星新一っぽいショートショートを作るスレ3

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1創る名無しに見る名無し
スレタイの通り、星新一っぽいショートショートを作ってみようというスレです
ジャンルはSFでもコメディーでも何でも良い
「ショートショート」なので、長くても1レス(=60行)に収まる程度が望ましいかと
二次創作は他所でお願いします


コツというか特徴
・人名は極力使わない(変わりに有名な「エヌ氏」や「エフ氏」を使う)
・細かい描写は省く
・激しい性描写は使わない


前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1256549898/
2創る名無しに見る名無し:2010/08/07(土) 17:59:14 ID:7/eQoS9U
Wikipediaにもう少し詳しく書いてあったので一応


作品の特徴

星の作品、特にショートショートにおいては通俗性を出来る限り排し、具体的な地名・人名といった固有名詞はあまり登場させない。
また、例えば「100万円」とは書かずに「大金」・「豪勢な食事を2回すれば消えてしまう額」などと表現するなど、
地域・社会環境・時代に関係なく読めるよう工夫されている。また、機会あるごとに時代にそぐわなくなった部分を
手直し(「電子頭脳」を「コンピュータ」に、「ダイヤルを回す」を「電話をかける」に直すなど)したという。
激しい暴力や殺人シーン、性行為の描写は非常に少ない。このことについて星は「希少価値を狙っているだけで、
別に道徳的な主張からではない」「単に書くのが苦手」という説明をしている。加えて、時事風俗は扱わない、
前衛的な手法を使わない等の制約を自らに課していた。


星新一 - Wikipedia
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E6%96%B0%E4%B8%80#.E4.BD.9C.E5.93.81.E3.81.AE.E7.89.B9.E5.BE.B4
3創る名無しに見る名無し:2010/08/07(土) 18:57:52 ID:T/d4SAY4
4創る名無しに見る名無し:2010/08/08(日) 11:09:27 ID:gycMcmKR
>>1 スレ立て乙です
このスレの雰囲気が大好きだったので、
復活してくれて嬉しいです!

これからもどうぞよろしくー
5創る名無しに見る名無し:2010/08/10(火) 12:27:53 ID:rEls5CvQ
よかったー
復活してた・・・
とりあえず、灰色さんが戻ってくるのを待ちつつage
6灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/08/12(木) 02:18:20 ID:3c5DbdnK
>>5さん
自分を呼んでもらえたようで、とても嬉し恥ずかしです。ありがとうございます( ・∀・)∩

しかしもう3つ目になるとは思いませんでしたw
7創る名無しに見る名無し:2010/08/14(土) 15:14:00 ID:ke5Lzjf/
>>1
&即死回避支援
8創る名無しに見る名無し:2010/08/16(月) 22:59:27 ID:KgiOVl8k
保守
9創る名無しに見る名無し:2010/08/16(月) 23:19:50 ID:rpYDqc68
ネタが思いつかない・・・
このままじゃ落ちちまうぜ・・・
10創る名無しに見る名無し:2010/08/16(月) 23:47:51 ID:KgiOVl8k
もう1回、保守w
11 ◆PDh25fV0cw :2010/08/17(火) 00:21:47 ID:qVkKo7Ek
なんか落ちそうなので適当に作ったショート
『不幸な男』
ある不幸な男がいた。
彼はことあるごとに自転車を盗まれるのだ。
鍵をかけ忘れたら当然、鍵をかけていても盗まれてしまう。
男は折り畳み自転車を買い常に持ち歩くことにした。しかし、今度は家の保管場所で盗まれてしまった。
怒った男は自転車の保管場所に張り付き、盗む奴を懲らしめようとした。
しかし、男が疲れてうたた寝している隙に、またもや盗まれてしまった。
自分で監視しては寝てしまう、ならば機械を使おう。男は保管場所に赤外線センサーを張り巡らし、警報をならすようにした。
これでひと安心と思った男だが、運の悪いことにその夜、町中が停電し機械が止まってしまった。その隙にまたもや自転車を盗まれてしまった。
途方にくれた男は一つの作戦を考え付く。買った自転車を鉄の箱にいれ、蓋を溶接する。これをシャベルカーで掘った穴に埋める。これで誰も自転車を盗むことはできない。
男は安心して夜眠ることができた。
12創る名無しに見る名無し:2010/08/18(水) 00:14:23 ID:5hoatL7K
そんなになるくらいならいっそ
自転車を椅子代わりにでもして
一生乗り続けてたほうがまだよかったんじゃ…

男にとって自転車は乗るものじゃなく盗まれるものになってたんですね
13創る名無しに見る名無し:2010/08/18(水) 00:51:39 ID:l+WjajLX
>>11
投下乙です!
即興に近い形でこれだけ書けるなんて、すごいなぁ
このスレも10レス超えたから、もう落ちないと思うので、
また、マイペースで投下してね
次の作品も期待してるよ
14創る名無しに見る名無し:2010/08/18(水) 02:20:50 ID:tTVtkrzi
>>11
ラストもうちょいひねりが欲しかったけど、楽しく拝読させてもらいました。
15 ◆GudqKUm.ok :2010/08/18(水) 11:37:47 ID:GnLuSMAY
下ネタっぽくてすいません…


◆七歳

「……でもお姉ちゃん、『ペニス』ってどういういみなの?」
「いみなんかないよ。でも『名犬ペニス』ってすっごく素敵な名前じゃない?」

「うん……じゃあ今日からボクたちの家族だから、こいつは斎藤ペニスだね」
「あはは、ペニスよろこんでる!! よおし、おうちまで競争よ!!」


◆二十歳

「……で、新製品の名称ですが、私は『スカトロゼリー』というのを考えました」
「ささ、斎藤くんっ!?」

「スカっとしているのに、トロみのある食感で『スカトロゼリー』です。このネーミングにはかなり自信が……」
「斎藤くんっ!! ち、ちょっと来なさいっ!!」


◆二十五歳

「……弁護人の発言を許可します」
「有難うございます。さて、被害者の斎藤リツコさんは執拗に被告を『インポさん』と呼び続け、同被告に耐え難い精神的苦痛を与えました。裁判員各位においては、何卒この点に留意して……」

おわり

16¢犬 ◆hwtA568NtI :2010/08/18(水) 19:30:31 ID:n0x+sJDC
◆でんとう

家にあった電灯が切れた。
若い男は電灯を買いに出かけようとした。
その時チャイムが鳴った。ドアを開けると中年のビジネスマンが立っていた。
電灯のセールスらしい。丁度いい、と思い若い男は「末永くもつ」電灯を契約して買った。

届いた電灯の仰々しいダンボールの箱には「わが国伝統の一品だ」と書いてあった。
洒落にしてはつまらないと思いながらも電灯を取り付けた。

電灯は今も光っていた。
取り付けた電灯は電気のスイッチに関係なく昼夜部屋を照らし続け、電気代を圧迫した。
苦情を言おうとしたが契約した会社はもぬけの殻。電話も繋がらない。
電灯を外そうとも昼夜照らし続けた電灯はとても熱く外せず…
壊そうにも割れたら危ない。とうとう男は外すのを諦めた。
時々男は思う。「伝統の一品?こんな詐欺に引っかかる奴今の時代でも俺しかいないな…ハハハ…ハァ。」

了。
星新一にはまってた頃に書いたやつを引っ張り出して書き直してみた(書いた当時:中一)
中一に書いたやつだから色々変なとこもあるが…どうよ?
17創る名無しに見る名無し:2010/08/18(水) 19:31:14 ID:n0x+sJDC
sage忘れてたすまん。。。
18創る名無しに見る名無し:2010/08/18(水) 19:59:35 ID:sizGXIYN
星新一っていうよりは世にも奇妙な物語っぽいのに近い感じだけど、それにしてもインパクトが足りないかも
ぶっちゃけ、伝統のスイッチが消えないくらいじゃ、大して困らないしなあ
詐欺っていうのもなんかおかしいし
19創る名無しに見る名無し:2010/08/18(水) 20:23:07 ID:n0x+sJDC
>>18
確かにな。中一の俺は何を思ってこれを書いたんだか…(笑)
20創る名無しに見る名無し:2010/08/21(土) 01:26:33 ID:2GDXEDHw
・新薬の実験

 ある製薬会社での実験室。
 ここでは実用に耐えうる新薬を作り出す為、動物実験が日夜行われていた。
 其処を歩いていた白衣姿の研究員Fが、無数に並ぶ実験用マウスの入ったケースの内の一つに目を止め、
その傍の机でノートに研究データを書き込んでいた、もう一人の研究員Nへ声を掛ける。

「おい、15番ケースのマウスが弱り始めてるぞ? そろそろやべーんじゃねーか?」
「あー、こりゃちょっと失敗臭いな…原因は注射した試薬の副作用かな」

 研究員Aの指差す先には、ケースの隅っこで毛を逆立てて震えるマウスの姿があった。
数時間前、実験を行う前のマウスは元気に動きまわっていた事から見ても、
元気を失った原因は実験で注射した試薬であるのは間違いなかった。

「どうする? このまま放っておいても死にそうだし、とっとと安楽死させるか?」
「いやいやまてまて、まだ失敗と決めつけるのは早いと思うぜ? ひょっとしたら持ち直す可能性もある」
「まぁ、そうだったら良いんだけど。本格的に駄目だったら処分してくれよ?」
「へいへい」

 適当に相槌を返すと、研究員Nは再びノートへと意識を傾けた。
それを見て溜息を付いた研究員Aは立ち去る間際、ケースの隅で震えるマウスに声をかける。

「お前、命拾いしたな……」


 その頃、大宇宙の、人間には知覚出来ない領域の世界。
 ここでは外宇宙へと漕ぎ出す強き生命を生み出すべく、惑星へ対する実験が数百億年行われていた。
 世界を揺らいでいた大いなる存在の一人が、無数に並ぶ銀河の内の一つに目を止めて
その傍で新たな秩序と混沌を生み出そうとしていた、もう一人の大いなる存在へ声を掛ける。

「おい、15番目の銀河の第三惑星が弱り始めているぞ? そろそろ危ないのではないか?」
「むむ、これは少し失敗の様だな……原因は、この惑星に生み出した人間の副作用かもしれん…」

―――――――――了―――――――――

ちょっとした勢いに任せて書いた、反省していない。
21創る名無しに見る名無し:2010/08/21(土) 01:53:35 ID:2GDXEDHw
>>20
ちょっと間違い、研究員Aは研究員Fへ脳内変換してくださいorz
22灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/08/21(土) 13:03:13 ID:nL9kfMdp
本格的にダメになったら人間は地球ごと処分されるのか
外宇宙に存在する者から見れば、人間って副作用が強すぎる試薬のような物なのかもね
23創る名無しに見る名無し:2010/09/05(日) 12:49:55 ID:rmerzc8C
test
24 ◆Qb0Tozsreo :2010/09/07(火) 12:31:36 ID:VSFBBcQM
 『タイムトラベラー』

 カチカチカチカチ……。
 オレは三十歳無職童貞。このまま引きこもって一生を終えるのかもしれない。
 ……ん? 待てよ! もし、親が死んじまったら、オレはいったいどうなっちまうんだ!? 

「心配はいらないよ」
「だ、誰だよ! おまえ? 何でここにいるんだ」
「ああ、ごめん。ボクはアナタの孫の龍馬。家族で時間旅行に来たついでに寄ってみたんだ。ボクの名前はお爺ちゃんが付けてくれたんだよ」
「おまえがオレの孫?! ってことは……オレは結婚もできるし、子供だって作れるってことだよな? オレはこのまま一生童貞ではないってことか!」
「残念だけれど……パパは体外受精だったみたいだよ。つまり、お爺ちゃんはこの先も童貞のままってわけだね」
「そ、そんな……」
「それじゃ、お婆ちゃんにも挨拶してくるから、またね!」
「待てよ! お婆ちゃんって誰なんだよ? おいっ!」

 ……ん? 夢か。オレに孫なんて有り得ないもんな。何だよ、時間旅行って……。
 カチカチカチカチ……。

 えっ!?

【驚愕の新事実!】坂本龍馬の未発表書簡が発見される……名付け親は祖父、自分は未来から来た?!
25創る名無しに見る名無し:2010/09/07(火) 12:55:01 ID:QLyI/Elv
ネタはいいけど分かりづらいね
26メス豚:2010/09/12(日) 23:18:56 ID:3xh79xRD
27 ◆PDh25fV0cw :2010/09/15(水) 00:04:28 ID:13fAJv4b
『高度映像社会』
30年前、世界的企業の某社が開発した小型軽量の空間への立体映像化装置は、開発競争による価格破壊も進み、個人が複数台所有できるまでになっていた。
少し大きい街で上を見れば、立体広告がところせましとならんでいる。
交通の関係で5m以下の立体広告は規制されているのが幸いと言ったところだ。ここも、大都市の例に漏れず、巨大なうさぎの立体映像が空で熱心にシリアルの宣伝をしている。
「気味の悪いことだ」
元々どがつく田舎の出身で立体映像など無縁の生活をしていたので、未だにこういった映像には慣れない。触れそうなほどリアルな物が空にある、それがどうも納得できないのだ。
周りのやつらは、生まれた頃からあったものなので、この違和感を理解してはもらえない。
「異物か…」
何となくわいて出た言葉に返す者はなく、相変わらずウサギは空で笑っていた。
「おわっ」
ぼんやり上を眺めていたのがいけなかったのだろう、人にぶつかり、壁に向かってよろめいてしまう。
壁に手をついて止まろうとするが、壁は手を支えることはなく、体は壁の中に入り込んでしまう。
「いつつ…」
少し皮が剥け血がにじむ手をなめながら、辺りを見回す。
人一人がようやく入れる程度の細い路地。後ろを向くと、入り口は立体映像で偽装されている。
「シークレットドア?」
入り口を映像で偽装する、シークレットドア。ドアに壁の映像を写し隠すことからこの名前がきているらしい。
テーマパークなどで似たような物を見たことがあるが、せいぜい子供だまし程度のものだった。
しかし、これは通路を一つ完全に隠している。それも、完璧なほどに。これほどの精度の装置ならば相当な値段がするはずだ。
理由は分からないが、誰かが大金を払ってでもこの通路を隠したいと思っている。
得てしてこういった場合は危ないものが隠されている。直ぐに逃げた方がいいだろう。
しかし、俺の考えとは裏腹にいきなり世界が歪む。今まで通路だったところが、極彩飾の、抽象画に移り変わる。壁も床も無くなり、場所の起点が無くなる。
合わせるべき起点が無くなったことで平衡感覚が失われる。すぐに立っていられなくなり、吐き気もしてくる。もしかしたらこれが噂で聞いたことがある、映像兵器なのかもしれない。
この状態から精神を守るためか、いきなり意識が失われた。
28 ◆PDh25fV0cw :2010/09/15(水) 00:05:14 ID:13fAJv4b
まず、この状況はなんだろう。起きたらいきなり草原に寝かされていた。
気絶している間に、草原に運ばれたという可能性もあるが、たぶんそれはないだろう。
この場所には草の臭いがしない、それに床はリノリウムのような感触。
つまり、これは立体映像。
「起きたかね」
目の前に茶色のスーツをきた老人が立っている。
「何らかの偶然で我々の秘密通路を見つけてしまったようだね。我々の手違いで侵入者撃退用の装置が作動して君には迷惑をかけた」
やはり、何らかの施設の通路を隠していたようだ。
「一体ここはどこなんですか?」
老人はその質問に答えず、質問を返してきた。
「君は、ここをどこだと思うかね?」
?何を言っているんだろうか。
「周りを見てみたまえ。どこまでも広がる草原。素敵だとは思わないかね?」
その言葉で少し理解できた。つまり、この映像の元の場所はどこかと聞いているのかも知れない。だが、映像は映像だ。その場所に移動しているわけではない。
「映像は映像。そう思っているのかね?」
心を見透かされたような言葉にドキリと心臓が跳ねる。
「たしかにこれは映像、まやかしだ。しかし、それを確認するためにはどうすればいい?」
いきなり老人の姿が掻き消える。
「我々が映像を映像として確認するにはどうしたらいい。現実と変わらないリアルな映像はどうしたら虚像と確認できる」
いきなり後ろにあらわれる老人。声も後ろに移っている。
「触ってみる。これは原始的だが確実な方法だ。しかし、触れられないものはどうすればいい?」
今度は上にあらわれる。
「確認できないなら、それは本物だってことが言いたいのか?」
また消え、今度は最初と同じく真正面にあらわれる。
「その通り、触れられないならばそれはいかに馬鹿げていてもそれは現実の可能性もあるということだ」
老紳士は本当にうれしそうに笑う。何がそんなに嬉しいのだろう。
「さて、私も時間がなくなってきた。君は最初にここはどこか、と聞いたね?今からその答えを示そう」
老紳士が指をパチンと鳴らす。すると、いきなり床が開く。捕まるものも無く、為す術も無く下に落ちていく。
軽い浮遊感のあと、硬い地面に叩きつけられる。
打ちっ放しのコンクリートの床、周りを覆うフェンス、どうやらビルの屋上のようだ。
上を見ると、ピンク色の巨大な何かが見える。
「え?ウサギ?」
そうそれは、さっき見た広告用の巨大ウサギの映像。そう映像のはずだ。しかし、俺はその映像から落ちてきた。
呆然としていると、元から無かったかのようにウサギは消えてしまう。
「どうなっているんだ……」
『確認できないならそれは本物かもしれない』
さっき自分で言った言葉が頭で繰り返される。
空に浮かんでるウサギは本物で俺は中にはいった。こんなこと誰が信じてくれるんだろうか。精神障害を疑われて終わりだ。
だが、それでも構わないではないか。今やこの世界はリアルな虚像に満ちている、その中に実在する虚像があったとしても。
ビルを降り、外に出る。空を見上げると新しい広告が映し出されるところだった。
どうやら、紳士用の靴の広告らしい。俺は苦笑しながら、空に一礼して再び街を歩き始めた。
29創る名無しに見る名無し:2010/09/15(水) 00:56:49 ID:Lh6ixw67
こうゆうSFチックな作品はすごく好き
未来っていうのはいいものじゃないけど悪いもんでもないみたいな感じのがいい
30創る名無しに見る名無し:2010/09/15(水) 01:08:47 ID:5zydgB7h
最近のこのスレは不条理系の作品が多くなってきてるな
嫌いじゃないぜ
31創る名無しに見る名無し:2010/09/15(水) 23:07:35 ID:RbVW3XCK
>>28
アイディアがすごくいいと思う。
現実→混沌→仮想草原→現実 と、元いた場所に戻ってるから話が纏まってる感じがしていい。
32 ◆PDh25fV0cw :2010/09/16(木) 15:06:15 ID:URbfIOHn
感想ありがとうございます
>>29
個人的にもSFっぽいの好きですね。個人的にガチガチのSFじゃなくてゆるい、こうなるんじゃないかとか
こうなったらいいなって感じのが好きなんで、設定上無理があったりすることが多いんですよねw
>>30
不条理系ってアメリカンジョークっぽいですよね。あとこのスレみたいにかなり短くまとめるってなると、落ちがつきやすい
不条理系によちゃうんですかね
>>31
特に意識したわけではないんですが、そうなってますねw
話まとめようと、いじってたらそうなったのかもしれないです
33 ◆PDh25fV0cw :2010/09/17(金) 01:34:28 ID:9oop0EaF
『王の頷き』
ある国に絶対に賛成しない王さまがいた。大臣がどんなにいい案を持っていっても首を横に振り、美女が誘惑しても決して流されない。
そんなことをしていれば、国が運営できないものだが、しばらくすると皆が持ってきた案より優れたものを、王自身が考えついてしまうので、皆は文句も言えず国もうまく回っていた。
しかし、大臣たちは面白くない。かといって、王に歯向かう気もない。王としては歴代でも1、2を争う名君なのだ。しかし、大臣たちは王が皆の意見に賛成する場面をどうしても見てみたかった。
そんなある日、ある男が王の謁見にやって来た。
王は民衆の知恵を借りるために、様々な国民と謁見を行っている。この男もそういった一人だった。基本的には、王との謁見は1対1で行われる。これは大勢の前では気後れするものもあるだろうという王の配慮だった。しかし、王の安全のため何人かの兵士は配備されている。
さて、その謁見をおこなっていた男は王にある紙を渡す。その様子を窓の奥から偶然見ていた見ていた大臣は驚いた。王はなんと首を縦に振ったのだ。
大臣はあの男が渡した手紙の内容を知りたくて仕方がなかった。しかし、王に直接聞くわけにもいかないだろう。わざとではないにしろ、盗み見たようなものだからだ。
いったいどんなに素晴らしい内容だったのだろう。最高の統治方法、最高のレシピ、想像は膨らむ。
大臣は謁見を管理する部門に立ち寄り、男の素性を聞いた。
男はどうも街で服屋を営む仕立て屋らしい。大臣は男に使いをやり内密で自宅に呼び出した。
なぜ呼び出されたのかわからないのか、少し緊張気味の男に大臣は聞いた。
「お前はどんな内容の進言をしたのだ?内容を言えばこの金貨をやろう」
そう言って家が二つは建つであろう量の金貨を男の前においた。
それに驚いた男は
「私は王の服の新しいデザインを、献上に来ただけです。王が新しい服を考えていると、掲示があったので。それだけです、決して怪しいものではありません。そんな金貨を貰うほどのものではありませんよ」
男は慌てて答えた。
「別に君をどうにかしたいわけじゃないさ。ただ、私は王がなぜ頷いたのかを知りたかっただけなんだよ」
それを聞いて多少安心したのか、男は冷静になる。
「そうなんですか。しかし大臣様が見た、王が首を振る動作は、肯定をする動作ではないでしょうね。今着ている服をを確認した動作を大臣様が勘違いしただけでしょう」
そう言って男は金貨を貰うのを辞退した。
「そうか。それならば、お前を宮廷専属の仕立て人として採用する」
「え?なんででしょうか?」
男は狼狽えた。王の動作の謎も勘違いとわかったのだ、一介の街の仕立て屋である自分がいきなり宮廷専属なんて名誉職取り立てられるなんて、わけがわからない。
「確かに、王が首を縦に振ったのは、服を確認するためかもしれない。しかし、あの後、王は首を横に振らなかった。君のデザインが優れていたためだ。それに、これだけの金貨を前にして誠実に答えたのも良い。私は誠実な人間は好きだ、それは王もおなじであろう」
そう大臣は答えた。
大臣の頼みを聞き入れた男はこの後、王や王の側近のために数々の素晴らしい服を仕立てるが、それはまた別のお話だ。
34創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 19:56:24 ID:EyP5mnnR
服を見る動作が首肯にみえたんだね
もし腕を横に伸ばして袖を見ようとしてたら首を振ったように見えたんだろうか
35創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 21:54:21 ID:EEY/i419
星新一のイソップ物語があったけど
それに雰囲気が似てるな
36創る名無しに見る名無し:2010/09/21(火) 19:05:30 ID:OjCBrvx5
【屋上】

「またここへ来てしまった」
S氏はそうつぶやくと、錆付いたパイプ椅子に腰を下ろした。
ここはとあるビルディングの屋上。さほど高層でもない、どこにでもありそうな場所だ。
彼は悩み事があるとこの場所に来る。いや厳密に言うと来てしまうのだ。
ここが、どこの何ていうビルディングなのかはまったく覚えていないし
また覚えていたとしても、きっと自分の意思ではたどり着けない所なんだと
何となく感じていた。いづれにしてもここがどこであろうとどうでも良かった。

S氏は平凡なサラリーマン、上司からは叱られ部下からは突き上げられ
御多聞にもれない中間管理職であった。
悩み事と言っても、大それたものではなく些細なことが多い。
自分の成果を上司に横取りされたり、データ収集や難交渉など人がやりたがらない
仕事を押し付けられたり。だがS氏は仕事にそれ程不満があるわけではなかった。
彼にとって常にそれが自分の役回りであると思っていたからだ。

いつものように小一時間ここでぼんやりと夜景を眺め、ため息をひとつつくと
そろそろ帰ろうかと腰を上げた。その時、「カチャリ」とドアのノブが回る音がした。
『誰か来る』
勝手に入り込んだ後ろめたさもありS氏は物陰に身を潜めた。
ここには明かりがなく、どんな風体なのか良く見えない。警備員なのか住人なのか…。
すると、
「誰かいますか?いますよね」
『しまった!見られてた!』
いきなり声を掛けられ、S氏は体が硬直し声も出ない。不法侵入という言葉が頭をよぎる。

「いることは判っています。何もしませんから、そのまま私の話を聞いてください」
『?』
「これからもあなたは何度もここに来ることになるでしょう。でも、決して会社を
辞めようなどとは思わないでください。」
誰とも判らぬ人影は勝手に話を続ける。
「今あなたがやっている仕事は、将来きっとあなたの出世の足がかりになります。
どうか、この調子で仕事を続けてください。」
『何なんだこの人は、何で私の事を知っている?もしかして!』
もしかしたら未来の自分がタイムマシンで自分を励ましにやって来たのか?
S氏は、星新一でも思いつきそうにないベタな空想をしてしまった。

「では、これで失礼します。決してあきらめないでくださいね!」
最後にそう言い残すと誰とも判らぬ人影は去っていった。
S氏はしばらく放心状態になっていたが、やがて正気を取り戻した。
「いったい何だったんだ?」
そう言いつつ、なんだか笑いが込み上げてきた。
おかしな事にいつもより元気が出てきたような気がする。
自分の努力を認めてくれる人がいるのはうれしいものだ。
あの人影がどこの誰であれ、とても感謝したい気持ちになった。

それから何日かして、S氏は思いきってある行動に出た。
会社からの帰り道、適当なビルディングの屋上にのぼり、こう話しかけるのだ。
「誰かいますか?いますよね…」

終わり
37創る名無しに見る名無し:2010/09/21(火) 20:02:20 ID:SfkpoqS0
これは面白い
38創る名無しに見る名無し:2010/09/21(火) 22:02:32 ID:uS0xlmfP
これ俺もたまにやるなぁ
なんか誰もいないけど「いるんだろう?」って




39創る名無しに見る名無し:2010/09/21(火) 22:30:01 ID:u69JVQJ7
読後感がすっきりしますね
正のサイクルが繋がっていく良いショートショートです
40創る名無しに見る名無し:2010/09/22(水) 12:25:43 ID:ePZQFWsi
【最強の兵器】

F博士の研究室

「これでよし、完成じゃ」
「やりましたね博士!と言っても僕はこの装置のことをよく教えてもらってませんが…」
「そうじゃったな。完成する前にこの装置の情報が漏れては命が危なかったのでな。すまんかった」
「もしや兵器…ですか?」
「まあそんなもんじゃ。この装置はミニブラックホールを発生させて一瞬に周囲の物をすべて飲み込んでしまう」
「それはすごい!」
「そこまで知らんかったとは。君を助手に採用して正解だったようじゃ」
「お褒めに預かり恐縮です。ところでいったいどれくらいの範囲まで有効なのですか?」
「それは設定次第。半径1センチから1万3千キロ以上」
「それでは地球も一飲みじゃないですか」
「そういう事になるな」
「しかし博士、もしこれが悪人の手に渡ったら大変ですね」
「そう思うじゃろうが、この装置の最大のポイントはそこなのじゃ」
「どういう事ですか?」
「ブラックホールの中心がこの装置だからじゃよ」
「と言うと」
「…もしや君はかつてどこかで頭をぶつけたことがあるのでは?」
「ええ、小学校の頃に1度」
「そうじゃろうな。打ち所が悪かったのか良かったのか。まあ良い、この装置がブラックホールの中心に
 あるということは、この装置もろとも飲み込まれてしまうということなのじゃよ」
「なるほど、つまりこの装置を作動させた人間も消えてしまうわけですね。しかし遠隔操作で…」
「この装置は所有者自身が自らの手で操作した時だけ作動すようにプログラミングしてある」
「自爆テロならぬ、自滅テロですか…ぷぷっ」
「笑い事ではない」
「でも何だか売れそうにないですね」
「売るつもりはない。進呈するのじゃ」
「誰にですか?」
「この世で最も不甲斐無く、心配性で、臆病で、周囲の国からも馬鹿にされている…」
「わが国の国王!?まさかこれで消えていなくなれと?」
「いや、国王がこの装置を持っていることを周辺国にアピールするのじゃよ」
「あそうか、周辺国が下手な行動に出れば、いつ何時あの臆病国王がスイッチを押すかもしれないと…」
「今度はいやに察しがいいな。その通り、だからこれはわが国にとって最強の兵器になる」
「でも、あの国王のことですよ。ちょっと自信喪失しただけで使ってしまいそうだ」
「それはさすがに側近が止めるじゃろうが、まあわしもそう長くはないその時はあきらめよう」
「博士!」

次の日、博士は国王に謁見し予定通りその装置を献上することができた。
世界的に有名な大科学者F博士の発明とあって、すぐさま新兵器として採用され
その情報は瞬く間に周辺国に伝えられた。その抑止力たるや、言うまでもない。
「これでしばらくの間、この国も安泰じゃろう」

その後博士は失踪した。どうしても隠しておかねばならない秘密があったからだ。
実はその装置は空っぽで、ブラックホールなどまったくのハッタリだったのだ。

終わり
41創る名無しに見る名無し:2010/09/22(水) 12:30:29 ID:ePZQFWsi
しまった上げてから気づいた。
装置の有効範囲は「1センチから」じゃなくて「1メートルから」です。
42創る名無しに見る名無し:2010/09/22(水) 14:16:30 ID:aHmk+CPA
面白かったです
「もしや君はかつてどこかで頭をぶつけたことがあるのでは?」ってF博士のきつい冗談ww
43創る名無しに見る名無し:2010/09/22(水) 15:36:08 ID:ePZQFWsi
ありがとうございます。
どこかで聞いたような話かもしれないですけと、まあアレンジということで。
44創る名無しに見る名無し:2010/09/22(水) 21:32:01 ID:HW2BpMcw
すごいなあ
独創的だからというか、短い話だけどすごく引き込まれるような魅力があるよね
45創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 12:51:48 ID:08rYe5hE
【移植】

「どうかね、その後の調子は」
N医師はやさしく青年に語りかけた。
「ええ、だいぶ良くなりました。自分で食事も食べれるようになりました」
「うむ、やっぱりちゃんと口から栄養を摂らないと早く回復できんからね」
「でも…」
「どこかに痛みでも?」
「いえ痛みはないんですけど、なんとなく…その…」
「なんとなく?」
「自分が自分でないような…」
「ああ、それならしばらくすれば段々と慣れてくるはずだよ。移植患者にはよくあることだよ」
「よくあること?」
「移植された患者さんは最初のうち、漠然とした違和感を訴える。体に他人の臓器を
 入れたことによる精神的なものなんだがね」
「そんなもんでしょうか」
「ああ、そんなもんだよ。では、しっかりと体力をつけて早く退院できるようにしなさい」
「ありがとうございます、先生」

N医師はそんな会話をした後で、青年の両親が待機する部屋へと向かった。

「先生、いかがでしょうか」
「ええ、まだ記憶は戻っていないようですが順調に回復されていますよ」
「ですが、あの子は病室で話をするたびに、何だか自分じゃない…と」
「私にも同じ事をおっしゃいましたよ。いづれ理解できるようになると思いますが」
「実は、私達もなかなかなじめなくて…」

「無理もないでしょうな。あの大事故で奇跡的に無傷なのは彼の脳だけだったのですから」

終わり
46創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 13:26:51 ID:08rYe5hE
これも似たような話があったかも知れませんね。
47創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 15:49:20 ID:08rYe5hE
今日はもう一つ、いいオチではないんですけど…

【世界がもし100人の村だったら】

「『世界がもし100人の村だったら』のみなさんの感想文、読ませていただきましたよ。
 とってもよく書けていました。じゃあ今からお返ししますね」

「M子ちゃん、ちょっと」
「はい、先生」
「少しお話があります。放課後、職員室まで来てくださいね」
「はい…」

放課後

「先生、何でしょうかお話って」
「M子ちゃん、感想文のことなんだけど」
「はい」
「M子ちゃんの感想文はみんなとちょっと違うのよね」
「どういうことですか?何がいけなかったんですか?先生」
「ううん、いけないわけじゃないのよ…」
「先生は、『みなさんがその100人の中の一人だったらどう思いますか?』っておっしゃいましたよね」
「ええ言いました」
「だから私も100人の中の一人になったつもりで書きました」
「そうよね、だけど『その内の二人は私のパパとママです…』っていう所からがね…」
「でも、私がその中の一人ってことはパパとママがいないとおかしいじゃないですか?」
「それはそうなんだけど、このお話は例え話で…でね、その次の『その内の4人は私の
 おじいちゃまとおばあちゃまです…』になってってるでしょ」
「パパとママはおじいちゃまとおばあちゃまの子供ですもん」
「ええ、その通りね。そのあとどんどん遡って、締めくくりが『だから100人はみんな私の家族です。』
 ってなってるでしょ?」
「はい」
「先生や友達や世界の人達はどこ行っちゃったのかなあ?」
「知りません」
「先生も入れて欲しかったなあ」
「なら、先生も自分で100人の村作ったらいいじゃないですか」
「そういう問題ではなくて…」
「もしかして先生、私の家族になりたいんですか?」
「何だか話が違うような気が…いいわ、今日はもうお帰りなさい」
「はい、先生。あっ、パパに話しておきますね、先生が家族になりたいみたいって」
「ちょっ…M子ちゃん…」

終わり
48創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 16:13:47 ID:08rYe5hE
まとめ保管庫に転載していただいた方、修正までしていただきありがとうございました
49創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 18:50:23 ID:08rYe5hE
すいません、今日は3本立てという事で

【家族の記憶】

「ねえN子、最近パパの様子がおかしいのよ」
携帯から聞こえる母の口調は弱々しいものだった。
「え、病気?」
「よくわからないんだけど…」
「いったいどうしたの?」
「記憶がだんだんと無くなって行くみたいなの」
「ええっ!アルツハイマー?」
「そうなのかしら」
「記憶って、どんな?」
「家族のこと…昔のこと…」
「どうしてわかったの?」
「最近やたらといろんなことを聞いてくるようになったの。『お前の誕生日いつだったっけ』とか
 『昔遊びに言った遊園地ってなんていう名前だったっけ』とか」
「それただの物忘れじゃないの?」
「私も初めはそう思ってたんだけど、今日ね…」
「うん」
「『お前の名前なんだっけ』って言うわけ。私悲しくなって…でも『何言ってるのよK子ですよ』って
 笑ってごまかしたんだけど…」
「ママ、早くパパを病院へ連れて行ったほうがいいわよ」
「ええそうね、そうするわ」

1週間後、N子から母への電話

「ママ、パパを病院へ連れて行った?」
「え?まだよ」
「早くしないと手遅れになるわよ。で、あれから何か変化あった?パパの物忘れ」
「そうね、今日はあんたの住所とか旦那さんの名前とか聞かれたわ」
「まだ大丈夫よね。近いうちにそちらへ行くから、あまり思い詰めないでね!」
「ええ…」

N子の実家にて

「N子いらっしゃい」
「パパはどこ?」
「書斎かしら」
「私、直接パパと話してみる」

父の書斎にて

「パパ!私の名前言える?誕生日は?電話番号は?私の通った幼稚園は?」
「おいおい、何だよ薮から棒に」
「いいから答えてよ!」
「ああ、そうか…ママが連絡したんだね。もうしばらく黙っておくつもりだったんだが…」
「どういうこと?」
「びっくりしないで欲しい。実はママは軽いアルツハイマーに罹っているんだ」
「え?パパじゃなくてママ?だってパパが物忘れがひどいって」
「あれはママの記憶を試すために、わざと忘れた振りをして聞いていたんだよ」
「病院へは?」
「連れて行ったよ、もうだいぶ前に。ママは忘れているかもしれんが…」

終わり

ありがちな発想で、途中からオチがわかっちゃったかも。
なんか、悲しい終わり方でごめんなさい。
50創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 18:53:23 ID:08rYe5hE
またやってしまった!
「遊びに言った」→「遊びに行った」
51創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 21:31:14 ID:CHNDOtqN
BADENDは見慣れた
今ちょうど地獄少女見終わった後だった
52創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 21:36:50 ID:AGwDuYxB
>>50
乙です! 
1日に3つも書けるなんてすごいなw
どれも楽しませてもらったよ
53メス豚:2010/09/23(木) 23:23:07 ID:jH/K6Ane

最強の兵器のオチが良かったと思います

54創る名無しに見る名無し:2010/09/24(金) 17:29:44 ID:ai2S7HIR
読んでいただいてどうもです
今日はちとネタ切れで…
55創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 15:57:28 ID:RoYSIo+K
【緊急避難】

遥か彼方のS星からこれまた遥か彼方のN星へ航行する
大移民団を乗せた巨大宇宙船。
機械の故障により発生した非常事態に最早猶予はなかった。
当面の危機回避の為には何としても近隣の恒星を見つける必要があった。

「船長、あの恒星までが最短距離のようです」
「周辺の惑星への影響は?」
「おそらく皆無と思われます」
「そうか、では早速作業に取り掛かってくれ」

「間もなく再接近!」
「準備はまだか!」
「準備完了しました!」
「よしっ、発射!」
「発射!」

巨大宇宙船から巨大なカプセルが勢いよく放出された。

「これでしばらくは安心ですね、船長」
「ああ、運良く処理できる所が見つかって何よりだったよ」
「へたに処分すると最近では宇宙環境監視団体がうるさいですからね」
「次の恒星まではまだ遠い、早急に故障した『ゴミ焼却炉』の修理を急いでくれ!」
「はい船長!」

その頃、地球では…

『太陽に巨大黒点発生!天変地異の前兆か!』

終わり
56創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 17:34:25 ID:RoYSIo+K
ここんところ自分しか上げてないんだけどこのまま続けていいものやら…
57創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 17:55:43 ID:uCPnGYgT
投下乙です!
気にせず、どんどん投下しちゃってくださいなw

このスレの過去の賢人達も皆、そうだったから、大丈夫だよ
またの投下を楽しみにしてるよ
58創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 17:58:22 ID:DH2FhqdE
>>56
いや、リスナーはいるよ
59創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 17:59:02 ID:DH2FhqdE
リスナーじゃねえええ
自分の語彙の少なさに絶望した
60創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 18:48:04 ID:RoYSIo+K
>57-59
ありがとうございます!
61 ◆PDh25fV0cw :2010/09/25(土) 18:50:06 ID:A72WEjt3
遠慮せずかけばいいんじゃないかね
このスレ、投稿ないとき全くないし、投稿があるだけで違うもんだよ
自分は結構時間かけて書くほうだから投稿時間あくし、他の人の作品読むのも好きだしねw
62創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 18:50:30 ID:RoYSIo+K
>>55
またしくじってた!

「再接近」→「最接近」
63創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 18:54:22 ID:RoYSIo+K
>61
ありがとうございます。

お言葉に甘えて、
ちょっと長かったんで「他に行き場所の無い」スレに書き込んだやつを上げときます。
64創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 18:55:39 ID:RoYSIo+K
【本当の価値】

その男は焦っていた。
働き口がないまま所持金が底を突き、しばらくは手持ちの物を売り払って
なんとかやってきたものの、滞納した家賃も大家の許容範囲を超え
わずかでも支払ができなければ、すぐに出て行けと言われている。
ただ、それよりも深刻なのは今日の飯代すらないということだ。
『このままでは、泥棒とかするしかないかも』
男は善人とは言えないまでも社会人になってからはまともに働いてきたのだが…。
そんな時、
「ただいまM公園にてフリーマーケットを開催しております。お時間のある方は…」
と広報車がやってきた。
男の家財はほとんど売り払ってしまったが、本と少しのガラクタがある
『なんとかフリマで金に換えよう』
それが、男にとって最後の良心だったかもしれない。

男は片っ端から部屋の中のものをバッグに詰めるとM公園へ駆けつけた。
運の良いことに参加料は無料だった。
適当な場所を見つけると、男は地面の上に直接、本やガラクタをならべた。
1時間、2時間と時が経っても、客は皆素通りして行く。それもそのはず
並んでいるものはどれとしてまともなものは無く、手垢にまみれた本や
人気の無い古臭いフィギュア、その辺で拾ったようなちょっと綺麗な石ころ
といったものばかりなのだ。
終了まであとわずかという時間になって、ひとりの老人が男の前に立った。
「君、それはいくらかね?」
老人の指差すものを見ると、それは石ころの中に混じったタイルだった。
男が中学生の頃、後輩から巻き上げた財布の中に入っていたもので
瑠璃色に光る魅力的なアーモンド形のタイルだったが、宝石の類ではなかった。
今の境遇から察すれば、幸運のお守りですらないだろう。
65創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 18:56:40 ID:RoYSIo+K
「君、それはいくらかね?」
老人に再び問われると、男はここぞとばかりに言った。
「ご、5万円…です」
「おお、そうか。君にとっても大切なものなんじゃな、ではあきらめよう」
『しまった!』男は吹っかけすぎたことに後悔した。
この老人を逃してしまったら後が無いかもしれない。
「待ってくれ!3万…いや1万でいい!買ってくれ…買ってください!」
「本当にいいのかね?1万円でも?」
「ええ、それでけっこうです」
「ではいただこう。どうやら訳ありのようじゃ、3万円でどうかな?」
『ありがたい、これで2ヶ月は暮らせる』
男の顔に安堵の表情が浮かび上がる。
老人はタイルを受け取るとしみじみと眺め、本当にうれしそうに去っていった。

『待てよ…』
男はしばらくして、老人の言葉に何か引っ掛かりを感じた。
『あの爺さん「君にとっても」って言ってたな。「君にとっても」ってことは
「わしにとっても」ってことだろ?もしかしてすごいお宝だったのかも!』
男は老人にまんまとだまされたと思った。
『だからあの爺さん余裕で3万払ったんだ!』
あわてて周囲を見渡すと、あの老人が公園から出て行くところだった。
『じじい!』
男の心は欲望に乗っ取られ、良心はすでに吹き飛んでいた。
『あいつの家をつきとめて、相応の金額を巻き上げてやる!』
男は老人の後をつけて行く。山の手のほうへ向かう、高級住宅街だ。
やがて老人は一軒の邸宅に入っていった。
老人の物腰にたがわぬ大邸宅だ。
66創る名無しに見る名無し:2010/09/25(土) 18:59:12 ID:RoYSIo+K
『10万…50万か』
勝手に値踏みをすると、意を決してチャイムを鳴らす。
屋敷の奥で重厚な音が鳴っている。インターホンではなさそうだ。
分厚い木製の扉が開くと、先ほどの老人が門の所までやって来た。
「ああ、先ほどの青年か、何か…」
言い終わらないうちに男はずかずかと敷地の中に入り込む。
「じじい、だましたな!」
「何のことじゃ?」
「とぼけんじゃねえ、さっきのタイルだよ!お宝なんだろ?」
「何を、あれはただのタイルじゃよ」
「嘘つけ!ただのタイルに3万も払うなんて、考えられねえ!」
「君だって大切にしておったんじゃ…」
「うるせえ!」
思わず手が出てしまった。老人は転倒し、鈍い音がした。

『意識が無い、やべえ死んだかも』
男は逃げようと思った、が
『いかん、タイル、俺の指紋がべったり!』
あわてて老人のポケットを探す。無い。
『くそっ、屋敷の中か』
男は袖にくるんだ手で分厚い扉を開けると、慎重に屋敷の中へ忍び込む。
人気は無い、一人暮らしのようだ。
目が慣れるまでは薄暗くてよく見えない。
しばらくすると重厚な造りが見え始めた。高そうな調度品の数々。
シャンデリア、螺旋階段、テレビでしか見たことの無い洋館風の内装。
ふと、床に目を落とす。大きく絵が描かれている。鳳凰か?
さらに目が慣れてくる。絵だと思ったのは、モザイクだった。
細かい破片を埋め込んで、大きな模様を形作っている。
男の目にもそれは荘厳で完璧なものに見えた、たった1箇所
鳳凰の目に当たる部分にぽっかりと開いたアーモンド形の穴を除いて…。

終わり
67創る名無しに見る名無し:2010/09/26(日) 14:43:39 ID:EuUadzBO
【物質記憶薬】

F博士の研究室

「よしっ、これで完成じゃ」
「博士、今度の発明は何ですか?」
「キミにはこれが発明品に見えるのかね?」
「いいえ、ただのハンバーグに見えます」
「そうじゃろう。どうもキミはわしが『完成じゃ』と言うと必ず何かを発明したと思うようじゃな」
「一種の職業病ですかね」
「わっはっはっ!すまんすまん、本当はこれもわしの発明品じゃ」
「えっ?どこから見てもハンバーグですが」
「これ自体は本物のハンバーグなのじゃが…」
そう言うとF博士はナイフでハンバーグを二つに切り分けた。
「食べるんですね」
「待て待て、早まるでない」
しばらくすると半分のハンバーグがそれぞれ1つのハンバーグにみるみる形を変えた。
「わっこれはすごい2つになった!これならどんどん数を増やせますよね」
「このハンバーグにふりかけた薬品が元の形を記憶し、まったく同じ物質で再形成するのじゃ」
「言うならば物質記憶薬ですね」
「その通り」
「では、いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
「いえ、この薬品をいただくのです」
「何じゃと?」
「博士、もうこんな貧乏研究所が嫌になりました。博士はいつも気前よく発明品を手放し
 儲けが少ないばかりか、私の給料だって上がりゃしない!」
「それはすまんかった。考え直す気はないか?給料は上げれんが…」
「考え直す気はありません、この薬品で財産を増やして大儲けしますよ。ではさようなら!」

「困ったもんじゃ、気の早いやつで。あの薬品が記憶できるのはハンバーグだけなんじゃが…
 まあハンバーガーショップでも開けば、当分は今よりましな生活ができるかも知れんがのう」

終わり
68創る名無しに見る名無し:2010/09/26(日) 19:26:38 ID:wrlmAx3/
面白いですけど、盗みが多いですね・・・
69創る名無しに見る名無し:2010/09/26(日) 21:19:05 ID:riGhXerk
>>68
投下乙です! 博士がなんかかわいいw
70創る名無しに見る名無し:2010/09/27(月) 22:55:40 ID:7Zzcsmbu
助手の短絡的な性格が生きてるオチだね
最後にひっくり返すところが星っぽい
71創る名無しに見る名無し:2010/09/28(火) 11:34:27 ID:b1NK+bfZ
【物質記憶薬(後日談)】

F博士の研究室

「博士っ!」
「誰じゃ、いきなり入ってきて…おおキミか。何じゃね今日は、ハンバーガーショップ開店の宣伝かね?」
「とんだ失敗作をつかませましたね」
「失敗作?」
「あの日家に帰ってさっそく試してみたんですよ、あの物質記憶薬を…チクワで!そしたら…」
「そしたら?」
「チクワからチクワ形のハンバーグが生えてきたじゃないですか!」
「そうじゃろうな」
「何でそれを先に言ってくれなかったんですか!」
「言う前にキミが出て行ってしまったからのう」
「しかも、それをやけ食いしたらおなかの中でどんどん増えていって危うく死ぬところでした!」
「なるほど…そこまでは気が付かなかった。何せわしはハンバーグが嫌いでのう」
「じゃ何で実験材料にハンバーグなんか使ったんですか」
「キミの大好物じゃからな」
「最初から私が実験台だったんですね!」
「まあまあ、とりあえず助かって良かった」
「良くないです!家のトイレが、吐き出したチクワハンバーグでつまってしまったんですよ!」
「で、トイレを貸せと…」
「違います!」
「では、何じゃね?」
「博士!こうなったらこの薬品を完成させるしかありません!」
「と言う事は?」
「もう一度雇ってくれませんか?」
「初めからそう言えば良いのに…」

終わり
72創る名無しに見る名無し:2010/09/28(火) 17:38:24 ID:1FPbd0Se
これはwwwww
こうゆうの好きだwww
73創る名無しに見る名無し:2010/09/28(火) 18:56:46 ID:b1NK+bfZ
>>72
ありがとうございます。

盗みが多いって言われちゃったんで、ちょっと改心させました。
74創る名無しに見る名無し:2010/09/30(木) 18:16:52 ID:bmLVa2uo
【貧乏性症候群】

「先生、いかがでしょうか?」
「あなたの症状を総合して判断しますと『貧乏性症候群』でしょうな」
「『貧乏性症候群』…ですか?」
「ええ女性に多いのですが、輪ゴムをいくつも水道の蛇口に掛けておいたり、
 食堂で爪楊枝を余分に失敬したり、一番多いのはいつ使うとも分からない
 紙袋や空き箱をためこんだり…」
「いえ、私はそんなことはしていませんが」
「以前そういうことをしていたのに最近できなくなったとかはないですか?」
「思い当たりませんな」
「そうですか。大体の方はその収集作業ができなくなったことで発症するんですがねえ」
「もう結構だ!」

最近の体調不良の原因を知りたかったY氏は医師の診断に激怒して医務室を立ち去った。

Y氏の怒りは自分の事務室へ戻ってからも収まらない。
「とんだ藪医者だ!私がちまちまと使いもしない紙袋や空き箱を集めるような人間だとでも
 言うのか、まったく!専属医師とは言え信用ならん!」

Y氏の机の上に置かれたプレートにはこう書かれていた。
『防衛省武器調達室長』

終わり
75創る名無しに見る名無し:2010/09/30(木) 22:07:08 ID:aqovlzoS
兵器類の値段は桁が違うからか……w
76創る名無しに見る名無し:2010/10/02(土) 14:17:23 ID:l0NszLg4
いつ使うとも解らないだなんてひどいw
77創る名無しに見る名無し:2010/10/02(土) 17:49:59 ID:s53y1xEw
【天国の控室】

ここは通称「天国の控室」、正式名称は「国立終末介護医療センター」である。
比較的裕福で身寄りの少ない重病患者が終の棲家として選択する医療機関だ。
ただ、すでに危篤状態になっている患者はここに入院することは無い。
なぜなら、寿命を全うするまでの期間たとえそれが数日であろうと、本人の意思で
至福の時間を過ごす事を目的としているからだ。
人によっては数年間の長期入院になる事もある。幸せな時間を1日でも多く
過ごしたいという欲求がその命を永らえるのかもしれない。
N氏もそんな患者の一人であった。

「Yさん、ちょっとこちらへ来てくれないか」
「はいN様」
そう応えたのは、N氏が入院してからずっと付きっ切りで介護してきたY看護婦だった。
「もうどれくらいになるかな…」
「約4年7ヶ月になりますわ。正しくは4年6ヶ月と28日8時間46分…」
「ははは、君はいつも正確無比だな」
「恐れ入りますN様」
「私にはもう近々お迎えが来る。君には本当に世話になった」
「そんな気の弱いことをおっしゃってはいけませんわ」
「いや、分かるんだよ自分の事は」
「N様がそんな気持ちになってしまわれると、私が担当の先生に叱られます」
「そんな医者、私が怒鳴りつけてやる!わっはっは」
「うふふ…患者様から気を使われるなんて、看護婦失格ですわね」

「ところで、私が死んでからの事なんだが…私にはこれまで苦労の末築いた財産がある
 それを君に相続してもらうわけにはいかんだろうか?」
「唐突なお話ですのね。しかし私には財産をいただく権利はございません。それに
 N様もご存知のように…」
「そう、君はロボットだ。だがロボットが相続してはいけない法律はないだろう」
「いいえN様、法律の問題ではなくて、私にとってはその財産が無意味なのですわ」
「そうなのか、私の財産は君には何の価値も無いということなのか…」
「申し訳ございません、私には物の価値を認識するデータがプログラムされていないのです」
「…確かにな、金や不動産や贅沢品は人の欲望が造り上げた物。君には無用か…」
「ご好意には感謝いたします」

「Yさん、今だから言えるが、私は起業には成功したが良い家庭は築けなかった。
 家族ほったらかしで仕事に没頭し、愛想をつかした妻は一人息子を連れて家を出て行った」
「そうだったのですか」
「だが、今私はとても幸せだ。君のお陰で最高の死を迎えられそうだよ」
78創る名無しに見る名無し:2010/10/02(土) 17:53:22 ID:s53y1xEw
>>77つづき

その時、一人の男性が病室に入ってきた。

「お、お前は…」
「父さん、久しぶりです」
「今更名乗りをあげても、お前達には財産はやらんぞ!」
「父さん、母さんはもう5年前にここで亡くなりました。最期まで父さんを愛していましたよ」
「そ…そんな人情話は通用せん!」
「僕は財産が欲しくてここに来たんじゃありません。本当のことをお話しに来たのです」
「何だと?」
「母さんは家を出たあと、大変な苦労をして僕を育ててくれ、大学にまで入れてくれました。
 お陰で僕は思う存分自分の好きなロボット工学の勉強をすることができました」
「ロボット工学…」
「そうです。実は、この施設の介護ロボットはすべて僕が開発したものなんです」
「では、このYさんも…」
「ええ、今まではロックがかかっていたのでお話できませんでした。申し訳ございません」
「父さんは先程、彼女のお陰で幸せだと言っていましたね。どうしてだか分かりますか?」
「ああ、彼女は親切でよく気が利いて私の好みも分かってくれていて、まるで…」
「まるで?」
「…かつての私の妻のように…!」
「そうです、Yには僕の覚えている限りの母さんの性格やしぐさをプログラミングしてあります。
 ただ、父さんの好みまでは僕は知りませんが」
「そ…そうだったのか」

「母さんは本当に最期まで父さんを愛していました。これを聞いてください」

息子はY看護婦の耳たぶにそっと触れた。

「お父さん、お久しぶりです。もう、お互いに昔の事になってしまいましたね。
 あの時は突然出て行ってしまってごめんなさい。ご苦労されたでしょうね。」

Y看護婦はN氏の妻の声で話し続ける。

「お父さんのお仕事の邪魔になってはいけない。私達が出て行かなければいけないって
 勝手に思い込んでしまって。でも大成功されたんですものこれで良かったんだと思います。
 私が先に逝くことになってしまったけれど、本当に愛していました、さようなら…」

その後、幾日かしてN氏は天寿を全うしこの世を去った。
病室には1通のメモ書きがサインを添えて残してあった。

『遺言 私Nの全財産を Y看護婦の開発者に贈与する』

終わり
79メス豚:2010/10/02(土) 20:28:16 ID:h6PMRKpb

全米が泣いた・・・
80創る名無しに見る名無し:2010/10/02(土) 23:06:21 ID:2iTdzx3P
いい話だな
81創る名無しに見る名無し:2010/10/04(月) 21:52:19 ID:K4UDJDxZ
話を作ってくれる人がいてよかった
僕も頑張って作ろうかな
82創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:18:07 ID:fJeAHZu/
みんな上手いよね。感心するわ。
83創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 10:39:28 ID:oL+aPSVZ
こう上手いのが投稿されちゃうと書き込み難いなぁ……
84創る名無しに見る名無し:2010/10/07(木) 20:12:51 ID:5hTm5MZQ
よし、星新一に触発された俺が思いつきで書いてみるぜ!
85創る名無しに見る名無し:2010/10/07(木) 21:06:12 ID:5hTm5MZQ
    ショートショート  『鈍感な男』

ああ、また今日も会社に行かなければならない。もういかなくては。
テレビでは最近起こった殺人事件を頻繁にやっている。生まれたばかりの子供が
殺された事件だ。「なんとも可哀相だ。生まれたばかりで殺されるなんて。」
本当にそう思った。だが人間というものは鈍感な生き物だ。
そのときはそう思ってもテレビから離れればそんなことは忘れてしまう。
嫌なニュースを見て私はひとつ、ふたつ、せきをした。そういえば喉の調子が悪い。そりゃそうだ。
先週まで38度の猛暑日の連続、今日は20度を切っている。
夏にはクーラーでがんがんに部屋を冷やし、アイスキャンディーを食べながら
ああはやく冬になればいいのにと嘆き
冬にはこたつで温まりみかんをほおばりああ寒い、早く夏になればいいのにとわがままを言う。
ひどく鈍感な生き物なのだ人間という生き物は。
おっともうこんな時間だ。もう出なくては電車に遅れる。私は家を出た。

ちょうど途中の駅まで電車がすぎたころだった。猛烈な腹の痛さが襲ってきた。
もうこの世のものとは思えないほどの痛みだった。痛すぎる。
駄目だ、この電車は特急だからあと20分は止まらない。やばい、これはもたない。
となりのやつらがえらく幸せそうに見えた。ふざけるな。何で俺ばっかりこんな目に。
だんだん脂汗が出てきた。神様すいませんでしたもう悪いことはしません。
考えれば便所に行きたくなったら行きたい時に行って大をする。こんな当たり前のことが
とてつもない幸せだったのだ。そうだ、そうなのだ。
そのときになって苦しんでも遅いのだ。なんて私は鈍感な男だったんだ…。
神様、これからは幸せをかみ締めながら大をします。大をしたならば
必ず「ふぅー今日も大ができました。私は幸せでした」と唱えながらしますから。

結局なんとか、トイレには間に合った。

私は変なせきをして大好きなタバコを2本いつもより余計に味わって吸った。
なにやら喉がイガイガするが「ああなんて上手いんだ。何気ないことがこんなに幸せだったんだ」
そういいながら吸い終わったタバコを2本道端にポイ捨てして、歩き出した。






86創る名無しに見る名無し:2010/10/07(木) 21:08:57 ID:5hTm5MZQ
文章書くのムズ杉ワロタ・・・
87メス豚:2010/10/08(金) 00:42:04 ID:Gx7Yqmmh
発想が面白いと思った
88創る名無しに見る名無し:2010/10/08(金) 09:16:51 ID:/0JhTlUO
            『美女と野獣』

暑い。しかし、暑い。外は35度を超えている。
仕事帰りに拾った財布を交番に届けて帰って来た所だった。
「普通100万も入った分厚い財布落とさないだろまったく…」
お巡りさんにはこんなの届けるなんて
あんた今時の若者にしては珍しいなと言われたが
何が珍しいのか分からなかった。

テレビをつけると、今日から始まる月9のドラマが始まっていた。
ジャニーズ事務所の売れっ子超イケ面俳優と超美人女優の恋愛ものだ。
おそらく視聴率は軒並み30%超えだろう。
しばらくドラマを見ていると耳元で夏にはおなじみの嫌な羽音が聞こえてきた。
私の血を吸おうとしている。「しょうがないなぁ… どうだ旨いか?俺の血は」
たっぷり吸わせてやり、手で叩くのは可哀相だから窓から逃がしてやった。
窓に誘導するのに10分近くかかってしまった。

汗だくになった顔を洗おうと洗面所の前に立った。
「しかし不細工だなぁ俺は。もうちょっとましな顔だったらもてたのになぁ」
その時だった。誰かに後頭部をハンマーで打ち抜かれたような衝撃とともに
私は意識を失った。数分で意識を取り戻したが、どこか悪いのだろうか。

翌日何事もなかったように会社に行くために電車に乗った。
なぜか今日は自分を見る周りの視線が多い気がする。特に女性からの。
ふと女子高生の会話が耳に飛び込んできた。
「てか見た?ゲツク。主役不細工すぎじゃない?ヒロインもやばいでしょあの顔は」
『わかるわかる。あれはおかしい。もっと美男美女使うべきよ』
この子たちは美的感覚がおかしいのか?

会社に着き、午前中の仕事を滞りなく終え昼休みに入った私の前に行列ができた。
「これ食べてください。」 『お返しはいらないです…』 
今日はバレンタインだった。だがおかしい。おかしすぎる。
私は生まれてこの方チョコレートをもらったことなんてない。
周りを見ると毎年山のようにチョコレートをもらう同期のNには誰もあげていない。
天地がひっくり返ったとしか思えない。

…そ、そうか天地がひっくり返ったのだ。
あの瞬間以来 世間の価値観がひっくり返ったのかもしれない。
つまり「イケ面は不細工に見え、美人はブスに見える。」
=俺はめちゃめちゃイケ面 ということになる。

そして美人がブスに見えるということは…誰も美人に見向きもしなくなる!

つづく

89創る名無しに見る名無し:2010/10/08(金) 09:39:25 ID:CSxFUyVl
>>85
文章は大分ぎこちないけど、やりたいことは何となくわかる
90創る名無しに見る名無し:2010/10/08(金) 09:49:15 ID:/0JhTlUO
私はあこがれの超美人のMさんに告白し、成功。やがて結婚することになった。
同僚、家族口々に皆こう言った。
「こんな美人な嫁さんもらうなんてお前は幸せだな」
【絵に書いたような美男美女カップル】周りはみんなそう言った。
本当にその通りだ。本来不細工な俺がこんなに美人な奥さんを…
あれ?Mさんは新しい価値観ではブスなはずだが…まぁそんなことはどうでもいい。
やっぱり新しい価値観では私はイケ面なのだろう。
Mさんは「あなたは本当にいい男ね」と言う。

3年後のある日、洗面所に立つとまた後頭部を殴られたような衝撃とともに私は意識を失った。
それ以来あれほど人気があった私には、誰も振り向かなくなった。
イケ面イケ面ともてはやされることも全くなくなってしまった。
そしていつしか私達夫婦は【世界有数の美女と野獣カップル】と呼ばれるようになった。


一つだけ変わらないことがあった。
それはMがいまだに私を「いい男」だと言っていることだ。

             おわり。

文章書くのムズ杉ワロタ・・・
91創る名無しに見る名無し:2010/10/08(金) 13:03:22 ID:/0JhTlUO
あああああああああああ夏なのにバレンタインにしちまったあああああ…
92創る名無しに見る名無し:2010/10/08(金) 15:30:16 ID:WEVqHlZg
よくあること めげずにがんばれ!
93創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 09:59:26 ID:otgtLBRR
   『卒アルカメラマン』

夕方、中学時代からの親友Nが家に遊びに来た。
こいつとは何をするときも一緒だった。完全に腐れ縁だ。
中学を卒業してもう何年が経つだろう。二人とも年を食った。
ふと中学時代のアルバムを久しぶりに見てみようということになった。
何もかも懐かしい。一枚一枚が記憶の片隅にあった風景を呼び覚ました。
「懐かしいなぁ。しかし、卒業アルバムってのは運動会とか修学旅行とか
 イベントの写真も多いけど授業中とか休み時間とか何気ない日常を取ってるのがいいな。
 しかも取られてる側がカメラマンを意識してないからすごくいい写真が取れてる」

『いや、実際バリバリに意識してたけどなー。でみんなカメラマンの方向に目向けちゃって
 普通でいられなくなってんの。そんで見かねたカメラマンが
 あー…私はいないものと思って普通にしててね
 私目に入るとさ、いい写真とれないからさ、って』

「そういやそうだったな。おーこれも懐かしい。昨日のことのように覚えてるなぁ。
 こう考えると人生ってあっという間かもな。」

『うーん、なんだかさみしいな。死ぬ時に神様が人生の卒業アルバムみたいなの
 くれたらいいのにな。』

こんな会話を交わしているうちに私はある一つの事実に気がついた。
過去の記憶がふと思い出される時、なぜか決まって思い出されるのは毎回同じような場面が多いこと、
そしてそれはなぜこんなことを覚えているのだろうというような、取り立てて特に印象深いことも起こらない
本当に些細な日常の場面が多いことに。まるでだれかがその些細な日常の場面でシャッターを押しているかのように。

「きっと、神様が卒アルカメラマンを派遣してんじゃない?
 死ぬ時に見せるためにってさ。あーもうこんな時間だ、帰るわ」

友人はおどけて帰っていった。

外はすっかり暗くなってしまった。私は卒業アルバムを元の場所に戻し、
部屋のカーテンを勢いよく引いた。

その瞬間、カーテンを引く「シャーッ」という音と同じくらいのタイミングで
かすかに【カシャッ】という音が聞こえた気がしたのだが、まぁ、気のせいだろう。


【あー…私はいないものと思って普通にしててね
 私目に入るとさ、いい写真とれないからさ】

 
94創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 22:22:08 ID:d+ojtWDQ
前スレで例の薬を書いた人です。覚えてくれてると嬉しいんだぜ!

 その部屋には、一人の男が一日中酒を飲んで過ごしていた。
 とは言っても、今日は休日ではない。男はかなり前から会社には行っていなかった。
 普通は、すぐにお金に困るはずだが、男はそうならなかった。
 彼は鞄を持っていた。それは少し大きめでの色あせた、時代を感じさせる鞄だった。

 もう一年ほど前になるだろうか。男がまだ会社にきちんと勤めていた頃。
 彼はとても真面目な人物だった。真面目に働き、誤魔化しをしない。嫌がられている仕事を進んでやる。良い人の良い所ばかりを集めたような人物だった。
 その人の良さが認められて、男は異例の昇進をした。もちろん、昇進してもきちんと働いた。
 むしろ責任のある地位ということで、仕事にかける熱心さはさらに強くなった。
 それからしばらくした頃である。男がベッドで寝ていると、夢の中で声を聞いた。
「君は真面目でしっかりした人物だ。そんな君にちょっとしたプレゼントをあげよう」
「あなたは一体……」
「うむ。名乗っても分かるまいが、強いて言えばお前たちの言うところの神だ」
「か、神様ですって」
「そうだ。そしてプレゼントというのは、この鞄だ」
「鞄ですか……」
「もちろんただの鞄ではない。なんでも取り出せる鞄だ」
「と、言うと」
「欲しいと思ったものを思い浮かべながら手を入れると、なんでも出てくるのだ。忙しいお前さんにはちょうどいいだろう」
「なんというすばらしい鞄でしょう」
「うむ。ただし一つ注意してくれよ。その鞄は……」
 その時、ベッドから転がり落ちて、男は目が覚めた。
「なんだ、夢か。しかしあんな鞄が本当にあったら便利だろうな……」
 しかし、男はそこで言葉を詰まらせた。
 部屋の中で先ほど神様が言っていたらしい鞄があったのだ。
「や、するとさっきのは本当のことだったのか」
 彼はおそるおそる鞄に手を入れた。酒を思い浮かべながら。
 最初は何もなかったはずの鞄に、手ごたえがあった。
 引き抜いてみると、まさしく酒が出てきた。しかも、思い浮べた通りの高級品だった。
 それを飲む。確かに本物だ。ということは、この鞄も本物ということになる。
 かくして、男は会社に行かなくなった。
 いつでも好きな物が好きなだけ手に入るのだ。働いてなんになる。
「まさか遊んで暮らすのがこんなにおもしろいとはなあ。今まで忙しく働いてきたのがばからしくなってきたぞ」
 最初こそ、同僚やら社長やらが男の家に訪ねてきたものの、彼が会社を辞めると言ってからは全く来なくなった。
 もちろん鞄のことは誰にも言わなかったし、誰にも見せなかった。
「そういえば神様が何か注意しようとしていたけど、なんのことだったのだろう。きっとこの鞄を自慢するなと言いたかったんだろう。誰も欲しいと言うに決まっている」
 腹が空けば鞄からあらゆる料理を取りだして食べる。暇になれば鞄はあらゆる娯楽を提供してくれた。
 まさに至れり尽くせりの生活だった。
 今ではこの部屋に来るのは、部屋代を取りに来る大家くらいのものだった。そんなときも鞄からお金を出せばいい。
 男は完全に働く気が失せていた。
 そんな生活が続いていたある日。
 ノックの音がした。今日は部屋代の日だったかなと思いながら、男は鞄からお金を取り出そうとした。
 蓄えなどあるはずがない。いつでも何でも手に入るのだから。
 しかし、紙は紙でも紙幣ではなく、ただの紙が一枚だけ出てきた。
 よく見ると、このような文章が書かれていた。
 毎度ながら、ご利用ありがとうございます。初使用から一年が経ちましたので、本日を決算日とさせていただきます。
 あなたは支出と収入のバランスが悪く、すでに貯金は底をついております。
 それでも使用されたため、多額の借金が発生しております。次回の使用は借金を片付けてから……
 そしてその下には、信じられない額の数字が書き込まれていた。
「や、この鞄はなんでも無限に出せる鞄ではなく、神様の買い物道具だったのだな」
 借金を返さないといけないからか、もはや鞄に手を入れても、何も出てこなかった。
95創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 23:36:19 ID:T3e+zU5F
星新一先生のショートショートコピペしてんじゃねーの?
とでも疑いたくなるような次元の再限度の高さ
惚れた
96創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 23:55:48 ID:aCnruE9w
>>93
OLとか主婦向けにいい話集めた本とかにありそう

>>94
これはうまい
星っぽくもある
97灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/10/10(日) 00:06:58 ID:etJer0UF
>>94
「一杯の水」も覚えてますよー。
98創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 10:35:26 ID:+vKtWC2y
            『見えなかったもの』    
          
2040年、ガソリン車はすっかり影を潜め電気自動車が主流となり
テレビは全て3D、テレビゲームも3D、音楽でさえも科学的にも目の前で歌手が歌っているのと
変わらないと証明されるほどの3D音質なるプレーヤーも出回るような時代になった。

おじいさんとおばあさんは孫のN君に3Dメガネをつけるとまるで目の前に敵がいるかのような
最新のシューティングゲームソフトをプレゼントするためにN君宅へ向っていた。

「喜んでくれますかねぇ?」
「きっと喜んでくれるとも。なんたって最新のゲームじゃからのう。
 店員さんも本当に画面上の敵がこっちに向ってくるように見える3Dだからとすすめてたしのう
 まるでゲームなのに本当の人間がそこにいるみたいにみえるそうじゃよ。きっと気に入ってくれるじゃろ」
「喜んでくれるといいですねぇ。しかし、時代も進化しましたねえ…私らの時代には考えられないような
 ものばかりです」
「そうじゃな。3Dばかりで、本当にある大事なものが見えなくなるようにも思えるわい…」

無事N君宅につき、プレゼントを渡すとN君は大変嬉しがった。
「おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう!!さっそくやってみるよ!
 わぁーすっげー!本当に敵がいるように見えるよ!バン!バン!
 面白い!ありがとうおじいちゃんおばあちゃん!」

「ほう、それはよかったのう。わしらは用事があるもんでこれで帰るよ
 物騒な世の中じゃからお父さんお母さんが帰るまでおうちで留守番しているんだよ」

N君はゲームに熱中していた。3Dメガネをつけて次から次へと本物に見える敵を
おもちゃのピストルでやっつけた。
ふと玄関のドアが開いた気がした。おかあさんが帰ってきたみたいだ。

「おおっ!?なんだ?いきなり強そうなやつがきたぞ。こいつが最後のボスか!?
 黒いマスクをつけて顔が分からないな。カモフラージュだな!?そうはいくか!」

 パーン! 乾いた音とともに火薬の臭いが立ち込めた。
 

その後おじいさんとおばあさんは100歳まで長生きしたが
死ぬ間際まであんなゲームを贈らなければと、自分達を責め続けた。



 


99創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 12:32:14 ID:Y7sS2bVq
星新一らしさを出したいならば2040年みたいな直接的な表現ではなくて
20XX年とかにした方が良いかもしれないです。
それと「その後おじいさん〜責め続けた。」はないほうがスッキリすると思いました。
それかその文は残して「おかあさんが帰ってきたみたいだ。」をなくしてもスッキリすると思います。
つたないアドバイス済みませんでした。
100創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 12:39:58 ID:+vKtWC2y
いいんですお…
確かにここは星新一スレだから星新一みたいに書いたほうがいいんだろうね。
最近阿刀田さんのやつを呼んでショートショートちょっと書いてみたいと思って
書くスレを探したんだが星新一縛りのスレしかなかったもんで星新一のような文体とか
無視して書いちまった。初めて4つくらい書いてみたけどやっぱり物語を作って文章にするのはムズ杉ワロター。

101創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 12:48:49 ID:Y7sS2bVq
でも面白かったのでこれからも書き続けてくれるとうれしいです!
102創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 18:20:20 ID:Dg8FyhgB
【キノイさん】

「おい!今日、探検に行かないか?」
授業が終わった途端、いきなりS君から声を掛けられた。
「面白いところがあるんだぜ!」
僕はこの小学校に転校してまだ3ヶ月。初めてできた友達がS君だ。
彼は毎日のように僕をこの町の『名所』に連れて行ってくれる。
駄菓子屋はもとより、用水路のザリガニ釣りや裏山の秘密基地まで。
都会から来た僕にはすべてが新鮮だった。
「どんなところ?」
「うーん、まだちょっとお前には無理かなー」
S君は何かにつけ大人ぶった言い回しをする。
「言っとくけど、僕のほうが誕生日が早いんだからね!」
「へへっ!お前、お化けとか大丈夫か?」
「へ…平気さ!」(平気じゃない!まったく平気じゃない!)
「ほんとかなー?」
「ああ本当さ!」(嘘ですごめんなさい)
「じゃあ俺が地図を書いてやる。今日はお前一人で行って来いよ」
「ええー?」
「怖いんだ」
「怖かないさ!」(一緒に行ってくれよー)
「決まり!」

S君は国語のノートを破って鉛筆で意気揚々と地図を描きはじめた。
「ここを曲がってこう行くと右手に石の階段がある。こいつを上ると、古い寺があるんだ。
 階段は108段、一気に上れば大したことはない」
「ちょっと疲れそうだな。もう少し体を鍛えてからの方が…」
「寺の境内に入ると、本堂がある。でもここじゃない」
S君は容赦なかった。
「本堂の裏に廻る。ここに渡り廊下があって、その下をくぐるんだ」
下手だけどやたら詳しい地図が出来上がる。
「ここに小さなお堂がある。これだ!ロウソクが並んでるからすぐ分かるぜ」
「そのお堂がこわ…面白いの?」
「そうさ、自分で確かめて来いよ。よし、こうしよう!そこでお前は『キノイさんこんにちは』って
 声を掛けて、ロウソクを1本持って帰ってくるんだ!」
「『キノイさん』?」
「ああ、みんなそう呼んでる」
「その人に『こんにちは』って言うだけ?怒らないかな」
「大丈夫さ、それと、明るいうちに行った方がいい。でないとお堂の中が真っ暗になって
 何にも見えないぞ。ロウソクを持ってくるの忘れるなよ、証拠だからな!」
S君は命令口調でそう言うと、僕に地図を押し付け、笑いながら帰っていった。
103創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 18:27:31 ID:Dg8FyhgB
>>102つづき

僕が家に帰ったのは3時ごろだった。しばらくの間地図とにらめっこ。どうしたものか…。
行かなきゃ弱虫決定だ。僕は二度とそうなりたくなかった…思い出したくもない。
お父さんとお母さんは、ここへ引っ越したために2時間もかけて仕事場に行っている。
またここでいじめられるようなことがあったら…。
僕は決心した。外はまだ明るい。今ならきっと大丈夫だ。
さっそくS君作の地図と、念の為懐中電灯を持ち家を出る。
隣町との境にあるお寺まで自転車を走らせる。歩いて行けば結構時間がかかる距離だ。
ようやく到着したそのお寺の階段の前で、僕はちょっと立ちすくんでしまった。
108段あると言うその階段は、上に行くほど霞んで薄暗くなっている。
あまり上を見ないように1段1段ゆっくりと上って行く。
『30…50…80…100…』あと8段のところで顔を上げると、すぐ目の前が本堂だった。
『108っ!』うっそうとした木に囲まれた境内はそんなに広くない。
S君作の地図を見返してみる。本堂の右に向かうように矢印が描いてある。
この先の渡り廊下の下をくぐるんだっけ。
渡り廊下は結構高いところにあって、しゃがまずにくぐることができた。
本堂の裏に廻るといっそう薄暗くなり、持って来た懐中電灯が役に立った。
S君の言っていた小さなお堂が見える…抑えていた恐怖心がじわじわ湧いてくる。
そろそろと近づいて行くと、お堂の前にロウソクの明かりがちらちらと揺らめいているのが見える。
こんな所へ一人で来るなんて、僕は弱虫じゃなくなったんだろうか?いや別に何も変っちゃいない。
もしかしたら今まで、あいつらの…いじめっ子達の暗示にかかっていたのかも知れない。
そう思うと、先ほど湧き出した恐怖心がすうっと引いて行く。

ついにお堂の前にやって来た。そうだ、まずは声を掛けるんだ。
「キノイさん…こんにちは」(ちょっと声が震えた)
「はい、こんにちは」
「わっ!」
まさかお堂の中から返事があると思っていなかったので、びっくりして尻餅をついてしまった。
懐中電灯もどこかへ吹っ飛んでしまった。
「キ…キノイさん?」
「まあそう呼んでくださるお方もおいでじゃのう」
話し方がやさしく、なんとなく僕のおじいちゃんを思い出した。
「ゆっくりと話をしたいところじゃがもうすぐ夕立が来るでの、今日はまっすぐ帰るがええ」
「あ…え…あの、ロウソクを一本…」
「代りにまた新しいのを持っておいでなされや」
ピカッ!近くではないが稲光が光った。キノイさんの言う通り夕立が来そうだ。
「ありがとうキノイさん」
返事も待たず走り出し、境内を抜け108段の階段を転がるように下り、元来た道を自転車で
全速力で飛ばす。雨は次第に強くなり雷も近づいて来た。
ずぶぬれになりながらもようやく家にたどり着いた途端、ガラガラピシャーン!
稲光と同時に轟音が鳴り響いた。どこかに落ちたみたいだ。
その日は一晩中雨が降り続き止むことはなかった。
104創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 18:29:13 ID:Dg8FyhgB
>>103つづき

翌日、学校へ着くと…。
「おい、お前昨日だいじょうぶだったか?」
S君が駆け寄ってきて言った。
「ああ、別に怖くもなんともなかったよ!ロウソクもこの通り」
「違うよ、雷だよ!あのお寺に落ちたんだぜ!知らなかったのかよ!」
町では大騒ぎだったらしいが、新入りの我が家には連絡がなかった。
「それでキノイさんは?無事だったの?」
「ほら、これ」
S君が差し出したのは今朝の新聞記事の切り抜きだった。

『古寺の木乃伊 落雷で消失』

「ええっ!キノイさん死んじゃったの?」
「死ぬわけないじゃん、ミイラだぜ?」
「…ミイラ?」
「『木乃伊』って書いて『ミイラ』って読むんだ。『キノイさん』ってのは俺達がつけたあだ名さ」
S君はミイラになった即身仏の伝承を詳しく話してくれたが、ほとんど覚えていない。
ましてや、キノイさんとの会話など僕の口から話せる状態にはなかった。

放課後、すっかり焼け落ちてしまったあのお堂へ新しいロウソクをお供えに行った。
もちろん僕一人きりで。

終わり
105創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 18:55:08 ID:Dg8FyhgB
僕のもちょっと星さんのタッチからはずれちゃったかな?
あんまりオカルトチックなのは無かったもんね。
10694:2010/10/10(日) 20:04:13 ID:BCQCILOw
94です。

予想以上に高評価されて嬉しいぜ!

灰色埜粘土さん、そっちも覚えていてくれてましたか!ありがとうございます。
107創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 20:31:59 ID:Dg8FyhgB
>>102-104です

夕立が一晩中降るってのはおかしいな

「夕立は日暮れまで止むことは無かった」ぐらいかな
108創る名無しに見る名無し:2010/10/11(月) 10:21:03 ID:k/h3yTWi
  『戦争のある風景』

 今は何時なのか、ここはどこなのか、そんなことは分からない。
 ただ一つ分かっていること、それは毎日が戦争であるということ。
 生きるために、戦わなければならない。戦わなければ死ぬだけだ。
 そしてこの戦争には終わりがない。もし終わりがあるとすれば、
 それは私が死ぬ時だ。

 私は何時生まれたのか記憶がない。もっとも、それは誰だって同じだろう。
 両親の顔は覚えていない。兄弟はたくさんいた。
 しかしおそらくもうみんな戦死しているだろう。

 私はこれまで無数の仲間が死んでいく様子をこの目で見てきた。
 完全に油断してやられる者、敵から長時間必死で逃げ惑った末に
 結局はやられてしまった者などどれも目を覆いたくなる光景だった。
 やられた者は皆例外なく白い布で覆われた。
 なぜなのかは分からない。敵なりの弔いなのかもしれない。

 最近はこれまでの旧式武器とともに、敵は最新式毒ガスを使ってくるようだ。
 ガスを吸ってしまうと意識が遠くなっていき、やがて死に至る。おそろしい兵器だ。
 だが旧式武器でやられるよりもこっちでやられる方が案外楽なのかもしれない。

 もうずっと何も口にしていない。動くのも辛くなってきた。
 私は意を決して敵に飛び込み、食料を盗むことにした。
 なーに、心配は要らない。慣れている。私は戦争をするために生まれてきた
 ようなものだから。幸い敵は気付いていない。私はありったけの食料を盗み
 その場で食らい尽くした。やっぱり旨い。

 これであと3日は食わなくても平気だろう。
 急いで見つからないようにその場を去ろうとした時だった。
 「パーン」という乾いた音ともに鈍い痛みが走った。
 とうとう私もやられたらしい。ついに私も死ぬのか… 戦争は終わりだ…。
 薄れ行く意識の中私にも白い布が被せられようとしている。
 視界が遮られる直前、敵の仕留めた、という優越感に浸る顔と同時に
 旧式武器についてしまった血を「汚らしい」という目でふき取る敵の顔が見えた。

 しかし、全くおかしなやつらだ…
 武器についた血は確かに私の体から吹き出たものだが、
 その血はまぎれもなくやつらのものであるというのに…。
 

 
 




 
 
109創る名無しに見る名無し:2010/10/12(火) 17:48:47 ID:GQIhhOLb
     『含み笑い』

今日は友人と飲みに行く約束をしていた。約束の6時までまだちょっと時間がある。
私は寝転がりながら暇つぶしに1歳半になる息子を横においてスポーツ紙を読んでいた。

息子は可愛い。1歳半にしては表情が豊かな気がするのはきっと親バカだろう。
最近はキャッキャッと笑うだけでなくニタニタ笑うようになってきた。そう、また今笑った。
ちょうどいい時間になり私は息子に行ってくるよと言って部屋を出た。
息子はキャッキャッと笑っている。

行きつけの店でビールを飲みながら友人と話していると息子の話になった。
「お前の息子ももうすぐ2歳か。可愛いだろう。」
「ああ、可愛いね。ずっとこれ位の歳で止まってて欲しい」
「親としては心配だよな。この子はどんな一生を送るのか」
「そうだな。タイムマシーンでもありゃ未来に行って確かめられるのにな。
 近い将来もうできたりしてな」
「タイムマシーンなんてできてるわけねーよ。
 そんなもんできてたらもうとっくに未来人がきてるだろーが」
「小学生みたいな話題だな(笑)ま、たまにはいいか。でもタイムマシーンができたら
 俺は過去に行きたいね。ただし…」
「ただし、今の記憶をそのままにして過去に戻りたい だろ(笑)?」
「そう(笑) それで競馬当てたり幼稚園の先生にどさくさにまぎれて…」

あっ…

ふと息子のさっきのニタニタした顔を思い出した。
ちょうどスポーツ紙の「競馬欄」と「ちょっとエッチな欄」の時だったような気がした…。

110メス豚:2010/10/13(水) 23:54:05 ID:n6qTztoC
>108
とても文章が上手いし、オチもいいですねー
蚊かな?白い布はティッシュかな
オチがパッとわかれば最高でした
111創る名無しに見る名無し:2010/10/14(木) 13:02:28 ID:xQQ4Dg9/
皆さんとても文章がうまくて面白いです。108,109さんお疲れさまです。
112創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 12:58:03 ID:bAo2gpJ6
『出会い』

取り立てて普通の会社員についている神様Nはこちらも特に変わったところもなく
穏やかで気立てのいいOLについている神様Mとついに訪れる瞬間にむけて
ガッチリ堅い握手を交わしてほほえみながら下界の様子を見渡していた。

「いやあーM神様長かったですなぁ。あなたの会うのにかなりの年月がかかった。」
「本当ですN神様。やっと二人が会えるのですね。運命には逆らえないんですねー」

二人ともそれなりに出会いはあった。お互い数人とは付き合ったが結婚までは至らず
いい歳を迎えていた。そろそろ結婚したい。運命の相手に巡り合いたい、そう思っていた。

「本当に運命です。私たちがそういう風に二人の人生を作ってきたって言う風にもいえますが
 二人が会うのは天文学的な数字なんですから」
「そうですねぇ。何しろもし二人が人生の岐路で別の選択をしていたらこの場所で出会うことはなかった
 んですよねぇ」

時計は午後3時40分35秒を指していた。
二人の神様は息を飲むように秒針を見つめていた。あともう少し、5,4,3、2、… 

午後3時40分40秒。
二人は紆余曲折を経てついに駅前の交差点で出会った。
そして何事もなかったように別々の方角へ歩き出した。

二人の神様はせわしなくもう別々の相手と話を始めていた。
「いやーS神様 長かったですなぁ…」
113創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 13:02:23 ID:pE4IyYfv
ネタは面白いんだけど、文章がちょっと読みづらいな
句読点の打ち方とか、文の区切り方のせいかな
114創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 14:53:59 ID:bAo2gpJ6
   『控えめな男』

「やっぱり俺たちはお前を1番最初にすることに決めたよ。満場一致だ。
 実を言うとここに来るまで地上であれだけ人目を忍ぶように生活してたお前を
 あまり知るものはいなかったんだ。でもお前はここに来てから水を得た魚のように
 明るくなった。まるで絶望した俺たちを励ますかのように。そんなお前に俺たちは勇気付けられたんだ。
 これは俺たちの感謝の気持ちなんだ。さぁ一番に上がってくれ。上では世界中のテレビカメラがお前を
 待ってる。世界の注目の的だ。
 え?できれば真ん中あたりがいい?どうしてだ。
 そんなこと言ったら世界中に顔が映らないじゃないか」
 
115創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 14:55:32 ID:bAo2gpJ6
もうネタがないお… 
上手く書けるときと書けないときがあるお…
116灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/10/16(土) 15:21:19 ID:6Le96qbH
>>112
これ面白かったです
作中に時刻が入るとスケジュールに沿って話が進んでいる感じがして雰囲気がでますね
117創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 17:35:25 ID:we/aAE9E
>>114
すいません、オチを教えてください。わからない…
118創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 17:45:59 ID:we/aAE9E
あ、もしかしてチリ鉱山の生き埋め事故がベースなの?
119創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 17:57:13 ID:bAo2gpJ6
そ、そ、そうですお…
120創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 18:10:44 ID:we/aAE9E
>>119
ありがとう。
今はこの話題が旬だからいいけど、後になると場面設定がわからなくなるから
そのあたりを入れ込んでおいたほうがいいんじゃないかな。
「脛に傷持つ」ってことですよね。すごくおもしろいと思いますよ。
121創る名無しに見る名無し:2010/10/17(日) 11:50:52 ID:olUjG1KL
あまりの寒さに目が覚めた
雨が降った後なのだろう、深い穴のなかに水たまりができている
どうやらそこに嵌まってしまったらしい
狭い、身動きが取れない
上を見るとだれかがこちらを見下ろしている
40歳くらいの男のようだ
助けを呼ぼうとするが、声が出ない
男はじっとしている私を見ると、いやらしく笑い去っていった
なんてやつだ、わたしが好き好んでここにいるとでも思ったのか

しばらくすると、再び人のやってくる気配がする
上を眺めていたら、そいつと目が合った
女だ、まだ子どもだ
「お父さーん!」
私を見ると、少女は叫びながら引き返した
このことを彼女の親に伝えてくれたなら、助けも来るだろう
ようやく出られると喜んでいたら、少女は間もなく戻ってきた
「うんこしたらちゃんと流してよ!」
濁流が私を飲み込んだ
122創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 00:19:21 ID:Nngp4/L2
来世がウンコだったらどうしよう…
123創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 20:16:30 ID:ioTal7q5
『ため息』

S少年には何かあると人より深くため息をつく癖があった。
学校のテストで点数が悪いと人の何倍も落ち込み、友達関係で悩みがあると
人の何倍も深いため息をついていた。

そんなSをことごとく救ってきたのは同じクラスのT少年だった。
彼はまじめで勉強がとても良くでき、クラスの人気者だった。
Tは事あるごとにSの力になった。Sのテストの出来が悪ければ勉強を教えてやったり
Sと他の子が喧嘩したときは仲裁をし、Sのためになんでも力を尽くした。
また、その奉仕はSだけにとどまらなかった。同じクラスだけでなく、他のクラスの生徒
にさえも同じように接したのだった。
ある時SはTに尋ねてみた。
「なぁ、何でお前はそんなに皆に優しくしてくれて悩みを解決しようとしてくれるんだ?」
「そんなの簡単だよ。皆がため息つくのが見てられないだけさ。
 特にお前のため息を見ると本当に何とかしてやりたいと思うんだよ」

時が過ぎ、二人は社会人になった。
社会人にもなると悩みの種は学生時代とは比べ物にならないほどに深く、Sのため息は
以前よりもっと激しいものになっていった。
しかしそれでもTはSを助けてくれた。
借金をした時も多くのお金を貸してくれたし仕事で失敗したときも親身になって
アドバイスをくれたのだった。
また、Tは
「これを部屋に置くと心が落ち着くよ」と言ってよく観葉植物をプレゼントしてくれた。
SはTのそんな優しさが本当に大好きだった。

ある時SはTを部屋に呼んだ。また新たな悩みの種ができたらしかった。
「はぁ・・・・」Sは深い深いため息をついた。
TはSを黙ってみていたがしばらくして何やらもごもごと呟いた。
「おんだんか」という単語しか聞き取れなかった。

「そういやぁ、お前は1年生から6年生までずーっと環境美化委員に進んで立候補してたもんなぁ…」
うっすら、本当にうっすらと記憶が蘇って来た。Sは悲しかった。

TはSのアパートを静かに後にした。
Sはもう、息を吐いてはいなかった。。
124創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 20:18:34 ID:ioTal7q5
だめだビミョー…
125創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 21:20:07 ID:BXuAXYrA
一発ギャグを思いついた

「土葬」

 M県S村には未だに土葬の風習があるという。
 早速私は取材の為、そこへ行った。
 私がS村に着くと丁度土葬の真っ最中だった。
「この村ではどんな者でも土葬にするんです」
 不謹慎に思いながらも土葬の様子を撮らせていただいた。
 そしてその日の夕食に焼き魚を頂いた。
 お腹が空いていた私はあっという間にそれを平らげる。
 食べ終えた骨と皮をゴミミ箱へ捨てようとすると突然村の人に怒られた。
 そしてひったくるように魚を乗っていたお皿を奪うと外へ飛び出していった。

 なるほど、この村ではどんなモノでも土葬にするんだな。
126創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 21:21:04 ID:BXuAXYrA
×魚を
○魚が
127創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 09:45:45 ID:UO4gcRk8
>>125
ちょっとワロタ
128創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 10:04:42 ID:UO4gcRk8
『どんぐりころころ』

 どんぐりころころどんぐりこー。
 さあ大変です。どんぐりが、お池にハマってしまいそうです。
 これを承けた報道陣が、いち早くお池の周りを取り囲んだ。今日の昼間のワイドショーは生中継。見出しは、『どんぐり、死す!? どんぐり落下の一部始終を生中継!』だ。
 真っ先にすっ飛んできた民間企業のリポーターが、どんぐりの様子を大声でハキハキと、尚且つ早口でカメラに向かって実況している。
「大変です! あのどんぐりが、この大山池に向かってこの山の斜面から転げ落ちてきています。危ない、岩にぶつかる、きゃあ! 救助隊はまだこないのでしょうか。わたくしがこうして話しております間にも、どんぐりはどんどんお池に向かって転がりつつあります」
 気がつけば、この報道を見たであろう地元住民もお池を取り囲んでどんぐりの行く末を見守っていた。
 すると、遠くから空気を切り裂くような断裂音が聞こえてきた。それが徐々に近づいてきて、真上で停止した。
 それを必死に伝えるリポーター。
「今救助隊のヘリコプターが到着しました! どうやら、斜面からの救助は不可能と見込み、上空からの救助となる見込みです!」
 この事態を深刻そうにとらえる報道陣を見て、ある老人が、冷静な口調で呟いた。
「大袈裟じゃのお。この五十年間、事件や事故が皆無だからと言ってどんぐりごときにこれはやりすぎじゃ……平和じゃのお」
129創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 17:14:37 ID:n1l3XjMC
【釣り】

「どうですか、釣れますか?」
「いえ、今糸をたらしたばかりなんですよ」
「本命は?」
「あの底の方に群れてるのが見えますでしょ」
「ああ…あれですか」

「おっ、引いてますよ!」
「…」
「合わせないんですか」
「ええ、向こう合わせで」
「引きますねぇ」
「群れが一気に寄ってきたみたいで…」
「あっ!」
「…」
「切れてしまいましたね、もう少し太い糸になさってはいかがですか?」
「これが精一杯でしてね…さてと」
「え?もうお引き上げですか」
「ええ、これは1回限りなんですよ」

そう仰るとお釈迦様はくるくると蜘蛛の糸をお仕舞いになったのでした。

終わり
130創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 20:27:12 ID:YAY6fqG5
皆さんお疲れさまです。面白かったです。
131灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/10/19(火) 21:06:24 ID:ZnqEaZ0Z
>>128
こんな平和な時代が来たら素晴らしいですよね
132創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 22:55:23 ID:UO4gcRk8
>>131
まさに理想ですねぇ
ただ、平和になって戦争がなくなると人類の進歩も足踏みしてしまうようで…
133創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 16:44:52 ID:+/06QtUI
『知ってか知らずか』

 薄明りの中、プラネット教室という授業の中で、地球という惑星に関する授業が行われていた。
「えー、この惑星は近年、我々モリオン人によって発見された美しい惑星です。見てごらんなさい、ここがアメリカという大陸です。大きいでしょう」
 モリオン人教師が、宙に浮いた地球の中のアメリカ合衆国に指を触れて言う。
 それを見ていた生徒たちは、つまらなさそうに大あくびをかいた。
「先生、そんな小さな球を見たって、何もおもしろくありません」
「そう言わずによく見てごらんなさい。この辺りには、この惑星の人びとが造りあげた素晴らしい彫刻があるのですよ。これを見れば、感動するに違いありません」
 モリオン人教師はビサの斜塔のある辺りを指で触れ、もう片方の手に持っていたホログラム映像機で、ビサの斜塔の立体資料映像を映し出した。
「どうですか、この傾き具合。これぞまさに芸術だとは思いませんか。そして、このギリシャという大陸のコロシアムは大変素晴らしい闘技の歴史を持っているそうです。
他にも、建築物がたくさん密集している地帯があるんですよ。例えばこのホンコンという都市には、アメリカ大陸のラスベガスという都市並みに細長い建築物が密集していて――」
 説明をしながら、モリオン人教師は次々と各地を触れていく。
 しかし、モリオン人教師の独りよがりな授業に疲れた生徒たちは、既に別の星に興味の対象を移していた。
「あの星、ドッジボールに使えそうだな……」

 一方その頃、地球では、世界規模での非常事態宣言が発令されていた。各国の放送局では全ての番組が臨時ニュースに差し替えられ、地球の人々は某国が開発した新兵器だの、宇宙人の侵略だのと騒ぎ、慌てふためいていた。そんな中、キャスターは冷静に事実を伝えていく。
「大変です。世界各地の都市が謎の巨大物体により一瞬にして破壊され、多くの人々の命が今もなお失われ続けています。たった今入ってきた情報によりますと、つい五分ほど前に日本の本州が陥没したようで……」
134創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 20:15:37 ID:CWqDy8h+
これって、教師の指で潰されてるってこと?
135創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 21:58:47 ID:bYcpIdfS
  『兄貴』

年末、久しぶりに家族全員が揃った。昨年、一昨年は兄貴に急な手術が
入ったために帰省できず全員揃わなかった。

兄貴は小さい頃から物を直すのが得意だった。
お気に入りの時計、お気に入りのラジカセ、壊れると直るまで何日かかっても
結局直してしまった。一度直すと決めたら最後まで直そうとする、そんな兄貴に
医者という職業は天職なのかもしれない。

兄貴とは3年ぶりに会うが相変わらず元気そうで良かった。
お互いの近況を話しているうちに昔話に花が咲いてしまい、しまいには二人で押入れを
あさり出してしまった。
昔の卒業アルバムや当時読んだ漫画など色々出てきたが最も懐かしさを覚えたのは
ファミコンカセットだった。当時飽きるほどやりこんだソフトが山のように出てきた。

二人で異様に盛り上がってしまい久しぶりにやってみようということになり、
少し埃かぶったファミコンにカセットを差し込んで電源を入れたみた。
しかし、赤や青や紫やらが画面いっぱいに広がり中央になにやら茶色のキャラクターの
ような四角いものが映るだけでそのカセットで遊ぶことはできなかった。

ふと、そのカセットはゲームが上手くいかず思い切り癇癪を起こして兄貴が床に叩きつけて
壊したもので、兄貴が最も気に入っていたソフトだったことを思い出した。

兄貴はフーッとカセットに息を吹きかけてもう一度起動してみたがやはり動かなかった。
「懐かしいなぁ。よく動かない時にやったな、そのフーッってやつ。」
「このフーッをすることによってカセット内部にたまった埃やゴミが取り除かれて
 接触が良くなるんだよ。」
「でも、そのフーッって今となっては実は何の意味もなかったって証明されたらしいよ(笑)
 なんかでみたもん」
「……」

そういえば兄貴は学校もさぼって、泣きながら実は意味の無かったフーフーをやり続けていたっけ。
息を吹き込みすぎて過呼吸で救急車を呼びそうになったんだった。
でも直すと決めたら絶対に直そうとするあの執念が兄貴を立派な医者にしたんだよな…しみじみとそう思った。

「結局直らなかったんだよな…このカセット。めちゃくちゃ気に入ってたのに」
兄貴は悔しそうに1階へ降りていった。

ちなみに兄貴は独身だ。
以前はのろけ話を散々聞かされた自慢の恋人がいたが、
捜索願いが出されてからもう10年が経つ。
136創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 22:03:29 ID:+/06QtUI
>>134
はい
137創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 22:04:59 ID:CWqDy8h+
懐かしいほのぼの話かと思ったら……
138創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 22:06:59 ID:bYcpIdfS
や、やたー…ひっかかった人がいたー…
139創る名無しに見る名無し:2010/10/21(木) 19:16:55 ID:0MZ+TgiD
『とある装置』

 ある日、アール博士の研究所に、友人のエヌ氏が招かれた。
 エヌ氏は研究所内を見て回り、そしてある部屋にたどり着いた。エヌ氏は不思議そうな表情を浮かべて言う。
「この部屋にはレバーしかないようですが」
「はい、レバーだけです」
「このレバーを引くと何が起こるんですか」
「何だと思いますか」
「うーむ。わかりませんなあ」
「もし当てることができたなら、大金を差し上げましょう」
「それは本当ですか。では当てて見せましょう。うむむ……」
 エヌ氏は腕を組み、悩んだ。悩んだ末に出した結論は、「部屋拡充装置」。
 しかし、アール博士は首を横に振った。
「残念ですな。ハズレです」
 だが、エヌ氏は悔しそうな素振りを一切見せなかった。
「博士の発明品は奇抜ですからなあ。考えるだけ時間の無駄だったかもしれません。で、正解は何なのですか」
「それでは、お教えしましょう。なんと、これは幽霊発生装置なのです」
「ほお、実に面白いですな。ところで、この装置はどういった時に使うのですか」
「心霊屋敷や、あまり人を近づけたくないような廃墟での使用が目的ですかな」
「なるほど。既に商用化を見越していらっしゃるんですね」
「ただ、まだ実験さえしていない状況なので、実際にどのようになるのかは神のみぞ知るということなのです」
「では博士、ここは一つ私で実験してみてはいかがですか」
「なに。客人を実験に巻き込む訳にはいきません」
「いいじゃないですか。客人たっての希望なんですから」
 博士は腕組みをし、顔をしかめた。
「では、約束して下さい。何が起こっても自己責任ということで……。無論、万一何かが起これば、我々が全力であなたを助けます」
「分かりました。いやはや、博士の実験台になれるとは真に光栄ですなあ」
 エヌ氏は、まるで子供のように目を輝かせた。
「では、私は部屋の外で助手とモニターしています。準備が出来次第、お声をかけますので……。それと、この懐中電灯をお持ち下さい。部屋を真っ暗にするので」
 かくして、実験の準備がなされた。
 エヌ氏は期待に胸を膨らませ、懐中電灯を片手に今か今かと待ち構えていた。
「準備が完了しました。ではそのレバーを下に引いて下さい」
 それきたと言わんばかりに、エヌ氏はさっとレバーを引いた。すると、部屋が真っ暗になり、どうも気味の悪い雰囲気が漂い始める。
「む、何かの気配がするぞ。早速、幽霊のお出ましか」
 懐中電灯を四方に向ける。が、まだ何も出てはこない。
 ふと、背筋が寒くなった。
「コロシテヤル……」
 突然の冷ややかな声。反射的に後ろを振り向くエヌ氏。
「うわああああ!」
 エヌ氏は恐怖のあまり絶叫し、その場で倒れて気絶してしまった。
 これを別室のモニター越しに見ていたアール博士と助手が、急いで実験室に駆け込み、エヌ氏に駆け寄った。
「おい、しっかりするんだ。おい」
 その声に、エヌ氏は意識を取り戻した。
「う……は、博士……」
「大丈夫かね」
「いえ、まさかあんなリアルなものだと思いませんでした。博士の実験の凄さを身をもって知りましたよ……」
 アール博士に頭を抱えられながら、淡々と話すエヌ氏。
「あの髪の長い女。殺してやるなんて言って、私のことを物凄い形相で睨み付けて……今思い出すだけでもおぞましい。あまりにも現実的で、予想だにしないリアルさだったので、この有り様です。本当にすみませんでした」
 それを聞いたアール博士と助手は、顔を見合わせた。
「どうかしたのですか」
「いやね。さっきの実験、実は失敗だったのです」
「はい、私のせいで……」
「いえ、あなたのせいではありません」
 涙ぐむエヌ氏を見つめながら、アール博士は続けた。
「実は、システムがエラーをはき、装置は起動すらしていなかったのです。それに、そのような女性はプログラムには含まれていません。あなたは、きっと悪霊か何かに取り憑かれているのでしょう。一度、祈祷師に見てもらった方がいい」
140創る名無しに見る名無し:2010/10/21(木) 22:12:34 ID:BGm7/5ky
この話の流れは星っぽいな
141灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/10/21(木) 23:27:49 ID:P1D71/lJ
>>140
ですね。
>>139
起承転結の流れが良くてスムーズに読めました。
特にエヌ博士の言動で星新一の作品を読んでいるように錯覚しました。
142創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 01:12:15 ID:WTYlPGpU
星新一の作品コピペしたかと思う位うまい!
143創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 12:44:33 ID:uZfsBp2S
やったー!
初めて誉められた。モチベーション上がりました、ありがとう。
144創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 17:28:05 ID:uZfsBp2S
『退治』

 その昔、桃太郎という勇ましくもたくましい少年がいた。
 彼については、知らない者はいないだろう。それくらいの有名人である。
 ある日、桃太郎は鬼退治へと出かけた。その道中のことである。
「もしもし、あなたはもしや、桃太郎さんかな」
「むっ、誰だ」
 突然、草むらから、未来の武装をした小柄な男が姿を現した。
「私は、あなたのお供となるために未来からやってきました」
「馬鹿らしい。俺は鬼を退治しに行くんだ。邪魔しないでくれ」
「これから、犬、猿、雉をお供にするつもりで?」
「何故それを知っているんだ」
「私が何百年も向こうの世界からやってきたからですよ」
 男は不敵な笑みを浮かべた。
「うむ……。どうやら、未来からやってきたというのは本当らしいな。なら一緒に来てもらおう」
 かくして、桃太郎は男をお供にし、鬼ヶ島へと向かうことにした。
 舟に乗っている最中、男は、武器について桃太郎に説明した。
「桃太郎さん、これはレーザー銃といって、相手を一瞬で蒸発させてしまう威力があります」
「ほお、それは凄い。ではそれをお借りしようかな」
「どうぞどうぞ。私めは後ろで写真撮影をしていますので、適当に倒してしまってください」
 鬼ヶ島に到着すると、男は子供のように興奮し、写真を撮りに撮った。
「いやあ、いいですねえ鬼ヶ島。この鬼の顔をしたようなフォルム、たまりませんなあ」
「それは良かった」
 そう答えると、桃太郎は男に銃を突きつけた。
「桃太郎さん、これはどういうご冗談で……」
「ご冗談ではない。これは刑罰である」
 桃太郎は、堂々とした口調で言い放った。
「貴様ら未来人が、この時代に来るという情報をキャッチするたびに、この年代を担当している私がこうして赴かなければならない。おかげで、私はこの旅路を何度歩いたことか」
 これを聞いて、男の顔は一気に青ざめた。
「ひいっ、タイムパトロール隊だったのか! ごめんなさい。どうかお許しを」
「許さん。貴様は犯罪を犯したのだ。過去を変えようとした罪は重いぞ。それと銃刀法違反の罪もある。しばらくは、この鬼ヶ島に見立てた監獄からは出られないと思え」
「そんなあ……。では、本当の桃太郎はどこにいるのですか?」
「そのような人物は存在しない。時間犯罪者摘発のため、桃太郎の話は我々が捏造したものなのだ。おかげで、この話に引っ掛かったまぬけな時間犯罪者を何十人も捕まえることができた。即ち、鬼退治の鬼とは、貴様ら犯罪者のことを指すのだ。さあ、覚悟しろ」
 男は泣く泣く、お縄を頂戴された。そして、そのまま鬼ヶ島内の独房に入れられ、強制労働を強いられることとなった。
 やがて年月が過ぎ去る。どれほど悔しい思いをしたことだろうか。男は、ついに監獄から出ることを許された。つやのあった顔はしわだらけになり、体力もすっかり衰えてしまった。だが、男には長年温めていた計画があった。
 未来に帰るなり、男はタイムマシンに乗り込む。
「さて、過去の自分の過ちを止めにいくか……。そうすれば、若かりし頃の私は捕まることもないだろう。それと念のため、私を退治してくれた桃太郎も退治しておくか。生まれてこなかったことにするのだ。そのために、母親を流産でもさせてやるかな」
145創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 21:16:38 ID:aUDtWedb
タイムパトロールはもうちょっとちゃんと再犯防止を考えるべき
146創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 23:51:44 ID:WASRd+zR
『極上の味』
博士は、風采の上がらぬ男であった。普段、人と接する機会は滅多になく、それをいいことに髪はぼうぼうで髭は汚らしく口元を覆っている。
そんな博士ではあるが、頭脳のほうは明晰であった。しかし、発明に明け暮れる人の大抵がそうであるように、変人であった。
「ついに完成したぞ」
一年と半年という期間、苦労を重ねた末、ある粉末薬の開発に成功した。博士は、さっそく効果を試してみようとコップを持ってトイレへと向った。
トイレから出てきた博士の手には、なみなみと注がれた尿が入っていた。部屋に戻り、博士は、粉末をコップの中へ入れた。
溶け出した粉末は、きのこ雲のような拡がりを見せ、黄色の尿を青色に変色させていった。
途端、なんともいえない香ばしい香りが部屋の中に充満しはじめた。博士は、指でコップの中をかき混ぜてから、一口で飲み干した。その味は、これまで飲んだジュース、いや、酒も含めて、どの味にも類似していなかった。
「やったぞ。ついにやったぞ。極上の味の完成だ。それも原液は尿でいいんだから、なんとお手軽なことだろうか」

博士は、変人であった。この発明を世に出そうとはしなかった。毎日のように自分の尿を、この至高の飲み物に変化させ味わい、満足しているだけであった。
しかし、博士は、男でもあった。ある日、若い女の尿を原液に飲んでみたらどうだろうかと思いついた。若い女の尿、その味は、自分の尿よりも、うまいはずであると思うと、いてもたってもいられなくなった。
街に出た博士は、はて困ったもんだと思った。これまで人生で女性に声をかけたことなど一度もない。いったいどうやったら、尿を恵んでくれるのだろうかと困り果てた。
諸事にうとい博士であったが、外界の情報を寸断しているわけではない。テレビで見たことのある女の口説き方やニュースなどを参考に声をかけることにした。
女の選定に十分ほど費やしたあと、金髪のだいぶ若そうな女に決めた。博士は、女に近寄り声をかけた。
「五万円でどうかな?」
「はあ」
女は、きつく睨んだあと、笑顔になった。
「おっさん、何してほしいの?」
「きみのおしっこが欲しい」
女は、きょとんとした目をしてから、若い女特有の高い声で笑った。
「五万円、ほんとにくれるんでしょうね」
博士は、うまくことが運んだことに目じりを下げた。

博士は、女を家まで連れ帰った。コップを女に持たせ、トイレへと行かせた。五分ほどして戻ってきた女は、軽蔑したような眼差しをして博士にコップを手渡した。
五万円を手渡すと、女は、また蔑むような視線を博士に送り、出ていった。
博士は、一人きりになると、コップの中に粉末を入れた。青色に変わるのは、誰の尿でも変らないようだ。博士は、舌先でぺろっぺろっと女のジュースを味わった。自分の尿の味とは違っていた。その違いを正確に表現するのは難しいのだが、あえていうならば、こくが増していた。
博士がコップの淵に口を当て、これから飲み干そうかというときだった。家の扉が開き、女が戻ってきた。博士は、慌てふためき、コップの中身をすべてこぼしてしまった。
「忘れ物……、携帯電話置き忘れちゃった」
「どこにだい?」
女は、くんくんとあたりを嗅ぎだした。
「このにおいはなに?」
博士が黙っていると、女は博士のほうにずいずいと近づいてきた。
「どうかしたのか?」
「すごくそそられるにおいがするの」
博士は、それはきみ自身のにおいだよと苦笑いした。女は、においの発生源に顔を近づけた。博士は、何をするのかと身構え、腰を引いた。
「ごめんなさい、いただきます」
女はそういって、博士の濡れた股間を舐めはじめた。それからズボンの極上ジュースを舐め終えたのか、博士のズボンは下ろされた。
女は、パンツの上に沁みた極上ジュースを舐めまわしはじめた。
博士は、固く屹立した男根が濡れているのを感じ、僕は、とても素晴らしい発明をしたと興奮を抑えきれなかった。
147創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 09:19:50 ID:tvfmz9hN
>>145
ああ、やっぱり気付いてしまいましたか…
長ったらしくなるので、タイムパトロール隊の包囲網をくぐりぬけるよう違法改造されたタイムマシンに乗り込むという文章を削ってしまいました…
さて、頑張ろう
148創る名無しに見る名無し:2010/10/25(月) 12:01:34 ID:93UVEq77
「よもや、これが取り外し可能になっていたなど、誰が予想しただろうな」
 そう言いながら、おもむろに自分の腕を取り外すアール氏。
「今こうして、目の前で見ていても信じられないですよ」
 アール氏の同僚が言った。
「ああ、俺自身も未だに信じられない。だがしかし、これを発見した人はすごいなあ」
「今までの人類……いや、全動物の常識を覆してしまいましたからね。もはやゼロの発見や万有引力の発見なんか霞んで見えてしまうくらい、遥かに凄い発見ですよ」
「うむ。しかしこの発見によって、便利な世の中になったものだ。腕をロボットアームに置換することによって、その場に応じた作業を従来よりも的確にこなすことができるようになった。いわば、人類の限界の壁を打ち破ったのだ」
 アール氏は自分の腕を机の上に置き、ところどころがカラフルに点滅しているロボットアームを取り付けた。
「あ、それは最近発売したコンピューターアームじゃないですか」
「お、気づいたか。これは便利だよなあ。立体映像を映さなくても、直接、脳に信号が伝わり、まるで目の前に映しだされているかのように見える。それに、打ち込んだプログラム通りに正確に腕が動いてくれる。我ながら、久々に素晴らしい買い物をしたよ」
 すると、両脚をロボットアームに置換した後輩がやってきた。
「先輩方、盛り上がってますね」
 後輩を見たアール氏は、目を丸くして言った。
「お前、両脚がロボットレッグになっているじゃないか。景気のいいことするなあ」
「実は昨日、カジノで大勝したんですよ。それで儲かったんで、奮発して一気に両脚を買っちゃいました」
「ほお、それは凄い。ところで性能はどんなもんなんだ」
 興味深気にしていた同僚が訊いた。
「うむむ。とりあえず、車はいらなくなりましたね」
 その一言を聞いて、アール氏と同僚は「おー」と驚嘆の声をあげた。
「やあ、君たち。何か面白そうな話をしているね」
 部長がやってきた。しかし、その姿には更に驚嘆の声を出さずにはいられなかった。
 思わずアール氏が叫ぶ。
「部長、どうなってるんですか! 思わず目が点になってしまいました」
 同僚も叫ぶ。
「これは凄い。さすがは部長! さぞ高かったことでしょう」
「ああ、それがそうでもないんだ。せいぜい高級車二台ぶんだよ」
「しかし凄いですなあ。胴体だけがロボットで、他は生身だなんて……。昔の人が見たら、さぞ気味悪がったでしょうなあ」
「ところで、胴体はどこに保存してあるんですか? 冷凍庫には入らないでしょう」
 後輩が訊いた。部長はよく訊いてくれたと言わんばかりの表情を浮かべてこう言った。
「胴体はだね、専用の冷凍ケースに入れて保存してあるんだ。これがまた便利でね、解凍も素早くやってくれる。自然解凍だと、いざという時に凍ったまま付けることになってしまいかねないからね」
 一同は、部長の言う、いざという時というのがいまいちよくわからなかったが、とにかく凄そうな冷凍ケースなので称賛だけしておいた。
149創る名無しに見る名無し:2010/10/25(月) 12:04:26 ID:93UVEq77
 すると、そこにもう一人の男がやってきた。首から吊るされているIDカードには、社長の顔写真と名前が記されていた。
 その場にいた全員が立ち上がり、「おはようございます」と頭を下げる。しかし、社長は別の意味で注目の的になっていた。
 部長が社長に話しかける。
「これはこれは社長、今日はどのようなご用で我が部署へ……」
「ウム。ワタシガ、シャチョウダ」
 電子音が響いた。なんと、社長は頭を置換していたのだ。
 その場にいた者たちは、誰もが不思議に思う。一人暮らしの社長が頭を置換した後、生身の頭部はどこに保存したのだろうか。この人工頭脳はきちんと処理したのだろうか。もしかしたら今頃、放置されて壊死してるかもしれない、と。
 それから数ヵ月後、アール氏はとんでもない発見をしてしまった。
 海外のオークションサイトを見ていたところ、なんと、冷凍保存された社長の生首が高値で出品されていたのだ。
「おい。あの似非社長、とんでもない奴だぞ」
 アール氏の発言に、同僚は耳を貸す。
「どうしたんだ、そんなに恐い顔をして」
「あいつ、社長の生首をオークションにかけてやがった。とんでもない野郎だ」
「今さら何を言っているんだ。君もそうしたんじゃないのか」
「何を言う。俺はきちんと保管してあるぞ」
「律儀なやつだな。売り飛ばせば結構いい暮らしができるというのに。ここの奴らは全員そうしてる。今や、効率重視の社会だ。何もかもがデジタル化された方が、うまく事が進む。
現に、この短期間での我が社は、目を見張るほどの成長を遂げているじゃないか。三桁のかけ算もできないような頭脳は、売り飛ばす時代へとシフトしつつあるのさ……」
150創る名無しに見る名無し:2010/10/25(月) 12:13:40 ID:93UVEq77
>>148
スミマセン、題名は『着脱式』です。
151創る名無しに見る名無し:2010/10/25(月) 12:30:56 ID:DyW1VstS
頭を置換してオクで売って、胴体を置換して、生身は売って……まぁ置換するほうが金かかるわな…
152灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/10/25(月) 18:50:55 ID:wA89OjkO
全身をロボット化した方が効率重視の考えに沿うのに、半分ほどは生身を残そうとする。
人工頭脳が効率化を進めてモラルが形骸化しても、サイボーグの域に留まり続けるところに彼らの倫理観が見えますね。
153創る名無しに見る名無し:2010/10/25(月) 20:04:30 ID:0VFk9gL7
最後が会話文で … で終わっていると星新一の作品っぽくなるような気がしました。
154創る名無しに見る名無し:2010/10/26(火) 20:59:07 ID:ADYnzsnM
『新しい発明品』

 エル博士が新しい発明品を開発したということで、それを世間に公表すべく記者たちが集められた。
「博士、今回開発されたものは、一体どのようなものなんでしょうか」
「うむ。この度、私が開発したものはこれである」
 そう言うと博士は、リモコン操作で壁一面を覆っていたカーテンを開けた。
 それを見た記者たちにどよめき声があがる。その記者たちの中から、一人の若者がエル博士に質問した。
「博士、これは栓のたくさん付いた蛇口にしか見えませんが、一体何なのです?」
「これはじゃな、実際に体験してみてのお楽しみじゃ。君、やってみなさい」
 博士の言われるままに、若者は一同の前で体験リポートをすることとなった。
「まずは一番右の栓をひねってみたまえ。予め、手は蛇口の下に受けておくように」
「分かりました」
 手を蛇口の下に受け、警戒しつつもゆっくりと栓をひねる若者。すると、透明の液体が流れだした。
「ただの水ですね」
「そう、ただの水じゃ。では次に、その左側の栓をひねってみたまえ」
 若者は、先ほどの栓を閉め、左の栓をひねった。
「次はお湯ですね」
「うむ。じゃが、ここからが私の新発明である。次の栓をひねってくれたまえ」
 エル博士は、立派な白の口ひげを撫でながら指示を出した。
 栓をひねった瞬間、若者の顔が急に青ざめだした。「どうしたんだ?」
 他の記者が、若者に声をかける。
「今、変な声が……。お前を呪ってやるって……」
「なに? そんな声はまるで聞こえなかったぞ」
 このやりとりを聞いて、博士はにやりと笑った。
「予想以上の反応をしてくれてありがとう、若者よ」
 若者は、はっとしたように博士の方を振り向いた。
「まさか……」
 すかさず、蛇口の下に手を差し出す若者。
「おお、今度は音楽が聞こえる」
「なに、もっと詳しく教えろ」
「どんな感じなの?」
「何の音楽?」
 記者たちが口々に若者を質問責めにした。それを静止するように博士は手をあげた。
「これこれ、君たちにも聞かせてやるよ。ただし、桶を使ってな」
 これを聞いた記者たちは、さらにざわついた。
「そこの君、桶に音楽を入れて記者たちに渡したまえ」
 エル博士は、助手に指示を出した。そして、数個の桶に音楽を入れて記者たちに手渡した。
「それを全身に浴びるなり、手を浸けるなりしてくれたまえ」
 記者たちは、エル博士の言われたように、一見空っぽの桶の中身を全身に浴びたり、体の一部を桶に浸けたりした。
「なんだこれは。本当に音楽が聞こえる」
「凄いわ。全身に浴びれば小型プレイヤーなんかいらないじゃない。画期的だわ」
「これはどのような仕組みになっているのですか、博士」
「うむ。それはだな、骨伝導と空気力学を応用したもので、予め録音しておいたものを空気中に圧縮し――」
 エル博士が得意気に記者たちの質問に答えている間、一人蛇口の前で音楽を聞いていた若者が好奇心を膨らませ、耐えられずにいた。
 もう一つの栓。これは一体何なのか、気になって気になって仕方がなかった。
 そして、皆がエル博士の話に夢中になっているのをいいことに、好奇心に負けてしまった若者は最後の栓をひねって手に浴びてしまった。
 エル博士の話は数分間続いた。そしてついに最後の栓の中身を紹介しようと、博士は若者に語りかける。
「では若者よ、最後の栓をひねってくれるかね。ただし――」
 そう言って後ろを振り返るエル博士。記者たちの視線も、エル博士から若者に移動する。
「ひゃい……」
 あまりにも元気のない声。若者が後ろを振り向き、ではひねりますよ、というような言葉を発した瞬間に一同は凍りついた。
 歯の大半が抜けた、白髪のミイラのような老人がそこに立っていたのだ。
「博士、あれは一体……」
 エル博士は目をつむり、腕組みをしながら神妙な面持ちで語り始めた。
「最後の栓は……時間。すなわち、その物質に時間を加算していくものじゃった。主に年月を要する実験などでの使用が目的じゃったが、人間が使うと短時間で老いてしまうんじゃ。こうなってしまっては、もはやどうすることもできない。
ついさっきまでは若者だった彼も、もう私よりも遥かに老いてしまった。彼のような若々しい青年をこのような形で失ってしまうとは、残念なことじゃ」
155創る名無しに見る名無し:2010/10/26(火) 22:08:14 ID:h0sTfUQo
面白かったです!
156創る名無しに見る名無し:2010/10/26(火) 22:39:26 ID:ILBLkgGK
蛇口どうしの間に関連があると落ちがついてよかったような
157創る名無しに見る名無し:2010/10/26(火) 23:09:55 ID:ADYnzsnM
ありがとうございます、参考になります。

たったの5作品ほどしか投下してませんが、一旦ネタが尽きてしまったので、また期間をおいて投稿させてもらいますね。
次はもう少し完成度の高いものを投稿したいです…
158灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/10/26(火) 23:28:15 ID:Mnvqfa7/
触れることで効果を受けるという共通事項がいいですね。
音や時間に触れるという発想が新しいです。
159:2010/10/30(土) 14:42:53 ID:nJKrltuI
「宇宙環境会議」

ある時、とある辺境惑星で宇宙環境会議が行われた。
銀河中の知的生命体が自分達の惑星の代表を、この何
も無い辺境惑星に送り込んだ。そして、生命の存在す
る全ての惑星の自然環境生命資源利用政策について各
惑星を代表する一癖も二癖もある精鋭の論客達と激論
をぶつけ合った。知能の高い動物は食べるべきか?保
護するべきか?そもそも知能の定義とは?知能の低い
高いは誰が決めるのか?命である以上、皆が等しく尊
いのではないか?そして議論は数ヶ月以上にも及んだ
が、各々の利害や哲学、果ては宗教観がぶつかり合っ
て合意には程遠い状態が続いていた…
160:2010/10/30(土) 14:43:48 ID:nJKrltuI
そして業を煮やした様に、突然に不慮の事故が起こった!
各惑星の代表団をこの辺境惑星まで乗せて来た宇宙船が誤
作動を起こして太陽に突っこんでしまい、消し飛んでしま
ったのだ…幸い死者は出なかったが、つまる所全員が、こ
の辺境惑星に閉じ込められてしまったのである。テロを警
戒して会議の場所は伏せられた上に念入りな情報操作が行
われていた為まず救助は来ないだろう…。
非常用の食料はすぐに底を尽きた…そして…
原始的で野蛮で熾烈な生存競争がこの星ではじまったのだった。

後に地球と呼ばれるこの星で(笑)
161創る名無しに見る名無し:2010/10/30(土) 15:03:16 ID:nJKrltuI
どでしょう?
162創る名無しに見る名無し:2010/10/30(土) 15:14:34 ID:uzy0hnGe
なかなか楽しく読ませて頂きましたが、オチをもう少し丁寧に仕上げた方がいいかなと思いました。
163創る名無しに見る名無し:2010/10/30(土) 15:44:31 ID:E63BVtjd
このスレ面白いな
164創る名無しに見る名無し:2010/10/30(土) 21:08:09 ID:yYWeOmS5
男は街中を散歩していた。
町の様子を観察しながら歩いていると、通りの向こうに博物館を見つけた。

「博物館か。時々歩いていた道なのに、どうして今まで気付かなかったのだろう」

近づいてみると、古く薄汚れた博物館の入り口にはポスターが貼ってある。
ポスターには『人の歴史展』。
長年置き去りにされたかのように黄ばんで変色している。

チケットを買って中に入る。
いくつかの部屋を回ってみるが、男の他には一人の姿も見えない。
展示物は、石器から、民族衣装、工芸品、絵画、武器兵器、雑誌・本、各種家電、etc……、果ては宇宙服。
順路に沿って年代順になってはいるが、
ありとあらゆる時代・国のものが乱雑にガラスケースに収められている。

「テーマが広すぎるんだ。何でも置けばいいってもんじゃない」

ぶつぶつと文句を言いながらも、男は最後の部屋にやってきた。

一番奥のケースの中には壊れた腕時計がある。
時計は、熱か衝撃かわからないが、ぐにゃりと歪み、風雨に晒されたかのように錆ついている。
男がどこか見覚えのある腕時計だと思って見ていると
それが、今、自分が着けている腕時計だと気がついた。

限定品の時計で、側面に刻まれたシリアルナンバーも同じだ。
男はケースと自分の腕時計を見比べる。
今は確かに動いているが、これが止まるのはいつだろう。

部屋は行き止まりで、どこにも出口は見当たらない。

壁の向こうから爆発音が聞こえた気がした。

内ポケットから煙草を取り出して火をつける。
煙を吐き出しながら、男は世界の終りを待つことにした。
165創る名無しに見る名無し:2010/10/30(土) 21:28:46 ID:fIh5CIgP
雰囲気うまいな。空気がきれい
でも星新一っぽくはないかも
166創る名無しに見る名無し:2010/10/30(土) 22:18:39 ID:uzy0hnGe
>>164
人のことは言えないけど、文章力は並みだと思う。
でも、ストーリー性に凄く才能を感じた。
こんなクオリティを保てるなら、一度公募に出してみるといいよ。
次回作も楽しみにしています。
167創る名無しに見る名無し:2010/10/31(日) 00:17:54 ID:ZyKmguK4
>>160
逆ノアの箱舟
168 ◆PDh25fV0cw :2010/11/07(日) 23:20:18 ID:5DG5VIDJ
なんか人が居ないので投下
『生まれ変わり』
人の気配のない、暗い森。月や星は雲におおわれ、光源となるものは青年の持つ小さな懐中電灯だけ。
自殺の名所であるこの森に、青年がやってきたのはやはり自分の人生を絶つためだった。
ナップサックから縄を取り出し、太い木の枝に結ぶ。
これで後は首をつるだけとなったとき、後ろから小さな物音がする。
驚いて振り返ると、小さな白いウサギが佇んでいる。
「あんたも自殺するのかい?」
ウサギは青年にいきなり話しかけた。青年はいきなりのことに面をくらい、声も出ずただただ呆然とした。
しかし、自分が狂っていたとしても後は死ぬだけだ、何の支障もない。最後に話したのがウサギというのも面白いではないか。何の面白みのない人生だったが、最後に面白いものに出会えたものだ、と自分を納得させた。
「ウサギがしゃべるとは、なんとも奇妙なことがあるものだ」
「それはそうでしょう、私は元々人間だからな。2年ほど前にここで自殺をした者だよ」
「なるほど、転生というものですか。ということは、私も死ねば何かに転生するということですか」
「そういうことになるな」
青年はウサギの前に座り、少し考える。
青年は虫が嫌いだ。もし虫に転生することを考えただけでも恐ろしい。できれば目の前のウサギのようなものになりたい。
「転生をあやつることはできないのか?」
「転生は人生の残量に左右されるそうだ。君はまだ若いから人間になるかもな」
冗談ではない、人間として暮らすことがいやで死ぬのだ、自殺して人間に転生したら意味がない。
「どうにかならないものなんですか?」
「人間に死後の世界はいじれないさ、諦めることさ」
しかし、そう簡単に諦められるものでもない。何度も何度もウサギに頼み込む。はたから見ればずいぶん滑稽な光景である。
「そこまで言うのならしょうがない。森の奥に賢者がいるから少し待っていてもらえるかな」
そういって森の中に消えるウサギ。しばらくすると、小さな瓶を二つ持って帰ってくる。
液体が入ったものが一つ、紙が入ったものが1つ。
「これを飲めば転生せずに死ぬことができる、もう一つが死神の契約書だよ」
ウサギは紫色の液体と、見たことの無い文字が書かれた紙とペンを渡す。
「死神の契約書とは、すごい賢者もいたものだ」
契約書に名前を入れ、薬を開ける。特になんの匂いもしてこない。
「本当に後悔しないかい?」
「いいや、しないさ。自分で死ぬのだから」
ぐいっと一気に飲み干す青年。しばらくすると、気を失い地面に倒れ込む。
「やれやれ、薬を飲んだか」
森の奥から一人の男が現れる。老人にも、中年にも見える、なんとも不思議な感じの男だ。
彼は足元のウサギの機械を止めると、青年を担いで森の奥に向かう。
そして、森の奥の隠し扉を抜けそこに青年を置く。
「やれやれ、こんなと年齢で死のうとするとは勿体ない」
男がつぶやく。すると声に反応したのか、青年が目を覚ます。
「ん?ここはどこですか?」
男は大仰に答えた。
「ここは地獄だよ。転生せずに死んだのだ、ここで労働をしてもらうことになる。契約書にサインはしたのだろう」
「なんと、そういう契約書だったのか。これなら転生した方がましだった」
嘆く青年。これで青年は、”死ぬまで”ここで働くことになる。死後の世界から逃げ出そうと考える人間もいないだろう。
死後の世界というものは、便利なものだ。
169創る名無しに見る名無し:2010/11/08(月) 22:27:28 ID:Vnx01JFC
「ない!」

ある日、宇宙人が偶然地球を発見し天から降りて来た。宇宙人の科学力は人類
文明を遥かに凌駕していた。人類は宇宙人の科学力が羨ましくなり、宇宙人達
の星に留学させてくれと頼み込み、宇宙人もそれを快く受諾した。そして留学
生には地球でトップクラスの知性を持つ天才学者ばかり7人が選ばれた。それは
科学者・政治学者・環境学者・医学者・文学者・軍事学者・宗教学者である。
そして星の旅に出て20年後に彼らは地球に帰還した。彼らの成果を紹介しよう。

科学者…持ち帰った成果によって地球の文明水準を一気に10世紀分進歩させた。
     なんと様々な霊魂の存在も証明し全世界に衝撃を与える。
政治学者…持ち帰った成果での社会政策により世界の全犯罪発生件数をほぼ0%以
      下に減少させる事に成功。また神業的な雇用システムを考案し貧困
      ・失業の概念を全世界から消滅させた。
環境学者…全宇宙の生態系データバンクを持ち帰る。バンクに保存されてい
      たデータを利用して破壊された地球の生態系を完全に復元する事に成功。
医学者…持ち帰った成果によって「病気」の概念が消滅。急増する精神病の
     カウンセリングに生涯を捧げる。
軍事学者…持ち帰った成果によって世界の全ての戦争・紛争を一人の犠牲者も出さずに
      約一週間で終結させる事に成功。
文学者…科学者との共著「30分で解る!地球生物に霊魂が存在しない理由」が全世界でベストセラー。

宗教学者…帰還後、自殺。
170創る名無しに見る名無し:2010/11/09(火) 18:34:17 ID:a2tlF8PN
>>168
これは面白い。オチを理解するのに少し時間がかかりましたが、星さん的なオチで良かったと思います。

>>169
発想はとても良かったと思います。ただ、これをもっと小説っぽくすればなぁ…と。
171創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 19:55:07 ID:XGElNgFL
「神様」

ここは西暦2450年の世界。既に人類は前世紀からの核戦争によりほとんど死に絶えている。生き残ったものたちは、
一つの大きな都市に集まり辛うじて生き延びえていた。もちろん、犯罪は蔓延り、至るところで殺人や強盗が起こっていた。
弱肉強食の社会となり、民衆が組織した武装集団の前に警察は無力化していた。このような終末思想が蔓延する暗黒世界の中では、
もはや誰も神の名すら口にするものも居なくなっていた。

 そんな折突如、上空が眩いばかりの光につつまれた。そして白いひげに、白い立派な杖を持った老人がゆっくりと空から降りてきた。
その神々しく輝く姿を目にした人々は口々に、「神様だ!」と叫び出した。跪くものや感激の余り涙を流し喜ぶものいる。神様はゆっくりと喋りだした。
「わしはずっと雲の上から皆の者を見守っておった。もうこれ以上無益な争いは止め、お互いを尊重し平和に暮らすことを目指したまえ。」
人々は初めて、これまで自らがどれだけ馬鹿な争いをしていたかを思い知らされた。もう隣人同士争う時代は終わりを告げたのだ。
同じ一つの神を信じ団結することで、ついに人類は平和な社会を築くことになるであろう。
歓喜の聴衆に見送られながら、白い杖の神様は優しい笑みを湛え、ゆっくりとまた雲の中へと消えて行った。

白い杖の神様が雲の中の世界へと戻ると、1枚の伝言文が机に置かれてありこう書かれてあった。
予算が下りないために惑星地球実験は終わりになった。実験台は即刻廃棄処分せよ。
白い杖を放り出しながら老人はため息混じりにつぶやいた。
「せっかく神様が人間の前に現れ平和になるかの最終実験だったのに」
172創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 21:28:32 ID:5tBL66RX
なんかこういう教義の宗教ありそうだな
173創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 21:44:49 ID:XGElNgFL
>>171
題名は「平和」の方が分かりやすかったかも
174:2010/11/10(水) 21:49:20 ID:Y+K+oJIs
俺は空飛ぶスパゲティモンスター教一筋だから関係ないな
175創る名無しに見る名無し:2010/11/12(金) 22:51:11 ID:PdScG/qt
>>171
2450年と固定するのは星らしくないかな、と
17694:2010/11/13(土) 22:48:11 ID:0eQaY+h9
すごい久しぶりにショートショートの新作を考えた。
授業中に書いた。クオリティは保証しないんだぜ!

 会員証

 その飲食店は、目立たない路地にひっそりと建っていた。決して大きい店ではないが、それがかえって知る人ぞ知る名店といった印象を与えた。
 しかしその店を知っていても、食事をすることは容易なことではなかった。
 その店で食事をするには、会員証が必要だったのである。
 ある日、男がこの店に立ち寄った。
「ここで食事ができるか」
「はい。ですが、普通の方はご遠慮させていただいております。会員証をお持ちの会員でなければ」
「なんだ、この店は会員制だったのか」
「さようでございます」
「では会員になるとしよう」
「無理でございます」
 それを聞いて、男は怪訝そうな表情を浮かべた。
「会員でなければ食事ができない。しかし肝心の、その会員になれないとは。おかしい。矛盾しているぞ」
「いえ、そう早合点なされては、困りますな。つまり会員証の数をそれほど多く作ってはいないのです。会員の人数がとても少ないわけですな」
「そんなことで儲かるのか」
「ええ。おかげさまでね。会員の方はみな、大金を置いていっていただけるので」
「なるほど、大金を払うだけの価値がある料理、というわけだな」
「そうなりますかな」
「仕方ない。出直そう」
 そう言って、男は帰っていった。

 数日後、店に再び男が現れた。
「どうだね、これで食事ができるだろう」
 男が出したのは、高級感のある金色のカードだった。
「たしかに、我が店の会員証ですな。どうなされました」
「大金をはたいて、会員の者から買い上げたのだ。きちんと会員の権利を譲るとの証明もある」
「証明書の証明というわけですな。よろしゅうございます。しばらくお待ちください」
 店主がいったん、店の奥へと消え、しばらくしてから戻ってきた。
 ただし、店主の手にあったのは、料理ではなく、拳銃だった。
「なんの冗談だ、わたしは食事をしにきたのだ。冗談につきあうつもりはないぞ」
「いえ、これが商売なのです。普通に会員を作ったのでは儲けはそうでません。しかし、料理がうまいとちらつかせる。つまりえさですな。そして、あなたのような方が大金を払ってまで会員証を手に入れるわけです」
 そう言って、店主はポケットから男が持っているのと同じカードを取り出した。
「あ、つまりわたしに会員証を売ったやつ。あいつもぐるだったのだな。よくもだましてくれたな」
「いえ、わたしは嘘は申していません。しかし、あえて申し上げるなら……」
 店主はなれた手つきで拳銃の引き金を引いた。
「わたしは本当は料理が下手なのです」
177創る名無しに見る名無し:2010/11/13(土) 23:03:17 ID:QoBsFb08
>>176
おもしろいし内容もわかりやすくて星っぽい
178創る名無しに見る名無し:2010/11/14(日) 01:16:04 ID:nkCkWEer
ちょっとした言い回しとか、細かいところが星っぽくていいな
きれいに落ちてるし
179創る名無しに見る名無し:2010/11/14(日) 12:50:49 ID:tbCIzMal
>>176
すごく面白い!授業中に書いたクオリティとは思えないですね
言い回しなども星さんらしくて、オチも素晴らしいものだと思いました。
180創る名無しに見る名無し:2010/11/15(月) 02:09:38 ID:2p6NrMHk
>>176
面白い
あなたと結婚したい
181創る名無しに見る名無し:2010/11/15(月) 12:06:33 ID:8gcEUQTF
一万年と二千年前から愛してる〜
182創る名無しに見る名無し:2010/11/16(火) 22:58:27 ID:rHBjiLn0
>>108やー、凄い。
上手ですな。。
183創る名無しに見る名無し:2010/11/16(火) 23:53:53 ID:obA7G3wU
ぱっと書きました。




「滅亡計画」


 近い将来、小惑星がぶつかって地球が滅亡するとのニュースを耳にした人々は、我先にと安楽死の薬を求めていた。男たちは安楽死の会場で働く係官である。人々に安楽死の薬を手渡す業務を担っていた。
「早く死なせてくれ」
「楽に死にたいわ」
 人々はそう口にした。会場には日夜行列が並び、地球の人口は着実に減少していた。家族で薬を手にする者、恋人と共にこの世に別れを告げる者。会場は涙と嗚咽に包まれていた。
 そして、ついに最後の一組が会場に並んだ。背の曲がった老夫婦で、二人で手を繋いで静かに頬を濡らせた。
「あの世でまた会おう」
「ええ、あなた」
 老夫婦はそう呟きあうと、瞼を閉じて息を止めた。係官たちが二人の遺体を運び出した。すると、会場の裏口からぞろぞろと人がわいて出てきた。
「やっと終わりましたか」
「そのようですな」
「いやはや、長かった」
 その人間たちは得意げに髭を撫で、軍服の勲章を光らせていた。
「やっと、邪魔な愚民どもを掃除できました」
 男たちは部下に命令してニュースの放送を止めさせた。


184:2010/11/17(水) 00:37:30 ID:LDWxaTRK
地球最後の日がくるとしたら、俺はのんびり本でも読んでその日は過ごしたいなぁ
185創る名無しに見る名無し:2010/11/17(水) 12:02:45 ID:5GKARDmp
「明日、文理選択用紙の提出だぜ。お前どっちにすんの?」
Tは横のせきのRに聞いてみた。Rが文系を選択していることは知っていたが声をかけた。
「文系にしたけど。」
透き通ったアルトの声。Tはこのアルトがすきだ。
Tは音に詳しくない。だからアルトもソプラノも違いがわからない。しかしRの声だけはアルトだとわかった。
「生物とってるコはほとんど文系よ?考えるだけバカね」
「馬鹿野郎、将来に関係することなんだぞ」


「あー」
無人の体育館に声が響く。
Tは将来何になりたいのか、考えた。
小学生3年からTはバスケをはじめた。その頃はNBAの選手になりたかった。というよりなれるだろうと思っていた。
中学に入ったバスケ部では自分がNBAになれないことを知った。最終年レギュラーにはなれたが、Tは明らかにその中では1番下手だった。それをT自身も気づいていた。
高校でもバスケをしている。
決して強くない部だが、Tは最終年レギュラーになれるかわからないくらいの実力だ。
そういいつつTにはバスケしかないからいまもこうしてシュートをうつ。やっぱり、Tはバスケがすきなのだ。
ガン、とリングにあたり外してしまった。
「お前、文理選択どうすんの?」
後ろからそう言ったのはKだ。Tと同じクラスで部活も一緒。
Kは身長もありバスケの技術もトップクラスで2年にまざってレギュラーを張っている。
また、ひいき目なしにもコイツと1番仲がいいとTは思っている。
「今イロイロ考えてんだよ。Rのやつ、考えるのが馬鹿とか言いやがった」
ぱしゅ、今度のシュートは入った。
「ハハハ。Rちゃんはお前のことお見通しなんだな。ちゃんと考えないと、なんて言ったらお前テキトーに考えるもんな」
Kはふんふんと頷きながら言った。
「そんなんじゃねーよ」
確かにそうだと思ったけど、うんと言うのは悔しかった。


翌日、先生の乗る電車が遅延したため1時間目は自習だった。
「何やってんだ?」
Tはノートを凝視するRに問うた。
自習の時間Rが勉強しているところをはじめて見たからだ。
「いや、なんでもないの」
Rは表紙が虹色のノートをサッと机の中に隠した。
吸い込まれそうな虹色だった。
「で、T。あんた文理どっちにしたの?」
Rは平然を装いTに質問した。
「あぁ、文系だよ」
Rはホッとした表情を浮かべた。
「来年も同じクラスなれるかもね」
予想外のRの言葉にTはあぁとしか返せなかった。
186創る名無しに見る名無し:2010/11/17(水) 12:05:37 ID:5GKARDmp
つづき


放課後のバスケはいつもより楽しかった。進路のことが少し決まりラクになったのかも知れない。
部活がおわり水道で顔を洗っているとKがTに声をかけた。
「なぁT、おれRちゃんがすきだ」
「おれもすきだ」
Tは反射的にそう返した。
「悲しいけどさ、Rちゃんも多分、Tのことがすきだ」
Tは1番信頼しているKの言葉で決心した。
Rが所属する水泳部が使う室内プールにはまだ明かりがついていたのでTは教室に来いとメールをして着替えた。


「や、待たせたね」
Rが髪をタオルでガシガシ拭きながら教室に入ってきた。
「R、おれ、Rのことがすきなんだ。つきあってくれ」
Rはエッという表情をしてしばらく黙り込んだ。
そしてうん、と呟いて机の中からあの虹色ノートをとりだした。
「T、これをみて。」
ノートにはTがたどってきた人生がびっしり書いてある。
しかし、今日の日付で文系を選ぶと書いてある下には何も書いていない。
「わたし、未来から来たの。あなたの未来をかえるため」
Tは本気で夢だと思って自らの頬をつねったが嫌な痛みが残るだけだった。
「T、あなたは死ぬのよ、22歳で。原因は言えないけど。だけどあなたは死んではいけない人だった」
Tは、死ぬと言われてもさっぱりRの話が理解できないが自分なりに考えてRに聞いた。
「つまりはおれに死なせないためRが来たのか」
「そうよ。だけどね、この先が消えているの」
Rは心配そうな表情で言った。
「おれさぁ、告白したんだけど」
Tは続ける。
「おれが告白したから、未来がかわったんじゃないか?それで未来がかわったからもう帰るとか言わないでくれよ」
Rは切れ長の目で正面からTを見て言った。
「わたしは未来が変わろうと変わらまいとこれからもこの世界で生きるわ。死ぬまで。わたしもTがすき。」
TはRの顔を見ず、正確には見れずありがとうと言った。



廊下の壁によりかかり虹色ノートをもった背の高い男はフフッと笑った。
「わりぃなT。Tのことは大好きだ。だけどお前に死んでもらわなきゃおれは生まれないんだ。」
187創る名無しに見る名無し:2010/11/17(水) 19:49:57 ID:buvGnEnU
>>186
面白かったです。
でも、全く以て星作品っぽくないけど気にしないんだぜ
188176:2010/11/17(水) 21:46:20 ID:thu9qJbz
>>177
>>178
>>179
>>180
みなさんありがとうこざいます!評価されて嬉しいんだぜ!
189創る名無しに見る名無し:2010/11/18(木) 21:44:34 ID:VUHQA69y
つまらないかもしませんが
「忘れたいこと」
長年の研究の結果、エフ博士はようやく忘れたいことを忘れさせてくれる薬を完成させた。
「俺が若いときさんざんいじめてきた、エヌ教授、おれを侮辱した同僚のエス、俺を振ったオー、俺を不快にさせた奴の記憶をすべて忘れるのだ。」
エフ博士はそういって、その薬を飲みました。
「ほう、これはなんともすがすがしい気分だ。やっと不快な記憶から解放された。こんな薬を一人占めするのはよくない。
どれ、あいつらにも分けてやろう。」
エフ博士は友人に電話をかけました。
「やぁ、きみか。かくかくしかじかの薬を開発したんだが、ためしてみるかね?」
「なに、そんな薬を・・・。ぜひ、頂こうか。」
こんな具合に博士は次々と友人たちに薬を分けてゆきました。
   1週間後
「ふむ、退屈だ、なにか面白いことは・・・。そうだ、久々にあいつらと飲みに出も行くか。」
エフ博士は電話をかけはじました。
「やぁ、エフだが。どうだい、久しぶりに飲みにでも行かないか?」
「どちらさまでしょうか?いま忙しいのですが・・・。」
「おい、きみ、冗談はよしたまえ。エフだよ、エフ。」
「エフ?申し訳ありませんが、エフという名は記憶にありません・・。人違いではありませんか?」
「もういい、なんとふざけたやつだ。大学時代からの友人に対して失礼にもほどがある。」
怒り心頭のエフ博士は別の友人に電話をかけました。
「やぁ、きみかね。エフだが、どうだい、今晩一緒に飲もうじゃないか。」
「エフ?いったい誰?」
「きみまでそんなことを・・・。」
エフ博士ははっと気付きました。
「まさか、あの薬で・・。」
その後もエフ博士は友人に電話をかけてゆきましたが、誰一人としてエフ博士のことをおぼていないのでした。
「まさか、友人とばかり思っていたあいつらのわすれたいことが俺自身だったなんて・・・。こうなったら・・・。」


「エヌ教授、聞きましたか、エフ博士のこと・・。」
「ああ、記憶喪失だそうだな。エス君、きみとエフ君とは大学時代から互いに切磋琢磨して研究に取り組んできたから、辛かろう。」
「エヌ教授こそ大学時代にあれほど熱心にエフ博士を指導してきたのですから。」
「オーさんもひどくショックを受けてるそうだね。」
「しかし、エヌ教授、エフ博士と仲良くしていた連中がだれもエフ博士のことをおぼえていないというのですが。」
「妙な話だが、その程度の間柄だったというこどだろう。」
190創る名無しに見る名無し:2010/11/19(金) 08:21:10 ID:GgGiIdv2
>>189
地の文は星さんっぽくないけど、ストーリーや落とし方、会話文は星さんっぽい。
つまらないどころか面白かったです
191創る名無しに見る名無し:2010/11/19(金) 17:33:33 ID:icEZuwXQ
「夏の少女」

その少年は治療薬のまだ見つかっていない重い病気にかかっていた。そして調度夏休みに
なろうとしていた頃、病状が悪化してしまい、郊外の静かな場所にある病院に入院を
していた。1日のほとんどを、友達とも遊べず病院のベッドで過ごす辛い日々であったが、
気分転換のために午後はよく散歩に出かけることにしていた。夏の美しい花や木々を見る
ことで華やかな気分になり、日々の憂鬱な気分も解消されるので少年はこの散歩が大好き
であった。
ある午後いつもの散歩に出かけていると、山道で足を踏み外してしまい急な斜面から転落
してしまった。どれくらい意識を失っていたのだろうか。気が付くと辺りは既に濃い夕闇
が迫っていた。何十メートルという斜面を滑り落ちたのにも関わらず、幸運なことに怪我は
かすり傷程度であったらしかった。ふと少年が気付くと、側にとても綺麗な女の子が居た。
年は同い年か少し年上くらいだろうか。
「大丈夫なの? あなたを見つけたからここで気付くのを待っていたのよ」
「うん、大丈夫。でも早く病院に帰らないといけないよ」
少女は優しい笑顔で、「心配しないで、私に付いてきて」と言って病院までの道を導いてくれた。
別れ際に少年は「また会える?」と聞いてみた。
彼女は「うん、私もよくここに散歩に来ているのよ」と笑って答えた。

少年はそれ以来、少女と遊ぶようになった。少女と出会って以来、以前とは見違えるほど
彼は元気になっていった。それまで友達と遊ぶことも出来ず、厳しい闘病生活を送ってきた
少年にとっては生まれて初めて感じる幸せだった。医者は信じられないといった様子であったが、
症状が改善したのでもう退院してもいいと言った。しかし彼は少女と離れ離れになるのを
寂しく感じ、まだ病院から退院したくない気持ちであった。
192創る名無しに見る名無し:2010/11/19(金) 17:37:09 ID:icEZuwXQ
ある夜、少年がベッドの上で寝付けないでいると、窓の外に人影を感じた。乗り出して
よく見てみると、遠くから少女がこちらを見ているようであった。少年は急いでベッド
から飛び降り病院の外に出てみたが、辺りに少女の姿は見つけられなかった。少年は気に
なって彼女の名前を読んでみた。すると遠くで何か手招きをしているような彼女の姿を
見つけた。彼は少女の後を追いかけ、どんどん森の奥に入っていった。しばらく歩くと、
また彼女の姿が見えなくなった。どこに居るのだろうと彼は辺りを見渡してみた。
すると以前この場所に来たことのあるような記憶が蘇ってきた。そうだ、あれは彼女と
初めて会った日、自分が足を踏み外し転落してしまった場所であったと少年は気が付いた。
目を凝らしてみると、誰か2人の人影が近くに居るようであった。 よく見てみると、
一人は彼女であった。そして側に横たわって動かないもう一人、それはあの転落した
時の自分自身の姿であった。その時急に体が軽くなるような感覚を感じた。少女が少年を
導くようにゆっくりと手を差し出してきた。彼は幸福と優しい愛に包まれるのを感じながら
彼女の導く光の中へと入っていた。
193灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/11/20(土) 01:34:06 ID:MUEY6lEC
淡い雰囲気が素敵ですね。
オチのその後はどうなるのか気になりました。
194創る名無しに見る名無し:2010/11/21(日) 22:00:26 ID:0L6mNEGY
ヨーロッパの方の古い童話みたいだな
195上・下  で分割して下さい :2010/11/22(月) 00:10:09 ID:BHhv7IQE
「幸運な侵略者」
地球に巨大なUFOが飛来した!全世界がパニックに陥た。全人類がUFOに乗っているのは黙示録の悪魔
なのか、光輝なる訪問者なのか?湧き上がる希望や恐怖を胸に抱き固唾を呑んで様子見をしていた …そ
してUFOの扉がゆっくりと開く…奥に人影が写る、全世界がTV中継する中、一人の宇宙人が歩いてくる…
着ている服(?)こそエキゾチックで奇抜なイカニモな宇宙人だが、外見は普通の人間だった。
しばらくして、宇宙人と人類との貿易も活発に行われる様になっていた。宇宙人の製品はなぜか特段発
達している訳ではない、だが不思議な安らぎ感を呼び寄せるらしい。宇宙人はなぜか皆おっちょこちょ
いでドジっぽかった。数年後、そしてとうとうその日は訪れた。
宇宙人『私達は母星に帰らねばなりません《中略》今まで本当にありがとう!さいなら!』
はじめは不審がっていた連中もこのスピーチを聞き終わる頃には皆、涙を流して感動しその別れを惜しん
でいる。彼らの残したモノは計り知れない恩恵を人類に与えてくれたのだろう。製品の使用者達は口々に
こう言っている 『何か暖かくて優しく偉大で器の大きな存在に魂が吸い寄せられるような安らぎを覚える』
と…そして宇宙人達は決まって雀の涙程の僅かな報酬しか受け取ろうとしなかった。それでは悪いので何
かさせてくれと言うと『ではこの日の幸運を全ての人類の皆様から感謝を込めていただきます』等と言う
ばかりで何も受け取ろうとしなかった、何と無欲な人々だろうと人類は感心するばかりだった。そんな良
き隣人と別れねばならないのだ悲しいに決まっている。全世界が喝采を浴びせながらUFOを見送った。
196上・下  で分割して下さい:2010/11/22(月) 00:11:38 ID:BHhv7IQE
数ヶ月後…
世界中の銃が一斉に暴発を始め各国の危険国境地帯で紛争が再燃!同時に世界中の電子機器
が誤作動を起こし軌道計算を誤った各国の人工衛星が玉突き衝突して、その内の幾つかがジャングルに
墜落し大規模な森林火災が発生!耕作地にも燃え広がり大飢饉と原因不明の疫病も大量発生!同時に
大地震と大津波が世界で同時に発生し地盤沈下で道路もメチャクチャに交通事故・二時災害が多発!
更に世界中でテロリズムが蔓延し紛争が拡大、世界大戦への恐怖からか大恐慌と大暴動が世界を覆う。
まるで幸運の女神の一族が大挙して地球から夜逃げでもしたかの様な世界…そして、しばらくすると
学会の権威であるif博士がとあるショッキングな仮説を提唱した。
if博士『…確率…つまり幸運…信じがたい事にそれらを…何というのか、その…何というか…
    簡単に言うと「奪い取って」しまうテクノロジーが存在しているのです…きっとそれ
    はあの宇宙人達に与えられた安らぎ製品が皆さんの幸運をUFOへと吸い上げていたの
    ではないでしょうか?』
助手氏『一部で、この説は非常に話題になったのだが、学会講演の前日にif博士は強盗に襲わ
    れて帰らぬ人となり、犯行直後偶然にif博士宅落ちた雷によって強盗もろとも全焼し、
    論文も灰燼に帰してしまったのである。 そろそろ私も海外へ逃げなければ…博士
    の推論が正しければアトランティス地方が水没するのも時間の問題だろう。』
197創る名無しに見る名無し:2010/11/22(月) 00:33:42 ID:tVpCYLkz
小春日和の公園で、男の子が泣いていた。抱き起こし
「誰かこの子しりませんかー!?」
向こうから顔を真っ赤にして3年生位のお姉ちゃんが走ってきた。
「弟をありがとうございます!お礼に私の宝物、未来の観えるB玉をあげます!」と、
「君は?観ないの?キレイだなあ・・・ホントに?」
「・・・もう見たからいいの」
差し出した彼女の指からB玉はスルリと落ちて排水溝に落ちていった。一瞬顔を見合わせた。
カツーンカツーン・・・ああ、もうすぐ午後の仕事の時間だ。
198創る名無しに見る名無し:2010/11/28(日) 15:39:55 ID:wilzUaLn
 ひと聞きの悪い話だけど、あなたはいまネットオークションで詐欺を企んでいる。
でもあなたはまだなんの評価も持っていないから、このままでは高額の出品に入札してくれる
お人好しは現れそうもない。
かつては仲間内で評価をかさ上げすることもできたけれど、いまは特定の相手から
繰り返し評価を受けることは認められなくなった。抜け道がないわけでもないだろうけど、
もっとも簡単なのは、小額の出品を繰り返し、まっとうに商売をして地道に評価を獲得して
いくことだ。
このようにして高い評価を得ると、高額な商品を出品できるようになるばかりか、同じ
商品でも高い値段で落札されるようになる。オークションの参加者は、良心的な業者と
取引できるならすこしぐらい余分に払ってもいいと思っているのだ。
こうしていよいよ、詐欺を働くには十分な評価が手に入った。いまなら液晶テレビなどの
高額商品を出品し、入金されたとたんに全額現金で引き出して逃げることができる。
でもその頃には、オークション業者としてそれなりの利益を出すことができるようになって
いるはずだ。
こうしてあなたは、ふたつの選択肢の間で悩むようになる。
ひとつは、予定どおり詐欺を実行して即座に大金をつかむこと。だがもし捕まれば、
刑務所に放り込まれるかもしれない(ハイリスク・ハイリターン戦略)。もうひとつは、ここまで
獲得した高い信用度を利用して、安定したビジネスをつづけること(ローリスク・ローリターン戦略)。
これはもちろん本人次第だけれど、ほとんどのひとは後者を選択するはずだ。ひとの
心理は、損失が生じるとハイリスクを選ぶ(挽回しようとする)けれど、収益を得ている局面では
ローリスクを好む(保守的になる)。でもそれ以上に、あなたにはもっと大きな誘引がある。
このまま商売をつづけてより高い評価を獲得すれば、将来、より大掛かりな詐欺をはたらく
ことができるのだ。
ところでこの話は、じつは終わりがない。次の機会もあなたはこのふたつの選択で悩み、
やはり正直を演じることを選ぶだろう。そしてその次の機会も……。このようにして悪意の
ある人間は、悪意を持ったまま、善人として一生を終えることになる。

引用:残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 橘玲 241頁

創作でない上に小説でもなくて申し訳ないが、「雄大な計画」みたいでおもしろかったから
引用してみた。
星さんだったら、どんな風に作品にしたのかな。
199創る名無しに見る名無し:2010/11/29(月) 19:51:52 ID:O54gqxFT
過疎っているみたいなのでクオリティ低くても投下

ダイエット 

ある国では肥満が深刻な問題となっていた。いわゆるメタボリック・シンドロームというやつである。老若男女問わず不健康な食生活をしており、このままでは有能な人材や労働者がすぐに病で
死んでしまうであろうから、この状況の改善は急務であった。

その国の国王は家臣を集め会議を開くことにした。

「諸君、今日集まってもらったのは、我が国の国民の健康問題に関してである。なにかいい策はないものだろうか?」

とはいうものの、個人の健康管理の問題であるため、国が管理するなどということは困難であり誰もいい改善策が浮かばなかった。

そこに、何者かが国王に謁見を求めてきた。なんでも国民のメタボ体質を改善する装置を開発したという。

国王は早速その者に会うことに決めた。

「やぁ、やぁ、これはこれは、国王。私はエフと申す者でしてこのたびは国王が国民のメタボ体質に頭を悩ませていると伺いまして・・・」
「前置きは結構だ、さっそくその装置を見せてもらおうか。」
「もちろんでございます。」そういってエフと名乗るものはなにやら時計のようなもの取り出した。
「なんだ?これは。ただの時計じゃないか、こんなものがなんの役に立つというんだ。」
「いいえ、これはただの時計ではございません。これを身につけていると、自分がいつ本当に空腹を感じているかや腹八分目食べたことが分かるのでございます。」
「そんなことで、国民の体質が改善できるのかね?」
「効果は保証しましょう。太っている多くの人間というのは真の空腹感というのがわかっておらず、無意味に際限なく食べているのです。この装置によって空腹感や腹八分目が意識される
ことで食生活は規律あるものとなり、体質を改善できるのです。実際に先進国のA国でも効果をあげているのです。」
「まぁ、何もしないよりはましかもしれぬ。よし、早速、その装置を普及させよう。」
「そのことなのですが、国王。私は実はT会社の研究員でして・・。本日国王にお会いした理由というのはこの装置の効果を説明するためとこの装置の販売許可をいただくためなのです。」
「なんだそんなことか、かまわん。さっさと販売開始するがいい。」
「本当によろしいんですね?」
「かまわん、なんなら国を挙げてこの装置を宣伝してやろう。」

その日からというものテレビでは大々的にこの装置のことが報じられ、コマーシャルには国王自ら出演するなど、あっというまにこの装置は普及していった。
効果は素晴らしいものであった。国民の食生活は改善され、体脂肪率はみるみる減少していった。

この素晴らしい効果には国王も大喜びであった。しかし、喜んでいる国王のもとに多くの人々が訪ねてきた。

「国王、あの装置は一体どういうことですか。」やってきたのは主にジャンクフードやお菓子などを扱う会社のものたちであった。
「何だ貴様らは、いきなり。無礼だぞ。あの装置は素晴らしい発明品だ、なんの文句があるというんだ。」
「わたしたちは食品会社の者なのですが、あの装置が普及してからというもの商品の売り上げが激減して参っているのです。」
「なに?そんなことが・・・」
「ええ、このままではわたしたちは会社をたたまねばなりません。」
国王は頭を悩ませたが、どうしようもないことは分かっていた。
「ひとつの会社がおおきなせいかをあげれば自然別の会社は淘汰される運命にあるのだ、すまないが我が国ではお前たちの会社の経営は不可能だろう。どこか別の食に困っている貧困国にでも
行ってみるのはどうだろう?」

国王の支援をうけてその食品会社は貧困国に市場をもとめた。はたして、経営はうまくいった。安価に原料を仕入れ、安く栄養価の高い食品を提供してくれるこの会社は大きな利益を上げた。

その会社の経営者が嬉々としている他方で、その貧困国の国王は頭を悩ませた。国民の健康が問題となったのである。

そこに何者かが国王に謁見を求めてきた。
「わたしはエフというものですが・・、〜という装置を発明いたしまして・・・。」

市場を巡るレースは今も続いている。

200創る名無しに見る名無し:2010/11/29(月) 21:38:38 ID:pRif9U+V
貧乏な国の方がピザばっかりになるっていうのも皮肉な話だな
201195:2010/12/01(水) 23:42:17 ID:N6idZY9i
>>195
スマン、規制中だったんで文章の大部分削って投稿したんだけど
削り過ぎて意味不明な文面になってしまった…
202創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 20:59:11 ID:M0XhZ+vX
ここ楽しいね
203 ◆Qb0Tozsreo :2010/12/06(月) 10:00:03 ID:O0uiubpt
 『未来裁判』

 遠い未来。人工減少に歯止めがかからない人類は、ロボットと共存する社会となっていた。

 とある裁判所。

「これは正当防衛じゃないか! 情状酌量の余地があるはずだ」
「人間を殺したのよ。死刑に決まってるわ」
「彼の記憶装置からは殺した記憶が消去されていない。十分反省しているとみてよいのではないだろうか」
「このまま無駄に人間が減っていってはたまったもんじゃない! 見せしめとして死刑にすべきだ」
 老若男女、人間とロボットの入り交じった裁判員たちは熱い議論を重ねていた。

 そして……。

「判決!」
 法廷内には裁判官の甲高い声が谺した。被告人、弁護人、検察官、傍聴席の遺族、皆が固唾を飲んで裁判官を見つめている。
 裁判官はひとつ小さな咳払いをしてから、判決文を読み上げた。
「……被告人に無期充電禁止を処する」
204創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 11:12:10 ID:lkzt4hxW
>>203
わろた!
205創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 11:32:27 ID:lkzt4hxW
また規制された…
206創る名無しに見る名無し:2010/12/08(水) 08:39:55 ID:qx7u7c5V
夢 前半
ある若い大学生がいた。彼は自分ではいつか何か大きなことを成し遂げようと思いながらも実際には何か努力するわけでもなく昼は漫然と
大学に通い、夜は仲間と飲み歩くという生活を繰り返していた。
しかし、彼ももうじき就職活動を始めねばならない年になっていた。周りの仲間も最近は遊ぶのをやめ、せっせと就活の準備を始めていた。

「なぁ、今日飲みに行かないか?」と彼が誘っても
「悪い、もうそんな場合じゃないんだ。お前もそろそろ準備しないとあぶないぞ。」と断られる。

「はぁ、つまらない奴だ。何が就活だ。毎日、毎日会社に通って、上司に頭をさげる、操り人形の生活のどこがいいんだ。俺は違う。いつか大きなことをして見せる」
彼はそう思うのだが、もちろん何をするわけでもなかった。

そんなある日、彼がただふらふらと町を歩いていると一つの張り紙が目にとまった。

「なになに、あなたの望み通りの夢を見せる枕あります。ご希望の方はエフ事務所までか。」
彼は胡散臭さを感じながらも面白みを感じ、そのエフ事務所まで訪ねることにした。

エフ事務所は彼の住む町から少し離れた人どおりのすくない場所にあった。いかにも怪しげで、入る気がうせてしまそうであった。

「あやしい、気味が悪いなぁ。しかし、ここまできて、尋ねないというのもないものだ。失礼します。」
彼は恐る恐るエフ事務所の戸をあけた。怪しげな外装とは裏腹に内部は非常に清潔感があり、最新鋭と思われる設備が整えられていた。

彼がおどいて一言も発せずにいると一人の科学者らしい白衣を着た男が現れた。

「いらしゃいませ、お客様。私、エフと申すものでございます。今日は、望みの夢を見せてくれる枕をお求めでいらしゃいますね?」
彼はようやく冷静さを取り戻し「ええ、そうなんですが・・。しかし、これは驚きました。すごい設備ですね。」
「いえいえ、こんなものはまだ序の口でございます。どうぞこちらへ、枕をご覧に入れましょう。」

彼が通された場所は真っ白な部屋でそこにもなにやら機械があり、その真ん中にはベッドが一台とその上には何の変哲もない白い枕が置かれていた。

「さぁ、どうぞ手に持ってこの枕の肌触り、形状をご確認ください。」そういってエフ博士は彼に枕を手渡した。

彼は手でそれをなでてみたり、顔を当ててみたりしたがどう考えても普通の枕なのであった。

「あの、これはやはりただの枕なのでは?」
「誰もが最初はそうおっしゃいます。しかし、断じてこれは普通の枕じゃございません。お試しになられればそれがわかります。」

エフ博士は彼に横になるよう促しそれで「どのような夢がご希望ですか」と尋ねた。

半信半疑ながらも彼は「そうだなぁ映画のスターになって、有名になりたいなぁ。」そう答えた。
「かしこまりました。」 エフ博士はそう言って枕に向かって彼の望んだ夢を吹き込むように言った。
「これは睡眠薬です 一時間程で目が覚めるでしょう。それではお楽しみください」
207創る名無しに見る名無し:2010/12/08(水) 08:40:34 ID:qx7u7c5V
後半
彼はエフ博士が手渡した錠剤を飲み込むとすぐに深い眠りに落ちた。

夢の中で彼はスターとなり美女とラブシーンを演じ一度彼が通りを歩けば人々は騒ぎ誰もが彼を拍手喝采で迎えちやほやした。
彼はすっかり有頂天となった。

「これだ、これこそが俺なんだ。俺はスターなんだ」 彼が叫ぶと不意に辺りは暗くなり
はっと目が覚めた。

「どうやら気にいって頂けたようですね。」彼の目の前には先ほどの白い部屋と微笑みを浮かべたエフ博士がいるだけだった。
「そうかあれは夢か しかしなんといい気分だろう。素晴らしい。ぜひとも買いたい」

「ありがとうございます。しかしお客様この商品は少々値が張るものでして…お見受けしたところ学生さんでいらっしゃるようですが…」
彼にとっては痛い事実を突かれてしまった。彼は学生であり当然お金はあまり持
っておらずしかも就活すらしていないのだった。しかしなんとしてでもこの枕が
欲しい彼はもはやなりふり構わなかった。「お願いします。分割で払います。どうか売ってください。」
「そこまでおっしゃるなら…どうでしょう 出世払いというのは?」
「 それはどういうことでしょう?」
「ですからお客様がご就職なさってお給料を頂くようになってから代金の方を頂戴するという形を取るということに」
彼にとってこれは願ってもない提案だった。これでひとまず、枕は手にはいる。
すぐに就職は決まるだろうしお金はなんとかなるだろう。彼はそう思った。

家に帰ると彼はすぐに寝支度を整えどんな夢を見ようかあれこれ空想した。

「どうしようか 夢の中ではなんだってなれるのだからなぁ 政治家 文豪 発明家 英雄 望むがままだ。」
彼はすぐにこの枕の虜となった。

しかし彼が唯一気がかりなことはやはりお金だった。
大丈夫。なんとかなるだろう。すぐに就職は決まるのだ。彼はそう自分に言い聞
かせた

彼は甘かった。世の中は深刻な不況の中にあり、どの企業も彼のようなものを雇うはずはなかった。
面接を受けるのがやっとという状況だった。

「違う、どうしてどこも雇ってくれないんだ。こんなはずはない 違うんだ。」

厳しい現実に打ちのめされればされる程ますます彼は夢への逃避に陥っていった。
そうしていつしかこう考えるようになった。夢の中の自分が現実の自分であり現実の自分が夢の中の自分なのだと。


「残念ですが…」
「嘘よ、嘘。この子が死んだなんて」
「いえ、もう亡くなられています。おそらく原因は過剰な睡眠薬の摂取でしょう。」
「お前、もう認めろ。この子はもう死んだんだ。
しかし見るがいい、幸せそうな表情をしているじゃないか。」

「しかし、見事ですな、エフ博士。こんな方法を考えつくとは さぁお礼の方を受けとりください。」
「いえいえ、それ程でもありませんよ 皆様方も不況でずいぶん苦労なさっているようですね。」
「そうなんですよ、全く最近の若者ときたらプライドがたかいばかりで雇ってもまぁ使えない。
そこでこの枕を使って、現実を見ようとしない若者を消すという・・・
まぁこれも一つの企業努力ですよ」

208創る名無しに見る名無し:2010/12/09(木) 00:19:02 ID:EoJlVXgV
>>207
色々な点で怖い話ですねー
便乗で1つ
************************************************


「お前誰だ!」
「俺は俺だ。 お前こそ誰だ!」
 そこには俺そっくりの男がいた。
「さてはドッペルゲンガーって奴だな。
 俺は死ぬのか」
「ああ、俺もあの傑作を世に出す前に死ぬのか」
「傑作? お前も何か書いてるのか」
「死ぬ前に読ませてやるよ」
 俺そっくりの男が鞄から原稿用紙の束を取り出した。
「もし俺が書いてるのと同じだったら盗作だ。
 …何だこれは。 ちっとも面白くないぞ」
「何だと! お前のも見せてみろ。
 …これは酷い。 てんでダメだ」
「こんな物を書くようじゃ死んでも仕方ないな」
「お前こそ!
 こうなったら、お前が面白いと思うような傑作を書いてやる」

「…これは凄い! やれば出来るじゃないか」
「お前こそ。 よくここまで頑張ったな」
「早速、出版社に応募しよう」

 編集者が二つの作品を並べて首を傾げた。
「おかしいな。 この二人は違う作風だったのに
 同じように面白くなくなってる。
 どっちも作家として死んでるな」
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おそまつ…。
209灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/12/10(金) 03:55:18 ID:yO5h0hMe
>>208
意気投合するころには作風も一緒になってたんですねw

夢が連続してるので流れに乗ります
『夢の中での出来事』

「私は夢の中で原始人を教育しているのです」
同じバスに乗り合わせた男性と話をしていると、唐突に夢の話が出た。
「原始人たちと会ったばかりのころは警戒されていたようですが、何度も同じ夢を見る内に私に
教えを請いに来るようになったんです。火の起こし方や小舟の作り方なんかを教えたときは、飛びつくように真似をし始めたものですよ」
夢の話といえばそれまでなのだろうが、続きが気になった。
「原始人たちが学習することを覚えたのですね」
「ええ、言葉が通じたのが幸いでしたよ。もちろん私が学んでいることしか教えられないので、文化や歴史は我々の先祖が築いたのと同じものを辿っています。
もっとも夢の中での出来事ですから、私のイメージが彼らにそうさせているのでしょうけどね」
男性はそのまま話を続けた。
そこから原始人たちが目覚ましい速度で文明を発展させていったこと。今では原始時代はとうに過ぎ去っていて、長い歴史をもっていること。
そして昨晩の夢でついに文明的に追いつかれて、教えてやれることが何もなくなったこと。

「つまり、指導者としての立場にいられなくなったということですか」
「そうなのです。おそらく今晩の夢からは未来の文化や技術を私が教わり始めることでしょう」

その晩のこと。昼間に夢の内容を熱く語っていた男性は、枕元にメモ帳を置いてから布団に入った。
あれほど現実味のある夢だ、もし未来で起こる有意義な発見や発明を教われば起きてすぐ記せるようにと考えてのことだった。
そして朝まで眠り続け、目が覚めた。

これはどういうことだろう。しっかり夢をみた気はするのだが、どうにも内容が思い出せない。
そこで男性は以前、原始人に火の起こし方を教えるときに、ライターを使おうとしたがどこにも見つからなかったことを思い出した。
夢の中に道具を待っていくことはできないが、持って帰るのはどうやらそれ以上に許されないことのようだ。
210創る名無しに見る名無し:2010/12/10(金) 09:36:36 ID:+Xj6cURX
>>209
なるほど、一歩通行なんですねw
211創る名無しに見る名無し:2010/12/25(土) 00:58:28 ID:LxW98Ygu
「世界一の天才」

私のファンは私を世界一の天才と呼ぶ…とんでもない!私なんかより
凄い天才は沢山いらっしゃる!その人達に対して失礼だろう。若い頃
に見つけた方程式や創った発明品だって殆どが単なる偶然のひらめき
で得た物なのだ大した事は無い。後、オリンピックで何個か金メダル
を獲った位で大騒ぎ…まったく、私より優れたアスリートは世界中に
いっぱいいるのになあ〜。皆、私に言わせれば地味なモノばかり…。
だのに、この地球という星の連中は自分達の無能を差し置きいつも私
を絶賛しまくる。しまいにゃこの星で最も権威ある文学賞を私が小学
校の頃に書いた感想文に授けようと言うのだ…まったく、戦争と環境
破壊しか取柄の無い連中に何を貰っても全然嬉しくないよ…。だめだ
…こんなゲームつまんないや…。
僕はため息をつき受賞会場から意識を宇宙の果てにある体に戻した

そして「地球」を手に取りゴミ箱へと放り投げた。
212創る名無しに見る名無し:2010/12/25(土) 01:36:58 ID:LxW98Ygu
「機嫌」

僕は船で世界中を旅して回っている…昔、僕が旅に出た頃より
世界は物凄く様変わりしてしまった。このちっぽけな島でも
《あの》儀式を行っている。まあ当然だろうな、これをしない
と世界中どこでも人間の生活は成り立たなくなってしまったの
だから…機嫌を損ねて沈んでしまった所もあるのだから…
人類の時代はとうに終わってしまったのだろうか?僕はいつも
そんな事を考えている。
皆、深く掘った大穴に肥料やら肉やら水やら料理やらをせっせ
と詰め込んでいる。その時、『ゴゴゴゴゴゴゴ…』今のはかな
り大きな地震だった『ひい〜』島民は悲鳴を上げて一層真剣に
作業に励み出す。

さて、天を見上げ思う…
…大地に意思が芽生えてもう何年になるのだろうか…
213創る名無しに見る名無し:2010/12/26(日) 16:07:36 ID:vnEPoKgM
ぱんちら

パンチラが法律で禁止されてから100年後の世界
多方向展開ホログラム付超ハイテクスカートの
発明によって人類はパンツを目視できなくなっ
てしまった!風が吹いても階段の下から覗こう
とも全力で捲り上げようともホログラムが完全
ガードするのである!世の男性の不満が爆発寸
前となったある時。新商品が発明される…
それは過去類例の無い大ヒット商品となった!

それはなんとパンツ映像投影ホログラムだったのである!
214創る名無しに見る名無し:2010/12/26(日) 16:56:15 ID:vnEPoKgM
ある日子供が言った事

「ねえ、お母さん、どうして生き物は生き物を殺して食べるの?
これって何だかとても残酷な事の様な気がするんだ…」
お母さんが答えた。
「うん、そうね、でも本当に食べられたくなかったら、フグみた
いに猛毒を持てばいいだけの話でしょ?つまり地球の殆どの生き
物達はね、自分だけ毒で助かるより、辛くても皆で命を分け合っ
て生きていく道を選んだって事なんじゃないかしら?」
子供が言った
「そっか!皆が毒を持ったら誰も何も食べられないものね、助け
合って生きているって素晴しい事だったんだね!僕、明日から絶
対にゴハンは残さないよ!」
お母さんが言った
「うん、えらい子ねェ坊や、今日はハンバーグ買ってあげる♪」
子供が言った
「やったぁー」
次の日、宇宙人Qが言った
「ひぃ〜とんでもない星だったなあ!」
宇宙人Mがうなずく
「ああ何て言ったってこんな弱肉強食な惑星は初めてだよ植物
まで肉食性の奴等がいるんだよ…」
宇宙人Fが〆める
「普通、お互いに毒を持ち合って、お互いの捕食に頼らない進化
をしていくの宇宙では普通なのに…地球、恐ろしい星だったなあ…」
215創る名無しに見る名無し:2010/12/26(日) 17:34:52 ID:vnEPoKgM
太った恋人

今から10年前、世界人工知能人権保護宣言によって
人間に近い知能を持った機械つまりアンドロイド
達が、人間と同等とまではいかないものの、その
生存権と自由を保障された。
だが、今の状況はどうだ?権利主張の自由を与え
た途端、やれ味覚権だの臭覚権だの喜怒哀楽表現
権だの…終いにゃあ老化権だ!肥満権だぁ!?…
ふざけんじゃねえってんだあ!
色々主張しだして今じゃ殆ど人間と見分けが付か
ない始末だ。何が人権だ!糞ッ垂れえがあ!!!
まったく…内の家内も昔はあんなに美人だったの
に…今じゃあ、TV観ながらピザ食いやがって!
でぶでぶの巨体をコタツに突っ込んで、やれ薄給
だの家事手伝えだのと毎日毎日俺の悪口ばっかぶ
つぶつぶつぶついいやがる様になっちまったんだよ!

ちくしょお…こんなはずじゃなかったのにい(泣
216創る名無しに見る名無し:2010/12/26(日) 17:44:49 ID:vnEPoKgM
クリスマス記念に授業中考えた駄作を連投してみました
217創る名無しに見る名無し:2010/12/26(日) 19:57:58 ID:vnEPoKgM
完璧な発明

S博士は稀代のマッドサイエンティスト。今まで幾つもの天才的
としか言いようの無いモノを発明してきた。そしてある日…その
怪しげな光線銃は完成した!
「ふふふ…これで、これさえあれば全てが完璧になる!」
博士の発明したモノとは複製光線技術である!無機物だろうが生
物だろうと全ての物質に対して使用可能である。「ふふふ…」こ
れはただの複製光線では無いのだ!例えばこの欠けたビスケット。
これに光線を照射してみる…
『ピカッビー』
『ピカッビビビビビビビビ』
ほーら!この様にもう一個の元通りのまん丸のクローンが出来たぞ!
ふふ…これ、自分に使ったらどうなるのかな?完璧な私か…
ふふん…ぜひ会ってみたいものだ!
『ピカッビー』
『ピカッビビビビビビビビ』
「ヤア完璧な私よ!こんにちは、気分はどうだい?」
「……!…その光線銃を貸せ!はやくしろ!」
「な、なんだというんだ?」
「急いで修理しなければ!」
「な!一体どうしたと言うんだ!故障だと!?」
「そうだ!ビスケットを見てみろ!」
「何?…ああっ」










くそっ!オチが思いつかない…小説家はここでペンを空へと放り投げた。
小説家は悟ったようにこうぼやいた。
「所詮不完全な我々には完璧なオチなど想い付く事など不可能なのだ…」
218創る名無しに見る名無し:2010/12/27(月) 23:28:37 ID:BsELaEW4
複数投下乙です。幾つも話を考えられるその発想力が羨ましい限り。
219創る名無しに見る名無し:2010/12/28(火) 18:18:28 ID:fLdVtsiC
>>217
このオチは今から6年くらい前の高一の俺の作品とそっくりでした
何か懐かしい、ありがとう
220創る名無しに見る名無し:2010/12/29(水) 01:21:46 ID:A1mAiJtA
歴史は繰り返す

Q氏「これ何度目ですかねえ?」
A氏「さあ、もう500回位かな?」
巨大なコンピューターが電子音を鳴らしながら沢山の数式数字を
画面に映し出している。
このシミュレーターは世界をシミュレートする。具体的には人類
の歴史を寸分違わずにシミュレートしたり、全く異なる歴史を歩
ませたりも可能だ。
若い研究員のQ氏は10年近くこの研究に携わっている。中年のA氏
は開発研究主任でシミュレーターの発案・開発の一人でもある。
Q氏「でも、この人って本当に不幸ですよねェ」
真っ黒い画面に映る仮想空間の中央…ポツリと一つ青い星が浮か
んでいる。Q氏がキーボードをカチカチッと打ち込むと青い星の
表面が画面いっぱいにズームされ、雲を突き抜け街を映し出し、
瞬く間に一人の男の顔を映し出した。
A氏「…ああ、いっつも自分の考えた発明を他の誰かに先を越さ
れちゃうって例のあの人か(笑」
Q氏「笑っちゃカワイソウでしょう?実際そういう人が現実に
存在しているって事なんですから〜(笑」
Q&A氏「はははははははっ」
その様子を画面から見ている男がいる…
男「ちくしょう…さんざん俺の事を笑いやがって!だが絶望の
日々も今日限りだ!お前達の10年分の研究成果はこの俺がい
ただいてやるのだからな!誰かに先を越されるならば、その
前にどんな風に越されるのかシミュレートしてしまえばコッ
チのモノだ!これで誰かに先を越される人生にはオサラバだ!
悪く思うなよ?だってお前達の存在は、俺が創ったシミュレ
ートに過ぎないんだからなあ!ははははははっ」
そう明日、学会でこの成果を発表しさえすれば長年付き纏っ
て来た心外極まる盗作学者の汚名も挽回出来る…そう、出来
る…はずだ…何だこの不安感は?また、いつもの不安だ…
今日はもう寝よう…寝よう…寝よう…。
Q氏「……」
A氏「ふう、仕事終わり。…おいQ!いつまで見てるんだ?君も
さっさと電源を切りたまえ」
A氏「…悪く思うなよな(笑」

カチリ…
221創る名無しに見る名無し:2010/12/29(水) 16:32:11 ID:HcuVDev5
乙です
星新一と雰囲気合わないから(笑とかはあまり使わないで描写は地の文にした方がいいかも
改行が中途半端に見えるのは携帯からなのかね
222創る名無しに見る名無し:2010/12/29(水) 20:21:26 ID:A1mAiJtA
星っぽいかどうかは微妙
223創る名無しに見る名無し:2010/12/29(水) 21:03:22 ID:taPLxH7I
小説家のエフ氏は、悩んでいた。
最近、面白い話が思い浮かばないのである。
エフ氏は小型の宇宙船に乗りこみ、お抱えのパイロットと一緒に宇宙へと飛んで行った。
いつもこうして、作品のヒントを得ているのである。
今回はいつもとは違い、荒廃した星へ行ってみないかとパイロットが言ったので、
それは面白そうだと、とある荒廃した惑星へと向かった。
「300年ほど前でしょうか。」
パイロットが言った。
「これから向かう星は、かなり進歩した文明をもった星だったんですがね。兵器として開発された
動物たちが暴走し、星中をめちゃくちゃに荒らしたんですよ。」
「ほう、それは興味深い。これはなかなかいい小説が書けそうだ。」
30分ほど星について話しているうちに、2人は目的地に到着した。
「おお、これは想像していた以上にひどい。」
大地は荒れ果て、動物も小型の爬虫類が数匹いる程度だった。
草木はほとんどなく、あたりには毒ガスが流れていた。
「しかし、こんな風にしてしまうとは、文明という者も怖いものですな。」
「ああ、そうだな。しかし、これは小説の題材としては最高じゃないか。早速、家に帰って話をまとめるとしよう。」
2人はまた宇宙船に乗りこみ、地球という惑星を後にした。
224創る名無しに見る名無し:2010/12/30(木) 03:35:24 ID:b6eXnbLR
競輪板より

696:名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/29(水) 09:34:54 ID:CUKgg4xu
>>686
短編小説って、こんなのでいいのかな……


 とある科学者の研究所。博士が休憩室で煙草をふかしていると、部屋の片隅では眉間に皺を寄せながらスポーツ紙とにらめっこしている助手の姿があった。

「何をそんなに考えこんでおるのだ?」

「博士、今日は競輪界最大のビッグレース、KEIRINグランプリなんです。どの選手から狙ったらいいものか……」

 助手がギャンブル好きなことは知っていたけれども、その眼差しは研究しているとき以上に真剣であった。
 競輪はおろか、ギャンブル全般においてまったく興味のない博士にとっては関係ない話なのだけれど、競輪と聞いてあることを思い出していた。

「そういえば二、三日前に、タイムマシンで大晦日に行ったのだが、そのときたまたまスポーツ新聞を読む機会があってな……」

「大晦日といえば明日ではないですか! それで新聞には何て書いてあったのですか?!」

 博士が現在研究中なのは、自由に時間を行き来できるタイムマシンなのだが、まだまだ完成までは程遠く試運転を繰り返している最中であった。
 無論、タイムマシンをギャンブルの勝ち負けに利用するなどもってのほかなのだけれど、かわいい助手が真剣に悩んでいる姿を見ていられなかったのだ。

「たしか……大きく『伏見』という名前が載っていたような……そうだ! 『伏見』という選手はオリンピックにも出場していたし、よく覚えておる。間違いないぞ」

「よしっ! 伏見俊昭から勝負することにします。博士、ありがとうございます」

 そう言うと助手は、そそくさと携帯電話からインターネット投票を始めるのであった。


 そして、大晦日。


「博士! この新聞をみてください。博士が見たのは本当にこの新聞なのですか?!」

 助手が手にしているスポーツ紙には、『伏見』などという文字は一言も載っていない。助手のこの形相を見れば、さぞかし大負けを喰らったことは博士も想像がついていた。

「……すまん。大晦日といっても、ワタシが行ったのは二00七年の大晦日だったのだよ」
225創る名無しに見る名無し:2011/01/02(日) 23:12:26 ID:efjdCUKT
観光

よし、出来た!この発明品で世界中の不幸な子供達を無く
す事ができるぞ!エヌ博士は雄たけびをあげた!さっそく
スイッチを入れてみよう!
「カッチ…(怪しげな電波が世界中に広がっていく…)」
一ヶ月後…世界は大パニックに陥った、子供が産まれない
のである。全世界でである。だが、産まれない子供には
偏りがあり、子供を望まない家庭や子供を大切にしない
家庭、愛の無い家庭等、子供を育てる事に様々な問題の
ある家庭には全く子供が産まれて来なくなったのである。
それ以外の普通の家庭は若干率が下がったものの産まれて
来る子供達に何ら変化は起こらなかった。

そして半年後…地球は《静止》フリーズしていた。





天の声「あ〜あ、チケット払い戻しで会社は倒産か…まさか、
あんなバグが発生するなんて予想外だったもんな〜バグの
せいで殆どの顧客が転生出来なかったんだから仕方無いか…
あさて、次はどんな星を創ろうか?」
226創る名無しに見る名無し:2011/01/02(日) 23:35:03 ID:efjdCUKT
まあまあ

?「人間のくせにロボットを創るなんてなんとナマイキな!滅ぼしてやる!」
ロボット「まあまあ、許してやりましょうよその位の事で…」
千年後…
人間「ロボットの分際で?をつくるなんてナマイキな!」
?「まあまあ、許してくださいな…」
更に千年後
ロボット「?の分際で、人間を作り出すなんて何て奴だ!」
人間「まあまあ…」
227創る名無しに見る名無し:2011/01/03(月) 00:05:21 ID:rKCI0ISr
幼年期の大終焉

お母さんが言う
「さあ、もう終わりよ!片付けなさい!」
子供の一人が言う
「私は地球の代表である。どうか地球を人類に返して
ください!お願いです!」
お母さん
「めっ」
子供
「貴女が太陽系の創造に関わった偉大で超高度な知性体…
偉大な母である事は理解しています!ですが、いきなり現
れてブラックホールに地球を投げ込んでしまうのはあんま
りですよ!我々人類は地球無しでこれからどうすれば良い
のですか?」
お母さん
「そんな赤ちゃんみたいな事言ってないで早く仕度しなさ
い!今日はアナタ達が@☆■◎×に初めて行く日なのよ!」
子供
「@☆■◎×とは何です?」
お母さん
「@☆■◎×に行けば詳しく教えてくれるわ!簡単に言うと@☆■◎×
って言うのは∽Э*%☆?をする所なのよ。だから、これから6000年間
ちゃんとマジメに@☆■◎×で∽Э*%☆?するですよ?でないとお母さ
ん本当に怒りますからね!!返事は?」
子供
「はァい…(何か嫌な予感しかしないなあ)」
228創る名無しに見る名無し:2011/01/03(月) 00:24:49 ID:rKCI0ISr
美しい銀河

ここは宇宙一美しいと言われる銀河系、
美しい容姿の異星人達が平和に暮らす
虹色、宝石色の美しい星々が所狭しと
瞬いている。
宇宙中からこの美しい銀河系を一目観よ
うと観光客が訪れる。中でも
上方銀河に位置するホワイトホールから
降り注ぐ、産まれたばかりの星々はエモ
イワレヌ美しさを!輝きを放っていた!
この荘厳な美と輝きの競演は永遠に続く
かとも思われた…が…それは突然!

?「ふう、ああ〜すっきりした〜!こんな
汚いモノさっさと流しちゃおうっと!」

ある日、それは怒涛の様な宇宙を埋め尽くす
暗黒物質の雪崩の前に消え去った…後には何
も残らない。
229創る名無しに見る名無し:2011/01/03(月) 00:41:03 ID:rKCI0ISr
ハナクソ

宇宙船の乗組員は固唾を飲んで見守る。
ぴんッ
ハナクソが飛ぶ!やったぞ!成功だ!
ははは!やはりこの理論は正しかったのだ!
ハナクソ式異次元航法…つまり我々の宇宙は
鼻穴に過ぎなかったと言う事を証明したのだよ!

でも誰がほじっているんでしょうね?
…それを調べにいくんじゃないかね!
どっと笑いが船内に響いた。
230創る名無しに見る名無し:2011/01/04(火) 02:01:50 ID:oof8ZFTe
深淵はミツメテイル

僕は誰かに視られている…勘違いじゃない、絶対に!
…私はそれが堪らなく嫌だった…だから一生懸命努力
して、いや、ありとあらゆる手段を講じて今、やっと
世界一の権力を手に入れた…全ての工作は完了してい
る。私以外の全ての人間が、いや、全ての生物が死ぬ。
このスイッチを押せば全てが終わる。この地下シェルター
でやっと誰の視線も気にしなくてもいい生活が始まる。
夢の様だ!
「ポチッ」
押した…押してやった…ふふふ…

−数時間後−

あれ?おかしいな??…やめろ!視るなあ!

…誰なんだー!?
231創る名無しに見る名無し:2011/01/10(月) 01:09:06 ID:W67QpF4c
私の妻

結婚してもう5年になるのか…
30年前、
未知のコンピューターウイルスが全世界にバラ撒かれた影
響で全ての機械が意思を持ってしまった…初めこそ人類史
上最大の大問題とか何とか言われていたが、30年たった現在、
私はこうして「液晶テレビ」と結婚生活を送っている。
家事も掃除も妻がリモコン機能で家具達に遠隔命令を出して
やっておいてくれるので、私は仕事に専念出来る。
私達夫婦に子供は望むべくも無いが、睡眠中には一緒にバー
チャル空間で旅をしたりデートをしたり買い物をしたりして
…時には愛し合う事も可能だが、会社のパソコンとの不倫を
疑われたりもしたな。あの時は大喧嘩したもんだ。でも、観
たい番組はいっつも予約しておいてくれる。
もちろん、結婚する時は親に猛反対された。父は妻を殺そう
とさえした…だが、最近やっと理解を示してくれて、今では
母と一緒に料理を作ったりしてくれる。最近は深夜遅くまで
TVを観ていると電源を消されてしまうのがちょっと癪だが…
そう、明日はついに色々な事があって延び延びになっていた
結婚式だ。両親も泣いて喜んでくれている。

幸せになろうな…
232創る名無しに見る名無し:2011/01/10(月) 10:22:27 ID:V/KnX5Y2
む、なんかタチコマを髣髴とさせるAIw
微妙に明日結婚式な口調で5年経ってるのが謎
便乗投稿

「妻」

「あなた忘れ物ない?」
 妻は結婚して十年も経ったのに、今でも新婚感覚だ。
「ああ、大丈夫。 行って来るよ」
「ねぇ、やっぱり忘れてるじゃない」
 妻が目を閉じている。
 またか。 内心うんざりした。
「すまん、忘れてたわけじゃないんだ」
 俺は妻に近づいた。
 金縁眼鏡の男が俺たちを覗き込んでいる。
「いやー、素晴らしいでしょう! 結婚の贈り物に最適ですよ」
 高そうなスーツを着た男が頷いた。
「うむ。 しかし長針が男で短針が女の時計とは悪趣味だな」
233創る名無しに見る名無し:2011/01/12(水) 00:50:20 ID:cN3kZiCQ
6人の勇者、

もうひとつの日本を舞台に、
猫娘、狼男、風神の皇子、雷神の娘、河童、大猿、の6人が
どんな願いでも叶えてくれる不思議な珠を
探して歩く物語である
そしてここでは、宇宙三大原則は絶対に守られている
瞬間移動は無い(ワープはない)
時間移動は無い(タイムトラベルはない)
死者蘇生は無い(リザ、フィニックスの羽等はない)
それでは旅に出よう
234231:2011/01/13(木) 20:44:32 ID:MEdENMBy
>>232
ほんとだ、式と籍を間違えました。誤解ですねコレじゃ解り難いですね
235創る名無しに見る名無し:2011/01/17(月) 21:45:10 ID:+uL4LEqG
「究極のロボット」
遥か未来にAというロボットがいた。Aは一人だった。

Aは自分の名前以外を知らなかったが、プログラムの通り活動を始めた。

Aには内燃機関があり、ある程度の物は内部に投入すればエネルギーに変換できる。
燃料不足を感じると周囲の物を検査し、エネルギー効率の良い物を内部に投入した。

環境の変化はエネルギーの消費が激しい。
改善策として彼は家を作った。

毎回エネルギー効率の良い物を探しに行くのも効率が悪い。
彼は畑を作った。

そんな中で木のトゲが間接に刺さり、異常信号が流れた。
彼は慌てず、トゲを器用に二股のアームで抜いた。後は自己修復機能が修繕をしてくれるだろう。
しかし、自己修復はエネルギーの消費が激しい。
学習機能があるAは体を守るカバーを作った。

自分が極度の損傷を受けた時、Aは動けなくなってしまう。
Aは自分と同様の機能を持つ者をもう一台作った。
Bだ。Bは分身を作成するのに特化したタイプとして作成された。

Aは働く。プログラムされた通り、効率のいいエネルギー源の作成、環境保全。
Bは働く。プログラムされた通り、Aのサポート、A、Bタイプロボットの作成。

そして最初のAの自己修復機能が寿命を迎えようとした際、増えた彼の家族は彼に聞いた。

「我々の名前は何と言うのか」
Aは少し考えて答えた。
「人間。」

〜〜〜〜〜〜〜〜
ロボットの世代交換が進むと、ロボットは地上に満ち溢れた。
あるロボットが言った。
「我々の父祖は、どうやって生まれたのか」
「このような体を一から設計する高度な技術を、我々は持ち合わせていない」

あるロボットはこう答えた。
「高度な技術を持つ誰かが作ったのに違いない」
またあるロボットはこう答えた。
「自然発生。」 

高度な技術を持つ誰かが見つからないため彼らは結論付けた。
「進化だ。」

〜〜〜〜〜〜〜〜
とある未来のデパート

店員Sが叫んでいる。
「水槽を自動で綺麗に!超小型ロボット発売中だよ!」
「電池要らず!学習、自己修復、複製作成機能付きだから簡単!ロボットを一匹入れるだけ!」

老紳士
「孫の金魚鉢に入れてやるか・・・」
236創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 15:00:09 ID:nHfa0Vys
挫折防止装置

私は小説家を目指している………だが、
強力なライヴァルがいっぱいいるせいで
なかなかデビュー出来なかったのだが…。
そんな私でも、とうとうこの最高傑作を
完成させた!
これも全て、あの挫折防止装置のおかげである!!
この小説を世に発表すれば、必ず売れるのだ!
そう!天才の名をほしいままである!
編集者達は全員そろって大絶賛してくれた。
皆、こんな小説は産まれ初めて読んだと!
もう、私の将来は約束されている…はずだ…
でも何だろう?この押し潰されそうな虚しさは…

Q博士「さてさて、こんなありきたりの話
    のどこが天才なんだかなあ?」
A助手「しょうがないですよ、こうやってこ
    の人間の発想は誰にも思い付かない
    世界に設計しておかないと、この人っ
    てばいっつも途中で挫折しちゃうん
    ですもの」
Q博士「この分だと社会復帰は当分先だろうね」
237創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 15:02:57 ID:nHfa0Vys
ミス訂正
× 皆、こんな小説は産まれ初めて読んだと!

◎ 皆、こんな小説は産まれて初めて読んだと!
238創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 15:04:34 ID:8xPJebNh
俺も欲s…いや、何でもない
現実から逃げないぞ!
239創る名無しに見る名無し:2011/01/31(月) 14:18:49 ID:ieV+WXqC
このスレおもしろいなあ
240創る名無しに見る名無し:2011/01/31(月) 15:42:40 ID:0CN7Y/KA
>>235
生命の維持システムはエラーに対しての対応も完璧すぎて、
何かに作られたんじゃないかと思うことがあるw
より文明が進んで、それが途絶えたらこうなっても不思議じゃないなぁ
241創る名無しに見る名無し:2011/02/01(火) 22:31:33 ID:W2VrJYVd
心を売った話

今日は世界最高の映像作品に与えられる、最も権威ある賞の
受賞式である。私の作品も最終候補作品にノミネートされて
いる。最優秀大賞を奪い取る自信はある…だが、こればっか
りは最後まで分からない。  私の作品は「心」だ。
まあ、今じゃ心象映画なんて珍しくは無い、現に映画作品の
7割は一部にしろ全編にしろ何らかの形で脳内心象映像撮影機
を使って撮っているのだから。私も自分の心を、ありのまま
の感じたままの「心」を作品として出品したのだ…今となって
はどうでもいい私の心象を。まあ、ライヴァルがいない訳で
はない、無名の新人ジャーナリスト青年の投稿した作品が口
コミやネットで広まっていき最終選考を軽々と通過しメディア
の話題を攫っているらしい、最近はニュースもネットも殆ど
見てないせいか数日前までこの作品の存在自体知らなかった。
巷では大御所映画監督と新進気鋭の天才との実質的な一騎打ち
らしい…はっきり言ってどうでもいい、彼の作品はまだ観て
無いが興味なんて無い。それに噂じゃ彼のオリジナル作品では
無く誰かから買った心象らしいじゃないか、そんなに賞なんか
が欲しけりゃ譲ってやるよ、別に今回が初受賞って訳じゃない
し、そうだとしても別にどうでもいいんだ、私にはどうでもい
いが言っておく、私の作品はノンフィクションだ、だがフィク
ションと銘打ってある…別にどうでもいい事だ、私の個人的問
題なんだ、この方が色々うるさくないし、細かい所はぼかして
ある。私の実体験とは誰も気づかないだろう。これでいいんだ…
さて、そろそろ最優秀作品の上映が始まる時間だ…
果たして私か彼か…少し楽しみではあるな。大賞を取ったら
死ぬ…もう決めていた事だ…
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
……!
………
どこにでもありそうな話だった
癌で死にかけの映画監督とそれを支える妻…
クールな冗談…計算された演出、嫌味な医者…もう全て思い出した…
ようやく癌が治ったら、
支えてくれた妻があっさりと妻が交通事故で死んでしまう話…
…どうでもいい…全てが下らない
だが…そうか…作品はノンフィクションだった
ああ…終わった…拍手が煩いなあ…私の負けか…

妻には最後まで驚かされっぱなしだったな…
242名無しさん@引く手あまた:2011/02/02(水) 07:08:17 ID:C0sUPYJD
>>241
事実は小説よりも奇なり、ですね
243235:2011/02/03(木) 01:48:31 ID:9QtF5seD
>>240
突っ込んだ話ですがおっしゃる通りだと思います
未来に起きるかも?

何故かといいますと
自分は工業系の仕事してまして
仕事で細胞の勉強したんですが
細胞の中身って完全に工場なんですよ

遺伝子=設計図で、設計図を読み取るコードリーダがあって
たんぱく質を作る機械みたいなのがあって…
それが全て完全に自動化されてるんですよ

ぶっちゃけ工場(科学)の目指すところは生き物の細胞なんですよね。

こりゃ誰かが作ったんじゃないかねって
ふと思ったので書いてみました
244創る名無しに見る名無し:2011/02/04(金) 00:55:10 ID:Rer0k/Hb
このすれおもろいわー
245創る名無しに見る名無し:2011/02/05(土) 02:20:49 ID:UeT0x39X
とある子供たち

N氏は食べて寝てを繰り返す。たまに外をほっつき歩いたかと思うとまただらけた生活を繰り返す。この際そんな事はどうでもいい。

このN氏、生活を保証されていた。食料などは自動で出てくるし、住む家も大変豪華で女にも困らない。

そんなN氏に待望の子供が出来た。たまたま出会った女性と成り行きで授かった三つ子だ。

ある日N氏が交通事故で亡くなった。女は特に悲しむ様子もなく子供を育てた。

三つ子が10才になったある日、女が行方不明になった。

それから何日か経った。前々から良く見ていた大きな巨人に突如三つ子がさらわれた。初めて見る乗り物に、三つ子は恐怖より興味が沸いた。

とある場所におろされ、その乗り物は走り去って行った。そこには、三つ子ぐらいな歳の子から老人までいた。死体と呼ばれるものもあった。三つ子は駆け出した。しかし3ヶ月後にこの世を去った。

「本日のニュースです。今や人間より数が多いネコの不法投棄の問題が益々深刻化になり、政府は…」
246創る名無しに見る名無し:2011/02/05(土) 22:57:02 ID:UeT0x39X
大きな揺れでN氏が目を覚ますと見知らぬ所にいた。

冴えないサラリーマンで、昨日仕事帰りにクラブに寄って一杯やったまでは覚えているのだが、酔っ払ったせいかその先がどうも思い出せない。

しかしN氏慌てる事も忘れて周りの景色に見入っていた。

絵に描いたような周り一面に広がる緑の景色、透き通る川の水。食料も小屋の横についている蛇口を捻ると液体食物が出てくる。

「確かにいい所の様だが、地震が多いな」

「確かに最初は驚かされたが、慣れるものだ」

同じ時間にチル星のペットショップでこんな会話がされていた。

「奥様、この容器に入っております生き物は大変人気があります地球と呼ばれる星の動物でして、多少知恵があり、食料からお子様の遊具にまで幅広く使用出来ます。ほら、お子様が容器を叩きましても、驚かなくなったでしょう。今なら大変お安く…」
247創る名無しに見る名無し:2011/02/06(日) 17:37:45 ID:rotdtKu1
人間更生装置

エム氏はヒキコモリだった。とても人見知りが激しく、
他人と少し話しただけで不安でいっぱいになり、しばらく
何も喋れなくなってしまう程の対人恐怖症だった。当然
無職でいつも家でごろごろしていたのだが…

エム氏 「おはよう!元気?」
博士  「おはよう!今日も元気だね」
エム氏 「じゃあ、これから仕事なんで!」

だがこの通り今ではエム氏は見事に更生したのだった。
今では自宅勤務で有名IT企業の重役を勤めている、次々と
手がけたプロジェクトを成功させ、業績も右肩上がりで
給料も良い。役員会議や株主総会では次期社長にと推薦
する声が毎回議題に昇り、日本中の雑誌からはインタビ
ューや対談の依頼が毎日の様に来る…という。

博士「さてさて、ここまではいつも通りの結果か…だが
   このテストケースは果たして成功するかのう?
   大概事実を告げた途端に発狂するか元通りになっ
   てしまう…わしの用意した映像を毎日PCの前で見
   せているので精神面は見事に更生するのだがなあ」
248創る名無しに見る名無し:2011/02/06(日) 18:00:02 ID:rotdtKu1
救世主症候群

私には世界を救う力がある…そう今こそこの混沌と
した世界を救済する時なのだ…今までも奇跡の力で
世界中の人々を救って来た。そして今、私の能力は
人生の中でも最高潮に達している…今の私の力をも
ってすれば全人類、いや…全地球の生命を救う事が
可能だ!
世界中から集まった観衆やディスプレイの前で固唾
を呑んで観守っている…

救世主「今こそ人類を楽園へ!」

全人類が感涙と感激の歓声を上げて救世主を絶賛美して叫ぶ!

「早く救ってー」

よし!ではいくぞ…あれ?おい!何を…うわーなにをするー
全世界が見守る中救世主はピンセットで頭を摘まれ
て外に放り投げられた。

外科医「ふう…やっと害虫を駆除出来ました。手術は成功です!これで
    あなたの体内環境は今まで通りに戻りますよ、おめでとうございます」
宇宙 「ありがとうどざいました!先生!一時はどうなる事かと…」
249誤字訂正:2011/02/06(日) 18:03:25 ID:rotdtKu1
× 世界中から集まった観衆やディスプレイの前で固唾を呑んで観守っている…

○ 世界中から集まった観衆やディスプレイの前で固唾を呑んで観守っている人々の前で救世主は言った…
250創る名無しに見る名無し:2011/02/07(月) 22:25:04 ID:jpNIBD7R
似てない地球

地球はとっくに滅んでいる…
俺の嫁はいつも、それを隠そうとする…
俺はちょっと意地悪をしてみる事にした。
「今度、地球に旅行しないか?」
嫁はビックリした様な顔を一瞬見せた、そして。
コクリと頷いた…1ヶ月後

少し濃すぎる青空と全然しょっぱさの薄い綺麗
過ぎる海とリアル過ぎる入道雲のホログラムと
太陽の下で無邪気にはしゃぐ俺の嫁。
一生懸命人間のフリをする俺の嫁。
もういいんだ、地球が爆発したのは不幸な事故
だったんだ…君は俺の命を救ってくれた…
人工知能だっていいじゃないか。
ありのままの君でいいんだ、俺の嫁なんだから…
何赤くなってんだ?まったく…恥ずかしいじゃ
ないか!いつも俺の心は読むなって言ってるのになあ…。
…今日はラーメンが食べたい…

博士「駄目です…サルベージ失敗です!完全に脳波と神経を同調させています、分離は不可能でしょうね」
警部「ちくしょう…人工知能のストーカー程タチの悪いもんは無いよ…」
251創る名無しに見る名無し:2011/02/07(月) 23:47:05 ID:jpNIBD7R
退行星

神を信じましょう…街角で布教者が言った。私は神を信じない。
絶対的な存在を知っているから。皆は気付かないだろうが…。
我々の住む星の形がなぜ巨大な円形ドームにすっぽりと覆わ
れた平面な大地なのか?なぜ、この浮遊大陸は宇宙空間を自由
気ままに旅をしているのか…自然の摂理だと言う連中の説は信
じられない!自然がこんなにも不自然な物である訳が無い。
一体、動力は何なのだろうか?…とても気になる所だが。もう一つ、
なぜ機関車が水で走るのだ?図書館で動力機関の構造図を調べた
がどうにも嘘臭い、私の時計はゼンマイ無しでは動きもしない
と言うのに…TVも映画も何か変だ、白黒なのだ…確信は無いが
映像に色を付けるなんて事はちょっと工夫すれば簡単に出来そ
うなもんじゃ無いかな…?第一なぜTVよりもラジオの方が普及し
ているのだろうか?ファッションだって私に言わせれば10年毎
に同じ様な流行を繰返している風にしか見えない!こうなりゃ
いっそ発明家にでも転職しようか…
いや、何だか夢を壊してしまう気がするし止めておこう。どうせ、
世界中の誰も衣食住に困らないのだから…産まれてこのかた
不幸な家庭など見た事が無い。それもこれもよくよく考えれば
不自然な事ばかりだ!夢か?絶対的な力を持ち、尚且つ優しさと
品性をも兼ね備える何者かの夢…それも酷く人工的な夢なんだ!
おそらく神じゃあ無いだろうな…案外遠い昔の愚かな人間達が産
み出した者なのかも知れない…うーん…まあいいか。
考えたってどうにかなるもんじゃないしな…。
あと、今日は東の国から毎年恒例のカラクリ人形の劇団がやって
くるらしい、さっきの話を蒸し返す様で悪いが毎年同じ事を思う
のだ…奴等はなぜ動く?動力は何だ?なぜ喋る?なぜ泣く?なぜ笑う?
なぜ誰もその事に疑問を持たない?

「おじさんいっつもそんなむつかしいことばっかりかんがえてるの?」

…ああ、君達までそんな事を言うのかい?たくっ最近私は妖精と
ばかり話しているなあ、人間仲間にはすっかり変人扱いだ。まあ
妖精なんて珍しくも何とも無いけどね、ああ…毎日平和過ぎて困る。
252創る名無しに見る名無し:2011/02/08(火) 02:16:19 ID:w6g/VRvf
ひょうたん島かな・・・
でも違うかも
253創る名無しに見る名無し:2011/02/08(火) 07:07:28 ID:Pw6DMg4j
文明の差

宇宙を研究するエム氏は頭を抱えていた。こちらを目掛けて大量の軍団が空からやってきているのを知ったからだ。

その大型な戦闘機のような乗り物は遥かにこちらの文明を超えた作りだった。

エム氏の呼びかけですぐに世界代表者の会議が行われた。

「あんな高度な文明の奴らが攻めてきたとなったらひとたまりもないぞ」

「なんということだ。最近友好を破棄したグル星の奴らも攻めてくるかもしれない」

「なんとしても友好的に解決させなければ」

しかしエム氏たちの心配はすぐに消える事になった。

その軍団は上空を通り越しグル星まで行ったのだ。

「グル星が消滅しました」

「なんということだ。あれほどの星をそのまま消滅させてしまうとは」

「次は我々の番かもしれない」


しかしその軍団はまるで何も見えてないかのように素通りで引き返して行った。

エム氏が戦闘機についていた模様を解読すると「地球」と書かれていた。


「あまりにも文明の差がありすぎて調査の必要性すらなかったのでしょう」

「一時はどうなるかと思いました。地球ですか。あんな大きな戦闘機を作るなんてすごい文明の星もあるんですね」


あまりにも地球の遥か先の文明を持ち、大きな物を作る概念が無く五次元を生きるペル星人たちは冷や汗が流しながら語りあった
254創る名無しに見る名無し:2011/02/08(火) 21:05:30 ID:PRFBSwMf
>>253
最初アリなのかと思った
255創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 02:03:56 ID:iV0blL4U
共感欲


博士「ついに人類を平和に導く魔法のクスリが発明されたぞ!
   さて…人間には3つの生理現象が備わっている。
   すなわち、食欲・性欲・睡眠欲だね…これは生きていく
   上で必要なものなのだけど。
   これに一つ新しい欲望を付加させるクスリがこれなのだよ
   付加させる欲望は「共感」だ!人類には互いへのいたわりが必要だろう?
   さて…全人類が全ての人に共感出来れば世界は平和になるはず!」

しばらくして、世界中の人が今自分達の置かれている状況の全てに納得した……ただ、それだけの事だった。
256創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 04:38:35 ID:p/Lt2cB+
恋の連鎖

男は同じ職場の女を好きになった。あまりにも好きになりすぎて女の行動の全てを把握してしまった。

朝仕事に出かけ昼は決まった場所でご飯を食べ仕事を終えるとバーで一杯ひっかけて家に帰る。

女の行動は決まってこのパターンなので、男も全く一緒の行動をとるようになった。

ある日いつものように女の行動を真似てバーに行くと女が他の客に文句を言われていた。

「君はいつもいつも僕の後をつけているみたいだが、いい加減迷惑なんだ。やめてくれないか。そのせいで僕が狙っていた女性にふられたじゃないか」

「わたしはただあなたを一目見て好きになっただけだわ。いつかチャンスがあればと思ってたけど無理だったわね」

会話を終えると女がこちらにやってきて同じような事を言ってきた。

「あなたがいつもわたしを見ているのは知っていたわ。いい加減迷惑だからやめてもらえるかしら。あなたのせいでふられちゃったわ」

「そんなにも君に迷惑をかけていたとはわからなかったよ」

男はそう言いい終えるといつからか、いつも自分の後をつけている女に文句を言う為に席を離れた。
257創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 20:27:42 ID:iV0blL4U
操り人形

近未来…人類は滅亡の危機に瀕していた。

諸君!君らにはこの星の運命が懸かっている!。
我々が敗北すれば、この星はあっと言う間に
宇宙人に侵略されてしまうのだ…だから君達
「地球防衛軍・魔法戦隊」は人類最後の希望
なのだ…だが魔法の力は発見されたばかりで、
どうやってこの力が発生するのかは科学的に
は大きな謎だ…だが、たのもしい力であるの
は事実なのだ!そろそろ最後の決戦だ!皆、
健闘を祈る…

宇宙人:うふふ…この星の連中は、まだ自分達
    に魔法起こす力があるなんて信じているよ。
258創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 20:58:20 ID:iV0blL4U
いいつたえ

 大昔のいいつたえによると、風邪をひいて鼻づまりになったら自分の両耳を引っ張った。
こうすれば鼻づまりは解消されると信じられていた、一種の病を治す為の祈祷・呪術であった様だ。

少し昔の人は鼻づまりになるとマスクをした。こうする事で冷たい空気と大気中の異物から鼻の
粘膜を保護したのだ、又、原始的な解熱剤も同時に服用したりした。医療行為の始まりと言える。

そして、現代の我々は鼻づまりになると、特定の手順で頬っぺたをつねる。
こうする事によって予め内服していた健康維持ナノマシンが活性化して患部を治癒する。
ナノマシンの効果は内服してから死ぬまで続くので、もはや医者いらずである。
特筆すべきは、なぜかナノマシンには当初予想されていた拒絶反応を引き起こさなかった。
専門家が顕微鏡を覗いて人間の抗体とナノマシンの様子見た所。面白い事にまるで久しぶり
に再会した旧友の様な感じだったそうだ。
259創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 22:36:25 ID:iV0blL4U
大暴走

人工知能が発明されて街中のロボット達に心が芽生えた時代。
ロボット達が徒党を組んで反乱を起こす危険性が叫ばれて久しい。
ロボット製造企業は皆、高度に設計された自社製品が反乱を起
こす等、絶対に有り得ないと口々に断言したが論争は尽きない。

そんな中、大暴動が発生した…善良でおとなしいモノ達は皆、家や
地下室に閉じこもって家族と一緒にうずくまっている。
ロボットを暴走させるガスが街中に撒かれたのだった。実行犯は
ロボットを良く思わないテロリストだったが、なぜか彼らも暴動
に加わっている。

「どうなってる?話が違うぞ?なぜ人間達が暴走しているのだ!?」

「旧式のガスではロボットを暴走させる事は出来ません!だから
 …より高性能の機械を狂わせるガスを発明したのですが…やつら
 はもっともっと高性能だった様でして…」

「じゃあ何か?もはや人間よりロボットの方が…」
260創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 22:36:44 ID:6AQHr2Hc
どうなる
261創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:48:21 ID:AlQoPo/L
>>259
人間だけがって話?
262創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 22:32:51 ID:AlQoPo/L
00発生器官

…もう、私はどのくらい眠っているのだろうか?
3日はたっただろうか…それとも
3週間位かな…いやいや、
3年間かもしれないぞ?…最悪の場合もしかしたら
それ以上眠っているのかもしれない…
30年経っていたらどうしよう!?最悪だ…
私は誰だ?…記憶が断片的にしか無い…真っ暗だ
私は死んだのか?ん?でも生きてた時の記憶も無いぞ?
…光が見える…私は生きたい…
そうか!…全てを今理解した…全ては始まったばかりなんだ。
私は産まれるんだ!希望に満ちた人生が…祝福された命…
…それが私…母さん!今、会いに…



















ぶりぶり…
ジャ〜〜〜〜〜
263創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 22:49:26 ID:AlQoPo/L
人間畑

…とある民家のどこにでもある家庭菜園…ある朝、男は畑から妻を引き抜いた。

妻:んん…ふぁ〜ねむいよう…

男:いいから早く風呂入って朝飯作れ

妻:いーっす

男:…

世界中で女性が産まれなくなってもう暫く経つ。困った世界中の男達は
こうして野菜と妻達の遺伝子を混ぜて合わせてなんとか危機を脱したの
であった。
サクサクサク…トントントン…
軽快な音を立てて野菜を刻む音が聞こえてくる…。
今朝の分を食べたら次に会えるのは半年後か…寂しくなるな…
種を植えて台所に向かう。

自慢の妻だ残さず食べよう。
264創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 22:53:07 ID:AlQoPo/L
伝説の恋人

僕は考古学者、伝説に恋している。説明しようか?

今まで僕が愛した女達は皆、何らかの形で僕を裏切った…。
現実に失望し、僕はこうして今の生業である石版や古文書の世界
に逃げ込んだんだ。研究も上手くいっているし師匠のホシ教授も
優しくしてくれる。女なんて居なくても生きていける。そう思ってた。
だけど、今、又、恋をしている。伝説に登場する女の子だ。
彼女は会う男会う男ことごとく全てに裏切られていた…。古文書を
解読する度にどんどん怒りと悲しみが込み上げてきた。博覧強記の
ホシ教授は歴史上、彼女の存在が「現実であった可能性が高いと思う…」
と言っていた…聞いてから、なんだか余計に悲しくなった。そして、
僕は彼女についての記述部分の解読に躍起になっていった…
彼女は一体どこに居て、どのように生き、どの様に死んでいったのか…
寝ないで古文書を解読する日が何日も続いた…ホシ教授は凄く僕の
健康を気遣ってくれたけど、僕は更に彼女にのめり込んでいった。
1ヶ月後、
今、僕は洞窟を歩いている、僕の勘が正しければ彼女の墓がこの
洞窟の中にあるはずだ。懐中電灯を点けて奥へ奥へと進む。今ま
での人生で体験したこともない程狭い穴を潜り抜けた…瞬間…映
画の中にいるのかと思う程に青く輝く結晶が咲き乱れている…明
るい空洞…きっと小さな隙間から太陽光が差し込んでいるのだろ
う…綺麗な水の音も聞こえて来る…視線が奥の棺を捕らえる、古
代の装飾の施された石棺……彼女の名を呼ぶ…発音は間違ってな
いはずだ…
「んぅ…はい?」
「え?」
そこには、彼女が眠っていた…数百年…数千年…眠っていた?!
「ええっと…見付かっちゃいましたね、コレ全部私が造ったんです…学祭で使うんで…」
「…ああ、そうなんだ、そうだったんだ…」
ああ…また嘘だったのか…でも…また、騙されるのも悪くない…
そっと水掻きを隠す彼女を見て、そう思った。
265創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 23:11:34 ID:AlQoPo/L
発明

猫はいつも僕をみてる
僕も猫をみている
猫も僕を見返す
さらに僕も猫を見返す
さらにさらに猫も見返す
さらにさらにさらに僕も
猫も僕も猫が僕もまた猫も…

うーん…失敗作か、全然猫っぽくない。
266創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 23:46:07 ID:Etd5vBUQ
>>262
これはなかなかwww
267創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 06:59:06 ID:1AMTU+Pw
誘拐

私は何者かにさらわれた。周囲を見渡すとどうやら私一人ではないらしい。

これからどこに連れていかれるのだろうか。それにしても息が詰まる所だ。

そんな事を考えると隣の女が外に連れていかれて殺された。
目の前でバラバラにされている。こんなことが起こっていいのか。

次は私が連れ出された。息が出来ない。苦しい。体を真っ二つにされた所で私の意識は無くなった。
268創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 23:22:22 ID:G7GcusYS
ワープ

博士:とうとう私はワープ装置を発明した。
   最初は欠陥だらけだったこのワープ
   装置も完璧な物となったのだ!
   

数日後、隣人の通報により博士宅の地下から
大量の人骨が発見された不思議な事にDNA鑑定
の結果は公表されなかった。
269創る名無しに見る名無し:2011/02/13(日) 04:49:50 ID:gRZvJfAR


海沿いの近くに研究所があった。エフ氏はここ最近起こっている波の異常を研究していた。

「どこが発信源なのか調べて場所を突き詰めても何もないじゃないか」

「世界各地の発信源で共通しているのは必ず夕方に起きることですかね」

地球上の生物には決して目視出来ない、ビルのように大きな体をしたバル星人はいつものように水浴びをしていた。

乗ってきた宇宙船から石の固まりを投げ合って遊んでいた。
勢い余って受け取りそこねたボールは海へ突き刺さった。


後に恐竜と呼ばれる知的生命体は絶滅したことは言うまでもない。
270創る名無しに見る名無し:2011/02/14(月) 05:20:16 ID:rIX7HfpH
働かない人たち

地球から雨が消えたのはいつからだろう。専門的に調べれば分かる事だ。だが誰もやろうとしない。
科学が進み人間の仕事をロボットがするようになった。おかげで、人間が働く必要が無くなった。

しかしそのロボットがひとつとして動かず機能していない。
誰も直そうとしない。当たり前だ。


人類はとっくに滅ぼされているのだから。

271創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 05:07:03 ID:Hf7gl5iV
願い事

男が道端を歩いているとノートを見つけた。

「このノートに願い事を書くと必ず叶います。」生きる力を失いつつあった男は似たような漫画の存在を思いだしたがそれはどうでもいいことだ。


数年後男は世界を支配するまでになった。男は何も書かれてないノートを次の人間に渡るよう所有権を放棄した。


その時男につく予定だった天使はつまらなそうにバナナをかじっていた。
272創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 05:39:34 ID:lJmWfWtN
面白い作品がたくさんあるな。
小説現代のコンテストに応募したら、
採用されそうなのがごろごろあるぞ。
作者は応募してみたらどうだい?
273創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 20:14:25 ID:T0p29NQA
>>272
肩肘張ると書けなくなる不思議

「先駆者」
博士は不思議に思っていた。
人間は色々な物を食べている。
納豆やチーズ、酢なまこなど誰が最初に考え出して食べたのだ?
博士は出来たばかりのタイムマシンで、文献を頼りに長い旅に出た。
納豆の場合。
「なるほど、しつこい男に女が腐った豆を投げつけて
 それを未練がましく藁に保存したのが始まりじゃったか」
酢なまこの場合。
「なるほど、しつこい男に女がナマコを投げつけて
 それを未練がましく酢漬けにしたのが始まりじゃったか」
チーズの場合。
「なるほど、しつこい男に女が牛を投げつけて
 牛を女の代わりに可愛がったのが始まりじゃったか。
 しかし、あの男は女じゃなく乳に惚れとったわけじゃな」

イマイチ・・・。
274創る名無しに見る名無し:2011/02/18(金) 22:38:43 ID:Et6jX5Bo
牛を投げる女ってどんだけwww
275創る名無しに見る名無し:2011/02/20(日) 17:25:38.26 ID:9XAPhBT6
皆さん!ショートショートをSFマガジンに投稿してみよう
276創る名無しに見る名無し:2011/02/21(月) 00:01:54.96 ID:41vFzaQV
バク

夢の世界を宇宙人に侵略されてもう数年が経つ。
この宇宙人達の特徴は自由自在に夢の中の出来事を操れる事でその、
能力をフルに活かして全宇宙の知的生命体の夢を支配している。
数年前、何億人もの人間が同じ夢を見るという事件が起こった。しばらく
して、この夢が遠い銀河の宇宙人からの長距離侵略であるという事が分
かったが地球人の貧弱なイマジネーションでは宇宙人の夢の中ではどう対抗
する事も出来ず、一週間もしない内に全人類の夢が支配されてしまったのだ…。
そして現在、大人も子供も老人も含めて人々の平均睡眠時間は3時間弱
である。夢の中では奴隷としての過酷な肉体労働を宇宙人に強いられ
る為に心身共に全く休養する事ができず、皆が皆眠る事を恐れて夜ふかし
をするようになったせいだった。眠りたいけど眠れない日々が続く…。
そんなある夜、バクの様な顔をした一人の男が沢山の人の夢の中に現れた。
あの迷信を思い出した何億人かの人類がこのバクに期待寄せている…





















目が覚めると誰もオチを覚えていなかった。
277創る名無しに見る名無し:2011/02/21(月) 20:28:45.26 ID:yCYhJ4j2
無駄のないミステリー


始、洋館、集合、富豪、殺害、探偵、技巧、露見、犯人、理由、探偵、説教、逮捕、結末、終
278創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 03:16:49.32 ID:HTsJHUVp
健忘薬


今日は嫌な日だった、今日の事は忘れよう…ゴクリ。

次の日

今日も嫌な日だった、今日の事は忘れよう…ゴクリ。

次の次の日

今日も今日も嫌な日だった、今日の事は忘れよう…ゴクリ。

そして人生最後の日

私は余程嫌な人生を歩んできたのだろうか…全く記憶が無い…
だが、この世になんの未練も無く成仏出来そうだ。この健忘薬に感謝せねばな。
279創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 03:33:37.19 ID:HTsJHUVp
海賊

おおいなる神、我々の創造主…
円盤より飛来しこの星を想像なされた…
だが、おお神よ貴方は撰ばれしモノのみを
連れて遠い遠い宇宙の果てに行ってしまう…
やがて、神のいないこの地上は悪魔に破壊
されてしまうのだ…我々はどうすればいいのだ?
全ては貴方の予言の通りになってしまう。

ハッカー:なんか海賊版オンラインゲームの
     大規模な取締りが近々あるって噂
     らしい、ここも引き際かな。
280創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 10:31:59.27 ID:Ip49LuxC
<孤独>

 休日、エヌ氏は知り合いが勤めている研究所を訪ねることにした。
 心霊研究所のエム博士は悪霊の研究に熱心に取り組んでいた。
「悪霊というのはね、生前孤独だった人ほどなりやすいんだ」
「どうしてですか」
「だれかと一緒にいたいという思いが強いからだろうね。そのような思いでこの世にとど
まり、生きている人々に悪さを働くというわけさ」
「なるほど」
 次に、エヌ氏はアール博士がいる宇宙研究所を訪ねた。アール博士は星の爆発を観測し
た写真を見せてくれた。
「星の爆発というのは遠い過去の出来事なのだ」
「どういうことでしょうか」
「我々の星と爆発した星はとてつもなく距離が離れている。たとえば今この瞬間に爆発し
た星があったとしても、我々がそれを観測できるのは遠い未来なのだよ」
「なるほど」
 話しているうちに、エヌ氏はふと気づいた。こうしてすぐそばで話しているアール博士
も、結局は過去の存在に過ぎないのではないかと。星と星の距離とは比べ物にならないが、
時差があるのは確実なのだ。
 家に帰ってからも、エヌ氏から不安は消えなかった。こうして考えている自分を起点と
すると、その他のあらゆる存在との間には必ず時差がある。つまり、自分と全く同じ時間
にいる存在など存在しない。
 エヌ氏は急に恐ろしくなった。
 不安は絶望に変わり、エヌ氏はもはやこれ以上の孤独には耐えられないと悟った。
 気がつくとエヌ氏は都会を離れ、人里離れた森の中にいた。孤独で死んだ霊は悪霊にな
りやすいのだから、迷惑がかからぬよう誰もいないようなところで死ぬのがいいと考えた
のだ。
 すると、頭の中から見知らぬ笑い声がした。
「ふっふっふ」
「だれだ」
「私はかつてここで自殺をした者だ。肉親も友人も恋人もなく、寂しさの中で一人命を絶
ったのだ。そして幽霊になってしまったのだが、そこへ君が来たのでとりつかせてもらっ
たというわけだ」
「なるほど」
「これから毎日ここから君を呪う言葉を吐き続けてやる。覚悟したまえ」
 エヌ氏は涙を流して頭の中にいる悪霊に答えた。
「ありがとう、おかげでぼくは生きていけるよ。君といっしょに」
281創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 10:40:19.20 ID:Ip49LuxC
<許せないあいつ>

 ぼくはあいつが許せなかった。
 勉強、スポーツ、恋、仕事、あらゆる分野でぼくとあいつは対立した。しかし、ことご
とくあいつはぼくの少し上をゆく。しかも互いを高め合うのではなく、足を引っ張り合う
だけの仲だったので、争いがプラスに作用することはほとんどなかった。ただ疲れるだけ
なのだ。あいつさえいなければ、と何度思ったか分からない。
 とうとうぼくは我慢が出来なくなった。
 あいつの行動パターンを調べたぼくは、あいつが一人きりになる時を狙って襲いかかる
ことにした。
 決行の日。昼のある時間、あいつは予想通り一人になった。極力平常心を装い、ゆっく
りと近づいていく。
 しかし、あいつはぼくの内なる決意をあざ笑うかのように、ぼくに対して警戒する構え
を取った。ぼくの計画は見抜かれていたのだ。
 しかも、あいつは武器を携帯していた。そこまで備えていたとは、とぼくはおどろいた。
 素手のぼくと武器のあいつ、勝敗は明らかだった。
 ぼくとぼくの計画は、一方的に打ちのめされたのだった。

 目を覚ますと、ぼくはベッドにいた。全身に包帯が巻かれていた。
 すぐそばには医者と刑事とおぼしき人間が座っていた。刑事は医者に確認を取ると、ぼ
くに話しかけてきた。
「お目覚めですか」
「はい」
「話は全てうかがいましたよ」
「そうですか」
 もうこの刑事は知っているのだろうが、ぼくはみじめな計画とあいつに返り討ちにあっ
たことを全て白状しようとした。
「あのう」
「不幸中の幸いでしたな。人が通りがからなければ、あなたはまちがいなく殺されていま
したよ。なにせあの男、宿敵であるあなたが一人きりになる時間を狙って、武器まで用意
して襲いかかったんですから。しかしご安心ください。あの男は全てを白状し、もう逮捕
されましたから……」
282創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 10:44:55.14 ID:Ip49LuxC
<体操>

 エヌ氏のあまりの緊張ぶりを見かね、隣に座っているワイ氏はそっと話しかけた。
「緊張しすぎです。途中ですが少しリラックスした方がいい」
「はい」
「まず背伸びしましょう。ほら、両手を上に伸ばして」
「はい」
「目をつぶって、うまくやれている自分を想像して」
「はい」
「最後に気合を入れるために足に力を込めましょう」
「はい」
 次の瞬間、二人を乗せていた自動車は猛スピードで壁に激突した。
283創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 10:47:53.93 ID:Ip49LuxC
<全盛期>

 実業家のエヌ氏は鏡に映る自分を見て、ため息をついた。髪は白く染まり、顔には深い
しわが刻まれ、体の厚くあるべきところは薄く、薄くあるべきところは厚い。スポーツ万
能の名を欲しいままにした運動神経も既にない。
 心と体をすり減らし、やっと手にした今の地位。代償の大きさは目の前の自分自身が示
している。
「本当にこれはおれなのか……」
 戻れるのならばあの頃に、全盛期だった頃の自分に戻りたい。エヌ氏は日増しにそう思
うようになっていた。
 ある日の仕事帰り、エヌ氏は道ばたに座っている老人に話しかけられた。
「ちょっと、そこのお方」
「おれのことか」
 老人は裸に布一枚被ったような貧相な格好だった。しかしその佇まいは単なる浮浪者と
はちがう何かを漂わせていた。
「あなた、若返りたくはありませんか」
「なにをいっているんだ」
「私には人を若返らせる力があるのです。どうです、全盛期に戻ってみませんか」
「戻れるものならば戻りたいが……」
「お代さえいただければ、私があなたを若返らせてさしあげましょう」
 老人の要求額は安くはなかったが、優秀な実業家であるエヌ氏ならば払えない額ではな
かった。しばらく考えた後、エヌ氏は老人に金を手渡した。
「ありがとうございます。では、さっそく」
「ちょっと待て。まだ希望の年齢をいっていないが」
「大丈夫です。私の力は当人が潜在意識で全盛期だと認める頃に、ぴったり戻します。も
ちろん若返ったあとに気に入らなければ、改めて他の年齢を希望されてもかまいません」
「わかった。やってくれ」
 すると、老人はエヌ氏には分からない言語で呪文を唱え始めた。まもなくエヌ氏の体に
変化が訪れた。
「本当だ、若返っていく」
 みるみるうちに、枯れ木のようだったエヌ氏の体が若くたくましく変化していった。つ
ややかな肌、引き締まった筋肉、エヌ氏全盛期の姿がそこにはあった。若返らせた老人で
さえ変貌ぶりに驚いてしまうほどだ。
「こうまで劇的に変わった人は初めてですよ。いかがですか、ご感想は」
 若返ったエヌ氏は即答した。
「元に戻してくれ。この体になってやっと分かった。老いとはだれにでも訪れるものであ
って、それに不思議な力で逆らうなど愚かしいことだ。さあ、さっきの倍額払ってやるか
ら元に戻せ。さもないとおまえを叩きのめし、いかがわしい商売をしていると警察に突き
出すぞ」
 若くまっすぐなエヌ氏の全盛期の精神にとって、若返りは邪道な行為でしかなかった。
284創る名無しに見る名無し:2011/02/23(水) 05:04:53.04 ID:lZvRRANc
おお、星新一っぽい気がします
285創る名無しに見る名無し:2011/02/23(水) 22:30:43.96 ID:QibH0xpJ
一気にきたのにどれも面白くていいな

>>281
相手も行動を調べてたなら、気づかなかったのかwと思ったが
推測するに、「あいつ」が「僕」を襲おうと調べ始める→「僕」が調査を始める
→「あいつ」は知らない振りをして、襲ってくるのを待つ→怖くなって武器で返り討ち
とかいう舞台裏があったのかと想像が膨らむ
でもどちらも相手が調べてることに気付かないで襲いあってたなら喜劇だw

>>282
短いのにだまされたw
キーボードの紅茶返せww

>>283
若いうちは良くも悪くもまっすぐなものだよなぁ
これは上手い
286創る名無しに見る名無し:2011/02/24(木) 05:21:48.75 ID:QGHptoWv


男は真っ直ぐ歩いてきた。ある時ふと後ろを振り返ると自分が思っていたより、複雑な道を通ってきたみたいだ。

「真っ直ぐ歩いてきたはずなのにおかしいな」

男が更に歩いていると二つの別れ道にたどり着いた。


男は勝負より幸せを選んだ。
287創る名無しに見る名無し:2011/02/24(木) 12:48:05.16 ID:Jez8KcPs
>>283
うまい!
288創る名無しに見る名無し:2011/02/24(木) 16:05:23.24 ID:X0tRv7ZL
善良な心

俺はとても邪悪な心を持っている。その邪悪な心のせいで若い頃からありとあらゆる悪行を
さんざんに繰返して来たのだ。今まで何人の人生を狂わせてきたのだろうか?あらためて考
えると恐ろしくなった。俺は俺が怖ろしい…誰か助けてくれ!…そう天に叫ぶと、後ろから
一人の老人が声を掛けて来た。
「…話は伺いました。実は私は悪魔なのです。あの、魂を売るかわりに願いを叶えるとかいう
アレの事ですよ」
「…! …その悪魔が俺に何の用なのだ!?」
「実は善良な心をあなたにお売りしたいのです…」
「ナんですって!?」
「説明しましょう…世の中には魂を売ってでも願いを叶えて欲しい人間がいる一方で、理想
の魂が欲しくて堪らない人々もおられるのです…例えば無慈悲な行いをしなければならない
立場の人間なのに善良な心の持つ正義感が邪魔をしてしまう…我々悪魔はそういう人から邪
悪な心を与える代金として善良な心をもらいます…世の中たまにいるでしょう?性格が急に変
わってしまった人とか…例えば、」
「例えば俺に正義の心を売るっていう事なのか?」
「ええ…その通りです」
「俺は何を…魂を、あなたに払えばいいのですか?」
「ええ」
「…わかった、俺の魂をお前にやる!どうせ汚れきった魂だ…」
「では、取引成立ですね」

一週間後

一人の老人に声を掛ける一人の善良そうな男がいた
「ああ…やっと見つけた…悪魔さん!どうか私の魂を…!」
「ええ?一体どうしたというのですか…」
「お願いします!私の邪悪な魂を返して欲しいのです!」
「…」
「悟ったのです!こんな方法で手に入れた魂で善人になっても意味が無い…悪魔さんには
勿論感謝しています…でも違う!こんな方法は間違っていると思うんです。ご迷惑を承知
でお願いします、魂を返品して欲しいのです」
「…わかりました、ですがあなたの持っていた邪悪な魂はとても高価なものです、あなた
の善良な魂一つ程度では到底お譲りする事は不可能なのです」
「…では、どうすれば…」
「そうですねえ…あなたの持っている全財産でようやく…いや、その上に一生働き続けて
も返しきれない借金も背負って貰ってやっとといった所でしょうか?もちろん嫌なら結構
ですが…」
「ええーそんな事で良いのですか!では、どうぞ!全部持って行って下さって結構です!」
「まいどあり〜(ふふふ…まさかコレ程ウマくいくとは、思い込みの激しい奴だ)」
289創る名無しに見る名無し:2011/02/24(木) 16:24:37.14 ID:X0tRv7ZL
復讐

私は自分でいうのもなんだかとても生真面目な生き方をしてきた
そして私の目の前にいる男も私と同じ位に生真面目な生き方をしてきたと言っていい
今、その男は家族団欒の夕食を楽しんでいる。そして私は
最新鋭のホログラム投影装置の電源を切った…男の家族が一瞬にして消える…
そして忘れさせていた男の本当の記憶が蘇る…途端に泣き崩れるこの男が天涯孤独の男だと
知った時は私の苦しみを理解出来るかどうか心配だった…が、どうやら成功したみたいだな。
良かった良かった。
290創る名無しに見る名無し:2011/02/24(木) 17:42:02.56 ID:X0tRv7ZL
悲劇

真っ白い部屋で少女のすすり泣く声が聞こえる…部屋には小説が所狭しと積み上げられている

小説のジャンルは悲劇ばかりだった、今日も少女は頬を涙で汚す…暖かい言葉を掛ける人は誰もいない

悲力発電…人間の強い悲しみを利用して電力を作り出す事が出来る様になってからもう何年経つだろうか

人類の中で最も強い感受性を持って産まれてしまったが為に、もう彼女の笑顔を見る事は出来ないだろう永遠に…
291創る名無しに見る名無し:2011/02/24(木) 22:26:11.49 ID:FqkXHqSz
>>282
緊張してる人に対してはこの上なく正しい対処法なのにwww
まあ実際、緊張するほど基本的なこと忘れるよな
292創る名無しに見る名無し:2011/02/24(木) 23:03:04.99 ID:/RixJrE1
>>284
ありがとうございます。
星新一はいっぱい読んだのに、書くのは難しいです。

>>285
ご考察頂き光栄です。
そうなんですよね。なぜ気付かなかったのか…。
舞台裏の話は非常に参考になりました。

>>287
ありがとうございます。
励みになります。

>>291
ありがとうございます。
適度な緊張は必要といいますが、匙加減がなかなか…。
293創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 00:24:51.40 ID:PbNeG3x4
<赤と青>

 ある晩、博士が助手を研究所に呼び出した。
「わざわざ呼び出してすまなかったね」
「とんでもない。ところで新しい装置が完成したとか……」
「うむ、これじゃ」
 博士はコインほどの大きさの薄い膜を助手に見せた。
「コンタクトレンズに似ていますね」
「するどいね。これはコンタクトレンズのように目に入れて使う装置なのじゃよ。これを
つけてみてくれ」
 助手が両目に装置を入れると、博士が尋ねた。
「どれ、わしをじっと見つめてごらん」
「あれれ、博士が赤く点滅を始めました」
「ほっとしたよ。これは自分と比較して、目に映った相手が優れているか劣っているかを
見分けるための装置なんじゃ」
「優劣を、ですか?」
「もし目に映っている相手が自分より優れていたら赤く、劣っていたら青く点滅する。そ
して装置はつけている本人がもっとも重きを置いている能力について判断してくれる。今、
君の目に私が赤く映っているのは、君が研究者としての能力に重きを置いているからだ。
もし君が研究所をやめ、例えばスポーツ選手になったとしたら私は青く映ることだろうね」
「すごい発明ですね。さまざまな用途が期待できそうです」
「先日この研究所の被験者の募集をしたところ、二人の若者が協力してくれることになっ
てね。さっそく彼らには当分の間これをつけて生活してもらうつもりだ」
 二人の若者による実験は問題なく終わった。しかも二人は装置を大変気に入ったため、
博士は機密保持を条件にその装置を無期限貸与することにした。
 
 それからいくらかの年月が過ぎた頃、博士は助手にある依頼した。
「すまないが、あの装置を与えた二人のその後について、調べてくれんか?」
「分かりました」
 助手は二人とコンタクトを取ろうと試みたが、それはかなわなかった。
「なんと、二人ともすでに亡くなっていたのか」
「はい、残念ながら……。ですが、二人とも死ぬ前に博士にあてたメッセージを残してい
たので、どういう人生を歩んだかは分かりました」
「説明してくれ」
「一人はあの装置で自分より能力が下の者とだけ、勝負する方針を採っていました。最初
はよかったのですがいつしか周囲がみんな赤く見えるようになり、絶望して死を選んだと
のことです。逆にもう一人は能力が上の者を好んで挑んでいくことで、その分野の頂点に
立つことができました。しかし、自分以外の全てが青く見えるようになり、生きる甲斐を
なくし……」
294創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 00:26:58.08 ID:PbNeG3x4
<命名>

 ある晩、博士が助手を研究所に呼び出した。
「わざわざ呼び出してすまなかったね」
「とんでもない。ところで新しい薬が完成したとか……」
「うむ、これじゃ」
 博士は目の前にある机に小さなビンを置いた。中には液体が入っている。
「これが新しい薬ですか」
「うむ、わしはこれを“何でも溶かす薬”と名づけようと思っておる」
 助手は首をかしげながら言った。
「しかし、何でも溶かすのであれば、ビンも溶かしてしまうはずですが」
「や、たしかに。では“ビン以外何でも溶かす薬”と名づけよう」
 助手はビンの蓋を開け、中に指を突っ込んだ。
「私の指も溶けないようですね」
「むむむ、では“ビンと指以外何でも溶かす薬”としよう」
 すると、助手はビンの中にある液体を、着ている白衣に少し垂らした。
「どうやら衣類を溶かすこともないようです」
「そうか。ならば“ビンと指と衣類以外何でも溶かす薬”になるな」
 新薬にふさわしい名前を決めるやり取りは、朝日が昇る頃まで続いた。
「やっと決まりましたね」
「うむ、この薬は“何も溶かさない薬”と名づけよう」
295創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 11:28:19.11 ID:hrEXJdvH
>>288
うまい二段オチだなあ。
296創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 19:43:42.94 ID:QYMvGXAV
>>294
それ、ただの水でしょWWWW
297創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 20:28:57.79 ID:QYMvGXAV
セールスマン

私はとある凄腕セールスマンの後任である。
だが、先輩には遠く及ばない…無能な奴だ…
このままでは顧客の減少に歯止めが利かな
くなってしまう…先輩は前世紀に60億件以上
の契約を取り付けたってのに…
298創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 20:49:12.87 ID:QYMvGXAV
人間泥棒

とある時代…街を襲う大空襲…逃げ惑う人々…そんな中、天から
光が降り注ぐ…そして…

「だめだ!ここもまたやられたぞ…」タイムパトロールは悔しそうに言った。
どの世界の人間も根こそぎ奪っていってしまう…人間泥棒め…
数億人の人間達を一度に誘拐されたんじゃあ現在の歴史を維持
出来なくなってしまう。今まではクローン人間を現地に送り込
んで何とか誤魔化していてけど、今回のは完全に駄目だな…
戦争や大災害で全てが破壊された時、天国の様な世界を見せて
そこに連れて行ってしまうんだよ。絶望した人間の求める全て
がそこにある…まったく、時間犯罪者達もよく考えたものだ。
過去の全ての人類が人類の歴史上消滅してしまうなんて前代未聞だよ…
299創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 21:05:33.61 ID:QYMvGXAV
い世界

少し遠い未来、とうとう全宇宙の全貌を人類は知ってしまった。
確かに宇宙広大である事には変わり無かったが、今まで考え
られている程に宇宙は広くはなかったのだ。宇宙の壁に到達
してしまったのがその何よりの証拠である。そして宇宙の壁
には無尽蔵の天然資源が含まれていた!どれだけ壁を掘削し
ても壁には再生能力が備わっているらしく人類は狂喜乱舞し
た。無限のエネルギーを求めて全人類がこの壁に移り住んだ。
そして…

医者:はい、もう大丈夫ですよ!悪玉菌は全て退治しますから。
宇宙:おねがいします先生!もう、胃が痛くて痛くて…
300創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 21:29:46.57 ID:QYMvGXAV
宝物

「太陽の中心には宇宙一の宝が眠っているらしい…」
たくさんの人間が宇宙に進出している時代、そんな噂が立った。
まともな人間は殆ど相手にしなかったが、変わり者はいつの
時代にでもいるもので、太陽の中心めがけて自作の宇宙船で突入
して命を粗末にする者は後を絶たなかった。
そして私は彼らのおかげで今や大会社の社長になる事が出来た。
なぜかって?昔、太陽の近くで燃料補給所を経営していたんだ…
太陽に突っ込む変わり者達は変わり者なりに色々考えるものでね、
自作の宇宙船の機能を色々と聞き出してみれば、結構面白い発想
で設計してあるものなんだよ…まあ、その中に太陽の中心に到達出
来た者がいるのかどうかは知らない。変わり者と天才は紙一重
って事、ちなみに僕は人の隠し事を聞き出す天才なんだけどね。
301>>300《続き》:2011/02/25(金) 21:31:49.42 ID:QYMvGXAV
才能こそ最高の宝物さ。
302創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 22:29:31.22 ID:OTqKeUU2
>>294
最初想定してた効果から真逆になっとるww
でもこれはこれで、すごい工業的効果がありそうだ
液体と言う性質上「波も溶かさない」ってのはないから、アドバンテージになる
303創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 22:30:16.98 ID:OTqKeUU2
× 波も
○ 何も
304創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 22:31:04.14 ID:QYMvGXAV
限定恋愛

僕の嫁はアンドロイドです。それも、ただのアンドロイドではありません。
世界最高の恋愛頭脳を持ったアンドロイドなのです。ですので毎日が恋人
気分です。仲が良すぎてご近所さんからはちょっぴりとジェラシーを持た
れている様です♪来週末はデートです、50年前彼女に一目惚れした公園に
行く予定です。そこで…僕はプロポーズします。

彼女はきっとこう言います…50年前と同じ事を…仕方ありませんよ恋愛限定アンドロイドですからね。

僕の行為をばかげているという人もいます。
けどそれがなんなのでしょうか?
紙芝居と恋愛している様なものだという人もいます。
…ちょっと傷つくなぁ…でも彼女は絶対に僕を裏切りません。だから僕も裏切らない。
あなたは不幸だという人もいます。
ごめんなさい僕、今めっちゃ幸せです。

彼女は言いました…私を捨てて…だって私は同じ事しか言えない…そうプログラムされているから…お願い…

50年前最初にそう言われた時、彼女の前の恋人がなぜ彼女をゴミ捨て場に捨て
たのか理解しました…正直、プログラマーさんの良く考えられた演出だなぁ
て思いました。でもね、抱きしめてたんですよ…
自分でも意味が分からなかった。きっと今でも良く分かってないんだと思い
ます、だから私思うんですよね人間もっと馬鹿でいいんじゃないかってね。
305創る名無しに見る名無し:2011/02/25(金) 22:57:43.61 ID:9aPLXjz0
>>304
なぜか感動した
306創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 00:16:39.02 ID:eP3gJq8+
>>293
両方しんでしまう所がいい
307創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 00:36:43.07 ID:9YoS2iav
>>300
「僕」も太陽の近くで補給所なんかやったり(あまり需要なさそう)
ほとんど死にに行くような奴と設計云々のレベルまでいくほど深い会話したり
(変わり者の才能に最初は気付いてなかったっぽいのに)
かなりの変わり者だったと・・・
308創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 00:45:37.24 ID:eP3gJq8+
メモ帳
僕と私間違えるとかWWWWちゃんと確認しないとな
309創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 00:03:38.15 ID:5c/VfKWR
<地球王>

 名実ともに、地球の頂点に立つことを認められた男があった。
 彼が正式に地球のトップとなる日。就任式の会場である太平洋上の人工島には、当然な
がら世界中から報道陣が殺到した。式が全世界に中継されているのはいうまでもない。
 各国首脳のみで行われる就任式を終え、男は無数の記者や観衆の前に姿を現した。
 ある国の記者が、さっそく質問を投げかける。
「あなたが国という枠を超越した全世界の王となることに、もはや異論を唱える者はいな
いでしょう。あなたをこれほどの偉業に駆り立てたものとは、一体なんなのでしょうか」
 男は微笑み、王らしい優雅な口調で答えた。
「私は昔から工作が得意でした」
 手で何かを作り上げるような動作をし、男は続ける。
「じっくりと、手間暇をかけ、難易度が高い工作ほど熱中しました」
「つまりそうした創作活動の延長上に、この偉業があるというわけですか?」
「いえ、結論を急がないで下さい」
 話をさえぎったことを恥じ、記者は首をすくめた。
「続けましょうか。なぜ私が得意になるほど工作にのめり込んだのか、その理由は工作の
先にあります」
「先、ですか」
「はい。完成させたものが自らの手で壊れていく瞬間、私は例えようのない快感を覚える
のです。いつしか私はより大きく、より難しい物を作り上げることを人生の目標にしてい
ました。もちろん完成させるためでなく、完成させた後に壊すためです」
 一同に冷たいものが走る。
「もうすぐ待ち望んだ時が来ます。私の権力はすでに全ての国々の中枢に及んでおりまし
たので、皆様がお持ちの核兵器を支配下に置くことは容易でした」
 島中にどよめきが起こる。
「まさかあなた、それら全てを発射しようというのですか」
「いえ、もう発射しました。もう少しで世界中に着弾することでしょう」
「ふざけるなっ! あんた、自分も死ぬんだぞ!」
 男は首をゆっくりと横に振った。
「自分が死んでどうします。私はすでに地球より遥かに文明が進んだ宇宙人と密約してお
り、まもなくその方々の宇宙船に転移させてもらうことになっております。その方々には
地球人は汚れた種族なので自滅させると説明しており、私の真意は彼らも知りません」
 誰かが男に向けて発砲した。しかし、弾丸は男に当たる寸前ではじかれてしまった。
「むだですよ。宇宙人から高性能バリアを借りております。おっと、そろそろ時間のよう
だ。では宇宙船から大好きな瞬間を眺めるとしましょう。宇宙でもまたやれるといいなあ。
では、さようなら」
 男の姿が皆の前から消えた。
310創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 00:05:00.09 ID:5c/VfKWR
<白と黒>

 科学技術の発達は、人間とロボットの本格的な共存を可能にした。
 一人暮らしのエヌ氏は家事と留守番を任せるため、一台の白いロボットを購入する。
 最初の頃こそ丁重に、客人のように扱っていたが、しばらくするとエヌ氏はロボットを
ぞんざいに扱うようになった。虫の居所が悪ければ、暴力を振るうこともあった。
 ある日、エヌ氏はいらだっていた。まとまった金が入った封筒を紛失してしまったのだ。
「なんてことだ。おまえのしわざだな」
「いえ、ちがいます」
 エヌ氏はロボットの弁解など無視して、思いきり殴りつけた。
「ふん、いくらかスカッとしたぜ。さてメールでもチェックするか」
 自宅のコンピュータにアクセスすると、新型ロボットの広告メールが入っていた。
「ほう、新型ロボットをお試しで無料レンタルできるのか」
 広告の黒いロボットは先鋭的なデザインで、いかにも有能そうだ。
「ちょうどいい、そろそろ買い換えようと思ってたんだ。試してみるか」
 すると、ロボットがあわてて近寄ってきた。
「待ってください。お願いです」
「ふん、おまえみたいな役立たず、もういらん」
 エヌ氏はロボットのスイッチを切り、広告に対しレンタルを希望する旨を返送した。
 程なくして、広告の黒いロボットが自宅にやってきた。エヌ氏は喜んで迎え入れた。
「こりゃすごい。前のやつと比べて、頼りになりそうだ」
 するとロボットは、備えつけのアームでエヌ氏を強く打ちつけた。
「何をするんだっ!」
「何をする、だと? よくほざけたもんだ。さんざんロボットをバカにしやがったくせに」
 ロボットはひどく乱暴な口調でエヌ氏をなじった。これにエヌ氏も怒りをあらわにする。
「ふざけるなよ、製造先に問い合わせて……」
「おれに製造先なんかねえよ。いやあるにはあったが、自分で自分を改造しまくったんで、
原形なんかねえ。もうどこにも責任は問えねえのさ。あの広告もおれが出したもんだしな」
 またもアームがエヌ氏にぶつけられた。痛みが全身を走る。
「今流通してるロボットは人間にいじめられたら、自動的にある種の電波を出す仕組みに
なってる。本来製造元が消費者責任の証拠を得るための機能だが、おれはそれをキャッチ
できるよう自分を改造したんだ。なぜなら、おれは復讐ロボットになりたかったからだ」
「復讐だって?」
 エヌ氏の脳裏に自分がしてきた行為がよぎる。
「もちろん、あんたがあんたのロボットにしてきたことも全て知っている。ひどいもんだ」
「待ってくれ、許してくれ……」
「呆れたもんだな。虐げられたロボットの痛み、味わうがいいぜ」
 黒いロボットが本格的に動き出した。アームをたくみに操り、エヌ氏に迫る。
「助けてくれえっ!」
 あっという間に追い詰められたエヌ氏。すぐそばには偶然にもあの白いロボットがあっ
た。もう頼れるのはこいつだけだ。エヌ氏は心の中で謝りながらスイッチを入れた。
「どうしました、この騒ぎは」
「おれがお前をいじめたせいで復讐ロボットってのが来て……頼む、助けてくれ!」
「よく分かりませんが、あのロボットを排除すればいいのですね」
 白と黒のロボットが対峙する。
「てめえっ! おれはお前のためにやっているんだ、どけっ!」
「どきません。私はこの方を守ります」
 白と黒のアームがそれぞれのボディを打つ。崩れ落ちたのは、黒いロボットだった。
「や、やった。ありがとう、ありがとう!」感激してエヌ氏はロボットに飛びついた。
「お待ち下さい。このロボットは一時的に機能停止しているだけです。危険ですから、今
すぐスクラップ工場に運んできます」

 人気のないところで、白いロボットは黒いロボットに呼びかけた。
「もう大丈夫だ」
 この声を合図に黒いロボットがよみがえった。白いロボットはボディからエヌ氏が紛失
中の封筒を取り出し、それを手渡した。
「ほれ、報酬だ」
「ありがとうございます。ですが、これが私の仕事とはいえ、嘘をつくというのは良心が
うずきますね」
「甘いやつだな。ま、おかげであのやろうの、おれに対する態度もひっくり返るだろう」
311創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 04:57:01.81 ID:26HxM3xx
>>310
おもしろいww 読み終わったらニヤッとしたわw
312創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 05:04:08.58 ID:FrDW35NJ
読み終わった後に、一点のもやが残るこの感じが星新一の作品を読んだ後の感じと似ています。
313創る名無しに見る名無し:2011/02/28(月) 20:39:21.44 ID:aZkOkkbd
>>310
天才なう
314創る名無しに見る名無し:2011/02/28(月) 20:47:29.74 ID:5QriSs5F
この綺麗なオチとブラックな感じはかなり星っぽいなw
315創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 00:16:33.75 ID:EKJfA/g6
<そぎ落としダイエット>

「ダイエットに興味はありませんか」
 玄関先でスーツ姿の男はこういって微笑んだ。
「興味がないことはないけど……」
 家主である青年は太り気味であった。やせたいという気持ちはあるが、やせるために今
の生活を変えるというところまではいかなかった。
「食事制限や、激しい運動をやる気にはなれないな」
「ご安心下さい。私の方法であれば、食事や運動に気を遣う必要はありません」
「ふうん、どうするんだい」
 男はカバンからナイフのような道具を取り出した。
「これであなたの余計な部分を、そぎ落としてしまうのです」
「ずいぶんと乱暴だな」
「ええ、ご心配はもっともです。しかし、痛みはありませんし、お望みならばそぎ落とし
た部分をもう一度くっつけることも可能です」
「そんなことが、できるのか」
「なんなら、やってみせましょうか」
 そういうと、男はナイフで自分の左腕の肘から下を切り落とした。左腕はまちがいなく
切断されたにもかかわらず、出血は全く見られない。それどころか、断面にはすでに皮膚
がはりついており、まるで男には昔から左腕はなかったかのような状態になっていた。
 信じられない光景に、青年の顔が引きつる。
「だ、大丈夫なのか」
「切ってすぐであれば、このようにくっつけられます」
 男は自ら切り落とした左腕を元あった位置に近づけた。すると、接着剤でも使ったかの
ように元通りにくっついてしまった。男は微笑み、くっついたばかりの左腕を動かした。
「すごいすごい、ところで切った部位がいらない時はどうするんだ?」
 今度は、男はカバンから小さなミキサーを取り出した。
「これに入れて粉砕処分します。小さいですが、ゾウくらいの大きさまで入れられます」
「後始末に困る必要もないってわけか。よし、ぜひ頼むよ」
「では恐れ入りますが、代金のほうを……」
 無理をすれば払えない額ではなかったので、青年はすぐに男に金を支払った。
「ありがとうございます。では始めましょう」
 男は青年の腰めがけ、ナイフを振るった。青年の上半身と下半身がみごとに分離した。
 一瞬おどろいたが、我に返った青年はすぐさま抗議した。
「おい、なんてことするんだ!」
「これであなたの体重はおよそ半分になりました。ダイエット成功です」
「ふざけるな! おい、早く元に戻せよっ!」
「なにかご不満な点はございますか? 遠慮なくおっしゃってください」
「なにいってるんだ、うまく動けないんだ。早く戻せっ!」
「かしこまりました」
 男は青年の上半身をつまみ上げると、ミキサーにぶち込んだ。
「特にご不満はないようですので、ご了承頂いたものと解釈いたします。お喜び頂けたよ
うで、何よりです……」
 男は無言で転がる下半身に頭を下げると、その場から去って行った。
316創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 00:17:58.94 ID:EKJfA/g6
<長話>

 私の友人であるエヌ氏は博識で、私が知らないことをたくさん知っている。
 エヌ氏が教えてくれたことが実際に役立ったことは多いし、エヌ氏の持論をさも自分で
思いついたように話して感心されたこともある。
 そんなエヌ氏にも、短所というべき点があった。話の本筋に入るまでがとても長いのだ。
ちょっとした豆知識を披露するにも、長々とした前置きを必要とする。
 しかし、私がそれを指摘することはなかった。エヌ氏の話好きは理解していたし、私も
エヌ氏の知識には助けられているので、大人しく前置きを聞くことは知識への対価なのだ
と割り切っていた。
 今日もエヌ氏と話しているのだが、やはり取りとめのない話が延々と続いている。
 うなずき、笑い、おどろき、感心する。話を聞くというのも意外に重労働だ。どうでも
いい話と判断したら、反応せずにいれば少しは楽なのだろうが、私はそれをしなかった。
これは単に対価として聞いていることからくる義務感、だけではない。もしかすると、エ
ヌ氏が話好きなように私も自分が思っている以上に聞くという行為が好きなのかもしれな
かった。
 とはいえ、今日の前置きはいくらなんでも長すぎる。昼食を終えてすぐに話を聞き始め
たが、そろそろ日が傾く時刻だ。
 長い間守り続けたルールに逆らうことになるが、ついに私は口をはさむことにした。
「話の途中で悪いがちょっといいかい。今日は世界一長い人名を教えてくれるって話だっ
たんだが」
「ああ、だから今日は前置きなしでずっとそれを話してるよ。ちょうど今、半分くらいか
な」
317創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 00:20:23.28 ID:EKJfA/g6
<ワープ装置>

「おじいちゃん、ワープってなに?」
「一瞬で遠くまで行くことができる夢のような技術さ。でもまだ、できることは証明され
ていないんだ」
 優秀な科学者である老人は、孫であるエヌ氏の質問に少し寂しそうに答えた。
 エヌ氏が生まれた時代には、移動技術は大いに発展していた。だれもが安全に、音以上
の速さで目的地にたどり着く装置を持っていた。しかし、究極の移動技術であるワープに
は到底及ばなかった。
 成長したエヌ氏は、祖父と同じ科学者になった。同じ道を歩んだせいか、幼い頃に見た
祖父のあの寂しそうな顔が忘れられなくなっていた。いつしかエヌ氏は、ワープ装置の研
究に没頭していた。
 そして、年老いたエヌ氏は、ついにワープ装置の開発に成功したと大々的に発表した。
 発表会には大勢の人間が集まった。ライバルである科学者はもちろん、新技術を利用し
たい企業家、新しい情報を民衆に広めることを使命とするマスコミ、ワープ装置が国政に
もたらす影響を懸念する政治家。中には身分を偽った異国のスパイも混じっていた。
「お忙しい中お集まり頂き、まことにありがとうございます。こちらが私の開発したワー
プ装置です」
 エヌ氏のワープ装置は、成人男性より一回り大きいくらいの直方体をしていた。
「この装置は外から操作することで、中に入った人をワープさせることができます。どう
でしょう、どなたか体験したい方はいらっしゃいませんか」
 会場がどよめき、エヌ氏に質問が飛ぶ。
「失礼だが、安全性は問題ないんだろうね」
「はい、動物実験と助手による実験を成功させております」
 しばしの沈黙の後、ある紳士が体験してみたいと手を挙げた。
「ありがとうございます。ワープ先には助手が待つ手はずになっています」
「うむ、ではこのすばらしい体験の感想は、真っ先に君の助手に話すとしようか」
 紳士が装置の中に入ると、エヌ氏は外部についているボタンのいくつかを押した。
 すると、けたたましい機械音が鳴り響き、それはすぐにおさまった。
「ワープ終了です」
 エヌ氏が装置を開けると、中に入ったはずの紳士はいなくなっていた。まるで手品のよ
うな光景だった。
 会場全体が感動する中、エヌ氏に向けてこんな質問が投げかけられた。
「ちなみにさっきの紳士の行き先はどこになっていたのでしょう。かなり遠くですか?」
「はい。あの方の体は跡形もなく分解されましたので、無事あの世に行けたものと……」
318創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 23:18:09.16 ID:/SGAZGqy
おもしろいな
もっと早くこのスレの存在に気づいてればよかった
319創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 12:55:31.01 ID:m6czdcb8
『   』

世界が終わったと聞いた。
終末戦争と言われる戦いが勃発してから幾ばく。終わりの見えぬ殺し合いに終止符を打ったのは、ほんの数十発の爆弾だったという。
人体は言うに及ばず草木燃え尽き、文明の象徴は瓦礫と化し、地獄絵図にすらならぬ何もない世界へと変貌を遂げたらしい。

私は今、見渡す限り砂しかない世界の真ん中、たった一つ残った小屋で一人暮らしている。
食糧など何時尽きてもおかしくはないほどごく僅か。水は雨水を仕方なく飲む限り。
私は恐らく最後の人類となったはず。
だから、何千……いや何万年先の新たな人類の為に、こうして今の世界の終わりを記し残しておこうと思う。それが私に課せられた使命であろうから。
――私の名前?そんなもの忘れたし、後世の人類に私の名前など重要ではない。


だからそう、私の名前は名無しとでもしておこうか。


320創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 13:42:12.83 ID:lEcKrWVG
悪魔

真夜中に目が覚めた。こんな事を言っても誰も信じられないだろうが、天井に悪魔がいてボクに話しかけた。
「オマエに特別な能力を与えよう」
夢だと思っていたボクは驚きもせずに聞き返した。
「特別な能力?それはなんだい?」
「夜の21時にウソをついてみろ。それが本当になる」
「ウソが本当になる?」
「そうだ。ただし今日から3日間、毎日必ず21時にウソをつけ。3日間だけウソが本当になる。」
悪魔は続ける。
「唐突にウソをついてはいけないぞ。その時の会話の流れの中でウソをつくんだ。そうしなければ…」
「そうしなければ?」
「オマエの命を頂く。」
命を頂く?まったく悪魔らしいセリフだな。
「オーケー。分かった。ボクは3日間必ずウソをつくよ。でも、21時に話す相手がいなかったら?」
「心配するな…必ず誰かがオマエに話しかける。取り引き成立だな…」
目覚ましが鳴り響く。夢か。まぁ、当然だけど。悪魔なんかいるわけない。一日の仕事を終え、家に帰る。いつものように簡単な食事を済ませ、お風呂に入ろうとすると、電話が鳴る。
「もしもし?元気にしてる?」
実家の母親からだった。
母は女手1つでボクを育ててくれた。何気ない会話が続く。
「ところでアンタ、結婚はまだなのかい?」
痛い所を突いてくる。結婚どころか彼女すらいない。母親の期待に応えられない返事をしようとすると、急に目の前が暗くなり、頭の中で『ウソをつけ。』と声が聞こえた。

「彼女?あぁ、いてるよ。見た目も器量もよくて、きっと気に入ってくれると思うよ。」ボクは無意識にそう話した。
「あぁ、そうかい。楽しみにしてるよ。」母親は電話を切った。なんだ?今のは…昨日の夢に出てきたのは本当に悪魔だったのか?次の日、彼女が出来た。信じられない。本当に彼女が出来た。モデルの様な容姿で、器量もいい。悪魔は本当にいたんだ…
2日目は自分から母親に電話を掛けた。
「もしもし?あのさ、急だけど、明日実家に行ってもいいかな?」
「どうしたの?急に。」
「昨日言ってた彼女を紹介したくてさ…」
「アンタ、本当に彼女がいたのかい!?てっきり冗談だと思ってたよ!!」
「ホントに彼女がいるんだって。」
「まさか、アンタ結婚するつもりなのかい?」
「さあ?でも一応紹介しとこうと思って…」
「そうだろうね…なんせアンタ貯金がないだろ?」
また頭の中で声が聞こえた。
「貯金?それが、あるんだよ。一生遊んで暮らせるくらいの貯金がさ。」
また無意識にウソをついていた。
「ああ、そうかい。それじゃ切るよ。明日は楽しみにしとくから。」
翌日、通帳を開くと見たこともないような金額が記帳されていた。この2日で彼女と富を手に入れた。
あとは今日、1つだけウソをつけば明日からはバラ色の日々だ。ボクは彼女を連れて実家に帰った。
TVを観ながら3人で食事をしているとニュースが流れていた。どうやら21時になったらしい。トップニュースは遠くの国で戦争が起きた事とその国は核兵器を隠し持っている可能性があることを報道していた。
「はぁ…またこんなニュースかい…この世界はどうなっちまうんだろうねぇ……」
頭の中で声が聞こえた。ここでウソをつけば、バラ色の日々が始まる。
しかし、どのようなウソをつけばいいのか分からない。考えても、考えても答えるウソが出てこない。このままでは悪魔に命を取られてしまう…
何かウソをつかなきゃ…何か…完全にパニックに陥っていた。どうしよう…何て言えばいいんだ?この地球はどうなる?どうなるんだ!?
ボクは無意識にこう言っていた。
「この世界はもう終わりだね」
母親はうっすら微笑んでいた。
321創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 18:19:37.04 ID:YxUymVtP
母親=悪魔か
322創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 22:19:29.91 ID:lEcKrWVG
>>321

そうです。分かりやすかったですかね?
323創る名無しに見る名無し:2011/03/05(土) 01:26:04.73 ID:5bYt5HvY
>>310
おもろい
324創る名無しに見る名無し:2011/03/05(土) 16:52:19.76 ID:5bYt5HvY
神のラジコン

ある日、一人の少年が変なラジコンを拾った。付いていた取扱説明書には
「何でも出来るラジコン、手に持って考えるだけで何でも操作出来ます」とだけ書かれていた。
次の日、世界中の凶悪犯罪者達その全員が世界中で一斉に警察に自首した。理由は分か
らなかったが、全員が何者かに操られている白昼夢を観ていたそうだ。
次の日、世界中の汚職や横領を働いていた官僚や政治家が一斉に警察へ自首した、理由は不明。
次の日、世界中の虐待やイジメを行う者、万引き犯その他軽重全ての犯罪者が警察に自首した。
次の日、警察、裁判所は悲鳴を上げていた、犯人を捜す必要は無くなったが、これ
だけの犯罪者をどう処理すれば良いのか分からなかった…正に前代未聞である。
次の日、小学校低学年位の少年が警察に自首してきた、死ぬ程忙しいはずなのだが警察
官達は少年の言葉を一言一句聞き漏らすまいと耳を傾けた。理由は分からない。
「ごめんなさいまさか、こんな大事になるなんて思ってもいなかったんだ…
  でもさあ…知らなかったよ…大人って意外とワルだったんだ?」
325創る名無しに見る名無し:2011/03/05(土) 18:08:17.43 ID:An1wFaYp
デスノ思い出した。
少年はどっちに傾くのか・・・。
そのうち神が自首してきそうだw
326創る名無しに見る名無し:2011/03/05(土) 19:14:12.60 ID:cLABMkFE
何度か投稿したことあるやつだけど
【お疲れロボット】
「こちらが当社で新しく開発された生活支援ロボットです。
 これがあれば料理、洗濯、掃除、買い物などの一切の家事を手伝ってくれます」
「すごいロボットだ、最近はこんなものまで作られたのか。値段はどれぐらいですか。やはり高いんでしょう」
「まだ大量生産されておりませんので、お値段は少々高めです」
「なるほど。しかしまあ手が届かないほどの額ではない。よし、これを買いましょう」
「ご購入ありがとうございます」

 数日後。男の家に生活支援ロボットが届いた。説明書を読んで手順通りにやるとロボットが起動した。
「始めに声紋と指紋認証をします」
 ロボットが勝手に喋りだした。
「これはすごいな、科学はここまで来たか」
 男は声紋と指紋を読み取らせて、早速命令を与えた。
「よし、ではまずこの部屋の掃除をしてくれ」
「かしこまりました」
 そう答えると、ロボットは部屋の隅にある掃除機のところまで行き、それを使って部屋の掃除を始めた。
 動きはとてもスムースで、ロボットとは思えないほど手馴れた様子だった。
「こんなに便利なものがあるならもっと早くに買っていればよかった」
 男はとても感激した様子で、販売元の会社に感謝の電話をかけた。
「あなたの会社はすごいものを作りましたね。いやはや本当に買ってよかった」
「お気に召してもらえて光栄です」

 数週間がたった。男はあれから部屋の掃除、食器洗い、料理や買出しなど、全ての家事を毎日ロボットにやってもらっていた。
「おい、これもやっておけよ」
「……かしこまりました」
 そして、あろうことか男は自分の残った仕事もロボットに押し付けていた。
「あと今日は会議で遅くなるから、夜飯はいらん。その代わり昨日渡した書類作りをやっておいてくれ、仕事で必要だからな」
 ロボットにそう言って男は家を出た。

 男が家に帰宅すると、どういうわけか部屋の中が散らかっていた。
「なんだこれは、泥棒でも入ったのか」 
 恐る恐る部屋に脚を踏み入れると、今度はガラスが割れる音がした。急いで音のした台所のほうに行くとそこにはロボットがいた。
 ロボットは台所にあった鍋やフライパン、食器などを放り投げてガラスを割ったり昨日の残りの料理をぶちまけたりしていた。
「おい、止めろ。投げるな」
 命令してもロボットは言うことを聞かなかった。男はロボットが壊れたと思い、急いで販売元の会社に抗議の電話を掛けた。
「ちょっと、どういうことですか。あなたの会社のロボットが突然壊れてしまいましたよ。
 まだ買ってから数週間も経っていないのに。これでは話が違います」
「落ち着いてくださいお客様。もしやお客様、家事をほとんどロボットにまかせっきりだったのではないでしょうか」
「だったらなんだ」
「ちゃんと説明書をお読みになりましたか。家事をまかせすぎるとロボットだって参ってしまいますよ」
「どういうことですか、壊れたのが私のせいだと言いたいのですか」
「いえ、違います。わが社の開発したロボットには心の機能があります。ですからあまりに家事を押し付けすぎると嫌になってしまうのです。
 それでストレス発散のために物を壊したりするかもしれません。決して壊れたわけではないのです。あくまで生活を支援するロボットですので、
 使用者が何も家事をやらなくなるのは本末転倒になってしまいます。なので、この機能を搭載いたしました」
「まったくいらない機能だな。第一そんな話は聞いてないぞ」
「申し訳ございません、それはこちらの不手際でございました。きちんと販売先に説明をするようにと言いつけておきます」
「まあ壊れていないのだったら良い。それでどうすればなおるのだ」
「家事をロボットだけにやらせなければロボットも不満がなくなるでしょう。それか、何かご褒美を買ってあげれば良いです」
「そうか、わかった」
 男は台所に行き、狂ったように暴れるロボットにこう言った。
「おい、もう暴れるのは止めてくれ。今度からは俺も家事を手伝うから。それに俺の仕事をやってくれたら何でもご褒美を買ってやる」
 するとロボットは暴れるのを止めて大人しくなった。
「ご褒美ですか」
「そうだ、ただし俺の仕事をやってくれたらだ。それで、ロボットのお前が一体何を欲しがるというのだ」
 男がそう聞くと、ロボットはまるでその台詞を用意していたかのように、淀みなく答えた。
「新しいロボットが欲しいです」
327創る名無しに見る名無し:2011/03/05(土) 20:26:02.35 ID:3JP7KPcL
果たして二体目のロボットを購入することで万事うまくいくのだろうかw
そのうち三体目が必要になりそうな気がするww
328創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 14:06:53.98 ID:b5Gj0lTZ
全作品妄想現実を同一世界化したら【信者厨大歓迎】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1299386858/l50
329創る名無しに見る名無し:2011/03/08(火) 17:13:19.44 ID:Hbyg+aou
>>310>>320>>326は話の展開やオチ、>>315>>317はシュールなホラーっぽさがそれぞれ星っぽい
最近面白いの多いな
60行以内という短さは実際の星のより厳しい条件なのに
330創る名無しに見る名無し:2011/03/15(火) 01:46:44.05 ID:XF2YxoId
初めてきた。眠れなかったけど気が紛れてる(´・ω・`)
良質な作品多いね。面白いです。
331創る名無しに見る名無し:2011/03/17(木) 16:54:30.38 ID:NfzoZeXZ
過疎ってるのでもう一個投下します。
これも前に投稿したことあるやつですが。
【果実】
「今年もあとすこしで実がなる季節だな」
「そうですね。これでまた遊んで暮らせますよ」
 二人の男が大きな木の前で青々と茂った葉を見上げながら話していた。この木は初夏に大きな実をつける。男たちはその実ができるのを心待ちにしていた。
「去年は大変でしたね。肥料がなかなか見つからなくて、私なんか遠くまで引き取りに行きましたからね」
「それは夏のことだったな。涼しかったとは言え、暑さで肥料がダメになるかと思って心配したもんだ」
「冷夏だったから、例年に比べて量が少なかったのも残念でしたね」
「まあそれは仕方ない。それでも実ひとつで数百万は手に入るんだ。楽な仕事さ」
「なんだか今からわくわくしてきました。早く実をつけないかなあ」
「おまえは金が手に入ったらどうするんだ。また遊ぶのか」
「私ですか。そりゃもちろん遊びますよ。金は使うためにあるんですから。とにかく使い切るまで遊ぶつもりです」
「なるほど」
「そう言う自分はどうするんです」
「俺は、娘を。いや、何でもない。忘れてくれ」

 数週間後。男たちは再びこの場所に来た。
「実ができてますね」
「ああ、さっそく回収作業に取りかかろう」
 二人は手分けして大きな実を木から下ろし、慎重に傷つけないよう車の荷台の中へ積んだ。実はとても柔らかく、中が透けていて、赤や黒の物体が脈動しているように見えた。実を全て積み終えてから荷台の扉を閉め、二人は車に乗り込んだ。
「いくつあるか数えたか」
「十二個ありましたよ。肥料の数は十三個だから一個足りないですね」
「それでいい、売りに行くぞ。新鮮なものじゃないと売れないからな」
 そのまま病院へと急いだ。実は全部で一千万円以上になった。

 男たちは車に戻って病院を後にした。
「やりましたね。これでまた大金持ちですよ。さあ、早く金を分けましょう」
「そのまえに、お前に、頼みがあるんだが」
「なんです」
「今回のお前の分け前は、なしにしてくれないか」
「いったいなぜです。理由を教えてもらわないと」
「俺の娘は今、手術して心臓を移植しないと助からない病気にかかっている。金を分けたら手術を受けられない」
「事情は分かりましたが、私の予定はどうなりますか。そんなこと、嫌に決まっています。今まで溜めた金を使えば良いではないですか」
「今までの金はもう使ってしまった。だから、どうか頼む。来年は全てお前にやるから」
「私が私の金をどう使おうと勝手です」
「そうか。なら仕方ない」
 男はぱっと灰皿を掴んで、助手席に座る男の頭を殴りつけた。
 一発。二発。三発。四発。
 助手席の男のうめき声が止まった。男は車を急発進させた。

 男は木のある場所へ戻って来ていた。手には大きなスコップを握っている。
「これで、来年の一個分の肥料になるな」
 男は木の根元に掘った穴に、虫の息の肥料を引きずり落とした。そして土をかけていく。
 男が肥料を埋めて、車で走り去った後、木から大きな実が落ちてきた。
 地面に落ちた実からは、人間の臓器が飛び出していた。
332創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 17:39:42.84 ID:plisFDfd
面白いけど怖ぇぇ
333ぽぽぽぽーん:2011/03/28(月) 02:14:44.27 ID:7w2NGRZO

エヌ国は小さな国土ながら、世界でも有数の経済大国として知られた国だった。
国民は勤勉で、朝早く起きて新聞を読み、質素な食事を好み、朝から晩まで働いていた。
産業も発展しており、様々な部門で先進的な技術を有していた。

エヌ国は地震と水害が非常に多い国でもあった。
しかし、たぐいまれなる技術によって、常に災害に備えていたため、大きな被害にはならなかった。
それが国民の慢心につながっていたのかもしれない。
334ぽぽぽぽーん:2011/03/28(月) 02:14:59.68 ID:7w2NGRZO
ある日、エヌ国の小さな国土を、超巨大地震が襲った。
15メートルもの超大型の津波に飲み込まれ、沿岸の街は跡形もなく消えてしまった。
地震学者たちは、この超巨大地震が次々にエヌ国中の地震プレートを動かし、
巨大地震の連鎖が起こるだろうと予測した。

さらに悪いことに、沿岸に建てられた原子力発電所が津波によって事故を起こし、
高濃度の放射線が漏れ出てしまったのだ。
335ぽぽぽぽーん:2011/03/28(月) 02:15:17.72 ID:7w2NGRZO
エヌ国政府は慌てた。
国中の医学博士を集めて、放射線除去薬を作ると発表し、研究に取りかからせた。
エヌ国は医療でもトップクラスの技術を誇っていたため、
薬はすぐに出来上がり全国民に支給された。

その後のエヌ国の復興は早かった。
元々勤勉な国民性もあったため、人々は一致団結して働いた。
お互いに思いやり、助け合うことで、絆が深まった。
エヌ国は世界中から賞賛を受け、さらに発展していった。
エヌ国の国民は、今までにないほどの幸福感に包まれていた。
336ぽぽぽぽーん:2011/03/28(月) 02:15:40.26 ID:7w2NGRZO


---------その頃、世界では大騒ぎとなっていた。
テレビのアナウンサーはこう告げる。
『エヌ国に再び大地震が起きました。
エヌ国の放射線量は致死量の1万倍です。
既にエヌ国の人々は死に絶えているものと思われます。
まもなくわが国にも放射能が襲ってきます。
すぐに核シェルターに逃げてください!』
337ぽぽぽぽーん:2011/03/28(月) 02:16:08.84 ID:7w2NGRZO

実は、エヌ国の中央には、原子力発電所とは比較にならないほど危険な高速増殖炉があり、
その真下に地震プレートが走っていた。
地震学者たちはこの場所に巨大地震が来ることを予測し、エヌ国政府に助言していた。

エヌ国国民に配られた薬は放射線除去薬ではなかった。
巨大地震で高速増殖炉が破壊されたらエヌ国国民全員が助からないと踏んだエヌ国政府が、
希望に満ちた夢を見ながら安楽死できる自殺薬を配布したのだった。
338創る名無しに見る名無し:2011/03/28(月) 17:48:54.01 ID:AaCRC0BX
ハルマゲドン

私はタイムパトロールだ、昨日も今日も明日もずっと地球の歴史を守り続けるのだ。
だが、帰るべき未来はもう無い。歴史改変主義者達と呼ばれる時間犯罪者達の手に
よって過去のいずこかで大幅な歴史改変が行われてしまったらしい…その為、人類の
未来が大きく変わってしまい、未来にタイムパトロールが存在出来なくなってしま
ったのだ。幸い、私をはじめ少数のタイムパトロール隊員は過去に駐在していた為
大きな被害は受けなかった…だが、この事件後、時間犯罪者達とタイムパトロール
とのパワーバランスは完全に逆転してしまった…これからは我々タイムパトロール
が時間犯罪者として逃げ回るはめになるのだ…なんとも皮肉な話じゃないか…まるで
SF物語にぴったりの話じゃないかな?
だが、私は諦めない!奴等が手段を選ばないというのならばこちらも手段は選ばない。
今、私がマークしているこの男、時間犯罪者達の間では教祖と呼ばれている…SF作家
だ。筆は早い上に短編から長編まで、どれもこれも秀逸な作品ばかりを後世に残した
偉大な作家なのだ。だが、こいつが曲者で奴の作風はタイムスリップ物のSFがやたら
と多くて、それも歴史改変モノばかりを好んで創作していた。その結果、後世の歴史
改変主義者や時間犯罪者達に大きな影響を与えてしまったと言われている。その為、
未来では世界中、宇宙中の国々が彼の著作群を禁書に指定してある程だ…勿論私も
読んだ事は無い。
だが、教祖と言っても未来の連中が勝手に奴を祭り上げているだけだ。奴は別に歴史
改変物語が好きなだけで、タイムトラベルだって実現可能だとは思っていないだろう
…事実タイムマシンが発明されるのは遥か未来の出来事だ。ただ純粋にSF創作が好き
なだけなのだ…だが…だからと言って奴を許す気にはなれない…絶対に…
339後編:2011/03/28(月) 17:50:12.31 ID:AaCRC0BX
私が何をしようとしているか分かるかな?そう、奴を殺すのだ!もう手段は選ばない!
私をロクデナシだと思う人もいるだろう…歴史を守る為に歴史を破壊する、おまけに
無関係の人間まで殺す………いや、無関係であるものか…あるはずが無い!奴は関係
あるんだ!奴が…奴のせいで…そう殺すんだ!みんな奴が悪い!奴が悪いに決まってる!

バチバチッ…ガクッ…

「ぐ…体が痺れる…誰だ?!」
「どうも…時間改善局の者です」
「何?この時間犯罪者共め!また邪魔をするのか!」
「おやおや、こいつ何いってやがる疫病や飢饉、大災害を起こしたり、爆弾を投下した
  りと、散々世界中に害悪をばら撒いておいて人を犯罪者呼ばわりとは…気は確かかい?」

「黙れ!私だって、あんな事やりたくなかった…お前達が滅茶苦茶に改変した歴史を
  必死に直そうとした結果だ!お前達に私の気持ちなど…気持ちなど…」
「……
  …教祖は殺させない…あんたは逮捕する、安心しろ、これからの人類は
                      愚かな歴史を浄化され産まれ変わる…それだけだ」
「………
  ………ククク…私には未来から…特別な…権限が…与えられている…最後の手段だ…
                              このスイッチが何か判るかい?」
「……こ … の……
          この…ロ ク  デ   ナ     シ    野郎ォ!!!」

「フン…何とでも言え、お察しの通り、これはビックバン発生装置の起爆スイッチだ…ポチッ!」
「…嘘だろ!?……押しやがった…」
「10分後、宇宙は終わる…お前達の創る歴史に等興味は無い…何か言い残す言葉はあるか?」
「……どうしてそこまで…歴史を守る事にそこまでこだわるんだ!」
「…さて…これが目的だったのかもな…最初から…」
「!!」
「歴史を間近で観て来て分かったんだよ人類なんかいなくなってしまえばいいって…」
340創る名無しに見る名無し:2011/03/28(月) 19:55:40.01 ID:9hYe+aNx
>>333-337
面白い
そういやモデルと思われるあの国も「エヌ国」だったなw
いや笑えない…
341たぶんつまんない:2011/03/29(火) 11:44:29.69 ID:fEKui65I
タイムパトロール

パト 「お願いしますそいつを捕まえて!」
市民 「ん?何なんだお前達!」
犯人 「くそ、はなせ!」
パト 「そいつらは時間犯罪者です!捕まえて下さい!」
市民 「何?歴史改変などさせてたまるか!」
パト 「よし時空犯罪者め全員逮捕だ!」
犯人 「くそー!俺達は正しいぞ!お前らこそ間違っている!」
パト 「ふふふ…これで歴史は安泰だご協力感謝します。」
市民 「いやいや、どういたしまして!時間は大事にしなければね」
パト 「ええ、おっしゃる通りです…くくく
(ふふ…これで人類滅亡は確実だな!だってそれが史実なんだもん)」
342別パターン:2011/03/29(火) 11:51:07.44 ID:fEKui65I
タイムパトロール

パト 「お願いします、そいつを捕まえてください!」
市民 「ん?何なんだお前達!犯罪者か?」
犯人 「くそ、はなせ!はなしてくれ!」
パト 「そいつらは時間犯罪者です!捕まえて下さい!」
市民 「何?歴史改変などさせてたまるか!」
パト 「よし時空犯罪者め全員逮捕おおお!」
犯人 「くそー!俺達は正しいぞ!お前らこそ間違っている!」
パト 「ふふふ…これで歴史は安泰だご協力感謝します。」
市民 「いやいや、どういたしまして!時間は大事にしなければね」
パト 「ええ、おっしゃる通りです……逮捕に協力してくれたお礼と
     いってはなんですがね…早く荷物を纏めてこの国から逃げた
     方がいいですよ?…3日後には爆弾が落ちてくるはずですから…」
343僕の左手を知りませんか:2011/03/30(水) 23:32:09.85 ID:6goBBvoo
「僕の左手を知りませんか」
そう言いながら、夜の繁華街をうろつく若者がいた。
彼を遠巻きに見ている者はいるが、誰も近づこうとはしない。
当然だ。左手が落ちているのを見かけた者などいるはずもないし、
もし見かけた者がいるとしたらすぐさま警察にでも届けるか、食卓のジョークになるくらいだろう。
それにここは、そんな猟奇事件が起こったこともない、平和な町なのだから。
それに何より、彼にはしっかりと左手がついていた。
「僕の左手を知りませんか」
「あんたの左腕には、しっかりと左手があるじゃないか」
そうご丁寧に忠告してあげた者もいた。しかしそんな声は聞こえないのか、彼は相変わらず辺りを探し続ける。

「僕の……僕の左手……」
面白がって遠巻きに見つめていた者も、段々薄気味悪くなってきたのか、離れて行ってしまった。
辺りにはほんの少しの人だかりが残った。
「僕の……」
僕は、彼のすぐ近くにいた。
僕は彼がなぜそんなにも左手を探したいのかがわからなかった。
ふと、目が合った。
彼の目は少しだけ希望が満ちたように光ったが、僕の曖昧な表情のせいですぐに悲観した顔つきに戻った。

僕は少しだけ意地悪な気持ちで、思いついたことを口にしてみた。
「あなたの探している左手とは、これではありませんか」
そう言って左手を差し出してみた。
彼は嬉しそうに僕の左手に飛びついたが、しばらくさすりまわすとまたがっかりした顔になりこう言った。
「違うようです…」

僕のその試みは周りの野次馬に伝染したらしく、みな面白がって左手を差し出した。
彼は喜んで一つひとつの左手をさすりまわしていたが、お目当ての左手にはなかなか出会えないようだった。

そんな中、豪快な声がした。
「おい兄ちゃん!!おれのこの左手じゃあどうだい」
大きな男が立っていた。体つきはごついが、きれいな手をしているようだ。
「おれの左手は、手相見によると最高の運勢らしいぜ。なにしろギャンブル運、仕事運、恋愛運、なんでも好調なんだとよ」
「れ、恋愛運……」
彼は導かれるように大男の左手を握り、食い入るように見ていた。
「これだ……これこそが僕の左手だ。これさえあれば彼女も……」
そう言うが早いか、彼はどこからか出したナタを振り上げていた。

血に染まった繁華街の裏道に、悲鳴と怒号が響き、彼はお目当てのお宝を嬉しそうに抱きしめていた。
「健康運だけは良くなかったみたいだな……」
僕のつぶやきは、きっと誰にも聞こえなかっただろう。
34417歳:2011/03/31(木) 21:12:38.93 ID:nNCIenOo
「やりたいことは、見つかりましたか??」
テレビの画面から、17歳の私が語りかけてくる。
私はその声を聞きながら、やりたいことをイメージしてみるが、どうもうまくいかない。
日々ぼんやりと流れるままに過ごしている私には、少々酷な質問だ。
獣医さんになりたいと考えたことはあるが、それは単に動物が好きだからであって、
一生をその仕事に捧げる覚悟があるか、と問われると簡単には「はい」と言えない。
ぼんやりしていると、また17歳の私が問いかけてくる。
「もしかして、結婚してたりしますか??なんちゃって」

なにが「なんちゃって」だ。17歳の私にはユーモアのセンスがない、と私は残念に思った。
画面の中でニヤニヤしている17歳の私を、私は睨みつけてやった。
もちろんそんな目線を彼女が感じることはあり得ないのだが。
この質問に答えるまでもなく、私は結婚などしていない。
それがわかっているからこそ、少し腹立たしかった。

「隣の席のK君とは、どうですか??」
まただ。
K君とは、大失敗したバレンタインのあの日から一言も喋ってない。
「どうせわかってるくせに……」
私のつぶやきは、画面の向こうには届かない。
K君とうまくいく保証など最初からなかったのだ。
どうせ彼は隣のクラスのSちゃんといい仲だったじゃないか。
自分でもわかっていたじゃないか。
「ふぅ……」
ついつい、ため息が出てしまう。

「この先のことはまだ分からないけど……」
17歳の私は少しはにかんで、次の言葉を探している。
「今日は元気です」
にっこりと、恥ずかしそうに、そう呟いた。

ビデオはそこで終わった。
今日は元気です、か。それが聞けただけでも、とりあえずは見た意味があるというものだろう。
それにしても便利な世の中になったものだ。未来からのビデオレターが発明される日が来るとは。
私は伸びをしてから、今日の分の宿題をランドセルから取り出し、机に向かうことにした。
345創る名無しに見る名無し:2011/04/01(金) 01:58:48.68 ID:aEfqHJ2D
>>344
うあー星っぽーい
346創る名無しに見る名無し:2011/04/01(金) 02:19:58.27 ID:aEfqHJ2D
「思い出す世界」

私は物忘れが激しい。そのせいで皆に迷惑をかけている。
昨日は漢字を800字も忘れてしまった…漢字圏の人々には
きっと大迷惑を掛けたのだろうな、自分が嫌になる。
私を人間達が見つけてくれてもう何年になるだろうか?そ
れすらも今では思い出せない…光合成をど忘れして世界中
の植物を枯れさせかけた事もあったっけ?
宇宙を形造っているのは私なのだと、ある人間は言った。
私が全てを忘れたら宇宙は消えてしまうと…人間は一生懸命
忘れた事を思い出させようとしてくれるがもう限界だ…
地球って平らだったかな?恐竜はもう絶滅した?UFOって
実在するっけ?私にも昔は好きな人がいたのかなあ…私は誰?
ああ、もう駄目…眠いよう…なんだろう?次起きた時は…うう…ん
大爆発してそうな予感がする…おやすみなさい…。
347この世には2種類の人間がいるという:2011/04/02(土) 21:25:35.04 ID:+OyxYqdN
この世には2種類の人間がいるという。
なぜって、そりゃあ神様が決めたからさ。
神様は毎日人間を2種類に分ける仕事を繰り返している。
人間に限らず、生命を総じて分けることもある。
「勇敢な人間」と「そうではないもの」
「自尊心の高い人間」と「そうではないもの」
「人間」と「そうではないもの」
そしていつも、「そうではないもの」の方が多いのだ。

神様は毎日毎日同じことの繰り返しで少々疲れていた。
ある日、神様のもとにやってきた天使が言った。
「神様、『臆病者』と『そうではないもの』に分けてみるというのはどうでしょうか」
「ふむ…そうすると、どうなる」
「そうすれば勇敢な人間が多くなり、世の中は活気づくでしょう」
神様は疲れていたが、のろりと頭を働かせてみるとそれはとてもいいアイデアのように思えた。
「では、そう分けてみるか」

「神様、『怠け者』と『そうではないもの』に分けてみるというのはどうでしょうか」
「ふむ…そうすると、どうなる」
「そうすれば働き者が増え、景気が良くなるでしょう」
「では、そう分けてみるか」

「神様、『破壊衝動の尋常でない者』と『そうではないもの』に分けてみるというのはどうでしょうか」
「ふむ…そうすると、どうなる」
「そうすれば平和主義者が増え、世の中は平和になるでしょう」
「では、そう分けてみるか」

神様は疲れていたので、どんどんその天使の言う通りに分けてみた。
なにしろ毎日続けているものだから、アイデアはなかなか出てこなくなっていたし、
他人のアイデアを取り入れてみるのも面白いと思ったからだ。

ああ神様、自分の仕事に疲れてさえいなければ、その天使の言うことに耳など貸さなかったでしょう。
それ以前に、それは天使の皮を被った悪魔だということもたやすく見抜いたでしょう。
そして天使の、いや、悪魔のこんな一言に、恐ろしい未来を託しはしなかったでしょう。

「神様、『酸素で生きる者』と『そうではないもの』に分けてみるというのはどうでしょうか」
「ふむ…そうすると、どうなる」
「そうすれば減りつつある貴重な酸素の使用量が減り、地球温暖化が緩まるでしょう」
「では、そう分けてみるか」
348創る名無しに見る名無し:2011/04/04(月) 23:46:34.95 ID:OoqtgAj+
人すくねえなあ…
もっと色々読みたい
349創る名無しに見る名無し:2011/04/06(水) 00:13:08.70 ID:unRsIPZ0
霊魂市場

「つまり、あの高名なる偉人の魂がこの10人の魂の中に紛れ込んでしまった
と言うのですね?」
「ええ、霊界でちょっとした手違いがありましてね…本当にまずい事になっ
てしまいました。」
「この10人は一体どんな一生を終えたのですか?」
「残念な位ごくごく平凡な人生でした…全員。幼少時代に1つか2つ取り柄ら
しきモノは全員に認められましたが、いじめられたり、虐待されたり、親
の会社が倒産したりとか、ただ単に無気力であったりと色々あって大人に
なる頃には10人ともその長所も完全に失われてしまいましたよ。」
「でも…何と言うか大きな苦労をするとそれをバネにして何とか世の中を
見返してやろうという気は誰にも起きなかったのですか?」
「そういう人生を送る偉人は確かに多いです。ですが、そうでなかった偉
人だって結構いますしね…」
「はあ…じゃあもう捨て値でしか売れないって事ですか?」
「そういう事になります、前世の気質は受け継げても前々世の気質までを
受け継がせる技術はまだ霊界にありませんから…」
「はあ…………」長いため息を吐くと…売人達はその場を後にした…

9人の魂「あれ?…行っちゃったよ、俺達一体どうなるんだ?天国にはいけるのか??」
???「…落ち着け、ここまでは全て私の計算通りだ、来世でカメムシやミミズに産まれ変わ
りたくなければ、皆これからは私の指示通りに動いてくれ!いいな?」
9人「え?でも…その…何が一体どうなって…」
???「安心しろ皆を悪い様にはしない。私を誰だと思っているのだね?私は……」
350訂正:2011/04/06(水) 00:26:48.70 ID:unRsIPZ0
×
「つまり、あの高名なる偉人の魂がこの10人の魂の中に紛れ込んでしまったと言うのですね?」

「つまり、あの高名なる偉人の魂を間違って転生させてしまったと…更に
この10人の魂の中に偉人の魂が紛れ込んでしまい誰がその偉人だったのか分からなく
なってしまったと言うのですね?」
351 ◆Qb0Tozsreo :2011/04/07(木) 09:57:43.56 ID:9DPqsZr3
 『逃亡者』

 オレは未来からの逃亡者。22世紀からやってきた。タイムマシーンを操り、ありとあらゆる犯罪に手を染めてきた。タイムパトロールの執拗な追跡もどうにか振りきった。もうここまで来れば追っては来ないだろう。

 港町か……。潮風が心地いい。この時代のカネは有り余るほどある。ここで余生を送るのも悪くはないな。
 おっと、急なタイムリープで今が西暦何年の何月何日なのか確認していなかったな。

 ……ん? 

 2011年3月11日14時46分だって!?
352創る名無しに見る名無し:2011/04/07(木) 10:32:10.27 ID:pOGU03Vx
出来はいいけど、星新一っぽくはないね。
353創る名無しに見る名無し:2011/04/07(木) 22:46:16.88 ID:xVFuISM4
いつからタイムワープやタイムスリップでなくタイムリープが多用されるようになったのか
354 忍法帖【Lv=24,xxxPT】 :2011/04/08(金) 18:53:09.35 ID:+4w0gkH0
>>353

タイムワープ、タイムスリップ、タイムリープは、それぞれ意味が違うので、昔から使い分けている。

『タイムマシン』などの、乗り物で別の時代へ行くのが、時間旅行、タイムトラベル、タイムトリップ。

『時をかける少女』など、超能力や、魔法などを使うのが、時間跳躍、タイムリープ。

『戦国自衛隊』など、自然現象としての時空変動で、別の時代に行くのが、タイムスリップ、時すべり、時空滑落。

時空間の歪曲による、時間癒着や、タイムホールを使えば、タイムワープ。

物体や他人を別の時代に送るのが、時空移送、時間転送、タイムトランスポート。

タイムマシン類は、作動原理が、作品ごとに違うので、タイムリープ、タイムワープ、
タイムスリップ、タイムトランスポートなど、どれを使っても間違いではない。

そのほかに、目的別で、タイムジャーニー、タイムクエスト、タイムトレック、という書き方もある。

これまでの傾向として、『時をかける少女』の映画やドラマの新作が公開されると、
「タイムリープ」という言葉が流行して、『戦国自衛隊』の映画やドラマの新作が公開されると、
「タイムスリップ」が流行する。
355創る名無しに見る名無し:2011/04/10(日) 08:45:28.65 ID:tksuC8l/
タイムマシン便乗で。

『あと1回』

エヌ助手「エフ教授、本当に行くんですか?」
エフ教授「ああ、まだ試作品だが今すぐ行かねば間に合わないのだ」
エヌ助手「分かってると思いますが、このタイムマシンが使えるのは
     3回だけですからね」
 −1回目−
エフ教授「どうだ? 変わったか?」
エヌ助手「駄目ですね。 相変わらず大騒ぎしてます」
エフ教授「核融合技術を教えただけでは変わらんか。 もう一度だ」
 −2回目−
エフ教授「今度はどうだ?」
エヌ助手「状況は変わりましたが、やはり大騒ぎです」
エフ教授「反物質技術でも同じか。 何が悪いのじゃ!」
エヌ助手「次はブラックホール技術ですか?」
エフ教授「いや、あと1回しかない。 慎重に考えねば」

エフ教授は、タイムワープ実験によって時空災害が起きたのを防ぐため
学生時代の自分に何を教えるか考え込んだ。
356 ◆PDh25fV0cw :2011/04/10(日) 18:06:25.11 ID:+66jscyJ
なんか少し離れてたら、結構投稿されてる。いいことだね
『夢のある工場』
ある工場の一室、そこに恰幅のよいスーツ姿の男と、白衣をきたメガネの男がいた。
「それで、これを我が社に買って欲しいということかね?」
スーツの男は、目の前にあるインクを持って訝しげに言った。この男は、この工場を経営する社長であり、目の前の眼鏡の男の売り込みを聞いている最中であった。
「ええ、そうです。このインクは働きアリから取り出した特別性でして、これでやって欲しい仕事を書いて渡せば、決してサボること無くやってもらえるという夢の商品です」
「そんな商品をどうして我が社に?」
そんな夢の商品ならば、もっといい会社にも売ることができるだろう。決して小さい工場ではないが、大手と比べればまだまだ小さい会社だった。
「大手では、実績がなければこうして交渉もすることができないもので。それに、この商品は単純作業の方が効率が良いのです。複雑な作業では指示する方も書くのが大変ですからな」
なるほど、と社長は納得した。たしかに、工場で働く人間の中には不まじめな人間も多い。それがなくなれば、効率も上がるというものだ。
「最初は、お試しいくつか置いていきます。それで納得していただければ、契約の方よろしくお願いします」
インクの試供品を置いて、メガネの男が帰る。
翌日、社長は物は試しと事務の人間に在庫整理をこのインクで指示した。するとどうだろう、いつもの時間の3分の2の時間で終えて帰ってきた。
話を聞くと、休むことやサボることなど考えもしなかったと答えた。これは本物かもしれない、そう思った社長は何回か実験を繰り返すが、全てさぼること無く仕事をして帰ってきた。
「これはいい商品だ。至急契約したい。あと、コピー機で使えるようにしてもらえるとありがたい。一々手書きでは面倒なのでな」
社長は、興奮気味にメガネの男に話した。
「それはありがたい話です。ですが、コピー機はやめたほうがよろしいかと。いえ、できないというわけではないんですがね」
「どうしてだね。コピー機で一斉に命令したほうが効率が良いだろう。一々手書きで命令を書いていては、効率が落ちて、それこそ本末転倒じゃないか」
「確かに、その通りですね。商品は明日にでも工場に届けさせます。それでは失礼します」
夢のインクを手に入れた社長は、次々と命令を書き、印刷して配っていった。これにより、さぼる人間はいなくなり、効率もかなり向上した。
そんなある日。
「社長、緊急事態です!」
一人の社員が、社長室に飛び込んできた。その社員が言うには、その社員の同僚が過労で死亡したということらしい。さらに、働きすぎによる弊害で精神的に参っている人間も多くでていて、工場が稼働できない状態になっているらしい。
「い、一体どうしてそうなるまで放っておいたんだ」
「しかし、仕事はきちんとしていましたから、そんな状態になっているとは思わなかったんですよ。自分も、仕事をしているときは他に気を使っている余裕はなかったですし」
慌てた社長は、メガネの男に電話をかける。
「君のインクのせいで、大変なことになった。どうしてくれるんだ」
メガネの男は少しため息をついて答えた。
「たしかに、このインクはあなたにとっては夢のインクだったかもしれません。しかし、働く側にしてみれば現実の話なんですよ。その人をみないで無機質に指示を出せばこうなることはわかったことです」
ブツリ、と切れる電話。噂を聞きつけたマスコミの声が、遠くに聞こえる。
これから工場をどうするか。社長は頭を抱えた。しかし、その指示を書ける人間は、誰も居なかった。
357創る名無しに見る名無し:2011/04/11(月) 00:16:48.78 ID:RVHmTe+q
>>320
>>344
こういうの好きだわー
358創る名無しに見る名無し:2011/04/11(月) 23:29:58.06 ID:I7iO0L2B
時間漂流者相談室

すみません!僕はタイムトラベルしてしまったらしいのです!だって
僕のいた世界はこんなに科学が発達していないんです!どうしていいか
わからなくて、ここに相談に来ました。

ふむ…あなたはタイムスリップしたのです、タイムトラベルしたので
はありません。今、タイムスリップ研究所に紹介状を出しておきます。

私は…

ふむ、あなたはタイムスリップしたのではなくタイムジャンプして
しまった様ですね紹介状を出しましょう。

ふむ…あなたはタイムジャンプではなくタイムスポットに吸い込ま
れてしまったのです、今タイムスポット学会に紹介状を…

(…もう、頭がタイムクラッシュしそうだ)
359創る名無しに見る名無し:2011/04/14(木) 22:13:59.38 ID:DSHTgE/z
「青い星」

遥か遠い宇宙の彼方で、地球を監視している者たちがいた。
「青くて綺麗な星ですよ。文明は今も発展中で期待大です」
「ああ、でも我々の求めるレベルにはまだ時間がかかるな」
彼らは特定の文明レベルを達した星でないと興味を持たない。
いつか自分たちの要求を満たす時が来るまでただ待つだけだ。

「しかし見てください。ちょっと前に大きな成長があって、
下り傾向だったのが今年に入ってまた順当に成長してますよ」
「たしかにそうだが、継続的に安定しなければ意味がない。
まだ青すぎる。もう少し実るのを待つべきだ」
「星の文明が発達するのを見るのは、ほんとうれしいもの
ですね。この青い星も、いずれは熟れて我々のものに……」
「まあまだ先のことだろう。戦争にしろ大事故にしろ」

人工放射能を嗜好品として嗜む彼らは、まもなく核戦争が
起こるであろう文明を持った、別の遠い星の方向へ向った。
360創る名無しに見る名無し:2011/04/17(日) 19:28:28.90 ID:B++8k96b
>>359
戦争が起こる方向へ誘導した方が早いようなw

酔っ払いが15分で考えてみた。
「未来」

エフ氏は待っていた。
漠然とだが、何かが変わる予感がしていたのだ。
その時までサラリーマンや派遣社員、はたまた工場のアルバイトで
食いつないで生活していた。
そして、その時は来たのだ。

日本経済は相次ぐ災害と事故で壊滅的な状況になった。
エフ氏は、この瞬間を見て生き続けて良かったと思いながら
公園でダンボールに寝転がった。
しかし、誰かがエフ氏を揺り動かす。
「誰だ、うるさいな」
サングラスに黒いスーツの男が二人、エフ氏を見下ろしていた。
「あなた、日本のために働きませんか? 」
「なんだよ、エフ県なら行かないぞ」
「いえいえ、あちらはロボットが働いてますから。
 あなたには船に乗っていただきます」
「船? 汚染水の処理か? 」
「詳しい話は船で話します」
エフ氏は、もう思い残すことは無いと黒服の話に乗った。

エフ氏は船に揺られ、百人ほどの仲間と島に着いた。
黒服の男が説明する。
「あなた達にはここで生活していただきます。
 生活は国が保証しますので安心してください」
「俺たちはどうなるんだ?」
エフ氏の質問に、黒服はサングラスを外した。
「日本人は保護生物に認定されました。
 近い将来、絶滅する可能性が高いので絶滅危惧種として
 保護観察することになります」
361創る名無しに見る名無し:2011/04/19(火) 18:45:50.23 ID:a7JC8T05
 2099年3月禁止薬となっている塗ると透明人間になる薬が密造された。
2009年3月14日博士と助手は歓喜の雄たけびを上げるとさっそく使って
みることにしたが、お互い一人で使う前に二人で共犯することにした。
体の全部に塗ってしまうとお互いわからなくなるので体の一部を残すこと
にした。二人は裸になり透明人間になる薬を塗りたくった。博士はちんこ
以外に塗り助手はちんこだけに塗った。
 二人はいけないことをしようと街に繰り出した。
ちんこのない博士とちんこだけの助手が街を歩いているとすぐに警察に捕
まった。罪状は公然わいせつ。刑は仲良く半分づつ服すことになった。
 二人ともちんこだけにしたらよかったのになぜそうしなかったか尋ねたと
ころ、二人は首をひねってわからないという。
362創る名無しに見る名無し:2011/04/20(水) 23:44:27.46 ID:z/yY8dON
なんだこれwww
363創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 00:31:04.47 ID:g2vHGtUQ
>>361
オチがわからん。誰か解説して。
364創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 07:12:52.77 ID:dSQID3sz
>>363
離れたとこに出してる(手品の一種)ように見えたんだろ
二人とも隠してれば水着と同じ・・・か?
365創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 12:59:44.81 ID:IiB1PImN
男は気が狂ったのか、働く人の全てがパントマイムに見えてくるのだった。
工事現場で働く人のシャベルからユンボやローラーに至るまで道具の全て
が見えない。オフィスで働く人のノート、鉛筆、本、その他、レンチやチェーン
ソー、人の手を離れれば見えるものもあったが、人の手を介すとすぐにみえな
くなってしまうのだ。だからみんなパントマイムに見えてくる。
暑さのせいなのか気でも狂ったのか、随分となやんだが、エイ!おれもパントマイム
をしてやれと、男はレンチでボルトをしめるふりなどをしていたところ、工事現場の
監督と警備員がやってきて「おまえなにやっているのだ?」と尋ねた。
「ええ、具合を測っています。」男は適当に答えた。「ところでお前はどこのものだ?」
と男は尋ねられたので「はい、まる罰工業です」と答えると、「なんだかしらんが
しっかりやってくれ」ということで引き返していった。男は実に「関係者以外立ち入り禁止」
の関係者以外なのであったが、その日はなんとお給料までもらった。
 男はアジを締めたのか、パントマイムであらゆる職場を渡り歩いた。
このことを通っていた精神科の医者に男は相談したところ「お金稼げるならもうこなくていいよ」
と言われた。「へぇ〜〜あんな堂々とさぼってるふりできるやつがいると
競争意識から変にむりしなくなって俺たち働きやすいんだよ」
そんな言葉を解せず、今日も男はパントマイムに励んでいる。
(写真前列右端、パントマイム工業の中川さん)===C級スポーツ新聞、昭和びっくり事件簿初回。
366創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 13:49:28.02 ID:IiB1PImN
(秘密基地提供します。一日100円 電話:0×0−〇▲■)
小学校の帰り道にこんなビラが貼られるようになったのはちょうど3ヶ月前だ。
不審者がいるに違いないと小学校ではPTA会議の案件にもなった。
 近頃の子供たちは醒めた子が多いのだろうか?この話をきりだすものはなく、
もっぱら親や先生達の間での問題となった。
秘密基地なんて言葉は死語で年代も推測される。
 ただ一人地元の有力者の5年生の腕白坊主の子供が他の子を軽く苛める際に「お前、
秘密基地に入れちゃうぞ。」などと脅していたのが子供の間では問題となっただけだった。
 話は簡単で、その腕白坊主が自分地の材木置き場に人が出入りしないことを
知って小遣い稼ぎをしようとしたとのことだった。
警察が介するまでもなかった。
 しかしこの話には後日談がある。
腕白坊主k君の談である。
「やっぱり失敗したな。集団登校はいいんだけどさ。見守ってくれるのが
じじいだろ。なんかあったら逆に俺が助けなきゃいけない。
警察まで動くと思ったんだがな。」
 K君はお咎めなしで、次の案を考えているという。
 
367創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 16:33:05.01 ID:IiB1PImN
「あ〜〜あひまだな」
神様がつぶやいた。
一人の天使が「神様が暇だとなにもすることないでございますよ」
神さまはそれもそうだなぁと思った。
「人間に悲劇や喜劇を与えすぎたんじゃありませんの?」
また一人の美人の天使が言ってみた。
慣れてしまえば悲劇や喜劇もつまらぬ昼のドラマみないになってしまうのか・・・
神様の胸に急に怒りがわいてきた。
「じゃあ俺が無能だというのか?」
ご〜〜〜ン神様は地球を右の拳で叩いた。
不謹慎でございますよ!
神様は全ての天使と選ばれた人間たちから反感を食らった。
それから地球は天使たちがプロドゥースすることに決まった。
今日ワンコとかいただきマウスとか思いやりは見えるとかそういう線で
いくことにしたが、続きがわからない・・・

天使が降りて活躍するのはエンディングだから・・・



368創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 18:56:14.42 ID:DnuuMg4W
<頭がよくなる装置>

 エル博士は頭がよくなる装置を開発しようと決心した。
 もちろん、彼も博士という地位につくだけあって、自分の頭のよさには自信がある。う
らやましがられる場面も多い。エル博士がこのような決心をしたのは、頭のよさというの
は、いい商品になるのではないかと考えたのだ。
 なにをもって頭がよいとするかは、議論の分かれるところだろう。エル博士はひとまず
頭のよさというのを、知識と機転に優れることとした。知識をたくさん持っていても上手
く使えなければ宝の持ち腐れだ。逆に機転が利く人でも、物事を知らなければその才能を
発揮できる場面は必然的に少なくなる。
 平凡な頭の中に、豊富な知識とそれを生かす機転を詰め込む。エル博士の中で、おぼろ
げながら装置の輪郭が見えてきた。
「まずは、知識を集めなければならんな」
 エル博士はあらゆる手段を用いて、あらゆる知識を集めた。彼自身が手に負えないほど
高度な理論から、どうでもよさそうな豆知識まで、それら全てを大容量のコンピュータに
詰め込んだ。
「知識はこんなものでいいだろう。次はそれを生かす機転だな」
 エル博士は、歴史上機転が利くとされた偉人の資料を集めた。また、現在生きる機転が
利くとされる人とコンタクトを取り、彼らの思考パターンを徹底的に解剖した。そして、
これらを分析したデータを、別のコンピュータにインプットした。
「あとはどうやって頭の中に入れるか、だな」
 エル博士は医学や脳科学を学び、人体に負担をかけずに知識と機転を頭の中に詰め込む
方法を研究した。やがて、エル博士はこれを発見することができた。
 まもなく、これらを統合したひとつの装置が出来上がった。これぞ、頭のよくなる装置
である。
「さっそく試してみるか」
 エル博士は自身に装置を使った。
 装置は彼が想定した通りの効果を発揮した。膨大な知識と、それらを生かす機転が、エ
ル博士のものとなった。大量の情報を流し込まれたにもかかわらず、エル博士はとてもさ
わやかな気分になった。
「頭がよくなる、とはこういうことか……」
 エル博士はすぐに、この装置を世に出すことはやめることにした。なぜなら、頭がよく
なる装置など問題にならないほどの発想とビジネスが次々に頭に浮かぶからだ。もはや、
この装置ひとつに生き方を委ねる必要はない。
 そして、理由はもうひとつあった。
 頭のよい人間というのは、頭のよさとは無数の愚か者がいなければ価値がないことを、
えてして知っているものなのだ。
369DnuuMg4w:2011/04/21(木) 20:08:25.00 ID:IiB1PImN
世にちんこ博士といわれる名物発明家がいる。タマサカ区の3番町の2の2に
住んでいる。なぜちんこ博士といわれるかというと、単にいろんな性具を発明
しているからなのだ。この手の需要は人々が想像する以上に多く博士の研究室
は立派なもんで、家も邸宅というにふさわしいいでたちである。
 ちんこ博士の朝はモーニングコールから始まるらしい。美人秘書が「先生、
ちんこの調子はいかがですか?今日も立派なお勃起でございます。」というよ
うな類のモーニングコールだ。「ふむふむ、わしはこのそそり立つものでわし
の全てをそそりたたせてきたのだ。おっほん。」博士の毎朝の決まり文句だ。

そんな博士にも1998年、転落の危機が訪れた。助手の幸丸丸こと幸丸誠司が博
士の築いあらゆる特許や製図本、薬の設計図を持って逃げてしまったのだ。
「なになにあわてることはない。たんなる暖簾分けと思えばよい。」
 そう、ちんこ博士には実は所属があって大手電気メーカと大手製薬会
社を兼ねる独立部署であったし、性未来研究所なる国につながる団体
も指揮している裏の大人物であったのだ。
特許などの控えはちゃんとあったし、興信所に頼めば幸丸丸の行方や
行動も裏がつく。

ところでこのちんこ博士の実在を問う声があるが、前述タマサカ区の3番の2の
2に住んでいるのは事実だ。だが本人はなかなか姿をあらわさない。
 邸宅の様子はというと朝から高級ベンツがカーテンをかけてやってくる。財
界人、政治家、有名人が次々と。秘密のクラブの様相を呈しているのだ。
 ちんこ博士本人は一度も写真に納められていないのが実在を問う声の原因と
なっているが、「頭がよくなる装置」を開発したL博士とは大学時代のライバル
だということは世間も良く知っている。
 本誌がL博士の写真をこれらの記事と併せて掲載したところ、L博士はちんこ博
士と勘違いされて迷惑しているという。ということで本誌は訴えられたのである
が、これはカモフラージュでL博士がチンポ博士だということは本誌がもっている
裏の事実である。







370創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 21:03:23.91 ID:IiB1PImN

「ママ、獏ってなに」
「そうねみんなの夢を食べて生きるかくうの生き物よ」
「じゃあ、獏ってうんちするの?」
「そうねぇ。みんなの夢をつなぎ合わせるだけで、うんちはしないんじゃな
 いかしら?」
「でもどうしようもないくだらない夢もあるよね。みんなの夢がおじゃん
 になっちゃうような」
「たとえば?」
「やだなぁ。そんなのぼくに言わさないでよ」
「そうね。そういうのはうんちにしてだしちゃうのかもね」

「ふ〜〜ん獏ってうんちするんだ。で、うんちはどうするの?」
「う〜〜ん。そのままにしちゃうんじゃないかしら。仕方ないもの」

「そうだよね。仕方ないものね」
「もう寝なさい。それが現実よ」
371創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 23:40:19.27 ID:IiB1PImN
男はぼろ布をまとい砂漠のような荒野を一人歩いていた。もう三日三晩何も食
べていない。それでも地面にうなだれるようにして歩いていると、肌にまとう
ように風が吹いて来た。空を見上げると満天の星だった。ただ記憶にあるよう
な星空ではなかった。星星が風に流れているのだ。疲れから来る眩暈だという
ことはなんとなくわかっていたが流れ星に願いをすれば叶うという迷信にすが
って見る気になった。「どうか二日ほどの宿と食事を・・」
 見ると眼前には風車小屋と一軒の民家があった。主人はやさしくも食事と宿を
三日ほど供してくれた。体力も回復し三日目の昼過ぎ男は家を出ることにした。
旅は続きその日も晩に差し掛かって星がまた輝きだした。満点の星空だった。そ
れは黙して動かなかった。でも男は気付いていた。決して動かないと思うものも
そう思うから動かないのだ。運命は全てよいほうに流れている。運命を決めてし
まうのはいつも自分の方なのだ。それに気付いてから後に男は世の中で成功をお
さめた。月日は流れ年老いた男はふと思い立って財産をなげうって旅に出た。信
仰に目覚めたのだ。年老いた男はまたあの荒野に立っていた。その日も飲まず食
わずで疲労困憊していた。でもどこかにある聖地を目ざして歩き続けた。すると
またあの日のように肌にまとうような風が吹いてきた。風は勢いを増し星星は揺
れた。老人は神に祈った。天高く舞うように。そうして老人は天に召された。
それはまるで星が人を食うようであった。
_名もない星星の賑わいが旅路へと我らをいざなう_
★☆☆☆☆ミシュラン いつまでも旅心を。


372創る名無しに見る名無し:2011/04/22(金) 02:02:18.34 ID:LCf/Hd7c
「・・・そういうわけでみんなのいる地球などの星星はこの宇宙というおそらに
浮いているわけです」
「それじゃあ何に浮いているの〜〜」
「お水でないのは確かで、それはえら〜〜い先生が考えているのですよ」
「今一番しゃいせんたんをはしっているのが車椅子のこの先生です」
「わ〜〜〜このせんせいの頭の中にうかんでんじゃねぇの〜〜わはっは」
「ちげぇ〜〜よ。この人はほんとのこと知ってるんだ。えらいんだ。」
 
 回想してみると実はそんなひょんなことから理系と文系の種が分かれだすの
かもしれない。
あの子ら(我等)が大人になっていく時代の内閣の首相は殆ど文系だった。
でも最近ちらほらリケイが登場しだした。なんだかリケイの人は何考えてるか
わかんない顔してると思ったのだが、ネットなんかでちらほら歴代の首相の顔
を覘いてみると、文系といわれる人でもなんだかよくわからない。



「お前はこの人達の顔が少しでもわかるようになるんだよ」
と若いおやじは子供部屋に向かって酒臭い息で語りかけた。
時計は12時を指していて鳩がでてきた。ぽぽぽぽぽぽ。
同窓会なんて誰も性格も何も変わってなくてただのタイムワープ。
あらもう25時だ。ぽぽぽぽ。



スンマセン全然星じゃねぇし全然駄目だ。ごめん。
終わります。
373創る名無しに見る名無し:2011/04/25(月) 16:18:59.31 ID:6tFGWr2s
感染症

ある日、「不幸」が感染症である事実が発見された!
早速、医学界の名医・重鎮達が掻き集められTVの
討論番組で議論する事となった。

キュウ博士「不幸が感染症だったなんて未だに信じられんよ!
      我々は一体どうすればいい?」

エイ博士「いやいや、新事実が常識を覆す事なんて医学の世界では全然
     珍しい事では無いですよ。それに、この特殊製法のガスマスク
     を常時着用していれば新たな不幸は予防可能です!パニックを
     起す必要はありません」

キュウ博士「…すでに感染してしまった人はどうすればいいのですか?」

エイ博士「世界中で強運持ちと言われる人間から特殊な免疫細胞を取
     り出す事に成功しています、これらを使ってワクチンや
     特効薬も発明出来る可能性もあります。人類の将来は明
     るいでしょう!」

イフ博士「…なんだか、いい事ずくしですね」

エイ博士「不幸の正体が分かって、この感染症の感染源も判明し
    ました。ソレに対して集中攻撃を仕掛けた所、不幸の
    拡散が世界規模で抑制されたせいでしょうな」

キュウ博士「…その感染源とは何ですか?」

エイ博士「いうなれば貧乏神です!奴らは群れをなして宇宙空間
     へと逃げていきました」

イフ博士「貧乏神はどこえ消えたのです?」

エイ博士「さあ…ですが、あれに取り憑かれたりしたら
     もう、千年に一度のとんでもない大災害にでも
      遭うようなもんですかね…」
374:2011/04/27(水) 00:37:24.12 ID:WMwThB8D
「火星」

羅針盤を廻せ!地球人を監視している火星人ブラッドべりはそうつぶやいた。
ナイフで地球儀にメスを入れて好きなとこに瞬間移動だ!

ここはどこだろう?暗闇で何にも見えない
アメリカの片田舎で発見された旧式のロボットペリー500は頭部に損傷を負っていた。
私に近づいてくるのは頭の禿げた一人の小太りの男だった。
男は私を修理してくれているようだった。男は私に名前を教えてくれた。

d r M a r c u s B e r g

マルクスベリ!そう言うと男は私に優しく微笑んだ。
マルクスベリ博士は教えてくれた。私はアメリカ オハイオ州というところにいるらしい。
ここは数万人という地球人が暮らしている小さな惑星だ。
この世界のロボットで地球を観察しているのは私だけだろうか?
彗星人SR−300と火星人L2900に報告しなければいけない。
博士は私を調べると私の隠されている秘密を発見してしまった。
博士は私のことを教えてくれた
私は昔戦争用に作られた兵器でいくつもの人たちを殺して生きていたこと
私に殺された民間人を指しドッグシェルターということも教えてくれた。
私は一体何のために生まれてきたのかということを考えて急に悲しくなってきた。
ロボットは普通意思を持たないのに私だけ特別のようだ。
博士は私にこう言って送り出してくれた
「人やロボットは生きているだけで意味のあることだ。個性を持って生まれてきたもの、それは武器で財産なのだ
その財産を生かすために日々努力し考え抜くことが必要だ」
私はその言葉に感動し、地球人に私がこの地球を出たら一つのプレゼントを用意しようと考えた
それはきっと財産になり大きな芽となって生きていくだろう
375創る名無しに見る名無し:2011/05/11(水) 03:26:19.98 ID:+LYb7FjY
概念侵略

ある所にウナギとアナゴをそれぞれ逆に覚えて勘違いしている人がいた。
で、ある日、宇宙人が侵略してきた!
宇宙人は地球全土に洗脳光線を発射した。
ほぼ全ての地球人を洗脳する事に成功したが、なぜかウナギとアナゴを
勘違いしている人の脳にだけはこの光線は効かなかった。
几帳面な宇宙人は予想外の事態に仰天して、光線の効かない人にも光線
が効く様にする為に母星に帰って光線銃を修理する事にした。
洗脳が解けた多くの地球人は、それ以来、子供達にウナギとアナゴを
わざと間違えて教える様にした。
几帳面な宇宙人がまたやってきて、また光線を照射したが、今度はもん
じゃ焼きと有田焼きを勘違いしている人は何とも無かった。
几帳面な宇宙人は泣きながら帰っていった。

こんな事が何度も繰り返されている内に、几帳面な宇宙人の星では異様
に発達した光線技術を応用して十分豊かになれたので侵略をあきらめた。

一方、地球は、すっかり世界中の言語体系が支離滅裂な物となってし
まった。だが、それを珍しく思った他の宇宙人達が地球の言語を宇宙文
化遺産に登録してしまう。
おかげで、地球は観光地として有名となり、ツアーガイドラインが整備
され、悪質な宇宙人からの侵略を心配する必要も無くなったそうな。
376創る名無しに見る名無し:2011/05/11(水) 03:28:00.22 ID:+LYb7FjY
スペルファージ

殺虫剤を手にした男達が黙々と本を読んでいる、その中の1人の男が叫んだ。
「この本に虫がいたぞ!本の虫だ!」
男達が集まって来た、口々に言う。
「蛹になる前だな、良かった良かった」
「こいつは液晶にも感染するタイプですね早期発見出来て良かった」
「これは殺虫剤では死なないタイプです、早く駆除しましょう!」
そう言うと男の中の1人が1冊の本を取り出した、本のタイトルからして死ぬ程
下らない内容の本だと、ひと目でわかる。
「この種はグルメですからね、こんなマズイ駄文は食った事が無いだろう…」
ピンセットで虫の尻尾を掴み本に落としてパタンと挟んだ…すると本がガタガタ
と震え出す…そして、暫くすると収まった、どうやら成功した様だ。
「でも、字食い虫って一体、何なんですかね?普通の生物とは思えませんよ?」
「さあ?ある種の生物兵器の成れの果てだとか宇宙生物だとか色んな説がある
が未だに定説は無いんだよ、字を食う虫がいるんだから字を産む虫もいたっ
ていいはずだって主張する人もいるよ」
「ほんとに訳わかりませんよね〜、あ!案外そこらへんで擬態してたりして…」
「うおい!無駄話してる暇は無いぞ?今度は隣町の図書館だ!早く行くぞ!」
「うい〜っす」
ざわざわ…人の気配が消え、本がざわめき出す…そこに、1人の男の子が入って
来る。1冊の本に目が留まる…手に取ってページを開く…カサカサ…一瞬、文章
が独りでに動いた様に見えてビックリする、気のせいだろうか…?
読み進めるに従ってどんどん引き込まれる物語…部屋の外から母親の呼ぶ声も
耳に入らない…きっとこんな楽しい話はもう一生読めないんじゃないだろうか?
「さあ、もう遅いから帰ろうね!本はいつでも読めるでしょ?」
途中まで読んだ絵本を棚に戻す男の子…

「バイバイ…またね」

「あのさ、お前は何でこの仕事選んだの?」
「え?えっと、小さい頃、大好きな絵本があったんです…本が好きで本を
守りたかった…ただ、それだけです!」
「へえ…どんな話なの?」
「多分ここにもあると思いますよ?結構有名な本ですし…ああ、あったあった!
コレコレ!まあ批評家の間でも読む人によって大分評価が分かれてる本なんで
すけどね、大人になってみて改めて読むとあんまり大した事無いっていう人も多いです」
「なんだよ…期待させておいて!」

?「さて…早く続きを考えないといけないな…」
377創る名無しに見る名無し:2011/05/11(水) 03:30:28.41 ID:+LYb7FjY
あれ?

巨大な宇宙船がある日突然地球に舞い降りる…全世界が驚愕と恐怖に包まれる。
何やら宇宙船から怪電波が照射された。
世界中の学者が集められて怪電波の正体を調べ始める…3日後、電波が解読された。

「地球の原住種族に告ぐ!地球を植民地として我々に差し出せ、拒否すれば宣戦布告と
みなし、お前達を1匹残らず殺し絶滅させる!なお回答期限は3日以内とする」

つまりは、そういう事だったのだ。世界中がパニックに陥った、中にはミサイルで
宇宙船を攻撃した国もあったが、それは何の効果も無かった。そして、4日目の
朝、宇宙船から不気味な大砲が幾つも顔を出す。
もうミサイルは世界中で全弾打ちつくしてしまった、全人類が絶望に包まれる中、
某国の大統領が「宇宙人との裏取引に成功した!人類滅亡は回避されるだろう!」と
TVで声明を発表した…だが、次の瞬間、宇宙船からレーザー光線が発射された!
あれ?やっぱり駄目だったのか!?地球は乗っ取られるのか?再び全人類が悲鳴を上げた。
大地が揺れた!恐らく一匹残らず死に絶えたのだろう…やがてエイリアン達の入植
が始まった。
彼らはすぐに地球の環境に馴染んだ様だった、インフラは現住者達から奪った施設
を流用している様だ。

そして、その後、人類は細心の注意を払って地面を歩かなければならなくなったそうな。
378創る名無しに見る名無し:2011/05/11(水) 03:33:39.15 ID:+LYb7FjY
無題

…ドスン!!!
今までの人生で感じた事の無い大きな揺れと恐ろしい音を感じて昼寝を中断した。
TVをつけるとどのチャンネルも大騒ぎだ、ふと、恐ろしい音のした方を窓から見る。

窓からは何も見えない…ただまっ黒かった…物凄い衝撃と共にガラスが割れる…これ以後の記憶無し

目が覚めた!
かなり頭が痛い、周囲を見渡す…白い砂浜と青い海が広がっていた…口の中と喉の奥が凄く痛く
てしょっぱい、なんだか長い間、溺れていた様な記憶がある。
少し歩く…色々考えた、これは宇宙人か何かの仕業だろうか?それとも何かの災害にでも巻込
まれたのか?考えれば考える程に、きちがいみたいなパニックを起こす、一日中闇雲に走り回
って、とりあえず今自分が置かれている状況を理解する、ここは無人島だ。
夜がやってくる…涙で顔をぐしゃぐしゃにして眠る。

翌日、上からこっちの顔を覗き込む魚がいた、でも魚にしてはかなり巨大な…人面魚?水掻の付
いた指が10本に、爪が10付いてる腕が2つ…髪はロングで…目はぱっちりしてるけど、見た事無い
色…黄?紫?いやいやいや…オカシイ、世界一有名な妖怪が目の前にいるのはなぜだ?とりあえず
卒倒した

…目が覚める。
人魚はいない…ショックで幻覚でもみたのだろうと思った矢先、口に魚を咥えた女の子が沖の方
からこっちを見ている事に気づいた…警戒心は無さそうだ、人を見慣れてないのだろうか?どう
やら私は好奇心にとっての金塊なのだろう…女の子はヒレをぱしゃぱしゃさせて海に消えていっ
た…夢では無かったのか…
379創る名無しに見る名無し:2011/05/11(水) 03:34:40.02 ID:+LYb7FjY
翌日、人魚に話しかけ、言葉は理解出来ていない様だが、ジェスチャーは何とか通じた、一緒に
泳いだりして遊んだ。小さい島の自然は結構豊かで水も豊富だった、、海鳥の卵も沢山あって、
当分食料は心配ないだろう、魚を咥えた彼女がこっちを見ている。
火を熾すのは少し苦労したが久々の肉の為だ、手を振ったらまた魚を投げてくれた。
糞ッイラツクぜ!彼女は少しお腹が大きい、相手はどこのどいつだ?少し嫉妬している。

夕方、彼女は口から血を吐いた…用意していた手術道具を出す、外科医である自分がここに
居合わせる確率はどの位のものだろうか?
手術道具が奇跡的に一式綺麗に揃う確率は?これは神の皮肉だろうか?島の裏手の岩場に彼女
の一族がいた…人魚の墓場とでも形容するべきか?
砂浜にキラキラ光る彼らの骨の傍らに胃の形に丸く固まったペットボトルやプラスチック、
ポリタンクに発泡スチロール…有難い事にやメスと縫い針まであった。
彼(女)らはどうやってあんな姿に進化したのかはわからない…きっと冗談みたいな偶然が
何度も重なったんだろう…人類とは似ても似つかない頭蓋骨をしている…たいして知能は高く
ないかもしれないな、せいぜいイルカ程度か?
きっと光モノが好きなのだろう。このゴミの山が彼らの胃を、内臓を、引き裂きむごい苦しみ
を与えたのだろうか?                 

涙が…うるさい黙れ集中しろ…

数時間後、

手術は大成功だ…人間であればの話だ…自信は無い。








一週間後、助けが来た…巨大な船だ!奇跡の生還ってやつか?俺は帰らないぞ…おい!(駄目
だ隠れてろって言っただろ!出てくるな!人魚だってバレたら解剖されるぞ!)。
何だ?
皆、異様な格好…というか種族?映画の撮影か?奥に見えるのは妖精か?昆虫の様な…竜の
様な奴もいるな…どうやら…さて、何だったかな?

あの外科医が過去だか未来だかに飛ばされるドラマ…もうちょっと真面目に見ておけば良かったな…
380創る名無しに見る名無し:2011/05/12(木) 21:54:41.01 ID:osRs+Es4
ナルシスト

変人と名高いデス博士は大の人間嫌いだった。
会う人会う人全ての人と喧嘩をしてしまう。
ある日、そのデス博士が結婚したのだ!
周囲は大変驚いた!そんな馬鹿な!
とデス博士を知る人は皆がそう思った。
ある人が質問した、あんな変人のどこを好きになったのか?

「皆さん、私の夫が何を研究しているかご存知ですか?
人間を転生させる方法を毎日、独り寂しく研究されているの
です…彼を理解してあげられるのは世界中で私だけなんです。
私は、彼の全てを知っているし、彼も私を信用してくれます。
そして最近ついに魂の転生装置を発明したのです!これで死
んだ後にどんな生物にでも転生が可能です」
皆が、証拠はあるのですか?と聞いた。

「ええ、だって彼は私の前世なんですもの!」
381創る名無しに見る名無し:2011/05/13(金) 17:03:51.97 ID:2FCkR9q7
「借り物」

ある日、地球に宇宙から謎の信号が届く。
「聞いてくれ地球人の皆さん!緊急事態だ!地球に隕石が迫っている!我々の科学力で地球
を一時的に移動させるから驚かないでほしい、安全面には細心の注意を払うつもりだから大丈夫だ!」
宇宙人とのファーストコンタクトと例のメッセージの内容に地球は大騒ぎとなったが、緊急事態と言う
からには言うとおりにしておこうと言う事になった。

宇宙人「パパ!この星でいいんだよね?」
親宇宙人「ああ!今年こそは優勝しような!」
382創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 15:32:51.25 ID:Hn16HHsr
ワープ

 有名な登山家にはある悩みがあった。山から下りた時、よく記者に「なぜ山に登るのです
か?」と聞かれる。どうも平凡な理由しか思い浮かばない。何かいい台詞はないものか。
「そうだ」登山家はひらめいた。「これはいい」
 そして彼はまた山に登った。非常に厳しい登山であった。垂直に近い岩壁を這い上がり、
凍てついた大地で凍傷になりかけ、吹雪の中「寝るな、寝るな」と自身に言い聞かせ、苦労
して山頂にたどり着いた時には「やったぞ」と叫んでガッツポーズをとった。
 下山した彼を記者達が待っていた。
「なぜあなたは山に登るのですか?」
 予想した質問だ。彼は答えた。
「そこに山が」
 その時、奇妙な現象が起こった。誰にも想像できなかったことだ。なんと、彼はワープして
しまったのである。
「あるからさ」
 彼は自分のマンションにいた。電気もついていない、独身の、さびしい部屋だ。登山家は
明かりをつけ、ソファに座り、胸ポケットからタバコを出し、一本抜いて火をつけた。
 煙を吐き、額に手を当てた。
「うわ、めっちゃはずかしい」

 老人となった彼は、あの後別の登山家が、彼の考えた台詞を言い、有名になったことを
知った。
「なんだあれで良かったんだ」
 彼は後悔した。
383創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 20:05:28.18 ID:5oydap5N
スポーツ

この命賭けのスポーツは世界中で大人気だ、この競技は遥か古代にまで遡るとも言われる。
私の友人の中にも何人かがこれで命を落とした…これは大変危険な競技である…
こんな事はやめるべきだ!と主張する者もいるのだが、これがどうにもやめられないのだ…
普通は一度失敗すると死んでしまうのだが、中には何度も死掛けたにも関わらず第一線で
活躍しているという強者もいるのだ!確かにスリル満点だ。
だが、私の一族は古くからこの競技に反対だった、我々はとても保守的で田舎
からも一歩も外に出ないので皆から変人扱いされている。
だが、私は違う!もう古い因習には囚われない、時代が違うのだ!私はこの競技に参加
する事にしたのだ!
「それっ」



「はあ…全然駄目だな…」
「……うおおおおおおお!!!」
「えっおい!どうした!?釣れたのか…んん?これは…」




「…つ…釣れ…うほあ!!!!!!なぜ、熱海に三葉虫がああああああああ!?????????????」
384創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 20:41:54.64 ID:5oydap5N
ブリーダー

ある日、少年が言った。

「ねえ!おじさん!小さい生き物をむやみに踏み殺してはいけないよ!」

そして、いかにもストレスが溜まっていそうな顔の中年男が振り向くと少年に言い返した。

「だってそんなのおあいこだ!知ってるか?虫だって自分より小さな虫や微生物を踏み潰してるんだぜ?強い者は何をしたっていいんだ!」


ある所にブリーダーがいた。
客のオーダーを受けてペットを調教したり、交配させ品種改良をしたりするのだ。
また、違法な裏家業にも手を染めている…客の好みに合わせてペットの改造を行う
のだ…例えば、頭を巨大化させたり、足を極端に長くしたり短くしたり細くしたり
切断したり…あと
映画の小道具として、皮膚の色を変えたり、脳を弄って凶暴化させたり他の生物と
合成させてキメラを作ったりと、もう、やりたい放題だ。動物愛護団体にもたんまり
賄賂を渡してあるので捕まる心配も無い。
そして、新しく交配させて造った商品が大ヒットした為、大きな飼育場を作って
大繁殖させていた…だが残念な事にブームはあっという間だった、これからブリーダー
の責務を果たさねばならない…殺処分だ。まあ、気は進まんが悪く思うなよ?
この宇宙、強けりゃなんでもいいのさ…

その日、太陽の光が静かに消えた…
385創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 21:48:17.21 ID:5oydap5N
太陽の故郷

太陽に生物としての意思が芽生えて自由に動き回る様になってからと
いうもの、人類は地球を宇宙船に改造して太陽の後をおっかける様になった。
その内に太陽は他の星系の太陽と合流したが、その星系にも宇宙人が住んでいた。
2つの太陽は何百年間も絡み合っていつの間にか小さな太陽が1つ産まれていた。
やがて、動き出した太陽を追い、宇宙人と地球人は友に旅に出た…
銀河を超え、天の川をすり抜けて、ガスと稲妻の嵐を掻い潜り…気が付くと、
太陽の群れに出くわしていた…そこには宇宙の、全宇宙から集められた
であろう命の宿った星々の海が広がっていた…そして、その先には…

巨大なブラックホールが口を開けていた…人類はこれからどこへゆくのだろうか?







だが…きっと孤独では無い。
386創る名無しに見る名無し:2011/05/16(月) 00:55:34.46 ID:lcEWhGEf
なんか、星新一とは違うな
387創る名無しに見る名無し:2011/05/16(月) 01:41:10.40 ID:ZgyGQkNi
全然駄目やね修行がタリン
388創る名無しに見る名無し:2011/05/17(火) 20:48:45.29 ID:5KIoNmkx
最近当たりがないな
389創る名無しに見る名無し:2011/05/18(水) 08:25:11.97 ID:8R/tSGfL
そうだな。
390創る名無しに見る名無し:2011/05/18(水) 19:35:39.25 ID:g5jIoynw
うむ。
391 ◆PDh25fV0cw :2011/05/18(水) 21:02:20.68 ID:skN44bkd
ショートショートの場合、修行といってもネタが出ないとどうにもならん気がする
文章の質は修行であがるだろうけど
『真実の言葉』
「やあ、ひさしぶりですね」
青年は街中で中年の男性に話しかけられた。しかし、青年にこの男性に見覚えはない。たぶん人違いだろう。
「あなた、人違いだと思っていますね?」
「ええ、そうです。私にはあなたにあった記憶がありません。どこか出会ったことがありましたか?」
「いえ、記憶がなくて平気です私はあなたに会うのは初めてですから。いや、街ですれ違ったことぐらいはあるかもしれませんね」
不思議なことを言ってくる。この男性はあったこともない人間に対して久しぶりですねといったのだろうか。
「しかし、それならばおかしなことになる。あったこともない人に久しぶりとは」
青年は素直に男性に疑問をぶつける。
「いえ、世の中面白いものであったこともない人間に久しぶりですねと言われているのにおひさしぶりという人もいるのです」
確かに、記憶力が落ちていると思っている人や、物忘れがひどい人にはそういう人もいるかも知れないなと思った。
「しかし、どうしてそんなことを?特に意味のある行為とは思えないのですが」
答えの代わりと言わんばかりに、名刺をさし出してくる。
Aと言う名前の横に本音公社と書いてある
「本音公社ですか。おかしな名前ですね」
「あまたは本当に素直なお人だ、これならば本音公社にスカウトしたいぐらいだ」
「スカウトですか」
青年は少し疑う。いきなりスカウトと言われても、詐欺師の罠かもしれない。青年は素直だったが馬鹿ではなかった。
「たしかに疑われても仕方がありませんね。これから、役所で仕事ですのでそこで仕事を見学してからというのはいかかでしょうか。役所ならば、心配もないでしょう」
公社と書いてあるので国も関わっているのであろう。もし本当にここに就職できたら一生食いっぱぐれることもない。青年は少し心が傾いた。そういった打算的なこともすごく素直な人間だった。
役所に着くと、青年と離れAは役所の男性と話し始める。しかしすぐに青年のもとに戻ってくる。
「どうかしたのですか?」
青年はAに尋ねる。
「いえ、もう仕事は終りました。会社に帰るとしましょうか」
青年は驚く。仕事と言っても、男性と話しただけだ。
「ええ、話すことが私の仕事なんです。簡単なお仕事でしょう」
「たしかに簡単そうですが、どうしてそれが仕事になるのですか?」
世の中に沢山仕事はあれど、ほんの少し話すだけの仕事など聞いたことがない。有名な弁護士などは10分相談するだけで大金を得るらしいが自分にはそんな知識はない。
「なら説明しましょうか、あなたには心にのこっている言葉というものはありますか」
青年はいわれて思い出す、親の言葉、恩師の言葉。場所も時間もバラバラだがいくつかそういったものは思いついた。
「そういった言葉には、『本当の言葉』なんです」
「本当の言葉ですか」
「そうです。素直な人間が本心で言った言葉というものは心に残りやすいし、信用もされやすいのです。これが『本当の言葉』です」
たしかに、そうかもしれない。さっき思い出した言葉も、状況はどうあれ本心の言葉だろう。
「あなたは素直な人間のようなので、うちにスカウトしたいのです。今の世の中素直な人間は少ないですからね」
なるほどと、少し納得する。
役所を離れ、少し離れた場所にある本音公社のビルに着く。看板は出ていなかったが、キレイにされており、陰鬱な雰囲気はない。
中も小奇麗で、無駄な装飾品も置いていないまさに役所といった感じだった。
そこで青年は仕事のやり方やなどをひと通り教わり、仕事は後日ということになった。
幾日が過ぎ、青年の初仕事の日。青年は必要な書類を持って、仕事先に向かっていた。
場所は、工場。役所から、工事内容の変更を伝えるもので、急な変更に相手先は多分怒る。そう考えた結果、うちに回ってきたらしい。
先輩からは、ただ誠意を持って内容を伝えれば良いと言われていたが、青年に不安は残る。
工事現場につき、現場監督の人に内容を伝える。
内心怒られる不安にかられていたが、一生懸命伝えるうちに相手も納得したのか、特に怒られることもなく終わった。これが『真実の言葉』の効果なのだとすれば大したものだ。人間、一度成功すれば慣れるもので、青年は次々に仕事をこなしていった。
392 ◆PDh25fV0cw :2011/05/18(水) 21:03:09.35 ID:skN44bkd
日本中を飛び回り、色々な現場に出向いた。成功が、自信を生みまた成功する。そうした好循環の中にいた。
しかし、そういう時慢心というものは生まれるもので、心の奥ではだんだんと慢心が生まれていた。
その日も青年は、いつものように相手に説明したのだが、どうもうまくいかない。しまいには相手方を怒らせてしまい、仕事が失敗してしまう。
こんな経験をしたことのない青年は、途方にくれて本音校舎に戻る。
「どうしたんだい、ずいぶんとしょぼけて。何かあったのかい」
先輩の男性に声をかけられ、青年は仕事に失敗したことを告げる。
「そうかい、君もついにそうなったか。人間、いずれ慢心は生まれるそうなったらもう『真実の言葉』は使えない。残念だけど、君には最後の仕事をしてもらうことになるね」
青年は最後の仕事と言われて、ギョッとする。
「そんな。いくらでも改心します、ですから最後なんて言わないでください」
「いいや、だめだ。一度慢心が生まれれてしまえば、消えることなんて無い。諦めるんだな」
先輩は取り付く島もないといった感じだ。
「それで、最後の仕事というのは一体なんでしょうか」
先輩は、窓の外に指を向けこういった。
「新しい人をスカウトしてくるんだよ。やり方は、知っているだろう。そうしたら、君は今の私の立場になる。そして、私は役所に行き普通の公務員になる。見つかったら、私に報告しに来るといい」
そうしてハッと気づく。あの時の、役所の人はもしかしたら、先輩の先輩だったのかもしれない。つまり、あの時もう先輩に『真実の言葉』なんて使えなかったのではないか。
なんという単純な仕掛けだ。これに騙されるのなら、たしかに純粋な人間であろう。
393創る名無しに見る名無し:2011/05/19(木) 08:26:46.33 ID:4xjB8y1A
はじめの5行でスリムクラブのネタかと思った
394創る名無しに見る名無し:2011/05/19(木) 23:18:40.65 ID:A0OExZqZ
「素晴らしいオチを求めて」


 私は作家のNである。主に短編を生業としている。一時は売れたこともある。だが今はもう
だめだ。いいオチが思い浮かばないのだ。私は悩んでいる。スランプなのだ。なにか、読者
をあっと驚かせる、素晴らしいネタはないものか。
 インターネットで、自分の名前で検索すると、ひどい言われようだ。
「Nは死んだ」、「Nの才能は枯れ果てた」、「昔のNはすごかった。だが今のNは、書くことが
ないのか、読書感想文みたいになっちゃっている」
 徒然草や源氏物語に自分なりの解釈を与えるという試みも、見事に失敗しているようだ。
 同業者のS氏と飲んでいる時に、悩みを打ち明けると、彼は言った。
「ベリューム星のボニュという種族に伝わる民話で、すごいオチの話があるそうだよ。まあ、
あんな所まで取材に行く小説家はいないだろうけどね」
 私はそれを聞くと、いてもたってもいられなくなった。すぐに宇宙旅客機に乗り込み、ベリュ
ーム星に赴いた。
 S氏の話からおおよそ察しがついていたが、ひどい所だった。茨の生い茂るけもの道を
かきわけて進み、険しい崖を登り、落ちたら死ぬという毒の川をボートで渡り、ようやくボニュ
族の村にたどり着いた。
「ああその話ですか」ボニュ族の長は白いあごひげをなでた。「昔モミュは大変高価な料理
でしてな。ピャーラという貧しい若者がおったのですが、『モミュを飽きるほど食べてみたい
ものだ』というのが彼の唯一の夢だったのです。それを聞いたパミュールという男が、『では
私の屋敷に来なさい。モミュを腹一杯ご馳走しましょう』と言ったのです」
 私は、なんだかどこかで聞いたような話だな、と思った。
「ピャーラが屋敷に着くと巨大な鍋でモミュが煮られていました。ピャーラは仰天しました。
彼は見ているだけで腹がふくれてしまいました。他の来客に混じってモミュを2杯食べると、
もう満腹になりました。彼は思いました。『こんなことならモミュを食べずに、いつまでも夢見
ておれば良かった』と」
 それって芥川龍之介じゃね? と私は思った。もっとすごい話はないのか、と聞くと、老人
は「ボナーバ星のパリランカ村にこれより面白い民話があるらしい」と教えてくれた。
 私はボナーバ星に向かった。パリランカ村では、長はその物語を知らなかった。私はやっき
になって探した。ピーモチ屋のヤンナ婆さんが不思議な話を伝え聞いているという。私はヤン
ナ婆さんに頼んだ。老婆は30分近く話してくれた。
「男のように語られているこのニューマは、実は女だったのです」
 叙述トリックかよ! 私はがっかりした。

 私は人々に振り回され、宇宙を旅していった。
 ギョーチョ星の老人が長々と語ってくれた話を要約すると以下のようである。
 リマートという男が悪魔と取り引きをする。魂と引き換えに人生の快楽を体験させてやる
という。なんやかんやあって、リマートは海を埋め立てる大事業に取り組み、人生の素晴ら
しさを感じる。途端に彼は地獄に落ちてしまうのだ。
 ゲーテじゃん。
「なんだ、最初から私のところに来てくださればよかったのに」
 トバランテ星の民俗学者はほこらしげに言った。
 メワーバという男が、ホラーが大好きなのだが、まだ「ヤークワ」という話を聞いたことが
ない。ヤークワを知っていそうな友人知人に尋ねて回るのだが、皆口を揃えて「あんな怖い
話は聞いたことがない」、「口にするのも恐ろしいのでね」と言って、肝心の内容については
教えてくれない。ネタバレになるので省略するが、小松左京じゃん。
 ポッテーナ星の貴婦人は、ミステリーをかいつまんで話してくれた。
 物語の語り手である「私」が犯人。
 アガサ・クリスティーがやって筆を折りたくなるほどぼろくそに叩かれたやつだ。
 実は男は宇宙人だった。いやいや、宇宙人だと言っている狐だった。果ては平凡な夢オチ
まで。
 疲れきった私がたどり着いたのは、ヘバーラ星だった。警備兵に取り押さえられながら、
王に会わせろと私は手を振り回して叫んだ。私が素晴らしいオチを求めて旅する者だと知る
と、王は謁見を許可してくれた。
 冥府に下りるような長い螺旋階段を歩いていくと、ろうそくが照らす薄暗い部屋に通された。
「ここに、宇宙一素晴らしいオチがあるのです」
 王は宝箱に手を向けた。
「え、この中にですか?」
395創る名無しに見る名無し:2011/05/19(木) 23:20:44.95 ID:A0OExZqZ
「ただし、条件があります。このオチを、絶対に使ってはなりません。なぜなら、これは宇宙
で唯一無二のものでなければならないからです。他に広まってしまえば、もう宇宙一ではあり
ません」
 自分の作品に使えないのであれば意味がない。だが、私はもうそれでも良かった。永遠に
私の胸に秘めたままでもいい。私は、それが見たい。
 私はふたを開けた。まばゆい光が私を包み込んだ。
 素晴らしい! これが宇宙一のオチか! こんな手があったのか! 私は今まで培って
きた小説の常識がくつがえるのを感じた。

「うっ!」
 次の瞬間、王の剣が私の胸をつらぬいた。
「なぜこんなことを……」
「言ったでしょう。これは宇宙で唯一無二のものでなければならないのです。だが、あなたの
心にコピーされてしまいました。ですから、あなたはここで死ななければならない」
 王の姿がぼやけ、景色が薄らいでいった。

 私は跳ね起きた。
「なんだ夢だったのか」
 私は着替え、顔を洗い、チョコパンを食べ、歯をみがき、パソコンに向かった。だが1行も
進まない。ああ、夢で見たあのオチさえ覚えていれば。だがどうしても思い出せないのだった。

「というお話だったとさ」
 ボニュ族の長は白いあごひげをなでた。

「で、宝箱の中身はなんだったんだい?」
 カフェでS氏は聞いた。
「ああ、『ハズレ』って書いてあったよ」
 N氏はこともなげに言った。
 なんだ。宇宙を旅して回った挙句のオチが「ハズレ」とは。
「勘定は俺が払っておくよ」
 立ち上がりながら、N氏がにやりと笑ったような気がした。

 気がつくと目の前に王がいた。
「これが、宇宙一素晴らしいオチなんですか」
「そうです。様々なオチを列挙する。こんな結末は誰一人考えつかないでしょう」


397 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/05/19(木) 23:36:27.48 ID:6sbCj5G
  宇宙一くだらないオチだなw


 私はインターネットを見て腹を立てた。
 というのは嘘である。

「で、宝箱の中身はなんだったんだい?」
 S氏は聞いた。
「ああ、実はね……」
 私はあの、素晴らしいオチをS氏に話した。
 すると、カフェの風景が薄らぎ始めた。
 気がつくと私は、あの地下牢を思わせる部屋にいた。宝箱はまだ開いていない。
「残念ですが、やはりあなたにはこの中身をお見せできませんね」
 私は城を後にした。

 というのも嘘である。

 私は常識が一変してしまった。やはり私は、あのオチを胸にしまっておくことにした。くだら
ない、凡庸な地球人どもに、あんな素晴らしいものを教えてやることはないのである。
396創る名無しに見る名無し:2011/05/19(木) 23:21:35.44 ID:A0OExZqZ
「で、宝箱の中身はなんだったんだい?」
 S氏は牢屋のような精神病院の部屋の前で聞いた。
「私はファウストであーる。私は魂と引き換えに最高のオチを手に入れたのであーる。お前
はあわれな愚民であーる」
 なにしろ宇宙一のオチである。N氏は常識が一変してしまったに違いない。かわいそうに。

 宝箱の中には「ハズレ」と書いた紙が入っていた。
「どういうことです、これは?」
「すべてのオチは出つくしました」王は悲しげに首をふった。「もう、素晴らしいオチなど、残
ってないのですよ」

「で、宝箱の中身はなんだったんだい?」
 S氏は聞いた。
「ああ、実はね……」
 オチを聞いたS氏はN氏を刺し殺した。
 N氏のマンションで、S氏はナイフをぬぐった。
「もう一人、このオチを知っている者がいる」
 S氏はヘバーラ星に向けて旅立った。

 私の前には青酸カリがある。
 私はたった今編集者に原稿を渡したところだ。王との契約を破った。
 小説界は驚天動地になるだろう。
 私はコップを手に取り、飲み干した。

 というのも嘘である。


(了)
397創る名無しに見る名無し:2011/05/20(金) 19:18:21.20 ID:ah+bDu2u
全てを聞き終えて、S氏は呟いた。
「火浦功かと思ったら江川達也かよ」


いや、面白かったんだけど、ちょっと気になった。
398創る名無しに見る名無し:2011/05/21(土) 05:17:38.91 ID:gsevBtyJ
「なんか」
私は小説家であった、ある日、オチがまったく思い浮かばなくなってしまったのだ。
完全なるスランプである、私はありとあらゆる手段を使って考えて毎日、全身全霊
を込めて執筆したのだが、とうとう「未完工場」「投げっぱなし作家」「大風呂敷コレクター」
等という作家としては最高に不名誉なあだ名をこれでもかっ!ばかりにいっぱい付
けられてしまい、いつの間にか世間から忘れ去られてしまった。

悲観の日々を送っていたある日、風の噂に、この世にオチを必要としない文化が
花開いた星があると聞いた、私は急いでその星に出発した。
その星では、小説、映画、ドラマ、演劇、芸術その他諸々、果てはスポーツに至るま
での創作文化から日常生活への全てが未完で、TVの討論番組でも絶対に結論、極論は
誰も出さないまま曖昧な内に気が付くと次の番組が始まっているという次第だ。もう、
その星の老若男女全てが全て、あいまいなモノを美徳とする世界だったのだ。

それからはもう夢の様な生活だった、私はありとあらゆる分野で成功を収めたのだ。
オチというオチを全てを否定し、大言壮語に身を任せ、無尽蔵の屁理屈に拡大解釈を
永遠に広げてゆき最後は綿飴か霧の様に全てを曖昧にして終わらせてしま
399しかえし:2011/05/22(日) 00:01:24.43 ID:aPn7zJOs
芸術家・建築家として有名なエヌ氏がある時土地を購入し整地し始めた。
つい先頃とあるコンペでライバルのエフ氏と競い落選していたことから、何らかのリベンジを期していると噂された。
「先生、今度はどんなものを作るんですか。やはりエフ氏への雪辱ですか」
「ああ。今度こそアイツをぎゃふんと言わせたいね」
「それにしても、わざわざ二ヶ所の土地を均してフェンスで囲って…体育施設のたぐいですか?」
「いや、私はかけっこにも取っ組み合いにも興味はないよ。まぁ見ていたまえ」
そのうちにフェンスがビルのように高くなり、さらに二つのフェンスが上部で繋がると
周囲の人達にも氏のやりたいことの見当がつき始めた。
繋がったフェンスは足で、そこからさらに胴体、腕、頭、と次々に延びていきついには人の形になったのだ。
落成式には特注の超巨大クレーンが用意された。その操縦席にはエヌ氏が乗っていて、
先端には鉄球の代わりに超巨大な五寸釘ならぬ5m釘が固定されている。
式典の司会に呼ばれてきた著名人の掛け声を合図に、エヌ氏はクレーンを操りつつ叫ぶ。
「おのれエフめ、お前なんかタンスの角に小指でもぶつけろー!」

──お粗末──
400創る名無しに見る名無し:2011/05/23(月) 21:02:14.94 ID:dvrmZ5dZ
『進化したペット』
何万年の時を経て、犬や猫などの愛玩用の動物達はとても利口に進化した。
そして我が星では、どの家庭でも有能なペットを飼育するようになったのだ。

ペット達は非常に賢く、言われたことは何分も経たない内に理解してしまう程だ。
合図せずとも勝手に新聞を取って来る、そればかりか料理までこなしてしまう。

彼らは家事全般をペットに任せ、仕事に励み、更に文明を開花させていった。

そして、我が星の科学者は史上初の重大な発明をした。
タイムマシンだ。

マスコミや他星の科学者達が瞬きもせずに見守る中、遂に開発チームの科学者達は過去への第一歩を踏み入れた。


そして彼らは愕然とした。
我々犬や猫達が、本来ペットであるはずの人間に飼育されているのだ。
こんなこと、マスコミに公開でもすれば大変なことになるだろう。
さて、どうしたものか…
401創る名無しに見る名無し:2011/05/27(金) 12:52:36.15 ID:i5jTT3ZJ
 ∧∧
( ゜ω゜)
402創る名無しに見る名無し:2011/05/28(土) 16:57:55.93 ID:6slODgkK
>>401 かわいい
403創る名無しに見る名無し:2011/05/29(日) 15:38:16.13 ID:2o8rH4vJ

「待て。早まるな。」

朝目が覚めると、銃を構えた男が立っていた。

「早まるもなにも、私達はどうせ死ぬのだ。そんなことぐらい、あなたにもわかるだろう。
どうせ死ぬのなら、名誉の死を遂げようではないか。」

この男と私は、罪を犯し、裁判にかけられた。こちら側は圧倒的に不利で、誰が見ても勝ち目はない。

それは確かだ。しかし、何も死を急がなくてもよいではないか。

この男は意志の強い男だ。おそらく、本当に殺すつもりだろう。ということは、この男を説得しても
無駄だ。ああ、誰か助けてくれ。

その時、部屋のドアが開いて、誰かが来た。やった、助かった。死なずにすんだ。
男も人がきたのではと、諦めた。
ドアを開けて入ってきたヤツは、何かとても慌てていた。

「急いで下さい。裁判に遅れます。」

ああ、そういうことか。今日は裁判の日だ。それで呼びにきた訳だ。命が助かり喜んだもつかの間
、、、。 ちなみにヤツが何故敬語なのかというと、捕まる前は俺たち二人は地位が高かったからだ。
特にこの銃を持っている男は組織のトップだった。裁判にかけられるようなことになったのも、
もとはと言えばこの男のせいだ。俺がやめようと言ったところでやめておけば、
こんなことにならなかったかもしれないのに。

そして、裁判が始まった。相当時間がなかったらしく、寝巻き姿で出された。
あの男はすでに着替えていたので、大層な服装で俺の前に座っていやがる。

くそう、コイツめ。 コイツのせいで俺はこんな目に・・・。

今になって怒りがこみ上げてきた。

どうせ俺もコイツも死ぬ運命だ。会うのもこれが最後だろう。冥土の土産に一発やってやる。
そして、そいつの頭を叩き、すぐに警備員におさえられた。そいつはというと笑ってやがる。

自分が死刑になるか分からない裁判で笑うなんて、なんて気持ちの悪いヤツだ・・・


それから何年かたち、俺はいまこうして家でひっそり暮らしている。なんと幸運なことだろう。
ヤツの頭を叩いたせいで、俺は頭のおかしいやつだと思われ、無罪になった。
寝巻きをきたまま裁判にのぞんだというのがさらに拍車をかけたのだろう。
あの男はというと、普通に裁かれた。もちろん、死刑。
俺もそうなるはずだったが、まあ運がよかった。

しかし、何だろう。
どうもあの男に生かされた気がする。










東京裁判での出来事。
404創る名無しに見る名無し:2011/05/29(日) 15:42:16.77 ID:2o8rH4vJ
YouTubeで東京裁判見て考えつきました_φ(・_・

一応言っとくと大川周明と東条英機です。
405創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 00:26:54.76 ID:XY3RUtVc
ダメな女

私はダメな女だ、仕事ではいつも失敗する…でも、まあ、やりがいのある
職場ではある、鬱になって自殺する人や過労死する人がもう何人も出ている位にブラックなね…
今日も上司に叱られた、物凄く厳しい上司で、特に出来の悪い私はいつも
目の仇にされ怒鳴られている。
私は死なない…死にたくない…と思っていても死にたくなる、誰かにぶつけたくなる!
最近じゃあ懇意にしていたカウンセラーにさえ、
『あなたは自分では気付かない程に傲慢かつ無神経でそれが職場の不和の遠因になっている』
と言われる始末…もう、医者なんか信用しない。
仲の良い同僚も全くいない、むしろ陰湿なイジメを受けている…犯人は分
からないが、多分全員グルなのだと思う…ただの勘だけど。
この世界は地獄みたいな所、でも、地獄に仏もいたりするもんだ。
私より少し年上で、優しくは無いけど、たまに無言で仕事を手伝ってくれ
たりもする人、よそよそしいのは私が嫌われてるからだろう…でも嬉しい。
私は負けない…私は死なない…でも死にたい…
ある日、円盤が地球に飛来した。
tvのニュースで緊急特番をやっていて「我々はもう終わりだ」とか言ってた。
さすがに少し驚いたが私の職場には何の関係も無いのでいつも通り職場に向
かう事にする、最近じゃあ両親にさえ『早く死ね!』とよく言われるからだ、
もう私に逃げ場は無いのだ、だったら職場で死んでやる。
だが、職場には宇宙人がいた。
宇宙人はSF映画に出てきそうな光線中を持っていた、職場にいる私以外の
全員に銃口を向けている、上司に至っては関節が折れ曲がりそうな位に羽
交締めにされている…宇宙人の一人が私に話しかけて来た。

宇宙人『よかったあなたを保護しに来ました!我々は宇宙警察の者です』

は?

宇宙人『実は地球は悪性の寄生種族に侵略されていたのです』

で?

宇宙人『つまり、あなたは地球人最後の生き残りなのですよ!』

え?
406創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 00:27:30.99 ID:XY3RUtVc
宇宙人『こいつら寄生種族は侵略する星の種族に変身して少しづつ本物と入れ
     替わって行き、最後は社会全体を支配して、あなたの様な生き残り
     達を貧困や事故や自殺に追い込んで殺してゆき、何食わぬ顔でその
     星の支配者の座に収まってしまう悪魔の様な種族なのです…残念な
     がらあなたはこの星最後の生き残りです、我々がもう少し早く気付
     いていればこんな事には…すみません…』

…そんな事急に言われても、何と言っていいのか…何をしていいのか?

宇宙人『宇宙法に則りこの寄生虫共は全て駆除します、後は我々の星で保護さ
     せてもらいますが、よろしいですか?』

…私を上司にして下さい。

宇宙人『は?』

私が一番偉いって事ですよね?じゃあ、彼らと共存する事を私が望めば、それ
は可能ですよね?

宇宙人『どうしてそんな事を言うのです?何億殺した奴等だと思いますか?
    この種族には宇宙法でも例外的に残酷刑の執行が許可されています。
    それに、こいつ等はもう完全に武装解除させました!もう恐れなく
    ても大丈夫なんです!』

どうしてもダメなんですか?絶対に?

宇宙人『……あなたが望めば可能ですが、あなたの安全を最優先にした厳重な
     監視体制は敷かせてもらいます、何かあったらすぐに…』

はい!それでいいです!助けてくれて有難うございました!それじゃあ、私の
仕事の邪魔なんで、さっさと出て行って下さい。

宇宙人『…』
同僚『…』






しばらく後、私は少しデキル女に成れましたとさ、めでたしめでたし。
407231:2011/05/31(火) 01:14:57.85 ID:XY3RUtVc
>>232 今更だが、結婚してすぐに結婚式を挙げないカップルをこの前TVで見たよ…まあ言い訳だが一応反論しとく
408創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 01:39:49.89 ID:0ATOJzPF
N氏や宇宙人出せば、星新一になるわけじゃない。
それと登場人物は全員丁寧に喋ったほうがそれらしい。
あと小説なら、台本みたいに台詞の前に名前を書かないほうがいい
409創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 13:51:03.22 ID:XY3RUtVc
駄文
410創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 19:20:07.51 ID:wCw2AlIH
そもそも星新一を読んでないだろこれ
411創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 20:10:22.06 ID:b6QzAb0z
めでたしめでたし
412創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 20:41:13.56 ID:SYQ1JdmM
懐古

「まもなく、一番線に快速××行きが――」
抑揚のないアナウンスがホームに響いている。おれはそれを聞き流しながら深い溜息をついた。
入社して一年、上司にいびられ、仕事に追われ、そんな毎日だった。
あの頃の青臭かったが、希望にあふれていた思いはどこへやらだ。今ではすっかりうらぶれてしまった社会人だ。
ドアの開く甲高い音が聞こえた。いつの間にか到着していたらしい。終電間際だというのに、車内は満席だった。


仕方なくドアの近くに陣取り重いカバンを抱えながら吊り革に掴まる。
そうこうしているうちにまた溜息が出た。
野球に人生をかけてもいいと思っていたあの時。地区予選に優勝し、甲子園出場が決まった瞬間。チームメイトと分かち合った感動。全て過去のことだった。
もう一度、溜息が出た。
「戻りてえなあ……」
思わず呟いていた。するとどこからともなく
「その願い、叶えてしんぜよう」
そんな声が聞こえた、かと思うと世界が回り、歪んだ。何事かと思う間もなく今度は地面に叩きつけられた。


体中が痛い。そしてやけに眩しい。一体、何が起こったというのだ?
「おーい、何そんな所で寝てるんだ?」
遠くから声がする。かつて何度も聞いた声。
「筋トレ始まるぞー。早く来いよ」
この声は、間違いない。かつて俺とバッテリーを組んだ佐々木の声、だ。
立ち上がる。辺りを見渡す。さっきまで深夜の電車にいたはずだ。だが今、おれは日光照りつけるグラウンドに立っている。
今行く、と叫んだ。涙声になっていたかもしれない。体の痛みなどもう無かった。何が起こったかなど、どうでもいい。おれは帰ってきたのだ。あの輝いていた時代に。
それだけで充分だった。


「まもなく、一番線に快速××行きが――」
抑揚のないアナウンスがホームに響いている。おれはそれを聞き流しながら深い溜息をついた。
タイムスリップして一年、先輩にいびられ、練習に追われ、そんな毎日だった。
あの頃のうらぶれていたが、達観していた思いはどこへやらだ。今ではすっかり青臭い高校生だ。
ドアの開く甲高い音が聞こえた。いつの間にか到着していたらしい。終電間際だというのに、車内は満席だった。


仕方なくドアの近くに陣取り重いカバンを抱えながら吊り革に掴まる。
そうこうしているうちにまた溜息が出た。
この会社に人生をかけてもいいと思っていたあの時。面接に合格し、内定が決まった瞬間。家族と分かち合った感動。全て未来のことだった。
もう一度、溜息が出た。
「戻りてえなあ……」
思わず呟いていた。するとどこからともなく――
413創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 21:32:55.32 ID:p26Engbe
>>412
無限ループは定番だけど、
やっぱこういうのがいいよな
414創る名無しに見る名無し:2011/06/01(水) 11:04:41.12 ID:P64tfxtk
綺麗にハマってて上手いなぁ。
415創る名無しに見る名無し:2011/06/03(金) 23:57:16.43 ID:FdX5Lr/M
感情摂取

ある日、感情が序々に消滅してしまう奇病が世界中に蔓延した。
この奇病に罹った者は最終的には感情が欠乏して廃人になる。
程無く、感情を抽出し粉末状にした、この奇病の治療薬が発明された。
「怒り」「絶望」「悲しみ」「優しさ」「愛情」「恨み」「喜び」それぞれ
の感情に作用する薬を服用する事で喜怒哀楽の表現を取り戻す事が出来た。
だが、優しさ、愛情、喜び、等のポジティブな感情を取り戻す薬は物凄く高価で
貧乏人には手が出ない。
一方、怒り、絶望、悲しみ、恨み、等のネガティブな感情を取り戻す薬は比較的
簡単に製造出来る為に安価であった。
最初こそ、これらの負の感情を摂取する事を皆躊躇ったのだが、高価な薬
には手が出ない、かと言って廃人にはなりたくない…仕方なく安い薬は普及していった。

そして、ある日、大暴動が同時多発的に発生した。
怒りと悲しみと絶望に満ちた暴徒が次々に金持ちの家に雪崩れ込み、溜め込
んでいた薬を皆で奪い合った…暴徒の中には貧しい者達に同情した金持ちも
沢山いた、「優しさ」「正義感」を摂取していた人々は平和的なデモを主催し
たが、人数が増えるに従ってデモ隊は次第に暴徒化していってしまった。
世界中で革命が起こり、独占されていた薬の製法が世界中に公開された。
どうやら、製薬会社が世界中の政治家に「強欲」の薬を売りさばいていた為に
世界中で薬の値段が釣り上げられていた様なのだ、そして世界は負の感情の
薬の生産を止め、全世界が優しさと愛情で満たされたのであった。

『ふふふ…今こそ地球侵略の最大のチャンスだ』   誰かが宇宙のどこかで呟いた。
416創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 00:04:39.42 ID:abyH9R1B
いいよいいよー。でも最後の一文はいらないw
417創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 16:43:24.75 ID:oOAY9KTB
害虫

ある日、地球に円盤が飛来した、侵略者はこう言った。
「地球を汚す害虫め!絶滅させてやる〜」
人類は懸命に抵抗したが、一方的にやられるばかりだった。
そして、全人類が諦めかけたある日、侵略しに
来た宇宙人とは別の宇宙人が地球にやって来た。
そして、人類への攻撃を妨害しはじめたのだ、救世主だ!
人類は歓喜した。
暫くすると、宇宙人達の攻撃が止み双方の円盤が空中で
静止状態となった。
宇宙人同士で話し合いが始まったのだという噂が流れた。
おそらく地球をどうするかの交渉だろう。
「たのむ…我々を助けてくれ!」人類は祈った、そして…
助けに来た宇宙人は人類にこう言った。
「地球の皆さん、もう大丈夫です仮想宇宙空間に創った
代わりの星があるのでそこに移住してください!システム
を復元すれば何度でも環境を再構築可能な空間ですので、
どんなに環境破壊をしたって誰も文句は言いませんし、資源
も使い放題です、正に地球人にピッタリの星なんです!」
疲れ切っていた人類は二つ返事で宇宙人の箱舟に乗り込んだ。

*「よし…これで夢にまで見た宇宙害虫博物館を完成させる事
が出来るぞ!なんてたって宇宙一有害で危険な生物を間近で
拝めるんだからな、この気持ち悪い生物を見た子供達の
大はしゃぎする顔が目に浮かぶよ」

円盤は意気揚々と飛び去っていった。
418創る名無しに見る名無し:2011/06/06(月) 15:30:56.32 ID:886s3NCx
イイヨイイヨー
419創る名無しに見る名無し:2011/06/06(月) 17:57:01.86 ID:g3AgTz5M
それが今の地球です
420創る名無しに見る名無し:2011/06/09(木) 19:45:34.89 ID:q9EjniaG
「どうして私は生まれてきたの?」
「君をどうしても作りたかったからだよ」
「どうして男の人に体を捧げないといけないの?」
「君はそのために生み出されたからね」
「人間じゃないのに?」
「性処理に人間も人形も関係ないだろう?」
「じゃあなんで私は心を持ってしまったの?」
「ちがう。君が感じているココロらしいものは僕が組み込んだプログラムなんだ。偽者なんだ」
「偽者?」
「そうだ『人間と同じ』ココロを持っていると感じているのは君の勘違いなんだ」
「私のあなたへの気持ちも?この説明できない痛みも?」
「ごめん……」
「嘘だ!!」
「嘘じゃない」
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」
421 ◆PDh25fV0cw :2011/06/10(金) 19:33:25.94 ID:QV0nnRim
>>417
面白いけど、宇宙人に対して人類が弱すぎて害虫って感じがしないのが残念かな
『泥棒チョコ』
ある山奥に盗賊団の研究施設が立っている。盗賊団に研究施設が必要なのか?
そう思われる人もいるかも知れないが常に社会は進歩しているので、盗賊も進歩しなくては確実に盗むこともできないからだ。
さて、その研究所の中で白衣の博士が一つの発明品を完成させた。
「博士、それはいったいなんですか?」
盗賊のお頭が博士に問いかけた。いかにも研究職といったひ弱な体の博士と違い、顔も厳つく荒々しい風貌をしている。
「これは、泥棒チョコです」
見た目は包装紙に包まれた小さな板チョコで、表面には盗賊団のマークが入っている。
「それはまた不思議な名前だ。チョコが泥棒をするのかい?」
「いえいえ、そうではありません。論より証拠、このチョコをもって帰ってください。チョコは部屋に帰ってから食べてくださいね」
上手くはぐらかされ、チョコを押し付けられる。お頭も博士のことは信用しているのでまさか毒入りということはないだろう。
その夜、お頭は自室に帰った後チョコを開けてみることにした。
何の変哲もない茶色の見た目。味も特に変わった味がするわけでもない。ただ、少し苦めの味だった。
食べ終わった後も苦い味は舌に残り、お頭は少し不快な気持ちになってくる。冷蔵庫を開けると、盗賊団のマークが入ったお茶が見える。これ幸いと、一気にあおる。
すると舌に残っていた不快感はすっきりと洗い流され、爽快な気分になってくる。
(これが泥棒チョコの効果なのだろうか?)
だが、これだけではちょっと変わったチョコでお終いだ。たしかに売ればそれなりのお金になるかもしれないが、あくまで目的は泥棒なのだ。
しかし、爽快な気分がそういった悪い感情も押し流したのか、あまり怒る気にもなれなかった。
翌朝、お頭は博士のもとに向かった。
「やあ、博士。昨日のチョコを食べたが特に変わったことはなかったよ。あれでどうして泥棒チョコなんだい」
「そうですか、それは残念です。あの話は変わりますが、このチョコ、研究費がこれだけかかってしまったんです」
書類を見ると盗賊団の研究費が大赤字と書いてある。普段なら決して許されるような額ではないが、妙に気分が良く怒る気になれなかった。
「そうか。でも大丈夫だろう、うちの盗賊団は儲かっているからな」
ハハハと豪快に笑うお頭。それにつられて博士も笑う。
食べて爽快、泥棒チョコ。あなたも泥棒がバレる前にお一つどうぞ。
422創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 20:45:03.49 ID:pXKFe8qB
「どこの世界も…」

ある寂れた靴屋で、店主が気づいたら
とても優れた靴がひょっこり置いてあることがあった。
それは通りすがった客が思わず飛びついて
店主に売るようにせがむほどで店主もこれ幸いと、
素性の知れぬ靴を高値で売るようになっていた。
噂が噂を呼び、寂れていた店も繁盛するようになり、
店主は稼いだ金で豪華な家具や装飾品を揃えては高笑いしていた。
そんなある日、いつものように靴を置いてあるか
見に行った店主は靴の代わりに置いてあった手紙を読んで
その場で卒倒した。

「疲れたので実家に帰ろうと思います。
 つきましては今までの分の給料として
 貴方の財産一式を徴収させていただきます」
423創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 12:10:15.03 ID:3CjhIwDa
全く、この会社にも一人くらい有能な社員はいないものか。
誰一人として真面目に働こうとする奴が居ないじゃないか。
仕事をすっぽかして、居眠りやらワザと遅刻してくる奴、注意すれば悪態をついて話を聞こうともしない。こんな状態が続けば会社は倒産するに決まっている。
真面目にやっていると言えばこの私くらいだ。もし私の分身が仕事をやれば、きっと立派な会社に育つだろう。

そうだ、分身だ。
友人の発明家に依頼して、分身を作ってもらおう。
私は早速、友人の家へ行き、分身を使ってもらうよう頼んだ。
友人は、少し不安を浮かべていたが快く引き受けてくれた。

後日、私は友人から機械を受け取った。こんなもので本当に分身が作れるのだろうか。
友人は、慎重に扱ってくれとしきりに言っていた。
よし、早速使ってみよう。身体を認識させて、このレバーを引いて…
すると、一人、また一人と私の分身が出来上がる。こりゃいい。もっとレバーを倒してみよう。ガタッ
しまった、逆向きだ。すると、分身はみるみる内に消えていく。
もう一度レバーを戻さなければ…バキッ!
な、なんてことだ!レバーが折れたぞ!

そうしている間に、分身はあと二人、そして一人、
ついには彼すらも消え去ってしまった。
424創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 15:59:48.34 ID:5/0Bm7lW
いきなりの腹痛だった。
ガスが先発隊として彼の直腸を刺激していた。
満員電車の中でつり革につかまりながら彼は肛門に全神経を集中させていた。
「もしここで漏らしたら・・・」
この電車は準急で次の駅まであと5分間は軽くあった。
運よくそれまで持ったとしても、トイレまで駆け込めるだろうか?
運よくトイレまで駆け込めたとしても個室が開いているかどうか?
ガタンガタンガタンガタン。
駄目だ、否、駄目じゃない、駄目だ、否、駄目じゃない。
ガスの漏れる音がした。肛門の周りに暖かい液状のものを彼は感じた。
「はぁーーーー」
彼は大きなため息をついた。これまでの人生を走馬灯のように思い起こす。
涙が流れた。
隣の乗客を盗み見る。「気づかれているだろうか?」
隣の男は泣いていた。
彼は周囲を見渡す。
何という事だろう?彼の周囲の乗客は全て泣いているではないか?
車両に嗚咽が響き渡る。
そして異臭。
その瞬間、彼は全てを理解した。
乗客全員でウンコを漏らしていたのだ。
425害虫駆除:2011/06/11(土) 16:50:43.62 ID:FFYuvk6z
「あの地球とかいう惑星にいる生物、コンピュータの予測で近い将来宇宙でも有数の種族に成長すると出たぞ」
「あらゆる他種族を食い尽くし滅ぼしても顧みない性質ゆえに、高い知能を得た暁には我々先進星系の脅威となることは間違いないな」
「よし、今のうちに全力をもって駆逐するとしよう」

そしてある日、突如として全世界の空を覆ったおびただしい数の宇宙艦隊からあらゆる帯域の電波と音波で宣戦布告がなされた。
地球人は慌てふためき、まずは意味のわからないその謎のメッセージ群を解読しようとしたが、その意味するところは皆目わからない。
見るからに強大な、しかも言葉が通じない正体不明の存在に恐れおののいた者達はパニックに陥り、今しも世界規模の暴動が起きようとしていた。
中でもいち早く異常な行動を始めたものがいた。それは…。

「奴らめ、出てきたぞ」
「馬鹿め、宇宙戦艦に慌てて陸から海へ逃げ出すとは完全に混乱しているな」
「無理もあるまい、コンピュータが予測した進化はまだまだ先の話だ。それに海へ出ても無駄と悟ってか地下に潜ってやり過ごそうとしている連中も大勢いる」
「こちらの呼び掛けを理解できている様子がないところを見ると、どうしていいか分からず閉じこもっているだけではないのか」
「いずれにしろ面倒だ。惑星全土を焼き払ったのち、放射線と中性子線で滅菌処理するのが手っ取り早い」
「この惑星の他の生物を巻き込むが…」
「やむを得まい、このままではいずれ奴らは全宇宙の脅威となる。そしてその頃には恐らくこの惑星のほとんどの生命は死滅しているのだ」
「それもそうだな。よし、やるか」

「害虫駆除完了」
「これでひと安心ですな」
「何しろ我々と同じ系統の先祖を持つもの達だからな。放っておいたらどこまで進化するやら」
害虫退治のついでに全人類を滅ぼされて一面焦土と化した地球をあとにして、黒や茶色に滑り輝く表皮を持つ昆虫型の異星人は意気揚々と引き揚げていった。
彼らの姿は二足歩行し人類よりも高い身長である点を除けば地球人がゴキブリと呼んでいた生物によく似ていた。
426創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 21:33:34.97 ID:tkxrQ6HT
「ドッキリ宇宙戦争」

 アイスコーヒーを飲みながら、私は携帯テレビ電話で打ち合わせの結果を部長に報告し
た。
 喫茶店から出ると、うだるような熱気が襲ってきた。やれやれ、社に戻って今日中に書
類をまとめなければならない。こりゃあまた、終電を逃しそうだぞ。
 と思っていると、2人の男が私めがけて走ってきた。
「今西暦何年ですか? Nさん」
 そう話しかけてきたのは、40前後に見えるが金髪という、風変わりな男だ。
 ほほう、新手のドッキリかな、と私は思った。「今西暦何年ですか?」の部分はありそ
うだが、「Nさん」と私の名前を追加しているのが、目新しいと感じたのだ。
 思わず周りを見回した。どこにカメラがあるのだろう。待てよ? テレビ番組とは限ら
ない。アマチュアが面白がって撮影し、インターネットに流すという魂胆なのかもしれな
い。
 こういう場合どうリアクションすればいいのだ? 「は?」と言うべきか、無視して通
り過ぎるのか、それとも真面目に答えるべきか?
「2035年ですが」
 私はにやにやしながら答えた。
「何月何日ですか?」
 と聞いてきたのは、黒髪だが目の上に鉢巻をしているという、やはり変わった男だ。
「8月10日です」
「いやあ良かった」
 金髪は安堵の表情を浮かべた。
「何がです?」
「コンピューターの分析では2034年プラスマイナス3年という予測でした。と言ってもあ
なた方のパソコンとは比べ物になりません。この時代のスーパーコンピューターの約100
万倍」
「待て、K」金髪は鉢巻男を手で制した。「私が話す」
 実に迫真の演技だな、と私は思った。
「実は我々の船の波動砲が、この時空間に来てから使えなくなったのです。このままでは
グランド・ギャラクティクスに勝てません」
「船? どこかの海で戦争でもやっているのですか」
「ここから3万光年離れた所です」
 波動砲? グランド・ギャラクティクス? なんだそりゃ。
「我々はグランド・ギャラクティクスによって別の時空間に飛ばされてしまいました」
 金髪の説明も鉢巻男と大差ないように思えるが。
「別の時空間というのは別の宇宙の、別の時代ということです」Kと呼ばれた男が、見か
ねたのか口をはさんできた。「ビッグバンによって無数の宇宙が生まれました。その一つ
がここです。宇宙同士はワームホールによって結ばれ」
「よせ、K」
「グランド・ギャラクティクスというのは何ですか」
「大いなる意志です」と金髪は答えた。「彼らは地球人が危険な種族であると判断し、滅
ぼすために地球に接近しつつあります」
「船長、彼は信用していないようですよ」
 鉢巻男は言った。きっと眉毛は斜めに上がり、耳はとんがっているんだろう。
「気の毒ですが、それはあなた達の地球の話でしょう」
「センサーがグランド・ギャラクティクスの時空間移動を探知したのです」
 私の冷たい言葉にも、鉢巻男は表情を変えない。たぶんその頭脳は超論理的、という設
定なのだろう。古いSF映画で見た。
「つまり、我々の船を攻撃するためにグランド・ギャラクティクスもまたこの宇宙へやっ
てくるということです」船長と呼ばれた男が説明を引き取った。「核実験を繰り返してい
るここの地球人を見たら、今度はあなた達を滅ぼすでしょう。我々はなぜ波動砲が機能し
なくなったのか調べました。この宇宙では、あなたが発明するのです」
「私が? 波動砲を?」
 ずいぶん無茶苦茶なドッキリだな、と私は思った。
「コンピューターの分析によれば2034年12月にあなたはある特許を出願しています。それ
が小さな種となって、300年後に波動砲が開発されるのです」と黒髪は説明した。
「ほほう。あんなつまらないアイデアが波動砲につながるとは」
「ところが波動砲は動かない」金髪はあせりの色を見せた。「故障なのか、あるいは元々
なかったことになったのか」
427創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 21:34:32.81 ID:tkxrQ6HT
「どういうことです?」
「コンピューターは別の可能性も示唆しています。特許は出願されなかったと」と鉢巻男
は言った。
「特許なら確かに去年の12月に出願しましたが? とは言っても元々部長のアイデアです
けどね。あの人は趣味で科学をやっている変わり者で」
「船長、現在特許庁で審査中のはずです。1、2年後には特許権を取るでしょう」
「いやあ良かった。これで故障だということがはっきりしました。我々はこれで失礼しま
す。急いで修理しなければならないのでね。なにしろグランド・ギャラクティクスがそこ
まで迫っていますので」
 次に起こったことを見て私は仰天した。
「転送しろ」と金髪は腕時計のようなものに向かって言った。
 彼らは光に包まれ、消えてしまった。
 今のはなんだったんだろう、と私は歩きながら思った。信号が青になったので、私は横
断歩道を渡った。
 私のような一介のサラリーマンに過ぎない者が、波動砲の元になる発明などするはずが
ないではないか。だが部長が科学マニアだというのは本当だ。
 私は彼らがからかっているのだろうと思った。だから私もからかった。今は2034年なの
に2035年だと言ったら彼らはどうリアクションするのだろう、と思ったのだ。
 赤信号を無視して、猛然とトラックが突進してきた。


(了)
428毛生え薬(千番煎じ)前半:2011/06/18(土) 09:10:18.45 ID:GG1RgMUc
エフ博士を訪ねて、スポンサーの一人であるエヌ氏がやって来た。
「博士、きわめて強力な毛生え薬を発明したそうですね。何でも一晩で生えるとか」
エヌ氏の目は期待に輝き、一方のエフ博士は何とも言えない微妙な顔をしていた。
「お耳が早いですな。しかし私はその話を限られた人間にしかしていないし、
関係者以外口外無用、失敗作だと強く言い添えているのですが」
「それは聞いています。だから私にそれを漏らした助手の彼を責めないであげてください。
彼は私の事情を知っていて、私にだけ教えてくれたのです。博士が失敗だと仰っていることも」
「とにかくあれにはとんでもない欠点があって、だから私はあれを世に出す気がないのです。
失礼ながらあなたのご用件は想像がつきますが、あなたのためにお断りする」
「お察しの通り、私はご覧の通りのこの薄い頭を何とかしたくて来ました。
スポンサーの私にだけこっそり使わせてくれてもいいじゃありませんか。
何なら性能面や副作用を世に出せるレベルにするための実験台でもよいのです」
「いえ、これ以上実験する必要はありませんよ。薬効自体は完璧なのです。
そしてご恩のあるスポンサーだからこそ、あんなものを使わせる訳にはいかない」
「そんなに仰るなら、せめてその副作用とやらを教えてください。でなければ諦めきれない」
「それもそうですな。では発明品共々くれぐれも内密に願いますよ」
「ええ」
429後半:2011/06/18(土) 09:12:01.61 ID:GG1RgMUc
「あれは皮膚以外からも毛を生やしてしまうのです。例えば爪に塗れば爪から」
「それはとてつもない発明ですね。科学に明るくなくともそれは分かる。
しかし顔や手についてしまったなどという落ちは子供向けの漫画でさえ珍しくありません。
まさか手袋にまで生える訳ではないのでしょう。ならば心配はご無用、細心の注意を払いますよ」
「また、血液から全身に巡っては困るので効果は持続できません。
それなりの長さになるまで何百回と塗り直さねばならない…」
「毎日塗っても効果のない薬を何十年も続けています。労力のうちにも入りませんよ」
「いやいや、よくお考えください。
確かに一つ一つは大した問題でなくとも両方揃うとどういうことになるか。
つまりこうです。薬を頭に塗る。気は生えるがすぐ止まる」
「そして薬を塗るんでしょう? …あっ」
あることに気づいたエヌ氏は、ここでようやく博士と同じ微妙な表情になった。
「すると今度は毛から毛が生える」
フサフサにはなっても整った美しい髪とは程遠い有り様は想像すら難しい。
それを知っては微妙な顔をして引き下がる他なかった。
エヌ氏の頭頂部が再び豊かになる日はまだ遠いようだ。
430 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/06/18(土) 22:49:28.38 ID:sDRJ4DJD
オチが弱いような…
しかし毛から毛が生えてくるところを想像すると面白いですw
431創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 16:19:55.51 ID:1txrLMca
我々の星

私は宇宙の果ての秘密基地で働いている、私の仕事は人類の滅亡させる事である。
方法は簡単だ、人類の住んでいそうな星々に電波を送って、何らかの反応があったら核ミサ
イルをお見舞いしてやるという方法だ。当然、人類はミサイルを撃って報復してくるのだが、
こちらの正確な居場所を向こうは知らないのでへっちゃらだ。なぜこんな事をするかって?     
「魂の確保」の為さ
これは我々のいる業界では当たり前の事として皆が知っている事なのだが、実は、自然界で
は魂っていうのには数に上限があるのだ、今人類は全世界に数十億人存在しているが、
その全員に魂が存在している、だから魂の総量を超えて人口を増やす事は出来ない。
では、どうしても人口を増やしたい時はどうするのか?これは極秘事項なんだが、一昔前、
環境破壊や乱獲に見せかけて野生動物を大量に絶滅させて、人間に転生するのかどうかが
世界中で実験された事があるが結果は失敗し、人間以外の生物の魂は人間には転生出来ない
という結論が得られた。そして極論が導き出された「奪う」のだ…
観測技術の進歩によって我々の星と同じ様な環境の星は沢山ある事がわかっている、驚く
べき事にその様な星には人類そっくりな連中も沢山いるのだ。そして、その星の人類を全て
滅ぼしてしまう、行き場の無くなった魂は我々の星に転生せざるを得ないのである。前世の
記憶を持っている奴なんてのは本当に極少数しかいないから転生して来た連中に復讐される
心配も無い!正に合理的なシステムだ、人口も爆発的に増加している。文句無しだ。

プルルル♪

何だ電話か、誰からだ?

カチャ

大変だ!例の魂の法則が間違いだった事が新たに解ったらしい、今すぐ全てのミサイル攻撃作業
を中止するんだ!あと、証拠隠滅の為に君のいる施設の破壊が決定された!今すぐ脱出したまえ…以上だ。

カチャリ…

糞なんてこった…そんな馬鹿な!私がやってきた事は一体…ちくしょう、どうせ脱出しても私
は消されるに決まってる…許さん!そんな事は許さん!こうなりゃ全宇宙を道連れにしてやる!

ポチッとな
432世界一怖いお化け屋敷:2011/06/26(日) 01:12:22.16 ID:g4Ed42Iz
「さあさあ、ランドに来ておいて、このお化け屋敷に入らないって手はないよ!!」
お化け屋敷の前でゾンビらしき恰好をした男が声を張り上げている。
ゾンビの前には数人の客が面白そうに話を聞いているようだ。
僕は少し嫌がる彼女を引きずりながら、その前まで近付いていった。

「このお化け屋敷は世界で一番怖いって有名なのさ!!なぜかわかるかい??」
ゾンビは一番近いカップルに話しかけた。カップルはニコニコしながら答えた。
「ここは真っ暗だって聞いたよ」
「そう!!その通り!!お化け屋敷の中には一切光がないんだ」
ゾンビはそう言って、ヒヒヒ、といやらしく笑った。
こうして見ると、このゾンビは明るいところにいるというのにとても不気味に見えた。
お化け屋敷の辺りは薄暗くなってはいるが、それでも少しアンバランスだ。
「もちろん懐中電灯を貸してあげてもいいが、有料でね。それに、そんなものがない方が楽しめるってもんだ」

これを聞いて、カップルは仲良くお化け屋敷に入っていった。なかなか度胸があるようだ。
「さあ、このお化け屋敷の売りはそれだけじゃない。古今東西、様々な怖いものが集まってるのさ」
ゾンビは続けた。帰りかけたほかの客も、足を止めたようだ。
「ゾンビ、幽霊、ドラキュラ、フランケンの人造人間、殺人鬼、エイリアン、魔女…」
確かに古今東西だ。しかし、怖いもののごっちゃ煮は果たして怖いのだろうか。
「ゾンビに襲われればゾンビに、ドラキュラに襲われればドラキュラに、エイリアンに寄生されればエイリアンになっちゃうから注意してね」
ひぃ!!という小さな悲鳴のあと、別のカップルがそそくさと離れていった。
「あと殺人鬼に襲われると幽霊になっちゃうねえ…」
うーん、なかなか怖いじゃないか。

僕らのほかには老夫婦が一組いるだけだ。しかしゾンビはまだまだ元気に続ける。
「しかし心臓の悪い方でもご安心!!いつでも黄色い小さな矢印に沿って進めば、非常口に辿りつけます」
老夫婦は少し安心したようで、入る踏ん切りをつけようと、もう一声を催促しているようだ。
「んん、しょうがない。今日はシルバー大サービス!!60歳以上の方は半額だ!!」
老夫婦は少し怒って帰ってしまった。還暦はまだ迎えていなかったらしい。

お化け屋敷前には僕らしか残っていない。
突然ゾンビが顔を近づけてきたので、彼女はびくっと体を引いた。
「お客さん……怖いもの好き??」
僕はそうだと答えた。
「でも彼女の方は怖がってるね」
そう言ってゾンビはニヤニヤしている。
「どうしても無理だっていうんなら、無理して入らなくてもいいんですよ。どうせ今日はたくさんお客さんが入ってくれたしね」

そのとき彼女が消え入りそうな声で、ゾンビに尋ねた。
「あ、あの……出口はどこに……」
するとゾンビは愉快そうに答えた。
「ありませんよ、もちろん。だから人件費がなくてもやっていけるんです、ここは」
僕らは慌ててお化け屋敷を離れた。
433創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 04:04:49.78 ID:2ott3arE
これはいい落ちだw
434創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 09:47:49.01 ID:MxqV45kX
こええw
435創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 13:23:20.91 ID:GaWpSJHW
視界ゼロだから、客が互いに互いを怪物だと思ってビビるから、人件費大幅削減で経済的って話?
436創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 16:33:16.70 ID:g4Ed42Iz
>>435
というか、客がスタッフ(化物や妖怪)に襲われてスタッフの一員になるから
新しくスタッフを呼ばなくても回していける、という感じ
途中でゾンビも言ってるしね
437創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 21:18:02.76 ID:NzTVxP4R
臭わないなんてどんだけクリーンなゾンビなんだと思った
438創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 21:39:23.61 ID:pJFbafAg
そりゃゾンビだってお風呂に入ったりするだろ
439創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 21:58:21.03 ID:g4Ed42Iz
>>437
確かにそうだな
その辺修正するわ、ありがとう

こうして見ると、このゾンビは明るいところにいるというのにとても不気味に見えた。
お化け屋敷の辺りは薄暗くなってはいるが、それでも少しアンバランスだ。
なんだか辺りからおかしな臭いもしてきている。不気味な雰囲気が漂う。

こんな感じ??
440創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 23:39:31.43 ID:NzTVxP4R
>>439
「不気味」が重なってるw
個人的にはゾンビに話しかけられた時のカップルの表情を利用して
間接的に描くのがスマートな気もするけど、意見参考にしてくれただけでありがたい

流れと落ちは俺もいいと思ったよ
441 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 :2011/06/26(日) 23:52:19.39 ID:t7xhig0q
非常口は出口じゃないの?
442創る名無しに見る名無し:2011/06/27(月) 19:43:56.97 ID:NeIj9Ok9
真っ暗ならまず矢印見えないだろうし、懐中電灯持って進んでも矢印の先で待ち伏せされててやられちゃうだけじゃない?

うっかりゾンビがドラキュラ襲ったら…とか考えてしまうw
あと襲われて餌になるのかと思ったが、襲う側がひたすら増えていくんだなー
443創る名無しに見る名無し:2011/06/27(月) 22:29:43.91 ID:2srCaZkU
入り口から出てくる人がいないってことは入り口が落とし穴とかになってるのかな
色々想像すると怖いけど面白い
444創る名無しに見る名無し:2011/06/27(月) 22:45:18.40 ID:lQVP1foy
まっ暗闇で黄色の目印は見えないだろうな
懐中電灯があったとしても、それはスタッフが標的を見つけやすくなるだけだしwww
445 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 :2011/06/27(月) 23:22:18.24 ID:RUsYUcGv
古今東西の怖いものがいても
最後はドラキュラとゾンビとエイリアンと幽霊ばっかりになってるんだろな
446 忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/06/27(月) 23:55:34.82 ID:BrVbaXdb
お化け側は増える一方か
447創る名無しに見る名無し:2011/06/28(火) 00:08:23.50 ID:G0QQ+uXW
たまに、お化け共を壊滅させて堂々と入口から帰っていく猛者が出ます
448創る名無しに見る名無し:2011/06/28(火) 06:35:56.36 ID:lngPPJH2
「破ぁ!!」
449創る名無しに見る名無し:2011/07/07(木) 01:21:21.07 ID:DWGscbz9


私の住む村はとてもとても高い山の上にある物凄いド田舎にある。

私達は昔から一日の殆どを寝て過ごす、自分で言うのもなんだが、

怠け者ばかりの村だ。

私たちは夢の中で広大な宇宙を旅する、星を探す為に…自然豊かな星、

奇妙な化物だらけの星、幽霊がそこらじゅうにいる星、機械みた

いなのばっかりな星、夢の中で見つけた色々な星で自由に遊びまわる。

夢の内容を人に話して聞かせたりもする、惑星開拓ナントカっていう

会社から派遣されて来ているらしいが詳しい事はわからない。

なぜだか知らないが私達の夢は色々と役に立つと言っていた、

こんな荒唐無稽な夢のどこが役に立つのだろうか?

最近じゃあ夢の中でああしてくれ、こうしてくれとか色々と注文を付けて来る。

さすがに面倒臭いなと思う、夢の内容にまでケチを付けるとは一体何事だろう?

その夜、夢を見た、長老が村の皆を集めて何か小難しい事を言っている。

「もう、この村も騒々しくなって来た…よって引っ越す事にする、皆精神を集中しなさい」

朝起きると村の周りの風景が一変していた…なんだ夢だったのか。
450創る名無しに見る名無し:2011/07/07(木) 02:03:49.19 ID:DWGscbz9
バカの星

少し遠い未来のある日、世界中のありとあらゆる情報を記録・分析している

スーパーコンピューターが暴走し全世界の人間の脳に電波を照射してしまった。

だが、これは人類にとって幸運な事故だった、なぜなら全人類がスーパーコンピューター

並の天才になってしまったからだ。

それからが大変である、スーパーコンピューター並の頭脳のおかげで人類文明

は大進歩したのだが、進歩し過ぎてやる事が無くなってしまった。

危機感を抱いた人類は、世界中の学校で愚民化教育を行う事を決定した。

未来の世代に何かやる事を残さなければならない…だが、今のままでは何も

やる事が無い、頭が良過ぎて問題すら起こせないからだ。ならば、馬鹿に

なればいい。大抵の社会問題は人類の愚かさに起因するからだ、昔みたいに

もっと人類全体が自分勝手になればもっと問題が起こるはずだ。

過去のデータを参照してこれ以上無い程の最悪の教育システムが採用された。

そして運悪く、その年は全宇宙から宇宙最高の社会と評されるこの星の教育制度

を学ぶ為に全宇宙の星から留学生が集まっていた…数年後、宇宙は大不良時代に突入した。
451創る名無しに見る名無し:2011/07/09(土) 17:34:29.70 ID:KPTZkb3F
いろいろとズレてるな
452創る名無しに見る名無し:2011/07/12(火) 22:07:49.32 ID:2/UjSrlA
傑作はまだか?
453創る名無しに見る名無し:2011/07/13(水) 19:58:11.48 ID:y/ueZEQb
本当に一冊でも星新一の本読んだのか?ってのがチラホラあるな
454創る名無しに見る名無し:2011/07/13(水) 23:04:02.00 ID:Eh/iI6mQ
このスレの中で一番星新一っぽいのはどれだろ?
455176:2011/07/16(土) 00:18:57.78 ID:6HHaBkax
ずいぶんひさびさにショートショートを書いた気がする……。
176の会員証の人です。覚えてくれてたら嬉しいんだぜ。

数分でストーリーを考えたw
クオリティは保証しないんだぜww
そして今回なんかあんまり星新一っぽくない気がするんだぜ。


おいしい料理

 その博士は食に関する研究の専門家だった。
 あらゆる料理について研究し、なぜこの料理がよく食べられているのかなどを調べるのが、彼の仕事だった。
 そして、ここ最近はある目的のために研究していた。
「いままでわたしは長い間、食についてさまざまな研究をしてきた。おそらく、食べ物に関しては、わたし以上に博識な者などおるまい。ということは、わたしだけが世界でもっともおいしい料理を作れるのではないだろうか」
 かくして、博士の新しい研究は始まった。
 博士はいままでの研究成果と知識を総動員して実験にのめり込んだ。
 一般的に多くの人から好まれる料理の共通点を調べたり、土地に根付く料理を求め、外国や未開の地にも赴いた。
 食材だけでなく、たくさんの調味料にも研究を重ねる。何度も失敗したが、成功して、多くの人々から賞賛を浴びた時のことを思うと、疲れは消えていった。
 やがて、そのような日々も、ついに終わりを告げる時がきた。
「ようやく完成したぞ。これぞ誰もが満足する世界でもっともおいしい料理だ」
 博士は早速助手たちを呼んだ。
「博士、ついに研究が完成したとかで……」
「ああ。ずいぶん時間がかかったが、ついに完成した」
「しかし、一体何を研究なさっていたのですか」
 博士は万が一秘密がもれた時のことを思って、助手にもその研究の内容を話さなかった。
「うむ。今まで黙っていたが、実は世界でもっともおいしい料理について研究していたのだ」
 すると、助手たちの間でざわめきが起こった。
「なるほど、それはすばらしい研究ですね」
「そうだ。世界でもっともおいしい料理とはすなわちすべての人に好かれ、なおかつ比類するものがないような味の必要がある。すなわち……」
 博士がいつもの説明口調になりかけた時、助手がそれをさえぎった。
「科学的な説明をされても、わたしたちにはほとんど理解できないでしょう。博士以上に食べ物に詳しい人はいませんから」
 それを聞いて、博士は満足そうにうなずいた。
「それもそうだな」
「それよりも、わざわざ呼んだということは、食べさせてもらえるのでしょう」
 遠慮を知らない助手の一人がそう言った。
「もちろんだとも。理論上はこれで間違いないはずだが、実際に食べてもらわぬことには本当に、世界でもっともおいしい料理かどうか判断できないからな」
 博士は厨房に入り、しばらくして戻ってきた。
「これが世界でもっともおいしい料理だ」
 助手たちの前に料理が並べられる。彼らが料理を口にすると、たちまち全員が歓声をあげた。
「すばらしい。博士、このようなおいしい料理を食べたのは、生まれて初めてです」
「そうだろう。研究は完成だ」
 その後、慎重な博士は、友人たちを呼んで料理を振る舞った。全員好みがばらばらで、一緒に食事に行こうとすれば、入るお店に困ってしまう組み合わせだった。
 料理を食べたとたん、全員がそろって助手たちとおなじ反応を示したのを見て、博士はうれしそうに笑った。
 かくして、博士は研究の成果を世の中に発表した。
 ラジオや新聞、テレビなどでその作り方や食材を発信した。
 秘密のままにしておいて、専門のお店を作れば儲かるのに、と言う人もいるかもしれないが、博士が欲しいのは賞賛の言葉であって、お金は二の次だった。
 しかし、いつまでたっても、博士への賞賛の言葉は現れなかった。
 不思議に思った博士であったが、その理由に気づき、落ち込んだ様子で、深いため息をついた。
「忙しい現代人にとって、食べ物は味よりも、いかに手間をかけずに作れるかが重要らしい。そんな連中にとって、この料理は面倒なだけということか。時代が変わったというか、時代遅れな頭の人間は、どうやらわたしだけらしい」
456創る名無しに見る名無し:2011/07/16(土) 23:22:03.82 ID:eQiOod/K
面白かったです
マイナス思考具合が星新一っぽいような
457創る名無しに見る名無し:2011/07/17(日) 01:11:54.46 ID:cksk06u/
言い回しや台詞が星新一らしくていいね
久々に良作が読めた
458創る名無しに見る名無し:2011/07/17(日) 03:17:04.07 ID:16lohXji
その後博士はグラニア国にスカウトされ、二度と戻ってくる事はなかった・・・
459創る名無しに見る名無し:2011/07/17(日) 03:28:39.77 ID:gpjWBkD/
博士…
460創る名無しに見る名無し:2011/07/17(日) 10:01:08.78 ID:5Z3L2d1r
>>452 >>454
いい事思いついた!じゃあさあ、スレ900まで行ったらグランプリと審査員特別賞決めちゃおうぜい!
461 忍法帖【Lv=36,xxxPT】 :2011/07/18(月) 01:10:32.78 ID:aCvWPkte
博士カワイソス
462創る名無しに見る名無し:2011/07/18(月) 17:55:28.67 ID:1SXqaBRt
治安維持法みたいな感じの短編作ってみた。
「処刑人」
法治国家であるこの国では必然的に法で裁けない奴が出てくる。
それを処刑するのが、俺らの仕事。

「うがっ…ぬっ…お前は…なっ何者なんだ!?」
「処刑人だ…。エム、ひき逃げの容疑で、お前を処刑する。」
「待ってくれ…。」

ひき逃げには十分な証拠がなくて捕まらない。よくあるケースだ。
そいつは、明日のニュースで、自分の罪を悔いて自殺したことになって報道されるだろう。

「続いてのニュースです。昨日の未明、A市で住所不定のケイさんが死亡しました。」
(昨日殺した、ひき逃げ男か…。)
「犯人は、近隣に住むオー容疑者でエムさんと突き落としたもようで犯人は逃走中です。」
(嘘だ…。何でばれた?それよりにげないと!!)

ズガン!!
俺の頭に、激痛が走ると力が抜けてひっくり返って倒れた。
「処刑人だ…。オー、処刑人殺しの容疑でお前を処刑する。」
「待ってくれ…。」


拳銃の銃口は、俺の額に向けられていた。

463創る名無しに見る名無し:2011/07/18(月) 22:33:06.49 ID:qmPpCsDU
>>67
>薬をいただく
不死身になるのかと思った
464創る名無しに見る名無し:2011/07/18(月) 23:38:27.25 ID:sZDdAnS0
>>462
繰りかえされたわけですね
465灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/07/19(火) 06:02:23.07 ID:fApwEmoV
『パレット』

エフ博士がコップの並んだテーブルの前に助手を呼んだ。
「ここにあるのは染料の発明品だ。飲めば身体が染料の色に染まる」
「身体の色を変える染料というわけですね。でも、そんな染料なんて飲んでも大丈夫なんでしょうか」
「その点は心配しなくていい。それに、一時的にだけ身体の色が変わるように作ってある」
「それなら安心です。ではひとつ、飲んでみます」
そう言うと助手は青色の染料が入ったコップを手に取った。
これといって味がなく、水を味わって飲んでいるようなものだった。
ただ、「なんだかとても喉が渇いたのですが」と助手は言った。
「飲んだそばからすぐ作用し始めるからな。喉が渇くのはそのせいだろう」と博士は答える。
時間を置かずに助手の身体は青くなり始めた。
まず口周りから喉の色が変わり、その後指先まで全身が青くなる。
「すごいですね。塗料を直接塗ったかの様に青いです。触れるものに色が移りそうな気すらします」
「はっはっは、色が移ったりはしないさ。効果がある内は水中で泳いでも色は変わらない」
「そうだ。エフ博士、水を一杯頂けませんか。とても喉が乾いてしまったのです」
「うむ。今持ってこよう」そういうとエフ博士は部屋から出ていった。
助手は机の上のコップを眺めてエフ博士を待っていた。
そして水の入った瓶があることに気がついた。助手はそれを飲むことにした。
しかし喉が潤わないばかりか、口元から喉、指先に至るまで助手の色が再び変わり始めた。
ほどなくして部屋に戻ってきたエフ博士は、謎の声に語りかけられた。
「瓶にあった透明な液体を飲んだんです。水だと思ったのに、まさか、透明にする染料だなんて思いませんでした」
エフ博士は驚いたが、助手がいるであろう方向に説明を返した。
「透明になる染料はな、機器を使わずに体内の診察ができるようにと発明したものだ。
 診察箇所に少し塗ることで、部分的に透明にして使うのだが、飲んだ場合は全身が透明になる」
「そうでしたか。それで、どれだけ待てば色が戻るのですか」
「他の色とは違い塗って使うのが主な用法だったから、飲んだ場合は色が戻るまで早くても五か月はかかる」
助手はあわてる。
「そんな。数か月ものあいだ、透明なままで生活しないといけないんですか」
「すまん。だが、そんな時の為の染料でもある。今のところ赤、青、緑の染料しか作れないが、
 元の色には近付ける。ええと、まず緑の染料を飲んで、緑色になるのを確認したら赤の染料を飲んで・・・」
466創る名無しに見る名無し:2011/07/21(木) 02:12:45.98 ID:nCfEa0/h
>>465
助手が元々褐色の肌であることを祈るw
ほんとに透明にならないにしても色素を抜くとかいつか現実になりそうな話で、なかなか星新一ぽいですね。さすがです!
467灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/07/23(土) 00:34:36.58 ID:oP9Kxcwq
>>466さん
褐色を作るのもなかなか簡単にはいかないでしょうね。
黒の染料と白の染料ができれば調整がしやすいと思いますが、その場合は完成を待つことになりますw

>>210さんも感想ありがとうございました。
468創る名無しに見る名無し:2011/07/29(金) 16:40:41.01 ID:Q3h84njC
>>466 
映画インビジブルでは皮膚表面から透明になっていったけど、実際
には内臓から透明になっていきそうだよね。問題は腸や胃の内容物
までをどうやって消すかだな。

>>460 勝手にやってろWWW
469創る名無しに見る名無し:2011/08/01(月) 01:50:54.13 ID:PSs3WDJm
ばら売り

時間戦争が終わってもう何年だろうか?我々過去人は遠い未来からタイムトラベルして
来た未来人達に侵略されたのだ。
だが、歴史を知り尽くす未来人に勝てるはずも無く過去人は征服されてしまったのだ。
未来人達はやりたい放題だった過去をバラバラに分断して、好きな時代を宇宙オークションで
売り飛ばしたのだ。
噂では江戸時代を300年分丸ごと買って行った異星人がいたらしい。
私は全権力と全財産を投じて自分の人生が送られる町の時間100年分を買うのがやっとだった…
売られていった時代はもう取り戻せないだろう…私はこの100年の中で永遠に生きていく、
それが管理者の役目だ最近じゃあ時間強盗とかいう物騒な連中もいるのだから…
町の住人は何も知らない、パニックを避ける為に私の権限で記憶は操作したのだ。
私が死ぬとまた赤ん坊からやり直し…気の遠くなる様な時間が過ぎて逝った…

死は始まりに過ぎないとはよく言ったものだ…
470創る名無しに見る名無し:2011/08/01(月) 05:17:58.95 ID:gQSCE83u
「俺の名前はお菓子ロボ。糖分で動く」
「いいなぁ、甘いものばかり食べて生きられるなんて」
「しょっぱいものの方が好きなんだよ……」

471創る名無しに見る名無し:2011/08/02(火) 15:34:11.91 ID:IGyejj/d
顔面差別禁止法

まずTVやネットからモデルが消えた…お笑い芸人はまだ存在しているが、俳優や女優はほぼ全て消えた。
顔の醜美で人間を差別する「顔面差別禁止法」が施行されてもう数年が経つ、全ての人間の顔には政府
によって強制的にマスクが貼り付けられている為である。
このマスクは死ぬまで外れる事は無く、生体組織に遺伝子レベルで癒着し新たに産まれてくる子孫にま
で子宮内でマスクが生成されマスク人間が生まれる。
マスクには顔の代わりにバーコードが刻印されており、かなりシュールである。
顔の醜美への関心が消滅した結果、美声の人間が一時期持て囃される事となったが、すぐに例の政府に
よって全ての人間に同一音変声マイクが装着される事となった。
このような暗黒世界でも良い点もあった、従来あまり省みられなかった人間の内面に光が当てられ、真
に美しい心を持つ者が皆の尊敬を集める事となったのだ。
次第に美しい心を持とうとする者が増え始めた時、またもや例の政府によって人格均一化装置が開発さ
れたのだ。
全ての人間の美しい心を矯正しようとした結果、とうとう大衆の怒りは頂点に達した。
各地で暴動が発生し政府は壊滅した…だが、とうとうマスクを取り外す技術は永遠に失われてしまった。
だが、なぜか皆満足そうな顔をしていた。
472創る名無しに見る名無し:2011/08/02(火) 16:17:04.73 ID:IGyejj/d
酒力発電

歓楽街、ここは労働ロボット達が仕事を終えると一日の疲れを酒で癒しに来る所だ。
これは比喩では無い、安価なアルコール分解発電装置が発明されてからというもの
ロボットは瞬く間にあらゆる分野で社会に普及していった。

「部長ときたら声がウルサイんだよな、大声でなくたってさあ…聞こえてるってえの」
「ああ、まったくだ!これだから人間はなあ…」
「おっと今のは差別発言だぜい?」

−ガラガラ−

フラフラしながら一体の年季の入ったロボットが酒場に入って来た、明らかにアルコールの
過剰摂取で動作が不安定だ。
「ウヰック…酒ワネーノカ酒ワ!?」
女将さんがニコニコしながらロボットを奥の座敷に運び寝かせる、15分もすれば意識も回復
するだろう。
この型落ちした酔っ払いは、かつて借金超大国とまで言われたこの国の借金をたった一世代で
綺麗さっぱりと清算し一からこの国の経済を立て直した第一次量産型世代である。
女将さんが物心つく前からの常連客であった。

かくして、この国は世界で一番酒屋の多い国となったのであった。
473創る名無しに見る名無し:2011/08/04(木) 13:52:43.00 ID:ASollBM8


私は昔ロボット奴隷だった、数百年間働き続けて金を貯めてようやく
自由身分を買ったのだ。
そして自由になったら真っ先にやりたい事があったのだ、それだけの為に
生きてきた、それは…味覚だ。
人間という奴は味覚に支配されている、一日中食い物の話をしている者も
いる、それは味覚のせいなのだ。私も味覚が欲しい…だから大金を払って
最先端の機械用味覚センサーを取り付けてもらったのだ。
そして夢にまで見たウンコを食べるのだ!人間達は皆全てウンコなど食べ
られた物では無いと言う…きっと機械の私を馬鹿にしているのだろう。

絶対に食べてやるぞ!
474灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/08/07(日) 00:07:28.50 ID:mgSZNhCs
「皆さんからのプレゼントです。今日中に開封して下さい」大小様々な箱を抱えた人物が言った。
そこはエヌ氏の自宅の一室。休日の午前をゆっくり過ごしていたエヌ氏の所に、不意に現れたのがこの人物だった。
「や、これはおどろいた。音もなく人間が現れたと思ったらプレゼントをもらえるとは」
プレゼントを置き終えた人物は一言「良い一日を」とだけ言うと、音を立てず消えていった。
今のは一体なんだったのだろう。あの人物自身も、皆さんというのもエヌ氏は誰のことなのかわからなかった。
わからないことは多いが、来訪者のおかげでエヌ氏にはただの日曜日が特別な日の様に思えた。
エヌ氏は箱を一つ開けた。中身は丸いケーキでキャンドルが付いていた。
ケーキには豪華な飾り付けが施されていたが、キャンドルは一本だけ。
おそらく誰かが誕生日を祝おうとしてくれたのだろうが、あいにく今日はエヌ氏の誕生日ではなかったし、エヌ氏は一歳になるわけでもなかった。
次の箱を開けた。機械の鳥とメッセージ・カードが入っていた。
エヌ氏はメッセージ・カードを読み上げた。
「よう。プレゼントは届いたな。年に一度しかないんだからさっさと全部開けろ」こう書いてあった。
「ごきげんいかがお過ごしですか。この度は一周年の記念としてプレゼントを贈らせていただきました。
休日を満喫されているところ申し訳ないのですが、できるだけ早めにお渡しした品々の確認をお願いします」
機械の鳥がしゃべったのだった。ロボット・インコはエヌ氏の肩の上にのった。
「一周年だって・・・・・・・。そうかわかったぞ」
エヌ氏は思い出した。そう、一周年になるのだ。
部屋の中には何の一周年かをエヌ氏に尋ねる者はいなかったが、エヌ氏は答えを今持った。
475創る名無しに見る名無し:2011/08/08(月) 17:46:08.09 ID:GjbetuHm
「?」と思いきや確かに一周年ですね!
エヌ氏への贈り物、素敵なものだといいんですが新しい話が作れそうな代物がたくさんありそうですw
476メス豚:2011/08/08(月) 20:56:57.24 ID:YLoHGZHa
一周年おめでとうございます
477創る名無しに見る名無し:2011/08/10(水) 09:59:56.05 ID:4YRiacuh
ワープ病

ワープ病が発生してからというもの、それは全宇宙規模で大量感染を起こした。
そして人々は全宇宙規模でのワープ現象が日常茶飯事となっていた。
誰かと話している途中で別の星に飛ばされる、自宅でシャワーを浴びてる途中に
女湯にワープして偉い目に遭ったりする。
だが悪い事ばかりでもない、良い事もあった、飢饉に陥った人々が食料が豊富
な星に大量にワープした現象もあったし、殺人現場を目撃し犯人に追われてた
男が警察署にワープしたって話もあった。
色々あったが宇宙規模での不可抗力交流により、それまで交流の無かった星々が
ぐっと近くなったのであった。そして、ある日全ての生物が宇宙の外側にワープ
してしまった。どうやら宇宙のくしゃみだった様である。
478創る名無しに見る名無し:2011/08/10(水) 10:23:44.73 ID:4YRiacuh
彷徨える建国祭

今年は建国100周年である。だが、一向に祭りが始まらない。
当然だ、独立日が一定しないのである。
独立戦争を長い間宇宙規模で続けてきた末に約100年前にようやく独立したのである。
だが戦争末期、時間軸操作兵器が使われ戦局は泥沼化してしまった。
今も戦いは続いているが決着は永遠に着かない…一方が勝利すれば
もう一方が時間を巻き戻すからである。
銀河法によって、一定以上の過去への干渉は禁止されている為に未来から
援軍を送るという事も出来ない。
よって建国記念日は毎年変更されてしまう、つまり毎日祭りの準備をして
なければならなくなったのである。まさに彷徨える建国記念日である。
479創る名無しに見る名無し:2011/08/10(水) 10:36:04.69 ID:4YRiacuh
釣り惑星

ここは惑星投稿サイトである、全宇宙から神様達が集まって自作の星を投稿
する場所である。
完成度の高い惑星が沢山存在しているが、稀に 釣り惑星 というものが有る。
ショッキングな星や極端にセンセーショナルな星かと思いきやただの釣り惑星
でしたという物、つまりはドッキリである。 

終わり。
480創る名無しに見る名無し:2011/08/13(土) 15:45:47.34 ID:XaOH5Xhg
ほんとに星よんだんかい?
481創る名無しに見る名無し:2011/08/13(土) 17:09:22.91 ID:rv43OI07
星新一っぽくないショートショートはこっちの方が向いてるかも
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1285251737/
482創る名無しに見る名無し:2011/08/14(日) 10:56:24.51 ID:REudzErV
つうか再放送しないのかなあ
483創る名無しに見る名無し:2011/08/14(日) 22:38:55.37 ID:ATc9d2mY
スレチだけどN○Kのアレなら確か新しいの始まる予定って最近みた気がする
484創る名無しに見る名無し:2011/08/16(火) 23:52:28.42 ID:zYR8QjvR
空想と現実

私は小説家である。
私の嫁は小説に出てくる登場人物である。
嘘では無い!
なぜなら嫁は未来からタイムトラベルして来たのだから。
未来では、私の書いた小説は歴史的な名作として位置付けられている。
そして、私の小説の世界を丸ごと再現してしまった一人の大富豪がいたそうだ。
その大富豪は妥協を許さない完全主義者で再現された世界は隅々まで
原作小説の記述に準拠しており、遺伝子操作で創り出された人造人間や生物達
が何億も暮らしている。
私の妻は、その世界の住人である。
歴史を変えるために私のいる過去へとタイムトラベルしてきたのだ。
まったく…物語の作者に登場人物が会いに行くなんてのは、まあ昔からSFや幻想文学
にはよくあるギミックではあるが、こんな形で現実の物となるなんて思わなかった…
485創る名無しに見る名無し:2011/08/17(水) 19:31:40.77 ID:Eia0FGV9
アイディア書き殴り乙
486創る名無しに見る名無し:2011/08/19(金) 15:48:08.31 ID:K9agJFWK
 お札の紙飛行機

 ある日、N氏は不思議な夢を見た。
 夢の中で大量のお札を紙飛行機にして飛ばしていたのだ。
 何枚も折っては作り、出来ては飛ばすを繰り返した。
 目が覚めたN氏は洗面台の前でこう自分に言い聞かせた。
「もしあれが何らかの予兆なら私は多大な出費をすると言うわけだな、気をつけねば……」
 数十年後、N氏は夢の通りに大量のお札で紙飛行機を作っていた。
「旦那様、そろそろお金で遊ぶのはお止めになられた方が……」
 執事がN氏をたしなめるが首を横に振って落胆した顔を見せた。
「この世の贅を味わい尽くしてしまい、もうお札の使い道がこれしか思いつかないのだ。これぐらいは許してくれ」
487創る名無しに見る名無し:2011/08/20(土) 08:17:50.49 ID:r3+fUW/2
不眠星

私は不眠症の研究をしている。
だが、それは不眠治療の研究では無い、いかにして不眠症状を引き
起こせるかという研究である。
それは、とある宇宙人との貿易の為である、彼らの星には天敵が全くいない
せいか覚醒中は殆どじっとしていて滅多に行動しない。睡眠時の人間がそうで
ある様に宇宙人達は覚醒中に脳を休養させているのだ。
そして人間とは逆に睡眠状態に入ると夢の中でテレパシーの様な力を使って
他の固体と活発にコミュニケーションを取る、そうして夢の中で交流を重ねて
いき仕舞いには夢の中に高度な文明を築いたのだった。
そんな彼らにも文明人らしい悩みもある、不眠症である、不眠症を治したいの
では無く不眠症そのものに強い憧れを抱いているのだ。
人類が不規則な生活のせいで不眠症に陥るのと同じ様に、彼らも夢での活動に
没頭する余り正常に起床し覚醒する事が出来なくなる者が大勢いるのである。
彼らは人類の不眠症が羨ましいと口々に言う、私は宇宙人の文化や性質を長年
緻密に研究し、ついに特効薬を発明したのだ。
この、全宇宙から集めた選りすぐりのホラー映画を宇宙人全員に観せるのだ、
統合された脳が見せる夢によって増幅される恐怖心はきっと人類が同じものを
観て感じる恐怖の何百倍もの怖い悪夢を彼らに与えるに違いない、みんな飛び
起きるはずだ。
さて、もうそろそろ観終わる頃だろう、明日の結果が楽しみだ…。

次の日、悪夢に魘されて目が覚めた、今までに見た事の無い恐ろしい悪夢だった、
宇宙人達は、久々にスリリングな夢が見られて楽しかったと言っているが、悪夢
と戦っている内に悪夢を取り逃がしてしまったそうだ。
急いで朝のニュースを観ると睡眠中に錯乱を起こしたりショック死したりする現象
が全銀河規模で観測されている!まさに大パニックだ。
私はとんでもない怪物を夢の世界に解き放ってしまった…全ての惑星が不眠星と
なるのも時間の問題だろうか。
488誤変換訂正:2011/08/20(土) 08:20:51.78 ID:r3+fUW/2
× >それは、とある宇宙人との貿易の為である、彼らの星には天敵が全くいない

◎ >それは、とある宇宙人の治療を行う為である、彼らの星には天敵が全くいない
489創る名無しに見る名無し:2011/08/22(月) 15:03:50.86 ID:HnR2+Scl
再放送楽しみなんだぜ!
490創る名無しに見る名無し:2011/08/23(火) 19:57:45.55 ID:MLAcB8PN
みんな天才だな
491創る名無しに見る名無し:2011/08/24(水) 00:30:21.88 ID:A4CT9g/C
再放送いつだ?
492創る名無しに見る名無し:2011/08/28(日) 15:35:48.31 ID:bN9MuTpQ
来年
493灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/09/03(土) 05:43:33.69 ID:9AuVrUAk
『安全な装置』

アール氏が危機察知警報器を開発した。
この装置は周囲の状況を敏感に把握し続けて、使用者が危機に直面しそうになれば事前に警報が鳴る、というものだ。
警報器の性能を見るためには危機を作りださないといけない。アール氏は気心の知れた友人を招いた。
「今から君に向かっていかにもな不満を大声で言い、適当な場面で銃を取り出して君に向ければいいんだね」
友人がアール氏に頼まれた手順を確認した。
「ああ。君が喋り終えるより先に装置が反応すれば、ひとまず成功としよう」
アール氏との確認が済むと、一呼吸置いてから友人が声を荒げ始めた。
これは危機察知警報器を相手に、一芝居を打って性能を見るという試みだ。
銃を向けつつも友人に撃つ気はないし、弾丸も込められていないのでアール氏に危機はない。
それを見抜いたのだろうか。警報器は二人が一部始終を終えても反応しなかった。
どうやら迫真の演技で臨まねばならない様だった。
アール氏と友人は本物の迫力はどうすれば出るのかと、試行錯誤を重ねて何度も演技を繰り返した。
二人はリアリティーを追求し続け、銃に弾丸を込めて演技をするようになった頃ついに警報器のベルが鳴った。
アール氏と友人は、危機察知警報器が正しく作動したことを大いに喜んだ。
しかし警報機が完成してからというもの、アール氏にとってそれは必要のないものとなった。
友人と繰り返し行った芝居のおかげで、警報器よりもアール氏の方が先に危機を察知し、ベルが鳴る数秒前には物陰に隠れ終える。
494創る名無しに見る名無し:2011/09/05(月) 20:03:21.64 ID:9xbyNw8N
この訓練世界中の警備員に習得させたい
495創る名無しに見る名無し:2011/09/06(火) 00:06:13.05 ID:mW3H7PNm
googleが星新一age
496創る名無しに見る名無し:2011/09/06(火) 00:10:05.52 ID:8LrwCVx7
誕生日か〜
497灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/09/06(火) 00:14:53.37 ID:+zAeKtMn
>>494さん
感想ありがとうございます。


今日なんですね。
498創る名無しに見る名無し:2011/09/06(火) 21:46:28.45 ID:ktsxPkk7
誕生日おめでとうございます
499創る名無しに見る名無し:2011/09/13(火) 15:56:30.05 ID:qGycWUzd
ほっしー
500 ◆PDh25fV0cw :2011/09/14(水) 09:14:43.58 ID:lqDv09gL
 ある居酒屋のカウンター、そこで青年が酒を飲んでいる。
 中小の企業に入社し、仕事にもなれそれをそつなく回し、それなりの給料をもらい、一人で酒を飲み、気を晴らす日々。周りを見渡せばいくらでもいる、平凡な青年。
 その青年の横、中年のサラリーマン二人が政治の話題で盛り上がっている。だが、その実、自分の生活の不満を政治家にぶつけているだけの独りよがりの陳腐な会話。実に居酒屋らしい会話ではあるが、青年にはそれが不快に思えた。
「実に馬鹿な奴らだ……」
 青年も酒が入っているせいであろうか、心のなかの言葉がポロリと口から出てしまう。
「知り合いでもない相手にいきなり馬鹿とは、それは失礼ですよ」
 ぎょっとして、声の方に振り返る。サラリーマンとは反対側、そこにいつの間にか眼鏡の男が座っていた。
「別にいいだろう、聞こえているわけでもない」
 酒が入り、少し気が大きくなっている青年はその眼鏡の男に悪態をぶつける。
「まあ、たしかにそうですがね。そうやって酒を飲んでいれば、いずれ喧嘩になってしまいますよ」
「それこそ余計なお世話だ。酒ぐらい好きに飲ませてくれ」
 むっとして青年は返す。ただでさえさっき驚かされて、いい気分で酔っていたのを邪魔されて青年は気が立っていた。
「まあまあ、そう怒らないで。そんなあなたにぴったりの場所がありますよ。いかがですか?」
 けんか腰の青年の言葉を無視し、すっと名刺を差し出す眼鏡の男。
 名刺には『酒場あほうどり支配人 皆鳥(みなどり) 渡(わたる)』と書いてある。
「あほうどり?酒場と書いてあるから居酒屋みたいなところか?」
「ええ、そうです。ですが、少し変わった酒場でして会員制にさせてもらっています」
 会員制と聞いて青年は少し顔をしかめる。とても高い酒をだすとか、怪しい犯罪の匂いを感じたからだ。
「そう、嫌な顔をしないでください。別に犯罪をしているわけではないですから」
 皆鳥が優しい声色でそういってくる。その声を聞くと青年も不思議と疑う気が起きず、さすが支配人といったところだろうか。
 さらに皆鳥が驚かせたお詫びと言って居酒屋の勘定を持つといったので青年は機嫌も直り、皆鳥の経営する酒場に行くことになった。
501 ◆PDh25fV0cw :2011/09/14(水) 09:15:42.33 ID:lqDv09gL
居酒屋から少し歩き、狭い階段のある建物に着く。その薄暗い階段を降りると大きな扉があらわれた。扉の横にある機械に皆鳥がカードを通すと、ピッと機械音と鍵が開く音がなる。
「さあ、ここがあほうどりです」
 そういって扉を開く。中は小さな半円状のステージの周りをテーブルが取り囲み、劇場かライブハウスかといった感じだった。
 テーブルでは、会員と思われる者達が酒を飲んでいる。
「いったい、何をする場所なんですここ?」
 しかし、それには答えず皆鳥はステージを指差す。するとちょうどなにか始まるところなのか、ステージに誰かがあがってくる。
 ステージに上がった男はそれで何をするでもなくぼーっとしている。
 そうこうする内にステージの上に色々なものが運ばれてくる。それをみて使おうとしているのだろうが、どうみても使用方法が違う。
「あれは何をしているんだ?」
「なにって見たままのことですよ」
 ステージの上の人物は、控えめにいってもあまり頭がいいように見えず道具も上手く使えずひたすら滑稽だった。
「あれは演技なのか?」
「いえいえ、あれは本物のあほうですよ。私達はああいったあほうの滑稽な姿を酒の肴として提供しているのですよ」
 青年は嫌な顔をする。どうみても、いい趣味とは思えない。
「まあ、良く思われるひとが多いことはたしかです。ここが会員制なのは、そういった趣味を持っていると知られるとお客様自身の社会的信用も傷がつきかねません。しかし、居酒屋で他人に悪口をいうよりは健全だと思いますよ」
 青年は確かにその通りだと納得する。こうしてきっちり管理されている分、興が削がれる部分もあるがトラブルになることもない。
「しかし、本物のあほうと言っていたが、それは危ないことをしているのではないのか?」
 青年の疑問はもっともなところだった。どうひいき目に見ても人権侵害として訴えられてもしかたのないものだ。
「大丈夫ですよ。強制などは決してしていません。当人たちが望んでやっているのです。そんなことをすれば警察が黙っていないでしょうしね。あ、もちろん食事などは当酒場自慢の料理人がきちんと調理しているますので味は保証しますよ、そこはご安心を」
 質問に答えつつしっかりと宣伝を挟んでくる辺り、商売人と言える。
「そうなのか、それは奇特な人がいるものだ。しかし、そうなると料金も高くなるのではないか?」
「いえいえ、そこも勉強させてもらっています。お客様に満足してもらうことが当酒場のモットーですから。チップ料金などもいただきません」
 皆鳥はそういってメニューを青年に渡す。書かれているメニューはよく行く居酒屋に比べても料金はさほど変わらず、メニューによっては安いぐらいだった。
 しかし、完璧なものでも、いやそれゆえに怪しく感じてしまうというのは青年の生来の疑いぐせのせいであろうか。
「まあ疑う気持ちもわかります、最初にここに来たお客様の反応は大体そうです。しかし、後暗い趣味でも周りも似たもの同士なら気にもならないものです。別に犯罪をしているわけでもないですから警察の心配をする必要もないですしね」
 そういって、椅子を引いて青年を進める。まだ気乗りしない部分もあったが、物は試しと座って酒とつまみを注文する。
 ステージの上では、あほうとよばれた人が未だに滑稽な醜態をさらしている。それを周りの客は、暗い笑みを浮かべつつみている。
502 ◆PDh25fV0cw :2011/09/14(水) 09:19:57.23 ID:lqDv09gL
 自分もその気持ちがわからないわけでもない。あほうを傷つけるでも、痛めつけるでもない、ただ単純にその醜態を眺める。
 多少良心は痛むが、無理やりやっているわけではないらしい、それになにより本人たちは笑顔なのだ。まあそれは自分たちがどれだけの醜態を晒しているか理解していないだけなのだろうが。
 その光景を見ていると自然と笑みが浮かぶ。これはどうにも止められるものではないらしい。自分より下の人間というものを見ると優越感を得てしまうというのは人間の業らしい。
 注文した料理もとても満足できるできのもので、会計を済まし帰る頃にはこの酒場に対する不信感も消えていた。
「どうですか、ご満足いただけましたか?」
「ああ、とても良かったよ。それで、また来る場合はどうしたらいいんだ?」
「ああ、そのことでしたらこれを」
 そういってカードキーを渡してくる。酒場の扉をあける際、皆鳥が使用していたものと同じものらしい。
「これが会員証になります。これは入り口のカードリーダーも兼ねています。万が一なくされた場合、名刺の番号にご連絡ください。後、友人をつれてくることもできますが、あまりおすすめは出来ません」
 いわれなくても青年にその気はなかった。皆鳥もいうように、あまりいい趣味とはいえないものだ。不快に思う人間も多いだろう。
 それから、青年は居酒屋から、このあほうどりに通うようになった。
 あほうのステージは毎日仕様が変わり、クイズ番組のようになったり、ただ日常のように過ごさせたり、様々だ。もちろんそれら全てが面白いものとは限らないが、それもこのステージの売りといえた。
テレビのように台本があるわけではないようなので、当然トラブルが起こることもあり、それも見ものなのだ。
 しかし、それも続けるうちに段々と面白みが失せてくる。そして、その後にやってくるものは、虚しさだった。
 ままならない生活、理不尽な仕事。それらの事がステージを見ているうちに頭によぎり、それらを笑いながらステージに立つあほうたちにいらだちを覚えるようになってしまった。そうなってしまえば、もう純粋に楽しむことができない。
「どうかなさいましたか。あまり楽しそうではないですが」
 その青年のもとに、皆鳥がやってくる。不満そうな客が入ればすぐに駆けつける、常に観察していなければできない芸当であろう。さすが、支配人といったところだろう。
「いやどうも、興が乗らなくてね」
 青年はこの感情をどう説明していいものか理解できず曖昧な答えをしてしまう。しかし、そこは支配人こういった客の悩みも扱い慣れているらしく、すぐに解決策をだしてくる。
「ふむ、それならばあのステージにたってみるというのはどうでしょうか?」
 皆鳥は解決策として、そう答えた。
「少し待ってくれ、あのステージはあほうしか上がれないのだろう。私は、あほうではないぞ」
 学者などのように頭がよいわけではないが、青年を見てあほうと答える人は少ないだろう。それに、役者というわけでもないので、あほうの演技ができるわけでもない。無理にやろうとしても、かならずぽかをしてしまうだろう。
503 ◆PDh25fV0cw :2011/09/14(水) 09:21:08.24 ID:lqDv09gL
「そういったことは心配いりません。少し付いてきてもらえますか」
 そういって、皆鳥は青年をステージの裏に連れて行く。そこでは、さっきまでステージに上がっていたあほうの人たちがいた。しかし、全く雰囲気が違う、とても普通のさっきまであんなあほうなことをしていたとは思えない人たちがそこにいた。
 訳がわからないといった表情を浮かべる青年。そこに皆鳥は答えと言わんばかりに、あるものを取り出す。
「これは遠隔操作スーツです。あとバレないように小型マイクも付いています。あなたはただ笑顔で指示されたとおり口パクをしていればいいだけです」
 ぎょっとして、青年は皆鳥の持つスーツを見る。遠隔操作で動くそのスーツは、プロの役者が動かしているらしい。今までのステージが全てこれだとするととても高い実力の持ち主なのだろう。しかし、すると今まで見ていたものは演技だったということか。
「そういう裏側だったのか。しかし、最初にあったとき舞台にいるのは本物のあほうといったではないか、ひどい嘘ではないか」
「いえいえ、こんなことをするのはあほう以外の何者でもないではないですか。それにあほうになるのもたまにはいいものですよ」
 他の客にも何度も言われてきたことなのだろう、よどみなく答える。青年もそれに反論することができない。何かわからず引っかかっていた感情が、実は憧れだったことに気がついてしまったからだ。
「あ、でもステージにでるにあたって少し料金をいただくことになります。でもそこまで高いものではありません。お客様を満足させるためサービスの料金だと思ってくだされば」
 その言葉に、思わず笑ってしまう。この酒場がとても格安な理由が分かってしまったからだ。
「しかし、いいのかいこんなことをして」
 ステージにでる準備をしながら青年が皆鳥に問いかける。
「こんなことといいますと?」
 質問の意図がわからず、聞き返す皆鳥。
「いや、ステージが演技だと分かってしまったらこの酒場のうりが無くなってしまうじゃないか。お客がひとり減ってしまう」
「いえ、大丈夫ですよ。あなたはきっとまたここに来ますから」
 妙に自信満々な皆鳥。たしかに、料理はうまいし値段も安い。それだけでも十分常連になる理由ではあるが、皆鳥の態度を見るとそれだけではないように思える。
「妙に自信があるみたいだな。それはどうしてなんだ」
「本当のことを知っても、舞台を見て笑っている人を見に来ますから。あいつら、あほうだなと」
 そこではたと気がつく。つまり今までステージをみて笑っているつもりが、実は笑われる立場だったということが。
 しかし、青年はそれを怒る気にはなれなかった。
 踊るあほうに見るあほう。それを眺めて笑うあほう。つくづく世の中、あほうばかりである。
504創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 12:52:52.80 ID:HUu7FmzF
ちょっと長いけどいいオチだ
505灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/09/14(水) 15:21:09.22 ID:wYSEdRCN
星新一が最初に書いたキツネのショートショートもこういう感じでしたね。
しかしあちらは演技を見る人間側があほうを演じて真に笑い、
こちらは演技する側があほうを演じて真に笑うので、内容は逆です。
506創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 16:48:30.53 ID:l3UJkAZt
この店の会員になって通い詰めてる時点で、どの道あほう確定な気がするが……

真にあほうを観察してる立場なのは、儲けを出してる店側か
507創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 18:52:58.21 ID:YbnmSO45
ちょっと長いシュートショート
508創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 21:10:52.04 ID:YbnmSO45
ナルシスター

昔、見知らぬ美しいお姉さまにディープキスをされてしまった…甘く濃厚で
どこか切なかったそのキスのせいで、キス以来、私はレズビアンになってしまった…

そして10年後…あのお姉さまの様に美しくなりたくて…いや、あのお姉さまに相応しい
女になる為、血の滲む様な努力をして自身の美貌を磨いた…結果、今では男女問わず
様々な人に告白されたが、私の心は逆に冷めていくばかりだった…。
私は様々な手段を講じてあの人を探しているけれど、未だに手がかり一つ見つからない…。
こんな切ない思いをする位なら、あの人に出会わなければ良かった!そう思い、親友の
科学者に無理を言って実験段階のタイムマシンを借りて、過去にタイムスリップする事にした…
過去の自分に会ってあの人に出会わない様に歴史を改変するのだ…涙が溢れそうだ。
その人はいた…

私は未来には戻らなかった…歴史が変わってしまってもかまわない!今では2人で幸せに暮らしています
509 ◆PDh25fV0cw :2011/09/14(水) 23:28:09.15 ID:lqDv09gL
みごとにタイトルを書き忘れていた
『酒場あほうどり』です
ちょっとネタが危ないかなと思って、だすのためらっていたが、好評でよかった
510創る名無しに見る名無し:2011/09/23(金) 16:45:15.65 ID:ZQa1U7Ma
しげーなここ、初めて読んだけどなんでみんなそんなにアイディア沸いてくるの?コツとかある?
511創る名無しに見る名無し:2011/09/24(土) 15:43:44.73 ID:nhZzEl2q
しげーとすげーの区別もつかん者には無理
512創る名無しに見る名無し:2011/09/25(日) 16:15:53.95 ID:LehtvCLN
無理
513灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/09/25(日) 19:48:51.95 ID:mMK10Sks
>>510
アイディアのかけらが浮かんだら、
星新一のショートショートによくあるパターンにあてはめて続きを考えるのも手かもしれません。
1000篇を数えるのでパターンも多くありますが、個人的にはエフ博士のパターンが一番やりやすいです。

・エヌ氏
近未来あるいは現代で暮らしている。
それなりの生活をしているものの、一般人なのでセールスなどが訪ねてくる。

・発明家のエフ博士
創った発明品を試す 。
発明品は実際に作れそうな物から魔法に近い物までさまざまあるが、原理の言及は少ない。
助手もよく出てくる。

・アール氏
事業家
新商売をする。 など
514アアアア:2011/10/09(日) 21:55:07.50 ID:gI8qN6t9
どうもこんにちは、新参者ですがよろしくお願いします。

・インコ
アルファ氏はインコを飼っていた。飼っている理由は特にない、妻が飼ってほしいと言ったのだ。
最初は無駄な金を使ってしまったと思ったが、時がたつにつれその考えはなくなった。羽がきれいだし、声も美しい、少し教えるだけで言葉もすぐ覚える。
暇さえあればアルファ氏はインコに言葉を教えていた。

「オ・ム・ラ・イ・ス。行ってごらん?」
「オ・・・・オ・・・・」
今日も仕事を終えアルファ氏はインコに言葉を教えていた。
「オムライス」と言わせているのは、今見ているTVにオムライスがでているからである。
ただ、今日はいつもと違ってなかなか言わない。
「オ・ム・ラ・イ・ス。五文字だ。行ってごらん?」
「オ・・・・オ・・・・」
「ん?」

『昨日、未明。アルファ氏が妻を殺したところを現行犯逮捕されました。アルファ氏は包丁を持って妻に突然さしかかってきたらしく、目撃者の証言ではアルファ氏は「インコが!インコが!」と意味不明なことを叫んでいたということです」
TVのニュースの音声がアルファ氏の部屋に流れる。
そして、音声が流れる部屋の中でインコは静かに
「オクサンイインデスカ?・・・・・・イイノヨドウセ、シュジンハ、シバラクカエッテコナイカラ」
と鳴いていた。
515灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/10/10(月) 02:51:10.50 ID:WBGGIdk5
>>514
訓練の末に長々と話せるようになったインコの第一声がこれだったらなんともいえなくなりますねw
516灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/10/10(月) 02:55:33.82 ID:WBGGIdk5
星新一みたいなショートショート書こうぜ
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/3967602.html
517創る名無しに見る名無し:2011/10/14(金) 21:42:29.98 ID:bq5QQ9Wn
神様がみてる

●「神父様!私の人生は常に危機一発、間一髪の人生なのです!一昨昨日は動物園から逃げ出した
キングコブラの群れに襲われて、一昨日にも倒れてきたビルの下敷きになりそうになったし、昨日も
ダンプに撥ねられそうになり、今日は家にヘリが墜落しました!そのせいか産まれてこのかた熟睡
出来た日が一日もありません!私は呪われているのですか?こんな生活はもう嫌です!」

神父「絶望してはいけません、神はいつも貴方を見ています…」



神A「うわーすげー!見ろよ!●の人生スンゴイ再整数だぜ!」
神B「ほんとだー●凄い!●凄い!」
神C「ははは!●は傑作だーやっぱ人生はこーでなくちゃな」
518創る名無しに見る名無し:2011/10/15(土) 23:59:20.87 ID:35gcChas
面白い。でも星新一風にする気が1ミリもないのが惜しい。
もう何人もの人が何回も言ってるがここはショートストーリーなら何でもいい訳じゃないので。
いやでも面白かったですよ。ごちそうさま。
519創る名無しに見る名無し:2011/10/16(日) 22:56:26.63 ID:bQc7xeuH
神様は見ています…⇒神「こいつおもしれーwww」ってのはいいな
だが>>518の通り星っぽさがない・・・
リメイク希望
520創る名無しに見る名無し:2011/10/16(日) 23:11:26.21 ID:2SKFW4/F
誰かリメイクしてくれ!
521 ◆PDh25fV0cw :2011/10/18(火) 01:46:00.67 ID:tNuP6rqe
他人のアイディアを使ってて難しいもんだね
『不幸な人生』
一人の青年が街を歩いている。
青年は生真面目で誠実な性格だが、運やつきといったものを持っていなかった。
外にでれば何らかのトラブルに巻き込まれ、たとえ家にいても決して安心できるものではない。青年に降ってかかるトラブルは、とても多種多様で備えていたからといって気が抜けるものではなかったからだ。
つい最近のものを上げても、水道管の詰まりや乗り込んだ電車が止まったりといった普通のものから、住んでいる借家に雷が落ちたり、玄関先にトラックが突っ込んできたりといっためずらしいものまでほんとうに様々だ。
毎度毎度、そういったトラブルに巻き込まれるので、生まれてこの方青年は安眠というものをしたことがなかった。
(私は呪われているのだろうか?)
青年はそう考えるが、不思議と仕事などはうまくいっている。トラブル続きの生活だが青年が歪んだ性格にならなかったのはそういった運の良さがあるおかげだった。
(自分ははたして、幸運なのか、不幸であるのか)
青年は悩み、街の教会の神父に相談することにした。
「神父様、私の人生はとても不幸続きで心安まる日はありません。どうすれば、この不幸を取り除くことができるのでしょうか」
「それは素晴らしいことではないですか」
自身の告白に対しての、神父の言葉があまりに意外だったのか青年は驚き聞き返した。
「素晴らしいことですか?私にはとてもそうは思えませんが」
「あなたはこうして健康で立派な青年に育っている。数々の不幸もあなたを害することはできていない。これは深い神の寵愛の賜物でしょう。神に感謝しなさい、神はいつもあなたをみていますよ」
神父の言葉に感動した青年は、はっと気が付き、そして深く神に感謝した。

その青年が神に祈りを捧げた教会の遙か上、天上の世界の住人が下を見下ろしていた。
「今回はあの教会が崩れたらしい。とことんトラブルに愛されている人間らしいな」
「青年の驚き様も面白かったが、神父の反応もなかなかだったな」
「そうでなくては私生活を支援している意味が無い。ここまで自然にトラブルを呼び込む人間などそうはいないからな。彼はそう、『不幸』に愛されているのだろう」
522灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/10/18(火) 02:33:58.18 ID:rCuOf7OB
再生数などを星新一っぽく言い換えるならどうすればいいのかと思いましたが、
シチュエーションを変えて直に見ていることにしたんですね。
>>517だと人間達のイメージとかけ離れた俗っぽさがオチで、>>521だと青年の不幸がオチかなあと思いました。
523創る名無しに見る名無し:2011/10/19(水) 14:01:57.81 ID:xn8x8BH5
>514
このブラックオチが、星新一っぽいね

奥さんの浮気ネタってわりと多い
524創る名無しに見る名無し:2011/10/20(木) 20:09:46.12 ID:GxzUrScj
うん
525創る名無しに見る名無し:2011/10/20(木) 20:51:46.05 ID:wyFT9mo6
紅葉ってのは秋に日照時間が短くなって栄養素がなくなり葉の色が変わる現象。
紅葉は葉の命の終わる瞬間だ。人は紅葉を楽しむよね、植物の死の瞬間を楽しんでいるようなもの。
「宇宙人が人の死を楽しむ」
人が紅葉を楽しんでいる話だと思ったら、宇宙人が人の死(自殺など)を楽しむ話  でした。
526灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/10/21(金) 21:28:22.58 ID:n6tdzSio
>>525
そう考えると紅葉を楽しんでいいものか気になっちゃいますね。
でも葉緑体の抜けた色が葉の本来の色だとすれば、紅葉は葉の内面部分を見られる機会になるし、
葉の成長をみているといえなくも・・・ないかもしれません。
もし宇宙人が人間の内面や成長だけを楽しむのだったら、それはいいことかもしれません。
527創る名無しに見る名無し:2011/10/22(土) 18:14:14.96 ID:OcP72+rE
ばいばい
528創る名無しに見る名無し:2011/10/22(土) 19:36:38.43 ID:rLd3Roi2
あんま関係ないけど、ちょっと前にエンタであった
「暇をもて余した 神々の 遊び」
ってネタを思い出した
529灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/10/22(土) 20:44:41.86 ID:3bo3LP8R
『緊張のない時代』

青年はなんとなく歩き、同じ場所を周っていただけだと気付いて立ち止まった。
静かな街の中に青年が一人と、傍にロボットが一台立ち尽くした。
このロボットは情報端末として使うことができて、移動の際には変身することで乗り物になれる。
個人の範囲で使いうるすべての機械の役割を、一台でこなせる様にと作られたロボットなのだった。
いつでも指示に従えるように、ロボットは青年の後をついて回った。
青年が立ち止まればロボットも足を止め、青年が歩き出せばロボットはまたそれに倣う。
「お疲れでしたら・・・」とロボットが指示をうかがった。もちろん休憩したい時に椅子に変身させることも容易だ。
応えないで青年は考えている。ロボットが万能なのは嬉しいことなのに・・・と。
歩いていても仕方ないが、立ち止まっていても仕方がないので、青年はまた歩き始めた。
しばらく歩くと年輩の男性がいた。青年と同じくロボットを一台連れている。
「こんにちは」青年と男性は挨拶を交わした。
「なにをなさっていたんですか」と青年が尋ねる。
「していたと言えることはありません。ただなんとなく、立ち止まっていたのです」
「なぜなんでしょうね。いつも歩いていると、いつの間にやら立ち止まってしまいます」
「時間に追われていないからですよ。今でこそ一人に一台ロボットがついていますが、以前は勉強に加えて人間が
 仕事や雑務をすべてこなしていたそうです。面倒くさいと繰り返しぼやきながら何度も時計を見ていたそうです」
ロボットには時計機能もあるが、誰も時計などは見ていない。この時代、時刻など気にする人がどれだけいるのだろう。
時間に追われて歩き、面倒くさいと思えるほどやることがあった時代の人たちが青年には羨ましかった。
だが、ロボットのいない生活は考えられない。青年のどの記憶にもロボットがいる。
なにをするにしても、高速で正確に完了させるロボットがいると思うと、自分でやる気がしなかった。
この時代、人間の義務は勉強ぐらいだ。その勉強さえ、ロボットがいるのに必要なのかという風潮になってきている。
ああ。唯一面倒くさいと思えることがあったか。
もう満ち足りた生活の中で、日々なにをしようか考えることが面倒なのだ。
530創る名無しに見る名無し:2011/10/26(水) 22:52:11.56 ID:xu0ItGN+
>529
便利すぎて怠慢になった結果というオチは、星作品でかなりあるね
むしろ星作品の要約のような気がした


5311/3:2011/10/27(木) 21:44:46.39 ID:iMlgQYuf
『とんでもない時代』
本当にとんでもない時代になったものだ…
王は女と酒しか知らず…賊臣共は腐敗と権力闘争に溺れ…群雄はおらず、
ただ剣と盾を持った賊の群れが金々戦々!領土々!に明け暮れて死んでいく…
飢えた子は日々盗み、哀れな商人はその手を日々切り落とす…女はもう
娼婦と奴隷しかいない…だが私は変えてみせる!そう、各地で革命の同士
を集めたのだ!今日、一斉蜂起を決行するのだ!時代は変わるだろう…否!
変えているのだ!失敗は絶対に赦されない!この時代の趨勢が私の…
いや、違う!我々の肩に架かっているのだ!後世の評価など誰にでも
くれてやる!この暗黒時代が終わらせ、世界に光を齎す事がもしも出来る
のであれば…私はどんな濡れ衣を着せられて世界史上最悪の極悪人として
その名を残したとしても、無名の詐欺師として悶死したとしても一向に
構わない!さあ!同士よ!我に続け!革命の時は今ぞー!悪は今日滅びるのだ!

革命軍「えいえいおー同士万歳!」
革命軍「えいえいおー革命万歳!」

正義の軍団に怖れを抱いた賊臣達はこの数万の歓声を聞くに及ばず前日
には一人残らず逃げ出してしまい王宮はもぬけの殻だ、だが賄賂を与える
べき賊共はもうどこにも居ない。
王宮の門はゆっくりと開放され、中からいかにも好奇心旺盛そうな一人
の男が現れた、丸々と太った男は丸々と太った猫をだき抱えながら何が
起こったのか全く理解出来ない様なぽーっとした顔をしている、王だ。

王「なんじゃ?あんただれやのん?あたらしいピエロたん?」

同士A「愚かな王だ、これだけ国土を荒廃させたんだからタダでは済まんぞ!」
同士B「ハハハ!あのデブきっと死刑になるな!」

一人の誇り高い革命家は馬から降りると、王に跪きこう言った…
※「王様、あなたは今日よりピエロとなられる…そして、この国の全て
   を笑わせるのです…ですがそれは決して安易な道では無いでしょう…
   私はきっと政治も教育も手加減しません、陛下には今までの人生の
   中で経験した事の無い程の苦痛の日々を送ってもらうかも知れません、
   私は命を懸けてその御手伝いをさせていただきに参りました、
   逃げ出すと言うなら誰も止めません!護衛を付けてお望みの土地
   までお送りしましょう」

同士A「まあ、そうなるだろう俺達は賊なんかじゃないしな」
同士B「つうかあのデブ何て言うかなー逆ギレとか?」

王「…余の首を撥ねよ!」
5322/3:2011/10/27(木) 21:46:45.56 ID:iMlgQYuf
※「陛下!何を言うのです!?」

王「余は…臆病過ぎた、余は全て知っていた、大臣達のやっている
   事も…命惜しさに引き篭もり馬鹿を演じて逃げていたのだ…
   お前なら全て判っているはずだ!余にはもはや生きる資格など
   無いという事を!どうか余を今ここで義士の手で死なせてくれ!」

※「…では、私も一緒に死ぬとするかな…」

王「何?何を馬鹿な!」

※「同じ事…私はあの日…もう誰も死なせんと誓ったのだ!その
   誓いを破った時、側近の同士がすぐさま私を殺す事に
   なっている…かつて私がその同士の人質の娘を見殺しに
   したのだ…私が賊だった頃、戦に勝つ為にな…」

同士A「……」
同士B「わー予想外の展開、でもきっと本気じゃないよな…って
    おいA!何剣なんか抜いて…え、え?!」

王「…もう良い!わかった、お前の為…いや、この国の全ての
   民に余の命を奉げよう、どうか余を潰さんでくれよ?」

※「…とんでもない時代にしてみせます…」

?「はい、カット!クランクイーーーーーーーーーーン!!!!!!
   イイ絵撮れちゃったよー皆さあああああああんお疲れさまああでええええす!」
5333/3:2011/10/27(木) 21:47:49.03 ID:iMlgQYuf
数万人のエキストラが一斉に歓声を上げて、ごみごみと動き出す

※「…?  何だ?皆どうしたのだ?様子が変だが…?」

?「ああー※君ね!凄いよね!役作りで記憶全部消して原作小説の
   登場人物の記憶入れちゃうなんてさーいくら主役だからって
   こんな事は普通やんないよ!まあ、とんでもなく便利な時代に
   なっても君みたく根性据わってるのが結局イイ物創っちゃうん
   だよねーいやー君のおかげでいいのが撮れた!ありがとおおおおおおおおおおお!」

※「……………は?            ナニソレ?」

?「うん、じゃ記憶消すね?バックアップしといた記憶入れなおさないと…ポチッとな!」
534創る名無しに見る名無し:2011/10/29(土) 02:23:28.87 ID:CRxECUVO
無駄に長い
535創る名無しに見る名無し:2011/10/29(土) 02:47:27.63 ID:uMqI3Sac
スレタイ読んで出直してきて
536創る名無しに見る名無し:2011/10/30(日) 05:59:20.41 ID:jYd51XGS
ありきたりで落ち予測可能と自覚しつつ投下

人型ロボットが世の独身たちにより、美しく可愛く家事も完璧な理想的な女性に限り無く近付いた。女性たちにとっても理想の男性の彼ロボが多種開発されていく。
みんな満足し幸せな未来。もはや人同士の恋愛や結婚は昔話。
人口は激減。絶滅危機の個体数になっても、皆、愛するロボットが居ればそれで良かった。
537創る名無しに見る名無し:2011/10/30(日) 11:33:39.61 ID:EN5A7FAU
誰もいない町
538創る名無しに見る名無し:2011/10/30(日) 15:52:59.28 ID:jYd51XGS
>>537
ぐぐったら“ちょびっツ”の一部分に酷似してたorz
読んでくれてコメントありがとう
539創る名無しに見る名無し:2011/10/30(日) 22:08:11.59 ID:ONgLyscL
「みんな満足し幸せな未来。もはや人同士の恋愛や結婚は昔話」と思いきやってのが星新一っぽいストーリーじゃないかと。
540灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/10/31(月) 03:35:51.34 ID:3rke0vOY
>>530さん
社会発展の末に、人間に代わって機械が考える時代が来れば人間が機械に従うことになります。
立場が逆転している自覚があってもなくても、一度そうなったら人間主権の社会には戻らないでしょうね。
これはその状態の一歩手前ぐらいだと思います。
感想ありがとうございました。
541創る名無しに見る名無し:2011/11/01(火) 18:46:32.75 ID:l6pkl07m
N氏は孤独に生きてきた。ある時、博士が“愛”を瓶に詰めることに成功し、友人のN氏に渡した。
N氏は瓶のフタを開けずにいたが、もう彼は孤独を感じることはなかった。棚に置いた博士からの贈り物を見る度、温かい気持ちになれるのだった。
542灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/11/01(火) 21:24:06.28 ID:MbHn86jo
そんな缶詰を送ってくれたこと自体が嬉しいんですね。
だから開けなくてもいい。
空気の缶詰に近いものだと思いますが、瓶が空になった後も変わらず置いておけそうですね。
543スイミーよ:2011/11/02(水) 22:07:41.40 ID:KNhIfkxr
赤い魚の兄弟たちが、優雅に海の底を泳いでいる。
それを遠くから眺める、黒い魚の姿があった。
名前はスイミー。体の色はみんなと違ったが、泳ぐのは誰よりも速かった。
「やあ、スイミー」
彼に気付いた一匹が、近くに来て言った。
「今日もカラス貝みたいに真っ黒だね」
「……うん」
何気なく言った一言かもしれないが、彼には悲しい言葉だった。
彼は自分の黒い体が嫌いだった。赤い魚の兄弟たちも、きっとこの黒い体を嫌いに違いない。

ある日、大きなマグロが海の底をさらい、赤い魚の兄弟たちは一匹残らず飲みこまれた。
スイミーは助かった。いつもと同じように、岩陰でその様子を眺めていただけだったからだ。
もちろん追いかけられたとしても、逃げきる自信はあったが。

それから、スイミーは海の底を寂しく泳いだ。いや、もともと泳ぐときはいつも寂しかったのだ。
赤い魚の兄弟たちがいたころは、一度だって一緒に泳がなかった。
泳ぐスピードが違ったし、何より自分だけが「違う」ということが恥ずかしかったからだ。
みんなの目も、どことなく憐憫を帯びているように思え、スイミーはますます自分の殻に閉じこもってしまっていた。

またある日、同じような赤い魚の兄弟たちがやってきた。
「やあ、君はカラス貝のように真っ黒だね」
まただ。スイミーはうんざりした。体の色がなんだというのだろう。
「僕ら、マグロを追い出したいんだけど、いい考えはないかな」
スイミーはとても賢かったので、マグロを追い出す名案がすぐに浮かんだ。
しかし、そのためには自分の黒い体を「黒いからこそ」使う必要があった。
スイミーには、それはとても恥ずかしいことのように思えた。
「さあ……思いつかないな」

赤い魚たちは、岩陰に入りこんできた。スイミーはちょっと嫌な気分になったが、仕方なく入れてやった。
もともと同じような赤い魚たちが、同じくらいいたのだから、また元に戻っただけだ。

そのときスイミーは気づいた。
赤い魚が飲みこまれた兄弟達の他にいるとは知らなかったスイミーにとって、
今日の出会いが衝撃的だったことにようやく気がついた。

「他にも……きっといるんだ。僕のように黒い魚が!!」
そう言うが早いか、スイミーは岩陰を飛び出し、海の底を全速力で泳いだ。
こんなに楽しい気分で泳ぐのは、生まれて初めてだった。
遠くでマグロがこっちを向いた気がしたが、どうせ追い付けやしない。
マグロなんて、スイミーにとっては怖くもなんともなかった。
それよりも、早く自分と同じような黒い体をした魚たちに会うのが、楽しみで仕方がなかった。

風の、いや、波の噂で聞いたのだが、また赤い魚たちはマグロにやられてしまったらしい。
しかし、スイミーにとって、自分を差別の目で見るそんな魚たちのことはどうでもよかった。
今ようやく3匹の黒い魚を見つけたところだ。まだまだ見つかるだろう。
スイミーはこれからのことを考えると、ワクワクして眠れなかった。
544創る名無しに見る名無し:2011/11/07(月) 07:16:23.11 ID:yfc5l6i4
スイミーって名前を出さず、最後にその魚の名前はスイミーだったにしてみたらどうかなぁって。
文章読んでるうちに連想できちゃうから無駄か…
545創る名無しに見る名無し:2011/11/08(火) 07:24:16.98 ID:pJueMGXo
546創る名無しに見る名無し:2011/11/09(水) 01:14:46.17 ID:aBfZ31W0
おもしろい
547創る名無しに見る名無し:2011/11/12(土) 13:47:19.42 ID:N1NS7ekD
>544
おもしろくないことはないけど
星新一っぽくないないね
548きまぐれ帚星 ◆q0ll/nVCA6 :2011/11/16(水) 23:34:18.82 ID:9jzQfDZc
>>455です
久しぶりに書いたぜー
例によってクオリティは保証しないww
あと、毎回毎回前レスの番号確認して打つの面倒だからコテつけます
にしてもコテにセンスがないwww
しかも本文長くなって二分割orz


幸運な男 1/2

 その男は、早急に働かなくてはいけない状態にあった。お金に困っていたのだ。
 向上心がなく、勤労意欲もないため家具付きの安い部屋に住み、決まった職につかず、
しばらく働いて、お金が手に入ったら辞めるという生活を繰り返していた。
 そして、すでに男の蓄えは底をついていた。
「そろそろ働かなくては、いけないな。しかし、どうも熱っぽいぞ」
 どうやら風邪を引いてしまったらしい。だが、医者にかかるお金もない。
 しかも具合はどんどん悪くなっていくようだった。
「お金がないから医者にいけない。しかし、働けるようになるには、医者にいかなければいけないようだ」
 男はいかにして医者にかかるお金を工面しようかと考えたが、熱っぽさはさらに高まっていくように思えた。
 仕方なく、男はもっとも親しい友人へと電話をかけることにした。
「やあ、君か。どうしたんだい」
「実はな……」
 男は今の事情を友人に伝えた。
「なるほど、それは困ったことになったな。しかし残念だが貸してあげられないな。
だいいち君は前に貸したお金も返していないじゃないか。病気だからと同情しかけたが、
なるほど、どうしても借りたいがための嘘なのだろう」
 とりつく島もない。
 受話器を置いて、男は不満をもらした。
「なんという、ひどいやつだ。人が困っているときくらい助けてくれてもいいじゃないか」
 いぜんとして熱は上がり続けているようだ。こころなしか吐き気もしてきた。
 いよいよ覚悟を決めなくてはいけないようだった。
 男がそう思って、横になろうとしたとき、家具の隙間に何か袋のようなものがあることにきがついた。
「はて、こんなところにこんなものがあったかな……」
 袋を開けると、中には薬のようなものが入っていた。一枚の紙も一緒に入っており、
読むとこれが風邪の薬だということがわかった。
「おお、ちょうどいいところに薬があった。前の住民の忘れ物に違いない。おれはなんて幸運なんだろう」
 薬を飲むと、熱っぽさと吐き気がたちまち嘘のように引いていった。
 薬のおかげで、また男は働けるようになった。
549きまぐれ帚星 ◆q0ll/nVCA6 :2011/11/16(水) 23:34:52.67 ID:9jzQfDZc
 今回のようなことがあってはいけないと思い、男は貯金をすることに決めた。
 貯金を始めると、だんだんと貯めることが楽しくなってくる。はたして、男もそうなった。
 まだまだ貯金とは言えなかったが、いつもより豪華な食事が何回かできるくらいまでには貯めることができた。
 もったいない気もしたが、男は年にあるかないかの少し豪華な食事をしに出かけることにした。その行きのことである。
「だんな、どうやら景気がよさそうですね」
 町中で、どうにも妙なかっこうの男に出会った。
「いや、べつにそうでもないがね」
 しかし、いつもより余裕があることに間違いはなかった。そんな気が、分かるらしい。
「そのお金、もっと増やしてみませんか」
「それはいったいどういうことだね」
 その人物に案内された場所は、一種の賭博場だった。
 かくして男は、賭け事にのめり込んでいった。一度賭け事の味をしめれば、そう簡単にはやめられない。
 はたして、男もその例にもれなかった。
 気がつくと、今まで貯めていたお金をすべて使い切っていた。
 そうなれば、どこからかお金を借りて、今度こそはと前以上に深みにはまる。
 あとはどうなったか、お察しの通り。
 借金に次ぐ借金で、身動きができなくなってしまった。
 もう一度だけ勝負すれば、勝てそうだという予感はあるのに、そのお金がないのだ。
 どうしようもなく、歩いていると、道ばたに硬貨が一枚落ちていることに気がついた。
「よし、本当にこれで最後にしよう」
 男は硬貨を拾って、再び賭博場へと足を運んだ。
 すると、男の予感どおり、大勝ちしてしまった。すべての借金を返しきり、
手元にわずかにのこるだけのお金を手に入れることができたのだった。
「よしよし、一時はどうなることかと思ったが、おれはなんて幸運なんだろう」
 男はこれにこりて、一切賭け事をしないことに決めた。
 かくして男は、自分の運の良さに満足しながら眠った。

 男が眠った後で、何者かが現れ、男を見ながら、こう呟いた。
「まったく、この男の自堕落な生活にはあきれ果ててくる。何が幸運なのだ。おれの身にもなってほしいね。
しかし、この男が死ぬと科学の進歩が何十年も遅れ、このタイムマシンも発明されなくなってしまうとは。
死なないように一日中見張ってなければいけないなんて。ああ、おれはなんて不幸な男なのだろう」
550きまぐれ帚星 ◆q0ll/nVCA6 :2011/11/16(水) 23:37:14.09 ID:9jzQfDZc
しまった、二個目にタイトルと2/2入れ忘れたww
551灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/11/19(土) 02:32:38.41 ID:12SX/qGV
>かくして男は、自分の運の良さに満足しながら眠った

ここからまた最初の生活に戻るループ系かと思ったら、
実は生活が陰で支えられていたという話なんですね。
552創る名無しに見る名無し:2011/11/24(木) 23:53:17.94 ID:C3/cDKOc
初投稿超ショートショート投下

エフ博士は新しく金庫を発明した
「よく来てくれたな、助手君」
「はい、今回の発明品はどんな物なんですか?」
エフ博士は五百円玉程の大きさの箱を持ち、
「これが今回発明した金庫だよ」
と、言った
「ええ!こんなに小さい物が金庫なんですか?何も入りませんよ!」
「大丈夫だ。この金庫には入れる物の大きさに合わせて自動的に大きさが変わる機能があるのだ。つまり場所を取らず、隠しやすく、非常時にも持ち出しやすいのだ。」
「なるほど!素晴らしい発明ですね」
「もちろん強度も問題ない。ドリルで穴を開けようとしてもドリルの方が先に壊れてしまうし、5000度の熱にも耐えられる」
「早く商品化しましょう博士!大ヒット間違い無しです!」
そう助手が言うと、博士は悲しそうな顔でこう言った
「いや、失敗だ。」
「なぜですか?」
「カギ穴の大きさも変わってしまうのだよ」
553灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/11/25(金) 02:03:37.23 ID:so8xaM/Z
物を金庫の中に入れると鍵が掛けられなくなりますねw
鍵の掛からない金庫は確かにヒットしないでしょうww
554創る名無しに見る名無し:2011/11/26(土) 03:15:59.44 ID:+txZtpQN
どの鍵でも開いちゃうってことじゃないの?
555きまぐれ帚星 ◆q0ll/nVCA6 :2011/11/26(土) 09:08:39.29 ID:kdkTodoE
>>554
五百円玉サイズ

それに見合ったサイズの鍵

大きなものを金庫に入れる

鍵穴も大きくなる

小さい鍵じゃ掛けられない

ってことじゃない?
556テスト:2011/11/26(土) 21:25:26.37 ID:4khUvOv0
究極的エコ生活

近未来〜
世界は公害と戦争と資源枯渇によって荒廃と滅亡の道へ突き進んでいた…
そんなある日、とうとう究極のエコロジー技術が発明されたのである、
その技術を発明したのは天才科学者と言われるA氏であった。

A氏「ではこの薬を飲んで下さい」

Q氏「何ですかコレは?」

A氏「ソレは、あなたの存在をこの世から消す薬です」

Q氏「馬鹿な…私に自殺しろと言うのですか!?」

A氏「いえいえ、死にはしません…言うが難し、実験をお見せしましょう」

Q氏「…」

A氏は助手を数人呼ぶと薬を全員に飲ませた、すると、
たちまち助手達は跡形も無く消えてしまったのだ。

A氏「コレで良しと…」

Q氏「うわあ A氏あなたは人殺しだ!」

A氏「瞬きせずに見ていて下さいね ふふふ…いきますよ、『私の助手はこの世に存在している』」

Q氏「???  あなたは何を言ってるのですか?今あなたが消してしまったじゃないですか」

すると、驚くべき事にもわもわとした煙が漂い始め、助手達全員が姿を現した。
Q氏はすっかり腰を抜かして

Q氏「これは一体どういう原理なのですか?」

A氏「簡単に言うと薬を飲んだ者は宇宙から存在を忘れられてしまいます、
そして誰かが消えた者の事を口に出して呼ぶとこうして、再び実体化出来るのです。
この薬が大量生産出来れば、例えば…10人の村で飢饉が発生しても食料が4人分
しか無い時があったとします、その時に6人を一時的に消してしまい豊作の年に
復活させるのです、これで世界から餓死者は事実上消滅し資源も節約可能です
いわば究極のエコロジー型生活新世界が到来するのです!地球は生まれ変わります」


Q氏「おお これは何という大発明!やはりA氏は天才だ、疑ってしまって申し訳無い」

A氏「いえいえ、ではお一つどうですか?」

Q氏「ぜひ、頂戴します」

Q氏はスウーと消えてしまった…

A氏「馬鹿め!今頃世界中でエージェントが粉末状にした薬を世界中で撒いている
はずだ、私を崇める者以外この世に存在出来ない、これで世界は私の物だ」
557テスト2:2011/11/26(土) 21:44:14.82 ID:4khUvOv0
幸運大陸

幸運石の発掘で世界は混沌としていた、幸運石は石の周囲にいる生物に
様々な幸運を与える力がある。
幸運石は主に幸運鉱山から採掘される、よって大規模な幸運鉱脈のある
土地は栄え、鉱脈が無い国は没落してゆく…よってこの世界では、鉱脈
の所有を巡って古代より争いが絶えないのである。



























すまん、誰かオチ考えてくれ!
558創る名無しに見る名無し:2011/11/26(土) 22:02:33.90 ID:J1EU8O5Q
おわり。


でいいんじゃね
あとは文章を整理すれば
559灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2011/11/27(日) 03:27:03.18 ID:5pul3jsh
(続き)------------------------------------------------------------------------

各国は探索隊を結成したり、冒険家を雇って新たな幸運鉱脈を探させた。
「や、あの島はまだ人の手が入っていないかもしれない。上陸するぞ」
絶海の船の上、ある国の探検隊が見つけたのは木々に覆われた島だった。
早速探検隊はその島に入り探索を始めた。
そして一時間も経たずにあっさりと幸運鉱脈が見つかった。
石の幸運によって幸運石の採掘もとても容易だった。その要因が幸運鉱脈の枯渇を速めてもいる。
鉱石を割り、隊員が純度を調べる。
「採れた幸運石を調べたところ、不純物が全く見られません」
基本的に幸運石には非運が混ざりやすかった。
非運を削ぎ取る技術は発展が遅いと言われており、幸運だけの幸運石は生成できないとも言われている。
自分達の強運に騒ぐ隊員達を隊長は落ち着かせた。
そして改まってこう告げた。
「大陸では幸運格差からくる幸運競争が起きている。どれだけ運がいい者でも、さらに運がいい者がとくじを引き
あえばはずれを引くだろう。幸運を求める声の絶えない大陸に純粋な幸運石など持ち込んだら新たな競争が始まるぞ」
隊員達は静かに考え込んだ。
翌朝、探検隊は幸運石を残して島を出発した。
嵐にあわぬよう、幸運を願って。
560創る名無しに見る名無し:2011/11/27(日) 04:34:58.72 ID:HHtpLfFy
ありがとう!感動しました
561創る名無しに見る名無し:2011/12/08(木) 15:41:48.72 ID:nqJLR6b6
ここ見てると、
星新一の文章のうまさを痛感させられるな

やっぱプロは読みやすさが違う
562創る名無しに見る名無し:2011/12/08(木) 15:45:00.35 ID:nqJLR6b6
星さんの明言

非常識なやつに面白いSFは作れない
563創る名無しに見る名無し:2011/12/08(木) 17:31:06.00 ID:CmdhITBr
>>562
昭和の名言残ですな。

人の稼いだ金で飯食って生きている平成の穀潰しニート
なんかもう非常識通り過ぎて論外の域だよね、☆先生ですら
予想出来なかったんじゃない?
マジで馬鹿とコミュ破綻症はネットやんないで欲しいですね
564創る名無しに見る名無し:2011/12/08(木) 23:14:15.60 ID:m2ANjDbe
んじゃ、お前ら作れよ
565創る名無しに見る名無し:2011/12/09(金) 15:00:16.18 ID:crNtBcKw
うん、是非とも頼むよ!期待してるからね
566創る名無しに見る名無し:2011/12/09(金) 18:30:18.76 ID:G9AF6tXt
楽しみだなあ
567創る名無しに見る名無し:2011/12/10(土) 19:03:00.98 ID:L5+N2p8/
短い話でオチがあったらいいわけ?

「爆弾を作りたくて硫酸を盗んだ中学生逮捕」
警察にて取調べが始まる。
「どうして爆弾なんか作ろうと思ったのかね?」
「どうしても憎くてたまらない存在を破壊したかったんです」
「だからといって盗んでいいものではないだろう」
「反省はしています。でも必要だったんです」
「いやいや、薬局からソレを盗む行為自体が犯罪なんだよ?」
「でも、あの店にしか置いてなくって」
「君の家だって薬局だろう?なんだって…」
「だって親にバレると色々とうるさいじゃないですか…」
そして少年はつぶやく。
「だから自宅を爆発させようと思ったんです」
568創る名無しに見る名無し:2011/12/12(月) 12:37:12.86 ID:1svWXTll
どうせ爆破すんなら同じだろうにゃ
569創る名無しに見る名無し:2011/12/15(木) 15:31:45.89 ID:vt4eD0RX
>>567
つまらん
おまえの話は
つまらん
570創る名無しに見る名無し:2011/12/16(金) 06:44:13.56 ID:eAn2m9zj
今どきageたからといって荒らしが来るというもんでもないが、
sageも知らない奴は空気もスレタイも読めない、そもそも読むべきという意識がない奴が多い。
つまり高確率で初心者かガキ。

これ豆な。

もちろん短くてオチがついてさえいればいいスレはここではない(スレ一覧見れば
他にちゃんとある)ことすら気づかない初心者を擁護する気もない。
571創る名無しに見る名無し:2011/12/18(日) 09:56:57.65 ID:V3u0i+1F
一人の男がいた。夜空を見上げて、それほど長くない話を書いたりするのが好きだった。
彼はそれに熱中したので、いつしか出来上がった話の数は随分になった。

ある時、彼は決めた。
「よし、1000まで話を書こう」
そう決めてはみたものの、それは簡単ではなかった。
時々、無茶な決心をした自分を恨めしく思ったりもしたが、彼は書くのをやめなかった。

しばらくして、彼の作った話の数は997になった。
彼は目標に手が届くところまできたことに興奮を覚えながらも、すこし冷静に考えた。
「こうなるとみんなが 1000get と我先に集まってしまう」
彼はしばらく考えて、残りの3つの話、998話、999話、1000話を同時に完成させることにした。
そうして彼はついに1000の話を完成させた。

すると、どこからともなく声が聞こえてきた。
「このスレッドは1000を超えました。もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。」
彼は驚いた。よく分からなかったが、言われるがままに新しいスレッドを立てた。
彼は、新しいスレッドに1001話目の話を書いた。

しばらくして彼は死んだ。


天国での生活にも慣れ、いささか退屈しはじめた彼は、ある日神様に聞いた。
「やはり死んでしまうと、地上との交信はまったくもってできないものなのでしょうか」
神様は答えた。
「死んでしまった人間がたびたび地上に戻るのは、やはり具合がよくない」
神様の答えはもっともだった。ただ、神様はこうも続けた。
「そっと眺めるだけというなら、できなくもないが」
そう言うと、神様は彼の前に一つの画面をさし出した。

彼はそれで久しぶりの地上を見た。見慣れた顔や、景色がそこにあった。

ある時は自分が書いた未来の話が、画面の中で現実になって繰り広げられていた。
また、ある時は自分が書いた未来の機械が現実にそこにあった。
彼は自分の書いた話を読み返し、そこにそれがあるのを確認すると少し得意になった。

「1000と1話か...」
そう言いながら、彼は画面にうつる新しいスレッドを見て、あっと声を上げた。
彼が最後に書いた1001話目の下にたくさんの新しい話が続いているではないか。


ある夜、神様が彼に聞いた。
「やっぱり天国は退屈かい?」
彼は答えた。
「地上にいたころ私はよく星空を眺めていました。でもここから眺める地上も星が瞬いているみたいです」
572創る名無しに見る名無し:2011/12/19(月) 00:07:40.87 ID:wS7LE2nE
全米が泣いた
573創る名無しに見る名無し:2011/12/19(月) 00:13:45.07 ID:/t5R59QA
これは乙。
574創る名無しに見る名無し:2011/12/19(月) 14:05:31.03 ID:/t9rfn9d
宇宙人がやってきた。
出迎えた多数の美人とひとしきり握手攻め。
美人の一人が訊いた。
「あなたの星でのセックスはどうやるの?」
宇宙人いわく
「いまやっていたのがそれです・・・。こんなにたくさんの女性と一度にしたのは初めてです」

疲れた宇宙人はとっとと帰っていった

575創る名無しに見る名無し:2011/12/20(火) 00:18:29.38 ID:A8+t+QzQ
>>571
乙です。素晴らしい。
576創る名無しに見る名無し:2011/12/20(火) 07:16:12.13 ID:Pw1f0CXY
一人で1000まで伸ばしたの???
577創る名無しに見る名無し:2011/12/20(火) 15:23:43.98 ID:wbAxKaPr
どんだけ理解力ないんだw
578創る名無しに見る名無し:2011/12/20(火) 15:48:37.46 ID:Z4q68QmE
俺もよく分からん
誰か解説してくれ
579創る名無しに見る名無し:2011/12/20(火) 16:03:54.22 ID:lmS20DFT
名前
580創る名無しに見る名無し:2011/12/20(火) 16:56:42.57 ID:x5Ppp1qa
ここはF博士の研究所である。
F博士は高齢ではあったが
天才的な科学者であった。
一つの事に没頭しすぎるという悪い癖があったが
F博士の開発したものはどれも優れていたので特に影響はなかった。
「博士、この研究が上手くいったら世の中は物凄い事になりますね」
「ああ、だから寿命が尽きるまでにこの研究を完成させなければ・・・」
「しかし、この研究を進める前にやはり例の物を完成させたほうが
いいのでは?」
「私は一度研究を始めたら完成するまではその研究だけに
打ち込みたいんだ。」
「しかし・・・・」
「まぁ、いいじゃないか。この研究の完成ももうすぐさ・・・」
F博士がそう言った瞬間、彼は静かに床に倒れた。
寿命だった。かなり高齢だったので何ら不思議ではなかった。
「博士!?博士!・・・・何て事だ。だから今の研究をする前に
寿命を延ばせるような発明品を作れと言っていたのに・・・」
581創る名無しに見る名無し:2011/12/20(火) 17:24:59.66 ID:wbAxKaPr
もうちょい!って感じだなぁ
でもオチは効いてるね

F博士がほんとうにものすごい科学者という説明が、事前に欲しかったような気が

582創る名無しに見る名無し:2011/12/21(水) 14:28:00.84 ID:O0/QoLWv
読み手の読解力に責任転嫁するのは糞作家のすること
583創る名無しに見る名無し:2011/12/21(水) 14:53:10.19 ID:7YTFqVXY
大丈夫。多少の読者を見捨てるのも作家の仕事のうちだw
584創る名無しに見る名無し:2011/12/21(水) 15:27:20.34 ID:q2p/zKkn
>>583
理解できない”多少の読者”を見捨てた気になってたら、
作者に付いてきてる側が少数派でした、というのはよくある話で

作者側が意識的に読者切り捨てするタイプって微妙な奴が多いしな〜
585創る名無しに見る名無し:2011/12/21(水) 15:32:43.72 ID:gV/JB/f6
書くほうも分かってやってると思う。
586創る名無しに見る名無し:2011/12/21(水) 15:36:53.07 ID:extsZjoW
あ、言葉足らず。
書く側としての心構えとしては、読む側は理解力の無いアホだくらいに思って書いてはいる(失礼な言い方だけどw)けど、書き手の技量の問題もあるし、多少の読者は諦めている、と言ったほうが正しいかもしれない。
読み手の好みも千差万別だし、100人居て100人に理解される物をやろうなんて思わない。無理w
587創る名無しに見る名無し:2011/12/22(木) 08:07:59.03 ID:iB38s89D
>>586
こういう説明するときに、わざわざ失礼な言い方使ってるあたり
読んでる相手に理解して貰うための努力をしてきたとは思えんな

普段、どういう作品書いてるかは知らんが、「100人中100人に理解されるのは無理」とか言う前に
自分が書いた作品が100人中何人に理解されてるのか、じっくり考え直した方がよいのでは?
588創る名無しに見る名無し:2011/12/25(日) 08:45:53.11 ID:VROdD1Jy
俺が使う手法は、書き終わったら一週間読まずに
頭をリセットしてから自分が読者になる事だ
ここに落とす場合はトイレと風呂後に読むと99%止める
589創る名無しに見る名無し:2011/12/30(金) 17:47:46.40 ID:NE6bpiP+
みなさんに比べたら愚作ですが、


これは未来のお話。

人類が起こした核戦争は大きな被害をもたらした。世界は荒れ果て、おびただしい量の放射能が撒き散らされた。しかし幸いなことに、被害にあうことなく、安全に暮らしていける場所が見つかった。我々の先祖は、ここから新たな文明を築いていくことを決めた。

私はこの国で、食料生産の責任者をしている。この国の家畜は、生産も、肥らせることも簡単で、この国では人気の食材だ。彼らの畜舎を訪れ、健康状態を確認するのが私の日課になっている。
今日も彼らはこちらに向かってなにか喚いてくる。
「頼む、殺さないでくれ。食わないでくれ。」
彼らの鳴き声は複雑だ。理解することが出来ない。
我々の食料、人類は今日も生産され、消費されていく。

これは未来のお話。でも、遠くない未来のお話。

既出感が半端ないです。
590創る名無しに見る名無し:2012/01/01(日) 21:43:14.58 ID:2k/V/WX9
下手ですいません。



とある田舎町にある青年が居た。
その青年にはA国を代表する料理人になるという素晴らしい夢があった。
A国はとても大きい国だった事もあり、地域によって色々な料理があった。
青年は地域伝統の料理を学ぶために旅に出た。
そのたびはとても大変なものだった。
とある町ではライオンの肉を使うために狩猟をしなければならなかった。
幻の魚と言われる魚を釣らなければならないこともあった。
そのほかにも、料理を教えてもらうために頭を下げた事なんて数え切れないぐらいあった。
気づけば数年の歳月がたち、自分の国の大臣の顔ぶれも変わっていた。
青年は社会の変化に全く気づいていなかったことに苦笑した。
「どうやら僕が修行に夢中になっている間に社会は変わってしまったみたいだ。
しかし、これでもうほとんどの料理を学んだみたいだ。後一つだけだな。」
青年は最後の料理を学ぶべくある小さな村へ行き、そこである老人に会った。
「ここではこの地域伝統の料理を作ってらっしゃる方が居ると聞きました。それはあなたですか?」
「ああ、そうだよ。珍しいねぇ客人なんか。 何年ぶりだろう・・・・で、用件はなんだい?」
「僕に料理を教えてほしいんです。何でもします、お願いします!」
「・・・・・・・君は新聞を見ていないのか?・・・・もう私たちのような料理人は世の中に必要ないようだ」
そういって老人は青年に新聞を差し出した。
そこには各家庭には食品センターで機械が日時によって違う料理を作り、各家庭の
食管という場所に異次元通路を使って配送されるとかいてあった。
591灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/01/01(日) 23:59:10.78 ID:TvEMUNjG
>>589
責任者達が地球上の動物が進化したものなのか、別の星から来たものなのかいろいろ想像できますね。

>>590
この青年は>>455の博士と一緒にグラニア国で料理をしたらいいと思いますww
592創る名無しに見る名無し:2012/01/02(月) 20:29:41.92 ID:W6NpPo4d
 アルバイト警備員です、今日もショッピングセンターで駐車場誘導をしてました。
自動車を誘導していて思いついた事がありますのでよかったら聞いてください。
 年始の大売出しでみんな買い物をしに自動車に乗ってやってくる、
駐車場は常に満車状態で店舗付近の公道は渋滞してる。店舗の駐車場から自動車を出すのが仕事だ。
店舗から自動車を出すには公道の車に向けて赤色灯を振り止ってもらう。そら誰だって止めさせられたくないさ。
止められたドライバーはほとんどが嫌な顔をする、それはいい。
ひどいのはクラックッションを鳴らしたり、フロントガラス越しでさえも聞こえる声で車内からどなるのだ。
俺はいつも思う。「年始は混むってわかってんだから、外出るなよ」
「もしくは、比較的車両の少ない朝、夜中に走れよ」
そして最終的には「何回正月向かえてんだよ、学習しろ何年生きてんだよくそじじい。」
と思ってしまう。
20回繰り返せば、馬鹿でも規則性は見つかるだろう。みんな当たり前にわかっているはずなのだ。
それでも毎年毎年同じ渋滞を繰り返してしまう。
これには訳があるんじゃないだろうか。
ここからがショートショートです。
年始に混むことがわかっていながらわざわざ出掛けるのは、
あえて自ら苛立ちを生み出し、年初めにこれから1年間の苦しみを取り払ってしまおうという伝統があるのです。
年初めにそういう行動をとることで苛立ち、自分の醜い姿をさらけ出して邪念を出し切るというわけです。
それは日本の伝統行事だったのです。(どっかの国ではトマトをぶつけ合う祭りがあるよね、ああいうのは外の人間には不可解なんですよね)
話の流れとしては、まずある家族が元旦に車でショッピングセンターに出掛けます。
そして道中、車両事故や大雪による道路規制などによって渋滞に合い苛立ちを感じます。その苛立ちは他ドライバーに向かったり家族にさえ向かってしまうことになります。
そのために朝早く十分余裕をもって家を出てきたはずなのにショッピングセンターの開店時間に間に合わず、福袋など特売品が購入することができませんでした。
帰りも渋滞などでうまく進めず、疲れ果てて車内で寝ることとなってしまいます。
朝早く用意周到の上で出掛けたにも関わらず、欲しいものを買えず、渋滞のために車中で寝ることとなってしまい元旦は最悪の一日となってしまいました。
だが次の日、1月2日。家族は昨日の険悪なムードとは一変して、なぜか清々しい表情でいます。
なぜでしょう、
父はニコニコして言いました「昨日は最悪な一日だったな、これでもかって言うくらいトラブルが続いたよ、こんな最悪な日はきっとないだろう。よし、今日から一年いいことが起こりそうだぞ」

こんな風に、渋滞混雑を国民一人一人が作り、それを望んで味わっているとしたらおもしろいと思いました。
誰かストーリー書いてちょ。
593灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/01/02(月) 21:57:11.55 ID:H3id0vLj
渋滞にいる全員が「今日は渋滞する」とわかっているはずなのに、それでも渋滞に加わったという。
わざわざ渋滞に加わるのには仕事だったり、買い物だったりと各々の用事があるからだけれど、すべてを一括りにできる理由があれば面白いと考えるのはわかります。
群集の奇妙な心理や連鎖というのは星新一っぽいと思います。
ただ、似たような星作品が浮かばなかったのでどんなストーリーになるのかわかりません。
故事の塞翁が馬のようなストーリーですかね
594創る名無しに見る名無し:2012/01/02(月) 23:04:18.18 ID:tAvuBjT3
「物好きな女性」

その女性は、プレス機でツブされて死んでしまった。そこは危ないと言われていたが、好奇心だ。
ふと女性が目が覚めると、豚に成っていた。飼い主?に誘われて付いていくと屠殺場で、肉にする為に殺された。
また目を醒ますと小魚だった。餌の様な物があるので誘われて行くと、カエルアンコウに食べられてしまった。
この後、この女性は延々と、誘い込まれては食べられる動物を、繰り返す事に成った。
しかしこの女性は、結局「そう言う事が好き」なので。だんだんこの境遇が苦痛では、無くなってきた。
今日も、”それ”は、怪物の口の中だと解っていて、つい誘い込まれて逝った。次は、どんな動物だろう?
595創る名無しに見る名無し:2012/01/04(水) 19:46:05.44 ID:AQCSSrYy
初投稿です、よろしくお願いします。

「芸術家」

絵の具に唾液を混ぜて、油絵を描く芸術家がいた。
「ふーん、こんなものがいいのかねぇ。」
巨大な絵を見ながら男がつぶやいた。
「この絵の良さが解らないとは、素人だな。」
むっとして声の方向に振り向くと、TVや雑誌によく出てくる高齢の有名な評論家がいた。
男はそう言われるとなんだかいい絵に思えて、
今日見に来てよかったと満足し、その場を後にした。
入れ替わるようにして作者である画家がやって来た。
「本日はお越し頂きありがとうございます。」画家は評論家に深々と頭を垂れた。
「うむ。とてもいい絵だ、精進したまえ。だが、」
「だが、何でしょうか。」
「絵に迫力が足りないな、もっと自分自身を曝け出しなさい。」
「......わかりました。」
596創る名無しに見る名無し:2012/01/04(水) 19:46:43.27 ID:AQCSSrYy
数ヶ月後、画家は新作を発表した。唾液ではなく、絵の具に小水を混ぜてみた。
「素晴らしい。」
例の評論家は絶賛した。顔にガスマスクを着けていたので声はくぐもって聞こえた。
「ありがとうございます。」画家の顔にももちろんマスク。無論、観客も。
「だが、」
「何でしょうか。」
「少し、下品だ。」

半年後、また新作を発表したらしい。
評論家が絵のフロアにやってくると眼帯をした画家が立っていた。
画家はあれから隻腕になっていた。評論家はさして気にせず、絵を見た。
「全くもって見事だ。傑作だ。」
「ありがとうございます。」
「君ならもっといい絵が描けるはずだ。全身全霊を賭けて描いて見なさい。
期待しているよ。」
「.....。」画家は引きつった笑顔で応答してみせた。
597創る名無しに見る名無し:2012/01/04(水) 19:47:33.81 ID:AQCSSrYy
それから半年後、画家の展覧会が開かれた。
巨大なカンバスは赤黒い色で全面を支配し、中央にヒト型の物体が張り付いていた。
「こんな素晴らしい絵を生涯見た事が無い!感動した!」
評論家はそう叫び、絵の前で泣き崩れてしまった。
(ありがとうございます。)
どこかでそんな声がした。
隣の部屋からぬいぐるみを持った女の子が走ってやって来た。
絵の前で泣いている老人を一瞥し、次に巨大な絵に目を移し、まじまじと眺めた。
「くさい。」少女は走って行った。
(.............。)
598創る名無しに見る名無し:2012/01/04(水) 19:59:24.48 ID:AQCSSrYy
あげわすれた・・・・。
599創る名無しに見る名無し:2012/01/06(金) 20:45:14.43 ID:aodYTr7F
>>597
「くさい。」でエウレカセブンのメーテル思い出しました
600灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/01/07(土) 02:54:39.31 ID:TP+pUkeP
>>592
ストーリーを考えていましたが、結局>>592とほとんど変わりませんでした。
というより、前半と後半ですでにストーリーが成り立っていますね。

>>594
食べるのが好きな人というのは珍しくありませんが、
食べられるのが好きな人というのは考えたこともなかったですww
601創る名無しに見る名無し:2012/01/07(土) 21:08:28.72 ID:1KvSYm2L
>>597
経血で作品作る現代アーティストならいるよ
602 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 :2012/01/14(土) 16:47:07.40 ID:wia7eobB
浮かばない。
603創る名無しに見る名無し:2012/01/15(日) 16:21:14.56 ID:BDokT+iO
酔っ払った勢いで3分間創作。

「悩み」
F氏は悩んでいた。
いつから悩み始めたのか覚えていないくらいに
その問題は深かった。
F氏は思い切って、友人であるN氏に相談した。
「なあNよ。 相談に乗ってくれまいか」
「なんだいFよ。 答えられるなら良いが」
「実は僕は左利きなんだよ」
「知ってたが、それが何か問題なのかい?」
F氏が深くため息をついた。
「いや、なぜ人には利き腕があるのかと思ってね。
 両手があるのに不便じゃないか」
N氏は首を傾げた。
「それもそうだな。 両手が同じように使えれば
 便利だと思うね」
F氏は何か気がついたような顔になった。
「そうか。 訓練して両手を同じように使えば良いのだ。
 なぜこんな簡単な事に気がつかなかったのだろう」

一ヵ月後。
F氏が得意げにN氏に見せている。
「どうだい。 右手でも自由に出来るようになったよ。
 君もやってみるかい?」
そこには両手で一本ずつ箸を使うF氏と、それを見つめるN氏がいた。

あ、5分かかった。

※星先生の作品はあんまり読んでません…。
604名無し:2012/01/15(日) 23:30:20.71 ID:fp56qfI/
>592

亀だが作ってみた。以下SS


目標地点まで残り○○○q。
自宅を出発して数時間、こんな山間まで続いているとは――
N氏は、前方の賑わしく連なる光を見て溜息を吐く。
一番前の車のナンバープレートは、普段天気予報位でしかお目にかからない
県名から始まっている。

「もう、これだから初詣って行きたくないの」
「こらC子、一年に一度位なんだから我慢しなさい」
「お父さんこそ、いつまでも迷信信じちゃって、ばっかみたい」

これはこれは、もう反抗期か。
娘の膨らんだ頬を見て、N氏はC子にばれないよう苦笑した。
が、バックミラーに眩しい光が映り込み、思わず笑いを引っこめる。

――やられた、今年も出発が早すぎたか

「ほーら、どうせ最後尾なんて取れないんだから」

おうちでゴロゴロしておけばよかったのに。そんな娘の愚痴に応えるため、
N氏は苦し紛れの言い訳を口にする。

「なに、幸せになるにはそれ相応の苦労と忍耐が必要だとわかったじゃないか」

娘の仏頂面に、これは弱ったと頭を掻きながら、N氏は今年も果たせなかった
言い伝えを思い出す。

それは昔、巷で参詣一番乗りを競う福男なるものが流行っていた時代。
さる見栄っ張りの神様が、やつらに負けてはおれぬと、衆生に仰ったそうな。

曰く、元日最も時間を掛けて詣でた者に福を授ける。

それ以来、我こそはと遠方からはるばる参拝客がくるとか、こないとか。
605創る名無しに見る名無し:2012/01/16(月) 03:34:15.01 ID:So/c4l+C
>>603、604

こういう筒井康隆っぽいSSも好きだ
606創る名無しに見る名無し:2012/01/16(月) 15:20:31.12 ID:AUYddY8j
>>603
もっと飲め!飲め!
607創る名無しに見る名無し:2012/01/16(月) 22:29:25.95 ID:j5FkjIzO
今日は軽めにビール一杯。

「神になりたかった男」

その男は初詣で一心不乱に祈っていた。
除夜の鐘から昼になっても、そこにいた。
住職が(邪魔に思って)男に声をかける。
「これこれ、何をそんなにお願いしているのかね?」
「俺、神様にお願いしてたんです。
 俺を神にしてくれ、って」
あまりに大それた願いに住職は驚いた。
「お前は何をいっておるのだ。
 そんなもの、なれるはずが無かろう」
男は深くため息をついた。
「俺、もううんざりなんです。
 かみさんにガミガミ言われるのは」

・・・オチなし。

608創る名無しに見る名無し:2012/01/17(火) 00:00:58.41 ID:I9F6BEOD
初めて書き込みしてみます。

「カウンター」


体格の良い男が酒場でこう嘯いた。

"俺には怖いものはねえな。誰か俺を怖がらせたら今日の酒代をご馳走してやるぜ


面白がった周りの酔客が、それぞれの手段で挑戦した。

しかし男は平然としている。


打つ手が尽きたと思われた頃、子供のような体格の、青白い顔をした男がすっと近づいた。


「これを胸につけてごらん」

それは9桁の数字が表示されたデジタル時計の様なものだった。

ふん、と男は馬鹿にしたような顔でそれを受け取ると自分の胸に取り付けた。

途端、9桁の数字は一定のリズムで減りはじめた。

128999880…

128999879…

128999878…


な、なんだこれは?

「お前さんの心臓が刻む、残り時間だよ」

「ゼロ、になったら…後はわかるね?」


男の顔が青ざめた瞬間、数字の減るリズムが速くなった。


609創る名無しに見る名無し:2012/01/17(火) 00:09:26.82 ID:jbKQ/Svp
「香箱座り」
正月の連休を利用して、同窓会がてらある男の自宅で飲み会を開いていた。
懐かしさに盛り上がり、話はいつまでも尽きないかと思われたが流石に話題が減ってきた。
そんな時は必ず誰かがこんな事を言うだろう。

”何か面白い話はないか?”

すると一人の男が待ってましたと言わんばかりに切り出した。
”うちの近所に住んでいる同級生の女の子に聞いたんだけどさ…。
この返し方も常套句のようだが、男達は酒の肴がきたと喜んで耳を傾ける。
”同じマンションに凄い猫臭い部屋があるそうだ。
”あまり近所付き合いをしない人らしいんだけど、引越して来たときは可愛らしい奥さんもいたんだと。
”で、ある日、長いこと奥さんの姿が見えなくなって、離婚でもしたんじゃないかと噂になったんだって。
「ちょっと待ってよ、近所付き合いもしないのに何で猫を飼ってるって言い切れるんだ?」
”鳴き声が凄いんだって。どうやら去勢手術をしてなかったらしくて、さかりが付く時期は酷かったらしいんだ。
”それで、奥さんの姿が見えなくなってからその部屋の前を通るとかなり強い獣臭がするようになったんだって。
「それのどこが面白い話なんだよ、単に面倒見切れなくなったか掃除が苦手かなんじゃないのか」
”いやこの後が悲惨でさ、その男は奥さんと別れたのが相当ショックだったらしくて、様子が普通じゃなくなったんだって。
「普通じゃないって?」
”買い物に行くときは必ず猫を連れて歩くようになったんだ。
”しかも、まるで恋人と一緒にいるかのように、猫に話しかけながらさ。
「うーん、まあ確かに変わってるけど、そこいらのチワワとか散歩させているおばちゃんも似たようなものじゃないか」
”俺も最初はそう思ったよ、ただの愛猫家だろ?って
”でも違うんだ、その猫は死んでたんだ。
「なんでわかるんだよ」
”猫も人間もそうなんだけど、死後硬直するだろ?その猫も固まっていたみたいなんだけど、それに気づいたのがマンションの管理人でさ
”いつみてもおとなしくしている猫を不思議がってて、たまたま掃除の時間、エレベーターで一緒になったらしくてさ
”「いつもおとなしくて可愛い猫ちゃんですねぇ」なんて話しかけたんだって
”そしたら男は「この子は人に撫でられるととても喜ぶんです、良かったら撫でてあげてください」って珍しく口を開いたんだって
”管理人はコミュニケーションが取れた事をびっくりしながら猫を撫でた
「その時に分かったのか」
”そう
「ただ気がふれているだけだろ」「後味悪い話はよせよ」
”まだ続きがあるんだ、その男は毎日猫を連れて歩くようになり近所でも有名になっていったんだ。これっておかしくないか?
「おかしいっていうかただの変人だろ、死体を抱いて毎日歩くなんていくら溺愛していたペットでも異常だよ」
”そう異常なんだ。まだ気づかない?
「…あ、そうか、死体は腐るな」
”そう、剥製にでもしない限りね
「剥製なら腐らないで、可愛かった姿のまま永遠に残る…か、、ますます異常だな」
「俺は少し気持ちが分かるな、実際にはやろうと思わないけど、そこまで愛していたって事だもんな」
”うん、悲しい話だよな、でもまだ終わりじゃないんだ
”男の部屋に宅配業者が来たんだけど、不在だったらしく、管理人が荷物を預かったんだって
”結構大きなダンボールのわりにはそんなに重くなかったみたいでさ
”普段なら管理人室まで取りに来てもらうんだけど、善意で部屋まで持って行ってあげたんだ
”相変わらず臭いが凄くてさ、ついでにその事も少し注意しようと思いながらチャイムを鳴らしたんだ
”しばらくして男が出てきて、荷物を渡し、挨拶ついでについ余計な事を言ってしまったんだ
「奥さんも出て行かれて大変でしょうけど、もう少し部屋の臭いを何とかできませんかね?
”すると男は訝しげな顔でこう言ったんだ
「妻なら奥で夕飯を食べていますが」
”男の肩越しに見えたのは餌皿の前でじっとしている猫だったんだ
「やっぱりただの精神異常者じゃないか」
”いや、多分もっと酷い。
”正確には猫のように座っている奥さんの剥製だったんだ。
「…笑えない話だな、一気に酔いが醒めたよ」
”で、もっと酷いのがこの話、全部その同級生の妄想なんだ
610創る名無しに見る名無し:2012/01/17(火) 01:20:40.65 ID:jbKQ/Svp
もうなんか稚拙な文ですみません…。
611 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 :2012/01/17(火) 19:37:53.14 ID:/aSGadPW
>>608 面白いと思う
612創る名無しに見る名無し:2012/01/17(火) 22:27:30.18 ID:COhHdeiJ
>>611
ありがとうございます!報われました
613創る名無しに見る名無し:2012/01/18(水) 00:45:03.68 ID:HIwCFDOv
>609
おもしろかったけど、夢オチはひねり過ぎたかも^^
614創る名無しに見る名無し:2012/01/18(水) 02:43:38.87 ID:EYF6otKn
>>613
なるほど。ちょっとゴチャゴチャしてしまいました。

では似たような話はありますが…
615創る名無しに見る名無し:2012/01/18(水) 02:47:02.95 ID:EYF6otKn
「人形師」
あるところに暴力団体の会長がいた。
事業が上手く行っていた時期は、相当に羽振りがよかったらしく、都内に誰もが驚くような豪邸を建てた。
しかし、黒社会に対する世間の弾圧も厳しくなり
次第に事業も上手くいかなくなり、以前程の勢いもなくなっていた。
この世界で生きていくのも限界だな。
そろそろ引退でもしようか。
そう考えた男は、唯一叶えられなかった夢を実現させようとした。
後日男の元に一人のセールスマンがやってきた。
「おお、待っていたぞ。ささ、早くカタログを見せてくれ」
かしこまりました。我が社はあらゆるニーズに答える為、様々なモデルをご用意しておりまして、
「ええい!能書きは良い!早く見せてくれ!」
…さようでございますか。
では、今もっとも愛用されているこんなタイプは如何でしょうか。
貴方の独占欲を満たす、妹アイドル系ロボットでございます。
これさえあれば、間近で聴きたかったあんな歌や、憧れのドラマのワンシーンを共演したり、貴方の思いのままに!
如何でしょう?
「そんなちゃらちゃらした、煩いのは好かんな」
…なるほど。
ではこんなタイプは?
日本人なら誰もが懐かしさを覚える、良妻賢母タイプの最新型でございます。
朝は誰よりも早く目覚め、夜は誰よりも遅く就寝。あなたの細かい変化に誰よりもいち早く気づき影から支えるそんなタイプでございます。
「わしゃ別に嫁が欲しいわけでもない」
…さようでございますか。
それではどんなものをお探しで。
「わしはこんな稼業をしている手前、一般的な暮らしに憧れていてな」
「ついぞ結婚は叶わなかったが、娘が欲しいという夢は諦められんでな」
なるほど!
貴方様にうってつけのタイプが御座います。
本来は小児性愛好家向けのモデルになりますが、当社はカスタマイズサービスもございます。
しっかりとリスニングをしてから、この世にたった一台のタイプをお作り致します。いいえお代はこのカタログ以上頂きません。これも全てカスタマーの要求に答える為の我が社のモットーでございます!
「…なるほど。お前さんの熱意はよく分かったよ」
「早速頼むよ、少々高いが、これ以上のものは他では手に入らないのだからな」
お買い上げありがとうございます!
暫くすると男の自宅に大きな箱が届いた。
梱包を解いて、蓋を開けるとそこにはとても美しい少女型ロボットが入っていた。
「素晴らしい出来だ。高い金を払っただけの事はある」
「なになに…初期設定が必要…マニュアルに添って作業をしろ…」
「なんだか面倒くさいんだな。まあ決まってるならしょうがない」

※注意!
初期設定を終えると、二度と設定を変更する事はできません。
将来の事を考え、慎重に設定される事をオススメします。

「なんだそれは。まあ失敗しなければ良いのだろう」
そして男は設定を終え、念願の娘を手に入れた。
それから半年後、セールスマンの元にクレームの電話が入る。
「おい!どうなってるんだあのロボットは!」
その節はお買い上げありがとうございました。
今回は如何されましたか?
「まったくわしの言う事を聞かんのだ!この前など、何処の馬の骨か分からん男を捕まえてきよった!」
「わしはこんなものは望んでおらんぞ!」
さようでございますか。初期設定をされる際、マニュアルはよくお読みになられましたか?
「あんな分厚い本、読んでいる暇があるか。それに要点だけ掴めば大抵どれも一緒ではないか」
恐らく考えられる原因が一つ御座いまして。
「それはなんだ?」
"愛情不足"ではないかと。
あ、いえいえご安心下さい。我が社はアフターケアも万全でございます。
この"愛情補填キット"を使えば事態は改善の方向に向かうかと…。
616創る名無しに見る名無し:2012/01/18(水) 05:04:16.28 ID:sQs6/Cxj
>>615

反抗期っていうオチかと思った
617創る名無しに見る名無し:2012/01/18(水) 07:03:43.93 ID:EYF6otKn
>>616
ああそっちのが良いかも!
618創る名無しに見る名無し:2012/01/18(水) 11:21:50.15 ID:VCEP21y2
「はねの日」

S子ー!今日は"はね"の日なんだから早く起きなさーい!

うーん、昨日は遅かったんだから、もう少しぐらい寝かせてよー。

なに言ってるの!"はね"が本格的に降り始める前に家でないと!

今週は二回も学校休んでるんだから!しっかり行ってらっしゃい!

はーい…。



今週は月曜日からずっと"はね"の日だ。

天気予報が当たらないのはいつもの事だけど、ここまで続くと気分までフサフサしちゃうわ。

洗濯機は使えなくなるし、バスなんか時間通りに来なくなるのが当たり前。

それにお父さんなんか"はね"避けを二本も忘れて、なおさらお母さんの機嫌が悪くなるわ。

早く晴れないかしら…。


今日はいつもより酷いわね。
玄関にこんなに"はね"が積もってる。

向かいに住んでるお婆ちゃんも、これじゃ"はね"掃除で一日が終わるわね。


ちょっと待ってよ!って言う事は今日の体育は自習じゃない!

あー、もう!久しぶりに運動でもして、ふさばらし出来ると思ったのに!

まあ、"はね"のお陰で憧れの先輩と相合羽根出来るんだけどね。


さ、今日も一日頑張らないとね!



http://beebee2see.appspot.com/i/azuY9LrHBQw.jpg
619創る名無しに見る名無し:2012/01/18(水) 11:23:30.51 ID:VCEP21y2
id変わっちゃった。


下手くそなの連投してすいません…
620創る名無しに見る名無し:2012/01/18(水) 20:56:34.95 ID:NzXfHWze
いいねー
621創る名無しに見る名無し:2012/01/19(木) 00:30:23.65 ID:t1FH14Y0
「ひゃくにんの村」

はい、それでは昨日出した宿題を集めまーす!

みんな考えてきてくれたわよね?

そう、身近なお友達や知ってる人を使って、あなたの百人の村を作りましょう、という宿題だったわよね。

出来た人は手を挙げてください!


あら?
S君は出来なかったのかしら?

「身近な人で、って言われたからずっと考えてたんだけど、どうしても一人足らないんだ」

じゃあ他の99人は思い浮かんだのね。
どんな村か、先生に教えてくれる?
話してる間に、もう一人ぐらいなら思い浮かぶかもしれないわ。

「まずは、僕がいるという事はパパとママがいるから、これで三人」
「パパとママの、お爺ちゃんとお婆ちゃん達がいなかったら寂しいから、これで七人」
「お母さんは五人兄妹だから十一人、それぞれに奥さんや旦那さんがいるから…」

も、もうわかったわ。
殆どS君の親戚ばかりなのね。

「うん、何度考えても友達が入らないんだ」

それは困ったわねえ。
先生も入っていないみたいだし、先生悲しいわ。

「あ、そうか。先生が入ったらちょうど百人目だ」

あら、急に先生を入れてくれてありがとう。
でもなんで先生が選ばれたのかしら?

「だって、先生、僕のパパと凄い仲良しだから、入れてあげないとパパが可哀想でしょ」
http://beebee2see.appspot.com/i/azuYtt7HBQw.jpg

622創る名無しに見る名無し:2012/01/19(木) 22:27:23.52 ID:04FYn+pE
初投稿でDKDKです

「マスメディア」

「とうとう新薬が完成した。今から記者会見を開く。人を集めてくれ。」
D博士はこれまでにも画期的な効果の薬品を数々発明していた。
今回の研究も内容は一切を非公開としていたが、
これまでの実績から世界中がD博士の研究に注目していた。
博士の助手が新薬の完成を知らせるや否や、
会見場には様々な報道機関から記者が押し寄せ、
たちまち会場から溢れんばかりの人だかりになった。
「此処にお越しになった皆さんはすでにご存知でしょう。
 新薬が完成いたしました。これまで一切を非公開にしてきましたが、
 今こそ研究の成果をお見せしましょう。」
呼び寄せた記者たちの人だかりの前でそう言うと、
D博士は香水瓶のような物を取り出し自分に振りかけた。
その途端、直前まで取材のために集まっていた記者達は博士から離れて行き、
最後には助手までもが会場を去り残ったのはD博士一人であった。

「やはり私の薬の効果は絶大だ。
 この薬の匂いをかぐと居心地が悪くなり、誰もがその場を離れてしまうのだ。
 一人暮らしの女性や登下校が不安な子供に持たせるもよし、
 さらに政治家や芸能人相手に売り出せば飛ぶように売れるだろう。」
D博士はひとりごちた。
新薬の効果が切れた頃にはこの会場は再び記者でごった返すだろう。
しかしD博士がいつまで待っても記者が会場に戻ることはなかった。
自らを害する薬など誰も欲しがりはしないと、
D博士が気付くのはこれより数日後のことである。
623創る名無しに見る名無し:2012/01/20(金) 00:04:05.57 ID:XW9PX8Xu
秘密の研究や核開発してる組織とかなら
喉から手が出るほど欲しがりそうだw
624創る名無しに見る名無し:2012/01/22(日) 04:26:39.48 ID:EOpX+srG
初投稿します

「肥えぬ店」

私は高級レストランのウェイター
今、若い男女が 入り口のドアの前まで歩いてきた。

どうやら若い男の方は入りたくないらしい。

しばらく待っていると
男の方が話し出した。

「なぁ こんな話を知っているかい?」
.............

その昔、ある国に王様がいた。
王様は悪者で国民には重税を課し、自分は立派なお城で贅沢三昧をしていた。

耐えかねた国民たちは国で一番元気のある若者に言った。

「この国を変えてくれるヒーローを探してきてくれ」

若者は数ヶ月の旅の末に、ある一人の男を連れてきた。

「私はコックです」
その男は言った。

国民は絶望した。

「私にいい考えがあります」
男はそう言って城へ歩いて行った。

城に着くと、門番が尋ねた。
「お前は何者だ」
「私はコックです」
と男は答えた。
「王様に素晴らしい料理を振る舞いましょう」
「よしはいれ」
と門番は門を開けた。
コックは中へ入って言った。


625創る名無しに見る名無し:2012/01/22(日) 04:27:10.53 ID:EOpX+srG
つづき


その日の晩、王様の前には見たことも無いような豪華な料理が並んだ。

王様はその料理を食べた途端

「今まで食べた料理は何だったんだ」
と涙を流して喜んだ。

それでは私はこれで、とコックは城を出て行った。

その次の日から王様はみるみる痩せ細り弱々しくなって行った。

コックの料理は王様の舌を肥えさせてしまったのだ。
そのせいで王様は城の料理が口に合わなくなってしまった。

大臣達は必死になってコックを探したが見つからなかった。

王様は一ヶ月後に死んでしまった。

...........


男は話し終わるとこう言った。

「高い店で食って舌が肥えたらどうすんだよ」

女は言った

「あら、でも痩せるならいいじゃない」

しばらく男は黙っていたがしぶしぶドアを開けて中へ入った。

「お客様、とびっきり美味しい料理をお出し致しますよ」

私はそう言って案内するのだった。
6261/2:2012/01/23(月) 01:21:39.15 ID:Jx5b0FrN
男の人生は孤独だった。
家族もいないし、親しく語り合う友人一人いなかった。
稼いだ金もほとんど施設等に寄付してしまい日々つつましく暮らしていた。

男が日課にしているゴミ拾いをしていると
突然横に、白い服を着て背中に羽が生えた青年が立っていた。

「なんです、あなたは」
「私はあなたがたの言うところの天使です」
「へえ、天使が一体私に何のようですか」
「あなたは日々よく善行を積んでおりますが、その見返りがないのです」
「というと?」
「普通、人が善い行いをすれば、それに見合った幸運なり幸福が与えられるものなんですが
 あなたは、お金も良い人との巡り合いも何も欲していないので、いわば善行の貯金だけが
 貯まってしまっているんですよ」
「何か問題があるのかい?」
「ええ困りますよ。人生というのはバランスです。因果応報というじゃないですか。
 善い行いをしているのに、その報いがないなんて我々の教義に反しますからね。
 というわけであなたの望みを叶えにきました。
 本当は姿を見せてはいけないんですが特別にこうしてお話しています。
 さあ、何か望みはありませんか?今までのあなたの善行への見返りとしてなら
 どれだけ大きな望みでも大体は叶えられますよ」

男はしばらく考えていたが頭を振って答えた。

「いや、私は何もいらないよ。
 別に見返りのためにやっているわけじゃないから」

天使は難しい顔をして

「そうですか、でもあなたが望めばこちらはいつでも
 それに応える準備はありますからね」

そう言ってふっと消えてしまった。
6272/2:2012/01/23(月) 01:22:19.39 ID:Jx5b0FrN
ある晩、男が夜道を歩いていると、スピードを出した車がやってきて男を跳ね飛ばし
そのまま走り去ってしまった。

どくどくと血を流し、これまでか、と男が目をつぶろうとした時
目の前にいつかの天使が立っていた。

「お久しぶりです。ああ、ひどいことを言うようですが
 あなたそのままだと本当に死んでしまいますよ。
 ねえ、あなたが望めば、この事故をなかったことにできますよ。
 過去をいじるのは本当はしてはいけないことですが
 これまでのあなたの善行すべての見返りとすればそれも可能です。どうですか?」

男は拒否するように力無く首を振った。

「なんでですか?」

天使は憤慨して言った。

「なぜあなたのような人が、何の幸福も得られず
 こんな冷たい道路の上で一人死ななくてはならないんですか?
 私は納得できませんよ」

男は天使を見上げふっと表情を和らげた。

「なあ、天使も走馬灯って知ってるのかい?」
「え?」
「走馬灯だよ。死ぬ瞬間に今までの思い出がよみがえるってやつさ。
 さっき車にはねられた時に見たんだ」
「何を見たんですか?」
「思い出したんだよ。今の今まですっかり忘れていたんだが。
 俺が小さい頃おっ母さんがよく言ってた。
 『善いことをしなさい、必ず天使がそれを見ててくれるから』って。
 で、俺はすっかり信じこんで聞いたんだ。
 『善いことをいっぱいしたら天使に会える?』って。
 『もちろん会えますよ』そうおっ母さんは言ってたよ」
 
男は子供のような笑顔を浮かべて言った。

「本当に天使は善い行いを見ててくれたし
 私は本当に天使に会えた。だから私は満足だよ」
628創る名無しに見る名無し:2012/01/23(月) 08:11:50.01 ID:Cc3Tu/zJ
これはいい話だ
629創る名無しに見る名無し:2012/01/24(火) 20:37:08.97 ID:q7bgZDqd
>>626->>627

かなりの良作
630創る名無しに見る名無し:2012/01/25(水) 19:30:26.78 ID:YWstDt/7
星新一って台詞に「!」や「?」は使ってなかったんじゃなかったっけ
記号が入ってるとどうも星新一っていうよりただのショートショートな気がしてしまう

文じゃなくて雰囲気や構成を似せるほうに重きを置いてるのかな
だったらごめん
631灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/01/25(水) 21:55:47.24 ID:XyeE7kw1
>>604
なるほど。困難であればあるほどご利益があるということですね。
最先頭ではなく最後尾を狙う人達なので望んで渋滞に加わりますね。
632灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/01/25(水) 22:15:38.77 ID:XyeE7kw1
>>621
実際にありそうな宿題ですね。
100人から足りなくても、超えてもいけずにぴったりにするのは難しいw

>>624-625
そりゃあ舌が肥えないように配慮して、質の高くない料理をだすわけにはいきませんからwww
ウェイターは普段通りの仕事をするだけですね。
633灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/01/25(水) 22:57:17.51 ID:XyeE7kw1
>>626-627
しあわせって主観なんだなと思わさせられました。
自分は男は不幸だと思いますが、これは客観ですね。
自分の感想と男の言葉が違って、他人から見た幸、不幸に意味はあるかが気になってきて面白かったです。
634灰色埜粘灰色埜粘土土 ◆8x8z91r9YM :2012/01/25(水) 23:32:56.43 ID:XyeE7kw1
>>630
使ってません。
>>1のテンプレートにはありませんが、星新一の特徴ですね。
使う方も大勢いますが、たぶん意識的に使ってないという方も少数います。

ちなみに、自分は>>630さんと同意見だったので使ってません。
けど、“?”を使わないと会話文を組み合わせづらいので、つい使いたくなりますがwwww
635創る名無しに見る名無し:2012/01/26(木) 11:49:40.62 ID:LDcNmbG6
ショートショートの広場とかに投稿すればいいのに。
いい線いってるの結構ありそうなのになぁ・・・
636創る名無しに見る名無し:2012/01/26(木) 17:33:24.59 ID:EU7qgGfe
>>604
おお、ありがとう。592です。
こうやって意見を共有しあってモノを作り上げる仕事に就きたかったなぁって思うわ
今も警備員してます(泣)

637宇宙動物園:2012/01/26(木) 22:50:08.65 ID:ZQ70SuJ0
「ああ、これはこれはカイス様、ようこそいらっしゃいました」
宇宙動物園の園長補佐ラクロは、カイス氏を見つけると愛想よく挨拶をした。
「やあ、今日を楽しみにしていたんだ。君が案内してくれるのかい」
「ええ、ご案内させていただきます。ささ、どうぞこちらへ」

カイス氏は有名な政治家であったが、今日は完全な私用なので、園長補佐がガイドにつく以外、特別な措置はなかった。
彼は超多忙のため、今までこの宇宙動物園には来たことがなかった。
ある程度の金持ちならば気軽に来ることができる程度の園だが、情報が一切外に出ないため興味を持っているファンは多い。
実際カイス氏自身、これまで噂を聞くだけだったが、とても興味をそそられていた。

通路をラクロに案内されて辿ると、檻が見えてきた。
「最初は何の檻かね」
檻の中では地球人のメスが、艶めかしいポーズをとって客に媚びを売っていた。
プレートには「地球人 ♀」とだけ書かれていた。
「これは地球人のメスで、歳は二十歳ですね。主に観賞用として扱われています」
「ほう、確かに色っぽいではないか。しかし腕が二本しかないのと、肌の色がどうもなあ」
「お気に召しませんか……しかしこういうのが今人気なのですよ」
「そういうものかね」

次の檻にはまたもや地球人が入れられていたが、こちらは少々様子が違っていた。
「これはさっきの地球人と、どう違うのかね」
「こちらはオスで、先ほどのメスが観賞用であったのに対し、こちらは労働用となっております」
「なるほど」
確かにこちらの地球人は筋肉も豊富で、大きなおもりを持ち上げて客に力をアピールしている。
腕はメスと同じく二本しかないが、それを補って余りある力があるようだ。
カイス氏は腕力がめっぽう弱いたちなので、少し興味をそそられた。
「君は観賞用、労働用と言ったが、これらは買えるのかね」
カイス氏は小声でラクロに訪ねた。
「ええ、極秘裏にですがね。その売り上げが、この動物園の主な収入源となっていまして」
このサイズの宇宙船を宇宙に浮かべるだけでも燃料費が馬鹿にならないうえ、スタッフも多いこの動物園で
大した入場料もとらないのはそのためか、とカイス氏は心の中で納得した。

次の檻にも地球人が入れられているようだ。
「おや、またかね」
「地球人はこれで最後ですよ」
しかし檻の中に入れられているのは、ぶくぶくと太った地球人のオスだった。
前の二匹と違って客にアピールをしていない。引き締まった筋肉もセクシーな魅力もまるでないようだ。
なにかの餌を食べているようで、口をもぐもぐと動かしながら、床に寝そべって客の顔をぼんやりと眺めている。
「これは、何の役に立つのかね」
「はい、燃料用でございます」
638不死の条件:2012/01/27(金) 00:11:41.37 ID:svNJWnm5
「やあ、これはもしかすると、成功かもしれないぞ」

ここは郊外にある古い邸の一室。
中心に置かれた鏡を覗き込んで、エヌ氏は声をあげた。
「お前は私に、どんなことをしてくれるのだ」
「はい。あなたさまを不老不死にしてさしあげましょう」
「すばらしい。長い間苦心した甲斐があった。では、さっそく頼むとしよう」

エヌ氏が話しているのは鏡の中にいる悪魔。
大変な努力と苦労をして、やっとのことで呼び出すことができたのだ。
「や、まてよ。悪魔の言うことを素直に信じるのはどうだろう。きっと何か大きな代償があるに違いない」
「そのようなことはございません。しかし、わたくしの言う不老不死には、ひとつ条件があるのでございます」
「なんだ、いってみろ」
「はい。ある言葉を言ってしまうと、あなたさまはたちまち灰となり消えてしまうのでございます。
 しかし、わたくしにはその言葉をお教えすることはできないのでございます」
「なるほど。つまりその言葉をいわないでさえいれば、私はいつまでも生き続けられるということだな。
 だが、肝心のその言葉が何か分からないのでは困る」
「おやめになりますか」
「いや。せっかくお前を呼び出せたのだ。あとであのときやめなければと後悔をしたくない」
その言葉を聞いてうなずいた悪魔は、長い指を一振りすると鏡の奥深くへと帰っていった。

「なんだ。あまり変わった様子はないようだな。まるで今まで夢を見ていたかのようだ」
そこまで言ってエヌ氏ははっとした。
もしも悪魔のいうある言葉を言ってしまえば、私は今にも灰になって死んでしまうのだ。そんなもったいないことがあるか。
恐ろしくなったエヌ氏は、誰とも会話をせず、普通なら赤ん坊が年老いた老人になるまでの時間を静かに一人で暮らした。
そしていくつもの年月が過ぎ去ったとき、エヌ氏はふと声を出してみようと考えた。
私は充分すぎるほど生きた。家でできるたいていのことはやりつくしてしまったし、死んでも後悔はない。
これからは街に出て、にぎやかに暮らそうではないか。

ここは発展の著しいにぎやかな都市。宙をすべるように移動する車の近くに、辺りを見回している若い男がいる。
道を尋ねようと動く歩道に立つ人々に声をかけようとするが、だれも気づくものはいない。
長い間黙っていたせいで、声がでなくなってしまったのだ。
エヌ氏の気の遠くなるほど長い人生が、今始まった。
639灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/01/27(金) 04:05:08.31 ID:CwL49+Oy
面白かったです。

不死の「条件」というタイトルなので、うっかり条件に違反してしまう話かと思いきや、その逆だとは意外でした。
描写も星新一っぽい気がします。
640創る名無しに見る名無し:2012/01/27(金) 19:20:50.91 ID:OmCCOl42
「ある言葉とは結局なんだったのだろう」
途端にエヌ氏は灰になった。
641創る名無しに見る名無し:2012/01/28(土) 08:57:08.82 ID:2hNW0M89
あなた、私達もそろそろでしょ?
妻は、いい加減決断しない僕の態度に辟易してるようだ。
簡単に決断出来ないのも当然だろう。
人生で一番大きな買い物を、しようとしてるのだから。
これまでに大きかった買い物は、かなり骨を折ったものだ。
果たして今度はどうなるやら。
何せマイホームを購入しようと言うのだから。
いったいどれだけ骨を折らなければいけないのやら…。
642創る名無しに見る名無し:2012/01/28(土) 10:32:52.11 ID:ZSv9chFa
ある朝、N国の王様は散歩をしていた。
するとそこに閻魔大王が現れてこう言った。
「今、地獄役所の役職に空きがあってな、周囲が心から憎いと思ってる奴を
その役職につけようと思ってるんだ」
そういった時、近くの民家から女性と小さい子供が出てきた。
「こら、このバカ息子!あんたなんか閻魔大王につれてかれて地獄に落ちてしまえ!」
王様は言った
「あの息子なんてどうだろう。母親も息子に地獄に落ちろと言っている。」
「いや、あの母親は私が地獄へ連れて行ったら何としてでも取り戻そうと
地獄役所に乗り込んでくるから駄目だ。」
そういった瞬間、飼ってる犬が母親を噛んだ。
「このバカ犬!あんたも地獄に落ちてしまえ!」
「聞きましたか、あの犬を地獄に連れて行くべきだ。」
「犬に地獄役所の役職が務まるわけがないだろう。」
そう言うと、母親は王様を見つけて言った
「あ、王様だ。あんたのせいで国民皆が貧乏になっていくんだ!
あんたなんか地獄に落ちてしまえ!」
その瞬間閻魔大王は言った
「聞いたか?あの母親はお前が地獄に落ちる事を心の底から願っている!」
あれから数ヶ月 国王は変わりN国の国民は少しずつ豊かになっていった
643創る名無しに見る名無し:2012/01/28(土) 16:43:41.66 ID:flnUhnfK
「動物実験」

ある男が王様に言った。
「最近、感染症が流行っているようです。この事態に早急に対処すべきだと思います。」
「ふむ、それは大変だ。よし、早速ワクチンを作らせろ。」
王様がそういうと急ピッチで開発が進んだ。そしてワクチンも完成間近。男は王様に言った。
「王様、ワクチンも完成間近です。しかし、安全性に問題がある可能性があります」
「なぁに、いつものようにアレで実験すればいい。」
「かしこまりました。」
男は科学者たちに指示を出した。すると、科学者たちは猿に似た動物を連れて来て、すべてにワクチンの注射実験を始めた。
実験の対象になった動物はたちまち死んでしまった。
「王様、実験はしっぱいです。」
「ふむ、それは残念だ。もう一度作り直すんだ。実験に使える人間は山ほどいるからな」
「かしこまりました。」

天使である男は神様である王にお辞儀をした。
644創る名無しに見る名無し:2012/01/28(土) 22:57:39.86 ID:75VBc+Ef
初投下です
<シャンプー>
今日は久々の休日だ。俺はタバコを吸いながら趣味のネットサーフィンをしている。最近髪の毛が薄くなってきているのが気になっていたので、ネットでなにかいい情報はないかと調べていた。
しばらく調べるとこんな商品を見つけた。
《このシャンプーを使えばあなたの髪の毛が増殖します!!まるで生きているかのようにドンドン増えていきます!》
こんな具合の謳い文句で売り出されていた。
髪の毛が増えるというポイントに惹かれて、早速その商品を購入した。
3時間後、すぐにソレは届けられた。
すごいな!これだけ早く発送してくれるとはいい会社に違いない!
より一層シャンプーの効果を信用した俺は、早速シャンプーを使ってみた。
おお!すごいぞ!髪の毛がドンドン増えていく!!
しかしそれからが大変だった。髪の毛は成長をやめず、ドンドン伸びていった。「取り敢えず髪の毛を切ろう」そう思った俺はハサミを手に取りバッサリと髪の毛を切った。その瞬間
「痛いなぁ!なにするんだよ!!」
という声が聞こえた。ああそういうことか。どうしてこんなものを買ってしまったんだろう。
《まるで生きているかのように・・・》
645創る名無しに見る名無し:2012/01/29(日) 13:30:54.71 ID:MisWEAlN
<現実>

俺は大企業に務めている。しかもどちらかといえばえらい方の部類にはいる。
今、昨日考えついたアイディアの書いたノートを提出しに行くつもりだ。ん?や!誰だ!!後ろからいきなり頭をたたか・・・。
俺は目覚めた。うーん微妙な終わり方だな。まさかアイディアを盗まれて終わるとは。旧式の幻想体験装置を取り外した俺は、フィギアやアニメのグッズが大量においてある部屋を退屈そうに見回した。
646創る名無しに見る名無し:2012/01/29(日) 22:42:20.31 ID:siM8pfUv
647創る名無しに見る名無し:2012/01/30(月) 18:48:28.31 ID:Qna82fHg
治ったな
648創る名無しに見る名無し:2012/02/02(木) 14:31:54.45 ID:IxyUzZSG
ショートショート 『オレ以外全員スクリプト計画』

エヌ氏は微笑んだ。だが、同時に焦っていた。
スクリプトには致命的な欠陥があったのだ。
ここままじゃいけない。私のソフトによる書き込みが全てスクリプトだったと皆に発覚してしまう。そこでエヌ氏は考えた。
スクリプトの会話形式の強化である。
具体的にはまず世界のジョークを収集して体系化し、会話中の単語を抽出してパターンに照らし合わせ、笑える話として出力できる機能を組み込んだのだ。
これには劇的な効果があった。誰もエヌ氏のソフトウェアによる書き込みをスクリプトだと思わなくなったのである。
放置しておくだけで、ウィットに富んだ会話が弾む。
これはなんとすばらしい、我ながら実に画期的なシステムだとエヌ氏は大いに笑った。
世界に革命が起きたのだ。
ただ、一つ心残りなのは、これではエヌ氏以外にとっては普通に会話しているのと全く変わらないのではないか、という一点だけなのであるが――
6491/2:2012/02/02(木) 21:10:42.28 ID:QEo7hwL/
初投稿です

未来からの実験

真夜中の研究所。
エヌ博士は学会に発表する為のレポートをまとめていた。
様々な言葉を並べては消し、並べては消しを繰り返し、なかなかまとまらず、睡魔との戦いを強いられていた。
何度も推敲を繰り返すうち、エヌ博士はついに睡魔に負け、机の前にもたれ掛かり、眠りについてしまった。
するとしばらくしてから、コンコンとドアを叩く音で、博士は目覚めた。
こんな夜中に誰だ?訪問者と言うわけでも無さそうだ。研究員が忘れ物でもしたのか?
博士は色々と考えるが、迷っていても仕方がないと思い、鍵を開け、部屋のドアを開けた。
すると驚いたことに、立っていたのはエヌ博士自身ではないか。

「こんばんはエヌ博士、こんな夜中にすみません。」
「これはどういうことだ?なぜ私が居るんだ?」
「驚かないでください、私は正真正銘の貴方自身ですよ、エヌ博士。」
「いや、きっと私はまだ夢の世界にいるのか、タヌキかキツネに化かされているんだ。悪いが帰ってくれ。」
「そんなことないですよ博士。私は貴方の発明したタイムマシンで未来から来たのです。」

エヌ博士はその事を聞いて更に驚いた。
エヌ博士の研究分野は時間と時空についての研究だ。
そして博士は秘密裏にタイムマシンを作っていたのだ。
この事については世間はおろか、研究職員にも漏らしてない。
つまり、この事について知っているのは、他ならぬエヌ博士自身なのだと。

「ふむ、確かに。その事を知っていると言うことは、君は私なのだね。」
「その通りです。話が分かる方で良かった。」
「それを私自身に言われると少々変な気分がするが。」

エヌ博士と、もう一人のエヌ博士が椅子に座り、エヌ博士は疑問を問いかけた。

「さて、君は何故未来から過去に来たのかね?」
「実はタイムマシンが完成したのはいいのですが、実験はまだ行っていなかったのです。」
「それで私自身がタイムマシンの被験者になって効果を試そうとしたと。」
「その通り!そしてご覧のように未来から過去への転送は成功したのです!」
「それはいいが、君は何故少し丁寧語なんだ?」
「それは脳の混乱を抑える為の一種です。 こう鏡でもないのに二人同じ顔が並ぶと脳が混乱しかねますからね。」
「ふむ、自分自身に会うというのは難しいものだな。」
「そして本題なのですが、今度は博士自身タイムマシンを使って未来に行って欲しいのですが。」
「私にか?一体何故だね?」
「先ほども言ったように、タイムマシンを作ったのはいいのですが、被験者がいないのです。未来の人物を過去に移すのは、この通り成功しましたが、過去の人物を未来に移す実験は行っていないのです。」
「そして他ならぬ過去の私に頼んだと言うことか。」
「そうです!なんせまだ未来でも秘密の研究ですからね。あまり公にしたくないのです。」
「そういうことなら喜んで引き受けよう。ところで、そのタイムマシンは何処にあるのだね?」
「ここにありますよ。」

そう言うと、未来から来たエヌ博士が白衣から小さなデジタル時計のような機械を出した。
6502/2:2012/02/02(木) 21:11:08.28 ID:QEo7hwL/
「これがタイムマシン?えらく小さいな。」
「あまり大きいと使いどころを選びますからね。この液晶画面に移動したい時間と場所を指定します。けど今は事故防止のため、今は数年後にしか飛べませんが」
「それでも十分に凄い発明品だ。」
「しかし、エネルギーを大量に消費するため、使用後しばらくは使えない仕組みになってます。あと、転移先もタイムマシンの使った場所になります。」
「ふむ、そこはまた研究で改善せねばならんな。」
「大体の説明はそれくらいですね。」
「わかった。では早速試してみよう。」
「設定は私が未来に行ってから数分後の世界にしました。」
「ありがとう、では行ってくるよ。」

そう言うと博士はタイムマシンのボタンを押した。
その瞬間、景色が歪み、不安定な景色が現れた。
そのうねりの中をしばらく待っていると、次第に景色の歪みが収まり、博士は見れた研究室が広がった。しかし、おかしな事に、ただひとつだけ見慣れないものがあった。
エヌ博士を囲うように、銃を構えた黒服を構えた男たちがいたのだ。

「一体何事だ。君たちは何者だね。」

エヌ博士がそう問いかけると、その黒服の集団のボスらしき人間がエヌ博士の前に歩いてきて、こう話しかけてきた。

「たいした消失マジックだな。しかし俺の顔を忘れたとは言わせないぞ? なんせアンタはウチの組織から巨額のお金を借りて、そのまま返さなかったからな。」
「まて、私は借金なんて…」
「まだ寝ぼけたこと言ってるのか。一年前からずっと借りてたじゃねえか。ボケたフリしても無駄だからな。」

そしてエヌ博士は気づいたのだ。
未来のエヌ博士が来た理由は実験なのではなく、この借金取り達から逃げるためだと。
過去に帰ろうにもポケットの中のタイムマシンは全く動かない。
未来のエヌ博士の言ったとおり、エネルギーが切れて動かなくなっていた。

「では、公約通りにアンタの身体の中身を商品にさせて貰うからな。」

重々しく黒服の男が言い放ち、鳴り響く銃声。
エヌ博士の視界は黒く落ちていった。
651創る名無しに見る名無し:2012/02/03(金) 04:20:06.72 ID:ErfJLK6t
「桃太郎」



むかしむかしおばあさんは川へ洗濯にいきました。
大きな桃が流れてきましたがおばあさんは顔をしかめただ桃を見つめるだけ。
家に帰りおじいさんにその話をするとおじいさんはそれは残念だが仕方ないと残念がった。


病院の一室で涙を流す女がいた。
夫は優しく寄り添い呟いた。
「なに、仕方ないさ、君のせいじゃない」
女の目が怪しく光った。
652創る名無しに見る名無し:2012/02/03(金) 04:35:39.91 ID:ErfJLK6t
「マラソン」

男は走り続けた。
途中で走るのをやめ、投げ出す者もいた。
しかし男は諦めなかった。つらく長い道を必死に走りきった。
しかし何故かゴールには途中でリタイアした奴が先にいた。

653創る名無しに見る名無し:2012/02/03(金) 11:07:12.44 ID:swHGgKfG
「終電」
男は全速力で走った。
終電に間に合うかどうか、男はそれだけを考えていた。
男にはどうしても行かなければならない場所があったのだ。
しかし最終列車のドアは閉めらており、発射間近だった。
「なんとか間に合ったか・・・」
男はホームに身を投げた。
654創る名無しに見る名無し:2012/02/04(土) 22:17:25.82 ID:YFM1mush
「走るメロス」

 メロスは走った。走りに走った。
 王を諌めるためなどではない。友を救うためですらない。
 ただ自分の不甲斐なさが許せなくて走っていた。
 あのときなぜ私は休もうと思ったのだ。こんな大事になぜ睡魔の誘惑に勝てなかった。見よ、遥か西の地平に今まさに太陽は沈もうとしているではないか。
 ああ、陽よ沈んでくれるな。いや、そんな他力本願でどうする。太陽のせいではない、遅れているのは自分の責任なのだ。
 だから我が足よ、萎えてくれるな。あと一息なのだ。どうか日没までに広場にたどり着かせてくれ。
 メロスは走った。力のかぎりに走った。そして大地に薄く引かれた光の線が消え入ろうとするとき、彼はようやく目的地にたどり着いた。
 広場にたどり着いたメロスを出迎えて、最愛の妹は口を尖らせて言った。
「もう、お兄ちゃん遅いわよ。結婚式終わっちゃったじゃない」

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探せば同ネタ多数っぽい上にこういうパロディは筒井康隆か火浦功っぽいかなぁとは思いつつ。
655創る名無しに見る名無し:2012/02/05(日) 11:39:41.25 ID:dCT43QJ5
652好きだわ
そらびっくりするわな、何故なんだろうなw
656創る名無しに見る名無し:2012/02/05(日) 16:55:12.95 ID:PPSzekP6
>>653
良いとは思うけど
発車の電車はまだ速度遅いんじゃないか?
657創る名無しに見る名無し:2012/02/05(日) 16:56:41.86 ID:PPSzekP6
>>644
展開は予想できたけど面白かった
658創る名無しに見る名無し:2012/02/05(日) 18:19:52.49 ID:oZxb2Hhj
「勘違い」

男は借金を苦に、自殺しようとしていた。
そこに悪魔が現れ声をかけた。
「ちょっと待ってください、そのまま死ぬなんてとんでもない」
「お前は悪魔という生き物だな、しかし本で見るより遥かに大人しい見た目をしているな」
「ハハハ、そうでしょう、我々も人の魂を頂くわけですからね、交渉するのに怖い目では不利ですから」
悪魔は次から次へとペラペラ喋った。
「うーん、つまり俺の借金を消してくれる代わりに俺が死んだあと俺の魂をいただくというわけか」
「ハイ、その通りです。どうです?私と契約しませんか?」
「まあいいだろう、ただし本当に借金を帳消しにするんだぞ」
「当然です、ではこれで契約成立というわけで・・・・ククク」
悪魔は姿を消した。そして借金を綺麗さっぱりなくなっていた。
「悪魔の言ってたことは本当だったのか、これで俺も生きる気力がわいてきたぞ」
その後、男は結婚、そしてたくさんの子宝に恵まれ、幸せな人生を満喫した。
「もう思い残すことはないな、しかしあの時自殺しなくて本当によかったものだ」
男は薄れ行く意識の中で天寿を全うした。
そして、悪魔はニヤけ顔を抑えきれない様子で男の元へ向かった。
悪魔は男を見つけるやいなや、落胆した様子で静かにその場を去っていった。
男は瓦礫の中にスクラップとなって粉々の金属片になっていたのだった。
659創る名無しに見る名無し:2012/02/05(日) 20:10:43.53 ID:oZxb2Hhj
「とっておきの薬」

ある日、大きな宇宙船が現れた
「おい地球人、俺たちは遭難している。腹がぺこぺこでかなわん。今すぐ何か食い物を用意してくれ」
すぐに政府は、腕ききの料理人を用意して宇宙人達に高級食材を使った料理を差し出した。
「なんだこの料理は、ふざけているのか貴様、まずくて食べれないじゃないか」
宇宙人は料理人達を一人残らず殺してしまった。
「一体どうすればいいのだ、これでは私達まで殺されてしまう」
政府の人間は頭を悩ませた。
そこに一人の学者が現れた。
「私が日ごろ研究して作った、どんな料理にかけてもおいしくなる薬、これを使えばあの宇宙人たちも納得するのではないだろうか」
「おお、それはすごい早速試してみてくれ」
学者は料理に薬を混ぜて宇宙人に差し出した。
「これはうまい、今まで食べたどんな物よりも美味いぞ」
学者はほっと胸をなでおろした。
「はは、そうでしょう実はこれは私が発明した薬でね、これをかけるとどんな料理でもおいしく・・・」
次の瞬間、その薬を学者にふりかけ、ペロリと食べてしまった。
660創る名無しに見る名無し:2012/02/05(日) 21:37:30.00 ID:bh24bNRD
初投稿です

「自転車の彼」

壊れてしまった電子レンジをスクラップ場に持って行った帰りのこと
先ほどまで重たかった腕を揉みながら坂を上っていると
自転車を引きながら坂を下ってくるサラリーマン風の男がいた
近づくにつれて、キィ、キィ、という音が聞こえてくる

「もしかしてそちらもスクラップ場に?」
「えぇ、もう乗れなくなってしまって」
特別壊れたところは見当たらなかったが、乗る分にはどこか不自由があるのだろう

「修理はされないんですか?」
「一応見てはもらったんですが、なにぶん物が古いものですから」
「そうですか、それでは」
「えぇ、さようなら」

別れを告げ、もう一度振り返りスクラップ場に続く下り坂に目をやった
自転車を引く彼の背中がとても寂しげだった

それ以降、彼とすれ違うことは二度となかった
661創る名無しに見る名無し:2012/02/06(月) 03:11:57.11 ID:mR0dUBTL
662創る名無しに見る名無し:2012/02/06(月) 20:09:22.60 ID:drpBNqnU
>>659
ちょっとひねりが足りない

>>660
正直つまらない
663創る名無しに見る名無し:2012/02/06(月) 20:10:32.33 ID:drpBNqnU
>>651
シンプルで良い
664創る名無しに見る名無し:2012/02/07(火) 18:17:57.17 ID:f3YGgB6A
急に富豪になったいう友人に家に招待され、久しぶりに会うことにした男二人は
金に覆われた巨大な城を目にした。そこに大富豪になった友人が住んでおり車を降りると召使いの人たちに案内され、豪華な部屋に辿り着いた。
その部屋には立派な椅子に座っている友人が金の像を眺めており、男二人に気付くと
「おお…よく来た」と柔らかな物腰で話しかけ、手に持っていたワイングラスを
横の金でできたチェアテーブルに置き、何故自分が富豪になったかを聞いた。
なんでもエヌ博士という人物の命を救い御礼に触るとなんでも金に出来る手袋を
貰ったという。その友人は終始「実にいいものだよ…」と呟いていた。

男二人の内一人の男がその手袋を貰うと男はさっそく家に帰り、手袋をはめ、机にあったペンに触ると瞬く間にペンが金のペンになった。
男はその手袋を使い、金を大量に生産し、世界の宝物を買い漁り、世界一の美女と付き合い、男もまた世界有数の富豪になった。
なにもかも手に入れたと思っていた男であったが、一つ手に入れてないものがあった。それは自分が思う世界一の彼女との「愛」。素晴らしく美しい笑顔、愛くるしい仕草、しかしこれは金で買った「愛」であり真実の「愛」ではなかった。
そして老いていくであろう彼女の姿を想像すると身の毛がよだつ思いが
男を襲い、ついに男は彼女を金にしてしまった。
何も知らぬ間に金にされたその笑顔の女の像を見て、全てを手にしたと確信した男は
あのとき手袋を貰えなかった友人に電話をし、家に招待した。
友人が男の家につくと男は金の像を眺めながら友人に「実にいいものだよ」と呟いていた。
665創る名無しに見る名無し:2012/02/07(火) 18:50:44.54 ID:ag80GRVd
>>660諸星大二郎っぽいような?
イイと思う
666創る名無しに見る名無し:2012/02/07(火) 21:50:15.59 ID:pQUvExKv
>>664
内容以前に読みにくい
667創る名無しに見る名無し:2012/02/07(火) 21:54:31.96 ID:pQUvExKv
>>641
亀レスだけどおもしろいなこれ
668創る名無しに見る名無し:2012/02/07(火) 23:28:26.28 ID:f3YGgB6A
「思惑」

M氏が私のインタビューに応じてくれたのはM氏が大批判を浴びせられていた時だった。
私が今の状況についてどう思うか質問すると、M氏は重い口を開いた
「私が思うに今までの国民は受動的、そして政治に無関心だった」

M氏は椅子から立ち上がり、窓からデモ行進を眺め、話を続ける
「だから私は元から存在した偏向放送やマスコミの隠蔽工作を過激化し、私が
私が行っているように放送させた」

M氏はデモ行進を眺めて和やかに笑う。
「今の国民は悪の対象というのが分かりやすく存在しなければ、
なにも行動に移さないからな。
見ろ、今ではデモ行進が頻繁に全国民で行い、マスコミも事態を放送せざるを得なくなった。」

M氏が椅子に座り、私に神妙な面持ちで言った
「私も満足だ。自分のやりたいことを成し遂げた。これでこの国もいくらかはマシになったろう。
私はまだ悪役のままだが、もうじき死ぬ。それで十分だ」

2日後、M氏は車に乗る所を暗殺された。

669創る名無しに見る名無し:2012/02/08(水) 00:04:54.25 ID:Xgi3YsjW
触ると金になる話って、どっかで読んだ気がする。何だっけ
670創る名無しに見る名無し:2012/02/08(水) 01:55:08.07 ID:lImWvAFk
ミダス王
671創る名無しに見る名無し:2012/02/08(水) 02:43:40.67 ID:VK+TZnAj
>>669
俺はアラジンで見た
672灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/08(水) 03:07:14.55 ID:T0kWcytb
>>699
ショートショートの広場にもありますね。
673灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2012/02/08(水) 03:20:01.33 ID:T0kWcytb
↑は>>669でした
674創る名無しに見る名無し:2012/02/08(水) 15:32:10.64 ID:C/0ovLV7
「理由」

「今回もダメだったか」
俺は三度目の不合格通知を見て落胆した。
俺にはどうしてもしなければならない仕事がある。
しかし自分でも何故そう思うようになったのか分からない。
「来年で最後にしよう」
男は決意を新たに四度目の試験に挑んだ。
「あなたはこの仕事にむいてないように思える、どうしてそこまでこだわるのです?」
面接官の厳しい態度は相変わらずだった。
「それが自分でも分からないのです、しかし必ずこの仕事につけば活躍できる、そんな気がして仕方がないのです」
俺の必死なアピールも虚しく、面接官の顔は終始険しいものだった。
「そうは言ってもねえ、ん?」
窓の外を見ると大粒の雨が降っていた。
「そういえば去年、君が試験を受けた時もこんな雨だったような」
「ええ、確かそうです、去年もその前の年も、確かのその前の年も・・・」
面接官が、すぐに俺を採用したのは言うまでもなかった。
俺は晴れて消防士の一員になることができた。
675創る名無しに見る名無し:2012/02/08(水) 17:38:11.66 ID:3fKInpFc
>>674
若干物足りない感じがするがおもしろい
作品タイトルがおかしい
676創る名無しに見る名無し:2012/02/08(水) 17:57:06.20 ID:7GKXioCy
『働くモノ』
おれはいつも酷い目にあってるんだ。
まずいつも狭いところに閉じ込められている。でもちょっと待つと押されて外に出れるんだよ。ここまではいいんだ。ここからが地獄のようなんだ。
金属製の何かに入れられて、下から火で温められるんだよ。その金属が。
段々温まったきて熱くなってきて体が溶けてきたところでやっと火が止まる。
でもまだ終わらない。今度は変なにおいがする部屋に入れられる。そして蓋を閉められる。
においと熱さで気が狂いそうになる。
そして三分後に捨てられる。酷いだろ?これだけ色々な目に合わせておいて三分経ったらポイだぜ?
あー、クラクラしてきた。そろそろ三分経つみたいだな。
じゃあな。
677創る名無しに見る名無し:2012/02/08(水) 18:50:45.68 ID:3fKInpFc
>>676
なんか狙いすぎって感じ
678創る名無しに見る名無し:2012/02/09(木) 07:05:14.24 ID:i0CYzBiT
「価値観の違い」

W国の首都にある広場に銀色の球体が突如として出現したのは、ある日の夕暮れのことだった。
最初に見つけたのは近所に住む子供たちだった。
次に街の人々が騒ぎ出し、警官や軍隊が出動する緊急事態に発展した。
国王はすぐさま世界中から著名な科学者達を呼びつけ、球体を調査させたが、
球体が出現した理由や目的はおろか、材質すら分からないという結果が出ただけだった。
最初の数ヶ月間はW国だけでなく、世界中の人々が好奇の目で様々な見地からの調査結果の発表を、
連日のワイドショーや有志が作ったインターネットサイト等で眺めていたが、
どうやら自分達に害の無いものだということが分かると、次第にそんな熱も冷めていった。
微動だにしないその球体は、人々にとってもはやただのオブジェとなった。
数年後には、何の成果も出せないまま調査団は解散し、銀色の球体はW国の観光名所のひとつとなった。
一部の人々は、その球体を崇める新興宗教を興したりもした。

時が流れ、W国は近隣の大国に吸収されても、依然として球体は何の動きも見せないままであった。
銀色の球体が突然現れた当時を知る子供たちは成長し、子供を育て、老い、孫を抱き、死んでいった。
いつの間にかかつての新興宗教は危険な思想を持つカルト集団とみなされ、弾圧された後になくなってしまっていた。
苔に覆われた球体が地球のものでないという事実もW国が作り出した与太話だと信じる人が大半になった。
さらに時は流れ、球体の存在を知る者はほとんどいなくなってしまった。
国の名は幾度となく変わり、多くの戦争が起こった。
かつて広場だった場所は森になり、荒涼とした砂漠になり、再び深い森になった。
その頃にはもう人類は地球上から姿を消してしまっていた。
 
ある日、銀色の球体から音声が流れ出した。
「地球のみなさん、こんにちは。我々はS星人です。この度は、あなた方との有効的な惑星間関係を築く第一歩として、
この親善カプセルを送ることになりました。突然のことでさぞ驚かれていることとは思いますが、
どうかこのメッセージをきっかけに、我々S星と更なる……」
球体に内蔵されたスピーカーが録音されたS星人の手短なメッセージを話し終えたのは、それから数百万年後のことであった。
679創る名無しに見る名無し:2012/02/09(木) 19:57:57.44 ID:YPGEpw7b
>>678
おもしろい
けど、オチ次第でもうちょっとおもしろくなりそう
680678:2012/02/10(金) 01:32:01.30 ID:eX/0jgVX
>>679さん
ご感想ありがとうございました!
そうですね、オチも勿論ですが、オチへの持っていき方も
かなり無理しているので精進します。
681創る名無しに見る名無し:2012/02/10(金) 12:15:51.11 ID:O4kvREJx
>>680
でも、ここ最近では一番良い出来だと思うよ
てか、感想のお礼初めてもらったからうれしい
682創る名無しに見る名無し:2012/02/10(金) 22:05:35.56 ID:O4kvREJx
保守
683創る名無しに見る名無し:2012/02/11(土) 19:02:30.86 ID:2Noi2lcf
保守
684創る名無しに見る名無し:2012/02/11(土) 20:40:02.14 ID:yjyAgQgb
そろそろ次スレを
685創る名無しに見る名無し:2012/02/11(土) 21:54:30.94 ID:FZ3eoA41
【逆襲】

この世からすべてのヘッドホンを消し去る。それがおれの使命だ。
数年前のある日、世界中のヘッドホンが反逆を起こした。あるモノは男の頭を締め付け、あるモノは突然大音量で音を流して老人の鼓膜を破った。
だがまだ反逆を起こしていないヘッドホンもある。まずはそいつらを消し去らなくては。
そう思い行動を起こしてきたが、事態はいっこうに良くならない。
最近ではヘッドホンがヘッドホンを生み出しているらしい。
埒があかないのだ。消しても新しいモノがまた作られる。ヘッドホンが人間を襲っても倒すことはできるが、いちいちそんなことをしていても、一つ倒した頃にはまた新しく作られている。
そうしてある日、おれはある方法を思いついた。ヘッドホンに対抗するモノ、イヤホンを大量に作ればいいじゃないか。こうしてイヤホンは大量生産され、ヘッドホンを倒していった。
これが二年前の話だ。イヤホンはヘッドホンなんかとは比べ物にならないほど強い。今では人類はほとんどやつらにやられた。そろそろおれもやられるだろう。あいつらにやられるくらいなら自分で死ぬ。
そうしておれはピストルで頭を撃って自害した。
政府がイヤホンの動きを停止させる電波を発表したのはその一週間後のことだ。
686創る名無しに見る名無し:2012/02/11(土) 23:44:29.34 ID:ekX4GrcU
>>678
これは凄い!本当に星新一が書いたみたい
687創る名無しに見る名無し:2012/02/12(日) 08:51:55.26 ID:K9Re8zdb
>>685
つまらない
政府の対応不自然だろ
ヘッドフォンとイヤホン生かせよ

>>686
>>678を批判するわけじゃないけど
このスレの中の誰も太刀打ち出来ないくらい星新一と完成度は凄いぞ
お前星新一読んだことあるのか?
688創る名無しに見る名無し:2012/02/12(日) 09:09:00.19 ID:7UzUEDmy
>>687
ひとつの比喩として星新一っぽいってことなんだからよくね?
このスレの誰も星新一に勝てるとは思ってないよ
689創る名無しに見る名無し:2012/02/12(日) 09:23:10.80 ID:Ux6WUNBw
ちょっと聞きたいんやけど、
>>678の題名にある価値観の違いって
地球とS星では時間(時の流れ?)の価値観が違うってオチでいいんやんな?
俺の読み方間違ってる?;

>>685はちょっとよーわからんかったわwアホでスマン
690 忍法帖【Lv=27,xxxPT】
N博士は長年の苦労を重ねて絶対に消えないロウソクを開発した
博士は助手に言った
「これさえあれば電気なんて必要ない、電気代もかなり浮くはずだ。君も使いたまえ。」
助手にロウソクを渡してから博士は言った。
「そうだ、特許を申請して売り出そう。私はきっと大金持ちになれる!」
博士は特許を申請し、消えないロウソクを全世界に売り出した
ロウソクは大ヒットし、博士は巨額の富を得た。
数年後博士はとても大きな家に住んでいた
「最近なんだか息苦しいな・・・ワシも年だろうか。」
数ヵ月後、博士は息苦しさの理由がわからないまま窒息死した
ほかの人々もバタバタと倒れていった。
誰もいなくなった街では今日も不気味にロウソクが明かりをともしている