http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/2012/08/17/post_140/ http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/2012/08/17/post_140/index2.php ロンドン五輪で、金メダルが松本薫(女子57キロ級)の1個にとどまり、男子は史上初めて金メダル「ゼロ」という
惨敗を喫した日本柔道。柔道の母国としての威信を失った最大の要因は、強化体制の不備および世界の柔道への
対策が不徹底だった点に尽きるだろう。
北京五輪後、男子の監督には篠原信一氏が、女子の監督には園田隆二氏が就任した。それまでの代表コーチ陣は、
ふたつないしひとつの階級を担当する形をとっていたが、ふたりの監督就任を機に担当制を廃止し、コーチの数も
5人から3人に減らした。
北京以前は、担当コーチと選手は二人三脚で該当階級の海外選手を研究し、対策を練っていた。ところが現体制では
コーチ陣が全階級を担当するため、個別の対策がどうしても不十分となってしまう。また、ひたすら走り込みと、
乱取りの数をこなすような合宿に、選手から不満が噴出していた。
今年だけで男子は11回も合宿を行ない、オーバーワークによってケガをする選手が続出。ケガを理由に合宿や国際大会を
「欠場」しようものなら、首脳陣は「もう代表には選ばない」とまるで脅しのような文句を投げかけた。
海老沼匡(男子66キロ級)や福見友子(女子48キロ級)、中村美里(女子52キロ級)といった世界ランク上位者が軒並み
敗れたのは、明らかに勤続疲労によってピーキングの失敗からだった。
確かに、08年から世界ランキング制度が導入され、22位までに入っていなければ五輪の出場資格はない。だが裏を返せば、
22位以内にさえ入っていれば五輪出場権は確保できるのだ。選手に無理を強いてまで世界ランク1位を目指す必要はなかった。
特定の選手だけを派遣しポイントを獲得させるのではなく、できるだけ多くの選手を派遣し、全体の底上げを図るべきではなかったか。
大会最終日、敗因を問われた男子監督の篠原氏は、選手の「精神面の弱さ」を挙げた。
「外国勢はメダルを獲りたいという意欲がすごい。もっとメンタル的なところをしっかり強化すべきだった」