID:op7ig1GzO
朝食リンゴホシュ
741以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/25(水) 08:01:54.17 ID:zd4IOcub0
おはようございます
優勝者の方々おめでとうございます

全館の方々もまとめてくれた方もお疲れさまでした!

742以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
保守という名の変奏曲