バレンタインデーが終わっても話は続く。
憎女さんがバレンタインデーに嵌ったようです(4)
>>128から
テトと羽音リリの他愛無い会話が終わっても憎女はそこに固まっていた。
彼女は、チョコレートなる物をどうやって作るのか知らなかったのである。
何でもこの世界では女性が尊敬する男性に送るチョコは手作りであると思い定めていたから、
原材料から作らねばならないとでも思っていたようである。
「何時までそこにいる気ですか。」
テトが呼びかけても憎女は固まったままだった。情報源は此処にはいない。
鵺は何時まで経っても何も決められない憎女に愛想を尽かして先に帰ったのだった。
テトはそんな憎女を眺めていた。勿論内心では何やってんだこいつとしか思っていない。
バグハウスでは私闘厳禁だったから、ここで襲われる可能性は考えなくともよい。
かてて加えて目の前の人物は、ぞの場に少なくとも一時間は固まったまま微動だにしない。
「テトさぁ―ん」
「およ。ラルゲユウスじゃないか。」
「それ、止めて下さい。」
「ええ、だって巨大な鳥に変化するし、嵐の中を飛んでそうだし。」
「そんなことしませんっ。」
ラルゲユウスと呼ばれた少女は頬を膨らませていた。
彼女は音飛女クユ。迦陵頻迦(かりょうびんが)とと迦楼羅(ガルーダ)のハーフだった。
そんな、野性児のクユが憎女を見て言い出した。
「あの、この人。」
「ん、どおした。」
「なんか、嫌な感じがするんですけど。」
「気にするな。それにここで挑発してもいいことは無いぞ。」
「そうですよね。バグやウイルスを一杯相手にするのは大変ですし。」
「そうじゃなくてだな。建物に損害を出すと裁判になるからやるなと言ってるんだ。」
「えー」
「しかもここの顧問弁護士は、あの闇音アクだぞ。勝つ気がせん。」
「アク徳弁護士ですか。」
「命が惜しくば、本人の前で言わない事を勧める。」
「何でです。」
「焼き鳥になりたいのか。」
「勘弁して下さい。」
そして、クユが来たことで憎女はテト達の方を見た。
憎女をずっと見ていたテトは言った。
「ようやく気が付いたか。」
憎女さんがバレンタインデーに嵌ったようです(5)
>>132から
テトとクユに気が付いた憎女は首だけ回していた。
何か擬音を付けたくなるな、テトはその様子を見て思ったが、クユの方に向かって言った。
「おい、クユ。」
「なんですか。」険しい表情のクユが答えた。
「悪いが向こうに行ってろ。」
「何でです。」
「ここでやり合う気か。」
「この人危険ですよ。」
テトは今度は憎女の方を向いて言った。
「ここに入る前にウイルスに私闘禁止って言われたよね。」
「貴様…」憎女が呟く。
「落ちつけよ。こっちもやり合う気はない。場所が場所だしね。」
勿論憎女もそれを知らぬではない。フロアーに入る前にあの黒い生物から言い渡されたのだった。
「クユも力抜けよ。」
「でも、この人、何かやばいですよ。」
「そうか?それよりもここで一時間近く粘っている方法に興味があるんだが。」
「はぁ?」
「さっきからずっとここにいたんだが。まぁ、仲が余り良くない奴がここに居座ると買い物が出来なくてね。」
「貴様ぁ…」憎女はキレかかった。
しかし、そんな憎女の気魄を物ともせずテトは静かに言った。
「あんたも落ち着いたらどうだ。目立ちたくないだろ。」
ぐぬぬ。声にならない声を憎女は発していた。
「クユ。もう一度言うけどね。」
「邪魔ですか。」
「ここで怪鳥になられたら皆が困るんだが。」
「あのー^」
「向こうへ行ってろ。」
クユは何か言おうとしたが、それを押し殺した。
そして、こう言った。
「あー。分かりました。」
クユはダイニングコートの方へ行った。
「何をした。」
視界から消えつつあるクユを気にはしていたが、それよりもあの只者ではない少女をどうして追い払えた岡が気になった。
そもそも天魔党にとって重音テトは謎の多い人物だった。他の動画を調べる限りいい加減な人物の筈だが、
目の前にいるのはそれを裏切っている。
何か蝙蝠の羽のようなものを出せるらしいが、調べた限りではそれは無いらしい。
それどころか経歴を幾ら探しても出てこない。それが不気味だった。
「別に。」
そんな憎女を余所にテトは平然と答えた。
そんな筈がない。さっきに言葉には力が籠っていた。気に入らないのはそれが黒金蟲と同じようなものである、ということだった。
憎女さんがバレンタインデーに嵌ったようです(6)
>>133から
テトが話しかけた。
「ところでさぁ。あんた、ここで何してるんだい。誰かにチョコを贈る気か。」
憎女は返事に詰まった。
図星だったか。テトは思った。まぁ、あの黒武者に送るんだろう。
男は他にもいるのかもしれないが、鬼子に言わせるとこいつはあの黒い奴しか見ていないようだし。
まぁ、何年どころか百年単位の付き合いをしていたらそうなるかもな。
それは相として、コイツ、何でここに固まっていたんだ。
大体、チョコを作るんだったら、そこにある塊と飾りを買うだけで事が済むじゃないか。
えっと、まさか、チョコの作り方が分からないとか。
どうなんだろうか。まぁ、今年になってやってみようと思ったら、作り方が分からなくて途方に暮れているとか。
ああ、あの鵺とやらがいたのはそれが理由か。あいつにでも聞く気だったんじゃなかろうか。
でもどうなんだろうか。幾ら諜報任務(あの綿抜鬼もだったが)を主としているからと言って、そこまで知悉してないだろうに。
「もしかして何を作ろうか迷っていたとか。」
憎女が返事しないのを見てテトは言葉をつづけた。
「3階に本屋があるから、そこで何を作ったら決めればいいんじゃないかな。」
憎女はテトを睨んでいたが、小さく、そうか、有難う、と言うとその場から立ち去った。
テトは内心で溜息を吐くと、お菓子材料コーナーでお買い物を始めた。
◇ ◇ ◇
覚えている記憶の中で一番古いのは強い拒絶だった──
来るな化け物!!うちの子に手はださせねえだっ!死ねっ!
──追われたこともあった──
いたぞっ!殺せっ!おっとうのカタキだっ!
──懇願されたこともあった──
お願いっ殺さないでっ この子はこの子の命だけはっ!
──何度か追い回され、殺されかけて思い知った……ニンゲンは訳がわからない……
ニンゲンに追いかけ回され、イイカゲン疲れきったある日。偶然出会った黒猫はこう言った。
「オイラかい?おメぇの……ま、そうさな。おメさんのセンパイかね。よくクロスケって呼ばれてっけどな」
毛づくろいをしながら黒猫はそうウソぶいた。彼は自身を風来坊だと自称していた。最初に私にニンゲンとの
距離の取り方を教えてくれた猫だった。
「ズイブン散々な目にあってきたってツラぁしてっけどな。オイラからしちゃまぁだ序の口よ。ニンゲンの本性はぁ
まぁだまだずぅっと闇が深い。オイラ達のこの『猫目』ですら、見通せねぇ程にな。悪いこたぁ言わねぇ。
ずっとただの猫のフリして過ごすこった。本性を隠して……な」
実際、クロスケはただの猫のフリをしてニンゲンの村にとけ込み、数年経過したら場所を移す。といった事を
繰り返していると語った。
それにしても私は……あたしはどうして、今、ここにいるんだろう?
クロスケは怪訝そうに問う。
「なんだ?久方ぶりにお仲間に出会ったかと思ったら『目覚めたて』って奴かい?……あーー……ま、そらあ、
ひでー目にあったとしても仕方ないわな。よく知らねーまま、ニンゲンの前でうかつに『変化』したろ?」
そういって猫らしからぬ声でしっしっしと笑った。変化?何のことだろう?
そう聞いたら呆れたような目を向けられた。
「何でぇ?ひょっとして、自分が『ニンゲン』とも『ただの猫』とも違ぇって事、分かってねぇのか?」
──何のことだろ?
「──まあ、何だ。ニンゲンどもはオレ達の事を『猫又』とか『化け猫』とか呼ぶようだが好きに呼ばせときゃ
いいサ。肝心なのぁ、オレ達がそういうのだって感づかれないようにするこったな。なに、一昔前、猫だった
頃にやってた事を続けるだけよ。そんなに難しい事じゃあるめい」
後ろ足で耳の裏を掻きながら説明に飽きたようにそんなことを言う。化け猫?ニンゲン?
その頃のあたしはその二つの違いが分からなかった。
「しっしっし。ま、折角知り合ったのも何かの縁だ。ついて来な。人間に追っかけ回されずにエサにありつける
場所をいくつか教えてやらあな。オレの言うことを聞いておきゃぁ、生きてくのに苦労しねぇハズだ」
クロスケは全身でぐんにゃりと伸びをすると先の分かれた尻尾を立てて、ついてこいと歩きだした。
と、すぐに立ち止まってクルリとこちらをむく。
「おっと、言い忘れた。その二つに分かれた尻尾な。できるだけ一緒にして一本に見えるようにしときな。
この辺りで気付くニンゲンはいねぇだろうが、念のためだ。それだけでもだいぶ違うもんさ」
そう言うともうそれ以上は振り向きもせず、歩きだした。
あたしはこれからどうしていいか分からなかったので、言われるまま、彼のように先端の分かれた尻尾をキュッと
引き結ぶと漫然と後をついていった。今思えば、先導されていたとはいえ、あたしを散々追い回した人間の元によく
向かう気になったものだ。
──あたしがその青年に最初に出会ったのは比較的大きい家の縁側だった。
少し手の込んだ庭造りで、大きな松ノ木と同じく大きな庭石が綺麗に配置されていた。
なにやら、ごほごほとせき込む声が聞こえてた事は覚えている。その声の主は秋口もまだ序の口だと言うのに上着を
着込み、火が入っていないとはいえ、火鉢のそばで書き物をしていた。傍らには書物や巻物がいくつも山積みに
なっている。
クロスケがにゃあと訴えかけるように鳴くと、書き物の手を止め、こちらを見やると目を細めた。
「おや、クロスケ。こらあ珍しい。今日は嫁さんを連れてきたのかい?真っ白なベッピンさんじゃないかえ」
そんなんじゃないと抗議しようとしたら、声を上げるより早く、クロスケの尻尾が軽く顔を叩いた。
……どうやら喋るなということらしい。
「お妙さん、お妙さん、クロスケが嫁を連れてきてくれたよ」
すると、家の奥からこの家のお手伝いと思しき女性が出てきた。たすき掛けし、今さっきまで何かの仕込みを
してたようだ。両手を手ぬぐいでぬぐいながら出てくると、二匹の猫の姿をみとめ、顔をしかめた。
「あんれま、ほんに猫が増えましたなあ。坊ちゃんがエサをやるようになったせいだべか」
どうやらこのお妙という女性はあたし達を歓迎してはいないようだ。なんとも嫌そうな視線を送ってくる。
「お妙さん、そんなこといわんと。いつものようにご飯を少し分けてやってくれまいか。このとおりだ」
年若い青年は軽くせきこみながらそう頼んだ。お妙と呼ばれた女性は口の中でブツブツ言いながらも
「坊ちゃんがそう言うんなら」と、食べ物を用意してくれた。
その時になって初めて自分が空腹だったのだと気がついた。出されたゴハンは粗末なモノだったがクロスケと
いっしょにガツガツと貪り食った。
「ほかほか。腹、へってたんだなあ」
そんなあたし達の様子を見やって青年はまた目を細める。
食べている間、青年は親しげに話しかけてきていたが、その内容は手前勝手に頭の中で想像した事を思うまま
言の葉にのせるだけの意味のないものだった。
曰く、猫はいいな。日がな寝転がってるだけでのんびりしてて。曰く、今日はネズミに逃げられたのかだの……
そのたびに何か言い返したかったが、先ほどクロスケに喋らないよう釘をさされたのと目の前の食べ物とで
それどころではなかった。そうこうしているウチ、出された食事はあまり多くなかったのですぐに無くなった。
そして、食べるものがなくなると、クロスケは青年にむかってにゃーと鳴くとそそくさとその場を後にした。
あたしもあわててクロスケの後を追い、藪のなかに消え去った。
「──人前で喋るんじゃねえよ。普通の猫はしゃべったりしねえもんだ」
人気のない場所に着いた途端、クロスケはそんな事をのたまった。
「まさかそんな事もわかんなかったたぁな。そりゃ、アッチコッチで追い回されたろう。こりゃあ骨が折れるぜ」
その時はじめてそうだったのか。と、合点がいった。どうりで話しかける端から相手が腰を抜かしていたわけだ。
言われてみれば話しかけても驚かなかったのは小さい子供くらいだったか。
「ま、何だ。猫らしい振る舞いも必要っちゃ必要だが、とりあえず人前で喋らないようするこった。あと、喋る
ときも極力辺りに人の気配がないか気をつけろ。ニンゲンにバレちゃぁ、ブっ殺されかねんぞ。もし逃げ切れたと
してももうその辺りには住めないものと思え」
低い声で念押しされた。あたしは気圧されながら、かろうじてうなずいた。あたしだって好んで追い回される
ような事をしたりはしない。
──その後もいくつか彼について回り、エサのもらえる家や、エサの採れそうな場所を教えて貰った。
だがいずれも、ありつけるエサの量は微々たるモノで二匹で分かちあうには量が足りなかった。
「──ま、その点に関しちゃそう心配すンな。まずはオレサマが教えることをシッカリ頭に叩き込んでおくことだ」
クロスケはそういって、あたしにこの町で猫として生きてゆく術をいくつも教えてくれた。
エサをくれる家、エサの採れる場所はもとより、うっかり寝そべるとダニやノミにたかられる危険地帯。
暖かく過ごせる場所、涼しく過ごせる場所。安全な水飲み場、石を投げてくるニンゲンの子供の出てくる所等々……
そのほとんどが「猫として生きるためのコツ」で、極力、町の猫にどうやってとけ込むか?という方法だった。
「さぁて、大体教えられるこたぁ教えたかね。猫として生きてくにゃぁ、こンだけ知ってればなんとかならあな」
そう言って、気持ちよさそうに前足で顔を洗った。
毛づくろいをはじめた彼を見やりながらあたしは疑問に思っていた。どうして彼がここまでしてくれるのか……
「なんで……」
「あん?」
「なんで、あたしにここまでしてくれるの?他の猫たちはケンカをしかけて来るばかりだったのに」
そう。今まで出会った猫とは、いつも喧嘩になっていた。相手がいつも仕掛けてくるのだ。
クロスケは毛づくろいをしながらこう答えた。
「なに、同族のよしみってヤツさ。それに、オレサマの縄張り、どうせならおまえさんが引き継いでくれりゃぁ、
他のネコどもに取られるよかずっとマシなんでね」
引き継ぐ……?
「あぁ。もう少ししたら、オレサマはこの町からオサラバするつもりなのさ」
「え?」
「オレサマがこの町に住んでそろそろ二十年は経つ。いいかげん姿を消さにゃニンゲンどもに怪しまれる頃合いね」
「そんな……」
まだまだ彼に聞きたい事、教わりたい事、沢山あったのに。
「なあに、そんなに悲観するこたぁねぇよ。今まで教えてやった事をしてりゃ、大抵どうにかなるもンよ。
もう、ン十年もこのやり方で生きて来たんだ。何も心配するこたぁねぇって」
毛づくろいを済ませたクロスケはよいしょっとばかりに立ち上がった。
「最後にねこの集会所の場所を教えてやる。ソコで顔合わせすりゃ後は何とかならあな。ついてきな」
──ねこの集会所とは、近所一帯の猫達が顔合わせする場所だ。そこで顔合わせしておけば、縄張りの主張が
しやすくなり猫同士のトラブルがおきにくくなる。というものだ。……それでもケンカする時はするものだが。
ネコの集会は厳密にいつ行うかは決まっていない。でも、夜になんとなく行われることが多い。その日も日が
とっぷりと沈んで、辺りが暗くなってからだった。
クロスケの後について家と家の間を進んでゆくうち、のっそりとした黒い影が行く手を塞いだ。クロスケの身体に
緊張がはしる。
「クロスケ?」
あたしは怪訝に思ったが、クロスケは全身の黒い毛を逆立てて緊張していた。黒い影は最初大きな石だと思ったが、
その大きな影はでっぷりと太った猫だった。ここら辺のボス猫なんだろう。妙に威圧感があり、両脇に子分と
思しきヒョロ長い猫が二匹、傍らにひかえていた。
「……ここは俺に任せて大人しく見てな」
そう言うと、クロスケはゆっくりと前に進むと身を低くして地面に伏せた。
「え……」
クロスケはケンカせず、降参のポーズをとった。ネコ同士の場合、最初から喧嘩に勝てないと思った場合、
そうやって相手に道や餌を譲るのだ。しかし、ボス猫はクロスケにのっそりと近づくと、口を開け、容赦なく
クロスケを噛み始めた。
「クロスケ……!」
ボス猫は無抵抗なクロスケに遠慮なく噛みつく。クロスケは刃向かわず、降参のポーズをとっていたのに、だ。
それでもクロスケは抵抗せず噛みつかれるままに耐えている。
あたしは許せなかった。色々世話になったクロスケが理不尽に噛みつかれるのが。
「フギーーーッシャーーッ!!」
あたしは自分の三倍はあろうかというボス猫につっかかった。威嚇するとボス猫はクロスケを噛むのを止め、やはり
のっそりとこちらに向きなおった。目に不穏な光が揺らめいている。
「おい……こら……よせ……!」
クロスケはそう呟いたがあたしには聞こえていなかった。ここまで一方的にクロスケがいじめられていい訳がない。
大丈夫。あたしはクロスケと体格は変わらないがこういう時には大丈夫だ。奥の手がある。あたしは威嚇しながら
ボス猫の前に出た。
「シャーーーーッ!!」
あたしは威嚇しながら目を閉じ、全身に力を入れた。
ボ ン ッ
次の瞬間、空気が爆ぜ、一瞬視界が煙に包まれる。そして視界が晴れるとあたしは二本の足でそびえ立ち、猫たちを
高い位置から見下ろしていた。
「しゃーーーっ!!」
もう一度威嚇すると、三匹の猫たちは途端に全身の毛を逆立て、一目散に逃げ出した。そう、これがあたしの
奥の手。これのおかげで大抵のケンカには負けたことがない。
「こらっ待ちなさいっ!!」
思いの外、敏捷に逃げ出したボス猫たちを追いかけ、あたしは駆けだした。
──はぁ、はぁ、はぁ……
逃げ出した猫たちを夢中で追いかけ、藪を抜け、生け垣を飛び越したが、そこで見失ってしまった。
ちなみに、ケンカで負けたことがないと言うのも全て不戦勝だ。どんな猫もこの手を使うと必ず逃げ出すのだ。
ただ、この『奥の手』はケンカで負けた事こそないが、走る速さはだいぶドンくさくなる。
「まったく、どこいったのかしら……」
息を切らせてしまい、どこかの家の庭先で立ち止まってから、この庭にどこか見覚えがあることを思い出した。
少し手の込んだ庭造り、綺麗に配置された大きな松ノ木と大きな庭石。
「ここは……」
そう呟いたとき、背後から咳き込む声が聞こえた。振り返ると、案の定、例の青年が縁側に腰掛け、そこで巻物を
広げ、咳き込んでいた。ひとしきり咳き込むと、興味深げにこちらを見やる。
「やあ。珍しい来客だね。うちの庭に何か用かい?」
なんだか透明な眼差し、と言うのだあろうか……そんな印象的な目であたしに尋ねてきた。
あたしは何となくその眼差しに居心地の悪さを感じ、プイと目をそらした。
「庭に用はないわ。ここに太った猫が逃げ込んで来たはずだけど……」
ヤツラの残した手がかりがないかと見回すが、そんなものは見あたらない。
青年はひとしきりゴホゴホと咳き込むと、言葉を継いだ。
「デブっちょのことかな?読書に夢中で気づかなかったなあ……確か、ここら一帯のボス猫らしいけど、ウチには
滅多にこないんだ……」
やっぱり、ボスねこだったか。そう思いつつも辺りを見回すのを止めず、あのでっぷりした姿を追い求める。
「あいつ、クロスケをいじめた。許せない……」
誰にともなく口の中で呟いたが、聞こえてしまったようだ。
「クロスケ?真っ黒な綺麗な毛並みの黒猫かい?その猫なら、よくウチにもくるよ。いじめられていたのか……」
その言葉に返事をしようとしてハッと気づいた。クロスケに注意されていたのに人前で喋ってしまったっ!
「!!」
あわててバッと口元を押さえて後ずさる。
「どうしたんだい?」
青年は怪訝そうな様子で縁側からコチラを見上げていた。
──殺されるっ!
そう思ったあたしは身をひるがえして庭から逃げ出した。
「あっ君っ?!」
そう呼び止めようとした声を振り払い、元の場所へと走って逃げた。そしてさっきの場所に舞い戻った頃には
ゼーゼーと肩で息をしていた。
ふと、目を上げると、そこにはまだクロスケがたたずんでいたが、ヒドく冷たい空気を身に纏っていた。
「なあ──おい」
押さえ込んだ怒りの声にビクッと背筋が跳ねた。
「おめぇは何、ブチ壊すようなことしてくれてんだ、お?分かってんのか?
おめぇ、一体、何やらかしたのか分かってるのか?」
怒りを含んだ低い声に思わず後ずさる。せっかく助けたのに何故責められているのだろう?訳もわからず混乱する。
「ったく、よせっつったのに、ニンゲンの姿に変化しやがって……っ。もし誰か他のニンゲンに見つかったらおしめー
だったぞっ……」
そこまでいわれてやっと理解した。この『奥の手』こそ『変化』というやつだったのだ。そしてこの「状態」こそが
ニンゲンと同じ姿をとっている事なんだと。
今まであたしは「ニンゲン」と「ねこ」の区別がついてなかった。だから「変化」の事もわかっていなかったのだ。
「ねこ」と「ニンゲン」には大きな違いがある……
あたしはそのことに大きな衝撃を受けた。
そしてその後、クロスケにこってり油を絞られることとなった。
「いいか!今後ぜってぇ、ニンゲンに『変化』すンじゃねぇぞっニンゲンに見つかったら最後、退治されちまうぞっ
たかがねこ同士の喧嘩に変化することなど言語道断だ。わかったな!」
それはつまり、クロスケも同じ『変化』ができるという事なんだろうか。だから『奥の手』を使わず、ボスねこに
いいように噛まれていたのだ。ネコの身体ではあのボスねこにはかなわないから。
しかし、それならもう一つ失態をクロスケに話さなくてはならない事を思い出した。人前で喋ってしまったことだ。
重い口を開き、今度はどれだけ叱られるかとビクビクしながら顛末を報告をした。
「あ?あの姿でニンゲンと喋ったぁ?で、向こうは腰抜かしたりしたのか?してない?じゃ、そいつの目の前で
『変化』は?してない?……ん〜む……そうか、ならもう気にするこたねぇよ」
一度は緊張を見せたものの、詳細を聞くにつれクロスケの緊張の糸は緩み、元の暢気な様子に戻ってしまった。
……つまり、ネコの姿で喋ったり『変化』するのが問題であって、ニンゲンの姿に『変化』している時に喋るのは
問題がない、ということなのだろううか?
ただ、その事をクロスケに確認するのははばかられた。彼の教えは最初から『変化しない』事を前提に
しているから、仮の話だとしてもいい顔をしないだろう。
……何か確認するいい方法はないだろうか……そう考えると、あたしはその好奇心に勝てなかった──
ある明るい月の夜、あたしは再びあの庭を訪れていた。大きな松ノ木と庭石のある例の庭だ。少し離れた所で
『変化』すると、そっと近づいた。すると案の定、隠れている藪の向こうからごほごほとせき込む声が聞こえてきた。
ふと、疑問に思う。彼はあんなところでいつも何をしているのだろう?丁度いい。せっかくだから聞いてみよう。
あたしはがさがさと藪を揺らし、庭に進入すると彼の前に現れた。
「君は……」
ちょっと虚を突かれたような表情で青年はあたしを見上げた。相変わらず上着を重ねて羽織り、縁側にしかれた
座布団の上に座っている。
「いつも思うんだけど、あなた、ここで何をしているの?」
……今思えば、「こんばんわ」くらい言えば良かったと思うが、当時はそんな事さえ知らなかった。
彼はしばらくほうけたようにあたしを見上げていた。が、やがて我にかえったように咳払いをすると
「いつもは読書をしているけど、今日は月を観ているんさ。君も一緒に観ねえかい?」
と、穏やかな声でそう答えてきた。
「月?」
彼の視線を辿ると空に浮かぶまあるいものにたどり着いた。この暗い空に冴え冴えとした光を放っている。
これが月という奴なんだろう。いつもそこにあったのに今まで意識して見たことはなかった。
「…………。」
しばらく、無言で眺めてみる。が、月が特に変化したり動いたりする様子はない。
「?これのどこが面白いのよ」
疑問たっぷりにたずねた。途端、彼はプッと吹き出した。
「ははは。君はそんなのとは無縁かい。今夜はこれ以上ねえほど綺麗なお月様だっちゅーのに」
「綺麗?」
言われてもう一度お月様とやらを見上げてみる。ただ丸いだけだ。転がったりでもすれば面白いんだろうが、全く
動かない。これがキレイというヤツなんだろうか……?
「……つまらないわね。何が面白いのかしら?特に転がったりする訳でもないし」
「あはは。お月様が転がる。か、そんな事を聞いたのは初めてだ」
愉快そうに彼は笑う。何がそんなにオカシイのだろう?
「そんで君は今日はどんな用なんさ?またデブっちょがクロスケをいじめたんかい?」
言われてあたしは言葉に詰まった。単にこの姿の時、人前で喋っても怖がられないか確認したかっただけなのだ。
この村で唯一、人前で喋った事があるのは彼の前でだった。
だからこうしてニンゲンと普通に話せているとわかった以上、もう用はない。
「別に。何でもないわ」
そういうとくるりと背を向け、今来た藪に向かい、帰ろうとすると、後ろから声がかけられた。
「あっ、き、君、また来てくれねえか……」
あとは、またゴホゴホとせき込む声がするだけで聞こえなかった。あたしは返事を返さず藪に入り彼に見られない
所で『変化』すると、その場を後にした。
◇ ◇ ◇
──クロスケとの別れは割とアッサリしていた。
適当な馬車の荷台に紛れ込み、遠くの街に移るつもりだといっていた。この辺りは田舎なので、そう頻繁に荷を
積んだ馬車は出入りしない。数日かごとに村に来る荷馬車にクロスケは潜り込むつもりなのだ。
あたしたち二匹のねこは馬車に荷物を積み込んでいる所を物陰に隠れ様子を窺っていた。何人もの力自慢が大きな
荷物を次々と馬車に積み込んでいく。
「やっぱりいくの?」
その時あたしは捨てられる子猫のような表情だったに違いない。一方のクロスケは見知らぬ街へ向け出立すると
ゆうのにその態度はいつもどおりだった。
「おいおい、情けねえツラしてんじゃねえよ。必要なこたみんな教えたろうが」
馬車に忍び込むタイミングを物陰で測りながら、あたしの顔を見てクロスケはそんな軽口を叩いた。
「でも……」
そういい澱むあたしの額を尻尾でぺしぺし叩きながら軽い口調で言う。
「大丈夫だって。他の猫どもに紛れちまいや、何とかなるって。それに今生の別れって訳でもねえんだ。
……ま、しゃーねーな。時たま様子を見に来てやるって。そんでいいだろ?」
「ほんと?」
確かめるように念押しするあたしにクロスケは
「ああ、元よりそのつもりだったしな。たまに見に来るよ。と、そろそろだ。じゃあな」
軽く返答すると、スキを見つけたのだろう。あっという間に馬車に潜り込んでしまった。
そして間をおかず馬車は走り出した。あたしは馬車を追いかけたい衝動に駆られたがそんなことをしてもクロスケは
喜ばないだろうことはわかる。ひかれる後ろ髪を振り払うように尻尾をひと振りすると、クロスケの教えてくれた
昼寝スポットに向け歩きだした。
──結局、それからクロスケに再会したのは何年か後のことだった。
◇ ◇ ◇
「──そういえば最近、クロスケの姿を見ないな。シロスケ、おまえ知らないか?」
──数日後、例の庭先でエサを貰っている時にそう話しかけられた。何のことはない。青年のいつものヨタ話だ。
このニンゲンは、勝手にこちらの事情に想像を巡らしてはいつも的外れな事を話しかけてくる。
ついでにあたしの呼び方はクロスケの嫁からシロ、もしくはシロスケと呼ばれるようになっていた。
まあ、クロスケのナワバリを継いだのだからそれは仕方がない。
「病気になったり、馬や馬車にはねられたりしてなければいいが……いかげん年寄りのはずだし……もう、
会えないんだろうかなあ……」
あたしはエサの入った皿から顔を上げてにゃあと鳴いた。特に意味はない。この的外れな青年がテキトーに
解釈してくれるだろう。
「ほかほか、おまえさんも心配か。デブっちょにいじめられて縄張りから追い出されたんでなければいいんだけどな」
あたしはそんな語りかけを聞き流しながら再びエサに取りかかった。
あれから、あたしはあたしなりに猫として生きてきた。『化け猫』とやらになる前の猫としての自分は意識的には
覚えていないものの、何とかうまくやっている。と、思う。
一番の問題はボスネコの「デブっちょ」だったが、あたしと事を構える前にそそくさとあたしから逃げるようになり、
喧嘩に発展することはなかった。よっぽどあの事が恐怖として記憶に植え付けられてしまったらしい。因みに、他の
ネコとも喧嘩するが勝ったり負けたりだ。やはり普通のネコの体格だとそんなもんなんだろう。
──やがてエサを食べ終わると、あたしは伸びをし、縁側に登って、あぐらをかいて座る彼の膝の上で丸まった。
「おいおい、またかい」
苦笑しながらもどこか嬉しそうな声で彼はボヤく。
最近、あたしは『読書』とゆうものに凝っている。といっても『もじ』とゆうやつが読めるわけではない。この
青年が読み上げるものを間近で聞いているのだ。
最初は『読書』という奴がどういうものかわからなかったが、彼が話しかけてくる話の中に『読書』の話題が多く、
自然と興味を持つに至った。そのうち、冬が近づくにつれ、彼の膝の上が暖かいと分かり、そこがあたしの指定席に
なるのに時間はかからなかった。
「まったくもう、シロスケにゃあかなわねえなあ」
そう言うと傍らに積み上げていた書物を手に取った。
「えっとじゃあ、今日は『山海経』ってやつにしようか。
異国の書物でその国の山と海の生き物や植物を記したものだと」
そういうと、その書物をあたしに読み聞かせ始めた。あたしは彼の膝の上で無関心を装い丸くなりながら耳を傾ける。
……読書はいい。あたしの知らない世界の事を沢山知ることができる。
ときどきゴホゴホとせき込むことと、書物に夢中になって読み上げるのをやめてしまうことをのぞけば、彼は理想の
読み手だった。あたしはそうやって、いくつもの書を『読書』した。
彼は沢山の書物や巻物を取り寄せていて、実用的な知識のものから眉唾ものの空想じみたものまでありとあらゆる
読み物を読み漁っていた。中でもあたしに後々にまで影響を及ぼしたものは秘伝書と恋愛ものだった──
「これは凄いぞ、シロスケ。ここにかかれているのは秘伝中の秘、法術っちゅ〜て、不思議な術を使う事ができる
やり方だそうだ。ここに載っている秘伝をモノにできれば仙人みてえになれるんだと」
今考えればなんと胡散臭い書物だったことか。そんなものを彼は大枚はたいて買ったというのだ。
当然、彼もその書物に書かれた『秘伝』とやらを試してみたが、小石一つ木の葉一枚動かせなかった。それでも、
彼はその書物を繰り返しあたしに読んで聞かせたものだ。
「シロスケよう。ボクは思うだ。こういう不思議な術を使う有名人は大抵、みんな不思議な出自があってなあ。
人じゃないものの血が流れているのが大半でな。それってつまり、こういう術そのものが人向けに作られたもの
じゃないんじゃないかって考えただ。
だから、この書物の内容も、人じゃない者が使えば使えるようになるんじゃないかって気がするだ」
そんな事を言い、一向に秘伝書に対する興味を失わなかった。おかげで興味のないあたしまですっかり内容を覚えて
しまったが、マサカその秘伝書が『本物』であったことが最も驚くべき事実だった。その『術』は彼が考えたように
ニンゲン向けではなかったのだ。その時の知識は永く時を経たあたしの中に今でも生きている。その知識に幾度も
命を助けられたものだ。
そして、恋愛モノ。この物語というものにも大いにひきつけられた。大団円で終わるもの、悲恋で終わるもの、
悲劇で終わるもの……オスとメスのつがいで紡がれる物語の
なんと多様な事か。ニンゲンのするレンアイとやらはネコのあたしにとって未知の領域そのものだった。
つい最近まで猫とニンゲンの違いに気付かなかったあたしだが、こういう話を聞くとナルホドと思う。
猫はこんなこと考えたりはしない。と、思う。
ただ、その手の話はあまり取り寄せていなかったのか数は少な目だった。とはいえ、その中でも彼が特にお気に入りの
物語があった。
「これなんか、なんとも言えねえな。月の夜、出会った不思議な娘さんと不思議な世界へ入っていく。いいなあ」
そう言って、遠い目をした。それは何か思い出にひたっているようだった。
「にゃあ」
あたしは読みかけの物語が止まったので読み上げを再開するよう、鳴いて先をうながした。
「ああ、そうなんだ。ボクも会った事があるんだ。月の夜、不思議な娘さんに……もういっぺん、会えないかなあ、
会ってみてえなあ……」
あたしの鳴き声をどう解釈したのか、青年はそんな事をいって、もっと遠い目をした──
◇ ◇ ◇
……あたしはどうしてまた裏庭に来ているんだろうか……今夜は空気が冷えきってて、澄んでる為月の光が遠くへ届く夜だ。
濃い紺色の空にはちぎれ雲が切れ切れに空に散っている。月の青白い光がすべてを染めあげ、木や岩は色濃い影を庭に
落としている。
あたしは庭先で『変化』し、人の姿をとった。すると、シン、と冷えきった空気が肌から染み込んでくる。吐く息が白い。
耳をすますといつものゴホゴホといった声が聞こえてきた。どうやら今日も縁側で『読書』をしているようだ。
あたしは彼の前に出た。彼は縁側で相変わらず熱心に『読書』をしている。
あたしはいつものように彼の前に現れるとつっけんどんに言った。
「寒いのにこんなとこで読書なんかするより、もっと暖かいところがあるんじゃない?」
すると彼は書物から目を上げた。
「やあ、こんばんわ」
穏やかなまなざしでそう言われた。
「こ、こんばんわ……」
思わずそう返す。そういえば、ニンゲンは夜にそうアイサツするんだった。『読書』の中で知ってても実際に
アイサツを交わすのは初めてだった。
「なあに、夜に書を読むのに月明かりが丁度よい塩梅でな」
炭火の入った火鉢と灯をともした灯籠を両脇に抱えるようにして、暖かそうな空間を形作っていた。彼自身も分厚い
上着を着込んでいるが、知っている。それでもこの時間の縁側は底冷えする。なんて物好きなんだろうと思った。
「あたしに会いたいんですって?会っても何もないわよ」
会ってどう言ったものか分からなかったので、つい口からこぼれ出た言葉がこれだった。
青年は虚を突かれたような表情になった。そして二・三回ほど軽くせき込むと、
「あ……いや、うん。ちょっと一緒に話してくれれば……その」
と、目を反らしながら答えた。どうも答えがハッキリしない。
「? 話だけでいいの?」
というか、何を話すればいいのかさっぱり見当もつかないのだけれど。彼はカクカクと頷いた。
「そ、そうだ。この書なんか面白いで……」
そう言うとたった今読んでいた書物の内容を丁寧に解説しはじめた──
◇ ◇ ◇
──結局、あたしが『変化』している以外、いつもの『読書』と大して変わらなかったが彼は嬉しそうだった。
あの物語に記されているような冒険を望んでいるのでなければ一体、彼は何を望んでいるのだろう?結局わからない
ままだった。
『書物』の話題が尽き、夜も更けるとあたしはそこからはなれ、人のいない所で変化すると、自分のねぐらに帰った。
──あれから。最近になると猫のあたしはこの家にほぼ入り浸るようになっていた。
お手伝いのお妙さんは当然、いい顔をしなかったが、青年の手前、邪険に追い払われることはなくなっていた。
「まあ、あの猫がおると坊ちゃんの病気の調子もいいみてえだしなあ……」
そうつぶやくと、しぶしぶいつもより多めにエサを出してくれた。
──居座るうち、だんだん解ってきたこと。青年の家は何かの商いをして大きな家を建てたらしい。ただ、青年以外の
家の者はほとんど家に居なかった。
何でも青年だけが肺の療養にいいとかでこの離れにやってきたんだそうだ。
そう、彼は肺を患っていたのだ。
お妙さんはこの近くに住んでいて、雇われて家の事や青年の身の回りの世話をしている。ということらしい。
彼は手があいたときは家の手伝いの書きものである書をしたためたり、時間さえあればなにがしか『読書』をしていた。
もちろん、あたしはその『読書』につきあって、彼の膝の上で丸くなるのが日課になっていた。
その日の夕方も彼の膝の上で『読書』していた。
「──っ!」
ピクリと耳が反応し、あたしは頭をあげた。
「ん?どうした?」
書を朗読していた青年もあたしの様子に気づいて顔をあげた。あたしはそれに応えず、じっと様子をうかがった。
この気配は……
あたしは庭先に現れた覚えのある『気配』をおいかけ庭にとび出し、駆け出した。
「あっ、おいシロスケっ?」
背後から呼び止めるような声が聞こえたが、今は『読書』よりもこっちだ。
家と家の間を抜け、路地を駆け『気配』をおいかけた。そして、その『気配』が止まったのはあの場所──
見覚えのある、あの空き地だった。
「よう。ひさ──」
あたしは有無をいわさぬ勢いでその気配の主に突進した。
「おまっ、ちょっまっ」
相手は言葉を発する間もなく巻き込まれ、もんどり打ってあたしごとゴロゴロと転がった。端から見たら激しく
取っ組み合っているように見えただろう。ようやく回転が止まると、あたしは喜びに弾んだ声で声をかけた。
「おかえりっ。やっと戻って来てくれたのねっ」
「お──おめぇなあ……」
相手はあたしの身体のしたから大儀そうに身を起こす。今のゴロゴロで、身体のアチコチに葉っぱやら
枯れ草やらがくっついている。
「ひさしぶりっ」
あたしは人間だったら満面の笑みを浮かべていたろう。弾んだ声でもう一度そう言って彼を出迎えた。
『気配』の主はあの変わっていない独特の笑い声で笑いかけてきた。
「しっしっし。あぁ。久しぶりだ。おめぇも息災そうだなあ」
そう、『気配』の主はあたしに色々と教えてくれた先輩猫またのクロスケだったのだ。
◇ ◇ ◇
──ひとしきり。再会を喜びジャレあって、ようやくあたしは落ち着き、ゆっくり話す余裕ができた。
「ね、ね。そっちはどうなの?今、どうゆう所に住んでいるの?」
ようやく落ち着けたクロスケは毛づくろいをしながらのんびりと答えた。
「そうさな、向こうでの暮らしもたぶんここと変わらねーかな。ま、気楽なもんさ。最初エサ場やら縄張りやらも
見つけるまでは大変だったがな。一度見つけちまえば何とかなるもんさ」
「へ〜〜」
見る限り、クロスケの毛並みもキレイで元気そうだ。
「そっちこそしばらく見ていたが上手くやってるようじゃねえか、え?ちょっと前までニンゲンに追いかけ回されて
ヒイヒイ言ってたのが嘘みてえだ」
ちょっとからかうようにこっちを見るとしっしっしと例の笑い方で笑った。
「うん!! クロスケの教えてくれた色んなことのおかげで、毎日楽しいよ!」
「しっしっし。そらあ結構だ」
「それで、それでね!今『どくしょ』っていうのをやっててね!……」
あたしは取り留めもなく『読書』の事を次から次へと話し始めた。ためになる知識、ワクワクする物語。想像も
つかないようなホラ話やら切ない恋物語まで。とにかく、頭に浮かんだことは何でも話した。
クロスケは黙ってあたしの話に耳を傾けてくれたけど、あたしは話に夢中で、クロスケが眉を曇らせていたのに
気がつかなかった。
──ややあって。あたしの話が途切れるのを見計らって、クロスケが口を挟んだ。
「そらぁ、大した知識だぁ。それで、おめぇはあのウチでひたすら『読書』してそんだけの知識をモノにした……と」
そこまで言うと、何か言いあぐねるように押し黙った。
「…………クロスケ?」
「なあ。おめえ。これは決して意地悪で言うんじゃねえ。おめえの為に言う事なんだがよ……」
尻尾を揺らし、まるで棘だらけの草むらを進む時みたいな面もちでゆっくりと喋りだした。
「ん?なあに?」
「おめぇ。もうあのうちにゃあ、いくな。『読書』ってヤツぁ、猫にゃあ必要ねえもんよ」
>>135-145 ……とゆーわけで、「ねこのゆめ」前編を送り届けます。これは鬼子キャラの猫又、ハンニャーの過去話となっております。
続きの後編はまた明日。
乙です。
……とと。そういえばおにテトさんのSSは完結していたんでしたカ?ぶった切ってしまったなら申し訳ありませんでした……
>>148 あれで一区切りです。
あの後の話はどちらかというと、天魔党視点になりますので。
あ。それならよかったです。
>>135-146 あら素敵なお話!
猫の生態と縁側の綺麗な月を思い浮かべてしまうよ。
これで前編ってことは、まだまだいろいろありそうだね。
般ニャーの古い過去をpixとかでマンガに描きたいと思ってたので、なんか続きが楽しみ。
◇ ◇ ◇
夜。
「そうさな。今日はほれ。こっちの薬草学の書にしてみるだ。この辺りの薬草や山菜も載ってるんだと」
そういって、彼はいつもの『読書』を開始した。
──・・・……あたしは。あれからこの家に戻って不機嫌な様子で彼の膝の上で『読書』をしていた。
人の姿をしていればぶっすーとした表情だったに違いない。思い出してもムカムカする。
クロスケとの再会は喜びに始まり、腹立たしさで終わった──
「クロスケ、本気?」
あたしはクロスケに告げられた言葉が信じられなかった。
「あぁ。本気だとも。おめぇにゃあこれ以上あのウチにゃあ行って欲しくねぇな」
言ってから、何かをまぎらわそうとするかのように、耳の後ろを後ろ足で掻いた。
「なっ何でっ?!」
「ま、オイラも飼い猫から『成った』クチだから気持ちはわかる。けどよ、あんまニンゲンにゃ肩入れしねぇ
ほうがいいんだって。後がきちぃぞ」
──そしてそのまま。よく判らない理屈を並べ立てて『あの家にゃぁ、もう行くな』の一点張りだった。
結局、互いの言い分がすれ違ったまま、あたしは「クロスケの分からず屋っ!」と言い捨てて、引き留めようとする
声を振り切り、帰ってきてしまっていた。
──全く、クロスケの分からず屋。『読書』の素晴らしさも知りもしないで──
苛立たしげに尻尾をパタパタさせていたら、頭を優しく撫でられた。
「どうした?シロスケ?そんなにこの書の内容、気に入ったかい?」
「ニ゙ャッ!!」
あたしは不機嫌だったのでその手を苛立たしげにひっ掻いたが、彼の手は危なげなく、その爪を回避した。
「おとと、不機嫌なほうだったか。何かあったのかい?」
今までしょっちゅう、あたしの機嫌を読み違えてひっかかれていただけあって、あたしの爪を躱すのにも最近慣れてきた。
「やあれやれ、シロスケの気まぐれにゃぁ、かなわねぇな……っ」
そう呟くと、いつものように咳込んだ。……いや、いつもより、もっと湿ったしつこい咳だった。
ごほ、ごほっ、ごほっ……ごふっ!
ぴぴっと、何かが散った。それは鮮やかな赤い色をしていた。あたしは一瞬、何が起こったのか理解できないでいた。
彼の上体がくずおれ、あたしは思わず彼の膝から降り、その時目にしたもの……彼が口元を押さえて大量の血を
吐いた所だった──
──気がつけば、あたしはお妙の住んでる建物の戸口をカリカリとひっ掻いていた。あたしは動転していたんだと思う。
誰か頼れそうな人が彼女しか思い浮かばなかった。というのもある。幸いな事に夜も半ば過ぎだというのに、
まだ起きていたらしい。何度も何度も戸をひっ掻いていると、その音を不審に思ったのか戸がガタガタと開かれた。
「ど、どうしたんだい?!そのナリは?!」
それがあたしを見たお妙さんの第一声だった。後でわかった事だったが、あたしはその時、彼の吐いた血でベットリと
汚れていたのだ。
ただ、あたしはその時夢中だった。お妙の姿を確認するや否やお妙の履き物をくわえて走り出した。
「何すんだい?!ちょいとおまち!」
後ろからお妙が見咎めて追いかけてくる。お妙があたしを追いかけ、ついてくるのを確認するとあたしは彼が血を
吐いて昏倒してる縁側へと誘導した。
「!!っ お坊っちゃん?!」
その様子を一目見て察したらしい。あわてて駆け寄り、大声で人を呼ばわった。
──それから大騒ぎになった。たちまち人が集まり、彼は寝床に運ばれ、医者が呼ばれた。
「──縁側で見つかった?バカな。身体を冷やすなど自殺行為ですぞ、寿命を縮めるつもりですか」
彼の様子を診察に来た医者はそういった。
寝床に横たわった彼は医者に脈をとられながら薄く笑うだけだった。
「良いですか。今後、縁側で読書など言語道断。安静にしていなされ。無茶な事をなさると病がよくなるどころか
命を縮めますぞ」
やがて、医者は彼の薬を調合すると、絶対安静を言い渡し、引き上げていった。
「全く、ほんに肝が冷えましたで。この猫が来なければどうなっていたか──」
お妙はそう言うと湿った手ぬぐいであたしをゴシゴシとこすった。彼の吐血であたしの身体はあちこち赤く染まって
いたのだ。
あたしは最初おとなしくしてたが、くすぐったさがイヤになってふりほどこうとした。が、お妙の手は汚れを
落とすまで頑として譲らなかった。
「ははは。大した事ないって。みんな大げさだなあ」
寝床に横たわりながら彼は笑ったが、その声にはやはり、元気がなかった。
「大した事大ありですっ。お坊っちゃんに何かあったら、大旦那さまに顔向けできなくなるとこでしたよ。全く……
いいですか?今日からちゃんと休まれているか見届けるまではここに居ますからねっ」
それから数日──お妙は彼がちゃんと安静に休むのを見届けるまで帰宅しないようになった──
◇ ◇ ◇
「──で? あんたは早速、何でここにいるのよ?」
夜。ひさしぶりに「変化」して彼の元に現れた時だった。あたしが庭に入ると彼は這い出るようにして縁側に
出ようとしている所だった。
「──あ。ひ、ひひ、久しぶり」
「久しぶり。じゃないわよ。何してるかって言ってるの。駄目じゃない。お医者さまに安静にしてるように
言われてるのに……はやく、こっちに来なさい!」
「あてて、そんなっ 急に引っ張らないでっ……」
そういってあたしは彼を引きずるようにして寝床につかせた。この前のような事はもうたくさんだ。
「まったく、お妙さんが見に来なくなった途端に……一体、何だってこんな無茶をする気になるのかしら?
信じられない!」
そう言いながら、枕元においてあるたらいの水に手ぬぐいをひたし、絞って彼のひたいに置いた。
「はは……その……うん。面目ない」
ごほごほと咳込みながら、彼は弱々しく返事を返す。
「で?もう一度聞くけど、一体何だってそんな馬鹿げた事をしようって気になったの?!わかってる?アンタそれで
命縮めてるのよ?!」
彼の枕元に座ると上からジロリとねめつけた。彼は布団をかき寄せると表情を隠すように潜り込んだ。
「その……月明かりで……書を……だな……」
「部屋の中ででも十分読めるじゃない」
モゴモゴと呟きかける彼をピシャリと遮った。
「いや……ホントは……その……」
「?」
彼はさらに言いにくそうにモゴモゴと布団の中で呟く。何かハッキリしない。
「何よ?ハッキリしないわね。ちゃんと言いなさいよ。ちゃんと」
あたしはジリジリと焦れた。
「その……あれだ。縁側に出てないと君に会えなくなると思って……その……」
「はぁ?」
あたしはどんなに理由があるのかと身構えていただけに力が抜けた。どれだけ強い理由かと思えば……
「そんな事で縁側に出ようだなんて無茶しようとしてたの?!バっカねぇ〜〜そんな事しなくても会いにきたげるわよ」
あたしは拍子抜けしてそうのたまった。この時代、建物に鍵のない家は珍しくなく、この家にも鍵はついてない。
「ほ、本当か?本当なんだな?!」
だが、軽い気持ちで言ったにもかかわらず、彼は妙に勢いづいてたずねてきた。
「そうね。ほっとくとアナタ、また無茶やらかしそうだし、時々様子を見に来ることにするわ」
あたしは多少、クロスケをマネたような言い回しで請け負った。クロスケもこんな気持ちであたしにあの台詞を
言ったんだろうか……?頭の片隅でチラリと考える。ともあれ、その言葉を聞いて彼は安心したかのように布団に
沈み込んだ。
──だがあれから。彼の症状は少しずつ悪くなっていった。湿った咳を繰り返すようになり、書き物の仕事は
おろか、あれだけ好きだった『読書』もできない状態になった事も一度や二度ではなかった。そして、あたしは彼が
寝床を抜け出さないかを見張る事が多くなった。少しでも調子がいい時、何かと縁側に向かおうとするのだ。
そのたびに『変化』して叱りつけ、寝床に押し込んだ。
だが、日に日に彼は元気を無くし、弱っていく。見守る事しかできない日々が続き、自分じゃどうしようも
なくなってきたとき、クロスケが再び様子を見にやって来た。
◇ ◇ ◇
「よう、達者……て、訳でもなさそうだな?」
ある夜、庭先に現れたクロスケはあたしの沈んだ様子を見て暢気な言葉を飲み込んだ。
「クロスケ……あたし、もうどうしていいのかわかんない……」
あたしは胸の中に押し込めていた無力感とともに「彼」の現状を説明した。彼ならいい知恵を貸してくれるかも
知れない……
「はぁ。肺の患いね……」
──大体の事情を説明し終わると、クロスケは考えながら後ろ足で顎の下を掻いた。
「あたし……あたし、どうしたらいいか……」
クロスケはう〜むと口の中で唸ると黙り込んでしまった。しばらく、暗い夜空を眺めていたが、ポツリと呟いた。
「だからいったのに……」
「えっ?!」
「あ。いや……まずな。最初に言っときたいことがある」
神妙な様子で切り出した。
「う、うん……」
「まずな。遅かれ早かれ、この先、こういう事は何度もある」
「?!」
あたしは彼の言っている意味が分からなかった。
「いや。例えそのにーちゃんが病気じゃなかったとしても、だ。いずれはお前より先におっ死んじまう。ニンゲンはよ、
短い間に病だの事故だの怪我だの寿命だのであっちゅう間に死んじまうんだ。おめぇが思い悩んでいるそれも
いずれはぶちあたる絶対に避けられない宿命ってヤツよ」
「そんな……」
黒い、漆黒の毛並みの中の金色の瞳があたしをじっと睨み、淡々と事実を言の葉にのせてゆく。
「人と関わってゆくっちゅ〜のはそーゆーこった。おめぇはこれから何度もそういう気持ちを味わう事になる。
人により添って生きていくツモリならな。この前『あの家にもう近づくな』つった意味、解ってくれたかい?」
「……で、でも、彼は寿命を迎える訳じゃない。そんなのってあんまりじゃない」
あたしはとっさに言い返したが、クロスケに言っても仕方ないことだとわかってはいた。寿命だろうと病気だろうと
どうしようもないものはどうしようもない──
すると、クロスケは二股に分かれた尻尾を一振りし、
「そうさな。確かに寿命よか病気のが何とかなるかもしれんね。ついて来な。肺の患いに効果のありそうな薬草の
場所を教えてやる。病を治す事はできなくとも、苦しみを和らげる事ぐらいはできるだろうさ。ついてきな」
そう言って歩きだした。
◇ ◇ ◇
──この寒い季節にも関わらず、クロスケは山の薬草・薬木をよく知っていた。
「──で、だ。これがその木よ。樹皮を剥いて乾かしたら、細かく砕いて煮るといい。煮だした汁が薬になる」
いくつか肺の患いに効きそうな植物を教えてもらい、あたしはそれらの名前や臭い・特徴を必死で覚えた。中には
『読書』で知っていたものもいくつか混じっていたが、知らないものも多かった。なにより、文字でしか知らなかった
薬草を実物で見ると想像していたものと大分違ってたりする事も少なくなかった。
「さて……と。今の季節に採れる・とっておくべき薬草はこんなモンかな。扱い間違えると死んじまうようなのも
あっから扱いには気ぃつけんだぞ」
「クロスケ……ありがとう」
あたしは心からお礼を言ったのに、クロスケは何故かムズ痒そうな様子でアゴの下を後ろ足でかき、
「おら。用件は済んだろ。いいから、摘んだ薬草持ってさっさと行っちめぇ」
と、素っ気なく返事した後、シッシッと後ろ足をおっぱらうようにふった。
あたしはもう一度頭をペコリと下げる(ニンゲンの風習だ)と薬草をくわえ、彼の母屋に向けて駆けだした。
◇ ◇ ◇
家屋に入り、人の姿に変化し、彼の枕元に立つと彼は目を覚ましたのかうっすらと目を見開いて、見上げてきた。
「君は……」
どうやら寝ぼけてたりはしていないようだ。起きあがろうとするのを手をあげて制する。そして静かに彼の枕元に
しゃがみ込むと
「……薬草を持ってきたわ。これで大分よくなるハズよ。お妙さんかお医者さまが来たら煎じてもらうといい」
そう言って今さっき摘み取ってきた薬草を枕元に並べた。
「なして……」
「ん?」
「なしてそうまでしてくれるんだ?」
変な事を聞いてくる。
だが、あらためて聞かれるとあたしも答えに詰まってしまった。暫く唇に人差し指をあて、ん〜〜〜と考える。
すると、不意に答えが脳裏をよぎった。
「そうね……早く良くなってまた『読書』して欲しいから……かしら?」
彼は病に倒れてからずっとふせっていて、『読書』してくれなくなっていた。彼に良くなって貰いたい一番の理由は
これしかないだろう。
だが、彼はその答えに不満そうだった。どこか消沈したような声で「そうか……」と呟き、吐息を漏らした。
「なら、お礼に幾らでも書物を貸そう。どうせ読めないしな。好きな書をもっていくといい」
そう呟くと向こうを向いた。どこか気落ちしているように見えたが、それが何故かあたしにはわからなかった。
その時のあたしはそれだけでなく、彼の言うことに少し困惑していた。いくら『書』を貸して貰ってもあたしには
字が読めない。だから、あたしはしぶしぶこう答えた。
「……あなたに読んで欲しいの」
「え……」
向こうを向いた彼がこちらに向きなおり、聞き返した。
「だから、自分で読むんじゃなく、あなたに読んで欲しいの。だから、早く具合がよくなって貰わないと困るの。
わかった?」
「あ、あぁ」
どこか熱にうかされたように彼は答えた。さっきの消沈した様子とは正反対だ。大丈夫だろか?
「じゃ、あたしはもう行くわ。薬草、ちゃんと飲みなさいよ」
そう言って背を向けた。
「あぁ。……お、おやすみ。ありがとう」
小さい声で返事が返ってきた。
「えぇ。おやすみ」
そのまま部屋を出ると、『変化』していつも寝ている場所に引っ込んだ。今日は山を走り回ったせいであたしは
あっという間に眠りに落ちていった。
──翌日──
「──あんれまあ、お坊っちゃん。この汚い草は一体何だべか」
「お妙さん、それは知り合いがわざわざ持ってきた病に効く薬草だと、早速煎じてくれねえか──」
あたしはお妙さんの出した餌を平らげながらその会話を聞いた。食べおえると、次の日の分の薬草を探しに家を
出ていった──
──だが、あれから。彼の具合は日に日に悪くなっていった。薬草を服用した後なら少しは良くなるのだが、病魔が
彼の身体を蝕んでゆくのが目に見えるようだった。
「──駄目じゃない、折角摘んできた薬草を飲まなきゃ。良くならないわよ」
ある晩、すっかりやせ細った彼の枕元に『変化』して現れたあたしは、煎じた後すっかり冷めてしまった薬草を
見、彼が薬草を服用していないことを見咎めた。
「もう……お薬湯、冷えちゃってるじゃない……もう一度煎じるわね」
あたしは囲炉裏に火をおこし、湯を沸かそうとする。
「──いいんだ。ボクの病は治らない……だいぶ前からわかっていたことさ……」
あたしの手が一瞬、止まる。
「そんなこと──」
あたしは否定しかけて言い淀んだ。ロクに病気の事を知らないのに気休めを言っても傷つけるだけじゃないかしら──
そんな考えが頭をよぎり、後を続けられなかった。
気にせず、彼は自嘲気味に言葉を続けた。
「これでもさ、以前は随分と期待されていたんだ。うちは大きな商家でさ。貿易……この国以外の国と取引すること
なんだけど、それを任される所だっただ……」
ところが、病に倒れ、療養と称してこんな辺鄙な山におし込まれた。そう語った。
「で、でも療養にこんなに立派なおうちを用意してくれてるんだし、それに応えてしっかり治さないと……」
この時代、建物はもちろんの事、書物だって安いものではない。また、ここにある書を集めるにも相当の金額が
かかっているはずだった。それを見るだけでも彼にかけられた期待が相当なものではないかと思った。
だが……彼の様子は一向に変わらなかった。
「こんなもの、体の良い厄介払いにしか思ってないさ。その証拠にこれだけ大騒ぎしたというのに家の者は誰一人、
見舞いにも来やしない……うっ!」
興奮して身体に障ったのだろう。急に身体をくの字に曲げ、ゴホゴホとせきこんだ。また、口元に血が滲む──
「ほら、無茶をするから……!」
彼を後ろから支え、再び煎じた薬湯を湯呑みで口に含ませる。……徐々に彼の呼吸が落ち着いてくる──
「……君は……」
それでもまだ、ぜいぜいと浅く呼吸を繰り返し、彼は必死に言葉を探しているようだった。
「え……?」
「君は……どうしてボクなんかの為にこんなに……その……ここまでしてくれるだ?こんなに……こんなに
みじめになったボクなんかの為に?!」
不意に、彼があたしの手を掴んだ。細くなったその腕が思いもかけない力強さであたしの手をひきよせ、あたしは
手に持っていた湯呑みを取り落とした。
ゴトン、と、重い音をたて、湯呑みが転がった。でもあたしは、熱っぽくうかされたような彼の目に引き寄せられていた。
──何?これは何?一体、彼に何がおこっているの?──
あたしは混乱した。普段の温厚な彼じゃない。何か強い光が目から放っているようだ。握りしめられた両手は妙に
力が込められてて、ブルブル震えている。そしてあたしは彼の強い目の光に気圧されて動けなくなっていた。
「ボクは……ボクは……あの月の晩、君に出会ったときから……君の事が──っ」
彼の唇が動き、その言葉を紡ぎだした。あたしはその言葉を聞いた途端、アタマが真っ白になり、思考が停止した──
◇ ◇ ◇
──ッハァッハァッハァッハァッ!
……気がつけばあたしは家と家の間の路地裏で荒く息をついていた。呼吸が早く、心臓は早鐘のように脈うっている。
あたまがクラクラするだけでなく、頬が熱く、肩から上がフワフワと落ち着かない。
あたしはかたわらの塀にもたれかかり、胸をおさえてズルズルと座り込んだ。見るともなく夜空を見上げる。
──知らなかった。彼があたしをそんな風に想っていただなんて──
いつだったか──彼がアコガレていた書の物語──月の晩に出会った娘とともに不思議な世界に踏み出す夢物語……
彼の望みはあの書物に記されているような冒険に出ることではなかったのだ。ようやく、そのことに思い至った。
大きく息を吐き出して、胸の鼓動を落ち着ける。だいぶ収まってきたが、アタマがふわふわする感じは変わらない。
それにどうしていいかわからない。『恋愛』に関する書は沢山『読書』してきたが、こんな時どうすればいいのか
サッパリわからなかった。『読書』しているときは登場人物に対して「どうしてこんな簡単な事がわからないのかしら」
と、思ったものだが、これでは彼らのことは笑えない。これからどうすればいいのか全く見当がつかない。そうやって
途方に暮れた時だった──
「よーう、いってぇ、どうしたんでぇ?」
唐突に、背後から掛けられた声にあたしは飛び上がった。
「クロスケ?!」
「薬草の効き具合はどんなもんかなってよぉ。様子を見に来たらえれぇ勢いでおめぇが飛び出して来るじゃねぇか。
いってぇー何ゴトだってぇんだ?」
黒い猫又はいつもと変わらぬ様子で『変化』したあたしを見上げていた。
◇ ◇ ◇
「は──……『変化』したおめぇさんを……ねぇ……」
そう言うと、クロスケは後ろ足で顎の下を掻いた。
降るような星空の下、あたしはクロスケに全てを話し、どうしたらいいのかたずねた。クロスケに内緒で
『変化』した姿を彼にさらし、時々その姿で会いに行っていたこと。そして、その姿のあたしに彼が
す、すす、『好き』だと言ったこと。
そのくだりを思い出すだけでも、あたまがボーッとなって動悸が激しくなる。まさかいくつも読んだ恋物語に
あったことが自分の身の上に起こるとは思いもよらなかった。
「ま、まずは……だ。そのノボセたおつむを冷ますことだな」
それを聞いてあたしはむくれた。それができればとっくにそうしてる。できないから困っているのに……っ
──すると、クロスケはさもおかしそうにあの独特の笑い声をあげた。
「しっしっしっしっ、おめぇ、今のは怒るとこだぞ。まじめに返されるたぁ思わなかったゼ。しっしっしっ」
「──で、具体的にあたしはどうすればいいのよ」
愉快そうに笑うクロスケにあたしは憮然とした顔でたずねた。
「じゃあ聞くが、おめぇはどうしたいんだ?」
質問を質問で返されて、あたしは言葉に詰まった。
「おめぇのやってる……『読書』?それにゃあ、いろんな答えがのっているんだろ?それを参考にしてもいいだろ、
どうすんだ?」
「そっ、そんなのっ、わ、わかんないわよ!」
なんだか急にバツが悪くなって、あたしは目をそらしながら答えた。そんなあたしの様子を『しっしっし』と笑いだし
そうな様子でながめていたクロスケだが、やがてあらたまった声でしゃべりだした。
「そうさなぁ。どうしたいかわからねぇなら……とりあえずその『変化』を解いて猫の姿で一緒に居てみるこったな。
『猫のおめぇ』と今のおめぇが同じたぁ、知らねぇんだろ?」
「え、えぇ……」
言われてあたしは、まだ『変化』を解いてないことに気づいて、猫の姿に戻った。
「今のおめぇは、初めての事に舞い上がっちまってどうしていいのか分からない状態だ。しばらく、その猫の姿であの
坊ちゃんの側ですごして、どうするかはそれから決めるこったな」
「どうするかって……」
あたしがオウム返しに呟くと、クロスケはニヤッと笑って
「決まってんだろ?坊ちゃんの愛を受け入れるか、それとも拒むかよ」
そういってまた、しっしっしと笑った。だがひとしきり笑った後、まじめな様子になり
「だが忘れるなよ。ニンゲンはオレ達とは住む時間の流れがちげぇ。あんま時間はねーかんな」
そう、言い添えた。
◇ ◇ ◇
あれから──あたしは猫の姿で彼の元に戻り、数日過ごした。薬草も毎日のように摘んできては、彼が眠っている
間に枕元に置いておいた。お妙さんは誰が持ってきているのかいぶかしんだが、彼は誰が持ってきているのか
絶対口にしなかったし、一時的にとはいえ、薬湯を口にすれば症状が和らぐのは確かだったので深く追求しなかった。
彼は猫のあたしを抱き上げてあたしの額に額をスリスリとすり付けながら
「ひょっとしたら、シロスケが持ってきてくれてるのかもしれねえぞ?」
などとうそぶいた。実際そうなんだが、そんなこと彼は知らない。
ニンゲン曰くあたしの毛並みは手触りがいいらしい。彼を始めいろんなニンゲンがあたしの毛並みに触れたり、
頬ずりしたがる。額をすり付ける挨拶はあたしからも時々やったりもする。ここ以外で餌をくれる人にそうやって
お礼したりもしていた。彼はここ暫くずっとふせっていたから眠ってる所をあたしから挨拶代わりに額を額に
こすりつけて起こすこともあった。
──それにしても……彼はあれから穏やかになったような気がする。病状は刻々と悪くなっていってるはずなのに、
それを受け入れてしまっているようなフシすらあるのだ。あの夜、あたしは混乱して逃げ出してしまったと言うのに……
そして、クロスケに言われたようにあたしは時間があれば彼の側で過ごすようになっていた。あたしにとって彼は
どんな存在なのだろうか?改めて考えると分からなくなってしまった。そうして、あたしは答えが出せぬまま、あの日を
迎えてしまったのだ──
◇ ◇ ◇
ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……
息苦しそうな息が繰り返される。こんなにも空気が冷え込んでいるのに汗びっしょりで彼の全身からはうっすらともやの
ようなものさえ立ち上っている。呼吸も浅くせわしなくて苦しそうだ。
──彼の容態が急変したのだ──
お妙さんは彼の様子を見てとって、ただちに医者を呼びに家を飛び出していった。
あたしは家に誰もいないのを確認し、彼の枕元で『変化』した。そして彼のひたいに乗せられた濡れた手ぬぐいを
水にひたし、絞って彼の額にのせると呼びかけた。
「ねぇ、わかる?あたしよ。しっかりして」
呼びかけると、彼はうっすらと目を見開いた。ぼんやりとしたまなざしであたしを見上げた。
「君は……よかった……やっと……最後に……また会えた……」
弱々しい声で囁くように言うとうっすらと笑った。あたしはその表情を見て胸をつかれるような思いがした。
「そんな……気をしっかりして。あたし、まだあの時のこと答えてないのに……応えられずに逃げてしまったのに……」
それどころか答えにさえまだたどりついていない……だが、彼はやさしく微笑むとゆっくりとこう言った。
「気に……しなくて……いい。あれは……ボクの……勝手な……わがままだ……応えてもらおうだなんて……
おもっちゃ……いない」
そこまで言うと苦しげにせき込んだ。思わずあたしが身を乗り出すと、彼はゆっくりと手を差し挙げた。あたしは
つられるようにしてその手を握り返す。やせ細った手が妙な熱さであたしの手を握り返した。まるで彼の中で炎が彼の
命を燃やし尽くしてしまうのではないのかという熱さだった。彼は熱にうかされるようにして言葉を紡ぐ。
「せめて……君に……だけでも……ボクのこと……覚えて……いて欲しくて……」
だんだん彼の言葉が途切れがちになってゆく。あたしは彼の命が燃え尽きようとしているのを感じ、必死で手を握り、
呼びかけた。
「待って!あたし貴方にまだ何も答えてない!あなたに貰ったもの、返せてない!」
あたしはあの夜、あの時に逃げ出してしまった事を痛烈に後悔しながら、彼に呼びかけた。
「いいんだ……最後に……君に会えて……よか……た……あり……う」
最後の言葉とともに彼の口から吐息が漏れた。手から力が抜けた。
そして、もう二度と彼が応えてくれる事はなかった──
「……ばか。何、満足げに笑ってるのよ……」
あたしは彼の傍らに呆然と座り込み、彼の死に顔を見下ろしていた。
彼には色々な事で世話になった。人の姿の時も、猫の姿の時も……彼に告白された時も混乱こそしたが、
嫌じゃなかった。せめてその事だけでも伝えたかったのにそれを伝える前に彼は逝ってしまった。
ボンヤリと、彼の額にのせられた手ぬぐいをどかす。最後に彼の顔をよく見ておきたかったのだ。
彼の死に顔は満足そうだった。
すりっ
彼のひたいにあたしの額をすりつける。猫流の挨拶。最後の触れ合い。それだけではあきたらず、彼の頬に頬ずりを
繰り返した。さっきまで激しく病魔に抗がっていた頬は汗で少し湿ってる。そして、まだ僅かに暖かかった。
あたしは暫くの間、心にぽっかりと空いた隙間を埋めようと、猫のように彼の額と額、頬と頬をすりあわせ続けた。
ややあって、ガララッと、戸が開かれる音で我に返った。
「お坊っちゃま!ただ今お医者さまを あ──」
戸を開けたお妙さんの言葉が途中で止まった。彼の上にかがみ込んでいるあたしと目が合ったのだ。一方、あたしも
顔を上げたまま固まっていた。そうして一、二秒ほど互いに向き合っていただろうか。あたしは居たたまれなくなった。
その沈黙に耐えきれず、お妙さんが何かを言う前に『変化』して、開いた戸の脇を、お妙さんと医者の足下を
一目散に駆け抜けて逃げ出した。
──それから数日後の事だった。
『この家の若旦那が化け猫にとり殺された』とか『使用人が若旦那の精気をすすっているところを目撃した』という
噂が流れたのは──
◇ ◇ ◇
「もうそろそろいいかい。いつまでもそうやってる訳にはいくめい」
クロスケはあたしの傍らでヒマそうに毛づくろいをしながらそう言った。
「もう少し。あともう少しだけ」
あたしはそう言うと(猫からしたら)大きな石を見上げながら感傷にひたっていた。
ここは人気のない墓地。明るい日の光が降り注ぐ中、白と黒の二匹の猫が真新しい墓石の前にたたずんでいた。
あの噂が流れてから、あたしは猫の姿でも人の姿でも、大っぴらに村を歩けなくなっていた。もちろん、彼の家に
近づくこともできず、遠巻きに彼の葬儀を眺めることしかできなくなった。
そして、クロスケにもうこの村で暮らすのは諦め、新しい大きい街に移り住んだほうがいいと助言され、クロスケに
ついて他の町へいくことに決めたのだ。
そして今は、彼の墓前で最後のお別れをしている所だ。
大きな縦長の石に墓碑名を彫っただけの簡単な墓石だったが、この時代に石のお墓をたててもらえるのだから、
やはり彼は恵まれた家の出なのだろう。
彼との思い出はほとんどが『読書』とともにあった。彼の読み上げる声、膝の上で丸まっている時の温もり、彼の
ズレた勘違い──
今となっては全てがこの石の下だ。
「もぉ、待ちきれねーぞ。これ以上そこに居んなら置いていくかんなあ」
いいかげん、じれたクロスケがそんな事をいいだした。
「待って。じゃぁ、あと一つだけ──」
そう返事を返すと、あたしは墓石に向き直った。そして、まるで彼に語りかけるように最後の言葉を紡ぎだした。
「あのね。あたし、あれから色々考えたの。あなたの告白のこと……それでね。あたしの出した答えは『────』」
あたしはその答えをゆっくりと口にした。それが正しいかは分からない。だけどそれが今のあたしにできる精一杯の
応えだった。
「おーい、そんじゃ、いいな。もう行くぞー」
いつまでもお墓の前から動こうとしないあたしにシビレを切らしたのか、見るとクロスケが歩き出すところだった。
「それじゃぁね。またいつか、ほとぼりが冷めたらまた来るわね」
あたしは最後にそう声をかけると、クロスケの後を追いかけて走り出した──
◇ ◇ ◇
──ぽかぽかと暖かい日差しの中、私は私を呼ぶ声で目を覚ました。
「ハンニャー、ハンニャー。そんな所で寝てたら風邪ひくよー?」
そう言って私の膝を揺すっているのは桜色の着物を着た童女だ。体に不釣り合いな長大な刀を背負い、額には小さな
ツノが一対、生えている。
「んん……あたし……眠ってたか……」
私は自分の居る場所をボンヤリと見回した。随分と懐かしい夢をみたものだ。私がただの猫又だった頃の夢……
ここは縁側だ。もちろん『彼』の家ではない。目の前にはやや広い庭と自家栽培の畑が広がっている。この家は
ひのもと鬼子という鬼の娘が住んでいる山奥の家だ。そして、私は請われてこの家に居候している。
どうやら私はうたた寝をしていたようだ。冬の寒さも緩んでいた上、風もなかったのでこの縁側はまるで春のように
暖かい。それでつい、『読書』中に眠ってしまったようだ。ちなみに今は何種類もの「文字」を読めるようになってる。
まあ、その反動で眼鏡が必要なほど目を悪くしてしまっているが。
「ねー、ねーハンニャー。何か面白い『コイバナ』してーわんこもねね様も忙しい忙しいって相手してくんないのー」
そういいながら膝を揺するのはこにぽん。これでも鬼の童女だが、一般に言われている『鬼』の怖さはカケラもない。
「そーねー」
私はボンヤリと夢の内容を思い返しながら生返事をした。いつものように伸びをしてボリボリと頭のうしろを掻く。
あれから。随分と月日も経った。得たものも多くあったし、失ったものもあっただろう。あの時、墓前で最後に彼に
送った言葉。あの時私は何て言ったのだろう?どうしても思い出せない。あの頃の私が精一杯考えて出した答え。
今の私には全く想像できない。失ったものの一つ。というものなのだろう。今となっては知る術はない。
クロスケとはあれから、暫く一緒に生きていたが、やはり最後は生き方が違うため、別々の道をゆく事になった。
私は人と共に生きる道を選んだからだ。
今も元気に野良猫として生き延びているのか、それともどこかでのたれ死んでいるのか……それも分からない。
けれど、根拠もなく今もどこかでのらりくらりと生きているんじゃないかという気がしている。
ともあれ、私は私を見上げているこにぽんを抱き上げ、膝の上に座らせた。
「じゃ、ふるーい古い、昔のお話をしましょうか。月の夜、不思議な娘さんに出会った男の恋物語。なんてどう?」
「わー聞きたい聞きたいっ それどんなお話?」
こにぽんは急に目をキラキラさせて無邪気に聞きたがった。
私は少しだけもったいぶると膝の上のこにぽんに昔、彼の膝の上で聞いた懐かしく古い物語を語りはじめた──
──おわり──
>>154-163 という訳で、猫又になりたてのハンニャーの過去話。これでひとまずは終幕です。お付き合い下さいましたみなさま
ありがとうございました〜
猫又としても恋にしてもまだまだ全然未熟な頃の彼女の話。どうだったでしょうか?
ハンニャーは長生きした強キャラなので、過去話のエピソードはきっと沢山あるんだろうなあ〜って思ったり。
>>151>>152 感想どうもです!後半の話も含め気に入ってもらえたらウレシイですっ
>>153 えっ うそ、きゃ〜〜〜(嬉)メッチャうれしいっス!イメージこんな感じですっまさにドンピシャ。
挿絵になるなんてSS冥利に尽きます。ありがとうございますっ
乙です。面白かった。
その後もいろいろ出会いがあって、恋とかもしたんだろーなー
>>154-163 乙でっす。
ハンニャーかわいそす。
クロスケ、黒い猫って・・・
もしかしてアレに繋がってるとか。
アレ?黒猫キャラっていたっけ?
人でない妖(あやかし)の類に対する誤解。
そのせいで悲しいお見送りになってしまった最後は
良いラストでした。
ところで、時代背景は、明治の前半くらいでOKですかね?
みなさん感想どうもですっ
>>168 時代背景としては「とっても昔」というボンヤリした感じで書いてました。なので、「青年」が読んでいた「書」物も
紙を綴じた本などは少なく、巻物や竹などに記したものも混ざってるカンジです。(だから月明かりで読書ができた)
貿易云々もおそらく、国が「鎖国するまえの時代」のことだとおもいます。
が、あんま詳細に時代考証されるとボロがでまくるので程ほどにしてもらえると助かります(ぉぃ
ファンタジー古代とゆーことで(いいのかそれで)
◇ ◇ ◇
ひのもと鬼子の家屋は山奥にある。そんな場所にもかかわらず、ここには足しげく通う者が何人かいた。
「平和だね〜」
「平和ですね」
言い出したのは人間の女子高校生、田中 匠(たなか たくみ)である。彼女はこの山奥にある家屋まで毎回よく
遊びに来る、ひのもと鬼子の友人である。それに応えたのが、この家の住人こと鬼子だ。彼女は丁度、友人であり
客人である田中にお茶を出した所だった。
「ま〜アレだね。こう静かだとそろそろアレじゃないかな〜なんて思っちゃうよね」
座布団の上にペタンと座り、出された紅葉饅頭をほおばりながら、そんなことをのたまった。手には最新の同人誌を
広げている。今日は先日の戦果を鬼子に披露しに来てたのだ。
「そうですね〜そろそろあれですかね〜」
そういいながら、鬼子は自分の分のお茶をすすった。
と、丁度その時、家の外から元気な怒鳴り声が聞こえてきた。
「鬼子ぉおおーーーっ 出てこいやあっ!今日こそジブンの命日やーーっ決着つけたるさかい、出てこんかーーーっ!」
「お」
田中が来たなとばかりに反応するが特に動揺する様子はない。
「あら」
一方の鬼子も似たような調子だ。
「どうした鬼子ぉおーーーっ!おじけづいたんかぁあーーっ」
「やっぱこれがないと落ち着かないねぇ〜」
田中は自分に煎れてもらったお茶を口に運ぶとふーっと息を吐く。
「すみません、田中さん。それではちょっといってきますね」
鬼子はそう言うと、自らの武器である薙刀を手に部屋を出ていった。
「……しまった。また見逃した」
目をすがめ、鬼子を凝視していた田中はぽつりとこぼした。毎回、鬼子が薙刀を取り出す所を見ようとしているのに
いつのまにか鬼子は薙刀を手にしているのだ。あまりに自然に手にしているので、いつ、どこから薙刀を取り出したのか
さっぱりわからないのだ。一度たずねてみたこともあったが、「いつもありますよ。ほら」と、よくわからない返答を
されてたものの結局よくわからないままだった。
……それはともかく。鬼子はいつものように玄関を抜け決戦場に赴いた。とはいえ、裏庭に広がるただの広場である。
夏には家庭菜園ができる事もあるが、今は黒く堅い地面が広がっていて、もっぱらわんこの鍛錬や、ついなとの決闘(?)に
使用されている。
珍しく、ついなは広場の中央で堂々と仁王立ちして待っていた。手に持った矛を挑発的に持ち上げて鬼子の方に
突き出している。鬼子はゆっくりと薙刀を手に近づいてゆく。
「お待たせしました。正々堂々とは珍しいですね。さ、いざ始めましょうか」
「…………」
が、ついなからは返事がない。
「? どうしました?今更恐れている訳でもないんでしょう?」
鬼子は穏やかな眼差しでそう語りかけた。まだ彼女の戦闘形態である『中成り』には成ってはいない。一応、生成り
状態の彼女であっても薙刀は扱えるし、その腕前は我流で矛を操るついなよりも上であった。
ついなは今までも幾度も鬼子に挑んでは敗北を繰り返していた。それでも(田中曰く)性懲りもなく挑戦することを
止めないのだ。その不屈の精神だけは鬼子も認めざるをえないだろう。
……が、そのついなの様子がおかしい。相変わらず鬼子に矛を突きつけたまま一言も言葉を発さず、微動だにしない。
鬼子は周囲に注意を払いながらゆっくりとついなに近づいていった。
ついなは鬼子に対して戦いを挑む時、様々な策略や罠を仕掛けることが多い。その大半が苦笑ものの稚拙なもので
あるが、用心するに越したことはない。
鬼子はついなに近づいて彼女をまじまじと凝視した。至近距離でみた彼女は完全に臨戦態勢で挑んでいるようだ。
四つ目の怪人のお面を頭に装着し、中華風とも和風ともつかない衣装を身に纏い、矛を突きつけた顔はどこか得意げだ。
が、その姿が一瞬、瞬いたような気がした。
「! これはっ」
鬼子は薙刀の刃とは逆の部分、柄の尻である石突きでついなの足下を一撃した。途端、大量の土が爆発的に飛び散った。
そして、その中から何かがゴロリと転がり出てきた。それはソフトボールよりもふた周りほど大きい金属のカタマリだ。
どこか眼球を思わせるその機械は目玉なら瞳を思わせる部分から黄色い光を発していた。そして、地面に転がった
機械が放つ光の先には先ほどの微動だにしないついなを地面に投影しつづけていた。
「しまった、これは、ワナ──」
同時に鬼子の耳に不穏なひゅるるるという音が届いた──
──鬼子の家は山奥にある。にもかかわらず、畑や家が建てられる位には平地があるが、それでも山の中である。
そして、決闘場の横にも小高い山のようなものがあった。ついなはその山の頂上にいた。この決闘場を見下ろす位置だ。
そこでついなはタイミングを計っていたのだ。
ついなは片膝をつき、肩に黒い丸太のようなものを担いでいた。それは巨大な恵方巻きのようだが、スコープと
グリップがついていた。そのグリップを握り、スコープを覗き込んでいた。スコープの中心には憎っき宿敵
ひのもと鬼子が写っている。ついなはニヤッと笑みを浮かべた。口元に牙のような八重歯が顔をのぞかせる。
そしてついなは手の中の引き金をひきしぼった──
──次の瞬間、ついなの担いでいる巨大な恵方巻きから無数の小さな恵方巻きがシュポンッシュポンッシュポンッと
やや間の抜けた音と共に放たれた。矢継ぎ早にとき放たれたものは恵方巻きだった。それは空中を蛇行し、ぐねぐねとした
煙の尾をひきながら目標に向かって突進してゆく。
──恵方巻きミサイルランチャー──対鬼用武装の一つである。
ついなはミサイルを撃ち尽くして空になった恵方巻きミサイルランチャーを放り投げると命中を確認しないまま、
四つ目の怪人の仮面を目深にかぶった。そして武器を手に崖のような斜面を一本歯の下駄で駆け降りだした。
恵方巻きミサイルは全弾目標地点に命中した──空中でそれぞれ蛇行したため、タイムラグはあったものの、標的に
された地点に連続して爆発が巻き起こり、爆炎で包まれた。ついでもくもくと白煙が立ち上る。
ややあって、その煙が晴れるにつれ、その中から人影が現れた。いわずもがな、鬼子である。だがそのツノは伸び、
目元はキツくツリ上がり赤い隈取りが現れていた。目も真紅に燃え上がり強い気性を思わせる顔に変貌していた。
鬼子の戦闘形態である『中成り』である。
身体のあちらこちらから爆発の名残りである煙をたなびかせながらも、歩く足取りにダメージはみられない。
「やってくれるわね……!」
中成りとなった彼女は山の斜面を駆け下ってくるついなを見上げながらそう呟いた。そのついなは鬼子が爆煙の
中から踏み出して来るのを見るや、高くジャンプし、飛びかかってきた。
「たぁぁああああっ!方相閃・魔滅!」
「!」
ついなの被っているお面の四つ目から圧縮された霊力が金色の光となってまき散らされる。ついなの得意技である。
この金色の光は破魔の力をもち、雑魚の小鬼程度なら穴だらけにされてしまう霊威をもっている。だが──
「はぁっ!」
鬼子は薙刀を正面に構えると、風車のように激しく回転させた。すさまじい回転でついなの放った光をすべて弾じく。
だが次の瞬間、ついなは空中から矛を構えて突きかかった。鬼子は回転させていた薙刀を素早く持ち変えるとガッキと
矛を受け止め、弾き返した。その勢いに押され、ついなは少し離れた場所にしゃがみ込むように着地した。
「鬼子ぉ、今日こそおどれの命日や。覚悟はええか」
しゃがみ、片手をついた姿勢で四つ目の仮面を被った少女は威嚇するように低い声で言った。
「ツマラない御託を並べてる暇があったらさっさとかかってきなさい。勝った事もないくせに」
鬼子がフンと鼻でわらって挑発する。
「方相閃・雷!」
挑発されたからでもないだろうが、ついなのお面の四つ目から四つの雷光が迸った。しかし鬼子は予想していたかの
ような素早さで身を翻した、雷光は鬼子の居た地面を灼くにとどまった。
鬼子はそのままついなに対して踏み込み、薙刀で斬りかかる。
鬼の強力で繰り出される斬撃をついなは方相氏の力を身体に宿した強力で受け止めた。薙刀と矛の刃が激しくぶつかりあう。
「その程度の飛び道具に頼ってるようじゃ、あたしには勝てない。いいかげん、諦めたらどうだ?」
ギリギリと武器でせめぎ合いながらも力では鬼子の方に分があるのか、喋る余裕があった。
「おお……きな……お…せ…わ、やあっ!」
ついなは渾身の力を込めて薙刀の刃を押し返した。
「とと……おっと」
鬼子は特に体勢を崩さず、後退するだけでそれをいなす。
「バカにするなや!鬼ごときに方相氏であるうちが負ける訳ないやろ!くらいなや!」
そう叫ぶと、ありったけの霊力を手のひらに集中しはじめた。ついな最大最強の必殺技を放とうとしているのだ。
やがて、昼だというのに太陽の光を圧してついなの右手を中心に金色の光が輝き出す。
ついなの右手の上には小石サイズの濃縮された霊力の光球が現れた。
「くらえ!方相閃・いん──」
そのタイミングを見計らって、鬼子が動いた。一瞬でついなとの間合いを詰め、薙刀の石突きでついなの足をはらっのだ。
「はれ?」
霊力の制御に全ての神経を注いでいたついなはこの足払いに対処できずに転倒。同時に、集中させていた霊力が
暴発した。
「どわーーーーーーーーっ!!」
霊力だけは無駄に高い彼女の暴発は恵方巻きミサイルより派手な爆煙をまき散らした。
──田中は縁側で二人の対決をながめていた──
「──しっかし、ついなっちも毎度懲りないね〜〜」
モグモグと、紅葉饅頭を食べながら田中は呆れているのか感心しているのかわからない口調でコメントした。
おそらくその両方だろう。
「ふぅ、向こう見ずなのは結構ですけど、毎回同じような決着なのはどうなんでしょう?」
鬼子はそう言いながら田中の湯呑みにお代わりのお茶を継ぎ足した。もう『中成り』の戦闘形態から生成りの姿に戻っている。
「ぐじょ〜〜〜〜おにごめぇ〜〜〜この次ごぞわ〜〜みどれよ〜〜〜〜」
その二人から少し離れた所で縁側に突っ伏してついな。律儀についなの前にも湯呑みがおかれてお茶が注がれているが、
当然、ついなは手をつけていない。
今さっきまで自分の霊力の爆発に巻き込まれて無様にも気絶していたのだ。それで縁側に運ばれ、そこで手当を受けていた。
ただいま絶賛落ち込み中だが、彼女はそれほど引きずるタイプではない。暫くすれば復活するだろう。
「だから、あの技は相手の至近距離で使うべきじゃないって言ってるのに……全く聞き入れる様子がないんですよねぇ……」
鬼子は頬に手をあてながら、ボヤきとも評価ともつかないことを呟いた。
「だってさ、ついなっち?」
田中が振り返って離れた所に突っ伏してるついなに水を向けた。
「誰がぁ〜〜鬼のいうことなんぞ〜〜聞く耳持つかあ〜〜」
まるで亡者のうめきのような答えが返ってきた。田中はヤレヤレとばかりに肩をすくめると紅葉饅頭にパクつくと
「その様子だと、帰る頃には大丈夫そーだねー?帰るときは結構暗くなってるから、ついなっちがついててくれないと
ちょっと帰り道は心細いかな〜」
と、少々わざとらしく言った。
実際は田中一人でも山はおりられるし、そうでなくても鬼子やわんこが麓まで送ってっくれるのだが、こうでも言って
おかないとついなはなかなか復活しないのだ。
「しゃ〜ないな〜ウチが送ったったらな、匠が帰れへんっちゅーのもかわいそーやしなー」
……どうやら、思いの外復活は早そうだ。
田中はムグムグと紅葉饅頭を食べ終わると、自分の荷物をまとめ、靴を履くと縁側から飛び降りた。
「ついなっちも大丈夫なようだし、今日はこの辺で帰るね。じゃ、ついなっち、(山の)ふもとまでヨロシクね!」
日本鬼子 vs 役ついな 勝者:日本鬼子
──おわり──
>>170-173 とゆー訳で、今回の「戦闘描写」シリーズは日本鬼子vs役ついな でお届けいたしました〜
毎回こんなカンジでついなっちは鬼子さんに挑んで返り討ちにあってるぞ!とゆーお話でした。
なお、ついなっちの必殺技が「方相ビーム」から「方相閃」に変わってますが、当人も決めかねているようですw
使うたびに技名が変わってるぞ!とゆー裏設定(いや、ワタシ自身が決めかねてるダケですが……)
もっとカッコイイ技名が思いついたらソレにするかもしれませぬ。
それではこの辺で。
>目をすがめ、鬼子を凝視していた田中はぽつりとこぼした。毎回、鬼子が薙刀を取り出す所を見ようとしているのに
>いつのまにか鬼子は薙刀を手にしているのだ。あまりに自然に手にしているので、いつ、どこから薙刀を取り出したのか
>さっぱりわからないのだ
意外ッ!!それは髪の毛ッッッ!!!
髪の毛が武器になる……そんな剛毛な鬼子さんいやづらw
爆発する恵方巻きwww
鬼子さんのバトル久しぶりに見たかも。かっっこいいなー。
しかし、だれかついなちゃんにまともな稽古をつけてくれる人はいませぬか^-^;
(それとも相手が鬼子だとつい戦い方が派手さ重視になってしまうのか…w)
髪の毛1本取ってふっと息を吹きかけると何かになる、
ってネタをどこかの昔話で聞いたような聞かなかったような。
意外とありかもしれないw
◇ ◇ ◇
「ねえ、本気でする気?」
気弱げな声が問いかける。
「るっせぇな。するつったろうが」
何度目かの質問にいいかげんにうんざりしたとばかりに返した。
「だって、結界も結ばないで万が一のことがあったら……」
「だぁら、うっせーっての。もう決めたっつーたろーが。おめぇだって同意したろーがよ」
「それはそうだけど……」
声の主二人がするのは山あいの広場だ。周囲は鬱蒼とした木に覆われ、近くに小川が流れてる。そこそこの広さの
空き地の中央に二つの人影があった。一人は茶色のシルエットに犬の耳がついている。もう一人は黒いシルエットに
翼を備えていた。わんこと風太郎だ。
「そりゃぁ、うんっていったけどさ……なんだか強引に決められたみたいで……」
黒いシルエットの少年は落ち着かなげに翼を開いたり閉じたりしながら、ブツブツとはっきりしない事を呟き
続けていた。対して、茶色いシルエットの人影は右へ左へと準備運動に余念がない。
「おめぇっ……だって、このままじゃ、上達しないっ……て、おもった…、から、同意……した、んだ、ろう……がっ」
台詞が途切れがちなのは運動しながら喋っているからだ。
二人はこれから戦おうというのだ。とはいっても、本当に争うわけではない。模擬戦だ。「このままじゃ実践的な術の
使い方が学べないのではないか」そう言い出したのは風太郎の方だった。そして、わんこはその風太郎の言葉にのった。
わんこ自身、自らが習得した『風術』の応用がイマイチものにしたという実感がないのだ。そこで二人で実戦に近い形で
『模擬戦闘』をしてみることになった。それも大人たちには内緒で、だ。安全な術封じの結界内で行う模擬戦ではどうも
ピンとこない。そこで、実際に術を働かせて限りなく実戦に近い状態で戦ってみたくなったのだ。
「確かにそう言ったけどさ。やっぱり無茶だよ。法術をぶつけ合って戦うなんて……あたっ」
準備運動を終えたわんこが風太郎をポカッと叩いた。
「いいから用意しろって。今更いってんじゃねーよ」
叩かれて風太郎は口の中でまだブツブツ言いながらも懐から紅白の羽根をとりだし、しぶしぶ赤い羽根をわんこに
手渡した。わんこも白いハチマキを二本取り出し、片方を風太郎に渡す。そして二人はそれぞれの羽根を自分の頭に
くくりつけた。
「おっし、じゃあ、術なりなんなりで羽根を飛ばされた方が負けな」
そう言うとわんこは背を向けスタスタと歩き出す。戦士型わんこに比べ風太郎は戦士型でなく術者タイプである。
その為、始めるときはある程度互いに距離をとることにしたのだ。至近距離で初めては戦士型のわんこに分がありすぎる。
やがて、二人は一定の距離をもって対峙した。わんこの茶色い瞳が風太郎の黒い瞳をじっと見据える。風太郎は緊張した
面もちで錫丈を構えた。
「おっし、こんなモンだろ。いいか。始めるぞ」
一方的に告げるとわんこは六文銭をとりだし空中に放り投げた。地面に落ちた瞬間、戦いが始まる。硬貨は落下し──
チャリン
鋼が石に当たる甲高い音が響く。瞬間、わんこがその優れた脚力にものを言わせ、飛び出した。爆発的な加速力で
わんこは風太郎に肉薄する。
だが、風太郎の反応も早かった。あらかじめ袖の中に握り込んでいたのだろう。数枚の術の符を握った右手を出すと、
錫丈を握った左手とともに正面に構え、高らかに叫んだ。
「風の護り手よ!」
その叫びに呼応して、風太郎の周囲に激しい風が吹き荒れた。風の防護陣だ。風の術としては基本的な術だが風太郎が
使うには札の補助が必要である。術が起動し手の中の札が風に溶けた。
「ちっ」
わんこはアテが外れ、たたらを踏む。わんこは最初、風太郎が空中に逃げると読んでいたのだ。ソコを風の術で落とし
叩く心づもりだった。だが、風太郎はその場で術を起動することを選んだ。この術は真下と真上以外、全てをカバーする。
わんこが結界の外でまごついている隙に風太郎は次の攻撃を準備する。懐から小石を数個握り込むとわんこに向け指から
放った。
「風穿孔!」
ビシビシと風の結界を突き抜け、指弾がわんこを襲う。風の威力を上乗せしたツブテがそこかしこの地面で弾ける。
「くっ」
わんこはジグザグに動いてツブテから逃れようとする。しかし手や足にいくつかヒットしてしまう。たまらずわんこは
間近の藪に飛び込んだ。
「くっそ、アイツ思ったよか要領がいい!」
わんこはツブテのヒットした箇所をさすりながら呻いた。風穿孔は基本的な術で札を必要としない。その分威力はないが
当たれば十分痛い。そして、風太郎は安全な結界の中からわんこを術で狙撃しほうだいだ。あの結界は長時間持つ術では
ないが、時間がかかればかかるほど大業で狙撃されるだろう。
「くそっ、このままじゃ……」
わんこは懐から呪符をつかみだした。
──一方、風太郎は茂みに隠れたわんこを見失っていた。
(さて、この後どうしようか……)
周囲に気を配りながら思考を巡らせる。四方を風の防護術で守っているけど基本的な術であるから万全じゃないし、
頭上はガラ空きだ。なにより残り時間があまりない。
大技の準備をしわんこの襲撃に対応するか、いっそこのまま空中に逃れるか。ただ、空中に逃れてもわんこにも風の術が
ある以上打ち落とされる危険は存在する。
「それにこんな時、わんこなら……」
口の中で小さく呟くと懐からお札を取り出した──
「だぁ!」
わんこは風太郎の横手の藪から飛び出すとイッキに風太郎に駆け寄った。風太郎はわんこの姿を認めると、数歩
下がったが、数歩動いただけでわんこに追いつかれた。しかし彼の周りには結界の風が渦巻いている。このまま
ツッコんでも風の結界にはじき飛ばされるだけだ。だが……
「風螺穿!」
わんこは風太郎の風の結界に弾きとばされる直前、術を起動させた。札を持った手を前にかざす。強力な術が起動し
正面を起点に猛烈な風が螺旋状に吹き付け、風の結界に穴を
穿とうと軋んだ音をたてる。
ギギギギギギギッ 「ぐぅううううぅぅっ!」
わんこは足を踏ん張らせる。風の術と自らの脚力による突進力を利用して、風太郎の風の結界を破ろうというのだ。
そして、風の術のひしめき合いは数瞬後に結果がでた。ビキッと軋んだ音と共に風の結界が破られる。
「うわっ、う、嘘だろう?」
風太郎は思わずその場で錫丈を構えた。目の前には突進の勢いを殺され、佇んでるわんこがいる。脚力の力を使いきって
棒立ちになっているが、風太郎のほうも風の結界を完全に破られてしまっていた。
今、二人の間に阻むものは何もない。そして、接近戦闘では風太郎はわんこに遠く及ばない。風太郎は息をのみ、わんこを
見返した。
「へっへ、王手だぜ。風太郎」
後はわんこが風太郎の頭からむしりとるだけで勝負は決着する。
「そうかな?」
そういって、風太郎は手にした錫丈で地面をトン、とついた。シャン、と、錫丈の音がわんこの耳に届く。
「んなっ?!」
瞬間、わんこの驚愕した声が響いた。天地がひっくり返ったのだ。
わんこは身体能力には絶対的とも言える自信をもっていた。普通なら、コケる。などという無様な事には絶対ならない。
だから、わんこには何がおきたのか理解できなかった。自分がコケてひっくり返ったと知ったのはそのさらに数瞬後だ。
「っってーーなんだってんだ」
わんこはいつものクセであたまを掻こうとして動きを止めた。ソコにあるはずのものが無かったからだ。
「へへ〜〜、ボクの勝ちーー」
そういっていたずらっぽく笑いながら差し出した風太郎の手には赤い羽根が握られていた。
「あっ」
あわてて頭に手をやるも、そこにあるはずの羽根はなくなっていた。
「っくっそー!やられた!」
地面にあぐらをかいたまま、わんこは悔しそうに地面を叩く。
「油断大敵だったね。実は──あたっ」
得意げに語りだす風太郎にわんこは腹立たしげに小石をなげつけた。
「わざわざ解説すんじゃねーよ。遅延術を使いやがって。知らねー訳ねーだろが」
遅延術。一定の条件をトリガーに設定し、本来なら速攻性の術を遅延して起動させる術である。
風太郎はわんこが真正面から結界を突破しにかかると読み、罠を張ったのだ。足下に遅延術をかけ、そこに風術
「かまいたちの前足」をかけた。この術は子供がいたずらに
使うことで有名な術だ。地面に近い所で突風をおこし、相手を転倒させる術である。この術は基本的な難しい術では
ないが、遅延術は高度な術であるため、補助の呪符をすべて使いきってしまっていた。
後はわんこが結界を破りにくるのを迎え打てばいい。結界を破り、気が緩んだところをこの術で転倒させ、その隙に
頭の羽根をスリとったのだ。
「ったく、インケンで根暗な手ぇ、使いやがって。こんな決着、オレは認めね〜ぞ」
地面に座り込み、ブスッとした表情でわんこはふてくされた。
「根暗って……君が遅延術のよさがわからないっていうから……」
「うっせ!だからインケンだっつってんだよっ」
数日前、新しい術を覚える時、風太郎の熱心さとは裏腹にわんこは「何でいちいち後に術をかけなきゃなんねぇんだ?
スグにブッとばすに越したこたぁねーだろ?」といって、まじめに習得しようとしなかったのだ。
今回、わんこはその不勉強さを痛い形で突かれるカタチになった。
「いいから、もう一回だ!もう一回!今度はこんな卑怯な手にゃぁ、負けねーかんな!」
「えー?」
「こんな決着、納得できねぇよ!」
……だが、二人はこの後、異変を察知して駆けつけた大人たちに見つかり、危険な実戦訓練を勝手にしたことを
みっちりと叱られる事になった。
わんこ vs 風太郎 勝者:風太郎
──おわり──
>>179-181 はい。今回はわんこと風太郎が『術』の練習に模擬戦闘をする話でありました。カンとヒラメキで戦うわんこに
理詰めで状況を読みながら戦いを進めていく風太郎。戦い方にも違いが現れています。
ちなみに余裕で風太郎勝ったように見えますが、もしわんこが別の戦い方を選んだら負けていたのは風太郎だったかもしれません。
それではこれで。
>>130 そういえば、ヌエの変身形態って、いくつあったんだっけ?設定画保存しているとおもってたケド、
フォルダの中になかった。下半身ヘビの女形態と幼児形態の小タヌキっぽいのは覚えているんだけれど。
>>179-182 いいなあ、こういうの。
わんこと風太郎は、競いあって補いあって成長していくんだろうなあ。
10年後のわんこと風太郎とか見てみたい。
>>183 うーん、いくつでしたっけ。
ヘビはなんとなく覚えてます。フォルムが綺麗でした。
もうpixivにもないだろうし…惜しいですね。
186 :
まとめ:2013/03/06(水) 00:19:16.88 ID:PXMx3rsj
毎度まとめ乙ですっ!
「ひのもとさ〜ん、こんにちわ〜!アレ?何この香り?お香?」
私の名前は田中匠。
オタクである事を除けば、ごく普通の女子高校生だった。
今は少し特別。私の友人の「日本鬼子(ひのもと おにこ)」は人ではなく鬼なのだ。
「いらっしゃい田中さん♪」
山奥から通じる、人間界とは少し離れた空間。
一年中紅葉に囲まれた、古い日本家屋が彼女の住処だった。
何か良い事があったのだろう。いつもよりちょっと明るく、彼女は出迎えてくれた。
「これ、最近知り合った『良い鬼』さんからもらったお香なんですよ」
彼女の「仕事」は、人間に取り憑いてその心を穢れさせる「心の鬼」を「萌え散らす」事。
退治するのではなく、簡単に言うと「悪い鬼」を「良い鬼」に変換してしまうのだ。
萌え散らされて「良い鬼」になった心の鬼を、鬼子さんはたいてい友達にしてしまう。
「人間界のものだって言ってましたから、田中さんも知ってるんじゃないでしょうか」
「へー、なんていうアロマ?」
「たしか『だっぽうはーぶ』って言ってました♪」
一瞬、私は固まった。
そんな私を見て、日本さんは小首を傾げながら、それでもその微笑みには一点の曇りもない。
「え、と、ひのもとさん?それ、体に良くないって事知ってる?」
どう説明したらいいのか分からず、ようやく言葉を搾り出す。
「え?そんなはずないですよ♪このお香を嗅いでると体が軽いし、
とっても楽しい気分になるんですよ?ほら!」
やおら立ち上がると、日本さんはくるくると踊りだす。
「あはは、うふふ、ウェーイwwwウェーイwww」
滅多に見られないが、テンションが上がりきった時の日本さんはこんな感じだ。
私はどうしていいのか分からず、しかし楽しそうに踊る日本さんを見ているうちに
「まあいいか」と思うようになった。
鬼は人間より丈夫なはずだし、無理に止めようとして抵抗されでもしたら私の身にも危険が及ぶ。
もし薬物中毒になってしまうとしても、廃人になるのは日本さんで、私ではない。
…
そんな事があって日本さんと距離を置くようになって後、
日本さんが「ついなちゃん」に滅ぼされたと聞いた。
「ついなちゃん」は方相氏と呼ばれる、一種の陰陽師の少女なのだが、
断片的な情報によると、なんでも彼女が「本物の日本鬼子」だったらしい。
そのために「偽者」である日本さんは滅ぼされたという。
正直、意味がわからなかったが、世の中何が起こっても不思議ではないのだし、
いちいち気にしていても仕方がないので、とりあえず日本さんの事は忘れてしまう事にした。
友達というものは、いや、家族でさえ、
いつかは別れの時が来るし、時間とともに記憶から薄れていくものなのだから。
…
「田中ぁ、かんにんな…」
眠りの中で、関西なまりのついなちゃんの声が聞こえた。
それが夢の中だというのが自分でも分かった。
ついなちゃんは、私の知っているついなちゃんじゃなかった。
ああそうか。今の彼女は「日本鬼子(ひのもと おにこ)」なのだ。
彼女は泣いていた。
「鬼を『萌え散らす』…生まれ変わらせる言うんは、本当はな。
その鬼を一度『殺す』ちゅー事なんねん…」
日本さんの事を言っているのだと、私は思った。
それを謝りに、私の夢枕に立ったのだろう。
唇を噛んで涙を流す彼女の姿を見れば、それをどんなにか悔やんでいるかが分かった。
いいんだよ、ついなちゃん。キミは悪くないよ。
それが日本さんと、あなたの運命だったんだよ。仕方なかったんだよ。
声に出す事は出来なかったが、私は彼女に微笑みかけた。
私はキミを、責めたりしない。
「田中ぁ、かんにんな…かんにんな…」
ああ、いいんだよ、ついなちゃん。
そんなに自分を責めないで。
日本さんは鬼なんだもの。いつか誰かに殺されていたさ。
それに、私に謝る必要なんかない。
キミが殺したのは日本さんで、私ではないのだから。
「堪忍!!」
次の瞬間、ついなちゃん…「日本鬼子」の手にした槍が、私を貫いていた。
「田中、かんにん、かんにんな!!」
ついなちゃんは号泣していた。
ちょ、ついなちゃん、何してくれてるのよ。
私は鬼でも、鬼の友達でもない普通の女子高校だよ?
そりゃオタクかも知れないけど。
ああ、なんか体崩れてきた…
「田中ぁ、たなかぁぁぁぁぁ!!堪忍してや!!堪忍してや!!」
泣きたいのはこっちだよ。
謝るくらいならやるなよ。泣くくらいならやるなよ。
、てゆーか
「田中」って、誰だ。
最期に私の目に映ったのは、紫煙となって消えていく「鬼の手」だった。
それは、「ひのもと おにこ」のものではなかった。
オメカ「…という夢を見たのさ♪」
ついな「ぶち殺すぞホンマ!!」
…
最近思ってる事とか避難所の流れ見て感じた事とかぶち込んだらこうなった。
お…おぅ…
>>190は
「牛鬼を殺した者は牛鬼になる」っていう話から
「日本鬼子を倒した者は次の日本鬼子になる」っていうのを連想したのだけれど
実は本スレに牛鬼の話が出る以前から、
ウチのΩnikoさんに組み込まれている裏設定だったりするの。
「偽物の日本鬼子」っていうのは言うまでもなくウチのΩnikoさんの投影で、
成長したこにぽんに自分を殺させる事で
次の「日本鬼子」を継承させる、っていう脳内話。
関係無いけど、ついなちゃんbotの「鬼のナマギモ」云々っていうのは
安達ヶ原の鬼婆が元ネタだろうか。
だとするとアレか、実はついなちゃんは鬼子の(ry
◇ ◇ ◇
ふすまを開けて入った部屋はごく普通の畳敷きの部屋だったが、窓から見える景色は一面、紅葉に彩られていた。
「うっわぁ〜すっごぉ〜い!絶景だねっ」
部屋に入るなり、歓声をあげたのは田中 匠(たなか たくみ)。ごく普通の人間の女子高校生である。今も身を
包んでいるのはごく普通の女子高校生の着るブレザー姿だ。
そんな彼女は部屋に入るなり窓にかけより、見渡す限り広がる紅の絶景に歓声をあげていた。
「さぁって、お酒お酒♪早速、女将に用意させなくっちゃ♪」
荷物を放り出し、浮かれているのはハンニャー。彼女は猫又だ。普段は何事もけだるげに過ごしている年齢不詳の
美女だが、年に一回やってくるこの温泉宿でははしゃいでいるようだった。珍しくピシッとキメたスーツ姿は
やり手のキャリアウーマンを思わせたが、そのスーツをさっさと脱ぎ捨て、浴衣に着替え始めた。
「えへへ〜こに知ってるよ!ここゴハンがスッゴいおいしいんだから!」
去年来た経験を得意げにしゃべっているのはこにぽん。いつもの桜色の着物にいつもの刀、そして桜色のリュックを
背負っている。
「っちゅ〜か、何でうちまでこないな所に……」
ブツクサ言いながら一番最後に部屋に入ってきたのはついなだ。如月ついな。いつも何だかんだと鬼子に勝負を挑んでは
返り討ちにあっている女の子だ。和風とも中華風ともつかない衣装に身を包んだ不思議な装いだ。ただ今回はいつも
頭に被っている厳つい四つ目のお面はつけていない。本人なりに戦いに来たわけではないという意識の現れなのだろう。
特徴的なぐるぐるおさげを揺らしながら、でっかい荷物を背負い、部屋に入ってきた。
「またまた〜そんな事言いながら人一倍楽しみだったくせに〜」
田中がついなの呟きを聞きつけ、窓辺で振り返りながらからかった。
「その山のような荷物は一体、何かな〜?」
確かに一同が持ち込んだ荷物の中では二番目に大きい。まるで旅行慣れしていない初心者があれもこれもと詰め込んだ
結果、こうなってしまったという見本のような大荷物だった。……どれだけ楽しみにしていたのだか。おそらく前日は
楽しみで眠れなかったに違いない。と、田中の指摘についなは途端、焦った声をあげた。
「こここ、これはやな……鬼子、そうや、鬼子の奴に負ける訳にはいかへんからや!」
よくわからない理由を挙げる。確かに鬼子の荷物は一行の中で一番多かった。とても軽そうには見えなかったが、彼女は
まるで重量などないかのように軽々と持ち運んでいた。まがりなりにも彼女が鬼であるという事なのだろう。最初に
挙げられる鬼の特徴はその怪力だ──
彼女たちは、現在、秋の温泉旅行にやってきている。鬼子達は冬支度を終えると、年に一回、いきつけの温泉宿に
骨休めにくる。というものだった。そこに田中とついなは一緒に来ないかと誘われたのだ。田中は一も二もなく
了解したし、その場にいたついなは最初反発したものの、田中の口車にノセられるような形で参加する事になった。
もっとも、口では渋々参加したような体ではあるが、山と担いだ荷物は彼女の心情をこれでもかというほど表していた。
「あや?そういえば、鬼子さんは?」
田中は窓際によりかかりながら、一向に姿が見えない鬼の娘の姿を探した。確かこの部屋まで一行を先導していたハズだが、
部屋の片隅に彼女の手荷物がポツンと置いてあるだけであの重そうな荷物も彼女の姿も見あたらなかった。
「あーいいからいいから。毎度の恒例行事って奴よ。しばらくすりゃやってくるから、
あたしたちで先に温泉に入ってましょ」
素早く浴衣に着替えたハンニャーがタオルを肩にかけ、そういった。
彼女曰く、年に一回この温泉宿にやってくると呼んでもいないのに例のナマモノ達がついてくるので、それを追い払う
為の罠やら魔除けやらをわんこと共に温泉の周囲に設置しにいっているのだとか。
「はぁ〜〜……ナルホド……鬼子さんも大変なんだねぇ……」
感心してるのかあきれているのか自分でもわからない吐息をつきながら田中は呟いた。
あの大荷物がない所を見るにあれが罠を設置する際の道具一式なのだろう。自分の荷物の中からお風呂セットを取り出し
ながら、田中は鬼の友人の苦労をしみじみと同情していた。
彼女の周囲にはなんというか、ナマモノたち……煩悩の塊とも言える心の鬼にしょっちゅうつきまとわれているのだ。
毎度追い払ってもあまり効果が無く、いつも大変だなと田中などは思ったりするわけだが……
「ま。のぞき対策はあの娘に任せてあたし達はゆっくり温泉を楽しみましょ」
一足早く着替えを終え、そういって部屋を出ていったハンニャーの言葉に従うことにした田中だった。
──真っ先に部屋を出ていったにもかかわらず、ハンニャーは一番最後にやってきた。一体、何をしていたのかと思えば、
しばらくすると湯船に浮かべた船の上に刺身などを盛りつけたものや、湯に浮かぶようになってるお盆の上にお酒の
入ったとっくりと杯がのっているものが運ばれてきた。どうやらこのサービスを注文しに行ってきたらしい。
杯に注いだお酒をちょび、と口に運び、
「くぅ────っ、やっぱりここで飲むお酒は格別だわっ」
感極まったようにうなるハンニャー。彼女はアップにした髪も色っぽく、湯に浸かってちびちびと酒を堪能している。
周囲は広い露天風呂だ。頭上には部屋の窓から見えた紅葉がここでも生い茂り、方々に灯された明かりにぼんやりと
鮮やかな紅色を浮きたたせていた。そして、温泉は乳白色で
手を少し沈めただけで見えなくなるくらい白く濃く、それでいてサラッとしていた。
「……鬼子さんやハンニャーの美白のヒミツはひょっとして、この温泉なのかナー?」
田中はなんとなくポツリと呟いてみる。二人ともうらやましいくらいキレイな肌をしているからだ。
これが美白の秘訣ならしっかり浸からねばと、田中はう〜んと伸びをして湯船に沈み込んだ。
少し離れた洗い場ではついながこにぽんを洗おうと悪戦苦闘する声が聞こえてくる。キャッキャとハシャぐこにぽんは
楽しそうだ。
あたりは一面、紅色と黄色に彩られていて、ぼんやりと火を灯された明かりが紅葉を幻想的に演出している。
それらの絶景ともいえる景色をそれとなく眺めながら、田中は「鬼子さん遅いなー」などと考えていた。
「あ、そーいや鬼子さん、あの般若面とかつけて入って来るのかなー?なんてね。アハハ。そんなワケな──」
「くるわよ」
「──へ?」
田中は一人呟いた冗談とも独り言ともいえない呟きに返事が来たことに意表をつかれ、目が点になった。
「あのコ、お風呂に入る時もあの般若面、手放さないわよ」
湯に浸かり、酒を口に運びながら、何でもない事のようにハンニャーはのたまった。
「え、でもいやちょっと。いやいやいや。だって、いくらアレが鬼子さんのトレードマークだからって……」
田中はつい、全裸姿に般若面をいつものように頭のよこにくくりつけた鬼子の姿を想像してしまった。……異様だ。
異様すぎる。そんな田中をチロ、と見やりハンニャーは言う。
「そうねえ。アナタには話してあげてもいいかしら。あの般若面のひみつ」
「ひみつ?!」
その声を聞きつけ、やっとこにぽんを洗い終えたついなもやってきた。
「なんやなんや。一体、何のヒミツっちゅ〜んや?!」
やにわにざわつきだした周囲にも頓着せず、マイペースに、くい、と杯でお酒をあおりつつハンニャーは語りはじめた──
「そうね、それは昔、むかしのずっと昔のこと──
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19251751」
──語り終えたハンニャーは杯の中にお酒を注ごうとして、中が空っぽになった事に気づいて、次のトックリに手を
伸ばした。これで三本目だ。
「──っはーーっ鬼子さんの般若面にそんな秘密がー……」
ハンニャーの話を聞き終えた田中はその途方もない話に圧倒されていた。よもや鬼子の般若面にそんな由来があったなど、
知らなかったのだ。
「そ。あの般若面には古の武人の魂が宿っているわ。そして今もあの娘の力になっている。見守っているの」
杯の酒をじっと見つめながら、ハンニャーは遠い過去を懐かしむような眼差しで呟いた。その目に写っているのは酒の
水面か遙かな過去か。ややあって、何かを飲み込むように酒をグッと飲み干した。
「な、なるほど。うちの方相氏のお面とも違うっちゅ〜〜わけやな」
肩まで湯に浸かっているにもかかわらず、ついなちゃんはブルルッと体をふるわせた。かつて、鬼子の般若面が弱点だと
踏んで、隙を見て奪った事があったのだ。が、奪った筈の般若面はいつの間にか手の中から消え、鬼子の元に戻っていた。
そのうえ、鬼子の逆鱗に触れ、珍しく徹底的にボコボコにされた事を思い出していた。
ついなの被るお面はあくまでも方相氏のチカラをその身に顕現させる為の触媒みたいなものだ。それなりに古い由来は
あるのだろうが、鬼子の般若面と比べると明らかに質が違う。
「そうね。何より、あの娘にとっては物心ついた頃からずっと一緒だったからね。どれだけあのお面を大切にしているか、
わかるってもんでしょう?」
ハンニャーは杯を口元に運び、ニヤッといたずらっぽく笑った。その時、脱衣所の方から騒がしい声が聞こえてきた。
「だから、俺は一人でいいって」
「駄目よ。あなた、そういっていつも烏の行水ですませるんだから」
鬼子とわんこの声だった。
「あ、来たきた。遅いよっひのもとさんっ」
待ちかねたとばかりに田中が脱衣所の方に声をかける。鬼子は嫌がるわんこを引きずるようにして入ってきた。
「すいません。色々と手間取ってしまって、遅れてしまいました」
「いいよ、いいよん。色々大変だったみたいだしねん。さ、一緒に温泉に浸かろ!あ、ついでにわんちゃんも一緒にね!」
「はなせー」
わんこは鬼子の手を振り払おうと抵抗はしているようだが、振り払えない。一応、彼女が主であるという事と、
ふつうに力でかなわないからだろう。
「鬼子さんはゆっくりと湯に浸かってもらってさ。わんちゃんは……ふっふっふ。私たちが念入りにキレイキレイして
あげやう」
「げっ……」
不敵に笑い両手をワキワキさせる田中を見、わんこは戦慄とともに身を引こうとするが、鬼子に両肩をしっかり
押さえられて逃げようにも逃げられないでいた。
「まあ、それは助かります。田中さん、お願いできますか?」
おっとりと、それでもわんこが逃げださないようしっかり肩を押さえながら、鬼子は田中にそんな風に頼み込んだ。
「ふっふっふ。まっかーせなさ〜い。さ〜ワンちゃん、シャンプーの時間ですよーーーっ」
「いやだーーーーっ!!」
当然ながら、わんこの意見は却下された。
──夜。
なんだかんだでみんな寝静まっている中、ムクリと起きあがる影があった。波打つ豊かな銀髪の中に猫の耳がひょっこりと
動く。ハンニャーだ。他のみんなは温泉とその後のなんだかんだでハシャぎすぎたのか、グッスリ眠っていた。
ハンニャーは、みんなが寝静まっているのを確認するように見渡すと、鬼子の眠っている所を確認した。鬼子は
枕元に般若面を置いて、スー、スーと、穏やかな寝息をたてていた。
それらを確認すると、ハンニャーは再び布団に横たわり、両手で印を結んだ。そして、なにやらブツブツと唱えはじめた。
幾つもの寝息に混じり、まじないとも祝詞ともつかない不思議な旋律が複数の寝息とまじりあい、うねりをもって唱和する。
しばらくして、ハンニャーの豊かな胸の膨らみの辺りからボゥ、と青白く光る不思議な鬼火が浮かび上がった。
静かに音もなく燃え盛るそれは、熱を感じさせることもなく、静かに燃え続け、空中をゆらゆらと漂っていた。そして
その中心には時折、般若の顔とも猫の顔とも判別つかないものがチロチロ燃える青白い炎の中に現れては消えていた。
ハンニャーの魂である。彼女は今、己の肉体よりその御霊を切り離し、魂だけの存在になったのだ。その彼女の本質である
魂はゆっくりと浮遊し眠ってる皆の頭上を漂いだした。そして、鬼子の頭上にやってくると少し様子をうかがうように
止まった後、枕元に置いてある般若面に吸い込まれるように消えていった──
──数秒後、ハンニャーは巨大な構造物の中に立っていた。構造物は黒く平べったい石を積み重ねたような柱で
構成されており、まるでお堂の内側のようだ。そして、内部は常に燃え盛る炎のような明かりで染めあげられていた。
実のところ、この空間はハンニャーの心象風景であり、実際にこの場所が存在する訳ではない。ここは般若面内部。
というのが正しいのかどうか。時間も空間も意味を成さない場所である。魂と化したハンニャーが般若面に宿った時に
ハンニャーがいつも見る光景である。その為──
「何用だ。ここにはいたずらにやって来ぬよう言ってあるはずだが」
と、唐突にハンニャーに向け発せられた『声』も空気を震わせる音声ではなく、思念の声である。『声』は若々しいのか
老獪なのかわからない不思議な響きを持っていた。ハンニャーが意識を向けると、そこには背をこちらに向け何かに
対峙しているザンバラ髪の侍の姿があった。正面の数段高い所に座し、彼はこの室内を炎色に染め上げる巨大な何かと
対峙していた。侍の座してる先は巨大な吹き抜けのような空間で、時々炎のような明かりが立ち上る様子しかわからない。
だがその本体は見えないながらも、その向こうから伝わってくる威圧感は相当なものだった。
「何用だとはご挨拶ね。折角このアタシが休暇中をおして陣中見舞いにやってきてあげたってのに。愛想がないわよ」
腰に手を当て、まゆをしかめながらハンニャーは侍の背を睨めつけながらいいつのった。
「なら、存分に休暇を楽しめばよかろう。このような陰鬱な所にきて折角の休暇を無為にすることもあるまい」
こちらに向き直ることもなく侍はそっけなく言い捨てた。
『アラ、折角だから外からきた「おみやげ」を楽しみましょうよ。持ってきてくれたんでしょ?』
唐突に、二人の会話に割り込む『声』があった。それと同時に侍の正面の虚空に炎が立ち上り、渦巻いた。次の瞬間、
炎の固まりは弾け散り、そこに現れたのは紅葉模様の動きやすそうな着物に身を包んだ鬼の少女だった。
「あぁ、アンタも居たんだっけね……『中成り』……」
ハンニャーは少し複雑そうな視線を彼女に送った。
『はーい。元気そうでなによりじゃない。といっても魂だけじゃアナタの肉体の状態はわかりっこないんだけどね』
ツリ目ぎみの目をいたずらっぽく猫のように笑わせ、ジャラリと音をたて彼女はヒラヒラと手を振った。
彼女の姿は鬼子と同じ姿だった。ただし、ツノはより長く、目は猫を思わせるツリ目。目元には赤い隈取りが入ってる。
そう、鬼子が戦うとき変身する『中成り』と呼ばれる姿をしていた。そして彼女の手足には黒く堅い鎖が巻き付けられていた。
と、不意に鎖が引かれ、宙に浮いてる彼女の身体がガクンと下に引っ張られた。
『きゃっ』
「少し気を緩めただけでこれだ。だから余計なちょっかいなど無用だと言ったんだ」
侍は相変わらず正面の娘の方を向いたまま背後のハンニャーに苦情を呈した」
いいながらも『中成り』と呼ばれた少女は鎖にグイグイと引っ張られ、足下の炎の中に引きずりおろされてゆく。
『ちょ、ちょっと、ちょっと!ハンニャー、見てないで助けてよ!』
鬼の少女は引き下げられる鎖に抵抗しながら焦った声を上げる。
「やめたげて。彼女だって『鬼子』の一部よ」
ハンニャーは複雑な表情をしながらも制止した。
「だが、『奴』の一部でもある。あまり感心はできんな」
そう言いながらも、彼女を引く鎖の動きが止まった。引き下ろされることがなくなり、彼女はホッとした様子で息をついた。
『ありがとーやっぱりハンニャーは話が分かるわっ このカタブツさんったら、「鬼子」から求められない限り
頑としてアタシの封印を緩めないんだもの。嫌になっちゃうわ。「鬼子」が戦う時アタシがいっつも出てって助けて
あげてるのにさっ』
腕を組み、器用にも空中であぐらをかいて座り、わざとらしく睨みつけて不平を言った。
鬼の彼女はハンニャーが言うように『中成り』である。鬼子が戦うときに表に顕れ、鬼を萌え散らす。もう一人の
「鬼子」……それが彼女だ。その正体は彼女の足元に封じられている存在から立ち上る力の燐片が具現化した姿である。
『で、ハンニャー。おみやげ、おみやげは?アタシだって「鬼子」なんだから貰う権利はあるわよね?』
空中で器用に足を組み、『中成り』はソワソワとおちつかなげに促した。
「はいはい……」
そう言うと、ハンニャーは人差し指を二人に向け、「おみやげ」を披露した。
「おみやげ」といっても、この心象空間に物を持ち込める訳ではない。外でハンニャーが経験した記憶、感触、印象……
そういったイメージを共有する事だ。それらは主に「鬼子」が経験した事ばかりだった──
──ある日、ひょんな事から人間の友達を連れてきた事にはじまり、一緒に花見にいったこと、退治屋の娘との奇妙な
縁に人間の友人といった夏の海、秋には冬支度を手伝ってもらったりもした。
短い間にも何度も行われた人間の友だちとの交流──
それらはハンニャーの目を通して培われた『印象』であり、映像とも少し違う。しかし、そのどれもが暖かで穏やかな
『感触』をもって侍と『中成り』の心を包んでいた。
「──そうか、この娘は友を得たのだな……」
知らず、侍の口元は緩み、笑みが浮かんでいた。一方の『中成り』も目をキツく閉じ、両拳を強く握り、
タマラないとばかりに強く振っていた。
『っ────くぅーーーっ!やっぱいいわ、あの娘!「田中さん」っていったっけ?!この娘が命がけで守りたいってのも
わかるわーいつも「あっち」で会うときは大抵ゆっくり話すヒマがないけど、一度じっくり話してみたいわーホント!
ねーねー、ハンニャー、もっとないのもっと!』
ハンニャーが『中成り』の求めに応じ、別の「おみやげ」──記憶を披露しようとした時、割れんばかりの大音声が
心象空間に響きわたった。
「げらげらげらげら!つまらぬっ!!どれもこれも吹けば吹き飛ぶようなつまらぬものばかりではないかっ!!」
侍の背中がビクリと震えた。『中成り』は不快そうに眉をしかめ、組んでいた足をほどき、足下をのぞき込んだ。
『ぬぅ〜っアタシの半分だからっていい所を邪魔しないでよ!!』
「げらげらげらげら!アブクのような存在のくせしてこざかしい!我とあの娘のどちらでもありどちらでもなし!
今にも千切れそうな封印の上に成り立つ泡沫のごとき存在が我の半分だと!?思い上がるのも甚だしいわ!」
この大音声は侍の正面、遙か下から聞こえてきていた。それでも圧倒的な存在感と威圧感でもって、周囲の空間を
圧倒していた。
だが、威圧に圧されず、侍は大音声に対して淡々と応じた。
「貴様こそ我に封じられてることを忘れるな。我が貴様を見張っているかぎり、この封、僅かなりとも弛むとは
思わぬ事だ『本成り』よ」
言われ、大音声の『主』は忌々しそうにうなる。地響きのような息吹が空間を満たす。が、ややあって不気味な含み
笑いを響かせた。
「ぬっふっふ……ならば試してくれようか……この『我』に呑み込まれる悪夢、今宵もあの娘に届けてくれようぞっ」
「っ!!き、貴様っ!」
侍の後ろ姿が動揺と怒りに震えた。それを弄るように『本成り』の声は続く。
「ほれほれ。主にはこれ以上の封印は難しかろう。さぁさぁ、今宵も漆喰のような『悪夢』を!逃れ得ない『恐怖』を!
甘美なる『絶望』でもってあの娘の心を蝕んでくれようぞっ」
その声と共に『中成り』の遙か『下』からぽこり、ぽこりとドス黒い、まるでヘドロでできたようなシャボン玉が
湧き上がり、『中成り』の周囲を迂回して昇ってゆく。『悪夢』だ。
『あっコラっ まてっ まちなさい〜〜っこのっこのっ』
『中成り』が手足を振り回し『悪夢』を阻もうとするが、全く届かない。やがて『悪夢』は歯噛みしながら見守る侍の
目の前で上まで昇りつめ……弾けた。
「なあっ?!」
動揺の声を上げたのは『本成り』の方だった。
「『あたし』がるのに、そんなマネ、許すとお思い?」
そう言ってハンニャーはいつのまにか前に突き出し、握りしめていた拳を開いた。『悪夢』が鬼子にまで染み出さな
かったのは彼女がこの『本成り』を封じている封印を強め、完璧に締め上げたからだった。
「貴様の仕業か、このメスネコがぁっ!」
『本成り』が悔しげに咆哮し、心象空間がビリビリと揺れた。
「さっきから聞いていれば何?ご大層な御託並べ立ててると思ったら……やる事が小娘一人を夢で弄ることだけ?
それはまた大したものだこと」
揶揄した物言いに怒りとも唸りともつかない鳴動が周囲を震わせる。
「覚悟なさい。あたしがこうして居る以上、悪夢のひと欠片、ひとしずくさえあの娘の元にはやれないと思い知りなさい」
凛とした声が『本成り』の唸りを圧して響いた。
「…………」
しばらく、『本成り』の呼吸音とも唸りともつかない鳴動を響かせていたが……
「ぐっふっふっふ。よかろう。今宵は退くこととしようぞ。せいぜいそれまでヌルい惰眠に沈んでおればよい。
だがこの様な脆弱な封印いずれは我が手で引き裂いてくれる。その時こそ覚悟するがよい。今の世が露と消えることを……
思い知るがよい、『生』など、泡沫の夢にすぎぬことを!」
腹の底から冷え冷えとする哄笑をひびかせると、やがて完全に沈黙した。
『べぇーーーーーーーーっだ!!』
『中成り』は遙か下の方に封じられているだろう『本成り』に向け、おもいっきり舌を出すとあっかんべーをした──
──朝。チュンチュンと小鳥のさえずりが聞こえ始めたばかりの早朝。むくりと起きあがる影があった。
「──んー……もう朝……か……」
起きあがると、ボリボリとネコ耳の横を手で掻いた。ハンニャーだ。左右を見回すとみんなよく眠っているようだ。
鬼子も穏やかな寝息をたてて眠っている。悪夢に脅かされている様子はない。
「…………ふ」
ハンニャーは口元に軽く笑みを浮かべると、もう一度布団を頭から被りなおした────
「っうっわぁ〜〜こっから観たら一層すっごいねぇ〜〜」
田中はこの宿に来てもう何度目になるかわからない感嘆の声をあげた。朝日に照らし出された紅葉は夜観たときとは
違った鮮やかなコントラストを沸き立たせていた。
「っは〜〜っこんな見事な紅葉、今観なきゃモッタイナイってのにハンニャーさんってば、ずっと寝てるだなんて……」
「ま、まあ、ハンニャーは何度も来ているから……飽きたのかもしれませんね」
まーまーという感じで鬼子の声が続く。
田中と鬼子は朝食の前に宿のまわりを軽く散歩しているところだ。早くに目を覚ました田中が同じく起き出したハンニャーと
鬼子を散歩に誘ったのだ。結果、ハンニャーは二度寝をシャレ込み、二人で散歩に出かけることになったのである。
「あっ それじゃぁ、鬼子さんも何度も来てるんだよね……ひょっとして、もっと寝ていたかった?……メーワクだった?」
気がつき田中がふと、心配になった。
「わたしですか?わたしは──」
鬼子はそうつぶやくと紅葉を見上げ、つつ、と足を踏み出した。どこからともなくざぁっと風が吹き、漆黒の髪を
ふわりと浮かび上がらせる。田中は一瞬、その光景に見とれてしまった。
「わたしは、紅葉がこんなに綺麗だなんて……大好きなお友達と一緒に観る紅葉がこんなに鮮やかだなんて今まで
知りませんでした。私、田中さんと一緒に来られて本当によかったです」
「へへっ」
田中はなんだか面はゆくなって笑いながら鼻の下をこすった。ここまで素直に喜ばれるとこっちが照れてしまう。
「じゃ、じゃあさ、今度はみんなと一緒に観にこようよ!きっと、もっと綺麗に見えるよ!」
つい、テレ隠しにそう言うと鬼子はパァッと笑って両手をあわせた。
「それはいい案ですね!早速みんなを呼びにいきましょう!」
「え……い、いまから?」
「もちろんです!」
「あー……でもさ、朝ゴハンの後にしない?そろそろおなか空いてきたよ。きっとみんなで食べるゴハンもおいしいよ」
「ええ!」
こうして二つの人影は楽しげにおしゃべりしながらみんなが眠っている宿に向け歩きだした。
──情景描写 おわり──
>>196-202 と、ゆーわけで、ここに「ねこと鬼の封印」をお送りいたしまス。
般若面に宿った侍の魂は、強大で凶悪である鬼子の本性『本成り』を封じていて、『中成リ』はその封印を
緩めるカタチで、力を抽出し、鬼子に与える事で鬼子に戦う力を与えるのだっ!
……とゆー設定で書いてみました。
つまり、『中成り』鬼子の人格は、封印されている「鬼の本性」からもれいづる力と封印の形作る「力」によって形成されている
人格で、とっても儚い存在という訳です。
また、ハンニャーは魂だけになって、般若面に宿る事ができ、それによって、本成りに対する封印を強化する事ができます。
ただし、ハンニャーは「肉体」を持っているのでそんなに永く般若面にとどまる事はできません。
本成りの封印を強化して何が特になるかというと、もっと大胆に本成りの「力」を漏らす事ができ、
『中成り』への「鬼の力の出力」が安全かつ大幅に増量することが可能になります。
(それをしないで出力をあげると、本成りの封印が解けたり、鬼の力が暴走する危険性が出てくる)
侍の魂はこうやって鬼の本性を封印することで鬼子を守っているんだ!という話でした。それでは。
鬼子の本成りって、NARUTOの九尾みたいなもんなのか。
205 :
転載:2013/03/19(火) 21:19:23.70 ID:/o9J4XF8
>>SSスレ203
おおっ、なかなかの挑戦作!
中成さんのお転婆な人格と、その儚さとのギャップがいいなあ…。
そして一行が温泉宿というだけでにやにやしてくるんだけど、もう末期かもしれないw
206 :
転載:2013/03/19(火) 21:20:04.41 ID:/o9J4XF8
SSスレ
>>196-202 成る程。FALL BLOWをも布石として吸収しちゃった訳ですね。
般若面の重要性と般ニャーの立ち位置が、
本成鬼子へと繋がるキーポイントとなってるとは。
う〜ん。深くなってきたぞ!
>>196-202 乙乙! 肉食系な中成り鬼子さん…ww
確かに本成りが九尾みたいな存在になってますね
そして、般ニャーのキャラがどんどん立っていっている…!w
面白い設定
こう言うのもっと読みたいね
あれ?書き込みテスト……
210 :
創る名無しに見る名無し:2013/03/23(土) 02:12:06.55 ID:9RgiwoQ1
あげ……た方がいいのか……な?
211 :
ログ堀AA:2013/03/24(日) 12:43:20.90 ID:/EvNH4ug
小 ,fl __ __
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212 :
ログ堀AA:2013/03/24(日) 12:44:25.71 ID:/EvNH4ug
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ゝjし'
213 :
ログ堀AA2:2013/03/24(日) 12:45:19.80 ID:/EvNH4ug
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: |'///| /.:::人,__,){:{ :.::.::::::斗r:ヤ厂|:|下辷止x匕,__,ノ
: |'///| .:::/:|: :::|〕斗:.::.:::::::::j:|::仏_,」:|::|:.::.:::|:.:::::|:「
: |'///| :. :|:.:|: :::|:| 八:.::.::::::ノ:抓刃ア'|/.:.:::/|:.:::::|:|
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づ///| 人 ` / : : : / , , : :{ : : ∧
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ログ堀AA3:2013/03/24(日) 12:46:30.34 ID:/EvNH4ug
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215 :
ログ堀AA4:2013/03/24(日) 13:19:25.85 ID:/EvNH4ug
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ヽ ヽt,=,='='=イi /
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くうか?
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r==、 〉 ヽ
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ゝ\ /} | ',ヽ__/ !
`ヽ ヽ ,. へ ト、 ー},=、 ヽ ,-、|
\\く_,ヘ!| 〈 | \} /
ヽ} `'"ゝ、___},.| ,.-'"\
く____}/,.<'イ
ヽヽ ' { {
彡ー'" },,,ヽ
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_r、,{\,.{ \-─ 、_ /- ノ
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/l/ ヽ}弋ソ }: : :}: :\: : :`ー-、: : : :,.-'"{ r、 / |
/::/ ( ,-、〃: :/-r-、: : : : : : : /r、 く ゝ - く
`ヽ' /  ̄リ: /|: |!,-、 `ー- < ヽ _,. > `ノ})`'"
` イ:彡{| | |/ `/
 ̄` }=-/`ヽ、 r-}ヽ,-,〈 _,. -,
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}_,. -へ\_ ヽ く __ヽ
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{{ Y\_./ /、 | `ヽ、 T`-} y´}}
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l ハ ,、 -─- ./ヽ ,'
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. K:/:.:.:.::.:l.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.',
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/:ハ ¨ {::c心、:: :: :: :: :: :: :: :/
/:: :: ヽ `ー' /ヽ:: :: :: :: :: :/
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,.イ:: ::ハ:: / / /- イ: :: :: /ヽ:: :: :: :: :: :: |
r'" {:: :/ }:/ / Y´ /:: :: :: :/ ,.-┤:: :: :: :: :: :ヽ
| ヽ/ ノ 人 / {:: :: :: :/ / ヽ:: :: :: :: :: :: ';
∧ ,、-'":::::=z`ーく_|:: :: ::/ /::: '; :: :: :: :: :: ::ヽ
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ヽ_}}ノ
生成
. : "´  ̄ ` : 、
.,:::::Δ::::::::Δ:::ヽ::、
//:::,::::::,:::::::、:::::::、::::/i.___
. l,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i:|:i i::/ ヽ
|:|:::::| (●) (●)|::iヽ●)ii|
|:|::::_| 、 |_::| トww/
|:|:´:|゙:、_ ‐‐ _,.ィ|:`::|ヽェェi
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|:|::::|.' i┴─‐ i |::::|:::|
|:|:i'l:j _.|___|_ l'i,:|::|
|:::::::l ,.トェュ─rェイ :v|::|
|仆:j ,i´ ̄  ̄`i、 l:| |
_,ノ ,| | ,| ヾ、_
中成
. : "´  ̄ ` : 、
.,:::::Δ::::::::Δ:::ヽ::、
//:::,::::::,:::::::、:::::::、::::/i.___
. l,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i:|:i i::/ ヽ
|:|:::::| 、◎) ii (◎ノ|::iヽ●)ii|
|:|::::_| 、 |_::| トww/
|:|:´:|゙:、_トェェェェイ_,.ィ|:`::|ヽェェi
|:|::::|:::::/ ヽ//ヽ:::1::::|ヽ___l
|:|::::|::/、 ,/ , ゙.|::::|:::|
|:|::::|.' i┴─‐ i |::::|:::|
|:|:i'l:j _.|___|_ l'i,:|::|
|:::::::l ,.トェュ─rェイ :v|::|
|仆:j ,i´ ̄  ̄`i、 l:| |
_,ノ ,| | ,| ヾ、_
本成:これだけ閻魔あいベースにキル夫のアップを合成したもの。
/::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::/イ:::::::::::::|l!:::::::::::::::::::::|l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/.:::::::::::::::::::::::::::::,l:::::::::::::::, l!|:::::::::::::|l!:::::::::::::::::::::|l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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l::::::::::::::::::::::::::::l:::::::l |::::::::::::|=―ゝ::::::::lゝゝ─ヶ' ,, -'':゙:゙:゙゙:':'|l::::::::::::::::::::::
|:::::::::::::::::::::::::::\:::j_7 - 'i': : : : :゙:'ヽ | | i i/ |: :(●): :| |l::::::::::::::::::::::::
〉::::::::::::::::::::::::::::::::\'ヽ, |': :(●): :|'ヽ /.,,,,,,,|: : :''''' : リ |l::::::::::::::::::::::::
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. l:l:::::::::::::::::::::;::::::::::::::::::::、 ヽ ‐ |l::::::::::::::::::::::::::
|:l|::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::、 ,,・-..,┬,,,,...--,,・-..,┬,,,,. |::::::::::::::::
|::L:::r── ′7::::::::::::::::::::\ v || |:‖ -__w ヽリ゙リ゙|j: |::::::::::::::::
7 /:::::::::::::::::::::::::::> 、 \゙Vri ri | ‖iヾソノ , イ::::::::::::::
|. /::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::丶、,゙''''''゙゙''''''゙゙ < //l:::::::::::::::
|! /:::::::::::::::::::::::::::::::/l::::::::::::/ 77 ハ / / .ハ::::::::::::::
507:某月某日のこと…:2010/11/05(金) 19:34:32 ID:Uhsh4b2v
ふぅ、こんなものかしら?
/,A^^A. 戦いの後はいつも掃除が大変よね。紅葉の葉が多すぎるわ。
卯ミ!|リノ)))リ n
lヾ|l .゚ -゚ノリ=3 .|| ノヽ
ノ ヾ/"  ̄|つ || ::: y (
ヽ,,ノ二二l/ || ::。:;;;;
l .| /廿 ::[]::*:;;;
|____」 |卅| 。;;+;:::;*;;
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
それにしてもヤイカガシ、どこいったのかしら
,A^^A 、 助太刀のお礼に一緒に焼き芋でもと思ったのに…
r!|リノ(((リ卯
|、゚ -゚ .リlヾ| シュボ ノヽ
ノ ヾ/"  ̄|つ-火 ::: y (
ヽ,,ノ二二l/ ::。:;;;;
l .| ::[]::*:;;;
|____」 。;;+;:::;*;;
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/,A^^A. 臭いはするから近くにいるはずなんだけど…
卯ミ!|リノ)))リ
lヾ|l .゚ -゚ノリ ポイ ノヽ
ノ ヾ/"  ̄|つ ⌒ -火从 y (
ヽ,,ノ二二l/ ::。:;;;;
l .| 从::[]::*:;;
|____」 。;;+;:::;*;;
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
508:創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 19:35:32 ID:Uhsh4b2v
>507
あら?何だか香ばしいような…?
/,A^^A. ?
卯ミ!|リノ)))リ パチ
lヾ|l .゚ -゚ノリ パチ ノヽ パチ・・・・
ノ ヾ/" \ 火从 y (
ヽ,,ノ二二l/ ::。:;;;;
l .| 从::[]::*:;;
|____」 。;;+;:::;*;;
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
、 ....。 |8 )
从 从ヽ、 ノヽ从 |ノ:::」
:{}:::: ) y ( ) ( ::
/,A^^A. そ ;;; )ヽ|/( ) ( ギャアアア!!
卯ミ!|リノ)))リ て ) ( ( ヘ/////へ丶、 あちーでヤス〜!!
lヾ|l .゚д゚ノリ ⌒\ ソ << ((X) ≪
ノ ヾ/" \ 火从/ ( _ ノ
ヽ,,ノ二二l/ :: 。:へ_ <´
l .| 从:: []:( ノ⌒て^ミ
|____」 。;; +; 彡ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
509:創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 19:36:54 ID:Uhsh4b2v
>508
(( /,A^^A. 姉さん、ひでーでヤス!ワイの安らぎのひと時を!!
( 卯ミ!|リノ)))リ ・・・・・・ごめんなさい
lヾ|l .-__-ノリ ノヽ、
レ/ ヾ//\ ) y (
|,, >Xノ_) )ヽ|/(
l .| ,ヘ丿////√) ) (
|____」 ≫ ◎ ) 》 y /ノ\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\
ヒ /
ラ___)
?! (\ ∞ ノ
/,A^^ヽ)_ノ パサ…
卯ミ!|リノ)))リ
lヾ|l .゚ -゚ノリ ノヽ、
ノ ヾ/" \ ) y (
ヽ,,ノ二二l/ ! )ヽ|/(
l .| ,ヘ丿////- ) ) (
|____」 Σ ≫ ○ ) 》 y /ノ\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
___
(\ ∞ ノ
/,A^^ヽ)_ノ これ…あたしの…
卯ミ!|リノ)))リ .
lヾ|l .゚ -゚ノリ .ノヽ、.
ノ ヾ/" \ :) y (:
ヽ,,ノ二二l/ .. . . . . .. .. . .. :)ヽ|/(:
l .| :,ヘ丿////- ) ) (:
|____」 : ≫ ○ ) 》 y /ノ\:
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
510:創る名無しに見る名無し:2010/11/05(金) 19:39:24 ID:Uhsh4b2v
>509
┃+
ノ レ ┃| そ・れ・で?一体、何をもって安らぎのひと時を
┐┌ /,A^^A. ┃/ 過ごしていたのかしら?
卯ミ!|リノ)))リ || ノヽ、 ノヽ、 っ
lヾ|l.^ -^ノリ .|| ) y ( ) u ( っ
ノ ヾ/"  ̄|つ|| )ヽ|/( ) ( っ じ、じゃっ、ボクは
ヽ,,ノ二二l/ || ) ( ( ヘ/////へ丶、 この辺で失礼
l .| || ⌒\ ソ << ( ○ ≪ しヤス・・・・・
|____」 || |\ / u ( u_ ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\\\\\\\////////
>>燃え散れ!!このナマモノ!!<<
//////\\\\\\\\\
_、 _ |゙.! ./ミ/ヽ
'|ニ- / !│ lニニニニ 'ニ─‐'"´ ,,..、 .,i-、
././ .! ヽ , -----! ーニ二) } .!,, " ¬-、
l .! ! l \ `  ゙̄二二 \ i-'''_ ,i‐'"゙´゙'i ! /''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''',!
! | / | ヽ` ./',.-─‐'‐‐‐' '"゛ l l〈,゙''''''゙,./ '冖冖冖冖冖冖冖'"゙゙"゙゙゙゙゙"゙゙゙゙゙"゙゙゙゙゙"゙゙゙゙゛
ヽゝ-__-‐'ノ |,ヽ___ l l `´
─‐'''´ ` ー‐‐‐'′ ゙‐'"
−終−
調子にのって作ったらなんか長くなった。もう少しコンパクトにしなきゃいけないと思った。
次からは大きいのはAAスレで投下してリンクにした方がいいかと反省している。いい知恵があったら教えてください。
813:創る名無しに見る名無し:2010/11/06(土) 10:52:19 ID:2Ad9j8Be
ヤイカガシとヒワイドリのAAできたよー
/⌒ヽ
/ ゚д゚)
/ j、
_, ‐'´ \ / `ー、_
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、 ノ、 | _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー〜'´ ̄__っ八 ノ
ヽ、 ー / ー 〉
/ `ヽ-‐'´ ̄`冖ー-く
ノノノノ
( ゚∋゚)
/ j、
_, ‐'´ \ / `ー、_
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、 ノ、 | _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー〜'´ ̄__っ八 ノ
ヽ、 ー / ー 〉
/ `ヽ-‐'´ ̄`冖ー-く
鬼子のAAがたまったら「やる夫が鬼(オニ)と出会って陰(オニ)と戦うようです」とかやりたいな。
メガテンの世界観で、ペルソナの設定も取り入れて。
815:創る名無しに見る名無し:2010/11/06(土) 10:55:53 ID:7+MTwqIK
ふぃれを付けて見た
/⌒ヽ
Σ ゚д゚)
/ j、
_, ‐'´ \ / `ー、_
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、 ノ、 | _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー〜'´ ̄__っ八 ノ
ヽ、 ー / ー 〉
/ `ヽ-‐'´ ̄`冖ー-く
受身返し 十の一
夕暮れどき、小さな公園の砂場で少年が泣いていた。
人の姿はない。昼過ぎに上がったにわか雨で地面は湿っており、少年の顔も服も手も砂だらけであった。
友人と喧嘩をしてしまったらしい。その証拠に少年が丹精込めて作った砂造りのお城が無残にも破壊されてしまっていた。
しかし、壊されたから少年は泣いているのではない。友人とは小学校に入学してからずっと一緒にいた。
無二の親友である。その友人と喧嘩別れしてしまった。今回の喧嘩は、今までと比べ物にならないくらいの傷を少年の心に負わせた。
喧嘩の発端は相手にある。少年の最高傑作である「砂造りのお城」をハリボテ小屋だとばかにしたのだ。
ばかにされたお返しとばかりに友人の作品「砂の山のトンネル」に泥団子を投げつけてしまったのだ。
砂の山のトンネルは友人の誇りであり、人生であった。
それに向かって泥爆弾を投下した。友人にとっては、顔に泥を塗られたも同然であったのである。
収拾がつかない泥試合はこうして幕を開けた。
罵倒し、砂をかけ、殴り、蹴る。
およそ自分の嫌がることであればなんだってけしかける。
互いに譲り合わぬまま時だけが過ぎ、そして友人が最終手段、すなわち砂の城を破壊するという邪道に出たのだ。
友人の一蹴りで城は文字通り粉々になり、均衡の乱れた城は自身の重みに耐えきれずに自壊した。
少年の思考が停止したのか、あるいは「報復せよ」と耳の奥に居座る何者かが囁いたのか、
とにかく少年は砂の山のトンネルを踏みつけた。
トンネルは呆気なく潰れ、なめらかで均等な斜面を保っていた外観に足跡が十も二十も刻まれる。もはや原型は留めていなかった。
友人は奇声をあげ、少年に突進をかまし、砂と涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を拭うこともせず公園から走り去ってしまった。
少年ははじめ勝利に酔い、友人への怒りと憎しみを抱く叫びをしたが、
いつしかそれは心の痛みを訴える泣き叫びとなっていた。
明日と明後日は土曜日と日曜日である。謝ろうにも機会がない。もしこのまま月曜日を迎えて、友人が絶交していたら――。
少年は孤独と恐怖に対処する術を知らなかった。ただ嗚咽を強めるほかなかった。
西の空も橙から藍色に染まりつつあった。しかし少年はここから離れるわけにはいかなかった。
少年は気が動転していた。いつか友人が戻ってきて、謝ってくれるに違いない。
ひとつの証拠もなしに、自分の願望は確固たる事実だと信じて疑わなかった。
友人は戻ってこない。少年はその事実をかたく拒絶して、心の奥底に押しやってしまっているのである。
「どうしたの?」
少年の泣き声を聞きつけたのか、砂場に一人の女性が登場した。少年は泣いた顔を見られたくなくて、突っ伏したままであった。
「転んじゃったの? 一人で起きられる?」
少年のぼやけた視界の中に、女性の指が映った。血の通った、か細い手のように思われた。
その手は黒い袖から伸びている。椿油の香りが鼻孔をかすめて、少年は女性の袖を追った。
細身の腕に張りつくようなレッグ・オブ・マトンの先に、ベールを被った修道女のほほえみがあった。
「お名前は?」
修道女の問いに、少年は赤い目をこすった。
「りくと」
少年は答えた。
「りくと君か。いい名前だね。私は鬼子。日本鬼子っていうの」
「ひのもと、おにこ?」
「変な名前でしょ?」
261:某月某日のできごと2:2010/11/07(日) 03:23:54 ID:25OlvoO6
?!
m
Σ°)
___ 7
\仕様書\ < \三3
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
: ヘ〜 ン?
: ( ( ナニソレ?
m : ( 。 。i
<゚( ) ゝw メ
? ! 「 し ))
ミ(こ((゚< ))
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
________________________________
\\ 仕 様 書 \\
\\ 超巨大和製ロボからくり鬼子は1000万馬力、 \\
\\ ヒワイドリ、ヤイカガシ、ハンニャーと合体する事により \\
\\ 陸海空の三界を制するスーパーからくりロボなのだ! \\
\\いけ、鬼子!我らが鬼子!日本の平和はお前の肩にかかってる! \\
───────/──────────────────────
ヘ〜 /
( ( /
( 。 。i m
ゝw メ <゚( )
ミ(こ((゚< 「 いi ))
≫ ))
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
: ヘ〜 :
: ( ( :
: ( 。 。i m :
ゝw メ <゚( )
ミ(こ((゚< 「 いi ))
≫ ))
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヘ〜
/,A^^A そ ( ( 〜
卯ミ!|リノ)))リ. て n ( 。 。i 〜〜〜
lヾ|l .゚ -゚ノリ .|| ゝw メ 〜
ノ ヾ/"  ̄|つ || m ━
ヽ,,ノ二二l/ || Σ°) ─ ─ 三
l .| /廿 ::[]: 7 == = =
|____」 |卅| 。;;+;::: < \ ━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
263:某月某日のできごと2:2010/11/07(日) 03:24:41 ID:25OlvoO6
>261
さ
あ、 い
合 こ な
体 う い
と じ か
\ _/|_ ゃ
E ( °く /
\ ) ̄
/,A^^A. ? / ∠
卯ミ!|リノ)))リ ! / ミ 火
lヾ|l .゚д゚ノリ ( (
ノ ヾ/" \ ( 。 。i
ヽ,,ノ二二l/ ゝw メ
l .| ヒョコ
|____」 ミ(こ((゚<
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
う
火 ん、わ
( ( ミ か
( 。 。i ミミ っ
ゝw メ た
( A ) !!
\ ( ) /
 ̄[]) ̄
| /,A^^A. | |
| i 卯ミ!|リノ)))リ
し lヾ|l.゚д゚ノリ
ノ ヾ/" \ \ がってんでヤス! /
ヽ,,ノ二二l/ \ /
l .| ミ(こ((゚<
|____」 ≫
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
さぁ!
火 後 お
( ( は ね だ
( 。 。i 鬼 | け
/,A^^A. ゝ ワ メ 子 さ だ
卯ミ!|リノ)))リ ( m ) ん よ
lヾ|l ;- 。ノリ=3 \ Σ°) / !!
ノ ヾ/" \  ̄[]) ̄
ヽ,,ノ二二l/ | |
l .| >゜))⊇)彡
|____」 ≪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
264:某月某日のできごと2:2010/11/07(日) 03:25:27 ID:25OlvoO6
火
ガびーー( (ーーーん!!
人 ( 。 。i
/,A^^A. と Σ ゝw メ
卯ミ!|リノ)))リ + し 恥 ( m )
lヾ|l .゚ -゚ノリ て ず Σ \ Σ°) /
ノ ヾ/" \ か  ̄[]) ̄
ヽ,,ノ二二l/ し | |
l .| い Σ >゜))⊇)彡
|____」 わ ≪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(───────i
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄リ | ,.--.、 ,.--.、
// { } { }
|\ 了// ` - ' ` - '
i \ ,.--.、 || || ( ( ( (
i \ { } _ || (ニニノ || ) ) ) )
i \ ` - ' ノノ_ ノノ /| ( ( ( (
___」 ( ( 「─┬─-i / / ) )VVVVVV ) )
\ \ ) ) || || || (ニニ/ / ̄ ̄ ̄ ̄|
\ \ ( ( || ̄ || ̄ || _// ̄ ̄┐ | WWW
\___ ) )  ̄ ̄ ̄ ̄ 「_/ | |
( ( ノノ || ム ( ̄ ̄\」 |
ノノ \___A  ̄ ̄フ /
ノノ  ̄ ̄ ̄ ̄ / /
へ / /
、 //_ ノ /
______ ヽ\ / \
/ | |/ / ̄~ヽ ヽ
/ ,.--.、 |\_/ / / /
/ { } \_ | | / / /''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''',!
| つ (` - '( '| | _/ / '冖冖冖冖冖冖冖'"゙゙"゙゙゙゙゙"゙゙゙゙゙"゙゙゙゙゙"゙゙゙゙゛
⊂ニニニニニニ) ) '| | ∠-''~
( ) "{ |
// \| −終-
(/
594:創る名無しに見る名無し:2010/11/08(月) 01:52:48 ID:5accEHdk
A
ii(((レノリ))〉
レ|ゝ*゚ヮ゚ノi
⊂「ノ〔i ^ i〕_]つ
くXXXXゝ
し⌒iJ
小日本
/,A^^A.
卯ミ!|リノ)))リ A
lヾ|l.゚ ヮ゚ノリ ii(((レノリ)〉
ノ ヾ/"  ̄|つレ|ゝ*^ヮ゚ノi
ヽ,,ノ二二l/ ⊂「ノ〔i ^ i〕_]つ
l .| くXXXXゝ
|____」 し⌒iJ
暫定小日本。もう少し改良でけそう。
911:創る名無しに見る名無し:2010/11/09(火) 20:30:39 ID:eHOtDL/B
γ/,A^^Aヽ v
川ミ ノノリ))〉 γ ^゜^ヽ
(ノノリ、゚ ヮ゚ノリ l ノ(ノ)))リ みんなー
ノ ヾ/" ヽ, ノ,l ゚ヮ゚*ノリ
ヽ,,ノ二二lヽ,Jc| ̄| y/ ヽ、
l .| .L.ノ=∞=l/
|____」____ |_l_|l_l_|____
`´ `´
562:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 00:05:08 ID:/Sm9cK98
>537
〃 A´`Aヽ
卯ミ!|リノ)))リ こうかしら?
ノ lヾ|l.゚ ヮ゚ノ|!_ ./ヽ
((( /リ__ y_ リ_|つ ● |
ヽ * つ二| \ /
l/゚ ,イく/_|〉.
/_゚/ し'ノ
567:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 00:08:38 ID:/Sm9cK98
足がズレてたよ…orz
〃 A´`Aヽ
卯ミ!|リノ)))リ
ノ lヾ|l.゚ ヮ゚ノ|!_ ./ヽ
((( /リ__ y_ リ_|つ ● |
/ * つ二| \ /
/゚ ,イく/_|〉.
/_゚/ し'ノ
..- 、 イ ,.. -―- ..._ , イ
. .:.:.:. V { .:.:.:::::::::::::::::> /
. / .:.:.::,. イ| 〉 .:.:.:.:::::::::::::::〈__ノ、
/ .:.::::/ V^ー' .:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::.
. .:.:::/ { :ハ.:.、.:.:::::{\.:.::::::::::::::|
/ .:.::::/ |.:ト、;Y7ぅト\く ィ7ふ メ、/
.: .:.::::::/ 乂∧ ゞ゚′ , ゞ-゚'/_ノ
/ .:.::::::::::/ 入"" - ""ィ´
. ′ .:.::::::::::,′ ,. -` ;¬r 1´ `¨¨ヽ、
,゙ .:.:.::::::::::! / ,゙ { / i ヽ
! .:.:::::::::::! (⌒ヾ { ヽ } >'⌒)
! .:.:.:::::.、 ノ 〉、 丶 ノ く.
ヽ、 .:.::ヽ / ハ、`'ー一彡{ ヽ
` ー- 、 :.:.} { /ヽ 二ニ≠_ イ '.
ハ ,′ ヽ、 ,゙  ̄| '. i
/ } / `'ー一1 | '.ヽ、___ノ
(___,,.. ' .: :〃 } ィ⌒Y 丶
ー――一' 廴__,. -‐' i| ーrー‐'
i !i |
'. ! . l
'. l '. '.
,′ ,゙ ヽ '.
,′ ,′ '. '.
,′ ,′ '. i
i 、 } !
! ) ,゙ |
`¨¨¨´ ー'′
..- 、 イ ,.. -―- ..._ , イ
. .:.:.:. V { .:.:.:::::::::::::::::> /
. / .:.:.::,. イ| 〉 .:.:.:.:::::::::::::::〈__ノ、
/ .:.::::/ V^ー' .:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::.
. .:.:::/ { :ハ.:.、.:.:::::{\.:.::::::::::::::|
. .:.:::/ ハ.:.:.:ト、\:、.:.:::>__,メ、::::::: ,′
/ .:.::::/ |.:ト、;Y7ぅト\く ィ7ふ メ、/
.: .:.::::::/ 乂∧ ゞ゚′ , ゞ-゚'/_ノ
/ .:.::::::::::/ 入"" - ""ィ´
. ′ .:.::::::::::,′ ,. -` ;¬r 1´ `¨¨ヽ、
,゙ .:.:.::::::::::! / ,゙ { / i ヽ
! .:.:::::::::::! (⌒ヾ { ヽ } >'⌒)
! .:.:.:::::.、 ノ 〉、 丶 ノ く.
ヽ、 .:.::ヽ / ハ、`'ー一彡{ ヽ
` ー- 、 :.:.} { /ヽ 二ニ≠_ イ '.
ハ ,′ ヽ、 ,゙  ̄| '. i
/ } / `'ー一1 | '.ヽ、___ノ
(___,,.. ' .: :〃 } ィ⌒Y 丶
ー――一' 廴__,. -‐' i| ーrー‐'
i !i |
'. ! . l
'. l '. '.
,′ ,゙ ヽ '.
,′ ,′ '. '.
,′ ,′ '. i
i 、 } !
! ) ,゙ |
`¨¨¨´ ー'′
696:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 03:46:33 ID:/Sm9cK98
>>691 お、いいかんじ。どうも、自分は色々つめが甘い感じがするわ
,A^^A 、
r!|リノ(((リ卯
/('(゚∀゚ .リへ|
\ノへヾ/"  ̄|
|二二l/
\ ___\
し iJ
698:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 03:56:52 ID:2DYvoYW9
>>696 速ええええw 個人的にはヮがいいなーと思ったのでテスツ
どんなにくるしくても
ひのもとおにこがくれば
もえちるよ!
,A^^A 、
r!|リノ(((リ卯
/('(゚ヮ゚ .リへ| もえちるよ!
\ノへヾ/"  ̄|
|二二l/
\ ___\
し iJ
699:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 04:02:11 ID:/Sm9cK98
>>698 おぉ、いいねぇ。まだまだだと思っていじっていたけど、他の人とやった方が色々進むね。足元を修正っと。
,A^^A 、
r!|リノ(((リ卯
/('(゚ヮ゚ .リへ| もえちるよ!
\ノへヾ/"  ̄|
|二二l/
\ ___\
(シ (_j
701:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 04:27:03 ID:2DYvoYW9
んじゃ寝る前にも一度。
どんなにくるしくても
ひのもとおにこをみれば
もえちるよ!
,A^^A 、
r!|リノ(((リ卯
/('(゚ヮ゚ .リへ| もえちるよ!
\ノへヾ/"  ̄|
|二二l/
\ ___\
(シ (_j
726:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 11:22:26 ID:/Sm9cK98
このスレは創作いよくををいちばんに
ゆうせんするんだ、だから
思うようにに作ったらいいと
おもうよ!
,A^^A 、
r!|リノ(((リ卯
/('(゚ワ゚ .リへ| おもうよ!
\ノへヾ/"  ̄|
|二二l/
\ ___ン
(_シ (_j
795:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 14:11:24 ID:KLyBpGUn
,A^^A 、
r!|リノ(((リ卯
/('(゚ワ゚ .リへ| もえちるよ!
\ノへヾ/"  ̄|
|二二l/
\ ___ン
(_シ (_j
819:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 15:03:03 ID:G9DT7ZLH
わたしたち姉妹コンビで
このスレを萌え散らすのよ!
一生懸命ガンバレばきっとみんな
もえちるよ!
,A^^A 、 もえちるよ!
イ!|リノ(((リ卯 A ちるのら〜
/ リ|、゚ヮ゚ .リヘi| ∩イi<リ)>@)
\ノへヾ/"  ̄\ /イ|、゚ヮ.゚ノ∩|
|二二l\/ \ンヘビソ/イ ̄ヽ、
\*___ン <<∞=x\__/
(シ (_j (シ⌒(.j
841:代理の人 ◆VTtoTsLiVg :2010/11/13(土) 16:31:51 ID:PlvbC15j
>>819 萌え散りに行くでヤンス
,.-、
// _,. ィ
,-、_/\ノ:ノ,-r──、 __ ,-'": /
{: : /-'" ̄//_: : : : : : : : : : ,. -'"
/ (●) `= く`ー── '
r==、 〉 ヽ
{{_,.='`_ / /ヽ { ,ィ
ゝ\ /} | ',ヽ__/ !
`ヽ ヽ ,. へ ト、 ー},=、 ヽ ,-、|
\\く_,ヘ!| 〈 | \} /
ヽ} `'"ゝ、___},.| ,.-'"\
く____}/,.<'イ
ヽヽ ' { {
彡ー'" },,,ヽ
--------------------------------------------
858:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 18:41:51 ID:G9DT7ZLH
はんにゃ〜の
( A のりごこちはフカフカなの〜
ニ ソ) イr(i<リ)>¢
ャ (⊃ ( リ、゚ヮ.゚ノリゝ
ァ γ ⊂√三__\___
) ソ ∂ 人 (シ\__/
( ( ´o o` ) /
ゴ ゝ w メ ソ
し'^ iJ
──────────────
・・・・なんか、和みたくて投下した。深い意味はない…あと、前足はあるのに浮いてます>はんにゃ〜
865:創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 19:42:56 ID:G9DT7ZLH
なんとなく作ったのでなんだか投下シリーズその2
/ こ
ノヽ、 ノヽ、 / ヤ こ ん
) y ( ) ( / イ の な
)ヽ|/( ) ( / カ 俺 エ
ヾ ヾ ヾ ヾ ヾ ) ( ( ヘ/////へ丶、∠__ ガ が サ
)\ )\ )\ )\ ⌒\ ソ << ( ○ ≪j(\ ∞ ノ シ で
) \) \) \) \|\/ ( U ノ ヽ)_ノ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ !!
・・・ご活用下さい(何に?!)
962:創る名無しに見る名無し:2010/11/14(日) 01:15:27 ID:RIXbf4S5
これはうれしくないよ!
うれしくないけどやいかがし!
ノヽ、 ノヽ、
) y ( ) (
)ヽ|/( ) (
) ( ( ヘ/////へ丶、
⌒\ ソ << ( ◎ ≪ やいかがし!
ノ ( _ ノ
/ * ノ´
./ ( ノ ノ
|/|/彡ノノ
984:創る名無しに見る名無し:2010/11/14(日) 03:42:33 ID:nBT/aEHJ
| |
|文| m_
| |( ゜<あーいーうーえーおっぱい!おっぱい!
| |/  ̄
| |
m ∩
あ-い-う-え-おっぱい!おっぱい!>Σ°)彡
( ⊂彡
))
===================================
……ちょっと今回は似たようなAAを連投してしまい、すみませんでした……
>>225 おお。バテレン鬼子さん?
清冽な香りがたまりませんのぅ。
「レッグ・オブ・マトン」調べちゃいました。なるほど!
>>225 受身返し 十の二
鬼子、と自称する修道女のほほえみ
――それは、かすかな表情の変化で、限りなく無表情に近い哀しみを帯びていた――
を一目見た少年の心に、激流ともいえる強い衝動を覚えた。
少年の人生の中で、かつてここまで意識してしまう女性がいただろうか。
病院の待合室で読んだ人魚姫を見たあの心のときめきをも超えている。
この魅惑を、りくと少年がどこまで解していたかどうかは定かでないが、
修道女鬼子の親身な振舞いは少年を一目惚れさせるのに充分であった。
りくと少年の初恋である。
少年は差し伸べられた手を取った。やわらかい、と思った。父親の手とはまるで違う。
「君は、強い子だね」
膝立ちになり、鬼子は少年の頬についた砂を払って言った。
りくと少年は褒められて、一度は喜んで顔を綻ばせたものの、あ、と言って俯いた。
「ぼく、つよくないよ」
少年は返した。
「だって、ぼくは泣き虫だ」
友人との喧嘩別れを思い出す。最後に見た友人の歪んだ顔が少年の頭をよぎり、意識せずとも涙があふれていた。
鬼子が少年の頭をなでる。まだ軋みのない艶のある短髪だ。つらかったね、とだけ言い、見えない傷をいたわるようになでた。
しゃっくりが収まると、少年は自ら泣いていた原因を語りだした。
友人のこと、砂遊びのこと、喧嘩のこと……。
親や先生から教わったわけではなかったが、恐怖と不安を紛らわすには、
誰かに話すのが最も効果のある薬であることを、りくと少年は本能のうちに知っていたのである。
途中で二人は、公園に唯一あるベンチに腰かけた。
日が暮れて、互いの顔すらよく見えないほどだったので、灯りの傍にあるベンチに移動したのだ。
「りくと君は、お友達と仲直りしたいんだよね?」
少年の語りを、鬼子は少年の意志を汲み取って、そう一言で締めくくった。
そして再び「つらかったね」と少年の頭をなでる。
少年は言いたいことをすっきりと伝えられた喜びにこそばゆくなった。
「それじゃあ、りくと君のお友達も、りくと君と仲直りしたいと思う?」
その問いにりくと少年はしばし考え、そして首を横に振った。
「おこってるとおもう。トンネルこわしちゃったから」
「そっか」
鬼子はそっと頷き、間髪なく続ける。
「でも、もしかしたら、そのお友達も仲直りしたいと思ってるかもしれないよ?」
「ううん、そんなことないよ。こうえんにもどってきてくれないもん。だから、ぼくのこと……」
友人の悲鳴が耳の内側でこだまする。乾いたとばかり思っていた涙が、また滲んできた。
「りくと君、ごめんなさいって、謝りに行こう?」
「やだ。やだよ、だって」
少年は当然のように言い返した。
「だって、あいつがわるいんだもん。ぼくのお城をばかにして」
>>239 レッグ・オブ・マトン……フモッとしててキュッとしてる袖的なイメージです。
趣味が滲みでてますw
>>240 受身返し 十の三
ぼくに消えちゃえとか、まぬけとか、くずとか言って、たくさんパンチしてきたんだ。
あらゆる理由を少年は述べ、そして最後にこう続ける。
「それに、あいつのおうち、行きたくない」
面と向かう機会があったとして、そのとき友人はどんな顔をするのだろうか。
むすりとして無視されたり、見向きすらせず「もうきらいだ」と言い放たれるかもしれない。
そうしたら、少年はしばらくの間学校に行けなくなるだろう。人に会うことが怖くなるだろう。
「りくと君のお友達も」
修道女の口調は変わらず穏やかであった。
「きっと、りくと君と同じように、仲直りしたいって思ってるよ。だって、そのお友達だって、りくと君のこと、大好きなはずだもん」
少年は先生から、「自分がされて嫌なことは相手にもするな」と言われたことがある。
クラスメイトの上履きを掃除用具入れの上に隠したときに言われた言葉だ。
出来心でやってしまった過ちだが、先生から言われるまでもなく自分がされて嫌なことは
相手にもしてはいけないことくらい分かっていた。
しかし、「自分がされたいと思うことを相手にしろ」と教わったことはなかったし、想像のできないものだった。
その二つは表裏一体であるが、地球から月の裏側を見ることができないように、教えの裏側まで窺い知ることができなかったのである。
月の裏側を知る鬼子は、月から来たのだろうか。
そしたら鬼子はかぐや姫だ。修道服をまとったかぐや姫だ。少年の鼓動が早まっていく。
「明日、何か予定はない? なかったら、謝りに行こうよ」
鬼子は一呼吸置いて「お姉さんもついてってあげるから」と言った。
「ほんとに?」
少年の目が輝きだした。少年の感情の変化は、顔を一べつするだけで容易に理解できるほどオーバーで富んだものだった。
修道女鬼子はその嬉しみの表情を見て、安堵の息を洩らした。
「十一時からだったらいつでも大丈夫だよ」
「なら!」
少年は鬼子と向かい合うように、ベンチの上で正座をした。
「なら、十一時にこのこうえんの、このベンチにしゅうごうね!」
「うん、いいよ。十一時に、この公園の、このベンチに集合。約束」
修道女は小指を差し出した。少年も喜んで小指を差し出し、そして二つの小指は宵の口の公園で交わった。
「ひのもとさん!」
二人だけの空間であった公園に、文字通り飛び入るような声が届いた。少年が振り返ると、大きな人影が近づいてくるのが分かった。
公園の入り口からベンチまで街灯が一つもないため、輪郭しか分からない。
しかし、りくと少年の耳に残る男の声は、聞き覚えのあるものだった。
あ、と鬼子は声を出すと、おもむろに立ち上がり、声の主のほうを向いた。
「探しましたよ。心配したんですからね」
「ごめんなさい、一郎さん」
鬼子の口から出た名前とベンチの脇の明かりから浮かんだ顔を見て、少年は確信した。
「お兄ちゃん」
少年の声は、一郎の荒げた息に掻き消えるほど小さかった。
一郎の手には缶コーヒーとペットボトルのミルクティーが握られている。
これは……たまにドラマである展開、「惚れた女は兄貴のヨメ」パターン?!てか、一郎の弟なのに次郎じゃないんだっ(そこか
やばい、そういう展開か、切ないw
高嶺の花がますます薫り高くなっていく…。
鬼子さんは一郎兄ちゃんに連れられてきた??
これから物語の背景事情がだんだん分かってくる感じかな?
>>242 受身返し 十の四
「飲み物買ってくるから、向こうで待っててくださいって言いましたよね? どうしてこんな寂れた公園にいるんです」
「この子が泣いていたので」
鬼子の紹介で、一郎は初めてりくと少年の存在に気づいたようだ。
少年を見た一郎は顔をしかめ、大きな息をついた。
「とにかく、帰りましょう。神父様が心配します」
「そうですね、ご迷惑をおかけしました」
修道女鬼子の足が一歩前に出た。
少年が不安げな眼差しで彼女の背中を見つめていると、
鬼子は視線を察したのか、振り返り、指を組んで祈りの意を示した。
「また、明日ね」
修道女の声に、少年は大きく頷いた。
「うん、またあした」
・
・
・
・
台風は明日沖縄に上陸するようだ。それから一気に北上し、少年の地元に最接近するのは明日の深夜になるらしい。
風と波に気を付けてくださいと天気予報士は二度三度繰り返した。
少年は居間のテーブルで、マス目のノートを広げていた。週明けに出す宿題をやっているのだ。
しかし、『予定』という熟語を練習した列の隣に『日本鬼子』という字を三列にわたって書きつづっていた。
「ひのもと」という字と「おに」の字は兄の一郎から教わった。「ひのもと」は思った以上に簡単な字だった。
「おに」は、てんを打って田んぼの「田」を書いて、「ル」に「ム」だった。
少年はかの修道女の名前を必死で覚えようとしていた。
宿題は乗り気でなかったが、こういうことになると必要以上に興味が湧いてしまうのである。
一方兄は台所で夕食の準備をしている。脇で少年の母が鍋の火を見ているが、二人に会話はなかった。
少年の母、とわざわざ書いたのは、彼女と一郎は直接血がつながっているわけではないからである。
一郎は自分の作った野菜炒めを仏壇に供えた。
「理空人」
台所に戻った一郎は、使い終えた包丁とまな板を洗いながら少年に声をかける。
「なぁに?」
りくと少年は鉛筆を置いて返事をした。
「ひのもとさんと何話してたんだ?」
「ひみつ」
少年はわざともったいぶった口調で答えた。
鬼子と過ごしたひと時を鬼子以外の誰とも共有したくなかったのもあるが、
兄と鬼子が知り合いであることに不満があったので、それに対する反発でもあった。
反発というより、やきもちと言ったほうが正しいのかもしれないが。
「ま、理空人の友達の……アキラ君だったか? アキラ君がいなかった時点で予想は付くけどな」
見透かされている。少年は一郎と話していると、ときどきそう感じておののくことがある。
兄の人を観る目は人並み以上であることを少年は子供心ながらに思っていた。
>>243 >一郎の弟なのに次郎じゃないんだっ(そこか
鋭いッッッ! 明日をお楽しみに!
>>244 >これから物語の背景事情がだんだん分かってくる感じかな?
そうかもしれませんッッッ! 明日をお楽しみに!
これはもぉ、察しのイイ兄貴に想いは見抜かれているなw 漢字を教えて貰った時点でバレバレかw
あと一郎は鬼子さんの気性も把握済みって事か……ヤキモチ焼くのもしかたないよな……
しかし、日本鬼子と教会……か。これほど意表をつく組み合わせもないなあ。
いや、日本文化で爪弾きにされた鬼が異国の教会の下に保護される。なんて展開ならありうるものだろうか?
おお。なんだか複雑そうな家庭。
現在は聖女のような鬼子さんが、どのようにその型を破るのか楽しみです。
(一面的な聖女のまま…じゃないですよね?たぶん)
>>245 受身返し 十の五
「お兄ちゃんはなんで鬼子お姉ちゃんと知り合いなの?」
「秘密」
一郎は真顔で言った。
「実習先の人なんだよ」
少年が顔をしかめるより先に、一郎は正直に答えなおした。
一郎は保育科の学生で、今は保育園で実習を受けている。
鬼子は一郎より三つ若いのだが、その保育園でボランティアをしており、一郎や新人保育士よりずっと仕事慣れしていた。
一郎は洗剤の泡の付いた皿を片手に、肘で混合栓のレバーを上げた。
「理空人、ひのもとさんのこと、好きか?」
「……すきじゃないよ」
少年は真剣な面持ちで嘘を言う。
一郎は静かに、残酷に笑った。
「なら、思う存分教えてやれるな。いいか、ひのもとさんにはこれ以上関わっちゃいけないぞ」
「どうして?」
台所の混合栓から流れる水の音を聞きながら少年は尋ねた。
「ああいう優しすぎる人はな、大抵真っ黒い秘密を隠し持ってるもんなんだよ。
優しい顔してニコニコしてっけど、裏で何を企んでんのか分かったもんじゃねえ。
そりゃ、子どもたちから好かれてるし、保育士としての腕もあるから学びとれるものは多いが、
そうじゃなかったら近寄りたくないタイプだよな。
そもそも名前がおかしいだろ。鬼子。
理空人、知ってるか? 鬼子って名前、親から名付けられたんじゃねえんだぜ?
なあ、だとするなら、親から名付けられた名前はどこいった? 少なくとも俺は聞いたことがない。
とにかく、親に捨てられ、今は神父様のところで暮らしてる。そいつは違いない」
「やめてよ。鬼子お姉ちゃんのこと、そんなふうに言わないでよ」
「いいや、やめないね。だってお前、人の影響受けやすいだろ」
一郎は洗い終えた包丁とまな板を水きり棚に置き、りくと少年の向かい側に座った。
「弟思いの兄からの忠告だ。ひのもとさんの親がどういう人かとか、鬼子と自称する理由だとか、
そんなもんは知ったこっちゃないが、彼女は世間知らずで理想論者だ。普通の人とはまるっきり違う人間だ。
考えもやることも非現実的で、ファンタジーで――」
「やめてって言ってるでしょ!」
少年は大声で叫んだ。少年の眼からは大量の涙が溢れ出ていた。
「理空人! どうしたの?」
少年の母親がその泣き叫びを聞きつけて、慌ててダイニングに現れた。そして、顔を真っ赤にさせて喚く我が子を見て抱きしめた。
そして一郎を怨念の眼差しで睨みつけた。
「おっと、今日の記録書かねえとな」
無言の圧力を受けた一郎は肩をすくめた。
「いいか、忠告を忘れるなよ」
そう耳打ちし、居間から出ていった。
テレビからは、バラエティ番組の笑い声が腐るほど連発され、仏壇の線香からは細長い煙があがっていた。
母の抱きしめる腕が痛かった。
>>247 バレバレな隠しごとをしている少年に胸がきゅってなる麻呂です。
ヤキモチ妬いちゃうとことかすごく可愛い。いやショタコンじゃないですけど!
>>248 一郎・理空人兄弟の家庭事情は、読みこめば具体的に想像できるように書いたつもりです。
聖女鬼子さんの諸々も、ゆっくり見届けてくださると嬉しいなと。
一郎弟想いなのかそうでないのかよくわからないよ一郎。
内心では鬼子さんを胡乱な目で見ているのに、飲み物を買ってきたり、表向き敬意を払っていたり。トシはいくつなんだろう?
ハッ!さては……弟想いを見越して牽制したと見るべきなのか?!
誤>ハッ!さては……弟想いを見越して牽制したと見るべきなのか?!
正>ハッ!さては……弟の想いを見越して牽制したと見るべきなのか?!
一文字あるかないかで大違い(汗
たしかに、言動が不自然ですねえ、一郎兄ちゃん。
「あのひとは危険だから簡単に近づいちゃいけない!
ああでも頭から離れないんだ…!」
あたりが美味しいかもしれないw
>>250 名前のキラキラ具合から、世代差は見て取れますが…。
お母さんの気性の差も表れてるんですかね?
254 :
転載:2013/04/16(火) 22:00:47.88 ID:i5ELnZHI
>>SSスレ 歌麻呂さん
ひと足早く原稿はいただいちゃってる訳ですが…
初めて読んだ際、りくと君が鬼子さんの手を握った時に、
父親の手より柔らかいとわざわざ断ってあったのを見て、
「あ、父子家庭なんだ」と思いますた。
(女性の手を握って父親の手と比べた→母の手を握ったことがない)
全然そんなことなかったぜ!w
(でも素晴らしい物語に皆さん、乞うご期待なのだぜ!!)
そういえば、
「考えもやることも非現実的で、ファンタジーで」
って、鬼子さんは何をしたんでしょうね…?
>>249 受身返し 十の六
少年は風の音で目が覚めた。戸を開けると並木の広葉樹が前後に大きく揺れていた。
頭上の雲は渋滞にはまった高速道路の車みたいにのろのろと――でも実際はおぞましく速いスピードで――流れていた。
しかし、幸いなことに雨は降っていなかった。
居間に降りると、そこはまだ真っ暗だった。ただ風だけが借金取りのように戸を叩くばかりだった。
休日なので父親は遅くまで寝ている。だから母親も今日は起きてくるのが遅い。
照明を付ける。仏壇の線香は白い粉となって香炉に埋まり、お供え物は昨夜のままだった。
テレビを付けると六時五十分の天気予報が始まっていた。
台風はやや速度をはやめて沖縄を通過し、少年の住む町は夕方ごろから雨が降り出すと天気予報士は深刻な面持ちで述べた。
「よかった!」
少年が喜んで飛び上がったとき、アナウンサーが台風による死傷者の情報を述べていた。
「鬼子お姉ちゃんに会える!」
少年にとって、外出できるかどうかは雨が降ってるか降ってないかによってのみ決まる。
母が起きていたら大慌てで止められるだろうが、寝ているのであれば、出かけたもん勝ちである。
少年はなるべく音を立てずに身支度を始め、七時を過ぎた頃には外にいた。
・
・
・
・
鬼子が公園にやってきたのは、十時四十分を過ぎた頃だった。
少年はそれまでの間、公園に植えられた木の枝のしなりを見て待っていた。
それからアリの巣を観察したが、アリはちっとも出てこなかった。飽きると雲を眺めて、それも飽きるともう一度枝を見た。
そうしているうちに鬼子がやってきたのだ。
「遅くなってしまいました」
はじめ、少年はその声が誰から発せられているのかよく分からなかった。
いや、鬼子の声だということはすぐに分かったし、誰もいない公園に来た女性がおそらく鬼子であろうということも分かっていた。
しかし、彼女は修道服を着ておらず、紅葉柄の着物と藍色のチューリップハットという姿であった。
かぐや姫だ、と少年は思った。
和服の鬼子は、修道女とはまた違う美しさを醸し出していた。同じ椿の香りがするのにこうも印象が違う。
黒く長い髪が、ふつふつと湧き出る美を示していた。
ぼうしをぬいじゃえばもっときれいだと思うのに。少年は心の中で考えを巡らせたが、すぐに撤回した。
そんなことは些細な問題なのだ。
帽子があろうとなかろうと、鬼子の美しさに変わりはない。紅葉の、儚く散ってゆく様がどうしようもなく似合う。
儚さが似合う人なんて、そうそういない。兄一郎の言っていたように、鬼子はあらゆる点で一般人とは異なっているのかもしれない。
紅葉柄の着物然り、修道服然り。いや、多分服装なんて象徴にすぎない。もっと根本的な部分で、鬼子は儚さを抱いているのだ。
だがそんなことは悩んでいても仕様のないことである。特に鬼子本人でなく、りくと少年が悩んだって、何が変わるわけでもない。
「まだ十一時じゃないからへいきだよ」
だから少年は考えがまとまらぬまま、公園の隣にある図書館の駐車場に立つ時計柱を指した。
十時四十三分を示している。時計柱は風で小刻みに揺れていた。風のやむ気配はなく、勢いは強まるばかりであった。
反響があって嬉しい限りです!
>>251 一郎兄さんの歳は、二十代前半を想定してます。
年齢のわりに大人っぽいというか、世間慣れしてるなあ、と思いつつ彼を描いてました。
>>253 一郎の実母の気性を直接語ったり、一郎自身から語ることはしないように心がけていたので、
二人の母親の性格がどう違っているのかは想像するしかないわけですが、
二人の母親あっての一郎なのでございます。
>>254 なるほど、そういう印象を持ってしまいましたか……。
少年の父親が鬼子さんと正反対の存在であることを暗示すると同時に
少年が赤の他人を父親という尺度ではかろうとする思考を描きたかったんですよね。にょほーん。
>>255 いったいどんなことをやってるんでしょうかねw(待)
「世間からズレてるなー」っていう印象を実習先で抱いてるのか、
もしくはもっと具体的なイメージをもって言ってるのか……。
>>256 受身返し 十の七
りくと君は何時に来たの、という問いに少年はちょっぴり得意気に、七時十五分、と胸を張る。
鬼子は目を丸くさせて「早起きだね」と言った。
「危ないから家にいなくちゃダメだよ」と否定されることも、
「そんな早くに来なくていいのに」と自慢の芽を摘み取ってしまうこともなかった。
「早く、行こ、行こ!」
少年の陽気さは悪天候知らずというべきであろう。
この調子ならケンカしたアキラ君とも仲直りできる。そうしたら鬼子お姉ちゃんに褒めてもらえる。
少年は心の中で頷き、鬼子の手を掴みとり、友人の家へ向かった。
友人アキラの家は公園と少年の通う小学校の中間に位置する。閑静な住宅街にある同色一軒家の群生の中にアキラは住んでいる。
目的地までしばらく歩くので、その間少年は鬼子と雑談した。
多くは少年の自慢話であり、その大半は大人にとって当然のこと(一人で買い物できる、ビッグバーガーを平らげられる等)であるか、
またはいたずら(アリの巣を完全に水没させた、黒板消しトラップで同級生の頭に黒板消しを投下させることに成功等)であった。
鬼子は何も言わずにほほえんでいた。ときどき突風が来て、鬼子の黒い髪をなびかせる。帽子が飛ばされぬよう片手で抑えていた。
「ぼうし、脱げばいいのに」
鬼子に帽子は似合わないし、不便そうにしているのなら、被る理由もないだろうと少年は思っていたのだが、
少年の期待に反して鬼子は首を横に振った。
「頭を見せちゃいけないの。そういう決まりごとをしてるんだよ」
提案への却下の仕方は、まるで言い古された誡めのようにも思われた。
「僕も見ちゃいけないの?」
「ごめんね。りくと君にも、もちろん一郎さんにも、見せられないの。そう、大切な家族みたいな人じゃないと」
「そうなんだ……」
少年は心細く感じた。少年の願うことならば、なんだってこの女性は叶えてくれると、いつの間にかそう決めつけてしまっていた。
そういう決まりごとなのだと思ってしまっていた。
しかし、鬼子は修道女なのだ。大正時代のやまとなでしこに大差ない姿であるものの、神に罪を赦されたひとりの女性にすぎない。
見てはいけない、と言われると見てしまいたくなるのが人間の性であり、
りくと少年もまた多くの人と同様に、鬼子の秘密を暴きたくなるのだが、言葉をぐっと胃の中に押しやった。
鬼子の困る顔がよぎったのだ。
慈悲深さも、美貌も、端麗さの欠片もなかった。
背中を丸めて小さくなって、声を殺してすすり泣き、
ただ孤独に、幽閉されたあばら屋の隅に敷かれたござの上で、裸足のまま膝を抱えていた。
外は竹藪に囲まれており、遠くからからすがカァと啼いた。少年はあばら屋の入口で鬼子を見下ろしていた。
鬼子の足元には帽子があった。
それを見つけてしまうと、鬼子は少年を睨みつけたまま視線を外そうとはしなかった。
――あなたも、私を怖がるんでしょう?
まるで、脳みそを垢だらけの指で抉るような声だった。
そう、少年は見てしまったのだ。
鬼子の、帽子に隠された「それ」の正体を。
「それ」は、まぎれもない――、
着物と藍色のチューリップハットかあ…(想像中)
…金田一耕助?
すみませんすみませんっm(_ _)m
台風の描写がいいですね。雲の流れとか、心をつかまれました。
ん?いきなり場面が転換しちゃったような……?
いきなり脳裏をよぎった意味不明な情景なのか実際に事件があって場面が転換したのか?
おっと、すみません、タイミングが前後してしまいました。
>>258 おお?幻影ですかね?
「脳みそを垢だらけの指で抉るような声」
それこそ脳みそを抉られるような感覚でした。脱帽です。
>>258 受身返し 十の八
「りくと君と一郎さん、仲がよさそうでうらやましいな」
鬼子のやわらかな口調が耳に入りこみ、少年はようやく大量の冷や汗を流していたことに気付いた。
風は相変わらず街路樹を揺らすほど強くて、汗だくの少年から体温を奪っていった。
それでも二人は歩いていて、友人アキラの家へ向かっているわけで、信号のない十字路を左に折れたばかりなのであった。
先程の光景は少年の妄想にすぎない。
竹藪の中のあばら屋も、ござの上の鬼子も、そしてあの声も、全て妄想である。
少年は公園からずっと鬼子と手をつないでいたし、その手は白くてあたたかいし、着物は合わせ薫物が芳しかった。
しかし、架空にしてはやけに現実的だった。
非現実的なのは、帽子の中に隠された「それ」だけだった。
帽子の中に、何があったっけ。少年は首を傾げた。
確かにそれは奇妙なものであったはずだ。でもそれがどんな形であったのか、いまいちはっきりとしない。
「りくと君?」
鬼子が不安そうに顔を覗いてきた。少年は心の中の靄を振り払った。
今は悩むよりもおしゃべりを楽しみたい。
「お兄ちゃんとなんてなかよくないもん。だって、ぼくにすぐいじわる言うんだ。
きのうだって、鬼子お姉ちゃんとあそんじゃだめだって」
あら、と鬼子は呟きを洩らして驚いた。そして、何がおかしかったのか、声をひそめて笑いだした。
「一郎さんは弟思いなのね」
どうして弟思いなのか、りくと少年には分からなかった。
「小さい子が好きで、一生懸命で」
鬼子はひとりごとをぼやいた。
「一郎さんがね、こんなこと教えてくれたんだよ。
『小さな子を守ってやれるのは大人だけなんだ。保育園で過ごした記憶のほとんどは忘れるだろうが、
この時期を楽しく過ごせたら、これからどんなに辛いことがあっても、きっと挫けることはない』って」
鬼子は少年の兄の声を真似して、低く唸るように言った。
そんなこと、難しくて分かんないよね、と鬼子は苦笑いした。
それは当然のことであった。少年は保育園児でないにせよ、学校で過ごした時間より園内で過ごした時間のほうが長い。
保育園時代のことだって、記憶に残っていることは多い。
その頃から一続きで今に至っているわけであって、懐かしむこともないし、思い出にふけようとも思わない。
りくと少年はまだ過去というものを持っていないのである。
「りくと君は、一郎さんのお母さん、見たことないよね?」
少年は頷いた。りくと少年の知る一郎の生みの母は、高さ二十センチにも満たない額縁写真であった。
写真は笑顔を絶やさなかったので、明るい人だったのだろうと勝手に想像していた。
誰からもその人のことを教えてくれなかったから、全て少年の思い描く像でしかないのだが。
「きっと、一郎さんのことを、大切に、大切に育ててきたんだと思う。だから一郎さん、保育士になりたいんだろうなって」
「鬼子お姉ちゃん、お兄ちゃんのお母さんのこと、しってるの?」
少年が問うと、鬼子は笑って首を横に振った。
「わかんない。全部私の想像。でも、りくと君も一郎さんみたいに誰かに夢を与えられる子になれたらいいね」
少年は頷いた。そして、疑問を抱き、鬼子の横顔を仰ぎ見た。
「どうしてそんなこときくの?」
>>259 金田一鬼子さん、紅葉の里で巻き起こる奇妙な事件を次々解決!(物理で)
っていうお話どなたか書いて下さらないですかなあ……(チラッチラッ)
>>260 いきなり場面転換ってのは、あえてそんなふうにしてみました。
りくと少年が鬼子さんの妄想に振り回されるように、読者さんも振り回されていますように……。
>>261 「脳みそを垢だらけの……」の描写は結構気に入ってます。
ふっと思い立ったシーンにしては色々な意味で作品に溶け込めたな、と。
A もえちるのら〜
∩イi<リ)>)∩
/イ|、゚ヮ.゚ノ〈 ̄|
\ンヘビソ/イ | ヽ、
<<∞=x\__/
(シ⌒(.j
〃 A´`Aヽ 鬼は〜うち〜 福も〜ウチー ちょ、姉さん、あんまりでヤスー!
卯ミ!|リノ)))リ 。 ノヽ、 ノヽ、
ノ lヾ|l.゚ ヮ゚ノ|! ゚ ° ゚ ' )ヽ|/( ) ( っ
((( /リ__ y_ リ_|つ 。 °:。: ' )ヽ|/( ) ( っ
/ * つ凵] ・ ゚ ヾ ヾ ヾ ) ( ( ヘ/////へ丶、 っ
/゚ , イく/_|〉 。 )\ )\ )\ ⌒\ ソ << ( ○ ≪
/_゚/ し'ノ ) \) \) \|\/ ( U ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
633:創る名無しに見る名無し:2010/11/17(水) 03:48:22 ID:1rxnkliR
>>632 あーくそ、やっぱ絵のインパクトには負けるわーくそっ!灯篭の斧だ、睡眠時間をケズられたうらみをクラエっ!
γ ^ミミ 手
彡ノリリリミシ の
i、∞・∩クミ ひ
⊂厂 ヾ// 勹) ら
 ̄{ニ∝ニニ} 正 サ
{h i l Л イ
// | | 」 儀 ズ
⌒ ⌒ !! は
729:創る名無しに見る名無し:2010/11/17(水) 18:32:56 ID:uipIrPCP
OK、こにぽん投票。
,Mn
.,//へ、 Σ ° ) 流石だよな俺ら。
.<< ( ◎ ≪ / ⌒i
.ノ 、(__ ノ、 | .ト、
,ノ ン丶/ ̄ ̄ ̄ ̄/. ト、゙ヽ、
_) ゙,,ニ,/ FMV / .| ..ト、゙丶、___
"⌒\/____/ (u ⊃
753:創る名無しに見る名無し:2010/11/17(水) 21:33:14 ID:1rxnkliR
γ ^ミミ 手
彡ノリリリミシ ク の
+ i、∞・ ∩クミ イ ク ひ
⊂厂 ヾ// 勹) イ ら
 ̄{ニ∝ニニ} 正 サ
{h i l Л イ
// | | 」 義 ズ
⌒ ⌒ !! は
770:創る名無しに見る名無し:2010/11/17(水) 21:57:02 ID:1rxnkliR
>>759 A もえちるのら〜
∩イi<リ)>)∩
/イ|、゚ヮ.゚ノ〈 ̄|
\ンヘビソ/イ | ヽ、
<<∞=x\__/
(シ⌒(.j
はんにゃ〜の
( A のりごこちはフカフカなのら〜
ソイr(i<リ)>¢
(⊃ (、゚ヮ.゚ノリゝ
ナ γ ⊂斤丁\___
| ソ ∂ (シ \__/
ゴ ( ´o o` )
ゝ w メ ソ
し'^ iJ
とか言わせてみる。舌足らずな感じで
814:創る名無しに見る名無し:2010/11/17(水) 23:56:17 ID:1rxnkliR
>>805 わざわざ探してもらってアリガトウ。もっともっとシンプルなのがあった気がしたが…
それも何かに使わせてもらうかもしれないw ちなみにその間、ワタシはこんなのをつくってたり…
ふむ・・・
/,A^^A γ ^ミミ ぽ
卯ミ!|リノ)))リ 彡ノリリリミシ ょ
Σ lヾ|l .゚ -゚ノリ_ i、∞・ -∩ミ ん
/リ__ソ y_リ_|⊂厂 ヾ// 勹 (⌒'⌒)
/ * /三} |+ ,l ̄{ニ∝ニニ} \/
/゚ , イく/_|〉 L_〉 {h i l Л
/_゚/ し'ノ // | | 」
ミ(こ((゚< Σ ⌒ ⌒
. . , . . デ 黄 ハァ、
ノ レ :/,A^^A. : γ ^ミ カ 金 所
フ 「 :卯ミ!|リノ)))リ ; 彡リリリリミ ス 時 詮
: lヾ|l .///ノリ : i、-・∞ i =3ギ 代 は
姉さん ; レ/ ヾ//\ , √ ヾ// ̄てァ け は 諸
\ ワイモ / :L ̄|x厂 ̄): {ニニ∝ニ} ̄ り 過 行
. \ ワイモ!!/ : じノ L./. k i lЛ : ぎ 無
ミ(こ((゚< : し'ノ : ∠ノ / /」 か に 常
≫ ⌒ ⌒
┼─┐─┼─ / ,. `゙''‐、_\ | / /
│ │─┼─ /| _,.イ,,.ィ' ─────‐‐‐‐ 大
│ | │ | | | イン ヘ ヘ // | \
ノ レ 〔,'´ ̄`∧、/ ./ | \
ノヽ、 _フ 「 {_从 ノ}ノ/ / ./ |
ヒ ) y ( |;;;+。;\./}ノ `ノく゚((
デ デ /, )ヽ|/( |`+*/ ,.イ  ̄ ̄// )) ̄\
ヤ l _,,,...//〃ー) ( ( |;;;;;;;;;;;;/ミノ__ /´(''´('´ ;;;;|
ス ,,イ';;^;;;;;;;:::::" て'/''-::"〃,,__|_;_ :,∠∠_/゙〈}ゝ\* 。;;|
/;;::◎'''::; );_____ @巛 く{ヽミヲ' ゙Y}゙ \+:l
≫_ノU __ノ))三= _..、'、)"^^^ \ ! }' \|
~''''ー< 、-~\( 了 ,' /
\(__/ ζ / ,'.. /
/ /
ξ_つ
,A^^A 、 さあ、次スレよ!
イ!|リノ(((リ卯 A 次スレなのら〜
/ リ|、゚ヮ゚ .リヘi| ∩イi<リ)>)∩
\ノへヾ/"  ̄\ /イ|、゚ヮ.゚ノ〈 ̄|
|二二l\/ \ンヘビソ/イ | ヽ、
\*___ン <<∞=x\__/
(シ (_j (シ⌒(.j
>>262 受身返し 十の九
「ひみつ」
「ずるいよ」
そう言って、自分自身も、昨日一郎に「ひみつ」と言ったことを思い出した。
誰もが誰かに対して秘密を抱いている。自分の全てをひけらかす人間はどこにもいない。
保身のためだ。義を守るための秘密でさえ、信頼を失いたくないという保身に還る。
帽子の中の隠されたもの。ひみつ。
鬼子も自分の身を守るために秘密を抱いているのだろうか。
少年と鬼子の脇を捨てられたビニール袋が勢いよく飛んでいき、その後を追うようにスチール缶が音を立てて転がっていた。
風は公園にいたときよりもずっと強くなっていた。
数分もしないうちに友人の家に到着した。
この通りの全ての家と同じ門、同じ壁、同じ屋根、同じ庭を持っていた。
ドアも同じで、カメラ付ドアフォンも同じだった。
他の家との区別は、表札の名前と玄関に飾られた観葉植物を目印にしなくてはいけない。
門の前のドアフォンの前に立つ。鬼子は邪魔にならないよう電柱の隅に隠れた。
少年が友人の家の呼び出しボタンを押してしばらくたつと、ドアフォンのスピーカから女性の声がした。
聞き覚えがある。友人アキラの母だ。
りくとです、とスピーカに言うと、そこから驚きの声が雑音となって聞こえた。上がってちょうだいな、と言われるも、少年は断った。
「アキラ君いますか?」
そう言うと友人の母親はちょっと待っててね、と言い、通信を切った。家の中で友人アキラの名を呼ぶ女性の肉声が聞こえた。
それは何度か繰り返され、階段をのぼる音がした。やがて二階で口論が始まり、数分後、二人分の階段を降りる音が聞こえた。
身が引き締まる思いがして、少年は威勢良く気を付けをした。
金属の黒い扉が開かれた。少年の友人はそのわずかな隙間から顔を覗かせた。
でこの肉と頬の肉に圧し潰されたような細い目で少年を睨んでいた。
友人アキラは元々仏頂面なのだが、今日は一層無愛想であった。不機嫌らしい。
二人は今、敵対関係にある。少年に緊張が走る。
友人に何と言って謝ろうと思ったのか忘れてしまった。
友人のふてぶてしい態度にむしろ怒りが込み上げてくるほどだった。
心が蝕まれていく。
お前なんかだいきらいだ。
心にもないことを投げつけて走り去ってしまえば、どれだけ楽なことか。
にげちゃおうか?
にげちゃおう。
逃げ道を確認する。
そこには、鬼子がいた。
電信柱の影から少年を貫くような視線が注がれている。
その眼差しに少年は逃げる意味を失い、そして泣きそうになった。
現実から逃げ出そうとしてしまっていた自分を後悔する。
>>271 受身返し 十の十
――もしかしたら、そのお友達も仲直りしたいと思ってるかもしれないよ?
鬼子の言う通り、友人も少年と同じ心境なのかもしれない。仲直りしたいけど、自分に正直になれないでいる。
正直な自分が恥ずかしいと思っている。だから友人の母の呼びかけに応じず、しばしの口論を行っていたのかもしれない。
でも、最後には黒く重い扉を開けてくれた。少年が大風の中、友人の家へ赴いたのと同じように。
少年には鬼子の後押しがあってここまで来られた。
だが友人はどうだ。
友人に鬼子はいない。
なら……と少年は決心した。
なら、ぼくが鬼子になろう。
「はたしじょうだ」
少年は言った。
・
・
・
・
・
・
果たして、少年とその友人は無事仲直りすることができるのか?
鬼子の帽子の中に隠されたものとは――?
そして、少年の淡い初恋の行方は!?
『受身返し』怒涛の後篇は、「恋ごっこ 〜日本鬼子電脳舞曲集 壱〜」初回限定特典にて頒布予定!
THE VOC@LOiD 超 M@STER24(ニコニコ超会議2内)
スペースNo.F43「恵方巻きコルネ」へ向かえ!!!
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http://hinomotooniko.tumblr.com/ ――さあ、あなたの懺悔を聞きましょう。
ヽ
)
ノ
ノ ,/: : ̄´: : ̄: :\v<
/レ l◆i v : : : : : : : : : : : : : :^ 丶
/ ノ ヽ◆ ゝ゚< : : ∧: : : : : : : : :フ.ヽ\ .v,
lソ l◆ノ {^: : : : :/ !: : : : : : : : {: : :.i ヽ V
ハノ !: : : : :イ ⌒i : : : :イl⌒i : :/
wv !,i◆ ヽ: : : : :| ィrァ レv:j r也 !: : } なおした\(^o^)/
/レへ ヒコ } : : : :ゝ込 " l: :!
ノ v ,ノ弋 \一 l: : : : :入,,_ -_イ: j
ノ レ ん\ へl ヽv.v ぃハ,イ | ナ
i くノ へ ナ也 } / ノ ヽ一^1"イ
人 / ヽノ_ ../*ソ \ ノ
| ノ く. ._. .--ノ ヾ l
i ∠_. ._. ._.イ l ヽ イ
l イ | || | \ r
! ノ ._ 」 」 」.」 ゝ l
\ / }_ イ l _人 ヽ \ i
レイ´/ 〉 | 入 l丶 \ ヽ ノ
く_/ ( イ } } 」 ノ \ 丶
し | !v し^ | ヽ ´\
l i \ ヾ
} l ◎〃
.| ! \. ゝ
し,/l
へ_丿
ノヽ、 ノヽ、 みなさん、ここが萌えの為のスレだと
) y ( ) ( 忘れているようでヤス。
)ヽ|/( ) ( ここはいっちょ、わいが2レス程ヒト肌脱ぐでガス
) ( ( ヘ/////へ丶、
⌒\ ソ << ( ● ≪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノヽ、 ノヽ、 具体的にいえば、今日の鬼子タンは
) y ( ) ( ミニスカ衣装!!
)ヽ|/( ) ( 今日こそ誰が王なのか知らしめるでゲス
) ( ( ヘ/////へ丶、
⌒\ ソ << ( ○ ≪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノヽ、、
) y ( ( ヾ 。°っ いざ、出陣!!
)ヽ|/( ( r トプン
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄W ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l /
/,A^^A.  ̄
卯ミ!|リノ)))リ n
ノ lヾ|l.゚ -゚ノリ ||
((( /リ__ y_ リ ̄|つ || ソローリソロリ、デヤス
/ * /三] / || ノノヽ、
/゚ , イく/_|〉. /廿 )) y ( )))
/_゚/ し'ノ |卅| 。;;;;; ))ヽ|/(
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\
\ チャキ
/,A^^A.\ ま
卯ミ!|リノ)))リ.\ っ
ノ lヾ|.-_-ノリ \ た ヘヘヘ、
((( /リ__ y_ リ ̄|つ\ く ウマクイッタラパンツモウバッテ
/ * /三] / i\ : ノノヽ、 トンズラデヤス
/゚ , イく/_|〉. へ ヽ + )) y ( )))
/_゚/ し'ノ  ̄ ))ヽ|/(
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/,A^^A. も 飽 毎
卯ミ!|リノ)))リ\ の き 度
ノ lヾ|l.-。ノリ=3 ね な 毎
((( /リ__ y_ リ ̄|つ\ い 度
/ * /三] /. \ ノノヽ
/゚ , イく/_|〉. \ ドスッ )) y ( )))
/_゚/ し'ノ i\ ))ヽ|/(
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Σ
いでヤス
/
/
ノヽ、 ノヽ、 / ギ
) y ( ) ( /よ 薙 ャ
/,A^^A. )ヽ|/( ) ( へ/ | 刀 ア
卯ミ!|リノ)))リ サテ。 ) ( ( ヘ/////へ丶、了 に が ア
ノ lヾ|l.ー_-ノリ n ツヅキ ⌒\ ソ << (× ≪ 痛 刺 ア
((( /リ__ y_ リ ̄|つ || ツヅキ… |\ / ( _ ノ い さ !!
/ * /三] / || > へ_ * <´ で っ
/゚ , イく/_|〉. /廿 |/ ( ノ⌒て^ミ ヤ た
/_゚/ し'ノ |卅| 。;;;;;; 彡ノ ス
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ )
(
/ フ
ノヽ、 ノヽ、 / の 今 フ
) y ( ) ( / よ 引 日 フ
)ヽ|/( ) ( へ/ う き の ゜
) ( ( ヘ/////へ丶、」 で 分 所
⌒\ ソ << ( ○ ≪ ヤス け は
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノヽ、、 / アイル、ビー、バック!
) y ( ( ヾ 。°っ / でヤス〜〜
)ヽ|/( ( r ヘ/ トプン
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄W ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おまけ
,.、-‐A-.、 わーい
ちょ、やめて、マジやめて /∩イi<リ)>)∩ なのらー
ノヽ、、 //イ|、゚ヮ.゚ノ〈 ̄|
) y ( ( / \ンヘビソ/イ | ヽ、
)ヽ|/( ( / <<∞=x\__/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (シ⌒(.j
430:創る名無しに見る名無し:2010/11/20(土) 22:49:18 ID:CLP3o7ui
とりあえず、夜食用意しておきますね…
A^^A 、
!|リノ(((リ卯
A |、゚ -゚ .リlヾ|
(((レノリ))〉 ハ∨/^ヽ
レ|ゝ*゚ヮ゚ノil ノ::[三ノ :.'、
ヾ ノo~旦o ,へ ,へ ,へ ,へ ,へ (n_日く; __ノ
くO)=(つ (::■;)(::■;)(::■;)(::■;)(::■;) (: ::.".、(~っ
441:創る名無しに見る名無し:2010/11/20(土) 23:13:59 ID:CLP3o7ui
,へ m
ノヽ、 ノヽ、 (::■;Σ°)
) y ( ) ( 7
)ヽ|/( ) ( < \三3
) ( ( ヘ/////へ丶、 ,へ
⌒\ ソ << ( ◎ ≪::■;)
|\ / ( _ ノ て
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ A^^A 、 そ
!|リノ(((リ卯
A |、゚ -゚ .リlヾ|
(((レノリ))〉 ハ∨/^ヽ
レ|ゝ*゚ヮ゚ノil ノ::[三ノ :.'、
ヾ ノo~旦o ,へ ,へ ,へ (n_日く; __ノ
くO)=(つ (::■;)(::■;)(::■;) (: ::.".、(~っ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
A^^A 、
鳥五目と塩シャケ(?)追加しました !|リノ(((リ卯
A |、゚ ヮ゚ .リlヾ|
(((レノリ))〉 ,へ ,へ ,へ ,へ ノハ∨/^ヽリ
レ|ゝ*゚ヮ゚ノil (::■;)(::■;)(::■;)(::■;) ノ::[三ノ :.'、
ヾ ノo~旦o ,へ ,へ ,へ ,へ ,へ (n_日く; __ノ
くO)=(つ (::■;)(::■;)(::■;)(::■;)(::■;) (: ::.".、(~っ
443:創る名無しに見る名無し:2010/11/20(土) 23:16:25 ID:o/40GkEI
>>441 塩じゃけもらっていくでヤッス
ノヽ、 ノヽ、
) y ( ) (
)ヽ|/( ) (
) ( ( ヘ/////へ丶、 ,へ
⌒\ ソ << ( ◎ ≪::■;)
|\ / 2号( _ ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>430 おばちゃーんビールないの、ビール
445:創る名無しに見る名無し:2010/11/20(土) 23:23:27 ID:CLP3o7ui
>>440 ( ̄)( ̄)
| | |
「ロ 「 |
| ̄ ̄ ̄|
| 麦酒 |
|二二二|
| ̄ ̄ く
|三三三|
457:創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 00:02:02 ID:PVl5ApLd
とりあえず、たくさん用意しましたよ?
___
「ロ ロ「| ,へ ,へ ,へ A^^A 、
| ̄ ̄ ̄|(::■;)(::■;)(::■;) !|リノ(((リ卯
| 麦酒 | ,へ ,へ ,へ ハ |、゚ -゚ .リlヾ|
|二二二| ;)(::■;)(::■;)(::■;) // ハ∨/^ヽ|、
| ̄ ̄ |へ ,へ ,へ ,へ || ノ::[三ノ :.'、
|三三三|:■;)(::■;)(::■;)(::■;) || i)、_;|*く; ノ
【ニニニニニニニニニニニニニイニ] |!: ::.".T~
◎ ◎ ハ、___
469:創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 00:08:28 ID:WSP7cuCq
| |
|文| m_
| |( ゜< こにぽんお誕生日おめでとう!
| |/  ̄
| |
474:創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 00:11:51 ID:PVl5ApLd
) y ( ) (
m )ヽ|/( ) (
Σ°)__〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ) ( ( ヘ/////へ丶、
7 ∫+ 。・ ☆ お 誕 生 日 お め で と う ☆ ・。+∫ ⌒\ ソ << ( ◎ ≪
< \三3 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 |\ / ( _ ノ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
/^\/;^\/;^\
/^ヽ∴:/^ヽ∴:/^ヽ:∴/^ヽ
w(∴ )w(∴ )w(∴ )w(∴ )w
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≧(∴∴);(∴∴)(∴∴);(∴∴);(∴∴)≦
/⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ヽ
(__/^^!/^`!_/^!_/^!_/^^!_!/^`!_/^!_/^!_/^!_)
|=========Congratulations!!========|
|:・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・:・::|
☆^^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^^☆
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
483:創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 00:23:43 ID:PVl5ApLd
とりあえず、お祝いのAA投下てけとーに作ってみた
(
γ ハ゜ハヽ ヘ
ヘ:l ノ(ノ)))リ>:ヘ /ノ
ノ,l ゚ヮ゚*ノリ //
c| ̄ハy/ ヽ、 //
.L.ノ=∞=l/ッメ」
// | | 」
⌒ ⌒
488:創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 00:33:59 ID:PVl5ApLd
…と、むしろこうか?
(
γ ハ゜ハヽ ヘ
ヘ:l ノ(ノ)))リ>:ヘ /ノ
ノ,l ゚ヮ゚*ノリ //
c| ̄ハy/ ヽ、 //
.L.ノ三三l/ッメ」
<_、____ゝ
∪ ∪
557:創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 11:26:18 ID:PVl5ApLd
l'vヘ
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒(_rヘ-‐'
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ゝ'l !'そ ( 人 月
~zヾ|て 、l レ^ //'| |'~ γ ハ゜ハヽ 遊 言 の 亥 が
| | ヽl| // }| ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ び っ 喧 の 顔
| :! || | | ,/ ,' レ,l *゚ヮ゚ノリ 〜♪ た 騒 刻 を
| :{. || | |/ / ⊂| ̄ハy/ ヽ、 一 暗 出
l !|| | | / .L.ノ三三l/つ つ 誰 い し
ヽ ヽ.|/ // <_、__*_ゝ ○ の か 夜 た
_,r)_ j (_,( ∪ ∪ l i が の
608:創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 19:08:18 ID:PVl5ApLd
l'vヘ
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒(_rヘ-‐' 筆
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ゝ'l !'そ ( A^^A 、 振 描 を
~zヾ|て 、l レ^ //'| |'~ γ ハ゜ハヽ !|リノ(((リ卯 る そ き と
| | ヽl| // }| ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |、゚ヮ ゚ .リlヾ| 腕 の ま っ
| :! || | | ,/ ,' レ,l *^ヮ^ノリ レハ∨/^ヽi. 見 名 し て
| :{. || | |/ / ⊂| ̄ハy/ ヽ、 .ノ::[三ノ :.:. '、 つ を ょ ほ
l !|| | | / .L.ノ三三l/っ ⊂)、_;|*く; Ψノ め 告 う、 ら、
ヽ ヽ.|/ // <_、__*_ゝ ○ |!: ::.".T~ ♪ げ
_,r)_ j (_,( ∪ ∪ l i ハ、___| た
949:創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 00:16:35 ID:kqxNI0hN
l'vヘ
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′ 人 黒 あ
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ を 髪 月 現 つ
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒(_rヘ-‐' 惑 明 る ま
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ゝ'l !'そ ( A^^A 、 よ わ か は る
~zヾ|て 、l レ^ //'| |'~ γ ハ゜ハヽ !|リノ(((リ卯 う す り 赤 は
| | ヽl|.,)/へ、 ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |、゚ヮ゚ .リlヾ| に 照 い 祭
| :! ||< ( ◎ ≪ レ,l *^ヮ^ノリ Lハ∨/^ヽi. 揺 ら 着 り
| :{. ||(__ ノ ⊂| ̄ハy/ ヽ、 .ノ::[三ノ :.:. '、 ら さ 物 好
l !|| | | / .L.ノ三三l/っ ι)、_;|*く; Ψノ し れ の き
ヽ ヽ.|/ // <_、__*_ゝ ○ヽ / |!: ::.".T~ 舞 た 小 た
_,r)_ j (_,( ∪ ∪ V ハ、___| う♪ 女 ち
675:創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 23:41:11 ID:PVl5ApLd
>>671-672 (
γ ハ゜ハヽ
⌒*(ノ (V) リ>*⌒
レ,l TдTノリ <ま、まだしょーらいせーがあるもん!(/////)
γ∩ y ∩i
Lコ 三.し
<_、__*_ゝ
∪ ∪ ............○
862:創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 19:35:04 ID:rKnABnDt
<ニ>n<ニ> パ
も 今 イ(<イiソリ)ミ⌒i ン
の 履 イ|、゚ヮ ゚ |ク |i .| ツ
で い rリ:::::y:: ソヘ. i リ を
構 て |:::::てイ:::::::::)ソ よ
わ い しイ:::::::::|レ こ
ん る |:::::::::::| せ
⌒ ⌒
879:創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 20:42:29 ID:rKnABnDt
m
イ<::::) )ソ、 安
ξ゚ヮ ゚ノク) 全 心
ハξV/(φハ 平 て し
く ソニニニニ、 \ 等 の ろ
 ̄ | | \/ だ 乳
| | は
|〓〓|
⌒ ⌒
>>272 ぱちぱちぱちぱち!
いい感じにそそって寸止め、にくいです!
りくとくん、殻を破りましたね。
まっすぐな勇気に、かっこいいなあと憧憬を感じてしまいました。
大人だって殻を破るのは難しいのですよ。
そして鬼子さんはどうからんでどのような姿を見せるのか…!
282 :
目次:2013/04/21(日) 11:43:10.45 ID:1jw8J0lZ
まとめ毎度乙!
l'vヘ
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z す 紅 片
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′ べ 葉 振 手
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ て 散 る に
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒(_rヘ-‐' ノヽ、 を ら い も
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ゝ'l !'そ ) y ( ) ( ) A^^A 酔 し な っ
~zヾ|て 、l レ^ //'| |'~ )ヽ|/( ) ( γハ゜ハ ヽ !|リノ(((リ卯 し あ が た
| | ヽl| // }| ) ( ( ヘ/////へ丶、 ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ (( |、゚ -゚ .リlヾ| れ で ら 大
| :! || | | ,/ ,' ⌒\ ソ << ( ⌒ ≪ リl ゚ヮ゚*ノリリ γ^∨/ヽ」 さ や 歌 き
| :{. || | |/ / |\ / ( _ ノ ((⊂| ̄ハy/ ヽ、 /.::::< 三];;;::ヽ せ か う な
l !|| | | / > へ_ * <´ .L.ノ三三l/っ <Ψ:::_;フ*く;:: ノ た に 鬼 槍
ヽ ヽ.|/ // |/ ( ノ⌒て^ミ <_、__*_ゝ ○ ~T": ::..!T ♪ 舞 の を
_,r)_ j (_,( 彡ノ (ツ ∪ iル LL|____ハ う 子
l'vヘ
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z ヘ;へ 紅 惑
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′ 葉 え
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ 吹 騒
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒(_rヘ-‐' 雪 げ
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ゝ'l !'そ ) A^^A 朱 人
~zヾ|て 、l レ^ //'| |'~ γハ゜ハ ヽ iリノ(((リ卯 に の
| | ヽl| // }| ノヽ ノヽ ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |、^-^ .リlヾ|染 子
| :! || | | ,/ ,' ) y ( ) ( リl ゚ヮ゚*ノリリ Lハ∨/^ヽiま ら
| :{. || | |/ / ~ )ヽ|/( ) ( /ハy/ ヽ、 .ノ::[三ノ :.'、れ よ
l !|| | | /m_ ) ( ( ヘ/////へ丶、 ιヽ.ノ三三l/っ <_;:::>く; Ψノ ほ
ヽ ヽ.|/ //( ゜< ⌒\ ソ << ( ⌒ ≪ ○ <_、__*_ゝ |!: ::.".T~ ら
_,r)_ j (_,( /  ̄ |\ / ( _ ノ iル (ツ ∪ ハ、___| ♪
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z さ 鬼
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′ ヘ;へ さ の
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ や 面
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒(_rヘ-‐' く で
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ゝ'l !'そ ) A^^A 様 隠
~zヾ|て 、l レ^ //'| |'~ γ ハ゜ハヽ iリノ(((リ卯 に し
| | ヽl| // }| ノヽ ノヽ ○ ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |、^-^ .リlヾ| 色 も た
| :! || \ | ) y ( ) ( |i | リl ゚ヮ゚*ノリリ Lハ∨/^ヽi 香 れ 顔
| :{. || (⌒| ⌒ヽ/ )ヽ|/( ) ( ○ γ∩y/∩、 .ノ::[三ノ :.'、 の る か
l !|| ( (´ ヾ )/ ) ( ( ヘ/////へ丶、 /:;:;/三く、 \ く_;:::>く; Ψノ 吐 ら
ヽ ヽ.|/ ('⌒ ;:⌒ ) ⌒\ ソ << ( ⌒≪ じ'<_、__*_ゝ\l |!: ::.".T~ 息
_,r)_ /(´ ⌒:: )\ |\ / ( _ ノ (シ (.j ハ、___| ♪
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z ほ ご 恐
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′ ヘ;へ ら ら れ
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ 皆 ん る
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒ で V こ
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ゝ'l !'そ '`;;;´ヽ i / ) A^^A 宴 手 と
~zヾ|て 、l レ^ //'| |'~ 〈从;;;从リ  ̄ ○) -、_ γ ハ゜ハヽ iリノ(((リ卯 V を な
| | ヽl| // }| ξレ゚ -゚ノリ ) ``'ー-、_. | ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |、゚ -゚ .リlヾ| 夢 祭 と く
| :! || | | ,/ ,' ハξV/(§ハ ) y ( \キ人_,/ Σ リl ゚д゚*ノリリ Lハ∨/^ヽi 踊 り り 歩
| :{. || | |/ / く ソニニニニ、 \ )ヽ|/( ) ) (_ γ∩y/∩、 .ノ::[三ノ :.'、 ろ V み
l !|| | | /  ̄ | | \/ ) ( ( ヘ/////へ丶、て /:;:;/三く、 \ く_;:::>く; Ψノ う よ
ヽ ヽ.|/ // | | ⌒\ ソ << ( ○≪ じ'<_、__*_ゝ\l |!: ::.".T~ か っ
_,r)_ j (_,( |〓〓| |\ / ( _ ノ (シ (.j ハ、___| ♪ て
⌒ ⌒
(\ /)
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z ,ミ( )彡 す 幼
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′ ヽ<・⌒ ノxx/ 変 べ 軽 子
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ ( ミ〃 え て 蔑 達
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒ /⌒○(/'"ヽ) よ ・ が
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ゝ'l !'そ '`;;;´ヽ | / ) A^^A う 嫌 そ
~zヾ|て 、l レ^ //'| |'~ 〈从;;;从リ 人_,/ γ ハ゜ハヽ iリノ(((リ卯 こ 悪 の
| | ヽl| // }| ξレx_xノリ (_ ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |゚n ゚ .リlヾ| の ・ 名
| :! || | | ,/ ,' ハξV/(§ハ⌒ \ | リl∩-∩ノリリ /⌒l/^ヽi 歌 日 を
| :{. || | |/ / く ソニニニニ、 \ (⌒| ⌒ヽ γへy//ム |;;;/ニノ :.'、 と 本 呼
l !|| | | /  ̄ | | \/ ( (´ ヾ )/ /:;:;/三く、 \ じ_;:::く; Ψノ 声 鬼 ん
ヽ ヽ.|/ // | | ('⌒ ;:⌒ ) じ'<_、__*_ゝ\l |!: ::.".T~ で 子 だ
_,r)_ j (_,( |〓〓| /(´ ⌒:: )\ ∪ ∪ ハ、___| ♪
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z (\ /) 受
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′ ,ミ( )ミ 朱 愛 け
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ \xxヽ ⌒・> ・ で 入
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒ ξ ミ〃 ) 紅 刀 て れ
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ '`;;;´ヽ <ニ>n<ニ> )) (/○ヽ) ) A^^A 葉 置 と
~zヾ|て 、l レ^ //' 〈从;;;从リ⊂) イ(<イiソリ)ミ⌒i )) γ ハ゜ハヽ iリノ(((リ卯 ・ い
| | ヽl| // ξレ_@。@ノ|V| イ|、-_- |ク | .| ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |、゚ -゚ .リlヾ| 散 た
| :! || | | ,'ハξV/(§| | rリnn/:: ソヘ i リ リ∩゚-∩ノリリ Lハ∨/^ヽi ら
| :{. || | |/ く ソニニニニ_ノ |:::::][:::::::::::::)ゾ γへy//ム ノ::[三ノ :.'、 舞 し
l !|| | | /  ̄ | | じイ:::::::::T /:;:;/三く、 \ (_;:::>く; Ψノ え て
ヽ ヽ.|/ // .| | |::::::::::| じ'<_、__*_ゝ\l |!: ::.".T~ ば
_,r)_ j (_,( |〓〓| |::::::::::| ∪ ∪ ハ、___| ♪
1000:創る名無しに見る名無し:2010/11/29(月) 00:18:55 ID:G0xeEwVt
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、 /i.___
/:::::::::::::::::::::::::::::::::|:i i::/ ヽ
//,:::::Δ::::::::Δ::::::::::::ヽヽ●)ii|
〃::::::::|^|:::::::::|^|::::::::::::||:| トww/
レ!小l● ● 从::::|、|ヽェェi
ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃|:::|ノ:ヽ___l 1000!
/⌒ヽ__|ヘ ゝ._) j/⌒i::!
\ /:::::|::::l>,、 __, オ=/ /:│
. /:::::/|::::|:::::::::|/::::/::::ヘ、__∧:|
512:創る名無しに見る名無し:2010/11/26(金) 00:52:43 ID:vNPomj3n
>>502 ぶっちゃけ、鋭意製作中なんだけどね。イマイチピンとこなくてなかなかこれが…間に合うといいけど
、、/i /i、、
VMwwX
冫c ゚- ゚i
;  ̄ヽ彳勹y/ 了
( (⌒)ノU=∞=∪
′(ノ/__|
U U
645:創る名無しに見る名無し:2010/11/26(金) 21:01:32 ID:vNPomj3n
さて、慎重なるおいらの脳内会議の結果、日本狗はボロ着たやんちゃショタという決着をむかえますた。
これで小日本と2828するようならぶこめ展開要員を期待する
、、∧、、/i、 手
ミVVwリ 女 は 鞠
冫 ゚ -゚メ 子 っ ?
;  ̄⊂ミ^ヽ√了つ 供 !
( (⌒) U{=∞=} の そ
′(ノイ、、、、ハ て 遊 ん
U U | だ な
の っ の
!
、、/i /i、、
ミVVwリ
冫メ゚ -゚ノ
;  ̄ヽ ミ^ヽ√了つ
( (⌒) U{=∞=}
′(ノイ、、、、ハ
U U
…やっぱりやんちゃ坊主は頬にバッテン傷だよね!
656:創る名無しに見る名無し:2010/11/26(金) 21:55:06 ID:vNPomj3n
>>645 げ。腕が一本、余分にあったよ…
、、∧、、/i、
ミVVwリ
冫 ゚ -゚メ
;  ̄⊂ミ^ヽ√了つ
( (⌒) ){=∞=}
′(ノイ、、、、ハ
U U
◇ ◇ ◇
──囲炉裏の炎はパチパチと静かに室内を照らし出していた。
そして、その囲炉裏のそばには二つの人影があった。一人は古風な衣装に身を包み、短めに切った銀髪をなでつけ、
銀縁の眼鏡をかけた凛々しい厳格そうな雰囲気の老人。一人は艶やかな黒髪に目にも鮮やかな紅葉模様の着物を
纏った年若い女性だ。頭からは尖ったツノが二本、控えめに生えていて、側頭部には般若面をくくりつけている。
ひのもと鬼子と白狐だ。
二人の前には幾本もの切った竹筒が置いてあり、何本かは火にかけられていた。傍らには焼酎の瓶やら竹の
柄杓やらが用意されていて、手慣れた仕草で竹筒を火にかける様子はこれまで幾度も同じ事をやっていた事を
伺わせていた。
二人はこの囲炉裏で『かっぽ酒』としゃれこんでいた。かっぽ酒とは、竹を加工して作った竹筒に焼酎などの酒を
入れ、火にかけ、燗する酒の飲み方だ。青竹の風味が酒に移り、えもいわれぬ風味を醸し出す。
「……それで、ぬしの所の小僧達は相変わらずやんちゃなのじゃろうかの」
老人はそう微笑みつつ、囲炉裏のそばから燗した竹筒を取り上げ、新しく焼酎を注いだ竹筒を囲炉裏の脇に突き刺す。
彼の本性は白狐。永い年月を生きた化け狐が人の姿に変じた姿である。普段は縁結びを司る菊莉神社の神主を
しているが、その実、結界術の達人でもある。鬼子の住んでいる家の周囲も彼の創り出した結界術で守られている。
「どうもこうもありません。全く、本当にあのコ達の元気さというか、ヤンチャさには手を焼かされてばかりですよ」
手にした竹筒からぐい呑みに酒を注ぎ、くぴ、くぴ、くぴ、と熱い酒を飲みながら愚痴っているのはひのもと鬼子。
鬼を萌え散らす宿命を背負った鬼の娘だ。飲んだお酒のせいか黒目がちな丸く大きな目の周りはほんのりと紅色に
染まっている。
ここは菊莉神社の離れにある茶室。鬼子は定期的に白狐の元を訪れてこうして近況を報告しているのである。
鬼子にとって白狐は人間の言葉で言うなら後見人といった所であろうか。事あるごとに世話になり、手助けしたりも
しているのでこうして親交を深めているのである。
「ふぅむ。じゃが、確かわんこには一緒におる小僧が居たハズじゃが。確か風太郎といったか。一緒になって
悪さするようには見えなんだがの」
足を組んで座り、穏やかに微笑みながら、熱くなった竹筒の飲み口を口元に運び、じかに酒を飲みながらそんな風に
水を向ける。鴉天狗の少年、風太郎という少年は素朴で大人しい性格だった。粗野で感情的なわんことは
正反対だったが不思議とウマがあった。
「確かに風太郎くんはイイ子ですけど……わんこったらどうも風太郎くんに妙な対抗意識を燃やしてるみたいで……
いつも大きな騒ぎが起こる時は決まってわんこがムキになった時のなんですよ。
……この前も竹とんぼを飛ばしあいっこしていた時もいつの間にやら『風の術比べ』みたいになってしまって……
そのトバッチリで干していたお洗濯物が全部川に吹き飛ばされてしまいましたし……」
「おやおや」
愚痴る鬼子の様子に目尻のしわを深くし、老人は楽しげに鬼子の話を聞いていた。一応、近況を報告するように。
と、言い含んでおいた為の交流だが、鬼子の、そして鬼子を通して語られる子供達の話を聞くことは老人の楽しみに
なっていた。
「──まったく、この前だって、お台所でつまみ食いを見咎めたこにを泣かせるし……困ったものだわ。白狐さまの
所のシロちゃんがうらやましいわ。素直で元気でカワイイし……」
ほんのり上気した頬からは想像つきづらいが、かなり酒が回ってきてるようだ。
「ふむ……シロか……」
不意に孫娘の事に話が及び、老人はまた別の微苦笑を顔に張り付けた。そしてくい、と竹筒の酒をあおる。口の中に
竹と焼酎の清冽な香りが広がる。
「あれは……まだまだじゃよ。おっちょこちょいにも程がある。この前も霊力を鍛える為に洞窟に潜ったんじゃが、
なかなか出てこんと思ったら、中で目を回しておった。なんでもカマドウマをオバケと間違えたようじゃの。
結局、その日は修行にならせんかったわい」
頭痛をこらえるように目を閉じ、老人はボヤいた。脳裏に孫娘の醜態がチラついているのだろう。まるで飲み込もうと
するかのように竹筒から熱い酒を飲み干した。それを聞いて今度は鬼子がクスクスと笑い声を響かせる。
「カワイイじゃありませんか。うちのこになんか、ハンニャーに何を吹き込まれているのか。随分とこまっしゃくれた
口をきいたりするんで毎回頭が痛いです。この前だって、『こに達はもっといいプリンをよーきゅーするケンリが
あるのーでらっくすちょこプリンをよーきゅーするのー』って、いってきかなかったんですから」
はぁ、と、一呼吸タメ息をつくと、また一杯、ぐい呑みに熱い酒を注ぎ、一気に飲み干した。
「ま、多少こまっしゃくれていても、ワガママ言うのは甘えている証拠じゃて。少しは大目に見てやらんとなあ。
姉貴分としてはツラいところじゃのう──」
苦笑しつつ、老人は竹筒を引き抜き、鬼子に差し出した。それを受けて、鬼子は空になったぐい呑みを前に出す。
老人は鬼子のぐい呑みにとくとくと酒を注いだ。少し二人の間の空気が張りつめる。
今までそれぞれが自分のペースで呑んでいたが、ここからは少しまじめな(もしくは深刻な)話題に移る事に
なると暗黙の了解で決まっていた。
「──西の化け狸の大主が重傷を負ったそうじゃ」
「なんですって?」
鬼子は耳を疑った。化け狸の大主は白狐とも実力を二分する大妖怪だ。それが重傷を負ったなど巨大な山一つが
神隠しにあったに等しい。それは不可解かつ不穏な事件である。
鬼子は竹筒を引き抜き、先端を老人に差し出した。老人は傍らに用意してあった杯を初めて手にし、それで酒を
受けた。
「知っての通り、狸の大主は幻術と逃亡術に優れた大妖じゃった。奴め、久しぶりに使う逃亡術も鈍っておらなんだが、
酷い目にあった。と嘘ぶいておったがの。問題は大主に傷を負わせた者の姿じゃ。最初は鬼の武者かと思うたが、
大主が追いつめるとまるで蟲の様な変貌を遂げたそうじゃ」
「蟲武者──」
それは、最近妖怪の間で囁かれている凶悪な鬼の噂だった。どうやら何かを探して辺りを荒らし回っているようだが、
その正体はようとして知れなかった。それがこの近くにまでやってきているというのだ。
「おぬしの所の子供らも安全の為にも結界の外に遊びにゆくのは控えさせた方がいいの。他の大主らも普段の動きの
鈍さもなりを潜めて互いに協力するじゃろうて。
……もっとも、南の化鬼猫大主だけはようとして所在がわからぬがの」
この辺りの山には大主と呼ばれる強大な力を持つ土地神のような大妖が地域を治めている。が、例に漏れず、
動き出すのに腰を上げるのが遅い。普段はマイペースで他と干渉するのもされるのも嫌うからだ。
「──わかりました。何かあったらすぐ天心通の術を使うよう、言い聞かせる事にいたしましょう」
天心通の術とは、一種のテレパシーの術のようなものだ。 本来は年端もいかない子供に使えるような術ではないが、
白狐の貼った結界内でなら簡単な合い言葉で使えるようになるのだ。異変があったら子供たちから大人たちにすぐに
連絡がいくだろう。
「そうじゃな。わしも新たな結界を張ろうとは思うが、よそから依頼が次々と舞い込んできて手がまわらん。
くれぐれも気をつけるようになあ」
つぶやくように言うと、じっと手の中の杯の水面をみつめる。こういう時にこそ、神社を留守にしたくはないのだろう。
が、彼の立場上、そういう訳にもいかなかった。
「大丈夫ですよ。ああ見えて、シロちゃんイザという時はシッカリしていますし。何だったらうちのわんこに様子を
見にいかせますから」
鬼子はそういって竹筒を差し出した。老人はちら、と目をやるとぐい、と杯を干し前に差し出す。その杯に
とくとくと、酒が注がれた。
「そうじゃの。暫くは子供らは一緒にしておく方が安心かもしれんの何か適当な理由を付けて集めるのも
いいかもしれん」
老人は杯を口元に運びながら新たな竹筒を引き抜き、鬼子に返杯する。鬼子もぐい呑みで受けた。
「まあ、うちのわんこだけだと心配ですけど、大抵は風太郎くんも一緒ですから……とはいえ、いたずらが
悪化するのは頭が痛い問題ですけどね……」
風太郎自身はイイ子ではあるが、時々わんこに引っ張られるようにいたずらに荷担させられる事がある。
そういう時は鬼子が思いもしないような入れ知恵をすることがあるのだ。
「ははは。それも含めての成長の楽しみという奴じゃよ。心強いではないか。将来はわしらなんぞよりずっと
頼もしくなるかもしれんぞ」
鬼子たちの周囲も様々な解決しがたい根深い問題は山積している。そういったものさえ彼らなら何とか
してしまうかも知れない。老人は若い世代にそう期待しているのだ──
「そう願いたいものですね──」
一方の鬼子は老人の期待が少々過大に過ぎるような気がしていた。鬼子は半ば期待される方の世代でもあるからだ。
白狐のような大妖からの期待は少々重荷に感じてしまう。
「──ま、それにはわしらが『今』を守ってやらんとな」
鬼子の考えを見通して微苦笑を浮かべながら老人は杯を空にした。
「えぇ、本当に──」
そして二人の間に沈黙が降りた。静かにパチパチと囲炉裏の火が燃える音だけが響く。めいめいが守るべき者を
思い浮かべていた。しばしの時間が経過してゆく……──ややあって、老人が口を開いた。
「とと、随分時間が経ってしもうたの。シロに寝床を用意させよう。今日は泊まってゆくがいい」
そう言ったが、鬼子はゆっくりと首を横に振った。
「いえ、こにが待ってますから。今日の所はおいとまいたします」
鬼の身ならば、多少酔っていようとも山道だろうが問題なく帰る事ができる。あんな話をした後では一刻も早く
帰宅し子供たちの顔をみたくなった。
「──そうか。それでは、気をつけてな」
「──はい。」
情景描写:おにのむすめとしろぎつね
──おわり──
>>289-291 とゆー訳で、今回は『かっぽ酒でイッパイやる白狐じーさんと鬼子ちゃん』というテーマで書いてみました。
なかなか風情がある飲み方だと思いますカッポ酒。実はカッポ酒というのを大分前にしって温めていたネタだでした。
今回、「鬼子さんとお酒」というテーマ(てかネタ)があがったので、これ幸いにと急いで仕上げて便乗しましたw
愚痴りながらも子供たちを大切に思っている大人たち。が描けたらこのお話は成功です。それでは。
133:創る名無しに見る名無し:2010/11/30(火) 00:56:15 ID:2X10XB3y
皆
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z ’
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′ 大 飲
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ き み
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒ な 込
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ '`;;;´ヽ <ニ>n<ニ> \ | / ) A^^A 繋 紅 ま
~zヾ|て 、l レ^ //' 〈从;;;从リ イ(<イiソリ)ミ⌒i (⌒| ⌒ヽ γ ハ゜ハヽ iリノ(((リ卯 ぎ 葉 れ
| | ヽl| // ξレ゚ -゚∩=∩ イ|、^。^ |ク | |( (´ ヾ )/ ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |、゚ -゚ .リlヾ 寄 の 誘
| :! || | | ,,'ハξV(§|V| )) rリ:::::y:: ソヘ i リ ('⌒ ;:⌒ ) リl、゚_ ゚*ノリリ Lハ∨/^ヽi り 木 わ
| :{. || | |/ く ソニニニニ ノノ |:::::で⊃::::::::::)/(´ ⌒:: )\ γ∩y/∩ ノ::[三ノ :.'、 合 の れ
l !|| | | /  ̄ | | じイ:::::::::Tノ /:;:;/三く、 \ (_;:::>く; Ψノ っ 下 て
ヽ ヽ.|/ // .| | |::::::::::| じ'<_、__*_ゝ\l |!: ::.".T~ て
_,r)_ j (_,( |〓〓| |::::::::::| (シ (.j ハ、___| ♪
188:創る名無しに見る名無し:2010/11/30(火) 23:45:26 ID:2X10XB3y
ハ ┌( ;/ ト, ,、 rヘ r'^ナrジ-z
__}ヽ,__ (ヽ/ス_r^フしz,り い)n/イr〜^′
'っヾ、r'__ |レ'ノ_C'入彳勺ソメろ_j/し-,_ 輪 に な る 願 い Ah 〜 ♪
`フ ヾ勹_| <_r' !|刀_」r''>||/⌒
<_ゝし||フぅ(ひzメ__ '`;;;´ヽ <ニ>n<ニ> γ ^ミ ) A^^A
~zヾ|て 、l レ^ //' 〈从;;;从リ i⌒(<イiソリ)i 彡リリリリミ γ ハ゜ハヽ iリノ(((リ卯
| | ヽl| // ξレ^-^ノリ | リ|、゚ ヮ゚ノソ i、-^∞ i ○ ⌒*(ノ (V) リ>*⌒ |、^-^ .リlヾ|
| :! || | | ,,ハξV/(§ハ . レrリ:::::y:: ソヘ / ヾ//  ̄|つ リl ^ヮ^*ノリリ Lハ∨/^ヽi
| :{. || | |/ く ソニニニニ、 \ |:::::で)(:::::::) \ {ニニ∝}ノ γ∩y/∩、 ノ::[三ノ :.'、
l !|| | | /  ̄ | | \/ じイ:::::::::T k i lЛ /:;:;/三く、 \ (_;:::>く; Ψノ
ヽ ヽ.|/ // .| | .|::::::::::| | / / /| じ'<_、__*_ゝ\l |!: ::.".T~
_,r)_ j (_,( |〓〓| |::::::::::| ∠ノ / /」 (シ (.j ハ、___|
⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ -終-
紅の鬼支援AA
http://www.nicovideo.jp/watch/sm12804200 【日本鬼子】*紅の鬼*【カバー】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm12766973【日本鬼子】*紅の鬼*【デフォ子】
ヘ〜
( (
( 。 。i
ゝw メ
174:創る名無しに見る名無し:2010/11/30(火) 19:21:22 ID:2X10XB3y
とりあえず、作ったから投下。左向き狗
、、∧、∧、
ミVVwリミ
l、゚ -゚ メ彡
⊂ミ^V ̄ミつ" ̄`:、
{=∞=} ( (⌒) )
ハ、、、、イ_) ソ
U U
右向き
、、∧、、/i、
ミwVVリ
冫 ゚ -゚メ
;  ̄⊂ミ^ヽ√了つ
( (⌒) ){=∞=}
′(ノイ、、、、ハ
U U
、、/i /i、、
ミwVVリ
冫メ゚ -゚ノ
;  ̄ヽ ミ^ヽ√了つ
( (⌒) U{=∞=}
′(ノイ、、、、ハ
U U
241:創る名無しに見る名無し:2010/12/01(水) 22:29:39 ID:X7jnbH5u
ああ、ワリィ。急いでいるんだ。ちょっと通らせてもらうぜ
)
γ゜ハ ヽ Zzzz...
(V) リ>*ヘ
、、∧、∧、!、。- *ノリ
ミVVwリミy/ ̄ ゝ
l、゚ -゚ メ⊂\::;:;\
ミ^V ̄ミ⊂_:;:;ノ
{=∞=} (⊃⌒) )
ハ、、、、イ_) ソ
U U
856:創る名無しに見る名無し:2010/12/09(木) 23:22:40 ID:RUCkj2Zc
, - ヽ
無 ( ◎ ̄⌒)
乳 ) (⌒ノノ
は __(WW)' ____
罪 /:::::::::::::::::::::::::::::::√_;;;;::::::::::::::::ゝ
な く:::::::::::::<}::::::::::::::) ハ)ハヾ) ハヾ
り (/(/(ハ/:::::::::::/
// /
∠ニつニつ
むしゃくしゃして作った。今まで作ってなかった。いや、なんかつい。
957:創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 15:46:22 ID:J+mHpvvU
マ 犯 い チ __
や ネ 罪 い チ _|__|_
め は み 予 か ド 彡・ _0
た た 備 げ リ 斤ハゞ リ ソ\
ま い 軍 ん く し-ヘ=**}リ )ェヘ
え な ん ////] .┃
° くノ //n」 ┃
……唐突に投下
961:ゆずれぬ戦…い?:2010/12/11(土) 17:24:43 ID:J+mHpvvU
マ 犯 い チ __ γ ^ミミ 手
や ネ 罪 い チ _|__|_ 彡ノリリリミシ ク の
め は み 予 か ド 彡・ _0 + i、∞・ -∩ミ イ ク ひ
た た 備 げ リ 斤ハゞ リ ソ\ ⊂厂 ヾ// 勹 イ ら
ま い 軍 ん く し-ヘ=**}リ )ェヘ  ̄{ニ∝ニニ} 正 サ
え な ん ////] .┃ {h i l Л イ
° くノ //n」 ┃ // | | 」 義 ズ
⌒ ⌒ !! は
こうですか?わかりません!
296 :
転載:2013/04/30(火) 22:19:03.67 ID:pXQtUs8b
>>289-292 すてきすてき!
青竹の香りと囲炉裏端に、親同士の苦労話。
個人的思い出だけど、親とおばさんがしみじみ話してるのを遠くから見て、大人ってかっこええなと思ってた日のことを思い出したよ。
297 :
292:2013/04/30(火) 23:11:43.90 ID:eNJ2mgis
ども、感想ありがとうございます
そう言って貰えると書いてヨカッタと思います(^^
どことも知れぬ小娘の身体に纏わり付いてるとは誰も思うまいw
昔むかし あるところに いっぴきの鬼がいました。
鬼は ある村の人々をたいそう憎んでいて
しょっちゅう村に現れては 畑を荒らしたり 家を壊したり 悪さをしました。
村人達は言いました。
「悪い事をするのはやめろ。ゆるさないぞ」
鬼は言いました。
「追い返せるものなら追い返してみろ。どうゆるさないのだ」
「因果応報と言って、悪い事をすれば必ずその報いがくるのだ」
鬼が一瞬悲しそうな顔をした事に、誰も気付きませんでした。
鬼の顔は醜く歪んでいましすから、人間には表情を読む事は出来ません。
「因果応報という言葉は知っている。
いずれおれは地獄に連れ戻され、
自分のした事の何十倍、何百倍もの責め苦を受ける事になるだろう。
だが俺はその地獄からきたのだ。
つらい責め苦を受けるのをわかってなお、
お前達を責めなければならない理由があるのだ」
村人達は、何故自分達が責められなければならないのか分かりませんでした。
自分達は正直に真面目に生きてきて、恨まれる理由などなかったからです。
とうとう村人達の中から「この村を捨てて、もっと平和な場所で暮らそう」
という声があがるようになりました。
困った村長(むらおさ)は、「心の鬼を退治する」という村の神様に
「あの鬼をなんとかして下さい」と願い出ました。
神様は言いました。
「確かにあの鬼の悪さは目に余る。
しかし、あの鬼は私の社まで荒らす事は滅多にない。
お前達には困った事だろうが、私には関係のない事だ。
だいいち、私が退治できるのは心の鬼で、
生身の体を持った鬼の退治は畑違いだ。」
長老は呆然として、しばし口がきけませんでした。
しばらくしたある日、村に一匹の鬼が現れました。
その鬼は女で、口は耳まで裂け、目はギョロリとむき出し、
血のように真っ赤な着物を着崩して、頭には牛より大きな角がはえていました。
その姿を見た村人達は、家の中や木の陰に隠れて
「鬼、出て行け!鬼、出て行け!」と
薪や石つぶてを投げつけました。
しかし鬼娘は逃げるでも怒るでもなく、下品に笑いながら言いました。
「げ、げ、げ。鬼を褒めたり貶したり、人間というのはわからない生き物だ」
そう言って鬼娘は特に急ぐでもなく、ブラブラと村を通り過ぎていきました。
さて、村には長吉という、鬼を嫌わない珍しい若者がおりました。
長吉は鬼娘の言葉がどうも気になってしまい、
こっそり村から抜け出して鬼娘の後を追いかけました。
「お嬢様、お嬢様、さきほどの言葉はどういう意味でしょう」
お嬢様、と言われて気を引かれた鬼娘は、機嫌よく長吉に答えました。
「どういう意味も何も、それ、お前達の村の長者の嫁様の事よ」
「長者様の嫁様がいかがなされたのですか?」
「いかがも何も、お前達は口々に、美しい嫁様だと褒めはやし、
長者様は嫁様をたいそう大事にしてらっしゃる、嫁様は国一の幸せ者じゃと
常日頃からそう言っておるではないか」
「それが鬼と関係あるのでしょうか」
鬼娘は、げ、げ、と笑い
「そのせいで、長者はすっかり気を良くして、
怪我をしてはいけない、肌が日に焼けてはいけないと、
嫁様を倉に押し込めて出そうとしないではないか。
嫁様の親が病にかかったと聞いても、嫁様は見舞いにも行けぬ。
そんな時でさえ、長者の顔色を伺って笑顔を崩さぬ。
親が苦しんでいる時にさえ笑い続けて、多分死んでも笑い続けるだろう。
そんな事が御仏の御心にかなうと思ってか。
あれァ、もうすぐ人ではなくなる。やがては鬼よ」
そう言うと鬼娘は踵を返し
「お前は正直者そうだから話したが、この事誰にも言うてはならぬぞ」
と言い残すと、煙のように消えました。
長吉は、村を荒らす鬼は嫁様の縁者のなれの果てであろうと察しましたが、
この事を村のみんなが知ったらどうなるか考えると、
怖くてそれを打ち明ける気にもなれませんでした。
更にややあって、ある日突然、長者の嫁様が死んでしまいました。
誰が言うともなく「これはあの鬼が呪い殺したのだ」と、村人達は噂しました。
常日頃からの鬼への憎しみがありますから、その声は段々大きくなり、
ついには「もう我慢出来ない!あの鬼を退治してしまおう!」という事になりました。
「あの鬼が、そんな事するだろうか」
長吉は思わず口にしてしまいました。
「なんだと、長吉、お前は鬼の肩を持つのか!」
「あいつは悪い鬼だぞ、あいつがやったに決まっているじゃないか!」
批難の声は一斉に長吉にも向けられます。
長者は言いました。
「長吉、お前が鬼でなく人間であるならば、その証拠として鬼退治に加われ。
それが出来ないならば、お前は鬼の味方だから、この村に住む事は許さん」
途方に暮れながら長吉が家に帰ると、そこにはいつぞやの鬼娘がいました。
長吉が今までの出来事を話すと、鬼娘は げ、げ、と笑いながら
「何も心配する事は無い。お前は村の者と一緒に鬼退治に加われ。
そうしたら、これから私の言うとおりにすれば、お前への疑いは晴れるだろう」
ついに鬼退治の日が来て、村人たちは鬼が住むと思われる山に分け入っていきました。
山の奥へ奥へと進むと、石や枯れ木で作った鬼の住処らしきものがありました。
「おい、長吉。お前の心根を証明する時だ。ちょっと行って、様子を見て来い」
本当の事を言えば、みんな鬼の住処に入っていくのは怖かったのです。
長吉は仕方なく、石や枯れ木の積み上げられたところに入っていきました。
しばらくして、長吉が戻ってきました。
「どうだ、鬼はいたか」
村人達は訪ねました。長吉は答えました。
「確かに鬼の住処だった。確かに中に鬼はいた。けれども鬼は、もう死んでいた」
村人達は驚きました。
「なんだって、死んでいた!?」
「やい長吉、お前、鬼をかばうために、いい加減な事を言っているんじゃないだろうな」
長吉は困惑しながら、
「嘘じゃない。みんなも行って見てくればいい」と言いました。
村人達は、鬼が長吉をそそのかして、
自分達を罠にはめようとしているのではないか、と疑いました。
「本当に鬼が死んでいるのなら、証拠を見せなければ」
長者はそう言って、長吉にノコギリを渡しました。
「鬼の角を切って持って来るのだ。そうしたらみんな信用するだろう」
長吉はノコギリを持って鬼の住処に入っていき、
歯がボロボロになったノコギリと、鬼の角を持って戻ってきました。
「鬼の角は硬くて、一本しか切り取れなかった」
村人達は興奮しました。長者は長吉にノミを渡して言いました。
「まだ信用出来ない。鬼の目をえぐって持って来い。そうしたらみんな信用するだろう」
長吉は嫌々ノミを受け取ると、再び鬼の住処へ入っていき、
折れたノミと、鬼の目玉を持って戻ってきました。
「鬼の目玉は硬くって、片方だけしかえぐれなかった」
村人達は有頂天になって、今度はみんなで言いました。
「まだまだ、今度は鬼の皮をはいでくるんだ!そしたらみんな信用してやる!」
長吉は泣きべそをかきながら、小刀を手に鬼の住処へ入っていき、
鬼の皮と、すっかり身がだめになった小刀を持って戻ってきました。
村人達は歓喜に湧きました。
「鬼は死んだ!鬼は死んだ!」
「天罰だ!神様は俺達正しい者のために味方して下さったんだ!!」
「それ、鬼の家に火を放て!!」
「とどめを刺せ!!」
そう叫んで、村人達は鬼の住処の老木に火をつけました。
ごうごうと燃え上がる鬼の住処を見て大喜びする村人達の中で、
ひとり長吉だけは真っ青な顔で立ち尽くしていました。
鬼は、実は死んではいなかったのです。
長吉が、鬼娘に教えられた通りに鬼の住処に入っていくと、
鬼はおとなしく座っていました。
そして、どんな考えであるのか、長吉からノコギリやノミ、小刀を受け取ると
自分で角を一本切り、目玉をひとつえぐり、背中の皮をはいで
長吉に手渡したのです。鬼は何も言わず、うめき声ひとつ立てませんでした。
鬼の角や目玉を見せれば村人達が信用してくれると思っていた長吉は、
まさかみんながここまでするとは思っていませんでした。
鬼の家が焼け落ちていくのを見ながら、長吉はひとり心の中で
「鬼どん、許してくれ。鬼どん、許してくれ」と念じていました。
鬼の家がすっかり焼けてしまうと、中には真っ黒に焼け焦げた鬼が座っていました。
村人達は鬼の死骸に石を投げつけ、棒で殴り、足蹴にして
「悪い鬼め!思い知ったか!」「お前など恐ろしくないぞ!!」と
のどが涸れるまで散々に罵りました。
長吉は恐ろしくなりました。
いくら悪い鬼だからといって、死んだ者にこれほどの仕打ちをしてよいものでしょうか。
長吉はだんだん、村人達の方が鬼に見えてきました。
村人達は気が済むまで鬼の死骸を打ち付けましたが、
鬼は硬いので、死骸はたいして崩れませんでした。
村人達はそれがちょっと気に入りませんでしたが、
何より鬼が死んだ事には変わりません。
「そろそろ引き上げよう。この角と目玉と生皮は、殿様に献上するのだ。
きっと素晴らしいごほうびがもらえるぞ」
長者がそう言うと、村人達の関心はすっかりごほうびの方に向いてしまいました。
歌を歌いながら揚々と引き上げていく村人達の中に、長吉はいませんでした。
そしてそれを、誰も気付きませんでした。
村人達が去ったあと、どこからともなく げ、げ、げ、という
笑い声が響いてきました。あの鬼娘の声でした。
鬼の死骸はゆっくり立ち上がると、闇の中に消えていきました。
村人達は知らないのでしょう。
鬼は、このくらいで死んだりはしない事を。
村人達が持ち帰った角と目玉と皮には、恐ろしい呪いがかけれれている事を。
その後、鬼や村人達がどうなったのかは、誰も知りません。
村を逃げ出した長吉は、よその国でひっそりと暮らしましたが
彼が知っている事といえば、彼のふるさとが鬼の大群に襲われ
一夜にして滅んでしまったという事だけでした。
長吉のふるさとは「てんま」という名前だったという事です。
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