なんで俺が
>>1乙とかしなきゃいけないの?
スレ立て乙
頼んだ覚えのない物が届いた。旦那のものかと思って代金引換でお金を払ったというのに旦那も覚えがないという。
とりあえずもう返品がきかないし、中だけ見て使えないものなら捨ててしまおうと思い、二人でその郵便物を開けてみることにした。
――白い壺が出てくる。骨壷を連想させ不吉だったが、旦那は躊躇なくその骨壷を開け、そしてひっくり返す。中身は出てこない。二人で顔を見合わせる。
「壺だけ?」
「まさか」
旦那は、壺の中身を窺った。その瞬間、骨壷はどんと絨毯の上に落ちた。
彼が消えたのだ。
慌てて骨壷の中を見ようと思ったが何とか思いとどまった。……覗くと私も消えてしまう。
なんだこの壺は。
彼が消えた。私はどうすればいいんだろう。壊すわけにはいかないし。旦那の会社からは、電話が掛ってくるだろうし、きっと旦那を殺したと思われるに違いない。
なんで、一体何の目的でこんなものを。
確かに喧嘩したときに旦那なんていなくなればいいとか、何で結婚したんだろうとか、思ったことはあった。でも私は本心ではそんなことを望んでいた訳では断じてない。
いっそ私も壺に消されてしまおう。
そう思った私は、覚悟を決めて壷を覗き込んだ。一度取り込まれたら、二度と戻ってこられないであろう壷の中を……。
すると、そこには
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1248339137/と書いてあった。
前スレまだ容量あるようだがまとめたら20KBほどになったのでこっちへ
S-1のために書いてたけど余裕で期限オーバーしたんだ・・・
お題「7月:七夕」 タイトル「My Sweet Milky Way」 全9レス トリップ略
6 :
1/9:2009/07/24(金) 19:52:38 ID:wDEBlSur
さらさらという音が聞こえる。
それは水が流れる音。それは有機カーボンプラスチックの笹の葉が揺れる音。
あるいはそれは、願い事を記した短冊が触れ合う音だったかもしれない。
笹の木のはるかに見えるのは、星空。
それは分厚い硝子の向こうにある――宇宙だ。
煌々としたわざとらしいライトの光、大時代的な雰囲気を再現した出店の食べ物の
匂い、そしてこればかりはまがいものではない子供たちの笑い声――そんな中で、
またひとつ、川沿いの笹の葉に願いがかけられる。きまじめな顔をした少年は、
じっと自分の短冊を見つめたあと、意を決したようにうなずき、うんと背伸びをしてそれ
を枝に結んだ。
できるだけ、空に近く――あの星空に、願いが届くように。――
「あ・き・ひ・こ・くぅ〜ん?」
――その声に、少年はぎくりと手を止めた。
伸びたままこわばった身体がちょんと押され、少年――秋彦は笹に向けてつんのめ
りかけ、慌てて細いその幹をつかんだ。――夕方までの定期降雨で濡れた葉が、盛大
に露を振り落としたのは、その直後のこと。
「あら」背後からの声に、振り返る。「なんというか、まあ、水も漏らさぬいい男……ね?」
悪気の欠片もない表情を浮かべてそう言うのは、長い髪を頭の後ろでまとめた少女。
「夏織さん」秋彦はあきらめたようなため息をついて、言った。「それを言うなら、水も
したたる……だよ」
「きゃあ、もう……そういうこと自分で言うー?」
からからと笑って言う彼女は、肩にかけたタオルで、秋彦の頭をわしわしと撫でるよう
に拭く。いいよ――と彼は言おうとしたが、タオルから届くかすかな香りに、少し鼓動
を早くして、黙った。これでよし、と彼女は言って、ちょっと首をかしげる。秋彦は慌てて
うなずく――微笑む彼女の顔。
彼女の日に焼けていない白い肌が、ぱちぱちという花火の光に彩られる。
天の川の――まさに銀河のただ中で、伝統もへったくれもない七夕の日の夜だけれ
ども、子供たちは歓声を上げ、大人たちは穏やかにそれを見守る。こういうのも、「……
こういうのも、たまにはいいわよね」
――それが夏織の言葉だと秋彦が気付くまで、しばらく時間がかかった。
「秋彦は、花火やらないの?」夏織は言った。
「いや……」秋彦は首を振る。「もう、花火って年頃じゃ……」
「何言ってんのよ、まだまだ子供でしょうに」彼女は笑い、
「……夏織さんだって、そうでしょ」彼は精一杯の威勢で返す。
「あらあら、言うようになっちゃって……可愛くないの」むっとした顔が向けられ、「……
あ、そだ、忘れてた」
きょとんとする少年を脇にすり抜け、少女は笹に向かう。はっとした秋彦が追いつく
前に、彼女は笹の葉の中から、それを見つけ出している。それは秋彦が、特別な思い
を込めて書いた、短冊――
「えー……なになに」夏織は短冊と同じ角度に顔を傾け、「……夏織さんが、もっと
早く帰ってきますように。……」
しばらく黙ってそれを読み返していた少女が振り返ると、そこには、顔を真っ赤にして
うつむく少年がいた。
7 :
2/9:2009/07/24(金) 19:53:24 ID:wDEBlSur
機体上部に突き出た展望塔からは、<あまつかぜ>の翼が見えた。UNSA――国連
宇宙局の青く染め抜かれたロゴが白い機体に映える。UNSA第29号探査巡航航宙母船
<あまつかぜ>は、漆黒の虚空にその身をたゆたえていた。
川辺以外は人影もまばらな展望テラス、そのベンチに落ち着かない様子で座った少年
のかたわらに、ジュースのパックがぽんと置かれる。顔を上げれば、ストローをくわえて
微笑む彼女――そうして彼、秋彦がまたうつむく様子を、夏織はどこか楽しそうに見な
がら言った。
「あたしのおごり。ありがたく飲みなさいよ」
「……うん」
素直にうなずいて、うつむき加減でストローに口をつける彼。じっと見ていると、ちら
ちらとこちらを見てきて、目が合うたびに慌てて視線を逸らす。そんな彼を、夏織は
ぎゅっと抱きしめたくなる衝動に駆られて、くすりと声を上げて笑う。
彼は17歳。わたしは16歳――ちょっと前までは、私の方がお姉さんだったのに。
8 :
3/9:2009/07/24(金) 19:55:39 ID:wDEBlSur
22世紀はじめ、人類は宇宙において時間を超えた。
瞬間的に光速の96.8パーセントまで加速された後に帰還した、国連宇宙軍25メートル
級試験艦<ホールドマン>に搭載されていた原子時計は、基地のそれといくらかの差
を示して動き続けていた――その差、47.588秒。
それが、人類が史上はじめて到達した、<超時間>だった。
しかし、いわゆるウラシマ効果の実証よりも、亜光速航行技術の確立こそがその実験
の本質だった。それ以降、第4世代物理学を用いた亜光速宇宙船舶建造技術は急速
な進展を見、人類の宇宙における活動半径は一挙に数万倍にまで広がった。無数の
船舶が、はるかな宇宙の果てをめがけて飛び立っていった。
<あまつかぜ>はそんな、光の速さで宇宙を渡る、22世紀の開拓者たちの前線基地
だった。
そして、鷲尾秋彦は<あまつかぜ>乗組員の息子であり、夏織・ローレンス・琴野
は、一隻の亜光速探査船の乗組員の娘だった。ふたりが初めて会ったのは、秋彦が
四つ、夏織が九つの時だった、――。
思えばあの頃から、秋彦はおとなしくて引っ込み思案だった。
夏織の両親が所有する船が所属母船<あまつかぜ>に定期帰還した時、当時から
互いの親同士が友人同士でもあった関係で、普段は保育施設に預けられている秋彦
を夏織が預かることになったのだが――初めて会ったとき、彼は宇宙人でも見るような
目でこちらを見上げてきたものだった。
もっとも夏織も、地球や火星に降りたことは一度だってなかったから、宇宙人と言わ
れれば、それはそれで正しかったが――それは秋彦の方も同じだった。二人は、いわ
ゆる<第2段階の世代>、つまり世代間探査巡宙船における2代目を担うべき世代
なのだった。
ともあれ、出会ってから一週間が経つ頃には、秋彦はすっかり夏織になついて
いた。五つも年下の彼が自分をどんな理由で好いてくれたのか、夏織にはよく
わからなかった――自分がいいお姉さんをやれているとは、彼女自身も必ずしも
思っていなかったから。けれど夏織の方も、もの覚えがよくてそんなに手がかからず、
けれどときおり子犬のように甘えてくる彼のことを憎からず思うようになっていた。
弟のよう、といってもよかったかもしれないが、あいにく夏織には弟妹をもった経験
がなかった。
そして<あまつかぜ>に滞在するひと月が過ぎて、再び星の海へと旅立つとき、
彼がはじめて見せた泣き顔を、そして――夏織おねえちゃん、と呼ばれたときの
暖かな気持ちを、夏織は今も忘れられない。彼の方も、自分を姉のように慕ってくれて
いたのだと、夏織はそのときになって知った。
以来、<あまつかぜ>では秋彦の家が夏織の住まいになった。とてとてと後ろをついて
くる秋彦を従えて、夏織は慣れない家事に邁進したものだ。――ただ、料理だけは
ついにその努力が実らなかったが。
むかし夏織は、船内時間で三か月の航海を終えて戻ってくると、<あまつかぜ>では
カレンダーが半年分も進んでいるのが不思議だった。けれどそれでも秋彦は彼なりの
最大限の歓迎で夏織を出迎えてくれたし――彼は相変わらず、彼はやっぱりおとなしくて、
引っ込み思案で――そんないつもの時間の中で、些細な疑問は頭の隅にあるだけの
存在だった。
そういうことが、何度か繰り返された。そして夏織がやっと小学生用の相対性理論の
教科書を読破した時には、二人は12歳、同い年になっていた。
彼はやっぱり、おとなしくて引っ込み思案で、頭はいいけど運動はまるでだめで、
プログラミングと模型作りと料理が趣味で――いつのまにかずいぶん背も高くなって、
うっすらと筋肉がつき始めて、お風呂にいっしょに入ってくれなくなって――おや、と
夏織が思ったときには、彼はすっかり大きくなっていたのだ。
その夏織はと言えば、その頃には宇宙船の操縦をすっかり覚え、家の船を危うくブラック
ホールへの進入航路に乗せかけてこっぴどく叱られたりもしたけれど、まあそれなり
に成長していたと思う。……きっと、そのはず。
……なにせ、一年のうち、九ヶ月――夏織は亜光速のもとにいる。夏織がある<時
間>を過ごす間に、秋彦は倍以上の<時間>を過ごしているのだ。彼の方が早く大人
になってゆくのは、当たり前のことだった。
……そういえばいつから、秋彦は夏織のことを「さん」付けで呼ぶようになったのだっけ
……。
9 :
4/9:2009/07/24(金) 19:57:16 ID:wDEBlSur
秋彦はそっと隣の少女を見やった。
白い肌。黒くて長い髪。少しだけ青みがかっているけれど、やはり黒い瞳。それは
ずっと昔から見慣れていて、変わらないもの。
彼女は、昔からずっと変わらない。
はじめて会った時、幼い秋彦にとって彼女は、身体が大きくて、声も大きくて、幼な
心に態度も大きいと思ったものだが、それは実際おおむね正しい印象だった。彼女は
おてんばで、好奇心と食欲がとんでもなく旺盛で、口より先に手が出るタイプで――
秋彦が実経験で学んでいったそのあたりは、今も変わらないことだ。
そして、ぐずる秋彦をあやして、絵本を読んでくれたり、お風呂にいっしょに入ったり、
時にはおむつまで替えてくれたりもして――そうした面倒見のいい、優しいところも、
秋彦がじかに体感してきたもので、今も少しも変わらないものだった。
「なによぉ」彼女が言って、笑う。
――その笑顔も、また、そうだ。
変わったのは、秋彦の方だった。
見上げるばかりだった彼女の顔が同じ高さにあるようになって、メンテの手伝いでは
力仕事は秋彦の仕事になった(ただし筋力は夏織の方が今でもある気がするが)。
ニュートンのリンゴの逸話を彼女から寝しなに聞かされたのは遠い昔で、今では秋彦
の方が彼女に大統一理論の初歩的なレクチュアをしていたりする。
そして、――別の面でも、秋彦は変わった。
――彼女の淡く赤らんだ唇。あるいは、長いまつ毛の下の瞳とか、袖から覗く白い
腕。それだけじゃなくて、髪を払う仕草だとか、果てはちょっとした歩き方だとか――そう
したものに、いちいちどきりとするようになった。
秋彦はそれを、自分の「中」の何かが変わったせいだと思った。その頃学校で読んだ
二十世紀の古典空想小説(「パペット・マスター」というタイトルだった)のせいで、ちょっと
した恐怖に苛まれもした。
けっきょくそれが、彼くらいの年ごろになれば誰もが経験する、精神的・生理的変化に
起因する現象に過ぎないと気付いた時には――秋彦は、夏織と同い年になっていた。
彼はその年頃の他の少年と比較しても、それほどひねくれた性格ではなかった。
けれども、そうした種類の感情を吐露することにかけては平均をはるかに上回る
奥ゆかしさを持っていたし、何より……相手が相手だった。
ついこの間まではおむつを代えてもらっていた相手に、――そんなことを言うなんて。
口にすればほんのわずかの時間しか要らない言葉を、秋彦は言えなかった。
そうしてためらっている間の時間も、二人にとっては倍の速さで過ぎていった。
ある日、自分が彼女よりも一つ年上になったことを知ったとき、秋彦は愕然とすると
同時に、ある種のあきらめにも近い感情を抱いた。
自分と彼女とでは、住む世界が――いや、生きる<時間>が違うのだ、と。
それは事実だった。いつのまにか逆転してしまった年齢は、それを何よりもはっきりと
示していた。けれど、どれだけあきらめようとしても、納得しようとしても、心の中の
その感情は、少しも収まることはなかった。
……秋彦は、控え目に言えば、夏織が好きだった。率直に言えば、大好きだった。
10 :
5/9:2009/07/24(金) 19:58:31 ID:wDEBlSur
「ね、秋彦」と、夏織が言った。
少年は顔を上げる――目を逸らしたまま。
「今日ってさ、七夕だけど」ぎくりと、心臓が高鳴った。「……秋彦は、七夕のおとぎ話、
知ってる?」
「…………」小さくうなずき、「織姫って女の人が、彦星って男の人に恋をして、仕事
が手に付かなくなっちゃった彼女のことを神さまが怒って、天の川を隔てて一年に一度、
七夕の日にしか会えなくしちゃったんだよ」
「わお、ナイスダイジェスト」夏織は笑い、「それでさ、その話……なんだか、あたしたち
に似てるって思わない?」
「え、……?」秋彦はつい、彼女の表情を確かめてしまう。
「ほら!」笑顔の夏織は、両手を広げ――「あたしたちも、銀河っていう天の川を隔てて、
一年に――まあ、三か月に一度だけど、それくらいしか会えないじゃない」
「僕にとっては」思わず、口に出していた。「……半年に一度、だよ」
「そうね……そういう時間の法則だって、神さまが決めたものよね」
「神さま?」
「秋彦は、神さまって信じてない?」夏織は思いのほか真剣な顔で訊いた。
「いや……」秋彦は首を振った。「別に、夏織さんが何かの神さまを信じてるなら……
それでいいんじゃないかな。いくら世界のことが科学で解明されたって、それで昔から
の信仰が否定されるってわけじゃ……」
「そういうことじゃないの」彼女も首を振り、「ただ、この世には人間の力じゃどうしようも
ないこともあるってこと、それくらいは認めてる?」
「それは……そうだよ、もちろん」
「そうよね。……じゃなきゃ、神さまにお願いなんてしないものね?」
きゅうににっこりと笑ってそう言う彼女に、秋彦はぐっと詰まって――「……何が言い
たいのさ」と、自分でもふてくされたみたいだとわかる声で言う。
「あのね、秋彦」ふわりと、香りがした。「……願うだけじゃ、想いって叶わないものだと
思うの」
肩に重みがかかって、秋彦は意識してそれを支えた。意識して、まっすぐに視線を前
に向けて。そうしていても、彼女の香りと、体温とが、伝わってくる――
「願うだけじゃね、神さまにだってどうしようもないことだって、きっと――あるのよ」
彼女はそう、彼女には似合わない口調で言って、黙った。
沈黙の中で、秋彦は夏織の存在をそこに感じていた。明日にはもう、そこにはない
だろう存在――どうか、早く帰ってきますように、そう願うしかない存在。
「夏織姉」しぜんと、昔の呼び名が口をついた。「……夏織姉は、好きな人、いる?」
「そういうときは、自分の方から言うものよ」彼女は笑みを浮かべ、「……ね、秋くん?」
「……僕は、いるよ」
「あらあら。そのお姫さまはいったいどこの誰かしら?」
「それは、――夏織姉の方も、答えてよ」
「そうね……」すっと肩の重みが無くなり、秋彦は顔を向けた。どこか遠くを見つめる
ような、彼女の横顔――「あたしが好きなのはね、……おとなしくて引っ込み思案で、
頭はいいけど運動はまるでだめで、プログラミングと模型作りと料理が趣味で、身長
169センチ体重は55キロ、今も成長期真っ只中な、そんな男の子」
すっとこちらを向いて、微笑み、首をかしげて――秋彦は彼女のそんなしぐさに、
胸が詰まるような、泣きたくなるような感情に襲われる。
「……夏織姉」
「姉、じゃないの」彼女は優しく言った。
「……僕、夏織さんの弟でもいいと思ってる」
「さん、でもないし、弟でもなくって」笑って、「もうあなたの方が年上でしょ、秋彦さん」
「僕で……僕なんかで、いいの? 本当に?」
「んー、ここで嫌って言ったら、どう――」
彼女の言葉が途切れて、驚いたようにその目が見開かれた。
秋彦は、自分が彼女の肩をつかんでいて――その肩が、思っていたよりずっと細い
ことに気付いた。「夏織さん」言って――首を振る。
「夏織」声が、かすれていた。「僕は、きみが――!」
11 :
6/9:2009/07/24(金) 20:01:05 ID:wDEBlSur
<あまつかぜ>のゲートポートで、無数に係留されている船舶を眺めながら、
秋彦はため息をついた。エアメットのフェイスバイザーが水蒸気に白く曇り、
すぐに透明に戻る。
昔、秋彦は夏織とここに来たことがある。まだ五つか六つくらいのときで、秋彦の
方が宇宙船をじかに見たいと彼女にねだったのだった。彼女はしばらく考え込んだ
末、ひとつ大きなサイズの防護服を着込み、秋彦を抱きかかえてエアロックをくぐった
のだ。彼女の方も、立ち入りの制限されている真空の空間で、なるべく秋彦を離れ
させたくなかったのだろう。
そこに並び浮く船の群れに、幼い秋彦は歓声をあげた。今でこそ、居並ぶ船の
種別とメーカー、一部は性能まで正確に言い当てられるような彼も、その頃はただ
宇宙船のフォルムが格好よくてしかたなかったのだ。
そんな秋彦は、その頃は自分よりもはるかに宇宙船の知識を持っていた彼女に
ひとしきりの質問を浴びせたあと、彼女の胸の中で言った。
――夏織姉は、うちゅうせん、買わないの?
――そうねえ……もう少し大きくなったら、自分のお金で買えるようになるかもね。
――わあ……そしたら、ぼくも乗せてくれる?
――もちろん。秋くんは、やっぱり船長さんがいい?
――え……んと、ぼくはおきゃくさんで……。
――だめよ秋くん、男の子はもっとおっきく夢を持たないと……でしょ?
――ええ? じゃ、じゃあ……その、副船長さんとか……。
――……もう!
笑みを含んだ声で言いつつ、夏織は防護服の上からひしと秋彦を抱きしめた。
その頃は自分よりもずっと、彼女は大きな存在だった……。
――言えなかった。けっきょく、言えなかったのだ。
喉に何かをつまらせたようにぱくぱくと口を動かす秋彦に、夏織は苦笑して――
「もう、無理なことはしないの……あんたが銀河級のいくじなしってことくらい、
あたしもよぉくわかってるわよ。ほら、大きく深呼吸」
そう言って、ぽんぽんと彼の背を叩いたのだった。昔、ぐずる秋彦をあやしていた
時のように。
今の秋彦にとっても、彼女は大きな存在だった――それを飛び越えることが、秋彦
にはできなかった。
12 :
7/9:2009/07/24(金) 20:02:41 ID:wDEBlSur
銀河級いくじなし。
……笑おうにも笑えなかった。まったくその通りだったからだ。
昨日はひとりで部屋に戻り、夕飯も食べずに閉じこもっていた。自分がみじめで
くやしくて、鏡に映るへなちょこな自分をたたき割ろうとして、けっきょく枕をぼすぼすと
たたくだけに終わった。
その後、それだけで疲れてぐっすりと寝てしまった自分が、またどうしようもなく情け
なかった。
そして夜が明けて、彼女が帰る朝になって――秋彦はひとり、とぼとぼとゲート
ポートにやってきた。普段なら見送りは宙港の方でするのだけど、とても彼女と顔を
合わせることなどできなかった。宇宙と船内との境界であるここなら、いくじなしとか
なんとか言われないで済むだろうし、少なくとも空気を伝わるその声を聞かないで済む
……まったく、情けない考え方だった。
時計を見る。まもなく、夏織たちの亜光速船が出港する時刻だ。
そのとき、すっと一隻の船が浮かび上がった。宙港とつながるエアロックチューブを
切り離し、その宇宙船はタキシングに入る。スイセンの花弁を横倒しにしたような
かたちの船体が、音も無く――たとえ空気があっても、第4世代物理学の産物たる
アイス・エンジンは音を生じない――滑り出てきた。
見まごうはずもない。今まで何度も見送り迎えてきた、夏織たち家族の船だ。
あちらからはこちらのことはわかりはしないだろう。ゲートポートにわざわざ出て来る
ような人間は、一部の物好きを除けば作業員の人くらいだ。それに識別ビーコンも出し
ていないし、通信装置も切ってあるし、バイザーもミラーモードにしてあるし――秋彦が
それをいちいち確認している間に、船は彼の頭上、やや前方を横切ってゆく。
――その白い船体を目にして、秋彦はきゅうに胸が詰まるのを感じた。夏織が行って
しまう。まだ言うべきことも言っていないのに、彼女はまた時間を超えて、自分の時間
とは離れていってしまう。
…サテンこういうことがあと何度繰り返されたら、自分はあきらめられるのだろう。
視界が歪んで、秋彦は目から溢れたそれをぬぐおうとして、バイザーをこする。何も
できなかった。自分はこうして、手に届く場所にあるものにも手を触れることができずに、
ただ泣いているだけで、――
そのとき、白い花弁の一部が開かれ、人影が現れた。
ピンク色をしたその影は、秋彦があっけにとられている間に、すっと微重力の空間を
跳躍して、彼の目の前に着地する。
自分のバイザーの向こう、そしてその相手のバイザーの向こうに見えたのは、怒った
ような、呆れたような顔の、夏織。
こつんと、エアメット同士がぶつかった。
「あんたね」彼女のこもったような声。「……いろいろ言いたいことはあるけど、時間が
ないの。まずひとつ――そんなみっともない顔はやめなさい」
つと突き出された指に、秋彦は思わずうなずいている。
「よしよし。ふたつ――この航海が終わったら、あたしは自分の探査船を持たせてもらう
予定で……操縦士は決まってるとして、観測士を絶賛大募集中。みっつ、探査船観測
士免許は満16歳から取得可能。なお、次の試験は四ヵ月後……聞いてる、秋彦?」
「え、――あ」少年は口をもごもごさせて、「は、はいっ」
「で」彼女は言った。まるでこちらの表情が見えているかのような口調。「返答は?」
返答、という単語の意味を理解するのに、少し時間がかかった。そして、その返答
に対する質問を思い出して、その意味を理解するためにまた考えて、血が上った頭
でどうにか答えを導き出して――
「時間切れ」夏織の、どこか楽しそうな声が聞こえた。「……残念」
「か――」秋彦は叫んでいた。「夏織、僕――!」
その言葉が続く前に、彼女の手がすっと伸びて――二人のエアメットのバイザーが、
ほぼ同時に開かれた。
驚愕よりも唖然とした顔の少年を、少女は見定めるように睨む。そして空気のない
空間で、何事かつぶやくと――秋彦には、その唇の動きが何を意味しているのか、
考える間もなかった――とん、と床を蹴って、次の瞬間、二人の距離はゼロになった。
13 :
8/9:2009/07/24(金) 20:03:27 ID:wDEBlSur
「今のは、ただの酸素補給」夏織は言った。バイザーの向こうから。「……わかる?」
「…………」
こくこくと、秋彦はうなずく。空気を吸うのも忘れて、呆然とした顔を上下させて。
「秋彦」夏織の声、
「う、……うん?」それに答える上ずった声。
「今度会う時は、あんたの――いえ、あなたの方から。いい?」
「…………」
秋彦は、黙って――けれど今度は精一杯に真剣な顔で、うなずく。そんな彼に、
夏織はいたずらっぽい表情を浮かべ、
「でも……好き、だけじゃだめよ」
「え、……?」
「織姫と彦星は、恋人同士じゃなくって、夫婦なんだから……ね」
14 :
9/9:2009/07/24(金) 20:07:25 ID:wDEBlSur
――そのときの彼の、真っ赤になった顔と言ったら、もう!
亜光速船の操縦席から虚空を眺めながら、夏織は頬がゆるむのを自覚する。
唇にはまだ、その感触が残っている気がした。柔らかな唇の感触――触れ合うだけ
のキス。けれどそれでも、あのときの夏織にはそれで精一杯だった。
彼は知らないだろう――少女が彼に対する気持ちを自覚してから、長い旅をどんな
気持ちで過ごしてきたか。
夏織は怖かった。秋彦が成長して、自分から離れていってしまうのが。いつか立派な
大人になって、ちゃんとした職業に就いて、誰か可愛い女の子と恋をして、そのときも
自分はまだ子供のままで、彼を遠くから見つめて――。
帰ってくるたび、あの頃のままの笑顔で迎えてくれる彼に、夏織がどれほど安心して
いたか、彼は知らないだろう。出発の日が近づくたび、何度これきりにしようかと、両親
にも言えずひとり悩んだことなど、彼は知らないだろう。
彼は鈍感で、唐変木で……まったく、昔っからそうなんだから。
――でも、それで、よかった。夏織はあの人のそういうところも、大好きだったから。
ひらりと、人工の重力に何かが舞った。夏織はそれを手にして、見やる――それは
いったいどこに紛れ込んでいたのか、あのとき、笹にかけるはずだった短冊だった。
『秋彦のばかが、いい加減わかってくれますように。』
――素直じゃないな、まったく……昔っから。夏織は苦笑する。自分だって、彼の
気持ちを知るまでは、面と向かって言うことなんてできなかったのだ。離れてゆく彼が
振り向いてくれるよう、ただ願うだけで――。
けれど、もう、ただ願う必要なんてない。
――この宇宙に、二人を隔てるものはもう、何もないのだから。
「夏織、<あまつかぜ>のお義父さんから連絡が――」聞き慣れた、愛しい声。「あれ
……なんだい、それ?」
「ううん」夏織は笑って首を振った。「なんでもないの……秋彦さん!」
彼はぽかんとした顔になって、それからはにかんだように頬をかき、そっか、と笑う。
……なるほど、呼び捨てよりもこっちの方が、うちの旦那さまはお気に入りというわけか。
ま、今まで素直になれなかった分、これくらいは可愛い奥さまでいてあげたって、神
さまだって怒りはしまい。
彼は18歳――私は16歳。
でも、そんな神さまが決めた<時間>の差は関係ないのだ。
夏織は立ち上がり、彼の返事も待たずに、半年でずいぶん広くなったその胸に飛び
込む。とくんとくんと聞こえる、彼の鼓動。すっと顔を上げ、目を閉じる――彼の慌てた
顔がまぶたの向こうに見えるよう。
「……夏織」彼の声がきこえて、
「秋彦さん、――」
――そのとき、甲高い警報音が鳴り響く。
ぱちりと目を開けると、秋彦はもう観測室の方に身体を向けていて、
「影性物質の雲だな。小型だといいけど」緊迫した声で言って、顔だけ振り向く。「夏織
は操縦を、――!」
沈黙――心に一、二、と数えて、夏織は顔を離す。そして、
「続きは後でね……秋くん」
にっこり笑ってそう言うと、こくこくとうなずく彼――それがもう、可愛いったら!
お姉さんとしては、やっぱりこっちの方が好みかも……などと思いつつ夏織が床を
蹴ってからしばらくした後で、観測室へ駆け込むあわただしい音と、なにかにどこかを
ぶつけた音が聞こえた。
夏織も操縦席に身体を滑り込ませ、首筋に有機神経ケーブルをつなげる。視神経に
投影される虚空。一生を光の速さで駆け抜けたとしてもその果てまではたどりつけない、それは宇宙。
けれど――どんな場所だって、どんな時だって、彼といっしょなら乗り越えてゆける。
夏織はひとり立ちしてはじめて知った。自分の両親も、愛する人がいたからこそ、
この宇宙をただ一隻の船で飛ぶことができたのだと。
アイス・ドライブを起動、光速度の97.3パーセントまで加速。星々のきらめきの中を、
夏織は彼とともに、光の速さで駆け抜けてゆくのだ。――
――そう、もう願う必要なんてない。
なんたって私たちは、天の川だって征してゆく……そんなふたりになるのだから!
おわり(AA略) 今度は締切に間に合わせるぞー
GJ!いい話だった
エリカとの出会いはブログだった。
僕の書いてる音楽ブログにコメントしてきたのがきっかけだ。
始めて三年になるけれど、人気ブログというわけでもなく、ただ音楽知識をひけらかしてるだけのこんなブログにコメントしてくるなんて変わった子だなと思った。
特にOasisの記事を書くと反応がよかったし、次第にエリカに興味を抱き始めたていた頃、お互い同じ日のサマーソニックのチケットを持っていることがわかった。
約束していたブログ仲間が急に仕事が入ってしまったこともあって、エリカと二人だけで行くことになってしまったのだった。
女性と二人だけで会うなんて何年ぶりだろう。元彼女と別れてから十八年が経っていた。元彼女とは酷い別れ方をしていたこともあって、なかなか次の恋に踏みきれないでいる。
そんな感慨にふけっていると、メール着信音で我に返った。エリカは近くまで来ているらしい。
それらしい服装の女性が大きく手を振っている。
一瞬我が目を疑った。
その女性は元彼女に似ていたのだ。いや、十八年前に別れた彼女の顔なんて憶えているわけはなかった。
その女性、つまりエリカに元彼女の面影を見てしまったのだ。
エリカとは不思議と気が合った。口説き文句ではよく聞くけれども、初めて会ったはずなのにずっと前から一緒にいたみたいな感覚って、こういうのを言うのだろう。
唯一意見が合わなかったのはOasisの最高傑作は1stか、2ndかという他愛のないものだったし、二人の間に年の差なんて関係なくなっていった。父親のいないエリカにとって、僕は恰好の相手だったのかもしれない。
次第に元彼女の面影を見ることもなくなり、純粋にエリカに恋をし、そして二人は愛し合った。
もはや二人を引き裂くものなど何もなかった。
エリカが妊娠を告げたのは自然な流れだった。
僕はいいけれど、まだ十代のエリカにとっては酷な選択だ。十八年前、別の男と子供を作って去って行った元彼女のことも頭を過った。
僕はエリカの母親に会うことにした。
エリカの家は街はずれの公団住宅の一郭にあった。十二月にしては暖かい日だった。
エリカの案内でやってきた団地は所々がライトアップされ、早くもクリスマスモードに染まっていた。
玄関の重いドアを開けた瞬間、我が目に飛び込んできたのは非情な現実だった。同時に宗教は全く信じない僕でさえも、神様どうか何かの間違いであって欲しい! と祈らずにはいられなかった。
目の前にいたのはエリカの母親トモミ、そう面影でも何でもない、確かに老けてはいたけれど正真正銘の元彼女トモミだったのだ。
エリカの母親が元彼女と同じ名前だということは聞いていたけれど、まさかこんな形で再会を果たすとは……。運命の悪戯というには、あまりにも度が過ぎるではないか!
トモミの口数は極端に少なかった。トモミにとって重要だったのは、娘が連れてきた男が自分の元彼だったこと、そして自分と同じ十代で母親になるかもしれないことではなかったのだ。
「エリカの父親はあなたなの……」
窓の外では鮮やかなイルミネーションが輝き続けていた。
仕事道具を整理しようと久々に自室を片付けていたところ、埃の積もった棚の片隅に一冊の帳面が仕舞われていた。
ところどころに染みが出来、ページも擦り切れた古い日記帳。
若い頃の私が書いたものだろう。日付を見ても、私の修行時代の頃のものだった。
字の鍛錬(同族の中には文字の読み書きが出来ない者も多いのだ)として、師匠の指示で私は一時期日記をつけるようにしていた事があった。
近頃は多忙で億劫になりさっぱりつけなくなってしまったが、この妙な習慣は、時折物を書くという趣味となって今の私にも生き続けている。
見つけた当初は捨ててしまおうかとも思ったが、片付けが終わった後、どうしても懐旧の情に流されて、つい読み耽ってしまった。
こういう意思の弱いところは昔も今も全く変わっていない。
若い頃好きだった物や行きつけだった店、気に入ったもの、自分なりの戦闘分析(今から見れば幼稚以上の何者でもないが)などが溢れていた。
お気に入りのバレッタを売ってくれた武器屋のお姉さんは今どうしているだろう。
今となっては私しか知らないあの秘密の場所はどうなっているだろう。
掃除屋の試験で同期だった連中はちゃんと掃除屋になれたのだろうか。
次の休暇に行ってみたいと思う。次がいつ取れるかわからないけれど。
ところどころ恥ずかしい記述もあった。黒歴史、とでもいうのだろうか。
顔を紅潮させて、奇声を上げながら、丸めて壁に叩きつけてしまいたくなるような記述もあった。
こんなものを私が書いたのだろうか。今では書いた記憶すらないのだが、筆跡や文体はどうみても私のものだ。
当時の私の正気を疑いたくなる。今だったならばこんなもの、とても他人に見せられない。
自分の若さにひとしきり悶絶した後、自分の若さをひとしきり笑った。
……まぁ、こうして今書いているのもまたあとで黒歴史になるのだろうけれど。
世界観を感じさせるね
スイーパーかあ
気がつけば日が暮れ、外は夜の帳が降りていた。どうやら私は貴重な休暇を浪費してしまったようだ。
昔と比べれば少しは上手くなったとはいえ、やはり私は時間の使い方が下手なままだ。
いや。案外、無駄とも言えないかも知れない。
日記の中には、書いた時の私が保存されている。日記を読み返す事とは、すなわち過去の“私”との邂逅なのだろう。
そんな事を考えた。
いつも意地ばかり張って、知ったかばかりして、強がってばかりいて。
そのくせとても臆病で、己の事さえ知らなくて、独りでは何も出来なくて。
小さな自分に振り回されて、小さな事で悩んで苦しんでいた。
自分に素直になるのが怖くて仕方なかった、あの頃の私。
もし、私がもっと素直になれていたなら、どうなっていただろうか。
その事を考える度に、私の胸は悔恨と自己嫌悪とで焼かれる。
私がこうして何とか掃除屋として自立するまでに失ってきたものは数知れない。
その中で、失わなくても済んだはずのものも、決して少なくはなかったのだ。
私は日記帳を閉じ、寝所の照明を消した。
とりあえず休暇は終わり。明日からはまた掃除屋の私に戻らなくてはならない。
同族の不手際を抹消し、蟲どもと殺し合う日々が始まる。
新米プレその後?か!
スレ見てるのに気づくの遅い俺orz
口裂け女先生「それでは本年度の学校幽霊夏季講習をはじめます」
テケテケ「えーーーーっ」
動く二宮像「いやだーーーーーーっ」
口「うるせえぞ糞ガキども」
動く人体模型「先生しょっぱなから熱いですね」
二宮「そうだよ暑いよー」
トイレの花子さん「トイレとか暑いだけじゃないわよ」
テケ「そういえばなんか臭……いやなんでもないです」
口「……てめーら私の授業で私語とはいい度胸だな」
後ろのメリーさん「でも確かに、どうしてこんな時期に講習なんですか?」
人体「そうですよ。もう生徒さんたちもいなくなって怖がらせる相手がいないじゃないですか」
二宮「おー、そうだそうだ」
テケ「そのとおりだ」
口「尻馬に乗るなッ」
テケ「痛ッ! なんで俺だけぶつんですかーッ!?」
花子「二宮は銅像だからでしょ」
口「いいか……私だってこのクソ暑いときにおまえたちの相手なんてしたくないんだ」
二宮「僕たちだってそうでー……ごッ」
テケ「うわー……鎌の柄で殴った、柄で」
口「……だがなーッ! てめーらこの一学期、なーんもしてねーだろ! 違うか!?」
花子「なにも?」
人体「してましたよ。勉強とか」
口「勉強は幽霊の仕事じゃねーだろーが! まあ人体、おまえはまだいい」
口「問題はそのあたりだ、そのーッ!!」
二宮「ッ――! ――!!」
テケ「先生、二宮くんが打ちどころが悪かったみたいで」
口「てめーもだテケテケ! おめーらこの一学期、なんか幽霊らしいことしたか!?」
テケ「しましたよ! なあ二宮!!」
二宮「えっ? ……ああそれは、新作のブルーレイ見たりフィギュア眺めたり……」
テケ「わーッ!! 馬鹿かおまえはッ」
口「そうだよなぁ〜……そうなんだよなッ!」
口「てめーらは幽霊の本業もほっぽって昼間っからダラダラ三昧でよぉ……」
口「おかげさまで本校は幽霊の噂のひとつもなく平和そのものよッ」
花子「それはそれでいいんじゃないの?」
メリー「正直言って命の取れない作業って退屈ですしね」
花子「まったく最近は規制が厳しくなってねえ、昔が懐かしいわ」
テケ「……あいかわらず女子はこええな」
人体「人殺しより勉強の方が楽しいと思いますがね」
花子「それはそれで幽霊としてどうなの」
メリー「そういえば、二宮くんだって勉強の神さまじゃないんですか?」
二宮「え? いや、僕は像だしさあ、やっぱり尊徳先生とは違うよねえ」
テケ「それにしたってこの不真面目さはねえよなあ」
二宮「でもさあ、現代にまじめな幽霊が少なくなったわけもわかるよ」
花子「わけって?」
二宮「だって今はさ、人を驚かすより楽しいことがいっぱいあるじゃん」
テケ「おっ……なんかいいことを言いそうな雰囲気」
二宮「誰だって、なんの罪もない可哀想な子供を驚かすよりさ――」
テケ「うんうん」
二宮「――クーラーのきいた部屋でアイスかじりながらアニメ見てた方がいいでしょ?」
人体「…………」
メリー「…………」
テケ「……うわー、前言撤回」
二宮「えっ? ぶっちゃけみんなそう思ってるでしょ?」
花子「それを先生の前で言うわけ?」
口「…………」
二宮「……あー……いや、その……そういう考え方も反面教師としてありかと……はは」
口「二宮」
二宮「は、はいッ」
口「校庭50周。夜明けまでな」
二宮「え゛ぇーーーーーーーーッッッ!?」
口「では続ける」
メリー「二宮くん、かわいそう……」
花子「いや、あれはあれで正しい怪談の在り方だと思う」
テケ「50周回るのを見たら死ぬ、とか出てきそうだな。誰もやらないだろうけど」
人体「テケさん、あなた割と人ごとですね……」
テケ「二の舞は避けるよ、俺長距離は向かないし……」
口「短距離ならいいのか?」
テケ「とんでもございません」
花子「でもさ〜ぶっちゃけ、先生だって大したことはしてないわよねえ」
人体「おお、花子さんの毒舌がいきなり」
口「ほぉ〜? 花子てめーいい度胸だな、トイレのドア外すぞ」
メリー「それって生徒さんが困るんじゃないですか」
テケ「人間の一部にはそういう趣味があるんだよ」
花子「だってさ〜先生だってオバケなのに、誰かを驚かせたりしてる?」
口「あたりめえだろ。こないだだってな……」
花子「じゃあひとつ聞くけど、その相手って誰?」
口「だ……誰ってそりゃ、この学校の生徒だろ」
花子「性別は?」
口「はっ? そりゃ、男女半々……」
花子「そぉかな〜? あたしが見たところ、九割九分は男の子だった気がするけどな」
メリー「それは、きれいかどうか聞くのに女の子相手にしたら残酷だからでしょう」
テケ「メリーちゃんそれけっこうひどいよ……ていうかそういう問題じゃないと思う」
花子「しかもさ〜そのたいがいは美少年だったしぃ」
口「ななななな何が言いたい花子ッ! 私だって相手は選ぶッ」
花子「ぶっちゃけ先生ってショタコンでしょ?」
口「――――」
テケ「……えっなにこの反応」
人体「無言は肯定を表すと言いますが」
口「ち……違うッ!」
口「わ、私は……かわいい男の子が悲鳴をあげるのを聞くのが好きなだけだッ!」
花子「えっ」
メリー「えっ」
テケ「えっ」
二宮「えっ」
口「い、いや、そうじゃなくて……男の子そのものに性的な興味はないって!」
二宮「わざわざ墓穴掘る必要ないのに」
人体「あれ、二宮くんいつ戻ってきたんですか?」
花子「……あのー先生、やっぱりこの話は終わりに……」
口「な……なんだてめーッいまさら丁寧に気遣いかッ!? 遅いんだよいろいろッ」
口「だいたい!おまえの方こそ!トイレで女子生徒にいつも何してんだえーッ!!」
花子「言っていいんですか? ここエロパロじゃないのに」
メリー「あんまりメタな発言をすると異次元の扉が開きますよ、花子さん」
口「ももも、もうこいつらやだッ! だから夏季講習なんて嫌だって言ったんだ!」
二宮「嫌って言ったのは僕ですけど」
口「うるせーッてめーは校庭……あ、そういえばおまえも男子だな」
二宮「えっそういう方向ですか!? ね、ねえテケ坊、うちで先週のハルヒ見ようぜ!」
テケ「……ある意味怖いネタだなそれ」
人体「先生、もうお開きでいいですか?」
口「あ〜もういいよいいよ! どーせおまえら何したって聞きゃしないだろ! へんだ!」
花子「あらあら、吹っ切れちゃって。どーせこうなるんだもんねー、ああ暑い暑い」
メリー「はしたないですよ、花子さん」
花子「いいじゃないのメリー、今日もいつもみたいにしましょうよ……ねえ?」
メリー「晩酌なら付き合いますが、そういう誤解を招く言い方はやめてください」
人体「はあ、やれやれ……あっ」
テケ「ん? おお、打ち上げ花火じゃないか。たまには俺らも外でやるかねえ」
花子「あら、あんたにしてはいい考えじゃない。先生、かまいませんよね?」
口「いいよいいよ、もう花火でもなんでもやっとくれ。私は寝る」
テケ「しかし夜の校庭で花火なんて、なんかまた新しい怪談ができそうだなあ」
二宮「いいんじゃない? 僕たち幽霊なんだからさ」
テケ「……それもそうだな。じゃ、行くかね」
口裂け女先生だめすぎるww
29 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 06:40:11 ID:JxDG/H6K
アキラは最近なんだか落ち着かない。それもそのはず、明日レナの母親のトモミが上京するからだった。
これは地元に帰らずこっちで出産したいとレナが言い出したところトモミがレナと赤ちゃんの世話をするとかって出たのだった。
でも出産までまだ2ヶ月もある。いくら家族が夫でレナの父親のショウタしかいないとはいえ一人残されたショウタはどう思っているのだろうか。
昔のレナは家事が苦手でトモミやショウタが普通に主婦になるより男のように働くことを勧めるぐらいで実際ゼネコン総合職現場監督でバリバリ働き出産後も当然復帰するつもりだが家事もそれなりにこなしている。
そして何よりアキラはトモミが苦手だった。ショウタは娘しかいないこともあって(レナは姉マイと2人姉妹)アキラには気を使ってくれるのだが、トモミはそんなことはお構い無しだった。
それでいてトモミはショウタに対しては結婚して30年近く経っても可愛らしい妻を演じているようなので何だかなと思った。
ショウタより年齢も身長も高いせい?ショウタの好み?単にぶりっ子?アキラはレナに聞いてみたがレナもわからないと言っていた。そうしてアキラは眠りについた。
次の日、土曜でアキラは久しぶりに土曜休日だった。レナは仕事のためアキラが起きたときには既にいなかった。アキラはたまっていた家事をすませたあとハネダ空港に向かった。
トモミが来るまでまだ時間があったがアキラは飛行機を見たり空弁やデザートを食べたりして時間をつぶした。
午後、午前中で仕事を終わらせたレナと合流した。そして遂にトモミを乗せた飛行機が着陸した。
投下します。長文になります。
NGワードは「陽の射さない森」でお願いします。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。
ジャンルは戦争ものとも言えますが、戦闘シーンがほとんどありませんのでこちらに投下させていただきます。
また、回天特攻隊に「綿津見隊」は存在しません。
戦争という重い題材を扱うため、敢えて架空の名義にさせていただいたことをお断りいたします。
<プロローグ>
母上様
本日、清志は回天特別攻撃隊の綿津見隊に配属されるという名誉を受けました。
皇国ために戦える栄誉は、この清志にとって本懐以外の何物でもありません。
ただ、皇国のため、皇国のためと言いながら、清志は本当は母上様と芙美子のために戦っているのかもしれません。
皇国には母上様と芙美子がいます。
二人を守るためならば、命など惜しくはありません。
時折故郷を出た日のことを夢に見ます。
体に気をつけて、という母上様の言葉、胸に刻みつけてあります。
芙美子は泣くのを我慢していましたね。兄の乗った汽車を見送った後、泣いてしまったでしょうか。
父上様が皇国のために逝った後、芙美子にとってこの兄は父上様の代わりだったのかもしれません。
清志はこれより海に出ます。
汽車を待っていた駅で、皆が日章旗を振ってくれましたね。
まるで波のようにさざめいて、我が故郷鳴門ようだと思ったのを覚えています。
この命に代えても賊軍を討ち果たし、本土を守り抜いて見せます。
思い残すことがあるとすれば、ただ一つ、母上様と芙美子の健康だけです。
母上様、どうかお体に気をつけて。
清志は母上様の子に生まれて、まことに幸せでした。
さようなら。
清志
<1>
遠藤清志は一九九二(大正十三)年五月、徳島県で生まれた。
父・茂、母・美津子。五歳年下の妹に芙美子がいる。
茂は小さな干物屋を営み、美津子は茂を支えながら清志と芙美子を育てた。
決して裕福とは言えなかったが、清志は鳴門の海の厳しさと家族の暖かさに囲まれて育った。
戦争の影は日本にも伸びてくる。
もともと茂は体が丈夫なほうではなかったが、赤紙は遠藤家にも届けられた。
優しい父だった。いつもにこにこと笑っていた。怒られたという記憶はない。
あれをしろ、これをしろ、と言わない。急かすこともない。
ただ、清志がゆっくりと成長していく様を見守っているかのような父だった。
父は手先が器用で、よくおもちゃを作ってくれた。
近所の子供たちが集まると、清志の凧が一番高く上がった。
清志の竹トンボが一番綺麗に舞った。みんなが清志を羨ましがった。
すると茂は、忙しい仕事の合間を縫って友達のためにも凧や竹トンボを作ってくれるのだった。
男の子のおもちゃばかりではない。芙美子のお手玉まで父の手製だった。
ついたあだ名は「おもちゃのおっちゃん」。
干物屋に子供連中が集まるのは日常の光景だった。まるで駄菓子屋だった。
子供たちが集まると、父が肩越しに声をかける。
「おおい」、そんな感じであったろう。だが、阿吽の呼吸と言うものだろうか。
心得たように、奥からラムネやおやつをお盆に載せた母が出てくる。
子供たちは奪い合うようにおやつを手にして茂を囲み、ラムネを飲みながらおもちゃができるのを待った。
いつもやや猫背で、風格というものとは無縁の痩せぎすな父であったが、清志にとっては自慢の父だった。
茂が戦争に征くことになって、清志は初めて戦争を現実のものとして意識したかもしれない。
海にもよく行ったが、子供たちが何よりも好きだったのは軍隊ごっこだった。
近所の子供の中でも体も声も大きく、力の強い正一が隊長といつも決まっていた。
そして他は二隊に分かれて、「模擬訓練」を行うのだ。
当然、父に似てひょろりとしている清志はあまり戦力にならない。いつも二等兵と決まっていた。
戦争は常にそこにあるものだった。だが、やはり父が征くとなると話が違ってくる。
父の出征の少し前、明男の一番上の兄ちゃんが出征先で亡くなった。
何歳上だったのかは忘れた。だが、相当年が離れていたように思う。
帰ってきたのはわずかな遺品と紙切れ一枚だった。
男兄弟ばかりの末っ子として育った明男は負けん気が強かった。
軍隊ごっこでも、いつも上等兵を務めている。
それどころか、指揮官であるはずの正一に歯向かうことも珍しくなかった。
明男は正一に殴られても最後まで掴みかかっていった。清志にはとても真似できない芸当だ。
兄ちゃんが亡くなったと聞いて何日も経っていない頃、清志は偶然明男を見かけた。
明男は真一文字に口を結んだまま、神社の中に入っていった。
ただならぬ表情が気になって、清志はそっとついていった。
──見てはいけない光景を見てしまったと思った。
あの明男が、泣いている。神社の裏で、木に縋りついて声を張りあげて泣いている。
明男の泣き声は聞いている清志の心まで押し潰してしまいそうだった。
結局清志は声を掛けられず、明男の慟哭ごと記憶の奥底にしまいこんだ。
清志は父の茂が兵隊になるなど、想像もできなかった。
鬼畜米英を前にして、この父が戦えるのだろうか? 銃を撃てるのだろうか?
不安が顔に出ていたのかもしれない。
茂はいつもと変わらない穏やかな笑顔で、まるで諭すように言った。
「お偉いさんが決めたことだからねえ」
清志はしばらくの間「オエライ」という名前の人がいるのかと勘違いしていた。
そして、「オエライ」さんは父のどこを見て兵隊にとろうとしたのかと考えた。
その程度の年齢の子供だった。
何年待っても父は帰らなかった。
代わりに帰ってきたのは、明男の兄ちゃんと同じようにわずかな持ち物と紙切れ一枚だった。
持ち物の中にくすんだ緑色をした小さなお手玉が混じっていた。
恐らく破れた軍服をかき集めて作ったのだと気づいたのは、つい最近のことだ。
自分が軍服に袖を通して、初めてあの色は軍服の色だったのだと知った。
それと、竹トンボ。竹が手に入らなかったのだろう、別の木で作ったらしい。
いつもと手にした感触が違っていた。
竹でできていない竹トンボは、綺麗に綺麗に舞った。
まるで故郷に戻れて喜んでいるかのように。
<2>
清志のもとに赤紙が届いたのは、昭和十八年の秋だった。
「なんでうちに赤紙が来るの? 」
引っ込み思案で清志の背中に隠れていることの多かった芙美子も、十五になっていた。
「…お偉いさんが決めたことだからね」
幾度も逡巡を繰り返してから、清志はあのとき父が言った言葉を口にしてみた。
だから、仕方がない。国民の気持ちがどうであれ、お国のために、天皇陛下のために。
そんな言葉が、まるで威圧するように隠れていると気づかされる。
「お兄ちゃんはのんびり屋だもん。兵隊さんになんて向いていないわよ!」
「芙美子」
宥めるように、美津子が名を呼ぶ。
芙美子は口を尖らせると、やりきれない表情で襖の向こうに消えた。
清志と美津子、ふたりきりになってしまった。
目が合うと、美津子が苦笑する。あとは何も言わず、再び繕い物を始めた。
茂が亡くなってから、美津子はずいぶんと細く小さくなった。
以前はふっくらとした桜色の頬をしていたように思ったが、今は色味を失ってこけている。
大黒柱である父を失い、美津子はさぞかし苦労したことだろう。
だが、まるで己の使命でもあるかのように、美津子は干物屋を守り続けている。
父が戦地に赴いてからも遠藤家は何一つ変わっていない。
ただ、いくら変わらなくても、父は戻らない。
美津子は心のどこかで茂が帰ってくると信じていたいのかもしれなかった。
「…母さん」
美津子が顔を上げた。
清志は言葉に迷う。無意識に呼んでしまったのだ。
「芙美子のこと、頼むよ」
何とか言葉を捜して、ようやく口から出たのはそんな言葉だった。
美津子が目を細める。目尻に深く皺が刻まれる。
「何?」
「やっぱり親子なんだねえ」
ふふっ、と美津子が笑う。
美津子の実家は地元の名士というわけでもない。
遠藤家と同じような、どこにでもあるような家だ。
だが、母の仕草には近所のおばちゃんにはない柔らかな上品さがある。
「お父さんも同じことを言っていたよ」
「芙美子を頼む、って?」
「清志と芙美子を頼む、って」
美津子は微笑した。
美津子の中には、八年前に出征したままの父がいるのかもしれなかった。
「おまえもそんなことを言う年になったんだねえ」
美津子の淹れてくれた茶をすする。
これだけ小さくなってしまった母を、そしてたったひとりの妹を、置いていく。
兵隊の代わりはいる、けれど、母と妹を守るのは自分しかいない――
そんな考えが頭をよぎって、清志は慌てて打ち消した。
そして、まるでお題目のように繰り返す。
お国のために、天皇陛下のために、と。
出征が差し迫った日、清志は芙美子に連れられて海に来ていた。
戦争が始まるまでは漁で賑わっていた海も、最近は閑散としてほとんど人はいない。
「…静かだね」
しばらく海を見ていた芙美子が、ぽつりと口を開いた。
「みんないなくなっちゃったから。正一ちゃんも、明男ちゃんも、勇ちゃんも、三郎ちゃんも、武ちゃんも、お父さんも、
みんな…」
「芙美子…」
清志の幼なじみは、ほぼ兵隊に取られてしまっていた。
中には帰ってきた者もいる。もちろん、紙切れ一枚の姿で。
「お兄ちゃんまでいなくなっちゃうの? 私、嫌よ」
芙美子の大きな黒目がちの目には、すでに涙が溜まっている。
清志は胸中で溜め息をついた。
世の中には感情ではどうにもできないことがあるのだと理解するには、芙美子はまだ子供なのかもしれない。
「芙美子、それ以上言うな。非国民になるぞ」
清志は敢えて強い口調で諭した。芙美子は頭を振る。
「非国民でもいいわよ。ねえ、お兄ちゃんとお母さんと私と、三人で非国民になろう?
そうしたら、戦争に行かなくていいでしょ? 国民じゃないんだもの」
清志は胸中で溜め息をつく。
できることなら、芙美子の言うとおり、非国民になってでも戦争には行きたくないという気持ちもどこかにあった。
だが、あの優しかった父でさえ、果敢に戦ったのだ。
逃げることは許されないともわかっていた。
「お国のために働くのが、国民の名誉なんだ」
清志が答えると、芙美子はわっと泣き出した。
「お国が何をしてくれたの? ただみんなを連れていっただけでしょう? 私、嫌よ。みんないなくなっちゃうなんて、
嫌…!」
「…芙美子、母さんが悲しむ」
びくん、と一瞬芙美子の肩が震えた。
茂が亡くなって以降の美津子の苦労が、芙美子に伝わっていないはずもなかった。
芙美子はそれ以上口を開かなかった。ただ、泣いていた。
失った仲間たちのため、失った父のため、これから出征する兄のため、そして残される母のため。
芙美子はずっと泣いていた。
芙美子の気持ちは、清志にも共感できる部分があった。だが、逆らうなど考えられなかった。
芙美子も言葉とは裏腹に、知っているはずだ。
皇民はひとしく天皇陛下に尽くすのが当然なのだ。例外など有り得ない。
戦争に行って人を殺すのかと考えるだけで、眠れない夜もあった。
鬼畜米英と蔑んではいるものの、相手は鬼でも家畜でもない。
人だ。人同士で殺しあうのだ。自分にそれができるだろうか。
赤紙が来てから、清志は布団の中で何度も恐怖に身を竦ませた。同時に、改めて父を尊敬した。
「お兄ちゃん、これ、持っていってね」
手の甲で涙を拭いながら芙美子が差し出したのは、くたびれたお手玉だった。
父の茂の遺品として送られてきた品物のひとつだ。
受け取ると、中身はあまり入っていなかった。戦場で作ったのだから無理もない。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を芙美子は向けてくる。
「お父さんが最後にくれた、大事なお手玉なの。ずっとお守りにしてたの。
だからお兄ちゃんのお守りにもなるかと思って。…でも! 返してね。絶対、持って帰ってきてね!」
清志は頷いて見せ、少し安堵した表情に変わった芙美子の頭を撫でた。
一体、戦争はどれほどの血が流されてきたのだろう。
そして、どれほどの涙が流されてきたのだろう。
今日の海は、ひときわ荒れていた。
清志と芙美子の会話を飲みこもうとでもするかのように。
<3>
駅のホームには多くの人が見送りに来てくれていた。
片田舎の駅がこれほどの人手になることは、滅多にない。
ほとんどが女子供だ。子供の頃からまるで妖怪のように呼ばれていた浜のおばあも来ていた。
「征ってまいります」
清志は着慣れない軍服に身を包み、し慣れない敬礼をした。
皆襷をかけ、小旗を持っている。赤い丸が染め抜かれた日章旗だ。
「…お兄ちゃん…!」
耐え切れなくなったのか、芙美子が転がるように前に出た。
芙美子はすでに目が潤んでいた。懸命に涙をこぼすまいとしている。
「芙美子。父さんのお手玉、ここに入れておくからな」
清志は左胸のポケットをさすって見せた。
別れを悲しむ妹を見て、宥めない兄がいるはずもない。
特に、芙美子は清志にとって年の離れたたったひとりの妹だ。
元気づけてやりたかったが、皆の前だ。余計なことは言えない。
一体どうやって慰めて元気づけたらいいものか思案を巡らしていると、前列にいた美津子が歩み寄った。
美津子はそっと芙美子の両肩に手を添えた。芙美子ははっとして振り返り、軽く唇を噛んだ。
「体に気をつけてね」
いつもどおりの、優しい声だった。
明日からは聞けない声だった。
胸がいっぱいになって、清志は敬礼を返すのが精一杯だった。
清志が汽車に乗りこむと、皆が一斉に小旗を振った。
まるで鳴門の海のさざめきのようだと清志は思った。
故郷の海。次に見られる日は、いつ訪れるのだろうか。
美津子と芙美子の姿が見えた。ふたりも旗を振っている。
美津子は無表情に近く、芙美子は顔をしかめていた。
汽笛が鳴る。
「遠藤清志君、バンザーイ!!」
町長が声を張りあげた。
ゆっくりと、汽車が走り出した。
清志が出征してから約一年の時が過ぎた。
秋が過ぎ、冬も過ぎ、春も過ぎ、二度目の秋を迎えようと夏も過ぎつつある。
最初の頃はこまめに送られてきた手紙の量は、見る間に減っていった。
徳島の田舎で暮らす芙美子にさえ、日本の敗色を肌で感じられるようになっていた。
だが、相変わらずラジオでは皇国日本の威勢のいい情報しか伝わってこなかった。
もちろん、まだ少女である芙美子には、情報が上層部によって歪曲されていることなどわからない。
「芙美子、またここに来てたのか」
海を見ていた芙美子は、ふと振り返った。
幼なじみの秀二が網を肩に担いで立っていた。
秀二は芙美子と似たような状況にあった。
秀二の兄である正一は、芙美子の兄である清志の遊び仲間だった。
体格が良かったせいか何年も前に出征し、紙切れ一枚になって帰ってきた。
気のせいではない。近頃は戦争に取られる男の年齢が下がってきている。
兄に似ず細身の秀二だが、あと数年もしないうちに兵隊にとられてしまうかもしれなかった。
「…でももう帰るよ。お母さん、そろそろ目が覚めるだろうし」
秀二の顔が曇る。
「芙美子のお母さん、体弱くなったな」
「うん…」
芙美子は小さく頷いて見せると、視線を浜に落とした。
清志が出征してから、遠藤家に男手は皆無になった。
秀二のような芙美子の幼なじみが仕事を手伝ってくれることはあったが、とても足りない。
美津子は茂が出征してから、無理に無理を重ねていた。
そして、恐らく口には出さないが、遠藤家の大黒柱だった清志の出征だ。
美津子は相変わらず干物屋を守り続けているが、寝こむ日が増えた。
以前は兄の友達が大勢来て、いつも賑わっていた。
芙美子の友達も、しょっちゅう父に会いに来ていた。
茂はほつれてしまったお手玉も、破れてしまった人形の服の裾もあっと言う間に直してしまう。
それどころか、余った小さな木切れで櫛を作ったりしてくれた。
芙美子が幼い頃に出征してしまった優しい父の姿は、そのまま兄の清志に重なった。
清志は穏やかな兄だった。
芙美子が無理を言っても、笑顔で聞いてくれた。いつも手を差し伸べてくれた。
普段から兄の存在の大きさはわかっているつもりだったが、いなくなると余計に清志の存在の大きさが身に染みる。
今の遠藤家は、がらんどうだ。
横たわった母が布団を被って声を殺して泣く姿を、芙美子はある日垣間見てしまった。
酷い罪悪感に囚われた。自分は何と我が儘だったのだろうと、己を詰った。
夫を失い、子供を育て、その育てた子供のうちひとりが兵隊に取られる悲しみは、芙美子の悲しみよりもはるかに深い。
何より、芙美子は悲しみを表に出せる。だが、母はこうやって泣くしかできないのだ。
芙美子はさらに積極的に干物屋の仕事を手伝うようにした。
母を寝かせ、店を閉じて片づけをしたらこっそりと外に出るようにしていた。
母が人知れず悲しみを吐き出す時間を邪魔したくはなかった。
秀二は芙美子と似た者同士だった。
芙美子と同い年で、兄同士も同じ年齢だ。
そして同じように兄を戦争に取られ――秀二のほうは兄を亡くした。
正一の戦死が知らされたのは、清志が出征して間もなくだった。
芙美子は正一の死を清志に伝えられないでいた。
「早く帰れよ」
秀二はそう言って芙美子の細い肩をぽんと叩くと、背を向けて行ってしまった。
不思議と芙美子には秀二の背中が大きく見えた。
芙美子は秀二の背が見えなくなるまで見送って、大きな溜め息をついた。
清志は海軍に配属されたと聞いている。
この海に繋がるどこかの海で、戦っているのだろう。
あののんびり屋で優しかった兄が、鬼畜と戦うところなど想像できない。
ただ、生きて帰ってきてくれさえばそれで良かった。
茂は亡くなってしまったが、また三人で干物屋をやればいい。
今の芙美子はなかなか働けるようになった。干物の仕入れもお手の物だ。
早く帰ってきてほしい。
戦争など早く終わってしまえばいい。
芙美子は海に向かって叫んでやりたかった。
バイさるに引っ掛かってしまいました。
解除され次第続きを投下いたします。
<4>
息子の手紙を読み終えたとき、美津子の手は震えていた。
涙で滲んで、最後まで文章がすらすらと追えなかったほどだ。
清志は今まで、ただの一度も己の死を匂わせるような手紙を寄越したことはなかった。
干物屋は何とか頑張っているのか、無理ならば畳んでもいい、三人いれば何とかなる…
むしろ戦争が終わった後の、未来のことを綴っていた。
戦争が終わった頃には芙美子は嫁に行く頃かもしれない、それならばふたりで金の工面の相談でもしようか、
そんな冗談めかした手紙を書いてきたことさえあった。
清志は戦場にいても、茂に似て何よりも家族を思ってくれる息子だった。
それが、まるで突き落とされるかのような手紙。
「どうしたの、お母さん?」
思わず目頭を押さえてしまった。芙美子が怪訝そうに顔を覗きこんでくる。
美津子は何も言葉が返せなかった。嗚咽を堪えるので精一杯だった。
ただ、読み終えた手紙を渡す。
視界の隅で、芙美子が手紙を読み始めた。
美津子は我慢しきれなくなった。一度漏れた嗚咽は止まらなかった。
突っ伏して、泣いた。
「…嘘よ、こんな…」
茫然自失とした芙美子の言葉も、美津子には届かなかった。
大事な夫を亡くし、今度は息子まで失うのか。
皇国日本は息子に遺書を書かせるような国なのか。
今までずっと頑張ってきた。こんなに頑張ってきたというのに、その結果がふたりの死だと言うのか。
美津子は泣いた。まるで子供のように。
芙美子の前では泣きはしまいと思っていた。
戦時下では戦争に行くことは美徳以外の何物でもない。
皇国の民には当然と考えられているその思想に疑問を持っていると、芙美子に悟られたくなかったからだ。
芙美子を悩ませるだけだろうと、ずっとずっと内に溜めこんできた。
普段泣き虫の芙美子は泣かなかった。ただ小さくなってしまった母の背中をさすりつづけた。
「お母さん、私…何があってもお母さんと一緒だからね」
芙美子にしては信じられないほど、強い響きの言葉だった。
芙美子は下手な慰めはしなかった。
あの優しい兄がこんな手紙を書くとは、日本の戦局は最悪に近いのだろう。
そして、兄は死地に赴く。確実に。
芙美子は密かに、皇国を憎んだ。
日本にいた頃、ラジオでは毎日のように皇軍の目覚ましい活躍ぶりが伝えられていた。
やれどこの空で飛行機を打ち落としただの、どこの海で母艦を沈めただの、まるで日の出の勢いと思われた。
だが、それは耐え忍ぶ生活を強いられている国民を鼓舞するだけのものに過ぎなかったのだと、出征して初めて清志は
知ることとなる。
今まで日本は有利だと思いこんでいたのだ。
劣勢に立たされていると気づいても、すぐには順応できなかった。
軍での生活自体が別世界の出来事のようだった。
初めて敵の兵士を殺したときも、同じ人間を殺したとは思えなかった。
まるで柔らかいものの中に入っている芯を抜いた感覚だった。
ただ、何日か目が冴えて眠れなかった。
父もこんな思いをしたのだろうか、そんなことを考えながら、薄い寝袋を頭まで被って体を丸めた。
戦力差は圧倒的だった。何より、相手は資材が潤沢だ。
倒しても倒しても、倍以上の力で押し返される。
振り返れば皇国の地が見えそうだった。
──何より。
清志の心配は、徳島に残してきた母と妹にあった。
徳島は皇国の中心である東京からは遠く離れている。
だが、敵国が徳島だけを見逃してくれるはずもない。
戦力差は歴然としていた。技術も人員も、何もかもが敵国のほうが上だった。
持ちこたえるのがやっとだった。
このまま戦い続ければ、皇国は米英に蹂躙されるだろう。
戦局に悲壮感さえ漂ってきた頃、新しくできたという隊の隊員募集が行われた。
「回天特別攻撃隊」。食料も物資も尽きかけている今、新しい隊を編成するのは妙だと誰しも思った。
だが、同時に誰しもが納得することになる。
募集要綱には、心身が健康な者、責任感のある者と至極当然の文言が並んでいた。
その文言の最後に、一言こう付け加えられていた。
生還ノ見込無シ。
後顧ノ憂ヒ無キ者ヲ基準ニ選抜ス──
「回天」がどんな兵器であるのかを、何よりも如実に物語っていた。
清志は恐怖を覚えた。だが、同時に胸の奥底から熱いものが湧き上がってきた。
出征して、初めて生きている心地がした。
これが愛国心か。これが皇国を守りたいという気持ちか。
美津子と芙美子の笑顔が脳裏をよぎった。
ふたりとも、戦争から解放された安堵の笑みを浮かべていた。
清志は口を強く引き結び、両の拳に力を入れた。
子供の頃は楽しかった。
戦争は遠い遠い場所の出来事に過ぎなかった。
兵隊は立派な皇国の守り人であり、少年の目には眩しく映った。
時折自分の姿を空想の中で重ねてみても、あまりにも不釣り合いで思わず苦笑した。
優しい父、母、そして妹。多くの仲間たち。
仲間はみんな兵隊に憧れて、兵隊になりきっては日が暮れるまで遊んだ。
楽しくて楽しくて、楽しいことに気づかないほどだった。
当たり前に続くはずだった日々は、波にさらわれるように消えた。
母からの返信はまだ届いていなかった。
もう送ってくれているのかもしれなかったが、近頃は日本からの手紙も遅れがちだった。
清志が回転特別攻撃隊に志願したとき、戦友たちは一様に驚いた。
あの遠藤が、と声を上げた者もいたという。
無理もない。清志本人も考えもしなかったことだ。
清志の命ひとつで皇国が守れるわけがない。
だが、母と妹の命なら助けられるかもしれない。
何のために戦場に身を置いているのか。
出征してから悶々と胸の奥に溜まっていたものは消えていた。
むしろ清々しささえ覚えた。
清志は気づいていなかったが、こうして決断したのは初めてのことだった。
優しいと言えば聞こえはいい。だが、日本男子としては気弱過ぎた。
それは父の茂にも言える。
子供の頃はわからなかった。父がどんな思いで戦場に身を置いていたのかを。
だが、今ならわかるような気がした。
<5>
回天特別攻撃隊の綿津見隊に入隊した清志の上官は、大村義信少佐と言った。
見上げるほどの背丈と、頑強そうな体躯。最初に会ったとき、少し気後れしたのは事実だ。
軍隊とは厳格であるという印象を抱いていた清志ではあったが、大村は鉄拳制裁を行うことも、大声で話すことさえ
なかった。
清志よりも十ほど年かさがあるだろうか。
年齢以上に落ち着いて見える上官だった。
大村は何かと清志を気にかけてくれた。
上官に問うのは礼を欠くとわかっていたが、ある日尋ねてしまったことがある。
少佐はなぜそれほど優しくしてくれるのか、と。
大村は少し寂しげな笑顔を見せた。
「ちょうど君くらいの弟がいたのだよ。…幼い頃、病気で亡くなったがね」
物資は軍に優先的に送られてくる。
戦場に立てない弱き者にまで物資を配給する余裕など、今の皇国にはない。
治るはずの病が死に直結することさえ、珍しくはなかった。
「君には御令兄がいるのか? それとも弟御かね?」
「いえ、兄も弟もおりません」
「それで志願したのかね?」
後顧の憂い、の文言を理解できない者はいないだろう。
要するに他に男兄弟がいて、家を継ぐ必要のない者が志願対象だったはずだ。
清志は見よう見まねで覚えた敬礼をした。
「自分には妹がおります。妹が自分など足元にも及ばぬ立派な婿を取ってくれるでしょう」
もともと父の茂は長男ではなかったし、干物屋も茂が始めたものだ。
茂も美津子も徳島の生まれだが、互いに裕福な実家というわけでもない。
何より、どのみち国が滅びれば、家どころの騒ぎではなくなる──
あけすけには言えなかった。
大村は僅かに目を丸くしたが、どこか暗い表情に取って代わられた。
「…私は君のような人間を何人も見てきたよ」
「自分のような、ですか?」
「そう。真っ直ぐで純朴な若者だ。そして…そういう真面目な若者ほど、命を散らそうとする。君のように」
「自分は少佐のおっしゃるような立派な者ではありません。
徳島の田舎にある、小さな干物屋の息子です。ただ──」
自然、力がこもった。清志は一呼吸置いて、大村の双眸を見返した。
「干物屋の父の息子として生まれたことを、大変幸せに思っております」
「…そうか」
大村が静かな微笑を返した。
「私は軍人の家に生まれたことを、幸せだと思ったことはなかった。父のように、軍人としての務めを果たすだけだと
思っていたよ。本当に、君はいろいろと気づかせてくれるな」
「は…」
清志は返答をはかりかねたが、大村は納得しているようだった。
上官と長々と私的に会話するのは、憚られることだ。
清志は背筋を伸ばし、改めて敬礼した。
「死なないでくれ。…そう命令できたら…」
背を向けた大村の呟きは、清志の耳には届かなかった。
軍靴の音が遠ざかっていく。
清志は大村の姿が角を曲がりきって見えなくなるまで、敬礼を解かなかった。
時は一九四四年九月。
山口の軍港を基地とすることになった綿津見隊の前に初めて姿を現した「回天」は、隊員たちが想像していたよりも遥か
に小さかった。
全長約15メートル、直径約1メートルという。
魚雷としては超大型の部類に入る。それもそのはず、もともと使われていた魚雷を改造したものだ。
ただ、魚雷としては巨大ではあるものの、中に人間が入るとなるとわけが違ってくる。
見た目以上に操縦席は狭い。隊員は押しこまれるような形で座らなければならなかった。
ハッチが閉められると圧迫感さえ覚える。この状態で、脱出しようのない海中で戦うのだ。
完全なる孤独の中、隊員はすべての操作を独りでしなければならない。
索敵、照準の固定、そして特攻。失敗すれば追尾──
だが、隊員たちは回天の性能に歓喜した。
魚雷である回天の最大の特徴、それは「後進できない」ことである。
切迫した時間の中で製造されたため、回天には通常の潜水艇と違い後進する機能はつけられていなかった。
敵に後ろを見せない、何と言うあっぱれな兵器であると、隊員たちは皆回天を賞賛したのだった。
賞賛する隊員たちの中に清志もいた。
出征して以降、清志の顔立ちは少しずつ変化していた。
柔和だった顔立ちは頬が削げて骨ばって見えるようになった。
顔色もどす黒くなり、目の下に大きな隈ができた。
飛び出した目玉が帽子の下からぎょろりと覗く。
出征する前の清志の面影は消えようとしていた。
わずかに以前の清志を繋ぎ止めているのは、優しい双眸の色だけだ。
だが誰も、清志自身でさえ、変化に気づかなかった。
すでに枢軸国側は追い詰められた状況下にあった。
ヨーロッパではノルマンディーが制圧され、太平洋では日本にとって最後の砦であるサイパンが陥落した。
サイパンが陥落した責を取る形で東条陸軍大将の内閣は7月に倒れていた。
代わって発足した小磯内閣は、閣議で「国民総武装」を決定したという。
清志は話を聞いたとき、思わず皇国民が皆軍服に身を包んでいる姿を想像した。
だが、米英が攻めこんできたら、本土にいる皇民には転戦する場所がない。
逃げ場がなければ、万歳を叫んで玉砕するしかない。
まるで回天の中と同じではないか。
操縦席では砂時計が頼りだった。さらさらと零れ落ちる砂から少しでも目を離せば、衝突の危険がある。
なぜ力を持たない皇民まで勝つか死ぬしか選択肢がないのだろう。
砂を見つめながら、清志は歯を食いしばった。
ただ、前に進むだけ。進んで鬼畜米英を道連れに玉砕するだけだ。
清志は母や妹の盾となることを望んだ。
だが、本土の皇民は、美津子や芙美子は、誰の盾になるというのだろう。
清志のような末端の兵に、答えが出せるはずもない。
清志は左胸のポケットをさすった。
芙美子の小さなお手玉をポケットの上からさすると、もやもやとしたものが少しずつ和らいでいった。
ウルシー環礁。伊豆半島の南、約二四〇〇キロ地点にある環礁である。
この地点で回天で初めて成果を上げたのは、菊水隊だった。
ウルシー環礁の停泊地攻撃隊が、アメリカ海軍の給油艦ミシシネワを撃沈したのである。
この朗報は、回天に携わるすべての兵の士気を否が応にも押し上げた。
もともと感情を表に出す性質ではない清志さえ、安堵に近い喜びを覚えた。
しかし、人間魚雷を投入してきた日本軍に対し、アメリカ軍の軍備は増強された。
停泊している戦艦を狙う作戦は変更を余儀なくされ、より危険な洋上作戦へと移行せざるを得なかった。
明けて、昭和二十年四月。
本土では桜が咲いているであろう頃、綿津見隊に出撃命令が下った。
戦場は、マリアナ諸島付近。輸送潜水艇にて、回天特攻隊は敵艦と見えた。
太平洋のほとんどは敵軍の勢力下にあった。
すでに日本と米国の戦力差が歴然としていることは、戦う前からわかっていた。
回天という魚雷ひとつでどうにかなるものではないこともわかっていた。
それでも、日本は「回天」──「天運挽回」の略、傾いた形勢を元に戻す、の意──という兵器に、望みを託さずには
いられなかったのだ。
潜水艦の後甲板に搭載された一基が、清志の機体だった。
大村少佐が総勢四名の特攻隊員を見送りに来た。
清志をはじめ、四名は胸を張って大村に敬礼した。
大村も敬礼を返した。
「──君たちの上官になったことを、誇りに思う」
大村の言葉に、清志たちの胸に熱いものがこみ上げてきた。
「行って参ります!」
自然、声が揃う。
帰ることはない。だが、恐怖もない。
重ねてきた訓練が恐怖を掻き消したわけではなかった。
ただ、この機体で、敵艦を落とす。そして皇国を、家族を守る。
その思いが、隊員たちを高揚させていた。
狭い搭乗席に乗り込み、信管のスイッチに手を伸ばす。
信管のスイッチは、必ず押してみせる。
そして必ず敵艦を沈める──
知らず、清志の目頭に涙が浮かんだ。
なぜ涙が浮かんだのか、清志自身にもわからなかった。
──ああ、芙美子。
お手玉を返すと約束したのに、返せなくなってしまったな──
この日、何十基もの回天の搭乗員が特攻をかけ、命を落とした。
綿津見隊は、誰ひとりとして帰還しなかった。
<エピローグ>
冷たい風に肩を竦めながら、ひとりの老婦人が石段を歩いていた。
春であれば多くの人で賑わっているはずだが、晩秋のその場所には訪れる者はほとんどいない。
女子高生だろうか、三人のセーラー服の少女たちとすれ違う。
少女たちは楽しそうに笑っていた。老婦人もつられてかすかな笑みを浮かべる。
もう60年も前のことだ。老婦人も、少女だった。
だが、声を立てて笑える時代ではなかった。
代わりに悲しみを押し殺した。何度も、何度も。
老婦人はすでに腰が曲がり、杖が手放せない。
ゆっくりと、引きずるように石段を上がり終え、さらに石畳を進んでいく。
満開であればさぞかし美しい光景だろう。
だが、今はどの枝も枯れ葉が申し訳程度に残っているだけで、ひどく寂しい。
徳島の桜とここの桜が違うことに気づいたのは、何年も経ってからだ。
ここの桜は、ソメイヨシノというらしい。
幾度となく満開の時期を見計らって来ているが、何度か散ってしまった後だったことがある。
パッと咲いてパッと散る。
この桜の特性は、老婦人がまだ少女だった頃、兵士の美徳と重ねられていた。
老婦人の住む徳島の田舎は、山桜が多い。
ぽってりとした瑞々しい桜は、葉と一緒に咲き誇る。
一陣の風が通り抜けた。老婦人はすでに真っ白になった横髪を押さえる。
ゆっくりと、ゆっくりと。まるで感触を確かめるように歩く。
境内には誰もいなかった。老婦人はゆっくりと枯れ木のような桜たちを見回した。
「今年も来ましたよ」
懐かしむような微笑は、どこか憂いを含んでいる。
「ごめんなさいねえ。今年は一人なの。
本当はいつもみたいに春に来るつもりだったのだけれど、秀二さんったら庭の木を切ろうとして脚立から落ちて、
腰を痛めてしまったのよ。俺はまだまだ現役だ、正志には任せられん、とか言っているけど、ねえ…
まだ治らないんだもの、そろそろ大人しくしてもいいと思うのだけれど」
老婦人はわずかに唇を動かすだけだ。
そばに誰かいたとしても、聞き取れはしないだろう。
「多恵子のところにねえ、また赤ちゃんが生まれたの。今度は女の子よ。
…お兄ちゃんから名前を一字もらったわ。『清香』よ」
老婦人は──芙美子は、軽く目を閉じた。
若いまま命を散らした兄の、そして父の、笑顔が浮かんでくるようだった。
清志が戦死してから半年も経たずに、日本は負けた。
国民皆が貧しかった。だが、生きられるという喜びに満ちていた。
芙美子は美津子と協力して何とか干物屋を続けた。
そして、幼馴染だった秀二と祝言を挙げた。
干物屋は畳み、美津子を引き取って、三人で暮らした。
正志が生まれ、和志が生まれ、多恵子が生まれた。
結局美津子は無理がたたって体を壊し、何年も寝たり起きたりの生活が続いた。
そして、一度も徳島を出ることなく亡くなった。
美津子が亡くなってから、芙美子は毎年秀二と靖国神社を訪れるようになった。
ここに清志がいないのはわかっていた。
それでも、訪れずにはいられなかった。
生前、何度も美津子が靖国神社の桜を見たいと言っていたからだ。
芙美子は今年も、靖国神社の風景を目に焼きつけ、母の墓に報告しに山口へと帰る。
清志は今も、南海の底深くに眠っている。
(終)
以上になります。
読んでいただいてありがとうございました。
戦争に関しては誰しも思う所がある
倉で戦前の新聞や読本、先祖の私記を見た時は何とも言えない気持ちになった
「海軍主計大尉小泉信吉」を思い出したよ
心理学とはとても繊細なものなんだ、と
せんせいは言った。
遠くを見つめて、そう言った。
まだせんせいが若い頃。
ある書物に手を出したせんせいは、たちまちその作者であるフロイト博士に惚れ込み、本場の心理学を学ぶために外国へ飛んだ。
心理学を学ぶ人は、どこか普通の人とは違うらしい。これはせんせい論だけど。
まぁそんな事より、せんせいはそこで、ある女の人に会ったんだって
綺麗だけど少し精神が不安定な、寂しそうに笑う女の人
心理学を学んでいたせんせいは、……ちょっとおかしなせんせいは。
実験も兼ねて、彼女に近付いた
甘い言葉を投げ掛けて、懐柔して
カウンセリングもどきを始めた
その関係は、恋人という枠組みだったけど
せんせいはわかってたんだって、ホントは
この女の人の行く末が
それをどこまで変えられるかのゲーム
今考えると馬鹿らしいよね?って、ちょっと笑ったせんせいが尋ねてきて
私は黙ってた。それがせんせいの求めた答えだと思ったから
せんせいはそこで、口を開いたり閉ざしたりして
この話の続きは、また今度。って
そう言って薄く笑った
ねぇせんせい。私ホントはわかってるの、そのお話の続き
もう、せんせいの口からその続きが聞けないことも
私の目の前の英語が踊る。せんせいの細い指に、なぞられて
ねぇせんせい。私、知ってるよ。なにもかも。せんせいの閉ざされた未来も、私の気持ちが行き着く先も
ねぇせんせい
それでも私は
あなたが好きなの
オチなし
52 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/18(金) 03:50:20 ID:798DCKkH
エロパロにもこーゆースレあるけど立てたの同じ人?
55 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 18:48:10 ID:X6AqfCTu
ここでエロ書いたら叩かれるんでエロパロに立てたんだろ
56 :
きっときょうも:2009/09/23(水) 20:30:19 ID:/apdaXQq
なにもないのはきょうにかぎったことではなく
まいにちまいにちだれかがはきだしたくうきをすってすって
なんにもないくうきにくうきをはく おぇっ
べつにあしたはあめでもはれでもいいけど
せめてにじがかかるか
きらいなあいつがずぶぬれになるか
おれがどっちかむくわれてほしい
ふくれたせなかはまばたきするたびしおれる
わらってら だれかがわらってる
きっときょうもきっときょうも
きょうもきょうもきょうもきょうもないてる
***
もてあまし気味。一体どこがじぶんに合ってるかわかんねぇ
「隠密同心心得之条」を現代風にしてみた。
公安0課行動鉄則
一、工作活動ニ於イテ命ヲ惜シマヌ事
一、工作活動以外ニ自ラノ能力ヲ使ワヌ事
一、工作員ノ姓名・素性等、一切部外秘トスル事
一、工作活動ノ成功率ハ常ニ100%デアル事 以上
補足、工作員ノ殉職ニ際シ当局ハ一切コレニ関知シナイモノトスル
ある日、道を歩いていると神様が倒れていた。
慌ててスーパーで買った団子(見切り品 100円)をお供え物に手を合わせるとゆっくりと上体を起こし、こちらを向いた。
華やかであっただろう衣服は泥に汚れ、顔には生気を感じられない。
さらに体つきはひ弱そうでとても信仰の対象であった面影がなく、その辺の幼子と比べて何の遜色もないほどだ。
最近、不審者情報が多く(内容:児童におかえりと声をかける不信人物。犯人は私である)このまま放っておけないので
とりあえず自宅に連れ帰ることにした。
粗末なダンボールの台にサボテン君を置き、その前に水の入ったコップと茶碗半分ほどの白米を置く。
j神様が言うには「自分はそのへんの植物の神様だからサボテンが地蔵様代わりになる」らしい。
サボテンをヨリシロにする日本の神様なんて聞いたことないよと言ったら「ウルサイ」と言われた。
道端で死に掛けていた理由はやはり信仰心不足に拠るものらしい。土地開発が痛手のようだ。
今となっては自分の宿っていた祠まで壊されて、あのまま放置されていたらお陀仏だったそうだ。
神様なのか仏様なのかはっきりしてくれと言ったら「ウルサイ」と言われた。
今となっては信仰する人は私しかいないらしい。信仰がなければ神様は死ぬ。
上目遣いで「だからお願い。私のことを見捨てないで」と言ってきた。
ためしに即興で粗末な祠を取り壊し、サボテン君に臭いオナラをあてる。
なるほど、見る見るうちに元気がなくなっていく。だんだん影も薄くなってきている。
怒られた。
そんなわけで私はどうみても幼女の神様と暮らすことになった。
神様に何か奇跡を起こせないのか聞いたら、うんうんうなったあとサボテンの花が咲いた。
小さいけどこれもまた奇跡である。
YSSでもいいかなと思ったが先が浮かばないから行き場を失った。
歴史の闇に葬られた事件――
「お耳に入れたい事が」
それは、ある改良型戦車の投入から始まった――
「これは――」
「疑問の余地はありません」
動き出す巨大組織――
「我々以外がつくったものが、その名を冠する――
看過できるというのかね?」
集められた精鋭――
「諸君! 君たち特殊工作の専門家に遂行していただきたい作戦がある」
疑問と動揺――
「味方の国の工場を破壊しろだなんて」
「利害が一致するから手を組んでいるだけだ」
「政治家はそうかもしれませんが、兵士は命をかけて僕たちと同じ敵と戦っているんです!」
「貴様も兵士なら命令に従え!」
陰謀、権力闘争、裏切りの錯綜を超え、男たちの熱き戦いが始まる!
「俺たちは鼠みたいに地べたをはい回って――
鼠みたいに泥まみれになって死んでいく――
たかが鼠のためにな」
鼠どもの戦場 〜T34 1942型生産工場を破壊せよ!〜
テーマソング:「約束の場所」:ケミストリー
「ちょwwwそう呼んでたのドイツ軍www」 K.Y.タイムス紙
「これ工場は悪くなくね?www」 シカゴ・トリブーン紙
「ウォルトさんマジパネエwww」 全※批評家協会
軍オタ以外にはわからないネタですみません……
61 :
やぶ:2009/11/12(木) 18:21:31 ID:m6MoAGF3
口裂け女の有名なコピペみて思い付いた。
口裂け女1
白衣を着た冴えない中年男の傍らで、淡いピンク色のナース服に身を包んだ若い女性が一心に細い棒へ綿を巻き付けている。
ここは『やぶ医院』。いわゆる町医者という奴で、外科や内科はもちろん、産婦人科まで節操無く兼任している、何でも屋の小さな診療所だ。
「患者さん来ませんねー」
ヒマそうにその女性が呟いた。
口を動かしながらも手は一時も休まないのはさすが、というべきだろう。
「一日中患者さんも看ないで綿棒作りなんて、きっとナイチンゲールも泣いているわ」
経費削減のため、綿棒を院内で手作りしているのだ。
「まあまあ、貞子さん。病院がヒマってことは、病や怪我で苦しんでる人がいないってことなんだから、いいことじゃないか」
その女性、貞子看護師に声をかけると、恨みがましい目が私に向けられた。
「何言ってるんですか、この近辺でヒマなのってここだけですよ!」
うーん、やっぱそうか。
「まったく、少しは自覚してください。だいたい、先生の名前が悪すぎなんですよ。なんで『やぶ』なんて名前で医者を目指しちゃったんですか!縁起悪くて、みんな他所の病院に行くに決まってるじゃない!」
そういわれても…。
貞子ナースがはぁっ、とため息をつきながら言葉を続けた。
「まあ、そんな所に就職しちゃった私はとんでもない大馬鹿やろーですけど」
うん、そうだねー。
「このポークビッツみたいな粗チンに、作りかけの綿棒突っ込んでぐりぐりしてほしいのね?たぶん膀胱に綿玉落ちて大変なことになるけど?」
あああ!貞子さんがサド子さんにぃ!?
迂闊にも思ったことをストレートに口に乗せた私は、次の瞬間冷たい床に転がされ、貞子さんの白ストッキングに包まれたなまめかしい脚に股間をぐりぐりされてた。
あああ!お願いします、女王さま。って言ってしまいそうな自分が怖い!
カランカラーン
貞子さんのナースシューズに服従の口づけをしていると、来患を告げる鐘の軽やかな音が院内に流れた。
「ちょ、やぶ先生患者さんが…、ああんっ!ちょっ、いい加減にしなさい!」
白いパンストに包まれた貞子さんの可憐な爪先を口に含み、レロレロなめ回していたらいきなり顔面を踏み付けられた。
ああ!良い!最高だよ貞子さん!
「先・生、患・者・さん・です!」
ナースシューズでガスガスと何度も踏み付けていただき、思わずパンツを汚して賢者タイムに入った私はけだるげに院内を見渡す。
花粉症なのだろうか?顔半分を覆う大きなマスクを被った綺麗な女性が、入口からがらんとした待合室を所在なげに見渡している。
62 :
やぶ:2009/11/12(木) 18:25:13 ID:m6MoAGF3
口裂け女2
花粉症なのだろうか?顔半分を覆う大きなマスクを被った綺麗な女性が、入口からがらんとした待合室を所在なげに見渡している。
時間も時間だし、今日の診察は終わってしまったのか、とか思っているに違いない。
「まだやってますよ?」
声をかけると、その女性は安心したような顔(と、言ってもほとんどマスクに隠れているが)をして、院内に入ってくる。
「ぎりぎりに来る患者って、厄介な人の場合が多いのよね…」
患者には聞こえないよう、貞子ナースがポソリとつぶやく。
確かにその通りだけど、今日初めての患者さんなんだから、愛想よく頼みますよ?
「ええと、申し訳ありませんが初めての来院ですよね?こちらの初診申込書に必要事項を書いて、保険証を提出していただけますか?」
テキパキと準備をする貞子ナースとは対象的に、患者はもじもじとするだけで差し出されたボールペンを受け取ろうともしない。
「あの、保険を使わず自費で診察を受けたいんですが…」
ああ、最近増えたよね。生活がきつくって健康保険脱退しちゃう人。
「貞子さん、手続きは後でいいから、とりあえず患者さんお通しして?」
マスクでほとんど隠れているが、息子のいい女センサーは限界まで反応している。早く診察と偽って触診しまくり…、
「コホン!」
いやもちろんそんなことはこれっぽっちも思ってませんよ?だから、その古井戸の中から覗き込むような呪いの篭った目線はやめて下さい。
「ええと、どうされました?」
私が質問すると、その女性はモゴモゴとマスクの中で呟く。
「すみません、もうちょっと大きい声でお願い出来ますか?」
そう言いながら体ごと近寄り、女性の口元に耳を寄せる。
うん、たまたま私の股間が女性のスカートから出た膝に当たってるけど、偶然ですよ?あ、そういやまだ汚れたままだ。
などと幸せな気持ちで診問を続けていると、不意に女性が話す度に空気が漏れる音がするのに気付いた。
よく見ると大きなマスクの両端から、何か裂け目が覗いている。
(ぎりぎりに来る患者って、厄介な人の場合が多いのよね…)
貞子ナースの言葉が脳内で再生される。
(まさか…、口裂け女!?)
普通は私綺麗?と聞いてきて、はい、と答えると、
「じゃあ、これでも?」
と、マスクを取り、耳元まで裂けた口を見せて驚かすだけだが、相手が医者だとそれではすまない。
整形手術の失敗を怨んで、その裂けた口でアチコチを噛み裂くというのだ。
「裂けちゃったんです…」
不用意に体ごと近付いた私の耳元に、口裂け女がぽつりとつぶやく。
き、きた!?
マスクごしに口裂け女の熱い息吹が右耳に当たる。
俺じゃないのに!美容整形失敗したことないのに!
グッバイ、マイ右耳!お前の仇に、必ず口裂け女のオッパイは揉んでやるからな!
覚悟を決めて口裂け女の胸元に手を伸ばしかけると、口裂け女は意外な言葉を続けて口にした。
「…裂けちゃったんです。…下のお口が」
はい?
「あの、彼のがその、とっても大きくて…」
えーと?
伸ばしかけた両手を緊急停止して、ぎりぎりでさくらんぼちゃんをつまむ直前で止まる。
「えと、その…、私も馴れてない、というか、その、初めてだった、というのもあるんですけど…」
指をくにくにさせ、恥ずかしそうに私から目を逸らし、真っ赤な顔でもじもじと説明を続ける彼女。
か、可愛いじゃないか。
せっかく止まった指先が我慢出来ずに動き出す!
ごりっ!
「はうぁっ!?」
不意打ちで私の爪先を激痛が襲った。
63 :
やぶ:2009/11/12(木) 18:27:14 ID:m6MoAGF3
口裂け女3
「先生…!」
あううっ!ごめんなさいごめんなさい!触らないから!触らないからピンポイントで足の小指を踏み付けるのはやめて下さい、貞子さん!
「あの、実は私、口裂け女ってやつで、取りあえず縫合さえしていただければ、人間よりも体力あるんで自力で直せると思うんですけど、何だかなかなか血が止まらなくて…」
両手を戻した瞬間、口裂け女が目線を戻す。ふうっ、あぶなかったぜ。
「うーん、それでしたら立派な傷害罪ですから、あなたではなく彼氏が治療費を支払う、ということですか?」
「ち、違います!彼はその、全盲なんで、私のアソコが裂けたことも知らないんです!…私、女にして貰った証だから、って言い張ったから…」
うーん、確かに目が全く見えないんじゃ、ちょっと裂けたくらいじゃ破瓜の血なのか裂けた血なのかわからないかも。
にしても、処女を捧げた直後にそんな気を配るなんて、よっぽどその彼氏が好きなんだろうな。
「まあ、取りあえず見せていただけますか?」
私がそういうと、彼女の身体がビクッ、と震える。くぅっ!いちいち反応が可愛いなっ!
「そ、そうですよね。見ないことには治療出来ないですよね…」
しばしの逡巡を見せた後、恥ずかしそうにスカートをたくしあげ、ストッキングと下着をぬぎさり、脚を開く。
くくぅっ!医者になって良かった、て思う瞬間だぜ!
「ありゃ?けっこう大きく裂けてますね…」
控えめなヘアーの下に現れた、綺麗な観音様の一部に亀裂が入り、そこからじくじくと真っ赤な血が滲み出ている。
「ナプキンを当てているんですけど、なかなか血が固まらなくて…」
脱いだ下着に目をやると、血止めがわりらしきナプキンがかなり血で汚れている。
「うーん、確かにここは湿っぽいからなかなか血は固まりにくいでしょうけど、だいたい何日ぐらい血が出続けてますか?」
「えと、彼に女にしてもらったのが〇日だから…、は!?あの、その!えと!6日です!」
くはぁっ!狙ってるのか!?
はふぅ、という熱い吐息を感じて目をあげると、口裂け女の可愛いさにやられたのか、貞子ナースの目がやばいことになっている。
「先生、思ったんですけどこのまま縫合しても同じことの繰り返しになっちゃうんじゃ?」
そらま、そうだけど。でも、そのあやしい目の輝きはなに?
「口裂け女さん、失礼ですが彼氏さんのアレってどのくらいの大きさかしら?」
ちょ、診問は俺の仕事…。
「え?えと、あの、私がいっぱいにお口開いて、その、ぎりぎりの、大きさ、です…」
恥ずかしいのか、最後は蚊の鳴くような小さな声。
「ふーん、そう…。じゃあ、ちょっと調べさせてね?あ、今からすることは診察にとっても大切なことだから、嫌だと思っても我慢してね」
あー、貞子さんや?先生を差し置いて、看護師のあなたが何をする気かね?
口裂け女が可愛いらしくコクン、と頷くと、貞子さんの目が大好物のお魚さんを前にした猫のように、爛々と輝きだした。
…口裂け女の彼氏さん、もし壊しちゃったらゴメンね…。
エッチなのもうまいなあ。
新米の続きも楽しみにしてますんで。
65 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 17:11:00 ID:cIKbwZw8
あら、おわっちゃったの?
66 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/18(金) 20:09:00 ID:BET3nz3r
私が覚えている一番最初の記憶は母が末弟の出産から退院したところである。しかし残念ながらそれ以外は覚えていない。
両親と何か会話をしたはずなのだがその会話の内容はおろか両親がどんな声だったのかも覚えていない。
あれからしばらくして両親は亡くなったはず。はずというのはあまりにも幼かったため記憶が曖昧なのと両親の遺体を見ていないからである。
遺体を見ているとさすがに諦めると思うのだがもう17年も経っているのに未だに実感がわかない。私たち兄弟が過酷な人生を歩んでいるのに。
両親が亡くなった時には13歳の兄から生まれたばかりの弟まで10人の兄弟がいた。13年間で10人も出産するなんて驚異的である。そして母の多産の血は私たち娘もしっかり受け継いでいるようである。
67 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 18:10:12 ID:QRdmzB3y
今日私は4289人目の子供を出産した。しかも双子だ。これで男の子が2019人で女の子はえーと…えーと、4289−2019だから2270人いることになる。
正直全ての子供の名前を覚えるのは不可能であり、それに今度生まれてきた双子に付ける名前なんてもはや残ってない。
さっき夫と一緒に子供の数を数えたら3902人しかおらず、残りの、えっと残りの4289−3902=387人が何処へ行ったか分からない。
多分どこかで遊んでいるか、飢えて野垂れ死んでるかしてるんだろう。それだけ食い扶持が減って万々歳というところだ。
だって仕方ないだろう。しがない会社員でしかない夫の給与でこれだけの数の子供を養うなんて不可能に近いのだ。
年長の子供を組織して武装させ、近隣の農家やスーパーマーケット、穀物倉庫なんかを襲撃して食料を確保したりしなきゃやってられないのだ。
最近では銀行なんかを襲ったり、果ては自衛隊基地や原子力発電所を襲撃して武器や核物質を盗んで横流ししているのは秘密だ。
こうした実績を買われ、年長者の何人かは国際的な傭兵として活躍できるようになり、母親としては喜ばしい限りだ。
現在民主党の皆様が子供手当ての支給を公約に掲げていらっしゃるそうで、これも母親として大変喜ばしい。
何せ子供の数が4289人もいるのだ、一人当たり月額2万6千円であるから、我が家には総額4289×26000で…えっと、そのね…。
何これ、物凄い金額が入ってくるじゃない! 母親としては大変喜ばしい限りです。
既に何人かの子供はどっか行ったり死んだりしてると思うけど、その分もちゃんと支給していただけるんでしょうね?
え?幼児虐待?そんなことしてません。そんなのできる数じゃないんです。だって4289人なんですよ?そんなのいちいち引っ叩いてられませんよ。
え?育児放棄?まさかそんなこと言って、私に支給される月額億単位の金を渡さないつもりですか?
もしかしてあなたは、私の金であるところの子供手当てをむしろ取ろうと画策している敵国の工作員か何かですか?
そんなことさせません、許しません。この金は私がブランド物のバッグや靴を買ったりするために大切に使わせてもらいます。
え?その金は子供のために使う金だって?そうですよ、このお金はちゃんと子供のためになりますよ。
だって子供達も、母親がブランド物のバッグや靴を身に着けて、エステで磨きぬいた美しい身体の持ち主だったら鼻高々じゃないですか。
そんなこんな言ってる間にも、また陣痛が始まったみたい。
いやーん、また子供が生まれてきちゃうみたい。いつの間にダンナの奴、私の中に子種を仕込んでたのね。
まったくまいっちゃうわ、本当に。
69 :
66:2009/12/20(日) 15:20:17 ID:A8p6kM3p
両親が死んでしばらくしてあの女が我が家を乗っとり始めた。あの女とはお祖父様の妾である。
私は幼かったので当時は知らなかったのだがその昔お祖母様が妊娠している時にお祖父様が風俗に行って出会ったらしい。お祖母様という妻がいるのに何てことをするのと思ったが男の人の体の構造上我慢するのは不可能らしい。
しかし大抵は一度限りの客と風俗嬢の関係で終わるはずなのだがどうやらお祖父様はあの女に騙されてしまったらしい。
そしてあの女は息子を産んだ。父達と同様にお祖父様の息子であることは間違い無いのだが母親が違うとこれほどまでに違うのかと思った。
その事を父達兄弟が気づくのに時間がかかるはずもなく開き直ったお祖父様は(もちろんあの女の差し金で)その女をお手伝いとして我が家に連れてきたのだった。
ここで妻妾同居が始まったのだが所詮由緒正しいお嬢様のお祖母様が強姦の結果生まれて風俗嬢から叩き上がってきたあの女に勝てるはずが無く心身共にお祖母様は病んでいった。
それでもあの女に対抗すべく次々と子供を産み孫である兄達が生まれても出産を続けていたのだが高齢出産はやはりまずかったのか遂にお祖母様は13人目の出産で死んでしまった。
享年48歳。お祖母様が最初に産んだ私たちの父上は既に24歳になっており既に2人の子供がいた。
話しは変わるのだがあの女はお祖父様との間に19人も子供を産んだ。お祖父様が亡くなった時双子を妊娠中だったがあの女はお祖父様と出会う前に父と同じ歳の娘を産んでいる。
両親ははこれを契機にあの女を追い出そうとしたが逆に殺されてしまった。
70 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 16:09:49 ID:A8p6kM3p
それからしばらくして兄は突如同級生と結婚すると言い出した。当時兄は13歳である。あまりにも早すぎる結婚に何かあると幼い私も思ったらどうやら子供が出来てしまったのだった。
さてはともあれ私たちは妊娠した兄嫁と一緒に暮らしはじめた。時々お義姉様の家族も来ていたのだが私は特にお義姉様のお母様に好印象を持った。
だがそのお母様、実は後妻でお義姉様の本当の母親ではない。夫亡きあと先妻の生さぬ仲の子供を自分が産んだ子供と変わらずに育てるとはどれだけの苦労があったのだろう。
後妻というだけで世間から好奇の目で見られたり亡き先妻が神格化されてプレッシャーを感じたりはたまた世間で悪妻とされる後妻と比較されたりして他人の私から見ても大変だったことはわかる。
それはおいといて翌年兄には長男が生まれた。兄達はまだ14歳だった。私たちは当然喜んだがあの女は違った。
あの女には大勢の子供がいたがどういうわけか全員知的障害だった。たまに子供全員が知的障害の家庭があるが精々3人か4人である。19人もいると一人ぐらい正常な子供がいてもおかしくない。いや普通なら逆である。
71 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 20:42:03 ID:4hSK5sUr
つい先日生まれた20人目の子は、生まれながらにして全身エメラルドグリーンの鱗に覆われ、蝙蝠のような翼を持っていた。
さらに目は大きく迫り出した主眼二つの間に六つの複眼が並んでいる。さらに傍から長い触角が生えており、この子が感情を表すたびにフリフリと揺れる。
銀色の髪の毛の間には角が二本生えている。おそらく成長と共に長く伸びるのであろうが、今は産毛の中に埋もれて一見するだけでは分からない。
さらに胸には三対の脚が合計六本並んでおり、その先にはそれぞれ鋭くとがった鉤爪がギラリと光っている。
身長の1.5倍ほどもある長い尻尾の先には、これまた鋭く尖った毒針が生えており、時折溢れ出た毒液がピッっと飛び散るのが見える。
実はこの毒針のせいで産婆が一人死んだ。
この子を引っ張り出す際に思い切り尻尾の先端を掴んでしまった産婆は、その瞬間うげえっ、とまるで獣の吠えるような声をあげ、
瞬く間に全身が紫色にそまり、身体も気味悪く膨れ上がって、真っ黒な血を吐き出して死んでしまったのだ。
そんなわが子も今はベビーベッド(バスケットコートほどの広さ)の上ですやすや眠っている。
やはりわが子というのは可愛いものだ。思わずその頬にキスしたくなる衝動に駆られたがやめておいた。
同じようにキスをしようとした私の兄が、その瞬間に目の覚めたこの子にあっという間に食べられてしまったのだ。
まだきちんと生え揃わぬ牙に引き裂かれた兄の断末魔が、今も私の耳から離れない。
産科医によると、生まれて三ヶ月ほどでこの子は口から炎を吐くようになるという。
さらに1年を過ぎるころになると、背中の羽も充分に成長し空を飛べるようになるとのことだ。
空を飛べるようになったら、自分でその辺の人間を捉えて食べるという。なんとも逞しい話だ。
確かに行き場がない作品だw
かなり好きですぜww
74 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/21(月) 22:48:57 ID:6HEci6Mo
私たちはあの女に家を乗っ取られても何とか暮らしていたがしばらくして兄夫婦とその息子は追い出されてしまった。
あの女は息子に家を継いでほしいから正統な後継者の兄を追い出したのだろう(もっとも父には他に3人の息子がいてさらに6人の弟がいたが)。
その晩、私が部屋にいると何か物音がする。部屋を出て物音のする方向に向かうと何と一番上の姉があの女の息子に無理矢理服を脱がされて何やら乱暴されていた。
そしてあいつが姉に無理矢理下半身を押し付けた瞬間、姉は絶望に似た悲鳴を出した。
その時はわからなかったのだがあれは間違いなく強姦である。
そいてあいつは勝手に絶頂に達するとぐったりとした姉を放置した。
姉のあそこからは血の混じった白い液体がただ流れ出ていた。
そしてあいつは二番目と三番目の姉を乱暴した。
しばらくして姉たちは揃ってあいつの子供を宿し結婚することになった。それが重婚になることぐらい私もわかっていたがもはやあの女は世界を崩壊させていて何でもありの世界だった。しかしその後私も姉達と同じ経験をするとは思いもよらなかった。
75 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/21(月) 23:44:44 ID:6HEci6Mo
ある日私は四番目の姉と妹と私の部屋で遊んでいた。ところが鍵をかけたはずなのになぜかドアが開いた。驚いた私たちがドアを見るとあいつがいた。
私たちは何をされるのかすぐにわかったが逃げ場が無い。そのうちに姉は無理矢理服を脱がされて強姦されてしまった。姉は当時8歳。あまりにも幼かった。
私は男のそれを見たことが無いわけではなかったがそれは私たちを恐怖に陥れるのは十分だった。しかし私たちは強姦される姉をただ見ることしかできなかった。
あいつは姉を強姦して満足したかに思えた。しかし次の瞬間あいつは私に襲いかかってきた。もう私は何が何だが覚えていない。あいつに挿入された痛みなんか覚えてないぐらい混乱していた。
しかしあいつが私の7歳の子宮に出す瞬間はものすごく覚えている。そして私も気を失った。
私が目覚めると妹もぐったりしていた。妹のあそこからもやはり血の混じった白い液体が流れていた。妹は当時5歳。いくらなんでもあんまりである。
その後も強姦は続いたがさすがに幼い私たちは妊娠しなかった。私たちもいつのまにかあいつの妻になっており6人姉妹全員が祖父の妾腹の庶子の妻になるという前代未聞の出来事が起きてしまった。
そんな生活を送っているうちに周囲は全くわからなくなり男の兄弟のことなんか全くといってもいいほどわからなくなった。
四年後、私は子供を産んだ。生理なんて一度も来てないのに妊娠して産んだのだ。いくら愛していない男の子供でも私自身が産んだ子供である。しかしお乳を一度もあげることもなくあの女に子供を取り上げられてしまった。
そのせいなのかしばらくして生まれてはじめての生理が訪れた。出産後に初潮を迎えるなんてあべこべである。
その後も私は出産を繰り返したのだが子供達に愛情が湧くことは無かった。
76 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/21(月) 23:57:25 ID:6HEci6Mo
月日はさらに流れ私は19歳になった。ある日私はふと弟の存在を思い出した。兄のことは毎日思い出しているのに弟のことはほとんど覚えていなかった。
そして私が歩いているとなぜか若い男性(少年と呼ぶべき?)が全裸で倒れていた。
私は密かにその人を部屋に連れて帰り看病をした。その人は元気になったがよくみると何と私の弟である。一体何年ぶりの再会だろう。しかし歳月とは残酷なもので私達は普通の姉と弟でなくなった。
弟のそれまでの生活は全くわからないがどうやら女とは無縁の暮らしをしていたらしい。そしてあろうことか弟は全裸のまま私に欲情したのだった。
私は仰天したがあの幼かった弟が立派に成長したと思うとそれに応えてしまい遂に結ばれてしまったのだった。
そしてあれほど大嫌いなセックスで嫌になるほど感じてしまい生まれてはじめて絶頂に達してしまった。
私と弟は人目を忍んで密会するようになった。そして私は弟の子供を妊娠したのだった。
私は嬉しかったのだがそれと同時にものすごく罪悪感を感じたのだった。やはり弟の子供だからだろう。両親と弟の顔が交互に現れては消えていった。
そうこうしていくうちに出産の時を迎え遂に出産した。私は一応あいつの妻だからこの子は不義の子になる。しかも近親相姦の結果生まれた子供である。私は色んな不安を抱えたのだったが今までばれずに今日まで過ごしている。
おまけにあいつとの子供は全員あいつにそっくりな知的障害の子供だが弟との子供は今のところは何も問題が無い。
その後も私は弟との子供を産み今も弟との子供を妊娠中である。
そして私の次の目標は私が産んだ息子とセックスして息子の子供を産むことである。知的障害がネックだが弟よりさらに若い体に溺れることは確実だろう。
今でも思い出す。赤い夕日の沈むあの屋上と静かに笑う彼女の姿。
自分は何も出来なかった。臆病で弱気で引込み思案で内気で。
隣に彼女がいたのに。初めて『恋』をした彼女が隣にいたのに。
自分は何も出来なかった。ただ静かに並んで夕日が沈むのを眺めているだけだった。
もしもあの時に時間が戻るなら……。
浅い眠りから意識が浮上する。
ぼんやりとした世界がやがて輪郭を持ち始める。
鳴らない携帯電話を手に取り、時間を確認する。既に正午を過ぎているようだ。
おもむろにPCを立ち上げたあと匍匐前進で部屋のドアを開ける。
いつも通りラップに包まれたお盆がある。上には昼ごはんが置いてある。
素早くお盆を部屋に引き込む。自分の食卓は数年前からPC前だ。
眼が字面の上を滑っていく。夢が頭に引っ掛かっている。
あの後、彼女とは何もなかった。普通の友人として過ごし、そして二年の夏。
彼女に恋人が出来たのを境にメールすることも話すことも減り、やがて眼を合わせることもなくなりそのまま卒業した。
彼女が今どこで何をしているかはわからない。自分はただニートをしているだけ。
今でも彼女に『恋』をしている。もう顔なんて何年合わせていないかわからない。
それでもただ思い出の中の彼女は美しく、優しく、そして自分に向けて微笑んでいる。
もしも時間が戻ることがあったら。何千回とも繰り返した願いを頭で繰り返す。
もしも時間が戻ったらあの夕日の落ちる屋上に戻り、彼女に聞きたい。
なんで自分に構ってくれたのか。なんで自分を庇ってくれたのか。
なんであの夕日の屋上に来てくれたのか。大事な友人の誘いを断ってまで。
箸を置く。食器をまとめて、椅子から立つ。下に持っていかなければならない。
振り向いた際にケーブルが足に引っ掛かった。まずいと思ったときにはPS2が眼の前に――。
浅い眠りから意識が浮上する。
手すりに頭を突っ伏して、立ったまま寝ていたようだ。顔を上げると今にも沈もうとしている夕日が眼に入る。
この光景は。この光景は。過去の記憶が蘇り、今の景色と重なり合う。
まさかそんなはずが。PS2に頭ぶつけてタイムスリップ? そんなの聞いたことがない。だけど確かにこれはあの時だ。
ふと頬を抓る。痛くない。それが全てを指し示していた。
そうか。夢か。
でも。後ろのドアが開く音がする。これが夢だとしても。鼻歌が聞こえてくる。自分は、俺は。
綺麗だね。彼女はそう言う。あの時と同じように。そうだね。俺はそう返す。
無言の間が続く。でも不思議と悪い気はしない。この雰囲気すら心地良い。
でもここでこのままだと何も変わらない。掌を伝う汗を握り、俺は彼女に向かって言う。
「なんで着いてきてくれたの?」
彼女もこっちを微笑みながら言う。あの時と寸分変わらぬ声。ただ格好だけはなぜか寝間着だった。
「君が寂しそうだったから」 少し切った後「私と同じ匂いがするから」
「俺は君と違う。君は」「同じだよ。私も誰かを恐れてるから。君は離れることで。私は繋がることで。ソレから恐れているの」
風は吹かない。夕日はまだ燃えている。赤い屋上には自分たち以外誰もいない。
「お願い、私から逃げないで」
彼女が右手をこちらに出す。俺はその手をじっとみつめる。視線を上げて彼女を見つめる。
「もっと早く気づけばよかった」
涙が自然に頬を伝う。なんでだろう。なんで流れるのだろう。左手を上げて、彼女の手を優しく、しっかり握る。
「私ももっと早く。あの時、待つなじゃなくてちゃんと伝えればよかった。そうすれば私は今も君を思うことはなかった。
あの時の私にもっと勇気があれば。夢でなくあの時この言葉が言えてたら」
彼女の頬にも涙が流れている。この感情を言い表す言葉を自分は知らない。誰のためになんのために涙は流れるのか。
「俺にも勇気が、一握りの勇気があれば。君に」 息を肺いっぱいに吸い込む。夜の空気が体を巡る。
「好きだって言えたのに!」
声は空に吸われていく。響くことのない声をすぐに無音が上塗りしていく。でももう無言の時ではない。
「また」 しゃくりあげながら彼女は言う。「もしも、奇跡が起きるならまた夕日の落ちるここで君と――」
浅い眠りから意識が浮上する。
でも先ほどとは違う。振り返ることなく俺は家を飛び出した。
裸足で、寝間着で、不恰好で。だけど今はそれに頭を回すときではない。
ただひたすら走る。何度も通った通学路を。そして校内に入り、階段を駆け上がる。
屋上のドアは開いていた。眼の前には夕日が待っていたかのように沈んでいる。
手すりのところに誰かがいる。俺は鼻歌を歌いながらその影に近づいていった。
78 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 06:50:26 ID:uFyzgxWU
そんなある日三番目の姉の子供達が惨殺遺体で発見された。そして姉とその長女は失踪したのだった。兄が追い出されてから実に15年が経過していた。
私は姉が脱走したと思った。しかし15年も敷地から一歩も外に出たことが無くだいいち住所を知っているようなめぼしい親戚は粛清にあっている。
いや、生きている親戚はいる。そう、母上の実家だ!!我が家以外で最も消されてもおかしくないのに現在も当主はちゃんといる。
私は当主である従兄のもとを訪れようと弟に相談した。しかし弟は困った顔をした。だが私の頼みは断れないのか遂に弟は私を連れ出した。
ついた場所は何やら地下室の入り口である。弟は警備員を気絶させると私を男装させた。そして私は地下室に入っていった。
地下室は暗く何やら妖しげな雰囲気だったが私が驚いたのは中には全裸の若い男が沢山いたのだった。そしてあろうことかある2人組は突然キスをしてさらにはフェラを始めたのだった。
私が驚いていると弟は何やら全裸イケメンと話している。そして全裸イケメンは困惑していた。
しかし全裸イケメンは折れたのか私と弟を奥に連れてった。
79 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/24(木) 21:17:05 ID:HH1fqoVt
「 大掃除 」
ある民間企業の研究室。
「 ぬおーっ! 」
企業内でN博士と慕われている男が猛烈な勢いで部屋を片付けていた。
「 おはようございます。博士、大掃除ですか? 」
N博士のたった一人の助手、Sが声をかける。
「 おお、S君おはよう。早速だが君も手伝ってくれんかの 」
「 ちょっと大掃除には早くないですか? 年末まで日もあるし 」
パタパタと動き回るN博士に、ドタバタと動きながらS助手は問う。
「 今年の汚れは今年のうちにじゃ。早すぎることは何もない 」
「 そうですか。じゃあ、さっさと片付けますか 」
膨大な研究資料や実験器具が陣取った研究室。大掃除は丸一日を要した。
次の日。
「 ぬおーっ! 」
N博士はパソコンの前で物凄いスピードで技術論文や研究データの整理をしていた。
外付けHDDやUSBメモリー、DVDディスクが所狭しと並び、レーザー
プリンターはひっきりなしにA4用紙を吐き出している。
「 おはようございます。パソコンのデーターも大掃除ですか? 」
いつも通りの時間に出社したS助手にくらべ、昨日今日とN博士の出社は異常に早かった。
「 そうじゃ。貯まりに貯まったからの。今年のうちにじゃ 」
「 僕のパソコンはどうしましょう。大したデーター入ってないですけど 」
「 君のはそのままでいい。わしも特別たいしたことはしてないからの 」
その言葉の割には七十を超えた年齢とは思えない指さばきでN博士はパソコンと格闘している。
「 終わった……。ほぅ、さすがに疲れたわい 」
そう呟きながらN博士は肩や腰をとんとんと叩く。S助手は博士好みの渋めの緑茶を出す。
「 部屋はスッキリしたし、研究データーの整理も終わったし今年の大掃除はこれにて完了ですね 」
「 いや、まだ重要なことが残っておる 」
どっこいしょ。一声かけてN博士は立ち上がる。そして丹念にインデックスが付けられた
記憶媒体と10センチはあろうコピー用紙の束をS助手の前に置いた。
「 わしのパソコンのIDとパスワード。それと過去の研究データー、論文の一覧表じゃ。
パソコン自体に手は入れてないが、いままでS君の見れなかったわし専用のデーターファイルを
全部抜き出しておいた。暇な時にでも目を通しておくれ。サーバーの共有ファイルのパスワードも
後で君の好みに替えればよかろう。メールも過去のものすべて残っておる。
ふう。……これでわしの大掃除も終わりじゃの 」
「 ……どういうことですか? 」
意味ありげなN博士の行動と言葉に、S助手は不安げな表情で尋ねた。
「 リストラ、いや引退かの。簡単に言えば今年限りでわしは会社を辞めるということじゃ 」
「 えっ……? 」
S助手は驚きを隠せない。入社以来7年間ずっとN博士の下で働いてきたS助手にとって、
それは唯一の先輩上司、そして尊敬している師匠を失うことであった。
「 ……うそ、……嘘ですよねN博士! 」
「 わしは冗談は言うが嘘は言わん。本当のことじゃ。大々的に希望退職者を募ったことは
君も知っておるじゃろう。わしもその中の一人じゃ。自分で言うのはおこがましいが
わしはこの会社に貢献してきたつもりだし結果も残してきたつもりでおる。
しかし残念ながらそれは過去の話じゃ。ここは研究室。知恵の出ない者がおれる場所じゃない。
さらに言うならば、わしのような老いぼれを飼うだけの体力も、もはやこの会社には無い。
わしは沈みそうな船から逃げる鼠と一緒じゃ。嘲笑ってくれてかまわない 」
「 ……博士 」
誰よりもN博士がこの会社をそしてこの研究室を愛していたのは分かっていた。
それ故にS助手は博士の苦渋の決断に口をはさむことは出来なかった……
80 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/24(木) 21:19:20 ID:HH1fqoVt
年があけて数ヵ月後。
「 会社の決断は間違いじゃなかったようじゃの 」
悠々自適な隠居生活を過ごしていたN博士の元に郵便が届く。
工業技術系の新聞や雑誌の多数の切り抜きと一枚のCDメディア。それは名も知れぬ企業が
発表した小さな新技術の紹介記事と技術論文だった。
早速N博士はパソコンを立ち上げCDの内容を確認した。
「 ……大掃除の賜物じゃの。悔しいがわしにこの発想は出来なかった 」
そこにはN博士が残した研究実験データーをもとにS助手が開発した新技術の理論、実権結果が
綴られていた。
大胆なリストラとS助手が開発した新技術によってN博士が長年勤めた会社は、業績の大幅な
向上が期待できると切り抜き記事は一様に謳っていた。
「 わしもいい後輩に恵まれたものじゃ。S君これからも期待しておるぞ! 」
N博士の頬をひと筋の涙が流れた。
S助手の発表した技術論文。そこには発表者としてS助手とN博士の名が連ねられていた。
おわり
N博士S助手としただけで、オチは弱く星新一ぽくもない……
否!
クリスマスイブなのにあえて年末行事の「大掃除」を投下する。
この人の斜め上を行く先進性が俺の星イズム!
うはっ、決まった!!! ……(゚Д゚≡゚д゚) ……あれれ?
星スレや誤爆スレに投下する勇気が無かったのでここで成仏。
この板にSSを投下するのは初めてです。よろしくお願いします。
小学一年生のりえは、いつも下校途中に同じクラスの男子三人組にいじめられていた。
りえは毎日、帰りの会の「さようなら」が終わるとすぐに教室を出て急いで帰路につく。クラスで一番背の低い小柄なりえが、
パタパタと駆け足で教室を後にする姿を、担任の先生やクラスメイトたちは微笑ましいものを見るような目で見ていたが、
実はこの直後、りえはその日の運命を決める、必死の逃走劇を繰り広げていたのだ。
男の子たちに追いつかれる前に家に逃げ込めばいじめられない……りえは毎日小さい体で一生懸命走って家を目指すのだが、
ほとんどの場合は追いつかれ、いじめられてしまうのだ。
その日もりえは走っていた。家の近くまで来て(今日は大丈夫かも)と思ったが、男子たちに追いつかれてしまった。
絶望にくれるりえ。走って息が苦しいのと、あと少しのところで捕まってしまったショックでりえはしゃがみ込みそうになるが、
男子に腕をつかまれ、しゃがむ事も許されない。
「さあ今日は何して遊ぼうかなあ」
りえの首に腕をまわした男子が猫なで声で言う。
せっかく家の直前まで来た帰り道を、また少し学校の方へ戻り、公園へ連れ込まれた。
その隅の見通しの悪い一角が男子達のお気に入りの場所だった。
りえの地獄が始まる。
いじめといっても、男子たちも狡猾である。
自分たちのいじめがばれるような…りえにケガを負わせたり、体に跡が残るような暴力はふるわない。
例えば頭をゲンコツでグリグリと痛めつけるとか、その程度だ。あとは言葉の暴力。
彼らは肉体的な暴力をふるうことにこだわっていない。とにかくりえが嫌がっている様子を見るだけで満足なのだ。
改めてりえの首に腕を回した男子は、りえの首筋に鼻を近づけ、わざとクンクンと音をたてるようにしてりえの匂いをかいだ。
「うえー、乳くせえなあ。お前もしかして、まだお母さんのおっぱい飲んでるんじゃねえの?」
「の、飲んでないよ……」
「でも夜はお母さんと同じ布団に入って寝てるだろ?おかあさんのおっぱい触りながらさあ」
他の男子達はヒヒヒといやらしい声で笑う。
「そ、そんなことしてないよ……あたし、もう赤ちゃんじゃないもん……」
「ウソつけ!お前体が小さいからさあ、頭の成長も遅くってまだ赤ん坊みたいなことやってんだろ?どうせ」
「……」
「お前まだおむつつけてるんじゃないの?」
「つけてないよ!」
「そう言うんなら見せてみろよ。自分でスカートめくってさあ」
「えっ……」
「早くしろよ!」
「そ、そんな……」
「自分でできないなら……」
男子達がピンクのワンピースの裾をあちこちから上にめくっていく。りえは腕をつっぱってスカートを押さえようとするが
3人分の力にはかなわない。あっと言う間に腿と白いパンツが露わになってしまった。
「あー、ほんとにおむつじゃないや、ごめんごめん。でもさあ、このパンツ、白なのにここだけ黄色くなってないか?」
一人がそう言ってパンツの真ん中あたりを指さした。
「なんだお前、おもらししたのかよ!やっぱり赤ん坊だなあ、お前」
「やめてよお…」
悔しさと恥ずかしさでりえは半泣きだ。
「わかったわかった。今日はこれ位にしといてやるよ」
3人がりえの体から離れた。
りえは慌てて裾を下ろし、ワンピースのよじれたところを直した。髪も抵抗して体を動かした時にボサボサになっていたので、
掌をなでつけ整えた。いじめられた痕跡を残して家に帰り、母親に心配をかけることはどうしても避けたかったのだ。
男子達は何事もなかったかのようにさっさと歩き出し、りえからどんどん離れていく。
……と思ったら一人だけ残っていた。またりえの首に腕を回し、りえに耳打ちするように話しかけた。
「また明日遊ぼうな」
「……」
「俺たちお前が好きなんだぜ。好きでもなかったらこんなことするはずないだろ?」
「……」
「ちっちゃくってかわいいからさ、お前のこと大好きなんだよ」
「……」
「だからさあ、明日は逃げんなよな。学校からずっと一緒に帰ろうぜ、な?」
今までにもう何度も、いじめられた後に言われた言葉だった。遊ぶと言っても結局は一方的に、こちらが嫌がるようなことを
されるだけなのだ。だからりえは「うん、わかった」と承知するわけにはいかなかったが、かと言って
強い意志で「いや!」と言うこともできなかった。もちろん男子三人組に口答えするにはそれだけで大きな勇気が必要だ。
しかしそれだけではない。
りえには友達といえるクラスメイトがいない。口下手で、教室でも一人でいることの多いりえは、
ウソでも時々「好きだ」と言ってくれるこの男子たちを、どうしても完全に拒否することができなかった。
もしその勇気を出して先生や親に全てを話せば、この地獄のような毎日から抜け出せるはずだと思ってはいるのだが……。
困惑の表情で黙り込んだりえをその男子はしばらく満足そうに眺めていたが、やがて
「じゃあな、バイバイ!」
と言って離れていった。りえの頭頂部の髪を数本、抜けない程度の力でキュッと引っ張りながら。
「痛い!」
りえは小さく叫び、頭を押さえてしゃがみ込んだ。また涙が出てきた。
涙が止まるまで、りえはしゃがんだままでいた。最後の男子ももう行ってしまったのだろう、あたりにはもう人の気配は全くない。
こうやってしゃがんでいても誰も声をかけてはくれない。りえは孤独感に押しつぶされそうになった。この世の中で、
りえが毎日帰り道でいじめられていることを知っていて、しかもりえの味方になってくれる人は一人もいないのだ。
それでもどうにか立ち上がり、りえは足を引きずるようにトボトボと歩きはじめた。
(明日はどんなことをされるんだろう…)そんな不安の詰まった、暗い暗い心を抱えながら。
(了)
なんというか
チクチクと見る者の気持ちを逆撫でするような「大人」たちが
時々出てくるなあ
86 :
85:2010/01/03(日) 20:21:17 ID:HBHdUYQI
誤爆ですすみません
87 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/08(金) 05:28:13 ID:NHm5JX0v
>>79-80 オチが弱い、というのは分かる
どうせならN博士の研究データが別の誰かの剽窃で、それを知らずにS助手はそれを発表してパクリがばれる
N博士はS助手を貶め、技術盗用で訴えられた会社も莫大な損害抱えて破産させる目的だった
N博士は会社に何か恨みがあって、長年かけてこの罠を準備してたのだ
とかさ
>>82-84 これだけだと、振りしかないんじゃないか?
そこからりえちゃんはどうやって脱出するのかとかがあって起承転結が出来ると思うんだけど
少年達と和解するぬるい結末でもいいし、少年達を罠にはめて潰すのもいいし
結局脱出できずにりえちゃんは死を選ぶなんてのもいい
とにかく「いじめられ」「ついに限界まで行き」「そこでりえちゃんは何かをし」「成功して脱出or失敗して破滅」みたいに
最後までゆけばいいのに
88 :
82-84:2010/01/08(金) 07:57:47 ID:jTVS7um0
「昭和の町並み、夕暮の帰り道、田舎の家々」
彼女がぼくの前で止まる。夕暮の教室にはぼくと彼女しかいない。
「人間がもつ最大の感情は殺意でも悪意でももしくは愛情でもなく、ノスタルジィだと思うんだよね」
「ノスタルジィ……」
「そっ。日本語だと郷愁なのかな」
「追憶という意味もあります」
「あれ、そうだっけ」
彼女は照れ笑いしながら頭を書く。机の上に座るぼくに対し、彼女は再び机の間をゆっくりと確かめるように歩き始める。
グラウンドから聞こえる生徒の声。短い命を必死に鳴いて過ごすセミたち。ゆっくりと静かだけど聞こえる彼女の足音。
「結局人はさ、勝てないんだよね。過去に。前を向いて生きているはずなのに気づけば後ろを眺めてるんだよね。
体験したこともない昔をなぜか懐かしんじゃうんだよ。うん。きっとそう」
腕を組んでうんうんと頷く。
「先輩……」
ぴたりと足が止まる。彼女が俯くとそれに従い、髪は頬まで流れる。
「過去の体験ってさ、両極化されると思うんだよね。いや、されるんだよ。
いい思いではひたすら美化され、悪い思いではひたすらトラウマのようになっていく。
人は忘れることで生きていく生きものだって言うけどさ、肝心なことは忘れてくれないだよね」
だから人はノスタルジィを抱くのだろう。過去は常に美化されていく。それは今から比べれば素晴らしいもの。
でも結局はその行為に意味はないのだ。どんなに過去を羨望しようがその時に戻ることは出来ないのだから。
あの時、こうしていれば。人は生きていくときに何度もそんなことを思いながら生きていくのだろう。
何度も過去を振り返り、今と比べ、ため息をつき。そして重い足を上げて進む。これからもずっと。
「こうやってさ、君と話しているとデジャブに襲われるんだよ。あいつと君が重なってさ。
おかしいよね。君はあいつと全然違うのにね。似ても似つかないのになんで重なっちゃうんだろう」
机の合間を縫って、ぼくのほうへと歩いてくる。俯いた表情は泣くのをこらえているように見える。
ぼくは何も言わない。やがて彼女はぼくの隣に腰掛ける。夕日がもうすぐ山の向こうへと沈む。
「この先もさ、こうやって生きていかないといけないのかな。あいつを思い出し、誰かに重ね、俯きながら」
彼女が泣いている。悟られまいと努力しているのか。静かに静かに泣いている。しゃくりあげながら泣いている。
でも
ぼくはあの人の代わりにはなれない。あの人の存在はあまりにも大きすぎた。ぼくは所詮あの人の劣化品でしかない。
「ぼくは何も言えません」
彼女が赤い目でこっちを見る。この距離だとまつげの数まで数えられそうだ。
「たぶん先輩は慰めてほしいんでしょうけど、ぼくは語彙が貧相ゆえに何も言えません」
ぼくは肩をすくめて言う。
「バカですから」
きょとんとする彼女。やがてくすくすと笑い始める。
「君は大馬鹿者だよ。本当に。こういうときは建前でもいいから適当に慰めないと。もてないよ?」
「別にもてたくないので」
「天邪鬼だなぁ」
「すみません」
彼女が鼻をかんだり、ハンカチで顔を拭いている。ぼくはそれをじっと眺める。
「あー、すこしすっきりした。溜め込むのはよくないね。うん」
腕を組んでうんうんと頷く。でもまだ目は赤いし、涙の後も残っている。
「ありがとね」
「なにもしてませんけど」
「いやいや」
彼女がぼくのことをじっと見つめる。
「誰かが隣にいれば後ろじゃなくて横を見るだけで済むでしょ?」
そういうと彼女は「顔洗ってくる!」と言い残して教室から出て行った。
夕暮の教室に1人。日もいよいよ山の向こうへと沈もうとしている。
誰かがそばにいれば後ろを見て歩くことはないのだろうか。
ぼくはそんなことを思った。
90 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/19(火) 12:07:15 ID:EqZTI0VG
文を書き、悩み、時にして思う。
なぜ自分は書いているのだろうか。現状を見れば書いている場合でもないのに。
戯れに見る未来はいつも華やかであれど
画面の前にいる自分はいつ何時においても醜悪であり
ただただ見なければいけぬものをみようともせず理想郷に逃げいるばかり。
いつかはきっとと夢を見れど、邁進する心なく努力なく気概なく。
いずれもまた空から降るものでもあらず。
今日もまたぼんやりと思う。
この行為に意味はあるのか? やらねばならぬことがあるのではないか?
いかなる理由を持って、創作しているのだろうか
91 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 17:08:43 ID:q1RC2ntt
SSと呼んでいいのかわかりませんが文才のない奴が精一杯書きました。
ボロクソにダメだしなどお願いします。
草木も眠る丑三つ時。
乱立する木立の中。
漏れ出る月明かりに照らされ、彼らは対峙していた。
動きは無かった。
何も知らぬものが見れば、「なんと見事な彫刻か」
そう思うに相違ない。
それ程までに、研ぎ澄まされた"静"であった。
僅かに、ほんの僅かに月光を照らし返す存在。
彼らが握りし物。
それを魂と呼ぶものも居る、彫刻を彩る白銀の刀である。
微かな呼吸に合わせ、煌めくそれは、まさに魂と呼ぶに相応しい存在。
方や、4尺に及ぼうとせん野太刀。八相に構え機を伺う。
対するは2尺と3寸程のありふれた太刀。こちらは正眼に構える。
間合いの差は明確であるが、双方微動だにしない。
後半歩程刻めば、野太刀の刃が届く。
しかし正眼が、それを許さなかった。
92 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 17:09:43 ID:q1RC2ntt
彼らが対峙してから、如何程時が経っただろうか。
無論、双方を除いて知るものは居ない。
このまま永劫に続くと思われた膠着。
しかして、"動"は静かに、唐突に訪れた。
左足を半歩、音も無く踏み出す八相。
痺れを切らせたか、はたまた勝機を見出したか。
一切の迷い無く必殺の間合いに踏み入る。
流れる様な動きで八相の構えから袈裟に振り下ろす。
対する正眼は、刀を立て受ける体勢。
受け止めた後、懐に飛び込み相手の自由を奪う狙いか。
長すぎる野太刀は懐に入られると振る事は出来ない。
八相も十分理解していた。
八相の袈裟斬りが迫る。
重心も速度も十二分に乗り、申し分のない一手。
刃が合わさり、八相が振り抜くか、正眼が土俵に上るか。
全てが決しようとした瞬間。
八相の刃が"消えた"。
否、正眼の構える刀に届くその半瞬前。
八相は袈裟斬りの勢いを殺さぬままに上体を捩ったのだ。
抱え込むように引かれた刃が示す次の一手は"刺突"、全身全霊の刺突。
しかし正眼は優れた武人であった。
八相が刃を引いた瞬間、受けの姿勢から転進、頚を狙いそのまま振り下ろす。
刺突が早いか、首が落ちるのが先か。
互いの刃が、交差する−−。
以上です。
素人意見だと、最初の三行の語呂が悪く感じます。
スタートダッシュにもっと気を使っても良いのでは?
94 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 22:30:26 ID:q1RC2ntt
>>93 自分では始めは動きが無いというイメージだったので、あのようにしてみました。
次はそこを意識してやってみようと思います。
ありがとうございました。
95 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/23(土) 16:50:34 ID:+Qj+AKHA
アジョ中「へへ……このイナバ物置に入っちまえば、手を出せねえだろ。俺の勝ちだ!」
ハルトシュラー「ククク……それはどうかな? 目の前の壁をよく見てみろ。小さな穴が見えるだれう」
アジョ中「何!? これか。だが、それが一体――」
ハルトシュラー「どうやら忘れているようだな。スーパーモバイラーには空間を“繋げる”能力がある」
アジョ中「ま、まさか!」
ハルトシュラー「そう――穴は水銀燈の尻へと繋がっている。さあ、そろそろ時間だ」
刹那、極限まで高圧縮されたヨーグルトが穴から勢いよく噴き出した。
凶器と化したヨーグルトに身を引き裂かれる激痛を最後に、アジョ中の意識は途絶える。
後には、鯖のヨーグルト和えが残るばかりだ。
アジョなのに鯖なのかよ!www
98 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 23:40:08 ID:5U8dpSQj
その日、男は30歳の誕生日を目前に控えていた。
引きこもりだとか若年性ハゲだとかそういうのではなく彼は普通にもてなかった。
「いい人だけどねぇ」というのが専らの評価と言ったところか。それゆえに世界は男を産んでしまった。
そう、男は童貞なのである。繰り返し言うが童貞なのだ。なんと驚くべきことに童貞。これが伝説の――。
話を戻そう。童貞で30歳誕生日数分前に迫った男はナニをどうしてふぅと落ち着いて寝てしまったのである。
仕事も地味ながらに順調。貯金もそこそこ貯まっている。わがまま言わなければ普通に一人で生きていける。
男はそう考えていた。しかし男にはちょっとした小さな望みがあった。
『30歳童貞は魔法使いになれる』
多くの人間は「何トチ狂ってるんだ?」と反応するだろう。当然のことである。あくまでもネット世界でのひとつのジョークである。
つまるところ「魔法使いくらい珍しい」という意味の話なのだろう。本気でなれるなどと思っている人間は全くと言っていいほどいないはずだ。
しかし男はほのかに信じていた。もしかしたら、本当に、期待は出来ない。でももしかしたら。
それは多くの人間が考える、『もしも過去に戻れたら』という考えに類似したものだった。
翌日、ぐっすり快眠から目を覚まし、さぁ仕事に行くかとベッドを降りようとすると男は違和感を感じた。
熱でもあるのだろうか。体に違和感を感じる。手足がやたら短い気がする。ベッドの端に腰かけると足が下に着かない。
幸いにも母親はまだ一階に居た。だから男はなぜかずり落ちるズボンを抑えながらトイレまでふよふよと飛んで行くことが出来たのだろう。
ドアノブの位置が高いことに疑問を持ちながら、中に入り小便を……。
ここで男は重大なことに気付く。下手したら人生でも最も重大なことかもしれない。共通一次会場で筆箱がないことに気づいた時よりもかもしれない。
ないのである。
不快に思う人間が多くいるであろうから直接的な表現を避けるがアマゾンに生えているはずの椰子の木がないのである。
男の住む世界はつまるところ大体の人間が想像するとおりの世界で朝起きたら椰子の木が移動していたという話はない。断じて。
しかしだ。実際のところないのである。生えていない。ここでも直接的な表現を避けるが男にとってはグランドキャニオンを初めて見たときに
沸くであろう感情が今ここで沸いている。とてもわかりにくいがとにかく衝撃的なものだった。
とは言うものの尿意が消えたわけではないので便座に座って用をたす。
男はしばし考えるのを停止させ、機械的に物事を処理し、再び自分の部屋、鏡の前に立つ。
更なる衝撃が走った。好きな子が実はクラスの地味な奴にぞっこんという事実を知ったときよりも遙かに大きな衝撃が走った。
若干茶色の混じったさらさらの紙。
水を弾き、闇の中でも輝きそうな肌。
小動物を彷彿させる円らな瞳。温かみを感じさせる赤い頬。
そして今更ながら思い出すトイレに行った時のこと。
30歳の誕生日。男は魔法少女になってしまった……。
三人称は難しいな。よくわからん。
本編下から五行目で濃厚なシモネタかと思ったw
ってか、これは魔法少女スレにもTSスレにもいけるだろうww
おにゃのこになれるとか羨ましすぎるw
あと、どうでもいいけど共通一次とか書くと歳バレるぞw
続きが読みたいぞw
>>98 くどいくらいの「自主規制」が笑えるww
しかし! 今年30歳ならッ……!
共通一次では断じて無いッ……!
その頃には!
センター試験であったはずだッ……!!
104 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/25(月) 00:13:17 ID:isMnx+UL
お前らどこから沸いてきたんだ
105 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/25(月) 21:51:06 ID:H18hQgH4
「童貞」と「魔法少女」って言葉に敏感な住人たちなんですよ
30代の男が魔法少女に
ってノベルゲーがあるあるよ
高校生くらいの男の子が魔法少女に、ってエロゲなら知ってる。
やった事無いけど。
108 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/26(火) 18:26:44 ID:+FSpkHrQ
少々前までは「これ何度目だよ」というくらい夏にはしつこく放送してた心霊写真番組。
ある日を境に突然パタリと放送がなくなってしまった。
デジタルカメラでは心霊写真が撮れないからとか本当にヤバイ写真が送られてきたからとかいろいろと
推測やオカルト話が飛び交っているが真相は未だにわかっていない。
インターネットではそういう類の話が春夏秋冬昼夜飛び交っている。創作、真実問わずだが。
オカルト話というのは万人に受けるものらしく2chでは専門の板があるほどだ。
そのような板を覗いてみれば饅頭怖いから不思議体験、陰謀説等様々なオカルトが飛び交っている。
しかしネットが普及した昨今では直接的な体験ではなく「ネットで体験した」といったオカルトも増えてきた。
赤い部屋然りここはどこの箱庭じゃ然り。もちろんこれらも前述したとおり創作か真実かはわからない。
まぁ専ら「創作であったとしても楽しみえればよしとしよう」といったスタイルが多いようだ。
前置きが長くなった。要は「ネットでのオカルト」について言いたかったのだ。
とある2chの比較的新しい板での話である。分割ではなく新設で出来る板というのは明確なテーマがないと
人が来るまで時間がかかることがあるらしい。その板もご多聞に漏れず人が来るまで少々、いや実際のところまだいないようだ。
住民たちはどうすれば人が増えるかああでもないこうでもないと頭を悩ましているらしい。
他の板に宣伝する。たくさん書き込む。方法はあれども実行は難しい。代理する板があるならなおさらだ。
人はより人の多い板に集まる。特に雑談板などはあらゆるジャンルを網羅してしまうので性質が悪い。
別にどこの板だとかは言っていないし、そんな板爆発しろとも言わない。
他の板から来た人間を嫌う板もある。贅沢な話だ。
再び話が脱線してしまったので戻そう。この話はそんな板のとある書き込みから始まったオカルトである。
まだ板数が少なく人もさほど多くはなかったころ。とある板で人不足に悩む板があった。
どういった板かは記載しないが今も昔も悩むのは同じようなジャンルの板らしい。そういうことである。
さてはてどうしたものかとその板の住人も悩んでいた。そんなある日のことである。
朝起きて、板のチェックをする。大抵の場合は比較的住民の多いスレが上にあるのが通例で他のスレは書き込みすらされていない。
しかしその日は違った。ほとんどの板で書き込みがされていた。しかも全て作品という形で。その数は千にも達したという。
驚くべきことにその投下したIDは全て同じだったのである。とは言っても一日でIDが変わるので正確には二つと言うべきだろう。
さらに言うと2chの板では設定上「連続投稿規制」と「秒数規制」があるので千の書き込みなど不可能なのである。
結果としてそのオカルトも手伝いその板は繁盛するようになった。住民達は尊敬と畏怖、そして投下時の名前欄からこう呼んでいる。
千作一夜の無間桃花と――
「長いし意味がわからない。私はそもそもいんたーねっとが何か知らない」
それを聞いた少女が口を尖らせて言う。聞かせていた男は少女を宥める。
「まぁまぁ。こう言った逸話があったほうがいいじゃないか」
「必要ない」
「いやでもさ」
「切るぞ」
「あい、すいません」
チャリという音にさすがにびびったのか男が素直に謝る。少女は鼻をフンとならすと荷物を持って
立ち上がった。
「下らない話には付き合ってやった。もう行くぞ」
「若いのに素っ気無いねぇ。どこか行くとこでも?」
少女は人間らしからぬ笑みを浮かべて男にこう言った。
「とある魔王に会いに行くだけだ」
どうしてこうなった・・・どうして・・・
この物語はフィクションです。実在するなんちゃらかんちゃらと関係ないです。
また桃花かwwwww
いいぞもっとやれwww
ぼむったー「そんな板が爆発しました」
とある魔王との絡みに期待
111 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/27(水) 00:19:39 ID:R3iUBVpy
@
『X JAPAN物語 Blue Blood 〜 何故、TOSHIこと出山利三は宗教に救いを求めたのか? 』
「…なんということだ!」
X JAPANのリードボーカリスト、出山利三は驚愕した。
今の今まで、自分の熱き思いはファンのみんなに伝わっていたと思っていた…しかしそうではなかったのだ。
彼らが欲していたのは安っぽい熱狂と、安っぽい感動、そして身勝手な自己陶酔であった。
発狂したように歓声を上げる愚衆を前に、カリスマは涙した。
マイクスタンドにもたれかかり肩を震わせながら嗚咽した。
HIDEのギターはコーラスとフェイザー掛かったディストージョンサウンドを響かせ、PATAのリードが空間を切り裂く。
うねるようにラインを刻むTAIJIのベースがグルーヴをあおる。
そして稀代の鬼リーダー、林佳樹はヒステリックに何かを叫び、ツーバスドラムの後ろでのた打ち回る。
…しかし今の出山利三にとっては、そうした全てが雑音だった。
(穢れてる!汚れてる!堕落している!)
心の中で彼は叫んだ。
結局、みんな俺の苦悩をわかってくれなかったのだ。
それが悲しかった。悔しかった。
ギターソロが終わり曲はサビに突入した。しかし出山利三は俯いたままだ。
聴衆は彼を求めた。彼の甲高い絶叫を求めた。
メンバーもまた、出山利三のいつもの発狂パフォーマンスを促す。
「早く歌えっ!とっとと歌え!…早くしねえとあとで肛門にベースのネックをねじ込んでグリグリすっぞ、ゴルァ!」
ドラムセットの中から林佳樹がTOSHIを怒鳴りつけた。
その怒号を聞いた瞬間、出山利三はハッと我に返った。マゾ奴隷の悲しい性だ。
ご主人様たる林佳樹の巧みな調教によりマゾ奴隷として開発された出山利三。
そんな彼にとって林佳樹の命令は絶対であり、神の声に等しい。
出山利三は顔を上げ、怯えたような表情で林佳樹の方を振り返る。
そこでは林佳樹が出山利三を睨みつけていた。般若の如く怒り狂った表情で。
出山はサディスト特有の酷薄な林佳樹の視線を感じた。
幼きころから、出山の肉体と精神を支配し続けた、あの林佳樹の狂気の目。
出山は一瞬、肛門がキュッと締まるような恐怖を覚えた。
…しかし同時にそれは、彼にとって喩えようもない快感でもあったのだが。
出山利三は、林佳樹の視線から逃げるように観客の方へと向き直った。
ここに集う哀れな信者は、バケモノ顎男こと出山利三の愛の言葉を求めているわけではないのだ。
彼らは林佳樹やHIDEの奏でる音の虚構を求めている。
商業音楽に乗せられた、安っぽいナルシシズム。
自己陶酔とフラストレーションの発散に過ぎない、ただのマスターベーション。
数年後、HIDEが本当に首吊り窒息マスターベーションで昇天してしまうのだが、
そんなことは、この時の出山利三には分かるはずもない。
ここに集う愚衆たちを安っぽく熱狂させ、金を吸い上げる、ただそれだけのステージ…。
そうなのだ、彼こと出山利三など、ここでは単なる張子に過ぎなかったのだ。
商業資本主義の奏でる悪魔の歌を歌っていただけ…ただそれだけの安っぽい存在だったのだ。
それを今日、それに気付いてしまった。
(何ということだ!何という…)
彼の中で何か崩れた。そして彼は、ついに決断した…。
112 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/27(水) 00:20:27 ID:R3iUBVpy
A
歓喜の絶叫を上げる観客たちの声が、徐々に戸惑いを見せはじめる。
それは不安げなざわめきに変わり、東京ドームにさざ波のように広がってゆく。
出山利三の突然の不審な動き…観客達の違和感が徐々に増してゆく。
状況がつかめたのだろうか、客席のアチコチで散発的に悲鳴が上がる。
「何やってるんだTOSHI!俺たちの求めるのはX JAPANの歌なんだ!そんなことやめてくれっ!」
信者たちが叫んだ。殆ど恐怖と言ってもよい叫びだ。
彼ら無辜の平民が崇め奉る御子…彼ら信者の神が、今まさに崩れ去ろうとしている!
愚衆のカリスマこと出山利三は観客席全体を見渡し、ゆっくりと微笑んだ。
それは何か突き抜けたような、躁的な狂気に満ちた不気味な笑顔だった。
今までステージ上で殆ど笑ったことなど無かった彼が、今日、巨大な顎を大きく開いて笑った。
…再び彼は後ろを向き、観客に背を向けた。
同時に皮パンのベルトをカチャカチャと外して腰をかがめてしゃがみこむ。
客席にイボだらけの汚いケツを向けると全身全霊の力を込めて踏ん張り始める。
観客の絶叫、林佳樹の怒号…それら全てが遥か遠くから聞こえてくる。
混乱と憤りの渦巻く中で、出山利三は唸り声を上げ始める。
その混沌がクライマックスに達した瞬間だった。
観客たちの怒号と悲鳴が響き渡る。スポットライトの集中するステージ中央。
出山利三はそこで、巨大な大便を垂れ流した。
…黒ずんだ見事な一本糞は、カクテルライトの煌めく中で妖しく黒光りした。
◆
「…今我々人類には危機が迫っているんです!あ…悪魔が甦り人類への復讐を成そうとしているんです!」
東京ドームのライブ後の記者会見の席で、出山利三は涙ながらに訴えた。
「皆さん気付いてください!このままじゃ人類は滅亡して…滅亡してしまうんですっ!」
出山は昂ぶる感情を抑えることは出来ない。
椅子から立ち上がり拳を振り上げ、ただでさえ甲高い声をさらに張り上げて怒鳴り続けた。
「今、本当に人類の危機が迫っているんですっ!!」
大宇宙の創造主から受け取った電波メッセージ…。
そう、それはこの美しい地球が破壊され、人類を含め生きとし生けるもの全てが滅亡してしまう恐怖のイメージだ。
その凄まじい悲劇を思い、出山利三は慄然とした。
悪魔が目覚めたら、この世界から子供達の笑顔が消えてしまうのだ。
そう思うと出山はいてもたってもいられなかった。
今此処で皆に知らせなければ!そういった使命感がTOSHIをさらに奮い立たせる。
「お願いです記者の皆さん!僕の…僕の言っていることをちゃんと聞いてください!」
拳でテーブルを思い切り殴りつけ、搾り出すように叫んだ。
もはや溢れ出る感情を抑えることなどできなかった。
溢れ出る涙を拭おうともせず、出山は最後に一言、大声で叫んだ。
「皆さんの手で世の中の人にこの危機を知らしめてください!」
そう叫んだ後、出山は机に突っ伏し、声を上げて号泣し始めた…。
…会見場に集まった記者たちは唖然として言葉を失った。
静まり返る会見場の中で出山利三は、ただ一人が狂ったように泣き叫んでいる。
その常軌を逸した姿を前に、彼らは何を質問すべきか言葉が見つからなかった。
113 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/27(水) 00:21:14 ID:R3iUBVpy
B
(…くそっ!何やってんだよ出山!)
林佳樹は不機嫌そうに小声で呟く。
(貴様のせいで今日の東京ドーム黒ミサ…いや、ライブが台無しになったってのに。ふざけやがって!)
泣き叫ぶ出山利三の横で、林佳樹は怒りに震えてた。
憤怒を込めた一瞥をカリスマに向け、ギリリと歯を食いしばる。
しかし、ここで感情を表に出すわけにはゆかない、林佳樹は自らに言い聞かせた。
少し顔を顰め、記者たちから目を逸らす。その姿勢のまま林佳樹はそれっきり黙りこくった。
そのまま記者会見が終わるまで、林佳樹は遂に一言も言葉を発しなかった…。
…会見がうやむやのまま終了すると、TOSHIはマネージャーに抱きかかえられ会見場を後にした。
散々絶叫し、完全に泣き疲れて、足腰が立たなくなっていたのだ。
マネージャーもTOSHIを支えながら困ったような表情をしている。
メンバー達も呆れたような顔をし、首を振りながら席を立った。
PATAはHIDEと目線を交わすと少し苦笑いした。
HIDEもそれに答えるように悲しそうに笑い返した。そして2人は並んで控え室に向かった…。
◆
…記者たちも皆出て行き、照明も落とされた人気のない会見場。
その薄暗い会見場の雛壇の席に、林佳樹は一人で座っていた。
少し俯き加減にテーブルに向かっている林佳樹。
その肩は怒りで震え、食いしばった歯は上唇を切り裂いて口角から血が滴っていた。
握り締めた拳は怒りで激しく震えている。
「出山の野郎! よくも俺のライブを…黒ミサを台無しにしやがったなっ!」
そういうと林佳樹は、握った拳を大きく振り上げた。
一瞬、林佳樹の目の前に鬼火が浮かんだ。
今まで計画してきた全てが、出山のあのような愚行で全てご破算となってしまったのだ。
「絶対に…絶対に許せねえっ!」
そう叫ぶと、林佳樹は振り上げた拳を机に振り下ろした。
「ズバキィッ!」
物凄い衝撃音が響きわたると共に、黒檀のテーブルの天板が真っ二つに砕けた。
砕かれた机の破片が、リノリウムの床に散乱して甲高い音を立てる。
人気の無い会見場の中でその破壊音はことさら大きく響いた…。
114 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/27(水) 00:22:00 ID:R3iUBVpy
C
「…どうしたんですか佳樹さん!今、物凄い音がし…」
物音に気づいたスタッフの一人が戻って駆けつけてきた。
「ええっ! つ、机が…。 一体、何が起こったんですか佳樹さんっ!?」
砕けたテーブルの前で立ちすくむ佳樹の姿を見て、スタッフは仰天する。
「…いや、別に何も。大丈夫だよ。…なんか急にテーブルが壊れてしまって…」
佳樹は答えた。少し気まずそうに。
「でも佳樹さん、右手から血が出てますけど…あ、あれ?」
佳樹の右の拳から血が滴っていた。
しかしスタッフが驚いたのはそれではなかった。
佳樹の右拳の傷口から流れている血の色が…何と青色だったのだ。
「えっ…う、うあっ」
「…見たな。」
佳樹は驚くスタッフを睨みつけた。怒りとも喜びともつかない凄まじい笑顔だった。
人間ではない! スタッフは本能でそう思った。佳樹の目は野獣のそれのように黄金色一色に輝く。
大きく耳元まで裂けた佳樹の口元から、まるでサーベルタイガーの様な長い牙がギラリと光った。
(…サーベルタイガーって、HIDEさんのバンドだったよな…)
恐怖に震えるこのような状況でスタッフな何故かそんなことを思った。
思った瞬間、佳樹の長い爪がスタッフの肩口に深々と食い込んでいた。
凄まじい激痛が、スタッフを襲う。しかし 叫び声は上がらなかった。
すでに佳樹の巨大な犬歯がスタッフの喉を食い破っていたからだ。
スタッフが人生最後に見た光景は、会見場の壁の鏡に映る佳樹の真の姿だった。
間接照明の明かりの中での佳樹の姿…。
それは、巨大な黒い翼を背中、毛むくじゃらのヤギのような蹴爪を持つ下半身、
尻から伸びる先端が矢印のように尖った長く黒い尻尾、
佳樹の姿は…まさしく伝説で語られる悪魔の姿そのものだった…。
◆
「…佳樹さん!遅かったですね、何やってたんですっ!?」
ツアーマネージャーが血相変えて佳樹に話しかけてきた。
「どうしたんだい?」
佳樹は落ち着いたまま、笑顔でツアーマネに向き直る。
「TOSHIさんが踊り狂いながらウンチを漏らしているんです。何を言っても上の空で…一体どうしたんでしょう?」
ツアーマネージャーは佳樹に縋るような顔をした…。
…控え室の様子は惨憺たるモノだった。
下半身丸出しの出山利三が、なにやら奇声を上げて踊り狂っている。
わけの分からない、まるで呪文のような言葉を叫びながら。
部屋中のあちらこちらに屎尿や糞が散らばっている。
そんな悪臭が充満する、地獄絵図のような部屋でただ一人出山利三だけが笑っている。
HIDEもPATAもTAIJIもなす術が無く、少し離れた場所から固唾を呑んで見守っている。
ツアースタッフたちはオロオロするばかりで、糞尿塗れの控え室で右往左往していた…。
115 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/27(水) 00:22:47 ID:R3iUBVpy
D
…その様子を見て、林佳樹は微笑んだ。
(…確かにカリスマは何かに気付いたのかも知れない。)
佳樹はスタッフたちを押しのけるように控え室に入った。
出山利三は佳樹が来たことにまだ気づいていないようだ。
相変わらず甲高い声で喚きながら、自分の体に自分の糞を塗りたくっている。
(その正体を分かるアタマは無いが、本能的な恐怖がこいつ追い詰めて、悶え苦しんでいるんだろう。)
糞塗れの出山の姿に佳樹は顔を顰めた。だが…。
純粋で、愚か。敏感であるが、無知。出山利三は確かに悪魔の実在を察知しているのだろう。
だが、その存在を認知できるほど、理知的でないのも確かだ。
何せ、悪魔そのものたる俺がここにいるのだから。
「ふんっ、まあいい…」
佳樹は呟いた。
コイツがこのままならば今のところ、俺の計画には何の支障も無い、放っておこう。
そう思ってニヤリと微笑んだ佳樹は控え室の中へと入って行った。
床中に散らばる大便を踏まないように注意しながら出山に近づく。
それにまだ気づかず、出山は尚も踊り叫んでいる。
そんな出山の目の前に仁王立ちした林佳樹は、出山にに向かって大声で一喝した。
「出山ぁっ! 何なんだこの有様はぁっ!」
すると出山利三は、瞬時に動きを止めた。
そのまま怯えたように身を竦め、涙ぐんだ目で佳樹の方を見上げる。
出山の怯え切った目を、佳樹は意識して睨みつける。怒気と、殺気をこめて。
出山は床にへたり込んだ。糞まみれの姿のまま突っ伏し、シクシクとすすり泣きを始めた。
(…やはり。まだ俺のマゾ調教は出山に効いているらしいな)
自分の足元で泣き崩れるTOSHIの哀れな姿を、氷のように冷たい目で見下ろす林佳樹。
(まあ、黒ミサのために当分張子を続けてもらおう。まだまだお前には利用価値があるからな…ふふふっ)
林佳樹は微笑んだ。
一喝で出山を黙らせた佳樹に、スタッフたちが驚愕し沈黙している中で。
「ハハハハッ!アーハハハハッ!」
そして遂には声を出して笑った。腹の底から高らかに笑った…。 (終わり)
116 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/28(木) 17:34:50 ID:8ZFgFCLq
何でウンコ?
リキッドスパイダーは女装少年である
衣服を着脱し、改造スクール水着に着替える事によって
御忍人 無空葉へと変貌を遂げるのだ!
「ムクッと参上、ムクッと解決、人呼んでさすらいのヒーロー! 怪傑無空葉!」
御忍人 無空葉 OPテーマ 「地獄のムクッパ」
ムクッと参上! ムクッと解決
ムクッと参上! ムクッと解決
スク水着こんだあの日から
俺のこころにふく風は
変態紳士 羞恥心
自分をおって おいつめて
ムクッと参上! ムクッと解決!
ともよ ともよ ともよ
ともよ見てくれ この勇姿
俺は御忍人 無空葉さ
LO買った あの日から
俺のこころに 萌える火は
赤い火 青い火 エロス人
萌えて 燃えて もえあがり
ムクッと参上! ムクッと解決!
ともよ ともよ ともよ
ベットの下は 隠し棚
俺は御忍人 無空葉さ
ムクッと参上! ムクッと解決
ムクッと参上! ムクッと解決
痴漢と呼ばれた あの日から
俺のひく歌 うたう歌
いかりのメロディー 地獄節
ほえて ほえて ほえぬいて
ムクッと参上! ムクッと解決!
ともよ ともよ ともよ
それでも俺は やってない
俺は御忍人 無空葉さ
幼稚園バスをジャックした怪人ペードフィリア!
銃弾も効かないタフなナイスガイだ!
駆けつけた警察もなすすべがない!
衆人環視のなかで、ペードフィリアの公開陵辱劇が始まってしまうのか!?
否! だんじて否!
なぜなら僕たちには、御忍人 無空葉という強い味方がいるからだ!
ハッハッハ ハッハッハハハハ
「な、何者だ!」
「ムクッと参上、ムクッと解決、人呼んでさすらいのヒーロー!」
ビシィッ!
「怪傑無空葉!」
「ギョギョ! 貴様が無空葉か! 仲間の仇! チネーーーーーッッッ!」
ピシュピシュピシュッ
怪人ペードフィリアの口から強酸性の緑の唾液が吐き出される!
このままでは無空葉の身体がケロイド状になってしまう!
でも大丈夫!
「科学忍法 柳腰!」
無空葉は風に揺られる柳の如く腰を前後に動かした!
それは恐るべき衝撃波となってむかってくる液体を吹き飛ばした!
「ギョギョ!?」
無空葉は腰を動かし衝撃波生み出すことによって、一種のバリアを作る事ができるのだ!
「ち、近づくな! ちかづけばこの幼女が……」
「ハッハッハ、よく見て見るんだな!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「ギョギョ! こ、これは人形! チクショー、いつのまに!」
「すりかえておいたのさ!」
御忍人 無空葉は紙粘土を媒介する事により
10〜15歳の少女の人形を生み出すことが出来るのだ!
119 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/28(木) 23:53:51 ID:D2C+Ti0o
なんかできてるww
おにんにんむくっぱwwwww
「とう! 科学忍法 おにんコプター!」
バッ パララララララーーーーーーッ
「と、飛んだーーーーーーッ!?」
御忍人 無空葉は自らのおにんにんを支点に回転を加える事によって
短時間だが飛行能力を得る事ができるのだ!
「隙あり! 御忍人ボディアタック!」
バシィッ!
「ギョギョーーーーーッ!」
高速回転した無空葉の体当たり! 怪人ペードフィリアに直撃だ!
あまりの衝撃にスク水の生地と股間の間へと、ペードフィリアの頭が挟まれてしまった!
「ギョギョ! 気持ち悪いーーーーッ!」」
「ペードフィリア! 貴様の愛は侵略行為! 恋は忍ぶ物! 変態は秘める物!
花はそこに咲いてるから美しく、摘めばしおれて枯れてしまう!
生まれ変わってやり直せぃ!」
ガッシ!
股間に顔を挟んだまま、無空葉は怪人を抱え上げた!
凄いぞ! そのまま跳躍した!
「科学忍法 リキッドバスター!」
ズッシャァァァァァン!!!
説明しよう!
リキッドバスターとは、スクール水着の中に相手の頭を入れ密着させ
ツームストンパイルドライバーの要領で相手を叩き落す技だ!
水着の中で勃起した陰茎と陰嚢の不快感を味わいながら相手は脳天に直撃をうける!
まさに恐るべき必殺技! 英語で言うならヘ……ヘルアーツ?
「ぎゃあああああああああああ!!!!!」
おいwwwww
「しょ、将軍バラクーダ様……お許しをーーーーーッッ!」
ドッカーーーーン
ワァァァァァァ!
バスを支配していた怪人が倒され、幼稚園児達が無空葉へと駆け寄る
「ありがとう!」
「ありがとう変なお兄ちゃん!」
(ああ……俺を見て……変態な俺様を見てーーーーーーッッ!)
勝利の余韻と、幼女に囲まれた事によって無空葉はおっきした!
ちょっとだけ出た事はナイショだ!
ファンファンファン
遠巻きに見ていた警察たちも駆け寄ってくる
無空葉はそれを見て颯爽と逃げ出した!
「目には目を……歯には歯を……毒には毒、変態には変態を!」
バッ!
「飛んだ!? なんて跳躍力だ!」
少し離れた塀の上で、再び御忍人 無空葉は決めポーズをとった!
「ムクッと参上、ムクッと解決、人呼んでさすらいのヒーロー!」
ビシィッ!
「怪傑無空葉! この世に変態がいる限り……俺は戦い続ける! さらば!」
バッ!
「ああ! 追えーーーーーッッ!」
御忍人 無空葉の活躍によって、三丁目バスジャック事件は解決した!
児童ポルノ規制強化の魔の手から、世界を守る事に成功したのだ!
ありがとう! 御忍人 無空葉! これからも彼は戦い続ける!
戦え! 御忍人 無空葉!
捕まるな! 御忍人 無空葉!
次回!「強敵出現! その名はアグネス!」
次週にむかって! エーーッグキィーーーーーック!
御忍人 無空葉 EDテーマ 「天罰 エレメンタルパラダイス」
天罰! 天罰! 天罰! 天罰!
foo! foo!
天罰! 天罰! 天罰! 天罰!
foo! foo!
天罰! 天罰! 天罰! 天罰!
foo! foo!
天罰! 天罰! 天罰! 天罰!
fooooooo!
画像集めちゃいけません
駄目駄目 ダメダメ
動画保存しちゃいけません
駄目駄目 ダメダメ
ロリを憎んで紳士憎まず
あなたに審判下します!!
科学忍法で…御忍人 無空葉!
ロ、ロリコンじゃないよ! ロ、ロリコンちゃうわ!
それがわたしのくちぐせ
初音良いよな 楓ちゃんもいいよね!
現実はやらないけれど
妄想なら 犯るときゃやるの
天罰! 天罰! 天罰! 天罰!
foo! foo!
天罰! 天罰! 天罰! 天罰!
foo! foo!
天罰! 天罰! 天罰! 天罰!
foo! foo!
天罰! 天罰! 天罰! 天罰!
fooooooo!
125 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 00:29:14 ID:CfWjR7xS
なんだこれwwwwwwwww
126 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 05:47:22 ID:bNwce7KS
魁!!クロマティ高校バトルロワイアル
第一話
前略オフクロ様―
今日は待ちに待った修学旅行の筈だったのですが、僕たちは目的地に向かうバスの中で眠らされてしまい、
目が覚めた時には見知らぬ廃校の一室に連れて来られていました。
「林田君!起きろ林田君!」
神山高志は左隣の席で眠り扱けている林田慎二郎の体を力の限り揺さぶった。
「…ん?何だよ神山…もう浅草に着いたのか?」
「寝ぼけてる場合じゃないんだよ!」
「あと五分経ったら起こしてくれ…」
そう言うと林田は再び夢の中へ足を運んだ。林田を起こすことを諦めた神山は、
右隣の席に座っているフレディに話し掛けようとギシギシと短く音を立てながら椅子を寄せる。
すでに目を覚ましていたフレディを見て、神山は少しばかり安堵した。
「フレディ、これは僕たちの想像以上に大変な事が起きようとしているのかもしれない…」
「……」
「…フレディ」
「……」
「フレディ」
「……」
目を開けたまま寝ている―。忘れかけていたフレディの特技を思い出した神山は、
改めて状況把握に努めようと辺りを見回した。ふと、彼の目に映ったのは、同じくクラスメートのメカ沢新一その人だ。
神山は普通の“ヒト”ではない彼ならここに連れて来られた経緯を知っているかもしれない、
という淡い期待を抱いて小走りで前方にいるメカ沢の元へ駆け寄った。
「メカ沢君!」
「音声ガイダンスに従って名前を入力してください」
「あぁ!データが初期化されてる!」
つづく
127 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 05:52:24 ID:bNwce7KS
魁!!クロマティ高校バトルロワイアル
第二話
「おい、神山。何一人で騒いでるんだ…?」
神山の声で目を覚ました前田彰が半開きの目を擦りながら尋ねてきた。
「あっ!前田君!そうか、まず最初に君を起こすべきだった」
「…つうかここ何処だよ?クロ高には見えねぇが」
「たぶん、何処かの廃校だろう」
「だから何処なんだよ?」
「それはわからない。でも僕たちが眠らされている間に何者かによってここへ連れて来られたのは間違いない」
「あとよぉ、この首輪何だよ?」
前田は自分の首に装着されている鈍く光る銀色のそれを指差しながら神山に問う。
「あっ。全然気づかなかった。何だろうコレ?」
「外れそうもねぇな」
一通りの会話が終わると、二人は数分沈黙した。それからしばらくすると何人かの生徒が覚醒した。
それに続くように北斗武士やその子分、竹之内豊、マスクド竹之内を含むほとんどの生徒たちが、次々と目を覚ましていった。
「何だここは?」
「あれ?浅草に行くんじゃなかったのか?」
「もう修学旅行終わりかよ!」
「ふざけんじゃねぇぞ!」
「気持ち悪い…」
「どうなってんだよ!」
やがて教室には怒号が飛び交い、苛立ちからか喧嘩を始める者まで出た。
そこへ一人の壮年の男がガラガラと扉を開けて教室に入ってきた。騒いでいた生徒たちは
忽ち動作を止め、口を閉じた。男はわざとらしく足音を立てながら教壇に立つとおもむろに口を開いた。
「私の名はミスターX。これから君たちには殺し合いをしてもらう」
つづく
128 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/30(土) 19:30:15 ID:eyboLyvx
(1/2)
「私の夢、最後の希望」
もう終わりだね。
そう、今日まで頑張ってきたけど、それももう終わり。
間もなくここの核融合炉は溶解し、この施設は大爆発を始めるよ。
もう助からないんだ。
エネルギープラントの大爆発で、周囲半径100キロくらいは死の世界になる。
数百年から、果ては数万年先まで、放射能に汚染された土壌が、そこに広がるだけ。
僕は手にしたサブマシンガンをテーブルの上に置いた。
部屋中には先ほどまで必死の抵抗を続けたエネルギープラントの職員たちが血まみれで倒れている。
抵抗しなければ、彼らをここまで痛みつけてなかったのに。楽に死なせてやっていたのに。
命令どおり原子炉の制御棒を抜いて暴走させれば、仕事も早く済んでたのに。
馬鹿な奴らだ。
けたたましい警報が鳴り響き、モニターには危険を告げる文字が点滅する。
明らかに上昇した炉心温度は、もはや停められない。
ウラニウム235の核融合反応は臨界を越え、大量の中性子をばら撒きながら周囲のイエローケーキを焼く。
純粋に満たされたプールに、不気味なチェレンコフ光の輝きが映える。
破滅の光だ。
あと少しで世界は滅ぶんだ。
僕はふと、警備用モニターに目をやった。
降りしきる雨の中、危険を察知した軍関係者が、施設に殺到しているのが見える。
特殊部隊員を満載しているであろう武装ヘリが、施設の上空を飛び回っているのが見える。
もう遅いのに。
僕らの同士が彼らに対し、持ち込んだ機関砲で応戦している。
武装トラックの一つが炎上をはじめる。
そんな虚しい光景を呆然と眺めながら、僕はタバコに火をつけた。
喉をチリチリと刺激する煙を心地よく味わいながら、僕は笑った。
楽しいからではない、そうではないのだ。
核反応が完全に制御不能になり、モニターには総員退去を命じる表示が出た。
だからどうした、いまさら外に出てももう遅い。
全ての保障システムを破壊し、通信回線も破壊した。
唯一、政府安全保障室への回線だけが生きている。
今頃、政府は恐慌状態だろう。
僕はそのままウイスキーを取り出し、同志である美弥子に飲ませた。
彼女は先ほどの銃撃戦で腹を撃たれ、間もなく死ぬ。
だが愛する女の死を目の前にしても、悲しみは出てこない。
むしろ幸せすら感じる。
僕だって同じだんだから。
あと30分もあれば、僕も彼女とともに、この世から消滅するのだから。
数百万人の人間たちとともに。
それはとてもとても幸せなことなんだ。
129 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/30(土) 19:31:04 ID:eyboLyvx
(2/2)
美弥子が事切れるのを見た僕は、そのウイスキーボトルに口を付けた。
彼女の口紅が僅かに付着するウイスキーボトル。
何度も唇を重ね、何度も僕のペニスを愛撫してくれた美弥子の唇だ。
僕はそのボトルの口に、最後の口づけをした。
そのまま中身を思い切り煽った。
焼けるような刺激が喉に流入する。
僕は少しむせながらも、その火傷しそうな琥珀色の液体を胃袋に流し込んだ。
少し涙目のまま、五月蝿く警報を鳴らすモニターに向かって乾杯と一言。
もう終わりだね。
施設内に特殊部隊員たちが突入したようだ。
遠くからだが銃声が聞こえる。
サブマシンガンではなく、明らかにカービン銃の音だ。
甲高いその銃声は、ここが核施設であることを忘れているようだ。
どちらにせよ、もうそんなこと言ってられないのだけど。
僕はもう一度サブマシンガンを手に取った。
美弥子の死体から、サブマシンガンの予備弾倉と手榴弾を取る。
最後の戦いかもしれない。
もしかしたら、世界を破滅に導く盛大な花火を見られないのかもしれない。
それが少し残念に思えた。
無線機からリーダーの村上が呼びかける声がする。
直後、その無線機のスピーカーから村上の絶叫が響き、同時に容赦のない銃声がした。
村上も一足先に、永遠の世界へ旅立ったようだ。
まもなくここにも来る。
もう遅いのに。
もう停められないのに。
管制室の廊下で同志が、軍の兵士たちと撃ちあいをしている。
炉心の融解を告げるメッセージか表示された。
間もなく爆発が起こる。
もう終わりだ。
僕はモニターを見た。
雨に打たれながら、装甲車や軍用車が佇むその光景。
この目の前で繰り広げられる殺戮の光景が、僕が見る最後の映像となるだろう。
おそらくすぐ後に、凄まじい光と熱線が僕を包み、その一瞬で僕はこの世から消滅する。
最初に放たれた大量の中性子線で、おそらくこの地域数百メートルの人間は即死する。
そのすぐ後に放たれる放射能の熱線が数十秒、辺りを焼き払う。
さらに巨大なエネルギーが一気に放たれ、この地域は全て破壊しつくされる。
最後に、大量の放射能を含有した雨が空から降り注ぎ、大地を穢してゆく。
僕もその一部となって、大地を穢してゆくつもりだ(了)
描写すげえ
>>128-129 無粋な事を言わせてもらうと、原子力関連の描写が色々とつじつまが合わない。
ウランを使うのは核分裂だし、イエローケーキは核燃料精製の途中段階だから
原子炉内にあるのはおかしい。炉心融解云々とプール内が満水との記述も矛盾している。
こういった漂う終末感や情景描写は個人的に好みなだけに、なんというか残念な感じがする。
132 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 00:54:05 ID:9JpQWpIY
今日は満月。月は夜空にぽっかりと白い穴を開けている。
雲は穴を横切るもののその存在を隠す力はなく、ただただ白い穴たちの王として夜空に浮かぶ。
「神はあの穴から地を見下ろす」
毛むくじゃらのそれは遠い昔から化物と呼ばれている。普段それは人の形をしており、今日のような日だけ化物になる。
人々はソレを【狼男】と呼んでいた。
「実に不快なことだ。我々は所詮神のおもちゃでしかないということか」
狼男は独り言を呟いているわけではない。丘の上。常緑を湛える木が一本生えたそこには二人の人がいた。
もう一人のほうはただ狼男の声を聞いている。月は高く、風はない。
「我々、いや、私は何のために存在する。なぜ月が昇るたびにこのような醜態を晒さなければならないのだ」
声だけが丘を行く。そのとき、少し風が吹き、雑草を揺らせた。やがて、木の葉も月の元、風と共に仄かに歌う。
「私は知らない」
もう一人の、少女の声をする影が月明かりの元に姿を晒す。
黒い豊かな髪を後ろで結び、黒く長い鞘を腰から下げる少女。
なぜかセーラー服を着ている。セーラー服と鞘。あまりにも不似合いなものだった。
「ひとつ聞きたい。なぜ私を恐れない」
「恐れる理由がない。むしろ聞きたい。なぜ恐れなければならない」
嵐が起きた。瞬間的な嵐。刹那、少女の首には狼男の爪がかかっていた。指を少し動かせば、喉に刺さる。
「自らの手ではどうしようもないソレを人は化物と呼ぶ。人は子にその化物を恐怖の対象として伝えていく」
少女は動じない。鼓動は一定のリズムを。視線は月を。まるでなにもないかのように。
やがて狼男は諦めたかのように爪を離す。少女と同じように月を見上げる。
「肝の据わった小娘だ」
「かつては山の神、大神と言われていたものの化身。知がなければ見た目がそのままの限り、人は寄り付かない。
最も大神は私の国での話だけどね」
少女は視線を下ろし、丘を一人歩き始めた。狼男は彼女の背中に声をかける。
「少女、これからどこへ行くのだ」
「会わなきゃいけない人がいる」
「何ゆえに」
少女は振り返った。狼男が眼が合う。見てしまった。化物の目を。深遠の淵。闇の彼方。光の墓標。
ただそれは一瞬のことだった。次の時には化物の――少女の目には光があった。
「わからない。でも」
少女が再び丘を下りだす。月に照らされたそれは間違いなく少女の形をしていた。
「多分会えばわかる」
狼男はそれ以上聞かなかった。多分答えることも立ち止まることも振りむくこともないだろう。
少女が立ち去った後、狼男は木に寄りかかって月を見上げた。
神は相変わらず地を覗いていた。
満月の異様な存在感が伝わってくるな
同じものを見上げていても、西洋的な見方をすれば全然違って見えるから面白い
「毎度のことながら、素晴らしい手並み。うちの若いのにも見習わせたいものだ。」
評議会参議ツチミカド ナガミチは自身のデスクの前にふんぞり返り、目の前に立つ“掃除屋”を褒め称えた。
若干過剰装飾の感もあるが、その世辞に見合うだけの仕事ではあった。
それに、下手に機嫌を損ねられてこの仕事の概要を他所へぶちまけられても困る。
「こちらこそ、お褒めに預かり光栄で。」
ツチミカドのデスクの前に立っていた掃除屋は、お世辞を慇懃に返した。
裏切りと策略が当然の闇社会の中で、かの掃除屋の後腐れのなさは一つの売りであった。
かつてはどうだったのか知らないが、少なくとも現在はそういう評価で通っているらしい。
「支払いの方は君の指定した通りにした。」
振り込みは複数のルートを経由している。外部へ漏れる心配はないだろう。
そう、これは後ろ暗い仕事。この報酬も表には出せないカネだ。
「ありがとうございます、オーダー。あとあと確認させていただきます。」
仕事中の掃除屋は個人名を出す事を忌避する。理由は他でもない、その場限りの関係で済ませる為である。
あ、そうそう。何かを思い出したように掃除屋は話を切り出す。
「……何かね?」
「そういえば大事な話があったんですよ。仕事とは関係のない事ですが。」
いえいえ、お時間はとらせません。10分ちょっとで終わりますから。
掃除屋の言葉を聞き、男は時計に目をやると、
「よかろう。ちょうど私も次の会議の合間、暇でね。」
暇潰しに聞いてやろうじゃないか。許可を得た掃除屋は席につき、淑やかに語り始める。
「昔、一人の少女がいたんですよ……」
その少女は孤児だった。
両親、兄弟、そのようなものがいたかどうかさえ覚えていない。
おぼろげに覚えているのは幼い頃を過ごした孤児院の事。覚えている限りでは、これ以上ない劣悪な環境であった。
そこでは他者を信じる事を教えておらず、憎み裏切る事ばかりを学ばされた。
彼女は独り育った。飢えた少女は欲しくて欲しくてたまらなかったが、何が欲しいのかわからなかった。
少女が“幸福”というものを知ったのは少し大きくなってからの事だった。
家族が出来たのだ。
その家族とは、血のつながらない“師匠”と、同じく血縁はなく鈍感な“兄弟子”の二人だけ。
不器用で素直になれない少女を彼らは、時に優しく、時に厳しく、見守り続けた。
血縁の有無が家族であるか否かを決めるなら、それは決して家族とは言えまい。
言えなかったけれど、それがなんだというのだろう。
あの時少女はしっかりと、血の繋がり以上の温かなものを感じながら、日々穏やかに過ごしていたのだから。
しかし、少女は再びその幸福を奪われる事となる。
それも実の家族を滅ぼし、彼女の幼年期を孤独と絶望で染めた者共の手によって。
不器用な彼女は、新しい幸福を上書きする事も、忘れる事さえ出来なかった。
あの時の幸福の味こそ、彼女にとっては何物にも代えられないものだったのだ。
それは彼女の十字架であった。十字架を背負う彼女は、呪った。
一度ならず二度までも家族を失った己の運命を。何も出来なかった無力な己を。幸せを奪った奴らを。
彼女はひたすら呪い、憎み、恨み続け、そして、
復讐を誓った。
彼女は泥水をすすり、毒虫を食らい、権力に媚び、師匠から受け継いだ鞭を片手に血みどろの戦場を駆けた。
罪悪感の血反吐を吐き続け、最下層の底辺を彷徨いながら、復讐を糧に彼女は生き続けた。
その過程において顔貌も変わり果ててしまった。例え以前の彼女を知る者が今の姿を見たとして、それがかつての少女だとは気づくまい。
経験、非情、狡猾さ。力を手に入れた彼女は独立し、成り上がる為、がむしゃらに金を貯めた。
裏切り、同族殺しさえ握り潰す金の力は恐ろしい。彼女が家族を失った時、それは嫌というほど思い知らされた。
冷酷非情、正確無比、確実な仕事ぶりは徐々に評判となり、彼女は彼女の種族の闇社会で知られるようになった。
雑魚達は彼女の異名を聞くだけで震え上がった。権力者達は汚い仕事の為に彼女を利用した。同業者達は彼女の名前を口にする事すら忌み嫌った。
畜生の跋扈する獣道を彷徨う中で、彼女はついに見つけ出した。
かつて下っ端の一人に過ぎなかったその男は表の世界で台頭し、今や権力者として大手を振って生きていた。
都合のよい事に、男は彼女の力を欲していた。何やら都合の悪い事を消したがっているようだ。
間抜けにもその男、依頼した相手がかつて蹂躙した少女だとは気づきもしなかった。
彼女はまず男の依頼をこなしてやろうと決めた。それがポリシーであるというのも一つあったが、彼女の狙いはそれだけではない。
より接近する為に。確実にあの喉元へ食らいついてやる為に。
137 :
復讐は蜜のように ◆AvP.enmOzE :2010/02/06(土) 00:45:26 ID:bG1hmAva
「……と、まぁ私の話はここで終わりなわけです。」
語り手の表情は仮面に隠れて窺えないが、ツチミカドには奥にある掃除屋の目の形が少し変わったように見えた。
「どうかなさいました?お顔が真っ青ですよ?」
心配するような文言ながら、語る調子からは強い毒が滲み出ている。
その様子はその異名さながら、麻痺毒で獲物をじわじわとなぶる毒蜘蛛のよう。
「き、貴様、あ、あの時の小娘か!?」
豹変しつつある掃除屋の様子に比例するように、ツチミカドの額から脂汗が浮かび上がる。
指先まで震え始めたその姿は、百戦錬磨権謀術数をくぐりぬけてきた評議会参議には似つかわしくない。
「ようやくお気づきですか。おっと、手元にはお気をつけを。」
掃除屋が釘を刺すと、懐へと伸びたツチミカドの右手はびくりと慄き、素早く引っ込んだ。
さてさて、と彼女は話を続けた。
「特定するのに苦労しました、クドウさん。名前や顔どころか、まさか戸籍まるごと乗り変えているとはね。」
あ、それとも、よほど後ろ暗い事でもおありですか。掃除屋はくすくす嘲笑う。
「ヒキョーで姑息なだけの小者が評議会参議にまで成り上がるにはそれぐらいしないと無理でしょうから。」
ここまで言われれば、普段のツチミカドならば一喝して追い払うはずである。だがしかし。
「な、何が狙いだ?金か?」
さしもの権力者といえど、この距離で狙われては命はない。ましてや相手は掃除屋である。
命乞いをするツチミカドに対し、掃除屋はねちねちとねぶるように返す。
「いえいえ、お金の方は仕事料だけで十分頂いていますよ。」
それに。
「そんなものいくら貰っても、私の大事なものは帰ってこないんですから……。」
掃除屋は自身の仮面を引き剥がす。露わになったその左目は、
>>21-24と同様、雰囲気に合わなそうなのでこっちに投下。
しかしポエミーだなあw
139 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 19:48:19 ID:alnON1b3
【断罪の女神のエレジー】
仄暗い闇の中で、真知子さまはゆっくりと微笑んだ。
両手両脚を手錠で拘束されて床に転がされた私は、その真知子さまの無辜な笑顔に慄然とする。
月明かりが差し込む無機質な部屋…静寂の中に潜むはち切れそうな緊張感が、私の鼓動をさらに激しく高鳴らせる。
真知子さまは天使のような微笑のまま、手にするものを頭上に掲げて見せた。
それは一本の巨大な張型だった。
亀頭の形状や肉茎に浮き出る血管に至るまでグロテスクまでにリアルに再現された巨大な張型。
薄暗い月明かりの中でそれは、鈍い光を放ちながら悠然と揺らめいている。
真知子さまはアルテミス。美しい裸体が月明かりの中で妖しく輝く。
私は罪深きアクタイオン。自ら犯した罪のため、自らの剣で今、私は貫かれる。
「うぎゃーっ!」
私は絶叫した。
肛門はメリメリと音を立て、括約筋が引き千切れる嫌な感触が伝わる。
激痛に貫かれた私は、歯を食いしばり泣きながら耐えた。
これは私に与えられし罰だ!
私の犯した涜神行為は今、非情な美の女神の手によって裁かれるのだ。
太ももに生温い物が流れる。そう、それは私自身の流した血だ。
引き裂かれた肛門から流れ出る血は、まさしく私の穢れだった。
私は泣いた。泣き叫んだ。
その声は星々に届いただろうか?
私の祈りは?
真知子さまは微笑みながら張型をグリグリとかき回し、さらに私の肛門の奥深くへとねじ込んだ。
140 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 19:49:15 ID:alnON1b3
【遍歴、そして神との邂逅】
真知子さまは便意を催すと、おもむろにパンティーを脱ぎ去った。
縛られ、床に転がされた私に、真知子さまは美しい尻を突き出された。
窓から差し込む月明かりの中で、その肌は神々しいほどに白く艶やかだ。
その美しい御姿のまま、真知子さまは大量の糞を垂れ流された。
そう、それは私の目の前に。
静謐とした、無機質な白い部屋。
他に誰もいない、たった二人だけの空間。
そう、ここは神の住まう領域なのだ。
すると突然、真知子さまは美しい瞳を私に向けられた。
おびえる私の両目を覗き込み、残虐な微笑みを見せた真知子さまは、この私めに尊い御言葉を賜ってくださった。
「ほら御覧、大地が育みし生命はわが命の糧となり、そしてまた、再び大地に戻るのよ…」
毛足の長い白の絨毯の上で、汁気たっぷりの糞が湯気を上げ、香ばしい匂いを放つ。
淡い春の夜の月明かりの中で、黒々とした大便が鈍い光を放った。
そうだ、それは生命の神秘を内包した神々しいまでの輝きだ!
それだけではない、これこそが真知子さまが賜った、新たな生命を生み出す輪廻への兆しなのだ!
私は泣いた。泣きながら跪き、その糞を直にむさぼり喰った。
香ばしい臭気が鼻を突き、その刺激によってさらに涙が流れる。
既に激しく勃起した私は、真知子さまが嘲笑って見下ろす中で、軽く呻き声を上げながら糞を食い続けた。
止め処なく流れる熱い涙を拭うことさえ忘れ、ただもう一心不乱に。
かつて真知子さまの一部だった糞。
真知子さまの肉体を構成し、真知子さまの内臓で消化された排泄物。
そう、これは真知子さまなのだ。真知子さまそのものなのだ!
私は心の中で叫んだ。嬉しかった。
かつて真知子さまだった一部が、今私の中に入り、私の一部となるのだ。
その瞬間、私は遂に神との邂逅を果たした。
コメディなんだろけどやや18禁の匂いがするな
いや、正確にはうんこの匂いなのか...
142 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/08(月) 01:43:26 ID:rmaxBw+e
>>139-140 ケツ掘られて糞食うだけで
そこまで精神的高揚を得られるのは幸せ者だよ
りっぱなマゾ
その日やる夫はいつものごとく朝6時に目を覚まし、
パンにバターを塗っただけの簡単な朝食をすませて駅に急いだ。
やる夫は会社員になってからの2年間というもの、毎日同じような生活を送っていた。
楽しみといえば休日にネットゲームをする程度で、その時だけはうんざりするような
仕事の多さから少しでも開放されたような気分になった。
超満員の電車に乗り込み、息をするのもやっとだという狭苦しさに耐えながら、
目的駅に着くまでの数十分をなんとかこらえようと頑張る。
ふと目をやると、これから部活であろう学生たちが大きなバッグを抱えながら
携帯ゲームで対戦していた。やる夫は自分の学生生活を思い出した。
「やめて下さい」
学生たちに気を向けていたやる夫は、唐突な少女の声にはっとした。
やる夫がいたのは扉付近、座席のない最も混雑したところであったが、
その声がしたのは座席のある側であった。
どうやら痴漢騒ぎのようだ。ざわざわとした電車内の雰囲気も
次駅で男が降ろされると落ち着いた。
降り際に見た感じでは男は中年のやや太り気味のサラリーマンだった。
少女も駅員に付き添われて電車を降りていった。冤罪だろうか。
いい年した大人が痴漢など、本当ならば随分と悲しいことだなあとやる夫は思った。
そして電車はそのまま魔界へ突っ込んでいった。
ちょww唐突www
いや、比喩か?
とにかく期待
なぜ唐突に魔界編ww
にっしょく「あうごえいですっ…!」
呪文を唱えると周囲は日食を残し闇に包まれる。そして
にっしょく「せんこうのいちげき!」
ドゴオオオオンッッ!
美作「すごい…」
倉刀「いやマジすげぇわ」パチパチ
倉刀「見たかよ美作、太陽の光ってやつァ太陽光発電などあらゆるエネルギーとして
利用されてるのは皆知ってる。しかしどうよ、レーザーだぞ、こんな光が
武器にも兵器にもなるってことだ」
にっしょく「ほそくするなら…このぼうしのまーくをちょうせつすることにより
しゃていきょりをむげんだいにまでひろげられます」
倉刀「特別コーチ、勉強させてもらいますわ、せいれェつッ」
倉刀・美作「よろしくお願いしますッ」
_____
倉刀「オどろいたなァ…にっしょくさんがこの件に絡みたがってるとはなァ…」
にっしょく「そうはつせんしばーさすしけいしゅう、このめんばーからはずされたことは
くつじょくではありますが…ちゅうもくどのひくいかそすれなのはじじつ…
なっとくはしています」
にっしょく「ですがいまのわたしははるとしゅらーにだってかてます!!!」
続かない
続けよ!
149 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/26(金) 20:55:32 ID:LpyqJVXF
>>148 お前が書いてみろや
書けないなら文句たれるなマヌケ
>>147 いいスレなんだけどねぇ、にっしょくスレ・・・。
というか、にっしょくの隠れスペックすげえw
151 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/06(土) 00:15:21 ID:vEEIlJCB
世界はゆっくりと、ゆっくりと滅亡に向かっている。
いつからだろうか。台風がなくなったのは。
いつからだろうか。雪が降らなくなったのは。
いつからだろうか。海の波が消えたのは。
いつからだろうか。人の声が絶えたのは。
かつて人間がいたとき、こんな言葉を口にしていた。
「我々の推測は正しかった。
かつての島は海底となり、山は島となった。おおよその生命は死滅し、生態系は崩れ、文明も失われた。
今、この星にあるのは生命の海と呼ばれた忌々しき海だけだ。
最早、我々に解決法はない。人類は滅亡の道を辿るだけだ。
ただ、一つ間違いがあった。
星は生きている。例え我々や、我々の知る生物達が死滅しようとも
この星はこれからもずっと生きていくだろう……」
長い時間が経った。
かつての文明の後がなくなるほどの時間が経った。
陽は今日も天に輝いている。
時折吹く風は植物を揺らし、その種を遠くへと運んでいく。
時折降る雪は地を覆い、命に眠りを誘う。
時折崖を叩く波は岩を削り、地を形成する。
時折聞こえる声は朗らかで明るく、希望に満ちていた。
そんな世界ですが、私達は楽しく過ごしています。
山なしオチなし意味なし
152 :
謎の……:2010/03/06(土) 01:06:19 ID:xNrQdTWa
気づいたら明日という未来の想像ができなくなっていた
いつの日か、あなたと約束をした日
約束の未来という明日を見ていた
暗闇の中にも確かな光があり、光を信じていた
約束果たし夕焼けの空
私を取り囲む空気は輝いていた
いつの日かあなたと喧嘩してしまったあの日
明日という未来を拒み続けた
暗闇の中の光を掴むことを
自らがくだらない矜持で拒否していた
あなたと逢うことが嫌で嫌で
帰りの夜の空
私の取り囲む空気は鉛のように重かった
いつの日か自分にあまり乗りたくない話がでた日
八方美人になっていた
周りに笑顔を振りまいていた
誰かに嗤われたくなくて
目覚めし朝
私の取り囲む空気はとても透き通っていた
今の私は
長閑に降り注いでいる光に希望と嫌悪を抱いています
即興、、批判くれたら嬉しいです
153 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/09(火) 16:40:40 ID:Bo1bHOKa
>>152 気づいたらノーマルなセックスでは快楽の達成ができなくなっていた
いつの日か、あなたとセックスをした日
勃起ペニスからの射精の快楽に浸っていた
膣内の粘膜の中にも暖かな艶めかしさがあり、法悦の喜びを信じていた
膣内射精を果たし朝焼けの太陽は黄色
私を包み込むあなたの膣は生温いまま痙攣していた
いつの日かあなたにアナルを開発されてしまったあの日
マゾという己の本性を拒み続けた
被虐の中で新たな快楽を掴むことを
自らがくだらない矜持で拒否していた
あなたの手にしたディルドで掘られることが嫌で嫌で
帰りの夜の空
私の引き千切れた肛門は鉛のように重かった
いつの日か自分にあまり乗りたくない話がでた日
マゾ奴隷になっていた
周りに服従の笑顔を振りまいていた
誰かに嘲笑われるたびに
マゾの本性に目覚めし朝
私の取り囲む空気はとても残虐な愛に満ち溢れていた
今の私は
長閑に降り注いでいる光の中で
虚像でしかないノーマルな恋愛関係に軽蔑と嫌悪を抱いています
即興、、サディストの姉さんに虐められたら嬉しいです
不覚にも笑ってしまった
表を駆け回る高い声が聞こえる
無邪気な幼い声が
窓の外には子供たちが群れ遊んでいる
細い腕
細い脚
細い体つき
遊ぶ子供たちは目まぐるしく動き回る
駆け走る
飛び跳ねる
転んで起き上がる
大きくなって同じことをしても同じようには動けない
大きくなった体はその慣性に従って運動する事だろう
子供たちは恐れを知らない
虫を見つけて捕まえる
散歩の犬に駆け寄り撫でまわす
ブランコを大きく揺らして乗る
大きくなっても同じことはできるだろうか
大人になっても興味の及ぶものに無心に向えるだろうか
子供たちには可能性がある
ケーキ屋さんになるかもしれない
お花屋さんになるかもしれない
いつか優しい母として子供を産み育てるかもしれない
ああ幼い子供たちよ
願わくばお前たちが大きくなっても
かつての心を忘れ去ってしまわぬことを
そして次の子供たちにも慈しみの心を与え
幸福な時を過ごさせんことを
YSSに投下しようかとも思ったけど、どうも毛色が違うように思ったのでこっちに投下。
157 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/19(金) 20:18:11 ID:pX08cIFn
>>155 祭壇を駆け回る奇矯な叫びが聞こえる
正義の怒りに満ちた不吉な叫びが
わが教団のサバトの輪には狂信者たちが群れ遊んでいる
確信的な狂気に満ちた目
涅槃に達しない限りは決して刈られることなく伸び放題の牙と爪
暗き地下聖殿での長きにわたる修行のために日を浴びることのない生白い緩んだ体つき
修行に励むわが教団の信者たちは何者かが憑依したかのように踊り狂う
邪を清める豪華の周りで激しく大地を踏み鳴らす
陽と陰の交わりをもって真言の理を快楽の中に見出す
求道の迷いの中から希望の光を見出し、再び起き上がり真理の道を歩み出す
俗と穢れに惑わされては、同じ修行を行っても同じようには悟れない
業に染まったその魂はその業ゆえに下劣な野卑な衝動に従って運動する事だろう
わが教団の信者たちは恐れを知らない
生贄を見つけてわが教団の神に捧げる
善良を装う市民を襲いカルマを落とすと証して嬲り殺す
テロ事件で社会を大きく揺るがせる
正気だったら同じことはできない
大人になっても興味の及ぶものに無心に向えるだろうか
わが教団には未来へ向けて無限無窮の可能性がある
日本の大統領になって世界中の穢れた国々に人類最終戦争を仕掛けるかもしれない
メディテーションの末に悟りを開き、サティアン気高い教えを説く賢者になるかもしれない
いつか新たな世界の母として穢れた現世を滅ぼしたのちに次世代を担う愛の戦士たちを産み育てるかもしれない
ああわが教団の狂信者たちよ
願わくば地上に我らの天国が具現化したその暁にも
かつての心を忘れ去ってしまわぬことを
そして次の子供たちにも慈しみの心を与え
幸福な時を過ごさせんことを
158 :
創る名無しに見る名無し:2010/04/12(月) 09:54:40 ID:f376FC4/
砂漠に流れる美しい川の辺に繋がれる四人はその時を待つ
彼らは許可を得ている
それを行うための許可をアッラーより授かっている
遥か北でやがて生まれるであろう悪魔の寵児は三匹の怪物と堕落した人類を率い神と人類に最終戦争を仕掛ける。
神の名の元に彼らは神に戦いを挑み神の怒りを買うだろう
神は、またの名をアッラーは砂漠のユーフラテス川に繋がれた四人の騎士を解き放つ。
彼らのそれぞれの名前は飢饉と、疫病と、災害と、戦争である
彼らは神より生き残った人類のさらに三分の一を殺戮する権利を与えられている
黙示録の四騎士による虐殺の中、神はひそやかに選ばれし人類に刻印を残すだろう
そして悪魔の寵児と四騎士による最後の大戦が開始される
かつて人類が経験したどの戦争よりも熾烈を極め、そのなかでさらに三分の一の人類が死ぬだろう
彼らはまるでシャイターンの如く
ヤハウェがかつて語ったように、最後の大戦は人類を極限まで疲労させる
焦土と化したエデンは腐臭と蝿と灰色の雲に支配され、人類は希望を失いかける
しかしかつてヤハウェが語ったように、この大戦こと人類の経験する最後の戦争である。
見るがいい
救世主は東から来る
新エルサレムはそこまで来ているのだ
159 :
創る名無しに見る名無し:2010/04/17(土) 21:21:45 ID:GIZBnkP0
持統暦エイジ68年、赤羽直善は赤羽善章伯爵と正室の神田教子との間に生まれた。直善には4歳上の姉の宮がいたが実は側室が産んだ兄姉が他に何人かいて直善は三男だった。
ともあれ正室の教子が産んだ男児のため周囲から跡取りとして育てられた。しかしある事件が起きる。
登場人物
ジェームズ・ウィンターズ
地球連合軍のMAパイロット。
有線式ガンバレル付メビウスゼロを操れる稀少なパイロットの1人。
グリマルディ戦線で重傷を負い、左手を切断してコンピュータ制御の義手を付ける。
地球軍の新型モビルスーツ『G兵器』のパイロットに選ばれ、訓練では他のパイロットよりも好成績を収める。
ヘリオポリスでザフトの襲撃に遭うが、危ういところを生き延び、敵に奪取されなかったGAT-X101のパイロットになる。
X105を操る事となったコーディネイターのキラ・ヤマトに複雑な感情を抱きつつも、共闘してアークエンジェルを守る。
地球に降りてからは大気圏内専用機のX104に乗り換え、X101は自ら操縦訓練をつけたフレイ・アルスターに譲る。
クローディア・ウィンターズ
地球連合軍のMAパイロット。
ジェームズの姉。
開戦後は父の元でジェームズと共に活躍していたが、戦争が膠着状態となってからは、各地を転戦する。
輸送船の護衛任務中にザフトと交戦し、デブリ帯に逃げ込んだところで偶然にも弟の乗るアークエンジェルと遭遇し、行動を共にする。
戦場では勇猛さを見せるが、普段は快活で人当たりの良い性格。
艦内でフレイ・アルスターと親しくなり、彼女の父親を救う為にクルーゼ隊と戦ったが、奮闘むなしく戦死する。
メアリ・ウィンターズ
地球連合軍の戦艦ウォーレスの通信士官。
ジェームズの妹。
クローディアとは対照的に寡黙で冷徹な性格。
姉や兄とは意見の衝突も多いが、内心では2人の実力を認めて尊敬している。
リチャード・ウィンターズ
地球連合軍の戦艦ウォーレスの艦長。
ジェームズ達の父親。
闘将と呼ばれる歴戦の軍人。
グリマルディ戦線では過少評価していたザフトのMSの実力を思い知らされる。
新型MSが導入されてからは、かつての敗北の経験を生かした精強なMS部隊を結成させる。
ヴィクトリア・サザーランド
地球連合軍のMSパイロット。
軍令部のウィリアム・サザーランドの娘。
父同様、命令に忠実で人命を軽視しがちな性格。
G兵器のパイロットに選ばれるが、MAや戦闘機の操縦経験もなく、MSの操縦技術は未熟だった。
パイロット達の間では、軍令部がスパイとして送り込んできたのでは・・・と囁かれていた。
ヘリオポリスで他のパイロットと共に戦死したかに思われていたが、奇跡的に生き延び、地球軍本部へ逃れていた。
リーシャ・マグワイヤー
地球連合軍のMSパイロット。
故郷の街がザフトの空襲で破壊された事からプラントを憎悪している。
ナチュラルでありながら、MS操縦にかけては天賦の才能を持ち、潜在能力ではジェームズを超えると評され、今後の成長を期待されるも、ヘリオポリスでザフトの襲撃を受けて戦死する。
のちにブルーコスモスが彼女のDNAを元にしたクローンパイロットを生み出す。
フレイ・アルスター
地球連合のジョージ・アルスター事務次官の娘で、ヘリオポリスの工業カレッジの学生。
ヘリオポリスが崩壊した際に乗り込んだ脱出シャトルを級友であるキラ・ヤマトに救助される。
アークエンジェル艦内で出会ったクローディアに惹かれ、彼女のようになりたいという漠然とした思いを抱くが、やがてそれが現実となってゆく。
ザフトに殺された父親の復讐の為にキラに身体を捧げて、彼を戦いに仕向けたものの、不甲斐無いキラに失望し、自らもMSに乗って戦う事を志願する。
ジェームズにMSの操縦の教えを請い、ただ父の仇を討ちたいという信念の元、短期間で実戦可能なまでの操縦技術を身に着け、X101に乗る。
地球軍本部に移ったのち、正式にパイロットに任命される。
キラと同様、ジェームズも父の仇を討つ為に利用した駒だったが、皆が自分をお姫様扱いする中で真剣に向き合ってくれるジェームズにいつしか本気で惹かれてゆく。
ミゲル・アイマン
ザフトのMSパイロット。
赤服のエリートではないが、クルーゼ隊の元で数々の戦果を挙げるエースパイロット。
自らのラッキーカラーであるオレンジに塗装したジンに搭乗し、「黄昏の魔弾」の異名を持つ。
ヘリオポリスにおける『G兵器』の奪取作戦をサポートするも、キラ・ヤマトの操るX105に敗れ、再度の戦闘でもX101とX105の共闘の前に敗れ去ったが脱出して生還した。
第8艦隊先遣隊への襲撃の際には、プラントで修復した専用機を駆り、本来の力を発揮して、クローディアのメビウスを撃墜し、ジェームズのX101を圧倒する。
シェームズとフレイの仇敵として、その後も2人の前に立ちはだかる。
なんでオリガンダムスレ行かないの?
スレを知らなかったか、そこだと作品数が多くて埋もれるからじゃないの?
164 :
創る名無しに見る名無し:2010/05/12(水) 18:53:44 ID:qaa+E0zf
中学生が考えそうなキャラの名前だ
オリジナルのガンダムですらパレスチナやクルドあたりからもネタ引っ張って来てんのにさ
それから30年…ヲタの知的レベルは当時の十分の一以下に落ちた
ガンダムクロニクル、ここに終焉
ってか、いい加減に卒業しろよ製作者もファンも
165 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:00:55 ID:PNy38Ars
「今日も来ていないのですか」
母親は力なく溜め息をつき、電話を切った。
これで四日目になる。
少年はいつものとおり、私鉄の最後尾の車両に乗り込んだ。
連結部分側の三人がけシートのはじに腰を下ろすと、青いカバンからマンガ雑誌を取り出す。
少年の乗った路線は、彼の通っている塾とはおよそ無関係の方角へ向かうものだった。路線はさほど長くなく、
少年の住む町の駅を始点として一時間もあれば終点に辿り着く。
往復すれば、ちょうど塾で授業が終わる頃に少年の駅に戻って来られる。
膝の上に置かれた、青いナイロン地にベージュのラインがN字に引かれたカバンは、有名な進学塾のものだ。
彼は小学校三年生の頃からそこへ通うようになった。
母親に連れられて初めてそこへ行ったとき、彼は間違って六年生のクラスに入ってしまったのかと思った。
答案用紙には、今まで見たこともない数式が並んでいて、どこから手をつけたものか途方に暮れてしまった。
ところが周りの子供たちは、それをすいすいと解いてゆき、テストを終わらせて教室を出て行く。
彼は結局、ほとんど答えらしい答えを書けないまま教室をあとにした。
為す術も無く打ちのめされた気持ちで一杯で、答え合わせなど、やる気も起きなかった。
いつの間にか彼の日課の中に、そこの塾へ通うことが組み込まれていた。
母親はそこへ通う意義を熱心に説いたが、彼は聞いていなかった。毎日の食事と同じように、
出されたものを片付けるだけだ。
& & &
166 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:05:24 ID:PNy38Ars
数日前、母親は彼に塾での勉強ははかどっているか、と聞いたことがあった。
彼は曖昧に返事をした。
塾には半分程度しか出席していなかった。
母親はそれを知っていたが、尋ねなかった。
学校では優秀な成績をとっている。テストの成績も悪くなかった。
サボっていることを問い詰めたりしたら、塾そのものをやめてしまうかもしれない。
母親にとっては、そちらの方がデメリットだった。
母親は、塾の生徒指導担当と話をしていた。
「どうしたらよいでしょう、悪い友達と遊んでるんじゃないかと心配なんです」
生徒指導担当は冷笑し、
「そんな心配はいりませんよ。失礼だが、お子さんはゲームセンターに入る勇気も無い。
悪い仲間とつるむ心配はありません」
& & &
ゲームセンターの自動ドアの前で、少年は躊躇っていた。
彼と歳の違わない少年たちが、彼を追い越して入っていく。
腰までずり下げたカーゴパンツ、オーバーサイズのパーカ、斜めに被ったキャップ。
ろれつが回らないような口調で話し、過剰なくらい大声で騒ぐ少年たちが、彼は苦手だった。
ゲームセンターには奴らがいる。
怖い。
バカにされる。
いじめられる。
あるいは、相手にすらされないだろう。
ゲームの腕もさほど上手くは無い。格闘ゲームは好きじゃなかった。
少年はゲームセンターには入らず、ガラスの自動ドアから中を眺めるだけだ。
そのガラスも薄暗い店内を見通す妨げとなる。
そうしてやがてその場を後にし、再び電車に乗る。
167 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:06:53 ID:PNy38Ars
したいこと、というものが、彼には無い。
ゲームには興味はあったが、暇つぶしの域を出るほどではない。クラスの連中が話しているマンガや
Jポップの話題も、今ひとつ興味をそそらない。
電車の中が、彼の寛ぎの場となっていった。車内で読むものは何だってよかった。
彼は読むことよりも、『マンガ雑誌を読んでいる乗客の一人』を演じているのだった。
車内の乗客に溶け込んだとき、彼は透明人間になったような気分になる。
誰も彼のことを気にかけない。バカにされることもなければ、カツアゲされることもない。
彼の方は、他人を観察できる立場にある。雑誌からちょっと目を上げれば、車内の乗客が見渡せる。
相手に気付かれそうになったらすかさず雑誌に目を戻す。
そうして観察した結果、彼はひとつの疑問を抱いた。
「みんな、何が楽しいんだろう?」
& & &
168 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:09:09 ID:PNy38Ars
ある晩のことだ。
いつものように終点まで乗ってきた彼は、ホームへ降りると反対方面の電車に乗る列に並んだ。
そこで、一人の男性と眼が合った。
少年の、父だった。
――見つかってしまった。
塾をサボってることがバレてしまった。怒られる!――
彼は気が気でない。
帰りの車内で二人は並んで立ち、一言も言葉を交わさなかった。
最寄り駅からひとつ手前の駅で、父は少年を促して降りた。
黙って従い、改札に向かう。
――怒っているんだ。車内では叱れないから、人気の無いところで叱るんだ。
ところが父は、改札の手前で、
「切符、あるか?」
と声をかけ、自分は定期でさっさと改札を出て行ったのだ。
少年はいつも一駅分の切符を往復で買っていて、清算せずに出ることが出来ていた。
一駅先で降りることなんて、イレギュラーな事態だった。
駅員に咎められやしないかと、不安で一杯になりながら、往路の切符を改札機に通す。
父は、そんな彼の様子を少し離れて見守っていた。
169 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:11:52 ID:PNy38Ars
無事に改札を抜け、父親に連れて行かれたのは、駅の裏手にある居酒屋だった。
彼は父親の意図がさっぱり分からないまま、黙って従った。
パッと見は小汚い店だったが、暖簾をくぐると、店内は意外にもこざっぱりとしていて、落ち着いた雰囲気だった。
客も多すぎず少なすぎず、いい感じに空いていた。
カウンターに並んで腰を下ろすと、
「お前、何にする」
と聞かれた。
「ええと……」
ここには、彼が飲めるようなものは無さそうだ。
「ビールくらいにしとくか。俺もそうする」
そういうとカウンターの奥に向かって言った。
「とりあえずビール、それにやっこともつ煮、ほっけに……あと、茄子の浅漬け」
瓶ビールと、グラスが少年の前に置かれる。
――ホントに、こんなものを未成年に飲ます気なんだろうか。
父を見ると、いたずらっぽく笑いながら瓶を傾けた。
「まぁ、泡だけでも飲んでみろよ。今のうちに知っといて損は無いぞ」
言われるままに口をつける。苦くて、飲めたものじゃない。
――こんなもの、何がおいしいんだ?
「どうだ?」
聞かれ、思ったことをそのまま言った。
父は笑って、彼のためにジンジャーエールを頼んでくれた。
170 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:13:25 ID:PNy38Ars
――父さんは、怒ってはいないみたいだ。
――それとも、本当に塾帰りだと思っているのかな?
――だとしたら、塾が何処にあるのかも知らないのか……。
少年は、複雑な気分だった。
しかも、居酒屋と言う未知の空間にいることで、彼の頭はますます混乱した。
& & &
冷奴と、もつ煮が運ばれてきた。
「こんな渋いあて、若い人は喜ばないわよ」
女将さんが父に向かって言う。
「そうかなぁ、俺の学生時代はこんな感じだったけど。まぁいいや、じゃあ適当に何か作ってくれよ」
食えよ、旨いぞ。
そういって父は、もつ煮を彼にすすめる。
もつ煮を初めて見る彼にとっては、こりっとした肉の入った豚汁、という感じだ。
確かに、旨かった。彼はもつ煮を食べ、その間、父はビール片手に冷奴をつまんでいた。
「はい、お腹の足しになるか分からないけど」
そういって女将さんは、彼の前に握りたてのおにぎりと、穴子の天ぷらを出してくれた。
「なんだ、穴子があったんだ。俺もひとつ」
隣から覗き込んでいた父が言うと、
「だぁめだよ。そいつは賄い用だ」
奥から老人のしわがれた声が聞こえてきた。
ごめんね、数が無くて。
女将さんは拝む様な仕草をみせ、父は、ちぇっ、とすねたように言った。
171 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:17:07 ID:PNy38Ars
普段の父とは、何か違う。
一人称が『俺』なのが新鮮だった。
家にいるときの父は、『父さんは〜』の一人称だ。そもそも、あまりものを言わない。
そして少年のことを『お前』と呼ぶ。
家では名前で呼ばれるし、何か用事のあるときしか呼ばれない。
父親が少年を『子供』としてでなく、一人の『男』として対等に接していることを、少年は漠然と感じていた。
同時に父もまた、『父親』でなく一人の『男』としての姿を見せていた。それは少年に、どこかのびのびとした印象を与えた。
穴子の天ぷらは、格別に旨かった。少年は夢中で食べた。それが一段落つく頃、父が唐突に切り出した。
「天丼ってやつぁ、俺はどうも好きになれねぇんだ」
「……?」
「蕎麦屋で天丼や天ざるっつったら、その店で一番高いメニューだからな。俺は、それが解せない」
返事をしない彼に構わず続けた。
「ラーメン屋のチャーシュー麺にカレー屋のカツカレー、それに蕎麦屋の天丼。こいつらは三大悪だな」
言わんとすることが、少年には何となく分かってきた。
食いたいけど、ちょっと高くて諦めざるを得ないメニュー達、ってところだろうか。
「こういうところに階級社会っつうかな、そういうものを感じてしまうんだよなぁ。世の中は、じつは平等じゃねぇからな」
そういって笑った。
少年は思った。
カツカレーもチャーシュー麺も、大好きなメニューだし、できることならいつでも食べたいものだ。
けれどそれらはやっぱり割高で、「贅沢品」として認識されている。
結局、彼はただのラーメンやカレーに甘んじる他ない。
& & &
172 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:19:01 ID:PNy38Ars
父を見ると、いつの間にかビールは飲みきってしまい、日本酒を飲んでいる。
「勉強は嫌いか?」
またもや唐突に、父は言った。
彼は驚いたが、その一方で、父は何もかも知っていたんじゃないか、とも思った。
彼は正直に答えた。
勉強そのものが嫌ではないこと。
塾の雰囲気がどうにも嫌いで、電車を往復乗車してサボっていること。
そのことは母には内緒でいること。そして、他の人々が、何が楽しいと思っているのかわからないこと。
父は黙って聞いていた。
「……テストでいい点を取ることなんて、馬鹿げたことと思うかも知れないな」
父はカウンターの正面を見つめながら、呟くように、そして自分自身に言い聞かせるようにゆっくり話す。
「社会に出たら、成績の良い奴が得をする。というより、成績が悪いと損をする、と言う方が正しいかな」
諦めたような、寂しそうな横顔。
――そんな顔、見たくないよ。
もっと、自信満々っていうか、何でも解決する名探偵みたいなっていうか、そんな顔していてくれないかな。
「けれど、お前がこの先、うまく行かなかったとき。壁にぶち当たったとき」
父は、そこで言葉を切り、彼を見つめた。
「『もっと勉強しておけば良かった』なんて後悔だけは、して欲しくない」
そこで、ちょうど店の柱時計が鳴った。
見ると、十時を指していた。
「おっと、もう帰らないと母さんが心配するな。じゃあ、おあいそ」
& & &
173 :
塾をサボる:2010/06/19(土) 20:22:54 ID:PNy38Ars
店を出て、二人は電車に乗らず、夜道を並んで歩いた。
酔い覚ましにちょうどいい距離なんだ、と父は照れ笑いをした。
夜風は心地よく、一駅の距離は遠すぎず近すぎない程度だった。
「人の一生は、勉強の連続だ」
少年に、では無く、道すがらの夜空に話しかけるように、父は話す。
「勉強は、机に座ってするものばかりじゃない。人が、よりよい生き方をするためには、どうしても、いろいろな勉強が必要だ。
けれど、安心したよ。お前は、勉強が心底嫌いじゃないみたいだからな。
いずれ、自分から勉強したい、と思うようになるだろう」
父は立ち止まり、彼を見つめる。
「だから、大丈夫だ」
少年は、俯いてしまう。
「塾が嫌なら、辞めるのも一つの手だ。けどな……、
そこで何かしらの結果なりを出してから、退塾届を叩きつけるのはどうだ?」
歩き出した父の横顔を、そっと見る。
「そうだな、そうしたら天丼、食いに行くか。ああいうものは、金持ちになって毎日食うもんじゃない、
普通の人間が、がんばった後に食うから旨いんだ」
ぼく、と言いかけた。
声が掠れている。
父は、穏やかに彼を見つめながら隣を歩く。
「ぼく……、天丼より、カツ丼の方が好きだな」
父は、笑った。
お前は安上がりなヤツだなぁ、といって彼の頭をガシガシ撫でた。
少年の家が見えてきた。
少年は、塾をサボっていたことを母親に話さなくてはならない、と思った。
そして、父とカツ丼を食べるときのことを思い浮かべた。
174 :
◆BY8IRunOLE :2010/06/19(土) 20:26:39 ID:PNy38Ars
↑以上です
明日は父の日ということでこちらに投下させていただきました
でも結局、何が言いたいかようわからん駄文になっちゃいました……
父と子の物語か
話の運びが丁寧な感じで好感がもてるなぁ
面白かった
176 :
あ:2010/06/20(日) 21:30:48 ID:ImzPpg9H
今日街を歩いてるとあの娘が歩いていた あの娘はこの街に帰ってきていたのだ 噂では子供を堕ろしたと聞いた 同窓会にも顔を出さないのはそのせいなのだろうか ぼくは彼女のことが好きだった
177 :
あ:2010/06/20(日) 21:33:13 ID:ImzPpg9H
それは今でも変わらなかった ただ 問題は彼女はどんどん変わっていくのに ぼくはまったく変わらないことだった 彼女はきっと なにも変わらないぼくのことを軽蔑している
178 :
あ:2010/06/20(日) 21:35:42 ID:ImzPpg9H
ぼくは変わらない きみたちが変わりすぎなんだ なんでそんなことで笑えるんだ? なんでそんなことで泣けるんだ?
179 :
あ:2010/06/20(日) 21:37:06 ID:ImzPpg9H
もうしわけないけど そんなことにぼくを巻き込まないでくれ かわいい彼女に興味はあるが 消えた子供なんてどうでもいいんだから
>>174 すごかった
ほっこりした
父ちゃんと、腹を割って話してみたいですお
>「そうだな、そうしたら天丼、食いに行くか。ああいうものは、金持ちになって毎日食うもんじゃない、
>普通の人間が、がんばった後に食うから旨いんだ」
なんかいいセリフだな。
>>165-173 いい文章だ
こういう丁寧で優しい文章は読んで良かったって言う気分になる
『恐怖! 金のおちんちんと銀のおちんちん』
【 1 】
「ああっ!」
森の泉に向かってションベンをしてた俺は思わず悲鳴を上げてしまった。
そう、それは俄かには信じがたいことだった。
小さめでタップリの包皮が被ったかわいいおちんちんから、鼻を刺すような臭い尿を垂れ流していた俺。
ジョボジョボ〜ジョボジョボ〜と小粋な水音を立て、見る見る泉の清らかな水を穢してゆく。
そんな心地よい罪悪感と、膀胱の開放感に、俺は思わず気持ち悪い笑みを浮かべてしまった。
そのときだった。俺のおちんちんが、突然とれてしまったのだ。
俺の肉体から分離したおちんちんはそのまま泉にポシャン。見る間に水底に沈んでゆく。
「ああっ! …ああっ!」
俺の声は言葉にならなかった。
泉の底に消えてゆく己のおちんちんを見つめながら、俺は呆然と立ち竦んでしまった。
「ど、どうしよう! ボクのおちんちんが、おちんちんが無くなってしまったよおおっ!」
俺はその場で跪く。だがその股間には自慢のエクスカリバーはもう無い。
これから数多くの美女を刺し貫き(予定)、雌たちの法悦の蜜壺をかき回す(予定)のエクスカリバー。
現在は排尿とオナニー以外の何も役に立たない汚らしいシロモノでも、この俺にとっては大事な相棒。
それが今、泉の底に失われてしまったのだ。
「うわあーっ!」
俺は思わず森中に響き渡る叫び声を上げた。
これから俺はどうやって尿をすればいいのか?
大好きなオナニーはもうできなくなってしまうのか?
俺はそう考えると悲しくなり、その場で慟哭した…。
【 2 】
…どれくらいの時間が経ったのだろうか。
すでに森は夕日の朱に包まれ、カラスがかぁかぁ啼き、森の鳥達は巣に帰ってゆく。
月は東の空に赤々とした姿を見せ、宵の明星がまるで針の如く鋭い輝きを見せる。
だが俺は泣いていた。
泉の畔でただ一人、おちんちんを失ってしまった悲しみに打ちひしがれて。
そんな時だった。
俺の尿に穢された泉の水面が、ゆっくりと揺らぎ始めた。
さざ波が湧き、夕日に染まる水面が沸き立ってゆく。
俺は目を上げた。
その泉の変容を、涙が滲む汚らしい目でジッと見つめる。
するとどうであろう。その泉の中から、一人の美女が現れたのだ。
――泉の女神さまだ。
「…う、うぇ? えへっ?」
俺は突然現れたその美しい女神を見つめながら、わけの分からない声を発してしまった。
女神は実に美しかった。
端正な面立ちに、深い緑の瞳…だが何故だろう? その瞳はどこか怒っているようだった。
その目は泉の畔に佇む俺を見つめる…それはまるで汚物を見るような、軽蔑しきった眼差しだ。
そういえばその表情もどこか強張っている。
「…あなたは、この泉におちんちんを落とした方ですね?」
女神は俺に言った。その声は上品で優しげだったが、どこかキツい。
「…う、えうっ?」
俺は女神を見上げながら驚愕していた。先ほどと同じくわけの分からない音を発するのみ。
女神さま、とっても綺麗だな、こんな女の人とエッチなことしたいな。
でも今、俺はおちんちんを失ってしまった。なんということだ!
そんなことを呆然と考えていた。
痺れを切らした女神さまが、今度は怒気を含んだ声で俺に言った。
「おいコラ、ちんこ落としたのテメエだろ? 私の住まいであるこの聖なる泉にションベンした罰当たりはよっ!」
女神さま、威厳も何もあったもんじゃありません。
かつてアーサー王にエクスカリバー(こっちは本物)を授けたあの時の神々しさと威厳とは、比べものにならないです。
「あ、はい。…あの、その、おちんちんを落としてしまったのは僕です」
俺は怒気に押され、思わずそう返事した。
長いことアク禁が続いて、すっかり調子が狂ってしまったせいもあるのだろう。
「そうか、面倒くせーから前置き無しな! アンタ、落としたちんこを取り戻したいんだろ? あ?」
女神さまはもはや怒鳴りつけるように俺に言う。
「…ったく、冗談じゃないわよ。私のこの神聖な住まいにションベン引っ掛け、汚ねーちんこまで捨てやがってよっ!」
「いや、あの…ちんちんは捨てたんじゃないんです。何故か突然、取れてしまったんです」
ヘイドレクは弁明した。
「それが罰なんだよ馬鹿。ったく、よりにもよってあんな汚らしいものまで泉に落っことしやがってよ…」
女神さまはマジでキレていた。俺はどうしていいかわからなかった。
すると女神様は、
「で、アンタの落としたちんちんは以下の三つのうちどれだよ?」
と言い捨て、なにやらゴソゴソと準備を始めた。
まさか、と俺は思った。
三つのちんちんのうち落としたのはどれ?って、
これはまさしくイソップ童話の金の斧、銀の斧の話じゃないか!
ということは、ここで俺が、自分のおちんちんを正直に指し示せば、
金のちんちんと銀のちんちんまでもを手に入れられるのでは?
てか、金のちんちんとか銀のちんちんとか、一体なんだろ?
俺は混乱した。
そんな俺の困惑をよそに、女神は陳列台を水面の上に置き(女神ならではの魔法)、
さらに手袋を填めた手で長い二本の棒差しを持ち、それでおのおののちんちんをつまんで並べた。
陳列台の上にならんだちんちんは以下の三つだった。
1、金色ラッカーで塗られただけの、勃起時10センチの包茎ちんちん
2、銀色ラッカーで塗られただけの、勃起時10センチの包茎ちんちん
3、ごく普通の、勃起時10センチの包茎ちんちん
「……」
どれも同じじゃないか、と俺は思った。
こんな時、ボクはどうすればいいんだろう、素直に3番を選ぶべきか?いや、えーと…
「とっとと選びな、この愚図。このあたしの前にこんな汚らしいものを何時までも並べさせんなよ! ボケッ!」
女神は俺を怒鳴りつけ、プレッシャーをかける。
俺は混乱し、動揺し、咄嗟にこう答えた。
「3番のちんちんが、ボクのおちんちんです」
その瞬間だった、泉の水面は一斉に輝きを放った(ただの演出であって、別に深い意味はない)。
そして女神さまは、ヘイドレクに向かって優しく(だけどその奥には明らかに嫌悪がある)声で言った。
「正解です、あなたの正直さを湛え、この三つのちんちんを全部上げましょう…ってか、とっととこのキタネーの持ってけや!」
そういうと女神は、さらに煌々と輝きを放ち、再び湧きたった泉のさざ波の中に消えていった…。
187 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/02(金) 17:02:00 ID:8RPkMwGL
【 3 】
「…はっ!」
俺は目覚めた。どうやら今まで気絶していたみたいだ。
俺は身体をゆっくりと起こした。
丸々とした月は天空高く登り、凄愴たる赤き輝きを降り注いでいた。
どうやら俺は、森の中で、今までぐっすりおねむだったようだ。
不思議なことに、目の前にあったはずのあの泉はどこかに消えていた。
しかしおちんちんが突然とれて泉に落っこちてしまったような気がしたんだが?
あれは本当にあった出来事なのだろうか?
いや、あれは夢、悪い夢だったんだ。
ちんこが取れて落ちるなんて、何て悪夢だよまったく。
俺はそう一人合点した。
それよりも、寝ている間に膀胱がパンパンになっているようだ。
激しい尿意が、俺を苛める。
俺は慌ててズボンを下ろし、ブリーフパンツを下げた。
そしてちんこをさらけ出し、尿を垂れ流し始めた。
その瞬間だった。
「うわあーっ!」
俺は再び絶叫を上げた。
夜の闇に包まれる森の中でに響き渡るような、凄まじい叫びだった。
股間にちょこんと生える小さめのおちんちんが三本。
金色のおちんちんと銀色のおちんちんと普通のおちんちん。
そのおのおのの先端から、月明かりを受けて輝く尿が、綺麗な放物線を描いていたのだ。 (了)
童話っぽいし「童話と民話創作スレ」でもいけそうかなと思ってたら
うん、これは無理だなwww
おちんちんわぁい!
素晴らしいおちんちんランドwwwww
イイハナシダナー(;∀;
僕も女神様とエッチなことしたいです
190 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/03(土) 16:10:52 ID:n11S/Wxy
191 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/03(土) 20:15:33 ID:+kZGrt5J
192 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 21:22:01 ID:m7scsf1+
(1/3)
『ちんぽの花園』 ( ※ 一度、過去に出したものを、少し修正 )
一面に咲き乱れるたくさんのちんぽ。
これは幻なのか?
それとも悪夢なのか?
ちんぽ一本一本がゆらりと高く首を天にかかげ、香しい白濁液が滴らせる。
生命の息吹を感じさせる香ばしい生臭さが春風に煽られ、私の嗅覚を刺激した。
ここは『15歳の勃起』と名づけられた花園。
生温い汗が飛び散り、青臭い息吹が満ちるこの花園には、若々しい生命のが満ち溢れていた。
青春の喜びと悲しみ、挫折と寂寥を孕みながら花園は今日もまた終わり無き一日を迎える。
永遠と思える静寂の中で、彼らもまた無言のまま己の若さを漲らせる。
誰も見ることなく、誰にも振り返られることないまま、春風の中でただただ虚しく。
そこには失われた純情があった。
満たされない悲しみに溢れていた。
膨れた肉茎の節々に流れる朝露は、彼らの涙なのか?
青春の虚しさとはかなさを伝える、彼らの無言の訴えなのか?
多くの見果てぬ甘い夢を抱き、咲き乱れるちんぽたち。
今日もまた吹き荒む春風の中で仄暗い空を虚ろな目で見つめ続けていた。
193 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 21:22:49 ID:m7scsf1+
(2/3)
そんな折であった。花園をかき乱す闖入者たちが訪れた。
一糸纏わぬあられもない姿のめしべたち。
亜麻色の長い髪をなびかせた蕾たち。
春の乙女たちだ。
乙女たち舞い踊るたびに乳房は豊かに揺らいだ。
乙女たちの新鮮で柔らかな肉が軽やかに弾んだ。
滑るような白い素肌が、ちんぽたちに眩しい。
薫り立つような薔薇色の微笑みで、乙女たちは語り合う。
未熟な乳房や瑞々しい尻の放つ薄桃色の芳香。
甘酸っぱい吐息が、花園にかつてない彩を与える。
ちんぽたちは一斉にわななき、その鎌首を大きくもたげた。
するとどうであろう。
突然、乙女たちは呻いた。
愛の季節の訪れを告げる疼痛が乙女たちを目覚めさせたのだ。。
若草のような恥毛に包まれた薄桃色の花弁。
その控えめな割れ目から、乙女たちは一筋の血潮を流した。
鮮やかな一筋の血潮は閉ざされた白い腿を流れ、地面に雫を垂らす。
勢いを増して咲き誇るちんぽたちに、その雫が飛び散る。
ああっ!
194 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 21:23:36 ID:m7scsf1+
(3/3)
だが乙女たちは花園の中で踊りつづける。
華やかに、軽やかに、艶やかに。
そう、この乙女たちこそ咲き誇る春のニンフたちなのだ。
柔肌から真珠のような汗を流し、花弁から真紅の血潮が滴らせ、
それでも乙女たちは薄桃色の頬に笑顔を浮かべたまま、可憐に踊り続けた。
乙女たちの白い脚は、花園に咲く無垢な茎たちを無遠慮に踏みしめる。
脚の下で虐げられ、ちんぽたちは、それでもなお逞しく立ち上がろうともがいた。
傷だらけの純情と求めえぬ愛情を探して。
永遠の愛と無限の悦びを勝ち取るために。
乙女たちに、己の全てを委ねるために。
最後に彼らは乙女たちの微笑みに頭を向け、力強く我が身を震わせ、一瞬の悦びとともに果てた。
赤黒い肉茎を弾けさせ、己の持つ生命の迸りを惜しみなく吐き出し、搾り出したのだ。
そのただひと時のために、彼らは全てを賭けた。
彼らはゆっくりと萎れてゆく。
崩れ落ちるように大地に倒れる。
霞む陽射しの中、呆然とする思考の中でもなお、その視線は乙女たちを追う。
視界の中で踊り狂う乙女たちの甘い香を思い、柔らかな肉体を夢見ながら。
そして再び乙女たちを待つのだ。
永遠に繰り返される、苦行と快楽の輪廻の中で。
乙女たちに己の無辜の愛が受け入れられる、その時まで。 (了)
195 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/06(火) 17:29:31 ID:HSEtFb4z
脳味噌蕩けそうw
彦星は憂鬱な表情で天の川を眺めている。
今日は七月七日、七夕だ。一年に一度だけ、愛しの織姫との語らいを楽しめる夜がやってくる日だ。
しかし彦星の心は沈んでいた。彦星はここ数年、織姫に会えていなかった。
七夕の夜、天には星々が集まり、川を作り出す。その岸に立てばどこからか鵲がやってきて、愛する姫の
居る側への架け橋となってくれるのだが、段々とその美しい姿も思い出せなくなってきている。
長く、息を吐く。
二人が分断されたのは愛が深すぎたためだ。天帝に愛し合うことを許された二人はかつて共に暮らしてい
た。だが、お互いに相手を求めすぎたために二人は怠惰に溺れた。天帝は怒り、二人を分断し、一年に一度
だけ天の川を挟んで会うことを許した。しかしそのたった一度の機会も、その夜に雨が降ってしまえば奪わ
れてしまう。雨が降ると天の川は増水してとても岸辺に立てなくなってしまうのだ。ここ数年、それが続い
ていた。
彦星は嘆く。たった一晩なのだ。なぜ奪われるのか。これは試練なのか。彼女に触れられない苦しみはい
つまで続くのか。
ふと、彦星は思う。いっそ私も、地上の人々がそうするように、葉竹に願い事を書いた短冊を吊るして、
その成就を天帝に祈ってみようか。
彦星は自嘲した。あの天帝に祈る資格があるのは地上の人々だけだ。そして地上の人々も、自分たちがこ
の夜に会うのを祝福してくれているに違いない。人々が「雨が降りませんように」とでも書いてくれれば、天
帝も聞き入れてくれるのかも知れないが……。
そういえば、今の地上の人々はいったいどのような願いを持っているのだろう。彦星は地上を見下ろした。
まだ夜が来るまでには時間がある。少し覗いてみるのもいいかもしれない。そうしてそれが自分でも叶えら
れる願い事だったら叶えてあげよう。そうすれば、天帝も私の願いを聞き入れてくれるかもしれない。そう
思って地上へと手を伸ばす。
適当な葉竹を引き寄せて、そこに結びつけられた短冊を一枚手にとった。
彦星は首を傾げる。書いてある言葉の意味がわからない。
彦星はあぐらをかいて考え続けた。
短冊に書かれていたのは「彦星が非リアになりますように」……
197 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/07(水) 16:21:00 ID:rpLQ3Whg
叶ってるwww
198 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/09(金) 13:07:38 ID:IGD5MkAG
本当に行き場のない小説?ばかりだね。
面白くもなんともないよ。
199 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/09(金) 13:13:07 ID:vZyua/Sz
200 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/09(金) 17:17:34 ID:havZrnrv
これから
>>198さんが、面白い小説を書いてくれるそうです
是非お願いします
201 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/25(日) 10:07:01 ID:I8uX82Eo
なんだ、おもしろい小説ばかりじゃないか
202 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/27(火) 04:57:03 ID:yZSSnjCn
【 エロビスと英行……すれ違う二人の恋の物語 】
┌'`'´  ̄ヽvヽ、 ミミヾ、ヽ、 ,, ノレ''''ノ''/:::::::::::::;; '-ニ、,/ 彡}
「 愛 本 ,英 |、` ミ、、,ヾヽヽ'`'´: :/ : : l `;:::::: :::::.. ミニ : : : : /、
.| し 当 行 ト`、ヽヾ`;;;;;;; ': : . .. : : : ,'/ ..:::: ::::: ::::;;;, ミ-- ミ__
|. て は : ト、 ミ| ';;;;; ` .:::. :::/,,,'':::,';;;;,,,, ,, ;;;,,;;;;;;;;;..... ヾ、、、 --ヽ
|. る .,お : ト、、、.| ;;;;,, ;;; ;;;;;, ', ;;:::,、,`l!',',,,,,,',,__'',,'',,::::::.. Y___ 、ミ
j ん 前 : | ゙} ミミ , ;;;;;;;,, ;;;; l、ノ:::;ヾ ヽ/ /ヘソノ-−':::::::::..... ゙、、___ jヽ、ヽミ
ヽ だ を j ト、ヾ| ;;;、、'゙ヽヽ;;;! 彡彡;; ゙゙゙゙゙゙゙゙゙̄``:::::::::::::::: ト- / ヽヽ彡
l__! / ヽ | >,-、ソ,-;;; ::::::::::::::::::::: ..:::::::::: .| /´`´ .|ト
ヽ---、, ' ̄ ミ, ヽ彡'-';'''; ; ;' ::::::::::::::::... ..:::::::::::::::/' |/:::丿 ...::;l |
`、l! :::::ヽ :::::.......-っ ::::::::::::::::::/ ,;;' -- '/ヽ
ヾl! :: ヽヽ '´:::::/ `ヽ:::::::´ lヽ__ / ミ
ヽ|! ........... ヽ::::, ' :::::::::::. |:::::::: }}/ ,
', ::: ,`-_'_______ :::::: ::::::. ,'::: 彡,, /
l! :: /´´ ....`` ::::::::: ::::: l!::: `>彡
l! :.. ,;'´´::::::::::::::::::.....:::::/ ::::''' .l!::
とてもたくましいエロビスさんの告白!
203 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/27(火) 04:58:15 ID:yZSSnjCn
エ. ゙, l. は
ロ ! ', い
ビ ', ', っ
ス ト-、,,_ l
さ ! `ヽ、 ヽ、 _
ん / ヽ、`゙γ'´
: / \
! ト, ヽ
ヽ__ ___ノ ,! | | ト, ゙、
レ'゙ ,イ ./|! .リ | リ ! .|! | ト|ト}
,イ ,/ ./〃/ / | / .リ/ //イ|.リ
// //ノノ //゙ ノ'////|.リ/
´彡'゙,∠-‐一彡〃 ト.、,,,,,,,,,,,レ゙
二ニ-‐'''"´ /`二、゙゙7
,,ァ''7;伝 ` {.7ぎ゙`7゙
ゞ‐゙'' ,. ,. ,. l`'''゙" ,'
〃〃" ! |
! l
! (....、 ,ノ !
j `'゙´ ,'
ー--===ァ /
_ _ ./
\ ` ̄ ,/ どきどき…
` .、 /
:ミ:ー.、._ /``'''ー-、
エロビスさんの思わぬ本音告白に、純情可憐、乙女ちっくに答える英行さんの恥じらい
もう、かわいいっ!
204 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/27(火) 04:59:15 ID:yZSSnjCn
お. 本 エ. 大 | / 愛 悪 今
前 当 ロ 丈 | l 情 態 ま
が は ビ 夫 ! 〉 の は で
好 ス だ | | 裏 の
き は よ | | 返
な | ...| し
ん | | さ
だ | |
____ / | ヽ :
{ l ̄`ヽ( ヽ ! /ヽ\___/
j| / `ヽ;;,, ヽ
/ / l! ',; ',
/ / |
/ l ! l
,.イl! l! /, l! エロビスち●こは
ゞ{l , , ,;;;ノ、,,, もうびんびんっ!
r''l ' ' ' ' ''l;;;''''''
、 | |;;
.ヽ! ! |;
__」 l |ヽ
<! ヽ | ヽ
ああっ、まさか! 今までいがみ合っていた二人がついに!
ついに結ばれてしまうのか?
205 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/27(火) 05:00:06 ID:yZSSnjCn
_,、r''― -、 lヽ― '―'|_
`゙' 、 / |
ヽ |. |
エ ち 意 > { ほ |
ロ ん 外 | { う. |
ビ こ と |'''ー'`'''''"`"`'ー、{ :. |
ス 小 了,, ,,,// ィ ,,,rr ) |
: さ |从 lll",,," llllj '' `'ー、r- ''´
: い /从从从iiiiiii lll从 ll ,, '、
、 な /lll|||'''从从:::''''""/"jj }
`lrー、_,、-、|lllll|、,,, l|||l从;;;;/''"'彡シ }
(ミ'ミ ゙゙''' 、ィヽ)ヽ:: '彡:シ }
ミッ| リノノ::::::: ィ彡,,ノ,、}
{ ミ}r 、_ { "彡::::::''" ,,゙'' 、::j´、',
}::l|ー-、ヽ}_ O'"_,,、-''イ::ツ }jリ, リ フフンッ!
ヽ',シミ゙'、;;ヶ、ili、ィ;ィ;;乏彡ミ /ノ''/|,,,,__
'、 `""´: | ''''''::::: ̄ /イ,,/:::}
,,、- '''"ヽ ,l,, 、::::::: /リ: } | ̄
,,、-''" ヽ `'-''´ ッ:: j:: レ
'"( :ヽ ー-ー ''´::: ノ::: ヽ/
ヽ,,,,,, 、-、 ::ヽ '''''''"ツ:::: /::: /
ヽ ri::::ヽ レ' /::::: /
゙' 、 ヽ/ t::::::::'、,,_,,/:::::: /
 ̄`'' -、 ゙' 、ヽ、::::::::::::::::: ::::/ ,,
英行さんはエロビスさんに何かご不満のようです
206 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/27(火) 05:01:08 ID:yZSSnjCn
,,,;;;;;;;;彡彡;;之 ヽ
,,,,,,,,,,,,,;;;;;ll;;;;;;;;;;;;;;| l;;;;;;;リ)リ;;;;;;|l;;;;(ミ彡/、 Z
l|ヽ= 从;;l |l|;;ll;;;;;l|;;;;;l;;;イl;;;;;;;;;;;;;| l|;;;;;;-〈、|;;;;;;;;;;;;;;,,三∠ノ フ な 言 き ふ
ヽミ三从;;从|;(;;;;|l;;;;l|;;;((;;;;;(ヽ乂;;;;;;/ノ人、从;;;;;;;;ヽ ∠ | い わ さ ざ
ミ二ミミ从 ; ;;;;;;゙;;;;゙;;;;;L{{ミ|Y;;";;;;;rテ'';''i゙''ミ゙ イ;;;;{ミヽ∠ノ わ れ ま け
゙ヽ乏゙゙从゙ ;;ヽ、、_;;;;;;;;;;;;;{≧Y;ノノ=-゙'''"´彡 ';;;;;;ヾ,,', ヽ 包 た な ん
<彡l|;;;;;;;l、;}:/;r't;;;)>| 彡 ̄""´ |;;;;;;〈 |.| } 茎 く ん な
ノノイ;;;;;;之"゙"''"´ |、 _,,、::::: |;;;;;ノノリ;∠ 野 は ぞ !
イ彡l|;;;;ヽ ゙:::::::: j _,、 -)゙ヽ::... |;;/- /;;/ミヽ 郎 に
l|//l|;;;l~、'、 :::: ゙''::ヽ,/ |(,,ノ;;;ヽ〉ミ/ //
リノイ;ヽヽ'、 `゙'、l__,,、、、,,_,, / l||;;;;;;;;|∠_ ・・
"´ノ|;;;;`'-;', (t -'''ヘヘ)}} リ リ;;;;;;;/从ミ | / ̄\/\/ ̄\
|/l|;;;;;;;;ヽ レ- '''""´ /:::" {;;;从;;;;;;;;)"
l|l||;;l|;;;;;;;;'、 ,,、;;''";; ̄:: ,/:::::" ヽl|リ;;;r''、リ
ヽl |;;;;;;;;;\ " `゙ /::::::" レ',、-ー゙''""゙''ー、 ,,、- ''
//|;;;;;;;', \ 〈 / ::::::: ,、 '´ ゙'> ''"
(从l|;;', ヽ, ヽ:::ノ/ :::::: ,、 '´ ,、 '´
`゙゙゙''', ゙'' ー '''" ::::/ /
エロビスさんが切れた模様です
207 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/27(火) 05:02:03 ID:yZSSnjCn
l ''ー、 l| .:::}.リ:::::::::| ヽミ
プ ,,'' |/ ゙̄ヽ..::::} { ::::| |::::::::::| エロビスのちんぽ、 /ミ
ル , " , '/`゙' 、 l:::::{. {:::::::|.|:::::::::::| 勃起時でその程度? ヽミ
, ' , ':〈 / リ:::::l. :::::从l、:::从:j |ミミ
プ , ' , ' `''''" /::::::::l.|::::::::'、| ノ マジ笑えるwwww |
ル ,' , 'ヽ,ヽ、,,::'" , ' / リ く |
ッ ,'' / ~'ー彡 / ノ ,,,,ッッッyy,,从ll|,,| つーか、 |
/ 彡 /ッッッツツ从lllッー―--、\ 俺のこの中指より |:l|::::
,,,,,, ,,'"/ ,' /ろ从l|l;彡ー'''"rz:、゙゙゙"'ー、| 小せえじゃん(笑) /:::::::
" ゙ヽ, ' ,, '" / ア゙'、ミ:::""" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| /:::::::::
, 'ヽヾ、ミ 彡:: / 彡 ::::~~'''ー―彡""´::::::::'ー 、_ j::::::::il:
, ' ヽ\、,,,ソ::. /ll从 ,彡::::::::::::::::::::彡 }}ヽーァ ,rー'::::::::l|||
::/" :::::::: ,イl||从 ,彡彡",、-:::::::::::イ } レー―― '" ̄::::::::::::从
":: :::::: /゙tt,ヽ,,,,,, 彡彡/ ノ:::::::::;r リ } ,,ノ::::::::::::::::::::::::::从
::. ::::::::::::/ ,,、-'" ヾ`' 、 从从' /:::::::::イ:::::::::::イ )''⌒ ):::::::::::从从从
.:::::::::::,、 '" \,', ,,'::::::/ ヽ、 ー、ヽ ,ノ,,,,,, ノ::人:::::ヽ
:::::,、-'" :::リ :イ} 彡:/ッッrr从''ーミー''"ー '´ ゙'ーレ
''" ::: / l} 从从-ー―'''''ヽ ===、))) リ
おっ、英行さんがエルビスさんを中指たてて挑発してますよ!
どうする、エルビスさん 正義の怒りを英行にぶつけるのか?
208 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/27(火) 05:02:53 ID:yZSSnjCn
_,.yトーゞrッヽv,、_,.
,rk´ミ、''ナ;;爻'、ー;;〃彡;,.
vf戈ハトシ〈'"リ゙、ヾ、;;jリ、〃、
Yメ从k;;、;;ij;;;ii;ヾ;ッ;仆、ヾくソ
}ソリ"i!;;;;;l;;i;;、;;:;:;;:;';;;};;iリドシゞ ……勝負だ英行。,
ツ;;;;;;;;;;ト、;;_リ;;;i!;;ト;=;、t;;;l;;ヒ'
ヲ;i!、:::r',;、=;'、;"リ,、=;''"リ;ij
};lヾ;;j  ̄´.〃l゙ ̄´ ,';ィ′
r‐、 7;;;;|', =、j,. /仆、
} ,! _ ゞ;|:ヽ ,:ニ> /:: レ ソ\,.、- ' "´;; ̄::
j _,!ノ )" ̄>.ニト、:\` "'' ///,r/:::::::_,..、''' ..,,
フ ,、'-‐'l" ̄リ;/::;;/::} `:::`:ー'/'∠;:/`゙ヽ・.‐´
‐' 冫‐i '"フ:;/::;;;{! `r‐'"フ´〃シ:;;/ " ヽ、. リ'" ,、_,
. '",.ィ/ ̄_:;/::;;イ `'ー ''/ヲリ/;/r'/,r─‐-、 (∴,、-''"
'二⊃ヾ/.:;;/ `ー-‐/Ξ/ッ/rレヘ{ | ̄|
ついにエルビスさん、英行さんにケンカを売りました!
209 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/27(火) 05:03:42 ID:yZSSnjCn
逃げんなよオラァ! ザケンナ、ショボチン!
_, ,_ ,_
(; ゚д゚ ) (` )
( ⊃┳O ⊂( ヽ
( ⌒) )┃_ ┃(⌒ ) ) _
/ ̄ ̄ ̄`J ̄ ̄ /\ / ̄ ̄し' ̄ ̄ ̄/\
( ((  ̄◎ ̄○ ̄◎ ̄○  ̄  ̄◎ ̄○ ̄◎ ̄○ ̄ ) ))
あんだと?…あうっ! やるかゴルァ!…うぐっ!
_, ,_ コツン ,_
(; `д´)\/(` )
( ⊃┳O ⊂( ヽ
( ⌒) )┃_ ┃(⌒ ) ) _
(( / ̄ ̄ ̄`J ̄ ̄ / ̄ ̄し' ̄ ̄ ̄/\ ))
 ̄◎ ̄○ ̄◎ ̄○◎ ̄○ ̄◎ ̄○ ̄
/☆\
たまら──ん! _, ,_ _, ,_ _, ,_ _, ,_ たまらん――!
((Д´≡`Д)) ((д`≡´д))
(( ⊃┳O⊂( ヽ))
(( ⌒) ))┃_ ┃((⌒ ) )) _
((/ ̄ ̄ ̄`J)) ̄ / ̄ ̄((し' ̄ ̄ ̄/\))
 ̄◎ ̄○ ̄◎ ̄○◎ ̄○ ̄◎ ̄○ ̄
…二人は仲直りをしたようです。よかったですね。
これからも末永く幸せにね、英行さんとエロビスさん!
【 お し ま い 】
投下乙
ホントに行き場がなさ過ぎて驚いたw
なんぞこれwww