「気弱な芸能記者」ケヴィン・オールマン(早川書房)
主人公は貧乏な芸能記者。アパートの家賃はずっと滞納して今にも追い出されそうだし、
5年前からつかず離れずの腐れ縁になっている恋人との関係もどうなるかわからない。
そんな時、たまたまある女性プロデューサーの死体の第一発見者になってしまった!
何かきな臭いものを感じた主人公は久々の大スクープ記事を狙わんと取材を開始するのだが・・・。
図書館でパッと目に付いたから借りたの。MWAの最優秀処女長編賞ノミネートだってさ。
まあ、主人公があっちこっち駆けずり回って関係者から話聞いて推理するっていう、
典型的な現代の英米ミステリーだね。そこに主人公の恋愛も絡んでくると。
僕ロマンス好きだけど、他ジャンルであんまり大きな顔をしてると腹が立つんだよね。
これはちょっと出すぎかな。しかもなんか、こう、主人公が駆け込み寺化してる感じもするし。
しかもヒロインが先天的バイセクシャル(あ、バイセクシャルなの)じゃないことまで匂わせてるし。
つまり主人公のセクースじゃ不満だったつうコト・・・。つーか生がよかったらしいとか何とか。
それも問いたださないままっつーのも何か寝覚めが悪いなー。これ続編訳してくれるのかな?
ハヤカワの信義に期待するしかない(w
「証拠が問題」ジェームズ・アンダースン(東京創元社)
出張中の夫が顔面蒼白になって突如帰宅した。訝る妻に夫は予定が早まったと言う。
そしてその直後に2人の警官が訪ねて来る。
彼らはなんと夫が殺人事件の重要参考人であると言うのだ!
そんな馬鹿な! 夫の無実を確信する妻は疑いを晴らそうと決意するのだが・・・。
「100冊の徹夜本」からのセレクト。この人は「ジェシカおばさんの事件簿」のノベライズ書いた人らしい。
これ読み始めてしばらくすると、どっちかな、と思い始めました。
即ち(メル欄1)か(メル欄2)か。それ以外はまあないだろうと。
で、当初は前者かなと思ったんです。だって余りに不自然だと思ったから。
でも、たまたま305ページを読んでるとき「ハッ」として読み返してみて、後者だと確信しました。
犯人の意外性という点では先駆があるしそう評価するわけにはいかないのですが、
「徹夜本」でも言っていたように、大胆な伏線は評価すべきでしょうね。
私的には彼と奥さんが・・・てなことになったらどうしよう! の危惧が杞憂に終わったので嬉しかったですw
「別れを告げに来た男」ブライアン・フリーマントル(新潮社)
ソ連の大物科学者が相次いで亡命してきた!
この裏には何かある、と疑いを抱いた事情聴取官は、それを上司に伝えるが、信じてもらえない。
援護を期待していた上司にも見放され、孤独な状況に追い込まれた主人公は、
悲痛な覚悟で取調べを続けるが・・・。
フリーマントルのデビュー作だそうです。何で読んだかって? それは勿論、
「奥さんが浮気しているから」これですw
本編の主人公エィドリアンは痩せぎすで若禿の風采が上がらない男。
しかも奥さんには家出され、手紙が来て会いに行ってみれば、愛人と同棲中。しかも同姓と。
「消されかけた男」の主人公チャーリーは職場では軽蔑されていたとはいえ、美人で金持ちの妻がいました。
それに比べてこのエィドリアンと来たら・・・哀れで泣けてきます。事実、作中で号泣します。
無理も無いよ、仕事も家庭も最悪の状況なんだからねー。
奥さんがまたヒドイ女。自分が浮気したのに、
「もし離婚の理由作りに困るようだったら、あなた娼婦でも買ってね」
なんて臆面もなく言ってのけるビッチぶりには呆れてモノも言えません。しかしエィドリアンはめげない!
孤独な戦いに身を投じていくのです。ここら辺は背水の陣を布いた者の強みということでしょう。
もう失うものは何も無い! こうなりゃ人間しぶといですからね。
真相の切れ味は「消されかけた男」に比べると数段劣ります。が、これは仕方ないでしょう。
十分意外ではあったし。ページ数も200前半なので短くてお薦めです。
追伸:結局奥さんがどうしたのか気になる・・・。これ一作きりなのかな?
「脅迫状つきサマースクール」ギリアン・ロバーツ(早川書房)
フィラデルフィアも暑い夏へと突入。でもアマンダはサマーバカンスを楽しむ余裕はありません。
経済的な理由からサマースクールで教えることにしたからです。
ウンザリの毎日での救いと言えば、療養中のC・Kが家事をしてくれることと、一人の熱心な女生徒の存在だけ。
ところが、ある日学校の近くで少年が射殺され、その翌日、例の女生徒も姿を消した。
2人は同じベトナム系。これには何かつながりがあるのか?
かくして毎度おなじみアマンダの捜査が始まるのでした――。
シリーズ最新作。前回C・Kとの距離が微妙に縮まったアマンダは、リハビリ中の彼と今まで以上に時間を
共有していましたが、仕事が出来ない反動で彼はちょっといらつき気味。
オマケに、アマンダの同僚の二枚目教師に嫉妬の炎を燃やしたりして・・・。こういうC・Kは貴重かもw
そして巻き起こる殺人事件、失踪事件。背後には何か大掛かりな組織の影がちらついている様子。
しかもアマンダの同僚の黒人教師も嫌がらせを受けるし、アマンダは母親のお節介からダサ男に
付きまとわれるし、うるさ型で差別思想を持った同僚はいるし・・・。
こんだけゴタゴタが起きるのは初めてかも。何度も危険な目に遭うし。
毎回何らかの文学作品がモチーフに使われていますが、今回は「ロミオとジュリエット」です。
詩に仕立てた暗号なんかも出てきてミステリーっぽいなぁと思いきや、犯人は普通でチョトガカーリ。
まぁでも何だかんだで2人がやっとこさ同棲までこぎつけたってコトで良しとしましょうw
この恋愛決して一筋縄ではいかないんだけど、ドロドロでは決してないから安心して読めるんですよね。
追伸:これっきり6年も新刊が出てない・・・。ひょっとしてもう訳さないのかな、ハヤカワ・・・。
むぅ〜コージーの供給源を失っちゃうのは寂しい。次の宿木を探さなきゃ。
イヴァノヴィッチかアボットかピカードか・・・。
MIRA文庫あたりで続き訳してくれないかなw
940 :
名無しのオプ:03/12/13 23:21
↑
毎回、書いてくれるのはありがたいんだけどさ、
小説じゃないんだからそんなに読めないだろ。
もちっと簡潔にまとめてほしいもんだ。
素性の知れない人(って当たり前だけどさ)の文章で
こんな長文読む気にならんのよ。
>>940 ??私がそんなに読めるわけがないと疑っているということですか?
あ、長いということですね(汗
でも、これ以上縮めるのは私の力量では無理っぽいです・・・。
すみません・・・。
自分でサイトを開いたらいかがでしょうか。
正直言って、荒らしかと思うほどの大量投下でこっちはアップアップになるぞ。
>>944 家にネット繋いでないのでつい書き溜めたのを貼り付けるという風になって
しまいまして・・・申し訳ありません。
サイトを開きたいのは山々なのですが、なにぶん超がつく機械音痴でして・・・。
カキコするぐらいが精一杯なのです・・・。
946 :
名無しのオプ:03/12/14 16:17
上でも挙がってるけど、
海外モノ好きな人でオフ会しませんか?
読後感氏も招いて、皆でダメ出しするとか(笑
どうでしょう?
私は東京在住なんですが。
>>946 連続殺人犯が混じってて最初で最後のオフ会になるかもしれないから、やめとけ。
948 :
名無しのオプ:03/12/14 18:53
>>947 でもオフ会行ったことありますけど普通に楽しかったですよ。
949 :
名無しのオプ:03/12/14 19:00
950 :
名無しのオプ:03/12/14 19:53
ミステリーについて語ったり、本の交換じゃんけんとかするんですよ。
951 :
名無しのオプ:03/12/14 20:57
952 :
名無しのオプ:03/12/14 22:06
オフ会スレ行ったらわかるけど、東京は毎回盛況15人以上来る。
ただ、国内読みがほとんどなので海外読みオフしたいなと思って。
やりません?
まあなんやかんや言われてるが読後感がんがれ。
954 :
名無しのオプ:03/12/14 23:15
>>952 う〜ん。私もどちらかと言うと国内読み(8:2)の方が多いんだよね。
955 :
名無しのオプ:03/12/15 00:11
>>954 いやいや、それでも十分ですよ。
本オフは全然読んでない人がザラだったんで…
956 :
名無しのオプ:03/12/15 02:00
え〜い!埒があかんので企画だけ強引に立てちまえ!!
今度の週末東京で
海外モノ読みオフ開催します!!!
夜だと予約とかめんどいんで昼にやります!!
集合場所は…新宿か渋谷か或いは馬場でも。
参加者募集!!
読後感氏も生け贄いやゲストとして参加を乞います!!!
…言っちゃった(^_^)v
>>956 幹事はメルアド晒さないとダメですよ!
確かに本オフでは海外派は少数民族……。
しかしスレが終わりかけている。
興味はあるが地方都市だから私は無理・・・と思う。
ロム人数は知らないけれど、書き込んでいるのは少数だ。
読後感氏以外に何人か。せいぜい1、2人。
もう少し書き込みが欲しい。
メアド晒さなきゃダメですか?
ここかオフスレで出欠取ればいいかなと思ったんですが…
とりあえずあっちにも告知しとこうかな。
ども。
>>956です。
とりあえずメアド作ってみました。
来てもいいという方もしいらっしゃればメールください。
その際には土日どっちがいいのかも教えてください。
こういうの初めてなもので緊張するなぁ…
ドキドキ
961 :
名無しのオプ:03/12/15 09:12
>>952 東京オフは確かにかなり偏りがありますね。
海外物読んでる方いないのかと思ってました。
海外物の話が出来るならオフ行きたいなぁ。
出来れば渋谷希望だけど。
>>961 お、脈ありと見ていいですか?(笑
私は渋谷はあまり詳しくないので
もしもの時は昼に長話ができる
店を教えてくださいね(汗
>>962 探せば幾らでもあると思います。あと予算が判れば。
最悪カラオケルームでも良いのでは?
人数によりますが、早めの予約なら10人くらいなら
軽く入れますよ。平日土曜なら年末でもOKじゃないでしょうか。
日曜だとどうかな?(平日ではないんですよね?)
でも皆さんどんな海外物読んでらっしゃるのかなぁ。
小人数ならルノワールとかの喫茶店でもいいですよね?
よし、じゃあとりあえず暫定的な日程として
20日の土曜日渋谷に・・・午後一時ということにしときましょうか。
必要があれば随時変更するということで。
皆様、よろしくお願いしますm(__)
オフスレと新刊紹介スレにも告知しとこうと思います。
オフ会か…。
ちょっと行ってみたいかも…。
行きたいと思ったら即、行くと決める。これが鉄則です。
おお!
力強いお言葉!
ぜひオフ会に参加を!
968 :
名無しのオプ:03/12/16 00:12
969 :
名無しのオプ:03/12/16 01:18
>>968 有り難うございます!明日メール送りますね。
やっぱり立ち上げてみるもんだなぁo(^-^)o
まだまだ募集してます〜
970 :
名無しのブックオフ100:03/12/17 08:31
「アトレイデスの血」 ピエール・マニャン 創元推理文庫
南仏プロヴァンス地方の静かな町ディーニュで
青年が殺された。誰が?なぜ?どうやって?
進展しない捜査を尻目に第二の殺人が起きる。
またしても青年。致命傷と思われる打撲傷の謎。
果たして第三の殺人が・・・
普通です。ちょっとまだこなれてない感じ。
これが処女作らしいので致し方なし。
殺害方法が判明するとちょっと面白くなってきた。
そしてその方法から犯人像を警察が表明すると、
それに対して市民たちが批難する所とかも面白かった。
全く関係無いような事件が最後に繋がるけど、
ここはちょっと弱い。
犯人像からの捻りも無い。
犯人の最後の独白も無駄に長い。
犯人逮捕への捜査過程もほとんど無い。
話自体は悪くないと思うんだけどね。
100円なら60点くらいでしょうか。
注:題名を深く考察せずに読んでください。
971 :
名無しのブックオフ100:03/12/17 13:32
「気ままなプリマドンナ」 バーバラ・ポール 扶桑社ミステリ
1915年のアメリカ NYメトロポリタン歌劇場を舞台に
実在した歌手や指揮者を絡ませたミステリ。
ヨーロッパから戦火を逃れアメリカに来たフランスのバリトン歌手。
名歌手ではあったが独裁的で嫌われ者だった。
果たして、彼の使う喉薬にアンモニアが入れられ、喉を壊し、降板してしまう。
二度と歌えないことを知り自殺してしまう。
嫌われていたとは言え、歌手の命である喉を壊すなどという
卑劣な行為をしたのは誰か!?
実在した名ソプラノ ジェラルディン・ファーラーが推理する。
クラシックが好きな人なら、出てくる歌手や指揮者、
取り上げられるオペラなどのエピソードでそこそこ楽しめると思う。
その辺をストーリーに絡ませるやり方は上手いと思う。
しかしミステリとしては、お粗末。
ミステリの質すらも1915年ごろの物に下げたのなら納得できるが・・・
登場人物のほとんどが実在の人物なので、自ずと犯人が分かり易い。
歴史を無視したり、大技で歴史の隙間を利用して、
実在の人物を犯人にして、意外な犯人を想像してくれていたら
もう少し評価できたのだが・・・
今年は今読んでる「ジャックは絞首台に!」と後もう一冊くらい読めるかな?
痴呆なので行けませんが、海外スレオフを応援します。
973 :
名無しのオプ:03/12/20 03:12
>>972 これが火点け役になって地方にも海外オフの話が出ると良いですね。
>>973 何か勘違いしてるようだが、
東京は本オフが人大杉になるくらい集まるから
専門オフができるわけなんだが?
地方は本オフも集められないのに制限できるかよ。
やなヤツだな
いよいよ明日海外オフを決行します。
このスレから生まれた(というか無理やり立てたんですが/笑)企画なので、
住人の皆様、何卒成功を祈ってやってくださいませ。
>976
参加したかったのですが、
当方地方在住のため、今回は都合がつかずあきらめました
遠方より盛会をお祈りもうしsage
海外オフ、無事に終了しました。
色々なお話が出きてよかったです。
ちなみに私は「殺意の団欒」と「衣装戸棚の女」を持っていって、
代わりに「妖術師の島」をいただきました。
クリスチアナ・ブランド『暗闇の薔薇』(創元推理文庫)
嵐の晩、自分の主演映画を観て帰る途中、
女優サリー・モーンは、落雷で倒れた大木に行く手をふさがれてしまう。
急がないと追っ手においつかれてしまう!
同じく向こう側で立ち往生している車があったが、奇しくも同種同型だったため
サリーは男と車を交換して家に帰った。
しかし翌朝、座席から死体が発見される。
昨日は乗っていなかったはずなのに?
しかも車は何故か、とりかえた筈のサリー自身の車だった。
メインとなる謎はすごく魅力的だが
一般的には『ジェゼベルの死』や『はなれわざ』と比べて
一段落ちるとされているらしい。
読んでみてなるほどと思った。
謎の不可能性が高く、意地の悪いブランドの作品は
真相がメール欄であるのが似つかわしいし、
そうでないとどうも強引さが目立つような気がする。
それも真相が一発どんでん返し系ではなく、錯綜しているのが原因。
細かいパズラー好きの人向けかも。
新スレ立てました。
スレ埋めついでに、今年読んだ海外ミステリのベストを挙げるのはどうでしょう。
マーガレット・ミラー「これよりさき怪物領域」(ポケミス)
行方不明の農場主を探すという地味な話だけど、絶品。
無理のない展開にも関わらず、ラストは意外。
そして、ぞっとする。
「真夜中の汽笛」コアトムール
「四季屏風殺人事件」ファン・フーリック
「13の判決」英国推理作家協会
「ウェストレイクの犯罪学講座」ウェストレイク
これが今年特に良かったと思う作品です。
どれも古本で100円。
新作も読んでるけど、印象に残ったのは無かった。
ハードカバーものは積読状態・・・