創作大会しようぜ! 景品も出るよ!

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1創る名無しに見る名無し
創作内容や投票方法など、まだまだ協議中です。

ここまでの経緯(雑談スレ)
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1283085334/106-144
2創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 21:40:59 ID:9oxSirxt
おつ
3創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 21:57:11 ID:EBKwyDo7
ほうほう
4創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 22:00:32 ID:YBmOYp5L
とりあえず決めなきゃいけないのは、どういう作品を募集するかと、投票方法か
賞品の中身とか受け渡し方法なんかは後からでいいよね?
5創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 22:08:57 ID:6PHdAB8h
進行役がいないようなので、できる人はどんどん話を進めていってしまえばいい
6創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 22:14:02 ID:YBmOYp5L
じゃあ、とりあえず俺が進行役やろうか?
7創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 22:23:59 ID:EBKwyDo7
>>6
どうぞどうぞ
8創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 22:32:50 ID:j025uid1
苦しゅうないぞ
話を進めるがよい
9 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/14(火) 22:34:35 ID:YBmOYp5L
じゃあ、まずは募集作品について

・ジャンル分けはするか
・お題、テーマを設けるか、完全に自由にするか
・量に制約は設けるか

この辺決めようか
10創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 22:36:43 ID:/mBUuIa8
評価のしやすさから言うと全部あったほうがいいかな
11創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 22:51:43 ID:aTVQGsXn
最低限のジャンルわけは必須

文章ものはあんまり長さがばらばらだと評価順位つけにくいから
ある程度の長さでグループ分けするか制限かけるかするべき

お題とかテーマはなくてもいいと思う
12創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 22:55:28 ID:6PHdAB8h
テーマ無しにした場合は、以前に作った物でも出展OKになるのかな
13 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/14(火) 23:03:36 ID:YBmOYp5L
ジャンル分け、長さの制限はあった方がいいっていう意見が多いかな
雑にはノンジャンルの方が一体感があっていいっていう意見もあったけど、そこら辺はどう?
14創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 23:07:48 ID:j025uid1
お祭り騒ぎということなら制限や区別はないほうがいい
しかしそれだと評価するのは難しくなる
最終的に順位付けして商品を出すのならばなおのこと
あまりごちゃ混ぜでやって一部ジャンルのみが評価されれば
それに不満を持つ人間も出る可能性もある
15創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 23:14:58 ID:6PHdAB8h
雑談スレでは景品はモリタポか狐ぽなので、以下を雛形にしようって感じだった
元は1000モリタポを景品にしようって話だったが
他にも10000モリタポ寄付してくれるって人もいたので
上手く行けば↓の10倍ほど出ることになる模様



優勝者…500モリタポ
準優勝…250モリタポ
3位…100モリタポ
審査員特別賞(複数)…50モリタポ
16創る名無しに見る名無し:2010/09/14(火) 23:27:39 ID:aTVQGsXn
評価形式にもよると思う

例えば総合の順位付けをノンジャンルで
自由参加の人気投票形式にして
それとは別に各ジャンルごとに優秀賞みたいのを
審査員が決めて出すとかするのなら
一体感ぽい盛り上がりも期待できるし
>>14のいうような不満も出にくくなると思う
17創る名無しに見る名無し:2010/09/15(水) 00:59:01 ID:732PL2hm
賞品のモリタポとかキツネポの使い道が分からない人も居ると思うんだ
俺も知らんし
だから、もし入賞しても賞品の受領は辞退可とか、
賞品が要らない人も参加しても良いよ的な説明が欲しい
18 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/15(水) 01:00:43 ID:5zydgB7h
あまり時間かけ過ぎるのもあれだから、あと一日くらい様子見たら>>9と過去作ありかどうかだけ決めてしまおう
>>16で出たような変則的な方法も含めて色々検討して、ちゃちゃっとまとめちゃおう
とりあえず勢いあるうちに話を進めて、問題が出たら二回目以降で変えていく感じで

俺の意見としては、せっかく大会開いて盛り上がろうとするなら、作品は新規に作ってもらう方がいいかな
19創る名無しに見る名無し:2010/09/15(水) 07:37:48 ID:MMgGixsW
お前ら創発が過疎だってこと忘れてるだろ。
余り細かいジャンル分けすると人が集まらんかもしらんぞ。

あとコテトリは必須だよね?
20 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/16(木) 01:29:30 ID:+gjD/uB6
思ったより反応なかったから、もう一日だけ様子見てみよう
何も意見でなかったら>>9は全部ありありで行く

酉は必須でいいんじゃね?
後で本人確認の必要もあるし
21創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 01:53:47 ID:luBysuIj
あれ?議論後退してる?
てっきり>>16みたいな形でやる流れかと思ってた
>>19をスルーして>>9全部ありありというのは
過疎なんか問題じゃなく人が集まる自信があるということ?

>>16みたいな形ならある程度応募数が期待をはずしても対応しやすいんじゃないの?
まあ部門賞みたいなのは応募ひとつしかないから受賞みたいなの出るかもしれんけど
逆にそれも応募する原動力になると前向きに考えればありかもしれんし
22 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/16(木) 02:08:34 ID:+gjD/uB6
自信っていうか、ほとんど反応ないから、とりあえず一番多かった意見を採用しといただけ
賛成なら賛成で何かしらレスしてってくれないと、良さそうな案でも俺が勝手に選ぶわけにはいかないからさ
23創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 02:09:50 ID:4G7eeZ1y
いや、単に平日だから人が少ないだけだ
せめて議論は週末まで待っておくれ
24 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/16(木) 02:16:00 ID:+gjD/uB6
じゃあ週末まで待つ?
他にも結構決めることあるから毎回週末まで待ってたら、実際に企画始まるまでかなり時間かかることになるぜ?
25創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 02:22:24 ID:4G7eeZ1y
週末までまったり議論しながら、週末にまとめる感じでいいんじゃね
26 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/16(木) 02:25:58 ID:+gjD/uB6
それでいっか
人いないことにはどうしようもないし、のんびりやろう
27創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 10:08:33 ID:k33QV+t0
こういうのは、ageて耳目を集めるのさ
何でも、というよりはひとつテーマ決めたほうが評価しやすいじゃなかろうか
トリップは必須だと思う
28創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 11:07:16 ID:DsFp5UBN
むしろ動きが性急すぎるくらいだと思うぜ。
29創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 20:06:49 ID:YZfvz4bs
トリップは必須だと思います
評価の事を考えるのならテーマや分量の規定はあった方がいいと思う
30創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 20:13:24 ID:+A/suXG5
大丈夫

三日もすればみんな飽きるさ。

31創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 20:21:36 ID:DsFp5UBN
急ぐとホントに三日で飽きると思う。
やるならまずじっくり時間をかけて宣伝等しないと。

人気投票がいい例。いろいろ言われたけど時間かけた結果いろんな人来て結果発表はお祭りだったじゃないか。
32創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 22:09:40 ID:NyCx2oFr
>ジャンル分けはするか
絵と文ぐらいは分けた方が良い

>お題、テーマを設けるか、完全に自由にするか
テーマにそった方が評価しやすいと思う

>量に制約は設けるか
制約は必要、あまり長い読んでくれない場合も有る

定期じゃなくて突発的企画なら、じっくり話し合った方がいいぜ
>>1の意気込みは買うが見切り発車はよくない
せめて評価形式と開催期間くらいは決めようぜ
俺的には一月ぐらいもうけて、11/25に結果発表といきたいね
33 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/16(木) 22:14:42 ID:+gjD/uB6
あ、そうか
そもそも定期的にやるのか一回限りなのかがはっきりしてなかったのか
普通に定期開催のつもりでいたわ
34創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 22:20:56 ID:NyCx2oFr
毎回の資金誰が出すんだよw
35 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/16(木) 22:27:48 ID:+gjD/uB6
一回ごとの賞品を少額にして、小分けにしながら何回かやるみたいなことを誰かがが言ってたから、それでいくのかと
36創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 22:33:52 ID:NyCx2oFr
そこら辺は出資者の意向が汲まれるんじゃない
俺は>>15で、使い切りだと思っていた
37 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/16(木) 22:48:18 ID:+gjD/uB6
じゃあ、複数回やるか一回限りかも、日曜日までに一緒に決めちゃうか
賞品出してくれる人は、どのくらい出せるか書いてって欲しい
俺は狐ぽで20万くらい出せるよ
38創る名無しに見る名無し:2010/09/16(木) 23:24:10 ID:Bg8mORe/
一回やってみて、盛況で次もやりたい寄付もある、ってなったら、その時考えればイインジャネーノ
39創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 03:04:40 ID:MwFDTErq
うむ
40106:2010/09/17(金) 03:20:21 ID:xd7UDy/u
自分はモリタポで1000です
イベントの進行とかは苦手なので、あんまり口うるさくない出資者という
理想のポジションのまま進めておいてください
41創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 16:42:31 ID:A4jEdEax
三ヶ月に一回くらいの定期開催でいいんじゃない?
月一だと多分人が来な(ry

正直モリタポやらに魅力を感じない人も多い。ぶっちゃけ物より感想が欲しい人がわんさか居ると思う。
42創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 20:39:31 ID:3putoZ3X
今回は突発企画だから、定期になるかどうかは大会後に考えればいいんじゃね
あと、自分はモリタポでもなんでもいいから賞品出ると嬉しい
特に使い道はないけど、形として残るとなんか偉くなった気がするので
43創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 21:06:56 ID:x++YIVHE
優勝作品には“あの”絵師さんがサイン付きで描いてくれるぞ!(嘘)
44青森さん ◆wHsYL8cZCc :2010/09/17(金) 21:12:58 ID:X0C/+huQ
描いちゃだったらフルパワー出す。
45創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 21:15:17 ID:8WyLNlrm
あの人ならなんか何もなくても描いてくれそうな気がするんは俺だけか
46創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 21:18:26 ID:X0C/+huQ
確かにw
でも明らかに描いてくれますよってんなら尋常ななく気合い入るw

モリタポ? いらんいらんそんなモン。
47創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 21:20:24 ID:3putoZ3X
まぁ、賞品いらん人は優勝後に

「いえ、僕にはみなさんの賞賛の声以外何も必要ありませんよ」

って言ってモリタポ辞退すればいいだけ
48創る名無しに見る名無し:2010/09/17(金) 22:05:57 ID:AAhHkkyM
辞退者には次の回に審査員特別賞を選ぶ権利を与えればいいじゃん
49創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 01:41:10 ID:WSn4RPkP
| ∧         ∧
|/ ヽ        ./ .∧
|   `、     /   ∧
|      ̄ ̄ ̄    ヽ
| ̄ ̄ ̄土曜日 ̄ ̄ ̄)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.\
|ヽ-=・=-′ ヽ-=・=-  /   やあ
|::    \___/    /
|:::::::    \/     /
50創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 12:52:41 ID:mHq1u7tx
お待ちかねの週末ですがスレ的には終末ですか?
51創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 13:00:17 ID:91tIzcl2
>>50
【審議中】
    ∧,,∧  ∧,,∧
 ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U (  ´・) (・`  ) と ノ
 u-u (l    ) (   ノu-u
     `u-u'. `u-u'
52創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 18:53:30 ID:oAFncX0I
今週だけで決めてしまうと性急すぎるので、
今月いっぱいかけて詳しいこと決めて
開催日は1ヶ月後くらいにして宣伝すれば人いっぱい来るんじゃないかな
53創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 21:56:18 ID:MWL5TNtp
そもそも創作で参加できるようにしない限りなかなか人は集まらないんじゃね
見切り発車で始めた企画の方がこの板じゃ上手くいくみたいだし
54創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 22:02:09 ID:l6HHDQew
初心者な質問で申し訳ないんだが
こういう企画を立ち上げて実際に開催された実績ってあるの?
55創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 22:09:42 ID:FqEklNNd
>>53
それは同意

誰しもが企画の計画運営側に回りたいわけじゃないし、創作での参加に興味がある人はそれだけ待たされることになるしね
こういうのは期間を置くと熱が冷めていく一方

勢いでどんどんやっちゃった方が、いい方向に転がると思うよ
56創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 22:15:37 ID:lhIMydmj
創発では一人がゴリゴリ進めてくほうがうまく行くんだよな。

>>54
結構あるような気がする。
創発用語集の企画も止まってるし
57創る名無しに見る名無し:2010/09/18(土) 23:33:10 ID:6Wx9kF+3
最初のS-1立てた人が通りますよ…
58 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/19(日) 23:55:00 ID:6yesbAS6
とりあえず一回やってみて、様子見てから二回目以降やるか決めるっていう意見が多かったから、それでいこう
他はほとんど動きがなかったからありありのままで
ジャンルわけに関してだけ、>>16案の方がいいって言う人が今後多く出てくるようだったらそっちに変える

次に決めることは
・ジャンルをどう分けるか
・投票方法(場所)をどうするか
・文章量の制限は具体的に何Kb以内にするか(文章以外も制限するならどういう風に制限するか)
これを一週間で決めよう
59創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 00:13:35 ID:A/xV5T5Y
ジャンルほ

(お題SS)
フリーSS
(お題絵)
フリー絵
その他創作

とか?
初めはフリー部門だけでいい気もするが。

投票は、一応投票時間間隔の設定できるwikiが今のところいいんじゃないか。人気投票のテンプレ使いまわすよ
ここだと規制あったりするし。避難所でもいいけど。
投票はIP自演が気になると言えば気になる。ルータ再起動しても多重投稿出来ないようなシステムないのかな……

文章量は個人的に自由でいいのではないかと。


初めにあまり細かく区切りすぎて、作品が規定数集まらないというような事態は避けたい。
60創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 00:16:31 ID:R2ZWHFTT
作るほうも作るほうで御代あったほうがいい気がするなぁ
61創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 00:16:57 ID:bm6HimOA
・文章部門(小説・SS等)
・イラスト部門(漫画でも可)
・その他(写真や音楽、料理・動画までなんでもおk)


この3つでいいんじゃね
「その他」は、応募がもしあればってことでひとまとめ
62創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 00:20:09 ID:A/xV5T5Y
お題も欲しかったけど第一回に相応しいような題が見つからんw
63創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 00:32:41 ID:289RCKJE
>>62
お題「初めての」
64創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 00:36:01 ID:bm6HimOA
お題を3つくらい出して、その中から好きなの選んでもらうってのでもいいんじゃね
65創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 01:13:40 ID:5gMmRPjX
エロ部門をつくるべきだな
66創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 13:04:05 ID:1J8hYSqZ
むしろ意表を突いて
景品ありの大会無しでいってみたら……
67創る名無しに見る名無し:2010/09/20(月) 13:35:36 ID:ZDN1UR91
破綻しとるがなw
68創る名無しに見る名無し:2010/09/22(水) 18:45:19 ID:JQX/0L0y
結局どうする
69創る名無しに見る名無し:2010/09/22(水) 19:54:36 ID:opt94xJm
今月かけてゆっくり決めようぜ
70創る名無しに見る名無し:2010/09/23(木) 23:44:19 ID:tfSV3mPY
来月から本気出そうぜ
71106:2010/09/25(土) 05:34:29 ID:fyjP/oj9
週末使って決まりそうに無い場合は、
自分が独断と偏見で頑張って進行役のお手伝いしてみます
72 ◆u0s.0cF8SE :2010/09/27(月) 00:59:53 ID:wpVZ6NEU
ジャンル分けは、文章、絵(漫画)、その他の三つって感じかな
他の二つはちょっとまとまってないな

とりあえず、また日曜日を期限にして、下の三つを決めよう
平行して、お題とか、他に決めた方がいいと思うことがあったらそれもどんどん話しちゃって
あと、賞品出してくれる人は、雑談スレで言ってくれた人ももう一回このスレで名乗りあげてくれると助かる

・前回決まらなかった二つ
・賞品の管理、受け渡し方法

また一週間待っても決まらなかったりするとまずいから、俺が最初にたたき台の案を出しとく

・投票方法
二周年記念キャラ人気投票と同じ、wikiを使ったやり方
・文章量の制限
10レス以内
・賞品の管理受け渡し
管理用の垢を作って、投下時の酉で本人確認をして渡す

>>71
ありがとう!
だいぶ勢いなくなって来ちゃってるから助かる
73 ◆EROIxc6GrA :2010/09/27(月) 01:07:45 ID:6IypA4fu
投票方法は、スレだと集計が面倒なのでwiki賛成。決まったら編集はやります。
スレとwiki以外で方法あるならそっちの方がいいかも

文量10レスは短くないか?もうちょっと長いか、無制限か
無制限だとどういう問題が起こってくるんだっけ?

管理垢は賛成。◆u0s.0cF8SEさんがするなら(誰か管理する人がいるなら)だけど
74創る名無しに見る名無し:2010/09/27(月) 19:43:31 ID:TAuJeleL
無制限にすると長文レスと短文の問題が起こってくる
例えば、100レスを越える長文とわずか数レスの作品を同列におけるか?という事
10レスという区切りをつければ、1.2レス変わってもそんなに気にならないしね

10レスてのは規制を考えての事だろうね
10レス以上に伸ばすとしたら、支援レスが確実に必要になるよ
75創る名無しに見る名無し:2010/09/27(月) 23:14:39 ID:NsiF+8jq
マラソン渡辺至 34商会343434
76創る名無しに見る名無し:2010/09/27(月) 23:32:58 ID:JwOwlM1p
10レスだとちょうど一話の単発レベルなんで俺もそれでいいと思う。

というよりそれ以上だと連載レベルになってしまうし、企画の性質上合わないと思う。
77106:2010/10/04(月) 00:00:13 ID:PTaDjYiv
ちょっと数日だけ待っていただければ
78創る名無しに見る名無し:2010/10/04(月) 00:05:51 ID:1neB8K3a
数日後の>>106に期待
79 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/04(月) 23:33:01 ID:RiamdwGG
上の案三つはこれで良さそうだな
垢の管理はやってくれる人が名乗り出てくれたら任せて、いなければ俺がやる感じかな

あと決めることは賞品の配分と募集期間くらいか
賞品は狐ぽ30万とモリタポ1000を分けるってことで
ちょっと準備に時間かけ過ぎちゃったけど、これを日曜日までに決めたら実際に大会を始めていこう
他に決めた方がいいことあったらどんどん言って、それもちゃちゃっと決めちゃおう

今回も案を出しておくと、
・配分
文と絵は大賞300モリタポと狐ぽ8万、次点100モリタポと狐ぽ4万
その他ジャンルは大賞200モリタポと狐ぽ6万
・期間
10月16日から11月23日まで
80創る名無しに見る名無し:2010/10/05(火) 03:23:52 ID:BII/L3ue
SSの場合、最低何レスとかいう縛りは無し?
ぶっちゃけ長いのはアレだけど、単発物なら一レスでも十レスでもほぼ関係ないとは思うんだけど。
81創る名無しに見る名無し:2010/10/05(火) 16:08:07 ID:lf6FrI38
10レス以上になる場合はテキストでうぷろだにあげてつかぁさい(10レス以下にまとめろという暗示)
みたいな形にしてはどうか
82創る名無しに見る名無し:2010/10/07(木) 03:51:09 ID:33AQHPKd
結局お題というか、出題ジャンルはなくなったの?

あと一人の作者がいくつも作品出すのはあり?
83 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/08(金) 23:54:05 ID:CSxFUyVl
そうだそうだ忘れてた
お題、テーマも一緒に決めちゃって
複数作品を禁止するって話は今のところ出てないよ
84創る名無しに見る名無し:2010/10/16(土) 12:00:38 ID:gFuD6aNP
募集開始だけど誰もいないねage
85 ◆91wbDksrrE :2010/10/17(日) 00:47:21 ID:UKm13Ps9
様子見中。

誰かが動かせば、わらわらと人は来るんじゃないかな。
今の所、誰も動かしてないからなぁ・・・。

開始宣言とか、レギュレーションの確認とか、
お題出したりとかその他もろもろ、何かしらの動きが
無いと、乗りづらいと思う。
86創る名無しに見る名無し:2010/10/17(日) 00:50:49 ID:AJxy8MOF
こうなったらもう諦めようぜ!
87創る名無しに見る名無し:2010/10/17(日) 19:06:03 ID:wV1M+p7M
「ちにゃっ!?書き手だらけの創発大会」
88創る名無しに見る名無し:2010/10/17(日) 19:24:16 ID:gbqe5GHV
起きた事をありのまま話すぜ!

「知らない内に募集が始まっていた」
89創る名無しに見る名無し:2010/10/17(日) 19:37:59 ID:AJxy8MOF
起きる事をありのまま話すぜ!

「知らない内に募集が終わっていた」







……まあそれはともかくとして、
結局のところどこで何をするのかよくわからんのだが?
90創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 00:58:03 ID:9bsOmfTk
今の状態じゃ路上の喧嘩よりレギュレーションがないから何すればいいか解らないんだぜ。
91創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 18:30:07 ID:GfPtocXi
なぁS−1スレ復活させていいか
ここと重複するから止めてあるんだが、どうにもこれでは…
92創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 19:46:18 ID:/HvAcLZL
立ててしまえ
93創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 20:01:52 ID:Q4Dm/bj1
復活させたらさせたで、そっちも過疎ったりしてなw
94創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 20:39:53 ID:iJ4F16Aq
たしかあそこ月に一つは投下あったくらいだっけか?
95創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 21:10:28 ID:z41iSmA7
無理に立てなくても、こっちで別企画進めるとかでいいんじゃない?
>>93も言ってるが、S-1自体、夕鶴クライシス前から、そんなに
投下なかったし。

まあ、でも、難しい所だね。
S-1というフォーマットを復活させたい、というのはわからんでもないし・・・。

何にせよ、何らかのリアクションが欲しいんだけどなぁ・・・。
96 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/18(月) 21:48:59 ID:1IvtWSh2
長らく放置してしまって申し訳ない

上の案だともう募集開始してることになるけど、お題が決まってなかったり投票手段が確保できてなかったりするから、
今週の土曜からに一旦延ばして、準備を済ませてしまおう
スレでは、取り急ぎお題だけ決めよう

106さんとエロい人はいらっしゃったら、お返事いただきたいです
97 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/18(月) 21:51:10 ID:1IvtWSh2
あと、S1については別に重複ってわけじゃないから、立てたい人がいるなら立てちゃっていいと思うよ
98創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 00:17:23 ID:ZxP9fPgN
お題は例えば、「カッコいいダンディなおじ様選手権」みたいなのでもいいのか?

誰得?俺得
99創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 03:46:14 ID:wXwg4dGV
通りがかっておもしろそうに思ったがどこで何すりゃいいのかぜんぜんわかんねw
100創る名無しに見る名無し:2010/10/19(火) 16:15:32 ID:e4uyoI/v
もっとルール厳しいほうがかえって楽かもしれん。
やること明白になるから。
101創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 03:54:04 ID:ksUm7NdI
投票手段はそれこそS1でのやり方でいいと思う。申し訳ないけど書き手以外はあんまり集まらないと思うからw
創発を巻き込むような大イベントならWikiの投票使えばいいと思う。

で、お題だなんだ以前に宣伝が全然足りないと思うんだ。もっと他スレで「こんなんやるぜ! 腕自慢はきやがれ!」くらいの宣伝していいと思う。
それぞれのスレに引きこもってる人も多いから。
景品出るとなれば規制に苦しむ人は代理投下で参戦するかもよ?

お題に関しては、最悪無くてもいいんじゃないか。
それよりSSなのか絵なのか。セリフ系はどうなのかという括りで行ったほうがいいと思う。
SSなら「単発モノで、○レス以上○レス以内」とか。多分10レス以内かな?

そして何より、主催者がもっと意見だしてオラオラ進めてくれ。
結構それだけでも違うから。
そしてもっとアレコレ会議すべき。
102 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/20(水) 04:16:49 ID:CWqDy8h+
そこら辺の詳しいことは上の方で決まってるから見てもらえば分かるよ
ジャンルは文章と絵とその他の三部門募集で、文章は10レス以内
始まる直前くらいには要項をわかりやすくまとめるつもり

あと、俺は進行役引き受けただけだから別に主催者じゃないよ
103創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 07:19:30 ID:Ra8UNIO7
主催者じゃなくてもガンガンやっちゃっていいんだぜ?
104創る名無しに見る名無し:2010/10/20(水) 23:06:08 ID:8bxkvZVX
支援
105 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/22(金) 01:08:17 ID:aUDtWedb
自分でやっちゃおうかとも思ったけど、wiki編集よくわからん
投票用ページの作成誰か頼むます
106創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 02:56:56 ID:gHBQzLhq
まぁ落ち着けw
とりあえず、まず作品を募集してからでも遅くはないだろう。締め切り後にゆっくり作ればいい。
絵はともかくSSとなれば読むのも時間かかるし。投票するなら全部目を通しておかないとならない。
それに募集期間も長くとったほうがいいと思うの。
107創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 08:49:23 ID:mG3Nv3+o
え? なに?
結局>>79はキャンセル?
108創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 09:34:24 ID:pBFYm9N3
>>105
おちけつw
Wiki編集は俺がやるから、あんたはまず決めないといけない事をパパっと決めちゃってくれ
お題が出ないんだったらとりあえず第一回はフリーファイトでもいいんじゃないか?超個人的には>>98を推すがw
募集期間とか投票期間とか、あんたが決めちゃってもいいような気がする。誰もやいやい言うような奴いなさそうだし。
始まったらきっとROMってる奴らも来るだろう。
109創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 16:30:51 ID:0Rr2+HR9
募集は開始しているのかね?

テンプレ的なものがほすぃ
110 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/22(金) 21:50:27 ID:aUDtWedb
よく考えたら、どうせ作品が揃わないと投票開始できないのか
じゃあ、とりあえず投票ページは後に回そう

お題は、他に意見も出ないし、これといった反対意見もないから、「カッコいいダンディなおじ様選手権」で
その他ジャンルでちょっとやりづらくなるのが出そうだけど、そこは創意工夫でなんとかするってことでw

募集開始は今日の24時から
開始が遅れたから締め切りも延ばして11月いっぱいにしちゃおう

あと、賞品に関してだけど、106さんと連絡とれなくて、受け渡しが可能になるかが不透明なんで、
申し訳ないけど、とりあえず賞品は狐ぽの方のみってことにしよう
今後、スレで生存報告とかあったら、改めて当初の賞品に戻すってことで
もし、今からでも賞品提供してくれるって人がいるなら、募集期間中でも構わず賞品増やしちゃうんで、お願いします

テンプレはちょっと待って
111 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/23(土) 00:06:58 ID:obDKb1RY
お題「カッコいいダンディなおじ様選手権」

文章(10レス以内)、絵(漫画等含む)、その他の三つのジャンルを募集
募集期間10月23日から11月末日まで

募集終了後に創発wiki内で投票、上位者には賞品を進呈


文章部門 優勝 8万狐ぽ
       準優勝 4万狐ぽ

絵部門 優勝 8万狐ぽ
      準優勝 4万狐ぽ

その他部門 優勝 6万狐ぽ
112 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/23(土) 00:08:01 ID:obDKb1RY
ということで募集開始

テンプレに足りない情報ある?
113創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 00:47:02 ID:goKsPFus
まさかのテーマww

良いとおもふ。
あと、酉必須とか?まぁ兎に角乙!圧倒的乙!

厳しいけど投稿してみるよ。
一ヶ月ありゃあ何か出来るべ。
114 ◆u0s.0cF8SE :2010/10/23(土) 00:55:34 ID:obDKb1RY
ああ、そうだ
投下時には酉必須で

俺も参加者側で混ざりたいから、終わるまでは必要があるとき以外は酉外してレスするわw
じゃあ、みんな頑張れ
115携帯 ◆4c4pP9RpKE :2010/10/23(土) 02:45:34 ID:cz/62HgU
ダンディに仕上がったよ!
http://a.pic.to/1eos4o
116創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 03:08:54 ID:5TThWwv5
投票用サイトの作成は任せてもらえないか?
117創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 03:12:00 ID:5TThWwv5
てか、早急に決めて早急に募集するよりじっくり決めて
時間おいて募集する方が無難だと思うんだが
118創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 03:30:31 ID:LpZhX+AB
結局、「お題の作品」の大会なの?
119創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 07:25:32 ID:xJQOiT/n
とりあえず動き始めたのは分かったよー。
こういうのはパッパ動き出すほうがいいかも。締め切りは来月一杯までだし。
120創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 11:46:15 ID:5TThWwv5
そうやって勢いに任せて煮詰めずに動いた結果
だれも付いて来ずに消えて行った企画が2ちゃんにはどれだけあるか・・・

このタイミングで創作大会って企画を通すより、年末年始に向けて
企画を熟考して、年末年始頃に板をあげての大きな企画として動かした方が
盛り上がると思わないかね?
121創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 13:25:47 ID:RV5RLtMy
もう十分待った!
あとは動くだけだぜ
122お題「お題」(文章部門・1/1) ◆Toc0Hb3aUA :2010/10/23(土) 17:35:52 ID:NcZZ/tEl

ひそかにROMりつつ、待ちに待った創作大会。
その驚愕のお題を目にした俺は、思わず頭を抱えた。

”カッコいいダンディなおじさま選手権”
無理だ。こんなお題で文章が書けるわけがない。
そもそもカッコよさもダンディさも俺は持ち合わせていないし、理解していない。
これでは書きようがないではないか。

沈痛な面持ちの俺に、喫茶店のマスターはささやいた。
「そうでもないだろ?カッコよさもダンディさもないからこそ、
 お前さんはそういったものに憧れる気持ちは人一倍強い。
 頭のなかにある願望を形にすればいいんじゃないのか?」

余計なお世話だ。だが、それも一理あるな。 よし…やってみるか。
どのような話を書いたらいいだろうか…

「おいおい、せっかく書いたそれ、投下しないのか?」
マスターの言葉に俺は面食らった。
それって…今書いてる、これ?
だってこれは、文章と呼べるシロモノじゃない。

「下手な鉄砲もなんとやらって言うだろ?失敗を恐れるな。結果なんか問題じゃない。」
マスターの言葉には、妙な説得力がある。
それもそうか。まずはこれを投下してみよう。

そのあとは成り行きにまかせる。なに、時間ならあるさ。

END
123創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 20:10:16 ID:cz/62HgU
リアルに何書いていいか迷った感がw
このお題くせものやわぁ
124創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 20:25:27 ID:NReg1Zgu
このマスター、実はダンディーなんじゃね?w
文章一番手お疲れ様でした〜

しかし、お題むずかしいなw
125>>111文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU :2010/10/27(水) 19:05:35 ID:a26GUYkE
当たり前の話だが、初めて入る他人の家というのは緊張する。
「お邪魔しまーす……」
傘を畳みながら、四カ月近く付き合っている彼女がこちらを振り向く。
「何怖がってんですか先輩。誰もいないんだから、萎縮しないで下さい」
乱雑に靴を脱ぎながらフローリングの薄暗い廊下を奥に進んでいくあの彼女、かなり口が悪い。一学年下だから一応敬語を使ってくれてはいるが、敬意は欠片も感じられない。
濡れた傘を傘立てに入れ、学校指定の革靴を脱いだ後に揃えてから彼女に続く。萎縮するなと言う方が無理だろう。こんな場所に連れて来られるとは思ってなかった。
最近出来たばかりの、駅から徒歩4分の場所に建つ高層マンション。庶民に縁のない住居だというのは容易に想像がつく。お嬢様だなんて聞いてない。
きょろきょろしていたら、突然温かみのあるオレンジ色の照明が灯る。ぎょっとして前方を見ると、雨で濡れそぼった彼女が冷ややかな目でこちらを見ていた。
「玄関脇のそれで、電気点くのに」
彼女の視線は、玄関のすぐ横にあるスイッチに投げかけられていた。
「そっちで点けて欲しかったよ……」
「別に私は真っ暗でも平気だし」
こういう自己中心的なところがあるのは、バイトをしているコンビニで彼女と同じシフトになってからすぐに気づいた。
左手の扉を指して彼女は言った。
「そこ、私の部屋です」
「はあ」
「ちょっと洗面所使うんで、勝手にリビング上がってて下さい」
文句なしに整った容姿をしているのに彼氏がいなかったのは、性格的な問題に起因しているのだろう。右手のドアの向こうへ姿を消す彼女を見送ってから、廊下を直進する。
突き当たりのドアの前で足を止める。恐らくこの中がリビングだろう。扉に耳を当ててみようかと一瞬思ったが、すぐに却下した。それはさすがに神経質だ。肩の力を抜こう。
深みのある色をした木製のドアを開ける。
そして神経質にならなかったことを後悔した。リビングには明かりが点いており、室内には人がいた。奥のベランダに通じている硝子戸の向こうには、雨に煙る街がある。
「……どちら様かな?」
明かりの点いた、広々としたリビング。硝子テーブルに沿ってL字型に置かれた、黒革張りのソファに腰掛けていた男性と、正面から視線がぶつかった。かなりの男前だった。
若くはない。が、中年と呼ぶのも微妙な気がする。あまり目立たないが顔には皺があるし、髪にも白い物が混じっているのだが、高く見積もってもせいぜい三十代半ばだろう。
切れ長の目には、理知的でありながらもどこか冷たい輝きが宿っていた。引き結ばれた薄い唇には、品の良さと意思の強さを感じる。暗に人を非難するような表情だ。
126>>111文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU :2010/10/27(水) 19:06:33 ID:a26GUYkE
「――あ」
思考していた停止が活動を再開するまで、たっぷり数秒要した。黒いスラックスに、同じく黒いセーター。部屋着だろうか。にしてはひどく様になっている。
「ええと、お邪魔してます。俺、いや僕は――」
どうでもいいことを考えながら自己紹介と、彼女との関係、またそれに至るまでの経緯について語った。
突然雨が降って来なければ、あるいは彼女が傘を持っていれば、ここに来ることもなかった。見知らぬ男に高校生のありふれた恋愛をかいつまんで説明するようなことも。
「学校帰りにデートですか。どちらの高校に?」
「僕が通っているのは――」
近隣でも指折りの進学校なので、こういう時胸を張って名前を出せる。受験勉強に励んで良かったと思う、数少ない場面だ。
「なるほど。秀才ですね。それにイケメンだ。――じゃなきゃあいつも付き合わないか」
「恐れ入ります。ところで……あなたは?」
この人物が居直り強盗だったりしたら、笑い話にもならない。思えば彼の黒づくめの服装、いかにも盗人っぽく見える。マンションの十二階までどうやって登ってきたのかは謎だが。
「ああ失礼。私は……そうだな。君の彼女の父親、ということになりますね」
「やっぱり……」
小さく声に出してしまった。全体の雰囲気が彼女と似ている。それを聞いた彼女パパは、唇の端を小さく持ち上げた。
「苦労してるようですね。どうもあの娘は、私の悪い部分ばかりを受け継いでしまったようで、妻にはいつも詰られています」
「い、いえ。のびのびした、いいお嬢さんだと思います」
「お気遣いどうも」
またも男は苦笑する。と、後ろのドアが突然開いて、背中に重いきりぶつかった。
「痛いって……」
「邪魔ですよ。何で出入り口の前でぼけっと突っ立ってるんですか――って」
制服から私服に着替えた彼女は、父親の姿を認めて言葉を一度切った。
「なんで親父がいんのよ」
親父。彼女を良く知らない人間がその単語を聞いたら、耳を疑うだろう。何と見た目にそぐわない言葉使いだろう。
「仕事は? 放棄?」
「有給を使った。ほら」
と言った彼女パパが、顎で薄暗い寝室へ繋がっている扉を示した。
「ああ、母さん風邪なんだっけ。しかし親父にまともな看病ができるとも思えないわねー。っていうかそこの戸閉めてあげなさいよ。気が利かないわね」
127>>111文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU :2010/10/27(水) 19:08:16 ID:a26GUYkE
「お前は自分の父親を何だと思ってるんだ」
などと言いながらも、彼女パパは腰を上げて夫人が寝ていると思われる部屋へのドアを閉めた。意外と上背がある。
「陰険な若づくりのおっさんだと思ってる」
「若づくりしなくても若々しいんだよ、俺は。――そうだ、せっかくお客様がいらしたんだから、お茶くらい出さないとな。ゆっくりしていって下さい」
こちらを見つめた彼は、微笑を浮かべながら奥のキッチンに向かってしまった。鞄をソファのそばに置き、浅く掛ける。
さっさとこの家を出たいが、断れそうな雰囲気でもない。一種の嫌がらせだろうか。だとしたらやはり陰険だ。隣に座ってきた彼女に小さく言った。
「とりあえず俺、この場を退散したいんだけど」
「私はお茶飲みたい。雨の中歩いたせいで、身体冷えてるの」
こんな時でも彼女は他人の気持ちを斟酌しない。どこまでもマイペースだ。
目の前のガラステーブルに視線を落とす。ビジネス文書と思しき書類の束が、無造作に置かれていた。少し興味が湧いたが、勝手に閲覧してはまずいだろう。
「お父さん、どんな仕事をしてるの」
「どっかの会社の工学部門って言ってたけど」
アバウトな回答だ。とりあえず書類の雰囲気からして、研究職だろうか。食器の場所を把握していないらしく、父親は病人のいる寝室まで見に行ってしまった。
「緑茶でいいかな?」
キッチンのすぐそばの食器棚に気づき、ぱっと表情の晴れた父親が、明るい声で言った。きっと彼女の母親は、今日も自分で昼食を作ったのだろう。あの父親に家事は無理だ。
「っていうか私それしか飲まないし」
急須と湯呑みを出しながら彼女の父は返す。
「お前に訊いてない。彼氏さんに尋ねたんだ」
俺か。
「何でも構いませんよ」
まず頼んだ物が出てくるのかどうかも定かではないが。
「助かった。これしか淹れられないんですよ、私」
あまりじろじろ見るのも失礼なので、彼女と会話をすることにした。
「こんなにいい家に住んでるんだから、お小遣いとかもらえるんじゃないの?」
彼女は顔をしかめる。
「それが全然。自分で稼がないと金銭感覚が養えないからって。まあそう言ったのはあの親父じゃなくて母さんの方だけど」
その教育方針がなければ、彼女と会うこともなかっただろう。
「そういえば、あのお父さんって何歳なの。かなり若く見えるけど……」
128>>111文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU :2010/10/27(水) 19:09:33 ID:a26GUYkE
「もう四十一ですよ、あれ」
「十歳サバを読んでもいけそうだけど」
二十代後半と言っても通用しそうだ。
「精神年齢が低いから、見た目も成長しないんですよ、きっと。この前だって、会社の受付嬢にデート誘われたって自慢するような男だから」
「女にまるで相手にされないような冴えない父親よりはいいだろう」
盆の上に湯呑みと煎餅の入っている皿を乗せた父親が戻ってきた。書類の束を肘でテーブルから落としながら、彼は続ける。
「そこの彼氏だって、相当女子に人気ありそうだけどな」
こちらを見た彼女の視線が、すっと絞られる。こういう時は危ない。下手なことを言うと、しばらく口を聞いてもらえなくなるのだ。
「そんなことはありませんよ」
「どうだか。この前ゲーセンで声掛けてきた女と、ずいぶん楽しそうに喋ってましたけど」
「何回も言ってるけど、あの人はただの同級生だって」
何も今蒸し返すこともないだろうに。親父殿の不用意な発言で、彼女は一気に不機嫌になってしまった。余計なことをしてくれる。
「粗茶ですが」
こちらの苛立ちなどどこ吹く風といった表情で、彼は湯呑みを並べていく。
「あんまおいしくないわね」
「単なる先入観だ。誰が淹れたって茶の味なんて大して変わらないはずだ」
申し訳程度に緑茶に口をつける。熱すぎるので猫舌にはきつい。それにかなり薄い。急須に淹れて即座に湯呑みに注いだのかもしれない。
「ところで親父、何で当然のような顔してソファに座ってんの?」
「いや、初めて娘が連れてきた彼氏がどういう人物なのか、少し興味があってね」
「母さんのそばにいてあげなさいよ」
「うつるからあまり入ってこないでって言うんだ。隣室で待機するしかないだろう」
彼女は茶を呷り、ぐったりと上体をソファの背もたれに預けた。
「じゃあ二人で喋ってなさいよ」
「言われなくてもそのつもりだ」
そう言った父親と、とりとめもない会話が始まった。中学時代のこと、現在の学校生活のこと、来年受検する予定の大学についてのこと、などなど。
「結構遠いね。その大学に受かったら、家を出るのかい?」
「いえ。自宅から通学するつもりです」
「往復で結構かかるでしょう。遊ぶ時間が減るから、あまりお勧めしない」
「遊びに大学に行くつもりではないので」
「真面目だね。娘にも見習ってもらいたい」
二十分近くそんな話を続けて、ふと思う。何でこんなことになってるんだ、俺?
129>>111文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU :2010/10/27(水) 19:10:47 ID:a26GUYkE
無言のままの彼女に助け船を求めようとした。
が、彼女は規則的にトレーナーの胸を上下させて、既に安らかな寝息を立てていた。長い睫毛に縁取られた瞼は、ぴたりと閉じている。
疲れてたのか。そういえば今日は、いつも以上に声に張りがなかった気がする。
「可愛いでしょう」
父親に言われ、彼女の寝顔から視線を引き剥がす。
「昔は私によく懐いてたんですけどね。中学に上がる前後には、もうこんな感じになってしまいました」
「はあ」
「ところで今日は、どうしてこの家に?」
まだ話していなかったか。
「授業が終わって彼女と落ち合ったんですけど、突然雨が降ってきてしまって。彼女、早くどこか屋根のあるところに行きたいと言い出し始めて。僕の傘に入りたがらないし」
ゲームセンターもレストランも気分ではない、というのが彼女の主張だった。まさか家に来いと言われるとは思わなかったが。
「せっかくの機会だ。相合傘でもすればいいのに」
「そういうべたべたした感じの付き合いが嫌いみたいなんですよ、この人」
「へえ」
興味深そうに話を聞いている。娘の恋愛事情など聞くのは初めてなのかもしれない。
「その割に家に招待するあたり、こいつらしい気もするな」
そこまで言った父親は、娘からこちらに視線を移し、目を細めた。
「で、下心を胸に秘めながら、無人と信じていた我が家の敷居を跨いだわけだ」
それを聞いて思う。本当に良く似た親子だ。不機嫌な時、彼女は良くあんな表情になる。
「そんな短絡的じゃないですよ」
それこそこちらの気分ではない。
「気分じゃない、か。中々大人びてるね。いや、若さがないというより、単に遊び慣れしてる印象を受ける」
口調はこれまでと同じなのに、明らかに不快そうにしている雰囲気が伝わってくる。湯呑みを空にすると、溜息を吐いて父親は言った。
「全く、カルチャーショックもいいところだ。一気に三、四歳老けた気がする。こんな状況に直面するのは、もう少し先だと思ってた」
「後半に関しては同感です。立場は違いますけど」
窓の外を一瞬、稲光が塗りつぶした。十秒近く経ってから、小さな落雷の音。落ちたのはかなり遠くだろう。
「率直に言うと、君が憎たらしい」
父親は低い声を発した。
130>>111文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU :2010/10/27(水) 19:11:52 ID:a26GUYkE
「これでも父親だ。一人娘のことは目に入れても痛くないと思ってる。ここが法治国家じゃなかったら、君をたこ殴りにして、そこのベランダから放り捨てている」
冗談に聞こえない。
「君から交際を申し込んだそうだね」
彼は、こちらがさっき言ったことを憶えていた。
「ええ」
「娘のどこが気に入ったんだ」
「難しい質問ですね」
「答えてもらうよ。君には説明する義務がある。『何となく』で娘にちょっかいを出されているのだとしたら、親としては辛抱ならない」
リビングに沈黙が訪れる。ワイドテレビやDVDデッキ、硝子テーブル、続き部屋のキッチン、冷蔵庫、食事用テーブル、そこに収まった四脚の椅子。あちこち視線が彷徨う。
ただ一人、父親だけを避けて。
この感情を言葉に変換しようと思ったことがない。そもそも変換できる気がしない。仮に向こうが納得しても、それは誤解だと、俺自身が訂正しそうな気がする。
「……すいません。どれだけ考えても、他人にこの気持ちは伝達できそうにありません」
呟きが消えると、また無言の時間がやってきた。父親はこちらから一瞬たりとも目を逸らさない。まだ俺が何か言うのを待っているのか。
突如、部屋に白光が差し込んだ。さっきと比較にならない光量。一秒と経たずに、轟音が耳に到達した。
「……ん?」
隣で眠っていた彼女が目を覚ます。こちらと父親を見比べた彼女は、どちらともなく尋ねた。
「喧嘩してんの?」
お前を巡ってな、という言葉はどうにか飲み込む。
「まさか」
腹立たしいまでにおどけた調子で、父親が否定した。
「男同士、色々と語り合ってたところだ。ね」
「ええ、まあ……」
「すごい雨だけど、先輩、帰りはどうします。うちの車で送ってあげてもいいけど」
どうせ運転手はこの親父さんだろう。車中で何を言われるか判ったものではない。
「歩いて帰るよ。傘ならあるし、ここからなら駅も近いし。じゃあ、そういうことで」
足元の鞄を持って腰を上げると、彼女は意外そうな顔をした。
「もう帰るんですか?」
「うん。そっちもなんか疲れてるみたいだし」
「なら私が送ろう」
131>>111文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU :2010/10/27(水) 19:15:13 ID:a26GUYkE
父親が言った。慌てて辞退を申し入れる。
「いえ、お気遣いなく」
「遠慮するな。君が風邪でも引いたら、俺が娘に嫌味を言われちまうんだ」
無言で寝室に入って行った父親は、車のキーを片手にすぐ戻ってきた。
「なんかすいません、先輩。今度埋め合わせしますから」
珍しく頭を下げている彼女に言う。
「いや、いい勉強になったよ。お父さんが話相手になってくれたおかげで、興味深い話が聞けた」
「嬉しいこと言ってくれるね。娘の彼氏と話すのなんて初めてだから、少し不安だったよ」
鍵を掌で弄びながら、父親が言った。
「それじゃあ行こうか。未来の息子よ」
彼は玄関のドアを開けて、こちらを待っている。傘を片手に外へ出ると、父親は囁いた。
「あんなんじゃ納得できないな」
廊下のエレベーターに向かって歩を進めながら返す。
「はい?」
「娘に惹かれた理由だ。当人同士でだけ満足してもらっても困る。あくまで親としての意見だが」
「なら爽やかな弁舌で彼女への愛を語りつくせば、納得しましたか」
「そんな安っぽく自分たちの恋愛を語るような奴は無言で張り倒す」
「それじゃあどうしようもありませんね」
「そう――どうしようもないんだ」
上がってきたケージに一緒に乗り込む。地下駐車場のあるB1ボタンを押した父親は、短く独白した。
「結局のところ、誰が来たって俺は認めないんだろうな」
自分の倍以上の人生を送っている、その一児の父親に掛けるべき言葉を何も思いつけないまま、エレベーターの扉が開いた。
「……とまあ、人間幾つになっても悩みは尽きないわけだ」
薄暗い地下駐車場に、二人分の靴音が響く。
「大いに悩んでくれ。何の因果か今日はこんなことになったが、できれば君とは二度と会いたくないもんだ」
「こっちはまた会うつもりですよ」
前方を歩いていた男の足がぴたりと止まったが、気にせず続ける。
「喧嘩腰の父親なんて気にならないくらいには、彼女のこと好きですから。俺」
「……なるほど」
左ハンドルの赤い車に乗り込んだ男が、窓から顔を出す。
「そのふてぶてしさは嫌いじゃない。次に君が家に来るまでに、ムエタイでも習っておこう」
「楽しみです」
助手席に座り込みドアを閉めた途端、一児の父が運転する車は急発進した。
132創る名無しに見る名無し:2010/10/27(水) 19:16:58 ID:a26GUYkE
おわりです
133創る名無しに見る名無し:2010/10/27(水) 21:39:07 ID:EOChHwR7
>>115
確かにダンディだけどw
格好良くは(ry

>>122
お題を扱いかねたのはよく分かったw

>>125-131
パパなかなか茶目っ気があってナイスだなw
134創る名無しに見る名無し:2010/10/28(木) 02:39:56 ID:Pl2bkJm0
圧倒的乙!
この調子で投下増えれば良いんだが…
135「ある秋の夜に」1/7 ◆LV2BMtMVK6 :2010/10/31(日) 19:08:54 ID:R3zqHXpc
彼と出会ったのはもう一年以上は前になるだろう。

 それは雨の降りしきる寒い秋の日のことで、私は通りに面した本屋に佇んでいた。
たまたま外出せざるを得なかったのだが、用を済ませてみれば特に目的もなく、
買う当てもなく本屋の軒先をくぐったのである。
季節はいかにも侘しく、畳んだ傘の先からは水滴が、いかにも所在なさげな風情で落ちていく。
青白い蛍光灯の明るさがなんだか暖かく感じられたのは、外の重く垂れ込めた寒々しい空気のせいに相違なかった。
私は窓際へ寄って立ち読みをするような素振りでいたが、開かれたページには大して注意を払っていなかった。
その本は現代科学では考えられないような――つまり怪奇的な――趣向が随所に見られるような本で、
確かに幾分の好奇心をくすぐるべくして書かれていたようだったが、特に興味を惹かれたというのでもない。
偶然開いているスペースに陳列されていたに過ぎず、言葉は悪いが期待して手に取ったわけでもなかった。
折りしも店へ客が入ってきて、顔を上げる。
本屋の中には雨宿りの客がちらほら見えたが、活気はなかった。
それはひとえに気候のせいであったかもしれない。
帰れば暗く寒い部屋が待っている。
そしてこの雨――!
ともかく私は本へ目を戻そうとした。
錬金術を扱ったページを繰る手が、ふと止まった。
136「ある秋の夜に」2/7 ◆LV2BMtMVK6 :2010/10/31(日) 19:09:43 ID:R3zqHXpc

もちろん、本の内容に目を留めた、というのではない。
私の視線は、店先に滴り落ちる雨だれの先、一つのシルエットに注がれていた。
その男の姿に、私は確かに見覚えがあった。
しかし、どこで会ったのだったか。
仕事で?違う。
生活に関わる人々を思いうかべるが、答えは見つからなかった。
しかし、私の内奥の何かが反応していたのだ。
あるいは親戚か何かであろう、行く先を見れば思い出すに違いない。
その思いつきは、こんな本を眺めているよりずっと強く心を揺さぶった。
早々にオカルト本を戻し、店を出る。
「ありがとうございました――」
追いかけてきた声は空しく響くと雨だれに絡んで落ち、側溝へと流れていった。
137「ある秋の夜に」3/7 ◆LV2BMtMVK6 :2010/10/31(日) 19:10:34 ID:R3zqHXpc
十数分の後、私は悄然として帰途についた。
見失ったのだ。
人ごみにまぎれたわけでもなく、路地が入り組んでいたのでもない。
既に街灯には灯りが点り、靴の下では水分を十分に含んだ芝がぴちゃりぴちゃりと音を立てた。
釈然としなかったが、これ以上好き好んで戸外にいる必要はなかった。
しかし、あれは誰であろう。
外出の疲れもあり、そろそろ空腹を覚え始めていた。
つい先ほど閉じたページに同じ人物の肖像があったことなど、思い出す由もなかった…………。
「こんばんは」
声に思わずびくりとする。
私は背後へ振り返った。

それが彼――名は無数にあるのだが――錬金術師との出会いだった。
138「ある秋の夜に」4/7 ◆LV2BMtMVK6 :2010/10/31(日) 19:11:27 ID:R3zqHXpc
私は混乱していた。
彼を前にして、なおその名を思い出せなかったからである。
彼が口を開いた。
「失礼だが、何か御用がおありかな?」
答える術はなかった。
声は続けた。
「失礼、我輩は身辺と幼女には気を使っているのでね。先ほどから尾行しておられたように思ったが」
シンペン、ビコウ、ヨウジョと聞きなれない言葉の意味を考える間はなかった。
「よろしければ、お力をお借りできないだろうか」
その言葉に我に返る。
簡単に説明できることだ。
私たちは近くにあるファミリーレストランへ入った。
139「ある秋の夜に」5/7 ◆LV2BMtMVK6 :2010/10/31(日) 19:12:22 ID:R3zqHXpc
暖かい明かりの中に見る彼の服装は、少し古風な、しかしセンスはよいものだった。
私は説明に移った。
「……というわけなのです。どこかでお会いしたことがあるのかな、と」
「我輩にはついぞ見えた記憶などないが……しかし、代は移り代は変わる」
片めがねの縁がじわりと反射する。
意味深長な笑みの意味は測りかねた。
そんなことよりハンバーグセットのほうが先だ。和食セット大盛りだ。
「ところで、力を貸してくれ、と申した件だが」
彼の丁寧な言葉遣いによれば、この国を訪れたばかりらしい。
旧来の因縁の宿敵のあとを追っている、という出来の悪いファンタジーのような説明を聞いて反応に困る。
今は21世紀なのだ。
なんでも敵は少女の姿をしていて、非常な長寿を誇るらしい。
空樹スカイツリーが建つ時代にそんなことがあってたまるものだろうか。
おまけに彼は錬金術師なのだという。
それを聞いて私は先刻の見覚えが腑に落ちたが、このご時勢に、錬金術師。
妄想に駆られてどこかの病院から逃げてきたのではないだろうか。
しかし、彼の服装がその考えを押しとどめた。
19世紀の洒落人と言われても通るようなその姿には、幾分の説得力が確かにあった。
「……滞在先に難儀している」
しまった、話を聞いていなかった。滞在先に……つまり無宿人なのか。
「ついてはご厚情にすがりたく」
要するに泊めてくれ、ということか。
140「ある秋の夜に」5/7 ◆LV2BMtMVK6 :2010/10/31(日) 19:13:15 ID:R3zqHXpc
狭い部屋に、二人の男の姿がある。
「貴殿を認めた我輩の目に狂いはなかった」
彼は向こうを向いて何か言っている。
手元には私の本棚から引き出した雑誌と思しきものが何冊かあって、
「える、おー、とな……」
どういう内容のものかは想像がついた。
錬金術師、という職業(それが21世紀の職業であるのならば、だが……)に携わっている人間とも見えないが、
彼の目的は賢者の石を持て幼女を不老不死化、及びその美の固定化を図ることにあり、
既に二百年以上遡った過去、それに成功しているのだ。
真偽のほどはともかく。
最初の被験者が彼の言うところの「宿敵」らしい。
狭いとはいえ人を泊められないこともないし、つまらない日々、
ちょっと変わったことがあっても良かろう。
こうして奇妙な合宿は始まったのだった。
141「ある秋の夜に」7/7 ◆LV2BMtMVK6 :2010/10/31(日) 19:15:09 ID:R3zqHXpc
しかし、しばらくして私は後悔することになる。
彼が「索敵」に出て戻らなかったある日の朝のこと、地方新聞の面に目をやった私は文字通り仰天した。
そこには見覚えのあるあの姿があった。
見出しが躍っている。

「最近増加の声かけ事案解決へ!」
「女子児童に不審者の手、通報は主婦」
詳しく記事を読む気には……ならなかった。
確かに彼は紳士だったのだ。




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 (   )ゝ無茶しやがって… ..........
  i⌒ / .. ..... ................... .. . ...
  三 |  ... ............. ........... . .....
 ∪ ∪ ............. ............. .. ........ ...
  三三
 三三 
142 ◆LV2BMtMVK6 :2010/10/31(日) 19:16:16 ID:R3zqHXpc
以上、終了です。
143創る名無しに見る名無し:2010/11/01(月) 01:23:23 ID:HtYyYnIS
表表紙より裏表紙の方が恥ずかしい雑誌ですか。
144創る名無しに見る名無し:2010/11/01(月) 06:49:02 ID:moaXVPY9
6/7投下してくれ〜
145創る名無しに見る名無し:2010/11/01(月) 06:51:23 ID:moaXVPY9
すまん、勘違いしたんず。
面白かったよ投下お疲れ様〜
146わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/11/06(土) 21:08:52 ID:hr86F1BY
「カッコいい」おじさま。とは自分の中ではこーらしい。
これでいいのかな。
147電車 ◆TC02kfS2Q2 :2010/11/06(土) 21:10:47 ID:hr86F1BY
「父は、いません」
幼さの残る来訪者に雪子は困惑していた。
制服を着ているというより、着させられている印象が強い来訪者。カーディガンの袖から指先だけが見える。
細い脚でここまでやって来た。彼女は訪問先で雪子から同じ言葉を繰り返し聞くことには、既に慣れっこになっている。
「梢さんの心遣いは有り難いのですが」
「きょうで最後にしますから。それから、穂坂さんって呼んで下さい。苗字で」
深くお辞儀をする姿を見た雪子は梢に我が家の敷居を跨ぐことを許し得るしかなかった。

年の離れた妹のように使うことのない気を使いながら、雪子は梢を応接間へと案内する。
ぎしぎしと廊下が軋み、まるで梢の訪問を拒むかのよう。しかし、梢はそれを受け止める気配がまったくない。
「どうぞ」と慣れた口調で梢を応接間に案内すると、梢はメガネのつるを摘んでかけ直す。
水屋にはグラスが並び、本棚には昭和をにおわせる蔵書が幅を利かせる。数々のトロフィは光沢を失わず、部屋の壁紙の趣味も品が良い。
「何度目でしたっけ」と、雪子の声を聞きながら梢は既に見慣れた応接間を見渡していた。
「失礼します」
深々と慇懃にお辞儀する梢の姿が雪子の淡い瞳に焼きつく。梢につられて雪子も腰を掛けた。
やや遠慮がちに梢はチェックのスカートを押さえてソファーに座り、ガラスのテーブル越しに梢の揃った白い脚が雪子の目に飛び込む。
膝小僧がまだ、初々しい。

「この部屋のものは、お父さまのものですか」
「はい」
沈黙が合間を挟んだ。
「梢さん、お茶でも入れましょうか」
「はい」
その場から立ち去る言い訳のように、雪子は応接間の戸を開ける。梢は雪子を目線で追いかけていた。
一人、梢だけが応接間に取り残される。応接間にひしめく数々のものと共に。

本棚を見れば人となりが見えるという。この言葉を裏切ることない部屋を梢はゆっくりと見渡した。
自分の思い描いていた通り。言葉は梢を裏切ることはなかった。そのうち、雪子がお盆に湯飲みを乗せて
梢が一人で待つ応接間へと戻ってきた。癖なのか、梢は再びメガネのつるを掴んでいた。
そして、雪子に敬意を払うと同時に部屋の持ち主の印象を述べはじめる。あくまでも、梢目線なのだが。素直で率直で捻くれも無く。

「雪子さんのお父さまは立派な方です」
「父も喜ぶでしょうね。こんなお嬢さんに立派だなんて声をかけられたら」
「わたしは度々、雪子さんのお父さまにお会いしていたのです。ええ、もちろん不健全な出会いではなく」
自信に満ちた梢の瞳に吸い込まれるのではないかと、雪子は背筋を凍らす。
雪子と梢の間には、凍てつく川のように流れがなかった。固まって、そして冷たくて。
氷を削るように話し出す、梢が湯飲みを両手に納めながら。
「通学途中の電車の中でよくお目にかかっていたのです」
「父と、ですか」
「ええ」
148電車 ◆TC02kfS2Q2 :2010/11/06(土) 21:12:56 ID:hr86F1BY
見えない鎖で体が締め付けられている。雪子はこの場から逃げ去りたいと思っていたが、そんなことは許されない。
縛られた雪子が纏う衣の袖を弓矢で射抜くが如く、梢の言葉が彼女の動きを封じ込めた。無理に逃げると、今度は矢で傷つけられるかも。
「一瞬の出来事でした、あれは。でも、雪子さんはご存知ですよね」
緑茶を口に付けると、梢の二の句が続く。
「恐ろしい出来事は、どんなに短くても長く感じることを」
梢に習って、雪子も緑茶に口を付ける。こうして、自分の心情をごまかせばよい。
だが、梢の言葉は誰よりも冷徹で慈悲がなかった。再び二つ目の矢が雪子の袖を狙って飛んでくる。
「わたしは雪子さんほど長く生きていませんが、あのときは雪子さんが感じた恐ろしい出来事よりもはるかに恐ろしいと感じた自信があります」

あの日以来、梢と雪子の父・宗太郎との関係が、ただの乗客から違う意味の関係になってしまった。
いつもの朝の、いつもの車両。梢は車内扉のそばの握り棒により掛かり、宗太郎は遠くのつり革に掴まっていた。
ローカル私鉄だからか、そんなに乗客は多くない。余裕で新聞を読む広さもあるが、誰もそれをしなかった。
宗太郎の頭は他の客より一つ抜き出て、つり革を持つ手もやや困っている様子でもある。
梢は梢で毎日見るこの紳士の声を想像する。思い描いていた声ならば、それとも違ったものか。確かめる術はないが、梢の密かな楽しみだった。
電車はホームにゆっくりと滑り込み、扉を一斉に開ける。ぱらぱらと電車に乗る客、そそくさと降りる客。
その風景を梢はメガネのつるをつかみながら眺める日々を送っていた。ハトがホームから電線へと飛び移る。
149電車 ◆TC02kfS2Q2 :2010/11/06(土) 21:14:10 ID:hr86F1BY
「駆け込み乗車はお止めください」
事務的なアナウンスが響く中、ホームから駆け込んでくる青年の影。
電車が走りだす素振りを見せないのに、青年の顔は鬼のようだった。
袈裟懸けにしたバッグを揺らしながら、梢のいる入り口目掛けて走りだす。
バッグから青白く光るもの。鈍く、妖しく、美しく。梢は反射的にそれを見てしゃがみこんだ。
傷付けるためだけの研がれたナイフ。青年に握られて、梢の喉元を目掛けて風を切る。

「あぶないっ」
梢の目の前を遮る。その姿、梢に見覚えあり。青年は顔を曇らせる。
何故なら青年が強く握り締めていたナイフが、梢の前に飛び出した者の胸を深く傷つけていたからだ。
ワイシャツにバラの花を差している訳ではないのに紅くぽつんと。じわじわと白い生地に広がる血痕。
そして宗太郎の口からどす黒い血が。肺が痛む。思ったよりも傷が深い。青年の顔が更に曇る。
車内にしゃがみ込んだままの梢のスカートが捲れても気にはしない。それどころではないから。
何も出来ないホームの青年の方へと宗太郎は降りる予定ではなかった駅で、崩れるように降りて倒れた。
青白い刃物は赤く染まり、紳士を嘲笑うかのように血を滴らせる。つんと血腥い匂いが人の群れを退ける。

ざわつく駅構内。
逃げるハト。
目を伏せる少女。
携帯電話を操る少年。
乱れる人を仕切りだす中年男性。
跪く若い女性。
誰もがそれぞれの行為で、その事件の反応を示す事実。
決してそれは、不自然ではなく、当たり前で。
「きゃああああ!」
梢の乾いた叫び声もまたしかり。

初めて梢が宗太郎の声を耳にした日でもあり、宗太郎の姿を見るのが最後の日でもあった。
青年は死神に魂を奪われたように、その場に固まり生きる証拠を見せようとはしなかった。
「ですよね。だって、目の前で人が死んじゃうんだから」
「梢さん」
「穂坂さんって呼んでください。苗字で」
忘れたくない出来事ほど、梢の脳裏に刻み込まれ、嫌というほど傷に塩を塗られる。
これで、終わりにするんだ。終わりなんだ。と、梢は反芻していた。
150電車 ◆TC02kfS2Q2 :2010/11/06(土) 21:18:12 ID:hr86F1BY
実行犯の青年の供述では「とにかく、いちばん狙い易そうなヤツにしようと思った。真っ先に目に入ったのが女の子だった」と語る。
この国は法治国家。法律の裁きが全て。とやかく人から言われる筋合いはないと、六法全書が知ったかな口を利く。
裁判長は神。判例は神話。人が神になることを国が認めるなんて、おかしい話ではないのだろうか。梢は悩む。
「いまごろ、犯人は天から、人からの裁きを受けてしかるべき償いをしているんでしょうね。この国が確かなら」
「ええ」
「ただ、それではあまりにもわたしたちが報われないんじゃないでしょうか」
湯のみの音が応接間に響く。梢が湯のみをテーブルに置いたのだ。
今だに収まらぬ梢の湯のみの緑茶の波は、雪子の鼓動と共鳴していた。

「あんな立派な人が刺されてしまうなんて、わたしには理解が出来ないんですよ」
「そう申されても、困ります」
「ですよねえ。でも、わたしはあなたにわたしの話を聞いていただけるだけで救われるのです。
だから、わたしがここに来るのをきょうでおしまいにしたいのです。ねえ、お分かりですか」
梢はメガネのつるをつまんで、声のトーンを落としていた。
雪子は雪子で、自宅で無い居心地に心もとない不安を感じずにいられなかった。

あの日以来、梢と雪子の父・宗太郎との関係が、ただの乗客から違う意味の関係になってしまった。
誰のせい。
誰のせい。
誰かのせいにしなければ、梢は気持ちを整理できない。
わたし。紳士。青年。それとも。

一番簡単なのは、自分のせいにすることだ。
「わたしが刺されればよかったのです」
これ以上にない感情を忘れた声で梢は続けた。
「あなたの弟さんに」


おしまい。
151わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/11/06(土) 21:19:18 ID:hr86F1BY
これでいいのかな。おじさま。
投下終了。
152創る名無しに見る名無し:2010/11/06(土) 23:48:12 ID:2LO5oPt5
>>135-141
ダンディっていってこいつを出してくるかwww
こいつ……正しい!

>>147-150
梢さん怖いです
法廷の判決は復讐の感情を満たしてはくれんわな
153創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 18:48:17 ID:nbpk82SM
まだまだ「カッコいいダンディなおじさま」作品募集age
154創る名無しに見る名無し:2010/11/14(日) 03:50:52 ID:FnbXGmhK
ラジオ聞いてて思ったんだけど>>115の絵はなかったことにしてくだされ
あれはほんの出来心やったんや、ただ投下一番のりしたかっただけで……
あんなもんで投票どうしようとか悩まれると心が痛いw
155創る名無しに見る名無し:2010/11/14(日) 03:55:57 ID:HT2JJxEE
なおさら>>115に入れたくなったぜ……ヒャッハァー!
156開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:35:58 ID:JmvBrD64
 誰かが言った。男はダンディでなければならぬ、と。 
 誰かが問うた。では、ダンディとは何ぞや、と。
 誰かが答えた。その問いの答えは、男の中の男を決めれば自ずとわかる、と。
 そうして"闘い"は、馬鹿馬鹿しくも真剣で、愚かしくも輝かしい"闘い"は始まった――
 カッコいい、ダンディーなおじさま選手権試合。通称、KDO選手権。
 ダンディとは、即ち強さである。故に、最強である事こそがダンディである事の証左となる。
 なれば、最強の者が体現する生き様こそ、ダンディと定義するに足る物である。
 これは、その第三十一回大会における、一人の参加者の物語――

        ★      ★

「せぁっ!」

 気合の声と共に放たれる攻撃を、男はもろに食らった。
 それまでしっかりと前を、つまりは声の主を見据えていたはずの瞳が、くるりと
白く剥かれ、ヒゲをたくわえたダンディと言えなくも無い顔は驚きと衝撃に歪み、
その大きな身体はドスン、と音を立てて倒れ伏した。
 そして、倒れ伏した男の向こうに、その一撃を放った小さな影がみえた。
 その影は、端的に言って小さかった。
 倒れ伏した男の向こうに見えたその童顔も含め、誰もが、まるで少女のようだと、
そう思っただろう。
 そして実際その通りだった。
 短く整えた髪を二つに結び、勝気な瞳をした、背丈の小さい男の子。そう言えば、
確かにそうとも見えたかもしれないが、さにあらず、彼女は歴とした女の子であり、
道着の胸元のわずかな膨らみが、その事実を観客にも理解させていた。
 彼女の名は、天玄院小花(てんげんいん しょうか)。
 このKDO選手権始まって以来初の、女性参加者であった。

「……ったく、こんなムサイ大会、ちゃんと女は出られねえって決めとけよなぁ……」

 言葉遣いは男のようだったが、その声音の高さも含めて、やはり彼女は女であると、
そう観客が理解した頃には、既に彼女は踵を返していた。
 汗一つかかずに、彼女は控え室へともどっていく。
 対戦相手を一撃で蹴倒したのだから、それも当然だった。

「だいたい、これオレが出る必要あんのか? 師匠でもいいんじゃねえの……?」

 KDO選手権は、その名に反して大会規定に性別の条件は無い。ダンディとは
何ぞやを問うにあたって、もしかしたら女性こそがその真髄を知るやも知れぬ、との
事で門戸は開かれていたのだという。
 だが、その名もあってか、あるいは女性たちがムサ苦しい男たちと戦う事に嫌悪感を
覚えてか、理由は定かではないが、第三十一回大会に至る今回まで、女性参加者は
存在しなかった。
 では、そんな大会になぜ彼女が、小花が出場しているのかと言えば――

「まあ、でも……師匠弱ええからなぁ……オレがやんなきゃ、優勝賞金もゲットできねえか」

 ――それは、大会の優勝賞金、一千万円を獲得する為だった。
 第三十回を記念して、昨年の大会から副賞としてつけられるようになった賞金。
 よくある話ではあるが、小花の所属する道場――先祖代々の道場で、その名も彼女の
苗字と同じ、天玄院流徒手空拳術道場という――は、かねてからの少子化の煽りを
受け――と彼女の師匠は言っていたが、実際には彼女の師匠がよわっちいからだと、
小花は思っている――経営難に直面していた。今や道場には、直系の直弟子である
小花しか生徒はおらず、道場を差し押さえられてしまうまであと僅か、といった具合であった。
 それ故に、彼女はこの大会に出場しているのだった。
 ……正確に言えば、出場させられているのだが。

「つええ奴と戦えんなら、出る意味もあるってもんだけど……なぁ」

 一回戦の相手は、図体がでかいだけだった。そう小花は思っていた。
157開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:37:42 ID:JmvBrD64
 彼女が様子見に、得意技である後ろ飛び上段回し蹴りを放ったら、それを呆気無く
喰らって、一撃で失神するような素人だったと。
 だが、実際には小花の一回戦の相手は、プロのキックボクサーであり、地上波放送
をやっている某団体にも出場した事のある、有名な選手だった。尚、小花はテレビなどを
ほとんど見ないタイプなので、その選手の事は全く知らなかったのだが。
 そんな一流選手相手に、どうして小花の一撃は決まり、尚且つその一撃で相手が
失神するような事になったのか。まずはそれを説明せねばなるまいが、紙面の都合上
『天玄院流とは、そういうものである』という事でここは一つ納得いただきたい。
あとはまあ……『男は皆ロリコンだから、油断してた』的な感じで。え? 異論が
ある? 知るかそんなもん!
 そうして控え室への帰り道を、のんびりと歩いていく小花だったが、そんな彼女の
身に、一つの異変が起こりつつあった。

「しっかし……なんかさっきから、体中がピリピリしやがるな……」

 まるで、小さな小さな、爪楊枝よりも小さな針で、全身をちまちまと突っつかれて
いるような感触を、彼女は全身に感じていた。
 彼女は知らない。それが、会場から、あるいはカメラを通して自らに注がれる、
日本中からの視線である事を。突如現れた小さなスターに、日本中が注目し始めた事を。

        ★      ★

 KDO選手権は、一週間かけて、決勝までの全五回戦を消化していく。
 七日間の間に、決勝まで、シード以外の選手は最大で五試合を戦わなくてはならない
という事になる。当然、小花も決勝に残る為には四試合に勝たなくてはいけないわけ
だが――端的に言って、小花は楽々とその三試合目までを勝ち上がった。
 そして迎えた四試合目――準決勝で、路上の闘いでは無敵と称された喧嘩屋と向き合った
時には、彼女は既に日本中でその名を知られる存在となっていた。
 決して大きくは無い――というか、ぶっちゃけ小さい――体躯。吊目がちだが、どこかの
子役かと思う程に整った容貌。そんな姿であるにも関わらず、頭二つ三つは大きな男を、
時には拳で、時には足で薙ぎ倒していく、その強さ。
 試合時間が二分を経過した時だった。
 男の繰り出す、ラフな攻撃をかいくぐり、小花は足払いを繰り出す。
 攻撃を放ったばかりの男は、その足払いを避けきれず、態勢を崩した。
 だが、身を沈めて足払いを放ったが故に、同じく態勢を崩していたはずの小花は、
既にその身を起こしていた。小さな体躯と、その身体の中に詰まったバネを利し、
まるで身を沈める時の動きを逆再生でもしたかのように、片手だけで身体を直立の
態勢にまで立て直したのだ。
 それを視界の端で確認した喧嘩屋の男は、その表情を驚愕に歪めた。
 本来、闘いとは……特に喧嘩とは、有利な態勢の取り合いであると言っていい。
リーチに差があるならば、相手の届かない距離からパンチを、蹴りを打ち込む事が
できる。逆にこちらのリーチが短いならば、相手の懐に潜り込めば、相手の距離を
つぶし、近距離で打ち合う事ができる。そうなれば、支点と力点の関係上、リーチ
の短さを逆に活かす事ができる。
 あるいは、どちらであっても、相手の背を地につけ固定し、馬乗りになって殴る
事ができるなら、一方的な攻撃ができる。
 有利な態勢。間合いと言ってもいいだろう。その奪い合いこそが、闘いの肝だ。
 だが、その奪い合いには、当然ながら相応のリスクが伴う。相手の態勢を崩す
為の行動は、同じく自分の態勢を崩す事にも繋がりかねない。例えば、先ほど
小花が放った足払いがそうだ。身を沈め、相手の足を払う攻撃は、不意をつかれれば
かわす事は難しい。だが、その為には自らの身を沈める――自ら態勢を崩す必要が
あるのだ。もしもかわされれば、一方的に不利になるし、仮にかわされずとも、
自らの態勢も崩れているが故に、そこまでの利を得る事は叶わない。
 本来ならば。

「なん……だと……」

 呟いた男の声は、果たして声になっただろうか。
 男が路上最強と謳われたその理由は、間合いを制する事が得意だったからだ。
時には背を向けての戦略的撤退をする事すら厭わずに、相手の間合いを把握し、
158開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:38:46 ID:JmvBrD64
それを制する嗅覚に長けていたからだ。そして、一時的に相手に奪われた間合いを
回復する事にも。
 だから、態勢を崩された所で、すぐに踏みとどまり、相手と同時に、あるいは
相手よりも早く態勢を立て直す自信はあった。これまでの喧嘩では、そうやって
勝ってきたのだから。
 だが、踏みとどまるよりも先に放たれる攻撃を、どうやって避ければいいと
言うのか。男の経験に、そんな状況はありえなかった。
 三十年という年月を、そうやって喧嘩に明け暮れてきた男の、最早それしか
存在していないとも言える自尊心は、少女の小さな足で木っ端微塵に砕かれる事になる。

「…………!?」

 苦悶の声は出せなかった。
 直立した態勢から、腰を回して放つ直蹴りと回し蹴りの中間蹴撃。いわゆる三日月蹴り
が、男の無防備な脇腹に突き刺さる。
 まるで自分よりも大きな男にレバーブローを食らったときのような衝撃。

「……っ」

 そこに加えられる、さらなる攻撃。無呼吸のまま連続で放たれた後ろ回し蹴りが、
男の首筋を刈る。それは、同時に男の意識をも刈り取っていた。
 その動きもまた、本来の格闘技にはありえない、小花の小さな身体とその柔軟性を
活かした、彼女にしかできない動きだった。
 どう、と音を立てて男の身体がリングに崩れ落ちる。
 同時に鳴り響く、準決勝戦の終了を告げるゴング。

「……よし」

 小さな身体に見合った小さなガッツポーズを見せるその姿に、会場が割れんばかり
の声援が注がれる。
 こうして、天玄院小花はKDO選手権の決勝へと進出したのだった。

        ★      ★

 彼女の強さの秘密とは、一体何なのだろうか。
 どのような不意をつく攻撃、相手が無防備な所に放てる攻撃、本来有り得ない連撃を
放つ事が出来たとしても、彼女のような軽量で放った所でたかが知れているのが、本来の
格闘技――物理の法則というものだ。
 しかし、そんな彼女特有の動きに、天玄院流の"技術"が合わさった時、彼女はその
小さな身体に見合わない、大男すら打ち倒せるだけの力を発揮する。
 故に、彼女は強いのだ。
 では、その天玄院流の"技術"とは、一体なんなのだろうか。

「……まるで魔法だな」

 一人の男が、小さなガッツポーズをしただけで、笑顔も見せずにリングを後にする
少女の姿を見ながら呟いた。
 彼は知らない。自らのその呟きが、実は正鵠を射ているという事を。
 知る由も無い。そんな力が、現実にこの世に存在しているという事など。
 だが、男は知っていた。この少女が、自らの前に立ちはだかる事を。

「ふふ……面白い」

 口元を見ればわかる。男が不敵な、まさしくダンディと言うに相応しい
笑みを浮かべている事が。
 だが、口元以外の表情は、その顔を覆う布に包まれて判別できなかった。
 顔を覆う布――マスク。
 そう、男はマスクマンだった。
 そして、その表情を覆い隠すマスクの形は――パンツ。
159開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:39:21 ID:JmvBrD64
『SSP! SSP!』

 モニターから、次の少女の対戦相手へのコールが聞こえてくる。
 それはつまり、彼の名を呼ぶ声だ。
 スーパーストロングパンツマシーン。略してSSP。
 それが、彼の名――

「……二代目として、初代を超える踏み台にさせてもらうぞ、天玄院小花」

 これまでの相手は、小花の体躯故に、心の奥底のどこかに遠慮にも似た
気持ちがあったのかもしれない。だが、この男にはそれは一切無かった。
 天玄院小花と、二代目SSPことSSPU。
 会場内で交錯する声援が、そのまま二人の闘いへの期待を示していた――

        ★      ★

 決勝は、これまでと会場を変え、某スーパーアリーナのスタジアムモードで行われる事になった。
 当初はこれまでと同じ会場でという事だったが、"無敵の妖精"(インビンシブル・フェアリー)
天玄院小花と、"二枚目のパンツ"(ザ・セカンドパンツ)SSPUの人気が異常なまでに膨れ上がり、
収容人員を増やさなければ入りきらないという事で、急遽会場が変わったのだった。
 そんなこんなで、決勝は予定よりずいぶん遅れて開催される事になった。

「……師匠」
「なんやー」
「師匠はどうして似非関西弁でお喋りになるのですか?」
「そのほーがキャラが立つやん」
「立ててどうするんですか」

 その間に、小花は一旦道場の方に戻っていた。試合の間は、選手用の宿泊施設に泊まっていたのだが、
しばらく決勝まで時間があるとの事で、一旦気の休まる場所に戻ってきたというわけだ。
 そして、何日かぶりに師と再会していたのだが――

「って、そんな事を聞きたいんじゃないですよ」
「んじゃ聞くなや! ビシッ!」
「決勝戦の相手、ご覧になりましたか?」

 普段の男勝りな口調が嘘のような丁寧な口調で小花は師に問いかける。
 当然、師の後ろ手ツッコミ擬音付きはスルーだ。
 師は、その事に軽くムッとしながらも、その大柄な身体を道場の壁に預け、口を開いた。

「ああ、あのけったいなマスク被ったやっちゃろ?」
「あの男……強いですね」
「ああ、わかったか。あいつみたいなんがまだおったとはなー」

 決勝戦での小花の対戦相手、SSPU。彼の決勝までの試合は、率直に言って無茶苦茶だった。
 プロレスラーであっても、格闘技の試合でプロレス技を出す事は難しい。何故ならば、プロレスの
技という物は、相手の受け、つまりは技をあえて受けるという意識が無ければ、基本的にはかからない
物だからだ。これは、見栄えのいい技をかけて見せる事で、試合を派手に演出するエンターテインメント
である所のプロレスが持つ、構造的な欠陥であり、長所でもある。相手の協力が必要であるという
短所故に、危険な技であっても覚悟を持って食らう事ができる為、怪我などをしにくいのだ。
 だから、プロレスラー同士以外が戦った場合、プロレスの技、例えば背後に回って投げ捨てる
スープレックスなどの投げ技、足四の字固めやサソリ固めなどの複雑な固め技、ラリアットなどのプロレス
特有の打撃技などなどは、ほとんど実効を発揮しない。
 だが、SSPUは、これらのプロレス技で勝負をも決め続けてきている。
 一回戦は足四の字固めでギブアップを奪い、二回戦は投げっぱなしドラゴンスープレックス
でKO、三回戦はロメロスペシャルでギブアップを奪い、準決勝は垂直落下式ブレーンバスター
二連発でKO勝利と、ありえない度合いでは小花とどっこいの戦績だ。尚、技がどんなものか
わからない人は画像検索でぐぐろう。

「怪力、言うたら手っ取り早いけど、あんなん普通ならありえへんわな……普通なら」
160開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:39:58 ID:JmvBrD64
「……つまり、あの男は」
「せやな。もしかすると……うちらと同じような"技術"、持っとるんかもしらん」
「天玄院流・気当(きあたり)……」
「あいつの場合、打撃の威力を増す、いわゆる通しみたいな効果やのーて、身体能力を増加させる
 ような感じの奴みたいやけどな。うちの流派にゃ、あんな腕力出せるようになる"技術"はあらへん」
「ですね」
「まあ、せやから……うちから言えるんは一言だけやな。――頑張りぃ」
「ええ、まあ、師匠からのアドバイスはあんまり期待してませんので、それで十分です」
「なんでやねん!?」
「だって、師匠弱いじゃないですか」
「あのなぁ……そりゃあんたが強いだけなんやで? 天玄院流気当つこうて攻撃の
 威力がおないになるんなら、あとはそれをどうやって当てるか、そしてどうやって当てられんかの
 差やろ?」
「……なるほど」
「やから、おっきいうちは、あんたにゃ勝てんわけよ。決してうちが弱いわけやない!」
「本当かよ……」
「そのかし、背の大きさやおっぱいの大きさやったら勝っとるもんね! 二勝一敗でうちの勝ちー!」
「ガキかよ……」
「ま、あんたも自分じゃよーわかっとらんのかもしらんけど、もっと自分信じてええんやない?」
「……自分を、信じる」
「そそ。まがりなりにも、男どもしばき倒して決勝まで来とるんやから。おないようにしばき倒して
 やりゃええんやないの」
「はい……わかりました!」

 迷いがあった。大丈夫だろうか、という迷いが。
 男の無茶苦茶な勝ち方をVTRで見た時に覚えたその迷いは、あるいは不安と言い換える事も
出来たかも知れない。自分たちの"技術"と同じような"技術"を持っているかもしれない男が、
次の対戦相手であるという、そんな不安。その迷いが、不安が、今は綺麗に晴れていた。

「……ダメ師匠でもたまにゃ役にたつな」
「ん? なんか言うたー?」
「いえ、何も申し上げておりませんよ、師匠。――ありがとうございます」

 にっこりと笑みを浮かべて、小花は師に頭を下げた。

        ★      ★


「これより、20XX年度KDO選手権、決勝戦を開始します!」

 その宣言に、客席から怒涛のような歓声が巻き上がる。

「選手、入場っ!」

 歓声はさらにそのボルテージを増して行く。会場を包む期待感。これから行われる
死闘へ向けて、客席は高揚しきっていた。
 そして、その期待を担う、一人の少女と一人の男が会場に姿を現す。

「赤コーナー……僕らのパンツメンが帰ってきた! さらなる進化を遂げたその
 プロレスリングが冴え渡る! 本気のパンツはまさに鬼のパンツ! さあ、今宵も
 あのコールが会場に響き渡るっっっ! "二枚目のパンツ"スーパー、ストロング、
 パァァァァァアアアアアアーンツ、マッシィィィィィィイイイイイイーン!」

 せり上がるひな壇。
 そこから姿を表した男は、その顔をパンツで覆い隠していた。
 だが、唯一覗き見える口元に浮かぶのは、笑み。
 獰猛な、これから獲物を狩ろうとする獣が浮かべるのではないかと思わせる
ような笑顔を、きっと男は浮かべているのだろう。
 彼の名は、スーパーストロングパンツマシーンU(ツー)。
 かつてプロレス界の数多のタイトルを総なめし、伝説とまで言われる程に
161開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:40:38 ID:JmvBrD64
なったマスクマンの、唯一にして最初にして最後と言われる弟子。
 戦場に向かう彼の身体は、パンプアップされた筋肉に包まれて、腕は丸太の
ように太く、その腕でラリアットでも喰らえば一撃で昏倒してしまいそうだと、
誰もがそう思った。そして、誰もが叫ぶ。畏怖と憧憬を込めて。

『SSP! SSP!』

 会場中をうねりのように包みこむ、SSPコール。
 だが、彼はそんなコールの中に身を置いて思う。これは自らの師の功績だと。
決して自分が成し得た物ではないと。今自分がこのコールをしてもらえるのは、
師があってこそだと。
 だが、それも今日で終わりだ。そう、彼は思う。
 これ程までに注目される大会で勝利を成し遂げれば、ましてや、本来はセメント
志向だった師ですら成し遂げられなかった、プロレス技での格闘技大会制覇という
偉業を成し遂げたならば、自分は師を超えられる、と。
 そんな最中、そのSSPUに対峙する選手の名がコールされる。

            ☆

「続きまして、青コーナー……可憐な容姿に惑わされた男たちよ、とくと知るが
 いい! 決して彼女が見た目通りの存在ではないという事を! 女性として初、
 ましてやその小さな身体で成し遂げた、KDO決勝進出という大偉業! 今宵、彼女
 は自らのその偉業を、さらに次のステージへと押し上げる! 誰が呼んだか
 "無敵の妖精"天玄いぃぃぃぃん、しょぉぉぉぉぉぅかぁぁああああぁあああああ!」

 SSPUとは逆側のひな壇に、その小さな姿が現れる。
 途端に巻き上がる大声援。変わらず続くSSPコールにひけをとらない声援が、
小花の全身を包んでいた。
 小花は思う。これ程の人々が自分に期待し、応援してくれてるのだと、そう
改めて感じる。金の為に出場した大会だったが、ここまでの試合で自分が応援
されてきた事に、彼女自身色々と思うところはあった。それに応えないと、
という新たなプレッシャーを抱え込む程度には。
 そして、両雄――一雄一雌――が並び立つ。
 数分の後には、二度と並び立つことの無い二人が。

「いい? 危険だと判断したら止めるからね? OK?」
「ああ」
「……うん」

 レフェリーによるチェック、注意が終わった頃には、小花は自覚していた。
 身体が固い。やや呼気も荒くなっている。
 緊張――している。
 
「じゃあ、コーナー下がって……ジャッジ、ジャッジ、ジャッジ? ……ファイッ!」

 だが、その緊張を解す暇は――無い!
 ゴングが鳴り響いたその瞬間、まさに弾丸の如き速度で、パンツが……SSPUが
突っ込んできたからだ。コーナーに追い詰めるのは、格闘技において有利を取る
為のセオリーの一つ。小花の緊張を知ってか知らずか、その隙を衝かんと、SSPUは
一気に間合いを詰めてきた。
 低空のタックル。あえてリーチの差を活かそうとせず、間合いを詰めてのテイクダウンを
選択してきたSSPUの行動は、小花の意表もついていた。
 隙と意表と、二重につかれた所で、普段ならば対応はできただろう。
 だが、SSPUのその速度は、普通ではなかった。普段の対応では間に合わない程度には、
速く、そして異常だった。
 あえなくテイクダウンを許す。激しくマットに背中から打ち付けられる。恐らく、SSPUは、
ここから寝技の展開に持ち込み、複合関節技へと持ち込むつもりなのだろう。
 息がつまる感覚を覚えながら、小花はそれでも次どうすればいいかを考えていた。

『せやからなー、うちらは結局殴る蹴るメインやろ? やったら立ってないと話に
162開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:41:32 ID:JmvBrD64
 ならんわけや』
『はぁ』
『やから、寝かされたら、まずその状態どうするかっちゅーんを考え。ああ、寝かされて
 もうたがなもうあかんわどないしよって、悔やみながら考えてたら、抜けられるもんも
 抜けられんよーなるんやからな』

 脳裏によぎる、師との会話。
 テイクダウンを取られてしまった事を悔やむ暇があるのならば、そこから挽回することを
考えろ。これは小花の、師によって授けられた教え、技術だった。"技術"ではない技術――
身体に染み付いていたそれは、小花に即座に両の膝を突き上げさせた。
 "技術"を用いて、凶器と化した膝を。

「ぐふぉっ!?」

 ありえない攻撃には、十全に備えていたつもりではあったのだろう。だが、それこそ、
テイクダウンして密着している状態から、全くテイクバックが取れない状況で放たれる
膝による攻撃が、悶絶する程に効いてしまうなどというのは、流石のSSPUでも想像
しなかったようだ。
 小花の身体を捉えていたSSPUの両腕が、その力を緩める。
 小花はそのタイミングで一気に立ち上がった。
 だが、SSPUもさるもの。本来なら、そのような想定外の攻撃には狼狽し、動きが
止まってしまうものなのだが、既に打撃やタックルの届かない距離に退避し、反撃に備えている。

「……ったく、いきなり抱きついてくるとか、破廉恥にも程があんだろうが」

 立ち上がった小花は、あえて言葉を口にしながら、徐々にその開いた距離をつめていく。

「あいにくと、私の好みは巨乳でね? 君のような身体に欲情する程、ロリコン
 ではないのだよ」

 対するSSPUも、あえて言葉を口にしながら、その詰められた距離を拡げていく。
 緊張感が場を支配した。
 それまで割れんばかりに響いていた歓声もピタリと止み、観客は二人の攻防を
固唾を飲んで見守っている。

「だったら、もしオレに負けたら、うちの師匠紹介してやんよ。性格はアレだけど、
 巨乳でスタイルもいいし、美人だぞ」

 強い奴と戦いたい。
 いつの頃から、そんな風に思っていた。
 道場にいるのは師匠だけで、師匠は自分以外とは戦うなと、私闘を禁じてきた。
 だから、試す場が無かった。
 だから、試す相手がいなかった。
 だから、強い奴と戦いたいと、そう思うようになった。
 いつの頃からか。いつの頃からだろう。

「おっと、それはありがたい。……だが、負けたら? 勝ったら、の間違いだろう」
「いんや、違うね。間違っちゃいねえ」

 いつの頃から――この瞬間を待ち望んでいたのだろう!
 身体の中を、熱く燃える血が駆け巡る。
 緊張は、血潮が洗い流し、代わりに全身に活力が満ちていく。

「じゃねえと、あのダメ師匠押し付ける相手逃しちまうじゃねえか」

 自分を信じてみろ。
 その師の言葉で不安は消えた。
 自分を信じる。それは、決して障害に立ち向かう手段としてばかりあるものではない。
自分を信じる必要が無い物しか、相手しか目の前にいなければ、信じる事は必要無い。
ただ流れるがまま、つれづれなるままで何とかなってしまう。
163開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:42:03 ID:JmvBrD64
 自分を信じる為には、「自分を信じる必要」が、必要なのだ。
 そして今、小花の目の前には、その「必要」がいた。自分を信じて、
それでようやく倒せるかどうかという、そんな相手が、目の前に。
 それが、それが――それが、こんなにも楽しい事だったなんて!

「だって、この勝負に勝つのは――絶対にオレなんだからなあっ!」

 勝利を疑わない。それこそが、自らを信じる――自信!
 踏み込んだのは小花だった。リーチの差は甚大だ。これまでもそうしていたように、
踏み込んでからの打撃しか手は無い。対するSSPUは、タックルからのテイクダウン
では、先ほどと同じような反撃を貰うと見たのだろう。その豪腕を振りかざした。
 
「っ……ぅ!」

 集中。集中。集中。
 いかなる攻撃であろうとも、的が小さければ当たらない。
 そして、一撃必倒の威力を持つ攻撃を互いに持っているのならば、
勝敗を分けるのは、どうやって当てられないか。そして、

「どうやって……当てるか、だよなぁああっ!!」

 振りかざされた豪腕――かつての名レスラー、小橋建太、佐々木健介、
スタン・ハンセンもかくやというその太い腕から、それらを遥かに
凌駕する超速にのって繰り出されたラリアットを、小花はスウェービング
のようにのけぞってかわす。
 瞬間、SSPUの瞳が怪しく光った。

            ☆

 狙いはそこにあった。
 後の先。カウンター。
 恐らく、相手も同じだろう。こちらの攻撃を避けての一撃。カウンター
での一撃を狙っての回避。だが、その後繰り出されるはずの彼女の攻撃こそが、
こちらのカウンター狙いの本命であるとは、この少女は気づいていないはずだ。
 スウェービング、つまりはのけぞるような形での回避という物は、その後の
動きが酷く限定される。先日の試合を見る限り、態勢を崩した状態から直立
姿勢への復帰速度は異常と呼べるレベルであっても、それ以外の復帰が可能な
程に異常を極めているとは考えにくい。スウェービングからの回復も、同じく
直立への復帰と考えるのが妥当だ。
 故に、その後の直立姿勢から放たれれるであろう攻撃に備えればそれでいい。
 蹴りにせよ、拳にせよ、直立している状態であるからこそ、その方向性は
限定される。想定すべき対処法の数も少なくなる。対処法の選択肢が少なくて
済めば、それだけ躊躇の無い、強烈な攻撃が叩き込める。
 それこそが、彼の狙い。
 そしてその狙いは、脆くも破綻する事になる。
 そもそも、彼女は回避したわけではなかったのだ。

            ☆

 のけぞっての回避。
 そう、回避したのだと、それを見た人間は誰もがそう思った。
 SSPUも例外ではなく、むしろ回避させる為に攻撃をしたようだった。
 だが、彼女はそんな人々の目に止まらない、一つの動きを取っていた。
 迫り来る豪腕を避けきったと思ったその瞬間、彼女は両腕を差し出したのだ。
 ちょうどバンザイをするような形で、両の腕がSSPUの豪腕を受ける。
 ――全身全霊の力を込めた、両の腕を。

「……ぁ」

 言葉は出なかった。
164開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:43:27 ID:JmvBrD64
 ただ、吐息だけが漏れ、だが、漏れた吐息の分だけ身体に力がこもる。
 固く構えられた両の腕が刈られる瞬間、全く同時に、彼女の足は地を
蹴っていた。
 支点、力点、作用点。
 この場合、支点として存在するのは、地を蹴った足。
 力点として存在するのは、刈られた両腕。
 そして作用点は――

『何が起こったかわからなかった……』

 試合後、彼はそう述懐する。
 それ程までに、その攻撃は見事で、そして、ありえなかった。
 相手の豪腕が振るわれる力を、全くロスする事なくそのままカウンター
に転化し、さらに"技術"によって大男が放つ蹴りの力をも加味されて
放たれた、逆上がりのような形での蹴り。
 サマーソルトキック。その名前で認識される技が、

「……!?」

 一瞬にして、SSPUの顎を砕いていた。
 そもそも、カウンターのカウンターなど、成立しえなかったのだ。
 彼女は回避ではなく、攻撃をしていたのだから。
 顎を砕いただけでは作用を消化しきれずに、ひらひらと、木の葉のよう
に宙を舞って、小花の身体はリングへと叩きつけられる。

「い……ってぇえぇええ!?」

 同時に、SSPUの身体も、リングに倒れ伏す。
 既に、その瞳に光はなく、完全に意識を失っている事が知れた。
 一方、リングに叩きつけられた小花は――

「っつぅ……てて、最後にヘマしちまった……」

 ――腰をさすりながら立ち上がった。
 瞬間。
 静寂に包まれていた会場が。
 爆発した。




        ★      ★

  後日談というか今回のオチ。
 ったく、なんでこんな事になってんだかなぁ……。
 オレはため息の絶えない毎日を送っていた。
 試合は、実質的には秒殺試合だったが、それでもオレとSSPUとの
間にあった緊張感とかが良かったらしく、何かえらいあちこちで
評価されてるらしい。オレにも、色々な団体や、アイドル事務所とかから
も声がかかったんだけど、メンドイから全部断ったのは言うまでもねぇよな?
SSPUみたいなおっさんがあちこちにいるなら、どっかの団体で
戦うってのも考えねえじゃねえけど、そんなのなかなかいねえだろうし。
 アイドル? んな柄じゃねえのは自分が一番よく知ってるよ。
 結局、オレが貰ったのは、KDO選手権の優勝賞金だけ。その金で、
道場の差し押さえだけは免れ、師匠も大喜び、オレ的にも問題なしで
大団円……となりゃ良かったはずなんだけど、そうはならなかったんだわ、これが。

「なぁ、おい……」
「はい、ダーリン、あーん♪」
「おお、マイスイート、あーん♪」
165開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:43:38 ID:JmvBrD64
「何度も言うけど、なんでお前がここにいんだよ!?」
「あらダメよ小花ちゃん。この人は私のダーリンなんだから、お前
 呼ばわりなんかしちゃメッ!」
「あんたもキャラ付けとかどこ行ったんだよ!? あの似非関西弁は!?」
「いやあねぇ。もうそんなキャラ付けがどうこう言う歳じゃないわよぉ」
「そうだな。お前は素のままが一番綺麗だよ、マイスイート♪」
「いやあん、恥ずかしい事言わないでよぉ、ダーリンっ♪」

 まあ、オレの方も最早敬語とかかなぐり捨ててるからアレなんだが。
 結局、約束通りSSPU――中身は田中昭二という、元真日本プロレスの
中堅選手で、あごひげを蓄えた渋いおっさんだった――をうちの師匠に
紹介してやったら、何か知らんが意気投合しやがって、今度籍を入れるとか
言い出してやがる……というのが、オレの頭痛の種の一つ。
 まあ、これはいい。道場にまで来てイチャイチャすんのさえやめてくれりゃ、
特に何も言う事は無い。ダメ師匠の世話してくれる人が現れて、万々歳とすら
言えるかもしれねえ。SSPUが指導するからってんで――後は、オレが優勝者
になったから、ってのもあるだろうけど――道場にも人は集まり始めてるしな。
 問題は、もう一つの方だ。

「……頭いてえ……」
「あ、小花ちゃん。ほら、今日もやってるわよ『今週のダンディ』」
「ああっ!? まだやってやがんのかアレ!? 番組中止しろってこの前言ったのに!」
「そりゃそうよ。優勝したからには、小花ちゃんが一番ダンディ、って事に
 なるわけで、そうなったら、ねぇ……」
「ま、自分で言うのもなんだが、世のおじさんが皆パンツ被り出すよりは
 良かったんじゃないかね?」
「マジで自分で言うなよ!? お前のアイデンティティなんだからよぉ!?」

 そう。
 問題はこれだ。
 オレは嫌々ながら、画面に目を向ける。
 そこに映っているのは――髪をツインテールにした、むくつけきおっさん
共が、オレが普段来ているようなボーイッシュ系の女物を来て、街を闊歩
しているという、悪夢のような情景だった……っていうか悪夢のような、
じゃねえな。こりゃ悪夢だ。早く覚めてくれ。頼むから。

「これまでは、普通にダンディなおじさまが優勝してたから良かったのねぇ」
「ああ、そうだな。まさか俺も、こんな風に影響力があるとは思ってもいなかった」

 KDO選手権は、そもそもカッコイイダンディなおじさま選手権の略だ。
 そのかっこ良くてダンディなおじさまとは何ぞや、というのを問う為の
大会であり、そこで優勝するという事はつまり――その優勝者がかっこ良くて
ダンディなおじさまであるという、その証明になるというわけで――それで、
今回優勝したのはオレなんで、ダンディになりたい世のおっさん共が、
こぞってオレの真似をし始めた、ってわけだ。
 ほうら、想像してごらん? 頭がおかしくなりそうだろ?
 信じられないだろ? 現実なんだぜ、これ……。

「でも、貴方は結構似合ってると思うわよ、そのツインテール」
「おお、そうか? まあ、お前が言ってくれると、うれしさもひとしおだよ」

 ちちくりあってる馬鹿二人を他所に、オレは天を仰いだ。

「どうしてこうなった……」

 誰かこの事態に収集つけやがれぇぇええええええええええええ!!!!!


                       だが現実は非情であるが故に終わり
166開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE :2010/11/14(日) 19:45:34 ID:JmvBrD64
ここまで投下です。
最初書き終わったらまさかの行数オーバーで
十レスに収まらず、涙目になったのはここだけの秘密。
167創る名無しに見る名無し:2010/11/14(日) 19:52:55 ID:HT2JJxEE
投下乙!
168創る名無しに見る名無し:2010/11/14(日) 23:37:30 ID:/L27Ze4d
こwれwかwww

SSPUが最後無駄に幸せなのがむかつくw
169AA部門 ◆5EO17Ipqog :2010/11/16(火) 01:14:35 ID:+7eoX1Hh
ν(`・ω・´)乙
170創る名無しに見る名無し:2010/11/23(火) 13:32:10 ID:JCiG0WPT
あと、一週間!
171創る名無しに見る名無し:2010/11/24(水) 00:31:51 ID:KEEVgt37
youtubeまたはニコニコ動画で
「自殺の温度」
で検索!!
172創る名無しに見る名無し:2010/11/25(木) 20:56:28 ID:Ziyc1tga
                      ___
                ,.ィ"´:.:.:.:.::::`丶、
                   /:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::\
               ,':.:.:.:,. ====.、:.:.:.:.:::::',          鯔なこと…………
                  l:.:.:〃 、  \  ヾ、::::::::::l
              |:.:.ハ、_ \、_ \、 ll:::::::::|
              |:.:||/、.__ ̄イ;≧=z||::::::::|   
                   l:.:||示_  〃{ _ノトl|::::::::|
                  l:.:lハゞ‐´ ,  `^~`〃ハ:トハ、
             ___ノ:.ヘV> 、 一' _,.ィ/:/八トX'⌒ヽ
             f´ `Y^〉ーく什フ勹゙⌒ヽーi'⌒ヽ__ノ
             ゝ_ノ ゝ_ノ'´:::::::ゝ__ノ≠ゝ-ハ
                 /ハ:.ヽ::::::;: -´(_)::::::::::::::::.:`!               , - 、 ロォォォォード
              /:./::::> `´ _ィ´!:.:.:.:.:.:::ト、:::::::.\             ヽ/ 'A`)ノ  . - 、
                l:.:.レ´ _  く:::::::l:.:.:.:.:::::/ \::::.:.:`¬、        {  /   、('A` }ノ ロォオオオド
                   {:.:,ィ´::::\:.:\|:.:.:.:::::/   ヽ::::::::.:.:.:.` ー- 、._   ヽj     )_ノ
                 ///:::::::::::::::\:.:.:.:.::::/     ヽ:::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`` ー-ァ、___´
               人{ノ:::::::::::::::::::::::!:.:.::::」       \::::::::::::::::::::::::.:.:.::::/ ─一ァ′
         _.、-'´:::rY_/´二二` Y-‐'' ´]_           \:::::::::::::::::::::/二二二フ
       _.、-'´:.:.:.:::::/:.:::ハ ゝー┘ ト-一''´::ヽ、         \::::::::::::/ 〈::::/
      ハ:.:.:.:.:.:.:::::::/:.::::/::〈__厂 ̄!_」ハ::.:.:.:.:.:.:.:.:\           \_;:ハ Y
    __ノ 〉、:::::::::/:.:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::゙、:.:.:.:.:.:.:.:.:::\       
173創る名無しに見る名無し:2010/11/25(木) 20:57:24 ID:Ziyc1tga
最近誤爆が多い多い
174三橋にくまん ◆TJ9qoWuqvA :2010/11/26(金) 12:34:14 ID:I5mqgabp
三橋ショートショート 「ニュー・ライフ」

「え?」
「私のこと応援なんかしなくていい」
「何言ってんだよ、お前。テレビに出たくても出れないアイドルがどんだけいるとおもってんだよ。アイドルで成功する奴なんか一部の人…」
「うるさい!」
「………」
「うるさいうるさいうるさい!!!!」
「…おちつけよ」
「私のこと分かったように語らないでよ!」
「なんだよ、意味わかんねーよ」
「大嫌い!ほんと最低!もうどっかいってよ!」
「は?お前なんなの?」
「うるさい!うるさい!うるさい!」
「なんだよ。言いたいことがあるなら言えよ。マジ意味わかんねーんだけど」
「うるさい!」
「お前さぁ…いい加減にしろよ」
「…私は!トモは!にくまんのことが好きなの!」
175創る名無しに見る名無し:2010/11/29(月) 22:24:27 ID:pRif9U+V
>>156-166
SSP!SS……二代目……・だと……

気がつけばもう募集終了寸前か
176上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:35:25 ID:Ub3f3Inq
恋愛シナリオ


1/10
携帯の画面に西日が差し込み反射して、メールの文字が見えなくなった。
校門に背もたれていた優子が軽く舌打ちをして携帯を閉じ顔を上げると、校舎は夕焼けで赤く染まっていた。
時計塔を確認する。もう少し待たねばならない。まだ家に帰る時間ではない。優子がホッとしたその時、吹奏楽部がG線上のアリアを演奏し始めた。
二階の音楽室から荘厳なメロディーが学校を包み込む。県内屈指の実力だけあって音に歪みがない。澄んでいる。優子は顔を顰めた。
何故、こんな悲しい曲を、こんな寂しくなる時刻に毎日演奏するのだろう。人を悲しくさせる為だけに生まれたようなアリアの旋律を優子は憎んでいた。
これを聞くといつも死にたくなる。土足で自分の心の奥深くに踏み込まれ陵辱さたような感覚に苛まれる。

演奏が終わって暫くすると、俊夫が「待たせちゃってゴメン」と息を切らせ優子へと駆けつけた。
「いいよ、気にしないで、君を待つの好きだから」と優子は答えたが、正確には『いいよ、気にしないで、もっと遅くていいのに』と思った。
そもそも君でなくても誰でもいいの、家に帰るのを遅らせる理由が出来ればそれでOK。家に帰えるのが嫌だから街で時間を潰すってのはリアル過ぎて駄目。いつか本当に自殺してしまう。
だから君を待つって理由で時間を潰してるだけなの、利用してゴメンね俊夫君、だから君は私に謝らなくていいんだよと優子は内心思ったが、そんな言葉が出ることはなかった。
俊夫と一緒に家に帰るのは小学校や中学校の時から続いてることで、それが高校生になっても続いてるだけ。優子はそう自分の心すら誤魔化すことでなんとか心の平穏を得られた。
「そ、そう……」好きって言葉に俊夫は顔を少し赤らめた。『綺麗だな』と優子はそんな俊夫を見て思う。顔が整ってるし、清潔感あるし、何より自分のように心が歪んでない。
だが好きという感情は持てなかった。幼馴染ということもあるが、相手を思ったり思われたり、何かを要求したりされたりするのが面倒な感情に思われたからだ。

とはいえ一人は寂し過ぎる。

いつまでも優子に都合の良い友達でいて欲しかった。だから彼女は今までに一度も彼に何かを頼んだことがなかった。何かを頼めば何かを頼まれることもあるからだ。
でも今日はどうしても俊夫にお願いしたいことがあった。
「待つのはいいんだけど……ねぇ、俊夫って吹奏楽部の部長だよね?」
「うん、他の部員より上手いって訳でもないんだけど、何故か投票で選ばれちゃって、まぁ、部長と言っても特にやることないから引き受けたんだけどね」
「最後の演奏、いつも曲、アリアだっけ、あれって俊夫の選曲なの?」
「あれは顧問の先生、アニメオタクなんだ、あの曲が流れるアニメが好きで、だから最後に演奏させるんだ」
自分の好みしか興味を示さず、他人に好みを無理に押し付けるのがオタクだ。そういうタイプの人を優子はよく知っていた。だからもう駄目なことは分かったが一応、お願いしてみることにした。
「俊夫、お願いがあるんだけど」
「うん? 何?」
「先生に言ってあの曲を別に変えられないかな? 毎日、最後はあの曲ってどうかなと思うんだ、別の曲も聞きたいかなって」
「……実は以前、吹奏楽の音を合わせるのに不向きな選曲なので変えようって意見が部員の中から出たことがあったんだけど先生がね……。明日お願いしてみるけど無理だろうな」
「そっか、ううん、気にしないで、何となく思っただけだから、じゃあ、またね!」
丁度、いつもの分かれ道になったので二人はそこで分かれた。
優子の足取りが重くなる。自宅の高級マンションの前まで来ると吐き気がしてくる。なんとか我慢して居住者カードをスキャナに通して暗証番号の誕生日を入力した。何故、私は生まれて来たのだろうか。

エレベーターで五階に上がり部屋のドアを開けると優子の母親が鬼の形相で立っていた。
派手な化粧と衣装、キツイ香水、TVドラマに出てくるヤクザの情婦そのままの姿だが、実際、優子の母は四年前に抗争相手の組の幹部を殺して服役中のヤクザの女房で、つまり優子は人殺しの子だった。
「お前なぁ、今日は七時からハイクラスの予定が入ってるから早く帰れって言ったろ?」
「ごめんなさい……お母さん」俊夫との会話とは全く違った可細い声で答える優子。
「化粧はいいから早く着替えて、ヒルトンの1514、これからタクシー呼ぶから、あと今日は厄日だろ?」そういってラップに包まれたピルの錠剤を優子へ投げ付けた。
優子はピルを口に入れると台所へ行き、冷蔵庫から牛乳を取り出してそれを紙パックままゴクゴクと喉へ流し込んだ。
177上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:36:13 ID:Ub3f3Inq
2/10
現役女子高生で美少女の部類に入った娘を母は安売りしなかった。とはいえ一晩500万は金持ちの道楽のレベルを超えている。相場の百倍以上だ。
でも多くのハイソが自分達の見栄や度量を示す為、そして話のネタにする為に優子を買っていった。
そんな上流しかいない客の中で母はわざわざハイクラスと言ったのだ。名の知れた実業家や芸能人が相手でも母はそんな言葉を今まで使ったことがなかった。
もしかしたら組関係の人だろうかと優子は思う。
彼女が稼いだ金の全ては母に渡り、その金の殆どが父のいた組へと流れる。母は父が出所した時の為に組の若頭に金を渡していた。組の為に人を殺しても今の時代、幹部にはなれない。
暴力に対する報酬を取り締まる法律が出来た。だから新しく組を作る。組に金を渡してシマを切り取りして貰う。その為にはもっと金が必要だったし、人脈も必要だった。
優子は今までヤクザに抱かれたことはなかった。覚せい剤を打たれるのが怖かったし、なにより母のような人間になりたくなかった。以前、ヤクザを相手にするよう母に言われた時、それだけは嫌だと半狂乱に泣いて断った。
娘が自殺すると困るし、薬物注射で腕に傷の付いた娘は商品価値がなくなるとも思い直して、その時は母は別の娘を自分の替え玉にしたが、ヤクザにもピンからキリまである。
広域組織の上層との繋がりが出来るなら母は喜んで自分を差し出すだろうなと優子は思った。そしてもう彼女はそれでもいいと思っている。
もう疲れた。楽になるなら薬でも自殺でも何をやっていいのではないかと思う。
だがそんな優子の杞憂は外れる。彼女が部屋のドアをノックすると、どうぞとドアを開けたのは上半身裸で刺青のあるヤクザではなく、とても優しそうな目をした紳士だったのだ。
シックなグレーの高級スーツに身を包み、葉巻を銜えている。
部屋へ通される時、すれ違った男のスーツからは香水をふり掛けているのか清々しい香りがして、気分が静まった。男はパタンと静かにドアを閉め、奥のソファーに座りなさいと優子に言った。

クリスタルのテーブルを挟んでソファーに座って相対する二人。
男は新しい葉巻をシュガーケースから取り出し、パチンと奇妙な挟みで端を切るとシルバーのライターを胸から取り出し火を付け口元へ近づけ
そしてようやく対面に座る娘の顔を見ると驚いた顔をして、火をつけたばかりの葉巻を灰皿に置いて、マジマジと優子の顔を眺め始めた。
そういえば今日は化粧をして来なかった、自分のことは不細工ではないと思うが、しかし期待外れだったのだろうかと優子は申し訳ない気になった。
たまにだが、ガッカリだよとズケズケと言う客もいる(そうは言っても全員優子を抱いた)そりゃそうだと思う。一晩で500万円なんて馬鹿げた金額に吊り合うとは自分でも思えない。
何十分時間が過ぎただろう、男は優子が戸惑ってることにようやく気付き、そして「……いや失敬、君は私の娘に似ている、似すぎている、まるで生き写しだ」などと言い始めた。
いきなりこの男は何を言い出すのかと優子は訝しく思った。そして、あぁ、父娘プレイというのをご所望で、プレイはもう始まっているのだと気付いた。
なかなかこの親父も好き物のようだ。娘が本当にいるのかどうかは知らないが、つまりは血の繋がり要素を含んだロリコンなのだ。
平気です、大丈夫です、以前、中年のオタク野郎にアニメを二時間掛けてみせられ台詞を覚え、自分の声をヒロインの声色に近づけるボイストレーニングを三時間やらされ行為に及んだこともあるのです。
だから娘好きの変態といっても気にすることはないです。頑張って完璧に演じますわ。
と言いたくなったが、そんなことを言ってしまえば興が覚めてしまう。
取り合えず、お父さんと言ってみようかと思ったその時、男が嗚咽を漏らし「すまん、娘は7年前に丁度、君くらいの年に癌で死んでしまったんだ」と言った。
これはややこしいことになったと優子は思った。
178上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:36:56 ID:Ub3f3Inq
3/10
それから暫く男の嗚咽が続いた。こんな年配の男性がここまで悲しみ、泣く姿を優子は見たことがなかった。演技なのか本当のことなのか分からなくなって、どうしたら良いのか、ただ無言で男の背中を擦ってあげた。
少し落ち着いた男は「すまなかった、お嬢さん夕食はまだかい? 私は泣いたからかお腹がペコペコなんだ、ご一緒して頂けるかな?」と優子をヒルトン最上階のレストラン月光へと誘った。
今、二人は夜景を眺め共に食事をしていた。
BGMは平均律第1巻第1番のプレリュード。
東京には星がないが、人々の暮らしの明かりが星の代わりとなる。つまり金を出さないと星すら見えない、優子は改めてお金の大切さを実感する。
体を売った金は母へ振り込まれるが、たまにお客が優子へお小遣いをくれる。こつこつと貯めて今は200万くらいにはなる。
今は未成年で部屋を借りれず、職も満足に見つけられないが、高校を出たらこの金で誰も自分を知らない何処か遠くの街へ行って、そこで部屋を借りて真面目に生きようと思う。それが優子の夢であり、生きる希望だった。
何かになりたいという夢ではなかった、ただ両親のようになりたくなかった。結婚もしたくない。子供なんて絶対に欲しくなかった。小さい頃から両親に虐待され続けた。
TVで心理学の教授が「幼い頃に虐待を受けた子は自分が親になった時、自分の子に虐待をするケースが多い、虐待は負の連鎖をする」と話してるのを聞いて吐きそうになった。
私は絶対に両親のような生き方はしない。しかしどうだろう。今の生活は。
母も若いときは、もしかしたら自分と同じように体を売る仕事をし、今の自分と同じように親と同じにはなりたくないという考えだったのかも知れない。あぁ、ウンザリする。
「どうかね、ここの料理は不味いだろ?」
「えっ! いえ、あの、その、えぇ……まぁ……」急に話し掛けられ吃驚する優子。
確かにこのスープは不味かった。味付けは悪くない、香りも悪くない、温度も悪くない、ただ何か欠けてるような……ていうか何で、わざわざ不味いと思うレストランへ招待するんだ、爺。
「高い値段で美味しい料理を出す店ならどこにでもあるが、高い値段で不味い料理を出すところはそうないものだ」
それは私への皮肉かと優子がムッとすると男は「私の娘がね、ここから見える夜景が好きでね……」と言い出すので、口に含んだスープを噴出しそうになった。まだ父娘プレイが続いてたのか。やはり本当の話だったのか。
死んだということであれば、この方の娘さんを演じるのは冒涜となるだろう、しかしこの爺は娘と来たレストランに私を連れてきた。それは娘さんと私を重ねているということ。
つまり私は不完全にこの人の娘さんのように接しなければならない。
それは凄く面倒なことに思えた。半分自分で半分彼の娘になる、素の自分も出さなければならない、見せ掛けの人格を望んでるのではなく、ある面は本物であらねばならない。
面倒臭い。でも金を貰ってる、それもかなりの大金なんだろう。仕方ない、やるか。
優子は取り合えず爺の娘さんについて会話を広げ、それを糸口にして彼女の人格をある程度掴み、表面上は彼女風の人格を偽装して、話の程度によって自分の素を出すという戦術を練った。
そして優子が『お嬢様、ロマンティストでしたのね、小父様』と切り出し男性への橋頭堡を築こうとしたその時、男が
「私の格好悪いところを見せたんだ、君のカッコ悪いところも見せてくれないか、話してくれ、君のことを」と言って優子の出鼻を挫いた。
何百万も払って私のことを知りたいのかコイツ、折角、私は娘さんと似た容姿なのだ、娘と一緒にいるかのような甘美な錯覚に酔えば良いのだ。昔を懐かしむもよし、背徳の関係を望むもよし、色々と楽しめるだろうに。
優子は少しガッカリした。私の素性を知りたいという客も過去に何人もいたが全員下らない人間だった。
説教をして優越感に浸ろうとする輩、自分の素性も話して情を交わした気になりセックスの快楽をより引き出そうとする輩、まぁ、この爺の目的は分からないが客にこう聞かれた時の為に用意した想定問答を優子は思い出し、答えた。
この答えに嘘は混って無い。ハイソは変態で性格の悪い奴が大半だが馬鹿ではない。嘘はたちまち感づかれてしまう。
30分掛けて自分の身の上を話終えると、暫く爺は真顔で何やら考え、そして携帯を取り出して「今日は泊まるから先に寝ててくれ」と何処かの誰かに話をした。
なんだやっぱ私を抱くのかと優子はまた少しガッカリした。
179上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:39:10 ID:JfiZlACk
4/10
部屋に戻ると男は先にシャワーを浴びた。優子は自分も一緒に入るのかと思ったら、後で入りなさいとのことだった。暇なんでバックから携帯と避妊具を取り出す。
ピルを飲んでるがそれだけで完全に避妊出来る訳でもないし、病気になる恐れもある、しかし男性用の避妊具は相手が付けてくれないかも知れない、この売春は金額が異常に高いのでノーマルな行為で終わることは少ない。
だから優子は女性用の避妊具をシャワーの後にコッソリと付けることにしている。しかしこれでは避妊は出来ても病気は防げない。それでもいいやと思う。
自分はもうどうでもいい。相手が病気になるリスクを考えずに自分を求めるなら、自分もリスクを考えることなく相手を受け止めようと思う。
携帯を弄ってると男がバスルームから出てきた、白いガウンを着ている。
続いて優子が入ろうとすると「今日中に仕上げたい仕事が少しあるんだ、君はシャワーを浴びたらベットに入って待っててくれ、眠くなったら寝ていい」と言って奥の部屋へと消えていった。
男に言われた通り、シャワーを浴びて、髪を乾かし、避妊具を付け、裸でベットに入って待っていたが、何時間経っても男は奥の部屋から出てこなかった。夜中の12時を過ぎると優子は寝てしまった。
頬にチクチクする感触に優子が目覚める。背中から男に抱きしめられ頬に男の口髭が当たっていた。背中に密着した男の体が暖かい。お尻に男のペニスが当たっている、どうやらまだ勃起していないようだ。
何時なのだろう。窓の外も部屋も真っ暗で、闇で何も見えない。
暫くして「恵美……」と言って男は嗚咽し始める、じっとしていようと思ったが、背中を抱きしめるのは悲しすぎる。ゆっくりと身を捻って優子も男を抱きしめた。二人は黙ってお互いを抱きしめ合い、そして男の嗚咽が寝息に変わった。
恵美お嬢さんの夢を見れればいいなと思う。でも私は何の夢を見ればいいのだろう。男の髪の毛を撫でながら、優子はここまで親に愛される恵美さんに少し嫉妬した。

翌朝、男は部屋に居なかった。メモが置いてある。『仕事があるので帰ります。可愛い寝顔の貴方を起こせなかった。ありがとう』とあった。優子は顔が赤くなる。
何なのだろうこの感覚、まさかあんなのに? そんな馬鹿なと思う。そもそも彼が愛してるのは私じゃなく恵美さんだ、そしてその愛は彼の死んだ娘への親としての愛情だ。
なんでそんな……と考えてみたら、なんのことはない簡単なことだった。簡単過ぎて涙がポロポロと零れ落ちた。
そうか、そういえば私はまだ一度も親に愛して貰ったことがなかったじゃないか、彼の娘への、自分への愛情ではない偽りの愛情が、私が初めて感じることが出来た親の愛なんだ。
自分が余りにも惨めに思えた。しかし彼と抱きしめ合った時に感じた幸福感は優子の頭の中に焼付いて離れない。多分、一生忘れることはないだろう。まるで麻薬じゃないかと優子は思った。
180上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:39:52 ID:JfiZlACk
5/10
それから数日後の朝、俊夫と一緒に学校へ登校し昇降口で別れ、優子が教室に入るとクラスメイト達は妙に余所余所しく彼女の方をチラチラと見る。
訳が分からず席に着くと隣の小沢さんが「ちょっと、アンタ大変なことになってるよ、コレ、25ページ」と声を掛け週刊誌を優子へ手渡した。
優子がペラペラと雑誌を捲ると、日本最高価格の援助交際少女とか、弊社は売春価格世界一をギネス社に申請したと下らない記事が続き、最後に誰か分からないよう目の部分に黒い斜線が入った写真が載っていた。
優子を知ってるが見れば一目瞭然だろう。
「アンタが売春をしていると騒いだ生徒がいてさ、コレそいつが持ってた雑誌、だから取り上げたんだけど、噂はもう学校中に広まってる」
優子は小沢さんとは余り話もしたことが無かった。雑誌のことよりクラスで人気者の彼女が自分なんかの為に何かをしてくれたことの方が意外に思えた。
「そっか……ありがとう小沢さん」と礼を言って雑誌を返そうとすると「いやいいよ、捨てときなよ」と言って少し赤くなって、小声で
「私もさ、昔、エンコーしててビデオ撮られたことあるんだ、隠し撮りでさ、今でもネットにあるんだ、自分の顔は出さない癖に私の顔は隠さずに、そういう卑怯者が許せないんだよ」と囁く。
「アイツの名前や住所が分かったらボッコボコにしてやるんだけど、よく分かんないし……アンタどうなの? 知ってる奴なの?」
どうだろう、そういえば一ヶ月程前、携帯で何枚か寝顔を撮った客がいたことを優子は思い出した。消すように頼んで削除したのを確認したつもりだったが、もっと注意してあげるべきだったと後悔する。
今日帰れば母にこの件について相手の名を聞かれるに違いない。私は母に逆らえない。喋るだろう。そうなったらあの客がどうなるのか優子には容易に想像が付いた。
客の中では若く30前後、人懐っこい笑顔の可愛い人だった。私に嘘を付いた卑怯者なのかも知れないが根っからの悪人ではないと思う。まだまだやり残したこともあるだろう。
父だけでなく母も殺人なんか何とも思わない。今までに組員を使って自殺に見せかけ殺した人の数は……いや、もうこれ以上考えるのはよそう。頭がおかしくなりそうだ。
ホームルームが終わると優子は担当に校長室へ連れて行かれた。

学年主任と教頭、その真ん中に校長が座っていた。学年主任がさっき優子が読んだのと同じ雑誌を机に置いて「これだが、お前はもう読んだのか?」と問う。
優子が読みましたと答えると「単刀直入に聞くがこれはお前に間違いないか?」と畳み掛けた。優子が「はい」と答えると、教師達は皆絶句した。
校長が頭を抱える。優子の横で真っ青な顔をしている担当に向かって「君は一体生徒にどういう指導をしているんだ! 売春など……」と叱責し始めた教頭を「ちょっと待て!」と、校長が止め、席を立ち、机の雑誌を手に持ち優子の方へ歩み寄る。
「森澤優子さんだったね」
「はい」
「森澤さん、この写真よーく見てね、君に似てはいるけど、私にはちょっと違うような気がするんだが……どうかね?」
「……」
「私はね、この学園にそんなことをする生徒がいないと信じてるよ、都内有数の進学校で去年は東大に30人も合格してる。君の成績もさっき見せて貰ったが実に素晴らしい、このまま行けば東大も合格圏内だ」
「……」
「でも退学したら受験出来ないよね、輝ける希望に満ちた将来はパーだ、パー」
「……いえ、私、進学するつもりない……です……」
その言葉を聞いて校長は教頭へ振り返り、ニヤニヤと笑みを浮かべ「この子、ちょっと疲れてるみたいだ」と言うと、教頭は「軽い受験ノイローゼでしょう」と応じ、そして
「これ君じゃないんでしょ? 似てるからちょっと自分だって思っちゃったんだよね? そうなんだろ」と教頭は優子の胸倉を掴んで体を揺らし、壁に叩き付け、怒鳴りつけたた。
「オイ聞いてんだよ! 本当は違うんだろ!」
母の虐待がフラッシュバックしてパニックとなった優子は「すみません、すみません、ごめんなさい、違います、私じゃありません、ごめんなさい、違います」と鼻水を流し、ボロボロに泣き始めて何度も繰り返し謝ろうとする。
その姿を見て満足そうに「そうか、わかった」と言って優子から手を離す教頭。
校長は軽く頷き、椅子に座り「森澤さんは体調が優れないようだから早退させなさい」と床に蹲っている優子を学年主任と担任に抱えさせ退室させた。
181上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:41:08 ID:JfiZlACk
6/10
落ち着くまで保健室で横になっていた優子は、昼休みになってやっと起き上がり顔を洗って教室へ戻った。昼食中だったクラスメイトの視線を一身に浴びながら鞄に教科書を入れる。
「気にすることないから」と小沢さんが言ってくれたのは救いだったが、ありがとうと返そうにも、声が出なかった。
いつも帰宅を遅らせていたので、夕暮れ時でもない時刻に校門をくぐったのは本当に久しぶりのことだ。これからどうしようかと思う。家に帰りたくない、でも学校にもいられない。
ポロポロと涙が零れ落ちた。本当にどうしたらいいんだろう。次第に足取りがゆっくりとなって完全に止まったとき「優子!」と呼ぶ声が聞こえた。
「俊夫!?」
俊夫は前かがみになってハァハァと息を整え「教室行ったら、お前が帰ったっていうからさ、急いで追いかけたんだけど、追いついてよかった」と微笑んだ。
「何で……俊夫、まだ授業あるじゃない、部活だって……」
「俺らいつも一緒に帰ってるジャン だから今日も一緒なんだ」
「馬鹿……」優子も微笑んで、そして泣いた。

二人はいつもの分かれ道をそのまま進んで街を縦断する川まで歩いて行った。川岸の階段に二人腰をかけ河を眺める。口数を減らす彼なりの配慮なのだろうか俊夫は黙って煙草を吸っている。
「俊夫、煙草吸えたんだ」
「カッコいいだろ?」
「うん、でも医者の息子が煙草なんてお父さんに怒られるよ……」
「いや親父ヘビースモカーなんだ……それより優子、大切な話がある」
優子はドキリとした。あぁ、はやり雑誌のことを聞くのか、うん仕方ないよね、私達長い付き合いの友達だ、売春をしてるって事実を隠してたこと、俊夫、怒るだろうなと思う。怖かった。長い付き合いだったからこそ私達の関係が壊れるような気がした。
都合のよい友達として付き合った罰が当たったのかも知れないと思った。
しかし俊夫の口から出た言葉は意外なものだった。
「あのさ、俺、学校辞めて働こうって思うんだ」
「……」
「何処か遠くで、誰も知らない所で、だから、その、もし良ければ優子も……」
「俊夫……」
「うん?」
「それって私が売春をしてたことを知ったからなんだよね?」
「……」
「駄目だよそんなの、一時の感情で一生を棒に振るようなことしちゃ、俊夫は進学してお父さんの病院を継いで頑張んなよ、そしたら私なんかよりズッと俊夫に相応しい人、見つかるって」
「優子、俺は今、プロポーズしてんだよ」
「えっ……」
「お前が好きだった、前からだ、小学校の時にお前と出会ってからだ、覚えてるか? 俺が公園の隅で一人で泣いてたら、お前が俺に声を掛けて来たんだ、引っ越して来たって、友達になろうよって、それからズッと好きだったんだ」
「うん……覚えてる」
「俺のこと嫌いか?」
優子は俯いて頭をフルフルと横に振った。
「お前はどうすんだよ、体売ってるのって好きでやってる訳じゃないんだろ? あの親に無理やりやらされてるんだろ? このまま続けるのか? 二人で一緒に暮らそう、貧乏な暮らしだろうけど絶対にお前、幸せにするから」
優子は俊夫が自分と同じ夢を語ってくれたのが本当に嬉しかった。
二人暮らす生活を思い描いてみる。今まで優子が思い描いていた夢よりも色鮮やかに頭にイメージされ、心が温かくなった。
でも最後に俊夫が言った『幸せ』という言葉に優子は一瞬で現実に引き戻される。
私と一緒になって俊夫が幸せになれる訳が無いじゃないか。いつか私も私の両親のようになるに違いない。子供に虐待を加えるような腐った人間になるに違いない。
殺人犯の両親を持ち、ギネス記録申請中の娼婦の私が、どう俊夫が幸せにすると言うのだ。不幸せにするだけじゃないか。
「ありがとう俊夫、嬉しかった、でも一緒にはなれない、俊夫のことは友達としか考えられない」
俊夫は優子をジッと見つめ、そして目線を落として「そっか……ふられたか」と照れておどけた口調で返す。
優子が立ち上がる、俊夫は座ったまま俯いている、コンクリートの階段に俊夫の涙が落ちていた。
182上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:42:39 ID:JfiZlACk
7/10
いつの間にか夕刻となり優子は家に帰った。母はまだ週刊誌の記事についてまだ知らないのかリビングでのんびりTVドラマをみていた。優子はホッとして自室に入ろうとしたとき、母は優子の方を見ないで
「優子、今日の予定変更になったから、プリンスホテルじゃなくて、ヒルトンの月光ってレストランに九時、この前のハイクラスのお客、覚えてるだろ? あいつだ」と投げやりに言った。
彼か……。二人で抱き合った夜のことを思い出して顔が少し赤くなる。
でも予定が途中で変わること余程のことがない限り今まで無かったことだ。
「うん、わかった……でもハイクラスってどういう人なのかな? 政治家なの?」と優子が恐る恐る聞くと、母は呆れ顔で
「アンタ本当に馬鹿ね、相手の素性なんて関係ないわよ、それが私に何の関係があるの、ハイクラスってのは私にお金を沢山払ってくれる人達って意味よ、普通より多く払ってくれるからハイクラスなの」と吐き捨て韓流ドラマの続きを見る。
そうだ私は馬鹿だ。一体何を私は思い違いをしていたのだろう。確かに相手のことなんて関係ない、娼婦と客の繋がりは、お金しかないのだ。いや、そうあるべきなのだ。

ヒルトンホテル最上階への直通エレベータは優子一人だけだった。音も無くスルスルと上昇を続ける。ガラスの向こうの街の夜景が非現実的で幻想的なものへと変わっていく。

彼とセックスがしたかった。
そうすることで彼に与えられた親の愛を打ち消せる気がした。
俊夫を失った喪失感も埋められる気がした。
今夜、もしこの前のように抱き合うことがあったらそのまま彼を篭絡させ結ばれようと思う。いくら娘を思う親でも健全な肉体であれば誘惑出来る筈だ。
行為の後は嫌われるだろう、軽蔑されるだろう、でも構わない、私は娼婦なのだ、愛されようとは思わない。
セックスで結びついた愛なら何とか抑えられる、でも親の愛は抑えられない、彼にのめり込んでしまう、もう心の奥底の脆弱な私が傷つくのは嫌だった。

ドアが開く、眩しい程に明るい。レストラン月光へ向かう、華やかに着飾った紳士淑女が笑顔で会話をして、幸せそうに不味い料理を食べている。BGMはパルティータ第2番。
ボーイに自分の名を告げ、席へと案内されると、彼は虚ろに外の夜景を眺めていた。
「こんばんわ、ご指名ありがとうございます」と優子は素っ気無くいって席に着く。
ガラスに映った優子を眺める男、目を閉じて静かに「君は私の娘だ」と言った。
「わかりました。じゃあ、貴方をお父さまとお呼びします。私の名は好きに付けて下さい」と優子が答えると。男は外を眺めるのを止め「優子、君も私の娘だ」という。
優子は彼は何を言ってるんだろうと思った。貴方がわたしの父親な訳がないだろう。あの親の子でありたくないと何度役所に行って戸籍を調べたことか……。そう私は養女でもなく正真正銘、人殺しのヤクザの実子なのだ。
「貴方は私の親じゃないし私は貴方の娘でもない、でも貴方が望むなら貴方の娘として振舞います、私を買ったのですからその時間をどう使うか貴方の自由です、私は貴方の望むまま何でもします、だって私は娼婦なんですもの」

優子を見つめるだけで男は暫く何も喋らなかった。店内のBGMがロ短調ミサ曲に移る。男はボーイを呼んでワインといくつかの料理を注文し、葉巻を吸い大きく煙を吐き出した。
「分かった、じゃあ今夜は私の話を聞いて貰おう。長い話だ。退屈かも知れないが最後まで聞いてくれ。先ず恵美の話からだ」
183上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:43:40 ID:JfiZlACk
8/10
娘は癌だった。骨肉種の悪性で発見が遅れ、娘が若かったというのもあって進行が速くて見つかった時にはもう手遅れだった。全身に転移して処置できるものでは無かった。でも私はそれを受け入れられなかった。
この子が死ぬという現実が非現実的に思えた。助けられる筈だと思い込もうとした。必死にやれば奇跡が起きると思った。医者である私が自分の娘の病を見過ごした罪悪感、自己嫌悪もあって正常な判断が出来なかった。
何度も大きな手術をして癌細胞を一つ残らず取ろうとした、メスを入れられない箇所は臨床試験も済んでない強力な抗がん剤を外国から取り寄せて使った。
娘はやつれてね、髪の毛も抜けて、治療をしているのか娘を痛めつけているのか分からなくなってしまった。私は娘の残された貴重な時間を奪ってしまった。
もう殆ど時間が無くなった時、ようやく私は治療を止めた。娘に何でもしてあげようと望みを聞いた。そしたらこのレストランで家族と食事をしたいと言うじゃないか。
母親は昔に亡くなってる。私と娘と小学生になったばかりの息子の3人でこのレストランの、この席で食事をしたんだ。娘は苦しそうだったが、最後まで笑顔だったよ。
ここの不味い食事をオイシイ、オイシイと、もう味も分からなかったろうに。
食事が終わると娘の衰弱が酷いので部屋をとってホテルに泊まることにしたんだ。
明日の朝、娘の体調が良くなってから家に帰る予定だった。
部屋に入ると娘は食べた物を全て吐いた。モルヒネを打って痛みを和らげようとしたが、娘は拒否した。話があるって言ってね、ベットに横になって私と息子に語り始めるんだ。
それは娘の昔の記憶だったり、今日の食事の話だったり、弟である息子や私への感謝の言葉だったり、叱咤激励であったり、長い話だった、最後に私達の手を強く握って何を言いたかったのか、私にも息子にも聞き取れなかった。
私達は冷たくなった娘の体を擦って暖かくしようとしてね、必死で話しかけてね、そしたら生き返ると思って、ほんと私は医師失格だ。

今日、君が川岸の階段で息子と話をしているのを見た、君とゆっくりと話がしたくて学校の外で君を待っていたんだが息子に先を越されたという訳だ
勿論、何を話してたかまでは知らない、でもこの年になると何となく察しは付く。
息子は君に姉の姿を重ねている。あの子は幼い頃から姉が大好きでね。年の離れた姉を母のように慕って、いつもくっ付いて離れなかったよ。甘えん坊なんだ。あいつは姉が死んだ悲しみで心を閉ざしてしまった。
それを開けたのが君だ。姉の面影を君に感じ取ったのだろう。
君が息子と恋人まで関係を進めなかったのは、自分がいつか自分の親と同じになってしまうという恐れと、娼婦という現実にあったのだろうと私は思う。
でも、君だけが心の中に闇を持っていたのではないのだよ。
息子も君と恋人まで関係を進めなかったのは、自分が君を思う気持ちは君を姉に重ねているだけで君じゃなく姉を愛しているだけなんじゃないかという恐れなのだ。
息子は本当に甘えん坊でね、出来の悪い子供程に可愛いという言葉があるが、私は息子が付き合ってる幼馴染の少女が息子に相応しいか否か、見極めようとした。
探偵を雇って君の素行を調査させた。君の情報を週刊誌に売ったのは彼だ。私に情報を渡すだけでなく、週刊誌にも高く売れると思ったのだろう。君には申し訳ないことをした。スマナイと思ってる。
……しかし彼の持って来た君の写真を見て吃驚したよ。娘とソックリだったからね。まさか息子の幼馴染がそんな子だとは思いもしなかった。
あいつ黙ってたんだよ。家にも連れて来ない。息子は私に姉とそっくりな彼女がいると知られたくなかったのだろうな。恥ずかしいのか、それとも私に盗られると思ったのか、まぁ、愚息のことなど、もうどうでも良かった。
私は君に会いたかった。どうしても、もう一度、娘に会いたかった。
184上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:45:08 ID:WqgJyllA
9/10
彼の長い話が終わった。料理にもワインにも手を付けられることはなかった。
優子は混乱していた。娘である恵美さんを失った親の悲しみというものがどんなに深いものかを知って今までの自分の言葉や行為に罪悪感を覚え
目の前の男が俊夫の父親という事実と、俊夫が自分に姉を重ねていたという事実にどう接すれば良いのか分からなかった。
「私を買ったのですからその時間をどう使うか貴方の自由です、私は貴方の望むまま何でもしますと、君は言ったね?」男はニヤリとした。
「は、はい」優子は上手く声が出なかった。
「じゃあ、明日から本当の私の娘になって貰おう、君はもう私が買い取った、昔なら身請けというのか、5億も掛ったよ、病院を親戚に売り払ったんだ」
「なっ……」
「養女としてではなく君には私の息子……いや愚息の嫁になって貰おうと思う、それなら君を他家に嫁にやることもないからね」
「ふ、ふざけるな、あんたさっき、俊夫は私じゃなく、お姉さんを私に重ね、お姉さんを愛してるだけだと言ったじゃないか、私に近親相姦の真似事、いやそもそも結婚させるって何だよ、あんたにそんなこと決める権利……」
「権利ならあるよ、君は私が買ったんだ、君の気持ちなんか関係ない、君を買い取った私が君の人生を決定するんだ、息子と結婚して、私をお父さんと呼んで貰う」
「……」
「大丈夫だ、息子の嫁にまた裸で抱き合ってくれとは言わんよ」
優子の顔が真っ赤になる。BGMがアリアに代わった。私の一番嫌いな曲だ。何でこんな時にこんな曲が流れるのだろうと優子は頭を抱える。ニヤニヤした男の顔がスッと真顔に変わる。
「この曲、恵美が好きだった、恵美はここの景色と音楽を愛していた。綺麗だと……。この曲はね、この店の最後に流れる曲なんだよ、もう閉店だ」
男は灰皿に置いていた葉巻を取り「私も、もう長くはない、この煙草がね……肺ガンで、もう転移している、本当に私はヤブ医者だ、娘の後を追うには遅いが、もう死んでいい頃だと思っていた」
顔が真っ青になる優子、ショックで言葉が出てこない。
「でも君は娘の温もりを思い出せてくれた、掛け替えのない命というものの温かみを実感出来た、もう少し生きていたいと思った、君らの子供、孫の姿もみたいからね」
男は灰皿に葉巻を押し付け、火を消した。
「君らはまだ若い。私のように過去に囚われては駄目だ」
男が咳き込み始める、優子が背中を擦ろうと立ち上がると、男は手を優子へ伸ばし、手を広げ、来るな座ってろ、話を聞けと怒鳴った。
「息子は姉の姿を君に重ね、だから君に告白するのを躊躇った、そういう過去は確かにあった、でもな、そんなへタレが君へプロポーズしたんだぞ、これからは姉じゃなく君が好きになって行くんだよ」
男はまた大きく咳き込み始める。苦しそうだった。男が口を押さえたハンカチに血が付いている。優子が、分かりました部屋で休みましょうと言っても男は聞かなかった。
私にはもう少し話さなければならないことがあるんだ、頼むから最後まで話させてやってくれ、聞いてやってくれと懇願する。
「君もそうだ、親のような人間になるに違いないから人を愛せないとか、娼婦だったから駄目なんだとか、そんな悲しいことを言うな、これからの君はそんな下らないものに引きずられることなく生きて行くんだよ」
アリアの演奏が終わろうとしている。
「お前達は私が無理にでも結婚させる、こんな他人に強制された下らない始まりの恋愛は嫌だろう、でもなそれもいつか過去の話になる、幸せになるか不幸せになるか、そんなのは私は知らん、それはお前達が築き上げるんだ」
185上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 20:45:56 ID:WqgJyllA
10/10
それから私はお父さんの家で暮らすこととなった。
俊夫がまだ結婚出来る年齢で無かったので籍にはまだ入ってなかったけど
小さな教会で結婚式を挙げた。
式には私と俊夫、お父さんと、あと小沢さんが来てくれた。

お父さんはその一年後に亡くなられ、二年後に私は妊娠した。

幼い頃に虐待を受けた子供が親になると子供を虐待するケースが多いと心理学者は言う。
虐待の連鎖が起きたらって心配は正直まだ私の心の中に少しある。
不安になったら私はアリアを聴く。
すると、あの月光で聞いたお父さんの言葉が蘇る。
そして、お父さんに死んで欲しくないと願ったことを思い出す。

命の大切さを教えてくれたお父さん。
虐待を連鎖させない、お父さんの言葉を子供に伝え、心を連鎖させる。
その時には美しいアリアの曲を流そうと思う。







次回の上級先生の作品にご期待下さい。
186上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/11/30(火) 21:02:12 ID:SBBkSFYK
>>184
9/10

× これからは姉じゃなく君が好きになって行くんだよ
○ これからは姉じゃなく君を好きになって行くんだよ

間違えたわ。
187創る名無しに見る名無し:2010/11/30(火) 21:09:41 ID:jt13Mv5m
どうか、しあわせになってくれ!
受付最終日にゴチでした!
188創る名無しに見る名無し:2010/11/30(火) 22:16:31 ID:Od3Cdkim
駆け込み来た!

短い話の中に伏線とかも仕込んであって、しっかりした作りだな
189創る名無しに見る名無し:2010/11/30(火) 23:50:20 ID:Od3Cdkim
どうやら俺の投下は間に合わなそうだ
時間があると思ってのんびりしすぎたぜw
190 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/01(水) 00:03:09 ID:PCMnRdrp
終了ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
お前ら乙!

ということで、誰か投票所の編集頼んだ
191創る名無しに見る名無し:2010/12/01(水) 00:51:39 ID:KxutOrln
結構集まったね!でも、どうするの、投票。知らんがな。
192上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/01(水) 23:08:20 ID:pjcFTc/n
投票はともかく、一応、創作会が終わったのだし
このスレで合評というか反省会をやりませんか?
作品を投稿された作者さん誰かまだこのスレいる?
193上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/01(水) 23:10:14 ID:pjcFTc/n
×作品を投稿された作者さん誰かまだこのスレいる?
○作品を投稿された作者さん誰かまだこのスレにいますか?
194創る名無しに見る名無し:2010/12/01(水) 23:28:15 ID:ig/oRcXl
いるよ
195上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/01(水) 23:30:33 ID:pjcFTc/n
反省会と言っても、最初に投稿された作品から順に皆で感想を入れていくだけなのだがな。
まぁ、誰もやる人がいないなら僕だけでもこの週末に感想を入れようかなと思う。
お世辞じゃなく真面目に書くので批判的なものになるかも知れないがな。

創作会ってのは、切磋琢磨して創作技術を磨くのが本来の姿だと思う。
投票とか景品とか、そんなのは全くいらない、ていうか僕は辞退するけど
でも参加者が自分のレベルアップになにも得るものがなく創作会が終わるのは
これは参加者としてどうかなと思うんだ。
196上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/01(水) 23:33:02 ID:pjcFTc/n
>>194
どの作品を書いた方ですか?
この創作会をどうされるか予定は何かありますか?
197わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/12/02(木) 00:44:52 ID:9mxmUxbT
>>192
いますよ。
反省会というか、参加者やROMってた方を交えて作品について、お互いにあーだーこーだお話できたらいいですね。
198上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/02(木) 01:13:17 ID:nBalsv9a
お話できたらいいですねって
誰からか話掛けられるのを待つのではなく、他人がどうこうではなく
まず貴方がどうしたいか、その為に何をするか、なんじゃないかな

参加者やROMってた方を交えて作品について
お互いにあーだーこーだお話をしたいなら
自分から感想を入れるとか、話を振らないと何も始まらない
199上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/02(木) 01:27:20 ID:nBalsv9a
まぁ、平日は疲れてるからな、週末に集まろうや
僕は金曜の夜から順に読んでいって感想を書き始めるわ
そんなに長い感想は書けないだろうけど

しかし……この創作会を企画してスレ立てした奴が
本来幹事として引っ張るのが筋だろうに、率先して感想を入れるのものだろうに
なんなんだ、この投げっぱなし、無責任にも程があるわ、ちょっと腹が立つ
200創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 02:30:44 ID:JojEucmE
発端が雑談なので、スレ立て人=発起人とは限りませんよ。
1が幹事だとしても、
平日は疲れてるだろうから週末まで待つのがいいと思います。


さておき反省会や感想会は週末だとして
当初の予定通り投票を行うのならば、
場所やフォーマットは決めておかないといけませんね。
wiki編集できる人が居たと思うのでその方が来るまでに方針だけ纏めておくべきかな。

引っ張る人居ないと話にならないようなので、自分事務方やります。
1両日中にログ漁るから待っててね。ノシ
201創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 02:56:30 ID:uT5RJlLC
乙です
202上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/02(木) 03:32:52 ID:weOooNmg
>>200
貴方が誰で何の為に何をする気なのか、言ってることがサッパリわからないのだが……。

>投票を行うのならば、場所やフォーマットは決めておかないといけません
投票なんてこのスレに作品を投稿した者が
合評を終えてから自分以外で好きなタイトルを出せば済む話では?

>引っ張る人居ないと話にならないようなので、自分事務方やります。
事務方って何? 貴方はどの作品を出したの? なんで名乗らないの?

>1両日中にログ漁る
ログとは何? 漁るって何?
203創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 03:54:29 ID:pqO9bjNE
>>200
Wikiでやる予定だったよね。投票も締め切りが必要だしそこら辺の話し合いこそ比較的住人がいる週末でよくね?
どっちにしろWiki弄れる人が必要だしwあと事務方乙です。地味な作業がんばれw
204創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 04:13:53 ID:JojEucmE
作品は出していません。普段からコテトリを持っていないため名無しです。
投票については事前に方針として決まっていることなので今からの変更はないと思います。

週末に話し合うほうがスムーズですが、
反省会と混雑する可能性、投票開始が遅れる可能性があるので
事前に要点をまとめておくつもりでした。
けん引役不在が故の停滞はなんども指摘されていることでしたので。


というかログ見返してたら昨日に◆u0s.0cF8SEさんいらっしゃいましたね。
引き続き進行してくださるなら私が何かしらやる必要はないと思います。


以下は今後の要点と、wiki編集の際に使えそうなアンカーになります。
205上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/02(木) 04:16:11 ID:weOooNmg
なんで作品も出してない奴が話を進めるかな……。
作品はあんたらの玩具じゃないし。
少なくとも僕はそんな為に書いた訳でもないし。
Wikiでやるなら僕の作品は外してくれ。
206創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 04:19:18 ID:JojEucmE
企画概要 >>111

●審査方法
wikiの投票スクリプト
・部門は実質機能していない為、全作品を一括で扱ってもよさそうです

⇒何日間続けるか、時間制限の有無等が未定

●賞品について
モリタポor狐ポ
・部門は(ry)、投票で上位だった方へ贈ることになります
・文章部門 優勝:8万狐ぽ 準優勝:4万狐ぽ

⇒管理垢、受け渡し方法等が未定
 今回のポイントについては◆u0s.0cF8SEさんが管理されています


作品

「ダンディに仕上がったよ!」 携帯◆4c4pP9RpKE >>115

「お題」 ◆Toc0Hb3aUA >>122 

文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU >>125-131

「ある秋の夜に」 ◆LV2BMtMVK6 >>135-141

電車 ◆TC02kfS2Q2 >>147-150

開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE >>156-165

AA部門 ◆5EO17Ipqog >>169

「ニュー・ライフ」 三橋にくまん◆TJ9qoWuqvA >>174

恋愛シナリオ 上級読者◆xQmVoY6/HA >>176-185


・なお、115は取り下げ希望が出ています
207上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/02(木) 04:21:06 ID:weOooNmg
僕があんたのレスで一番腹が立ったのが
ログ漁るって表現だよ
208上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/02(木) 04:22:25 ID:weOooNmg
>>206
僕のは外して下さい
209創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 04:23:50 ID:pqO9bjNE
>>204
まぁWiki投票は事前の決め事だったしそれ自体は問題なく進むよね。
締め切りはこの場合早いほうがいいかなと一意見。次のお題待ちの人も居るしね。
とりあえず週末までの議題を提案しておくw

210上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/02(木) 04:30:18 ID:weOooNmg
そもそも書いてもいない奴がなんで何かを決めようとするの?
関係ないジャン、あんたら
211創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 04:33:53 ID:uIPmzw6l
>>206
まとめ乙です
212上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/02(木) 04:37:22 ID:weOooNmg
作品を書いてもないし、読んでもないだから

>AA部門 ◆5EO17Ipqog
>「ニュー・ライフ」 三橋にくまん◆TJ9qoWuqvA

こんな関係のないものまで参加作品の中にまとめて入れてしまうんだよ
何が事務方だよ、ふざけんな
213創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 10:46:33 ID:F28DAtmu
スルー検定を実施中です。
創発民たるものスルー出来て当然なのです。

>>206
まとめおつかれさま。
214 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/02(木) 13:25:43 ID:MmdODpCJ
>>206
まとめ乙です
助かります

投票期間に関しては、うっかり事前に決めるのを忘れてて申し訳ない
今週末までに話して決めてしまって、来週から投票開始っていう形にしよう
一週間くらい取ればいいかなあ
管理垢に関しては、賞品出してるのが俺だけだから今回は不要だな
受け渡し方法は、このスレに垢晒してもらうっていう形を考えてたけど、問題ありそうなら変更する
場合によっては入賞者ごとに個別に対応する

感想は期間中に一通り名無しで書いてるから、もう一度個別に書いていったりはしないけど、
みんなで投下されたもの振り返ってわいわい話そうぜってことだったら、どんどん混じってくよ
その時も用がなければ多分名無しだろうけど
215創る名無しに見る名無し:2010/12/02(木) 15:06:57 ID:bCDdbF7V
なにこの流れきめぇ
216 ◆91wbDksrrE :2010/12/02(木) 22:02:59 ID:pHEIf3hm
>>213
よし任せろ、完璧だ!(とある双子の月物語の形相で
217上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/03(金) 20:35:38 ID:LGYb+CTV
やっと週末かね、じゃあ、順に読んでいくかな。
今日中に全感想は出来るだろう。
誰もまともな感想をひとつも書かない創作大会なんて寂しすぎるからな。
218上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/03(金) 21:00:51 ID:PSpl4qdZ
>>122
「お題」 ◆Toc0Hb3aUAさんへの感想

肯定
話がポンポンと軽快に進んで読んで心地よい。
出てくるキャラの性格がサッパリしていて話に上手く合っている。

否定
内容が薄い。文章量が少ないので仕方ない面もあるとは思うが、何を読み手に伝えたいのかキチンと考えて、短くとも起承転結、オチを決めて欲しかった。
残念ながら特に引かれるものがない。書き手の心を代弁する筈の主人公に魅力が感じられなかった。創作に対する考えに共感出来なかった。

悩んでないで気軽に作品を大会に投稿しようぜ!って意味合いで
>下手な鉄砲もなんとやらって言うだろ?失敗を恐れるな。結果なんか問題じゃない。
と書かれたと思うが作品は宝くじのように偶然に高評価されることはない。
創作者の側ではないマスターと、創作者の意地をみせる主人公との対比を見せて欲しかった。

例えば

マスター「下手な鉄砲もなんとやらって言うだろ? 失敗を恐れるな。結果なんか問題じゃない」
主人公「いや違う創作者の鉄砲は一撃必殺、読者の心を狙って撃つものさ、分かるかい? マスター?」
マスター「そうなのか……ゴメン、投稿ボタンはさっき俺がクリックしちゃった」
主人公「なんだよ……そんなのってねーよ……」
マスター「大丈夫、アンタの一撃必殺、読者の心を狙って撃つって言葉はダンディーだったぜ! きっと読者の心に届いたさ」
主人公「いや、あんた俺があの言葉をいう前に投稿しちゃってるジャン。これじゃ誰にも届かねーよ、ううっ……」
マスター「読者はアンタの目の前にもいるさ」
主人公「マスター……」

みたいな感じ。ちょっと違うか。
219上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/03(金) 21:46:36 ID:ASIWjjFo
>>125
文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyUさんへの感想

肯定
「あんなんじゃ納得できないな」って親父の台詞に笑った。

否定
彼女の家に行く話にしては彼女の描写がアッサリし過ぎてる。
主人公の行動は彼女の家に行くことも含め彼女が好きって所から発生するのであって、だから主人公が彼女をどの程度どんな風に好きなのかという点は作品の中で大きなウェイトを占める。物語の起点、土台、コアになる。

読者を主人公へ感情移入させるには、作者が彼女を惚れてるのと同じくらいの適度な好意の感情を読者に追体験させなければならない。
だから彼女がどんな人間なのか、どうして好きになったのか、どのくらいの関係なのか、もっと具体的に表現しないと駄目だと思うが、この作品の場合、彼女の描写は

>四カ月近く付き合っている
>かなり口が悪い。一学年下だから一応敬語を使ってくれてはいるが、敬意は欠片も感じられない。

これくらいだ。全然足りない。
なんで主人公が彼女を好きなのかサッパリ分からない。

家についての描写をする前に、先ず彼女について書くべきだろう。
彼女を十分に書かずに、彼女のお父さんが登場するのもどうかと思う。

主人公がどういう経緯で何処で知り合ったのか、彼女の容姿はどうか、性格はどうか……。
勿論、一度に説明すると作品のバランスがオカシクなる。(※ 彼女のお父さんの描写は一気に長々と説明し過ぎで違和感を感じた、如何にも説明してますって感じで不自然、読むリズムも崩れる)

人物の描写はストーリーの流れの中で、ここなら入るなと思ったら積極的に少しずつ入れないと駄目だと思うし、出来れば彼女のキャラ立てにストーリーを一捻りする工夫があっても良かったと思う。

更に言えば、彼女の会話が少し味気なく其処から人間性を余り感じ取れない。萎縮しないで下さいなんて普通の会話で使わないだろう。
それは彼女がサッパリとした性格だからなのだろうと好意的な解釈を出来なくもないが、それならサッパリした少女の魅力は何かと考えて表現しないと駄目だと思う。
例えば、普段、サッパリとしてマイペースで動じない性格でも、やはり男を自分の家に入れるのだから少し緊張した描写を入れると、読者がその扉から感情移入し易くなる。扉の全くない人間には感情移入できない。

序盤以降の展開についても、このような土台が出来てないので上手く積み上げが出来て無いと感じた。
逆に言えば土台である彼女のキャラさえ上手く表現出来れば、彼女を好きな主人公やお父さんってキャラは必然的に上手く表現出来るようになるんじゃないかな。
220上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/03(金) 22:32:19 ID:SRVPTs8V
>>135
「ある秋の夜に」 ◆LV2BMtMVK6さんへの感想

肯定
錬金術の個性に面白味があって良い、彼との会話を楽しく読ませて貰った。

否定
序盤〜中盤に掛けて情景描写や勿体振った言い回しをいくつかされているが特に秀でた表現なく面白味に欠ける。
小説の文章とはこうあるべきと考えて捏ね繰り返していると文章が死んでしまう。
作者の思いが文章に乗らなくなる。
気取った文体になるだけで相手の心に届くだけの力を伴わない非力な文章となる。
小説とは作者の思いを伝える手段に過ぎないのだから、それらしい小説を書くことが目的になっては本末転倒なんじゃないかな。
そのような理由で序盤モッサリなのだが、終盤は拙速でどういう展開なのか良く分からなかった。
バランスが悪い。
221上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/03(金) 23:05:35 ID:Xo4/18uc
>>147
電車 ◆TC02kfS2Q2さんへの感想

肯定
『逃げるハト』『裁判長は神、判例は神話』って表現が面白いなと。


否定
文章が読みにくい。内容を理解するのに何度も読み返した。
話の筋に関係ない無駄な描写が羅列されていて、どれに注目をして読めばいいのか本筋が隠れて話が掴み辛かった。
比喩を無理やり使ってるところが多く、やらなくて良い時にやった比喩と、ここぞという時にやった比喩が混在してメリハリが利いてない。

更にいえば、比喩で心理描写を安易に簡単に済ますので細かい心理まで十分に表現出来て無いし、心理に深みがない。だからキャラへの感情移入が難しくなる。感情移入が難しくなると物語に入り辛くなって、さらに文章が読み難くなる。
比喩を減らし、上辺のテクニックではなく、もっとキャラに作者が入り込んで、深く素直にその気持ちを吐露させてやらねばならないと思う。
あと終盤、よく分からない。最後いきなり伏線も無しに弟を出されても読み手としては困る。
222上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/03(金) 23:44:29 ID:Uls3pkLK
>>156
開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrEさんへの感想

肯定
時間を掛けて丁寧に推敲されたのか書き慣れてるのかは知らないが文章が読み易い。読んでて違和感を感じたところが殆どなかった。
ラスボスのマスクマンが登場、でもマスクの形はパンツと笑いを取り、SSPSSPスーパーストロングパンツマシーンとし、更に二代目SSPことSSPUと連続ギャグの流れは綺麗で面白い。
その後もザ・セカンドパンツとこの線でギャグを執拗に重ねるのは筋が良いと思う。
天玄院流・気当というファンタジー要素を途中から出し展開を微妙に変え、読み手を飽きさせない工夫も評価大。
決勝前の盛り上げも捨て身で踏み込んで書いてるし、丁寧で良い。

否定
最後のバトルシーンが長過ぎる。説明が邪魔でバトル描写の迫力がイマイチ。
選手の焦りや奢りや恐怖や快楽や怒りや悲しみ等を書かれていれば、もっと直感的にバトルを楽しめるのになと、最後にカタルシスをもっと与えられるだろうし
説明を読んで状況把握するまで時間が掛る、でも感情なら理解するのにタイムラグ無しで感じ取れ早く読み進められる。
バトルはテンポが重要だと思うので、もう少し分かり易い感じにして欲しかった。
ただ人によっては戦術を重視した展開が好きという方もいるだろうし、好みの問題だが。

あと作品とは関係ないが、他スレで僕がレス入れて挨拶してるのに無視すんなよ失礼過ぎるわ。
223上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/03(金) 23:46:15 ID:Uls3pkLK
以上

これで全感想が終わったが、正直、僕も含めて参加者は初心者が大半の創作会だなって印象を持った。
初心者だから悪いということでは無いけど、初心者ならもっと上手くなろうと、意欲的に感想を入れたりするものだと思うが、このスレの人達は何もする気がないのかとガッカリした。
大会開始前にルールを面白がって決めてた連中は本当に作品を出したのか、出してないのではないか、騙された気がして不快だった。
224 ◆Toc0Hb3aUA :2010/12/04(土) 00:12:01 ID:EhSnmi92
>>218
ご指南ありがとうございます

ほぼ完全に僕の意図をくみとっておられます
欠点や直すべき点もよくわかりました
今後の参考にさせていただきます
225創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 00:37:28 ID:lWt4xKrJ
「上級読者◆xQmVoY6/HAこと◆8ZO3Heeojc(ウンゲロ)の基礎知識」

このコテハンは漫画原作者スレでキチガイ粘着レスを繰り出し続ける大学中退ニートの22歳。
人生の一発逆転を狙って漫画原作者になることを決意するも、
実際はまったく書いておらず、ひたすら2chで電波理論をはき続ける精神異常者。
スレ内での愛称は『ウンゲロ』。
その由来は過去に一度だけ晒したネーム原作の内容があまりにも酷く、
それを見たスレ住人の1人が「ウンコレベルのゲロネーム」と酷評。
その後、ウンゲロの銘を襲名。

常に的はずれの長文レスでまわりに迷惑をかけ続け、ことあるごとに
「僕を起用すればコミックス500万部は確実だね。僕の漫画理論は完璧さ」
とキチガイ妄想レスを延々と繰り返す。
つい最近ようやく彼の自信作「死神ゲジゲジ」が公開された。
http://neetsha.com/inside/main.php?id=9300
見て分かるとおり中学生レベルの酷い内容。
彼はこれをジャンプのストキン大賞に応募し見事落選。
自分のレベルが低すぎてかすりもしないことにやっと気づいた彼は、
それを編集と意見が合わないとかいつものように屁理屈をこねて逃げ出す。

現在は『上級読者 ◆xQmVoY6/HA』を名乗りながら素人にネタを出させ、
そのネタをパクっては賞に応募する盗作行為を繰り返す日々。

皆さん「上級読者 ◆xQmVoY6/HA」は以後完全スルーの方向でお願いします。
226創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 00:45:41 ID:wzTzkhKA
なんかいろいろ寒いな

寒い大会を修正しようという気もなく
癌細胞摘出に躍起になるのみ、か。
227 ◆Toc0Hb3aUA :2010/12/04(土) 00:55:16 ID:EhSnmi92
ある意味人間的魅力にあふれたかただと思いましたけど
キャラ立ってて、見てて面白い
死神ゲジゲジだってすごい面白い
思わぬ収穫でした
228創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 01:47:27 ID:2q94OHRC
今の所それほどやばいコテには見えないなぁ
229創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 02:06:37 ID:elOGRSmt
なんか妙というか違和感を覚えたがそれ以上は分からん
230創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 02:37:16 ID:lWt4xKrJ
470 :名無しさん@避難中:2010/12/04(土) 02:08:43 ID:Lm0D6mEgO
わんこ御大で読みにくいと宣うならお前の文はアラビア文字やヘブライ語に匹敵するほど難解だっつーの。
読み手の事一切考えない文体で他人を初心者呼ばわりとはこれいかに。

内容を突っ込むとリアルが無い。一晩で500万も取れるようならそれなりにデカイ組だろう。だが問題は金額ではない。
そんな大きな商売やる組がゴシップ記事に掲載される事を許すか? と思った。
ただでさえ厨二な設定がさらに強調され、世界観がおかしい事になっている。
トドメは最後のオヤジ。ダンディを期待して読んだらただの金持ちのイカれたオッサンですありがとうございました。
やってる事もメチャクチャで、おかしい世界観がここで爆発。厨二というよりリアル中学生の発想。
バックグラウンドがスッカスカだから、読んでて違和感がハンパ無いし、最後のガッカリ感すら覚えないほどの空気作品。ただモヤモヤだけ残った。
結論から言えばつまらん。
初心者というより昨日今日で始めて書いたという印象が拭えないです。

作品にはその人の性格や経験が意図せず反映される。
上級大先生の場合は先程言ったようにリアルが無い。中学生同様に人生経験の少なさが如実に文に出ている。
最後のオヤジの成り金趣味も、書き手の願望や妄想の塊なんだろうなと思いました。

肯定出来る事は一つある。この程度の文章で明らかに上のレベルの人達に文句垂れる根性。
俺なら恥ずかしくて出来ない。

さて、明日まで寝かせときゃもう来ないかな?
来たら来たでスルー検定一級実施体制で望むけどね。
231上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/04(土) 05:32:31 ID:5TRYjNbj
>>227
死神ゲジゲジって作品を書いたのは僕ではない。
ウンゲロという方と僕とは全くの別人なんで。

僕が書いたのは恋愛シナリオと後は

進学校シナリオ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/iga/1288324796/233

魔剣シナリオ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/iga/1288324796/350

これくらいだよ。そもそも、そんなに書いてないのだ。
小説ではなくシナリオだけど、暇なら読んでみてね。

賞に送ったこともない、プロになるつもりもないが
いつかプロレベルには到達して名が残るような作品は書きたいと思ってる。
それには今の技術や才能では無理だと思うから、作品を読んで感想を書いたり
シナリオや小説を書いたりして、このスレのような創作会にも出そうと思ったのだ。

盗作とかそういう卑怯なこともしない。
筋の通らないことや卑怯なことが我慢できない性格なので多分これからもすることはないだろう。
ていうか参考にするならプロの作品を読むよ。プロが書いた小説の書き方の本も一応一冊だけど買って読んでるし。
参考にする目的でこのスレにいるんじゃなく、参加する為にここにいるのさ。
232上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/04(土) 06:20:48 ID:5TRYjNbj
>>230
どこからのコピペかは知らんが、僕の感想には一応感想返しをしとくか

>読み手の事一切考えない文体
何年か振りに週末挟んで5日で書いた小説だから推敲不足ってのはあるよ、すまんな。
文章量が多くてね、最終日に間に合うように必死で書いて疲れて気分が悪くなって、投稿した。
誤字も多いし後でゆっくり書き直そうと思ってる。

>一晩で500万も取れるようならそれなりにデカイ組だろう
そんな値段の売春なんて組が大きいとか小さい以前に、そもそもない。
創作上の演出のひとつだ。こういう非現実的な設定は他にもいくつか入れてる。
リアルさより、話の世界の中での整合性とか流れとか演出を重視してる。

>そんな大きな商売やる組がゴシップ記事に掲載される事を許すか? と思った
優子で売春の商売をしてるのは優子の母であって、組の商売じゃないんだよ。
組はシマの切り取りの対価として優子の母から金を貰ってるだけ。
優子の母がゴシップに対して何もしなかったのはもう優子の身請けが決まったから。

>ダンディを期待して読んだらただの金持ちのイカれたオッサン
ダンディとは何か考えの違いがあるんだろう
金を使わないで行動で優子を救い出すというのが一般にそうかも知れないが
病院を売ったのは爺の医師失格という設定を被せてもいることなの。
それを売った対価で最後に人を救おうとしたって流れなんだよ。

>バックグラウンドがスッカスカだから、読んでて違和感がハンパ無い
具体的に書かれてないので何とも言いようがない。
設定深度はかなり深いのだがな、書いてないだけで。

>最後のガッカリ感すら覚えないほどの空気作品。ただモヤモヤだけ残った。
最後まで読んだのかね、ありがとう。
なんだかんだ言ってちゃんと全部読めるレベルだってことだなw

>中学生同様に人生経験の少なさが如実に文に出ている
どう出てるのか知らないが、辛い話は余り書きたくはないな、嘘でも救いのある話を書きたい。
執拗に社会の厳しさとか不幸なストーリーを書いてそれがリアリズムだと履き違えてるアマチュア小説家をひとり知ってるが
そういうのにはなりたくないと思ってる。
現実が厳しい今だから夢のある読んで楽しい話を書くべきだとも思ってる。

>この程度の文章で明らかに上のレベルの人達に文句垂れる根性
僕より明らかに上って人はいないと思う、僕も皆もそう変わらないかなと
ただ創作意欲は僕の方が明らかに上だと思う。
233創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 10:10:01 ID:UFIPVfxJ


【重要なおしらせ】

「上級読者 ◆xQmVoY6/HA」がネタを出せ出せとしつこい理由は、単にネタをパクるのが目的だからです。
煽るだけ煽って面白いネタが出たら即座にパクり賞に応募しています。
彼がネタをパクる理由は彼の描けるレベルがあまりにも低いからです。
(彼が唯一公開した駄作「死神ゲジゲジ」)
http://neetsha.com/inside/main.php?id=9300
彼は小学生並の創作レベルしかない自分に悩みそしてパクることを思いつきました。
他のスレでも問題になっているのでもう誰も相手にしていません。
皆さん、「上級読者 ◆xQmVoY6/HA」は以後完全スルーの方向でお願いします。
234 ◆91wbDksrrE :2010/12/04(土) 10:18:20 ID:5cALTFcl
>>233
自己満足の為にそういう警告をしてるなら即刻やめてください。
他人の為にやってるなら、どうすれば一番他人の為になるかを
もっと考えてください。
235創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 10:27:09 ID:UFIPVfxJ
上級読者 ◆xQmVoY6/HAはそうとうヤバいコテハンです。
詳しくはこちらを参考にしてください。
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/iga/1288324796/l50

スレ荒らし、ネタ盗作、他板で変態レス等々、彼がいるスレは必ず荒れます。
皆さん上級読者を追い出すには徹底的な無視が一番です。
236 ◆91wbDksrrE :2010/12/04(土) 10:45:23 ID:5cALTFcl
>>206
投票期間は長すぎるとダレるし、一週間くらいでいいんじゃないかな。
アンテナスレと雑談スレ辺りくらいには、投票準備が整った時点で
告知とかする感じで。
237創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 10:50:13 ID:lWt4xKrJ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1286706229/l50

485 名前: ◆91wbDksrrE 投稿日: 2010/12/04(土) 09:49:42 ID:BhuF/pHg0
あれを「挨拶」と認識する概念が俺にはあるか否かという事はさておくとして、
まあ、貴方に対して何かを言おうとすると、結構オブラートに
包めないような感じになっちゃうんで、自重してるんだわ。
まあ、もともと作者同士とかで雑談するのをあんまり好まないってのもあるけど。

無視されたという認識があるなら、どうしてそうされたのかこそを
考えてもらいたいんだけどね。

そこら辺を最大限オブラートに包むと、向こうの誤爆に書いたような
書き方になる。すると伝わらない、というw 駄目じゃんw
238創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 11:04:36 ID:ND/4Ytt8
とりあえず、
上級読者とかいうキチガイにはスレが荒れることを理由に
出て行ってもらうように説得してみよう。
>>235を見たけど痛すぎるな彼は。
まともにレスをしたことをすごく後悔。
239上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/04(土) 11:50:14 ID:AjqosTac
>>237
なかなかの偽善者っ振りだな◆91wbDksrrEさんは……。
普通、ここまで言えないだろう、ちょっと面白いキャラだね。
まぁ、いつか、彼の凍て付いたハートを僕の愛で溶かしてみせるさ。
240創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 11:51:54 ID:elOGRSmt
なんか背筋が寒くなったんだが
241創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 11:56:34 ID:ND/4Ytt8
>>239
このスレから出て行ってくんないかね。
急に荒れ始めた原因がお前にあるのは明確だし。
行く先々のスレで迷惑かけてるようだが、その原因が自分にあると理解できるなら
2chから出て行くのがベスト。

しかしここまで誰からも嫌われる人物ってのもすごいよね。
242上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/04(土) 12:25:06 ID:AjqosTac
なんで名無しに言われて参加者の僕が出て行くことになるんだろう。
参加者の過半数が僕に出て行けというのなら、僕は出て行くが
関係ない人から何かを言われたくない。
名無しこそ出て行けと思うが、どうだろうか。
243創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 12:30:47 ID:ND/4Ytt8
上級ってのがそうとうヤバい奴なことが判明

775 :名無しさん名無しさん:2010/12/01(水) 10:29:02

上級読者がこのスレでネタをネタ出せ出せとしつこいのは
ネタをパクって勝手に賞に応募して賞金をせしめるのが目的。
他スレで盗作未遂事件を何度も起こして気まずくなりそれでこのスレに逃げてきた。
この話はもうみんなに知れ渡っている。
誰もここにネタを公開する人などいない。
あと自分で書いたとか言ってるシナリオもネットで無断で拾った他人のネタ。
244上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/04(土) 12:40:16 ID:AjqosTac
判明してるのは、僕を粘着に叩いてるのが妄想癖のある卑怯者ってことだろ
僕を誘い出して殺そうと書き込んだり
やってることがもう犯罪の域だって分かってるのかね
245創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 12:45:26 ID:RyNFszQ8
>>242
参加者の一人ですが、これ以上あなたにこのスレにいて欲しいとは思えません。
看過できるレベルではありませんので、よければご自分の独特な価値観に合う他の場所に行ってくださいませんか。
今後、あなたがこのスレにいらっしゃる限りはこの大会に参加しないことをお約束しておきます。
246創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 12:46:28 ID:wzTzkhKA
>>245
コテつけろよ
さすがに卑怯だろw
247創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 12:48:53 ID:ND/4Ytt8
>>244
テメーがここから出て行けば解決するんだから早く出ていけ!
空気読めよこの知的障害が!
248創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 12:54:33 ID:ND/4Ytt8
>>244
それだけいろんなスレで嫌がらせを続けてきたんだろ。
殺害予告する人の気持ちわかるわ。
俺も合法的に殺してやりたいぐらいアンタに腹が立ってきてるし。
249上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/04(土) 13:00:12 ID:AjqosTac
>>245
トリップ付けなさいよ。
名無しで言うな。

「お題」 ◆Toc0Hb3aUA
文章部門応募作品 ◆sfjAAvy1mEyU
「ある秋の夜に」 ◆LV2BMtMVK6
電車 ◆TC02kfS2Q2
開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrE

参加者はこの五人だから三人の退去命令で出て行くよ

ていうかお前が作品出す出さないなんか僕が知るかよ。
出したくないなら出すなよアホ。
250創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 13:04:28 ID:ND/4Ytt8

「これまでのあらすじ」
・平和なスレに突如「上級読者」なるキチガイが出現。
・勝手に運営にケチをつけ自分がスレを運営すると身勝手な発言。
・ネットで拾ってきたネタを自分が書いたとねつ造し公開。
・人の作品に的はずれなコメントしてスレを荒らし始める。
・自分のネタ(盗作)に正論を吐かれて見苦しい屁理屈をはき続ける。
・前に荒らしていたスレから上級アンチが流れ込みスレはさらに荒れる。
・自分の存在がスレが荒れる原因なのにそれをスルーしてさらに他人を批判。
251創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 14:18:29 ID:UMU7RXsZ
投票期間は?
Wikiにするのはスレ立て前から決まってたからいいとして、期間話し合わないと結果発表や商品の贈呈式も出来ないぞw

あとお題も決めようぜ。一応参加側に回りたいのでお題の提案はしないけど、早く決めたほうがいいと思う。
虎視眈々と参加を目論む腕自慢は多いはずw
252創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 14:19:49 ID:ND/4Ytt8
ネットで拾ったネタもOKなの?
いわゆる盗作ネタのことだけど。
253創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 15:18:06 ID:ND/4Ytt8
んー
上級読者という荒らしのエントリー作品は盗作なのか。
だったら無効だな。
早くこのスレから出て行ってくれ。
254上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2010/12/04(土) 18:11:59 ID:904mw9H+
>>251
前も書いたけど投票、僕の作品は辞退するわ。やるなら僕のは抜いといてね。

正直、僕はあの作品を書くまで、そんなに小説の創作に自信がなかった。
締め切りに間に合わせる為に5日しか掛けなかったし、小説書くなんて何年振りのことだった。

でも書いてみて、以前より書けるようになってるんだよ。
僕が自分の実力はここまでだと思ってた限界点を越えることが出来た。
何でだろう。感想を大量に書いたからか、週刊少年サンデーを立ち読みし始めたからか
それは分からない。小説なんて全く書いてなかったのにな。

今なら僕はもっと伸びそうな気がする。
どうやれば更に伸びるのか少し何かを掴めた気がする。

そういう意味ではこの創作会に作品を出して良かったと思う。
もっと真面目に本気で創作を極めてみる。

もうこのスレというか板のレベルでは僕は満足できない。
さらに上を目指す。
255創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 18:23:29 ID:elOGRSmt
確信した駄目だこいつ
256創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 18:42:10 ID:YqnHBBE/
さて、本人からの申し出もあったことだし、
254の作品は除外で投票を進めて良いんじゃないか?
257 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/04(土) 18:58:05 ID:+YayM+wY
まあ、とりあえずお前ら落ち着け
取り下げがあった二作品に関しては、作者自身の希望なんだから外していいと思う

あと、次のお題決めようみたいな話も出てるけど、二回目以降の大会を続けるかは様子を見てって話だったから、
続行希望の人がどの程度いるか見てから決めることになるかな
続けたはいいものの全然投下なかったりするのもあれだし
もし続けるなら、俺はもう賞品に出せるものが手元にないから、誰か提供者探すか、
賞品有りって言う形式を見直す必要が出てくるね
258創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 19:18:12 ID:UMU7RXsZ
賞品に関しては正直オマケ程度で、無いなら無いでいいと思うよw
お祭り自体が楽しみって人が多いんじゃないか?

あとお題が鬼畜で参加を見送った人は絶対居るw
間に合わないぜってレスもあったし。
259創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 20:47:40 ID:Mwat/af7
投票についてだけど
期間は長くて1週間かなあというかんじ
投票期間中に次の参加人数やお題を計れば間延びもしないと思う

投票形態は
連打OKにするのか数時間に1票って形にするのかは決まってる?
個人的にはこういう会で連打する必要は感じてないんだけど
もし制限なしにする場合でも20秒くらいインターバル付けて欲しいかな
2周年のときは誰かが占有してると投票できなかったからそれ予防って意味で
260創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 21:00:10 ID:+YayM+wY
連打は要らないと思うぜ?
二周年の時はお祭りだったから票数確保とか盛り上がりとか考慮して入れてたけど、今回は特に一人複数票持たせる意味もないし
261創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 21:49:03 ID:qSLwfMyT
しかし一人一日一票だと、人が集まらなければ「全員一桁かゼロ」とかなりそ。
262創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 22:54:34 ID:2q94OHRC
気軽に参加出来てそれなりに感想も貰えるみたいな感じがイイナー
コテ強制ってのがまた参加のネックになってる気がする
「コテ無しにモノ言う権利なんかねぇよ」って言う人が出てきちゃうし
263創る名無しに見る名無し:2010/12/04(土) 23:13:35 ID:UMU7RXsZ
というより作品単位の識別用だから、捨てトリでもいいと思うのよん。

あと投票は現行版のように24時間毎でいいと思うよ。
「この人一票でこの人は二票」というように、一週間期限なら一人7点を自由に振り分けられる。
でも人数によっては連打もアリかも知れない。

正直、初の事だからどうなるか解らないってのは内緒な。
264 ◆91wbDksrrE :2010/12/05(日) 01:04:18 ID:KhnxpxWR
>>258
んだねー。
どっちに対してもw

>>259
形態は、今創発キャラ投票永続板でやってるような、
一日一票形式でいいんじゃないかな、と。

・・・と言おうと思ったら既に言いたい事を>>263氏が
代弁してくれている件についてw

>>262
これも既に言ってくれてるけど、作品名に捨てトリ、って感じで
いいんじゃないかと思うけどねぇ。
投票する以上、識別付は必要になるわけだからして。
265創る名無しに見る名無し:2010/12/05(日) 02:10:42 ID:QYTPntPj
>>254
戻っておいでよ
そんなに怖いの?
266創る名無しに見る名無し:2010/12/05(日) 07:06:43 ID:QYTPntPj
表現者のはしくれなら
作品の評価は読み手に任せればいいのに

自分は他人の批評をしてるくせに他人の批評は怖いなんて
都合良すぎる

そんなら俺も小細工させてもらうよ
投稿期間は終わったけど大会はまだ終わってない

こちとら優勝して景品辞退するとこまで考えてんだ
水嶋ヒロ作戦
267創る名無しに見る名無し:2010/12/05(日) 10:05:55 ID:OYVuoNAF
最後に景品渡さなきゃいけない都合上、酉はどうしてもいるんだよねー
一日一票形式だと、時間的都合次第では人によって使える票数が変わってくるのがあれかと思ったけど、
そこに不満が出ないようならそれでいいかも
268 ◆91wbDksrrE :2010/12/05(日) 13:43:13 ID:KhnxpxWR
そこら辺は意見がある人はどんどん言ってもらいたいよね。
269創る名無しに見る名無し:2010/12/05(日) 14:20:27 ID:rlqCxdOk
>水嶋ヒロ作戦

それだと出来レース疑惑じゃねえかw
270創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 02:29:53 ID:qhNNc6Cz
投票について、特に異論でないようなので
24時間に1票でいいでしょうか
期間は1週間、開始が少しずれ込んだので14日0時あたりを目処に。

このフォーマットで作成してきます。
271創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 02:38:50 ID:qhNNc6Cz
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/851.html

ログインできる方にお願いして、編集していただきました。
期間については14日までとなっていますが、◆u0s.0cF8SEさんの判断にお任せします。

というわけで
投票したらいいんじゃないかなっ!
272創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 03:29:10 ID:I0cuD1cm
【S1】S−1グランプリ【再臨】

◆◆◆S1グランプリ会場へようこそ!◆◆◆
本スレッドは創発板の腕自慢達が「見て見て!」と腕白小僧よろしくテーマに沿った創作物を持ち寄ってキャッキャウフフするアルカディアです!
鯖移転で消し飛んだけど、めげずに懲りずにアメニモマケズカゼニモマケズ月に吠えたける大和猛るの美琴!
え、超電磁砲?むしろ放課後電磁クラブ!ソコハジャッジメントデスノ
エスワン、つまりS(創発)1グランプリが帰って参りました!イェアァアアア!!

◆ルール説明◆
毎月1日から20日までが投下期間で、残り10日が感想タイム及びお題決めの時間です。
でもその辺はテキトーでオッケイすよ。どうせ過疎りますからね。
先んじて諦めておく定款からの諦観クオリティ。


という感じでスレ立てしようとしたら規制だた……
はやく創作大会開催してクレー
273創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 04:13:49 ID:SYvuHjed
趣旨はほぼ同じだから安心汁w
274創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 04:43:31 ID:SYvuHjed
とまぁ、さっそく投票してきたザマス。
配分は決まっている。
275創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 04:57:22 ID:I0cuD1cm
あれ?
試しに二回押したら二回投票できてしまった
276創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 05:00:22 ID:I0cuD1cm
『ある秋の夜に』に時間あけず二票いれてしまいました。すみません。
277創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 08:28:40 ID:wz7u1Qmf
>>276
見て来ました。
編集履歴によると、2票の間に7分ほどの開きがあったので、多分同じ時間に他の誰かが投票したものと思われます。ご安心を。
278創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 08:53:26 ID:vWzOlJLr
間に票が入ってたら2票でなく3票以上になるのでは?
279創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 10:55:47 ID:pKPEGcbY
投票ページ読み込んだ時の最新編集時間と、投票ボタンをクリックした時の最新編集時間が違うと、
更新が無効化される仕様らしいです

つまり
 ・ブラウザで投票ページ読み込む
             ←ここで誰かが投票
 ・投票する(前の人と同じ作品に)
 ・ページ更新後、一票増えてる(前の人の投票結果が出ただけ。さっきのはwiki的には投票反映されてない)
 ・もっかい投票ボタン押しちゃう
 ・一票加算される。二回投票できたように見える

こういうことね
280創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 10:58:00 ID:pKPEGcbY
つまり、何もおかしな事は起こってないし
投票者が謝る必要もないし
票数もそのまま計算すればおk
281創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 10:59:17 ID:wz7u1Qmf
つまりそういう事だ!
282 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/06(月) 11:30:15 ID:Ow3B0KQA
編集してくださった方、マジで乙です
結果が反映されなかったりするのはwikiの仕様だね
ちょっと分かりづらいけど、一日一票形式ならそこまで支障も出ないから、上にあるように気にしないでおk

あと、大変申し訳ないんだけど、編集の権限がある方は、AA部門 ◆5EO17Ipqogを投票の対象から外していただけると助かります
この作品は文章部門ではなく、その他部門の方の応募作品のようなので、投票も別集計(といっても、その他部門の応募は一つだけだったので、
投票無しで自動的に優勝)にしなければいけないので
お手数をおかけしてすみません
283 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/06(月) 11:39:41 ID:Ow3B0KQA
各作品とかがどこにあるか分からなくなった人用まとめ>>206

ただし、「ダンディに仕上がったよ!」 携帯◆4c4pP9RpKE と 恋愛シナリオ 上級読者◆xQmVoY6/HA は作者希望により取り下げ
投票期間は14日まで

投票所はこちら
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/851.html
284創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 11:49:45 ID:wz7u1Qmf
AA部門 ◆5EO17Ipqog
外してきました
進行毎度お疲れ様です
285 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/06(月) 11:57:39 ID:Ow3B0KQA
素早い対応ありがとうございます

よし、お前ら、大好きな作品に心置きなく投票するんだ
あと、他スレに宣伝とかする?
286創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 15:54:29 ID:SYvuHjed
雑談でいいと思うよ。よく動くスレのメンツはほぼ居るw
後は参加者各自が元居たスレで宣伝したいな、と思えばするって感じでも十分広がってくとは思うけどどうよ?
287創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 17:36:54 ID:dq+EkVeM
べつに。
288創る名無しに見る名無し:2010/12/06(月) 21:04:45 ID:I0cuD1cm
エリカサマー!?
289創る名無しに見る名無し:2010/12/07(火) 13:54:32 ID:6x3gpDz8
じわじわ票が集まってるのかな。
290創る名無しに見る名無し:2010/12/07(火) 20:39:27 ID:fbdESDDF
さっき投票してきたけど予想に反して(失礼ながらw)伸びてるよ。
優勝争いも見えてきた。
291創る名無しに見る名無し:2010/12/08(水) 02:48:24 ID:04ghE8tp
上位のお二人は飛び抜けて上手いからなー
292創る名無しに見る名無し:2010/12/09(木) 21:48:59 ID:wjcRFkvW
接戦ですな。
293創る名無しに見る名無し:2010/12/10(金) 00:02:22 ID:O4LkVlHI
寝る前に聞いておくが、第二回はどうするんですか?
294創る名無しに見る名無し:2010/12/10(金) 02:39:11 ID:D9PM7trj
未定
需要ありそうか見てから決めることになってる
295創る名無しに見る名無し:2010/12/10(金) 05:10:51 ID:O4LkVlHI
おk把握。
296創る名無しに見る名無し:2010/12/10(金) 22:33:35 ID:jq7IzA47
投票期間中だけどぼちぼち進めていいんじゃないかな

お題が鬼畜でなければ参加したいって言ってた人もいたと思うけど
お題や景品はさておいて、どんなスケジュールなら参加できそう?
297創る名無しに見る名無し:2010/12/10(金) 23:08:26 ID:D9PM7trj
普通に終わり次第次のを始めようとすると、年末年始とかぶるから今よりさらに過疎る可能性も
298創る名無しに見る名無し:2010/12/10(金) 23:10:22 ID:O4LkVlHI
お題さえくれりゃすぐ始めるぜ。

受け付けは結果発表後で仕方ない。つーかそれがベストだけど、作業は別なんだぜ。
299 ◆Toc0Hb3aUA :2010/12/11(土) 09:53:54 ID:jktFoqcX
最下位かブービー賞確実な俺は次回大会に雪辱を期すしかない
これじゃシベリア超速報に帰れない

せっかく作戦立案した「水嶋ヒロ作戦」も画餅と化したよ…
300創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 10:44:47 ID:4gjsikeb
うまいのが二人も居るからなw
301創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 13:44:07 ID:KkLi7iwQ
お題からうまく話が閃けば参加したいな

締め切りは年明けがいいなあ……個人的に。
年始のまったり感のなかでみかん食いつつ創作も悪くない
302創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 13:50:18 ID:6wsXqOD9
だがそのみかんは残像だ
本体は既に皮ごと女神の腹の中だ
303創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 20:34:45 ID:20ZBbPbV
この土日が天王山かな。

次回大会あるなら、お題はシンプルなのがいいな。例えば「図書館」とか「メガネ」とか。
304創る名無しに見る名無し:2010/12/11(土) 21:06:54 ID:KkLi7iwQ
三題くらいあると一番つくりやすいんだが。
どれか一個でも三つ全部使ってもって感じで。

S-1も複数題だったし
305創る名無しに見る名無し:2010/12/12(日) 22:11:12 ID:2WjP8/LP
投票締め切りが14日0時ということは、あしたいっぱいということか?
306創る名無しに見る名無し:2010/12/12(日) 22:16:36 ID:TzX+TzKd
明日じゃね?
307創る名無しに見る名無し:2010/12/13(月) 21:23:22 ID:F/X+JaPg
あと2時間半age
308創る名無しに見る名無し:2010/12/13(月) 23:20:30 ID:k1EmpKti
1時間切った!
投票所はこちら
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/851.html
309創る名無しに見る名無し:2010/12/13(月) 23:53:13 ID:oBHO7APe
みなさん思う存分投票出来ましたでしょうか?
そろそろ締切りますよぅ
310創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 00:01:51 ID:COV2a1cM
乙ー
311創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 00:15:36 ID:YhLsgi1m
終了でーす
おつかれさまでした

結果発表って即でいいの?
312 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/14(火) 00:16:24 ID:E0Z9B+Gc
お前ら投票乙
wikiで投票所の管理やっていただいた方も乙でした
首位争い、割とせってたな

今、wikiの方はまだ集計中ってなってるけど、結果が分かったら入賞した方はいつでもいいので
このスレに酉付きでニダーランの垢晒してもらえれば俺が気づき次第、賞品の受け渡しします
垢晒したくないから別の方法がいいとか、狐ぽ関連でよく分からないこととかあったらここで聞いちゃってください

垢の作り方とかはここ見れば多分わかるはず
http://tako8.ula.cc/takoyaki/welcome.html
313創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 00:21:46 ID:Madn9oXS
入賞者発表をよろしく
314創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 00:27:04 ID:YhLsgi1m
では取り急ぎ入賞者のみ

1位 「電車」 ◆TC02kfS2Q2       18票
2位 「ある秋の夜に」 ◆LV2BMtMVK6 17票

でした。
全体の表は今裏でゴソゴソやってますんでちとお待ちになって
315創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 00:31:11 ID:E0Z9B+Gc
スタートで飛ばしてた二人が逃げ切った形だね
◆Toc0Hb3aUAも追い上げたけど、あと一歩だった
316わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/12/14(火) 01:02:00 ID:BjcHlq5L
まずは、わたくしめに投票していただいた皆さま、本当にありがとうございます。
第一回創作大会『カッコいいダンディなおじ様選手権』というテーマは、わちきにとって全く未踏な領域でした。『おじ様』というキャラは専門外なんです、正直。
どうやって『カッコ』よく『ダンディ』に描こうかと悩んだ末、自分の中でいちばん「カッコよいと思うシチュ」を考えました。
その結果「自分の命を捨ててまで、人を救う」というという結論に至ったわけです。皆さまは、どう思われるか分かりませんが。
しかし、みなさまの投票を始め、数々の感想、ご批判を受けての上の結果として入賞として第一回創作大会を飾らせていただいたのは、
まことに光栄なことであります。本当に、みなさまの貴重な投票ありがとうございました。こんなに票が来るとは思わんかったげな!

難しかったです!このテーマ!次回はシンプルなのがいいな!

賞品ですが、提供者さまのご好意を受け取らせていただきます。
「大会を楽しみたい」だけだったので辞退も考えましたが、ご好意を無駄にしたくなくてと思いました。
垢ですが
http://pprof.ula.cc/wan_ko_house/
と言う風にいいいのでしょうか。よろしくお願いいたします。

そして、この大会に関わった、参加された皆様にありがとうございます。

師走の雨の深夜より。わんこ。
317 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/14(火) 01:14:12 ID:E0Z9B+Gc
>>316
おkです
送ったので、確認お願いします

ポイントをお試し●に変える方法とか、上の見ても分からなかったら聞いてね
優勝おめ!
318わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/12/14(火) 01:24:23 ID:BjcHlq5L
>>317
ありがとうございます。
319創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 01:25:26 ID:YhLsgi1m
わんこさん優勝おめでとうです。
しんとした冷たい空気が伝わってくるお話でしたよー


結果発表ページはこちら
ttp://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/1008.html
320創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 01:26:05 ID:E0Z9B+Gc
編集乙!
321創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 02:42:59 ID:4ESk2eyC
優勝おめでとうございます。

編集も乙なんだぜ。
322 ◆LV2BMtMVK6 :2010/12/14(火) 07:24:20 ID:zPILEqjj
わんこさんオメー
自分に票をくださった方々もありがとうございました。
323創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 08:15:05 ID:4ESk2eyC
串焼き屋さんもかなり接戦だったなぁ。
324 ◆Toc0Hb3aUA :2010/12/14(火) 19:24:43 ID:nvpLI4PW
大会終わってた…やったブービー賞獲ったぞ!物資を要求
結果を見れば優勝すべきヒトが優勝したというか
上位四名はいずれも甲乙つけがたいものがあると思いました

>>315
そうそう俺も追い上げたのですが…2票もいただければ充分です
ありがとうございました

また小細工作戦考えなきゃ…一番乗りして大会終わるまで誰も投下しないのを願う
「時間切れ優勝作戦」とかいいな

それにしてもこれだけ小細工したのに…
やはり専門板の壁は厚いな…ぶつぶつ

325わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/12/14(火) 19:48:48 ID:BjcHlq5L
>>319>>324
みなさんありがとうございます!
>>322入賞おめです!
また、一緒に参加したみなさんもありがとう!
326 ◆91wbDksrrE :2010/12/14(火) 20:46:51 ID:tCj+Sc6p
ど真ん中にたったぞー!(長州力の形相で

みなさん乙でしたー。
純粋にこういう風に結果が出るのも、何かドキワクして楽しいねw

>>316
優勝おめでトリー!
327 ◆LV2BMtMVK6 :2010/12/23(木) 23:03:37 ID:yfavLKNt
次席商品を受け取りなされと神の声が聞こえてきたのでありがたく晒しまー
http://pprof.ula.cc/kushico/

第二回の話ってどうなるんだっけか
328 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/23(木) 23:21:25 ID:HLKmSP5T
送ったんで確認お願いしますん

第二回は需要あったらやる事になってたけど、スレの様子見ると今のところ終了な流れかなー
続けたいって人は何かしら反応頼むます
329創る名無しに見る名無し:2010/12/23(木) 23:32:42 ID:yfavLKNt
>>328
いただきました!
どうもありがとうございます

これ第二回はなんか普通のお題出せば日和ってた人たちも書いてくれるんじゃないだろうか
お題がなぁって意見はちょこちょこ見かけたし
330創る名無しに見る名無し:2010/12/23(木) 23:36:31 ID:SHKSndau
むしろ企画側の動きがないから黙ってたのですがw
やるならかかってこいや! 地下大会もよろしく!
331 ◆u0s.0cF8SE :2010/12/23(木) 23:55:32 ID:HLKmSP5T
俺は基本的に議論の方向性が変な方向に行かないようにしたり、話をまとめたりとか以外はできるだけしないつもりだから、
スレ自体に動きがなければ基本的に自分からは何もしないよ
単に進行引き受けただけで、言い出しっぺでも主催でもないからあんまり出しゃばりたくないんだよね

というわけで、第二回やるかどうかも俺が決めるってわけじゃないよ
黙ってたら多分このまま終了w
332創る名無しに見る名無し:2010/12/24(金) 00:29:53 ID:PYI9Lsni
おおうw
ならしばらくは動かないんじゃない? だってみんな忙しいでしょ今w
地下大会よろしく!

とはいえ面白い企画だから年末年始過ぎればまた意見集まるんじゃないかな?
避難所で地下大会やるぜよ!
333創る名無しに見る名無し:2010/12/24(金) 00:32:35 ID:nVytUMJC
地下大会の宣伝がさりげなさすぎるwww
334創る名無しに見る名無し:2010/12/24(金) 00:36:22 ID:b8el1Esw
ああ、これ以上ないほどさりげないな
335創る名無しに見る名無し:2010/12/24(金) 19:42:34 ID:PYI9Lsni
地上作戦に置ける兵士の運用について、食事という物は極めて重要だ。
下院議員が提出した資料を読んでみよう。
大陸沿岸に上陸した兵士が最初に築くのは野営。議員は以前に実際に行ったという。
会う兵士が皆、まずそうな携行糧食に不満の声を漏らしていると議員は言っている。
336創る名無しに見る名無し:2010/12/24(金) 23:37:40 ID:xanzpkIO






宣伝ありがとうございます
興味をもった紳士淑女はぜひ避難所まで……
337 ◆Toc0Hb3aUA :2010/12/26(日) 19:33:01 ID:V9Crq3Il
地下大会ってどこでやってるんだろう…
338創る名無しに見る名無し:2010/12/26(日) 21:24:56 ID:xaAAJkyR
避難所に行くのだ……!
339創る名無しに見る名無し:2011/01/02(日) 23:46:47 ID:UomUrV1g
避難所ってどこなのさ?
340!omikuji:2011/01/02(日) 23:52:56 ID:N95Mvsre
テスト
341創る名無しに見る名無し:2011/01/03(月) 00:05:24 ID:r57rTvWK
342創る名無しに見る名無し:2011/01/05(水) 16:16:56 ID:7ys6v75b
IP抜かれる
343上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/01/30(日) 16:53:55 ID:BUKmksy9
そういえば大会の結果どうなったかなと思って久しぶりに来てみました。
あれが優勝、準優勝ですか。

僕は、開催!KDO選手権 ◆91wbDksrrEが
あの中では頭ふたつくらい抜けてたように思うけどね。

まぁ、あの作者は僕のこと嫌ってたみたいだけど
僕は彼の作品は結構好きでしたよ

で、次の大会開催はあるんですかね?
少し暇になったんで、ちょっと参戦してみようかなって思って。
344創る名無しに見る名無し:2011/01/31(月) 09:11:44 ID:BPGQsDjF

上級読者へ

漫画原作スレの処刑人です。
あなたは2chを卒業するといいながらまた舞い戻ってきましたね。
そしてまた皆に迷惑をかけようとしていますね。
なので、今日からまたアナタにつきまとい最終的に処刑いたします。

今度はいっさいの手加減も遠慮もしません。
覚悟してください。
345創る名無しに見る名無し:2011/02/01(火) 12:37:23 ID:evzmfao8
やれやれ
まだ変な粘着君がいるのか
もう来ませんのでご安心を
346上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/01(火) 15:52:30 ID:P3mbqcRb
まぁね。
大会がないなら来る必要ないわな。
◆91wbDksrrEを次の大会で競って
公正に文章を判定できる人に比べて貰って
ボコボコに打ち負かして
泣かせようと思ったけど
あいつへタレだしな。
他の奴はぶっちゃけ雑魚だし。
もういいわ。
お子ちゃま格闘小説で
井の中の蛙でいればいいさ
この板はアイツにお似合いだよ。
馴れ合いの中で腐ればいいのさ。
ふふん。
347創る名無しに見る名無し:2011/02/01(火) 19:48:02 ID:evzmfao8

まあ、上級バカもアホのぽっぽもウンゲロも過去のキモ粘着野郎ども全員含めて最後はみんな学ぶんだよな。

「2chに糞ネタを延々晒し続けても何にもならないただの時間の無駄だった」ってことを。
348 ◆Toc0Hb3aUA :2011/02/08(火) 20:47:01 ID:81/q1uHh
世の中いろんなヒトがいるから面白いよね

次の大会が待ちどおしいなあ
349創る名無しに見る名無し:2011/02/08(火) 21:25:02 ID:nIvLSWbg
うおーこの大口叩いている上級読者って奴の創作見てえwwwwww
350創る名無しに見る名無し:2011/02/08(火) 22:26:55 ID:iYxZurQr
俺は見たいとも思わないからコテとトリもついてる事だし透明にした
351創る名無しに見る名無し:2011/02/08(火) 23:42:11 ID:5Xh1K4KM
>>349
>>176にあるだろ
352 ◆91wbDksrrE :2011/02/09(水) 01:45:44 ID:NpjkpjgI
次の大会の企画待ち・・・。
353創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 05:09:24 ID:Mh17SgFA
じゃ、そろそろ第二回やる?
レギュレーションは前回のとほぼ同じで商品だけナシで。
354上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 06:10:05 ID:gcUTmH0N
>>351
それ大会の締め切りに間に合わなくてさ
時間が無かったから推敲し切れてない未完成の作品なのだ。

誤字脱字書き間違えが大量にあるし
ピルの使い方が誤りだという指摘もあった。

読むならそれらを大会後に修正して完成させた
こちらにしといて。

ttp://ncode.syosetu.com/n3930p/
355上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 06:25:55 ID:emYTCQLi
>>353
レギレーションは変えなきゃ駄目でしょ。
IPを変えれば票を不正に入れ放題の欠陥評価システムでは票に重みがないし
ボタンをクリックして生まれただけの票なんてそもそも価値が無い。

参加者自身が不正をやるとは思いたくないが
作品の良し悪しでなく、馴れ合いの結果
好きな作者に大量に票を入れる人が出ると思うよ。

こういうのを変えないと、公正な評価が下されるとは思えない。
せめて感想に裏づけされた票で競うようにしてくれ。
出来れば、公平に評価出来る人に審査員を頼むのが理想だと思うが。
356創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 07:04:34 ID:tRXTmZMh
はいはい
357上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 07:29:54 ID:ZqbGawfC
ハイは一度ってな!
358創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 07:58:27 ID:AhCnpwQu
前回のレギュレーションを踏襲していいでしょ。まだ、一回しかやってない訳だし。
359上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 08:00:59 ID:jI4GwStR
えー。
360創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 11:03:00 ID:Mh17SgFA
我慢出来ないから言うけど自演でエンヤコーラやられたらうざいからWikiね。どっちにしろ開催は無いけど。
361上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 16:28:25 ID:BkHvftaj
また名無しの仕切り&Wiki宣伝かよ。
あの胡散臭いWikiが絡むんだったらもういいわ。
好きにやってくれ。
362創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 16:59:19 ID:rrARDL5E
前回どおりのやり方で問題ないと思うよ
363上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 17:40:03 ID:OLxxo3JN
公正な評価なんてこの板には存在し得ないと分かった。
このスレに来た人が過去ログで第一回の大会の作品をざっと読んで、結果みて
おかしいなと思うか、正しいと思うか、どうだろうね。
文才ない人の唯一の居場所を奪っても仕方ない。
勝手にやればいいのさ。

◆91wbDksrrE、決着を付けられそうにないわ。
他の板のまともな競作際で競うぜ。
勇気あるなら返事しなよ。
まぁ、お前へタレだからガチ勝負、どうせ逃げるんだろうけど。
勝っても負けても八百長試合がいいんだろ?
お前のチンケなプライド、傷つかないもんな。
364創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 17:49:03 ID:to6i5lxZ
            ___         /
       / \  /\  キリッ   | 公正な評価なんてこの板には存在し得ないと分かった。
     / (●)  (●)\     | このスレに来た人が過去ログで第一回の大会の作品をざっと読んで、結果みて
    /   ⌒(__人__)⌒ \   < おかしいなと思うか、正しいと思うか、どうだろうね。
    |      |r┬-|    |    | 文才ない人の唯一の居場所を奪っても仕方ない。
     \     `ー'´   /    | 勝手にやればいいのさ。
    ノ            \    \
  /´               ヽ
            ___
       /      \
      /ノ  \   u. \ !?
    / (○)  (○)    \ 
    |   (__人__)    u.   | クスクス>
     \ u.` ⌒´      /
    ノ           \
  /´               ヽ
         ____
<クスクス   /       \!??
      /  u   ノ  \
    /      u (○)  \
    |         (__人__)|
     \    u   .` ⌒/
    ノ           \
  /´
365創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 17:53:44 ID:paDsF8no
ヘタレで逃げてばかりの人…?
366創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 17:58:26 ID:paDsF8no
>>363
次回大会も逃げるの?
367上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 18:10:37 ID:Y06VVe+/
公正な競争が出来る議論すら出来ない。
なぜかWikiに誘導する名無しが現れて仕切る。
聞く耳を持たない。前回の通りにするの一点張り。

逃げてるのはどちらかって話だ。

公正な競争が出来るなら、いつでも、どこでも、僕は勝負を受けますよ。

先月の結果は票の不正があったと僕は確信してますので
そんな大会に大切な作品を出す訳にはいきません。
368上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 18:15:14 ID:Y06VVe+/
別の板の競作祭を探しますので、あんたらは馴れ合いで
優勝を仲間内でたらい回しにすればいいのさ。
次は◆91wbDksrrE辺りを優勝させるんだろ。
好きな奴、自分の思い通りになる奴を勝たせる
それだけの話じゃねーか。あーくだらね。
369 ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:2011/02/09(水) 18:18:14 ID:to6i5lxZ
       _____
      /::::::::::::::::::::::::::\                  _
     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\             /  ̄   ̄ \
     |:::::::::::::::::|_|_|_|_|           /、          ヽ
     |;;;;;;;;;;ノ   \,, ,,/ ヽ          |・ |―-、       |  きみ頭だいじょうぶ?
     |::( 6  ー─◎─◎ )          q -´ 二 ヽ     |
     |ノ  (∵∴ ( o o)∴)         ノ_ ー  |     |
   /|   <  ∵   3 ∵>          \. ̄`  |      /
   ::::::\  ヽ        ノ\           O===== |
   :::::::::::::\_____ノ:::::::::::\        /          |

370創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 18:20:16 ID:paDsF8no
>>368
そう言うなよ
大会に参加してよ
あなた面白いよ

存在が
371上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 18:28:15 ID:Y06VVe+/
>>370
どうせ出すなら、もっとまともな大会がいいわ。
ハッキリ言ってWikiなんて、ひとりで何票でも投稿できるジャン。IP変えりゃいいんでしょ。
こんなの例え優勝しても今度は僕が不正だろうと思われるし。
でも根本から仕組みを変えるつもりもない。
変えようとする試みを名無しで叩き潰す。
でも参加しろ、アホかと。
372創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 18:32:41 ID:paDsF8no
>>371
何度も消えると宣言して消えないあなた

最高に面白いよ
373上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 18:38:33 ID:Y8+2T21j
>>372
絡んでくるねぇ、お前、前回の優勝(笑)者?
374創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 18:44:39 ID:paDsF8no
>>373
ちがうちがう

優勝は狙ってたけど

おっとやべえ
喋りすぎるとこだった

好感度って大事だからね
375上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 18:48:01 ID:Y8+2T21j
じゃ、二位のアレか。いい加減にしとけよ、お前。
376創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 18:55:09 ID:paDsF8no
>>375
二位って…
そんなに誉めるなよ

俺が誰かなんてどうでもいいだろ

あなたの気持ちも分かるけど
赤子みたいに駄々こねてばかりいてもしょうがないよ

大会の運営方法に不満があるならもっと具体的かつ現実的な具体案を出してみたら?

あなたのやり方ではまとまるものもまとまらないよ

スレを混乱させたいだけなら俺も手伝おうか?
377創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 18:55:47 ID:LXOaEQUi
上級読者様はずいぶんとおめでたい頭の持ち主なんだな
大事なのは作品を評価してくれる読者で
馴れ合いだろうが何だろうが味方を多くつけた奴の勝ちだろう
まわりにあわせる努力も出来ない人間が
自分の思い通りにならないって騒ぎまくってスレ荒らしか
結局なーんにも学習も反省もしてないのな
これから一生そういう人生なんだろう
378上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 18:57:59 ID:Y8+2T21j
じゃ、お前、◆Toc0Hb3aUAくらいじゃねーかw
名無しで叩いてたのいかよ。
吃驚だわ。
379創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 18:59:09 ID:paDsF8no
被害者ぶって自分を守るのもいい方法だけど

たまには他人の意見も聞き入れてね
380上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 18:59:48 ID:Y8+2T21j
>>224
こう言いながら裏で舌出してたのか……。
どういう奴なんだよ。
381 ◆Toc0Hb3aUA :2011/02/09(水) 19:01:20 ID:+jee4UMg
>>380
照れるなあ

そんなに誉めないで下さいよ
382上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 19:03:10 ID:Y8+2T21j
シベリア超速報のコテなの?
383 ◆Toc0Hb3aUA :2011/02/09(水) 19:03:58 ID:+jee4UMg
>>382
そうですよ
384上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 19:05:04 ID:Y8+2T21j
最悪板で延々と携帯で陰湿に僕を叩いてたのもお前だったの?
385 ◆Toc0Hb3aUA :2011/02/09(水) 19:07:20 ID:+jee4UMg
>>384
それは違うよ

俺が見ているのはシベリア、誌・ポエム、癒し、VIPだからね

あなたのことはこのスレで初めて知ったよ
386上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/09(水) 19:07:52 ID:Y8+2T21j
もういいよ。ガッカリだ。軽く落ち込んだわ。
387 ◆Toc0Hb3aUA :2011/02/09(水) 19:11:15 ID:+jee4UMg
>>386
そう言うなよ

あともうちょっと自分を客観的に見たほうがいいよ

あなたのレス見てると

叩かれても仕方ない部分もあるよ

さっきも言ったけど

被害者ぶってたら解決するものも解決しないからね
388創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 19:16:53 ID:mehfiw3d
>>386
作品より書き手が目立ってるからね。
389 ◆Toc0Hb3aUA :2011/02/09(水) 19:23:24 ID:+jee4UMg
>>388
痛いところ突くなあ…



上級読者さんいなくなっちゃったのかな さみしいな

久しぶりに面白いキャラに会えたのに

あ〜名無しで煽り合戦楽しんでたのに正体ばれた!恥ずかしいし
調子に乗ってスレのふいんき悪くしちゃったかな…反省

ま、いいか 俺だって決して善人じゃない
撹乱戦術が成功したと思えば大収穫(^_^)v

自分に都合のいいほうに考えなくっちゃね
390創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 19:27:27 ID:QCsKAh26
で、上級さんはどんな投票形式がいいの?
391創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 19:29:50 ID:LXOaEQUi
書き手が目立っても悪くはなかろう
創作発表板の大会なんだから板で活動実績のある人間が高く評価されるのは当然だ
それが嫌なら全員新コテ新トリで投下すればいいんじゃないか?
文体でクセは出るだろうが
392創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 19:36:10 ID:mehfiw3d
悪いということはないよ。上級さんは悪いほうに目立ってるだけだから。
393創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 19:45:07 ID:Mh17SgFA
すまんけど俺は上級を許容出来る程器でかくないわ。
今までの言動見れば、目の前に居たら割と本気で殴ると思う。
394 ◆u0s.0cF8SE :2011/02/09(水) 23:12:11 ID:pZTpODcg
なんか第二回開催の声が出てきたんで

投票方法に関しては、他に良さげな案があれば、変えるのを検討してもいいと思う
ネット上で不特定多数が投票するとなると完璧に抜け道を潰すのは不可能だけど、ベターな方法があるならそれがいい
代案が出なければこのままで
あとは、前回文章部門以外に全然投下が来なかったから、ジャンル分けも見直した方がいいかも
賞品に関しては、今回も狐ぽでいいなら俺がいくらか出せるけど、なしでいいの?

あと、コテの叩き煽りはよそでやれ
本人同士のもな
395創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 23:20:07 ID:mehfiw3d
二回目、やりたいね。

別に一回目の投票方法に不正とかは感じなかったけど。
396創る名無しに見る名無し:2011/02/09(水) 23:26:04 ID:pZTpODcg
特別不自然な動きがあったようには見えなかったな
ものがものだから証明はできないけど

まあ、前回のがどうだったにせよ、もっといい方法があるならそれは結構なことじゃない
397 ◆Toc0Hb3aUA :2011/02/09(水) 23:37:55 ID:+jee4UMg
創作系 煽り合戦 口論 議論専用スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1297262086/l50

煽り叩きはよそでやれという御意見がございましたので立ててみました

まことに申し訳ありませんでした

今後はスレの雰囲気を乱さぬよう努力いたしますので

どうかお許しくださいませ

上級読者様 気がむいたらぜひいらしてください

お待ちしております
398上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 07:26:15 ID:02FZ2eYy
>>394
またお前か。よく、そんな他人に向かって、ホラ、小銭やるぞ
みたいな見っとも無いこと言えるものだと思う。
他人から、そんなのキモイものを受け取るのも恥知らずだと思う。
俺は乞食じゃないもんで、そんなもの絶対に受け取らないだろう。
ていうか今回は、俺も出ますみたいな前向きな言葉出ないものかね。

>>397
一晩反省したか?
スレ立てちゃったりして君が焦ってる姿、敢えて黙ってみてたよ。
良心の呵責を感じてたみたいだね……。
ふふん。人はそうやって成長するのさ。
もう煽りや叩きなんてやっちゃ駄目だぞっ!
399創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 07:36:19 ID:7LYPv+Rg
先生じゃないですか!最新作はまだでしょうか?
400上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 07:39:55 ID:02FZ2eYy
>>395
>別に一回目の投票方法に不正とかは感じなかったけど。

優勝と二位の作品読んだ上でそう言ってるのなら、おめでたいなと思う。
今更、結果に文句言うつもりはないけどね。
ただ不正の入る余地のある投票システムなのは確かだ。

串を使ってIPアドレスを変えたり、偽装すれば簡単に複数投票が出来る。
クリックするだけだから本当に簡単に出来てしまう。

さらに言えば、そのWikiの関係者か、名無しの仕切りをした人
どちらか、もしくは同一人物か、だけど、そいつが祭りへの投票が少ないってことで
祭り参加者の為に良かれと思って、投票を自演した可能性を、僕は捨てきれない。

第2回をやるなら、感想に裏づけされた票になるようにすべきだ。
第1回は合評すらなかった。
参加者は全感想を入れて、誰がよかったか本音で感想を入れるべきだ。
その上で優勝者が決まるなら文句はないし
それとは別にWikiで投票して読者賞を決めるのも止めない。
401上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 07:54:29 ID:mVVyOrMd
>>393
君のそのパンチは残念ながら僕には届かないだろうし
仮に届いたとして全く動じないだろう。

僕はギロッと睨み、君を許すだろう。
君はそのとき失禁、いや脱糞するかも知れない。

器の違いとは、そういうもの。
大人になれ。
402創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 07:56:10 ID:7LYPv+Rg
そんなに読み手を信用できないんだ。
403創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 07:57:47 ID:YuhmBkv1
ぬるぽ
404上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 08:00:35 ID:mVVyOrMd
僕に許して貰えたことが嬉しい子犬が僕の足元でキャンキャン吠えてるんだぜ。
おいおい子犬ちゃん、用心しなよ、僕は気まぐれなんだ。
また蹴り飛ばされないように気をつけるんだぜ。
405上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 08:03:59 ID:mVVyOrMd
僕は◆91wbDksrrEを狩る為にここにいるハンターなのさ。
雑魚や馬鹿や弱者なんてそもそも眼中にない。
406創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 11:20:14 ID:wHc7dlpA
>>403
ガッ


面倒だしそろそろ無視して真面目にお題考えようぜ。
前回のお題がちょっと複雑だったという意見もあったけど、今回はどうする?前みたいに鬼畜なお題でもそれはそれで面白いとは思うんだけどw
407創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 14:22:39 ID:6+XLCdR0
シンプルなものから複雑なものまで複数のお題を用意して
好きなお題をえらんで書くというのはどうでしょ
408創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 15:04:58 ID:aL+APJps
>>400
>参加者は全感想を入れて、誰がよかったか本音で感想を入れるべきだ。
>その上で優勝者が決まるなら文句はないし
>それとは別にWikiで投票して読者賞を決めるのも止めない。

これでもいいよ。
409創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 16:16:03 ID:wHc7dlpA
>>407
それだと少しばかり他のお題スレと被るんじゃね?
やっぱりお祭りだし、大会と銘打てのスレだからこう、アレよ。スレのブランド的な要素が欲しいw

410創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 18:58:14 ID:6+XLCdR0
>>409
なるほど一理ある
お題はやはり一つのほうがいいか
411創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 19:17:08 ID:wHc7dlpA
鬼畜路線だと簡単に目立つけど、創発の感覚で鬼畜路線だと誰も手を付けられないような極悪なお題が出る可能性もある。
もしくは、S−1の遺伝子を呼び起こし時事ネタや季節物でやるとか。

時事ネタなら定期開催すら出来るかもしれないけど、見応えは鬼畜路線w
412創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 21:05:01 ID:kZhN66/s
シンプルなお題から、書き手描き手のいろんな表現を期待したいから
お題は一つで単純なのがいいな。
413上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 21:20:06 ID:ImEz0Tx+
SSP! SSP! SSP! SSP!

SSP! SSP! SSP! SSP!

SSP! SSP! SSP! SSP!

どんな題でも僕の競う相手はこんな感じだから何でもいいよw
414 ◆91wbDksrrE :2011/02/10(木) 22:11:27 ID:0YlkXDRG
>>353
ぶっちゃけ、商品とか特になくても大会ってだけでテンション上がるw
出来れば今度はちゃんと計画的に創作して、あんな目(注:自業自得)に
遭わないようにしたいものだw

>>407
今回は、前回と逆志向で、あえて単純なお題で行ってみたらどうかな?
前回は「お題が難しすぎwww」って意見も多かったし。

安価一発単語勝負で行ったらいいんじゃない?
人名とかは除く方向で。
415創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 22:19:41 ID:wHc7dlpA
>>414
まぁそれいの一番に言ったの俺なんだが……w
でも「あの大会はお題がめんどくせぞまったく地獄だぜフゥハハー」くらいまで育てるのもアリかなと。
でも簡単なお題なら人は来やすいと思うw
416 ◆91wbDksrrE :2011/02/10(木) 22:34:44 ID:0YlkXDRG
>>415
ああ、既に言われてるけど、ってつけるの忘れてた。
ごめんね。

前の大会の時、そういう声が多々あったからねぇ。
別に開催制限があるわけじゃなし、真逆を試してみた上で、
「やっぱり難題じゃなきゃ感じないよぉ!(ビクンビクン」(創作意欲的意味で)
ってどM仕様にするのを検討してもいいような気がするw
417創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 22:34:58 ID:kZhN66/s
もう「桜」でいいよ。
418上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 23:01:25 ID:ImEz0Tx+
もうなんでもいいから早く決めろよ。
419創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 23:03:08 ID:TOOHWYg8
もう「サクラ」でいいよ
420 ◆91wbDksrrE :2011/02/10(木) 23:08:55 ID:0YlkXDRG
よく考えたら、別に同じ大会(後継大会)じゃなきゃいけない、って事も無いのか・・・。
難題大会と、お手軽お題大会とを並行して・・・死ぬな、無理だな、却下(したい)。
名義としては、前回大会の後継大会に必ずしもする必要は無い、ってコトネ。
ブランド化するなら、はっきり難題大会と銘打っちゃった方がいいと思うしw

でも、もし並行してやって、難題大会のが盛り上がったら、
創発にはどMばっかりだという事になりそうで怖いw
421上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 23:16:35 ID:ImEz0Tx+
テーマがなんであろうが創作の難度なんて変わらねー。
どっちも難しいんだよアホ。
422上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 23:21:44 ID:ImEz0Tx+
桜でいいのか? もう脳内で30パーセント作品が出来たが。
423上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/10(木) 23:25:07 ID:ImEz0Tx+
ラストシーンのイメージ完成。ほぼ100パーセント出来た。書くわ。
424創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 23:28:55 ID:wHc7dlpA
>>420
後継大会というより、まだ出来立てだし実験的な部分も多いからね。
このスレ用にネタ考えてる人も正直誰一人居ないと思うし、そもそも現状開催不可能だしw

ただ、お題の傾向とかをいろいろ妄想して話し合えば「傾向と対策」みたいなマニュアルは出来るw 三題とかでもなんとなくベクトルあるしさ。
425 ◆91wbDksrrE :2011/02/10(木) 23:32:35 ID:0YlkXDRG
>>424
うんうん、トライアル&エラーでいいと思う・・・ってエラー前提かよ!(←滑ってますよ
スレ用のネタにしても

大会は
開催決まって
ネタを出す
出した頃には
終了間際
        詠み人知らず

こんな感じだよねw ・・・だよね? ・・・俺だけ?

お題の傾向と対策か・・・。
そもそも、鬼畜お題として考えられる物ってどういうのがあるだろう?
単語では、そこまで鬼畜にはならないはずだよな。
426創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 23:38:10 ID:wHc7dlpA
この板の住人は平気なツラでめちゃくちゃなシチュだして来るから想像がつかないw
まだポアンカレ予想とか言われたほうがマシな気がする程だぜw

でもとりあえず「創発だけのネタ」っていうお題は無いとは思うな。作中で絡めて来る事はあっても。そこら辺の案配もまぁよく訓練されてる板だと思うw
427創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 00:51:53 ID:B2lC5XHs
>>425
>単語では、そこまで鬼畜にはならないはずだよな。
それは鬼畜フラグ(ry
428創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 09:56:00 ID:M7QWwgu2
桜で決定したの?
429創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 11:02:40 ID:Q///C+Of
何にも決まってないよ。
430上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/11(金) 12:07:15 ID:aTEi0Zdd
なんだよ桜じゃねーのかよ……。じゃ、もう早く決めてくれよ。
431 ◆91wbDksrrE :2011/02/11(金) 14:18:34 ID:GuxQ3e1M
とりあえず案としては

・比較的簡易なお題を

・安価指定の単語一発勝負

・人名などは除く方向で。

・コレ難題じゃね?的お題が出た場合は審議

こんな感じでいいんじゃないかと思うけど。

>>426
以前他のお題スレでハルトさんの名前が出た時に、
内輪ネタ出すな、と言っていた人ならいたけどね。
だからまあ、人名とかキャラ名とかは除いた方がいいのかなー、と。

>>427
ΩΩΩ<な、なんだってー!?
432創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 16:12:51 ID:Q///C+Of
むしろ昨日話してたみたいに、鬼畜一本で攻めるという手段もw
安価もいいけどなぁ。とりあえずお題の案を出して優勝者に次の案の決定権という責任を負わせるとかw

どっちにしろ時期的に開催はまだまだ先だから、今のうちにいろいろ妄想しとこうぜw
433創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 19:03:12 ID:Q///C+Of
ふと思ったんだけどさ、お題というから物や人物イメージ(先のダンディなおじ様等)とかを想像してると思うけど、ジャンルをお題として出すのはアリなの?

ホラーとかSFとか恋愛とか百合とか百合とか。
434創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 19:07:35 ID:B2lC5XHs
大切なことなので二回言ったんですね? わかります
435創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 19:23:28 ID:Q///C+Of
ああ。これ以上ないほどに重要でシリアスでヘヴィな問題さw
436創る名無しに見る名無し:2011/02/11(金) 22:30:30 ID:cEEwxamF
SSP! SSP! SSP! SSP!
437創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 15:48:00 ID:42nyT7SI
誰も居ない。
438創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 15:49:46 ID:HURSk9B6
ksks
439創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 16:11:00 ID:42nyT7SI
占<ポスッ ポスッ……
440創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 16:16:04 ID:HURSk9B6
ksksksksksksksksksksksksksksksks Booooooon!
441参考出品:桜:2011/02/12(土) 17:00:16 ID:kWbDscbN
しかたなく参加した会社の花見大会。みんなはどんどん酒をのんで騒いでいる。
だけど、桜の花を見ても僕は楽しくもなんともない。しかたがないので隅っこで舌を湿らす程度に飲んでいた。
「がはは!花見楽しいな!がはは!」
上司が焼酎をラッパ飲みしながら笑っている。なんだかいやな予感がした。
「おい地獄丸君!せっかくの花見なのに、なんでそんなテンション低いんだ!だいたい君はいつもそうだ!」
上司は僕に怒鳴った。
「酒をのんだ時ぐらいパーっとやらなきゃならん!地獄丸君!何か一発芸でもやりたまえ!」
「は、はあ…一発芸ですか?」
いやな予感が的中した。上司は僕が芸のない男であると知っていて、無理難題をふっかけてあそんでいるのだ。
職場のみんなもにやにや笑いながら僕が困惑する様子を見物していた。

だが、上司の命令には逆らえない。
「わ、わかりました。それでは、一発芸をやりまーす…」
そういうと僕は、立ち上がり、桜の根元を掘り始めた。
「おいおい、地獄丸のやつ、なにやってんだ?」「わかんね」
みんな怪訝そうな顔で僕を見ている。
ぼくはさらに桜の根元を掘った。そしてみつけた。頭蓋骨を。

「はい、それではいまから腹話術をやりまーす…こん、にち、は…僕、ガイコツくんだよ〜」
僕は頭蓋骨の顎をカタカタ動かしながら腹話術を披露した。
みんなは腹を抱えて笑っている。
「ははは!こいつはブラックだな!」「お前にこんな芸があるとは知らなかったぞ!」
よかった。とりあえずみんな笑ってくれた。
「以上、地獄丸とガイコツくんの腹話術ショーでした!」僕はぺこりと頭をさげた。
「地獄丸くん!すばらしい!君を見なおしたよ!」上司も大絶賛。花見の席もおおいに盛り上がった。

だが、その盛り上がりとは裏腹に、僕の心は暗く沈んでいた。
「鈴木…せっかく安らかに眠っていたのに…すまない」
僕は、そっと頭蓋骨を桜の根元に戻し、土をかぶせた。
〜END〜
442創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 17:09:06 ID:42nyT7SI
>>440
占<ヘイ-ヤレ、ロトティーヤ
443創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 17:10:35 ID:HURSk9B6
ウックルシッ
444上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/02/12(土) 19:33:59 ID:/GrE7mXx
>>441
イマイチやね。文章は悪くないけど、大雑把過ぎるわ。適当に書きすぎ。
445創る名無しに見る名無し:2011/02/12(土) 19:40:08 ID:HURSk9B6
ネタをネタと理解できなければ2ちゃんねるは使えない
446 ◆u0s.0cF8SE :2011/02/14(月) 18:25:39 ID:3giVEXP0
明日から一週間ほどリアルの用事でここのぞけなくなるので、その間まとめその他が必要になった時は誰か他の人お願いします
申し訳ない
447創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 02:16:38 ID:klLp6o0O
ういー。
448創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 18:22:54 ID:KlxhFcMQ
>>441とても読みやすく面白いと私は思いましたよ
ある意味
私が鈴木さんだったらやめてよ恥ずかしいじゃないかと思うかもしれないが(笑)
449創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 18:23:23 ID:KlxhFcMQ
>>441とても読みやすく面白いと私は思いましたよ
ある意味
私が鈴木さんだったらやめてよ恥ずかしいじゃないかと思うかもしれないが(笑)
450創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 18:25:03 ID:KlxhFcMQ
なんでか二重になってた。ごめんなさい
451創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 18:26:45 ID:xpSKrxW5
ははは!こいつはブラックだな!
452創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 19:08:43 ID:KlxhFcMQ
>>451モンブランは美味しいが当たらない!とか言ってみる
453創る名無しに見る名無し:2011/02/15(火) 19:30:46 ID:xpSKrxW5
俺は当たったよ?
竹下のお膝元だからだな
454創る名無しに見る名無し:2011/02/28(月) 13:58:53.40 ID:Akp2v2sp

上級読者へ

漫画原作スレの処刑人です。
あなたは2chを卒業するといいながらまた舞い戻ってきましたね。
そしてまた皆に迷惑をかけようとしていますね。
なので、今日からまたアナタにつきまとい最終的に処刑いたします。

今度はいっさいの手加減も遠慮もしません。
覚悟してください。

まずば上級さんのフォロワーゼロのツイッターを孫正義のツイッターにぶつけます。
455創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 02:39:23.18 ID:SWDBixJx
大規模大会じゃなくて、ミニミニな大会、もとい、小会でもやるか?
456創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 13:19:30.72 ID:Ik1x9VcP
>>456
やろうやろう
457創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 01:32:32.45 ID:BAX/Av7P
S(スモール)−1選手権て小会名にしたらどうかな?
458創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 03:45:49.68 ID:1tqSIYO9
まあ、大会名はともかく、適当に期日決めてお題決めて、適当にやるべかね。
誰も来なかったらその時はその時っつー事でw
459創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 04:00:45.64 ID:IUd95dbP
じゃ、適当をコンセプトに何か考えるか。テキトーに。
460創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 12:48:15.24 ID:u7vSKf1E
適当がコンセプト
いいね
肩の力ぬいて楽に

期日はお題決まった月の翌月末くらいでいいんじゃね
461創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 17:28:08.78 ID:1tqSIYO9
小会なんだから一週間くらいでよくね?
あんまり期間長いと、それはそれでダレるだろうし。
すぱっとやって、誰も来なかったらスパッと諦める。これサイキョー(ヨユーっす!)
462創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 17:50:54.98 ID:u7vSKf1E
一週間か…よしそれで行こう
あとはお題だな
463創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 17:52:50.06 ID:Qdh++58L
バストて高校はぃってからもおぉきくなりますかぁ(?_?)(?_?)(?_?)
まりっぺもエリつぃんも中2のときからDあるていってましたぁ(><。)。。
すぐるくんももおぉきい方がいいといってましたぁ<<o(>_<)o>>
男子ってやぱりおおきいほうがいいとすか(?_?)(?_?)
写メをのせるのでコメントぉくださぃ。。。(〃_ _)σ‖
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281096529/
464創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 22:37:46.43 ID:1tqSIYO9
お題も適当に安価でいんじゃね?

あくまで適当(notいい加減)なお題を、というのを念頭に置いた安価でw
それでも鬼畜が来るのが創発クオリティだが、まあその時はスパッと諦め(ry
465創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 22:51:10.24 ID:3PpXPtkk
普通にお題創作するだけだったら、ここじゃなくてもお題スレとかでよくね?
466創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 22:52:47.94 ID:1tqSIYO9
皆でやろうぜ、って所がポイントだからねぇ。
もちろん、誰も来ないで一人寂しく書く事になり、
結果論的に「お題スレでやったのと変わんねー!」って
なる可能性もあるけどもw

あくまで小さくても会という事で。
467創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 23:02:32.45 ID:3PpXPtkk
あっちも元々はみんなでやったりするの想定して立てたんだけどね
最初に勢い付かなかったもんだからさっぱり人集まってっていうのができないぜ
468創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 23:07:28.16 ID:1tqSIYO9
皆で同じお題を、という感じではないよね、結果論的な話になるかもだけど。>お題スレ

まあ、でも、向こうは向こうで何か動かしてみたらいいんじゃない?
こっちとは違う流れが出来るだろうし。
469創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 23:13:25.48 ID:3PpXPtkk
いや、もう面倒くさくなっちゃったわ
人いないところを自力で無理矢理盛り上げようとするのは、大変な割には、新しいところで盛り上がるのと結果は変わらないし

適当な時にお題もらいに行く場所っていうのもあれはあれであって悪いもんではないしね
470創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 17:56:10.08 ID:IiCu5czI
お題
>>471
471創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 18:47:52.05 ID:YvDbTime
百合と桜
472童顔熟女 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/04(金) 19:12:13.31 ID:85oMt6OL
お題「赤ちょうちん」か「ちょんまげ」

先に出ているみたいですが…
473創る名無しに見る名無し:2011/03/05(土) 01:01:19.90 ID:IH2GFequ
創作小会開催のお知らせ

大会名: S(スモール)−1選手権

お題 :「百合と桜」 「赤ちょうちん」 「ちょんまげ」
(一つでも、複数使用でも可。解釈は参加者の任意。)

出品期間:3/5〜3/12まで

大会規約:適当に、肩の力をぬいて参加する事

474 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/06(日) 00:33:06.04 ID:CIISyKHb
お題:赤ちょうちん

銀河連邦第三軍司令官ボツリヌスは、頭を抱えた。
”適当に、肩の力を抜いてやる事。以上” 指令本部からの指示は、思いもよらないものだったのだ。
「指令本部の奴らは正気か!?いよいよ明日は、『百合と桜』作戦発動の日だというのに!」
司令官は激昂し、わめきちらした。
「ど、どうしましょう司令官。『赤ちょうちん爆弾』の実戦投入については何の指示もないのですか?」
副官の修羅地獄丸も慌てている。

銀河大戦争の趨勢を握る超兵器”赤ちょうちん爆弾”
それが前線に到着したのが、わずか5分前。
なにしろ秘密兵器なので、使い方も具体的な効果のほどもわからない。
「とにかく、恐ろしい効果を発揮する爆弾らしい。敵も味方もことごとく殲滅するという噂だ」
「そんなモノを、我々の判断だけで実戦に投入してよいのでしょうか…」

心配する二人をよそに、赤ちょうちん爆弾は豪快に笑った。
「がっはっは!そう心配すんなって!酒でも飲めや!」
彼はそういって、自慢のちょんまげをなでつけた。
「それもそうだな。心配しても仕方のないことは心配してもしかたがない。」
司令官は差し出された酒をあおった。
「こうなったらとことん適当にやりましょう!なに、大丈夫大丈夫!」
副官も泥酔してすっかりリラックスしていた。三人は、いつまでも酒をのんでいた。

「で?この話は、何が言いたいんだ?」
思った通り、彼の評価は厳しかった。
「だいたい文章がなってないね。俺ならこう書くね。それから…」
僕は黙って彼の話をきいていた。
適当に肩の力を抜いてやるというのは、意外と難しい事なのかもしれない。

(END)
475創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 23:21:52.89 ID:6rFymXti
>銀河連邦第三軍司令官

もう少しひねろーぜこういうネーミングとか。
今どきの中学生でもこんな安易な名前つかわんだろ。
476 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/07(月) 00:11:36.40 ID:0Kh34QD7
>>475
消えろよ何の力もない名無し野郎

お前には用はない
477 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/07(月) 00:28:26.40 ID:0Kh34QD7
>>475
ごめんなさいちょっと失礼な口調だったよね

言いなおしますね

僕は創作をしないヒトには用はないんですよ

ね?

何度でも言うよ?ここは何の板?

俺の作品をけなすならその前に

とびきり面白いお手本を見せるのが先ではないですか?

ここまで言われて黙っているつもり?

こっち側に来て勝負してごらんよ
478:2011/03/07(月) 02:34:23.63 ID:hMlisLTs
人工透析の機械が、ノンノンノンノン、彼女の血を漉していた。
静脈からぬるぬると生えた管に、黒い水がつるつると吸われて行く。
回転したり、機械をとおったりして、血はすっかり綺麗になって、また彼女に戻って行く。
彼女はさも嬉しそうに、車椅子のタイヤを撫でながら、彼を眺めている。
彼は彼女の視線を逃げもせず浴びている。
5年前、彼が彼女をバイクで撥ねてしまったところから、彼らの関係は始まっている。
バイクの彼は軽い擦り傷。
轢かれた彼女は脊髄損傷に腎臓破裂。
彼女に半身不随の後遺症を負わせた彼は、苛烈な自責の念に駆られた。
彼は彼女の世話をした。
一緒に大学にも通った。
そして工学部の院生になった彼は、ひとつの発明をした。
「俺、過去に電話をかけられる装置をつくったんだ」
「ふふ、すごいね。私、そんな映画みたことあるよ」
「嘘だと思ってるだろう。まぁ見ていなよ、俺が今から過去の君に電話をかける。そうすれば君の脚は途端になおっちまうぜ」
「どうかしらね」
彼は、過去の彼女に電話をかけ、いつ何処に行くと誰々にバイクで轢かれてしまうと告げた。
轢かれたが最後、半身不随になって、轢いた男に世話されるような生活になる、だからその日は外に出るな、と。
彼女の脚は一向に直らなかった。
彼女は思った。
(直るはずがないわ。だって、電話を聞いて、轢かれに行ったのだもの)
彼と彼女の関係は5年前から始まった。
だが、彼女からの一方的好意は、もっと以前から始まっていたのだった。
おかしいな、としきりに首を傾げる彼の指に、うっすら微笑む彼女が触れた。
透析室の窓からは、膨らみ始めた桜の梢が見えた。

終わり
479 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/07(月) 03:27:01.91 ID:0Kh34QD7
>>478
乙です

文章も、発想も独自性があり、面白いと思います

「彼女」の歪んだ愛というか、情念が作品に奥行きを与えています

締めの一行もなかなかです
480創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 04:09:54.77 ID:HCQxL+lv
>>478
おつおつ
こういうのどストライクです、素晴らしい
情景描写がうまいなー
481創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 07:56:45.84 ID:/gudqTIc
うすら寒いものがあるな
けっこう好きだ
482 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/07(月) 15:34:48.79 ID:ijoDZ6hm
夜の桜並木を一人ゆっくり歩いている。失恋して泣いてばかりいる私に気を使ってか異性の友人が飲みに誘ってくれたのだ。
正直誰にも会う気持ちにはなれなかったのだが、ちょっぴり元気を分けてもらいたくて誘いに乗った。
待ち合わせの赤ちょうちんに着くと、ちょんまげをした彼が笑顔で待っていた。
そして吹き出す私に「君を俺に任せてくれ」と照れくさそうに背中から大きな百合の花束を渡してくれた。
百合の甘い香りで彼のちょんまげも誠実な侍に見えて迷わずハイと答えた。

終。
483 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/07(月) 15:37:14.79 ID:ijoDZ6hm
お題を出してしまったので投稿してしまったが、ひねりがないよね〜…ありがちってゆうか…むりぽー皆さんごめんなさい
484 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/07(月) 18:55:46.26 ID:0Kh34QD7
>>482

極限まで無駄を省いた、本質そのもののみを衝いたお話

セオリーや、文章の書き方
そういったものが全く無力になる奇跡を見た

一見平和そうなストーリーでいて、この創作は
宇宙そのものと本質的に対立している

485 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/07(月) 21:15:01.74 ID:ijoDZ6hm
町外れの公園に3匹の野良犬がいた。2匹の仔犬が眠っている間に母犬は餌を見つけに出た。
もう何日も餌を食べていない母犬は痩せて母乳も出ない。体は衰弱して歩くのも精一杯だった。
ヨロヨロ足で、やっと見つけたゴミ捨て場のある方へ横断しようとした時、1台の車が止まり2人の男が歩み寄って来る。
母犬は「ガルル…」威嚇するが力無く捕らわれてしまう。保健所だった。母犬は仔犬達の事が心配で遠吠えするが車の中で力尽きてしまった。
仔犬達は「くぅ〜ん」雨水を飲み何日も公園で母犬の帰りを待っていたが、飢えのあまり歩き出した。
途中石を投げつけられたりして傷ついていたが2匹は離れる事なく歩いた。
486 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/07(月) 21:22:02.10 ID:ijoDZ6hm
仔犬達は限界だった。その時、美味しそうな匂いがする一軒の赤ちょうちんの前に辿り着き座り込んだ。
すると店の中から
ちょんまげをした女の子が出て来て「おじいちゃ〜ん仔犬らよぉ〜」「どれどれ〜これは弱ってるなぁ〜」
動物好きな大将は賄い食の残りと水を与えると仔犬達はガツガツ食べ出した。
ちょんまげの女の子は「おじいちゃん飼っていいでしょう?」大将は、「いいだろう!ちゃんと面倒見るんだぞ!それと名前は、おじいちゃんに考えがある桜と百合だ。いいな!」と言いつつ飼いたかったのは大将だった。それからは看板犬となった。

終。
487 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/07(月) 21:23:32.02 ID:ijoDZ6hm
こりもせず連投してしまい申し訳ない。
難しい…
488 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/07(月) 22:11:53.50 ID:MvMM2ZKn
>>485

犬が登場する、このようなお話を創作されてしまうともうどうしようもない

母犬の悲しい死があればこそ拾われ救われた子犬たちの生命が光り輝く

絶望の闇が深ければ深いほど


青竜刀を思わせる荒々しい切れ味。俺もこうありたい
489 ◆91wbDksrrE :2011/03/08(火) 05:18:48.20 ID:FjBA1y/P
「ちょんまげ〜ってやったらおっこられた〜きゃはは〜」
「もう、桜ったら飲みすぎ。先生のシモネタに爆笑してたの桜だけなんだから」
「ばくしょ〜なんかしてにゃいれすよ〜? ぜ〜んぜん、よってなんか、にゃいれすから〜」
「ああ、もう、座り込まないで……ほら、しゃきっとしなさい!」

 私、井野口小夜(いのぐちさよ)と、彼女、神月桜(かんづきさくら)は、高校で
知り合って以来の親友同士。
 同じ大学に通う事にしたのも、親友同士だから。そこにそれ以上の意味は無い。
 ……ううん。無かった、って言わなきゃいけない、かな。

「うぅ〜……いつもすまにゃいねぇ〜」
「そう思うならいつも潰れる寸前まで飲まない!」

 私が肩を貸して立たせると、桜は私の身体に体重を預けてくる。正直言って
重い。一度はっきりそう言ったら、怒る以前に泣かれてしまったので、それ以来
口に出す事は控えているのだけど、それでも重い事に変わりはない。
 でも、この重さが、私にとっては心地良い。
 彼女は、誰に対しても明るく親切で、大学でもすごく人気がある。引っ込み思案で、
よく言えば物静か、悪く言えばどんよりと暗い私とは、ホントに対照的だ。
 そんな対照的な私たちだから、親友とも言える関係になれたのかもしれないと思う
と、この性格も捨てた物ではないけれど。

『井野口さんって、髪綺麗だねぇ』

 あの日、高校に入っても中学の時と同じ調子で、友達を作ろうとする事もなく、
休み時間になっても教室で一人で本を読んでいた私に、彼女はそんな風に声を
かけてくれた。
 その時聞こえたあの声を、顔を上げた時に見えた、光輝くあの笑顔を、私は一生
忘れる事はないだろう。
 そう。今ならわかる。私はあの時――落ちていたんだ。

「もう……ホントに桜ったら」
「……うにゃ? どうかした〜?」
「顔真っ赤。桜が桜色になってる」
「そういうさよちゃんも〜……って、あれー? さよちゃんおさけのめないのになんで〜?」
「……匂いだけで酔っちゃったのかもね」

 言えるわけが無い。
 何に酔っているかなんて。
 貴方が、こんなにも無防備に重さを預けてくれる事が嬉しくて、自分が特別だと
思える事が嬉しくて、そんな自分と貴方の関係に酔ってしまっているだなんて。
 特別な関係。
 望んでいる形とは違うけど、望んでいる形に一番近くあれる、そんな関係。
 ずっと……ずっと、私は、この関係を続けていくのだろう。
 望んでいる形は、夢は、絶対に叶わない事を知っているから。
490 ◆91wbDksrrE :2011/03/08(火) 05:18:56.59 ID:FjBA1y/P
「どうして……なのかな……」
「ふぇ〜? なんかいった〜?」
「……ううん、何も」

 どうして、私は恋に落ちてしまったんだろう。
 どうして、その事に気づいてしまったんだろう。
 どうして、望んでしまったのだろう。
 何度も繰り返した自問自答を、今日も私は繰り返す。

「……さよちゃ〜ん」
「なに、桜?」
「さよちゃん、すき〜」

 あの日見た、輝くような笑顔。
 私の心を高ぶらせ、私の心を傷つける、無邪気で残酷な、笑顔。

「私も、桜の事好きよ」

 そこに込められた意味が異なる、二つの好き。
 答えのでない自問自答も、好きと好きのすれ違いも、これからずっと続いていく。
 私の、この初恋が破れるまで、ずっと、ずっと――。

                                             おわり
491 ◆91wbDksrrE :2011/03/08(火) 05:21:55.91 ID:FjBA1y/P
ここまで投下です。

無理やり全部のお題を詰め込んでみました。
百合は全体のネタとして、赤ちょうちんは、地の文で
書き忘れてますが、飲み屋から帰る途中という事で。
492創る名無しに見る名無し:2011/03/08(火) 06:44:08.52 ID:XBfe/fJT
>>477
こういう客観的な意見を聞けない人は創作発表する資格がないと思うけどね
そんなんじゃ一生成長しないよ
493 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/08(火) 09:56:20.37 ID:xn8FWR5Y
>>492
なんでヒトが投下した直後のこのタイミングでそんなこと言うの?
あからさまだね 分かるよ 完成度高いもんね
494 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/08(火) 10:07:04.87 ID:xn8FWR5Y
>>489
乙です

お題そのものを真正面からテーマとしており、また
文章の完成度も高く、なおかつ美しいです。見とれるほど

引き込まれました
495創る名無しに見る名無し:2011/03/08(火) 10:38:57.18 ID:c9Di4Gnl
>銀河大戦争

もう少しひねろーぜこういうネーミングとか。
今どきの中学生でもこんな安易な名前つかわんだろ。
496 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/08(火) 11:31:23.33 ID:xn8FWR5Y
>>495

「おい!ケンカなら店の外でやれ!」
「す、すいません!おい!外にでろ!!」
「やだやだ!僕はこの店を荒らすんだい!やだやだ!」

創作系 煽り合戦 口論 議論専用スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1297262086/l50
497創る名無しに見る名無し:2011/03/08(火) 23:04:09.60 ID:+L64OfZk
>>474この文章
好きだけどなぁ〜っ…細かい評価は苦手なので、一言で面白いよ
498通りすがりの現役:2011/03/09(水) 13:09:15.80 ID:xsYSF6rN
中高生でも思いついたり実際に書けるレベルのものは評価に値しないから。
実際に中高生ならまだいいけどいい年してそういうものしか書けないのはマズイね。
年齢にあったものを書こうか。
499 ◆91wbDksrrE :2011/03/09(水) 16:17:38.91 ID:9Dn4dD1L
中高生でも思いついたり実際に書けたりするレベルの
煽りめいたコメントしか書けないというのもどうなのかと。

他のには何もコメント無しとかの時点でアレですよ。
他の方のも評価に値しない、中高生でも思いついたり書けたりする
レベルの物、という事でしょうか。

べ、別に俺のにコメントして欲しいとか、そんな事は無いんだからねっ///
俺のには絶対にコメントしなくていいので、他の方のには
コメントしてあげてください。いいか、絶対に俺のにはコメントするなよ!
絶対だぞ! 約束だからな! コメントしたら訴えてやる! ヤー!
500創る名無しに見る名無し:2011/03/10(木) 00:41:17.96 ID:vE83BEPI
ここは中高生ぐらいの集まりだよな。
だったら内容の稚拙さには納得できる。
20歳以上でこの幼稚文章だとちょっとセンスない。
501創る名無しに見る名無し:2011/03/10(木) 05:10:58.23 ID:EfYjwfUu
上級はコテつけてレスしろとあれほど。
502上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/10(木) 07:34:54.06 ID:gF9mfzkM
いやいやw 今回、僕は感想も作品も雑談も何も書き込んでないスよw

別の企画の方の作品を週末までに仕上げないと駄目なので、参加できないので
あぁ、やってるのかぁ、みたいな感じで、なんとなく読んでただけなんで
参加してないのに感想書いても仕方ないし。

書いて欲しい人がいるなら感想くらいは入れるが
僕は見てるだけでいいので。
503創る名無しに見る名無し:2011/03/10(木) 17:49:50.86 ID:a+bQJpYH
この反応の速さで何を言ってる低級☆自演乙
504上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/12(土) 15:33:24.46 ID:hqho25uF
ていうか今日までなんじゃないの? S(スモール)−1選手権
地震があって大変な方もいたかもだけど、みなさん大丈夫だったのかね?
505創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 18:07:09.72 ID:v5Sgk59g
上級生きてたのか。。。
死んだ方が2chのためだってのに。
506上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/12(土) 18:58:50.28 ID:n4A+3UlO
僕を叩くのはいいけど、そういう不謹慎なことを言うのはどうかと思うよ。
実際に多くの方が亡くなられているのだから……。
他の方の安否が気になるな。コテの方とかどうだったんだろ。
SSP! SSP! とか言って馬鹿騒ぎしてた頃は平和で良かった。
507創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 19:57:53.45 ID:ed1RVdZR
正直マジでお前の生存報告はいらん。
不謹慎だとは百も承知だがお前が代わりに死ねばよかった。この板にくるな。
508上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/13(日) 01:31:50.93 ID:aFxkwTgB
はあい! 終了〜。 お疲れさまでした。
適当に、肩の力をぬいて寸評を書きました。

>>474
マンネリっス。

>>478
お題を後ろにくっ付けただけっス。

>>482
手抜きっス。

>>485
捻りがないっス。

>>489
感動空振りっス。
509 ◆91wbDksrrE :2011/03/13(日) 01:50:59.38 ID:lxrZgflV
>>475
>銀河連邦第三軍司令官
もう少しひね(ry

冗談はともかく、作中作品との区切りがしっかりされてないから、
ちゃんと読まないと最後の皮肉交じりのオチが理解し辛いかも。
・・・って、そういう話じゃなかったりするのか? だったら、ど、どうしよう・・・?(ぉぃ 

そういう意図であるなら、最後のオチの所と、作中作品との区切りは
しっかりして、一目でそうだとわかるようにした方がいいと思う。

その上で見ると・・・皮肉、肝心の人には通じてないみたいだね・・・w

>>478
俺の好き系なラブい話かと思いきや、しっかり読むとオチが怖いw

恋は盲目っていうけど、時間を超える技術を開発するくらいに
自分を献身的に想ってくれるという結果を得られるなら、半身不随の
代償くらい物ともしないって、冷静に第三者から見ると、そうとう怖いよなぁ。
まあ、でも、知らぬが仏とも言うし、二人には幸せになってもらいたいね。

>>482
飲みの席でのちょんまげはシモネタのイメージしか(ry

冗談はともかく、最後、その彼女を元気づけようとした一発ネタと、
誠実な侍が結びつく辺りは結構好きかも。

>>485-486の方は、ただあった出来事を書いただけ、
という感じがして「うん?」ってなったかなぁ。
意図が読み取り切れてないのかもしれないけど。
510創る名無しに見る名無し:2011/03/15(火) 02:05:34.46 ID:0elR4sM6


上級読者へ

漫画原作スレの処刑人です。
あなたは2chを卒業するといいながらまた舞い戻ってきましたね。
そしてまた皆に迷惑をかけようとしていますね。
なので、今日からまたアナタにつきまとい最終的に処刑いたします。

今度はいっさいの手加減も遠慮もしません。
覚悟してください。

まずば上級さんのフォロワーゼロのツイッターをキバヤシシンのツイッターにぶつけます。
511 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/20(日) 21:15:13.86 ID:gtDuAbfN
@ S-1選手権 総括

3/5より、3/12までの期間において、S-1選手権が開催された
「適当に肩の力を抜いて」がコンセプトだったこともあり、
出品作品は1〜2レスの短い作品が多かったが、それが結果的に作品のわかりやすさにつながった感もある

A総評

>>474 赤ちょうちん
最初に出品された作品ということもあり、この作品が採点の基準となった。
技術点3 芸術点2といったところか(10点満点)

>>478 桜
1レスでうまく話がまとまっており、文章も凝っている
技術点8 芸術点9を獲得
この作品は「トータルバランス賞」を受賞することとなった

>>482 無題(夜の桜並木)
たった5行での創作は前衛芸術を思わせる
これを暴挙と見るか 芸術表現と見るか…
技術点2 芸術点9を獲得し、「新人奨励賞」を受賞

>>485 無題(野良犬)
淡々とした表現はややもすると稚拙な文章と見られるかもしれないが、この作者はおそらくそんな評価は歯牙にもかけていないはず
厳しい境遇から救われる子犬のストーリーを見事に描き切っている
技術点1 芸術点10を獲得し、「特別賞」を受賞

>>489 無題
文章の完成度が高く、お題がテーマに活かされている
横綱相撲を思わせる安定感
技術点10 芸術点8
「グランドチャンピオン賞」を獲得

また、大会の盛り上げに一役買った上級読者様にも
この場を借りてお礼申し上げたい。ありがとうございました

(※あくまでも、一参加者の所感です)
512上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/21(月) 07:11:05.35 ID:oWjumGrz
>>511
あのさぁ、無事だったのなら地震の後に直ぐ書き込めよ。巻き込まれたのかと思うだろ?
513 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/21(月) 22:28:28.78 ID:cT1fPjYq
>>512

これは失礼しました
もっとはやく書きこむべきでした
514創る名無しに見る名無し:2011/03/22(火) 01:22:39.80 ID:kkyziXKh

223 :上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03 /20(日) 02:24:52.23 ID:htjrFOtw
>>332
それがどうしたんだい?
被災者で死んだ人達は揃いも揃って運がなかっただけだろ。
普段から運気をコントロールできていなかっただけ。
未熟者だから死んだんだよ。
でも僕は生きてるしこうして2chでバカレスを続けられる。
それは普段から運気をコントロールしているからだよ。
むやみやたらに動き回る人ほど運気を使い果たして早死にする。
被災者の死は事故でもなんでもない。
自業自得というやつさ。

ニートや引きこもりに強運持ちが多いのはそういうことだから。
僕のことだよ。
515上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/22(火) 07:52:06.93 ID:wMLi6OtJ
>>513
べ、べつに心配してたわけじゃないんだからねっ ///
516創る名無しに見る名無し:2011/03/22(火) 08:52:46.78 ID:/DcsxikO
>>514
最悪だな上級って。
お前が早く死ねよ。
517 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/22(火) 19:20:26.98 ID:HbRqb+Gx
>>515
やあ上級さん

最近調子どう?
518 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/22(火) 19:21:21.59 ID:HbRqb+Gx
一人の人間の死は悲劇だが
数百万の人間の死は統計上の数字にすぎない

これは、スターリンの言葉だったか

2000万人もの自国民を虐殺したとも伝えられる暴君は言うことが違う

ヒトの命ははかない
数万の命が一瞬で失われることだってある

そこに意味はあるのだろうか

それはつまり、俺の命だって一瞬で失われることが
おこりうるということに他ならない
519創る名無しに見る名無し:2011/03/23(水) 01:17:56.82 ID:fYIBS2ta
>>514
もう人間の屑すぎて反吐が出る書き込みだな
上級ってのいつからこのスレに居すわるようになったんだ
出て行ってほしい
胸くそわるい
520創る名無しに見る名無し:2011/03/23(水) 04:12:32.87 ID:t25q6ZGq
>>514
ハイハイ上級さんに出会って運が悪ろうございました。
521上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/23(水) 07:47:15.96 ID:671h+SX7
>>517
近況ですかぁ、僕より君がどうなのか気になるけど、まぁ、競作に出す予定だった小説を書き直してるよ。
残念ながら締切日が地震の直後だったので出すのを自粛したんだよね。

競作は開かれたけど、僕みたいに自粛した人の為に後発で出しても良いことになったので、それで書き直してる。
お題が暗いものだったので、最初に書いたのは内容も真面目で暗めなものだったのだけど
こんなときだし明るく前向きな作品の方がいいかなと。

ただ最後が決まらないんだよな。
文章自体は前回の恋愛シナリオより数段上なんだけど
小説全体の出来としてはまだ納得できないな。
前のはヘタなりに書き上げて納得出来たからね。
522創る名無しに見る名無し:2011/03/23(水) 12:30:29.75 ID:ohOnDYRO
ワロタ。
523童顔熟女 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/23(水) 19:33:52.35 ID:LTSTuZvt
こんな時だからこそ!次行ってみよ〜う
(^^)v
524無名兵士 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/23(水) 19:39:28.05 ID:5aW9IwDk
お題
>>525
525創る名無しに見る名無し:2011/03/23(水) 20:44:03.02 ID:8CxA5fvr

223 :上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03 /13(日) 02:13:42.12 ID:RWo5yyrF

被災者が飢餓の恐怖に怯えている時だというのに
僕の家は普通に焼き肉だったw
たらふくいただいた。
食事にありつけない被災者は日頃の行いが悪かったんだよ。
それだけの話。
僕は毎日ゴハンを3回食べられる。
おやつを入れると5回だけどw
今どきゴハンもまともに食べれない貧しい家庭があるとしたら
それは単なる怠け者か稼ぎが少ない貧乏人か地震で被災した人の三択。
526無名兵士 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/24(木) 00:32:53.98 ID:PNdk7cCl
再安価
お題
>>527
527創る名無しに見る名無し:2011/03/24(木) 08:10:57.37 ID:X5TaoYZ3
「梅の花」
528創る名無しに見る名無し:2011/03/24(木) 11:23:47.84 ID:/S3jIiRH
>>525
上級って奴は被災者になにか恨みでもあるのかね
被災者は無職ニートの自分よりも劣ってるからバカにしてもいいとか
そんな思考なのかね
いずれにしても屑野郎なのはよくわかった
早く消えてほしい
529 ◆91wbDksrrE :2011/03/24(木) 13:03:48.71 ID:FHV3rf0N
梅の花か。
530創る名無しに見る名無し:2011/03/24(木) 22:18:11.41 ID:PNdk7cCl
創作小会開催のお知らせ

大会名: 第二回S−1選手権

お題 :「梅の花」


出品期間:3/25〜4/1まで

大会規約:何でもアリ

531無名兵士 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/24(木) 22:18:54.47 ID:PNdk7cCl
梅の花かよ…
ちと渋いな
http://loda.jp/mitemite/?id=1859.jpg
http://loda.jp/mitemite/?id=1858.jpg

まだ始まってないって?


            
            --―  、 l_
      \:  /        _)).
       ((_))'         ヽ
         i  _,,_ル,,rョュ 、  i
         | ィ rっフ , 弋ミア  |r,
        _| "''"~ ハ   ハ   .i;{ 
        } ;   / " '  ヽ   |j <カイテンするのだ!    
        λヽ   r―''"入  |. 
        ` " i  廷廾ニツ ..j
            :\    ̄  .ノ' 
             |    /
             | /| |
             // | |
            U  .U
533創る名無しに見る名無し:2011/03/24(木) 23:27:08.98 ID:jrpvTc34
なにしてんのんwwwwwwwwwwwwww
534創る名無しに見る名無し:2011/03/25(金) 01:37:49.80 ID:C19NLlwV
AA部門優勝wwww
535 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/26(土) 00:43:29.42 ID:3XFAPcyK
ある日の昼下がり男と女は眠りにつき同じ夢を見ていた。
ホ〜ホケキョ
「梅一輪一輪ほどの暖かさ…かぁ…春がやってきたな」男が呟く
「うふふっ贅沢は、いらないから穏やかな日々が続くといいなぁ」女は優しい声で答える
「俺達は小さい時から、一緒に居るけど君は、いつまでも変わらないね」「あなただって…私は、そんな、あなたに、いつも、恋してる本当だよ」「知ってるよ。でも、俺も同じだから…」
536 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/26(土) 00:45:43.88 ID:3XFAPcyK
二人は手を繋いで歩き出した。「うふっ。デートみたい」「みたい…じゃなくて、デートだろっ!」「あはっ♪ごめんね。久しぶりだから嬉しくって」「君が笑っていると俺、最高に嬉しくて幸せな気分になる」「またデートしようね」「おぅ!」
537 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/26(土) 00:49:38.13 ID:3XFAPcyK
そして二人は、ひっそりとした神社に辿り着く。二人は平凡でも幸せである事の喜びと出会えた事への感謝の気持ちを神様に伝えると見つめ合い
「高貴な‥そして穏やかで白くて綺麗な俺の君…愛してる」
「忠実で…そして暖かな色を持ち頼もしい私のあなた…愛してる」二人は力いっぱい抱き締め合うと優しい風が吹いてきて同時に夢から覚め神社の梅の木になった。男は紅梅
清楚ながらも鮮やかな花を
女は白梅
芳香があり風雅な花を並んで咲かせていた。僅かな時間だったが夢は毎年、春に一度だけ神様から梅の木へのプレゼントだった。

終わり
538 ◆Oq2fXER2l2 :2011/03/26(土) 00:55:18.94 ID:3XFAPcyK
未熟者が今回も成り行き任せで投稿させて頂きました。毎度ごめんなさい
花言葉で
梅の花(白)は高貴、気品
(紅)は忠実で…上手く使えなかった。無念。
539わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2011/03/26(土) 22:59:34.61 ID:+o7CSBHB
テーマは「梅の花」ですね。書いてみました。
540天神さまのバカヤロー ◆TC02kfS2Q2 :2011/03/26(土) 23:00:45.52 ID:+o7CSBHB
街の狭間に構える天満宮の梅の木は、ほころびかけた花びらが背中を丸めていた。
世の中に出ることを怖がっているのは、わたしだけじゃなかったと確かめる。そして、わたしは社に向かって「バカヤロー」と叫んだ。

志望校が母校になりませんでした。長い間思い続けた憧れの男子に、あっさりと振られたような気がしました。
わたしがやるべきことはすべてやったのに、力が足りずに浪人生へと真っ逆さま。愚痴を聞いてくれるのは天神さまぐらいしかいないんです。
受験の神さま、天神さまは全国の受験生から崇められ、そして手のひら返しで憎まれる。それを許すとは、神さまだけに心が広い。
バスが行き交う大通りから鳥居をくぐり抜けると、鎮守の森の代わりにコンクリートのビルの群れ。
振り返ると門の隙間からガラズ張りの近代的な建物が見え、回転ドアがくるくると回っている。野良猫がわたしの後を付ける。
居座った牛が両側に据えられて、まるでわたしに「のんびり行くがいいでおじゃる」と話しかけるが、そんな時間はないのだよ。

来年まであと一年。長いようで、短い。人間だったら一歳年を取ってしまう期間じゃないか。時間が惜しい。
なのに、ここだけ時間を切り抜いたように、ここだけ時代を忘れたように。市指定の記念樹が周りの喧騒を吸い取る。
これから着ることのなくなる制服を身に着けて、履くことのなくなるローファーで石畳をぎゅっと踏み躙る。
池には鯉が泳いでいた。立派な錦鯉はゆらゆらと水中を泳ぐが、何を考えているのかわたしにはさっぱりだ。
そんな鯉たちの時間の流れがうらやましく思う。同じ生き物同士なのに不平等すぎるではないか、ねえ神さま。
梅の花なんか、咲かずに春を迎えろ。

絵馬がかかる本殿の手すり。ぎっしりと願いごとの数だけ目白押し、その中の一つになったつもりがいけなかったのか。
どこかの誰かの絵馬に隠れて、わたしの願いが色あせる。それを知ってか知らずか、ビルの合間のお日さまのような明るい声が横から飛んでくる。
声に驚いて野良猫が逃げた。声の主はどうやらわたしと同じくこの天満宮に目的があって来ていたようだった。
彼女は幼馴染みの腐れ縁だからこそ、明るい声が憎らしくもあり励みにもなる。明るい色のコートが無彩色な背景に映えていた。
「ゆーか、大学に落ちたんだって?わたしと一緒だね。だからお願いし直しに来たんだよ、えへへ」
「うるさいよっ。漫画家崩れのゆずな先生!二度目の新人賞落選、おめでとう!」
「はいはい、友達は大切にした方がいいよ。未来のじょしだいせーさん」
同い年だから遠慮はいらない。だから、傷つかない悪口を言い合える。
541天神さまのバカヤロー ◆TC02kfS2Q2 :2011/03/26(土) 23:01:30.17 ID:+o7CSBHB
未来の漫画家は手すりに結ばれた絵馬を一つ摘んでわたしに見せ付けるのだが、その姿はまるでイタズラ盛りの子どものようだった。
いい年して何をしているんだと思いつつ、進学を選ばなかった彼女の自由な生き方に嫉妬した。
「大学に合格できますように。因幡有花……。相変わらず、絵も文章も完璧なんだよね」
彼女はわたしの絵馬をバカにしているのか、ほめているのか、それともオモチャにしているのかわらない。
だが、絵馬に描かれたイラストだけは物凄く上手いとほめていた。「ゆーかの方が漫画の才能あるのになっ」と。

「ゆずな、まだ漫画描いてるの?」
「ゆーかはわたしから漫画を奪う気?」
「いや……。国立狙えるのに、勿体無いなって」
「大学なんか行っても、給料がちょっと変わるだけじゃないの」
都会の空を飛行機が飛ぶ。目線でゆずなは追いかけながら、一人でこれから戦う決意をしていたのだろう。
ペンを剣に持ち替えて、日本の片田舎から東京へ馳せ参じる。でも、ゆずなって、そんな子でいいのかな。
だって、あなた……学年一のトップじゃん。社長サンが下っ端アルバイトしてるようなものだよ。
わたしなんかより、大学に行くべき人物じゃん。世間さまから見て。

「ゆずなの絵、わたし好きだよ」
「話が描けない。絵と漫画は違う」
「……」
「わたしはテストの平均点以上を取るのは得意だよ。でも、みんながほめるのは点数で、わたしをちっともほめてくれないんだ。
そこにゆーかが話しかけてくれるでしょ。ゆーかってバカチンだから、点数のことをほめないでわたしのことをほめる。
でもさ、ゆーかの話が面白すぎてそんなくだらないことをふっと忘れるんだよね。それで安心してたわたしは、バカヤローだね」
漫画家は漫画家の苦労があると。100点取っても100点じゃないと。
100点とマイナス100点ならマイナス100点の方が評価される世界。わたしの目の前の世界と違いすぎる。
「ゆーかの話で、わたしもお話描けるつもりでいた。バカだよね」
わたしとゆずなの間を参拝客が横切った。最近出来た駅ビルの紙袋をぶら下げて、コツコツとブーツを鳴らしながら。

「新人デビューだなんて、どこの雑誌社でもお目当てはあるじゃないの。わたしなんか、年に一度の春だけだよ」
「簡単に言ってくれるね。漫画大国・日本に生まれたことを感謝しろよ」
大学生と漫画家。道は違う。だが、今言えること。……それは、わたしたちは神さまに道をはぐらかされたことだ。
天神さまだって、元は人。だから疲れることもあるんだろう。でも、もう一度言ってやる。天神さまのバカヤロー。
「ゆずな。わたしね、来年この梅の花を見るまで頑張るよ」
梅の花をもう一度見る頃、また来てやるからな。そのときはよろしくね。ブーツの参拝客はガラガラと鐘を鳴らしていた。
「それは良い心がけだね。わたしも来年この梅の花を見るまで頑張るよ」
「あんたは今すぐ次の投稿先を頑張りなさい」
ゆずなに貴重な梅の花を見せるのが勿体無く思った。


おしまい。
542わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2011/03/26(土) 23:03:04.12 ID:+o7CSBHB
春はなんだか落ち着かない!
投下おしまい。
543創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 23:25:35.34 ID:Jaw4PJ+3
>天神さまのバカヤロー

3行で読むのをやめちった。
だって2行でどうでもいい小話ってわかるレベルだし。
素人って本当にどうでもいい小話を延々とドヤ顔で書くよね。
だから才能がないって言われるんだけど。
544創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 23:31:57.66 ID:lfYdIR9N
543の偉大な小説まだー?
545創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 23:41:47.66 ID:KGoYEG3c
だからコテつけろと方々から言われてるだろ上級w
546 ◆91wbDksrrE :2011/03/27(日) 03:00:01.83 ID:mBmJFS/3
お前(>>545)もな。
中の人とか関係なく、上級構いたいならコテつけてくれ。

以前も言ったが、馬鹿を馬鹿にしたがる馬鹿というのも、
馬鹿と同等に迷惑だという事を理解できないのなら、
馬鹿にしている馬鹿と同等だと自ら証明しているに等しいぞ。

と言う言葉がそもそも理解できない可能性は考慮していないが、
もしも理解出来なかったなら言ってくれ。
誤爆辺りに移動した上で、懇切丁寧に解説してやるから。

俺に何か言いたい時も、誤爆で頼むな。
この場を荒らしたくて上級上級言ってるだけなら、
まあこの言葉はまったくもって無駄になるんだけど、
そうじゃないだろ?

547 ◆91wbDksrrE :2011/03/27(日) 03:00:12.60 ID:mBmJFS/3
>>535
ちょっと読点のつけ方が違和感あるかな?
雰囲気はいいねぇ。
植物だと、抱き合って互いの温もりを感じあったりとかできないもんなー。
春の七夕って感じだねw

>>540
いい友情だねぇ。
まあ、なんというか、前途は多難そうだがw
互いに互いの道と、それを歩む足とがフィットしてない。
それでも頑張る二人っていう構図が好きだなぁ。
548上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/27(日) 21:02:54.20 ID:Wasmu40x
梅の花かぁ……参加はしたいけど、別の競作で一作全力で書いたら燃えつきたわ。
暫く小説を書くこともないだろうな。
549創る名無しに見る名無し:2011/03/28(月) 02:32:32.00 ID:QIEYb01D
そういう言い訳は書かなくていいから。
少しは恥じろよ。
550上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/28(月) 07:32:19.59 ID:Xz53lydl
>>541
>だって、あなた……学年一のトップじゃん。
だって、あなた……学年トップじゃん。

こうだよね?
551上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/03/28(月) 07:38:52.02 ID:Xz53lydl
>>540
>ガラズ張りの近代的な建物が見え
ガラス張りの近代的な建物が見え

こうだよね?
552創る名無しに見る名無し:2011/03/28(月) 20:33:47.86 ID:1IgFIF0J

348 :名無しさん名無しさん:2011/03/28(月) 15:23:01.74
上級読者が生きてることが許せない。
俺の家族も母屋も津波で全員木っ端微塵だってのに。
なんでこんな屑が生きてるのか。
命を交換できる仕組みがあるなら神様にお願いしたい。

この世のなんの役にも立たない屑どもの命を家族に分け与えて生き返らせてください、と。

349 :上級読者 ◆xQmVoY6/HA:2011/03/28(月) 17:24:02.02
>>348
よくもまあそんなツマラン嘘を書けるな。
震災で死んだ人は日頃の行いが悪かったから死んだんだっていってるだろ。
自己責任なの。
東電が悪いとか政府のせいだとか筋違いもいいとこ。
運が悪いから死んだんだよ。
その運気とはひ・ご・ろ・の行い。
僕みたいに家でじっとしてネット三昧やってれば運気はたまるんだよ。
そろそろ開放しようかな。
何か書いて応募すれば一発入賞の可能性あるね。
553創る名無しに見る名無し:2011/03/29(火) 16:10:44.50 ID:AyHPTthO
 春風。引き連れるは淡い草花の香りと土の香り。
 日。照らせば陽気となりて身を温め、ひとたび雲に飲まれれば、瞬く間に春風がそれを奪う。
 春。暖かくも寒い矛盾した季節。

「さて、参ろうか」

 男は言う。
 歩を進めると廊下の床がぎしぎしと鳴く。あえてそう作られた廊下は長く、軒先をまっすぐ。
 男に付く者は、いくつかの手荷物と共に付いて行く。

「口惜しや。なぜかような事がまかり通るのか」
「言うな。時すでに遅し。起きた事は変わらんのだ。なれば、流れに身を任せるだけ」
「しかし、あまりに汚い」
「そう。汚い。しかし、それもまた世の常よ」

 ぎしぎし。廊下が鳴く。
 軒先から覘く庭。日が照り暖かいだろう。廊下まではその日はやって来ない。ひんやりと冷たい。
 男は気にせず歩く。一刻も早く出て行かなくてはならなかったからだ。
 自分の居場所はここにはもうない。奪われた。
 あれほど懸命に、がむしゃらに働いた。自分の力を示した。少しでも世に貢献しようと、持てる力を余すところなく発揮してきた。
 だが、それはもう終わりだった。
 男は働きすぎた。そして、それに嫉妬する者も現れた。
 ほんの僅かな奸計によって、男は地位を奪われ、仕事を奪われ、信用を奪われた。

「過ぎたるは及ばざるが如。さぁ、参ろう。もはやここは用済みよ」
「なぜそこまで飄々とされるのですか? 悔しくは無いのですか?」
「さりとてどうにもなるまい。ならば進むのみよ。生きていれば、再興の時が来る。生きていれば」

 男は言う。己の運命を知らぬが故に。
 長い廊下の終わり掛け。立ち止まり庭を見た。

「……ふむ」
「どうされたので?」
「唯一の心残りだ。もう見れぬのかと思うとな」
「庭の木でございますか」
「東風吹かば 匂い起こせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」

 歌を詠む。庭の梅の木。
 それを名残惜しんで。

「……道真様」
「うむ。もうよい」
「……は」
「なんだその顔は? あの梅なら大丈夫だ。そのうち大宰府まで私を追って飛んで来よう。はっはっは」
「何をおっしゃいますのやら」
「冗談の通じぬ奴だ。さぁ参ろう。大宰府へ」

 外では牛車がすでに道真を待っている。
 左遷先の大宰府まで、ゆっくりと連行するために。
 悔しさは置いて来よう。憎しみも置いて来よう。
 持ち出すのは再び舞戻るという決意。若い時のような希望だけ。
 道真はそう決めていた。
 途方もなく永い道のりだとは覚悟の上で。
 もちろん彼はこの時知るはずもないのだ。自分にかけられた奸計はまだ終わりではない事を。
 しばらくの後、彼は何者かの手によって暗殺される。彼が生きて京に戻る事は永遠に無いのだ。
 希望は置いてきたはずの悔しさにとって代わり、決意は、復讐のそれへと変貌する。
 彼は学んだであろう。これが人間だと。
 後に学問の神と呼ばれる彼は、この時は稲妻を落とす怨霊と化していた。事実、彼は仇を呪い殺し、京に稲妻を落として焼き払ってしまったのだから。

 
554創る名無しに見る名無し:2011/03/29(火) 16:12:51.64 ID:AyHPTthO
なんとなく天神つながり。
梅の花好きな偉人多いな。
555無名兵士 ◆O7UREK3bSQ :2011/03/31(木) 18:13:59.03 ID:xuMeKwKi
地獄丸は、定刻どおりにその場所に着いた。
彼を待つ人影ひとつ。白装束に身を包み、帯に短刀を差している。
「カチューシャ。きてくれたのか?返事を聞かせてくれないか?」
問いかけに対し、彼女は短刀を抜き、右手に持った。
「私とあなたは結ばれぬさだめ。それよりも、わたし、きれいな梅の模様の着物が欲しいわ」

「梅の着物?」問いかけながら地獄丸も刀を抜き、上段にかまえた。
相手が短刀ならば、間合いに入るのを待って斬れば良い。そう考えた地獄丸に対し
カチューシャはためらいもせず一歩、さらに一歩ふみこんだ。
その目が狙うはただ一点。地獄丸の首のみ。

何の迷いもないカチューシャの鋭い眼光に、地獄丸の殺気も研ぎ澄まされる。
振られたのはたしかにつらい。が、それならばいっそ この手で…
地獄丸は刀を振り下ろした。

金属のぶつかりあう音。地獄丸の刀はカチューシャの頭上で十手に受け止められた。
十手!?地獄丸はわが目を疑った。カチューシャは、左手の袖の中に、十手を隠し持っていたのだ。
十手の鉤部分に刀身を固定され、地獄丸の刀はびくとも動かない。

カチューシャの右手の短刀が、地獄丸の首をかき切った。
地獄丸の首から鮮血がほとばしった。
そして、その鮮血によって染められたカチューシャの白装束を見て、彼は思った。

なるほど、これは、梅の花だ…と

(END)
556創る名無しに見る名無し:2011/03/31(木) 23:12:26.57 ID:LK7VSib8
羅生門のパクリ乙。
オリジナルで創作できないなら読者の枠から出ちゃダメだよ
557創る名無しに見る名無し:2011/03/31(木) 23:29:24.78 ID:Ru54OHXn
このゴミのどこが羅生門なのさw
国語の教科書もう一回読み直せ
558創る名無しに見る名無し:2011/03/31(木) 23:56:18.54 ID:HqrVxBxE
559梅の花 1/2:2011/04/01(金) 01:27:36.56 ID:WAVvahlC
清らかに澄み切った空気の中にほのかに漂う香りを探す。
繊い糸をたぐるように、丁寧に。
いまにも途切れてしまいそうなその香りはしかし、
一度捉えることができれば、胸の中に花が咲くように、肺の中を芳しい香りで満たしてくれる。
ほら、今日も梅の花が咲く。
なんていい香り。
私はその清冽な甘い香りを胸いっぱい吸い込んだ。
吸い込むたびに森羅万象が身体に流れ込み、すべての物事が一新されたように感じる。
ここは梅の花の園。
世俗は遠く、彼方にある。

風が吹いてきた。
ほんの少し、剣呑な匂い。胸にさざ波がたつような。
私は梅園をゆっくり巡り、その出所を探す。
園でいちばんの老木の根元にそれはいた。
襤褸の小山のように倒れ伏している。
頭髪のほとんどが白髪になった男。
顔は茶色く日に灼けて、深いしわが刻まれている。
やっとの思いでここに辿りついたのだろうか、疲労の色が濃い。
私は男を東屋へと運んだ。

梅の花を浮かべた水に布を浸して顔を拭っていてやると、男は不意に目を覚ました。
濁った充血した眼が激しく瞬く。
その眼が顔を覗き込んでいる私に止まると、
一瞬の静止のあと、なんとも言えない色が浮かび、固く結ばれていた唇がほころんで、
もうすこしで微笑するような形になった。
梅の花がひらくような、慎ましく無邪気な微笑み。
そんな微笑みが浮かびかけ、そして、消えた。
それはほんの一瞬のことで、私がその変化に驚いているうちに
疲労と悲しみで摩耗した、もとの顔に戻ってしまった。

ややあって男の唇が開き、古い楽器の弦が風にこすれるような音が漏れた。
「あんたが、梅園の仙女か…」
 そうよ、と答えて杯に水をそそぐ。
杯を渡すと男はすこしためらった後、ごくごくと喉を鳴らして一気に飲み干した。
「うまい。…こんなにうまい水を飲んだのは、久しぶりだ…」
 好きなだけ飲んだらいい。ここにはたくさんあるから、と言うと、
男はどんよりと濁った眼で頷いた。
けれどもその顔はどれだけ水を飲んでも、癒すことのできない渇きで餓え乾いていた。

その日から、梅園でときおり男の姿を見るようになった。
すこし怖い気がしたけれど、遠くのほうから私がすることを
ただ見ているだけで、害意はないようだった。
最初のうちこそ、梅園の静謐を乱すような男の存在を疎ましく思ったが、
そのうちに慣れてしまい、気にならなくなった。
男は大人しく、無口だった。
やがてひとこと、ふたこと挨拶を交わすようになった頃、男が言った。
「あんたに御礼を」
何のことかと問うと助けてもらった御礼だと言う。
「水を、有り難う。助かった」
今更お礼を言われたことが可笑しくて笑うと、男の顔にも笑みが広がりかけた。
あのときかいま見た、あの微笑み。
私はしんとなってその笑みを待ったけれども、
なかなか捉えられない梅の香りのように、やはり、また消えてしまう。
そして、微笑みかけた男の顔にはどうしてだろう、
前にも増して砂漠のような渇きが強くなるのだ。
560梅の花 2/2:2011/04/01(金) 01:28:35.46 ID:WAVvahlC
「あんたは」
男が沈黙を破った。
「ここへきてどのくらいになる?」
 わからない、と答える。
「わからない? 覚えてないのか? ここに来るまでのことを」
 ええ。
「なぜ」
 さあ……。
困ったような私を見て、男は深いため息をついた。
男を落胆させたくなくて、私は言葉を継ぐ。
 ここの梅の香り、とてもいい香りでしょ?
男が顔を上げた。
 この香りを嗅ぎたくて、ここに来たんじゃないかと思うの。
 ここにいると胸の中に梅の花が咲いたように、良い香りで身体が一杯になるの。
 あなたも、ここにいて、梅の香りを嗅ぐといいわ。

そう私が言うと、男はうつむき、手のひらに何かを握り込んで背を丸めた。
握りしめているものは小さな瓶で、そんな風にしているのだから
なにか大事なものだろうと思って聞いてみると、
娘だ、と男は答えた。
娘、と私がつぶやくと、男はそうだ、と瓶を私に寄越した。
 小さいのね、と言うと
「まだ、ほんの赤ん坊だった」と言った。
中身は乾燥した小さな白いかけらで、貝殻のようだった。かわいそうに。
私は言った。
 かわいそうに……
男は静かに泣きはじめ、やがて男の押し殺した嗚咽が聞こえてきた。
私はその場を去った。

ある日いつものように梅園を巡っていると、
このところしばらく目にしなかった男が、最初に見たときのあの老木の根元に立っていた。
ほとんど襤褸と化しているが、旅装だったので、どうしたのかと聞くと、
前にいた所に帰る、と言う。
「ここにはいられない」
私は男がずっとここにいるものと思っていたので、
ここにいて、一緒に梅の花の咲くのを見よう、と頼んだが、
男は首を振り、言った。
「俺は忘れたくないんだ」
娘のことも、あんたのことも。たとえ忘れたいようなことであっても。
男は節くれ立った手で私の頬に触れた。
あの、哀しげな、けれども不思議に懐かしい微笑みが男の顔にうかぶ。
「お前のことは忘れない。お前が俺のことを忘れても、俺はずっと忘れないでいる」
 ずっと覚えているから……
そう言って男は梅園から去った。

私はひとり老木にもたれ、男の言葉を繰り返し思った。
すると、梅の香りでも風でもないものが、どこからかやってきて、
私の胸の内側をはげしく突き上げた。
今まで感じたことのないようなその痛みに、私は胸をおさえて崩れ落ちた。
息が、できない……!
だが、そのとき、ちょうど老木の花が咲き始め、私を取り囲むように梅の花が強く香った。
ああ……なんていい香りだろう。
苦しみに喘いでいた私の胸に再び梅の花が咲き、全身を芳香が満たしていく。
この香りを嗅ぐと、すべてが新しくされたような気分になる。
苦しみや悲しみは去り、あるのはただ、清らかな梅の香りだけ。

そして今日も梅の花が咲く。
ここは梅の花の園。
世俗は遠い、彼方にある。
561 ◆O7UREK3bSQ :2011/04/04(月) 22:38:49.59 ID:5/Vtgo6g
@第二回 S-1選手権 総括

3/25〜4/1の期間において、第二回S-1選手権が開催された
梅の花というテーマは一見簡単そうでいて、じつはかなり難しかったのではないだろうか

全体的な傾向として、情緒あふれる作品が多かったように思われる

A総評 AA部門

>>532 : ◆LV2BMtMVK6 氏
AA部門の参加者が一名しかいなかったこともあり、この作品がAA部門の
「グランドチャンピオン賞」を獲得した。投下が一日早いのではという意見は黙殺された

562 ◆O7UREK3bSQ :2011/04/04(月) 23:11:56.20 ID:5/Vtgo6g
B総評 文章部門

>>535  ◆Oq2fXER2l2 氏 「梅の花」
文章のセオリーなど気にしないストレートな表現。小細工無用のパワー。
文章部門一番乗りである点も評価したい。
技術点4 芸術点8 直球度10 
「ストレート賞」を受賞

>>540  わんこ ◆TC02kfS2Q2 氏 「天神さまのバカヤロ―」
なんというか文章がすごい独特。でもスムーズ。
手慣れた印象を受ける。
技術点7 芸術点8 独自性10
「オリジナリティ賞」を受賞

>>553氏 「無題」
小説というより詩のような雰囲気。
情感たっぷりで、言葉のひとつひとつが凝っている
技術点8 芸術点8 情緒度9
「トータルバランス賞」を受賞

>>555 無名兵士 ◆O7UREK3bSQ  「無題」
前回よりは良くなったのではないだろうか
技術点5 芸術点5

>>559氏 「梅の花」
流れるような文章で、読みやすく
幻想的でせつない感じが伝わってくる。
技術点8 芸術点8 せつなさ10
「グランドチャンピオン賞」を獲得

この小会も回を重ねるごとにレベルが上がっているのではないだろうか
そして、ある程度荒れることが予想される大会にのぞむ参加者の皆様の
ある意味勇気のようなもの これも評価したい

また、前回に引き続き会の盛り上げの尽力いただいた
上級読者様にも、この場を借りてお礼申し上げるとともに
そろそろ、ふつうに参加してみたらどうですか?と問いかけてみたい

それでは第二回S-1選手権 終了いたします ありがとうございました
563上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/04/04(月) 23:49:00.35 ID:QWcsrXdq
>>535 50点
ストーリーの筋はいいけど、変化がないね。

>>540 55点
文章は悪くはないけど、この文体でやるのならもっと気持ちを乗せ、心を開かないと。あとキレを入れてスッキリと。

>>553 70点☆
リアリティのある描写になるように、図書館とかで資料を調べるなりして
もう少し突っ込んで書いたらイメージが鮮明になって更によくなったと思うけど、安定してよかったよ。

>>555 65点○
個人的には好きだけど描写が甘いかなと。しかしまた地獄丸か。

>>559 50点
ちょっと綺麗に書こうとし過ぎかなと。雰囲気はある。
564上級読者 ◆xQmVoY6/HA :2011/04/05(火) 00:01:06.48 ID:IFUTpR6h
>>562
>上級読者様にも、この場を借りてお礼申し上げるとともに
>そろそろ、ふつうに参加してみたらどうですか?と問いかけてみたい

僕、そんなお礼いわれるようなことしてないけど。
あと創文板で競作してるから創発板では、ちょっと参加は今は無理かも。

ていうか君が創文板の方へ参加したら?
今週末までに1レスでお題にそった掌編を書くのをやってる最中なんだわ。君、掌編得意だろ?

僕はそんな短いの書いたことなかったし、無理だなと思って、取り合えず書いたら、やっぱ上手くいかなかったわw
文章が乱れに乱れた。今なら僕を倒せるかもよ。
565創る名無しに見る名無し:2011/04/05(火) 00:03:41.53 ID:K0CgncoB
相手にもされてないクセにw
566創る名無しに見る名無し:2011/04/05(火) 00:26:22.51 ID:yCbY+YeM

真性基地外「上級読者」(=ウンゲロ)について 8
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1296741895/

やっぱり上級は頭がイカれてるw
567創る名無しに見る名無し:2011/04/05(火) 00:32:56.06 ID:Y7K/T8LD
http://ncode.syosetu.com/n3930p/
小説家になろう 上級読者

 携帯の画面に西日が差し込み反射してメールの文字が見えなくなった。校門に背もたれていた私は軽く舌打ちをして携帯を閉じ、
顔を上げると、校舎は夕焼けで赤く染まっていた。

 時計塔を確認する。もう少し待たねばならない。まだ家に帰る時間ではない。ホッと胸を撫で下ろした時、吹奏楽部がG線上のアリアを演奏し始めた。

 二階の音楽室から荘厳なメロディーが学校を包み込む。都内屈指の実力だけあって音に歪みがない。澄んでいる。

 私は顔を顰めた。何故こんな悲しい曲をこんな寂しくなる時刻にいつも演奏するのだろう。人を悲しくさせる為に生まれて来たようなアリアの旋律を私は憎んだ。この曲を聞くといつも死にたくなる。土足で心の奥深くに踏み込まれ、陵辱された感覚に苛まれる。

 吹奏楽部が毎日最後の音合わせに演奏する楽曲アリアは、学校中の生徒へ部活の終了を知らせる時報でもある。
演奏が終わって暫くすると沢山の生徒が下校を始め、私の前を通り過ぎて行く。

 中学生のように……いや見栄はよそう。小学生のように小柄な私の姿が珍しいのか自然と注目が集まる。
大人っぽく見せる為に髪を脱色して軽く茶髪にしてみたが、まるで効果がないようだ。化粧をすればこの童顔も少しは大人びて見えるのだが、それでは学校に来れない。

 俯いて彼らの視線を逸らし、やり過ごして、そして下校する生徒も疎らになった頃「ゴメン! 遅くなって」と息を切らせ俊夫が駆けつけて来た。

「待っただろ?」

 ハァハァと中腰になって息を整え微笑んだ俊夫は、少しおどけて手を合わせ、私に謝った。

「いいよ、気にしないで、君を待つの好きだから」と、私は答えたが、本当のところは『いいよ、気にしないで、もっと遅くていいのに』だった。

 そもそも君でなくても誰でもいいの。家に帰るのを遅らせる理由が出来ればそれでOK。家に帰えるのが嫌だから街で時間を潰すってのはリアル過ぎて駄目。いつか本当に自殺してしまう。
だから君を待つって理由で時間を潰してるだけなの。利用してゴメンね俊夫君。だから君は私に謝らなくていいんだよ。幼馴染の俊夫と一緒に家に帰るのは小学校や中学校の時から続いてることで、それが高校生になっても続いてるだけ、それだけのことなんだ。

 勿論、そんな言葉が私の口から出ることはなかった。

 好きだからって私の言葉に照れたのか、俊夫は少し顔を赤らめて「そ、そう」と微笑んだ。

 綺麗だなとそんな彼を見て思う。顔が整ってるし、身嗜みも完璧で清潔感はあるし、声は澄んで落ち着いてるし、身長だって高いし、何より自分のように心が歪んでない。

 でも私は好きという感情を彼に対して持てなかった。持ちたくなかった。

 私は恋愛を意識し始める年齢になると、自分の心を覗かれることを酷く怖れるようになった。心の美しい人なら相手に知られる程、関係が深まり愛が生まれるのだろうけど、
私のように心の穢れた人は相手に知られる程、嫌われてしまうだけではないか。

 自分を変えればいいとポジティブに考え実行しようとしたこともあった。でも駄目だった。どう変わろうとしても心の奥底で、それはお前ではなく偽りの自分だという声が聞こえた。

 確かにそうだ。私は恋愛なんて出来るような人間ではない。彼が本当の私を知れば幼馴染の関係すら壊れると思う。一人は寂し過ぎる。俊夫にはいつまでも私に都合の良い友達でいて欲しい……。

 だから私は今まで一度も彼に何かを頼んだことがなかった。何かを頼めば何かを頼まれることもある。少しずつ距離が縮まってしまう。

 でも今日はどうしても彼にお願いしたいことがあった。
568創る名無しに見る名無し:2011/04/05(火) 10:22:03.79 ID:xVYYGbIV
気持ち悪いコピペ貼るなボケ
そもそも上級読者なんて名前がバカすぎる。
「スターにしきのあきら」ぐらいバカすぎる。
もう消えてほしい。
569創る名無しに見る名無し:2011/04/05(火) 19:38:56.90 ID:iQCvLnRd
上級ナンタラって子は口だけなんだよね。
参考になるよ。反面教師として。
570創る名無しに見る名無し:2011/04/06(水) 11:29:27.49 ID:SiqNiCjQ
都合が悪くなると
「僕は読者だから。でもただの読者じゃない。上級読者なんだ!」
571創る名無しに見る名無し:2011/04/06(水) 18:49:39.60 ID:pTsRoyvG
春だねえ。風があったかいよ

というわけで梅の花と来たんだから
次はやっぱり?
572創る名無しに見る名無し:2011/04/06(水) 18:51:04.08 ID:Ejj7l8xs
スギ花粉
573 ◆O7UREK3bSQ :2011/04/06(水) 19:21:28.34 ID:beX0yG7Y
創作小会開催のお知らせ

大会名: 第三回S−1選手権

お題 :「スギ花粉」


出品期間:4/7〜4/14まで

大会規約:何でもアリ

574創る名無しに見る名無し:2011/04/06(水) 19:21:58.82 ID:beX0yG7Y
スギ花粉?マジかよ…
575評価不要:2011/04/07(木) 00:18:59.16 ID:4gcb/Hvf

「てぃっしゅ、ある?」

ひらがなが重要である。
ティッシュ、でもTissueでもない。
「ああ。アルヨ」
詰まった鼻のせいで、中国語みたいな発音になった。すごく恥ずかしい。
誤魔化すように、Gパンのポケットから温もった新品のポケットティッシュを彼女に突き出す。
ありがとうの意味をモゴモゴ言いながら、彼女は鼻をかんでいた。

「ハイ。どーぞ」

両手でちょこんと突き出されるポケットティッシュ。
俺が貸したんだけどな、と思いながら『どーぞ』と渡されたティッシュを受け取る。
ぎこちないお辞儀をして、彼女はそそくさと講義室を出て行った。
受け取ったポケットティッシュを見て、思案する。
彼女は何処の国の子だろうか。金髪で綺麗なサラサラの髪だった。
「……てぃっしゅ」
先ほどの女の子の口調を小声で真似てみた。
友人がニヤニヤしながらこちらを見ているのに気付いたので、恥ずかしさを誤魔化すように鼻をかんだ。

おわり。
576花粉症Stage.Final:2011/04/08(金) 01:24:19.05 ID:+tAkuKfF
「うーん、今日は天気が良いね」
黄色く濁った大気を吸い込む。
「花粉が超舞ってるのに天気よくたってさ……」
マスクをし目を赤らめた彼女が言った。
「花粉が舞ってるからいいんだよ」
私は上機嫌だ。
花粉症の症状に段階があることを知っているだろうか?
実は私こそが、花粉症のStageFinal患者である。
StageFinalの患者には喘息の治療に用いられるイーヘラーという粉末ステロイド吸引器が渡される。
イーヘラーはリボルバー式に四つのカプセルを装填することができ、
トックリ型をした本体を支えて薬のカプセルが納まったドラムを回転させることで一個のカプセルの下半分を切り離し、
トックリの先端から強く吸うことで渦巻き状の気流を内部に起こしカプセル内の粉末を吸うことが出来る。
しかしStageFinal花粉症の患者はステロイドは吸わない。
花粉を吸うのだ。
花粉症の致命的悪化の先には、花粉を吸わねば気管支が狭窄し死に至るという、とんでもない症状が待っていたのだ。
「花粉が舞ってなきゃ、私は死んでしまうからね」
私の言葉を聞き、「ウソつき」と彼女が言う。
私は笑い、よく通った鼻から胸一杯に深呼吸した。
StageFinalの恐るべき症状は、日本政府の隠蔽によって全て心臓発作として処理される。
杉を植えまくった過去がある日本は、花粉症が死に至る病だと知られてはマズイのだ。
私は花粉の詰まったイーヘラーを回し、ズーっと吸い込んだ。
「あっ、薬?それで花粉症、直せるの?」
「直らないよ」
死んでもね。

終わり
577創る名無しに見る名無し:2011/04/08(金) 09:05:18.11 ID:B5NK2Wrw
ツマランね。
素人もいいとこ。
僕ならもちっとマシなものを書けるけど
それだと場がしらけるからコメンターに徹するよ今は。
578創る名無しに見る名無し:2011/04/08(金) 11:15:42.70 ID:a2BOGyme
いや書けよw
579創る名無しに見る名無し:2011/04/08(金) 16:25:36.92 ID:+tAkuKfF
そいつに関わるレスを打つくらいなら、是非作品を読んでほしいなー、とか
580創る名無しに見る名無し:2011/04/08(金) 16:49:04.19 ID:yJQFqSps
読んだけどバックボーンが気になる。
これを元にいろいろ書けそう。植林事業に関わった人とか行政の思惑とか。それらの一シーンのような印象を受ける。
が、それをやろうとしたらなかなかに膨大な作品になりそうw
581創る名無しに見る名無し:2011/04/08(金) 20:01:43.38 ID:m5yccfFM
おもろいw

親が数年前までひどい花粉症だったんだけど、最近すっかり治ったみたいで
花粉吸いまくってアレルギー反応が出なくなったのかなあ、とか思ったのを思い出した。
ナウシカ(漫画版)みたいに、そのうち人間は清浄な空気の中では生きていけなくなったりしてw
582花粉とはまた別の意味の涙 ◆/zsiCmwdl. :2011/04/09(土) 00:15:12.69 ID:Asyc3I1t
『本日のスギ花粉情報です。この日は空気が乾燥している為、例年以上に……』
「また、この季節が来たか……」

 私は憂鬱さを隠すことなく、独りため息混じりに呟きをもらした。
視線の先のTVでは、アナウンサーが作り笑顔で今日の天気予報ついでの花粉情報を告げていた。
他の人にとってはなんて事ない情報だが、私にとってはそれこそため息の種であった。

 私はスギ花粉の舞うこの時期が嫌いだ。
 友人を初めとした他の人間へこの話をすると、決まって『花粉症だから?』と返してくる。

 ……確かに、私は花粉症だ。それも筋金入りに酷い花粉症だ。
もし、この時期に、迂闊に準備も対策もなしに外を出歩こう物なら、
たちまち目はウサギのように真っ赤に充血し、薬でも使わない限り涙と鼻水とくしゃみが止まらなくなってしまう。
酷い時だと、その場で呼吸困難になってぶっ倒れた、なんて事もあった。
 だが、それは『生まれつきの体質だから仕方がない』と諦めている。
それに、花粉は何も春だけ舞ってる物ではない。それこそ夏や秋にだって舞っている。
……私がこの時期を嫌う理由は別にある。

――思い出すのだ、彼女の事を。
この季節が来るたびに、私は、遠い過去の記憶として封印した筈の、彼女の事を思い出すのだ。
……そういえば、彼女との出会いも、花粉が関係していたと思い出す。

 確か、例年以上に酷い花粉で私が顔面を涙と鼻水で濡らしていた時だったか。
適当な拭く物が見当たらず、独り困っていた私へ、『大丈夫?』と、レースのハンカチを差し出したのが彼女だった。
そのときの、みっともない姿を女性に見られた私が浮かべた表情はさぞ、情けないものだっただろう。
 もう一つ言えば、私の想いを彼女へ打ち明けたのも、同じく花粉が舞うこの季節だった。
鼻づまりを薬で抑えながら、何度もくしゃみをしつつ、そのくしゃみの勢いとばかりに告白したのだ。
今思えば、なぜ私はこの時期を選んだのか、そしてこんな状態の告白をなぜ彼女は受け入れたのか、今も分からないままだ。
 そして、彼女が桜の開花を待つことなく遠い世界へ旅立ったのも、同じくこの季節だった。
そのとき、私は珍しく花粉の量も少ない中を、我慢することなく目を赤く腫らして、自分の顔を涙と鼻水まみれにしていた。
そうでもしなれけば、彼女ともう二度と抱き合えぬ悲しみに、心が張り裂けそうだったから。

 あれから、もう何度、この季節を繰り返したのだろうか。
若かった頃と違い、花粉との付き合い方も慣れ、みっともない姿を周囲へ晒す事も少なくなった。
しかし、代わりに、ここ最近は花粉とは別の原因で目を赤く腫らす事が多くなった。

 そんな私はある意味、この時期に感謝している。
大の大人が独り、涙に目を赤く晴らしている姿を見られても、
『花粉症だから』の一言で、悲しみを悟らせずに済むのだから。

―――了―――
583通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2011/04/09(土) 00:16:07.68 ID:Asyc3I1t
春は出会いの季節であると同時に、また別れの季節でもある。
584創る名無しに見る名無し:2011/04/09(土) 16:11:13.84 ID:YHQ523x4
そしてマスクで顔を隠せば誰にも疑われない
ビバ花粉症の季節。
泣いてなんかないもん
585無名兵士 ◆O7UREK3bSQ :2011/04/14(木) 23:47:01.85 ID:FSCZK9yO
玄関の扉を開けた地獄丸は、わが目を疑った。
外は見渡す限り黄色い堆積物で覆われている。
深さは膝くらいまであるだろうか。
「な、何だこれ!困ったな 駅まで行かなきゃならないのに」
彼はその堆積物に足を取られつつ駅までの道のりを歩いた。

空全体が黄色い。地面を覆っている粒子はさらに上空から降り注いでいるようだ。
「これは一体…?」立ち止まって思わずつぶやいた地獄丸に、
「スギ花粉だよ」かたわらから返事がした。
見ると道端にヒトが倒れており、降り積もる粒子によって埋もれそうになっていた。
地獄丸はあわてつつもそのヒトを抱き起こし、その身体を覆う黄色い粒子を払う。

「しっかりして下さい!」
「兄ちゃん…ありがとよ でも俺はもうだめだ 俺は花粉症だから…こんだけ花粉が降ってくるともう駄目なんだ…」
「それにしても、なんでこんなに花粉が!」
地獄丸の問いかけに、もはやそのヒトは答えることはできなくなっていた。
「しっかり!しっかりして…! こ、こんなことって…」

あまりにも理不尽な出来事に、地獄丸は震えた。
なぜこんなことになったのか…。見るとあちこちでヒトが倒れている。
が、彼はあまり深く考えずに、駅へと急ぐことにした。
「まあいいか 俺は花粉症じゃないから関係ないし。」
そういいつつも、彼の目は充血し、鼻はなんだかムズムズしていた。
「あれ、おかしいな。なんだか身体の調子が…」
そして彼は、積もった花粉に足を取られ、道端に倒れてしまった。

そして、二度と起き上がることはなかった。

(END)
586創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 00:24:04.26 ID:Jp0fGqUF
>>585完璧♪
587創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 21:08:24.51 ID:sUtmOwp3
あ、いつの間にか期間終わってたのね
次のお題は何にする?
588創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 21:33:24.77 ID:0Ybm3mvQ
お、ほんとだ。終わってた
皆さん乙でしたー
「スギ花粉」結構難しかったね

「梅の花」「スギ花粉」
風物が続いたけど次は?
589創る名無しに見る名無し:2011/04/17(日) 01:29:15.29 ID:OiiPvar+
感想ー
>>575
両手で「てぃっしゅ」を返す仕種にきゅんきゅんしますた
学生の頃は、英語で話し掛けられたら困るから留学生が居たら逃げてたw

>>576
やけに薬の説明詳しいなw

>>582
そんな恋、してみたいものです
しかしこれ、彼女が死んだのか単に別れただけかで意味がかなり変わりますね
失恋引きずってるだけならほほえましいダメ男ですよw

>>585
固有名詞が唐突に出て来てよくわからないけど、膝まである花粉の海に鳥肌
590さっちゃん ◆tQHdQTw5jw :2011/04/17(日) 04:16:28.05 ID:mxTjntdX
「私、生きてる。」

何気なく、しかし深い意味を含ませ隣の席の憂が呟いた。
私は…私、青木 咲奈は憂とは特別仲良くなかった。
だからほって置くという選択肢も持っていたが、自然と口が
「どうしたの?」
という音を発していた。
普段自分から話し掛けるという行為を頭に入れてない私が話し掛けるのだ。

憂はびっくりしながらも、「ごめん、なんでもない。気にしないで?」
と怪訝そうな目をしながら私に断りをいれた。


この時…私が話し掛けたから、
と、たまに今でも後悔する。

続く。
591さっちゃん ◆tQHdQTw5jw :2011/04/17(日) 04:58:47.94 ID:mxTjntdX
その日の帰り道。
友達の少ない私は一人で歩きながら憂の言葉の意味を考えていた。

憂は今、追い詰められているんだろうか。

私に知られてはいけない秘密を持っているんだろうか。

私が心配してどうこうなる話じゃないが、どうしても気になって仕方なかった。


結局何一つスッキリしないまま、その日はそのまま寝床に着いた。

憂…明日になったら死んでたりしないでね…


なんでこんなにも憂が気になるんだろう。
私もやはり人間だから、友達が欲しいのかもしれない。

憂がなにかしら悲しい未来を背負うとして
悲しい過去を持った私は引き付けられたのかもね…

続く
592さっちゃん ◆tQHdQTw5jw :2011/04/17(日) 05:18:12.54 ID:mxTjntdX
次の日。
私の席の隣に、花が活けられていた。
「は…?」
そう。憂は死んだのだ。私に少しの余裕も与えず、死んでしまったのだ。

朝のHRでの説明によると、父親の虐待が原因だそうだ。
なんでも世間の体を気にする人で、少しハスキー気味の娘、憂の机に盗聴器を仕掛け、「誰かと会話すれば殺す」
といって脅していたそうだ。



そして、昨晩本当に実行した。とのことだった。



ああ、私のせいだ。私が、声をかけたりしたから。
後悔や謝罪の気持ちでいっぱいになり涙が溢れたと同時に、
「憂の分まで生きる」
と心より固く咲奈は誓った。


―――下校場所に、鈍く光る鋭いものを隠した憂の父親が居ると知らずに。




長くなりましたごめんなさい><
感想頂けたら嬉しいです(^-^)
593創る名無しに見る名無し:2011/04/17(日) 07:38:43.22 ID:OiiPvar+
一レスにまとめたほうが良いと思う
594 ◆O7UREK3bSQ :2011/05/08(日) 01:11:37.75 ID:5s4bhrsG
本当の主役は狂気に駆られた父親という印象をうける

次のお題>>595
595 ◆Oq2fXER2l2 :2011/05/08(日) 17:08:45.08 ID:i25+K/E4
「発情期の猫」
596創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 11:44:25.96 ID:mfzMxiut
携帯電話のカメラで撮った自主制作映画

Chupacabra or Jersey Devil? 都市伝説検証 「八王子・ザ・ワイルド・シティー」
http://www.youtube.com/watch?v=Ar-Sy49ysBY

 あなたの知らな異世界(変質者の世界) 

FAIRY TAIL  Fairies caught on my video / Cottingley Fairies Afterwards 多摩川に妖精を見た 
http://www.youtube.com/watch?v=nfVDjKibmbk
597創る名無しに見る名無し:2011/05/12(木) 00:04:38.32 ID:GCOZVatI
創作小会開催のお知らせ

大会名: 第4回S−1選手権

お題 :「発情期の猫」


出品期間:5/12〜5/30まで

大会規約:何でもアリ
598無名兵士 ◆O7UREK3bSQ :2011/05/12(木) 00:05:05.71 ID:gz1v4Nrg
発情期の猫?
正気かよ・・・
599 ◆Oq2fXER2l2 :2011/05/12(木) 12:40:37.01 ID:mrKFJ2yy
えっ?マジっすかぁ〜?///
600カサブランカの夜1/2 ◆sZWwY2W7.lkq :2011/05/16(月) 09:24:34.25 ID:7CaYfUUn
 ナァ、ナァ……と、猫の鳴き声。
 1時間も続く泣き声に、しょうがなく僕は庭に出た。庭には、満月のように丸い我が家の猫、カサブランカが居た。
 彼は僕が背後に立っていることにも気づかない様子で、鳴き続けている。
「だからさぁ、何度も言っているように、お前は去勢してんだから無理なんだよ」
 言葉が通じるはずがないことは重々承知の上で、彼の隣に座り込んで僕は説得を始めた。僕がそう言うと、カサブランカは鳴くのをやめて虚空を見つめていた。
 夜空の向こうの街では、子どもの泣き叫ぶような声が響いている。
 種の存続という遺伝子に組み込まれた欲望のまま、野良猫たちが睦みあう様子が手に取るようにわかる、激しい泣き声。それを聞きながら、カサブランカは目を細める。
 懐かしいような、切ないような目で。彼も、数年前までは野生に生きる野良猫の一匹だったのだ。
601カサブランカの夜2/3 ◆sZWwY2W7.lkq :2011/05/16(月) 09:28:06.96 ID:7CaYfUUn
 僕に拾われたカサブランカは、自らの遺伝子を残す可能性を僕に奪われ、その代わりに暖かい寝床と餌を与えられ、毎日食っちゃ寝の生活を続けている。
 安楽の代わりに奪われた、種として当然の欲求。
 もし自分が同じ状況になったら、どう思うだろう。……と、少しだけ想像してみた。
 あまりの情けなさと惨めさに、身をつまされる思いだった。
「なんだ……その。悪かったな。お前のガキを養うほど金、なくってさ。今度いい餌買ってやるからよ」
602カサブランカの夜3/3 ◆sZWwY2W7.lkq :2011/05/16(月) 09:30:16.63 ID:7CaYfUUn
 僕はぽん、と満月のように丸い背中を叩いた。カサブランカはにゃぁ?と鳴いて、僕の方を振り返った。
 ――オマエの財布には最初から期待してないが、餌には期待している。
 そう言いたげににやりとカサブランカは笑うと、庭に僕を置いたまま、ガラスのサッシの隙間から家に入っていった。

 夜の街、猫達の喧騒はまだまだ続きそうだ。カサブランカは僕の買って来た猫缶を食べながら、懐かしそうな表情で、夜空の向こうの街を今日も眺めている。

(了)

-----------------------------
2chあんまり慣れてないから不手際あったら申し訳ない。
感想をいただければ嬉しいです。
603創る名無しに見る名無し:2011/05/17(火) 23:19:21.60 ID:UefH7MGM
乙!
去勢された猫は仙人のような気分なんだろうか
604創る名無しに見る名無し:2011/06/01(水) 06:40:46.77 ID:eUEmMRTi
お疲れ様でした。☆
605丸猿 ◆IRhVZh63ks :2011/06/08(水) 10:49:32.18 ID:TtRuHKPZ
はじめまして別板で漫画SSを書いてる丸猿です
5分で考えた雑&ありきたりな文なので気軽に読んでみてくださいw
606丸猿 ◆IRhVZh63ks :2011/06/08(水) 11:02:39.93 ID:TtRuHKPZ
【発情期の猫】

「シュレディンガーの猫」という言葉を知っているだろうか
最近では有名な言葉となっているのでご存じの方も多いと思う

ある病気の猫を小さな箱の中に入れふたを閉じ、その箱の中を見ないようにする
すると、「箱の中で猫が今尚生きている世界」「すでに死んだしまっている世界」
2つの世界が可能性として存在する事になる・・という確率論の話らしい

ボクはこの話についてよく考える時がある
「箱の中の猫が生きているか死んでいるか」そんなくだれない話じゃない

この理論は「箱の外側にいる」観測者の主観によって成り立っている話だろう
じゃあ・・「箱の中にいる」猫にとってはどうなのか

その猫にとっては「世界が今尚あり続ける世界」と「世界がなくなった世界」
2つの世界が存在する可能性が現れるのだろうか

「世界がなくなった世界」の中で箱の中に取り残された猫は、
いったい何を考え何を思い生きるというのだろう
「世界が尚も存在する世界」で「世界がなくなった世界」を想像しながら
生きる猫は、どれほどの不安と寂しさを募らせている事だろう

607丸猿 ◆IRhVZh63ks :2011/06/08(水) 11:05:21.79 ID:TtRuHKPZ
そしてもっと悲しいのは「猫が今尚生き続けている世界」で
「猫が死んでいる世界」を空想され生きる猫
その猫は世界からその存在を否定され、
それでもまだ「生きた猫」と言えるのだろうか

その空想は耐える事なく続き
それは自分自身の存在さえも脅かすかのように頭の中に広がっていく

「自分自身の存在が世界から否定されている可能性」を空想しながら
その世界に生きるボクは、果たして「生きた存在」なのだろうか

・・・・・・・・・・・・・・・・

そんな事を空想していると、ベランダの外から猫の鳴き声がした
発情期の猫が、あらんばかりの声で自分の存在を証明している
ボクの耳に、乱暴に入ってくる猫のダミ声は、
「ボクはここにいる」「ここで生きている」
「生きるために」「存在の証明を残すために」
そう訴えているように感じられた

・・・そういえばボクもお腹が減ったな
何か夜食でも食べに行こうか
ボクはサイフと一握りのニボシを持って、外の世界へと出かけて行く
とりあえずの、ボクの存在の証明のために
608創る名無しに見る名無し:2011/08/23(火) 13:06:52.01 ID:fGDsWXDi
ぬるぽ
609 ◆Oq2fXER2l2 :2011/10/10(月) 00:56:26.76 ID:czlcsz3F
>>608ガッ

お久しぶりに覗いてみたら…誰もおらんわ

次のお題は?(笑)
610創る名無しに見る名無し:2011/11/19(土) 00:55:17.83 ID:8ANF9qio
ぬこぽ
611創る名無しに見る名無し:2011/12/02(金) 10:02:55.90 ID:mv45NxZG
にゃっ
612創る名無しに見る名無し:2011/12/09(金) 03:00:17.93 ID:b93Zve7E
まだか
613創る名無しに見る名無し:2011/12/19(月) 05:53:20.82 ID:e+Cy4Fsy
なにが
614創る名無しに見る名無し:2012/01/25(水) 08:37:48.24 ID:TadXJ/3a
そらそうよ
615創る名無しに見る名無し:2012/02/09(木) 20:11:02.01 ID:qAyW/9Dd
      .r'"''、          _,,,.. -ー''''''ー、        .r'"''、          _,,,.. -ー''''''ー、
  .,iー-、 .゙l  l,,_     /      _  . l   .,iー-、 .゙l  l,,_     /      _  . l
  .!,  .゙'"     ヽ.    ヽ,,,,.. -''ン゛  .}   .!,  .゙'"     ヽ.    ヽ,,,,.. -''ン゛  .}
   l   , r  .iヽ  l     . ,/   .,./     l   , r  .iヽ  l     . ,/   .,./
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  .! .∨   .,..、   l゙   .| .l. l  ∨  !   .! .∨   .,..、   l゙   .| .l. l  ∨  !
  . l.  : ,i┐゙‐'゛   ゙l    l. `″   /    . l.  : ,i┐゙‐'゛   ゙l    l. `″   /
   `''''" ヽ,,,,,,..-'―′   \,,,,,,,,,.. '"      `''''" ヽ,,,,,,..-'―′   \,,,,,,,,,.. '"

      .r'"''、          _,,,.. -ー''''''ー、   ./゙'=@._ ―ー-,
  .,iー-、 .゙l  l,,_     /      _  . l   !  .!./     ゝ-、
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   l   , r  .iヽ  l     . ,/   .,./    l   / _|  ‘'ヽ /
  ./   .l/  / .!  .!  .... ‐゛    ‘''-,   .!  .i| ´    │
  .l゙ ,    .i′亅  !  /   .x;;'''''''、 . !   ! │ゝ―i  .厂
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  .! .∨   .,..、   l゙   .| .l. l  ∨  !  .|  .] i‐ 、  .ヽ、
  . l.  : ,i┐゙‐'゛   ゙l    l. `″   /    .!  .! ゝ./    . l
   `''''" ヽ,,,,,,..-'―′   \,,,,,,,,,.. '"     ゝ ノゝ、,,,,,./ -.../
616創る名無しに見る名無し:2012/03/27(火) 13:19:19.33 ID:zD9TZ40s
使い道があるのでageます
617創る名無しに見る名無し:2012/03/27(火) 15:18:56.82 ID:zD9TZ40s
(>>100まで)

要望
1.優勝者が欲しい
2.酉必須
3.景品あると嬉しい?

危惧
1.過疎
2.分量をどうしようか?
3.厳密なルールは?

方法案
1.wikiを借りる
618創る名無しに見る名無し:2012/03/27(火) 15:27:25.21 ID:zD9TZ40s
(>>101~>>200)

要望
1.S-1復活
2.自由にやりたい
619創る名無しに見る名無し:2012/03/27(火) 15:56:53.13 ID:zD9TZ40s
>>200から荒れてきてるが、

危惧
1.投票期間は?
620創る名無しに見る名無し:2012/03/27(火) 15:57:13.20 ID:zD9TZ40s
あとこれ

272 創る名無しに見る名無し sage 2010/12/06(月) 03:29:10 ID:I0cuD1cm
【S1】S−1グランプリ【再臨】

◆◆◆S1グランプリ会場へようこそ!◆◆◆
本スレッドは創発板の腕自慢達が「見て見て!」と腕白小僧よろしくテーマに沿った創作物を持ち寄ってキャッキャウフフするアルカディアです!
鯖移転で消し飛んだけど、めげずに懲りずにアメニモマケズカゼニモマケズ月に吠えたける大和猛るの美琴!
え、超電磁砲?むしろ放課後電磁クラブ!ソコハジャッジメントデスノ
エスワン、つまりS(創発)1グランプリが帰って参りました!イェアァアアア!!

◆ルール説明◆
毎月1日から20日までが投下期間で、残り10日が感想タイム及びお題決めの時間です。
でもその辺はテキトーでオッケイすよ。どうせ過疎りますからね。
先んじて諦めておく定款からの諦観クオリティ。
621創る名無しに見る名無し:2012/03/27(火) 22:11:11.06 ID:a4A7h4Kt
ちょっとテンプレはじけすぎじゃないか?ww
622創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 00:08:18.23 ID:qLD5E+Lz
>>304で複数お題から一つ選択って案が出てますけど、
お題スレと感想スレくっつけて評価要素入れただけですよね……
623創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 05:40:52.52 ID:hKmT2dZ0
>>621
俺はこれくらいのが好きだぜw
624創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 06:40:00.89 ID:0uWDm7ZY
またテーマを決めて
みんなでそれに沿って作品アップという流れでいいのかな?
625創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 07:49:36.12 ID:IZJ+R6/Y
評価する側も評価したくなるような仕組みがあるといいかもな
626創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 15:13:51.34 ID:afC+g4lN
とりあえずお題決めて始めてほしい
627創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 15:41:46.09 ID:qLD5E+Lz
じゃあ季節モノ
「春の始まり」
期限は4月20日まで。
分量は1~5レス程度、絵可、酉必須でいかがでしょう?
628創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 17:28:59.63 ID:yfKn3Cv2
締め切り以内ならいつでも投下してもいいのかな?
629創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 17:35:30.64 ID:qLD5E+Lz
前も締め切り前から投下されてますし、全然問題ないかと
630創る名無しに見る名無し:2012/03/28(水) 22:48:06.29 ID:4x655+Dy
賞品無いほうがいい気がする。
拍手でもいいけど。
631創る名無しに見る名無し:2012/03/29(木) 01:53:06.40 ID:zKjoOltQ
元々のテンプレや>>627だと特に賞品なんぞは…
と思ったが、再利用故にスレタイがあれかw
632創る名無しに見る名無し:2012/03/30(金) 01:24:53.85 ID:RdIoke/D
>>627で、いかがでしょう?って事は始まってないのよね
まあ言う事特に無いんだけど
最初の頃、S-1は複数お題だった気がするけど、個人的にはソッチの方が気が楽かな

一作品に複数お題を練り込む作品創り〜的なものも見れるし
逆に言うと、無理にそれを狙ってしまうかもしれないのがデメリットだが
633創る名無しに見る名無し:2012/03/30(金) 05:09:07.14 ID:xqXSJQhU
クラス別でやればどうだろうか。三題級と一題級でわけて、今回はこっち、次はミクスドで、とか。
634創る名無しに見る名無し:2012/03/30(金) 18:09:12.42 ID:WzCU9cSW
三つ……

春の始まり関連で三つ自分で考えてそれを軸にするとかは?
635 ◆8wF3RAxbLo :2012/03/31(土) 00:14:13.75 ID:YKTIW3s0
一本ストックがあるのだが貼ってもいいだろうか
636創る名無しに見る名無し:2012/03/31(土) 00:16:39.42 ID:lzCNloYp
見てますです、ハイ
637創る名無しに見る名無し:2012/03/31(土) 00:38:43.09 ID:lzCNloYp
どんどん投下欲しいです

言葉足りませんでしたね、すいません
638 ◆8wF3RAxbLo :2012/03/31(土) 00:41:21.86 ID:YKTIW3s0
遠い街

「遠くて近い街ってなーんだ?」
鬼原勇太は、電車の中で、幼なじみからもらった一通の手紙を読み返していた。
最後に書かれた謎かけ。
彼の頭の中ではもう、その答えが出ていた。
電車は遠くへと向かう。
鬼原勇太は、今からちょうど一年前、
昨年春から東京で一人暮らしを始めた。
高校を卒業後、菓子作りの職人を目指して上京した。
都内にある、少し名の知れた洋菓子店で修行の日々を送っていた。
そして今日、少し長めの休みをもらった彼は、
ちょっとした旅行カバンに荷物を積めて持ち出して、
電車の切符を購入し、少し離れた目的地まで移動しているところだった。
休みがもらえるとわかったときは、まず、幼なじみに連絡を入れた。
幼なじみの名前は、鹿野 梨理子(かの りりこ)。
何度か電車を乗り継いで、目的の駅に到着した。
改札を出ると、そこに梨理子はいた。
勇太を見ると微笑んで、そして、
「おかえり」
と言った。
「ただいま」
勇太は動揺した。
久しぶりに会った梨理子はどこか大人っぽくなっていて、
今までかいだことのない、とても良い匂いがした。
「メールもいいけど、たまには手紙もいいもんでしょ」
「うん、風情があって良かったよ。何回も読み返したんだ」
「嬉しい。でも、そんなにいいこと書いてあった?」
「うん」
手紙には、勇太の身を気遣う内容の文章のあと、
最近、梨理子の身の回りに起きたことがとりとめもなく書いてあった。
何気ない日々についての報告が、今の勇太にとっては、
あたたかく、ありがたいものだった。
639 ◆8wF3RAxbLo :2012/03/31(土) 00:41:59.44 ID:YKTIW3s0
新境川沿いを歩いた。
桜はまだ咲いていなかった。川の水は穏やかに流れ、春の訪れを思わせた。
幼いころの話をして、二人で懐かしんで盛り上がり、
そして勇太はこう言った。
「俺、修行終わったら店を出したいんだ。自分の店」
「そうなんだ。素敵な夢だね」
梨理子はどこか遠くを見ながらつぶやくようにそう答えた。
視線ははっきりと定まっていなかった。
沈黙が訪れた。勇太には、川沿いを歩く二人の足音が
大きくなったように感じられた。
急に梨理子の目から光が失われたように思えた。
何があったのかと勇太は少し不安になった。
梨理子は突然立ち止まった。
「どうしたんだ?」
勇太が聞いても返事をしない。ねばり強く待っていると、やがて重い口を開けて語り出した。
「あたしね、記憶が失われていく病気なの」
「嘘だろ?…本当…なのか?」
「だからきっと、勇太のことも忘れると思う」
「そんな…」
「でもそれって普通のことだよね」
「普通じゃねえだろ!普通じゃ…ねえよ…」
「実はね、好きな人がいるんだ」
「え?」
「もう、その人しか愛せないと思う」
「ま、待ってよ」
「あたしは好きな人に告白するって決めたし、勇太はもうあたしにとっては普通の人なんだ。
普通の人を忘れてしまうのは、実は病気でも何でもないのかもね」

終わり
640創る名無しに見る名無し:2012/04/01(日) 00:13:11.18 ID:LWSJeUAz
勇太かわいそうな終わり方だな……
報われない恋ってせつねぇ
641創る名無しに見る名無し:2012/04/01(日) 00:21:42.90 ID:CBpUDWg1
age
642創る名無しに見る名無し:2012/04/01(日) 17:17:08.73 ID:J2g/GamB
誰が言い出したか、女の恋は上書き保存ねえ…
643 ◆8wF3RAxbLo :2012/04/02(月) 23:13:44.12 ID:Ndyh9rmr
>>640
ハピーエンドにしようと思いましたが
良い結末思い浮かびませんでした
自分の精神状態を反映してるのかもしれません
644創る名無しに見る名無し:2012/04/04(水) 00:14:51.50 ID:3zauZR0h
>>643
そうか。
春だし散歩とか行けば気が楽になるぜよ。
645 ◆8wF3RAxbLo :2012/04/04(水) 21:08:09.28 ID:KPjkv+kU
>>644
そう言っていただけると
助かりますね
そんなわけでもう一遍書いてみようと思います
646 ◆pkkRTxvtts :2012/04/09(月) 02:54:54.25 ID:UNTYXo2w
 春の朧を照らす宵月。
 堅く冷たいアルミサッシの部分に肘を載せ、開け放した窓から侵入する夜気を浴びながら、色と言うのは空気に映っているのだと、今、気付いた。
 遠い夜の黒。あるいは、深い藍色も。照らされた雲の白い造型も。
 眼前に広がる雲のような桜でさえも、その空気の色を纏い、湿った風に滲むように揺れる姿を投影する。
 研究棟から見上げる僕の網膜に映る夜景は、そんな色をしていた。
 月のライトが、手に届きそうな位置に咲く桃色の花束を白く咲かしているのが目に入る。
 そして、もう一つ。
 吹き散る桜の中に、黒い人影が。
「時に少年。少し、いいか?」
 死ぬほど驚いた。
 桜の木の上に、女性が登っていたのだ。
 時が止まったような、刹那の間。突然の一陣の夜風が彼女の長い黒髪と、彼女を包む桜の花の枝先を揺らし、僕の心を巡っていった。
 その湖の深淵のような、僕を見つめる深い色の瞳に覗き込まれ、吐く息を呑んだ。
 息が止まりそうな程、美しい人だった。
 夜だというのに長い睫毛が見える程の至近距離。桜の花びらのような赤い口唇から、緩やかな息遣いが聞こえてくる。
「研究棟の鍵を忘れてしまってね。すまないが、そこから入れてもらえないだろうか」
「あ……は、はい」
 窓際に寄りかかる体を退かすと、彼女は黒猫のように枝から外壁のとっかかりに足をかけた後、窓枠を優雅に飛び越えた。
「や、どうもありがとう」
 彼女が廊下に降り立った際、彼女の体に引っ付いていた桜の花びらがひらひらと舞い落ちた。
 そして気付く。
「あの。頭に花びらが」
「ん。そうか。とってくれ、少年」
 そう言って、僕に謝るように頭を垂れた。
 そっと、壊れものに触れるように、美しい黒髪の頭部に手を伸ばす。
「ありがとな」
 彼女が笑うだけで、僕の心は締め付けられた。
 暗い廊下。
 月明かりに照らされた桜の花びらが舞う景色を背に、笑う彼女の姿が浮かび上がる。
 それはまるで夢のようでーー
647 ◆pkkRTxvtts :2012/04/09(月) 02:55:42.55 ID:UNTYXo2w
 ガクンと肘が落ち、夢から醒める。
 よだれを見られてはいないかと、研究室を見回すと、どうやら自分たけが残っていた様子で、その心配はなかった。
 時計は既に十二時を過ぎていた。
 先輩が卒業してから、二週間。
 嵐のような人だった。
 卒業式の日まで白衣を振り回し騒ぐから、別れを惜しむ暇がなかった。
「はは……」
『何が可笑しいんだ?少年』
 声が聞こえた気がして、顔を上げるが、伽藍とした研究室が広がるだけだった。
 失ってから、彼女はもう居ないのだと、初めて気付いた。
「……うぐっ……」
 みっともないな、とは思っても、流れる涙を止めることはできない。
 机に突っ伏したまま、僕は泣いた。


「何やってるんだ、僕は……」
 赤く腫れた目を冷ます為、しばらく外を歩いていたら、研究棟の鍵を研究室に置きっぱなしにして出てきてしまったらしい。
 仕方ないから、昔の先輩みたいに桜の木に登って入ろうとしたら、二階の窓が開いておらず、現在絶賛立ち往生中だ。
 桜の花は満開で、あの日と同じように満月が藍色の空に登っていて、僕を照らしていた。
 いずれ桜は散り、月は沈む。
 いずれは僕も同じようにこの場所を去り、彼女の事を忘れてしまうのだろうか。
 月に照らされた雲のように広がる桜も。
 その花弁の一片一片さえも。
 それらを背景にしても尚美しい黒髪の女性を。
「絶対に忘れない。忘れるはずがない」
「時に少年。君は面白いと前から思っていたが、月を見上げて独り言とはロマンチストなのかな?」
 体を跳ね起き、危うく落ちかけながら
 よっと、敬礼の仕草で彼女が窓を広げて僕の目の前に立っていた。
「忘れ物があったので戻ってきたが、君が寝ていたので、起きるまでそこでコーヒーを飲みながら桜を鑑賞していたのだよ。安心しろ。君の寝顔は既に私の携帯のメモリーの中だ」
「先輩。これは夢……ですか?」
「夢か。君がそう思うのなら、夢かもしれないな」
 ところで夢というのは云々と彼女が説明し始めたのを遮って、尋ねた。
「夢なら、何しても許されますよね」
「夢の中で犯した犯罪を裁く法律は聞いた事はないな」
 ハハハ。思わず笑ってしまう。
 夢の中の彼女は、間違いなく先輩で、だから僕は目の前の女性に全てを懺悔しようと決めた。
「僕、先輩の事が好きです。ずっと好きでした」
 先輩が缶コーヒーをカランと落とし、みるみるうちに顔が桜色に染まっていくのを確認してから、自分の頬を抓ってみた。

 死ぬほど痛かった。
648創る名無しに見る名無し:2012/04/09(月) 02:56:40.40 ID:UNTYXo2w
以上避難所より代行
649創る名無しに見る名無し:2012/04/11(水) 10:25:18.09 ID:W1tr6hiS
先輩、いいなあ。
650わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/14(土) 19:54:05.90 ID:1N7OGl6n
投下します。
651「春の三秒前」 ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/14(土) 19:54:55.76 ID:1N7OGl6n

 「どうせならさ。真ん丸なお月様を見ながら……、鷹史と帰りたかったな」と。
 
 塾からの帰り道、少し欠けた月を見上げて鳩子は歩道に転がる小石を蹴りながら歩いていた。
 転がる石は石畳の歩道を文句も言わずに夜が始まる街並みを転がっていった。

 そう言えば、昨晩は満月のはずだった。雲一つない夜ならば、陰ることのない望月に照らされて、鳩子と鷹史は共に浅い夜の道を
辿ることができたのに、と戻らぬ過去を悔いる。夜桜が寂しげに浮かぶ公園に二人が差し掛かり、ささやかな花見と洒落る贅沢。
団子も飲み物もないけれど、桜が今にも泣きそうなので、鷹史が鳩子の袖を引っ張った。「もう少し」と、言いたげに。

 「昨日の天気のお陰で空が綺麗なんだよ」
 「そうね。いつもより、空が広く感じる。お天道様は気が利かない」
 「うん」

 素っ気無い返事しか出来ない鷹史は鳩子の未熟な人生観を抱きしめるには力不足だと悟った。
 「欠けていても、いいじゃないか」と鳩子を慰めたかったのに。でも、少しでも欠けたものはいりません。完全、完璧こそ唯一の存在、
と鳩子から語らずも滲み出るので、鷹史は沈黙することで鳩子の意見を許した。公園も桜も同じく沈黙を守る。
儚い命の桜の花びら。過ぎ行き、消えるからこそ美しいのかもしれないと、鳩子も小石を蹴りながら鷹史を追う。

 「昨日が晴れてたらなあ」
 「しょうがないじゃん」
 「わたしに時間を戻す能力があればの話なら別だけど。うん」

 小石を蹴る足を止めた鳩子は鷹史の横っ面を見つめた。そしてもう一度小石を蹴り飛ばすと、自ら意思を持って逃げたように、
歩道脇に伸びる側溝を閉ざすコンクリの蓋の穴へと吸い込まれていった。

 「実は持ってるんだけどね。三秒だけなら」
 「へえ」
 「知ってるくせに」

 鳩子はこんな半端な能力なんか、いらないとさえ思っている。
 先天性の能力だ。
 もしかして、神に選ばれし者だけが持つ能力ってスゲーとか?
 それ、お断り。

 迷惑だから。
 触れないで。
 関わらないで。
 それ以外は特に目立つところのない女子高生です……よ。一言で自分のことを言うならば。

 『能力、ウザイ』
652「春の三秒前」 ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/14(土) 19:55:18.61 ID:1N7OGl6n

 三秒で何ができるもんか。一晩戻るならまだしも、三秒だよ?グーをした手の平から一本ずつ指を伸ばして薬指が伸びるまでの時間。
それに価値を求めてどうんだろう。鳩子は天に浮かぶ少し欠けた月を見上げて、口の中のつばを静かに飲み込む。
ゆっくりと鳩子が自分の足元に視線を下ろすと、確か側溝へと消えていったはずの小石が鳩子の靴のつま先の側に転がっていた。

 「塾のテスト、おれさ。いい点取ったら怒る?」
 「喜ぶ。ってかさ、満点ぐらい狙ったら?鷹史ならやれば出来るはずなのに」
 「そこそこで十分。どうせ塾のクラス分けだし、おれの人生に影響ナッシング」

 無難に生きる。鳩子には力を抜いた鷹史の生き方を少し軽蔑していたが、それは憧れと嫉妬からくるものだと自覚していたため
不思議と腹は立たなかった。意識しても、普通の女子高生に辿り着けないことから生じた覚悟所以のことだった。
 何もかもが変わりゆく、春の始まりは鳩子の憂鬱をかきたてて仕方がない。
 いつものバス停で鷹史と別れる。鷹史をここでお見送りするのは鳩子の習慣になってしまった。辛くない別れ。
バス通学組の鷹史は財布をポケットから抜いて、入口に飛び込む寸のところで鳩子の方へ振り向いた。

 「そういえば、鳩子が教えてくれた本。読んでみた」
 「へえ」

 テスト勉強の息抜きにと鳩子が一冊の本を鷹史に薦めた。重くなく、そして軽すぎず、さくっと読める良作だったと鷹史は言う。

 「なんか、照れくさいけど。いい物に出会えることが出来たよ。ありがと」

 場の空気を読んだのか、バスの扉は鷹史の言葉を聞いたあとにゆっくりと閉まり、鷹史を乗せて発車していった。

 『ありがとう』と言う鷹史の顔を見逃して、「どういたしまして」代わりに鳩子は足元の小石を蹴った。
 嫌でもバスのテールランプが鳩子の目に焼き付く。自分は何かが欠けていると、もやもやとした自覚が鳩子を苛めた。

    #

 クラス分けテストの当日。鳩子も鷹史も特に意識はせずに、テストに挑んだ。二人ともただの人生の通過点だと割り切って。
 鳩子が問題用紙にシャーペンを滑らしている途中、不注意で消しゴムを床に落としてしまった。試験官の塾講師に手を挙げて
消しゴムを拾ってもらうように意思表示をする。このロス時間、約三秒。つばは飲み込まず。鳩子は時間を戻すことはしなかった。

    #

 塾のクラス分けが発表された。各自の学力別に分けられるのだから、挑む側も必死だった。その成果が塾の掲示板に貼られ、
晒され、学力を盾に見上げ見下す。まるで血の流れない公開処刑。鳩子はいつまでたっても掲示板の前から立ち去ろうとはしなかった。
 背後を通り過ぎる生徒たちの笑い声がまるで自分を笑っているような被害妄想さえ感じた。やがて、そんな明るい声さえ
聞こえなくなり、蛍光灯の明かりだけが鳩子と付き合っていた。だが、冷たい明かりでさえも付き合うことが煩わしくなった。
 
653「春の三秒前」 ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/14(土) 19:55:41.45 ID:1N7OGl6n

 「わたしは欠けている」

 欠けているから、下のクラスに振り分けられたのだ。でも、納得がいかない。
 だが悪あがきをするつもりはない。スタート地点にさえ立ってもいないのに、そこに立つことを拒むなんて出来る訳がないだろ。
 しっかりユニフォームを着て、靴も履き、グラサンまでかけておいて「わたし、このコース気に入らないから棄権します」。
体力もないのにフルマラソンに挑みたい。結果は見えるだろ。途中でくたばって、地面に伏して、嘲笑の渦に巻き込まれる
覚悟は出来ないから、鳩子は誰もいないのを見計らって掲示板の前から去った。
 いつまでも「下のクラス、下のクラス」と呪文のように唱えながら。

 塾の玄関から出ると、室内と室外の気温差が感じなくなった。春が訪れてどのくらい時が経ったのだろう。
通いなれた夜の校舎がこんなに眩いものだと今更知ったような気がする。ガラス張りの建物は未来の秀才養成施設のようだ。
そんな施設のごく一部の存在でしかないのか、しかも下層の階級の塵にもにた存在。あまりにも光が強いので、影が濃く見える。 
 鳩子は小石を蹴りながら帰り道を歩くと、待ち侘びていたようにバス停で鷹史がパック牛乳を飲みながら手を振っていた。

 「きょうもまた、月が一つ欠けて美しい」
 「なにそれ」

 詩人気取りの鷹史に鳩子は呆れた。

 「なんか、おれと同じクラスだったよな。残念」
 「下のクラスなんだ。鷹史の本気なら、上のクラスに振り分けられる点数取れると思ったのに」
 「そこそこで十分」

 鷹史の白い歯は日の落ちた街には似合わないと鳩子は心の中でそっぽを向いた。
 どうせ塾のクラスだし、学校出たら思い出になるし、低い踏み台で背伸びしてるだけだし。と、割り切れない鳩子はついつい
鷹史のパック牛乳を奪った。加減もせずに握り締めたので、パック牛乳が潰れてストローから飛び出した中身で鳩子の手の平が
白く汚された。「ごめん」と謝り、牛乳塗れの手を振り払うと指先から白い雫が球となり飛び散った。

 潰れたパック牛乳は鷹史の手によりポケットティッシュに変わり、受け取った鳩子はつばの飲み込むことさえ忘れていた。

 「上のクラス、行きたかったな」

 鷹史は手を拭きながら必死に自分の顔を見せないように俯く鳩子をけして責めなかった。
 鳩子がいくら欠けていても、鷹史には問題には見えなかったし、むしろ大切にして欲しかったからだ。
 ティッシュはやがて牛乳を含み、丸く小さな屑となって鳩子の拳に収まり、それをぽいとバス停脇のごみ箱に投げ入れた。
不安になって鳩子はそっと鷹史に寄り添うと、鷹史の手の平の中ならパック牛乳のように握り締められても構わないという、
非現実的な妄想を巡らせていた。そのうち鷹史が乗るバスがゆっくりとやって来る。

 「じゃあな。地べたを這うならそれなりに頑張るよ」

 鷹史はパック牛乳をごみ箱に捨てて、笑顔で鳩子と別れ、財布をポケットから取り出すと帰宅路のバスに手を振りながら乗り込んだ。
ふと、鳩子の頭に隙間風が吹く。置き去りにされるような孤独感を増幅させるのはどうしてだ。多分、忘れ物のせい。
たった。たったの三秒でいいから。ゆっくりと閉まるバスの扉を見つめながら、鳩子は口の中のつばを飲み込んだ。

 「鷹史、ごめんね。それから一緒に頑張ろ」

 潰れたパック牛乳を持ったままバスの乗り口の前で鷹史は鳩子の声を聞いていた。
 バスの扉が閉まるまで、あと三秒。


   おしまい。
654わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/14(土) 19:56:32.96 ID:1N7OGl6n
投下、おしまいです。
655創る名無しに見る名無し:2012/04/15(日) 13:22:27.05 ID:XnQnhSGp
鳩子かわいいな。
話の方針がころころしすぎてちょっと良く分からなかったのが残念。
656ろむ ◆8wF3RAxbLo :2012/04/15(日) 23:20:33.03 ID:10ZBc76l
完成しました
投下します
657ろむ ◆8wF3RAxbLo :2012/04/15(日) 23:21:48.33 ID:10ZBc76l
桜餅

千吟堂(せんぎんどう)の桜餅が猛烈に好きだった。
千吟堂とは、小さな港町のはずれにある
上品な店構えの和菓子屋である。
春になると、仕事を早めに切り上げて、
店に立ち寄り、桜餅を10個まとめて購入し、
夕食時まで食べ続けることを習慣としていた。
その和菓子屋で、ある事件が起きた。
658ろむ ◆8wF3RAxbLo :2012/04/15(日) 23:22:58.58 ID:10ZBc76l
4月10日のことだった。
その日は、一日よく晴れていた。
朝も昼も夕方も、やわらかな春の陽気に包まれていた。
私は気分良く仕事を終えた。
桜餅を買うために千吟堂に立ち寄ろうとしたときだった。
店の前がいつになく騒がしい。
機材を運ぶ男たち。
カメラに向かって話す女。
―――取材だった。
レポーターの女に見覚えはない。
ローカルなのか、全国区なのか分からないが
テレビの情報番組と思われた。
店と打ち合わせをした上での取材なのだろうか。
店は通常どおり営業しているようだった。
店に立ち入って、取材に支障が出ないだろうかと少し心配になった。
しかし、せっかく仕事を早く切り上げて来たのだから、
このまま帰るわけにはいかないと思った。
千吟堂の桜餅が食べたくてここにいるのだ。
正直に言って、午後からは桜餅のことしか考えていなかった。
仕事はほとんど手に着かなかった。
それなのに、“テレビの取材があったから今日はあきらめます。帰ります”
というわけにはいかない。
何としても購入し、今日も味わい、楽しみたい。
千吟堂の桜餅を。
659ろむ ◆8wF3RAxbLo :2012/04/15(日) 23:25:30.12 ID:10ZBc76l
店の方へ力強く歩を進めたときたった。
「ちょっと!」
黒いジャケットを羽織った丸坊主の厳つい男が駆けてきた。
「何なんですか、あなたは」
私が聞くと男は答えた。
「テレビ局の者です。いま取材中なんだ。
ちょっと下がっててくれませんか」
「桜餅を買いたいだけなんだ。あなた方の邪魔をしにきたわけじゃない」
「なら、すぐ終わるから、そこで待っててよ。
これライブなんだよ、ライブ」
「待つってどれくらい待てばいいんだ?」
「そうだな、40分も待っててもらえませんか」
「5分もあれば終わるんじゃないですか?」
「いろいろあるのさ。こっちにも」
語気を強めて言い放たれたが私は一歩も下がろうとしなかった。
すると首を左右にゆっくり2、3回振って丸坊主は言った。
「ウチらがやってるのは適当にごまかして終わるような
チョロい仕事じゃないんだよ」
「店の人に一言二言挨拶して菓子を食べて適当なコメントをする。
それだけの仕事なんじゃないのか?」
私がそのように言うと店の側から、
怒りに満ちた声が聞こえた。
「ちょっと待ってください!」
見るとレポーターの女が駆けてくるではないか。
「適当なコメントとは、どういうことでしょうか?」
目をつり上げて聞いてくる。私は答えた。
「よく味わいもしないで、あらかじめ言うと決めていたコメントを言うってことだよ。
グルメレポーターなんて大抵みんなそうなんじゃないですか」
「偏見です。私は、私たちは、誇りを持ってこの仕事をしています。
視聴者からの支持を得ています。
取り上げたお店は大抵盛況になります。
影響の大きい仕事なんです。
だから、手は抜きません。全力でやっています」
660ろむ ◆8wF3RAxbLo :2012/04/15(日) 23:27:21.59 ID:10ZBc76l
「まあ、まあ、まあ。落ち着いてくださいよ」
サングラスをかけた無精ひげの男がゆっくりとした足取りでやってきた。
「リーダーの早見と申します。あなたが千吟堂の大ファンで、
桜餅を今すぐ買いたい、食べたいというのは分かりました」
「分かっただけじゃ困るんですけどね」
「そうですね、そのとおりです。そこで、提案があります。
あなたには桜餅を買ってもらいましょう。今すぐ。待たせません。
ですが、こちらにもスケジュールがあります。取材は続行します。
では、取材を続行させたまま、あなたに桜餅を買ってもらうにはどうしたらよいのでしょうか?
画期的な方法があります」
「もしかして、私にレポーターをやれと言うのですか?」
女レポーターの刺すような視線を感じたが私は目を合わせなかった。
「いいえ、違います。ちょっとしたドラマスタイルで
取材を進行させるのです。方法について簡単に説明しましょう」
サングラスの男が言う方法とは、次のようなものだった。
取材している最中に、菓子屋を継ぐのが嫌で
家を飛び出した息子という設定の私が
偶然店を訪れ、桜餅を買い、謝り、両親と和解するという
ドラマ仕立てで取材を展開するというものだった。
661ろむ ◆8wF3RAxbLo :2012/04/15(日) 23:29:17.73 ID:10ZBc76l
私はその場で台詞を与えられ、ちょっとした演技の指導を受けた。
「やあ、あんたら何してるんだい。人の店の前で!」
千吟堂の店主が現れた。
早見は事情を説明した。
「なるほどねぇ、そいつは面白そうだ」
店主は乗り気だった。ほとばしるような現場の一体感があった。
私は、最後には丸坊主とレポーターとも和解した。
「さあ、本番始めましょうか!」
早見が声を上げたそのときだった。
ヴーン、ヴーン、ヴーン…
「何の音だ?」
「俺の携帯だ」
丸坊主は電話に出た。
彼は申し訳ございません!と言い、はい、はい、はいと何度か返事をして電話を切った。
現場に不穏な空気が流れた。
丸坊主は早見とレポーターに耳打ちをするように何かを告げたあと、
大慌てで撤収作業に取りかかった。
「一体、どうしたと言うんです?」
私は尋ねた。
「うるさい!」
丸坊主が言った。
「そ、それじゃあ我々はこれで失礼するよ」
早見は素早くロケ車に乗り込んだ。
レポーターは青白い顔で、落ち着かない様子で早見に続いて乗り込んだ。
ロケ車が去ってしまうと店の前は一気に静かになった。
そして、店主と私は顔を見合わせた。私は言った。
事件の締めくくりにふさわしいその一言を。
「店主さん、桜餅10個ください」


おわり
662 ◆luBen/Wqmc :2012/04/16(月) 02:16:07.39 ID:RWhnNLws
投下します
二レスです
663創る名無しに見る名無し:2012/04/16(月) 02:16:40.04 ID:RWhnNLws
晩御飯の後にパズル本と格闘していたら、ドアが豪快に開く音。
どかどかどか、どんっ。
騒がしい音をたてながら、定期的に我が家に来襲する嵐が、ベッドにダイブして止んだ。
また男にフられたようだ。
声をかけなくても活動を再開するので、一応は声をかける。
「なに?私のベッドを壊したい?」
「……うるさい」
これでよし。声が震えてしゃくってようと、未成年のクセに酒臭かろうと、嵐の良心は活動の再開を許さない。
今日はしゃくってもいなければ、お酒の匂いもしないので、熱々のお茶がほどよく冷める頃には起き上がるだろう。
構ってちゃんなのだ。自分が人に同じことをされると嫌がるのに。

――十分後。
「……おはようございます、お姉ちゃん」
「はいおはよう。お茶冷めてるよ」
妹の頬の涙はお気に入りのメガネをさりげなく外しながら、見ないふり。
そういえばこのメガネは高校入学の時に買ったのだから、もう七年か。
あんまりにも色んなことが目白押しだったから、とても昔のことのように思える。
とにかく、武器の要らない平和な今が一番。私の誕生日の近い、春の始まりの今が特に良い。
そんな風に二杯めのお茶を飲んでいたら、意を決したように妹が口を開いた。
「お姉ちゃん。あたし、大学に行こうと思う」
「うん。良いんじゃない?」
「そ、そうなんだけどそうじゃなくって」
「私と一緒じゃないと駄目?」
「ううんっ。そうじゃなくて、だから……」
変なところで私と似ていると思う。普段は明るい子なのに、大事なところでこんなに歯切れが悪いと、お姉ちゃんは申し訳ないですよ?
「わかった。ちょっと寒いけど花見にいこっか」
「うんっ」
妹よ。君はさっき男にフられて泣いて帰って来たんじゃないのかい?それとも本当に私のことが好きなのかい?
664創る名無しに見る名無し:2012/04/16(月) 02:18:32.23 ID:RWhnNLws

「今年はちょっと早く咲いてるねー。満開までもうすぐかな?」
「うーん、文月に訊けばすぐだろうけど、あと三日くらいかしら」
「ふづきさん、なんで植物のことだけはマジなんだろうね?」
「あの直観は才能でしょうね」
「ちょっと怖いよね」
「鬼気迫るものがあるわね」
ちょっと笑い合う。そうして言葉を交わしながら二人並んで歩く。
姉妹なら当たり前のようなこんなことでも、私たちのタイミングはしょっちゅう合わなかった。
実は、両手があれば十分数えられる回数しかなかったかもしれない。
ふっと会話が途切れる。
丁度いい。肩肘張った人生の語り合いなんてお断りだから、済ませてしまおう。
「どうせあなたのことだから、学部のことどうしようか考えてるんでしょ」
「うっ」
「けどサークルやりたいなーとかバイトもしなきゃなーとか悩んじゃうからあっという間に頭がパンクしちゃったんでしょ」
「…………」
図星か。
「私もよ。大学に行きたいって気持ちはハッキリしてるのに、他がサッパリ」
「えっ」
鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしている。
「その顔、五年前にもされたんだけど、そんなに私が悩むって意外?」
「うん」
なんでだろう。腰まで届くような黒髪で、本を読むのが好きで、読書をする時には深紅のメガネをかけるからだろうか。
「なんていうか、お姉ちゃんって冗談が通じなさそうだから……」
「それが悩まないってこととは繋がらないでしょ?」
「ほら、すぐ問い詰めるし……」
「普通じゃない?気にならないの?」
「なんか怒りっぽいしとにかく頑固だし……」
「喧嘩したいの?」
「目つき鋭いし気配がとんがってるし……」
「関係ある?」
「きわめつけに性格丸出しみたいなむn」
「ん?」
言わせないわよ?たとえあなたより体がいささか直線的であったとしても。
「えっと、だから、そうそう。どうやって五年前のお姉ちゃんは答えを出したの?」
「『全部終わってからでいっか』って思い直した」
「え?」
本日二度目の豆鉄砲フェイス。泣いたり魂消たり焦ったり忙しない妹だ。
「だってそうでしょ?目先の努力を怠って結果が降ってくるわけないんだから。捕らぬ狸の皮算用もいいところよ」
「う、うん……」
「受験の結果が出るのが今年の冬なのに、来年の春のことを考えてたら馬鹿じゃない。馬鹿はそう何人も必要ない」
「……そうだね」
「人生は一回きりなんだから、精々楽しんでやりましょ、二人で」
「うんっ!ありがとうお姉ちゃん」
「どういたしまして」

本音を言うと悲しみには世界から立ち去って欲しい。
けど、私だけではそんなことは到底無理だ。
だから私の周りにだけは、不要な悲しみの涙が流れないように。
これからも祈って、祈りを形にしようと努力をしても良いよね?
外が台風のようでも、吹雪のようであっても、心は四月の陽気のようであって欲しいと思って良いよね?
665創る名無しに見る名無し:2012/04/16(月) 22:39:31.03 ID:QF1JtJ5l
>>657
なんか、続きが気になる。

>>663
おねえさんをください!
666ろむ ◆8wF3RAxbLo :2012/04/17(火) 01:26:35.47 ID:h65yA4Ot
>>665
続きが気になるというのは
物語の書き手にとって最高のほめ言葉のような気がします
dクスです
667わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/19(木) 10:41:26.23 ID:z2+HpDMU
もうひとつ書いてみました。
668神様といっしょ ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/19(木) 10:41:58.54 ID:z2+HpDMU

 中学の卒業前に想いを伝えようと、ずっと心に決めていた娘だ。
 願い叶って咲子と同じ高校に進学出来て、リア充な青春を謳歌する毎日が待っていると思っていた。
 学園祭の準備でも一緒に苦労を分かち合ったし、林間学校でも薪を割る手助けだってしてあげた。
気さくにぽんと腕を咲子が叩いてくれたことはしっかりと覚えているし、受ける高校の相談したことさえも忘れない。
中学生生活最後の春を希望に満ちて走り出す第一歩だというのに、それがすべての勘違い。

 「うそだろ」

 晃太郎が春から通う高校の制服を着た見知らぬ男と手を繋いで、桜並木を歩いていたのは紛れも無く咲子だった。
 指を絡ませて体を寄せ合って歩いている。ほころび顔の咲子が「この春から章ちゃんの後輩になれてよかった!」と
春の始まりを喜び、声が晃太郎には痛く突き刺さった。試合開始前に諦めろとでも?桜が鮮やかに咲き誇れば咲き誇るほど
気が滅入る。晃太郎は隠れるようにその場を去り、神社へと重い足を引きずりながら向かった。

 そんなに年が離れているはずではないのに、章と呼ばれた『咲子の彼氏』が晃太郎には大人びて見える。

 高校入試の直前まで毎日のように通った神社。受験への意気込み半分、神頼み半分、その甲斐あってか高校には合格したものの、
夢は半分潰えたことと同じ。ここに来るのは最後だと、晴れて合格したお礼参りに晃太郎はやってきた。
 毎日登った石段も足取り軽くなるはずだった。現実を背負い込んだせいなのかと、自分で自分に晃太郎は言い訳した。
 義理だけは忘れない。例え、相手が神様でも。石段を登りつめ社に着くと、いなり寿司をお供え物にぱんぱんっと拍手を打つ。

 きしむ音を立てながら、目の前に立つ社の扉がゆっくりと開いた。社の中に明るく日が差して、中で人影が浮かぶ。
 つややかな黒髪。桃のような頬、そして……きつねの耳と尻尾がゆらり。賽銭箱の前で突っ立つ晃太郎の
春に似つかわしくない顔を神殿から現れた娘が見るや否や、小首をかしげてにこにこと疑問符を頭上に浮かべていた。

 「おめでとう!この春から高校生だよね?こーくんの頑張りのお陰だよ!」
 「あ、ありがとうございます。で……」

 晃太郎は戸惑う。何故、神様が咲子と同じブレザーの制服を着ているのか。
 何故、晃太郎が進学する高校の制服なのか。

 これが、神のいたずらか。

      #
669神様といっしょ ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/19(木) 10:42:24.58 ID:z2+HpDMU

 「こうして、神であるわたしと人間であるこーくんが繋がっているのは不思議だなって思うんだ」

 神社を見上げる丘の下。ささやかなベンチがあるから晃太郎ときつね耳の少女は並んで座り、晃太郎が持ってきた
いなり寿司を神様は頂くことにした。一人じゃ多いからと晃太郎にも勧めると遠慮がちに摘んだ。
 いなり寿司を摘んだ、無邪気なきつねの娘は顔をほころばせた。青空の下で食べること。春だからこそ許してくれる、
巡り巡る四季の寛大さを神様は喜んでいるように見える。

 「こーくんは毎日わたしの元にお願いにやってくる。そして、わたしはなるべく叶えようと頑張る」
 「あなた、神様ですからね」
 「でも。こうしていっしょにお稲荷さんを食べられるってことは奇跡だよね。うん」

 人と神様が相容れる寛容さ。晃太郎はいなり寿司に伸ばした手を止めた。

 「ぼくがここに通いだしたのは受験の準備をし始めたころでした」
 「うん」
 「そのとき、ぼくは初めて神の声を聞いた」
 「そのときはまだ『神様の使い』だよ」
 「苦手だった数学も次第に分かるようになり、そのとき、ぼくは初めて神の姿を見た」
 「だって、あんなに必死な人……見たことなかったし」

 神様は晃太郎が取ろうとしたいなり寿司を取って、ぽんと口に入れた。
 寸の間、言葉を淀ませた晃太郎だったが、全てを神様に伝えたい一心で言葉を繋ぎ始めた。

 「次第に点数も取れるようになって、一つ上の高校も狙えるようになった」
 「そのご褒美に、わたし『神様』に昇格出来たのよね。こーくんのお陰だ」
 「神様」

 ふわりと神様のスカートが風に揺れて白い脚がはだけ、恥ずかしそうにスカートを両手で押さえている神様の姿を晃太郎は見た。
 なにか、罰当たりのような。ただ、神様だって鬼ではないと、晃太郎は信じていた。自分は神様に頼られていると思うと、不思議と
むずがゆい気持ちになってきた。神様の黒髪からは下々が使うシャンプーの香りが漂ってきた。

 「この春からよろしくね」

 晃太郎は「よろしく」の意味が始めは分からなかった。

 「わたし。この春から……神様、辞めるの。だって、なんだか疲れちゃって」
 「で」
 「で、お勉強することにしました。こーくんが頑張ってるのを見たら、わたしもね」
670神様といっしょ ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/19(木) 10:42:44.98 ID:z2+HpDMU

 ブレザー姿の神様は頬を赤らめた。頭に生えたきつね耳が嫌でも彼女の心情を映し出す。
 地面に落ちたふたりの影は見るものからすれば、奇妙な形をなしていた。

 「あの、参考書。いいよね。解説が分かりやすいし」
 「あれですか?」
 「こーくんの真似してたら、高校受かっちゃった」

 神様と同級生になる。
 不思議な縁だ。

 「尻尾のところ、スカートに穴あけて繕い直さなきゃいけなかったから、制服代高かったんだよ!」
 「は、はう」
 「でも、これから高校出て、働いて、稼いで仕立て屋さんにちゃんと返す!」
 「神様続ければいいのに」

 晃太郎は神様のデコピンを受けると目をつぶった。ゆっくり目を開くと飛び込んできた光景に現実に引き戻された。
 さっきまで自分がお参りしていた神社へ続く石段を憧れだった娘と一人の男子高校生が揃って登る姿を目撃したからだ。

 「咲子ちゃんだ」
 「……あの子の名前ね。今、男の声で聞こえた」
 
 神様はきつねの耳を研ぎ澄まして二人の動きにあわせて動かした。すると。
 二人で拍手を打つ音が聞こえ、幸せそうにお参りする二人を見上げながらあはあはと笑った。

 「なんか、もう……後腐れなく神様辞めちゃえるね。ああいうの見ると」
 「そんなもんなんですか?」
 「神様そこに居ないのに、お願い事なんかしちゃってさ。この耳、よく聞こえるから『二人の愛がずっと続きますように』だってさ」

 残りひとつのいなり寿司を神様は摘んで、もう一度春風にスカートを揺らしていた。


    おしまい。 
671わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/19(木) 10:43:19.86 ID:z2+HpDMU
投下おしまいです。
672創る名無しに見る名無し:2012/04/19(木) 20:52:32.19 ID:DfztRC+7
>>661
何で撤収したのか分からん
673創る名無しに見る名無し:2012/04/20(金) 00:22:21.53 ID:TCQxTPgd
起承転結の「転」までしか書かれてないからかな?
短編はきちっと話を終結できてこそ短編を名乗れると思うんです。
674ろむ ◆8wF3RAxbLo :2012/04/20(金) 07:26:38.07 ID:ZQCOJCsh
>>672
坊主頭の発言を読み返してみてください
675 ◆X2.3O5r9k2 :2012/04/20(金) 15:09:49.30 ID:y0wFv80h
「花粉症?」
 三つ編み頭の吉村 真理のくしゃみが食堂中に響き渡った直後に、向かいの席の深津 由紀がそう聞いてきた。
「いや、そんな脆弱な身体じゃないから。私」
 半分ほど口から出て行ったそばを再び啜りながら真理は返した。麺が入ってしまったらしく、鼻の奥が痛い。
「でも吉村さん、最近ずっと辛そう」
 高校に入って間もなく出来た友人は、端正な顔に憂いの色を滲ませる。
「ありがとう。でも大丈夫。どっちかというと、これは単なる風邪だから」
 ん? これでは脆弱そのものではないか。発言した後に真理は気付く。
 どうやら頭の回転まで鈍ってきているらしい。
「一応保健室に行く?」
 首を傾げる動作と共に、彼女の緩くカールのかかったセミロングの髪がわずかに揺れた。
「いいよ面倒くさい。こんなのご飯食べて寝れば治するから」
「でも、目も真っ赤だよ」
「あー、確かに目も痒い」
 分厚い黒眼鏡を外し、真理は掌で目を擦る。
「やっぱりそれって花粉症じゃ……」
「いや、風邪的症状の一種だから。あー、コンタクト着けてなくて良かった」
「コンタクト持ってたんだ」
 眼鏡を外した方がいいよ、と由紀が続ける。
「吉村さん凄く可愛い顔してるんだし、勿体ないよ」
「正真正銘の美少女にそう言ってもらえて光栄です」
 男子たちの視線をこの会話の最中にも集めていた女子にぺこりと頭を下げ、ついでにそばの汁を飲む。
「気を付けてね。最近この辺り、通り魔も出てるみたいだし」
「あー、あの」
 この学校の生徒も二人刺殺されている。被害者が全員男性なので、同性愛者説も出ていた。
 やれやれ。真理は胸中で嘆息した。このおっとりした同性にそんな忠告を受けることになるとは。
676 ◆X2.3O5r9k2 :2012/04/20(金) 15:13:19.35 ID:y0wFv80h
 その日の夜。
「よし」
 十五歳にしてようやく恋愛感情を理解した真理の家は、二階建ての一軒家である。
 充血した眼球にコンタクトが嵌っていることを確認し、黒いジャージの上下を着た真理は姿見を離れる。
 眼鏡のない顔。三つ編みの解かれた顔。
 ――由紀が可愛いと評してくれた顔。
「ふふ」
 自室で軽くストレッチをしながら、にやにやしてしまう。今日の由紀との会話を無意識に思い出していた。
「可愛いなあ。由紀さん」
 まさか自分の身体を心配してくれるなんて思わなかった。
 咳き込みながら、彼女の顔を思い出して鼻の下を伸ばしている内に、異変に気付く。
「あ」
 下半身の下着が、体液で濡れ始めていた。
 別にいいけど。どうせお風呂は運動の後に入るんだし。
 クローゼットからホームセンターで購入した大振りの包丁を二本取り出す。
 腰に着けていたお手製の革製ホルスターにそれを収めると、彼女は窓辺に寄った。
 庭に植えられている大きな桜の花は、今夜も彼女の眼前で咲き乱れている。
 春にまつわる諸説を信じたことはこれまでなかったが、今なら難なく受け入れられる気がした。
 出会いや別れは、往々にして人を狂わせる物なのだ。
 嫌らしい視線で由紀の身体を舐め回す男たちを、誰でもいいから穴だらけにしてやりたい気分だった。
 父母はまだ仕事だが、手早く帰ってこれるならそれが一番良い。
 高級運動靴を履いた真理は、音もなく夜の街へと出た。
「やっぱり夜は冷えるねえ」
 鼻を啜りながら一人言を洩らした。連日さまよえば風邪を引くのも当然か。
 帰ったら薬を飲もう。病を治すために。彼女の心配を取り除くために。
「さて、と」
 冷気に大きく身震いした後、彼女は駈け出す。
 性欲を鎮める為の代償行為を済ませるために。
677創る名無しに見る名無し:2012/04/21(土) 00:26:38.50 ID:84/0xNQg
終了です。
678 ◆pkkRTxvtts :2012/04/22(日) 15:03:50.91 ID:tC3uBj58
>>651
鳩子の能力の使い方がすげ〜
春の月に見事にテーマをあわせられていると思いました
すみません、一言いいですか?
青春、サイコウ!

>>657
桜餅10個を夕食前に食べるなんて、よっぽど好きなんですね〜
登場人物が個性的で良かったですよ

>>663
最後のまとめがすごい感動しました・・・
読んだ瞬間、脳内で桜が吹き荒れましたよ。
そういや神社に行ったとき桜吹雪を浴びましたが、儚く散りつつも咲き誇る姿はサイコーでしたよ。
悩みつつも前に進んでいこうという読後感清涼なお話でした〜

>>668
最初はこーくんカワイソス・・・と思っていたのに、なんだこのリア充。
きつね耳だと・・・しっぽだと・・・うらやまけしからん(モフモフ
一瞬、喪失感を味あわせてからの、かわいい狐っ娘キターは面白かった(2倍)です。
続きが気になる作品ですね。今後の展開を考えて、さらに面白かったです。

>>675
百合かと思いきや、主人公は通り魔でした。どうみてもホラーです。本当にry
いやーエロいっすね〜。
一番好きな表現は>穴だらけにしてやりたい気分だった。ですよ。コレ。
バイオレンスだけどどこかエロい響きです。
これも続きがどうなるのか気になりますねっ。

全体として・・・
久々に盛り上がったなぁ
こういった共通のお題で創作しあうのもいいかもしれませんね
みなさんお疲れ様でした
679創る名無しに見る名無し:2012/04/22(日) 20:04:49.46 ID:MYhEG1Ge
みなさまお疲れさまでした
良い作品に巡り会えて感謝
680わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/04/22(日) 22:38:00.98 ID:PMCvNX6R
どの作品も楽しめてよかったです!むっはー!そして、楽しませて書かせて頂きました。
桜餅の話、なんか不思議と気になる。完全版を読みたいっす。
個人的に主人公は伊武○刀で。
681創る名無しに見る名無し:2012/04/24(火) 00:56:06.44 ID:snD0Wz0g
http://www19.atwiki.jp/s-1gp/pages/1.html
このサイト使いませんか
創発板のショートショートを盛り上げていきましょう
682創る名無しに見る名無し:2012/04/24(火) 01:21:19.28 ID:4gUeIvQM
次のテーマ決めませんか
683創る名無しに見る名無し:2012/04/24(火) 01:26:27.15 ID:yc37BmMf
>>681
賛成です


あと、次のテーマなのですが、
5月(GW、五月病など)

の二つはテーマに挙げたいのですがいかがでしょうか?
複数題挙げておいて、一つでも複数でもテーマに関する話を書く、ということで。
684創る名無しに見る名無し:2012/04/24(火) 12:20:34.64 ID:4gUeIvQM
GWと五月病は風物詩ですね
運動会とか鯉のぼりとかも入れておいてはどうでしょう
685創る名無しに見る名無し:2012/04/26(木) 12:41:29.43 ID:D3x4znf5
作品についてコメントするとき
複数の観点から視覚的に評価できる仕組みがあると面白いかも

たとえば、
(例)
>>100
構成力☆☆☆
文章力☆
独創性☆☆
コメント
落ちまでテンポよく話が流れていたと思います
ただ、文章に難あり
主語が誰で何をどんな風にしたのか、はっきりイメージできません
たとえば9行目のところ
○○という設定は面白いけど、独創的と言われるには、
もう一捻りほしいところです。
××という映画を思い出しました。
これでは落ちが予想できてしまう。
686創る名無しに見る名無し:2012/04/26(木) 19:39:54.56 ID:dk8zj8Jj
感想テンプレつくると使うのめんどくさくて感想減りそう
687創る名無しに見る名無し:2012/04/26(木) 20:16:07.04 ID:HgyaMk+3
感想もまた創作
688創る名無しに見る名無し:2012/04/26(木) 21:49:23.19 ID:s8odDalq
テンプレ使いたい人は使えばいいし、使わなくてもいいやん。

五月のお題は
「GW(ゴールデンウィーク)」
「五月病」
「運動会」
「鯉のぼり」
ですかな。「鯉のぼり」は削っていいかも。
689創る名無しに見る名無し:2012/04/27(金) 04:30:15.65 ID:XCNugL8n
お題は一個だけでもいいんだよね?
690創る名無しに見る名無し:2012/04/27(金) 07:22:53.32 ID:9KuRdLQ9
そうですね
691創る名無しに見る名無し:2012/04/27(金) 12:17:08.81 ID:stWTBJdi
発表期間 1日〜20日
次回のテーマ決めたり創作したり 21日〜月末
感想 随時OK

というサイクルでいいですよね
5月に向けて期待age
692創る名無しに見る名無し:2012/04/29(日) 16:16:06.68 ID:xX6U/+x4
テーマもうひとつ

「天をつく」
693創る名無しに見る名無し:2012/04/29(日) 18:35:04.18 ID:sR8WBr79
>>692
そんな抽象的なテーマどう使ったらいいんだwwww
694創る名無しに見る名無し:2012/04/29(日) 18:41:04.12 ID:xX6U/+x4
いや、今月スカイツリー一般解放じゃね?と思いまして。けどスカイツリーだと地域的に縛られてくるかな?と。

どうでしょう?
695創る名無しに見る名無し:2012/04/29(日) 18:45:07.78 ID:p1jZXeB5
スカイツリー一般開放とかお前のレスで知ったw
696創る名無しに見る名無し:2012/04/29(日) 23:46:09.86 ID:sR8WBr79
東京タワーというタイトルの有名小説が複数あるように
東京スカイツリーも有名作品が複数作られていくんだろうな
697創る名無しに見る名無し:2012/04/29(日) 23:52:10.57 ID:Q01U9sxp
何回破壊されるのかな……
698創る名無しに見る名無し:2012/04/30(月) 00:03:42.89 ID:/csAhnvB
ドラマとかCMで東京を象徴するシーンがあると
もはや東京タワーではなくスカイツリーが出てくるのがちょっとさみしい

一個くらい抽象的なお題があった方がイメージが広がっていいと思う。
三題噺は無茶振り多いけどw
699創る名無しに見る名無し:2012/04/30(月) 00:26:24.55 ID:8ZtPxVGY
スカイツリーが怪獣王にへし折られて復権を果たす東京タワー
700創る名無しに見る名無し:2012/04/30(月) 08:22:02.60 ID:Uc5BRVCU
怪獣王に見向きもされなくなったとは
701創る名無しに見る名無し:2012/04/30(月) 10:22:11.37 ID:PAVuN+8F
自分よりでかいから壊すのが大変だギャー

(ヽ.,,,,,,くゝく^ゝ<ゝ- .,
 ヽ.,_;;と_;;;;;;;;;:_つo;;;;;;)つ
702創る名無しに見る名無し:2012/05/01(火) 12:49:04.46 ID:U273WsPB
5月の創作大会開幕ですね。
連休はまとまった時間がとれるのでいいものですね。
今月も盛り上がることを期待してageときます!
703わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/05/07(月) 00:05:08.53 ID:BXY9c2fc
「五月病」で一番槍イキます!
704いっしょに五月病 ◆TC02kfS2Q2 :2012/05/07(月) 00:06:32.00 ID:BXY9c2fc

 「この集団から一番早く脱落したヤツが優勝」

 真新しいスーツを肩からかけて新入社員の陽介はぼそっと久方ぶりの発言を終えた。
 緊迫した会議室での出来事ならばざわつく老兵たちを笑うことが出来るだろうが、ここは五月晴れ眩しい公園だし、
会社のお偉いさんも居りゃしないし、陽介の言葉を聞いていたのは制服姿の女子高生とお気楽なる私服姿の若い娘だけだった。

 「わたし、優勝する気ないし」と女子高生。「できもしないことははなからしない方がよくありませんか」と若い娘。
陽介も勢いだけで言ったようなもんだと前言撤回を申し出たかった。ジャングルジムにもたれ掛かる娘は自分の黒く長い髪の毛を
いじっていたが、それもだんだんと飽きてきた。「見月さん、髪だけはきれいですね」と、女子高生からのどに骨刺さるような
褒め方をされてようやく髪いじりをやめた。
 
 「ちずるちゃん、お弁当?」と見月が力無く話し掛けると、ちずると呼ばれた女子高生はベンチに腰掛け、かばんから小さな箱を
取り出す。季節外れの桜色、はらりとナフキンを広げるとお年頃の子にお誂えな可愛らしいお弁当箱が顔を見せた。
 背後で保母さんに連れられた保育園児が「もうすぐお昼ですよ」と列を成して歩いて行く。平日の午前中が終わる。

 「これだけは食べておかないと、心配されちゃいますからね」
 「なんで?」
 「『げんじつとーひ』って言う最大の防御を解さない親でしてね。陽介さんみたいな大人が増えればいいな」

 わいわいと『現実』『逃避』という漢字を到底理解できない幼稚園児たちが三人には少々やかましかった。
 ちずるは小さなお弁当を見られることを恥ずかしがりながら、おもむろに卵焼きに手を付けた。

 「おれみたいなヤツばかりになったらこの国は確実にヤバい」
 「わたしはうれしいな。見月さんはそう思わない?」
 「万年五月病のわたしに聞かれてもなあ」

 見月は面倒くさそうに首を横に振った。
 日々暖かくなる五月だ。着るものだって薄くなる。人恋しい寒い季節はとっくに過ぎたのに、それでも集まる三人には
なんら利害関係はないし、求めてもいない。ただ、集まるべくして集まった、思い込み激しいつまはじきにすぎなかった。

 「ならば、よろしい。ここから早く脱落したヤツが優勝だ!この集団、ダメ人間の巣窟と呼ばれようとも、必ずや立ち上がる!」
 「陽介さんは優勝できっこありません」
705いっしょに五月病 ◆TC02kfS2Q2 :2012/05/07(月) 00:07:17.84 ID:BXY9c2fc
 一言突き刺したちずるはお弁当のプチトマトだけ残して箸を置いた。「食べないならくれよ」と陽介がベンチに腰掛けると、
ちずるは「どうぞ。陽介さんとプチトマト、似た者同士のつまはじきだから気持ちがわかるんだよね」とにこやかに皮肉った。
 陽介はすっとベンチから立ち上がり、ちずるに背中を見せたがちずるに一笑されるだけだった。やり取りにはあえて加わらず、
長い髪の毛をいじりながら見月は後ろ姿で仁王立ちする陽介のワイシャツとちずるの制服を見つめていた。

 「わたしダメなんだよね、プチトマト。見月さん、いかがですか?」
 「わたしもダメなんです」
 「見月ちゃん、何が好きなの?」

 投げ込まれた麸に食いつく鯉のように陽介が機敏な動きを見せると、見月はわざと目線を外して答えた。

 「本、かな」

 見月は二人と関わっているうちにだんだんとプチトマトの気持ちがわかってきたような気になった。
ただ、それは陽介やちずるが感じているものとは異質だ。

     #

 夕方過ぎると三人はそれぞれ散った。多分、明日も行くんだろうなと思考の片隅をネガティブにして。
 陽介はコンビニで夕飯を買って、ちずるは本屋に寄り、見月はまっすぐに自宅へと帰った。

 自室に飛び込んだ見月が一番気にしているのは明日の天気。手持ちの携帯で予報を見てみると、見月にはあまり良くない予報だった。
壁に掛かったカレンダーはいまだに雪降る季節のままだった。

 「優勝させてもらおうかな」

 うーんと両手伸ばしてあくびをすると、元の鞘に戻っただけだと積ん読になったネット通販の段ボール箱を一つ開いた。
 なに。明日まる一日あれば一箱は開くし、その次の日も、また次の日も来週もあるしね。と、見月は長い髪の毛をいじっていた。


   おしまい。
706わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/05/07(月) 00:08:33.04 ID:BXY9c2fc
イキました!

投下ふぃにっしゅ!
707創る名無しに見る名無し:2012/05/07(月) 23:49:55.57 ID:BnyAIPdY
>>704-705
お疲れさまです。
倦怠感漂う中にどこかほのぼのしたところがあって
三人組いい味出してますね
最後には希望の光というか暗闇からの出口みたいのも
垣間見えて読後感goodでした。
お疲れさまでした。

自分もアップします。
テーマをゴールデンウィークにして書いてたのですが
過ぎてしまいましたね…
でも書き込んでしまうことにします。
708 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/07(月) 23:59:16.53 ID:BnyAIPdY
贈り物



4月24日、木田正(きだただし)はゴールデンウィークの予定を立てた。
彼は連休中、どこにも出かけず、自宅で酒を飲んで過ごすことにした。
机に向かい、スケジュール帳に書き込むことで、
酒を飲みたいという思いは、連休の予定として明確な形を成した。
ワンルームマンションの一室で、日本各地の、世界各地の酒を飲んで楽しむのだ。
他にやることがないわけではない。
だが、どうしても今やっておきたい
というものは他にないように思われた。
もちろん飲む量は限られる。
健康を害さない程度に楽しむことにした。
連休初日の前夜、近所の酒屋へ行き、買えるだけの酒を買った。
普段買わない種類の、銘柄の酒をカゴに入れ、
レジでそれなりの大金を支払った。
他にも通信販売で酒を買った。
海外の格調高いと思われる銘柄の酒をいくつかまとめて買った。
二、三日の間に届くということだった。
それまでは酒屋で買い込んだ酒を飲むことにした
最初の3連休とその後の4連休の中に2日の勤務日があったが
有給休暇を取得して、9連休とした。
連休初日の午前9時、最初の一本となる酒瓶の蓋を開けた。
芳しい香りが部屋に広がった。ラベルを見ると、
その酒は見知らぬ遠い地で作られたという。
小旅行の始まりだった。
テレビもラジオもつけることなく、一人部屋の中で酒を飲んだ。
そして、考え事をした。
書き留めるほどでもない考えがいくつか浮かんでは消えた。
グラスで2杯ほど飲み終えたときのことだった。
709 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:01:31.69 ID:witCziAM


インターホンが鳴った。
木田は玄関へ向かい、扉を開けた。
運送屋だった。一つの箱を抱えていた。
「宅配便です」
「ご苦労さま」
箱を受け取りサインした。
送り主の名前は「田村洋」。
田村洋(たむらひろし)とは、学生時代の友人だ。
田村とは2年もまともに連絡を取り合っていない。
箱に何が入っているのか木田には検討がつかなかった。
早速開けてみると、中には酒が入っていた。
緻密な意匠が凝らされた仰々しい出で立ちの酒瓶が現れた。
手紙と呼ぶには頼りないメモ用紙の切れ端のような一枚の送り状が箱の底にあった。
「知人のツテで手に入った。俺からのサプライズ・プレゼントだ。
楽しんでくれ」と書かれていた。
ひとまずお礼を言おうと思い、田村の携帯電話に電話をかけた。
だが、呼び出し音が聞こえるだけで彼が出ることはなかった。
連休の過ごし方について誰かに言った覚えはない。
どうしてこのタイミングで酒を送ってきたのか分からなかった。
送られた酒について調べてみると、その酒の値段が
木田の一月分の給料と同等であることがわかった。
もう一度電話をかけてみたが相変わらず彼の応答はなかった。
突然酒を送るとはどういうつもりなのだろう。
これだけ高価な品を送る理由はどこにあるのだろう。
考えても分からない。木田は落ち着きをなくした。
とても「酒旅行」をしていられる気分ではなくなった。
710 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:04:09.95 ID:witCziAM


木田は田村の自宅を尋ねることにした。
箱に貼られた依頼票の住所を見た。
連絡を取っていなかった二年の間に
田村はマンションから生家の方に引っ越していたようだった。
その生家へは行ったことがなかった。
細かな位置を地図で確認した。
木田の家からそれほど離れていない場所にあることが分かった。
身支度をして自家用車に乗った。
一時間も運転すれば到着すると思っていたが、
途中大きな道路で渋滞につかまり、
到着までに約2時間を要した。
「この家か」
閑静な住宅街の一角に田村の家はあった。
付近の適当な空き地に車を停めて歩いて玄関へ向かった。
2、3度インターホンを鳴らしたが誰も出てこない。
人の気配が感じられず、不在のようだった。
車の中に戻り、電話をかけてみるが相変わらず出ない。
シートを倒し、少しの間眠ることにした。
バイクのエンジン音で目が覚めた。見ると田村が乗っていた。
家の前で停車してヘルメットを外していた。
「田村!」
木田は車から降りて声をかけた。
田村はバイクのエンジンを止めて
木田の方へ歩きながら言った。
「久しぶりだな。変わらないな。今日は病院へ行ってたんだ。
両親が入院中なんだ。電話に出られなくて悪かったな」
711 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:07:00.37 ID:witCziAM


田村はいくらかやせ細っており、顔色も良くなかった。
「そうなのか。大変だな。
今日、君からの贈り物が届いたんだけど驚いたよ。
あれは一体何なんだ?」
「ああ、無事に着いたのか。よかった。なあ、少し上がって行けよ」
「いや、お礼を言いに来ただけだから」
「わざわざそれだけのために来たっていうのか?
俺の方だっていろいろ話したいことがあるんだ」
「わかったよ」
木田は田村の家に上がることにした。
田村の話したいこととは何か。
届いた酒と何か関連があるのだろうか。
入院中の両親とも関連があるのかもしれない。
木田は玄関で靴を脱ぎながらそんなことをふと考えた。
居間に通され、ソファに座った。
「適当にゆっくりしてな」
居間はきれいだった。
単に掃除が行き届いているというだけではない。
必要最小限の物がしかるべき場所に配置されている―――
そんな簡潔さがあった。
「よお、お茶でも飲みなよ」
田村はマグカップを両手に持ってやって来た。
「おう、それで、話したいことって何だ?あの酒と関係あるのか?」
「あるよ。もちろん。俺は感謝してるんだ。
おまえには、助けられたときがあっただろう?
そのときのこととか、もろもろ感謝したいことがあって。
で、ちょうどよく酒を送ってやろうと思ったわけだ。
しかも、とびきり上等なやつをな」
「ははは、ちょうどよくってなんだよ。
俺が連休中することがなく部屋で飲んだくれてるとでも思ったのか」
木田がそのように言うと田村は怪訝な顔をした。
712 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:09:42.32 ID:witCziAM


数秒の沈黙の後、田村はその場を取り繕うかのような口調で
木田の言葉に応じることなくこう言った。
「転職しただろ、俺。正直に言って不安だらけでやばかったんだよ。
恋人に嫌われるわ親には切れられるわで。
でも結果的に良かったと思うんだよ。給料は減ったけどさ。
間違いなく将来性がある。それと安定性もある。
いい選択をしたと思ってるんだよ。
で、おまえの後押しがなけりゃこうは行ってなかったなってね。
近頃思うんだよな。ほっとして落ち着いて、本当に感謝したいのは誰か分かった気分なんだ。
遅すぎるかもしれないけどさ。ちょっとバタバタしてて。許してくれ」
転職までの経緯を田村は微に入り細に入り語り出した。
途中、木田には聞き慣れないカタカナの名称の資格がいくつか話の中で登場し、
田村はそれら全てを前職の退職前に取得したという。
要するに、転職に当たって相当苦労したということだった。
木田は相槌を打ちながら贈り物である
酒に関する先ほどのやりとりについて気にしていた。
田村は確かに「ちょうど」と言った。
「ちょうどよく酒を送ってやろう」と言った。
その意図するところはやはり、自分が連休中酒を飲むことを知り
そこで「ちょうどよく」ということになるのだろう。
田村は何らかの方法で知り得た。だがそれがどのような方法か検討もつかない。
713 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:11:41.02 ID:witCziAM


木田が深刻な表情で考えていると田村に肩を叩かれた。
「おい。どうした?気分でも悪いのか」
「いや、そんなことはない」
「俺の話聞いてたのか」
「ああ、もちろん」
「あのときだ。3年前の12月。あのときのことは忘れないね。
相談に乗ってくれただろ。
で、おまえは踏ん切りの着かない俺に喝を入れてくれたのさ。
あれで気持ちが変わったね。
おまえがいなかったら俺はこうしていられなかったと思う」
「あー、ああ。そんなこともあったな。
俺も大した意味は込めてなかったんだけど
おまえにそう言われるとこっちも相談に乗って良かったなと思う」
「本当に感謝してるんだ。酒でも飲むか」
「ああ、いただくよ。でも、ビールにしておこうかな。ビールあるか?」
「オーケイ。もちろん」
冷蔵庫からよく冷えた缶ビールが出てきた。
グラスに移すこともせず、フタを開けてそのまま二人で乾杯した。
核心を探るべく木田は切り出した。
714 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:15:56.18 ID:witCziAM


「俺さ、さっきはあんなこと言ってしまったけど、
実は連休中酒を飲むことにしていたんだよ。
世界中の酒を飲んでみようかななんて思ってて」
「ああ、ああ。その話ね」
「は?」
「それよりさ」
田村はソファの前に置かれている
テーブルの引き出し開けてカードの束を取り出した。
「『セダーズ・リゲット』やろうぜ」
セダーズ・リゲットとはカードゲームの一種である。
ルールは単純であるが非常に奥が深い。
無数の戦略があり、制作者ですらその全てを把握していない。
中毒性の高さから未成年は遊戯が禁止されている。
また、ゲームの展開によっては、異常にスリリングなものとなるため、
心臓の弱い人、高血圧の人、また、老人は
基本的にプレイできないとされている。
「いいぜ」
木田は承諾した。
セダーズ・リゲットは基本的に1ゲーム長くとも15分程度で終わる。
だが、一度白熱すると、どんなに分別のある大人同士であっても
数十ゲームと繰り返し、4、5時間勝負が続いてしまう。
木田と田村も例外ではなく、対決が10時間を超えたのは一度や二度のことではない。
ビールを飲みながらひたすら二人はセダーズ・リゲットを楽しんだ。
「ケイス」
「リセット」
「キープ!」
「ケイス!」
10ゲーム、20ゲームと続き、双方さすがに疲れを感じ始めたときだった。
715 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:18:39.49 ID:witCziAM


木田が言った。
「声枯れてるぞ」
田村が言う。
「おまえこそ」
「学生の頃みたいにはいかないものだな」
「そうだな。そろそろやめとくか」
「ああ」
カードを束ねてケースに入れようとする田村に木田は言った。
「君は、知っていたんだな。俺が連休中酒を飲んで過ごすことを。
どこにも出かけず酒の旅行をするってことを。
それで、あんな立派なお酒を『ちょうどよく』送ってくれたわけだ。
でも、どうやって分かったんだい?俺の予定をどうやって知ったんだい?
俺には全く理解できないんだよ。テレパシーを使ったとか、
そういう冗談は抜きにして、教えてくれないか」
田村は何も話さず、ケースに収めたカードをじっと見ていた。
そんな態度に促されるように木田は続けて言った。
716 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:24:07.38 ID:witCziAM


「今回のことは個人的なこととして留めておきたかったんだ。
俺の中で。俺だけが知ることとして。
あまり大っぴらにできることじゃないだろう。
連休どこへも行かずに酒を飲むなんて」
田村はケースに収めたカードを机の引き出しに戻して言った。
「分かったさ。君が予定を書いてまもなくのことだ。
はっきり分かったんだよ。俺にはね」
「何だって?」
田村は言った。今まで木田が抱いていた疑問に対する答えとなる一言を。
「君は連休の予定を自分のブログに書き込んだんじゃないか」
少しの間をおいて、木田は笑った。続いて田村も笑った。
そのまま午前3時までビールを飲み交わした。
木田は帰り際、田村に言った。
「俺のブログは何の返信もないし、いつの間にか個人的なもの、
個人的な領域だと思いこんでいたんだ。
ただのスケジュール帳として使ってた。君は見てくれてたのか」
「そういうことだ」

木田は連休中、他の酒は置いておき、田村の贈ってくれた酒を楽しむことにした。

おわり
717 ◆8wF3RAxbLo :2012/05/08(火) 00:25:42.79 ID:witCziAM
さすがに長くなってしまいましたw
以上です。
718創る名無しに見る名無し:2012/05/08(火) 21:01:50.81 ID:csWoyCRS
>>704-705
これからそれぞれが五月病を抜けだすまでのお話が続いていきそうな
なにかの物語のプロローグを読んだような気分になりました

>>708-716
給料一月分の酒……だと!?
どんな高級酒なのかが気になって夜は眠れない!
ともあれ、恩を忘れることのない友人に古風なかっこよさを感じつつ
いつ個人情報が漏れだすとも限らないネット社会の恐ろしさの片鱗を味わった気分だぜ……!
719 ◆mGG62PYCNk :2012/05/08(火) 21:04:25.92 ID:csWoyCRS
ではでは、さんかさせていただきます
720「五月晴れ」 ◆mGG62PYCNk :2012/05/08(火) 21:05:44.09 ID:csWoyCRS

 すっかり暖かくなった春の日差しが閉じたまぶた越しに目を刺激してくる。
 俺――三宅克也は健康的な朝の光から目を背けるように、
万年床で寝返りをうって窓に背を向けた。
「朝か……」
 特に意味もなく、起きぬけの掠れた声を出す。
 五月。今年の春入学した大学の生活にも、同時に始まった一人暮らしにも慣れてきた頃。
俺はすっかりあらゆることに対するやる気をなくしていた。
 それでも四月までは一通り学校には行っていたが、
GWでまとまった休みを過ごしたのが災いしたのか連休が明けてからはしばらく学校にすら行っていなかった。
 一時はこのまましばらく五月病を堪能するのも悪くないかと気の抜けたことを考えていたのだが、それも最近は持ち直していた。
 それというのも、俺が大学で一人暮らしをするにあたって、過保護な気がある両親が出してきた条件に由来している。
 まあ、それは簡単なことで、両親が指定するアパートに住めということだったんだけど。
そうして指定された先は地元でも隣に住んでいた一つ年上の先輩、緑川紘子が下宿先にしているアパートの一室だった。
 同じ大学の先輩でもある紘子さんは昔からしっかりした人で、俺も入学したての頃、
教科書が安く売っている古本屋の紹介なんかもしてもらって世話になっていた。
……ああ、いや、今も盛大に世話になっている。
 先輩は五月病の症状を呈している俺の部屋を訪ねて来るや、部屋中に散らかっていたコンビニ弁当やらを片付けると、
そんなものを食べていては健康によろしくないとのことでわざわざご飯を作ってくれることになった。
 隣に住んでいた彼女の性格や面倒見の良さを知っていた両親は彼女を俺のお目付け役にしようとしたんだろう。
そして、それは確かに功を奏しているというわけだ。
 飯を作ってくれるのと引き換えに、彼女はだらけきっていた俺を就活の時に話の種になるからと、
ボランティア活動の手伝いに連れ出した。
 何ちゃら教室の子供たちの引率の手伝いは新しい刺激になったし、たしかに悪いものじゃあなかった。
また今度行ってもいいか、くらいには思っていたんだけど、
「朝早くはつらいっすよー……」
 今日の早朝から呼び出しを受けていた俺は、この通り、見事に五月病をぶり返していた。
「あーくそ、動きたくねぇ。紘子先輩には悪いけど、今日はもうドタキャンさせてもらうか」
 枕もとの携帯を見てみると、充電が切れていた。
「あー、まじか……」
 携帯を放りだして腕を枕に仰向けに寝転がる。わざわざ起きてまで充電しに行くのもまた面倒だ。
「休みの日ぐらい五月病をぶり返らせてもいっか」
 そんなことを思っていると、玄関が開く音がした。
 合鍵を持っている奴なんて限られている。
仰向けのまま顔を玄関に通じている扉の方に向けると、短い通路を歩く軽やかな足音がして、然る後に扉が開いた。
721「五月晴れ」 ◆mGG62PYCNk :2012/05/08(火) 21:06:41.40 ID:csWoyCRS
 俺の中の大方の予想通り、紘子先輩がそこにいた。
 今日の先輩は活動的な格好だ。ショートパンツからのぞく太ももが朝日に照らされて眩しい。
 ああそうだ、たしか今日の呼び出しの内容は町内の運動会の運営の手伝いをすることだったな……。
 ぼんやりと思い出していると、紘子先輩が俺の体ごと万年床を跨いだ。
 見下ろしてくる先輩。ちょっと怒っているようだ。
「あー、おはようございます?」
「ええ、おはよう。そして、ねえ、克っちゃん?」
 先輩は俺を跨いだまま膝立ちになって顔横に手をついた。
覆いかぶさってくるような状態になられて意識が急速に覚醒する。
 顔を逸らすと、視界の中、彼女のふとももがどアップで映ってやっぱり眩しい。
すばらしいものがあると思います。
 ――と、目の前の光景をしっかりと焼きつけていると、先輩が大きく息を吸い込む音が聞こえた。
あ、やばい。
「さっさと起きなさあああああいっ!」

            ●

 鼓膜が破れるんじゃないかというくらい大きな一声で完全に目を覚まさせられた俺は、紘子さんに急かされるままに着替えさせられ、気が付いたら町内運動会の開会式の片付けをしていた。
「よく間に合ったもんだが、もうあの説教は嫌だな」
 マイクを回収しつつ、着替えの間中扉の向こうからひたすら聞かされ続けた、
人との約束を守らない人は云々という説教を思い出してうんざりする。紘子先輩はそこら辺、俺の母親よりも厳しい。
 そのくせ妙に子供っぽいこともするからいろいろと困りものだ。
 今朝のあれはちょっと男の子の朝の生理現象的に危険でした。危うく俺のスカイツリーが接触する所だった。
「勘弁してほしいっす」
 一人でうんうん頷きながらマイクを所定の位置に戻して次の仕事ができるまで地べたに座り込んで今朝の視界いっぱいの肌色を思い出したりする。
 あそこまで無警戒な態度をとられるってことは、俺はもしかしたら紘子先輩から男として見られてないんじゃないだろうか?
「……思い返せば、そんなだらしないのお姉ちゃん許しません。≠ニか、まんまガキへの説教じゃねえか」
 これまで焼かれた世話の内容を考えればそういう対応でぜんぜん妥当な気がするあたりがちょっと悲しいが、
ともあれ、これは由々しき事態だと思う。
「なあに克っちゃん、一人で唸っちゃって。朝起こしに行ったこと、まだ怒ってるの?」
 ひんやりとした感触が頭にきた。顔を上げると紘子さんがペットボトルを俺に差しだして苦笑を浮かべていた。
「そんなんじゃないです。俺が悪いのはよっく分かってますんで」
722「五月晴れ」 ◆mGG62PYCNk :2012/05/08(火) 21:07:17.56 ID:csWoyCRS
 ペットボトルを受けとってキャップを空けて中身を飲む。
 紘子先輩は隣に座ると笑顔で頭に手を乗せた。
「分かってるんだぁ、いいこいいこ」
 その歳でそれはマジで勘弁してください紘子先輩。……そう口で言わないのは、まあ、悪い気はしないからなんだが。
「お姉ちゃーん! 次はぼくたちが出るからちゃんと見ててねー!」
 子供たちが手を振りながら紘子先輩に声をかけてくる。彼女は相変わらず人気があるなあ。
 しっかりした性格もそうだけど、こういったところも昔から変わらない。
今もボランティア関係で知り合った子供たちやお年寄りを中心に方々で人気だし、大学でもよく人が周りいるのを見かける。
 まったく、引く手数多で忙しいだろうに、わざわざ俺の面倒まで見てくれるんだから本当に頭が上がらない。
「ほら、みんなに大人気の紘子お姉ちゃん。呼んでるぞ」
「なにそのキャッチフレーズ。……克っちゃんやっぱり怒ってる?」
「いえいえ、どうってことのないただの意地悪ですよー」
 そう言ってペットボトルを傾ける。こういう態度が子供扱いの原因なのかとも思うけど、こうしないと先輩と関わる理由をなくしてしまいそうで怖い。
 妙な倦怠感が湧いてくる。また五月病の発作が起きそうで嫌になる。
 ため息を吐いて気分を整えようとしていると、紘子先輩が顔を覗き込んでいるのに気付いた。
「あー、なんでしょう?」
「……べっつにー」
 何故か拗ねたように言いながら、俺の顔に何か書いてあるとでも言うかのように紘子先輩は俺をじっと見つめてくる。
思わず視線をそらすと同時に再び彼女を呼ぶ子供の声が聞こえた。
 声に応じて立ち上がってショートパンツの裾を直す彼女から、小さな声が聞こえてきた。
「なかなか振り向いて欲しい人の人気は取れないんだけどね」
 うわ、そんな人がいるのか、なかなか剛の者だなそいつ。
「そりゃ、紘子さんも大変だ」
 その人は好きな人なんだろうか。ってまあ、そうだよな。こんないい人、
男は放っとかないだろうし、大学で見かける紘子先輩の周りには結構男の姿もあった。
 紘子先輩はうん、と首を縦に振った。
「なんかね……もしかしたら、うざったいって思われてるかも」
「どこのどいつだよそんな事ぬかす奴は」
 まあ、確かに多少説教くさいけど、こんないい人はそんじょそこらじゃ見かけねえと思うんだが。
「ううん、別にその人本人からそういう、うざったいって言葉は聞いたことないんだけどね……」
「それならきっと考え過ぎだと思うけどな」
 それか何かを誤解してるか、それくらいじゃないとなかなかこの人を嫌いにはなれないだろう。
 紘子先輩は気落ちしたような声で背中越しに言う。
「でもね、その人に、今日の約束とかすっぽかされちゃいそうになったし」
「……え?」
 あ、なんか嫌な予感がする。
「携帯も出てくれないし……そうそう、今日もね、朝とかちょっと頑張ってアピールしてみたんだけどなー」
 俺の予感をどんどん裏付けるようなことを言いながら紘子先輩が子供たちの方へと歩いて行く。
「え、ちょっと、おねえちゃん?!」
 俺は立ち上がりながら咄嗟に昔の呼び方をしていた。
と、同時に紘子先輩は急に速足になって、数歩後には駆けだした。――うわ、早ッ!
「ま、待っておねぇ――紘子さん! なんか誤解! 誤解があるって!」
 俺も先輩を追って走る。
 子供たちは急接近してくる俺たち二人を見てぽかんとしていた。
 久しぶりに出す全速力は、しばらく体にまとわりついていた倦怠感を吹き払うのに十分だった。


723 ◆mGG62PYCNk :2012/05/08(火) 21:08:06.58 ID:csWoyCRS
以上です
鯉のぼりが入らんかったんや!
スカイツリーは鯉のぼりと互換可能だと思う。
724 ◆CELuXwgC6K65 :2012/05/09(水) 23:17:08.10 ID:QFcuGN0i
投下しまーす
725 ◆CELuXwgC6K65 :2012/05/09(水) 23:36:02.95 ID:QFcuGN0i
ごがつのそらにきえた

「おまえたち」
と久しぶりの家族団らんの場で父ちゃんが重々しく切りだした。
季節は五月。
風薫ると形容するにふさわしい、清々しい風が僕たち4人家族のまわりを吹き抜けていく。
そんな気持ちのいい天気とうらはらに父ちゃんの顔は梅雨が一足先に
来てしまったように、どんよりとしていた。
「おれは自分が情けない」
最近、父ちゃんが元気がないのは気付いてた。
「思えばこの世に生を受けてからというもの、
 自分がこの世のどの辺りに位置しているかなどと考えたことはなかったが…」
背筋も昔みたいにぴんと張らずに、しなしなとまるまっている。
「しかし…あれができてからというもの、
 おれは自分の矮小さに気付いちまった…。ちくしょうっ!」
父ちゃんは風に揺さぶられるようにぶるっと震えた。
肩が小刻みに揺れている。
父ちゃんが泣いてる。
「…………」
僕と母ちゃんと妹は父ちゃんのどんぐりまなこからぽたぽたとしずくが
溢れるのをただ黙ってみているほかなかった。

こういうのを五月病というのだろうか。
でもたしか、五月病は新しい環境にとまどう新入生や新入社員に多いものだ。
父ちゃんみたいなこの道ウン十年のベテランにはそうそう起きないはずだ。
ようやくいい季節になったというのに。
風がこんなに気持ちいいのに。
父ちゃんは相変わらずぐすぐすと泣き言を言い続けてる。
そんなにショックだったのかなぁ、あれ。
僕は父ちゃんを凹ました元凶を見やった。
晴れているけれども湿気のある五月の空に、うっすら霞んだ塔が立っている。
実際にはちょっと離れているはずだけど、とても近くにあるように見える。
なぜならその塔はとてもとても高く、天をつくほどだからだ。
僕は僕たち家族がつながれているちっぽけな柱を見上げた。
色あせた金色の車輪が僕たちの頭上でからからと廻っている。
無理もないかなぁ…。
ふと母ちゃんと妹の様子をみると、二人とも不安そうな顔をしている。
しくしくと女々しく泣く父ちゃんの下で寄る辺なさそうに
漂っている二人を見ていると、じんわりと怒りが込み上げてきた。
父ちゃん!父ちゃんは、一家の大黒柱だろ…!
726 ◆CELuXwgC6K65 :2012/05/09(水) 23:42:12.02 ID:QFcuGN0i
「いいかげんにしてくれよ」
父ちゃんと母ちゃんと妹の視線がさっと僕に集まる。
「そうやって毎日泣き言ばっかり。何が情けないって
 父ちゃんの今の状態がいちばん情けないよ!」
やめなさい、という母ちゃんの言葉を無視して僕は続ける。
「自分の今いる場所に満足できないなら、挑戦すればいいじゃないか!」
びっくりしたような父ちゃんの顔が赤くなる。
「父ちゃんは僕たちに込められた願いを忘れたの!?僕たちは――」
「江海の大魚龍門の下にせまり集うもの數千、
 上るを得ず、上れば則すなわち龍と為る―――か。」
「父ちゃん?」
「そうだったな…。おれたちには苦難をくぐりぬけ、のぼり龍となるようにという
 願いが込められていたんだ。そのおれがこんな有様じゃあ、いけないな」
父ちゃんの目が涙ではないものできらりと光った。
「すまなかったな、おまえたち。さぞ居たたまれない思いをしただろう。
 だがな、おれとて情けないままで終わりたくはない」
丸まってた父ちゃんの背中がいつの間にかしゃっきりと伸びて、
体がひとまわり大きくなったようだった。
「あなた、危ないことは止めてちょうだい」
母ちゃんはそういったけど、その目には止めても無駄であること、いや、
父ちゃんは自分を振り切ってでも行ってくれるだろうという確信が見て取れた。
「大丈夫だ。…留守を頼むぞ」
「父ちゃん、あの…がんばってね」
最近父ちゃんを軽蔑のまなざしで見ることを隠そうともしなかった妹がおずおずと言った。
父ちゃんはその言葉に力強く頷き返した。
「おう。父ちゃんの生き様をしっかり見ておけ!」
父ちゃんをつないでいた糸がふつりと切れて、
父ちゃんは五月の晴れ渡った空にふわりと舞いあがった。
僕はうれしさと不安と期待でいっぱいになって叫んだ。
「父ちゃん!とうちゃーん!!」
「母さんたちを頼むぞ!おれは頂点を目指す!!」
その言葉が響いたとたん、強い風が父ちゃんの黒いからだを吹きさらい、
父ちゃんはあっという間に青い空の向こうに消えて行った。
「父ちゃん…父ちゃんならきっとやれるよ…!」

『…本日未明、開業間近の東京スカイツリーの先端部分になにかが
 引っかかっているという通報を受け、業者が調べたところ、
 鯉のぼりが掛けられていたことが分かりました。
 現場を検証した結果、この鯉のぼりは風で飛ばされてきたものではなく、
 しっかりと先端部に結びつけられてあったそうです。
 スカイツリーの全長は634m。
 何者かが登ったとも思われませんが、現在原因を調査中とのことです。…』
727 ◆CELuXwgC6K65 :2012/05/09(水) 23:44:08.14 ID:QFcuGN0i
おわり

「鯉のぼり」「天をつく」「五月病」で書いてみました。

スカイツリーはほんとに遠近感が狂うよ。
728創る名無しに見る名無し:2012/05/10(木) 00:51:19.41 ID:onBmLEe9
>>720
紘子先輩いいなぁ
主人公がうらやましいです
ショートパンツという単語が出てくる度ドキッとしてしまったw
729創る名無しに見る名無し:2012/05/10(木) 00:53:15.86 ID:onBmLEe9
>>725
父ちゃんの偉業にワロタ
絶対登る奴出てくるよなぁなんて思いながら
終わりの方は読んでました
730創る名無しに見る名無し:2012/05/11(金) 18:36:07.26 ID:7qKBOQ9E
テーマを全て入れてる人はすごい
731 ◆91wbDksrrE :2012/05/12(土) 05:23:46.01 ID:uuUFEDri
「なんで雛人形しまい忘れると嫁き遅れるとかいう迷信はあるのに、
 五月人形や鯉のぼりしまい忘れると出世できなくなる、とかいう迷信は無いのよぉぅ……」
「雛人形は、元々女の子の厄をその身に帯びて川を流れる事で、厄が女の子に害を
 及ぼさないようにするという風習、流し雛が発展したもの。厄を身に帯びる役割に変わりは
 無いと考えられるので、長々と飾っていると見に帯びた厄が外に漏れ出すと考えられて
 生まれた迷信ではないかと推測されます」
「……あんたって、ホント人生マジレスで生きてるよねー」
「性分ですから」

 ここは生徒会室。
 そして私の目の前にいるのは生徒会長。今その顔に浮かべている憂鬱そうな表情も、
どこかコミカルに見えてしまう、そんな性格の人で、面白系として人気のある、女子だ。
大して成績も良くないのに、生徒会長に立候補したのも「面白そうだったから」という
理由故だというから聞いて呆れる。そんな理由で立候補した人間を本当に当選させてしまう、
この学校の校風にも呆れるが。そしてそんな彼女をフォローしようと、副会長になった私の
思い切りにも、我が事ながら呆れるが。
 なんでまた雛人形がどうとか鯉のぼりがどうとか言い出したかと思い、会長の
見ている先に目をやれば、窓の外、校庭の向こう側の家の屋根の上に、未だに
鯉のぼりがひらひらと気持ちよさそうに泳いでいた。
 面白そうに泳いでる。そんな歌詞が自然と頭に浮かぶが、会長はといえば、その
面白そうな姿が逆に妬ましいらしい。くりくりと、天真爛漫に輝く瞳は、今はどよーんとしている。
ついでに頭の上の、いつもピンと立っている寝癖も、今は心なしかショボンとした感じだ。

「不公平だー。男尊女卑だー。私も男に生まれたかったー」

 う。軽く心臓が高鳴ったのを、気取られたかと様子を伺ってみるが、全くそんな事は
無く、会長は机の上に顎を乗せたまま、ブーブーと口に出してぶーたれている。
 ……まったく、私もそう思いますよ、会長。想像したら、ちょっとドキドキするくらいには。

「どうしたんですか、一体。ゴールデンウィーク明けから五月病でしたが、今日はとみに
 酷いですね。”また”振られたんですか?」
「”また”とか言うなー! 振られた事なんて一回もないんだからー!」
「……正確に言いましょう。”また”片思いしている男の子に、彼女がいたんですか?」
「そうでーす! こんちくしょーめなんでもお見通しだなお前にはー!」
「お褒めにあずかり光栄の至り」
「褒めてねえー!」

 ホッとしたのを気取られなかったかと様子を伺ってみるが――以下同文。
 この人は、基本片思いの人だ。告白とかしようか、どうしようかと悩んでる所すら見たことが
無い。相談された事も無い。会長になる前、この学校に入る前、なんと驚き小学校からの
付き合いだが、この人は本当に「誰かを好きになる」だけで満足してしまう。
「なんかねー、好きになっちゃうだけで幸せなのー」といつだったか楽しそうに語っていたが、
だったらその好きになった人に彼女がいる事が判明する度に、振られた振られたと
大騒ぎするのはやめてほしい。いやあんた、それ振られてないですから。それ以前ですから。
 そんな事を、中学一年以来、数ヶ月に一度繰り返し続けている。……そんなに彼女持ち、
あるいは直後に彼女ができるような相手ばかり好きにならんでも、とも思うのだが、そこはまあ、
運が無いのだろう。
 ……運があってもらっても困るのだけれど。
 それでいて、自分に告白してくる男子は、端から相手にしないのだから、わけがわからない。
少しは自分の事を好きだと言ってくれた相手を、好きになってみようとか思わないのだろうか。
 そんな事を以前直接聞いてみた事がある。すると「ああ、私ってねー、自分に興味ガンガンに
もたれちゃうの、凄いストレスなんだわー」という答えが返ってきた。……さいですか。
 だから、私は安心してこの人の隣にいられる。
 だから、私はこの人の隣にいる事、それ以上はできない。
 ……ホント、なんでこんな人から、目が離せないんだろう。
 小学校の頃、こんな性格がその頃から定着していたが故にクラスでいじめられていた
私を、颯爽と助けて友達になってくれた、その瞬間からだ、というのはわかっている。
 それからも、小学校、中学校、高校と、こんな性格の私が、まがりなりにも周りと上手く
やっていけているのは、この人のお陰だ。その事を、私は本当に感謝している。そして、
それは感謝だけでは終わらない感情となって、今も私の中でグルグルと渦巻いて――
732 ◆91wbDksrrE :2012/05/12(土) 05:24:24.87 ID:uuUFEDri
「うぉー!」
「……どうしたんですか」

 突然雄叫びのような声を挙げて叫ぶから、驚いた。

「このまま五月病から梅雨のジメジメを経て即座に夏休みに突入なんて嫌じゃー!」

 ……毎年の事なのだが、だいたいこの人は秋の運動会の頃まで本調子にならない。
春休みでしっかり春ボケになってから新学期を迎え、五月病になり、梅雨のジメジメに
やられたまま夏休みに入って夏休みボケになり、ようやくエンジンがかかってくるのが
9月の頃なのだ。まあ、それまではそれまでで、ぐでーっといている姿が面白可愛い、と
周囲には元気な時と変わらず愛されているのだが。

「もう怒髪天をついたよわたしゃあ!」
「……何に怒ってるんですか何に」
「今年は海に行く!」
「……泳げないですよね?」
「そう! 故に、今年の夏の間に泳げるように頑張る! 決意したよあたしゃあ!」
「おお、それは素晴らしい」

 割と素直に私は感心していた。小学校の頃からずっと続けているライフサイクルを、ここで
打破しようと決意するなんて。一体何が彼女にそうさせるのだろうか。

「そして、新しい恋を見つけるのさー!」

 ……男だった。恋をしたいという乙女の欲求がそうさせていた。なんてこった。

「あ、そ、そう……頑張って、ね」

 私としては、こう言うしかない。笑顔は自然だろうか。ひきつっていないだろうか。何かドモッちゃった
ような気もする。変な風に思われなかっただろうか。
 ……そう、だよな。そりゃ、高校二年の夏となりゃ、海辺で恋の一つでも探したくなるだろう。そんなの、
女子高生やってれば私にだってわかる。私はもうずっと前に見つけてるから、探す必要が無いだけだ。
 ……いつかは、こんな関係にも終わりがくる。私が男でない以上、彼女はいつか丁度いい距離感を
保てる男の子を見つけて、その子と仲良くなり、恋人になり、そして――いやいやいや、何を想像してるよ私。
 とにかく、私ではない誰かが、彼女の隣にいる事になる、そんな未来はいつの日か必ず来るのだ。
 ……頭ではわかっているつもりでも、心が理解を拒否している。
 そんな日は来ない、ずっとこんな風にこの人と私はいつも隣にいて、他愛もない話をして、笑い合って――
 ありえない。ありえないんだ、そんな未来は。

「というわけで、その為の練習を今度の日曜日から開始しようと思うッ!」
「……へ? 練習って……」
「今度市民プールに温水のが出来たんだよー! 知ってたかい副会長さんよぉ」
「……温水、プール?」

 知らなかった。市民プールなのに温水とは、また随分と豪気だなうちの市も。

「だから、来週の日曜は、水着持ってプールに集合だぜっ!」

 彼女の
 プールで
 水着姿
 ……。
 シリアスな気分は一瞬で吹っ飛んだ。
 そう、未来の事ばかり考えて憂鬱になるのは良くない。私たちは今を生きるんだ。
 具体的には来週の日曜日とい今を。え、それは未来だって? その程度の誤差は気にしない気にしない。
733 ◆91wbDksrrE :2012/05/12(土) 05:24:32.75 ID:uuUFEDri
「……会長、水着とは、具体的には?」
「え? スクール水着でいいっしょ?」
「……会長、夏の海に出会いを求めに行く為に、その練習をプールでするんですよね?」
「うんうん」
「なのにスク水とか、ありえんでしょうがああああああああああああっ!!!!!」

 実にありえん。ありえなさすぎますよ会長さん。

「……ふくかいちょーにどなられた」
「とりあえず、土曜日、学校終わったら昼から水着買いにいきましょう。まだあんまり種類無いでしょうけど、
 例のアウトレットなら多少は品揃えしてあるはずですし」

 ……下心が気取られ以下略。
 まあ、いい。今はこれでいい。いつか来る未来の事はともかくとして、今はこうして隣にいられるのだから。

「可愛いの、選んであげますね?」
「うん、じゃあよろしく!」

 指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボンのーます。
 そんな約束の儀式に、そっと添える私だけの約束。
 いつかいられなくなるその日まで、私はあなたの隣にいますよ――

                                                              おわり
734 ◆91wbDksrrE :2012/05/12(土) 05:28:02.12 ID:uuUFEDri
ここまで投下です。

>>730のレスに触発されてやってみました、全盛りです。
なんか、こういう秘めた想い(主として♀×♀)って好きですねぇ、自分。
気がついたらこんなん書いてました。
735創る名無しに見る名無し:2012/05/12(土) 10:54:45.60 ID:GzJUs0a3
恋愛とはまた違うものを感じた
736創る名無しに見る名無し:2012/05/12(土) 21:41:49.23 ID:UqlCnbPO
>私ってねー、自分に興味ガンガンにもたれちゃうの、凄いストレスなんだわー
モテ女の余裕かコラ(#^ω^)ビキビキ

という私怨はともかく読みやすくてキャラも立ってていいね
ただ最後の叫びはいらなかったかな、という感想
百合とはいい物だ
737創る名無しに見る名無し:2012/05/13(日) 14:21:09.32 ID:b7aXMHaF
>>725-726
大学生が上ろうとして捕まってた昨今、先駆者たる父君においてはいかがおすごしだろうか
家庭で冴えない親父が軽視されるのはどこも同じなんだろうな

>>731-733
会長のぼでーがいかほどのものなのか
そんなことばかり気にしてしまいましたww
738創る名無しに見る名無し:2012/05/16(水) 01:21:07.22 ID:uDoowTQJ
締め切り近付いてますね
投下ラッシュに期待!
…ですけど、作ってる人いるのだろうか
739創る名無しに見る名無し:2012/05/16(水) 16:45:24.70 ID:jukDsj4T
前の大会は文章以外でも何でもOKだったよね?作ってみるかな
740創る名無しに見る名無し:2012/05/19(土) 18:45:06.96 ID:OwYFLqOX
ネタは考えたけど形に出来んかった…
741五月の鯉:2012/05/19(土) 23:04:10.77 ID:qC8l6EzZ
ぱくぱく。ぱたぱた。
丈夫な布の口を鳴らし、春風にまかれて父さん鯉がこう言った。
「ねぇ母さん、こども達。父さんはね、少し旅に出るよ」
母さん鯉はからりと清んだ春風を胸一杯のみながら、父さん鯉を一瞥した。
「旅に出るのはいいけども、今日は私達の大事な日よ。風が気持ちいいわ、旅はまた今度にしたらどうかしら」
母さん鯉は緋色の体を、艶消しの黒が渋い父さん鯉にはためき掛けながらいった。
父さん鯉は支柱の紐を噛みながら言う。
「嫌なんだ。晩春にしか活躍できない、こいのぼりとして生きているのが。もっと別の生き方が、もっと年がら、何時だって風を浴びていられる居場所が、あるんじゃないかって、思ってしまったんだ」
母さん鯉はそれを聞いて諦めたように、いってらっしゃい、と一言つぶやいて、父さん鯉の口を縛る紐を尾びれで器用にほどいた。
「気がすんだら帰ってきてくださいね」
「ありがとう、母さん。帰ってくるよ。気がすんだら、ね」
父さん鯉は風に吹かれてふらふらとたゆたい、やがてすいすいと空を泳ぎだした。
「おかあさま、ととさまはどうなされたのです?」
仔鯉がきくので、母さん鯉は穏やかに言った。
「五月の季語はこいのぼりだけではないのよ」
なんだかむずかしいのですね、そうよ難しいのよ、と言い合い、やがて母子は風に吹かれることに専心した。


父さん鯉は泳いで回った。
日本の空をとび、海をとび、海面に起こった暖気団を掴まえ上昇し、上空のジェット気流に乗って世界を撫で、噴火する火山の熱気をのみこんで、煤けながら宇宙まで昇った。
宇宙には、風はなく、音もなく、人もなく、主役はいつだって、青い星だった。
「空の彼方に憧れていたのに、彼方はなんて寂しいところだろう」
年に一度の季節すら失って、父さん鯉は彼方を諦めた。
「なに、ここが違っただけだろう。私の黒い色が彼方の色に溶けてしまうから、主役になれないだけ。一番目の仔みたいに、青ければきっと、あの星みたいになれたのに」
父さん鯉はまた泳ぎだした。


父さん鯉は背中になった。
荒くれものの背中の柄になった。入れ墨と言う奴だ。
数年前に鯉の和柄シャツが流行ったのはヤクザ屋さんの入れ墨の柄の流行に関係があるのだが、今は関係がないこと。
父さん鯉は肩で風切る風来坊に、縛られない生き方を、自由の風を感じて、その身を背中に預けたのだ。
荒くれものはタバコを吸う。
鯉が泳ぐ支柱の高さでは嗅ぐことのない、紙の焼ける匂いが新鮮だった。
これがタバコと言うものの香りか、と、父さん鯉は荒くれものの吐く煙を感心して嗅いだ。
ヤクザが風呂などで一肌脱ぐと、父さん鯉は今までにない視線を感じた。
畏怖と、軽蔑と。
鯉のぼりのままでは味わえない感覚だった。
荒くれものは風呂のあとに自分の棲みかに帰り別の煙を吸い始めた。
742五月の鯉:2012/05/19(土) 23:04:37.55 ID:qC8l6EzZ
銀紙に載せた粉末をライターで炙りながら、そこから沸き立つ煙とも蒸気ともつかない気体を、嗅ぐように吸う。
さきほどのタバコとは違い、紙の焼ける匂いはなく、ひたすら甘い香りがする。
「おふぅ、ステアインザヘブーン……」
荒くれものはうっとりして訳のわからないことを呟く。
そのときインターホンが鳴った。
「麻薬取り締まり捜査官です。あなたには覚醒剤取り締まり法違反の嫌疑が掛けられており捜査令状が……おや、現行犯ですか」
どやどやとヤクザのマンションに人が押し入り、はいこれが覚醒剤なら試薬が青くなるからねホラ青くなったはい逮捕ね、と捲し立てるや、ヤクザに手錠を掛ける。
「まぁいいや、また三年くらいタダ飯食いに行かせてもらおうかな、ははは」
ヤクザは全然懲りてない。
父さん鯉は、自由も風も無いヤクザの背中に飽き飽きして、また空に旅立った。


父さん鯉は故郷についた。
鯉のぼり職人の家だ。
大きな布に、水仕事で枯れた手をした職人が、大きな大きな鯉の絵を描く。
鯉の絵に、糊置き職人が糊を絞る。
絵の縁を寸分違わずなぞり付け、染めの工程の成功させるべく、ミリ単位の一発勝負を何時間も続ける。
糊を置いた絵に染料を掛け、染め抜いたあとに、流水で糊を落とす。
父さん鯉は飾ってある完成品に紛れて観察していたが、いかにも大変そうで、金にも成らなそうな仕事だった。
父さん鯉は聞いてみた。
「職人さん、造って貰っておいて何ですが、貴方はこの仕事、好きですか」
頭にタオルを巻いた髭だらけの職人はぶっきらぼうにこたえる。
「好きなもんか。親父の代から続いてるから、惰性でやっとるだけだ」
父さん鯉はそれを聞いて、なんだかガッカリした。
自分て惰性で創られたのか。
三男くらいの子が抱きそうなコンプレックスが父さん鯉を襲った。
「ただな、俺が惰性で続けにゃ、こいのぼり職人の火が消えちまうんだよ。いま手染めの鯉を造ってる工場、いくつあるかしってるか」
職人はあかぎれの酷い手をさする。
「それによ、仕事は嫌いだけど、こいのぼりが空を泳ぐ姿は、大好きなんだよ」
職人は目を閉じて思いを馳せる。
「親父が俺のために、でっけぇ黒いこいのぼりを造ってくれたことがあったんだ。一回だけ俺のために揚げて、そしたらあんまり見事だからってんで、こどもの日も過ぎてんのに、ン百万でぽーんと売れちまった」
743五月の鯉:2012/05/19(土) 23:06:03.90 ID:qC8l6EzZ
父さん鯉に、ふと何かがよぎる。
「そうか貴方は、私の作者じゃなくて……」
息子さんのほうだったのか。
父さん鯉は思い出した。
父さん鯉が作りたてで、黒い色にも膠の艶が残っていた頃。
小学生くらいの男の子が、父さん鯉を見て、震えるくらい感動してみいっていたのを。
父さん鯉は辟易していた。
年に数日泳ぐだけの鯉としての道に。
でもその道は、振り返れば、沢山のこどもの笑顔と感動と、親たちの、暖かい願いが、思い描き切れないほど集積していた。
辟易すべき単調でも、その報酬は掛け換えの無いものであると、父さん鯉は思い出した。
「あんな鯉を作ってみたくて……いや、もう一度俺の手で泳がせたくて」
「ええ職人さん貴方ならきっと私みたいな鯉を作れるでしょう、お話をもっと伺いたかったのですが、もう日暮れです、私は行かなければ、泳がなければ」
鯉はぶわわと風を巻き起こし、それを飲み込んで空の彼方まで、窓を突き破って飛んでいった。


夕暮れの空に鯉のぼり。
道端で井戸端会議を繰り広げる母親達は気づかなかったが、彼女達が連れていた幾人かの子がそれを見た。
黒くて、艶消しで、大きな大きな黒い鯉が、こども達の上を通りすぎ、ぶわわと風を逆巻いて飛び回るのを。
「ねぇママー、鯉のぼりが飛んでたよ!飛んできて、あの柱にかみついて、仲間のもとに帰ったよ!」
「俺も!俺も見たよ!」
「すげぇ!かっこいい!」
夕暮れの空に、黒くて大きな鯉が、悠然と魚影を翻していた。


終わり
744携帯 ◆4c4pP9RpKE :2012/05/19(土) 23:08:50.18 ID:qC8l6EzZ
滑り込みセーフ!
745創る名無しに見る名無し:2012/05/19(土) 23:50:44.72 ID:LaOVqOEw
滑り込みだと…あ、20日までだったのか見落としていた、しまったw
746ろむ:2012/05/20(日) 23:46:03.74 ID:JM6H/y+p
同じ物差しでたくさんの人の力をはかると言うこと
フェアなようで危ない気もする
747ろむ:2012/05/20(日) 23:49:47.29 ID:JM6H/y+p
あくびがでた
でもまだそんなに眠くない
748創る名無しに見る名無し:2012/05/20(日) 23:53:02.20 ID:JM6H/y+p
誤爆してしまいました
大目に見てください
749創る名無しに見る名無し:2012/05/21(月) 00:09:35.24 ID:B4rKv3OJ
せっかくスレ動いてんだから上げよ
750創る名無しに見る名無し:2012/05/21(月) 12:54:11.72 ID:S7LW2NAa
同じ人が全作レビュー(一行程度でさらっと)とかすると面白いかも
751創る名無しに見る名無し:2012/05/23(水) 01:01:27.34 ID:IT94hE/N
全作品レビュー汁とは言わんが
作品がこれだけアップされてる訳だし
もっと感想あっても良い気はする
モチベの向上になるしね
作品投下する人も感想書く人も
もっともっと盛り上がっていけば良いと思う
というわけであげ
752創る名無しに見る名無し:2012/05/23(水) 13:38:55.98 ID:fc1GQHx5
かんそー

>>704『いっしょに五月病』
こういう仲間が居るといいよね。中途採用で地元離れたから孤独に仕事してたわー。

>>708『贈り物』
んー?なんか流れがギクシャクする。カードのくだりとか要らなくない?

>>720『五月晴れ』
学生の恋慕は話になりますなー。良い雰囲気。

>>725『五月の空に消えた』
短編らしいキレイなオチwww好きです。



力尽きた、他の人頼む

753創る名無しに見る名無し:2012/05/23(水) 18:54:24.92 ID:TuAwN56w
>>741->>743
童話を読んでいるような懐かしい気分になれました。
754創る名無しに見る名無し:2012/05/25(金) 15:28:24.25 ID:bEJw3s1r
次月お題をきめまそう。
六月、ジューーーーンブライドォ!
というわけで「結婚」
755創る名無しに見る名無し:2012/05/26(土) 21:09:44.82 ID:4TWmG2rZ
書き手のみなさん乙でした!

六月か…では「紫陽花」
756創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:33:18.94 ID:AdEK6jAD
>>702-703 いっしょに五月病
偶然集まった三人の共通点は五月病…
「優勝」という言葉がユーモラスでよかった
憂鬱な話になりそうなところが軽快で読みやすかった
乙です
757創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:37:05.59 ID:AdEK6jAD
>>708-716 贈り物
もう少しテンポ良くして短くしてもいいかも
あと上でも言われてるようにゲームがやはり唐突
二人ともなんか良い奴だな
乙です
758創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:42:38.84 ID:AdEK6jAD
>>720-722 五月晴れ
先輩と主人公の関係が面白い
紘子先輩良いキャラだ
ほのぼのとして、でも時に刺激的
乙です
759創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:44:46.52 ID:AdEK6jAD
>>725-726 ごがつのそらにきえた
落ちに吹いたw
今回で一番ワロタ作品
つい最近オープンしたスカイツリーのタイムリーなネタだったし良かった
乙です
760創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:47:23.07 ID:AdEK6jAD
>>731->>733
なんとなく、映像化すると
もっと面白くなるんじゃないかという気がした
二人のビジュアルが気になる
見た目も「お似合い」の二人なのかもな
乙です
761創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:49:04.47 ID:AdEK6jAD
>>739-740
次回がんがれ!
どんな作品でもレビューすっから
がんがれ〜
762創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:55:52.80 ID:AdEK6jAD
>>741-743 五月の鯉
観念的なものを感じ取ることができた
壮大な宇宙、ヤクザの闇世界、職人の話…
異なる場面に転換する中で
読み手はいろんなことを考える…
短い文章の中に様々な世界が凝縮された至極の一作だと思う
個人的に今回のNo.1
763創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:58:44.02 ID:AdEK6jAD
全作レビューしてみました
いろんなお話が読めて楽しかったです!
書き手の皆様お疲れさまでした
共通のテーマでも
これだけ違うストーリーが生まれるものなんですね
6月もばしばし新作作ってくださいね
応援してます
それでは、通りすがりのレビュアーでした
764創る名無しに見る名無し:2012/05/27(日) 23:59:51.41 ID:AdEK6jAD
6月のテーマ
「梅雨」、「カタツムリ」なんてのもどうでしょう
765創る名無しに見る名無し:2012/05/28(月) 02:08:45.38 ID:g7DonSZX
「ジューン・ブライド」とかもアリかな
766創る名無しに見る名無し:2012/05/28(月) 02:09:22.66 ID:g7DonSZX
>>763
レビュー超乙。
やっぱり誰かの感想ってのは、書くがわからすると物凄いモチベになるからねぇ。
767創る名無しに見る名無し:2012/05/28(月) 12:46:21.89 ID:Xs8hM0vZ
俺はいっしょに五月病が良かったなぁ
面白かった。
トップバッターてのもあったが
768創る名無しに見る名無し:2012/05/29(火) 01:42:43.41 ID:+F1pMOkz
>>762に全面的に同意だわ。
表現力という点で頭一つ抜きん出てた印象有。
短くまとめる構成力も素晴らしい。
次回も参戦して欲しい。
769創る名無しに見る名無し:2012/05/29(火) 22:51:57.03 ID:+F1pMOkz
褒めすぎだろww
770創る名無しに見る名無し:2012/05/30(水) 12:50:16.54 ID:19C69FQ2
6月の創作大会も開幕間近となりましたね
お題は
「結婚」、「紫陽花」、「梅雨」、「カタツムリ」、「ジューン・ブライド」
といったところでしょうか?
どれか一つ(あるいは複数)を選んで創作もあり
全部入れてチャレンジ!もあり
という感じでやってきましょう
どんな名作が飛び出すか期待です!
もちろん自分も何かネタがあれば投下します(´∀`)
771創る名無しに見る名無し:2012/05/30(水) 18:13:37.08 ID:tyVd1oeL
ん?wwww
772創る名無しに見る名無し:2012/05/30(水) 21:58:23.01 ID:TcOlUqFt
一応、確認だけど。
「結婚」と「ジューン・ブライド」は別々でないですよね。
773創る名無しに見る名無し:2012/05/30(水) 23:40:05.34 ID:UOE9eudC
その辺りは解釈しだいじゃないかなー
他人のネタ潰すつもりないから言わないけどジューンブライドの方が色々できそうではある
774創る名無しに見る名無し:2012/05/31(木) 20:28:15.53 ID:w6a+7PE2
>>773
その大会スレとやら見てきたが…相当やるね
何読んでもふつうに面白い
775774:2012/06/01(金) 12:22:29.54 ID:YDwZElTM
派手に誤爆した
他板の住人ですが見させてください
776創る名無しに見る名無し:2012/06/01(金) 22:46:41.79 ID:+7T+dHRT
ようこそw
777 ◆8wF3RAxbLo :2012/06/03(日) 23:28:39.33 ID:8/jnhzzQ
投下します
7786月のかくれんぼ ◆8wF3RAxbLo :2012/06/03(日) 23:30:14.87 ID:8/jnhzzQ
「あーあ、今日も雨かよ」
健人は言った。
ジメジメした空気。
降り止まない雨。
今まさに梅雨の季節。
6月17日、日曜日。
友達と野球をしようと思っていたが
その計画は文字どおり雨に流された。
「健人ー、お友達が来てるわよ」
一階から母親の呼ぶ声。
二階にある自室のベッドで寝転がっていた健人は
その声を聞きゆっくり起きた。
「誰だよこんな日に。野球は中止に決まってんじゃん」
つぶやきながら部屋を出た。出ると母親が廊下に立っていた。
「約束してたの?」
「さあ、知らないよ。誰が来たんだよ」
「女の子よ。同じクラスの…えーと、ほら」
「え?」
健人は六年生になって女子とも話すようになったし
割と仲のいい(自分ではそう思っている)子もいるが
日曜日に遊びに来るような女の子に心当たりはない。
しかもこんな雨の日に。
「誰だ?」
見ると玄関に立っていたのは同じクラスの園田縁だった。
「突然ごめんね」
「あ、ああ。何だよ急に」
「来て欲しい場所があるの」
「雨降ってるけど」
「傘差していこう」
縁とは学校にいてもあまり話すことはない。
休み時間も読書をして過ごすような物静かな女の子で
丸めた新聞紙を箒で打ったり
落ちている消しゴムを蹴ったりして遊ぶ
自分とは根本的に違う人なのだと健人は勝手に思っていた。
お互いに何が好きで何が嫌いかもよく分からない間柄だった。
「どこに行くんだ?」
「とっておきの場所があるの。付いてきてよ」
縁は外へ出て、手に提げていた赤い傘を広げた。
健人は傘立てからくたびれたビニール傘を引き抜いて後を追った。
雨の降る街の中、二人で傘を差して歩いた。
7796月のかくれんぼ ◆8wF3RAxbLo :2012/06/03(日) 23:31:06.52 ID:8/jnhzzQ
「雨っていいよね」
縁が言った。
「よくないよ」
「なんで?」
「野球とかできないじゃん」
そこで会話は終わった。
そのまま黙って歩き続けた。
「ここなんだ」
と言って、縁は立ち止まった。
そこは近所でも有名な工場跡地だった。
10年近く前からほったらかしの場所だと言われている。
土管やドラム缶が散乱している。
山積みになったタイヤもある。
壁や天井が一部残っていて、雨風をしのげる場所もあり、
野良猫のすみかになっている。
浮浪者が短い間滞在していたこともあった。
近所の子供たちは近寄らないようにと親からきつく言われている。
学校の先生も思い出したようにたまに言う。
あの場所に入るなと。
そんな場所に連れて行かれるとは思っていなかった。
図書室で読書することを好む縁とは
何のつながりもない場所に思えた。
「ここでかくれんぼしてなかった?」
「してたっけ」
「うん、2年生とか3年生のころだったと思う」
健人は当時、土管の中に隠れていたことを思い出した。
7806月のかくれんぼ ◆8wF3RAxbLo :2012/06/03(日) 23:31:47.64 ID:8/jnhzzQ
「かくれんぼしよう」
「え?」
「ここでかくれんぼしようよ。見てたんだ。あのとき。
凄い楽しそうだった。私も仲間に入れてもらいたかったんだ」
「雨降ってるし、やめとこうよ」
「雨降ってた方が楽しいかもよ」
「うーん、じゃあしようか」
しぶしぶ健人は引き受けた。
なぜだか嫌だと言えなかった。
「じゃあ、健人君が鬼ね」
「ジャンケンもしないでいきなりオレが鬼かよ」
「いいからいいから、そこで目を閉じて。100数える!」
「100って長いよ」
「気にしないで」
健人は目を閉じた。
いーち、にー、と大声で数え始めた。
かたんという音がした。
縁の傘が落ちた音だった。
足音が遠くなっていく。
工場跡地の中へ入ったようだった。
約束の100を数え終えた。
赤い傘が開かれたまま健人の足下に落ちていた。
おいおい、雨が降っているのに何を考えているんだと思いながら
縁を探すため健人は動き出した。
簡単には見つからなかった。
何度か名前を呼んでみたが、何の返事もなかった。
縁は手加減抜きで、本気で隠れているようだった。
健人は笑えなくなっていた。
遊びのようでそれはもはや遊びを超えているように思えた。
自分が探し出してやらないと
取り返しのつかないことになるような気がした。
縁は行方不明になってしまうのではないか
ということさえ考えていた。
781創る名無しに見る名無し:2012/06/03(日) 23:32:26.12 ID:8/jnhzzQ
「見つけた」
工場跡地の奥の奥。
大きな土管の中に縁は隠れていた。
「早く出なよ。服ぬれてるじゃん。風邪引くよ」
「ありがと。見つけてくれて。ねえ、こっち来てよ」
健人は手を引かれた。
大して力は込められていなくて
振り払おうと思えば簡単に振り払うことができた。
でもそうしなかった。
「何だよ」
健人も土管の中に入った。
土管の中は思ったより広くて居心地がよかった。
雨音を聞きながら、他愛もない話をした。
お互いに質問した。
好きな食べ物は何か。好きな乗り物は何か。
行ってみたいところはどこか。
縁は手をつないでほしいと言ってきた。
健人は少し緊張しながら彼女の手に触れた。
縁は健人に微笑みかけて、消え入りそうな小さな声で言った。
「楽しかった」
そのまま縁は眠ってしまった。
起きろと言って体を揺すっても、まるで死んだように
目を開けることはなかった。
口元に手を当てると息はしていたのでほっとした。
でも、このまま寝ていたら風邪を引くと思われた。
健人が土管から出たときだった。
見知らぬ男が立っていた。
健人の親と同じくらいの年齢に見えた。
7826月のかくれんぼ ◆8wF3RAxbLo :2012/06/03(日) 23:33:09.33 ID:8/jnhzzQ
「健人君、ありがとう」
男が言った。背が高く、どこか気品のある中年男性だった。
「誰だ?あんたは」
「縁の父親だ。今日は突然のことで申し訳なかったね。
でも、縁の、いや、正確に言うとユカのわがままを聞いてくれてありがとう」
健人は訳が分からなかった。
男は土管の方へ向かって歩き出し、中を覗き込んだ。
そして、優しく縁を抱きかかえた。
「車の中で話をするよ。ついて来てくれ」
一台の乗用車が工場跡地の脇の道路に停められていた。
縁は後部座席に寝かされた。
健人は助手席に座った。
父親を名乗る男は語りだした。
「縁にはかわいそうなことをしてしまった。
私は仕事で忙しかった。かまってやれなかった。
縁に母親はいなくて、幼い頃は私の実家に預けていた。
そして小学生になると、一人で留守番の日が続いた。
そこで、縁はやっかいな病気になってしまったんだよ」
「病気?」
「二重人格的な…まあそういう類いのものだ。
日常生活に支障を来す前に治してやりたかった。
3ヶ月ほどまえのことだ。医者の知り合いから
画期的な治療法があることを知らされた。
ただそれは、割と大掛かりなものだった。
脳の手術をしなければならない。
その分、効果は絶大で二度とその本来の人格ではない
人格が現れることはなくなるのだそうだ。
ごめんね、こんな変な話をして。
でも今回のことを君に分かってもらうためには
省くことのできない話なんだよ」
7836月のかくれんぼ ◆8wF3RAxbLo :2012/06/03(日) 23:33:59.52 ID:8/jnhzzQ
健人は真剣に聞いていたが、男の言っていることが
よく分からなかった。ただ、普通のことではないことが
語られているということは理解できていた。
「縁の場合は雨が降ると人格が変わってしまうそうなんだ。
普段は薬で抑えていたけどそれも効かなくなってきていた。
そこで手術に踏み切った。もう一人の人格からの
抵抗はあった。でも最後にはあきらめたらしい。
ただ条件があった。縁の話を聞くとそういうことらしい」
男は一度振り返り、後ろで寝ている縁をちらりと見てから言った。
「その条件とは何か。君と遊ぶということだった。
あの工場跡地でね。正直、まいったね。でも
最後には押し切られたよ。願いもかなって
今日はいい1日になったんじゃないかな」
健人は何も言えなかった。
現状を理解するので精一杯だった。
「案内してくれ。君の家まで送るから」
家の前に車が着いた。車から降りるとき、
手術の日を教えてもらった(その日は思ったよりもすぐ近くに迫っていた)。
健人は何もする気が起きなかった。食欲もなかった。
部屋に入り、ベッドの上に寝転がって目を閉じた。
雨音が聞こえる。雨はいつまでも止まなかった。

おわり
784 ◆8wF3RAxbLo :2012/06/03(日) 23:35:24.46 ID:8/jnhzzQ
以上です!
トップバッターは緊張しますね
785創る名無しに見る名無し:2012/06/09(土) 17:00:51.49 ID:04+oVO2Q
雨が降るたびに思い出すんだろうね。健人くん。
乙乙ーでした。
786創る名無しに見る名無し:2012/06/09(土) 21:38:53.68 ID:SHOPpifB
パパさんが出てくるまで謎展開だったが
後で改めて読み返すとしっかり頭に入ってきた
しかしこれは救われたようで救われてないような感じだなぁ…
乙でっす!
787創る名無しに見る名無し:2012/06/09(土) 23:58:25.01 ID:SHOPpifB
関係ないけどIDがお店だやったー
788創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 23:56:31.48 ID:Sg/rnRpc
投下乙です
6月に相応しい、切ない余韻が綺麗な作品でした
雨の音が今にも聞こえてきそうな……

では自分は二番乗りで
789創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 23:57:07.90 ID:Sg/rnRpc
ジメジメとしていて嫌な汗が流れる。窓の外はずっと雨が止まずに降り注いでいる。
お天道様の機嫌が悪いのか、正にバケツを引っ繰り返したという表現がピッタリな位の豪雨だ。
こんな雨の中じゃカタツムリでさえ外には出たがらないだろう。そんな事をぼんやりと考えながら、私は手元の珈琲に角砂糖を一つ入れる。


全く最悪の展開になってしまった。これなら普通に自転車で出勤するべきだった。
出勤する時はこれ以上無く空が晴れていたんだけどなぁ。たまには健康を気遣って歩いて出勤なんてしなきゃ良かった。
実際、仕事してる時にはずっと空が晴れていたというのに……。それでもって、今日は珍しく仕事が早く終わった。
その時もまだ晴れていたから、こりゃ余裕で青空のまま鼻歌でも歌いながら帰れるなーと思った矢先。


スコールである。会社を出ようとした時、急に空が暗く黒くなってきて嫌だなぁと思ったら見事に予感が当たってしまった。


傘も自転車も持ってない。家は近いと言える距離でも無い為、こうして雨が止むまで近くのカフェで時間を潰すしか無い。
全く、雨季の季節だとは言うがこんな豪勢に雨を降らさなくても良いじゃないか。自然現象に怒っても虚しいだけだが……。
珈琲に口を付ける。不味くは無いが、特に美味くも無い。普通の珈琲だ。角砂糖をもう一つ。


さて、どうしようか。携帯で天気の情報を見てみるが、どうにも頼りが無い。
何にせよ雲が引けば帰れるは帰れるだろうが、突然激しい雨が降り出してくる可能性も無い事は無い。
そうなったら途中まで無事に帰れてもずぶ濡れのまま帰宅する事になる。それだけは避けたい。
さて、空の機嫌はと言うと、まぁ、真っ暗だ。まだまだ私を帰してくれそうに無い。


にしても、皆私と同じ境遇なのかカフェは満席状態だ。賑やかなせいでカフェというよりファミレスにでもいるような錯覚を覚える。
客の年代も幅広く、私の様なくたびれた社会人から小洒落たOL、旦那に内緒でお茶会をしている婦人方に、こんな所で勉強している学生までいる。
どうやら私の様に雨宿りに浸かっている客はそれほどいない様だ。何だか仲間外れになっている様で少し、寂しい。


にしても暇だな……。こうして止まない雨をぼんやりと眺めている程、私には時間に余裕は無いのだが。
早く家に帰ってやらねばならない事が山ほどあるというのに。しかしこんな雨の中を走って風邪を引かない自信が無い。
もう私も雨の中遊んでも、次の日ケロっとしていられるほど元気でも無ければ若くも無いのだ。
参ったな。会社で仕事という仕事は大体済ませてしまった為、持って帰らねばならない書類だとかそういうのも無い。


まさかこんな所で、暇を持て余す事になるとは思わなかった。

790創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 23:57:38.75 ID:Sg/rnRpc

しかし考えてみれば、この時間は何かじっくりと人生だとかについて考えるべき時間なのではないかと思う。
思えば仕事とプライベートで考える事とやらねばならない事が多すぎて、そういった哲学的な事を考える時間がまるで無かった。
そうだな、そうしよう。今は贅沢にも時間を無駄に使っても許されるのだから。


……何から考えよう。そこから始めるのかと自分自身驚愕する。


ふと、入り口のドアから誰かが入って来た。男女のカップルだ。
片方はサングラスを掛けていてどんな目をしているかは分からないが、多分イケメンな男と、サラサラとしたブロンズヘアーが眩しい美人な外国人女性だ。
恋人か、それか夫婦か。あんな風に体を密着させて若いな、全くけしからん。羨ましい。


……恋人、か。駆け抜けてきた人生の中で、異性の事とか考えた事も無かったな。いや、若い頃はそれなりにそういう事に関心があったのだが。
年を重ねるごとに仕事が軌道に乗って来る中でそういうのを考える余裕も無ければ、というか正直関心も興味も無くなっていた。
気障な事を言えば、仕事が恋人というか。実際一人身の人間にとって、仕事している時が一番楽しい。私に限っての話だが。


しかしそろそろ良い歳になってきて、両親の事も心配になってきている今だと、若干焦りが無い事も無い。
かつての級友らがゾクゾクと結婚してきている。もうヤンチャをする身体でも年でも無いからと、彼らは家庭を作り始めている。
私は彼らを否定も賛同も特にしなかった。ただ、自分にはまだ必要が無いなと思っていただけで。


今はどうだ。
帰っても、私を出迎えるのは部屋の電気と寒々とした空気だけだ。
温かく迎えてくれる妻もいなければ、元気良く走ってくる子供達もいない。


……何だか、肌が寒い。カフェの温度自体は適度な筈だが、ヒヤヒヤと肌寒くて困る。
流石に結婚はまだまだ気が早いが、その内に女性と関わっていくようにしよう。そうしよう。
さて、次は何を考えようか。視線が何となく、ドアの方に向く。


次に入ってきたのは、紫陽花を持ったツナギ姿の青年だ。恐らく、業者か何かだろう。顔立ちが日本人というよりハーフらしい、活発そうな美男子である。
青年は忙しそうに紫陽花を担いて店の中に入ってくる。紫陽花か。確か小学校の頃に育てた気がするな。夏休みの研究だか何かで。
しかしちゃんと見てあげないとすぐに枯れてしまう、何とも気難しい植物だったな。


そう言えばアジサイで思い出したが、クラスの中でも一番アジサイを育てるのが上手かった雨崎君は元気にしているだろうか。
彼はあまり自己主張しない大人しい性格だったが、アジサイを始めとした花を育てるのにとても熱心だったな。
皆が面倒だといやがっていた花壇の植物の観察係を率先して行っていたな。私は彼のその花への情熱を見るのが好きだった。
悪ガキ達が花壇を荒らしても、次の日には完ぺきに元の状態に戻す程に花を愛していた。正に花に関して右に出る者が居なかった。

791創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 23:58:12.33 ID:Sg/rnRpc

雨崎君とは高校で別れてしまったが、彼の花に対する情熱は私にとって忘れがたいものであった。
今は何処で何をしているのだろうか。多分、花関連の仕事に就いているのではなかろうか。寧ろそうであってほしい。
もしかしたらどっかですれ違っているのかもしれない。そう考えると、何かロマンチックというかドラマチックだなと柄にも無い事を思う。


さて、雨崎君……いや、雨崎君はまぁ一先ず置いといて。
次は……次は何を考えようか。窓を見ると、若干雨の勢いが弱まってきてはいるがまだ帰れる程ではない。
どうでも良いけど、さっきの結婚についての考えでジューン・ブライドという言葉を思い出した。


ジューン・ブライド。どっかの外国俳優にでもいそうな名前だと思う。
トム・ハンクス、リチャード・ギア、ジューン・ブライド出演、止まない雨。
違和感が無いと思わないか? ……本当にくだらない事ばっかり浮かぶな。私の頭は。
しかしジューン・ブライドか。6月の花嫁という言葉には妙な響きというか、魅力がある気がする。


7月や8月では何か違うのだ。かといって10月や11月でも違う。
そう、6月だ。6月の花嫁だから良いのだ。私の中で6月の花嫁とはこんなイメージがある。




―――――――雨が止み始めて、健やかな青空が清々しく広がっている。


「やっと、雨が晴れたね」


純白のドレスに身を包んだ彼女が、私の方を振り向く。激しい雨の後の蒼い空は、彼女をより一層綺麗に見せている気がする。
柔らかく微笑んでいる彼女の後ろで、淡い虹が掛かる。まるで空が、私達を応援している様だ。
これから先、どんな事があろうと虹色の未来が訪れる様に―――――――と。


そして6月の花嫁は、私の胸へと―――――――。




……いかん、疲れている。何だ、普通に結婚願望がありまくりじゃないか、私は。
誰に素直になるべきかって、私自身に一番素直になるべきじゃないか。正直に共に人生を歩むパートナーが欲しいと。
しかし職業柄、どうにも女性に縁が無いというか……。こう、何か女性的な趣味でも初めて見ようかと思う。
もしかしたら素敵な出会いが、素敵なサムシングがあるかもしれないじゃないか。うむ、そうしよう。


その時だった。


「あれ、もしかして晴山君?」

792創る名無しに見る名無し:2012/06/10(日) 23:59:23.45 ID:Sg/rnRpc
ふと、誰かが声を掛けてきて、私は軽く驚きながらそちらへと顔を向ける。
オシャレなサングラスをした、頭の良さそうな男性が私の苗字を呼んだ。……どちら様で?
私が戸惑いから目をシバシバとしていると、その男性は掛けているサングラスを外した。……あ。


「……雨崎君、雨崎君なのかい?」


私がそう言うと、雨崎君は嬉しそうに目を細めた。案外、昔の友人の顔は忘れない様だ。
というかさっきサングラスを掛けていた男って……君だったのか!
謎の偶然に些か戸惑っていると、雨崎君の隣にあの外国人女性が寄り添ってきて、私に軽く会釈をする。


「妻のジューン。最近籍を入れたんだ」
「雨崎・ジューンと申します」


これは驚いた……。まさかさっきまで想像していた事がこうして、ある種現実の出来事になるなんて。
にしても雨崎君が結婚していて、尚且つジューンという女性と一緒になっているだなんて。


「あ、そうだ。さっきツナギを着た作業員みたいなのが居なかった?」
「そういえば……」


「あいつ、俺の息子なんだよ。ブライドって言うの」
「そ、そうなのか……」


何だろう、この打ち切り漫画の如く色んな物が唐突に繋がっていく様は。
しかしこれもまた、神様が与えた奇跡だか何かなのかもしれない。


「にしても凄い垢抜けたなぁ……雨崎君」
「そうかな。まぁ、家族で花屋をやってるからなぁ。垢抜けざるおえないっていうか」


月日が経てば人は変わると言うが、まさかあの雨崎君が……いや、別に変な意味では無く。
学生の頃はあまり人と話そうとせず、寡黙だった雨崎君がこうも変化するとは思いもしなかった。
それも家族経営で花屋を、それも美人の奥さんと息子さんまで儲けて。凄いじゃないか、本当に。


「それで今日は何でこんな所に」
「あぁ、ウチの店がここの花のコーディネイトしててさ。ちょっと仕事でね」






雨が止むまで、私は雨崎君の話を聞く事にする。
793創る名無しに見る名無し:2012/06/11(月) 00:00:01.28 ID:MyRuz6oF


私もいつか、独身という雨を抜けて、花嫁という虹を見られる日が来るのだろうか。


その前に、恋人という太陽を見るのが先だが。






凄くどうでも良いが、小学校の頃育ててたあれはアジサイじゃなくてアサガオだったな。どっちでも良いか。

794創る名無しに見る名無し:2012/06/11(月) 00:02:24.46 ID:Sg/rnRpc
投下終わりました
題材を無理矢理全部突っ込んだら偉い酷い事になった件
皆は真似しちゃ駄目だよ!
795創る名無しに見る名無し:2012/06/11(月) 00:54:30.98 ID:iC3AuqhD
紫陽花じゃなくてアサガオってとこでなんかフイタwくやしいwww
796創る名無しに見る名無し:2012/06/12(火) 00:45:11.67 ID:s4Gan38Q
乙です
雨の日に一人物思いにふける男の姿を想像し
おもしろいようなどこかおかしいような
それでいて少し哀愁なんかもあったりして
いい感じの物語でした
雨の日の喫茶店でしみじみと読みたくなるようなお話ですねw
797 ◆8wF3RAxbLo :2012/06/12(火) 01:00:51.16 ID:s4Gan38Q
できました
これからうpします
よろしくお願いしますm(_ _)m
798 ◆8wF3RAxbLo :2012/06/12(火) 01:02:00.39 ID:s4Gan38Q
旧第2地区に咲いた紫陽花の花々にカタツムリの一団があった。
彼らは今年6月上旬に当該地区の不法占拠を開始した。
政府公認の治安維持組織マイマイ-Xによる再三にわたる警告を無視し続け、
窃盗、暴行事件等を起こしては、近隣のカタツムリに多大な被害を与えていた。
先の臨時カタツムリ議会において、
旧第2地区不法占拠者強制排除特別措置法案が可決され、
マイマイ-Xによる武力行使が現実味を帯びてきている。
そんな内容の新聞記事を読み、カタツムリAはため息を付いた。
「住み慣れたこの地区ともお別れかの」
「どうしたの、おじいちゃん」
カタツムリBがやってきた。カタツムリAの孫娘だった。
「この記事じゃよ。とうとう戦争が始まるかもしれないよ」
と言って、カタツムリAはマイマイ日報をカタツムリBに渡した。
「あたし字が読めな―い」
「ここから立ち退かなきゃならないかもしれないんじゃよ」
「えーやだやだ、カタツムリのCちゃんともDくんとも遊べなくなっちゃうってことでしょう」
「みんなで一緒に引っ越しすればまた遊べるかもしれないよ」
「そっか、でもやだなぁここを離れるの」
「う〜む、そうじゃのー…」
「誰が悪いんだろうね」
読めない新聞記事を見つめながらカタツムリBはカタツムリAに聞いた。
「そりゃあもちろん、不法占拠の連中さ!」
腹立たしさを隠しきれずに、カタツムリAは語気を荒げてそう言った。
「あたし行ってくる!」
799カタツムリ戦争 ◆8wF3RAxbLo :2012/06/12(火) 01:03:27.47 ID:s4Gan38Q
「どこに?何しに行くというんだ?」
「話を付けてくるってこと」
「よせ!やめんか!危険じゃ!」
カタツムリAは巣を出て行こうとするカタツムリBを追いかけて
引き留めようとしたがとうとう追いつけなかった。
「ワシも年じゃの…しかし…」
カタツムリAは新聞記事を今一度見て考えた。
カタツムリBなら、やってくれるかもしれないと。
上手く話を付けて連中を退去させるかもしれないと。
ただの予感ではない。
カタツムリBの「特別な力」を感じたことが過去に何度かあった。
はす向かいに住むカタツムリEの一家と些細な意見の違いが原因で、
一時非常に険悪な関係になったことがあった。
だが、今では家族ぐるみで一緒にハイキングに出かけるような
非常に友好的な関係になっている。
カタツムリBのおかげだった。
カタツムリBがカタツムリEの巣に乗り込んで、仲直りするため話をした。
カタツムリBは、相手の心理の裏をかくような巧みな話術など持ち合わせていない。
また、カタツムリBの話の中に特別な修辞技法などない。
ありふれた言葉をつむいでいく。それだけだった。
ただそれだけなのにカタツムリBの話には不思議な深みと温かみがあり、
その場の空気は見る間に変わっていき、ついには関係修復に至ったのだ。
他にもいろいろあった。諸々の出来事を思い返すと、
今回もやってくれるのではないかと
カタツムリAは期待してしまうのだった。
800カタツムリ戦争 ◆8wF3RAxbLo :2012/06/12(火) 01:04:28.55 ID:s4Gan38Q
雨粒をくぐり抜け、枝葉を伝い、もっと高く、上の方へ。
カタツムリBは不法占拠者がいるという旧第2地区に咲いた紫陽花へと向かった。
「旧」とあるのは現在別な名称となっているからである。
正確には「第8地区」だが、その呼び名はほとんど使われていない。
報道機関も、政府でさえも正しい名前で呼ぶことはない。
カタツムリの間で、8という数字はあまり縁起がよくないとされているためだ。
ではなぜ、8という番号がその地区に割り振られたのか。
前の大統領の、政敵の出身地がこの「旧第2地区」だったのだ。
区画整理をするにあたって、彼はこの地に8という数字を割り振った。
だが、その2日後に彼は事故死した。
木の枝から転落したのだが、ちょうど打ち所が悪く
殻が大きく割れ、中身が大きくはみ出た状態で彼は発見された。
もちろんそのとき既に死んでいた。
他の地区は第1〜17まで綺麗に番号が割り当てられていたし
今更新たな番号を割り振るのも手間だったので、
旧第2地区が事実上の正式名称となっている。
そして、第8地区は事実上空白となっている。

大柄なカタツムリの姿が見えた。
しかもたくさんいる。それらは円を描いていた。
カタツムリBは臆することなく近付いていった。
近くにいる1匹に声をかけた。
「あなたがたはどうしてこんなことをしているの?」
声をかけられたカタツムリFは、ただ黙ってカタツムリBの目をじっと見た。
そしてぼそっと一言放った。
「まいったな、これは」
「ねえ、どうしてか答えてよ」
カタツムリBが近寄ると、カタツムリFはその巨体を
のそのそと動かして、すぐ隣にいたカタツムリGに話しかけた。
「あいつ見てみろ」
「あん?」
カタツムリGは不機嫌そうに応じた。
801カタツムリ戦争 ◆8wF3RAxbLo :2012/06/12(火) 01:05:06.78 ID:s4Gan38Q
カタツムリGはカタツムリFよりもさらに一回り大きかった。
ここまで大きなカタツムリは旧第2地区には一匹もいないと思われた。
「ほう、なるほど」
カタツムリGはカタツムリBを一瞥して言った。
「あなたたちはどうしてここにいるの。早く出て行ってくれないかしら」
「お嬢さん、悪いがその質問には答えられないし
その願いごとも聞いてやることはできないなあ」
「理由は?」
「あんた今までで一番たちが悪い。
まともに話を始めたら分が悪い。それが見えてる。
だからまともに話し合うつもりはない。ああ、そうだな、
マイマイXの方がまだ分かりやすくてやりやすい。
あんたはずっと厄介な存在。自覚してないのだろうけどね」
眠たそうな声でカタツムリGはカタツムリBに言った。
「俺たちのリーダーに会わせてやる」
カタツムリFはそう言ってカタツムリBを案内した。
紫陽花の花の裏側に「リーダー」はいた。
「リーダー、厄介なのが来ましたぜ」
「…なんだ?」
葉っぱの陰になっていて、姿はよく見えないが、
その声は若々しく、もしかするとカタツムリBとそれほど年齢が
違わないかもしれなかった。
カタツムリFはカタツムリBの殻を押して言った。
「奥の方にいるのが俺たちのリーダー、カタツムリHだ。
あんたが知りたがっていること、全てリーダーが教えてくれるだろう」
「どうして、こんな安々と大事な方のところへ案内してくれたの?」
「それはあんたが危険だからだよ。どんな武器より危険なものを持っている。
俺たちが下手を打てばまんまと退去させられるのが見えてる。
だから早々にリーダーに会わせることにした。それだけだ」
真っ白な体、銀色の目、そして左巻きの殻(旧第2地区に左巻きの殻を持つ者はいない)。
カタツムリHがその姿を露にした。
「面白い」
802カタツムリ戦争 ◆8wF3RAxbLo :2012/06/12(火) 01:05:44.48 ID:s4Gan38Q
カタツムリBを見るなりそう言った。
「そこに座れ。俺の、俺たちの話を聞かせてやろう。
時間はあるんだろう?」
カタツムリBはこくりと一度うなづいた。
声が出なかった。話そうとしたが、何も声が出なかった。
それは初めてのことだった。
カタツムリHの話はまるで遠い国のおとぎ話のようだった。
大まかな内容は次のようなものだった。
えさをとるにも困らない、争うことの必要もない、
そして天敵から逃げる必要もない
楽園がどこかにあるという。
その楽園へ行く方法は先祖代々受け継がれてきたという。
この場所にとどまることで、楽園への道は自ずと開かれるのだという。
実際に楽園へ行く者の姿をカタツムリHは何度か目撃したのだそうだ。
どこから信じていいのかも分からなく、
ふわふわと体が宙に浮いているようで
夢を見せられているようだった。最後には心地よくなり、
カタツムリBも行ってみたいと思ってしまった。その楽園へ。
「だが、君には行く資格がないんだよ」
カタツムリHから発せられた最後のその一言でカタツムリBは目を覚ました。
そして、どうしようもなく怖くなり逃げ出した。
今までどうして平気な顔であの輪の中に入っていけたのか
不思議だった。恐怖で身震いするのを我慢できなかった。
左右に揺れながら巣に帰った。

マイマイXが武力行使する前に不法占拠の一団は姿を消した。
旧第2地区の何匹かのカタツムリは目撃した。
その一団が「楽園」へ行くところを。
だが、そのことが報道機関に取り上げられることはなかった。
マイマイXの武力行使を恐れて逃げ出したのではないか
という見解が有力な評論家によって示され、
やがて、それが世間の通説となった。

旧第2地区に平和が戻り、カタツムリAが大きなあくびを一つしたとき、
不法占拠の一団はフライパンの上にいた。

おわり
803創る名無しに見る名無し:2012/06/12(火) 01:20:17.13 ID:s4Gan38Q
>>785>>786>>788
感想ありがとうございます
晴れた日が続く中
じめじめした雨の日をイメージして書きました
804創る名無しに見る名無し:2012/06/16(土) 00:29:44.78 ID:agLsH8d9
>>789
『温かく迎えてくれる妻』の一文が出てくるまで
主人公女だと思ったでござるの巻
てか収拾の仕方がwwwワロタwww強引すぎるだろjk
でも雨に足止めされた男の語りは情景も浮かんできて読みやすく面白かったです、乙でした
>>798
カタツムリを主人公ってので「やられた!」と思った
そしてそっち系の結末なんだろうなとは思ったがエスカルゴは予想外www
しかし読解力がないのか8とかBに資格がないとか色々謎は残った…
乙でしたー

感想書くのって難しいね
805わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/06/17(日) 20:49:26.02 ID:xRPVeXSc
「梅雨」でよろしくお願いしまうー。
806「六月生まれ」 ◆TC02kfS2Q2 :2012/06/17(日) 20:50:08.05 ID:xRPVeXSc

 一人でお昼ごはんで食べたゆで卵の殻をきれいに割ることが出来たから、孤独な聡子はちょっと嬉しかった。
 些細だけど誰かと分かち合うこともせず、むしろ独り占めの幸福論を偉そうに語っちゃうよと聡子は息巻いた。
 梅雨真っ盛りのお昼時間だから、教室はいつにも増して人が多い。人が多ければ多い程、教室の隅の聡子は痛いぐらいに
孤独感を強く感じる。なのに聡子は雨降りしきる水無月を恨むことはなかった。砕けた上半分と半球状の下半分の薄い殻。
聡子は白い指で半球をつまみ上げると、虚ろな目をして耳に当ててみた。無垢な少女の気分になって、渚で貝を拾うように。

 「聞き覚えある音だ」

 今のは独り言。
 とても大きな独り言。
 外を、大地を、街を濡らす雨に掻き消されても構わない独り言。

 教室の真ん中でアニメの話をしている地味なメガネな女子たちも、星座占いに興じる無個性女子なモテ子たちも、抜けきれない
中二めいた最強論を戦わせる勘違い男子たちも聡子にとっては隔絶の世界。気にはしないし、気にするつもりもない。人と違うことを
聡子は知っていたから、当たり前だと思っていたことが幼い頃に否定されたから、もう傷付きたくないし、自分を守る為にも自分で
殻を作る方法を選んだ。生まれる前のひな鳥のように。

 「わたしは違う」

 テラスをじわじわと濡らす雨粒はコンクリートの匂いを撒き散らしていた。アーモンドのクリームのようなべっとりとした味。
六月になると嫌でも付き合わされるから。余計な五感を断ち切ろうと聡子は瞼を閉じて、雨音に耳を立てていた。卵の殻を通じて
みんみんと伝わってくる音は聡子が期待するほどの変わりは寸分もなかった。
 それでも聡子は

 「なんか……聞き覚え、ある」

 と、独り言。
 とても大きな独り言。
 外を、大地を、街を濡らす雨に掻き消されても構わない独り言。

 いきなりモテ子たちがざわめき立った。双子座生まれの運勢、今日は最高に良いらしい。
 隔てていたはずなのに聡子の耳が反応してしまう。ぴくぴくと、ざわざわと。王様の耳はロバの耳、聡子の耳もロバの耳。
 
 少し悔しい。
 悔しい。
 ちょっと、言い訳してもいいかな……。聡子はそっと耳から卵の殻を外す。誰かの声を聞くために。

 聡子が生まれた日も今日のように雨降る日だったから。聡子が生まれた月も雨が多い季節だったから。
聡子も十うん年前は卵の中にいたから。だから卵の中で雨音をずっと聞いていた。殻を破って初めて聴いた音が雨音だったから。
 がりがりと内側から殻を破る記憶が聡子の中で甦る。きょうのお昼のゆで卵を剥く様に。

 「卵から生まれた人間は世界でわたしだけ」

 当たり前だと思っていた、人が卵から生まれることを幼い頃に否定された。人は誰も卵から生まれないらしい。それを知ったのは
ショックだった。聡子は孤独に付きまわされることを選んだ。もう傷付きたくないし、自分を守る為にも自分で殻を作る方法を選んだ。
生まれる前のひな鳥のように。でもね。結局、ひな鳥も殻を破らなきゃこの世の中に出てこない。教えてくれたのは教室だった。

 聡子は幼き日のトラウマをどうにか乗り越えようと言い訳の言い訳の上塗りをして自分を許すことにしようと、そして、
またひとつ殻を破ろうと卵の殻を握り締め粉みじんに砕いてみた。卵の殻なんて、捨てるだけだし……と。

 隔絶の世界なんて自分勝手にこしらえた物。人がこしらえた物はいずれ崩れる。だから、崩した。
 聡子は手の平にくっつて素肌を痛める卵の殻の破片をじっと見る。今日は最高に運勢が良い日らしいってねと。


    おしまい。
807わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/06/17(日) 20:51:03.90 ID:xRPVeXSc
短いけどよろしゅう。
今月は難しかった!投下終わりです。
808創る名無しに見る名無し:2012/06/18(月) 23:38:22.40 ID:KvrM9T3c
>>806
卵から生まれるってメタファーなのか暗示なのか
よく分からないけど気になった
809創る名無しに見る名無し:2012/06/20(水) 00:00:52.30 ID:XOVvIr9u
>>806
かなり陰鬱なムードだったけど梅雨っぽい雰囲気でてよかったです
810創る名無しに見る名無し:2012/06/20(水) 01:16:07.66 ID:mTzNUfYf
神社の境内には薄紫の花が爆発していた。
雨を浴びた小さな花の集合は輝きを帯び、爆ぜた茸雲の縮小に見えた。
ぞくり。
負けた兵士は背筋を凍らす。
いいや、もはや戦争は終わった。戦地は尽きたのだ。

「やっと帰れました…ありがとうございます」

兵士は、御守り袋のなかから、キセルガイを一匹取り出す。
神域の樹の虚に静かにそれを置いた。
殻を閉じたキセルガイは何ヵ月も、ときには一年以上ものあいだ生き続ける。
だから戦地へ赴く際に御守りとしてもってゆく。
帰ることができたら、貝をもとの場所に返す。
そういう習いなっていた。
兵士は空を仰いだ。
雨だった。
雨だというのに。
空は晴れ渡っていた。



811創る名無しに見る名無し:2012/06/20(水) 01:16:51.45 ID:mTzNUfYf
「狐の嫁入り、と言いましてね」



ぞくり。
兵士は戦地で馴染んでしまった動きで咄嗟に声のした方角に半身で構える。
若旦那、といった風情の出で立ちをした男が、鳥居の足元を固める敷石に腰を下ろしていた。
上等な下駄に真っ白な足袋、濃紺の着物に、茶染めの羽織。鳥居と合わせたように真っ赤な番傘。
紫煙のたなびく煙管と。そして、頭の横、はすに掛けた狐の面。
男は面の陰に顔を潜めながら、ぷかぱと煙を吹き、また口をきく。

「我々の種族は、天気雨の日につがいの契りを行うんでさ。天照の眼、我ら畏れて涙ともない、若きつがいに力与える。ってね」

男は膝元に、ぽん、と煙管を打ち、灰を地面に払った。

「俺はもう、そんな迷信はほっかっといて、猿……失敬、ニンゲン様のいない内にさっさと済ましちまえって言ったんですけどね。
式を挙げるつがいの二匹が二匹とも、若ぇのに信心深くて」

男が立ち上がった。狐の面を、すうっと被る。
途端に、さきほど地面に落とした灰が焔をあげ、無数に弾けとんで縦横を駆け巡った。火は蒼く、また白く、駆け巡った跡に燃えついて飛び火して、あたり一面を青色の炎に染めた。
雨のつぶてさえ火に触れると燃え上がるようだった。
紫陽花が燃えて土と灰色の香りをたて、石造りの狛犬が焼け落ちて禍々しき狐の造形に燃え残り、石段から境内までの歩道を蒼く白い火の線がなぞるように走った。
目を見開いて奇怪な火が神社を舐めるのを見ていた兵士は、自らの足下でゲートルが焼け始めているのにようやく気がついた。
叩こうが吹こうが毟ろうが、足下の火は消えない。
熱くはないが、燃えた部分が灰になってボロボロと剥離して、身体がどんどん無くなって行く。
足が、脚が燃え尽き、腕が焼け落ち、首だけになって転がって、目まで焼けて、視界が消失して。
闇が死まで飲み込んで消した。


兵士は全身から脂汗を垂らして、現実感が帰ってきたことを悟った。
目は見えるし腕も脚も足もある。ゲートルだって燃えていない。

「どうです、化かされるってのは心地よいもんじゃないでしょう」

狐の面をはす掛けに戻し、男は煙管に煙草の種を詰めながら呟いた。
ぷか、と煙を吐いて……青い燐をどろどろと口角から溢れさせ、底冷えのするような声色で兵士に言った。

「はやく消えろってんだよ糞猿が。俺が今回の仲人で、式も取り仕切ってんだよ。
仲人が神聖な場に猿の血の臭い染み付かせた狂ったエテ公ブラつかせてるってんじゃカッコつかねぇんだ。拾った命、かっけされてぇのか」

狐の本性が現れ始め、髭がぴんぴん生え、指先が、狐の前足のように黒ずんで行く。
兵士は、唾を飲み込んでこう言った。

「見物させてくれないか」
「うんうん、虎穴に入らずんば虎児を得ず、しっかり見物していきな。て、はあ?」

男はドロンと煙を巻き上げて、幾本も尻尾を生やした狐になってしまった。
不意に意外な返答を食らって気が抜けてしまったようだ。


赤い番傘が境内まで伸びる石段に列なる。
紫の花の道を、彼岸花の一段が揺れるよう、一歩一歩、番傘の列が進む。
婚礼の装いをした男女と、祝福されるべき二人を際立たせるように黒い着物を着た参列者。
異様なのは、そこにいる人々の皆が皆、狐の面をつけていることと、天気雨の空から降る雫が、彼等の番傘に当たるとともに、仄明るく青色の火を吹くことくらいだった。
兵士は貸された番傘と狐の面に顔を潜め、百鬼夜行、もとい百狐昼行を眺めた。
それは奇妙だった。
812創る名無しに見る名無し:2012/06/20(水) 01:17:35.88 ID:mTzNUfYf
だが、それ以上に、祝福すべき荘厳さがあった。
妙な迫力に満ちていた。
もし可能なら、自分もこんな式を挙げてみたいものだ。
兵士はそんな風にさえ思った。

しかし、式の雰囲気は一辺に変わった。
境内に着き、新たに結ばれた夫婦がくるりと向き直ると、

くわーん。

狐の鳴き声をあげた。
くわーん。
けーん。
くわをーん。
きゃーん。

そこいらの番傘がみんな、狐の声で高く鳴く。
そうして番傘を一斉に空高く投げた。
赤い番傘が空中で次々青く燃え、灰も残さず燐になって虚空に消えた。
ベベベン。どこからともなく取り出した三味線を、参列の狐が弾く。

三味線の拍子と狐の鳴き声が呼応し、奇妙な、本当に奇妙な音楽を奏でる。
あるものは狐になり、あるもの人のまま演奏し、あるものは獣の貎をして人の身体で駆け巡る。
狐が歌う。けんけん唄う。
狐が踊る。下駄を鳴らしてかんかん踊る。躍る。
くわるくるわんけんけんこん。
きゃんきゃんけんきんこーんこん。
下駄がなる、三味線がなる、太鼓も出てくる、狐が歌う。
天気雨の空が青く燃え、祭り囃子に神社が染まる。
兵士は馬鹿みたいにその光景を見ていた。

『どうだねニンゲン。なかなかどうして見物だろ』

若旦那みたいだった仮の姿をほっぽりだして、尻尾の多い狐が、獣の姿で人の言葉をしゃべる。
兵士は、互いの尻尾を追いかけあってくるくる踊る新婚の二匹を見て、「うらやましいね」と呟いた。
兵士は更に言う。

「貴方たちは誰にでも変身ができるのですか?」
『俺くらい老長けていれば、今すぐ豆粒にだってあんたにだって化けられるさ』

クククカ、と喉を震わすように笑う狐に、兵士は言った。

「お願いだから、自分に化けて、想い人に別れを告げてくれませんか」
『そんなものは自分で言えばよかろうが』
「それが、この有り様でして、人に私は見えないようなのです」

そう言って、緑がかった軍服を捲りあげた兵士の腹からは、たっぷりと膓が溢れていた。

「私は、戦地で死んでしまったのです。不幸中の幸い、御守りの貝が私をここまで導いてくれましたが、帰り着くまでしか貝の力は持たなかったようで、貝は水になってしまいました」

木の虚にはキセルガイの貝殻だけが転がっていた。

呆気にとられた様子の狐は、そのあと豪快に笑いだした。

『カカカ、狐が人に化かされて、いやいや、化けて出られてしまった!こんな傑作な話があるか?ひひひ、ようし、協力してやろうじゃないか』

死んだはずの男がふらりと帰ってきて、恋人に別れを告げた二ヶ月後、日本は戦争に負けた。死んだ男は狐に勝ったけれども。

おわり
813あじさい、結婚、6月、カタツムリ ◆4c4pP9RpKE :2012/06/20(水) 01:19:55.55 ID:mTzNUfYf
ちょっと遅刻しました
814創る名無しに見る名無し:2012/06/21(木) 19:51:55.13 ID:0zjmieaj
作者のみなさま乙でした
815創る名無しに見る名無し:2012/06/21(木) 22:23:34.66 ID:7XhYNCnM
>>778-773 6月のかくれんぼ
>>789-793 雨崎君
>>798-802 カタツムリ戦争
>>806 「六月生まれ」
>>810-812 狐の嫁入り
816創る名無しに見る名無し:2012/06/21(木) 22:25:09.50 ID:7XhYNCnM
>>778-783 6月のかくれんぼ
>>789-793 雨崎君
>>798-802 カタツムリ戦争
>>806 「六月生まれ」
>>810-812 狐の嫁入り
817創る名無しに見る名無し:2012/06/21(木) 22:26:35.89 ID:7XhYNCnM
ミスった
>>816
感想用テンプレ作りました
818創る名無しに見る名無し:2012/06/21(木) 22:28:40.16 ID:7XhYNCnM
タイトルなかったのはこれだっていうタイトルを付けてしまいました
今月もいろんなSSに会えて感謝
同じ題材でもいろんなタイプの話ができあがるんだなあと思いますね
819創る名無しに見る名無し:2012/06/22(金) 17:19:45.79 ID:fvV0t9q7
>かくれんぼ
多重人格のうちひとつが消えるって死に等しいことですよね。悲しい物語だ。

>雨崎
なんだろう、妄想の駆け巡り方が半端じゃなくて楽しかったwきっと主人公は面白い奴に違いない。

>カタツムリ戦争
カタツムリの世界にも争いはあるのですね。……どうやって戦っとるんやろ

>6月生まれ
ん。二回くらい読みましたけど、どうも理解力が足りないのかストーリーが掴めません。スマン

>狐の嫁入り
狐、霊力高そうなのに死人とか区別できないんですね。ご都合主義ェ。
820創る名無しに見る名無し:2012/06/23(土) 01:55:44.04 ID:tsFtjmrL
とりあえず来月お題お考えようか
「初夏」
821創る名無しに見る名無し:2012/06/23(土) 16:47:12.35 ID:Pn1Pq1JV
初夏は今月じゃないか?
822創る名無しに見る名無し:2012/06/23(土) 23:04:59.74 ID:opDE4pET
>>778-783 6月のかくれんぼ
もっと心理描写を入れた方がいいと思いました
>>789-793 雨崎君
妄想凄くてワロタ
作者の妄想力も半端なさそう
オチも付いててよかったです
>>798-802 カタツムリ戦争
カタツムリを人に見立てるのは流石に無理があると思いました
>>806 「六月生まれ」 難解なテーマを扱ってられるように思えました
>>810-812 狐の嫁入り 表現力に脱帽です
オチもシックスセンスぽいがよかったです
823創る名無しに見る名無し:2012/06/24(日) 01:24:50.05 ID:MrMyG6c/
7月のテーマ
七夕、花火、海ってとこでいかがでしょう
824創る名無しに見る名無し:2012/06/24(日) 10:29:12.87 ID:spJMinOz
なんかもうちょっとひねりが欲しい

ところで織り姫がポニーテールだったことにちなみ
7月7日は「ポニーテール」の日だそうですよ。

というわけで「ポニーテール少女」
825創る名無しに見る名無し:2012/06/24(日) 22:02:23.44 ID:DifCBMGe
>>778-783 6月のかくれんぼ
もうちっと解説が欲しい
何もかも唐突だった印象です
>>789-793 雨崎君
思いもよらぬ話の広がり方でよかったです
それにしても雨崎という名字は実在するのだろうか
もしいたら、周りの人から雨男とか雨女とか言われそうだな
乙でした
>>798-802 カタツムリ戦争
リーダーが一体何者なのか
そのへんの真相を明かしてもよかったのでは?
乙でした
>>806 「六月生まれ」
どんよりした話というのが第一印象でした
でも絶望的ではない
卵から生まれるって?
そのあたりの解説があるともっと引きつける文章になったかもです
乙でした
>>810-812 狐の嫁入り
描写が凄い
擬音も多過ぎると思ったが
世界観的にあってるのかもと思えて来ました
実験的な映像作品として楽しんでみたい一作でした
乙でした

今月も充実のラインナップでしたね
7月も期待します
826創る名無しに見る名無し:2012/06/26(火) 01:03:22.78 ID:pf/6bEX1
>>824
じゃそれで行ってみましょうか
827創る名無しに見る名無し:2012/06/26(火) 01:04:41.79 ID:4zLlK7Dn
七夕、花火、海、ポニーテール少女

ポニーテール少女
なあたりにそこはかとない警戒心を感じるなw
828創る名無しに見る名無し:2012/06/26(火) 22:02:32.05 ID:pf/6bEX1
ポニーテール男子がいたっていいじゃないか
829創る名無しに見る名無し:2012/06/27(水) 12:15:31.70 ID:Sv/iTEls
かき氷も入れてもらいたい
830創る名無しに見る名無し:2012/06/27(水) 15:06:41.95 ID:FTVZDwvI
おっと7月からそんなに飛ばして大丈夫かい?
831創る名無しに見る名無し:2012/06/27(水) 20:49:30.84 ID:lv+so8W/
ゲームを自分で作ってみたいという人に朗報です。

「ウディタ」とは? 
・完全無料のゲーム作成ツールです。
・自由度が高いが、初心者には難しい。
 ツクールでは物足りないけどプログラミングは苦手という方にお勧め。
・作成したゲームは自由に配布したり、コンテストに投稿することも可能。
■RPG以外でも作ろうと思えばなんでも作れます。
■他人が作成した「コモンイベント」を利用すれば、自分では開発が難しい
 システムも容易に実現できます。
832創る名無しに見る名無し:2012/06/27(水) 22:44:38.61 ID:NIoORdIC
>>830
だってもうすぐ夏休みだもの!

…「銀河」も入れてもらえない?
833創る名無しに見る名無し:2012/06/27(水) 22:50:12.34 ID:oFiWPwAd
「夏休み」は8月にとっておこうか
834創る名無しに見る名無し:2012/06/29(金) 12:39:00.87 ID:Jh2LfnbD
7月の大会開催が近付いてきましたね
テーマは七夕、花火、海、ポニーテール少女、ポニーテール男子、銀河、かき氷、夏休み
といったところでしょうか
835創る名無しに見る名無し:2012/06/29(金) 21:15:38.22 ID:MhaA27CJ
ポニーテール男子はいらんだろ
836創る名無しに見る名無し:2012/06/29(金) 21:24:51.09 ID:F4qcdPU2
夏休みは8月だって>>833が……
837創る名無しに見る名無し:2012/06/30(土) 08:44:48.20 ID:LbM1630R
7月のテーマは
七夕
花火

ポニーテール少女
銀河
かき氷
で行くとしましょうか
838創る名無しに見る名無し:2012/07/01(日) 01:13:44.09 ID:H8py9MxY
七夕fireワークス2012。
ふざけた名前の祭りにわざわざ繰り出したのは一人くらいアバンチュールを御一緒できるおなごでも落ちてないかと思ったからだが、まぁーカップルばっかりだった。
糞ったれなファッキン蒸し暑さをぶっ飛ばして帰ろうと思いかき氷を買って食っていると、おなごが一人で現れた。
脱色した白髪の根元だけ氷イチゴみたいにピンクに染めたポニーテールの浴衣姿。正直いってパンクな印象。

「私、かき氷の妖精なの」
「……はあ、そうですか」

やべぇ、天使だ。痛いほうの天使の人だ。
俺は非常ベルが掻き鳴らす警戒音を脳内に木霊させながらも、オマタの緩そうな、かつ目元涼しげなカワイイ系美人であることを視認して今後の展開に期待した。

「で、かき氷の妖精が何のよう?食べちゃってもいいの?なんつって、はは」
「お願いします」
「ははは、ノリ良いね、かき氷さん」

かき氷さんは浴衣をするりと脱いで、花火が時折照らす闇に輝くような白い姿態をさらした。
えっ、ちょ、まっ、やばいってまじかよ、お願いされるのはいいけどココそんなに物陰でもない街角だぞファック!そうファックにはファッキン開けっ広げすぎるでしょう夏!
だけど、回りは皆、空を見ていた。まるでかき氷さんなんて存在しないみたいに、空に火が咲くのを見ていた。

「ああ、融けてきてしまいました。はやく食べてください」

かき氷さんは肢体の間隙(ご丁寧にそちらも氷イチゴなかき氷色に染めた陰毛をしていた)から一筋ふたすじ、きっとかき氷の味がする蜜を垂らしていた。
よし、コナンくんになりきろう。
ぺろっ……えっ、これは!甘い!マジだ!この人下のお口にシロップまで舐めさせてかき氷になってる!

やべぇマジだ、マジキチだ。保護しないとやばい。連れて帰ろう。ぎゅってして暖めてギシギシして街に返そう。あのこを解き放て!いや、むしろ俺の息子を解き放て!このこはギンギンだぞ!ヒャッハー!
かき氷さんを冷たい路地に押し倒し、俺は、俺は……



病院で目を醒ました。
かき氷を食った俺はファッキン食中毒でゲロして糞を漏らして昏倒して痙攣しているところを誰かに助けられたらしい。
もう二度とかき氷なんか食うか糞。バカ。俺の恥さらし!俺のバカ!もう知らない!

「あの、すみませんでした」

ベッドで横たわる俺に謝る人。
それはまさしくかき氷さん(ただ、髪の色は黒髪でポニテだったが)で、そしてよく考えてみればかき氷を売っていた夜店のねぇちゃんだった。

「かき氷さん!食べさせてよ!俺にシロップいりのおまんじゅう(?)飲ませてよ!」

俺は天使の人として精神科医を紹介された。


終わり
839携帯 ◆4c4pP9RpKE :2012/07/01(日) 01:17:31.31 ID:H8py9MxY
さて、適当に書いたらとんでもない一番乗りになってしまった
840創る名無しに見る名無し:2012/07/01(日) 22:59:50.91 ID:IGiDvy6V
鶏が来そうな意味で危険な感じでした
かき氷イチゴにはミルクかけてもおいしいですね
個人的には宇治抹茶が好みです
841「童心だらけの宵の口」 ◆mGG62PYCNk :2012/07/02(月) 00:38:54.82 ID:eUW+BMac


 
 幼稚園の園庭で、浴衣姿の園児たちが音楽に合わせてくるくる回っている。
 地元のPTAから贈られた数本の小さな竹を中心に、
少し時期の早い盆踊りのように色とりどりの浴衣を着てお遊戯に興じている園児たちは、
少し離れて演目を眺めている私からは色とりどりに咲く花火のように見えた。
 子供たちが一生懸命踊っている姿は見ていて目に楽しい。今日は幼稚園の手伝いに来て本当によかった。
 スピーカーから流れていた曲が終わって、子供たちの演目も終了する。
 それに合わせて保育士さんたちが、事前に子供たちの手によって願い事が書かれた短冊を持って来る。
 幼い頃に歌ったたなばたさま≠フ歌にあるような、鮮やかな五色の短冊だ。
汚い字で、さぞや純真な願い事が書かれていることだろう。
「はぁ〜、やっぱり小さい子たちってかわいいよね」
 隣でお遊戯を一緒に見ていた友人が、浴衣の袖をぶるんぶるん振ってはしゃぐ。
「そうね、一生懸命なところは見ていて微笑ましいわ」
「うん、今日のために練習とかがんばったんだろうね」
 彼女は短冊を受け取る子供たちに母性に満ちた慈愛の目をやりながら、
自分も今日の七夕会の準備を手伝っている時に保育士さんにもらった短冊を取り出して私に訊いてきた。
「短冊に何て書いたの?」
「秘密」
「えー?」
 不満げな声を漏らす彼女の追究をかわすため、
子供たちへ短冊を配る手伝いをしている、私達より少し歳下の男の子を示する。
「ほら、あいつに訊きなって」
「――え? なに?」
 こちらのやりとりに気付いていたらしい彼が振り返る。
 彼女が先程と同じような質問を口にした。
「保育士さんにもらった短冊に何の願いを書いたのかなーって」
 彼は手に持っていた短冊の残りを配り終わると、照れくさそうに、ぼそっと口を開いた。
「あー……仲良くしたい、みたいなことを、適当に」
「ふうん、この子と?」
 私は隣の友人の顔を指さす。彼は少し躊躇ってから頷いた。
「ああ、そうだよ」
「あらかわいい」
「うるせえ」
 そういうつっけんどんな態度も彼女の保護欲を刺激してるんだろう。
 当の彼女は彼のもとに駆け寄っていくと、手を握って上下に勢いよく振っていた。
 嬉しそうにはしゃいじゃって、バカップルめ。
「で、あんたはなんて書いたの?」
 私が彼女に水を向けると、彼女は「んー?」と言いながら振り向いた。
「『皆が幸せになりますように』」
 ……なんとまあ。
「二人そろって子供みたいね」
842「童心だらけの宵の口」 ◆mGG62PYCNk :2012/07/02(月) 00:39:32.66 ID:eUW+BMac
「そんなことねえ!」「そんなことないわよ!」
「あーはいはい、仲が良くって結構ね」
 呆れて言うと、彼女が彼の腕をとって見せつけるようにして宣言する。
「付き合ってますからね」
「……まさか恥ずかしげも無くそんな風に返されるとは思いもしなかったわ」
 普段の彼女はもう少し淑やかな雰囲気を纏っていて、そんな所に皆惹かれているはずなのだけど、
どうも子供たちに囲まれていたせいで頭が退行しているというか……うん、端的に行って馬鹿の子になってる気がする。
 彼女は、彼の方が恥ずかしそうにしてることも気にせずに、実に嬉しそうにしている。もしかしたら子供たちよりもはしゃいでいるかもしれない。
「バカップルめ。織姫と彦星みたいに一年に一回しか会えなくなってしまえばいいのにねー」
 半目で意地悪を言ってやる。
「もう、その二人がせっかく会える日にそんな事言って……」
 彼女はしょうがなさそうにそう言うと、私の背後に回って髪をポニーテール状にまとめていたゴムを引きぬいた。
 ばらけた髪を掴むと、彼女は私の後ろで何やらごそごそと髪をいじりだす。
「なにしてるの?」
「編み物」
「あーはいはい、お仕事熱心な織姫様だこと」
 髪を編んでいるんだろう。もともと器用な子で、私や彼の浴衣も彼女が着付けしたのだ。
 なされるがままに任せていると、子供たちが歌うたなばたさま≠フ唄が聞こえて来た。
 七夕会のスケジュールが次の段階に進んだみたいだ。
「次の仕事、始まっちゃうわね」
「――あとちょっと……できた。うん、きれいな三つ編み!」
 この子がきれいと言うからには本当にきれいなんだろう。こういう所での仕事のそつの無さが彼女の魅力の一つだと思う。
 鏡で確認などというめんどくさいことはせずに、私はそのまま保育士さんたちが集まっている所に指示をもらいに行く。
 少し後ろから付いてくるバカップルの会話が聞こえて来る。彼女が短冊の内容をネタにして彼をからかっているようだ。
でっれでれしちゃってこの子は……。学校の皆がこんな状態の彼女を見たら……それはそれで変な方向での人気が出そうではあるわね。
 遥か頭上、雲一つ無い空では陽が沈んで夜の色が濃くなり始め、星の海が広がって行く。
その中で天の川の青白い輝きが映えていた。
 ふと、私も自分の短冊の内容を思い出した。
 ――皆の願いが叶いますように。
「そりゃあ、あの二人をからかった手前、こんなの秘密よね」
 我ながら子供のような願いごとで恥ずかしい限りだ。
こんな願いを叩きつけられて織姫も彦星も迷惑していることだろうけど、
いちゃいちゃしてるバカップルには嫌がらせの一つや二つ、してもいいだろう。
 そこまで考え、私は眉間に皺を寄せた。
「……子供っぽいわね」
 今日の私は人のことを言えないらしい。
 歌が2ループ目に突入した。
 私も一緒に歌い始めた。
843 ◆mGG62PYCNk :2012/07/02(月) 00:42:13.45 ID:eUW+BMac
二番!
お題「七夕、花火、海、ポニーテール少女、銀河」
更に、視点の娘の冷たい態度の角が削れていくあたりでかき氷と言い張ってみる

保育園の時に踊った謎の七夕の踊りの曲が頭に残っていて、この時期に思い出したように気になる現象がつづいていてつらい
高い声で歌われてる曲で、「手を振りましょう♪ 足振りましょう♪」「ちゃんちゃんちゃん、と ちゃんとね♪」
とか、そんな感じの歌詞があったのは憶えてるんだがなあ

7日には、スーパーにでも出かけて短冊吊るしてこよう
844創る名無しに見る名無し:2012/07/03(火) 00:20:12.84 ID:C/GJA6Zl
>>838
ぶっとんでてヒデエ話だwいい意味で
夏の一発目に相応しい…かもなw
845創る名無しに見る名無し:2012/07/04(水) 06:03:11.22 ID:zo99RwMI
うい
846わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/07/07(土) 21:34:51.84 ID:eTvXnqdH
七夕の夜だけど、七夕をすっかり忘れていたぜえ。
投下します。
847「たぬき」 ◆TC02kfS2Q2 :2012/07/07(土) 21:35:40.44 ID:eTvXnqdH

 学生街のオープンカフェにて、タヌキを抱っこしていた惺花(しずか)の目は本気だった。
 誰にも邪魔されない。自分の描く未来を掴むまで。それは例え幼なじみでも。あまりにも真っすぐで、真剣に夢を語るので、
幼なじみの和馬は彼女に少々着いて行けなくなってきた。たまの休みの日、頭はあまり使いたくないと頭を掻き毟る。

 「いつか、発明するんだ」

 少女のロマン、少女の野望。和馬はそれらを頭から否定するつもりではない。
 ただ、惺花の無邪気さがなんとなくうっすらとぼやけているようにしか見えなかったのだ。タヌキを抱いたままくるりと回ると
惺花の長いポニーテールが共に弧を描いて宙を切っていた。黄色いリボンが青空に映える。古着のワンピースが貧乏臭い。
確か、黄色が好きな子は理想主義者だっけと、夢ばかり語る惺花のことを和馬は彼女のリボンで無理やり納得しようとしていた。

 「タヌキの力は素晴らしいんだよ」
 「一般人である俺には分からん」
 「いずれ分かる時代が来るよ。時代は回っているんだから。パソコンなんて、前世紀じゃヲタが扱う物だったのに、
  今じゃパソコンも出来なきゃ一般人にもなれない必需品だもんね。先人たちが土台を育んでくれたことに感謝!」
 「っちゅうか、どこからタヌキを連れて来たの?」
 「ウチに住み着いたんだよ。知らない間に。で、和馬奢ってよ!今月ピンチだよ」

 惺花がタヌキをぎゅっと抱きしめると、うねうねと尻尾を振って惺花の顎を摩るようにタヌキは抜け出して、
すとっと惺花の足元に着地した。地面に四つの脚で踏みしめるタヌキは身を震わせて毛並みを整えていた。

 和馬には心に決めていたことがあった。幼なじみだった惺花との縁。小さな頃から伸ばしていた惺花の髪は小中高と腰まで伸びて、
少女のポニーテールは惺花の成長としとして、和馬と惺花が過ごした思春期と重なり合う『少女』の象徴のような物だった。
長い髪の毛が揺れるとついつい和馬には忘れたい過去を思い起こさせるが、惺花には過去も現在もお構いなしだった。
 さて、今日の和馬の目標は幼なじみを断ち切ることだった。そして、幼なじみではなく、恋人同士へとクラスチェンジすること。
 しかし、勝算が見込めない。相手は惺花だ。現実の恋愛よりも非現実な研究を選ぶ象牙の塔の住人となった惺花を誘い出すには、
甚だ厳しい戦いになることは分かりきっている。けど、惺花はけっして揺るぐことのない人間だった。

 「今の聞いた?『しずかちゃんはやればできる子』って、タヌキも言ってるよ」
 「そんなわけねえだろ」
 「わたしの研究が実ればそんなわけねえことなくなるし、後輩たちもすんごい頑張ってるし!」

 子供のような反論で口を尖らせる惺花は、とある国立大学の大学生。
 なんでも動物と伝説と脳科学の関係という、繋がりようがなさそうでありそうな研究を行っており、惺花が言うには
「自分はこの分野で三本の指に入るんだよ!」らしい。同じ生き物同士、コミュニケーション無しで生き延びられない筈はない、
ただ単に伝達手段が異なっているだけで、それを異種同士でも近づけてゆけば……と、惺花は研究を続けていたのだった。

848「たぬき」 ◆TC02kfS2Q2 :2012/07/07(土) 21:36:11.32 ID:eTvXnqdH

 「この研究が進めば、動物と話が出来るようになる!」

 タヌキが人を化かすという言い伝えは、惺花が言うには脳科学で説明出来るらしい。
 しがない文系サラリーマンの和馬にとって、惺花の世界はマンガか小説だ。

 金はない、夢ならあるけど。と惺花。
 夢はない、金ならあるけど。と和馬。

 食い違いは恋人たちのスパイスとよく言うが、この二人にとっては些か刺激が強すぎる。
 和馬は思いを打ち明けるタイミングはまだ機、熟さずと、振り向きざまにカバンから取り出したメガネをかけながら、
惺花とタヌキをカフェに置いて「また、奢ってやるからさ」と、一人とぼとぼと地下鉄の駅へ向かった。

 「石頭だねー」

 タヌキに同意を求めるように惺花は呟いたが、会話が出来るにはまだまだ遠いことを仄めかすようにタヌキは欠伸をした。

    #

 研究熱心な惺花は家でもタヌキと脳との関係を追究していた。洗い立ての長い髪は黄色いシュシュで束ねられ甘い香りがする。
 時間は深夜、誰もが夢の世界へと耽る丑三つ時。生身の体を持つ惺花も例外ではなかった。時計の針が朝までのカウントダウンを
刻む音とパソコンのファンの音だけが響く。惺花の足元ではタヌキがネコ用のベッドで丸くなっていた。

 うつらうつらと、惺花はまどろむ。
 パソコンの明かりが心地好い刺激だ。
 黄色いシュシュが部屋で異様に映えるが誰の為でのない。
 色気のないデスクトップ、飾り気のない部屋、漢字ばかりの背表紙が並ぶ本棚。それが居心地よいから、つい一眠り。

 「惺花ちゃん!惺花ちゃん!」
 「……」
 「惺花ちゃん!惺花ちゃん!」

 人間一人、タヌキ一匹の個室。人間が声を出すこともなく、機械を用いずに人間の声を耳にする事象を出来るだけ簡潔に説明せよ。
 制限時間は夜が明けるまで。しかし、スズメの声を聞くまで考え込まなくてもすぐに惺花は解決出来た。答えは簡単。

 「タヌキ?呼んでいるのは、あなたなの?」
 「へ。ずいぶんと鈍感で」
849「たぬき」 ◆TC02kfS2Q2 :2012/07/07(土) 21:36:43.03 ID:eTvXnqdH

 足元からの声は少年のように純粋で残酷だ。
 惺花は椅子から降りてネコ用ベッドのタヌキの元に顔を近付ける。タヌキ故、表情は見せないが、確かにタヌキから声が聞こえる
気がする。しかし、『気がする』などと言おうなら、タヌキだって怒髪天を突く。
 タヌキの怒りは静かなものだった。けして声を荒らげることはない。

 「鈍感なのは、わちきの声に対してだけでないようで」
 「何が言いたいの?って……どうして、わたし」
 「わちきを拾ってくれて、ありがとう!ね」
 「へ……。どういうこと」
 
 とぼけた顔をした惺花は、タヌキの身の上話を聞くことにした。しかし、イマイチ理解が出来ぬ。
 話をすればするほど、現実味がなさ過ぎるのだ。タヌキは痺れを切らし、言葉よりもリアルだと言い放って魔法のように
煙を掌でまくと、一枚の葉っぱが現れた。しかも、二本足で立ち上っているし。タヌキの言うリアルがこれらしいのだが、
にわかに惺花は理解しがたく思っていた。

 「わたし、タヌキに化かされているのかしら」
 「失礼なっ。コミュニケーションだよ」

 タヌキ曰く、人間の脳を直接刺激して会話を成立させているらしい。まさに、惺花が幾年もかけて研究をしているテーマそのものだが、
一瞬で研究を某ガンコ親父のちゃぶ台の如くひっくり返されてしまったことに、惺花は瞬時に受け入れなれなかった。

 「この時代では、まだまだ研究の途上ってことっすね」
 「いちいちあなたの言うことが分からない」
 「これだから二十一世紀人は!」

 人を化かすのも、タヌキにとってはコミュニケーションのひとつ。言葉を持たぬ彼らなりの歩み寄りだと、タヌキは言う。
そして、さあさあごらん頂いてくださいと言わんばかりに、タヌキの手に収まる葉っぱを天高く持ち上げた。
 タヌキは再び葉っぱを煙をまくと、葉っぱはメモリカードに姿が変わっていた。惺花がつけっぱなしにしていたパソコンに繋ぎ、
画像ファイルを開きながら「こんな前世紀の媒体、探すの大変だったし」とタヌキは愚痴る。「ま、行ったり来たりで手に入れましたし」
とケモノの手先で器用にマウスを扱いながらタヌキはまた愚痴る。メモリカードもまた愚痴っているように聞こえた。

 タヌキの何でもない言葉を惺花が聞き逃すはずがない。『前世紀』?わざわざこんな表現をするであろうか。未来からわざわざ
来たんだよ、とタヌキがドヤーっとした顔で言わんばかりだ。だが、リアルは残酷。タヌキは惺花を尻目にパソコンを器用に扱い始めた。

 「100年前のパソコンって、初めて触るけど……使い勝手悪くないね。基本がしっかりしてるからかなあ」
 「これ、最新バージョンなんですが」
 「こんなOS、聞いたことはあるけど、見たことないし、扱ったことないけどね」
850「たぬき」 ◆TC02kfS2Q2 :2012/07/07(土) 21:37:15.72 ID:eTvXnqdH

 いつのまにかタヌキのペースに引きずられ、まじまじとモニタを見ていると画像が次々と現れる。そしてデスクトップに現れたのは、
スーツ姿で黄昏れる幼なじみの和馬の姿だった。細い体を包むスーツ、袖元から覗く白いカッターシャツ、衿を正すネクタイ。
 今までただの幼なじみとして見ていた和馬が、一人の大人、一人の男として見えてきた。まるで、タヌキに化かされたかのように。

 「90年前、つまり惺花ちゃんの世界から見れば10年後だね。すっかり彼もオッサンだな」
 「え?なんて言うか……」

 惺花は大学に入って以来初めて人で心を動かされた。
 スーツ!メガネ!惺花の胸のうちでこんな単語がリフレインする。そして、この感情を誰かに伝えたくて発した一言。

 「も、萌え?」
 「ふ、古!100年前の表現や!」

 夢ばかり追いかけてきたから、自分ひとりは少女のままだった。
 和馬に取り残されてきたことを全て何かのせいにしてしまったのではないのだろうか。何かのせいにはしたくはないのに。
 タヌキが操作を再び始めようとすると、惺花はそれの邪魔をした。もう少しスーツ男子の和馬を見ていたかったから。
 
 「彼ばかりじゃずるいよね。ほら」

 タヌキが惺花の手を払いのけてクリックをした後に現れたのはタヌキの世界から見れば90年前、今から見れば10年後の惺花の姿だった。
 すっかり大人の色気を醸し出し、ふんわりとした優しさを備えた『元・少女』の右手の薬指には光る物が。そして短くなった惺花の
髪の毛。少女だった惺花は自らポニーテールを捨てていた。大学を捨てて、家庭を選んで、和馬と一緒に寄り添う姿がそこにはあった。
 塔に篭っていた眠り姫が夢から覚めたようだった。わたしったら、何やってるんだろな、と。

 「わたし。何も出来なかったのかな。こんなに頑張ってるってのに」
 「惺花ちゃんがしっかり研究の基礎を作ってくれたから、こうしてタヌキと人間がお話できるって訳だよ!」
 「そっか」

 一筋の希望の光があること。それは自分でなく、誰かが受け継ぐということ。言うならば、種蒔く人だ。
 遠くもない将来の画像を眺めていると、ちょっと忘れかけていたタヌキがもじもじしながらモニタとリアルの惺花の顔を見比べながら
遠慮しがちに呟いた。恥じらい顔のタヌキをお目にかけられるのも研究のお陰かもしれない。
 
 「あのさ……画像の惺花ちゃん。も、萌え?」
 「ふ、古!100年、じゃなくって……二十一世紀の表現だよ!」

 未来から来たタヌキは紅くなった。


   おしまい。
851わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/07/07(土) 21:37:50.60 ID:eTvXnqdH
「ポニーテール少女」でよろしくお願いします。
投下おわりです。
852創る名無しに見る名無し:2012/07/07(土) 23:25:01.41 ID:vpk+K6ds
新世紀なたぬき…青いのかしら。
キャラかいちいちかわいんだもんなぁー。流石ですワンコ氏。
853創る名無しに見る名無し:2012/07/07(土) 23:41:10.09 ID:uoofJVf1
皆さま投下乙です。後々ガッツリ読んで感想書かせて頂きます。
自分も投下します。題名は夏の思い出です
854創る名無しに見る名無し:2012/07/07(土) 23:41:46.17 ID:uoofJVf1
出張で電車に揺られながら、私は外の景色へと目を向ける。見渡す限りの、真っ青な海。太陽光が反射しては、キラキラと光が踊っている。
こんな海を見つめながら、私は幼かった日の事をそれとなく思い出していた。そう、あれはまだ小学生だった頃。
私がまだ、人との付き合い方やら世の中への処世術やらを知らず、一人で悶々としていた頃の、話だ。


職業柄転勤が多い親の都合で、私は何度も小学校を転校しては、見知らぬ土地での生活に順応せざる負えなかった。
幼いながらもそれなりに親に対して理解を示していた為、文句だとか不満を言う気は起きなかった。
だが、友達とかが出来る前に学校を変わってしまう故に私には友達と呼べる存在が居なかった。遊ぶ時はいつも、一人ぼっちで。

確かアレは五回目の転校だったかな。潮の香りがくすぐったい、港町へと引っ越して来た時の事だ。
転校性が学校の人気者になる、みたいな描写が創作では良くあるがあれは嘘だ。子供達は自分達にとって珍しいモノに対して様子見する性質がある。
だからか、誰もが私に対して遠くから見ているだけで声を掛けてこようとしない。何か声を掛けてきても、短い挨拶だけだ。
やはりここでも、私は孤独なのだろうか。ま、仕方ないか。私は一人、自虐交じりの溜息を吐いた。

学校から帰ってきて、私は宿題とかする気が起きずに町を探索する事にした。
港町であるだけあり、全体的に魚屋さんが活気づいていた。というか、右も左も大体魚を売っていた。
特に見る物もなく、どうしようもない為海を見に行く。早大に寄せては反していく波のさざめきは、見ているだけで癒された。

「君、見ない顔だね」

ふと、後ろから声を掛けられて私は振り向いた。
肌を綺麗な小麦色に焼いて、長い黒髪をポニーテールに結いでいる……Tシャツに短パンという、ラフな姿の女の子がそこに立っていた。
声や外見が可愛い、いや、とてもかわいい女の子が、小さく首を傾げながら、私の事を覗きこんでいる。何て可愛らしい動作なのだろう。私は自己紹介しようとするが。

「あ、あの、その……」

駄目だ、どもって言葉が出てこない。こんなんだから友達が出来ないのだ。
どもるというかキョドっている私に、女の子は何かを感づいたのかにこっと笑うと、強引に腕を掴んでいった。

「おいで。町を案内してあげる」

そうして私はされるがまま、女の子に連れられて町を歩く事になった。

女の子はその外見そのままの活発な話し方で、色々な事を教えてくれた。この近くで良く取れる魚だとか、猫が良く集まって集会している場所だとか。
今考えると有益な情報なのかは些か疑問の残る事ばかりではあるが、それでも当時の私は熱心に、女の子の話を聞いていた。
初めての感覚だった。普段は人の話をじっくりと聞いていたいなんて思う事はあんまり無いのに。

私は、女の子の話をじっくりと聞きこんでいた。その横顔をずっと、眺めていたいと思っていた。

夕方になって、女の子は別れる間際に自分の名前をヒバリと僕に教えてくれた。ヒバリ、良い名前だ。

それから僕とヒバリは学校を終わってから度々会う様になっていた。

本当に他愛もない、海で水を掛け合ったり、猫の行方を追って路地裏を駆けたりと深い意味など無い遊びを私達は毎日行っていたと思う。
でもそれが良かった。例え他人から見て何の意味もない遊びだろうと、私にとってはヒバリと過ごせる。時間を共有できる。
それだけが意味を成しているのだから。ヒバリと居れる、その時間が私にとって最高の時間だった。
855創る名無しに見る名無し:2012/07/07(土) 23:42:17.07 ID:uoofJVf1
これが初恋だと気づける程、私はまだませては無かった。ただとにかく、ヒバリの事が好きだった事だけは覚えてる。

いつ頃だっただろうか、駄菓子屋で同じ味のカキ氷をシャクシャクと嗜んでいると、ヒバリは私に七夕祭りの事を教えてくれた。
各々で叶えたい願いを書いた短冊を持ってきて、大きな笹へとぶら下げるのだとか。
私達はそこで、それぞれ短冊に願いを書いて夜、その大きな笹の下で待ち合わせる事にした。そしてどんな願いを書いたかを見せあいっ子しようと。

私は勉強の事も放り投げて、その願いを考える事に頭のリソースをつぎ込む事にした。
願わくば、ヒバリと同じ願い事にしようと。前もって願いを聞くんじゃ駄目だ。「偶然」願いが重ならないといけない。
一体どんな願いをヒバリは考えるのか、考えて考えて、考え抜いた。そうして、七夕祭りの当日。

私は心を震わせながら、夜空を派手な花火が照らしている中、笹の前へと一心に走った。
約束の時間に遅れないように必死に、必死に走った。途中で転んでひざに軽い擦り傷が出来ても、構う事無く。
そんな私を、ヒバリは腕を大きく振って嬉しそうに笑いながら待っていた。
私も出来る限りの笑顔で、ヒバリへと駆け出した。

「待ってたよ、銀河」
「ごめん、ヒバリ。待たせちゃって」
「ううん、全然大丈夫」

ヒバリは色んな意味で名前負けしている私の名前を、しっかりと言ってくれる。
空を眩く照らす花火が美しい。そんな空の下で天高く茂っている笹の前で、私とヒバリは見つめ合う。

そうだ、短冊に書いた願いを言わなければ。そうして私は、持っている短冊を読み上げる為に掲げる。
ヒバリも持っている短冊を掲げる。そして小さく頷いて、一呼吸入れて、私達は同時に願いを、言った。

「ずっと一緒に、居られますように」

――――――――同じ、願いだ。私は思わず小躍りしそうになる。まさか本当に願いが重なるとは思いもしなかった。
ヒバリも驚いているのか、口をポカンと開けている。が、次第に頬が緩みだすと、とても嬉しそうに、笑った。
まるで、花火の音が私達を祝っている様だ。私は気恥ずかしさを感じながらも、ヒバリに対して秘めていた決意を、明かす。

小学生が必死に考えた、粗末ながらも心の籠った言葉を、言い放つ。

「あの……あのさ、ヒバリ。も、もし、ヒバリが良かったら」

「僕とこい、こいび、恋人になって下さい!」

言った。正直恋人という言葉の意味は良く分からない。分からないが、男の子が女の子を好きになった時に、言う言葉という事だけは分かっていた。

ヒバリは僕の言葉に、ポカンとしている。ポカンとしたまま、苦笑いを浮かべて、言った。
856創る名無しに見る名無し:2012/07/07(土) 23:42:47.79 ID:uoofJVf1
「恋人、恋人って、銀河」


「ボク、男の子だよ?」




あれから数十年の時が立った。あの日以降、私はヒバリとは疎遠になった。私自身が別れたかったわけではない。
親の都合でまた転校する事になったのだ。転校する日、ヒバリは私に会いに来てはくれなかった。
まぁそれはそうだろう。あの衝撃の告白の後、私は号泣しながらその場から全速力で逃げ出したのだから。

あの頃の私にはまだ、性癖を自ら開発できる程の寛容さも、女の子みたいな男の子を愛せる度胸も無かった。
しかし妙に勇気が付いたというか、男でも女でも隔てなく、会話できる様になっていた。
それから人気者とまではいかないが、転校先でもそこそこに友人を作れる様になった。色々な物が剥がれて角が取れたというか。

そういう意味では、私から人見知りの壁を取ってくれたヒバリには感謝している。
もし彼女、いや、彼に出会わなければ、私の人生にこうして、光が差してくる事は無かっただろうから。

ふと、誰かが前の席に座ってきた。程良く焼かれた小麦色の肌に、真っ白なワンピースが眩く生える。
ワンピースと同じく真っ白な帽子から、サラサラと伸びている黒髪が麗しい。一体どんな美人さんだろうか。
少しだけ助平心を隠しつつ、私は声を掛けてみる事にした。

「綺麗な海ですね」

私の声に、その人は俯いていた顔を上げて、答えた。

「えぇ。この海を見ていると、好きだった人を思い出します」
「好きだった人……ですか?」
「はい。凄いカッコいい名前の人で、銀河っていうんです」



「ヒ……バリ……?」







857創る名無しに見る名無し:2012/07/07(土) 23:43:31.33 ID:uoofJVf1
投下終わりました。無駄にポニーテール男子まで入れたら偉い事になっちゃいました
皆は無理矢理全部のお題を組みこもうとしちゃ駄目だよ!んじゃ!
858創る名無しに見る名無し:2012/07/08(日) 11:32:44.33 ID:SWEgrfJv
くそっ!ポニテ男子のせいでアマズッペェ感じがドリフ状態になっちまってら!
ポニテ男子ちくしょう!
ポニテマッチョこの野郎!
859創る名無しに見る名無し:2012/07/08(日) 17:32:46.67 ID:tAI7UWa/
マッチョは関係ないだろwww
860 ◆luBen/Wqmc :2012/07/09(月) 21:21:34.40 ID:3XyqHZVt
こんにちは。恐ろしく短いものを置いていこうと思います。

咄嗟に書いたらここまで短くなるとは……
861創る名無しに見る名無し:2012/07/09(月) 21:22:48.13 ID:3XyqHZVt
星の降る海を翔ける僕は、一筋のながれぼし。
無限に広がる暗黒の海、綺麗に広がる白い星々。
どこか遠くのいつか昔に聞いた深海の景色に似ている。
きっと、宇宙はどこにでもあって、太陽と月と地球もその数だけあるんだ。

試しに宙返りをしてみる。
もしかしたらそれにビックリした世界が丸ごとひっくり返ってしまうんじゃないかって。

……そんなこともなくてちょっとガッカリした。
世界って、なんでこんなに暗いんだろう。
世界中の光が負けてしまっている。
多分、全部集めてポニーテールみたいに一つに束ねても、白髪の様にその光の中には翳りがあるのだろう。

けど。そんなことでも無駄ではないのかもしれない。
人がみな美しく、気高く、誇りあることを分かち合えますように。
天の川へ、当たり前の、お願い。一年一度の逢瀬の前に。
862創る名無しに見る名無し:2012/07/10(火) 22:03:22.67 ID:ZHLYNNqr
読む読む言ってて中々読めてなかったでござる
皆投下乙です
>>839
何と言うカオス、なんという一発乗りw
何気に最初の描写が色々と危ういようなw
こんなノリなのに最後がブラックで意表を疲れた、うむブラック

>>843
七夕ネタらしくほっこりとした作品でした
はしゃいでる子供達の様子が目に浮かぶ様で和みますw
こういう七夕を過ごしてみたいな……


残り作品はまた後ほど
863タイトル「お願い☆七夕様」:2012/07/12(木) 02:19:11.87 ID:mCPm/igo
指を詰めて、そこで思い止まった。
果たして、エンコくらいでカタがつく話か?
無理だな。

俺は逃げることに決めた。
詰めた指を焼酎のコップに落として、冷蔵庫に叩き込む。
冷蔵庫のドアにメモ書き。
「落とし前、こいつでどうか御許しください」
そんなことを書く。
もう、わけがわからん。

俺はマンションを飛び出し、車に乗り込む。後部座席にはポニーテールの女性が一人。
親分の娘さんで、今は首についた指の形の痣が原因で息をしていない。
ようするに俺が殺しちゃったんだが。
あまり経験のあるヤツァいないだろうが、死んだ女を車に積んどくのはなんとも気味が悪い。
車を飛ばして海岸にいき、サックリと砂をほっかえす。
肉みたいにだらんとした女の死体を穴に放り込む。
あんなに揉みたかった乳が、挿したかった穴が、なんとも気味の悪い塊になっちまったもんだ。
人間は死んだら終わりだな。
そんなことを思いながら、女のパーツで一番魅力的だったポニーテールに、するりと指を通す。
良い手触りだった。
匂いを嗅ぐ。
良い匂いがした。
不覚にも、何かが反応した。ナニかが。

俺は辺りを見回す。
誰かが居るなんてはずがない。
埋める場所を探すために、川原で花火大会をやっていることを確認してして、海が一番閑散とした時間を選んだのだ。
俺は車にとって返し、刃物を探した。
あるじゃないか、さっき指を詰めたドスが。
砂浜に半分沈めた女を引きずり出し、その黒髪を、じゃぎり、ぞり、ぞりぞり。
馬の尾を手にして。
俺は、「これが欲しかった」のだと気がついた。




香港へ向かう飛行機のなか、俺はポケットから黒い糸の束を取りだし、ゆっくりと嗅ぐ。
指と日本での暮らし。
代価に得たのは良い匂いのする女の髪。
なぁんだ、安いものじゃないか。
親父がおふくろと別れたとき、おふくろはこんな髪形をしていたっけ。
おりゃ、マザコンだったのか。

「ふふふ」

俺は黒い糸の束に頬を寄せ、ひたすらに香りを嗅いだ。
今までの苦労が、拾うところのないクズみたいな人生が、全部一辺に報われた気がした。
日本では過ぎた七夕が、アジア圏では別の日取りで祝われるときく。
アジアの七夕に願おう。


沢山の黒髪に出会えますように、って。



終わり
864創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 15:25:19.31 ID:eWFF6S0E
865創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 21:12:23.74 ID:uOjYyUfm
>>863
何者だろうが、人の子かあ。
>>864
こんなところでお会いするとは。
おんにゃのことマシンの組み合わせは正義や!
866創る名無しに見る名無し:2012/07/15(日) 22:09:58.02 ID:OsML1eRK
どしどし投下が来てるようで、必ず感想を書きますゆえ。書きますゆえ……
867創る名無しに見る名無し:2012/07/16(月) 19:05:46.87 ID:akNHQdlY
aaa
868 ◆8wF3RAxbLo :2012/07/16(月) 23:04:32.67 ID:ckIAvX+b
今書いてますが、長くなってしまいそうです。
できるだけ短くします。
869創る名無しに見る名無し:2012/07/17(火) 03:32:11.83 ID:t+ZYbrnt
あと4日しかないを
870 ◆8wF3RAxbLo :2012/07/19(木) 23:58:35.95 ID:l3P+MqnZ
テーマは「海」でよろしくお願いします。
871 ◆8wF3RAxbLo :2012/07/20(金) 00:00:09.43 ID:4SScLFUD
潜水倶楽部

第1章 入部

鈴木健は大学1年生。
住む部屋を決め、田舎の友人に別れを告げ、
憧れていたキャンパスライフを開始した。
サークルは何に入ろうかと考えたが、なかなか決まらない。
入学式の日、大学構内をうろうろしていると
いろいろなサークルの面々が大きな声を上げて
新入生を呼び込んだりビラ配りしたりしている。
サッカー、野球、テニス。
ありきたりなのには入りたくない。鈴木健はそう思っていた。
だから、そこの君、と呼び止められても立ち止まらなかったし
目の前に出されたビラも基本的に受け取ろうとしなかった。
一つのサークルが目に留まった。
数人のサークルメンバーが大きな看板を高くかざして、声を上げていた。
「潜水…倶楽部?」
看板には潜水倶楽部と大きな字で書かれていた。
白地に水色の字だった。
字の色は水をイメージしたのだろうが少し読みにくい。
最初は、広告を作るセンスがない奴らだと思ったが、その読み取りにくさゆえ
新入生はじっくりとその看板を見てしまうので、そういう意味では
彼らはよく考えてあの看板を作ったのかもしれなかった。
大学構内の自販機で買ったウーロン茶を飲みながら
そのサークルの動向をベンチに座って遠目に見ていた。
最初は、その名前から水泳同好会とかそういう類いのサークルだと
直感したが、彼らの体つきを見るとそうでもないようだった。
むしろ彼らは文科系サークルのように見えた。
一体何をするのか。水に潜るというからにはそれなりに体力がいりそうなものだが。
「さっきからずっと見てる」
一人の女性が鈴木健の隣に座り、突然声をかけてきた。
「あ、あのサークルが気になって…」
鈴木健は動揺した。
高校時代ろくに女子と話をしたことがなかった。
それが突然華やかに着飾った素敵な女子大生に至近距離で
話しかけられたものだから思わず声が裏返りそうになった。
「新入生?あのサークル気になるの?」
「うん。何のサークルなのかなって…」
「あたしあのサークルのメンバーなんだよ。来なよ。みんな良い人たちだから」
手を引かれ、鈴木健は立ち上がり、看板を掲げるメンバーの方へ近付いていく。
女性は振り返って言った。辺りではサークルの新メンバー獲得のための騒がしいやりとりが
続く中、彼女の声はその音質に何の欠損も持たず、ほとんど直接鈴木の耳に入ってきた。
「あたしは林由美っていうんだ。3年生だよ。よろしく」
「俺は鈴木健って言います。よ…よろしくお願いします」
「あははははっ。やだなあ、鈴木君カタいよ。気楽に気楽に。そんなゆるいサークルだから」
サークルのリーダーにあいさつをして、鈴木健はその日からサークルの一員となった。
872 ◆8wF3RAxbLo :2012/07/20(金) 00:01:17.46 ID:4SScLFUD
第2章 新歓コンパ

朝早く1通のメールが入っていた。
その日は、時間割の組み方等についてオリエンテーションが行われる日だった。
朝ご飯は何も用意していなかった。
適当にリンゴ2、3個かじってアパートの部屋を出た。
メールの内容は次のようなものだった。
「キャンパス近くの居酒屋○○屋で新歓コンパやります。
ぜひ来てください」
潜水倶楽部の副部長からだった。
まだサークルの活動内容は具体的に知らされていなかった。
鈴木が知っていたのは「楽しい」とか「ゆるい」とか
活動についてのメンバー個人の抽象的な感想だけだった。
実体のないサークルかもしれないと思った。
名前ばかりのサークルで、学校からの援助金
(そういった制度があるのか鈴木はよく知らなかったが)をもらい、
仲の良い者だけで適当に飲食を楽しむだけの幽霊サークルかもしれないと考えた。
あるいは、怪しいマインドコントロール系のサークルかもしれないと思った。
何らかの形でサークルのメンバーを洗脳し、高価な壺とか買わせるのだ。
世間の事情をよく知らない男子学生を美しい女性が勧誘するなどして…。
新歓コンパで十分に見極める必要があると鈴木は考えた。
教授の退屈な説明が終わり、学内をうろうろしていると、声がかかった。
「鈴木君!」
見ると潜水倶楽部の部長と副部長だった。
どちらも残念ながら美女ではない。というか女性ではない。残念ながら。
部長はやせている。眼鏡をかけていてやせている。
副部長も眼鏡をかけている。そして少し太っている。
「何か予定あんの?」
部長が聞いてきた。
「いえ…特にないです」
「ボウリング行こうぜ」
副部長が提案した。
「ええ、でも僕…」
鈴木は少し表情を曇らせて応じた。
「何?やったことないって?」
副部長が聞いた。
「いえ、ガーターが多いのでちょっと」
鈴木が言うと、
「ガーター、ガーター心配ガーター!」
突然、大声で部長が言った。
通りすがりの学生数人が目を見開いて振り返った。辺りは静かになった。
鈴木は彼が何を意味してそのような発言をしたのか理解できなかったが
副部長は笑い転げんばかりに受けていた。
「あー何してんの?3人とも!」
後ろから心地よい声がして、鈴木が振り返ると
そこにはやはり林由美がいた。
彼女はその日も美しかった。そして素敵な匂いがした。
「ボウリング行こうと思ってたんだよ」
「あたしも行く!」
「オッケーじゃあ3人で行こうぜ」
「あれ?鈴木君は行かないの?」
「いや、行くよ」
「ふざけんなよてめー!」
「まあいいじゃんいいじゃん。多い方が楽しめるって」
そんなやりとりを経て4人はボウリング場へ行った。
実力は均衡していた。誰が上手いということもなく、
100〜120のスコアで4人は激戦を繰り広げた。
1ゲーム、2ゲーム、3ゲーム、4ゲーム…
あっと言う間に消化した。いや、あっと言う間に感じたのだ。
873 ◆8wF3RAxbLo :2012/07/20(金) 00:03:39.96 ID:4SScLFUD
「ストライクだ!」
鈴木が興奮状態で林由美との何度目かの
ハイタッチをしようとしたときだった。
「あ、やべーわ、新歓コンパの時間過ぎてたわ」
部長が言った。
「マジで?今何時?」
副部長が聞いた。
「8時だ」
部長が腕時計を見て言った。
「何時からの予定でしたっけ?」
鈴木が聞いた。
「6時だな」
副部長が携帯電話を見ながら言った。そして、
「あ、やっべー、着信めっちゃきてる。メールも全部シカトしてたわ」
「延期ってことでいいんじゃない?他の部員とか新入生にはメール一本流しときなよ」
林由美が言った。
「そうだな」
副部長はかちかちと携帯電話を操作してメールを送信し終えると
一件落着と言わんばかりにパチンと大きな音を立てて携帯電話を折り畳んだ。
「いいんですか?こんなんで」
「いいんだよ」
部長と副部長が同時に言った。
「うちはゆるいサークルだから」
林由美はあきらめの極地のような笑みを浮かべて言った。
いいのだろうかこんなので。鈴木は思った。
「せっかくだし、飲みにいこうよ。新歓コンパの代わりってやつ?
みんな財布にはそれなりにゲンナマ入れて来たんでしょ?」
林が提案した。
「まあな。行くか、じゃあ」
部長が言った。
4人で近くの居酒屋で酒を飲んだ。
鈴木にとっては、生まれて初めての酒だった。
自分が酒をどれほど飲めるのかも分からない状態で飲んだ酒。
ビールは苦かったし焼酎はめまいがするほどきつかった。
でも楽しかった。こんなに楽しい日は今まで人生で数回しか
味わったことがないようだった。
874 ◆8wF3RAxbLo :2012/07/20(金) 00:04:57.36 ID:4SScLFUD

第3章 活動案内

新歓コンパは延期ではなく中止になった。
ボウリングの帰りに酒を飲んでいたとき副部長が言い出した。
もうこれを新歓コンパにしてしまおう、と。
うん、うん、と部長と林由美が同調している合間に
彼は部員全員に新歓コンパの中止を告知するメールを送ってしまっていた。

翌日、目が覚めると鈴木健は自室のベッドで寝ていた。
何がどうなって、この状態に行き着いたのか
はっきりと覚えていない。だが、帰れたのでよしとした。
何となく携帯電話を見ると、副部長からメールが入っていた。
「今年度、第1回目の活動をします。参加する人はメールください」
とのことだった。どんな活動をするかも分からないのに
メールくださいも何もないだろうと思ったが、
参加すると返信した。とりあえず行ってみる
そんなチャレンジ精神を今ここで持つことができず
この先どうするんだという気持ちが彼を追い立てた。
1分も待たずにメールが返って来た。
受信したメールを開封する前に着信があった。
林由美からだった。昨日の夜連絡先を交換していたことを
おぼろげながら思い出した。胸の奥から幸福感が湧いてきた。
「はい、鈴木です」
「おはよー、昨日は結構飲んでたね。大丈夫?」
「はい…まあ、少し気持ち悪いかな」
「ところで、参加するんだ。活動に」
「はい。どんなことするのかなって思って、気になって」
鈴木は思いどおりに話せない自分がもどかしかった。
「わかった、あたしも行くよ」
「…で、何するんですかね?それだけ気になって」
「行ってからのお楽しみってやつだから」
「行ってから…いつ、どこへ行けばいいんだろう?」
「メール届いてたでしょ。それ見てみて」
「ああ、はい、そうなんですね」
電話は切れた。もう少し雑談でもして楽しみたいと思ったが
活動するときどうせまた会えると思い、考えないことにした。
メールの中身を確認した。
次の日曜日の朝早くに学校からそれほど遠くない場所にある
港に来いということだった。
875 ◆8wF3RAxbLo :2012/07/20(金) 00:05:35.24 ID:4SScLFUD
第4章 潜水活動

約束の時間、約束の場所に鈴木はいた。
海をぼんやりと眺めていた。
風の音が心地よかった。
「鈴木君、こっち」
20メートルほど離れた場所に林がいた。
付いていくと、長身でひげ面の男が立っていた。
今まで見たことのない部員だった。
「こちら、スペシャル顧問の池田さん」
「どうも…」
ゆっくりと、少し頭を下げて鈴木に挨拶した。
「よろしくお願いします」
この池田という男はどんな人物なのか。危険なのか穏やかなのか
それとも双方の性質を併せ持っているのか。外見からでは
分からなかった。
「さあ乗って」
案内されたのは巨大な潜水艇だった。
「これに…乗るんですか?」
「そうそう、これでね、潜るの。それが私たちの活動」
「部長も副部長もいないですね」
「あの人たちは来ないよ。潜るの好きじゃないみたい」
「潜水倶楽部なのに潜水が嫌い…」
「変でしょう。でもそれが許されちゃうのがこの部のいいところかもね」
「ますます分からなくなりましたよ。この部のことが」
「私も分からない。なんで君がこの部に入ったのかもよく分からない」
「考え出すと、分からないことだらけだ」
「そうだよね、あははは」
「いいから早く乗ってくれないか」
池田が言った。いきなりの怒り口調に驚いて
林も鈴木も口をつぐんでしまった。
「エンジン…かけるよ」
池田が言うと、潜水艇は動き出した。
沖へ沖へと向かっていく。小声で林が鈴木に話し始めた。
「池田さんいい人だから。悪い人ではないんだ。
だから休日のこんな時間に潜水艇に乗せてくれる訳だし」
「今日は林さんと僕だけなのかな。参加者は」
「そうだよ。参加者ゼロのときもある」
「そういうときは活動中止?」
「うん。でもね、池田さんは潜る」
「一人でこの潜水艇に乗るんだね」
「そう」
「潜って何するんだろう?」
「何もしないよ。潜るだけ」
「退屈じゃない?」
「楽しめるかどうかは自分次第」
876 ◆8wF3RAxbLo :2012/07/20(金) 00:06:06.99 ID:4SScLFUD
「そろそろ潜るから」
池田がぼそりと言うと潜水艇は潜りだした。
深い海の底へ。沈んでいく感覚が確かにあった。
息が詰まる。日常の地上から離れていく。
常識が非常識に、現実が虚構になってしまうような気さえした。
「大丈夫?」
「う…うん」
林が心配して声を掛けた。
潜水艇は海底にたどりついた。
水深何メートルなのだろう。鈴木には想像する余裕もない。
生身では到底来ることができない場所にいるというのは確かだった。
「ほらほら、見てよ」
林が小窓を覗いて言った。
不思議な風景が広がっていた。
もう戻ることができないほど遠い場所へ来たような気がしたが、
潜水艇のライトが照らす先に広がる風景は
案外身近に感じられるものだった。
まるでどこかの砂漠のようだった。
「池田さんってね、大学10年生なんだよ」
林のその一言を発端に海底でくだらない冗談の応酬が始まった。
「いやいや、試験なんてあってないようなもんだったから!」
池田は話に一度火がつくと止まらなくなる性格のようだった。
このような深海で自分は何をやっているのだろうと
一瞬冷静に考えかけたが、そのときを楽しむことにした。
「あ、ほら、見て」
小窓を指差して林が言った。
「何?」
「またいるよ」
「いる?何が?」
「あれ」
鈴木は林が指差す方を見た。
そこには明らかに人工的な構造をもつ物体があった。潜水艇だった。
「あかん!見たらあかん!」
突然、大声で池田が言った。
「何か別の潜水艇があるんですよ、何なんですかあれ…」
「見たらあかん!」
池田は玉のような汗を額にいくつも浮かべて声を張り上げた。
林は何も言わず不満そうな顔で潜水艇の床をただじっと見ていた。
「今日はこれで終わりだ。胸くそ悪い…」
ぼそりと池田は言って、潜水艇を浮上させた。
浮上してからも、池田と林はずっと不機嫌で、
どうすればいいのか鈴木は分からないまま、
その日は別れの挨拶をすることもなく現地解散となった。
877創る名無しに見る名無し:2012/07/21(土) 11:53:49.88 ID:oGn8nHDj
ん?終わり?
続きが…

皆さん、今月もありがとうございました!
878創る名無しに見る名無し:2012/07/21(土) 13:48:14.56 ID:mX7dy/J0
何でもいいから創作のアイデアをツイートしてくれ!

一行アイデアの殿堂「アイデア・ツイーティ」
http://space.geocities.jp/cornorposts/ideaTweetyStart.html

@ideaTweety

↑へリプライツイートしてくれたら、届くから!
879創る名無しに見る名無し:2012/07/22(日) 23:08:46.34 ID:IkVbefgf
みなさんおつかれさでした
880創る名無しに見る名無し:2012/07/25(水) 05:43:10.63 ID:DKc+eI0A
そろそろお題でも決めましょうか。
「真夏」
「怪談」
「夏休み」
「8月」
881創る名無しに見る名無し:2012/07/26(木) 23:24:48.10 ID:o+6Vl2xw
大会スレからの退会
882創る名無しに見る名無し:2012/07/29(日) 09:01:55.40 ID:ixX0ZeH6
>>861
『世界って、なんでこんなに暗いんだろう。 世界中の光が負けてしまっている』って、セリフがなんかずきりと刺さる。
883創る名無しに見る名無し:2012/07/31(火) 21:43:18.74 ID:HeEZWUeX
もうみんな飽きた?大体いつも夏ぐらいになると閑散とすんだよな。
ソウハツミンは意外と夏充。
884創る名無しに見る名無し:2012/07/31(火) 22:09:19.06 ID:w/a14pWI
飽きるなんてとんでもない。
お題カモン!作品カモン!
885創る名無しに見る名無し:2012/07/31(火) 22:48:21.96 ID:5LpPLRch
お題上に出てね?
886創る名無しに見る名無し:2012/08/01(水) 10:11:18.87 ID:g6yaT3gM
いま書いてるとちゅー
887創る名無しに見る名無し:2012/08/05(日) 11:32:38.84 ID:pHo9FqjB
夏だったらしい。
向日葵が弁慶みたい立ち尽くして果て、朝顔が絡んだ縄みたいに乾燥する、夏だったらしい。
木々が送電線みたいに叫んで、でもそれは樹の声じゃなくてセミの恋歌で、夏だったらしい。
夏が、確かに存在したらしい。



雪が降っている。
ガスマスクと一体型の防護服を着こんだ人が、積もった雪に線量計をかざす。
針が振れて線量を示す。
人体に影響を及ぼす線量か?誰も知らない。浴びたことの無い人は、もはやほとんどいないのだから。

「夏は、暑かったんだよ」

おじいさんは、孫に夏の思い出を語った。
癌に侵されたおじいさんは、腹水が溜まってはち切れそうな腹を揺らして、しんどそうに夏を語った。

「暑くて暑くて、本当に嫌いな季節だったな」

夏を嫌うおじいさんは、そう長くない内に亡くなった。
夏を語るものが、その家から消えた。

夏を語り死んだおじいさんの孫は、夏を見たことがなかった。
夏なんて、もう無いんだから、どうでもいいや。
そうやって忘れていた。忘れることにしていた。

ある日、夏を忘れた少年が、夏を忘れた高校生になったころ、夏を飼っている女の子に出会った。
生徒の被爆を減らすため、全地下施設になった学校でのことだ。

「きみ、夏を飼ってるの」
「ええ」
「へぇ…」
「興味がおありかな」
「うん、あるね」

夏を飼う少女は、親が研究者だとかで、自宅に夏を飼う施設を設けているのだった。
季節を飼う?どういうことだろう。
全人類が住む地下世界に縦横無尽に敷設されているリニア幹線に乗り、少年は夏を飼う少女に導かれ、彼女の家へ行き夏への扉を開けた。
扉のむこうには、夏が広がっていた。
咲き誇る向日葵が、蔓をまく朝顔が、喚きたてる蝉が、酸っぱいような枯れたような、夏の土のにおいが、部屋中に溢れていた。
温室に大量の暖房設備を導入し、冬に閉ざされた世界に、夏を飼っているのだという。

「わたし、線量義士を目指してるの」
「へぇ…僕のじいちゃんも線量義士だったよ。地域観測官」
「知ってたわ。だから家まで呼んだのだもの」
888創る名無しに見る名無し:2012/08/05(日) 11:34:58.66 ID:pHo9FqjB

彼女は線量義士になり、赤道上に残っていると言われている、本物の夏を見に行きたいのだという。

「でも、女性は義士になれないはずだろ」
「いいわよ、わたしは気にしない。子宮を切り取って胸でも削げば女性だなんて誰も思わないわ」

「はは、すごいなキミ。僕も義士を目指してるけど、胸を生やして性器切り取れって言われたら考える」
「覚悟が足りないんじゃない。あなたはどうして義士になりたいの」
「僕は…じいちゃんみたいに、なりたいかな。仕事して、仕事しながら、前のめりに死にたい」

夏を飼う少女は、少年を、ジッと見た。

「覚悟のある目じゃないわ、夢を見てる目。考え直したほうがいいわね。さぁ、もう両親が帰ってくるわ、今度は夏の話、聞かせてね」

少年は家路についた。
暖かく調整されている地下住居施設までの道が、やけに寒く感じた。
地表には今も、寒々とした雪が降っているはずだ。
夏は、もはや、彼女の家くらいにしか、もしくは赤道上くらいにしか、残っていない。



宇宙軌道配置型原子炉建造計画、プロメテウス計画。
一度は頓挫したその計画が、とある地震災害を機に再始動し、人々は二つ目の太陽を産み、空に浮かべた。
太陽は上手く機能した。
様々な人が新たな太陽を欲した。
太陽は、みっつにもよっつにも増えた。
ある日、太陽になるはずだったひとつが、花火になった。
花火になった太陽の欠片が、別の太陽まで花火に変えた。
地球上から、安全な屋外が消え去った。
大気から降り注ぐ放射性物質を沈澱させるために、科学者達は地球のあらゆる活火山を噴火させた。
雨を降らすため雪を降らすため毒を洗うため。
人工的に氷河期を呼び、核物質を大気から除く試みだった。
季節が、地球から消え去った。


八月の日本国内は第二冬期にあたり、比較的暖かく気温は零下五度もあった。
第二旧暦では春夏秋冬の夏という時期で、『夏滴る』と呼ばれるほど温暖で湿潤だったそうだ。
暦が冬々々々に変わって早六十年。夏を知る人は年々減っていっていた。

「夏はどんなものなの」

暑かったよ。プロメテウスが翔ぶ前なんか、温暖化って呼ばれて、都会では40度近い気温がザラだったさ。

少年はなんとなく、祖父との会話を思い出した。
889 ◆4c4pP9RpKE :2012/08/05(日) 11:36:37.72 ID:pHo9FqjB
おわり
890創る名無しに見る名無し:2012/08/05(日) 19:19:45.53 ID:S5a+Upia
人は神になれない。それでも、生きろ

乙です。
891夏休みに24時間どころでは済まない募金活動をする話:2012/08/12(日) 19:15:38.02 ID:tQ/lCK0e
想い人に声を掛けられた。
夏季補習の閑散とした教室に残っていた、ただそれだけの時間が、想い人と僕のランデブーポイントとなった。

「きみ、なんで補習うけてんの。頭良いんでしょ」
「ん、いや、これはその、ヒマだから」

黒髪をポニーテールにまとめた少女が、午後の日を浴びながら僕に話し掛ける。

「ヒマなんだ。ヒマで学校来てんだ」
「うん、そう」
「実は私も、補習受けなくても良い点、採れてんだ。でも、出席がたりねーんだ」

知ってる、いつも貴女が来ないかな、って学校来てんだもん。
なんて言えるわけもなく、黙って聞く。

「学校で先生の話しきいてじっと座ってっと、良いのかなって思っちゃうんだ。
将来ってずっと遠くにある気がしてさ、そこまで歩いていくにしろ走っていくにしろ、座ってるだけで辿り着ける場所ではないんじゃねーかって。
で、座っててもやってくる未来なんて、誰かが散々コース取りし終わったあとに残った、あまりもんなんじゃねーかなって思っちゃうんだ」
「……座って勉強するのも、コース取りの努力のひとつじゃないのかな」

「そのコースの先に何がある?学者?先生?コームイン?インテリ奥様?おもしろくなさそう。この後予定ある?」
「別にないけど。ヒマだし」
「じゃあ募金活動しない?いや、しろ。大切な夏をヒマだなんて言って浪費する奴に募金活動を拒む権利はない」
「な、なんだよ募金て。箱もってタチンボなんてヤダよ」
「いや、募金してもらう」
「い、いくら?」
「残りの夏。全部」
「……は?」

僕は二日後、発展途上国に到着していた。

「青年海外協力隊って知ってるだろ?きみは欠員補充枠に見事滑り込んだわけ!わーぱちぱちぱち!はいじゃあスコップ持って!」
「な、なにをすれば良いの?」

彼女は黒々と渇いた発展途上国の大地をニッコリ微笑んで指さした。

「ディギンインザストリート。これから皆さんには井戸を堀ってもらいます」
「い、井戸堀だって?」
「そ。机に向かって百年前に完成した知識なんか掘り返してるより、よっぽど大切なこと」


夏休みの後半二週間をまるごと『募金』して僕の人生は大きくレールを外れてしまった。
休み明けのテストは散々だったのに英語だけは必要に駈られて利用しただけあって高得点で理系か文系か迷っていた進学先が文系に決定した。

「やぁ、今度は冬休みにやろう。『募金』」
「…僕はあなたの行動が受験生のものとはどうしても信じられない。僕は推薦もらったけど、あなたは入試間近なんだが」
「いーのいーの。落ちないし。きみに合わせて選んだ大学だし」

募金はいいものだ。黒髪の彼女が出来た。



終わり
892偏差値40の夏休み:2012/08/14(火) 00:29:12.12 ID:AV8527Ud
男子高校生が夏休みの校舎で漫画を読んでいる。
銀の匙。
荒川弘の描く農業高校漫画だ。
高校生は読み終わった漫画を、ポーンと投げ出す。
教室の後ろに設置された背の低いロッカー上に、ばさり。
高校生は、ぐいっと薄緑色の"作業服"の袖を捲る。上下とも作業服だ。
もう一人、上着だけ作業服の高校生に話しかける


「なぁ、俺らにもそろそろブームきても良くね」
「ミリだしょ。地味やもん、俺らのやっとること」
「はぁー?お前のは地味やけど、俺の割りとデカイ機械使うんやぞ。アスコーマーチみたいなのをもっと機械科にクローズアップしてやな」
「ダッラおめー、わかってねぇな!ガスクロの機械超デケェんやぞ?見てこいや化学科の機器分析室」

そう、彼らは工業高校生。
学ラン放り、作業服を身に纏う技術者の、職人の卵達。

「ガスクロなんか使わんやろお前らの競技。尿漏れみたいなガラス管こちょこちょやっとるだけやがい」
「っさい。あいつにはビュレットっていう名前があんがや」
「その点、俺のは旋盤つこがい?多少は派手で、見た目にも楽しいはずなんにな。誰か漫画化してくれんかな。デザイン科に頼むか」
「無理やって。あいつらもデッサン課題出とるし。D科のツレ必死こいとったもん」
「あのブッサイクな娘か」
「お前今酷いこと言ったぞ。後で薬品庫来い。焼き入れるわ、硝酸銅で真っ黒にする」
「上等や、機械室来い。アーク溶接すっぞ」
「まてっ!火力が強すぎるやろ!硝酸銅ではアークに敵うはずないがい!」
「どうでもいいけどそろそろマジで実習室行かんけ。桜井先生キレるとやばいやろ」
「あー、そうやな。行くか」

工業高校は馬鹿でクズの集まりで熱意の欠片も無いところだと思われている。
実際そんな面もあるが、熱い面も、少なからずあったりする。

「技能五輪、本番近いな。頑張れよ薬物中毒」
「薬品やダラ。お前もしっかりやれや、鉄屑まみれ」
「私立工(しりこう)にだけは負けんぞ」
「そうやな。県工(けんこう)魂見せてもろわんなんな」

拳骨合わせて、二人はそれぞれの実習室へ向かう。
工業の夏は(意外にも)熱い。

終わり
893わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/08/17(金) 00:09:25.70 ID:TUKd9A3k
びたーな「真夏」のお話、投下します。
894早紀姐さん。 ◆TC02kfS2Q2 :2012/08/17(金) 00:09:56.13 ID:TUKd9A3k

 いつもの人が来た。亨のバイト先の居酒屋には毎週同じ時間決まっていつもの人が来る。

 若いスーツ姿の男女を三、四人引き連れていつもの決まった席で、ささやかな飲み会を仕切る若い女性。竹を割ったような明るさに、
誰もみな慕ってついて来たんだろう。まだ大学生である亨にも、何となく社会の仕組みが見えてきたような、そんな一団だった。
 亨がつき出しを席に運ぶと、否や「生三、烏龍茶一。串盛り四人前、シーザーサラダでよろしく!」とメニューを片付けながら
彼女は注文をしてきた。若い男子がおてふきを破りながら「早紀姐さん、毎度ながら仕事早いっすね」と笑っていた。

 この夏を消費する思いで亨はオーダーを持ち帰りながら、背後から聞こえる早紀姐さんの声に一人励まされているつもりだった。

 早紀姐さんはみんなの輪の中心だった。愛嬌のある笑顔に下品に成りすぎない突っ込み、そして思わず会話に加わりたくなるような
ネタ振り。早紀姐さんの周りにはいつも人が集まっているように見える。店員の立場ながら亨は早紀姐さんのことを気にしていた。
 早紀姐さんの席の生ビールは亨の後輩である美里が運んだ。亨より年上でどこか冷めたところのある後輩だ。なので厨房奥では
あまり美里の周りには人が集まらない。ただ確実に仕事をこなすので、店員の誰もがつかず離れずの距離を置いていた。

 重いジョッキを運んだ後なので手が痺れたと厨房奥に隠れて一休みしながら美里は亨にぼやいた。

 「あの人、結婚出来ないよね。多分」

 暖簾の隙間から美里は冷めた目で一団を覗いていた。
 亨はまるで自分自身のことを突付かれたかのような反射で美里に食いかかった。

 「……あんま、そういうことは」
 「やっかみと思うなら、それで結構よ。わたしはそんな女だから」

 美里は痺れた手の平を親指で抑えてマッサージしながら亨に話を続ける。合間合間に幸せ逃げるため息。

 「『仕事が出来て結婚出来ない』か『仕事が出来なくて結婚出来る』の二択。両方なんかとれっこないね」

 亨よりたくさんの人間を見てきただけあって、夢見る男子には美里の言葉が重い。

 早紀姐さんがオフィスで颯爽と歩くと、誰もみなキーボードを叩く手を止める。
 早紀姐さんがデスクに座ると、誰もみな気を引き締める。
 早紀姐さんが会議を仕切ると、誰もみな活気づく。

 そして、就業時間が過ぎると誰もみな早紀姐さんについて行く。
 一団の中にはおろしたてのスーツに身を包んだ亨の姿。
 亨の自分勝手な幻想ははた迷惑な妄想に成り下がった。

 「ほら、とーる先輩。お客さんが手を挙げて呼んでますよ」

 自分がスーツではなくTシャツにエプロン付けたバンダナ姿だったことで亨は我に返った。

 乾杯を上げる声が店内を賑やかす。チンと鳴るジョッキがまるで縁側の風鈴に嫉妬して張り切っているようにも聞こえる。
 ささやかな暑気払いと意気込んだ、ビールジョッキ片手の早紀姐さんは真夏を跳ね飛ばす。そして彼女の遠慮ない呑みっぷりに
亨は自分の仕事を忘れかけて、背中を美里に突付かれた。
895早紀姐さん。 ◆TC02kfS2Q2 :2012/08/17(金) 00:10:26.96 ID:TUKd9A3k
 オーダーを受けに行くと早紀姐さんの席は綺麗に皿が重なり片付いていた。
 「片付け上手は仕事上手」。以前に聞いた美里の言葉がふと亨の手を止めた。

 夏の盛りも衰えないある日、早紀姐さんは若い男女を引き連れて亨の店にやって来た。ただ、引き連れてと言うよりも若い男女に
連れられてと言うべきか。それでも早紀姐さんはいつものようにあっけらかんとして、てきぱきと宴を仕切っていたが、ずっと彼女を
一人の客として見続けている亨が感じるには、随分とやけっぱちな振る舞いに見えて仕方がなかった。

 「すいません!とりあえず生三、烏龍茶一。串盛り四人前シーザーサラダでよろしく!」

 オーダーを間違えないようにメモを取っていると、亨の耳の扉に早紀姐さんの声がノックする。
 気が散らないように閉じたはずなのに、かえってノックの音が邪魔をする。
 早紀姐さんはふっと糸が切れたように愚痴愚痴愚痴とこぼしだした。

 「男がなんだよぉ。ただ、年度の上半期終わるまで会えないってだけなのに、他の女作るなー」

 大人には大人の事情があるのかと、遠い将来に恐怖し、近い将来に希望を見た亨は厨房に戻り、こっそりと早紀姐さんの様子を
美里に伝えた。美里は表情を変えずに洗い物の手を止めて、亨には背中を向けて淡々と返事を返した。

 「ね、言った通りでしょ。ああいう女は男運ないって」
 「美里さん!」
 「分かってますって。女の子は女の子の嫌な所しか見ないし、認めないし」

 一瞬、美里と亨の間に沈黙の空気が流れたが美里が置いた皿の音が時間の針を動かした。
 亨が飲み物を早紀姐さんのテーブルに運んだとき、早紀姐さんは若い男子をデコピンしていた。飲んでもないのに、
既に出来上がっているように見えた。

 亨が再び厨房に戻ると、美里の飼い犬のように側に現れて、ぼそりとこぼした。
 相変わらず美里の周りには亨以外の人は居なかった。その分、亨は遠慮なく無駄口を叩くことができる。内容はどうにせよ。

 「ということは……。ぼくにもチャンスがありますよね」
 
 ほれ。この程度だ。
 美里は表情を変えることなく亨の話の続きを待った。

 「フリーですよ、あの人」
 「は?ばかじゃないの?さ、さ。仕事仕事!」

 早紀姐さんのジョッキはいつもの夏を吹き飛ばす為ではなく、苦い思い出を癒す為にチンと音を立てていた。


    おしまい。
896わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/08/17(金) 00:11:00.94 ID:TUKd9A3k
投下おわりです。
897創る名無しに見る名無し:2012/08/20(月) 13:25:17.84 ID:nzhzKrOS
898創る名無しに見る名無し:2012/08/22(水) 02:50:13.10 ID:+o99IXHw
わんこさんの書く社会人哀愁あるあるは重みがあるなぁ。ホントに居そうこういうひと。


さぁーて9月のお題カモンぬ!
『9』
『九月』
『台風』
とりあえずこのへんか?!足したかったら足してちょ
899創る名無しに見る名無し:2012/08/22(水) 02:51:22.23 ID:IHb3Povo
つかそろそろ容量がいっぱいですな
900創る名無しに見る名無し:2012/08/27(月) 23:47:29.60 ID:7/2Maax1
滑り込みになるのかならないのか、投下します
ネタは怪談で
901創る名無しに見る名無し:2012/08/27(月) 23:48:00.05 ID:7/2Maax1
こんな真夏の暑い日は怪談話でもして涼まないか? と友人の森田から電話が掛かって来た。
どうやら俺を含めた数人を家に招いて、怪談大会だのなんだので騒ぎたいらしい。最初は正直面倒臭いなと思った。
しかし大学は夏休みだし、バイトもやってないからどうせ暇だろ? と図星を突かれてしまった為、行かざるおえない。
まぁ、どうせ夜になってもある程度暑さは続いているだろうし、時間だけは有り余ってるから行ってやろうと考えなおす。

森田に指定された時間帯は夕方六時ごろ。築何年か分からないボロアパートの軋む階段をよっこらせと一歩づつ昇っていく。
少しだけ廊下を歩き、あいつが待っている部屋のドアノブを握る。緩々としていて今にも落ちそうなドアノブを回す。
ドアは開いていて、奥の四畳半から森田がおー待ってたぞと気さくに声を掛けてきた。森田の周囲には、既に先客がいる。
大学でいつも一緒にいるお馴染みの面子だ。新鮮味もなにも無い。お前らも暇だな。

靴を脱いでお世辞にも綺麗とは言えない玄関から廊下を抜けて居間へと着く。

「遅かったな。どこで道草食ってたんだ」

よっこいしょと座って胡坐を掻いた俺に、森田が興味深々といった表情で尋ねてきた。
俺は頭をポリポリ掻きながら誤魔化す事も無く淡々と答える。

「何となく遅れただけだ。別に理由はねえよ」
「そうか。まぁ良いや。ちゃんと怖い話持って来てんだろうな?」

正直そんなの持ってきてない。精々時間が潰せたら良いな程度で来たからな。
ま、もし俺の番が回ってきたらよくある都市伝説なり幽霊話なり適当に取り繕えば良いか。
特に深く考える事無く、俺は適当な相槌を打ちつつ答える。

「あぁ。それなりのを」
「それなりにか。楽しみにしてるぜ。じゃあ最初誰が話す?」

森田がそう言いながら周りの面子をキョロキョロと見回す。
別に期待してないがそれなりに長いのを頼むぜ。田辺、岸田、南……ん?

あれ? 俺は一寸目を擦る。あれ、顔馴染みの面子が揃っている筈だが、一人。
一人、見慣れない奴がいる。こんな夜だってのにクソ暑い中真っ黒な長袖の服を着ていて、顔が髪の毛で隠れて見れない。
誰だコイツ。森田も田辺も他二人もこいつがいるのを当り前の様にしてるが、俺、コイツを大学内で見た事も話した事も無いぞ。

「おいおい、お前ら黙ってないでトップバッター飾れよ。何の為に集まったんだよ」

何故だか怖い話を話そうとせずに田辺達は黙ったまま俯いている。
そんな田辺達にへらへらと笑い掛けている森田。んで、森田の方を向いている無言の貞子ヘアの誰か。
つうか本当に誰だよコイツ。俺はどうしても気になってしまい、森田に聞いてみる事にする。
もし本当の所会っていて俺が忘れているだけなら、謝ってすむのだが。
902創る名無しに見る名無し

「なぁ森田。話の腰折って悪いんだけど、この長袖着てる人を紹介し……」
「しょうがねえな。じゃあ俺から先に話してやるか」

俺の質問を遮る様に、森田が自ら率先して、怖い話を話始めようとする。
おい、ちょっと待て。お前の話を聞かない訳じゃないが、どうしても気になって参るんだよ。
悪いなと思いつつも、俺は強引に貞子ヘアが誰なのかを聞こうと声を掛ける。

「森田悪い、その話の前にこの人を紹介してくれないか?」
「数日前、俺は田辺達と一緒に肝試しに行ったんだよ。肝試しに」

な……何だお前? 森田は俺の話を遮るどころか、聞こうともせずに勝手に話し出した。
お前そんな失礼な奴だったか? 暑さのせいか俺の頭はイライラで沸騰しそうになる。
まぁ良い。良いさ。そんなに話したい内容なら話せばいいさ。俺は黙って聞いてやるよ。
だけど最後まで聞いたらちゃんと俺の質問に答えろよこの野郎。俺は両腕を組んで、不本意ながらも森田の話を聞く事にする。
つうか肝試しってお前ら俺の事誘わなかったよな。クソッ、誘えよ馬鹿野郎。

「それで心霊スポット行って、何か出るかなぁと思ったんだけど全然出てこなくてな。
 何だつまんねえって事で適当に遊べるところ行こうぜって事でその場を後にしたんだよ」

あれ、もう帰っちゃうのか? 普通そこで何か起こってるから怖い話が始まるんじゃないのか?
拍子抜けしつつも、若干先が気になる。にしてもさっきから田辺達の様子が妙だ。変に額にタラタラ汗掻いてる。
暑いは暑いけど汗掻く程じゃないだろ。俺全然汗掻いてないぞ。どうでも良いけど。

「んで、街へと向かってる最中に妙な奴を見掛けてさ。暗闇の中に紛れるみたいに真っ黒な服着てる変な奴でさ。
 気味わりいなと思いながらも通り過ぎたんだよ。それで、早く街に行きてえなと思いながら車飛ばしてたらさ」

まさかそいつがいたとか陳腐な事言うなよ。分かりやす過ぎるだろ。

「またそいつがいたんだよ。うわっ、マジかよと思いながらまた通り過ぎたんだよ」

麦茶吹いた。麦茶飲んでないけど。で、いつになったら怖い話になるんだよ森田。

「疲れてるんだろうなぁ、俺と思いつつゾーッとしてさっきに増して車飛ばしたんだよ。
 でも何度通り過ぎてもいるんだよ、そいつ。まるで俺達を待ち構えてるみたいに」

ん? 何となく空気が冷たくなってきた。茹だる様な暑さだったのに、急に空気がヒヤヒヤとしてくる。
奇妙な肌寒さに俺の全身の毛が僅かに逆立っている。一体何なんだ、この冷たさは。ふと、視線が貞子ヘアへと向く。
……奴を見た途端、俺の毛が一気に逆立った。奴は、笑っている。髪の毛の中から見える、紅い唇がニタリと笑っている。

「俺は気でもおかしくなったのかと思ったよ。隣とか後ろに座ってる田辺達も顔が青ざめててさ」

気が付けば、俺は森田の話にじっと耳を傾けている。身動きが取れないというか、身体が勝手に固まって、森田の話を聞こうとしているみたいだ。
頭の片隅でほんのりと、目の前の鬼太郎ヘアの正体が何なのかが分かって来た気がする。つまり奴の正体は……。

「もうそこからは覚えてないんだ。とにかく夢中になって全速力で家に帰ったよ。んであいつの事を忘れようとした」