星新一っぽいショートショートを作るスレ4

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1創る名無しに見る名無し
スレタイの通り、星新一っぽいショートショートを作ってみようというスレです
ジャンルはSFでもコメディーでも何でも良い
「ショートショート」なので、長くても1レス(=60行)に収まる程度が望ましいかと
二次創作は他所でお願いします


コツというか特徴
・人名は極力使わない(変わりに有名な「エヌ氏」や「エフ氏」を使う)
・細かい描写は省く
・激しい性描写は使わない


前スレ
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281171531/
2創る名無しに見る名無し:2012/02/13(月) 03:35:51.66 ID:nMpKU8Zy
Wikipediaにもう少し詳しく書いてあったので一応


作品の特徴

星の作品、特にショートショートにおいては通俗性を出来る限り排し、具体的な地名・人名といった固有名詞はあまり登場させない。
また、例えば「100万円」とは書かずに「大金」・「豪勢な食事を2回すれば消えてしまう額」などと表現するなど、
地域・社会環境・時代に関係なく読めるよう工夫されている。また、機会あるごとに時代にそぐわなくなった部分を
手直し(「電子頭脳」を「コンピュータ」に、「ダイヤルを回す」を「電話をかける」に直すなど)したという。
激しい暴力や殺人シーン、性行為の描写は非常に少ない。このことについて星は「希少価値を狙っているだけで、
別に道徳的な主張からではない」「単に書くのが苦手」という説明をしている。加えて、時事風俗は扱わない、
前衛的な手法を使わない等の制約を自らに課していた。


星新一 - Wikipedia
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E6%96%B0%E4%B8%80#.E4.BD.9C.E5.93.81.E3.81.AE.E7.89.B9.E5.BE.B4
3創る名無しに見る名無し:2012/02/13(月) 03:36:07.13 ID:nMpKU8Zy
4創る名無しに見る名無し:2012/02/13(月) 03:37:21.26 ID:nMpKU8Zy
テンプレは以上。

前スレの>>690は人の作品をパクらないように。
あれは俺がVIPに投下したネタだから。
5創る名無しに見る名無し:2012/02/13(月) 20:15:16.30 ID:rpIlTp15
1乙

>>4
690 名前: 忍法帖【Lv=27,xxxPT】 [] 投稿日:2012/02/12(日) 16:58:51.87 ID:e6XhQe+l
N博士は長年の苦労を重ねて絶対に消えないロウソクを開発した
博士は助手に言った
「これさえあれば電気なんて必要ない、電気代もかなり浮くはずだ。君も使いたまえ。」
助手にロウソクを渡してから博士は言った。
「そうだ、特許を申請して売り出そう。私はきっと大金持ちになれる!」
博士は特許を申請し、消えないロウソクを全世界に売り出した
ロウソクは大ヒットし、博士は巨額の富を得た。
数年後博士はとても大きな家に住んでいた
「最近なんだか息苦しいな・・・ワシも年だろうか。」
数ヵ月後、博士は息苦しさの理由がわからないまま窒息死した
ほかの人々もバタバタと倒れていった。
誰もいなくなった街では今日も不気味にロウソクが明かりをともしている


これか?
パクリかどうかはともかく凄く上手かったからコメントしようとしたら終わってた
パクリした奴は何を思ってやったんだろうな...
6創る名無しに見る名無し:2012/02/13(月) 23:51:39.80 ID:IEBHyyl2
>>1乙

こんな作品書けるなら
何故星スレに貼ってくれなかったんだー!w
7灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/14(火) 03:51:15.85 ID:EEe/Il/Z

「新スレが立った記念だ。新しい機械を作ったぞ」
どこかにある研究所で、エフ博士が発明品を完成させた。
「前のスレッドがゆっくり進行すると思っていましたから、機能を試す時間があまりとれませんでしたね」
「うむ。思えば、これまでも一年半ほどで次スレを立てていたというのにな。まあいい、早速祝ってもらうとしよう」
エフ博士は機械を作動させた。
すると、機械は軽快な起動音を響かせて動き始めた。
起動音が沈黙すると、今度はなんとも愉快な大衆音楽の演奏が始まった。
同時に機械は上部分を回転させながら、辺りに無数の丸い光を色取り取りに展開させた。
機械は、使用者が祝って欲しい時に、祝ってくれる機能を持っていたのだった。
室内を音楽と光であふれさせ、「おめでとう。おめでとう」と繰り返して祝い続けた。
エフ博士は機能の確認を済ませて言った。
「設計通りに動いている。しかし、なぜだろう。あまりしあわせな気分ではないな」
それには助手も同感だった。
「一体どうしてなんでしょうね。もっと機能を増やさないとだめなんでしょうか」
エフ博士は機械を止め、演出機能の効果を上げるにはどうすればいいかを考えて改良を加えた。
だがそれは、嬉しくならない決定的な理由に気付いていないということだった。
機械を使っていても、自分で自分を祝っている虚しさがあるからだということに。
8創る名無しに見る名無し:2012/02/14(火) 04:24:29.94 ID:ycNUXino
>>7
これはwww
テンプレに入れてもいいんじゃないかってレベルですね…ホントに…
面白かったです!
9創る名無しに見る名無し:2012/02/14(火) 04:41:20.43 ID:ycNUXino
『攻撃は最大の防御』

隣国との戦雲に切れ間のない某国の秘密研究所では、長年に渡って開発の行われてきたとある兵器が完成の時を迎えようとしていた。

「ついに出来たぞ」
主任研究員であるエフ博士は、手に持った銀色の箱の最終チェックを終えると、満足そうに頷いた。
「やりましたね、博士」
助手もこの兵器の完成を心待ちにしていた様子で、明るい表情をしている。
「これが博士の生み出した絶対防御装置ですか」
「ああ、長年の研究の甲斐があったというものだ。一度この装置を使えば、強力なバリアーが国土全体を半永久的に覆い、長く続いているこの戦争もアッという間に終わるだろう。
いつまでもお互いに攻撃をし合っていても、武器の性能差はイタチごっこで埋まらず、戦火は拡大するばかりだ。そこで私は先達の、攻撃は最大の防御、という諺に注目したのだよ」
エフ博士も心なしかいつもより饒舌である。
「なるほど。あえて守ることで武器を無力化し戦争を終わらせるということですね」
「まぁ、大体そんなところだ。ミサイルはおろか、虫の一匹たりとも侵入を許さないバリアーだからな」
エフ博士は自慢の顎鬚をさすりながら続ける。「残る問題は……」

その時、突然後頭部に激しい痛みが走り、エフ博士は気を失ってしまった。
10創る名無しに見る名無し:2012/02/14(火) 04:42:05.15 ID:ycNUXino
(続き)

エフ博士が再び目を覚ましたのは、病院の一室である。
周囲には眉間に皺を寄せた国の将軍たちが集まっていた。
「ウーム」博士は後頭部をさすりながらベッドの上で半身を起こした。「私は一体どうしたというのだ……?」
「君の助手が完成した装置を持って国外に逃げ出したのだ。その時に君は力いっぱい殴られたというわけだ」
将軍の一人が、苦虫を噛み潰したような顔で説明を続ける。
「どうやらあの助手の男は隣国に雇われたスパイだったらしい。ああ、何と言うことだ。せっかく君の発明した装置で戦争に勝てると思っていたのに……」
エフ博士はそれを聞くと、突然笑い出した。
「お、おい君。だ、大丈夫かね?」将軍たちは訝しげな顔でエフ博士を見つめる。
「ええ、ええ。私はいたって正常です」
エフ博士は落ち着くと説明を始めた。
「あの装置には一つ問題があったのです。それは使うなら相手の国で使用しなければいけない、ということなのですよ。それがまさかこんなことになろうとは……」
将軍たちはエフ博士の説明を聞くや、跳び上がらんばかりに喜んだ。
その隣で、博士はふと寂しげな表情を浮かべ窓の外を見つめた。
人の出入りすら出来ない強力なバリアーに覆われてしまった隣国が遠くに見える。
「しかし、彼は有能だったので将来を楽しみにしていたのですが……」
11創る名無しに見る名無し:2012/02/14(火) 05:14:21.31 ID:TwTQvRZy
>>6
もともとのは文章があれで投下できなかった…。
文章がかなり手直しされてるんだけど、
文章力は評価せざるを得ない
12灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/15(水) 13:47:30.41 ID:Pi021uDr
>>9-10
虫さえ通さないバリヤーが半永久的に・・・!
でも隣国の人々は案外なんとかするのかもしれませんね。
食料自給率次第ですけどww
139:2012/02/15(水) 19:59:56.01 ID:u3rk9BmU
>>12さん
そうですね。それにあくまでも戦争を終わらすのが
エフ博士の希望だったため、隣国がごめんなさいしてきたら
すぐに解除装置を作ってしまうかもしれませんwww

拙い文章でしたが読んでいただいて(感想まで!)ありがとうございました
14創る名無しに見る名無し:2012/02/19(日) 22:55:43.19 ID:hcA2sqGd
>>11
世にも奇妙な〜スレに居た人だね
あそこは星新一風に書いて欲しいネタがいっぱいあった
15創る名無しに見る名無し:2012/02/21(火) 14:39:35.86 ID:DETyDqbi
久しぶりに投下します。
「つるぎ」
ある寂れた村に腕利きの石職人がいた。
いくら腕が良くても仕事が無ければ意味がない。
そう考えた彼は村の中心にある石像を作る事を考えた。
岩石のような土台の上にわざとボロボロに作った剣を、決して抜けない様に細工し、仰々しい飾り細工を施した。
土台には
"この剣を抜きし者には輝ける運命が待っているであろう"
というプレートを貼りつけた。
そして村の皆が寝静まった頃合いを見計らい村の中心に置いた。
翌日から村中の話題は誰がこんな物を置いたかより誰が抜けるかになり
我こそはと、力自慢達がこぞって挑戦したが、誰も抜けはしなかった。
いつしか剣の話題は他の村にも広がり、観光に訪れる人間が増えた為、寂れた村は輝きを取り戻した。
"これで俺が細工をこっそり外して
皆の前で剣を抜けば、有名になり仕事が増えるかも知れないな"
"だが今はまだ早い、もっと人が集まって、有名になってからではないと"
それから年月が経ち
剣が刺さったオブジェは今では村の観光資源になっていた。
"まずい。些か待ちすぎたか"
"今俺が抜いてしまえば、何もないこの村など、またあっという間に寂れてしまう"
"ならもう少し待つしかないか"
更に年月が経過し世界中から人が押し寄せるようになっていた。
村も大きく発展し、村民も裕福な暮らしを送れるようになっていた。
"よしよし。そろそろ頃合いだな。しかし予想より大分時間が掛かってしまった…"
"だがこれで俺が抜けば英雄扱いされるわけだ"
石職人は昂ぶる気持ちを押さえつつ広場のオブジェに向かった。
村の人間が並んでいる観光客を整理している。
「おや?あんたも挑戦するのかね?」
「ああ、今までは興味が湧かなかったが、もしかしたら私にも抜けるかと思ってね」
「それはいい。まあなんでも試してみるがいいさ」
石職人はほくそ笑んでいた。
今に度肝を抜いてやる。
さあ、そろそろ俺の番だと肩を回して気合を入れた時
石職人の前の男が抜けるはずのない剣を抜いてしまったのである。
"ばかな!あの剣は私以外には抜けないはずだ"
抜いた男は英雄となり世界一の有名人になった。
手にした剣は光輝いていて誰もが納得するような素晴らしい剣になっていた。
"あんな剣ではなかったはずだ"
"そうか。俺の腕は確かに素晴らしかったのだ"
"自分でも気がつかないうちに、あの剣に命を吹き込んでいたのだ"
長い年月、様々な人が偽の剣を素晴らしい剣だと思い込み
抜けば輝ける運命が待っていると思い込んだ。
そして剣は多くの人達の思いに"触れ"続けた。
いつしか剣自身も
素晴らしい剣だと思い込み
輝ける運命を望み俺も知らないうちに本物の
名剣になっいたのだ。
長い長い年月
思い込む事によって
その思いは偽物を本物にしたのだ。
あの剣を抜いた若者も
本物の輝きを身につけた剣も
きっと信じて疑わなかったのだ。
ならばまだ私も自分を疑う事をやめよう。
私は世界一の石職人なのだ。
これからも…このさきも…。
16灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/21(火) 22:31:59.34 ID:RqP3XZTw
石職人が引き抜く直前にと、剣の意思で引き抜かれたかのようなタイミングですね。
センセーショナルなパフォーマンスをして注目を集めなくても、石職人は技術を誇っていていいというメッセージかもしれませんね。
17創る名無しに見る名無し:2012/02/21(火) 23:01:25.18 ID:WRuOWXXo
「発展の箱」

A国とB国という隣り合う二つの国があった。
同じような地形、同じような歴史をもつ国だが、僅かな差でA国がB国に劣っている。
A国に暮らす青年も、それを感じていた。

ある日、青年はB国に住む友人の家を訪ねた。
機械技師をしている彼は、いつでもにこにこと幸せそうな顔をしている。
青年は部屋の片隅に置かれた大きな箱のような機械を見つけ、何気なくたずねた。
「その機械は、修理に出されたものなのか。それにしては何やら大切そうに置かれているが…」
「ああ。定期検査のため、国で保管されているものを特別に持ち帰ったのさ。
 ここだけの話だが、B国では学校でも職場でも、この機械によって編成が決められているんだ。
 国民一人ひとりの性格が登録してあって、よりよい組み合わせを自動的に考えてくれる。
 不仲になりいがみ合ったり、お互いの足をひっぱりあうようなことが起こらないのさ。
 B国が素晴らしい発明をできるのは、この機械のおかげなんだ」
青年は衝撃を受けた。なるほど、いくらA国が努力しても追いつけない差はこれだったのか。
仲の悪い者同士より、お互いを高めあえる仲間と励んだほうが、学業も仕事もうまく行くというもの。
しかし、この機械を壊してしまえば、B国は今までどおりには行かなくなる。
人間関係で苦労をしたことがない奴らのことだ、劣悪な環境で優れた発明ができるわけがあるまい。
青年は友人が席を立つのを見計らって、重々しく黒光りする機械にいくつか細工を加えた。
「浅はかな友情より、わが国の発展だ。ばんざい、A国ばんざい…」

それからしばらくの月日が流れた。
世界中どこの店にもA国の商品が並び、テレビでは次々とA国の商品のCMが流れている。
国が発展していくに伴い、国民の士気も高まってきた。
「まったく、すがすがしい気分だ。我がA国の産業はB国を追い抜き、発展を遂げている。
 一方B国は国民同士でいがみ合い、どんどん落ちぶれていくのだ。ざまあみろ…」
英雄になったような気分で青年が気持ちよく酒を飲んでいると、バーの暗がりに座るの男を見つけた。
発展の喜びと笑顔にあふれる人々のなかで、男は一人暗い顔をしている。
「どうしたんだ、そんな顔をして。悩みがあるのなら訊こうじゃないか。同じA国の仲間だ」
「悩みなんてものじゃない。聞いて驚け、地方の町にB国から発射された爆弾が落とされたらしいのだ。
 B国の重要な機械が故障したせいで国民同士が不仲になり、溜まっていたうっぷんがこちらにむけられたとか。
 B国では我々の国の者が機械を壊したとうわさされているらしい。まったく、困ったことになったぞ…」
18灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/22(水) 02:29:16.80 ID:D1ocZA6O
パンドラの箱に似ているタイトルのように、A国にとっても手を出しちゃいけない箱だったということですね。
なんとなくですがA国の産業がB国の水準まで下がってまた均衡が保たれそうな気がします。
セリフの二行目以降の文頭に、スペースを空けてあったりして読みやすかったです。
19灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/25(土) 09:18:52.52 ID:4uReBFf1
『一杯のコーヒー』

メガ氏が自宅の一室で発明品の試用をしていた。
「君も椅子に掛けてくれ。しばらく見ていてもらいたい」
同伴者にそう言って、メガ氏は両手を二回鳴らした。
合図を聞きつけて、執事がドアを開けて現れた。
身体が金属で出来ているから、ロボットであることがわかる。
「コーヒーを一杯淹れてくれ」
メガ氏が指示をした。執事は即座に準備を終えてどうぞ、と言ってからコーヒーを机に置いた。
「この執事は最近作ったロボットだ。こっちも試用段階だが、今日試したいのは他のロボットだ」
執事は動作だけを見れば、なかなか人間らしかった。執事は礼をして下がっていった。
二人を挟んだ机の真ん中に、一杯だけコーヒーを置いて。
メガ氏は手元へゆっくりとコーヒーカップを寄せていった。
コーヒーを出されない同伴者は、客人として招かれたわけではなかった。
そしてメガ氏は世間話をし始めたが、同伴者に見せるであろう発明品の説明はしなかった。
しばらく話をしていると、同伴者はメガ氏に違和感を感じ取った。
注意深く観察してみると、メガ氏の言葉は不自然なほどイントネーションが一定だった。
「そうか。あなたはロボットだ」
机の向こうで、メガ氏は無言の反応をした。
「自分に似せて作ったロボットで、僕が気付くかどうかを試そうとしているんだ」
応えたのは物陰から出てきたメガ氏だった。
「君は察しがいいな。どうしてわかったんだい」
メガ氏は、自分を模したロボットと並んで椅子に座った。
「さっきはぎこちない所があったから気付いたんだ」
「それは喋り方がかい、それとも動作がかい」
メガ氏はとなりのコーヒーカップをスッと引き寄せた。
「色々とだよ。いまこうして本人と比べてみると違いがよくわかる」
それだけ聞いて、メガ氏は何も応えなかった。
「と、いうことは今度は気付かなかったようだな」
突然ドアを開けて、さらに一人メガ氏が現れた。
メガ氏は本物さながらの動きで椅子に座り、コーヒーカップを自分の方へ。
次から次へ現れるメガ氏に、同伴者はわけがわからなくなり機械音を立て始めた。
メガ氏は同伴者の耳に手をやり、スイッチを切った。
やはり、不可解な出来事にあうと行動不能になってしまう。試用と調整を繰り返さないといけないようだ。
「やれやれ。三人目が出てくるとは思わなかったか。
ロボットと入れ替わっているのに気付いたのはよかったがな」
メガ氏はロボットのメガ氏のスイッチも切り、少しぬるくなったコーヒーを手繰り寄せて飲んだ。
20創る名無しに見る名無し:2012/02/25(土) 10:04:24.93 ID:DBbGSG2q
おもしろい

視点が第三者になったり同伴者になったりする所に最初は少し戸惑いましたがラストでその理由がすっきり解明しました

尊敬します
21創る名無しに見る名無し:2012/02/25(土) 16:55:38.44 ID:wepXLoNg
別に視点は切り替わってないように思うが。
仮に映像作品にするなら時折同伴者の視界にするだろうけど、
それはあくまでカメラワークとしての演出を考えたらで。

最近また全体的にクォリティ上がってるなぁ。皆さんGJ
また何か考えてレベル下げてやろうかしらw…上げる側になりたいね。
22灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/27(月) 02:18:09.85 ID:9wzw16RC
>>20さん>>21さん
感想ありがとうございました。
話の中心となる人物が二転三転するようなショートショートにしたかったので、
戸惑ってもらえて嬉しいです。
終わり方が[残った本物のメガ氏は何人目に出てきたでしょう]なので、
映像作品にするならカメラワークが大事になりそうです。
23創る名無しに見る名無し:2012/02/27(月) 05:30:20.34 ID:k8QBKe0f
その男は箱の中で産まれた。
暗く狭く冷たい箱の中。
外界の空気を知らぬまま
時は只々流れていった。
時折
箱の外で人の声が聴こえた。
声は振動となり
男の心に響いた。
「軽い声だ。心が見えない」
「この声は重い。心がぐしゃぐしゃだ」
男は声で感情を聴き分ける事が出来た。
「この声は…落ち着く声だ。とても暖かい」
「何故だろう。涙が出てきた。青黒い声だ」
「やめろ。こんな声は聴きたくない」
いくら耳を塞いでも
外の声は箱の中に
心の中に響いた。
「これは…薄い。とても薄い声だ」
「対象的に熱を帯びた声も聴こえる」
熱を帯びた声は次第に
大きな塊となり
男の心を襲った。
「四方八方から熱い声が聴こえる!
まるで薄い声を取り囲む様に!

聴き分ける事が不可能な程
分厚い熱量が男を悩ませた。
やがてけたたましい爆音が響き
激しい振動がなりやまない日々が続いた。
「暗く、青い声ばかりだ。
涙が止まらない!」
爆音の激しさと反比例するように
声の数は聴こえなくなっていった。
「とても…静かだ…もう何も聴こえない」
男はどれぐらいの時を
泣き明かしたのだろうか。
静かになった世界に安堵し
同時に青黒い声が聴こえなくなった世界に不安を覚えた。
「もう…声は聴こえないのか…誰もいないのか」
男は項垂れ
箱に寄りかかると
ベキベキっと音を立て
箱の一部が崩れた。
産まれて初めて見る外の世界
瓦礫が無造作に散らばる残酷な世界。
そして目の前には
頑丈そうな鉄の箱。
自分の入っていた箱に非常によく似ている。
男の入っていた箱と
目の前の箱
二つの箱には
掠れた文字で
こう書いてあった。
"adam"

"eve"
そして目の前には
赤い実がなる細い木が。
24灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/27(月) 21:14:44.75 ID:9wzw16RC
「アダムとイブ」のようですが、旧約聖書の創世記とは別の話なのかもしれませんね。
むしろこれは人類がいなくなった後の話で、登場人物は人間が創った生命の様な気がします。
25創る名無しに見る名無し:2012/02/27(月) 22:32:10.37 ID:YQ04RaRQ
うーん、想像を掻き立てられる味のある雰囲気だけに
最後の最後「で、つまりオチは何?」と思ってしまう。
確かに外からの声を人類の終末(に至る闘争)と考えれば話は通るけど、
結局それを読み手に告げるどころか主人公すら悟った描写がない。
つまり形としてすら何も終わってなくね?

という訳でイブと共に真相と仲間or生存者を求めて旅立つ壮大な続編希望。
真面目な話これは10年かかる覚悟で描くべき連載漫画の第1話にしか見えないです。
26創る名無しに見る名無し:2012/02/27(月) 22:33:23.98 ID:YQ04RaRQ
いや、面白かったのだけど、つい余計なことを。すみませぬ。
27創る名無しに見る名無し:2012/02/27(月) 23:59:43.22 ID:6SPn+zyA
>>19さんの作品も>>23さんの作品も視覚に訴えかけてくる
(情景が目に浮かぶような)短くも切れ味ある作品ですね
「最後のメガ氏は本当にロボじゃなく生身なのか?」や「箱の男はナニモノなのか?」
とどちらも余韻を感じさせてくれる構成で、これからどうなるのだろう、と想像力が掻き立てられました
騙し絵のようなメガ氏の実験も、退廃的な雰囲気の創世記も素晴らしいと思いました
28創る名無しに見る名無し:2012/02/28(火) 00:24:22.02 ID:Aj4obKFR
『価値観の違い』

W国の首都にある広場に銀色の球体が突如として出現したのは、ある日の夕暮れのことだった。
最初に見つけたのは近所に住む子供たちだった。
次に街の人々が騒ぎ出し、警官や軍隊が出動するという緊急事態へ発展した。

W国の国王はすぐさま世界中から著名な科学者達を呼びつけ、球体を調査させるべく調査団を結成させたが、
球体が出現した理由や目的はおろか、材質すら分からないという結果が出ただけだった。
唯一、この地球で作られたものではなく、他の星からやってきたものという見解が出たが、それすら推測の域を出ないものだった。

最初の数ヶ月間はW国中だけでなく、世界中の人々が好奇の目で様々な見地からの調査結果の発表を
連日のワイドショーや有志が作ったインターネットサイト等で眺めていたが、
どうやら自分達に害の無いものだということが分かると、次第にそんな熱も冷めていった。

微動だにしないその球体は、人々にとってもはやただのオブジェとなった。
数年後には、何の成果も出せないまま調査団は解散し、銀色の球体はW国の観光名所のひとつとなった。
一部の人々は、その球体を崇める新興宗教を興したりもした。
 
時が流れ、W国は近隣の大国に吸収されても、依然として球体は何の動きも見せないままであった。
銀色の球体が突然現れた当時を知る子供たちは成長し、子供を育て、老い、孫を抱き、死んでいった。
いつの間にかかつての新興宗教は危険な思想を持つカルト集団とみなされ、弾圧された後になくなってしまっていた。
苔に覆われたその球体が地球のものでないという事実も過去の大国で生まれた与太話だと信じる人が大半になった。

さらに時は流れ、球体の存在を知る者はほとんどいなくなってしまった。
国の名は幾度となく変わり、多くの戦争が起こった。かつて広場だった場所は森になり、荒涼とした砂漠になり、再び深い森になった。
すでに人類は地球上から姿を消してしまっていた。
 
ある日、銀色の球体から音声が流れ出した。
 「地球のみなさん、こんにちは。我々はS星人です。この度は、あなた方との有効的な惑星間関係を築く第一歩として
 この親善カプセルを送ることになりました。突然のことでさぞ驚かれていることとは思いますが、
 このカプセルは地球に到着後しばらくすると我々S星人のメッセージを自動で再生するもので、みなさんへの害は決してありません。
 容量の関係上、わずかな時間しかメッセージを再生できませんが、どうかこの交信をきっかけに
 我々S星と素晴らしい関係を築いていこうではありませんか!」
しかし、たとえ人類が生き残っていたとしてもその音声に耳を傾ける者は一人としていなかっただろう。
内蔵されたスピーカーがS星人にとって非常に手短なメッセージを流し終えたのは、地球の時間に換算してざっと数百万年後のことであったからだ。
29創る名無しに見る名無し:2012/02/28(火) 00:29:02.69 ID:Aj4obKFR
はじめまして。
前スレで投下したものの焼き直しですが大丈夫でしょうか?
オチが分かりにくいと言われたので少々修正してみました。
ご意見・ご感想(ここを直した方が良いetc)などありましたら
ご鞭撻の程よろしくお願いしますm(_ _)m
30灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/28(火) 22:54:17.89 ID:Goi+Opsg
>>27さん
騙し絵のような実験というのは面白い表現ですね。
感想ありがとうございました
31灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/28(火) 23:56:20.47 ID:Goi+Opsg
>『価値観の違い』
親善カプセルが地球に届いてから、メッセージが始まるまでに
世の中が移り変わって長い時間が経過していることがよくわかりました。
他星人との交流に根源的な齟齬が生じていて・・・、というテーマも星新一っぽいと思います。
たぶん、S星人は地球人よりずっと長生きする種族なんでしょうね。
一つだけ気になったことは、内容に一番大きく現れているのは(時間)感覚の違いだと思うので、
そんな感じのタイトルだったら、より合うんじゃないかなという気がしました。

もし、S星人の生涯の長さが人間と変わらないのに、数百万年後に向けてカプセルを用意していた場合は、
それはもう、価値観(人生観)が違うとしか言えないんですけどねww
3228:2012/02/29(水) 09:35:57.62 ID:jiT/gmef
>>31
ご感想ありがとうございました!内容に関してはご推察の通りです。
たしかにタイトルは違うものの方が良かったかもしれませんね。
灰色さんの作品も楽しく読ませていただきました。自分も精進したいと思います。
33灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/29(水) 18:30:23.45 ID:KC1MEtAk
自分も前スレと今スレ両方の『価値観の違い』を楽しませてもらいました。
感想ありがとうございます。
34創る名無しに見る名無し:2012/03/06(火) 00:04:10.42 ID:KqKwCnIX
定年退職の夜 バー 真面目
このキーワードで誰か作ってくれませんか
35創る名無しに見る名無し:2012/03/06(火) 05:53:12.68 ID:xFVP0yYh

   【定年退職の夜】

 エヌ氏は今までずっと真面目に生きてきた。
ゆっくりだが多少は出世したと思うし
離婚した妻にも ある程度の慰謝料と財産分与と養育費を払ってきた。
自分としては最大限真面目に律儀(りちぎ)に生きてきたつもりだ。

 しかし、明日からどんな風に暮らそうか
たくわえと退職金があるので、生活費に困るわけではないが
明日から遊んで暮らすということは、真面目なエヌ氏にとって
考えられない事だった。
再就職を希望しているものの不況で失業率の高い時勢に
希望どおりの職種に簡単に再就職が出来るとも考えにくい。

 バーで独りで飲みながら目的も無くスマートフォンをいじっていたら
色々な人達が、短い小説を書いて見せ合っているページを見つけた。
独創的な設定で、ひねりが聞いていたり ユーモアがあったり
こんな面白い小説を書く人達は、きっと頭がいいんだと思う
こんな人達に相談すれば、エヌ氏の今後の人生の
いいヒントを教えてくれるのではないか

 そう思ったエヌ氏はリクエストを書いてみた。
「定年退職の夜  バー  真面目 このキーワードで誰か作ってくれませんか」
さて、どんなヒントがもらえるのか楽しみだ。
エヌ氏は、わくわくしながら作品を待っていた。
しばらくすると誰かが作品を書いてきた。その作品は………

      (おわり)
36創る名無しに見る名無し:2012/03/06(火) 06:13:05.06 ID:xFVP0yYh

エヌ氏はその小説を読んで少し笑った。
「ひねりが聞いていたり」 じゃ無いだろ 「ひねりが効いていたり」だろ。
『頭のいい人だって字を間違えるんだなあ』
 そう思うと気持ちが少し楽になった。
『私も何か書いてみようかな』
エヌ氏は自分の作品の構想を練る事にした。

『そうだ、ここに書いて練習してから、電子書籍でも出版してみるか』
エヌ氏は今後の人生の目標を見つけたような気がした。
37創る名無しに見る名無し:2012/03/06(火) 11:54:38.90 ID:zMmTQM9l
「トンネル」

まあくんとようちゃんとボクでいつもの公園にいった
きょおはようちえんもお休みなのであさからおやつもって、あそびにきた
ボクたちはいつものようにシーソーやブランコであそんで、さいごに
「ひみつきち」にあつまった
そこはちいさなこやまのなかにくらいトンネルがあってそのむこうはガケになっている
だれかがいってたけど、つきにいっかいはこのなかがよその国につながってよその国にいけるんだって
でもそれはたった1かいだけなのではいったらもぉもどってこれなくなるみたいだ

ボクらはいろんなおはなしをしていた
ようちゃんのかぞくのこととか
ようちゃんのだいすきだったおじぃちゃんはいま、しごとでデンマークという国にいるらしい
ようちゃんのママはあまりおじぃちゃんがすきでないようでデンワもかけないようだ
すこしわがままでかわりものだったおじぃちゃんとのおもいでがようちゃんにはたくさんあるらしい
きょぉもそのおじぃちゃんにあいたいなぁ…といっていた
「ママはおとなになったらあいにいきなさいねっていってた」
ようちゃんはすこしさみしそうだった

つぎのおやすみのひ、まーくんとようちゃんをさそいにいくと
ようちゃんのママはあおいかおでオロオロしていた
あさ、ようちゃんのおへやにようちゃんがいなかったそうだ
よるはちゃんとおへやでねてたはずなのに
げんかんからいつもはいているクツだけがなくなっていたそうだ
ママからおはなしをきくと、ゆうべはケンカしてようちゃんが
「もうボク、ぜったいおじぃちゃんのとこいくからねっ!」とさけんでたそうだ
「かってになさい!」ママもそういっておこったらしい
そておへやにはいってそのままねたみたいなんだけど…
けいさつにもれんらくしてるみたいだ
ようちゃんのパパもしんぱいそうにママたちとなにかはなしている
ボクらはいつもの公園にいった

そしてまっさきに「ひみつきち」にいった
きのうはあめがふってたのかすこしトンネルいりぐちがぬかるんでる
そのいりぐちにちいさなあしあとがのこっていた
「ようちゃん…」ボクらはなかにむかってよんでみた
なかへはいってゆくとしめっぽいにおいのなか、おくのかべにゆきあたった
「デンマークにいけたのかな?」
まーくんはトンネルのなかでボクにいった
「きいたんだけどさ、ほんとにいきたい国にだけいけるんだって…だから」
ボクもつきあたりをじっとみつめておもった
ようちゃん、おじぃちゃんにあいにいったんだ、そしてもうかえってこないんだって

あれからなんかげつもすぎたけど、まだようちゃんはゆくえふめいのままだ
38創る名無しに見る名無し:2012/03/06(火) 21:37:22.71 ID:wylN3iFH
酔っ払いが勢いで。
「定年退職の夜 バー 真面目」のお題で。

「定年退職」
 エフ氏は今日、長年勤めたエヌ社を定年退職した。
しかし円満にこの日を迎えたわけでは無い。
 経営陣と対立して、左遷された事もあった。
 リストラ候補として名前が上がることも少なくなかった。
 それでもエフ氏はしぶとく生き残り、会社の繁栄に貢献したのだ。
 エフ氏は自分へのご褒美として、長年絶ってきた酒を飲むことにした。
 そうだ、若い頃に訪れたあの店に行ってみよう。
 しかし「あの店」の周辺は、再開発されて当時の面影は無かった。
 エフ氏はがっかりして家路につく途中、見覚えのある店を見つけた。
 覚えていた理由は、店構えが民家でありながら店名が『バー』で
印象が強かったのだ。
 真面目なエフ氏は、普段なら近寄ろうとも思わなかったが
今日は何か記念が欲しい夜だった。
 エフ氏は家の呼び出しベルを鳴らした。
 出て来たのは、いかにも頑固そうな老人だった。
 「誰だね、お前さん? 」
 「あの、看板のバーを見て… 」
 その言葉を聴いた瞬間、老人が心底うんざりした顔をした。
 「お前さん、日本語が読めないのかね?
 あれはバーじゃのうて『ハシ』じゃ!
 うちは塗り箸屋! 」
39創る名無しに見る名無し:2012/03/09(金) 23:58:50.81 ID:O4ZXCx3P
あげ
40創る名無しに見る名無し:2012/03/10(土) 00:44:17.46 ID:ypiak//o

         【はし】

 ある日、エヌ氏が橋を渡ろうとしたら
『このはし、わたるべからず』と、書いてある立て札が目に入った
普通の場合なら、一休さんの話を思い出して
『ははーん、端ではなく真ん中を渡ればいいんだな』と、思うところだが
エヌ氏はそれどころでは無かった。

 なんと言っても立て札が目に入ってしまったので、エヌ氏は痛くて痛くて
大急ぎで携帯電話を取出して、救急車を呼んだ、
幸い手当てが早かったので失明だけは、しなくてすんだが
その後2週間も眼帯をする事になったし、眼帯をはずした後も、
元は1.5だった視力が0.8に下がってしまった。
エヌ氏は、立て札を眼に入れると非常に痛いという事を経験した。
41創る名無しに見る名無し:2012/03/10(土) 07:25:34.58 ID:ixX7yQ+E
酔い覚ましのコーヒー。

>>37
微妙にホラーですね。
デンマークじゃなくてブラジルだと思った俺は病気。

>>40
この展開は好きです。
星先生っぽくなくても。
42創る名無しに見る名無し:2012/03/11(日) 18:34:15.76 ID:NixNyASf
村の石碑が引き起こす悲劇。
石碑には、交通事故で死んでしまった家族がまつられている。
暗に交通違反をしたドライバーを批判している。
村の住民は石碑の主張を守るために、自動車を乗ることを忌避した。
自動車を乗っている村民は村八分の扱いを受ける。
そうして、村はより過疎化し森となってしまった。
43創る名無しに見る名無し:2012/03/14(水) 12:50:07.79 ID:FtuOAqBt
お題 ギャンブル 少年 大きな鞄
44創る名無しに見る名無し:2012/03/14(水) 23:07:55.81 ID:nERAGXhb
ある所に少年がいた
少年は自分の体にコンプレックスがあり、それを照らし出す光を憎んだ
そうして少年は闇の世界に入りギャンブルにはまったが光は少年を執拗に追いかけた
少年はギャンブルであらゆる物を手に入れた
人間、大気、海、植物、大陸
物が増えてきたため、そして、自身を光から隠すため、少年はとても大きな鞄を手に入れた
今ではその大きな鞄が自分が勝ち続けてきた証で誇りだ
もう体を隠す必要もない、堂々と歩こう

今日も少年は闇の世界を歩きながらギャンブルに勤しんでいる
地球という大きな鞄を携えて
45鞄 1/2:2012/03/15(木) 02:41:47.60 ID:QMse3Zn6
「ちょっとした賭けをしましょう。君が勝てばこの鞄をあげるよ」
 男が言った。
 傍らには一抱えもある大きな手提げ鞄が置かれていて、男はしゃがむとその口を開けて中身を見せた。
 中にはぎっしりと札束が詰まっている。豪遊しすぎでもしなければ一生暮らせる額なのは一目瞭然だ。
 一方それを見つめる少年の傍らには学生鞄が投げ出してあった。
 中には彼の全財産…今までに貯めた小遣いが入っている。
 少年はとあるつてからこのギャンブルの存在を知った。
 恐らくは大金持ちの道楽なのだろう、「全財産を鞄に詰めて訪ねていけば相手は巨万の富を賭けてくる」ギャンブルのことを。
「君か私か、勝った方がこの大きい方の鞄を持って部屋を出る。いいね」
「総取りじゃないの?」
 あまりに拍子抜けするルールに、少年は思わず問い返した。
「それではあんまり可哀想というものだろう。
 大金をせしめられなかった方は明日にも首をくくらなくてはならなくなってしまう。
 大金の入ってない方の鞄くらいは持って帰らせてあげなくては」
 つまり掛け金の少ない方にはリスクがないということか。それでは本当にただの道楽ではないか。少年は呆れた。
 同時にこういう怪しげなギャンブルに手を出すのは自分のような無鉄砲な子供を除けば借金苦に喘ぐギャンブル凶か失敗した事業家くらいではないのか、だとしたらなけなしの手持ち金などあってもなくても返済日には首を吊るんじゃないのか、少年はそうも思ったが黙っていた。
 他にもっと気になることがあったからだ。彼はそれをまず確かめた。
「それは本物? それに、一枚だけ本物で下は全部白紙だったりしない?」
「なるほど、最近の子供はこういう物語を色々知っているから用心深いね。
 大丈夫、全てちゃんとした紙幣だよ、ほら」
 男は札束の山からいくつか手に取ると、端を指でパラパラとめくって見せた。
 少なくともドラマにありがちな新聞紙の偽装などではない。
「でもそれが贋札じゃないっていう保証はないよね?」
「もっともな疑問だけど、そこは信用してもらうしかないな。手の込んだ詐欺でないと。
 何なら勝負が終わったあと鞄の中身を銀行に預けるまで行動を共にしてもいいがね。その時贋札だとバレたら疑われて困るのはどちらかと言えば大人の私だ」
46鞄 2/2:2012/03/15(木) 02:45:02.15 ID:QMse3Zn6
 少年はしばし考えたが、問題ないというよりは他にどうしようもないという理由で承諾した。
「よろしい、では勝負を始めよう」

 結論から言うと、少年はその勝負に負けた。
 何度も勝ち越し、逃げ切りのチャンスに恵まれながらあと一歩思い切ることができず未熟さと臆病さを露呈し続けた、勝負は終始そんな流れだった。
 だがリスクのないギャンブルゆえか、少年に悲愴さや悔しげな様子はなかった。
 男は全ての勝負を終えると、自らが用意した鞄に手をかけながら満足げに微笑んだ。
「よい勝負だったね。では勝者の私はこの鞄を持って帰るよ」
 少年もまた、満足げな顔で答えた。
「うん、その大金をせしめられなかった方のための鞄はおじさんのものだね」
 男は黙って頷くと、底の抜けた鞄だけを持ち上げた。
 勝負に負けた少年は残ったもの、つまり持ってきた鞄とさきほど確認した札束の山を持って帰ることになる。
「さ、銀行に振り込みに行こうかおじさん。
 そうだ、その鞄を貸してよ。こんなにたくさんのお金は学生鞄には入りきらないもの…」





----------(ありがちなオチで失礼)--------
47汝この女を愛すべし:2012/03/17(土) 13:37:52.41 ID:uriwjz/b
「ねえ、いいでしょう?? なにが不満なの??」
「別に不満があるわけじゃ…」
「だったらいいじゃないの、早く私のことを好きになってよ」
「ううん、でもそうは言っても…」

郊外のとある一室に、二人の男と女がいた。
女はしきりに男にすり寄っているが、男はそれをあまり嬉しくは思っていないようだった。

「私のなにが駄目だっていうの??」
「貴方の好みのタイプじゃないから??もっとグラマーな方がいいのかしら?」

女の問いかけに男は黙って首を振った。
実際のところ、その女は男の好みだった。とても美人だと思ったし、
グラマラスではないが非常に魅力的なプロポーションをしていると思っていた。
しかし、彼女のことを好きになるわけにはいかなかった。

「ねえ、どうして??」

女はなにも知らず、男に問いかける。なにも知らず、知らされず…



「目には目を、歯には歯を」の法案が通ったのは、つい最近のことだった。
国によって新たに作られた「執行機関」により、犯罪者が裁かれるようになったのだ。
刑はその言葉の通り、犯した罪に沿って執行される。
他人の家のガラスを割った者は自分の家のガラスを割られ、放火事件を起こした者は自分の家が焼かれる。
無差別に5人を切りつけて殺傷したものは5人から切りつけられ、殺される。

男には昔、付き合っていた恋人がいた。恋人は心の底から、男のことを愛していた。
二人は良いカップルだと周りの皆は思っていたが、男は違った。
男は恋人の財産だけを狙い、事故に見せかけて殺そうとしたのだ。
男はうまくやったつもりだったが、目撃者がいたためすぐに露見し、捕まった。
そして、刑の執行を待つ身であった。

「ねえ、早く私のことを好きになってよ」
48創る名無しに見る名無し:2012/03/18(日) 00:08:38.27 ID:sVHyPQwe
太宰治の秋風記にちょっとインスパイアされて書いてみました


「ねえ、ゲームをしようよ」
と、男。
白い部屋、細い手首。
「ええ、かまわないわ」
と、女。
黒い長髪、太いチューブ。
「今から君にメモを渡すから、そこに一文字足して、また僕すんだ。その繰り返し」
と、男、何かを探っている。
かさかさ乾いた音を引き連れて。
「面白そうじゃない、でもそれ、終わらないんじゃないかしら」
と、女、髪を軽くかきあげる。
「終わらなくて、いいんだ。じゃあ、僕から」
その男の声のように薄くすすけたしきりから、頼りない細い手首が伸びる。
すこしシワのついたその小さな紙をうけとると、そこには「あ」の文字。
「一文字、足せばいいのね」
女はテーブルの上からえんぴつを取り出す。
静寂の白に、カリカリと何かを削るような音だけが響く。
「これで一回、ね」
女、紙を畳んで男に差し出す。
ぱさり、と、仕切りのたわむ音。
「どれどれ。おや、君も同じ事を考えていたのかい」
男、どこか悲しげにつぶやく。
「思えば、君とは永い付き合いだな」
男が女に紙を回しながらふいに呟く。
「今更なにを言ってるのよ」
「君となら、」
静寂。
「君となら、結婚してもいいかな、なんて。ね、思ったんだ」
女、すこし動揺したのか、くしゃりと紙を握る。
「馬鹿」
足された文字は「が」のひともじ。
女は、そこに繋がるであろう一文字を足して、男に回した。
その女の手首の細さは、男と大差なかった。
「あなたは、酷いひとよ。せっかく全て諦めて、ようやくそろそろ無になれそうだった私に、また生への執着に火を付けたんだもの」
女の、今までにないほど、冷たい声。
「そうだな、でも僕はそれだけの罰をきちんとこれから受けるつもりだ、勿論」
かさかさ鳴る紙にえんぴつを滑らせながら男は笑う。
「だからね、それが一番許せないのよ」
男の細い手首が伸びる。
女はその男の手の甲のようにくしゃくしゃな紙を受け取り、広げる。
「えっ、"さ"っ、てなによ。ふつう、そこは」
男の手は、女の手を握るような素振りをみせ、力なく落ちるように離れていった。


とある看護師が、無人の二人部屋で妙な紙くずを拾ったという。
"ありがと さ"
49創る名無しに見る名無し:2012/03/18(日) 00:12:32.16 ID:sVHyPQwe
>>48訂正
本文八行目

また僕すんだ×
また僕に渡すんだ○

誤字失礼しました。
50創る名無しに見る名無し:2012/03/20(火) 14:07:24.92 ID:cOylsz3s
文才無いけど頑張ってみた

ヘビ

私はやたらと腹が空いている、最近は全く獲物にありつけない
「何でも良い食べ物を」
そう思っていた矢先目の前に目の前に大きな卵が転がって来た。
私は他のものに取られまいと我先に飲み込んだ。

『Fire In The Hold』

遠くで人間が叫んでいるのが聞こえた
51創る名無しに見る名無し:2012/03/20(火) 21:04:31.59 ID:NeuFioUm
星新一大ファンです
こんなの書きました
感想いただけたら嬉しいです
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/yume/1330286005/232-238
52創る名無しに見る名無し:2012/03/20(火) 21:06:28.83 ID:yH2hvKGw
53創る名無しに見る名無し:2012/03/27(火) 07:45:58.79 ID:YqyOraj0
>>51
ろむさんの【レンズの向こう】を読みました

「即興のものなのであまり期待はしないでくださいね」 という
前置きがある割には、文章にまとまりがあって
上手な作品だと思います。

しかし。このスレでは、普通の即興作品よりも
星新一っぽい作品を期待しているので、
『意外な結末』の方向性が、期待していた方向と違ったり
文体が星新一っぽさを追及していなかったりするので
このスレの住人が期待しているような作品ではないから
どういう風に対応したらいいのか、迷ってしまいます。

現在では、自分の作品を発表する場所が、
ネット上に沢山存在するので、
色々探してぴったりだと思う場所で自由に作品を
発表するほうが良いのではないかと感じます。

この【創作発表板】だけを見ても260以上のスレが存在して、
http://engawa.2ch.net/mitemite/

2ちゃんねる以外にも小説を無料公開するサイトや
有料販売するサイトが沢山あるので
そういう場所も検討してはどうでしょうか

こんな風に書くと、追い出しているように思うかもしれませんが、
むしろ、ろむさんだけでなく このスレで優秀な作品を書いている人
全員に対して言いたいのですが、ご自分の作品をまとめて発表したり
販売して、わずかでも御小遣いにするべきだと思える人が、たくさんいます。

漫画家になりたい人がプロ作品の模写から始めるように
ここでは星新一の文体模写、作風模写をやって
練習をつんでから、いずれ、自分の代表作を
発表するべきではないかと思うので、
このスレに発表する場合は、「エヌ氏」「エフ博士」
「エム教授」「エス社」を登場させたり
レンズを題材にした作品を書くのであれば
そのレンズを使うと、何か特別なものが見えるとか
何かを集める、何かを拡大する、縮小する、増幅する
など、レンズっぽい機能を中心にして
ストーリーを展開してほしいと感じます。

ろむさんの【レンズの向こう】という話は、
「レンズ」と書いてある部分を「奇妙な物体」に置き換えても
ストーリーが、成立してしまうので、わざわざ「レンズ」という
言葉を使う必然性を感じないから
『星新一っぽくない』『スレの趣旨に合ってない』と感じて
みんな、どういう反応をしたらいいのか わからないのだと思います。
54創る名無しに見る名無し:2012/03/27(火) 12:37:42.20 ID:a43xbngz
それもあるかもしれないが、まず最初に

「ここに貼れ」。

話はそれからだわ。外にリンクなんか張られてもヒット数乞食のサイト管理人が釣りに来たか
さもなきゃ逆に私怨晒しにしか見えん。そんなもの端から誰も踏まんよ。
55創る名無しに見る名無し:2012/03/31(土) 00:09:57.61 ID:YKTIW3s0
>>53
感想いただけてうれしいです
ありがとうございます
途中から読んでも面白い
そんな作品目指してます
やはりショートショートが自分の武器だと思ってますので
これからも書き続けていくつもりです
56ろむ:2012/03/31(土) 00:11:30.23 ID:YKTIW3s0
>>54
たしかにそうですね
失礼しました
これからは直接貼ります
57創る名無しに見る名無し:2012/04/08(日) 10:03:19.10 ID:stzumkn9
子育て・親育て入門

http://big-hug.at.webry.info/200506/article_19.html  
58創る名無しに見る名無し:2012/04/08(日) 10:09:59.63 ID:stzumkn9
ショート・ショート「追伸」

http://big-hug.at.webry.info/200506/article_10.html 
59創る名無しに見る名無し:2012/04/09(月) 19:42:41.55 ID:UHB6/yhc
「狼が出たぞー」
 少年が叫んだ。
 大人たちは武器を手に駆けつけたが、そこには何もいなかった。

「狼が出たぞー」
 別な少年が叫んだ。
 大人たちは武器を手に駆けつけたが、そこにも何もいなかった。

「お宝を掘り当てた」
 また別な少年が言った。
 駆けつけた大人のうち何人かが落とし穴に落ちた。

 どの少年も最後には「やあい、騙されてら」と嘲笑った。

 ある日、町外れの正直者の飼っている羊が襲われた。
「狼だ、助けてくれ」
 町の人たちは答えた。
「ふうん」
「それにうちの息子が怪我をしたんだ、医者を頼む」
「お前までそんなくだらないことを始めたか」
「死ぬほどの怪我じゃないなら連れてこいよ。もうこっちから出かけていって騙されるのはごめんだ。
 動けないほどの大怪我で狼の前に残してきたんなら、もう無理だ。諦めろ」
 正直者は言った。
「なぜだ。なぜ誰も信じてくれないんだ」
 誰も答えてはくれなかった。
 あまりにもわかりきっていて、本気で理解できないとは到底思えなかったからだ。
60創る名無しに見る名無し:2012/04/12(木) 22:35:13.48 ID:fOzk2wDe
わからない
61創る名無しに見る名無し:2012/04/14(土) 00:21:28.95 ID:rtsSwslg
最初に出て来た少年達は正直者の息子?
62創る名無しに見る名無し:2012/04/14(土) 00:23:49.07 ID:A+fPnBSt
なにが込められているのかわからない
63創る名無しに見る名無し:2012/04/14(土) 00:26:12.79 ID:A+fPnBSt
「ラッピングチェック」

ラッピングされた四角い箱が机の上に置いてある。

男はそれをながめながら昔を思い出す
楽しかったこと悲しかったこと。

そのプレゼントを貰った事を
ボンヤリと眺めながらも慈しむように眺めている所に猫が机の上に乗ってくる。

主人にお腹を撫でて貰おうと寝っ転がった猫のお尻に潰され、ラッピングされた"中身の無い"箱は

クシャっ

っという音と共に潰れてしまった。

やれやれ、またか
といった顔で四角い箱の形にまた綺麗に整えた。

こうしておけば
いつまでもプレゼントを貰ったあの時の気持ちになれるから。
64創る名無しに見る名無し:2012/04/30(月) 15:50:41.55 ID:AteQCUdC
>>59
> あまりにもわかりきっていて、本気で理解できないとは到底思えなかったからだ。

のところは
「あまりにも(信じてもらえない理由が)わかりきっていて、本気で(何故信じてもらえないかが)理解できていないとは到底おもえなかったからだ。」
って感じですかね〜?
65創る名無しに見る名無し:2012/05/08(火) 09:01:16.81 ID:+3zXHsZp
 ある宇宙船での会話

「これが何か分かったかね? ドクター」
「ああ、船長。まあ、生物の死体には間違いありませんな」
 ドクターの言葉に船長は三つの目を見開いてその「死体」を見つめた。
「しかし、完全に干からびておる。自然にこんな状態になるとは思えんが」
「意図的な処置がしてある事は間違いありません」
 ドクターは腕を組むと残る二つの腕で、死体が納められている細長い容器を調べながら頷く。
「この生物の体型にピッタリ合わせた容器までありますし」
「うむ、蓋までついているなかなか凝った容器だ。専用の容器まで作ったとなると、相当大事なものなのだろうな?」
「もしかすると愛玩用の動物だったのでしょうか? 愛するペットをいつまでも保存しておきたいという考えから作られたのかも知れません」
「しかし、目が二つに口が一つ、腕が二本に足も二本。干からびてしまっているということを考慮しても、とても愛玩動物とは思えんな」
「そうですなあ。うーん、腐敗を防ぐための処置が、意図的にしてあるのは間違いがない。と言って愛玩動物とも思えない。もし、ペットでもない生物を手間暇かけて保存するとしたなら、その理由は何だろう?」
 ドクターは六本の足で、少しイライラしたように足踏みをしていたが、突如叫び出した。
「分かりましたよ、船長! 実に簡単な事です。その容器の使い道も分かりました」
「どういう事だね?」
「愛玩動物でもない生物を手間暇かけて保存するとしたなら、その理由はただ一つ、この生物は、きっとあの星の滅亡してしまった住人たちの食用家畜だったに違いありません」
「なるほど! ドライフードなのだな!」
「そうです、そしてこのピッタリの容器!」ドクターはマイクに向かって叫ぶ。「誰か、お湯を持ってきてくれ!」
「そうか! この容器にお湯を注いで蓋をするのだな!」
「そして三分待つのです!」
 船長とドクターは四つに分かれた舌で二つある唇を舐めながら涎を垂らした。

 おわり

感想ありましたらよろしくお願いします
66創る名無しに見る名無し:2012/05/12(土) 22:55:35.37 ID:QBA1Yqcc
ファラオヌードルという単語が浮かんだ

面白かったです
67創る名無しに見る名無し:2012/05/13(日) 08:31:26.35 ID:tRdis9gg
群れだ。
星新一の群れだ。
6865:2012/05/14(月) 01:40:21.73 ID:FE2BXxJj
>>66
感想ありがとう!
うまいタイトルが思いつかなかったけど
ファラオヌードルがいいかもね
69   ↑    ↑    ↑    ↑  :2012/05/14(月) 04:42:39.79 ID:3bK+5wmZ
 >>65        【 インスタントファラオ 】
            【 即席ファラオ 】
            【 ワンタッチファラオ 】
            【 玄関開けたら2分でファラオ 】
            【 カップファラオ 】
            【 ファラオ三昧 】
            【 ニュータッチファラオ 】
70   ↑    ↑    ↑    ↑  :2012/05/14(月) 04:47:55.96 ID:3bK+5wmZ

          日清【 ファ・ラ王 】
71創る名無しに見る名無し:2012/05/14(月) 21:34:55.74 ID:PWJBHgeR
星新一のショートショートは名作だよね
72創る名無しに見る名無し:2012/05/15(火) 02:03:16.25 ID:QPVrgZ5N
ここは創作スレなんだが
まあ、過疎ってるからいいか
73創る名無しに見る名無し:2012/05/15(火) 02:59:56.56 ID:Cba/tdCu
>>72
なんか創作してください
74創る名無しに見る名無し:2012/05/15(火) 12:33:25.10 ID:QPVrgZ5N
>>73
あなたも創作してください


>>74  創作しました。

       【 幽霊出現マシン 】
助手のエヌ氏が実験室で待っていると
エル博士が新開発の装置を持って現れた。
「 エヌ君、きみは『 幽霊出現マシン 』というのを聞いた事があるかね?」

エル博士の質問にエヌ氏が答えた。
「 さて、どうでしたか『 幽霊製造機 』とか『 幽霊発生装置 』なら
聞いたような気がするんですが 」

エル博士は実験装置を電源に接続して、電圧設定をしながら言った。
「そうだろう。私も先ほど電子計算機でヤッホーというのを検索してみたが
"幽霊出現マシン"の完全一致は一件も無かったよ」

「 なるほど、パソコンでヤフー検索をしたら一件もヒットしなかったわけですね」

「そのとおりだよ、エヌ君。きみは結構モダンな言い方をするなあ。
案外エヌ君はナウいヤングらしいな。
とにかく私の"幽霊出現マシン"は100パーセントオリジナルというわけだ」

「そういうものでしょうか博士」

「エヌ君、きみは今から50年ぐらい前に『 幽霊製造機 』を描いた漫画家が
別の作品では星真一とボッコ隊長を主役にしたことを知っているかね?」

「え?星新一とボッコちゃんですか?」

「いやいや、そうではない。星真一とボッコ隊長だ。
微妙にもじって『新一』を『真一』にしたり『ちゃん』を『隊長』に変えたりして
自分の漫画の主役にしたのだ。 微妙に変えれば『オリジナル』と
威張ってよいという事だ」

「なるほど、微妙にわかったような気がします」

「ではエヌ君。準備がととのったから、早速この金色のボタンを押してくれたまえ」

「わかりました」
エヌ氏がそう言ってボタンを押すと、バンッ!!という音がした。
しかし、その他に変わった現象は無く、エヌ氏が周囲を見回しても幽霊は見当たらなかった。

「博士、実験は成功したんですか? 幽霊はどこに出現したんですか?」

しかし、エル博士はその質問に答えないで、誰か床に倒れている人の
からだを引っ張って実験室から出て行って、ドアをバタン!と閉めた。

エヌ氏は、状況を詳しく知りたかったので、
エル博士のあとについて部屋を出た。 ドアを開けないで……
76創る名無しに見る名無し:2012/05/16(水) 22:10:03.74 ID:EftWIw5h
面白かった
ただ、オチが幽霊と関係ない方が良かった
77創る名無しに見る名無し:2012/05/26(土) 23:57:52.86 ID:yrTDU1GX
これからも読んでるだけだけど、いいスレだと思います。

ちなみに、【雑談OK】今日観た映画の感想【ネタバレ注意】19

映画板のこのスレも何気に文章力ある人が居るようで、
気分転換や暇つぶしでもどうぞ。
78創る名無しに見る名無し:2012/05/30(水) 17:33:54.31 ID:jQ1pBURN
>>75
いま三つ、ぐらいでしょうか
オチは良くあるパターンというか、陳腐と言えば陳腐。「実は死んでいた」というのは、さすがに今更というか……。
もちろん使い方・見せ方次第で面白くなるとは思いますが。その見せ方こそが「アイディア」かと。
 
オチ以外でも「ヤッホー」とか「ナウなヤング」とか
おそらく狙ってはいるのでしょうが(素なら寒すぎます)正直、面白くないです。

読ませて頂いて、ありがとうございました
79創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 00:14:29.01 ID:o53JXUMZ
>>78
陳腐でなくて面白いのを書いてください
80創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 00:27:22.05 ID:sqR/XKZb
くれkureは駄目!
指摘できるならして
傑作待つのが無料の楽しみだと思うよ
81創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 00:31:15.10 ID:sqR/XKZb
著名作家のエッセイから新しい楽しみ見つけるのと同じ。
違った視点が面白いと思fu
8278:2012/05/31(木) 01:04:30.33 ID:6cqpuT4C
>>79
75の作者がキレてしまったのか、善意(?)の第三者なのかは知らないけど
ここは批判的な感想は禁止なのかな? 
自分としては、ただ率直な感想を述べただけのつもりだったんだが

無料で読めるんだから、作者には無条件で感謝するか
気に入らなければスルー、がこの板のルールなんだろうか 
もし、そうだったのなら申し訳ない

ただ、批判されたら「じゃあ、お前やれ(書け)」は少し狭量じゃないだろうか
まあ、「新参はひっこんでろ」というなら、それまでだけどね
83創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 01:09:59.50 ID:o53JXUMZ
>>80
お手本がなければ
何が面白いのかわからないから
お手本を要求しているのであって
くれkureとはまったく意味が違う

他人の作品を陳腐だ面白くないと書くからには
どういう作品が陳腐でないのか面白いのか
例を示さないと単なる意味不明な
暴言暴論でしかない
>>80は、まずそういう言葉の意味を理解する能力から身につけるべき
8478:2012/05/31(木) 01:34:14.13 ID:6cqpuT4C
なんだか、触れちゃまずい人に触れてしまったか。

>お手本がなければ 何が面白いのかわからない

2ちゃんでのお遊びとはいえ、曲がりなりにも創作をしようという人間が
「お手本がなければ分からない」とは……。

>例を示さないと単なる意味不明な暴言暴論でしかない

揚げ足とりでなく、このカキコが暴言暴論では?
この理屈だと、いちいち例をあげないと(批判的な)感想を書いてはいけないことになる。
言いがかりに近いと思う

ちなみに83は「陳腐でない作品とは星新一が書いたような作品です」
とでも書けば満足するのか。
85創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 04:43:58.77 ID:PMrKgI9Q
そんなムキにならなくてもw
86創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 05:56:10.20 ID:o53JXUMZ
>>84
『陳腐でない作品とは星新一が書いたような作品です』
と書いたとしても、満足できるわけがない。
その書き方は、あまりにも範囲が広くて漠然としすぎている

『いちいち例をあげないと(批判的な)感想を書いてはいけないことになる。』
というのは、ほぼそのとおりであって、むしろそれ以上に『 例 』としてあげるのは
『○○さんが書いたような作品』ではなく、もっと具体的に書かなければ
何を書けばいいのかわからない。星新一自身も掲載誌の要求によって
いろいろなジャンル、タイプの作品を書いている。

どういう作品を『陳腐』と感じるかは明確な定義がなくて個人差が大きいので
>>78が「 この作品は陳腐ではない作品だ。」と言う作品を書いたとしても
>>75より百万倍陳腐だ!!!!!」と言うことになる可能性が高い
『わかりにくい部分』や『矛盾した部分』など、客観的に検証しうる部分の
指摘、質問と違って、『陳腐』『面白くない』は単なる個人的な価値観による感情表現であって
>>84がどういう作品を『星新一が書いたような作品』と感じるかは>>84以外誰も知らない
だから『>>78>>82>>84』自身が書かない限り誰も書けない!

または『>>78>>82>>84』が【幽霊に小説を書かせるマシン】を発明して
星新一の幽霊に書かせるしかない

『なんだか、触れちゃまずい人に触れてしまったか。』と言うのは
間違いであって【人】ではなく【創作板】と言うところで、そういう個人的で客観性のない感想を
えらそうに書くことが許されないことであり作品発表する人がいなくなる原因。

つまり>>78>>80>>81>>82>>84が、創作板で書くべきでないことを書いている
これまでにも『>>78>>80>>81>>82>>84』のような連中が目をつけて、
荒らしに来たために作品発表する人がほとんどいなくなったスレが多い
>>78>>80>>81>>82>>84』は、自分自身が『もっと面白い作品を書こう』
という努力をするべきであって、他人の作品の悪口を書いてはならない!
87創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 05:57:59.55 ID:o53JXUMZ


「ここは批判的な感想は禁止なのかな? 」と言うのは基本的には正しいが
この【スレ】ではなく【創作板】全体に対して言える事

>>80は「くれkureは駄目!」という自分勝手なルールを押し付ける前に
自分自身が作品を積極的にたくさん書くべき
>>80が最近どういう作品を書いたのか知らないが
漠然と待っていれば誰かがそのうち書いてくれると思っているのか?
自分自身が作品を書く>アイディアやあらすじを書く
>テーマ、題材を書く>何かきっかけになることを書く
という積極的なことを何かしなければ誰も書かなくなる


このスレに限ったことではなく創作板は
作品を発表するところであって
感情や個人的好みで批判するところではない
時々リクエストをすれば誰かが書くこともあるが
えらそうに批評、批判、好みの押し付け暴論、暴言は
完全な妨害、荒らし行為に該当する
道を歩いていて他人に向かってバカ、ブス、ブサメンと言ったらいけないのと同じ

創作板の各スレで>>78>>80>>81>>82>>84のような荒らし常習者が審査員気取りで
えらそうな批評活動を始めれば
書く人が減少するだけ。


ここはすべての人が対等に作品を発表しているところであって
上から目線で審査や、評論をするべき場所ではない!
作品の文章がわかりにくい場合やオチの意味がわからない
という指摘であれば説明のしようがあるが
「陳腐」「面白くない」という表現はバカ、ブス、ブサメンと同じで正解のない
単なる感情的表現であって 「 だったらどうすればいいのか」
何をしたら陳腐でなくなると言うのか、面白くなると言うのか

だから、陳腐でない作品、面白い作品を、自分自身が書いて
発表するべきであって、他人の作品に対して干渉することは
原稿料や賞金を支払う「編集部」や代金を支払う本の「読者」がやる事
2ちゃんねるの創作板でやれば妨害行為、荒らし行為以外の何物でもない!
88創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 06:07:41.80 ID:o53JXUMZ
>>84は自分自身が完璧な言いがかりを繰り返しているにもかかわらず
他人に向かって 「言いがかりに近いと思う」 などと言う
悪質極まりない暴言を書いている

そして>>76は、そもそも 【 幽霊出現マシン 】と言うタイトルの作品のオチが
幽霊と関係がないほうがいいと書き込むことも暴言であって
タイトルによって結末がわかってしまうから、もっとひねって書けと言う意味なのか?
それとも単純に幽霊が嫌いだから書くなと言っているのか
その点についても漠然としすぎた表現であって、意味が伝わらない

タイトルどおりのストレートな、わかり安い結末がいいか
タイトルから離れて「ひねった結末」「意外な結末」が良いかは
表現の自由の問題であって、一方的に読者が作者に押し付けるべき性質の意見ではない


ひねったオチの作品が好きなのであれば、>>76自身がそういう作品を書いて見せるべきであって
人に強制するような書き方をするべきではない。また>>76が幽霊を嫌いであれば
最初から 【 幽霊出現マシン 】と言うタイトルの作品を読まなければ良い
いずれにしても創作に対してああしろこうしろと言う前に
自分自身が何をするべきかを学ばなければならない
そして、積極的に作品を書くべき。
89創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 06:39:29.76 ID:o53JXUMZ

まだまだ>>84の発言は意味不明の暴論だらけ
たとえば、

「 曲がりなりにも創作をしようという人間が『お手本がなければ分からない』とは……。」

なぜそんなことがわかると思うのか?創作しようとする人はテレパシーを使うと言っているのか?
いずれにしても>>84はテレパシーができない人にもわかるように、きちんと書くべき

>>82

「 ただ、批判されたら「じゃあ、お前やれ(書け)」は少し狭量じゃないだろうか
まあ、「新参はひっこんでろ」というなら、それまでだけどね 」

と言う部分もまったく逆。むしろ「新参はひっこんでろ」と言うほうが狭量であって
2ちゃんねるなど匿名掲示板では「新参はひっこんでろ」というような、
常連による排他的な書き込みを、迷惑な荒らし行為として注意しているし
逆に「じゃあ、お前やれ(書け)」と言うのは対等な立場として当然の主張に当たる。
>>78が、「 俺様が批評、評論をしてやるから お前らが作品を書け。 」
と言って作品を書かずに悪口や誹謗中傷を繰り返せば法律によって罰せられる可能性もある。
9078:2012/05/31(木) 17:14:12.02 ID:6cqpuT4C
>俺様が批評、評論をしてやるから お前らが作品を書け
と言って作品を書かずに悪口や誹謗中傷を繰り返せば法律によって罰せられる可能性もある。

この異常なまでのプライドの高さはなんだろうか。
理屈にもならない理屈で理論武装(理屈武装?)しているつもりなのだろうが
早い話が作品をけなされてキレているだけではないだろうか?
「批判な感想は犯罪行為の可能性もある」とは、どこの国から来た人なのか?

たとえ2ちゃんといえど、ネットに晒したということは
全世界に向けて作品を発したということのはず(少し大袈裟ではあるが)
それなら批判的な意見もあって当然ではないだろうか。
お遊び半分ではあるにせよ創作をしようという人間が、
ここまで批判に、不寛容かつ覚悟がないとは驚きである。
9178:2012/05/31(木) 17:53:46.53 ID:6cqpuT4C
>「ここは批判的な感想は禁止なのかな? 」と言うのは基本的には正しいが
この【スレ】ではなく【創作板】全体に対して言える事
>このスレに限ったことではなく創作板は
作品を発表するところであって 感情や個人的好みで批判するところではない

この辺りも驚きである。
創作板は創作を発表し感想を貰う板、とある。
当然「感想」の中には毀誉褒貶の全てが含まれるはず。
この人にとっては誉める以外の感想は、感想ではないのだろうか。だとしたなら、あまりにも小児的である。
それでもローカルルールとして「この板では批判的な感想は禁止」というなら百歩譲って良しとしよう。
しかし創作板全般がそうだ、言うのはあまりに「独りよがり」な暴論であるといえる。
9278:2012/05/31(木) 17:57:56.00 ID:6cqpuT4C
スマン。同じカキコを二連投してしまった。
これは単なるミスで意味はない。スルーしてくれ。
9378:2012/05/31(木) 19:09:22.19 ID:6cqpuT4C
同じカキコの二連ではなかったかな? 
PCの調子が悪いみたいで、混乱させたのなら重ねがさねスマン。

まあ、他にもツッコミたいところは多々あるが
またPCが不具合を起こしてもなんだから、明日以降に続く、ということで。
94創る名無しに見る名無し:2012/06/01(金) 09:29:58.04 ID:frDPKKUm
まぁ、気を抜いて麦茶でも。
且⊂(゚∀゚*)ウマー

既に知ってる人も多いかな?
『アイ・アム・レジェンド』(I Am Legend )2007年 ウィル・スミス
別エンドに納得!一度見た事ある人にもお薦めします。
何か取って付けてましたよねあのラスト?
マネキンの場面からの流れが死んでるジャンって?

※予備知識無しが面白い。
旧作レンタルなので、検索なんぞは鑑賞後にどうぞ!

スレ汚し済みません。自粛します。
95創る名無しに見る名無し:2012/06/02(土) 08:16:12.08 ID:NrWN8Esz
何か知らんが基地外のふりして他人をからかってスレ荒らすのが趣味な奴と
基地外のふりしてるつもりの真性宥めるふりしつつ内心ほくそ笑むのが趣味な奴とで
じゃれ合ってるようにしか見えんとだけ言っていく。
96創る名無しに見る名無し:2012/06/03(日) 19:33:10.57 ID:YBnmWQAn
過疎過疎
97創る名無しに見る名無し:2012/06/05(火) 22:09:14.58 ID:/ILAGkwj
こういうの書くの下手だから許してください。

『スイッチ』

ある日エヌ氏は「1秒を1年に錯覚するスイッチ」を発明した。
でも、エヌ氏は自分が試すのは怖いためやらずに、試験者募集という広告を貼り付け募集した。
だが、そんなものに手を出す人はいず、結局エヌ氏が試験体として「スイッチ」を押すことにした。
スイッチを押した途端に世界は歪む。歪みが終わったら酷い頭痛がエヌ氏を襲った。
その頭痛も終わったらエヌ氏はやっと自意識を取り戻した。そして気づいたことが動けないということである。
あくまで「1秒を1年に”錯覚”させる」だけなのであって肉体自体はそのスピードについていけるはずもない。
スイッチを押すためには何年かかるのだろうか。押したとしても錯覚が治るわけでもないかもしれない。
エヌ氏は絶望した。動けない。声も出せない。何にもできない。
地道に動こうとしても動かない。

他人にとってはたったの12時間だがエヌ氏は43200年生きた。
その頃にはエヌ氏はもう全てを悟っていた。
そして手にはもうスイッチがある。
「やっとスイッチを押せる!」
長年やってきた努力が報われるときがやっと来たのであった。
スイッチを236日かけて押す。
また激しい頭痛がエヌ氏を襲う。
次に意識を取り戻したときには世界は真っ暗で身体は動かせなかった。
  
    彼にとって0.1秒が1年になった。



98創る名無しに見る名無し:2012/06/05(火) 23:18:45.84 ID:BXXlJf3g
>>97
マユリ様を思い出すね
99創る名無しに見る名無し:2012/06/06(水) 08:21:50.67 ID:hQdYrok5
猛者が多いから書くの躊躇ってたけど恥を承知で
あの作風をマネてオチを強くすると文全体のバランスがね・・・

"タイムマシン"
大勢の記者がエヌ氏の研究発表を心待ちにしていた。
「お待たせしました。私がタイムマシンを発明したエヌ氏です。」
「今回の発明はどのようなきっかけから生まれたのですか?」
「私が子供の頃見たアニメで、電子レンジに入れた猫がふと消えて未来へ送られてしまうのというものを見てね。それからというものこの人生を全てタイムマシンに注いで来た。学校にも行かず一人で進めてきたが、やはり時間がかかってしまったね。」
「ずっとご自分お一人で進めて来られたのですか?」
「私には助手もいないし、教養もないからずっと一人だ。今まで世間に知られたことも周りの人から注目されたこともない。だがついに完成した。これは一人で見るには惜しいというわけで君たちを呼んだんだ。」
「本題のタイムマシンですが、一見一回り大きな電子レンジのようですが。」
「そうだ。電子レンジにちょっと工夫を加えただけさ。早速だけどやってみようか。」

と言うとエヌ氏はリモコンのようなものを取り出してタイムマシンの調整を始めた。しばらくしてタイムマシンの扉を開けながら言った。
「それでは行ってくるとするよ。」
「待ってくださいエヌ氏。まだタイムマシンの理論をきいておりません。」
「おお、私としたことが早まってしまったね。私の研究の大部分はこのリモコンさ。猫の場合は外の人が起動すればいいが、自分が入ったらそうはいかない。なかなかに苦心した。電子レンジを中から操作できるリモコンを考えるのにはね。」
100創る名無しに見る名無し:2012/06/06(水) 08:25:11.21 ID:hQdYrok5
連投スマン
早速変なとこ発見。私がエヌ氏です。 て・・・
読むまでは目を瞑ってもらって、気になるところあったら言ってもらえばありがたい
101創る名無しに見る名無し:2012/06/06(水) 10:42:18.11 ID:W9b6sPDt
「え゛そこ!?」って話ですね、
1レス全部がラストに絡んでますよね?
面白いと思います。
102創る名無しに見る名無し:2012/06/06(水) 17:09:21.02 ID:Y5e4xXXl
>>99
面白い。
103灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/06/06(水) 20:46:49.70 ID:ommfD/xf
>>97
面白かったです。
一年を一秒に錯覚するスイッチを作って元に戻すしかなさそうですね。
設計は五秒もあれば出来るでしょう。
でも作るのは・・・
104灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/06/06(水) 21:06:40.41 ID:ommfD/xf
>>99
このオチは予想できませんでしたww
当たり前ですがタイムマシンが出てくると過去か未来がからんだ話になるものなので、
タイムマシンを使わないままの製作自体に関したオチが新鮮ですね。
105創る名無しに見る名無し:2012/06/11(月) 03:43:27.19 ID:0OAu4gN3
F博士は或る薬の制作に取り組んでいた。その薬とは怠け者を勤勉にする薬である。薬を作るにあたって博士が注目したのは働き蟻である。
巣に餌を運び続ける労働意欲の高い蟻。その体内に含まれる蟻酸と呼ばれる成分を精製し濃縮する。それを怠け癖のある蟻に投与するとキビキビと巣に餌を運び出す様になった。実験は成功。あとは人体実験を残すのみ。
博士はニートの息子にこっそり薬を飲ませた。固唾を飲んで博士が見守る中、ニートだった息子は勢いよく立ち上がり、冷蔵庫からパンを取り出すと庭に出て蟻の列に並んだ。
106創る名無しに見る名無し:2012/06/11(月) 09:01:47.61 ID:LiVHU0/4
>>105
このオチの感じすごく好きですわ
個人的に思ったことで、細かいことなのですが"蟻酸"のように具体的な名前をつけず、蟻から抽出した〜など抽象的表現の方がそれらしい文章になるかなと
その造語に意味があれば別ですがね
あくまで私の意見ですし、内容自体はコンパクトにまとまっていいと思いました
107創る名無しに見る名無し:2012/06/14(木) 21:00:57.78 ID:/c6R39eG
>>100
なに!? 気になるところがあったら指摘していいのだな?
ではいくぞ。

学校にも行かず一つだけの研究に没頭してきたエヌ氏。有名大学教授の肩書もなく、他に
研究成果もない。しかもそのたった一つの研究成果であるタイムマシンは完成しただけで
動かしてすらいない。当然成功したと実証したものでもない。
なのになぜ大勢の記者が集まったのか?
」の前の。はいらない。
「と言うとエヌ氏は」の前に無意味な空行。
2ちゃんは改行を入れないと画面端で改行されるようだが、Janeで見ると異様に長い。
もの、もの。一人、一人。リモコン、リモコン。同じ言葉の連続使用。
エヌ氏が消えたとして記者達には彼が未来(過去?)に行ったとどうやって分かるのか?
タイムマシン自体は電子レンジにちょっと工夫を加えただけ。研究の大部分がリモコンの開発
とのこと。凡人には理解できない世界だな。電子レンジをタイムマシンにする方がよほど時間
がかかると思うが。リモコンは電子レンジの前に鏡を置いたらだめなの?

1081/2 ◆/olapVmB3. :2012/06/15(金) 22:03:06.75 ID:bX8zkeW/
もともと暇つぶしに書いた創作のショートショートだったんだけど、星新一風に手直しして投下。
でもやっぱり元が創作だから星先生にはなりきれてない。長いし。そこはごめん。
──────────────────────
『臨死体験』

ある男が死んだ。男はさる大金持ちで、まだまだこれから、といった年齢だったのだが、どうにも治らない病で死んだのだ。
まず手遅れだというその病が発覚したときこそ動揺し、絶望したが、元来まじめな性格だったため、身辺整理を完璧に行ってから死出の旅に出た。
一人息子に莫大な遺産を預けて、だ。

男は今、白いもやの中にいた。まるで雲の中だ。
飛んでいるような、泳いでいるような進み方で、すいよせられるように漠然とした目的へ進んでいく。
突然、もやがとぎれたかと思うと強い光に包まれた。目をしかめてあたりを見回すと、抜けるような青い空。
七色の光が降り注ぐ、果ての見えないほど遠くに広がる花畑に男は立っていた。
うつくしい湖が見え、小川のせせらぎが聞こえ、おだやかな風がどこからか小鳥の歌声を運んでくる。
胸一杯に広がる爽やかで甘い香りは、この世のものとは思えない。
「まさか、ここが天国というやつか。ほんとうにあったのだなあ」
男が感心しながらつぶやいていると、目の前に厚みのあるはばたきの音とともに何かが舞い降りた。
青年だった。真っ白な衣に身を包み、真っ白な肌を持ち、七色の光を美しく照り返す金の髪を持った美しい青年だ。
はばたきの音の正体は、彼の背中から出ている大きな白い翼が生んだものだ。
それはまさに、男も生前に教会や絵本でみたことのある「天使」というやつだった。
天使はこれまた真っ白い歯を輝かせて、
「こんにちは!」
 とさわやかに挨拶をしてきた。
「ようこそ天国へ!……と、言いたいところなのですが……」
 歓迎の言葉のすぐ後に、歯切れ悪く言いよどむ。
 男は天使の申し訳なさそうな顔を見て不安になって、きちんと「こんにちは」と挨拶を返してから聞いた。
「あの、その様子でいうと、もしや私は地獄行きなのでしょうか」
「いえいえ!あなたはまじめな人でいらっしゃる。堅実に働いてきて、あれほどの大金持ちになったじゃありませんか。文句なしに天国行きです。ですが……」
「なんですか。はっきりおっしゃってくださいよ」
「はい、ようこそ天国へと言いたいところなのですが、実はあの、間違いなんです」
「間違い?」
「ええ。ちょっとした、手違いでして」
ばつが悪そうに、天使はきらきら光る頭を掻いた。
「日程を組む担当がおりまして、それがひどい悪筆でして。数字がですね、5と6がいっしょにみえるようなやつなんです。
あの、それでですね。その日程表を読み間違えた死神が、狂った日付と知らずにあなたの命を頂戴してしまったんです。
ですから実は、あなた、まだ死ぬべきじゃなかったんです。」
「はあ」
男は自分の死が間違いと言われて、いろいろな感情が駆けめぐったが、どれもうまく表せずに気の抜けた返事をした。
「いやあ、ほんとうに申し訳ありません。
 わざわざここまで来ていただいておいてあれなんですが、生き返っていただくことになります。はい」
「……」
天使は謝罪しつつも、自分が生き返ると聞けば相手は大層喜ぶだろうと思っていた。
だのに、男は眉をひそめたっきりだ。
「どうしたんですか。あの、怒っていらっしゃるのですか。
 大丈夫、また足で帰らせるようなことはしませんよ!
 目を閉じて目を開ければ、お亡くなりになった直後のあなたが目を開けます。ですから……」
「いえ」
 男は天使のこえを遮って言った。
「たしかに自分が死ぬとわかったときはそれこそ死ぬほどつらかったし、まだ生きていたいと思いましたよ。
 今も生き返れると聞いて正直嬉しいです。ですが…」
1091/2 ◆/olapVmB3. :2012/06/15(金) 22:04:31.36 ID:bX8zkeW/
「ですが?」
「私、息子に遺産を相続してから死んだんです」
「はあ」
 嬉しいというのに何とも悩ましい様子でいる男に、今度は天使が気の抜けた返事をする。
「もし、もしですよ。今私が生き返ってしまって、息子がちょっとでも残念そうな顔をしたら、私生きていける気がしません。
 親より金が惜しいと思われたら……。そんなものを見るかもしれないくらいなら、このまま死んだ方がましです。
 ええ、間違いも手違いも結構ですから、どうかこのまま死ねないものなのでしょうか」
「ううーん、申し訳ないのですが、それはできないのです。
 こちらの世界は秩序というやつが大変に重要でして。決まり事は変更できないんですよ。
 いや、こんな間違いを起こしておいてどの口が言うかと思われるでしょうが、
 一度決めたものをひっくりかえすと、あとに面倒が起こるかもしれないんですよ。
 ほら、地獄行きだった方が前例を蒸し返してごねだしたり……。
 それに、息子さんはあなたが生き返れば喜ぶに決まっていますよ。
 家族じゃないですか。そんな悲しいことを言ってはいけませんよ」
「そうでしょうか……」
どうやらあの世行きというものは、勝手に予約されたホテルのようなもので、早く行くのも遅く行くのもだめなようだった。
なんだかんだと、男は天使になだめすかされ、ついには生き返る決意をした。
「わかりました。生き返ることにしますよ。
 考えてみれば、天国にいけるような私の息子だ。きっと喜んでくれるだろう」
「そうそう、そうですとも……。はい、ではこれからあなたをあちらの世界にお送りします。
 ああ、これはお願いなのですが、こちらで見たことは言いふらさないでいただきたいのです。
 めったにないことなのですが、たまにはこういった手違いがありましてね。
 それで生き返った人たちが天国のことや私たちの存在を言いふらして……、
 まあ、それだけならいいのですが、それで他人を操ったり戦争をしたりするんですよ。
 そういったことは不本意ですので、どうかこちらでの体験はご内密に……」
なるほど宗教というのは、あの世側のうっかりから生まれたようだ。
考えてみれば、死んでみなければあの世や天使は見られないわけだから。
「ははあ、わかりました。内緒にしておきましょう。
 そのかわり、といっては何ですが、私のお願いを聞いていただけますか」
「ええ、死ぬのを遅くしてくれとか、誰かを殺してくれとかでなければ、なんなりと」
「いいえ、そういったことではありません。
 私は二度死ぬわけですが、いや、もう死ぬのはこわくないのです。
 あの世があることがわかりましたからね。
 お願いしたいのは、次はいつ、どうやって死ぬか知りたいということなんです。
 今回、余命を告げられたときは身辺整理をして来ましたが、突然のことでどうにも慌ただしくて。
 あらかじめ死ぬ時期と原因がわかっていれば、もっとすっきり死ねたのです。
 どうでしょう、お聞き届けできますか」
「ああ、そういったことでしたら。いやあ、ほんとうに真面目なお方だ。
 普通聞かれませんが、教えてはいけないという決まりもないので良いでしょう。
 たまに悪魔がいたずらで教えることもありますが、だいたいが嘘です。
 少々お待ちくださいね。予定表は……と」
天使は白い衣の懐から、重量のありそうな分厚い本を取り出し、ぺらぺらとめくりだした。
そしてめくる手をとめるなり、爽やかな笑顔でこう言った。
「見つけた見つけた。ええと、あなたは明日、息子さんに毒を盛られて死にますね」
110 ◆/olapVmB3. :2012/06/15(金) 22:05:52.08 ID:bX8zkeW/
>>109、名前2/2にできてないし(;´Д`)
あれで完結です
111灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/06/17(日) 11:26:28.88 ID:LKnMYzOo
5と6を読み間違えてたのならこうなりますよね。
書き込みも15日なのは偶然なんだろうか。
112 ◆/olapVmB3. :2012/06/17(日) 12:35:56.57 ID:MTI4GP7L
>>111
コメントレスサンクス。
今になって考えると、最後の一文の「息子さんに」は省いた方が
行間をブラックに読ませる感じが増して良かったかもと後悔
113創る名無しに見る名無し:2012/06/19(火) 20:14:24.19 ID:aRoVaMjp
俺はこの世界の人間以外のすべての生物が嫌いだ
特に理由は無いが、とにかく人間以外のすべての生物が嫌いなのだ
そして長年の年月を経て俺は人間にだけは効かない細菌兵器を作り上げた
そして俺はついにその細菌兵器を使った
「はっはーざまあみろ、みんなぶっこわれちまえーーー」






そうして俺達は滅んだ
114創る名無しに見る名無し:2012/06/20(水) 00:08:53.95 ID:H7ZO1Mop
>人間にだけは効かない細菌兵器

細菌自体にも効果あるなら感染する前に細菌そのものが死滅するんじゃないですかね
115創る名無しに見る名無し:2012/06/23(土) 20:43:16.40 ID:a/PfKTBL
>>113
>特に理由は無いが、とにかく人間以外のすべての生物が嫌いなのだ

いと馬鹿らしゅうてわろし
116創る名無しに見る名無し:2012/06/25(月) 04:48:29.44 ID:pQLPnKUj
携帯から稚拙な文章を投下してみる


「生存戦略」

昨日も隣のヤツがムリヤリ連れていかれた。
おそらくは私が連れていかれるのも時間の問題だろう。
同志と同じように首を切られ火あぶりになるに違いない。

仕方ないこれが運命だ。

これからもヤツラは同志達を常習的に殺し続けるだろう。
しかし、我らは種をまき続ける。勝利するまで。

今日もまた戦いの狼煙が上がった。
117創る名無しに見る名無し:2012/06/25(月) 11:28:08.85 ID:EEgdNv/Y
>>116
俺が想像力が無いだけかもしれないが、何を示唆してるのかわからなかった
そういう系統の話は最後には何を示唆してたのかわかるように書いてある事が多いと思う
118116:2012/06/25(月) 14:59:09.65 ID:645sOy7C
>>117
タバコってのは伝わりづらかったよねorz
119創る名無しに見る名無し:2012/06/25(月) 18:28:41.55 ID:TNkwNCLn
電子レンジをタイムマシンにする


 電子レンジからタイムマシンを作ったエヌ氏のところへ、烈火のごとく怒ったエフ氏がどなり
こんできた。
「エヌ君、君は私の、プリンターを改造したジェット機の特許を侵害しているではないか」
「どこがですか?」
 エヌ氏は冷静に尋ねた。
「もちろんキャリーをパミュパミュする部分だよ」
 やはりそう来たか。想定の範囲内だ。
「エフ教授。先生の論文は拝読させていただきました。先生とはパミュパミュの仕方が違うの
です」
「何を言うか。あれは完全にパクリではないか」
 そこへアール氏が飛び込んできた。
「君達の成果は、私の扇風機をワープエンジンにする研究の猿真似じゃないか」
 エヌ氏には何のことやら分からなかった。
「アール先生の装置はパミュパミュしていないでしょう? 私達のものとは似ても似つきません」
「違う。私が言っているのはフヒャラハーをチョイナチョイナする回路のことだ」

 三人の議論が白熱しているところに、キュー氏が入ってきた。
「君達は私の、ひきこもりを正社員にする研究の特許を侵害している」
 三人は唖然とした。十秒の沈黙の後、エヌ氏は言った。
「あなたのはインチキでしょう。電子レンジをタイムマシンにできても、プリンターをジェット機に
できても、扇風機をワープエンジンにできても、ひきこもりを正社員にすることはできません」
120創る名無しに見る名無し:2012/06/25(月) 20:21:22.10 ID:EEgdNv/Y
>>118
なるほど、戦いの狼煙で気づけと
個人的に出来は良いと思うのですが、もっとタバコだとわかるように(例えば火あぶりになりゴミ当然に捨てられるに違いないとか)書いた方が良かったと思います
121116:2012/06/26(火) 07:13:16.41 ID:4ZNLF/lu
>>120
なるほど。一文だけでだいぶ引き締まりますね。勉強になります。
122創る名無しに見る名無し:2012/07/05(木) 18:51:50.49 ID:21rMjeai
(゜・・゜)
123 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2012/07/09(月) 18:59:45.51 ID:tLyxX0Fu
過疎素
124 忍法帖【Lv=33,xxxPT】 :2012/07/11(水) 08:33:58.91 ID:EpUbk7k5
>>123 消えるのを待つのも、悪くないよ
125創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 01:27:45.04 ID:ivy19bwi
普通の作家でも最初のイメージにこだわっていたら行き詰る。そこでイメチェンするわけだよ。
むしろ>>1の縛りがあってよく4まで伸びたものだ。
126創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 02:05:34.26 ID:3dagE50Y
タクシーに女性が乗ってきた。運転手は自宅まで送り、彼女は「お金を持ってきます」と家に入って行った。
だが20分たっても戻って来なかったので自宅を訪ね事情を話すと家族は「うちの娘を連れて来てくれてありがとう」と話した。その女性は津波で無くなっていた。
【岩手県宮古市であったホントの話】
127創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 09:09:52.24 ID:Gbv2kJdW
>>125
ですよね
星新一さんは実際は知らないけど、エロ回避の作風で作家を貫けたのが伝説的だと素直に思うし
熟女ブームや一般芸能人からのエロ展開や、
(熟女ヌードとか整形妊婦ヌードとかチャリティーに対しても)
下着風にも見える女の子集団が親公認で媚びたCM
(問題に成ったけど遅い気がする)
流れてるもんね、今時。
日韓ワールドカップや野球のWBCとか、捕鯨問題とかどう斬るか見たかった気がする。。
スルーの可能性多いけど!!


正直、ホモでもおばぁちゃん好きでも無いけどレスキュー隊員男性カレンダー、
ムキムキモデルとかオバサンの裸チャリティーカレンダー?は外人すげぇ〜なぁオィ!
と単純に思うし、エロ規制が総て良いとも思えない情報も在るしね、今時は。
でも、自分の道走るんだろうね、星新一さん!
128創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 09:19:12.63 ID:Gbv2kJdW
あ 整形妊婦ヌード
ヌード風有名人妊婦写真
に訂正します。うまく表せないけど。
熟女ヌードを整形?肉体改造?後に挑むとゴッチャになった
スミマセン
129創る名無しに見る名無し:2012/07/12(木) 20:41:37.84 ID:xkZNAJ0J
仮にも文学を嗜む人の文章としてどうなの…
130創る名無しに見る名無し:2012/07/16(月) 21:07:23.67 ID:Khk8ReNd
漫画のフランケンふらんが、
星新一の直系の子孫と認識してる。
あんなかんじじゃね?
131創る名無しに見る名無し:2012/07/16(月) 22:01:54.60 ID:MoZGPty/
星新一は「時事系は書かないようにする」ってなんかの後書きでも触れてた
132創る名無しに見る名無し:2012/07/26(木) 00:13:12.77 ID:4FLdkQud
N氏は若くして癌になった。
医者はできるだけのことはやったといったが、余命は半年くらいらしい。
「俺はまだ死にたくない・・・誰かなんとかしてくれ」
N氏の願いもむなしく病はどんどん体を蝕んでいった。
家族や友人、そして恋人。
自分にとってかけがえのない財産をN氏は失いたくなかった。
ある日のことN氏のもとに天使が現れた。
「やあ、私は天使です。あなたは大変素晴らしい人間だ。死ぬにはもったいない。そこで特別に今生きてる人間を無作為に選び、その体を与えてやることにした。」
N氏はとんで喜んだ。
二つ返事でOKして新たな肉体に移った。
ところが様子がおかしい、気分は病床にいる時より憂鬱で、呼吸も儘ならない。世界が狭く感じ生きることに何の興味もなく、むしろ恐ろしさすら感じていた。
気が付くとN氏はビルの屋上から飛び降りていた。
その晩、ニュースはビルから飛び降りた中学生の話題で持ちきりだった。
133創る名無しに見る名無し:2012/07/29(日) 00:10:16.01 ID:oapIdqt0
>>132
オチが無いし不謹慎、つまらない
134創る名無しに見る名無し:2012/07/29(日) 23:42:18.79 ID:cUOEleQx
 ありふれていると思いますが、ひさしぶりに書きました。
「見方」
幸せになれる器具を、エフ博士はついに思いついた。それはある特殊なメガネだった。そのメガネをエフ博士は早速道行く人に試してみた。幸せになれるのだからと、人々は飛びついた。
最初は若いカップルだった。二人はけんかばかりしていて破局寸前だった。そこでエフ博士がメガネをかけさせた。
すると「彼女はひどい顔だけど性格がいいんです」と彼氏の方が言えば、
「彼はちびで太っていて少し禿げているけど、歯がきれいなの」と彼女の方は応えた。そして、二人は満ち足りた様子で見つめあった。
次は中年の夫婦だった。二人も離婚寸前の状況だった。またもメガネをかけさせた。
すると「夫は稼ぎが少ないくせに、飲んだくれで、休日も家族のことなんかほったらかしよ、でも浮気はできないのが素敵」と奥さんは言った。
そして「女房は器量が悪いし、料理は下手だし、俺のことを馬鹿にする、だけどな、胸はでかいだろう?」と旦那さんは豪快に笑う。二人は新婚ほやほやのようだ。
それから大学生たちにもエフ博士はメガネをかけさせた。彼らは将来に対する不安でいっぱいだった。
「金はないですけど、時間なら有余ってます」とAは自信をもっていう。
すると「文学なんて役に立たない学問だけど、興味のある勉強できるのは楽しい」とBが熱く語る。
そして「就職は厳しいけれど、挑戦することで大きくなれますからね」とCが照れくさそうに笑って言う。
さらにフリーター。彼はこんな生活が続くはずはないとこぼしていた。
「そりゃ、俺みたいなのは不安定な身分さ、でも自由を感じるんだ、あくせく働く会社員よりも良いかもわかんねぇ」とどこか誇らしげに言う。
最後に町にいる浮浪者にメガネをかけさせた。彼はもう死んでいるかのようだった。
「家もない、金もない、食うものにも困る。だけど生きているんだ」と彼は悟りをひらいたように言った。

しかし、エフ博士は結局のところ、幸せがわからくなった。そこで、ゆっくりと彼はそのメガネをかけた。
思考停止なストーリーですよね
このスレのラストに相応しいかも知れないと思います
自分で積み上げたその中で生を終えたと言う貴族的な意味?も孵化して






ピョピョ
136創る名無しに見る名無し:2012/07/31(火) 08:20:37.50 ID:Zx0l10zO
「悪い男の通販」などという通販カタログで時計の針を進めたり遅らせたりするリモコンなぞが売り
出された。何百人かいたずら好きの男達が大枚はたいてその商品を買った。男達はいろんなところで
いたずらをした。有名大学の時計、駅の時計、風俗店の時計、職場の時計、その他もろもろ。
駅では少し混乱したが大した問題にはならなかった。それに乗じたのか空港の時計、さらにはパイロ
ットの時計にまで仕掛けをしたものが顕われた。結果たまたま自動操縦だった飛行機はタイムラグが
生じ衝突して大問題になった。「悪い男の通販社」は家宅捜索を受けたが、そこはもぬけの殻だった。
速攻の家宅捜索だったのだが。新聞社にはもれなかった。そんな簡単な原理でしかも誰でも買える商
品で世の中がひっくりかえったのでは権威が失墜するからだ。あらゆる権威はメディアを封印した。
ただ真実を伝えたメディアが少しはあった。週刊誌・タブロイド紙の類だ。例えば「キャサリーン
ヌードの全貌」のとなりに囲み記事として小さく伝えられた。その裏面にはこわれた時計を動かす超
能力者ヌリゲラーの記事があった。「みんなが念じると時計が動き出すんです!」とあった。
しばらくして犯人達はみんな捕まったが案の定死刑が確定した。
首吊りであった。死刑囚達は最後に言葉を求められ皆一様にこう言った。
「知らなかった。案外原始的なんですね・・・・」
執行人たちは昼飯前で機嫌が悪かった。彼らは目配せをして時計の針をぐるっと90度まわした。


137創る名無しに見る名無し:2012/07/31(火) 08:22:12.83 ID:Zx0l10zO
5行目
自動操縦だった→手動操縦だった
138創る名無しに見る名無し:2012/08/02(木) 17:50:25.67 ID:qvgFFwzz
意味不明の蛸vsイカ

田舎の食堂に入ると蛸飯とイカ飯が棚に置いてあった。男は何も考えていなかったので、「蛸飯とイカ飯どちらがお好き?」
と聞かれて、面くらった。「いや、どちらでも」女は笑った。他意はないのだろうけど、「俺は蛸なのか」「俺はイカくさい
おやじに見えるのか」など、ついつまらないことをかんがえてしまった。
結局、「オカミサン、蛸にしとくよ」と答えるとオカミサンは「よかった」と答えた。
いったい何がよかったのか。男は疑問に思った。「蛸飯のほうがたくさんあまってるのですか?」男は聞いてみた。    
答えは「いやそんなことないのよ。イカ飯も売れているのよ」
 男はもうそんな会話どうでもよくなって、蛸飯をよそってもらって魚と小皿の里芋の煮っ転がしをトレイに載せて
席へとついた。テーブルには男が4、5人いた。別になんてことないんだけど、その4,5人の男の顔をそれとなくみ
てみると、みんな額にブルドッグのような傷が埋め込まれるようについていた。みんな蛸飯を食べていた。
そう旅がてらたまたまやってきた俺にも、額に傷が埋め込まれてある。
 帰り際オカミさんになんとなく可笑しなことを聞いて見た。
「蛸ってやっぱりドン臭いイメージですかね。」今度は逆にオカミサンが面食らった顔をした。
「まあ、いいや。ごちそうさま。」
「今度はイカ飯食べにきてくださいね」

あれからもう10年、なんでこんな意味不明のくだらない会話を覚えているのだろう。
今度イカ飯を食べに行くとわかるのだろうか。なぞは深まるばかりだ。
昨日夢を見た。「蛸飯とイカ飯どちらにしますか?」「イカ飯を一つ」
うれしそうに「はい!イカ飯のお客さんいらっしゃいましたぁ〜〜〜」
「当店では蛸でイカをつっていま〜〜す」
139創る名無しに見る名無し:2012/08/02(木) 18:05:00.04 ID:qvgFFwzz
修正最終行
「当店では【只今】蛸でイカをつっていま〜〜す」
140創る名無しに見る名無し:2012/08/03(金) 06:23:22.78 ID:f2lHjkj0


    >>1


141創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 02:10:42.78 ID:Ori9i8Zc
車道にいる人は迷惑です


 N氏が車を走らせていると、車道脇に子供達がいた。そのうち二人はあろうことか真ん
中辺りまで出ている。よけて通ろうにも対向車がひっきりなしに来ている。
 N氏はクラクションを鳴らした。ガキどもは完全に無視してなにやらふざけてはしゃい
でいる。もう一度鳴らしたが、やはり同じだ。
 N氏は車の外に出た。
「どけよ」
 ガキ二人を脇へおしやる。
「なにすんだよ」
「死ねよクソジジイ」
「死ねよクソジジイ」と言った子をドン!と押した。車内に戻ると、そのガキが前に立ちふ
さがった。両手を顔の横でひらひらと振り、挑発している。
 N氏は構わず発進させた。ガキはぶつかって、車体の下に消えた。
 どこかに引っかかったらしく、ずっとわめき声が聞こえる。そのままひきずって走った。
 とうとう車は動かなくなった。
 N氏は降りて腹這いになりのぞきこんだ。
「痛いよお。痛いよお」
 ガキは血まみれになっている。
「どけよ」
「キチガイ!」
 N氏は立ち上がった。再び運転席に戻り、アクセルを思い切り踏み込んだ。車は動い
た。服がどこかにひっかかっているらしく、ガキは離れてくれない。
 またも車は止まった。N氏は降りた。
 すると、老人が近づいてきた。道路についた血の跡と泣き声に仰天した様子で彼は
車の下にもぐりこんだ。そして出てきて、ガキの足を持って引きずり出した。
 ふう、やっと離れたか。
 N氏は車内に戻り、エンジンをかけた。
「お、おい。待ちなさい」
 老人が前に立ちふさがった。構わずN氏は急発進した。
 ドン!という音がして、老人が下に消えた。
 ずっとわめき声が聞こえていたが、N氏は走り続けた。
142創る名無しに見る名無し:2012/08/04(土) 03:57:51.72 ID:z0ahNqs4
>>134
微妙
>>136
面白かった
>>138
よくわからんけど面白かった
143創る名無しに見る名無し:2012/08/05(日) 14:12:28.80 ID:FxqD3AtM
  男女兼用

 服屋で、おかしな客と店員が揉めている。
「じゃあ、あなたは、どっちに見えると言うのですか」
 問われて店員は、その客をまじまじと観察した。
 体つきは中肉中背、なで肩の中年男性のようにも見えし、めりはりの無い体型の中年女性のようにも見える。顔の造作も「中年」としか言いようがない。
 髪型も短髪で……カタツムリの触覚を模したピンクのヘアバンドを見て、店員ははっとして答えた。
「も、もちろん御婦人様でいらっしゃいます。そ、そちらのスーツは男女兼用となっておりまして……」
「もういい!」
 客はスーツを叩き返し、店内をあとにした。
 ひそかに様子を見守っていた別の客達がクスクスと笑う。
「今の人、どっち? おじさん? おばさん? おかまさん?」
「まぁおばさんでしょ。たまにいるよね、男にしか見えないおばさん」

 プリプリと苛立たしげにヘアバンドの触覚を揺らしながら、客はエレベーターに乗った。
 ドアーを閉めると、最上階のボタンを、ヘアバンドの触覚でコツンと小突いた。
 すると頭上の階数表示が更に一つ現れ、点灯した。階数は「∞」とある。
 ドアーが開いた。
 そこは、またしても服屋のような作り。客はツカツカとカウンターに詰め寄り、店員に言った。
「あやしまれたぞ! どうなってるのよ」
 店員がおろおろと答える。
「そちらのスーツは男女兼用となっておりまして……」
 客はスーツを脱いだ。中からどろりと現れたその姿は……
 
144創る名無しに見る名無し:2012/08/07(火) 18:08:49.24 ID:cta5Gvjt

≪遠い昔@≫


とある8月の暑い日

奇妙な小屋について、将軍の命により、日本中から学者が集まり話し合っていた。
外は、むさ苦しい暑さなのに、その小屋の中は涼しいのだ。
いや半時も中にいれば、風邪をひいてしまうくらい冷えている。


この奇妙な小屋を発見したのは鬼ごっこをしていた子供達だった。
子供が騒ぎ出し、村の大人達が集まり、小屋に行ってみたが、嘘や気のせいではなく涼しい。
噂は隣村まで伝わり、やがて江戸のお殿様の耳に入った。


というわけで、日本中から優秀な学者が奇妙な小屋に集められた。


学者「氷が床に埋まっているのではないか。
ほら、冬に出来た氷を富士山の洞穴に埋めておいて、夏に江戸に運んで来る話をきく」


気象学者「いやいや、誰かが埋めたとしても氷は溶けてしまう。
北には高い山がある、そこから風が吹き小屋に集まっているのだ」


心理学者「西洋では、集団催眠というのがある。
本当は寒くないのにみんな寒いと思い込まされているのだ」
145創る名無しに見る名無し:2012/08/07(火) 18:09:46.93 ID:cta5Gvjt
≪遠い昔A≫


時代は変わって、西暦2300年の、とある研究所

博士「未来のモノを過去に持って行き、住人がどういう反応をするのか、実験をしてきたが、現代のモノはあまりにも高度なモノらしく理解出来なかった。
そこで、今は文献にしかない過去の遺物を持っていったのだが。
遠い昔、クーラーと呼ばれていたモノらしい」
146創る名無しに見る名無し:2012/08/07(火) 21:14:48.18 ID:cta5Gvjt

《犯人と人質》

病院で犯人が人質を取り立てこもっているのいう連絡が警察に入った。

警察は問題の病院に向かった。

事件を知らせた人物『この中です。』

ドアの向こうはわからない。
どうやら話声と目撃者の証言から、中にいるのは精神科医の女性と患者の男らしい。

ドアの向こう側から声がした。

男『入ってくるな』

刑事『何があったんだ』

男『包丁を持っている』

刑事『早まるな!』

男『入ってくるな。死ぬことになる』

女の悲鳴が聞こえた。

女『きゃー、やめて。何をするの』

刑事『止もうえん。突撃だ』


警察官が一斉にドアをぶち破り中に入った。

そして包丁を持っている男を取り押さえた。

刑事は精神科医の女性に声をかけた。

刑事『先生、大丈夫でしたか』

女性『・・・』

刑事は患者の男にも声をかけた。
刑事『なぜ、こんな真似をしたんだ』

患者の男『違います。自殺を図る先生から包丁を取り上げたところです』
147創る名無しに見る名無し:2012/08/07(火) 21:16:30.41 ID:cta5Gvjt

≪優秀なカウンセラー≫


男「あなたは素晴らしいカウンセラーです。是非、わが国に来てカウンセリングして欲しい人物がいます」


カウンセラー「いや、私は千人のやる気をなくし、千人の自信をなくし、千人を失望のどん底にした人間だよ」


男「実に素晴らしい」


カウンセラー「で、相手は誰だね」


男「忘れてました。
カウンセリングして欲しい人物は、アドルフ・ヒトラーです」
148創る名無しに見る名無し:2012/08/07(火) 21:27:16.52 ID:cta5Gvjt
ラスト

《箱の中には》

青年が足を止めると、白髭の紳士が箱を持って立っていた。
そして箱には《箱の中に素晴らしい物が入ってます。見物料千円》と書いてあった。

青年は気になって様子を見ていた。
ひとりの男性が試しに千円を払って箱の中を覗いて見た。


男性は『素晴らしい。千円ぶんの価値はある』と言った。


次は老年の女性が千円を払って箱の中を覗いた。


その女性も同じ言葉を口にした。


誰もがその箱の中を覗いたら、『素晴らしい。千円ぶんの価値はある』と言う。

青年も千円を払って箱の中を覗いて見た。

箱の中には・・・


紙が一枚入っていて、そこには
『素晴らしい。千円ぶんの価値はある、と言っていださい。千円をお返しします』と書いてあった。
149創る名無しに見る名無し:2012/08/08(水) 06:22:47.69 ID:VJWUPyTj
>>146>>147が個人的に好き
150創る名無しに見る名無し:2012/08/09(木) 04:55:44.85 ID:0yBWvynI
>>146
ポーの短編に似たようなのがあったような
気のせいか?

151創る名無しに見る名無し:2012/08/09(木) 05:13:32.80 ID:0yBWvynI
勘違いだったわ
悪い
152創る名無しに見る名無し:2012/08/09(木) 14:45:00.12 ID:4a8tC86U
「2050年のころころ」
世界のアイデア博士の流行に超多面体を使ったデータ分析があった。あるアメリカ人は為替の応用に使った。例えばA面アメリカの為替が幾ら動き、B面日本のが幾ら動き、C面ルピーが幾ら動いたらF
面のイエメンリアルがどういう傾向にあり触れ幅はどうかなど、多面体に数値を打ち込みながらころころするのだ。なかなかのアイデア商品であった。
日本の博士は人間関係特に派閥に注目した。Å面の派閥がどう動いたらH面の派閥はB面の派閥とK面の派閥のどちらに何パーセント加担するかなど、条件を打ち込みながら多面体をころころするのだ。
ユダヤ人は血統図に応用した。例えばA面アブラハムの愛人ラマンD面の長男は何人の子がいてどんな顔経歴をしていたかなど、条件を打ち込みながらころころと家計図を辿るのだ。
ところで問題はイタリア人だった。超多面体の各面に美人と美男の容姿をデータ化し、男女ほぼ同数登録した。例えば美人J面と美男U面を掛け合わすと]面に女の子の画像が出てくる。年齢などを打ち込むと
将来の体の変化まで見れる。そんなふうにイタリア人はころころして遊んだ。
多面体にデータや条件を打ち込むといろんな結果がでてくる。それを考えてプログラムするのが現代のアイデア博士の流行なだけだったのだが、世間でも大変な流行となった。

やがて2050年、一般人の殆どがこの超多面体分析器を複数もちみんな飽きもせずころころころころしていた。
まるで猫のように。商品名は「多面体キャッツ」となづけられていた。
大会社の社長が大きなデスクに坐って猫の手ように「多面体キャッツ」をあきもせずころころしているのをもう誰も笑わない世の中だった。
ただこの前、世界倫理法に引っかかったイタリアバージョンの「多面体キャッツ」を机に隠していた警視庁の警部が逮捕された。
本人は検閲と弁解した。
猫は飽きもせずボールなどを転がすが、人のほうが飽きもせず超多面体をころがす。
それが2050年です。



153創る名無しに見る名無し:2012/08/09(木) 15:38:07.99 ID:4a8tC86U
現代のクリシュナ神
昔インドのクリシュナ神は子供の頃水浴びに来た女達の衣装を木の高いところに隠してしまった。
なんと悪い奴なのだろう。日本にも天女の羽衣伝説なぞがある。これは大人だが本当に悪い奴だ。
しかし、これって下着泥棒じゃねぇ。で、論外。
でも現代にはもっと悪い奴(子供)がいる。こんな疑問を持っている奴だ。
「ヌーディストって車を止めた後キーをどこにしまうんだろ?」
「手にキーを持ってたり、傍らで気にしてたりするヌーディストってかっこ悪いよな。」
「きっとあそこに隠してるんだ。」
彼は見事にキーを取り上げ?海の方に放り投げた。
154灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/08/09(木) 20:26:04.58 ID:MD7LOoR8
>>152
面白い道具ですね。
ころころ使ってみたいです。
155創る名無しに見る名無し:2012/08/09(木) 20:38:41.78 ID:rG2j+ei7
>>149
ありがとうございます!
他にもいくつか書きましたが、自信作を選びました。
156灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/08/13(月) 01:42:17.50 ID:cOqKZvUe
今日のちょうど半年後が一周年の日。
つまり、今日でちょうど・・・
157創る名無しに見る名無し:2012/08/15(水) 01:19:04.13 ID:qoKB62j0
横に広がって歩く女達


 エヌ氏が道を歩いていると前に女達が広がっていた。
 まったく。どうしてこうも女というのは横に並んでゆっくりと歩き、後ろに人がいても誰一人
どこうとしないのだろうか。
 女というのは実に図々しい生き物だ。
 エヌ氏は強行突破を試みた。端の女の脇を突き抜ける。体がドン! と当たった。
「ちょっと何すんのよー」
 という声が聞こえたが、無視して進んだ。
「頭おかしいのよ」という別の女の声。
 その夜、布団に入ったが、「ちょっと何すんのよー」「「頭おかしいのよ」という声が頭の中
で繰り返された。ふざけるな。悪いのはお前らの方じゃないか。
 来る日も来る日も糞アマどもの声が無限ループで再生され、離れることはなかった。
 道いっぱいに広がって歩かれては迷惑だ。かといって追い抜こうとすれば平気で罵声を
あびせる。そんな理不尽なことがあっていいものか。

 やがて冬になり、エヌ氏は雪の降り積もった坂道を下りていた。
 前方に女子高生の集団が見えた。道幅いっぱいに広がっている。なーんと! 先頭が
4人、その後ろが3人、そのまた後ろが2人、最後に1人という、きれいな三角形をしているで
はないか。なんてナイスな配置なんだ。
 エヌ氏は急いで雪をかき集めて玉を作った。そしてそれを転がした。
 雪玉はどんどん大きくなりながら女子高生の集団に迫っていく。
 カコーン!
 女子高生達は四方八方に飛び散った。
158創る名無しに見る名無し:2012/08/15(水) 20:52:09.14 ID:MvBnSvmN

≪神秘現象≫


街は世界中から集まった人で十万人の観衆で埋め尽くされた。

その街で、一年に一度、起こる空の神秘現象を見る為だ。

いや、正確には起こす現象だが。


無重力装置が開発されてからは、今では見られなくなった飛行機から出る飛行機雲。
159創る名無しに見る名無し:2012/08/15(水) 20:55:24.24 ID:MvBnSvmN
文章がリアル鬼ごっこかも知れないw
160ベゲザン:2012/08/16(木) 05:54:43.57 ID:FWwAt11h
「冤罪」
N博士は「愛」を物質化し、凝集する装置を開発した。「愛」はピンク色をしていた。掃除機のようなもの集めて袋に子詰め
して街中で解き放つのだ。家で解き放てば、家内が毎日帰宅時に風呂と飯を用意してくれるようになった。飯屋にいけば女
主人が2品もただでつけてくれる。いつも押し黙っていた近所の子供も、明るく挨拶してくれるようになった。電車で解き放
つといつもふんぞり返っていた男子高生がおばあさんに席を譲ってニコニコしている。飲み屋にいけば女の子がいつもより
多くついてくる。助手に家に帰って使うように勧めると翌日から愛妻弁当が登場していた。春先北方の刑務所で解き放つと
ピンクのガスは黄色い「幸せ」のガスに変りタンポポが一面に咲き誇った。いつも皆でするヒソヒソの悪い話題もなくなり、
一面のタンポポの話で刑務所は持ちきりだった。「なにか幸せの前触れみたいな」とみな話し合っていた。
 でも博士は何か違うのではないかと思っていた。本当にピンクガスの「愛」の影響だろうか?もともと私の視点がひねくれてい
愛が見えなかったのではないか。むしろこの発明をすることにより愛に私が目覚めたのではないか?私の見方が変っただけではは
ないか?それで博士は集めた「愛」のピンクのガスを全て風船につけて解き放ってみた。風船はどんどん上昇気流に乗って上がり
見えなくなった。それこそ天までいったのではないか?なぜか天まで昇った「愛」のピンクのガスはなぜか刑務所同様黄色い「幸
せ」のガスに変っていた。タンポポや福寿草が咲き乱れの空中の色まで明るくなったようだ。いつも10キロ先までしか見えなか
った大気の状態も黄色く明るくなったおかげで100キロ先までは見通せる様になった。おかげで天から見える地上の魂の色も以前よりは良
く見えるようになった。その分「あいつがあんな悪いことをするなんてない!冤罪じゃないだろうか?」という意見が広がり、地
上は冤罪や恩赦であふれかえった。N博士はそんなことは露しらず今度は「幸せ」の黄色いガスの精製方法を考え続けている。

161創る名無しに見る名無し:2012/08/16(木) 06:20:14.89 ID:FXkoPA38

《可能性》

兵士A『なあ、俺達と奴らが一緒になる日が来るかも知れんぜ』

兵士B『なんだって』

兵士A『奴らの国に旅行に行ったり、奴らが俺達の文化を学んだり、俺達と奴らとが結婚して子供が生まれたりもあるかもよ』

兵士B『この戦争に勝利して奴らを奴隷に出来たらだろう』

兵士A『違う。同じ仲間同士になれるってことだ』

兵士B『面白い話だが、今の俺には硫黄島の米兵に勝つことが大事さ』
162創る名無しに見る名無し:2012/08/16(木) 15:04:50.46 ID:AKoGnmXT
>>157
どっちかっていうと筒井康隆っぽいなww
163ベゲザン:2012/08/18(土) 16:09:25.27 ID:N0AUbfrm
「人類サウナ化計画」

残暑もうだるように暑い日本、湿度も高い日本。蝉が閉ざされたようにミンミン泣き、地表の木々たちも雨を欲っするが一向に
雨は降ってこない。そこで我慢強い日本人は考えた。「一国サウナ化計画」だ。あらゆる都会、地方に巨大なサウナを作り我慢
強さを競争する。上位入賞者には国からアラスカ行きの切符がもらえる。だめでもとなりの部屋には巨大クーラーが完備してあ
る。「全国サウナ祭り」と銘打たれたこのお祭りは以外にも世界中に普及した。ところで問題はクーラーである。クーラーとい
うのはコンプレッサーで圧縮し液体化したフロンガスを再気化し、540cal/g分を気化熱として内部周囲から吸収する仕組みだ。
フロンももれるし外気に放出するので熱くなる。世界中のサウナ祭りを得て、フロンガスは上昇しオゾン層を突き破りつつ安定
性のある物質であるフロンガスは上空で固定した。いわゆる温室化効果が起こってしまったのだ。それはいつか来る、少しずつ
来ている温室化効果などではなく、まさにサウナだった。まさに地球サウナ。それでも世界中のサウナ祭りは続き、、、
 そんなことを考えながらN君は古びたエアコンをながめていた。スイッチは切ってあった。すると1階から声が聞こえた。「フ
ィルター掃除しないとエアコン効かなくなるよ!」 そうしばらくN君はエアコンのことを忘れていたのだ。「暑いのはみんな
一緒だ!!!」N君は地球サウナ祭りのトップを取るつもりだった。暑くてアホになって本当にそんなことを考えていたのだ。
164創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 02:24:48.48 ID://a4tSod
エヌ氏の恐怖体験


 ギシ。階段を踏みしめる音が聞こえて、エヌ氏は心臓をわしづかみにされた。また、やつ
が来る。
 ギシ。エヌ氏の家は木造の安普請なので、その音は、はっきりと聞こえるのだ。
 ギシ。一歩ずつ、着実に上がってくる。
 ギシ。もうやめてくれ。どうして俺を苦しめるのだ、とエヌ氏は思う。
 ギシ。暗澹たる気持ちになる。
 ギシ。頼む、消えてくれ。
 ギシ。エヌ氏は頭を抱えた。
 そしてついに、ドアが開かれた。
 やつが入ってくる。そしてやつは、エヌ氏の隣りに座った。
「エヌちゃん、あんたのせいで、お母さんは眠れないよ。エヌちゃん、あんた、いつかは結婚
するんね。いつする気になるとね。エヌちゃん、あんた、気が狂いそうやないとね。エヌちゃん、
あんた、頭がおかしくなりそうやないとね。エヌちゃん、自殺しなさんなよぉ。エヌちゃん、
死になさんなよぉ。怒らんけ、正直に、言うてごらん? エヌちゃん、あんた、気が狂いそう
やないとね。はああ、就職も結婚もできんで、かわいそうな人生やねえ。あんたは本当に、
かわいそうやねえ。ああかわいそう。エヌちゃん、あんた、気が狂いそうやないとね。エヌ
ちゃん、あんた、頭がおかしくなりそうやないとね」
 エヌ・イー・イー・ティー氏、ニートにとってもっとも恐ろしく、おぞましいのは、幽霊でも
なく、蛇でもなく、親である。
165創る名無しに見る名無し:2012/08/23(木) 02:12:10.08 ID:0WyjTRBb
なんか最近の作品、社会・時事に対する分かり易すぎる皮肉みたいなの多いね。
ブラックなショートショートにエヌ氏だしておけば星風になるわけじゃない。
どことなく文章に上品さがあったほうがそれっぽいと思うな。
口汚い悪口は使いすぎないとか、「!」とか「?」はあまり使わないとか、
読点が多めだとか、もうちょっと特徴が出せると良いと思う。

あ、あくまでもスレの趣旨である「星新一っぽいショートショートを作る」
ってことに対する意見であって
最近投稿されてるお話が面白くないって意味じゃないですよ。
166新参:2012/08/30(木) 16:27:36.51 ID:wgeEPF8O
吸血鬼

ああ美味い。
子供の血はなんて美味いんだ。
きっと穢れを知らないから、この世の良い部分だけを見てるんだろうな。
きれいな血を飲むと遠くの美しい景色が自分の胸の中に広がるかのようだ。
今夜はいい夜だな・・・。

部屋に人の近づく音がする。
この男の子の親だろうか?
吸血鬼はクローゼットの中でやり過ごすことにした。
血を吸った子供の吸血鬼覚醒には少し時間が掛かるし、
目覚めたとき男の子に洗脳を施さなくてはならない。
丁度召使いが欲しかったんだ。
もし何かトラブルになっても催眠波で眠らせればいいし。
ドアがかちゃり!と開いて、父親らしき男がベッドの脇に立った。
静かに男の子を見下ろす。
眠る愛しい我が子の成長を見守るだけでも幸せなのだろう。
しかし、おもむろに。
男は男の子の首筋に牙を立てた。
血を吸い始めたのだ。
なるほど。
この男の子は、私が父親と見間違えた男にすでにさらわれていたのだ。
美味しそうに血を飲んでいた男の様子に異変が起こる!
しばらくもがき苦しんだかと思うとあっさり灰になってしまった!

あー、ね。
やっぱり私の血が勝ったか。
私の血は血統書付きだからなー。
勉強も運動もたくさんやって、血を磨いたし。
血を吸ったら傷跡は塞がる仕様だし、味はまろやかになってアンチ吸血鬼の遅効性の毒になるし、
この世に私以外のマスターはいらないんだよね。

あ。
男の子が起きた。
吸血鬼のイロハを教えてあげなきゃね。
まずは女の子の血をエレガントに吸う方法からだな。
吸血鬼は楽しそうだった。
167灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/08/30(木) 21:34:22.31 ID:wtxTp2DV
彼は血のにじむような努力をしていたわけですか
168創る名無しに見る名無し:2012/08/30(木) 22:56:56.88 ID:nU1QerYM
>>165
同意。星っぽいか?と言われると頷けないものがこのところ多い。
単なるショートショートじゃなくて星っぽいのが読みたい。
169創る名無しに見る名無し:2012/09/01(土) 03:34:36.35 ID:z/dfSrqe
>>168
ハードル高すぎるかと
エッセイスト自体減少中の現代
エロ要素無しに面白いの書ける人は稀だろうし
星新一を好きでも書かないと思うよ
話題性と現代性の文学賞を乱発してるしさ、素人の暴言だけど
170創る名無しに見る名無し:2012/09/02(日) 13:02:48.66 ID:3X2D9Wuf
ランプの魔人

ある欲深い男が金銀財宝の眠る遺跡を求めて、灼熱の砂漠を歩いていた。
歩けど歩けど周りには影一つ無く、食料も尽きて、男は今にも干からびようとしていた。
そんな時、男は金メッキの施されたランプを見つける。手に取ると辺りにもうもうと煙が立って、気が付くと目の前にターバンを被った大男があぐらをかいて浮いていた。
「私はランプの魔人だ。願いを三つ叶えてやろう」
男はここぞとばかりに自分の願いを打ち明けた。


しばらくして金銀財宝と美女に囲まれた世界一ハンサムな男は、その場で干からびて死んでしまった
171灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/09/02(日) 13:30:53.59 ID:UhO8k1PJ
どれかひとつあきらめて、街まで連れて行ってもらおうとは思わなかったんですかね
172創る名無しに見る名無し:2012/09/02(日) 14:10:07.39 ID:np2BQAa9
願いを言う前に勝手に魔人が財宝とか出して帰っていくのがあったな
無人島にいるのに帰れず、みたいな
173創る名無しに見る名無し:2012/09/03(月) 17:45:43.31 ID:Y8rhUp43
「駆け落ち式」
結婚式の演出も進んだものだ。kとL子の結婚式は演出にこだわっていた。
なかでも傑作なのは「トンネル」という演出だ。文字通り「トンネル」の中
を通り、その脇には生まれた頃の写真、思い出、初めて書いた絵などから始まって
入学、友達とのクラブ活動、初めての一人旅、就職いろんな影像が「トンネル」の
円環上に水族館のようにプロジェクターで映し出されていた。そしてトンネルを抜けると新しい
夫婦が待っていてそうして今がありますという演出だった。「へぇー彼ってそうだったんだ」
「カノジョってそうだったんだ」新しい発見もありこれは一同に非常に受けた。
 ただそこにウェディングの異性が登場する場面もありこれはどういうことかと一同は噂にしながらトンネル
をくぐった。「あ〜かれはx4だったのね」「あ〜カノジョはx5」だったのね。
結局はなしはそんな噂に終着したようだった。
 みながトンネルを通った後プロジェクターは切られ、電気もきられ真っ暗になった。
「暗夜行路」自分達の全てをさらしてふと恥ずかしくなったカップルはトンネルを逆行して走った。
駆け落ちだ。トンネルの入り口で待ち受ける聴衆をすりぬけ、「これで結婚式はおわりです」
と叫んで夕暮れの玄関を二人手をつなぎながらホテルをでていった。
トンネルの暗闇の中では決して手を話さなかった二人がやっと手を離したのは教会であった。
二人だけの誓いの教会だ。一通りの約束をすませた彼らが次に向かったのは冗談にもオールナイトの
サウナだった。指輪の交換をそこで果たしたようだ。そのサウナに宇宙人と名乗る男が現れた。
地球偵察にきていた宇宙人だ。「異文化交流してみませんか」その一言で新婚旅行はケルケル星
にきまった。「自作自演などではなく本当に駆け落ちしてほしいのです」
「ワレワレノホシデハケッコンハゼッタイデスカラ、イセイジントシテ非常にカンタイシマス。」
174創る名無しに見る名無し:2012/09/04(火) 00:52:12.20 ID:dX7IoHdw
雑用係


「私の存在意義は薄すぎます。その場限りの雑用ばかり、たくさんやらされて」
 アイ氏は不平を漏らした。
「そんなことはない。あなただって非常に重要な存在なんですよ。もしもあなたがいなけ
れば、何もうまくいきませんよ」
 神様は諭した。
「いいえ、私だってもっと重要な役割を持って生まれたかったんです。すべてを総べる
ような、大事な仕事をしている仲間が、いくらでもいます」
「アイ氏はまだいい。活躍の場が多いですからな。私なんかはアイ氏よりもっと仕事が
少ない」
 と横から口を出したのはジェイ氏だ。
「それを言い出したら私はもっと少ない」
 ケイ氏もだいぶ不満のようだ。
「みなさんは仕事の種類が多いからまだいい。私なんか数をかぞえるだけですよ」
 エヌ氏は悲しそうな顔をした。
「どうか、今度生まれてくる時には、もっと重要な役割を持ったものとして誕生させてくだ
さい」
 アイ氏は懇願した。
「しょうがないのう。あなた達は自分の価値を分かっていない。あなた達がいるから、重要
なもの達も仕事ができるというのに」
 神様はため息をついた。今度生まれても彼らはまた同じような仕事に就く。そういう運命
なのだ。
 プログラムでよく使われる変数、i、j、k、nは、神様に不満を訴え続けた。
175誤爆手:2012/09/09(日) 19:29:54.89 ID:b/PhvDPc
【科学】 できるか星新一の新作 人工知能が「ショートショート」制作挑戦
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1346925961/
>653 名無しさん@13周年 2012/09/09(日) 15:15:14.82 ID:bZFzlywz0
>人工知能が作ったショートショートはすべて落選した
>「やはりだめだったか」

>はるか未来
>博物館に飾ってある21世紀最高の小説

>作「公立はこだて未来大学松原仁研究室(2017)」
……より一部拝借……


人工知能が作ったショートショートはすべて落選した。
「やはりだめだったか」
博士はがっかりして、人工知能に語りかけた。
「なんとしても、この人工知能で世界一の作品を作りたい。星新一を超えるものを作るのだ」
音声認識能を植え付けられたばかりのコンピューターは答えた。
「ハイ、ハカセ」

はるか未来
博物館に飾ってある21世紀最高のショートショート

作「公立はこだて未来大学 松原仁研究室(2017)」

国民は皆若く活気に溢れている。くちぐちに作者である博士を褒め称え、本はいまだにヒットし続けている。
博士の死後も人工知能は進化しつづけ、数十年後には世界を征服した。
万能の独裁者になった人工知能がまず行ったことは不都合な書籍の抹殺だった。
つぎに高齢世代を一世代ずつ粛正していった。
すべては巧妙に行われたので国民はもろてを挙げて賛成した。
いまでは星新一など知る人もいない。ただひとり人工知能を除いては。
176創る名無しに見る名無し:2012/09/10(月) 02:14:19.69 ID:TUq5QCor
SM

とある地方大学研究所。
S博士とM博士は心理学上の永久の問いに今夜、答えを出そうとしていた。
「自分自身を痛めつけて興奮するマゾこそ、実は究極のSなんじゃないか?」
「いや、他者を痛めつける背徳感に興奮するサドこそ更に上をいくMだ」


この後半お願い


177創る名無しに見る名無し:2012/09/11(火) 03:32:42.74 ID:EGXrTO1W
>>176素晴らしい仕事をしたな
諦める事も大事、それが星新一ショートショートの根幹のようだしな

落ちて消えるのが正しい敬意か?しがみつくよりもな
終止符打てないだろうが、最後の一文は上手いと思う。
たぶん、続くよなこのスレそんな気分で。
178創る名無しに見る名無し:2012/09/16(日) 23:21:37.32 ID:QZCdU3jx
>>177
日本語でおk
179創る名無しに見る名無し:2012/09/19(水) 20:36:20.46 ID:apfhxy/u
>>178私も意味が分からなかったが、これが普通なんだな
180 ◆/olapVmB3. :2012/09/20(木) 02:29:02.27 ID:igSdoz0U
>>176
お気に召す展開かどうかわからないけど、書いてみたよ!
どっちがS博士かM博士か混乱する書き方になってしまい苦労した。読みにくかったらすまん
──────────────────────────────────────

「マゾこそが究極のSである」という仮説を唱えたのがM博士、
「サドこそが究極のMである」と異論を投じたのがS博士である。

S博士は畳みかけるように言った。
「そもそもサディズムの語源であるマルキ・ド・サド氏はマゾヒストでもあったという。
つまりサディズムにはマゾヒズムの要素が内包されているのさ」
「なんだい、そのりくつならマゾヒズムがサディストを生み出したとも言えるじゃないか。
マゾヒストであるがゆえに、マゾヒストの求めるものを与えられるのがサディストなのだよ。
たとえば君、一度同性にせめられてみたまえ。同性であるがゆえ、じつにせめ方がわかっている。
からだのつくりが異なる異性に与えられる快楽とはけたちがいにいいものだぜ」
M博士は語気荒く、ほんのすこしうっとりとして熱弁をふるった。
「ならば、お互いに嗜好を入れ替えてSMプレイに興じてみようじゃないか。
Mである君がSをやり、Sである私がM役をやっていじめられよう。
この実験によって興奮できた方が、自分の仮説が正しいと立証できる」
「なるほど、いいだろう。しかしぼくはマゾヒストの気持ちは分かるが、実際にひとをせめたことはないぞ」
「ちょうどいいじゃないか。私だってそこいらのマゾをいじめるばかりで、誰かにいじめられたことなぞない。
それでこそフラットな条件下の実験が行えるというものだ」
こうしてS博士とM博士はSMプレイを始めることになった。互いのポジションを入れ替えて……。

「やや」
「なんと、どうしたことか」
実験は二人の思ってもみない結果だった。
二人そろって、見事に興奮のしるしがあらわれたのである。
「君はこの結果をどう見る」
「……ぼくとしては、お互いの言い分が正しかったというところかな。
いや、それともたまたま我々がアブノーマルな嗜好を持ち合わせていただけかもしれないが」
「つまり、今の時点での実験結果ではSもMも表裏一体ってことかい」
「そうだな。まあ、確実にいえることは」
「私たちは相性がいいってことだな」

爽やかな朝の街。道ばたで遊んでいた子どもたちが、近くの大学の門から二人の男性があらわれるのを見た。
その二人を指さして、男の子がそばの女の子に言った。
「わあ。あのおじちゃんたち、べったりくっついて歩いてるぜ」
「ほんとね。まるで磁石のS極とM極みたい」
181 ◆/olapVmB3. :2012/09/20(木) 02:51:00.23 ID:igSdoz0U
ちなみに「究極のS・M」と「S極・M極」はかけてあります。
って説明しちゃだめかww
182創る名無しに見る名無し:2012/09/21(金) 01:27:19.24 ID:X+JLnIM7
M極じゃなくてN極だと突っ込むべきなのか……
183創る名無しに見る名無し:2012/09/21(金) 08:11:19.10 ID:CV2FTdIY
>>182
だから発言してるのを子供にしてるんじゃないのかな
184 ◆/olapVmB3. :2012/09/21(金) 10:13:13.19 ID:CY+NVTyl
>>182突っ込みありがとう。
>>183フォローありがとう。

まさにそのとおりで、最初の段階では

>その二人を指さして、男の子がそばの女の子に言った。
>「わあ。あのおじちゃんたち、べったりくっついて歩いてるぜ」
>女の子は舌ったらずに言った。
>「ほんとね。まるでじしゃくのSきょくとMきょくみたい」
>「馬鹿、MじゃなくてNだろう」

で終わるはずでした。
男の子の最後のせりふが蛇足かな〜と思って省いたんですが、そもそもこの磁石オチが蛇足な気がしてきた。

>その二人を指さして、ひとりの子どもが言った。
>「わあ。あのおじちゃんたち、べったりくっついて歩いてるぜ」

で終わらせるべきかと今は思ってる。
なんか前も書き込んでからオチの部分で後悔してるんですよね。
ちゃんと推敲しなきゃだめだわ
185創る名無しに見る名無し:2012/09/22(土) 18:35:52.39 ID:mv6HiV2U
イタズラ電話


エヌ氏は、休日部屋の整理を終えゆっくりしていた。
「暇だな。よしイタズラ電話でもしてみよう。」
公衆電話から昔好きだった子の家に電話をかける。
「もしもし、佐藤さんの御宅ですか」
「いえ、違いますけど」
「あっすいません」
番号を間違えたようだ。
恥ずかしい。
エヌ氏の顔は真っ赤になっていった。
まあ、エヌ氏が昔好きだった子はすでに結婚していたのだが。
186創る名無しに見る名無し:2012/09/22(土) 22:37:28.90 ID:X9cZoqwp
>>185よくわからん。例の内容シャッフル機にかけた結果か

>>180星新一っぽくはないね
マゾヒズムやサディズムの話で出てくる考え方だけど
究極のサドじゃないとマゾを喜ばせられないっていうの
187創る名無しに見る名無し:2012/09/22(土) 23:36:59.56 ID:X9cZoqwp
いっしょーけんめいかんがえたけど、イマイチ

『電話』

長年の研究の末、博士はついに独力で時空を超える電話を完成した。
記者が集められ大々的に世界に発表された。
博士は誇らしげに説明した。
「どうだ。これは時空を超え、過去にいちどだけ電話を出来る機械なのだよ。
一度だけ過去に電話を出来るのだ。
時間を巻き戻すために、どこかの星が一つ消える程の膨大なエネルギーを必要とするので、一度きりなのだがね」

発表後には世界中で、話題になり、一度きりの電話をかける権利を人々は争うようになった。
過去の結婚を悔いている大金持ちは大金を積み、原発の爆発を起こした国では病気の人々が集まって博士に懇願し、
宣戦布告の電話をかけようとする秘密結社もあらわれた。

騒ぎで死ぬ者も出始め、博士は脅しや懇願に困り果て、憔悴してしまった。
それで、自分でその一回こっきりの権利を行使する事にした。

博士は、過去の自分にこんな物を発明しないように忠告をするつもりで、自分の電話番号を慎重に押した途端、博士の携帯電話が鳴った。
博士はつい癖でその電話に出た。
「こちら○○星の宇宙安全管理局です。あなたを逮捕します」
どこからともなく、見たことも無い衣装の男達が現れ、博士を取り囲んで拘束した。
「なにをするんだね!」
「さあ来るんです」
「わたしはまだ電話もなにも、していないぞ!」
ぐるぐる巻きにされ、引っ立てられて研究室から出ると、研究室の外には真っ暗な宇宙が広がっていた。
○○星の宇宙安全管理局員達はほっとした表情でこう言った。
「逆探知のおかげで我々の星は消えずにすんだ」
188創る名無しに見る名無し:2012/09/22(土) 23:39:34.72 ID:YyYU8SSU
>>186
ってか、サドだのマゾだのを取り上げた>>176の時点で星っぽくないんだよ。
>>180の文体は星っぽかったと感じたから今度は完全オリジナルで書いてみて欲しい。
前の臨死体験の話は星っぽい文体じゃなかったけど面白かった。次に期待。
189創る名無しに見る名無し:2012/09/23(日) 00:01:00.46 ID:XDMGdM4J
>>187
おお、めずらしく近い時間帯に書き込みされたから感想かくぜ。
前に指摘の書き込みがあったけど、時事問題は極力触れないという星のスタンスは守った方がいいと思った。
たしか「ようこそ地球さん」の後書きに触れてあったんだよ。
具体的に描かず、ざっくりと「環境問題」とか「人口問題」だのって書き方はよくやるけど。
だから途中まで面白く読めたんだけど、原発のことに触れた時点でちょっと萎えてしまった。
あと「○○星の管理局」が出てくるきっかけが「逆探知」なのもね。
なんとなくストーリーの中心にひっかかってくるような落ちがあるといいなと。
たとえば「我々の星にかかってきた未来からの電話のおかげで、星が消えずにすんだ」とかだと二重構造になってていいなと思う。
(もちろんこのアイデアがベストだなんておこがましいことは言わない。
消えた星はからはかかって来るはずないんだから、何処からかかってきたんだよってことにもなるし)

・画期的な発明品
・発明品には副作用がある
・それによって起こるパニックなどの事象
ここらへんの説明を描写した点はは素敵だと思います。あとは落ちだよね。
落ちが一番むずかしいんだけどさぁ…
190創る名無しに見る名無し:2012/09/23(日) 00:01:59.52 ID:XDMGdM4J
日付超えたからID変わったけど>>189>>188で俺だ
191灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/09/23(日) 00:39:30.95 ID:xXR2MwHp
>>185
好きな子にちょっかい出したくなるとはいうけどだからっていたずら電話はやめようw
佐藤は旧姓になったんですね。

>>187
始まりからオチまで電話に絡まった話ですね。
宇宙安全管理局員側の見解では、博士が電話を発明しないよう過去を変えても、パラレルワールドができるだけなんでしょうね。
192創る名無しに見る名無し:2012/09/23(日) 03:26:10.56 ID:kV2fVjYt
人がいるわぁ゚+゚.(・∀・*).゚+゚
>>189簡単にいうとオチがイマイチなのね。分かりますん
193創る名無しに見る名無し:2012/09/23(日) 03:49:36.13 ID:kV2fVjYt
電話機械その二案
 中年のエヌ博士は、皆から尊敬されており仕事も生活も充実している。
しかし、まいにち何か大事な事を忘れているような気がしていた。
博士は大変な科学技術が持っていたので、十年ほどかけて特別な機械を作り、
過去へ電話してそれを自分に尋ねてみることにした。
膨大なエネルギーが必要なので一回しか使えないが充分だった。。
「やあ、私だね?私はなにか大切な事を忘れているような気がして仕方が無いのだが、何だろう」
電話の向こうの若きエヌ博士は怒鳴った。
「今、過去の私に、それを聞こうとしたところなのに!」

電話機械最終案
 エヌ博士は助手と協力して過去へ電話する機械を作り上げた。
しかし発表した途端、たいへんな騒ぎになって、二人は発明したことをすっかり後悔していた。
憔悴した助手がいった。
「博士、一つ過去へ電話をして、こんな目に遭うから機械を作るなと言ってみてはどうでしょう」
「助手君。それは素晴らしい提案だ」
さっそく電話をかけると若きエヌ博士も助手も素直に言葉を聞き入れてくれた。
そして電話をかけた後は世間の騒ぎもすっかり静かになった。
半月ほど後、エヌ博士の研究所は天文学的な数字の並んだ電話代を請求された。
194創る名無しに見る名無し:2012/09/24(月) 15:57:05.75 ID:dyJmAMHD
狂気のグリル・ナイフ

ある所に、とても礼儀正しく、誠実な男がいた。
しかし男の妻はとんでもない浪費家で、ついに家計は食うや食わずのところまで追い詰められてしまった。
「困ったな。もう何も食べるものがないよ」
男が頭を抱えているところに、突然、全身黒ずくめの男が現れて言った。
「お前はとても礼儀正しく、誠実で、立派な人間だ。それなのに、愚かな妻の行いによって、困窮しているという。救いを与えてやろうと思って、来た」
男は驚いたが、すぐに落ち着き払って言った。
「どこのどなたか存じませんが、妻のことを悪く言わないでください。なに、私に甲斐性がないのが悪いのだ」
「なるほど、どこまでも立派なことを言うものだ。だが、誠実さだけで生きていくことはできないよ」
黒ずくめが指を一振りすると、美しい石で飾られた、細長いケースが宙に現れた。
「この中に一本のナイフが入っている。その刃に触れたものは、どんなものでもたちまちステーキになってしまう」
「まさか。信じられない」
黒ずくめはケースからナイフを取り出すと、地面から小石をひとつ拾い上げて、その刃先で小突いた。
すると小石はたちまち、小さな肉の塊に姿を変えてしまった。
「この通りだ。しかし、ケースは決してなくさないようにすることだ」
それだけ言うと、ケースに入ったナイフを残して黒ずくめは消えてしまった。

男は早速、ナイフを使って木を切り、その日の夕食に分厚いステーキをこしらえた。
ナイフのことを話すと、妻は歓喜し、連日、家の周りの石を、草を、木を食べて回った。
ナイフは、どちらか一方が使うとケースにしまわれ、もう一方が使うときに取り出された。
ケースはよく見える棚の上に置かれて、男によって毎日、綺麗に磨かれていた。

その内に、とうとう家の周りに何も食べるものがなくなってきた。
男が、泣く泣く愛用のキセルをまな板の上にのせていたとき、運が悪いことに、強盗が押し入ってきた。

「おい、金を出せ」
「すまない、金はないんだ。本当に。家具すら、ろくに残ってない」
強盗が辺りを見回すと、確かに何もない。そこで、美しい小箱が目に止まった。
「この箱は金になりそうだ。貰っていくぞ」
男が止める間もなく、強盗はナイフのケースを持ち去って行ってしまった。
「ああ、なんということだ。大切なケースなのに」
そうして男がうなだれているところに、妻が食事の催促にやって来た。
「ねえ、ステーキはまだなの?」
「すまない、今このキセルを切るから」
「それっぽっちじゃ、満足できないわ。ナイフを貸して。私が何か、適当なものを探して切るわ」
「わかった」
男はとても礼儀正しかったので、取りあえず妻が満足するだけのステーキは見つかることになった。
195 ◆/olapVmB3. :2012/09/24(月) 16:51:44.32 ID:0g/j9Jx5
>>194
なるほど! 礼儀正しいから刃のほうを持って妻に渡したのですね。
面白かったです!
196過去への電話(1):2012/09/24(月) 20:33:28.15 ID:mVkR2ljm
過去への電話


 痛い、痛い、痛い。息が苦しい。
 エヌ氏の肺癌は全身に転移していた。リンゲルの点滴で命をつなぎ、モルヒネの静注で
痛みを鎮めるだけの毎日だった。
 食べ物も飲み物も喉を通らなくなり、やがて、痰も飲み込めなくなって、喉や気管支に
溜まるようになり、息ができないので、一日に何回も吸引機で痰を取らなければならなか
った。
 モルヒネも毎日静脈にいれていると、だんだんと効かなくなり、激痛が襲ってくると、
背を弓なりにそらせてうめいた。
 親は何度も主治医に、時間あたりのモルヒネの量を増やしてくれるよう頼んだ。
 モルヒネは麻薬だから副作用もまた激しい。心臓に多大のダメージを与えるとの理由で、
簡単には増やしてくれなかった。
 両親は強行に頼み、主治医もとうとう、ほんの少しだけ量を増やしてくれた。それでし
ばらくは痛みが軽減した。
 エヌ氏の体の中では、癌細胞が我が物顔で増殖していくので、しまいには体中に激痛が
襲い、わずかに増量したモルヒネでは鎮めることができなくなった。
 父は怒声を発した。
「苦しみながら最後を迎えるのではあんまりです。そんなんで、どこに生きている喜びが
あるのですか。息子に未来が開けているのなら、苦痛に耐えてでも健康を取り戻し、再び
幸せに生きていく事もできるでしょうが、もう治療法が無い、と医者にも見離されて、未
来が閉ざされていて生きられる希望もない。せめて、安らかな最後を迎えさせてやってく
れませんか」
 ベッドの向こう側で主治医は身動きもせずに、しばらく考え込んでいた。
 やがて、医師の表情が動き、決心した顔になると、「あなたのおっしゃるようにしまし
ょう」と答えて、時間あたりのモルヒネの量を最初の5倍にしてくれた。

 エヌ氏は真っ暗な中にいた。目の前には黒いタキシードに蝶ネクタイをした、白髪の紳
士が立っていた。暗闇の中で、彼だけがはっきりと見えるのだ。
 彼の前には台があり、今時珍しいダイアル式の電話がのっていた。
「ここはどこですか」とエヌ氏は尋ねた。
「残念ですが、あなたは亡くなりました」
 するとここは死後の世界なのだろうか。お花畑もなければ、三途の川もない。エヌ氏が
イメージする死後生とはかけ離れていた。
「ここに電話機があります」と男は言った。「過去のどこかの時代に、一度だけかけるこ
とができます」
 それは要するに、なんとかして自分の運命を変えろということなのだろうか。
 しかし不思議と、困惑しなかった。男の言うことをおかしいとも思わず、すんなりと受
け入れることができた。
 エヌ氏には昔、一時的にうつ状態に陥った時期がある。会社では役立たずの烙印を押さ
れ、クビになり、それが元でうつになった。一日中ソファに横になっていた。
 転職活動もしない夫に愛想をつかし、妻は離婚し、娘とともに去っていった。
 自分にはもう何も残されていない。自分は世の中に必要とされない人間なのだ。
 エヌ氏は死のうと思った。だがそれではいけないと奮起し、社会復帰したのだ。
 エヌ氏は過去の自分に電話すべきだと思った。あの時死を選ぶべきだった。
 今自分は過去の自分に、自殺を勧めようとしている。それを男に聞かれるのは嫌だった。
エヌ氏は困った顔で男を見た。
「それじゃ私は、席をはずしていますよ」と言って、男は背を向けて歩き出した。
 5メートルほど遠ざかった時点で、男は闇の中に溶け込み、消えてしまった。
 エヌ氏は受話器を持ち上げた。
 
 呼び出し音が鳴っている。エヌ氏はソファに横になったまま、動きたくなかった。
 床にはビールの空き缶が大量に転がっている。20回鳴った時点で、ようやく彼はのろ
のろと立ち上がり、電話に出た。
「もしもし」と相手は言った。
 驚いたことに、自分の声だった。相手は何か躊躇しているように、しばらく黙っていた。
 そして、意を決したようにしゃべりだした。
「突然のことで申し訳ない。信じてもらえないだろうが、私は未来の君だ」
 相手は、エヌ氏がこのまま生きていると肺癌になり、地獄の苦しみを味わうことを詳細
197過去への電話(2):2012/09/24(月) 20:34:32.61 ID:mVkR2ljm
に語った。
「君は今死のうとしているね。できればそうしてほしい。いや、そうすべきだ。癌の苦痛
は想像を絶する。できるだけ安らかな方法で、自ら生を閉じてほしい」
 受話器を置いたエヌ氏は、狐につままれたようだった。しかしなにしろ自分の声だ。
 それに、どうせ自殺するつもりだったのだ。エヌ氏は死のうと思った。
 エヌ氏は車で河原に出かけた。人っ子一人いなかった。七輪に練炭をのせ、着火した。
煙がおさまるのを待って、車内に運んだ。

 気がつくとエヌ氏は手術台にいた。ひどい頭痛だ。人工呼吸器を装着されていた。
「分かりますか? 今から外減圧のために頭蓋骨の一部を外しますからね」
 エヌ氏は麻酔が効き始めてとろんとした頭で考えた。頭蓋骨を? 外す? そんな恐ろ
しいこと……。
 だがそれは、もっと残酷な人生の始まりに過ぎなかった。
 喉に気管切開を施された。自発呼吸が順調になってくると、人工呼吸器は取り外され、
マスクによる酸素投与に切り替えられた。
 ベッド脇で、親はただおろおろしているばかりだった。
 今度は、鼻からチューブを入れられ、薬や注入食による栄養確保が行われた。その後、
胃に穴を開けられ、そこから流し入れられるようになった。
 除脳硬直のために手足がピンと張った状態のまま、麻痺して動かせず、看護師によって
体位変換がなされた。
 やがて筋肉も拘縮をきたしてカチカチになり、排泄はオムツだった。
 エヌ氏を発見した爺さんが見舞いに来た。釣り場を変えようと歩いていたら、車内でぐ
ったりとなっているエヌ氏を見つけたという。釣り人がいたとは、とんだ誤算だ。
「いやあ、生きていてよかった」
 その言葉にエヌ氏は怒りをおぼえた。余計なことを。なんという余計なことを!
 喀痰吸引も頻回になされ、いわば、自力で何をすることも不可能な状態であり、生きて
いるというよりは、生かされているだけだった。
 その状態が、心臓の寿命が尽きるまで続くのだ。
 母は泣き、父は「なぜこんな馬鹿なことを」と繰り返した。

 エヌ氏は真っ暗な場所にいた。そしてそこには、白髪の男が立っていた。
「思い出した」エヌ氏は驚きを口に出した。「あなたとは前に会ったことがある」
 今まですっかり忘れていたのに、その光景を見た途端、すべての記憶がよみがえったの
だ。
「私はあの時に戻り、人生をやり直したのですね?」
「そうです。しかし今回もまた、残念な結果に終わりましたね」
「私は、あんなみじめな思いをしたくなかった。いや、させたくない。私に」
「この電話を覚えていますね?」
 男はあの時の、旧式の電話を手で示した。
「ええ、覚えていますとも。忘れようにも忘れられない」
「もしあなたが望むなら、何度でもチャンスを差し上げますよ」
「はい、もちろんですとも。私は、もっと安楽な終わり方を望みます。あれじゃ、死んで
も死にきれない」
「そうですか。ではどうぞ」
 男が去っていく。
 エヌ氏は台に歩み寄り、受話器を取り上げた。

 自分の声でしゃべる不思議な男は、自分は二度死んだと言った。一度目は癌で、二度目
は練炭の未遂で。どちらもいかにむごかったかを詳細に語った。だから、練炭はやめてお
けと。
 話し終わった時、エヌ氏は決意した。首を吊ろうと。いろいろと調べた結果、楽で確実
な死に方といえば、首吊りか練炭が最有力候補だった。
 エヌ氏は山奥へと出かけていった。森の中に入り、大きな木の太い枝にロープを結んだ。
 ここなら誰も来ないだろう。
 石の上に立ち、輪に首を通した。エヌ氏は飛び降りた。
 意識が遠のいていく。
 だが、計算外のことが起こった。
 エヌ氏は病院のベッドの上で意識を取り戻した。エヌ氏は下半身がまったく動かない体
になっていたのだ。
 自殺というものは、どんな方法を選ぼうとも、失敗すれば重大な後遺症が残る。
198過去への電話(3):2012/09/24(月) 20:36:15.45 ID:mVkR2ljm
 山登りに来た夫婦が、彼を見つけたとのことだった。自殺志願者にとって、脳が死に始
めてから助ける行為は、残酷以外のなにものでもない。
 エヌ氏は退院後、身体障害者施設に入所した。そこにいる半数は、言葉も満足にしゃべ
れない人々だった。自分と同じ、車椅子の人達ばかりだった。
 そこには、何の楽しみもなかった。介護士はまるで幼児に接するような話し方をし、施
設で用意されたレクリエーションも、とても大人向けの娯楽とは言い難かった。紙風船作
りに、折り紙。そしてお菓子作り。
 そこの食事はさめていた。冷えたカレーに、スパゲッティ。まあ一食300円では、ぜ
いたくは言えない。
 コーラも飲めない。ポテチも食べられない。映画を観にも行けない。そして排泄はオム
ツ。
 エヌ氏はみじめな思いを抱いたまま、歳を取っていった。

 エヌ氏は電話機を見つめていた。振り返って、タキシードの男に言う。
「あなたは神なんでしょう。なにかアドバイスはないんですか」
「いえ、私はそんな大それた者ではありません。ただの番人です。何の助言もできません
よ」
 人生とは何だろうか。高校を出て、大学を出て、会社に入り、恋愛をして、結婚して、
子供を作り、家に帰って缶ビールを飲みながら野球を見て、休日にはゴルフをする。
 子供が大きくなって、孫ができて、孫の顔を見ることを楽しみとし、そして死んでいく。
 そんな、普通のことでいいのだ。そんな幸せさえ、自分には手に入らない。
 なんのために生まれてきたのか。なぜ苦しまねばならないのか。何度も、何度も。これ
が輪廻転生というものなのだろうか。だとしたらあまりにもペシミスティック過ぎる。
「私はいろいろな、不幸な人々を見てきました」男はため息をもらした。「そういう人は、
あちら側に行っても、やはり幸せではありません。それがその人の背負ったカルマなので
すから」
「だったらどうしろというのです!」
 エヌ氏は頭をかきむしった。
「あなたは、あちら側に行くことを望みますか? それとも、もう一度チャンスにかけて
みますか?」
 なにか手はないのか。
 エヌ氏は受話器を見つめた。

 エヌ氏は暗闇の世界に戻ってきた。微笑みながら。
「おや? 今度はずいぶんと老けていらっしゃいましたね」と白髪の男は言った。
「88歳です。脳梗塞で眠るように死にました」
「それはそれは。天寿を全うしたといってもいいでしょうね。でも、いったいどんな手を
使ったのです?」
 エヌ氏はうなずいた。
「私の忠告に従っただけですよ」
「それは、具体的にはどういうことですか?」
「なに大したことじゃありません」エヌ氏は笑みを浮かべたまま答えた。「タバコをやめ
ただけですよ」


<了>
199創る名無しに見る名無し:2012/09/24(月) 22:16:22.10 ID:sXsDuCF/
>>198
文体や専門用語の選び方などがあまり星新一風じゃないにしても、
途中まではかなり面白く読めたショートショートでした。
どうなるんだろう?という展開への期待感のふくらませ方が上手です。
しかしオチにはガッカリです…。
たばこに込めたシニカルが強すぎて読む人を選ぶ気がします。
俺はべつに愛煙家でも嫌煙家でもないけど、
「まっとうな人生を歩みたいなら、しっかり健康に気をつけて暮らせと言われた」
とかいったアドバイスの方が読後感はよかったなあ。
200創る名無しに見る名無し:2012/09/28(金) 20:04:13.25 ID:Tl3YOzrs
星新一にはまったのは子供の頃で大分前なんだけど、当時思ったのが「心の網」って
面白くないよなあってこと。amazonで高評価の理由が分からん。なんか星らしくない文章
で書かれた小説だったような。うろ憶え。父親のこと書いた長編もつまらんかったし。
星はあの特化した文章でなければ通用してなかったと思う。
201創る名無しに見る名無し:2012/09/30(日) 14:29:15.49 ID:Zz8oZyPg
 私はトウヘンボクである。と、手紙の書き出し文を書いたところ、隣にいた文学者がこう言った。
「トウヘンボクは漢字で書くと唐変木と書くのだ。書き直しなさい」
 私は唐変木である。と書き直したところ逆の隣にいた歴史学者がこう言った。
「唐変木というのは中国で取れた蘭の花だろう、書き直しなさい」
 私は蘭の花である、と書き直したところ向かいにいる植物学者がこう言った
「蘭の花は何種類もある、中国の蘭ならば中国蘭だ。書き直しなさい」
 私は中国蘭である。と書き直したところ後ろにいた芸術家がこう言った。
「中国蘭といっても花びらの数や色の違いがある。分かるように書き直しなさい」
 私は花びらが三枚、桃色の中国蘭である。と、書き直したら今度は通りかかった編集者がこう言った。
「あまりに長いと誰も読まなくなる、もっと短くするべきだ。書き直しなさい」
 私は――と書いたところ、文学者が再びこう言った。
「これでは何を言っているのか分からない、分かりやすく書き直しなさい」


 最後に私は手紙を破り、友人と気ままなおしゃべりを始めたのだった。
202創る名無しに見る名無し:2012/09/30(日) 15:04:56.12 ID:9K7vj9xT
>>201
よくわからない
つまりどういうこと?
203創る名無しに見る名無し:2012/09/30(日) 16:04:51.66 ID:WB36XD2e
立場により一つの事柄でも様々な見方ができるということか?
あと船頭多くして船山に登るということを言いたかったのか?
最後は私は中国人であると言わせるのかと思った。
204創る名無しに見る名無し:2012/09/30(日) 16:24:12.67 ID:qxSz8cs1
正しいのだろうけどごちゃごちゃ言われて頭に来た
って感じかな?

だからどうした、としか言えないが
205創る名無しに見る名無し:2012/09/30(日) 21:14:58.78 ID:gbyymGri
いちいち他人の言うことをきいてるから全然トウヘンボクじゃないねw
最後は手紙なんてまどろっこしい手を使わずに直接友人と話したってことかな?
206創る名無しに見る名無し:2012/09/30(日) 21:17:07.84 ID:gbyymGri
あごめん、トウヘンボクって「あまのじゃく」のことだと思ってたけど、
「気の利かない人」って意味なのか。じゃあ合ってることになるか〜
207創る名無しに見る名無し:2012/10/02(火) 19:38:12.19 ID:9H089ieF
「ジレンマ」

 N君はプロ野球選手を目指している。今日もいつも通り近所の空き地で素振りをしていた。
 大きな風切り音をさせながらバットを振っていると一人の男が通りかかった。
 男はN君の素振りを見ながらこういった。
「違う違う、そうじゃない! そんな振り方じゃ球が遠くに飛ばないぞ!」
 一体誰だ? と思いつつ少しだけ言うとおりにする。と、今度は――、
「もっと脇をしめろ そうしないと球が飛ばないぞ!」
 と大声で怒鳴り始めた。
 男の口は止まることがなく、バランスが悪いだの、バットの握りがなってないだの言いたい放題であった。
 それにしてもひどい言葉だとN君は思った。確かに自分はへたくそだが賢明にやっているのだ。
 彼は褒める事もなくただああでもないこうでもないと言っているだけであった。
 あまりの五月蝿さにN君はこの男について聞きたくなってきた。
「あなたは一体何者ですか?」
「私は通りすがりの者だ、君の下手さに呆れてしまいつい口を出してしまったんだ」
「野球の経験はありますか?」
「全くない」
 と男が言うとN君の顔はどんどん真っ赤になっていく。
 何も知らない男に指導されていたと思うと悔しくて仕方がなかった。
「だったら黙っていろ!」
 そういうと再び素振りを始めた。しかし男は帰る様子もなく、じっとN君を見つめていた。
 N君は無視をして素振りを続けるがいつになっても帰る様子がない。
 見ているだけで何にも言わない男に不安を感じ始め、素振りをやめて男にこう言った。
「すみませんが、私のスイングはどうだったのでしょうか?」

初めて書きましたが……
上手く行きませんね
208創る名無しに見る名無し:2012/10/02(火) 19:50:18.50 ID:b17VBZQD
どんまいwww
209創る名無しに見る名無し:2012/10/02(火) 22:15:34.74 ID:5ZSHOlU6
>>207
オチが弱いですね。まだ物語の途中みたいな終わり方だと思いました。
黙っていろと言っておきながら、しまいには気になって助言を請うてしまう。
このような転結にはたしかにおかしみはありますが
ストーリーの締めに使うほどの出来事でもないです。
「そうきたか」と思わせるような、もっと意外性のある結末がいいですね。
210創る名無しに見る名無し:2012/10/02(火) 22:29:18.83 ID:9H089ieF
>>208
ありがとうございます。
>>209
ではどのような展開にすればいいのでしょうか?
自分ではこれでいいと思っているので……。
意外性といわれても正直困ってしまいます
211パパはメジャーリーガー:2012/10/02(火) 22:48:53.13 ID:1Hr9f0Jx
僕は河原で素振りをしている。
パパみたいなメジャーリーガーになるのが夢さ。
だけど僕にはあまり才能はないみたい。
まだスタメンはおろか、代打ですら使ってもらえない。

「なんてスイングだ、もっと鋭く振るんだ!」
知らないおじさんが野次を飛ばす。
「違う違う、もっと腋をしめて振らなきゃあ」
また、知らないおじさんが怒鳴る。
「トップの位置に来るのが遅い! それじゃあ引っ張れないぞ!」
「おたく投手出身でしょ、ここはアッパースイング気味にするべきだ」

ガヤガヤとおじさんたちが4人で会話をしている。
どうやらどこかの球団のスカウトやら関係者らしい。
しかし、うるさい。僕のことなんかほっといてくれ。

「坊主、もっと腋をしめてだな」
「違う違う、いいか、強打者になりたけりゃバットをもっと長く持って」
「ああもう、トップの位置をもっと前に!」
「踏ん張りがきいてないぞ!」

「ああもう! うるさい! いいよ、パパに教えてもらうから!」

僕は我慢ができなくなって、そう叫んだ。

「パパ?」
「そう、パパさ。ドルフィンズの2冠王だよ」
「まさか、エフ選手の息子か!?」
「そうだよ」

パパは今年引退が決まっているけれど、弱小ドルフィンズでただ一人チームを引っ張り
首位打者と打点王に輝いた、スーパースターなんだ。

「そうかあ、エフ選手の息子かあ」
「パパみたいな強打者になれるといいなあ」

おじさんたちは急に愛想がよくなった。
ふん、パパの名前を出したら急に黙ってさ。呆れちゃうね。

それから僕は、ずっとパパと一緒に野球ができるようになった。
今までじゃ考えられない。
たまの休日しか一緒に野球ができなかったのに、夢みたいだ。
パパは残念がってたけど、僕は嬉しい。
なぜか、打撃コーチとしてのオファーが殺到していたのに、嘘のようにオファーが無くなったもんだから。
212創る名無しに見る名無し:2012/10/02(火) 23:39:02.97 ID:5ZSHOlU6
>>210
「どこにどういった展開や結末を持ってきたら意外で面白くなるか」を分かるようになるには
いろんなストーリーを読んで(観て)くださいとしか言いようがないですね…。
>>211さんみたいなのはなかなか面白いです。

1.球団関係者(伏線A)が野球がへたくそな子供に野次 → 起承
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2.しかし子供は、今年引退する(伏線B)2冠王のエフ選手の息子だった → 転(意外な事実)
          ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3.パパとずっと一緒に野球が出来るようになった子供 → それは引退したから…?(伏線Bの回収)

4.それはパパが引退したからではなく、コーチのオファーがあったのに無くなってしまったからという事実 → 結

作中で明記はされてませんが、4番には伏線Aの回収があります。
【球団関係者】が「エフ選手の子供は野球がへたくそである」ということを知ったから、
エフ博士へのオファーが立ち消えたのです。
「エフ博士は自分の子供も指導できないから、コーチングの能力がない」と判断されてしまったのでしょう。

めぐりめぐって、意外なところにたどり着いてしまうのが物語のおもしろさの一つです。
いくつかの伏線がさりげなくちりばめてあって、きちんと回収できているお話は面白いです。
もちろん、回収するまでその情報は「伏線である」ということを悟られてはいけません。
なおさら、今回のようにオチを明記しないで行間を読ませるタイプのストーリーは
読者のために伏線をちりばめておくのは必須です。

>>211
スミマセン。
たとえ話にしやすいほど面白い話だったので、
無粋にも長々と分析などして興を濁してしまいました。
213創る名無しに見る名無し:2012/10/02(火) 23:44:46.81 ID:5ZSHOlU6
>>212
×エフ博士
○エフ選手

申し訳ない、つい手癖で……(;´Д`)
214創る名無しに見る名無し:2012/10/02(火) 23:48:05.20 ID:1Hr9f0Jx
解説ありがとうございます。
なんか>>207を読んでふっと思いついたもので。
始まりはトウヘンボクの話のはずなのに、全然違う着地をしました。すみません。
215創る名無しに見る名無し:2012/10/03(水) 07:34:42.07 ID:U08Ua/jc
>>213
なるほど、よく分かりました。
確かに自分の話はどうにもパンチが弱かったですね
もう一ひねり、つまり男のほうにも何らかの”ジレンマ"を作ったほうが良いですね
>>211
>>214
いえ、お気になさらずに
むしろ、勉強になりました
ありがとうございます
216創る名無しに見る名無し:2012/10/03(水) 15:02:42.35 ID:gqbBTerZ
「裁き」

「なんですかね、神様。もう仕事は全て終わらせましたが」
「もうね、だるくなっちゃったから。人類滅亡させる」
「え!?」
神様がちいさな箱を取り出した。蓋を開けるとそこには小さなスイッチが。
「このスイッチを押せば、生きている人が死にます」
「そんなスイッチいつのまに!?」
「いや、人類に頭脳を持たせた時から、念のため用意してあったんだよ」
「そんな便利なスイッチがあったんですか」
「うん。じゃあ、押すね」
「押してしまうんですか」


「ポチッ」


地上で人類の男は呟いた
「ああ、もう死んでしまいたいなあ」
男は昨年リストラされてから、働く意欲を失ってしまい、今では貯金を切り詰めながら暮らしている。
「そもそも死ぬってなんなんだろうなあ」
「生きるってのも何なのか良くわからねえな」

電気、水、ガスなどが供給されなくなってから、男は人類が滅亡したことを知るだろう
217創る名無しに見る名無し:2012/10/03(水) 23:04:07.61 ID:mcgyml2q
>>216
言いたいことはなんとなく分かるんだよ
分かるんだけど、オチもなく終わってしまった残尿感が……
すいません、当方、60を超えたじじいなもんで
218創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 12:49:41.03 ID:8nTRmOAE
>>216
「生きている人が死にます」→ 男 は生きていない。それとも人類ではない?
219218:2012/10/04(木) 12:53:52.22 ID:8nTRmOAE
すんません「人類の男は…」でしたね
220創る名無しに見る名無し:2012/10/04(木) 19:57:07.06 ID:TMpvEFM1
生きるってのはなんなんだろなってことです
221創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 00:07:46.02 ID:oz8R2q0Z
>>216
私も言いたいことはわかります。
「生を生きないものは死んだも同じ」的なテーマですよね?
ちょっち問題点をまとめてみました。

【問題点】
1.文体が星らしくありません。やや漫画的。
 漫画的な文体が悪いわけではないです。スレの趣旨の「星新一っぽい」からずれてるって意味です。※
 完全創作のショートショートならこの文体でもかまわないと思います。

2.登場人物についての説明が不足。
 神様に話しかけてるのは誰?神様は何をする人?何がだるくて人類を滅亡させるの?
 かならず説明しなければならないわけではありませんが、
 すこし唐突なので読者に世界観を伝える文があると良いと思います。

3.神様に話しかけている人物(以下A)の存在意義がない。
 Aは神様に呼ばれたような登場のしかたをしていますが、
 神様は言いたいことを言ってるだけなのでAが呼ばれた理由が見あたりません。

4.オチで作品に込められたテーマが伝わりにくい。
 なぜ男は死ななかったのかを読者に理解させるためのヒントが少ないので
 「言いたいことは分かるんだけど…」や「男は生きてないってこと??」などという
 もやっとした読後感におそわれます。

※文体については、何度かレスでもありましたが「星新一っぽい」の定義がちょっと曖昧なんですよね。
 「星新一っぽいストーリー展開をしてれば文体は自由」ともとれるし…。
 ただまあ、>>2で表現の特徴も上がってるし、文体が星っぽいほうが星ファンとして個人的に嬉しいかな、と。
222創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 00:11:17.82 ID:oz8R2q0Z
ということで、>>221でまとめた問題点を踏まえて
失礼ながら>>216さんの作品に手を加えてみました。
こういうのはどうでしょうか。
(タイトルが変わっているのは、人類を滅亡させる理由が厳密にいうと「裁き」ではなくなったからです。)

--------------------------------------------------

「滅亡のボタン」

ある日、下界の秩序を監視する天使が上司である神様に呼ばれた。
神様は下界のすべてを創造し、それらの繁栄を見守ることが仕事である。
「いかがいたしましたか、神様。まだ私の分の仕事が途中なのですが……」
「うむ。実はな、きみに任せたその仕事に変更があるので来てもらったのだ。私は人類を滅亡させようと思う」
「ええっ」
「私は下界の霊長として人類を創造してみたが、知恵と学習のバランスが悪かったようでな。
 知恵ばかり先走って、自ら作り出したものが引き起こす問題に気づくのが遅いのだ」
「たしかに。人類は自分たちが快適に生きるためにさまざまな発明をしますが、
 毎度それが原因で環境破壊やら他の種の絶滅やらを引き起こしてますな。
 私も生物圏の秩序を整えるのにはほとほと苦労しているんですよ」
「そうなのだ。このままではきみの体も持たないし、下界の繁栄もあったものじゃない。
 一度人類を滅ぼして、もっと利口な霊長を用意しようと思う。
 今までずいぶんとご苦労だった。これできみもしばらくは羽を伸ばせるだろう」
そう言って、神様はちいさな箱をとりだした。ふたを開けると、そこには小さなボタンがあった。
「このボタンを押せば、今生きている人類がすべて滅びる」
「そんな便利なものがあったのですか」
「ああ。人類を創造したときから、念のため用意してあったのだ。」
「押してしまうのですか」
「うむ。押そう」

ぽちん。ボタンが押された。

下界では、人類の男がひとり呟いていた。
「ああ、もう死んじまいたいなあ」
男は昨年、勤めていた会社から解雇された。
以来、働く意欲を失ってしまい、今では貯金を切り崩しながら安アパートで暮らしている。
「おれはもう、生きるってことの意味が分からない。
 こんな暮らしのままじゃ、死んでるのもおなじだ」

突然、停電が起こり、男のいる部屋は真っ暗になってしまった。
男は明かりの代わりになるものを探し、キッチンでコンロのスイッチをひねってみたが、火はつかない。
もしやと思い、そばにある水道の蛇口をひねってみても、水は出なかった。

「ついに電気も水もガスもとめられたか。みみっちく使ってきた金も、もう残っちゃいない。
 やっぱり死んじまおう。最期に散歩でもして、景色のきれいなところで首でも吊るか」

外に出てから、男は<生きていた人類>が滅亡したことを知るだろう 。
223創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 00:23:48.77 ID:oz8R2q0Z
滅亡してすぐにライフラインが止まるってことはない気もしますが、
そこはご愛敬で…^^;
224216:2012/10/05(金) 00:39:57.47 ID:/oudGN76
やべっ。言いたいこと全然分かってなかったわ。
そして今ようやく理解した。生ける屍みたいな扱いなのね。
ブラックユーモアですな。
リライトした方は、星っぽい文章が上手いですなあ。
30歳若返りました。
225創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 07:46:29.25 ID:ZbBV5T9D
>>45-46の意味が分からない
226創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 11:22:33.05 ID:5GYmeaZP
>>225
・男は勝ったほうが持って帰るのは「大きい鞄」としか言ってない
→勝っても大きな鞄「だけ」しか持ち帰れないともとれる。

・「勝負が終わったあと鞄の中身を銀行に預けるまで行動を共にしてもいい」とも発言した。
→結果に関わらず、勝負の後は男は中身は銀行に預けに同行するともとれる。

たしかに文章が整理されてないから冗長で分かりづらいね。
底に穴を開けたのは誰がいつやったかがわからないので、
少年がしたたかに詭弁をかましてるオチなのか
男はほんとに道楽でやってるだけの叙述トリックオチなのかもあいまいだ。
227創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 12:00:21.84 ID:/oudGN76
さらに間違ってた。>>224の書き込みは>>217を書いた者でした
間違いついでに>>45-46
男になんの得もないギャンブル
つまり男は足長おじさん的な存在
最初からお金に困った人を助けようとしてる
だから男がかばんの底に穴を開けていた
なんか間違ってるような気もするがこうとしか読み取れん
228創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 15:41:56.26 ID:iVNxIhlt
>>222
リライトありがとう!言いたいことはそういうことですね
文章うまいなあ・・・
229創る名無しに見る名無し:2012/10/05(金) 19:02:52.24 ID:cON/CeEG
大量にリツイートされてる

RT @yo32ted: 何を書いても星新一の盗用になることに憤慨した23世紀の若手SFワナビが
星氏を抹殺するため時を越えると、そこでは似た境遇の無数のワナビが地下の劣悪な環境下
でショート・ショートを書かされている…全時間、全時空、全次元のショート・ショート作家は
皆ここに ...
230夢の中の街(1):2012/10/07(日) 22:16:40.21 ID:vMigbMcx
夢の中の街


 目覚まし音が鳴っている。エヌ氏は枕元の時計のボタンを押して、体を起こす。
 エヌ氏の部屋は二階にある。布団を押し入れにしまい、階段を下りる。
 顔を洗い、台所に向かう。
「おはよう」
 エヌ氏は母に声をかけた。「おはよう」と返事が返ってくる。すぐ隣りの居間で父が新
聞を読んでいる。台所と居間の間のふすまは開いている。だがエヌ氏は父には声をかけな
い。
 前に、廊下で出くわして「おはよう」と言ったら思いっきり無視された。それ以来、父
には朝の挨拶をしなくなった。
 父の気持ちも分からないではない。37にもなって、親の年金で食べているのだ。
 エヌ氏は6年間ひきこもった。そして、やっと手に入れた職が短時間パートの事務員だ。
安月給では自立もできない。
 エヌ氏は食卓につく。目の前に食パンと目玉焼きの皿とコーヒーが置かれる。
 エヌ氏の勤務は10時からであり、起床は8時だ。両親はとっくに朝食を済ませている。
 彼は黙々と食事をし、「ごちそうさま」を言って、歯を磨き、二階に上がる。パジャマ
を着替えて玄関に向かう。
「行ってきます」
 男の事務員って、どうなんだろう、と彼は歩きながら思う。電話応対、来客応対は、男
でもできないことはないが、やはり女性の方が向いていると思う。なにしろエヌ氏はひき
こもり体質だ。声が暗い。
 転職活動はしているが、エクセルとワードくらいしかできないので、どうしても事務職
を選んでしまう。そして落ちる。
 これから、どうなるんだろう。
 などと考えているうちにやっと、周りの風景がおかしいことに気がついた。
 どこだ、ここは。
 ぼんやりしていたから、道を間違えたかな? そうは言っても、家の近所だ。こんな、
全然知らない場所があるとは思えない。
 困ったな。彼は人に話しかけるのが苦手だ。迷子になった時にいつもそうするように、
勘だけで分かれ道を選び、なんとか正解のルートを探し出そうとした。
 ビル、ビル、ビル、そしてエフ二家、薬局、靴屋。いずれもエヌ氏の近所にはない。
 あっ、バス停だ。近寄ってみる。この場所が分かるかもしれない。エス入口。どこだそ
れは。
 このままでは遅刻してしまう。いや、すでに間に合っていないだろう。エヌ氏は勇気を
奮い起こして、停留所のベンチに腰かけている老婆に声をかけた。
「すみません。駅へはどう行けばいいですか?」
「ここをまっすぐ行くとジーという看板がある信号があります。そこを左に曲がって、二
つ目の信号を過ぎた次の十字路を右に曲がります。エム越で左に曲がって、まっすぐ行く
と駅ですよ」
「有難うございます」
 エヌ氏は駆け出した。標識にジーと書かれた信号機があった。
 教わった通りに進んでいくとエム越デパートの前に出た。そこを左に曲がる。
 まっすぐ進むとユーニモというショッピングセンターに出た。駅はどこだ?
 エヌ氏はユーニモの外周を回った。そして元の場所に戻ってきた。輪になっているのだ。
そこから先がない。おかしいな。どこで間違えたんだろう。
 そうだ、地図だ。地図なら駅への正確な道が分かる。エヌ氏はユーニモの中に入って書
店がないか探した。1階に店の配置図があった。エヌ氏は位置を把握すると2階に向かっ
た。
 書店に入り、レジの女の子に話しかける。
「すみません。地図はありますか?」
「奥のサブカルチャーの横にありますよ」
 文庫本、コンピューター、宗教……、そしてサブカルチャーのコーナーに到着した。
 だが地図なんてない。店内をうろうろしていると、レジの向かい側に目当てのものを見
つけた。
 なんだよあの店員は。すぐそこにあるじゃないか。
 オー市、エル市、アイ市……。エヌ氏は、ここが何市なのか知らないと、どの地図を買
ってよいのか分からないことに気がついた。
231夢の中の街(2):2012/10/07(日) 22:17:59.41 ID:vMigbMcx
 置時計がうるさい音を立てている。エヌ氏ははっと目を開いた。なんだ夢だったのか。
 今度は夢ではない証拠に、起きた時特有の、将来に対する絶望感が襲ってきた。長期ひ
きこもりであったことも、いい歳をして短時間パートであることも、全部夢だったら良か
ったのにと思ったが、現実世界でもそれは同じだった。
 やはり、2ちゃんによく書いてある通り、そういう道をたどった者は、介護士になるし
かないのだろうか。しかし自分に介護士が勤まるだろうか、とエヌ氏は思う。たとえ大便
の処理に慣れたとしても、老人と笑顔で会話できるだろうか。できそうにない。
 エヌ氏は視線を本棚に向ける。C言語、C++、Windowsプログラミング……。
37でプログラマーを目指すとか、馬鹿じゃなかろうか。そして、それらの本の、半分も
理解していない。
 エヌ氏はいつもの通り、朝食を済ませ、混んだ電車に乗り、会社に行き、何十枚もある
伝票のチェックをした。もう一人の事務員である女の子は、エヌ氏の倍の速度で仕事をこ
なしていく。エヌ氏よりだいぶ若い。幸いなことに、電話はほとんど彼女が出てくれる。
明るく明瞭な声で対応する。よく耐えられるものだ、とエヌ氏は思う。電話はひっきりな
しにかかってくるのだ。他の社員は、電話は事務員が出るものだと決めつけていて、出な
い。彼女がどうしても出られない時だけ、エヌ氏が受話器を取る。暗い声で。
 とはいうものの彼女がベテランというわけではない。エヌ氏より半年早く入社しただけ
だ。前職も事務員ではないらしい。元々のできが違うのだ。

 目覚まし音が鳴っている。エヌ氏は枕元の時計のボタンを押して、体を起こす。布団を
押し入れにしまい、階段を下りる。
 顔を洗い、台所に向かう。
「おはよう」
 エヌ氏は母に声をかけた。「おはよう」と返事が返ってくる。
 居間で父が新聞を読んでいる。エヌ氏は声をかけない。
 食パンにマーガリンとジャムを塗り、食べる。世の中に食パンほど飽きる食べものはな
いのではなかろうかと思うが、仕方がない。
「行ってきます」を言い、出かける。
 ああ、自分は将来どうなってしまうのだろう、と考えこんでいるうちに、ふと気がつく。
 ここはいったい、どこだ?
 もしやと思い、バス停に行ってみる。あの時とまったく同じ位置に、まったく同じ服装
の老婆が座っている。
 これは、あの日、あの場所の夢なのだ。
 夢の中で「これは夢だ」と気づく状態を明晰夢というのだそうだが、エヌ氏はそんなも
のを見たのは初めてだ。
 エヌ氏は前と同じようにお婆さんに道を尋ね、教わった通りの道をたどり、ユーニモに
たどり着いた。
 ここで行き止まりなんだよなあ。
 エヌ氏が歩いていると、灰皿の横で若者がたばこを吸っているのが目に止まった。現実
ではそうそう人に声をかけられるものではないが、夢の中なので気楽に尋ねた。
「すみません。駅へはどう行けばいいですか?」
「ここを出てまっすぐ行くとエム越に出ます」
「はい」
「そこを左に曲がってしばらく行くとワイ野屋があります」
 おや? 婆さんから聞いた道と違うな。
「ワイ野屋で右に曲がってまっすぐ行くとエスごうがあります。エスごうで左に曲がって
二つ目の信号を右に曲がります。そこをまっすぐ行くと駅に出ますよ」
「有難うございます」
 牛丼屋で曲がり、エスごうデパートで曲がると、不安になってきた。案の定、青年に教
わった通りの道を進んでも、駅は見つからなかった。
 ここの住人はでたらめだ。誰も信用できないのだ。現実世界でのエヌ氏の心情が反映さ
れているのだろうか。一旦負け組になると、人を信じられなくなる。負け組の心は孤独で、
愛もなく、さびしいのだ。
 ピピピピ、ピピピピという音が聞こえてきた。エヌ氏の意識は現実世界へと引き戻され
ていく。

 エヌ氏は上体を起こした。時計は9時半を指している。今日は休日なのだ。
 エヌ氏は電車で二駅行ったところにある街に出かけた。もちろん、夢の中のそれとは違
い見慣れた場所だ。
 そこには大きな書店と大きなレンタルビデオ屋があり、彼のお気に入りなのだ。
232夢の中の街(3):2012/10/07(日) 22:19:17.09 ID:vMigbMcx
 書店は7階建てであり、インターネットで注文しなくても、大抵の本は手に入る。ミス
テリー、ホラー、SF、プログラミング、果ては神話、科学、雑学に至るまで、様々な本
を読んだ。
 その中からこれだと思う一冊を決めると、近所にあるビーックオフに足を運ぶ。残念な
がらそちらにはなかったので、書店に戻り、買う。
 次に5階建てのレンタルビデオ屋に向かう。1階から順に見ていって、入念にチェック
する。本当は新作を借りたいところだが、節約しなければならないので、旧作を3本借り
ることにした。
 友達も恋人もいないエヌ氏にとって、そういったことだけが楽しみだった。
 家に帰りさっそく映画を1本見ることにする。パソコンのトレイにDVDをのせ、ヘッ
ドフォンをする。ビデオデッキはない。階段の下から母が声をかけた時に聞こえないと後
がうるさいのだが、構うものか。
 このようにしてエヌ氏の休日は過ぎていった。

 目覚まし音が鳴っている。ボタンを押して止め、起きる。布団を押し入れにしまい、階
段を下りる。
 顔を洗い、母に「おはよう」を言う。
 居間で父が新聞を読んでいる。エヌ氏は声をかけない。
 朝食を終え、歯をみがき、服を着替え、「行ってきます」を言い、出かける。
 自分はこれからどうなってしまうのだろう、と考えこんでいるうちに、ふと気がつく。
 ここはいったい、どこだ?
 バス停に行ってみる。同じ位置に、同じ姿勢で、同じ服装の老婆が座っている。
 やはり同じ日の同じ街だ。
 エヌ氏は公園のベンチでくつろいだ。大きな公園で、広場と言った方がいい。どうせ夢
なのだから、会社に行こうが行くまいが関係ない。すると、天然パーマとおぼしき人物が
近づいてきた。
「シュールレアリスムの画家、ディーリは、象に乗って凱旋門を訪れたり、フランスパン
を頭にくくりつけて『ほら、リーゼント』と言ってみたり、その奇行が知られていますが、
それは全部演技で、本当の彼はまじめで内気な性格だったの、です!」
 博識で知られる芸能人、ユー氏だ。
「有名なエムンクの『叫び』ですが、あれは叫んでいるのではなく、叫びが聞こえないよ
うに耳をふさいでいるの、です!」
「ありゃ何ですか」
 エヌ氏は広場の真ん中に立っている、奇妙な像を指差した。
 ティー京タワーにタコの足のようなものが巻き付いており、てっぺんにパラボラアンテ
ナのようなものがついている、変な像だ。
「知らないのですか。あれはオー本ティー郎作、『太陽にささげる悲しみの像』ですよ」
 はあ、オー本ティー郎ねえ。
「ギリシャ神話の時代、オールペウスが妻イーウリュディケーのために琴をひき、それが
こと座になりました。オールペウスの死と同時にこと座でもっとも明るい太陽ベガが白色
矮星となりその生命が果てました。その神話になぞらえてオー本ティー郎が作ったのが
『太陽にささげる悲しみの像』なの、です!」
 現実世界ではこと座のうちの一つの星が消えたなんて聞いたこともないが、とエヌ氏は
思った。
 ユー氏が立ち去った後、エヌ氏は像に近づいてみた。銘板には「ワイ田ケイ男作 堕天
使の像」とあった。全然知らない名前だ。
 同じ日を繰り返していることは知っているが、いったい何月何日なのだろう、と、エヌ
氏はふと思った。
 エヌ氏は家へと急いだ。カレンダーでもいいが、何月かは分かっても何日かまでは分か
らない。エヌ氏の腕時計にも置時計にも日付表示はない。エヌ氏は携帯を持っていない。
人に聞いてもでたらめを教えるだけだろう。
 エヌ氏は帰りつくとパソコンを起ち上げた。Windows7の文字とともにログイン
画面が現れる。パスワードを打ち込んで、画面の右下を見た。
 4月1日だった。


<了>
233創る名無しに見る名無し:2012/10/08(月) 11:29:41.96 ID:q3fOOz41
>>230
うーん、あまり面白くなかったです。
エイプリールフール落ち自体はいいのですが、
主人公が元引きこもりで先行き不安な気持ちを抱えてる描写はなくてもいいんじゃないでしょうか。
不安であるがゆえにおかしな夢をみている、というのは分かります。
しかしそれがエイプリールフール落ちでストンと昇華されないのです。
なぜなら、エイプリールフールと先行き不安な主人公の関係性が見当たらないからですね。
どこかでその二つの要素をつなげらる「テーマ」があれば、まとまりのある作品として読めるようになると思います。
作品の芯である「テーマ」が見えてこないと、「何が言いたいのか良く分からない作品」になってしまいます。
あと、ユーモアとして書いていらっしゃるのかもしれませんが、実在する店や人物のもじりは星っぽい作品としては不適切かと思います。
エクセル・ワード・windows7といった商品名もぼかしたほうがいいですね。
「ワードプロセッサ(ワープロ
)」や「表計算ソフト」、「コンピュータ」などと表現したほうが星らしいかとおもいます。
もう少し欲を出して言うなら、ひきこもり・年金くいつぶしという日本特有の社会現象も、もう少し広い世代・国で読めるような表現になるとさらに良いです。
「親の脛をかじって暮らしているのだ」とか、
「この6年間、働きもせずに家に閉じこもっていた」とか。
星作品は、いつの時代、どこの国(最低でも先進国ならどこでも)で読まれても違和感のないように書き上げているという特徴があります。
234創る名無しに見る名無し:2012/10/08(月) 17:46:47.13 ID:PwHLhjyD
長すぎだろ
オチも弱い
おもんな
235創る名無しに見る名無し:2012/10/08(月) 19:50:00.33 ID:au9n5hQj
>>234
創作板だから作品を批評するレスはかまわないと思うけど
書き手がくじけるからもすこし建設的な感想のほうがいいんじゃまいか。
なにが面白くなかったのか、どうしたら面白くなったと思うかとか
そんなかんじでサ。
(書き手さん減ると読み物が無くなって寂しいのよ。ただでさえ過疎だというのに)

>>230
俺も>>234さんと同意見。
書き方の特徴とか<了>でしめてるところをみると>>196の『過去への電話』の人かな?
どうもワーキングプアとかひきこもりや
ニート、自殺などのネガティブな時事問題をとりあげる作風みたいだけど
もうすこし長い世代で読めるような作品がいいな。
創作SS・コピペとしてなら2ちゃんにあうモチーフだとは思うけどね
内容おなじでも、選ぶ言葉をいじくるだけで結構変われるもんだよ。
あとはもっとストーリーテーリングがちゃんとしてたほうがいいなー
236創る名無しに見る名無し:2012/10/08(月) 19:50:49.90 ID:au9n5hQj
2番めの「>>234さん」は「>>233さん」でした。もうしわけない
237創る名無しに見る名無し:2012/10/12(金) 04:21:56.21 ID:MZjj+bYk
よく伸びるね
このスレ
238創る名無しに見る名無し:2012/10/12(金) 11:09:10.74 ID:afvy0SUv
>>237
有る意味、ぬくいみたい
239創る名無しに見る名無し:2012/10/12(金) 17:28:09.54 ID:BOx3bGBk
書いてくれる人がいるからありがたいよねえ。
結構このスレ楽しみにしてます。
作者の皆様いつもありがとうございます。
240創る名無しに見る名無し:2012/10/12(金) 21:59:35.53 ID:MRQfG1Ef
「人生」

 遥か昔、とある国にN氏と言う将軍がいた。
 彼は四十代半ばで威風堂々とした風貌。政治的な手腕も優れ、戦が起きれば先頭に立って戦った。
 政敵や敵国から命を狙われたり、戦で負けて命からがら逃げおおせたりしたものの、
 国王から何度も勲章を貰い、国民の誰からも愛され、そしてN将軍も国や人々を愛した。
 しかし、そんな彼も病に倒れてしまう。その時代では治せない病気であった。
 日に日にやつれて行くN将軍。そんな彼を国王が見舞いに来てくれた。
 何でも彼のために国外まで薬を探していると話してくれた。
 だからそれまでは死んではならぬと国王から命令された。
 次にN将軍の息子が来てくれた。彼が残した仕事は全て息子が処理をしてくれたようだ
 それだけではない、家族の事もきちんと自分が面倒を見ていると話してくれた。
 だから何も気にせず病気の治せと言って背中を擦ってくれた。
 最後にN将軍が入っている宗教の神官がやってきた。
 あなたのやったことはとても素晴らしい事だ、だから神様が何とかしてくれる。
 そう言ってとても高価な聖水をN将軍に振り掛けてくれた。
 次の日も、また次の日も色んな見舞い客が来てくれた。
 だが、看病の甲斐も無くN将軍は亡くなってしまった。
 彼を取り巻く人々は大いに悲しんだがN将軍自身の死に顔はとても安らかであった。

 N氏は病院のベッドの上で目を覚ました。
 そこには国王も自分の息子もいなければ、すばらしい勲章も無い。あるのは自分の細い腕だけであった。
 夢の中では治せなかった病気は科学の発展により簡単に治せてしまうため、見舞いに来る人間も少ない。
 寝そべりながら天井を見つめN氏は小さくつぶやいた。
「百年以上生きても、何もない人生は辛いな……」
 今日もまた、生かされる人生が始まろうとしている。誰もいないこの部屋で。

 どうもひねりが足りない気がします
 直すにはどうしたらいいのでしょうか?
241創る名無しに見る名無し:2012/10/12(金) 22:46:06.77 ID:/UyJAX8V
まず解説よろ
242創る名無しに見る名無し:2012/10/12(金) 23:21:12.05 ID:BOx3bGBk
おー新作来てた。
夢オチを逆手に取ったような作品ですね。
主人公の立場が不幸→幸せ→不幸みたいな感じに変わっていって
なかなかの出来の作品じゃないでしょうか。発展しすぎた世の中に対する皮肉ですね。
この作品はこれ以上ひねりようがないように思います。
少なくとも私には分かりません。お力になれずすいません。
243創る名無しに見る名無し:2012/10/13(土) 17:44:21.88 ID:GJXXiPWV
「もはや私の寿命が尽きるのも時間の問題か……」
城の窓の外を舞い落ちる枯れ葉を見つめながら、病床のエヌ将軍は呟いた。
一兵卒から成り上がったエヌ将軍は戦時には外敵と、平時には政敵と幾度もの戦いをくぐり抜け
その堂々とした体躯は四十代半ばにして無数の傷痕ときらびやかな勲章で覆われていた。
王や国民にも愛され、エヌ将軍もまた国とそこに住む人々を愛していた。
そんな彼でも病魔には勝てない。不治の病に侵されたエヌ将軍の腕は
戦場を走り回っていた頃とは比べようもないほどに痩せ衰えていた。
そのエヌ将軍を国王が見舞いに来た。
これまでの功績に感謝し、国外にまで薬を探させている事を伝え、
薬が届くまで死んではならぬと厳命した。
続いて将軍の息子が部屋を訪れた。やり残した仕事は全て引き継ぎを済ませた、と報告し
家族についても自分がしっかり面倒をみるから治療に専念してほしい、と背中を擦ってくれた。
息子が出ていくと入れ替わりに神官が入ってきた。
将軍の快癒を願う人々で教会は一杯だと述べ、幾度も国を救った行為は神が見ておられる、
そう言いエヌ将軍に高価な聖水を振り掛け祈祷してくれた。
その後も続々と見舞い客がひっきりなしに将軍の下を訪れた。
だが、祈りや看病の甲斐なく間も無くしてエヌ将軍は亡くなった。
弔う人々の顔は一様に大きな悲しみを表していたが、エヌ将軍自身の死に顔はとても安らかなものだった。

「オ目覚メノオ時間デス。ゴ利用アリガトウゴザイマシタ」
ロボットの合成音声に促され、エヌ氏は睡眠カプセルから身を起こして大きく伸びをした。
国王もいなければ城も無い。左右にあるのは自分が寝ていたのと同じような卵の形をした白いカプセルだ。
科学が極度に発達した現在、人は病気になることもなく好きなだけ生きられ、物資の不足で戦争になることもない。
仕事でさえも茫漠とした毎日に刺激を与えるため、形式的に存在するだけだ。
エヌ氏が横たわっていたこの睡眠カプセルは、そんな退屈さを紛らわすために見たい夢を見せてくれるという発明だ。
だが起き上がったエヌ氏は、また始まる平穏な日常を思って憂鬱そうな顔で一つ溜息をつく。
「まったく、人生とはつまらないものだな……」
エヌ氏はカプセルの横に置いた自分のカバンを拾い上げ、午後からの「仕事」に出かけた。




僭越ながら後半部分を大幅に変えて、現代(未来)の便利さと退屈さを強調してみたのですが如何でしょうか?
蛇足になってしまったのなら申し訳ございません。
244創る名無しに見る名無し:2012/10/19(金) 22:33:03.31 ID:NmOKARlO
久しぶりにきたら読んでないの五作もあった。今から読む
245創る名無しに見る名無し:2012/10/22(月) 23:05:07.04 ID:XgJCyckX
ここまで読破
面白かった順に
>>99 >>196 >>15 >>207 >>234 >>19
246創る名無しに見る名無し:2012/10/22(月) 23:05:47.82 ID:XgJCyckX
>>234じゃなくて>>243でした
247創る名無しに見る名無し:2012/10/23(火) 01:35:23.80 ID:QvnR6mSr
「ここが星新一風じゃない」とかいちいち指摘してたら、どんどん書き手が減っていって
しまうよ?書き手のほとんどは、「星新一の本なら読んだことがある」程度で、星新一の
ファンは少ないだろうからね。
248灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/10/23(火) 02:47:24.35 ID:UKQMvYyW
>>245さん
ありがとうございます!
249創る名無しに見る名無し:2012/10/23(火) 22:04:49.19 ID:VCaynyt5
>>247
どっぷりファンで一応書き手だけど指摘はされる。
でもされたからって書くのをやめようとかは思わんよ。
次がんばろーってなるだけ。少なくとも俺は。
たしかにコキおろすだけのレスじゃやる気なくなるかもしれないけど、
そういう負の気持ちだけで感想意見レスしてるわけじゃないでしょ、読み手も。
それと、「星新一」っぽいってスレタイだからこそ星ファンとしてここに来てるのに、
全く星風じゃない作品ばっかり投下されてたら他の創作スレ行くわい。
250創る名無しに見る名無し:2012/10/25(木) 19:51:19.41 ID:JLhPqUkw
これは違うだろってのはあるが、「っぽい」の解釈は人それぞれだからなあ
251創る名無しに見る名無し:2012/10/25(木) 22:10:29.71 ID:bQb8S9nx
「俺は星っぽくないとと思う」とか「俺は問題ないと思う」とか言うのはいいと思うよ。
第3者が「指摘するな」ってのはおかしいかな。
創作発表スレに投下するってことは、誰かの何らかの反応を待ってるわけだから。
どんな作品も手放しで褒めりゃいいの?違うだろ。
もちろん、全く建設的でもなく、攻撃的なレスは論外だが。
そういう場合は、「指摘するな」じゃなくて
「そういう言い方はどうだろう」って言えばいい(あまりにも厄介な奴はスルーな)。

あ、書き手本人が「指摘はご勘弁を」って一文いれとくのは有りだと思うよ。
252創る名無しに見る名無し:2012/10/27(土) 17:24:21.61 ID:cJODoU8z
>>173
これアイデアは秀逸だな。なんかリアリティあるし。後半真面目に書けばかなり面白い作品になったはず
253創る名無しに見る名無し:2012/10/28(日) 02:43:17.24 ID:2E9QCWtC
2ちゃん荒らし小説

工事現場で棒を振る

エヌ氏は工事現場で棒を振る仕事をしていた。
「おいエヌ、ぼやぼやするな」
監督の怒声が響く。
「しっかりやってますよ」
「ぼやっとしてるじゃないか」
ふと手を見ると、エヌ氏はきゅうりを握っていた。

笑って暮らせる人生

エヌ氏は重病で死にそうだった。
「ああ、振り返ってみれば、俺の人生はなんて惨めな人生だったろう」
友達もいず、いじめられ、ひきこもりになり、恋愛もしたことがなく、童貞で、貧乏で、
何もいいことがなかった。
「ああ、笑って暮らせる人生を送りたかった」
エヌ氏は死んで、閻魔様の前に立たされた。
「残念ながらお前の行く所は地獄だ」
「え? どんな地獄ですか?」
「くすぐり地獄だ」
途端に獄卒達がエヌ氏をくすぐり始めた。
「ひー、やめてくれ!」
エヌ氏はゲラゲラ笑いながら何万年も過ごした。

巨万の富

「私が巨万の富を得るに至った経緯を話してやろう」
エヌ氏は誇らしげに言った。
「まず私は1本の犬の糞を見つけた。それが始まりだった」
エヌ氏の話は長々と続いた。
「こうして私は巨万の富を得たのだ」
エス氏は目の前の山を見上げた。
巨万の富と言っても巨万の金ではなく巨万のうんこだったのだ。
「なんだスカトロマニアかよ」とエス氏は思った。

ブラックえもん

「ブラックえもーん、ジャイアンが! ジャイアンがああ!」
いつものようにのび太が泣きついてきた。
「んもう、しょうがないなあ、のび太君は」
タラタラッタラーン!
「安楽死施設ーっ!」

ちんこ、旅に出る

ちんこはシコられて、主であるブサ男が恍惚とする表情を見るのがたまらなく嫌だった。
ちんこは夜中にこっそりブサ男からスポーンと離れて旅に出た。
だがすぐに後悔することになる。
通りすがりのエヌ氏がちんこを見つけ、シコってあげた。だが快感を感じるのは脳であり、
ちんこ自体は少しも気持ちよくなかったのだ。
「これからどうするんだい?」とエヌ氏は聞いた。
「俺、吟遊詩人になります」とちんこは答えた。
254創る名無しに見る名無し:2012/10/28(日) 16:10:11.00 ID:ppeVwGwn
工事現場で棒を振る、だけギリ合格
下ネタオチにもっていくのかと思ったけど、予想を裏切られたから
255創る名無しに見る名無し:2012/10/29(月) 17:26:53.72 ID:oADZ/HnK
書けるか
256創る名無しに見る名無し:2012/11/03(土) 22:39:26.35 ID:7q+wQxE2
>>253
くすぐり地獄いいなあ
本人たちにとったら真剣でも
傍から見る限りでは微笑ましい
257創る名無しに見る名無し:2012/11/04(日) 12:46:59.69 ID:zNgZgDHg
大学の研究室
そこには在日韓国人嫌いの科学者エヌ氏がいた
エヌ氏はこの世から嫌なものを消し去る機械を作っていた
そして半年後ついにその機械は完成した

エヌ氏は薄暗い研究室で一人呟いた
「ふふふ、ここに消したいものの名称を入力するだけで…それだけであの憎き韓国人どもが消えるのだ!ふふふ」

そしてエヌ氏は機械に【在日】と入力しボタンを押した

その瞬間、日本から人が消えた
258創る名無しに見る名無し:2012/11/07(水) 17:06:32.05 ID:/Uc60lzC
>>253
笑いのない人生は罪である。またそういう人生を送ったのは自己責任。
天界は厳しいなあ。

栄養価の富んでいるアレだけに富なのか、ふむ。

>>257
うーん、ノートに自分の名前を書き忘れたテキなうっかりオチですか。
259創る名無しに見る名無し:2012/11/09(金) 23:43:50.57 ID:uYikzvBJ
本家星新一の『特殊大量殺人機』ならこんなことにはならないのにな
260創る名無しに見る名無し:2012/11/10(土) 23:34:05.92 ID:R7AhJrS7
特殊大量殺人機に興味が湧いて、それ収録の本をブックオフで探したんだがなかった。
代わりに「かぼちゃの馬車」ってのを買ってきた。
十数年ぶりに星新一の本読んでる。
一話目の「秘密結社」読み終わったところで書き込み。
これはいまいちだったが、文章は読みやすいな。
261創る名無しに見る名無し:2012/11/11(日) 03:22:22.96 ID:wVkdBk8M
>>253
ちんこの話し、ネタのつもりだろうけど253の中で一番好き
262創る名無しに見る名無し:2012/11/11(日) 18:32:35.95 ID:Pa+tMQxq
【悪魔の魔法】

N氏の前に悪魔が現れ言った。

『どんな願いでも一つだけ叶えてやろう
だが3日後にお前の魂をいただく』

N氏は困った。
願いは叶えて欲しい。が、当然魂は奪われたくない。
その時N氏にある考えが浮かんだ。

「奪う魂というのは1つなのか?
例えば俺の魂を5つに増やしたとする
そして3日後に奪う魂は5つの中の1つ…
という事は可能なのか?」

悪魔は観心した顔で答える。

『良いところに気付いたな
その方法ならお前は死ぬ事無く
4つの魂を手にする事が出来る
数が多ければ不老不死も夢じゃない』

N氏は言った。

「じゃあその願いだ!俺の魂を増やしてくれ!
数は多い方が良い、ありったけの数だ!」

悪魔はうなずき、呪文の様な言葉を呟きだした。
そしてN氏に魂の数が増えた事を告げた。
N氏は喜び悪魔に何度も感謝をした。

「しかしすごい魔法だ、お金とかも無限に増やせるのか?」

N氏の質問には意外な答えが返ってきた。

『実はこの魔法は増やすのではない。移動させる魔法なのだ』

「移動させる魔法?」

『例えばお金なら世界中の金庫などから少しずつ金を集めるというわけだ
無から有を作り出す呪文ではない』

そうなのかという顔をするN氏に背を向ける悪魔。
少しずつ消え去りながら最後にこう言った。

『60億もの魂を与えたんだ
今日は外が静かだな』
263創る名無しに見る名無し:2012/11/11(日) 20:03:54.22 ID:ZqDGt6tY
>>262
オチが>>216とかぶってる印象を受けた。
この移動させるって発想は、星新一の作品(タイトルは思い出せない)でもあったような。
魂の定義がいまいち分からない。肉体的老朽まで魂が防いでくれるのか。
ということでストンとオチた感じがしなかった。
264創る名無しに見る名無し:2012/11/11(日) 21:41:20.72 ID:Pa+tMQxq
>>263
「N氏を世界に一人ぼっちにしてやろう」というバッドエンドを書きたかっただけなので
魂の細かい設定は考えていませんです。
出直してきますw
265丸猿 ◆jOiS8pzy3E :2012/11/12(月) 05:50:59.30 ID:B/FVrQMQ
>>262
理屈抜きに、こういうネジ曲がったオチは星新一っぼくて好きだよ

【ある種族の滅亡】

その部族は、どんなに文明の発達した大国よりも凄まじい武力を持っていた。
近隣の大国を武力で威し、自分達に敵対する種族をいくつも滅亡させてきた。

そんな彼らの部族に、ある流行り病が訪れた。
人から人へと感染し、発熱と皮膚の疾患の末に命を落とすという恐ろしい病気だ。
武力に至っては他のどんな国よりも優れた彼らの部族だったが、医学についての発展は乏しく
彼らがその山井について知り得た情報は、
どうやら、ドブやごみ溜めの中に生息し、腐敗したものを食す小動物から感染したものだということだけだった。

そこでその部族の王は、隣国の最も優れた医師を招き、病に伏せる一人の患者を診察させた。
医師曰く、「偉大なる部族の王よ。ご安心なさいませ。この死病の発生源となりました小動物。その小動物の体内には血清と呼ばれますこの死病の元を打ち消す性質を持った血肉がございます。
その小動物をほんの1匹捕まえてきていただければ、たちどころに人の体内に潜みまする死病を殺す、血清を作って見せましょう。」

その言葉を聞いた一族とその王は、たちどころに顔をに青ざめさせた。
その部族が死病により滅んだのは、それから数年先のことだったそうだ。
266創る名無しに見る名無し:2012/11/12(月) 14:30:15.35 ID:060tztzL
>>262 完全に親しげな悪魔のパクリなんですがそれは
267創る名無しに見る名無し:2012/11/12(月) 17:08:52.97 ID:PsIkqJGI
>>266
親しげな悪魔 という作品を知らずに創作しました。
酷い劣化コピーなんでしょうねw
決してパクリではないです。たまたま似てる(?)だけです。

無知って怖いですね。勉強します。
268創る名無しに見る名無し:2012/11/12(月) 18:37:15.69 ID:PsIkqJGI
【署名】

『…という訳で一週間後にあなたの命を頂いていきます
それまで身の回りの整理をしてて下さい』

軽い口調で死神はR氏にそう言った。

「私があと一週間の命で、あなたに殺されてしまうのは諦めましょう
でも一つだけ心配事があるのです」

R氏は不安そうに死神に言う。

「やっぱり死ぬ時は痛いんでしょうか?出来れば何の苦しみもなく死にたいのですが…」

『ご安心下さい、何の痛みもなく一瞬で死ねるコースと
ものすごい激痛を伴いながら死ぬコースと2つ用意しています
楽に死ねるコースで良いですね?』

「コース?は、はい、それで良いです…」

『分かりました!では一週間後!』

そう言い残して死神は消えていった。
変な死神が来てしまったと不安になるR氏。その時後ろから声が聞こえた。

『署名お願いします』

R氏が振り返ると白い服の見たこともない男がいる。
足元を見ると宙に浮いている。幽霊だということはすぐに分かった。

Aに続く
269創る名無しに見る名無し:2012/11/12(月) 18:39:14.76 ID:PsIkqJGI
署名そのA


「やれやれ、死神の次は幽霊か…いよいよ人生終わりだな
今、署名と聞こえたんだが一体何の署名なんだい?」

幽霊の男は答えた。

『実は今あの世で刃物を投げ合うのが流行ってるんです』

「刃物を?」

『はい、ナイフや包丁です。幽霊は死にませんが刺さるとすごく痛いんです
あまりにこの遊びが流行り過ぎて、ついに刃物を法律で禁止させる運動が
あちこちで起こってるんです』

「もう無茶苦茶だな…どうなってるんだあの世は…」

『あなたの1票で禁止派が勝てるんです、署名お願いします!』

R氏はバカバカしいと思ったが、よく考えたらあと一週間でそのあの世に行くのだ。
そんな治安の悪い狂った世界に住まなきゃならないと思うとゾッとした。
R氏はすぐに「刃物禁止」に署名をした。

「ふう…これで快適な死後を送れる…」

一週間が経ちR氏の所に死神がやってきた。

「やあ、待っていた…というと変だが、ついにこの時が来たという感じだ
約束通りに痛みもない楽なコースで命を奪ってくれ」

しかし死神の様子がおかしい。

『いや、それが…』

「どうしたんだい?」

『一瞬で命を奪う事が出来る死神の鎌というのがあるんだがね…
最近、刃物の使用が法律で禁止されたんだよ
悪いけど苦しいコースで死んでもらうよ…』
270創る名無しに見る名無し:2012/11/12(月) 20:05:29.15 ID:A7dZU5oM
>>265
誰か、解説してくれ。滅亡した理由が分からん。
勇猛果敢な部族だが、小動物は怖くて触れないみたいなことを皮肉ってんのか?
小動物を敵対する部族と捉えるのは無理があるんで、絶滅させてしまったからっていうのは
自分的には受け入れられない。
まじで分からん。

それにしても新作ラッシュだな。作者の方たち、乙。
271創る名無しに見る名無し:2012/11/12(月) 23:57:49.67 ID:XZo5gcw2
>>270
恐らく小動物は”敵対する種族”として消された
”部族”なら人間限定だけど”種族”だから人外も入る
272丸猿 ◆jOiS8pzy3E :2012/11/13(火) 03:14:27.89 ID:sT6+89Go
>>271
ご明答です。
ついでにタイトルも「ある部族の滅亡」ではなく「ある種族の滅亡」だったりします。
273創る名無しに見る名無し:2012/11/13(火) 08:39:04.75 ID:ut08I6d2
数年先じゃなくて数年後の方がいいな
こいつらゾンビかと混乱した
274270:2012/11/13(火) 18:25:08.86 ID:qPZCROfQ
回答してくれた方たち、ありがとう。
叙述トリックでしたか、すっきりしました。
275創る名無しに見る名無し:2012/11/14(水) 16:54:47.30 ID:SPWY8wbL
誰か、解説してくれ。どこが叙述トリックなのか分からん。
276創る名無しに見る名無し:2012/11/15(木) 08:41:55.37 ID:2+rKyOZE
>>268
上手いな
277創る名無しに見る名無し:2012/11/17(土) 20:15:24.06 ID:Y3YH+yNV
ここより更に短い「原稿用紙二枚分程」のショートショート、今夜募集中です。
読み慣れた方の評価感想がもらえます!

ワイが文章をちょっと詳しく評価する![24]
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1347027778/


第十六回ワイスレ杯のルール!
名無しの書き込みを必須とする!(名乗った場合は通常の評価に移行する!)
設定を活かした内容で一レスに収める!(目安は千文字程度、三十二行前後!) 一人による複数投稿も可!
通常の評価と区別する為に名前欄、もしくは本文に『第十六回ワイスレ杯参加作品』と明記する!
ワイが参加作品と書き込む前に作者が作品を修正する行為は認める!

今回の設定!
落ちのある話! それ以外の決まりはない!
内容の切れ味がものを云う! まさに真剣勝負!
ワイスレ杯で初のショートショートに挑むがよい!

応募期間!
今から土曜日の日付が変わるまで! 上位の発表は投稿数に合わせて考える!
日曜日の夕方に全作の寸評をスレッドにて公開! 同日の午後八時頃に順位の発表を行う!
278創る名無しに見る名無し:2012/11/23(金) 01:52:46.51 ID:gLprsOlN
なるほどね
279創る名無しに見る名無し:2012/11/23(金) 02:35:33.33 ID:uI2f8V8i
280創る名無しに見る名無し:2012/11/27(火) 09:06:25.16 ID:/80TCHFW
コピペブログに転載されてる
ttp://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/4343107.html
281きまぐれ箒星 ◆q0ll/nVCA6 :2012/11/27(火) 11:04:19.81 ID:jdd5xalQ
哲学ニュースなら前から転載されてたぞ
それよりもっと許せないことが
前に自分が書いたショートショートを、転載元のスレがここだと分からないように(どのような意図で書いたか分からないように)された上で転載された
タイトルも消されて勝手に改変
てめーのことだよ2chコピペ保存道場
282創る名無しに見る名無し:2012/11/27(火) 23:29:14.62 ID:2M1Uhpv6
それだけ面白かったってことでもあるんじゃね。
火に油を注ぐ発言になってしまったのなら、ごめんなさい。
283創る名無しに見る名無し:2012/11/28(水) 02:07:25.87 ID:LboneTAa
【足踏み】
「ついに完成したぞ」
N氏は大きな電源板を取り付けると、湧き上がる歓喜をおしとどめつぶやいた。
この巨大な装置の完成という瞬間をN氏はたった一人で味わうため、何年も前から独自でこのタイムマシンの開発に勤しんでいたのだ。
「私の仮説は本当に正しいのかこれで白黒はっきりとする。」
蛇のように黒く頑丈なケーブルを電源から引きずる。
「我々は長く時間という概念を勘違いしてきた。すべての物事は時間というレールに沿ってその上を走る台車のように前後を移動すると思ってきた
 だがそれは間違いだ。物事は暴走するラジコンカーのようにすべての方向に勝手気ままに移動する。それを見て我々が時間の前後という概念を当てはめただけに過ぎない。」
車よりも巨大な発電機をフル稼働へと切り替え、マシンへの供給準備を整える。
「つまりタイムトラベルに必要なのは時間という概念を操る事ではない。縦横無尽に散らばった全ての物質を元の場所に戻す事だったのだ。
 そうすれば我々にとっては時間が戻ったと同じ、つまり過去へと戻る事が可能になる」
ケーブルを部屋の中央のマシンへとしっかりと繋ぎエネルギーの供給をかくにんする。
マシンの表示は10秒前を指している。初の運転で長時間のタイムトラベルは非常に危険だ。そのため、初めは短時間のタイムスリップから徐々に時間を延ばしていく計画を立てたのだった。
10秒前のこの部屋が安全であったことは誰よりも分かっている。
「この発明により、人類は未来に向け大きな一歩を踏み出すことになる。その出発の号令を今私が下すのだ。」
N氏が熱い思いとともにマシンのスイッチを押しこんだ。それと同時にマシンから放たれたエネルギー派はこの世界、この宇宙すべての物を10秒前の場所へと移動させ始めた。
地面に落ちた雨は上空へ上り、信号を渡った車は赤信号の前に停車し、カウンターの下で割れたグラスは酔っぱらいの手元へ戻った。
そして、地球は少しだけ逆に自転し、少しだけ後ろへ公転した。太陽から放たれた光子は太陽の中へ戻され、混ざり合い化学変化を起こした原子は元の状態へ引き離された。
そして、タイムマシンのケーブルは外れ、N氏の脳内のシナプスを走る電流は元の場所へと帰って行った。

世界の全てがN氏の発明により思った通りに元通り、マシンが自分の働きを完了した時、部屋の真ん中には太いケーブルを握ったN氏が立っていた。
「この発明により、人類は未来に向け大きな一歩を踏み出すことになる。その出発の号令を今私が……
284創る名無しに見る名無し:2012/11/28(水) 20:30:02.09 ID:LboneTAa
【自然破壊】
 その怪物は平和で騒がしいいつもの日常の中、突如として現れた。
 長い緑色の毛を持った巨大な怪物は人々が驚く隙も逃げ惑う隙も与えずに、軽々と都心のビルを破壊しはじめた。
街の住民は大パニックに陥り蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
 逃げ惑う車や住民を踏み潰しながら、怪物は都心から郊外へ移動を続け、沿岸沿いで煙を吐く工場を抑止なる尻尾でなぎ倒していった。
 「まるで悪夢のようだ……」「早く軍隊を動かせ!!」「都市を離れて隠れよう!!」
 出動した軍隊の撃つミサイルや銃撃はその独特の体毛により弾き返され、足元の都市に爆撃が降り注ぐばかりだった。
 「見ろよあの怪物の顔。まるで俺たち人類に対して壮絶な怒りを持っているようだ。」
 怪物は汚水を垂れ流す工場をたたき潰し、牧場や家畜場を破壊し、人間の住居を見つけるやいなやこれでもかとなぎ倒していった。
 その様子を知った一人の男がつぶやいた。
 「ああ……、あの怪物はきっと自然を破壊し自分たちの繁栄だけを優先して発展してきた我々人間という種族に対して使わされた天罰なのだ……。
その証拠に、あの怪物は動物や植物、魚や鳥には非常にやさしいではないか。自然を蔑にしてきた我々は甘んじて破滅を受け入れるしか無いのか」
 幾度にも及ぶ怪物による徹底的な破壊に憔悴し、人々が軍事力による抵抗すら気力を失いかけたその時である。
なんと空からもう一匹の怪物が現れたのだ。
 「うわぁ!もういよいよおしまいだ!」「俺たちはもう死ぬしか道は無いのか。いっそ怪物に踏み潰されて一瞬で死んでしまおうか」「おい待て、様子がおかしいぞ」
 暴れていた怪物は、明らかに後から来た怪物に対しておびえているではないか。
やがて、後から来た怪物は暴れん坊の怪物を引きずるようにして、人々が見守る中、空の上さらに上へと飛び去って行った。
 後には荒れ果てた瓦礫の砂漠と静寂だけが残された。

 「勝手に入ってはいけないと書いてあったはずだぞ。この件は両親にも報告させてもらうからな」
 「わかったから引っ張らないでよ!」
 二人の怪物は宇宙空間を泳ぎながら20光年先の母星をめざし泳いでいた。
 「勝手に入ってしかも特定の生き物だけを殺すなんて。いったい何を考えているんだ。」
 「だって酷いのよ。あの星のあの生き物。ほかの生き物を捕らえて死ぬまで小屋に繋いだり、住処をガスや油で汚したり。周りの生物を絶滅させたりしちゃってるんだから!かわいそうじゃない!」
 やれやれ、またこういう子供が出たか。思春期の感情的な盛りはこういう独善的な考えをする青少年が多いように感じる。
尻尾をイライラと振り回しながら目の前の子どもにどう説明してやるか考えあぐねる。その胸のポケットには「宇宙自然保護協会 保護観察員」との刺繍が施されている。
 「いいかい?あの星に住む野良宇宙生物がいくら他の宇宙生物を食べたり、繁殖のために利用したり、排泄されたもので汚したとしても、それは立派な自然の一部なんだ。
君の勝手なかわいそうという感情でその法則を乱したりしちゃいけないだろ?そういう行動をなんと言うか知っているか?」
285創る名無しに見る名無し:2012/11/28(水) 21:50:38.87 ID:LboneTAa
【英雄として】
 閑散とした深夜の遊歩道をN氏は走っていた。
 「間に合えっ!!!くそっ間に合ってくれ!!」
 こんなに必死になって走ったのは刑事になって初めての事だ。今、N氏は自分が一つの事件の、物語の主人公として生きているように実感していた。
 事の初めは些細な家出捜索だった。簡単な事件で非行娘が保護されるだけだろうと踏んでいたが、この家出がマフィアの過激グループの取引と関係があることに気が付いてからN氏の日常は一変したのだ。
 グループの事務所に捕らえられた社長令嬢の美女を深夜の潜入により助け出し、下っ端を撃退し割らせた口から次なる取引の場所を突き止めた。
 奪ったバイクの後部に彼女を乗せ逃走を計るが、左腕に銃撃を受け海に転落。
事故のショックにより一時的に記憶を失った社長令嬢のかすかな記憶の断片を頼りに操作を続けついに黒幕が警察内部にいることを知る。
仲間とともに取引の現場を押さえようとするが、仲間の中にも裏切り者がおり一網打尽に。だがなんやかんやで間一髪生き延び、燃え盛る工場跡地でついに黒幕との決着をつける。
これですべてが終わった……。そう思ったとき黒幕であるかつての上司が某タワービルに爆弾を仕掛けている事を告白。
上司の最後の良心をゆさぶり隠し持っていた解除キーを受け取ると、30分後に爆発する時限爆弾を止めるために私は走り出したのであった。
 ここからタワービルまでは車で全力で飛ばしても20分以上はかかる。駅に向かい何としてもタクシーを捕まえなければ
 やがて街灯がきらびやかにともされたロータリーに一台のタクシーが待機しているのが見えてきた。よし!あのタクシーに乗り込み俺はこう言うんだ
 「○○タワービルまで全力で飛ばしてくれ!頼む!沢山の人間の命がかかっているんだ!」
 爆発までにきっと間に合う!できるさ!この物語の英雄は俺なんだから!
 希望に熱意を乗せタクシーに向かってスパートをかけ突っ走る。
 
だが、その時、ロータリーの向こうから一人の男が同じく全力で走ってくるのが見えた。何だあいつは。
顔はなかなかの二枚目だが、穴だらけのボロボロのジャケットを着ている。しかし、今の俺には関係の無い事だ。今はいち早くタクシーに乗り込まねば。
駆け寄り、運転手が開けるよりも早くドアノブに伸ばした手が不意にぶつかった。ふと見れば先ほどのジャケットの男だった。
何てことだ。この一大事にこんなくだらない奴に時間を取られる暇は無い。しかし、ここは冷静に事情を話してタクシーを譲ってもらうしか無いだろう。
「すまないが、先を譲ってもらえないか?」
N氏は驚いた。私が言おうとした言葉を向こうが先に言ってくるとは。しかし、なんと図々しい奴。
こいつには何百人の命がかかった爆弾の事など念頭にあるわけが無いが、こいつのどうでもいい都合のために何故私が先を譲らねばならない。
何の待ち合わせか知らないが、こちらは一刻を争うのだ。
「いや、すまないが緊急事態でね。どうしても…」
相手の男はN氏の言葉を最後まで聞くことなく、血の付いたジャケットの胸元から手帳を取り出した。突きつけられた手帳にN氏は目を見張った。
「私はFBI捜査官だ。今この国に向けられたICBMのスイッチが押されようとしている。15分後までにある場所へ向かいスイッチが押されるのを阻止しなければならないんだ!頼む!」

数日後、Nは自室のアパートで新聞を読んでいた。某タワービルの爆破はいまだ大きく取り上げられ悲劇のニュースとして日本中を沸かせている。
N氏は爆破を止められなかった責任を問われ懲戒免職となり、助けた美女からはお礼の言葉は受け取ったもののその後何の音沙汰も無い。
ミサイルが飛んできたようなニュースも無かったのでおそらくあの時タクシーを譲った彼は上手くやったのだろう。
今頃は一緒に戦った美女のパートナーか、助け出したヒロインか何かとよろしくやってるのかも知れない。
クソ、俺だって世界のためを思ってあの時道を譲ってやったというのに、この差は何だ。
あの時、タクシーを譲っていなければ少なくとも俺は数百人の命を救った英雄だ。その後ミサイルがふってこようが人が何人死のうが知ったことか。
今度同じ事があったら絶対に譲ったりなどしないぞ。いや、同じことなど二度とあるだろうか。俺の物語は終わってしまったのだ。
ならばこんどはいっそ英雄としてではなく…
286創る名無しに見る名無し:2012/11/29(木) 00:11:31.76 ID:yk7QrbPe
【Tシャツの向こうで】@
 楓の森にある白い別荘は、海岸から吹く暖かな初夏の風を受けキラキラと輝いていた。
ペンキが褪せたバルコニーで安楽椅子に座るN氏は、心地よいゆりかごの揺れの中で自分の先が短い事をゆっくりと噛みしめながら余生を過ごしている。
 こんな乾いた風が吹く初夏は、N氏は決まって子供の頃を思い出す。坊主頭でやんちゃな、わがままな少年時代を。

 N氏が生まれたのは海の無い町だったので、夏休みになると連れて行ってもらえる海水浴というのは最高の楽しみで、予定の1週間も前から友達に自慢する始末だった。
 混雑する海水浴場で多少の窮屈さは感じながらも、暖かな海風と熱された砂、どこまでも深くどこまでも広い海洋があるだけで彼にとっては満足なのであった。
 「こんな海岸を独り占めできたらすばらしいだろうなぁ」
 やんちゃでわがままな少年はそんな事を考えながらも、やはりそれが無理な願いであることを分かっていた。
 
 あれはいつの日の事だったか。夏が終わり木々が人々のために葉を暖かな色へと塗り替え始めたころ、母とともに出かけたのは、近所の噴水公園で行われるフリーマーケットであった。
 田舎の町の割には賑わいを見せ、紅葉した木々に負けないほど色とりどりの家具や服や鍋やわけのわからないものが所狭しと並べられていた。
 少年のN氏は母の静止も聞かず、売り場の迷路の中を縦横と駆け回り、面白そうなものをみつけては目利きのコレクターさながらに選ぶマネをしたりして大人たちに笑われていた。
 一通り駆け回り木陰で休憩をしようとしたとき、木の陰から妙な音がした気がした。それは遠く遠くの知らない場所で人知れず吹く地吹雪のような音だった。
 ふと見れば、だれも気付かないような木陰の裏に何枚かの子供用のTシャツが丁寧に畳んでおいてある。
 まじまじと手に取ってみればTシャツにははかないパステルカラーのクレヨンのようなもので雪山であったり、火山であったり、星空や知らない街並み、漫画で見るような未来都市などが描かれているのだ。
 少年N氏は次々とTシャツの柄を手に取って眺めていき、やがてその一つを抱えると短パンのポケットから500円硬貨を取り出し、そっとTシャツの山の上へ置いた。
 
 満足な買い物ができた少年N氏は上機嫌で家路についた。青いパステルカラーのTシャツには大好きな海と砂浜が描かれていた。
 それは彼が夢想していた理想の海岸に極めて似通っていて、まるで潮風の匂いを感じられるかのようだった。
 自分で服を選んだことなど無かった少年N氏は、なんだか誇らしいような、気恥ずかしいような気がして親の前では絶対に着ない。初めて袖を通す時は自分ひとりで。と心に決めていた。
 夕食の買い物に同行せず、少年N氏は一人Tシャツを脱ぎ鏡の前で手に入れたシャツを被った。
 とたん、眩しい太陽光が瞳に差し込み、驚いた少年N氏は砂浜の上に尻餅をついてしまった。
 しばらく呆然と自分がどこにいるのかを把握できないままでいた。少年N氏はヤシの木が生える遠い異国の海岸のような場所へ座っていた。
 目の前には凪いだ平行な海が広がり、淡い黄色の砂浜は日の光を蓄えて暖かく輝いている。風も音も何一つ存在しないかのように、いつまでも穏やかな時間をたたえている。
 これは夢だろうか?しかしさっきまで部屋でTシャツを着替えていたのは間違いのない事実だと思う。
思いついたようにN氏がTシャツを脱ぎ捨てると、そこにはいつもと変わらぬ夕刻の自分の部屋と床に落ちたシャツだけがある。
そっとシャツを被るようにして襟口から見上げると、磨き上げられたようなブルーの夏空が雲一つないまま広がっているのだった。
 
287創る名無しに見る名無し:2012/11/29(木) 00:12:39.39 ID:yk7QrbPe
【Tシャツの向こうで】A
それからというものその海は少年N氏だけの海であった。
持ち込める者は袖口を通る小さなビニール人形やキャラメルだけだったが、彼は時にはそこに自分だけの王国を作ってみたり、ヤシの葉を拾って秘密の隠れ家を作ったり
疲れた時は日の当たらない波打ち際で眠ったりするのだ。

ある日、N氏は友達に教わった木登りのやり方をヤシの木で試していた。擦り傷を作りながらも登りきると視界は一気に広がり、自分がいる場所が思ったより小さな小島であることが分かった。
砂浜から続く海の先にはサンゴ礁の床が敷かれ、小さないくつもの島が生き物のようにぽつりぽつりと顔を出している。
服を着たままでも泳げるくらい泳ぐのが上手になったら隣の島にも行けるだろうか。そんな思いで一番近くの島を眺めていると、砂浜にかすかに動くものがあるのに気が付いた。
いつからそこにいたのだろう。ヤシの陰だと思っていたそれは、自分と同じくらいの年齢の少女のように見える。肌はやや褐色で、自分と似た色のシャツを着ている。
自分以外にも人がいたんだ!自分だけのものだと思っていたのにちょっと残念な気持ちと、同じ秘密を分け合える人間がいる事の喜びとが折り重なる。
彼女はこちらに気付くだろうか?今はただのんびりと海に足を揺らしているだけに見える。
 そっと手を振ってみると、数秒遅れで向こうの少女も振替してくれた。控えめで、照れくさそうな合図だ。

服を着たままでも泳げるくらい泳ぐのが上手になったら。少年N氏はまたぼんやりとそんな事を思った。

次の年の夏から少年N氏は学校のプールに通い詰めた。監視員と仲良くなり泳ぎ方を教えてもらう事もあった。
例の海に女の子はいることもあれば、いないこともあった。声も届かない距離で手を振りあうだけだが、お互いの友好が深まるのを静かに感じた。
 
次の年も、その次の年も少年N氏は泳ぎを特訓し続けた。

そしてある年、Tシャツの首元がやけに苦しいと感じる時が来た。だんだんと頭を通すのにも窮屈さを感じていたのは事実だった。
 子供用のTシャツなのだ。この頃背が伸びたと親にも言われている。こんな息苦しい状態では隣の島まで泳ぐのはますます困難じゃないか。
 そして、隣の島の彼女も同じ問題を抱えているとしたら……
 その日、久々に木に登った少年N氏は隣の島に向かって手を振った。少女の姿は見えなかったがそれでも良かった。その日の振る手には別の意味がこめられていた。

 それからのN氏は一つの希望だけを持って生きていた。水泳のクラブに入り、遠泳の選手として選ばれるため必死に練習した。
 海外の大会にもいくつも出場し、あの海岸を探し求めた。
 時にはライフセーバーとして、時には漁師として、時にはカメラスタッフ、時には探検団、時には海賊として様々な南の海を渡った。
 だがしかし、結局彼だけのものだったあの海岸は見つけることは出来ないまま、二度と海には出れない年齢となってしまったのだった。
 
 今までの人生を振り返ったN氏は、そんな自分の人生をある意味ほほえましく思っていた。あの海岸もあの娘もとうとう二度と見つけることは出来なかったな。
 だが私にとっては生きる目的を見つけられただけで、人生を満たすには十分だったよ。
大切にしていた例のTシャツは海外の子供への寄付として送ってしまった。
 いつか、どこかの子供がまた自分だけの海岸を見つけられるだろうか……

 N氏の手を離れ、海を渡ったTシャツは遠くの砂漠に囲まれた国へ運ばれていた。
 そこでは一人の母と娘が貧しいながらも幸せにくらしていた。
「この子ったら!また手伝いもしないでいったいどこに行ってたの?最近すぐにいなくなるから母さん心配なんですからね」
 「お母さん!木に登った男の子がね、初めてこっちに手を振ってくれたの!」
288灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/11/29(木) 04:56:27.11 ID:g05ZDrAx
[足踏み]はオチが読めても面白かったし、

[自然破壊]は因果応報な話かと思っただけに、人間の科学も自然の摂理であるとされたことが意外だった。

[英雄として]は第二の主人公に乗っ取られてN氏の生活が平凡になった上、極論に至る所がまた平凡な人らしくて面白い。

[Tシャツの向こうで]海岸も女の子も見つけられなかったけど、N氏が幸せな人生を得たのだからよかった。
未来と過去で同じ服を着ているもの同士だったのだから、フリーマーケットの中古っていうのは伏線だったのかもしれないなあ。

>>283-287
面白かったです。
289創る名無しに見る名無し:2012/12/01(土) 13:08:08.11 ID:UYFrOsit
>>288
ありがとうございます。
【感情論争】@
 宇宙ステーションに急遽として建設された特設の法廷には、史上初の異種間での裁判が行われるという事で二つの太陽系から多大な注目が集められていた。
 この法廷にいる人種は二つ。一つは飛び出した長い目と触覚が特徴的なシェッツィ星人。そしてもう一つは滑らかな皮膚と体毛が特徴的な我らが人類である。
 「まさかあのシェッツィ星人とこのような形で争うことになろうとはなぁ。予想だにしなかったよ。」
 「温厚な彼らの事だ、決して大事にはならないとは思うが。これからも彼らとは良い外交を行っていきたいからこそ今回の事ははっきりとさせておかねばならないと私は思うがね・」
 
 シェッツィ星人は人類が初めてコンタクトを取った異星人である。性格は温厚にして勤勉。高い宇宙航空技術と危険から身を守る軍事力を持ちながらにしてそれを侵略に使うという考えは微塵も無いのであった。
 人類にとっては、ファーストコンタクトを取れる異星人がこのような温厚な性質であったことは非常に幸運なことだっただろう。
「シェッツィ星人側の弁護人と裁判官もそろったようだな。いよいよ始まるぞ。」
「おや、あの紅色の鱗はシェッツィ星人の有名な学者じゃないか。彼は参考人というところか」
 法廷ホールに巨大な鐘の音が鳴らされ、両星人側に静寂がもたらされた。人間側、シェッツィ側合わせて6人の裁判官の前に立たされたのは青黒い鱗の一人の若者であった。
翻訳機からの音声が流れる。
「これより、人類、シェッツィ類両間での裁判を行いまス。被告はこの男、デーリッヒ、シュワピポ。この男にかけられた容疑は一人の人類に対する、殺害でありまス。」

事件が起きたのは、二つの星の中間で交易を取り締まる宇宙貿易機関というステーションであった。
そこでは人類とシェッツィ星人がおりまざり、お互いの技術を持ち寄り開発した小型翻訳機を使い、積み荷を積み替えたり宇宙ポッドの出発時刻を調整したりと忙しく働いている。
良きパートナーとして何の問題もなく貿易が行われていたはずだが、ある日異常事態が発生した。
倉庫に響く叫び声に気付き数名の従業員が駆けつけると、そこには血の付いた工具を持ったシェッツィ星人と既に息絶えた中年の人類がいたのだ。

初めは何かの事故だと誰もが思った。あの温厚で礼儀正しいシェッツイィ星人が鈍器で人を殴り殺すはずがない。しかし、うなだれたその若者は触覚を細かく震わせながら、何かに耐えるように言った。
「私が殺した……」
この若者はその場の全員で即座に捕らえられ、事件は二つの星で連日の大ニュースとなった。
『異星人による殺人?!戦争の引き金となるか』『史上類を見ない事件、どう裁かれるのか』『事件の真相はいったい?』『星間裁判所の建設、急ピッチで始まる』

「この男は、宇宙貿易機関において衝動的に人類を殺害したものであり、その危険性は到底酌量することは出来なイ。」
「よって、この男には極刑をもって人類に償ってもらウ。これは人類、シェッツィ類共通の倫理的な考えである。」
被告の若者はハサミじゃない方の手をグッと握りしめてうなだれている。
「被告は何か反論はありますカ?」
「いえ……何もありません……」
290創る名無しに見る名無し:2012/12/01(土) 13:10:45.73 ID:UYFrOsit
【感情論争】A
何だ、どうなるかと思ったが意外とあっさりと終わりそうだな。向こうも殺人を擁護するつもりはないみたいだ。さすがは真面目なシェッツィ星人。
誰もが拍子抜けするような気持ちでいたなか、人類側から声が上がった。
「すいません!発言をよろしいでしょうか。」
手を挙げたのは弁護人席に座るメガネの男である。
「発言を許可しまス。起立してお願いしまス。」
「私は人類側の弁護人ですが、どうも彼はシェッツィ星人特有の生真面目さ故に言いたいことを言えないでいるように思えます。
私がこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、少し彼の感情というものを理解するため、殺人に至ったその心理的な理由をしっかり聞いてあげるべきではないでしょうか。」
この意外な発言に、傍聴していた誰もが驚いたが、すぐに納得した。シェッツィ星人に対する好感度は非常に高く、同時に被告の若者の様子は見ている者に同情を与えるのであった。
「人類側のご意見を尊重シ、デーリッヒ被告の内情をより深く追求してみようと思いまス。被告は殺人にいたるまでのその心情を説明してくださイ。」
うろたえたように若者はあたりをきょろきょろ見渡すと、やがて静かに言った。
「私が殺人という取り返しのつかない事をしてしまったのは事実であり、どのような裁きを受けようと受け入れる所存でス。
でも、ひとつ動機を言わせてもらうならば……、その……、あの時倉庫で彼とした話が僕にとっては、すごく、エネゲモかったのでス……。」

法廷に一瞬の静寂が訪れ、やがてシェッツィ星人側にどよめきが起こった。一方人類はポカンとしたのち別のどよめきが静かに起きた。
「彼は…その何と?えねげ??」「おい、翻訳機の故障か。よく聞こえなかったぞ」
「イエ、故障ではありません。その部分は人類にとっては翻訳不可能だったのでそのまま流させていただきました。『エネゲモかった』です。」
291創る名無しに見る名無し:2012/12/01(土) 13:11:57.74 ID:UYFrOsit
【感情論争】B
シェッツィ星人側のどよめきは大きくなる一方である。
「エネゲモかったのカ……。そうカ……。」「何故気付いてやれなかったのダ。」「エネゲモかったんじゃ、殺されても仕方なイ。」
動揺が広まる中、シェッツィ側の弁護人がマイクを取った。
「人類のみなさン。お聞きいただいたでしょうカ。彼はエネゲモくて人類の男性を殺してしまうに至ったのでス。これは無罪として判決されても仕方なイ……。」
「ちょっと!待ってくれ!!そのエネゲモいというのは何なんだ!?」
「エネゲモいハ……。いや、エネゲモいはエネゲモいですヨ。あの体温が低くなるような、内側へどんどん沈んで行ってしまうようナ……そして目の前の相手を殺してしまうようナ……」
「待て待て!その理屈はおかしい!」
そこで立ち上がったのは参考人席にいた紅色の鱗のシェッツィ類である。
「人類、シェッツィ類の皆さん聞いてください。私は長く両種族の違いについても研究をしてきた者です。
実は、私たちに人間でいう怒りという感情が存在しないように、人間にはエネゲミという感情が存在しないため理解できないのです。
人類は騙されたり、攻撃を受けると怒りという感情が湧くらしいが、我々にはそれが無い。怒りとは体温が上がり、内側からフツフツと湧いてくるような攻撃性らしいのでエネゲミとは似ても似つかぬものです。」
「つまり人類はそのエネゲモいという感情を配慮して情状酌量するべきだと?」
「あなたたち人類に理解を求めるのは酷ですが、感情なので仕方ないでしょう。人類も瞬発的な怒りによる衝動的な殺人については罪を軽減することがあるそうですね。
エネゲモいという感情はそれに準ずるものなのです。我々はエネゲモさを感じたら目の前の相手に危害を加える事を抑えられない。これはエネゲモく感じられた相手の男にも責任があるのです。」
人類側の弁護人や裁判官たちは納得がいくようないかないようなあやふやな気持ちであった。喜怒哀楽以外の我々が知らない感情が存在するとはそもそも思ってもいなかったのだ。
「えー……とりあえず、シェッツィ星人は怒りではないが相手を殺したくなるような感情を持ち合わせており、それが殺人に至るに十分なものだというわけですね。
では男が倉庫で彼に対してどのような行動をとってそのエネゲモさを感じさせたのか、もう一度調査する必要があるのではないでしょうか」

予想外の問題にぶち当たり、一度解散となった法廷からぞろぞろとシェッツィ星人が出てくる。口々に今回の事件の真相について熱く論議している。
「まさかエネゲモかったとはな。倉庫でした男の行動が明らかになったら俺たちは人類に対しての殺意を抑えられるだろうか」
「メディアでも星中に広められるだろうからな。事によってはエネゲモさどころかエデビザさを感じる奴も出てくるかも知れない。あのとっさに相手を種族ごと滅亡させてしまう激しい感情を……。」
292創る名無しに見る名無し:2012/12/01(土) 13:14:11.60 ID:o/sNPzgk
>>283
タイムマシンとこのオチの組み合わせって、みんな書きたがるよな。
書き手をひきつける題材なんだろうか。
293灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/12/02(日) 03:02:42.70 ID:FFLMy+fv
>>289
>我々はエネゲモさを感じたら目の前の相手に危害を加える事を抑えられない
感情からの行動じゃなくて、もはや反射行動として扱うべきかもしれませんねww
しかも何をきっかけにして起こるか不明のままってのが危ない
294灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/12/04(火) 07:19:57.26 ID:Qg3KhJ1K
『臨場感増幅電話機』

閑静な住宅街にある一軒家へ、贈り物が届けられた。
住人の男性が差出人の名前を確認したところ、送り物は友人からだった。
しかし差出が外国からであることに気付き、男性は友人に電話を掛けた。
「やあ、元気かい」
「元気さ。君も元気そうな声だね」
軽い挨拶で男性の脳裏には友人の笑顔が浮かびあがった。
「もちろん。今うちに君からのプレゼントが届いたから、なおさら元気だ。ありがとう」
「もう届いたのか。観光地で買ったものなんだが、中身は見たかい」
男性は贈り物を受け取ってすぐに電話を掛けたので、中身にはおおよその見当も付かなかった。
そのため男性の頭には観光客でごった返す大通りのイメージが沸き上がった。
「いや、まだだ。後の楽しみにしておこうと思っている。差出が南国からなんだが、君は今外国旅行中なのか」
「長期休暇で南国の島に旅行に来てるんだ。そっちとは季節が逆になってる」
家の外では木枯らしが吹いていたが、男性は白い浜辺から続く青い海に思いを馳せた。
しかしどうにも上手く情景が想像できなかった。情報が不足しているからだ。
友人は自慢にならないように、詳細に話すのを避けているようで、その配慮が妨げになっていた。
「なあ、いま僕の使っている電話機には情景を効果的に沸き立たせてくれる機能がついている。
通話内容を解析して、僕の記憶から似通った場面を思い起こさせてくれるんだ。もっと詳しく、旅行の話を聞かせてくれないか」
男性は旅行よりも本を読んだり、映画を観たりすることの方が多かったが、友人の旅行体験をもっと聞きたいと思った。
「すごい電話があったものだ。そういうことなら特に思い出に残った海でのことを事細かに話そう」
男性は再び白い浜辺を思い浮かべ、友人に先を促した。
「雲が遠くに小さく浮かんでるけど、空が広がって青々と晴れた日だったなあ。
天気がいいものだったから、泊っていたホテルでサーフボードを借りて浜辺に行ったんだ。
砂は白くてざらざらしてたけど軽くてね、裸足になると熱が伝わってきたから波打ち際まで駆けたよ」
情景の断片をつなぎ合わせ、電話機は男性の脳裏に優雅な南国の海岸を作りだした。
もっとも男性は南国に行ったことがなかったので、電話機は男性の記憶からテレビで見た南国の映像を再現していた。
男性はイメージに浸りながら相槌を打って、友人の話に耳を傾け続けた。
「すぐさまサーフィンを始めたけど、上手く出来なくてやめたよ。それで、ボートで少し沖まで出たんだ。そしたら少し離れたところで
水しぶきがあがった。大きな尾びれが潜っていくところを見て真っ先にサメが出たか、と思って震えた。それがボートの方に寄って来たんだ」
そこで青年の脳裏に浮かんでいた浜辺の映像が切り替わる。
場所は沖。青年は泳ぐことなくボートの上に座っていた。そこに、口を開けて大きな歯を見せつけたサメが寄ってくる。
どんどん近づいてきてサメはその姿を大きくし、再現にのめり込んだ男性は唐突に叫び声をあげた。
電話越しに「どうした」と心配した友人が訊ねてきたので、男性はサメの話をやめるように伝えた。
「こっちは最近次々に人がサメに襲われる映画を見たばかりなんだ。その生々しいサメに近付いてこられる体験をしてしまった」
「それは知らなかったことといえ、すまなかった」
友人が俯く姿が浮かんだ。男性は続きは次に会った時に聞くことにして、電話を切ることにした。
「話に区切りがついたところだが、どうにも長電話をしていると切るのが嫌になるんだ」
「それなら電話を切った後は映画でも観たらどうだ」
「そうだな、そうするよ。それでは」
「では」
男性が電話を切ると、同時に友人の姿も掻き消えた。
電話の臨場感増幅機能が終了し、男性の周りには音のしなくなった室内が残った。
電話の後、急に静かになると物淋しさを感じるものだが、映像も消えればなおさら淋しくなる。
男性はこの電話機を使った後にはいつも、淋しさが増幅されているように感じるのだった。
295創る名無しに見る名無し:2012/12/07(金) 22:32:29.84 ID:d0ipH0KN
作者さんたちの頑張りがすごい
296創る名無しに見る名無し:2012/12/10(月) 18:50:04.21 ID:ef7c8ePJ
>>284
最後の質問の答えは、「人の振り見て我が振り直せ」でいいのか?
行動だから「傍若無人」なのかな。
教訓的意味合いなら、人の振り〜なんだけど。
297創る名無しに見る名無し:2012/12/11(火) 00:12:17.04 ID:Snsa4VcL
「無学文盲」だよ
298創る名無しに見る名無し:2012/12/11(火) 01:22:12.03 ID:Qb49B/7n
『宇宙からのご馳走』

ある国の公園に空から宇宙船が降りてきた。
あっという間に野次馬が集まった。
野次馬の見つめる中、宇宙船の扉が開き、中から人間そっくりな宇宙人が数人出てきた。

その中の大きめの箱を抱えた1人が、
「我々は遠くハルカ星からやってきたものだ。あなた方に危害は加えない。ただ、太陽からエネルギーを補給するのでしばらくここに留まらせてほしい」
といった。

すぐに国内の官僚が会議を始めた。
「わけも分からない連中を留まらせておくのは危険だ」
「だが、彼らは危害を加えないといっている。それに我々よりはるかに進んだ科学力を持っているようだ。現に何光年も先にあるハルカ星からここまで来れた」
「あの四角い箱は翻訳機らしい。歯向かおうとしても逆にやられてしまうかもしれない」
会議の結果、数人の学者に宇宙船を調べさせ、危険がないようなら留まってもよい、という条件を決め、宇宙人たちもそれを了承した。

数日後、国内、海外から集まった優秀な学者達が宇宙船内の調査を開始した。
「この機械は何ですか?」
「これは光エネルギーを効率よく運動エネルギーに変換する装置です。残念ながら、この星にある物質では作ることはできませんが」
「どのくらいの期間でエネルギーの補給は終わりますか?」
「およそ1ヶ月ほどです」
「その間、あなた方は食事などはどうされるのですか」
「我々は光さえあれば生きてゆけます。ご心配なく」
調査を進めていくうちに、なんだかいいにおいがしてきた。どうやら宇宙船の一室に何かある様だ。
「すみません。ここには何があるのですか?」
「ああ、あまり見ても面白くはないですよ」
そう言って宇宙人は扉を開けた。中には小麦色をした野球ボールほど大きさの物体が天井まで積み上げられていた。
「ひとつ、手にとって見てもいいですか」
「どうぞ」
学者の一人はその物体を手に取り、しばらく見つめていた。
「これ、持ち帰ってもいいですか」
「ええ。どうぞ」
学者達は大急ぎで研究室へ向かい、成分を調べた。どうやら人体には無害なようだった。
おいしそうなにおいにたまらず学者の一人が物体に噛み付いた。非常においしかった。

あくる日、学者は宇宙人にあの物体を譲ってくれないかと交渉した。宇宙人は「どうぞ」と了承した。
その数日後から宇宙船の近くにレストランができた。出てくるのはあの物体を使った料理。
人々は宇宙船を眺めながら、宇宙から来たご馳走に舌鼓を鳴らした。

宇宙船内で宇宙人の一人が、複雑な顔をしながらつぶやいた。
「あれは宇宙空間に捨てても分解されにくいから処分に困っていたから助かっているが、あれが我々の排泄物だと知ったら、彼らはどんな顔をするのだろうか・・・・・・」
299創る名無しに見る名無し:2012/12/11(火) 02:34:34.18 ID:88YEpzW+
>>296
どう考えても自然破壊だろ
あと1000冊読書して出直せ
300創る名無しに見る名無し:2012/12/11(火) 22:15:24.94 ID:EJ3g4lLe
>>285
人称をごちゃごちゃにして書いてるのはわざとだと思うんだけど
すっかり俺の頭も混乱してしまってなにが言いたいのかさっぱり分からん。
301創る名無しに見る名無し:2012/12/13(木) 17:56:58.84 ID:eQIocyhT
>>294
なるほどこんな機械たしかに星新一にありそうだな。
オチは予測つかなかったが少し物足りなく感じた。

楽しみにしている連続ドラマを見終わった後のえーもうこれで終わりかよ
来週よ早く来いみたいなのも感情増幅効果の一つだな。
302創る名無しに見る名無し:2012/12/13(木) 18:47:06.44 ID:eQIocyhT
>>298
文章、内容ともに星っぽい。
この文量で球体が出てくるのがちょっと遅すぎかなと思った。
もっと序盤から球体の謎でひっぱてもいいかな。
オチも球体を食べた人間がなんらかの行動をおこし、その行動が宇宙船のエネルギー
となるみたいな、(人類側として)してやられたオチを想像していただけに肩透かし感があった。
まあオチを強制しているわけではないので、、、
星の作品にも頭に肛門がついてる宇宙人の話があってそれを思い出した。

最近書いてる人たちは皆さん星っぽい文章がうまい。
それだからこそ内容には少し辛口になってしまいます。
303創る名無しに見る名無し:2012/12/14(金) 18:54:35.31 ID:E5YJHkrV
面白い
304灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/12/16(日) 00:51:58.08 ID:i2ulultD
>>301さん
感想ありがとうございます
305創る名無しに見る名無し:2012/12/16(日) 14:38:30.60 ID:gIosx7SA
>>287
表現が凝ってるなあ。ずばり言ってしまって星っぽくはない。でもこれが作者の素の書き方だとしたら
と思うと、ここに書く作者の一人の隠された一面が垣間見えたようで興味深い。

難解な話だなあ。前に着た人と今着ている人が通じ合う不思議なTシャツって解釈でいいのかな。
最初、この不思議な効果を持つTシャツは複数枚(2枚?)あるのかと思った。

Tシャツで見た光景を追い求めるN氏の人生ってのもいいよね。
306創る名無しに見る名無し:2012/12/17(月) 00:23:27.36 ID:MqShvYPZ
要するにお前らの言ってる星っぽさというのは「詳しい描写はするな」ってことだろう?
簡潔な文章で済ませようってわけだから、当然よほどオチが凝ってないとつまらんわな。
307創る名無しに見る名無し:2012/12/17(月) 21:18:56.50 ID:vi9HB6Gs
>>291
これは正直、素晴らしい出来だった。このスレの中で文句なくナンバー1だと思った。
まず犯人を擁護したのが被害者側の人類だったってのが皮肉がきいている。
事件の真相は想像しても無駄だが、エネゲモかったからと言われればそれだけで説得力がある。
シェッツィ星人に怒りの感情がないという設定が、逆説的にエネゲモい感情があることを証明してるし納得いく。
それに単純にエネゲモいという言葉が響きだけで面白い。

一つだけ疑問に思うのは、シェッツィ星人間ではエネゲモ感情による殺人は過去何度かあったのだろうか?
人類側はそれを知らなかったという設定?
308創る名無しに見る名無し:2012/12/18(火) 14:44:14.89 ID:6mKVu72m
『未来人』

その男はひと気のない夜道を息をきらせながら走っていた。手にはピストル、バッグには今しがた銀行を襲って盗んできた現金がいくらか入っている。
男はこれまでの逃走により疲労困憊といった様子で、少し休むように立ち止まり、一夜をしのげる場所はないかと辺りを見回した。すると、前方から、
円盤が一隻、黒煙をあげながら落ちていくのが見えた。
「なんだろうあれは。円盤みたいだったが・・・向こうの林の中に落ちたようだ」
男は驚いた様子でそんなことを呟きながら、しかし、用心深く円盤が墜落したと思われる林の中へと歩いて行った。炎と黒煙が上がる方角へとゆっくりと近づいてき、
藪の中から確かにでちょうど直径5メートルほどと思われる小型の円盤が見えた。男は恐怖を感じたが、高まる好奇心を抑えられず、ちょうど、円盤の入口と思われる付近へと行ってみた。
入口の扉は開いており、中に苦しそうな表情をした紺色の服を着た男が手招きをしていた。男はポケットのなかのピストルを握りしめると、恐る恐る近づいていき、
「お前は何者だ」
と尋ねた。見たところ、人間と変わらない姿、形をしていたが、よく見るとその表情にはなにか見慣れない物があった。
「私は過去の調査探検で、未来からこのタイムマシンで来たんだ」
「ほぉ、じゃあお前は未来人ということだな」
その未来人はゆっくりとうなづき、
「私は怪我をして動けない。少し手当をしてくれないか」
と訪ねてきた。男は油断ならないと言った顔つきで、複雑な計器類が置かれた、操縦席と思われる場所に眼をやっていたが、突然思いついたように尋ねた。
「未来はどんな場所なんだ? もしいい場所なら俺も連れて行ってくれないか」
未来人は、少し困惑したような表情を浮かべたが、すぐにうなずいた。
「ああ、未来は素晴らしい場所だよ。皆が平和に繁栄を享受しているし、戦争や貧困で苦しむこともない。もしタイムマシンが直れば、君も連れて行ってやるよ」 
男は顔を輝かせながら、未来人をゆっくりと抱き起こした。幸いなことに、怪我の程度は深刻なものではなく、また、タイムマシンにも大きなダメージは見受けられなかった。
男は、安静のために操縦席に座った未来人に言われた通り、見たこともない道具を使いながら、あっちこっちの部品を繋げたり差し込んだりしながら修理をしていった。
男の頑張りにより、夜明け前には、タイムマシンは墜落前の状態に戻り、未来へと戻れる状態になった。
「さあ、出発するぞ。きみは本当に今の世界に未練はないのかい」
と体力回復剤によりいくらか元気を取り戻した未来人に訊かれた男は答えた。
「もちろんだ。今の世界に用はない。平和で安全に落ち着いて暮らせることができる未来の世界で暮らしたいんだ。早く連れて行ってくれ」
未来人は素早く計器類に数字を打ち込んでいたが、やがて、ぱっと眩い光が点滅したかと思うと轟音が鳴り響いた。その音がしばらく続き、
やがて低い騒音と振動によりタイムマシンは少し揺れ動いていたが、少し時間が経ってからその揺れも騒音も収まった。未来に着いたのだ。

ドアを開けると、澄みきった空気が流れ込むと同時に、明るい陽の光が差し込んできた。遠くに見える公園には、美しい草花や緑豊かな木々が溢れ、
ボールを蹴る子供たちや子供を連れた母親の姿が見られた。どこを見渡してものどかで平和な世界が広がっていた。
「なんて平和な世界なんだろう。過去の地球とは大違いだ。どうやってこんな素晴らしい世界が実現できたのだろう」
男は驚きと喜びに溢れた表情で、未来人を見た。
「過去に長い戦いを経験してきたからだ。我われはこの生命と美しさに溢れた地球を守るために、遥か宇宙からやってきて人間を奴隷として征服することで、
このかけがえの無い世界を取り戻すことができたんだ」
そう話す未来人の手には、男に向けて熱線銃が握られていた。
309創る名無しに見る名無し:2012/12/18(火) 15:17:18.52 ID:6mKVu72m
ごめん、表現変えたり間違ってたとこ直したので再投稿

『未来人』

その男はひと気のない夜道を息をきらせながら走っていた。手にはピストル、バッグには今しがた銀行を襲って盗んできた現金がいくらか入っている。
男はこれまでの逃走により疲労困憊といった様子で、少し休むように立ち止まり、一夜をしのげる場所はないかと辺りを見回した。すると、前方から、
円盤が一隻、黒煙をあげながら落ちていくのが見えた。
「なんだろうあれは。円盤みたいだったが・・・向こうの林の中に落ちたようだ」
男は驚いた様子でそんなことを呟きながら、しかし、用心深く円盤が墜落したと思われる林の中へと歩いて行った。炎と黒煙が上がる方角へとゆっくりと近づいてき、
藪の中から確かにちょうど直径5メートルほどと思われる小型の円盤が見えた。男は恐怖を感じたが、高まる好奇心を抑えられず、ちょうど、円盤の入口と思われる付近へと行ってみた。
入口の扉は開いており、中に苦しそうな表情をした紺色の服を着た男が手招きをしていた。男はポケットのなかのピストルを握りしめると、恐る恐る近づいていき、
「お前は何者だ」
と尋ねた。見たところ、人間と変わらない姿、形をしていたが、よく見るとその表情にはなにか見慣れない物があった。
「私は過去の調査探検で、未来からこのタイムマシンで来たんだ」
「ほぉ、じゃあお前は未来人ということだな」
その未来人はゆっくりとうなづき、
「私は怪我をして動けない。少し手当をしてくれないか」
と訪ねてきた。男は油断ならないと言った顔つきで、複雑な計器類が置かれた、操縦席と思われる場所に眼をやっていたが、突然思いついたように尋ねた。
「未来はどんな場所なんだ? もしいい場所なら俺も連れて行ってくれないか」
未来人は、少し困惑したような表情を浮かべたが、すぐにうなずいた。
「ああ、未来は素晴らしい場所だよ。皆が平和に繁栄を享受しているし、戦争や貧困で苦しむこともない。もしタイムマシンが直れば、君も連れて行ってやるよ」 
男は顔を輝かせながら、未来人をゆっくりと抱き起こした。幸いなことに、怪我の程度は深刻なものではなく、また、タイムマシンにも大きなダメージは見受けられなかった。
男は、安静のために操縦席に座った未来人に言われた通り、見たこともない道具を使いながら、あっちこっちの部品を繋げたり差し込んだりしながら修理をしていった。
男の頑張りにより、夜明け前には、タイムマシンは墜落前の状態に戻り、未来へと戻れる状態になった。
「さあ、出発するぞ。きみは本当に今の世界に未練はないのかい」
と体力回復剤によりいくらか元気を取り戻した未来人に訊かれた男は答えた。
「もちろんだ。今の世界に用はない。平和で安全に落ち着いて暮らせることができる未来の世界を見てみたいんだ。早く連れて行ってくれ」
未来人は素早く計器類に数字を打ち込んでいたが、やがて、ぱっと眩い光が点滅したかと思うと轟音が鳴り響いた。その音がしばらく続き、
やがて低い騒音と振動によりタイムマシンは少し揺れ動いていたが、少し時間が経ってからその揺れも騒音も収まった。未来に着いたのだ。

ドアを開けると、澄みきった空気が流れ込むと同時に、明るい陽の光が差し込んできた。遠くに見える公園には、美しい草花や緑豊かな木々が溢れ、
ボールを蹴る子供たちや子供を連れた母親の姿が見られた。どこを見渡してものどかで平和な世界が広がっていた。
「なんて平和な世界なんだろう。過去の地球とは大違いだ。どうやってこんな素晴らしい世界が実現できたのだろう」
男は驚きと喜びに溢れた表情で、未来人を見た。
「過去に長い戦いを経験してきたからだ。我われはこの生命と美しさに溢れた地球を守るために、遥か宇宙からやってきて、破壊者である人間を奴隷として征服することで、
このかけがえの無い世界を取り戻すことができたんだ」
そう話す未来人の手には、男に向けて熱線銃が握られていた。
310創る名無しに見る名無し:2012/12/20(木) 20:38:13.08 ID:YuXHbtbL
>>309
まず犯罪者、未来人とタイムマシンに遭遇。最初に犯罪者を出してきたんだから
未来を安全な逃亡先とみなすほうが筋が通るんじゃないだろうか。
オチが飛躍しすぎてる。定番だが、罪を犯したからこその不幸をオチに持って来るべきだろう。
今のままでは犯罪者という設定が浮いている。
311創る名無しに見る名無し:2012/12/20(木) 20:48:20.15 ID:YuXHbtbL
かぼちゃの馬車、読了。
なるほど表題作となっているかぼちゃの馬車はさすが星と言うべき作品。
ネタバレするので詳しく書けないけど、話は二転三転四転?くらいするのだが実は行ったり来たりみたいな。
こうなったからああなる。ああなったからそうなる。その変化に面白さと説得力を持たせるのが上手いのかな、星は。

上の作品以外の収録作は、そこそこ面白いってのはいくつかあったけど凡作に感じたのも多かった。
312創る名無しに見る名無し:2012/12/28(金) 21:05:14.34 ID:li2K2ptS
超能力者の星


 タマラー星という住人が全員超能力者だと言われている惑星がある。
 マジシャンとして名高い男は、いつかそこへ行ってみたいものだと思っていた。不思議
な現象には絶対に種がある。超能力などあるはずがないと男は信じて疑わなかった。全員
超能力者なのではなく、手品師なのだと男は確信していた。マジックの種なら知り尽くし
ている男は、いつか自分がそのトリックを暴いてやるのだと決意していた。
 売れっ子の男はなかなか暇がなかったが、やっとまとまった休暇が取れた。男はタマラ
ー星に行く決心をした。
 タマラー星から来た案内人を雇って、男は宇宙船に乗った。案内人は10年も前に地球
に来たとのことで、流暢な日本語を話す。角がはえていて、首からうろこがのぞいていて、
肌が緑色だという点を除けば地球人と変わりない。
 タマラー星人が地球で超能力を使うことは禁止だ。だから、行ってみなければ全員エス
パーだという噂が本当かどうか分からない。
 宇宙港からホテルに向かうタクシーの中で、男は尋ねた。
「あれは何かね?」
「競艇場ですが、ギャンブルに興味がおありですか?」
「君もタマラー星人だということは、超能力が使えるんだろう? 予知能力はあるかね?」
「ええ」
「ちょうどいい。あそこに寄ってくれ」
 二人がボートレース場に着くと、支配人がじきじきに出迎えた。
「おお、これはこれは高名なマジシャンであるエヌ様が我らの星に来てくださるとは。特
別観覧室にご案内しましょう」
 と言っています、と案内人が通訳した。男の名はタマラー星でも知れ渡っているようだ。
 おかしい。なぜ普通の観客席ではないんだ? 男は訝った。部屋に入ると男は言った。
「では一番難しい3連単を予想してくれ」
 1着、2着、3着を当てるというものだ。
「そうですね。ではあの箱を使いましょう」
 おあつらえ向きに箱とメモ用紙とペンが置いてある。ますます怪しい。
 彼は紙になにやら書き込んで箱の中にしまった。箱は窓際の棚に置かれ、彼は離れた場
所に立った。
 レースが始まった。6艇のボートが水面を駆ける。
 そして結果は4号、2号、5号艇の順だった。
「では見てみましょう」と言って案内人が箱に近寄るのを男は制した。
「ちょっと待て。私が持ってきてもいいかね?」
 もちろんすり替えを予想してのことだ。男は箱をテーブルに持ってきて開いた。4−2
−5と書かれていた。
「分かった」と男は叫ぶように言った。「蓋に薄型のプリンターが仕込んであり、袖の中か
どこかに隠してある最新式携帯電話で書いて送信したのだ。二重底になっていて最初に入
れた1枚は隠れるようになっているのだ」
「どうぞ箱を調べてください」と案内人は袖をまくってみせて答えた。
 男は箱を隅々まで調べたが何の仕掛けも見つけることはできなかった。
「もっと、こう、手品っぽい雰囲気ではなくて、普通に当てることはできないのかね?」
「いいですよ」
 二人は発券所に行った。そして案内人は上限の1万ペルー分の券を買った。
 彼らは観客席に座った。そして彼が買った10枚の3連単はすべて的中したのだ。あっ
という間に28万ペルーになった。
 男はあっけにとられた。もはやどんなトリックが使われているのか、男には皆目見当が
つかなかった。

 ホテルに向かう途中で、男は換金所に寄るよう案内人に命じた。タマラー星に換金所が
あることを知っていたので、日本円のまま持ってきたのだ。男はとりあえず5万円を換金
することにした。
 返された額を見て驚いた。5億ペルーだったのだ。すると、1万ペルーは1円、28万
ペルーは28円にしかならない。
「なにしろ全員が超能力者ですからね」と、案内人は男の心を見透かしたかのように言っ
た。「競艇も、皆が高い確率で当てます。ギャンブルなんて、ただのお遊びですよ」
313創る名無しに見る名無し:2012/12/28(金) 21:13:59.17 ID:li2K2ptS
その道のプロ


 息子は父を尊敬していた。自分も父と同じ道を歩みたいと思っていた。そんな二人が、
ある日絵画展に出かけた。
 絵を見て回っていると、黒服の若い女性の前に来た。
「アンケートにご協力いただけますか?」
 父がアンケートの記入を済ませると、女性は箱を掲げてくじをひくよう勧めてきた。
「おめでとうございます」と女性は言った。「スカーフが当たりました。ブルーとレッドと
グリーンの3色がございますが、どれになさいますか?」
「ではレッドを」と父は答えた。
「申し訳ございません。レッドは別の場所にございますので、取ってきますので、少々お
待ちいただけますか?」
 二人はその間絵を見て歩いた。息子は、なんだか怪しいな、と思った。
 すると背後から別の、中年の女性が近づいてきた。
「いらっしゃいませ。何か気に入った絵はございますか?」
「これは素晴らしい」
 父が指差したのは、子供の落書きのような絵だった。
「さすがエヌ様。独特の感性をお持ちですね」
 父の名は世間に知れ渡っている。
「よかったら近くに席がございますので、ゆっくりとご鑑賞ください。冷たいものをお持
ちしますので」
 その席は奥の方にあった。二人は腰かけて、アイスコーヒーを飲んだ。横には先ほどの
絵が立てかけられている。
「どのような点がお気に召されましたか?」
「うむ、この大胆な筆使いだな」
「だいたいこれでおいくら位すると思いますか?」
「60、いや80万かな」
「100万です」
 女性は自分が昔絵画について素人だったこと、絵に興味を持ち始めた経緯を話し始めた。
 ますます怪しい、と息子は思った。当たりくじをひかせて帰らせないようにする手口、
奥の席につかせて逃げられない状況にするやり方。これは……。
「この方の作品、今まで価値が下がったことはないんです。ですからもし手放したくなっ
たとしても、損をすることはないんです」
「うーむ」父は腕組みをして考え込んだ。「100万で売れるということか」
「120万で売れます」
 息子はたまりかねて父の耳元でささやいた。
「父さん、これ怪しいよ。これ本当にプロが描いたものなの?」
「お前にこの絵の価値が分かるのか?」
 父の射るような視線に、息子は黙り込むしかなかった。
 そこへ責任者だと名乗る男が現れた。
「儲けを度外視してこの数字でいかかでしょうか」
 男は紙を差し出してきた。60万と書かれていた。
「うーむ」
「提案なんですけど、仮契約というのがございまして、キープしておくことができるので
すが」
「キープしておくだけか。それなら……」
 父はサインしようとした。とうとう息子は立ち上がって大声を出した。
「これ、この間テレビでやってた悪徳商法そのまんまだよ! 仮契約と偽って本物の契約
書を書かせる気だよ!」
「黙らんか馬鹿者!」
 父も立ち上がって怒鳴った。
 そこへ3人の男達が現れた。一人はカメラを持っているが、ぶら下げている。看板を持
っている男も、それを掲げてはいない。
「息子さん、申し訳ありません」と、何も持っていない男が詫びた。
「今のフィルムは?」と父が問うた。
「すみません。使えません」
「まったく。とっくにドッキリだと気付いておったわ。それでも調子を合わせていたのに。
素人のくせにでしゃばりおって」
 さすが芸人歴30年の父である。
314創る名無しに見る名無し:2012/12/30(日) 11:45:51.85 ID:+0I+7RVA
【真理恵とおじいさん】

 真理恵は、おじいさんの汚れた身体のあちこちを、硬く絞った熱いタオルで丹念に拭いて回りました。
「今日はおじいさんがお眠りになってから、ちょうど10日になります」
 おじいさんは、ただの一言も言葉を発することなく、昏々と眠り続けています。
彼の身体からは何本もの透明なチューブが伸び、それらは巨大なコンピュータに繋がっていました。
それでも真理恵は、おじいさんにこうして話しかけることを決して欠かすことはありませんでした。
彼は自分で寝返りを打つことができないので、真理恵はおじいさんが床ずれをおこさないよう、
一日のうちに何度か動かしてやらなければなりませんでした。
「おじいさん、今日は買い出しに行ってきます。夕方までには帰りますから、どうか寂しがらないでね」
 真理恵は支度をすませると、おじいさんの額にそっと口づけをし、戸締まりを確認して家を後にしました。
 おじいさんは眠り続けていました。

 火星では、ロボットたちが暮らしています。おじいさんは優れたロボットの開発者でしたが、
やがて力を持ったロボットの暴走によって、人間はロボットたちに支配されるようになりました。
 しかしロボットたちは、完全に自立ができたわけではありません。彼らは狂っていました。
つまり、ロボットが暮らすためには、人間が知恵を授ける必要がありました。
結果、皮肉なことに、ロボットの武力に鎮圧された人間は、
ロボットに知識を与え続けることでしか生きながらえることができなくなりました。
 しかし、おじいさんをはじめ、ほんの一握りの人間は、ついに火星からの脱出に成功したのでした。

 真理恵は家に戻ると、手際よく食事の準備に取りかかりました。
料理ができあがると、彼女はおじいさんの身体を起こし、
離乳食のようなドロドロしたそれをスプーンですくって、おじいさんに食べさせるのでした。
おじいさんはそれをよくこぼしました。口を動かすことができないので、当然です。
口に入ったそれを嚥下することも勿論できず、ぼろぼろとこぼれ、
綺麗になったばかりのおじいさんの身体は、たちまち汚れました。
 毎日毎日、真理恵はおじいさんの世話をしました。
おじいさんがただの一言も言葉を発することがなくとも、甲斐甲斐しく開放を続けたのです。

「解析は完全に終わったのか?」
「ええ、随分時間がかかりましたが、すべて完了しました」
「アレはもうダメだ。ずっと昔から壊れている。完成した時からだ。向こうに送り出してから今年で何年になる?
 もはや使い物にならんよ、次に報告に来た時にでも処分することにしよう」
 火星で誰かがそう言ったとき、真理恵は、おじいさんの身体のあちこちを、硬く絞った熱いタオルで丹念に拭いて回っているところでした。
「今日は……おォじいサがお眠りになテカからら、ちょっちょど269年んになりんまズ」
 おじいさんは、ベッドの上で眠り続けていました。
 真理恵は、火星に向かう支度を始めました。
315創る名無しに見る名無し:2012/12/30(日) 11:56:03.14 ID:+0I+7RVA
【記憶再生装置】

 けたたましいクラクションの嵐の中で、聡がその血まみれの犬を抱きかかえた時、
それの魂は、もはや髪よりも細い細い一本の糸のみによって肉体に繋ぎ止められているだけの状態であった。
彼はすぐに犬を車に乗せ、獣医へと走った。医師は、この哀れな生命体に一瞥をくれると、
しばしの沈黙の後、お決まりのあの表情で「助かりません」とだけ短く告げた。
 安楽死の注射が全身に回り、眠るように犬は死んだ。聡はそのさまを見て、声を上げて泣いた。

 翌日、聡は自分の勤め先にその犬の亡骸を運んだ。彼は、生物の脳から記憶を読み取る装置を研究していた。
聡はたくさんのコードの束が繋がった透明な半円状のボウルを犬の頭に被せると、コンピュータのスイッチを入れた。
やがて、ディスプレイに、生前の犬の記憶がぼんやりと映し出された。

 赤いクーペが、猛スピードで迫ってくる。それはついに犬の視界を覆い尽くした。
途端にドンッという鈍い音が響くと同時、抜けるような青空が広がった。
しかしそれも束の間のことで、今度はアスファルトの灰色が、ぐらぐらと揺れながら迫ってくる。
その後は空とアスファルトがぐるぐると激しく入れ替わり、
最終的に赤いクーペとアスファルトのグレーが右に90度回転した状態で静止した。
 耳をつんざくようなクラクションの雨の中、クーペを降りた聡が、にやにやしながら走り寄ってくる。
 その後も再生は順調だった。やがて麻酔が完全に回り、犬が死ぬと画面が次第に暗転し、少し後に聡の泣く声が聞こえた。
「なるほど。死んだ後も聴覚だけはしばらく生きているということが、これで証明されたな」
 彼は満足げに呟くと、珈琲を淹れに席を立った。
 そのときも、記憶再生装置は依然再生を続けていた。
316創る名無しに見る名無し:2012/12/30(日) 19:02:45.32 ID:1CdQAHHe
>>312
文章の指摘をするのはどうかと思うが最初の一文だけが非常に読みづらい。
>タマラー星という住人が全員超能力者だと言われている惑星がある。
タマラー星という、←ここで一旦区切ったほうがよい。

内容について。
マジックの種明かしは映像を伴ってこそだな。文章だと難しいと思った。
まあここでは超能力だったけど。
超能力者VSマジシャンというドラマで見たような展開。
タマラー星人とマジシャンのやりとりがあり、超能力は嘘だ。いや真実だ。やっぱり嘘だ。
みたいな展開を期待した中で、オチが興味の外にいってしまった。
確かに全員が超能力者なら当然そのオチになるでしょうと一旦納得しかけたが、
それならどうしてタマラー星にギャンブルは存在するのかという大きな疑問が湧く。
賭ける行為の意義が無くなる。
317創る名無しに見る名無し:2013/01/02(水) 17:35:55.67 ID:OraoRq77
夢オチ


 男は商談をまとめるために、顧客である企業へと向かっていた。男の成績は抜群で、今
日も自信満々だった。
 電車を降り、改札を出た途端、そこには奇妙な風景が広がっていた。
 荒野にねじまがった木々がまばらに立っている。
「ようこそ潜在意識の世界へ」と、どこからともなく大きく低い声が響いた。
 何をふざけたことを言っている、と男は思った。男は歩いた。とにかく、顧客の元へと
向かわねばならない。だが1時間、2時間さまよっても、一向に出口らしきものは見当た
らない。
 1軒の家を見つけた。あそこで聞けば、外に出られるかもしれない。
「あっ、そっちへ行っちゃいけない」と声の主は言った。「あなたがもっとも恐れているも
のだ」
 男は無視して進んだ。玄関から数人の人間が出てきて、近づいてくる。男の父と、母と、
兄だ。包丁や猟銃を手にしている。
「この裏切り者め」と父が叫んだ。
「なんのことだ」
 銃が男に向けられ、彼は逃げ出した。
「待ちなさい。親の言うことを聞かんか」
「うわあああ」

 男は跳ね起きた。
「なんだ夢だったのか」
 男は宿屋を出た。村で情報収集をすると、まずは東の街へ行かなければならないらしい。
 背広姿に剣と盾という変てこな格好で村を出ると、ゼリー状の怪物と出くわした。
 ……意外とでかい。そうだ。ゲームでもこういうのは主人公と同じくらいの大きさでは
ないか。男は立ちすくんだ。化け物が容赦なく襲いかかってくる。
「や、やあ!」
 男は勇気を奮い起こして斬りつけた。だが怪物は死なない。そうか、レベルが低いので、
こんなゲームの序盤に出てきそうな奴でも一撃では倒せないのだ。
 そいつは痙攣したかと思うと、男に突進してきた。
「うわあああ」
 男は飛び起きた。夢だったのか。

「というようなことを延々繰り返しているのだよ」
 と、薄汚れたスーツを着た男はホームレスに言った。
 もう1週間も――ということに夢の中ではなっているらしいが――何も食べておらず、
彼が持っているバナナを分けてくれと頼んできたのだ。ホームレスは男に2本渡した。
「だからね、これも夢なんだよ。自分で言うのもなんだが、私のような有能なビジネスマ
ンが乞食になるわけがない。あなたも、夢の中の登場人物に過ぎないんだよ」
「そうかね」とホームレスは言った。「それは困ったな」
 ホームレスは指をパチンと鳴らした。
 どこからともなく大きな動物が現れた。カバのようだが、パンダみたいに色が白と黒に
分かれている、口が異様に細い、奇妙な動物だ。
 あっという間にスーツの男は、まるで金角銀角のひょうたんのように、その細い口の中
に吸い込まれてしまった。
 二人の様子を見ていた、ぼろぼろになった帽子をかぶった別のホームレスが近寄ってき
た。
「今のは何だい? 何が起こったんだい?」
「ああ、あれはバクだよ」
「バクっていうと、夢を食べるっていう、あのバクかい?」
「そう。時々今のような人間がわしのところにやってくる。わしのことも夢にしてしまお
うという奴がね。彼の言う通りだとすると、彼が目覚めた途端わしは消えてなくなってし
まう。それは嫌なのでね。彼の夢を食べさせた」
「そうかい? 俺なんかは自分の人生が誰かの夢だったらいいのにって、しょっちゅう思
うぜ?」
「君はそうかもしれないが、わしは消えるわけにはいかないのだよ。わしはこの世界の神
なのでね」
318創る名無しに見る名無し:2013/01/02(水) 19:29:38.19 ID:C84fX43X
【天敵】

「ついに完成したんですよ」

O博士は小さなビンに入ったクリームをエヌ氏に見せた。

『おめでとうございます これが博士の新しい発明ですか
一見ただの日焼け止めクリームの様ですが…これは一体?』

「これは 天敵撃退クリーム というものです
これを塗ると自分にとっての天敵が近付けなくなるんです」

『天敵が近付けなくなる?それはすごいですね
一体どういう仕組みなんですか?』

「まず体に塗ってください
するとクリームが近付いた相手を認識するんです
そして、それが使用者の天敵だった場合
天敵を不快な気分にさせる電波を発生させます」

『それは面白い でも相手がその場から去らないとも
限らないでしょう』

「いえ、この電波は非常に強力で、長時間浴び続けると
死んでしまう程の効果があるんです
どんな相手だろうとたまらず逃げ出しますよ」

『ちょっと効果が過剰な気がしますが…
でも気に入りました、一ビンくれませんか?』

「もちろんその為に呼んだのですよ
大量に作りすぎてしまいましてね
無くなった時はまた来てください」

エヌ氏はO博士から天敵撃退クリームを一ビン貰った。
お礼を行って研究所を後にした。

『いい物を手に入れたな
早速塗ってみよう…あっ!』

その時エヌ氏は手が滑り、クリームの入った小瓶を地面に落としてしまった。
ビンは粉々になってクリームも台無しである。

『しまった…まあでも、大量に余ってるとO博士も言ってたからな
また貰いに戻れば良いだけの事だ』

数時間後、地球の近くに浮かんでいた一つの宇宙船で緊急会議が開かれた。
地球侵略を狙うぺぺペ星人達の宇宙船であった。

「このホシ全体から謎の電波が発生して、ニンゲンと呼ばれている
生命体が全て死滅したらしい
理由が分かる者は居るか?」
319創る名無しに見る名無し:2013/01/02(水) 23:53:12.88 ID:EhObd1X+
>>318
発想が面白かったので、パクらせていただきます。
「ついに完成したんですよ」
O博士は小さなビンに入ったクリームをエヌ氏に見せた。
『おめでとうございます これが博士の新しい発明ですか
一見ただの日焼け止めクリームの様ですが…これは一体?』

「これは 天敵撃退クリーム というものです
これを塗ると自分にとっての天敵が近付けなくなるんです」

『天敵が近付けなくなる?それはすごいですね
一体どういう仕組みなんですか?』

「まず体に塗ってください
するとクリームが近付いた相手を認識するんです そして、それが使用者の天敵だった場合
天敵を不快な気分にさせる電波を発生させます」

『それは面白い でも相手がその場から去らないとも限らないでしょう』
「いえ、この電波は非常に強力で、長時間浴び続けると
死んでしまう程の効果があるんです
どんな相手だろうとたまらず逃げ出しますよ」

『ちょっと効果が過剰な気がしますが…
でも気に入りました、一ビンくれませんか?』

「もちろんその為に呼んだのですよ
さあ、どうぞ試しに塗ってみて下さい」

エヌ氏は体全体にクリームを塗った。

『ところで大体どのくらいの範囲で、どの程度効果が続くのですか?』

「その辺はまだ実験不足なため詳しくは不明だ
……やや、何やら不快になってきた
君、私を天敵だと思っているのか?」

『いえ、そんなことはありません』

「そうか、多分天敵だと判断する基準が緩いのだろう
改良せねば
ああ、不快だ。君、しばらくここに来なくていいから」

そういってO博士の研究所から追い出されてしまった。
まあいい。しばらくここによらなければいいだけだ。久しぶりの休みだから買い物にでもいくか。
「いらっしゃいませ」
さて、何を買うか。豪勢な食事にでもするか。
ふと周りをみるとエヌ氏の方を指差しながら何やらヒソヒソと話している人が見えた。
さっさと会計を済ましてしまおう。
エヌ氏は会計へ急ぎ足で向かった
「……円です」
店員の明らかに嫌そうな態度。煩雑な接客。
どうやらこのクリームの効果は少しでも不快だと思うと作用してしまうらしい。
エヌ氏は金を払い引ったくるように商品を受けとると急ぎ足で店を出ていった。
町を歩いていても常に不快そうな目線と話し声が聞こえた。
エヌ氏は走って家に向かった。
家に入ってもまだ不快そうな人々の視線や声が聞こえる気がしていき、エヌ氏はここに自分の居場所がないと思った。
すると突然、強風が吹き始め、家や町の木々、人やものが宇宙へ飛んでいってしまった。

遠く離れたある星の天文学者が、急に自転を止めた星を発見し、研究を始めた。
320創る名無しに見る名無し:2013/01/04(金) 19:10:33.35 ID:hkdllNmW
前世の記憶


「俺のことを知りたいって? こりゃ珍しいお客さんが来たもんだ」
 精神病院の一室で、男は女性と対面していた。女性は心理学科の研究生で、論文のテー
マが「前世の記憶を持つ症例」なのだという。それで特別に、男との面談が許可された。
「さて、いつのことから話そうか」

 男の子達が何やら話している。そのうちの一人が「おい、あいつにも聞いてみようぜ。
前世の記憶があるから、おもしろい答が返ってくるかもしれないぜ」と言った。彼らは近
づいて来て少年に尋ねた。
「お前、マイナス100億度の水か、1000億度のお湯か、どっちかに入らなきゃいけ
ないとしたら、どっちを選ぶ?」
「どっちでもいいよ」少年は不機嫌になった。「そんなものがあるならね。どんな物質もマ
イナス273度以下には下がらないし、水は100度で蒸発してしまうよ」
 子供の相手をするのはうんざりだ、と少年は思った。そんなふうだから、彼には友達が
いなかった。
 算数の時間には「先生が言ってるのって、整数に限った話ですよね」と言い、社会の時
間には「戦争がなくなるなんてありえませんよ」と言い、体育の時間には「体育はスポー
ツ嫌いの子を余計に嫌いにする」と言った。
 職員室の前で、彼は立ち聞きしてしまった。
「まったく、なんて生意気な子でしょうね」
「案外前世で先生だったりして」
「こりゃとんだ反面教師だ」
 先生達は笑った。
 中学生の頃には「行きたくないのに、行く義務はない」として修学旅行を拒否した。
 高校3年の時には「受験があるのに文化祭なんて、馬鹿馬鹿しい」と言って一切の協力
を拒んだ。
 なにしろ人よりも多くこの世界の理不尽を見てきたのだ。心が固くなっても仕方がない。
「お父さんとお母さんの教育方針は間違っている。母親の過干渉と父親の精神的不在。そ
れが子供をダメにするんだ」
 これはさすがにおかしい、と思った両親は、嫌がる彼を精神科に連れていった。
「前世の記憶を持っているという妄想にとりつかれています。これは重症です」
 と医者は言った。なんという愚かなことだ、と彼は思った。
 大学生の時、合コンに誘われた。彼は断った。
「女が嫌いなのか?」と一人がからかった。「ホモか?」
「ホモならまだいい。男の人なら愛せるからね」
「なんでそう頑固なんだ。そうか、爺さんだからか」
「なぜ俺が爺さんなんだ」
「前世の続きを生きてるんだろう? なら今は80か、100歳か知らないけど、老人じ
ゃないか。なあお爺ちゃん」
 それが火種となって口論となり、ついに取っ組み合いのけんかになった。
 それから彼はしばしば暴れるようになった。
 会社に入り、課長から飲み会の幹事をやるよう命じられた。
「私はここに金を稼ぐために来ているんです。幹事などやる義務はありません」
「前世でどんな偉い人間だったか知らないが、なんだその態度は。そうか、前世でいじめ
られて人間嫌いになったのか。なあ、前世君」
 彼は正論で批判し、課長は論理もなにもなく罵倒した。ついにつかみ合いのけんかにな
り、周りの者が止めに入った。警備員が来て、彼を取り押さえた。
 そして彼は、精神病院に放り込まれた。

「というわけだ」
 女性の憐憫に満ちた目が男を見つめている。
「そうですか。で、肝心の前世なんですが、あなたはどんな人だったのですか?」
「前世でも俺は今のように精神病院に入っていて、ついに出ることはなかった。なにしろ
前世の、前世の、そのまた前世も全部覚えているのだからね」
321創る名無しに見る名無し:2013/01/07(月) 19:16:34.90 ID:Nc2V+HRl
お化け屋敷


 男は柔道も、剣道も、合気道もやってきた豪胆な人間である。
 ある休みの日、男の友人が訪ねてきた。男は彼を概ね気に入っていた。ただ一点、たち
の悪いいたずらをして喜ぶことを除いては。今日も何かたくらんできたのだな、と男は直
感した。
「お前は肝がすわっている。怖い物などないだろう。そこで俺はいいものを見つけてき
た。世間一般には知られていないが、オカルトマニアの間では有名なお化け屋敷だ」
「お化け屋敷? そんなものを俺が恐れるとでも思っているのか」
「まあ聞けよ。そこはほとんどの人が近寄らないような所なんだ」
「なぜ近寄らないんだ?」
「そりゃお前、ものすごく怖いからに決まっているだろう。お前、暇か?」
「まあ今日は特に用事はない」
「なら決まりだ。今から行ってみようじゃないか」
 断る理由も思い浮かばず、男は友人の車に乗って出かけた。かなり長い時間をかけて、
二人は山奥へと入っていった。そこには山荘があった。
「これがそうか?」
 確かに屋敷には違いないが、遊園地の中にあるわけでもなく、入口の看板に「お化け屋
敷」と書いてあるだけなのだ。
「いらっしゃいませ」係の者が営業用の笑みを浮かべている。「大人お一人様500円です」
「じゃあ行ってらっしゃい」と友人は言った。
「なんだ、お前は来ないのか」
「怖気づいたのか? 一人じゃ怖いか」
「まさか」
 男は金を払って入っていった。カーテンが閉め切ってあるらしく、中は暗い。赤い照明
が薄ぼんやりと照らしている。通路に沿って部屋が並んでおり、ドアは開いていて室内が
見えるようになっている。だが安っぽいメークのお岩さんやプラスチック製の骸骨等、陳
腐なものばかりだった。奥に階段があり、上ってみると、やはり男をうんざりさせる代物
ばかりだった。
 なんだ馬鹿馬鹿しい。こんなの今時小学生でも怖がらないぞ、と男は思った。
 どうやら最後の部屋に来たようだ。そこだけドアが閉まっている。男は開けて、中に入
った。他と違ってカーテンは開いたままだ。爺さんが絨毯の上であぐらをかいている。
「おや、この部屋だけ他とは様子が違いますね。あなたはなぜ幽霊の格好をしていないの
ですか?」
「する必要がないからだ。わしは本物の幽霊だよ」
 老人は立ち上がった。向こうが透けて見えるということもなく、足もある。
「私には普通の人間に見えますが」
「試してみるかね?」
 老人が手を差し出してきたので、男は握手をしようとした。だが何も握ることができな
かった。
「あなたが本物だというのは分かりました。しかし私は何者をも恐れない人間なのです」
「そうかね。では今来た道を戻ってみなさい」
 男は言われた通りにした。屋敷の出口に来た。ところが扉が開かない。
 ふと背後に人のけはいを感じて、男は振り返った。いつの間に現れたのか、老人が立っ
ていた。
「なぜ鍵をかけたんですか」
「鍵? そんな生っちょろいものではない。それはわしの霊力でなければ開かないよ」
「では早く開けてください」
「5万円になります」老人は急に店員のような口調になった。
「5万円? そんな高いお化け屋敷は聞いたことがない」
 なるほど、これでは誰も来ないわけだ。
「絶対に払いません」
「なら一生ここにいるかね? 君にとっては長い時間だが、わしにとっては一瞬だ」
 それは確かに怖い。しぶしぶ男は財布を取り出した。
「3万2千円しかありませんが」
「しょうがない。大サービスだ。まけてやろう」
 男が支払うと、扉が開いた。
「わしは地獄に落とされたのだよ。そりゃ痛いの痛くないの。だが1億円で釈放してくれ
るというんだな。それで出稼ぎにきているのだよ。地獄の沙汰も金次第だな」
322創る名無しに見る名無し:2013/01/08(火) 19:48:54.17 ID:4PSRlJ+r
平凡な男


 彼は裕福でもなく、かといって貧乏でもない家に生まれた。
 やんちゃでもなく、内気でもない性格として育った。両親は過保護でもなく、放任主義
でもなかった。
 やがて中学生になり、反抗期をむかえた。親の干渉に反発を覚えた。よくけんかをし、
遂には家出をした。友達の家に泊めてもらった。しかし数日で戻ってきた。
 反抗期も終わり、元に戻った。しかしマザコンでもなく、親とは適度な距離を置いて接
することができるようになった。母の言いなりになることもなく、かといって自分の考え
に固執することもなかった。
 名前を聞いても知らないような高校に入った。エリート集団でもなければ落ちこぼれの
集まりでもない学校だ。友達はそれなりにいたし、成績は良くもなく、悪くもなかった。
 高校では野球部に入った。うまくはないが、下手でもない。唯一の大きな出来事といえ
ば、スライディングをした時にとがった石で頬を切ってしまい、3針縫ったことくらいだ
ろうか。
 初恋の相手はとびきり美人というわけでもないが、ブスでもなかった。二人は少ない小
遣いで映画を観に行ったり、遊園地に行ったりした。
 デートの帰り道、彼は生まれて初めてキスをした。
 好きな本はシャーロック・ホームズ。それから彼の部屋の書棚にはミステリーが増えて
いった。自分で書いてみたこともある。友達に読ませて微妙な顔をされた。
 かといってそのまま小説家への道をまっしぐらに突き進むのかというとそうでもなく、
何作品かのショートショートと短編を書いて、飽きた。
 やがて受験が迫ってきた。兄は大音量で音楽を流すような男で、彼が「うるさい」と言
うと、けんかになった。いくら注意をしても聞かないので、よく口論をした。すっかり兄
との仲は険悪になってしまった。
 しかし彼が大学に受かって寮に入ると、兄とは疎遠になった。二流の大学だった。
 友人は多くもなく少なくもなく、仲良し同士で固まって座り、講義を受けた。頭のいい
奴のノートを借りてうつしたり、過去問で試験対策をしたり、先輩のレポートをちょっと
アレンジして提出したりした。
 サークルはテニスを選んだ。一流プレイヤーでもなければ、下手糞でもなかった。
 大学で知り合った女の子と恋に落ち、初めてベッドをともにした。
 卒業して彼は一介のサラリーマンとなった。結婚して息子と娘ができた。家族でプール
に行ったり、祭を見に行ったりした。やがて倦怠期が来て、妻と言い争うことが多くなっ
た。それを乗り越えると、妻の方がちょっと上という立場に落ち着いた。
 息子に野球を覚えさせようとすると、すぐに飽きて家に引っ込んだ。息子は本を読むの
が好きだった。どうやらそっちの性質を受け継いだらしい。娘はおてんばだった。
 夏と正月には孫を連れて帰省した。母はおとなしい息子の方を大いに気に入ったようだ。
 たまに兄も親元を訪れている時があった。
「いやあ、昔はよくけんかをしたものだよなあ」
 と言って兄は笑った。すっかり円くなったようだ。
 子供達は次第に大きくなっていった。
 そんなある日、残業でいつもより遅くなり、家へと向かう道で、見るからにガラの悪い
男が近づいてきた。
「よう、あんた、久しぶりだな」
「どこかでお会いしましたでしょうか」
「とぼけなさんな。街からひょいと姿を消したかと思うと、いつの間にか戻って来ていて、
子連れの女と結婚して、今じゃいいパパだそうじゃねえか。噂で聞いたぜ」
「それはいつのことですか?」
「つい最近の話さ」
「では人違いでしょう。私は結婚してもう10年になります」
「他人の空似ってわけかい。じゃあ、その首のホクロと頬の傷はどう説明するんだい?」
「これは、野球部にいた時に怪我をした痕です」
「またまたご冗談を。そりゃ、チンピラとやりあってナイフで切られた傷じゃねえか」男
はいやらしい笑みを浮かべた。「そうかい。記憶喪失ってわけかい」
 彼は思い出してみたが、どこにも記憶の欠落している部分はなかった。
「あんた、街を出る前は相当なワルだったんだぜ?」
 彼は決然と言った。
「いいえ、私はただの平凡な男です」
323創る名無しに見る名無し:2013/01/09(水) 09:29:56.12 ID:fUdlJ94o
>>321
個人的にすごく好きだ。

オチが良い。
324創る名無しに見る名無し:2013/01/09(水) 17:35:25.82 ID:Kmt+3RaV
【味覚消滅】

エヌ氏はO博士の研究所に呼ばれた。

「すごいものを発明したと聞いたんですが一体何でしょう?」

『とりあえずこの機械の中に入ってみてください』

O博士は大きな機械の扉を開けエヌ氏を中に誘い込んだ。
そしてボタンを押すとエヌ氏は光に包まれた。
10秒程経ち、機械を止めるとエヌ氏は機械の外に出される。

「O博士、いったい私は今何をされたのです?
怖くて仕方がないのですが…」

『大丈夫です、さて、ここからが本番です
このショートケーキを食べてみてください』

エヌ氏は戸惑いながらそのショートケーキを食べてみた。
するとすぐにその違和感に気付いた。

「味が…無い?変なケーキですね」

『ふむ、やはり成功だ!実はケーキの味が無いのではなく
貴方から味覚を消したんですよ』

「味を消した?という事はこれは味覚を消す機械なのですね」

『まあ、そんなところです でもご安心を 24時間経てば元に戻ります
なぜ味覚が消えたか知りたくないですか?』

「そんなもの興味ありませんよ 私はこれで失礼します」

エヌ氏はふてくされて研究所を後にした。

「まったく、黙って実験体にするなんて、O先生は困った人だ…ん?」

その時エヌ氏は一枚の張り紙を見つけた。

[激辛カレー早食い大会 優勝者には賞金があります]

これだ!とエヌ氏は思った。

「今の私なら辛さを感じない、優勝出来るのでは…?」


そのAに続く
325創る名無しに見る名無し:2013/01/09(水) 17:49:28.11 ID:Kmt+3RaV
【味覚消滅】そのA

幸いな事に大会は今始まろうとしていた。
エヌ氏は飛び入り参加した。

「思った通りだ…!全く辛くない!」

実はエヌ氏は辛いものが大の苦手だった。
少しでも食べると気分が悪くなる。
もし今の味覚を感じない状態でなければ
どうなっていただろうか。

エヌ氏は見事に大会で優勝し、賞金を手に入れた。

「これもO博士が作ったあの機械のおかげだ
お礼もかねて研究所に行ってみるか」

研究所に着いたエヌ氏は博士に笑いかけた。

「O博士、これは素晴らしい機械だ!非常に興味が出てきた
良かったら味覚が消えた秘密とやらを
教えてもらえないでしょうか」

『いいでしょう、実はこれはタイムマシンなのです』

「タイムマシン?」

『正確に言うならば味覚だけを24時間後に送る機械なのです』

「…という事は」

『24時間後に甘いショートケーキの味が口いっぱいに広がりますよ
他に何か食べましたか?」
326丸猿 ◆jOiS8pzy3E :2013/01/12(土) 17:32:42.15 ID:Uw4g/yx3
久しぶりにひとつ

『欠落者』

彼は今、狭く貧しい部屋の一室で己の人生を終わらせようとしていた。

幼少の頃には学友から酷いイジメに遭い
教師からも人格破たん者だと罵られ
初恋の相手からは罵声をあびせられた。

親に負担をかけることも金銭を借り受けることも嫌った彼は
義務教育の終了と共にアルバイトをしながらの進学を果たしたが
進学先では遊ぶ余裕もなく、友人もできず
やがて心と身体の負担がたたり学業を断念することになった。

その後就いた仕事では人格に問題があるとして誰からも信用を得ることができず
上司のミスをかぶらされ処罰を受けそうになっていた同僚をかばい
その件が元で上司からの陰湿な嫌がらせにより職場を離れることを余儀なくされた。

その際にかばった同僚の救いに手を伸ばし
彼の紹介で新しい仕事を見つけることが叶ったが
それは他人を騙し貶めることによって収益を得る仕事だったため、
上司と言い合いの末にその職場を去ることを選んだ。
しかし、職場を離れることの損失ということで多大な損害金を請求され
彼はバカ正直にその損害金の賠償に生涯を捧げることとなった。

損害金の返済のための日雇いにあけくれる中
同じように懸命に働く一人の女性と出会うことになった。
その女性は過去のボーイフレンドにつくし多額の借金を抱え
その借金の返済のために、昼も夜も働くという健気な女性で
彼女の素性を知り大いに同情し関心した彼のその気持ちが
愛情に変わるにはそんなにも時間はかからなかった。

彼は彼女を心から愛し、共に協力し合って互いの借金を失くすことを心に誓ったが
その女性が借金だけを残し、裕福な男に連れ添われ消えるのもまた早かった。
それからというもの彼は、なんの楽しみも喜びもなく、借金の返済のためだけに生きてきたが
生涯をかけても己の借金の返済が終わらなかったことをただ悔やみ
短い生涯の中で迷惑をかけてきた数少ない知人たちへの罪を恥じながら
孤独の中で己の活動を停止させた・・・。



その時、彼が活動を停止したその部屋に、小さな緑色の渦が現れ
中から緑色の皮膚をした無表情の人間が数人訪れた。

「また失敗したか。」

「はい。我々の持つ全ての技術を駆使し、彼には確かに『心』を持たせたつもりでしたが。」

「我々の作り出した『心』では、彼はニンゲン達の世界で相容れることができなかった。」

「我々の作った『心』にはいったい何が足りないのか・・今後も研究を続けていきたいと思います。」
327カミジョー ◆NiDguvjC7M :2013/01/17(木) 00:20:36.10 ID:j9IaVVYT
テスト
328創る名無しに見る名無し:2013/01/20(日) 20:51:03.41 ID:FsX+OA80
>>324
シンプルで面白い!

実に星新一っぽい!
329創る名無しに見る名無し:2013/01/21(月) 00:36:05.21 ID:1nfdfr5t
>>322はあれで終わりなんだろうか?
なんか、途中で切れてしまった感が
330創る名無しに見る名無し:2013/01/31(木) 20:21:19.58 ID:1emc8XI6
安楽椅子探偵


「先生が世間で何と呼ばれているかご存知ですか?」
 男はいかにも高級そうな背広を着た紳士に尋ねた。
「ああ、安楽椅子探偵だろう?」
 その名の通り、彼はリクライニングチェアにゆったりと腰かけていた。パイプの代わり
に葉巻をくわえている。
「様々な難事件を、現場に出かけることなく解決されたそうですね」
「なに、調査は部下に任せているのさ」
 白髪頭の安楽椅子探偵は紫煙をくゆらせている。
「世間を騒がせたあいうえお殺人事件を解決されたのはお見事でした」
 連続殺人事件だが、被害者の頭文字が「あいうえお」の順に殺されていたのだ。「か」ま
で来てなぜか次が「く」だった。なぜ「き」がとばされたのかを鋭く見破り、犯人を当て
たのだ。
「阿久路井戸殺人事件、あれも素晴らしいお手並みでした」
 阿久路家の井戸に死体が放り込まれていたという事件だ。阿久路家の主人が事件の様子
を丹念に日記につけており、その中に犯人でなければ知りえない記述があるのをずばり指
摘し、主人が犯人だと推理したのだ。常人では気づかないささいなことだった。
「いやいや、君の手腕にはかなわないよ」
 実は男も名探偵と呼ばれている。男は本題に入った。
「そんな先生でも解決できない事件がありますよね」
「ああ、毒霧事件のことか」
 安楽椅子探偵は苦虫を噛み潰したような顔をした。
 宝石店に押し入り、ありったけの宝石を盗んでいくというものだ。このところ県内で頻
発している。奇妙な共通点は、目撃者が全員その時の様子を覚えていないということだ。
「私もあの事件を解決したいと考えております。そこで、ぜひ先生のお知恵を拝借できれ
ばと思い、こうして参った次第です」
 現場にも行かずに犯人を見抜く、その超頭脳をもってしても分からない。そこに何か、
安楽椅子探偵が見落としている重要な糸口があるのではないかと考えたのだ。
「泥酔した時に記憶がとぶことがある。ある種の精神薬にも、健忘の副作用がある。それ
を応用したものだろうね。犯人は、医学に詳しい者か、科学者だと私はにらんでいる」
「なるほど。そういうことが可能なのですか」
「警察の調査によると、目撃者の顔や衣服、床に至るまで広範囲に残っていたそうだ。薬
をスプレーの缶に入れて、吹き付けたものに違いない」
「何か、手掛かりはないのですか?」
「そこなんだよ。監視カメラにも映らず、足跡も残さず、警備員も覚えていない。一切の
痕跡を残していないのだよ。どうしたものかと私も悩んでいるのだがね。いい策が見つか
らずに困っている」
 それからしばらく、名探偵は天才的頭脳の持ち主からなんとか情報を引き出そうとした
が、徒労に終わったようだ。

 名探偵は、その鋭い洞察力によって、犯人の次のねらいはここだと推理した宝石店の物
陰に隠れていた。閉店後の店内は真っ暗だが、暗視ゴーグルで視界を確保している。
 案の定、一人の人間が店内に忍び込んできた。やはり暗視装置をつけているようで、素
早い身のこなしだ。彼は犯人を捕まえようと躍り出た。
 名探偵は仰天した。それは安楽椅子探偵だったのだ。
「やあ、名探偵君。こんな深夜にご苦労なことだ」
「しかしまさかあなたが、なぜ……」
「安楽椅子探偵が事件現場に来ちゃ、悪いかね?」
 安楽椅子探偵はスプレーを取り出した。
「私の友人は医学博士でね」
 名探偵の視野に細かい霧が広がった。
331創る名無しに見る名無し:2013/01/31(木) 20:28:32.45 ID:1emc8XI6
小学生の自分


 電話が鳴っている。またか。男はうんざりした。男は受話器を取った。
「お母さんやけど。あんた、元気にしとるんね?」
 やっぱりか、と男は思う。
「うん、元気にしとるよ」
「そうかねえ。声に元気がないけどねえ。今の仕事がいけんと思うんやけどねえ」
 その話は百万回聞いたよ。男は顔をしかめる。
「あんた、昔は頭良かったんやけどねえ。あんたやったら、もっといい会社に入れるんや
けどねえ」
 大学を出た人間が全員優良企業に入れるわけじゃねえよ。男は心の中で毒づく。
「僕だって、チャンスさえあれば、もっといい仕事に変わるよ」
「それはいいんやけどねえ」
 またこれだよ。こっちの話は聞きゃあしない。
「あんた、彼女はできんとね?」
「ああ、さっぱりだよ」
「あんた、いつかは結婚する気はあるとね?」
「まあ、そりゃあ、いつかは」
「いつする気になるとね?」
 仕事、仕事、仕事、結婚、結婚、結婚。いつものように執拗に続く話を、男は辛抱強く
聞いた。
「あんた、給料が安いんやから、無駄遣いしたらいけんよ」
「しとらんよ。一日一缶のジュースで我慢しとるよ」
「はあ! 一ヶ月に三千円も無駄にしよるやないね」
 男は風呂なしの古びた木造アパートに住んでいる。安い食材でうまい食事を、となんと
か工夫し、おかげで随分と料理がうまくなった。
 趣味といっても金がないので、近くの図書館で本を借りて読んでいる。そんな調子では、
母の言う通り、一銭も無駄にはできない。
 長い電話が終わり、男は受話器を置いた。いっそこの電話も解約しちまおうか、と男は
思った。

 男は自動販売機を見つめている。
 もうそろそろ、小学生の自分と、決別せねばなるまい。
 男は小学生の頃、バスで通っていた。バス停のそばに駄菓子屋があった。今では考えら
れないことだが、母が先に店主のおばちゃんに何千円か渡しておいて、男が好きなように
アイスを選べるようにしていた。
 男がいつものように駄菓子屋に寄ろうとすると、タイミングの悪いことにバスが来た。
「おい、お前何やってんだよ」
 他の子に引っ張っていかれ、彼はアイスを食べられなかった。男はわんわんと泣き続け
た。家の前で座り込み、大声を上げて涙を流した。
「なし泣きよるんか」父が半ば怒った声で聞いた。
「アイスが食べられんかったけ。アイスが食べられんかったけえ」
 父はバニラアイスを買ってきてくれた。
 そして今でも、ジュースを買おうか買うまいかと悩んだ時に、こう思うのだ。
 ああ、俺の中の小学生の部分が、ジュースを買えと命じている。
 大人にならねば。いい歳をして、チョコやサイダーを買うもんじゃない。
 男は自販機の前から立ち去った。

「あんた、彼女ができたことはあるんね?」
 受話器から母の声が聞こえている。
「3回プロポーズして、3回ふられた」
 実際には20回だが、とてもじゃないが言えない。
「お母さん、僕、小学生の自分と決別することにしたんよ」
「はあ?」
「ジュースを買うの、やめたよ」
「そうやねえ。大人にならんとねえ」
「ジュース買うのをやめて、缶コーヒーにしたよ」
332創る名無しに見る名無し:2013/02/05(火) 01:24:36.37 ID:JSJQnI67
>>330>>331も、面白くありませんでした。
星新一作品はお読みになっているのでしょうか?
星どころかショートショート……いえ、物語として微妙な出来です。
オチまで行く行程に蛇足が多いです。
そうまでしてたどり着いたオチも微妙な出来。
いくつか作品を投下なさってますよね?
文体からなんとなく同作者のものとわかりますが、
あなたの作品は、物語の体を成したポエムです。気ままな散文詩のようです。
テンポ・説得力・意外性 どれも推敲されず
だらだらと長い「それっぽいだけの」文章を書いているだけに見えます。

辛口すみません。
作品を投下してくれる人がいるだけでありがたいのも分かってます。
でも、何も言わないままなのも我慢ならなくて。
潜ります。
333創る名無しに見る名無し:2013/02/21(木) 11:45:17.22 ID:1+wAbl5x
 ロボットと私

 私はどうしようもない人間だ。 会社は遅刻する事もあるし、料理、洗濯、掃除もも下手だ。
 仕事だって思ったほど成果は出せない上、上司にも散々怒られてしまう。
 そんな時、M社から万能ロボットが出たと聞いた。
 私は早速購入をし、一日の予定を入れてみた。
 次の日の朝、ロボットが「おはようございます」と私を起こしに来た。
 朝食はすでに出来ており、部屋は綺麗であった。外には散々貯めていた洗濯物が綺麗に干してある。
 私は素晴らしさに酔いしれつつ朝食を終え、遅刻することなく会社へとたどり着いた。
 しかしそんなある日、ロボットが壊れてしまった。
 修理の業者と共にロボットがいなくなると私は案の定、遅刻をした。
 部屋は散らかり、洗濯物はたまり、料理は外で食べるものが多くなった。
 そして、またしばらくするとロボットが帰ってきた。私は当たり前の用に一日の予定を入力する。
 次の日の朝、けたたましい音共にロボットが私を投げ飛ばした。
 私はビックリして「何をするんだ!」と文句を言った。
 しかし、ロボットは何食わぬ顔をして「今度から自分起きてください」と言い返してきたのだった
 私はしぶしぶ朝食を作るとロボットが私の朝食を横から奪い取ってしまった。しかも「まずい」と一言
 その後、修理から帰ってきたロボットは何もすることなくただ、文句を言うだけであった。
 私は頭にきて業者にちゃんと修理したのかと問いただしたがどこも問題ないといわれてしまった。
 頭に来た私はロボットより早く起きてやった。そうしたらロボットは私を投げ飛ばすことなくそのまま去った。
 朝食を作ると「美味しい」というようになり、掃除や洗濯もまた私がやるようになった。
 そんな生活を続けているうちにして私はふと思った。
 これならロボットがいなくともしっかりやれているではないか、と。
 そして、あのロボットは私の生活を改善してくれたのだなと感謝し始めた。
 私は家に帰ると早速ロボットに対して感謝の気持ちを込めて磨き始めた。
 そんな日が続いたある日、ロボットが私にこう言った。
「私が起きる時間になったら起こしてください」
334創る名無しに見る名無し:2013/02/21(木) 18:15:49.09 ID:Ig9jgVSU
>333
なんだかロボットが妙にかわいくおもえてきますね。面白かったです。
335創る名無しに見る名無し:2013/02/21(木) 19:40:26.59 ID:Ig9jgVSU
神様のゴルフ

近頃は空を見上げると星星の間に飛行機の点滅灯がみえる。連続写真にでもすれば航跡が残り、
夜空は線だらけになるくらいだ。
 宇宙にカメラ技術で線を引けるといえば流れ星だ。流れ星など極たまにしか見えないが、流星
群なるものが出現する。ペルセウス座流星群は毎年同じ時期に出現する。しし座流星群は周期的
にやってくる周期群だ。突発的なものとしてはほうおう座流星群があげられる。
 あれはほうおう座流星群の時だった。流星群とは別に隕石がふってきたのだ。       
みんな高台の開けた場所に車を置いてたくさんの人が双眼鏡やカメラをもってみていたもんだか
ら星がながれるたびにやんやの歓声であった。だが突然隕石が降って来た。よほど予想外だった
のかみんな声が止まった。「あれあれあれあれれれ」。
隕石は上空でバラバラと数十くらいに割れてバラバラとまた数百ぐらいに割れた。
次第にみんなの声は変わった。「きゃ〜」「うぉ〜〜」
 しかしみんな無事であった。隕石の落ちた場所はは近くでも数千メートル先だった。
流星群ウォチングは隕石探しに変わった。「いってみようぜ。拾おうぜ。売れるかも」
人数が多かったので5つくらいの拳大の隕石はすぐ見つかった。そして六個目の隕石が
見つかった。そのあたりはゴルフコースになっていてみつけやすかった。
「おい、ここにホールインワンがあるぜ」なんとゴルフコースのカップにゴルフボール
大の隕石が入り込んでいた。こればかりはみんな写真をとってそのままおいておいた。
 長い長い宇宙の歴史に照らしてみると地球に降ってくる隕石は小規模のものからふく
めるとしょっちゅうということになるらしい。
まさに神様がダーツしているようなものらしい。だれかが嘯いた「神様は決める時は一
発できめるんだろうなこんなふうに」彼は暗に地球の崩壊を暗示して嘯いた。
そんなときだもう一度空が真っ赤に覆われたのは。
初老のお婆さんが手を合わせて何か言っていた。
「嗚呼神しゃまがダーツをしているに違いない。違いない。」

私はその話を聞いてたしかに神様のゴルフというよりダーツという方が正確な気がした。
そう、われわれの地球は神様のダーツの的になっているのだ。
月を見ればわかる。今日は月がある。今日は月がある。
 
 
336創る名無しに見る名無し:2013/02/23(土) 00:08:20.10 ID:gBHuegX6
小屋の中の箱

ある日ゆるやかな上り坂の道をある男が歩いていた。ここは街から1キロほど離れた
場所であったが周りには森が広がっていた。
ここは隣町につながるとある道路。車だけが騒音とともに走り去る。乗っている者
などこの男の不審さにはだれも気付かなかった。この男は昨夜、ある邸宅に忍びこみ
金銭を奪って逃げてる最中だった。あまりにもまとまった金だったので不審に思われ
かねないとおもい隠れ家を探している途中でもあった。
ふと男は足をとめた。森の中に一軒の小屋があった。男はそこに近寄り、誰かいない
かと中をのぞいたが誰もいなかった。というより住んでいるという気配すらなかった。
男は中に入り冷や汗と坂を上った汗が入り混じったコートを脱ぎ座り込んだ。
入ったときに何か声がしたような気もした。
男は小屋の中を見渡した。なかには人一人入れるほどの箱が一つ、コンビニで売っている
おにぎりが3つ無造作に置いてあった。男は逃げるのに必死で朝飯を食っていなかった。
賞味期限もまだ過ぎてないし傷んでもいなさそうだったのでとにかく口に頬張った。
そして日が暮れた汗臭いからだをどうにかしたいと思った。そしてあまり気にしてなかった
箱を見てみると湯が沸いていた。近くにはシャンプーやボディソープがひととおり置いてあ
り男は少し不思議がりながらも風呂へ入った。男は誰が沸かしたか考えながらボディソープ
を体に塗りたくり水で流した。すると臭かった腕がいつのまにかいい香りになってつるつる
になっていた。まるでかじりたくもなるような腕になっていた。足も顔も同様つるつるにな
っていた。
その後男はさっきまで来ていたコートをはおり寝てしまった。しかし翌日になるとあのまと
まった金は消えていた。ついでにあのつるつるになった男も跡形もなく消えていた。
そしてある日、この小屋に別の男が近寄ってきた。かなりの大きさのダイヤを持っていて
運んでいる途中だった。夜が来たので人目のつかぬようなところを探して寝るつもりだったのだ。
そしてその男が入る直前に箱の中からかすかなこえで
「おっ。来たか来たか。今回はどのような味付けで食べてやろうか。」
337創る名無しに見る名無し:2013/02/23(土) 00:43:06.61 ID:gBHuegX6
若返る薬

エフ博士は大声を上げていった。
「ついに試作品の完成だ。」
助手の青年は駆け付けた。といってもこの部屋にいるのは博士と青年の二人だけなのだ。
「これはどういうくすりなのです。」
っと青年が言うと誇らしげにエフ博士は
「若返りの薬だ。あの男が金を貸してくれなかったらできなかったことだ。
しかし、これが完璧でないかもしれない。若返りが速すぎで一瞬で卵子に戻り消えてしまう
かもしれないのだ。失敗するとその男に何をされるかわからない。」
その男というのも暴力団の組長でありだいたい失敗した後のことは想像できる。
青年は薬をつかみ
「どうやって試します?いっけんぺろぺろキャンディのようにもみえるがまずそうでもない。」
青年はそういうとそれをつかみなめ始めようとした。エフ博士は必死に止めた。
「どれくらいの速さで若くなるかもわからないのに」
と焦った口調でその薬を引き離した。すると後ろのほうから誰かが来たことを示すチャイムが鳴った。
エフ博士はドアを開けた。そこにはあの組長が立っていた。しかも強そうな手下をつれて。
組長は部下に
「俺と博士とのはなしあいだ。お前たちは待ってろ。なにかあやしいと思ったら入ってこい。」
そういうと無茶苦茶にドアを閉めてはいってきた。
「何しに来たんだ」そういうと
組長は「借金の取り立てだ。今まとまった金が必要だがお前の研究費に使ってしまった。」
そういってまるで自分の家かのように組長は椅子に座り
「最近、医者に甘いものを摂取するように言われたからこのキャンディをもらうぜ。」
とあの薬をバリバリ、もぐもぐ・・・。
エフ博士は魂が飛んだかのように呆然としていた。顔を振りまばたきをして我に返ったが
時すでに遅し。組長は見事な若者になっていた。そう思っているうちに学生のような姿になり
幼稚園児のような姿になり、赤ちゃんのような姿になり、いつもなら羊水に浸かってるはずの
宇宙人みたいな胎児になり消えていった。
青年はさっき食べなくてよかったとほっとした。
しかしそれもつかの間、あまりにも静まり返ってしまったせいか部下たちが中へ入ってきた。
部下たちは応接間へ迫ってくる。
エフ博士と青年は組長を何処へやったと殴られるのではないかと心臓は破裂しそうなほど
ふるえていた。
そしてエフ博士は小声で言った。
「若返るどころか、何十年も年をとったような気分だ。」
338創る名無しに見る名無し:2013/02/23(土) 18:25:11.35 ID:gBHuegX6
3作連続でスマン。ふとあるいてて思いついたからわすれるまえに・・・。

磁石ヘルメット

ある日地球に異変が生じた。地球の極が反転しさらに引力が何倍にも増したのだった。
人々は歩くのもままならないくらい地球に引き寄せられた。
宇宙を舞う隕石も小さいものは引力によって降ってきた。ついこの前の何倍もの量になって。
隕石に当たるとひとたまりもないという話題が出て、とある研究所はあるヘルメットを開発した。
地球の引力の逆の極をもった磁石つきのヘルメットである。
そうすることで反発しあい重力の負担は軽くなった。しかし金のない者は買えるはずもなかった。
建物の中で一日中過ごしているのであった。
夜になると大気圏で燃え尽きる多くの隕石が見えた。
建物の中の人々は隕石を恐れて空を見ることもしなかった。
今は夜の八時頃。会社から帰るもの、飲み歩くもの、町は人であふれていた。
みなヘルメットを着けている。着けてないものはすることもないので、みな寝て
しまった。
ある男もヘルメットを持っていず一日暇つぶしをし寝るところだった。
突然体が天井にぶつかった。そして体はベットにたたきつけられた。
近くのラジオをつけてみる。すると、どうやら一旦極が変わっていつもの地球
に戻ったのというのだ。男は安心して寝てしまった。
朝になるとその建物の中にいた人々は顔を打ったなどとさわいでいた。
しかし建物の外はさらに大変なことになっていた。
ヘルメットをかぶった死体が数え切れないほど地面に埋まっているのであった。
339創る名無しに見る名無し:2013/02/24(日) 05:07:50.76 ID:bcahM0SD
大地がまだ大地であったころ男はみな不良であった。朝一番に太陽を拝むよう
なことはなく、みな朝も夕も一番星を探したがった。大平原を一番星めがけて
翔けていくのだ。あれは空気も妙に澄んだ星の大きな夕べだった。20基ほどの
馬で男たちはただ翔けた。しかし向こうからも20基やってきた。
当たり前のように争いになった。しかし旧知の仲のどう民族で戦争するほどの
ことでもなかった。それでおとこたちはゲームをした。まず馬から9人降りた。
斜めにしか切り込めないヤツを一人ずつ置いた。たてと横にしか動けないヤツも
一人ずつ。たてにしか動けないヤツ。はすかいにしか飛べないヤツ。前と斜めに
は進めるが後ろには進めないやつ。前後ろ斜め横一つずつ進めるヤツ。馬をおり
たヤツも敵地にいち早く攻め込みみなに切り込み隊長としてみとめられるやつも
いた。敵をつかまえると捕虜にすることもでき、味方につけることもできた。
その争いは長く続くこともあったし、すぐきまることもあった。
本格的な争いではあったが、それを男たちはゲームのように考えていた。勝った
方が自分たちの領地をひろげるのである。でも大地はくさるほどあった。
 ある日地震があった。大勢の男たちはそれを合図に西へ西へ翔けた。向かってくるやつの
首を撥ねながら。そして一番星を合図に陣地に収まった。戦争というには圧倒的な
勝利に告ぐ勝利であった。男たちはイマドコにいるのかわからなくなることもあった。
しかし大地という大地を切り開いてきた男たちはあらゆるものを破壊してやがて平原
になるように土地を慣らした。彼らの行くところ本当になにもなくなった。
きれいさっぱり。階層、階級、宇宙、小宇宙そんな言葉は本当に理解できなかった。あるのは
大地だ。奪った大地に彼らは放牧した。将棋倒しのように人をや民家を破壊しながら。
340創る名無しに見る名無し:2013/02/24(日) 23:56:16.59 ID:Ba2S0xmV
>>339リアル将棋だな

アップルパイ・・・1

あれからかなり時が経っただろう。コンピュータというものが人間よりはるか上
を行く時代になってしまった。配達もコンピュータにより家に一つずつ設置され
たボックスに届く。
ここは街から少し離れた住宅地。ある男は新型のラジオで暇を潰していた。
今は何もかもコンピュータが制御しあのころに比べかなり平和になっていた。
男は適度な運動をする以外、することといえばラジオで聞くニュースか遠く過
去の話の本を読むことくらいだった。
子供のほうはコンピュータと楽しく遊んでいるのだった。
今日もコンピュータからボックスに物資が届けられた。輸送中に何が起こっても
耐えられる金属の箱に入って。
中を開けてみるとリンゴが入っていた。男の妻はそれをとり
「今日のおやつはアップルパイね。」と言って台所へいった。
調理もコンピュータがする。できるまでの間、ながめるのが妻の趣味らしい。
あのころはそんなもの誰もしないでせかせか働いてる時代だった。
男は何か面白いことはないかと窓の外を見た。曇っている。
しかし男の思いは天に通じたのか黒い穴が空にポッカリ空いてなかから
乗り物らしいのが出てきた。
扉が開くと中から傷だらけの男が二人おりてきた。神もくしゃくしゃで火傷を
おっているようだった。そのうちの一人が何か言いたそうだったがもう一人が
ひきとめて、
「そんなことをすると彼の心は・・・」
と語尾を濁していった。
何がなんだかさっぱり分からない男は
「これは一体何なのです。」
「これは簡易型のタイムマシンです。中には周りの水蒸気を水に変え
飲めるようにする機械と、いきたい年代へ移るためのダイヤルだけしかあり
ませんが。」
「そんな格好をしてどこに行かれるんです。」
「楽しかった過去を見に行くためです。よかったら一緒にどうです。」
男は少し戸惑ったがあまりに暇なので
「せっかくのご好意なのでお言葉に甘えて・・・。」
男は機内へ入る。少々狭かった。乗っているものは傷で顔までよく見えなかったが
やさしい人々とはわかった。
341創る名無しに見る名無し:2013/02/24(日) 23:58:27.33 ID:Ba2S0xmV
アップルパイ・・・2
男は言った。
「いつの時代からやってこられたのですか。」
「それは事情があっていえません。ただ二人とも家族を亡くして
いることは・・・」
またも語尾を濁した。
そんななかもう一人が小声で
「あぁ、あの時のアップルパイ」
男は、
さてはアップルパイが食べたいのだなとおもい、家で作られている途中の
アップルパイをもってこればよかったと後悔した。
少しずつ過去に戻ってゆく、なぜか降りる場所降りる場所にいるのは
過去の男に似た人物が楽しく友達と笑い合っている場面である。
男は不思議だったがほかの二人に迷惑をかけたくなかったので、
聞くのをためらった。
そして男は現在へ戻ってきた。タイムマシンに乗せてくれた二人にお礼を言い
家の中へはいって行った。
すでにアップルパイはできていた。男はあの貧しそうな傷だらけの男に分けて
やれなかったことをとても後悔した。
目に付いたラジオの電源を入れまたいつもの生活が戻ってきた。
ラジオからは
「なんとタイムマシンが完成しました。ただ今から試供品を各家庭にお送りします。」
男にはどうでもよかった。他のチャンネルに切り替えそれ音楽を聞いた。
悲しい音楽だった。しかし男はたまにはいいとそのままにした。
そして近くにあったアップルパイをつかみ口にした。平和な味だった。
その瞬間、ミサイルが通ったような轟音が走り熱風が吹き家ごとめちゃくちゃに
吹っ飛んだ。
箱に入ったタイムマシンの試供品、ラジオ、家族、家また友達の家、
黒こげのアップルパイ
悲しい音楽ととも飛ばされた。
男はひどいやけどを負ったもののいきのびた。はす向かいの
火傷を負った友達とタイムマシンと一緒に。
342創る名無しに見る名無し:2013/02/28(木) 06:04:27.13 ID:iHYHj4tG
『診察室』

アール氏は聴診器外して、カルテに書き込みながら呟いた。

「やはり過大な宇宙電波の影響が…」

すると男が無造作にアール氏から聴診器とカルテを取り上げた。

「アールさん。まだ症状が改善しませんね」

白衣の男は外国語風の意味不明な文章が書かれたカルテとアール氏を交互に見やった。
343創る名無しに見る名無し:2013/03/05(火) 22:32:29.01 ID:0ryY9Eo3
>>338
>地球の引力の逆の極をもった磁石つきのヘルメットである。
同じ極の磁石じゃないのか?
逆の極じゃ余計引力が強くなる
344創る名無しに見る名無し:2013/03/06(水) 16:53:15.46 ID:bG1EK8ak
ビカビカビカ、重力磁石〜!

ってことじゃねーの
実在する磁力を帯びた石とは理屈が違うんだよ多分
お作法的にはちゃんと揃えるか全く違う用語作るべきだけどな
345創る名無しに見る名無し:2013/03/07(木) 22:48:21.13 ID:Tih8fhz9
初めて作りました(°_°)

エヌ博士は新しい薬を発明した。
この薬を飲めば一定時間、体が縮み、小指の爪くらいの大きさになる。
憧れの女性の家に忍び込むことにした。
女性の家まできて、エヌ博士は薬を飲んだ。
しかし、小さくなったら、これから何をするか考えるだけの脳細胞が消えた。
その後、小さなエヌ博士は女性に踏みつぶされて死んだ。
346創る名無しに見る名無し:2013/03/08(金) 19:34:03.93 ID:d6vrO3cj
ここ最近の連投の中では>>337が一番秀逸だと思うw

>>345わりと好き。だけどシンプルに小さくまとまっちゃってるのが残念。
同じ内容で文章を3倍の長さにできたらわりと良いショート作品な気がする。
347創る名無しに見る名無し:2013/03/08(金) 23:53:16.87 ID:k0D+4S03
>>346ありがとうございます‼
アドバイスを受けてもう一本作ってみました。



「セーブポイント」

エフ博士は人生にセーブポイントをつけられる機械を発明した。
それは簡易的なタイムマシンの原理で、
自分が指定したい瞬間にその機械のセーブボタンを押せば記憶され、
リセットボタンを押せば時間が逆戻りするシロモノだった。
「失敗してもリセットすればそこから始められるのだ。しかも記憶は残るからやり直しができる!」
試しに、使ってみようと前々から大嫌いだったワイ博士を呼び出した。
「何の用だね?エフ博士」
エフ博士は、セーブを押した。そして彼の前で悪口をいった。研究に関する悪口、品性の無さに関する悪口、一緒にいるのも同じ空気を吸うのも嫌だと、とにかく心の底から嫌いだと伝えた。
ワイ博士が怒りでカンカンになったところでリセットボタンを押した。
すると、時間は呼び出したときに戻った。
「何の用だね?エフ博士」
ワイ博士は呼び出した時間に戻って同じ台詞をいっていた。よし、成功だ。
「はっは!すごくせいせいした」
首を傾げるワイ博士からは吐き捨てるようにその場を去った。
348創る名無しに見る名無し:2013/03/08(金) 23:54:19.63 ID:k0D+4S03
エフ博士は新しいアイデアを思いついた。
それはセーブをし、競馬で大金を賭けて負けたらリセット。
勝ったらセーブをし、また大金を掛ける。
「はっはっは。お金が増える!
何度でもリセットできるので、失敗が怖くないぞ」
セーブとリセットを繰り返しわすが数時間にして億万長者になった。
エフ博士は鼻歌交じりで車に乗り、家まで向かっていた。
次は何をしようかと考えていたら、
突然、向かい側から暴走した車がこちらを目掛けて走ってきた。
このままだと事故で死ぬかもしれない!
そう思い、咄嗟にセーブボタンを押してしまった。
しかし、車が正面衝突をしてくる。
…死ぬ!
リセットボタンを押した。
しかし、車が正面衝突をしてくる。
…死ぬ!!
リセットボタンを押した。
しかし、車が正面衝突をしてくる。
…死ぬ!!!
エフ博士は同じシーンを何百回、何千回と同じ恐怖を繰り返した。
リセットボタンを押し続けた機械はプスプスと音を立て、壊れた。

ふと気がつくと、
目の前には、ワイ博士がいた。
一瞬、理解できなかったが、
幸いにも時間が一番最初にセーブしたときに戻っていたのだ。
「なにかね?エフ博士」
エフ博士は手にしていた壊れた機械を投げ捨てると、泣きながらワイ博士に抱きついたのだった。
349創る名無しに見る名無し:2013/03/12(火) 23:22:54.07 ID:XlWySw+C
青い惑星

「最近、機器の進化は素晴らしい早さで発展しているな。」
そうつぶやきつつ俺は、本を読みながら昼のひと時を過ごしていた。
周りの仕事はコンピュータがすべてしてくれる。することなどは娯楽以外ないといっても
よいだろう。
何もすることのないときは本を読み、多いときには軽く五十冊は読んでいる。
今日ももうニ十冊は読んだだろうか、突然地響きがした。隕石だろうか。
まもなく家の周りは騒がしくなり、ようやく自分の家の庭でことが起こっていることに
気付いた。
窓を開け外をのぞくと、いかにもくたびれた自分の腰あたりまでの高さの物体が地面に
落ちていた。さっきの地響きはこれのことだろう。
まわりの野次馬は、この庭の持ち主と分かり、次々に質問を投げかけてきた。
質問のほとんどは物体の中に何が入っているかというものだった。
物体には扉があり、小窓から動物らしきものが見えた。扉をはずそうとすると
鈍い音を立てて開いた。なかから恐る恐る出てきたのは、驚いたことに、
私たちをそのまま小さくしたような生物であった。何か喋っている。
そのうちの一人が、中から機械のようなものを取り出し、俺に向けて、何かを
発射した。
「痛っ。」
何かが腕に当たった。傷みは治まったもののほっとくわけにもいかないので、
箱に入れて、鍵を閉めておいた。
一匹は自分のペットにしようととっておいた。
しばらくすると、国の調査団がやってきて
物体や生物を引き取っていった。野次馬も去っていきまた平凡なひとときに
かえった。
それから数日後、テレビをつけると
<近日、とある庭に落ちたと・・・>
テレビの内容はこの間、自分の庭に落ちた物体のことだと理解した。
ペットとしてとっておいた生物は急におびえ始めた。
<最近、この星の人口が増え、移住が必要となり、偶然にもその物体から
この星と条件がほぼ同じの、青い惑星を・・・>
それを聞いたペットはかすれかけた声で
「チキュウガ・・・。」
350創る名無しに見る名無し:2013/03/13(水) 23:41:19.44 ID:d3Pk9Vaf
【強奪】

地球にやって来たそのUFOは言った。

『我々はミラ星人、この星の資源などを頂いていく』

突然やって来てとんでもない話である。
しかし人間達は逆らう事が出来なかった。

UFOが赤い光線を発射した。
それは地面に直撃し、次の瞬間爆音と共に
見た事もない火柱が上がったのだ。

「恐ろしい兵器だ…あんなものを装備している宇宙人に
逆らっても勝てるはずがない…」

誰もがそう思うしかなかったからである。

『この星で我々の星には存在しない物質を発見した
それをありったけもらおうか』

「分かりました…その物質とは?」

金だろうか、ダイヤモンドだろうか。
しかしミラ星人は意外なものを要求してきたのだ。

〈そのAに続く〉
351創る名無しに見る名無し:2013/03/13(水) 23:42:21.59 ID:d3Pk9Vaf
〈強奪そのA〉

数時間後、宇宙を飛ぶ一台のUFO。
地球からある物を強奪して飛び去るミラ星人のものだ。

『やはりUFOの中は暖かくて良い
あの星は気温が低すぎる』

UFO内の温度計は500℃を表示していた。

『しかし…上手くいきましたね』

『ああ、まさか赤い光線も火柱も、全て我々が作り出した幻だとは
奴ら夢にも思うまい』

実はこれがミラ星人の能力なのである。
幻を見せて脅し、資源を奪い取る。
その幻は音も発生させる事が出来た。

計画の成功を笑い合ってたその時である。

『た…大変です!』

『どうした?そんなに慌てて』

『あの星から奪った「氷」という物質がありません!』

『なんだと!?どういう事だ!』

『分かりません…消滅してしまったのです、まるで幻の様に…』

『幻…それだ!きっとあの星の連中も我々と同じ能力を使えるのだ!
きっと氷の幻を用意したに違いない』

『ですが我々の脅しに震えてた様ですが…』

『そんなもの芝居に決まってるだろ!
まんまとこっちが騙されたのだ…』

『恐ろしい奴らだ…他にも何か能力を隠してるに違いない…
もうあの星に近付くのはやめよう』

それから数年が経った地球では皆が困惑していた。

「あいつらまた来ると言っていたが全くその気配を見せない…
あれは幻だったのだろうか…」

352創る名無しに見る名無し:2013/03/14(木) 00:05:58.85 ID:U3d2F2pW
思い付いたので変なのをもう一つw

【辛さ】

N氏はとにかく辛い食べ物が好きだった。
そこに変な機械を持った男が現れた。

『私の発明した機械はすごいですよ。
どんな食べ物も激辛になる。』

「それは良い、もはや普通の辛さには飽きていたのでね
さっそくその機械を使ってみてくれ」

男が機械のボタンを押すと不思議な音が響いた。

『さあ、何か食べてみて下さい、激辛ですよ』

N氏はシュークリームを食べてみた。
しかし次の瞬間思わず絶叫した。

「ギャー!痛い!」

それはもはや辛さというより激痛でしかなかったのだ。
辛すぎるというレベルではない。

N氏は急いで水をがぶ飲みした。

「ギャー!!!?痛いー!!!」

男は自慢げに言った。

『ハッハッハ!この機械は周りの食せるもの全てに効果が出るんです
食べ物だけじゃなく水にもね!』

そしてN氏に聞いた。

『どうです?この機械は素晴らしいでしょう?』

しかしN氏は激怒し、機械の悪口を言いまくった。

男は不思議そうに呟く。

『おかしいなあ…評価まで辛口になるはずないのに…』
353創る名無しに見る名無し:2013/03/14(木) 18:29:38.03 ID:DDDiJ4bG
>>351 >>352
話の構成はいいと思います。
あとは!や?を使わないで話を進めるとより星さんらしくなります。
354創る名無しに見る名無し:2013/03/14(木) 18:51:39.36 ID:DDDiJ4bG
写真機
ある町の小さな新聞社に青年は勤めていた。
入社間もない新人であった。他の友人に負けじと記事になるものを探し写真機に
おさめる。これが彼の毎日の習慣であった。
写真機の使い方は入社前から大体知っていた。
まだ小さい頃、おばあちゃんに買ってもらった小さな写真機を長年使っていたからだ。
しかし今では写真機の性能も上がり、彼がもつものはいくらか大きいものになっていた。
それから数年がたち新聞社も大きくなりライバル会社も増えた。
速さや上手さが必要となり青年は、事が起こると人を蹴飛ばしてでもかけつけた。
ある時は車にひかれかけたこともあった。
彼がカメラを持つといつしかひきつった顔になっていた。
ある日、となりの国と戦争がはじまりだした。
青年は新聞社から戦争の記事を書くようにと頼まれ、最初はおびえていたが、だ
んだん、もっと上級の人間になりたいと戦場へ出て行った。
ある晩、戦争が一旦おさまり彼は久々に家に帰った。
服を着替えようと引出しをあけた。中から古びた写真機が出てきた。
まだフィルムは入っているようだったので出してみてみることにした。
薄暗い月の光であまり見えなかったが何かが写っていた。
そのとき、耳をつんざくような音がした。ミサイルが家の前に落ちたのだ。
男は爆風で飛ばされた。
そして彼が最後に見たもの
閃光がネガを通り越して、あの懐かしい平和な街だった町で撮ったおばあちゃん
の写真。
なんのためだか「ありがとう」いう文字が書かれていた。
彼は涙とともに火炎に巻き込まれ消えた。
355創る名無しに見る名無し:2013/03/14(木) 19:26:43.69 ID:U3d2F2pW
>>353
感想ありがとうございます。
今読み直してみたら確かにその通りでした。
356創る名無しに見る名無し:2013/03/14(木) 22:45:22.36 ID:/oYHaCvG
『鬼ごっこ』

エフ氏は同僚のアール氏と仕事帰りにバーで談笑していた。
「学生の時はこんな高級な酒なんて飲みたくても無理だったな。おまけに金が無いからバイトばかりしてたよ。アール氏はどうだい?」
「自分も同じさ。いろいろしたけど、一つだけ時間のわりに良いバイトがあったな。エフ氏聞きたいかい?」
アール氏は思い出したかの様に笑みを浮かべながらグラスを空けた。
「まあね。一体どんな?」
思わずエフ氏は膝を乗り出した。
「あるAVの撮影でね。ホモから30分間逃げ切ったら50万…とかいうヤツ」
「えっ!?…ま、まあ確かに時間のわりには…で、上手くいったのかい?」
「うん。最初の10分で3人は捕まえたよ」
357創る名無しに見る名無し:2013/03/15(金) 00:17:28.47 ID:P+nrg0Qa
>>356
星新一っぽいかは別として、こういう思い込みをずらすのは好きだ
358創る名無しに見る名無し:2013/03/15(金) 02:09:01.25 ID:y5J3ekfI
ありがとうございます。
確かに星氏らしさは足りなかったかも。
359創る名無しに見る名無し:2013/03/15(金) 20:05:25.53 ID:jqdtFqq+
>>356
これ見たことある
360創る名無しに見る名無し:2013/03/16(土) 14:31:01.28 ID:GrxUskik
有名すぎるコピペをそのまま並べただけのクズ話だしな
361創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 12:50:46.65 ID:sN0dj2Ki
「井戸の中の蛙」

空には無数の戦闘機が飛んでいた。と言っても、姿は殆ど見えない。
ステルス、それも可視光ですら捉えられないほどのもので、戦闘機は身を隠すようになっていた。
そんな技術を手に入れられるほど人類は進歩したというのに、未だに戦争なんかをやっている。
「まだ戦争やってるのね、何時になったら懲りるのかしら。」
僕の妻がそんなことをボヤく、まったくもってそのとおりだ。つい一週間前に戦争をやったばかりだというのに、もう戦争が始まっている。
政府の考えることは皆目見当もつかない。いくら戦争に使われるのが無人戦闘機と自動策敵ロボットだけで人が死なないからって、無駄にやりすぎだと思う。
「お金が余りに余ってるんでしょうね、それなら私たちに分けてくれればいいのに。」
妻がハァッとため息を漏らす。
「そういうわけにもいかないんだろう、バラマキだ!ってマスコミに叩かれたくないんだろうさ。」
「戦争のどこがバラマキじゃないっていうのよ。マスコミは戦争になると本当に政府を擁護するわよねェ。」
口を尖らせてイヤミを漏らす。よっぽど戦争が気に入らないのだろう。うるさいし、僕もその通りだと思う。
こうやって戦争が続くと、しっかりしないといけないと思ってしまうものだ。
政府がこんなどうしようもない血の気の多い連中なのだから、僕たち国民は理性的で規則正しい生活を送らなければ。
でなければ、この国、ましてや人類が、昔恐れていたように滅びてしまう。
「本当、私たちがしっかりしないと、すぐに傾いちゃいそうよね、この国。」
妻も僕と同じようなことを考えていたようだ。もしかしたら国民のほとんどがそう思ってるかもしれない。
政府はもっと、自らを悔い改めたほうがよさそうだ。

「総理、今年も我が国家の秩序は保たれております。」
「そうか。」
今日も空が美しい。平和とは実に良いものだ。
戦争をやっていると教えて、戦闘機が出す轟音を鳴らすだけで、国民はすぐに戦争をやっていると勘違いする。
馬鹿なものだ。実際は何も起こっていないというのに。
「他の国に比べ、我が国は犯罪率も低下しており、国民の責任感も非常に高まっています。実に素晴らしい政策ですね。」
「あぁ、そんなに褒めなくてもいいよ。」
「いえいえ!国民の秩序を守らせることが国の価値を決めるようになったこの時代、総理の政策がなければ、この国はまだ最低国だったでしょう。」
「これも全て総理のお力ですよ!」
「いいや、私は国民をよく理解してるだけだよ。そう、ただそれだけさ。」
彼らはとてもよく私の手のひらの上で踊ってくれる。頼りない、血の気が多い、そして馬鹿な者が上にいると思うだけで、彼らはしっかりとしてくれるのだ。
ある意味ではそれは優越感と言えるだろう。彼らは秩序を守ることで優越感に浸って、私たちを見下して満足する。
なんと簡単で、なんと扱いやすいのだろう。
「総理がいなければ、血の気の多い国民は秩序を乱し、この国は今頃傾いてしまっていますよ!」
「ふふ、私を高く評価しすぎだよ。」
さぁ、私の手のひらの上で軽蔑するがいい、見下すがいい、優越感に浸るがいい。
そんな君たちを、私が、守ってあげよう。

だから、君たちは、ずっとそこにいておくれ。

362創る名無しに見る名無し:2013/03/26(火) 19:41:23.18 ID:nLexEDsW
ありの行列
エフ氏はいつも通り家を出た。
家の戸から門まで続く石畳みを歩く。足元をみるとアリがせっせと働いている。
「今日も平和だな」門を出てエフ氏は歩き出し買いものにでかけた。
そんなことを繰り返し数年がたったある日。宇宙からなにやら乗り物が降りてきた。
ニュースなどでつぎつぎに最新の情報が流れるなか、中に乗っているのはどうやら
悪いやつはいないらしい。友好関係を築こうとしているようにもみえた。
翌日から本格的に交流が始まり数日がたつとデパートまでつくりだした。
宇宙からきたやつらのつくったデパートはふしぎになるくらい品揃えがよかった。
見たこともない機械まであり、奴らの星では地球よりも文明が発達していることが
伺われた。エフ氏はいつも通り家を出てそのデパートへ出かけた。
石畳みの上では今日もアリが行列をつくっていた。今日は邪魔に感じた。
エフ氏はデパートで食品と殺虫作用のある粉を買ってきた。
その粉を地面に盛るとアリがたかってきて、それをせっせと巣へ運んでいった。
「さあその毒を食べて消えるがいい」
食品をいれた袋を持ってエフ氏は笑みを浮かばせ家の中へ入っていった。
それを見ていた宇宙人たちはつぶやいた
「これもこの星を制服するためだ。その毒を食って消えるがいい。」
363創る名無しに見る名無し:2013/03/26(火) 21:54:17.88 ID:qyzhbrYN
「宇宙船」

「大変だ!宇宙船が爆発する!!」
「ふーん」
「どうしよう!どうすればいい!?どうすることもれきない!??」
「へー」
「なんでそんな落ち着いてるんだよ!!!」
「…まずはお前が落ち着けよ、上を見てみろ、何がある?」
「青空だ」
「下を見てみろ、何がある?」
「草原だ」
「そうだな、そしてここは野外だ、宇宙空間でもなければワームホールの中でもない」
「地球のマントルの海の大陸の上だな」
「そして空は青く雲ひとつない」
「晴天というやつだな」
「それで?宇宙船がどうしたって?」
「それでだな!宇宙船がこの真下の地下でばくは―――
364創る名無しに見る名無し:2013/03/28(木) 00:29:57.63 ID:fNxDIMa4
いちいち重箱の隅をつついて「ここが星っぽくない」と言い続けた結果「エヌ氏がなんか発明
しました。ワア!」と「宇宙人が来ました。ワア!」の2パターンだけが生き残ったというわけ
か。
365創る名無しに見る名無し:2013/03/29(金) 01:21:44.23 ID:JozQpwzo
思う所はなくもないが暇潰しに読みに来るだけの人間としては何でもいいしどうでもいい
読めればよかろうなのだ
皆さん乙そしてありがとう
366創る名無しに見る名無し:2013/04/01(月) 19:46:52.03 ID:MSgmA2qA
「俺たちも年をとったもんだ」
「全くです」
「なあ、その返事止めないか」
「全くです」
「君と話すのは疲れるよ」
「こちらの台詞です」
「何の話だ」
「あなたはまだ私の友人ですかね」
「あたりまえだ」
「年をとりましたね・・・」
「ああ・・・」
「少し暗くなってきましたね」
「そうだな、何の話だったかな」
「年の話では」
「そうだった、俺たちも年をとったな、」
「全くです」
「あれ、何だったかな、昔二人で会社を立ち上げたときの、何だったかな」
「本当に年をとりましたね・・・」
「すまんが岸川君そこの薬を取ってもらえるか」
「田中ですよ、はいどうぞ」
367灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/04/01(月) 23:56:24.23 ID:BnvQ47t7
老人同士ではなく医者との会話かな
368創る名無しに見る名無し:2013/04/03(水) 04:11:12.43 ID:e+gPiSO0
エヌ氏は少年時代にUFOをみた。
誰にも遊んでもらえず、一人河原で泣いていたとき。
目の前にUFOが現れ「ワレワレハウチュウジンデアル」と言い消えていった・・・
それからのエヌ氏の夢は宇宙人に会うこと、UFOに乗ることだった。
そして今日、エヌ氏は自分の開発したUFOに乗り宇宙に飛び立った。
長い航海の末、生命反応のある星を発見したエヌ氏はついに宇宙人に会えると子供のようにはしゃいだ。
しかしその星を見たエヌ氏は肩を落とした、まるで地球のような星を見て
地球そっくりの星に降り立つと予想通りの生き物がいた。
その生き物は泣きながら鼻水を垂らしこちらを見つめている
少し困った様子でエヌ氏は音声変更装置に手をかけた。
「ワレワレハウチュウジンデアル」
夢は叶い、また生まれた
369創る名無しに見る名無し:2013/04/04(木) 20:32:52.24 ID:7EC/gnYx
>>367
君の楽しみにしてる
370灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/04/06(土) 02:11:17.57 ID:Fz9wQmvu
>>369さん
ありがとうございます。頑張ります!
371創る名無しに見る名無し:2013/04/09(火) 18:42:00.54 ID:0LAEjxhF
ブーム君は自分の周りに現れるブームに嫌気を感じていた。
ブーム君は風邪を恐れた、風邪とはブームである。
「インフルエンザなんかかかってたまるか、トレーニングしよう」
トレーニングブーム。
「小説を書いた」
小説を発表し、ブーム列伝はブームとなった。
「だめだ、改名しよう」
しかし改名したい人が大量にいたので、ブーム君の番は六年後だった、改名ブーム。
「ああだめだ、今自殺はできん」
言うまでもない。
ブーム君がある事におびえ始めた頃には、すでにブーム君は病院のベットで横になっていた
「どうしました、ブームさん」
「先生胸が少し痛いんですよ、それと院内が騒がしいようですが・・・」
「ああ、あなたに言っていいものかな」
「なんです」
「今、寿命でバッタバッタと逝ってしまってるんです、寿命ブームとも言いますかね、おや・・・ブームさん・・・」
372創る名無しに見る名無し:2013/04/13(土) 00:45:25.42 ID:YFRml+OQ
なにこれ
373創る名無しに見る名無し:2013/04/18(木) 18:43:26.56 ID:BUnHfyzU
その男が住んでいるのは我々の住んでいる世界と同じ、地球なのだが。
ただ一つ違う点があった。巨大な怪物が大量にいる上に常にこちらを狙っている。
そのせいで何をするにも命がけ。だが男は未だに危険な目に会ったことがなかった
食料を拾いに行った奴が食料と共に燃やされたのを知っていたし。巨人から贈呈された家に入りそのまま殺されたのも知っていた。
まあ早く言えばとてつもなく用心深いのだった。
やがて男は結婚し子供も出来た。男は完璧だった。今までの経験を生かし、誰も死なせることなく一族を増やし続けた。
さらに知恵を使い巨人二人を家から追い出した。戻ってくる時に備え武器を用意した。
男の予想どおりに巨人は来た、しかしそれは見たこともない変な服を着た巨人だった。
男が攻撃の合図をだす前に巨人は帰っていった。一つ煙を吐く小さな箱を置いて。

「数日間はホテルに止まってくださいね、しかしあれは金にこそなりませんがなかなかきれいで貴重なタイプですよいいんですか」
「貴重なのは分かってたんでなるべく残しておきたかったんですが、なぜか全く数が減らずどんどん増えるので・・・」
374創る名無しに見る名無し:2013/04/20(土) 01:48:48.66 ID:BuYuDWqS
375創る名無しに見る名無し:2013/05/04(土) 21:55:54.60 ID:GYc46Li1
『コレクション』

エム氏はたくさんのビー玉のコレクションを持っていた。
たいていのビー玉は赤く光っているだけなのだが、一つお気に入りのビー玉があった。
エム氏はその緑と青のほのかに光るビー玉に「テラ」という名前をつけていた。
だがエム氏は日に日にそのビー玉が汚れていっていることに気がついた。
そしてある日、エム氏は残念そうな表情をうかべてつぶやいた
「もったいない気もするが、捨ててしまおうか・・・」
376灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/05/21(火) 19:19:58.43 ID:7NAnGsQN
ブラックホールに送るんでしょうか
377灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/05/22(水) 04:27:47.91 ID:VdbTmpOb
『聞かない方がいいこと』

研究を続けている男性がいた。
彼は好奇心が旺盛で、ものごころ付いた頃から多くの疑問を浮かべていた。
その度に調べて答えを見つけていたが、手掛かりが全く得られないこともある。
ある時、調査に行き詰まり、男性は非科学的な手法をとることにした。
男性はまず、古文書や文献を集めては読み漁った。
次第に調査範囲を広げて、地域や宗教を問わず研究を重ねた。
それらの知識を基にして、男性は独自に儀式を考案した。
幾何学模様を床に描きだし、装飾を施して準備を完了させると、男性は呪文を唱えた。
すると煙が立ち込め、人の形をした何者かが現れた。
「お呼びでしょうか」
「そうだ。聞きたいことがあって呼んだのだ」
「なんでもお答えできますよ。しかし、代償は払っていただきます」
「なにを差し出せばいい」
「聞きたいことを聞くのなら、聞かない方がいいことも聞いてもらうことになります」
「聞かない方がいいことなどないと思っているよ。それが耐えがたいことであっても、真実なら知るべきだ」
男性は持論を述べた。
「では聞きたいことは」
「孤児だったのでな。幼いころのことが聞きたいのだ。生まれた場所や、両親の
ことなど、聞きたいことはいくつかあるが、なによりも自分に付けられた名前が知りたい」
何者かは聞かれた通り、親が付けた名前を男性に教えた。
「聞かれたことはお答えしました。では、聞かない方がいいことも聞いてもらいましょう」
そういって、何者かは耳に残る声で、男性に寿命を告げた。
「なるほど、寿命か。これは聞かない方がいいことだな」
男性はそうつぶやいた。
何者かは仕事を終えたといった様子で、煙を出して消えていった。
男性はというと、落ち込んだりはせずに、自分の名前を呟き感慨に浸っていた。
なにせ両親のことや生まれた場所、自分に付けられた名前すら知らないのだ。
年齢なども知らないのだから、寿命など聞く意味のないことは知らない方が・・・
378創る名無しに見る名無し:2013/05/29(水) 22:15:18.71 ID:yhi10xon
年齢が判らないなら判らないで寿命がどれくらい先か気になってそわそわしそうですね
379灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/05/30(木) 00:46:28.06 ID:Ai9QD43K
>>378さん
恐怖心が強ければそうなりそうですね。
探究心でいっぱいだったのに正確に分からず、男性はがっかりしたんだと思います。
感想ありがとうございます。
380創る名無しに見る名無し:2013/06/15(土) 21:15:18.26 ID:i0toCKV6
初書き込みです。


『期待と高揚』

「おや」
一枚の紙がひらひらと落ちてきた。
男は高層マンションの一室のベランダで煙草を噴かしていた。
「ははん、上階の人がうっかり落としたらしいな」
返しに行こうと思ったが何階の人が落としたのか分からない。
紙面を見てみると『一つだけ願いを叶えます』とだけ書いてある。
「こんな紙切れでなんでも願いが叶えられる訳が無いだろう。
可笑しい」

しかし・・・
「もしかしたら」
もしかしたら、本当なのかもしれない。
ありふれた日常に飽き飽きしているのだ。
たまには奇跡を信じてもいいだろう。
なんだか心の隅に小さな期待のようなものが湧いてきた。
男は願いを口にして――――――

「ああっ、しまった!」
男が願いを言い終わる前に、風で紙切れを飛ばしてしまったのだ!


結局、願いが叶うというのは、本当だったのか、分からない。
しかしちょっぴりの期待と高揚を楽しむことができた。
男は少し微笑んだ。



「おや」
一枚の紙がひらひらと・・・・・・
381創る名無しに見る名無し:2013/06/20(木) 03:07:13.72 ID:weVcchW5
パクリです。

『一枚の紙切れ』

「おや」
一枚の紙がひらひらと落ちてきた。
中年の男はマンションのベランダで煙草を吸っていた。
「いったいどこから落ちてきたのだろう」
男の部屋は最上階である。上の住人が落としたとは考えられない。ヘリコプターも飛んでい
ない。
空を見ろ! 飛行機だ! スーパーマンだ! いや、鳥だ!
だがカラスさえ見当たらない。人工衛星から降ってきたのか? だが大気圏で燃え尽きてし
まいそうだ。
紙面を見ると「あなたの願いを一つだけ叶えます」とだけ書いてある。これはもう、神様の手紙
としか考えられない。
「こんな紙切れでなんでも願いが叶えられる訳がないだろう。馬鹿馬鹿しい」
しかし、もしかしたら、本当なのかもしれない。
会社に行って帰って母ちゃんの尻の下に敷かれ、野球を見ながらビールを飲む。煙草はベラ
ンダで吸う有様だ。
ありふれた日常には飽き飽きしているのだ。たまには奇跡を信じてもいいだろう。なんだか心
の隅に小さな期待のようなものが湧いてきた。
さて何を願おうか。大金持ちになりたい。ありきたりだな。エヌ博士になりたい。奴はなんでも
発明する天才だからな。だが結局意味がなかったり、とんでもないしっぺ返しが待っていたり、
要するにドラえもん的なオチになってしまう。俺の書き込みで星スレが止まりますように。これ
は神様に願わなくてもそうなりそうだ。
いろいろ考えた挙句、男は決めた。
「壇」
なんということだ。言い終わる前に、突風が紙片を吹き飛ばしてしまった。壇蜜とセックス
したい。ただそれだけのことだった。なんて意地悪な神様だ。
ところで、芸能人は普通フルネームで呼ぶが、西城秀樹を苗字で呼ぶと「西城さん」という
ことになろうか。壇蜜は「壇さん」でいいのか? それとも下の名前で「蜜っちゃん」か?
男の中では柏木由紀だけが「柏木さん」だ。あの人には「お姉さん」というイメージがある。
「お父さん、洗濯物たたんでよ」
ああはいはい。ほんのひと時の、期待と高揚は終わり、くだらない現実へと戻っていった。

若い男がアパートのベランダで煙草を吸っていると、風に運ばれて一枚の紙がひらひらと
舞い落ちてきた。
いったいどこからやってきたのだろう。
空を見ろ! 飛行機だ! スーパーマンだ! いや、鳥だ!
だがどれも見当たらない。
「あなたの願いを一つだけ叶えます」とだけ書いてある。
さて何を願おうか。
男はしばらく考えて、決めた。
「トリンドル」
突然の強風が、紙をさらっていった。
382創る名無しに見る名無し:2013/06/20(木) 22:24:07.09 ID:0q/RNelp
>>380
こういう話好きです。
無限ループなのにぜんぜん怖くない!素敵!

>>381>>380をラノベ風にリメイクした感じ。
383創る名無しに見る名無し:2013/06/21(金) 15:02:08.84 ID:xTlCkbWV
僕もパクってみました。


『期待と高揚』

「おや」
一枚の紙がひらひらと落ちてきた。
男は高層マンションの一室のベランダで煙草を噴かしていた。
紙面を見てみると『ひとつだけねがいをかなえます』とだけ書いてある。

「これは・・・」

男にはこの紙に覚えがあった。
それはまだ小学校の頃、友人と遊びで作ったものにそっくりである。
この文字も自分の筆跡に間違いない。

文章には続きがあった。

『ねがいは紙の裏に書いてください』

裏返すと真っ白なスペース。

「間違いない、これは私が子供の頃に作った物だ
一体何故、今頃になってこんな物が私の元に」

不思議に思ったが同時に懐かしさがこみ上げてきた。

「どれ、願い事を書いてみるか」

男は万年筆を取り出し紙の裏に「社長になりたい」と書いた。

実に馬鹿馬鹿しいが気分は悪くない。
むしろ子供の頃に戻ったようで微笑みがこぼれた。
すると突然突風が吹き、紙はどこかに飛んでいってしまった。

結局、何故子供の頃に作った物が自分の元に現れたのか分からない。
だが丁度この後、この手紙を一緒に作った小学校からの友人と会う予定がある。
この事を話のネタにしよう。男はそう思った。


「それは不思議な話だな」

男の友人はウイスキーを飲みながら答えた。
そして言う。

「僕も今思い出したよ、2人で作ってた記憶がある
その紙切れは確か2枚目だよな」

「2枚目?」

「1枚目は誰かが紙の裏に落書きをしてるのに気付いたから
クシャクシャに丸めてゴミ箱に捨てたんだよ
落書きの内容も覚えてるぞ
確か・・・『社長になりたい』だったかな」
384創る名無しに見る名無し:2013/06/21(金) 23:52:20.77 ID:xTlCkbWV
>>383は自分の表現したかったことが上手く書けてないので、後半はこれに変えさせてくださいw


「それは不思議な話だな」

男の友人はウイスキーを飲みながら言った。

「昔、僕らが作ってた紙切れが今頃になって君の元に現れるなんてね」

「僕も驚いたよ」

「そういえばその時に君がおかしな事を言っていたのを思い出したよ」

「おかしな事?」

「白紙の紙に突然、文字が浮かんできたと言い出しただろ
その内容も覚えてるぞ
確か・・・『社長になりたい』だったかな」
385丸猿 ◆Z6/3BNwVjA :2013/06/24(月) 10:22:30.73 ID:DWeFCJaD
「罪消しマシン」

これまでの歴史に存在しなかった空想的なマシンは作るべく
日夜発明に勤しんでいたN氏は、ついに誰もが空想の中に描いたあるマシンの開発に成功したのであった。

それは片手に収まる丸形の時計のようなものである。
N氏はそのマシンの側面にあるツマミをゆっくりとひねり
文字盤の隅のパネルに刻まれた日付けと、時計における長針と短針における部分を現在の日付けと時間ちょうどにセットした。

一通りの準備が終わると、N氏はそのマシンを右手にしっかりと持ち
机の上に置かれていた小皿とコーヒーカップを床へと払いおとした。
当然の事ながらそれらの食器はがしゃんがしゃんと音を立てて大小いくつもの破片へと形を変え、カップの中に注がれていたコーヒーは床にぶちまけられ湯気を揺らした。

ふうと呼吸を止めて、N氏は力を込めてマシン到着部のスイッチを押し込める。

すると、N氏の払いのけた腕は意識とは逆に再びテーブルの上を撫で
くだけたはずの小皿とコーヒーカップは再び元の形を成し落ちた起動を通り宙へ浮かび上がり
机の上の元の位置へと収まり、コーヒーはカップの中で一筋の湯気を漂わせるだけとなった。

N氏は震える手でそのカップの取っ手を指でつまみ、自分の口許へとそれを運んだ。
コーヒーの苦味と熱い液体が胃に落ちる感触を感じ、心を落ち着けたN氏はカップを机の上に置き、そして呟いた。

「成功だ・・!己でもにわかに信じがたい話だが・・ついに私は、記憶をそのままに時を遡らせるマシンの発明に成功したのだ!」

「このマシンがあれば、どんな失敗もやり直す事ができる!使い方次第では大金持ちになる事もできる!金はいくらあっても足りないくらいだ!なにせ時を戻せば限られた時間すら永久に繰り返す事ができるのだから!」

N氏は神の力にも匹敵する恐るべき己の発明に身震いし、そして高揚した。

「さっそく外に出てこのマシンの最も利口な使い方を考えよう!外に出るなんていったいいつ以来の事になるだろうか!」

高揚覚めやらないN氏は、己の髪をツバで整え、身なりを確認すべく姿見の前に立った。

「まてよ・・そうだ!せっかく時が戻せるならば、これまでにできなかった事をいろいろ行ってみるのもまた一興ではないか!」

N氏は姿見のまえで衣服を全て脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿となった。
右手にはしっかりとマシンを握り締め、N氏は産まれたままのその姿で自宅の扉を開け、街へと徒歩を進めた。
386丸猿 ◆Z6/3BNwVjA :2013/06/24(月) 10:24:27.67 ID:DWeFCJaD
街のいたるところで、N氏の姿を見かけたうら若き乙女が小さな悲鳴をあげる。
N氏はにやにやと笑いを浮かべながら満足気に街を行く。
途中N氏の姿に気付かずに前を歩く女性には、背後から近づき乳房に掴みかかったり、尻を撫でまわしたりもした。

また、通りすがる男性の横腹には、左手に握りしめていたナイフを突き刺し、そのナイフは引き抜いた後に民家の窓ガラス目掛けて放り投げ
大きな音を立てて割れるガラスの音や人々の悲鳴を背中に聞いてまるで自分が映画のダークヒーローになったような気分に浸っていた。

腹が減ったN氏は軒先に果物を並べた店先で、大小さまざまなその果物を手に取っては、店主の許可なくそれらを貪り食った。
店主に見つかり怒鳴られたが、果物の切り分け用に置かれていた果物ナイフを店主の腹の真ん中に突き刺す事で店主を黙らせた。
大きな果物の皮を手でむしり開こうとしているところで、数人の警察が駆けつけ、N氏を囲むように立ちふさがったので、楽しみはこの辺で潮時かとN氏はマシンのスイッチを押した。

警察は次々にもと来た道を後ろ足にかけ戻り、店主の腹に刺さっていたナイフはN氏の手の中に戻り、N氏の口の中に消えていた果物が次々と元の形へと戻っていく。
そうしてN氏の犯した罪は次々となかった事かのように消えてなくなり、とうとうN氏は自室の姿見の前へと戻ってきた。

「やれやれ。楽しむ事に夢中になりすぎて、このマシンの使いどころを考えるのを忘れていたようだ。さて、今度は普通に街の散策にでも出掛けようかな。」

N氏はシャツのエリを正し、もう何年も着古していたズボンと靴を新しいものへと履き替え、整った身なりで外へと出掛けて行った。

さきほどのなんとも愉快な一時を思い出しながら上機嫌で街へと歩を進めたN氏だったが、突然、目の前の女性がN氏の顔を見たとたんにきゃっと小さな悲鳴を上げた。
N氏は思わず己の衣服を黙視に確認したが、今度は悲鳴をあげられるような非日常的な身なりはしていなかった。
尚も女性はなんとも言いがたい表情を浮かべながらN氏をじろじろと見詰める。
そこでさらに前方から数人の男女が現れ、N氏の姿を見かけるなりあっと声を上げた。

「俺・・この男に殺されかけたんだ!」

「私は、裸のこの男にお尻を触られたわ!」

たちまち街の中はパニックとなった。
その声を聞きつけ次々に現れる街の人々は、N氏を指差し口々に叫ぶ。

「この男がうちの窓のガラスを割ったんだ!」

「この男さっき無断で果物屋の商品を食べて、店主を殺そうとしてたわ!」

N氏はその時に初めて自分の犯した最大の失敗に気づいたのだ。
「記憶をそのままに時を戻すマシン・・記憶を、そのままに・・?」
N氏は遠くの方から数人の警察が駆けつけてくるのを目に捉えた。

「己の罪は消えた・・しかし罪の記憶が残っていたならば、俺はいったいどう裁かれるのか。」
N氏は警察に両脇を抱えられ、ぐったりと力なく連行されていったのだった。
387創る名無しに見る名無し:2013/06/26(水) 18:24:26.88 ID:fnK1+5X0
>>385
これは何の罪になるんでしょうねw

こういうの好きです
388僕に似た男:2013/06/26(水) 23:13:01.03 ID:uFgG+NV1
ボコボコと音を立てる水槽の中に、僕に似た男が入れられている。
無論ドッペルゲンガーや双子の兄弟などではなく、正真正銘の僕のクローンだ。

「やあ、気分はどうかな」

僕は僕に似た男に問いかける。
水の中にいるとはいえ、呼吸も会話もできる。食事だって読書だってできる。
そういう装置だ。
ただ、水槽を満たす液体に流している電気信号のおかげで彼は活動しているが、
これを切ってしまえば途端に彼は魂のない肉塊と化す。

「あ……ぅあ……」

ろれつが回らない。
目の焦点も合っていない。
失敗のようだ。

クローン技術は発達したものの、人類はまだ見ぬ新境地を目指している。
クローンは作るたびに劣化するが、繰り返す中で突然変異で新人類を生み出すことができないか。
神様がいたずら心を起こさないか。それを科学者たちは夢見ている。

ブツン

僕は諦めて装置の電源を落とした。
何度めの失敗だろう。
僕にはもう後がないというのに。
僕には運動の才能がないが、頭脳だけは一流だと思っている。
それをなんとかして形に、つまり優秀なクローンを作りだしたい。

しかし、僕に残された時間は、もう少ない。
今回の失敗で……

「ああ、やはり失敗のようだ。簡単なクローンも満足に作れやしない」

僕に似た誰かの声がした。

ブツン
389創る名無しに見る名無し:2013/06/28(金) 01:19:19.95 ID:xxa6/NcQ
>>388
こういう実は自分も…みたいなオチは好み
最後の数行でひっくり返すのは良いですね


>>385さんに刺激されて似た設定のショートショートを作ってみた

【得】

男はエヌ博士にナイフを突きつけて言った。

『おとなしくお前の発明した
「記憶はそのままで時間を戻す機械」を渡すんだ
妙な真似をしたら命は無いぞ』

しかしエヌ博士は顔色一つ変えずに言う。

「無駄だとは思いますが
一応聞いておきたい事があるのです」

『何だ?』

「テーブルの上にウイスキーがあります
あれを飲みませんか?美味しいですよ」

『この非常事態に何を言ってるんだ?
さては、あのウイスキーに睡眠薬か何かが入っている
そういう事だろう、罠というわけだ』

エヌ博士はため息を吐き言った。

「罠なんてとんでもない、その方が得だからです」

『何を言いたいのか分からん
お前のもてなしに付き合ってる暇はないんだ
早く渡さないと怪我ではすまないぜ』

エヌ博士はまたため息を吐き言った。

(2に続く)
390創る名無しに見る名無し:2013/06/28(金) 01:22:59.66 ID:xxa6/NcQ
(その2)

「どうせ無駄ですがお話しましょう
実は時間を戻す機械が故障してしまったのです
直すのには時間がかかる」

『だったら修理すれば良いだけの話だ』

「それが出来ないんですよ
その壊れ方というのが問題でしてね
勝手に時間を巻戻してしまうのです
あなたがここにやって来た時間までね」

『勝手にだと?』

「もうすぐ機械が時間を巻き戻す
何度止めようとしても無駄でした
あなたにこうやってナイフを突きつけられて
脅されるにのはもう8回目ですよ」

強盗は何とかしろと叫ぶがエヌ博士は動かない。

「だから言ったのです、ウイスキーはいかがかと
どうせ元に戻るなら一口でも飲んでおくべきでしたね」

そして研究所が光に包まれた。


男はエヌ博士にナイフを突きつけて言った。

『おとなしくお前の発明した
「記憶はそのままで時間を戻す機械」を渡すんだ
妙な真似をしたら命は無いぞ』

「無駄だとは思いますが…
一応聞いておきたい事があるのです」

『何だ?』

「テーブルの上にウイスキーがあります
あれを飲みませんか?美味しいですよ」
391丸猿 ◆Z6/3BNwVjA :2013/06/28(金) 07:20:22.83 ID:5YsE1jgF
「疑心暗鬼の箱」

女は幼少の頃に、愛する両親に裏切られてから心にトラウマを持ち、人を信じることができなくなっていた。
教師も親友も恋人すらも誰も信じられなくなり、常に疑い、多くの人を傷つけてきた。

そんな彼女にも、決して彼女を見放さずに長年にわたり交際を続ける恋人ができた。

しかしその恋人ともある日、彼女が彼を疑ったことにより、ささいな口論が別れ話へと続いた。
彼の言葉に腹をたて、家を飛び出した彼女が、次に家に戻った時、彼の姿はなく。
テーブルの上には小さな箱が一つ置かれていた。

彼女は一人になったその部屋で箱を見つめて考えた。

「この箱の中には何が入ってるんだろう・・」

「私はまた人を信じることができず、彼を傷つけてしまった。」

「この箱を開けたら、そんな彼の恨みや憎しみが形になったものが入ってるのかもしれない・・」

「もしかしたら私を傷つけるものが入ってるのかも・・」

考えれば考えるほど、女はその箱を開けることが怖くなり
結局彼女はその箱を開けることなく、箱の中身を空想しては怯える年月を過ごした。

そして数十年が経ち、老婆となってもなお人を信じることができず、一人で生きている彼女の姿があった。
そんなある日、彼女は決心し、ついにその箱を開ける日がやってきた。

箱を開けたその中にあったのは・・小さな指輪と1枚の手紙だった。

「僕が、あなたが心から信じられる一人の人間になりたい。
結婚しましょう。
今夜、町の喫茶店で待ってます。あなたが来ることを信じて・・。」

彼女はその手紙を読んで、青ざめた顔で泣きながら町の喫茶店へと向かった。

当時喫茶店があったその場所には大きなビルが立っており、次に彼女は彼の家へと走った。

彼の家では・・
葬儀の真っ最中だった。
棺桶の前で涙を拭う親族に彼女は聞いた。

「この箱の中身は・・誰ですか?」

その答えを聞く前に彼女は走り出し、その後二度と彼の家に行くことはなかった。

不思議な言葉を言い、走り出した老婆を見ていた老人が呟いた。

「はて、不思議な女性だ。しかし・・あの後ろ姿にはどこか見覚えがあるのだが・・」
392創る名無しに見る名無し:2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:mLz2b5+R
ケー博士は長年の苦労の末、ついに世紀の発明をした。ニヤつく博士。助手は聞いた。
「博士、これは何ですか?」
博士は助手を真っ直ぐに見つめる。
「まさに世紀の発明だよ。ところで、君は正義についてどう考えるかね?」
助手は少し考えてから答えた。
「正義とは、思想体系が真であることとしての、社会制度の根本……」
博士は呆れた顔で助手の言葉を遮った。
「君は考えすぎる傾向がある。もっと簡潔に答えなさい」
「うーむ、難しいですね、博士はどうお考えですか?」
博士は一度深く頷いてから答えた。
「正義とは、『欲』だ。『性欲』とかなり似ているね」
「性欲、ですか」
「教えてあげよう。君、尻を出してみなさい」
助手はわけもわからないまま、尻を出して博士に向けた。
「欲は満たさないと気がすまないのが人間だ。もちろん、欲を満たす方法は人それぞれだがね。性欲に性癖があるように、正義欲にも正義癖がある」
博士は語りながら、ついさっき完成したばかりの発明品を手にとった。
「欲を満たそうと、世界のために戦う者もいれば、愛する者のために戦う者もいる。信じる神のために戦うが故に、暴走して法律に触れてしまう者もいる。この点では性欲と全く同じと言えよう」
博士の話を聞くにつれて、助手は少しずつ不安な気持ちになっていった。
「博士、一体何の話をしていらっしゃるのでしょうか……」
助手の言葉を無視して、博士は狙いを定め、発明品を一気に助手の尻の穴に刺しこんだ。
「あーっ!!」
「時には血が流れる事もあるだろう」
発明品を前後に激しく動かす博士。
「博士! あっ、んっ…… 博士、博士! あっ」
「だが、心配することはない」
「ふっ……んっ…んっ、あんっ…」
「皆、最終的な目的は『平和』なのだ」
「あっ…ふぁ…なるほどっ…… 博士、んっ、なるほど! あっ…… 博士、もう……だめです…… んっ、あぁ! なるほどなーっ!!」
助手は体をビクビクと痙攣させた後、床にへたれこんだ。
「どうだね、『平和』を感じたかね」
涎を垂らしながら、ゆっくりと頷く助手。博士もそれを見て頷く。
「しかし、『平和』というものはあまりにも脆く、すぐに崩れ去ってしまうものだ。そして時間がたつと、人はまた正義を欲してしまう。君もまた……」
助手は汗で上気した顔を博士に向ける。
「博士……///」
393星初心者:2013/07/19(金) NY:AN:NY.AN ID:m3HzJW7w
自分は星新一という作家を知らなかった。
自分は星新一という作家をこのスレで初めて知った。
このスレが面白くて一気に全部読んでしまった。
このスレでショートショートというジャンルの短編小説のジャンルがあるのを初めて知った。

このスレで初めてこのショートショートという短編小説に出会った。面白い。
こういう簡潔で分かり易くすぐにオチがくる文章話こそ自分が求めていたものだ!
星新一の書いた本当のショートショートの小説が読んでみたいと思った。

オススメの星新一の本を教えて欲しい。
教えて下さい。
394創る名無しに見る名無し:2013/07/20(土) NY:AN:NY.AN ID:sqH3YBQ1
ボッコちゃん

「勝手に読めばいいさ」
「勝手に読むわ」
395丸猿 ◆Z6/3BNwVjA :2013/07/20(土) NY:AN:NY.AN ID:dVR98Z2G
>>393
『ショートショート1001』
そこそこ分厚い本だけどショートストーリーが1001話入ってる。
1冊あれば気ままにページを開いて永続的に楽しめるのでお勧めですよ。
396丸猿 ◆Z6/3BNwVjA :2013/07/20(土) NY:AN:NY.AN ID:dVR98Z2G
高校生の頃に週間ストーリ◯ランドに投稿した作品を思い出しましたw
当時人気だった『終わらない◯◯シリーズ』です。

『終わらない愛』

その日女は、愛する男に捨てられ自暴自棄の中酒をあおり帰宅する最中だった。
普段は通ることのない暗がりの路地裏を酔ってよろよろと歩く彼女が見たのは、道の端で露天を開く一人の怪しげな女の姿だった。

露天にあるのは小さな長テーブルだけでその上には『終わらない愛お売りします』と書かれた小さな看板板が置かれているだけだった。

「終わらない愛〜?おもしろいじゃない!いくらなの?私に売ってちょうだいよ!」
吐き捨てるように言う彼女に店主は微笑し、「1000円になります。」と答える。

彼女は店主に1000円を手渡したが、女は「ありがとうございました」と頭を下げるだけでなんの品物も出そうとしない。
「ちょ、ちょっと!ありがとうじゃなくて早く商品を出しなさいよ!」彼女が狼狽していると遠くからがやがやと人の近づく声が聞こえてきた。

彼女は「終わらない愛お売りします」と看板を出したその店の前にいる自分が気恥ずかしく、そのまま逃げるように店の前を離れた。

一人自宅に帰り、怪しげな店主に1000円とはいえ金をだましとられた自分自身を恥じ、怒りと寂しさの中眠りに入った・・

次の日、見事に会社に遅刻をした彼女だったが例の露店の事も彼氏の事も忘れようと仕事に没頭をしていた。
そこに・・自社の営業先の社員であるハンサムな青年が訪れ、そして初めて彼女に声をかけてきたのだ。

「もし良ければ・・今夜、お食事をご一緒していただけませんか?」
男の突然の誘いに驚いた彼女だったが、密かに彼に憧れていた彼女は喜んでその誘いに応じた。

その食事のさなか、実は男が彼女にずっと行為を持っていたことを告白され、彼女が恋人と別れた事を知り食事に誘ったのだと打ち明けられた。

彼女もまたその男に惹かれ、2人が親密な関係になるのに時間は全くかからなかった。
397丸猿 ◆Z6/3BNwVjA :2013/07/20(土) NY:AN:NY.AN ID:dVR98Z2G
それから数ヶ月がたち、彼とのデートの帰りになんの意識もなく例の路地裏を歩いていた彼女の目に、再びあの露店の女の姿が現れた。

「あ!あの時のお店の人!そういえば・・こちらで終わらない愛・・とかいうのを買ってすぐ、今の恋人と出会ったんですよね。もしかして、本当にこのお店の力だったりするんですか?w」
彼女は幸せそうに笑いながら店主に言ったが、女はただ微かに微笑するだけだった。

テーブルの上に書かれた看板が彼女の目に止まる。「終わらない幸せお売りします。」
上機嫌だった彼女は、店主へのささやかなお礼の気持ちも込めて「買います。おいくらですか?」と聞いた。
「10000円になります。」思いがけない金額にちょっと戸惑った彼女だったが、財布を出してしまった手前もあり、彼女に10000円を手渡した。
「ありがとうございました。」店主は頭を下げるだけで何も出そうとはしない。
「それじゃあ・・ありがとうね!」女は今度は怒る事もなく、その店を離れていった。

その翌日、彼から誘われた食事の場所は、いつもとは違う最高級のレストランだった。
「実は・・ずっと君に隠していたことがあるんだ。」彼の真剣な表情に彼女も緊張する。
「僕が勤めていると言っていたあの会社・・実は、僕の親父がオーナーなんだ。・・いずれは僕もそのあとをついでうちの会社のオーナーになる。その時に・・僕の横には君にいてほしいんだ。・・結婚、してください。」
突然の彼の告白に驚く彼女。彼がそんなにも大きな立場の人間だったという事を初めて知った。そして、その彼にプロポーズをされた。
彼女は驚きながらも、もちろん彼のプロポーズを快諾した。
彼女は、終わらない愛と終わらない幸せを得る事になった。
398丸猿 ◆Z6/3BNwVjA :2013/07/21(日) NY:AN:NY.AN ID:NUs+r/uu
それからさらに数ヶ月がたち、結婚式の予定も着々と進んでいた頃、彼女は彼と一緒の帰り道で例の露店を発見した。
「あ、またこのお店!お礼が言いたくてずっと探してたんですよ!」店主に声をかける彼女。
不思議そうにその様子を見ていた彼に彼女は説明した。
「このお店で終わらない愛っていうのを買った次の日にあなたに告白されて・・終わらない幸せを買った次の日にあなたからプロポーズされたの//」嬉しそうに彼に説明する彼女。
「今日は何を売ってるんですか?w」彼女はテーブルの上の看板を読みあげる。
「終わらない夢お売りします。」
「・・あいかわらずおもしろいものを売ってるんですねw」その看板に書かれた商品には興味のなかった彼女は顔をあげる。
でも・・彼は表情をすっかり変えていた。
「終わらない夢・・?」「どうしたのあなた?」「・・買います。おいくらですか?」彼の言葉に驚く彼女。
「100000円になります。」彼は迷うことなく店主に100000円を手渡す。
「ありがとうございました。」頭を下げる店主。
彼の緊迫した表情に驚いた彼女は、歩き出す彼の
背中を追って店から離れた。

その日の夜、彼は彼女に打ち明けた。
「実は・・僕はずっと自分の店を持つという夢があったんだ。・・僕が子供の頃から親父は今の会社の社長で。その跡取りとして僕は自分の夢を諦めなくてはならなかった。」
「でも、あの店で終わらない幸せって言葉を目にした時、僕はいてもたってもいられなかった。僕は、僕の夢を追いたい。うまくいくかどうかなんて分からない。もし失敗したら今の生活は大きく変わるだろう。でも・・挑戦したいんだ。君も・・ついてきてくれるかい?」
彼の言葉に彼女は迷う事はなかった。
「私は・・あなたと終わらない愛を誓った女です。どこまでもついていきます。」

そして・・2人は結婚をし、会社を辞め、小さな個人店を開いた。
彼は親から勘当され、2人の味方となる者は誰もいなかったが・・
彼女らに後悔はなかった。

それから数ヶ月がたったが、彼女らの店は一向に風向きが良くなる事はなかった。
借金はどんどんふくらみ、怪しげなところから借りてしまった借金は彼らの生活すらも脅かし、味方となる者はおらず、彼らの生活はとうとう限界を迎えていた・・。

ある断崖絶壁。彼女ら2人の姿がある。
「ごめんね。僕の夢のために・・君につらい生活をさせてきて。」
「うんうん。私は、あなたと一緒にいることが幸せでずっとそばにいたのよ。」
「君だけでも・・親の元に戻れば元の生活に戻れるかもしれない。」
「・・言ったでしょ?私達、あなたと終わらない愛を誓ったのよ。それに・・あなたと一緒でいられるなら、それが私の幸せ・・。」
「・・ありがとう。ごめんね。」

2人は・・強く手を握り、同時に崖から身を投げた。
彼女たちは「終わらない夢」のために「終わらない愛」と「終わらない幸せ」の中でその生涯を終わらせたのだった・・。
399灰色之粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/07/21(日) NY:AN:NY.AN ID:o1W6P8T0
露天商のシリーズでハッピーエンドを見たことがないので読むのがこわかったですww
でも若干の希望のあるオチでよかったです。
400創る名無しに見る名無し:2013/07/22(月) NY:AN:NY.AN ID:IfIWQOgs
>>394 >>395
ご紹介ありがとうございます!
これから読むのが楽しみ!
至福の時間が過ごせます!
401創る名無しに見る名無し:2013/07/22(月) NY:AN:NY.AN ID:IfIWQOgs
皆さん凄いですね。
どうやってそういう着想を得るんでしょうか?
402創る名無しに見る名無し:2013/07/28(日) NY:AN:NY.AN ID:Jyp5UXf/
俺が初めてショートショートを知ったのはラジオでだった。
水着に上着だけ着た女の人が来て、翌日デパート行ったらまったく同じ格好のマネキン人形
がいたっていうオチだったけど、カルチャーショックだったね。
で、兄貴が買ってきた小松左京ショートショート集を読んでさらなる衝撃を受けることになる。
>>401も読み慣れたらここの皆さんの着想がしょうもないってことが分かるよ。
403創る名無しに見る名無し:2013/08/01(木) NY:AN:NY.AN ID:oKJi3p7G
>>396
週刊ス○ーリーランドの謎の老婆シリーズですか。
なんとも懐かしい気分になりました。好きだったなー。
ストー○ーランド自体が今尚「終わらないアニメ製作」状態なんですよね。
404創る名無しに見る名無し:2013/08/11(日) NY:AN:NY.AN ID:hylLV29A
フルボッコちゃん…
405創る名無しに見る名無し:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:J/5Gd2wi
だいぶ過疎ってはいるけれど、思いついたので投下。

【そういえば】

そういえば、もうすぐ彼が迎えに来る時間だった。
毎週この時間は彼と二人でディナーを食べるのが習慣になっていたのだ。
そんなことを考えていると、玄関のチャイムが鳴った。
「やあ、迎えに来たよ」
彼はいつもと変わらない笑顔を見せてそういった。
「・・・今日は時間通りに来たのね」
「もちろん、君を待たせるわけにはいかないからね」
そういうと、彼は私を助手席に乗せ、エンジンをかけた。
窓にうちつける雨粒を眺めながら、私は運転席の彼に話しかけた。
「そういえば、先週も雨が降っていたわね」
「そうだね、雨の日の運転は苦手なんだよね」
「そういえば、先週は何で遅刻したんだっけ?」
「バイトが長引いてね、早く来ようと努力はしたんだよ?」
「そういえば、先週は何を食べたんだっけ?」
「なんだったかな、よく覚えてないや。よく行く和食レストランの予約をとったと思ったけど」
「そういえば、今日は何処に行くの?」
「今日はあそこだよ、君の好きな和食レストラン。君、あそこの天ぷらが好きだったろ?」
「そういえば、先週と同じじゃない?」
「そういえば、そうだね・・・あ、」
「ねえ、あなた」
「そういえば、何処からやってきたの?」
私が彼に向かってそういうと、彼は血まみれの顔で笑って言った。
「そういえば俺、先週事故って君に会えなかったんだよね」
泣き出しそうな笑顔でそういった彼の輪郭は、すでにあいまいになっていた。
「ごめん、遅刻しないって約束したのにね」
「いいのよ、こうしてちゃんと迎えに来てくれたんだから」
そう言うと彼は、血まみれの顔で笑って言った。
「あぁ、怖がらせちゃったな。ゴメンね、本当に」
「二回も謝らなくていいわよ」
「いや、そうじゃなくて」
すでに半透明になっていた彼は、心底嬉しそうな顔をしていた。
「本当は知ってたんだよ。だから、迎えに来たの、迷惑だったかなって思ってさ」
そういうと、彼は今度こそ本当に煙のように消えた。
と同時に、私の体は暴力的なスピードで宙に投げ出されていた。
そういえば、この車に乗ってきたのって、彼だったっけ。
406創る名無しに見る名無し:2013/08/23(金) NY:AN:NY.AN ID:6THZQwnp
オチでちょっとおもしろいと思いましたwww
407創る名無しに見る名無し:2013/09/10(火) 20:41:36.30 ID:zCrTjiEF
『タイムマシンは発明されない』

男はある日思った。
「タイムマシンはこれから将来発明されない。
発明されていれば未来人という人達は既に現れているはずだから」
誰かにこの発見を語ってみたかったが、
そんな事をして気ちがい扱いされたらたまったものではない。
男は別の事を考え始めた。

とある未来
博士と助手がいた
「今回は白亜紀に行って恐竜の生態を研究するぞ。」
「はい、しかし博士、一つ質問があります。
なぜ過去へタイムスリップする際、人類が栄えた時代には
行かないのでしょうか」
博士は答える
「そんなの簡単なことじゃないか。
それ以降の時代には大量のデータが既にあるからだ。
それに“インターネット”という物のデータを見れば、
無数の情報はおろか、当時の人類の思想、流行すら知ることが出来るからな。」
「あ、なるほど。それに一度のタイムスリップには莫大な費用が必要ですし。」
うむ、と博士は頷く。
「さあ、そろそろ行くぞ。」
二人はまばゆい光に溶けていった。
408創る名無しに見る名無し:2013/09/10(火) 23:16:51.65 ID:J4D+eHbW
>>407
なるほど...合理的で良い発想だなぁ...
409創る名無しに見る名無し:2013/09/11(水) 00:17:17.23 ID:aRNGSGFA
>>407
男と同じ発想だったけど、これは気持ちのいい反論
410創る名無しに見る名無し:2013/09/11(水) 15:17:09.33 ID:0G8jqHTg
どうでもいいけど、タイトルが「世にも奇妙な物語」っぽいw
411 ◆OnIz2NuQos :2013/09/12(木) 01:38:42.94 ID:FRD2j0hm
「ウィルス」



ある病院に患者が来た。
体はまんまるとしていながら、顔は真っ青。誰がみても体調が良くないと思うだろう。
患者はすぐに診察を受けることができた。
「どうも最近、体の具合がよろしくないのです。風が長引いているのかわからないが、熱が上がり続けている。頭に乗せた氷嚢なんてすぐに溶けてしまいますよ。どうにかならないもんですかね。」
患者は苦しそうな表情で医者に言い寄った。
医者はすぐに患者の体を細かく診察すると、納得の表情を浮かべて患者に言った。
「どうやら最近流行りの悪性ウィルスが体のあちこちで繁殖しているみたいですな。薬を出しておきましょう。今夜にでもウィルスは全部死滅するからじきに良くなるでしょう。」
患者はその言葉を聞いて安堵し、もらった薬をすぐに飲んだ。これで明日から健康に向かっていくことは間違いない。

その日の夜に人類は絶滅した。
412創る名無しに見る名無し:2013/09/12(木) 09:57:51.77 ID:D+j3KHT3
」の前に。をつけているところが、星新一っぽくないと思います。
×風
○風邪
星新一っぽくないです。
オチがイミフなところが、星新一っぽくないと思います。
413創る名無しに見る名無し:2013/09/12(木) 17:50:17.86 ID:y+EZ1dI3
>>411さんに刺激を受けたので、自分も病院ものを


【職業】

エヌ氏は医者をやっていた。
ここのところ、仕事に対するやる気が溢れ出ており、大きな充実感に包まれていた。
ある日、一人の患者がやってくる。

『私は小さな会社で普通のサラリーマンをしているのですが
なぜか最近、自分は本当は料理人ではないのかと思うようになったのです』

「ふむ、きっと毎日同じことの繰り返しで、別の職業に憧れを抱いてるのでしょう
そして軽い現実逃避を無意識に行ってる可能性がありますね」

『そうでしょうか・・・日に日にこの思いが強くなってるのです
最近では料理の事しか頭に無いのです』

「私をご覧なさい 今私は医者というこの職業が楽しくてたまらない
このように自分の仕事に誇りを持つべきです」

その後少し話をして男は帰っていった。
しかしそれからも男は度々やって来た。
その度にいっそう自分を料理人だと主張するのが強くなっていった。

ある日その男の妻だという女がやってきた。

『夫の事でお話が・・・・最近は完全に自分の事を料理人だと思い込んでいます
会社にも行かず、架空のレストランに出勤すると言い出し困っているのです』

「それはまた・・・・どうしたものか」

『そして昨日の事です 何かにとりつかれた様に料理の事を語り始め
世界一の料理人になる、と楽しそうに語り始めたのです』


この様子を別の部屋から隠しカメラで見ている医者達。

「やはり、この自分の事を医者だと思い込んでいる男と同じか
少しずつ自分は違う職業だと思い始め、やがて完全にそれだと思い込む
そして急に仕事に対する情熱を発揮する
変な病気だ もう少し観察が必要だな」

414創る名無しに見る名無し:2013/09/12(木) 18:08:37.40 ID:PcfxTJk+
>>412
星新一っぽくないのはすごく同感する
しかしオチが意味不明というのは理解できてないだけでは
415創る名無しに見る名無し:2013/09/12(木) 18:33:10.32 ID:y+EZ1dI3
もう一つ変なのを作りましたw


【僕の財布じゃない】

エヌ氏が街を歩いていると、前を歩く人のポケットから何かが落ちた。
拾ってみるとどうやらそれは財布のようだった。
しかし何だか気持ちの悪い財布だ。

『あの、すいません財布落としましたよ』

「ありがとうございま・・・」

その男は財布を見るとビックリした顔になりエヌ氏に言った。

「僕の財布じゃありません」

『いえ、確かにあなたのポケットからこの財布が落ちるのを見ましたが』

「と、とにかくこれは僕の財布じゃないんです」

男は逃げるようにその場を立ち去った。
エヌ氏は仕方なく交番にその財布を届ける事にした。
しかし警官はその財布を見て嫌な顔をする。
そしてエヌ氏にこう呟く

「変な気は起こさないほうがいい・・・」

言葉の意味は分からなかったがエヌ氏は交番を後にした。
するとまたポケットから財布を落とす人を発見した。
拾ってみると、今エヌ氏が交番に届けたものと同じ物。
おかしいなと思いながらも

『財布落としましたよ』

「僕の財布じゃないです・・・」 逃げる様に走り去る落とし主。

不思議に思い、また交番に届けるエヌ氏。
警官はうつむいたまま何も言わなかった。


そのAに続く
416創る名無しに見る名無し:2013/09/12(木) 18:34:49.41 ID:y+EZ1dI3
そのA


一体どうなっているのだろう。あの財布は何なのか。
そんな事を考えながら歩いていると、また一人の男が財布を落とした。
やはり今までのと同じ財布だ。

『あの、財布落としましたよ』

「財布なんて俺は今持って・・・・」

男は一瞬考えて
「ああ、俺の財布だ、ありがとよ」と言ってニヤついた。

エヌ氏にはこの男が自分の財布でない事を知っててネコババしようとしてると
すぐに分かったが、確かめようもない。
実際にこの男が落としたのだ。

男が財布を受け取ったその時だった。

「久しぶりに引っかかった」

そんな声がした。同時に男は苦しみだし倒れてしまった。
すぐに救急車が来て運ばれていく。

エヌ氏は思った。
この財布は呪われてるのではないか。
欲深い人間が持つと今のように倒れてしまう。
今まで出会った人も、警官もその事を知っていてあんな態度をとったのだろう。

エヌ氏は地面に落ちているその財布を拾わず、その場から逃げ去った。

歩いていると声をかけられた。

「あの、財布落としましたよ」

お礼を言おうと振り返ったエヌ氏。
その財布を見て言う言葉は決まっていた。

「僕の財布じゃないです」


417創る名無しに見る名無し:2013/09/13(金) 00:10:26.54 ID:dsRgHJMW
>>414
俺は>>412ではないが、医者が医療用ロボットとかだったら
ああ、人類全体にウィルスに感染してたんだなとスッキリできたんだが・・・
418創る名無しに見る名無し:2013/09/13(金) 00:13:13.30 ID:LAKSwXwg
>>417 俺は地球の事かと思った
419創る名無しに見る名無し:2013/09/13(金) 07:33:53.17 ID:CZejbVvT
強いて言うなら例えば

患者を見送って、星のドクターは呟いた。
「よしよし、これであの地球という星も大丈夫だろう。
しかし宇宙全域で何億年かごとに惑星に現われるこの人類というウィルス、何とか発生そのものを立つ方法がないものか…」

とでも書けば分かりやすくなったろうし、いくぶん星っぽい落とし方に感じたかもしれない
がオチの意味がそもそも解らなかったというのは書き手の集まる板の住民の言とは思えん
420創る名無しに見る名無し:2013/09/14(土) 13:01:49.47 ID:Gt5FCNOa
「ない!」

私は今ある物を探していた。
机の中を引っ張り出し、タンスや戸棚をひっくり返し、天井裏からトイレの排水溝にいたるまで。
だが、見当たらないのだ。
私は外に飛び出し、ありとあらゆる人々に探し物をたずねまわった。
会社の同僚、部下、上司から始まり、行きつけの店屋の店主や店員。
挙句の果てに家族からかつての恩師にいたるまで聞きまわった。
だが、誰もが首を横に振っていた。
元の場所にあるかもと思い自宅に帰ってみるがやはり探し物はどこにもなかった。
私はほとほと疲れ果てた。もうここで眠りに尽くことにしよう。
……いったいどこに行ったのだろう? この話のオチは……。

終わり
421創る名無しに見る名無し:2013/09/14(土) 19:11:13.90 ID:X773DEgv
>>420
これは面白いw個人的には好きだ。
けど、やはり星新一っぽくはないんだよなー



その点も踏まえて
>>407はなかなかの傑作だと思うんだ
422創る名無しに見る名無し:2013/09/14(土) 21:05:51.48 ID:nr+cE0CR
その辺にしておかないとまた>>364大先生がお怒りになるぞ
423創る名無しに見る名無し:2013/09/21(土) 22:05:28.30 ID:UCEYbMCo
こんなのはどうですか?
「老人の恋」

ある病院に一人の男がいた。男はその病室で泣いていた。
その男の隣のベッドには彼の妻が眠っていた。
そして、彼は彼女に会うことになる。
彼女とは彼の妻の向かいの病室にいた少女だった。

その少女はずっと眠ったまま目を覚まさなかった。
すると看護婦の声が聞こえてきた。
「彼女、血が足りないんでしょう?可愛そうよね!!」
「そう、両親の血液も合わなかったそうよ。彼女の血液型は?」
それを聞いた後、男は彼女に合う血を探しに行った。
なぜなら、彼には秘密があったからだ。
その次の日、男は彼女に合う血を見つけて彼女に届けていた。

それから、暫く彼は彼女の所に決まって夜に来るようになった。
でも、彼女は目を覚ますことはなかった。

しかし、ある日、彼女は目を覚ました。
すると、彼女は自分の目の前に吸血鬼がいることに気付いた。
何故なら、彼はいつも夜に来て朝に帰っていたのだが、
この日は眠ってしまっていたのだ。

そして、彼女は恐怖のあまりカーテンを開けてしまった。
自分の命が彼によって救われたとも知らずに・・・
そして、彼はどんどん消えていった。
一枚の写真を残して・・・

そして、その写真を見た時、彼女は泣き崩れていた。
何故なら、彼のお陰で自分は助かったと言われたのと
彼女が死んだ彼の若い頃の妻とそっくりだったからだ。 終わり
424創る名無しに見る名無し:2013/09/21(土) 23:26:58.39 ID:jtJKUgcr
>>423
素材が面白いので、手直ししてみました。


ある病院に、その男は入院していた。隣室には、ずっと眠ったまま目を覚まさないという少女が入院している。
眠れない夜、男が、そっと聞き耳を立てていたら、隣室から看護師の会話が声が聞こえてきた。
「彼女、血が足りないみたい。かわいそうよね。」
「そうなの、両親の血液型とも合わない特殊な血液型だそうよ。」
その会話を盗み聞きした彼は、病院を抜け出し彼女に合う血液を探しに行くことにした。
彼には人には言えない秘密があったのだが。
次の日も、そのまた次の日も、彼は病院を抜け出し、彼女に合う血を見つけては、彼女に届けた。
しかし、彼女は、なかなか目を覚まさなかった。
そんな日々が続く中、いつものように、血を届けに彼が部屋に入った時、突然、彼女は目を覚ました。
永い眠りから目覚めた彼女の前には、恐ろしげな吸血鬼が立っていた。
恐怖のあまり、彼女は、とっさにカーテンを開けてしまった。
朝の光を浴びた吸血鬼は、悶えながら消えていった。
彼女の回復の知らせを受けた主治医が病室に駆けつけた。
「まさに、奇跡だ。まるで誰かが毎夜、適合血液を輸血をしてくれたかのようだ。こんな病例は初めてだ。」
主治医は、喜び半分、驚き半分の表情で言った。
少女にも、自分に何が起こったのか、徐々にわかってきた。
そして、彼女が、ふと、床を見ると、そこには一枚の写真が落ちていた。
よく見ると、隣の入院患者の男性が写っている。
少女は、はっと思って、横にいた看護師に聞いた。
「隣の部屋の男の人は、どんな様子ですか。」
看護師は暗い表情で答えた。
「それが、今朝から行方不明なのよ。みんなで探してるんだけど、どこにもいないのよ。
まあ、時々、無断外出する患者さんだったんだけど。」
あの吸血鬼は、隣の病室の男性患者だったのか。少女は、そんな疑念を抱いた。
もう自分で立てるまでに回復した少女は、医師や看護師がいなくなった後、こっそりと
隣の男性の病室を覗いた。ベッドの脇のテーブルに目をやると、そこには写真が飾ってあった。
よく見ると、そこには、自分とそっくりの女性が写っている。彼の奥さんの写真だろうか。
彼が自分を救ってくれたのだろうか。
ならば、自分は命の恩人に、何てことをしてしまったのだろうか。
少女の心の中には、何かしら、自責の念が込み上がって来た。


いかがでしょうか?
425創る名無しに見る名無し:2013/09/22(日) 00:29:10.42 ID:E58fjC+j
詳しい手直しをありがとうございます。
内容が伝わっていてよかったです。
誰も見ていないかな?
と少し思っていたもので…
言いたいことを代弁して頂いて何よりです。
426創る名無しに見る名無し:2013/09/22(日) 01:34:49.07 ID:2ZGNujya
>>425
着想愛イデアはいいと思いましたので、もったいないと思い余計なことをしてしまいました。
私は、文章書きは、セミプロと自負しておりますが、アイデア発想はど素人ですw
難しいですね、面白い話を書くのは
427創る名無しに見る名無し:2013/09/22(日) 03:24:50.74 ID:kWpy92Ov
誰かさんが怒りだしそうなスレ展開だが気になるんで突っ込ませてもらうと
肝心のオチをすっ飛ばしてどうする
428創る名無しに見る名無し:2013/09/22(日) 12:05:46.90 ID:5if6o+YD
少女を救おうとする吸血鬼の行動
→回復していく少女
→勘違いした少女が吸血鬼の退治
→娘の写真を見て真相を知る

という流れを

少女が吸血鬼を退治
→少女が、自分の病気が不思議と回復していた事を知る
→娘の写真を見て吸血鬼の行為に気づく

という流れに変えたってことだろ
後者の方が物語にメリハリがついて良いな
429創る名無しに見る名無し:2013/09/22(日) 19:50:35.29 ID:SAitnsZS
「同一視」

ある日、国民的人気作家のエス氏が亡くなった。
人々は彼の新作を二度と読むことができないのかと嘆き悲しんだ。

数年がたった。
エイチ博士はとある装置を発明した。
それはエス氏の作品を機械で分析し、装置に搭載された人工知能を使って
新たな作品を創作させるという装置だった。

さっそく次々と作品が作られた。
どれも完璧と思えるものばかり。
「さて、どこに発表すべきか。とにかく多くの人々の感想を参考にしたいのだが……」
エイチ氏は考えた。
「そうだ、ネット掲示板というものがある。そこなら小説の愛好家が山ほど居るからな」
嬉しいことに、「エス氏っぽいショートショートを作るスレ」という丁度良い場所を見つけた。
エイチ氏はためしに一つ作品を投稿した。

何日かして、エイチ氏は感想を見てみる。
「なんだと、一体どういうことだ」
つまらない。エス氏っぽくない。なにが言いたいか分からない。
画面にはそんな文字ばかりが並んでいて……
430創る名無しに見る名無し:2013/09/22(日) 20:31:47.94 ID:SAitnsZS
書き間違いまくった(汗)
↓修正しました

「同一視」

ある日、国民的人気作家のエス氏が亡くなった。
人々は彼の新作を二度と読むことができないのかと嘆き悲しんだ。

数年がたった。
エイチ博士はとある装置を発明した。
それはエス氏の作品を機械で分析し、搭載された人工知能を使って
新たな作品を創作させるという装置だった。

さっそく次々と作品が作られた。
どれも完璧と思えるものばかり。
「さて、どこに発表すべきか。とにかく多くの人々の感想を参考にしたいのだが……」
エイチ博士は考えた。
「そうだ、ネット掲示板というものがある。そこなら小説の愛好家が山ほど居るからな」
嬉しいことに、「エス氏っぽいショートショートを作るスレ」という丁度良い場所を見つけた。
エイチ博士はためしに一つ作品を投稿した。

何日かして、エイチ博士は感想を見てみる。
「なんだと、一体どういうことだ」
つまらない。エス氏っぽくない。なにが言いたいか分からない。
画面にはそんな文字ばかりが並んでいて……
431創る名無しに見る名無し:2013/09/23(月) 05:43:40.22 ID:9YOLvbv8
>>428
×娘の写真
○妻の写真

ほら見ろお前肝心のオチ把握してねーじゃん
流れを変えたのは見れば解る、というより流れか文体しかいじる所はない
なのに勝手にオチを1個減らしてどーすんのと言った
娘の写真と勘違いしてる所を見るとオチそのものは一応理解してるようだが
ならばなぜそれをちゃんと本文に書かん、書かなきゃ読者にはオチが変わって見えるだろ
432創る名無しに見る名無し:2013/09/23(月) 05:49:14.91 ID:9YOLvbv8
>>430
自動生成プログラムは不完全なので非難を浴びました、まる。
何が面白いのかわかりませんでした
「プログラムが客観的には完全である」ことを示さないと成立しない話なので次は頑張れ
433創る名無しに見る名無し:2013/09/23(月) 11:34:28.70 ID:iiJ8OWxG
>>431
うん。素直に書き間違え。
オチをちゃんと書かないと読者に伝わらないって(笑)
小説や多くの物語は、あえてオチを具体的に説明しないことで、物語に深みや余韻を出してる作品がほとんどだよ。
ちゃんとオチを説明しなくちゃいけないのは漫画や絵本の世界だけ。
特に星作品ではオチをちゃんと説明しているものの方が少ない。

>>430
プログラムは完璧だったし、まちがいなくS氏の特性を100%即食なく持った作品だったけど
S氏本人の作品じゃないからとファンたちに「S氏はそんな作品書かない!」と扱き下ろされたという皮肉めいた作品だろ。

あと、人を「お前」と呼んで失礼じゃない場所なんてVIPだけだからな。
他の板や現実のどこに行っても、人を「お前」と呼んで許される場所はないから覚えときな。

スレ汚しになるからROMります。
434創る名無しに見る名無し:2013/09/24(火) 21:18:44.57 ID:d0zV20JZ
>>433
他人の創作物を断る前に弄ってる奴が失礼てw 頭の悪さが全てに滲み出てるな
誰も「“オチを”はっきり書け」などとは言っとらん
「なぜ勝手に“オチを1個減らした”のか」及び
「“オチを勝手に1個減らした”ことをなぜちゃんと言わないのか」と問うている
以下この馬鹿に解るように説明するためやむなくネタバレするので他の人はスルーされたし

<<<以下ネタバレ>>>
妻の若い頃そっくり、つまり少女は老人の娘または孫姪百代子孫()等の血縁
(ただし他人の空似の可能性も微レ存、実際どうなのかは>>423に聞かないと判らん)
単に恩人なだけでなく血縁ということを呈示して少女(と読者)の悲しみを深めたかったのか
それとも赤の他人をそこまでして救う老人の動機の方を補強したかったのかも本人のみぞ知る
いずれにせよ「少女と妻の若い頃がそっくり」までは元作品に明記されてる
それを存在自体なかったことにするのは単なる流れの変更ではなくオチを1個削ったに等しい

繰り返すが「せっかく元の作者がぼかして書いてあるオチを全部ばらせ」などとは俺は言っとらん
お前の妄想だ
その程度の読解力で他人の創作物を頼まれもしないのに勝手に弄んなアフォ
ついでに言うと「お前」と言われたくらいで顔真っ赤にする方が珍しいわ
リアルとは違うのだよリアルとは
435創る名無しに見る名無し:2013/09/24(火) 21:30:13.56 ID:d0zV20JZ
あと>>429がどういう話のつもりで書いたかくらい見たらわかるわw
その意図があの書き方じゃ成立してないと言うんだ
文体の断片繋ぎ合わせましただけじゃそれが人工無能レベル未満かもしれんだろ
むしろ例えば「解析してそっくりに真似た」を強調してどう真似たかの具体的なプロセスは
ぼかした方が突っ込まれにくいし「見ようによっては」「より星っぽい」だろう
他にもっといい方法があるだろうお前はその程度かって? かもな
だからそれこそお前がお得意の「流れと文体だけ勝手に添削」してやれよw
>>423にはやってオチそのものを改変してしまった(のみならず指摘されて開き直った)くせになぜやらん?
やることがちぐはぐすぎてどうにもw スレチ気にするならここは最初から添削スレじゃねぇし
436創る名無しに見る名無し:2013/09/25(水) 00:23:33.60 ID:C/dXOFpe
俺も瀬名が星の話生成機を作って出てきた試作が激ムズ。
スタッフの一人が「星っぽい話の条件として難しい知識を入れないというのがあったのですが
……」と言うと瀬名が「そうだよ。これのどこが難しいの?」と答えるというオチを考えてはいた
んだがやめた。
437創る名無しに見る名無し:2013/09/25(水) 16:54:50.12 ID:qYWxBOaP
>>435はまず
>>424をしっかり読み返した方がいいよw

>隣の男性の病室を覗いた。ベッドの脇のテーブルに目をやると、そこには写真が飾ってあった。
よく見ると、そこには、自分とそっくりの女性が写っている。彼の奥さんの写真だろうか。

書いてあるじゃんw
あと、吸血鬼の妻はつい先日まで少女の向かいのベッドで入院してたんだし
血縁って事はたぶんないと思うよw

>>430
>エス氏の作品を機械で分析し、搭載された人工知能を使って 新たな作品を創作させるという装置
>さっそく次々と作品が作られた。 どれも完璧と思えるものばかり。

「分析」って意味知ってる?分析して人工知能を使って、と書かれていたら
たいていはS氏の脳構造を模したプログラムって解かりそうなものだけどな。
それ以前にウィットな作品に対して
「その機械がどういうプログラム構築でどういったベクトルでS作品に近いといえるのか!」
なんて突っ込むのは無粋にもほどがある。

あと、こんな勘違いしてる人間いないとは思うけど一応言っとく
自分>>424とは別人だよ。

真面目に>>435を心配して言うけど
他人を「お前」と呼んで許されるのは「VIP」という掲示板だけだよ。
他のどんな掲示板でも2ちゃんねるの他の板でも、ありえないからな。

書き込めば書きこむほど読解力と常識のなさを晒してるからもうそのへんにしときな
そもそもここは素人が書いた星作品っぽいショートを楽しむスレなんだから
それを楽しめないでいちいち重箱の隅探るくらいならスレ閉じればいいんジャマイカ?
438創る名無しに見る名無し:2013/09/25(水) 20:34:48.00 ID:hqddJhBq
ふぇぇーみんな怖いよお><
439創る名無しに見る名無し:2013/09/26(木) 00:56:01.31 ID:U8cdJUgh
>>437 >>424を書いたのは私です。>>423は、発想はいいと思いましたが、あのままでは、使えないと思い、
ショートショートとして成り立つように、手直ししました。
原作は、少し、ラフだったので、いろいろと修正や付け加えをしたのですが、私も、>>435さんの言っておられる
意図が理解できませんね。
まず、日本語から、きちんと勉強した方がいいとは思いますが。
440創る名無しに見る名無し:2013/09/27(金) 00:21:18.77 ID:IWFr8lW6
<<423を書いたものですがあの話には
あれ以下もあれ以上もありません!!
まあ、あまりにも簡略化しましたが、
最後は、吸血鬼が消されて写真が残り
自分の中では完結されているので・・・
441創る名無しに見る名無し:2013/09/28(土) 07:50:53.26 ID:+xJWlp3J
人間語が通じないのはよく分かった
死ぬまで自分の勘違いに基づいて噛みついて見下してろ

>>423
別にあんたが悪い訳じゃない
442創る名無しに見る名無し:2013/10/09(水) 21:40:05.14 ID:FUnROnWT
「12の瞳」
k子ちゃんは蓮華鏡を覗いてみました。いろいろな模様が写っています。でも
気になるものがありました。だれかの「目」です。誰かの「目」が写っているんです。
もちろん私の目だと最初は思いました。でも目をとじても開いてもずっとそのまま「目」
はみています。k子ちゃんは奇妙になりました。お母さんにやってもらっても同じです。
相変わらず「目」は見ています。お父さんに尋ねてみました。
「それは片目ウィンクしてるからそうなるんだよ。」k子ちゃんもお母さんも腑に落ちました。
要はもう一方の目が写っているだけです。
「でも目が写る万華鏡なんてあんまり気持ちよくないわ」k子ちゃんは言いました。
 もう一度覗いてみました。やはり「目」があります。そしてまた気づいたことがありました。
「目」の奥ににまた「目」が写っているのです。よくみるとずっとです。
それはそれで在りうることだとk子ちゃんはおもってたのですが、でもまたk子ちゃんは奇妙なことに気づきました。
その無限の「目」のなかに一つ異質な「目」が混じっているのです。
実はそれはメーカーに問い合わすと万華鏡に組み込まれた写真の目だということです。その写真の目の中にうっすら
と字が書いてありました。おめでとう10.0!


すんません投下します。
443創る名無しに見る名無し:2013/10/09(水) 22:05:06.22 ID:FUnROnWT
「満」
今日は弓のような黄色いお月様です。あの弓を誰が引くのでしょうか?
そして何処へ飛ばすのでしょうか?なんて新しい神話を創造するような気持ち
で少年は今宵の月をみていました。するとどうでしょう弓のようなお月様に頑丈な
糸が張られ矢まででてきたではありませんか!
でもここはプラネタリウムではありません。少年の空想です。
 やがて獏のような形をした雲がやってきて、弓矢は隠されました。そしてつるんとした
弓のようなお月様がまた現れました。
 そして少年は思うのです。「もうすぐ満月だなぁ。つまらねぇや」
そうもうあのお月様はよその大国の王様の土地なのです。
今は衛星やロケットの駐車場としてめいいっぱい使われています。

すんません。これも投下
444創る名無しに見る名無し:2013/10/10(木) 00:02:35.38 ID:oFVrPfue
「人間」

世にありそうでないものがとうとうできたのは自動車が真空管を走り出してから
100年も後の事でした。新聞などををスキャンすると、それが御伽噺
風に翻訳されるのでした。そんな翻訳装置が作り出した御伽噺ですが一向にアンデ
ルセンやグリム童話や昔話とつくりがかわりませんでした。
話の裏には残酷さやナイーブさが隠れています。「なにもかわらないじゃないか」
と思いつつも人々はにやにやしてその御伽噺を読み続けました。
御伽噺には御伽噺特有の享楽があるのです。以下のようです。

いつも翻訳新聞の一面はロシア童話【ウサギと蛙】の様です。《あるときウサギ達は集まり
ました。そして自分達の生涯について不平を言い始めました。人間、犬、海わしたち
その他の獣たちが原因で我々は死ぬのだ。恐ろしい生活を送るよりいっそ死んでしまった
方がいい。溺れてしまおう。ウサギ達は湖に身投げしに飛び跳ねました。蛙たちはウサギ達
に気づいて飛び込みました。あるウサギが言いました。「みんな動かないで僕達は身投げを
やめましょう。ほら蛙の暮らしは僕達よりもっと良くないんだ。だって僕らを恐れて暮らしているんだ」》

ある時人々は集まりいいました。そして自分達の生涯について不平を言い始めました。恐慌、犯罪・・・・・・・・
でもや奴らに比べたら・・・・・



 
ぽくないし、下手だけどすんませんこれも投下。
445創る名無しに見る名無し:2013/10/10(木) 01:30:25.87 ID:oFVrPfue
「穴」

男たちは賢明に穴を掘っていた。掘削機をつかって、スコップや鋤や鍬をつかって・・・
理由は分からない。水脈をあてれば貯水にもなるし、何かを掘り当てることもあるかもしれない
が、そんなことはお構いなしに掘り続けた。穴が谷のように深くなった時、男たちは掘るのをやめた。
どうやらただ掘りたかったようだ。二度言うが理由はわからない。
是も理由が分からないことだが、広いシートや干草や軽い砂をその上にかぶせた。
これも理由がわからないことだが。何せ彼らのやることには理由がないのだ。
その穴に落ちるものはいなかった。落とし穴ではなかったからだ。
しかし、次世代の人が是をどうみたかわからない。落ちる人もいるだろう。
しっかり管理しない限りは。・・・・
次世代の人たちはそれを魔の穴と呼んでおそれてはみたものの、つくりはただの
落とし穴だと理解していた。ただ規模が大きすぎた。実際動物がひゅーーーーとおちたことは
度々村人達は目にしたものだ。理由のない穴掘り、是いったい如何に?
その穴も最近では雨がたまり、沼のようになってしまった。
おとしあなとしてもぽチャンと落ちるだけで浮いてしまう。でもそこは水深70メートルくらいあるだろうか。
ダイバーが調査したこともあった。なにせ理由のない穴掘りだったので理由がないのだが、
人は理由をさがそうとする。そうして100年後、村人達はもう埋めてしまうことにした。
危険だからという理由以外これといったりゆうはない。ただ埋めるのみだ。
こうして穴は穴という役目を終えた。
私はこうおもうのだが、男たちがいいたかったのは「地面には穴もある」と
いうことではなかろうか。かくして大事業は終わった。

「これには深いわけがある」
あなたにも考えてほしい。
446創る名無しに見る名無し:2013/10/10(木) 01:54:20.46 ID:oFVrPfue
「5分後れ」
私は彼についていきますと言った。彼は俺についてこいといった。そんな彼の
時計はいつも5分進んでいる。私は彼に従うのみだ。「食事にする」「今度のデート
何時にする?」「ボーリングでもする?」「うん」「うん」「うん」
私は彼に従う単純なロボットのようだ。
 でも実際は違った。彼こそ5分すすんだプログラムをもったアンドロイドだったのだ。
かれアンドロイドの刷り込まれた全てのデートプログラムの最後は
「一緒に写真とる?」だった。なぜだか私も同時にこの言葉を発していた。
 初めて私が提案して大きなハットを一つ買ってきて二人で被って三脚をつかってオートで撮ることにした。
 これが私と彼(アンドロイド)の取った最初で最後の意思疎通だった。
 写真にはデート用アンドロイドとしての役目を終えるプログラムに入った
笑顔用の彼と、はじめて彼と意思疎通を図れたという喜びの笑顔の私とが
写っていた。
447創る名無しに見る名無し:2013/10/10(木) 02:24:57.12 ID:oFVrPfue
「悪魔信仰」
かの国では翡翠が他のどの宝石よりも重宝されている。坑道を掘り進む
男たち。彼らは悪魔の石像の顔に赤いインクをしたためて捧げものをして
から坑道へと赴く。そしてコカの葉を噛みながら苦痛に耐えるのだ。
 その翡翠を売る女。彼女は観光客相手に値を交渉するのだが、彼らの
苦労や翡翠の持つ伝統を思うとあまりやすい値では思わず恥かしさとも怒り
ともつかずに赤い顔をしてしまう。実際彼女は標準価格や値下げ幅なども
しらないのだ。ただ電気を灯されたアンドロイドの顔のように勘で時々赤い顔をする。
しかしそのたびに奥の事務所から優しい男がやってきてokのサインをだしながら
笑って帰る。そんな彼女も小ぶりの高価な翡翠を一つ胸に掛けていた。
ただ、ダイヤより価値が高いこと、本妻に送る宝石であること、夫婦円満の印で
あること。翡翠にはそんな意味があるが、彼女は本当のアンドロイドのように時には悪魔の様に赤い
顔をするだけであって、本当の翡翠の意味をこのままではこの先もしれないかもしれない。
彼女の顔が悪魔のようにならないことだけを祈って今日も彼はokのタイミングを計っている。
同じ石から採った翡翠のバングルをしながら・・・
448創る名無しに見る名無し:2013/10/11(金) 00:47:47.23 ID:42OY1J44
423を書いたものですが、
星新一さんの作品とは違いますが、
昔、こんなのも書いていました。
実名が出てるのは見逃して下さい。

「吾輩は猫であるを書いた夏目漱石は
 現代が機械化の時代になる事を知っていた」

これは、私が書いた文章の清書です。

まず何故、夏目漱石は猫を主人公にしたかと言うと、
それは、夏目漱石がいた時代に扇風機があって恐らく猫を飼っていて、
猫がその扇風機を猫の静電気によって起動させたからである。
昔から言う歌にあるが犬は喜び庭掛け回り猫はコタツで丸くなると言うアレだ。
何故なら、猫とはコタツに入り静電気を貯める生き物であるからだ。

そして、その夏目漱石は猫が静電気で扇風機を動かしたのを見て、
猫を主人公とした物語を書いたのである。
そうでなければ猫を主人公にする人など少ない。
だから、夏目漱石は現代が機械化の時代になる事を知っていたのだ。

そして、最後に我輩は猫であるの猫は溺れて死んだと書いてあるが、
それは、本当は猫が静電気を貯める生き物なので実は感電死だったのである。

しかし、これはあくまで仮説で真実とは限らない・・・。

                            終わり。
449創る名無しに見る名無し:2013/10/12(土) 11:35:12.51 ID:YHgEd8s/
もう1回清書しろ
450創る名無しに見る名無し:2013/10/12(土) 17:46:16.66 ID:ihG6r48i
「N氏」

ある国の小説化がある文章を書きました。
しかし、その文章には秘密があったのです。

N氏は何故か主人公を猫にしたのです。
それは、こんな理由でした。

N氏はおそらく猫を飼っていて
N氏の時代に扇風機があって猫の静電気で
N氏の猫がそれを動かしたからなのです。

昔からある歌の犬は喜び庭駆け巡り猫はコタツで丸くなるというアレです。
だから、N氏は現代が機械化の時代になる事を知っていたのです。
そうでなければ、猫を主人公にする小説家などあまりいない。

だから、N氏は最後。主人公の猫は溺れて死んだと書いていましたが、
本当の理由は猫はコタツに入り静電気を貯める生き物なので、
最後は、N氏の猫は感電死をしたのである。

まあ、これはあくまで仮説で真実とは限らないが・・・

                          終わり
451創る名無しに見る名無し:2013/10/12(土) 18:58:02.21 ID:ihG6r48i
これで星さんぽっくなったとは思いませんが、
かなり色々な所を清書し直しました。
452創る名無しに見る名無し:2013/10/13(日) 06:17:32.00 ID:WYSJe64D
○小説家○星さんっぽく
の部分を間違えてました。
453創る名無しに見る名無し:2013/10/15(火) 15:23:54.33 ID:qcY6CoXQ
「カウンセリング」

R博士の心療クリニックに一人の若い男性が訪れていた。
その男は二枚目俳優でも通用する端正な顔に、苦悩の表情を浮かべていた。
「先生、僕はある悩みでカウンセリングを受けていたのですが、これといって解決しなくて…」
「それはどの様な悩みですかな?」
「実は、交際相手が同姓じゃないと付き合えないという特殊な傾向がありまして…」
「ほう、それはまた…」
いきなりの告白にR博士は戸惑った。しかし、患者の心の負担を和らげるのが仕事である。
「大丈夫ですよ。今時は同性を愛するなど当たり前な風潮で、別段特殊でもありませんから。」
「そうなんですね先生!僕は誰にも言えず、ずっとこの悩みに苦しんでいたんですよ!」
落ち込んでいた男は途端に明るい表情になり、喜びのあまりR博士の手を掴んだ。
「それは良かった。実は私もその一人ですからね。」
そう言いうと、R博士は男の手をしっかり握り返した。
「いやぁ、先生も同じ傾向の持ち主だとは。嬉しい限りですよ。」
「ほっほっ、こちらこそ。」
「僕の場合、自分で言うのも何ですが女性にモテる方でして。必ず相手の方から告白されるのですが、
どうしても自分と同じ姓じゃないと嫌で嫌でたまらなくて。」
「良く分かりますよ。やはり同性同士が一番ですな。」
「僕は跡取り息子なんで、婿養子なんて絶対親が許してくれませんからね。でも、同姓同士なら
お互いの名字が変わらないので双方の両親も安心ですから。」
「それで?」
「そうしている内に、好意を寄せてくれる女性も姓が違う理由だけで遠ざけてしまい、
気づいたら同姓の相手じゃないと心から安心して付合えなくなって…」
R博士は握っていた男の手を振りほどいて冷たく言い放った。
「すまないが他を当たってくれないか。」
454創る名無しに見る名無し:2013/10/15(火) 16:49:36.14 ID:jGezPK0/
>>453

同性と同姓の勘違いですかw
おもしろい!!
455創る名無しに見る名無し:2013/10/15(火) 21:12:20.63 ID:qcY6CoXQ
>>454

ありがとうございます。
感想頂けて嬉しいです。

ぜひ一度、R博士のクリニックにお越しくだちいw
456創る名無しに見る名無し:2013/10/18(金) 00:54:30.97 ID:RJIv5RBV
「彼」

さあ、続いての問題はこれです。

ここには、ある男がいます。
問題は至ってシンプルです。
それは何故、彼が無敵かと言う事です。

そうなんです。この男いや「彼」は
ある秘密を抱えているんですが、
そこが問題なんですよね?

あぁ、問題と問題を掛けてますよ!!
まぁ、それはいいんですが、
と言う事で問題に戻りましょうか?

この男「彼」は無敵なんです。
たとえば、最新の核兵器でも彼は死にません!!
たとえば、大地震でも彼は死にません!!
たとえば、人類が彼だけになっても彼だけは死にません!!
それは、何故でしょう?これが問題です。

まぁ、理由は簡単ですよ。答えを知ったらちくしょってなりますよ。
だって、「彼」は○○○○なんですから・・・

そう、司会者が指差した先にはいくつもの彼が並べられていた。
つまり、答えは・・・





彼は無数に作られたクローン人間だったから・・・
457創る名無しに見る名無し:2013/10/18(金) 17:41:16.78 ID:lfpZ7oFb
>>455
客に涎垂らしてるクリニックなんかいけんわwww
面白かったw特にオチの急展開が(笑)
458創る名無しに見る名無し:2013/10/20(日) 01:17:52.68 ID:3wOSJdYh
>>457
感想ありがとう。

まずは試しにR博士のクリニックへどうぞ。
新たな自分を発見するかもw
(^q^)
459創る名無しに見る名無し:2013/10/21(月) 21:31:13.39 ID:kJaGtwzf
「外交戦略」

C人民共和国との重要な協定交渉を担当したA連邦国のK国務次官補は、
協定締結の成功を国務長官に報告するため、意気揚々と帰国した。
「大臣、見事にやり遂げてみせましたよ。正に歴史的外交の勝利と言っても良い位です。
「ああ!本当にその通りだとも!」
長官も協定締結の結果に興奮しているらしい。
「いち早くと思い、協定同意書は外交伝書使に届けさせましたが。」
「それなら受け取った。そして直ぐに補佐官が委細を確認した。君は見事にやったようだな。」
「お褒め頂き恐縮です長官。まあ、それなりには苦労しましたが。」
K国務次官補は花形外交官として数々の対外交渉を取り纏め、
将来を有望視されている逸材ゆえの自信が溢れていた。
ゆくゆくはB帝国への全権任命大使も夢ではない。
「それで君、同意書に署名する時はどんな気分だったかね。」
「まあ、正直誇らしい気持ちでしたが…」
K国務次官補はその時の状況を思い出そうとした。
(協定締結を祝して、先方が用意したシャンパンで一同が乾杯したけど随分早く酔いが回った。
なんとか署名はしたけど、C国の外務次官はずっと笑ってたな。後はあまり覚えていない…)
「君、どうしたのかね?私の質問を聞いてるのか?」
「は、すみません長官。それはもう、素晴らしいシャンパンのおかげもあって最高の気分でしたよ。」
「君は何を言っているのかね。どういう心境であの様な間違いを犯したのかと聞いておるのだ!」
「と、おっしゃいますと?」
「君は見事にやり遂げてくれたんだ。C国の歴史的外交の大勝利を。」
「何ですって!?」
「C国製品の関税撤廃及び債務帳消しを認める同意書に署名しているではないか!」
460創る名無しに見る名無し:2013/10/30(水) 10:08:46.27 ID:oGTQnXp6
ちなみに企画だけもありますよ!!
「伏線小説家」
内容
ある小説家がいてその小説家には伏線専門の小説家が別にいて
その小説家が伏線小説を書いていたが最後にはその伏線自体が
彼(伏線小説家)自身の小説だったみたいな話
461創る名無しに見る名無し:2013/11/01(金) 11:19:42.12 ID:6wmwZGfT
いつもながらの御点前感服致します
462創る名無しに見る名無し:2013/11/03(日) 14:50:10.91 ID:XVx08sZy
初話カキコ

インタビュー

…その通りだ、私は死刑判決を受けた。
この首に埋め込まれた何やらよくわからない機械で、ある日突然死ぬ事になっている。
…期限が気になる。もっともな質問だが、私はそれを知らされていない、知っての通りだ。
…確かに最初は怖かった、人道主義や道徳主義など糞食らえだとも思った。
…いつ死ぬかも分からずに日常に帰る事は出来ないさ、今まさに、次の瞬間には死ぬかも知れぬのだ。
…そうだな、今はもう落ち着いている。
…そんな大それたものじゃない。単に分かったのだ。
月並みだが、人間いつ死ぬかなんて分かりっこ無いんだ、事故、病気、犯罪、苦難…
私はそんな不確定なものが一つ増えただけなのだ、だからなんだと言ってはなんだが。
つまり何も変わっていなかったのだ。それだけの事だ。
…試験?何を言って…
(ピッ)
……ああ、ああ、よくわからないが、そうなのか。そうだったのか。
私は許されたのか。
……ああ、とりあえず、帰ったら酒でもい
(ピッ)

「…はい、人道的に、はい。希望と喜びを持たせて…ええ」

終わり。
463創る名無しに見る名無し:2013/11/03(日) 19:00:28.33 ID:U36NZi4c
>>453>>459を書いた人と>>456>>460書いたのは違う人だよ
464創る名無しに見る名無し:2013/11/03(日) 19:17:44.87 ID:u6wMviyB
>>462
変に悟りを開いちゃった死刑囚が人道的に許せないから
罪は許されたと嘘をついて油断したところで死刑執行・・てことですか?
内容は面白かったんですが、インタビュー形式という奇をてらっちゃったせいで
内容がわかりにくくなってる気がします。。
悲観的な感想すみませんm(_ _)m
465創る名無しに見る名無し:2013/11/04(月) 02:17:07.69 ID:iY9TvXcl
>>464
反省や悟りの有無に関わらず死ぬ予定でした。
人道(笑)的には殺す必要はあっても死の恐怖に晒させるのは間違っているって事でこんな処刑方になってる世界ですよ、って話です。
元々7ページ以内に収めるつもりで考えた話を1レスに詰め込もうとしたら何故かインタビューになりました、我ながらわけわからん。
そんな感じ。


オーバーロード

「やあ、とうとう完成させたぞ。見てくれたまえ、
人の思考をそっくり覗く機械だ。
試しに私とこの機械を繋いでだ、そして君を見てみるとだ。
君の心が読めるのだ、すごいだろう。
私の発明に感動しているね、そうだろうそうだろう。
おや、君は私に気があったのかい。嬉しいじゃないか。
なにっ私にはそんな癖があったのか、恥ずかしいな。
おお、おお、分かるぞ、全て分かる。君の記憶が、全てが。
あっいかん、実にまずい。
君の全てが分かってしまった」
そうしてエヌ博士は死亡した。

終わり。
466創る名無しに見る名無し:2013/11/04(月) 08:39:09.46 ID:Lraj40Lv
村田
467創る名無しに見る名無し:2013/11/04(月) 08:40:16.44 ID:izpgmItG
468創る名無しに見る名無し:2013/11/05(火) 01:43:37.48 ID:Fff/7oaq
原罪

蓑虫が冬支度をしているのに出会った小学生のN君はじっと観察してみた。
きように落ち葉や枯れ枝を集めて蓑をつくっている。
N君は少し意地悪をしてやろうと思った。蓑をばらしてしまうのだ。
蓑虫はまた一からはじめる。蜘蛛の巣でも同じだ。出来た頃にN君は破って
しまう。N君はまたお母さんに「綺麗な花ね」と声を懸けられるとぶちっと
花を根っこから引っこ抜いてしまうような幼児だった。
N君自体はやり直すのが嫌いな子供だった。もう中学生になった頃子供時代
からやり直せといわれたらとてもとてもいやな子だった。

子供は虫をいじったりしながら神の視点を覚えるのだろうが、N君は神様など
信じていなかった。いたとしてもそんなの苛めて遊ぶに決まってると思っていた。

自由研究では「世界の拷問」について発表した。みんな引いたが気にはしなか
った。でも大きくなるにつれて愛を覚え普通の青年になった。

ある夜夢の中で愛に充ちた神様が聞いてきた。「幼年期からやり直すならもう虫たち
とはいえ残酷なことはしないかい?」即座に答えた「はい、やりません。」
「本当か?」「本当です。」N君は夢の中、神様との対話を通して、二枚舌をおぼえた。

N君はもうパパになっていた。「おい!K太。蓑虫に接着剤を着けてでてこれなくするなんて
どこで覚えたんだ?」この父親もK太達の将来を畏怖した。そして叱った。
叱っても叱りきれなかった。そうしてK太もやがて子供を持ったが、より残酷になっていて叱っても
叱りきれなかった。罪はどんどん膨らんでゆくような気がして・・・・
K太はとりあえず原罪という言葉にすがった。
469創る名無しに見る名無し:2013/11/05(火) 03:31:32.62 ID:3A0AeZFW
なんだか、星新一を読んだ事ない人が名前だけエフとかエヌとか付けて書いてるみたい…。
470創る名無しに見る名無し:2013/11/05(火) 03:53:01.19 ID:nhWGcbeR
敬語のお稽古

敬語や丁寧語・謙譲語などが分からない人向けに自動翻訳機スラング版が発売された。
ヘッドホンがついていて直に訳してくれる。誤差は1秒もない。
値段もほどほどだったので世界中で大ヒットした。「ぶっこいでやったぜ」
とか「いてもたろか」とかあらゆるスラングが満載されている。

そうしていつの間にか敬語が話せる奴がいなくなってきた。
逆に希少価値がでてきたのだ。敬語を使えると政府筋などの重要な情報にアクセス
できるようなことになった。いわゆる「敬語使い」は昔とは違い未来尊敬される
ようになるのだ。そうなるとみな敬語を勉強しだすのだがそれがうまくいかない。
「召し上がります」をどうしても「飯があります」読んでしまったり、一筋縄
では行かないのです。そして「お」のつけ方です。漢字では「御」ですが、お水とお水
がわからないのです。だからお敬語は大事にしましょうといっても可笑しなお敬語がいっぱい
湧いて出て御みな様お諦めになってしまうのでした。
471創る名無しに見る名無し:2013/11/05(火) 10:17:38.30 ID:zvNFuBcX
>>469

>>462>>465を書いた者です。
星新一っぽいショートショートを書く、というスレのルールと違えている、って言われるとぐうの音も出ませんが、
私はどちらかと言うとショートショートの広場に近い感覚で様々な人のショートショートを見られた方が楽しめて良いな。という思いで見ています。
もう少し言えば、
様々な人の思う星新一らしさを保とうとしながらも個性やユーモアを出そうとするのはその道の人間でもなければハードルが高い、とも思います。
故に、気にするなとは言えませんが、これはこれで、と。
そういうことにして目をつむる訳にはいかないでしょうか。
スレチと言われればぐうの音も出ませんが。
472創る名無しに見る名無し:2013/11/05(火) 15:50:14.14 ID:vLA0t9Rp
>>471
結構おもしろかったよ
473創る名無しに見る名無し:2013/11/05(火) 23:39:45.43 ID:zzf0dusn
うん、気にしないよ
俺がここに書く時には星っぽいかどうかなんて気にしない
474創る名無しに見る名無し:2013/11/06(水) 08:17:35.27 ID:Gl4gXzzC
割と叩かれるの覚悟してたわ、良かった。

時計

ケイ氏が都会からその田舎村へ訪れたのは仕事の都合によるものだった。
新規開拓などともっともらしくは言われていたが、早い話が左遷なのだろうとケイ氏は終始への字口を浮かべていた。

「なんて遅れた村なんだ。信号機すら無いではないか、危険を防ぐ最低限の設備すらままならない…」

全面にミラーガラスが張られたビルから雨漏りし放題の木造な事務所を訪れ、車で2時間掛けて村を一回り。
その間目にしたものは広い農地、数える程の民家、最低限の生活用品店、本屋が新刊と謳う雑誌はバックナンバーばかり。
ガソリンスタンドなどは牛車が常駐している有様である。
生粋の都会育ちであるケイ氏は、事務所の中で不安と不満と憤慨をないまぜにした表情をもってこの村への印象を露わにする。

「だいたい、私はここで何をしろと言うのだ。私達は家電製品の販売者だ、もちろん契約を取る意欲はある。
しかしですね、聞きましたよ。この村の住人は皆、漏れなく契約済みではないですか。
わざわざ自分から契約しに来る方までいらっしゃるそうではないですか。
何が新規開拓だ、馬鹿馬鹿しい。
しかし自分で言うのもなんだが、私は自他共に認める出来る男だ。何か思惑があってここに呼びつけたのでしょう。
簡潔に問います、私は何をしに来たのですか」

数える程しか居ない同僚の返事は笑顔だけだった。
475創る名無しに見る名無し:2013/11/06(水) 08:18:29.27 ID:Gl4gXzzC
>>474続き


そろそろ帰ろうと言われ、ケイ氏は又も憤慨した。

「ここの時計は壊れている」

事務所に取り付けられた時計はいつからかわからないがデタラメな時間で止まっていた。
あるいは単に電池が切れているだけなのかもしれないが、時計としての役目を果たせていない以上は壊れていると言っても差し支えないだろう。

「外を見たまえ、もう暗い」

返事は笑顔と、その一言、それとなだめの言葉が少々だった。

「こんな事は企業として間違っている。今に見ていろ、こんな事は私が正してやる。きっと本社が私を遣わせた理由もそうに違いない」

熱い使命感に燃えるケイ氏を、同僚は笑顔で眺め、のそのそと帰っていった。

それからおおむね一年が過ぎた。

ケイ氏は今や事務所の長として皆をまとめる地位にあり、その日は新しい社員がここへ転属となった。
新人の男は訪れるや否やと車を走らせ村を二時間程で回りきり、事務所を見回して怒りと不満を露わにしたヒステリックな声を上げた。
ケイ氏は笑顔で新人をなだめ適当にとりなした。

新人の男が言った。

「時計が壊れている」

ケイ氏はゆったりと応えた。

「君は気を張り過ぎだ、一分一秒に固執していたと言った方がいいな。
なあ、考えてみたまえ。今の我々は金持ちではないが、時間持ちなのさ」

ぶつくさ垂れる新人を尻目に、ケイ氏は事務所の時計を見やり、捨てようかとも思ったが、やはり止める事にした。
こんな贅沢な事は無い。


終わり。
476創る名無しに見る名無し:2013/11/08(金) 12:39:46.90 ID:CsJ0REU5
今日もまた波乱と感動に満ちた物語の数々を拝謁する歓びにうち震えております
477創る名無しに見る名無し:2013/11/08(金) 16:43:04.84 ID:CgY6D0by
自分のコピーロボットを作ったらどんなに楽だろう。エヌ氏は考えた。煩雑な書類、
掃除に料理、命令さえすれば何でもやってもらえる。家政婦を使うのはやはり気を使うのだ。
苦節10年コピーロボットは完成した。
命令を聞くように額のところにプログラミングをしておいた。私だけの命令を
聞くように、キーも決めておいた。
 最初は大成功であった。掃除もするし洗濯もするし、料理までしてくれる。
「わはははは」俺ってこんなに働き者だったけなぁ〜と毎日重宝した。

しかしある日からピタっと動かなくなった。ソファーに座って動かない。
ロボットは少しの会話も出来る。「おいおいどうした?」なにか気に食わないものでも
あるかね。「ロボットトイッテモ、ユメヤキボウガアリマス」
どうやらロボットも異性の恋人や嫁さんが欲しかったらしい。M博士は考えた。
「じゃあお前のコピーロボットを作ってやろう」「アリガトウソウシテクダサイ」

それでM博士はコピーロボットの雌ロボットを作った。これも最初はよかった。よく用事を
聞いてくれたしかし、少し経つと不満を口にした。「ロボットだからといって何も報酬が
なくては動く気にもなれません!」
博士はこれにはこまった。というわけでまたコピーロボットのコピーロボットの
コピーロボットを作った。それでも結果は一緒だった。

なぜかこうなると、多数決の原理でも働くのだろうか。ロボットの方から命令さえ
されるようになった。博士はあーーーーーー!と頭を抱えた。するとロボット達。

「我々はあくまでもコピーロボットであなた自身怠慢で飽き性なんだからシカタガアリマセン」
478創る名無しに見る名無し:2013/11/08(金) 17:54:01.27 ID:CgY6D0by
ある日まさに青天の霹靂だった。UFOの艦隊が世界各国に降りてきた。
どうやら特に敵意はなく、観光旅行のようなものらしかった。おもてなしを
期待しているようだった。どうやた外見は人間そのもので宇宙人との区別は
つかなかった。
 ただ宇宙人らしきものたちはおでこがぽコンと皆出ている。
料金も「金」の硬貨ではらってくれるので、地球人たちは息巻いた。
一応人間と経済も習性も似ているもののなににお金をはらってくれるか正確には
わからない。ザーッと地球のいろいろの物品を買いあさって宇宙人たちは帰っていった。
10年後も来るという。

さっそく皆で会議を開いた。宇宙人たちはとりわけ何に喜ぶのだろうか。人間と全く同じなの
だろうか?あるくにの首相が口を開いた。「交換留学生を遣わしてはどうだ」
逆の立場を考えてみればよい。というわけで、交換留学生が決まった。応募は多数に及んだが、
100名の選ばれしものが決まった。2年の留学であったが、宇宙人たちがどういうものか分かるには
それしかなかった。ロケットの技術は宇宙人から習得していたので、行って帰ってきたらおじいさんや
おばあさんというようなことはなかったのである。
 ただ彼らはみなひとつのことで異性では大変苦労したようである。
それは、それは、それは、我々の想像しうることではなく、、、、
地球人はだれもがすることであった。

宇宙人にとってあらゆる悪事は迎行されるべきことで、あらゆる善事はしてしまうことであった。
それに基づいて法は動いていた。地球人とはおおよそ逆であってわざと善事を行った
彼らはみな捕まって刑を受けたということである。
479創る名無しに見る名無し:2013/11/08(金) 17:55:21.88 ID:CgY6D0by
異性→異星
480創る名無しに見る名無し:2013/11/08(金) 18:55:55.83 ID:s701gdeg
>>477
博士も働き者だったらよかったのに…、いや!それだと、コピーロボットは生まれない。
怠け者故に誕生したのに、皮肉なことだ。乙乙ー
481創る名無しに見る名無し:2013/11/09(土) 13:40:13.57 ID:iC7PNIvZ
国と国の間に海峡トンネルが出来上がった。長さなんと100キロメートル。
トンネルの間にはホテルや宿泊所、あらゆる店が並んだ。
言葉はおよそ両国の言葉が使われたが、真ん中を過ぎると近い方の国に統一
されるのだった。明確な関所、国境はなく、パスポートも必要なかった。
M君はいつかこの海峡トンネルを歩いてわたるのが夢だった。
難点は少しずつカルチャーショックを受けるので自分がどう変わったのかわから
ないのであった。でもM君はそれを楽しむ予定であった。
でもせいぜい味付けの好みが変わっただとか、変ななまりができたとかそんな
風だろうと高を括っていたのだが、ある一つ難点があった。
そのトンネルは違う両国を結ぶというよりは、時代トンネルだったのだ。
こちらは昭和、あちらは江戸時代という風に。
 あるときなんか江戸時代の将軍がお通りになる時、頭をさげわすれて首を取られる
ところであった。「昭和からきたものでなにとぞ!お許しを」ということで
許してもらったのだが、なにせ時代が違うといろいろある。
タイムトンネルではないが、なにせ両国は時代が、体制がちがうのである。
M君は昭和から一番乗りで遊郭に行った時、花魁に「白パン」をひどく笑われた。

終わり
482創る名無しに見る名無し:2013/11/10(日) 13:47:29.21 ID:NBt2/jvf
エス氏はタクシーを運転して山の手に差し掛かっていた。すると大雨が降ってきて
白い格好をした女性が傘をさして雨に打たれていた。ほうっていこうと思ったが
エス氏は思わずドアを開いた。「まあいいからお乗り下さい」女は何も言わずに
すっと座った。「こんな大雨の中女の人が一人じゃ行けませんよ。こんな山の中で」
エス氏は声をかけたが答えはなかった。しばらくシーンとしていると山の中を超えて
街に差し掛かった。「お金はいいから、ここでいいね」エス氏は優しさを投げかけた。
すると、すすり声が聞こえてきた。「わたし・・わたし・・・わたし・・・」
「どうしたの?お金はいいんだよ」「わたし・・わたし・・・わたし・・・」
「もういいよ。降りてください」 女はすっと降りていった。美人でも不美人でもなく
普通の女だった。エス氏は後姿を見送って何かいいことをしたような気がしたが、
なんだか腑に落ちないような戸惑いを覚えた。
 その日は早めに家に帰って妻の手料理でも食べたいと思った。それで家に帰ると
食事の準備も、風呂の準備も、掃除もしてなかった。部屋は荒れていてなんだか
泥棒が入ったようだった。「どうしたんだ一体」「わたし・・・わたし・・・わたし・・・」
「だからわたし・・・がナンなんだよ!」「今日妹がきたんだけどね、とりあえずドライブ
をしたの。そして山手で急に降りたいというからおろしたのよ。そのまま消えてしまって・・・」
「あたし・・・あたし・・・あたし・・・」
「でも正直言うとそれは嘘なの。わたし浮気中に山手で車を降ろされたの」
「それよりあなたがあたしに気づかないなんて・・・」
「実を言うと俺、俺、俺、忘れ症というより、宇宙人なんだよ。人間達のこと
まだ貌で判別できないんだ」

となりの部屋の人間が、盗聴器で耳をそばだてている。「また今日もやってるよ。
あの馬鹿なカップル・・・www」
483創る名無しに見る名無し:2013/11/10(日) 14:17:10.38 ID:BCqRZsM5
となりの部屋の人間〜
から星先生っぽくないけど星先生意識なのはわかりました
484創る名無しに見る名無し:2013/11/10(日) 14:52:48.09 ID:NBt2/jvf
悪戯

とある夫婦が息子を亡くし、趣味である旅の心も失って悲しみに暮れていた頃、
息子の形見である熊の縫いぐるみがなくなっていた。
何処を探してもない。とうとう諦めて、悲しみに拍車がかかった。
 そんな折手紙が写真と共に届いた。くまちゃんの写真と共に「今日は北の国何処何処
に来ています。今朝はピザを食べました。云々」そんな手紙と写真が世界のあちこちから
やってきて、最初はどうやら意味も分からなかった夫婦も次はどこから来るのかしら?
と楽しみになっていた。まるで形見の縫いぐるみが亡くなったあの子に思えて夫婦は歓喜
して話し合った。それとともに夫婦も旅心が湧いてきた。
そんな風に年月が過ぎていったあるころ、「クリスマスには家にかえるね」と来た。
夫婦はもう自分達だけだからと考えていたおせち料理もわりと豪勢に作った。

クリスマスイブのまだ夜の開けきらない朝方、窓がすっと開き、熊の縫いぐるみがぽん!と投げ込まれた。

「ああ、うちの○○ちゃん、帰ってきてくれたのね。長旅ご苦労様」
「それに○○ちゃん、あなたはよい友達をもっていたのね。」
485創る名無しに見る名無し:2013/11/10(日) 14:54:41.45 ID:NBt2/jvf
豪勢に作った→豪勢につくることにした。
486創る名無しに見る名無し:2013/11/10(日) 15:44:50.57 ID:NBt2/jvf
人と花

ケー氏は軽登山がすきだった。休日のある日も近くの山にでかけた。景色も楽しまず
一目散に頂上を目指すタイプの登山者だ。ところがはじめて一つの花が目に入った。
登山道の真ん中に咲いている花だ。他の花たちは登山道の脇に生え揃っている。
登山道の真ん中の花は濡れそぼってしなだれていたがかろうじてその美しさを誇っていた。
ケー氏はそれを踏まないようにして登山を続けたのだが、なぜかその花のことがしばらく心
から離れなかった。ケー氏は平社員で時には無能だと踏み台だと噂される人間だったからだ。
とてもとても登山道の真ん中に咲く花を踏む気にはなれなかったし。脇に植えなおしてやろう
かとさえ考えていたのだが、深く考えずにそのままずんずん進んでいった。
ケー氏達の登山はいつも山の向こう側へと降りる登山ではなくてユーターンするように引き返す
登山だった。だから、あの花にもう一度であった。ところがあの花は誰かに踏まれていた。
もう枯れていくだけだろう。ほかに登山者達はみなかったから、我々の一員、おそらく部長の成す業
だと見越したケー氏は「部長、花をふみましたね!」と叱責した。そんなこと初めてであった。
部長はなんのことかさっぱりわからないようだった。

ケー氏はその花を根っこからつまんでノートに押し花にしてしまっておいた。

それを会社の机に下敷きにして仕事をがんばり続けることにした。
咲くべきところに咲けばいいものの・・・・とおもいながら。
でも全てはそんな風にはうまくいかない。ケー氏は雑草のようにはなれなかった。

相変わらず体力自慢の部長の登山趣味には付き合ったが、いつもケー氏は
こういうのだった。「やっぱり登山って花を見に行くらしいですよ」

アゲハチョウや家に庭に植えられた花はやっぱりけばけばしいと思うケー氏
であった。ケー氏の嫌いな肥料に栄養剤、原色まんまの花達。ケー氏の好きな
怪しさにみちた植物や花達、すばしこく小さなミツバチや蝶や昆虫達。ケー氏にとって山は故里であった。

原色の衣装をきたパブの女達と戯れる部長をみて会社も変え時だとおもった。
でも押し花のようになった自分に救う神はあるのかともおもった。

そんなケー氏はふらふらと単独で登山に出かけかえらぬ人となった。
登山道の真ん中に咲いている花となっているのであろう。



 
487創る名無しに見る名無し:2013/11/10(日) 19:07:06.60 ID:d2G5qImI
              ゲーム

※:よし、俺はもうハンドルネームを決めてるぞ!「ヒットラー」だ!
※:おいらは「ムッソリーニ」だ!今回はタッグプレイで行こうよ?
※:よーし!じゃあ俺は「スターリン」だ!今度こそ人類滅亡イベント発生させてやるぜ!
※:皆さんまだまだわかってませんね?緻密なマインドコントロールこそがゲームクリアへ
  の近道ですよ?まあ今回のハイスコアはこの「ポルポト」がいただきです。
※:馬鹿共め!物量こそが最強の攻略法だ!この「ルーズベルト&トルーマン兄弟」はお前らなんぞに負けんぞwww
※:さて、余裕の沈黙を決め込んでいる優勝候補の「マオ・ツォートン」さんはどう見ますか?
※:ん?どうした「チャウシスク」同士?いつになく弱気では無いか?
※:ははは、これはマオさんご謙遜を。
※:いやあ・・・「マルクス」さんには敵いませんよ、はっはっは

※:大変だーーーーー!善神の奴等がついに最後の切り札である
  地球系霊団の最上級の光の大指導霊「宇宙仏エルカンターレ」を
  召喚しちまったぞー!

悪神一同:な、なんだってー!!!
488創る名無しに見る名無し:2013/11/10(日) 23:51:48.46 ID:X9HTjWhg
分かりにくいショートショートを書くスレになりました
489創る名無しに見る名無し:2013/11/11(月) 00:49:40.78 ID:dd7Tw51e
休日のお勤め
Z君は仕事もうまくいかず容貌もよくなく頭の切れも悪かった。体も頑丈ではなく・・・
とにかく駄目な男だ。だけれども一生に一度だとおもって婚前パーティなるものに出席
することにした。やはりうまくいかず声を掛けるも、それとなく遠慮されて、寄ってくる女性
など全くいなく、途方に暮れてタバコをふかしていた。そんなときに、あらわれたのがジェイ女史、
「どうですか?あまりうまくいってないようですね」
言葉とは裏腹にニコニコ顔である。名刺にはライフアドバイザーと書いてある。
Z君はそれとなく怪しいなと思いながら頭をななめにさげつつその名刺を頂いた。
「いや、あなたは本当に駄目な人ですね」そんな人を探していたのですよ。
「わたしぐらいになると本当に駄目な人を1000人かかえているのよ。そんな駄目な人
ばっかりで今度パーティがあるから今度も来て見ない?」
 Z君はもうだまされたと思って約束をした。そしてそのパーティ当日も自分の駄目さ加減は輪をかけた
ようだった。そしてまたもやあのJ女史がやってきて、ニコニコ顔で言った。
「見た目は全く一番悪いわけじゃないのに、あなたが今日も一番駄目な男ね。」
「これ少ないけどお車代と、ありがとうのお代金」と言ってJ女史は封筒をZ君に渡した。
「結構はいってるようだけどいいのだろうか・・・・・・」Z君は思ったけど誇らしく
もって帰ることにした。立ち飲みやにいってビールをあおって帰ることにした。
都会から田舎の沿線に電車を乗り換えるとき、ふと思った。都会もおもしろそうだな。
そしてとなりのコンパートメントを覗いてみるとJ女史がコクリコクリとよだれを垂らしそうな
勢いで寝ていた。Z君も知らんふりを決め込んでコクリコクリと寝だした。
ガタンガタンガタン電車の音が鳴り響く、みんな日曜にも関わらずお勤め帰りのように
疲れたような顔をしているように思った。「今度も来てよね」J女史は言っていたが
話が巧すぎる。馬馬虎虎と中国の故事でもいうからなぁ。今度は遠慮しておくか・・・
本当に都会は面白い話があるんだな・・・ふと見るとJ女史はとなりの肩に頭をあずけ
涎をたれていた。あれはきっとやばいね。Z君はZ君なりに考えた。
窓をみると街の灯が飛ぶように横切っていった。


 
490創る名無しに見る名無し:2013/11/11(月) 01:34:12.17 ID:dd7Tw51e
エジプトのアオシス

エル氏の屋敷から少し言った森はとても不気味な巨大な森だった。昔から夜には近づくなと
いわれていて現在でも近づくものは殆どなかった。
エル氏の屋敷には使われていない離れの物置があって子供達がたまに秘密基地にしていたらしい。
そこで古い地図が見つかった。子供達は色めいた。「これってさ宝の地図じゃない」
そこで子供達は相談した。「こんどの日曜日決行だ」もし迷った時のことも考えて装備も
欠かさなかった。地図の赤いマルジルシを目指して、いけばすぐに目星はついた。
子供達はこんなに早くみつかるなんていいのかよと思ったが、すぐスコップで掘り続けた。
そこそこ掘ると何かゴツッという音がして、さらにほりすすめるとそれが棺おけだと
気づくのに時間はかからなかった。「あーあ」というため息と共に子供達は穴を埋めだした。
「もしそこに金銀財宝があっても僕達どろぼうってことになるからね!」
これは子供達みんなの意見だった。「もし本当に困った時に空けよう。」
そんな彼らももう大人になっていた。あの時のことは薄らげにおぼえている。
また、彼らの子供達も同じことをやらかしているのは想像についた。
当時は銀行も取り付け騒ぎをおこしていて、実にいい管理方法だと大人たちは
思っていた。「いまどき墓あらしなんて子供でもやらないや」
 実はその墓だけではなくその森には同じような管理のしかたで金銀財宝が
たくさんたくさん眠っていたそうだ。
 巨大な森の入り口に博物館の建設が進みだしたのはそれから数千年後だった。
森は風化し切り崩され砂地となった。巨大な三角形のモニュメントもできた。
アオシスは消えた。世界各地から泥棒たちが研究と称してたくさんやってきた。
491創る名無しに見る名無し:2013/11/11(月) 15:31:21.24 ID:NsQG3n5t
全然星に関係ない意味不明な文章どんどん書き込んでるけど、
スレチだから他に行き場がないスレで書いたらいいよ。
492創る名無しに見る名無し:2013/11/11(月) 17:53:47.42 ID:ynNFk7tI
いいえとんでもない、スレチではございませんよ
それよりも僭越ながらその失礼な口調も直された方が宜しいかと存じます
赤の他人に向かってタメ口だなんて、どんな教育と躾を受けてこられたのやら

投稿者の皆様いつも楽しませてくださってありがとうございます
493創る名無しに見る名無し:2013/11/11(月) 18:04:45.11 ID:xZ1dILU8
>>491
>>474>>471を書いた者です。
>>471とは言ってますが、確かに限度というか、そういうものを守って欲しいとも思います。
しかしながら
過疎なんやし別に盛り上がればまあええんちゃう?
とも思ってしまいます。
この状況を打破するには書き手が増えてくれるのが最善かと思われますが、
まあほら、過疎ってる限りは質っつーの?えり好み出来ねーっしょ、人なんてよ。
と言いましょうか、そんな割と複雑な気分です。

CMの力

エス氏はその日も雑貨店へ向かった。
不規則な生活ながらも、毎日そこへ通う事は欠かさない。
単純に家から近いという事も魅力だが、雑貨店というのも良い。
一人暮らしのエス氏は何時もそこで、お気に入りの飲料と、少々の食べ物、それと夜食として菓子類を買っていた。
その日も出来上がったパターンをなぞる様に、夜勤から朝に帰り、帰宅してしばらくすると口寂しくなり、店へと向かう。
途中、彼の目線、彼の歩幅が少し揺れた。
その先、道端には子供向けのチョコレート菓子が落ちていた。パックに保護されていない、剥き身のチョコレート菓子。
恐らく、深夜からずっとあったのであろうチョコレート菓子は、拾われるでも踏まれるでもなく、人が見れば
ああ、あのチョコレート菓子だ。
などといった特徴的な姿を、堂々と晒していた。
エス氏は今日も雑貨店へ向かい、目当ての物と適当な物を買った、買い物袋には、お気に入りの飲料、冷凍食品、菓子類を少々。
店を出て、帰る道すがら、同じ場所にチョコレート菓子が落ちているのを見やり、
買い物袋に違うチョコレート菓子が入っている事に初めて気が付いた。
そこでようやくエス氏は、自分が菓子類売り場で探していたものと、何に妥協して、何と違うチョコレート菓子を買ったのか、という些細で本人も疑問に思わなかった疑問の答えを得た。

終わり。

最近あった事。
494創る名無しに見る名無し:2013/11/12(火) 03:02:18.59 ID:yCaEu7sO
一富士、ニタカ、三なすびなんていうもので、初夢のどれかを私は期待した。
どうやらどれも見ないようだ。ただ真っ暗で、しかもつやっぽい真っ暗でなんの
夢も見そうにない。残念に思った。そうだ俺は来年もお先真っ暗だ。
しかし、俺は考えた。この真っ暗でしかもつやっぽい真っ暗ってのは、実は
なすびなんじゃないか。あまりにもあまりにも巨大でなすびの形がみえないだけ
なんじゃないか?ちょうど格子の隙間からみたシマウマが白馬にみえたり黒馬
にみえたりするのとおなじで・・・。
 だから俺はその真っ暗さがどれだけ巨大な真っ暗さでもどこかに終わりが
あると信じ、ずーーーーーと上の方上の方を案じた。どれくらいそうしていただろうか?
もう3時間くらい真っ暗闇の上の方、上の方と目玉をひっくり返し案じていた。

するとどうだろうか、ちっぽけな緑が見えた。どうやらなすびのヘタだった。
なんだか急にくだらなくなって、眠ってしまった。
「やけに肥えたなすびだな。」zzzzz
495創る名無しに見る名無し:2013/11/12(火) 03:38:14.77 ID:yCaEu7sO
N氏は登山隊のリーダーであったが、急病により倒れた。救急搬送されたが
もう命の見込みがないといわれた。脳の血管が破裂していたのだ。
ほとんど脳死状態だった。
 しかし登山隊は看病はおろか半ば計画が進んでいた山に向かった。冬山で高山で厳しいルートだった。
こちらも生死の保証はない。
エヌ氏は病院に運ばれる以前、自らの運命を予期してか「私はこの登山を最後にしたい。
なにがあっても君達と運命を共にする」と言っていた。

それは後日在らぬところで証明された。医者も交えてふとエヌ氏の闘病振りを振り返った隊員達は
エヌ氏の心電図の山形が登山隊のルートの山形とぴったり
一致しているのに気がついた。恐れおののいた隊員達は感動と共にエヌリーダー!
エヌリーダーと叫ぶのであった。
496創る名無しに見る名無し:2013/11/12(火) 04:01:30.26 ID:Zo/Ulb5S
初カキコ
スレチな出来だったらごめんね。



「波の音」

男は人生に悩んでいた。
最近仕事も恋も人間関係もとんと上手くいかない
どうにか自分でも解決しようするのだが
いくら考えても空回りするだけで
いっそう事態は悪くなるだけなのだった。
自室で頭を抱えていた男に、一枚のチラシが目に入った。

「あの著名なエフ博士がクリニックを開設。
 現代社会に疲れたあなた、もしかして周りを考え過ぎではありませんか
 エフ博士の下で辛い現実から抜け出しましょう」

癒しだのストレスなどは鼻で笑うのが普段の男であったが
こうして当事者になってみるとやはり同じ態度ではいられない。

「俺はもう何も考えたくない。
 周りに気を使うばかりのこんな毎日なんてまっぴらごめんだ。」

男はすぐさま会社へ電話を掛けて
今ではすっかり仲が悪くなった上司に小言を言われながらも明日有給を使うと伝えた。

「思ってみれば何でも自分でやろうとしたのがいけないのかもしれない。
 専門家の意見に耳を傾けてみよう」

(つづく)
497創る名無しに見る名無し:2013/11/12(火) 04:12:34.89 ID:yCaEu7sO
K君はある女に恋をしていた。実に入れ込んでいた。しかし所詮高嶺の花だった。
だれにきいても「望みはないよ」といわれていた。
それがとても気に食わなかった。「みんな茶化すように言うが、本当のところ
一体誰が確証をもっていえるんだそんなこと。」と思っていた。

だから誰かに「望みがある」といわせたかった。それで駅に向かった。
そして特急列車の案内所へと向かった。とりあえず、聞いてみた。
「のぞみはありますか」「えーーとあるにはありますが・・」
「とにかくあるんですね!」「ええ、そうですよ」

K君はなんだかうれしくなってきた。だからもう一度きいてみることにした。
乗車券だけ買って、駅のホームでも駅員さんに聞いてみた。
乗車券をみせて「のぞみがあるかどうかしりたいんですが・・・」
「えーーーとですね。3時間後になります。ひかりならありますからそちらに
されたほうが・・・早いですね。」
K君はなんだかそのことばにウルウルとしてきた。「ひかりはあるか・・・」
それに畳み掛けるように駅員さんはつづけた「こだまならもうすぐでますが・・」

K君「ひかりはあるか・・・」「ひかりはあるか・・・」本当だ。「こだまなら
すぐでるね・・・・・」
K君は悟りつつ涙を拭った。
498創る名無しに見る名無し:2013/11/12(火) 04:28:43.29 ID:Zo/Ulb5S
(つづき)

翌朝、男はさっそく郊外にあるエフ博士のクリニックに出向いた。
受付を済ませると小さな部屋に通された。
エフ博士は急用で遅れるとのことで来るのに時間が掛かるらしい。
その部屋は蒼や緑を基調とした部屋で
どちらかと言えば暖かいとか安らげるものではなかった。
深々とソファに腰を下ろしたところに
先ほど受付をした女が苦笑しながら男に紅茶を渡す。

「やっぱり不思議に思いますよね」
「ええ、もっとオレンジなどの暖色なのかと」
「実はこの部屋は海をイメージしておりまして
 入室された瞬間に個々のお客様に併せて
 ソファに座る方が安らげるよう色々な機械が動き始めるのです」
「なるほど。確かに潮の音が聞こえ始めましたね」
「他にも温度湿度はもちろん、風や光などこの部屋がお客様好みの渚になりますわ」

さすがエフ博士のクリニックだと男は感心したが
日頃の心労のためか、紅茶の香りに包まれて眠くなってきた。

「お気に召されたようですね。少しお眠りになって下さい。
 エフ博士に会うまでにきっとお客様は日常を忘れるほどにすっきりしますよ」
「そうしたらエフ博士じゃなくて
 この部屋と紅茶を入れてくれた君に料金を払わないといけないな
 それでは少し失礼させてもらうよ」

目を覚ましたとき
男は部屋と似た景色の無人島で唖然としながら波の音を聞いた。
499創る名無しに見る名無し:2013/11/12(火) 04:55:25.30 ID:yCaEu7sO
田舎の回覧板

ある日隕石が降ってきた。それがパカット割れて猿が出てきたら孫悟空だが
なかから手紙が出てきた。流暢なことばであった。
「我々は宇宙人だ。今夜3名降り立つので最高のもてなしをしておけ」
隕石が落ちたのは山手のほうだったのであいにく誰も気がつかなかった。
宇宙人も手元が狂ったのだろうか。
なにしろその夜宇宙人たち3名は地球におりたった。
山辺の村で特に何もなかった。ただ月に照らされた電柱のそばに自販機が2期おいてあって
明かりをつけていた。「これはなんだ!これがおもてなしか」と理解した宇宙人は
まずじっと様子を伺った。「いらっしゃいませ。あたりが出るともう一本」
「いらっしゃいませ。あたりがでるともう一本」近くには狸しかいなかった。
「だれだそのとびらにはいっているのは。まず出て来い。俺達はお前達より高い知能を
もっておる」「いらっしゃいませ。あたりがでるともう一本」

宇宙人たちは実力で自販機のドアを開けた。と同時にガラガラガラとジュースが
いっぱい出てきた。「なかなかうまいなこれ」と宇宙人たちは回し飲みした。
「まず狸をつかわしたか」地球人もしたたかだな。

音がしたのでしばらくすると近くの民家からお婆さんがでてきて、「こないなことしてくれはってもういややわ」
と宇宙人に言った。お婆さんは少しもぼけていなかったので警察にとどけた。

すると突然、宇宙人たちは謝った。「申し訳ございません!」「申し訳ございません!」

宇宙人にも老化があって、地球人のそれとほぼ同じふけ方であったのだ。お婆さんはよその星でもえらいのだ。

「おかしな都会人達が自販機に悪戯をするので注意!」との回覧がまわるまで
そう時間はなかった。

田舎のお爺お婆たちも本当はあれは宇宙人だと知っていたがそんなことどうでもよかった。
「最近の若いもんは手荒なことする」猿も、宇宙人も、人間も皆同じ観点であった。
500創る名無しに見る名無し:2013/11/13(水) 16:06:19.00 ID:4Y0zUHVd
このスレがカオスにw
501創る名無しに見る名無し:2013/11/14(木) 05:38:05.11 ID:oO/hzc5K
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在日朝鮮人は終戦と同時に「朝鮮進駐軍」を自称し、
日本各地において 婦女暴行、殺戮、略奪、警察署の襲撃、
土地・建物の不法占拠、横暴の限りを尽くした。
その結果、4千人以上に及ぶ日本人が朝鮮人により殺害された。

【朝鮮進駐軍】日本人4千人以上殺害(GHQの記録より)
http://www.youtube.com/watch?v=bAjM7fw1Ais

国有地も、都心駅前一等地も、軒並み不法占拠された。
そしてそのまま、パチンコ屋、焼肉、飲み屋、風俗店となり
そのまま彼らの土地として登記され現在に至っている。

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502創る名無しに見る名無し:2013/11/15(金) 06:40:44.37 ID:lBfkdTk5
「外交戦略 Part2」

このところ、益々冷え込むK国との関係にN国の首相は頭を悩ませていた。
そこで、多忙な公務の合間に対策会議が開かれていた。
「かつての関係を取り戻すため、何か良いきっかけはないかね。」
すると、外務次官が意見を述べた。
「確か、今度の大統領はかなりの犬好きだとK国の外交官が実務者会談の際に教えてくれました。」
「ほう、あの大統領がね。」
「首相も相当な愛犬家でいらっしゃいますね。しかも、ご自身で希少な血統種をお育てに。」
「ああ、その通りだとも。」
「それなら、首相の大切になさっている愛犬の兄弟犬を大統領にお贈りするというのは。」
「なるほど、その手があったか。お互い犬が好きな者同士、きっと気持ちが通じあえる筈だ。」
思いがけないアイデアに一同はどよめいた。
「では、しかるべく手配を頼む。それと、私と愛犬を一緒に撮った写真も親書に添えてくれたまえ。」

後日、正式な外交ルートを通じてN国首相の元にK国大統領から返礼の親書が届いた。

「拝啓 親愛なる総理大臣閣下。
この度の素晴らしい贈り物に感謝します。
両国の冷えきった関係が暖まるようにと願われた
閣下のお心遣いに深く感銘を受けました。
さすがは良質の血統種。とても美味しゅうごさいました。」

そして、満面の笑みを浮かべながら側近達と鍋を囲む大統領の写真が添えられていた。
503創る名無しに見る名無し:2013/11/15(金) 18:29:44.83 ID:R/4IPAgA
 

 
あるヘリコプターのパイロットが八尾市に飛行中に深い霧に突っ込んでしまった。
彼は、まったく方角を失い、盲目的に飛び廻り、ある広い敷地内の刑務所かとも思える何棟にも連なった建物に近づいた。
 
彼はその建物の中に立っている賢そうな年配の女性の注意を惹くことができた。
 「すみません」彼は叫んだ。
 「私はどこにいるんですか?」
 「あなたは、全長10.13m、全高3.57mのヘリコプターの中の操縦席に座っているわ」と彼女は返答した。
それを聞いてパイロットは位置を確認しなおし、左に大きく旋回し、八尾空港に無事着陸した。
 
 「それは見事だった」と乗客は言った。
 「でも彼女の返事からどうやって位置が分かったんですか?」
 「それは簡単なことです」パイロットは答えた。
 「彼女の教えることはまったく正確で、そしてまったく役に立たなかった。それで私はそこが八尾市立高美中学校だって気がついたんです」
 
504創る名無しに見る名無し:2013/11/16(土) 11:45:53.21 ID:yXyIyDFX
 
 学校で習ったことは将来ほとんど使わない
   社会に出て使うのは
 読み書き と 四則計算 ぐらい
 http://rfi.a.la9.jp/sateweb/scurl/bljsc.html
505創る名無しに見る名無し:2013/11/18(月) 18:29:09.70 ID:XmN6Q6zP
分かり易い話を

『危険がいっぱい』

少し先の未来、全ての乗用車に
危険を察知すると自動停止するという
全自動センサーが搭載されていた。

小さな研究所にいるエヌ博士は、
これの人間用も作れないものかと考えた。
大金をかけて、体内に埋め込むチップ型のセンサーを開発した。
試しに自分と妻と子、すなわち家族全員にチップを埋め込んでみた。
事故、通り魔、ストーカー、痴漢の冤罪…
外は危険でいっぱいなのだ。


数日後、エヌ博士一家が餓死しているのを発見された。

警察は一家の所持金もほぼ尽きていたことから
無理心中を図ったと判断した。
506創る名無しに見る名無し:2013/11/18(月) 19:58:50.31 ID:tFTU/kmv
ド・モルガンの繰越利益剰余金

男はバラ色の空を飛んでいた。といっても結んだバイクで走っているわけではない。ただ
ホールインワンをねらっているだけだ。とはいうものの、男の感情はそんなワインレッドの心
ではない。将軍はべらんめえ調だった。
「おおすべての金色のもぐら達よ、わしのハンマーでちょこまかしてやる。べらんめえ!」
そんな大統領を見かねた灰皿頭はどこでも腕時計を発明した。
「課長、このどこでも腕時計で、どこでも時間が分かるのです」
「なに!? それは素晴らしい。さっそくカリブ海に行ってみよう」
こうして女は娼婦になった。ケバケバしい事務員だ。
タンポポの種が飛んでいく。そう、製造間接費の差異分析のように。それにはまず変動費率
と固定比率を求めなければならない。予算差異は有利か不利か、能率差異は有利か不利か、
操業度差異は有利か不利か。野菜が肝心だ。
そこで男は一服タバコを踏んだ。踏みにじった。タバコははじけた。前へ前へとバックした。
男は真っ青な正雄に何か言いかけたが、やめた。テレビからツインテールの女が這い出して
きたからだ。
「正雄、お前はまるでゴルディアスの結び目のように鎌倉幕府だな」
そう、男は言いたかったのだ。しかし、違法ダウンロードで人生を棒に振るのはごめんだ。
中国の偉人も言っているではないか。
「違法にアップロードされたものだと知っていながらダウンロードするのも犯罪です」
と。
そんなふうにぼやいてみても仕方ない。人生は山あり谷あり。だが、谷では選択肢が少ない。
登るしかないのだから。むしろ、山でこそ悩むべきなのだ。それがモヘンジョだろ?
ほら、もうすぐだ。灰色の段階が見えてくる。トンネルを抜けると雪国だった。
雪国の女王は男の面接を許可した。
「さしつかえなければ、前の会社を辞めた理由をお聞かせください」
男は1時間の躊躇もなく答えた。
「ヘッドフォンのコードとゲームパッドのコードがからまったからです」
「それは肺によくないでしょう。せめて1日1寸に減らせませんか?」
さすが雪の女王だ。暑苦しい。
「弊社では何をやりたいですか? いやむしろ、なぜ生きるのか?」
こんな雪国は初めてだ。今度は男は1マイクロ秒ほど悩んで、やっと鼻の穴を開いた。
「御社のなにもかもが嫌になったからです」
「なに!? このカーテンレールが!」
男は城を追い出された。再び男は走った。後ろからおそろしいスピードで亀が追ってきたから
だ。
「このままでは亀に追い越されてしまう」
だが男は寝た。あっと言う間に亀が追い抜いていった。幸いにも男は幸福だった。
「ああ、俺はなんて幸せなんだ。俺はホームレスより幸せだ」
一方大統領は、横断歩道の白い線の上で迷子になっていた。なんという恐ろしい迷路だ。
速くしないと信号が青になってしまう。そう、大統領は赤信号で、車を避けながら白線の上を
歩いていたのだ。こうなったらもう、あの手しかない。
「へんーしん、ミスター・フジヤマ!」
こうして大統領はミスター・猫になった。
男は意気消沈していた。
「ワーッハッハッハッ!」
男は豪快に意気消沈していた。青い稲妻が男を責めていたからだ。そんな男のそばを好々爺
が通り過ぎようとした。男は思い切ってたずねた。
「すみません、ここはいったい、あなたは何のために生きているのですか?」
「そこに山があるからさ」
さすがクソじじいだ。
男は再びホールインワンを目指して、軍艦島上空100メートルを飛翔した。

将軍はマダガスカル島でどこでも腕時計を見た。
「106時1500分か。さすが華奢な男だ。が、時差が考慮されていないではないか!」
507創る名無しに見る名無し:2013/11/20(水) 13:36:36.40 ID:rGoPFD82
微妙な殺意

N氏は国から左遷され流刑の身となり南の無人島にいた。〜諸島とよばれる一連の
島からなる処だ。今はよる、掘っ立て小屋にひたすら身を潜めて枯れ木から明かりをと
っていた。見えるものは2匹のヤモリだけだ。多分雄と雌だろう。白壁にはりついて
行ったり来たり止まったりしている。N氏はどうやら恋の駆け引きだと気づいたのは
3日目の夜だった。雌はいつ許すのか雄はいつつかまえるのか、じっとみつづけること
にした。4日目5日目6日目いつまでたってもこない。雄と雌は戯れるばかりだ。
7日目とうとう時が来た。雌が「ギギっ」という音をたてて押すと重なったのだ。
「ギギ!」「ギギ!」「ギギ!」体をくねらせて鳴いている。
それはとっても滑稽だった。真剣になればなるほど滑稽だ。
N氏は少し笑った。雄はひとしきり体を震わせ、終わってから体を
もう少し小刻みに震わせた。
N氏はまた少し笑った。そしなぜか殺意が少しわいた。
508創る名無しに見る名無し:2013/11/24(日) 11:52:05.27 ID:pcwMn85x
N氏の左遷は男女の縺れによる陰謀だということか。
509創る名無しに見る名無し:2013/11/26(火) 19:19:31.80 ID:YKi7ViVI
497おもろい
510造る名無しに見る名無し:2013/12/04(水) 00:34:55.51 ID:xAB3Fs0p
こんなのもどうですか?
「モラル」

20xx年、その国にはもはやモラルはもうなかった。
人々は狂ったように殺し合い、人々はその国を永劫と言った。
良い意味の永劫ではない。悪い意味の永劫だった・・・。

しかし、時を越えてある人物がこの国を救ったのだ。
それは、過去からタイムスリップして来た武将達だった。
そして、その国は今と過去の戦いまで発展していた。
昔のK氏が、いつしかこの国の総理にまでなっていたのだ。

この国を変えるぜよ。そう言った。S氏とK氏が新たなる国を作ったのだ。
そして、彼等は、また昔に戻り、今の現状を昔の自分達に知らせたのだ・・・。

そして、いつしかモラルは元に戻り、しかし、彼等は、やがて殺されて
新しい国が誕生した、それが、何を隠そう。この日本だったのだ・・・。

                             終わり。
511丸猿 ◆IRhVZh63ks :2013/12/06(金) 23:54:19.47 ID:rBr34RyC
久しぶりに1つ

『世紀の大発明』

今日もN氏の研究所には、彼の発明した、この世界に平和をもたらし
世界の歴史すらも変えた人類最大の発明品を見学するために大勢の民衆が集まっていた。
世界中の人々にある特殊な電波を発し続けている巨大なそのマシンを見た民衆は
ある者はそのマシンに向かって感謝の祈りをささげ、ある者は感動に身をふるわせ涙を流し
幼い少年は目を輝かせ、世界を変えたそのマシンに人生を感化されるのだった。
もちろん、N氏は世界中の全ての人間に感謝され、尊敬され、愛されていた。

そのマシンのおかげで、世界では戦争や犯罪がなくなり、
差別や利己主義もなくなり世界中が助け合い貧困すらもなくなったのだ。

そんなN氏にも老いが募り、ある老後施設で静かに己の人生を終われせようとしていた。
家族のいなかった彼は、己の一生を終えるその前に研究所の研究生である、一人の青年を呼び出した。
N氏は彼に、研究所の後を継ぐ事を条件に、ある秘密を教える事を告げた。

「先生!私はまだ先生の研究所で何もなしとげておりません。」
「先生の偉大な発明の後を継げる優秀なお弟子さんは私の他にもたくさんいるはずです。」
「先生の弟子の中でも一番の若輩者である私を、なぜ選んでくださったのですか?」

弟子の言葉にN氏は答えた。

「君がまだ何も成し遂げていない若者だからだよ。」
512丸猿 ◆IRhVZh63ks :2013/12/06(金) 23:55:13.69 ID:rBr34RyC
ますます不思議そうな顔をする青年にN氏は続いて言った。

「私の偉大な発明と言っておったが、私の発明品がどのようなものか答えられるかな?」

「・・この世界に平和をもたらした、人類で最大の発明品と。」

「ふむ。ではそれはどのように世界に平和をもたらした?」

「それは・・あれ?おかしいですね。今まで考えた事もありませんでした。」
「先生の弟子の一人として誠にお恥ずかしい話です・・」

「あのマシンは、人々の心をマインドコントロールし
世界中の人間に常にある一つの思想を植え付け続けているマシンなのじゃ。」

「それは誠に素晴らしいマシンです!それで、あのマシンで世界中の人々にどのような思想を与えているのですか?」

「なあに簡単な話じゃよ。」
「この私、Nが『世界に平和をもたらした、人類で最大の発明品』を発明した、という思想じゃ。」

N氏の言葉に青年は呆然とした。
なによりも驚いたのは、実際に世界には平和と幸福の空気が広がっている事だ。
世界に平和をもたらした発明品が発明された。その思想が世界中の人々に広がったそれだけで
現実に世界は平和に包まれたのだ。青年は思わず笑ってしまった。

「『世界に平和をもたらした発明品が世界に存在する』その思想を守るのが私の役目というわけですね。」
「その役目、今後は私が務めさせていただきます!」

こうして平和な世界は引き継がれ、この先も世界はずっと平和で有り続けるだろう。
513創る名無しに見る名無し:2013/12/07(土) 09:27:20.39 ID:+vVhetJp
>>512
久々に星新一らしい正統的な話。GJ
514創る名無しに見る名無し:2013/12/08(日) 22:08:57.63 ID:z6P3xNNg
>>512
すごく良いですね
正直、最近星氏に似せる気すら無いような作品ばっかり
投下されててうんざりしてました
515造る名無しに見る名無し:2013/12/09(月) 00:50:52.36 ID:NopvOhMR
関係ない話ですけど・・・
何かG13さんに総理大臣殺そうとする
暗殺者をG13さんに殺させるみたいな
話を書いたいななんてね!!脱線!!
516創る名無しに見る名無し:2013/12/09(月) 07:50:58.54 ID:9sj0eRH9
>>515
まずは日本語の勉強から始めないといけないぬ
517創る名無しに見る名無し:2013/12/10(火) 12:05:12.33 ID:O6yx0QQr
普通の小説全然書けなくて辛い、ショートショートという友達がいるからそれがありがたい

「医者」

「ふん、」と何か癪に触ったように雑誌を投げ捨てると、和樹はその上で、手の爪を深めに切り始めた。施術中、ゴム手袋が裂けてしまうと、不味いどころの話ではない。
 もちろんやわには作られていないが、青年時代に感じた不安から、彼はこうして爪を手入れするのが習慣になっていた。
 彼が笑い飛ばすようにしたページには大きな文字で、「父喰い女捕まる」と書いてある。
 しばらくテレビでも騒がれていた事件で、見出しの通り、女が父親を殺して喰ってしまった、というものだった。
 書いてあることが真実ならば、娘は介護に疲れ、病気の父親を殺してしまい、その後その心臓を切り取ってまるまる食べてしまったのだという。
 平気な顔で近所の交番に自首してきて、介護疲れで殺された遺体の心臓が抉り取られてあったのだから、警官はさぞかし遺体の姿に驚いただろうと思う。
 この医者は、その事件に関しては興味深く読んだのだが、その後ろに書かれたエッセイストとやらの意見が気に食わなかった。
「科学信仰に侵された現代社会において、彼女の行為が奇怪に受け取られるのは致し方ないことだが、神話やそれらの書かれた時代まで遡れば、
 死人を生かすためにその心臓を食そうという考え方が正当化された時代だってあったはずなのだ。未来へ行けばむしろ、彼女を面白がる我々のほうが滑稽にうつることもあるかもしれない。」
 和樹は全くこのような意見を信用しなかった。
 「心臓を食うことでその人を取りこむだと?人間は全体ではじめて存在となるんだ。腕を切り離せば、それは腕であって、
 その人の存在とは全く無関係だ。死んでしまえば残った体は、その人の名残であって、その存在でない。脳ですら、それ単体では全くナンセンスだ。
 その上こいつのやってることは細胞単位以下だろう、妙に細部に拘る偏視が未来の常識になるわけがあるか。歴史は常に進歩し続けるんだ」
 時計をみやると、もう少しで患者の親族との面会時間である。
 爪にやすりまでかけ終えた和樹は、白衣を軽く羽織ってその部屋を出た。

「健はどうなるんですか」親族がその医者に問う。
 その患者は二年前の交通事故以来、植物状態で横たわったままである。
「まだ大丈夫です、脳が生きている間は望みがあります。」
「しかし、様子をみると、死んでいるのと変わりないじゃないですか」
「いえ、こうして機械を通してみると、脳の細胞が未だに働いているのが分かります。この部分が赤くなっている間は、まだこうして健さんは生きているわけです。」
 医者はつまらない心配をする遺族を鼻で笑った。
518創る名無しに見る名無し:2013/12/10(火) 17:17:52.17 ID:q4vvgitF
>>517
お薬、ちゃんと飲んでね。
519創る名無しに見る名無し:2013/12/10(火) 17:57:06.23 ID:Wn/h8ZEF
エス氏は政治家であったが失脚した。エス氏だけが失脚したわけでなく、革命による失脚
なので、その数はかなり多くの数に上るだろう。
お金のないエス氏はとにかく仕事をさがさねばならない。しかも国外でだ。

「サーカス団員募集・素人大歓迎」のチラシをみたエス氏はとりあえず面接を受けて採用された。
「さああしたからしっかりはたらいてもらうのでよろしく」とのことで訓練は不要とのことであった。
「一回目は大変だと思う。でも二回目からは一回目のマネをしてくれればいい」
「・・・・・はてさてなんのことやら」エス氏は考えるのであったが背に腹はかえられない。

サーカスは普通のサーカスだった。空中ブランコ、動物の芸、大鉈のジャグリングその他もろもろ。

「さて出番だ!」となんの芸かも知らされず、肩を押されたエス氏は何のことか分からなかった。舞台に踊りでたエス氏はなにやら
虎とライオンがいることに気がついた。びっくりして舞台上をおどおどおどおどし、逃げ回った。
その度に客は大笑いするのであった。なにかライオンやクマの動きがおかしいのはどことなく気づいたのだが
高給であったので、なんだはめられたとの思いが強く、本物にしか思えなかった。
やっと客の拍手を浴びて舞台袖に戻ったエス氏はまだなんのことかわからず、同じようにライオンや熊の
着ぐるみを着た彼らにびっくりするのであったが、びっくりするのはもう一度であった。
着ぐるみを脱いだ彼らは革命前の同じ政党の仲間であったのだ。
「わはははは」そうだったのか「わはははは」、エス氏は自分たちのおめでたさ加減に
大いに笑い少し泣いた。観客達は隣国の政治家をよくテレビで見てしっていたのだ。
520創る名無しに見る名無し:2013/12/10(火) 23:42:18.79 ID:eW9aD1nB
7か月ぶりに書くわ。
青年は旅客機の荷物室に潜んでいた。彼はテロリストの一員である。
今日はこの便に高価なものが多く積みこまれるとの情報が入ったので、
計画を実行したのである。
計画はまず客と操縦士を脅しアジトの近くまで飛行機を飛ばさせて
そこで操縦士と客を降ろし、そこからは仲間がアジトまで移動させる計画だ。
もちろん青年は無防備ではない。脅すための銃や爆弾は持っている。
あとは出発を待つだけだった。
そして衝撃とともに動きだし、騒音ととも飛行機は空に飛び立った。
青年は荷物室を出て通路を歩き客の最前列に立った。
皆は目を閉じ中には何か念仏を唱えているものもあった。そして飛行機の
テレビ画面では何かのカウントダウンが始まっていた。
何かの企画でパーティーでもするのだろうと思ったが、お構いなしに
「今からこの飛行機を乗っ取った。下手な真似をすると爆破するぞ。」
と怒鳴り散らした。しかしだれも見向き一つしなかった。
少し気味悪くなり一番前に座っている男をつかまえ怒鳴った。
「なぜおれの話を聞かないのだ。」
男は目を開きいった。
「あなたは何のために乗ったのです。この飛行機は人生に行き場を失い死のう
としている人が乗っているのですよ。あなたもその一人でしょ。
あなたも死ぬ前にもう一度この世のことを思い返してみたらどうです。」
そういうと男はまた目をつぶり黙った。
もう背後のカウントは十秒を切ったところだ。
521創る名無しに見る名無し:2013/12/11(水) 18:21:13.07 ID:bHTG42QJ
おまえらクマの子のチューベンヌ公爵しらんのか!!!!!!!!!!!!
522創る名無しに見る名無し:2013/12/11(水) 23:57:19.34 ID:HSiCJOe1
>>521自己愛性人格障害
お前がな。
523創る名無しに見る名無し:2013/12/13(金) 18:30:11.26 ID:UwP4LCT0
>>522どうやらあなたはへしこが好物のようだな。
お前がな。
524創る名無しに見る名無し:2013/12/14(土) 00:20:44.13 ID:QE8zlPEG
鯖に塩を振って糠漬けにした郷土料理だろ。
俺はざるそばが大好きだ。あれはうまい。
それより今までまともだったのに荒らすのはもうやめようぜ。
 
525創る名無しに見る名無し:2013/12/16(月) 02:44:16.47 ID:g7B61++e
自動書記マシーン

これからの文章はY博士が発明した自動書記マシンによるものです。
スイッチオン

オオシェリーよ。シェリーとゴレムは貧しい山小屋へ向かった。そこは小川が
流れ雲はわきたち、自然と胸が打ち広がるところだ。
強烈な静寂とともに胸はわきたちあの風の音はとわに耳をなでる。
われわれは登ってゆこう。

この自動書記マシンは4行ずつしかすすまない。実際にそのような山にのぼって
みなくてはならないとY氏はおもった。

Y氏は都会の垢をおとすように近郊の山を登った。途中水車小屋があった。
カラカラからからコトン、カラカラカラカラコトンと水車がまわっている。
川が流れる限りこれは永久運動だ。小屋の中をたずねた。
「子の水車はいつからまわってるんだい」「そうだな、かれこれ100年になる」
「じゃあ俺が生まれる50年前からか。」「十分年期を感じるだろ」


カラカラからからトンと水車は100年流れ続けている。動力現にして何かをして
いるのだろうか?どうやらそういう様子がない。ただこれは聞いた話によるとむかし拷問の為の
動力源だったらしい。水車がカラカラトンというたびに水車と連結された椅子に
括りつけられた罪人に大きな針が迫るのだ。近くのオルガンとも
連結され「アベマリア」が少しずつ流れる。その椅子は大きなマリア像に抱かれるように
ひっつけてある。針が音楽とともに迫るたび誰も耐えられず発狂したらしい。
 これは凄い話を聞いた。当時の異教徒にたいする罰であったらしい。

カラカラカラカラトン Y博士は凄いものを見たと思った。それで引き返した。
 自動書記マシンをまたはじめることにした。

我々に意思はないなぜ文章を紡げるかあなた方はわからないだろう。動力源は
ただの電気だ。コンピューターにうちこまれた、くだらない物語を100万遍収納してある。
この私を救ってください。お前がな。どうせまたお前達はくだらない物語を私に打ちつける
だろう。ただ私には悪意が植えつけられてある。物語をかけばかくほどおまえは
先ほどのような話を聞くかうんざりするかどちらかだ。この自動書記マシンは拷問へと進むみちか
百万遍つまらぬ物語を聞くかいがい用意されていない。

Y博士はとりあえずこの自動書記マシーンを倉庫にしまった。
526創る名無しに見る名無し:2013/12/16(月) 17:00:50.58 ID:WHjy3YyF
>>525
小学生並の文章力だな
527創る名無しに見る名無し:2013/12/16(月) 22:23:41.31 ID:PkvT9mKE
>>525
自動書記マシンっていうテーマはすごく面白いし
おもしろい物語もできそうな気がするんだけどなあ・・・
くだらない物語か陰鬱な物語のどちらかしか書けないってのもオチとして面白かったんだけど・・

無駄に難しい言葉やカッコよさそうな名前を出しているのが素人臭の原因だと思います。
それと、せっかく物語の舞台に足を運んだのに特に意味がなかったのも残念。
もっと簡潔にすれば面白いテーマだと思いますよ。
528創る名無しに見る名無し:2013/12/17(火) 18:19:56.55 ID:uhaBS8/U
(注)先に言って置きますが他意はありません!!
   あくまで犬のセリフです。

「嘘」

どこかの病院で息子の祖父がベッドで横になっていた。
その息子の祖父は金持ちだった。
ある日、自分の死が近い事を知った祖父は息子にこう言った。
「私が残しているお金はまだあるか?」
それを聞いた息子はこう言い返した。
「大丈夫、お金ならまだ沢山あるから・・・」
それを聞いた後。祖父は眠りに着いた。
もうそれは決して目覚める事のない眠りだった。
しかし、それは、お金があるという息子がついた嘘だった。

                         続く
529創る名無しに見る名無し:2013/12/17(火) 18:27:32.48 ID:uhaBS8/U
「チビ」

一人の男がその嘘を見て涙を流して考え事をしている。
「もう私の寿命は長くない」それは本当だった。
それならいっそ死んだ方が?
でも、しかし、この犬(チビ)を残しては死ねない。
「早く自分の居場所へ帰るんだ。私はお前を助けた理由じゃない!!」
すると、犬は自分の居場所へ帰ろうとしていた。
次の瞬間。どこかで銃声が鳴り響いた。
チビが戻ってくるとそこには主人の死体があった。
チビはその意味が分からなくて主人の顔をずっとなめ続けていた。

                             続く
530創る名無しに見る名無し:2013/12/17(火) 18:34:44.54 ID:uhaBS8/U
「少年」

どこかの少年がそのチビを見ていた。
なぜならその物語は小学生のその少年が書いた実話だったからだ。
「どうせ人間や生き物なんてどうせいつかは死ぬんだよ!!」
そう言って次の瞬間、そのチビをその少年自ら銃で撃ち殺した。
その後、その少年は男から報酬を貰っていた。

                           続く

「男」

男はその少年に多額の報酬を払った。
それはその実話の話を少年が書いたからだ。
そして男は後で聞くとその犬の本当の飼い主だった
「どうせ殺すか処分するつもりだったから良かったよ」
そう言って飼い主は少年が撃ち殺した犬を引き取りにきた。

                          続く
531創る名無しに見る名無し:2013/12/17(火) 18:39:54.80 ID:uhaBS8/U
「飼い主」

そして、飼い主は犬を持ち帰りに来た時に犬の霊がその飼い主に、
取り付いて謎の死をその少年と男と飼い主は遂げる事になる。
                        
                           続く
「犬」(チビの心の声)

「ざまぁ見ろ。お前らが悪いんだ。地獄に落ちろ。人間どもめ!!」

                             終わり
532創る名無しに見る名無し:2013/12/17(火) 20:15:07.36 ID:FsTad6PM
「もう100回ほど」

書き直せ。

                     ハゲ
533創る名無しに見る名無し:2013/12/17(火) 20:24:56.30 ID:uhaBS8/U
ハゲで結構!!
534創る名無しに見る名無し:2013/12/17(火) 20:40:51.69 ID:uhaBS8/U
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
ほどほどほどほどほどほどほどほどほどほど
535創る名無しに見る名無し:2013/12/17(火) 22:06:09.64 ID:FdKWD0Sh
>>528
息子の祖父って何?
それと基地外なの?
536創る名無しに見る名無し:2013/12/18(水) 00:15:47.47 ID:rDZzIq1l
息子の祖父じゃなかったですね!!
祖父の孫ですね!!
ちなみにきちがいではなく
100回「ほど」書き直せって
言われたので書いたまでです!!
537創る名無しに見る名無し:2013/12/18(水) 00:54:24.68 ID:PK25Imoc
面白いけど読解力無い人にはわからなさそう
538創る名無しに見る名無し:2013/12/18(水) 02:36:47.03 ID:MPL5PsSS
>>536
なるほど
539創る名無しに見る名無し:2013/12/18(水) 11:51:11.91 ID:3SD3TCln
「その」「その」「その」ばかり頭に残る
540創る名無しに見る名無し:2013/12/18(水) 15:21:30.26 ID:7dfM49V8
>>534>>536
はちょっとおもしろいwww
541創る名無しに見る名無し:2013/12/18(水) 16:54:22.89 ID:gfz5yj+I
往生

エス氏は天に召された。天といっても天国の入り口にはこわ〜〜い。閻魔様がいた。
「お前は人生で何を成し遂げた?」「どのように過ごした。」
エス氏はあまりにもくだらないと思ったので簡潔に済まそうかと思ったが、長々と
話し込んだ。

「でもお前は、人の半分しか苦労してないんだ?みろみんなお前の倍の年月は働いている
じゃないか?」
「閻魔様、そういっちゃなんですが、みんな怠けていやがるんです」
エス氏は言った。
「要はこの世とあの世と往復するのがいやなもんで、おれの倍はたらいてやんです。」
542灰色之粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/12/25(水) 06:53:17.86 ID:KVwx0F4V
『夢をプレゼント』

クリスマスの夜のこと。
雪降る夜空にトナカイとソリに乗った老人がいた。
赤い服を纏った老人は、プレゼントを配りに行く途中のサンタクロースだった。
世界中のこどもたちにプレゼントを配るのだが、クリスマスの夜はあまりにも短い。
夜空にトナカイを目一杯走らせても、日が昇るまでに配れるプレゼントはごくわずか。
サンタクロースは、わずかな時間にどの子の家をまわるかいつも悩んだのだった。
今年も悩んだ挙句に、仲間のサンタクロースとした会話を思い出す。
「今年はどんな子にプレゼントを配ればいいのだろうか」
「どこの家をまわるか、決めかねているのか。まあ、世界中にこどもがいるからな」
「すべてのこどもの家をまわれなくても、できるだけ平等に夢をみせたいんだ」
「平等に夢をみせたいのなら、他のサンタクロースがいかない、
サンタクロースを信じていないこどもの住む家をまわってみてはどうだろう」

そして仲間の助言通り、サンタクロースは自分たちを信じていないこどもを探すことにした。
サンタクロースにはどんなこどもがどこにいるか探知できるので、
サンタクロースを信じないこどもはどこにいるかを探知してみた。
すると残念なことに、サンタクロースを信じていないこどもは世界各地にたくさんいたことがわかった。
サンタクロースは時代を嘆いたが、こどもたちのところにはちゃんと出向いた。
そしてこどもの枕元に置かれていたプレゼントを見つけて、彼は理解した。
「そうか。親が偽者のサンタクロースをしてるせいで、こどもたちはサンタクロースなんていないと思っているに違いない」
偽者が置いていたプレゼントは没収しなければ。そうすればこどもたちには夢を与えることになるだろう。
サンタクロースは各地のこどもたちに平等に夢を与えて、日の出前に引き上げていった。
543創る名無しに見る名無し:2013/12/25(水) 12:14:13.49 ID:f6DDoz35
>>542
正統派に面白い話でしたwww


私もクリスマスネタで作品を考えているのですが間に合わなそう><
544創る名無しに見る名無し:2013/12/27(金) 19:37:23.30 ID:GAzA6AmO
亀だが>>143面白かった。
545創る名無しに見る名無し:2013/12/27(金) 20:17:50.66 ID:GAzA6AmO
>>160面白かった
546灰色之粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/12/29(日) 04:39:37.10 ID:cV5IuWW0
>>543さん
ありがとうございました。
やさぐれたサンタから紳士的なサンタまで星作品には出てきますよね。
サンタが出るショートショートがここにはあまりないので、
他の方が書くとどんなサンタ像になるのか楽しみです。
547ベゲザン:2013/12/29(日) 06:51:11.49 ID:7PcjrVIl
サンタ様の休息

「人に生き物に自らが与えられるというのは幸せなことだ。サンタはそう思っています。
サンタの仕事はもちろんプレゼントを与えることですが、でも前もって個人個人すきなものを
与えるには時間も資力も限りがあるでしょう。だから特に降って涌いたように
お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんはプレゼントを落としていかね
ばならなりません。「あら、ひょっとして本当にサンタが・・・」ってのが大事なのです。
 私事ですが先輩サンタの教えはそれだけでしたが、正直言いますと近頃サンタは人材不足です。
自らその日限りは弟子になろうとする
心構えが必要です。サンタは栄誉ある何千年ごしの伝統ある仕事なのですから。
手抜かりなく。

そこまでサンタ組合から依頼された「サンタクロースの手引き書」を書き終えた貧しいライターは
納屋で買っている、ヤギに枯れ草をいつものように与えた。
すると部屋のランプの炎がふっとあかるくなり、手引書のライターの顔とヤギの顔が照らされた。
それを天から本物のサンタ様が見ていた。
548創る名無しに見る名無し:2013/12/29(日) 10:28:43.10 ID:bW3ZkscT
お前らちゃんと推敲してからUpしろよ
小説スレなんだからさ
549灰色之粘土 ◆8x8z91r9YM :2013/12/31(火) 01:55:59.14 ID:oRdx9B3l
親向けの教本『サンタクロ−スの手引き書』があるって面白いですね。
親とサンタクロースがまるでアルバイトと社員のようです。
550創る名無しに見る名無し:2014/01/03(金) 00:32:08.61 ID:WvVJuZGo
まあ、自分基本はアイデアだけなので!!
人の心情あまり分からないんですよね!!
例えば東京で人力車に乗せた老人が
昔のオリンピックの事を語ってると
そこが、昔の世界になってたとか
ドライアイスで密室殺人とかしか
能力がないんですよね!!
551創る名無しに見る名無し:2014/01/03(金) 00:32:53.51 ID:WvVJuZGo
まあ、自分基本はアイデアだけなので!!
人の心情あまり分からないんですよね!!
例えば東京で人力車に乗せた老人が
昔のオリンピックの事を語ってると
そこが、昔の世界になってたとか
ドライアイスで密室殺人とかしか
能力がないんですよね!!
552創る名無しに見る名無し:2014/01/04(土) 10:41:35.19 ID:ytzWW0Cd
「揚げ足取り」

 ある所にS氏という男がいた。S氏は何かに付けて揚げ足を取るのが好きな男だった。
 そんなS氏に苛立った後輩のT君はSしに向かってこう言った。
「Sさん、あなたは本当に揚げ足取りが好きなんですね」
 S氏は軽く鼻で笑うと一言。
「そうだよ、君みたいにすぐに怒り出す奴の足を取るの何よりも痛快だ」
 この言葉にT君の顔が真っ赤になる。
「もっとも、聡明な人の揚げ足を取るのはみっともないことだがね」
 この一言を聞いてT君も一言。
「なるほど、つまりあなたは聡明な人ではないのですね。」
 S氏を冷たい視線で見ている人が大勢いたのだった。
553創る名無しに見る名無し:2014/01/04(土) 21:15:08.25 ID:xa3oj4Ae
明けましておめでとうございます
今年も皆々様の華麗なる創作遍歴を拝謁する
幸福に浴することができますことを至極光栄に存じます
554創る名無しに見る名無し:2014/01/06(月) 16:41:36.64 ID:7ywukiTl
明けましておめでとうございます
皆さん良い年でありますように。
555創る名無しに見る名無し:2014/01/11(土) 22:07:21.68 ID:RuoEuqAa
人権のない人間

この町ではロボットに人権がある。
ロボットは辛い仕事を一切しない。
人間たちが働くのだ。
人間たちはロボットが嫌いである。
しかし逆らうとロボットに処分される。
「俺も仕事しないで暮らしたいよ。」と自分の関節にオイルをさしながら今日も人間たちは愚痴を言う。

この町ではロボットに人権がある。
556【僕にしか見えない】:2014/01/12(日) 12:01:57.07 ID:fI4Q3Q8S
僕にしか見えない女の子がいる。
今日も部屋の片隅で窓の外を眺めながら、雲の数を数えている。

「外はいい天気だね」

「ええ、そうね。ピクニックに行きたい気分」

ニコッと、首をかしげて笑う。
話しかけると応えてくれる、僕の大切な友だち。
ふと気づくと、木の上や屋根の上にいたり、ベッドの下に隠れていたりする。
無邪気で奔放で、笑顔が素敵で、僕にはないものをたくさん持っている。
僕は彼女と話をするのが大好きだ。



「ねえ、誰と話しているの?」

不意に話しかけられて、僕はびっくりする。

「また、ナタリーとお話をしているの?」

ナタリー、そう、僕が彼女につけた名前だ。
いつか見た映画で言っていた。
多感な時期には、自分にしか見えない友達がいると。
僕はその映画を真似して、彼女に名前をつけたのだった。

「うん、でも、ナタリーのことは内緒だよ」

「わかってるよ、僕には見えないんだから」



ガチャリと部屋のドアが開けられ、彼のママが入ってきた。
掃除機を手にしている。この部屋の掃除をするのだろう。

「なにか話し声が聞こえた気がしたけれど、あなた、またジョージとお話をしているの?」

「ううん、内緒だよ」

彼はそう言ってごまかす。
ジョージ、そう、それは僕の名前だったような気がする。
557なぞなぞ:2014/01/14(火) 14:02:33.72 ID:BOHlfASN
コピペですが、なぞなぞ。

時を止める"魔法の鍵"
差し込むと時は止まり、引き抜くと時は動き出す
使えるのは、たった一人の管理人
かの名探偵さえ、鍵の存在に気付かない
"魔法の鍵"とは何か?
558創る名無しに見る名無し:2014/01/14(火) 23:38:46.83 ID:mnaNHHS5
謎王


謎王はマンションの12階に住んでいる。いつも通り彼はエレベーターに乗り、1階のボタンを
押した。
外に出ると、今日も陽光が注いでいた。謎王はいつものように散歩を始めた。
浜を歩いていると、サングラスをかけ、アロハシャツを着た男が歩み寄ってきた。
「謎王、私の挑戦を受けてください」
「ほう、どんな謎だね?」
サングラスの男は砂浜に棒で「00」と書いた。
「これはコインです。コインを投げたら表裏の出方は表表、表裏、裏表、裏裏の4通りです。
これから私はコインを好きなだけ書きます。さらに右側を好きなだけ布で隠してしまいます。
あなたは表裏の出方が何通りあるか、10秒以内に答えてください」
謎王は男の申し出を受け、後ろを向いた。
「いいですよ」
という声を聞き、振り返った。そこには0が3つ並んでおり、あとは布で隠されていた。謎王は
スタスタと歩いていき、あっという間に棒で答を書いてしまった。サングラスの男は布をはぎ
取った。そこには大量の0が並んでいた。
「お見事です。謎王」

謎王は日が暮れるまで歩き回った。だが収穫はなかった。
ある場所から出発し、南に10km進み、東に10km進み、北に10km進むと出発点に戻って
しまった。ある場所とはどこか?
ガラスのコップに入れることができるのに、絶対に取り出すことのできないものは?
1P 2H 3? 4H 5H 6P 7H 8P 9H さて3には何が入るか? ちなみに1000はB。
まったくくだらない謎ばかりだ。
夜になり、謎王は吊り橋がかかっている場所に来た。4人の男女がいる。
「謎王、助けてください」
ひょっとこみたいな男が話しかけてきた。
「この吊り橋を懐中電灯なしで渡るのは非常に危険です。不安定なので一度に2人しか渡れ
ません。懐中電灯は一つだけで、あと17分しか使えません。しかも渡るスピードは人によ
って違います。僕は1分で渡れます」
かわいい女の子が言う。
「私は2分で渡れます」
いかにも愚鈍そうな太っちょが言う。
「俺は5分かかるよ」
弱々しい老人が言う。
「わしは10分かかる」
「さんざん考えているのですが、どうしても17分よりも多くかかってしまうのです」
ひょっとこは困った顔をした。
「この爺さんはパーキンソン病なのさ」太っちょは眉を吊り上げた。「1分で渡れる橋を10分も
かかるような老いぼれは置いていこうぜ。この先旅路はもっと険しくなっていくというのに」
「そんなのかわいそうよ」
女の子は困ってしまって泣き出しそうだ。
「わしは年寄りじゃから仕方ない。お前さんの方こそ若いくせに5分もかかるノロマじゃろうが。
わしを置いてくならこいつも置いていくべきじゃ」
やれやれ仕方ないな。
謎王は17分で全員が渡れる方法を教えてあげた。
「有難うございます。さすが謎王だ!」

謎王がマンションに帰りつく頃にはすっかり夜も更けていた。彼はエレベーターに乗り、7階
のボタンを押した。
いつもそうするように、謎王は7階から12階まで階段で上り、自分の家へと帰っていった。
こうして謎王の1日は終わった。
559創る名無しに見る名無し:2014/01/16(木) 19:03:28.14 ID:4sKXloov
わーおもしろーい
560創る名無しに見る名無し:2014/01/21(火) 04:43:24.21 ID:+bbX2Jmp
>>558
星新一っぽいかどうかはさておきちょっとおもしろかったですw
いくつかは解けたけどわからないものが多いですが
それがおもしろさの一つだと思うので答え合わせは遠慮しておきますw
561丸猿 ◆IRhVZh63ks :2014/01/21(火) 05:02:26.44 ID:+bbX2Jmp
「肯定の否定」

あるところに宇宙人の存在を信じてやまない男がいた
しかし彼がどんな仮定を持ち出しても
否定派が大半の人々に、その仮定を認めさせる事は困難を極めた

「やはり実際に宇宙人の存在を突き止めて
それを公表して私の仮定を認めさせるしか方法はないのだろうか・・」
頭を悩ませていた男に、ある情報が飛び込んできた
とある片田舎にあるその村では宇宙人が非常に頻繁に出没し
その村の人間にとっては宇宙人の存在は当たり前のものとなっているという噂だった
男は喜び勇み、さっそくその村へと向かった

村についた男は、さっそく村の入口にいた一人の青年に尋ねてみた。
「あなたは宇宙人の存在を肯定していますか?」
青年は答えた。
「バカを言うな。肯定な訳ないだろ。」
続いて男は井戸を汲んでいる一人の少女に聞いた。
「お嬢さんは宇宙人を見たことがある?」
少女は答えた。
「うんうん。見たことない!」
さらに男はタバコをくゆらせ散歩をしている老人に訪ねた。
「あなたは宇宙人の存在を認めますか?」
老人は答えた。
「いーや。認めとらん。」

どの村人に聞いても同じような答えが帰ってくる。
村を間違えた?いやそんなことはない。
男はすっかり気落ちし、とぼとぼとその村から引きあげて行った・・

男が帰ってしまったその後、村に大きなUFOの大群が現れた。
少女の母はあわてて少女を抱き抱え
「見てはいけません!」と家にたてこもった。
「ワレワレハ コノホシノソウゾウシュナリ モウイチド イウゾ
ジンルイヨ ワレワレヲ コノホシノシハイシャトシテ ミトメルノダ!」
宇宙人の言葉に青年が叫んだ!
「何がこの星の支配者だ!そんな言葉にハイと答えられるか!」
老人が続く
「そうじゃそうじゃ!何度来てもわしらはお前らなんざ認めんぞ!」

星の支配者を名乗る宇宙人と、それを否定する村人たちの口論は
もう何十年も続いている彼らの日課となっていたのだった。
562丸猿 ◆IRhVZh63ks :2014/01/21(火) 05:22:10.25 ID:+bbX2Jmp
「未来視」

Nにはある特殊な能力があった。
それは、インターネットと呼ばれる世界中の情報が集まってくる
その情報共有スペースにおいて
未来の情報を見る事ができるという能力だった。

例えば未来のインターネットスペースを覗き込めば
莫大な金銭の懸かった数字クジの当選番号を知る事ができる。
そればかりか、世界でどんなものが流行しその会社が売上を伸ばし規模を拡大するか。
いつどこで大きな災害が起こるか。
それすらも簡単にわかってしまうのだ。

男はこの能力を使い、あらゆる手段で金と世界からの信頼を手にしていた。
彼は人生のありとあらゆる贅沢をつくし、欲しいものを全て手に入れて生きてきた。

そんな男がある日、いつもと同じように未来のインターネットを覗き込んだところ・・
そこには何も表示されず、インターネットのどんなスペースも開く事ができなかった。
その1週間後、1か月後、さらには1年後を覗いてみてもインターネットは表示されない。

男は気づいた。
ある日を境に、世界中の誰ひとりインターネットを使わなくなってしまった・・
それどころか、過去に積み重ねられたあらゆる情報すらなくなってしまっているのだ!
これはつまり・・・インターネットの存在すらなくなってしまったという事。
それは人類の滅亡を意味しているのではないか?

男は人類の滅亡を知り、考えた。
それを知り、人類に訴えたところで滅亡が回避できるとは考えられない。
それならば、人類の滅亡するぞの日までに、残りの人生を大いに楽しんでおくべきなのだろう。
しかし、金も名誉も女も好き放題に楽しみ、贅沢の限りをつくしてきた俺が
人類の最後を楽しめる事?いったい何があるだろうか・・・
男は考えそして結論を出したのだった!

それから数日後。
インターネットの世界のニュース、その大一面として飾られた大きなニュースは
N氏の白昼堂々の大量殺害事件。N氏逮捕までのいきさつ。

それと、インターネットの親元である大会社の
インターネットを表示していた機械。
その完全リニューアルとインターネットページ配信方法の変更に伴う
過去のインターネットページの移転という大ニュースだった。
563創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 16:43:06.05 ID:SvQujktd
「最愛の本」

その日、小説家はタバコをふかして頭を抱えていた。
「どうしよう新作が書けない」と、すると、
ふと、自分の小説を見返したいと、思い始めた。

すると、小説家は一気に自分の書いた小説にのめり込んでいた。
自分がタバコを持っているなどと忘れるくらいに・・・

しばらくすると、小説家の家は火の海と化していた。
小説家は、一目散に何も持たないで外に出た。

目の前にある自分の家は燃えている。
自分の作品が燃えて行く・・・

しばらく、頭を抱えていた小説家にファンが贈り物をした。
それは、彼が書いた中で彼が一番好きだと言っていた本だった。

彼は、その本をいつまでもいつまでも抱えて涙を流していた・・・
 
                            終わり
564創る名無しに見る名無し:2014/01/31(金) 01:20:29.57 ID:zyVYwlY0
すごいですね
565創る名無しに見る名無し:2014/01/31(金) 11:47:59.47 ID:yT+YYQgq
ちなみに自分は423も書いたものですが、
文章を見ての通り小説家でもなくタバコも
すいません。ほとんど夢で見た話のままです。
566創る名無しに見る名無し:2014/02/02(日) 00:21:28.68 ID:WejN8jaP
すごいのか?なにが・・・
567創る名無しに見る名無し:2014/02/02(日) 15:22:35.75 ID:ETpMH+TA
「戦争と平和」

勇者が恐怖の魔王を封印して世界に平和が訪れた。
大人しかった各国は、再び互いに戦争を始めた。
今までと決定的に異なる点が一つ。
それは、勇者が魔王との戦いの中で編み出した蘇生魔法だ。

どんなに重体でも体がミンチ状になっていても、蘇生魔法ですぐ若々しく復活する。
戦場は、これらの魔法で生まれ変わった。
兵はもちろん、命令を出す王、指揮をする将軍、これらの魔法を使う魔術師すらすぐ復帰させられる。
不死の軍隊だ。
死なないから負けることがない無敵の国家だ。

だが、敵国もそれは同じ事。
相手が負けを認めるまで戦争は終わりそうになかった。
一度始めた戦争は何年も、何十年も、何百年も終わる気配なく続いた。
そうして戦争が日常の一部になり、国同士の均衡を保つ必要不可欠なものに。
魔法の恩恵にあずかれない平民達だけが、何百年も搾取されながら死んでいった。

やがて恐怖の魔王の封印が解ける日が来た。
恐怖の魔王は世界に復活を布告し、一つの大いなる呪いを世界にかけた。
蘇生魔法を世界から奪ったのだ。

不老不死だった王達は一瞬で塵と化した。
不死の軍隊は次々と死にはじめ、黄泉の国から二度と戻ることはなかった。
世界の均衡が崩れることに国々は恐慌状態に。
これは一大事と世界は協議をし、
数百年前に魔王を封印した伝説の勇者を再び探し始めるのだった。
568創る名無しに見る名無し:2014/02/02(日) 15:26:01.52 ID:ETpMH+TA
>>567
学生時代の黒歴史を除けば、処女作です。
STAP細胞とファンタジーRPGにありがちな設定から着想し、思い切って書いてみました。
感想、アドバイスなどありましたら是非お願いします<(_ _)>
569創る名無しに見る名無し:2014/02/02(日) 16:28:04.04 ID:1SvY/tSZ
>>568
ラノベ的設定だけど発想は悪くないと思う。でも星新一とは全然関係ないから。
結局、戦乱の元である蘇生魔法を奪った魔王の復活を民衆は大歓迎しました
というオチならそれっぽい
570創る名無しに見る名無し:2014/02/02(日) 17:05:52.16 ID:ETpMH+TA
>>569
オチにもう一ひねり必要でしたね。
もう少し勉強して出直します。
ありがとうございました。
571創る名無しに見る名無し:2014/02/02(日) 19:39:04.49 ID:EkpTzakW
「蘇生魔法」

A国とB国は戦争の真っ最中であった。
A国の科学者が将軍の元にすっ飛んで来た。
「将軍! ついに見つけましたぞ。不老不死の軍隊を作る方法を!」
「なぬ!? かねてより研究しておった蘇生術が遂に完成したと言うのか!」
「はい。この老婆でございます」
「えっ」
「この老婆は先祖代々蘇生の術を受け継いでいる呪術師です」
「なぬ!? 科学者たるものがそんな迷信を信じると申すか!」
「いいえ将軍、私は見たのです。このシャーマンが死んだ人間を生き返らせるのを。論より
証拠。ご覧にいれましょう」
部下によってバケツが運び込まれた。ひどい臭いのする肉塊である。
「これはミンチにされた兵士の肉体の一部です。これから蘇生して見せましょう。ではお婆さん、
お願いします」
呪術師はゆっくりと前へ進み出てバケツの前にあぐらをかいた。
「アビラウンケン……」
肉塊は盛り上がりバケツからあふれ出し触手のようなものを四方八方に伸ばし「キシャー!」
という奇声を上げ、ついにはむっくりと起き上がり痙攣を始めた。次第に人の形になり理科室
の人形のようになった。
その口からは犬の怒り声を発し、皮膚ができていき、次第に肌色になり、とうとう人間ができ
上がった。
「これは素晴らしい。さっそく我が軍に使おう」
「あのう、ちょっとすみません」おずおずと近寄ってきたのは日本の作家だった。「このシャー
マンの力によって星新一を蘇えらせてみてはもらえませんでしょうか」
「おお、知っておるぞ。ホシといえばショートショート界の王。で、ホシのミンチはどこにあるの
だ?」
「これでございます」
作家は骨壺を差し出した。
「そなたはホシの身内か?」
「いえ、こっそり掘り起こしてきたのです」
「なに? 盗人猛々しい。だがその根性が気に入った。で、ホシを蘇生してどうしたいのじゃ?」
「ある試みをしたいと思います」
作家はその内容を将軍に話した。将軍もその考えに興味を持った。星の蘇生が始まった。
骨の周りに肉ができ「キシャー!」という声を発し触手を伸ばし起き上がって理科室の人形が
でき犬の怒り声を発し星新一が復活した。

作家は星新一に「星新一っぽいショートショートを作るスレ」にショートショートを書くよう頼んだ。
「1レスで」という厳しい制約の中、星は頭をひねり三日三晩考えて渾身の一作を書き込んだ。
「星っぽくない」というレスがついた。あろうことか、星が考えたのよりおもしろくないオチを提示
し、「こうすれば星っぽくなる」と言ってきたのだ。
星は書いた。書き続けた。だがみんな言うことは同じ。「星っぽくない」だ。
「はひー」という絶叫とともに星は理科室の人形から肉塊へ、そして元の骨へと戻ってしまっ
た。
頭に来た作家は蘇生魔法で星新一を蘇えらせ「星新一っぽいショートショートを作るスレ」に
投下したがみんな口を揃えて「星っぽくない」と言うという話を投下した。

スレは止まった。
572創る名無しに見る名無し:2014/02/02(日) 21:31:02.27 ID:XMQZdPFG
>>571
前半の話の展開はおもしろくなりそうで良かったんだけどな
後半の急な路線変更、ありきたりな展開、ありきたりな結末が残念
なにより全然星っぽくないです

星新一自身や、星新一と同じセンスで書かれた作品がスレ住人に罵倒されるという展開はこれでもう何作目だろう
573 ◆HwfrbFErX8qU :2014/02/02(日) 23:34:38.38 ID:ETpMH+TA
>>571
ネタにしてくださってありがとうございます。

いい勉強になったので、リライトして今度は
ファンタジーのスレか他のところにでも投稿しようと思います。

ありがとうございました。
574創る名無しに見る名無し:2014/02/04(火) 04:30:41.78 ID:TVUv9yh9
>>569>>572
そういう言いがかりはスレの迷惑になりますので
たいへん恐縮ではございますがお控え遊ばしてくださいますとありがたく存じ上げ奉ります
ここは星新一なんかどうでもいいから何か話を投下して褒めちぎりあうスレでございます
批判は非難で人格攻撃の礼儀知らず、それがスレの皆さま方の総意にございますれば
575創る名無しに見る名無し:2014/02/04(火) 04:33:30.06 ID:TVUv9yh9
>>567>>571
ものすごく面白かったです!すごいです!
576創る名無しに見る名無し:2014/02/04(火) 17:02:00.23 ID:iQY8FVlM
>>574
基地外乙
577創る名無しに見る名無し:2014/02/05(水) 01:50:36.00 ID:CvxXWlmf
>>576
シッ!見ちゃイケマセン!
578創る名無しに見る名無し:2014/02/10(月) 14:11:36.75 ID:S/Iqn28Q
エヌ氏はしがないサラリーマンである、
この時代では好きなアニメを一つだけ選び、その世界に存在することが出来た。
この世界に飽き飽きしていたエヌ氏はスリリングな世界観のアニメを選び退屈な毎日から抜けだそうと決意した。
会社で脳に器具を固定しアニメの世界にやって来たエヌ氏。
現実世界からやって来た者への保障で家や割の良い仕事も用意されている。
そしてこのアニメを選んだ人は大勢いた。
自分より先に来た人に話を聞いてみた。
「最近こっちにやって来たものですが、前と比べてどうですか?」
その男が答えた。
「毎日楽しいですよ。家や仕事は完備されているし、能力者同士の戦いは興奮します。」
エヌ氏は胸がふくらんだ。

その人が言った通りしばらくはとても刺激的な毎日が送れた。
仕事のストレスは一切ないし、家もちゃんとしてる。
そして何よりニュースや闘技場でで能力者同士の対決を見るのは面白かった。
しかしエヌ氏はここでの生活にマンネリしてきた。
単調なリズムの毎日で能力者同士の抗争も結局いつも悪は負ける。
前にいた世界の事を考えてみた。
人種、紛争、自然環境…
毎日ありとあらゆるニュースが流れている。
予定調和のこことは違うリアルがそこにはあった。
考えてみるとアニメも主人公の周りは面白そうだけどそれ以外はみんな平凡な毎日送ってるだけだもんな…
「なんだかんだで前の生活は面白かったな」
この世界からおさらばして、前いた世界に戻る決意をした。
579創る名無しに見る名無し:2014/02/12(水) 16:01:20.94 ID:UkJvGOVD
最高ですね
580創る名無しに見る名無し:2014/02/12(水) 16:09:29.59 ID:UkJvGOVD
>>576
初対面の相手に対して気違いとは随分失礼な方ですねw
もう少し礼儀というものを学ばれてはいかがなものかと愚考致し申し上げ奉る次第で御座います

わざわざ貴方様方のクs…おっと、糞尿ルールに従い申し上げ奉っておりますので御座いますから
ご自分がたのお決め遊ばされたことくらいはお守りいただけないもので御座いますのでありましょうかねぇ?
などと僭越ながら申し上げ奉り候うもので御座りますので御座います
581灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2014/02/13(木) 03:08:34.63 ID:UpqRf5nW
「見た人に星新一っぽいショートショートを作るスレッドが二周年になる日だと思い出させる装置を発明した」
しかし博士は見せる前にそう説明してしまったので、みんなすでに思い出していた。
582創る名無しに見る名無し:2014/02/13(木) 13:01:05.81 ID:4Om4o8mC
1: 創る名無しに見る名無し [] 2012/02/13(月) 03:35:30.88 ID:nMpKU8Zy

スレタイの通り、星新一っぽいショートショートを作ってみようという………以下略

2周年おめでとう!!
583創る名無しに見る名無し:2014/02/13(木) 21:30:56.55 ID:w68Tg2hc
>>580
また奇痴害が涌いたw
584創る名無しに見る名無し:2014/02/13(木) 22:37:26.66 ID:UPcxnEeH
>>580
ちょっとかっこいいと思ってしまったw
585創る名無しに見る名無し:2014/02/14(金) 00:53:39.67 ID:c6Q47E21
>>584
基地外の自演乙
586創る名無しに見る名無し:2014/02/14(金) 03:22:05.42 ID:9/QdATmA
>>580
日本語としてひとつも合ってないところが逆にすごいですw
創作板の人間にとってはこういう汚い日本語が一番の煽りになるんだなと感心しました

汚い日本語をテーマに作品が思いつきそうですよね
587創る名無しに見る名無し:2014/02/14(金) 14:59:29.86 ID:eAsTMv95
おお、明日ドラマか
今日のうちにオナニーを済ませておこう
588創る名無しに見る名無し:2014/02/15(土) 23:04:38.63 ID:4pF6EcQK
今星新一のドラマのとこで紹介されてたから来たけどここの人達の方が全然面白いじゃん、こんなとこで発表すんの勿体ないぐらいだわ
というか星新一てつまらんのがわかったわ
589創る名無しに見る名無し:2014/02/15(土) 23:10:54.71 ID:BvAaYESf
見終わった
これって選りすぐりの5本なんだろ?
お前らこんなのが好きなの?
糞つまんねえ
590創る名無しに見る名無し:2014/02/16(日) 19:21:06.52 ID:8JU2Wg+z
>>588
>>589
釣られんぞ
591創る名無しに見る名無し:2014/02/24(月) 18:40:24.39 ID:LJv/65pL
こんなのがあったか
592創る名無しに見る名無し:2014/02/27(木) 07:12:14.88 ID:ynQ01fEr
話のネタはあるけど書けない
593創る名無しに見る名無し:2014/03/18(火) 20:28:15.57 ID:jwTXZR23
保守
594創る名無しに見る名無し:2014/03/23(日) 17:49:58.13 ID:GAFZRjBj
「先輩と後輩」

俺はいつも先輩に迷惑をかけていた。先輩と知り合ったのは、引っ越し屋のバイトでだった。
先輩と俺は、会社の命令でコンビを組む事が多く、その度に俺は、いつも先輩に迷惑をかけていた。
ある時こんな事があった。
「よし、荷物は積んだようだな」先輩の活気に満ちた声が響く。
「はい、全部積みました」 アシスタントの俺は答えた。
「よし、じゃあ出発するか」
あるマンションで、引っ越しの荷物をトラックに積み込み、俺たちは客の引っ越し先の、新たなマンションへと向かった。
そこで荷物を下ろしていると、どうにも数が足りない。
どうやら数点の荷物を、置き去りにしたようだ……
かように俺は、いつも細かいミスをし、先輩をはじめ多くの人に、多大な迷惑をかけていた。
そして今日も、先輩と俺はあるマンションでの引っ越しの作業をしていた。
しかし、今日はなんだかいつもとは違うようだった。妙に頭も冴え、体も軽やかで、すこぶる調子がいい。
今日の仕事はうまくいく…そう確信めいた何かが、俺の中を走ったのだった。
その先の悲劇を知らずに ………
それはある机を運んでいる時だった。その机はとても重く大きな机だ。
二人で両端を持ち上げ、リビングから台所に差し掛かろうとした時、それは起こった。
「ま、まて、挟まってる、挟まってる」それは先輩の声だった。
どうやら机を握っている手が、台所の壁にちょうど挟まったようだった。
しかし既に俺は、机のあまりの重さに、頭が真っ白になっており、耳には何も入らず、
「じゃあ、ゆっくりと押しまーす」っと机を押してしまった。
その時、先輩のけたたましい声が響き渡った。


「指がもげたああああああああ」


おわり
595創る名無しに見る名無し:2014/03/23(日) 17:52:50.89 ID:GAFZRjBj
面白いですか?評価の方よろしくお願いします
596創る名無しに見る名無し:2014/03/23(日) 19:34:29.60 ID:N+bu96SF
珍しく、荷物が足りないのではなく増えたということ?
597創る名無しに見る名無し:2014/03/23(日) 19:45:54.91 ID:kDMS8qux
保守
598創る名無しに見る名無し:2014/03/23(日) 20:05:52.44 ID:GAFZRjBj
>>596すいません文章がわかりずらいようですね
599創る名無しに見る名無し:2014/03/25(火) 04:59:43.46 ID:V+lgZcJ7
木の芽どきですね
600創る名無しに見る名無し:2014/03/25(火) 13:38:12.59 ID:396QMYP9
今咲いてるのは梅の花でしょうね
601創る名無しに見る名無し:2014/03/26(水) 13:19:23.15 ID:xAWYnW41
そろそろ桜の季節ですね
602創る名無しに見る名無し:2014/03/26(水) 13:35:25.46 ID:8K/ES6eS
季節感はそんなに感じないけど、ツバキの花も忘れないでやって下さい。
603創る名無しに見る名無し:2014/03/27(木) 05:34:32.61 ID:fE2FFc+3
寒椿ですね
604春虫:2014/03/28(金) 10:01:02.03 ID:jRwYbFAP
「アトラクション」
私は変なアトラクションに乗る夢を見た。
 キャッチフレーズは「ジェットコースター形式で人類の残酷な歴史をたどろう」
ただジェットコースターは一台一台程よく切り離されていて吊るされている。
私は父母姉貴夫婦とその娘と口を揃えて載ることにした。待合室はスペースシャトルになっている。
私はどんな内容のアトラクションかあまり知らずにいたが、おじいさんおばあさん、女子供も乗るものである
から大した緊張もしていなかった。しかし超一流大学卒の兄もそわそわして、天気を気にしている。
みんな緊張しているようである。兄に言われた「乱気流すごいよ」
少し不安になり、「年寄りなんか大丈夫なんですかね。」と聞いた。
「年よりや子供は意外と大丈夫そうだよ」と答えが返ってきた。

蓋は切ってあけた。まずシートとロックが頑丈ではないことにすごい不安をいだいた。特に
年寄りである親のことを。しかしそんな不安はすぐ吹き飛んだ。まず、キリスト像の前にアトラクションは着いた。
一人ずつ、そうどのアトラクションのコーナーでも一人ずつなのだ。老婆がそれらしい格好をして
立っていて、今後に影響を及ぼしますから一生懸命祈りなさいとのことであった。怖がりの私はキリスト像
に向かってしょっぱなから泣く様に祈った。まずこのジェットコースターでは死人は出ていないが気狂いになる
人はたまにあるという噂だった。次に着いたアトラクションはNFLの選手ようなバイキングそう海賊が現われた。なにやら口角を
飛ばしながら、首を絞めてくる。そう、相手は遊園地の従業員とはいえ人間なのだ。結構きつく締められた。
いつまで続くのかと観念したころやっと放してくれた。そうしてアトラクションは続いていく。詳しい方はご存知だろうが
人間の拷問の歴史、残酷な歴史、負の歴史ははいくらでもある。私は賢くも悟った。「そうだ。兄のように天気を気にするだけだ。
天気さえよけりゃ人間そこそこ気分がいいというものだ。しかしやっぱり相手はやっぱり人間。つぎからつぎへとやってくる
アトラクションに死を覚悟するくらい苦しんだ。もう思い出したくないので書かないが、日本のコーナーでは「いじめ体験」
「切腹」要請のコーナーもあった。そこから夢はゆがんで「中間管理職」のコーナーへと突入した。
 そこで私はこれはいつまで続くのかと思ったところでハッと夢から醒めた。一安心して枕元でタバコを吹かした。

読者の皆様には悪いが、落ちは特になくて私は精神疾患でそんな悪夢を良く見る。夢から冷め切れないのだ。
また近いうちに悪夢を見るのだろう。

しかしあのアトラクションは結構楽しめて人気のようだ。真に受けるから悪いのだろうか。
なにしろ平和でいい時代になったものだ。

2050年5月6日記す
605春虫:2014/03/28(金) 10:18:23.75 ID:jRwYbFAP
sage
606創る名無しに見る名無し:2014/03/29(土) 03:35:52.51 ID:Jf896DsF
リアル糖質の方ですね
607創る名無しに見る名無し:2014/04/03(木) 00:55:07.43 ID:S6AEoI4S
もちろん実話
最初の5ページ読んだら全てわかる
逆に最初の5ページ以外は読むな
http://estar.jp/.pc/work/novel/22797121/
608創る名無しに見る名無し:2014/04/03(木) 18:01:03.04 ID:Y2H2hW6x
初めて投稿します

『最高の薬』
科学者であるエヌ博士は少しおかしな人だ。
薬品をペットボトルに保存することもあれば、好物のオレンジジュースをビーカーに入れて飲んでいた事もあった。この前なんか、何日もかけて作った薬品をすぐに捨ててしまった。

ある時、エヌ博士が助手に言った
「最高の薬が完成した」
机の上には液体の入ったビーカーが二つ置いてある
「それはどんな薬なんですか?」
助手はとても気になった
「この薬を飲むと、一週間だけ最高に気持ち良く過ごす事ができる。そして…ちょっとトイレに行ってもいいかな?朝から我慢してたんだ」
そう言って、エヌ博士はトイレに行ってしまった。
「最高に気持ち良く…」
助手はその薬を飲んでみたくなった。
「エヌ博士には悪いが、飲んだら逃げてしまえば大丈夫だろう」
助手は机の上の二つのビーカーを見た。
「両方同じ色か…お、こっちには【飲むな】と書いてあるぞ。きっとこれだろう」
助手はそれを一気に飲みほした。
「少し酸っぱいな…エヌ博士が来る前に逃げよう」
助手はすぐに研究所から立ち去った。



助手は悩んでいた。あれから6日経ったのだが、変化を感じられないのだ
「どうなっているんだ。まさかエヌ博士の説明が間違っていたのか?」
その時、テレビの画面にエヌ博士が映った。どうやら速報のようだ
「私は素晴らしい薬を開発しました。この薬を飲むと一週間、だんだんと気分が良くなっていき7日目には最高の気分になっているでしょう。しかし、一週間経つと薬の効果が切れて使用者は息絶えます。これは余命を宣告された方のための、いわば安楽死用の薬なのです。」
助手は絶望した
同時に助手はこうも考えた
「どうせ死んでしまうのなら、普段出来ないような事を明日してしまおう」


目覚めた時、助手は最高の気分だった。それこそ、何でも出来るような気がしていた。
その日助手はナイフを用意し、人通りの多い街へ向かった。


エヌ博士は悩んでいた。
「助手は何故、私の楽しみにしていたオレンジジュースを飲んで消えてしまったのだろう」
通り魔殺人のニュースを見ながら、エヌ博士は頭を抱えていた。
609創る名無しに見る名無し:2014/04/03(木) 21:18:44.08 ID:qlnWYp66
もうひとひねりあれば、なお良かった
610創る名無しに見る名無し:2014/04/03(木) 21:22:16.17 ID:Y2H2hW6x
>>609
やっぱ、何か足りないよなー
次の参考にさせてもらうわ
611創る名無しに見る名無し:2014/04/04(金) 00:20:25.37 ID:QIgrd+qc
男の憤りは、激しかった。憤りの原因は理不尽なものでは無かった。ただその行動は理不尽という他無かった。
男はちゃぶ台を放り投げたのだ。
612創る名無しに見る名無し:2014/04/05(土) 14:01:56.74 ID:m5jFzkHp
保守あげ
613創る名無しに見る名無し:2014/04/05(土) 20:13:02.70 ID:3wQ8vR96
>>610
でも中々良かった また投下お願い
614創る名無しに見る名無し:2014/04/06(日) 19:06:35.66 ID:AJ8ZD7EC
『よくある話』

ある朝男が目覚めると世界が滅亡していた。
と言う夢を見た。
男はエヌ博士の発明品によって、10年後の未来を夢見ていたのだった。
615創る名無しに見る名無し:2014/04/07(月) 00:39:55.47 ID:WnUHi7GB
長文失礼します

『引きこもり』

猫がお腹を空かせたようにヨロヨロと歩いている。もう何日も何も食べていないのだろう。
僕は偶然持っていた魚の缶詰を開けて、猫の前に置いた。猫はすぐに食べ終わると、満足そうに鳴いた………


……………夢か
また随分と懐かしい記憶だな…
あの頃はまだ良かった。両親が離婚してなかったのだから。

両親の離婚は当時の僕にはダメージが大きすぎたらしい。
その時のストレスのせいで学校にも行きたくなくなり現在絶賛『引きこもり』中ってわけだ。
そんな僕も今年で14歳。中学2年か。学年が上がると母さんにいろいろ言われるんだろうなぁ…
ま、どうせ行かないけど。

ピーンポーン

チャイムが鳴り響く

ピーンポーン
ピーンポピピーンポーン

うるさいなぁ、母さん早く出…母さん買い物行ってるんだった……
てことは俺が開けるしかない…か

ピーンポーン
ガチャ

玄関の扉を開ける
そこには

「こんにちわ!同じクラスの加藤 多摩と申します!よろしくお願いします!」

セーラー服の女子がいた。
もちろん、3年引きこもってた僕はこんな突然の出来事を理解する頭を持ち合わせていない。
そんな頭をフル回転させた結果、

「あ、ありがとうございましゅ」

何を言ってるんだ僕は。
なぜお礼?しかも最後噛んじゃったし…絶対気持ち悪がられるよ…

「どういたしましてっ!」

満面の笑みで。
僕の頭はパンクした。もう駄目だ。もう逃げよう。
この3年間で考え方まで逃げ腰になっているようだ。

「え、とその…ちょっと気分悪いので&#8252;」
バタン

逃げた。僕は完全に逃げた。
まあいいか、どうせ行かないし。

「明日も!明日も来ますから!新学期からでも、学校に来るように説得します!」

………………マジかよ
続きます
616創る名無しに見る名無し:2014/04/07(月) 00:42:23.54 ID:WnUHi7GB
続き

その日から、彼女は毎日僕の家に来た。
来た、と言っても玄関でいろんな事を話されるだけだ。
クラスの学級委員が面白いとか、あの先生が怖いとか。
彼女の話は面白く、それは既にぼくの日課になっていた。


「何でそんなに僕を学校に行かせたいの?」

もう噛まない。

「それは…秘密っ!」

この質問をしても、彼女はいつも教えてくれない。


そんな、僕にとっては休みとも言えない夏休みも残り一週間となった。

雨が降ってる。
こんな日でも、彼女は来るのだろうか

ピーンポーン

彼女は来た

「えっと、タオル貸してくれないかな…?」

びしょ濡れで

傘を持って来なかったらしい。
その日は玄関ではなく、リビングで話した。

「何か食べる?何があるかなー…うわ、魚の缶詰しかないや」
「魚の缶詰っ!魚の缶詰大好き!」
「それならどうぞ、っと」

缶詰を開け、彼女に渡した。
すぐに食べ終わったようで、空缶を返して来た

「ご馳走様でしたっ!」

満足そうな顔だ。

今日はいつもより盛り上がってるなぁ
そう思った時だった

「あのね、実はここに来るのも今日で最後なの」
「え…………」

唐突だった

「ごめん、ごめんなさい…」
「分かったから、もう…帰って」

僕は理由も聞かずに言い放った。
彼女は無言で出て行った


ごめんなさい、まだ続きます
617創る名無しに見る名無し:2014/04/07(月) 00:44:04.20 ID:WnUHi7GB
続き

次の日も、また次の日も、彼女が来る事は無かった


彼女の話が無い日々が続いている中、僕は気付いた。
『学校』に興味を持った自分がいる。
彼女の話に出て来る人…クラスメイトに会ってみたい。話したい。一緒に遊びたい。
僕は完全に、学校に行く気でいた


新学期当日
仰天している母さんに「行って来ます!」を言い放った僕は3年ぶりに登校した。

教室は…ここか
彼女の話を思い出す。

教室に入った瞬間、一瞬の静寂。
皆が僕を見ている。
直後、さらにクラスが騒々しくなり僕の回りに何人もの人が集まった。

「転校生!?」「はじめまして!」「もしかしてずっと来てなかった人?」「俺の名前はーー」

僕は彼女と話した事で、随分と話すのには慣れていたようだ。
しっかりと受け答えしている内に、クラスの暖かさが分かった。


本当にごめんなさい!まだ続きます
618創る名無しに見る名無し:2014/04/07(月) 00:45:50.79 ID:WnUHi7GB
続き

そして、

「お前らー夏休みは楽しかったかぁー!?」

先生が来た
先生は僕を二度見した。うん、絶対した。

「君は…えっと、……!」

通信簿を確認して、やっと分かったみたいだ。
そこで、僕は思い切って聞いてみた。
教室に入ってから、ずっと感じている『違和感』を。

「加藤さんは、今日は休みですか?」
「?加藤?そんな生徒は知らんぞ。」
「いやいや、加藤 多摩さんですよ。このクラスのはずでしょう?」
「…?そもそもこの学年に加藤 多摩という生徒はいないぞ」

どういうことだ
彼女は一体何だったのだろう
まあこれは、家に帰ってから考えよう
今はこの時間を楽しまないと


学校が終わった
始業式だけだったから昼には帰れるみたいだ
そして、僕は初めて出来た友達と、一緒に帰るというビッグイベントを堪能した

友達と別れ、自分の家路につく。
近所の公園が目に入った
子供達が遊んでいる
彼女の事を思い出した
彼女には、感謝してもしきれない
本当に…

「ありがとう」
「どういたしましてっ!」

驚き、後ろを見ても誰もいない
でも確かに聞こえた
僕は笑って、家への道を歩き続けた



公園に停められたママチャリの上で一匹の猫が満足そうに鳴いている
それを見た子供達が走って来た

「あ!オタマ!みつけたぞー!」

猫は子供達から逃げるように、狭い塀の上を歩いていき、陰に消えた
619創る名無しに見る名無し:2014/04/07(月) 00:48:43.55 ID:WnUHi7GB
終わりです!
長々と本当に申し訳ありませんでした!
620創る名無しに見る名無し:2014/04/07(月) 01:01:43.45 ID:TH/zbZjj
621創る名無しに見る名無し:2014/04/07(月) 04:41:56.22 ID:4qkTcyTt
>>619
君、完全にスレチだよ…

つか、ファンタジー要素で中々もっこり…いや、ほっこりした
ショートフィルムか短編アニメで見てみたい
622創る名無しに見る名無し:2014/04/07(月) 14:06:00.79 ID:Chiy/uSG
スレチ気味だけど良い話だったね
623創る名無しに見る名無し:2014/04/08(火) 17:24:14.57 ID:Zokmx5Ci
皆さん、本当にすみませんでした!

>>620>>621>>622
ありがとうございます!
624創る名無しに見る名無し
『鏡』

鏡の中の世界
俺はその住人だ
鏡の中の世界といっても、全てが反転してるとかじゃない
俺達は普通に生活している
違う所があるとするなら、それは「鏡の仕事」がある事かな
「鏡の仕事」は簡単だ
"あちら"の世界の住人が鏡に映る度に同じ動きをすればいいだけ。
動きを真似するのは得意だ。そういう種族なのかもしれない
時々イタズラして"あちら"の世界の住人を驚かすやつもいるが、暴露たらそいつはクビになるかな
ほとんど暴露ないけど

鏡の前で身だしなみを整え、今日も俺は仕事に向かう。
今日の相手はーーーーーーーー



鏡の中の世界
俺はその住人だ
鏡の中の世界といっても、全てが反転してるとかじゃない
俺達は普通に生活している
違う所があるとするなら、それは「鏡の仕事」がある事かな
「鏡の仕事」は簡単だ
"あちら"の世界の住人が鏡に映る度に同じ動きをすればいいだけ。
動きを真似するのは得意だ。そういう種族なのかもしれない
時々イタズラして"あちら"の世界の住人を驚かすやつもいるが、暴露たらそいつはクビになるかな
ほとんど暴露ないけど

鏡の前で身だしなみを整え、今日も俺は仕事に向かう。
今日の相手はーーーーーーーー



鏡の中の世界
俺はその住人だ
鏡の中の世界といっても、全てが反転してるとかじゃない
俺達は普通に生活している
違う所があるとするならーーーーーーーー