四国志 第三幕

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1('A`)
黄巾の乱に始まった中国の混乱。
その後の三国の鼎立、戦い、魏の統一、司馬氏による晋の建国・・・。
歴史の一連の流れはこうなっている。
今に伝わる歴史がすべてではない。
三国志もしかり。三国だけの争いではなかったのだ。
歴史の影で自分達のアイデンティティを懸けて戦った男達もいた。
魏、呉、蜀の狭間で、理想の社会を創ろうとした男達。
たった五十年の間だけの理想郷。
世の中のモテナイ男達に夢を与えた国。

喪国。

これはモテナイ男達の話。

まとめブログ「四国志」
http://blog.naver.co.jp/yongokusi.do

過去スレ
http://love3.2ch.net/test/read.cgi/motenai/1097518976/
http://love3.2ch.net/test/read.cgi/motenai/1093567030/
2('A`):04/12/30 23:54:14
糞スレだな。スレタイで分かる。
3('A`):04/12/30 23:55:25
作家の皆さんへのテンプレ
※まとめサイトにて物語を一通り読んでからご執筆下さい

三国志人物検索にも有用。フリー百科事典「Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9B%BD%E5%BF%97%E4%BA%BA%E7%89%A9%E8%A8%98%E4%BA%8B%E4%B8%80%E8%A6%A7

年表(他にいいサイトがあれば随時追加よろ)
ttp://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/3485/column/nenpyou.html
4('A`):04/12/31 00:55:44
あげ
5('A`):04/12/31 08:49:34
>>1
6JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :04/12/31 11:38:13
新スレやっとキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
俺は糞スレ立てたおかげでスレ立てられなかったよ。
喪板にはスレ立て依頼スレみたいなのもないし・・・・。
とりあえず>1乙。
みんな気付いてくれればいいんだけど。
7('A`):05/01/01 01:12:09
   Mission UD:白血病等のがん患者を救え
   本プロジェクト通称UDは世界中のPCで分担して
   “抗がん剤の候補分子”を絞り込もうというプロジェクトです。

        つまり 『がん患者を救える』 って事です

   ┏━━┓┏━┓┏━┓┏━━┓ ┏━┓      ┏┓
   ┗┓┏┛┃━┫┃┃┃┃┃┃┃ ┣┛┃┏━┓┃┗┓
     ┃┃  ┃━┫┃  ┃┃┃┃┃ ┃━┫┃━┫┃┃┃
     ┗┛  ┗━┛┗┻┛┗┻┻┛ ┗━┛┗━┛┗┻┛
       grid.org Cancer Research Project Team 2ch
    - CPUの空き時間をがん治療薬探しに貸してください -
      Team 2ch 支援サイト http://ud-team2ch.net/
8JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/01 09:03:48
新年あげ
9('A`):05/01/01 09:36:27
おーまた復活したか
>>1
10('A`):05/01/01 22:16:18
上げるぞ
11('A`):05/01/03 02:09:27
保守
12JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/03 23:00:36
いきなり保守スレか・・
とりあえず上げ
13('A`):05/01/04 00:51:02
ブログ読んだけど面白かった 続きはどうなるの?
14('A`):05/01/05 04:06:56
捕手
15夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/01/05 21:25:32
ここに復活していたか!

俺も次スレ立てたかったんだが、年末年始忙しくてなかなかままならなかったです。
立ててくれた>1の人乙!そしてみなさん、本年も喪の建国に向けてがんがりましょう。

なんだけど、前スレ後半は俺ばっかり書いてていささか寂しかったので、
第三幕ではたくさんの作家さんたちの参戦&以前の作家さんの戦列復帰を激しくキボン。
(お粗末氏の名文が懐かしいよウワァァン)
16('A`):05/01/05 21:36:53
おお!ついに復活したか!!
17JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/05 22:46:42
みんなほんとい仕事するからねー。
夏喪さんのも読みたいし、
他の人の作品も読みたい。
こういうスレのいいところは、色んな人が一緒に
作っていくって実感ができるところじゃないなかなあ。
俺も皆さんの戦列復帰きぼん。
まだまだストーリーは始まったばかり、
神職人さんの腕がふるえますよ。
18('A`):05/01/06 02:36:25
復活おめ!
19('A`):05/01/06 09:46:57
真・四国無双ではなみいる喪将が全てイケメンに...
20('A`):05/01/06 20:45:25
あげ
21JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/06 21:53:20
ポリゴンでキモメンを再現して欲しい
22('A`):05/01/06 22:02:03
真・大喪童貞乱舞(喪属性)
23('A`):05/01/06 22:40:11
ポリゴン独秦はやだなあ
24('A`):05/01/07 09:13:21
hosyu
25('A`):05/01/07 11:52:23
四国無双やりてー
26('A`):05/01/08 19:48:03
age
27('A`):05/01/09 02:06:51
応援してまつ。
28JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/09 21:09:38
ホッシュホッシュ
ついでに上げ
29('A`):05/01/10 00:10:28
漏れも
30素敵な海ねこ ◆bRf3MoYaro :05/01/10 00:11:37
懐かしいスレだな
31('A`):05/01/10 14:32:52
あげー。

みんな400下回ったら必ず上げよう
32('A`):05/01/10 20:51:00
安芸
33('A`):05/01/10 22:23:57
激・神性喪男乱舞( ('A`)属性)
34('A`):05/01/10 22:24:12
age
35('A`):05/01/11 17:55:09
age
36('A`):05/01/11 23:56:33
age
37('A`):05/01/12 18:03:35
あげ
38('A`) :05/01/12 18:58:45
あげ・・・
39('A`):05/01/12 23:56:43
あーじゅ
40('A`):05/01/13 06:31:16
hoshu
41('A`):05/01/13 13:47:10
あげるよん
42('A`):05/01/13 21:36:45
age
43('A`):05/01/15 00:11:07
age
44('A`):05/01/15 14:25:57
wwwwwwwwwww
45('A`):05/01/15 14:36:30
('A`)漏れには書けねえ
46JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/15 23:08:24
俺にも書けない・・・
だから出来る事は保守。
保守でもいいからここに関わっていようじゃないか。
47('A`):05/01/16 16:30:08
あげ
48お粗末:05/01/16 19:14:06
さて喪手杉率いる曹操軍が、内向郡奪還に向け許都を進発したのと前後して
佛興府では荊州からの使者孫乾が、罪人泡好の引渡しを求めて交渉を行っていた。

「以上申し述べました通り、かの者は荊州にて不正を働き
 追捕の令が発せられておる、お尋ね者なのでございます。
 そこで是非ともお引渡し願うようにと、この度主君より仰せつかって参りました」

孫乾は初めて見る喪侯の顔に、正直反吐が出る思いであったが
そこは劉備幕下きっての外交官、そのような感情はおくびにも出さず
人懐っこい笑みを浮かべながら、主君からの要請を忠実に伝え終える。
だが喪侯はといえば、そんな孫乾の心中を見透かすかの如く、冷徹な表情を崩さない。
のみならずその瞳からは、軽蔑の念さえ見て取れるようであった。
暫しの沈黙が続き、流石に不審に思った孫乾、怪訝な顔で恐る恐る言葉を発する。
49お粗末:05/01/16 19:15:28
「して、お引渡し願えるでござりましょうか」
「黙れ下郎め。聞けば劉備とやら、同族の劉景升殿が治める荊州を我が物とし
 そこを足掛かりとして、中原にも乗り込む腹積もりであるとか。
 更にそれに反発した義勇の士泡好を、こともあろうに罪人として処断しようと企てるとは
 不義不忠の奸賊ばらめが、恥を知らぬか」

突然の叱責に、驚いて目を丸くする孫乾。
先に耳にしたことは、少なくとも孫乾には全く覚えのないことであるし
何よりあの泡好が義勇の士などと、正気の沙汰とは思われぬ。

「そんな、泡好めが何を言ったのかは存じませぬが、それは全くの誤解でございます」
予想もせぬ事態に孫乾は俄かに顔色を変え、何とか弁明しようと試みるが
喪侯は全く聞く耳をもたぬばかりか、辺りに居並ぶ文武諸官が挙って罵倒を始めるに至って
これまでじっと耐え続けてきた孫乾も、とうとう腹に据えかね喪侯をきっと睨みつけた。
「この孫乾、生まれてよりこの方、これほどの恥辱を蒙ったことは相ござらぬ。
 此度の喪侯の非礼、一つも余さず我が君にお伝え致す所存」
と色めき立って啖呵を切った次の瞬間
「おのれ口の減らぬ輩め。さっさと出て行かねば命はないぞ」
と武沙が恐ろしい形相で喝破したので、孫乾は這々(ほうほう)の体で劉備の待つ新野へと帰還した。
50お粗末:05/01/16 19:18:09
「何と、真にそのようなことを申したのか」
孫乾からの報告を聞いた劉備は、怒りよりも先に驚きの感情が起こったようであった。
そもそも泡好は歴とした罪人である上に、さしたる才覚もない。
到底庇い立て出来るような人物には非ず、それ故此度の喪侯の態度は不可解であった。
劉備は労をねぎらって孫乾を下がらせると、同じく報告を聞いていた関羽に諮った。

「雲長よ、これをどう見る」
「思うにこれは、わざと我々を挑発して兵を出さしめ
 景升殿の不信を煽ろう、という離間の計ではありますまいか。
 高々一人の罪人を奪い返す為に、多数の兵を動員したとあらば
 猜疑心の強い景升殿のこと、必ず我々に不信を抱くでしょう」
核心を突いた読みではあるが、如何に世に聞こえた関雲長と雖も
喪軍の真意にまでは流石に智が及ばぬ。
尤もここで兵が動かされなくば、どうあれ喪軍の謀略は水泡に帰してしまうのだが。
「なるほどのう。はてさて、どうしたものか」
51お粗末:05/01/16 19:22:05
さて劉備と関羽が思案に暮れている所、突如扉を蹴破って足音荒く劉備の前に進み出る者がある。
一同が視線を遣ると、そこにはかっと眦(まなじり)を怒らせ髭を逆立てた大男の姿。

「騒がしいな。何事だ、翼徳」
「話は全て孫乾から聞いた。
 山賊上がりのならず者風情が、皇叔劉玄徳を奸賊呼ばわりとは無礼千万。
 この手で頭蓋を打ち砕いてやらずば気が収まらぬわ」
語気を荒げて声高に罵る張飛。
しかし怒りに荒れ狂う張飛を、関羽は一方冷静に宥(なだ)める。

「落ち着け、翼徳よ。
 確かに礼を失した喪手内の行い、腹立たしきことは儂も同意であるが
 景升殿から新野の守備を仰せつかっておる故、余り多く兵力を割く訳にもいかぬ。
 また大規模に兵を動かすことは、景升殿に要らぬ疑いをかけられる種にもなりかねまい」
「あれほど虚仮(こけ)にされて、尚指を咥えておれと言うのか。
 玄徳兄者、俺に一軍を与え出陣の命を下してくれ」
「ふむ、それほど言うのであれば、何とか兵を工面してみよう。
 だが相手も何か策を用意しておるやも知れぬ。決して無理はするでないぞ」
「おお、そうこなくては。感謝するぜ、兄者」
張飛が掌に拳を打ち付け、気焔を吐く。
52お粗末:05/01/16 19:26:30
「然らば、拙者張将軍のお耳に入れたき儀あり」
進み出て言葉を発したのは、先程から劉備の傍らに控えていた趙雲。
「おお子龍か、何ぞ申してみよ」
「拙者地庚山にてかの連中と矛を交えたことがござる。
 人品卑しけれども軍には屈強の将多く、就中(なかんずく)肝意と申すは
 この子龍とも互角に打ち合う剛の者。努々(ゆめゆめ)弱小と侮ってかかりませぬよう」
尤も肝意は喪軍を離れて、一人故郷長沙へと帰還しているのだが
趙雲とすればそれを知る由もない。
「何の、強者こそを相手とするは武人の本懐。
 我が前に何人が立ち塞がろうと、必ずやこの蛇矛の錆としてくれようぞ」

かくて張飛は新野の軍勢凡そ三千を率いて、佛興府目指し進軍を開始する。
正に、狼顧の大器北より入れば、憤怒の虎将西より攻め上る、というところ。
さて、この戦はどうなるか。続きはまた次回。
53('A`):05/01/16 21:24:10
超GJ!!!!!!!!!!!
次が楽しみ!!!!!!!!!!!!!
54('A`):05/01/16 21:41:59
神乙
55('A`):05/01/17 01:28:29
最高!
56('A`):05/01/17 19:45:09 ,
ii
57('A`):05/01/17 20:12:46
初代スレが読めるようになったみたいなんで、一応貼っておこうか

http://ruku.qp.tc/dat2ch/0410/12/1093567030.html
58('A`):05/01/17 21:42:20
age
59('A`):05/01/18 18:01:04
age
60JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/18 22:27:30
アクセス規制解けたー。
お粗末氏GJ!!
劉備軍がいよいよからんできましたね〜。
今後の展開が楽しみ。超楽しみ。
続編期待してます!
61('A`):05/01/19 20:29:54
やっぱり作家が少ないんだよな・・・
定期的に書いてくれる人が、最低あと1、2人は必要な気がする
初代スレの職人たちは、もう見ていないのか?
もし見てるならぜひ復活して欲しいところだが・・・
62('A`):05/01/19 22:58:44
age
63JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/20 08:09:53
宣伝でもする?
あんま宣伝して周るのも、
作家の人が嫌がると思って
やってなかったんだけど・・・。
三国志・戦国板にでも要請すれば
作家さんも来るんじゃないの?
もちろん俺としても、
初代の作家さんに復活して欲しいし
夏喪さんやお粗末さんにも書いて欲しいけど。
どうする?もうちょい様子見かな?
64('A`):05/01/20 11:14:17
飽くまで「喪男が三国志に乱入」というのがコンセプトだから
三戦板に協力要請ってのも、何か違う気がするな
かと言って喪板内で過剰に宣伝しても、かえってウザがられるだろうし
現状ではやはり様子見しかないか・・・
65('A`):05/01/20 12:00:25
矢羅傍は何と読みますか?
66('A`):05/01/20 12:03:07
托ってキモから形成された文字?
67('A`):05/01/20 12:50:36
>>65
やらはた
68('A`):05/01/20 18:14:54
何度も1000までにdat行きしたから
このスレ忘れてる人も多いんだろうな…
残念なことだ
69('A`):05/01/21 14:23:46
よんごくしを変換したらヨン獄死だってさ
70('A`):05/01/21 14:27:25
ヨン獄死
71('A`):05/01/22 13:33:29
age
72('A`):05/01/22 17:27:44
これって曹操とか劉備とか死んだあとぐらいの年代になると、喪の武将がほとんどいなくなるね
73('A`):05/01/22 22:45:46
子孫もいないしな
現若手武将と新キャラ頼みってとこか
74夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/01/23 02:51:39
養子をとるんだろうな。

ヨン獄死が完結したら水喪伝を作りたいが、
その複線が張れたりするとオモロイなあ・・・。
まずはこのスレをもりあげることだけど。
75JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/23 09:03:27
50年で滅亡だから、
それでいいんでないのかな。
いつか喪手内の死も描かれるんだろうか。
泣きそうだ。
76('A`):05/01/23 22:11:11
age
77('A`):05/01/23 22:15:16
益徳じゃね?
78('A`):05/01/23 23:42:26
>>77
正史では益徳だが、演義では翼徳。
ここではどっちでもいいと思われ。
79夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/01/24 13:10:36
終盤は、イケメンに虐殺されて滅亡する喪国の描写・・・
哀しくも美しく書かなきゃならんね
80('A`):05/01/24 19:07:09
age
81('A`):05/01/24 20:19:29
年代的にはいつ頃になるの?
曹操が死ぬよりはあと?
82('A`):05/01/25 15:45:10
保守
83('A`):05/01/25 20:54:11
ageeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee
84夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/01/25 22:18:22
>81
多分。曹操の死〜呉滅亡までのどこかなんだろうけど、それは作家さんの一存・・・
85('A`):05/01/26 00:32:40
そこまで保つかどうか…
86JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/26 08:52:40
喪手内だけは静かに息を引き取って欲しいなあ。
喪人生に思いを馳せながら、
喪として生きた事に自分なりの満足できる点を見つけてから
息を引き取って欲しい。
イケメンに殺されてしまうのはあまりにかわいそうだ。
87('A`):05/01/26 20:29:12
あげ
88('A`):05/01/26 20:37:30
age
89('A`):05/01/27 18:30:24
ほす
90('A`):05/01/27 23:31:43
期待age
91('A`) :05/01/28 07:39:40
保守
92('A`):05/01/29 01:35:35
作家待望age
93('A`):05/01/29 13:16:53
おまいら、保守がてら今後の展開予想してみないか?
94('A`):05/01/29 13:18:13
レス番200くらいまで保守が続く
95('A`):05/01/29 13:22:08
>>94
そうじゃなくて、喪国がどうなるかっていう展開のことだww
96('A`):05/01/29 14:37:48
いや、94の言うとおりかもしれん
97JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/29 21:05:21
今後の展開難しいな〜。
とりあえず張飛と喪軍のカラミが
楽しみだ。
張飛は義の人でもあるし
イケメンだったとは原作にも描写はないから、
喪軍に対してもそんなに差別はないだろうと予想。
むしろ喪手杉に嫌悪感持ってくれないかな?
98お粗末:05/01/30 03:09:45
一方、内向郡に向けて進軍を続ける喪手杉軍は、その道程を半ばも来た辺りで
休息と情報収集を兼ね、或る小さな村落へと軍を留めていた。

喪手杉軍は曹操の正規兵二千と、喪手杉直轄の兵二千とで混成されており
共にその威儀と軍律の正しさによって、見る者を嘆息させる程であったが
殊に喪手杉の私兵たるや、その意匠を凝らした兵装もさることながら
目も眩まんばかりの美男子が整然として居並び、一層の衆目を集めていた。
更にそれらを指揮する総帥喪手杉の、神々しいまでの立ち姿を目にするに至り
村民らもすっかり心を奪われたのであろうか、軍の駐屯にも非常に好意的であった。

そんな喪手杉の姿を一目見んと、娘達が大挙して陣屋に押し寄せる中
一際美しく気品漂う娘が、人込みに紛れるようにして佇んでいる。
女と金には餓狼の如き嗅覚を発揮する喪手杉、忽ちその存在に気が付いて
早速誑(たら)し込まんと傍へ行き、娘の耳元でこう囁いた。

「このような寒村で、貴女のような麗しき乙女と出会えるとは
 これは正しく、天が二人を引き合わせたと言う他ござらぬ。
 見れば身なりや立居振舞など、卑しからざる身分の方とお見受けしたが
 宜しければ、名をお聞かせ願えぬだろうか」

歯の浮くような台詞であったが、確かに喪手杉の言う通り、身に付けている装飾品や
血色の良いその顔を見る限り、よもや百姓の娘とも思われぬ。
99お粗末:05/01/30 03:10:51
「私の名は奈薙と申します。私達家族は元々内向郡にて商家を営み
 何不自由の無い、裕福な暮らしを送っておりましたが
 先に勃発した郡の動乱を避け、この度こちらの村へと逃れて参りました」

このやり取りを偶然耳にした司馬懿、喪手杉に献言して曰く
「内向郡より参ったとあらば、かの地の状況にも通じておる筈。
 この娘の父親を召喚して、色々と情報を探るが宜しいかと存じます」

この司馬懿の言を容れ、喪手杉は傍らにいた兵に指示を下した。
暫くして兵に引き連れられて来たのは、恰幅の良い中年男である。

「御苦労であった。早速ではあるが、内向郡の現状と敵の情報について
 その知る限りを教えて欲しいのだが」

喪手杉の言葉に奈公は、はっと跪き
内向郡の窮状、及び太守堕眼の専横について、切々と訴え始めた。
100お粗末:05/01/30 03:12:07
「此の度丞相に反旗を翻したる堕眼というのは、心身共に陋劣なる男にござりまして
 先頃銅雀台建設に伴う、美女召集令が発布された際にも
 布告に託けて、郷内の娘達を我が物にせん、との悪心を抱きおりました。
 しかしそれに反発した我等領民が、団結して娘達の受け渡しを拒絶すると
 遂には形振り構わず無体な徴用を行う始末。
 我が愛娘奈薙も、危うくその毒牙にかかる寸前でございますれば
 最早このような男の下にては、安寧な暮らしを送ることも相叶わずと
 一族郎党を引き連れ、こちらへと居を移して参ったので」

言い終えた奈公の目には、口惜しさの故か、涙が滲んでいる。
無論この言い様には、一方ならざる誤解と偏見が内包されていたが
取分け性質が悪いのは、奈公にすれば虚偽を申した意識など一切なく
少なくとも彼とその一族にとって、全くの真であると信じて疑わぬ点であった。

「御願いでございます、喪手杉様。
 必ずやあの男を打ち倒し、内向郡に安寧秩序を取り戻して下さいませ」
「私からも御願いでございます。私共の故郷をお助け下さいませ」

地に額づいて必死に訴える父と、その父の肩を抱きながら、よよと泣き崩れる美しき娘。
この哀れを誘う光景に、陣屋の内は忽ち静まり返り
兵士達の胸中には、愈々以って「堕眼憎し」の感情が沸き起こりつつあった。
そして満座の視線が注がれる中、喪手杉がやおらすっくと立ち上がり
その美貌と調和した凛然たる声で、高らかにこう宣言した。
101お粗末:05/01/30 03:13:28
「逆賊堕眼の暴虐無道なる振舞い、正しく鬼畜にも劣る所業と言うべし。
 この喪手杉が天に成り代わって、必ずやかの奸物に破邪顕正の鉄槌を下さん」

喪手杉の檄に、兵士達は一斉に鬨を作って応える。
この時の喪手杉の姿は、正に古来の軍神すら髣髴とさせる程、威光に満ちたものであった。
しかし実態はといえば、億劫な実務は全て司馬懿に押し付けた挙句
自らは畏敬面や合棍らを引き連れ、酒池肉林の日々を送るばかりであったのだが
勿論そんなことにはおくびにも出さない。

とは言え、左様なことは全く知る由もない奈公、思わず感嘆してぽつりと言葉を漏らす。

「嗚呼、若し喪手杉様のように風采が立派で、仁徳溢れる御方が太守に就任なされたなら
 私共とて、何ぞ娘を差し出すことに、躊躇いなど覚えましょうや」
「まあお父様、そのようなこと」
父の言葉に狼狽する奈薙だが、その表情は満更でもない様子である。
102お粗末:05/01/30 03:16:14
さて兵達の士気は益々高揚して、陣屋は多少騒がしくなっていたが
その時、突如場の空気を切り裂くが如く、何処からか鋭い声が飛んだ。

「時に奈公、先程郡内には、太守堕眼に対する怨嗟の声が満ち満ちている、と申されたが
 彼奴に恨みを持つ人間は、まだかの地に残っておるのか」

奈公にこう尋ねたのは、これまで沈黙を保っていた司馬懿である。
その詰問にも似た口調に、奈公は恐縮しながら問いに応ずる。

「ははっ。今や内向郡は荒廃しきり、堕眼の手の者と思しき面妖なる連中が
 昼夜を問わず徘徊しておると雖も、未だ郡内には逃げ遅れて已む無く残留しておる者や
 土地に縛られ逃げるに逃げられぬ者など、少なからずおる筈ですが」
「その中で最も有力な人物は、誰であるか」
「私が懇意にしていた埜乃家の当主などは、優れた人格で人々の信頼も厚うございます。
 また私同様、娘を手篭にされかかったという経緯もあり
 堕眼への怨み、骨髄に徹しておると言っても過言ではございません」

これを聞いた司馬懿ははたと膝を打った。

「よし、その連中を味方に付ける。急ぎ書状を認め、内向郡へと密使を遣わせ」

こうして奈公の助力を得た司馬懿は、反堕眼の住民を煽動する為
使者を密かに、内向郡に潜む埜乃公の下へと走らせる。
正に、兵の矛戟遠くにあれど、喉笛狙うは帷幄の臣、というところ。
さて、司馬懿の謀略はどう出るか。それは次回で。
103お粗末:05/01/30 03:26:51
>>77
矢張り日本人にとって、『三国志』と言えば
正史ではなく、演義を指すのであろうと思ったので
敢えて「益徳」を採らず、「翼徳」の字を用いた訳ですが
このスレ的には、どちらが良いですかね

>>79
「保自厨 VS 最後の五鬼将軍、根雅」
この内乱によって喪は国力が衰退し
そこを魏に付け込まれ、遂にその歴史を閉じる

ワンダー喪喪氏の番外編から、こんな展開を考えてみたのですが
如何なもんでしょうか
104JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/01/30 10:01:29
新作来た!新作来たよ!
お粗末さん乙!

ポジとネガの内乱で国が滅ぶのはいいかも。
まさしく喪板の構図であります。
根雅の血族で、「根喪」という人物がいて
根雅を最後の最後で裏切って
壊滅的な打撃を与えてしまう、っていうのはどうでしょう。
105('A`):05/01/30 10:45:43
堕眼、完璧に悪人だなwww
そういうのすごくいい
106('A`):05/01/30 11:44:24
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
107('A`):05/01/30 21:40:12
お粗末さん乙!
108('A`):05/01/31 15:41:49
109('A`):05/01/31 23:29:44
応援age
110('A`):05/02/01 22:58:20
保守
111('A`):05/02/02 21:25:31
保守なるかな
112('A`):05/02/03 15:36:18
age
113('A`):05/02/03 23:14:47
ほす
114('A`):05/02/04 20:59:34
保守るよ〜
115('A`):05/02/04 22:09:45
ほすっとく
116('A`):05/02/05 14:47:08
真・四国夢想喪手杉伝
117('A`):05/02/06 14:31:23
age
118('A`):05/02/07 16:31:38
ほすほす
119('A`):05/02/07 23:04:57
応援あげ
120('A`):05/02/08 22:53:54
待ってるぜ〜
121('A`):05/02/09 18:54:06
まだかな〜
122('A`):05/02/09 18:56:08
age
123('A`):05/02/09 22:20:33
ageeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee
124('A`):05/02/10 17:05:52
まだかー
125('A`):05/02/11 00:13:42
うp!うp!うp!うp!
126('A`):05/02/11 10:38:30
おいおい…作者さまに失礼じゃないか
漏れたちで少し外伝的なものでもつくろうぜ
127('A`):05/02/11 23:48:51
age
128ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/12 05:21:34
なんだ復活してたのか!!
なんか軽いの書くか。時間あったら。
129('A`):05/02/12 05:40:17
喪喪さんキタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!
期待してるよー
130('A`):05/02/12 13:15:51
大丈夫だろうけど、なんか不安なので保守
131ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/12 16:46:39
歴史に絡めるほどの知識と文才が無いもんで、
また番外編(しかも恋愛モノ)を書いてるわけだが。

「〜していた。」「〜だった。」「〜だ。」

うはwwwwwww小学生レベルwwwwwwwww
132('A`):05/02/13 11:29:09
>喪喪さん
ぜんぜんOKっす。四国志復興のために・・・!
133('A`):05/02/13 11:51:59
>>131
ぜひ頼みます!
134('A`):05/02/13 22:07:06
よし、ここは期待age
135('A`):05/02/14 01:02:26
オレも期待する
136('A`):05/02/14 09:04:27
みんな、ヴァレンタインデーの書き込み増でこのスレが陥落しないように、
全員で防ごうぜ。
(クリスマスはそれで陥落したからな)
137('A`):05/02/14 09:16:22
夜カプー板の鯖が落ちた後に寝ちゃったんだがどうなったんだ?まだ続いてるのか?
138('A`):05/02/14 09:37:44
あげ
139('A`):05/02/14 21:46:53
あげええええええええええええええええええええええええええええええええええ
140お粗末:05/02/15 02:59:14
さて内向郡では、喪手杉の軍勢眼前に迫り、明日にも城外に至るとの報告が
物見より入っていたので、堕眼は急ぎ全軍を召集し

「軍師殿から預かった策に従い、我等は篭城策を採る。
 皆、指示があるまで、決して打って出てはならぬぞ」

と覇気のない口調で、兵卒達によくよく注意を含めた。
この時の堕眼の様子が、余りに頼りなかったので、
兵士達は只でさえ浮き足立っておる上、元々堕眼に心服していた訳でもないから

(この大将では、我々の命も長くないのではないか)

と嘆ぜざるを得なかった。
141お粗末:05/02/15 02:59:52
時に、策の全容は次のようなものである。

先ず荊州軍が、入り組んだ国境の谷まで侵攻して来るのを待つ。
続いて堕眼は内向郡を放棄、敗軍を装って同じく国境の谷に喪手杉軍を引き込む。
その後に偽兵の計を用いて張飛、喪手杉の両軍を誘導、両者に紛争を引き起こし
この二者が争っている間、佛興府の本隊は手薄になった内向郡を奇襲、奪還する。
最後に国境で争っている両軍を、纏めて掃討するという手順であった。

ただし荊州軍が件の地に到着するのに、幾らかの時間差があり
堕眼はそれまで喪手杉を食い止め、時を稼がねばならない。
今回篭城策を採ったのも、これが主たる理由であった。

対する喪手杉の軍は凡そ四千、数の上では決して多くはなく
直ちに沸興府から援軍を差し向け、内向郡の勢力と協力して当たれば
勝つことも決して不可能ではない。
だが例え今回勝利を収めたとて、曹操の増援が本格的に派遣されれば
弱小勢力に過ぎぬ喪軍にとって、対抗する術は皆無である。

無論対外的には、孫権の客将として遇されてはいるものの
その実態は単なる捨石、或いは厄介者といった側面が強く
いざ曹操の大軍と矛を交えるに至った時、孫権の援軍などは望むべくもない。
その為喪軍は目先の勝利ばかりでなく、その後の展開をも見据える必要があった。
142お粗末:05/02/15 03:00:27
そこで、劉備軍の存在が重要となる。

この喪軍と曹軍の争いに、荊州の劉備を加えることによって、一種の均衡状態を作り出し
曹操の兵力と注意をそちらに向かせることで、少しでも生き残りの確率を高め
あわよくば漁夫の利を得ん、というのが此度の策の主眼であった。

しかし一つ間違えれば、劉備と曹操の双方を、敵に回すことにもなりかねず
かつ、成功する公算も決して高いとは言えない。

だが世人から忌み嫌われる喪男の集団に、誰が救いの手を差し伸べてくれる筈もなく
このまま手を拱いていても、何れかの勢力に食い物とされるは必定。
畢竟孤立無援の弱小喪軍が、どうにかして生き残ろうとすれば
常に先手を打ち、利用出来るものは敵すら利用し尽くした上で
他勢力の目を巧みに躱しながら、徐々に版図を拡大して行く他なかったのである。
143お粗末:05/02/15 03:01:11
さて翌日敵地に到着した喪手杉の軍は、城外に豪奢な陣を張り巡らせていたが
櫓の上に堕眼の姿を見つけた畏敬面、単騎にて城の前へと進み出で

「どうした、逆賊。
 我々の威容に恐れをなして、打って出ることも出来ぬか。
 愚鈍なること亀の如く、城中に篭って慄き震えるばかりとは
 臣としての忠義のみならず、遂に将としての矜持まで失ったか」

と散々に罵った。
これに立腹した堕眼、その物言いこそは我慢がならぬと顔を紅潮させて
声高に何かを喚き立てるが、余りの剣幕に何を申しているのかも聞き取れず
喪手杉らの失笑を買うに止まるのみであった。

「皆、楼上の狂人を見よ。無様に何か騒いでおるわい」

畏敬面が半笑いでこう叫ぶなり、喪手杉軍からどっと笑いが起きる。
のみならず、涙目の堕眼が辺りを見回すと、味方の間にも笑いを堪えている者がおる始末なので
堕眼はもう一切合切が厭になり、両手で顔を覆って号泣しながら
逃げるようにその場を離れると、自分の館に戻るなりそのまま寝込んでしまった。

この醜態に堕眼の部下達は、益々失望感を募らせたが
結局、両軍は睨みあったまま進展を見せず、遂にその日は夜を迎えた。
144お粗末:05/02/15 03:01:57
「敵の実情は全く以って、この書簡に認められている通りじゃ。
 兵の士気劣悪にして、誰一人身命を賭して戦おうという者がおらぬ。
 このように隙だらけの城など、牧童でも落とすことが出来るわ」

蝋燭の灯りに書簡を照らしながら、司馬懿は勝ち誇ったように一人ごちる。
埜乃公からの書状によれば、城門の番人を金銭で以って篭絡済みであり
鬨の声を合図として、門を開放させる手筈が整っているという。
更に堕眼に反感を持つ住民から義勇軍を募り、喪手杉軍が城内に突入すると同時に蜂起、
隙を突いて一気呵成に攻め立てれば、夜明けを待たずに陥落するであろう、ということであった。

「もう数日様子を見ても良いが、敢えて時をくれてやる必要もあるまい」

司馬懿が幕内より出でて空を見上げると、そこには満天の星空が横たわっている。
これが曹操であれば、感興を覚えて詩の一つも吟じたくなる所であろうが
生憎彼にはそんな才覚はない。彼はただ恐ろしいまでの実務家であるのみだった。

周りには先刻から全軍が待機して、じっと司馬懿の指示を待っている。
司馬懿はゆっくりと彼らの前に歩を進め、夜の静寂を打ち破るように朗々と声を張り上げた。

「全軍、鬨の声を上げよ」

司馬懿の号令と共に、喪手杉軍総勢四千が一斉に鬨を作ると
それに呼応して、城門が内側より開放される。
城門が開くと同時に、喪手杉は将旗をさっと一振りさせ
先ずは畏敬面の部隊が切り込んで行くと、続いて自らも兵を率いて突撃して行った。

さて暫くの後、城外には未だ司馬懿、合棍の部隊が残っていたが
司馬懿は合棍に何やら耳打ちをすると、合棍は成る程と頷いて
そのまま城内には入らず、部隊を率いて何処かへと駆けていった。
145お粗末:05/02/15 03:02:52
「大変です。堕眼殿、敵襲にございます」

堕眼の補佐官として、内向郡に駐留していた納翻が
尋常ではない様子で、堕眼の部屋へと駆け込んで来た。
堕眼はしばし言葉もなく、狐に摘まれたような顔をしていたが
やがて事態の深刻さを理解したのか、擦れた声で納翻に聞き返す。

「まさか、もう門が突破されたのでござるか」
「はっ、どうやら敵軍と内通した兵が、城門を内側より開放した模様。
 のみならず、この機に乗じて領民の一部が、徒党を組んで反乱を起こし
 更には状況不利と見て取った兵達が離反、今や我が軍は壊滅状態でござる」

これを聞いた堕眼、衝撃のあまり忽ち視界が暗転する。
人望の無さは自覚していたものの、流石にここまでとは想像が及ばず
堕眼は顔面を蒼白にして、只々呆然自失するばかりであった。

「兎も角、今は生き延びることが先決。早く私の後に」
しかし堕眼は、頭をゆっくりと横に振って応えた。
「此度ばかりは、つくづく己の人徳のなさが厭になった。
 拙者はこのまま首を括って自決し、来世に望みを託すことにした故
 喪手内殿には、その旨宜しくお伝え下さるよう」

死んだ魚のような瞳をして、堕眼がぼそぼそ呟く。
艱難辛苦に直面すると、直ぐに死を以って解決しようとするのが
この男の悪癖の一つであり、正直納翻も辟易していたのであったが
本当に死なれてしまっては寝覚めが悪いので、一応説得を試みることにした。

「ええい、何と不甲斐無い。
 今日の日中、畏敬面に嘲弄されたことを思い出されませ。
 あれほどの侮辱を受け、その恥も雪がぬうちに自害しようなどと
 大丈夫がすることではござりませぬぞ」
「おお、そうであった。このままおめおめと死に恥を晒しては
 父祖の霊に申し訳が立たぬと言うもの」

我に返った堕眼は急ぎ兵装に身を包み、納翻に引き連れられて館の外に出ると
手配された馬へと跨り、僅かな手勢を連れて城外へと脱出した。
146お粗末:05/02/15 03:03:32
「敵将堕眼、裏門より逃走致しました」
陣頭にて指揮を執る畏敬面に、この急報が入った。
「おのれ逆賊め、逃がしてなるものか。
 俺は一軍を率いて、敗軍の追撃へと向かう。後は任せたぞ」
こう言い捨てるや否や、愛馬世瑠志雄に鞭をくれ、一散に走り去らんとする畏敬面の前に
「待て。追ってはならぬ」
と突如司馬懿が立ち塞がる。
驚いた畏敬面が渾身の力で手綱を引くと、馬は大きく嘶いて、その目前にて漸く停止した。

「貴様、そんな所で何をしておる。退け、ええい、退かぬか」
得物を振り上げて威嚇する畏敬面だが、対する司馬懿は一歩たりとも退く気配はない。

「そういきり立たずに、先ずは儂の話を聞け。
 相手は小人数故動きが取り易く、恐らく全員が騎馬に乗って逃走しておる。
 今から追撃をかけた所で、とても間に合うものではあるまい。
 加えて、国境に位置する山谷が不吉である。
 かの地は複雑に入り組んでおり、土地の者以外は非常に迷い易いと聞く。
 下手に深追いし、視界の悪い場所へと誘い込まれた挙句、
 伏勢に一網打尽ということも、決して有り得ぬ話ではない」
「だったらどうしろと言うのだ。このまま見逃せとでも」
「そうではない。
 御主のように血気にはやるのみでは、何れ大事を見誤るというまでのこと。
 この件に関しては、既に手を打ってある。心配めさるな」

この返答に畏敬面は、やや不満気な表情を見せたが
どうやら気勢を削がれたのか、一先ず馬首を翻して持ち場へと戻った。
147お粗末:05/02/15 03:04:21
一方、数十名程の僅かな手勢と共に、辛くも敵の包囲から逃れた堕眼は
早馬を飛ばして、沸興府への路を急いでいた。

「あの谷にさえ逃げ込めば、後は地の利ある我々が有利。もう一息じゃ」
堕眼が部下に叱咤の檄を飛ばした、その刹那、
左右の林から敵の伏勢、凡そ五百が、盛大な太鼓の音と共にわっ、と打ちかかった。
「しまった、伏勢か」
慌てて応戦しようとするも、衆寡敵せず、忽ちの内に包み込まれてしまう。

すると敵軍の中より、大将合棍が進み出て、馬上から
「そなたらの命運は既に尽きた。大人しゅう降伏せよ」
と大音に呼ばわった。

この合棍は曹操幕下の将、酒と女と宴会を何よりも好んでおる男で
しばしば自らの主催になる酒宴の席を設けていた。
その酒宴というのが、美しき宮女達と差し向かいで盃を交わし、親交を温めるというもので
噂を聞きつけた堕眼も淡い期待を抱き、一度だけ出席したことがあったのだが
その際緊張して碌に口も利けぬばかりか、その粗末な面構えを、美女達の面前にて
散々物笑いの種にされたことが心の傷となり、以来決して足を運ぶことはなかった。

更にその性、生来の傲慢にして、喪男には虫けらほどの価値すら認めぬ鬼畜である。
只でさえ反逆者として疎まれておる堕眼、捕縛されれば死罪となるは必定であり
まして斯様な外道の虜囚となっては、一体どんな仕打ちを受けるか、知れたものではない。
148お粗末:05/02/15 03:05:35
さて何とかして活路を見出そうと、堕眼が周りを注意深く窺っていると
陣形が乱れ、囲みが薄くなっている個所が、ふと目に入った。
だがこうも敵兵の目が注がれていては、身動きすらままならず
仮に切り崩すとしても、何らかの手段で敵の注目を逸らす必要がある。

(一つ、仕掛けてみるか)

思うが早いか、堕眼は疾風迅雷の速さで、懐中より短刀を取り出すと
間髪容れずに、合棍目掛けて投擲した。
あまりの早業に虚を突かれた合棍、躱す暇もなく右の脚に一撃を受け
あっと一声叫んで、そのまま馬よりまろび落ちる。

敵兵の注意が一瞬そちらに流れた、その僅かな隙を突いて
「それっ、我に続け」
と号令を発し、包囲が手薄な所を目掛けて、一気に馬を駆けさせ
得物を振るって血路を切り開くと、手勢を引き連れ、夜闇の中へと消えていった。
149お粗末:05/02/15 03:06:05
さて堕眼を取り逃がしてた合棍は、既に陥落した内向郡へと取って返し
負傷した足を引き摺りながら、報告をする為司馬懿の前へと進み出て

「申し訳ござらぬ、仲達殿。
 かの逆賊をすんでの所で取り逃したるも、全て某の不明の致す所。
 かくなる上は、如何なる処罰でも甘んじてお受け致す所存」

と謝罪の辞を並べた。だが実際の所、責任など微塵も感じてはおらず
一応こう言っておかねば面目が立たぬので、心にもないことを申しているまでであったが
司馬懿はそれを知ってか知らずか、さしたる咎め立てもせずに退がらせる。
合棍は平伏して司馬懿の前を辞したが、心中は祝勝の宴のことで一杯であった。
宴全般を取り仕切るのは、彼の主な役割だからである。

さて合棍から報告を聞いた司馬懿は、何やら得心がいかぬといった風に腕を組んだ。
聞けば堕眼の手勢は僅か数十程度、こちらの伏勢には五百の兵を投入し
並の将兵ではこの兵差を挽回して、囲みを打ち破るなどまず不可能な芸当である。

(彼奴も単なる匹夫ではなかったということか。となれば)

ここで司馬懿は険しい顔付きになる。

(厄介な輩を逃がしてしまったな)

皮肉なことに、堕眼の将としての資質を初めて見出したのは
喪手内でも独秦でもなく、彼を散々に打ち破った敵将司馬仲達であった。
150お粗末:05/02/15 03:06:45
「ここにおられたか、仲達殿」
既に酒が入っているのか、妙に上機嫌な喪手杉が声をかけた。
思索に邪魔が入り、司馬懿は少し気分を害したが
元来表情の薄いこの男は、それを顔に表すことはない。

「これは喪手杉殿、如何なされたか」
「うむ、内向郡を苦も無く落とした貴殿の智謀、見事と言う他はない。
 貴殿の智略がある限り、我が軍に敗北はあるまい」
「これは勿体無いお言葉。ですが少々買被りではござるまいか」
「謙遜せずとも良かろう。そこで物は相談だが、我々はこの勢いに乗じて
 敵の本拠、佛興府にも攻め入ろうと考えておる。
 ついては、喪軍を陥れる妙計を授けて頂きたいのだ」

この提案に司馬懿は少し考えていたが、やがて徐ろに口を開く。
151お粗末:05/02/15 03:08:11
「それは、出来かねますな」
「これはしたり。一体何故でござるか」
「我々は丞相から、直々に正規兵を下されたとは言え
 喪手杉殿の兵を加えても、僅か四千程度の兵しかござりません。
 また佛興府との国境には深山幽谷が峰を成し、軍の進行を阻みます。
 丞相が袁紹の残党狩りに追われ、こちらに兵を割くことが出来ぬ現在
 軽々に動くことは慎むべきでござる」
「では差し当たって、我々は何をすれば良かろうか」
「当地の守備を固め、領民を手懐けて、仁政を行うことに専念すべきです。
 さすれば丞相もその功をお認めになり、貴公を新たな太守として任命なさるでしょう」

かくして喪手杉は司馬懿の助言に従い、内向郡の守りを鉄壁に固め
貝のようにそこに篭ったまま、決して出ようとはしない。
ここに至って喪軍の計画は完全に瓦解し、後に残るは佛興府に向かって
刻一刻と進軍を続けている張飛軍のみであった。

正に、妙計破れて四面楚歌、諸刃の剣は我が身切り裂く、というところ。
さて、喪軍はこの窮地を脱することが出来るか。それは次回で。
152お粗末:05/02/15 03:16:55
ちょっと長いですが、御高免下さい

>>128
是非お願いします
自分も頑張ってはいますが、どうにも間が持たない
153('A`):05/02/15 03:25:54
深夜に起きてたらキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
154JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/02/15 08:34:05
新作キター
お粗末氏GJ!!
次回いよいよ張飛登場か?
これは楽しみだあ〜〜。
とりあえず新作おつでした。
155('A`):05/02/15 11:58:49
何かもう、すごすぎてキターーーーーーーーーーーーーーーー!!
156('A`):05/02/15 12:18:18
あるがとーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!
157ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/15 20:56:02
長くなっちゃいそうなんで出来た所を少しづつって感じでいいですかね?
158('A`):05/02/15 21:00:40
全然おk
159ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/15 21:06:30
肝意が病に伏せた母の看病のため、長沙に帰省している時の番外編。

肝意は、母の身の回りの世話を片付けた後、一人で酒を飲みに街道の酒家に出掛けていた。
酒もいい具合にまわり、夜道を一人歩いていた。・・・その夜は月が綺麗だった。「月ならば、
俺のこの顔を見ても逃げやしないだろう」そんな当たり前の事を考えて、肝意はちょっと寄り道をした。
後に五鬼将軍と呼ばれる程の武を持つものの、所詮喪男。故郷と言えども、つらい日々を送っていたのだ。
なにより、肝意は自信とゆうものを一切持ち合わせていなかった。
長沙、俺の故郷。月と鬱を肴に、もう一杯くらうか。肝意は少年時代に一人でよく泣きに行った広場に向かった。
そこで、あの娘と出会ったのだ。
160ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/15 21:09:58
ちっ、先客か。しかも娘か。嫌だな・・・肝意がどうするか考えているそのとき、
「どなたか、いらっしゃるのですか?」
やばい、気づかれた。またキモイだのなんだのと言われるのか・・・肝意は混乱してしまった。くそ、女の前
だといつもこうだ。どうしよう・・・
「宜しければ少しお話しませんか?」
おいおい、まじかよ!無理だって!・・・まあ、どうせ慣れてるし、近寄ったら逃げ出すだろう。また新しい
オカズになるか・・・

肝意は娘に近づいていく。月明かりに晒されて、肝意と娘、双方の顔がはっきりと見える距離だ。
肝意は、この距離が限界だった。しかし、奇妙な事に娘は微動だにしない。肝意は訝しげに、しかし恐る恐る
娘の方を見た途端、息を呑んだ。
161ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/15 21:11:07
(な・・・美しい・・・いや、これは美しいと言うよりも・・・だめだ、訳が判らん)肝意はなんとも言えない
その娘の顔を見たまま、しばらく呆然としていた。体中に草木が芽ぐむ様なこの感情、若草が萌えるような
暖かい気分。なんと言えば良いのか。肝意は目を逸らせる事が出来なかった。いつもなら、なるべく女人を
見ないようにしてきた。「気持ち悪い」だの「死ね」だの言われるからだ。何もしていなくとも。
「・・・座りませんか?」
その娘は信じ難い言葉をかけてきた。なんと、この肝意を隣に座らせるとは!
(これは何かの罠か?俺を笑い者にする気か?)
しかし、彼の考えは間違っていた様だ。
162ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/15 21:11:55
「は、はい」
肝意は声が裏返ってしまった。何故か目を瞑っている娘。その近くに座る肝意。
酔っていたせいか、それとも得体の知れない感情のせいか、肝意はいつもよりも不遠慮気味な距離に座る。
ここへ来て初めて気が付いたのだが、娘の傍らに杖がある。かなり使い古している様だ。
足でも悪いのか?この若さで可哀想な事だ・・・
肝意でなくとも男なら皆そう考えただろう。それ程この娘が可憐だったのだ。
肝意は、娘と会話したくてたまらなくなってしまった。こんな事は初めてだ。
「あの・・その杖は、あ、せっわたっ私は肝意とも、もうします、い、いや失礼」
何が言いたいのかさっぱり判らない言葉を発する肝意。完全に緊張している。すると、
「ふふ、何を慌ててらっしゃるのですか?大丈夫、妖怪などではありませんよ。」
そう言ってくすくす笑う娘。耳まで赤くなる肝意。
「あ、し、失礼・・・その・・・あの、足が不自由な様で・・・あ、いや、申し訳ない・・・」
「あはは、何をそんなに謝る事があるんですか?ふふ・・・」
「あ、もうし・・・あ、いや・・・」
「ああ、面白い方ですね。肝意様。ふふ・・・」
娘は笑いが止まらなくなってしまった。
これは夢だろうか?俺の様な喪男がこのような可憐な娘と・・・
163ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/15 21:13:23
「私、詞意(しぃ)と申します。」
天女の様な声。肝意は、もっと声を楽しみたいと思った。
「詞意殿と申されますか。あ、申し遅れました、私は肝意と申します」
また娘は笑い出してしまった。天女の声と、天女の衣が肝意を包み込む。
「?・・・何か・・・」
「いえ、先程もお聞きしましたのに・・・ふふ」
「あ・・・」
肝意は、これまで生きてきた中で最も満たされた時を過ごしている様に
感じていた。この俺がこんな可憐な女人と、一緒に笑い合っている。
何故、この女性は俺と二人きりにも拘らず、この場を離れないのか。俺を嘲笑しないのか。
本当は薄々感付いていたのだが、やはり口に出すのはためらわれたのか肝意は暫く
うつむいていたが、やがて肝意は詞意とは対照的に醜い口を開いた。
「貴女は、目を患っていらっしゃるのですね」
164ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/15 21:15:53
「ええ、生まれつき。全く見えない訳ではありませんけど・・・正直言って、貴方のお顔は
ほとんど見えません」
そう言って、彼女は少し微笑んだ。何故笑うのだろう。肝意は、幼き頃から生まれ持ったこの醜顔の
せいで疎まれてきた。村人、男、女。友達など誰一人居なかった。むしろ、自らを呪い
自ら世間に目を背けて生きてきた結果なのかもしれない。詞意の微笑が全く理解できなかった。
「肝意様・・・?」
知らぬうちに黙り込んでいた肝意。何時の間にか、一つの疑問に囚われて外界を完全に閉ざしていた
様だ。訊かずには居られない。たった一つの問い。
「何故、笑えるのですか。」
世の中に完全な水準など無い。しかし、人は自分よりも劣る点を見つける才は誰もが
同じく持っており、それを貶め踏みにじる性は人の基本だ。この、喪男にとっては空気と同じく
当たり前に存在する概念を、肝意は思い知っている。だからこその疑問であった。
「貴女は世の中が憎くは無いのですか。貴女には人の根本が判るはずだ。」
肝意の突然の変わり様に詞意は少し戸惑ったが、何かを感じ取った様に口を開いた。
「貴方も、何か生まれ付きの障害がおありの様ですね・・・」
口角がやや上向いた、アヒルの様な口元。
165ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/15 21:20:16
今日はここまでです。なんか添削したり色々した結果、
文章が変orz
続きいつ書けるか・・・中途半端でスマソ
166('A`):05/02/15 21:35:18
いい話だ……
爽やかな気分をありがとう、待ってるぜ
167('A`):05/02/15 21:37:34
>>159-164
乙!
薄幸の美少女に惚れるってのが如何にも喪男ぽいな
続きに期待
168('A`):05/02/15 23:57:05
ケツ末が気になる…
ドキドキ
169('A`):05/02/16 01:07:08
みんなすげー
GJ!!
170夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/16 03:04:42
佛興府の喪の本営は、風雲急を告げた。
内向郡から続々と報告に戻ってくる虎必兵の情報には、明るい材料はほとんどありそうにない。
喪手杉軍が、ある程度力攻めで来ることを前提として独秦が立てた策は、ほとんど裏をかかれる形となったのだ。

予想外の結果に、病を称し、屋敷に引きこもる独秦。
敵には、相当に頭の切れる参謀が付いているらしい・・・、
この点については、流石の彼も認めざるを得なかったのだ。
しかし、この状況を打開するために有効な策は、なかなか思い当たらない。
喪の鼻脂将軍・顔醜が、独秦の邸宅を訪ねたのはそんな折であった。

「軍師殿、病を発せられたと聞き、見舞いに参じた次第だが・・・・。なるほど。
 見たところ、病は重いようでは無さそうですな。」
独秦の寝室の床一面に散らばった塵紙を見回し、顔醜は言った。
部屋は、例によって栗の花の腐ったような匂いが充満している。
「将軍にかかっては仕方ありませんな。まさしく仰せのとおり。
 風邪で仕事や学校を休むと無性に自慰をやりたくなる気持ち、わかるでしょう?
 まあ、つまり、要するにアレです。」
いいわけがましく答える独秦。
主張せんとすることはわからないでもないが、言葉として言われるとやはりキモい。
171夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/16 03:07:17
「しかし軍師殿。貴君の病は風邪ではなく、心にあるのではないですかな。」
独秦の目を見つめ、ずばりと核心を突いた質問をぶつける顔醜。
もっとも「病」と言うなら顔の病の方がもっとひどいわけだが、それはお互い様であるため、あえて指摘しない。
「前線からの報告によりますと、四千人の兵力を無駄なく展開させる合理的な操兵と補給術、
 軽挙妄動を慎み兵員の損害を最低限に抑える作戦立案、占領地への穏当な宣撫・・・、
 どれも、我々が葦之耶で戦った往年の喪手杉からは想像しがたい堅実さ。
 ほとんど人物個人の情報が入ってきていないが、今回曹操に抜擢されたという敵の軍監・司馬懿は、
 やはり相当な切れ者であるとみてよさそうですな。」
流石は顔醜と言うべきだろう。情報を収集した上での、的確な状況認識である。
「ふむ・・・。まあ、そう考えたくはないというか何と言うか・・・」
相変わらず歯切れの悪い独秦。
この肥満男は、頭が廻り出せば大漢国一の知力を有し、奇策を次々と生み出す才能を存分に示すわけだが、
一旦ふさぎこんでしまうと、とことん駄目人間になってしまうのである。

「・・・報告によると。」
独秦の様子などおかまいなしであるかのように、話を続ける顔醜。
「敵将喪手杉・怒弓・畏敬面に、能力的な進歩はさして見られずとのこと。
 また、副将の合棍については、拙者自身も多少の面識があるが、
 顔が良く話が巧い以外には、将としての才はさほどのものではない。
 むしろ、色欲・物欲・名誉欲の塊のような人間だから、計にかけるのに適した人物とすら言えるかも知れぬ。
 ――壮んなるに当たるは凶、力ある者は衰えせしめ、合するものは分かれしめよ。――
 軍師ともあろう方が、よもやこの兵法の基礎を忘れたわけではなかろう?」
話が進むにしたがって、独秦の表情に厳しさが戻ってきた。
もはやその頬には、先程までの引きこもりの肥満児の面影は身を潜めている。

「快楽主義で兵隊と将の気を逸らし、司馬懿を魏軍内で孤立させるというわけか。」
ハタと手を打った独秦は、すでに作戦立案が頭を渦巻いている。
「いやいや鼻脂将軍殿、よくぞ道を示して下された。
 今度の策は外しませんよ・・・!」
172夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/16 03:09:43
では寝ます
173ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/16 03:15:12
初めてリアルタイムで読んじゃった!乙です!!
今書いてるの終わったら今度こそこうゆうの書くぞ・・・
因みに、今書いてる奴のタイトルは「黒い月と八色の虹」です。
やべえ、タイトル恥ずかしいかもwww
どうでも良いや送信wwwww
174('A`):05/02/16 03:35:38
>>170-171
GJ!

作家も揃ってきて俄かに動き出したな
いい傾向だ
175JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/02/16 08:42:38
うおおお
すげえおもしれ〜〜〜〜
もう、このスレ大好き!!
176夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/16 13:03:23
ここで、喪の敵将、合棍(ゴウコン)について記しておきたい。
この度、内向郡攻略のために曹軍の副将として派遣された合棍だが、この男は本来魏の将ではない。
彼はもともと袁紹勢力下の名家の子弟であり、顔良・文醜・顔醜らとは概ね同世代なのである。
官渡の戦いの敗戦による時勢の悪化で曹操軍に降り、
お得意の宴会術でそれなりの人脈を築いてしまったのがこの男なのだ。


独秦邸を辞去し、喪国独特の陰気さの漂う佛興府の路地裏を歩きながら、
袁紹陣営時代の合棍について思いをめぐらせる顔醜。
その表情は苦渋に満ち、彼は無意識のうちに唇を噛み締める。

そう、独秦の前では「多少の面識」なりと言ったものの、
顔醜と合棍の関係は到底それだけにとどまるものではなかったのである。
思春期の顔醜の心をズタズタに引き裂き、
以来、袁紹軍を去るまで懊悩と沈鬱の日々に陥さしめた張本人の一人として、
合棍という名は一生脳裏から消し去ることの出来ない忌み名なのであった。
177夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/16 13:06:39
時は、袁紹が反董卓連合の師を発した初平元年、顔醜・合棍が十五歳の夏。
幼少の頃は顔醜ともよく遊んでいた合棍も、知らず知らずのうちに徐々にお互い疎遠となり、
十三の歳には、合棍はもはや顔醜とは別の世界の住人となっていた。
十歳の頃ともさして違わぬ服装・髪型で、さして実用的でもない学問に打ち込んでいる顔醜に比べ、
服の製造元などに妙にこだわり、垢抜けた格好で馬に婦女子を乗せて往来を闊歩する合棍。
現代に至るまで世のあちこちで見受けられる、喪男とイケメンの階層分離である。

しかし、そんなある日。
城内の文献館で古籍の自習をしている顔醜のもとへ、合棍が珍しく自分から話しかけてきた。
「なあ、醜ちゃん。今度の歌垣婚破(コンパ)、一緒に行かねえ?俺らってダチだから、誘っておきたいと思ってさ。」
確かに、幼い頃は一緒に遊んだ仲であるから、誘い自体に不自然はないわけなのだが、
普段の顔醜に対する態度とはずいぶん違った馴れ馴れしい口調が、どこかちぐはぐな感じを与える。
しかし、
「え!いや、けど。そういうの、あと、えと、あ、興味ない。あと、えと、先生と、父さんに聞いてみないと。」
表面上、色事に一切関心が無いように装いながらも、
脳内は日々ねっとりとした淫らな妄想に囚われている思春期の顔醜に、それを見抜くだけの判断力は無い。
歌垣婚破と聞くだけで、これまでに見聞した様々ないやらしい事柄を連想し、上気する顔と硬化する股間。
動揺して腕がふるえ、机の上に広げてあった竹簡をバラバラと床に落としてしまう。

「ああ、醜ちゃんのオヤジさん、厳しそうだからな。けどさ、ほら、今度の満月の夜は、
 顔家の人はみんなで宗廟のお参りに出かけて、屋敷が空っぽになっちゃうんだろ?
 この日にちょうど歌垣婚破があるから、醜ちゃんは何とか理由をつけて、ひとりで屋敷に残っちまえよ。
 そうすれば、夜通しで遊んだって誰にも文句は言われないから。」
散らばった竹簡を、ウァァァとか言いながら床に這いつくばって拾っている顔醜に、猶も誘いを向ける合棍。
尤も、口調と柔らかな表情とは裏腹に、その目には顔醜に対する軽侮がありありと浮かんでいるのだが、
竹簡を拾うのに必死の顔醜は、それに気づくことができない。

「いや・・。っていうか、俺はそういうの、なんていうか、ほら、あんまり興味ないから。って言うか、それ・・・」
竹簡を拾い終わった顔醜は、猶も歯切れが悪い。
勿論、内心行きたくて堪らないのだが、変な自尊心がそれを押さえつけているのだ。
「あー、もう、とっとと決めろよ。心配なら俺が女の子紹介してやるからさ、彼女できるんだし、それでいいじゃん!」
煮えきらぬ顔醜の態度に、たまらず不機嫌になってきた合棍。
しかし、彼の発した「紹介」と「彼女」という単語は、
純情さとその裏にある白い淫念に満ち満ちた顔醜の心を鷲掴みにするのに、十分すぎる効果を持っていたらしい。
「んん。じゃあ、行って見るよ。なんていうか、あんまし興味はないんだけど・・・」
顔醜は陥落した。
178夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/16 13:07:52
数時間後。冀州の都の橋の下。
「よー、合棍。あのバカ、ちゃんと来るって言ってたのかよ?」
「マジ勘弁してくださいよ文醜さん。あのバカ、カン違いしまくりでかなりキモいんスけど。」
先程までとはうって変わった様子で、顔良と文醜に報告する合棍である。
「まあ、一応、来るみたいッスよ。家はちゃんとガラ空きになるみたいだし。」
「じゃあ、いいんじゃないか。今から、服でも買いに行っとこうぜ・・・。」

一方、城内から自宅まで、頬を紅潮させたまま浮かれる足取りで帰ってゆく顔醜。
「なんか、清楚でカワイイ女の子とかが来たりして、学問の話とかしたりして・・・。
 うまく付き合えたらどうしよう?  あは、あは、あはははははは・・・!!」
この先に起こる満月の夜の悲劇を、今の顔醜は知る由も無かったのだ。

<つづく>
179夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/16 13:10:02
>177からは外伝はいります
顔醜と合棍に、ただならぬ因縁がある点だけおさえれば、
本篇ストーリーには差しさわりないと思うっす
180夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/16 13:20:14
歌垣婚破(コンパ)…河北の奇習で、未婚の男女が集まり歌舞飲食し、相手を見つける宴会。
           時に人妻まで参加し、結婚がご破算にすらなってしまいことからこの名がついた。
           イケメンと喪男の差を助長させるものとして、長年男の怨嗟の対象となる。
181('A`):05/02/16 19:34:04
GJ!
たのしみだ
182('A`):05/02/16 23:18:45
合棍のやろー!!
183('A`):05/02/16 23:33:25
二つの番外編が同時進行!!
これは目が離せない!!
184JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/02/17 08:09:33
じゃあ>177からも番外編に収録しますね。

なんかいきなり盛り上がってきたぞこのスレ。
三国時代にもイケメンと喪男の対立の構図が・・
185('A`):05/02/18 02:03:26
丑三つ時の保守
186ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/18 02:41:15
あまり時間が取れなくて忘れそうなので、
あらすじだけまとめてチラシの裏にメモったらクソ長げえw
187夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/18 04:24:32
>JUST
あ、ちょっとまって。
それやると>177(本編)と>178(番外)が連続しなくなるんで、できたらつなげて収録して欲しい。
その後のストーリー展開にもよるけど、もうちょっと待ってから収録でいいですか?
188JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/02/18 08:32:09
>187

はい了解です。
そしたらつなげて本編に収録しますね。
完成待ってますよ〜。
189夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/18 11:44:21
>JUSTさん
いつも乙でつ。
190('A`):05/02/18 21:45:00
曹朗(ソウロウ)
字は単昌。魏の曹一族ながら、背の小ささと戦場ですぐ果てる体質を
曹操へ疎まれ、やがて出奔する。末は呉か蜀か、はたまた喪か。

秦静(シンセイ)
字は法啓。曹朗の部下。常に覆面にて顔を隠しており、
覆面を取った彼の顔を見たものはいないというが、
その顔色は、かすかな桃色であるという。
191夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/19 01:56:04
くそー。難しい つД`)・゚・。・゚゚・*:.
合コンを三国志の時代風に描写するのって辛すぎ。
なんとか書くが、ちょっと駄作になるかもしれない悪寒。

て言うか、合コンなんて逝ったことねえぞウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!
192JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/02/19 03:41:55
>191
合コン?俺も普通に行った事ないw
会社の同僚が俺に始めてのセッティングしてくれたんだけど、
行きたくない行きたくないって鬱になってたら
そのセッティングしたやつが他の同僚に
「俺があいつに合コンセッティングしてやったんだ、俺って優しいだろ〜」って
言いふらすもんだから
鬱は加速してついにドタキャンする事に・・・・。
その同僚は切れてたが鬱なまま合コンなどに行くよりマシだった。
だから俺にも合コンってのがどんな雰囲気で進むものなのかよくわからん。
そこは想像力でおぎなうしかないよね・・・・。
193ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/20 02:59:01
>>164の続き

「うーん・・・」
信じ難いほど滑らかな、幼女のような肌が月明かりによって陰影を作る。
「なんてゆうか・・・辛くないと言えば嘘になりますけど・・・」
詞意は俯いて考え込んでいる。やばい、ちょっと言い過ぎたか。
肝意もまた、同じく俯いて昔を思い出している。嘲笑い石を投げつける村の少年達。
恋文を村中に晒してまわった初恋の女性。村の掲示板に書かれた匿名の投稿。
「お前らなんで彼女作らないの?」「童貞はきもい」・・・・・
やはり、我々の様な喪男にとってこの世は地獄に他ならない。
「私には、虹があるんです。」
突然話し掛けられて驚いてしまった。虹?何を言ってるんだろう。
「そう、虹。光ある人々は雨上がりにしか見えない虹。でも、私には雨の上がった先が見えるんですよ。」
「虹ですか・・・」
それがたった今笑える事とどう関係あるのか今いちよく解らないが、何故か肝意は納得してしまった。
「貴方は、黒い月なんですね・・・」
まったく、次から次へと何を言い出すんだろう。肝意は少し落胆してしまった。
今度は黒い月だと?つまり俺は薄気味悪いって事か・・・
194ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/20 03:01:30
いつもの事ながら、今度ばかりはいささか悲しみを覚えてしまう。何故今回に限ってこんなに気になるのか。
「それは、つまり・・・そうですか。」
「ええ、黒い月。光り輝く世界には居ないように見えるけど、皆が輝く事に疲れたとき、
・・・夜が訪れようとも、貴方はずっと光り輝いているわ。貴方は、本当は誰かから
光を、温もりを貰ってるのよ。」
意外な答えに肝意は少し驚いた。肝意は答える。
「・・・そんな奇特な人間など・・・」
言いかけて言葉に詰まる肝意。この世に満ち満ちた光。自分には一生当たる事など無いと確信していた
光。広大な地庚山、葦之耶渓谷で過ごした日々。思えばあの頃、確かに光と生暖かい温もりを感じていた・・・
「・・・そろそろ帰らなきゃ・・・少し眠くなってきましたw」
微笑んで詞意は立ち上がる。この杖は足の支えではなかったのだ。
「では、ごきげんよう」
195ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/20 03:02:46
歩き出す詞意。後ろを振り向いた詞意の髪の毛に、明るい月が三日月へと形を変えて写りこんでいる。
恐ろしいほど綺麗で艶のある黒髪。
「詞意殿!!」
肝意は声を出した。振り返る詞意。何も考えずに呼び止めてしまった肝意。喪手杉軍との戦い、関羽との
一騎打ち以上の勇気を振り絞って、喉がカラカラになりながらやっとの思いで一言だけ言う事が出来た。
「・・・また、お会い出来ませんか」
詞意は少し考えた後、言った。
「月が光を振り撒いてくれるなら、私はこの広場に居ます」

詞意の姿が見えなくなっても、肝意はその場に呆然と佇んでいた。夜空に輝く月の光。
月はいつから光りだしたのだろう・・・そんな事を考えながら、肝意は独り言を呟いた。
「詞意たん萌え・・・」
196ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/20 03:03:23
夜が明けて、日が昇り、また沈む。無限に続く繰り返し。この当たり前の事がこんなにも
輝いて見えたのは初めてかもしれない。夜の闇ですら隠し切れなかったこの顔。だが、
彼女の前では完全に隠れるこの醜顔。これが無ければどこまで人生は変わっていただろう?
今までただ呪うばかりで完全に諦めていた時間は太陽と共に去り、想像も付かなかった至福の
時が月と共に舞い降りる。肝意は、少年時代に置き去りにされた「希望」が自らの元へ帰って
来る事を実感した。
しかし。一つ困った事があった。肝意は、自慰が出来なくなってしまったのである。
春画を見ようが、女性の裸体を想像しようが、どんなに工夫を凝らしても詞意の顔が浮かんで
来てしまうのである。特定の異性の顔が浮かぶことには問題ない。しかしこと詞意になると、
急に得体の知れない罪悪感に苛まされるのである。妄想の中では二百人切り、長沙一の精豪と
(脳内で)言われた肝意が、およそ十年ぶりに自慰をせずに眠った。
197ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/20 03:27:23
「あんた、最近疲れてるねぇ。」
母とゆうものは、いつの時代も不思議と息子の変化を感じ取るものだ。
肝意は詞意に取り付かれてからというものの、一切自慰をしていない。いや、出来ないのだ。
この場合、むしろ精力が有り余りそうなものだが、不思議なもので心の変化は身体に現れる様である。
「へ?いや全然そんな事無いよ、母ちゃん。」
事実、身体は精力に満ち満ちているのだ。
「いや、疲れって言うより、なんてゆうか初恋をしてるガキみたいだね。どこか上の空だよ。彼女の事でも
考えてるのかい?」
肝意は母には彼女がいると言っている。無論嘘だ。しかし喪男にこれを責める者はいない。
母を愛する喪男にこの気持ちが解らない筈がないからだ。
「あ・・・い、いや、彼女は心配要らないよ。結構気が強いから、一人でも十分やっていけると思う。
だって自分の事をボクとか言っちゃうんだぜ?」
肝意の人物設定に抜かりは無い。母に伝えてある彼女は、幾度と無く設定を練りに練った
まさに理想の女である。肝意の脳内ではこの理想の女が酔っ払いに絡まれている所を助け、多数の匿名の
人物の力を借り、「大人の接吻できる?」と言われるまでに到る。
198ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/20 03:40:21
とりあえず、ここまで書けましたよ。
明日は久し振りに何も予定が無い休みなんで、
出来ればこれを完成させたいなー。
あんま引っ張るのもなんだし。
199('A`):05/02/20 22:17:10
保守上げ四獄死
200('A`):05/02/21 21:32:26
age
201('A`) :05/02/22 00:26:38
>喪喪さん
凄く(・∀・)イイ!!
202('A`):05/02/22 11:56:25
これから多分数日書けないんで、今のうちに書きかけ分だけのせとくよ。
203夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/22 12:02:34
合棍の誘いから一週間後の夕刻、冀州都府内にて、歌垣婚破が幕を開けようとしていた。

さる酒店の前に集合するは、顔醜・顔良・文醜・合棍・槍沈(ヤリチソ)の五名の男。
やがて、顔醜たちの住む街区とは隣の区の女、同じく五名がばらばらとやってきた。
女たちは皆、酒店の前にたむろする顔良たちの見目麗しさを見て、一様に目を輝かせ、
その後顔醜の存在に気づき、げっといわんばかりに眉を顰める。
もっともこのときの顔醜は浮かれて舞い上がっており、そのことを気に留めるだけの心の余裕は、ない。

「ハーイ、では、みんなで乾ー杯!!」
とにもかくにも、幹事の合棍の音頭で、歌垣婚破は始まった。
顔醜の隣に坐ったのは、歳は彼より数年上といったところ、
艶やかな黒髪に大きな目、大きく首周りの開いた衣から胸元がちらちら見える、やや娼妓めいた色気のある女である。
この種の女は顔醜にとって最も苦手なタイプなのだが、やはりその肢体には目を奪われずにおれない。
衣に香をたきしめているのか、なんともいえない甘い香が顔醜の鼻をくすぐる。

(もしかして、もしかしてもしかして、この女が俺に一目ぼれしていたらどうする?)
(もしかして、もしかしてもしかして、この女が帰りに「付き合ってください」とか言ってきたらどうする?)
(もしかして、もしかしてもしかして、今いきなり大地震が起こって、この女と二人きりで暗闇に閉じ込められたらどうするッ?)
顔醜の妄想は暴走してゆく。
(な、何か話さなくては・・・。)

「え、え、え、え、え、ええ、え、え、と。あの、名前エッッ!!!」
204夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/22 12:04:44
ダメだ。
思いっきりキョドりまくった上、最後は相手を睨み付けながら叫んでしまった。
とっくに打ち解け始めて、和やかに談笑していた他の男女が、顔醜の声に驚いて話を止め、
びっくりしたような表情で彼の方を見やった。
「オイオイ顔醜、捕虜を尋問してんじゃねえんだから、そう怒鳴るなよw」
呆れ顔の顔良からつっこみが入り、一座は爆笑に包まれる。

「・・・里恵利(サトエリ)。」
笑いが収まってから、それでも女は自分の名前を教えてくれた。
「あ、えは。えええと。えええええええと・・・。い、いまの政治についてどう思う・・・!?」
いきなりドン引きの質問をぶつけてしまう顔醜。
「え・・・?? そんなの私はわかんないわよ。たぶん袁紹様がなんとかして下さるんじゃない?」
当たり前である。

「だ、駄目だ!!い、い、今の董卓の暴虐、漢の天子様と先聖の教えを蔑ろにするにも程があるッ!!
 君は人としてこれに憤りを感じないのか!?
せ、せ、政治に無関心であることはッ、も、もはや罪だッ!!!」
女の回答にいきなりエキサイトし、口角泡を飛ばして世を憂う顔醜。
言っている事は正しいが、この場にそぐわないこと甚だしい。
里恵利の瞳に、ありありと失望の色が浮かぶ。
「・・・へー。」「・・・ふーん。」「・・・そうなんですかー。」
もはや、顔醜の話はほとんど聞いてもらえない。

それでもなお、空気が読めず話を続ける顔醜。
その視線は、無意識ながら里恵利の胸元に張り付いている。
盛り上がる宴の席で、この一角だけに漂う、凍てついた空気。
もうだめぽ


<つづく>
205夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/02/22 12:10:15
>202は俺っす。ごめんね。
206('A`):05/02/22 18:22:20
この光景が目に浮かぶ……
207('A`):05/02/22 18:54:10
>今いきなり大地震が起こって、この女と二人きりで暗闇に閉じ込められたらどうするッ?
同じ事考えた事なんてないからな!!
208('A`):05/02/22 19:35:30
うわぁぁ
切なくもワラタ
209('A`) :05/02/22 20:16:20
あいかわらず巧いなあ

大地震・・・w
210JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/02/23 00:05:30
うわあああああ

喪の合コンが三国時代でも再現されてるよう・・・。
喪が合コンいったらこんな感じなんだろな。
行った事ないけどさ。

夏喪さんGJですた。
211ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/23 02:04:25
また、出来た所だけ・・・
212ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/23 02:04:56
>>197の続き

こういったやり取りを稀にしつつ、肝意は毎夜広場へと通い続けた。
どうやら、詞意が現れるのは満月の夜だけのようだ。そして満月。
「どなたか、いらっしゃるのですか?」
いつも、この台詞で夜の太陽は虹色に輝く。
「あ、こ、こんばんわ」
「あら、肝意様」
幾度も通いつめているうちに、詞意は声だけで肝意と判る様になっていた。或いは、体臭も
あったかも知れない。しかし、肝意は相変わらずどもってしまう。
「・・・。」
基本的に話す事が無い。肝意はいつも懸命に話題を準備してから臨むようにはしているものの、
詞意を前にすると途端に頭が真っ白になってしまうのだ。こんな調子の肝意だが、何度も広場へ
通っているうちに段々と会話を楽しめる様になってきたのだ。そういった日々を過ごすうちに、
肝意はある事に気が付いた。
213ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/23 02:05:27
「詞意殿。」
「はい?」
「前から訊こうと思っていたのですが、貴女はいつも満月か、月がかなり
明るい時にだけこの広場に居る様だ。」
「・・・・・・」
肝意は、いつもここを訪れた時の最初のやり取りの中に共通点を見出していた。
肝意の足音を聞いた詞意が、表情を輝かせて「どなたか、いらっしゃるのですか?」と言う。
肝意が声を掛ける。その途端、詞意の表情が落胆した様に見えるのだ。それでも、肝意は
ここへ通うのをやめなかった。自分は少なくとも嫌われてはいないだろう。
肝意にとって初めての感触。では、なぜ落胆する様な表情を見せるのか?
答えは見えていた。
「誰を待ち続けているのですか?」
詞意は一瞬ピクリとしたが、すぐにまたいつもの表情に戻る。菩薩のような優しげなあの表情だ。
214ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/23 02:06:16
ああもう、進むの遅せえな俺orz
215('A`):05/02/23 23:17:42
ほす
216('A`):05/02/24 20:56:45
ぐっじょホス
217ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/25 00:54:00
>>213続き

「・・・」
無言の短い時間。詞意は恥ずかしげな顔を見せる。肝意は詞意の方に身体を向ける。
こころなしか、顔色が悪く見える。
「・・・矢李狆(ヤリチン)様。」
まさか。肝意は聞き覚えのある名前に、驚きを隠せなかった。
幼い頃、俺を散々愚弄した男。初恋の女性に渡した恋文を、皆に見せる様指示した
あの男。村の少女半数以上と交わったという噂のあるあの男。
「矢李狆・・・」
「御存知なんですか?」
「・・・いや。」
そんな馬鹿な。またあの男が・・・
詞意は、矢李狆との思い出を語り出した。

「市場で親切にして頂いて・・・」
そんな。

「恥ずかしながら、初めて恋という物を・・・」
やめろ。

「いつもこの広場で・・・」
聞きたくない。
218ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/25 00:54:47
肝意は、この世界に散らばっている「悲しみ」が自分を殺そうとしている様な
錯覚に陥った。心臓が騒ぐ。体の中心が心を焼く。自分の中身が全て涙へと変わっていく感覚。
「・・・それで或る日、次の満月の夜に夫婦となろうって。それ以来、ここで・・・」
始めから判ってた事だ。これほどの女性が放って置かれる訳が無い。肝意は自分に言い聞かせた。
「それで、どの位待ち続けているのです・・・」
肝意は、努めて冷静にたずねる。今ほど、詞意が盲目で良かったと思ったことは無い。
酷い顔をしているだろう。

「・・・半年ほどになりますかね・・・」
全てが理解できた。おそらく、詞意は結婚するまでは貞操を守る主義なのだろう。
そこで矢李狆は、詞意を捨てた。この美しい天女を、あっさりと捨てたのだ。矢李狆は
そうゆう男だ。誰もが知っている。永らく忘れていた感情が、肝意を徐々に支配していく。
嫉妬、怒り、殺意。様々な負の感情。肝意は思う。

言わなくてはいけない事が出来た。
219ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/25 00:56:10
「詞意殿。」
ためらう肝意。しかし、これは言わなくてはならない。
「その男は・・・おそらく、もう来ない。」
詞意の顔を見ずに言う肝意。詞意は黙っている。詞意の表情は読み取れない。

「最近ね、雨がね、止まないの。」
詞意が切り出す。無言で応じる肝意。
「満月が来れば、虹が見えるかなって。でもね、雨が上がらないの。だから、見えない。全然見えない。」
微笑みながら言う詞意。続ける詞意。

「でもね、もしかしたら満月じゃないかも・・・」
無茶だ。
「ほら、この目じゃはっきり判らないし・・・」
声が震えてるぞ。
「恥ずかしがってたりしてw」
笑うな。無理すんな。バレバレなんだよ。

一点を見つめる肝意。この世界を覆いつくしている夜。その夜の、ほんの一部を
切り取って、二人は沈黙を作り出す。ほんの少しの沈黙の後、肝意は詞意の肩に
手を置いた。その瞬間。
220ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/25 00:57:40
「ごめんなさい・・・」
涙が詞意の頬を伝う。慟哭する。嗚咽混じりに語る。
なんとなく判っていた、遊びだって。
詞意は相変わらず泣き続けている。肝意は肩に置いた手を動かせないままじっとしている。

このまま、この手を引き寄せたい。詞意を胸に引き寄せて、一つになりたい。
詞意の涙を、代わりに流してやりたい。この俺が。肝意は強く想った。
しかし、喪男の宿命故、肝意は手を離し詞意に手ぬぐいを渡す事しか出来ず立ち上がった。
221ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/25 00:59:33
その時、猛烈な突風が吹き出した。木々が騒ぐ。肝意は目の辺りを手で覆い隠し、風から身を庇う。
何も聞こえない。風は音と光を肝意から暫くの間奪った。

風が吹き止んだ後も、肝意は何故か一切の音が聞こえなかった。
完全な沈黙の世界。肝意は、訳もわからず詞意の身を案じて振り返る。

その沈黙の世界で肝意が捉えたもの。肝意の目に飛び込んで来た光景。

それは、口から血を吐き、地面に倒れこんでいる詞意だった。
222ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/02/25 01:02:31
長くてスマソ。あと少しで終わらせたいところだが、
書き出すとあれも入れたい、これも入れたいってな感じで
どんどん長くなっちまうぜ旦那。もうちょいで終わりだと思うけど・・・
223('A`):05/02/25 15:02:47
あげ
224('A`):05/02/25 18:24:28
乙。
ワンダー喪喪作品は外伝向きだな
225('A`):05/02/26 16:40:09
保守
226('A`):05/02/27 16:12:44
あげ
227('A`):05/02/27 23:55:59
あげ
228('A`):05/02/28 07:24:08
いい話じゃねーか!ウワァァンつД`)・゚・。・゚゚・*:.
229('A`):05/02/28 20:49:28
ほすうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう
230('A`):05/03/01 20:26:46
保守
231('A`):05/03/01 23:41:59
あげ
232('A`):05/03/02 10:27:34
保守
233('A`):05/03/02 19:44:04
あげ
234ケータイ喪喪:05/03/03 13:04:06
なんか、公開プロキシーがどうとかで書き込みできん!!一体どうしたってんだ
235夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/03/03 15:19:02
>喪喪タソ
僕もよくなります。マターリ待つしかなさそうです。

(就活忙しくて続きが書けねえよウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!)
236('A`):05/03/03 22:57:38
応援あげ
237('A`):05/03/04 09:44:55
保守
238('A`):05/03/05 00:22:12
捕囚
239('A`):05/03/05 00:24:09
ええい、誰か続きを書こうという剛の者はおらぬか!
240('A`):05/03/05 12:07:30
果報は寝て待つのじゃ

つーか、オメーが書いてくれ
241('A`):05/03/06 00:32:04
あげ
242ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/06 02:26:41
まじでね、ホント全然書く暇無いのよ・・・
とりあえずちょっと出来たので・・・
243ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/06 02:36:12
意識を失っている詞意を抱えて街へと走りながら、肝意は
今までの事を懸命に整理していた。

月が綺麗だった事。
月より美しい天女が居た事。
天女が盲目だった事。
毎夜広場に通い続けた事。
天女は深く傷付いていた事。
天女の手は恐ろしく美しかった事。
音の無い、時の止まった世界で起こった出来事。

肝意は、町医者の元へ一時も休む事無く駆け続けた。

「せ、先生!!お願いします!!」
小さい頃から世話になってる、肝意行きつけの医者、華李(かり)。
肝意はここで、何度も皮膚の薬を貰い、ついでに色んな不満をぶつけたものだ。
詞意を華李に預けて待っている間に、思い出した様に激しく
呼吸をする肝意。こんなに走ったのは久し振りの事だった。
244ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/06 02:36:51
「肝意。」
華李が診察室から出てくる。
「先生・・・」
肝意は、神にもすがる思いで華李を上目遣いに見上げる。
「いったい、この娘はどんな生活をしていたんだね。肺が完全にやられておる。」
肺が完全にやられている・・・肝意は独り言の様に呟く。
「一応意識はあるんだがね。ところで、この子は目が見えんのか?」
無言で頷く肝意。
「そうか・・・たった一人でしかも盲目とはの・・・」
「? どうゆうことですか?」
華李が以外そうな顔で肝意を見る。
「知らんのか?ああ、お前は最近帰って来たばかりなんだな。あのな、
この娘さんはな、天涯孤独なんだ。」

華李としばらく会話をしたあと、肝意は家に向かう。
「とりあえずは大丈夫と思うが・・・確実とは言えん」
詞意と話そうと思ったが、詞意は眠っていたので何も言わずに華李医院を後にした。
「治す薬もあるにはあるんだが・・・うちには置いてないんだよ。
なにしろ、馬鹿みたいに高い薬でな・・・」
その薬の値段を聞いた肝意は、唖然としてしまった。

とても、手が出ない。
245ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/06 02:52:04
家中の金目の物を全て処分すれば、ぎりぎり何とかなるだろうか。
だめだ、母はどうする?
給料を前借すれば・・・いや、無理だ。以前にお願いした時も貸してくれなかった。
しかし、今はこれしかない。よし、行くぞ。
肝意はその足で仕事場へ向かった。

「お願いします!!人の命が懸かってるんです!!」
「氏ね」

やっぱりだ。しかし、これで挫けるわけには行かない。

金貸し「プッ・・・キモ。」
町の富豪家「くさっ」
近所の住民「化け物!!」
昔の同窓生「誰?」

だめだ、ことごとく断られた、全滅だ・・・。

いや、一つだけ当てがある。しかし、それはとても嫌な選択だ。
だが、もうここしか残ってない・・・


肝意は、矢李狆の家へ向かった。
246('A`):05/03/06 20:25:25
上げ&乙!
247('A`):05/03/07 01:21:21
うむ、俺の文章力の無さゆえか、どうしても長くなってしまう。
・・・なんというか、勘弁してください。絶対最後まで書くから。
248('A`):05/03/07 10:50:53
さんくす!そして乙!!
249('A`):05/03/07 18:30:34
いや、おもろいと思う。
心からもつかれ申し上げます。
250('A`):05/03/08 12:43:10
あっぶねっ
ほしゅ
251('A`):05/03/08 22:10:49
ほす
252('A`):05/03/09 09:49:42
ほす
253('A`):05/03/09 20:29:09
あげ
254('A`):05/03/10 10:05:25
保守
255('A`):05/03/10 20:38:43
ようよう、作家さん達書く時間内みたいだから
誰か話題振ってくれよう。
256('A`):05/03/11 18:53:34
あげえええええええええええええええええええええええええええ
257('A`):05/03/12 09:43:48
揚げ
258('A`):05/03/12 16:12:48
上げついでに少し書いてみようかと思います。職人さん、勝手なことしてすいません。


矢李狆の家へ向かう途中、肝意は考えていた

「うぬぅ・・・もしも矢李狆が金を貸してくれなかったらどうするか・・・」

色々な金策を考えるが、どれもあまり大した金にはならなそうだ。
しばらく歩いた肝意は以前、同じ五鬼将軍の武沙から聞いた話しを思い出した。

武沙「いや、俺さ、一時期イケメン狩りとかやってたんだよ。街中のイケメン片っ端から狩り巻くって・・・。
   まぁ、最近はやってないんだけどさ。結構金も強引に毟り取ったっけなぁ・・」

肝意はそんな武沙の言葉を思い出し、自分もやってみようかと一瞬頭がよぎったが、すぐに思い直した。

「いや!そんなことは俺にはできない。そんなことをすれば喪手内様の仁と義の道に反してしまう。
この不肖肝意、たとえモテなくても、仁と義の心だけは捨てられん」

なんだかんだ考えてるうちに、肝意は矢李狆の家に到着した。
しかし、ここまで来たというのに、なにやらビビっている自分がいることに気付く。
しばらく悩んだ末、肝意は深呼吸して自分を落ちつかせた。

「いざ、進めば道は開かれん!!!」

そう心の中で叫ぶと、勢い良く矢李狆の家のドアをノックした・・・。
259258:05/03/12 16:14:40
ダメだ・・・全然面白くねぇ・・・_| ̄|○
この手の文章は書くの難しいですね・・・。修行し直してきます。
260ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 17:41:45
>>259
いやいや面白いよ。今書いてる奴>>258も入れて良いですかね?
261('A`):05/03/12 17:44:25
>>258
GJ!
これからも機会と時間があったらどんどん書いちゃってくれい
262258:05/03/12 17:54:50
>>260さん
勝手に続き書いたりしてゴメンでした(汗
「入れる」ってのはどういうことなんでしょうか?もしやまとめブログに載るってことですか?

>>261
わかりました、頑張ってみますw
263('A`):05/03/12 18:09:45
>>262
要は、今書いてる話の続きを>>258に繋げて書きたいって事です。
まとめサイトには「ここは>>258氏」とか書いてもらえればいいなあって。

で、>>258の武沙のイケメン狩りから外伝もう一個出来そうな気配がするんだが・・・

  書 か な い か ?
264258:05/03/12 18:15:39
>>263さん
あー、こんな文章でよければいくらでも繋げてくださって結構ですよ。
もう一つの外伝・・・「武沙・イケメン撲滅への戦い」とかいうタイトルで書いてみましょうか?
もし書くとすれば普段喪板で名乗ってるコテで書いてもいいすか?
265('A`):05/03/12 18:19:47
>>264
「なかよし」とか「にょんた」とか有名基地外コテじゃなければみんな納得すると思うけど。
基地外コテでもここで作品うpするぶんには俺は全然オッケー
ってゆうか俺も普段のコテ名で書いてるし・・・
266258:05/03/12 18:21:14
>>265さん
わかりました、たぶんそこまで基地外なコテではないと思ってるので、
武沙の外伝書いちゃいますw
267('A`):05/03/12 18:28:37
>>266
|∧∧
|・ω・`) そ〜〜・・・
|o旦o
|―u'

| ∧∧
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' 旦 <コトッ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

| ミ  ピャッ!
|    旦
268ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/12 18:33:09
このスレのみなさん、初めましてw258を書いた張本人です(謝)
これから武沙の外伝を俺なりの解釈で書いてみようと思います。どうかお付き合いをお願いします。
269ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/12 18:58:41
ここは、中国のとある山中だ。最近この山の山道になにやら山賊らしきものが出没するという。
その山賊はなぜか若いイケメンばかりを狙い、金品食物の強奪、相手が死なない程度に顔面を潰す、といった猟奇的な
暴行を繰り返していた。
そして、今まさに小高い崖の上から山道を歩くイケメンを狙う一人の男がいた・・・。

「へへっ・・今日もカモがおいでなすったぜ・・・いくぞ!野郎どもぉ!!!!」

男が声をかけると20人ほどの明らかに喪男と思われる男達が一斉に崖を馬で駆け下りてきた。
突然の大量の馬の蹄の音に、山道を歩いていたイケメンは馬車を止めて辺りを見回した。
するとすぐ上の崖から醜い顔をした男が馬に乗って突っ込んできた。

「う、うわぁ〜!!山賊だぁ〜!!」

慌てふためき逃げようとするが、気が付けばすでに周りは喪男の集団に囲まれていた。
怯え震え上がったイケメンの前に一人の男が出てきて叫んだ。

「我の名は武沙!命が惜しければ金と食い物を置いていけぃ!!」

この武沙と名乗った男、身の丈は2メートル近くあり、腰には常人では扱えぬほどの大きな刀を差し、肩には3メートルは
あろうかと思われる槍のようなものを持っていた。
武沙の姿を見たイケメンの男は自分の腰から貧相な刀を抜いて身構えた。

「お前が、最近このあたりで有名な山賊か!この俺が成敗してy・・」

イケメンの男が何か言おうとした瞬間、その男の顔には無数の傷が浮かび上がり、大量の血があたりに飛び散った。
武沙はたった一瞬で肩に背負った槍を10回近く振り回したのだ。

「うぎゃぁ〜!!!い、いてぇ〜〜〜!!!!」

「ふん!俺の言うことが聞こえなかったのか、馬鹿めがっ!!!おい、野郎ども!積荷を全部頂くぞ!」

武沙が声をかけると回りの男達は馬車の中から積荷を運び出した。
270('A`):05/03/12 19:21:58
>>269
GJ!!仕事速いなw
>>270さん
出だしはいかがなもんでしょ?他の作品の品位を崩したくなにので、感想あったらお願いします。
これから飯なんで、終わったらまた書くかもですw
272('A`):05/03/12 20:15:13
>>271
全然OKでしょう。作家ごとに個性があって当たり前だし、
ちょっとのミスぐらい脳内保管でいけるし。ヨロシクオネガイシマス
273ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/12 20:20:41
武沙は手下の荷物運びを酒を呷りながら見ていた。
と、そこへ一人のお小柄な喪男が武沙に声をかけてきた。

「兄者!馬車の中に女が3人乗っていましたが、いかがいたします?」

「なぁ〜にぃ〜?女だぁ?」

武沙に向かって兄者と声かけてきたのは、義兄弟の弟である「武沙逝(ブサイク)」だった。
以前武沙逝は街中でイケメンからその顔の醜さを理由に道理のない暴力の対象にされていた。
そんな武沙逝を、武沙は見捨てることができず街中、しかも公衆の面前でイケメン3人を惨殺してしまったのだ。
それから二人は人目の付かぬ山奥での暮らしを始めた。
親から見離され、恋人はおろか友達もいなかった武沙逝にとって、武沙はまさに救世主だった。
そして武沙と暮らすうちに剣術を教わり、一人でも生きていける強さを身に付けることができた。
「イケメンが憎い、イケメンは撲滅すべきもの」そんな志を同じくする二人はその時、義兄弟の杯を交わしたのだった。

とりあえず、武沙はその女の素性を確かめようと思い、武沙逝に問うた。

「その女どもは何者だ?武沙逝」

「はっ、どうやら街の娼婦のようでございます」

「なにぃ?娼婦だとぉ〜??」

「娼婦」その言葉を聞いた瞬間、武沙の表情は一変した。
親しみ、見慣れた武沙の手下達もこの武沙の顔を見るのは怖いらしい。周りで震えてるものもいる。
しばらく考えたあと、武沙は武沙逝に向かって指示を出した。

「後ろ手に縛って、俺の前に横一列に3人を並べろ」

「はっ、承知いたしました」

武沙逝は手下達に素早く指示を出し、すぐに武沙の前にその3人の女を並べた。
武沙は一通り3人の女の顔を眺めた後、天に向かって叫んだ。

「イケメンは敵なり、故に殺す!イケメンに組する者もまた敵なり、故に・・殺す!!!」

武沙がそう叫び終わった瞬間、女3人の首が胴体から離れ宙に舞った。
周りにいたものは誰の目にも映らなかっただろうが、武沙は叫び終えた瞬間、自分の腰の刀に手をかけた。
そして刀を振り抜きざまに3人の女の首を刎ねてしまったのだ。なんという早さ、なんという正確さ・・・・。
そして刀を鞘に収めると、武沙は手下達の号令をかけた。

「よぉし!今日は大収穫だ、これで撤収だ!!おっと、その馬車は火をつけて燃やしてしまえ」

武沙率いる喪男達はみないずこかへと消えて行った。
そこには男一人、女三人の死体と、燃えて灰になった馬車が残されていただけだった・・・。
274ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/12 20:22:36
ふぅ、続きはまた明日かな。

>>272さん
OKですか、それは良かった。頑張って書きますので、よろすくw
どっか間違ってるとこありました?自分で見直してるつもりなんですが・・・。
275('A`):05/03/12 20:49:08
>>274
いや、特に目立った点は無いような。
つーかこのスレ、人少ねえのなー
276ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 20:52:04
>>258サンクス!!続き

門を叩いたものの、誰も出てこない。
「留守か・・・」
残念な様な、安心した様な微妙な気分の肝意。
「仕方ない、今日は帰ろう・・・」
その刹那、聞こえて来る嬌声と、聞き覚えのある男の声。

矢李狆だ。女と一緒なのか・・・

途端に躊躇う肝意。忘れていた。相手は矢李狆なのだ。そして、俺を
否定しない女は母と詞意だけなのだ。
手が震える。昔を思い出す。嘲笑、蔑みの目。もう一度、扉を叩くんだ。金が要るんだ。
中に居る。矢李狆が居る。喉が激しく乾く。

詞意殿はこいつを待ってるんだ。俺よりも、こいつを。
277ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 20:52:42
どの位時間が経っただろうか。女の嬌声はまだ聞こえるが、こころなしか小さくなった気がする。
ここで、ある衝動が肝意に襲い掛かった。
「ちょっと中の様子を伺ってみよう。・・・窓から。」
運良く窓の上、ちょうど中が窺えそうな所に大木の枝がある。
辺りを見回す肝意。しかし、誰も居ない。
「戦載一遇の好機!!」
信じ難い素早さで木に登る肝意。迅き事風の如し。
「思ったとおりだ、中は丸見えだ・・・」
木には葉が生茂って、肝意を見つけるのはとても困難に思える。尚且つ、肝意の位置からは
矢李狆宅の部屋が容易に窺えるのだ。肝意は待った。矢李狆と声の女が部屋に来る事を。
もはや、肝意の目的は完全に摩り替わっていた・・・。

「着た。キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!」
278('A`):05/03/12 20:53:06
>>269 >>273
仕事速いな、乙
間違いというか矛盾点みたいなものは特にないと思う
279ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 20:53:26
矢李狆と見知らぬ女が部屋に入ってくる。矢李狆がなにやら囁きながら
女の腰に手を回している。
「畜生、声が良く聞こえねえよ。・・・もうちょっと近く行かなきゃ・・・」
枝の先端までそろそろと近づいて行く。何をやってるんだ肝意。
非常に小さいながら、矢李狆たちの声が聞こえる。

「ね、ね、いいじゃん、お願い。一回だけ!」
「えー・・・だって彼女居るんじゃないの?」
「いやいや、結構前に別れたんだって。マジ寂しいんだよねー」
とかなんとか言いながら女の顔を引き寄せて接吻する矢李狆。
躊躇していた女も、何も言わずに舌まで絡めてやがる。
「まったく、こんな軽い女とよくやれるね。俺だったらプライドが許さないっての。」
何時の間にか露出した一物を握りながら肝意は呟いた。
「駄目だってば、もう」
舌絡めてたくせに何言ってんだこいつ
「いーからいーから、つーかたまには良くね?」
と言いながら何時の間にか着物の帯を外している矢李狆。まるで盗賊の様だ。
280ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 20:54:02
「えーちょっといつ外したのぉー?超やだー」
笑いながら言う女。一方、お構いなく着物の中へ手を潜ませる矢李狆。
「やーもう、駄目だって・・・あっ・・・」
身体をビクッと動かした後、女は俯いて黙ってしまった。矢李狆は、女の胸の辺りに顔を沈ませる。
「はうっ・・・あ、あ、・・・」
乳首を舐めたり、軽く噛んだりしながら、矢李狆の手は徐々に下へ伸びていく。
「はっ、はっ、くぅっ・・・い、あっ・・・」
相変わらず乳首を吸いながら、右手は女の髪の毛を、左は女の股の間を
それぞれ愛撫している矢李狆。左手を下着の上から軽く押し付けつつ縦に動かしている。


「ん・・・ハっ・・・」
矢李狆の長い髪の毛に両手を絡ませる様にして、俯いている女。時々文字にするのが不可能な
声を発する。呼吸が荒い。矢李狆の右手が下りて行く。そして、女の下着を完全に取り外した。
と同時に自分の右手を濡らすように人差し指と中指を舐める矢李狆。そしてまた接吻をし、
舌を絡めながら左手で髪の毛を愛撫し、右手をまた股へと沈ませる。
「んふぅっ・・・あっ・・・ん・・・」
右手の指を廻したり滑らせたりしている。変な穴に変な指を出し入れしている。女の足が
がくがく震えだした。
281ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 21:26:36
「足どうかしたの?え?」
にやにやしながら矢李狆が言う。女は黙って俯いている。お構い無しに指を動かし続ける矢李狆。
女の足が折れ曲がってしまった。女を座らせ、後ろに廻る矢李狆。
女の股に後ろから手を伸ばし、また同じ様にいじり廻した後、穴の中に指を入れて中で
指を動かした。
「はっ、はっ、駄目・・・行きそうかも・・・あっ」
突然手の動きを早く、激しくする矢李狆。
「あーーーーっ!!!駄目、もう、あっイッ!」
腰を激しく動かす女。前に突き出したりしながら矢李狆の手から逃れようと足掻く。
「いや、ホント、あっホンッ無理だから!!アッ!」
後ろから両足を出し、女の足を広げて動けない様に固める矢李狆。そしてよりいっそう激しく動く手。
「や、いくっ、いーっ!!くあっqwせdr#$☆!!!ーーーーー!!!!!」
腰をより激しく動かし、腹筋を浮かび上がらせ足の指を直角に曲げたまま硬直した後に、突然糸が切れたように
脱力する女。ぐったりしていながら、陰部が痙攣している。時々、ビクンと腰を浮かせる。同時に胸が揺れる。
胸より下の部分は痙攣し続けている。女から出た液体が床に水溜りを作っていた。
282ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 21:27:07
「うはwww凄い汗wwwつーか床こんなになっちゃったよw」
一人で言いながら、矢李狆は女を仰向けに寝かせて足を両手で広げた。
「じゃあ入れちゃおっかな〜」
陰部の入り口を男根で上下に擦る矢李狆。無言でぐったりしている女。
膝を掴んで足を広げつつ、矢李狆は挿入した。

腰を前後に動かす矢李狆。女は気を失った様に、目を閉じたままぐったりしている。
腰の動きに合わせ、胸が上下に揺れる。額に掛かった髪の毛が徐々に床に落ちて行く。
「ん・・・はっ、あっ」
ため息混じりに女が声を発する。腕を交差させて胸の上に置く女。そのまま腰を前後する矢李狆。
「はぁっ、あぅっ、い・・・」
胸の揺れが徐々に激しくなっていく。それに合わせ、女の呼吸も荒くなっていく。
「はぁっ、はっ、やっば・・・またいっ・・・くかも・・・あっ」
矢李狆の腰がより激しく動き出した。胸が激しく上下する。
「駄目駄目駄目ぇぇぇ!!とっ!取れっ!!取れるれるぅぅぅぅーーー!!!!」
女は腕をバタバタさせ、矢李狆の腰を遠ざけようとする。その腕を掴んで、腕を交差させる様に
女の腰の方へ固定する矢李狆。胸が挟まれて楕円形になり、揺れの幅が小さくなる。
手を掴んだまま腰を極限の速さで動かす矢李狆。大声で意味不明な声を出しながら背中を仰け反らす女。
283ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 21:27:40
「やっべ・・・いく・・・」
かあっとゆう声と同時に女の腹に腰を乗せる矢李狆。白い液体が女の胸から上に真っ直ぐ飛び、
女の身体を汚した。胸の谷間を縫うように精液が走り、女の唇と鼻の頭に垂直に掛かっている。
暫くの間動かずにじっとしていた二人だが、矢李狆が
「お掃除してくれる?」
と言ったのを切欠に女が上体を起こし、亀頭を口に含み吸い取るような動作をした。
「あれ、また立って来ちゃった」
「もー。」

結局、この晩矢李狆は何度もやり続け、肝意も負けじと自慰を続けるものの、遂には全く立たなくなった。
それでも矢李狆は女を求め、何度も立ち上がっていた。

「こ・・・これが精豪か・・・負けた・・・」
肝意は、激しい敗北感を感じながら家路についた。
284ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/12 21:30:05
ちょっと遊び心で、寄り道してみますた。






土曜の夜に何やってんだ俺・・・orz
285('A`):05/03/12 23:59:19
ちょっと目をはなした間にすごいことになってるな…
286JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/03/13 07:12:10
おお、しばらく見ない間に盛り上がってる。
嬉しい〜〜

>ノベシスさん

>258は喪喪さんからの承諾もあったので、
今喪喪さんが書いてる話の中に収録しますね。
武沙外伝いいんじゃないですか。
キャラクターの幅が広がるのは良い事です。
是非書き上げてくださいね。

>喪喪さん
結局抜いてる肝意にワラタ。
いかにも喪らしい・・・・。
続きキボンヌしつつ待ってます。
287('A`):05/03/13 21:02:03
あげるよ
288('A`):05/03/14 00:37:48
あげ
289('A`):05/03/14 22:36:45
保守
290('A`):05/03/15 01:45:29
ワンダー喪喪はなんで官能小説まで書けるんだ?
・・・まさかネ(ry
291('A`):05/03/15 11:33:43
>>290
漏れも描写が上手いと思った
292('A`):05/03/15 12:30:14
まとめブログ見れないので上げ
293('A`):05/03/15 13:05:47
('A`) たっちったよ・・漏れ。
294('A`):05/03/15 22:24:39
エロスあげ
295JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/03/15 22:24:53
>292
俺からは見れたよ。
明日はハンゲームのメンテナンスなので、
ブログの方にも影響あるかも。
削除される事も無いと思うので、大丈夫じゃないかな。
296('A`):05/03/16 12:37:53
あげ
297('A`):05/03/16 12:38:00
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>>433

誰か急いでやめさせてこいや!



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298('A`):05/03/16 20:30:35
このスレに書くなや
299ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/16 21:42:50
>>273のから続き。


それから、2〜3日が経った頃、山道に数人のいかにも喪男といった集団が歩いていた。
しかし、その身なりは平民のものではなく、どこかの国のお偉いさんのようだった。
先頭を歩いていた一人の男が、道の真ん中に転がってる死体を見て、隣の男に声をかけた。

「こ、これは・・・一体どういうことなんだ!?独秦」

「はい・・殿、これは最近この山道に現れるという山賊の仕業ではないかと思われまする・・・」

独秦と呼ばれたのは、この一団、喪軍の軍師だった。また、殿と呼ばれたのはその軍の長、喪手内だった。

「しかし独秦よ・・・このような女性までをも殺すとは・・ただの山賊ではあるまい?」

「おそらく・・・何か個人的な因縁でもあったのでしょう。ただ、綺麗に首だけを落としているところを見ると、
まだひとかけらの優しさがあるものかと思われます。」

その独秦の返答を聞いた喪手内は複雑な気持ちを隠し切れなかった。
いくら恨みがあろうと、なんの罪も無いであろう女までいとも簡単に殺すような者が自分の領土内にいるのかと思うと、
民のことまで心配になってきてしまう。
喪手内はなんとかしようと思い、独秦に案を絞らせた。

「独秦よ、お主の智謀で何とかその山賊を捕まえることはできぬものか?」

そう言われた独秦は怪訝な表情で答えた。

「お言葉ですが殿・・・おそらく山賊の正体は「武沙」と「武沙逝」と呼ばれる義兄弟ではないかと思われます」

「なんとっ!?独秦よ、お主は山賊に知り合いでもおるのか!?」

「いっ、いえ・・そういうことではございません。ただ、最近そのような噂を耳に挟んだまでのこと・・」

「そ、そうか・・すまん、また早とちりをしてしまった」

この喪手内は人の話しは良く聞くが、たまに間違った解釈に気が付かぬまま事態を押し進めてしまうことがあった。
「なんとかせねば・・・」そう考えていた喪手内に、独秦は静かに語りかけた。
300ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/16 22:12:20
「殿、先程申し上げた「武沙」と「武沙逝」についてですが・・・」

「うむ、その者達は一体何者なのだ?」

「まず・・武沙という男は、身の丈が2メートル近くあると聞いたことがあります。剣術、槍術に秀でていて、
素手での格闘も強いと言われています。一説によれば、あの猛将・呂布に勝るとも劣らない強さだとか・・・」

それを聞いた喪手内は絶句した。
呂布といえば、天下において、並ぶ者がいないとされる豪傑だ。それと同等の強さを持ち合わせるとは・・・。
顔が青ざめた喪手内に、さらに独秦が追い討ちのような言葉をかける。

「そして・・武沙逝という男ですが・・この男、体は小さいながらも、その小柄な体を利用した、神速に及ぶ剣術の腕前を
持っているとか・・・。そしてそれは、義兄弟の兄である武沙からの直伝によるものだといわれております」

それを聞いた喪手内はその場で膝から崩れ落ちた。持病の目眩が出てしまったようだ。
その喪手内の肩を後ろから一人の男が支えた。

「殿!しっかりなされませ」

「あ、あぁ・・肝意・・すまない・・ちょっと目眩がしてしまったものでな・・」

この肝意と呼ばれた男は喪軍の中でも1、2を争う勇将だった。
喪手内はフラフラと力なく立ち上がると、静かに肝意に聞いた。

「肝意よ・・お主ならその武沙という山賊・・退治することはできるか?」

そう聞かれた肝意は戸惑った。普通の山賊相手ならば今すぐにもアジトに押し込みをかけることもできるだろうが、
あの呂布と並ぶ強さと聞けばそうはいかない。肝意はしばらく考えたのちに答えた。

「殿、拙者がその男に勝てる保証はどこにもござらん・・・しかし、殿の領地を無益な血で汚す輩を放っておくことはできませぬ。
この肝意、死を覚悟してその山賊と戦う所存にござる」

「すまぬな、肝意・・私にもっと力があればそなたを危険な戦いに放り込まずに済むものを・・」

喪手内は肝意に申し訳なく思い、一滴の涙を流した。
それを見ていた独秦が肝意に静かに語り始めた。

「肝意殿、あなたの武の強さ、一片も疑う余地はございません。しかし、相手は山賊です、どんな汚い手段を持ち合わせて
いるかわかりません。ここは一つ、武沙と肝意殿が誰にも邪魔されることなく戦えるよう、策を練ってみたいと思います」

「うむ、独秦殿が策を出すというなら、拙者はそれに従うまで、お頼み申す」


こうして、肝意と武沙とよる、四国志の歴史に残る名勝負の大一番が始まることが決まった。
今、自分の書いた物を読んで思ったことが一つある・・。
俺の書く文章には笑いとかエロさが全然ない・・_| ̄|○ モウダメポ
302('A`):05/03/16 23:33:44
エロさはいらんやろう
303JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/03/17 07:44:24
>301

喪男の日常に笑いがあるでしょうか。
喪男の日常にエロがあるでしょうか。

無くてもOKですよ・・・・
304('A`):05/03/17 10:59:44
保守
305('A`):05/03/17 13:42:42
>>299-300
こういう一騎打ち?的な話は結構好きだ、GJ
笑いやエロスも別に必要条件ではない(特にエロス)と思うから
その辺は作者のセンスとか個性にお任せ、てとこだな

ただ、肝意が加わったのが199年頃で
独秦を迎えたのが200年だから
その点の矛盾が少し気にかかる
306ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/17 13:53:57
>>305さん
あっ、エロは必要ないですか、それは良かったw

あと年代に関してですが、詳しく分からないので、細かい年代数字とかは
入れないで書いてるつもりです。
多少本編とは年代設定がズレるところもあるでしょうが、
そのへんはスルーしてもらえると嬉しいです。
まともに設定理解してないのに、いきなり書き始めてしまって、すみませんでした_| ̄|○
307('A`):05/03/17 14:34:36
>>305(訂正)
肝意じゃなくて武沙だった、これじゃ意味不明だな
×肝意が加わったのが199年頃
○武沙が加わったのが199年頃
つまり武沙より先に、独秦が喪軍幕下にいるのが矛盾ということね

>>306
そうか、色々野暮なこと言って悪かった
気を悪くしないで頑張ってくれ
しかし年代設定がズレると、全く独立して切り立った番外編になって
本編と絡めないから、そこが少し勿体ない気もするな
308ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/17 14:42:50
>>307さん
あー・・そういう設定だったのかぁ・・・_| ̄|○
そう考えると確かに今書いてるのはちょっとおかしいですよね・・・。
どうしよどうしよ・・・・オロオロ

まぁ、俺が書いてるのはサイドストーリー的な意味合いもあるんで、独立したストーリー
として読んでいただければ良いかと思います。別にブログに加わらなくてもいいですし(汗
あとは・・・スレ主(この四国志を考えた大元の発案者の方)に続きを書くか書かないかの
判断をお任せしたいと思います。
309('A`):05/03/17 19:02:25
正直初代の>>1なんてもうとっくにいなくなってると思う
立てた本人ももう忘れてんじゃないか?
310JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/03/17 19:32:27
初代の1もここまで話が膨らむとは
思ってもいなかっただろうな・・・
311('A`):05/03/17 21:13:42
思えばお粗末氏が現れたあたりからすごい流れになったな…
軍師びんびん物語氏らはどうしてるんだろ
312JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/03/17 22:35:23
一話しか書いてくれなかったけど、
必殺周瑜氏とかワラタ。
あれはかなりの良作だった。
もうここ見てくれてないのかな。
313亜喪:05/03/17 23:45:41
「堕眼逃走」
この出来事は意外な方向へ飛び火したのだった・・・。

堕眼を追い散らし、実質内向郡を治めていた喪手杉は領民に仁政を施す傍ら、
喪に対しては弾圧を布くのであった。
「内向郡の領民よ、かの醜き堕眼は追い払った。」既に太守気取りの喪手杉は言い放った。
「醜き者に支配された領民の苦しみ・・・この喪手杉、胸を張り裂かれんばかりである。
しかし、もう安心するが良い。我らがこの内向郡にいる限り、決して醜き者の好きにはさせん。」
わっ、と沸き上がる領民に対し喪手杉は恐るべき布告を行うのであった。
「堕眼は必ず捕らえる。しかしそれよりも先にするべき事がある。それはこの内向郡に未だ巣食う
醜き者、堕眼の残党を殲滅する事だ!」

元々は堕眼が治めていた内向郡である。いかに醜き者でもそれだけで虐げられる事は表面上であれ目立たなかった。
だが、喪や醜きものに対して毛ほどの価値も見出さぬ喪手杉である。いや、それは喪手杉に限らず領民の中にも
喪や醜き者どもが堕眼の統治の下、何の弾圧も受けずに生きている事に苦々しく思っている者もいたのである。
それは喪手杉の布告をきっかけに爆発した。

「喪、死すべし!醜き者、殲滅すべし!」

喪狩りの始まりであった。
314亜喪:05/03/17 23:47:33
「この筋書き、まことにお見事。感服いたした」
恭しく申し上げる喪手杉に、司馬懿は一瞥して答えた。
「まずは領民に対し敵を示す事によって人心の団結を促し掌握、そして残党を狩り出すうちに領民の心には
強い愛国心が芽生えることでしょう。それはこの地での徴兵、徴収を容易くし、そして我らが敵、喪の殲滅にも
繋がる。そうなれば追討も可能になりましょう。」

恐るべきは司馬懿の知略である。


「ま、待ってくれ!オラは喪じゃねえだ!!」一人の喪が二人の男に追い立てられていた。
「あ?おめぇの何処が喪じゃねえんだ?そのキモさ、どうみても喪だろうが!!」男は怒鳴ると同時に手に持っていた槍で
喪の胸を貫いた。「へ、手こずらせやがって」男は吐き捨てた。

この男達は「茶髪」と「長髪」という名の内向郡の領民である。その容姿はやはりイケメンであり、同時に喪の醜さにはヘドが出るほど
嫌っていた。そんな二人には喪手杉の布告した「喪狩り」は今までの鬱憤晴らしと同時に喪手杉軍に入隊するチャンスでもあった。

「うわ〜やられちゃったよ。こんな時に表なんかに出るからだよ。」少し離れた所に建っているボロ屋敷の二階から覗いていた卑奇子(ひきこ)は
呟いた。まあこんな時に限らず表になど出ないのだが、今の所はそれが幸いしている。
しかし、時代は彼を己の部屋のみで生きる事を許さなかった・・・。
315('A`):05/03/18 00:53:33
あれ?夏喪氏?まあいいや、GJ!!
しかしあれだね、自分が生んだキャラが、他の人の手で
描かれるのは結構嬉しいね。
316亜喪:05/03/18 01:01:22
>>314の続き

「喪狩り」を指揮、言い方を変えていえば扇動していたのは喪手杉に命ぜられた畏敬面であった。
その畏敬面の元に茶髪、長髪の二人が駆け寄ってきた。
「畏敬面様!この辺りの喪はこの茶髪と長髪が全て片付けました!」胸を躍らせながら報告する二人に
畏敬面は労いの言葉かけ、そして尋ねた。「その中に卑奇子という名の喪はいなかったか?」

「喪狩り」の任に就く際、畏敬面は司馬懿に厳しく言い渡された事があった。それが卑奇子の事である。
「喪が表に出て行動するうちはこちらも討ち取りやすい。だが、卑奇子の様に部屋の中に引き込まれては
中々手が出しにくい。ここは戦場ではないのだ。」そして司馬懿は語気を強めた。「それこそは喪が最も好む事の一つで、
しかも伝染しやすい。今の内に叩いておきたいのだ、引きこもりというものを。」

(引きこもりのう、全く喪の考える事は理解に苦しむ)女を求めてわざわざ南蛮からやってきた畏敬面に理解しろといっても無理からぬ事だ。
「今日狩った喪は・・・残尿の野郎に焼糞、禿頭・・・卑奇子なんてのはいなかったです」茶髪に言われて、畏敬面は我に返った。
「そうか・・・」畏敬面は困った。一軒一軒虱潰しに探していく事もできるが、領民の反発を受けないとも限らない。といって
このままではジリ貧である。(うむ・・・ん?そうか、こいつらを・・・)何かを思いついた面持ちで茶髪、長髪を見据える畏敬面。
そしてゆっくりと口を開いた。

「卑奇子を捕らえる事ができれは入隊を許可しよう。奴の生死は問わん」

領民同士であれば少々の無茶があっても喪手杉軍の名に傷は付かない。仮に領民の反発があれば
畏敬面なりが出て行って諭す。それはそれで好感度アップだ。さすがは自分を良く見せることにかけては
文殊のごときの知恵を搾り出す、イケメンの面目躍如である。引き立て役にさせられたヤシも多いことだろう。
317('A`):05/03/18 10:31:56
あげ
318夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/03/18 22:41:32
ちなみに武沙は喪手内挙兵(=チコウ山の戦い)から喪手内軍に参加しているため、
年代的にはちょっとおかしい。

でも、そもそも三国志演技や水滸伝自体からして、
あちこちの舞台演劇やいろんな人が創作したエピソードの寄せ集めだから、
色々エディションによって矛盾があるんですわ。史実とも勿論矛盾してるし。

なので、未必の故意で矛盾しちゃった話を書いてしまった場合は、
外伝や異伝として扱うのがいいのではと思ったり。


…最近いそがしさにかまけて書いてないのに、生意気言ってごめん。
作家のみなさんありがとう つД`)・゚・。・゚゚・*:.
319ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/18 23:03:01
>>318さん
と、いうことは・・・とりあえず、今途中まで書いた「武沙の外伝」はこのまま続けてよろしいのでしょうか?
320夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/03/18 23:05:41
無論です。ガソガソやってくだされ。
321ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/18 23:13:36
>>320さん
わかりました、明日から頑張ります。
322夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/03/18 23:21:16
>204の続き<〜盛り下がる顔醜の合コン〜>


「オイオイ!そこ、もっと盛り上がっていこうよ。じゃあここで、一番遊戯いってみよーう!!」
流石は宴の達人、合棍。しらけた一角を見て、的確にフォローを入れてくれたようだ。
この一番遊戯とは、「この席の中で一番○○な人ー?」という合図とともに誰かを指差し、
その指差された人数が一番多い者が一杯飲むという、まあ、こういう宴席にはありがちなアレである。
もうすでに盛り上がっている他の参加者は勿論のこと、里恵利にしても遊戯で雰囲気を変えることに異存は無かった。

「じゃあ、一番遊戯いきます!この中で一番、本を沢山読んでそうな人っ!」
ピタッ。
顔醜の眼前に集まる、各人の指先。
飲むしかない。

「じゃあ次いきます。この中で一番、理屈にこだわりそうな人っ!」
ピタッ。
やはり顔醜。

「まじめそうな人!」
ピタッ。

「緊張しやすそうな人!」
ピタッ。

「何考えてるかわからない人!」
ピタッ…。

323夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/03/18 23:21:41
歌垣婚破が、二次会会場の唐置歌室(からおけかしつ)に移ったとき、顔醜はもはやへべれけになっていた。
ぐらぐら廻る頭に、合棍や顔良の歌声がわんわん反響する。

ふと気づけば、里恵利の隣の席が空いている。
(さっき話を聞いてくれたってことは、俺にも脈があるってことに違いない。
 歌垣婚破って、そういうものだって聞いたことがあるし・・・)
慣れない酒に漬かった顔醜の脳味噌は、以前どこかで耳にした不純な情報を想起していた。
(いま、勇気を出してあの席に坐ったら、きっと今日はやれる。やれるんだ・・・。)
童貞ならではの、すさまじい論理と想像力の飛躍である。

フラフラしながら、里恵利の傍へ向かい、どっかと坐る顔醜。
独特の体臭がプンとにおい、女は顔をしかめたが、それには気がつかない。
「あ、あ、あ、あ、あ、あのさ、論語の解釈についてなんだけど…」
しかも、例によって話がつまらん。

以後、顔醜の記憶はどんどんあやふやになってゆく。
酔っ払ったまま、他の男どもに歌えと急かされ、
顔醜唯一の持ち歌の「大漢ブレイク工業」を歌い、失笑を買った。
また、何故か里恵利は宴のさなかに中座し、そのまま戻ってこなかったようだ。
また、よく覚えてないが、どこかでゲロゲロと吐いたような気がする・・・

・・・
・・・・・
・・・・・・・・俺は一体??・・・・
324夏喪 ◆f3h/vmOhIk :05/03/18 23:22:41
右頬の皮膚を通して伝わる冷たい床石の感覚が、顔醜の意識を引き戻した。
辺りは漆黒の闇。

「・・・うう。」
脳の下部に濁り溜まった昨夜の酒を振り払うかのように、頭を上げる顔醜。
ひどく緩慢な動作で肩を回し、首を回してみて、やっとすこしは感覚が鋭敏になってきた。
いま自分が寝転がっているこの場所は、顔家の邸宅――即ち顔醜の自宅の便所の前であるようだ。
肌を刺す夜の冷気の様子からして、丑の刻は過ぎていることは間違い無い。
ひどい頭痛。

「・・・あ、合棍が俺を家まで連れて帰ってくれたのか・・・」
やっと考えがまとまり、そういう結論に達した顔醜。
やはり持つべきものは友人か。
童貞脱出には失敗したが、
へべれけになった自分を家まで送り届けてくれた思いやりある友人を持ったことにまんざらでもない顔醜である。
しかしその時。


<もうちっと続きます>
325('A`):05/03/18 23:23:25
キャラの作者や作品書いた人しか細かいところは覚えてないだろうから
夏喪さんの意見に同意。
ノベラー・オブ・シスターさんもいい流れを作ってくれたと思う。感謝。
326ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 00:00:45
>>300からの続き


それからというもの、独秦は都に降りて、イケメンを何人か集めてきた。そう、武沙達を山道へおびき出すための
囮に使うためである。
武沙と一騎打ちをすることを決めた肝意は、毎日朝から晩まで鍛錬に励んだ。
武の稽古と同じくらい身なりの整えに気合を入れれば、なんとか女の一人くらいはついてきそうなものだが、
そこは生来の喪男故か、そんなことまで頭が回らなかったらしい。
そこへ独秦が現れた。

「肝意殿・・囮に使うイケメンを連れて参りました。この者達を囮とし、武沙の一団をおびき出す作戦にございます」

「おぉー、そのような策を考えるとは、さすがは独秦殿でござるな」

その夜、独秦は側にいた一人の弟子に、500の喪男の兵に山道にある仕掛けをするように伝え、喪手内の前に現れた。

「おー、独秦、待っていたぞ」

「遅くなりまして、申し訳ございません・・殿」

「うむ、して・・・策の決行日は決まったのか?肝意も相当にやる気を出している。今の勢いが消えぬうちに
山賊どもを一網打尽にしたいのだが・・・」

「はっ・・決行は明後日になりまする」

「何故明後日なのじゃ?別に明日でも良かろう」

「いえ、明後日でなければダメなのです・・・私の策が、全て威を発するのは、明後日の昼過ぎなのでございます」

喪手内は狐につままれたような顔で独秦を見ていた。
その夜、山道についた独秦の一番弟子と名高い、馬醜(ばしゅう)は兵達に道をまんべんなく、浅く掘り返させた。
そして、掘った部分になにやら白い粉を撒き始めたのだ。そして、白い粉を撒き終えると、その上から掘った土を被せた。

「ふぅ〜、このくらいでいいんじゃないかな・・・さすが独秦先生だ・・このような策を思いつくなど・・・私ではまだまだ先生
の足元にも及ばぬということか・・・」

果たして、独秦が仕掛けた策とは・・・そしてなぜ明後日の昼過ぎなどという時間を指定したのか、
それが誰にもわからぬまま、当日の朝がやってきた。
宮殿の門前には肝意とその一団が準備を整え、出陣の合図を待っていた。
武沙との一騎打ち・・・負ければ命はないだろう・・・そんな緊張に肝意の顔にはいつも以上に脂ぎった汗が浮かんでいる。
そこへ独秦と喪手内がやってきた。そして、肝意とその一団に向けて声を発した。

「これより、我が軍は山賊退治に赴く、皆の者、こころしてかかってくれぃ!!」

喪手内の檄を受けた兵士達は山に向かって歩き出した。
327ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 00:26:09
お昼になる少し前、喪手内率いる少数の軍が山道の上り口までやってきた。
肝意はこれから起こる一大決戦のことを考えてか、息遣いも荒くなり、大量の汗をかいている。
それを見た独秦は肝意に静かに語りかけた。

「肝意殿・・そう焦ることはございません・・・肝意殿には、余計なことは何も考えず、武沙を倒すことだけを考えて頂きたい」

「うっ、うむ・・・し、しかし・・・強者との戦いの前となれば・・・やはりその興奮や緊張は抑えられないものにござるゆえ・・・」

「何も心配することはございません・・・肝意殿のその熱く滾った心・・もうすぐ天の涙が冷ましてくれることでしょう・・」

「天の・・涙???それは一体・・どのような物でござろうか・・・」

「ふふっ・・・空を御覧なさい・・・」

独秦のその言葉を聞いた肝意は素直に空を見上げた。すると・・・突然小雨が降ってきたのだ。

「おぉ〜、天の涙とは・・雨のことだったのでござるか・・・確かに、今の拙者にはこの冷たい雨が気持ちいい」

突如振り出した雨は静かに、そして優しく、肝意の体から熱を奪った。そして、それと引き換えに肝意に冷静な気持ちを置いていった。
しかし、この雨に驚いた喪手内は独秦に駆け寄り、問いただした。

「独身よ・・この雨・・いささか不都合ではないのか?雨が降れば、山賊も姿を現さないのではないだろうか?」

「ご安心ください、殿・・・山賊は必ず姿を現します。そして現れたが最後、誰一人として逃げられませぬ」

どうにも喪手内は独秦の言うことが府に落ちなかった。そしてそんな喪手内をよそに、独秦は兵達に山道を登るように指示を出した。
そして、いつも武沙が現れる山道の中腹まで来ると、兵達を所々に散らせ、囮のイケメンを馬車に乗せて歩かせ始めた。
その時、例によって崖の上からそのイケメンが乗った馬車を見下ろす喪男の集団がいた。そう、武沙率いる山賊たちであった。

「へへっ、こんな雨の中ご苦労なこったぜ・・・おい、野郎ども!行くぞぉ!!!!」

武沙がいつもとおり号令を発すると、喪男達は一斉に崖を降りてきた。
独秦が仕掛けた策が、大きな口を開けて待っているとも知らずに・・・。
328ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 00:50:59
山賊達が山道に降りたとき、独秦の仕掛けた策はその効果を発揮した。

「う、うわぁ〜、なんだこれはぁ〜」、「う、馬が・・馬が沈んでいくぅ〜」

山賊達の乗った馬はなぜか地面からその足が抜けなくなった。
いつもと違う山道の様子に馬鹿な山賊達はみな右往左往していた。
それを陰から見ていた喪手内は独秦に訪ねた。

「独秦よ・・これは一体どういうことなのじゃ?」

その問いかけに、独秦は静かに答えた。

「これは昨日の夜、弟子の馬醜に山道に仕掛けをさせたのです。
まず、山道の土を掘り返し、土を柔らかくします。それから次に、水を含むとあのように粘り気が出る粉を大量に蒔かせたのです。
そうすることにより、この崖に挟まれた道は、たちまち粘土の池に変わります。
これでは山賊達も逃げることができないでしょう」

「しっ、しかし・・・粘土は水がなければすぐに固まってしまうもの・・それに、一体いつ水を含ませたというのだ!?」

喪手内がその言葉を発した瞬間、独秦は天を指差した。そしてこう答えた。

「殿・・なぜ今日のこの時間にここに来たか・・・もう御分かりでございましょう・・・。
雨ならば山道全体に水を撒くことができますし、降り続けば粘土が固まらないで済みます・・・。
これで私の策は完璧な形と成りました。あとは・・・首領の武沙を肝意殿が討ち取ってくれれば、それで終わりにございます」

「うっ、うむぅ・・・そなたは天の動きまで策に利用できるというのか・・・まさに鬼道としか言い様がない・・・」

「鬼道などではございません、今日この時・・雨は・・降るのです・・・」

喪手内と独秦がそんな会話をしてる時、山賊のほとんどは身動きが出来ない状況の上に、辺りに隠れていた兵達から弓矢の
一斉射撃を食らい、ほぼ全滅していた。
しかし、そんな中、粘土の池に沈むことなく、そこを歩いてる男がいた。武沙である。

「えぇ〜い!!!こんな小賢しい策を持ち出しやがって!!!どこのどいつだ!?出てきやがれ!!!」

その言葉を聞いた独秦は大声で叫んだ。

「肝意殿!今です、武沙を討ち取ってください!!!」

その叫びと同時に、武沙の前に一人の屈強な男が姿を現した、肝意である。

「お、お主は・・・」

「てっ、てめぇは・・・」

肝意と武沙は初めて顔を合わせたにも関わらず、なぜかお互いの顔を見詰め合ったまま、動けなくなってしまった。
329亜喪改め汗喪:05/03/19 01:27:01
さてこの卑奇子、そしてこの後登場する児意図(にいと)の二人であるが、全くの無能者である。
喪国の面々には何かしら一芸に秀でた者が多い。「喪だが豪傑の武沙」「喪だが秀でた知略の独秦」
そして「喪だが大器の喪手内」といった具合である。

しかしこの卑奇子、そして児意図に限っては何もしない、何もできないただの役立たずな喪男だった。
「ほっといてほしい」「そっとしておいてほしい」が口癖の彼等がものの役に立たないのは道理である。
しかも世間に対しての影響は決して良くない。司馬懿が気を揉むのも道理である。
しかし・・・彼等こそはこの後、この内向郡そして喪国をも揺るがす人物になろうとは、この時誰にも知る由もなかった。
330汗喪:05/03/19 01:29:03
>>329>>316の続きです。
331汗喪:05/03/19 01:31:59
>>329の続き

ここに1人の喪がいる。開いているのかいないのか判らない奥ばった目、縦よりも横に広い顔、
野良仕事やキツイ雑用でゴツゴツになった手・・・。何処からどう見ても「喪」そのものだ。
ただ、この喪は女だった。名は「醜女(しこめ)」といった。

この醜女も「喪」らしく幼い頃から言われ無き迫害を受けてきた。男の「喪」が受ける迫害とはやや異なって、
主に言葉の暴力で傷つけられてきた。何度も逃げ出したくなったが、この時代の女が1人で生きていく術など
体を売る以外に無く、かといって卑奇子や児意図のように引き篭もったり
フラフラとする事を女の身で許される時代でもなかった。
しかしこの醜女、そういった事情を割り引いても中々の働き者であった。雇い主の横暴や近所のイケメン男女(茶髪長髪ら)の
嫌がらせにも屈せず、毎日黙々と働いた。朝早くからの農作業、女給、荷車を使っての運搬作業など力仕事でも何でもこなした。
そんな醜女の楽しみといえば夜、一日の仕事を終えて眠りに就く前に夜空を見上げる事。近くの丘に上がって見上げる事もあった。
「きれいだな、お月様」そっと呟いて見るのもいつもの癖だった。

その日はたまたま、丘の上で見上げていた。月を見ると嫌な事だらけの自分の人生が少し良く感じる事ができた。

しかしここは内向郡、喪手杉によるあの布告後の・・・。
332汗喪:05/03/19 01:34:06
>>331の続き

「きれいだな、お月様」いつものように呟いていた。「お月様はオラがこんなに見つめても嫌がらないだな。」
喪の思う事は男も女も一緒のようだ。醜女は気持ちのいい空気を目いっぱい吸い込んで寝転んだ。と、その時・・・
「ちっ、チャンスだってのによぉ」「どこにいやがるんだよ、卑奇子の野郎」こんな声が聞こえて来た。茶髪と長髪である。

いつも自分に暴言を吐き散らす二人が近づいてくる。醜女は慌てて立ち去ろうとした。が、二人は目敏く気配を感じ、
「おいっ誰だ!!」と怒鳴った。その怒鳴り声に「ひぃぃ」と身を竦めもう1歩も動けなくなった。喪の哀しい習性である。

「オマエ、なに逃げようとしてんの?」「なんだコイツ、醜女だゼ?」茶髪と長髪は詰め寄った。
「あ、あ、あの・・・オラ・・・」ドモって言葉にならない醜女。「あ?何言ってんのオマエ」茶髪が近づいてくる。
「ハッキリ言えよ、オラァ」長髪がそれに続く。「あ・・・あ・・・」恐怖で身動きできない醜女。その眼前まで迫った時、
二人は顔を見合わせて言った。

「何か隠してんじゃねーか?」

屈辱にまみれた一夜の始まりだった。
333汗喪:05/03/19 01:41:17
>>332の続き

常道を逸した責め苦であった。今まではどんなにひどい言葉を投げかけられても暴力を振るわれた事は無かった。
だが、例の布告は喪を嫌う人間に力を与えた。そしてそれは狂気となり、喪に容赦なく牙を剥き始めた。
それの前では「女である事」など何の意味も持たなかった。喪か否か・・・あるのはそれだけだ。

着物(ボロではあるが)は切り裂かれ、槍の柄で打ち据えられ、ありとあらゆる罵詈雑言を吐き散らされた。
「きったねーな、オマエの体」「これじゃチンポ立たねーよ」喪といえど醜女は女である。やはり自分自身を女として
意識しないではなかった。しかし目の前の二人は、自分を汚物を見るような目で罵った。しかも二人は喪女の憧れであるイケメン・・・。

醜女の目から涙が溢れてきた。それすらも「キモイ」の一言で片付けられた。
今までどんな事があっても、どんなに罵られても涙を流したことは無かった。人間の価値は美醜だけではないと信じていた。
しかし今、この場で自分の全ては否定された。

自分は女でもなく働き者でもなく・・・ただの「喪」だったのだ・・・。

屈辱の宴も終わりに差し掛かってきた、飽きてきたのである。
「ダリ〜な、帰るか」二人にとっては隠し事などどうでも良かった、最初からただの言いがかりだっただけだ。
醜女は一人、その場に取り残された。もう涙も枯れていた。

「これが喪なんだ・・・」

そう呟きながらおぼつかない足取りで帰っていった。早く帰って眠らなきゃ・・・
孤児の自分がこのような目に遭ったところで仕事を休ませてくれる訳は無いのだ・・・。
334汗喪:05/03/19 01:45:36
>>333の続き

「なんとかしなきゃいけないんだけどなぁ」児意図がぼやく。「やる気が出ないんだよな」卑奇子がそれに続く。

ここは卑奇子のボロ屋敷の二階である。一階では親が食堂を営んでいて、そこそこ繁盛していた。
児意図はこうやってたまにやってきては卑奇子と愚痴りあう。全くもってダメ人間どもだ。
「そういや腹が減ったな」満足に働きもしないくせに飯の催促だけは一家の主のような顔でする。
卑奇子は行動範囲の限界線である部屋の扉まで来て、大声で催促しようとした。と、その時、扉の向こうから声がした。
「お食事さお持ちしましただ」下で雇っている女給の声である。
「何?女の声がしたよ?!」児意図が目敏く聞きつけた。「ああ、下の女給だよ」という卑奇子を押しのけ扉を開いた。
そこには「も、申し訳ねえだ」とドモリながら反射的に謝る女がいた。醜女であった。


「・・・ああ」沈んだ声で食事を受け取る児意図。自分自身、喪で無職の癖に平気でブスを差別しようとする。会話すらしようとしない。
生身の女に触れる機会の無い、喪の女性観は極めて狭い。女=美人もしくは、目と胸がやたらと大きい二次元の女だけだ。

「あ、あの・・・」さっさと扉を閉めようとする児意図に声をかけた。「・・・何?」言葉少なに答える児意図と卑奇子。

「今、世間じゃ喪狩りさやってるだ。貴方達は逃げたほうがイイだ。オラも昨日・・・酷い目にあっただ」

卑奇子と醜女は初対面である。食事はいつも扉の前においていたからだ。たまたま今日、児意図が扉を開いて初対面、という訳だ。
(この人が茶髪たちが言っていた卑奇子・・・)その名を知った醜女は心を強く揺さぶられた。それは自分を完全に否定した茶髪達に
対する怒りだ。その怒りは、このような気持ちにつながった

(この人を逃がしてやる。)
335汗喪:05/03/19 01:48:19
>>334の続き

「喪狩り」については卑奇子も児意図も知ってはいたが、自分には当てはまらないと考えていた。
自分たちはあくまで「引き篭もり」と「無職(しかも働く気がない悪性無職)」である、というのが彼らの主張だ。
しかし傍から見れば彼等も十分な喪である。しかも卑奇子にいたっては司馬懿自らご指名の指名手配犯のようなものであった。
「な、何で俺達が!?」うろたえる卑奇子らに醜女は細い目をもっと細くして答えた。

「今の内向郡は喪にとっては地獄だで。たとえ働き者でも、女でも。」

何処から何処までがアザなのか解らないが、とにかくヒドい顔の醜女が言う言葉には何ともいえない、いや、地獄を見た者でしか
語りようの無い凄みがあった。
336汗喪:05/03/19 01:50:03
>>335の続き

その頃、畏敬面の元に領民からの苦情が届いていた。
「ふむ、なになに・・・街の若い者が喪狩りと称してウチの働き手の女に暴行を加えた・・・だと?
 全く、あの馬鹿者どもが!」

畏敬面にとって女とは時に快楽の対象、そして時には道具であった。それだけに扱いには十分注意していたのだ。
それをよりによって暴行などと・・・女といっても醜女ではあったが、まだ畏敬面はそれを知らない。
畏敬面は自らその「女」の元に赴く事にした。
337汗喪:05/03/19 01:51:48
>>336の続き

「うっ・・・」久しぶりに浴びる太陽に立ち眩みを覚えた卑奇子であったが、今はそうは言ってられない。
もはや内向郡にいるのは自殺行為だ。卑奇子としては夜に行動したかったのだが、醜女が今すぐ逃げる事を強く勧めた。
「今なら引き篭もっていたおかげで顔を知る者も少ないだ。目立たない様にしてさっさと逃げるだ」でもどこへ?と問うと
こう答えた

「喪国しかねえだ」

そうして今、逃げている訳だが昼間の喧騒はいい隠れ蓑になった。仕事で忙しい領民には「喪狩り」よりも自分の仕事を
優先しているようだ。出てくる時、卑奇子も児意図も自分の親に一言断りを入れようとしたが、親の答えはそっけないものだった。
「あっそ」「もう帰ってくるなよ」実の親といえど引き篭りや無職には冷淡であった。余程、苦労をかけられたのだろう。
338汗喪:05/03/19 01:55:29
>>337の続き

「傷を負わされたご婦人はおられるか」

畏敬面の行動は速かった。苦情を受けるや否や、身支度を整え愛馬を駆って卑奇子の(親の)ボロ屋敷まで
やってきた。「おお、貴女が・・・」と言い掛けた所で醜女の顔を直視した。が

「此度は本当に大変な目に遭われた。暴行を加えた者には私から厳重な注意を与えておく、そなたも早く元気を出されよ」

さすがは畏敬面であった。いかに醜き女であれ、領民の訴えである以上、差別するのは得策ではないと判断し、心にもない
言葉を並べ立てたのである。まあ卑奇子の親にしても、別に醜女に情をかけた訳ではない。ただ単にタダ同然で使える労働力が
使えなくなったら自分達が困る、というだけの事だ。

「あ、、、ああ」驚いたのは醜女である。自分の醜い顔をまっすぐに見据え、優しい言葉をかけてくる美男子。
すべて生まれて初めての体験だった。醜女は卑奇子の部屋から下ろしてきた食器を落としたことにさえ気付かなかった。

「では」と白い歯をみせ、畏敬面はさっさと帰ろうとした。その時、畏敬面の脳裏に何かがよぎった。
(あのブス・・・俺が行った時、たしか階段を下りる途中だった。手には食器が・・・あのブスの食事か?いや
店内は昼時で賑わっていた。そんな時に使用人に飯を喰わすか?ならば二階には誰が・・・)

卑奇子である可能性がない訳ではない、と判断した畏敬面は醜女に優しく問いただした。

「二階にはどなたかおられるのかな?」
339汗喪:05/03/19 01:57:35
>>338の続き

さて卑奇子と児意図といえば、まだまだ内向郡のど真ん中であった。元より人の足で内向郡を抜け喪国へ入国しようと
いうのである。先はまだまだ長かった。ただ、日が暮れる前には何所か目立たぬ寝床を確保しなければならない。
「あーやってらんねえ」児意図がいつものようにぼやいた。ろくに体を動かしていない人間には少々キツイ旅路ではあった。
「全くだ。そんなに急ぐこともなかったんじゃねえか?」能天気なものである。

ようやく宿が見つかった。大部屋に何人もの人間が雑魚寝する安宿で、身を隠すにはもってこいだった。
(そういや何で醜女は一緒に来なかったんだ?)一息ついた卑奇子は何気なしに思った。まあ喪国は男だけだからかな、などと
勝手な結論を出し横になろうとした時、近くにいた男の声が耳に入ってきた。
「また喪が捕まったらしいぜ」「ひええ、こわいねえ」卑奇子達にとっては気分のいい会話ではない。しかし・・・
「その捕まった喪なんだけどよお、、何と食堂の女らしいぜ」続いて聞こえてくる声に卑奇子は飛び上がった。
「ち、ちょちょ・・ちょっとあんた!」ドモリながら聞き込んだ。
「そ、そ、その女の名は?どこの食堂だ?」

「女の名はわかんねえけどよ、食堂の名はたしか・・・馬亜(ウマー)飯店だったっけ」

醜女の事だ!!!
340('A`):05/03/19 03:23:03
なんかたった一日の間にえらく伸びてるな
少し前は殆ど保守レスだったのに、最近じゃ読むのが大変なくらいだよ
全員気合入ってていい感じだ、GJ

>>311
どらいが大まかな設定を作り、お粗末が流れを作ったって感じか
特に文章力は群を抜いてたな、顔醜とか目の付け所も良かった
ここ一月ほど見かけないのが残念だが

>>312
個人的に必殺周瑜はもう一度見てみたい気はする
何か独特の個性があったな、鬱屈した笑いというか
341('A`):05/03/19 11:13:58
いま、話がどうなってるんだ?
最初から読んでる香具師、アウトラインをまとめてえ。
342('A`):05/03/19 11:15:08
完結したら書籍化できないかなあ・・・
343('A`):05/03/19 17:40:38
なんか、俺がネ喪だとか言われてるが・・・
自分で言うのもなんだが、俺は半角板で神と呼ばれた事があるわけですよ。
半角で神と呼ばれるには、結構な量うpするわけで・・・つまり、大量の資料が
あるわけです。
とりあえず続き↓
>>283の続き

そして翌日。その翌日、また翌日。
肝意は、毎日華李医院へ足を運んだ。
「おお、もう歩けるのですか、」
「ええ、大分楽になってきましたわ。本当に、肝意様には重ね重ね・・・」
そう言って深く頭を下げる詞意。しかし、その顔にははっきりと不調が表れている。
「いや、そんな、止めてくだされ。当然の事ですから・・・」
詞意とひとしきり会話をした後、華李に話を聞きにいく。
「先生、詞意殿はどうなんです」
「うむ、大分良くはなってる。現にああして自分で歩けるしな。
しかし、解らんぞ。この病気はわからん。厄介なんだよ。」
「やはり、薬ですか・・・」
無言で頷く華李。なんとかして金を調達しなくては。
連日金策に奔走する肝意。しかし、なかなか集まらずに途方に暮れていた。
詞意は徐々に良くなっている。しかし、安心は出来ぬ状況にあることを、肝意は知っていた。
いや、感じていたと言うべきか。そんな中、肝意は毎日詞意を励まし続ける。
「大分顔色が良くなってきましたね」
「ええ、ほんとに、肝意様にはなんとお礼を重ねても足りないくらい・・・」
「いえいえ、本当に当然の事ですから・・・」
「身体が全快したら、やりたい事があるんです。」
「ほう、どんな?」
「えっとね・・・秘密」
「えっ・・・ちょっ詞意殿それは無いですぞ」
笑い出す二人。肝意は、この時が永久に続かないものかと願っていた。

そして。
「肝意様・・・肝意様って・・・あの・・・」
「はい?なんでしょう」
下を向いて黙る詞意。両手を合わせて広げたり指を交差させたりしている。
「?黙っていてはわかりません」
微笑みながら促す肝意。詞意の意図が全く解らない。
「あの・・・良い人っていうか・・・心に決めた女性とかいらっしゃるんですか?」
「えっ・・・いや、そんな滅相も無い!!!」
突然の質問に焦る肝意。未だ女を知らぬ肝意に、この質問は困る。
「そうですか・・・」
何故か少し嬉しそうな詞意。また時間が経つ。
「虹って、七色なんですよね」
 ? 何を言ってるんだろうか。
「私、虹が八色だったら良いなって・・・」
全く意味が解らない。
「あの・・・それは一体どうゆう意味で・・・」
肝意は全く意味が解らなかった。当然である。
「だから、黒い月も一緒に見ていたいって言うか・・・一緒になっちゃえば良いのにって・・・」
「八色?一緒に?・・・あの、ちょっと意味が・・・」
「だ、だから、黒い月が私の中に入り込んできて、虹と溶け合うんです。八色になって。
私はそれが、とても心地よくて・・・とても暖かくて・・・」
果たして、肝意は詞意の真意に気付く事があるのだろうか。詞意が、肝意を頼り、求めている事に
気付くのだろうか。きっと、気付かないだろう。月が何度現れても、雨が幾度上がっても、
肝意の目に虹は七色のままなのだろう。
「あの、肝意様」
「あ、はい」
「もし、もし宜しければなんですけど・・・私を、えっと・・・私を、あ、貴方の・・・」
途切れ途切れに語る詞意。それをどうして良いかわからず佇むだけの肝意。
「あの・・・貴方の恋・・・ゴ、ゴホッ、グッ、ゲホッ!!」
「し、詞意殿!?」
突然の出来事に戸惑う肝意。大量の血を吐いて床に倒れる詞意。華李を呼ぶために診察室に走る肝意。

時は、詞意と肝意の事などどうでも良い、とでも言う様に流れ続けていた。
「先生・・・」
「黙っとれ!!」
緊張の華李医院。華李は詞意の容態に神経を集中させている。肝意は、何かできる事が無いかと
必死に考えたが、何も出来ずに見守るだけだ。
「肝意・・・様・・・肝・・・」
緊張が満ちるなか、詞意がうわ言の様に呟く。
「喋るでない。大丈夫だ、わしに任せておけい」
「肝・・・様・・・」
詞意はうわ言を続けている。どうやら、意識が曖昧になっているらしい。
「肝・・・肝意・・・肝意・・・」
肝意は、何も考えずに何時の間にか詞意の手を握っていた。詞意の指が、肝意の指に絡みつく。
虫も殺せぬ程の力で、詞意の感触が肝意に伝わる。
「肝意、そのまま握っててやってくれ。」
華李が言ったが、肝意には聞こえない。肝意は生まれて初めて女性の手を握ったのだが、そんな事も
今の肝意は忘れているはずだ。
時間にして20分程だろうか。肝意は詞意に呼びかけを続け、華李はなにやらいそいそと詞意を
看病している。やがて、詞意が再び口を開く。

「かんい・・・ありが・・・と・・・だい・・・す・・・」

最後まで言い終わらないまま、何も言わない詞意。時が流れる。やがて、肝意の手から
詞意の手が離れた。肝意は、詞意の顔を眺めている。


詞意の胸に落ちていく、詞意の右手。ゆっくりと、ゆっくりと、落ちていく。

その手をちらりと横目に見て、肝意は詞意の顔に視線を戻す。

詞意の手が完全に停止した後も、肝意は詞意の顔を見続ける。

華李が、肝意に目で語りかける。

・・・・・・。

・・・。

詞意が、死んだ。


詞意の葬式の日になっても、肝意は涙一つ流さないままだった。
葬式の参列者は肝意、華李、そして他三人ほど。
何故、こんなに少ないのだろう。こんなに参列者が少ないなんて、まるで喪男だ。

人は、希望がなければ生きられない。詞意の希望。詞意の人生。
いろんな事を考えてるうちに、詞意を土葬する時が来てしまった。

「肝意、詞意殿にお別れだ。」
語りかける華李の顔を見ずに、肝意は詞意の棺へと近づく。

詞意の顔は、少し青みがかってるだけであまり死を連想させない。
肝意は、試しに詞意に話し掛けてみようと思った。何故か、そんな気分になった。
しかし、詞意の棺に顔を近づけた瞬間、腐臭が肝意の鼻に襲い掛かる。
それと同時に、肝意の目から涙が一粒こぼれ落ちた。

肝意の身体が水袋に変わった様に、涙が止まる事無く溢れ続ける。
もはや現実を無視出来なくなった肝意は、その場に崩れ落ち、大声で泣いた。
声が枯れ、少ない参列者が帰っても、彼は泣き続けた。彼が泣き止んだ時には
辺りはすっかり日が暮れて、夜の闇だけが、肝意を慰めてくれた。
肝意は歩いていた。行き先は決めず、ただ歩いていた。
涙も枯れはて、思い出すのは詞意の事ばかりである。

「黒い月が私の中に入り込んできて、虹と溶け合うんです。八色になって。」
「八色の虹・・・」
詞意の死の間際に残された言葉が、肝意の心に張り付いていた。

どのくらい歩いただろうか、辿り着いたのは見覚えある広場。
「詞意殿・・・」
そうだ。ここは詞意と出会った広場。現在地の反対側、詞意の座っていたベンチに詞意が居る。
「まさか・・・幻か・・・」
頭で解っていても、ついベンチへと足が進む肝意。詞意は、肝意に気付いて微笑む。
肝意も微笑を浮かべ、詞意の隣に腰を降ろした瞬間、詞意は夜に呑まれて消えてしまった。
ベンチで一息つく肝意。今夜も月が綺麗だった。
「皆が輝く事に疲れたとき、輝く月・・・」
詞意の思い出が離れない。延々と巡り巡る詞意の面影。その時。
「どなたか、いらっしゃるのですか?」
また幻聴か。肝意は、振り向いた先にいた女が、目を見開いてこちらを見てる事に気付くまで
幻聴だと思い込んでいた。だが、今度は本物の女だ。
「あ・・・いや・・・」
本物の女にうろたえる肝意。肝意の顔にうろたえる女。固まる二人。
「え、っと・・・すいません・・・」
何もしてないのに謝り、その場を立ち上がる肝意。
広場を離れようと歩き出した肝意に、背後から声がかかった。
「おい、何やってんだお前」
振り向いた先に、女の肩を抱いてこちらを睨む矢李狆がいた。
不意に、怒りが沸く。詞意を見捨てた矢李狆。半年もの間待たせた矢李狆。
その広場で、また先日とは違う女を抱いている矢李狆。何もしていない自分を
睨みつける矢李狆。全てが、肝意の怒りを手伝っていた。

「うわ、なんだこいつの顔」
開口一番、いきなり肝意の顔を罵倒する矢李狆。あれから何年経っただろう。
時が経っても、こいつは何も変わらないのか。変わる事無く俺を馬鹿にし、詞意殿のように
傷付けられる人が増えていくのか。神はこれを許すと言うのか。俺はもう限界だ。
「その女はなんだ。」
「はあ?何言ってんのこいつ?」
「誰だと訊いてるんだ。」
「は?おめえに関係あんのかよ?つーかお前誰?」
「訊いているのは俺だ。貴様は人を待たせているんじゃなかったのか。何故違う女と
ここに来るんだ。ここで待たせていた人はどうした。」
早口にまくし立てる肝意。怒りのせいか、所々どもって聞き取りにくい。
「何言ってっかわかんねーよ馬鹿、はっきり喋れよ」
一度深呼吸をして、さらに喋る肝意。女は矢李狆の後ろで二人のやり取りを眺めている。
「詞意殿が、死んだ。」
「は?」
「詞意殿が・・・死んだ。」
「誰だよそれ?こいつ頭おかしいんじゃねえの?」
肝意の中で、何かが切れた。

「憶えても居ないのか・・・ならば・・・」
腰に掛けた短刀に手をかける肝意。
「あの世で、詞意殿に詫びて来い」

矢李狆の首が、夜空に舞い上がった。
356ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 18:25:39
>>328の続き


冷たい小雨が降り続く中、二人の喪男が見つめ合うのは、とにかく奇妙な光景だった。
お互い、姓も名も字すら知らない二人が、まるで運命の人に出会ったかのように見つめ合っていた。
そんな静寂を切り裂いたのは、粘土の中から顔を出した武沙逝だった。

「あっ、兄者!!」

「むっ、武沙逝よ、無事であったか」

「はっ、拙者は無事でありましたが・・・部下は20数名、全滅にございますぅ!!!」

「なんと・・・まぁ、それでも良い・・・」

もう半ば諦めたのか、武沙はそんなことは気にせず、肝意のほうを向き直った。
そして山道一杯に響くような声で豪快に名乗りを上げた。

「我が名は武沙!!!この山一帯の首領にして、天下無双の戦神なり!!!手前の御名を頂戴致したい!!」

見事なまでの武沙の名乗りに、精一杯の声を振り絞り、肝意が答えた

「拙者の名は肝意!!!喪軍頭領、喪手内様に仕えるが将の一人、いざ!尋常に勝負なされぃ!!!!」

「ほぅ・・そなたがかの有名な肝意殿であったのか・・・ふふっ・・相手にとって不足な〜し!!!いざ、参るぅ!!!!」

その時、天に雷鳴が響いた。同時に、二人の刃はお互いの顔の前で交錯した。
1回・・2回・・・3回・・・お互い1歩も譲らずに刃を打ち下ろす。その二人の刃が交差する瞬間、周囲の者達にはまるで火花
が飛び散るように見えた。喪軍の兵士達は生まれて初めて見る、「真の強者による一騎打ち」に身震いする者が続出した。

「はぁはぁはぁ・・・・な、なんたる豪の者・・・まさかこれほどまでとは・・・」

「ふぅふぅふぅ・・・これが・・喪軍一の勇将、肝意か・・・甘く見すぎていたわ・・・」

お互い、激しい打ち合いの末、刃はボロボロ、体力は底をつき、武器を握る手にも力が入らなくなりかけていた。
おそらく、次の一手がお互いの決めの攻撃になるのだろう、武沙と肝意は慎重にその間合いを詰めていた。

357ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 18:57:04
武沙と肝意がお互いの武器が届く距離まで来ると、二人はまたもや同時にその刃を打った。
しかし、冷静に状況を把握していた武沙は、自分の槍を肝意の薙刀の前で止めた。
そして、打ち下ろされた肝意の刃を真横に流し、そのまま足で肝意の薙刀の刃を粘土に押し込んだ。

「ふはははっ!!!肝意!その首貰ったわ!!!!!」

武沙はそう叫ぶと、自分の槍から片方の手を離し、腰に差してあった刀を抜き、そのまま肝意に向けて切り払った。
誰もが決着を予感したその時・・・

「甘い!拙者、まだまだ倒されはせん!!!!」

肝意はそう答えると、武沙と同じように片手を自分の薙刀から離し、腰の短刀を抜いて、武沙の刀を受け止めた。
またもや二人はお互い身動きが取れぬ体勢のまま、睨み合った。
しばらくした後、お互いはどちらからともなく、そのまま粘土の中に腰から崩れ落ちた。もはや体力の限界だ。

「はぁ〜はぁ〜はぁ〜はぁ〜・・・・」、「ぜぇ〜ぜぇ〜ぜぇ〜ぜぇ〜・・・・」

武沙と肝意は粘土に沈まぬように姿勢を維持するだけで精一杯だった。
と、そこへ弓を構えた兵士達が二人を取り囲んだ。その先頭には、当然独秦がいる。
今なら武沙を弓の一斉射撃で討ち取れると思ったのだろう。そんな中、肝意は途切れ途切れに武沙に話し掛けた。

「はぁはぁ・・ぶ、武沙殿・・・わ、我が・・我が軍に来る気はないか?そなたほどの、武なら・・と、殿も・・きっと・・認めてくださろうぞ」

肝意の問いに、武沙も空を見つめながら答えた。

「ふぅふぅふぅ・・・あ、ありがたい・・申し出だ・・だが・・お断り申す・・・」

「なっ、なぜだ・・・そなたのような男が・・山賊などという下郎な身分で一生を終えるなど・・勿体無いと思わぬのか?」

「お、俺には・・・俺には成し遂げねばならぬ・・夢がある・・・。その夢を叶えるまで・・・誰の下にも下ることはできぬ!」

「そ、そなたの夢・・聞かせてはもらえぬか?」

「おっ、俺の・・・俺の夢は・・・喪男だけの極楽浄土を作ること!」

その一言で喪軍兵士達はみな、弓を弾く手を緩めてしまった。
確かに夢だ、どう考えてもそんなものは作れそうにない。しかし、武沙のその言葉を聞いた喪手内は兵士を掻き分け、
粘土に中にいる二人に駆け寄った。そして、

「皆の者、この二人を粘土の池から運び出すのじゃ、そして雨の当たらぬ場所で休息を取らせよ」

喪手内の号令により、二人はとりあえず、山道の脇にあった休憩所まで運ばれた。
ようやく雨も上がり、気持ちよい風が吹いた頃、喪手内は武沙の前に座り、自分の志を語り始めた。
358ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 19:25:40
「武沙殿・・・私の話しを少し、聞いてもらえぬか?」

「・・・・勝手に話せよ・・・俺はしばらく武器も握れぬ・・・アンタを殺そうにも、どうやら無理らしい」

その返答を聞いた喪手内は、自分の心の内を武沙に話し始めた。

「私はさっき、そなたの夢を聞いて、嬉しくなった。私と志を同じくし、また同じ夢を追う男がいることに・・深く、深く感激した。
幼少の頃より、顔が醜悪だというだけで・・・言われようのない暴力、雑言罵倒を浴びせられる毎日、血をわけた兄弟ですら
私を嫌悪する有り様・・・私が一体何をしたというのか?顔が醜悪なことが、それほど憎まれ、蔑まれることなのか?と・・・
何度涙したことかわからぬ・・・」

涙を流しながら語る喪手内を見た武沙は、小さく呟いた。

「アンタも・・・アンタも喪男の宿命を呪う一人であったか・・・」

「そして、私は思ったのだ・・・喪男の国を作ろうと・・・喪男だけが、幸せに暮らせる太平の世を作ろうと・・・うっうっう・・・」

喪手内はそれ以上言葉を発することが出来なかった。そこへ肝意がやってきて武沙に告げた。

「武沙殿、お主のその腕前、その豪気、どうか我が殿の大望の花を咲かせるために、御尽力願えぬか?
殿の理想郷を実現させるためには、これからも過酷は戦を勝ち進まねばならぬ、そのためにも・・・!お主の力が・・必要なのだ」

武沙はしばらく考え込んだ。今まで、自分には仲間などいないと思って生きていたが、こんなに素晴らしい志を持った同士が
今、目の前にいる。それに力を貸すことに、何の不満があろうか・・・。武沙は己の夢を、喪手内の志に託してみようと決心した。
そして、武沙は疲れた体を引きずり、喪手内の前まで来ると、そのまま地にひれ伏した。

「アンタ!あっ、いや・・・喪手内様!今よりこの戦神・武沙、あなたの志のお供になろうと思う。
何年・・いや、何十年かかってもいい・・・喪手内様が作る太平の世が見れるその日まで、あなたのために、
この力、震わせて頂きたい!!!」

それを聞いた喪手内の涙は悔しさや悲しみから一気に嬉し涙へと変わった。

「そ、そうか・・やってくれるか!良かった・・ほ、ほんと・・に・・良かった・・」

そこへ肝意が武沙に手を差し出した。

「今日、この時より我らは同士となる。末永く、共に太平の世を見れるまで・・・頑張りましょうぞ!!!」

武沙は何の迷いもなく、肝意が差し出した手を握り返した。
ここに、後の喪国で「五鬼将軍」と呼ばれる男達の二人が、その運命をともにすることを誓った・・・。


     〜〜〜四国志・外伝「武沙・イケメン撲滅への戦い」  完〜〜〜〜
ふぅ〜・・・やっと一つ書き終わった。
なんかダラダラした、しかもどっかの漫画パクったような話しになった挙句、
年代設定を完全に無視した展開になってしまいました・・・この場を借りてお詫びします。
読んでくださった皆さん、どうもありがとうございました。
>>355の続き

「やってしまった・・・」
肝意は、家に帰ってそう呟いた。
矢李狆殺害。とっさに、矢李狆の落とした袋を奪って逃走。女は生かしたまま。
完全に強盗殺人だ。女は屯所に駆け込んだだろう。身体のでかい、容貌怪異の男。
俺が捕まるのも時間の問題だ。もうすぐここにも来るに違いない。逃げようにも、母を置いては・・・
「おや、帰ってたのかい。葬式はもう終わったんだね。」
母が言う。
「あ、ああ、ただいま。」
そう言って、肝意は母を見ずに夕食の支度を始める。完全に上の空といった面持ちで、
料理をする肝意。
「あんた、それじゃあ食べられたもんじゃないよ。母ちゃんに貸してみな。」
肝意から包丁を取り上げ、続きを始める母。
「あ、ちょっと、寝てなよ。」
「大丈夫だよ、このくらい。あーあ、真っ黒じゃないか。まったく、アンタは料理人にはなれないね。」
ちょっとむっとする肝意。
「おいおい、なんだよその言い方はないだ・・・」
「むかしさ、料理人になるって言ってたじゃないか。」
肝意を遮って母が言う。
「・・・そうだっけ。」
ふいに昔話を始める母に、肝意は昔を思い出させられた。
「憶えてないだろうねぇ・・・ころころ変わってたから・・・料理人、音楽家、
画家、・・・役者なんてのもあったw」
軽く笑う母。自分の顔を省みる事などなかった幼い頃、肝意はどこにでも居る普通の夢見る
子供だった。数々の嫌がらせを受ける前までは・・・
「それが今じゃあ立派な武将だ。ゆくゆくは将軍様ってかい?」
黙っている肝意。今は犯罪者だ。
「あたしも歳を取るわけだわ・・・」
料理の手を止めて、肝意に向き直る母。
「肝意。あんた、友達は出来たかい?」
「・・・ああ、凄く良い奴らだよ。大事な奴ばかりだ。」
本音だった。地庚山、葦之耶渓谷での日々。生まれて初めて、生きる希望をくれた喪手内。
「そろそろ、行ってあげたら?」
「へ?」
「だから、喪軍に戻ったらどうだい?」
母は、肝意の目を真っ直ぐ見つめて言った。
「・・・いや、母ちゃん一人置いて行けるかよ。」
どちらにせよ、母は一人になるのだ。喪国に行くか、罪人として拘留されるか。
「あんたの手紙、凄く生き生きしてたから・・・子供みたいだったね。」
しばし喪国に思いを馳せる肝意。武沙との一騎討ち。出喪の激。大喪童貞真書。みんな元気で
やってるだろうか・・・。
「あんたは幾ら歳を取っても、いつまでも子供なんだから・・・」
苦笑いする肝意。母の前では、喪男もただの子供だ。
「子供は、夢を追っかけなきゃね。」

敵わないな。全部見透かされてる。肝意は立ち上がった。
「母ちゃん、・・・俺、行くわ。」
満面の笑みと共に、肝意を抱きしめる母。肝意の胸ほどの身長しかないが、なにか大きな暖かい物に
包まれている様だ。
「私の息子、私よりよっぽど大きいのに、可愛い子供。悔いの無い様に生きて行きなさい・・・」
華李医院の門前に置かれた、大量の金と手紙。手紙には、こう書かれている。
「はは どうか たのむ」

雨が降っている。
「喪男の門出に相応しく、ってか。ふふふ・・・」
微笑を浮かべて、肝意は村を出る。

今は夜、屯所の追手にも見つからずに大分来た。ここ迄来ればもう大丈夫だろう。
肝意は次に見える宿で休もうと決めて、自らの夢、喪軍を目指して馬を走らせる。
朝方には雨も止むだろう。

雨が止む頃には、空に大きな虹が架かるに違いない。

虹は、七色の光を誇らしげに、世に見せ付ける。

しかし、世界が輝く事に疲れた時、夜が訪れた時、

その虹は八色に変わって隠れてしまうだろう。

黒い月と一緒に。


「黒い月と八色の虹」おわり
365('A`):05/03/19 20:04:53
濃い外伝でした
お二人さん乙であります
366('A`):05/03/19 20:06:53




キャー、室伏さーん、もっともっとして〜〜〜 *^v^*




やっと終わった・・・長くてスマソ

>>359
乙です!!ダラダラしてるったって、俺に比べりゃあ全然orz
今度はもっと短く纏めたいもんです。


・・・さ、次回作に取り掛かるか
368('A`):05/03/19 20:23:11
今の喪軍の本拠地(ブクオフ)ってどこ?
呉の辺りでいいんか?
369('A`):05/03/19 21:30:32
>>368
あんまり詳しくないんでよく判らんが
ブクオフ=江夏の最北端 内向郡=汝南の西南端
あたりを想定して読んでた
西(つうか北西)に新野(劉備)との国境もあるし
370('A`):05/03/19 21:37:09
>>369
d!!なんか外伝書けそうだ
371('A`):05/03/19 21:40:20
>>370
いや、飽くまで俺の見解だから分からんよ
ひょっとしたら全然違うかも知れないし
372('A`):05/03/19 21:43:00
>>371
まあ、とにかく書いてみる。地名とかは上手く濁して・・・
373ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/19 21:44:57
やばい、ミスに気付いてしまった。
肝意が戻るのはケイシュウ陥落時だから、ちょっとおかしいじゃねぇーか!!
脳内修正お願いしまつ・・・
374('A`):05/03/19 21:49:18
>「あの世で、詞意殿に詫びて来い」

痺れた
375('A`):05/03/19 21:51:16
ケンシロウみたいなだ
376ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 22:08:01
ワンダー喪喪さん、お疲れ様っす!
377('A`):05/03/19 22:44:02
>詞意の棺に顔を近づけた瞬間、腐臭が肝意の鼻に襲い掛かる。
>それと同時に、肝意の目から涙が一粒こぼれ落ちた。

ここでマジ泣きしそうになった。GJ!!
378('A`):05/03/19 22:47:02
>>377
オレも今回の話しはマジで泣いた、本当に涙を流した……
ノベシスさんのは漢同士の熱い友情がグッド!!

お二人とも乙です!!期待させていただきます!!
379ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 23:02:09
今。まとめブログをじっくり読んだんだけど、いくつかの外伝の案が浮かんだ。
次の中から読みたい話し選んでね。頑張って書いちゃうので。

1:喪手杉、畏敬面、怒弓の出会いに関するお話し
2:1の三人と奇夜流、古希流とかが出会うお話し
3:武沙の幼年時代〜青年(18歳くらいまで?)の悲惨なお話し

さぁ、選んでくれ!こんなに頭の中でネタがハッキリと形になることなんて、もう2度とないからっ!
380('A`):05/03/19 23:27:37
>>379
無論全部!!・・・ってのはなかなか難しそうだから、
1にイッピョウ
381('A`):05/03/19 23:30:58
おいらも1かな、
願わくば全部おながい
382ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 23:35:39
>>380さん、>>381さん
やはり全部という要望があるのか・・そんな欲張りなお二人にセクシーダンスッ!!!(ハァ?)
じゃあ、1から順番に書きますので、間違いとか矛盾点は脳内でどうにかして読んでくださいね。
んじゃ、行ってみよぉ〜〜♪
383ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/19 23:58:39
時は2世紀末、中国は黄巾の乱により、大きく乱れていた。
そんな時、大陸の隅っこのほうで、一人の絶世の美男子が産声を上げていた。
生まれたときからその顔立ちは人々を魅了し、嫁に立候補する者、養子にしたいと願い出る者、様々だった。
そんなこんなで、その男子は「喪手杉(もてすぎ)」と名付けられた。

そんな喪手杉も今年で18歳を迎えた。その容姿端麗、頭脳明晰、品位清廉を噂されてか、両親はどこに仕官させて
いいものか、わからずにいた。しかし、当の本人は周囲の悩みをよそに、毎日街で女をひっかけ、
そのイケメンに肖ろうとついてくるフツメンの子分達と酒を飲んでは、遊びに呆ける毎日を過ごしていた。

そして、その日も夜中、街中を子分を引き連れ歩いていたときのことだった。

「ふっ・・・この国には、私に勝る美貌の持ち主はいないようだな・・・全く、美しいとは罪なものよのぉ〜」

「へっへっへ・・・喪手杉様よりも秀麗な男なんぞいやしませんよ」

子分の一人がそう答えると、喪手杉は高らかに笑いながら答えた。

「ふはっはっはっは!!!そうだろうなぁ・・・天より授かりしこの美貌、誰にも真似の出来るものではないわぁ!!」

その笑い声に惹かれてか、どこからか女が群がってきた。そして黄色い嬌声が飛び交う。

「きゃー!喪手杉さまぁ〜!!!カッコいいーーー!!!」 「喪手杉様ぁ〜1回でいいから、抱いてぇ〜〜!!!」

一気にあたり一面、女の海と化した。しかも、その女たちは街の富豪、名家の娘ばかりで、完全なハーレム状態だ。
喪手杉はいつものことなので、全く同時なかった。それどころか、子分に裸舞帆(ラブホ)の部屋の予約に行かせた。

「まぁまぁ、みなのもの、そう焦ってはその美貌が台無しだ、順番に一人づつ抱いて差し上げる。
だから今夜はそれで許しておくれ」

そう言って僅かな笑顔で白い歯を覗かせると、数人の女はその場で卒倒した。
その数分後、喪手杉は女達を連れ立って、裸舞帆へと入って行った。
384ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/20 00:29:11
その直後、裸舞帆の中から女が快楽を貪る嬌声が聞こえてきた。
部屋の中では、とても人のものとは思えぬ情景が広がっていた。
何度も昇天させられ虚ろな目で空を仰ぐ者、喪手杉の堂々たる男根を突き入れられ快楽の渦に溺れる者
順番を待ち切れずに自らの指で秘所を慰める者・・・もうここまで来ると、普通の神経の者では目も当てられない。

喪手杉が裸舞帆に入ってから、僅か1時間後、ぞろぞろと多数の女が建物から出てきた。

「ねぇ・・今日の喪手杉様・・激しかったねぇ・・・クセになっちゃいそう」

「ほ〜んと・・私なんか・・5回もイかされちゃったわ♪」

「へへぇ・・私なんか・・中田しされちゃったわぁ〜キャー!!!」

「うっそ〜!?いいなぁーーー!!!!」

女達は一時の快楽を味わい、感無量といった感じで先程までの喪手杉との情事に思いをふけらせる。
女達がいなくなった街はいつもの静けさを取り戻した。
そこへ、子分たちを連れた喪手杉が出てきた。

「ふぅ〜・・・今日は全部で28人か・・まぁ、こんなもんだろうな」

「おぉ〜・・あの短時間で28人もの女子をイかせるとは・・・なんとも恐れ入りまするなぁ・・・」

ハッキリ言って・・人間技じゃない。容姿端麗、頭脳明晰なうえに女を喜ばせる技術に長けている・・・。
そんな人物はこの広い中国大陸全土を探しても、おそらく喪手杉だけだろう。
天はなぜ、喪手杉にだけ4物も5物も与えたのだろうか・・・。

「ふぅ・・・あまりにも女の蜜汁を口にしすぎたためか、異常にノドが乾いたな。おい、茶屋へ行くぞ」

喪手杉はそう言うと、街の中心部にある清素区(キヨスク)という24時間営業の店にやってきた。
いつのまにやら子分の数も減っている、どうやら裸舞帆で気に入った女とくっついた子分たちはそのまま置いてきたようだ。
清素区の前まで来た喪手杉の目に、ある一人の男が飛び込んできた。
その男、入り口の前に堂々と座り、雑誌を読みながら髪の毛を整えている。それ見た喪手杉は子分に聞いた。

「おい、あの男は本は読んでるのか?それとも髪を整えているのか?どっちだと思う?」

「さぁ・・・ヒマだから適当にイジってるだけじゃないすか?・・・って!アイツは!!!!」

「ん?なんだ?お前の知り合いか?」

「い、いいえ!あの男、この街では有名な男ですよ」

「ほぅ・・・どういうふうに有名なのか説明してみろ」

「はい、あの男、学もなにもないくせに、女を騙す技だけは長けてるんです。14〜18くらいの女を騙し放題騙しては
金を取り、その体を貪ってる男ですよ」

「ふむ・・・女性を騙すとは関心せんな・・・よし、ここは一つこの私がきゃつに道徳というものを教えてやるとするか」

そういうと、喪手杉はなんのためらいもなく、その男に近づいて行った。
ここに、後の喪軍を苦しめる男二人が運命の出会いをすることになるとは、まだ誰にもわからぬことだった・・・。
385ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/20 00:56:01
佛興府に衝撃が走った。

武沙が孫策に召集を掛けられたのだ。理由はなんと、強姦罪。
武沙は使者の魯粛が持ってきた手紙を読み終えた途端、大声で魯粛に怒鳴りつけた。
「ふざけんじゃねえぞこの野郎!!ぶっ殺してやるぁあああ!!!」
孫策からの使者に掴み掛かろうとする武沙。それを必死で止める喪軍兵。
魯粛はひっと退きつつ、武沙に語りかける。
「お、落ち着いて下され、武沙殿。私とて本意では・・・」
「やかましい!!どうせ貴様も俺達を馬鹿にしているんだろうが!!」
魯粛は喪男に理解があるとは言え、童貞ではない。武沙は魯粛の事をあまり信用していなかった。
「おい、落ち着け武沙。」
矢羅傍だ。喪手内三兄弟が次兄にして、知勇兼備の名将。 さすがの武沙も、少し落ち着きを取り戻した。
「・・・しかし矢羅傍殿。この、・・・この喪男に対して、よりによって強姦罪などと・・・」
矢羅傍は冷静に、武沙をなだめる様に言う。
「俺も同行する。とりあえず、誤解を解こうではないか。」
386ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/20 00:56:33
所変わってここは呉、孫権の居城。
未だ子供の孫権、強姦などといった話は禁物。周瑜の部屋へと通された。
本当ならこの場で周瑜を殴り殺したい武沙も、矢羅傍のきつい忠告により黙っている。
「おお、わざわざ御足労恐れ入る」
言葉とは裏腹に、露骨に不快感を表す周瑜。それを感じ取るも、感情を抑え冷静に振舞う矢羅傍。
「早速ですが今回の件を詳しく聞かせていただけますか」
「うむ、近頃、呉の領内にて女達が暴行を受けるといった事件が多発しておる」
「・・・俺はやってねえ・・・」
呟く武沙。矢羅傍はちらと武沙を見、また周瑜の方を振り返る。
「それで・・・何故いきなり武沙が疑われるのでしょう。全く話が掴みかねますな。」
「いや、それが被害者の言う人相が酷似していてな。大男で、容貌が奇・・・」
きっ、と目を見開いて周瑜を睨み付け、直に下を向いて我慢する武沙。言いかけてやめる周瑜。さすがに
面と向かって不細工呼ばわりするような不手際はしない。しかし、矢羅傍が周瑜の言葉を自ら引き受けた。
「・・・容貌怪異なるは喪男の宿命。何も武沙に限った話ではありませぬぞ。」
387ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/20 00:57:17
「それは確かにそうだが・・・」
そう言って武沙を一瞥する周瑜。
「聞く所によると、そこな男は過去に山賊として名を轟かせていたとか・・・」
そう微笑をたたえて言い放つ周瑜。その刹那、
「てめえこの野郎!!」
もう我慢の限界だ。飛び掛る武沙。その時、武沙に勝るとも劣らない大男が飛び出した。
この男こそ、前王、小覇王孫策と両者譲らぬ一騎打ちを演じ、その名を轟かせた太史慈である。
「こ・・の・・野郎・・・」
組み合ったまま動かない二人。力で武沙と互角に渡り合う男など、そうそう居るものではない。
「はあ、はあ・・・お主、なかなかやるな。・・・名を訊こう。」
「・・・武沙だ。・・・貴様は・・・」
「・・・太史慈だ。」

その翌日、喪軍本拠地、沸興府。
結局、昨日は周瑜も己の非礼を詫び、武沙が自分の身の潔白を晴らすという約束を取り交わして
帰還する事となった。
「昨日はすまなかった、矢羅傍殿。」
深く頭を下げる武沙。
「いや、良い。しかし困った事になったな。」
要するに、犯人探しを押し付けられたのだ。犯人のあてなど、全くもって無い。
しかし、事態は簡単に、且つ嫌な方向に武沙を導くのである。
388ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :05/03/20 01:01:06
またタイトル忘れてた。「覆面と山賊」です。
ノベシスさんの外伝にインスピレーションを貰いますた。
感謝
389('A`):05/03/20 01:27:54
このスレにも春が来ましたね
390('A`):05/03/20 11:15:52
ノベシスさんは中興の祖だな。
喪喪さんの描く周瑜もいい味出てるし。
391('A`):05/03/20 13:51:07
あげ
392('A`):05/03/20 16:43:48
>>390
確かにノベシスさんが現れたあたりからスレのスピードが上がってきたな。
作家さん達がそれぞれのペース上げてきた、とも解釈できるわけだが。

ところで、まとめブログってのは誰が更新してんだ?
一向に新しい話しが収録されてない件について聞きたいんだが・・・。
393JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/03/20 17:24:50
>392

>ところで、まとめブログってのは誰が更新してんだ?
>一向に新しい話しが収録されてない件について聞きたいんだが・・・。

俺が更新してます。
話の完結を待って更新しているので、
ここで完結してない話は収録はしてません。
とりあえずノベシスさんのとワンダー喪喪さんの外伝的お話が
完結したようなので、収録したいと思います。
しばしお待ちを。
394JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :05/03/20 18:52:36
まとめサイトの方ですが
とりあえずノベシスさんの武沙のお話は番外編に、
ワンダー喪喪さんの「黒い月と八色の虹」は
長編な事もあり新しくカテゴリを作って収録しました。

あとは、今進んでるのは本編のお話と
夏喪さんの合コンのお話と
ノベシスさんの喪手杉のお話ですね。
これも一つのお話が完結次第
まとめサイトには収録します。
今んとこ本編がかなり長くなってるけど、
話がひと段落するのはいつかな?
395ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/21 00:16:22
とりあえず名前を聞こう、そう思った喪手杉は座ってる男に声をかけた。

「あ、そこの者、こんな夜更けにここで何をしておられるか?」

喪手杉がそう声をかけると、男はダルそうに首をひねって喪手杉に返事を返した。

「はぁ〜ん?アンタ誰?いや、ホントマジ誰なのよ?ここの店の人?うっわぁ〜ヤッベ、マジヤッベ」

「???」

喪手杉はその男のあまりの奇怪な喋り方に驚いた。頭脳明晰な喪手杉は言語を聞けば、相手がどこの出身であるかも大体
わかるのだが・・・この男に関しては全くわからなかった。

「な、なんとも奇怪な言葉を話すものよ・・・お主、名はなんと申すのか?」

「・・・・・・」

男は喪手杉を見つめたまま何も喋らなかった。いつもは冷静沈着な喪手杉もだんだん腹が立ってきたようだ。

「お主、私が言ったことが聞こえなかったのか?名はなんと申すのだと聞いている!」

「あ〜あ〜あ、名前?いやー、わかんなかったんよぉ、ゴメン、マジゴメン、マジマジゴメンね」

それを横で聞いていた喪手杉の子分がいきなり刀を抜いて切り掛かった。

「貴様ぁー!喪手杉様に向かってその態度はなんじゃぁ〜!!!」

しかし、次の瞬間、子分は店に備え付けてあったくずかごのほうに吹っ飛んだ。

「あっぶね!マジあっぶねぇ!!マジ死ぬかと思った、ホントマジでー」

それを静観していた喪手杉は小さく呟いた。

「なんという見事な身のこなし・・・刀を振り下ろしてきた相手の手首を一瞬で取って返し、相手の体の勢いを利用
して投げ飛ばすとは・・・何か体術の心得でもあるのだろうか・・・」

と、その時、その男が喪手杉に向かって話し掛けてきた。

「ってかさ、相手に名前聞くときって、まず自分の名前言うのが先じゃね?それって礼儀っしょ?いや、ほんとにマジでさ」

「うむ、そなたの言うことも一理あるな。私の名は喪手杉だ。喪手家の嫡男にして、三国一の美男子だ。覚えておいてくれ」

「ふぅ〜ん、あっそ。俺ね、怒弓(ドキュン)っていうの。ねぇ、カッコイイ名前っしょ?ねぇ、カッコイイっしょ?」

うるさい・・・それが喪手杉の素直な気持ちだった。なぜこの男は同じことを何度も何度も繰り返し言うのだろうか?
学も何もない、といわれているようだが・・そこまで頭が悪いのか?
と、そんなことを疑問に思っていた喪手杉だったが、当初の目的を思い出した。
そして、怒弓の横に腰を下ろすとなるべく分かり易く話し始めた。
396ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :05/03/21 00:19:19
あー、今日は時間がなくて一話しか書けないや・・・。
なので、続きはまた明日にw

>>JUSTさん
俺が書いた武沙の外伝、まとめブログに載せて頂いて、どうもありがとうございました。
397汗喪:05/03/21 02:52:15
皆様今晩は

>>339の続き

「また喪が捕まったんだってねえ」「何でその場でやっちまわないんだい?」「それが女なんだってよ」
「喪に女もクソもあるかよ」「あ、あれじゃねえか」

馬亜飯店の前を通る大通りを、首枷をつけられた醜女が引き回されていた。引き回しているのは愛馬に乗った畏敬面、
そして茶髪、長髪である。
「内向郡の善良なる、そして勤勉で慈しみ深く、何よりも美を愛する我が領民達よ!」
大通りの真ん中を行く畏敬面が叫ぶ。
「この内向郡は先の戦争において醜く、そして邪悪なる堕眼の魔の手より開放された。しかしその一方で
怠惰かつ身も心も醜悪なる、かの堕眼の残党が湿地に湧くゴキブリの如く、未だ蔓延るのもまた事実である。」
領民を見据え演説する異敬面のボルテージは上がりに上がる。
「だが我々は、ここに捕らえし喪「醜女」には慈悲を持って接した。その勤勉さ故である。
しかし、この醜女はその恩を仇にして返した。大罪人、卑奇子そして児意図の逃亡を手引きしたのである。」
この恩知らず、領民の中から誰かが罵った。それは瞬く間に集まった『善良なる』領民に広がっていった。
「この罪人め」「人でなし」「この喪め」・・・ありとあらゆる罵声が醜女に投げつけられた。
無論、醜女が慈悲など受けていた訳はなかったのだったが、彼等から言わせれば生かして置いただけでもありがたく思え、
という事なのだろう。畏敬面が続ける。

「その罪、まことに許しがたし。よって明日、この大通りにて醜女の処刑を行う。
 ただし卑奇子及び児意図の両名が自ら名乗り出てきた場合は、この醜女の処刑を中止し、その安全を保障する」
398汗喪:05/03/21 02:57:52
>>397の続き

「醜女が捕まった・・・どうするよ」顔を見合わせた卑奇子と児意図は震え上がっていた。
醜女がすぐに逃がしてくれたお陰で何とか無事の二人ではあるが、一歩遅ければ今頃この二人も
お縄に掛かっていた所である。
「どうする・・・なあ助けに行く?」
児意図が問いかける
「そんな・・・いくらなんでも無理だよ。助けるだなんて・・・あいつは運がなかっただけだよ」
卑奇子が俯く。

長年、身内に食わせて貰ってきた上に、その身内に感謝するどころか自分をのけ者にする世間に対して
恨み言さえのたまう引きこもりとニートである。助けてもらった恩や自分の犠牲になった者への詫びの心、ましてや
助けに行く勇気など、所詮は持ち合わせていなかった。
二人にあるのは、醜く肥大した自己愛のみである。二人は大急ぎで
宿の隣の馬舎で安く譲ってもらった駄馬「氏裸寝絵与(シラネーヨ)」を駆って喪国へと逃げ出すのであった。


「ただいまより、罪人『醜女』の処刑を始める。醜女を磔台へ。」
意敬面、茶髪長髪そして領民の見守る中、醜女の処刑が始まった。
(ち、やはり奴ら現れぬか・・・)
大した期待はしていないまでも、もしや・・・との期待があった畏敬面は舌を打った。
(まあいい。こうなればこの醜女を見せしめに使ってやるまでだ。)

磔にされながら醜女は思った。卑奇子、児意図、そして喪国の事を。

(いくら喪国でも、矛も持てぬ、弓も引けぬ女の私など受け入れてくれる訳はないのだ・・・なら、せめてあの二人だけでも)

確かにその通りであった。喪でも男であれば喪国は受け入れてくれよう、その辛苦を分かち合えよう。しかし
醜女は喪の女である。目や胸がやたら大きい二次元の女にハァハァしている喪男に醜女を受け入れる度量など
求めてはいけない。繰り返す様だが、喪男の女性観は狭く歪なのだ。
ならば醜女の生きる場所は生まれ育った此処にしかありえなかった。
いかに理不尽であれ、虐げられてもこの時代の喪女に逃げ場所などある訳は無いのだ・・・。

「死刑、執行せよ!!」
最後の掛け声とともに二本の槍が醜女の胸を貫いた。

(ああ・・・次に生まれてくる時は・・・いや・・・もう二度と・・・生まれて来ませんように・・・)

醜女の哀しい最後だった。
399汗喪:05/03/21 03:00:18
>>398の続き

駄馬「氏裸寝絵与(シラネーヨ)」の背にしがみつき、内向郡から逃げ出した二人の心はえも知れぬ気持ちに襲われていた。
(醜女はもう処刑されただろうか・・・ウワァァンつД`)・゚・。・゚゚・*:.  )
醜女の死を悲しんだのでは無い、ただただ恐ろしかったのだ。
いままで何に対しても戦う事無く逃げ出してきた二人には、醜女の気持ちは重すぎたのだ。

喪国は目の前に迫っていた。
400汗喪:05/03/21 03:02:10
喪国に入国した二人は、そのどんよりとした独特の雰囲気に心なしか癒された。

(自分達のような人間にはこんな所がお似合いだ・・・)

自虐的な嘲笑で自分を慰めようとしていたのかもしれない。だが、彼らはこののちすぐに、喪国においてさえも
自分達が最低の存在である事に気づかされるのであった。

内向郡にて「喪狩り」が行われている事はすでに喪国内でも知れ渡っており
その内向郡から「喪狩り」を逃れてきた卑奇子と児意図の二人は喪男の注目の的であった。

「よくぞ無事で!」
「筆舌にしがたきご苦労であったろうに」
「我々はそなた達を歓迎し申すぞ」

すえた匂いを発しながら喪男達は二人を歓迎した。
しかし、内向郡での動向に強い怒り、そして闘志を露にする喪男達を間近に、卑奇子と児意図は段々と心苦しくなってきた。

「おのれ喪手杉!」(いや・・・)
「我ら喪をここまで卑しめるとは許さん!」(違うんだ・・・)
「さあ卑奇子殿、児意図殿、共に戦いましょうぞ!」(違うんだよ・・・俺達は・・・)

(醜女を見殺しにして逃げてきただけなんだ・・・)


たとえ喪であれど、喪手杉の様な強大な敵に対して堂々と(喪国内だけであったにしろ)怒りを露にしている喪男は
ダメ人間の上、卑怯な性根の二人には眩しかった。
401汗喪:05/03/21 03:04:17
>>400の続き

「俺・・・もうダメだよ・・・」卑奇子が呻く。
「う・・・うぅ・・・」そして児意図も。
自分達を歓迎してくれる喪男達の輪を抜け、二人は当ても無く彷徨い、そして泣き崩れた。
追っ手の来る心配の無い喪国に入って、やっと自分達のした事の恐ろしさを肌で感じてきたのだ。

「お、俺達は・・・見殺しにしたんだぁ・・・」
「ただただ・・・恐ろしかったんだぁ・・・」

二人は肩を抱き合った。一人じゃ崩れ落ちそうだった。どうしょうも無い悲しみが、無力感が、そして
醜女を見捨てた自己嫌悪で・・・。

その様子を「馴れ合い橋」の上から眺めていた男がいた。
そしてその男は二人にゆっくりと近づいた。
402汗喪:05/03/21 03:07:41
>>401の続き

「何があったのだね」男が問いかけた。
「俺は、俺達は・・・ただの卑怯な引きこもりだぁ」「うぐっうぅぅぅぅ・・・俺・・・なにもできなかったぁ。
 あいつを見捨てたんだぁ・・・」

声にならない声で訴える二人を、男は優しくなだめた。

「いや、お主は引きこもりなどではない。今は表に出てきているじゃないか。それは偉大な第一歩なのだよ。
 お主も何もできないことは無い、現に今、動き出そうとしているではないか。」
「でも俺達は・・・卑怯者・・・」
「いいや、そんなに自分を責めるものではない。誰しも卑怯な事をしてしまう事はあるのだ。
 肝心なのはその後、どうやってそれを取り返すかなのだよ。」

洗いざらい全ての話をした二人は、その男に諭され、そしてその男の言葉に惹かれていった。

何とかしなきゃ、やる気を出さなきゃ・・・いつも思っていた事だ。だけどダメだった、あの頃は。その結果、醜女を
見殺しにしたのだ・・・。でももう繰り返しちゃいけない、もう振り返らない。

「もう悲しんではいけない、自分を責めてはいけない。そして前を見て生きていかなければいけないのだ」
そして男はこう続けた
「彼女の復讐など考えてはいけない。彼女を殺したのはこの世界に蔓延る『喪』という価値観なのだ。
 あなた達はそれを直していく努力をしなければいけない。彼女のためにも」

卑奇子、児意図は心を鷲掴みにされた気持ちだった。これまで感じたことの無い高揚感、そして使命感・・・。

「貴方はいったい・・・」
「わしか?わしは保自厨と申す。この喪国の世直しをしている者じゃ。どうじゃな、お主達もわしと共にこの国を
 創り変えて行かんか?」


後に根雅との戦いによって喪国を滅ぼすことになる保自厨。その両腕となり喪国滅亡の一役を買った卑奇子と児意図。
その運命的な出会いであった。



卑奇子・・・元引き篭もり。醜女の死、保自厨との出会いで生まれ変わった気になっている。
      口癖は「俺もかつてはそうだったんだ」目覚めた気になっていて説教くさい。童貞。

児意図・・・未だ無職だが、保自厨との出会いにより、何かやってる気になっている。
      口癖は「何かはじめなきゃ」ただ仕事をする気は全く無いようだ。童貞。
403汗喪:05/03/21 03:11:42
以上です。まあ喪にも喪女もいるという事で。
後は、お粗末様の「保自厨VS根雅」で終わりという所を意識しました。
404('A`):2005/03/21(月) 12:01:43
ううむ、鮮やかな手際がお見事!
脳裏に映像がうかんだよ…
405('A`):2005/03/21(月) 14:13:19
乙!そしてあげ!!
406ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/21(月) 15:11:42
>>394
いつも乙です。新しいカテゴリまで作って貰っちゃって
悪い事したなあ。
407('A`):2005/03/21(月) 18:54:21
なんでか解らんけど、また官能小説になりそう・・・
408JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/21(月) 22:16:22
>406

いえいえどーも。
面白い話だったので感激してます。
ただの番外の一つとして扱うのはもったいなかったから・・・。
俺としてはコピペするだけなので特に労力ってほどでもないです。
これを生み出す人がいるんだから世の中は広いと思う次第であります。
またどうぞ良い作品を仕上げてください。応援してます。
409汗喪:2005/03/21(月) 23:18:42
>>402の後日談

「どうせ俺達なんて・・・喪だよ・・・」「新しい『沙久羅譚』ゲットォ!」「へへへ・・・十二妹」

喪国のいたる所でお目にかかる風景である。その喪達の中を背筋を伸ばし訴えかける男達がいた。

「諦めるな、やればできるんだ。」
「二次元の女なんてしょせん幻だ。」
「俺も・・・俺もそうだった。でもそれじゃダメなんだ!!」

ウンザリするくらいのポジティブ・・・そう、保自厨達である。

「やかましい!」「ウゼーんなんだよ」「(・∀・)カエレ!」

一斉に反発する喪男達。しかし保自厨達はやめなかった。

「努力しろ、そうすれば絶対に報われる」
「何かを始めるんだよ」
「俺もかつてはそうだった」

喪男達の罵声の中、保自厨達は必死で訴えかけた。
鳴り止まない罵声・・・しかしその中に混じって罵声をやめ、保自厨達を見つめる者達が出てきだした。

「まさか・・・本当か・・・喪でも報われるのか・・・?」

その喪の手から『沙久羅譚』が転がり落ちた。


「ああ、できるとも。諦めなければ、な。」



その喪はもう『沙久羅譚』を拾うことは無かった。その代わりにその心には、小さく、けれども確実に
「前向きな心」が芽生え始めた・・・。



鬱葱とする喪国を保自厨達は今日も行く。


>>408

JUST様、こんばんは。もしよかったら私の>>313(この時の名は亜喪)からのも
載せてください。題名は「喪の女、そして明日」でお願いします。
410汗喪:2005/03/21(月) 23:21:44
>>409の補足

>鬱葱とする喪国を保自厨達は今日も行く。

これを

>鬱葱とする喪国を保自厨達は今日も行く。喪国が滅びるその日まで・・・。

でお願いします。
411ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/21(月) 23:23:19
俺が冗談で生み出した保自厨や卑奇子、児意図達がこんなにも
立派に育つとは・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
俺もポジ厨になりそうだ
412ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:50:39
うはwwwwまた長くなってるwwwwww

>>387の続き↓
413ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:51:09
夜。部屋で今後の事を考えて途方に暮れていた武沙の元に、矢文が放たれた。
「ん?手紙とは珍しいな、だれだろう」
武沙は扉に刺さった矢を引き抜き、扉の穴は誰が直すんだろう、と考えながら手紙を開いた。


 快楽を独占する者に死を。
 快楽を略奪する者に死を。
 与えられぬなら、奪え。
 誇りを失う前に、奪え。

         奇面組


「なんだこりゃ。奇面組?・・・矢羅傍殿に見せてみるか・・・」
武沙は手紙を懐にしまい、矢羅傍の部屋へ向かった。
414ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:51:40
一方、ここはとある山中、馬を駆ける一人の喪男。
その喪男を狙う覆面の集団。その覆面には、皆同じく「奇」の文字が書いてある。

「来たな。用意は良いか?」
「でも、大丈夫かな・・・なんたって相手はあの・・・」
「今更何言ってんだよ、そんなんだからお前は・・・やべ、行くぞ!!」

突如現れた集団に驚き、慌てて馬を止める喪男。
「・・・貴様ら、何者だ。」
「・・・おとなしく着いて来てもらおう。」
「生憎、忙しい身でな。・・・沸興府へ行くにはこの道で良いのかな?」
突如短刀を投げる喪男。短刀が覆面の足に突き刺さり、「ぐっ」と呻き声を上げて
倒れるのと同時に喪男は走り出した。
415ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:52:15
その刹那、喪男が走り出した地面が陥没する。
「ぐわっ、こ、これは・・・粘土・・・?」
完全に身動きの取れなくなった喪男。その喪男に覆面の一人が近づいて言う。

「大人しく付いて来て下さい。よし、縄を掛けろ!」
縄で自由を奪われ、車に乗せられた喪男に一人の覆面が言った。

「我らは奇面組。歓迎しますよ、肝意殿」
416ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:52:46
その頃、矢羅傍の部屋で二人の喪男は困惑していた。
「武沙、何か心当たりは無いのか?」
「いや、それが全く・・・奇面組・・・?」

結局、何の手掛りも得られぬまま、部屋へと戻った武沙。武沙は、部屋の扉を
閉めるなりこう言った。
「しかし・・・てめーら・・・俺に休むひまも与えてくれないというわけか・・・
でて来い!」
箪笥からゆっくりと現れた覆面の男。その覆面には、やはり「奇」の文字が書いてある。
「なぜ俺が箪笥の中にいることがわかった?」
「てめー 頭脳がまぬけか?箪笥の中の虹エロ本を全部出して・・・」
懐に手を入れながら武沙が言う。
「かたずけてねーぜ!」
武沙が短刀を投げ付けるのと、覆面が窓を突き破って飛び出すのが同時だった。
417ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:53:18
走って裏の山道まで来た武沙。
「まちやがれ!!この俺が誰だかわかってンぐわ!!」
突如、武沙の足元が陥没する。もがけばもがくほど醜く、また身動きが取れなくなる武沙。
「くっ、これは粘土じゃねーか・・・」

そのころ、矢羅傍は何やら不審な物音がした武沙の部屋に居た。
「これは・・・武沙!?」
矢羅傍は自分の刀と武沙の槍をもって、喪屋敷を飛び出した。
418ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:53:49
覆面集団のアジト。その近所の広場に、身体を縛られた武沙が連れて来られた。
「か、肝意!?」
およそ十年ぶりの再会である。肝意と武沙は自分の置かれている状況をしばし忘れて、再開を
喜びあった。そこへ、一人の覆面が現れた。

図体がかなり大きく、他の覆面とは一味違う事を二人は即座に感じ取る。
「初めまして、肝意殿。御武名は聞き及んでおります。手荒な真似をして、申し訳ございませぬ。」
深々と頭を下げる覆面。そして、武沙の方へ歩いていく覆面。武沙の前に辿り着くや否や
突然ひざま付き、土下座をしてこう言った。
「御久し振りです、頭領。」
419ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:54:19
「・・・どうゆうことだ?」
肝意が武沙に訊ねる。ぶるぶると首を振る武沙。
「し、しらねえよ、俺はもう山賊稼業はやめたんだ。大分前の話だぜ」
覆面の男は、自らの覆面を剥ぎ取りながら武沙に語りかけた。
「頭領・・・この顔をお忘れではあるまい。」
顔面全体に広がる皮膚のただれ、その内半分程に火傷跡の様なものが広がっている。
正視するに耐え難い顔の男。

「お・・・お前は・・・愚呂(ぐろ)・・・。」
「憶えておいででしたか。良かった。おい、縄を解いて差し上げろ」
420ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:54:49
自由を取り戻した二人。二人は、座ったままじっとしている。
「・・・なんでこんな事やってんだ。もう山賊は解散したはずだ。」
武沙が言う。目を真っ直ぐに向けて、愚呂が言う。

「不可能なんですよ、頭領。」
「あ?」
「この世に、極楽浄土など有りはしない。その事に、気付いたんです。」
「・・・。」

無言の時が流れる。武沙が言う。
「・・・解ってる、そんな事。だから、俺達で作ろうってんだ」
「無駄です。」
「なんだと?」
「無駄なんですよ、全て。人類には、発情期ってモノが無い。常に、煮え滾ってる。
その都度自涜で紛らわしますか?結局は、本物が欲しくなる。それが、人間です。」
421ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:55:20
火傷の跡が邪魔で上手く喋るのが困難なのか、やや滑舌が悪い。
「二次元に逃げ、その事を馬鹿にされ、また二次元に逃げる。また馬鹿にされる。その繰り返しですよ。」
「喪国には馬鹿にする者など居ない」
肝意が言う。愚呂が返す。
「貴方は、それで良いのですか?喪男が馬鹿にしなくとも、世界中から馬鹿にされる。
喪国は病の国、現実逃避の国と。・・・戦う度胸の無い国と決め付けられ、常に侵略の危機に晒される。」

また流れる無言の時間。またも、武沙が切り出す。
「なら、おめえは何がしてえんだ?おめえだって、男ばっかの集団やってるじゃねえか。」
422ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:55:50
ニヤリと笑う愚呂。それを訝しげに見る武沙。
「我々は、違うんですよ。惨めに二次元に逃げたりはしない。」
「・・・ならどうすんだ」
「簡単な事です・・・おい、和田(わでん)!」
覆面集団から進み出た和田と数人の男。男達は、酒に酔い潰れたと思われる意識の無い
女を二人抱えている。愚呂が立ち上がり、和田達が地面に敷いた布の辺りに行く。





      和田(わでん)・・・奇面組下部組織、「超自由」の代表。
           「熱い!ヤバイ!間違いない!!」とか言う。





423ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:56:20
服を脱がされ、地面の布の上に横たわる女達。なにやら呻いているが、酒のせいかされるがままだ。
「まさか・・・」
肝意は言う。武沙は怒髪天を突くとばかりにそそり立ったモノを隠そうともせずに
裸の女達に見入っている。

「そう、奪えばいいんですよ。与えられぬ物は、奪えば良い。誇りを失う前にね。」
なにやら滑り気のある液体を塗りつけ、前戯もせずに挿入する和田。前後不覚の女を起こし、
口にモノを含ませたまま女の頭を動かす愚呂。

「頭領、いや、武沙。そして肝意。俺と手を組め。喪男だけの国家など無駄だ。我ら三人が組めば
この世に敵は無い。」
相変わらず女にしゃぶらせながら淡々と語る愚呂。無言で時が流れる。

「我ら三人で、三人奇面ぐ・・・んぁあぅ」
良い所で射精する愚呂。地面に横たわった女の口から白い液体が垂れる。

「・・・「三人奇面組」を作るのだ!!この世界の全てを奪うのだ!!」
紙で股間を拭きながら叫ぶ愚呂の姿はかなり間抜けだ。
424ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:56:58
「・・・何故肝意まで巻き込むんだ」
武沙の言葉に肝意は反応し、目だけで武沙を追う。
「俺は所詮元山賊だ、しかし肝意は何も関係ねえ。」
和田、愚呂が終わったら次は部下の番だ。女に群がる覆面達。

「・・・この乱世に、真の喪男は三人しか居ない。」
訝しげな表情で愚呂を見る二人。
「喪手内?へっ、いつ変わるかわかりゃしない。矢羅傍?たかが20年で何をぬかす。喪手対?
こいつが一番危険だ、いつ裏切り者になることか・・・」
次から次へと喪国人を批判していく愚呂。

「俺達は違う。生まれ持った醜さ、そして強さを持っている。略奪する権利があるっ!!
真の喪男は、肝意、武沙、そしてこの愚呂だけだ!!」
425ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:57:31
大声で天に向かって叫ぶ愚呂。口元の皮膚が引きつって切れる。覆面達も続いて叫び声を上げる。
和田が覆面達を煽動する。

「熱い!ヤバイ!間違いない!!」

「熱い!ヤバイ!間違いない!!」

「熱い!ヤバイ!間違いない!!」

興奮に包まれる広場。その興奮が最高潮に達しようという時、突然大きな声で武沙が叫んだ。

「うるせえーーーー!!!!!!!!」
426ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:58:14
静まり返る覆面達。続いて武沙が言う。
「貴様ら、要するに童貞じゃねえんだろうがっ!!!非童貞がこの喪国でデケエつらすんじゃねえ!!!」
肩で息をしながら、辺りを睨みつける武沙。硬直する覆面。肝意が言う。
「・・・いじめの原因はいじめられる方にもある。」
何を言っているのか解らない、とゆう様子で、肝意を見る愚呂と武沙。
「だが、だからといっていじめが許されるわけなど無い。強姦もそうだ。」

「つまり・・・我々に女を犯すなと・・・?」
頷く肝意。
「軽々しく得体の知れない男と宴を開く女も、危機感が無さすぎるといえよう。しかし、犯して良い理由など
どこにも無いのだ。まして、虐げられて来た我々が同じ痛みを与えようなど・・・」
427ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:58:43
「これは復讐だ。下らぬ楽しみの所為で我らを苦しめた愚か者供に思い知らせてやる。」
真剣な表情で語る愚呂。そかし、その顔は怒りの所為か小刻みに震えている。

「・・・愚呂よお・・・なんでそんなに狂っちまったんだよ・・・女なんかほっといて喪男だけで
楽しくやりゃあ良いじゃねえかよお・・・」

「うるさい!!復讐のどこが悪いっ!!強者が奪う事のどこが悪いっ!!俺を虐げた奴らは殺してやる!!
女など汚い道具に過ぎん!!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!」


完全に冷静さを失い、目を開いて叫びだす愚呂。
「このままで良いって言うんだなっ!!誇りを踏み躙られて、黙って指を咥えてるって言うんだな!!!」

肝意が言う。
「誇りを失いはしない。喪男は・・・童貞に誇りを持っている」
武沙が言う。
「いくら悔しいからってよ・・・犯罪は許せねえ。・・・喪男だから・・・」

「元山賊が何をぬかすっ!!!」
愚呂が手を上げると同時に、百人程の覆面が一斉に飛び掛った。
428ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:59:16
覆面の腕に短刀を投げ付け、刀を奪う肝意。腕を捻って投げ飛ばす武沙。
しかし、いかんせん人数が多い。二十人程倒して、周りを囲まれてしまった。
馬も無い、得意の槍も無い、幾ら豪傑と言われる二人も、実力を完全には発揮できないのだ。
背中合わせに立って、二人は飛び掛ってくる覆面を倒していく。

「かなりまずい状況だな・・・武沙、大丈夫か」
「お前と互角に渡り合ったんだ、お前ならわかるだろ?・・・余裕だよ!!」
満身創痍の武沙が覆面の中へ飛び込んで行く。また乱戦になる。

(もう駄目ぽかな・・・詞意殿、今度こそこの思いを伝えて・・・)

半ば諦めかけた肝意。その時。
覆面の海のはるか彼方、月を背後に次々と覆面をなぎ倒してこちらに近づいてくる影。
429ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 02:59:47
「矢羅傍殿!?」
素っ頓狂な声を上げる二人。武沙の槍と、刀を下げた矢羅傍がそこに居た。
「どうやってここが判ったんです!?」
槍と刀を渡して矢羅傍が言う。
「そりゃあ、あんだけ大声で叫んでれば誰だって不審に思うだろう。」

三人と武器が揃った事で、あっとゆう間に覆面を一掃してしまった矢羅旗、肝意、武沙。
「強い・・・やはり、貴方がたは真の喪男だ。俺が・・・頭領と戦うとは・・・」

言い終わる前に切りつける矢羅傍。それを、左手に持った刀のみで受け止める愚呂。
「な・・・左手だけで・・・ならばっ!!」
飛び掛る肝意。もう一本の刀を取り出し、いとも簡単に右手のみで肝意を受け止める。
団子虫将軍、矢羅傍。後の五鬼将軍筆頭、肝意。この二人を相手にしながら、互角以上に渡り合う
愚呂。二人は、信じられない、といった顔で必死に戦っている。

「武沙!!何をしているっ!!」

こいつは、俺だ・・・。

「武沙!!・・・早くしてくれ・・・!!」

こいつらは、昔の俺だ・・・。

「武沙っ・・・武沙!!」
430ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 03:00:18
武沙が飛び掛った。
「俺は元頭領だ!!お前らの親みてえなもんだ!!」

愚呂が叫ぶ。
「そうだ!!あんたは俺の親父だ!!子供には、親父の背中を超える権利がある!!」
「親父には、子供を守る義務が有る!!間違った道から戻してやる義務が有るんだ!!!!」


遂に三対一となった。団子虫将軍、五鬼将軍二人、そして無名の山賊。信じ難い光景だった。

「ぬるま湯に浸かったエセ喪男が!!この愚呂に敵うと思ったか!!孤独と戦い続けた俺に勝てるか!!」
そう言いつつ回し蹴りを食らわす愚呂。みぞおちに直撃を食らう矢羅傍。2メートル程飛ばされ、うずくまる。
「汚いやり方で童貞を捨てやがって!!女を傷付ける男など喪ではない!!」
力任せに切りつける肝意。
「お前は俺が切る!!頭領の役目を果たす!!」
距離が近すぎるため、槍の柄で叩きつける武沙。両手の剣を交差させ、二人を受け止める愚呂。
431ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 03:00:48
戦いが始まってから、かなりの時間か過ぎていた。汗を滝の様に流し、剣を押し付ける肝意。
膝を立てて参戦しようとするが、まだ動けない矢羅傍。肝意と同じく汗を流し、両手で槍を押さえつける武沙。
その目から、涙が流れ出した。

「・・・ごめんなあ、俺がお前を山賊に巻き込んだばかりになあ・・・辛かっただろうなあ・・・
苦しかっただろうなあ・・・嫌がる女犯して、なんになるってんだよ・・・」

「・・・あんたには感謝してる、楽しかったよ・・・だがなっ!」

涙で力が一瞬緩んだ武沙。その隙に、愚呂が武沙を蹴り飛ばした。
「もう手遅れなんだ!!女を犯す快楽に変わる物は無いんだ!!」
432ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 03:01:18



肝意も蹴り飛ばし、後ろへ少し退く愚呂。

その時、矢羅傍が愚呂の後ろから足を絡めた。

背中を仰け反らし、倒れそうになる愚呂。

短刀を投げる肝意。と同時に槍を投げる武沙。

短刀を弾き飛ばす愚呂。その鼻先に武沙の槍が襲い掛かる。

顔を横にずらしてかわそうとする愚呂。

武沙の槍が、愚呂の右頬を切り裂いて飛んでいった。


433ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 03:02:34
悲鳴を上げて転がって行く愚呂。矢羅傍、肝意、武沙は最早愚呂を目で追うしか出来なかった。
愚呂が右頬を押さえながら立ち上がる。

「・・・俺は止めない。また仲間を集めて犯ってやる・・・こんな顔誰が受け入れるっていうんだ・・・」
顔だけ上げて矢羅傍が言う。
「この世は悪だけではない・・・喪手内様が、我ら喪男が理想郷を作り上げる・・・」

「・・・やりたくねえのかよ・・・」
愚呂が訊ねる。
「性欲だけ満たしても、無駄だ。・・・愛が無ければな。愛が得られぬ運命なら、せめて静かに暮らしたい。」
肝意が答える。愚呂が言う。
「愛ね・・・そんなもの・・・」
武沙は、何も言わなかった。



愚呂は逃げた。
独秦の案により、周瑜に突き出された和田は「タワーがそびえているよ」と言い残し、
首を切られた。一応、武沙の容疑は晴れたのである。

434ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 03:03:38
数ヵ月後。

愚呂は、とある酒場で酒を飲んでいた。
店の客は、皆一様に目を逸らし、一人、また一人と酒場を出て行く。


たった一人の愚呂。そこへ現れた顔以外は小奇麗ないでたちの男。
「もし、ちょいとご同席させて頂いても宜しゅうございますか?」
「・・・ああ。」
男は、直感的に(この男、使えるやも知れん)と思った。




 ああ、申し遅れました、私は 保自厨と申します・・・



「覆面と山賊」おわり
435ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 03:07:25
   愚呂(ぐろ)・・・武沙、山賊時代の生き残り。強姦魔。
              武沙が喪国に加入した際に行方不明になっていた。
              「奇面組」を作り上げ、配下の和田(わでん)による強姦組織
              「超自由」の宴で童貞を捨てる。今後、喪国にどのような影響を
              もたらすかは不明である。 



やっと終わった・・・キャラが勝手に喋るってゆうか、暴走しちゃって話の辻褄が合わないかも知れんけど、
書いてて楽しかったんで良しとしてください。
武沙って結構親しみやすいキャラだ。
436JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/22(火) 07:18:36
>汗喪さん

どうも、乙でした。
もちろん収録しますよ。
これは堕眼逃走からの派生ストーリーで
本編にも絡んできそうなので
本編の方にカテゴリ作って収録します。

>ワンダー喪喪さん
またポジ厨の暗躍が・・・
こちらは番外編の方に収録しますね。
437JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/22(火) 08:13:38
「喪の女、そして明日」
「覆面と山賊」

まとめサイトに収録しました。

>435
俺も武沙大好き。
イメージとしては曹操軍のテンイあたりを喪にした感じ。
俺の勝手なイメージだけど・・・・。
438('A`):2005/03/22(火) 17:52:40
俺の中では武沙はチョウヒだな。
肝意は関羽。
439('A`):2005/03/22(火) 19:30:23
喪喪さん大好き GJ!!
440('A`):2005/03/22(火) 20:05:42
なんだか喪喪さんが書いた「覆面と山賊」って・・
所々ノベラさんの「武沙の外伝」パクったように見えるのがちょっと・・・_| ̄|○ だ。
喪喪さんらしい前作のほうが良かったw
441ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/03/22(火) 20:31:00
>>395からの続き


「さて、ところでお主は街の女子を騙して金を取ったり体を貪っておるそうだが・・・なぜそのようなことをしておる?」

「あ〜、それは違うのね、いやマジで。騙してるんじゃないんだってば、ホントマジだよ、マジマジ」

「しかし・・・そのような噂で街中で有名だそうだが?」

「あー、それはアレっしょ?ほら、なんっつかー・・・妬み?モテない奴の・・・嫉妬?みたいなもんじゃん?マジでマジで」

喪手杉も、確かにそう言われればそんなような気がしないでもなかった。
しかし、そういう噂が立つというのは決して望ましくないので、軽く注意を促した。

「まぁ、とりあえず、騙してるんじゃないことはわかった。だが、あまりこういう噂が立つのはお主にとっても良くない
ことであろう。これから後は、女子との付き合い方にも少しばかり注意を払うように願いたいが・・いかがなものか?」

「・・・・あー、まぁ、気を付けてみるよ・・・」

「うむ、そなたのためを思えばこそ、声をかけた甲斐があったというもの。では、いずれまた会う機会があったらその時はよろしく頼む」

そう言うと、喪手杉は立ち上がり、くずかごのほうに吹っ飛んだ手下を起こしに行こうとした。
そんな喪手杉に怒弓が何か思いついたように声をかけてきた。

「なぁ、ちょっと待ってくんない!?」

「ん?何か?」

振り返った喪手杉の目に映ったのは、先程までだらしなく見えていた怒弓の姿はどこにもなかった。
変わりに何かを真剣に訴える眼差しの怒弓がそこに立っていた。

「ふっ、何か面白い話しが聞けそうだ・・・どれ、もう少しそなたの話しを聞くことにしよう」

喪手杉はすぐに怒弓の雰囲気を読み取り、話しを促した。
442('A`):2005/03/22(火) 20:54:37
443('A`):2005/03/22(火) 21:36:12
覆面と山賊、漏れはおもしろかったと思うよ
444ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/03/22(火) 21:44:21
喪手杉がお茶を買って戻ってくると、また二人は店の灰皿の前に座って話し始めた。

「っていうかね、俺は女騙してるわけじゃないの、これマジなんだ、マジでさ」

「いや、それはもうわかったのだが・・・」

「っていうかね・・ほら、俺ってあんまし頭もイクナイわけなんよ、結構マジでさ。んでね、やっぱ生活するにはお金が必要っしょ?
んでもね、俺頭わりぃから、どっこも働き口ないわけんよ、いやホントにマジで。
んなもんだから、知り合いの女によく飯とか食わせてもらってるだけなんだよ、マジでさぁ・・・」

「ふむ・・・・それはそれは困ったことだのぅ・・・」

喪手杉は生まれた家柄も良く、何不自由ない生活を送ってきたため、怒弓の話しがにわかに信じられなかった。
しかし、遊んでばかりいた生活では絶対知ることの出来なかった世界を教えてくれた怒弓をなんとかしてやりたい、喪手杉は
少し悩んだ末に答えた。

「では、こうしようじゃないか」

「???」

「実はな、私は今、あるお方の軍に属しているんだ。だが、戦なんて無粋なものは私には似合わん。
だから、毎日酒を飲んで、群がってくる女を抱いて、遊んで暮らしているわなんだが・・・」

「いいなぁ・・・マジで羨ましいよぉ・・・チョ→すっげぇよぉ・・・・」

「そこで、だ・・・お主、私と一緒に来ないか?一緒に戦場などに出て、戦功を上げるのだ」

この頃、喪手杉は南陽の太守・袁術の軍に従軍していた。従軍といっても、軍議にも出ず、戦があるというと、体調不良だ
とか言って部屋に篭る、そんなことばかり繰り返していた。それでも、民や領民からの受けは良く、袁術も喪手杉のその美貌
は何かに活かせる時が来ると信じて、大目に見ていた。
しかし、そんな喪手杉の申し出にも、怒弓は明るい顔を見せない。

「う〜ん・・けどさぁ・・・俺頭悪いからさぁ・・・兵法っていうの?そういうのよくわかんねぇし・・・」

「いや、怒弓よ、戦とは何も兵法だけが全てではないぞ。兵法など知らなくても戦に勝つことは出来る」

ここがイケメンの馬鹿なところである。いくら強くても兵法を知らないで戦ができるわけがない。
後漢時代、最強の猛将といわれた呂布でさえ、董卓から離反した後は軍師の陳宮から兵法の書を借りて読んだと言われる
くらいだ、それほどまでに大事なことを「知らなくてもいい」などと・・・安易に物を考え過ぎだ。

「えぇ〜?マジで!?戦って兵法知らなくても勝てんの!?うっわぁ〜・・俺勘違いだぁ・・超かっこわりぃー!!」

「兵法なんて知ってる奴に任せればいいんだ、私達は私達なりの働きというものがあろう。それをまっとうすればいいだけのこと」

「あ・・けどさ・・・俺がどんな働き出来るのかな?俺、戦いなんてしたことないけどぉ・・・」

「それはこれから私と一緒に武の鍛錬に励めばいいことだ、先程のあの身のこなし、鍛えれば必ずや物になる」

喪手杉の得意の口車に乗せられた怒弓の頭の中は、すでに自分が戦で大活躍することで一杯だった。
そして、喪手杉は決めの一手とばかりに、怒弓の耳元で囁いた。
445ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/03/22(火) 22:17:35
「それにな・・・戦で戦功を上げれば・・女もついてくる。毎日極上の女を抱いて生活が出来るというものよ」

その言葉を聞いた瞬間、怒弓の目つきが一変した。

「ネェ!マジで!?ホントに毎日女抱いて生活できんの!?マジで?ねぇねぇマジでマジで!?!?!?」

そう言うと怒弓は喪手杉の胸倉に掴みかかり、早口で捲くし立てた。

「こっ、こらっ!!はっ、離せ!まっ、マジだから・・・・マジ・・だか・・・ら・・は、はな・・・・せ・・・」

「あっ、ご、ゴメン!マジごめん!ホントごめん!!!」

「はぁはぁはぁはぁ・・・まっ、全くなんとも突飛な行動に出る男だ、そんなことでは女子の体を傷つけてしまうぞ」

「いやぁ・・ごめんってぇ・・・ホントごめん。これから気をつけっから、許してちょん」

服の胸元を直しながら、喪手杉は言った。

「ならば、今日からお主は私の配下になる、そういうことだが、それで良いのだな?」

そう言って、喪手杉は怒弓に手を差し出した。

「おぅよ!俺、一生アンタについてくぜ!マジでどこまでも付いて行くぜ!!!」

怒弓もまた、威勢良く答えると、差し出された喪手杉の手をしっかりと握り返した。
それから二人は朝までお互いの性体験などを笑い合いながら、語り続けた。
それから何日かしたあと、喪手杉と怒弓は袁術に謁見するために、南陽に赴いた。

「おーおー、これは喪手杉よ、相変わらず見事な美貌じゃのぉ〜」

「いいえ、袁術様もお変わりないようで」

喪手杉は深深と頭を下げた。その横で怒弓も大声を張り上げながら頭を下げた。

「は、初めまして!俺、怒弓っつーんすけど、よろしくっす!!!!」

「こ、こらっ!怒弓!太守様にそんな口の聞き方があるか!」

あまりの無礼な挨拶に喪手杉は怒弓の口を塞ごうとした。
それを見た袁術は初めてみる庶民の怒弓になにやら不快なものを感じた。

「喪手杉、わしはそなたを見込んで配下に迎えた。自由気ままな生活も許しはしたが・・・・いきなりこのような無礼な男
を連れてくるとは・・どういう了見なのかのぉ?わしはそんなにヒマそうに見えたか?」

「す、すみません、太守様。先日街で配下に加えたばかりでして、まだ作法もよくわかってないものでございます。
ですが、必ず私が責任を持って教えますゆえ、どうかお気を悪くなさいませぬよう、切に、切にお願い申し上げます」

袁術は少し悩んだ末に、気持ちを落ち着かせて答えた。

「まぁ・・いいじゃろう。お主がようやくわしのために働いてくれる決心がついたという報告だけでも嬉しく受け取ろうではないかの」

「ははぁっ!誠に寛大なお心遣い、感謝致しまする!!!」

なんとか謁見も事なきように済ませた二人は、袁術から仕事を一つ任された。
それは、猛将・呂布の討伐軍に加わり、戦功を立てて来い、とのことだった。
かくして二人は、初陣を迎えることになった・・・。
446ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/03/22(火) 22:25:15
>>440さん
まぁ、パクりに見えるほど、俺の書いた物が喪喪さんに大きな影響を与えた、ということで納得しましょうよ。
それに、俺の書いた文章を、さらにあそこまで話し膨らませることが出来る喪喪さんの文才に、俺は感服です。
っていうか、今俺が書いてるのも・・・なんかダラダラとしてきたなぁ・・・・。
もっと短くわかりやすく書くつもりだったのに・・・・orz
447ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 22:32:50
あれ、問題になってるのか・・・?
元々、「行方不明だった弟を殺す」話をぼんやりと考えてて、
誰にしようかな・・・と考えてたら、「これだ!武沙だ!」みたいな感じで・・・
なんかスマソ
448ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/03/22(火) 23:08:14
>>447の喪喪さん
まぁ、お気に召されるな(笑
俺はパクられたなんてこれっぽっちも思ってないし。
要望を言えば、愚呂を武沙逝に変えて書いてたら、もっと俺の話しとリンクしてて面白かったのではないかと。
449ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/03/22(火) 23:24:31
>>448
いやー、出来ればそうしたかったんだけど、当初の予定では
殺すつもりだったんで・・・後々誰かが登場させたり、させる予定だったら
まずいナーと。
それに呂布みたいな最強の男を出したいな、ってのもあって。
450('A`):2005/03/22(火) 23:24:37
ノベシスってつまんないの書く割に態度でけえな
誰がてめえのクソ話にリンクなんてさせるかよ
てめえの話は俺たちが考えた設定も無視してるし壊してる
書くのは自由だけど、あんまでしゃばらない方がいいよ
451ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/03/22(火) 23:28:23
>>450さん
そうですか・・それはすいませんでしたね・・・。
なるべくまとめブログに書いてある設定に合わせてるつもりなんですが・・・。
あとでしゃばってるつもりはないので、お許しを・・・。
452('A`):2005/03/22(火) 23:33:16
>>450
こら、こんなスレ荒らしてどうする。珍しい香具師だなw
453('A`):2005/03/22(火) 23:57:55
コテってだけで嫌がるやつもこの板にはいるからな
>>445からの続き


ついに来た!喪手杉と怒弓の初戦である。
この戦いは劉備軍と曹操軍の連合軍と、呂布軍とで行われた。喪手杉は袁術の計らいで、曹操軍の下級将として出陣
することになった。配下は怒弓と2500の兵だけだ。
初めて立った戦場で、二人は緊張のあまり震えていた。

「なっ、なぁ・・喪手ちゃんよぉ・・・」

「なっ、なんだ?腹でも減ったのか?」

「この戦・・勝てないっぽくね?相手あの呂布っしょ?俺らじゃゼッテー勝てねぇって、マジで!」

「うっ、うぬぅ・・・別に呂布を倒すのが全てではない!初めての戦なんだ、敵武将の首一つでも取れればそれで良いわ!」

始まる前はこんな会話をしていた二人だが、いざ始まってみれば、水門に奇襲をかけてきた敵武将2人と兵の一団
をあっけなく壊滅させてしまった。
そして、二人の活躍の甲斐もあってか、水攻めも無事成功し、天下無双の猛将・呂布は捕縛され、その後斬首された。
それから数日後、喪手杉と怒弓は曹操が催した宴に呼ばれ、その功を称えられた。

「はっはっは、お主等初陣のわりには多大な戦功を挙げたのぉ」、「美貌もあるうえに武にも秀でているとは・・」

周りから飛ぶ賞賛の声にすっかり気をよくした怒弓は宮廷の侍女を伴って席の真ん中で歌を歌いだした。
一方、喪手杉は「少し飲みすぎた」と言って、庭の石に腰かけ、空を見て考え事にふけっていた。

「ふぅ・・・此度の戦・・・終わってみればあっけないものよ・・・さて、これからどうするか・・・・」

本来なら袁術の元に帰るはずの喪手杉だったが、喪手杉・怒弓の武を認め、その美貌を気に入ってくれた曹操に
仕えてみたい、と喪手杉は思うようになっていた。

「確かに私の美貌は天下に双璧を成す者はいない、だが・・・私はそれだけで終わるような器ではないはずだ・・・。
このまま袁術様の元に付いていては・・・天下に名を轟かせるのは難しいのではないだろうか・・・」

「ふっ、こんなところで何をしている?」

そんなことを考えていた喪手杉にある男が声をかけてきた。
見ればかなりのイケメンだ。綺麗に分けた長髪、全てを見抜くような鋭い輝きを放った瞳・・・。
喪手杉はその男が誰だかわかるとすぐに石から降りて膝まづいた。

「こっ、これは曹丕様・・・」

その男の名は曹丕、字は子桓と言った。言わずと知れた曹操の嫡男だ。文才に溢れ、優れた政治手腕の持ち主として有名だ。

「宴の場にいないので、父上も心配していたぞ?」

「も、申し訳ございません・・・少々、考え事をしていたもので・・・」

実は喪手杉はこの曹丕という男が苦手だった。何か、自分の全てを見透かされているような、そんな気がしてならなかった。
しかしこの時、喪手杉は曹丕ととんでもない約束を交わしてしまうことになる・・・。
455JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:51:41
さて・・
普段から趣味で小話なんかを書いているんですが、
どうも三国志ものというか歴史ものは挑戦した事がない。
イマイチな内容に仕上がったのですが、
一つ番外編書きましたんでうpしてもいいでしょうか。
ていうかします。
456JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:52:14
ある日の喪軍。
その日は、軍略会議の日だった。
喪手内を中心にして、会議場に集まる諸将たち。
威厳を正した喪手内が、会議の開始宣言をする。

「貴公ら今日もモテない会議がはじまりますよ」

それに合わせて諸将の声

「うぜー」

いつの間にか、喪軍の会議の始まりは
このやり取りから始まるようになっていた。
そして会議が始まった。
今日は特に会議するような議題もないので、
将たちの今で言うフリートークタイムになっていた。
457JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:53:05

喪手対と矢羅傍が、将棋を指している。
その横で顔醜がそれを観戦して、しきりにうなずいている。

武沙と肝意が、昨晩の自慰のネタについて報告しているが、
聞き手の武将はうつむいて顔をしかめている。
そりゃキモメンのネタになんか誰も興味ないだろう。

泡好は風俗情報の瓦版を読みながらにやにやしている。
時々筆で、赤丸をつけているがどうやらそれがオキニらしい。

御托がなにやら新作の同仁誌(どうじんし)を描いたとの事で、
自虐と堕眼がその新作を食い入るように読んでいる。
今度はなんでも実在すら疑われている伝説の美女チョウセンたんが
大デブの董卓に犯される話らしい。
美女と野獣的なシュチュエーションに萌える喪にとっては、
またしても(抜きすぎて)寝れない夜を過ごしそうだ。
458JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:53:52
喪手内は何か書類に目を通し、
独奏とこそこそ話をしている。
そこに根雅が加わって、3人で話始めた。
もっとも会議らしい事をやっているのがこの3人であったが、
急に喪手内が書官にこう言った。

「よし、通せ」

喪手内が発言したので、思い思いに遊んでいた武将たちも
急にその場にかしこまって座り、喪手内の次の言を待った。

「今日は嬉しい知らせがある。
喪軍に新しく仕官してきた若者がいる。
彼を紹介しよう。」

「根喪君だ」
459JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:54:39


その声と同時にやってきた男は、
まだ歳は若く見えた。
顔を見ると、意外に透き通った眼、均整の取れた鼻、
適度に大きい唇など到底喪には見えない。

「根喪君は根雅殿の親戚にあたり、
この度根雅殿の活躍を聞いて喪軍に憧れ士官してきたとの事だ。」

諸将の目がいっせいに根雅にそそがれる。
驚いたように根雅は、顔を赤らめうつむいてしまった。
460JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:55:14

「根喪君」 喪手内が言った。
「我が喪軍は、来る者拒まずの方針でやっている。
まして人材不足の昨今、我が陣営も有能な青年は一人でも欲しい。
しかし、有能な青年が欲しいとは言ったが、
喪国の陣営に加わるには最低限の条件がいる。
それは、喪である事だ。
その為、簡単な口述試験を行わせてもらう。
不恋愛、用意してくれ」

喪軍の事務作業を管理している不恋愛が席を立ち、
筆記用具を持ってやってきた。
どうやらここで試験を始めるらしい。
461JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:55:55

「いつもなら試験官は他の者にまかせているのだが、
君は根雅殿の親戚にもあたる人材だ。
根雅殿の働きにも敬意を表す意味で、私が試験官をしよう」

喪手内はそう告げた。

「まずは・・・そうだな、喪である事の最低条件、
君の女性遍歴から聞こうか。
君は女性に告白した事は?」

「一度だけ村の女に告白した事がありますが、
他に好きな人がいるからと言われ断られました」
462JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:56:49

「そうか、まずは第一段階は通ったな。」

「あ、でも2回ほど告白された事があります」

「え・・・?」

「あーでもなんて言うんですかね、俺の好みじゃない醜女だったんで
手紙も目の前で破って捨てて断りました」

それまでは訝しげながらもにこやかに根喪を見ていた諸将の目が、
いっせいに凍りつく。

「そうか・・、まあそういう事もあるのだろう。」

とりあえず場を繕う喪手内。
しかしその顔はニコリともしていない。

「それで・・・これが一番重要なのだが・・・君は童貞なのだろう?」

「え?童貞?違いますよ。童貞なんて今時いる訳ないじゃですか。」
463JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:57:31

武沙が突然席を立った。
剣の柄に手をかけた。
「まあ落ち着け武沙。何か事情があるのかもしれん」
肝意が武沙を抑える。
根雅は、すでに顔面蒼白になってオロオロしている。挙動不審そのものだ。

「君は女性との交際経験は?」喪手内が聞いた。

「二人いましたが・・・・全然モテませんよ。
3ヶ月前にフラらたから、その時から喪男なんです。
だから根雅おじさんみたいに喪軍に入ろうと思って。
告白されたのも二人っきりだし、
付き合ったのも二人だけです。全然少ないしモテテないですよね?
3ヶ月前から喪男だし、俺も顔は醜いですよ。
喪軍で働かせてくれますよね?」
464JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:58:23


ここまで聞いて、諸将がキレた。
「カエレ!」
「氏ね、むしろ死ね」
「根喪くんな!」
「いいから氏ね。空気読め」

次から次へと浴びせられる罵声。
根雅はすでに席にはいない。いたたまれなくなって逃げたのだろう。

「なんで嫌われてるんですかね・・・。
俺なんかまずい事言いました?
俺だって喪ですよ。仕官させてくださいよ」

なおも喪手内に食い下がる根喪。

「いいから君は・・・帰ってくれ。
2度と我々の前に姿を現さないでくれ。
私から言えるのはそれだけだ。」
465JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:59:00

「しかし・・・」

「帰れ!」普段は語気を強めたりしない喪手内が
珍しく強い口調で言い放った。

そこまで言われれば、流石の根喪もそれ以上言う事はできなかった。
会議場から出て、ぞんざいな扱いで喪兵士に見送られ城を出た。


俺だって喪なのに。
何が悪いんだろう、俺だって喪なのに。

そんな事を考えながら、根喪は一人居酒屋で飲んでいた。
喪がダメなら、どこに行けば・・・
466JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 00:59:27
「もし、同席してもよろしいですか?」
そんな声が聞こえた。
見ると、服装こそ小奇麗なもののそれとは不釣合いな顔をもつ男が
そこに立っていた。
「おや、貴方は今日の会議で見た・・・・」
「根喪です」
「ああ、今日は残念でしたね、しかし・・・・」

男は、(この根喪という男、使えるかもしれん)と考えた。


わたし、保自厨と申します・・・
467JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/23(水) 01:03:55
以上です。
勝手にポジ厨出しちゃった・・・
468('A`):2005/03/23(水) 01:30:42
乙!書けないとか言ってたのに、小話とかやってんのかYO!
しかも上手いし・・・
469某作家:2005/03/23(水) 01:39:00
ジャスト氏初執筆あげー
根雅のキャラが立ってるのがいいっす!!!
あちこちで人材スカウトに走る保自厨・・・

>喪喪さん ノベラーさん
俺には「覆面と山賊」はおもろかったと思いました。
コミュ能力不足は喪の宿命だから、きつすぎるレスはスルーでな。

ただ、四国志も初スレが立って半年を越えてるし、
そこにきて最近スレのペースが速くなっててストーリーが掴みにくいのも事実。
こういうときだからこそ話の整合性をつけるようがんばりたいが・・・



…上でもだれか書いてた気がするけど、
エロイ人、あらすじをまとめて欲しいです・・・
470中卒:2005/03/23(水) 01:39:44




ビチグソRock Yeah〜〜〜〜〜!!!
471('A`):2005/03/23(水) 01:49:03
今は、確か曹操が反乱を起こした堕眼を攻撃して、堕眼が逃げたんだっけ。
張飛も来てるんだよな。で、願醜と合混の昔話で止まってる。
合ってるかな・・・
472('A`):2005/03/23(水) 02:10:40
何か蒸し返すようで悪いんだが
あんまり作家がコテ付けたまま、過剰に書き込んだりすると
荒れるもとになったり、馴れ合いになっちゃったりと
あまり良いことがないんで、よほど必要性が無い限りは
名無しで発言しておいた方が無難ではある
その辺の匙加減は難しいと思うけど

個人的には書き手と読み手が、ある程度距離感を持っておく方がいいと思う
矛盾があるなら、やっぱり指摘した方がいいだろうし(今後の為にも)
時には批判や意見も出てこないと、作品も向上していかない

特にこの手のスレは、書き手同士、あるいは書き手と読み手の
馴れ合いになりやすいからな
ここの所、書き手も読み手も増えつつあるようだから
これを機に少し気を引き締めてもいいんじゃないか
473('A`):2005/03/23(水) 09:22:21
激しく同意。
474('A`):2005/03/23(水) 20:50:57
保守
475('A`):2005/03/23(水) 22:38:46
ジェネジャンのせいで執筆がすすまねえ
476('A`):2005/03/23(水) 22:46:01
>>456-466
初めて書いたという割にはまとまってて読み易いな
ブログの管理人だけあって各キャラの個性も把握できてる

時にJUSTよ・・・前も言ったかも知れんが
「独奏(どくそう)」じゃなくて
「独秦(どくしん)」な
477JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/03/24(木) 11:39:53
>476

ああ・・・
「どくしん(独身)」で独秦だったのか。

今までずっと「どくそう」だと思ってて
「どくそう」って何?って思ってた。

教えてくれてありがとう。
478('A`):2005/03/24(木) 23:57:26
あげ
479('A`):2005/03/25(金) 10:15:11
喪の人物名って、
独秦・童貞・顔醜あたりは、リアルで三国志にいそうな名前だよな。
480('A`):2005/03/25(金) 22:26:53
あげ
481('A`):2005/03/25(金) 23:32:12
>242の空気読めない発言で一気に盛り下がったな
馴れ合いスレになったらなんだってのよ?
過疎スレになって皆に忘れられてdat落ちするのと
馴れ合いになるのどっちがいいよ?
ここのコテハンはコテ同士で馴れ合ってなんかいないし、
良い作品は良いと褒めてただけじゃないか。

あーあ
>242のせいで一気に盛り下がっちゃったな
482('A`):2005/03/26(土) 09:35:17
なに20日も前のこと言ってるの?
483('A`):2005/03/26(土) 23:40:43
あげ
484('A`):2005/03/27(日) 01:44:03
>>481
空気読めてないというか、空気を変えたいと思っての発言だからな
それで気を悪くしたんなら申し訳ないが
(アンカー>>242になってるが、内容から見て多分>>472のことだよな?)

>馴れ合いスレになったらなんだってのよ?
批判意見が出しにくくなる、新規の人が参入しにくくなる
というのが主なデメリットだな

>過疎スレになって皆に忘れられてdat落ちするのと
>馴れ合いになるのどっちがいいよ?
正直に言うと、どちらも同じくらい嫌だ
お互いに適度に距離を取って、上手く進行していくのがベストだと思う

>ここのコテハンはコテ同士で馴れ合ってなんかいないし、
「馴れ合いに発展する可能性がある」と書いただけで
「今現在このスレは馴れ合い状態だ」と書いたわけじゃない
また馴れ合いだけじゃなく、コテ嫌いの荒らしを呼び込む可能性もあるので
「出来るだけ名無しで発言した方がいいのでは?」ってだけの提案な

>良い作品は良いと褒めてただけじゃないか。
褒めるのは良いんだが、この所批判意見が出しにくい空気になってると感じてな
例えば>>440の意見に対して、皆でフォロー入れたりする所なんか見ても
ちょっと批判意見に対して、過剰反応し過ぎではないのかなと

実際>>472のような意見を出したりすると、>>481みたいな突き上げがくるだろ?
まあ>>472は批判というより、「少し気をつけようぜ」という程度の意味合いだったのだが
485('A`):2005/03/27(日) 23:11:36
気楽にやろうや
486('A`):2005/03/28(月) 21:36:23
あげ
487('A`):2005/03/29(火) 18:02:34
保守
488('A`):2005/03/30(水) 17:59:40
捕手
489('A`):2005/03/31(木) 00:02:26
あげ
490('A`):2005/03/31(木) 21:24:18
あげ
491('A`):彼女いない暦25/04/01(金) 13:59:12
あげ
492('A`):彼女いない暦25/04/01(金) 14:28:08
屈辱
493('A`):彼女いない暦25/04/02(土) 11:17:07
陵辱
494関羽:彼女いない暦25年,2005/04/02(土) 23:50:57
「二下斗ォォ!」「三ならば敵軍勢襲来」

独秦の元に駆け込んできた虎必兵が、喪男暗号「下斗(ゲット)」で報告を行った。

「劉備が動いたか!」

劉備を動かす事には成功した。が、肝心の喪手杉を動かす手はずがまだ整っていない。
顔醜の進言した喪手杉と司馬懿の離間の計・・・これを成功させねば劉備軍を出てこさせた意味が無くなる。
独秦は直ちに各将を召集し、軍議を開いた。

「直ちに軍を編成し、敵軍を殲滅すべし!」
武沙ががなりたてる。
「馬鹿な、敵は万夫不当と謳われたあの張翼徳だぞ!仮に退けた所で今度は劉備を完全に敵に回す事になる。
そうなれば内向郡は手に入らず、劉備軍は敵に回る。それは即ちこの喪国の滅亡を意味する」
矢羅傍が言い返す。
「ならばどうするのだ」「それを今から考えるのだ」「そんな悠長な事で乗り切れるか」
軍儀は混乱を極めた。

「ええい、少しは落ち着かんか。」

それまで一言も口を開かなかった喪手内が口を開いた。
「様は喪手杉を動かせばよいのであろう。」
「しかし、喪手杉には優れた参謀がおり、迂闊には出てこないかと・・・」
独秦がそう言いかけるのを手で制し、そっと耳打ちをした。

「なるほど!それがありましたか。それならば喪手杉も出てくるやもしれませぬな。」

独秦の顔にパッと明るさが戻った、と同時に不安は拭い去れなかった。

(これが失敗すれば喪国は滅亡だ・・・。)
495汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/02(土) 23:59:32
討伐軍が編成された。

張飛軍3千に当たるのが

喪手対軍 2千
顔醜軍  2千
御托軍  2千

一方内向郡に向かうのが

武沙軍  1千
矢羅傍軍 1千
そして水先案内人として、先日奔走してきた堕眼が同行する。

先の喪手対達が張飛軍を抑えている内に、武沙達が喪手杉軍を誘導、そして張飛軍にぶつける。
その混乱に乗じて喪手内軍本隊が一気に内向郡になだれ込む。
手はずとしてはこんな感じである。

(決して勝算が高いわけではない。しかし、この方法以外に我々が生き残る道は無い)

出発する喪軍を見送りながら独秦は思った。
496汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 00:01:37
関羽=汗喪です。
497('A`):彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 00:57:49
関羽GJ!!
498('A`):彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 10:39:57
関・・・汗喪GJ
499汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 18:54:48
「予め放っておりました密偵によりますと、喪国よりこの内向郡に向けて兵を差し向けたとの事です。」
喪手杉に報告する司馬懿。

「ふ、愚か者め。討伐に行く手間が手間が省けたわ。して敵の軍勢はどのような顔ぶれでござるか?」
「は、密偵によりますと、武沙1千、矢羅傍1千、そして先日取り逃がした堕眼が同行しているとの事。」
「なんと、たったの2千か。こちらには我が軍の4千にこの内向郡の4千、足して8千もの軍勢が控えているというのに。
それでは死にに来ている様なもの、一気に殲滅してくれようぞ。」

たったの2千、しかも取り逃がした堕眼までもがいる。まさに鴨がネギを背負ってきたようなものだ。
一気に殲滅すべし、と意気上がる喪手杉。それに対し司馬懿は一抹の不安を感じ取った。

(敵にはこの内向郡の情勢に詳しい堕眼までいるにも関わらずこの少数の軍勢。当然、我々との兵力差も知っている筈。
まあよい。深追いをせず、こちらから討ってでなければ少数のヤツ等にはなす術はなかろう。)

「この一戦で堕眼、そして喪の下衆どもの首を曹丞相に献上いたそうぞ!その時がこの喪手杉が名実共に、
この内向郡の太守となる時だ!!」
500汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 18:57:15
「張飛殿、このまま喪が手をこまねいておるかのう。」
軍監として同行した簡擁が口を開いた。
「へ、喪ごとき下賤の輩が何を弄しようとも、この蛇矛で血祭りに上げるまでよ。」
張飛がいきり立つ。
「まあしかし、斥候ぐらいは飛ばしておけ。喪相手に犠牲を多く出すわけにはいかんからのう。」

一歩また一歩と迫りくる張飛軍。
501汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 18:58:20
一方、喪手対達は張飛軍の動きをいち早く察知していた。

「もうすでに国境近くまで来ておるか、流石に早いな。」
喪手対は呟いた。
「何の。こちらにはこの顔醜がついておる。何も気を揉む事はござらん。」
顔醜が大きく笑った。
「そうとも!」「この一戦で内向郡はいただきだ!」
兵卒たちもそれに続いて大いに笑った。

しかしそれは半分カラ元気であった。相手は何といってもあの張飛。呂布を相手に一歩も引けをとらなかった
百戦錬磨である。いくら兵の数が倍であれ、楽観視は禁物であった。

ちなみに御托といえば
「内向郡ハァハァ・・・伝説の女ハァハァ・・・」
既に妄想に入っていた。
502汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 18:59:16
「武沙よ、思い出さないか」
矢羅傍が話しかけてきた。
「ああ、あの時だろ・・・」
遠い目をした武沙が答える。

あの時・・・それは葦之耶での戦であった。武沙と矢羅傍は喪手内の使者として喪手杉陣営に赴いた際、
ありとあらゆる恥辱を喰らわされたのだった。

(キャハハ、キモーイ)(何くの字に腰まげてんのぉ?)(コイツラ栗の花の匂いしねー?)

「ああっ・・・」思わず頭を抱える武沙。
「俺も同じ気持ちだよ」なだめる矢羅傍。「でも・・・」

「今度こそは勝たなきゃな。」


「武沙殿、矢羅傍殿、もう少しで内向郡に入ります」
堕眼が前方に指を指して告げる。
503('A`):彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 22:20:37
あげ&GJ!!
504汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:03:05
喪手杉は城壁の上で喪軍の到着を今や遅しと待っていた。

「これだけの備えをしていれば取り逃がす事はありますまい」
司馬懿はたたずんでいる喪手杉に声をかけた。

兵の配置は、まず場内に喪手杉以下4千、城外右翼に畏敬面2千、左翼に合棍2千を伏せておく。
そして喪軍を中心に据え、三方から攻め立てる。大きな損害に繋がり難い、極めて正攻法である。
相手は高々2千ほどの軍勢、あれこれと策を弄するより正攻法の方が効果的、と判断した司馬懿の案である。

(もっとも堕眼以下を取り逃がす可能性はあるが、今は焦る事無く追い払うだけで良い。喪の討伐はこちらの準備が
整った後でも十分間に合う。あとは喪手杉殿が功を焦らぬよう、なだめすかすだけだ。)

司馬懿は冷静に戦局を見守っていた。
505汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:05:17
喪手対達が荊州との国境付近に到着した。

「独秦殿の言われたとおりだ、たしかに入り組んでいる。」
喪手対が言う様に、ここいら一帯は丘や谷が複雑に入り組んでいた。
この辺の丘を「恥骨丘」といい、喪国から見て右手にやや大きくある丘を「右恥骨」左手に見えるのが「左恥骨」
そしてその真ん中を荊州方向に抜ける谷を「阿疎子谷(あそこや)」といった。

「よし、ここで迎え撃とう。御托殿は左恥骨に、顔醜殿は右恥骨に、そして私は阿疎子谷の手前に陣取ろう」

ここで張飛軍を足止めし、武沙達(がおびき出した喪手杉軍)を待つ。そしてその混乱に乗じ、喪手対の合図と共に
右恥骨の脇に通る細い裏道「満毛峡(まんげきょう)」を抜け、内向郡に攻め入る喪手内本隊と合流する。

作戦の青写真はこの通りであった。

「うまくいくといいが・・・」そんな顔醜の呟きを耳にした御托は思わず含み笑いをこぼした。

「プププ・・・大丈夫。ボク、武沙にイイ物貸したもん。喪王の言った策をタップリと込めてね。喪手杉は絶対に来るよ」
506汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:06:44
「そうか。」
斥候の報告を聞いた張飛は頷いた。
「敵も中々考えるじゃないか。あの入り組んだ国境付近で迎え撃とうとは」
簡擁が口を挟む。無視して別の道をとれば追撃を喰らう、下手をすれば挟み撃ちだ。

「っち、少々面倒だが、強行突破しかないか。」

張飛軍が阿疎子谷に入ってきた。
507汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:09:04
「来たか!」
城壁の上でたたずんでいた喪手杉は到着した喪軍を見据えた。
「どうかご自重を」
なだめる司馬懿。
「わかっておるわ。喪め、一匹たりとも逃さぬ。」

「どうした喪の面々、はるばる内向郡にその妖面なるツラを晒しにきおったか!」
城門の上で罵る喪手杉。
「ん?たしか貴様は葦之耶にて我等の陣営にやってきた・・・そう武沙に矢羅傍とかいった喪だな。
ははは、これは面白い。今日は下着を換えてきたか?貴様等といえばすぐに下着を汚しおるからな」
「きゃははは、喪手杉様やだぁ〜」「おじさーん、今日はくの字に腰を曲げないでね」「何か変な匂いしない?あ、あいつ等か」
喪手杉軍の愛妾達もが喪軍に罵声を浴びせる。無論、その効果は絶大だ。
左右に伏せている異敬面も笑いを噛み堪えるのに必死であった。

しかし武沙も矢羅傍も以前と違い、平然と構えていた。

「フッ・・・」
508汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:10:25
「おい!虫けらども!!!」
阿疎子谷に入った張飛ががなりたてる。
「貴様等の企みなど、泡好を庇いだてした時点でわかりきっておるわ!!」
勿論、喪の企みはその先にある。が、張飛及び劉備陣営は気付いていない。

「何を抜かすか!顔の美醜のみで我々喪に対し、迫害の限りを尽くしておるくせに」
喪手対がやり返す。と、その時、張飛の顔をマジマジと眺めた。
「ん?待たれよ張飛殿。貴殿もそのムサさ、むっとむせ返るような体臭、中々の喪男っぷり。」
たしかにヒゲ面、しかも関羽のような美しさのかけらも無い無精ヒゲ、臭そうな脇、喪軍にいてもそうそう違和感は無い。

「何を言っておるか貴様!!我こそは燕人張飛なるぞ!!貴様等虫けらなどと同等にするでないわ!!!」

喪にナカーマ(*・∀・)人(・∀・*)イイ!!などと言われて喜ぶわけは無く、その怒りをさらに大きくしただけであった。

「もういい、貴様等一匹残らず縊り殺してくれるわ!!!」

張飛軍が突っ込んできた!
509汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:11:51
「おい喪手杉」
武沙が声をかけた。
「なんだドーテー」
喪手杉が言い返す。
「プハハハハハッ、サイテー」「あの年でドーテーだって」「ヤッパクサーい」
愛妾たちもそれに続く。
しかし、次の武沙の言葉で彼等は言葉を失う事になる。

「釜堀の味はどうだった?」
「ぶははははははははっはhっはh」「ヤリチンだけでなくヤリケツだったとはのぅ」「ひゃはははhっはっはhh」

「ケツを掘られた気分はどうだったか、と聞いておるのだ!!!」
510汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:13:16
「ななななななななななんなn何を馬鹿な事を・・・」

うろたえる喪手杉。普段の冷静さはどこへやら。
「何言ってんのよ」「喪手杉様がそんな事なさる訳がないわ」「デタラメをいうな」
愛妾達が言い返す。だが・・・

「おい喪手杉。貴様、金玉にホクロがあるらしいな」

矢羅傍も言い返す。
「ぶははhっはhっはっはhh」「貴様のケツはユルユルか!!!!」「ギシギシ アンアン ギシギシ アンアン 」

「・・・え、喪手杉さま・・・やぁぁ!」「うそでしょ?!うそよ!!!」「そういえばタマタマにホクロ・・・いやぁ!」
愛妾達がうろたえる。いや、それは兵卒にも広がった。


「まさか喪手杉殿にそのケがあるとはのぅ」
511汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:14:35
「ば、馬鹿な。喪の言う事など信じ・・・」
これまでに無いほど取り乱した喪手杉に

「何を言っておるか!七日七晩も異敬面と共に掘られ続けおったくせに!!!」

「ッブ、なんんあんなnんな何を」
右翼に伏せていた異敬面は吹き出した。そしてここでも兵卒達に動揺が走った

「まさか異敬面様まで・・・」
512汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:15:57
「おのれぇ〜喪の分際で!!!!皆殺しにしてくれるわ!!!!!」
怒りを露にした喪手杉は全軍に突撃の命を出した。
「落ち着きくだされ、喪手杉殿!」
「ええい下がれ!!!」
城門が開き、喪手杉軍4千、そして左右の軍も突撃をかけた。

「かかったなぁ、まだ引きつけよ・・・今だ!撃てぃ!!!」

次々に喪の矢に倒れる喪手杉軍!見事に挑発にかかってしまった。

「くぅぅぅぅ・・・喪なんぞにぃ・・・」

喪手杉にとって「喪」とは害虫以下の下の下の下の下の・・・・・それが・・・

「喪手杉殿!!!!」
司馬懿が駆け寄る。
「どうか落ち着きくだされ、このままでは的でござります。どうか撤退を」
「おんのれぇぇぇぇ喪の下衆どもがぁ。引けぇい!!!!」
司馬懿によって落ち着きを取り戻した喪手杉以下、全軍は場内に撤退した。
その逃げっぷりを見た武沙がまたやらかした。

「さては見事な喪手杉の用兵、兵は討たれ、ケツは掘られ」

はあはhhっははっははははhっははっははははhっはっは

矢羅傍もやらかした。

「おお見事な逃げっぷり、掘られる妙計知らんとみえる」

ぶううううううはあはっははははははははっははははあああはははははhh
513汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:17:31
「この喪手杉、かような屈辱は初めてだ!!!!」
城内に戻った喪手杉は怒り狂った。
「どうか落ち着きを。冷静にならねばまた今日の二の舞・・・」
なだめる司馬懿。

「わかっておるわ!!!!!!!」


場内は今度の件で持ちきりだった。

「まさかねえ・・・」「異敬面様まで・・・」「金玉にホクロがねえ・・・」

そしてなによりも

「喪に掘られていたなんてねえ・・・」

噂はとどまる事を知らず、内向郡を駆け巡った。
514汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:19:28
「この機会、逃す手はござらん!!」
猛る武沙。そして矢羅傍。
「しからば、今一度、城外にて挑発を」
さっそく動き出す堕眼。
「まあ待て。挑発もいいが、いい物があるのだ・・・」
武沙はそういってある物を取り出した。そう、御托から借り受けた秘策である。

「おい城内の者よ。これは以前、地庚山にてお主らの城主、喪手杉らが忘れていった物だ。
しかと届けられよ、ははははははあはっはh。」
喪兵はそう言って城門にある物を置いていった。

それは早速、城内で噂になった。

「一体なんだ?ありゃ」「まさか・・・喪手杉さまぁ・・・」「そのケの物かねぇ」

一旦、噂になるとある事ない事言い出すのが民衆である。
そして「それ」は届けられた。

「あのゴミめらが・・・一体何を・・・っう!!」
届けられた「それ」をみて、喪手杉は激高した。
「あんのゴミクズがぁああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

司馬懿はもう止めなかった。

(いくら我に智謀あれど、領主に度量無ければ敗北は目に見えておる。呂布の例を挙げずとも
わかりきったことだ。)

それにしても喪軍から届いた「それ」とは一体何なのか。
司馬懿は手にとって確かめた。それは御托秘蔵の幻想衣装、子巣不礼(コスプレ)といわれる御托独特の趣味の物であった。
それは極めて露出が多く独特の形態をもち、猫耳なる髪飾りまで付いていた。
そしてそれはまたまた噂になった。

「あんなものを着て掘られていたなんてねえ」

後年、五丈原にて諸葛亮に女物の着物を送られた司馬懿だが、その挑発に乗らなかったのは
この経験があっての事である。
515汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:23:12
子巣不礼(コスプレ)・・・御托独特の趣味の一つ。時に勇者に、時に魔法使いになれるスグレもの。
            時を超え、現代でも愛好家は多い。

            後年、大人用と子供用に区分される。
516汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/03(日) 23:27:38
ちなみにこの時代、篭城を決め込む相手に対し、城外で罵詈雑言を浴びせ
挑発する、といった子供の喧嘩のような戦術があった。
しかも結構有効的だったらしく、ここぞ、という場面で引っかかる有名武将も
ちらほらいて、三国志に独特の色合いを与えている。
517('A`):彼女いない暦25年,2005/04/04(月) 03:26:52
GJ!!すげえ面白いww
518汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/04(月) 19:43:14
「突っ込んできたぞ!!」

喪軍の兵が声を上げる。

「落ち着けぃ!こちらは倍なる兵力ぞ。我々は防備に徹し指示通り動け!!」

喪手対の声が響く。

しかし流石は張飛軍。この険しき山岳を物ともせず、両脇に陣取っている顔醜、御托軍の援護の矢に怯む事無く
突っ込んできた。

「喪のネズミどもがぁ!道を開けぃ!!」

張飛の蛇矛が唸りを上げる度に舞い上がる喪兵の首。
後に劉備による蜀への侵攻の際、その山川険阻、断崖絶壁、険難を極める侵攻戦を勝ち抜いた張飛の
将器の片鱗はこの頃から見え始めていた。

「我は劉備三兄弟が末弟、燕人張飛!尋常に勝負せい!!!」

恐るべき中央突破力で喪手対軍を切り裂き、張飛は叫んだ。

「おう!我こそは喪国が団子虫将軍、喪手対!!!」

張飛は眼前に迫っていた。
519汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/04(月) 19:44:35
「おうコレかぁ!コレが欲しいんかぁぁぁぁ!!!!」
包茎珍宝を指でぶらぶら振り回しながら喪兵が叫ぶ。

「それともこっちか!オラァ!!突いてこいやぁぁぁぁ!!!!」
おデキだらけの汚いケツをプリプリおっぴろげながら喪兵が罵る。

「お、おんのれぇ!!!!zくぁwxせcdrvftbgyんふじこ、k。pl」
我を忘れ、喪手杉達が追いかける。

(ふん、かかりおったわい!!後は阿疎子谷に誘い込むだけぞ!!ワハハハ!!!)

武沙、矢羅傍、堕眼は笑いを隠し切れなかった。

「あいつ等、ケツ掘られまくったんだよなぁぁぁぁぁぁぁ言ってやった言ってやったぁい!!!!」
520汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/04(月) 19:45:55
一方、司馬懿は直属の手勢を集め、許昌に引き上げる準備をしていた。

「この屈辱、晴らさでおきべきか・・・」

この司馬懿の雪辱は、意外に早く果たされる事になる。

そう二〇七年。曹操による北伐、袁家の遺児討伐、及び鳥垣(木亘)の平定は成されるのであった。

次の矛先は・・・荊州
521汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/04(月) 21:39:16
(くっ、なんという剣撃だ!!!)

張飛の蛇矛を辛うじて受け止めた喪手対はたじろいた。

「喪がぁ!我が矛の錆となれぃ!!」

張飛が止めとばかりに蛇矛を振り上げた。

「まてぃ!顔醜助太刀いたす!!」
「喪国が陳国将軍 御托参る!!!」

左右の恥骨丘から駆け下りてきた二将軍が加勢にやってきた。

「しゃらくさい!まとめて相手になってやるわ!!!」

張飛の蛇矛が唸りを上げる。顔醜に御托に、そして喪手対に。

「信じられん、何という強さだ!顔良、文醜にも勝る!!!」

三将を相手に一歩も引かない所か、押しまくっている張飛はまさに万夫不当であった。

「ワシは劉備大兄の元、黄巾族、虎牢関、官渡を渡り歩いてきた豪傑ぞ!貴様等ごとき喪に
後れは取らんわ!!!」
522汗喪:彼女いない暦25年,2005/04/04(月) 23:43:01
「将軍に加勢せよ!」
喪兵が叫ぶ。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!雑魚がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
張飛が猛り狂う。

「抑えきれるか、この化け物めを・・・」
喪手対が思わず呟く。

「この顔醜をして、これほどの強者は知りえぬ」

「こここここ、この人もしかして覇王?」
御托の口からこぼれる。

それにしても信じがたい強さだった。
喪手内麾下、幾度もの危機を乗り越えてきた喪手対達であるが、これほどの武将とは出会った事はなかった。

「これは・・・抑え切れぬか・・・」
喪手対はまたも呟いた。と、その時である。

「 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! 」
虎必兵からの急使が入った。

「キタキタキタキタキタキタキタキタキタキタ・・・・・・・武沙達がキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! 」
523汗喪:2005/04/05(火) 14:34:43
「張飛殿、喪に援軍が来たみたいだな。」
簡擁が告げる。
「旗印は・・・喪手杉とあるぞ。」
「なにぃ、喪手家の者か!!面白い、その首級上げてくれん!!!」
張飛の蛇矛が唸りに唸る。

「喪がぁ・・・許さん!!!」
武沙、矢羅傍めがけて喪手杉が突っ込む。
「喪手杉殿、前方に軍勢が見え申す。喪の伏兵か!!!」
異敬面が叫ぶ。その時、合棍の目が張飛を捉えた。
「あのむさ苦しさ!喪軍に間違いございません!!!」

「ちょこざいなぁ!!皆殺しにしてくれん!!!全軍、この喪手杉に続けぇ!!!」
524汗喪:2005/04/05(火) 14:36:07
阿疎子谷は三軍入り乱れ、混乱を極めた。

「おお、やってきおったか!こうなれば長居は無用、全軍手はず通り満毛峡を抜けろ!!!」
喪手対の合図と同時に喪軍が撤退を始めた。
「殿(しんがり)はこの顔醜が引き受けた!!!!喪兵よ、ここはワシに任せ満毛峡へ急げぃ!!!」

「やったな!」
「おおやったとも!!!」
武沙、矢羅傍が顔を見合わせる。
「やったね!どうだった?ボクのアレは。」
そこへ御宅が合流してきた。
「おお御托!そなたのアレは最高であったぞ!送りつけられた喪手杉の顔が目に浮かぶワイ!!!」
武沙が満面のキモい笑顔で答える。
「ホント?じゃあ今度は他のも貸してあげるよ。すごいんだよぉ・・・ハァハァ」

「・・・いや、それは御免こうむる」
525汗喪:2005/04/05(火) 14:37:19
「この新手の喪、何という強さだ」
喪手杉達も張飛の剛勇に舌を巻いた。

まんまと喪の策に嵌ってしまった張飛、そして喪手杉の両軍。
この阿疎子谷で、その両軍による大乱戦は繰り広げられた。

「新手もろごと皆殺しにしちめぇ!!!」
張飛がハッパをかける。
「まて張飛殿・・・こやつ等、喪ではないぞ。」
喪手杉軍をよくよく見据えた簡擁がようやく気付いた。

「この美貌、喪にあらず!!!」
526汗喪:2005/04/05(火) 14:38:43
「異敬面殿、あの旗印を見られよ!こやつ等、荊州の張飛軍だ!!!」
旗を見定めた合棍が叫ぶ。
「な、何ぃ!?どういう事だ。喪の援軍に・・・いや、喪なんぞの救援にくる所などあるものか!」
うろたえる異敬面。
「喪手杉殿、喪手杉殿!!!我々は喪の策に嵌められ申したのでは!!!!」
しかし、冷静さを失っている喪手杉にその声は届かなかった。

「おのれぇ〜、ん?あれは!!!」
合棍の目が、今度は満毛峡へと撤退する喪軍を捉えた。
「あそこに見えるは喪軍!この混乱に乗じ逃げ切る気か!!」
そして異敬面が叫ぶ。
「合棍、お主は喪軍を追え!ワシは喪手杉殿をお守りする!!」

「逃がさぬ、逃がさぬぞぉ!!」
追撃する合棍。
そこへ一人の男が立ちはだかった。
「久しぶりだな、合棍」
顔醜だ!!!
「き、貴様は顔醜!!そうか、喪軍にいたか!!!」
「合棍よ。あの時の借り、利子をつけて返してくれようぞ!!!」
「ほざけぇ!返り討ちじゃあ!!!」

幼き日を共にすごした二人が刃を交える。
527汗喪:2005/04/05(火) 14:41:00
満毛峡を抜けた喪軍は内向郡へと急いでいた。

「後は内向郡で喪王本隊と合流するだけだが・・・」
喪手対は後方に続く喪軍を見据えた。
皆、疲労し切っている。それはそうであろう。武沙達はともかく、喪手対達の軍は
あの張飛軍と死闘を繰り広げたのである。犠牲も多く出した。疲労困憊していない訳が無い。
おまけに照りつけるこの陽射し・・・狂おしい程の渇き・・・
このままでは士気の低下を招く。あと少しの所でツメを誤る訳には行かない。
っと、そこへ御托が進言してきた。

「ボクにお任せあれ」
528汗喪:2005/04/05(火) 14:43:03
「みんな、よく聴くがいい!!」

御托は後方を振り返り叫んだ。

「内向郡にはかの伝説の緒満湖(おまんピー)があるという。そこは木浴をする十二妹が後を絶たず、
その溢れかえる甘き汁、涸れざるが如し。そこで存分に喉の渇きを、股間の疼きを癒すがよい!!!」

「お、おまん・・・ハァハァ」「い、妹・・・十二妹・・・」「ギシギシアンアン・・・ハァアアハァアア」

喪兵は溢れてくるヨダレでいつしか喉の渇きを忘れていた。

「内向郡、萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

喪軍の士気は天を穿つが如きであった。



ちなみに曹操も袁術討伐の際、よく似た戦術を用いたが御托はさらに進化させたものとして
後に「四国志演義」の著者、陳歩に絶賛された。
529汗喪:2005/04/05(火) 14:46:00
緒満湖(おまんピー)・・・御宅の脳内オアシス。多くの喪男に夢と潤いを与えた。
            後年、東海を超えた倭国の雅名利(がなり)なる者が
            緒満湖伝説に良く似た事を実現し、その時代の喪男に夢と潤いを与えた。
            代表作に「沢山女全裸股開体操集」などがある。
530('A`):2005/04/05(火) 20:39:29
GJ!!
色々とアイデアでてくるなあ。
531('A`):2005/04/05(火) 20:49:56
汗喪おもすれー
532('A`):2005/04/05(火) 20:55:28
喪手杉を挑発する場面でスゴくスカッとした、ありがとう
533('A`):2005/04/06(水) 00:06:54
「この美貌、喪にあらず!」
わろた
534汗喪:2005/04/06(水) 01:04:37
激しく打ち合う顔醜と合棍。
ぶつかり合う矛と矛。
両者の闘いは過去の因縁も含め、熾烈を極めた。

「やるな!」
「オマエモナー」

しかし本来、宴会係の合棍と武将顔醜である。いかんせん潜ってきた修羅場の数が違う。
段々と顔醜が押し出してきた。

「うおおおおおりゃぁぁぁぁぁ!!!」

顔醜渾身の一撃が合棍の矛を打ち砕いた。
そして止めとばかりに矛を振り上げる。

「あああぁあ!待て顔醜、いや、待ってよ醜ちゃん」

矛を砕かれた合棍は突然手のひらを返したように哀願した。

「小さい頃は良く遊んだじゃん、俺達まだ友達だよね?」

たしかに年頃になった頃から疎遠になったとはいえ、幼き日は共に笑い、泣いてきた二人である。
歌垣婚破(コンパ)で苦いトラウマを植えつけられた事もあったがそれは半分以上、いやほとんどは顔醜の自爆によるものだ。

「・・・むむむ・・・」
顔醜の動きが矛を下ろした。

「醜ちゃん・・・相変わらずだね・・・」
その刹那、合棍は隠し持っていた短刀で顔醜の脇腹めがけて突っ込んだ。

「またまた俺を信じちゃったね、あんたバカだよ。あの時と同じだ。」
「が、がはぁ!!!」

合棍が短刀に力を込める。

「オラ、死んじゃえよ。どうせ生きてても喪じゃしょうがないだろ。」
さらに短剣をを捻りこもうとする合棍。
しかしその手を掴み上げ、顔醜は言った。

「合棍よ・・・喪が生きててもしょうがない訳じゃないんだ。むしろ喪でも生きていかなければならない。
 それが悲劇を呼ぶのだよ」

そして顔醜は合棍の首に手をかけ、一気に捻り切った。

もはや息絶えた合棍の顔を見つめる顔醜。

「次に生まれてくる時は喪に生まれてみよ。そうすればお主にもわかるやもしれぬ。」

刺された脇腹を押さえつつ、顔醜は喪軍の後を追った。
535汗喪:2005/04/06(水) 01:06:01
「そこもとは荊州の張飛殿とお見受けする。我々は曹丞相が客将、喪手杉軍。喪軍に非ず、」
阿疎子谷に異敬面の声が響く。

「何?曹操の客将だと?」
張飛は簡擁と顔を見合わせた。

曹操と劉備は険悪な関係ではあったが、劉表の下で庇護されている今、その客将と争っても何の益も無い。
喪手杉軍にした所で、客将に過ぎない自分達が張飛の様な豪傑相手に血を流す義理は無い。

「我々は喪軍を追っている。そこへ何故、張飛殿がおられるのだ?」
冷静さを取り戻した喪手杉が問いかける。

「それはこっちが聞きたいくらいだ。俺達も喪軍相手に戦をしていた所だ」
張飛が言葉を返す。

(どういうことだ・・・まさか、嵌められたか!!!)

ようやく喪の策に気付いた喪手杉。しかし時すでに遅し。今から内向郡に引き返した所で、もう喪の手は
回っているだろう。しかも喪手杉軍は張飛の精鋭によってボロボロだ。
ここは許昌に戻るしか打つ手は無かった。

「ここまで喪に貶められるとは・・・」
536汗喪:2005/04/06(水) 01:08:50
「うおぉぉぉぉぉ!!」「萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」「緒満○ぉぉぉぉぉ!!!」

喪手対以下、喪軍は内向郡に突入した。
その行軍の凄まじき事、醜き事・・・内向郡の住民はこぞって荊州へと逃れるのであった。
この時逃れた住民は後に、長坂坡にて劉備と運命を共にする事となる。

喪軍は、いよいよ内向郡城外に到達した。

「後は喪王本隊と合流し、この城を落とすのみ。」
喪手対は城を見上げた。
その時、何者かが城壁の上へと上がってきた。

「はっはっは、喪手対よ。ご苦労であった。」

その言葉と同時に城壁に翻る「喪」の旗。
喪手内本隊はすでに本城を陥落していた。

「喪王!!!」「喪手内様!!!」「喪王様!!!!!」

湧き上がる喪兵達。

「皆の者よ。この筆舌にしがたき厳しき戦、よくぞ勝ち上がった。内向郡は今、
 我々、喪の手に落ちた。そしてかの天敵、喪手杉を追い払ったのだ!!」

喪手内は見上げる喪兵達に向かい叫んだ。それは喪男としての心の叫びであった。

「今こそ我等、喪の理想郷を!喪男の楽園を築き上げようぞ!!!
 不肖喪手内、この日輪に誓い必ずややり遂げん!!!!!」

こうして内向郡は喪の手に落ちた。しかしそれは新たなる戦乱の幕開けであった。


翌二〇八年、荊州にて劉表死去。それを待っていたかのように曹操が荊州侵略への
牙を剥くのであった。
537汗喪:2005/04/06(水) 01:20:15
>JUST様。

>>494からの話のブログへの掲載、よろしくお願いします。
題名は「動乱の内向郡 其の二」でお願いします。

>作家の皆様

また面白い物語を書き込んでいきましょう。
楽しみに待っております。
538('A`):2005/04/06(水) 01:26:16
539('A`):2005/04/06(水) 15:29:14
うっはぁお見事!!
540('A`):2005/04/06(水) 16:39:11
うまいなあ
541('A`):2005/04/07(木) 00:32:17
あげ
542JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/04/07(木) 08:20:09
汗喪さん、GJ&乙です。

申し訳無いのですが、
わたくしインフルエンザでダウンしております。
更新作業はしばらくお休みさせてください。
体調が戻りしだい、更新しますので。

季節の変わり目、皆さんもインフルエンザや風邪に気をつけてください・・・・。
543汗喪:2005/04/07(木) 20:55:57
内向郡を落とした喪手内は、早々に内向郡の改革に乗り出すのであった。

まずは御南仙人に伝授された「御南蒟蒻(おなんコンニャク)」「巫女巫女茄子(みこみこナス)」の栽培と専売制、
自慰燃料などの殖産興行などを行い経済の基盤を築いた。

文化面では御托指導の下、人形歌劇団「朝娘。」の設立など、喪男の精神面に大きな潤いを与えた。
軍事面では武沙を筆頭に喪軍精鋭部隊「男塾」が結成され、外敵に備えるのであった。

「首尾は上々のようだのう」
朝娘。の人形歌劇を見ながら、喪手内は満足げに言った。
「は、殿の威光によるものであります。」
矢羅傍が答える。
そこへ佛興府からやってきたばかりの独秦と、御托がやってきた。
「喪王、申し上げたき儀が御座います。」

そして独秦の口から意外な名が飛び出してくるのである。
544汗喪:2005/04/07(木) 20:57:35
「喪王はご存知でありましょうか?この内向郡にて一人の女が喪男の為に命を投げ出した、という話を」
「ブほっっっ!!!」喪手内は思わず噴き出した。
「もももmmmmmもmっも喪の為に死んだ女と!!!」
矢羅傍も驚いている。
「は、私が調査した所、ここ内向郡にて「喪狩り」なる人狩りが行われた際、二人の喪を逃がした女が
喪手杉軍によって街の大通にて磔にあったとか」
その女とは醜女(喪の女、そして明日参照)の事である。独秦が続ける。
「喪の為に身を挺した女がイケメンによって処刑された・・・この話、使えますぞ!」
独秦の目が鋭く光った。

世の中から言われ無き迫害されている喪男。その喪を逃がしたばかりに磔にされた麗しき乙女。
こんな理不尽が許されて良いのか?しかも喪である男を初めて人間として見てくれた乙女を・・・
我々のそのおそらく最後の希望を無残にも刈り取った奴等を許しておくのか?

と言った所である。要するにプロパガンダである。
内向郡を落とし、意気上がる我が軍をここで一気に鉄の結束で結ぼうという訳だ。

「面白い!それを上手く布れ回れば、我が喪兵の士気は上がりに上がり、奮いに奮うであろう。
それは即ち、戦力の倍加に直結する。そして我々は大きな大儀を得る事となる!」

喪手内がらんらんと目を輝かせる。

「よし、では早速それを取りまとめよ。ふははははははははははははは!!!」

話の脚色、編集は御宅が担当する事となった。

「ハァハァ・・・伝説の乙女・・・ハァハァ・・・」
準備は既に万端だ。

この時作り変えられた話は『沙久羅譚』に組み込まれ、元の醜女は
『憂国の乙女、沙久羅』として生まれ変わる事となる。
545汗喪:2005/04/07(木) 20:58:59
独秦の進言により用いられ、御宅の手によって作り変えられた醜女の話は
内向郡の喪男の心奥深くまでガッチリと掴んで放さず、伝説となった。

「ぉぉおおおぁぁぁああ沙久羅たぁん」「ゆゆゆゆゆうyっ許すまじイケメン!」「もったいねぇ・・・」

その状況を見計らい、頃合いとみた喪手内が喪に一堂に集め訴えかける。

「この内向郡にて行われた悲劇を知っておるか・・・」

「おう、知っておるとも!!」「あぁ!沙久羅たぁぁぁん!!!」「もったいねぇ、ぁあもったいねぇ」
湧き上がる喪の群集。

「我々、喪を助けてくれた、ただそれだけで命を奪われたのだ!!!この麗しき憂国の乙女は
身を挺し喪の男を助けた。我々はどうか?この惨状に目を瞑り、黙って頭(こうべ)を下げるか!!!!」

否!否!!否!!!喪の群衆が興奮の渦へとなだれ込む。

「人としての仁を忘れ、信を踏みにじる。それが奴等だ!!
どうか!我と共に戦うか!!!」

応!応!!応!!!喪手内の発する熱狂へと身を委ね、喪男たちが猛り狂う。

「ならば我と共に剣を取れ、そして戦おう。
 我等と、そして我等の為に死んでいった、たった一人の乙女の為に!!」


喪手内は完全に喪兵の意思統一を成し、喪国を一枚岩とする事に成功した。
そして醜女の粗末な墓があった丘を「撫子丘(なでしこおか)」と名づけ、
醜女の粗末な墓を、御宅の手によって「沙久羅像」として作り変えられ、
喪国の女神として、そして軍神として崇め奉られた。


こうして喪国の軍事国家としての体制は整えられていったのであった。
546('A`):2005/04/07(木) 21:02:58
リアルタイムで読んじまった
いちいち一つ一つのワードが凝ってて素晴らしいな GJ
547汗喪:2005/04/07(木) 21:04:18
「御南蒟蒻(おなんこんにゃく)」・・・喪手内が御南仙人から栽培方法を伝授された野菜。
                  喪国のみならず、全中華の男にその感触を愛されたという。
                  
「巫女巫女茄子(みこみこナス)」・・・これも御南仙人に教わった。その余りの美味なる味に感銘を覚えた喪手内が
                  思わず歌まで作ってしまったと言われている。
                  それは後に御宅率いる「朝娘。」によって人形劇化した。

「朝娘。(あさむすめ。)」・・・御宅率いる人形歌劇団。等身大の人形を操り、歌に踊りにと喪男の心を癒してくれる。                 
               御宅の妄想が立体化した物、とも言える。
               後年、大人用に股間を改良した裏物が出回ったとか。

「男塾(おとこじゅく)」・・・武沙率いる喪軍最強の精鋭部隊。
              喪の中でも選りすぐりの強さと暑苦しさを兼ね備えている。
              たまに「我々は硬派」とのたまう時があるが、
              単なる開き直りである。
548汗喪:2005/04/07(木) 21:06:57
「撫子丘(なでしこおか)」・・・これまた御宅により命名された丘である。
               単に萌ぇな言葉を選んだ、という説もある。

「沙久羅像(さくらぞう)」・・・御宅一人で設計から創作、着色まで手がけた渾身の一作。
               喪の女神、軍神として崇め奉られている。
               御宅の妄想の集大成でもある大作。
               御宅のこの像に懸ける執念は並々ならぬものがあり、
               像を見つめる目つきは尋常ならざるものがある。
549汗喪:2005/04/07(木) 21:11:09
208年、曹操による荊州侵略が始まった。

荊州の主だった将は早々に降伏を決定、樊城の劉備達は孤立するのである。
すでに博望披にて曹操の先鋒、夏候惇を破っていた劉備達は、荊州における反曹操の旗頭として
劉表の子息、劉奇を立て、あくまで反抗の姿勢を見せるのであった。

夏口へ関羽を飛ばし援軍を要請、劉備自らは流民10万を引き連れて南下する。

世に名高い「長坂披の戦い」である。


そして喪国もこの戦いに否応無しに巻き込まれていく事となる。
550('A`):2005/04/07(木) 21:21:21
おおお…すばらしい
551('A`):2005/04/07(木) 21:40:34
イイヨイイヨー(・∀・)
552('A`):2005/04/08(金) 10:22:39
あげ
553汗喪:2005/04/08(金) 22:10:30
撤退を急ぐ劉備の元に、劉表の弔問使として荊州を訪れていた魯粛がやってきた。
目的は反曹操の元、同盟を結ぶ事である。
曹操の南下に伴って、呉でも降伏派と抗戦派が対立していたのである。
魯粛はその抗戦派の筆頭であった。

「劉備殿、反曹操の志、今だ変わられておりますぬか。ならば我が呉と組み、曹操を退けましょうぞ」
魯粛の目が鋭く光る。

「うむ。我々も呉と組み、反曹操の御旗とならん。だが・・・」
劉備が漏らす。

まさに大博打以外の何物でもない。何せ10万の流民を引き連れての逃亡劇である。
劉備ならずとも背中に冷たいものを感じずに入られないだろう。

「この新野からの長い道のり・・・たどり着くであろうか。」

そんな劉備の呟きを、隣で聞いていた男が口を開く。

「我が君よ、それほど案じなさいませぬな。」

常に劉備のそばにあり、白羽扇を優雅に靡かせる男・・・中華最高の軍師、諸葛亮孔明その人である。

「我々の向かう江陵、そして夏口の近くには、かの内向郡がありまする。ここは先日、喪なる勢力に
占領され、今は喪手内なる喪男の元、確固たる威勢を誇っております。」

劉備、魯粛ともに耳を傾ける。

「この孔明、喪にて些か心当たりが御座います。まずはこの喪を動かし、その後
呉に赴き、降伏派を抑え孫権殿を口説き落として見せましょう」

孔明は白羽扇をふぅ、と靡かせた。
554汗喪:2005/04/08(金) 22:12:43
その頃、内向郡では宴もたけなわ、喪男達が享楽に酔いしれていた。

「巫女巫女ナス♪巫女巫女ナス♪喪男ドーテー巫女巫女ナス♪」
御宅率いる人形歌劇団「朝娘。」による踊り歌。

「喪男の行く道は色無し恋無し情けあり〜」
武沙の「男塾」による軍歌。

「ぶははははは、ワシがケツをおっぴろげたら喪手杉がこんな顔をしよってのぅ」
喪武将達は己の武勇伝に花を咲かせていた。

「さあさあ今宵は無礼講ぞ!皆、心行くまで楽しむが良い。」
喪手内が杯を上げる。

女気一つ無いどころか、喪男、醜男達の宴は百鬼夜行の形相をなしてはいたが、
当人達にとってはやっと見つけた居場所を心行くまで満喫していた。

「昨日は夢精をしてのう、夢の中で沙久羅たんとヤリまくってやったワイ。」
顔醜がガハハとキモい笑顔。
「な、なにぃ〜ボクの沙久羅たんを〜〜〜」
沙久羅人形を握り締めた御宅が掴みかかる。
その御宅の手から沙久羅人形を取り上げ、
「こうじゃ!こうじゃ!!こうやってヤリまくったんじゃぁ!!!」
自らの股間にグリグリ押し付ける顔醜。人形相手に勇ましい事だ。


「やっとじゃのう・・・」と長兄喪手内。
「全くで御座るな」と次兄矢羅旗。
「なんの、まだまだこれからですワイ!」末弟喪手対。

「宝慶での誓いから10年近くか・・・ようやくここまで漕ぎ着けたか」


喪国の夜は更けてゆく。迫りくる嵐を忘れるかのように・・・。
555汗喪:2005/04/08(金) 22:14:29
「我が兵よ、民よ、この劉備と共にかの地で民の国を興そうぞ!」

10万の流民と共に劉備の逃走劇が始まった。

世に名高い「長坂披の戦い」その幕が開いた。


劉備の動きを察知した曹操は、自ら5千の軽騎兵を率い追撃を開始した。

「ここであの如何わしい筵売りの血を根絶やしにしてしまえ!!」

曹操軍選りすぐりの精鋭達が、劉備軍及びその流民10万に牙を剥く。


「喪王、喪手内殿は何処に在りや」

孔明、魯粛が喪を動かさんと内向郡に乗り込んできた。
556汗喪:2005/04/08(金) 22:16:10
喪手内以下、喪国の主だった将を前に孔明が歩み寄る。

喪国からすれば正に招かざる客である。孔明の意図は分かり切っている。
ここで孔明にそそのかされ、兵を挙げようものなら、あの曹操と正面を切って対立する事になる。
やっとの思いでこの内向郡を手に入れた所だ。後は周りの群雄に付かず離れず各勢力の緊張を
保ち、隙あらばこの内向郡同様、掠め取る。
それが他勢力と相容れる事の出来ぬ、喪国の基本姿勢であった。

「これは伏龍殿、其処元もとうとう世に出られたか。」
独秦が口上を開く。
「おお豚足殿、久方ぶりであるな。」
孔明が微笑を湛える。

「何しにこの内向郡にこられたか」
喪手内が突き放すように問う。

「この内向郡の危機をお知らせに参り申した」
恭しく頭(こうべ)を下げる孔明。

「この喪国に劉備を助ける義理など無い!!(・∀・)カエレ! 」
武沙がいきり立った。

この武沙の言葉をを皮切りに議論は一気に白熱した。
そしてこの大軍師、諸葛亮孔明の才は如何なく発揮される事となる。

「何と、喪の将よ。「義」と申されたか。ならばそなたに問おう。この喪国の「義」とは
この動乱の時代にあって自領内に閉じこもり、ただひたすら自慰に明け暮れる事を言うのか!!」

「我々喪はこの世間から言われ無き迫害を受けてきた。それを今更、助けよ、とはムシが良すぎでは
御座らんか!」

「その迫害に対し、下を向く事無く牙を剥き、この喪国を創り上げたのはお主ら喪男であろう。
この喪国を立てる為に死んでいった喪兵達は皆、喪国建国の為に死んで行ったのではないのか。
ただただ迫害されて死んでいっただけの犬死なのか。そなたにも問おう、喪国建国の為、
死んでいった喪兵にそれと同じ事が言え申すか!」

「お主はこの内向郡にその口舌を持って災いをもたらしに来たのか!」
もう我慢ならん、といった面持ちの矢羅旗が立ち上がった。
「我々喪は言われ無き迫害、長い長い流浪の末、この地を得た。やっと居場所を創り上げたのだ。
その安住の地の安寧を願う事のどこが悪い!!!!」

「そなたはそれでも将か!」
孔明は矢羅旗に白羽扇を突きつけた。
「この地に留まり、ただひたすらに自慰を繰り返していれば、曹操は中華統一を諦めるか、
外敵が攻めて来ぬか。今、その目に見える危機を退けずして領地の安寧は御座らん!!!」

場に沈黙と緊張が走った。
557汗喪:2005/04/08(金) 22:17:26
「ならば孔明よ、如何すれば良いと申すか」
沈黙を破る第一声は喪手内であった。

「知れた事。劉、孫、喪の三勢力が手を結び、曹操に対抗すべし。
既に喪国は、ここ内向郡を曹操から奪っておりまする。遅かれ早かれ攻め入ってくるは
火を見るより明らか。ならば今の内に手を打っておくべしでございまする。
そしてこの盟約が結ばれた暁には・・・」

この時孔明は喪手内以下、喪国中の喪男が驚く条件を示すのである。
558汗喪:2005/04/08(金) 22:19:36
「この盟約が結ばれた暁には、喪国は呉の保護から放たれ、劉、孫の両者を後見人として
独立自治区として内外的に承諾する事を約束いたしまする。」

それは劉、孫の両陣営自らが、喪手内と自分達を対等とする事を約束する宣言であった。
同時に、元は呉の領地である喪国と(注、孫策暗殺編参照)、こっそりと掠め盗った
ここ内向郡の領有権を劉、孫が認めるものでもあった。

漢王室の嫡子である劉備、漢の名将孫堅の子息であり確固たる勢力を築き上げた呉の主 孫権、
それに喪手内が並ぶのである。

「さあ、返答は如何に!!!」

喪手内の決意は固まった。
559汗喪:2005/04/08(金) 22:20:56
「いや、孔明殿も大胆な事を申されましたな。」
魯粛が感嘆する。
「しかし、我が主孫権殿が喪手内殿と同等などと、認める訳が御座らん。劉備殿とて・・・」
「大丈夫、ご安心あれ。この孔明が利害を説いて進ぜましょう。」
孔明が白羽扇を靡かせる。

(名誉と僅かばかりの領土と共に毒をも飲み干しくださいませ、喪手内殿)

孔明の謀略は既に喪手内を飲み込んでいた。

埋伏の計―――――――――――その毒は徐々に喪国を侵して行くのである
560汗喪:2005/04/08(金) 22:29:41
>JUST殿

遅ればせながらお大事に。
元気になったらまた共に面白い物語を書きましょう。
561('A`):2005/04/08(金) 22:56:32
おもしろい
562('A`):2005/04/09(土) 15:11:01
史実をベースにした話しってのも面白いな
563汗喪:2005/04/09(土) 21:46:19
佛興府一帯、そしてこの内向郡の領有権を得、劉そして孫の後押しにより独立勢力となる。

後に荊州の領有権を争って泥沼に陥った劉、孫の事例を見ても解るように、領有権の所有者を明確にしておく事が
いかに重要な事か。

まさに夢のような話であった。

生まれ故郷でさえ蔑まれ、曹操の元で功を立てても認めて貰えなかった喪手内。
それが今や一群雄として名乗りを上げる好機を掴んだ。

「御取りなされ、喪手内殿」
独秦が囁く。
「伏龍に如何な意図があろうとも、この独秦以下、全喪国兵士、たとえ我が身に変えようとも
必ずや殿を覇道へと導きましょう」
喪軍兵士の視線が喪手内に集中する。

「うむ。」
目を見開く喪手内。そして剣を差し出し宣言した。

「我が道を行く先に如何なる試練があろうとも、我、喪男の一人としてその大義を果たさん!」
564汗喪:2005/04/10(日) 00:31:46
早速救援隊が組まれた。

この戦いは曹操軍に勝利するためではなく劉備を江稜へ、さもなくば夏口へ逃がす事を目的としている。
ゆえにこの戦は敵を打ち破る為の精鋭ではなく撹乱を目的とした、いわば破壊工作員を必要としていた。
さらに曹操にこの戦において、喪の存在を知られない様に立ち回れる人物。

その白羽の矢が立った人物。それは根雅と自虐。

「mmmm無理無理無理ムリ無理むりぽ・・・・・」
「俺なんか俺なんか俺なんか俺なんか・・・・・・」

万事においてこの調子ではあるが、このコソコソとした態度、オドオドとした性質はこの任務に
適任とされた。

「さっさと行って来い!!」
と痺れを切らした独秦。

おっ放り出された二人と(その手勢)であるが、独秦の目が正しい事は後に証明される事となる。
565('A`):2005/04/10(日) 13:44:49
続きがよみてええええええええええええ
汗喪超乙
566汗喪:2005/04/10(日) 15:41:27
「ど、どうするよ・・・」
自虐が根雅を見た。
「ムリムリムリ・・・だってだってだって・・・」
根雅が身を捩じらせる。

「とりあえず虎必兵だけでも飛ばしておくか・・・はぁ・・・」
二人は重い足取りで劉備軍を追った。
567汗喪:2005/04/10(日) 15:42:33
「殿、このままでは曹操に追いつかれまする。」
趙雲が駆け寄る。
「うむ・・・よし、張飛を殿(しんがり)に付け、なんとか凌ぎ切れ。後は・・・」
劉備は孔明の言葉を思い出した。

(後は喪の者どもがやって来れば・・・)

劉備の額に汗が滴り落ちる。



「とうとう追いついたぞ・・・下賤なる筵売りよ、貴様との腐れ縁もここまでの様だな」
曹操が笑みを浮かべる。

「さあ曹軍の精鋭達よ!我に逆らうは流民といえど逆賊も同じ、
ここで万の躯を築き、その首を晒しあげてやれい!!!」

ついに曹操が劉備の尻尾を掴んだ。
568汗喪:2005/04/10(日) 17:42:33
長坂披は阿鼻叫喚の地獄と化した。
野に累々と散らばる流民の躯、そして全身を返り血で染めた曹軍兵。

「ははぁ!いいぞ、逆賊どもを皆殺しにせい!!!」

曹軍が容赦なくその牙を剥く。
569汗喪:2005/04/10(日) 17:43:28
「我こそは劉備三兄弟が末弟、燕人張益徳なるぞ!」
長坂橋で張飛が睨む。

「ここを通らんとする者は、我が蛇矛の錆としてくれん!!!」



「ええいどけぃ、道をあけい!!!」
趙雲が長坂披を突っ走る。

「奥方様は何処にありや、太子は何処にありや!!!」



劉備軍の勇士達が獅子奮迅の奮闘をしている頃、あの二人といえば・・・

「うっわぁ・・・こりゃ酷いわ・・・」
長坂披の有様を自虐が嘆く。
「だ、だ、だめだめ、こんなのだめぽ・・・」
根雅がブルブルと震える。

「帰ろっか・・・俺達じゃ無理だよ・・・」
いつもの様に下を向き呟く。その時である。

「ギシギシ アンアン ギシギシ アンアン  女ハケーン!!(・∀・)」
虎必兵が戻ってきた。

「なななななな、なに?おおお女が!?」
自虐、根雅は思わず唾を飲み込んだ。

「ままま、まあちょっとだけ覗いてみようか」
570汗喪:2005/04/10(日) 17:44:57
「どどど・・・どこ?あああ、あれか?」

たしかに井戸の傍で女が倒れている。見れば身分卑しからぬ服装を纏っている。

「イッヒッヒッヒッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ(・∀・)」

一も二にも無く駆け寄る二人。こんな機会でしか女に触れる事は叶わない。
しかしその不埒な気配に気づいたのか、その女が目を覚ました。

「ん、んん・・・あ、・・・」

目を開けた女の視界に飛び込んできたのは自虐と根雅。

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、あ、あれぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・」

驚くや否や、思わず井戸に手を滑らした。

「ああ・・・もうちょっとで脱童貞だったのに・・・」
自虐と根雅が肩を落とす。
「大体喪前が焦るから・・・」「なにをぉぉぉぉ喪前こそ・・・」
醜く争う二人。その時どこからとも無く泣き声が聞こえてきた。それも赤子の泣き声だ。

「ん?なんだぁこりゃあ・・・」

井戸の傍らで泣いていた赤子、それは劉備の嫡子 阿斗。のちの蜀皇帝劉禅であった。
571汗喪:2005/04/10(日) 17:45:54
「ばあばあ・・あはは」
喪の男を恐れる事無く、むしろなついてくる阿斗。
「こいつも俺達、喪に負けず劣らず間抜けな顔をしているなぁ」
自虐が抱き上げる。
「あばあば、ばあ!」
泣く子も失神する喪の顔にもあどけない間抜け面で笑う阿斗。
「こいつもどこかの喪の子なんだろうな」
根雅が阿斗を見つめる。

その時である。後方から張りのある凛とした声が響いてきた。

「奥方様ー!阿斗様ー!何処でござるかー!!」
572汗喪:2005/04/10(日) 17:48:04
「おお、其処に見えるは阿斗様!」

趙雲が駆け寄ってきた。

「あああ・・・あうあうあうあううあうあうあう」
その凛々しく逞しい姿にガタガタと体を震わせる二人。

「そうか、そなた達が・・・そなた達は喪の者か!」
趙雲が問いかける。
「ああ、あうあう・・・」
返事にならない返事を返す二人。
「左様か、援軍に来てくれたのだな。」
「あ、あ、あ、あうあうあう・・・」
「よし、ならばこの趙雲と共にこの長坂披を駆けようぞ!!!」
「あ、あ、あ、あうあう・・・」

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!まじっすか!!!!!!!」
573汗喪:2005/04/10(日) 17:50:24
趙雲と自虐、根雅ひきいる喪兵は長坂披を駆け抜けた。

「ひ、ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

声にならない喪の悲鳴が長坂披にこだまつる。
途中、合流した張飛に敵と間違われて斬られそうになりながらも趙雲に付き従い、長坂披を駆けた。

(孔明殿は喪の者を連れて流民の後を追うように言っておられたな)
孔明に授けられた策を思い起こす趙雲。

そしてようやく劉備率いる流民に追いついた。



「趙雲将軍が戻られたぞ!!!」
嬉々とした声を上げる流民。しかしその声はすぐに悲鳴へと変貌した。

「あ、あ、あ、あ、あ、・・・あれは喪だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
趙雲の後に続く自虐、根雅率いる喪兵を見定めた流民。
その中の内向郡から逃れてきた領民が騒ぎ出した。

「喪だぁ!喪が我等がやった喪狩りの時の復讐に来たんだぁ!!!!!!」
その恐怖は瞬く間に流民全体に広がった。

「喪がきたぞぉ!」
「喪来々!喪来々!喪来々!」

我先にと逃げ出す流民達。それはこの逃亡の速度を上げる結果となった。

「流石は孔明殿、ここまで読んでいたとは・・・」

阿斗を抱き抱えた趙雲は思わず感嘆した。
574汗喪:2005/04/10(日) 18:28:53
「喪の将よ、大義であった。」

何とか曹操の手から逃れ、夏口にたどり着いた劉備とその流民。

「この後、必ずや曹操との大戦があろう。その時はまた共に戦おうぞ。」
自虐と根雅を真っ直ぐと見据え、劉備は言う。

「ははは、はひ、わかりまひた・・・」

オドオドとしながらも何とか返事を返し、そそくさと帰途に着く二人。


「しかし兄者」
張飛が怪訝な顔で問う。
「あのような喪がものの役に立ちまするか」
「ふ・・・そこは我が軍師、孔明を信じようではないか」
劉備の目が不敵に光った。



一方、あと少しの所で劉備を取り逃がした曹操は怒りに身を震わせていた。

「おのれぇ〜こうなれば劉備、孫権もろごとこの曹軍全軍をもって討ち滅ぼしてくれるわぁ!!!!!」
575汗喪:2005/04/10(日) 18:29:31
なんとか長坂披を切り抜けた劉備、そして曹操との決戦を決意した孫権。
しかし時代は休む事無く次の幕を開ける事となる。

三国志史上、最大の戦「赤壁に戦い」その幕開けは既に始まっていた。

この戦いは、劉、孫、曹のみならず、喪にとっても
その存亡を賭けた最大の戦いとなるのである。
576('A`):2005/04/10(日) 18:33:39
汗喪、書きながらめきめき上達してるな
どんどん面白くなってる、GJ!
577汗喪:2005/04/10(日) 19:10:22
打倒曹操の御旗の元、ここ呉に天下の智者が集結していた。

孔明、周瑜、?統そして独秦である。

「わかり申した。某、必ずや曹水軍を一艘残らず鎖に繋いで見せましょう」
?統が立ち上がった。かの「連環の計」である。

「我が喪は、長江を挟み呉軍と対峙する曹軍の背後を脅かしましょう。」
独秦も目に力を篭める。

「後は・・・東南風を待つだけでありますな、孔明殿。」
孔明に目を遣る周瑜。

「ご安心下さいませ。東南風、必ずや吹かしてくれましょう。」
微笑を湛え、白羽扇を靡かせる孔明。

伏龍、鳳雛、豚足・・・それに加え呉の周瑜。この天下の智の刃が曹軍を斬り裂く。


しかし軍儀はこれだけではなかった。
?統、独秦が幕舎を出た後、周瑜が囁いた。

「ところで孔明殿、例の計略は・・・」

ふぅ、と白羽扇を靡かせ孔明が答える。

「ふふふ・・・毒は既に回っておりましょうぞ。」
578汗喪:2005/04/10(日) 19:12:20
?統=ホウ統

この字は出ないんですね。失礼。
579汗喪:2005/04/10(日) 19:39:55
「我が喪の役割は曹軍の背後を突く事にござりまする。」

帰国早々報告する独秦。

仮に曹操が先にこちらに兵を向ければ、呉がその背後を突き、曹軍がそのまま長江の港を抑えに行けば
東南風の風を合図に背後から攻め入り、呉と共に挟撃する。

これが曹軍殲滅の作戦の全容であった。

水軍を使わざるを得ない曹軍が長江の港を抑えず内向郡に攻め入ってくる事は戦略上、考えられず
喪軍としては早々に兵を編成、そしてある程度の所で陣を張っておくのが最上であった。


討伐軍が編成された。

矢羅旗軍 1万
喪手対軍 5千
武沙軍  5千
堕眼軍  5千

総大将矢羅旗以下、総勢2万5千の大軍である。

しかしこの編成に意義を唱えた者がいた。
顔醜と御托である。

「我等はこの内向郡攻略を始め、幾多の戦いにおいて必ず先陣を任せられてきた。
それがこの大戦において留守を守れとは何事で在らせられるか!」
「確かに。顔醜同様、この御托も納得いきませぬ。」

いきり立つ二人を見据え、独秦は静かに言う。
「この戦、どうも謀略の匂いがいたしておる。何かはわからぬが・・・
そなた達二人は喪手内殿の傍に侍り、緊急の事態に備えなされ。」
580汗喪:2005/04/10(日) 20:07:12
荊州を併合したそう曹操は五十万の大軍を持って江南に侵攻した。

「いかに策を弄しようとも、この大軍で一のみにしてくれるわ!!!」

鳥林に駐屯した曹軍はここに巨大な大要塞を築く。その際、ホウ統の進言を聞き入れ
船を鎖で結ぶ「連環の計」を用いた。

後にこれが曹軍敗北の原因となるのだが、敗因はそれだけではなかった。そう喪軍の存在である。


内向郡を出発した喪軍は、阿疎子谷に陣取った。地形が複雑なこの地は、曹軍にこちらの動きを知られにくく、
滞陣するにはちょうど良い場所であった。

「この戦いであの曹操を・・・」
矢羅旗は拳を握り締めた。


そしていよいよ孔明が風を呼ぶ祈祷に入った。
581汗喪:2005/04/10(日) 20:54:11
祈祷に入る前、孔明は周瑜と最後の軍儀を行った。

「この火計が成功すれど、曹軍には港に何十万の陸戦部隊がござる。これを如何にお考えか」
周瑜が問う。

「聞けば蒋幹なる曹操の間者がここ呉に来ていると耳にし申した。こやつを使って・・・」
白羽扇をゆくらせる。

「ははは、なるほど。孔明殿も人が悪い。」
周瑜は満足げに笑った。

「少々哀れでは在りますが、喪の者には我らの為、捨て石になって頂きましょう。」
582汗喪:2005/04/10(日) 21:09:45
「蒋幹めから密書が届いたと、」
曹操が密書を手に取る。
「な、何と!蔡瑁が呉、喪と結び、内乱を起こすと!!!」

蒋幹からの密書には、蔡瑁が内乱を起こし、それに乗じ、喪軍が攻め入ってくる
としたためられていたのである。

密書を信じた曹操は蔡瑁を処刑、そして内向郡討伐に乗り出した。

「おのれぇ〜〜〜〜高々喪の分際で我に弓を引くか!!!!」
583汗喪:2005/04/10(日) 21:27:52
「張遼に精鋭二十万と歴戦の将を与える。喪の下賤らを根絶やしにして参れ!!!」

張遼を総大将とする喪討伐の兵が挙げられた。
張遼の他に楽進・于禁・張?・徐晃といった曹軍最強、否、中華最強の精鋭部隊が喪に牙を剥く。
しかも二十万の精鋭を率いて、である。

曹操軍の目を喪に向け、その間に東南風を起こし火計により曹軍を殲滅。
次いで曹軍によって蹂躙された喪の領地を乗っ取る。

ここに孔明の計略は果たされん、としていた。
584('A`):2005/04/10(日) 21:46:08
なんてこった!!!
585汗喪:2005/04/10(日) 22:05:42
一方矢羅旗達は阿世子谷で東南風の風を待っていた。
風が吹けば一気に港の曹軍に突撃する、その時を今や遅しと待ち構えていた。

「まだか・・・まだ吹かぬか・・・」

前方を見据えていた矢羅旗の目に何かが映った。土煙のような・・・
その時、斥候に飛ばしていた虎必兵が血相を変えて飛んできた。

「マジヤバイマジヤバイマジヤバイマジヤバイマジヤバイ・・・ウツダシノウ」

「ななななな、何!?曹軍だと!!!!」
586汗喪:2005/04/10(日) 22:06:54
「何!曹軍が何故!?さては策が漏れたか!!!」
喪将たちが迎撃体制に入る。

敵は曹軍精鋭中の精鋭二十万、その数じつに喪軍の十倍。
しかしここを守らねば佛興府までの道程ががら空きになってしまう。
ここは何としても守りきらねばならない。

「阿疎子谷に誘い込め!そこで迎え撃つんだ!!!」
587汗喪:2005/04/10(日) 22:24:27
張遼をはじめとする曹軍が、一気に阿疎子谷に突っ込んできた。

複雑な地形を物ともせず、縦横無尽に暴れまくる曹軍。

「こ、こやつ等・・・何という強さだ!信じられん!!!」
思わず唸る喪手対。

「はははは、喪の下衆ども。これしきの手で我らが止められるか!!!」
辺境の鳥垣にて先鋒として活躍した張遼にかかれば、阿疎子谷程度の地形は平野を行くと同じであった。

「い、いかん、駄目だ。全軍撤退せよ!!!」

喪軍はあっという間に総崩れとなった。


この時、東南風の風が吹いたが、喪、曹軍とも誰一人、気が付いた者はなかった。
588汗喪:2005/04/10(日) 22:39:27
曹軍は散り散りになる喪軍に目もくれず、一気に内向郡へと攻め入った。

「ははは火を放てい!目に留まるもの全てを焼き払えぇぇぇぇぇ!!!」

内向郡は地獄と化した。
迫り来る炎、そして徐州においても大虐殺を行った羅刹の軍団、曹操軍。
河は血の河と化し、草花は炎に染まった。

内向郡城下目指して皆殺しの軍団は突っ走る。
589汗喪:2005/04/10(日) 23:57:18
「喪手内殿!裏門からお逃げ下さいませ!!!」
独秦が叫ぶ。
「顔醜は喪手内殿をお守りし、はやく脱出せよ!他の者も殿の後に続け!!!」

「ああ燃える・・・」「我等が内向郡が・・・」「我等が聖地が燃えてしまう!!」
喪男達の嘆きが内向郡をこだまする。

楼上にて内向郡の惨状に呆然と立ち尽くしている喪がいた。
御托である。

「御托様、もう内向郡は終わりです!早くお逃げ下さいませ!!」
喪兵の声が飛ぶ。

ああ・・・燃える・・・ボク達の内向郡が・・・

「撫子丘に火が回ったぞ!!!」
喪の悲鳴が御托の耳に突き刺さった。

「何!!!!ボ、ボ、ボ、ボクの沙久羅が!!!!」
590汗喪:2005/04/10(日) 23:58:33
「ええい放せぃ!ワシは戦うぞ!!!」
炎に包まれる城門で喪手内が叫ぶ。
「殿、いけませぬ。今は撤退するより他ございません!」
独秦、顔醜たちが暴れる喪手内を抑える。

やっとの事で手にした内向郡。それは単に領地が手に入ったのみならず、やっと見付けた喪の楽園でもあった。
それが曹軍二十万に蹂躙されるがままとなった。
喪手内の気持ちはこの国の喪男なら痛いほどよく分かる。

「殿!殿が生きててくれれば再興もできましょう!しかしここで死んでしまってはそれで終わり、
それは犬死で御座います!!!」
顔醜が叫ぶ。

「おのれぇぇぇ・・・全軍佛興府へ退けえぃ!!!」
炎に包まれる内向郡を後に、喪手内達は撤退を始めた。
591汗喪:2005/04/10(日) 23:59:40
御托は走った。撫子丘へ、沙久羅像の元へ。

御托にとって沙久羅像はただの像ではない。それは聖母にも等しい神聖な存在であり、
孤独な御托という喪の心の拠り所であった。

撫子丘を炎が包まんとしていた。そこへ迫り来る曹軍兵。

「壊せ!燃やせ!皆殺しにしろ!!!」

沙久羅像を破壊せんと曹兵が矛を振り上げる。

「やめろぉ!!!」
御托は剣を抜き、沙久羅像の前に立ち塞がった。

「沙久羅は、沙久羅には指一本触れさせない!!!」
592汗喪:2005/04/11(月) 00:00:46
沙久羅像と御托を取り囲む曹兵。

「へ、こいつ馬鹿だぜ」「まったく喪ってのはよぉ」「そんなもので自慰か、なさけねぇ」
ひゃひゃひゃと嘲笑交じりの罵声を浴びせる。

そんな事は慣れっこだ。だが幼少の頃より孤独の内に育ち、喪として世間から疎まれた
御托にとってはこれが全てであった。

「だまれぇぇぇぇぇ!!!!」
御托が懸命に剣を振り回す。

周りには何人もの曹兵が尽きる事無く向かってくる。
「こいつ、この鎧・・・将軍か」「おお、これは幸運に恵まれた」「どれ、ワシの手柄にしてくれよう」
曹兵が色めき立つ。

「沙久羅には・・・沙久羅には!!!」
尚も懸命に剣を振る御托。

だが、ついに曹兵の槍が御托を捕らえた。
593汗喪:2005/04/11(月) 00:01:32
曹兵の槍が次々に御托を貫いた。一本、また一本。

「へ、手こずらせやがてよぉ・・・」
曹兵が槍を捻り込む。


・・・ああ・・・意識が薄れてゆく・・・
594汗喪:2005/04/11(月) 00:03:15
人はその自らの死に直面した時、何を思うのだろう、何を見るのだろう。
全ての苦しみから解放されるとは言うが
所詮それは自らその時を迎えなければ分からないものなのだろう。


・・・喪王は言った 我々喪男は男らしき恋愛的殉教者なのだと・・・
ならば殉じようじゃないか、自ら創り上げしこの愛に・・・


「ああぁぁぁぁぁああああ!!!!」

御托が最後の力を振り絞る。
595汗喪:2005/04/11(月) 00:04:17
胸に突き刺さった槍に手を掛ける。

「こ、こいつ、化け物か」
曹兵の顔に恐怖の色が浮かぶ。
「早く首を・・・駄目だ、炎が」

(ああ・・・沙久羅・・・)

もう苦しみは無かった。

紅蓮の炎が御托、そして沙久羅を包み込む。


―――――喪国 陳国将軍 御托 果つる――――――
596('A`):2005/04/11(月) 00:06:36
その時御托の体から目映い光が
597('A`):2005/04/11(月) 00:15:05
内向郡てなんてよむの?
ないこうぐん?
598('A`):2005/04/11(月) 13:25:22
御托は殺しちゃっていいもんなのか?
それに喪王とか喪国と書いてあるけど喪の建国はまだだし
喪手内の地位も喪侯ではなかったっけ・・・
599('A`):2005/04/11(月) 14:39:24
御托ってもう喪国入りしたのか?まだ放浪中だったと思ったが読み落としてるだけ?
600汗喪:2005/04/11(月) 19:38:39
>>598

>それに喪王とか喪国と書いてあるけど喪の建国はまだだし
喪手内の地位も喪侯ではなかったっけ・・・

これは漏れの見落とし。途中参加(張飛襲来から)で書き始めたから気付かなかった。(途中で気付いたけど遅かった)
後々「劉備が漢中王を宣言した二一九年、喪においても喪手内が喪王を宣言した。
これまでも「喪王」と呼ばれた事はあったが、それはあくまで自称に過ぎず、今回は
正式に内外的に宣言するものだった。」

とか何とか補足しようと思ったけど・・・先に突っ込まれちゃったね。


>御托は殺しちゃっていいもんなのか?

これはねえ・・・正直悩んだ。
ただ「御托」という喪将は喪にあって特異な存在の様な気がする。と言うのは、
「女に相手にされない(死んでもされない)ながらも女を求める」喪男の中にあって、
御托だけが自分の愛情を注ぐ対象、いわば偶像を持っている。
ならばそれを最後まで全うさせてやりたい・・・と思い込んじゃった。

この御托の最後は、漏れの思考の中では凄くイイ話に仕上がったけど、文章にすると中々伝えきれなかった。
この辺は「物語の整合性」とは関係無しの「文章力」というものなんだろうね。
難しいもんだ。(その点、お粗末様、夏喪様は凄かった)


>>599

これは「孫策暗殺編」で御托が喪に同行しているシーンがあったような。
でも、喪手内などとの出会いの話は無かったかな。
601汗喪:2005/04/11(月) 19:40:14
今まで楽しく読んでくれてありがとう。褒めレスにもそれ以外のレスにも返事を書かなくて申し訳ない。
ただ、>>472などであるように、馴れ合いスレには正直したくなかったので、
ただ単に物語を書くことに専念した。楽しかった。

今回、こんなレスを返すのは、漏れ自身の仕事が忙しくなり、中々書き込めなくなりそうだから。(話書くの結構時間掛かるんだわ)
だからハイライトである「赤壁の戦い」で区切りのいいところで切り上げて、後の作家さんが書き易い様に
したかった。(張飛来襲からは結構苦戦した。)ちょっと間に合わなかったけど。

ちなみにこの後考えていた展開はこんな感じ。

内向郡に目を向けた隙に呉の火計が炸裂。曹操を始め、内向郡の張遼達も総撤退した。
赤壁の戦いに勝利した劉、孫、喪の三勢力。
しかし孔明の策によって、著しく勢力が衰退した喪。それに付け入り、内向郡を劉備が占領。
孫権は喪に対し強硬に勧告を迫り、その勢力差ゆえに屈辱の勧告を受け入れる喪。
これにより佛興府有する喪は、呉の属国と化した。

時代はいよいよ三国時代へと突入する。劉、孫、曹の大勢力に翻弄されながらも再起を図る喪。
時代の濁流は容赦なく彼等を襲う。喪の今後や如何に。


これは漏れの考えていたストーリーなので、意にそぐわなければ却下でいいです。

では皆様、お疲れ様でした。漏れも今後、出来るだけは書き込みたいです。

PS.内向郡陥落と御托の最後はもうちょっと煮詰めて書きたかったかなぁ。
   ちなみに御托は、漏れの一番好きな喪将。ゆえにその最後を書きたい!って気持ちが強過ぎた。
   今読み返してみると、赤壁前あたりから駆け足で書き込んだ感があるなぁ。
   
   ゆっくり書き込める時間が欲しいもんです。
602JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/04/11(月) 21:20:45
申し訳ない、まだ寝込んでおります。
いつ治るやら・・・。
寝ながら考えた超短編↓



ある日の事、喪手内は村の仲間とともに
人相見の元へ行ったのだった。
その人相見はその世界では高名な人物で、
顔を見ただけでその人物の将来がわかると言う。
人相見が喪手内を一瞥してこう言った。

「お前は乱世の童貞、治世でも童貞じゃ」

ははは、どっちにしても童貞か。けっこうけっこう。
そう言って喪手内は不敵に笑ったのだった。

その夜、喪手内はひっそりと枕を濡らした。
603JUST WILD BEAT ◆vQnsNS2Q4k :2005/04/11(月) 21:23:57
あちゃ、汗喪様GJ&乙です。
汗喪さんが書いた話は必ずまとめサイトに収録しますので、
待っててください。
時間があれば続きを書くのもよし、
他の作家さんにまかせるのもよしです。
とにかく今までおつかれでした。面白かったです。
604('A`):2005/04/12(火) 13:42:21
あげ
605('A`):2005/04/12(火) 14:26:00
出てきたと思ったらすぐ死んじゃったからな…>御托
まだ208年だし少し時期尚早という希ガス
606('A`):2005/04/13(水) 21:47:25
あげ
皆様、おひさしぶりでござる。最近書く時間がなかったんですが、今日からまた書こうと思うので、よろすく。


>>454からの続き


数日後、喪手杉と怒弓は曹操に仕官を申し出るため、宮殿に赴いた。
謁見の間に通された二人を見て、曹操は話しを始めた。

「用件は使いの者から聞いておる。わしに・・仕官したいと申すのか?」

「はっ!私めら二人を、どうか殿の配下に加えていただきたいのでございます」

「ふむぅ・・・」

なにやら曹操は迷っていた。喪手杉と怒弓の顔を交互に眺めては、踏ん切りのつかない溜息を繰り返すばかりだった。
長い沈黙が続いたあと、曹操は二人に言った。

「すまんが・・1,2日返事を待つがよい。しばし考えたいことがあるんでのぅ」

「はっ、では日を改めさせていただきます」

喪手杉はそう言うと、怒弓を連れて宮殿を出た。歩きながら怒弓が話しかけてきた。

「なぁ、喪手ちゃん・・・俺ら、なんか悪いことしたっけ?いやマジで俺記憶ないんだけど・・・」

「・・・・・・」

喪手杉は返事をしなかった。自分達が仕官を渋られた理由を考えていたからだ。
今まで自分を必要としない人間などいないと思っていた喪手杉にとって、それは耐えがたい屈辱でもあった。
しかし、そんな喪手杉に怒弓は軽々しく声をかける。

「なぁ〜、気晴らしに女でも抱きに行こうよ!考えたってわからないことは一杯あるじゃん?」

「・・・・すまんな、今はそんな気になれんのだ・・・。金ならやるから一人で行ってくれ」

そう言うと、喪手杉は自分の住む屋敷に向かって歩き出した。
608ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/04/13(水) 23:15:56
>>607から続き

その夜、曹操は重臣の者達を自室に集め、密会を開いていた。
密会の参加者は曹操を始め、曹丕、夏侯惇、夏候淵、郭嘉、の5人だった。
曹操は皆の顔を一通り見渡してから静かに話し始めた。

「さて、此度仕官を申し出てきた、喪手杉、怒弓の二人についてだが・・・皆の者意見を述べてみよ」

間髪を入れずに不機嫌そうな顔をした夏候惇が言う。
「あのような二人にどんな意見を言えというのだ、孟徳よ。どう見たって使い物にはならん!」

それをなだめるように声を掛けたのは従兄弟の夏候淵だ。
「まぁまぁ惇兄、そう結論を急がなくてもいいじゃねぇかぁ〜。まだあの二人若いんだしよ」

そう言われた夏候惇はさらに厳しい意見を返す。
「ふんっ!あのような若造どもを軍に入れれば、軍の規律も乱れる恐れがある。そうなれば、孟徳の大望を汚すだけだ」

一向にまとまりを見せない二人に、割って入ったのが郭嘉(かくか)だった。
「聞けばあの喪手杉という男・・・袁術の元にいたころから軍議にも出ず、戦の度に体調を悪くしていたと聞く。
 一方、怒弓という男・・・街で女子を誑かし、挙句金銭略取などを繰り返していたという・・・」

ついに夏候惇がブチ切れた。
「ふざけるなっ!そんな武人の風上にも置けぬような男に何ができようか!即刻首を刎ねるべきではないのか!?」

一瞬ビビった夏候淵がさらに言い返す。
「落ち着けって惇兄!いきなり首切るなんてやり過ぎだろぅ!とりあえず座れって!」

そんな緊迫した空気の中、一人の男が静かに語り出す、曹丕だ。
「ふっ、首を切るのは簡単だ。しかしな・・・あの二人はこの国の民、しかも女子からは絶大な人気を誇っている。
なんの理由もなく首を切ったとあらば、父上に対しての悪評が立つことはもちろん、それが火種となり国が乱れることも考えられる」

椅子に座りなおした夏候惇が曹丕に問い詰める。
「ならば、どうなさるおつもりか?すんなり我が軍に迎え入れよとでも言われるのか?」

曹丕は正面に座っている父、曹操に向かって言った。
「父上、あの二人の処遇、私に任せてはもらえぬか?いささか考えがありまする」

曹操はこれ以上話しても結論が出ないと感じたのか、あっさり承諾した。
「うむ、ではあの二人の処遇はお前に任せよう。皆が納得行くよう、決めるがいい」

こうして曹操の密会は終わりを告げた。
その密会が終わると、曹丕は喪手杉と怒弓に宮殿へ来るようにと使いを出した。
609ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/04/14(木) 00:21:06
翌日、喪手杉と怒弓は使いの兵に言われた通り、曹操のいる宮殿にやってきた。
通された部屋は飾りもないもない、殺風景な部屋だった。

「こんなところで曹操様と会えというのか・・・なんという侮辱・・・」

喪手杉は昨日までとはあまりに差がある扱いに不満を覚えた。隣で怒弓もなにやら不満を独り言のように呟いている。
そんな二人の前に、奥の扉から一人の男が姿を現した。

「ふっ、よくぞきたな・・・」

「そっ、曹丕様!?」

出てきたのは曹操ではなく曹丕だった。喪手杉は使いの者から曹操と謁見させると聞いていた。
どういうことなのか?驚いている二人に曹丕はうっすらと笑いながら声をかけた。

「どうした、謁見の相手が私では不満か?ふっ、随分と嫌われたものよ」

「いっ、いえ!その決してようなことはございません!」

曹丕は意地悪そうな笑みを浮かべて話しを続けた。

「さて・・・お前達二人の仕官についてだが・・・」

「はっ」

「結論から言えば、認めようではないか。仕官を許す」

「あっ、ありがとうございまする!!!」

喪手杉は深深と頭を下げた。それにつられるように怒弓もぎこちなく頭を下げる。だが・・・

「しかし!」

「え?」

「お前達の仕官を許すには条件がある」

事態が上手く把握できてない怒弓は曹丕と喪手杉の顔を交互に見てオロオロしている。

「条件・・・といいますと?」

喪手杉がそう聞くと、曹丕は目を閉じて不敵な笑みを浮かべた。
610ノベラー・オブ・シスター ◆gsh9jOY9sc :2005/04/14(木) 00:51:15
「条件は2つある。ただし、2つ同時に満たすのは無理であろうから、1つ満たせたら2つめの条件を教えることにしよう」

「はっ、かしこまりました。では、最初の条件をお聞かせ願えますか?」

「まずは・・・お前達二人だけでは、仕官してもおそらく我が軍の戦力としては不足であろう。
ゆえにもう一人、腕の立つ者を喪手杉、お前の配下として連れてこい。それが1つめの条件だ」

喪手杉は一瞬その言葉に不満を持ったが、よくよく考えてみれば曹操の軍はかなりの猛者が集まることでも有名だ。
自分と怒弓だけでは確かに他の将達から見て力不足の感があることは否めない。

「どうだ?その条件・・・呑める自信はあるか?」

そんな風に言われては呑むしかない。

「かしこまりました。必ずや、曹操様のお力になれる男を連れて参ります!」

喪手杉が返事をすると、曹丕は「精々、頑張るんだな」と言い残し、部屋を出て行ってしまった。
喪手杉と怒弓も宮殿を出ると、街の広場の椅子に腰掛けて話し合いを始めた。

「おい、怒弓、お前の知り合いに腕の立つ武者はいないか?」

「う〜ん・・・あんま男の知り合いいねぇからなぁ・・・喪手ちゃんは知り合いいねぇの?」

「男の知り合いはたくさんいるが・・どいつもこいつも曹操様の軍で活躍できそうな男はいないな・・・」

二人してしばらく悩んでいると、突然怒弓が声をあげた。
「あー!一人心当たりがあるじゃん!!!」

「ん?どこのどいつだ?」

「あのね、昔俺がイジめてた奴でね、天派(テンパ)って奴がいるんだけど、ソイツどうかな?結構ガタイも良いし、強いと思うけど」

「ほっほぅ・・・で、その男はもちろん美男子なんだろうな?」

「いんや、スッゲーキモい顔してるうえに、テンパーなんだよ。もうマジで鳥の巣って感じ?」

喪手杉は怒弓の言葉を聞いて深く溜息をついた。

「はぁ〜・・・お前は本当に馬鹿だな。そんな醜男を曹丕様が認めてくれるわけないだろ?まずは我ら二人に匹敵するくらいの美男子でなければダメだ」

「そっ、そっかぁ〜・・・」

二人はまた振り出しに戻ってしまった。空はちょうど夕日が落ちようとしていた。
611('A`):2005/04/14(木) 18:21:21
おつ
612('A`):2005/04/14(木) 18:26:26
天パを馬鹿にするやつらは死ねばいいよ保守
613('A`):2005/04/14(木) 21:23:51
漏れも天派だage
614('A`):2005/04/15(金) 21:30:48
あげ
615('A`):2005/04/16(土) 18:27:08
保守
616('A`):2005/04/17(日) 21:28:05
あげ
617('A`):2005/04/18(月) 18:37:28
あげ
618('A`):2005/04/18(月) 23:54:22
あげ
619('A`):2005/04/19(火) 00:13:46
しかし、喪男にこんな才能があるとは・・・
これを仕事とかに出来れば人生楽しそうな、そうでもないような・・・
620('A`):2005/04/19(火) 19:03:39
あげ
621('A`):2005/04/20(水) 20:19:43
あげ
622('A`):2005/04/21(木) 00:22:40
あげ
623('A`):2005/04/22(金) 00:11:28
あげ
624('A`):2005/04/22(金) 21:02:51
あげ
625('A`):2005/04/23(土) 21:12:11
あげ
626('A`):2005/04/24(日) 19:14:04
あげ
627('A`):2005/04/25(月) 19:28:59
あげ
628('A`):2005/04/26(火) 14:44:24
まだこのスレあったとは!
629('A`):2005/04/26(火) 21:37:23
あげ
630('A`):2005/04/27(水) 19:21:01
あげ
631('A`):2005/04/28(木) 21:36:51
あげ
632('A`):2005/04/28(木) 21:40:02
ホントにまだ続いてたんだな
漏れは嬉しいぞ
633('A`):2005/04/29(金) 20:48:00
あげ
634('A`):2005/04/30(土) 21:00:54
あげ
635('A`):2005/05/01(日) 05:14:28
早朝あげ
636('A`):2005/05/01(日) 20:41:28
あげ
637('A`):2005/05/02(月) 13:37:32
もう終わりかな、このスレ。
638('A`):2005/05/03(火) 00:18:03
汗喪復活希望あげ
639('A`):2005/05/03(火) 18:25:01
あげ
640ワンダー喪喪:2005/05/03(火) 23:18:47
電車の中で考えたやつ「安寧の日記」

10月20日(木)
今日は良いお天気だったので、公園に遊びにいきました。
そして、友達と遊んでました。そして、ベンチにいたら、おとなの人がちかづいてきました。そして、「こんにちわ」と言ってきたので、
「おじさんこんにちわ」って言ったら、「お兄ちゃんだろ」ってすごコワイかおでおこられました。
すごくこわかったけど、その後やさしかったので、いい人だと思いました。
おわり
641ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/05/04(水) 02:22:05
続き有るけど、今日は眠いので勘弁。
あと、>>640の各行の長さとか滅茶苦茶なのは、携帯からだったので勘弁
642('A`):2005/05/04(水) 05:51:31
ワンダー喪喪来てるwwwwwwwwww
職人降臨age
643('A`):2005/05/05(木) 02:50:30
10月30日(日)
今日はお休みなので、いつもの公園であそびました。
そして、この前のお兄ちゃんがいました。「おにいちゃんこんにちわ」って言いました。
そして、「独秦おにいちゃんだよ」って言って、アメをくれました。おいしかったです。
走ったりしてあつくなったので、あついって言ったら、独秦お兄ちゃんが
「あつかったらぬいじゃえばいいと思うよ」って言ったので、ぬぎました。そして、
独秦お兄ちゃんがいきがあらくなってるので、「どうしたの?」って言ったら、
「だいじょうぶだよ」って言いました。よく見たら、おなかの下のところがふくらんでました。
そして、しんぱいだったので、さすってあげようとしたら、「だいじょうぶだよ、じぶんでやるから
だいじょうぶだよ」って言ってました。そして、じぶんでさすってました。そしたら、独秦お兄ちゃんが
へんなこえを出して、じっとしてるので、「だいじょうぶ?」ってきいたら、「だいじょうぶだよ」って
言ってました。はれたたのわ治ってたけど、おもらししちゃったみたいで、「だれにも言わないでね」って
言ってました。言わないってやくそくして、帰りました。
おわり
644ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/05/05(木) 02:51:25
やべ、名前入れ忘れ
>>643は俺っちです。わかるだろうけど。
645('A`):2005/05/05(木) 13:09:52
ワロスwwwwwwww
646('A`):2005/05/06(金) 15:35:23
あげ
647('A`):2005/05/07(土) 15:44:14
あげ
648('A`):2005/05/08(日) 16:03:44
あげ
649お粗末:2005/05/09(月) 00:19:12
さて内向郡から撤退を開始した喪軍は、執拗な追撃から巧みに逃れ
馬を駆けさせること数日、漸く佛興府まで数里という地点に辿り着いた。
ここまで来れば最早追手もあるまいと、将兵は道々口を利きながら行軍していたが
話題に上るのは専ら、先の戦闘で行方が知れなくなった御托のことであった。

「あの大軍に単騎で突撃していったのだ、恐らく生きてはいまい」
と一同が深々と慨嘆するところ、彼方より土煙を巻き上げ此方を目指す馬蹄の音が轟く。
すわ敵の追手か、と皆々戦慄して身構えたが、見れば何やら見覚えのある馬装。
「あっ、あれは阿忌馬(※御托の持ち馬)ではないか」
と誰ともなく声を上げれば、薄汚いその毛艶といい、短く太い脚部といい、疑う余地もない。
駆け寄ってみると鞍上には、数本の槍に貫かれぐったりと昏倒する御托の姿。
「傷は酷いが、辛うじて息はある。早く城内に運べ」
喪手内直ちに命を下し、御托を早馬の後ろに乗せ替え、一足先に佛興府へと駆けさせた。
650お粗末:2005/05/09(月) 00:20:32
搬送された御托は息も絶え絶え、その命潰えるも時間の問題と思われたが
この時期佛興府に滞留していた名医華李の見立てにより、奇跡的に一命を取り留め
一月も経ると槍傷もほぼ快癒して、以前のような活気を取り戻すまでに至った。
しかしその後遺症は殊の外重く、馬に乗ることはおろか、槍を振るうことすら満足には出来ず
畢竟矢弾の間隙を抜けること到底叶わぬ体となってしまったので
以後の御托は、専ら内政や著述業に従事するようになったが
将軍職に固執する御托たっての願いから、陳国将軍の位は名目上残されたままとなった。

さてこの阿忌馬を繁々と眺めた顔醜、
「瀕死の主を乗せて窮地より逃れて参るとは、これぞ未曾有の名馬と呼ぶに相応しい」
思わず落涙しながら感嘆すれば
「拙者世に名馬と聞こえしものは数多見て参ったが、阿忌馬たるや馬中の赤兎に勝るとも劣らぬ」
矢羅傍が赤兎を引き合いに出して称揚した。この評判は忽ち人々の耳へと伝わり
阿忌馬は喪軍随一の名馬として知られ、喪将達にとって垂涎の的となったのである。
尤も荷馬とも驢馬ともつかない矮小な醜馬が、人知を逸した速度で疾駆する姿は
奇怪な事物に慣れ切った喪の面々でさえ、流石に不気味の念を禁じ得ないものではあった。
651お粗末:2005/05/09(月) 00:21:33
時にこの御托という男、元は徐州の人。当時徐州牧であった劉備に若くして仕官したものの
上官同僚とそりが合わず、闇雲に土地を出奔したが、結果それが幸いして戦火を免れることとなった。
出奔した御托は各地を遍歴し、身の程知らずに曹操、袁紹など大勢力は言うに及ばず
果ては漢中の張魯といった怪しげな連中にまで仕官を求めたが、何れもにべなく断られ
足の向くまま気の向くまま、当時飛ぶ鳥を落とす勢いであった孫策に仕官を求めるべく
遥々東呉へと足を向けたが、当然ここでも門前払いとなる。

常ならば悪態の一つも突きながら、新たな土地を目指す所であったが
この時期ばかりは少し様子が違っていた。時折しも喪手内が孫策の庇護下に投じた頃と重なり
それが為にこれまで何の価値も持たなかった彼の著作にも、幾分か需要が現れたのである。
己の著述に需要があると知った御托は、金銭欲も手伝ってか嬉々として筆を揮い
完成した著作は闇商人によって、直ちに喪軍内部に横流しされた。
これにより御托の名は一躍喪軍にも知れ渡ったが、如何せん誰一人として彼の人相を知る者がなく
加えて孫策暗殺計画が秘密裏に進行中であった事情が、互いに面識を得ることを許さなかった。

やがて孫策の死後、喪軍一行は佛興府へと派遣されたが
喪軍の入植当初は住民の流出を始め、政務上の課題が山積しており
文武諸官それぞれの職務に忙殺され、御托という名は次第に記憶の片隅へと追い遣られていった。
652お粗末:2005/05/09(月) 00:23:18
さて様々な問題を残しながらも、一先ず内政基盤が固まりつつあった建安八年(203年)
或る日の早朝、政務を怠り惰眠を貪っていた独秦の元に、一人の青年が訪ねて来た。

「大方出仕しろとの催促であろう、捨て置け」
喪手内が初めて彼を訪ねた日から、他者と会うのを好まぬ癖は一向に改善が見られぬようで
独秦は使用人に背を向けたまま、横柄な口調で上の如く言付けた。
これを受けた使用人は再び玄関へと歩いて行ったが、数分もするとぱたぱたと戻って来て
「どうでも会うと申して聞きませぬ」
と困惑の体。この返答に独秦些か気分を害し、一つ舌打ちをくれてのそりと起き上がると
寝惚け眼を不機嫌に細くして、寝巻きも着替えぬまま先方を待たせてある客間へと向かった。

客間に控えていたのは、如何にも鼻っ柱の強そうな書生面の小男。
年齢は三十路を越えた独秦より、一回りほども若いようであったが
既にその身には重厚な脂肪を纏い、髀肉の嘆などとは正に無縁という佇まいである。
とは言え、こと脂肪の厚さという点にかけては、豚足独秦に一日の長があると見えた。
653お粗末:2005/05/09(月) 00:25:30
さて挨拶もそこそこに独秦が相手の名を尋ねると、どうやら御托と申す者である。
その名前に独秦は何処か聞き覚えがあるようだったが、生憎とんと失念し
「して、その御托殿が一体何用でござるかな」
と何ともつれない態度。

思いがけぬ対応に御托は思わず拍子抜け、それと言うのも喪軍との仲立ちであった闇商人から
「御托殿の盛名、上は喪侯から下は一兵卒に至るまで、今や喪軍内で知らぬ者はおりませぬ」
とか聞いておったので、素性を明かせば熱烈な歓待を以って迎えられると当て込んでいた為である。
(おのれ全くの出鱈目ではないか)
御托は思わず歯噛みをするが、しかし先の商人の言葉も全くの嘘偽りではなく
単に佛興府政務上の煩雑から、御托の存在が徐々に埋もれていったというだけのことであった。
654お粗末:2005/05/09(月) 00:27:03
しかし御托も気を取り直し、愈々本題に掛かろうと口を開いたが
「良禽は木を択んで棲み、賢臣は主を択んで事うとか。
 某志学の頃より国を憂い世を嘆き、志を発して各地を歴訪して参ったが
 巷に群雄と呼ばれる者ども、皆一様に欲心に駆られ権力を恣にし
 民草を蔑ろにする有様にて、何れも我が忠心を捧ぐに足る器量には非ず云々」
と、斯くも持って回った口吻。
(何が言いたい、この若造めが。早う要点を言わぬか)
一向に要領を得ぬ話振りに加えて、随所に漂う衒学的な態度が、独秦の神経を一層逆撫でした。

「そこで独秦先生に仕官の口添えをお願い致しとうござる」
「残念だが承諾致しかねる。お引取り願おう」
言うなりさっさとその場を切り上げようとする独秦。
元々他人の仕官を斡旋してやるほどの甲斐性も持ち合わせてはおらぬが
早朝から長々と下らぬ能書きを聞かされた為に、冷淡な態度にも一際拍車がかかったのであった。
655お粗末:2005/05/09(月) 00:29:26
「あいや、待たれよ」
立ち去ろうとする独秦を、御托は芝居がかった調子で呼び止めると
懐中から切り札と目される木簡を数編取り出した。
これまで全く評価されなかった代物だが、ここ喪軍でなら或いはと思ったのであろう。
「論を結ぶ前に、先ずはこちらを御覧あれ」
「ふん、二喬の同仁志なぞ見飽きておるわい。これが一体何だというのか」
小馬鹿にした独秦の口調に、しかし御托はからからと大笑し
「流石は独秦先生。
 成る程、二喬如きで欣喜しているようではまだまだ未熟、固より話にならぬ。
 先生に御覧頂きたいのは、こちらの方にござる」
と新たな木簡を差し出す。独秦これを見るに忽ち顔色を変えて
「何と、これは呉国太様の同仁志ではないか」
「左様。僭越ながら先生は、呉国太様に大層御執心と聞き及んだものゆえ」(※「四顧の礼編」参照)
この意表を突く、数寄を凝らした持て成しに、独秦も些か面食らった様子である。
656お粗末:2005/05/09(月) 00:31:25
さてこの木簡の内容を、検めて行けば行くほど
繊細な筆致、独特の画風など、はて何処かで目にしたように思われる。
ここで独秦は漸く或る名前に思い当たった。
「まさか貴公が、かの高名な御托殿でござったか。
 知らぬこととは申せ、若輩者と侮った我が不明を愧づるばかりでござる」

独秦が拱手して深々点頭するを、御托慌てて押し止め
「これは勿体無い、先生こそ某が見込んだ通りの御仁。
 この様な方の下でならばこそ、我が才知も発揮出来ようというもの。
 改めてこの御托、先生から喪侯様に推薦して頂きとう存じまする」
御托直ちに平伏して再度懇願をする。
「仕官の件は身どもが責任を持って取り計らいましょう。
 身どもと致しても今日という日は正に、百年の知己を得たが如き心持ちにござる。
 直ぐに酒宴の準備をさせる故、酒でも一献酌み交わそうではござらぬか」
斯くして二人は朝っぱらから盃を取り交し、気脈の相通ずる所ありて忽ち意気投合を果たした。

この出来事を切欠として、両人は度々行動を共にするようになり
独秦は御托を弟子のように可愛がり、御托は独秦を敬い師事したが
癖の強いこの組合せは、軍内でも鼻つまみ者になることがしばしばであった。
ともあれ、御托の長い放浪生活はここに終わりを告げたのである。
時は建安八年(203年)、梅の花散り鶯の囀る春の日の出来事であった。
657('A`):2005/05/09(月) 00:58:24
素晴らしいの一言しかない
GJ
658お粗末:2005/05/09(月) 01:03:11
>>649-650の御托生存の項は>>598>>605の意向を汲んだもので
個人的にも「早すぎる御托の死」という感があったので書き加えてみましたが
「実は生きていた」というパターンは童貞の時にも一度使った手法なので
あまりに不自然なようでしたら削って頂いて結構です

>>651-656は「御托参加の描写がない」(>>599)という点を補填する
本編中の余談というべき位置付けになります
仮に>>649-650が削除扱いになっても、こちらは単独で成り立つと思います
659('A`):2005/05/09(月) 01:51:07
あんた天才だよ・・・
俺も御托復活の話書こうと思ったが、どうしても
保自厨が絡んできて納得いかなかった。
660('A`):2005/05/09(月) 18:14:47
>時にこの御托という男、元は徐州の人。

ここ素晴らしすぎる
661汗喪:2005/05/09(月) 22:08:14
>お粗末様

やはり貴公は凄い。特に文章の上手さはブッチギリですな。

漏れも時間のある時にでも書き込んでいこうかと思います。(ちなみに今帰宅しました。忙しすぎ。)
662('A`):2005/05/10(火) 18:21:32
乙&お帰り&保守
663ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/05/11(水) 02:00:39
11月6日(日)

今日も、いいおてんきだったので、公園にいきました。
そしたら、また独秦おにいちゃんがいて、「おそいよ」っていわれました。
やくそくしたおぼえはないけど、ちょっとおこってるみたいで、ちょっとこわかったので
あやまりました。そして、アメをくれました。
独秦おにいちゃんが、林のほうに行こうといったので、いきました。そして、おにいちゃんが
「おいしゃさんごっこしよう」っていって、ふくをぬぐように言われたので、ぬぎました。
そしたら、なぜかまた、おにいちゃんのおなかの下がはれてるみたいなので、「おにいちゃんだいじょうぶ?」
ってきいたら、「せんせいだろ」ってこわいかおで言われました。こわかったので「せんせい、
だいじょうぶ?」って言いました。そしたら、「だいじょうぶだよ、ちょっとさするからみててね」って
言って、ずぼんをおろして、下だけはだかになりました。独秦おにいちゃんは、おなかにおにくが
いっぱいあって、そのおにくの中に小さないもむしみたいなシワシワのかわにつつまれたモノが
うまってて、それをおにいちゃんが二本のゆびでさすってました。おにいちゃんはいきがあらくなって
きてました。わたしが、「ちっちゃくてかわいいね」って言ったら、「そんなこと言っちゃだめだろ」って、
すごくおこりました。今まででいちばんこわかったけど、おにいちゃんがちょっと泣いてたので、はんせい
しました。
664ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/05/11(水) 02:01:14
「ごめんね、どなったりして。アンネちゃん、おにいちゃんの代わりにやってくれるかな?」って言って、
わたしがへんじする前に手をつかまれました。そして、おにいちゃんのいもむしをさわろうとしたら、公園の
方から「おい、なにやってんだこのやろう」ってこえがして、四人ぐらいの大人の人が走ってきました。
おにいちゃんはかおをまっさおにして走ろうとしたけど、さっきおろしたずぼんがからまってころんじゃって、
大人の人につかまりました。おにいちゃんは、泣きながら「すいません、すいません」ってずっとあやまってた
けど、大人の人に木のぼうでなぐられて、うずくまってました。大人の人は、「このへんたいやろう」とか
「でぶしね」とか、「どりるちんぽ」とか言いながら何回もなぐったりけったりしてました。そして、
けいさつの人がきて、つれて行かれました。けいさつの人が、「もうだいじょうぶだよ」っていって、
おうちまでおくってもらいました。そして、おうちでママが「もうあの人とは会わないでいいからね、
だいじょうぶだからね」って言いました。すごくほっとしました。だって、


  

    あのおっさんキモイから。



「安寧の日記」終
665ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/05/11(水) 02:03:25
はい、終わりです。電車の中でてきとーに暇つぶしに考えた奴だし、
クオリティもどうって事もないし、武ログ収録無しでもいいや。
666('A`):2005/05/12(木) 02:28:55
捕手
667('A`):2005/05/12(木) 14:23:01
泣いた
668('A`):2005/05/13(金) 18:58:55
勢い余って保守
669('A`):2005/05/14(土) 19:00:27
保守
670('A`):2005/05/14(土) 19:03:20
誘導兼宣伝

ラーメンとお酒が好きでちょっとマヌケな頑張りやさんのふたなりで目が不自由でいつもヌルヌルしてて
読書好きで涙腺がゆるく塩田で働くのが夢な塩と寒さと蛙に弱い

なめくじっ娘劇萌え
ttp://etc4.2ch.net/test/read.cgi/motenai/1114443769/l50

物書き(一人、しかも糞コテ)現る!

絵師&ss職人も引き続き募集中!
671('A`):2005/05/15(日) 18:12:17
あげ
672('A`):2005/05/16(月) 19:57:50
保守
673('A`):2005/05/17(火) 20:08:56
捕手
674('A`):2005/05/18(水) 18:16:09
ほす
675('A`):2005/05/19(木) 19:44:14
あげ
676('A`):2005/05/21(土) 00:30:01
保守
677('A`):2005/05/22(日) 01:39:09
保守
678('A`):2005/05/22(日) 21:21:04
もす
679('A`):2005/05/23(月) 21:56:38
揚げ
680('A`):2005/05/24(火) 18:28:13
ほす
681('A`):2005/05/25(水) 20:32:07
あげ
682('A`):2005/05/26(木) 01:30:49
てす
683('A`):2005/05/27(金) 01:41:32
FUCK!!
684('A`):2005/05/27(金) 21:57:40
ほし
685('A`):2005/05/29(日) 00:58:10
保守
686('A`):2005/05/29(日) 22:05:18
パンチョレンチョテンガチョ保守
687('A`):2005/05/30(月) 19:34:06
ほほほほ
688('A`):2005/06/01(水) 18:49:15
保守
689('A`):2005/06/02(木) 20:53:47
保守
690汗喪:2005/06/02(木) 23:12:47
天下は喪の下に統一された。
曹、孫、劉を始めとする全ての群雄は喪の軍門に下った。

「おらぁ、食い物が欲しけりゃひざまづきな」
今や天下の兵となった喪兵の暴政が吹き荒れた。

「お姉さま、悔しい・・・」
小喬は思わず肩を震わせ、袖口でそっと涙を拭った。
「小喬・・・」
大喬がその震える肩を抱きしめる。
(ああ・・・孫策様・・・なぜ我等を置いて逝ってしまわれたのですか・・・)

そんな悲しみに暮れる二喬を喪兵は目敏く見つけた。
「そこにおわすは呉の華と謳われた二喬様ではありませぬか、ウヒヒヒイヒヒヒヒヒヒヒヒ」
下劣極まりない嘗め回すような視線を投げかける喪。そんな喪に、大喬は恭しく頭を下げた。
「ああ、喪男様。我等はここ数日、何も口にしておりませぬ。もう喪男様の情の一欠けらにも縋る他
手立ては御座いませぬ・・・何卒、何卒・・・」
その美貌を謳われた二喬といえど、天下の主たる喪にはただただ服従するよりほかは無かった。
「ほほう、天下にその美を誇る二喬様が我等喪に縋りたいとはのう、時代とは無情なものよ、ウヒウヒ・・・
まあ食い物など幾らでも持ってゆけ。ただし手を使ってはならぬぞ。フヒヒヒヒヒヒヒ・・・」
大喬の身体をネットリと見回す喪。その手には巫女巫女茄子が握られていた。黒々と妖しく光を放ちつつ。
「手を使うなと申されましても・・・あっああ!」
戸惑う大喬の胸倉に手を掛け一気に引き裂いた。そして露わになった豊満な乳を鷲掴みにする喪。
「こうして持ってゆくのだよ、知らぬとは言わせぬぞ!」
その胸の谷間に黒々と逞しい茄子を捻じ込んだ。
「おおう、萌えだのう。ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒフウウウウヒヒヒヒ」
下劣な笑い声を上げる喪。大喬はその誇りを打ち砕かれ、ただただ涙を流した。
「おのれ、喪の分際で!」
我慢なら無い、と小喬は喪兵をキッと睨み付けた。
「ふん、威勢のいい事だ。そうだ、お主にもくれてやろう。ただし・・・
お主は下のクチで咥え込んでゆけい!ウヒヘヒヘヘヘヘヒヘヘヘヘヘヘヘ」

陵辱の宴は始まったばかりであった。
691汗喪:2005/06/02(木) 23:14:00
「・・・っく、これしきの事で吐くものかぁ・・・」

独秦率いる喪軍は呉の前に敗れ去った。そして独秦は呉の虜となった。
「しつこい喪めが・・・」
呉の拷問官も独秦のしぶとさには辟易としていた。
「これで終わりか、ふん」毒づく独秦。
「何を、言わせておけば!」拷問官が鞭を振り上げたその時である。
後方から張りのある、美しい声が聞こえてきた。
「わらわに任せよ。喪の機密、必ずや吐かせて見せようぞ」
その見事な裸体に薄布を纏い、現れた声の主は呉国太。呉の聖母ともいえる女性である。
呉国太は薄布を靡かせ、褌一枚で×の字に貼り付けられた独秦に歩み寄った。
「ふ、誰が来ようともこの独秦・・・うっ」
褌の上からでもコンモリと膨れ上がる独秦のフグリを一気に捩じ上げた。
「ほほほ、その強がりが何時まで持つかのう、おほほほほ・・・・」
呉国太のしなやかな指が独秦のフグリに一層深く捻じ込まれた。グリグリグリグリグリグリ・・・
「ほう、はっァァァァハァァァハアハアハアハアハアハアハアハアhァアハァハァハァ!!」
恥辱と快楽に身を捩じらせる独秦。

「うふふ、まだまだお楽しみはこれから・・・おほほほ・・・・」


同仁志『呉』第一章「二喬悶絶茄子地獄変 米が無ければ肉を喰え、ついでに俺の茄子も喰え」
同仁志『呉』第二章「わらわは呉国太、呉の女王サマ!独秦の独チンと一騎討ちヨ♪」
692汗喪:2005/06/02(木) 23:16:29
「・・・あやつ等、一体何を考えとるのだ」
焼け野原となった内向郡を検分に来ていた魯粛は焼け跡から同仁志を見つけ、目眩を覚えた。
「こんな物が公謹殿に見付かりでもしたら・・・曹操がどんな目にあったか知らぬでもあるまいに」
銅雀台に二喬を侍らしたい。こんな歌を歌った所為で水軍は全滅、曹操自身は命からがら逃げ帰った
のである。それが喪ごときがこんな物を書いていたなどと分かった日には木っ端微塵にされるであろう。
まあそれはそうと、魯粛はそそくさと腰帯に同仁志を仕舞い込んだ。
その姿は河原で春画を見付けた児童の如きであった。
「まだ無いかな・・・お?おぉぉぉおおおおおおおおおお!!これは!!!」
また何か見つけたようだ。「なになに・・・沙久羅譚とは!」

沙久羅譚新刊「地庚山に触手にゅるにゅる現わる!沙久羅出動『喪男の為に一肌ヌいじゃう♪』」
好評連載「独秦お兄ちゃんと少女『こりゃまいった、お兄ちゃん一本ヌかれちゃったな』」
最新超大作「女人族襲来!喪男の貞操、略奪の危機!『隠し持ってるモノをお出し!!』」

「こ、こりゃ大漁だわい。ん?巻末に何か書いてあるな・・・どれどれ」

御南仙人推奨「御南蒟蒻いよいよ登場!もう右手には戻れない。銅銭5銭にて新発売!」
喪男一「こりゃすごいわ」喪男二「餃子の皮をも凌ぐこの威力!」
巷の購入者から寄せられる賛美の嵐!!

「あの仙人・・・こんな所で副業か。全く胡散臭い広告出しおって。ま、まあこれも念の為探しておくか」


こうして内向郡陥落を期に、喪文化とも言うべき独特の文化が全中華に広がった。
それは静かに、しかし確実に中華の男を魅了しだしたのである。
それは喪の存在意義が暗に見出され始めた兆しでもあったのかも知れない・・・。
693('A`):2005/06/03(金) 00:02:22

ホンマおもろい
694('A`):2005/06/03(金) 00:17:44
オタの方向性が違うのでさっぱり意味が分からんけど、
何故かワロタ
695('A`):2005/06/04(土) 00:22:04
乙&あげ
696('A`):2005/06/04(土) 00:46:38
つるまんage
697('A`):2005/06/05(日) 02:16:28
つるまんage
698('A`):2005/06/05(日) 02:41:34
まとめブログのアドレスが変わったようなので一応貼っておく
http://curuhome.cururu.jp/yongokusi
699('A`):2005/06/05(日) 03:00:12
ジャストはどこ行ったんだろう
700('A`):2005/06/05(日) 22:19:00
あげ
701('A`):2005/06/08(水) 00:58:37
おいおい、このまま落ちるのか?
702('A`):2005/06/09(木) 00:50:54
ほしゅ
703('A`):2005/06/09(木) 21:00:20
まだだ、まだ終わらんよ
704ワンダー喪喪 ◆T3HqDEgOKE :2005/06/10(金) 03:48:05
うっすらと構想みたいなのはあるんだけど、
具体化する時間がneeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!
705('A`):2005/06/10(金) 20:12:26
捕手
706('A`):2005/06/11(土) 03:25:25
保守
707('A`):2005/06/11(土) 23:48:51
保守
708('A`):2005/06/12(日) 21:00:17
もっこり
709('A`):2005/06/13(月) 20:03:28
ほき
710('A`):2005/06/14(火) 22:48:51
捕手
711('A`):2005/06/15(水) 22:46:18
hoshu
712('A`):2005/06/16(木) 22:42:41
保守
713('A`):2005/06/17(金) 22:58:52
age
714('A`):2005/06/18(土) 23:20:10
保守
715('A`):2005/06/19(日) 11:34:07
保守
716お粗末:2005/06/19(日) 15:05:48
>>656
御托の項は余談である。

さて完膚無きまで喪軍を撃退した張遼は、直ちに内向郡に入城しようとするところ、
曹操からの急使が届いたと言うので、取る物も取り敢えず面会をすることとなった。

その報告によれば長江を所狭しと埋めていた大船団は、孔明と周瑜の火計に因り壊乱。
将兵は悉く鏖殺の憂き目に遭い、戦場は正に酸鼻を極める状況ということである。
これには張遼も俄かに信じられぬと見えて、暫時は言葉も出なかったが
「丞相は御無事か」
とやっと一声尋ねれば、急使蒼白な顔で申して曰く
「炎上する船体からはどうにかお救い申し上げたものの
 辺り一帯は孫権と劉備の兵に包囲されて、袋の鼠でござる」

これを聞くや張遼仰天して、大急ぎで将兵を取り纏めた。
「斯くなる上は、喪の連中などにかかずらってはおれまい。
 全軍直ちに反転して丞相の救出に向かう。遅れた者は斬って捨てるぞ」
この為張遼の大軍勢は満ち潮の引くが如く撤退し、内向郡から忽然とその姿を消したのである。
717お粗末:2005/06/19(日) 15:06:57
一方佛興府にも、虎必兵からの情報が相次いで齎(もたら)されたが
それに拠れば張遼隊は一人残らず引き上げて、現在内向郡は蛻の殻であるとのこと。
この知らせを聞いた独秦は、忽ち横手を打って
「張遼が撤退したということは、きっと例の火計が功を奏したか」
と叫ぶなり、今が好機と矢羅傍を引き連れ内向郡に取って返したが
いざ現地に到着してみると城門は固く閉ざされ、空には「劉」と大書された軍旗が悠然と靡いている。

「これは独秦殿に矢羅傍将軍、御無事で何より」
一同呆気にとられて声のする城壁上を見遣れば、其処に佇むは正しく諸葛亮その人である。
「孔明殿、これは一体何のお積りか」
「貴軍の領地が再び賊どもに蹂躙されぬよう、こうして兵を留め置いた次第でござる」
「御心遣い痛み入る。されば早速明け渡しをお願いしたい」
718お粗末:2005/06/19(日) 15:08:27
しかしこの要求に、孔明顔色一つ変えず
「無論そうする積りではござるが、今は何分戦時下のこと故、此方の守備は一先ず我々に御任せ頂き
 貴軍に於かれましては、一度御帰還になって本拠を固めるが最善の策にござろう」
と理屈を並べ、頑として飲もうとしない。
「貴様、左様なことを申してそのまま居座る魂胆であろうが」
業を煮やした独秦が激昂すれば、孔明途端に柔和な表情を崩して
「何と、今の言葉は聞き捨てならぬぞ。
 身どもはこの土地が敵の手に渡らぬよう、貴重な兵力を割いて救援せんとしたもの。
 感謝を受ける道理こそあれ、斯様な謗りを蒙る謂れはござらぬ」
と激しく難詰する。

これにより場の空気は俄かに殺気立ったが
「軍師殿、何にしても今は打つ手がない。佛興府に兵を退こう」
と矢羅傍が密かに耳打ちしたので、一先ず独秦もこの場は矛を収めて帰途に着いたが、その道すがら
「孔明にまんまと一杯食わされた」
と地団駄踏んで口惜しがったものであった。
719お粗末:2005/06/19(日) 15:09:12
さて青史上に名高い赤壁大戦は、見事劉孫喪連合軍の勝利に終わったが
喪軍の兵力は張遼との戦闘で著しく疲弊し、その損害は劉孫の陣営と比べても一際甚大であった。
のみならず、内向郡には未だ劉備の兵が居座って、明け渡そうという気配すら見せない。
斯くの如くこの大戦に於ける喪軍の戦果は、実質敗戦に等しいものであった。

更に追い討ちをかけるように、或る事件が喪軍に激震を与えた。
呉侯孫権が「喪軍独立」の誓約を撤回、反故にすると宣言したのである。

これには流石の喪手内も怒り心頭に発し、直ちに義弟二人と独秦を引き連れて
呉侯との談判に及ぶべく居城へと乗り込んだが、生憎孫権との謁見は叶わず
その名代として大都督の周瑜が当たることとなった。
720お粗末:2005/06/19(日) 15:11:14
さて周瑜と対座した喪手内は、努めて冷静を装いながらも開口一番
「そもそも此度の大戦が終結すれば、我々は呉侯から独立の承認を頂く約束でござった。
 さればこそ諸将も身命を賭して戦に臨んだと言うに、ここに至ってそれを反故にするとは
 一体呉侯は如何なる御了見であらせられるか」
と捲くし立てたが、周瑜はそれを静かに手で制して
「独立を認めるということは、即ち対等の立場で誼を結ぶことに他なりませぬ。
 僭越ながら呉侯は貴殿らの戦を御覧じ、未だ共に語るには足らずと御判断を下されたのでござる」
言うなり近衛兵に命じて、論功行賞の一覧を持ってこさせると
「こうして御覧頂けば、誰の目にも瞭然でござろう。
 玄徳殿の軍と我らが呉侯の軍、何れもその戦果華々しく拮抗したものなれど
 こなた喪侯の軍たるや、敵将一人の首も挙げられてはおりませぬ」
これでは独立など到底認められぬ、と申すのであった。

喪手内はこれに返す言葉もなく、じっと唇を噛んで激情を抑えていたが
その表情を見て取った周瑜、切れ長の瞳をぎらりと光らせ
「これは喪手内殿、どうあっても御不満であると見える。
 まさかこの裁定を不服として、兵を挙げるとか申されるのではござらぬな」
と脅迫するような口調で語りかければ、喪手内思わずぎょっとして
「そんな、滅相もございませぬ」
と慌てて弁明を試みる。
「左様、左様。いや少し冗談が過ぎたようでござりまするな。
 それでは、これまで同様御忠勤に励まれますよう」

斯くして喪軍は孫権に再度帰順し、引き続きその傘下に置かれることとなったのである。
721お粗末:2005/06/19(日) 15:12:18
さて喪手内一行は、失意の内に佛興府に帰還したが
「此度のことは全て孔明と周瑜の差し金じゃ。彼奴ら端から我々を陥れる算段だったのだな」
と逸早く今回の舞台裏を読み取った喪手対が、思慮深げな様子で呟くところ
「喪手対よ、何やら思う所があるようだな」
喪手内が斯様に尋ねたので、喪手対一つ頷いて
「今回一連の出来事は、言うなれば全て仕組まれたことだったのでございます。
 即ち内向郡が横奪されたのも、独立の約束が反故にされたのも
 全て孔明と周瑜の思惑の内であった、ということでござる」
「ううむ、連中の掌で踊らされたという訳か」
敵ながら天晴な手腕である、と喪手内も思わず唸り声を挙げた。

のみならず、この一件は喪軍全体にも暗い落胆の影を落とし
(所詮喪男の理想郷など、夢物語に過ぎぬか)
というような諦観が、文武諸官から民草に至るまで蔓延しつつあった。
殊に後一手という所で独立の好機を逸したことは、一際慨嘆の種とされたのである。

正に戦勝ったが謀(はかりごと)敗れ、廻り廻って元の木阿弥というところ。
さて、失意の喪手内は如何なる手段を講ずるか。それは次回で。
722('A`):2005/06/19(日) 17:55:24
乙!!!
保守した甲斐があるってもんだ
723('A`):2005/06/20(月) 16:02:42
724('A`):2005/06/20(月) 21:59:20
age
725('A`):2005/06/20(月) 22:19:29
夏喪とかジャストはどこいったんだ
726('A`):2005/06/21(火) 20:58:14
作者急病のため(ry
727('A`):2005/06/22(水) 23:09:48
あげ
728('A`):2005/06/23(木) 22:20:27
保守
729('A`):2005/06/25(土) 01:31:28
捕手
730('A`):2005/06/26(日) 00:06:34
あげ
731('A`):2005/06/26(日) 16:56:14
          /    <__ \ \/ノ
         /   /<__ \ \ ヘ /⌒/   こしさんってさあ...
         /  〆  └--、ヽ、\ - \ |
         / レ\ =ミ=、__/丶  -     〉 なんてゆうか...
       / ン/  (- =、 > <( \       |
       し/  ミ   'ー--ヘ/ \ミiヽ     {  ばかなくせにプライド高くて、付きあいづらいんだよね。
       リ/   /    ン /("ミ 、 、ヘ      > 、
       |    /<.o イ  'ー ヾ / >、  ∠/ヽヘ  相手に気に入らない事があると死ぬまで
     ,.-/|   -=、_/ "|   _∠/  \(⌒)   ノ \ 延々と罵倒し続ける・・・・自分が悪くてもね。
   / | \ヽ   ヽ,-\}   ∠ノ      ヾ、 /    \ 姿は大人、頭脳は子供。
 ̄<   !  `\      /___    \/ \(     \そう、逆江戸川コナンなんですよ彼は。
_ \   !    > ー-- イ  \_    ̄ ̄\_\    (   
!  ̄ ̄ ヽ /{  )\ |   ∠       ノ)ヽ、
       \ /⌒\ 〉   ̄ /       / >\
         \ い /     /       //ノ
          \ /     /       / /

732('A`):2005/06/27(月) 01:48:06
よし、ここは保守
733('A`):2005/06/28(火) 00:11:38
保守
734('A`):2005/06/29(水) 01:17:03
捕手
735('A`):2005/06/29(水) 01:39:11
真・無双の2でもやってくるかな…
736('A`):2005/06/29(水) 23:47:34
ホシュ
737('A`):2005/07/01(金) 02:21:10
ホシュ
738('A`):2005/07/01(金) 23:27:39
恋を語らず何を語る?という世の中ですが、
このコピペを必ず5つのスレに書き込んでください。
あなたの好きな人に10日以内に告白されます
嘘だと思うんなら無視してください。
ちなみにあなたの運勢が良かったら5日以内に告白&告白したらOKされます
739汗喪:2005/07/02(土) 21:13:55
「貴公の属官になれ・・・と」
一人の喪が前を見据えた。その視線の先には周瑜、いわずと知れた呉の大都督があった。
「そうでは御座らぬ。貴公には我の補佐官とし、共に江陵の攻略を・・・」
喪に対して常に驕慢である周瑜が、この喪には酷く気を削っている様であった。
「つまりそれ以上は望めぬ、と言う事で御座ろう」
その喪はそう吐き捨てると周瑜の静止を振り解き、さっさと其処を後にした。

「公瑾殿。如何に喪とは言え、あの喪に限っては其れなりの礼と待遇を持って迎えるべきでは・・・」
二人の遣り取りを黙って見守っていた魯粛が口を開いた。
「其れは我とて解って御座る。しかし、如何に才溢れようともあの様な喪に・・・」
何とも苦々しい表情で唇を噛む周瑜。


「ふん。美周郎などど持て囃されてはいるが、何と尻の穴の小さい男よ」
居城を後にし、またも毒づく喪。その喪の身なりと言えば薄汚れた着物を無造作に纏い、
髪は伸びるに任せ、吐く息と言えば常に酒臭い。尚も性質の悪い事にその卑しさを隠そうともしない。
周瑜に限らず、重く用いるには何かと不自由を感じさせる喪である。
「どれ、此処は一つ伏龍にでも頼ってみるか」
喪はそう思案すると、やや溜息混じりに馬に鞭を入れた。
740汗喪:2005/07/02(土) 21:15:50
さて、内向郡を掠め取られ、またも呉の傘下に組入れられた喪手内率いる喪男。
独立を目前に打ち砕かれた傷は何とも重く、やる事と言えばただただ自慰に耽るのみであった。

「所詮は夢、幻であったか・・・」
同人誌を放り投げ、大きく溜息をつき寝転がる喪手内。
「過ぎた夢で御座った・・・」と矢羅傍。「こんな事だろうと思った・・・」いつもの自己完結に至る喪手対。
どんよりとした焦燥感が喪手内達を包み込んでいた。と其処へ独秦がやって来た。
「殿、大変申し上げにくい事では御座いますが、兵糧が底を尽きそうに御座いまする。此処は一つ、子敬殿に
執り成して貰ってお借りしては・・・」と此方も暗い表情の独秦。
「・・・良きに計らえ、はぁ〜」
今や巫女巫女茄子、御南蒟蒻の利権も取り上げられた喪の収入源と言えば、精々同人誌の密売くらいしかなく、
この様にその日を凌ぐ兵糧にすら事欠く有様であった。
「・・・では早速・・・」
先程と変わらず暗い表情で答える独秦。

「もう喪は駄目かも知れんな・・・」
深い溜息混じりに御托に語りかける独秦。
「で、いつ発たれるのですか」
「ああ準備が整い次第、発とうと思っておる。そこで御主の同人誌を
子敬殿の手土産にと思うてな」
「左様で御座いますか・・・しからば此れを。最新作に御座います。それともう一作・・・」
御托はそう言って同人誌の書簡を二作取り出した。
「ふむ、此れは子敬殿に。もう一作は誰に・・・」
そう確かめる独秦に御托がそっと耳打ちをした。
「ななななな、何と、あの喪のに、いやあの者にか」
目を丸くして驚く独秦に、御托はにやりと笑いかける。
「同人誌の密売を通じて誼を結びましてな・・・独秦殿、喪の再起、無きにしも非ずに御座いまするぞ」
741汗喪:2005/07/02(土) 21:17:40
此処は内向郡、劉備が喪から奪い取った領地である。

「へ、全く時化た所だぜ」
馬に跨り張飛が吐き捨てる。女もいなけりゃ大した娯楽も無い。張飛ならずとも嫌になるのは無理も無かった。
が、いつもの様に酒店にて憂さ晴らしの酒でも、と立ち寄った酒店で店主が「ほんのお慰みに」と
御南蒟蒻を献上してきた。(け、くだらねえ)と思いつつも懐にしっかりと仕舞い城に帰る張飛。

「全くよお・・・何だぁこりゃぁ」
何となく、いや使い方など容易に想像できる御南蒟蒻を弄ぶ張飛。
「ふん、妙な感触しやがって・・・ぷにぷにぷにぷに・・・・おーい誰か居らんかー
玄徳大兄ー雲長兄者ー居らんかー・・・誰も居らん様だの・・・ぷにぷに・・・」
ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷ二ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに
ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに
ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷ二ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに
ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに
ぷにぷにぷにぷにはあぅっぅぅっぅっぅぅっぅぅおおおぉぉぉぷにぷにぷにぷに

(け、汚らわしい)
偶然通りがかった孔明。その目に映る張飛の毛むくじゃらの下半身と
其れを弄ぶ張飛。
(益徳殿だけは喪に近い物があるな・・・)
思わず白羽扇で口元を抑えた。

「喪にも中々いい処があるじゃねえか」
ハァハァと光悦の表情で息を切らす張飛であった。
742汗喪:2005/07/02(土) 21:19:59
「ほう、ほぁあああぁあああああぁはああっぁはああぁああぁあ、はぁっ」
此処、呉の外れのあばら家でも一人の喪が自慰に勤しんでいた。そう、あの喪である。
「ふうぅぅぅ流石は御托殿の同人誌、何と言っても飛びが違う。自作が待ち遠しいわい。」
いい汗掻いた、とばかりに此方も光悦の表情で呟く喪。所は変わっても喪のやる事に大差は無い。

「相変わらずだな、御主も」
あばら家の窓から覗き込む独秦。
「おお、これは豚足殿。いつ呉に参られた。そんな所に立っていないで、ささ、入られよ。
む、その手に持っているのは・・・同人誌か」
その喪は欣喜雀躍と独秦の手を引いた。手は洗っていない。

「・・・んん、ごほん。そなた程の功績ならばさぞかし厚遇されたであろうな。何と言っても
先の赤壁大戦の立役者で仰せられるからな」
独秦は気を取り直してその喪を持ち上げる。
「いやいや・・・あの美周郎殿の胆の小さい事小さい事。このワシに補佐に廻れ、などと
言いよる。あの様な細っ腹では江稜一つ満足に落とせまい」
酒をぐいっと一飲みし吐き捨てる喪。
「のう豚足殿、兵糧を借りに行くと言っておったな。あの美男殿が江稜を攻めれば自ずと佛興府が補給の中継地点となろう。
さすれば今、兵糧などで借りを作らずとも自然と軍需で潤うであろうて」
酔っ払いながらもその頭の切れは孔明、周瑜そして独秦に匹敵する物があった。

そう、この喪男。かの伏龍孔明、豚足独秦と並び、天下に名高い鳳雛?統その人である。

「しかしそれ程の頭脳を持ち、先の赤壁においても筆頭級の活躍を見せた御主が冷や飯食いとはのう・・・」
勿論、独秦にはその理由が解っていた。そう、?統も喪男であるという事だ。
「・・・ふ、豚足よ。御主の思惑くらい解っておるわ。よいよい、我とて孫や劉に恩がある訳でも無し、
寧ろ周瑜には因縁すら感じておるよ」
思惑を見透かされた独秦は少々戸惑いを見せながらも可々大笑いとばかりに笑って見せた。
「全く御主には叶わんな」
743汗喪:2005/07/02(土) 21:21:46
さて、此処許昌では喪手杉達が苦悶の日々を送っていた。

内向郡での失態、そして喪に掘られた事を公表された屈辱・・・それは赤壁にて大敗を喫し、
鬱憤の溜まっていた魏将達のいい捌け口となっていた。

「さあ今宵は憂さ晴らしじゃ。飲んで飲んで日頃の憂さを晴らそうぞ」
曹操の嫡男、曹丕が杯を掲げる。
「おっとこれは喪手杉殿。御主には酒よりも此方が良かろうて」
持ってこさせた物は御南蒟蒻に巫女巫女茄子。
「ふはははははははははは。ささ、遠慮は要らぬぞ。どちらからでも大いに楽しむが良いわ」
底意地悪く嘲る曹丕。
「ぶははははあははあはは子垣様、楽しめとは。」
徐晃が笑い転げる。
「ならば茄子で御座ろう、何ならワシが皮を剥いて進ぜようぞ。ひゃひゃひゃひゃひゃ」
続く夏候淵。
「いやいやワシがそなたに新しい自慰道具を発明してやろう」
悪乗りする李典。

「・・・拙者、気分が優れぬ故、此れにて失礼致す」
肩を震わせ絞り出すような声で宴席を後にする喪手杉と畏敬面。
「ん、では後でそなた達の寝床に茄子を届けて進ぜよう。共に楽しむが良いわ」
追い討ちを掛ける曹丕の言葉に侮蔑の大笑いを浴びせる魏将達。

「我慢、ならぬ・・・」
屈辱に身を震わせ、宮殿の庭を当ても無く彷徨う二人。
「っく・・・くくく・・・」
思わず声にならない嗚咽を漏らす。
「もう、終わりか・・・」
喪手杉が諦めの声を上げる。その時、何処からとも無く嘆きの声が聞こえてきた。喪手杉達では無い。
(また嫌がらせか)そう思う二人の目に飛び込んできたのは、池に掛かる橋の上で涙に暮れる一人の男であった。
着ている着物は豪華絢爛を極め、その色は黄色・・・そう漢帝国最後の皇帝、献帝劉協であった。

「こ、これは皇帝陛下。ご機嫌麗しゅう・・・我々は曹丞相が客将、喪手杉に畏敬面に御座いまする」
いきなりの事に戸惑う二人。
「・・・そうか。今宵の宴は何とも面白う無い。朝廷を曹氏に蹂躙されし朕にはあの宴だけが唯一の心の拠り所。
曹丞相は朕から其れすらも奪おうというのか・・・そなた達の事も聞き及んでおる。惨い事をするのう」
自分自身、そして二人に哀れみを掛ける様子で献帝が呟く。
「あの合棍と言う者が仕切る宴は賑わいと色気に満ち溢れておった。だが近頃の宴は・・・」
その発言にはっと目を剥く二人
「な、何と仰せられまするか。合棍は我等が盟友に御座います」
「何、ならば合棍はどうした。今何処にいるのか」
身を乗り出し二人に問い詰める献帝。
「それが・・・荊州にて先の戦で行方が知れず、我等も心配している所存に御座います。
陛下、我等に合棍捜索を命じ下さいませ。合棍が帰れば此処許昌にも潤いが戻りましょう」
許昌を離れる好機とばかりに献帝に申し出る二人。しかし献帝の思惑は二人の想像を遥かに超えていた。
「何と、荊州と。ならば早速探しに行けい。そして・・・」
献帝の命はこれだけではなかった。もう一つ、恐るべき命が下された。
「荊州の劉玄徳に朕の言葉を伝えよ。〔あの勅命はまだ生きておる〕とな」
献帝はそう言うと玉帯を喪手杉に取らせた。董承に取らせたあの玉帯と同じ意味合いである。

翌日、喪手杉、畏敬面の二人に命が下った。表向きは「合棍を探し、許昌に潤いを取り戻す」
しかしもう一つの目的は

       「曹氏を打倒し、漢の社稷を取り戻せ」

喪手杉、畏敬面の二人は許昌を後にし、劉備の元へと走り出す。大いなる思惑をその胸に。

昨日の勝利は今日の勝利とは限らず、また敗北も然り。
独立していようと属していようと、乱世は英雄豪傑そして美男喪男に休む暇を与えるべくも無かった。
744汗喪:2005/07/02(土) 21:30:36
補足:中国では「黄色」は皇帝の色とされ、皇帝以外の人間には「禁色」とされた。
   この風習は中国最後の皇帝「愛新覚羅溥儀」の時代まで続く事となる。

注.「清朝」という事であえて「中国最後の皇帝」と明記。
745('A`):2005/07/03(日) 00:16:31
(・∀・)イイヨイイヨー
746('A`):2005/07/03(日) 16:32:28
待ってたぜ!!
747金旋:2005/07/04(月) 18:48:11
超乙
748('A`):2005/07/05(火) 21:18:21
ほしゅ
749('A`):2005/07/07(木) 00:12:28
あげ
750('A`):2005/07/08(金) 02:18:50
ほす
751('A`):2005/07/08(金) 23:40:03
おす
752('A`):2005/07/10(日) 01:33:41
ほしゅ
753('A`):2005/07/11(月) 11:10:27
あげ
754('A`):2005/07/11(月) 20:44:35
ほしゅ
755('A`):2005/07/12(火) 22:43:00
ほしゅ
756('A`):2005/07/12(火) 23:26:08
最高じゃん!!
757('A`):2005/07/14(木) 12:52:43
保守
758('A`):2005/07/15(金) 03:51:01
荒らしが侵攻しております!
759('A`):2005/07/15(金) 03:51:28
緊急保守
760('A`):2005/07/15(金) 04:19:44
奇襲だ!奇襲だ!
761('A`):2005/07/15(金) 04:21:29
一体何があったんだ?
762('A`):2005/07/15(金) 18:24:05
hosyu
763('A`):2005/07/17(日) 16:06:04
ほしゅ
764('A`):2005/07/17(日) 16:07:03
ほしゅ
765('A`):2005/07/19(火) 19:23:23
ほしゅ
766('A`):2005/07/21(木) 22:28:38
ほす
767('A`):2005/07/23(土) 18:06:44
ほしゅ
768('A`):2005/07/25(月) 21:35:45
あけけ
769('A`):2005/07/26(火) 21:44:11
sge
770('A`):2005/07/27(水) 22:16:09
ほしゅ
771('A`):2005/07/29(金) 16:55:33
捕手
772('A`):2005/07/30(土) 23:20:55 0
保守
773('A`):2005/07/31(日) 20:53:15 0
774('A`):2005/08/02(火) 23:10:00 0
h
775('A`):2005/08/02(火) 23:29:34 0
1ヶ月か…
776('A`):2005/08/03(水) 16:14:19 0
待つ身はつらいいな
777('A`):2005/08/03(水) 23:34:02 0
このスレが1000いくまでほしゅしつづける
778('A`):2005/08/04(木) 17:59:39 0
漏れも保守るぜ ('A`)
779('A`):2005/08/06(土) 00:54:04 0
保守
780お粗末:2005/08/06(土) 22:18:19 0
さて内向郡の検分を終えた魯粛は、焼け跡から発掘した戦利品を手提袋に詰め
得々とした顔付きで屋敷に戻ると、その一つ一つを詳らかにするべく自室に篭ったが
その際使いの者に命じて避客牌を掲げさせ、人払いを行うという念の入れ様であった。

押収した物品は煤や粉塵で薄汚れ、中には判読するに甚だ難き物も存在したが
それらを丹念に修復し吟味して行くにつれて、魯粛も思わず感嘆せざるを得なかった。
殊にあの珍奇な喪男どもが、斯くの如く独自の文化を根付かせていたことは
瞠目するに足るべき事実であったし、作中に度々描かれる婦女子の絵姿は
実在のそれとは様相を異にしていたが、不思議と魯粛の琴線に触れるものであった。

こうして半日程の内に殆ど読了してしまったが、魯粛の手は未だ休まることを知らぬ。
やがてその袋から取り出したるは、先刻の二喬同仁志である。
(かの二喬の痴態を描くとは、何と罰当たりな)
と憤懣を覚えぬでもなかったが、主君の妃や上官の妻が強姦されている様は
奇妙な背徳感を催すものであり、一層強い劣情を喚起させるのも事実ではあった。

たかが春画とは雖も、天下に名高い二喬の痴態に触れて、魯粛も愈々辛抱堪らなくなり
すわ今こそ事に及ばん、と急いで衣をたくし上げようとするところ
「子敬、子敬」
と背後から呼ばわる声。
魯粛がぎょっとして振り返れば、そこに佇むは誰あろう、周公瑾である。
781お粗末:2005/08/06(土) 22:19:02 0
「こ、これは公瑾殿。確か門には避客牌を掛けていた筈だが」
「突然貴公の顔が見たくなったので、無理を言って通して貰ったのだ。
 此度の劉備軍との交渉、及び内向郡の検分の任務、真に御苦労であった」
「某は当然の責務を果たしたのみにござれば、勿体無い御言葉にござる」

瞬間魯粛は件の同仁志を懐中に忍ばせ、何事も無かったかのように振舞うが
目敏くも不審な動作に気付いた周瑜、胡乱気な瞳で
「貴公、今何を懐に隠した」
「いやさ大した物ではござらぬ故、敢えて都督の御目を汚すこともござるまい」
「構わぬ、見せてみよ」

周瑜の語気に根負けして、魯粛が渋々ながら同仁志を手渡す。
渡された当人もしばし不思議そうな表情で、それを矯めつ眇めつしていたが
その内容が愈々核心(小喬陵辱)に至ると、忽ち鬼のような形相になって
「子敬、貴様っ」
と剣の柄に手をかける。これには魯粛も顔面を蒼白にして
「誤解、誤解でござる」
と何とか周瑜を宥めようと画策する。
782お粗末:2005/08/06(土) 22:21:34 0
「おのれ、何が誤解か。事と次第によってはただでは済まさぬぞ」
「落ち着いて話をお聞き下され、公瑾殿。
 この見るも忌まわしい書物は、喪の領地である内向郡より発見せし物にござって
 聞けば連中、斯様な悪書を濫造しては、それを売買して財源に変えて居るとのこと。
 いや真に憎むべきは禽獣の如き喪の輩、妄想なりと雖も公瑾殿の奥方にまで獣欲の牙を向け
 恐れを知らぬとは正しく彼奴等の事でござる」
ここぞとばかりに長弁舌を揮って、喪軍に罪を擦り付ける魯粛である。
「成る程、顛末は分かった。しかし私が声をかけた時、何故それを隠そうとしたのだ」

この詰問には魯粛、一瞬言葉に詰まった。
「二喬の痴態を肴にして、自涜に及ぼうとした」などと、馬鹿正直に申し述べれば
忽ち周瑜の逆鱗に触れ、我が首が宙に舞うという事態にもなりかねぬ。

しかしそこは魯子敬、一見冴えない風貌ながら流石の機転を働かせ
「斯様な書物が都督の御目に触れれば、奥方思いで評判の貴殿のこと故、
 激情に任せて喪軍討伐などと言い出しはすまいか、と懸念したのでござる。
 確かに喪軍のこの狼藉、某も腸が煮え繰り返る思いでござるが
 かの連中にはまだ利用価値がございますれば、今攻め滅ぼすは些か早計かと存じます」
「まだ利用価値があると申すか。我々としても利用価値があればこそ
 今日まであの忌々しい連中を生かしておったが、もう頃合ではあるまいか」
783お粗末:2005/08/06(土) 22:22:08 0
「今都督の御手元にあるのは、所謂『同仁志』と申して
 喪軍の財政をして、潤沢たらしめている要因の一つにござる。
 佛興府を貸与して以来、連中の国力が日の出の勢いで増大していったのには
 一つにはこの同仁志を中心とした、経済の仕組みが確立しておったからに他なりませぬ」
これは魯粛の慧眼であった。
佛興府(及び内向郡)の財政はその規模の割に、比較的豊かであったと言えるが
その原因の一つは、確かにこの部分に根差していたのである。

「ふむ、つまりその『同仁志』とやらの販売を規制し、我々の管理下に置けば
 当面の間資金源として活用出来る、という訳だな」
「左様にございます。
 喪軍は赤壁の傷が未だ癒えておらず、武力を背景に恫喝すれば承服せざるを得ますまい。
 また我が軍としても曹操の大軍に立ち向かうのに、軍資金は多きに若くはございませぬ」

この魯粛の献言を受けて、周瑜は直ちに佛興府に対して同仁志の規制を布告した。
その内実は以下の通りである。

一、同仁志の販売には都督の許可を必要とする
一、同仁志の収益は、七割を租税として呉侯に納めること
一、孫家に連なる人物を冒涜する著作に携わった者は、打ち首獄門に処す

また上記の文言に加えて、魯粛の更なる提言により「朝娘。」の興行収入や
「御喃蒟蒻」「巫女巫女茄子」等にも課税が成された為、喪軍の財政は著しく衰退した。
この搾取としか思えぬ政令に、佛興府内は周瑜に対する怨嗟の声で満ち満ちたのである。
784お粗末:2005/08/06(土) 22:33:28 0
順序がごしゃごしゃになって恐縮ですが

>>649-656(御托生還、御托余談の項)
>>716-721(孔明内向郡占拠、喪軍独立失敗の項)
>>690-692(魯粛内向郡検分の項…汗喪氏作)
>>780-783(同仁志規制の項)
>>740-743(周瑜がホウ統を冷遇、喪手杉勅命の項…汗喪氏作)

勝手ながらこのように読んで頂ければ幸甚
785('A`):2005/08/07(日) 00:33:15 0
おああああ!!
お粗末氏乙ですああああああああ!!!
魯粛が喪に染まりつつあるのが気になるところだなあww
786('A`):2005/08/08(月) 03:04:35 0
再びほしゅ
787('A`):2005/08/09(火) 01:16:28 0
ほしゅ
788('A`):2005/08/11(木) 01:36:03 0
保守
789('A`):2005/08/12(金) 20:51:12 0
保守
790('A`):2005/08/13(土) 23:39:20 0
ほしゅ
791('A`):2005/08/15(月) 01:03:31 0
ほしゅ
792('A`):2005/08/16(火) 08:59:33 0
保守
793('A`):2005/08/17(水) 23:32:26 0
hosyu
794金旋:2005/08/20(土) 01:15:19 0
ho
795('A`):2005/08/20(土) 22:54:51 0
ho
796('A`):2005/08/21(日) 23:04:50 0
保守
797('A`):2005/08/22(月) 22:10:07 0
h
798('A`):2005/08/24(水) 18:59:08 0
h
799('A`):2005/08/25(木) 22:34:22 0
ho
800('A`):2005/08/27(土) 00:56:05 0
しゅ
801('A`):2005/08/28(日) 11:06:37 0
h
802('A`):2005/08/29(月) 21:04:44 0
ho
803('A`):2005/08/30(火) 21:20:41 0
h
804('A`):2005/08/31(水) 22:52:52 0
h
805('A`):2005/09/01(木) 21:50:38 0
9月だよ
806('A`):2005/09/02(金) 18:25:37 0
ぱっしゅ
807('A`):2005/09/03(土) 20:29:02 0
h
808('A`):2005/09/04(日) 23:29:56 0
もう終わりかな
809('A`):2005/09/05(月) 21:42:31 0
へーす
810('A`):2005/09/05(月) 23:03:20 0
そんな寂しいこと言わないで
811('A`):2005/09/06(火) 23:05:58 0
うむ
812('A`):2005/09/07(水) 22:59:36 0
でいや〜
813('A`):2005/09/07(水) 23:05:37 0
おいすー^^
814('A`):2005/09/08(木) 23:29:57 0
h
815('A`):2005/09/09(金) 23:56:40 0
ho
816('A`):2005/09/09(金) 23:57:21 0
うるあ
817名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 22:20:52 0
 
818('A`):2005/09/12(月) 04:04:19 0
h
819('A`):2005/09/12(月) 11:53:46 0
test
820('A`):2005/09/14(水) 00:42:41 0
うへあ
821('A`):2005/09/15(木) 01:03:15 0
ふほひ
822('A`):2005/09/16(金) 01:25:43 0
保守
823('A`):2005/09/17(土) 13:08:26 0
保守。


ってかこのスレ結構ながくね?
824('A`):2005/09/17(土) 13:10:20 0
初代スレから一年以上
このスレだけで9ヶ月くらい経ってるな
825('A`):2005/09/17(土) 13:56:24 0
喪板で古いほうから数えて5番目だな
地味に去年のスレだし
826('A`):2005/09/18(日) 22:20:39 0
1スレ目120あたりからファンの漏れもいるよ
827('A`):2005/09/20(火) 05:21:55 0
戦乱に散った喪将たちよ、このスレに力を・・・
828('A`)
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