1 :
名無しのオプ :
2006/03/09(木) 22:24:25 ID:IFqa0XXm
2 :
名無しのオプ :2006/03/09(木) 22:27:06 ID:IFqa0XXm
☆★重要なお知らせ★☆
当スレにはネタバレ及び間違いだらけの「論考」、
ミステリ以外の作品をミステリとして読むと称して行なう嫌がらせ、
及びスレ住人を見下し嘲笑行為を繰り返すコテハンが居ついています。
ネタバレの危険が高い彼のレスを目にしたくないという方には、
2ちゃんねる専用ブラウザの導入をオススメします。
そしてブラウザのあぼ〜ん機能・NGワード機能を使い、
書斎魔神
をNGワードに設定しましょう。
なお該当コテハンは、誹謗中傷は元より、
名無しによる自作自演、騙り、詐称行為等の常習者ですので注意してください。
また最悪板等、他板のレスを改竄してコピペし、それに反論するという
自作自演を懲りずに繰り返します。
該当コテハンと思われる書き込みにアンカー(>>)を付けたレスは、
本人による自演と判断して問題ありません。
2ちゃんねる専用ブラウザに関するサイト monazilla.org(w
http://www.monazilla.org/
3 :
名無しのオプ :2006/03/09(木) 22:27:28 ID:IFqa0XXm
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。 || ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを || 与えないで下さい。 Λ_Λ || ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて \ (゚ー゚*) キホン。 || ゴミが溜まったら削除が一番です。 ⊂⊂ | ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_ | ̄ ̄ ̄ ̄| ( ∧ ∧__ ( ∧ ∧__( ∧ ∧  ̄ ̄ ̄ 〜(_( ∧ ∧_ ( ∧ ∧_ ( ∧ ∧ は〜い、先生。 〜(_( ,,)〜(_( ,,)〜(_( ,,) 〜(___ノ 〜(___ノ 〜(___ノ
4 :
名無しのオプ :2006/03/09(木) 22:37:22 ID:qHk8QOWO
国内で依頼したものです 乙カレー
5 :
名無しのオプ :2006/03/09(木) 22:52:25 ID:O2FwsJNI
乙
6 :
名無しのオプ :2006/03/10(金) 10:05:20 ID:9dBsoMrf
>>1 さん、乙です。
僭越ながら、早速、感想を。
J・D・カー「ブードゥーの悪魔」
南北戦争直前の米国南部の雰囲気って、こんな感じだったのかなあ?
「風とともに去りぬ」などと比べて、何となく、イメージが違うような・・・・。
使われているトリックもショボいし、バレバレの伏線も興ざめ。
作者は面白がって書いているのかも知れませんが、読者をも面白がらせようと
する努力が足りないのではないかと。
駄作、としか評価できませんでした。
7 :
名無しのオプ :2006/03/10(金) 16:06:17 ID:Scwsyxee
久々に海外オフやるらしいよ
8 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/03/11(土) 15:26:09 ID:JF5+/AIt
ジム・トンプスン「鬼警部アイアンサイド」を読んだ。
日本でも70年代に人気を博した車椅子に乗った警部が活躍するテレビドラマを
元ネタにしたオリジナル作品である。
退廃感漂う逝っちゃてるノワール得意のトンプスンが、典型的な正義の味方を
書いたという点では、彼氏にとっては異色作ということになろうが、
ストーリーがたいしたことない上に、主人公のアイアンサイドをはじめ、
テレビシリーズのキャラ像とのギャップが大き過ぎるという感がある。
本書におけるアイアンサイドのプロファイル「逞しいハンサムな巨漢の男」
レイモンド・バーを知る者にはハンサムという形容には思わず「?」に
なるし、アイアンサイドと部下である女性刑事イヴがほのかな恋愛関係にあるのも
「?」である。
助手の黒人マークもカムイで有名な中田浩二氏がアテていたこともあって、
もっと落ち着いた雰囲気のイメージがあり、本書の血の気が多いマーク
(彼自身が事件に巻き込まれ拘置されてしまうため、ほとんど活躍しない)
には違和感があり、また、ハンサムな部長刑事エドもテレビよりも飄逸過ぎる感がある。
人間の善性を示唆したかのようなエピローグは、徹底して「悪」を
描いて間断するところがなかったトンプスンらしからぬ虫酸が走るようなヘタレぶり、
テレビシリーズオンエア時ならともかく、トンプスンを中心としたノワールブームも
一息ついた感がある現在に、古本を引っ張り出して来てまで、こんな作を
わざわざ翻訳する必要があったのか疑問を感じざるを得ない。
>>7 いつ頃?
9 :
名無しのオプ :2006/03/11(土) 17:00:18 ID:VScE5Zop
トンプスンなら「死ぬほどいい女」が一番
10 :
名無しのオプ :2006/03/11(土) 17:12:56 ID:uUAXsPry
>>8 どの文庫で読めるの?
バーローの名探偵図鑑にのっててきになってるんだが、
何処にも売ってない
11 :
名無しのオプ :2006/03/11(土) 17:27:04 ID:zGV1vxR5
12 :
名無しのオプ :2006/03/11(土) 17:34:57 ID:vGs1NOy6
13 :
名無しのオプ :2006/03/11(土) 22:17:09 ID:9Z1kHEt6
>>10 ,12
ポケミス名画座シリーズで出てる。
>>8 アイアンサイドはトンプスンの中では最低ランクなのは認める。
晩年のトンプスンが書き飛ばしたような作品だから。
それでも俺みたいなトンプスンマニアには、たまらない一冊になってるわけだが。
14 :
名無しのオプ :2006/03/11(土) 22:36:16 ID:eWqNL1O9
15 :
名無しのオプ :2006/03/13(月) 21:00:40 ID:tflNOLbX
ややっ新スレ立ってんじゃン!知らなかった。 「フィッツジェラルドをめざした男」デイヴィット・ハンドラー 講談社 ユーモアミステリーとして薦められた本。 感想としては、なんというか淡々と読める作品・・・かな。スピード感もない。 話としては面白いと思うし、シリーズの殆どを積んであるんで、あとも読む
16 :
名無しのオプ :2006/03/20(月) 13:32:14 ID:o/980psv
ボアロー、ナルスジャック「大密室」(晶文社) ブクオフにて1,000円だったので購入。 各作家1つづつの長編(中編?)だが、どちらも凄い。 ボアロー「三つの消失」は、密室から絵画が消失し、塀から人が消失し、 更には囚人護送車が車ごと消失、と派手に消えまくる。 はっきり言って囚人護送車消失の真相はバカバカしく落第だが、前の二つ、 特に絵画消失の謎だけは唖然とした。 ミステリを読んでいる者ほど見破れない真相、というか、却って子供の方が 簡単に答えられるかも。それほど単純だが、普通は思いつかない。 ナルスジャック「死者は旅行中」は、船内の密室連続殺人。こちらも、密室 自体には面白さはないが、全体に渡る或る仕掛けと、主人公の立場そのもの に関わる真相が非常に秀逸。
17 :
名無しのオプ :2006/03/21(火) 11:08:45 ID:lqcIhttq
故・都筑道夫氏の選んだ奇妙な味短編ベスト5から、2編ほど。 J・スタインベック『蛇』 これは問題なく怖い。雄のガラガラ蛇に執着する女が怖い。 どうしてああも執拗に蛇がネズミを食べるところを見たがったのか。 なぜそれほど執着した蛇を(ry A・シュニッツラー『死んだガブリエル』 これは一読したときには意味がよく分からなかったが、再読してみて初めて話が分かってきた。 これも登場する女の心理が怖い小説だ。 それも男を自殺に追い込んだ女よりも、もう一人の、男に思いを寄せていた女の心理のほうが。 ついでに同じシュニッツラーの『レデゴンダの日記』も読んだ。 面白いけど、こちらはまさに典型的なドイツ幻想小説。 奇妙な味と呼べないこともないけど、ミステリーとは言えないと思う。 (まあ都筑先生自身は「一種の怪談」と言っているけど)
18 :
名無しのオプ :2006/03/21(火) 15:20:32 ID:r9IMTA7i
アンドリュー・クラヴァン『秘密の友人』(角川文庫)【8点】 精神科医のコンラッドは、殺人事件の犯人とされるエリザベスの診断を 行う。彼女はピンチになるとあらわれる「秘密の友人」が殺人を犯したと 主張するが……。同じ頃コンラッドの娘が誘拐され、ある要求を行う。 展開がうまく、ぐいぐい引き込まれる。新本格ファンなら気に入りそうな 真相もグッド。逢坂剛ならもうひとひねりするかも。
19 :
名無しのオプ :2006/03/23(木) 12:09:41 ID:XweMfoRc
ロイ・ウィンザー「死体が動いた」(ポケミス)、「息子殺し」「寝室に鍵を」(カッパノベルス) ・・・アイラ・コッブ物の「本格」ミステリ3作をまとめて読了。 まあ、このレベルの謎解きを「本格」というのはどうかな、と。 舞台となるナンタケット島の風物描写を楽しんでおけば良し。 但し「息子殺し」のタイトルだけは秀逸。読み終わって、 「そうか、だからこのタイトルだったのか!」と感心した。
20 :
名無しのオプ :2006/03/23(木) 16:52:31 ID:HsW9h9FL
ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」 読んでる最中、昔の女子高生コンクリ詰め事件が頭にちらついてどうしようもなかった。 とりあえず、今年読んだ中で最低最悪(つまらんという意味じゃなく)の作品でした。
21 :
名無しのオプ :2006/03/28(火) 17:46:40 ID:xfK+IlWb
迷宮の暗殺者 デイヴィッド・アンブローズ。 期待以上に面白かったけど、読了後にはたして現実はどちらなのか考えこんでしまった。
22 :
読後感 :2006/03/29(水) 18:33:03 ID:9fqDsJ8J
「壜づめの女房」(早川書房) 旧・異色作家短編集シリーズに入っていたアンソロジー。 どれも水準作ではあると思うものの余り心に残らず。 「めったにいない女」ぐらいか。
23 :
読後感 :2006/03/29(水) 23:04:39 ID:9fqDsJ8J
「大統領候補の犯罪」ダグラス・カイカー(新潮社) フリーの新聞記者マックは車が水に沈むのを目撃した。 車内には女性の死体があり、その女はマックが取材する予定の 大統領候補と何らかの繋がりがあるようなのだが… 前作「クラム・ポンドの殺人」を読んだときにも思ったが、 この人はミステリー書くのは向いてないね。文章が淡白だし、プロットの組み立て方もズレてる。 まあ無駄に近い読書であった。
24 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/03/32(土) 13:29:34 ID:i5d11dC8
J・D・カー「ヴードゥーの悪魔」を読んだ。 ジョンの力量が劣化した最後期の長編とはいえ、一言で評すれば、 たわいない凡作であった。 本格ミステリを読み慣れた私などには犯人は早期にわかってしまうし、 ミステリとしては、密室ネタと並んでジョン十八番の人間消失ねたと人間転落ねた のトリック解明が中心となるが、前者(馬車ねた)は、「漫画を活字で書くな!」 と言うた感じの手品まがいのトリックに過ぎず、後者は歴史ミステリ以外の過去作品 (ヘンリーもの)のトリック使い回しに過ぎない。 探偵役を務めるベンジャミン上院議員(実在の人物)の推理も、「そんなのは作中人物で あるお前にしかわからんわ」という強引な展開であり、初期エル作品あたりが好きな ミスヲタは非常に萎えるものがあるであろう。 ストーリー的にも全体的に描写が薄く、特に仮面舞踏会、深夜の幽霊屋敷の冒険 ヴードゥー教の教祖宅への侵入等のシーンは、いかにもジョンらしいお膳立てにも かかわらず、あっさり流されている感が強いのは残念である。 解説(森英俊)では、ニュー・オーリンズ三部作中では、最もミステリとしての 興趣に富むかの如く書かれているが、セールストークとしか思えないものがある。 トリックの面白さと犯人の意外性では「亡霊たちの真昼」、 ロマン性溢れるニュー・オーリンズ風俗小説としては「死の館の謎」をそれぞれ推す。
25 :
読後感 :2006/03/32(土) 16:37:51 ID:1/goQN5y
「溶ける男」ヴィクター・カニング(論創社) 私立探偵カーヴァーはさる大富豪から盗難車の捜索を依頼される。 どうやら車内にある機密書類が隠されているらしいのだ。 秘書の反対を押し切って依頼を受けたカーヴァーだったが その直後に命を狙われ、謎のアフリカ人からは手を引けと脅される。 果たして機密書類の正体とは? 時々オーソドックスなハードボイルドを読みたいときがある。 裏ぶれた事務所に佇む探偵と女秘書。大金持ちの依頼人。 そしてその娘姉妹―姉はしっかり者だが妹は身持ちが悪い―。 そんな道具立てを味わいたくて読んだ。だから最低限の満足感は 味わえたのだが、それ以上となると聊か心許ない。 主役や敵役の一瞬のアクションに場の転換を任せるという展開が 多い気がするのだ。殊に素人に過ぎない登場人物が主役顔負けの 早業を披露したりする。そんな時主役は止まっているかのように 感じられてしまう。 さらに敵役の有り得ない(主役に都合の良い)行動も腑に落ちない。 サイヤ人じゃあるまいし圧倒的有利な状況にあるのに わざわざ相手に塩を送るような真似をするわけがない。 これが映画ならあまり気にならなかったかも知れないが…。
26 :
名無しのオプ :2006/04/02(日) 10:45:01 ID:Z29dFRNh
『悪党どものお楽しみ』 パーシヴァル・ワイルド プロの賭博師ビル・パームリーは引退後、 その知識と経験をいかしていかさま師の巧妙なトリックをあばく、 ユニークな名探偵として引っ張りだこになる。 「ポーカードッグ」他、豊富なアイデアとユーモアに彩られた全8篇。 面白かった。『良心の問題』と『火の柱』が特に。 トリックは単純で見抜けてしまうものや 感心しないものもあるんだけど その奥にもう一つ仕掛けがあるのが嬉しい。 読んでる最中に「これは漫画にしたらいいだろうなぁ」 と思いました、絵なら解りやすだろうし。 余談だがトランプのカシーノって面白そうだ。
27 :
名無しのオプ :2006/04/03(月) 22:30:03 ID:2Ib8xjfK
「空のオベリスト」 デイリー・キング 国書刊行会 暗殺の脅迫を受けたエイモス・カッター医学博士、しかし兄の国務長官の 手術に向かわなければならない。 そこで警察に身辺警護の依頼をし、ニューヨーク市警きっての名警部 マイケル・ロードが乗り出すことに。 十分計画を練り、航空機にのり出発するが、空上で当のカッター博士が倒れてしまう・・ 凝った趣向のミステリで評判のようだがいまいち楽しめなかった。 事件自体シンプルなフーダニットだし、何より分刻みの細かいアリバイ崩しがあまり好きではない のが大きい(何分にどこを出て、どこにいたとか) 探偵のロード警部もいまいち魅力にかける、いわゆる恋に狂う操作に偏見をまじらせるキャラクターはうざったい。 ラストのどんでん返しはなるほどとは思うが、前段でいまいち話に乗れなかったので フーンとしかならなかった。 評価が高いのは理解できるが、自分には合わなかった。
28 :
名無しのオプ :2006/04/05(水) 09:46:25 ID:f8ygnUX2
L・L・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」(ポケミス) 何やら、あちこちの書評で絶賛だそうだが・・・。 まあ、女性警察官をかなりハードに描いた警察小説として、更に米国の地方都市の 状況を上手く描いている点など評価できるけど、読み終わっても、だから何?という 感想しかなかった。 国も違うし、警察を取り巻く状況も違うけど、これなら、横山秀夫の方が面白い。
29 :
名無しのオプ :2006/04/05(水) 14:27:48 ID:6m6YU3nK
プロンジーニ&マルツバーグ「裁くのは誰か?」 フィニッシングストロークで有名な(?)作品だけど、あまりやられた感はなかった。 メル欄1を先に読んじゃってたせいもあるだろうけど、伏線が少なすぎたから。 穴も結構多い。メル欄2が普通に街中を歩いてたり。ありえないでしょう。
30 :
名無しのオプ :2006/04/07(金) 20:27:16 ID:CU+leeGk
>>18 >新本格ファンなら気に入りそうな真相
そんなのあったっけ?ぜんぜん覚えてないや。
自分は映画化作を先に観てから読んだ口だけど、なんだか全く面白く思えなかった記憶だけある。
たしか登場人物がみんな紋切り型で詰まらなく感じたような気がする。
同じ作者の「真夜中の死線」が抜群に面白かった(こちらも映画が先)せいで、
同じ作者なのにどうしてこうも違うのか!?と驚いたもんだ。
31 :
名無しのオプ :2006/04/09(日) 01:11:24 ID:bfvwT/xM
「復讐は俺の手に」ミッキー・スピレイン 正統派ハードボイルド愛読者からはキワモノ扱いされているマイク・ハマーものの一作。 即物的な暴力とエロが満載だが、「人殺しを撃って血を流してのたうち回るのを 見るのが何より好き」とうそぶくマイク・ハマーの狂気すれすれの個性が、 単なる扇情的なだけのエログロ小説とは一線を画しているものにしている。 クライマックスには、「この時代にこのネタ?」とちょっと驚くようなツイストも 効かせてある。 ただ、ネタバレになるから詳しく書けないが、作者が嫌悪(と、いくばくかの嘲笑) を持って描いているはずの犯人を、物凄く魅力的に感じてしまうのは、 おそらく自分が特殊な嗜好を持っているせいだろう。 (普通の人が同じように感じるとは到底思えない) 何人もの人間を非情に殺したことを別にすれば、自分はこの犯人に 強い憧れと羨望を抱かざるを得ない。 強烈な個性の探偵と魅力的な犯人、この二つが揃ったミステリが つまらないわけがない。 重ね重ね言うけど、他の人がどう思うかは知らない。
32 :
名無しのオプ :2006/04/09(日) 10:58:41 ID:oA3twDEk
スピレインは、90年頃に久々に出た作品で、犯人パターンを変えたんですよね。 年齢を重ねて彼も変わったのか、と読んだ当時は感じました。 インパクトもちょっと減っちゃったし。 女子中学生の頃に読んだスピレインは、カッコ良かったです、ヴェルダにも憧れたしw。
33 :
読後感 :2006/04/10(月) 00:18:12 ID:vj/CIYf0
「あなたに不利な証拠として」ローリー・リン・ドラモンド(早川書房) 5人の女性警官の物語を集めた短編集。池上冬樹が火付け役で 話題になってるとか。図書館の予約者20人で驚いた。だからジュン(ry うーん…わざわざ読まなくても良かったな。 元々守備範囲外でもあるけど、なんつーか目新しさがない。 警察に対してマイナスなイメージしか感じられないし。 一番は…わからん!
34 :
読後感 :2006/04/12(水) 16:02:02 ID:n2lDz2C2
「バトラー弁護に立つ」ジョン・ディクスン・カー(早川書房) 若手弁護士ヒューの所にやって来たトルコ人は彼に 「貴方の手套のせいで魔術師の兄弟が殺される」と告げた。 訳の解らないまま他用で席を外したヒュー。しかしそのわずかな間に トルコ人は謎の死を遂げてしまう。殺人だと直感したヒューは 警察よりも先にパトリック・バトラーに助けを求めようとするが…。 「疑惑の影」の弁護士バトラー再登場。 今回はフェル博士抜き、ピンの探偵役です。 私実は前々からカーはストーリーテリングが弱いなと 思い始めていたのですが、今回は面白かったです。 嫌疑をかけられ逃げ惑う主人公と彼に関わる二人の美女との 恋の行方やいかに…みたいな感じで。 外郭だけでなく中身もちゃんと詰められていて、 ドラマ部分の作風はディヴァインを想起させました。 ただ密室の謎はかなりしょぼいのが残念。 それにしても(メル欄)はミスリードだと思ったのになあ。 バトラーってつくづく不運なんですね。多分これからもw
35 :
名無しのオプ :2006/04/12(水) 23:41:15 ID:q0MQrArZ
「悪魔の報復」エラリー・クイーン(創元推理文庫) 「エラリー・クイーン、ハリウッドへ行」く第一弾。 発電会社社長ソロモン・スペイスは、災害による倒産の際、 不正な手段で利益を着服していた。 共同経営者リース・ジャーディンはじめ株主は破産の憂き目あうことに。 ソロモンの息子ウォルターは父親に説得を促すがいがみ合いの平行線だった。 そんな中でソロモンが自宅で死んでいるのが発見された。 死亡時彼に会いに行っていたのはウォルター。 しかし彼は間違えてリースのコートを着ていったがために、リースに嫌疑がかかってしまう。 しかもあろうことかウォルターはそのことを警察に黙っているのだ・・・ 真相を究明すべく、リ−スの娘ヴァレリーがにわか記者となって捜査に当たることに、 その助手としてキザなやり手記者ヒラリー・キング氏あらためエラリー・クイーン氏が登場と相成ったのである。 クイーンの作品には珍しくコメディー色が強い一品。 ハリウッドを舞台にウォルターとヴァレリーのツンデレな恋愛模様や、 映画プロデューサー、ブッチャーに待ちぼうけを食わされ、無精ひげまみれのエラリーと その変装など、全編に陽性のはっちゃけた道具立てとなっている。 ミステリーとしてはクイーンらしいロジックの妙も殺害トリックについてもさほど見るべきものはない。 楽しむべきは登場人物たちのラブコメやドバタなのだろう。 ハリウッド映画のように、ただ楽しい時間を過ごすにはもってこいだと思われる。 ちなみに創元の青田訳(このひとはハヤカワ版のクイーンの印象が強い)は「悪魔の報復」で、 ハヤカワの尾坂訳では「悪魔の報酬」となっていてどちらが正しいのか迷うが、 原題のDevil to PAYは「後の祟り」意味もあるらようだ。
36 :
名無しのオプ :2006/04/14(金) 16:50:41 ID:qLtgP8rg
「エンジェルズ フライト」マイクル・コナリー(扶桑社ミステリー文庫) 面白かった。この作者は、この頃が書き盛りだったのだね。
37 :
読後感 :2006/04/20(木) 21:54:21 ID:AygyLG1g
「消えたエリザベス」リリアン・デ・ラ・トア(東京創元社) 若い女中エリザベスが休暇中に姿を消した。 家族や知り合いは必死に捜索するが行方は杳として知れない。 そして4週間後、見るからに憔悴したエリザベスが実家に現れた。 身を案じていた一同は彼女から見知らぬ家に 監禁されていたことを聴き出し、場所を突き止め、 エリザベスも確認するが、その家は何故かエリザベスの話とは 微妙に食い違っていた。 果たして真実は? 18世紀半ばロンドンで実際に起こった失踪事件を基にした 実録ミステリー。カーの「エドマンド・ゴドフリー卿殺人事件」に 触発されて書いたらしい。何箇所も引用されている。 構成は半分以上を事件の発生と捜査、裁判の顛末と エリザベスのその後に費やし、その後著者の推理を披露する といったものだが、正直面白くない。退屈。 ハラハラドキドキの法廷劇もないし。 カーのは違うと思いたいが如何に…。
38 :
読後感 :2006/04/23(日) 14:05:25 ID:O9S4AYjB
「九死に一生ハンター稼業」ジャネット・イヴァノヴィッチ(扶桑社) ステファニー・プラムの今回の仕事は失踪した黒人青年の捜索。 彼の勤務先の経営者3兄弟に疑惑を向けた矢先、 ステフの部屋に花束とグロ写真と不気味なメッセージが届く。 その後関係者が次々と殺されその度にメッセージがステフに付き纏う。 恋人モレリの家に移ったステフはビビりながらも仕事を続けるが…。 最初に言っとくと僕はこのシリーズのファンではありません。 5作目以降のステフにはイライラし続けて 前作ではその言行不一致ぶりに嫌悪感が芽生えました。 要らないと思うキャラもいますし。 しかしそれらを度外視してもこれは凡作だと思います。 テーマに新鮮味がないしプロットに捻りもない。 3年ぶりの邦訳ということもあって喝えた喉にはそれなりに 気持良いでしょうがやはり質が低下して来ている気がします。 単にテーマ選びの失敗のせいであると思いたいところですが… (と一応言っとく)。
39 :
読後感 :2006/04/29(土) 01:47:22 ID:XgF3dqno
「情況証拠」スティーヴ・マルティニ(角川書店) 弁護士ポールはかつての上司ベンの殺人事件に際し、 被告となった未亡人タリアの依頼を受けて 彼女の弁護を担当することになった。しかしポールには かつてタリアと関係していたという過去があり、その事実が 公私に渡り彼を追い詰めていく…。 以前誰かがフィリップ・マーゴリンとスティーヴ・マルティニは 新本格好きにも受ける!と断言していてあまり法廷物に食指の 動かない自分は刺激されマルティニの「沈黙の扉」を読んでみた。 法廷物ではなかったが真相には驚き、思わぬ収穫に喜んだ。 その後マーゴリンも2作程読んだのだがこちらは今一つだった。 で、本作。 法廷物は大概が味気無い4字熟語タイトルで上下二分冊なのが まず手に取りづらいね。閑話休題。あとがきにもあるように 丁寧に手順を追って書き、その都度テクニックや各々の思惑を 絡ませていき読み手を飽きさせない。そして 真相をきちんと提示し、伏線も用意しておく、と。見事な流れだね。 ただ中盤で真相は見当ついてしまうけど。捻りは「沈黙の扉」が上か。 とりあえず「重要証人」は読むつもり。
40 :
読後感 :2006/04/29(土) 02:15:35 ID:XgF3dqno
「ハニーは闘牛がお好き」G・G・フィックリング(早川書房) 幼馴染みの元恋人から連絡を受けてメキシコへやって来たハニー。 彼は闘牛士になっていたのだが、闘牛場で命を落としてしまう。 惨劇を目撃したハニーは控室に走るが死体は持ち去られた後だった。 単身真実を追うハニーだったが…。 久々フォー。 色っぽい美人探偵ハニー・ウェストの活躍を描くシリーズ第7作。 今回もハニーは冒頭から泥レスしたりマッパで逆さ吊りにされたり 酔いどれ船長にペッティングされたり人違いでストリップさせられて 淫らな悦びに目覚めたりエロ警官にブラジャーに手を入れられたりと 散々エッチな目に遭ってくれます。しかしそれだけじゃなく このシリーズはフーダニットにも割と力を入れており 一筋縄では行きません。 未訳の2冊(?)の翻訳が待たれます…頼むぞ論創! ドラマも観たいなあ。アン・フランシスって 「暴力教室」で観たときはパッとしなかったけど裏表紙の写真は なかなかセクシーでいいじゃないか。テレ東の昼にピッタリだ。
41 :
名無しのオプ :2006/04/29(土) 19:43:21 ID:n0Blxpnz
エドワード・D・ホック 『サム・ホーソーンの事件簿T』(創元文庫)【7点】 医師ホーソーン氏が出会った不可能犯罪の数々。 密室もの多し。「水車小屋の謎」にものすごく感心した。 あとはまあ、ふつうかな。それでも読ませるけど。
42 :
名無しのオプ :2006/04/29(土) 19:52:44 ID:n0Blxpnz
>>39 あー、マーゴリンとマルティニ勧めたの自分です。
『状況証拠』が楽しめたなら『重要証人』もいけると思いますよ。
マーゴリン、駄目でしたかあ。(・c_・`)ソッカー
43 :
名無しのオプ :2006/04/30(日) 01:34:44 ID:NYAR2ysE
>>42 マーゴリンも作品によって、やや出来にムラがある気が。
力作王道!ってのゆーのと、B感溢れるのと。
44 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/04/30(日) 16:03:05 ID:g2knthzH
ダシール・ハメット「ガラスの鍵」を久々に再読した。 ハメット自身が最も気に入っていた長編とのことだが、確かに著名な「マルタの鷹」 「赤い収穫」よりも、ハードボイルド・ミステリとしてのまとまってが良いと 思われる作である。 市会議員の息子殺しに他の殺しも絡み、物語はスピーディに二転三転し、 解説の中島河太郎氏は、ハードボイルド作品の謎解きの興趣の薄さを指摘しているが、 本作に関しては、本格としてはともかく、サスペンス・ミステリとしては十分に面白い 物語足り得るものとなっている。 また、既に元祖ハメットの段階にして、 ハードボイルド・ミステリ=私立探偵小説という固定観念を打ち破る作でもある点も 指摘しておきたい。 (主人公はギャンブラーだが、実態はヤーさんである。選挙を巡る裏社会の攻防は 時代性を感じさせる部分はあるが、かなりリアルな感がある) 文豪ジードは、ハメットはミステリに自己の才能を浪費していると見ていたらしいが、 同時代のアーネスト、ウィリアム、ジョン等(全てノーベル賞作家)と比較して その評価を鑑みると、この評は正鵠を射ていると言わざるを得ないものがある。 ダシールが、ハードボイルド・ミステリの祖となり、金銭的な成功を得るのとは 引き換えに大きなものを失う結果となったように思うのは、果してジードと私のみ であろうか?
45 :
名無しのオプ :2006/05/02(火) 19:57:27 ID:NVXYLhdt
『殺しの儀式』ヴァル・マクダーミド(集英社文庫)【8点】 地方都市で発生する男性の連続殺人事件。 遺体には凄惨な拷問の痕が。犯人はゲイの男か? 心理分析官トニー・ヒルと女捜査官キャロルが犯人に挑む。 1995年のゴールド・ダガー賞受賞作。 ベスト・オブ・GD賞の候補作5本のひとつ。 凄惨な犯行シーンとゲイの生態などちょっと引くが、読ませる。 ただ、犠牲者の共通点とか犯人とかの真相がちょっと浅い。 おもしろかったが、伝統あるGD賞の五指に入るかは疑問。
46 :
読後感 :2006/05/03(水) 13:30:13 ID:FQNH0cCa
「パコを憶えているか」シャルル・エクスブライヤ(早川書房) 父の仇のマフィアを激しく憎む刑事は知り合った不良青年を 囮として仇の店へ送り込む。しかしその後しばらくして 青年は消息を絶った。自責の念に苛まれる刑事。 そんなとき、マフィアの許に送られてきた手紙。そこには 「パコを憶えているか」と書かれていた。そして連続殺人の幕が――。 エクスブライヤのデビュー作で冒険小説大賞受賞作。 フランス・ミステリにしてはよく出来ているが、 少々過剰な演出のせいで今の読者には 途中で真相がわかってしまうだろう。 シリーズもののようなユーモア性は欠片もないので注意。
47 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/05/03(水) 16:06:42 ID:YwV+eXRv
ジェフリイ・ハドスンことマイクル・クライトン「緊急の場合は」を読んだ。 才人クライトンのデビュー作にして、68年のアメリカ探偵作家クラブ賞を受賞した 医学ミステリだが、偶然をきっかけに解決してゆく展開で、真相にもさしたる意外性も 無いため、謎解きミステリとして読むと期待を裏切られるものがある。 賞を獲得したとはいえ、本作後にはクライトンがミステリと言える作を書いていない のは、やはり適性の無さを自身で感じ取ったゆえであろう。 むしろ、附記の医学関連薀蓄(現代にも通じるネタも多い)の方が本編よりも 面白いくらいである。 従って、クライトンがデビュー作で医者を主人公(臨床医ではなく病理医というのが この作者らしい設定ではある。従って主人公のキャラは、後年のSF作品等に登場する 科学者キャラとも一脈通じるものがあり、探究心旺盛という特質が探偵役向きではある)にして、ロスマク風のハードボイルド・ミステリを書いていたという物珍しさのみが 現時点における存在価値とも言い得る作かと思う。 本書中にある医学知識は現在では古くなっているものもあり得るので、 2ちゃんねらー中に医学博士号等を有する者(いないとは思うが(w )がいれば、 ざっと検証して欲しいものではある。(熟読し、心して書け!)
48 :
読後感 :2006/05/03(水) 18:25:21 ID:FQNH0cCa
「ハニーに死の接吻」G・G・フィックリング(早川書房) ハニーが交際していたフットボール選手が殺された。 彼が生前ヌーディスト・クラブに関わっていたことを知ったハニーは 友人の新聞記者フレッドと共にクラブの総本山に乗り込むが…。 シリーズ第6作。今回はお色気は割と抑えめ。 催眠ストリップ未遂と強制ストリップ未遂が一度ずつと ペッティングが少々といった感じ。 フーダニット部分は不可能状況が明確に提示されるため 見当がつくし、トリックもポピュラーなものだった。 これで邦訳があるものは全て読んだぽい。 このシリーズは基本的に一話完結だが父親の死という シリーズ通しての謎があるから 残りも是非翻訳してもらわなければ困る。 それまでは和製ハニーってことで 女囮捜査官シリーズを読書再開しようかなぁ。
49 :
名無しのオプ :2006/05/04(木) 19:31:57 ID:z6uakAC4
「ハートの4」エラリー・クイーン(創元推理文庫) 「エラリー・クイーン、ハリウッドへ行く」第2弾。 前回「悪魔の報復」で図らずも謎解きに遭遇したエラリーだが、 相変わらず映画プロデューサー、ブッチャーにアポイントがとれずついにキレて 帰ろうとしたところでようやく会えることに。 しかも想像とは裏腹にブッチャー氏は快活な好青年で、あッというまに エラリーはほれ込んで契約を結ぶ。 脚本家エラリーの仕事はハリウッドきっての名優であり、元恋人であったはずなのに 今は強烈なほど犬猿の仲であるジョン・ロイルとブライズ・スチュワートの伝記映画の作成だった。 しかもまた彼らの子供で、親にも負けないほど仲の悪いタイラー・ロイル、トーランド・スチュワート も出演させるという。 一筋縄では行かない仕事になりそうだと思った矢先、ジョンとブライズの電撃結婚のニュースが舞い込む。 あれよあれよという間に飛行機での新婚旅行が始まる始末。 ところが、パイロット役のタイラーに成りすました何者かによって新婚の二人は殺されてしまうのだった。 前作同様ドタバタとラブコメがこれでもかと出てくる作品。 カーの作品にも引けをとらない強烈な個性を持つ恋人たちがしっちゃかめっちゃかやってくれます。 しかも今度はエラリーまでハリウッドの陽気にやられたのか、引きこもりの敏腕芸能記者、 ポーラ・バリスのミリキにコロリと参っちゃってしまうという何でもありの展開。 ロジックとかラブコメ禁止とか鹿つめらしい意見は抜きにしてリラックスして読むのがいいです。 腹が立ってしまう人もいるかもしれないけど・・・ 後年の悩みに悩むエラリーもいいけど、こういう陽気なエラリーもいいものですな。
50 :
読後感 :2006/05/06(土) 01:36:23 ID:XrXNl3U5
「バビロン行き一番列車」日本リーダーズ ダイジェスト社 中編アンソロジー。 「バビロン行き一番列車」マックス・アーリック 一人の男が止むに止まれぬ事情で犯した犯罪が10年後 全く無関係な夫婦を苦しめるという心理サスペンス。 感動的だった。是非ドラマ化してほしい。 「ねらわれた男」マイケル・ケニアン 結婚したくて悩んでいる太り気味の中年男が旅行先で スパイの暗闘に巻き込まれるというサスペンス。ヒッチコック風? まあまあおもろい。 「裏切り」マージャリー・アリンガム 『金貸しが殺された。犯人はバスを運転していたらしい。 しかも車内には二人の乗客が平然と座っていたという』事件を 探偵が解決しようとする本格ミステリー…なんだが、 中途半端で尻すぼみの見本みたいな作品。 探偵が活躍しないし驚きもない。 こういう知られざるアンソロジーに関する情報をお待ちしています。
51 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/05/06(土) 16:45:56 ID:RcvGw3zp
ロビン・クック「コーマ 昏睡」を読んだ。 今は映画「アウトブレイク」の原作者と言うた方が通りがいいかもしれぬ、 この作者(コロンビア卒の眼科医)が十八番とする医学ミステリ第一弾である。 現代よりも医学や医師に対し神聖視されていた刊行当時には、まさに衝撃の展開 と言い得る内容を持っていた本書だが、法や医学の時代の変遷によりインパクトは やや弱まった感はある。(今でも根深い問題は残存しているが) また、ヒロインである女性研修医の傍若無人とでも形容したくなるような暴走ぶりは あまりに現実離れしており、シリアスなテーマに反して、創りものめいた感を強く抱かせてしまったのは残念であり、特にハリウッド製2流アクション映画のような後半の展開は、作品全体を安っぽいものにしており、はなはだ頂けないものがある。 この辺は、同じ医学出身の作家ながら、優れたストーリーテリングでトンデモな物語も 自然に読ませてしまうクライトンとの力量差であろうか。
52 :
名無しのオプ :2006/05/10(水) 02:45:54 ID:TBTPR6BA
ロビン・クックってイギリス人かと思ってましたが、コロンビア卒だったのですね。 同じ医師作家なら、キース・アブロウやポール・ウィルソンが好きですが。 マイケル・マーシャルの「the straw men」読みました。 鋭敏な知性と文学的スキルに魅了されて楽しむのが好きな方には、まさにうってつけ と言える傑作です。日本のアマゾンではまだ読者評もない、隠れた名作ではないでしょうか。 文学的スキル、と書きましたが古典的な筆致ではなく、シャープな感性で語られる俗な会話も 快感、という現代的な書きっぷりです。レハインなどが好きな方は、はまるのでは。 翻訳も出ていると思うので、このテの好きな方、ぜひぜひ試してください。 私はこの一作にノックダウンされ、続編をすぐさま注文しひたっているところです。
53 :
名無しのオプ :2006/05/17(水) 17:58:18 ID:FI05+d19
メリー・ディア号の遭難…3/10点 船のシーンがうざい。言葉を尽くして船の状態を語られても、 「それはもうわかったから話を進めてくれよ」という感じしか受けない。 余計なシーンを取っ払ったら中身がスカスカ。 時間のムダだった。
54 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/05/20(土) 16:33:09 ID:x29ilf3+
>>53 今、イネスを読んでもねぇ…マクリーンやバグリイならまだしも読めるが。
ネルソン・デミル&トマス・ブロック「超音速漂流」を読んだ。
トマス単独名義の旧版を面白く読んだ記憶があるが、
共著となった改訂版を現時点で読むと、70年代の作らしい設定の粗さ、
古さが目立つ印象が強い。
超音速機誤射に到るプロセス、素人パイロットの強行ランディング、
終盤の機内の対決場面等、雑で強引な展開は、一時期流行した2流の航空パニック映画を
見せられた気分である。
そもそも携帯電話やPCが普及した現代では、展開が180度変わる可能性がある
パニック小説が、どこまで読者の支持を得られるか疑問である。
主人公の家庭生活に厭いた孤独な中年男(セールスマン)が、直面した航空事故を
きっかけに精神的に再起してゆくという冒険小説の基本線に忠実であること、
(守るべき対象は、同じく生き残った美人スッチーと乗客の美少女であり、
この辺は古来の英雄物語さながらである)
酸素不足で発狂した乗客・クルーたちの描写が凄惨であり、ゾンビー映画まがいの展開
を示すところ等に、いかにも70年代の作らしいものが感じられる。
55 :
名無しのオプ :2006/05/20(土) 16:50:44 ID:nGI9V9q1
ポケットにライ麦を 激怒するマープルおばさん初めて見た… さすがに何冊も読むと、クリスティの犯人の傾向が見えてくる
56 :
名無しのオプ :2006/05/20(土) 20:21:19 ID:aqCiNPbP
書斎に同意。
57 :
名無しのオプ :2006/05/20(土) 20:30:36 ID:p0KaAF12
>>55 クリスティは、キャラ立てとストーリーの構築がしっかりしてるから
(トリックがわからなくても)なんとなく犯人がわかったりするよねえ。
(フェアだからだけれども)。
58 :
読後感 :2006/05/22(月) 02:05:41 ID:75kgyS3q
「思考機械の事件簿V」ジャック・フットレル(東京創元社) 久々ライヴァルたちに回帰。 唯一の長編含めて特に印象に残る話はなかった。 敢えて言うなら「緑の目の怪物」がちょっと面白かったかな。
59 :
名無しのオプ :2006/05/24(水) 21:12:13 ID:Ri+9jc6Y
「社交好きの女」レジナルド・ヒル(ハヤカワミステリ) ラグビーの試合中、頭部を強打し一時は意識を失ったサム・コナン。彼が我が家に帰ると、妻はサムに口を聞こうとしない。 痛む頭をこらえつつ夕食の支度をするが、急に気分が悪くなり二階の部屋で気絶してしまう。 数時間後、地区警察に通報が入る。通報者はサムで、なんと彼の妻が頭をカチ割られて死んでいるというのだ。 サムと同じラグビークラブに所属している、アンドルー・ダルジール警視とその部下ピーター・パスコー部長刑事が 事件に乗り出すが、ラグビークラブ内の嫉妬と疑惑渦巻く人間関係に苦労することになる・・・ 現代英国本格の雄、レジナルド・ヒルのデビュー作にしてダルジール警視初登場作。 さまざまな人物描写や絡み合った人間関係が次々に明らかになる過程は、処女作とは思えないほどこなれている。 大きな謎やトリックがないのでそこいら辺がミステリとして弱いととられる可能性もあるが、 それが作品の質を貶める要因にはなっていない。なかなかの佳作だろう。 ダルジール警視は下品でえげつない性格だが、破天荒な行動が解決を呼びよせるドーヴァーやフロストのような凡人型というよりは、 モースのような天才肌の印象を受けた。 「骨と沈黙」などヒルの名を不動にした作品群も読んでみたいところだ。 とりあえずこの作品に出てくる男たちはスケベだ、しかもおっぱい大好きだ。 パスコーは若いといっても三十路近いんだから出てくる美女によだれをたらしてばっかいないでもっと欲望を抑えなさい。
60 :
読後感 :2006/05/29(月) 02:00:28 ID:YUArfPdE
「マックス・カラドスの事件簿」アーネスト・ブラマ(東京創元社) また「ライヴァルたち」。めくら探偵の活躍を描いた短編集。 「フラットの惨劇」は消防の頃漫画版を読んでいたが、 改めて原作を読み選ばれたのも頷ける一編だと思った。 他には「マッシンガム荘の幽霊」にトリックらしいトリックが 用いられていて印象に残ったくらい。 あとがきの中国を舞台にした怪奇小説読みたいなあ。 論創辺りが訳してくれんものか。
61 :
53 :2006/06/02(金) 20:36:23 ID:FnenJBjo
「偽のデュー警部」3/10 うーん……おもしろくなかった。 緊迫感も意外性も何もない、非常に淡々とした話だった。 主人公が「偽のデュー警部」を演じることによってなにがしかの障害、 葛藤が生じて然るべきところなのに、この話にはそれがない。 主人公の愛人アルマも、物語後半でほとんど意味のないキャラに 成り下がってるし。 なんでこれだけ評価されてるのか理解に苦しむ。
62 :
名無しのオプ :2006/06/02(金) 21:19:50 ID:WKTNmRoh
63 :
53 :2006/06/02(金) 21:46:15 ID:FnenJBjo
>>62 ディーヴァーが好きかな。
最近はロバート・V・ヒューリックを読んでる。
64 :
名無しのオプ :2006/06/02(金) 22:13:54 ID:6IAW91gH
>>61 自分はディーヴァーもラヴゼイも好きだけど確かに
「偽のデュー警部」はそれほどおもしろくなかった。
ダイヤモンド警視シリーズは好きだけど。
マクダーミドの「殺しの儀式」もそうだけど、なんで
これが「Gダガー賞中のGダガー賞候補作」になったんだろう?
65 :
読後感 :2006/06/03(土) 20:03:20 ID:2YQjnQLO
「イノセント 上・下」ハーラン・コーベン(講談社) 過去に犯した殺人に苦しみながらも服役も終え、美しい妻を得て 幸せを取り戻しつつあったマット。しかし、出張中の妻から 携帯に送られてきた映像――それは妻と見知らぬ男とのホテルでの 密会現場を映したものだった。ショックを受けるマットだが、 妻は何事もなかったかのように電話をして来るのだった。 そしてマットに迫る尾行者と不気味な電話。 妻の身に何が起こっているのか? マットは知り合いの私立探偵の力を借りて 真実を突き止めようとするが遂には殺人の容疑者として 指名手配されてしまう! 読み出したら止まらない面白さ。秀逸なプロットに唸った。 不純な動機なんてすぐ吹っ飛んでしまったよ。 久々読み応えのある海外ものに巡り会えたって感じ。 フーダニットも意外な真相も盛り沢山で楽しい。 ただ一つわからなかったのだが(メル欄1)は何をしたんだろう? (メル欄2)とか?
66 :
53 :2006/06/04(日) 00:27:45 ID:iduCJon2
「雷鳴の夜」ロバート・V・ヒューリック (4/10点) 3つの事件が絡みあう公案(←字はこれで合ってたかな?)小説。 しかし、どうしても前作「真珠の首飾り」(8/10点)より見劣りする。 隠し部屋ギミックが今ひとつ読者側としてディー判事と同化して驚けない。 なんというか、犯人側の動機が薄すぎて、話の内容までもが薄く感じてしまう。 それでも段階的なミスリードのやり方といい、伏線を余さず消化しきっている点といい、 凡百なミステリ小説とは一線を画してる。 ……ちなみに「凡百なミステリ小説」は当方基準で3点以下の作品。
67 :
北千束 :2006/06/04(日) 18:00:28 ID:IPuGHYqH
「灰色の栄光」ジョン・エヴァンズを読みました。 論創社からシリーズ第2作「悪魔の栄光」が出たばかりですが、 依然ポケミスの「血の−」「真鍮の−」を読んで私立探偵小説+サプライズ エンディングの連続でこのシリーズにはまりました。 幻の第5作はどうなったのでしょうか?
68 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/06/04(日) 20:07:19 ID:sSDkSEch
今さらながら、トマス・H・クック「緋色の記憶」を読んだ。 エドガー賞受賞作にして、日本でも刊行当時は好評、テレビドラマ化までされた作で はあるが、カバー(裏)の紹介文を読んだだけで「先が読める」感があり、 長く積読にしていた一冊。 今回、一読したが、やはりミステリとしては予想どおりの展開であった。 主人公の少年(語り部たる老弁護士の少年時代)の事件への絡み方を注視してゆけば、 おのずから「展開」は見えて来るのである。 また、水圧に関して無視又は無知な部分があるが、これは本筋に絡む部分だけに 頂けないものがある。 ただし、後に新潮文庫版「嵐ヶ丘」の新訳を担当(作品中には「嵐ヶ丘」への言及もある)する鴻巣友季子嬢の起用は、この暗く重い運命的な「小説」の雰囲気にはマッチしており、 適役であった。ミステリとしては、ニ級品以下の作と評せざるを得ないものの、 雰囲気とテーマに着目すれば、十分に再読に堪え得る作とも言える。 人間を描くこと、本作では人間の心の暗い奥底に迫ること、このような文学的試みが ミステリでなされるのは決して悪いことではない、かと思う。
69 :
名無しのオプ :2006/06/06(火) 18:40:52 ID:zcMf7/qd
書斎さんの評論はいつもためになりますね。 これからも、良書紹介、悪書批判、どしどしお願いします。
70 :
名無しのオプ :2006/06/06(火) 21:42:14 ID:myQoMpCv
書斎あぼんしてるからわかんない
71 :
53 :2006/06/07(水) 23:30:23 ID:2DsCyXZ5
「少女探偵ナンシー」キャロリン・キーン 3/10点 ありえない偶然の連続にめまいが。 結びついているようでてんで結びついていないふたつの事件。 散漫な要素だらけ。 当方、ナンシーよりはジュディのほうが肌に合うタイプの人間のため、 評価は低め。
72 :
名無しのオプ :2006/06/08(木) 17:04:54 ID:twftrsrf
「星を継ぐもの」 ジェイムズ・P・ホーガン SFらしいんですが、すげー面白かったです。 帯に SFにして本格ミステリ。 謎は大きいほど面白いに決まっている。 とあるのですが、確かにミステリみたいな感覚で読めました。特に後半。 中盤のあっちとこっちが繋がって前へ前へ進んでいく感じは気持ちよいです。 300頁にまとまってるのも凄い。ミステリ好きでもきっと楽しめるはず。
73 :
53 :2006/06/10(土) 23:33:49 ID:YyTUSjKr
「ルパン対ホームズ」【3点】 人物多すぎ・要素多すぎ・飽和状態。 与えられた情報を吟味するだけで手一杯。 真相にもさして意外性もないし。 タイトルから想像できるような痛快な話でもなんでもなく、 ひたすら地味な話だった。
74 :
名無しのオプ :2006/06/11(日) 22:33:42 ID:BL142QWQ
「切断」ジョイス・ポーター よくこのネタの話を聞きますが不意打ちで来られると想像してグロい… 折込部分の著者近影に騙されましたorz
75 :
読後感 :2006/06/14(水) 02:51:13 ID:ZVNkJatN
「シャーロック・ホームズのライヴァルたちB」(早川書房) アンソロジー。この頃の話はプロットがずば抜けて良いというのは なかなかないわけで、そうなるとキャラクター勝負になって来る。 そういう意味で最も印象に残ったのは<神秘博士アストロ>だった。 これは是非論創から短編集を出して欲しいね。 後は乱歩の「心理試験」そのままの連想テストを用いて 事件を解決する<ルーサー・トラント>や、 科学の見地から捜査する<クレイグ・ケネディ>、 <科学者探偵スプレイグ>等が印象に残る。 殊にスプレイグの登場する「黒枯れ病の謎」は事故が頻発する 鉄道会社の内情を調べるという少し変わったアプローチをしていて 興味深い。他に<ヴァイオレット・ストレンジ>も レディ・モリーとの比較を楽しむために論創アリかも。 更にライヴァルものではない怪奇短編「謎のカード」がまた凄い引き。 謎の美女から渡された読めないフランス語のカードを見せると 皆主人公を憎み、嫌い、去って行くという…。 思ったより楽しめたが読むの疲れたなぁ…。
76 :
名無しのオプ :2006/06/15(木) 12:08:00 ID:BdBVpFza
「謎のカード」は、何故この本に収録されたのかは知らないけど、 ストックトン「女か虎か」トウェイン「恐ろしい中世のロマンス」 と並ぶ、世界三大リドルストーリーだからねえ。 俺は初めて読んだとき、結末で身震いがしたよ。
77 :
53 :2006/06/15(木) 22:34:14 ID:7M++2+ER
「まるで天使のような」マーガレット・ミラー 【3点】 雰囲気重視の人には良。そうでない人には×。 当方にはひたすら退屈なだけの作品だった。 この人の著作、ブックオフの100円コーナーであらかた揃えたんだけど… 他に見るべき作品はあるの? まあ、名作の誉れ高い「まるで天使の〜」が合わない自分に、他の著作が合うとは思えんけど。
78 :
名無しのオプ :2006/06/15(木) 22:51:27 ID:wfX/25Ip
>>77 いや、ファンの中でよくマーガレット・ミラーの特徴が出てて好まれてるのは
「これよりさき怪物領域」
いずれにしてもP・D・ジェイムズとかレンデルとかの路線が駄目なら
合わないと思う
79 :
53 :2006/06/16(金) 23:46:59 ID:tPBB15Qi
「殺意」フランシス・アイルズ 【4点】 つまらん……ただ冗長なだけ。 中盤で殺人が起きてからはそこそこ読めるようになるが、 いかんせんそこまでがキツすぎる。 バークリーは初めて読んだけど、早くも失望してしまった…。
80 :
53 :2006/06/18(日) 00:03:49 ID:HhL8z+hV
「ウッドストック行最終バス」コリン・デクスター 【5点】 ロジックに次ぐロジック。脳味噌がうねくり返る。 これでもデクスター作では最も分かりやすい作品らしいが、 当方にはこれが精一杯かも。 爽快感よりは疲労感が残り、どこか腑に落ちないものを感じてしまう。
81 :
名無しのオプ :2006/06/18(日) 00:19:34 ID:ZW65W0LC
アイルズとバークリーを同じように考えない方がいいと思う。 アイルズ名義はバークリー名義と違って心理ものに偏ってるから ミラーが苦手だったということはレンデルやハイスミスも駄目かと
82 :
53 :2006/06/18(日) 02:32:32 ID:HhL8z+hV
>81 へえ、そうなのか……ご親切にどうも。 次はどの作家を攻めたものか……お薦めとかある? いまはわりあい読書に時間を割ける環境なんで、 薦められたものはとりあえず読んでみようかな〜と思えたりする。 今日明日はちょっと忙しいけど。
83 :
名無しのオプ :2006/06/18(日) 12:05:18 ID:Ka6yS0Lg
>>82 察するに多少文章が上手くなくても
一気読みできてハラハラできる作品がお好みなのでは?
ジェフリー・ディーヴァー『静寂の叫び』『ボーン・コレクター』
フィリップ・マーゴリン『暗闇の薔薇』『炎の裁き』
アンドリュー・クラヴァン『秘密の友人』
マイクル・コナリー『ザ・ポエット』
あたりはどうでしょう。
(マーゴリンは勧めて喜ばれたためしはないですが……)
84 :
名無しのオプ :2006/06/19(月) 19:51:58 ID:GPz4AEF5
>>83 マーゴリンの作品、
『暗闇の囚人』『黒い薔薇』が混ざっちゃっているようですw。
マーゴリン作品の中ではOKな選択だと思いますよ、私は。
『葬儀屋の未亡人』とか『野生の正義』で×な評価は理解できるけど。
85 :
名無しのオプ :2006/06/21(水) 01:13:13 ID:MKBmpN62
>>84 ありゃ、すいません。
『野生の正義』は未読なんです、文庫落ち待ちなので。
86 :
53 :2006/06/21(水) 22:28:37 ID:qTmn1rTV
>83 ありがとう。 そちらさんの推察どおり、ジェットコースター型小説が大好きなんだ。 とりあえず、「秘密の友人」をブックオフで買ってきた。 いま読んでる山田正紀の「女囮捜査官」を読了後に読みはじめることにするよ。
87 :
名無しのオプ :2006/06/24(土) 00:27:31 ID:yBm+iJaV
「オランダ靴の謎」クイーン いっちょ気合入れて読んでみようと、克明にメモを取りつつ熟読してみた。 そしたらちゃんとトリックも犯人もわかったよ! (ちょっと間違いがあって悔しい) この快感は凄かったわ。クイーンの凄味を体感。 舞い上がって国内スレに誤爆してしまいました(恥
88 :
名無しのオプ :2006/06/24(土) 00:52:28 ID:UwnWqFTV
>>87 引き続き「ギリシア〜」と「エジプト〜」でもガンガレ。
89 :
名無しのオプ :2006/06/24(土) 00:56:03 ID:wmGmY0Ka
90 :
名無しのオプ :2006/06/25(日) 01:29:20 ID:aLTXLE1I
>>88 「エジプト〜」は俺的に国名シリーズ最高傑作。読者の目にもさらされる、
たったひとつの何気ない証拠から犯人が明かされる圧巻のクライマックス!
堪能してね。次点は「シャム双子」かな。
91 :
名無しのオプ :2006/06/25(日) 02:11:30 ID:2WthnBT+
87
>>88-90 ありがとう
実はクイーンはちょっと苦手だったんだけど
今回丁寧に読んでみて、本格ミステリという物の醍醐味に触れた思いです。
理詰めの謎解きの迫力と言うかめくるめく感覚と言うか
今さら改めて言うのもなんだけど、クイーンは本当に凄い‥
92 :
名無しのオプ :2006/06/25(日) 23:08:26 ID:xruWxUNP
葬儀を終えて 犯人こえぇ…この手のタイプが一番苦手
93 :
名無しのオプ :2006/06/28(水) 01:04:56 ID:8Gt6+AG5
フィリップ・マーゴリン『氷の男』(ハヤカワ文庫)【7.5点】 百戦錬磨の刑事弁護士“氷の男”ことナッシュ。 有能であるがゆえに「有罪者」を世間に解き放ってしまう 矛盾に悩んでいた。ある日婦人警官殺しの容疑者の弁護士を 弁護することになるが、果たしてその弁護士は真犯人なのか? パタースンやトゥローに較べれば人物造形も浅いし法廷シーンも 物足りないけど、展開の速さとリーダビリティの高さは文句なし。 折原一の解説がマーゴリンの魅力を過不足なく書いている。 「人間ドラマ」より、ハラハラドキドキしたい人向け。 ブッコフ100円コーナーでよく見かける。
94 :
名無しのオプ :2006/06/28(水) 16:34:17 ID:oexovSge
A・サマラキス「きず」(創元推理文庫) 珍しいギリシャのミステリというか、現代文学? 感触としては、やはりラテンアメリカ文学やカフカを思わせるものがあります。 が、同じ警察国家や迷宮のような官僚制を描いても、カフカほど深遠で難解では ないし、ラテンアメリカ文学ほど混沌としてもいない、というか、やはりそこが 現代ヨーロッパ風なのでしょうか。 ドンデン返しがあるように書いてありましたが、さほどのものではありません でした。ただ独特の熱気に満ちた雰囲気は、ミステリ・プロパーとは一味違う ものがありました。
95 :
名無しのオプ :2006/06/29(木) 08:25:15 ID:znkitZYQ
某スレで誘導されたんでこっちで聞きます。 コリン・デクスターよりやや易しめぐらいの パズラー式小説ってなにかないですか? 「ウッドストック行最終バス」は面白かったんですが、 脳を酷使しすぎてしまったので。
96 :
名無しのオプ :2006/06/30(金) 16:08:31 ID:oXG5CiDX
デクスターよりやや易しめというのが難しいけど いわゆる黄金期の作家はどうですか? このスレでちょっと前話題になっていたクイーンやヴァン・ダイン、クリスティー 読みやすさならクリスティーかな。有名なのは多数あるけど 知名度では中位の「シタフォード」や「鏡は横にひび割れて」なんかも 読んでいる内自然に謎が解けてきてすっきりしました。 密室講義でよく引き合いに出されるJ・D・カーも面白いけど オカルト要素あり。これから自分も読もうかと思っているクリスチアナ・ブランドは 質問と逆の高難度パズラーらしいけど、気が向いたら挑戦しては如何でしょうか? 有名作家ばかりなので既読だったらスマソ。
97 :
95 :2006/06/30(金) 20:27:27 ID:2jbKbCOv
>96 どうもありがとうございます。 当方も偶然、クリスチアナ・ブランドの「緑は危険」を読みはじめたところです。 ですが、展開の遅いこと遅いこと…最初の事件が起きるまでが冗長すぎる。 挫折しそうですが、もうちょっとがんばって読んでみるつもりです。
98 :
名無しのオプ :2006/07/01(土) 11:34:29 ID:e9a3hgSd
ブランドはそれに加えて訳の古さも問題だけど、ガンガレ どちらかというとパズラーというより毒のある展開の方が色んな意味でメインかも ちなみに一番人気なのは「ジェゼベルの死」
99 :
名無しのオプ :2006/07/01(土) 22:47:10 ID:GgweOFZW
洩れも某スレでこっちを紹介されたんで質問します。 パトリシア・モイーズ作品で面白いの・お薦めのってありますか? 教えてくらはい。
100 :
名無しのオプ :2006/07/02(日) 02:00:44 ID:1TMpECfH
総合的な人気では 招かれざる客たちのビュッフェ>はなれわざ>ジェゼベルの死=緑は危険じゃないのかえ 初めに読むなら招かれざる客たちのビュッフェがいいんじゃないか。なぜなら短編集だから ジェミニークリケットと結婚飛翔読んでダメだったらブランドは合わないだろう
101 :
名無しのオプ :2006/07/02(日) 02:16:11 ID:rGen+RCD
物凄く既出だとは思いますが、ジェミニーは北村薫のアンソロジーの方が 良いのでしょうか? そちらははっきりと(招かれざる〜と異なり)真相を断定していると聞いたので
102 :
名無しのオプ :2006/07/02(日) 06:28:12 ID:FCOaTIXC
スレの内容が変わって来た
103 :
名無しのオプ :2006/07/02(日) 09:59:44 ID:mIqVFPDA
>>99 「死人はスキーをしない」「流れる星」
「殺人ファンタスティック」←名作だけどモイーズ入門には向かない
「死の贈物」「雪と罪の季節」「サイモンは誰か?」「死のクロスワード」
>>100 人気度と入門向きかだけで言うなら、その図式で同意。
ただし内容で順位を付けると
ジェゼベルの死=緑は危険≧自宅にて急逝=疑惑の霧>はなれわざ
と思う。ビュッフェは短編集だから比較から外した。
104 :
名無しのオプ :2006/07/02(日) 12:03:38 ID://WlTIqa
『ゴーストなんかこわくない』 R・グーラート 扶桑社ミステリ文庫 浅倉久志が好きな作家だということで喜んで訳したと聞いたので読んでみたのだが… 面白い謎解きがあるわけでもなく、怖い幽霊話でもなく、かといってユーモア部分が素晴らしいわけでもなく、 正直どこが面白いのかわからなかった。凡作。 古本で買ってなかったら金返せ!って思ったかも。
105 :
名無しのオプ :2006/07/02(日) 16:09:21 ID:0nKgHElt
>>100 人気というか、単に読まれている数的度合いの順序だね。
昔ブランド作品が軒並み絶版だった頃、長編では「はなれわざ」だけが
ポケミス新刊で比較的に入手容易だったという事情もあると思う。
後に文庫化されたけど。
106 :
名無しのオプ :2006/07/02(日) 20:46:22 ID:ZQxfHT0Z
えー、「はなれわざ」が一番おもしろいじゃん。 トリックに無理があるとか、置いといてさ。
107 :
名無しのオプ :2006/07/03(月) 02:23:08 ID:wTSjsB7k
ルイス・パーデュー、『ダ・ヴィンチ・レガシー』(集英社文庫) 図書館で借りた本なのですが、本文中の「屠殺工場」という訳語が まずかったらしくて、本の裏表紙におわびの文章が貼り付けてありました。 1980年代にいちど出版された本に手を入れ直して 2004年に再出版したとのことです。 「ダ・ヴィンチ・コード」のヒットで、作者も思うところがあったようですね。 感想はとくになし。
108 :
名無しのオプ :2006/07/03(月) 02:39:23 ID:JMx8/uIz
とりあえず ジェゼベルの死=緑は危険 これはない
109 :
名無しのオプ :2006/07/05(水) 14:29:15 ID:MvjwKyWW
age
110 :
95 :2006/07/07(金) 19:27:52 ID:lZOMWTpq
「緑は危険」読んだよ。 うーん……はっきりいって面白くなかった。 前にも書いたけど、話の立ちあがりが遅すぎるし、 キャラクターものっけから多すぎる。 展開も地味で、人を惹きつける魅力に欠けている。 10点満点だったら3点。
111 :
名無しのオプ :2006/07/12(水) 03:50:18 ID:ziaGvczH
ロス・トーマス『女刑事の死』(ハヤカワ文庫)【6.5点】 故郷で刑事をやっていた妹の自動車に爆弾が仕掛けられ、妹は爆死。 アメリカ中西部の故郷に久しぶりに帰郷したディルは、仕事のかたわら 妹の死の真相を探ろうとする。 アメリカで賞もとった世評高い作品ということで苦手なハードボイルドに 挑戦してみた。なるほどたしかに魅力的かつ一筋縄でいかない登場人物が 次々に現れ怪しい行動をとるが、サスペンスやヒネリという点では若干 物足りない。「そーいう読み方する小説じゃねーよ!」という非難は 重々承知だが、こういったケレンのない淡々としたストーリーは苦手。
112 :
名無しのオプ :2006/07/18(火) 21:13:57 ID:XCiAprwy
ロバート・ゴダード『石に刻まれた時間』(創元文庫)【7.5】 愛妻を不慮の事故で亡くした主人公は、義妹夫婦の新居「アザウェイ」に 身を寄せる。その家は不吉な歴史に彩られた家であり、親友である義妹の 夫は主人公に不安を漏らす。数代前の主人も妻の不貞を疑って殺人を犯し、 その弟はソ連のスパイとして亡命していたという。 そしてついに主人公の周辺にも不可解な現象が。 果たして愛妻は事故死だったのか。家に隠された秘密とは? 久しぶりに読んだゴダード。評判はあまりよくないけど、十分におもしろかった。 (メール)は賛否あるだろうけど。ラストもよく飲みこめなかった。
113 :
名無しのオプ :2006/07/23(日) 21:59:30 ID:5bmCr1m2
ブリジット・オベール「死の仕立屋」「神のはらわた」の2冊を一気読みしました 「死の仕立屋」のオチにあんぐり フランス産のバカミスに感動いたしました シリーズ第3作はどうなってるの?
114 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/08/05(土) 22:52:46 ID:PYhmZP7r
ミッキー・スピレイン「ねじれた奴」 著名な科学者と天才的な頭脳を持つそのひとり息子、 彼らが住む邸宅をメインな舞台に、そこに集まった遺産目当ての一癖ある親戚連中等が 魑魅魍魎が如く絡み、誘拐、殺人、襲撃…等の事件が連続する。 悪徳警官や好色な美女が登場する等、スピレインらしいエロとバイオレンスの要素も 盛り込まれているが、基本線はハマーの事件としては異色な「館もの」であり、 物語設定の仕方によっては、探偵はエルやエルキュールでもいいような作だが、 ストーリー的には、作家エルの不朽の名作を想起させるような展開が印象的である。 また、知らぬ者はいないあのホラーの古典を思い浮かべることもあろう。
115 :
名無しのオプ :2006/08/05(土) 22:54:50 ID:lM1keQfX
116 :
名無しのオプ :2006/08/06(日) 22:06:41 ID:WyfStGC4
『午後の死』今さらながら読了。 あぜんのラスト・・・・・・これって新本格じゃんよー
117 :
名無しのオプ :2006/08/09(水) 21:07:15 ID:M/5DHxew
「シンデレラの罠」一人四役が売りらしいが何が凄いのか さっぱりわからず。それにしてもフランス文学は読みづらい。
118 :
名無しのオプ :2006/08/09(水) 21:28:15 ID:o4JggxMO
ネタバレ?
119 :
名無しのオプ :2006/08/09(水) 22:13:35 ID:+otLan10
120 :
名無しのオプ :2006/08/09(水) 23:46:23 ID:TwRRxET3
121 :
名無しのオプ :2006/08/10(木) 08:56:34 ID:EBw7jNtx
>>118 冒頭にも出てくるので、ネタバレでも何でもない。
>>117 確かにどこが凄いのか、さっぱりわからない。
ついでに、どこが面白いのかもわからない。
出版当時に読めば、驚いたかも知れない。
122 :
読後感 :2006/08/12(土) 10:07:18 ID:uz1vhsva
「5枚のカード」レイ・ゴールデン(早川書房) 流れのギャンブラー、ヴァン・ナイトヒートは連続殺人が 起きているとの便りを受け、故郷の町に戻ってきた。 原因は数ヶ月前のリンチ事件にあるらしい。事件に関わりがあった ヴァンはチャレンジ魂を燃やして犯人探しを始めた――。 つまんねえ西部劇小説。犯人は早い段階で読者に知らされ その後何一つ謎もないまま意外性ゼロの結末を迎える。 こんなの何でポケミスで出したんだろう。嗚呼、時間の無駄。
123 :
名無しのオプ :2006/08/17(木) 21:45:16 ID:szXRgQ+R
「風の影」カルロス・ルス・サフォン 上・下 集英社文庫 1945年のバルセロナ。 霧深い夏の朝、ダニエル少年は父親に連れて行かれた 「忘れられた本の墓場」で出遭った『風の影』に深く感動する。 謎の作家フリアン・カラックスの隠された過去の探求は、 内戦に傷ついた都市の記憶を甦らせるとともに、 愛と憎悪に満ちた物語の中で少年の精神を成長させる…。 すっげえ面白え。ここ2,3年読んだなかでもダントツでした。 上・下でボリュームあるけど2日で読んじゃったよ…。
124 :
名無しのオプ :2006/08/17(木) 22:57:23 ID:hBcpp8mX
表紙見て気になってたが↑見て買ってみる気になった。 けど同じ板でマルチしなくても... 感じワルス(´・ω・`)
125 :
名無しのオプ :2006/08/19(土) 20:42:04 ID:3JZw1HZF
ダン・ブラウン『ダヴィンチ・コード』(上中下、角川文庫)【7.5点】 いまさらながらの有名作。 場面展開も速く、次々に登場人物が入れ替わり、 まるで映画を見ているようだ。薀蓄も適度でミステリー的仕掛けも あるが、どうにも軽めで最後まで乗り切れなかった。 おもしろくないわけではないのに、実に不思議だ。 図版や写真が収録されているのは親切だが、「ああ、次の舞台はココね」と 先が読めてしまうのがちと残念。巻頭ではなく文中に収録したほうがよかった。
126 :
名無しのオプ :2006/08/19(土) 23:00:08 ID:1TSKFWLf
「はなれわざ」ミステリ史上に輝く大胆なトリックっていうから 期待したんだけどこんなものとは。技術的には凄いのかもしれないけど 期待とのギャップNO.1作品になりました。どうもこの人の長編は 合わない。
127 :
名無しのオプ :2006/08/19(土) 23:58:11 ID:zb8Esb/O
ブランドってトリックで読ませるタイプの作家じゃないからな… 「ああ、こういうところに伏線があったんだ」って驚きたいときに 読んでる。
「悪党どものお楽しみ」パーシウ゛ァル・ワイルド(国書刊行会) 引退した若き元イカサマギャンブラーがマヌケな友達を助けて イカサマの手口を暴いてゆく連作短編集。 面白かった。一つ一つつのネタは小粒かも知れんが、 キャラクターになかなか魅力があって楽しく読める。 お気に入りは「ポーカー・ドッグ」と「ビギナーズ・ラック」。 プロローグ的な「シンボル」も好印象。
129 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/09/16(土) 10:44:58 ID:/TZZfxh1
「モーパッサン短篇選」を読んだ。 その総数300篇あまりとも言われる文豪の手になる短篇からのセレクション。 当然、なぜあの作がなぜ無いのかという意見もあろうが、 (自分としては「オルラ」がセレクトされていないのが不満) モーパッサンの多彩な作品を味合うための入門書としては適していると言い得る。 ホラータッチの「水の上」と「山の宿」の鬼気迫る描写は正に圧巻。 ただし、結末の意外性(オチ)が特色のひとつとされるモーパッサン作品ではあるが、 ミステリに耽溺したヲタ(この事は決して誉められたものではない)には、 物足りない面もあるやもしれぬ。 人生における様々な断面を短い頁数の中に活写したモーパッサン短篇作品の妙味を 理解出来ないアホなミスヲタに対して私は声を大にして言いたい、 「オチばかり求めるのであれば、1日中寄席でも逝ってろや(w 」と。
130 :
名無しのオプ :2006/09/16(土) 11:20:02 ID:j30zmPRS
>>111 遅レス申し訳ないけど、ロス・トーマス、他のも読んで!!
ミステリあれこれ読んできたけど、この作家ほどプロットが複雑で、
かつ登場人物に魅力がある作家はいないよ。
古本探してでも、ぜひ!
131 :
111 :2006/09/16(土) 14:29:34 ID:YAH059XR
>>130 そう?
じゃあ見かけたら再チャレンジしてみるよ。
132 :
名無しのオプ :2006/09/18(月) 23:37:37 ID:W6VcB2Qr
マックス・マーロウ「レッド・デス」を読んだ。 ウィルスパニックものなんだけど、どうも主人公とヒロインのロマンスが中心になっていて、ウィルスは その盛り立て役に過ぎない感じがした。前半の島が滅びるエピソードはスリルがあって怖いんだけど、 後半は緊迫感ほとんど無し。「インドも滅びそうです」なんていわれてもよくわかんねーよw 世界が滅びていく描写という点ではキングの「ザ・スタンド」にとうていかないません。
「カブト虫殺人事件」ヴァン・ダイン(東京創元社) 博物館で美術愛好家が殺された。凶器はエジプトの女神を象った彫像。 あたかも神の呪いのような死様だったが、現場に残された痕跡は 全てただ一人の人物を指し示していた。 それ故にヴァンスは不審なものを感じる…。 第5長編。久々ヴァン・ダイン。 プロットがはっきりしていて理解しやすかった。 ただ「僧正」に続いてまたファム・ファタルネタというのはアレだが。 それと結末ね。ヴァンスはクイーンやH・Mよりも「天才」だなと。 これで前期6作は読んでしまっていよいよ後期か…。
「同窓会にて死す」クリフォード・ウィッティング(論創社) パブリック・スクールの同窓会に出かけたチャールトン警部は そこで同級生ライノ大佐と出会う。大佐は暴君として 知られている人物で、彼を巡る人間関係はただならぬものがあった。 パーティーが終わり、在校生に招待された大佐は喜んで向かうが、 間もなくお開きという時、一発の銃声が轟いた――。 割と評判が良さそうなので読んでみた。 探偵が事件捜査のために来るのではなかったり、 二組の難あるロマンスを絡ませたりして掴みはOKと言える。 ただある誤解が中盤に何のドラマ性もなく解けてしまうのは?か。 プロットは水準に達していると思う。 ところでこのチャールトン警部、奥さんと20歳差だそうで。 二人の馴れ初めの話も読みたい(アレン夫妻も早くやってくれ)。 PS.ダイアンの境遇にはかなりの同情と少しのザマミロを感じた。
「赤髭王の呪い」ポール・アルテ(早川書房) 表題作の中編と3つの短編を収録。 「赤い霧」までは邦訳順につまらなくなるなと思っていたが、 次の「カーテンの陰の死」でやや持ち直した印象。 表題作は「ワイルダー一家の失踪」の様に過去に同じ条件の元で 殺人が発生するというものだが、このパターンで大事なのは 過去の事件がきちんと解明されるかということ。 本作ではどうかと言うと――放置してはいないがあまりよろしくない。 あとメインの事件のトリック・犯人共に真新しさもないし、苦しい。 ま、デビュー作だから…。 短編3つは短い割りにネタもそう小粒ではなく面白かった。
「猫と鼠の殺人」ディクスン・カー(東京創元社) 冷徹なことで有名な判事が殺人の容疑をかけられた。 被害者は一人娘の婚約者で判事の家の居間で射殺されていたのだ。 判事と親交のあったフェル博士は警察と共に事件の謎に取り掛かる。 久々にカーの名作を読んだ。 密室じゃないけど内容濃くて面白かった。 トリックもまあまあだし真相にも驚く。 あのラストについては良い悪い以前に蛇足だと思った。 決着というかちゃんと“落ちて”いるのになぜ?という印象。
「殺人鬼オーストゥンに帰る」リック・リオーダン(小学館) 故郷に戻り教鞭を取りながら農場を管理していたトレスは 兄の会社が倒産の危機に瀕しており農場が抵当に入っている事を知る。 兄に会って事情を聞いた直後、共同経営者の一人が射殺され 兄に容疑がかけられてしまう。 トレスはかつて恋人であった弁護士マイアと共に 兄を救うため奔走する。 青春ハードボイルド第4作。 これ1作目だけ文庫じゃなかったり2作目だけカバー色が違ったり 3作目だけ訳者が違ったりとどうも落ち着かないシリーズだが、 内容は保証する。個人的には、1冊しか読んでないけど ウィンズロウより上だと思ってる。 読書意欲を持続させるストーリーテリング、洒落た言い回し、 最後の最後まで目が離せないプロットと内容が濃い。 あと主人公が事件に対して客観的たりえないのが このシリーズの特徴かな。1作目以来の登場となるマイアの存在も 見逃せません。買って損はないと思う。買ってないけど。
「重要証人」スティーヴ・マルティニ(集英社) 友人の頼みで検事を務めることになった弁護士マドリアニは 地元ダヴェンポートを慄え上がらせている連続殺人を 担当することになる。やがて捜査線上に浮かび上がった容疑者。 しかし、検死等の結果、内一件は模倣犯である可能性が高くなる。 マドリアニは四面楚歌の中、二つの事件を解決しようと奮闘する。 とにかく被告側弁護士以外もあっちもこっちも潜在的な敵だらけ。 様々なアクシデントに加え家族にまで魔の手が伸びてくる。 その中で悪戦苦闘しながら諸問題を処理していく主人公たちを プロパーらしく描写しているわけで、 法廷劇がメインというわけではないが、まあ面白かった。 意外な犯人もありラストはリーガルらしからぬ展開になる。 ただショッカー的には処女作「沈黙の扉」の切れ味に 及ぶものではない。というかこういうの書ける能力があるんだから リーガルに囚われることないと思うんだがなあ。もったいない。 ※「情況証拠」に触れないのは内容を忘れたからです。
「秘密国家ICE」フレッド・ボイル(早川書房) アイルランドの南部に建設された謎に包まれた工業連合ICE。 若き科学者トーマスは英国政府の密命を受け、内部に潜入を試みる。 信じがたいような技術を次々と産み出すICEには 果たして如何なる秘密が隠されているのか? ジョン・バカン風の伝統的冒険小説にSF要素を加えたシロモノ。 主人公が掌上の孫悟空状態であるという描写が 終始繰り返されててうざかった。これも伝統なんだろうけど。 つか、某スレで誰かが言ってたツンデレヒロインなんて どこにもいねーじゃん!!…嘘吐き(ぼそっ
「抹殺部隊インクレメント」クリス・ライアン(早川書房) 元SAS隊員マット・ブラウニングは、SISから貯金を凍結され、 止むなく仕事を引き受けることになる。 それはベラルーシにある薬品の密造工場を破壊せよというものであった。 婚約者との仲や旧友が起こした乱射事件などのせいで 胸中穏やかならぬまま任務についたマットだったが、 その裏には英国を揺るがしかねない秘密が隠されていた――。 元SAS隊員が元SAS隊員を描くシリーズ二作目。 前作「テロ資金根絶作戦」の、偉大なる先達のような韜晦趣味に 走ることのない写実的な描写と整然としたプロットに 好感を抱いたので読み続けることにした。 今回も変わらずわかりやすくて読みやすい。 前作はプリンス・マルコみたいだと思ったが本作は24ぽい。 冒険小説はスピード感が大事だと思った。意外性もあり。 ただミスマガの10月号で乙姫家がネタバレかましててビックリ! あんな少ないスペースでよくもまあ…。 プロ意識に欠けるとは思いませんか?
「死のバースデイ」ラング・ルイス(論創社) ハリウッドの映画プロデューサーが自宅で毒殺された。 その日は小説家である妻の誕生日で、毒は殺虫剤によるものだった。 それは、先頃映画化が決まった妻の小説通りであったのだ…。 「あ、そっか!」てな感じのミステリ。 ハードカバーだけど薄いから携行しても良いかも。 訳文に何ヶ所かおかしな所があったけど キニシナイ。
142 :
名無しのオプ :2006/10/15(日) 21:29:46 ID:3i0szzPy
「殺人者の放物線」アンドレア・H・ジャップ 東京創元社 MITの天才的な女性数学者が、FBIの依頼を受けて、猟奇連続殺人事件 の謎を解く。 FBIの専門家がミスを繰り返し、犯人を追い詰められないのに、 主人公のグロリアは、PCの前に座って、データを分析し熟考す るだけで、犯人の目星をつけてしまう。 久しぶりに、胸のすく名探偵レディ。 ミス・マープルの再来、は言いすぎか。 サイコサスペンスの装いはしているけれど、安楽椅子探偵 の正統派。 シリーズで出ているらしいので、早く次の作品を訳してほ しい。 (検屍官のように妙な方向に行ったら困るが)
143 :
名無しのオプ :2006/10/22(日) 00:39:28 ID:MWy4au6/
「闇に浮かぶ絵」 R.ゴダードを古本屋で購入。 読み出して気づいた・・・・・ 前に読んでいたものだった。がくっ。
144 :
名無しのオプ :2006/10/22(日) 00:47:51 ID:VPDoHMES
初期のゴダードって、再読してもおもしろいんじゃない?
145 :
名無しのオプ :2006/10/24(火) 00:01:25 ID:qDzgsREz
ネルソン・デミル『ナイトフォール』読了。 少し前に「まどろっこしい」って書かれてて、確かにそれは否定できないけど。 でもコーリーの軽口は、やっぱり楽しい。 ウィンズロウが好きな人なら楽しめるんじゃないかな。 上巻は気分がのるまでは、なかなか進まなかったけど、下巻に入ったら一気読みで読了。 敢えて日付を明記することなく、書き進められる内容に、 自分の記憶に「何曜日だったっけ?」と問いかけながら読み進め。 肝心のラスト。 うーん、あそこで終わって、次回作の翻訳刊行まで1〜2年待つかと思うと‥。 覚えているかしらーって、自分の記憶が心配。 あぁでも忘れるわけないか。 それにしても十年も経っていないこれだけの事件二つをフィクションに盛り込む、 作者の気力とゆーか胆力みたいなものにちょっと驚きました。
146 :
名無しのオプ :2006/10/24(火) 09:38:53 ID:XDgPYctQ
「神の狩人」上下 グレッグ・アイルズ 講談社文庫 カリン・ホウィートという作家が殺害された。彼女は「EROS」という性をテーマにした高級ネットの会員だった。 有名な会員が殺害されたことで「EROS」のシステム・オペレーターのハーパー・コールは「EROS」会員と殺人事件の 結びつきに確信を持った。警察に告げた彼の最悪の予想は正解だった。次第に一連の猟奇的連続殺人事件が浮かび上がる。 FBIの犯罪分析官レンズ博士が架空の女性を囮にして<ブラフマン>という謎の人物に接近するが…。 相 手の姿が見えない、正体が分からない、誰が見ているかわからない。ネットの危険と殺人事件を結びつけた現代的な恐怖。 五つ星中、星3つって所かな。ハンニバル・レクターの好敵手なんてキャッチコピーまでついてる けど、今一犯人の凄さが伝わってこない。翻訳もあまりよくないんだろう まぁ読みやすかった。
「悪魔の栄光」ジョン・エヴァンズ(論創社) 私立探偵ポール・パインの今回の依頼は キリストが書いたという古文書に関するものだった。 古文書を持っているという男の所へ向かったポールだが、 そこには一人の美女が銃を持って立っており、 クローゼットには何者かの刺殺体が押し込まれていた。 その後もポールの行く先々で殺人が巻き起こる。 果たして古文書につきまとう謎の怪人の正体とは? 栄光シリーズ2作目。今回も二段構えのサプライズは健在。 ただし前作よりは難易度が下がった模様。 というより免疫がついたのかも。 でも本格ばりの伏線はやっぱり見逃してしまいます。 あと前作同様、悪女とガツンというお約束を遵守してます。流石正統。 正統と通俗の違いはサプライズ要素に関わりがあるのかも? だとしたらハニーは…。
「豊饒の地」フェイ・ケラーマン(東京創元社) 夜間パトロール中のデッカーは夜の公園で一人で遊ぶ幼女を発見し、 保護する。付近の住民は誰も彼女に見覚えがない。 そしてデッカーにはこれが只の迷子ではないとわかっていた。 何故なら彼女の服には血が付いていたから――。 バツイチの中年刑事と若いユダヤ教徒のカップル探偵(?) シリーズ第3作。 不気味な発端から凄惨な殺人に到達する件はなかなかだと思う。 警察小説らしく他の事件の捜査も並行して描かれていて、 さらにデッカーとリナの関係も、レイプの容疑者にされた デッカーの戦友の存在等から変化を見せる。 特に衝撃を覚えるような箇所はないが読み応えはあったかな。 ただ、アメリカの平和のかほりがちらほらしたのが気になったけど…。 あと、作者は男性的だと感じた。 本作でリナはファム・ファタル属性を付加され、 さらに一流の売春婦ともタメ張れるほどの床上手に 「昇格」させられるし、事件の真相も鬼畜的に「エロい」 (両面の描写をしている所が重要)。 こんなの書く女流作家は読んだことなかった。
149 :
名無しのオプ :2006/10/27(金) 18:55:05 ID:f6G6sslg
スタンリイ・エリン『闇に踊れ!』(創元推理文庫) ガンに侵された元歴史学教授が、黒人の住むアパートの爆破計画を練る。 探偵ジョン・ミラノは、盗まれた絵画の行方を追う。 2つの犯罪は、いつかひとつの流れに繋がって……という話。 「出版を拒絶されたいわくつきの長編!」とのことだが、黒人への忌憚ない描写が原因のようだ。 『鏡よ、鏡』の作者でもあるし、アクロバティックな解決を期待したが、肩透かしだった。 登場人物同士のウィットに富んだ会話は面白いものの、この内容で500P超はきつい。
「奇術師の密室」リチャード・マシスン(扶桑社) 卒中で植物人間同然になってしまった往年の大奇術師。 意識ははっきりしているものの、動かせるのは視線だけで、 普段はかつて自分の書斎であった「マジックルーム」に座っている。 そんないつもと変わらぬある日、悲劇の幕は上がった――。 二人になった息子の妻が入って来て何やら悪巧みを始め、 次いでやって来た息子のマネージャーは義理の娘と濃厚なキスを交わし、 次の瞬間息子は回転椅子に座って紫煙をくゆらしていた。 動けないただ一人の観客の前でくるくると変わる奇妙な芝居の結末は? これ破綻してない? (メル欄)は無理だと思うんだけど…。 とりあえずそれを度外視して言うと、 まあ、ぐいぐい読み引かれてそれなりに堪能できた。 「探偵スルース」や「デストラップ」はあまり好きじゃないけど、 こうして字面を追ってみると展開が早く感じられて苦にならない。 「どんでん返し」についても、「銅婚式」に代表されるような 口先だけで嘘だ本当だと繰り返す伏線もへったくれもない代物を どんでん返しと呼ぶのは虫酢が走るけど、本作は明確な伏線はないが 既存の筋立てかちっと嵌るものなので(最初に挙げた点を除けば)、 抵抗なく許容できた。 後半に入って(メル欄2)かと思ったが違ってた。 つかこの本格ファンに阿った放題は軽くイラっと来るわ。
151 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/10/28(土) 20:26:52 ID:RlFghPZq
ジェームズ・アンダースン「血染めのエッグ・コージイ事件」を読んだ。 俺が敬愛する宇野利泰氏(以下「うの」と略す)の訳書ではあるが、 初刊の時はノーマークでスルーしてしまった作。 (解説でも指摘されているが、ミステリ界でも全くと言うてよいほど話題に ならなかった) タイトルだけ見ると、まがまがしい感さえ受けるが、 内容的には、館ものの一類型であるカントリー・ハウスもの、 時代は第2次大戦勃発直前、英国の伯爵が所有するカントリーハウスに集う 多彩な人物たち(英国外交官、諜報員、欧州小国の外交官、ガンマニアの米国の富豪、 遊び人の貴族、謎めいた男爵夫人等々)、これにルパンまがいの怪盗が絡み、 殺人事件が発生、コロンボ風の飄々とした名探偵(警部)の登場と相成る。 こう俺が書くと面白そうだが、 ジョン作品を想起させるトンデモなトリックはまずまずながら、 事件発生までの筆の運びが遅い感があるうえに、 極端な偶然性と御都合主義に頼った後半の展開は頂けないものがあり、 なぜ、今頃になって復刊されたのか理解に苦しむ出来と言わざるを得ないものがある。 宝石を狙う怪盗のエピは蛇足であるし、カントリーハウスを舞台にしながら、 本格ミステリの禁じ手とも言われる抜け穴は登場するにもかかわらず、 怪奇も密室等の不可能犯罪が登場しないのも寂しい限り、 せっかくの舞台が効果的に活かされていないのである。
152 :
名無しのオプ :2006/10/28(土) 22:51:38 ID://m2eQWN
>>151 ジョンって誰でしょうか?不勉強かもしれないがご教示を。
153 :
名無しのオプ :2006/10/29(日) 11:01:26 ID:6AOjDVSv
>>151 > 俺が敬愛する宇野利泰氏(以下「うの」と略す)
敬愛する相手を「うの」なんて略し方するとは常識を知らぬ奴。
しかも何度目だよこの言葉。その後一度たりとも実行したことないじゃねえか。
というよりも、その後一度も「宇野利泰」の名を挙げることがない文章で
(以下「うの」と略す)
なんて書いても意味ないだろw
ミス住も少しは推敲というものをしてみたらどうだ?
「雲をつかむ死」アガサ・クリスティ(早川書房) パリからロンドンへと向かう旅客機内で一人の老婦人が殺された。 首筋には小さな穴がうがたれており、 先刻飛び回っていた蜂によるものかと思われ始めた頃、 乗客の一人である口髭を生やした小男が 床に落ちている毒針を発見する。 果たして彼女は誰に如何にして殺されたのか? クリスチーは意識的に避けてきました。理由は2つあって、 この先まず読みはぐれることはないのと、 ドラマで観たいと思っていたからです(12月に新作放送予定)。 ただあまり避けるのもあれかなと思って手に取ってみました。 どうせならクリスマスに読むべきなのでしょうが 廃止されて久しいので仕方なく今読むに至った次第。 読む前はてっきり終始機内で展開する密室劇かと思いきや、 死体発見は着陸間際で後はお馴染みの地上戦。 旅客機は単に容疑者を限定させるための装置かと少しがっかりしました。 その後は流石は探偵小説の女王と言った感じで、 各種のリストアップや気を引くワード等で読書意欲を保たせてくれます。 しかしながら本作では(メル欄)配置の不自然さが ネタバレを誘っており、(メル欄2)と相まって大きなダメージに なってしまっているのは残念です。 トリックもシンプルなのはいいのですがかなりの綱渡りで、 あまり感心はできませんでした。 個人的には解説者が言うような「中期の傑作」とは言い難いです。
155 :
名無しのオプ :2006/10/30(月) 01:31:07 ID:D4XMDRND
>>151 ジョン作品て、ひょっとして、ジョン・ディクスン・カー?
156 :
名無しのオプ :2006/10/30(月) 13:03:07 ID:LFfBuK9x
>>153 ワロスww
至極まっとうな突っ込み
だいたい「僕」なんて書いたかと思えば、次は「こう俺が書くと面白そうだが」なんて尊大なことを書くし。これはちょっとひどいね。だいたい「面白そう」に読めないんだけどなぁ…。そう言うならもう少しうまく紹介してほしかったです。
3点
157 :
名無しのオプ :2006/10/31(火) 17:27:39 ID:AyWw1yIj
「震えない男」 ジョン・ディクスン・カー フェル博士もの。 翻訳の問題か、やけに読みにくいものの、出だしは好調で雰囲気作りも申し分なし。 が、トリックがこの上なく腰砕け。人によっては激怒するんじゃないかと思う。 無茶しすぎの決着のつけ方が面白いので、それで救われてる感じか。
あぼーん
「怪盗ゴダールの冒険」フレデリック・アーヴィング・アンダースン(国書刊行会) 連作短編集。 前半はいいんだがいざ真相を語る段になるとやや腰砕けの感も。 最初の「百発百中のゴダール」と最後の「スター総出演」がマシかな。 解説で紹介されてるライヴァルたちの物語は読んでみたい。
160 :
名無しのオプ :2006/11/01(水) 18:33:28 ID:yaCX/+Cy
「青銅ランプの呪」 カーター・ディクスン H・M卿もの。 二階堂センセが最低ランクのD級としていたので期待せずに読んだら、意外と面白かった。 やや冗長という感想は分からないでもないが、足音の謎の解法などは評価していいと思う。 少なくとも、あそこまで酷評するほどの駄作とは思えないのだが・・・。
161 :
名無しのオプ :2006/11/01(水) 18:34:53 ID:PpXwzLvF
「深夜プラス1」 ギャビン・ライアル 30年も前の作品。 スマートで洗練された作品だ、ハードボイルドの先駆者的存在ってところでしょうか?
162 :
名無しのオプ :2006/11/02(木) 11:22:05 ID:53dRYVXm
ウィリアム・カッツ『恐怖の誕生パーティー』(新潮文庫) 確か前々スレあたりでもいくつか書評が出てたように思う。 妻が夫の40歳の誕生日に向け、サプライズパーティを企画する。 だが、過去の大学や会社、所属していたはずの軍にさえ彼の記録はない。 一方警察は、毎年12月5日に女性を殺す殺人鬼の正体を追っていた。 12月5日は夫の誕生日だったのだ……。 ミステリーにすれていれば、ラストのオチは想像がつくと思うが、 演出は冴えに冴えており、サスペンスとはこうやって組み立てるのだ、といわんばかり。 ただ、夫へ匿名で手紙を送ってきたのは誰なのかがわからんのだが……。
163 :
名無しのオプ :2006/11/02(木) 18:54:46 ID:AfAmuV9m
「ウサギ料理は殺しの味」 P・シニアック かなり狂った作品。 序盤〜中盤にかけてが冗漫で、噂ほど面白くもなさそうだと読み進めていったら終盤でひっくり返った。 もう、バカという言うしかない結末。こんなこと、よくぞ考え付いたものだと感心する。 しかしこれ、ミステリに分類していいのかな。
「絞首人の一ダース」デイヴィッド・アリグザンダー(論創社) 「掃き溜に鶴」と評判の短編集。 読んで思ったのは、この人はミステリー的な技巧の妙手というよりも ストーリーテリングの名手なんだなということ。 最初の数編は正直イマイチだったが、「アンクル・トム」辺りから 面白くなってきて残りはほとんど外れがなかった。 トリックや意外な真相というよりサスペンスを演出するのが巧く 最後まで、というか最後になってもダレない。 ベスト3を挙げるなら、 「アンクル・トム」「見知らぬ男」「蛇どもがやってくる」。 次点は「デビュー戦」
165 :
名無しのオプ :2006/11/04(土) 15:37:17 ID:pnNbBDgM
「魔術師が多すぎる」 ランドル・ギャレット ダーシー卿シリーズの、たぶん唯一の長編。 魔法が出てくる設定だが、中身はハードなパズラー。例えるなら西澤保彦作品みたいなものか。 密室殺人も出てきてサービス精神は旺盛なれど、なんだか色々と物足りない感じがする。 長編ゆえか、短編集の「魔術師を探せ!」に比べて切れ味が落ちるのも欠点か。
166 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/11/04(土) 20:42:56 ID:TVo8a471
久々にアーサー・ミラー「セールスマンの死」を再読した。 初読の際は、先が読めない展開をサスペンスものとして楽しむことも可能な作品だが、 リストラ流行り、ニート・フリーターが増加する現代日本では、 ローマン家の状況はある意味、もう他人事ではなかろう。 戯曲を読む習慣が無い日本でも、今こそ広く手に取って欲しい1冊である。 同時代のテネシー・ウィリアムスほどの人物造詣の深さは感じさせないものの、 簡潔な台詞の積み重ねにより、登場人物たちが置かれた緊迫した状況を描写し切って しまうミラーの才は、あらためて並々ならぬものがあるのがわかる。 ライターとしての私にとって、長年の座右の書のひとつである。
167 :
名無しのオプ :2006/11/04(土) 23:06:10 ID:OEC6761K
>>166 またまた「サスペンス」w 救いようのない単細胞のミスヲタだなあ。
そして通り一遍の感想、いや「乾燥文」。
この程度のどこにでもある駄文書いて喜んでいるようじゃ、到底プロにはなれませんぜ。
お前はバカでもなれる「カキコライター」が精々だなw
168 :
名無しのオプ :2006/11/05(日) 16:37:35 ID:2umI6WyY
169 :
名無しのオプ :2006/11/06(月) 18:15:41 ID:CZ7KaSzX
T・ロスコー「死の相続」(原書房) 「黄金時代の密室物の怪作」という評判どおりの凄まじいパルプ作品。 ハイチの奥地にある屋敷、ブードゥー教の奇怪な儀式、俗悪きわまる登場人物たち、密室の連続殺人、 これでもか、という怒涛のサスペンスあふれる展開。トリック自体はバカバカしいが、力技で無理やり 納得させられてしまった。ハイチ憲兵隊の隊長が存在感あって、結構カッコイイ。
170 :
名無しのオプ :2006/11/06(月) 23:46:03 ID:qMyDWddR
エドマンド・クリスピン「愛は血を流して横たわる」 学園での先生達や生徒のキャラはいいのだけれど 中盤中弛み気味かも… ラストの真相解明部分もクリスピンにしては理屈っぽいくだりが 長いのとちょっと推測が多いところが(´・ω・`)
171 :
名無しのオプ :2006/11/07(火) 01:13:50 ID:iqM6AH+B
「魔性の森」 ハーバート・リーバーマン(角川文庫) 土地所有者男女数人が土地の境界線を調べるために 広大な森の中へ入っていくんだけど途中で測量人が 意識不明になっちゃう。 極限の中、それぞれの人間性が暴露されるんだろうなと 思ったら大間違い(多少あるにはあるが) ただひたすら森の中を迷ってるだけの話 でも読むのこれで3回目なんだな これほどラストが素敵で不思議な作品も無い。
172 :
読後感 :2006/11/08(水) 15:14:08 ID:oEF56G24
「剣の八」ジョン・ディクスン・カー(早川書房) 自宅の書斎から射殺体で見つかった男。 死体の側にはタロットカードが置かれていた。 折しも町の主教は兼ねてから奇行を繰り返しており、 ただならぬ犯罪の予兆を宣言していたのだったが――。 カーの凡作。密室も怪奇趣味もファースもなし。 解説はフーダニットを強調しているがそれほどとは思えず。 犯人外れたけど(気付いたけど捨てちゃった)。 あと8章冒頭で語られるヒロイン観は、 個人的には物語を詰まらなくする一因だと思うのだが…。
173 :
名無しのオプ :2006/11/08(水) 19:06:34 ID:03MJQeHK
「殺人者と恐喝者」 カーター・ディクスン H・M卿もの。 H・M卿の語る自伝は非常に愉快で、これについては文句なしに楽しめた。 が、問題となっているトリックは、いささかやりすぎな気がしなくもない。 似たようなことをカー自身がやっていたが、それに比べるとちょっと悪どいのではないか? それと密室事件の解法だが、こちらはかなりの腰砕け。「死時計」や「震えない男」あたりも どうかと思ったが、これもまた相当に厳しい。一応伏線はあるし、カーらしいと言えばらしい 仕掛けだけど・・・。
174 :
名無しのオプ :2006/11/08(水) 19:13:06 ID:k9nTeoc7
カーの株下落中
175 :
名無しのオプ :2006/11/09(木) 19:52:59 ID:14GTHjSV
「尼僧のようにひそやかに」 アントニア・フレイザー フレイザー女史の処女作。 帯に「ゴシック・ロマンとパズラーを融合」とあるので初期カー風の内容を期待したが、 パズラーとしては平凡。むしろスリラー小説といったほうが適当か。 不倫ありサスペンスありと盛りだくさんの内容ながら、やや平板な展開なのが残念。 セイヤーズ作品ばりに頻出する薀蓄に面白さを感じられるなら、より楽しめると思う。
176 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/11/12(日) 00:43:11 ID:doBvr4UC
リチャード・マシスン「奇術師の密室」を読んだ。 SF・ホラーにおける手腕は定評がある作者、 本格的ゴシックホラー(幽霊屋敷もの)に現代的なテースト(科学による究明)を 加味した読み応え十分な「地獄の家」、一転、超常現象を排したリアルな恐怖感 (迫り来るトラック)に富むモダンホラーの教科書的短編「激突」、 前進的なオチが深い感動を喚起する「縮みゆく人間」、シニカルなオチが印象深い 「地球最後の男」… どれも抜群の面白さであり、本書も期待して読んだのだが… ストーリーは逆転に次ぐ逆転ではあるが、創り過ぎた感が強い作に終わっている。 常人以上の観察力・注意力を有するはずのマジシャン(しかも天才的という設定)という ことを考慮すれば、「見ればわかるだろう」の突っ込みでトリックそのものが崩壊する やにも思える。 ただし、現代ミステリを読み慣れた者から見れば、さしたる驚きは無いものの、 60年代から70年代初めが全盛期であったマシスンにとって、 犯人の倫理観は相当ショッキングなものということなのかもしれぬ。
177 :
名無しのオプ :2006/11/13(月) 00:07:45 ID:wN+LY38y
ウィリアム・L・デアンドリア『ホッグ連続殺人』(ハヤカワ文庫) 被害者も手段も選ばない無差別連続殺人鬼「ホッグ」。 その犯人に、天才犯罪研究家ベネディッティ教授が迫る。 79年の作とはとても思えないような古い作風。 作品を支えるひとつの大きなアイデアと、最後にきかせる小技で、 かろうじて体裁を保っているものの、それ以外ではほとんど見るべきところがないと思う。 ビューアルという男とディードルという女が主要人物で、しかもカップルとして出てくるのだが、 わざわざそんな紛らわしい、変な名前にする意味がさっぱりわからん。
178 :
読後感 :2006/11/13(月) 18:59:53 ID:O4u2GXpu
「ねじれた奴」ミッキー・スピレイン(早川書房) 富豪の科学者の息子の誘拐事件に巻き込まれた依頼人のため 現地に乗り込んだマイク・ハマー。 手掛りを元に見事少年を救出したハマーだったが、 その後間もなく富豪が殺される。果たして事件の陰には何が? 別に追悼記念てわけじゃないけどハマーを読むのは初めて。 主人公がケンカが強かったり 出てくる美女が皆色情狂で秋波を送って来たりするのが 低俗と言われる所以なのかも知れんけど、そういうのも アリっちゃアリだと思うのよね。古いとか新しいとかじゃなく。 筋立ては中々混み入っており読み応えはあると思われる。 犯人も割りかし意外だったかな。あと社会派的な側面もある。 ただ本作で暗示されている問題が顕在化するのは10年以上後だったはず。 その辺先見性があったのかも知れない。 疑問:(メル欄)は何故その場所をまず探さなかったのか?
179 :
名無しのオプ :2006/11/14(火) 21:01:28 ID:ATLYF5JN
「読者よ欺かるるなかれ」 カーター・ディクスン H・M卿もの。 とにかくミスディレクションが抜群に上手く、その点では大いに感心させられた。 だが、メインのトリック自体は類例があるものの、なんとも困った代物。読者受けを狙ってか、 あまりに派手な提示をしているのが逆効果で、解決の部分が言い訳じみて見えてしまう。 どうでもいいことだが、挑戦的な邦題は見事な翻訳だと思う。
180 :
名無しのオプ :2006/11/15(水) 00:07:04 ID:Nu9l6f6G
「クリスマスに少女は還る」 キャロル ・オコンネル 過去ログ見てて面白そうだったんで読んだ。 確かによかった。 最後まで読むと中盤あたりでの微妙な違和感というか 伏線を感じさせる会話の間というか表情のニュアンスなんかが ピタッピタッと解けていく感じで「あ〜!成る程ね。あ〜それでか…」みたいな感覚が気持ち良かった。 ラストは片方の主人公格の終わり方に安堵、もう片方の組には残酷さを感じた。 と、思ったらエピローグでもう一揺さぶり。って感じで最後まで満足。
181 :
名無しのオプ :2006/11/15(水) 20:19:44 ID:024tOAxp
「迷路」 フィリップ・マクドナルド ゲスリン大佐もの。 裁判記録と書簡のみで構成された珍しい形式の作品。翻訳がいいのか非常に読みやすい。 裏面の紹介文に「真っ向からフェアプレイの勝負を挑む」とあるようにストレートなパズラーで、 たしかに判断材料は全て文中に明示されていた。だが、解決までの道のりが矛盾の一点突破型で ロジックの飛躍に乏しく、その点でやや物足りなさを感じる。 ついでに解決編の冒頭であまりに恣意的な判断があったり、動機の面で極端な想像があったりと、 ちょっと首をひねりたくなる部分が存在することも残念だった。
182 :
名無しのオプ :2006/11/16(木) 00:18:20 ID:55cKpBZa
「氷の男」 フィリップ・マーゴリン つまらん。 法廷もの(なのか?)として読み始めたせいか 肝心の弁護内容や証拠集め、検察のぐだぐださ全てがイライラした。 全体通して全てが浅すぎる。その分テンポは非常に速く一気に読めるが。 何より女の魅力がまったくない(男も脇キャラもないが)。というかこれは恋愛小説か? 勝手にメロドラマしてろ!って感じでした。 この著者の本読んだの初めてなんだけど 名前はよく聞くから期待してたんだけどな〜。
183 :
名無しのオプ :2006/11/16(木) 01:29:43 ID:OkOQyNgR
>>182 マーゴリンなら『黒い薔薇』『暗闇の囚人』から始めた方が良かったのでは。
名前をよく聞くのも、最初に翻訳されたこの二作は面白かったのに、
なぜか最近作になるほど????な感じになってしまった辺りが、
つい愚痴ってみたくなる作家ともいえ。
久々に講談社文庫から出た『女神の天秤』は、少し持ち直した感じだったけど。
184 :
名無しのオプ :2006/11/16(木) 20:34:57 ID:mL6fN7jW
「ユダの窓」 カーター・ディクスン H・M卿もの。 有名すぎる密室トリックが出てくる作品。事前にトリックを知っている状態で臨んだので本当に 楽しめるかどうか不安だったが、単純に法廷物として面白く、トリックは関係なしで楽しめた。 それと、あのメイントリック以外の部分にも仕掛けが施されていて、こちらも見事だと感心。 さすがはカー問答で第一位になっているだけのことはあると思った。
185 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/11/18(土) 14:31:18 ID:est2CK54
>単純に法廷物として面白く、トリックは関係なしで楽しめた。 ネタなのであろうか? 失笑を禁じ得ないものがあった。 ジョン、スコット等のリーガル・サスペンス、 本邦のものであれば、和久俊三作品あたりを手に取って欲しいものである。 それはさておき、俺も初学者指導のためジョンの「白い僧院の殺人」を再読していた。 「―いいか、間抜けども、マーシャ・テートはこの部屋で殺されたんだぞ」 このヘンリーの言葉に本作の全てが集約されていると言うても過言ではない。 初読時には、ジョンには珍しい心理的トリックに感心したのだが、 読み直すたびに、偶然性に頼った創り過ぎたプロットが気にかかるようになり、 評価が厳しくなっていかざるを得ない作である。 ジョンらしいはじけたバカトリックやドタバタも無く、かなり地味な印象、 結局、5段階でC評価あたりが妥当なところかと思う。
186 :
名無しのオプ :2006/11/18(土) 17:42:41 ID:Q+JtvvHg
主人公の性別を間違えたり、何度も読んでる本の書名を間違える人間が、 人のことを笑う資格があるとでも思ってるのかい? 「暗黒無知」ことお馬ちゃん。
187 :
読後感 :2006/11/19(日) 11:38:56 ID:xLQdW98h
「災厄という名の男」R・D・ブラウン(早川書房) 独立して警備会社を構えるためにテキサスへやって来たハザードは、 到着早々妻の殺人容疑をかけられてしまう。 偶然選んだ貸家の中に妻の死体が横たわっていたのだ! 彼女は土地のマフィアの手先となっていたらしい。 ハザードは女弁護士と共に濡れ衣を晴らすために事件を追う。 面白かった。翳のある女弁護士、マフィアのボス、 主人公を執拗に追う警察署長、妻の二人の子、 土地で隠然たる力を持つ謎のオールドミスなど クセのあるキャラクター揃いで真相も意外に感じた。
188 :
読後感 :2006/11/19(日) 12:09:35 ID:xLQdW98h
「タラント氏の事件簿」C・デイリー・キング(新樹社) “怪奇な事件に心惹かれる者”タラント氏の活躍を描く短編集。 オベリスト三部作を視野に入れたのと新樹社を潰すために。 扱う事件は全て怪奇的なものばかりで、自分は 令嬢を悩ます足音と鏡の亡霊に挑む「現れる幽霊」や、 乗った人が次々と溺死するモーターボートの謎を追う「第四の拷問」 そして「最後の取引」が印象に残ってます。 「第四の拷問」は衝撃度抜群。ボートに乗り込んだタラントまでもが 餌食になりかけます。その真相は――実にdでもないモノでした。 「最後の取引」はシリーズの追尾を飾るエピソード。 隅の老人やポジオリ教授や亜愛一郎の様にオチが付くのですが、 彼等の場合と違い(亜ら未読)、寂しさの中にも どこか爽やかなイメージが残る話です。 「ありふれたヘアピン」に近いものがあるかも。 その後解説読んで一安心の一幕も。
189 :
名無しのオプ :2006/11/19(日) 16:08:33 ID:NmdQuIkQ
「チムニーズ館の秘密」 アガサ・クリスティー バトル警視のデビュー作品。 クリスティー初期の冒険小説というので期待せずに読んでみたが、異様に面白くて驚いた。 登場人物はキャラが立っているし、二重三重に錯綜する複雑なプロットも魅力的。 屋敷での殺人事件あり、外交問題あり、秘密結社あり、ロマンスあり…と色んなエンタテインメント要素を これでもかとブチ込んで、なおかつ目立った破綻もなしに大団円へつなげる手腕は見事というほかない。
190 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/11/19(日) 16:30:56 ID:tI+AcYue
「夜歩く」(創元の井上一夫訳) これも初学者指導用に再読。 うーん、初学者にも読んで欲しい1冊ではあり、個人的にはとても好きな作なのだが、 (アンリ・シリーズゆえ極端なドタバタは無く、落ち着いた暗くムーディな雰囲気は 中期以降のジョン作品には無い独自の魅力がある) 「まずこの1冊を」というには躊躇せざるを得ないものがある。 第1の殺人は処女長編ながら、ジョンらしい強引な展開でその特色を遺憾無く発揮して いるものの、第2の殺人はあまりにトホホな展開に過ぎるか。
191 :
名無しのオプ :2006/11/22(水) 21:09:10 ID:8TcOyvHv
「血の栄光」 ジョン・エヴァンズ 私立探偵ポール・パインのデビュー作。 1946年の刊行らしいが、えらく古風なハードボイルド。主人公、へらず口叩いて殴られまくるし。 なので平凡な作品と思っていたら、終盤になっていきなりの大どんでん返しに面食らう。 身元不明人の埋葬になぜか十二人もの牧師がやってきた、という冒頭の謎の解決もまずまずだし、 しっかりと伏線も張られていて、実はよくできたフーダニットだった。面白い。
192 :
名無しのオプ :2006/11/23(木) 02:03:34 ID:nza6WhPx
「わが故郷に殺人鬼」 デヴィッド・ウィルツ "Home again"をこう訳すとは。 視点が三人称になったり、主人公の息子の一人称になったりで若干読みにくい。 えーい、アメリカ人はみんな変態か!! ラストが消化不良。まぁでも読ませる。
193 :
読 了太郎 :2006/11/23(木) 03:00:47 ID:IbSc/PDw
「不思議の森のアリス」リチャード・マシスン(論創社) “伴大矩の再来”と言われる希代の悪訳者を気にしながら読んだ。 誤訳以前に誤字がかなり…もう編集だけにして下さい。 「服は人を作る」「生き残りの手本」の 2編のショートショートが切れ味抜群で良かった。 ラストの「不法侵入」は長く続けて来た雰囲気が ラストで放置されておりマイナス。 表題作はまあ平均点。
194 :
読 了太郎 :2006/11/23(木) 16:22:58 ID:IbSc/PDw
「10ドルだって大金だ」ジャック・リッチー(河出書房新社) 日本独自編集の第2短編集。 後半のシリーズ物よりも前半の方が好き。 「妻を殺さば」がベスト。出だしからしてイケてる。 これと「50セントの殺人」や「とっておきの場所」 「円周率は殺しの番号」等を読んでいるとリッチーが勧善懲悪に “そこそこ”留意しているのが分かって楽しい。 他の異色作家達よりも童話作家という肩書きがピッタリ来るという 感じがした。 ちなみに本書、うちの区の図書館では4冊購入で即日貸出の上 予約が3件だった。流石このミス効果。
195 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/11/23(木) 17:35:53 ID:dca9SL+B
これも初学者指導用としてジョンの「魔女の隠れ家」を再読。 ジョン作品ベスト5には挙げられにくく、(解説にはアントニー・バウチャーはカー 作品のベストの一つとして推奨しているとあるが)、ええカッコしいのヲタは よりマイナーな作を推す方向に走ってしまう傾向にあるため、 名探偵ギディオンのデビュー作でありながら、話題になることが少ない作でもある。 しかしながら、初期作ということもあって、ジョン作品の特色である怪奇性・猟奇性が 遺憾無く発揮されており、横溝御大の作品群あたりが好きな向きには最適か。 英語国民以外にはわかり難い暗号ネタにミステリとしての大きな比重が置かれていること、 キーポイントとなる監獄の長官室を、ジョンらしい完全なる密室(に見える)という 設定にしなかった点が惜しまれる。 それにしても初学者というのは手がかかるものである(w
196 :
名無しのオプ :2006/11/23(木) 21:40:21 ID:spdCm+xy
>>195 脳内初学者相手に優越感に浸っています
相変わらず安っぽいオツムですなあ
しかし多忙のはずな人が何で2ちゃんねらーの為に何冊も「再読」するんですかねぇ?
806 :名無しのオプ :2006/11/14(火) 22:56:15 ID:P/3bUBRO
ここに書くべき話題を最悪板に書く方が悪い。
ちゃんとスレタイに沿った議論になっているんだからな。
808 :名無しのオプ :2006/11/15(水) 07:22:16 ID:94zL7AxD
コテハン叩きじゃないレスまで向こうに書き込まれてるから問題なんだろうが。
事態をよく把握してからものを言えやクソが。
810 :名無しのオプ :2006/11/15(水) 11:03:21 ID:Ud2MR2S/
>>809 そんな事例はないはずだよ。
バトルトークとコテハンたたきくらいの区別はしているだろ。
今まで見る限りはさ
198 :
名無しのオプ :2006/11/23(木) 23:25:47 ID:XtitLu6B
199 :
名無しのオプ :2006/11/23(木) 23:53:27 ID:X9Nb4XgL
コテにいちいち絡む名無しもうざい。そっちのが荒らしだっての。
200 :
名無しのオプ :2006/11/23(木) 23:55:40 ID:IburWEul
そっちのが荒らしって繰り返し出没するやつがいる
201 :
名無しのオプ :2006/11/24(金) 01:04:42 ID:l+PBDGFe
>>200 逆に聞くけど貴方は嵐の相手をしてる奴らも同罪だと思わないの?
202 :
名無しのオプ :2006/11/24(金) 07:11:16 ID:GX/1zDgi
んなもん同罪だ 「そっちのが荒らし」は要するに荒らしてるやつ以上に荒らしにか変わってるやつが悪いという意味不明な理屈だな ほっておけばよいんでいちいちこんなことことさらにいうまでもない 同罪と騒いでる時点で自分も同罪って気づけ ってことでおれは以下沈黙
203 :
名無しのオプ :2006/11/24(金) 07:11:59 ID:GX/1zDgi
か変わってる → 関わってる
204 :
名無しのオプ :2006/11/24(金) 14:49:31 ID:l+PBDGFe
>>202 「同罪だ」と注意することは必要だろ
それすら駄目なら結局ヒーロー気取りを勘違いさせたままになるし
一度目の注意を同一視するのは詭弁だと思う
205 :
名無しのオプ :2006/11/24(金) 20:16:33 ID:AMXOT9x0
「真鍮の栄光」 ジョン・エヴァンズ 私立探偵ポール・パインの第三作目。 今回も主人公殴られまくりで、その境遇に自分で一人ツッコミしてるのには笑った。 古風なハードボイルドに見せて、バリバリのフーダニット+大どんでん返しなのは相変わらず。 今回も最後にとんでもない結末が待ち構えていて驚かされる。が、この解決は賛否両論だと思う。 個人的には否定派。理由はメル欄だから。伏線も今回は少し苦しい感じか。
206 :
読後感 :2006/11/25(土) 00:19:32 ID:Fq2b6hm6
「ペンギンは知っていた」スチュアート・パーマー(新樹社) 課外授業で生徒達を連れて水族館に来ていたミス・ウィザーズは そこで大事なハットピンを落としてしまう。 生徒を総動員で捜させた結果無事見つかったのだが、 発見されたのはそれだけではなかった。生徒の一人が ペンギンの水槽に漂う死体に見入っていたのだ! ミス・ウィザーズは持ち前の正義感と好奇心から 警察に協力を申し出るが――。 プロットは特に珍しくもなくありがちで犯人もわかりやすい。 ただ、第2の殺人のトリックは少し興味を引いた。 主人公は「強い女性」ではあるが、男性作家の手によるせいか フェミ臭さはなく好感が持てる。
207 :
読後感 :2006/11/25(土) 16:30:36 ID:Fq2b6hm6
「黄金」ディック・フランシス(早川書房) 再婚に反対したため長らく父と絶縁状態であったアマ騎手イアンは、 突如父に呼び出される。再婚相手であったモイラは少し前に 何者かに殺されていたのだが、今度は彼自身が狙われているという。 護衛として同行することになったイアンは愛憎渦巻く一族の中で 犯人探しを行うことになるのだが……。 フーダニットだが分厚い割にプロットは単純で、 推理も多分に心理的なもの。 見所は主人公と断絶して家族との絆の再生にある。 どれだけ敬遠迫害されても家族の繋がりを信じ続ける主人公という この厳しくも理想的な作風が現代のおとぎ話として好まれるのだろう。 ミステリーとして特に読むべきものではなかった。
208 :
読後感 :2006/11/26(日) 18:49:49 ID:QoO0J7Ll
「アプルビイの事件簿」マイケル・イネス(東京創元社) これから出るらしいので予習として。 ライヴァルたちの括りにされているが活躍時期は大分ズレてます。 話の筋は良さげなんですが、読むとイマイチ印象に残らないというか …文体のせいでしょうか? 左右違う靴を履いている男を目撃したことから始まる「死者の靴」や 放置自動車と雪崩によって立往生したアプルビイ夫妻が宿を借りた 古城で起こる伝説通りの殺人を描いた「終わりの終わり」など。 他にショートショートもあり。
209 :
名無しのオプ :2006/11/26(日) 22:07:41 ID:b6UMloCl
「蜘蛛の巣」ピーター・トレメイン(東京創元社) 7世紀のアイルランドを舞台にした歴史ミステリー。 当時のアイルランドは5王国に分かれており、事件の舞台は、 そのうちのモアン王国。 ケルト教会の修道女で、ドーリィー(法廷弁護士)であり、 アンルー(上位弁護士、裁判官)の資格を持つフィデルマが 主人公。 古代アイルランドはブレホン法という法律があり、女性の地位 も比較的高かったらしい。 因習に満ちた谷の村で、氏族の族長が殺され、その後も殺人が 起こる。容疑者とされたのは、盲目で耳も聞こえない若者。 乗り込んだフィデルマは、強い意志力でもって、裁判官として の自分を認めさせ、真犯人を見つけ出す。 古代のアイルランドが、現代の法治国家とにたような仕組みを 確立していたのは驚きで、新鮮だった。 注意深い観察と深い洞察力による推理で、次々に真相を暴き出す フィデルマは、まるでポワロのよう。 日本のものでは、「犬神家の一族」を思わせる雰囲気もある。 上下2分冊だが、おもしろい。一気に読める。
210 :
名無しのオプ :2006/11/27(月) 09:41:11 ID:7WJTJ99l
読後感のつまらん報告はいい加減やめてほしいな。
211 :
名無しのオプ :2006/11/27(月) 22:13:13 ID:+mjSFvuo
自分で感想書かないクズはグダグダ言うな
212 :
名無しのオプ :2006/11/28(火) 00:49:58 ID:J7OOTCZJ
いつも楽しく読んでいます。読後感さん応援してます。がんばって。
213 :
名無しのオプ :2006/11/28(火) 20:29:15 ID:7Tjmdvp0
「殺人四重奏」 ミッシェル・ルブラン その手のミステリとしては高名らしい作品。 連城三紀彦の某作品のインスパイア元みたいな感じがする。 いかにもフレンチミステリといいたくなる内容で、終盤の無茶苦茶な展開が非常に面白かった。 ただ、この邦題は問題。これのせいで五割くらい面白さを減じているような気がするのだが・・・。
214 :
読後感 :2006/11/28(火) 23:47:32 ID:/jX8mlKr
「孔雀の羽根」カーター・ディクスン(東京創元社) マスターズ警部に届いた一通の手紙。 それによると今夜とある廃屋に十客のティーカップが出現するという。 手紙を見て警部は顔色を変えた。何故なら2年前にも似た内容の 手紙が届き、それが殺人事件に発展したからなのだ。 しかも犯人は捕まっていなかった。そして夜、指定の場所で 一人の男が射殺される。至近距離から撃たれていたにも関わらず 屋内には忍んでいた警官と被害者しかいなかった。 そして現場には十客のティーカップと 孔雀模様のテーブルクロスが残されていた。 果たして犯人はどうやって入りどうやって殺しどうやって出たのか? 勿論警官が犯人じゃないよ。 中々の良作だと思った。謎の不可解性は抜群だし、 怪奇趣味の理由付けもマル。トリックは強引な部分もあるが 古典本格ならば許容範囲であれかし。ストーリー性が薄いので ロマンスで犯人が絞られちゃうとお嘆きの方も安心して読めるかと。 細かいページ付きの解明もGood。「吸血の家」のインスパイア元かな。 珍しくイキイキとした悪女が出てくるのも印象的。 ただ、尋問する場面で不自然な箇所があったようだ。
215 :
読後感 :2006/11/29(水) 18:50:57 ID:9jc2Rnmd
「マッターホルンの殺人」グリン・カー(新樹社) 戦時中諜報活動をしていた経験を持つシェークスピア俳優 リューカーの所へ旧知の秘密情報部チーフクレイベリーがやって来る。 彼はあるフランス人政治家について当人がどのような思想を 持っているか探り出して欲しいと頼みに来たのだった。 そのフランス人は今登山のためスイスに滞在しており、 それは奇遇にもリューカーがこれから休暇を過ごそうとしている 場所だった。旧友の頼みを引き受けたリューカーだったが……。 やっぱ山岳ミステリーつったらカーしかいないよね、うんうん。 期待外れでした。 51年の作品なのに筋書きも道具立てもオーソドックスだし プラス思わせぶり過ぎる地の文のせいで 早くに犯人の見当がついてしまいます。 紹介されなかったのもむべなるかな。
216 :
名無しのオプ :2006/11/29(水) 19:28:55 ID:dCe+y+Dk
「ババ・ホ・テップ」 ジョンRランズデール ミステリマガジンの今月号 老人介護施設で余生を送るエルビス・プレスリーが主人公。 過去から蘇ったミイラにケツの穴から魂を吸われるところを エルビスに助けてもらった自称ケネディ大統領(黒人)と共に そのミイラとの闘いを描いた短編。 とにかく下品で面白く、こんなに笑った小説も久しぶりだ。 それでいて男の生き様を見せられたりしてで 読後は満足感でいっぱいになった。
217 :
名無しのオプ :2006/11/29(水) 19:37:04 ID:48G+a5Fm
「メソポタミアの殺人」 アガサ・クリスティー イラクの遺跡発掘隊を舞台としたポアロものの一作。 衆人環視の不可能犯罪。クリスティーらしからぬ豪快なトリックで、なんだかカー作品みたい。 よくよく考えてみると、失敗する可能性が高そうなうえに、実行現場を誰かに見られかねない 非常に危険な犯行だと思うのだが、それはそれということか。 解決編での論理性は低く、あまりカタルシスを得られなかったのは少々不満。
218 :
読後感 :2006/12/02(土) 11:58:37 ID:IMLCywVy
「死体のない事件」レオ・ブルース(新樹社) 不良青年ロジャーズが酒場に入って来るや殺人を犯したことを告白し、 その直後毒を飲んで死亡した。そこに居会わせたビーフ巡査部長は ロジャーズが詳細を明かさずに死んだため死体探しをすることになる。 やがてこの奇妙な事件が世間を騒がせ始めると、ヤードから スチュート警部がやって来てビーフ達を指揮し 活発な捜査を進めていく――。 前作「三人の名探偵のための事件」は凝ったプロットとパロディが 詰まった傑作だったが、本作は死体探しという趣向が珍しいという 以外は前作より優れた点は無いように思えた。初心者で無い限り 冒頭でからくりがある程度読めるし、展開と真相は前作の焼き直しの 様に感じられる。また解説にある通りかなりアンフェアな部分もある。 更に言えば斜に構える余り物語性を軽視しているのも個人的には−。
219 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/12/03(日) 00:22:53 ID:WxofN7+Q
ミスヲタには縁遠い話であろうが、レフ・トルストイ「戦争と平和」の新訳が 岩波文庫から刊行されている。 初読時は、工藤精一郎先生(以下、工藤ちゃんと略す)の訳による新潮文庫版で あったが、今回読んだ岩波版は活字のポイント、訳文等、 内実共にかなり読み易くなっているやに思う。 安手のミステリを読み漁っているミスヲタもこの機にこの世界的な文学を 手に取ってみたらどうであろうか、 灯下親しむべき候、気分はまさに往年の旧制高校生である。 まあ、正直言うて無理な注文だとは思うが(w 久々の再読してみたが、ナポレオンのロシア侵攻、形勢逆転による 逃げるナポレオン率いるフランス軍、追うロシア軍、 (作者レフは、ナポレオン軍の敗退を俗に言われる冬将軍にその主因を求める ことはせず、糧秣の確保等占領政策の失敗により、本格的なロシアの冬が到来する 前に既にその敗退は始まっていたとする見解が慧眼である) これにピエールとアンドレイという2人の貴族とヒロインのナターシャを中心とした ロシア上流階級のロマンスが絡む、作者自身がホーマーの叙事詩の如きものを意図して いたというだけあって、これを戦争冒険小説と言わずして何と言おうか。 本作の最大の主眼は、作者レフの史観呈示(「歴史に英雄無し」)にあることは 言うまでもないが、そもそも同時代人たちは本作を現代の日本人がシバリョウを 読むかのように楽しんでいた向きもあったのではなかろうか。
220 :
読後感 :2006/12/03(日) 03:15:31 ID:hkkASva1
「死の相続」セオドア・ロスコー(原書房) 恋人ピートの遺産相続のため中南米ハイチに赴いた貧乏画家カート。 2人はピートの叔父の屋敷で様々な使用人達と共に遺言を聴くが、 その内容は、1〜8番目まで候補者が指定され、もし候補者が 24時間以内に屋敷を離れたら相続の権利を失い権利が次の候補者に移る という実に奇妙なものであった。 その後埋葬を済ませ各々が寝室に引き取った直後最初の殺人が起き、 更に第2、第3の犠牲者が……。 「夢果つる館の殺人」といい「奇妙な遺言」というのは 古典のパターンなのかな? あまり知らないけど。 いやはや、凄かった! 頭ん中グングニルした。正に怪作! まず舞台となるハイチという国。中国の武侠作家金庸が 中国にミステリーが根付かなかった理由を訊かれて 「中国では法の執行が健全ではないから」と答えていたが、 独裁国家でブードゥー信仰が盛んなハイチは正にその典型なわけで、 名探偵の推理も華麗にスルーされそうな予感がひしひし伝わって来る。 というかまず探偵がいるかも分からないんだけど……。 とにかく24ばりに連続殺人が怒涛の勢いで進行して圧倒される。 中盤からは更に加速しまるでサイコホラーに転換したかのような 無茶苦茶な展開になり本格だという認識は銀河の彼方にすっ飛んで 終いには孤軍奮闘大立ち回りでもう何が何だかわからなくなる。 こんなもんどう決着付けるんだ絶対無理だろと思っていると…… あ〜ら不思議! ビシャリと収まる。こりゃ傑作だよ。
221 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/12/03(日) 23:38:54 ID:qGrH5hFP
G・ガルシア=マルケス「わが悲しき娼婦たちの思い出」を読んだ。 川端康成「眠れる美女」にインスパイアされた作とのことだが、 巻末の訳者解説にもあるとおり、似たシチュエーションながらも 全く異質な殺人も有りな濃いサスペンス・ストーリーが展開されてゆく。 途中までは悲劇の予感を漂わせながらも、いかにもラテン系らしい「性と生」に 対する前向き、かつ。肯定的なハッピーエンディングが楽しい。 「満90歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと 考えた」、この過激なインパクトある冒頭の書き出しから、 ガルシアのマジック・リアリズムの世界が始まっているのだと言い得る。
222 :
名無しのオプ :2006/12/04(月) 20:55:17 ID:DYbF7v2H
「サンタクロース殺人事件」 ピエール・ヴェリー なんとも変なミステリ。 探偵役が口にする解決の糸口も含めて、全体的に奇妙なメルヘン風味が漂っている。 ほとんど手がかりが提示されない点は不満に感じたが、事件は複雑に構成されていて、 探偵役の語る解決編ともども、予想以上にテクニカルで感心させられた。 ただ、原文からそうなのか翻訳の問題なのか、妙に読みづらいのは困ったところ。 急な場面転換が頻繁に起こるので、読みにくさは倍増してるし。
223 :
名無しのオプ :2006/12/05(火) 01:22:34 ID:YKXZrwJe
「サンタクロース殺人事件」は読みたいなーと思ってたら中学の図書館に置いてあってビックリした覚えがある あの図書館、クリスティとかは置いてないくせに中国迷路とか十三角関係とか乱歩賞のマイナーな奴とか変なのが置いてあったなぁ
224 :
読後感 :2006/12/06(水) 00:21:19 ID:zAo8nWR4
「飢えた海」ウィルバー・スミス(文藝春秋) 大企業に成長させた海運会社のトップの座を奪われ、 絶世の美女であった妻も寝取られ、最愛の息子までも失ってしまっい 絶望のどん底に叩き落とされたニック。 隠居料として半ば押し付けられた子会社は多額の負債を抱えていた。 そんな彼の乗る船に突然舞い込んだSOS通信。それは難破した 豪華客船からのもので、オーナーはあの憎い敵であった。 ニックは沸き上がる復讐の念を胸に救助に向かうことになるが…。 勿論救助は前半の展開で、その後は主人公を取り巻く 人間関係の愛憎を中心としたストーリーになる。 全体的に類型的で、それはいいのだが悪役が少々薄っぺらいのが残念。 ドンパチやらで簡単に人が死んだりすることがないのが意外だった。
225 :
読後感 :2006/12/06(水) 00:41:03 ID:zAo8nWR4
「ティー・パーティー」チャールズ・L・グラント(早川書房) 婚約者の浮気相手を殺して失意のダグは服役後逃げる様に 田舎へとやって来た。そこには長らく廃虚と化している屋敷があり、 住人から呪われた場所として恐れられていた。 ところが屋敷を買い取るとの情報が流れ始め、その頃からダグや 他の住民達の身に不可解な現象が相次ぐ。 そして不審に思う彼等の許へ屋敷への招待状が届けられた―。 とあるガイドブックで★4つだったから読んでみたんだけど、 別になんてこたない凡作だった。 筋立てはキング(未読)みたいな感じだが前フリが長すぎる。 パーティーをもっと中盤に持って来て終盤にもう一山欲しかった。 一応仕掛けめいたものがあるけど切れ味はイマイチな印象。
226 :
名無しのオプ :2006/12/08(金) 20:34:57 ID:1KU2gVpy
「もの言えぬ証人」 アガサ・クリスティー ポアロものの一作。 妙な構成が目を引くものの、クリスティー文庫版の解説にもあるように事件そのものに相当の無理が 見られるし、ポアロの語る真相にも論理的な穴が多く、出来はいまひとつな感じ。 生前の被害者が交霊会において、後光が差したり口からエクトプラズムを出したりしていた、という 奇怪な事件の真相はユニークで実にインパクト大。実現可能かどうかは別として、強く印象に残る。
227 :
読後感 :2006/12/09(土) 00:34:01 ID:mSvB1U22
「真鍮の栄光」ジョン・エヴァンズ(早川書房) 私立探偵ポール・バインの今回の依頼は都会に出ていき行方知れず となった娘の捜索。彼女は出発前何故か全ての写真を破棄したという。 バインは彼女の友達もまた同じような状況にあると知り、 そちらからもアプローチしていくが、関係者が次々と殺されていく。 果たして彼女達に隠された秘密とは? 「シリーズ物は順番に読みましょう」 小鷹さんが三部作中最も衝撃の真相と言ってらっしゃいましたが 正にその通り! これは予測出来ませんでした。ガツンと来ました。 あと本作はミスディレクションが複数ばら撒いてあるようで 僕も見事に嵌ってしまいました。 (メル欄)はちょっと有り得ないと思いますけど、 話が成立しないわけではないからいいか。
228 :
名無しのオプ :2006/12/09(土) 20:57:34 ID:4ev+Sv67
「九人と死人で十人だ」 カーター・ディクスン H・M卿もの。 船上での殺人劇という「盲目の理髪師」を思わせる設定ながら、こちらは喜劇要素が非常に少なく、 いないはずの人間が一人増えたという不可能趣味が前面に押し出されている。 とにかく提示される謎が非常に魅力的で、読ませる内容。大戦の雰囲気を伝える点でも興味深い。 ただ冷静に考えてみると、あの状況でこの事件自体が成立しえないような気もするのだが・・・。
229 :
名無しのオプ :2006/12/10(日) 19:26:48 ID:BP2W121e
「誘拐」 ビル・プロンジーニ 名無しのオプシリーズの一作目。 タイトルのとおり、主人公が子供の誘拐事件に巻き込まれるいう物語。 事件の構造は少々ひねくれているものの、目新しさも特になく、全体的に平凡な内容だと思う。 パルプマガジンの収集が趣味という主人公の造形、それと終盤での奇怪な論理が楽しめれば・・・ という感じだろうか。
230 :
読後感 :2006/12/11(月) 03:41:54 ID:gW+VC2RB
「タイムマシンの殺人」アントニー・バウチャー(論創社) おしどり探偵ひくトミー。 ミステリー評論家でありながら実作ではSF・ホラーを多く 手掛けた人って結構珍しいのでは。 読んだ感想としては何かこう所々はしょってる感がして イマイチ設定・展開が呑み込めなかった話がいくつかあった。 筆が先走り過ぎてる部分があるのかなーと。 読解力不足と言われればそれまでだが一応書いとく。 お気に入りはラストの「たぐいなき人狼」。 恋はスリルショックサスペンスでした。 次点は「悪魔の陥穽」。これらのシリーズだけで1冊編んで欲しい。 それ以外だと、「人間消失」のトリックや表題作の論理が面白かった。 P.S.夏に買ってすぐ実家のちゃぶ台に放置したきりの 「シャーロキアン殺人事件」が無くなってませんように…
231 :
読後感 :2006/12/14(木) 00:48:09 ID:39apm+P5
「淫獣の幻影」フィリップ・ホセ・ファーマー(光文社) 標的の尾行中相手の男と共に失踪した相棒コルベンの行方を 追っていた私立探偵チャイルドは警察に呼び出され あるフィルムを観せられる。そこには裸で寝かされ 足を広げさせられたコルベンが映っていた。 そして彼は現れた男女にペニスを噛み千切られ殺されてしまったのだ! その時チャイルドは観た。女の股間で蠢く何かを。 事件を探るチャイルドは伝手を通じて幽霊屋敷にたどり着くが そこで彼が見たものは紛れもない女の幽霊だった! エログロハードボイルドって感じ。ふんだんに官能シーンがあるけど 個人的には人と人との健全な交わりにしか興奮を見い出せないもので、 本書のエログロはちょっときつかった。殊に催淫座薬打ち込まれて 豚女に犯されるとこなんか斜めどころか平行読みしたぐらい。 とにかくエログロの雰囲気に嵌れる人でないと辛いと思う。 自分はあまり嵌れなかったけど気になる終り方だったんで 続編が邦訳されてるなら読んじゃいそうだ…。
232 :
読後感 :2006/12/15(金) 21:03:05 ID:s805kxS4
「無頼の掟」ジェイムズ・カルロス・ブレイク(文藝春秋) 叔父たちと銀行強盗をして逮捕されたソニーは成り行きで 警官を殺してしまい刑務所へ送られる。そこから何とか脱獄し、 叔父たちの許に戻ったソニーは、ふたたび強盗を繰り返すが、 息子を殺した男の脱獄を知った老刑事は復讐のため彼を追うのだった。 面白いというか読みやすい。続きが気になってどんどんいっちゃう。 翻って見ると別に大したプロットじゃないなと思うんだけども、 読んでる最中はそんなこと全然頭にないんだよね。 暴力描写に眉をしかめつつもページを繰る手は止まらない。 ただどれもこんな感じならその内飽きるだろうな…。 とりあえず次はアラムルチ読みます。
233 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/12/16(土) 19:42:49 ID:/a9WmpUN
ポール・アルテ「赤髯王の呪い」を読んだ。 このミス、文春のランキングをはじめとしてスルー状態な作品集、 出来栄えを見ればこれは致し方ないものがあるが、 怪奇探偵小説好きなら意外に楽しめるかと思う。 大好評な全話講評行ってみよう! 「赤髯王の呪い」 執筆されたのは本作(私家版)が先ではあるが、オチはあのヒット作の二番煎じであり、 連続不可能犯罪の謎解きはあっけないか、強引である。 前半は怪談話絡みの怪奇探偵小説そのものだが、終盤は一転、フランスの作家らしい ムーディな心理サスペンスとなってゆくので、 トマス・クックの記憶シリーズの愛読者などには一読の価値はあるかもしれぬ。 「死者は真夜中に踊る」 実話「動き廻る棺」を想起させるような話で、怪奇な館ものの雰囲気は良し。 ジョン作品というよりは、名探偵コナンレベルの謎解きを気軽に楽しめるか否かで、 読後の感想も変わってこようかと思う。 「ローレライの叫び」 孔雀の羽根はやはりオマージュか? 本作もローレライ伝説に材を取った怪奇な雰囲気の盛り上げは巧みだが、 肝心の謎解き部分が「いつか来た道」に過ぎないのが残念。 「コニャック殺人事件」 この作者には珍しい超自然現象ネタを絡ませない不可能犯罪もの。 ゆえにすっきりした出来にはなっているものの、本質はぎりぎりバカミスになるかどうか といったところか。
234 :
名無しのオプ :2006/12/16(土) 21:17:16 ID:zGnYYex+
「金蝿」 エドマンド・クリスピン 半世紀近く昔の翻訳であるせいか、めちゃくちゃ読みにくい。新訳出してくれ。 肝心の中身はカーのような雰囲気ながら、なんだか今ひとつ。 幽霊話を持ち出して色々と煽るわりには物語に絡んでこないし、明かされる真相には困惑する。 ついでに探偵役が、関係者の証言を嘘と見抜く理由もよく分からない。そういえば金蝿の指輪に 関する理由付けも謎だった。
235 :
名無しのオプ :2006/12/17(日) 05:54:35 ID:jUfOWDWC
ケン・フォレット『大聖堂』(上中下、SB文庫)【9点】 12世紀のイングランド。大聖堂建設の夢を持つ建設家、禁欲的な修道院長、 零落貴族の姉弟、成り上がりの傲慢貴族、野心溢れる司教など魅力的な人物が 織り成す大河歴史物語。 久しぶりに読み応えのある小説だった。冒頭の赤毛の若者の絞首刑のシーンが 一応ミステリー的な要素としてラスト近くで解決されるが、中心となるのは あくまでキングスブリッジにおける大聖堂建立の物語。さまざまな事件や苦難が 次々に襲い掛かり、読者の興味を逸らさない。どの登場人物も欠点をかかえており、 それが物語を奥深いものとしている。 やや長いのが難ですが、それだけに冬休みの読書にうってつけ。 新潮文庫版がブッコフで並んでいるのをよく見かける。
236 :
名無しのオプ :2006/12/18(月) 19:47:02 ID:g/uQr+dm
「赤い右手」 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ 片田舎で殺人鬼が跋扈するというお話。 かなり妙ちくりんな作品。時制が飛び飛びになっているうえ、けったいな文章のせいもあり、 途中からアル中の日記でも読んでるような感じになってくる。 なぜここまで無茶な犯行を行わなければならないのかという疑問は残るし、ロジックは飛躍 どころかワープするしと、かなり八方破れな作品なのだが、逆にそこが魅力なのだと思う。 強引な力技が気に入らない人には合わない作品とは思うけど。 どうでもいいが、「コペルニクス的転回」という惹句は少しズレてるような気がする。
237 :
読後感 :2006/12/18(月) 23:45:03 ID:4iXM6c9/
「荒ぶる血」ジェイムズ・カルロス・ブレイク(文藝春秋) 大物ギャングの下で殺し屋として働いていたジミーはある時 一人の女に出会い、心を奪われる。一時の逢瀬を楽しむ二人。 しかしそれは突然終りを告げる。彼女に執着するメキシコの牧場主が 殺し屋を差し向け奪い去って行ったのだ! ジミーは仲間と共に恋人奪還に向かうが…。 まあ、予想通り前作と構成はまるで同じw ただリーダビリティだけは一級品。抜群にある。 プロット自体は大したことなし読後何も残らないけど。 例えるなら釣りで散々引っ張っといて漸く釣り上げたら 何も変わってなかった、みたいな感じかな? このミス3位は高いような気がするけど、年一で楽しむ分にはいいかも。
238 :
読後感 :2006/12/21(木) 00:14:16 ID:TLB0aVqi
「魔性の森」ハーバート・リーバーマン(角川書店) 新しい相続人のため、土地確認の森歩きをする測量人と周辺住民たち。 しかし突如測量人が発作で倒れ、皆は森の中で迷子になってしまう。 見当を付けて歩き回るが深みにはまるばかり。やがてじわじわと 人間関係にも亀裂が入って来る……。 当スレからのセレクト。ひたすら道に迷うというだけの話。 読みやすかった。誰にも感情移入出来ない所が良い。 ラストは意味不明だけど…。
239 :
読後感 :2006/12/21(木) 00:16:13 ID:TLB0aVqi
「太陽の殺意」M・K・プレストン(ソニー・マガジンズ) 久し振りに故郷へ帰って来たチャンタリーンの目的は 濡衣を着せられてリンチにあった父親の汚名を晴らし 殺害犯達を見付けるためだった。皆の前で高らかにそう宣言する 彼女だったが、その直後仇の一人と思われる男が殺され、 容疑者になってしまう。若手弁護士ドルーの助けを借りて チャンタリーンは調査を続けるが――。 300弱と短いのだけが取り柄。やたらダラダラしてて ろくに調べようとしないし小説としてのまとまりも悪い。 こんなんがノミネートされるなんてクラーク賞はレベルが低すぎる。 日暮さん仕事選びなよ…。
240 :
読後感 :2006/12/21(木) 09:37:45 ID:TLB0aVqi
「海のオベリスト」C・デイリー・キング(原書房) 航海中の豪華客船で短い停電の最中に起こった殺人。 被害者は心臓を撃たれて即死しており、体内から2個の弾丸が 摘出された。しかし、銃声は一度しか聴こえなかったのだ! ピストルを持っていた男が取り調べを受けるがそこから放たれた 弾丸は他の場所から発見され、更に解剖の結果被害者は 毒殺されていたことが明らかとなる。 この混乱した事態に乗客である4人の心理学者達はそれぞれ独自の 推理を披露して犯人を指摘するのだが――。 オベリスト三部作シリーズスタート。 本書の特徴は「多重推理」と「巻末の手掛り索引」である。 一人が答えを示し、それが違うようだと判明して次へ進むのだが、 その否定の方法が論理的に矛盾を突いたりして崩していくのではなく、 作中で制定された「明確な物差し」によってなされており、 読者としては結論に一抹の不安を覚えながらも頭を悩ますことなく 次に進んでいける。ここは物足りなさを感じる人も いるかも知れないが、読み進みやすいことは間違いない。 また、手掛り索引については少々細か過ぎる気がした。 こういうのは少数の要領を得たポイントを指摘するべきだと思う。 間違っても「ロートレック荘事件」のようににならないよう…。 真相に関してはごしゃごしゃやり過ぎて意外性が削がれた感あり。
241 :
名無しのオプ :2006/12/22(金) 01:47:57 ID:WbbSNsXH
クリストファー・プリースト『魔法』(ハヤカワFT文庫) 爆弾テロに巻き込まれた報道カメラマンのグレイは、記憶をなくし病院で治療を受けていた。 彼のもとを訪ねてくる自称「元恋人」のスーザン。 スーザン、グレイ、スーザンの恋人ナイオール、彼らの奇妙な三角関係の行方は…… 『奇術師』がこのミスや文春でベストテンに選出されたプリーストの代表長編。 やっぱりボーダレスな小説で、恋愛、幻想、SF……など多彩な要素を含む。 「奇才プリーストが語り(=騙り)の技巧を遺憾なく発揮して描いた……」とあらすじにあるように、叙述要素が物語の仕掛けに組み込まれている。 解説にある激賞の言葉ほど面白いとは思わないが、第五部からとんでもない方向へ話がずれていく様子や、ラストで明らかになる仕掛けは、なかなかの見ものだった。 ちなみに解説は法月綸太郎。
242 :
名無しのオプ :2006/12/23(土) 23:53:09 ID:Q4Hcy7ra
「私が見たと蝿は言う」エリザベス・フェラーズ 本格は感傷でしか読まないんだけど久しぶりに。 安アパートの一室から殺人に使われた凶器が見つかり 住人の誰かが犯人ってことになるんだけど それぞれの住人が面白い。本格好きにはちょっと 物足りないかもしれないけど(十分楽しめるレベル) おれみたいに謎がどうより人間模様を楽しみたい人にはいいと思う。 面白かったなぁと思ったら「猿来たりなば」の人なんだね
243 :
読後感 :2006/12/24(日) 00:28:31 ID:yTEQKdaw
「鉄路のオベリスト」C・デイリー・キング(光文社) アメリカ大陸を横断中の豪華列車内のプールで男が死んでいるのが 発見された。状況からみて溺死と思われたが、解剖の結果 違うことが判明する。続いて第2の事件が発生し一人が殺され 一人が危うく生き延びた。列車に乗り込んでいたロード警部補は 旧知の心理学者と共に捜査に乗り出すのだが――。 シリーズ2作目。鮎哲訳。この人のマイナー作家に対する情熱の お陰で本書や「殺意のトリック」を読むことが出来てありがとう。 今回は前作と比べて《多重推理》という型はぐんと薄まった感じ。 心理的推理に因る所が多い上に結論が安直。ただ、読みやすさは増した。 プラス、意外性も確保出来ていたかな。あらあらこんな 夜明け前よりミエミエな、と思っていたら見事にハズレちゃった。 前作よりもミステリーぽかったな。 あ、刊行順に読んでね!
245 :
読後感 :2006/12/31(日) 04:55:57 ID:16RpEECi
「空のオベリスト」C・デイリー・キング(国書刊行会) サンフランシスコ行きの旅客機内で外科医が殺された。 被害者は国務長官の緊急手術をする予定であり、日時まで指定された 殺人予告を受け取っていた。そして予告通りの時刻に酔い止めの カプセルを服用したきり目を覚まさなかったのだ! しかもカプセルは護衛のロード警部が渡したものだった……。 原題カコイイ。オベリストよ、高く翔べ! シリーズの特徴であったはずの多重推理はすっかり形骸化している。 その代わりというか本書はエピローグを冒頭に持ってきてプロローグで 締めるという仕組みが採られており、こういうの新本格以外では Pマクの「ライノクス殺人事件」しか知らない。さて、どれほどの意味が あるのかと思いきや、あまりなかった。 自分はプロローグを前にしてもう一度エピローグに戻りそれから プロローグを読んで手掛り索引に当たり解説(この空気の読めなさは 異常)を読んだが、イマイチよく呑み込めなかった。犯人は解った けど、じゃあ「あれ」をやったのは誰か? ロードの推理が正しい のか? ならば(メル欄1)と(メル欄2))の説明は? ここから一人の人物が導き出される気がするのだが……。謎だ。 ちなみに中盤のサプライズは薄々見当ついた。
246 :
名無しのオプ :2006/12/31(日) 11:44:57 ID:CL2iYDUP
P.ボアロー『殺人者なき六つの殺人』(講談社文庫) 『悪魔のような女』の片割れ。サスペンスではなくがちがちの密室もの。 パリのアパルトマンで銀行家夫婦が狙撃される、という事件を筆頭に、タイトル通り6つの殺人事件が起こる。 真相が暴かれてみると、因果関係が連鎖しているので、6つもある殺人はすべて必然であることがわかる。 ただし、全体で250Pしかないため、次から次へ事件が起こって慌しい。 ひとつの事件を反芻する時間がないので、不可能性の強調も足りていない。 一番いけないのは、形として容疑者が存在しないことだ。 犯人の可能性があるのは一人しかなく、読者にとっては簡単に先が読めてしまう。 殺人の因果関係については、よく練られていると思うだけに惜しい。 小説としての面白みはほとんどないが、古典本格マニアであれば読む価値あり。
247 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2006/12/31(日) 18:36:22 ID:CzHikJAp
今冬は、アガサ・クリスティのマイナーな作を取り上げてみたく思う。 「愛国殺人」を読んだ。 スパイ・スリラーの著作も相当数あるアガサらしいエルキュールものだが、 やはり本格ミステリはエスピオナージ等が絡まない館もの等の方が 雰囲気にマッチするやに思われる。 犯人の犯行は、アガサらしい間隙を突くアクロバティックなものだが、 歯科医のスキルを簡単に見過ぎている点が気にかからぬでもない。 大きな可も不可も無い凡作といった評価が妥当かと思う。
248 :
読後感 :2006/12/31(日) 20:58:23 ID:16RpEECi
「屍衣の流行」マージェリー・アリンガム(国書刊行会) 私立探偵キャンピオンの妹でデザイナーのヴァルは若き実業家 アランに想いを寄せていた。しかしアランは人気女優ジョージアに 心を奪われており、ジョージアの夫レイモンドは妻そっくりの モデルとデートをしていた。そんな中キャンピオン自身も 旧知の女性と婚約してしまう!! 迷走する恋模様の中失踪していたジョージアの元恋人が白骨死体で 発見され、更にレイモンドが飛行機内で死亡する。スキャンダルを 恐れた関係者達は隠蔽を計るが事はやがて漏洩しヴァルにも危険が! のりりん曰く「森博嗣風ラブコメの原点」。しかしどこにコメが? コメが主食の日本人としてこれは辛い。 つーか無駄になげーよ。大仰で持って回った言い回し、長ったらしい 比喩、その場その場で語られる男性・女性観など読書意欲を削がれて 参った。これもっと刈り込んでスマートにして欲しい。 大体プロットも大したことない。温い本格orサスペンスって感じ。 犯人の意外性もないし(これは解説でも消極的に認められている)、 このトリックのどこが凄いのかもさっぱり解らん。 ロマンスも唐突で腑に落ちない。解説者(=訳者)は褒めすぎ。 それでは皆さん、よいお年を。
249 :
名無しのオプ :2007/01/01(月) 15:24:52 ID:IbXXBdhW
読後感は出て行けや。つまらん主観を押し付けて読書の楽しみを奪うなボケ。
250 :
名無しのオプ :2007/01/01(月) 15:36:00 ID:HrTtkK4O
下劣なコテハン叩きはルール違反ですよ。
251 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/01(月) 21:52:44 ID:xXMhNOYc
「ポケットにライ麦を」 一般のミステリファンには十分にマイナー、エルキュール・シリーズと比較して作品数が 圧倒的に少ないジェーン・シリーズということもあって、 アガサファンには、結構、読まれているのがこの辺の作かと思う。 アガサ作品にありがちな若い男女の安手なラブロマンスが無く、 横溝風のいずれも一癖ある人物たち(一族)が集う館ものという設定は、 謎解きミステリのお膳立てとしては申し分が無いものがあるのだが、 いかんせん「売り」であるマザー・グース絡みの見立て殺人に無理が有り過ぎで、 必然性が感じられない点が弱い。
252 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/02(火) 22:04:15 ID:jv2425Sn
「ヒッコリー・ロードの殺人」 アガサファンでないと読んでいなさそうなエルキュールもの。 日本で例えれば、学生下宿(本作では入居者全てが学生というわけではないが)を 舞台にした奇妙な盗難、そして殺人が描かれる。 読者の興を惹き易い「館もの」等でも書けそうなストーリー (アーヤならそうしてしまうかも(w )ながら、 殊更に怪奇な設定はしないアガサは、ロンドンの大通り裏のハウスを舞台に巧みな ストーリーテリングで事件に広がりも持たせた上で、それなりに満足がゆくミステリに 仕上げているのはさすがである。
253 :
名無しのオプ :2007/01/02(火) 22:43:45 ID:YldQyTb1
快調なペースで読書してるね。 その調子その調子。
254 :
名無しのオプ :2007/01/03(水) 19:56:47 ID:fZM/ErZo
「最上階の殺人」 アントニイ・バークリー 素人探偵ロジャー・シェリンガムのシリーズ作品。 簡素な問題編とそれに対する多重解決という、いかにもバークリーらしい内容。 全編に渡って炸裂するロジャーの推理(というか妄想)が楽しく、そこが一番の見所だろう。 ただ、セイヤーズ言うところの典型的なロジャー・シェリンガム式の作品なので、着地点が マンネリ気味という気がしなくもない。 最後の一行で思わず吹いたし、十分に面白い作品だとは思うのだけど。
255 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/03(水) 21:12:46 ID:GYptbuIY
スティーブン・キング「ミザリー」を読んだ。 正式にはホラーはSF板の担当なのだが、本作は恐怖小説ではあるが超自然現象が 描かれた怪奇小説ではないため、作品全体に仕掛けられた趣向は勿論のこと、 アニーの犯罪工作など見ても、キング作品中でもSFやホラーの好き読者よりも、 ミステリファン好みの一編と言い得る。 ヒーローは交通事故で重傷を負った寝たきりの中年作家、 ヒロインは人三化七を絵に描いたようなナース上がりのキティなオバン、 メインキャラはこの2人のみであり、この設定で、一読巻を置かせぬ面白い長編を書いてしまうのは、さすがのスティーブンである。空想力が逞しいこと、極限状態でさえ創作意欲を抑えられないこと等、 主人公のキャラが説得力を持って十分に活きているのも本作に精彩を与えている因である。
256 :
名無しのオプ :2007/01/03(水) 22:03:03 ID:E9YqkwBn
>>227 的確な批評だね。
いつもさんくすこです。
257 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/04(木) 21:35:27 ID:aui0jNTG
「ロリータ」の新訳(文庫版)を読んだ。 大久保康雄氏の訳書は、端整で読み易いものであったが、 (この点は、新訳を担当した若島正先生(京大院文学研究科教授)も認めている ようである。 大久保先生の筆による(?)ロリータが主人公ハンバート・ハンバートが 評する「ニンフェット」そのものの印象なのに対して、若島先生描くところ(?)の ロリータ像は、話し方ひとつにもフィッツ作品に描かれるフラッパーの後裔ていうか、 不良性を帯びて読めるのが面白い) それゆえに、「言葉」に凝る傾向が強いウラジミールらしさが感じられないという評 もあった。 今回の若島版ロリータは、原文の雰囲気を重視したものとなっているため、 時には読者サイドにとっては多少の読み難さとなっている点は否めない。 内容的には、「ミステリとして読める作」ていうか、訳者あとがきに記されているとおり、 「ミステリそのもの」かもしれぬという作品全体に「謎」が仕掛けられている やもしれぬ作なのである。 この辺の事情も十分に意識して新訳されている27章以降の展開は熟読吟味する必要が あろう。特に普段から低俗な新書ミステリに耽溺しているミスヲタは、 この世紀の名作に取り組むに当たって、この点は十分に心しておけ。
258 :
名無しのオプ :2007/01/05(金) 00:21:49 ID:pcDRbWp+
ナンシー・ピカード『恋人たちの小道』(ハヤカワ文庫) 市民財団長ジェニー・ケインシリーズの第1作。 財団のせいで息子が死んだ、とジェニーをなじった男が、港開発のセレモニーに車で突っ込んでくる。 自暴自棄の行動と思われたが、ブレーキに細工がされてたらしい……。 ユーモラスなタッチのライトなミステリ。婉曲的な表現が多いため慣れるまで読みづらいかも。 はた迷惑なジェニーの父親など、キャラがしっかり書き分けられており面白い。 ただしタイトルで損をしているような……。 ジェニー&ジェフの恋の行方と、作中の地名ラヴァーズ・リープに引っ掛けた邦題と思うのだが、全体の印象からすると微妙。
259 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/06(土) 00:12:45 ID:g68scssk
アガサ・クリスティ「蒼ざめた馬」を読んだ。 テレフォースによる連続遠隔殺人の謎に挑むひとりの青年学者、 古ぼけた館「蒼ざめた馬」に住むマクベスの魔女を想起させるような女たちの登場・・ アガサ長編には珍しい怪奇探偵小説風のノンキャラ作品であり、 J・Dならここぞとばかりに怪奇性を強調してゆき、登場人物たちもどっぷりと このムードに呑み込まれてゆくところであろうが、 本作の登場人物たちは事件の怪奇性に途惑いながらも常に懐疑的であるのが アガサ作品らしいものがある。 脇キャラながら作者本人の投影と思われるオリヴァ夫人が、 呪法による殺人を書くことを薦められた時の返答、 「わたしはごくありふれた殺人しか扱わないのです」という言葉に アガサの基本的執筆姿勢が顕著に読み取れるやに思う。 (訳者も、あとがきで「ありふれた殺人を神秘化させるところにこの作家の才能がひそんでいるのだろう」と述べている) 本作はエスピオナージではないが(英国作家らしくアガサはこの手のものも書いている)殺人方法は、偶然にもタイムリーそのものであり、あらためてこの作家の着眼点の良さに 感心したが、ストーリーには御都合主義による偶然性の不自然さが目立ち過ぎ、 アガサ作品中でも、ミステリとしても中の下レベルの域を出ないものに止まっている のは、いささか(注 伊佐坂先生ではない(w )残念な感はある。
260 :
読後感 :2007/01/06(土) 18:33:39 ID:IQZ8TVgG
「マイアミ弁護士ソロモン&ロード」ポール・ルバイン(講談社) 仕事を選ばないお陰で成功とは程遠い弁護士ソロモン。彼は今 若き新米検事ヴィクトリアに心を奪われていたが彼女はソロモンに 負けたせいでクビになってしまう。その後彼女は弁護士として 知り合いの富豪の怪死に関する裁判を担当しようとするが、 甥の親権を守るため金が必要なソロモンはそこに強引に割り込む。 果たして彼等は勝訴することが出来るのか?そして二人の関係は――。 シリアスなリーガル・サスペンスではなく、 ロマンティック・ユーモア・サスペンスといった感じ。笑える。 裁判よりもロマンスに力点が置かれているからその辺好みが別れるかも。 でも「弁護士は奇策で勝負する」とか好きなら大丈夫だと思う。 あと「アリー・my・ラブ」とか。 ロマンスに関して言えば引っ張り過ぎだし、障害児を餌にするのも あざとくてマイナスかな。でも続編邦訳されたら読むと思うw
261 :
名無しのオプ :2007/01/07(日) 00:24:33 ID:9lRLGMTe
R.D.ウィングフィールド 『クリスマスのフロスト』(創元文庫)【8.5点】 クリスマスの直前、町の幼女が行方不明になった。 指揮を執る警部フロストは多発する大小の事件に奔走するが・・・ 世評高いがなぜか長期間積読状態だった本作に挑戦。 赤川次郎の大貫警部みたいなキャラかと思っていたが、 もっと親しみある人柄でしたね。事件は派手でないが、展開が上手く あれよあれよという間に一気読み。ラストにもうひとひねり有るかな、 と思ったが、充分に面白かったです。
262 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/07(日) 21:27:33 ID:PPp8uhL+
ノーマン・ベロウ「魔王の足跡」を読んだ。 世界の不思議といった類の書籍に取り上げられることが多い実話「英国における 雪上の謎の足跡」をネタとし、 (有名どころではフランク・エドワーズの「世にも不思議な物語」に採録され、 同名のテレビ番組によりこのエピも映像化されオンエアされている) ミステリ・サークル的な解決の呈示を試みた、まさにジョン張りのコテコテな 怪奇探偵小説である。 本格ミステリ倶楽部ではある程度の評価を受けた作とはいえ、結局、この程度の謎解き を読んで喜んでいるのは、毎週お茶の間で欠かさず「名探偵コナン」を手に汗握って 鑑賞し、稲垣金田一シリーズのオンエアを心待ちにして、 「稲垣メンバーの金田一キター!」と正月早々から絶叫した末、御近所から不審者として 通報されてしまうようなレベルのミスヲタに過ぎないという感がある。 この奇想天外とは言わぬまでも奇抜なトリックを看破するのはそれこそ不可能事だと しても、(先に翻訳されたタルボット作品を想起させる面があるのも気にかかる) 普通に読んでゆくと犯人の目星は割りと簡単に付くのも難、 とにかく本作の評価は、否定的な意味合いを強く込めた漫画ちっくの一言に尽きる。 森英俊氏のあとがきによると、本作と同じ主人公の警部が登場する作品が他にも 4作(未訳)あり、この作者の代表作とされているらしいが、 記されたあらすじを読む限りでは、いずれも本作より面白そうに見えるのは皮肉である。
263 :
名無しのオプ :2007/01/08(月) 19:13:16 ID:n0hPrNC7
M.J.トロー『霧の殺人鬼』(ハヤカワ文庫) 切り裂きジャック事件後のロンドンで、レストレイド警部が、殺人を見立てた詩を送りつける無差別殺人鬼を追う。 彼を主役にしたパスティーシュのアイデアが面白い。 オスカー・ワイルドやデュー警部など、同時代の著名人が次々に現れるさまは、まるでキム・ニューマン『ドラキュラ崩御』のよう。 ただ作品としては微妙である。 連続無差別殺人なので、事件がブツブツ途切れてしまうし、謎解きの興味も薄い。 作者は、ホームズ作品中の警官が腰抜けに書かれてあるのに憤慨しこれを書いたそうだ。 なるほどホームズはコカイン狂、ワトスンは駄目医者として、チョイ役で登場する(ちなみに別にドイルも出る)。 だが、こんなホームズファンに喧嘩を売るような書き方より、「会話には出てくるけど登場はしない」というような演出の方が、スピンオフっぽくて面白かったのではないか。 (なお訳では、ホームズもワトスンも、自分のことを「わし」と言う……あかんやろ)
264 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/10(水) 06:40:29 ID:GcKz2KGv
マックス・アフォード「魔法人形」を読んだ。 おなじみ国書刊行会の世界探偵小説全集の1冊だが、なんとなく積ん読していた作。 呪いの人形の謎、いわく因縁付きの館、ここに集ういずれも一癖ある人物等、 森英俊氏はオージーのジョンと評しているが、むしろ前半部分は本邦の横溝作品を 想起させるような作品だが、警察が動き出し犯人探しが本格化する後半に入ると、 一転、怪奇性は影を潜め出し、緻密な捜査と論理的な推理が中心となる。 内容的には作者がラジオ作家ということもあってか、御都合主義な偶然性が目立ち過ぎるのが難、また、丁寧に読めば犯人を当てることは難しくはない。 あとがきでアウトラインが紹介されているこの作者の他の作品の方が面白く 感じられるのは、前述した「魔王の足跡」と同様であった。 (奇しくも、「魔王の…」の元ネタとなった英国における雪上の謎の足跡が本作の最後の方で簡単に紹介されている)
265 :
名無しのオプ :2007/01/11(木) 23:59:32 ID:dVHYEg/4
エラリイ・クイーン『第八の日』(ハヤカワ文庫) ハリウッドからの帰宅中、ネバダの砂漠で迷ってしまったエラリイは ふとしたことでクイーナンという集落へ迷い込む。 彼を来るべき預言者のように扱う村人たち。 半世紀にわたって犯罪すら起きていなかった街に、恐ろしい犯罪が……。 何気なく読んだ後期クイーンの作品だが傑作。代筆らしいけど。 事件は大したことがないものの、宗教的価値観の前に敗れさるエラリイの苦悩が、 実に生々しく、ダイレクトに伝わってくる。 最後に明らかになる「失われた書」の真相(その皮肉!)、一文だけの第七章、 エピローグの高揚感もすばらしい。 『災厄の町』を読んだ時も思ったが、自分は後期クイーンの方が好きだな。
266 :
読後感 :2007/01/12(金) 02:00:43 ID:F26YwF0L
「ダーティ・トリック」マイケル・ディブディン(扶桑社) この本は「私」の告白である。薄給の教職に甘んじている「私」は とあるパーティーで知り合った裕福な人妻と不倫関係になる。 ズルズルと深入りしていく「私」に運命は味方し、やがて欲しいものを 全て手に入れ、「私」は成功者となった。しかし――。 思わせぶりなタイトルといい叙述スタイルといい何か サプライズがあるのかと胸ワクワクで読んだのに報われず。 まあクライム・ノヴェルでした。一人称ならでは細かな特徴等に リアリティは感じるもののだからどうしたってなわけで……。 ダグラス・ケネディの縮小版みたいな感じなのかな。
267 :
名無しのオプ :2007/01/12(金) 02:44:09 ID:PBpP+ogE
「狂嵐の銃弾」 D・スカウ バカミス。 作者が狙って書いたのかはたまたヤクをやりながら書いたのか? おそらく後者ではないか
268 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/12(金) 20:47:32 ID:qS/qkU2l
アガサ・クリスティ「邪悪の家」を読んだ。 エルキュール・シリーズ第6作と初期作品だが、アガサファン以外には読まれることが 少ない作かと思う。 初期のエルキュールの自己顕示欲の強さをあらためて再確認させられるような作 であり、中期以降の落ち着いた雰囲気の彼氏を知る読者にはギャップも感じ得よう。 内容的には読者がエルキュールの推理の過程をトレースするのは無理があるとしても、 仰天の結末なのは間違い無く、館ものとしての怪奇性(あえて、何らいわく因縁も無い 平凡な屋敷をメーンな舞台としているようである)や観光小説的要素を強調することも 可能な設定だが、この方向性を取らず、会話文を多くし余計な描写を削った文体が テンポの良さを出すことに成功しているのがアガサらしい。 ベロウやアフォードといったニ線級の作を読んだ後だと、 n非常にスマート、かつ、シャープに感じられる。
269 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/13(土) 17:21:40 ID:mNT8457w
アガサ・クリスティ「エッジウェア卿の死」を読んだ。 これもエルキュール・シリーズ初期作(第7作)。 創元推理文庫にも別題で収録されているとはいえ、 アガサファン以外は手に取ることが少ない作であろうかと思う。 結局、謎解きはアクロバティックなおなじみのパターン、 犯行の動機に宗教的知識が無いと(エゲレスでは常識)日本人にはぴんと来ない 部分があるのは難としても、語りと仕掛けの巧さで読まされてしまう感じである。 訳者は日本SFの父のひとりである福島正実氏だが、 その海外ミステリに関する読書量は別としても、 翻訳となった場合には、ミステリしかもアガサ作品の雰囲気に馴れないのか、 エルキュールと大佐コンビの会話が、他の訳者の作に比べて、 今ひとつよそよそしく、ぎこちない感があるのを否めないのが残念である。 ひろゆき氏なら「新訳キボーン!」とか言うのではなかろうか(w
270 :
名無しのオプ :2007/01/13(土) 17:35:23 ID:7zDFsejh
書斎さんは2ちゃんがなくなっても全然困りそうにないなあ。 ネットストーカーどもが困惑しているwのを尻目に、 この悠々せまらざるレスのことよ。
271 :
名無しのオプ :2007/01/13(土) 23:32:23 ID:1KZNdMxw
ピーター・ラヴゼイ 『最後の声』(ハヤカワ・ミステリ文庫)【8.5点】 中年女性の殺害現場に赴いたダイアモンド警視は、遺体が 妻のステフであることを知る。捜査から外され、剰さえ容疑者と 見なされた警視は、命令違反を覚悟に単独捜査に。シリーズ第7弾。 最後まで犯人像を絞らせない巧みなプロット、伏線の妙はさすが。 とくになぜ(メール@)という点は、レッドヘリングも効いていて 真相が分かった時には感心した。レギュラー・メンバーも元気そう。 また途中まで(A)か? と思った人物が最後にあんなことになって・・・ シリーズ読者のひいき目かもしれんが、高度安定のすばらしい小説。
272 :
名無しのオプ :2007/01/14(日) 00:25:12 ID:hhgp6TWq
書斎が書いてるクリスティの「論考」、俺が高校くらいの頃に読んだものばっかりだなぁ。 しかし自称知識人のクセにこの程度の感想もどきしか書けないんだから笑えるw
273 :
読後感 :2007/01/15(月) 03:45:50 ID:lPyfNQ1m
「アララテのアプルビイ」マイクル・イネス(河出書房新社) 出張で海路オーストラリアへ向かっていたアプルビイは途中で Uボートの襲撃を受けてしまう。船は沈没し、アプルビイら 生き残った乗客6人はどことも知れない島へ漂着する。 何とか生活していこうとする一行だったが、数日後彼等の一人が 海に浮かぶ死体となって発見される。犯人は残りの4人の中に いるのか? 丁度「LOST」が始まった頃でタイムリー(?)に読殺。 これ予告であらすじ読んで楽しみにしてたんだが、途中いらん文言が 目に入って水を差された。曰く「謎解きを期待するな」「本格だ と思ってはいけない」みたいな。何ですかその予防線は。 感想なんて所詮主観だってのに牽制してんじゃねーよボケ!! 本格であろうがなかろうが面白けりゃそう言うしつまらんなら 糞つまらんと言うわさ。ご心配なく! と、やや気分を害しつつ手に取ったわけですが……あるじゃん謎解き。 あらすじから予測されるものとは違った形になっていくけれども。 ただ面白いかと言われると、う〜ん、お モ し ロ い ? 本格一辺倒の人ではないのは知ってたけどこれはどうも 中途半端な印象が拭えなかった。ラストもかなりご都合主義だしなあ。 追伸 40年前の児童書みたいな表紙は嫌いじゃない。
274 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/01/15(月) 21:25:03 ID:m6XUafDV
デイヴィッド・マレル「廃墟ホテル」を読んだ。 このミスのランキング入りはしているものの、下位になるとこんな程度であろうかという のが正直な感想である。 本邦でも最近は静かなる廃墟ブームであり、写真集やルポなども出版されているため、 この点ではタイムリーな翻訳とは言い得るが、 所変れば品変わるというか、どこかマターリ、のんびりした感が漂う日本の廃墟探訪 とは異なり、 本書で紹介されている諸外国の廃墟のスケール感やクリ―パーなる廃墟深訪者 (というか冒険者)たちの時には命がけの廃墟に注ぐ情熱には驚嘆すべきものを感じざる を得ない。 作品としては、謎解き有りの、アクション有りなサイコホラー風の冒険小説の類だが、 内容的に盛り沢山過ぎて焦点が定まらず、ありがちなハリウッド製B級アクションの 「ホン」を読まされているような通俗性が作品全体を安っぽいものに見せてしまって いるのが惜しい。(ヒロインの途中交代だけは意外性があったが) 冒険小説でおなじみの海洋・山岳・大氷原といった自然界がその舞台になり難くなり、 共産圏の解体、大都市の治安強化等、国際社会や大都会さえその舞台となり得なく なって来た現代において、巨大な廃墟という舞台は冒険小説の舞台としては格好のもの であっただけに残念である。 作中で著名な(欧米人にはと言える)な小説・映画、人物等について作者の薀蓄 や批評と思われるものが登場人物の口を通じて語られているが、 これは本筋を離れた読ませどころと言え、なかなか面白いものはあるが、 (例えば、「ティファニーで朝食を」のヒロインホリーに関する見解等) 果して、作者はこの饒舌が物語のスリルを殺ぐ結果になっているのにも気付いているで あろうか。
275 :
名無しのオプ :2007/01/15(月) 23:02:41 ID:WjWFiPhu
あのさ、臭い魔神さんよ。 インターネットがまだ電話回線でつながれていた頃…そうさなぁ〜、 「ISDNの方がADSLより快適だよ。接続早いし」「俺、テレホーダイ使っているぜ」とか言われていた頃、 あの当時ならYahooの掲示板も楽しかったし、それなりの盛り上がりもステイタスもあったかも。 でもな、上の方で書いている人もいるけど、2ちゃんが出来てからこっち、 ネットユーザーは殆どこっちに流れちまったの。 だけどここしばらくは1日のアクセス数は、mixiが2ちゃんねるを追い越してしまった。 荒らしが野放しとか、犯罪がらみの報道をみて新規の住人がどんどん流れ込んできて、 数年前からいる人は、削除がなかなか追いつかない2ちゃんに愛想つかせて 個人で発信できるブログやmixiに足場を移しているんだよ。 BBSはどこもかしこも過疎化している。2ちゃん以外でもね。 そんな情勢の中で、今頃になって「Yahooのトピに行くつもりである」なんて宣言してるお前が それほどインターネット時代に取り残された爺なのかよく考えろ。
276 :
名無しのオプ :2007/01/15(月) 23:36:23 ID:RmGMZHtD
277 :
読後感 :2007/01/19(金) 03:41:20 ID:fTjU51X/
「裏切りのノストラダムス」ジョン・ガードナー(東京創元社) 時は1978年のロンドン。ロンドン塔にやって来たドイツ人女性が 衛兵に告げた。「私の夫はここで処刑された」と。事は英国海外 情報局に伝わり、興味を覚えた局員ハービーが調査を行うことになるが、 その先には戦時下のドイツで進められたという「ノストラダムス作戦」が 姿を現して来る。関係者から聴取を始めるハービー。そんな中、 例のドイツ人女性が狙撃される事件が発生した。一体誰が、 何のために?そして彼女は何者なのか? 530ページと分厚いのが英国スパイ小説らしい。但しル・カレみたいに 読みにくくはない。しかし面白くもない。ほとんどが回想シーン なのだがここで語られる作戦にあまり現実味が感じられない。中世か! 更に回想の初めに意味もなく話が前後するのも?だった。 「意外な結末」もあるものの伏線が曖昧なので感心出来ない。 折角下地がこんだけあるのに勿体無い……。 発端の謎の解答にもがっくりきた。だったらこの段階で終わりじゃん! 他の作品や続編にもいくらか興味を残しつつ本を閉じた。
278 :
読後感 :2007/01/19(金) 23:57:01 ID:fTjU51X/
「証拠は語る」マイケル・イネス(長崎出版) 象牙の塔で起こった奇怪な殺人事件。被害者は頭を潰されており 側には隕石が落ちていた。アプルビイは 地元の警部補と共に捜査に当たるが謎は凶器だけに止まらず 人間関係に纏わる様々な謎が彼等の前に立ちはだかる。 もう名前統一しなよ。 いや、しかし面白かったでつよ。やっぱイネスはコーディネイト。 訳の分からん謎がわさわさ出て来るのもたまらんし、ラストの パタパタ返しも「ある詩人への挽歌」を思わせてGood! 新本格派特有の長さも今回は気にならなかった。これは本ミスに 期待が出来るんじゃないか。 あと(メル欄)は(メル欄2)てことなのかな? ところでウチの区「アララテ〜」は4冊購入+予約1だったのに対し 本書は1冊購入+予約1。この差は出版社の知名度かしら? 中身は逆だと思うのにな。
279 :
名無しのオプ :2007/01/20(土) 00:24:10 ID:3OxZZYUY
買えよ馬鹿
280 :
読後感 :2007/01/24(水) 12:38:22 ID:1wWG0FGu
「復讐」ティム・グリーン(二見書房) 前途有望なネイティブ・アメリカンの弁護士レイモンドはある日突然 地獄の底に叩き落とされる。殺人容疑、有罪、そして長い刑務所生活。 絶望していたレイモンドだったが、何度目かの移送先で巡り会った 老人に思わぬことを聴かされる……。果たしてレイモンドは 裟婆に戻って敵に報復することが出来るのか? 絶対無敵ガンクツオーキター!!!!!!!!!!!!!! 俺これ系の話マジ好きなんすよ。これはもう 病気かも分からんね。 ただ、模倣作には時折出会うんだけどキッチリ満足させてくれるものは 少ないんだよなあ。だから不安半分で読んだんだが、これは良い! 少なくともガッカリ来ることはないと思うのでオススメ。 ホニャララが何度もホニャララされるとこなんかGJ! て感じだった。ラストも爽やかで実にスガスガしかった。 ただ短くするために急いでいる部分があり、シノプシスみたいに 感じてしまうことも。一人称が「〜いる」連発なのも性急さを感じる。 今まで「復讐の時」「連城訣」「天国の階段」「白髪鬼」 「ヴェンデッタ」等読んで来たけどこれは今んとこ暫定一位かも。 キチガイ度は「白髪鬼」がダントツだけどw
ジャック・カーリイ『百番目の男』(文春文庫)【7点】 市内で連続する男性殺人事件。遺体は頚部を切断され、肉体の一部に 謎のメッセージが刻まれていた。ある事件を過去に引きずる刑事カーソンは、 相棒ハリーとともに事件解明にいどむ。 前半の刑事同士のいがみあいや、検視医アヴァとの関係などまどろっこしくて 投げ出しそうになったが、後半の精神病院の辺りから面白くなり、例の「真相」に 唖然。同時に前半の伏線がなかなか巧みに張られていたことに気づき感心。 ただ、(メール)なので、動機はともかく真犯人がわかってもカタルシスはなかった。 小説としては【6点】、真相の突飛さに敬意を表して+1点。
282 :
読後感 :2007/01/27(土) 13:30:52 ID:KeQ1L4Hr
「サンキュー、ジーヴス」P・G・ウッドハウス(国書刊行会) 有閑青年バーディーは楽器好きが高じて田舎に引っ越す羽目になり、 頼りにしていた執事のジーヴスにも辞められてしまう。 親友チャッフィーに引っ越し先を世話してもらったバーディーだったが、 チャッフィーの家でかつての婚約者ポーリーンに再会してしまう。 気まずさを隠し切れないバーディー。しかしチャッフィーと ポーリーンがお互いを憎からず思っていることを知り……。 シリーズ第6弾。何故これから読んだかは言わずもがな。 ファースというかユーモア小説としてはいい出来だと思うものの、 個人的にはかなりガッカリした。解説も何か釣ってるし。 あんな設定必要だったのかなあ……。
283 :
読後感 :2007/01/28(日) 14:11:09 ID:4cjcvT+u
「妖女ドレッテ」ワルター・ハーリヒ(東京創元社) 荘園管理人シュテーゲンは遠ざかる馬車を見つめながら 立ち尽くしていた。ドレッテ――彼が愛した女は行ってしまった。 彼女の夫である荘園主が閉めきった書斎で不可解な死を遂げ、 全ては変わってしまった。ドレッテ恋しさに都会へ来たシュテーゲンは 再会した彼女から事件が再調査されていると知らされる。 ――彼女は俺がやったと思っている。確かに俺達は彼を目障りに感じ、 俺は殺人を計画した。しかし、俺はやっていないのだ……。 物語としてはまあ読めるが密室トリックはすぐに解明されてしまうし、 あまり魅力もない。発表時期や国を考えると仕方ないか。
284 :
読後感 :2007/01/30(火) 02:48:23 ID:E5Loq5jE
「聖アンセルム923号室」コーネル・ウールリッチ(早川書房) ニューヨーク、聖アンセルムホテル。その一室で繰り広げられる 一夜のドラマ。宿泊客の様々な人間模様を描く短編集。 一作除いて情感だけのもの(by二階堂黎人)。 まあガチガチの本格に飽いてそういうの読みたくなったらどうぞ。
285 :
読後感 :2007/01/30(火) 03:07:34 ID:E5Loq5jE
「時計は十三を打つ」ハーバート・ブリーン(早川書房) 写真家レイノルズは最新の細菌研究所を取材するため大西洋に浮かぶ キルゴア島へ向かう。所長のウェイランド博士はレイノルズに 新兵器の開発に成功したと告げるが、その直後何者かに殺されてしまう。 現場には寒天状のものが散らばっていた。細菌が流出してしまったのか!? 連絡船が来るのは数日後。孤島に閉じ込められたレイノルズ達に 襲い来る感染の恐怖そして飢餓。果たして犯人は――? シリーズ3作目。でも奥さんが冒頭ちょこっとしか出て来なくてカナシス。 本格として見ると厳しいかな。トリックがあるわけでもないし 推理らしきものも最後に申し訳程度にしか出てこない。ちょっとした スリラーか。やっぱブリーン「ワイルダー一家の失踪」に尽きるようで。 論創が中々手放さない「メリリーの痕跡」はどうなんでしょうか?
286 :
読後感 :2007/01/31(水) 13:11:07 ID:c1cWOk1U
「六つの奇妙なもの」クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ(論創社) 伯父と共につましい生活をしていた女性マージョリーは 喫茶店で出会った霊媒師に雇われ住み込みで働くことになった。 霊媒師の人柄に感化され心霊現象を信じるようになった彼女。 やがて自身も霊媒をするようになるが、次第に心身が衰弱していく。 マージョリーの窮状を知った婚約者テッドは降霊会に潜入するが……。 「妖女のねむり」とかもそうだけど、本格らしいということは わかっていてもどこで本格味が出てくるのかわからないものを読む時の 胸のときめきって素敵やん。↑のあらすじから話は更に膨張していく。 真相の大枠は前半で気づくけど細部の謎やトリックは驚きに足ると 思うし、フーダニット興味もがっちり確保している。それが 唯一残った謎と相まって事件のカラクリが鮮明になる様は見事。 スケールのでかさは「死の相続」に及ばないものの、完成度は高い と思う。異色本格としてお薦め。ちなみに二階堂黎人の感想は 「奇妙な味が好きな人にはお薦め」。言わんとすることは分かる。
287 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/02/03(土) 23:37:48 ID:Z5KHaM9p
ローリー・リン・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」を読んだ。 今更ながらではあるが、昨年度のこのミス、文春の両ランキングのベスト1、 ダブルクラウンに輝いた警察小説(というか実態は婦人警官小説とでも称すべき内容) の佳作である。 深夜の屋外捜査の緊張感、単独で死体を目前とした際の恐怖感、 犯人と対峙した緊迫感等々、警察官という職業上、当然対面するであろう状況が 作者の実体験(5年の警察勤務)を活かし、ヒラリー、ニコラス、エド、 ペール&マイ夫妻といった過去の警察小説の名手たちも書き得なかったほど ビビッドに息詰るような迫力で描かれ、読む者に強烈な印象を残す。 ただし、警察小説をミステリの1分野と把握する以上、本作をミステリと言えないことも ないが、最終話「わたしがいた場所」はどう見てもミステリとは言い得ない領域の作と なっており、MWA探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞受賞作の「傷痕」にしても、 最終話への布石となる女性警官グループが遭遇するアクシデントの顛末を描いた 「生きている死者」にしても、収録作品中では比較的ミステリ色が濃いものさえ、 意外性と言えるほどの展開は無い。
288 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/02/03(土) 23:39:13 ID:Z5KHaM9p
むしろ「傷痕」などは、こういった作品にありがちな悪徳警官や無能な捜査官ではなく、 むしろ腕利きゆえの捜査の誤びょうの可能性を抉ったものとして、 ひとつの小説として読んだ場合は非常に面白いものがあるのだ。 こういった点で言えば、本作はネタばれを恐れさせない、ネタばれされても十分に 読み応えがある(反面、ミステリとしては、ばらすほどのネタが無いとも言えるのだが) 単なる読み捨てミステリを越えた「ホンモノの小説」だとも言い得るのだ。 ただし、一点だけ不満点を挙げれば、まえがきを部分成す作者の謝辞にもあるとおり、 12年のにわたって書かれた作品を集成したもののためか、前半の作と後半の作では 作風の変遷が際立っており、やや調和を欠く感があることである。 3つの短篇連作により敏腕女性警官の波瀾の一代記をクールに描き切った キャサリン・シリーズと比較した場合、 前述した最終話「わたしがいた場所」は心の癒しの世界を描いたヒーリング小説 とでも称すべきものへと転じているのである。 各個別の作品の出来は悪くないだけに、編集にもう一工夫が欲しかったところである。 本作を読むことにより、ミスヲタが安手の謎解きに傾斜したミステリを焚書するだけの 良識を持ち得るか否か、これはひとつ試金石ともなる作である。 各人、心して読め!
289 :
名無しのオプ :2007/02/03(土) 23:59:42 ID:v+zAFw23
>>287 ニコラスってえ〜と
ぶれいくじゃなくてフリーリングだろな
一応ニコラス・フリーリングは知っているのか
でもジェイムズ・マクルーアの名前は出てこなかったようだな
あと名手と言えるかは分らんがローレンス・トリートも入れて欲しかったな
290 :
名無しのオプ :2007/02/04(日) 09:00:21 ID:CZxuW/2+
291 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/02/04(日) 15:48:21 ID:23atjR7V
>>289 どうせ突っ込み入れるのであれば、まずジョゼフの名を挙げたまえ。
ローリー(注 寺西ではない)の作風から見て、彼氏の作がテースト的には
一番近いかと思う。
292 :
名無しのオプ :2007/02/04(日) 18:08:42 ID:gcEQeQsJ
いつもよきアドバイスさんくすこです。
>>287 も礼を言っておけ。
293 :
名無しのオプ :2007/02/04(日) 18:44:53 ID:s0rnKQki
294 :
名無しのオプ :2007/02/04(日) 20:55:18 ID:gcEQeQsJ
しかし読後感はウザイね。
295 :
名無しのオプ :2007/02/04(日) 23:16:30 ID:dcBYAfOT
全くだw
296 :
読後感 :2007/02/05(月) 00:33:02 ID:aGMsiqhI
「潜航ノーススター十字軍」ウィリアム・カッツ(角川書店) アメリカの原子力潜水艦が乗っ取られた!? 「ノーススター・クルセード」と称する犯人達の目的は米ソ両国に 戦端を開かせ第3次世界大戦を引き起こすことであった。 彼等の謀略にのせられ米ソ間の緊張は高まり一触即発の危機に陥る。 果たして世界の行方は――? カッツって心理サスペンスの書き手かと思ってたらこれが デビュー作だそうで。 冒険小説の中でも軍事謀略小説といった感じで、アメリカ首脳、 ソ連首脳、そしてテロリストの動静が並行して語られていく。 キャラクター個人のストーリーはなく、全体のプロットで読ませる 性質のものなのでその辺好みが別れるかも。読み慣れぬせいか 最初は退屈だったが後半に行くに従って容赦のない展開がスリリングに 感じられてきた。結果的に主人公の意向がばかりが通るのが 少し気になったがそれも性質上仕方のないことなのかも知れない。
297 :
名無しのオプ :2007/02/05(月) 05:55:12 ID:sw9Y8q8h
298 :
名無しのオプ :2007/02/05(月) 12:03:26 ID:/8wY2hPW
J・ボール「夜の熱気の中で」(ハヤカワ・ポケミス) 1965年、あのオスカー受賞の名画「夜の大捜査線」の原作。 8月のうだるような暑さの深夜、ある南部の町で、音楽祭に招待されていた指揮者の男が殺されているのが 発見される。地元警官のサムは駅で列車を待っていた黒人を強引に連行するが、彼こそはカリフォルニア・ パサディナの優秀な警官にして誇り高き男、ヴァージル・ティッブスだった。黒人差別の嵐の中、ヴァージル は徒手空拳で捜査を続けるうち、地元警察の連中も心を開いてくる。そしてたどり着いた真相とは・・・。 これは傑作。印象的なヴァージルの初登場シーン、南部の閉鎖的な町の描き方、地元警察の態度が徐々に変化 してゆく過程や、プア・ホワイトの状況、そして登場人物を一同に会しての本格風の謎解き、名場面とも言え るラストシーンなど、どれを取っても満点に近い出来。惜しむらくは、トリッキーな仕掛けに乏しく伏線も やや不足なため、古典的ともいえるティッブスの謎解きシーンがちょっと盛り上がりに欠ける点でしょうか。 しかし、名作中の名作。
299 :
名無しのオプ :2007/02/05(月) 15:30:48 ID:wpiRCdEl
読後感もいい加減に人の意見を聞くべきだな。
300 :
名無しのオプ :2007/02/05(月) 16:37:49 ID:TiXBCzCQ
名古屋の竹石圭すけって小学生を強姦して捕まったクズ野郎だろ?
301 :
名無しのオプ :2007/02/05(月) 19:41:32 ID:zI0QtcVY
デイヴィッド・リンジー『沈黙のルール』(柏艪舎) 刊行は去年だったけど、ようやく読了。 新潮社から柏艪舎に移行して、地味に刊行されているリンジー作品。 こういう身代金の取り方もあるか、と思いながら読み始めたものの、 ジワジワと主人公を追いつめる敵役の存在も不気味でしたが、 いざストーリーが展開していくと、普通の謀略小説っぽくなってしまいました。 それでも主人公の妻の存在が、いわゆる巻き込まれ一般人の心情を表していて意外に良かった。 読後爽快!みたいな作品ではないけど、地味だけど、これからもリンジー作品を刊行し続けてほしいです。 ただ翻訳文中に妙に小難しい熟語を使っていることが多く、ルビをふってあるものの、 いちいち辞書を引きたくなってしまいました、で高校生向きの辞書には載っていない言葉もありましたよ。
302 :
名無しのオプ :2007/02/06(火) 07:44:18 ID:zZ59Zpd0
このスレ住人の民度の差が垣間見れて面白いな。 荒らす奴、それに釣られて雷同しちゃう奴、雷同しないけど 釣られちゃう奴、徹底スルーしてる奴、様々見れて飽きない。
303 :
名無しのオプ :2007/02/06(火) 21:10:05 ID:ubQ81qcf
エド・マクベイン『われらがボス』(ハヤカワ文庫) 87分署シリーズ26作目。 管轄区の溝の中で、6体もの全裸死体が発見された。 調査を始めたキャレラたちは、三つのギャング団の抗争劇に行き当たる……。 ギャングのボスの供述が本編と並行して進み、謎解きの要素はほとんどない。 70年代初頭の、ニューヨークの荒廃ぶりをテーマにしたもののようである。 作者の意図は理解できるが、ミステリとして今読むと辛いかな。 主要キャラクターに何か変化があるわけじゃないし。
304 :
読後感 :2007/02/12(月) 13:07:03 ID:UlTCIwqz
「結末のない事件」レオ・ブルース(新樹社) 警官を辞め探偵業を始めたビーフの所へ舞い込んだ依頼、 それは殺人容疑で拘留されている兄の無実を証明して欲しい というものだった。張り切って調査を開始するビーフだったが、 事態は好転の兆しを見せないままタイムリミットが近づいてくる。 レオ・ブルースの良い所は陸橋みたくパロディに終始しない点だね。 だからこそそれを楽しむ余裕も生まれるわけで。 本書は前作を凌ぎ前々作と並ぶ面白さだと思う。ちょっと じれったくなるかも知れんけど。 ビーフのどこか捉え所のないキャラクターは惹かれるものがある。
305 :
読後感 :2007/02/12(月) 14:30:57 ID:UlTCIwqz
「風の影」カルロス・ルイス・サフォン(集英社) 内戦後のスペイン、バルセロナ。10歳の少年ダニエルは父親に 連れられて行った本の墓場で1冊の本に巡り会う。「風の影」という タイトルのその本に魅せられたダニエルはやがて作者フリアンの 数奇な人生の軌跡を辿ることになる……。 「ジョン・ランプリエールの辞書」や「形見函と王妃の時計」みたく 本を巡るミステリーといった趣き。でもその2冊よりも読みやすかった。 プロットだけ抽出すれば別に大したことない話なんだけど、 そこを上下2巻という長さも感じさせずに読ませるのが 作者の力量でしょうね。ただ著者近影は要らないと思った。 追伸:諸○玲子ってそそる女だなぁ。
306 :
名無しのオプ :2007/02/12(月) 20:21:12 ID:EapZ9uul
「三人の名探偵のための事件」 レオ・ブルース タイトルどおり名探偵のパロディ作品。 パロディ面は秀逸で、オリジナルを知っていると結構笑えると思う(特にスミス師の セリフとか、「オリエント急行」のネタとか)。 ただ、本編は密室殺人の多重解決という凄いことをやっているわりに、何かもう一つ 欲しかったという気も。淡々と話が進むせいか、ちょっと物足りない感じ。
307 :
読後感 :2007/02/14(水) 13:52:00 ID:gWNZjAWG
「震える熱帯」ボブ・モリス(講談社) あらぬ罪を着せられ2年の服役を強いられたザック。待望の出所日、 出迎えに来るはずの恋人の姿はなく代わりにいたのは謎の男二人。 ザックは彼等を交わし恋人の代理で来たという男の車に乗り込むが 何故か置き去りにされてしまう。その後以前の住所地に向かったものの 再び先程の男達に捕まってしまい――。 以前書いた「復讐」のように報復が主の話ではなく、恋人に会いたい 一心の主人公が訳も分からず騒動に巻き込まれていくというサスペンス。 個人的に巻き込まれ型っていうのが一番のめり込めるジャンルだ。 古典的な道具立て等ちょっと本格風味もありつつ話は展開していく。 もっとも難易度はさして高くなく終盤の決めゼリフもニヤニヤするだけ。 頭を使わず力を脱いてひつまぶしするには最適かな。 続編も訳されたら読みたい。
308 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/02/17(土) 20:58:34 ID:fqxiO94r
ジョゼフ・ウォンボー「センチュリアン」を読んだ。 返す返すも絶版が惜しまれる警察小説の傑作中の傑作である。 舞台は60年代前半、60年の夏にLA市警の警官となった3人の若者の成長と堕落(?)、苦難等々が、65年までの6年間、各年の夏を舞台に警察官出身の作者らしく ドキュメンタルに活写されてゆく。 クライマックスは、最終章におけるLAの黒人暴動であり、 まさに公民権運動がピークに達した60年代の空気がビビッドに伝わって来る 戦場ルポを読むかのような迫力に富むものとなっているが、 ここに至るまでの、短篇の如き日々の警察活動のエピを積み重ねた構成も 巧みであり、全体を通じて読み応えがある作品となっている 次々と登場しては退場してゆく メーンとなる3人の若手警察官の相棒や上司が揃いも揃って個性派であり、 特に、3人のうちのひとりガスに対してその人生観にまで影響を及ぼす ベテラン警察官キルヴィンスキーの最前線警察現場の哲学者的存在感は強い印象を 残すものがある。 (余談ながら、本書の映画化作品では、「パットン大戦車軍団」のジョージ・C・スコット がキルヴィンスキーに扮し、原作以上にメーンなキャラとなっている。 だが、その行く末は原作同様に…悲しく酷い)
309 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/02/17(土) 20:59:35 ID:fqxiO94r
また、インテリ警官ロイと組むアル中警官ホワイティもその後のロイの行く末を思うと、 忘れ難いキャラである。 当時の警察組織の問題点は勿論のこと、 職業人として、あるいは人間としてもどうかと思われるキャラも多出するが、 読んでいて反感や嫌悪感は感じさせないのは、 作品の根底に、現場の警察官たちに対する作者の愛情と共感の眼差しがあるゆえであろう。 これが、「…ショッキングな内容にもかかわらず、内幕暴露の意図が表立っていないのも、 この作品を成功させている理由の一つである」と訳者あとがきにも記されることとなった 因かと思う。
310 :
読後感 :2007/02/22(木) 13:13:01 ID:NKeVUxuk
「閘門の足跡」ロナルド・A・ノックス(新樹社) テムズ川を下っていた男が行方不明になり、乗っていたボートが 川底から発見される。男は直前まで従兄弟と一緒であり二人は 以前から不仲で叔父の遺産に関する問題も存在していた。 保険会社の嘱託探偵であるブリードンは消えた男の生死を 突き止めるべく調査を開始する――。 ノックスを読むのは3作目だが相変わらず捻りに捻ったプロットで 読み難かった。ホワイダニットが次から次へと提示され、やがて 悉く解き明かされるのだがその経緯がまたややこしい。 その陰に隠れてあまり目立たない小さなトリックには不自然さが 目立った。 別に複雑なのが悪いとは思わないが、読んでてイマイチ楽しくない。 エンターテイメント性が薄いように感じた。 サプライズも仕掛けられているんだけどね。 とりあえず「サイロの死体」はいずれ読もう。
311 :
名無しのオプ :2007/02/26(月) 00:26:09 ID:rmJJvlM1
「目くらましの道 上・下」へニング・マンケル(東京創元社:創元推理文庫) 斧などで殺し、死体の頭皮をはぐという、猟奇的な連続殺人犯を お馴染みのイースタ署の刑事たちが、試行錯誤しながら追い詰めて ゆく。 構成がうまい。 冒頭で起こる少女の焼身自殺事件が、いつ頃、メインの事件に かかわってくるのか、連続して殺される人々のつながりは何か、 そもそも犯人の動機は一体?・・・様々な謎が、ちょっとした きっかけから解明されていくところは、まさにミステリーの 醍醐味で、最後までまったく飽きさせない。 2分冊で分厚いが、一気に読めた。 個人的には、シリーズ中、一番読みやすかった。 スウェーデンの季節描写もよい。夏から秋への季節の移り変わり と、主人公のクルト警部の心情が重ね合わされていて、ぐっと きた。
312 :
名無しのオプ :2007/02/26(月) 00:53:15 ID:4OTrdpYc
>>311 それ面白そうだね。
シリーズ物らしいけど、そこから読んでも大丈夫なのかな?
313 :
名無しのオプ :2007/02/26(月) 23:09:42 ID:rmJJvlM1
>>312 シリーズの過去の作品を読んでなくても、
大丈夫です。
おもしろかったら、他の作品も読んでください。
314 :
名無しのオプ :2007/02/26(月) 23:52:31 ID:4OTrdpYc
315 :
名無しのオプ :2007/03/03(土) 16:50:19 ID:KCWAlObR
遅ればせながら、リチャード・マシスン「奇術師の密室」を読んでいる。 枯れた雰囲気が、全体に漂い、なかなかと読み進んでいるが、… P158の誤訳か印刷ミスには笑ってしまった。 「とにかく、夫人をマネージャー殺しの罪で逮捕して」 おいおい、夫人はお前本人だよ!主人だローが!!
316 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/03/04(日) 11:47:12 ID:Y45gpi8H
ジョン・ブラックバーン「闇に葬れ」を読んだ。 あとがきにもあるとおり、70年代の創元推理文庫以来、 久々の変化球(?)得意なブラックバーン登場である。 後半の展開は、ミステリではないどころかB級SF映画 (人喰いアミーバシリーズあたりのテーストを想起されたい)の世界そのもの、 この辺を面白がれるか否かで、本作に限らずブラックバーン作品の良き読者(?)に なれるかが決するかと思う。 最近のDQNが多いこの板の住人には、むしろ最適な読物として一読を薦めておきたい(w しかし、文庫刊行時にも思うたのだが、結構、通俗的なメーンストーリーであるのに 読み難い文章なのは、やはり原文に問題があるのであろうか。 (時代も訳者も変ったというのにである)
317 :
名無しのオプ :2007/03/04(日) 16:29:23 ID:1rWPTv+j
>>316 自分の文章を「論考」だと言い張るのなら、
原本取り寄せて自分で検討してみるのが最低限の義務だな。
それもせんとただの印象で語るのならばそれこそ
「幼稚園年長組でも書けるということである」w
318 :
名無しのオプ :2007/03/06(火) 18:54:54 ID:T+ncwWDi
>>288 誤びょうとは誤謬(ごびゅう)のことですか?
319 :
読後感 :2007/03/07(水) 00:59:15 ID:cjcPi1n7
「五時の稲妻」ウィリアム・L・デアンドリア(早川書房) 計画は練った。後は実行に移すだけ。少し不安だがきっと巧くいく……。 白昼堂々大入りの野球場の客席で殺された下院議員。彼は赤狩りの 急先鋒で多くの人から恨みを買っていた。 偶然にも死体の発見者となった元野球選手のギャレットは刑事に 協力を要請され事件に巻き込まれていくが……。 であんどりゃあ。大して面白くなし。 本格でも倒叙でもない宙ぶらりんの状態が延々続いて最後にチロっと サプライズのつもりのものがあるだけというショボい代物。 登場人物の結びつきも不自然。作者は髭剃れ。
320 :
読後感 :2007/03/07(水) 01:21:23 ID:cjcPi1n7
「幻を追う男」ジョン・ディクスン・カー(論創社) ラジオ・ドラマの台本3編収録。 「誰がマシュー・コービンを殺したか?」 婚約者を連れて10年ぶりに帰郷した男が兄が射殺される所を 目撃すると言う話。手掛りが明瞭で良いがサプライズ先行の 不自然な仕掛けが幾分話を白けさせている。 「あずまやの悪魔」 旧友に夫の不倫を相談する妻。しかしその間に当の夫が射殺される という話。手堅くまとめた佳作。 「幻を追う男」 一年前舞踏会の夜で暗がりで出会った謎の女性を捜し求める男。 彼はそれが故に笑い者にされ危険な気球旅行に参加する羽目になる……。 引き込まれた。前半の不可思議性がピカイチで飽きない。 ただ大きな偶然の存在が気になるところ。 伏線の提示も少し不自然かな。 でも全体としてのストーリーテリングは巧いと思う。
321 :
読後感 :2007/03/08(木) 17:14:35 ID:OfT1Ze8y
「南海のトレジャーハント」パトリック・ウッドロウ(早川書房) 水中カメラマンのエドは仕事先で殺人容疑をかけられしまう。 どうやらこの騒動は彼の持つカフスボタンに端を発しているらしい。 このカフスボタンは祖父が彼に残したもので当初は2つあったが 1つは以前に盗まれていた。エドは祖父が隠された財宝の在りかを 伝えているとの思いからカフスボタンが示す場所を探し求める。 面白かった。500ページ以上あるが苦痛じゃなかった。 主人公の他にも意地の悪いICPO捜査官やら元特殊部隊員やら 日本人の麻薬ヤクザやら冒険に憧れる女優やら多彩な登場人物が 動き回って飽きさせない。 解説にもあるようにプロじゃない所がいいというかね。 恋あり乱闘あり暗号あり猛獣ありの宝探し小説。 ただ主人公の抱える大きな問題が解決してないのが気にかかるが……。
322 :
読後感 :2007/03/10(土) 02:57:42 ID:igxoBoW7
「怒りの山」ハモンド・イネス(早川書房) 大戦中ナチの拷問で片足を失った元情報部員のディックはチェコで 再会した戦友から伝言を頼まれる。その後彼は亡命を図るが 謎の失踪を遂げた。要請を受け彼の亡命先に向かったディックは 思わぬ人々と出会い、否応なく事件の渦中に巻き込まれていく。 前半はハードボイルド的で飽きずに読めるけど後半大噴火中の 火山の麓で何やかやの展開になるとイマイチノれなかった。 クローズドサークルは本格だとテンション上がるのに冒険小説だと どうも勝手が違ってくるようで……。 破壊から回復へとのストーリーは好み。覆水盆に還らずなのもマル。
323 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/03/10(土) 16:48:18 ID:qVBKgUKO
セオドア・ロスコー「死の相続」を読んだ。 遺産相続のため『嵐の山荘』に集まった一癖も二癖もあるメンツを巡り、 ジョン風のコテコテな連続不可能犯罪が、往年のパルプマガジンの作家らしい 血と暴力に彩られたハードボイルドタッチで語られてゆくという異色作、 舞台は暴動の気配濃厚なハイチ、ゾンビー伝説の影もちらつくという冒険色、 ホラー色も散りばめられた、これもまたパルプマガジン作家らしいサービス満点とも 言えるが、過剰とも言い得る舞台設定である。 ミステリの禁じ手の堂々たる使用は感心しないものの、棺のトリックや不可能犯罪(脳天に銃弾)の合理的説明等は、なかなか面白いので、このネタでこの手の作品のマエストロジョンにきちんと書いて欲しかったような気がする。 特別悪い作ではないが、あとがきの森英俊のオーバーな賛辞は逝ってよしレベル、 作家も作品もペーパーバック相当なレベルであり、 扶桑社ミステリ文庫や二見文庫あたりで気軽に読めば案外楽しめる作だったかとおもう。
324 :
名無しのオプ :2007/03/10(土) 18:28:19 ID:8OCd/3On
逝ってよしwww 久しぶりにみた
325 :
名無しのオプ :2007/03/10(土) 18:28:45 ID:S4rQmA9I
>>323 >ミステリの禁じ手の堂々たる使用は感心しないものの、棺のトリックや不可能犯罪(脳天に銃弾)の合理的説明等は、なかなか面白いので、このネタでこの手の作品のマエストロジョンにきちんと書いて欲しかったような気がする。
ここの文章、何故かやたら長い行ですよね。
どこかのサイトからコピペした文によく見られる現象ですけど、どうなんですか?
326 :
名無しのオプ :2007/03/10(土) 19:10:56 ID:MPSaqGjH
327 :
名無しのオプ :2007/03/10(土) 19:27:13 ID:ZmC1Dqws
ほとんど同一の文があるなw こりゃ偶然だでは言い逃れ出来んぜ パクリ論考野郎でエセ読書人の書斎はこの板から消えろや
328 :
名無しのオプ :2007/03/10(土) 19:29:18 ID:kI8QQz6l
これはパクリやない。盗作や
329 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/03/11(日) 10:29:26 ID:jiQKmVCt
>>326-328 妄言を書き散らさず、きちんと引用を行ない自己の主張を論証してみろ。
各人、心して書け!
ジョゼフ・ウォンボー「オニオン・フィールドの殺人」を読んだ。
あのカポーティも激賞したという作、60年代前半に現実にLAで発生した
警察官拉致・殺傷事件の終局判決までの経緯を小説仕立てで綴ったハードタッチな作で
あり、ボリューム感もあり読み応えは十分ながら、(ただし、会話体が多いため、
意外にスムースに読み進められる)
その素材の地味さゆえ現在なら翻訳刊行も困難な系統の作かと思う。
近年では、本邦では公判開始前の争点整理手続導入等裁判のスピードアップ化が
図られており、多少は裁判の長期化という問題に改善の兆しは見えつつあるものの、
本作で描かれた裁判関係者の疲弊、事件の風化等長期化により生じる問題は
一連の司法改革が進行中の日本でも参考にすべきものが多いやに思われる。
「語り」という面で見ると、タイトルに冠されたタマネギ畑のシーン及びこれに続く
追跡等の臨場感は、警察官ウォンボーの経験が活かされ、相変わらず抜群な描写力の
冴えである。
330 :
名無しのオプ :2007/03/11(日) 10:40:46 ID:1D8h+kMH
書斎さんはちょっと引用しただけだろ 言いがかりはやめろや
331 :
名無しのオプ :2007/03/12(月) 17:11:13 ID:yJosB5ng
>>327 >>326 のリンク先を読んでみたけど、
同一の文に該当する部分がわからない。
俺の読解不足?
無断引用や盗作があるなら椰子に打つべき手があるから教えてちょ。
332 :
読後感 :2007/03/15(木) 17:40:30 ID:vHBsHjEw
「クレムリンの密書」ノエル・ベーン(早川書房) 突然軍を解雇されたローン少佐は直ぐ様特殊機関にスカウトされる。 やがて伝えられた彼の任務はソ連高官に送られた文書の回収であった。 ローンは伝説のスパイを始めとする腕利き達と共にソ連潜入を目指す! なかなか面白かった。冒頭にスタートラインが明示されているし、 目的・手段も明確で英国の巨匠達の様に韜晦趣味に走ることもないから 順調に読み進んでいける。プロットも単調でなく過程で読ませる感じ。 ただ、特殊技能の持ち主達を集めるというコンセプトの割りに キャラ立ちが今一つなのが残念かも。
333 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/03/17(土) 11:36:53 ID:sE0/zsCu
荒らし目的のアホ連中がはしゃぎ過ぎたようだな(w
>>327 のアホが
>>331 のアホにどんなレスを返すのか、果して返せるのかが問題だが(w
見物である。
講義を続けましょう。
ライオネル・デヴィッドスン「チベットの薔薇」を読んだ。
扶桑社ミステリーからの刊行物ではあるが、ミステリというよりは、
1950年代初頭、まだ神秘の国であり政情不安でもあったチベットを舞台
にした冒険色・伝奇色が濃い作である。
主人公が元女子高の美術教師という冒険小説には珍しい設定、
ガイド(少年)の案内が無ければ山越えも不可能な程の優男なのである。
以上、それなりにエンタメ好きをそそる内容なのであるが、正直言うて期待外れ、
チベットでの冒険談が始まるまでの前置きが長過ぎるうえに、
最大の見せ場である中国軍からの逃避行が後半の一部分に過ぎないのは物足りない
ものがあり、その顛末も拙速な感がある。
また、物語のコンストラクションとして、冒頭から主人公の生還を記し、
現況まで語ってしまうのは、どんなものであろうか。
発見された手記の紹介という形で、最終的な顛末は伏せて綴っていった方が、
少しはスリリングな物語足り得たのではないだろうか。
私なら、この点でライオネルに文句無しの駄目出しをしていたかと思う。
334 :
名無しのオプ :2007/03/17(土) 15:55:54 ID:V8mZ+Dai
アンチ書斎の捏造かよ。とんでもないな。
335 :
名無しのオプ :2007/03/17(土) 16:42:39 ID:qQsGdanZ
>>333 「荒らし目的」と断言するのなら、それにいちいち反応している自分は
荒らしもスルーできない便乗荒らしであると認めていることになるね。
こういう煽りをすること自体が自分の小者っぷりを曝け出していることに気付かないとは、
いったいどこまで厨房なんだろう。
336 :
名無しのオプ :2007/03/18(日) 10:37:56 ID:vNlYcaxG
自治スレで、最近多発している、書斎に対して最悪板、あり板からコピペしてレスする荒らしを、 運営側に報告することを検討しています コピペを迷惑だと思う人は参加してください
337 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/03/18(日) 15:58:31 ID:iVydEkMO
>>335 はギブアップレス。お粗末なものである(w
デイヴィッド・J・スカウ「狂嵐の銃弾」を読んだ。
本作に関しては、このスレに「ラリって書いたのではないか」という評が前に
あったが、やや同感する面がある。
途中でどんでん返しはあるものの、解説でも指摘されているとおりミステリでは
ありがちな趣向、最後の最後にもう一捻りがあるかと期待したのだが…
あえてミステリのジャンルの中で位置付ければ、サイコ・ミステリということになるが、
作品のタッチは、序盤はヘミングウェイ、中盤は大藪春彦のハードボイルドな世界を
想起させるうえに、ホラーの書き手によるものらしく嵐の夜が無気味な舞台背景として
設定されている(ただし、超常現象はない。それ以上に恐ろしい内容でもあるとは
言えるが)つまり、最近多いクロスオーバーな作であって、登場人物が妙に哲学的な
人生観を語るような現代文学を意識したような面があるかと思えば、
濃厚なSEXシーンにもかなりの筆を割いており、この辺はいかにも大衆を当て込んだ
ぺ―パーバック向きであったりもする。
以上ゆえに、評価が難しい作だが、「ストレンジなもの」に興を惹かれる向きは
一読してみてもよかろうかと思う。
338 :
名無しのオプ :2007/03/19(月) 06:34:31 ID:QBdk9A4e
>>337 ほうらいちいち反応している。だからお前は厨房だというんだよw
だいたい俺はそっちのスレの327ではないぞw
ああそれからお前こそ
330 名前:名無しのオプ 投稿日:2007/03/11(日) 10:40:46 ID:1D8h+kMH
書斎さんはちょっと引用しただけだろ
言いがかりはやめろや
にはどのようなレスを返したんだ?
こいつこそお前が「剽窃」したことを明白に認めているのだが、
こいつをアホ扱いしないのも不思議だなあw
339 :
名無しのオプ :2007/03/19(月) 12:43:34 ID:QRYZu1xT
めんどいから基本に戻ってスルーしてよ。
340 :
名無しのオプ :2007/03/19(月) 12:51:17 ID:izK2kptN
>>339 自治スレ見ればわかるけど、全て狂馬のコピペによる自演。
341 :
名無しのオプ :2007/03/19(月) 23:53:20 ID:0r/tts9n
必ず前後のレスだしなw
342 :
読後感 :2007/03/21(水) 16:06:35 ID:HY2UkYgO
「緑の地に眠れ」ダンカン・カイル(早川書房) 銀行員のトゥニクリフは偶然のタイミングで強盗を撃退し、 一躍時の人となった。そんな彼の元にかつて戦場で父の死を 看取ったという女性が現れる。彼女から父の手紙を渡された トゥニクリフ。時を同じくして父の戦友を名乗る老人からも 連絡が届き、父が終戦のどさくさに紛れて財宝を運んでいたと 知らされる。トゥニクリフは一獲千金を夢見て東南アジアへと向かった。 カイルは2冊目だけど文体がゴキゲンな一人称でスラスラ読めた。 主人公よりも彼のパートナーであるおばさんが印象的。彼女の 一見矛盾しているような信念にストイックなキャラクターが 話を盛り上げていると思った。英国冒険小説にしては(?) 軽く読めてお薦め。
343 :
読後感 :2007/03/21(水) 16:24:54 ID:HY2UkYgO
「死のチェックメイト」E・C・R・ロラック(長崎出版) 灯下管制が敷かれている戦時下のロンドン。 貧相なアトリエに集まっている5人の男女の所へ訪れた2人の男。 1人は警官でもう1人は隣家の男を殺した犯人だという。 やがて捜査に着手したマクドナルド警部は彼等を皆容疑者として 活動していくが――。 地味な話ですわ。あとがきにあるように読み易いし短いのも良いんです がちと物足りなさを感じてしまいました。最初は謎をフューチャー してないからだと思いましたが、種明かしを読んでそれをすると バレるからわざと曖昧にしたんだなと納得しました。つまり トリックが弱いです。あと女流作家にしてはドラマ性が薄かったですね。 植草甚一や森英俊曰くロラックは当たりが多いとのことですが これはどっちなんでしょうか?
344 :
あらすじごめん :2007/03/22(木) 16:21:54 ID:JgDjLJ+0
ジェフリー・ディーヴァー『獣たちの庭園』(文春文庫、2005)【7.5点】 アメリカ海軍情報部の密命によって、オリンピック直前のベルリンに 送り込まれた犯罪者ポール。あるナチス高官の暗殺を依頼された彼だが、 ベルリン到着直後に殺人事件に巻き込まれ、当局の執拗な追跡を受け・・ ノン・シリーズの歴史サスペンス。SS、ゲシュタポ、クリポの追跡を かわしながら、ターゲットのナチス高官にせまる。ひと癖ありそうな 裏町の顔役とのやりとりや、元国語教師とのロマンスなど、密度は濃い。 当局の動きについて軽い疑問をいだきながら読みすすめ、ある時点で 「ディーバーだなあ」と思い知るものの、ツイストはやや控えめか。 それでも詳細な時代背景といい、印象深い人物像といい、高度安定の良作。
345 :
名無しのオプ :2007/03/22(木) 20:19:42 ID:O/u/4QJB
>>344 サンクス。次に読むものを探しているところだが、かなり
その気にさせられた。
346 :
読後感 :2007/03/24(土) 00:50:33 ID:96ALKh8T
「停まった足音」A・フィールディング(論創社) 資産家の女性が自宅で死んでいるのを来客を告げに来たメイドが 発見した。状況は明らかに事故又は自殺を示していた。しかし ヤードの腕利きポインター警部は、同居人の不自然な反応や 来客が消え失せたことなどから事件性があると感じ、 地方警察や記者と共に捜査を始める。 果たして犯行は如何にして為されたのか? そしてメイドが 聞いたという被害者の後ろを尾けていた足音の正体とは――? 幻の作品がついに刊行! てなノリで。全うな本格でござんしたよ。 細かな謎が提示されて話を引っ張って行き、後半は容疑者を巡る ドラマも展開したりして長い割に中だるみ感は薄いと思う。 幻の傑作かは分からないがつまらなくはない。 ただ殺人のトリックがちょっと確定してない気がした。あと大きな 偶然があってそれがちょっと加工不足というか……。それからこれは 唯の推測だが第一作から読んだ方が本作をより楽しめたのかも知れない。
347 :
読後感 :2007/03/24(土) 23:48:31 ID:96ALKh8T
「永遠の沈黙」マイクル・ベイデン&リンダ・ケニー(早川書房) 弱者の味方を自任する女弁護士マニーは検屍官ジェイクの頼みで ショッピングセンター建設予定地から発見された複数の人骨を 巡る訴訟を引き受ける。ジェイクの能力を認めながらも過去の 訴訟で彼に反感を持つマニーだったが一緒に捜査を続ける内に……。 下半身がウズいちゃ〜う。 コホン。作者も主人公達と同じ職業の夫婦合作ということで、 検屍に関する知識は中々のもの。プロットもミステリーしていると 思います。ただ、ロマンスに関してはまだまだ書き慣れてないですね。 流石にそこは身上を切り売りするのに抵抗があったのかな。
348 :
読後感 :2007/03/27(火) 16:52:19 ID:Oqjqq/8O
「殺戮の<野獣館>」リチャード・レイモン(扶桑社) 百年近くの間断続的に残虐な殺人が起きるという館。事件の生存者に よればそれは謎の野獣の仕業だという。未だ少年時代の経験に 脅え続ける男から野獣館の話を聞いた元兵士のライカーは野獣退治に 乗り出すが……。 某スレからのセレクト。これぞB級ホラーと言うべき作品。 タフなランボーとキチガイ夫から逃げる美貌の人妻とその娘が 野獣館で見たものとは…そこにキチガイ夫の正に野獣的な追跡行が プラスされとるわけ。とにかく流れに任せて読んでいきゃいいってな 感じで。そんでラストはぽかーんな展開。ここはちょっと 文章不足だと思う。まあ車中のお供にうってつけかな。 吐くかも知れんけど。 しかもこれ続編があるんだって。読みてえええええ!!!! しかし80年でこれならまず間違いなく映画化されそうなもんだがなぁ。
349 :
読後感 :2007/03/27(火) 17:15:47 ID:Oqjqq/8O
「証拠は眠る」オースティン・フリーマン(原書房) 弁護士のルパートは幼馴染みの女性の夫が急死した事件において 彼が毒殺されたと判明したことを受け旧知のソーンダイク博士に 事件の解明を依頼した。ソーンダイクの徹底した調査姿勢に不安を 抱きながらも趨勢を見守るルパートだったが、偶然にも思わぬ証拠を 目撃してしまう……。 「ダーブレイ事件」を読んだ時は発表当時においてはもう過去の人 なんだなと痛感したけれど、本作でも矢張り同じ思いを抱いた。 黄金時代の本格ものがオリエンテーションだとすれば本作は チェックポイントもなくただ道なりに歩くだけ。それがラストまで続く。 トリックと解明の過程は短編集の輝きが見えて面白かったけど……。 長編は今まで3作読んだが本領は短編にあると感じた。 長編だと時代の差が露骨に出てしまうようで。
350 :
名無しのオプ :2007/03/27(火) 21:32:18 ID:ruGZhO5y
「ギデオンと放火魔」を古本でゲットしましたので、ご報告。 いきなりの放火事件と共に、警察小説の常として、 複数の犯罪が並行して起きる。 「放火魔」のキャラクターはローンズの「下宿人」を思わせる点もあるが、 「下宿人」よりは感情移入できないのが難点。 夫の詐欺行為を救おうとする妻の夫婦愛は良かった。 ギデオンは他にも出ていると思うので、さがしてみようと思う。
351 :
読後感 :2007/04/03(火) 15:13:49 ID:WXo+Zn64
「物しか書けなかった物書き」ロバート・トゥーイ(河出書房新社) のりりん編奇妙な味の短編集。期待して読んだがかなりイマイチ。 まず最初の「おきまりの捜査」。これは良い掴みで一気にテンション 赤マル急上昇なんだけどそこから続かなかった。この人は短編の 作り方がいい加減な気がする。大したことのないアイデアでだらだら 書いたり無意味に幻想的な雰囲気に逃げたりベルトコンベアー式に なったり。まあそんな中でも良いと思えたのは先の一編と 不気味さが言外に漂うラストの「そこは空気も澄んで」、 そしてハードボイルドのパロディ「いやしい街を……」ぐらいかな。
352 :
名無しのオプ :2007/04/03(火) 15:18:54 ID:W630z+kw
読後感をNGワードに登録
353 :
名無しのオプ :2007/04/05(木) 00:01:48 ID:eE/IEkEa
ジョン・グリシャム『大統領特赦』(新潮文庫) 超訳作品は読んでいなかったので、久々のスリルを感じるグリシャム作品でした。 ハードカバーで出版されなかったのが納得の上下本。 それも無理やりの上下本で、通常の行数と文字数を使えば1冊でまとまったのではないかと。 とはいえ、不満や煮え切れなさみたいなものを感じつつも、結構楽しく読みました。 主人公が無理やり連れて行かれるイタリアでの生活は、なかなか読んでいて楽しく、 もっと食事シーンを詳細に描いて欲しかったなぁ、とか本編と関係ないとこが面白かったです。 残念ながらメインストーリーは、緊迫していると思ったらスカッと肩すかしをくらうの繰り返しで、 せっかくの恐い暗殺者キャラも、登場したものの活かされず勿体ない扱いでした。 結局の味付けがあっさり目になってしまうのが、グリシャムなのかな。
354 :
名無しのオプ :2007/04/05(木) 00:17:32 ID:fmLPzK7W
G.M.フォード『毒魔』(新潮文庫) コーソもの3冊目、だと思うんですが、訳者あとがきを読むと「4作目」と‥。 未訳の作品があるのかもしれないけど、amazonで検索したらワラワラ引っかかったので確認するのは止めました。 前二作は、雰囲気が全く異なる作品だったけど、どこかしょっぱさを感じる作品だった様な記憶がありますが、今作も同様。 よくある主張ではあるけど、アメリカがテロを受けるには受けるだけの理由と原因があるってことを一応描いてます、終わりの方で。 でもそういうことより、何だか報道業界の下品なスッパ抜き合戦を描くことに力が入っていた気がしちゃいました。 二年に一冊しか出ないシリーズ作品で、ハッキリ言って主人公のキャラクターは?状態で、 かなり強烈な過去を持つヒロインのメグのことしか覚えていませんでした。 その印象的なヒロイン、メグ・ドアティが今作ラストで取った行動にビックリ。 ただメグの敵役を、あまりにも簡単に片づけてしまったは勿体なかった。 そのせいで、彼女の扱いも変わってしまったのだろうかと。 ピータースンのウェルズとランシングのような関係を想像していたので、あっさり裏切られました。 次作の邦訳はきっと二年後。 どれだけ覚えていられるかなぁ。
355 :
読後感 :2007/04/05(木) 15:35:57 ID:QfjN/fEG
「密偵ファルコ 白銀の誓い」リンゼイ・デイヴィス(光文社) 時は古代ローマ。しがない密偵のおれ、ファルコはとある少女と 知り合ったのが縁で大量に横流しされた銀塊の行方を追うことになる。 その最中大切な人が殺され、失意に呑まれながら捜査を続けるおれは ある女と巡り逢うことになる……。 皆さんの後押しで読むことに。一番はツンデレの4文字ですがw この世界観いいですね。歴史ハードボイルド。身分制度緩すぎな 気もしますが。 ミステリーとしては特に新しいものはなく1作目としては やや弱い感じがしました。ま、主人公のロマンスこそ最大の引きと 言うところでしょうか。解説に釣られて次も読むつもりです。
356 :
読後感 :2007/04/12(木) 01:50:35 ID:gIbjezPp
「汚れた街のシンデレラ」ジェフリー・ディーヴァー(早川書房) レンタルビデオ店で働くルーンは得意客の老人ケリーの元へテープを 回収に向かう。彼は同じ作品を何度も借りる変わった客だった。 アパートの彼の部屋に着いたルーンが目にしたのは忙しく動き回る 警官達と血にまみれたケリーの死体だった……。事件には大金が 絡んでいると睨んだルーンは独り占めにするべく行動を開始する。 骸骨みたいな顔してやがる。 レンタル店で働くヒロインというのは珍しいけど後は可もなく 不可もなく……。ちょっとした叙述トリックがあったのにはやや驚き。 総じて悪い出来ではないものの特に次が読みたいとは思わず。 ロマンスは雰囲気で誤魔化してるけど雑だった。 ま、この作家はすぐに埋もれてしまっていることだろうな、ウム。
357 :
名無しのオプ :2007/04/13(金) 01:07:12 ID:UvTYyqmB
平和憲法にYES 戦争憲法にNO
憲法9条は改憲してはならない。日本の為にならない。
日本人ではない朝鮮総連や民団でさえ、日本を心配して改憲への反対運動を行ってくれている。
私は日本人だが、「改憲すべき」などという者は、日本人として彼らに恥ずかしいと思います。
Q.中国から身を守る為、戦争に対する抑止力が必要では?
A.前提から間違っています。そもそも、中国は日本に派兵しようと思えばいつでもできました。
なぜなら、日本は9条があるため、空母や長距離ミサイル等「他国を攻撃する手段」がない。
つまり、日本に戦争を仕掛けても、命令をだした幹部の命や本国の資産は絶対に安全なのです。
にも関わらず、中国は、今まで攻めずにいてくれたのです。
Q.日米安保も絶対ではないのでは?
A.いえ、絶対です。
知り合いの韓国人の評論家もそう言っていますし、私も同じ考えです。
そして日米安保が絶対なら、日本を攻める国はなく、改憲の必要はありません。
米国と戦争をしたい国はないからです。
Q.9条が本当に平和憲法なら、世界中で(日本以外に)1国も持とうとしないのはなぜか
A.誤解を恐れずに言うなら、日本以外のすべての国が誤っているとも言えます。
「敵国に反撃できる手段を持つ国は攻められづらい」というのは、誤った負の考え方です。
(もっとも韓国や中国の軍に関しては、日本の右傾化阻止の為でもあるので例外ですが)
さらに日本の場合、隣国が韓国・中国・ロシアと、GDP上位の安定した国ばかりです。
【改憲】ゼンガクレン老闘士、国民投票法案廃案訴え 国会前集結 「ゲバ棒が杖になっても」
ttp://news21.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1174412397/l50 【広島】憲法9条遵守を訴え 武器を持たない妖怪「ねずみ男」に扮した男が全国行脚
ttp://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1175835543/l50
358 :
読後感 :2007/04/13(金) 04:07:01 ID:LFzV5NVq
「猫の手」ロジャー・スカーレット(新樹社) 資産家の老人が自宅で射殺された。彼は養子にしていた甥や姪を招き、 自らの結婚を宣言した直後に殺されたのだ。弁護士の「わたし」は 事件の顛末を事細かく友人のケイン警部に語り、彼の捜査に 同行するが……。 特に目立ったトリックやロジックやプロットがあるでもなく、 まあ古典の雰囲気を味わうという用途以外に読む程ではない。 解説にもあるが重要な手掛りが解決時に初出なのは×だし、 また終盤に同じく重要な手掛りを中途半端に処理するため犯人の 見当がついてしまう。 ロマンス部分も書き込みが足りず展開がやや強引に映る。 論創のはもっといい出来だと良いが。
359 :
読後感 :2007/04/13(金) 04:17:58 ID:LFzV5NVq
「グランダンの怪奇事件簿」シーバリー・クイン(論創社) 「オカルト界のホームズ」ことジュール・ド・グランダン教授の 活躍を描く短編集。 面白かった。常識を超えた怪異に対して霊能者というわけでもない 探偵が冷静に対処していく展開に萌える。本来底が抜けているはず なんだけどしっかり地に足がついているようなこの一種独特な 奇妙な味がたまらん。以前読んだ「タラント氏の事件簿」とも違う感じ。 あれも好きだけど。ちなみにイチオシは悲しくも爽やかなラストが 印象的な「眠れぬ魂」。 中断しているカーナッキや積んでる雪崩連太郎や名のみ知ってる タイタス・クロウも気になって来たぞこりゃ。 それにしてもこのダーク・ファンタジーはいいシリーズだと思う。 編者は人気ないけど。
360 :
名無しのオプ :2007/04/13(金) 04:23:30 ID:TQ3V2lSm
>>356 >ま、この作家はすぐに埋もれてしまっていることだろうな、ウム。
(ギャグで言っているのだろうか……)
361 :
読後感 :2007/04/16(月) 18:47:47 ID:8xl7VcjF
「狼の一族」(早川書房) 異色作家短篇集アンソロジーアメリカ篇。 編者を見た時一抹の不安がよぎったが、矢張りSF作家が多かったり、 大した落ちのない雰囲気小説が多かったり……。 「奇妙な味」ってのはミステリーとSFの中間よりもややミステリー 寄りの辺りに漂っているものだと思うんだ。だからミステリー畑の 人に選んでもらいたかった。 一番はジャック・リッチー「貯金箱の殺人」。 この予定調和やシラケを感じさせない構成の巧さは異常。 あとは「ジェフを探して」を日本的だなと思ったり、「浜辺にて」を アンソロジーの中の変化球としては有りかもと思ったりした。 ワーストは「ベビーシッター」。ウチの田舎じゃこういうの チンカス小細工って言うんだ。
362 :
名無しのオプ :2007/04/16(月) 19:59:25 ID:/NrGLyi2
>「奇妙な味」ってのはミステリーとSFの中間よりもややミステリー >寄りの辺りに漂っているものだと思うんだ。 「奇妙な味」ってのはそういう定義が出来ない千差万別なものだと思うんだが。 おれは奇妙な味をもった作品は、SFやミステリとかジャンルに関係なくあると思うし。 あと >ウチの田舎じゃこういうの >チンカス小細工って言うんだ。 みたいな下衆な言い方はどうかと。
363 :
名無しのオプ :2007/04/16(月) 20:12:40 ID:JQkPh/9n
「サイロの死体」ロナルド・A・ノックス 十戒で知られる大僧正の長編小説。 緻密に組み立てられた本格ミステリ。物語の起伏がないので読み進めにくく、 また主人公が天啓のように真相を閃くために解決編が唐突に感じてしますが、 伏線が回収されて事件の裏の面が見えていくところは感心させられます。 いたるところに出現する警句めいた皮肉も愉快。 あと、第二の事件は明かされてみれば底抜け気味の真相で大笑いしました。
364 :
名無しのオプ :2007/04/16(月) 21:50:46 ID:IsJtmqa/
>読後感 素人批評家気取りでは書斎と大差ない。 反省しろ。
365 :
名無しのオプ :2007/04/17(火) 20:25:02 ID:kLlbjoO9
「クイーン警視自身の事件」エラリー・クイーン 熟年ハーレクインロマンスとして読めば非情に楽しい作品。 リチャードの行動が無茶すぎて、ミステリとしてはどうしたもんかと思いますけど。
366 :
読後感 :2007/04/19(木) 20:55:37 ID:2v9xGvqS
「砂の渦」ジェフリー・ジェンキンズ(西武タイム) 第二次大戦で貢献したにも関わらず不名誉な処遇に見舞われた 元海軍士官のジェフリーはスタインという謎のドイツ人に強引に 雇われアフリカ西岸にある骸骨海岸へ案内することになる。 奇しくもそこには死んだジェフリーの祖父が遺言で告げた 謎の島があるのだった……。 前半はいけすかないドイツ野郎やグラマーな美人博士らと共に行く 現在と戦時下の緊迫した海の戦い等の過去とをカットバックで 描いている。とは言え舞台となる場所はほとんど変わらず筋も 単純である。道具立ての割には筆致が大人しいという恨みがあるかも。 あとセリフの前にその主旨を書く癖はあまり良くないかな。
367 :
読後感 :2007/04/21(土) 18:15:48 ID:PKtTA1CU
「議会に死体」ヘンリー・ウェイド(原書房) 侃々諤々の議論の後議場に残っていた市会議員が刺殺体で発見された。 新任の本部長レースは自分の手には負えないとみてヤードに 救援を依頼する。かくしてタイプの違う3人の刑事が捜査に当たる ことになるのだが……。 「塩沢地の霧」以来2冊目だがガラッと毛色の違う警察小説的な 趣きのある本格作品。ケレンのない筋道の通ったプロットで 読みやすいが真っ当過ぎて物足りない。ミスマガの書評は褒め過ぎかな。 あと解明部分が不満。その方式とかやや後付け臭い締めとか……。 追伸 この叢書最近登場人物表カットしてるのは何故? 只でさえ翻訳ものは「人名が覚えにくい」と敬遠されがちなのに ダメ押ししてどうする。
368 :
読後感 :2007/04/22(日) 00:36:32 ID:eR9YckjZ
「盗聴」ローレンス・サンダース(早川書房) 刑務所帰りの悪党アンダースンの次なる狙いは金持ちが集まるアパート。 仲間を集めて資金を用意し、入念な下調べの後いざ実行の運びと なるが……。 全編録音テープと書簡によって構成されている一風変わった作品。 その不自然さが逆に前衛的に感じられたりするのだが矢張り不自然w こけおどしに終始してしまった観は否めない。
369 :
名無しのオプ :2007/04/22(日) 08:29:11 ID:IojUejBy
ますます書斎くさくなってまいりました
370 :
名無しのオプ :2007/04/22(日) 09:59:23 ID:9zyO86LN
他者や作家を中傷したり見下したりしない分だけ書斎よりゃマシだな
371 :
読後感 :2007/04/22(日) 19:26:50 ID:eR9YckjZ
「消えたモーターバイク」ネヴィル・スティード(早川書房) 恋人がアメリカに行ってしまい寂しい生活を送っている玩具屋ピーターは 知り合いのパーティーで魅力的な女性達に出会う。 後日、 その中の一人サリーから失踪した恋人について相談されたピーターは 私立探偵だったという彼が携わっていた事件を調べ始める。 シリーズ3作目。ここで邦訳打ち切り。早川しね。 聞いたところによるとこのシリーズ出てくる場所の描写がかなり正確で 詳しい人が読むと交差点まで解るんだとか。その辺が読み所なのかも。 ミステリーとしての難易度は低い。でもこの先気になるわ〜。 訳者あとがきには4作目のことも出てるのに……。
372 :
あらすじごめん :2007/04/29(日) 16:38:19 ID:RnvBOSLC
ロバート・ゴダード『悠久の窓』(上下・講談社文庫、2005)【6.5点】 500年前のステンドグラスが隠されているという故郷の邸宅には、 ビザンツ皇帝家の血を引く老いた父親が一人で住んでいた。長兄の誕生日を 口実に故郷に集結し、老父に邸宅の売却を勧める兄妹たちだが、説得は難航。 そして老父の死体が発見される。邸宅の購入を目論む男の真意は何なのか。 ビザンツ皇帝の末裔・最後の晩餐・旧宅・白骨・考古学者・テンプル騎士団・・・ と、道具立ては魅力的。話が故郷周辺で展開しているうちは面白かったが、 物語がヴェネチアに移るころからどうにも間延びして退屈になる。 「重層的な謎」というよりも、底の浅いウソをたくさんの人間がついて複雑に なっているだけのような気がする。 『リオノーラ』などのロマネスク系の系譜に位置づけられる本作だが、 加地さんの翻訳文がこれまでになく薄っぺらで興を殺ぐ。老いたのかなあ。
373 :
名無しのオプ :2007/04/29(日) 19:04:10 ID:q/DfbnYv
「文学刑事サーズディ・ネクスト3」 「ミステリ」なのか?という疑問は前の2作もあったんですが、 つい3作目も読んでみました。 文学の「作品の登場人物」たちの話が面白かったりするけど、 本筋自体は、全然進展しなくて、なんかただ、文学のキャラ使って遊んでるだけって 感じでした。 上下巻なので、途中からだるくて、次は読まないなと思いました。 そもそも、これ以上出版されるのだろうか?って思いました。
374 :
読後感 :2007/05/05(土) 00:51:40 ID:1/Nhnr7o
「脱獄九時間目」ベン・ベンスン(東京創元社) 入念な計画で武器を入手し脱獄を図った3人の囚人。しかし 思わぬ手違いから刑務所内に2人の看守を含む人質を盾に 立て篭ることになる。事件の責任者パリス警部は所長や本部長らと対策を練るが 追い詰められた囚人には狂気の影が宿り初めていた……。 「プリズン・ブレイクよりも面白い」というタイムリミット・サスペンス。 だがつまらん。つか脱獄が頓挫した時点でPBとは別物だし。 その後は当局とのやり取りやそれぞれの側の話が展開していくが どれも想定の範囲内で読み手を裏切るものがない。 黒幕の存在も匂わせながら放置してるし。何より題材を活かせてない。 時間の無駄だった。
375 :
名無しのオプ :2007/05/05(土) 01:23:56 ID:tIEVpcOA
>>374 ジョナサン・ラティマー『処刑6日前』を読むんだ!
376 :
読後感 :2007/05/05(土) 01:30:12 ID:1/Nhnr7o
>>375 以前読みました
「幻の女」と同じタイプでそこそこ面白かったと書いてたような
377 :
名無しのオプ :2007/05/06(日) 17:41:05 ID:bo6ElpT8
『公園(セントラルパーク)はおれのもの』 スティーブン・ピータース(角川書店) ベトナム帰還兵がたった一人でセントラルパークを占拠。侵入を試みた一般人や警官が、次々と様々なトラップの犠牲になっていく。 業を煮やした事件担当者は、ある人物に掃討を依頼するが・・・。 戦闘シーンの迫力はかなりのものだが、名作『樹海戦線』や『真夜中のデッドリミット』の方が上かも。 人質になってしまう人物の描写が退屈で、正直このパートはいらない。 『100冊の徹夜本』の紹介文では、「彼を倒せる人物Xを推理してみて」と書いてあるが、目次で思いっきりネタバレしてあるw ある意味爽やかな結末は好み。
378 :
名無しのオプ :2007/05/06(日) 18:52:52 ID:L6oHgY7l
>>377 良く手に入ったな(笑)
ネット古書店でもあまり見かけないが。
379 :
名無しのオプ :2007/05/07(月) 08:53:10 ID:LSZSmQx8
中国・香港・台湾・韓国・その他アジア諸国で、 日本の金田一や明智小五郎のようにその国を代表する 有名な名探偵が登場する作品を教えてください。 小説・映画・ドラマ・マンガなど、メディアは問いません。
380 :
名無しのオプ :2007/05/09(水) 02:03:59 ID:7+tiTw8b
>>379 つディー判事(中国)
読み順は↓
p://www.geocities.co.jp/Bookend-Akiko/7916/gulik.html
381 :
名無しのオプ :2007/05/09(水) 06:04:25 ID:sMdf1I5r
>>380 ありがとうございます。
さっそく探してみます。
他の国のもあれば引き続き宜しくお願いいたします。
382 :
名無しのオプ :2007/05/09(水) 13:13:54 ID:I7M47nqu
>>381 ちょっと待ったーーーー!!!
ディー判事を読み始めるなら、今年の6〜7月に早川から出る
「中国黄金殺人事件」(邦題はまだわからん)から時系列順に読んで!!!
まったく印象が違ってくると思う。
383 :
名無しのオプ :2007/05/09(水) 18:31:03 ID:sMdf1I5r
>>382 ありがとうございます。
参考にさせていただきます。
他の国の情報も引き続き宜しくお願いいたします。
ちなみに日本語訳のない作品でも構いません。
384 :
名無しのオプ :2007/05/11(金) 02:54:26 ID:CmxFq4wi
ケン・フォレット『レベッカへの鍵』(1977→1983、集英社文庫)【7.5点】 第二次世界大戦中、イギリス占領下のカイロに潜入したドイツ側のスパイ・ヴォルフは、 イギリス軍の情報をロンメル将軍に流そうと画策。一方、イギリスのヴァンダム少佐は カイロに暗躍するスパイの存在を嗅ぎ取り、ヴォルフと対決する。同時にカイロには ロンメル将軍の軍隊が迫っていた。 この作者のスパイ物は初めて読むが、実にテンポよく進みおもしろい。 ただ、当初はヴォルフ視点で物語が進むので彼に感情移入して読んでいたが だんだん人非人になっていくのでちょっととまどった。まあ、スパイというのは 奇麗ごとじゃないんだから仕方ないか。
385 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/05/12(土) 15:02:24 ID:Xpw0m/FF
J・B・プリーストリー「夜の来訪者」を読んだ。 実業家一家の団欒の夜、そこにひとりの訪問者が波紋を呼ぶ。 わずか160頁強、舞台はひとつ、ト書きも少なめの戯曲だが、 多重解釈も可能なトンデモなラストを迎える作である。 作者はミステリ作家ではなく、戦前から80年代まで活躍した真っ当な文筆家だが、 この形式、この分量でこういった作を書かれては本職は形無しかと思う。 ミスオタ各人よ、心して読め!
386 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/05/12(土) 15:03:42 ID:Xpw0m/FF
興味がある者も多いかと思うので、ここで私のGW中の読書記録とでもいったものを紹介 しておく。 ・ カレル・チャペック「ロボット」 ・ イプセン「ヘッダ・ガーブレル」 ・ イプセン「野鴨」 イプセンは有名な「人形の家」くらいしか読んだことがなかったが、 ミステリ風の伏線を仕掛けたこの2作で、今後、彼氏の戯曲にはまりそうである。 ・ ハウフ「メルヒェン集 盗賊の森の一夜」 タイトルが面白そうなのに惹かれて読んだが、入れ子構造なストーリーが興を惹く程度で内容はありがちな古風な童話集に過ぎない。 ・ 老舎「らくだのシアンツ」 これは傑作。北平(現北京)を主舞台とした貧しい人力車夫シアンツの冒険小説と して読みば、この板で語ることも妥当となろう。 タイトルに冠された駱駝はちょびっとしか登場しないのも御愛敬。 ・ アンデルセン「絵のない絵本」 好評価する声も多いものの、何度読んでも自分にはピーンと来るものがない。 なお、本邦作品に関しては別スレを熟読のこと。心して読め!
387 :
名無しのオプ :2007/05/12(土) 18:44:31 ID:jBqN+uHr
圧倒されます。。恐れ入りました・・・
388 :
名無しのオプ :2007/05/12(土) 20:30:59 ID:siMoIiFb
>>386 >興味がある者も多いかと思うので
なんでしょうかこの強烈な思い上がりはw
389 :
名無しのオプ :2007/05/12(土) 22:09:42 ID:5c2xEi0n
心して読め!とか何で見下ろした言い方をするの? バカなの?
390 :
名無しのオプ :2007/05/12(土) 22:29:07 ID:wrIgOIn1
そりゃあ、みんなを下等なミステリしか読めない馬鹿だと思って 見下ろしてるからさ。
391 :
名無しのオプ :2007/05/12(土) 22:46:45 ID:I9q85dmY
392 :
名無しのオプ :2007/05/12(土) 23:14:19 ID:d12Bb7WT
必ず3つ4つレスが付くよな この板の住人は一体いつになったらスルーを覚えるのか こう言ったら今度は「あれはコピペだ」とかぬかしやがる コピペだろうがオリジナルだろうが知るか スルーをしろと言ってるんだ いい加減成長しろ単細胞ども
393 :
名無しのオプ :2007/05/12(土) 23:50:51 ID:OjoQM56L
全部書斎の自演とコピペじゃねえか お前こそスルーしろアホ
394 :
名無しのオプ :2007/05/13(日) 09:39:33 ID:0VlpFQWC
>>393 根拠あんのか?
そうやって甘やかしてることに気付け
395 :
名無しのオプ :2007/05/13(日) 13:52:25 ID:SxuIY3Du
ここ、別に粗筋(紹介文)を書かなくても良いんだよね? テンプレないみたいだし。
396 :
名無しのオプ :2007/05/13(日) 14:15:09 ID:9hzbBKxi
>>394 >そうやって甘やかしてることに気付け
誰を?
397 :
名無しのオプ :2007/05/13(日) 17:10:23 ID:0VlpFQWC
書斎にレス付ける連中をさ
398 :
名無しのオプ :2007/05/20(日) 22:01:38 ID:txDbQbrd
パソコンとインターネットとが安価で買えるようになったので、陥りやすい罠だわな。
399 :
名無しのオプ :2007/05/20(日) 22:56:03 ID:qeXdvntG
アイリッシュ(と言うよりウールリッチ)の「暁の死線」読んだ。 アイリッシュにしては結構探偵物らしい細かい技がちりばめてある。 ウールリッチは後期の真っ暗闇な作品が好みなんだけど、 これは珍しく明るい印象の作品。 ちなみにこれまで読んだ中でのウールリッチの最高傑作は「幻の女」 ではなく、「喪服のランデブー」(ただしミステリーとはもはや 言えない)
400 :
名無しのオプ :2007/05/20(日) 23:09:23 ID:vSnv7S4T
>>399 同じく自分もウールリッチなら一番は喪服のランデヴーだな。
これはミステリーってか、分類的にはサスペンスだったような。
401 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/05/26(土) 22:35:39 ID:mtsLK7Na
ジョゼフ・ウォンボー「ゴールデン・オレンジ」を読んだ。 10年以上前(96年)の刊行であるが、現在では本邦におけるウォンボー作品唯一の 入手可能なものとなってしまった。(古書を除く) 警察小説(ていうか警官小説と称した方がその内容を的確に評しているかと思う) 名作「センチュリアン」も「冷血」にも劣らない犯罪ノンフィクション・ノヴェルの 傑作「オニオン・フィールド」等が、とうに品切れなのは残念でならない。 昨年度このミス1位にマークされた警察官出身の作家ローリー・リン・ドラモンドの 「あなたに不利な証拠として」が好調な売れ行きなのであるから、時代背景が古くなったとはいえ、このジャンルの先駆者とも言うべきウォンボー作品は、古典として もっと読める状態にあってよいはずだと思うのだが。 それはともかくとして、本作そのものの出来は芳しいものとは言えず、 本作でウォンボーという作家の評価をしてしまうのは早計に過ぎる。 警官出身というアドバンテージを活かしたビビッドな現場感覚を活かした作風が魅力の 作者だが、本作執筆時には作家専業となって久しく、また主人公が元警官という設定 リゾート性が地域が舞台となっていること等もあってか、ヒロインである有産階級の妙齢の美女の生活感の方が活き活きと描かれるという皮肉な結果となっている。 ミステリとしては、結末が曖昧な部分が多過ぎるという致命的な欠陥があり、この点の 評価も辛くならざるを得ないし、ミステリを読み慣れた者なら容易く察しがつく展開 なのも頂けないものがある。
402 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/05/26(土) 22:39:04 ID:mtsLK7Na
ラストの雌雄の亀の姿に込められたメタファーなどは面白くはあれど、 人物・情景描写の的確さと、 主人公ウィニーの行きつけである酒場「スプーンズ・ランディング」の常連等、 脇に至るまでの個性的な登場キャラの面白さで、なんとか退屈せずに読ませると いったところか。
403 :
名無しのオプ :2007/05/27(日) 02:40:31 ID:9GZmbZy2
404 :
読後感 :2007/06/01(金) 21:32:35 ID:2uHvTV+i
「奪回」ディック・フランシス(早川書房) 対誘拐専門のコンサルタント会社を営む主人公が競馬界に関わる 連続誘拐事件に挑む話。 「興奮」「黄金」に次いで3冊目だが後ろ2冊は余り面白くない。 長いし全体的にモタっとしてのめり込めん。 やっぱ迫害されてなんぼって感じなのかなこの人は。
405 :
読後感 :2007/06/01(金) 21:43:07 ID:2uHvTV+i
「吠える男」エドワード・マーストン(早川書房) 時は16世紀のロンドン。世間を騒がせた不義密通の末の殺人事件は 巧妙に偽装されたものだった!? 劇団員ニコラスはある人物から真相が綴られているという台本を 託されるが、それ以降劇団は弾圧されてしまう。果たして真犯人とは――? 初邦訳がシリーズ7作目という時点でキレかけたが中身もイマイチ。 展開にキレがない。カーの歴史ものの酷い方みたいな感じ。 前々世紀ならともかく現代の作家がこんなもん書いちゃいかんよ。 犯人もすぐ明かされるし、ロマンスもタルい。 何でガイド本で言及されてたのか……。
406 :
名無しのオプ :2007/06/08(金) 12:00:23 ID:gKfI7ekY
D・カイル「革命の夜に来た男」(ハヤカワ文庫) 銀行家マロリー卿は自分の銀行から数十年に渡って送金されている謎の口座を探る うち、ロシア革命に関する衝撃的な手記を発見した。1918年、ダイクストンという 英国の海軍士官が時の国王の密名を帯びて、革命真っ只中のロシアに潜入しニコライ 皇帝一家を救出しようというのだ。ダイクストンはレーニンやトロツキーらを説得し、 皇帝一家の幽閉先へと向かった。ダイクストンは無事任務を果たせるか・・・。 いかにも英国の銀行家、といった感じのマロリー卿が良い味を出しています。手記が 幾つにも分散して保存されており、謎を解かないと、その続きの手記を読めないと いう趣向も上手い。手記に記されたダイクストンのロシアでの冒険も迫力十分。 革命直後の混乱ぶりなども面白く描かれている。最後の最後に待っていたオチは、 それほど意表を突いていたとは思えませんが、なるほど、そう来るか、と感心。 まあ佳作でしょう。
407 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/06/09(土) 19:42:47 ID:c/VOjlEy
ドナルド・E・ウェストレイク「鉤」を読んだ。 同じ文春文庫から先駆けて刊行された「斧」が面白過ぎて、 逆に今まで手を出しかねていた作。 「斧」以上の面白さは到底期待出来そうもなかったからである。 しかし、今回、おなじみ100円コーナーの出会いちゅーか、 一読したところ、さすがドナルド、やはり「斧」以上ではないものの、 なかなかの面白さであった。 舞台は出版業界、旧友である2人の作家(売れっ子と忘れられた作家)を メーンキャラとし、交換殺人ならぬ交換条件の殺人とその後の顛末がメーンストーリー だが、シリアスな作風ゆえ、登場キャラ(ウェインとスーザン夫婦)の心理に 非現実的なものを感じてしまうという難はあれど、内部からじょじょに壊れてゆくのは 彼らではなく…という展開がかなりサスペンスフルに描かれており、 オチもサイコ・スリラーそのもので、「語らない恐さ」とでもいったものが 溢れるものとなっている。
408 :
名無しのオプ :2007/06/09(土) 19:44:04 ID:r/pG37Jg
読みたいけど人多すぎで読めない
409 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/06/10(日) 17:41:21 ID:8jtwqBWg
ドナルド・E・ウェストレイク「聖なる怪物」を読んだ。 「斧」と「鉤」の好評(いずれも「このミス」「文春」等の年間ミステリランキングで 高順位を獲得)により刊行された作だが、 完全にラリった感じの主人公(ハリウッドスター)の語り(これがトリックにも関連するのだが)は面白い趣向ではあるものの、途中から仕掛け(インタビュアーの正体等)が 見え見え、パズル小説ではなくサスペンス・ミステリとはいえ、 終盤には基本的にミステリの禁じ手と言われるネタの登場も感心しないものがある 前2作には遠く及ばない凡作であった。 年間のミステリランキングからは無視され、以後に文春文庫からドナルド作品の刊行が 無いのも、この内容を見ればうなずけるものがある。 折角のドナルドノンキャラ作品の翻訳であるし、こんなモノ(未訳)しか無かったの であろうか? 作品そのものには関係しないことではあるが、解説でドナルドの映画化作品を 挙げているが、 ドートマンダー・シリーズの「ホットロック」(ピーター・イエーツ監督、ロバート・ レッドフォード主演)が落ちているのもしょうもない。
410 :
名無しのオプ :2007/06/10(日) 18:27:43 ID:wXz8KsQD
,,ggllllllllllllllgg,, ,,lilillllllllllllllllllllllllllllk ,,lili[^^^ ゚゚llllllllll._ gllll゚゜ ^)llll[ llll[,,ggggg。 pgllllpx.l][ 〈[^],,,,,,],," .。ggpr 〈[ ..l[ ゛゛゜ | <夢・・・・か・・・ ..l[ ,,、 g_ [! _ll、 y^^"ヾ"`、( 」゜ .lk_ メll[]];;59f _g゜ ]g ,,pl゚゛ ∩-ヽ、, ノ @ 。゚。・珍 '"''''''''"´ ノ ヽ|ノ, 。・。゚ ゝ∪" ̄ ̄ ̄∪ ,,, 、,, ,,, ('A`) ,,, 、,, ,,, 、,, , " ,, 、、 ヽ|ノ 、、, ,, 、,, , " ,, 、、, ,,
411 :
名無しのオプ :2007/06/10(日) 23:20:26 ID:r13/wHjY
>>409 土曜に三冊、日曜に一冊読破はすごいね。
412 :
読後感 :2007/06/15(金) 19:57:04 ID:DnITDbJ7
「魔法医師ニコラ」ガイ・ブースビー(小学館) 19世紀の中国。路頭に迷っていた青年ブルースはニコラと名乗る 奇妙な男から旅の供をする様に頼まれる。破格の報酬に動かされ 承諾したブルースだったが、ニコラの目的は不老不死の秘術を探るため チベットにある秘密結社の総本山に潜入するというとてつもない ものだった! 菊地秀行訳。1896年発表ということで超人造型など古さを感じさせる ものもあるが、RPGの様に一つ一つ段階を踏んで目的地に 歩を進めて行くという構成や何度も危機に直面する展開など 読み応えがあって良い。ニコラのキャラクターも立っていると思った。 ただ、ロマンスは時代相応にベタで大人しい感じ。 PS.乱歩「黄金の怪獣」に出てくるニコラ博士の元ネタかな?
413 :
読後感 :2007/06/15(金) 21:00:43 ID:DnITDbJ7
「シカゴ・ブルース」フレドリック・ブラウン(東京創元社) 見習い印刷工をしている青年エド・ハンターの許に父親が路地裏で 死体となって発見されたという知らせが届く。一緒に暮らしていた 継母とその娘にまで警察の嫌疑がかかるなか、エドはサーカスで 働いていたアムおじさんと協力して犯人を探し始める。 ブラウン初長編にしてMWA賞受賞作。 「通り魔」でもそう思ったけどブラウンって都会小説の味も 割とあるよね。無論ハードボイルドとしてもなかなか。無闇に 後頭部殴られて章が変わることもないし。 シリーズたくさんあるみたいだから機会があれば読みたいな。
414 :
読後感 :2007/06/16(土) 17:48:19 ID:WitxVKf0
「深夜プラス1」ギャビン・ライアル(早川書房) 元レジスタンスの闘士ルイス・ケインは知り合いの弁護士からの 依頼を受け、曰く付きの人物を目的地まで送り届けることになる。 彼の命を狙う凄腕の殺し屋たちが行く先々で待ち受ける中、 ケインは首尾良く仕事を果たせるのか――。 一見客にカンパを強要するという噂が怖くて行けなかったお店の ネーミング元となった有名な冒険小説ですが、まあまあ面白かったす。 こないだのと同じくRPG的な構成が良いね。途中でほろ苦い別れをした恋人との再会イベントも有りつつ 物語は進行していく。「どうせ死んだから言ってんだろ」 とは思わず素直に読みました。 プロットは大したことないけど、パートナーのやさぐれスナイパーとか 冷然としていてもどこか詩的な被警護者とかのキャラクターが まあまあ楽しめたかな。
415 :
名無しのオプ :2007/06/16(土) 21:38:30 ID:4auO/X83
>一見客にカンパを強要するという噂が怖くて行けなかったお店 うわ、あのお店そんな噂あったんだ。知らなかった。 当然初めて行ったときは一見だけど。 っていうかそういう世界で有名な本屋だって知らずに行った。
416 :
読後感 :2007/06/16(土) 22:35:20 ID:WitxVKf0
417 :
415 :2007/06/17(日) 22:07:19 ID:p46oqpE8
Thx そういう飲み屋もあったんだね。知らなかった。 本屋の方はあの当時でも品揃えがちょっと変わってる以外は 普通の店だった。 なんかスレにあったネタかこうと思ったけど、 最近読んだ海外物って、シドニー・シェルダンだからなあ。
418 :
名無しのオプ :2007/06/18(月) 10:32:16 ID:eLy69KD/
馳星周が昔、板東齢人名でミステリー批評書いてた頃、深夜プラスワンで時々バーテンやってたと聞いたことがあるが・・・ ガセ?
419 :
名無しのオプ :2007/06/18(月) 14:29:24 ID:gugLeoZD
>>418 WEB本の雑誌のインタビューで本人が言ってたと思う。
420 :
名無しのオプ :2007/06/18(月) 15:49:34 ID:1RJENjE/
>>418 『ミステリを書く!』のインタビューで語ってるよ
421 :
418 :2007/06/18(月) 16:27:21 ID:eLy69KD/
422 :
読後感 :2007/06/18(月) 20:24:36 ID:Aq1G6tuX
「さまよえる未亡人たち」エリザベス・フェラーズ(東京創元社) リフレッシュ休暇でスコットランドの小島を訪れたロビンは、 現地で4人の中年女性と知り合う。内一人は偶然ロンドンから一緒で 何やら胡散臭い事情がありそうだった。そんな中、彼女達の一人が 自室で変死体となって発見される。ロビンはこれまた現地で知り合った 若い女性シャーロットと共に調査に乗り出すが彼女にもまた秘密が――。 250ページと短いながらもなかなか面白い。毒薬に関する謎を中心に いくつかの推測が飛び交う。そこにロマンスが絡むわけ。 ロマンスに関しては割と淡白かも知れないがロジカルな中に 一つの伏線で真犯人が判明するという推理部分は良い。お薦めかな。
423 :
読後感 :2007/06/19(火) 19:17:50 ID:j/Tid1OE
「目は嘘をつく」ジェイン・スタントン・ヒッチコック(早川書房) 騙し絵画家フェイスはある時美術収集家として名高い老夫人から 自館の壁に絵を描いて欲しいと頼まれる。友人の薦めもあって 仕事を引き受けたフェイスだったが、足を踏み入れた屋敷には かつてこの場所で殺された娘の影が漂っていた……。 何か書評やタイトルを見る限りでは凄いどんでん返しがあるのかと 思ってたら当てが外れた。やや冗長な心理サスペンスて感じ。 一応終盤で真相が明かされるのだが「あら、そう」てなもんや三度笠。 もう読まないリストに追加。
424 :
名無しのオプ :2007/06/30(土) 22:30:11 ID:cjYcGQrA
「わらの女」カトリーヌ・アルレー読了 読みやすいしテンポがあって面白かった しかし結末はどうなんだ? 日本人が書いていたらああいう結末にはしないだろうな
425 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/07/07(土) 23:16:36 ID:fspKnToC
E・D・ホック「サム・ホーソーンの事件簿X」を読んだ。 カバーのイラストでは相変わらず若々しく描かれているサムだが、既に40男、 舞台となるノースモントの町の都市化が進行したこともあって、シリーズの雰囲気が 結構、変化して来ているやに思える。 また、背景となる時代の変遷もあって、初期のようなマターリ牧歌的な田園ミステリ一の 世界とはいかず、戦争(第2次世界大戦〜ヨーロッパ戦線)の暗い影が散らつく作品が 多く見られる。 作者の私観もあるのか、いかにナチス憎しと言えども、ドイツ系住人に対する偏見を感じさせるような部分もあって、現代メルヘンとも言い得る謎解きミステリの世界を 堪能せんとする者には、抵抗感を持ってしまうような面もあるのは残念である。 では、大好評の全話講評行ってみよう! 「消えたロードハウスの謎」 米東部の広大さが実感されていないと、トリックも今ひとつ実感を伴わないものがあるやに思う。犯行に時代の空気が吹きまくりなホックらしからぬ、このシリーズらしからぬ作 である。 「田舎道に立つ郵便受けの謎」 メーントリックは小技にとどまり、ストーリーも強引な因縁話で落ちる。 意外や、ホックの純文学好きを感じさせる展開を楽しむべき作であろう。 ポイントとなる部分だが、「戦争と平和」ほどではないとしても、 「大地」はそんなに薄い本であろうか? 「混み合った墓地の謎」 地中の棺から真新しい死体が発見されるというジョン風の怪奇な設定だが、 初期よりもあっさりと語られてゆく。 ベテラン医師にして名探偵のサムにしては現場にいながらのうっかりが御都合主義的 で気にかかるものがある。
426 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/07/07(土) 23:18:21 ID:fspKnToC
「巨大ミミズクの謎」 最後の一行が文学的な締めの一編。 このシリーズは謎解き主体からじょじょに人間ドラマへの傾斜を見せてゆくが、 この事が良くわかる作である。 「奇蹟を起す水瓶の謎」 名探偵のはずのサムの注意散漫(もう年?)もあって、 謎解きに御都合主義ばかり目立つ作。 「幽霊が出るテラスの謎」 旅先であるニュー・ベッドフォード(捕鯨基地として有名だった)が舞台、 当然ようにメルヴィルねたが登場し、ホックの文学好きを確認させられる。 収録作品中で謎解きミステリとしては一番の出来、 ジョン風のバカミスっぽい仰天トリックだが、これくらいやると逆に面白いのである。 本作にも犯行動機等に諸に時代(大戦)の影響があり、締めは文学的でもある。 「知られざる扉の謎」 ミステリに多い修道院ネタ。ミステリアスな雰囲気は良いものの、 ミステリとしての出来は平板に過ぎる。 「有蓋橋の第ニの謎」 名探偵サムのデビュー作となった同じ有蓋橋を舞台にした第一の謎には及ばない出来。 解決はこれしかないものなのではあるが、巧く決まり過ぎているのである。 「案山子会議の謎」 案山子という小道具が作品中に巧く活かされ、面白い謎解きミステリに仕上がっている。 とにかく案山子に注目!
427 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/07/07(土) 23:19:30 ID:fspKnToC
「動物病院の謎」 動物のお医者さんアナベル・クリスティー先生登場。 密室における殺猫事件とでも称すべきネタだが、 現代にこの小技トリックを堂々と出して来るホックはある意味で恐いぐらいだ(w 「園芸道具置場の謎」 サムは医師が本業でもあるし、これも注意散漫と言われても仕方ないような面がある作だ。 一応、意外な展開ではある。 「黄色い壁紙の謎」 初期には見かけることはなかった流行りのサイコ・ミステリ風な作、 これにホック流のツイストを効かせている。 トリックは、ジョンのギディオン・シリーズ初期長編にも使用されたものであり、 本作でもサムの注意散漫ぶりが気にかかる。 「レオポルド警部の密室」 今回のボーナストラックではあるが、犯罪のプロであるレオポルドの注意散漫ぶりが 気にかかる作となっている。
428 :
名無しのオプ :2007/07/08(日) 01:28:37 ID:7Sl2Rh7I
コピペするなよ
429 :
名無しのオプ :2007/07/14(土) 01:09:07 ID:Tl9BmzRW
キャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』 (1999、創元推理文庫)【7点】 クリスマスを間近に控えた片田舎の町で、少女二人が姿を消した。 これまでにも断続的に起こった幼女失踪事件の再現か? 15年前に双子の妹が失踪し死体で発見されていた。 その兄で現在は警官のルージュも捜査に当たることになったが・・・ これまで何度も読みかけて挫折していた本書をようやく読了。 決してつまらなくはないのだが、どうにも展開がおそくてノれなかった。 ルージュや少年少女たちが事件を通して成長していく部分は、物語的には 必要だが、事件のサスペンスやテンポを殺いでしまったようにも思う。 あるムックを読んだら「書評家泣かせ」「ちょっとでもしゃべったらネタを割ってしまう」 とあったが、どこがそうなんだろう?? ひょっとしたら自分、重要な真相を読み落としてるのかも・・
430 :
名無しのオプ :2007/07/14(土) 03:57:35 ID:8vFvqebI
>>429 どこがって、だって主要登場人物の一人が…なわけじゃないですか。
で、そのことがこのお話のキモなんだから、褒めるにも褒められない
431 :
名無しのオプ :2007/07/14(土) 15:17:02 ID:yYOwdvVD
「ジャッカルの日」 今頃読んでいます。古い作品だけど面白いね。 フォーサイスでいいのがあったら推薦してください。
432 :
429 :2007/07/14(土) 17:40:39 ID:Tl9BmzRW
>>430 >だって主要登場人物の一人が…なわけじゃないですか。
メール欄で教えて。やっぱり読み落としてたか・・orz
433 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/07/14(土) 23:45:52 ID:ef5V60/r
>>431 「ジャッカルの日」は、ストーリー上は正義の側にあるはずのOSSの非情さ(拷問シーン等)が
印象的、やはり大人の読物という感じである。
第2作「オデッサファイル」(ナチスねた)、第3作「戦争の犬たち」(傭兵ねた)
と刊行順に読んでいけ。
いずれも現代でも通用する興味深いねたであり、あらためてフレデリックの着眼点の良さを
感じさせるものがある。80年代後半以降の作品は今ひとつという出来になって来る。
434 :
名無しのオプ :2007/07/15(日) 00:20:50 ID:bC7T6StZ
さすが書斎魔神さん、読書ガイドも堂に入ったものだね。
435 :
名無しのオプ :2007/07/15(日) 06:37:07 ID:d6pRjBnT
.433 どうも、ありがとう。
436 :
名無しのオプ :2007/07/16(月) 00:00:07 ID:+imwjySp
いいのかな…この流れw
437 :
名無しのオプ :2007/07/16(月) 01:23:04 ID:zipcVI7x
430さんではありませんが、
>>429 の後に、
>>432 を読んでちょっとビックリ。
読み落としちゃうのか、あれを‥。
サディー、可哀想に、浮かばれないな‥。
439 :
名無しのオプ :2007/07/16(月) 07:05:39 ID:I1X9/f+x
「フレデリック・フォーサイスはジャッカルが一番面白くて 後はだんだんつまらなくなる。」 普通に読んだ普通の人の意見ならこうだね。
440 :
429 :2007/07/17(火) 20:03:59 ID:+Zaytgm9
>>437 >>438 レスどうもです。そこはさすがに気づいてました。
いやてっきり真犯人が別にいたのかと。
441 :
名無しのオプ :2007/07/20(金) 17:55:27 ID:kmS6vnUc
「ダークライン」ジョン・R・ランズデール 早川書房 テキサスの田舎町に越してきてドライブインシアターを営むスタンリー家。 少年ヘンリーは裏庭で土中に埋もれた手紙入りの箱を見つけところから 大人の世界へ一歩踏み出すことになる。 「ボトムズ」と比べてもかなりミステリ色は薄めで青春小説に近い。 40手前のおっさんだけど久しく忘れてた「夏休み」を感じさせてもらったよ。
442 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/07/21(土) 07:55:23 ID:/NkVIy+k
今更ではあるが、ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」を読んだ。 社会的なダ・ヴィンチ・ブームを巻き起したベストセラーではあるが、 それゆえ、手を出しかねていた面がある作。 出来としては、期待以上でも以下でもないといったところであり、 御都合主義で安手なアクションが鼻につく感はあるが、 キリスト教を中心とした歴史・宗教に関する薀蓄(トンデモ含む)が満載であり、 ダ・ヴィンチ人気が高い日本とはいえ、ベストセラーになったのは不思議な 感はあるが、世界的に見た場合、謎解きミステリ(と同時に歴史ミステリ、 あえて本格ミステリというワードは使用しない)の現在形は、 こういった形になってゆくのであろうかという気はしている。 最早、日本のミスオタが熱狂しているような巧緻な密室や精緻なアリバイ破り等の時代 でもなかろう。 高校世界史B程度(テンプル騎士団などは本作のキーワード中のキーワードと言える) をきちんと履修していないと、読み難く、到底、楽しんで読むことは出来得ないかと思う。 私の如き知識人層の間で、ダ・ヴィンチねたのちょっと毛色が変った作があると 話題になり、文庫化もされずにひっそりと消えていっても不思議ではない作だったのだが、 映画化の機等も利用し、「これ」を売りまくったのは、さすが角川であると言える。
443 :
名無しのオプ :2007/07/21(土) 10:56:27 ID:7ep8F/CM
ジル・マゴーン「騙し絵の檻」 人間関係とか時間軸とか分かり難いのはわざとだな、と思って きちんとメモを取ってじっくり読んだよ 18章の終わりで鼻からスパゲティ吹いた
「沈黙のゲーム」グレッグ・アイルズ(講談社) 妻を亡くし幼い娘と二人、故郷に帰って来た弁護士作家ペンは 地元紙から受けたインタビューの中でかつてここで起きた 未解決の黒人殺人事件に言及してしまったことから、その事件の 解明に乗り出すことになる。ところがその過程で彼を巡る過去の 因縁が吹き出して来る――。 上下巻ながらも負担に感じることなく読めた。 筋立てとしては特に真新しいものはないが、 真相を明かして終わるのではなく、真相によって敵味方を鮮明にし、 最後の対決にもっていくという手法が目を引いた。 ただ、法廷場面がイマイチ盛り上がりに欠ける気がした。 これは弁護士作家じゃないから? 経歴知らんけど。
445 :
名無しのオプ :2007/07/21(土) 22:52:55 ID:jn4ptl49
アイルズって元はFBIに籍があったんじゃなかったけ。
446 :
名無しのオプ :2007/07/21(土) 22:58:22 ID:J5XJgpRd
>>444 面白そうですね
アイルズは「神の狩人」しか読んでいないので、これも読んでみます
447 :
名無しのオプ :2007/07/22(日) 00:03:07 ID:qrJN4rK2
自分で知識人て言う人もめずらしいねww
448 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/07/22(日) 09:27:48 ID:1rNHedW3
トマス・ハーディ「日陰者ジュード」を読んだ。 ハーディの最後の小説にして代表作でもあるが、「テス」と比較すると今ひとつ という感がある。 社会派小説(当時)としても、ダブル三角関係を描いたメロドラマとしても読める作ではあるが、時代の波に圧されてゆくヒロインに焦点を絞って書き切った 「テス」と比較して、メーンキャラがタイトルに冠された石工ジュード、その最初の妻であり農民上がりの酌婦アラベラ、 ジュードの従兄妹であり後に恋人となるスー・ブライドヘッド、 スーの夫である年輩の教師フィロットソンと主要人物が、それぞれにかなりのボリューム を物語に占めており、(実際、主人公ジュードが脇に配され、あるいは、殆ど登場しない章 が相当数存する)、ストーリーに変化をもたらす効果は上げているものの、 語りが散漫になっている面は否めないものがある。
449 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/07/22(日) 09:30:17 ID:1rNHedW3
また、テーマの面でも教会・結婚・大学という21世紀となった 現代にも通じる社会制度問題(非キリスト教徒である我々にも後2者の問題は切実な問題として迫って来るものではあるが)を 全て取り上げてしまったため、各問題に関する掘り下げがそれぞれに浅くならざるを得なかったきらいがあるのが惜しまれる。 なお、「ミステリ的読み」としては、スーのキャラ分析の興味に尽きる。 彼女のキャラそのものが、まさに「ミステリ」なのだが、それは安っぽい謎の女の類ではなくして、 正に人間存在の根源に関わるものなのだと言える。 作品中に書かれざる、明示されざる「ミステリ」を読み解くこと、 さてミスオタにこれが出来る否かだな(w
あぼーん
451 :
名無しのオプ :2007/07/27(金) 10:51:28 ID:bne64hn6
『殺人症候群』/リチャード・ニーリィ を読んだ 国産ミステリ読んでる人はすぐにトリックわかっちゃうね ただ最後の2,3行の意味はわからなかった 主人公がアレ切っちゃうのはトリックと何か関係あるのか?
452 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/07/28(土) 20:11:40 ID:3VA4mKZg
ポール・アルテ「狂人の部屋」を読んだ。 絨毯の謎の濡れ、本邦のタクシー怪談を想起させるようなネタだが、 この作者にしては地味な感がある謎の提出ではある。 後半に入り新たな事件が発生、不可能趣味が炸裂して来る。 ただし、訳者あとがきにあるアルテ最高傑作というのは言い過ぎ、 とにかく死者甦りネタの真相がお粗末過ぎるのである。 また、真相は検死でわからないという前提で話を進めているようだが、 (その旨の記述もあり)、現代法医学の書を参照すると疑問である。 それとも英国あるいは作者の母国であるフランスの検死制度は、 少し前に話題となった本邦の検死制度以上にザルなんであろうか。 全体的にはジョンの悪しき影響というかツンデレなラブロマンスが、 物語を退屈、かつ、テンポを悪くしているのが頂けないものがある。 アルテの魅力は先人ジョン以上のストイックさ、簡潔さ等であったというのに。
453 :
名無しのオプ :2007/07/30(月) 20:50:45 ID:EATLI7qJ
リチャード・ノース・パタースン『子供の眼』(上下) (2000→2004、新潮文庫)【8.5点】 弁護士テリは駄目夫リッチーとの離婚を決意し、娘の監護権を争う。 ボスである弁護士クリスを頼り親しい関係となるテリーザだが、旅行中に 夫リッチーが死体で発見された。自殺か殺人か、真相は深い闇の中・・・・ 『ラスコの死角』『罪の段階』に続く弁護士クリス・パジェットもの。 できれば『罪の段階』は読んでいたほうが良い。リーガルサスペンス+ 家族ドラマというありきたりの設定だが、クリスが何やら怪しい行動を とるのでどこに着地するか予断を許さない。文庫上下巻本だが、一気読み。 とくに手に汗握る法廷シーンは圧巻。前作よりもおもしろい。 テリとキャロラインと女精神科医のキャラが一緒だとか、終わり方がくどいとか 欠点もあるが、傑作の名に恥じない。とりあえず、リッチーは死んでザマミロ。
454 :
名無しのオプ :2007/08/01(水) 18:49:15 ID:sDOAx0AG
トニー・ケンリックの「スカイジャック」(1972)を読んだ。 既に読んだつもりになっていたが、実は今回が初読だった。 (昔買ったけれども、そのまま積読状態でした。) ジャンルは、ユーモア・ハードボイルドになるらしい。 360人の乗客を乗せたジャンボジェット機が突然 レーダーから消えた。 さらに、2500万ドルのダイヤモンドを要求する手紙が舞い込む。 普通なら、FBI捜査陣 vs 犯人グループ、の図式になると思うのだが、 ここでは、開店休業中のしがない弁護士元夫婦のカップルが主人公。 笑いあり、サスペンスあり、冒険ありの絶妙の一品でした。 文庫版のカバーに 「─そして、最後には、あっと驚く結末が…」 とあるのに、納得www
「エジプト十字架の秘密」エラリー・クイーン(早川書房) 父と地方へ出かけたエラリイは奇妙な殺人事件に遭遇する。 道路の突き当たりにある標識に首無し死体が結びつけられていたのだ。 検死審問には参加したもののさしたる行動は起こせないまま 帰途に着いたエラリイだったが、数ヶ月後別の場所で再び 首無し死体が発見される! 果たして二つの事件の関連は!? 瀬戸川猛資も絶賛の国名シリーズ白眉と呼び声高い本作ですが、 それほどとは思えず。前作「ギリシャ棺の秘密」の持つ重厚かつ 濃密な構成には及ばない。犯人の見当も付きやすいし。 一番不満なのは(メル欄)。特に(メル欄2)。 気に入った箇所は二度目の事件におけるロジック。これはやり過ぎると ノックスみたいにわざとらしくなりがちだけど良い案配だったかと思う。
456 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/08/04(土) 16:32:07 ID:4keRLVJ6
久々にH・R・ハガード「洞窟の女王」を読んだ。 初読の時は、アフリカが舞台ということもあって秘境冒険小説を期待して 読んだところ、怪奇冒険小説と称した方がふさわしい内容に、 少し外された感じがしたものであった。 純然たる冒険は、黒人の顔をした奇怪な岩、ライオンとワニの死闘等、 トンデモなエピが散りばめられた前半の川上り探検のくだりと 終盤にある生命の炎の洞窟への旅の部分とを併せても、 全体の3分の1も無いのではないか。 むしろ、謎の洞窟に君臨する女王アッシャと主人公たちとの交流、 これを彩る怪奇、かなりえぐいエログロに相当な頁数が割かれている。 ミイラの焚き火、全裸で炎に身を投じる女王等々、書かれた時代を考慮すると、 大久保康雄先生の抑制された上品な訳文で読んでも、かなり過激的である。 (ただし、古い翻訳であるため差別用語は満載。これも今では「いけない刺激」 となって読む者に迫る) 現代の洗練された冒険小説と比較すれば、古臭ささは否めないのは仕方がないが、 ある意味で人生の達人とでも称すべき、絶世の美女、女王アッシャの唯物論を 思わせる人生語り、神秘的な女王という言葉から想起するイメージからは 想起出来ない多弁ぶりは、予想を裏切ると共に、本作における最大の読ませどころ ともなっている。 そして、アッシャは超人的な存在ではなく、意外や、女性共通の賢さ、狡さ、可愛さ等も あるキャラとして描かれているのが非常に面白く、この辺は今は見当たらなくなって しまった完全大人向きのファンタジーという感がある。
457 :
名無しのオプ :2007/08/04(土) 19:16:43 ID:q68cUUom
読後感と書斎では、はっきり差があるな。感想文と論考の差と言うべきか。
458 :
名無しのオプ :2007/08/04(土) 19:18:14 ID:q68cUUom
読後感と書斎では、はっきり差があるな。感想文と論考の差と言うべきか。
459 :
名無しのオプ :2007/08/04(土) 19:19:25 ID:v+IoMWZM
論考(笑)
「凶運を語る女 ムルマンスク、2017年」ドナルド・ジェイムズ(扶桑社) 内乱が終息してから2年。妻と共に暮らしていた警官コンスタンチンは とある占い師から、妻の影に蠍の様な男がいると言われ、動揺する。 そしてその後夫婦で行ったパーティーの会場で妻は姿を消してしまう。 必死に妻の行方を追うコンスタンチンだが――。 前作を読んだのはもう何年も前だけど読後の印象は強烈で、 ここまできっちりした小説があったのか、と思った。ところが 続編があるという。これ以上は蛇足ではないかと読まないでいた。 が、観念して読んだ。まず妻捜しというのが「芸がない引きだ」と 思った。妻の描写が少ないのも気になった。彼女は前作にも 出ているわけで今更淡白にして見せたってちぐはぐなだけ。 この違和感は真相が明かされた後も変わらず。何故こんな味気ない 話を書いたのかと首を捻った。 しかも中盤で読書意欲がガタ落ちする出来事があり読殺するのが 手間だった。やっぱ前作で止めとくべきだったかも。 追伸:(メル欄)が放置されてるのはわざと含みを持たせてるのか?
「狂人の部屋」ポール・アルテ(早川書房) 屋敷に代々伝わる開かずの部屋。ある日封印を破った当主はその部屋の 窓から転落死を遂げ、程なくそこへ入った妻も何故か白眼を剥いて 失神してしまう。そして暖炉の側の絨毯は濡れていた。 開かずの部屋に伝わる忌まわしい言い伝えの通りに……。 さらに次々と的中する恐るべき予言の謎も相まって事件は混迷するが――。 今回は密室ではなく、肝となる様なトリックもない。 プロットで見せるタイプの話。展開の妙でなかなか読ませるが、 カー作品でよく指摘される弱点(クリスティにも言えるが)がそのまま 本作の弱点になっておりそれがとても残念。 ただ、ある重大な事実が明かされないことについての理由付けは 良かったと思う。 でもあまり本格が根付かなかったフランスで今アルテやコナンが 人気なのも不思議な話だ。
462 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/08/18(土) 12:04:51 ID:HAwtwyui
マルキ・ド・サド「ソドムの百二十日」を読んだ。 序文+4部構成だが、2〜4部は草稿の段階に過ぎず邦訳頁数でも100頁強に過ぎない。 未完という点を考慮すれば、他作と比較するのはいかがなものかとは思うが、 稀代のピカレスク、究極のクライムノベルと言い得る「悪徳の栄え」には遠く及ばない という感がある。 本作がスイス山中の館というクローズドサークルにおける有閑階級の性的な狂宴を描いた ものなのに対して、美女ジュリエット(このネーミングにも作者の皮肉と悪意を感じ させるものがある)の欧州大陸を舞台にした悪徳の遍歴を描くという舞台設定の差が ストーリーの起伏に大きく影響し、これが即、エンタメとしての面白さの差となって 反映していると思われる。
463 :
名無しのオプ :2007/08/19(日) 19:49:53 ID:wKTo8EV2
ケン・フォレット『ハンマー・オブ・エデン』 (2000→2004、小学館文庫)【8点】 州知事に対し「人為的に地震を起こす」という脅迫を行った“プリースト”ら。 「エデンの鉄槌」。ヒッピー・コミュニティの存続を賭け、かれらメンバーは、 地震を起こすことに成功。しかしFBIらの捜査は着実に身辺に及んでくる・・・ 「地震」を武器にするという突飛なテロ集団とFBIとの対決が焦点で、 矢野さんの翻訳がテンポよく物語を読ませる。細かいことを言わなければ、 一気読みの楽しい読書が出来る。 だがFBIが知力の限りを尽くしてヒッピーを追い詰めるというよりは、 25年間森の中にこもっていたヒッピーのリーダーの軽率な行動により 勝手に自滅してしまうという点が、ちょっと残念。
464 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/08/25(土) 17:59:54 ID:xSiSc9Cf
スティーヴン・ハンター「極大射程」を読んだ。 翻訳刊行当時は、このミス、文春等で高く評価された作ではあるが、 今読むと、本作に対する高評価はイコールミスオタのローレベルを実証するものだと 言われても致し方ないものがあると思うほどの「つまらなさ」であった。 ベトナム戦争で輝かしい戦績を上げた伝説的なスナイパーと 暗い過去を持つ不器用だが真面目なFBI捜査官の2人を主人公にし、 敵役にCIAと攣るんだ軍人グループ、性犯罪歴がある天才的な心理学者、 主人公2人に絡むスナイパーの戦友(戦死)の美人妻とFBIの美人若手職員が ヒロイン役として配される。 ここまで書けばわかるとおり、展開に強引な御都合主義が多い漫画ちっくというか 劇画的な作であり、映画「ダイハード」あたりを喜んで見ているような厨房好みの作 とも言い得る。 特に女性陣が犯罪者として追われている主人公たちに全く恐怖を感じておらず、 協力的でさえあるのは、あまりに現実感を欠くものがあり、 読んでいてうんざりした。これぞハリウッドB級テーストとでも評したいものではあるが、 近年映画化されたのは御存知のとおり。 ミステリ的には、ダイイング・メッセージねた(「ROM DO」)は、わかり難いもの であり、終盤のリーガル・サスペンス的展開で判明する主人公が仕掛けた「トリック」は、 軽い短編に使用する程度のネタに過ぎない等、魅力は乏しい。 ミステリ関係のランキングでは異常なまでに高く評価されながらも、 当初から文庫での刊行、一般では殆ど話題にならなかった等の点に本作の真の評価を 見る気がする。
465 :
名無しのオプ :2007/08/25(土) 20:54:14 ID:dV1gJlBX
____ /∵∴∵∴\ /∵∴∵∴∵∴\ /∵∴∴,(・)(・)∴| |∵∵/ ○ \| |∵ / 三 | 三 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |∵ | __|__ | < うるせー馬鹿! \| \_/ / \_____ \____/ヽ __ _____ / >、__,r‐ツ./ヽ´-‐ ' "´r",.-、, \ _.. -‐''フ|フヽr-‐ ''''フ./´ /(_.人 ヽ._ ヽ . ‐ '7 く/|〉-rへ. / ./ l ゝ. \ / / /|/ L / | ,( \ ノハ
466 :
名無しのオプ :2007/08/25(土) 21:07:10 ID:aA3CGWBJ
今日は週末にしては忙しかったので、読んだ字は「うるせー馬鹿!」だけだった。 成る程そのとおりかとも思ったが、余りの内容の薄さに辟易した。
467 :
名無しのオプ :2007/08/25(土) 21:52:15 ID:X8qvmFy4
____ /∵∴∵∴\ /∵∴∵∴∵∴\ /∵∴∴,(・)(・)∴| |∵∵/ ○ \| |∵ / 三 | 三 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |∵ | __|__ | < うるせー馬鹿! \| \_/ / \_____ \____/ヽ __ _____ / >、__,r‐ツ./ヽ´-‐ ' "´r",.-、, \ _.. -‐''フ|フヽr-‐ ''''フ./´ /(_.人 ヽ._ ヽ . ‐ '7 く/|〉-rへ. / ./ l ゝ. \ / / /|/ L / | ,( \ ノハ
468 :
名無しのオプ :2007/08/27(月) 08:45:51 ID:aqxzaCql
>>464 >特に女性陣が犯罪者として追われている主人公たちに全く恐怖を感じておらず、
協力的でさえあるのは、あまりに現実感を欠くものがあり、
現実の女を知らないね。
刑務所の連続殺人犯にラブレターを書く女もいるのを知らないの?
女は「悪い男」が好きなものなんだよ。
469 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/09/01(土) 16:39:22 ID:OR4vzIyb
ジョゼフ・ウォンボー「ハリウッド警察25時」を読んだ。 大ヴェテラン、ジョゼフのなんとポケミス初登場(既刊も全て早川だが、 ハヤカワNV、文庫、ハードカバーで刊行されている)、久々の翻訳新刊である。 今また、この警察小説のマエストロの新作が翻訳されるに至ったのは、 このミス1位等輝いた警察小説(というか婦警小説) ローリーの「あなたに不利な証拠として」が好評だったゆえであろう。 あとがきでも指摘されているとおり、エドほど軽くないジョゼフ(作品)の ユーモア含みの独自のハードタッチの魅力は健在、多彩な登場キャラ(時代性ゆえか 女性警官がメインで何人も登場する)もそれなりに立ってはいるものの、 本作と同傾向の「センチュリアン」(ジョゼフのデビュー作)と比較すると、 軽く創りものめいた感が否めない(特に終盤の警官大集合的展開はB級映画、 安手の刑事ドラマ風で頂けないものがある)のが残念である。 取材対象には事欠かないのであろうが、作者が現場から離れて久しい(40年近く) ためか、肌感覚による臨場感が比較にならないのである。 また、「センチュリアン」が3人の新人警官をメーンとした警察サイドの視点で一貫 していたのに対して、犯罪者サイドの視点にも多くの頁が割かれているのが大きな 相異と言えるが、これは小説としての興を惹く効果がある反面、 ドキュメンタルな迫力を殺ぐ構成となってしまっている。 ただし、ボリューム感はあるものの、過去のジョゼフ作品群と比較して会話文が 多く読み易いのは利点か。 「刑事コロンボ」でも有名なLA市警だが、相次ぐ不祥事により連邦の監視下 にあり、これでは名探偵物語の舞台足り得なくなってしまったのはわかる気がする。 同じメガシティであっても、NYとLAの状況(地形、人工動態等)の違いによる 警察捜査の異なりに関するコメントなども興味深く、作中に散りばめられた この辺の現場の薀蓄はジョゼフ作品らしい面白さではあった。
470 :
名無しのオプ :2007/09/01(土) 16:55:03 ID:ZEXj2KQn
ひ・まじんww
471 :
名無しのオプ :2007/09/02(日) 22:45:33 ID:SA+xZi/f
Donald E. WestlakeのWATCH YOUR BACK!読みました。 まあ感想といってもこのシリーズは全部面白いと思ってるので当てにはならないかもしれませんが。 酒しか出さないO.J. Bar & Grillの常連達の法螺話から始まるのはいつもと同じ。 ところが今回は療養帰りの故買屋アーニーからぼろい仕事の話が来て、さあ集まるぞというところでO.J.売却の危機、 またもや本来の仕事に加えて厄介事が降りかかってくるという話。 ドートマンダーとおなじみの中年オヤジたちに加えて、高校を卒業したばかりの新入り、 アーニーよりひどい性格の金持ち、O.J.のオーナーも登場します。 話の展開自体はいつもどおりの 儲け話 ↓ ドートマンダー参加、プランは完璧 ↓ 邪魔が入って仕事が増える ↓ 全部解決して仕事に戻る ↓ あわや逮捕 ↓ 報酬減少 のパターンで、安心して読めました。 細かい笑いも健在。個人的にはO.J.乗っ取りを企むギャングの親子がFuckを連呼するのがツボでした。
472 :
名無しのオプ :2007/09/03(月) 00:28:45 ID:j/YaQjr6
書斎魔神とやらの文章が、飛び抜けて(笑)くだらない、 他人の書評を写してるだけなのが、丸見え。
473 :
名無しのオプ :2007/09/03(月) 21:44:26 ID:SUsKpLCL
>>468 書斎魔神は、50歳の童貞男ということですね。
474 :
名無しのオプ :2007/09/04(火) 11:47:09 ID:43PNXPer
>>472 そうか?
書斎魔神の書評は正鵠を得ているものばかりだと思うが。
そのまま出版社に持っていけば、一流の批評として評価されるだろう。
それを2ちゃんでロハで読めるんだから、むしろありがたいと思うべきでは
475 :
名無しのオプ :2007/09/04(火) 12:12:58 ID:rp+at5Uw
>>474 泡沫ライターでも、書斎の、品格も、ウィットも、知性も、論理性も感じさせない、
だらだら駄文よりは、はるかにまし、これじゃあ泡沫プロにすらなれないわけだ、
くねってるだけの書斎は、アマチュアですらない、
彼は、きちんとした作品も評論集も、書籍として販売したことがないのだから。
2ちゃんねらーが、ネット上で話したり、感想を言い合ったりするのは、
かまわない、そうゆう前提で作られた、コミュニケーションの場なのだから。
しかし、書斎は、自分はプロの作家だと主張し、私達、2ちゃんねらーに対し
キメ台詞の「愚民諸君!覚悟したまえ!」等の暴言を吐く男である、
(吉村 昭スレのスレッド数の多いほうを見てください)
それだけ、自分の優越性を主張するなら、もう2ちゃんに来ないで欲しい、
ここで、口調を変えよう!
私たちは、貴方に言わせると、愚民だそうなので、優秀な魔神さんとは、
会話が成り立たないでしょう、啓蒙して頂かなくても結構です、
自分らで、啓蒙し合います、貴方は、一刻も早く、自費出版ではない、
一流の書籍会社から、出版して下さい、私たちは、それを読んで、
あなたと言う人間のプロフェッショナル性を判断します、
早く、きちんとした、書籍を出版して下さい、それがプロの知識人・作家・評論家を
自認する貴方に我々が、求める事です、
御自慢の支持者の皆さんに取材の助っ人をたのむぐらいは、いいんじゃないですか?
とにかく、推理小説でも、スリラー(冒険小説)でも、ポリティカル・フィクションでも、
軍事サスペンスでも、ホラーでも、SFでも、評論集でも自分の名で、
出版して下さい、泡沫ライターとしての参加は、いやなんでしょ、
それまでは、2ちゃんにこないで結構です、
私達は自分達でやっていけますので、おせっかいは、やめてください
476 :
名無しのオプ :2007/09/04(火) 12:36:23 ID:6CnleLYs
477 :
名無しのオプ :2007/09/04(火) 13:11:25 ID:rp+at5Uw
478 :
名無しのオプ :2007/09/05(水) 08:06:40 ID:kJ4thqTH
過去ログ見ずに言うけど、 書斎魔神て人のコピペやパクリや文体の稚拙さ云々よりも、 新刊紹介スレの「1と仲間達」の空気がキモイよ。 あそこは1の専スレなのか? あっちからここに来た奴って実は多いんじゃないか?
479 :
名無しのオプ :2007/09/05(水) 08:31:39 ID:2yk/WwTj
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | 次でボケて!!! | |________| ∧∧ || ( ゚д゚)|| / づΦ
480 :
名無しのオプ :2007/09/05(水) 09:53:33 ID:sybDRc+1
このスレも「書斎魔神と仲間達」 スベった
「くたばれ健康法!」アラン・グリーン(東京創元社) 5000人の信者を抱える健康体操のカリスマがホテルの一室で射殺された。 だが奇妙なことに弾丸は仰向けになった死体の背中から 撃ち込まれており、しかもその上に着ていたパジャマには 弾丸の痕がなかったのだ。犯人は一体どのようにして撃ったのか? しかし「ボディを見てから驚け!」って酷い邦題だよなぁ。 付けた奴もGOサイン出した奴も頭大丈夫かしら。 バウちゃんがカーの某作と並んでユーモア本格の代表作だと 言ってたらしいが、どこが? キャラは全然経ってないし ドタバタもないし至ってフツーの、というかむしろ無味乾燥な本格って 感じなんだがな。と、思ってたら終盤にとって付けたような ドタバタ騒ぎが出てくる。しかし事件となーんの関わりもない ただの騒動ってだけ。 まあ殺人のトリック自体はユニークではあるんだけど、その周囲に 不備が目立つ。(メル欄)とか(メル欄)とか。 トリック的にはマイルストーンかも知れないが読んで楽しい本じゃない。
482 :
名無しのオプ :2007/09/06(木) 00:21:31 ID:1TtUC9PD
この、読後感 ◆VkkhTVc0Ug 氏は、書斎魔神の新しいペンネームか? ぶっ壊れた文章はそっくりなのだが?
483 :
名無しのオプ :2007/09/06(木) 01:16:25 ID:Rw7PngV8
とりあえずageでマルチまでして訊くことじゃないな 読後感が“新しいペンネーム”かどうかなんてスレ見りゃ 簡単に判ることだし
484 :
名無しのオプ :2007/09/06(木) 01:28:17 ID:ZiS09dqz
まあユーモアセンスは書斎と同じレベルだけどな
485 :
名無しのオプ :2007/09/06(木) 01:34:31 ID:5K47B/+j
『タルタロスの審問人』面白かった!! 初めて小説読んだけど夢中で最後まで読んでしまった!!
2
487 :
名無しのオプ :2007/09/06(木) 17:19:52 ID:PzTZSbXn
488 :
名無しのオプ :2007/09/08(土) 04:49:58 ID:AuMV7/P4
ホームページ! ホームページ! アドレス!アドレス! 教えて!教えて!教えて!!!!!!!!!!!!書斎さんw
489 :
名無しのオプ :2007/09/08(土) 08:22:55 ID:hzyKPK0e
490 :
名無しのオプ :2007/09/08(土) 17:32:46 ID:f0qkLd4R
>>489 489←481
めくらがめくらを導くと、溝に落ちる
491 :
名無しのオプ :2007/09/12(水) 18:28:36 ID:4ElP10EP
// ヘ,(◎◎)y'^ 極大射程を読んだ・・ 、 _L_;二;_.j_ , \\  ̄ ト、~Y~,/| ̄ ,|yΛ=スイ|、 ' | | !;∀Y i| ` |イYト〉イY.| レYy'`vレ| Vy V' ヨコハマクズウンチクゼミ
492 :
名無しのオプ :2007/09/13(木) 00:09:00 ID:o7SILb8t
// ヘ,(◎◎)y'^ 書斎叩きにも同様の・・ 、 _L_;二;_.j_ , \\  ̄ ト、~Y~,/| ̄ ,|yΛ=スイ|、 ' | | !;∀Y i| ` |イYト〉イY.| レYy'`vレ| Vy V' ヨコハマクズウンチクゼミ
「この男危険につき」ピーター・チェイニー(論創社) 大金持ちのフーテン令嬢を追ってアメリカからイギリスに やって来たおれ、レミーはロンドンで厄介な奴に捕まっちまった。 そいつはマフィアの大物で令嬢を誘拐する片棒を担げと言ってきた。 脅されたおれは奴の計画に一枚噛むことにしたんだが……。 時折入るB級ハードボイルドがいいアクセントになってると思うね。 本格だけの叢書なんて堅苦しくっていけねえ。 全体的に文章が雑で如何にも書き飛ばした観があるのがまた B級ぽくて良いw 主人公は目的のためなら殺人含む暴力も辞さない男なのもマル。 それから後半にはどんでん返しがあって驚いた。 フランスで人気だったらしい。あの国は本格もハードボイルドも かなり需要はあるのにあまり自給出来てない珍しい国だね。
「善意の殺人」リチャード・ハル(原書房) 嫌われ者の富豪が列車内で死に、使用していたかぎ煙草入れから 青酸カリが検出された。同じ村に住む者は誰もが被害者を嫌っており、 その中から特に怪しい行動を取っていると思われた者が逮捕される。 そして裁判が始まった――。 既訳の2作を読んで「芸域の狭い作家」とややディスっていましたが、 新しくこの叢書に入れるぐらいだから今までとは違う良作なのだろうと 期待をして読みました。 内容は法廷劇と事件の捜査とのカットバックで進行するというもので、 被告の名は終盤まで明かされません。よって被告の正体、裁判の行方、 事件の真相と3つの謎がキモとなるかなと思ったのですが、 はっきり言って不発気味。被告の正体が判る場面が効果的ではないし、 裁判の真相自体も弱いです。 まあ、先行2作に比べると多少頑張ったねとは言えますけど、 評価が劇的に改まるには至らず。解説みたいに技巧派呼ばわりするのは 抵抗がありますなあ。
495 :
名無しのオプ :2007/09/14(金) 17:11:49 ID:zPGQDNi3
大した感想だ
496 :
名無しのオプ :2007/09/15(土) 11:44:16 ID:Zy7wFhX9
「猿きたりなば」エリザベス・フェラーズ 古本屋でよく見るんでなんとなく買ってみたんだが、予想外の当り。 文章も面白いし読みやすい。ストーリーの運びもキャラクターも好み。 ただ推理小説としては……
497 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/09/15(土) 11:52:32 ID:moZivBgC
H・R・ハガード「ソロモン王の洞窟」を読んだ。 ハガードを一躍人気作家足らしめた作だが、エンタメとしては神秘的な美貌の女王が 強烈な存在感を示す「洞窟の女王」と比較して色気不足(魔女ガグールは不気味、かつ、 ユーモラスであり強烈な印象を残すが、このキャラはアランも記しているとおり問題外、黒人美女ファゥラタも登場するが出番は少なく印象は薄い。 そもそも第1章で語り手であるアランが若い女の子は登場しない物語だと語っている) のうえ、ボリューム感も劣り、読み応えは今ひとつである。 しかし、小男だが射撃の名手、金銭面で抜かりなく、はったりも効き、 意外にヘタレな面もある語り手の冒険家アラン・クォーターメンは人間臭い魅力に富み、こういうキャラを中心に持って来るあたりが、ファンタジックでありながらも 「大人の読物」という感がある。 キャラだけ見た場合には、後の現代冒険小説の主人公(マクリーン、バグリイ等)は 清廉過ぎるヒーローと化し、面白みを失ってしまうのである。 「洞窟…」でも秘境冒険小説と言えるのは、実質3分の1程度であったが、 本作も同様な展開であり、象狩り、酷熱の砂漠横断や峻険な山岳(シヴァの乳房)登頂を 経てククアナ国到着後の中盤以降は、主人公たちが王位を巡る内紛に巻き込まれてゆく 時代劇風戦争冒険小説へと変貌してゆくが、今読んでも凄惨な迫力に富む戦闘シーンは、「洞窟…」にはないものではある。 本作は、ジュブナイルも存在したが、大久保訳で見る限り、差別的表現(土人、きちがい等々の用語、原住民の未開さを強調する描写等)、残酷描写(象狩り、魔女の人狩りの儀式、 そして激しい戦闘シーン等)等が連発、これを抜いて成立し得ないような物語なのだが、 果してどう構成したのか興を惹かれるものがある。
498 :
名無しのオプ :2007/09/15(土) 19:52:47 ID:Q+sFId5y
「暗い鏡の中に」ヘレン・マクロイ 幻の一冊として名高いミステリ… うーん…しかし、残念ながら定価以上の価値はないかと… 解決編を読んでも「本当にそんなこと可能なのか?」と疑問ばかりが先に立つ。 古本相場だと5000円前後らしいけど、 その値段で買ってたら憤死するデキ
499 :
名無しのオプ :2007/09/16(日) 00:03:19 ID:f2SQuDd3
ヘレン・マクロイ て人気ある(あった?)のか・・・。 「一人で歩く女」ちゅうのをタイトルに騙されて買った。 途中で飽きた。読み終えるまで船から下りられないのか?
「反射」ディック・フランシス(早川書房) しがない騎手フィリップはある時絶縁状態の祖母に呼び出され 行方不明となっている異父妹の捜索を頼まれる。そんな折り 知り合いのカメラマンが死に、彼の家に強盗が入る事件が発生。 偶々遺品を譲り受けたフィリップにも何者かの魔の手が……。 4冊目だけど絶対タイトルから内容を連想できなくなるな。 主人公の設定が気に入り、読み安かった。写真に纏わる暗号も 興味深い。キャラクターも多面体で好印象。 でも(メル欄)が解らなかった。 アベレージヒッターではあるかも知れないがもてはやされ過ぎな気も。
「消された時間」ビル・S・バリンジャー(早川書房) 喉を切られ裸で歩道に倒れていた男。一命を取り止めたものの、 自分が誰なのかも判らない記憶喪失。文字通り自分探しの旅に出る。 それと並行して語られるもう一つのストーリー。歩道で喉を切られた 死体が発見され刑事達が事件を追う。同じ場所で同じ――。 二つのストーリーは どう交わるのか? こないだのハル以上にディスってる作家です。よく「叙述トリックの 名手」みたいな触れ込みで紹介されたり(折原一も言ってた)するのは ものっそい違和感があります。全作合わせても「アクロイド殺し」に 遠く及ばないでしょう。こんなもんただの(メル欄)――しかも 破綻してる――で「叙述トリック」なんて呼ぶことすら おこがましいです。 問題 上の粗筋から考えられる最もしょぼい真相を考えてください。 考えましたか? 考えましたね? はい正解! 読む価値なし!
502 :
名無しのオプ :2007/09/20(木) 02:10:03 ID:NNoAirPp
E・S・ガードナーの「緋の接吻」を読んだ。 レスター・リースもの2編、ペリイ・メイスンもの2編の短編集。 有名作家だけど、恥ずかしながら初読。期待を裏切らずかなりおもしろかった。 レスター・リースは、警察の手におえない難事件を独自に解決し、犯人が不正に儲けた金やお宝を掠め取る怪盗。 警察もそれには気づいてるが尻尾をおさえられず彼を逮捕できない。 マヌケな刑事部長がリースの先手を取ったとぬか喜びしたところで 見事に切り抜ける痛快さと小気味良いユーモアに笑ってしまう。 話のメインはそこなんだろうけど、前フリの難事件の謎解きもしっかりしてる。 ペリイ・メイスンは弁護士。法廷ものかと思いきやそうでもなかった。 1編は種明かしの場が法廷に移っただけ。もう1編は裁判すら起きない。 表題作の「緋の接吻」は、ちょっと凝ったプロットだったが、何か物足りないのは先にリースの方を読んでしまったからか… ペリイ・メイスンが作者の代表的な探偵らしいけど、笑いもありなレスター・リースにハマっちまってます。 あと、文章が軽妙で海外物とは思えないほどグングン読ませるのが良い。まだ読んだこと無い人オススメ。
503 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/09/22(土) 14:41:38 ID:Ic8sUadm
ダシール・ハメット「コンチネンタル・オプの事件簿」を読んだ。 本書の訳者でもある小鷹信光氏編による本邦オリジナル作品集。 おれは(オプ風に(w )ハメットの短編も読んではいたが、 創元の稲葉明雄訳によるものであり、長編も創元で親しんでいたため、 小鷹訳のハメットを読むのは本書が初、90年代の新訳だが小気味良い訳文は健在だ。 オプ初登場作品「放火罪および…」、異色短篇として銘打たれている 「ジェフリー・メインの死」、オプ最後の事件となる「死の会社」の3編は出来の差は あれど、一応、謎解きミステリしているのだが、 連作「ターク通りの家」と「銀色の目の女」、中篇連作「血の報酬」(第1部「でぶの大女」 第2部「小柄な老人」)は、大乱歩が引いてしまったのがわかる原初ハードボイルドの典型、 (連作と「血の・・」の第1部と第2部の終盤の繋ぎの展開が同様なパターン、 メーンの敵役キャラの逃亡になっているのは、初出が雑誌掲載ということもあって、 読者の興を惹くためと思われだ) 内容的には、ハードボイルド・ミステリというよりは完全に探偵が出て来るノワールと 化している感がある。 これらの作を読むと、ハメットの後継はレイモンドでもロスマクでもなく、 ゴアズやスタークでもなく、エルロイなのではないかという説に同感せざるを得ないもの がある。(この点は、長編の場合も「マルタの鷹」「ガラスの鍵」を読んだ後に「血の収穫」を読んだ場合の同様な感ありか) いずれにしろ、萌えアニメ画のような新書を耽溺しているアホなミスオタの覚醒剤代わりに突き付けて読ませたい書とは言い得る。
504 :
名無しのオプ :2007/09/22(土) 17:01:31 ID:AugPDczH
そうですね、こなたたんが脳内彼女のミス住さんには強烈かもしれませんね、 ハメットスレの69の台詞の原典は、何だかわかります?w
505 :
名無しのオプ :2007/09/22(土) 20:05:20 ID:AugPDczH
まあ70に、答えが書いてあるので、 どんな馬鹿でも、わかりますがねw
506 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/09/23(日) 10:59:09 ID:6GgopRoo
小鷹氏の「私のハードボイルド」を読んだ余韻抜け切らず、 書斎からジェイムズ・クラムリー「酔いどれの誇り」文庫版を抜き出し、久々の再読。 正直言うて、この作品の良さは刊行当時は今ひとつわからず読了した記憶がある。 主人公の探偵ミロドラゴヴィッチを 当時のHMC顧問ミスターX氏が「汚れた街を行く孤高の騎士ならぬ、 汚れた街を行く汚れた男の中の男」と妙な賛辞をしたのが懐かしく思い出される。 ストーリーは、舞台が米西部の中規模な街ということもあって、派手な展開は無く、 ミロを筆頭とした酔いどれキャラ(?)を中心に、ひとりの青年の失踪事件を発端にして地味に人間ドラマが繰り広げられてゆき、ロスマク的な人間悲劇の結末を迎える。 (実際、「さむけ」を意識したような終章の対決(?)シーンである) 70年代ハードボイルド・ミステリの代表作のひとつである点は間違いなく、 それなりの読み応えはあり、ミロをはじめ魅力的なキャラが複数登場するものの、 今読むと、ミステリとして謎解きの伏線が無く、御都合主義の展開に走り過ぎているの が気にかかる。 「当時」だからこそ「高評価」された作であり、「古典」というには弱い作というのが 現在時点における妥当な評価かと思う。
507 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 12:01:36 ID:wW64cLBg
>>506 チャンドラーの短編のオススメは「待ってる」だっけ?
508 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 14:05:35 ID:zuvnb0Qy
>>506 ハメットスレの69の台詞の原典は、何だかわかります?w
まあ70に、答えが書いてあるので、
どんな馬鹿でも、わかりますがねw
509 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 14:07:20 ID:zuvnb0Qy
ミスターX氏 だって! ゲラゲラ
510 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 15:09:29 ID:v6FHL5Jo
ミスターX … ハート泥棒か?
511 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 15:39:52 ID:UzZBvEDV
>>503 作家名の表記はラストネームに統一しろよ。
それすら出来ないという時点で、まともに論考として取り上げられるわけがないんだがw
まともな媒体に発表したことがないのがバレバレだなw
512 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 17:03:24 ID:LNis0pIJ
まあ、らき☆すたの泉こなたが、俺の脳内妻だ〜っ!と叫んでる書斎さんですから、 まともな文章を書くのは無理だと思われます。 (親方のポエムを読みたい人は、吉村 昭 で、2ちゃん検索して下さい 驚異の世界が、待っていますw)
513 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 17:07:16 ID:LNis0pIJ
あと、読後感 ◆VkkhTVc0Ug うざい、書斎と同レベル、ネタバレやめろ、 誰も読んでない、ひっこめ!
514 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/09/23(日) 17:16:06 ID:7DzvL4XB
ジョゼフ・ウォンボー「ブルー・ナイト」を読んだ。 タイトルは「青い夜」ではなく、当時のLA市警の制服のカラーから想起した 「青い騎士」の意。警察小説ならぬ警官小説のマエストロであるウォンボーが 「センチュリアン」に次いで著した作だが、前作と同様に現在では入手難となっている のが惜しまれる。 本作の主人公は、勤続20年、早期退職を間近に控えたベテラン警官(巡査) バンパー・モーガン、このバンパーの退職予定日前(正確には退職前の休暇に入る前) 3日間の行状を描いたものである。 彼氏は、喩えではなく、まさに「汚れた街をゆく孤高の男(騎士?)」なのだが、 管内では滅多に自腹を切って飯を食ったことがないという現物支給(?) が身についたひとりの警官でもある。 (大食漢であるバンパーの食事風景(日本料理、アラビア料理、メキシコ料理等様々)には詳細な描写がなされており、文字どおり食指が動くものがあり、 本筋には関係無いものの読み所のひとつと言える)
515 :
書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/09/23(日) 17:27:14 ID:7DzvL4XB
「センチュリアン」の新人警官たちなら眉をひそめるかもしれぬが、 バンパーはたかり体質が身についた悪徳警官ではない。 むしろ、多くの街の住民からは頼りにされ、親しまれてさえいるし、 身銭を切って情報屋を操り、犯罪摘発にいそしむような仕事熱心な警官という面が あるのだ。 さすがに警官出身の著者だけあって、このあたりのキャラが綺麗事に走らずリアルに 活写されている。 ただし、パトロール警官バンパーの日常(単独行)を描く内容のため、 複数主人公の前作「センチュリアン」のような視点の広がりは欠き、 ロス暴動のような大きなクライマックスとなる見せ場は存在しない点は物足りない ところか。 また、原書の責めに帰すべきものではないが、わりと古い翻訳作品ゆえ、訳文や注に疑問を残す面が目につくのは難。 例えば、オーバー・イージー・エッグを「卵の半熟フライ」と訳すのはいかがなものか?
516 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 21:16:01 ID:LNis0pIJ
はいはい、よかったね
517 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 21:21:42 ID:yFAquFhz
>>512 吉村昭で検索して読みました。
こちらがずっと面白いですね。
何よりも生き生きと書いてます。
ジジイの加齢臭プンプンする馬公など問題外です。
518 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 22:07:32 ID:LNis0pIJ
>>517 親方ウオッチャーの輪をひろめましょうw
519 :
名無しのオプ :2007/09/23(日) 22:23:14 ID:hcT/oHoX
わざわざそんなことをしなくても、目につくでしょw
520 :
名無しのオプ :2007/09/24(月) 01:36:19 ID:ChtJnsxH
それもそうだね、でも、吉村 昭スレ(ふたつあるので注意)の 親方のブログ(?)&ポエムは、必見ですよw 大爆笑
521 :
名無しのオプ :2007/09/24(月) 02:23:21 ID:ChtJnsxH
こんな事書いてますw 97 :ミステリ板住人:2007/08/31(金) 23:04:39 明日は女と食事する予定だ。 その後はお決まりの"まぐわい"であろう。 俺様にはこなたタンという婚約者がいるが 男の心情と股間は別物である。 しかし、こなたタンを裏切りたくない。 そこで一計を案じた。 俺様直筆でこなたタンお面を作って、女に被せてエッチ。 俺様が抱いてる女はこなたタン!決して君を裏切った訳ではない。 この計画を食事の最中に切り出そうかと思う。 明日は頑張るぞ。 愚民諸君、心しておけ!
522 :
名無しのオプ :2007/09/24(月) 02:39:12 ID:SveJfEPk
もういい加減気違いの話は他所でやってくれないか
523 :
名無しのオプ :2007/09/24(月) 03:08:26 ID:ChtJnsxH
粘着してるオッサンに言ってくれ
524 :
名無しのオプ :2007/09/24(月) 11:16:45 ID:vRmJTlkw
>>523 アンタも馬同様スレ違いなんだよ
空気嫁
525 :
名無しのオプ :2007/09/25(火) 17:23:14 ID:5ZgFo96I
異次元宇宙生物・書斎魔神でおま
526 :
名無しのオプ :2007/09/27(木) 13:15:51 ID:Jq8IOH9P
147 :書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/09/26(水) 22:05:44 ID:loWIESfZ
評価という問題で思い出すのは、清張先生のキャノン機関に関する記述。
これは過大評価とする声が多い。
清張説に従えば「ミッション・インパサブル」まがいの凄い謀略機関なのだがw
148 :名無しのオプ:2007/09/26(水) 22:12:00 ID:a9L6xwK7
>>147 あーあ、またお得意のw
149 :名無しのオプ:2007/09/26(水) 22:30:59 ID:lZ76rrUG
ミッション:インポッシブル Mission:Impossible (スパイ大作戦)ですよ
書斎のだんな
527 :
名無しのオプ :2007/09/27(木) 18:45:29 ID:LpXWg250
「ナインスゲート」読了。 映画を先に見てしまい、大した期待もせずに読んだが、なかなか歯応えがあった。 でも、三銃士とデュマに関する知識は前提条件として必要かな。 それがないと、「ミレディー」「ロシュフォール」などの概念が理解しにくいだろうし。 蘊蓄だらけで展開が遅いこともあり、万人にはおすすめできない。 まだ未読だけど、「ダンテ・クラブ」もこんな感じなのかな?
528 :
名無しのオプ :2007/09/28(金) 15:06:48 ID:ugJs7288
uraaaaaa! ,,,,,,,,,,,, [|,,,★,,|,] ミ゚Д゚,,彡 ┯==∩=⊂ン~ )ニヌ  ̄ ̄ ̄ i==|=[]j /_/ヽ___i し' \) シベリア自警団
529 :
書斎魔神 :2007/09/29(土) 19:07:31 ID:Tr2C5Wpj
ヘンリー・ライダー・ハガード「二人の女王」を読んだ。 「漏れだけのアラン・クォーターメン、キター!」とアホな冒険小説オタの如く叫び たくなるような一編ではある。(原題はそのものズバリ「アラン・クォーターメン」だ) さほど期待しないで読んだら意外な面白さであった。 創元推理文庫では、「洞窟の女王」の続編が「女王の復活」、そして「ソロモン王の洞窟」 の続編がこの「二人の女王」である。 (余談ながら、二人の女王の白い方=ニレプタのおっぱいポロリの表紙にそそられて、 思わず本書を手に取ったアホな冒険小説オタもいるのでないか(w ) おなじみベテラン探検家(狩猟家か)のアラン、親友のヘンリー卿、グッド元海軍大佐の 3人が英国での安穏とした暮らしに厭き(アランの場合は最愛の子息を失ったということもある)、当時の暗黒大陸アフリカの奥地に存すると言われる幻の白人国を目指して 冒険の旅に出る。 「ソロモン王…」の場合と異なり、行方不明の肉親探しや宝探しという現実的動機が 絡まず、『冒険のための冒険』という、冒険小説の原典のような創りとなっているものの、 著者の文明社会に対する辛辣な見解が随所に見て取ることが出来る作でもある。 (この点は序の部分から顕著)
530 :
書斎魔神 :2007/09/29(土) 19:10:35 ID:Tr2C5Wpj
19世紀の作家にしては、キャラ立ちさせるのが巧いハガードだが、 女っ気が殆ど無かった前作「ソロモン…」と比較して、美貌の2人の女王(姉妹)が 対照的なキャラとして存在感を示しているが、メーンキャラの3人と2人の女王にも 増して強烈な印象を残すのが、ズル族の老戦士ウンスロポガースだ。 戦争大好き、戦闘用斧を自在に操る殺人マシーン、 どこか憎めないところもあるとはいえ、敵役とするのが妥当なキャラだが、 あえてアランたちのサイドに置いて超人的活躍(文字どおり)をさせたのは、 物語の興趣を増す意味では成功している。 (途中から一行に加わるおとぼけのフランス人シェフ、アルフォンスも 作者のフランス人観を見るようでいて面白い。捨てキャラかと思いきや、彼氏が意外に 物語のキーマンとなる展開も面白い) 洞窟やソロモンと同様に、実質的に秘境冒険小説と言い得るのは中盤までであり、 後半は美貌の二人の女王にヘンリー卿が絡んだ色恋沙汰に端を発する戦争小説的展開へと発展してゆく。 戦闘シーンのグロ過ぎるほどの詳細な描写は、戦国時代を舞台にした時代小説好きにも 受けそうな感じである。
531 :
書斎魔神 :2007/09/29(土) 23:37:18 ID:yuVYUs0h
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532 :
書斎魔神 :2007/09/29(土) 23:42:44 ID:yuVYUs0h
゙'. ,ト `i、 `i、 .、″ | .,.:/"" ゙‐,. ` / ` .,-''ヽ"` ヽ,,,、 ! 、,、‐'゙l‐、 .丿 : ':、 、/ヽヽ‐ヽ、;,,,,,,,,,-.ッ:''` .,"-、 ,r"ツぃ丶 `````` ../ `i、 ,.イ:、ヽ/ー`-、-ヽヽヽ、−´ .l゙`-、 _,,l゙-:ヽ,;、、 、、丶 ゙i、,,、 ,<_ l_ヽ冫`'`-、;,,,、、、、.............,,,,、.-`": │ `i、 、、::|、、、ヽ,、、. ```: : : ``` 、.、'` .|丶、 .l","ヽ、,"、,"'、ぃ、、,、、、、.、、、.、、、_、.,,.ヽ´ l゙ ゙).._ ,、':゙l:、、`:ヽ、`:、 : `"```¬――'''"`゙^` : ..、丶 .l゙ `ヽ ,i´.、ヽ".、".、"'ヽヽ;,:、........、 、、...,,,、−‘` 、‐ |゙゙:‐, ,.-l,i´.、".`ヽ,,,.".` `゙゙'"`'-ー"``"``r-ー`'": _.‐′ 丿 ,! j".、'ヽ,".、".、"`''`ー、._、、、 、._,、..-‐:'''′ .、,:" 丿 ゙l,"`"`''ヽヽ"`"` ```゙'''"ヽ∠、、、、ぃ-`''''": ` 、._./` ._/` `'i`ヽヽヽ`''ーi、、、: : 、.,-‐'` 、/` ``ヽン'`"` : `~``―ヽ::,,,,,,,,,,.....................,,,,.ー'``^ ,、‐'"` `"'゙―-、,,,,..、、 : ..,、ー'"'` : `‘"`―---------‐ヽ``"''''''""
533 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/09/30(日) 17:39:04 ID:CeeH83xj
ジョゼフ・ウォンボー「クワイヤボーイズ」を読んだ。 ウォンボーの第3作、現職警察官を辞し作家専業となって初作品でもあった。 前2作(「センチュリアン」「ブルーナイト」)とは、がらっとタッチが変わった オフビートとでも称すべき異色作となっている。 ロス市警のとち狂った警官たちが織り成す集団ドラマ、しかも捜査よりも 聖歌隊(これがタイトルの「クワイヤボーイズ」)練習と称した公演での御乱行等に 相当の筆が割かれている。 彼に比較すれば、87分署の刑事連は超優等生、「センチュリアン」のロイら3人の 新人警官は模範生、「ブルーナイト」のバンパーは超真面目人間に見えてしまう ハチャメチャぶり、しかし、戦争や少年課勤務による重いトラウマを抱えた警官 (いずれも白人、彼らが終盤の物語キーマンになって来るし、冒頭には重要な 伏線となる部分もある)もおり、(反面、一般には差別される者に区分される黒人や日系の警官は非常に図太くたくましい感じで描かれているのが面白い) 全編にスラング満載のダーティジョークが散りばめられ、警官たちの公私渡るドタバタが描かれるものの、笑いの要素は少なく、読後も暗い印象が残ってしまう。 ウォンボーはやはり前2作のようなシリアス路線が性に合うのであろう。 本国での売れ行きは悪くなく、映画化もされたにもかかわらず、以後、本作のような タッチの作は書かれなくなってしまう。 (そして本邦では、早川書房がウォンボーは日本では売れないと判断するきっかけに なった作のように思う。日本でも劇場公開された映画の原作でありながら、 本作は文庫化もされなかったのだ) クワイヤボーイズの一味は残存者がいるので、カタルシスを感じさせるような続編を 期待したくもあったのだが、この点は残念であった。
534 :
名無しのオプ :2007/09/30(日) 21:16:48 ID:95bD/551
゙'. ,ト `i、 `i、 .、″ | .,.:/"" ゙‐,. ` / ` .,-''ヽ"` ヽ,,,、 ! 、,、‐'゙l‐、 .丿 : ':、 、/ヽヽ‐ヽ、;,,,,,,,,,-.ッ:''` .,"-、 ,r"ツぃ丶 `````` ../ `i、 ,.イ:、ヽ/ー`-、-ヽヽヽ、−´ .l゙`-、 _,,l゙-:ヽ,;、、 、、丶 ゙i、,,、 ,<_ l_ヽ冫`'`-、;,,,、、、、.............,,,,、.-`": │ `i、 、、::|、、、ヽ,、、. ```: : : ``` 、.、'` .|丶、 .l","ヽ、,"、,"'、ぃ、、,、、、、.、、、.、、、_、.,,.ヽ´ l゙ ゙).._ ,、':゙l:、、`:ヽ、`:、 : `"```¬――'''"`゙^` : ..、丶 .l゙ `ヽ ,i´.、ヽ".、".、"'ヽヽ;,:、........、 、、...,,,、−‘` 、‐ |゙゙:‐, ,.-l,i´.、".`ヽ,,,.".` `゙゙'"`'-ー"``"``r-ー`'": _.‐′ 丿 ,! j".、'ヽ,".、".、"`''`ー、._、、、 、._,、..-‐:'''′ .、,:" 丿 ゙l,"`"`''ヽヽ"`"` ```゙'''"ヽ∠、、、、ぃ-`''''": ` 、._./` ._/` `'i`ヽヽヽ`''ーi、、、: : 、.,-‐'` 、/` ``ヽン'`"` : `~``―ヽ::,,,,,,,,,,.....................,,,,.ー'``^ ,、‐'"` `"'゙―-、,,,,..、、 : ..,、ー'"'` : `‘"`―---------‐ヽ``"''''''""
535 :
名無しのオプ :2007/10/01(月) 19:09:28 ID:5ik4/y8V
゙'. ,ト `i、 `i、 .、″ | .,.:/"" ゙‐,. ` / ` .,-''ヽ"` ヽ,,,、 ! 、,、‐'゙l‐、 .丿 : ':、 、/ヽヽ‐ヽ、;,,,,,,,,,-.ッ:''` .,"-、 ,r"ツぃ丶 `````` ../ `i、 ,.イ:、ヽ/ー`-、-ヽヽヽ、−´ .l゙`-、 _,,l゙-:ヽ,;、、 、、丶 ゙i、,,、 ,<_ l_ヽ冫`'`-、;,,,、、、、.............,,,,、.-`": │ `i、 、、::|、、、ヽ,、、. ```: : : ``` 、.、'` .|丶、 .l","ヽ、,"、,"'、ぃ、、,、、、、.、、、.、、、_、.,,.ヽ´ l゙ ゙).._ ,、':゙l:、、`:ヽ、`:、 : `"```¬――'''"`゙^` : ..、丶 .l゙ `ヽ ,i´.、ヽ".、".、"'ヽヽ;,:、........、 、、...,,,、−‘` 、‐ |゙゙:‐, ,.-l,i´.、".`ヽ,,,.".` `゙゙'"`'-ー"``"``r-ー`'": _.‐′ 丿 ,! j".、'ヽ,".、".、"`''`ー、._、、、 、._,、..-‐:'''′ .、,:" 丿 ゙l,"`"`''ヽヽ"`"` ```゙'''"ヽ∠、、、、ぃ-`''''": ` 、._./` ._/` `'i`ヽヽヽ`''ーi、、、: : 、.,-‐'` 、/` ``ヽン'`"` : `~``―ヽ::,,,,,,,,,,.....................,,,,.ー'``^ ,、‐'"` `"'゙―-、,,,,..、、 : ..,、ー'"'` : `‘"`―---------‐ヽ``"''''''""
536 :
書斎摩神 ◆eZBM9E4bOU :2007/10/01(月) 19:17:02 ID:jANNWvhY
A・H・Z・カー「誰でもない男の裁判」を読む。 このミス6位、文春5位にランクインした作品集だが、 全体を通しての感想は「甘ったれるな!」、この一言に尽きるかと思う。 作者は同じカーでも、カレッジ中退の米国版司法崩れ、売文業以外にはまともな職歴が無い J・Dとは大違いのシカゴ大学学士号、コロンビア大学修士号を有し、 大統領経済学顧問まで務めた経済界では大成功したビジネスマンである。 しかし、この程度のものを書いているようではミステリという分野では駄目ぽ。 昨年の「歌うダイアモンド」「ヨットクラブ」にしても、一昨年の「壜の中の手記」 にしても、宝島社も文春も晶文社の海外作家の短編集に評価が甘過ぎる。 これでは、業界内のごっつあん相撲とか思われてしまうぞ。
537 :
名無しのオプ :2007/10/02(火) 17:36:02 ID:/9/oqSAv
゙'. ,ト `i、 `i、 .、″ | .,.:/"" ゙‐,. ` / ` .,-''ヽ"` ヽ,,,、 ! 、,、‐'゙l‐、 .丿 : ':、 、/ヽヽ‐ヽ、;,,,,,,,,,-.ッ:''` .,"-、 ,r"ツぃ丶 `````` ../ `i、 ,.イ:、ヽ/ー`-、-ヽヽヽ、−´ .l゙`-、 _,,l゙-:ヽ,;、、 、、丶 ゙i、,,、 ,<_ l_ヽ冫`'`-、;,,,、、、、.............,,,,、.-`": │ `i、 、、::|、、、ヽ,、、. ```: : : ``` 、.、'` .|丶、 .l","ヽ、,"、,"'、ぃ、、,、、、、.、、、.、、、_、.,,.ヽ´ l゙ ゙).._ ,、':゙l:、、`:ヽ、`:、 : `"```¬――'''"`゙^` : ..、丶 .l゙ `ヽ ,i´.、ヽ".、".、"'ヽヽ;,:、........、 、、...,,,、−‘` 、‐ |゙゙:‐, ,.-l,i´.、".`ヽ,,,.".` `゙゙'"`'-ー"``"``r-ー`'": _.‐′ 丿 ,! j".、'ヽ,".、".、"`''`ー、._、、、 、._,、..-‐:'''′ .、,:" 丿 ゙l,"`"`''ヽヽ"`"` ```゙'''"ヽ∠、、、、ぃ-`''''": ` 、._./` ._/` `'i`ヽヽヽ`''ーi、、、: : 、.,-‐'` 、/` ``ヽン'`"` : `~``―ヽ::,,,,,,,,,,.....................,,,,.ー'``^ ,、‐'"` `"'゙―-、,,,,..、、 : ..,、ー'"'` : `‘"`―---------‐ヽ``"''''''""
538 :
名無しのオプ :2007/10/02(火) 17:39:20 ID:/9/oqSAv
書「オーバー・イージー・エッグを「卵の半熟フライ」と訳すのはいかがなものか? 」 Q「じゃあ君ならどう訳す?」 書「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
539 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/10/06(土) 20:21:24 ID:h6RGAOu4
ジョゼフ・ウォンボー「デルタ・スター刑事」を読んだ。 ウォンボーの標準作といった程度の作。 前半はこの作者の作品ではおなじみのキャラ立ちした警官たちが行状が おもしろおかしく綴られるウォンボー節全開だが、 後半は、登場人物のひとりである殺人課刑事マリオをメーンとした娼婦転落死事件を 発端とする謎解きミステリとなってゆくが、 カルテックへの潜入捜査等、創りものめいた展開が目につき、謎解きそのものも 平板で面白いものではない(元々、パズラーというタイプの作家ではないから仕方ない面 もあるが) 警官物語に徹した従来の作から、 一捻り、新機軸を狙って「謎解きミステリしてみました」感がある作だが、 やはり柄にも無いことはするべきではなく、この試みは失敗に終わっている。 また、この部分に筆を割いたため、 小柄ながら元気印の婦警ドリーと相棒ののっぽのディルフォード、 死体大好きなへんてこ殺人課刑事チップとメロディ等のいつのまにかフェードアウト、 あるいは完全に脇に回ってしまい印象薄となっているのが非常に残念だ。 「クワイヤボーイズ」や「ハリウッド警察25時」の如く、集団ドラマに徹していれば 登場キャラを納まるべき位置に納めることも可能だったのではないかと思う。 (むしろ、ウォンボーがこの手の処理が巧い作家である)
540 :
名無しのオプ :2007/10/06(土) 21:43:51 ID:1AhfUgdE
↑ アドレスフリチン
541 :
名無しのオプ :2007/10/07(日) 15:49:17 ID:eY6me883
\ / \ / \ ./ \ ./ \ / \ ./ \ / 上、 \, ,/ ,エ `,ヾ ,;;iiiiiiiiiii;、 _ノソ´ iキ ,;;´ ;lllllllllllllii、 iF iキ' ,;´ ,;;llllllllllllllllllllii、 ナf !キ、._ ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fサ `ヾ=;三ミミミミヾ仄彡彡ミミヾ=`´ ,._Ξミミミミミヾ巛彡////iii_ ;if≡|ヾヾヾミミミミヾヾ、//巛iiリ≡キi if! |l lヾヾシヾミミミ川|ii//三iリ `キi ,if ,f=|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリ=t、キi ;iナ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ キi キi iナ ;サ |l l リリリリ川川川川l爪ミミilリ キi キi iサ ;サ, |リ リリ川川川川川l爪ミミiリ ,キi キi iサ ;サ, | リ彡彡川川川川|爪ミミiリ ,キi :キ、 ,i厂 iサ, |彡彡彡彡ノ|川川|爪ミミリ ,キi `ヘ、 ,√ ;サ, |彡彡彡彡ノ川川|ゞミミミリ ,キi `ヾ ´ ;サ, |彡彡彡彡川川リゞミミリ ,キi ;サ, |彡彡彡彡リリリミミミシ ,キi ,;#, |彡彡ノリリリリミミミシ ,キi ;メ'´ !彡ノリリリリリゞミミシ `ヘ、 ;メ ヾリリリリノ巛ゞシ `ヘ、 ;メ ``十≡=十´ `ヘ、
542 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/10/07(日) 21:05:06 ID:dvFWqYD7
ダシール・ハメット「影なき男」を読んだ。 小鷹信光氏による新訳にて再読。 翻訳書においては作者と訳者の相性(文体等の嗜好性)が重要なことはあらためて 言うまでもないが、やはりハメットの訳はこの人に限るという感を強くした。 内容的には、いささか強引な面はあれど、意外に謎解きに重点が置かれているのが、 ハードボイルド・ミステリとはいえ「古典」らしいとは言える。 そして、このハメット作品中ではスマートな作風にもかかわらず、 横溝正史風のドロドロねた(「悪魔が来りて笛を吹く」を想起)まであるのは、 怪奇探偵ハードボイルド・ミステリとでも称すべき「デイン家の呪」の作者らしい と言えよう。 本作の探偵役ニック・チャールズに関しては、訳者みずから担当したあとがき(ネタばれ気味なのが気にかかるが)で、サム・スペードの成れの果て、引退したオプと評されて いるが、「プレイバック」後のマーロウ、そして朝から酒を手離さないアル中気味のニックには70年代の病的な後継たちの先駆けを見ることも可能であろう。 さらには、ニックの妻であり相棒でもある若妻ノラの精神面のタフさは、 後の女性私立探偵ものの走りとも読み得る。 なにはともあれ、あとがきの最後にもあるとおり、ハメット作品にしては洒脱な作には ややアンマッチな喩えかもしれぬが、スルメのように噛み続けると味が出て来る作という 評は極めて的を射たものと言い得る。 最後に、類型的・保守的な登場人物が多かった当時の本格ミステリを揶揄するかの如き、女性キャラたちのダーティな喋りも読ませどころであるが、 「サノバビッチ」は「下種野郎」の訳でOKとしても、「ボールズ」は「悪態」の意で コンテクスト的にはOKだとしても、「キンタマ野郎」のニュアンスを活かして 欲しかった気もしている。
543 :
支持者 :2007/10/07(日) 21:10:28 ID:BXKh4kZi
誰か書斎さんにレスをしてくれ! \ / \ / \ ./ \ ./ \ / \ ./ \ / 上、 \, ,/ ,エ `,ヾ ,;;iiiiiiiiiii;、 _ノソ´ iキ ,;;´ ;lllllllllllllii、 iF iキ' ,;´ ,;;llllllllllllllllllllii、 ナf !キ、._ ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fサ `ヾ=;三ミミミミヾ仄彡彡ミミヾ=`´ ,._Ξミミミミミヾ巛彡////iii_ ;if≡|ヾヾヾミミミミヾヾ、//巛iiリ≡キi if! |l lヾヾシヾミミミ川|ii//三iリ `キi ,if ,f=|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリ=t、キi ;iナ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ キi キi iナ ;サ |l l リリリリ川川川川l爪ミミilリ キi キi iサ ;サ, |リ リリ川川川川川l爪ミミiリ ,キi キi iサ ;サ, | リ彡彡川川川川|爪ミミiリ ,キi :キ、 ,i厂 iサ, |彡彡彡彡ノ|川川|爪ミミリ ,キi `ヘ、 ,√ ;サ, |彡彡彡彡ノ川川|ゞミミミリ ,キi `ヾ ´ ;サ, |彡彡彡彡川川リゞミミリ ,キi ;サ, |彡彡彡彡リリリミミミシ ,キi ,;#, |彡彡ノリリリリミミミシ ,キi ;メ'´ !彡ノリリリリリゞミミシ `ヘ、 ;メ ヾリリリリノ巛ゞシ `ヘ、 ;メ ``十≡=十´ `ヘ、
544 :
名無しのオプ :2007/10/09(火) 20:11:58 ID:1yYrh97/
なんなんだよこのスレは!! 書斎もその安置も支持者も出てけ!! 見てるだけで気分が悪くなる!! マイクル・イネス「ある詩人への挽歌」を読んだけど、 感想書きこむのやめた
545 :
名無しのオプ :2007/10/10(水) 00:01:37 ID:1yYrh97/
「公園はおれのもの」 感想書きこもうと思ったが荒れてるのでやめる
ミネット・ウォルターズ『蛇の形』(創元推理文庫、2004)【6.5点】 ある雨の夜、近所の鼻つまみ者の黒人女性アン・バッツが路上で息絶えた。 彼女の死を看取ったミセス・ラニラは、警察の「事故死」発表に疑問を 抱き、20年後に独自の捜査を開始する。バッツの死の真相は? 主人公の捜査パートに、検視報告書やEメールが挿入される構成だが、 あまり効果があがっていないような気がする。登場人物がみな 「嫌な人間」であり、ネコ虐待の描写も読みにくさに拍車をかける。 世評は高いようなのだけれど、個人的に合わないミステリーだった。 読者の誰もが抱くであろう「ある疑問」はラストで氷解し、それが実に ぐっとくるのだが、それまでの道行きがつらかったのが正直な感想。
547 :
名無しのオプ :2007/10/12(金) 04:46:44 ID:nSke4W2L
840 名前:ミステリ板住人 :03/08/31 19:58 ID:XwSn+BQ5 仕事を辞めて無職になった直後は非常に居心地がいいのだが、 やがて無職であることに焦りを覚えはじめ、禁断症状に近い 苦しみが押し寄せてくる。毎日同じことの繰り返し、 家族の目も怖い、何にも無いことにまで気を使うようになってしまう… 全く無関係の板に延々とゴミ屑を撒き散らして 正常なコミュニケーションを妨害するこういうダニをいつになったら駆除するのかね? > 管理者 お仕事御苦労様です。御迷惑をおかけしてすいません。了解しますた。 スレを入れる気持ち良さ、これは射精と同じものがあり病みつきになってしまったです。 もしかしたら、ぼくは病気なのかもれないですがきっとそうです。 スレの人も削除人さんもぼくの話しを聞いてくれませんか ぼくはだめんぼ、だめおくん ありゃあれいてん とっちゃった そして共に語るにゃ(w 846 名前:ミステリ板住人 :03/08/31 20:15 ID:XwSn+BQ5 スーパーのバイトは慣れるまでが大変だぞ。 私も裏事情板にスレが立つ某大手スーパーで働いたことが あったが、疲労と忍耐の3年間だった。 65 名前:ミステリ板住人 :03/09/07 01:05 ID:3bJhnVU1 今後の人生についてナンニモ考えたことの無いDQNがw ここの連中に多い傾向だが、今後の人生について考え過ぎるだけ お前たちも、何かに向かって必死になってみろよ。 今のお前たちは、県内随一の馬鹿の高校を卒業したやつよりも下だぞ。 予備校に行って、10ヶ月集中して勉強すれば、有名大学には入れる。 まして、私立文科系は3科目ないしは2科目である。 俺様のフィアンセこなたタンに見せたら感動のあまり泣き出しそうだな。 「サイコーだよ〜、ありがとう、ありがとう、こんないいものを見せてくれて〜」 「わかるか、こなたタンもわかってくれるのか!」 泣きながら、抱き合う俺様とこなたタンの姿が目に浮かぶ こんな糞スレでリーダー気取ってる場合じゃないかな。 愚民諸君、心しておけ!
548 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/10/13(土) 14:30:49 ID:Q+v3vek5
「デイン家の呪」再読。 初読時にはなんとも思わなんだが、今読むと翻訳が古い感を強く抱いた。 エルの「Yの悲劇」に触発されたかのような呪われた血統ネタがメーンという 「影なき男」の評で言及したとおり、怪奇探偵ハードボイルドミステリとでも 称すべき異色作ということもあるが、 クラシックな本格ミステリ調であり、原初ハードボイルドであるハメット作品らしい 荒々しさを欠くのである。 ハメットスレでも指摘されているとおり、そろそろ新訳を期待したいところである。 ハメット長編5作中では、第3部で失速する感があり、解決そのものは強引に過ぎる点が目につくとはいえ、 最も謎解き色が濃いものであり、毎月のように粗製濫造されるお手軽過ぎる新書ミステリの類の追従を許すものではない。 各人、心して読め!
549 :
名無しのオプ :2007/10/13(土) 16:55:11 ID:nCsNHWEo
ヲマエモナ〜
550 :
ミステリ板住人 :2007/10/14(日) 00:14:39 ID:FpYrhv5r
幼女!幼女!!幼女〜!!! 白倉Pが俺様のためにキャスティングしてくれたのだろう。 これからも感謝しながら鑑賞しよう。
551 :
名無しのオプ :2007/10/15(月) 16:41:11 ID:gjK6TUhy
「バニー・レークは行方不明」イヴリンパイパー あまり自信ないんだけど、これ翻訳がへたくそな気がする。
552 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/10/20(土) 13:28:51 ID:7kZ4aNO6
ジャック・リッチー「クライム・マシン」を読んだ。 2006年度このミス海外部門1位作品だが、 これが1位になるイヤーとは、 当時の本誌主筆ミスターXの「不作なり」の一言が極めて納得がゆくものがある。 勿論、悪い作品集ではなくベスト10の下位(8位、9位あたり)にランクイン したのであれば、文句無いほどの出来ではあるのだが、やはりこれの1位は無かった のではないか。 表題作などは、J・DやE・D(解説によれば彼氏はこの作者を高く評価していたとのこと) の読者なら、それなりに面白く読めるやもしれぬが、いかんせん主人公がプロの ヒットマンにしては注意力に欠け間抜け過ぎるという感を否めない。 本作を見ると、スーパーナチュラルは書かない作家かと思いきや、 カルトムービー「ウイッカーマン」を想起させるような「縛り首の木」のような作も 収録されていたりして、バラェティに富んではいるものの、この作者の持ち味とはいえ、全体としてあまりに軽過ぎるという感がある。
553 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/10/21(日) 14:25:28 ID:WHjSIcqO
マイケル・イネス「アプルビイの事件簿」を読んだ。 論理で読ませるエル風の作あり、奇抜なトリックが売りのジョン風の作ありで 結構楽しめるシャーロック・ホームズのライヴァルシリーズのひとつとして刊行された 本邦オリジナルの短編集である。 解説でも触れられているが、一部には退屈冗長な作風という評もあるこの作者の作だが、 本作品集を見る限りでは、中・短編に関してはこの懸念は不要と言い得る。 では、大好評につき収録作品全話講評逝ってみよう! 「死者の靴」 タクシー乗場の偶然性が気にかかるが、怪奇性を排した論理的作風の一編。 まあ、そこそこに楽しめる作ではある。 「ハンカチーフの悲劇」 「オセロ」ねたを巧く活かした教養人好みの作。 小品ながらハンカチ絡みの謎解きも巧く決まっている。 「家霊の所業」 ジョンならいらぬロマンスを導入して通俗にしてまったかもしれぬ名家の廃屋敷を 舞台にした怪奇性高い作。なかなかムーディで読み応えあり。 「本物のモートン」 裏焼きねたを巧く活かした好SS。 「テープの謎」 これは推理に無理有り過ぎな作か。スパイ小説まがいの展開も不調和で頂けない。
554 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/10/21(日) 14:30:08 ID:WHjSIcqO
「ヘリテージ卿の肖像画」 後半のアクションが白ける一編。謎解きミステリとしての見るべき点がほとんど無いのが 致命的な作。 「ロンバート卿の蔵書」 アイデアが面白いSS。創りが実に巧い。 「罠」 探偵しか知り得ない手がかりがポイントというアンフェアな一編。 この作者らしいハムレットねたも十分に活かされていない。 「終わりの終わり」 論理で読ませるかと思いきや、ジョン風のトンデモトリックが炸裂する一編。 飄々としながらもシニカルな結末も良し。 これも根がヤンキーのジョンなら通俗ロマンス仕立てにしてしまったような作だが、 さすがにイネスは渋く決めてくれる。
「モンキー・パズル」ポーラ・ゴズリング(早川書房) 大学教授が殺され舌を切り取られるという殺人事件が発生。 病み上がりのストライカー警部補が捜査に当たるが、次に英文学部長が 耳を切り取られてしまい――。 アヒルが逃げる話だけ書いとけば良いと思う。どこが本格だっつうの。 推理もトリックもねーし、ふーんて感じで進んで逮捕されるだけ。 ろくに伏線が張ってないから何の感慨もないし。 それともう一つ、作者の持ち味であろうロマンスなんだけど、 こ れ は ひ ど い 。 ハーレクイン読者でも失笑すると思うわ。普通に犯罪だしね。 ただそんな本作にゴールド・ダガーを上げちゃうのが 毛唐のダメな所。誤審の次に。
「チムニーズ館の秘密」アガサ・クリスティ(早川書房) アフリカでガイドをしていた青年アンソニーは旧友の誘いに応じて 二つの仕事を引き受ける。一つはさる政治家の回顧録をロンドンの 出版社に届けること、もう一つはある女性に伝言をすることであった。 しかし、彼女の家を訪ねたアンソニーは思いもかけない事態に遭遇する。 単純に比較は出来ないかも知れないが続けて読むと差が如実。 冒頭からハートをがっちりキャッチ。ページを繰るのが楽しみで喃。 三国の探偵達に怪盗の陰もチラつく等様々な要素が絡まり合って 一本に集束する様は流石女王様だとオモタ。 しかしその濃い内容故に映像化するとダイジェストじみて来るという……。 でも、どうしたらアイリーンがバンドルになるのだらう。
「赤の女」ポーラ・ゴズリング(早川書房) 窓際に追いやられている中年領事館員チャールズの元に 殺人容疑で逮捕された英国人のフォローをする任務が回って来る。 強盗に入った男が殺されたという事件だったが容疑者は犯行を否認、 しかし被害者の息子は以前容疑者と共犯で詐欺を行なっており、 有罪宣告を受け護送中に事故死するという過去の経緯があった。 チャールズは容疑者の息子の元妻と一緒に行動を起こし始めるが……。 こうやってサスペンスを書けばそこそこ行けるんですよ。本格なんて 分不相応な物に手を出そうとするから良くなかったんですね。 謎とロマンスと活劇がわりかし良く絡まってて手堅く読める味でした。 こないだのはこれより新しいってのにあの体たらくで、 これが男なら離婚したのかと思う所だけどスケさんだし、ただの手抜きか。
558 :
名無しのオプ :2007/10/23(火) 19:11:29 ID:RYi34+JD
>556 どの本か忘れたんですが、クリスティの舞台らしきところを巡る本の中で、 バンドルには「ひっぱる」とかって意味があるそうで、 そこから勢いがよい云々って渾名になったとかって かいてあったんですが、本当なのか不明です
「弓弦城殺人事件」カーター・ディクスン(早川書房) 海沿いに佇む古城を二人の学者が訪れた夜、凶事は起こった。 城の主人が甲冑の展示室で奇怪な死体となって発見されたのだ。 隣室にいた学者の証言によると被害者が入室して以来死体が 見つかるまで誰も部屋には入っていないという。 一体彼はどのようにして殺されたのか? これ最初読んでて「うわ、バレバレじゃねーか」と思ったんですが 外れました(笑)。伏線もあからさまに張ってあったりしたのに 見抜けなかった馬鹿さに(^^)/▽☆▽\(^^) おかしな点もありますがミステリーとしてはなかなかでした。 ただ小説としては全く面白くないです。ストーリーなんて何もないし キャラクターも全然立ってません。そら一作で切られますわ。 お陰で読みにくうて。思うにこの頃カーは離婚(ry
>>558 成程。スペルは関係なかいのですね。情報どうも。
「もうひとりのぼくの殺人」クレイグ・ライス(新樹社) 目覚めたとき、ぼくは列車の中にいた。何故ここにいるのだろう? ぼくにはそれまでの記憶がなかった。ポケットには見知らぬ男の 名前が記された名刺と手紙が入っていた。傍らには新聞が置いてあった。 開いてみると殺人事件の記事があり、犯人の写真に写っている男は 僕だった。…… 短編「うぶな心がはりさける」以来。マローン物はある偏見が原因で 読む気がしないのよね〜。で・も! これはスルリと入れた。 探偵役が影薄いしね。 誰も自分を知らないという話や自分とそっくりの男に入れ替わられる話は 今までに読んだことあるけど、自分が別人になってしまうというのは…… あ、最近の国内物であったな、ひとつ。でも古典では寡聞にして 覚えがないや。閑話休題。 こういうの好き。突端の奇想は抜群。ただ、大き過ぎるはったりは どうしても話を解りやすくしてしまうため、どんでん返しの楽しみは薄い。 前作もいつか読むかいのう。 そういや金田一少年で似たカラクリの物があったやに思うが 当時未訳だったし流石にこれはパクっちゃいまい。
「聖女の遺骨求む」エリス・ピーターズ(社会思想社) 時は12世紀。イングランドはシュリーズベリ修道院の副修道院長 ロバートは修道院に権威を持たせるため、奉るべき聖人の遺骨を 探していた。そんな中、若き修道士コロンバヌスが夢で聖人の啓示を 得たと宣言。驚喜したロバートは早速一団を従え遺骨を掘り出しに 向かうが――。 初カドフェル。ファルコの方が良かった。比較したらめ? 何かね、プロットはミステリーなんだけどロジックがよちよち 歩きじゃ話になりませんよ(byアーノルド)。だから解明が強引で ガッカリする。ロマンスもやる気なしのやっつけ仕事。 後、セリフとセリフの間に発言者を示す文章が入るという文体に 違和感があ〜る〜♪
「殺人者と恐喝者」カーター・ディクスン(原書房) 催眠術実験の最中、被験者の女性が夫を殺害してしまう事件が発生した。 偽物のナイフがいつの間にか本物と摺り替っていたのだ。 しかも被害者には殺人を犯したらしい気配があり恐喝を受けていた という……。 やられたなあ。てっきりアイツだと思ってたのに……。 伏線も通ってるし見事な赤い鰊だ。 これは読んでもいいカア。ただ、トリックはかなり無理無理。
564 :
名無しのオプ :2007/10/24(水) 18:08:09 ID:CSPodH2H
>>562 カドフェルにロジック求めてもなあ
「遺骨」は第1作なので例のライバルはまだ登場してないし
ロマンス求めるのなら「死体が多すぎる」以後だし
ファルコは最初から本格を標榜してないから比べても意味ないし
565 :
名無しのオプ :2007/10/25(木) 00:09:24 ID:MAdeN1PC
カドフェルよりファルコを先に読んだ人がいるのに 驚いた。自分はカドフェルの新刊をわくわくして待ち望んで いた老人だが。
566 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/10/27(土) 11:41:55 ID:afQ8lDN7
クレイトン・ロースン「虚空から現れた死」を読んだ。 不可能犯罪ものの中編2作を収録。 探偵はクレイトン作品でおなじみのマーリニではなく、同じくマジシャンではあるが、 伊達男ドン・ディアボロである。 ディアボロの弟子の中国人青年、マジック助手の双子の美人姉妹をはじめとして 個性的なメンツが多く登場し、マーリニもの以上に軽快で華やかなアメリカン・ミステリの世界が展開され、 (こういった作風という点では、クレイトンは親友だった英国かぶれなジョンよりも エル(初期)に近いものがあるのだ) ディアボロの助手の名がチャン。チャンダラ・マンチュー、 俳優向けホテル<ドルリー・レーン>、ホームズ&ワトスン社の金庫等々、 ミステリファンの微笑を誘うようなお遊びも散りばめられている。 だが、内容面ではマジックはタネを明かしされると興醒めというケースが多いが、 マジシャンを本業とするクレイトン作品の読後感にもこれと共通するものがあるのが 残念ではある。 なお、直接ストーリーに関係はしないものの、主語がディアボロであったり、 ニック(ディアボロの愛称)とあったりと不統一となっており、 非常に読み難くなっている部分がある、こういった点は厳重にチェックして欲しいもの である。
567 :
名無しのオプ :2007/10/27(土) 18:52:37 ID:A7ZxE5sP
書斎と比べて読後感の無駄な駄文のことよ。
568 :
名無しのオプ :2007/10/27(土) 19:02:35 ID:bg6BdO9O
コテハン叩きはルール違反だと言う一方でコテ叩きをする卑怯な書斎w
「本番台本」ギャビン・ライアル(早川書房) かつて朝鮮で華々しい活躍をしたが今は中南米でしがないパイロットを しているカー。ある時彼は映画ロケの一行に雇われる。しかし、 飛行中突然軍用機に襲われたの始め様々な危険に見舞われる。 カーは自分の周りで何が起こっているのか探ろうとするが――。 こないだの真下正義で「深夜プラス1」の名前が出ましたね。 その「深夜プラス1」がオーソドックスなプロットだったのに対し 本作は飛行機という専門分野を扱ったもので、プラス中々事件が 起こらないのでナンダカナァと思いながら読んでいましたが 話が動き始めてからはこっちも入り込めました。 正直水準作という感じだけれどまあ読んでみても……。
「ダイアルAを回せ」ジャック・リッチー(河出書房新社) 第3短編集。流石にプロットのパターンが何となく掴めて来るけど、 作風が好きなので楽しく読めた。アームスカトロングに通じるものが あると思うんだよね。 いっち好きは「いまから十分間」かな。次は「殺人はいかが?」。 ヒッチコックが目を付けるのも解るような気がする。 後、「三階のクローゼット」は「のぞき魔バッド・ロナルド」を連想した。 それからターンバックルものも良い軽ミスで○。しかしカーデュラモのは イマイチ設定を活かせてない印象。
「象は忘れない」アガサ・クリスティ(早川書房) 探偵作家のミセズ・オリヴァはパーティーで知り合った老婦人から ある過去の事件についての調査を頼まれる。それは夫婦の心中と 判断されたもので、現場には二人の死体と一挺の拳銃が残されていた。 どちらが先に撃ったのか、それがミセズ・オリヴァの名付け子の 結婚を左右する問題らしいのだが……。 80を超えて書かれた作品で実質的にはポアロ最後の事件だそう。 以前「ブレイディング・コレクション」を読んだ時、本格度の低さに 作者の老齢を感じたことがあったけど、これも同じで他の部分は ともかくプロット自体は極めて単純で恐らく全盛期のクリスティなら 短編の場合でももう一捻りはしたはず。「物狂い」とかを許せる人なら どうぞ。
「虚空から現れた死」クレイトン・ロースン(原書房) 中編2作収録。 「過去からよみがえった死」 死後の世界から舞い降りたコウモリ男が殺人を繰り返すというような話。 はっきり言って期待外れ。これでもかってぐらい荒唐無稽な演出は 好きな方なのだがトリックがやっつけに過ぎる。泡坂読んで出直せ。 「見えない死」 特殊装置によって透明になった男が人を殺したり美術品を盗んだりする というような話。 こっちは良かった。トリックも相対的に言って納得の行くものだし 伏線も見事。 しかしまーた登場人物表が無い。
「これが密室だ!」ロバート・エイディー+森英俊(新樹社) 海外の密室アンソロジーと言えば、「密室殺人傑作選」 「密室殺人コレクション」「密室大集合」(未読)ぐらいしか 知らないが他にあれば教えを乞う。 本格系ばかりではなくサスペンス作家の作品も入ってるのが嬉しい。 ただこれ中には「どこが密室だ!」というようなものも結構あるし、 単行本未収録というコンセプトのせいで出来も粒揃いとは言い難い。 良いと思ったのは 「見えないアクロバットの謎」(エドワード・D・ホック) 空中ぶらんこ乗りが実演の最中に消失するというもの。単純で巧い。 「死は八時半に訪れる」(クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ) 殺人予告を受けた大臣が十重二十重に警戒される中、 ジャストに殺されるという飛び切りの不可能犯罪ミステリ。 これもシンプルイズベストで良い。 「ささやく影」(ジョン・ディクスン・カー) 青年が見えない男から狙われるというラジオドラマ。巧くまとめている。 「危険なタリスマン」(C・デイリー・キング)はタラントの復活と 期待したがダメな方だった。
574 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/11/10(土) 17:04:48 ID:IjTaK5jq
シリル・ヘアー『英国風の殺人』を読んだ。 クローズド・サークルものにして法律ネタ(上院ネタ)という異色作。 派手なトリックは無いものの、関係者一同に会した場での名探偵による謎解きシーン等も あり、英国探偵小説らしい落ち着いた雰囲気が魅力な作である。 戯曲を小説化したもののせいか、描写がやや薄味なのが残念、 舞台となるカントリー・ハウスの情景、そこに集う登場人物をじっくりと書き込めば 非常に重厚なミステリ足り得たであろうと思われるのが惜しまれる。
575 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/11/11(日) 16:50:37 ID:jBcSaRMq
『P・G・ウッドハウス選集T ジーヴスの事件簿』を読んだ。 刊行当時はこのミス等にもランキングされた作品集であるが、厳密にはミステリとは 言い難い作も多く含む英国国民文学的位置付けにあるシリーズである。 訳文が上品かつ軽妙にして読み易く、落語的面白さに富む。 時代性もあって御都合主義的展開が目立つものの、本シリーズの場合は目くじら立てずに ゆったりと雰囲気を味わうべきものなのであろう。 しかし、ジーヴスという男、痛み入ります、とか言いながら、実に食えない男である(w
576 :
名無しのオプ :2007/11/11(日) 19:14:50 ID:0Gi1LYXt
在日韓国・朝鮮人対象の“住民税減額措置”を利用し、伊賀市の前総務部長が1800万円着服か…三重
17 名前:名無しさん@八周年[] 投稿日:2007/11/11(日) 11:31:58 ID:b287LWMGO
減額の方がよほど問題だよ!
おかしいでしょ。
これ、日本人が差別されてる。
107 名前:名無しさん@八周年[] 投稿日:2007/11/11(日) 11:41:31 ID:iGQrDZNb0
>関係者によると、減額措置は、昭和30年代から40年代にかけ、
>旧上野市(現伊賀市)と地元の在日本大韓民国民団(民団)や
>在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との交渉で始まったとみられ、
>納付額を半減するなどしていた。
黒幕は総連と民団。
たぶん全国でやってるぞこれ。
19 名前:名無しさん@八周年[sage] 投稿日:2007/11/11(日) 11:32:13 ID:WWwiKLKH0
在日特権は事実だったんだ…
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1054146.html 在日様は減税されて、日本人は増税って・・・・。
明らかに日本人差別・・・・。
577 :
名無しのオプ :2007/11/11(日) 23:40:14 ID:TC1TfD/2
『幼き子らよ、我がもとへ 上・下』ピーター・トレメイン 創元推理文庫 モアン王国内の修道院で、隣国ラーハンの尊者ダカーン が殺される。複雑な領土問題がからみ、タラの大集会での 裁判で、モアン王国側に責任のないことを示さないと、 モアンとラーハンの間に戦争がおきかねない。そのうえ、 王国内では疫病がはやり、国王が死の床についている。 モアン王国最大の危機を救うため、修道女フィデルマが故郷に 呼び戻され、真相究明にあたる。 本当におもしろかった。一気に読めました。 大集会までの解決というタイムリミットによる緊迫感、いつ感染する かわからない疫病への恐怖、戦争や疫病で親を失った子供たちを襲う さらなる悲劇とそれに対するフィデルマの激しい怒り。 前作よりフィデルマの人間味が増し、怒りによる失敗もします。 大集会での、モアン、ラーハン両国関係者を前にした推理披露は、 往年の本格推理の名探偵そのもの。 久しぶりに、超人的な名探偵の活躍を、堪能しました。
「レイトン・コートの謎」アントニイ・バークリー(国書刊行会) 資産家のスタンワース氏が自邸の書斎で射殺体となって発見された。 被害者の客の一人であった作家シェリンガムは殺人とみて 親友アレックと共に事件解決を目指すのだが……。 出た端からがっつくんじゃなく一通り出揃った処でゆるゆると 発表順に読んでいくというのが賢者の読み方です。スレは立てたけどw 読んでみれば真っ当な本格ミステリという印象でした。主人公は 天才でも凡人でもない言わば秀才型探偵といった風で特に違和感は ありません。プロットはそう複雑ではないのですが、犯人は 終盤になるまで気付きませんでした。これは風邪のせいです、はい。 あと(メル欄)が気になりました。 本作だけではまだ独創性を感じなかったので これからどう伸びていくのか楽しみです。
579 :
名無しのオプ :2007/11/14(水) 12:12:10 ID:JYe7QJf8
エラリー・クイーン「シャム双子の謎」 山火事に閉じ込められた山頂に立つ一軒の館で起こる連続殺人事件。 炎の脅威が迫り緊張しているのか、いつもより頭のキレが悪いエラリー。 親父のクイーン警視も失態を犯す。 山火事が強烈な緊迫感を演出し、論理ゲームが売りの従来のシリーズとは一線を画すドラマがある。
「雷鳴の中でも」ジョン・ディクスン・カー(早川書房) 中年画家ブライアンは知人の富豪から令嬢の説得を頼まれる。 彼女が誘いをかけられた女優に殺人容疑をかけられた過去があった からだったが、ブライアンは失敗し令嬢は誘いに応じてしまう。 そしてそのせいで彼女は殺人事件に巻き込まれることに……。 本作はある不可能状況が設定されているのだが、種明かしが余りにも 強引に過ぎ(バカミスとかじゃなく)、トリックの考案を放棄している のかとすら思えてしまった。ただプロットは中々良く出来ていたと思う。
581 :
書斎魔神 :2007/11/17(土) 22:08:14 ID:sa5qlxNN
デレック・スミス『悪魔を呼び起こせ』を読んだ。 幻の密室ものであり、国書刊行会により翻訳の陽の目を見たものの、 内容的には期待外れの感が強く、今は忘れ去られた感がある作で、 (本書の解説者は本作を高く評価しているが、 解説中に記された『不可能の解体、不思議の消滅とともに、作品の魅力もまた消え 失せてしまう場合』が多い密室ものの例外とは成り得ていない) 長く本邦未訳であった密室ものということであれば『魔の淵』方がまだその トンデモぶりが楽しめる分だけ良い気がする。 とは言うても、曰く因縁つきの先祖の死の言い伝えが絡む謎の密室殺人、 これに続く派出所における第2の密室殺人とジョンまがいの怪奇探偵小説 (ただし、本作はジョンであればロマンス成就のハッピー・エンディングであったろう) を意図した構成は、ミスオタなら見逃せないところではあろう。 ミスオタな素人作家の手になるものだけあって、名探偵が女に惚れっぽいイケメン、 ヒロイン(ガイシャのフィアンセ)がこの時代背景であればビッチと言われても仕方ない 『話がわかる』タイプ、ギディオンとヘンリーをミキシングしたような楽しい爺 (ヒロインの叔父)等々、同人誌風のキャラ構成が馬鹿馬鹿しくも楽しくはある。 それゆえにと言うか、理詰めを意図し過ぎて、突っ込み所も多く、 地味過ぎに終わった謎解きは今ひとつ物足りなさがあり、 ジョン作品(例えば『曲った蝶番』や『プレーグコートの殺人』等の如き)のような ある種突き抜けたようなトンデモ感が欲しかったところだ。
582 :
名無しのオプ :2007/11/17(土) 22:26:04 ID:x6cJwYjW
カッツェンバックの、精神分析医読みました。 上下巻とも厚くて疲れたけれど 良かった。 でもあれは、サスペンスなのかな。 ある日突然医師の前に不可解な手紙が。 14日間以内に自殺しないと、おまえの親戚を殺す。 そこで医師は、逃げたり名前を変えたり そういったことで過去の自分と向き合っていく。 読み応えありました。
583 :
書斎魔神 :2007/11/18(日) 21:35:45 ID:2s1YAiVL
レオ・ブルース『三人の名探偵のための事件』を読んだ。 真田啓介氏(注 真田幸村ではない(w )の解説に詳しいが、 密室トリック、多重解決、アントニイ風の名探偵パロディと探偵小説論等、 盛り沢山の本格ミステリで、最終的な解決(=真相)も面白く、かなり堪能出来る。 しかも300頁程度とコンパクトに纏まって読み易いのも良し。 作品内容を離れた意外性ということでは、作者がこのような洒落っ気がある遊び心が あるものを書く作者は、著名なプライベート・スクールからオクスブリッジ卒の インテリ上流階級の紳士かと思いきや、転校、転職を繰り返したDQNなプロファイルの 持ち主であることである。
584 :
名無しのオプ :2007/11/19(月) 20:35:03 ID:15n06iKH
>>583 魔神さん、英国でオックスブリッジに進学する贅沢な私立学校は
「パブリック・スクール」ですよ。イートンやラグビー、ハローなど。
585 :
名無しのオプ :2007/11/20(火) 03:23:50 ID:I0sk+pvT
>>583 調べたらレオ・ブルース(Rupert Croft-Cooke)はパブリック・スクールの
トーンブリッジとウェリントンカレッジで教育を受けたインテリみたいだよ。
ジャーナリストをしたり、古書店を経営したり、ラジオの心理学に関するシリーズ番組
に出演したり、兵士になったり、確かに職業は転々としているけど、DQNとは対極だろ。
586 :
名無しのオプ :2007/11/20(火) 06:10:32 ID:Ys+kHhg9
自演がウザいなあ・・・
587 :
名無しのオプ :2007/11/20(火) 14:24:34 ID:cz+LHEZR
コージーミステリーなんだけどクッキングママシリーズ読みました。 怒涛のように話がすすんでいく中で ややヒステリックなバツ一ママの気持ちや ドタバタとした登場人物たち、イライラしたティーンエイジャー その人たちの気持ちの描写や会話、話の流れ方、 とにかく読んでいるだけでどっと疲れる。 シリーズものだから仕方がないけど死体発見もワンパターン 唯一の魅力は落ち着いている警官のトムとレシピ、食事の描写 とにかく読んでいてすごく疲れるのでシリーズ揃えたのに捨てようか迷い中
588 :
名無しのオプ :2007/11/21(水) 00:31:19 ID:zxeKPekF
■■■書斎ミス住警報発令中■■■ 書斎は現在、全ての書き込みに対して 挑発的なレスを返してくる模様です。 ミス住の目的は、皆さんの感情を弄び、 板を機能不全に陥れて自己満足に浸る事にあります。 書斎の煽りに乗ってはいけません。 ミス住にマトモな返答を期待してはいけません。 ■ただひたすらに無視し続けて下さい■ ひとりでも反応すれば、書斎は大喜びで更に挑発してきます。 煽り耐性の無い方は、当分の間書き込みを控えて下さい。 ミス住撃退には、皆さんのチームワークが、何よりも大切です。 ご協力よろしくお願い致します。 ★★★基本に戻ろう★★★ ★ 書斎は、放置されるのが一番キライ! → ウザイと思ったらそのまま放置! ★ 放置されたミス住は寂しくなって、煽りや自作自演であなたのレスを誘います! → 釣られてレスしたらその時点であなたの負け! ★ 反撃は書斎の滋養にして栄養であり、ミス住が最も喜ぶことです! → 書斎にエサを与えないで下さい ★そんなミス住を見かけたら、 → 同情と哀れみの気持ちを込めて華麗に放置スルーしてあげましょう。
589 :
書斎魔神 :2007/11/23(金) 08:48:20 ID:9tsGmues
ジョン・スラディック『見えないグリーン』を読んだ。 エゲレスを舞台にしながらもメリケンの作家の手になるもののせいか、 テーストはライトなアメリカン・ミステリ、やや軽過ぎる感も受けるが、 逆に凄惨な連続不可能殺人のヘビーなムードを巧く中和する効果を上げているとも 言い得る。 第1の殺人はまさにジョン張りなトンデモトリックが炸裂して楽しめるオチだが、 第2の殺人はあまりに偶然性に頼った御都合主義が目立ち感心しない。 第3の殺人はS・Sやエル風の論理的な推理が展開されるが、 プロの殺し屋でもないのに必殺の一撃というのが、やや弱い(『悲鳴を上げないか』)感 がある。 しかし、全体を通じてはコンパクトに纏まった予想外に楽しめる作であり、 特に密室オタには必読である。なお、解説はマエストロ鮎(注 浜崎ではない(w ) が担当、相当に高い評価をしている。
590 :
書斎魔神 :2007/11/24(土) 10:42:45 ID:Ay2RLgCU
私の紹介によりこのスレでもおなじみになったH・R・ハガードだが、 『女王の復活』を読んだ。傑作『洞窟の女王』の続編(と言うても刊行は18年後とある)、 ゲットするのに苦労した一編なのだが、かなり不満が残る作であった。 例えば、チベットを舞台にしながらも秘境冒険小説としての内容は前半のみ、 全体の4分の1程度となっており、後は転生が絡んだ時空を超えた三角関係が メーンストーリーとなってゆく。 この辺は読者の嗜好も関係はするだろうが、初期の大冒険ものを期待していると、 外れという感が強い。 加藤夏希風のイラストが付されたヒロイン、アシュリの語りも前作と比較すると、 柔らか過ぎて、やや切れ味を欠くものがあり、 恋をして生まれ変わり(まさに字義どおりだが)キャラが柔らかくなったのか。
591 :
名無しのオプ :2007/11/24(土) 11:19:21 ID:ObDr/b+Z
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1188048870/583 【コテ禁止】小説の匠 吉村昭5【コテ禁止】
583 :ミステリ板住人:2007/11/23(金) 20:31:22
オレも包茎だけど、カミサン喜んでむいてるよ。
むくだけむいてカリくびもって
シコシコしてくれる。単に皮が多少長いだけのこと、何の変わりもない。
ふろっ一緒に入って股開いてむいて洗わせてるよ。
オレも股を開かせてオマンコ
洗ってやってるけどね。初めはお互い恥ずかしかったけど、
いまはかみさんから
股を開いて要求するよ。
愚民諸君、心しておけ!
いや親方がカントン包茎だっていうのは、オレらみんな知ってるからさぁw
「嘘は刻む」エリザベス・フェラーズ(長崎出版) 旧友グレースに会うためイギリスの田舎町にやって来たエマリーは そこで殺人事件に遭遇する。目撃者の証言によると当日被害者宅には 赤い服の女と茶色い服の女が訪ねていたと言う。エマリーはその片方が グレースではないかと疑い、彼女のために事件を調査し始める。 検証シーンも結構ありミステリとしてはマル。だがストーリーがいまさん。 それにでっかいハッタリがあったりしてマイナス。あとなげーし。
「海中密輸ルートを探れ」クライブ・カッスラー(新潮社) エーゲ海にある米軍基地が突如襲撃を受ける。襲ったのは 第一次世界大戦で使用されていたドイツ戦闘機。SOSを受け 救援に向かったピット少佐は首尾良く敵を撃退させるが これは大事件の幕開けに過ぎなかった……。 シリーズ第一作。新規開拓に着手するも最初はダーク・ピットの暴力性に やや引く。何もしてない女を力一杯殴るとかどんだけDQNやねん。 中盤まではストーリーもシンプルで可愛いもんだと思っていたが、 そこからややツイストしてちょっと眉を上げた。 ま、次には繋がったな。
594 :
名無しのオプ :2007/11/27(火) 20:16:38 ID:OjYl079P
ピーター・トレメイン『蜘蛛の巣 上・下』 創元推理文庫 主役のフィデルマは王の妹で美人で法律家で修道女で馬も格闘術も達人並という完璧超人 ホームズやヴァンスや御手洗と違って性格もまともという凄さ 古代アイルランドが舞台なのだが、作者はその道ではかなりの権威らしい学者だそうで、 その時代へのわかりやすい偏見まみれのイメージを崩しまくる社会制度と法律が密に描かれていて そういう部分では大変面白かったし、ローマ教会に同化されていく中での宗教論争が折り込んであってそのあたりも興味深い ミステリとしては及第点止まりという感じだが、それを補って充分な作品ではあった ただ訳者が巻末の註でシリーズのネタバレをしまくっているのはどうだろう
「探偵術教えます」パーシヴァル・ワイルド(晶文社) 通信教育で探偵講座を受けている運転手モーランが一人前気取りで 犯罪事件を解決しようとする連作短編集。 「悪党どものお楽しみ」と本作でユーモアミステリーの書き手として 達者なのは良く判ったが、それが制約になって話がワンパターンに なってしまっている面も無きにしもあらぬ態にて候。 ここらで正当派の本格長編らしきミステリー・ウィークエンドを読みたい。 一番は「P・モーランと消えたダイアモンド」かな。 ネタバレ天国かも知れないが。
596 :
書斎魔神 :2007/12/01(土) 15:02:11 ID:8zQbFAKw
J・D・カー『囁く影』を読んだ。 定期的なジョン作品再読を怠らない俺ではあるが、出来栄えが芳しくないものが多い せいもあって、ギディオン・シリーズ中期から後期にかけての地味めの作などは どうも縁遠くなるものである。 本作はカーオタにはわりと評判が良い密室犯罪ものであるが、 訳者のノートと題されたあとがきにある、『・・・この作品の特に堅牢で緻密な構成は、 フェル博士登場の一連の作品の中でもずばぬけていると思われるが、どうだろう』 というヨイショに対しては、『それは違うだろう』としか言いようがない。 あとがきには、本作の手がかりの呈示の仕方を評価した部分もあるが、 トリックに関連した服装の件ひとつ見ても、これに気付けというのは無理というもので あるし、第1の殺人トリック(密室)はあまりに老人というガイシャのキャラを 考慮すれば説得力が無さ過ぎ、ふと映画『ディアハンター』を想起させる第2の事件の トリックの方が、まだ面白みがあるやに思う。 また、中期以降のジョンには珍しく吸血鬼ねたというオカルティズムを 導入しているが、初期のようなコテコテの怪奇色を施すわけでもなく、 あっさりと流されているのも、怪奇探偵小説好きとしては物足りないし、 ヒロインのフェイがハモンドに雇用される経緯その後の展開等、 いかに創り物を意図した謎解きミステリとはいえ、『小説』として無理が有り過ぎる感が ある。そもそも、バーバラというキャラは不要だったのではないか? 意外性を持ったのは、ラストがジョン作品らしい恋愛成就のハッピー・エンディング と思いきや、ビッチ(意外にもジョンは同情的)ねたを貫徹した点か。
597 :
書斎魔神 :2007/12/02(日) 12:05:13 ID:HQ+ylbHI
ジョン・スラディック『黒い霊気』を読んだ。 前に紹介した『見えないグリーン』が案外と楽しめたので手に取ってみたものの・・・ ジョン作品を想起させる交霊会絡みの怪奇探偵小説スタイルだが、 『見えない・・・』と同様に本作も英国を舞台にしながら軽快なアメリカン・ミステリの タッチが貫かれているのが特色、テンポ良く読み易いものの、 オカルティズムによる恐怖感、サスペンスの盛り上がりが弱くなってしまっている 恨みもある。 そして、本作の最大の弱さは、錯覚とミステリではおなじみの小道具を使用した不可能犯罪 (人間消失、空中浮遊等)のトリックがあっけなさ過ぎることである。 はっきり言うて、一時期ミステリ板でも人気があった『名探偵コナン』レベルの 謎解きであり、文庫化までには至らなかったのが納得がゆく出来と言える。
598 :
書斎魔神 :2007/12/03(月) 19:42:43 ID:p64dJF70
アトゥール・ガワンデ著「コード・ブルー」を読んだ。 著者はハーバード大学医学部・同大公衆衛生大学院卒。現在は外科研修医。 あの「ニューヨーカー」誌のスタッフライターでもある。 2ちゃんねらー風情から見れば、雲の上のそのまた上の人と言えよう(w ミスヲタ必読の章は、本書の第三部「不確定」第一章「乳児の死の謎」だ。 乳幼児突然死症候群(SIDS)とされた乳児10人の謎の連続死、 30年の歳月を経て母親が起訴されたが… 今流行の医学ミステリとなり得るネタが満載だ。 座して読め!
599 :
名無しのオプ :2007/12/03(月) 23:20:41 ID:ztPJuLzA
求職活動、乙!
600 :
名無しのオプ :2007/12/03(月) 23:26:33 ID:WO9Vy5As
中学校、いや小学校すら、お情けで卒業させてもらった書斎にとっては、 雲の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の 人と言う事かw なあ、書斎、お前の文書、文法が変だぞ 主語と述語の位置がメチャメチャだったり、接続詞や形容詞もみんな変だぞ パクッた文書の所だけ文法が正しくて、それ以外が、メチャクチャだから、 構成がまるわかりで、もはや喜劇だ、 その他の知識もみんな変、少しは勉強しろよ!
601 :
名無しのオプ :2007/12/03(月) 23:29:41 ID:WO9Vy5As
つまらん論考なんかやってないで、小・中学校レベル(特に国語の基礎)から やりなおせアホ!
「ウイッチフォード毒殺事件」アントニイ・バークリー(晶文社) とある実業家が毒殺され歳の離れた妻が逮捕された。このニュースを 知ったシェリンガムは発見された砒素の量が多すぎることから 事件の経緯に疑惑を持ち、友人アレックを誘い独自に調査を始める。 2作目。あくまでも「有罪とは言えないかも」という姿勢を取りながらも 段々推理に偏りが出てくるシェリンガムの人間味や、所々で開陳される 彼の価値観が印象深い。ただ、個人的にはもっと俗っぽさが欲しいところ。 今後に期待。 真相に関しては同時期のある作品を思い浮かべたが本作の方が 先と判りある作品にやや失望。本作の評価が上がった。 お尻ペンペンされて赤面するシーラタン(´Д`;)ハァハァ
「悪魔はすぐそこに」D・M・ディヴァイン(東京創元社) 横領疑惑をかけられ罷免の危機にあった大学講師が自宅で 中毒死を遂げた。彼は生前、過去に大学で起きたある醜聞の真相を 知っていることをほのめかしていた。そして程なく第2の殺人が起こり、 警察は前述の醜聞に関係の深い人物に疑いの目を向ける。 そんな中同じく醜聞に関わりのある若き数学講師や、公正を 旨とする法学部教授らが事件の解明に乗り出すのだが……。 ディヴァインキター!!!!! と思いきや最大の見所たる「復縁のロマンス」が無い! 仕方ない本格ミステリとして読むかと思ったが本作のロマンスも そう悪くは無かった。 本格としても流石の読み応えだが、フーダニットにこだわる余り アンフェアすれすれになっていると感じた。この真犯人、 自分は二人目に疑った人物なのだが、読み返して断念したのだった。 つまり不自然なんですな。記述の正誤という以前に存在がね。 この作者ならもっと巧くまとめられるんじゃないかとつい思ってしまう。 まあエンタメ度を重視すれば見過ごせる瑕瑾かも? 追伸 解説ののりりん、国内でDVD化されてる映画ぐらい観ときなよ。 追伸の自乗 このミス5位、ミス
チャ3位、本ミス2位だって。前2つはこれまで本格を無視 し続けて来た人達が何故か投票したということかね。 そんな奴ら皆まとめて死ねばいいのに。 本ミスが「死の相続」を1位にしなかったのは自粛かな? そう思おう。
606 :
書斎魔神 :2007/12/08(土) 17:05:42 ID:+HFCcWyf
クライド・B・クレイスン『チベットから来た男』を読んだ。 解説では絶賛状態(『謎・論理・意外な結末の三位一体を、独創的なストーリー とあざやかな雰囲気のなかでなしとげた、まさに本格好きの琴線をゆさぶる逸品と いえます』だそうである)だが、全集初期の刊行物だったこともあって売らんかなという 気持ちはわからぬではないものの、あまりに持ち上げ過ぎである。 全327頁の作品であるにもかかわらず、メーンなネタである密室殺人の発生する のは物語もとうに半ばを過ぎた第九章(224頁から)というのも気の長い話であり、 ここに至るまで、あくまで物語の装飾に過ぎない作者の仕入れたチベット密教ネタを たっぷりと拝聴させられることになる。 (ネタ本に『西蔵旅行記』まで挙げられており、その薀蓄は結構本格的なものに 思えるが、読書人ならぬ単なるミスオタにはきついものがあろう) そして、最大のセールスポイントである密室トリックもやや物理的小技過ぎるきらいが ある。ジョンならロマンス等もまぶしながらも、もっと切り詰めて書いたのではないか。 探偵役の歴史学者の爺ちゃんのキャラも地味過ぎでインパクトを欠く。 ただし、謎解き終了によるあっさりとした幕切れはしっこさがなくて良し。 97年の邦訳作品だが、黄色人種に対する作者の蔑視を感じさせるような 部分もあってか、この作者の刊行物は後が続かなかったようである。 (第十三章で探偵と警部が日本料理屋で食事するシーンは、ちょっと面白いものがある。 タマネギ、キノコ、スライスしたヒシの実入りのスキヤキとは・・・(w )
607 :
名無しのオプ :2007/12/08(土) 17:32:34 ID:ZRLLyXCV
608 :
名無しのオプ :2007/12/08(土) 19:03:54 ID:FBUrjkNj
やめろ・・・
609 :
名無しのオプ :2007/12/08(土) 20:38:07 ID:uMMdDQeS
さすが書斎。時間だけはたっぷりあるからなw
610 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 08:31:53 ID:tdb6cIkk
書斎の文は、よそのレビューサイトかたの剽窃だっていうのは 前にも指摘されていたよな。 いくつかのレビューサイトの文を混ぜて、かと思う、やに思う、感があるで 文末を締める文体に書き直すだけ。姑息ぅ〜〜!!
611 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 10:11:53 ID:NSsdqpbL
>>608 やめろも何も、もう投稿されたんだから手遅れだよ。
嫌なら削除依頼でも出せば?まずスルーされるだろうけどね。
612 :
書斎魔神 :2007/12/09(日) 13:59:17 ID:B+KBu3xU
トルーマン・カポーティの短編集「ミリアム」(新潮文庫)を読む。 カポーティ作品を「ミステリ」という文脈で語った例はあまり見かけないが、 クライム・ノヴェルの傑作「冷血」の著者なのは良く知られたところである。 表題作「ミリアム」は、伏線が十分に張られた短編サイコ・ミステリとしても 楽しめる作。しかし、そのテーマは奥深いものがある。 ミステリ板には、純文学と聞くと、「純文学キター!」とか絶叫して逃げ出す輩が 多いようだが、このような者たちにも突き付けて読ませたい作である。 そして、早くミステリのみが本ではないことを自覚して欲しいものである。
613 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 15:12:08 ID:qT4R2l9s
これくらいだったらパクらなくても書けるな。 てか、ほんとに読んでる感じがしないw
614 :
書斎魔神 :2007/12/09(日) 15:37:14 ID:7vONORbQ
ピーター・アントニイ『衣裳戸棚の女』を読んだ。 結局、真相(犯人)は禁じ手なんだが、こういうバカミス的使い方なら納得、納得 という感あり。 著名な戯曲家兄弟の共作ゆえ、会話体が多くスピーディに読めるが、その分重厚さを欠く のが難か。軽過ぎて未訳の他作を読みたい気がしない。 ジョンあたりが書けば、ロマンス(これに使える若い男女キャラもある) もまじえて勿体ぶって書き込むのではなかろうか。
615 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 16:43:49 ID:bT9gkpaP
>>610 いや、姑息なんていうレベルではないよ。
ハッキリ言って“盗用”だよ。
616 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 16:47:24 ID:bT9gkpaP
書斎魔神は、書斎盗人とでも改名するべきだな。
617 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 17:45:04 ID:R2g3yyFA
>>613 612なんて、ちょっと解説でも見れば読まなくても書ける程度のことだね。
いやむしろ本当に読んであの程度のことしか書けないのなら
わざわざここに書き込む必要なんかないよw。
618 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 17:48:30 ID:x8W9gCzm
あらすじ書いてくれるほうがまだマシw
619 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 19:31:29 ID:dAEJoDXh
今のスレの流れをみていると、感想を書き込む場合は「書斎魔神」を名乗るのが決まりになったのかと勘違いしそうだなw それとも、盗用練習スレになったのかw
620 :
名無しのオプ :2007/12/09(日) 19:36:36 ID:T+/Ahv4q
パクリがばれてあわててスレを流そうとしてるだけにしか見えないw
「恐怖の谷」コナン・ドイル(新潮社) ホームズの許にもたらされた一通の暗号文。 それは宿敵モリアティ教授の組織にいる“ディープ・スロート” ポーロックからの物であった。暗号を解いたホームズだったが、 時既に遅く、その中で予告されていた犯罪は起きてしまっていた。 田舎の古館に轟く銃声。書斎で見付かった惨殺死体。堀に囲まれた 巨大な密室から犯人は如何にして消えたか? 館の主人が口走った「恐怖の谷」とは? 長編の中で唯一読んだことも観たことも無かった話。事件の解決と 動機の物語という「緋色の研究」と同じ構成になっている。 しかし「緋色の研究」の後半が只のサスペンス小説だったのに対して 本作の後半は捻りが加えられており、また事件の解明においても 111pでホームズが言うように、最後までだんまりを通すのではなく 推理の過程をワトスン(=読者)に提示して進められている。 これらは本作が発表された1915年にはもう開幕していた黄金時代を 意識しての変化の様に思える。一方でデビュー作と同じ二部構成に したことはゲーム的なパズラーが勃興しつつある中で原点回帰を 唱えたのかも、とこれは考え過ぎか。 個人的には「緋色の研究」後半のサスペンスも犯人指摘シーンの 鮮やかさも大好きである。
「殺意のバックラッシュ」ポーラ・ゴズリング(早川書房) 警察官ばかりを狙った連続殺人事件が発生し、ストライカー達の 捜査は、被害者達の繋がりが全く掴めずに難行する。そんな中、 同棲中の恋人に男の陰がちらつき苛立ちを深めるストライカー。 しかし彼にも心を乱される女性が現れ……。 前作における主人公と恋人の出逢いはそれはもう酷かった。 ハワード・ブラウン風に言うなら“二日酔いのバーバラ・カートランド” てな感じで。しかし流石に4年経って頭を冷やしたのか幾分 冷静に二人の破滅的な関係を描写している様に見受けられた。 愛情以外共有物の無い二人にそれぞれ新しい異性が現れ――昔早川が 非情にもぶっちぎったジャネット・ニールという作家の作品を思わせる 展開にニラニラしながら読んだ。一応、ケリはつくんだけど、 「実はあの後……」なんてまだまだ後付けは可能だぞ牛頭! ミステリーとしても中々良かった。前作の様な古典を意識した 象牙の塔の殺人より、本作の様なスピーディーなサスペンスに 力を発揮出来る作家だと思った。シリーズ次作も読む。
623 :
名無しのオプ :2007/12/14(金) 00:49:17 ID:HjS5Jj74
「泥棒のB」 スー・グラフトン ハヤカワ 「たまには軽いのもいいけど、これってさすがに軽すぎるんじゃないの?」と 一生、読まない作家リストに入っていたんだが、ふと手にしてしまった。 主人公はご存知、キンジー・ミルホーン 失踪人探しの依頼から隠された犯罪に出くわすという ありきたりのストーリーながらテンポよく読ませてくれる。 強烈なキャラこそ出てこないが、みんなそこそこ楽しませてくれる。 やたらと女探偵というのを売りにしたシリーズかと危惧していたが そうでもなかったし結構楽しめた。
624 :
書斎魔神 :2007/12/15(土) 13:43:19 ID:TaMPCJbC
ジョエル・タウンズリー・ロジャース『赤い右手』を読んだ。 アベックを襲撃した殺人者は森に消えた・・・そして連続殺人が・・・ 10年以上前に初訳され、 ミステリとして、そのあまりの反則ぶり(叙述もストーリー展開も)に驚愕した作、 あまりに見え見えの展開にしないために、あまりに無理やりな展開になってしまった という感を強く受ける。つまり狙い過ぎたのである。 また、国書刊行会のシリーズ作品にしては、かなりエグくグロな描写も多い異色作 でもある。 (この作家は、文体、作風からは濃いキャラを前面に出したサスペンス系統の方が 向いているように思われる。実際、ピカレスク風の作も著しているようだ) 今思えば、ハーバード大卒・プリンストン大院中退な高学歴とはいえ、 単行本は数冊を刊行するにとどまったパルプ作家の手によるものだけに、 過大評価は禁物、気軽に読み飛ばすべきものだったのかとも思う。 つまり腹を立てたり、突っ込みを入れるだけ野暮っていうことである。 解説でも指摘されているとおり、時系列が錯綜する構成となっているが、 幸いにもこなれた明解な翻訳により読み難さは免れているのは幸いである。 細かい点だが、解説において、メーンキャラとなるコークスクリュー(あだ名)が、 ドクと自称していた点につき、全くコメントが無いのが気にかかった。 これも、まあ『アレ』なわけだが・・・
625 :
名無しのオプ :2007/12/15(土) 14:38:12 ID:80FRuaqz
>>624 盗用元のURLを記しておいてください。よろしくお願いします。
626 :
名無しのオプ :2007/12/15(土) 15:18:23 ID:FOvg2Is+
またアマゾンのピエロから盗みましたとさ
627 :
書斎魔神 :2007/12/15(土) 18:04:37 ID:vrDGVSbh
馬鹿野郎!!!!!!!!!!!!!!
628 :
書斎魔神 :2007/12/16(日) 21:20:21 ID:/wa4VffF
C・デイリー・キング『タラント氏の事件簿』を読んだ。 個々の作品の出来栄えはともかくとして、不可能犯罪の凝った状況設定が なかなか楽しい作品集であった。 ただし、この作者、魅力的な謎の設定という点は長けているものの、 その解決部分は弱いというのが全体的な印象である。 大好評につき収録作品全話講評いってみよう! 『古写本の呪い』 NYのど真中にある博物館、呪いがかかっていると言われる古代アステカの古写本を 徹夜番という設定が面白い。 密室内からの写本消失の謎はこれしかないという意外にあっけないものでるあるのが難か。 『現れる幽霊』 ワトスン役(ジェリー・フィラン)のロマンスを中心に置いた怪談仕立ての一編。 新装家屋の幽霊談というのが異色だが、解決が御都合主義で機械的過ぎるのが難か。 『釘と鎮魂曲』 屋上のペントハウスを舞台にした凄惨な密室殺人ものである。 ガイシャ(絵のモデルである若い娘)と犯人のキャラを濃く書き込めば、 横溝風の怪奇・猟奇趣味溢れる読物になったであろうが、都会派デイリーは あっさりと語って謎解き(筋は通っているが、小技という感あり)してゆく。 『第四の拷問』 マリー・セレスト号事件の前ふりに始まり、終盤、いきなりB級パニックホラー的 展開となるトンデモな作、まあこの意味では楽しめる作とは言える。 探偵しか知り得ない事実が後で明かされる等のアンフェアな部分もあるが、 こういう点を問題視すべき作ではなかろう。
629 :
書斎魔神 :2007/12/16(日) 21:21:18 ID:/wa4VffF
『首無しの恐怖』 収録作品中唯一の非不可能犯罪もの。 時代性もあって人種偏見丸出しなネタだが、 ストーリーそのものは警察小説的な犯人探索のスリルに富む異色作。 『消えたハープ』 これも不可能犯罪もの、密室から消えたハープの謎。 『・・・もののけの仕業か』というタラントの台詞等のくだけた訳には笑える。 収録作品中では最長の作品で、書き込んである分、密室状態のサスペンスを感じさせる 作だが、謎解きは『やっぱりそれか』程度のもの。 『三つ眼が通る』 タイトルから笑える。真面目に訳しているんだろうか。 この作も人種偏見あり、ストレートなトリックの短かめの作。 『最後の取引』 これはトンデモというか・・・これを書くとミステリのシリーズとしては終わるしかない。 逆に終わらせるための作とも言える。 タラント氏は嫌味の無いジェントルな名探偵なので、 オカルト的な妙な人物におちょくられぱなしの感があるのは気の毒。
630 :
名無しのオプ :2007/12/16(日) 21:34:47 ID:z0UjmpPE
「SAS エチオピア皇帝の宝」ジェラール・ド・ヴィリエ(東京創元社) 貧乏貴族の雇われスパイ、マルコ殿下の今回の任務は独裁体制の下で 内戦状態になっているエチオピアで死んだ皇帝が隠したと言われる 莫大な黄金を捜し出しエリトリア人民解放戦線を支援すること。 マルコは現地のCIA工作員の助けを借り黄金に繋がる人物と コンタクトを取るが独裁政権の殺し屋にかぎつけられる……。 表紙の外人は当時来日してたモデルか何か? 「実はこの人が!?」的なサプライズがあったりして。 内容はまあお馴染みのセックスドンパチセックス拷問セックス みたいな感じで楽しめるよ。地理的に良く調べてるな、ってか 嘘かも知れんけど。 ただ、出てくる女が全員爆乳つうのはどうかと思う。一人でいい。 その方が興奮するから。 後半マルコが安らぎの象徴としてアレクサンドラ思い出すのワロタw まあ確かに比較すりゃマシだけどさ。
632 :
書斎魔神 :2007/12/20(木) 17:55:12 ID:2mDgZfXQ
ジョルジュ・ランジュランの作品集「蝿」を読んだ。 たいした作品ではないが「安楽椅子探偵」という犯人探しのミステリも収録されている。 表題作は、映画「ザ・フライ」の元ネタ(忠実な映像化ではない)。 70頁強程度の短編だが、比較的忠実に映像化された 英国ハマー・プロ作品のエッセンスの全てが原作にあったのだと良くわかる。 短いながら伏線も十分が効いたスリリングなSFミステリの趣がある原作が、 文学性の面から見てもはるかに上である。 作者ランジュランは既に忘れられた作家ではあるが、ロンドン育ちのフランス人 だけあって、英国の渋さと仏国のメランコリーが巧みに融合された独自のムード がある作風は忘れ難いものがある。 ただし、「蝿」以外の本書収録作品は、見え見えな展開が多い糞ばかりなのが残念だ。 まさに2ちゃんねらーレベルと言い得る。
633 :
名無しのオプ :2007/12/20(木) 18:19:40 ID:ULUikXVy
書斎さん、ID切り替え忘れてますよ。 コロンボスレでわめいてたのは書斎さんだったんですねw
634 :
名無しのオプ :2007/12/20(木) 18:22:38 ID:Yd/3Qt/9
馬鹿、ここに極まれりwwwwwwwwwwwwwww 494 名前:名無しのオプ[] 投稿日:2007/12/20(木) 14:04:58 ID:2mDgZfXQ 大学の非常勤講師だぞ、ミス住は。 497 名前:名無しのオプ[] 投稿日:2007/12/20(木) 16:01:02 ID:2mDgZfXQ 英米比較文学論と憲法学(日本国憲法) 504 名前:名無しのオプ[] 投稿日:2007/12/20(木) 17:50:50 ID:2mDgZfXQ 黙れ・・・
635 :
名無しのオプ :2007/12/20(木) 18:25:13 ID:kmFQDxFO
悔しかったんですね
636 :
名無しのオプ :2007/12/20(木) 18:37:33 ID:bu/6ep1u
「ジョルジュ・ランジュラン」でぐぐったら、 一番上にアマゾンの「蝿」のページがあったw
637 :
名無しのオプ :2007/12/20(木) 20:17:39 ID:Gd5MtgzT
「ハエ男の恐怖(1958)」でも「ザ・フライ」でも、 英国ハマー・プロ作品なんかじゃねえぞって、 何回注意されたら判るんだ?この阿呆は。
638 :
名無しのオプ :2007/12/20(木) 22:22:51 ID:ZbhOVkwt
>>637 日本公開された蝿男は、全部20世紀フォックスでしたね
親方の薄味頭の中にだけ、ハマー・プロ製の蝿男がいるのでしょうW
「無意識の証人」ジャンリーコ・カロフィーリオ(文藝春秋) 妻に逃げられて以来精神不安定で生きる意欲を失くしていた弁護士 グイードは少年を誘拐し殺した容疑をかけられた黒人男性の弁護を 引き受けることになる。己の抱える問題に悩みながらもグイードは 裁判に臨んでいく。 ディーヴァー絶賛の駄作。まず第一章が不要。この程度のことは 第二章に織り交ぜれば事足りる。それから本筋に関係ない観念的な 場面が所々に挿入されていて興を削ぐ。見せ場であるはずの法廷シーンも プロとは思えぬ躍動感の無さ。長々と証人の心理状態について 話してたりしてどさまぎに自説を垂れ流してるだけみたいな印象。 読んで損した。
640 :
名無しのオプ :2007/12/21(金) 01:42:26 ID:233G+REd
641 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/12/22(土) 16:53:49 ID:hIphPIKf
マイクル・イネス『アララテのアプルビイ』を読んだ。 冒頭は、船上を舞台にしたミステリと思わせて、非常に予想外の展開を見せる アプルビイ・シリーズの異色作である。 正直言うて、本格ミステリとしての面白さはゼロだが、 そもそもそれを意図していない作である。 英国は冒険小説もお家芸とする国だが、漂流、原住民の襲撃、宝探しの秘密、 スパイ、戦争の影等の伝統的な冒険小説ではおなじみの要素を盛り沢山にした作を、 極めて我流で文学趣味と機知に富んだ作風になっているとはいえ、イネスが書いていたという意外感は大きいものがある。 爽やかだが本格ミステリと異なり知性のきらめきという点では分が悪い冒険小説だが、 オクスフォード出身なプロフェッサーであるマイクルの『漏れならこう書く』という 意気込みが感じられはする。 細かい点だが、翻訳で気になったのは『リヴァイアサン』に『巨大魚。クジラという意味 もある。しばしば悪の象徴』との解説が付されているが(256頁)、 バイブルに由来するものである点にも触れておくべきであった。 読者の教養が読ませ、楽しませるという側面があるマイクル作品の場合、 こういった配慮には事欠くべきではなかろうかと思う。
642 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/12/23(日) 21:02:31 ID:MYHlwA5z
ロナルド・ノックス『サイロの死体』を読んだ。 著名な『陸橋殺人事件』は、謎解きミステリとは言うても癖のある変化球的作と 言い得るが、本作は怪奇、猟奇、エロ等の装飾が無いコテコテの英国本格探偵小説である。 最初は地味過ぎる設定、語りのテンポも緩く読むのが辛い面もあれど、 トリックはジョン級のものをかましてくれるゆえ、この点は十分に満足がゆくし、 謎解き部分における『手がかり索引』という手法も読者への挑戦とは異なる趣向で 面白いものがある。
643 :
名無しのオプ :2007/12/23(日) 21:18:30 ID:QeAjOkl4
読むならクイーン読んで出題に回答するべきだろお前はw
644 :
名無しのオプ :2007/12/23(日) 23:41:10 ID:Vl7WnzHQ
「ロナルド・ノックス」でぐぐってみたら、Wikiのページがトップにあったw
645 :
名無しのオプ :2007/12/24(月) 00:03:04 ID:g15bmCsw
それは別に珍しくないが
646 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2007/12/24(月) 12:05:17 ID:jsglOLPH
ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』を新訳により再読した。 (旧訳の邦題は『路上』) 青春冒険小説とでも称すべき作であり、作品全体を覆う清新さは今も健在である。 米大陸を文字どおり西(西部・西海岸)へ行ったり、東(東部・東海岸)へ行ったり・・・ いつの時代にもこの手の作ではおなじみのドラッグもセクースも ミュージック(ビーバップ興隆の頃)も有りだが、大事件は皆無なストーリー、 ヒッチハイクとバイクという違いはあれど、 後の映画『イージー・ライダー』(69年公開)が念頭に浮かばずには置かないが、 本作の素材となった作者の米大陸放浪が40年代後半、作品の刊行が57年、 映画公開年にはジャックは鬼籍に入ってしまう。 キャプテン・アメリカたちの殺伐としたバイク放浪と比較して、ぼくとポン友デューイの ヒッチハイクは、なんともマターリ、まだ親切とホスピタリティが存在した 古き良きアメリカを感じさせるものがある。 そして時代は下り『ヒッチャー』(85年公開)に象徴されるようなヒッチハイク恐怖の 時代へとなってまう・・・ いずれの『時代』にも戦い続ける国メリケンの戦争の影を作品上に見るのは、 ひとり私だけではなかろう。 (言うまでもなく、ロードには第2次大戦、イージーにはヴェトナム戦争、 ヒッチには冷戦終結期)
647 :
名無しのオプ :2007/12/24(月) 13:46:50 ID:is6pIosM
またパクリかwww
648 :
名無しのオプ :2007/12/24(月) 14:10:37 ID:XTSFZtv+
「ジャック・ケルアック」でぐぐってみたら、 トップにWikiのページが、 その次にアマゾンのページが、 あったw
649 :
名無しのオプ :2007/12/24(月) 14:20:38 ID:XTSFZtv+
でもって、アマゾンのページにアクセスしてみたら、 「オン・ザ・ロード」が一番上に、 「路上」が二番目に、あったw 偶然だとしたら、ものすごいなw
650 :
名無しのオプ :2007/12/24(月) 17:15:45 ID:pQOa+t1l
<いないいないバーカ>
ケン・フォレット『針の眼』(1996改訳、新潮文庫)【8.5点】 大戦末期、ドイツ軍劣勢を覆す情報を掴んだ冷酷なスパイ(暗号名“針”)。 ロンドンを脱出しドイツへ向かう“針”と、英国情報部との暗闘は、 嵐の孤島で決着を迎えようとする。 フォレットの出世作を読んでみた。序盤から一気読みの面白さで、 これを29歳で書いたという作者にびっくり。Dデイを背景としたスパイ物で 題材的にはそれほど独自性はないが、孤島に住む若夫婦を事件に絡ませることで 物語を奥深くしている。 “針”の人物造形やエピソードにもうちょっと厚みがほしかったし、 ラストもちょっとあっけない気もするが、名作と呼ばれているのも納得。
652 :
名無しのオプ :2007/12/31(月) 21:33:22 ID:l//hlFiM
「オールダリー荘」シリーズの第三弾、ジェームズ・アンダースンの “The Affair of the 39 Cufflinks” を読んだ。 2度の殺人事件の後、「オールダリー荘にはいにしえのジプシーの呪いがかけられている」 とまで書きたてられて、今後、ハウスパーティーは開かないと宣言するバーフォード伯爵。 しかし、大伯母の葬儀と遺言状の公開のために、ソーンダーズ家の親戚たちが集まったその晩 またもや事件が。 登場するのは、犬猿の仲の国会議員と勅選弁護士、アメリカ帰りのファッションジャーナリスト、 いたずら好きの青年、おつむの軽いブロンド娘、継母にこき使われてきた故人の孫娘等々。 おなじみウィルキンズ主任警部が、犯行現場にばらまかれた39個のカフリンクの謎や 倒れた甲冑像の謎、盗まれた歯磨きチューブの謎などに挑む。 もちろん令嬢ジェリーもウィルキンスと探偵の腕を競う。 バーフォード伯爵の怪しげな行動ははたして殺人事件のストレスゆえか。 登場人物は、被害者を除いて憎めない人ばかりだが、それぞれに秘密を抱えていて それが明らかになっていく過程が楽しい。笑っているうちに、事態は緊迫していく。 前の作品(「切り裂かれたミンクコート事件」)から22年を経て書かれた本作だが、物語の中では ほんの数カ月しかたっていない。 作品としては3作中一番出来がいいように思う。 とにかく楽しくて、あっという間に読み終えた。 そのうち翻訳されるだろうが、英語も難しくないので、前作が気に入った人は原書で読んでみては。 伯爵には気の毒だが、ぜひ第四弾がでてほしいものだ。
653 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/01/02(水) 19:57:49 ID:mLA4FooI
スラヴォミール・ラウイッツ『脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち』を読んだ。 副題からもわかるとおり、まあ凄まじいまでの冒険ドキュメントである。 第2次大戦中、シベリアの強制収容所から脱走した著者(『終わりに』に記されているが、 正確には語り部)と六人の仲間、途中、孤児となったポーランド人少女も加わった七人は 自由の地英国統治下インドを目指し、逃げに逃げまくる・・・ フョードルの『罪と罰』や『死の家の記録』の舞台となった北シベリアから、あの『アーロン収容所』 の舞台ビルマ(ミャンマー)の隣国にまで及ぶのだから、そのスケールと苦難の大きさが推し測れ ようというものである。 筆者は、ハガードの冒険小説等に関して、秘境冒険小説的要素が全体の前半あるいは 3分の1程度にとどまる点につき不満を述べたことがあるが、時代を大きく下るとはいえ、 意外にもノンフィクションである本書によって十二分以上にその欲求を満たされる結果と なったのは意外であった。 本書の場合、全23章中14章がその逃避行の経緯の記述に当てられており、 極寒のシベリア縦断、酷暑のゴビ砂漠縦断、峻険なヒマラヤ越え(このリアルな書の終盤になって 雪男目撃談が登場するのには意外感があったが、このエピがあったがため本書刊行の契機と なったことが訳者あとがきに記されている)等々、 まさに息もつかせぬ展開の連続である。
654 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/01/02(水) 19:58:28 ID:mLA4FooI
また、前半も拘置所における凄惨な拷問(右の歯を叩き折られ、バランスを取ると称して 反対側の歯まで叩き折られるシーン、キシュカという立ちっ放しの独房への幽閉シーン等)、 家畜車両に押し込まれての強制所への大移動、その後のシベリア死の行進とでも称すべき 雪中シーン等迫力溢れる場面の連続であり、日本語訳で活字上下2段組あるいは 上・下巻分冊になるほど詳説しても良かったのではないかと思われるほどの重みがある 内容となっている。 (『はじめに』には『この本に書いた物語は、、いまは昔の1945年に私が片言の英語で、 最初は妻に向かって話し、その後ほかの人に話したことを、ごく短く約めたものである』 と記されている) ただし、読んでいて疑問に感じた部分も無くはない。 ・氷結したシベリアの河に落ちるシーンがあるが、ハートアタックや凍傷になってしまうのでは ないか? ・装備無しでゴビ砂漠やヒマラヤ山脈越えというのは現実的に可能性はあるのか? 等である。
655 :
名無しのオプ :2008/01/02(水) 21:33:21 ID:b9ytbZJM
パクリ感想乙
656 :
名無しのオプ :2008/01/02(水) 22:05:02 ID:mqn91Wvj
さすが書斎のセレクトは一味違う。 今年も楽しみに読ませてもらいます。
657 :
名無しのオプ :2008/01/02(水) 22:19:08 ID:AtTwbwOO
同感です。本当にすごいよ。新年から感激です。
658 :
名無しのオプ :2008/01/02(水) 22:59:31 ID:aUGZgGOI
自分で声援乙
659 :
名無しのオプ :2008/01/03(木) 06:06:09 ID:7UJ6eiSR
660 :
名無しのオプ :2008/01/05(土) 19:27:29 ID:6pPl8EC2
>>651 「針の目」が面白かったなら同じ作者の「鴉よ闇へ翔べ」もおススメ。
同じくDデイ裏話ものなんだが、いろいろな特技と経歴を持った6人の
訳ありの女たちが占領下のフランスに密かに潜入する、
という粗筋を聞くだけで「ナバロンの要塞」や「特攻大作戦」を想起して
期待に胸躍らせる人であれば読んで損はないと思う。
ちなみにフォレットは上記2作しか読んでないけど、「大聖堂」は面白いらしいね。
読むかどうかは判らないが。
661 :
651 :2008/01/05(土) 23:47:54 ID:M4MC3l8O
>>660 >「鴉よ闇へ翔べ」もおススメ。
あ、ちょうどそれ探してるところ
(びんぼ人なので主に古本派(ノ∀`) )。
初フォレットは『大聖堂』で、すごくおもしろかったよ。
ちょっと長いけど。
662 :
名無しのオプ :2008/01/09(水) 21:05:46 ID:oeQTVhEP
大聖堂、上巻最後のメ欄が苦痛で、ここから先がどうにも読めないんです。 おもしろいと評判なので、読まないのはもったいないかとは思うんですが。
「警視の接吻」デボラ・クロンビー(講談社) 人生に大きな転機を迎えることになったダンカンはジェマとの間に 溝を感じる様になる。そんなとき公園で美女の他殺体が発見され、 二人は地元警察と共に捜査に当たるが、浮かんで来た容疑者の中には ジェマの心を騒がす人物が……。 シリーズ第6作。最長かも知れないが、ミステリーとしての密度は あまり感じなかった。前作から変化を予期させていた二人の関係を シリーズとして見ていくのが正しい読み方なのかな。 ただジェマの酊露滅鬼がやっつけぽかったのが残念。折角長いのに。
「強盗こそ、われらが宿命 上・下」チャック・ホーガン(ヴィレッジブックス) 地元の仲間とつるんで強盗を繰り返していたダグは、ある時 押し入った銀行の支店長クレアにあろうことか一目惚れしてしまう。 情報収集にかこつけて彼女に近付いたダグはやがて恋人として 付き合うようになる。しかし事件を追うFBI捜査官フローリーは ダグ達に目星を付け、少しずつ輪を狭めていく。そして彼もまた 事情聴取したクレアに好意を抱いていた。恋人と生きるため ダグの取るべき道とは? あけまちんこおめでたまきんことしもよろしくとりいみゆきとけこんしたい ロマンススレで紹介されていたけどちっとも食い付きがなく、 保守的なスレだからなぁと思っていたところが読んだ上では あそこには合わないとの結論に。 ロマンス的には二人のシーンが思ったより少ないし、ヒロインが 主人公に釣り合ってない。結局主人公の潜在的な願いの一部としての “女性”が実体化しただけという感じ。ただミステリー的には (メル欄)という解釈も出来んこたないかも? 他に気付いたのは主人公の立場からみた“悪人”の数が少ない ということ。個人主義のアメ公にしちゃあ珍しい主人公。 別にお奨めはしない。
665 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/01/13(日) 21:16:17 ID:lJni/5CL
フィッリップ・マクドナルド『フライアーズ・パードン館の謎』を読んだ。 売れっ子女流作家が曰く因縁付きの屋敷の密室状態で謎の溺死を遂げた。 地元警察さえ超自然現象という結論に傾いていくのだが・・・ と俺が書くと面白そうではあるが、結論を言えば、現代において読む価値無し。 謎解きミステリ好きなら、アーヤやアリスの作を読んだ方がよかろう。 凶器(?)の処分にかろうじて面白さが感じられ、関係者一堂を会した名探偵の謎解きならぬ 降霊会という趣向は異色なものの、見え見えな犯人、安手なロマンスの導入等頂けない要素多し。 登場時点では探偵役はハードボイルドを想起させるようなクールな感じで良いのだが、 後半は古典的なナイト化してメロメロでがっくりさせられるのもマイナス評価大。
666 :
名無しのオプ :2008/01/16(水) 08:54:06 ID:eQv+PTQR
某掲示板の感想文。 「一言で言えば失敗作」 読みが浅い自分をさしおいて、 よくも簡単に書けるなあ___
「殺意の海へ」バーナード・コーンウェル(早川書房) 戦地で銃弾を浴び下半身不随となったヨット乗りニック。 彼は必死のリハビリで何とか歩けるまでに回復するが、2年ぶりで 戻った港には愛する船の変わり果てた姿があった。船の修理費用のため 自らのドキュメンタリー番組の制作を承諾したニックだったが、 それが国の行く末に関わる騒動に巻き込まれる端緒であった……。 雨様のエッセイに脅されて読めなかった幾星霜。「興奮」みたいなのを 読みたいとの思いが強まり漸く読んだがまあ主人公の気の毒なこと。 虐げられ殴られ貶められ舐められ騙され裏切られ踊らされ寝取られと マゾ大喜びの一冊。フランシスよりフランシスらしいんじゃないか。 冒険小説としても見事な出来。勧善懲悪やハッピーエンドを 覆えるだけの読み応えがある。著者初の現代もので、 その小慣れてないことが重厚さに繋がってるんじゃないかと。 後の『ロセンデール家の嵐』はもっと角が取れて丸くなってたもの。 読むのはその方が楽だけどね。 時々読みたい作家だ。
668 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/01/19(土) 14:00:20 ID:rbKU2/9L
シーバリー・クイン『グランダンの怪奇事件簿』を読んだ。 ワセミスの仁賀克雄氏(昔から怪奇・幻想作品のアンソロジスとしても著名)が 監修するコレクションの1冊、名探偵に相当するキャラは登場するとはいえ、 実態は怪奇小説そのもの、この板で紹介するのが少し躊躇されるぐらいである。 獣人、吸血鬼、悪魔、ルー・ガルー・・・全て怪奇は怪奇のまま描かれ、そして解決される。 これは掲載誌がWTゆえ、当然といえば当然か。 今読むと、漫画的な作が多く(「死人の手」「ウォーバーグ・タンタヴァルの悪戯」などは 笑うしかないような展開の典型と言い得る)、 この点では、少年誌のホラー漫画を愛読しているような輩には最適な読物と言えるやもしれぬ。 探偵役の仏人ジュール・ド・グランダン(医師・大学教授そしてファントム・ファイター)は、 ポワロもどきに会話にフランス語をまじえる(この部分の訳は読み難く、ストーリーの勢いを殺ぐ というデメリットあり)ファンキーなオヤジ、暗く、重くなりがちな物語群の救いになってはいる。 なお、著者略歴を見ると、ワシントン生まれ、ワシントン国立大学(現 ジョージ・ワシントン大学) ロースクール卒の弁護士、第1次大戦に従軍後、葬儀社の法律顧問、業界誌編集、法医学教授 を勤めるとある。オカルトに関する薀蓄に学識を感じさせる部分があるとはいえ、 学歴、キャリア共に十分に地元の名士と言うてよい人物がこんな漫画ちっくな作を書いていた というのにも驚いた。
669 :
名無しのオプ :2008/01/19(土) 19:32:38 ID:IeJOy/if
670 :
うざいと思いますが最終日なので宣伝させてください :2008/01/20(日) 04:08:28 ID:uiTOqtHV
2007年のベストミステリを投票で決める「2chが選ぶこのミステリーがすごい!」スレ
本日投票最終日です。まだ未投票の方は、ぜひ参加してください。
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1166286465/ 【以下のルールを守ってください】
・投票スレの
>>1-3 は無視してください。
・対象作品は奥付表記で2006年11月〜2007年10月の期限内に発行された広義のミステリー作品。
・6作品以内で順位をつけて投票すること。
・必ずしも6作挙げる必要はない。1作のみでも投票可とするが、上記に書いてるように順位はつけること。
・1位=10点、2位=9点〜6位=5点で集計。
・国内作品と海外作品は別々に投票する。
・一行以上の総評必須(ネタバレ禁止)
・宝島社の作品は対象内
テンプレです
1位,
2位,
3位,
4位,
5位,
6位,
<総評>
671 :
名無しのオプ :2008/01/20(日) 10:56:06 ID:h8Bh5YaL
>>668 漫画・怪奇物=低級 ミステリー=高級
開いた口がふさがらない浅薄な脳味噌の持ち主であることが一目でわかる
好文だな。それで自分が高級だと思ってるのが漫画にも使えんほど漫画的だわ。
(なにも仁賀本を持ち上げようってんじゃないが、こういうバカ見ると虫唾走るってだけ)
672 :
名無しのオプ :2008/01/20(日) 11:14:54 ID:Yu7OGiy/
放置がいちばん。
「クロエへの挽歌」マージェリー・アリンガム(新樹社) 私立探偵キャンピオンは頻発する嫌がらせに悩む売れっ子俳優 ステインから相談を受ける。訪れた彼の邸宅で癖のある女優 クロエや他の関係者達と顔を合わせたキャンピオンはステインの 妻リンダに穏やかならざる想いを抱く。その夜屋敷でリンダと 語らっていたキャンピオンの所へ慌てた様子のステインが現れ 人を殺したと告白する……。 「まだかクロエ!」「今読んでます!」 一昨年の年末は『屍衣の流行』を読んでたからおよそ一年ぶりか。 なんつーか、こう、探偵がストーリーを追って行くだけで あまり推理しないのがなぁ。心中チラチラおもんみるだけじゃなくて もうちょっと物証に基づいた演繹的な推理を開陳して欲しい。 あと小説の技巧として、見せ方が中途半端。これが例えばクロフツの 某作品みたいに力を入れて書いてあればもっと驚けたと思う。
マイクル・コナリー『ナイト・ホークス』 (上下、扶桑社ミステリー1992)【7.5点】 湖近くのパイプから発見された死体。ハリウッド署殺人課刑事のボッシュは、 被害者がベトナム時代の戦友だと知る。死体にいくつかの不審点を発見した ボッシュは、大掛かりな銀行強盗の事件で動くFBI、さらには警察組織の 監察官がボッシュを阻む。シリーズ第一弾。 世評高いシリーズに挑戦。一匹狼でベトナム時代の古傷を抱えるボッシュと、 FBI女捜査官のエレノアとの関係など、なかなか好調な滑り出し。捜査は 意外とオーソドックスな感じだが、伏線のばらまきも上手い。ディーヴァーや 逢坂剛的なあざとい意外性はないものの、つぼを押さえたテクニック。 終盤の展開はあるていど予想できたが、今後ボッシュがどのような運命を たどるのか楽しみ。
「ナツメグの味」ジョン・コリア(河出書房新社) 短編集。初訪韓だが“これぞ奇妙な味!”てな感じでハマれた。 『頼みの綱』や『魔王とジョージとロージー』の世界観とか好きだわ〜。 あと本書は“悪魔との対決”ものが多いのが特徴なんだけど、 この趣旨のアンソロジーってあるのだろうか? とふと思った。 一番印象に残ったのは『遅すぎた来訪』。ある階段の絵みたいな話。 コリア他のも読まんとなぁ。
676 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/01/26(土) 22:08:09 ID:C5R8q2+3
ハリントン・へクスト「テンプラー家の惨劇」を読んだ。 本名フィルポッツことアガサん家の隣の家のオサーンの作である。 邦題から「Yの悲劇」や横溝作品の如き怪奇探偵小説を期待すると、 大きく裏切られる。 フィルポッツ名義の「闇からの声」や「灰色の部屋」を見ればわかるとおり、 決して怪奇性等を忌避する作家ではないのだが、本作ではこの手の要素は皆無であり、 また、美少女は登場するものの、時代性もあって「萌え」の強調はあり得ない。 つまり、本作の実態は犯罪小説ちゅーか、終盤の犯人の一人語りが象徴的に示すように、 犯罪者小説とでも称すべきものであり、作者の主眼は謎解きなどではなくして、 (従って、犯人はすぐに見当がついてしまう構成である) 一種特異なキャラである犯人という「人間」を描くことにあると言い得る。 (この点では、不自然なまでに謎解きに傾斜した低俗なミステリよりは、はるかに「文学」に 近いものではある) しかしながら、作者十八番の田園小説のタッチによる悠々とし過ぎた語りは、21世紀の現代に マッチしたものとは言い得ず、ある種異様とも言い得るオタを除いて到底受け入れられるものでは なかろう。
677 :
名無しのオプ :2008/01/27(日) 14:23:47 ID:O1YWk8ac
つまらん
「ペンローズ失踪事件」R・オースティン・フリーマン(長崎出版) 骨董品収集家ペンローズが黙って出かけたきり行方知れずとなった。 彼はジャンルを問わず手当たり次第にコレクションを増やしている変人で 失踪後には何者かが保管室に侵入した形跡も発見された。 捜査を始めた警察はペンローズらしき男が怪我をして病院に運ばれたこと、そして 彼の車とその車に轢かれたと見られる死体を発見するが――。 短編と違ってこの人の長編はどうも残念な印象が拭えないのだが、 今回は失踪者の行く先を突き止めるというやや異色のストーリーで 掴みはOK。しかも相手は途中でアクシデントに見舞われており、 そのイレギュラー要素を物証主義のソーンダイクがどう処理するのか? とか引きは十分にあった。ただ読み終ってみるとフーダニット興味が 弱いのと、ペンローズの事件への関わり方に不満が残った。 まあ今まで読んだ長編の内ではマシな方かな。 しかし第一部は誰に対して?
「フランクフルトへの乗客」アガサ・クリスティ(早川書房) 呑気な外交官スタフォードは空港の待合室で出会った美女から懇願され 訳も分からないままパスポートとマントを貸してしまう。そして帰国後、 スタフォードは何者かに度々命を狙われるようになる。 その背後に潜むものとは……? うわぁ駄作じゃん。巻き込まれ型はお得意のはずなのに老耄したのか。 登場人物が延々抽象的な話ばかりして事件の背景が中々見えてこない。 恐らく当時隆盛だった韜晦趣味が横溢したエスピオナージュを 意識したのだろうが“元”が提示されないからただ空白なだけ。 だからやがて背景が見えて来ても不自然な印象を受けてしまう。 そして終盤、怒涛のやっつけ展開には目が点になる暇もない。 大体タイトルからしてズレてるもん。 後この主人公迂濶過ぎ。こんな奴即クビだろ。
680 :
書斎魔神 ◆vVXVsEKCZ. :2008/02/02(土) 21:05:35 ID:q4TTE16e
A・A・ミルン「四日間の不思議」を読んだ。 喩えていえば、品が良い赤川次郎といった感がある作である。 突然な叔母の事故死、 姪っ子ジェニーのちょっとした工作により事態は警察も巻き込んで大紛糾へ・・・ 正攻法な謎解きミステリの面白さを狙った作ではないためこの点の面白さは皆無であり、 ラストも見えている。また、本格ミステリのパスティーシュやパロディとしての趣向はあるものの、 アントニイ作品のようなビターなテーストではないため、この点の刺激も乏しい。 ならば、「本作はつまらないのか?」と問われれば、「さほどにもあらず」との答えになろう。 プーさんの作者らしいミステリ仕立ての現代メルヘンと把握し、アホなねらー風に言えば マターリ、マターリ・・・とその雰囲気を楽しめばOKかと思う。 ヒロインのデンパがかった美少女(ミステリも好き(w )ジェニー、同類の友人ナンシーと アニメ化したら活きそうなキャラである。 ただし、男性キャラ陣がピザでチビの流行作家アーチボルト、 彼の弟でヒーロー役のデリク(売れない画家)も30男、殺人事件の経験不足で迷走ばかりの マリゴールド警部等、ビジュアル的には弱いものがある。 この点の修整が要(デリクをビヨルン・アンデルセン風な美少年に設定する)か。 (ただし、ジェニーがデリクに惹かれるのは父性への憧憬(父親は逝去)もありそうで、 この辺のテーマが崩れてしまうが)
681 :
書斎魔神 ◆vVXVsEKCZ. :2008/02/02(土) 21:06:17 ID:q4TTE16e
ピーター・チェイニー『この男危険につき』を読んだ。 ハードボイルド風のノワールといった感がある作、人死が多いハードな展開ながら、 軽快なタッチのため、カーター・ブラウンほどではないが、気軽に読み飛ばせる。 ということは、ハードカバーで出すまでもなく、ペーパーバックに相当する新書あたりが 作品の格・雰囲気共に妥当ということなのだが。 現代では壊滅状態とはいえ、本作の作者チェイニーと並んでフランスで人気があった ハドリー・チェイスが、本邦ではスピレインブームが落ち着いた60〜70年代において、 刊行点数(殆どが創元推理文庫)等を見ても、翻訳通俗ハードボイルドの旗手と言い得る 時代がある。これに比較して、チェイニー作品の不遇さが目立つのはなぜか? 独自性を気取った読み難い文体で、内容的には大部分が事実・資料紹介にとどまっている 解説には大きな不満が残る。(名翻訳家にして粋な趣味人である田中小実昌氏をコミさんと 書くのも頂けない。自身の分を知れという感がある) チェイスにも言及するのであれば、本邦におけるこの辺の事情に触れてこそ意味があるのである。 ここは是非、小鷹信光御大の御出馬を願いたいところだったのだが、やはり予算の関係だろうか? (なあ、筆者は氏がチェイニーに関して書いているのを目にした記憶がない)
682 :
名無しのオプ :2008/02/02(土) 21:22:06 ID:r7x3lR+3
なあw
683 :
書斎魔神 ◆vVXVsEKCZ. :2008/02/09(土) 18:22:15 ID:3125sX7L
アントニイ・ギルバート『薪小屋の秘密』を読んだ。 ヒッチにより映画化(ただし、大幅に脚色)もされたフランシスの古典を想起させる青髭もの、 幽霊話も絡ませた怪奇探偵小説風の設定が期待を持たせるが、正直言うて期待外れな作、 97年の刊行だが、この後、この著者の作品翻訳が途絶えたのは致し方あるまい。 特に作者にはサスペンス盛り上げの意図があったのであろうが、 終盤の「ひっかけ」は今時は安手のテレビドラマでもやらないネタであり、がっかりさせられること この上ないものがあった。 茶色尽くめな弁護士探偵クルックは類が無い面白く個性的なキャラだし、 アガサ・クリスティ(ヒロインの名もアガサ)の名が出たり、おなじみシャーロックの格言(?)が 出て来たりとお遊びも楽しめる面はあるのだが、いかんせんメーンとなる謎が小粒過ぎる感があり、 これで邦訳300頁以上を繋ぐのはきついものがある。 250頁前後(邦訳換算)で収めれば、もう少しシャープなサスペンス・ミステリとして楽しめるものと なったかと思う。 ヒロイン像(孤独な中年女性)をはじめ、ロンドンのハイアウォサ・クラブの面々、 バディス荘の住人、そして家政婦ミセス・ハート等の登場する女性たちの姿が活写されている点を 評価する手もあるが、(つまりミステリにしては「人間」が書けているということ。あくまでミステリに してはということだが・・・)、くどい性格描写がミステリとしてテンポを阻害している恨みもある。
684 :
名無しのオプ :2008/02/09(土) 18:41:37 ID:FzmZefy8
「そして誰もいなくなった」から「スリーピング・マーダー」まで ハヤカワ・ミステリ文庫のクリスティ作品85作を全部読破した俺だが、 確かにフランクフルトが一番駄目だった。
685 :
名無しのオプ :2008/02/09(土) 18:49:07 ID:8I+4p2WD
>>684 全部読んだわけでないけど、読んだうちでは確かに駄作。
まあその最低水準レベルでも結構楽しんで読んだのだけど
686 :
名無しのオプ :2008/02/09(土) 19:05:37 ID:mcfr50Sj
>>684 同感。
そして二番目が「運命の裏木戸」。
687 :
名無しのオプ :2008/02/09(土) 19:52:02 ID:bAM+ndSv
俺は複数の時計かな つーかクリスティスレでやれよw
688 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/02/10(日) 20:37:59 ID:90wUJtbk
ジョンスレで低評価ゆえ、久々にJ・Dカー『喉切り隊長』を再読してみた。 うーん、謎解きミステリとしてはアレだが、 (特に一見不可能犯罪に見える柵内の兵士殺しのトリックはジョンにしては単純過ぎ) 「あの男」をラスボスというオチは西洋時代小説として読めば驚愕、 かつ、楽しいものではなかろうか ただし、西洋チャンバラを目玉にした「ビロードの悪魔」等と比較して、 アランとハンスのガチンコ勝負がない点などは不満も残ろう。 アランの諜報活動にも筆を割いたジョンらしからぬエスピオナージ的要素も 色濃い作だが、このため喉切り隊長捜索はメーンストーリーのひとつに過ぎないのが残念、 ここに焦点を置き、連続殺人者が暗躍する陣営における探偵談を中心としても、 非常にスリリングな作に仕上がったのではなかろうか。 ナポレオン戦争を背景に、ボニー御本人や怪人(?)フーシェ大臣が真の主人公とも見え、 熱い男たちの葛藤に絞って書いてもOKだったような作なのだが、 「・・・薄地の絹でつくった、ハイ・ウェストの夜会服を着ていたが、その下には、ほとんどなにもつけていない・・」という状態で全編活躍するマドレーヌ(アランの妻)、 直接描写はないものの、作品中で入浴するエキゾチックな美人スパイのイダ、 可愛い系キャラのルーシー(ホープウェル夫人)、年増系美人アンジェールと 女性キャラによる彩りは満載(注 野村萬斎ではない(w ) 55年という時代の制約もあってお色気シーンは抑制気味だが、ジョンのサービス精神、 ある種の好き者ぶりが伺える。
689 :
名無しのオプ :2008/02/11(月) 10:55:15 ID:JLGk/6/9
>>683 書斎はアントニイ・ギルバートという作家が分ってないな
A・ギルバートは基本的に純粋サスペンス小説を書こうとはしていない
あくまでも本格の作家だ
ただし歪んだ展開を見せる本格だけど
「薪小屋」にしてもサスペンス小説を書こうとして後半にオチを付け足した訳じゃない
最初から前半を青髭ものに見せかけているのは計算づくで
途中から普通の本格とは違う変な物語展開をしていくというのは
この作者の得意なパターンだ
「正義の四人/ロンドン大包囲網」エドガー・ウォーレス(長崎出版) 英外相に送り付けられた脅迫状。それには犯罪者引渡法案を 廃案しなければ殺すと書かれていた。送り主は世直しと称して 世界中で殺人を繰り返すテロリスト四人組。強気にはねつける 大臣だったが、第2第3の脅迫状が舞い込み……。 多作家なのに翻訳は少ないウォーレスの新訳。何かの後書きで 本作は懸賞付で発表されたが正解が殺到して版元アボーンと 紹介されてたがそういうタイプの話じゃないっぽいが……。 狙う側と狙われる側が交互に描かれスリリングな雰囲気を 演出しようとしているが、ヘマがヘマなのかヘマじゃないのか はっきりしない書き方のためイマイチエキサイトしなかった。 ラストの殺人方法は中々良かったかな。 しかしこの当時の防犯装置ってどんな仕組みなんだろう? 本書で第1期は終了したわけだが、装丁の謎解きが載ってなかった。
「切り裂かれたミンクコート事件」ジェームズ・アンダースン(扶桑社) 映画に目覚めたバーフォード伯爵はオールダリー荘をロケ地として 提供することにした。関係者が下見にやってくる週末、ちょうど 夫人の従姉妹夫婦も来ることになり、お転婆娘ジュリーは接待役として 2人のボーイフレンドを呼ぶ。さらに土壇場の客も舞い込んで来て 館は賑やかな週末を迎えることになるが、2日目の夜、再び 殺人の幕が――。 つい2作目から読んでしまったがネタバレは……それっぽいかなってのが 1ヶ所だけ(泣。 500後半と長めで、登場人物達の行動が細かく 描かれているが、伏線の香りを撒き散らしているので冗長に感じられず むしろ読みやすかった。 終盤の展開がややあざとく感じられ、フーダニットも難易度はそう 高くないが、まとまりはあって完成度は高いと思う。 当時は有名俳優と下層階級が普通に一つ屋根の下で過ごせたのかぁ。
「死を招く航海」パトリック・クェンティン(新樹社) 病気療養の為単身客船に乗り込んだ女性記者メアリは、残して来た 婚約者宛てに日記を書き始める。微に入り細をうがったその日記には やがて恐怖に彩られた事件の顛末が綴られることになるのだった……。 パトQの初めて読む本格は書簡体小説。富豪が毒殺され、存在しない 男の影がちらつくという話。「このページには重大な手掛りが!」 みたいなヒント表示もあり(ちなみに自分は「これだ!」と思ってた所、 見事にレパルスしたorz)。他にも人物位置やコントラクト・ ブリッジなるゲームの推移が図解されているのだが、巻末のルールを みてもはぁ〜さっぱりさっぱり〜。ま、こういうのって往々にして 大雑把な理解で良いことが多い気がするけどね。 作中で強調してある様に序盤のヒントに気付くかが犯人指摘の決め手に なるわけだけれど、負け惜しみじゃないがこれどうかな〜? 翻訳のせいかも知れないがちょっと決め手としては足りないと思う。 他には日記というより手紙の束みたいだとか、その他大勢の客に 殺人を秘すのは無理じゃないかとかいう点が気になった。
693 :
名無しのオプ :2008/02/18(月) 01:15:44 ID:ZjDpa/sa
ー−−−−−−−− | │ ◎│ | │ │ | ◎ │ │ │,.‐''"´ ̄ ̄``'‐.、 ,i ノ ,-、 ,.‐, \/ i´`、 / ││ ," | ヽ , 、 | i, │ ││ | | │ ノ ) i、 L、_ / ノ ,i `-´ │ ノ ノ、 ,i´ i,- ) Λ (_ ノ Λ / つ/ ) ( /´ヽ / / |\ Λ ヽ ( ``) ``、 `、 │ |│`'‐.、 ____,.,‐''´| | │ > i'' `:、 ヽ │ | | |_ノ、ノ i_ ノ-;´ノ │ / / ヽ ヽ │ | ゙i ̄ /  ̄\ / / / / / ゙i ゙i \`、゙i/ `v´ / ノ / / ゙i ゙i ゙ヽ ゙i、 / /"´ ノ / ゙i ゙i ヽ \__/| / / / ゙i `、 ヽ.ノ ノ / ` ``'--‐''" ‐''" ボッボッボクチン♪ 書斎魔神! プ〜
694 :
名無しのオプ :2008/02/20(水) 21:34:51 ID:hI4rasKl
ポケミス板が落ちたようだな まあ作品の感想はこっちで書けばいいか
695 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/02/23(土) 23:06:51 ID:jTHfnF/I
ウィルキー・コリンズ『白衣の女』を読んだ。 ミステリというよりは「スリラー」と称すのがふさわしい作。 ジョン・スレだったか、本作を面白いとか書いている不見識な者がいたが、 大時代的に過ぎる点は致し方ないにしても、極端な偶然性(その後のストーリーに不可欠な 物語の発端からして「これ」であり、白けることこの上ない)に支えられ、 見え見えなラストに至る展開は、到底、現代人の鑑賞に堪えるものではないと言い得る。 結局、当時としてはヒーロー&ヒロインの結末は「あれ」しかないのであって、 それに至る二転三転するジェットコースター的ストーリー展開を味わうべきなのであろうか。 であるのであれば、本作を評価する輩に私は言いたい。 「富士急ハイランドのジェットコースターでも乗ってろや(w 」と。
696 :
名無しのオプ :2008/02/23(土) 23:44:14 ID:MZ9wmGPB
>>694 もう一回立ててもいいかな?
感想だけでもないし
697 :
名無しのオプ :2008/02/24(日) 00:35:36 ID:nAhfBkqN
イラネ 海外は古典もそれ以外もスレあるし
698 :
名無しのオプ :2008/02/24(日) 00:49:18 ID:VkJRNkbw
富士急ハイランドのガンダム・ザ・ライドに乗って絶叫しすぎて、 酸素欠乏症になってしまった書斎魔神w
699 :
名無しのオプ :2008/02/24(日) 09:24:46 ID:YquhWQb+
>>695 様は「結論はわかっているから読む価値なし」ってことか。
そういう頭の悪い評価しかできないから八流にも値しないんだよ君はw
それにあの程度の展開スピードがジェットコースターねえ・・・
よっぽど小説というものを読みつけていないんだな八流クンは。
それとも自分の知らない本をあっさり取り上げることのできるカースレ住人に嫉妬して
とにかく貶してやろうというミジメで幼稚な嫌がらせが目的なのかい?
どちらにせよ「白衣の女」をたった一日で読みきれるかどうか考えてからレスするべきだったねw
700 :
名無しのオプ :2008/02/24(日) 14:25:17 ID:yFOQZtHS
コピペやめろ糞書斎
701 :
名無しのオプ :2008/02/24(日) 21:17:13 ID:+kQmv7uH
「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」ギルバート・アデア(早川書房) 吹雪の山荘で雑誌記者が殺された。被害者は他のメンバー全員から 反感を買っていたが、殺人現場は密室状態であった。山荘の主人は 近くに住んでいる元警部を呼び、疑似捜査が始まった――。 舞台設定が不十分でなあ。密室トリックは取るに足らんもので、 それ以外にしてもやや大まかに言えば国内に先例がある。厳密には 違うけども、それにしたって強引で作り込みが甘い。防御のために (メル欄1)必要性が無いし、仮にあるとしても(メル欄2)なら 問題無いはず。 結局日本と違って本格がジャンルとして続いてるわけじゃなく、 時折気まぐれに書かれる程度だから全体としての精度も低く、 こうなってしまうのかも。もっとも、もっと各論的な古典と新本格との 違いに起因する問題かも知れないが。
「作者の死」ギルバート・アデア(早川書房) 名声を博した評論家の元に自伝を書きたいという女性が現れる。 自らを暴かれることに不快感を抱く評論家。そんな時、評論家の知人が殺害される事件が発生する。 何かよう解らんが究極のフーダニットととの煽りがあるからミステリーか? 事件が起こるのは半分過ぎてからだけど。 しかしこれを読んでこの作家の評価下がったなぁ。 まあ、去年出したミステリーの内容に淡い期待をしておく。
「記憶をなくして汽車の旅」コニス・リトル(東京創元社) 目を覚ました。 ここはどこ? 私は誰? どうやら汽車の中らしい。荷物を探ると数通の手紙が見つかった。 状況が掴み切れないまま私は途中で出会った親戚(?)や 偽の婚約者(?)と共にオーストラリア横断の旅を続けることに なるのだが、殺人事件が起きて容疑者になってしまい……。 44年作ということは立派な古典ですね。豪の作家と言えばヒューム、 マーシュ、アフォード、ブラウン、ロウ、ジェニングスを知ってる。 前二人未読。これを機に色々と紹介が進むと良いですね。 ただ本作の内容はイマイチでした。突端は「もうひとりのぼくの殺人」 みたいで惹かれるし、メルボルンからパースまで大平原の旅と いうのもロマンがあって良いけれども、ラストがかなり残念でした。 モロにHIBKな感じで……。それ早く言えよ!と。 いくらかあった謎が駆け足で解釈されているのも不満が残りました。 ともあれ、他作品が近刊らしいから、これ以上のものを期待しときます。
「死体が多すぎる」エリス・ピーターズ(社会思想社) 先王の逝去により後継者争いが勃発。シュールズベリの近くでも 城攻めが行われた。その犠牲者達を埋葬するべく城に入ったカドフェルは 死体の数が一体多いことに気づく。私的殺人の被害者が 紛れ込まされていたのか――。 発端の謎は良いがこれ、本来落ちなんだよなw そこから広げ様(閉じ様)が無いというか……。だからストーリーは 殺人よりも貴族の亡命に主眼が置かれているし、犯人を指摘するのも 論理によってどころか自白ですら無く唐突に決め手が出て来るという。 ロマンスについても描写不足でノれない。もっと面白味が無いとね。
「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス(光文社) 皇帝へ謀反を企んでいた貴族達の一人が殺された。容疑者は 同じ一味の家来とみられ、皇帝の密命を帯びたファルコは 地方に隠屯する他の一味へ警告するため旅に出る。 やっぱこっちのがオモロイな。カドフェルはストーリーが無い癖に 出ずっぱりだから密度が薄く感じられるのよね。その点こっちは ファルコのファルコによるファルコのための物語だからみっちり 読み込められる。 つうかヘレナタン(´Д`;)ハァハァ。 そらファルコンMにもなるわ。マルコ殿下もこの境地に到達すれば 随分楽になるのにw ぶっちゃけバカップルだと思うがそれもまた宜しからずや。 解説のラノベ作家はユマ・サーマンと言ってたが、小生は ガブリエル・アンウォーを推す。彼女正当派美人なのに何故か B級にばっか出て宝の持ち腐れなんだよなぁ。個性派と言って 不細工ばっか起用するハリウッドのフェミ偏重主義の犠牲者と言うか。 次点はシエナ・ギロリー。
「第四次元の小説」(小学館) 数学をテーマにした奇妙なアンソロジー。 文系の頭には細かい所はモンゴリアンダイナマイトだが、 大まかに見ると数学ネタありきでのアイデア小説が多くて ミステリー的にはもう一歩先の展開が欲しかったかな。
「漆黒の霊魂」オーダスト・ダーレス編(論創社) ホラー・アンソロジー。楽しく読んだ。こういうのはまずハズレがないね。 一部例外はあるけど。 一番怖かったのはホジスン「ミドル小島に棲むものは」。あと デニス・ロイド「緑の花瓶」も印象に残った。 スレッサーやボウモントも読むぞ。
「度胸」ディック・フランシス(早川書房) 若手騎手ロバートはある日同僚の自殺に出くわし衝撃を受ける。 死者には調教手との不和が囁かれていた。この事件を皮切りに他の 騎手達もトラブルに見舞われ勢いを失ってゆく。それはやがて 評判の良かったロバートの身にも振り掛って来るのだが……。 5作目にしてやっと「興奮」に近い筋立てに出会えた。ただあまりに 淡々と運び過ぎているきらいがある。もっと荒れていい。 ロマンスも大人しめで物足りないし犯行の杜惨さも気にかかる。 骨組みは良いのだが肉付けがイマイチ。次に期待。
710 :
名無しのオプ :2008/03/09(日) 17:25:12 ID:qF0qM3E+
「白衣の女」W・コリンズ(岩波文庫) これはスリラー小説であり、ミステリーとはちょっと違うけれど 広義のミステリーということでひとつ。 この小説は各章によって記述者が替わるという形式がとられており、 そのエピソードが起こったときその場にいた人物の日記や手記が用いられている。 この手法はこの作品にとってまさに最適なものであり、 記述者の感じた恐怖や危機感等が読者にダイレクトに伝わり 結末まで全く飽きさせない効果をあげている。 そしてその結末も、由緒正しき19世紀の大衆小説という感じで大へん結構でした。 ただしこの小説、良くも悪くも「19世紀の大衆小説」なので 人によっては退屈だと感じられるかもしれない。 現在のジェットコースター的スリラー&サスペンス小説に比べればやはり展開は遅いし、 ドンデン返しが乱発されるわけでもない。 しかも由緒正しき結末ということは、ある意味ありきたりでもあり、 「意外な結末」にこだわるような人はレベルが低いと見るかもしれない。 正直読書の幅があまり広くない人にはただ長いだけの退屈な代物に思えるだろう。 しかし様々な分野、さまざまな作風の小説を多く読んで経験を積み、 面白さの基準となる物差しを数多く持つようになったならば この小説を面白いと思えるようになることは間違いない。 追記 ただ「白衣の女」の正体はちょっとがっかりした。 某有名作品の某人物の正体ほど酷くはないけど、もうちょっと何とかしてほしかったかなw
711 :
名無しのオプ :2008/03/13(木) 22:36:41 ID:94TZHSld
「ホッグ連続殺人」W・L・デアンドリア まだ100ページ弱しか読んでいないけど、HOGの正体が判った、と思う。 (メール欄)だろうな。
「ブラックウォーター湾の殺人」ポーラ・ゴズリング(早川書房) 恋人ケイトと彼女の家の別荘がある島にやって来たストライカー警部。 そこには陽気だがある種排他的な人々がおり、彼らは非社交的な 新しい入居者に戸惑っていた。また、美しい画家ダリアは 別れた夫の陰に脅えており、彼女を想う保安官マットはその事に 悩んでいた。そんな中、惨殺体が発見される……。 シリーズ3作目だが、またイマイチな出来。 作者の見所たるロマンスとサスペンスが弱い。何でもっと 男女のシーンを書き込まないのか。サスペンスフルな展開もあまりなく そうなると後は本格に準拠した評価しか無くなる訳で。そうなると ろくに伏線も無い真相が不満に感じるわけで。……
「甘美なる危険」マージェリー・アリンガム(新樹社) バルカン半島にあるという小国の継承に関わる極秘任務を帯びた キャンピオンとその仲間達は継承者一族の住む田舎町へとやって来るが、 そこでは奇妙な印が散見されたり、野外で死体が発見されて しかもすぐに消えたりと不気味な現象が続発する。更に継承権を 奪おうとする悪の組織からの追っ手も現れ、彼らを阻むのだが……。 探偵ミーツ奥さんもの。出だしはやたらデカイ印象だが舞台は ほとんど田舎町から動かない。本格というより冒険小説のノリで 作者のこれまで読んだ作品の様な地味さや中途半端さは 感じられなかった。こういう作風が合ってるのかもね。 自分はいくつかの伏線(と思ったもの)から犯人の見当を付けた {(メル欄)}が考え過ぎだったみたい。これがレッドヘリングなら 凄いが。まあ違うだろう。上の「ブラックウォーター湾の殺人」と違い 舵取りが明白だからは減点対象にはならず。
「タイタニック号の殺人」マックス・アラン・コリンズ(扶桑社) 売れっ子のミステリ作家フットレルは、愛妻と共に乗り込んだ 豪華客船上で殺人事件に巻き込まれることになる。 密室状態の現場に全裸で倒れていた死体は何を物語っているのか? 直截に言ってガッカリした。自分も度々夢想していた設定だけに それなりに期待もあったのだが見事にすかされた。 古典本格の雰囲気が感じられるだけで、中身はスカスカ。謎も推理も ほとんどない。ただ順繰りに話聞いていって最後は自白させるだけ。 密室だってただのハッタリ。一瞬でもそう 銘打ちたかっただけとしか思えない不要設定だった。 解説でかなり逆褒めしていたが単純に書けなかっただけ なんじゃないかと。アンダースンはおろかアデアにも遠く及ばない。 所詮ノベライズ作家風情が分に過ぎた望みを抱いたのが間違い。 そのせいで今後この魅力的な題材は二番煎じの誹りを受けずに 使われることはなくなったし、扶桑社の貴重な本格枠も一つ失った。 この二重の浪費が二重に腹立たしい。 続編も確保しちゃったんで仕方なく期待して読む。
「ヒンデンブルク号の殺人」マックス・アラン・コリンズ(扶桑社) ドイツ―アメリカ間を航行中の大型飛行船内で乗客が忽然と 消失する事件が発生。たまたまその乗客と同室だったミステリ作家 チャータリスは船長達の要請を受け隠密捜査に乗り出すが……。 大惨事シリーズ2作目。 ちったぁましにと開いてみると章毎に二行の梗概が付せられており むむこれは力入ってまんなぁと期待して読んだらこの様。どの様? がっぽーーーん。 相変わらず推理もせんとアチコチうろつき童子でセックスしたりしよる。 いくら歴史的なことを丹念に調べたり登場人物も実在のみにしたり しても内容が詰まんなかったら糞だかんね。ハイハイボクちゃん よくできまちたね〜とでも言って欲しいのか? キモイんだよ! ただ終盤ようやっと些少な伏線を回収してそれなりに見せ場を 作ってたのは進歩とみれないこともない。 あとナチを悪者として安易なメイキングをしなかったのは評価する。 セイントの短編集出して欲しいなぁ〜論創や。
マイクル・コナリー『ブラック・アイス』 (扶桑社ミステリー1994)【8点】 モーテルの一室で発見された、ハリウッド署麻薬課の警官らしき死体。 生前の警官と面識のあったボッシュは、自分の抱える事件と警官とが関係する ことを知る。メキシコに飛んだボッシュに迫る、麻薬王のヒットマン・・・ 第一作『ナイトホークス』は若干期待値を下回ったが、二作目のこれはよかった。 死体から発見されたミバエを手掛かりに舞台はメキシコにまで及ぶが、 やや緩慢な前半に較べて後半は一気読みのおもしろさ。過度のケレンはないが、 終盤の展開も上手い。 しかし「メイクラブ」という訳語はどうにかなりませんか。
マイクル・コナリー『ブラック・ハート』 (扶桑社ミステリー1995)【9点】 左遷の契機となった4年前の連続娼婦殺人事件。ボッシュに撃ち殺されたはずの 猟奇的犯人“ドール・メーカー”から、その生存を示唆するようなメモが届く。 折りしも犯人とされる人物の遺族から告訴され、苦境に立たされるボッシュ。 ドール・メーカーは生きているのか? 模倣犯の犯行なのか? 裁判の行方は? リーガル+サイコ+犯人探しの贅沢な一冊。これは文句なしにおもしろい。 特に、“ドール・メーカー”が撃ち殺されたあとに殺害されたと思しき コンクリートの中の金髪女の遺体が出てきたりして、どう着地するのか 予想が難しい。上下巻だがハラハラドキドキの一気読みでした。 シリーズ第三弾ということで重複する登場人物やエピソードもあり、 順番に読んだほうが絶対に楽しめる。コナリーは本格好きにも受けると 何かで読んだが、その理由がわかった。単体で読むとどう評価されるか解からないが、 とにかくシリーズの先が気になる【9点】。
「フォーチュン氏を呼べ」H・C・ベイリー(論創社) 久々ライヴァルたち。 「黄色いなめくじ」や「死者の靴」等読んだが、何か毛色の変わった 作風でいまいち好きになれなかったのだが、今回も然り。 この人はあまり「隠そう」という意識が無いのではないか。 でも「気立てのいい娘」のラストや「ある賭け」のプロットは中々良い。
「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」ウィリアム・ブリテン(論創社) パロディ+αの短編集。どれもミステリーとしてはK越えしている ものの、パロディということを考えると表題作が一番印象強いかな。 まあ、これはテーマの着眼点の違いに因るのかも。 純粋にミステリーとしては「うそつき」がベスト。この真相は他に 知らなかった。 「巨匠を笑え」と読み比べてみると良いね。テーマの処理の仕方はあっちのが上やも……?
「カスに向かって撃て」ジャネット・イヴァノヴィッチ(集英社) 前回の事件以来モレリの家に同居しているステフは偶然強盗を 目撃してしまい、そのせいか凄腕の殺し屋に命を狙われることになる。 しかもこの大事な時にモレリとケンカ別れをしたステフは ひょんなことからレンジャーの隠れ家を突き止め潜伏しつつ 仕事を続けるのだが……。 ここ数年本格出したり古典出したりマルコ復活させたりと 渋い仕事をしてきた扶桑社ですが、本シリーズに関しちゃ 完全に下手を打ちましたね。不手際過ぎ。 ただ、このシリーズも10作を数えてかなりマンネリ気味。 最初はミステリー要素が勝っていたのに今ではステフを巡る イケメン二人の三角関係を誤魔化し誤魔化し書いてる感じです。 もう展開無理からなのが明らかで読んでて微妙。某ラノベの二の舞か。 この際きちっとパートナーを決めて最初の作風に回帰して欲しいです。 ミステリーとしても駄目だし、ロマンスファンにも喜ばれないと 思います。案外保守的ですからね、彼らは。
ジェフリー・ディーヴァー『エンプティー・チェア』 (2001→2006、文春文庫)【8.5点】 手術の為ノース・カロライナに訪れたライムとアメリア。地元保安官の要請で、 女性2人を拉致して逃亡中の少年の足取り調査を依頼される。土地鑑がないまま、 地元のアウトロー・反抗的な保安官らに阻まれながら捜査を進めるライムだが・・ ライム物を読むのは久しぶりのせいか、くどいほどの大小のヒネリの連続にも 素直にしめた。南部の湖沼地帯の追跡劇も、終盤のアメリアの置かれた状況も どうなることかとハラハラ(まあ、アレだからアレになるとは分かっているんだけど)。 何にも考えずにハラハラドキドキして騙されたいときにはやっぱりディーヴァーというのを 再認識。
ケン・フォレット『ホーネット、飛翔せよ』(2004、ヴィレッジブックス)【7.5点】 第二次大戦中、イギリス空軍はドイツ軍が高性能レーダーを開発し、次々と 戦果を挙げていることを懸念。デンマークにスパイ網を形成し、なんとか ドイツの軍事機密をあばこうとするが露見。窮地打開はあるデンマーク青年に双肩に・・ 史実が元になってるらしいけど、それを考慮したためか小説としてあまり必要でない 人物もちょこちょこ出てきたりして、そのせいか、やや焦点がぼやけた印象がある。 個人的にはデンマーク青年ハラルドと恋人カレンの冒険活劇として楽しめた。 ドイツの手先となるデンマーク警察のペーターとの対立もいい。 すいすい読めるが、スパイものとしてはちょっと抜けてる人が多い。 一部のアレなシーンを除けば、大人の手前の青年とお転婆お嬢さんとの掛け合いが、 宮崎駿アニメの登場人物のようだなあと思った。
723 :
名無しのオプ :2008/04/15(火) 00:53:13 ID:ezx0jxQX
ブラッド・メルツァー『運命の書』読了。 全編通して本当につまらなくてビックリした。
724 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/04/19(土) 17:55:32 ID:J7lvVg0B
スコット・スミス「ルインズ 廃墟の奥へ」を読んだ。 帯には「息もつかせぬホラー・サスペンス」と銘打たれているが、実態は秘境冒険小説と言い得る。 あの「シンプル・プラン」のスコットの待ちに待った新作(第2作)であり、前作同様にプロットは 単純ながらも、畳み掛けるような語りと優れた筆力によるリアリティに富んだディテール描写 (「訳者あとがき」に作者は舞台となるメヒコへ行ったことがないとあるのにはびっくり、 密林等秘境の描写の迫力は秀逸であり、この作家の筆力の凄さを実感させるものがある)で 読ませるものはあり、ヒーロー不在、勧善懲悪を廃した展開は同じような特色を有する ジム・トンプスンのノワール作品とも全く異なる魅力に富んではいる。 ただし、メーンな敵役(?)が50年代アメリカB級ホラー映画まがいなのはさすがに脱力せざるを 得ないものがある。 せめてSF風のオチでも付けて欲しいところではあるが、この辺はスコットの守備範囲ではないと いうことか。
725 :
名無しのオプ :2008/04/19(土) 18:26:05 ID:1mb/fucW
「堕ちた天使――アザゼル」ボリス・アクーニン(作品社) 白昼堂々起きた不可解な自殺事件。被害者とおぼしき若者は 当日あちこちで目撃されていた。事件に興味を抱いた若き警官 ファンドーリンは独自に捜査を行うがやがて国際的な謀略が 浮かび上がる――。 1作目。最初は面白味が乏しくて読みにくかったが中盤からまあ読めた。 しかし後味ワルー……。 これが話題になるんだからロシアはよくよく娯楽に飢えた国だったんだな。 でも次で化けたかも知れないので読むわ。
「ノヴェンバー・ジョーの事件簿」ヘスキス・プリチャード(論創社) カナダのホームズこと樵探偵の短編集。 期待の割にフツー。でもこれはライヴァルたちに共通して言えること。 彼らの作者たちはホームズを意識し過ぎたあまり突飛な設定に しづらかったのかも。まあともあれ、ベストは……特にないや。アハ。
「グリンドルの悪夢」パトリック・クェンティン(原書房) のどかな田舎町に起こった少女の失踪事件。それに前後して ペットの犬や猿が襲われる事件も多発する。少女の父親は真相を 掴みかけたものの殺されてしまい、またも行方不明者が……。 シリーズものは物理的にも精神的にも読めないからせめて単発の新刊は 読み逃さないようにしたいと思うけどこれイマイチだなあ。 何かたらたら読み繋いでる感じだった。もちっとピリリとした 要素が欲しい。真相も退屈だし。ただラストの( ̄ー ̄)は良い。 ひがしのりにはこういう粋は無いね。 解説読んで登場人物表は敢えて付けなかったのかなとチラリと 思ったけど、そこまでしなきゃならん理由は無いし前科もあるから 怠惰決定。ちゃんと付けろ。
「道化の町」ジェイムズ・パウエル(河出書房新社) 奇妙な味というよりファンタジー本格ミステリ短編集みたいな感じ。 表題作のみマーシィのアンソロで読んでいたが、てっきりあの世界が 舞台の連作かと思ってたら違うのね。良かったそれで。この人の 世界観は「犯人は誰だ」というアンソロジーで都筑道夫が書いた話を想起させるなあ。 ベストは表題作かな。設定がプロットに良く練り込まれてる。 次点は「アルトドルフ症候群」。これは奇妙な味としても 本格としても○。最初の「最近のニュース」も切れ味が良くて 掴みに持って来い。それから「愚か者のバス」は設定が面白かったし、 「折り紙のヘラジカ」の極めて特異な状況設定も笑える。 ただ、いくつかの話は観念的というか展開が速すぎてついていけなかった。 解説で紹介されてた短編は読みたいな。
「雨の午後の降霊術」マーク・マクシェーン(トパーズプレス) 才能はあるのに不遇を囲っている霊能力者マイアラは夫と共に 思い切った行動に打って出る。資産家の子供を誘拐し、居場所を 言い当てることで自分の評判を上げようと企んだのだ。 いくつかのミスを孕みながらも計画は進んで行くのだが――。 この瀬戸川さんの出版社は厨房時代ポール・ジェニングスの 奇想天外な短編集に嵌った時にお世話になったけど、本書が含まれる 叢書もアームストロングの作品もあり中々興味深い。 でも本作は駄目。詰まらんかった。ちょっとオチが洒落てるだけの代物。 読んでて退屈だった。大して長く無かったから良かったけど。 甚一さんは罪なお人でありんすなあ。うじ虫もこんなんなら読まんわ。
リチャード・ノース・パタースン『サイレント・ゲーム』(上下) (2003→2005、新潮文庫)【8.5点】 恋人殺害の容疑者として地元から孤立したため、故郷を捨てたトニー・ロード。 親友サムが少女殺害の容疑者として苦境に立たされたことを知り、28年ぶりに帰郷。 弁護を進めながら、親友の言動に違和感を覚えるトニー。事件の真相は? そして28年前のあの夜、一体何が起こったのか・・・? 一応続き物らしいけど、本作だけでも特に問題なし。第一部のトニーやサムの 青春時代の物語はややスローペースだが、このときの人間関係が裁判シーンに 深く関係してくる。人種・宗教問題をからめながら、事件は混迷を深めていく。 事件としてはシンプルながら、親友に疑惑と後ろめたさを抱きながら弁護する、 弁護士トニーの苦悩と葛藤が読みどころ。とにかく一気読みのおもしろさ。 ラストの展開・真相にはちょっと物足りない点もあるが、満足できる読書。
リチャード・ノース・パタースン『ダーク・レディ』(上下) (2004、新潮文庫) 【8点】 麻薬犯専門弁護士が、女装・倒錯性行為の首吊り死体で発見される。 元恋人の検事補ステラは、人種問題・市長選挙戦に絡む別の殺人事件を追いながらも、 市中を牛耳る麻薬王らの犯罪事件に巻き込まれていく・・・ 『サイレント・ゲーム』で敵役をつとめた検事ステラ・マーズが主人公だが、 本作では作者お得意の法廷シーンはなく、後書きによれば「ポリティカル・サスペンス」。 市長選挙・人種問題・雇用問題・新球場建設問題など、やや固いテーマが出てくるが、 元恋人の謎の死をめぐるサスペンスはこれまでどおり。 ただ本作は、旧作にもましてスロースターターであり、上巻はやや退屈さも覚える。 もっとも下巻ですべての情報がひとつの犯罪に結びついていく手腕は健在で、 とくにあるビデオが登場する第4部の展開はページをめくらずにはいられない。
ヘニング・マンケル『殺人者の顔』(2001、創元文庫)【8点】 外国移民排斥の気運高まる90年代、スウェーデン南部の寒村で発生した老夫婦殺害事件。 虫の息の老妻が遺した「外国の……」という言葉と、見慣れないロープの結び方に 警察は戦慄する。さらに何者かに無関係の移民が殺害され、警察当局は苦境に立たされる・・ ここ数年気にはなっていたヴァランダー・シリーズの第一弾。 老夫婦の殺害が明らかになる冒頭ですぐに物語に引き込まれた。 やもめで中年の主人公のキャラや新任の美人検察官などキャラの配置はさほど目新しくなく、 事件の捜査も堅実で、地味な印象はぬぐえないが、読みやすい訳文もあいまって、一気読み。 もっとも事件の解決も真相も「けれん」は少なく、ちょっと物足りない気もするが、 それまでの地道な展開もあいまって「まあ現実はこんなもんだよな」と納得はいく。 本国では10年以上前に全9作で完結しているようだけど、これはぜひ読まねば。
734 :
名無しのオプ :2008/05/08(木) 12:42:55 ID:bL0xVrIQ
マンケルジャクソン
735 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/05/10(土) 16:32:40 ID:S2aiBuHJ
デズモンド・バグリイ「高い砦」を読んだ。 ハイジャックされアンデス山中に墜落した飛行機の生存者たち、 乗客のひとりである政治家(前大統領)の命を狙い一行への襲撃が繰り返される・・・ 反共的描写や南米のルーズな面に対するシビアな視線は、いかにも60年代の英国作家の手に なるものらしく、CIAに対する好評価など、その後(70年代以降)の国際情勢を見ると、 今では疑問に感じざるを得ないような面も多い。 まあ、この辺はスパイ小説でないから大目に見るとしても、 過去に非常に面白く読んだ記憶があったわりには、再読してみてガク−リという作であった。 中世風の手作りの武器(クロスボウ、カタパルト等)で迫り来る共産軍に対抗というメーンの アイデアは面白いのだが、今読むとそれだけで、ストーリーは御都合主義のヒーロー談に 過ぎないという感が強く、最初は少したそがれた感がある主人公オハラがランボー化してしまう 終盤は白けることこの上ないものがある。 救援を求めるため峻険な山越えに挑む副主人公格のフォレスターとローデの冒険談も、 マクリーン等と比較すると、デイテール描写が弱いのも難だ。 今時、これを読んで喜んでいるのは、深夜アニメを見呆けているオタぐらいなものであろうかと思う。
ヘニング・マンケル『リガの犬たち』(2003、創元文庫)【7.5点】 漂着した救命ボートから、外国人の男2名の銃殺死体が発見された。 やがてラトヴィア警察に捜査権が移った矢先、思わぬ別の殺人事件により 警部ヴァランダーはラトヴィアのリガに赴くことになるが・・・ スウェーデンのヴァランダー・シリーズ第二弾。冒頭の引き込みは前作同様、上手い。 前作が地元の殺人事件に対する地道な捜査・推理がメインだったのに対し、 本作は独立直後の共産国ラトヴィアの警察や犯罪組織との駆け引きが中心となる。 後半のリガへの潜入・逃避行なんかはそれなりに手に汗握るんだけど、 事件の黒幕候補が限定されてるせいか、「警察による捜査・推理」の要素は薄く、 そこを期待してたのでちょっと残念。さくさく読めたことは読めたんだけど。 あと、リエパ中佐との交流ももうちょっと書き込んでくれれば説得力増したかな。 ところでヴァランダーが前作同様、異様に惚れっぽいところと、 彼が警察署史料庫のゴミ箱に「残してきた」○○○の行方が気になる。
737 :
名無しのオプ :2008/05/11(日) 23:10:24 ID:+jz8T0pJ
「治療島」セバスチャン・フィツェック 読了 これくらいのどんでん返し、国内ミステリではよくあるじゃん こんなんでドイツではベストセラーになっちゃうんだなァという感想
738 :
名無しのオプ :2008/05/12(月) 00:00:37 ID:UkVSX+fH
別にどんでん返しだけで評価されたわけじゃないだろうに 737は本格ファンなのか?
739 :
名無しのオプ :2008/05/12(月) 10:02:45 ID:cHRtuu4q
どんでん返し=本格という発想
740 :
名無しのオプ :2008/05/12(月) 13:21:43 ID:XkwUILWV
どんでん返しだけで小説が評価されるわけじゃないからなあ。
>>737 の理屈だとカラマーゾフの兄弟も『この程度の謎解きなんて国内ミステリならざらにある。
こんなんでロシアでは文豪扱いなの?』ってことも言えてしまうわな。
741 :
名無しのオプ :2008/05/12(月) 21:54:21 ID:fNNczPJt
>>739 どんでん返しの巧拙だけで作品を評価するのは本格ファンが多いけどな
742 :
名無しのオプ :2008/05/13(火) 22:03:00 ID:9vERRO4o
現代海外ものを読むと 日本はミステリ先進国だなァと思う
「査問」ディック・フランシス(早川書房) 大方の予想を裏切りレースで2着になったケリイは八百長の疑いを かけられ査問会で免許停止処分を受けてしまう。何故か自らに不利な 証言や証拠が次々と現れたのだ。納得の行かないケリイは 不信と軽蔑の眼差しに耐えながら自分を陥れた人物を突き止めようとする。 これも前回の「度胸」と同じく「興奮」の系譜に連なる正統な ディスられもの。査問会のシーンなんか良い感じに煽ってくれます。 そして巻き返しが始まるわけですが、段々と復讐が尻すぼみに なっていくのは少し残念かなあ。敵の情状を酌量しちゃうとどうもね。 でもやっぱり主人公はカッコイイす。 しかし競馬界ってやなとこだなあ。特に馬主とはあんまりお友達に なりたくないや。
744 :
名無しのオプ :2008/05/15(木) 23:09:45 ID:1XqTGOyW
>>742 本格・変格モノに限ればそうかもね。特に変格は。
ハードボイルドやノワールとかエスピオナージュだとつらいけど。
ただ女性作家の本格はイギリスに負けてるな。
745 :
名無しのオプ :2008/05/16(金) 20:20:12 ID:TVy24JI9
あんなやつらに勝てるかよw
「ランドルフ・メイスンと7つの罪」メルヴィル・ディヴィスン・ポースト(長崎出版) 弱気を助け悪事を奨める弁護士の暗躍を描く連作短編集。 いやぁ待ってました! どう凄いのか読みたかった。確かに狙いは面白い。 話のパターンとしては、悪人というより心の弱い人に泣きつかれた メイスンが法の抜け穴を潜れる悪事を紹介してやるというもの。 冒頭の「罪体」は模倣犯が頻発して法改正に繋がったくらいと聞いて 楽しみに読んだだが、感想は絵空事だなという印象。このやり方によって 刑事は免れても民事で損害賠償されたり、罪名を切り換えて 逮捕されたりしそうだし、そもそもこんなにきっちり法律は 運用されて行かないよ。キムラ弁護士に読ませたら何ていうかな。 しかしアブナー伯父と対決したらどっちが勝つかな。あの人あんま 法律に忠実じゃなさそうだが。
「ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎」アントニイ・バークリー(晶文社) 従弟のアントニイと休暇旅行を楽しんでいたシェリンガムは 急遽新聞社の特派員としてある事件現場に赴くこととなった。 ある女性が崖から転落したのだが、その手には他人の服のボタンが 握り締められていたのだ。単純に見えても裏があると睨むシェリンガムは ヤードの腕利きモーズビー警部とある時は協力しある時は競いながら 真相を暴き出そうとする。 第3弾。頭は切れるが補正はかかってない探偵と、優秀な警官と、 お約束の騎士道精神に骨の髄まで毒された助手が 事件を蚕食していくと、そこには捻れが産まれ歪みが産まれ面白くなる。 やっぱバークリーはブルースより凝ってるね。良いのう。 でも、指紋調べりゃ解るんじゃないか?
748 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/05/18(日) 17:18:09 ID:xG/PLxMd
W・H・ホジスン「幽霊狩人カーナッキの事件簿」を読んだ。 勘違いして「おれだけのナッキーキター!!」とか絶叫したアホなミステリオタもいるかも、 ナッキーにあらずカーナッキである(w 全10編を読破した感は、天才ラブクラフトとの差を痛感した、というのが正直なところか。 ゴースト・ハンターものに限定しても、レ・ファニュ、ブラックウッドにも遠く及ばず、 低評価のクインとどっこいどっこいといったところか(どちらも独自の読み難さがある。 ホジスンはくど過ぎる感がある情景描写、クインはレトリックを多用した文体) 収録作品中、格別推すべきものは見当たらないものの、 カーナッキがママンと同居していた頃の怪異談「角屋敷の怪」は、 リットン卿の古典を想起させるオーソドックスな設定と展開なので、怪奇小説好きは一読してみても よかろうかと思う。 海洋怪談の名手というイメージがあっただけに、カーナッキが最後にトンデモ理論こねまくりな 「魔海の恐怖」には失望、同様にホジスン版「エクソシスト」という感がある「異次元の豚」には さらにパワーアップした同様な欠点があるため、「笑い」狙いでない限り読むのが厳しいものが あろうかと思う。実質的にシリーズのとう尾を飾るべき作で、これはなかろう。
749 :
名無しのオプ :2008/05/20(火) 01:47:48 ID:EFCJXYmj
>>736 >彼が警察署史料庫のゴミ箱に「残してきた」○○○の行方が気になる。
むかし「リガ」は読んだはずだけど、記憶にないな。
そんな印象に残るシーンだっけ。
750 :
名無しのオプ :2008/05/21(水) 03:53:31 ID:JTbePRV6
> 勘違いして「おれだけのナッキーキター!!」とか絶叫したアホなミステリオタもいるかも …
「チックタック」ディーン・クーンツ(扶桑社) ヴェトナム系アメリカ人のミステリー作家トミーは、深夜に帰宅した直後 玄関で奇妙な人形を発見する。それを居間に持ち込んだトミーだったが、 やがて人形が暴れ出し彼は家を脱出。途中で出会ったウェイトレスも 巻き込んで真夜中の逃亡劇が始まった! 初クーンツ。ハサミ男がスクリューボール・コメディだと言うから 読んだ。確かに途中から登場するエキセントリックなヒロインは かなり良いキャラクターで、二人の掛け合いも悪くはないのだが、 後半詰めが甘い。スクリューボールを標榜するのならもっと他愛もなく はっちゃけて欲しかった。真相も雑。 まあ読み捨てレベルかな。後どうでも良い誤りが2つ。 ガリバーは船医だし、「X-ファイル」を観ていたなら UFOを知らないはずはない。
752 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/05/25(日) 21:30:49 ID:FGNBHmEn
ミシェル・ビュートル「時間割」を読んだ。 新書ミステリに読み耽るアホなミスオタには無縁なミステリ的趣向に富んだ「文学」がここに1冊 あると言い得る。 霧と煤煙の町ブレストン(架空の町である)を舞台にした主人公ジャックの 肉体的及び精神的彷徨を謎の殺人事件を絡めて描き、最終的に「人間存在」というものを 問い詰めた作である。 文学板にさえ、本作及びこの作者のスレが存在しないのが2ちゃんねるの知的レベルの限界と 言い得るし、バイブル(ケインとアベル)とギリシャ神話(ミノス宮殿の冒険で有名なテセウス神話) を創作モティーフとした構成は、アホなミスオタには本作への敷居を高くしてはいるが、 まあ、本作を「読み得た」段階では全ての「ミステリ」を焚書し、訣別すべきであろう。 そして新しい道へ・・・ ただし、邦題は直訳とはいえ、内容的にはいまいち感があり、 内容的には「割れた時間」とた方が良かったと思われ。
「検死審問―インクエスト―」パーシヴァル・ワイルド(東京創元社) 大勢の客が招かれた人気作家ベネットの館で起きた殺人事件。 村では検死審問が開かれ、検死官と陪審員達が死因を特定するため 証人達から話を聴いていくのだが……。 かつて自分で勝手に『裁判3部作』等とくくっていたミステリーが ありました。『ベラミ裁判』『法廷外裁判』『検屍裁判』の3作で、 本書を読んだことにより全て読破しました。 面白さは、2>3≧1かな。こういう法廷劇っていうのは大体 似たり寄ったりの作りになるから数読むと天井が出来てしまうんですが、 それを打ち破った『法廷外裁判』は傑作と言って良いと思います。 閑話休題。本書も定石通りには面白く、殊に証人の一人である 芝刈り爺さんの語り口は読んでいて引き込まれました。 検死官と陪審員のやり取りがもっとあれば良かったのですが、 それは次作に期待します。 ガチの本格も読みたいな♪ それにしても敏弥はウハウハですね。
754 :
名無しのオプ :2008/05/28(水) 19:12:02 ID:Xf8C6c8g
「治療島」読んでるが挫折しそうだ…
「シロへの長い道」ライオネル・デヴィッドスン(早川書房) イギリスの言語学者カスパーはイスラエル大使館からの要請を受け、 現地へと赴く。そこで伝説の燭台の隠し場所を示す巻物が 見つかったのである。早速解読を試みるカスパー達だったが、 状態が不鮮明なことに加えて内容もいまいち要領を得ない。 隣国ヨルダンも同じ宝を目指しており、カスパーは助手として付けられた 女性将校と共に必死にイスラエルを駆け回るのだが……。 筋立ては良いと思う。巻物の謎解きや警備兵からの逃避行など スリルがある。ただ、ストーリーテリングが今一つ。所々文章の 繋がりが解りにくかった。 ヒロインとの交情について途中までは丁寧に描かれているのに いきなり表現をすっ飛ばす様にして進展させてしまうのは如何なものか。 キャラクターが一致せず戸惑った。主人公が女たらしなのもマイナス。
ジェフリー・ディーヴァー『石の猿』 (2003→2007、文春文庫)【8点】 蛇頭“ゴースト”の密航船がニューヨーク近海で爆破され、複数の密入国者が 上陸。“ゴースト”は逃げ出した密入国者を追い詰め、次々と殺害していく。 果たしてライムは“ゴースト”に先んじて密入国者の居場所を発見できるのか。 ライムシリーズ第4弾。ライムを「ラオバン」と呼ぶ中国人デカという魅力的な 脇役も出てきて、雰囲気や状況設定はいかにも映画っぽいんだけど、 前作『エンプティー・チェア』の連続ヒネリが印象強すぎて今回はやや拍子抜け。 取材もよくしてあると思うし、読めば十分におもしろいんだけど、 1〜3作と較べるとやや劣るかなあ。ディーヴァーへの期待値が高すぎるというのもあるけれど。
「バラントレーの若殿」ロバート・ルイス・スティーヴンスン(岩波書店) スコットランドの名門貴族デューリー家の次期当主ジェームスは 来るべき戦乱に身を投じ生死不明となる。やがて弟のヘンリーが 当主となり、兄の婚約者であった親戚のアリスンと結婚するのだが、 その一年後驚きの報が届く。ジェームスは生きていたのだ! そして運命は兄弟を対決へと導く――。 これ粗筋をみて序盤を読み始めた時に詰まんなそうと感じた。 だって兄貴が悪で弟が善なんだもの。何か座り心地悪そうな展開に なりそうじゃない? ところが! 読み進める内に徐々に 面白くなって来る。悪党兄貴の大胆不適な冒険譚とか、割と早くに起こる ガチンコバトルとか、そして物語は更にそこから新展開を見せていく。 メインの語り手たる執事のキャラも良い。 まあ傑作という訳じゃないけども、時代もの嫌いじゃないなら読めば。 あと登場人物がやたら叫ぶのは気になった。貴族は声を張り上げるもの なのか?
「ミステリ・リーグ傑作選 上」エラリー・クイーン他(論創社) たった4号で廃刊しちゃったという幻の探偵雑誌のダイジェスト復刻版。 クラシック新刊スレでは前評判悪かったみたいだけど、 どうしてどうして。クイーンのエッセイあり奇術の種明かしあり 投稿欄ありの中々バラエティに富んだ内容で結構楽しい。 中でも「パズル・デパートメント」の第3問、「フーディーニの秘密」、 クイーン好み、読者コーナー等が良かった。 ただ収録短編に関しては正直どれも今一つ。強いて挙げれば 「偉大なるバーリンゲーム」(ジョン・マーヴェル)くらいか。 しかし、ロスをベタ褒めしてるのはどうなんだw。推理クイズ大百科には リーとダネイがお互いマスクして貶しあったと書かれていたが……。
759 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/01(日) 00:19:50 ID:To8SA5DC
アゴタ・クリストフ「悪童日記」を読んだ。 双子の少年が主人公ということもあって、ジュブナイルまがいの健全な物語ではという先入観から 手付かずにしていたのが後悔される、正に一気に読ませる面白さ、 第一級のピカレスク小説と言うても差し支えない。 訳者あとがき(にかえて)にもあるとおり、 「子供を主人公としているけれどもハードな(「子供には読ませられない」)冒険小説とも見なすこと」 が出来得る作である。 第2次大戦末期、ハンガリーの小村を舞台に、夫殺しの噂がある魔女と呼ばれる老婆に 預けられた双子の兄弟が戦下の中を力強く生き抜いてゆく、と書くから「誤解」生じてしまうのだが、 この「力強く」がクセモノ、力強過ぎるというか(w 230頁強の中に、のぞき、恐喝、略奪、セックス、スカトロ、レイプ、殺人・・・人間の負の生き様が これでもこれでもかとばかりに詰め込まれ展開され、 正に「文字どおり」、両親の屍を乗り越えて生き抜いてゆく兄弟・・・ 内容と対照的に兄弟による日記という形をとる飄々、かつ、ユーモラスな語りが陰惨なイメージ を与えず、ファンタジックなイメージを醸し出す効果を上げているのも巧い。 しかし、「この親にしてこの子あり」とは言うが、本作は「この婆にしてこの孫あり」という感がある。
760 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/01(日) 00:20:33 ID:To8SA5DC
カズオ・イシグロ「日の名残り」を読んだ。 おなじみジーヴス・シリーズを執事ものに関するポジとすれば、ネガのような印象の作。 気がのらず長年手に取りかねていた1冊なのだが、血生臭いだけのミステリでは絶対に 味わえないしみじみした余韻が残る作、やはりブッカー賞受賞は伊達ではない。 ただし、刊行当時ではなく、良質なワインの熟成を待って寝かせておくが如く、 今読む方が感慨が深かったのではという感がある。 2回の大戦時に国際政治の舞台裏で活躍したダーリントン卿に仕えた執事スティーブンス、 その卿も亡くなり、今では邸宅はアメリカ人ファラディの手に渡った。 好人物ではあるが、あまりにアメリカ的な新しい主人に言い知れぬ違和感を抱くスティーブンス、 昔の同僚であるミス・ケントン(旧姓)から来た手紙を契機に、休暇を取り、 つかの間の自動車旅行に出るのだが・・・ 優れた作家に多い秀逸な情景描写、 カズオ(以下では「カズ」と略す)の場合は英国の田園描写、邸宅内の描写等は臨場感に溢れ 本作の魅力を高めるものとなっておる。 ミスオタには、英国の探偵小説では風景の一部と化している感がある「執事」についての知識 を深めるためにも一読を薦めておきたい(十二分に心して読め!!) しかし、あらためて30半ばにしてこの枯れた名作を書き得たカズオの力量には驚かざるを得ない ものがある。 「The Remains of the Day」を「日の名残り」と訳した邦題の妙にも感心、 本作のテーマを表して実に的確である。
761 :
名無しのオプ :2008/06/02(月) 10:31:05 ID:vKuSHdaO
>>753 自分で勝手に『裁判3部作』等とくくっていたわけだから
他人がどうこう言う筋合いではないかもしれんが
「検死審問―インクエスト―」はそもそも法廷での検察側と弁護側の
丁々発止のやりとりを繰り広げる場面とかを最初から狙ってないし
裁判小説でさえないかもしれない
検死審問は日本では馴染みの薄い制度だから分り難いが一般の裁判とは違う
それと挙げてるその三作『ベラミ裁判』『法廷外裁判』『検屍裁判』だけど
セシルは書かれた時代がずっと後で有利だから比較するのが不公平
デビューが1961年でもう法廷ものが書きつくされてそれを承知で書かれてるわけだし
『ベラミ裁判』『検屍裁判』と比べるなら書かれた年代を考えても
レイモンド・ポストゲイトの『十二人の評決』あたりの方が妥当だろう
「ミステリ・リーグ傑作選 下」エラリー・クイーン(論創社) 本書の目玉は「角のあるライオン」(ブライアン・フリン) でありましょう。 毒殺された上全身に切傷や骨折のある死体が2体次々に発見される。 被害者同士の繋がりは見えて来ず、捜査が難航している間に 第3の被害者が密室で殺される。一連の事件の陰に潜む 角のあるライオンとは一体――。 密室トリックは捻ってるとは言えショボいし、ミッシングリンクも 捜査ですぐ判りそうなものだと思いましたが、プロットは中々複雑で 読ませます。フーダニットもまあまあ。解説で触れられている ミスリードも巧いです。 ただ疑問点が2つ。何故弁護士の前で漏らしたのか、と、 何故葬式に行った(を知った)のか、です。 もう一つ収録されている「蘭の女」(チャールズ・G・ブース)は、 人気女優の誘拐事件を追う私立探偵を描いたハードボイルド。 本格味もあり良くまとまっています。ただ最後の1行は蛇足かな。 他の2長編もいつか読みたいです。
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス(光文社) 皇帝からの依頼にうんざりしていたファルコは久々に民間の依頼を 受けることに。その内容はある女性に纏わるもので、彼女がかつて 3人の夫を亡くしているという件につき調査をするというものであった。 折しも思わぬ臨時収入を得て上機嫌のファルコは恋人ヘレナとの 未来を夢見つつ、調査を進めていく。 シリーズ3作目。毒殺事件が絡んでちょこっと本格風味も。 セクシー熟女はハァハァしそう和気藹々の家族パーティーは楽しそう 料理も美味そうヘレナとのシーン……はもうちょっとツンだくでお願いします。 後いくらとか巻末に残額が表示されたりすると面白いかも。 増えたり減ったりしてね。 それしてもこの頃は皇太子と下層階級が交われる時代だったのかあ。
「残酷な童話」チャールズ・ボウモント(論創社) 奇妙な味の短編集だが、ジミー佐古田な印象。似通ったテーマに 基づく話が多くてバラエティ不足に感じた。1話目2話目読んだ時点では 期待したんだけどそこから先に繋がるものが無かった。 ベストを挙げるなら……表題作かなあ。
「リヴァイアサン号殺人事件」ボリス・アクーニン(岩波書店) パリのイギリス人富豪宅である夜在宅していた当主含む10人が 殺されるという事件が発生した。被害者が握り締めていたバッジから、 犯人はこの度処女航海に出る豪華客船リヴァイアサン号に乗るとみた パリ警視庁のゴーシュ警部は自ら船に乗り込み犯人を捕まえよう とするが――。 シリーズ3作目。飛ばしたのは作者の意向らしいがそういうお節介は 御無用に願いたいところ。 こないだとあるノベライズ作家が勘違いして書いたしょうもない 船上ミステリを読んじゃったもんで少々不安だったが、本作はちゃんと ミステリ仕立てになってて一安心。登場人物達が交替で視点になって 進んでいく手法も良い。 ただ、論理が弱い。警部も探偵役もいわゆる “ホームズ型当てずっぽう推理”だから余詰めが出来ていないため 説得力に乏しく作品のリアリティを欠いている。 でも宝物を示す暗号は面白かった。 疑問は2つ。125ページのある回答が回答になっていないことと、 (メル欄)を見つけたという場面が見当たらないこと。 ついでに何で帯が高村薫? この人ミステリーもあんま好きそうじゃない のに本格とか今までにちゃんと読んだことあんのかと思ったら 案の定惹句にもそれが表れてる。グランド(笑)・ミステリーだの ロシアで甦っただの、本格は日本でとっくに甦っとるわい。
766 :
名無しのオプ :2008/06/11(水) 04:51:59 ID:/tQbr+KO
「杉の柩」アガサ・クリスティー ポアロ18作目。 叔母ローラ・ウエルマンから莫大な遺産を受け継いだエリノアは、 ウエルマン家の門番の娘メアリイ・ジェラード殺害容疑によって起訴され、裁判にかけられることになった。 全ての状況が彼女が犯人であると示すなか、ある男がポアロにエリノアの無実を証明してくれるよう依頼する。 メアリイが死ぬまでの経緯を語った第一部、ポアロの調査を描く第二部、真相解明の第三部の三部構成となっている。 プロローグ以降第一部が終わるまでの150ページ近くは、ポアロが出てこないので人によっては退屈かも。 だが、第一部の登場人物の恋愛や遺産相続をめぐる人間模様はなかなか面白く、それがどのような形で プロローグで読者に突きつけられたメアリイの死に結び付くのか?と、ワクワクさせられる。 地味かもしれないが、面白さがジワジワと来る佳作。ただ、恋愛小説とか苦手な人にはむかないかもしれない。
767 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/14(土) 23:07:59 ID:QEzsIFIz
ジェイムズ・エルロイ「ブラック・ダリア」を久々に再読した。 (ハードカバー刊行以来ではなかろうか) 50年代LAにおける現実のお宮入り事件を題材に、 ミステリとして終盤で二転三転、後のサイコ・ミステリのムードもあって面白くないわけではないが、 暴力的で暗く陰惨で重い展開は胸焼け寸前といった感がある。 主人公はボクサー上がりの警官ブライチャート(出っ歯という設定が異色)、 同じくボクサー上がりでブライチャートをKOしたこともある相棒のブランチャード、 彼の恋人で犯罪者とのつきあいもあったケイが大きくストーリーに絡んで来る。 こう書くと、タフなハードボイルドタッチの警察小説を想起してしまいがちであるが、 (そのテーストは無きにしもあらずだが)、そこはエルロイ、 事件捜査に入れ込むあまりにブラック・ダリヤごっこ(読めば自明)にまで走ってしまう ブランチャード、幼少時に失踪(悲惨の結末が予想される)した妹のトラウマに囚われ暴走 してゆくブランチャード等々、他に登場する刑事・警官たちの行動も含めて、 そこには汚れた街をゆく孤高の騎士の姿には程遠く、87分署シリーズの刑事たちのような 律儀な職業観のようなものも全く感じられない。 つまり、肉体的にはタフな彼ら自身の心がもろく、病んでおり、この「闇」を作者は容赦無く抉って ゆく。時代もLAの街も病んでいた時代、定期的にエルロイ作品を再読してゆくつもりだが、 La四部作の冒頭を飾る本書だけでもお腹イパーイ感が無いでもなく、 書評家の「業」というものに考えを致す今日この頃である。
「絞首人の手伝い」ヘイク・タルボット(早川書房) 嵐の夜に孤島の館で起きた怪死事件。晩餐の席上で弟と口論をしていた 主人が呪いの言葉を投げ掛けられた途端、倒れたのである。 しかもその遺体は数時間の内に腐敗してしまう。それは呪いの力なのか? 中々楽しめた。上記の謎の他にも秋山みたいなヌルヌルの怪物が 跋扈してたりそれが密室で消えたり細かな伏線もあったり盛りだくさんで 久しぶりにメモしながら読んだ。仮に最後に萎むとしてもこの過程の ワクワク感はプライスレスだと思うなぁ。この人は「魔の淵」も こんな感じなのが 良かった記憶。フーダニットもフェアでは無いかも知れないが 盲点を突かれた思いがした。密室トリックはあまり感心しないが その周辺のある出来事の真相が秀逸。 ただ真相の一部にやや無理があるように見受けられた。 それにしても引用や比喩や掛詞を一々広い上げるのって大変だなぁ。 そういう推理の筋道なんかも特集して欲しい。いつかどこかで。
「十二人の評決」レイモンド・ポストゲート(早川書房) 莫大な遺産の相続人である少年とその後見人である義理の叔母との間に 起こった殺人事件。その裁判の為に集められた十二人の陪審員。 様々な人生を歩んできた彼らが議論の末に辿り着く結論とは? かつて自分で勝手に『裁判4部作』等と(ry そう言えば内3作は乱歩のベストテンに入ってますね。 最初にこのタイトルを知った時はてっきりあの映画の原作かと 思いましたが違いました。 まず、12人の爲人を丁寧に語っていき、それなりに各人の バックボーンを描いてから事件の概要が語られます。この流れは 良い趣向だと思うのですが、後がいけません。肝心の議論がとても短く、 ざっと各々の所見が述べられただけで強引にまとめに入ってしまう からです。前半あれだけページを割いて陪審員達の描写をしたのだから それを活かしてアクの強い議論が展開するかと思いきや、あっさり すかされてちょっとがっかりしました。オチもあまり ピンと来なかったです。 冒頭の言葉はある意味読者への挑戦かな?
770 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/16(月) 00:13:21 ID:4uyW66sG
アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」「第三の嘘」を一気読み、 いずれも前記した傑作「悪童日記」の続編で3部作を形成するものである。 第1作の「?」を感じさせるラスト(国境での別れ)の謎解き、 第2作でストレートな叙述トリック(ミステリ読みには何となく予想がつく展開ではあった) と思わせて、第3作でもう一捻りしエンディングとなる。 両作品共に世評は高く、確かに面白く人間も描けているとは言える。 ただし、結論から言えば、寓話的ピカレスクを貫徹した点に魅力があった第1作 「悪童日記」の世界観を壊す形になっているのが、何とも残念、 作者はあるインタビューでは、当初からは続編の構想は無かった旨を語っており、 第2作、第3作が存在しない「形」も文学的に十分に有り得たのではないか。 ミステリタッチどころか、3部作として読めば「ミステリ」そのものであるが、 原音ではあのミステリの女王に類似した発音となる作者の手になるミステリの「つまらなさ、 限界」を示唆した作とも読めるのがシニカルだ。
「ヘラクレスの冒険」アガサ・クリスティ(早川書房) ヘラクレスの難業に見立てた連作短編集。最初は割と単純な筋だが 中盤から捻りが効いてくる。鳥、馬、牛辺り。鹿は先輩作家の某短編を 意識しながら書いたのかも。良い。
「棄ててきた女」アンソロジー/イギリス篇(早川書房) アメリカ篇に引き続き詰まらない。SFにウェイトを置いたりだの 敢えて選んだりだのアンソロジーの私物化も甚だしい。 確かにオリジナル版の方にもSFはたくさん入ってますよ。しかしね、 あくまで娯楽として面白いのが大前提だし、それに本を開いて 最初にカプセル怪獣が目に飛び込んで来たら軽く失望するよ (もっともその話自体は比較的マシだった)。無理に鶴を探すとすれば、 「何と冷たい小さな君の手を」(ロバート・エイクマン)かな。
773 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/21(土) 13:42:02 ID:UlievxCU
ジョン・ル・カレ「パナマの仕立屋」を読んだ。 英国秘密諜報員が名物男ともいえるパナマの仕立屋へアプローチ、 彼氏の触れられたくない過去と金銭的な窮状につけこみ間諜に「仕立て」あげるのだが・・・ 刊行当時はタイムリーだったパナマ運河返還ネタ、ベルリンの壁崩壊、ソ連解体等 東西冷戦の完全終結により、今後のスタンスが注目されたスパイ小説の大家の手になる作、 このミス等でも高評価(大家への御祝儀の意もあったか)であったが、 結論から言えば、長過ぎ、地味過ぎ、ネタに馴染み薄過ぎ等で日本人には面白くない。 運河返還に絡んで日本人暗躍エピが登場するものの、メーンキャラで日本人が登場するわけ でもなく添え物に過ぎない感があるし、そもそもパナマはキューバあたりよりも更に日本人に とって遠い存在であり、帽子・運河・ノリエガ程度しか思い浮かばないのが通常であろう。 この国と複雑な利権絡みの歴史を持つ英米とは大きく事情が異なるのである。 また、ネタそのものはともかくとして、じっくり書き込み過ぎる点も現代スリラーには不可欠とも言い得るテンポを欠く因となっており、ル・カレが「古い作家」であることを実感させてしまう。 時代に迎合する必要はないが、ある程度は時代に合わせるのもプロのエンタメ作家のなすべき 仕事かと思う。更には読み辛い翻訳も難。
774 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 17:39:03 ID:4kI1UKM7
書斎と読後感では雲泥の差があるな。もちろん書斎の勝ち。
775 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 17:40:16 ID:BnPpK326
どう見ても書斎のほうが屑でしょ。
776 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 20:02:23 ID:3qo0iFVr
>>773 僕の読後感とだいたい同じなんだけど、ただひとつ、「読み辛い翻訳も難」だけはちょっと訳者に気の毒だという気がしました。
ル・カレの英語は、ネイティヴにとっても読みにくい代物で、読者層がホワイトカラーに偏っている作家です。
まあ、誰が訳しても超訳でもないかぎりあんなところじゃないでしょうかね。
777 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 20:23:58 ID:7EvQyTrs
また自演かw
778 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 22:15:15 ID:q0184CPe
まあ、英国ものスパイ小説は日本人になじみ薄いのしょうがないとは思う。 ル・カレは寒い国からとスマイリー3部作は神クラスだけど、他は並かな。
779 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 22:35:53 ID:+ZqxdL/7
急に荒らしを構う人が出てきてますね。 実に自然な風景だなあ(棒
780 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 22:53:46 ID:UzQEBreb
ホワイトカラーの読みものを読んでる→知識人→偉大だなあ ってことがやりたいだけですね 作家や読者の学歴や階層を無意味に指摘して差別したり誇ったりするのはいつもの手口だし
781 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 23:14:31 ID:SLWu0Sj9
で、荒らしをスルーできない人が書き込む、と
782 :
名無しのオプ :2008/06/22(日) 00:01:27 ID:LBmmP7We
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。 || ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを || 与えないで下さい。 Λ_Λ || ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて \ (゚ー゚*) キホン。 || ゴミが溜まったら削除が一番です。 ⊂⊂ | ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_ | ̄ ̄ ̄ ̄| ( ∧ ∧__ ( ∧ ∧__( ∧ ∧  ̄ ̄ ̄ 〜(_( ∧ ∧_ ( ∧ ∧_ ( ∧ ∧ は〜い、先生。 〜(_( ,,)〜(_( ,,)〜(_( ,,) 〜(___ノ 〜(___ノ 〜(___ノ
783 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/22(日) 09:44:57 ID:L1zieMWf
アラン・グリーン「くたばれ健康法」を読んだ。 健康体操の大家が密室状態で銃殺された。 プールからの閃光の目撃者いたが、なぜか人影は見ていない。 終盤で「お前はデューク東郷か!」風のジョン張り(ゆえに強引な御都合主義もある) のトンデモトリックが炸裂、呑ん兵衛同士の探偵談義もそれなりにクスリとさせはするものの、 全体評価した場合、ユーモア・ミステリとまでは言えるか否か、キャラ立ちしている人物は多いが、 さほど笑える要素は見受けられないのである。 これは007シリーズの翻訳者として知られる井上一夫氏の訳文が抑制が効いたスタイリッシュな もの(ただし、こなれた訳文で非常に読み易い)というせいも影響しているのだろうか? そう言えば、バウチャーがユーモアと本格ミステリ融合の成功例として本作と双璧として挙げている ジョンの「盲目の理髪師」(「訳者あとがき」によれば井上氏は本作は別なタイプと把握しているようである)も井上訳、ラストの道化役であるはずの警部の退場が妙にカッコ良過ぎる感があった。 NHK朝ドラ「わたしの青空」で結構周知されるようになったラブ・チャイルド(中盤から登場する 本作のトリックスター)というネーミングに関しても、翻訳時点では何らかの注釈を付すべきでは なかったろうか。
784 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/22(日) 09:45:36 ID:L1zieMWf
マーク・マクシェーン「雨の午後の降霊会」を読んだ。 恩田陸が推していたのを見かけたことがあるので手にしてみた。 「待ち受ける最終7ページの衝撃」の惹句にも期待したのだが、 たいしたことがないというのが印象。 ヒロインの霊媒マイラの特殊能力が犯罪を意図する動機となり、陥穽ともなるというオチで、 別に衝撃って程のものではない。 犯罪計画は緻密なほどサスペンスも盛り上がるのだが、マイラと年下の旦那ビルによる少女誘拐 は杜撰でその場しのぎの面が目立ち過ぎ萎えることこの上ないし、 後半のこの夫婦の鬼畜化してゆく展開もバッド・テーストそのもの。 ボリューム的にも文庫本230ページと、大きな期待は禁物な正に読み捨てミステリの典型であり、 本作の出来を見れば、現在は品切れ、他にも50冊以上ある(解説より)というこの作者の他作も 全く未紹介のままなのも当然至極と言い得よう。
785 :
名無しのオプ :2008/06/22(日) 11:03:11 ID:pU7B1kCV
まあ あれは植草甚一さんのおかげで題名が残ってるような作品だからなあ
786 :
名無しのオプ :2008/06/22(日) 11:05:22 ID:pU7B1kCV
776は荒らしじゃないんじゃないの? 実際にル・カレの英語は読みにくいよ、いまの日本人がアメリカ英語に慣らされてるせいもあるけど。
787 :
名無しのオプ :2008/06/22(日) 12:51:40 ID:Z6p6iY0k
788 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/28(土) 14:19:33 ID:BLlVpYML
「ジェゼベルの死」を読んだ。 定評がある本格ミステリの古典と言い得る作で俺が未読だったのでは本作ぐらいかと思う。 ポケミスは目にした記憶は無いし、文庫も品切れになって久しく、 今回、大規模古書店にてようやくゲットした次第である。 結論が言うと、入手難ゆえ高評価され過ぎているという感が無くも無い。 不可能犯罪トリック(無人のはずの塔での絞殺後の転落)もかなり強引な物理的小技であるし、 錯綜する多彩なキャラも解説が言うレッド・へリングを成すよりも、テンポの悪さを助長してしまって いるという感が強い(「はなれわざ」「緑は危険」等も読んだが、この作家はアガサのような 語り上手、ストーリーテラーではない) 最後に来て、横溝御大やジョン好きにはドロドロな動機、 グロなトリック(ジョンの短編でも指摘されているが「匂い」の問題が大いに疑問や)が 明らかにされるのが読みどころか。
789 :
名無しのオプ :2008/06/28(土) 14:35:02 ID:KgWaBPqr
中学生並みの読書力しかない八流ニートの林、いいかげん さんざん読んだ読んだと自慢していたフリーマンの倒叙型 推理小説と、コロンボの元になったクィーン作品は読んだのか? まともな人間はみんなお前を小学六年生並みだと認識してるぞw
790 :
名無しのオプ :2008/06/29(日) 16:21:21 ID:rABFgrMW
レオニー・スヴァン『ひつじ探偵団』(早川書房) アイルランドの寒村グレンキルで、羊飼いのジョージが殺された。 主人の無念を晴らすため、「世界一賢い」羊のミス・メイプル、 “鯨”のモップル、サーカス出身のオテロらが捜査を始めるが……。 羊ミステリ。作者はドイツ人。本国ではベストセラーだとか。 ここに出てくる羊は、極端には擬人化されていない。 人間の言葉を一部理解したりはするが、一応リアル路線だ。 そのため、彼ら独自の考え方、価値観で行動する。 推理がずれているのが端からわかる。 それがもどかしくもあり、まあ、可愛くもある。 謎ときのカタルシスは薄く、ミステリとしては凡作。 羊好きな人が、羊に萌えながら読むのが正しいかと。 個性的な羊がたくさん出てくるのはいいとして、少しくどく感じた。 少なくとも人間の視点パートと、羊の視点パートは分けてほしかった。 あちこち主体が移りすぎて何が進行しているのかよくわからない箇所もある。
「毒の神託」ピーター・ディキンスン(原書房) 灼熱の砂漠にそびえる異形の宮殿で起きた謎の“相打ち”事件。 これが種族間戦争の引金になりかねない事態を憂慮した心理学者モリスは 事件の鍵を握っているであろう女性テロリストと未開人を追って 相棒の天才チンパンジーと共に敵地へと乗り込むのだが……。 初ピーター。かなり異色な話だなあと読み始めたところが中々 座りが悪くて喃。特殊な土地柄で必ずしも論理性が重視されず、 それどころか言語表現すら未発達という有り得ないという状況下で 猿と幼女を抱え孤軍奮闘する「死の相続」以上の苦境に立ち向かう 主人公の冒険は見応えがあるけれども、中盤の探索行が長すぎてダレル。 もちろん事件解決に必要な面もあるが、それにしてももう少し 刈っとして貰いたい。独特な世界観や概念を構築する能力は作家にとって大事だと思うが それを全面に出されると時にウザく感じる。真相がショボいのも残念。 ヒロインや日本のスッチーは本来寿行的なのにそこはイギリス紳士 邪魔をした。
「シャーロック・ホームズの栄冠」北原尚彦編訳(論創社) 名だたる作家達によるパスティーシュ&パロディ短編集。 1編1編が短くて良い。ただ注釈をまとめるのは止めて欲しい。 各編のラストで良い。 テーマ毎に5篇に別れており、それぞれ味があるのだが、いかんせん シャーロキアンじゃないもので雰囲気で評価するには限界がある。 かと言ってミステリとして優れているものを選ぼうとしても結構難しい。 そんな中、アーサー・ポージスのシリーズはバカミスとしておもろ〜。 他にも赤ずきんの新解釈をする「おばけオオカミ事件」 (アントニー・バウチャー)、まさかの事件の顛末「第二の収穫」 (ロバート・バー)、同郷の英雄との厳しい対決を描く 「シャーロック・ホームズ対007」(ドナルド・スタンリー)、 そしてどこか幻想的で、かつ爽やかな余韻を残す奇妙な味の 「サセックスの白日夢」(ベイジル・ラスボーン)等が残心した。 ただ、「一等車の秘密」(ロナルド・A・ノックス)は18ページと 20ページの記述に矛盾があるやうな。 後他の探偵の語られざる事件も読みたいな。半パイントの小エビ 消失事件とか。
「ジェームズ・ディーン殺人事件」ロバート・S・レヴィンスン(扶桑社) ジェームズ・ディーン記念切手発売の式典にジェームズ・ディーン そっくりの男が乱入。ゲストの俳優を射殺して逃走した。 同じくゲストとして現場に居合わせた女優ステファニーは 友人の復讐に燃え元夫のコラムニスト、ニールを巻き込んで 犯人を追った! この21世紀にまさかの2作目スタート。シンジラレナ〜イ。 凄い多作家ならまだ解るが4作っきゃ出てないし、作者の意向でもないし、 特に日本向けの内容でもないし。何故当然のことが出来ないかね。 こんなイミフなことやってるからイヴァノヴィッチにも逃げられんだよ。 閑話休題。話は面白い。殊に主役の元夫婦カップルが良い。お互い 惹かれるものは十分残っていながら実体のない何かが障壁となって 微妙な関係に甘んじているというね。掛け合いも○。これは良い ニヤニヤ・ミステリー略してニヤミスを見つけたわい とほくそえんだところが冒頭に戻るわけですよ。ほんとにもンガー! 事件のプロット自体は大したことはないが前述のキャラクターと ハリウッドネタで読ませる。しかしこれ大丈夫なのかな……。 後ヒロインのサービスシーンなかもあり。色んな意味で楽しみな シリーズなのだが、刊行から一年半経ってるのにまだ続刊がない というのは不安だ……。 そういや以前早川から似たようなシリーズが出てなかったっけ。 女優と探偵の元夫婦もの。ロバート・ウェストブルックか。
「大聖堂 上中下」ケン・フォレット(新潮社) 12世紀のイングランド。王位を巡って内乱状態の中、敬虔な修道院長 フィリップは現実的かつ厳格な改革を進めようとするが、 それは強力な世俗権力と私利私欲に奔る上司との永い対決の日々の 始まりであった。一方、大聖堂を建てることを生涯の目的とする 建築職人トムはフィリップの元で仕事に励むことになるのだが……。 ミもフタもないことを言ってしまえば、この手の年代記と言うのは その形式である程度面白く感じ得る。ただ、本作はそれプラス キャラクターが良い。各々の属性が単純に固定されていないから ストーリーに広がりが生まれるし、特定の人物に感情移入することなく 場面場面を引いて眺めることも出来るわけである。例えばエロシーンで 心置きなく抜けるw ただ、巻を措く能はずという程のリーダビリティは無いかも。 長いスパンで読んで。 追伸 特殊な漢字を濫用する訳文がちとウザイ。やり過ぎると陳腐。 追伸の追伸 注釈でネタバレしてたのが? 読者は日本人だからね。
「薄灰色に汚れた罪」ジョン・D・マクドナルド(長崎出版) 親友タッシュの不可解な死に疑問を感じたトラヴィス・マッギーは 仲間たちやタッシュの妻と共にタッシュを追い詰めた権力者達に 復讐を敢行する。 元帥かジョンDかってぐらい。ツンデたはずの「濃紺のさよなら」が ドコジャイカに行ってしまったので飛ばして。 なんかノリにくい文章だなぁ。一人称が空回ってんだよね。 はよ本題入れやと。セリフ少ねーし。内容もハードボイルドかと思えば コンゲームもので、数字がダラダラと並んであんま面白くない。 もっとアクションが欲しかった。恋人との関係も掘り下げが足らないから 感じ入れなかった。
「ドイル傑作集T―ミステリー編―」コナン・ドイル(新潮社) ノンシリーズ短編集。フェアではない古いタイプの本格もの。 ベストは『時計だらけの男』。列車内で男の死体か発見されるが、 車掌は彼に見覚えがなく、逆に3人の乗客が消え失せていることが判る。 謎が魅力的だし語り手が仮説を披露したりするのも面白い。 他にも列車が丸ごと消失する『消えた臨急』や、真相が味わい深い 余韻を残す『漆器の箱』、感動のロマンス『五十年後』等があるが、 中でも『悪夢の部屋』にはびっくりした。ドイルがこんな話を 書いていたのか!
「偶然の犯罪」ジョン・ハットン(早川書房) 生真面目で厳格な教師コンラッドは気まぐれに女性を車に乗せたことから 殺人犯の疑いをかけられてしまう。折しも大事な面接を控えていた コンラッドは警察に偽証してしまい、それが彼を更に追い詰めていく。 典型的な巻き込まれ型サスペンスかと思いきや、微妙に異なる。 主人公は率先して疑いを晴らそうと動くわけでもなく、警察から 逃げ回るわけでもない。ただ、苦しい状況に翻弄されているだけ。 それに、騒動の発端となる行動がやや不自然に感じた。 主人公は上司からは嫌われ同僚からは足を引っ張られ妻は年下の男と 密会を重ねているという、出だしから下り坂。しかしミステリーで ある以上何かあるだろう。読んでいくとあっけない幕切れ…… と思いきや、「あっ」と思わせる仕掛けが。これは数年前話題になった ある作品の広義の先駆やも?
798 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/05(土) 15:31:35 ID:ArZazkVj
モーリス・ルブラン「ルパンの告白」を読んだ。 堀口大学の名調子によるルパン傑作集中の1冊、ルパンが怪盗ならぬ名探偵ぶりを見せる 短編集である。 南洋一郎によるジュブナイルも相当なイケイケだったが、 これに劣らない、否、それ以上にマイペースな訳はルパン好きにも評価が分かれるところかと思う。 正直言うて、このような作を手に汗握って読んでいるのは厨房臭さが抜けないアホだけだと断定 して差し支えなかろう。 では、大好評につき全話講評逝ってみよう!! 「太陽のたわむれ」 気だるい感があるタイトル良し、白昼が舞台にもかかわらずミステリアスなムード良しの作だが、 フランス語がわからないと謎解きが楽しめないのが難。 終盤のグロい展開は意外、ルパンの良い意味(?)でのタフな悪党ぶりもジュブナイルには 見られない魅力となっている。 回顧談とはいえ、ルパンの一人称がいきなり「わし」なのには思わず笑える。 「結婚リング」 人生の機知(注 キチイではない(w )を感じさせるちょっとモーパッサン風のオチが効いている 一編。 こういう粋なタッチの作を見ると、大衆作家とはいえ、やはりモーリスは仏作家なのだと実感させる ものがある。 「影の指図」 いわゆる宝探しネタだが、最後のアルセーヌの述懐が印象的。 謎解きは巧く「創り過ぎ」ている感が強いが、ラストへの展開がこの時代のフランス短篇小説 らしさがある。 「地獄罠」 ラストのアルセーヌの台詞をはじめ展開が本家よりもアニメ版ルパン三世風、 やはり自惚れの強さは爺さん譲りか(w
799 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/05(土) 15:32:11 ID:ArZazkVj
「赤い絹のショール」 メーンは残忍な事件の謎解き(タイトルもヒント)、ガニマールをおちょくり過ぎなアルセーヌ等、 意外に後味が良くなく、自分は好きくない作であった。 「うろつく死神」 これもラストのガニマールの扱いが気にいらない面もあるが、どんでん返しの興趣はある作。 「白鳥の首のエディス」 時代設定が古いとはいえ、漫画ちっくなどんでん返しが楽しめる作。 馬鹿に成りきって読み込めば面白く、楽しめるのではなかろうか。 「麦がらのストロー」 人間消失ネタ、正にジョンまがいのバカトリックが炸裂する。 ゆえに「ミステリ」をお遊びとして把握すれば面白かろう。 「ルパンの結婚」 ある意味でショッキング(?)なタイトル。 アニメ「カリオストロの城」の原初ネタか、真にアルセーヌが盗んでいったものは・・・というわけだ。 ただし、ヒロインはクラリスのような美しい生娘ではなく、 ロマンス小説を耽読するブサイコな独身30女、 ナウく表現すれば腐女子(ただし、目は綺麗で性格は良い)という設定が妙にリアルである。 人生の哀感を感じさせるようなラストがイカしている。
800 :
名無しのオプ :2008/07/05(土) 16:37:03 ID:zELpSEji
読後感氏の感想は読み甲斐があるよなあ 馬のとはえらい違いだw
801 :
名無しのオプ :2008/07/05(土) 17:00:37 ID:o+7eQHlT
いくら書斎がクソとはいえそれはない
802 :
名無しのオプ :2008/07/05(土) 18:23:53 ID:aSXkxTj7
馬人みたいに指導と称してアホな自己見解を押しつけてこない分 読後感のほうがマシだというレベルだな。
803 :
名無しのオプ :2008/07/05(土) 18:34:13 ID:XyrDLeFL
つうかイチイチ判りやすい反応してやるなよ
804 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/06(日) 15:19:28 ID:OEsCMH4i
ウィリアム・ゴールドマン「殺しの接吻」を読んだ。 ハリウッド稀代のライターの手になる作、ボストン絞殺魔事件という実話ネタ(「あとがき」より)が 存するとはいえ、64年当時に、これ程現代的なサイコ・ミステリを書いた才はさすがとしか 言い様がない。 犯人は勿論のこと、彼(と称して?)を追う刑事(探偵役とは言い難い役回り)もどこか病んでおり、 全ての事件の背景に母親との確執が存するという現代的な展開は、シナリオライターらしい 会話主体の無駄がない描写、手頃なボリューム等もあいまって一気に読了させるものがある。 終盤でこの作者の代表作であり映画化もされた「マラソンマン」(書かれたのは本作より後だが)を 想起させるようなスリリングな都会の追っかけエピが挿入されるのも、思わずニヤリとさせられる。
805 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/06(日) 15:20:05 ID:OEsCMH4i
マーヴィン・アルバート「セメントの女」を読んだ。 前記したW・G程メジャーな存在ではなかったが、この作者もハリウッドのライターである。 (「あとがき」に挙げられている作を見ると、「ゴーストタウンの決闘」「ガンクレイジー」 「砦の29人」「ザ・ファミリー」「ジェリコ」等B級の上程度の作が多い) シナトラ主演のB級探偵映画(としか言い様がない出来)を記憶している向きもあるやもしれぬ。 主人公は刑事上がりの私立探偵アンソニー・ロームことトニー、 ダイビング中、海底で足にセメントの重しを付けられて沈められた美女の死体と遭遇したことから、 奇怪な事件へと巻き込まれてゆく・・・ 原作プロパーな臨場感溢れるロームのマイアミビーチ逃避行は最大の読ませどころであり、 意外にも丁寧な取材の痕跡を感じさせる。 カーター・ブラウンの軽ハードボイルドをややハードタッチにした感があり、 ハメットあたりの大御所の作のような風格には程遠く、スピレイン作品程の迫力は無いものの、 気軽にぐいぐい読ませるだけのものはあり、 120円の缶カフェに大きな期待をする者はいないのと同様、それなりの面白さは保証された一編、 「ま、世の中こんなもんだ」とあるとおり、シニカルでちょっと洒落た結末が効いている。 各人、心して読め!
806 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 15:25:57 ID:fGn0PI4/
あとがきに書いてあることしか書かれていない件
807 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/06(日) 15:45:30 ID:OEsCMH4i
>>806 あまり甘やかすのもよくないようなので。
具体的に引用して批判してみ(w
出来なければ荒らし行為を謝罪し退場したまえ。
808 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 17:45:48 ID:aA/NQs0Q
>>806 今はNGにしてるからわからんけど馬の自称論考のことか?
それならいつものことだよ、珍しくもない。
俺も以前(NGに指定する前)にされに気付いたし、過去スレで誰か他の人も指摘していた。
ただあのアホウは後書きや解説をそっくりそのまま書き写すわけじゃなく
多少適当に改竄しているから元の文章とは一見違っているように見える。
そうすることで「全く同じというわけではないからパクリであるということにはならない」
といい逃れようとしているし、実際そういう言い訳をしていた。
奴の理論によれば、一字一句同じでなければパクリではないらしい。
809 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 18:01:26 ID:Enjo7FPw
問題はそんな(すぐにバレるような)ものを、自身の存在証明として コテハンで、それもわざわざageてまで書き込むことの意味不明さだな。 普通に読んで普通に感想上げればいいものを、とにかく数を挙げて いれば認められるとでも思ってるんだろうか。この板で己の痴態を 知らない人間なんて新財ものも含めて、まず存在しているはずが ないことくらいわかっていそうなものなんだが…
「スモールボーン氏は不在」マイケル・ギルバート(小学館) 弁護士事務所に保管されていた金庫から顧客の腐乱死体が発見された。 誰がどうしてそれをやったのか? 新米弁護士ヘンリーは警察と共に真相を探り出そうとする。 表紙のインパクトが抜群。では中身の方はどうかと言えば…… はっきり言って退屈。私は弁護士作家は詰まらないという 偏見を持っているが、本作もその典型例で法的手続きに関するやり口とか 抜け穴漫画みたいな展開は興味沸かなくて困った。法廷劇ならともかく こういうのは勘弁して欲しい。ただ犯人についての伏線は良かった。
「前世療法」セバスチャン・フィツェック(柏書房) 産まれたばかりの息子を失ったトラウマから立ち直れない 弁護士シュテルンは元恋人の看護師カリーナからある子供に 引き合わされる。その子供ジーモンは自分がかつて人を殺したと言い、 実際に死体のある場所まで案内してみせた。ジーモンは前世で 殺人を行ったと主張する。その後謎の人物から脅迫めいた取引を 持ちかけられたシュテルンは、困惑しつつもジーモンの更なる 殺人の告白を検証する羽目になるのだが……。 男尊女卑の豚であるところの私は「ラジオ・キラー」を読む気が起きず、 こちらから。だが面白かった! 正直前半は (こんだけ色々やっちゃったら犯人絞れちゃうだろ! ヤレヤレ これだからミステリー後進国は……) とかため息混じりに読んでいたのだが、見事にスカされた。 フェアとは言えないが意外性を担保しつつ伏線を回収したのは凄い。 ドイツにもやっとこういう書き手が現れたかあ、とかつての同盟国として 嬉しく思ったよ。独ミスは他1冊しか読んでないけど。 こりゃ「ラジオ・キラー」も我慢して読むか。 それにしても本国刊行から半年足らずで翻訳出るって凄いね。 年末ベストじゃ票割れちゃうのに。2冊ランクインのが インパクトでかいという判断? 入らなきゃ狸なわけだけど。
812 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 19:17:52 ID:C87Xh3+f
>>808 解説で触れている部分を斜め読みして適当に感想つけたとおぼしきことも多々あったよ。
本当にその本を読んでいるならそんなふうに考えるはずはない
だってその何10ページか後の記載では違うように書かれているんだから
というパターンをよく見かけた。
>>809 実際読んだとしたら読書以外なにしてるんだ、と言いたくなるくらい感想を垂れ流しているからねこいつは。
813 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 19:57:16 ID:E8Vlf8/J
814 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 20:12:48 ID:C87Xh3+f
>>813 読後感はageちゃいないだろ。
レス先の文章も読めないのかよw
815 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 20:30:35 ID:wKU3hD1x
813はコピペ荒らしであり書斎の“支持者”(実は全て書斎本人w)だよ。 江戸川乱歩スレの281、ディクスン・カースレの567&570を参照すると分かるよ。
816 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 22:51:34 ID:pmYdMgNx
荒らしとその自演をスルーできないやつらは荒らしと一緒
817 :
名無しのオプ :2008/07/09(水) 03:44:29 ID:/jBQBx4c
SJローザン 冬と夜 米ナントカ受賞作。半日で一気読みした。 リディア&ビルシリーズの新作で、今回はビルが主人公。 【感想】 ・いつもは静かなビルの語り口が今回は荒れまくっててちょっと違う。 ・ラスト「自分の手でケリをつけない方式」で納得しづらい。 ・スクールカーストが主題の一部だが、日本のいじめ問題にも共通する陰湿さがじゅーーぶん感じられて気持ちがよくない。(そういうのがニガテ) ・ビルの生い立ちの陰の部分が明かされてるが、一瞬ドロドロな関係を予期した自分汚れてるorz…と思った ・前作からまったく進んでないリディア&ビルの関係はどーしたぁ(`Д´) ちょっといつもと違うので、今後読み返すのには気力がいる。
「ハリウッドで二度吊せ!」リチャード・S・プラザー(論創社) 私立探偵スコットはカワイコちゃんと炭火焼肉の最中に依頼の電話を 受ける。相手は出版会の大物で旧知のハリウッド女優も同席している様子。 相手のオフィスに向かったスコットだったが入れ違いになり 後を追うことに。しかし着いた先には撲殺された死体が転がり その側には依頼人が佇んでいた……。 このシリーズは「おあついフィルム」を読んだはずだが内容忘れた。 うーん、B級ハードボイルドは好きだし発掘作業は応援したいが 本作の出来はイマイチやなあ……。悪事のプロセスは面白かったけど、 真相に魅力が無いし、キャラ立ちも悪くドラマ性が薄いから 読み応えがない。セリフ回しが洒落てるわけでもないし、 軽を通り越して微ハードボイルドって感じ。
「ミステリ講座の殺人」クリフォード・ナイト(原書房) 過去の人となりつつあるミステリーの女王が食い縁を稼ぐために 自宅でミステリ養成合宿を開いた。しかしろくに講義も行われない内に 殺人事件が発生してしまう。被害者は年老いた秘書で、犯行の後 食事の合図のドラが高らかに鳴り響いて凶事を知らせたのだった。 殺される前被害者と女主人は必死に何かを捜していたという。 無能な保安官に業を煮やした一同は犯人を見つけようとするが、 やがと第2の事件が起こることに……。 ロンギヌスが怖くて避けてたけど何となく読んでみた。プロットとしては 凡庸な出来で、何か目玉となるトリックがあるわけでもないし、 そもそもCCじゃないのに誰一人帰ろうとしないのもおかしい。 しかし一番の瑕疵は重要な謎の一つが解明されないこと。 いや、一応解明されるんだがもしそれが正解だとすると、 却ってマイナスになる可能性の方が強いと思う。あと巻末の 手がかり索引はちょっと無理くり感が漂っている。 良かった点は探偵のキャラ。超然としているわけではなく 感情の起伏もあるし、天才型ではなく皆と同じ目線で推理しているのが、 新鮮に感じられた。
820 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/12(土) 16:08:31 ID:KrwhaNFT
デイヴィッド・グーディス「ピアニストを撃て」を読んだ。 トリフォーの映画化作品で知られるとおり、フィラデルフィアを舞台にしたアメリカン・ミステリで ありながら、安酒場で働く失意のピアニスト、これまた失意のレスラー上がりの用心棒、 闇の仕事に従事しているらしいピアニストの兄たち、彼らを追う2人のヤクザ者、 これに用心棒を愛人とするピザな女酒場経営者、ピアニストを慕う若いウェートレス等の女性陣 が絡む、メーンキャラを見てもわかるとおり、雰囲気はまるでパリを舞台にしたフランスのノワール と言うてもおかしくないものであり、後にトリュフォーにより映画化されたのは判らないでもないが、 脚色は控えアンリ・ベルヌイユあたりに本格的なシネ・ノワールとして撮って欲しかった気がする。 裏町のいわゆる負け組の人々の姿がビビッドに描かれており、最近読んだポケミス中では 最も文学的テーストに富んでいる反面、謎解きや派手なアクションは皆無、 内面に秘めた凶暴性を持ちながらも、リベンジという言葉を忘れたかのような 主人公(2人の女性の運命に対する彼氏の行動で明瞭にわかる)の受身な生き方等、 強い人間ドラマの魅力で読ませる作と言い得る。 文学恐怖症のミスオタたちよ、心して読め!!
821 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/12(土) 16:09:07 ID:KrwhaNFT
ローレンス・トリート「被害者のV」を読んだ。 警察小説の古典でありながら、21世紀も数年過ぎてやっと邦訳紹介された作。 今、読むと地味過ぎて途中で退屈してしまうが、(これはヒラリー・ウオー作品等にも共通する ことだが)科学捜査が当時としては珍しかったのであろう。 完全な脇で他の刑事(上層部も含む)たちも登場するとはいえ、 分署の捜査課の中堅刑事と鑑識の若手刑事という異例なコンビがメーンキャラとなって、 轢き逃げ事件と関連がある殺人事件を追う展開であり、 まだ87分署シリーズ(後期はキャレラばかりクローズアップされている感はあったが)のような 本格的な集団捜査小説の面白さ、今はフロスト警部シリーズでおなじみ複数犯罪を追う モジュラー・タイプの魅力は見られない。 猫殺し(?)のトリックが本格ミステリ風で面白いものの、今となっては本格的警察小説の先駆という歴史的意義のみ評価すべき作という感がある。 もっと早く(70年代ぐらいまで)に紹介されていれば別だったかもしれぬが、 シリーズ作品でありながら、翻訳の後が続かなかったのは仕方なかろう。
822 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/13(日) 17:42:28 ID:H4jshV/z
リチャード・ドハティー「刑事マディガン」を読んだ。 ドン・シーゲル(以下「シゲル」と略す。水木ではない(w )の映画化作品(60年代)で 知られる作だが、原作が翻訳されたのは2003年と半世紀近くたってからになってしまった。 薄手のアクション主体のペーパーバックミステリを予想していたのだが、 (映画のタッチはむしろシリアスでシャープだが、シーゲルのタッチに脚色されているのではと 思うていた) 映画以上に、堂々、重厚感溢れ、読み応え十分(ポケミス400頁超)な警察小説の傑作であり、 翻訳がここまで遅れたのが不可思議な感がある。 現場の刑事・警察官の姿を綴った作は数多いが、警察トップ(NY市警本部長)の職を 公私に渡りここまでリアル、かつ、ビビッドに描いた作を寡聞にして知らない。 この主人公の本部長トニー・ラッセルをはじめとして、とにかく登場人物の様がリアル、 一例を挙げれば、孤高の人のようでありながら自宅と別にアパート暮らし、年下の愛人と 浮き浮きと密会を繰り返す主人公、浮気相手のおならに脱力してやる気(?)を無くしてしまう プライド高過ぎなマディガン夫人等々、枚挙に暇がない。 (原作評価に徹した場合には余談になるがマディガン本人は長身でハンサムという設定で、 映画版の強面風のリチャード・ウィドマークのイメージとは大分異なる。 だが、裏表紙に掲載されている原書ポケットブックス版表紙に描かれたマディガンは ウィドマーク風というのが面白い。映画を意識したものであろうか。 これに対してヘンリー・フォンダ演じるラッセル本部長は正に原作どおりのはまり役であった) ただし、そのプロファイルを詳細に描き過ぎてエンタメとしては読み難くなってしまっているのが 難か。
823 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/13(日) 17:43:01 ID:H4jshV/z
さて、本作のような重量感ある警察小説の著者に関して知りたく思い解説を見ると、 映画評論家によるエッセイまがいの比較論があるのみで、原著者に関する記述は一切無し、 思わず、早川逝ってよし!という感を持った。 なお、直接に本筋には関係しない細かい点ではあるが、本編を読むと登場人物表の記載に 疑問が感じられるものあり、ある意味で事件のキーパーソンともなる可愛いラテン娘ロジータは 犯人バーニーの恋人ではなく娼婦、せいぜい一時的な愛人といった存在だし、 マディガンの愛人である優しいジョーンジはフレイムクラブの看板娘とあるが、 必ずしも間違いではないとはいえ、30近い(年齢は明記されていない)子持ち女、 ホステスぐらいの記述が妥当かと思う。
824 :
名無しのオプ :2008/07/14(月) 11:49:24 ID:kDMvEyYw
好レポ乙 そやけどネタバレにならんように頼みまっせ
825 :
名無しのオプ :2008/07/14(月) 14:49:12 ID:Df9FiJNW
書斎の書評はロハで読めるからね。 金出すよりはるかに価値があるにもかかわらず。
826 :
名無しのオプ :2008/07/15(火) 05:28:26 ID:kCYqkJEG
デイヴィッド・ハンドラー「ブルー・ブラッド」 ホーギーシリーズは大好きだったんだが、最後の2、3作は退屈で途中で読むの止めたから 今度の新シリーズにも大して期待してなくて、ふと目に留まって古書にて購入 しかし久しぶりにこういうキャラが立ってるミステリーシリーズ読んだので意外に面白かった 前シリーズ同様、ミステリー部分は弱いけどドラマや会話で読ませる オタクっぽいユダヤ人の映画評論家と黒人女性刑事のコンビはなかなかユニーク 恋の行方も気になるので次作以降も読んでみます
827 :
名無しのオプ :2008/07/15(火) 15:15:10 ID:DCVG2pBA
ジル・チャーチル「ゴミと罰」(創元社文庫) 隣家の掃除婦が殺されて容疑は近所の主婦一同に。 子供の送り迎えや集まりの為の料理の持ち寄りとか日本と変わりない 日常が楽しい。 外国でも姑問題はあるんだな。 持ち寄り料理がどれもおいしそうだった。
828 :
名無しのオプ :2008/07/15(火) 21:37:33 ID:ZtY2BMR2
"Transgressins"(Anthorogy) ウエストレイクとモズリーの中編が入ってた。 ・Waliking Around the Money (Donald.E.Westlake) ドートマンダーシリーズの中編。冴えない中年泥棒と組むことになった ドートマンダー&ケルプは完璧に見える犯罪計画に何か腑に落ちない ものを感じていたのだが、その行方は? 小味な読後感。スピード感がありけっこう面白かった。 ・Waling the Line (Walter Mosley) 書記のアルバイトに募集したジャーナリスト志望の黒人コロンビア大学生が 体験したものは・・・ 設定が突飛すぎて、観念の操作に終始しているような感が否めない。 中編のわりに登場人物が多すぎてまとまりがなく、とっちらかった印象。 好きな作家だけどイタダケません。 もうひとつエド・マクベインの中編が入っているけど未読。
829 :
名無しのオプ :2008/07/15(火) 21:42:00 ID:ZtY2BMR2
ああ、ミススペルしまくり Transgressins→Transgressions Waling the Line→Walking the Line です。すみません。
「Tバック探偵サマンサの事件簿 毒入りチョコはキスの味」 ジェニファー・アポダカ(ソニー・マガジンズ) 理想的だと思っていた夫の死後、彼が浮気と借金を重ねていた ろくでなしだったと判ったサマンサは心機一転、髪を染め、豊胸し、 ミニスカにTバックのセクシーウーマンに大変身。保険金で買い取った 恋人紹介所を何とか切り回していた。 そこに突如現れた謎の男。サマンサは「夫が奪った金を返せ」と 脅しをかけられスタンガン気絶させられてしまう。亡夫には一体 どんな秘密があるのか? 家族を守るためサマンサは立ち上がる! このタイトルで読まない奴は漢じゃない。 本作の設定――人生をやり直したいちょっぴりドジな三十路女性が、 ハンサムな刑事と探偵に助けら(翻弄さ)れながら事件を解決する――を みればピンとくる人も多いと思うが、イヴァノヴィッチの影響を 受けているみたい。もっともあれほどぶっ飛んだキャラクターは 今のところ出てきていないけれども。 しかし、勝っている点もある。それは一言で言うなら“潔い”点。 詳しくはここでは書かないが、この点は評価したい。使える。 あとミステリーとしては事件の結びつきが甘かったかな。 シリーズものということで邦訳が待たれると奥付みれば2年前……。 んもー、同じようなロマンス小説はバカスカ出す癖に こういうユニークなのは足止めてどゆこと!?
「ジャマイカの烈風」リチャード・ヒューズ(晶文社) ジャマイカに移住していたソーントン一家はある時ひどい暴風雨に 見舞われ甚大な被害に遭う。夫妻は子供達をイギリスへ帰すことを決める が、船が海賊に襲われ子供たちは拐われてしまう。果たして彼らの 運命は――? 十五少年漂流記みたいなものかと思ってたら違った。子供たち中心なのは 確かだが、どこか突き放した感じで淡々と進んでいく。ところどころ 危うい雰囲気も孕みつつ――。読後感は不気味でもあり普通でもあり。 後、107ページに名言あり。自分は今でもそう思ってるから困る。
832 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/19(土) 17:58:02 ID:fMK+NILj
ウィリアム・ゴールドマン「マジック」を読んだ。 前述した「殺しの接吻」の瀬名秀明のあとがきで高評価されていたので一読してみたが、 作者の趣味(マジック)に関する薀蓄(注 うんちではない(w )披露の作という感が強く、 正直言うて「外れ」であった。 売れっ子マジシャンと彼氏の小道具であるはずの腹話術人形を巡るサイコ・ミステリという 主展開なのだが、この作者にしては先が読めるストーリー。 最後の1頁に来てやっと「ミステリ」足り得たという感があるが、これも軽い短篇のオチ程度の インパクトしかない。
833 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/19(土) 17:58:53 ID:fMK+NILj
フランシス・ビーディング「白い恐怖」を読んだ。 これもはずれ。今週末は本に関する「ツキ」が無いようである。 長谷部友親氏の解説に詳しいが、ヒチコックの映画化作品とは人物設定、ストーリーは全くと 言うてよいほど異なるので注意が必要。 この点では、同じポケミス名画座シリーズの1冊でも前述した「刑事マディガン」の場合とは 大きく異なる。 山中にそびえ立つシャトーを利用した精神病院に赴任した若き女医(医大出たて)、 映画ではバーグマンが演じた(ただし新人ではない)ため、非常に知的でノーブルな美人という 印象があるが、原作ではそこそこの美形程度、医学校をぎりぎりで卒業し、 亡父のコネで就職というキャラ、結構、プライドが高いところは西川先生を想起させるような キャラである。 (へタレキャラではあるが薬剤師のギーディングがヒロインのキャラを結構正確に読み取っている のが面白い) このリアルなキャラ設定がややスローテンポな前半を興味深く読ませるものにはなっているが、 中盤以降は見え見えグダグダな展開に終始し、最後にもう一波乱、ドンデン返しを期待していると、 御都合主義とお約束な糞アニメ級のエンディングには失望大であった。
834 :
名無しのオプ :2008/07/19(土) 18:20:00 ID:h7naWTZu
読後感のウザ書評と書斎の見事な論考書評を比べれば 知性の程度がよくわかるサンプルになるな。
835 :
名無しのオプ :2008/07/19(土) 18:24:06 ID:Z83m2Hkz
確かにな
836 :
名無しのオプ :2008/07/19(土) 19:10:25 ID:xDKgDyNI
書斎のは初歩的な間違い多いしな。
837 :
名無しのオプ :2008/07/19(土) 19:55:00 ID:p+GU+tKU
>長谷部友親氏の解説に詳しいが もしかして長谷部史親のことか? ホントに固有名詞が覚えられないんだなw
838 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 12:47:32 ID:ypI6H4gV
たいした間違いじゃないよ。 活字になるときには校正が入るんだしな。
839 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 14:01:50 ID:Dkp1rsWg
活字にもならないし当然校正など入らない2ちゃんのレスで何をバカなことを言ってるんだか。 ネットの掲示板を下書きにして本を出しているんた、といってるつもりなら それはそいつがネットで色々文章をつまみ食いして原稿を仕上げているような 最底辺の書き手であることを遠まわしに主張していることになるんだけどなw
840 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 14:32:51 ID:ypI6H4gV
匿名掲示板など書き捨てで十分なんだよ。
841 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 15:27:50 ID:Dkp1rsWg
書斎のレスは書き捨てレベルのゴミか。 固有名詞がボロボロなんだからどうにも褒めようがないのはわかるが そこまで見下すとはね…
842 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 16:29:08 ID:PoBi31Sn
>>841 おまいのような単なる叩きレスがゴミなんだよ。
843 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 16:36:39 ID:b7CuqJz2
「書き捨てレベル」で「間違いだらけ」のレスは、とうてい「論考」などとは 言えないし、むしろ参照しない方がいいぐらいだよ。間違いなんだから。 「書き捨て」のレスをありがたがる必然性が、どこにもないね。
844 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 17:03:05 ID:PoBi31Sn
書斎の論考はその対象ではないね。
845 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 17:28:50 ID:b7CuqJz2
書斎魔神の書き込み
>>833 に対して、「初歩的な間違いが多い」
というツッコミ(
>>836 )が入り、現に固有名詞の間違い(
>>837 )
が指摘された。
そしたら「本にする時に校正が入るから別にいいんだ」(
>>838 )
「2ちゃんへの書き込みなんか書き捨てで充分」(
>>840 )という
擁護レス(?)がついた。
書斎の書き込みは本にならないから間違いは永遠に間違いのままだし
書き捨てレベルならありがたがる必要もない、という結論が出たね。
>書斎の論考はその対象ではないね。
書斎の「論考」は「書き捨てレベル」で「間違いだらけ」だから
「ありがたがる対象」ではまったくない、ということだな。
846 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 19:06:52 ID:PoBi31Sn
書斎は連載批評の依頼が来るくらいのスゴ腕の書き手だよ。 それが2ちゃんのミステリ板ではロハで読めるんだから、ありがたく思って当然だろ。
847 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 19:38:07 ID:qzO6TpTq
初歩的な間違いだらけの書き捨てなんかで金を取ろうってか? タダだからってゴミをありがたがるほど俺たちはバカじゃない
848 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 20:19:36 ID:lUOEv0kd
849 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 20:49:47 ID:CgAX+DOJ
日下氏のように実際に本を書いているプロの有益な情報ならありがたいが どこで何を連載しているのかも分からない無名人の間違いだらけのレスを ありがたがる訳がない。 金もらっても読みたくない腐れた駄文だし、商業レベルにまったく達して いないのは、いつぞやの編集者氏の折り紙付きだもの。
850 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 21:03:42 ID:dXLEnKWr
もうさ、頼むからお前らも釣られるなよ 何レス浪費してんだよ 本当頼むからさ……
851 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 23:05:50 ID:IoGqKZ8s
もう釣られてるんじゃなくて書斎の相手をすることを楽しんでる愉快犯だろ。
852 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 00:09:45 ID:Z6s9xfsc
J・M・クッツエー「恥辱」を読んだ。 駄目ミスを連続して読んだ後だと、さすがにブッカー賞受賞作品の凄みを感じさせる作である。 教え子のJDといい仲になり大学を追われた初老の男(大学教授)が娘が暮らす田舎の農場に ひきこもる。その地でクライムあり、色事あり、そして意外な「職」にもめぐり会う・・・ なんか現代日本でもありそうな、無さそうな話なのだが、意外に先が読めず、 犯罪も絡むところからコンパクトに纏まったサスペンス小説としても堪能出来る作に 仕上がっているのはさすがだ。 これならアホなミスオタにも読破可能なのではないかと思い、ここに謹んで紹介する次第である。 表面的には救いが無いものの、ドン引きの暗さにはならないこの作者独自と言い得るテーストに 富んだラストが読ませどころであり、このラストのシークエンスのみだけでも読む価値十分な これは「文学」であると言い得る。 一点気になったのは、鴻巣嬢の訳文は全体的にこなれており読み易くで良いのだが、 あまり使用しないような読み難い漢字がルビ無しのまま目につく部分があること、 これは「嵐が丘」(訳書として全体評価は新訳中でも高なのだが)でも感じたことであった。 この点につき、各人、十分に心しておけ!
853 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 00:11:35 ID:Z6s9xfsc
チャールズ・ボーモント「夜の旅その他の旅」を読んだ。 意外に収穫があった作品集である。 「トワイライト・ゾーン」や「ヒッチコック劇場」のライターとして活躍した作家のわりには、 本書の収録作品には普通小説といったものが多く、人生の哀感や妙味、アイロニーを痛烈に 感じさせる文学性に富んだものが多いのが予想外であった。 大好評な全話講評逝ってみよう!! 「黄色い金管楽器の調べ」 今風に言えば負け組である主人公ファニー青年に訪れた好運とは・・・ 皮肉なオチが効いた好短篇である。 「古典的な事件」 これも意外性に富んだラストな一編、カー好きなら主人公ハンクの心理がわかるような わかないような、といったところか。 くどくどしたカーに関する因縁話に帰結させなかったのが成功している。 「越して来た夫婦」 これは先が見えるスリラー、それなりにサスペンスフルではあるがそれだけとも言い得る。 「鹿狩り」 ハンティングが広く趣味として定着していれば、日本の会社でもありそうなエピ。 キャラも展開もお約束と思いながらも、主人公の心情に共感してまうのは優れた語りの巧さゆえ であろうか。 「魔術師」 人の良さゆえ、マジシャンとしてタブーを犯してしまう老いた主人公に待つ残酷な展開・・・ 最後に一応な救いが用意され、後味は悪くないこれも好短篇である。 「お父さん、なつかしいお父さん」 タイム・パラドックスねたの短めの作、ねらーが大好きなビッチねた(ただし、ビッチは登場しない。 これはオチに関係する)でもある。途中で結末が見えるのが難。
854 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 00:12:25 ID:Z6s9xfsc
「夢と偶然」 夢をネタにしたサイコ・ミステリだが、綺麗にまとまり過ぎたスレッサー風なオチが創り過ぎな感が 強く、この作者の持ち味である独自のリリシズムを欠くのが惜しまれる。 「淑女のための唄」 老朽化した客船と老人たちと来れば、これもオチは見えるし、少し甘過ぎで高評価は 出来かねる一編。 「引き金」 名探偵が登場する典型的な短篇ミステリだが、オチがわかり難い面があるのがマイナス。 「かりそめの客」 共作によるSF短篇。ゆえにボーモント風のリリシズムは皆無といってよいものとなっている。 プレジデントをはじめ芸術家が政務あたる世界、人間精神を動力とする宇宙船等、 面白そうなアイデアはあるので、長編として書き込めばそれなりに仕上がった作かとは思う。 「性愛教授」 セックスカウンセラーを主人公にしたエロねた。オチはまずまず面白いが、 副主人公である依頼主カビスンの声質が気になるところ、ここへ伏線を張って欲しかったもの である。 「人里離れた死」 中年ロードレーサーが主人公なこれもミステリとは言い難い作。 主人公の死を予想していると・・・哀愁に富んだラストが印象的。 「隣人たち」 Neighborsと言えば、ジョン・ランディスの不条理コメディの傑作が想起されるところだが、 同題の本作は、人種問題を背景に当時の社会状況を反映したかの如き作、 オチではなく作者の思想を反映したようなラストをエンタメの読者はいかに評価するかという ことであろう。 「叫ぶ男」 ドイツ(*これがミソ)の修道院を舞台にしたサスペンスフルなサイコ・ミステリ。 スケール感溢れるオチも面白い。 「夜の旅その他の旅」 これもミステリとは言い難い作だが、ズージャをやっている連中のビビッドな姿が鮮やかに描かれた表題作だけあって収録作品中随一の傑作である。 バンマスの「思い込み」がわかるような、わからないようなという微妙なところが 何とも巧さを感じさせるものがある。
855 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 19:52:54 ID:bVGOsv/+
アントニー・バウチャー「タイムマシンの殺人」を読んだ。 日本ではミステリ評論家・アンソロジストとして著名な作者の作品集だが、 本書はダーク・ファンタジー・シリーズ中の1作として刊行されたためか、 ミステリよりもSFやファンタジー風の作が多いのが特色である。 USCとバークレーというカリフォルニア州を代表する、否、全米屈指の名門大学2校を優秀な 成績で卒業し、数ヶ国語に堪能であった名評論家の実作の方はどうかというと、 妙に理屈ぽく、あまり感心しなかったというのが正直なところである。 例によって、大好評な全話講評をいってみよう! 「先駆者」 冒頭に置かれたSSと言うてよいこの一編に関しては、スパイスねたで綺麗に決めている感じで まあまあの出来である。 「噛む」 ホラーだが、キングやクーンツを読んでいる現代の読者には古臭く面白みがないと判定されても 仕方なかろう。 「タイムマシンの殺人」 作者自身承知で書いたであろう掟破りのミステリ。 ドラえもん好きとかが読んだら面白い程度の出来かと思う。 やはり、タイムマシンの如きギミックのミステリへの導入は、やり過ぎで著しく謎解きの興を殺ぐ という感がある。 「悪魔の陥穽」 主人公が弁護士ということもあってか、結局、屁理屈なオチで解決というのも頂けない作。 古臭い三つのお願いネタを長々と読まされた感が強い。
856 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 19:53:28 ID:bVGOsv/+
「わが家の秘密」 これも一応SFの装いはなされているものの、たわいないホームドラマを見せつけられた感がある。 「もうひとつの就任式」 インテリな作者らしい政治ねた、文学ねた、そしてカレッジ・フットの強豪USCのOBらしい フットボール好きを覗わせる理屈っぽいSFミステリ、凝り過ぎで読み難く、ゆえに推し難い感が ある。 「火星の預言者」 これは米作家らしい宗教ねた満載な作。オチもわかり難く、日本人にはフィットしない感あり。 「書評家を殺せ」 顔を影に隠した男の正体は何だったのか?これがミソでしょ。 理屈っぽい作が連続した後だと、気軽に楽しめる小品ではある。 「人間消失」 着衣だけ残して中身の人間消失、このトリックの解明(案)はジョン・スラディック風なバカミス として楽しめるが、肝心の本筋が今ひとつか。 「スナルバグ」 これも悪魔が登場するファンタジーだが、軽快な展開は買えるものの、 当時の新聞発行事情を知らないとオチそのものが楽しめないのが難、このマイナスポイントは大。 「星の花嫁」 読者の思い込みを狙ってオチへ持ってゆくことを狙ったと思われるSFショートショートや。 火星人=緑の肌という設定が時代を感じさせるものがある(バロウズの影響か) 「たぐいなき人狼」 収録作品中の最長作品。表題作にしてもよいくらいである。 魔法使いにより人狼に変身する術を会得した大学教授をめぐる奇想天外なストーリーで、 「有り得ねぇ」とか思いながら、語りの巧みさで一気に読ませはする。 他作に見られるような妙な理屈っぽさがない現代ファンタジーに徹しているのはグッド、 だが、「人狼」と「狼男」の概念は異なるのではないか? この点を才人バウチャーが混同している感がある点は気にかかった。
857 :
名無しのオプ :2008/07/21(月) 20:41:34 ID:IDS4Zuww
ミス住は速読法でもマスターしているんだろうな。たいしたものだ。
858 :
名無しのオプ :2008/07/25(金) 21:39:38 ID:xkBHetc4
Car Hiaasen "Nature Girl"(2005) 一般向けとしては「復讐はお好き?」に続く作品。ハイアセンの得意、というか ワンパターン?アホバカキャラが炸裂。もっともイカレ具合がいくぶん抑えられ 微妙な狂気みたいなのを感じさせる登場人物が多い。 例によってフロリダ物ではあるけれど、一応完結物みたいでアノ人物は登場せず。 関係なさそな登場人物が、徐々に交錯していくところは非常に面白いが、惜しいかな 後半ややダレた印象。自然保護の主張は露骨な形ではほとんどでてこないので 小説の進行としてはナチュラルなかんじでグッド。 アホキャラに見えた人物が実はdescentで調和の取れた人格だったという設定は 面白かった。
「高く危険な道」ジョン・クリアリー(角川書店) 第一次世界大戦で活躍したパイロット、オマリイはとある富豪令嬢から 依頼を受け、ロンドンから中国までの長距離飛行をすることになる。 彼女の父が将軍に人質にされており、期日までにある品物を届けないと 殺されてしまうのだ。オマリイは相棒を連れ彼女と共に遥か東方を目指し 飛び立った! 高速東遊記。面白い。 補給のために立ち寄る先々で一行にそれぞれ別個の苦難が襲いかかる。 その中でメンバーの増減もあり、歴史上の有名人とも出会う。 こういうの大好きだ。面白いに決まってるもの。 そんでまた一行のメンバーが、人目を引く美貌のアメリカ人、 人種差別するイギリス人、女たらしのドイツ人に寡黙な中国人と、 トラブルの匂いがプンプンの面子。内輪のゴタゴタも孕みつつ 旅をしていく。 ラストもお手軽ではなくきっちりしていて良い。 以前も言ったが良質な冒険小説を読む愉しさって言ったらないね。 ちなみにこれ映画化されてるみたいなのでそちらも観てみたい。 後他の作品も。
「ケンブリッジ大学の殺人」グリン・ダニエル(扶桑社) ケンブリッジ大学が長期休暇に入る朝、フィッシャー・カレッジ内で 守衛の射殺体が発見された。警察が被害者の身辺を洗う一方、 副学寮長サー・リチャードは違った観点から事件の調査に乗り出す。 そんな中、帰省した学生のトランクから第二の死体が現れた――。 扶桑社本格枠。評判はイマイチのようだったが、中々面白かった。 複数の探偵達が入れ替わり立ち代わり現れて独自の観点・手法で 捜査をし推理するという展開は読み応えがある。 ただ、大きなトリックや論理のアクロバットは無いので、 骨組みに対して肉付けが薄い印象を受けた。真相もふーんて感じ。 もう一つ言うと、ドラマが無い。こんだけ厚いんだからもうちょっと 小説味が欲しかった。ま、でも、アマのデビュー作にしちゃ良作です。 追伸 「奇術師の密室」は本格じゃないだろー。
リチャード・ノース・パタースン『最後の審判』 (2002、新潮社)【8点】 連邦判事の座が手に届くところまできたキャロライン。23年ぶりの故郷からの 連絡は、姪のブレットが殺人容疑で拘束されたという知らせだった。 家族との軋轢・昔の恋人との対立などに気後れしながら彼女が知った真相とは? いつもの三人称多視点が、今回はキャロラインの視点で固定されているので、 若干テンポが悪いところもある。とくに過去話は長すぎるなあと思った。 しかし終盤の裁判シーンでは畳み掛けるような展開で、軽いサプライズを織り交ぜる。 キャロラインという女判事のキャラはグンと深まったが、序盤〜中盤のもたつきと、 裁判シーンの短さがちょっと物足りない。またキャロラインのある行動にはさすがに 首を傾げたが、まあ、ああいう真相があったのなら仕方ないかな。
「ポドロ島」L・P・ハートリー(河出書房新社) ホラー短編集。以前「ロアルド・ダールの幽霊物語」を読んだ時、 一発目の「W・S」という短編にいきなり◎を付けた覚えがあるが、 その作者がハートリーだった。無論その話も入ってる。 が、んー全体としては微妙かも。話の持って行き方に違和感を覚える ことが多かった。後訳者の解題にも違和感が。表題作が「藪の中」って ことは無いと思うんだ。あのままで怖いよ。 ベストは「足から先に」。これぞホラーって感じ。 この叢書の短編集は今のところトゥーイと本書以外は◎。
「キーストン警官」ピーター・ラヴゼイ(早川書房) ドサ回りの芸人一座を抜けてハリウッドにやって来たイギリス人 イーストンは直談判ののち首尾よく撮影所に雇われ、映画の脇役の 仕事を得る。職場の連中たちとも打ち解けたイーストンはやがて 駆け出しの女優アンバーと割りない仲になるのだが、ある日突然 彼女は殺人事件の容疑者になってしまう。 初ラヴゼイ。だがイマイチ。何つーか事件が背景みたいになってて、 中盤ぐらいまで映画撮影の話がダラダラ続く感じ。しかもヒロインに 魅力がないから主人公に感情移入も出来ない。ミステリー部分にしても どうも道具立てが単純というか……。 「偽のデュー警部」に期待。
864 :
名無しのオプ :2008/08/01(金) 18:35:02 ID:2aIj4jMD
ラブゼイなら、個人的には「ダイヤモンド警視シリーズ」がおすすめ。 「最後の刑事」からどうぞ。
情報多謝!
「黄金の島」バーナード・コーンウェル(早川書房) 偉大な父親に反発し雇われ船長をしているニックは、ある時知り合いの 政治家から麻薬中毒の子供2人を更生させるためのクルーズを依頼される。 渋々引き受けたニックだったが、航海の途中麻薬の売人達が乱入し 船が破壊され船員が殺されてしまう。辛くも逃げ延びたニックに 更なる魔の手が襲いかかる! これはコーンウェルらしさが無かったなぁ。主人公のディスられ具合が 甘い。冒険小説としては佳作だと思うけど期待してたものとは違った。 ただ、作中のアメリカ富裕層の親バカに対する批判はGJだった。 たかが高校卒業ぐらいで高価なプレゼントするとか、生意気な子供を ひっぱたけないとか。物語の本筋でもそれが表れている。 もっとも現在ではこういう親は我が国含む世界中にいるだろうだけどね。
867 :
名無しのオプ :2008/08/02(土) 15:27:13 ID:n28MWnmi
コテハン占有スレとして削除対象だな、こりゃ。
868 :
名無しのオプ :2008/08/02(土) 22:24:24 ID:BLzsasZZ
エリー・クラインの収穫 エラリー・クイーンと間違えたという、しょうもない理由で手に取り、 最初のページでの、被害者が段々と死んでいく描写に引き込まれて買ったんだが 650Pも費やすほどの内容じゃなかったな いちいちうんこ出した描写まで入れんでも。 250Pぐらいで十分描ききれるもんだと思う。
869 :
名無しのオプ :2008/08/03(日) 08:31:52 ID:WbjHbmTo
ミッチェル・スミス好きなんだけど、ここ10年ばかり全然出ませんね。
870 :
名無しのオプ :2008/08/03(日) 10:14:32 ID:Z7+QpBYt
「聞いてないとは言わせない」ジェイムズ・リーズナー(早川書房) 田舎の農場を一人で切り盛りしている女性グレースと、農場へやってきた 青年トビーは周囲に何も無い状況の中やがて親密な仲になっていくが、 トビーには隠された目的があり、さらに謎の男達の乱入で事態は 一気に彼方へと動き始める……。 勘違いしないで下さい。僕は熟女が好きなわけではありません。 美熟女が好きなだけです。それが本作の粗筋を知り期待したわけ ですが……空かされた気分です。僕はてっきり寿行チックなストーリー かと思ったのにそんなんじゃなく、B級アクションの王道 と言った感じでした。読んだ内ではジェイムズ・カルロス・ブレイクに似てるかな? 向こうの方がより洗練されてますけど。 単純なプロットの末に意外な幕切れを迎えますが、これはちょっと 違和感を覚えます。これ今更問題視することなのかな? と。 それにどさくさ紛れに(メル欄)のは酷いと思います。 全く関係ないですし。
R・D・ウィングフィールド『フロスト日和』(創元推理文庫、1997)【8点】 退職パーティーに出席しようと勇んでいたフロストは、突如捜査に狩り出される。 公衆トイレで発見された浮浪者の死体。女性を狙う連続強姦犯。窃盗事件にひき逃げ事件。 数々の事件に振り回されながらも、フロストは着実に事件の真相に迫っていく・・。 フロスト第2弾。新刊が出たので積読本に手をつけてみた。 大小の事件を次々と発生させながら、過度に複雑化させずに物語を 組み立てていく構成は上手い。ただ、ちょっと間延びしたかなあ。 ユーモラスなフロスト警部の言動はもちろんんこと、 暴力事件で左遷されてきた元警部のウェブスター巡査が最初はフロストに 反感を抱きながらも徐々にその手腕を認めていく様がおもしろい。
873 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
2008/08/09(土) 10:41:02 ID:Ou6IH+ss 「フロスト気質」を読んだ。 待ちに待った邦訳新刊である。 このシリーズでは初の上・下巻2分冊(各巻450頁前後)というボリュームであり、 じっくり味わって読むつもりが、面白さゆえ2日で読破してしまった。 以下に目に付いた点を記しておく、 ・フロスト警部にとってマレット署長と並ぶ天敵(?)アレン警部は 序盤に少し登場するのみなのが残念。(前作でも未登場であった) 過去の事件との絡みの関連もあって、代打的なキャラとして登場するのが 元デントン署勤務のキャシディ警部代行なのだが、おなじみアレンに比較して 存在感が弱い。 初期作では妻に先立たれたフロストの心情を慮るような人間的な面もかいま見せていたマレットが 前作あたりから、完全な敵役(メガネザル)として、嫌な奴キャラになってしまったのも、 エンタメとしての明解さはあるものの、小説としての「厚み」は落ちた感があるのも残念ではある。 ・これも前作から見られる傾向だが、複数の事件が終盤に来て一気に解決へとなだれ込んでゆく という展開ではなく、1件ごとに解決されてゆく展開、わかり易く読み易いが、ややカタルシスを 欠く感がある。 ・前から思うのだが、フロストはあんなだが、きちんとすれば「デントンのコロンボ」になれるタレント の持主なのではと思わせるシーン多し。 腐敗した死体にもかかわらず身元(前科者)を正確に割り出したり、 容疑者が玄関に出てくるまでの少しの間に着目し、これが最終的に誘拐事件の解決の 端緒となったり等々 確かに見込み違い、見当外れも多いが、これはあと少しの慎重さで回避し得るものではないか? ただし、フロストの下品、大胆なキャラを修整してしまうと、あのなんとも魅力的なフロストでは なくなってしまうわけだが。