参加者リスト
6/6【うたわれるもの@アニメ】
○ハクオロ/○エルルゥ/○アルルゥ/○ベナウィ/○カルラ/○トウカ
6/6【BACCANO!@小説】
○フィーロ・プロシェンツォ/○エルマー・C・アルバトロス/○ラッド・ルッソ/○クリストファー・シャルドレード/○グラハム・スペクター/○クレア・スタンフィールド
6/6【ひぐらしのなく頃に@アニメ】
○前原圭一/○竜宮レナ/○園崎魅音/○北条沙都子/○古手梨花/○園崎詩音
5/5【スクライド@アニメ】
○カズマ/○劉鳳/○ストレイト・クーガー/○橘あすか/○無常矜侍
5/5【ローゼンメイデン@漫画】
○桜田ジュン/○真紅/○翠星石/○蒼星石/○水銀燈
5/5【ワンピース@漫画】
○モンキー・D・ルフィ/○ロロノア・ゾロ/○ウソップ/○トニートニー・チョッパー/○サー・クロコダイル
4/4【ジョジョの奇妙な冒険@漫画】
○東方仗助/○広瀬康一/○吉良吉影/○ジョルノ・ジョバァーナ
4/4【とある魔術の禁書目録@小説】
○上条当麻/○御坂美琴/○一方通行/○土御門元春
4/4【ポケットモンスターSPECIAL@漫画】
○レッド/○イエロー・デ・トキワグローブ/○サカキ/○ミュウツー
3/3【終わりのクロニクル@小説】
○佐山・御言/○新庄・運切/○ブレンヒルト・シルト
3/3【トライガン・マキシマム@漫画】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
3/3【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○アーチャー(ギルガメッシュ)/○ライダー(イスカンダル)
3/3【BLACK LAGOON@漫画】
○レヴィ/○バラライカ/○ロベルタ
2/2【コードギアス ナイトメアオブナナリー@漫画】
○ナナリー・ランペルージ/○ゼロ
2/2【ドラえもん@アニメ】
○ドラえもん/○野比のび太
2/2【WORKING!!@漫画】
○小鳥遊宗太/○伊波まひる
1/1【ARMS@漫画】
○高槻巌
1/1【あずまんが大王@漫画】
○春日歩
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【バトルロワイアルのルール】
1.【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
また、優勝の特典として死者の蘇生などのどんな願いも叶えられるという話だが……?
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
2.【首輪】
参加者には設定されたルールを破った場合に備え、爆発する仕掛けの首輪の装着を強要する。
首輪は以下のルールを破った場合に爆発し、その者の命を奪う。
A-バトルロワイアル会場の外へと出ようとした場合。
B-後述される禁止エリアの中へと侵入した場合。
C-24時間連続で死者がでなかった場合、参加者全員の首輪が一度に爆破される。
3.【放送】
バトルロワイアル中、ロワの進行状況(誰が死んだか)と禁止エリアを報告する放送が定時毎に会場内へと流される。
放送が流れるのは、「0時」「6時」「12時」「18時」の6時間毎、1日4回。
4.【禁止エリア】
放送から1時間後、3時間後、5時間にマス目で区切られた会場のエリアが1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。 これは直前の放送でそれぞれ発表される。
5.【支給品】
参加者にはバトルロワイアルを生き抜くための道具や武器が支給される。
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。サーヴァントの宝具も同様。
ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。
「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【舞台】に挙げられているのと同じ物。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。ちなみにアイウエオ順で掲載。 (尚、テンプレやwiki編集ではわかりやすさ重視で作品順名簿で表記しています)
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「照明器具」 → 暗闇を照らすことができる。ランタン、懐中電灯など、なぜか統一されていない。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
6.【最後に】
以上以外のルールは存在せず、参加者間に禁じ手は存在しない。
また、生き残りゲームではあるがその途中で手を結んだり、徒党を組むこともルール違反には当たらない。
7.【書いてみたいという方へ】
当企画はリレーSS企画です。なのでルールを無視した作品の投下は受け付けていません。ご注意ください。
書き手として参加する場合のルールはこちらですので目を通してみてください。
分からないことがあれば気軽に本スレで質問をどうぞ
ルール説明のリンク>
http://www26.atwiki.jp/marurowa/pages/56.html
乙です
スレ立て乙です!
すいません。作品は書きあがりましたが今推敲中です。
もしかしたら1時くらいになってしまうかもしれませんが……今夜中には絶対出来ますので少しお待ちください。
一時間くらい全然おkですよー
ゆっくり推敲していってね!
>>1乙
期限も見直されたし、期限の問題で予約し辛かった人も戻ってきてくれると嬉しいな。
>>7 楽しみに待ってます。
お待たせしました。
今からゼロ、水銀燈、サカキ、土御門を投下します。
来た!支援!
あ、ヴァッシュもです。忘れたw ではー。
支援
エリアB-2に位置する学校。
其処では何十もの教室が並べられている。
だが、学業に励む生徒はただの一人も居ない。
学校の機能を果たしているとは到底思えないがその必要はなかった。
何故ならこの場はバトルロワイアルのために用意された会場の一つ。
参加者同士が互いを殺し合い、その傷跡が生々しく残っていても可笑しくはない。
そう、だからなんら可笑しくはない。
とある教室で男子高校生が少女に銃で撃たれようとも――。
また別の教室で男性の死体が転がっていようともなんら不思議ではないだろう。
引き金は一体何か。
二回目の定時放送とやらが関係したのかもしれない。
死者13人が呼ばれ――所詮、それは一つの推定でしかないだろう。。
既に生き残った者は去り、語る人間は一人も居ない。
ならば紐を解いていこうではないか。
たった一つの教室で一体何があったのか。
死体が誰のものなのか。
そして――。
砕け散った、少女のものらしき小さな腕は一体何を示すのかを。
臆すことなく、ただ全てを明らかにするために。
◇ ◇ ◇
(なんか面倒なことになってきたわねぇ……)
丁度体育座りのような形で腰を下ろし、いかにもつまらなそうな顔を浮かべている少女が一人。
正しくいえば彼女はヒトではなく人形のカテゴリーに分類される。
動く少女人形、ローゼンメイデンの第一ドール――それが彼女を示す肩書であり、名前を水銀燈と言った。
そんな水銀燈の視線の大部分は外の景色に注がれているが時折別の方を見ていた。
窓側に位置する水銀燈から離れ、丁度教壇の前に並べられた机と椅子の辺り。
そこには三者三様の表情を浮かべる三人の男性が一堂に会していた。
そして水銀燈が不機嫌さに眉を顰める原因でもある。
(どうでもいいわぁ。さっさと終わってくれないかしらねぇ……)
真っ黒なスーツの男といかにも軽そうなグラサン男。
特にグラサンの方は気に食わない。機会があれば羽根で串刺しにしてやりたいぐらいだ。
だが、彼らは今同行者と――これもまた珍妙な格好だが――話し込んでいる。
この場で知り得た情報の交換。生き残るための交渉といったところか。
水銀燈に此処で死ぬ気はこれっぽちもない。利用できそうなものを拒むつもりもない。
故に今、直ぐ傍で行われている会話の内容は聞き落とさないように心掛けている。
しかし、その会話に加わるつもりは水銀燈にはなかった。
お父様以外の人間などどうでもいい。
それに交渉はあいつに任せておけば問題はないだろう。
だから水銀燈はただ時間が過ぎてゆくことを願う。
(……どうしているのかしらね、あの子達は)
変わらない景色を眺めて、ただ、水銀燈は姉妹の事達へ屈折した想いを寄せていた。
◇ ◇ ◇
「なるほど……だいたいわかった」
三角形の形に席を並べた三人の内、窓側の席に座った男が口を開く。
筋肉質な肉体を漆黒のスーツで覆い、何よりも奇妙な仮面に強烈な印象がある。
彼は水銀燈の同行者であり、名簿ではゼロという名で記されている。
仮面のお陰で表情は隠れ、どこか無機質な印象を漂わせるゼロは今までとある男の話に耳を傾けていた。
「なに、先程のお礼と思ってくれてかまわんよ。
別世界の住人が入り乱れている……そんな突飛な発想に気づかせてくれたお礼としてな」
次に口を開くのは、中央の席に座った黒スーツの男、サカキだ。
浮かべる表情は堂々としており、年相応の威厳さが見て取れる。
同時に言葉とは裏腹にゼロに対しそこまで感謝しているようには見られない。
寧ろ逆に皮肉めいた意味合いすらが感じられる程だ。
しかし、ゼロは座して沈黙を通す。
間を待つ暇もなく次に口を開いた者が現れたのだから。
「おお、なんだサカキさんは色んな人達に会ってたんですかい。俺っちとはエライ違いですなー……にゃはは」
廊下側の席に座った、三人目の男の口ぶりにはまるで場の重苦しい雰囲気を吹き飛ばすような軽々しさがあった。
奇抜なサングラスと涼しげなアロハシャツの青年、土御門元春もこの交渉に顔を出している。
そしてたった今、サカキの口から語られた情報を軽口を叩きながら吟味する。
サカキが今まで出会った人間、主に危険性があると思われる人物の詳細についてだ。
(しかし、聞けば聞くほどぶっ飛んだヤツラばっかだにゃー……一方通行が早々に脱落したのも頷けるってモンだぜよ)
特に注意が必要な人物は二人。
水銀のような流動体を操り、相手の身体から腕を生やす事の出来る少女、園崎魅音。
それはサカキと一時は行動を共にし、殺し合いに乗ったという女性、ロベルタ。
サカキが嘘の情報を提示している可能性もあるが今は置いておく。キリがない推測をしている時間もない。
腕を生やす能力や墓標のような銃器を携帯しているようだがイマイチ想像出来ない。
ロベルタの方はなんでも着ている服がメイド服らしく、状況が状況なら是非とも一度お目に掛かりたいものだと思う。
だけども、此処は殺し合いの舞台に変わりはない。
女性の身の丈程の銃器を片手で振りまわすようなメイドさんが大人しく話を聞いてくれるとは限らない。
そしてそれは園崎魅音――本当は園崎詩音の事だがサカキや土御門に知る由もない――の場合も同様だ。
真正面からの戦いではあまりにも不利だと断定し、土御門は二人の名を深く意識に留めた。
「それは初耳だな土御門。詳しく話を訊こうではないか」
「んー。そいつはですね――」
別に隠す事もないだろう。
土御門がサカキの前に出会った人間は一人しか居ない。
異常なまでに素早い抜き撃ちをして見せた、名前も知らない鼻の長い男。
生きているのか死んでいるのかすらもわからないが危険であることに変わりはない。
土御門はその男の事をサカキに話し始める。
(やはり乗っている者は多いか)
一方、土御門の話に耳を傾けながらゼロは一人思案する。
これでサカキと土御門の話から三人もの危険人物が居ることになる。
未だ話してはいないがレヴィとカズマをカウントすれば4人。
6時間の間でこの4人が15人を殺したと考えるのは些かペースが速すぎるのではないだろうか。
共倒れをした者も含め二倍以上の人間が積極的に殺し合いに乗ったと考える方が無難だろう。
(まあ、乗っていても可笑しくはない。この異質な状況で冷静な判断を出来ない人間も必ず居るだろうからな)
驚きも失望もない。予想出来た事実だ。
特に感情を抱くことなくゼロもまた彼らを記憶する。
園崎魅音、ロべルタ、そして名無しの男――事前に知っておくに越した事はない。
再び意識を果てしない現実へと引き戻す。
知るべき情報、続けるべき言葉の応酬は未だに終わってはいないのだから。
そんなゼロの意図を察したかのように今度はサカキが口を開いた。
「ふむ、鼻の長い男か……ご苦労だったな土御門。これで少なくとも三人というわけだが……どうだね、ゼロ。
君も何か知っていれば是非とも情報を提供してもらいたいものだが」
提示された対価はこれといってない。
必ずしも答える必要はないだろう。
一方的な情報の供与は自身を安い存在だと思われる可能性を持っている。
だが、情報にも当然重いものと軽いものがある。
切るべき瞬間を見計らうべきもの、そして特に必要性が見出せないものの二つ。
後者の場合、特に躊躇する必要性もないだろう。
それに見定めなければならない。
金色の腕を振るう男、そしてその男と殴り合いを演じて見せた女の存在を知って彼らが何を思うか。
果たして本当に価値があるのか。
精々判断の材料にさせてもらおう。
この殺し合いに於いて、利用するべき価値があるのかどうかを――
「いいだろう。私の出会った人間は――」
三人の意図が絡み合いながらも依然として交渉は続行する。
◇ ◇ ◇
支援
(なんとまあ……つくづく狂った世界だな。いや、狂った参加者共と言った方が正しいか)
ゼロの話が続く中、サカキは奇しくも土御門と似た思考に陥っていた。
新たに知り得た、殺し合いに乗っていると思われる二人の参加者。
女の方はまだいい。女といえども戦闘技術を学ぶ者は当然居るだろうし、十分に現実味のある話だ。
しかし、男の方は常識では計り知れない。
ファーストブリットなるキーワードを皮切りに腕を膨張させ、強烈な打撃を放ったらしい。
所詮、ゼロの話を聞き知っただけでありイメージは出来にくい。
だが、ゼロがその情報に悪意を含ませていなければ恐らくその男は実在するのだろう。
何せ舞台となる世界が世界だ。ゼロや土御門には言っていないが広瀬康一の存在もある。
一瞬のうちに人形を出現させ、人一人を地に這い蹲らせるなど超常と言わず何と言えば良いのか。
そして異なった能力を持った参加者がまだまだ存在する可能性は捨てきれない。
勿論、土御門の事もただの人間だと断定するのは時期尚早だといえる。
接触を掛けた際に逃げようと思えば逃げられたであろうが土御門は今此処に居る。
本当に何も手段を持っておらず、話に乗るしかなかった可能性もあるがそれは違うのではないかとサカキは思っていた。
深い根拠はない。観察を続けた結果によるものだ。
「武道派のねーちゃんとにいさんが一人ずつと……よし、覚えた。
土御門さんの記憶力をそんじょそこらの少年少女と一緒にしてもらっては困るんだぜい」
軽快な声。更には右の親指を立てて笑みすらも見える。
如何にも軽々しい言葉を吐く土御門だがサカキの疑問は消えない。
どうにも本当にこれが素の状態なのだろうかと勘ぐってしまう。
今の段階では演技をしているとまでは思えない。
時折見せる、異常とも取れる眼光は一体どういう意味を示すのか。
何よりも荒くれ者共で構成されるロケット団のリーダーとしての勘が告げていた。
こいつは只のガキではない――注意が必要だと。
また、警戒すべき相手は土御門一人ではない。
未だ会話に加わろうとしない不思議な少女。
そして何よりも目の前の人物だ。
「ふむ、それは頼もしい事だな」
声の調子を変えず、淡々と土御門の言葉に答えるのはゼロだ。
サカキがこの場で最も注意を払い、同時に興味深い存在だと目をつけている男。
仮面のせいで確かな性別は定かではないが特に拘る必要もない。
重要なのはこの男が自分にとってプラスとなるのかそうではないのか。
切り札となるかはたまた破滅を呼び寄せるかを見極める。
言ってしまえば簡単のことだが実際にやるとなれば容易ではない。
時間も少なく、何よりこのゼロという男は感情で動く直情的なタイプではなさそうなのだから。
(情報の提供になんら抵抗はない。
やはり、これくらいの情報を躊躇するほどに余裕がないというわけではないか)
ゼロから齎された情報の真偽は定かではない。
それはこちらから伝えた情報についても同じことでありその事を深く考えるつもりはない。
重要なのは一つ。ゼロが危険人物の情報を教えることを了承した点についてだ。
確かに仲間以外の者へ多くの情報を知らしめる事にメリットはないだろう。
だが、ここで必要以上に情報を秘匿してもらっては認識を改めなければならない。
この殺し合いの異質さに呑まれ、手を組む価値もない参加者の一人だと。
臆病風に吹かれた足手纏いは要らない。
寧ろこの自分を利用し尽くす。
そのくらいの意気込みが感じられる人材こそ手を組むに相応しい。
どうやらゼロは後者のタイプのようだ。
二言三言言葉を交わすゼロに後悔など微塵も感じられない。
こちらに引き込む事が出来れば頼りになるだろう。
しかし、同時に無視できない危険性も孕んでいる。
そしてそれは土御門も同様に考えていた。
(さて、これで四人知ったコトになったが重要な事が残っているぜよ。
このゼロって男は一体なんなんだ。何も能力がない……というわけにはいかないんだろうにゃーきっと)
常に冷静さを貫くゼロからは不快感はない。
が、言いようのない不気味さは拭えなかった。
仮面で表情が隠れているせいだけとは到底思えない。
多角スパイとしての活動で様々な人間と接触した土御門には判る。
こいつは何処にでも広がる街並みを歩くだけでお目にかかれる人間じゃない。
もっと別な、いやそもそも本当に人間なのか――そう思えてしまう程に掴みどころがなかった。
今後ゼロが発する言葉の一言一句、そして行動へ細心の注意を。
しかし、ゼロだけに目を光らせれば良いというわけにもいかない。
(取り敢えずあのゴスロリっ娘は置いといてー……サカキのおっさんも食えない方だしにゃー。
まったく、地獄みたいな場所だぜよここは)
きっと自分と同じようにゼロの情報、彼自身について考えているのだろう。
両肘をつき、思案しているサカキの事も忘れてはならない。
サカキもまたゼロと同じ類の人間だという印象が強い。
少なくとも人の指示を受けるよりかは指示を出す立場に立つような人種だ。
集団を引き連ねる力、言うなれば一種のカリスマが彼らからは感じられる。
一介の魔術師、それも能力者となるために大きな足枷をつけられた自分では知らずの内に身が縮むようだ。
だが、臆する事はなく、必要などある筈がない。
学園都市に戻り、任務を続行する。
揺るがない目的のためなら自分は鬼にでも悪魔にでもなってやろう。
たとえこの場の人間を全て始末する必要が出たとしても何も問題はない。
『背中刺す刃(Fallere825)』の魔法名は伊達ではないのだから。
やがて土御門の意識は尚も今現在続いている会話の場へ引き戻される。
支援
「さて……では、他者についての話はこのぐらいで良いだろうか」
話を切り出したのはゼロだ。
具体的な事については言及していないが言わんとしている事はわかる。
サカキにも土御門にも、一応話には耳を通している水銀燈にも。
故に自然と一同の表情が引き締まる。
映し出された感情には緊張が色濃く出ている。
他者についての情報は言ってしまえば三人に直接的なデメリットはない。
寧ろ自分と敵対した参加者の情報が広まることに顔を顰める事もないだろうが今からは違う。
これからの情報を無作為に知らせるのは軽率だろう。
自分達がこの会場で実際に得た情報。
それらを餌にし、いかに相手から引き出すか。
(しかし、生憎なぁ……特にこれといった情報がないのが土御門さんには困りもんだにゃー)
だが、土御門の気は晴れない。
開始早々荷物を奪われた事は痛手だった。
時間はあったがこれといった成果は特に見当たらない。
一方通行が生きていたりでもしたら彼の能力に関しての情報は価値があったかもしれない。
しかし、彼は予想外に早々に死んでいる。
一人か集団なのかはわからないが、一方通行を倒した参加者がこの場に居るのだろう。
『幻想殺し(イマジンブレーカー)』を持つ以外の人間が――。
やはり自分達の常識で測る事は出来ない。
だから彼もまた既に死んでしまった。
幻想殺しの持ち主、『不幸だ』という言葉をよく口癖にしていた友人。
裏切ると決めてしまった男の顔がまざまざと浮かぶが、やがて消えていく。
(まあ……ちょいと様子見をさせてもらうんだぜい。土御門さんの沈黙タイムが人知れずスタートですよ)
意識を傾けるべき事象に、ゼロとサカキが織りなすであろう交渉に沈黙を以って土御門は臨む。
そしてサカキがゼロの言葉に答える。
「良いだろう。だが、その前に一つ訊いてもいいか。ゼロ、土御門、そしてそちらのお嬢さんにもだ」
差異はあれど三人が似た反応を示す。
中でも水銀燈は自分が含まれるとは思ってもみなかったのだろう。
一瞬、口を半開きにしてさも驚いたような表情を見せるが直ぐに気を取り直す。
「な、なによ」
心なしか少し焦っているのは気のせいだろうか。
だが、つっこむ者は誰一人居なく、ゼロと土御門は黙って頷いて見せただけだ。
水銀燈の方ではなく、サカキの方へ。
どうにも無視された感が否めず、水銀燈は再び外の景色に目をやる。
いや、ゼロだけが小さな苦笑を漏らしていたがやはり本心は別の方へ向いていた。
サカキの質問。それがどういう類のものかという興味が湧きあがるが、答えは直ぐに知ることが出来た。
一通りの反応を確認し、サカキは続けて口を開く。
「君達には覚悟があるか。 他人を殺してでも生きるための覚悟が」
とても簡潔な、かつ根本的な問いをサカキはいとも容易く言葉にする。
意志を込めて、まるでそれが当然であるかのように。
「勿論、私にはある。そうでなければ生き残れはしない……そう確信しているためだ。
このバカげた殺し合いには相応の認識と覚悟が必要だからな。だから、私は君達にもう一度問おう――」
言葉から滲み出るものは強い意志。
状況によれば人殺しも辞さない。
殺すという言葉だけで嫌悪感を抱く人間も居るだろう。
だが、サカキは反感の芽すらも刈り取るような勢いで締めくくる。
「――覚悟は出来ているか」
教室にサカキの言葉が今一度響き渡った。
◇ ◇ ◇
支援
時間にして数秒。
依然として誰からも返答はないがサカキには確信があった。
(まあ……わざわざ聞くまでもないだろうがな)
自信が湧く。
観察に要した時間は少ないが言える事はある。
この場では答えに躊躇する者は居ない。
程なくしてサカキの予想は現実のものとなった。
「はぁ〜? 馬鹿じゃないのぉあなた。そんなコト当然じゃない」
三人の中で誰よりも先に口を開いたのは水銀燈だった。
腕をヒラヒラと振る動作には呆れのようなものが見て取れる。
同時に真紅の両眼にはなにを判りきったような事を、と言わんばかりの意思が潜んでいる。
自分達に近寄ろうとしない水銀燈からは怯えのようなものは感じられない。
言うなれば怒りのようなものがそこにあった。
「そうよ。私はここで壊れるわけにはいかない。絶対にお父様の元へ……」
「ほぅ、君にとって余程大事な存在らしいな」
「っ! 関係ないわ……!」
必要以上の事を言い過ぎたと思ったのだろう。
直ぐに言葉を濁した水銀燈にサカキが追い打ちをかけるが半ば強引に話を切り上げる。
サカキの方もある程度は予想していたのだろう。
それ以上特に言及はせずに、これといって表情も変えることはない。
気を取り直すかのように水銀燈への視線を背け、新たな答えを待つ。
水銀燈のではなく、未だに沈黙を通している二人のそれを。
やがて口を開く者が一人。
「にゃー物騒な話ですたい。でも、まあ、言える事はありますぜい。
死ぬつもりはない――取り敢えずそこらへんを譲るつもりはないですよ」
サングラスの奥に宿るものは揺るぎようのない意思。
たとえ軽い口調で彩られようとも隠しきることは出来ない。
隠そうという意識も薄いのかもしれない。
敢えて己の主張をアピール――ヤバくなれば力の限り抵抗してやる、と。
そう言っているようだった。
支援
そして二人の反応はサカキの予想の範疇だった。
自分の直感を褒めるわけではなく、サカキは予想通りのその結果自体に喜びのようなものを感じていた。
「良い答えだ、水銀燈、土御門。それでいい。私と交渉を行うに相応しい」
きっと二人にも大きな目的があるに違いない。
どんな目的かは詳しく聞く必要もない。
譲れない目的意識を持っている――それが判れば十分。
人間とは目的を持つ事で己の力を二回り以上も強く出来るものだ。
その生き証拠が自分であり、レッドであり、イエローでもあり、自分が求める人材にも最適だろう。
信ずるものもなくただ状況に流されてゆく人間はこの場では結構だ。
水銀燈と土御門からは満足のいく答えが得られはしたがこの場にはもう一人残っている。
依然としてなんら動きを見せず、ただ、黙って彼らの話を聞いていた人物。
サカキは最後の一人が口を開く事を待っている。
そんな時だ。
『――ごきげんよう諸君』
何処からともなくギラーミンの声が四人の耳に届く。
咄嗟に誰が言い出したわけでもなく各々がそれぞれの準備を開始。
名簿を広げたり、地図を広げたり、意識を集中させたりし――四人は第二回放送の続きに耳を傾ける。
それが引き金となる事を現時点で予期した者は一人も居なかった。
◇ ◇ ◇
『六時間経ってもまだ生きている者がいたら、そのときまたお会いするとしよう――』
放送が終わる。
新たに追加された禁止エリアは三つ、死者の数は十三。
一回目の数よりも少ないがその事を喜ぶ人間は生憎この場に一人も居ない。
求められるは知らされた事実を単なる情報として受け止める作業。
速度に程度差はあれども特に止まることなく進む四つのペン先が彼らの様子を示している。
その内一つが何度目かの斜線を引き終わり、ふとその動きを止めた。
(園崎魅音は脱落。だが、やはりあの女は……まあいい。あれで終わりでは私の方にも張り合いがない)
放送ではロベルタの名前は呼ばれなかった。
未だ無傷かそれとも大怪我を負っているのか。既に他者の命は奪ったのか。
興味に基づく観測は多いが答えが降ってくることはない。
故にこれ以上の詮索は意識から遠のける。
留めるべき情報を整理し、サカキはおもむろに周囲を見回す。
二人以外の知り合いの名前が呼ばれなかったサカキだが残りの三人がそうだとは限らない。
呼ばれていたとしたら反応を示し、なんらかの情報を引き出す鍵になるかもしれない。
あまり期待はしていない、些細な希望は直ぐに実を結ぶことになった。
「どうした、水銀燈。何か不都合なコトでもあったのかね」
「いちいちうるさいわねぇ、どうだっていいじゃない……!」
悲しんでいる様子は見られない。
だが、放送を聞いた事で明らかに水銀燈の表情には変化が生じていた。
サカキが勘づくには充分過ぎた動揺がそこにある。
椅子から立ち上がり、水銀燈を煽るかのようにサカキは彼女の方へ歩を進めていく。
実際、水銀燈は隠しようのない焦りを感じていたのだから。
支援
(翠星石、蒼星石のコトはどうでもいいわ。だけど、あの子達のローザミスティカは一体どうなるのよ……?)
ローゼンが生涯追い求めた究極の少女、“アリス”。
再びローゼンと出会うためにはアリスになる事を避けては通れない。
アリスとなるにはローゼンメイデンが一つずつ持つローザミスティカを全て集めなければならない。
翠星石と蒼星石が脱落した今、恐らくローザミスティカは彼女達の躯体から放出されたに違いない。
しかし、彼女達が一体何処でジャンクと姿を変えたのが不明だ。
別の参加者に、もしくは放送で呼ばれなかった憎たらしい妹に――思わず下唇を噛んでしまう。
(……絶対にさせないわ。おばかな真紅には絶対に渡さない……アリスに相応しいのはこの水銀燈よ)
手段を選ぶ必要もない。
アリスになるには一つでもローザミスティカを取りこぼす事は出来ない。
この場で生き残る事と同じくらいに優先すべき目的を確認。
サカキからの問いに真面目に答えてやる義理もない。
ぶっきらぼうな返事を返し、水銀燈はそそくさと名簿などを自分のデイバックに収め始めて――。
刹那。“何か”が宙を舞った。
それはどこにでもあるような――机。
そう、それはどこまでも平凡な机だった。
◇ ◇ ◇
死者十三人。
唯一知っている御坂美琴の名前はなし。
流石はレベル5というべきだろうか。
声にはしない賞賛を込め、土御門も冷静に事実を理解する。
刻一刻と減っていく参加者の数。
最終的に犠牲にする人間の数が減っていくのは喜ばしいことなのだろうか。
答えは出ない。たとえ、出したとしても自分のやる事は変わらない。
だから、意味なんてない。
(さて、まだまだ交渉は終わってないんだぜい)
やがて土御門も己の荷物に手を掛ける。
死者の情報も、禁止エリアの位置も既にメモは済んでいる。
取り敢えずこの場でやるべき事は消化済み。
ならば再びこの交渉に臨む――その時、宙に浮かぶものがあった。
(――っ)
机だ。なんの突拍子もなく上方へ昇るように舞っている。
いや、直前に強烈な衝撃音が響いた。
一体どこからと、考えるよりも先に目の前に黒い影が躍り出た。
そして続けて起こるは視界のブラックアウト。
その影に自分の顔を掴まれたと判ったのは秒に満たすか満たないかの境目。
しかし、あまりにも遅い。
土御門がそれを認識したのはフワリと身体が浮いた瞬間。
やがて飛んだ。弾丸のように、わけのわからない加速を以ってして。
まるで背中にワイヤーを引っ掛けられ、もの凄い力で引っ張られたような――。
そう思った瞬間には衝撃が頭から走っていた。
痛てぇ――淀んでいく意識の中、土御門の感覚はそれだけしか許されなかった。
◇ ◇ ◇
支援
「……どういうつもりだ」
まるで一迅の嵐が過ぎ去ったような教室でサカキが言葉を吐き捨てる。
その爪後は小さい。小規模ではあるが散乱した場所一点に視線を注いでいる。
サカキだけではなく水銀燈も表情を強張らせ、ただ、前を見据えている。
廊下側のドアに頭から突っ込み、血を垂らしながらピクリとも動かない土御門。
そんな土御門と窓側に立つサカキと水銀燈の間に位置する人影は一つ。
「ああ……一つ言い忘れていたな」
そいつは椅子に腰かけた体勢から右足を振り上げただけで机をいとも容易く蹴り飛ばした。
そいつは次に机に気を取られた土御門の顔面を、ボールを掴むような気軽さで右手で握りしめた。
そいつは次の次に右手を軽く振りかぶり、土御門の体重を感じさせないような素振りで投げ、ドアに血飛沫を滴らせた。
そしてそいつは次に振り返ることなく、背中を向けたまま口を開いた。
「私は“魔王”ゼロ――もう一度初めまして、と言っておこう」
響くものは限りなく底冷えのする声。
やがてゼロの身体はサカキと水銀燈の視界からロストする。
否、消えたわけではなく、人並み外れた筋肉を総動員した結果生まれた圧倒的な速度を以って――駆けた。
「そしてさようならだ、只人よ」
咄嗟に両腕に黒鍵を握り、交差させる形で構えたサカキにゼロの拳が飛び込む。
◇ ◇ ◇
支援
教室の床に転がるものがある。
それは派手に倒れた机、未だ動こうとはしない土御門の身体。
そしてそれら以外に散らばるものがあった。
バラバラに粉砕された刀身。
サカキに支給された黒鍵二本分の成れの果てであった。
「……カッ、ハァ…………」
直ぐには思うように声が出せない。
サカキが先ず思った事はそれだ。
次に自分の身に起こった事を思い返す。
判りきった事だ。全身をのたうち回る痛みが全てを教えてくれる。
黒鍵の刀身を拳一つで殴り砕き、そのまま左頬へ突き刺さった。
耐え切る事は叶わず、衝撃の方向へ仰向けに倒れ込んだ。
映る景色はゆらゆらと揺れる教室の天井しかない。
そしてサカキは頭を上げながら絞り出すように声を上げる。
「理由ぐらいは、教えてもらいたいものだな……」
見据える方向はたった今自分を殴り飛ばしたゼロへ。
ゼロの横には水銀燈の姿もあるがどうやら彼女も困惑しているようだ。
何も言わず傍観者として振舞ってはいるが、心なしか腰が退いているのは気のせいだろうか。
だが、現在サカキの注意は水銀燈の方ではなくゼロの方へ向いている。
今も歩を進め、確実にサカキの元へ近づきやがて立ち止まった。
「状況が変わった……そう思っていただければ結構だ」
多くは語らない。
具体的な内容は見えてこない。
しかし、サカキには覚えがあった。
以前にも顔を合わせたことがある。
今のゼロと似たような臭いを醸し出す人間はもう一人居た。
その人物は一度は自分と行動を共にした人間であり――
自分ではなく他人のために殺し合いに乗った経緯を持っていた。
「……呼ばれたのか。誰か、キサマにとって大事な存在が……」
既に声を出すのすらも苦しい。
幾度の血液を代償にした言葉に返事はなかった。
距離を考えるに聞こえていない筈はない。
ただ、ゼロは上からサカキを見下ろすだけだ。
表情が見えずとも判る。
こいつは、とてつもなく冷たい目で自分を眺めているだろう。
このまま殺されるしかない自分を……反論は出来なかった。
抵抗の意思は消えていない。
が、それを成し遂げるための術は持ち合わせてはいない。
支援
支援
殴られた衝撃でデイバックを落とし、支給品を取り出す事は出来ない。
出来ることといえばたった一つ。
ゼロの沈黙を自身の疑問への無言の肯定として受け取ることぐらい。
この状況での豹変を説明するにはそれしか考えられなかったのだから。
やがて襲ったフワリと浮きあがる感覚に身を任せ、首筋に圧迫が走る。
首輪よりも少し上の辺りに。
呼吸すらもままならない。
(……案外、あっけないものだな…………)
ゼロからの力が強まる度に昔の映像が浮かんでいく。
いろんな事があった。
故郷、トキワから始まり、一言では言い切れない過程を経て。
勿論その道筋には山や谷があったが常に変わらない事があった。
ポケモン――ロケット団ボスである以前に、ポケモントレーナーとして名を馳せていたサカキの誇り。
彼らはいつも自分の傍に居た。
特にトキワの森で手に入れたポケモンとはこの先離れることはないと思っていた。
だが、今は居ない。慣れ親しんだボールもあるべき場所には何もない。
懐かしさに塗れた記憶に揉まれながらただ、その事実には悲しさを覚える。
全身から力が抜けていく最中、最期にサカキの意識に残ったものは――
(もう一見ておきたかったが…………仕方、あるま……い…………)
昔、生き別れになった我が子の姿だった。
◇ ◇ ◇
「……死んだか」
誰に言うわけでもなくゼロは呟く。
既に生気を失ったサカキの首から腕を放し、程なくして彼の身体は床に倒れ伏す。
サカキの身体は年齢にしてはよく鍛えられたものだがゼロには届かない。
不老不死の魔女、C.Cと契約し悪魔の如き力を得た魔王ゼロには遠く及ばなかった。
スーツ越しに良く強調された肉体は文字通り鋼鉄そのものだ。
全長3メートルを超えるロボット、KMFの蹴りすらも負傷にすら入らない。
人間離れしたゼロの身体能力がたとえ制限されていようとも、その力が強大である事に変わりはない。
故に最初の一撃でサカキの脳を揺さぶり、片手で彼の首の骨を折る事もゼロには容易であった。
「さて、待たせたな――」
そしてゼロはゆっくりと振り返ろうとする。
この場にはもう一人登場人物が居るのだから。
今まで自分と行動を共にした少女。
いや、正しくは少女人形――言い変えるのは面倒だなとゼロはふと考える。
だが、それももう煩わしくはない。
何故ならこれっきりなのだから。
しかし、回った視線の先にゼロが見たものは――何もない。
「……ふむ、なるほどな」
見れば窓が開けられ、数十メートル先のグラウンド上空にせわしなく羽を動かしている水銀燈の姿があった。
利口な手口だろう。自分がサカキを始末している間にこの場からの逃走を図った。
元よりこの殺し合いを生き残るための同盟だ。
信頼関係などはないがこのまま何もせずに見過ごすのも甘過ぎるだろう。
故にゼロはサカキのデイバックに近づき、徐に物色を始める。
この瞬間にも水銀燈はどんどん小さくなっているが気にはしていない。
やがてゼロは目当てのものを探し出し、右腕に持つ。
握られたものは一振りの短剣、代行者を示す黒鍵の内の一本。
「また会おうとでも言っておこうか――水銀燈よ」
言葉を紡ぐや否や、ゼロは黒鍵を投擲する。
目標は背中を向け、何処かへ飛び去っている水銀燈の方へ。
別れの言葉と裏腹に黒鍵に込めた力に加減はない。
それがゼロなりの元同行者への別れ方。
たとえ仮初といえども単独で生き残ることを決めた、彼なりの手法。
その動作に未練という感情の色は一切見えはしなかった。
◇ ◇ ◇
支援
――冗談じゃない。
水銀燈がゼロとサカキのあまりにも早すぎた戦いを見て思った事はそれだ。
ゼロがいきなりあんな行動に出た理由はわからない。
やはり放送が原因なのか。
今まで一度も口に出さなかったため、彼には知り合いが居ないと思っていたのだが。
結局のところ明確な答えが出るわけでもなく、重要な事はもっと別のところにある。
自身の生存――それこそが水銀燈にとって何よりも優先すべき目的だ。
よって水銀燈は持ち前の羽を活かしての逃亡を図った。
(なんなのよぉ、あいつの力は……とんだバケモノじゃない……!)
今まで知る機会のなかったゼロの力。
その力はあまりにも強大であり、自分の意のままに動くのであればこれほど心強いものはないだろう。
だが、ゼロが自分の言う事全てに従ってくれるとは思えない。
寧ろそれどころか自分が切り捨てられるという恐れがある。
自分を弱い存在だとは思いたくないが流石に相手が悪すぎる。
半日ほど共に行動したといえども信用したわけでもない。
この場を乗り越えたとしても、ゼロが本気で自分を潰しにかかればひとたまりもない。
絶えず裏切りの危険に怯えなくてはならないのであれば、単独で行動した方がよっぽどましだ。
元々自分は一人でも良いのだから。
考えを自分を動かす力に変え、大空に飛び立つ。
もう十分に距離が稼げたと思った瞬間、不意に左腕に衝撃が走った。
(え……?)
ガクンと、体勢が崩れる。
何事かと思い咄嗟に首を回す。
その先には自分の左腕があった筈だ。
だが、そこには何もない。
ぶらりと自分の肩が垂れているだけだ。
そう、あるべき筈の左腕は、みるみる内に小さくなっている。
切断面の根元に黒鍵が突き刺さり、地に落下していた。
「い、いやあああああああああああああああああああああ!!」
怒りよりも悲しみが浮き出た絶叫が木霊する。
確かに怒りの感情はある。
だが、それよりも左腕の喪失という事実が水銀燈には酷過ぎた。
何故ならローゼンの手で造られたこの身体の一つ一つが水銀燈の誇りだと言える。
また、アリスとなる者にはどんな欠損も許されない。
故に今の水銀燈にはアリスになる資格は失われたと言っていい。
認めたくはない。だが、プラプラと揺れる左肩を見ればまざまざと現実を突きつけられる。
今も落下している水銀燈はこのままでは地面に落ち、文字通りバラバラになってしまうだろう。
水銀燈が何もしなければその結果からは逃れられない。
当然、水銀燈にもわかっているのだろう。
しかし、既にアリスとなる権利は失っている。
これ以上生きていても――。
悲しみでぐちゃぐちゃになった感情の中、水銀燈は己のデイバックに無事な方の腕を伸ばした。
◇ ◇ ◇
支援
「これで一つ。あとは二つか……」
輪っかのようなものを手に取りながらゼロは口を開く。
血に濡れたそれは参加者に付けられた首輪の一つ。
古城痕に存在した、○型の三つの窪み。
恐らく首輪を嵌めるべきであろうそれに三つが揃えば何が起こるか。
ブラフの可能性もあるが試してみなければわからないだろう。
元よりどうせ他者にはこの殺し合いから脱落して貰うのだから。
不意に振り向き、サカキの分のデイバックも担ぎながら廊下側のドアへ向かう。
今も背中を預け、一向に動く様子を見せない土御門の方へ。
「あまり時間は掛けたくはないのだがな」
既に一仕事終えた黒鍵が血の斑点を床に垂らす。
右腕に握ったそれを首筋に当て、あとは要領良くやれば終わりだ。
返り血で服が汚れる可能性もあるがそこは眼を瞑るしかない。
思考の時間は終わりだ。求められるはたった一つの行動。
土御門の正面に立ち、真正面から彼を見据えて――見た。
「悪いな。しぶといのはオレの十八番なんだ、これが」
急に立ち上がり、一本の鉈を振り翳して自分の方へ突っ込んでくる土御門の姿を。
悪いなどこれっぽちも思っていない笑みがそこにはあった。
◇ ◇ ◇
支援
やはり見逃してはくれないらしい。
土御門は朦朧とする意識の中、ゼロがサカキの首輪を回収している時にそう確信した。
これで一つ。あとは二つ――考えるまでもない、二つ目は自分だ。
元々の負傷もあり、実際に瀕死寸前だったため恐らく素人目では十分に死んでいると通用するだろう。
たとえ瀕死だろうとも『無能力(レベル0)』である『肉体再生(オートリバース)』の力で時間が経過すれば負傷は回復する。
土御門はそれに賭け、この場をやり過ごすことを決めた。
これといった装備は鉈しかなく魔術を使おうにも準備の時間もない。
何よりゼロの力は凄まじく、いきなり仕掛けたところを見る限り交渉を続けるつもりもないのだろう。
ベストではないかもしれないがワーストでもなく、ベターぐらいといったところか。
だが、ゼロが首輪を集めているという特殊な目的が土御門には仇となった。
歩が近づく度に自身の砂時計が刻一刻と降り積もる感覚がある。
このままでは止めを刺される。
その事実を理解した時、土御門の身体は負傷とは裏腹に身軽に動いた。
(やっぱ諦めきれないんだろうな、オレは……)
ゼロが今の自分をどんな目で見ているかはどうでも良かった。
汚れ役は腐るほどにやった。
恨みを買った数も覚えてはいない。
何故やったのかと聞かれれば自分が適任だったと答えるだろう。
組織に潜り込むスパイなど胸を晴れた仕事じゃない。
そう、だから自分じゃなくてはいけなかった。
汚れる事に抵抗はなく、汚れる事に適合した自分が。
たとえばあの上条当麻――カミやんがやるよりかはよっぽど上手くやれる。
較べる対象が少し間違っているかもしれない。
あいつならもっと別の手段を選ぶような気がする。
納得できないことがあれば、真正面からぶつかっていく。
変える事は、覆す事など絶対に出来ない――そう思い込んだ“幻想”程、カミやんの前で無力なものはない。
戻らなくてはならない、学園都市へ。
自分の仕事に後悔はないと固く思っていたのだから。
(カミやんはカミやん。そしてオレはオレさ……これがオレの生きた証だ。
たとえ振り返った道が汚らしい土で塗れていても……後悔なんてない)
何かをしなければ世界は変わらないと思っていた。
たった一人の力では根本的には変えることは出来ない。
出来ることといえば精々組織間の全面衝突を先延ばしにするぐらいのレベル。
実感はなかったとは言えない。
たとえ侮蔑されようとも日常の崩壊を止められたと思えればそれだけで良かった。
そう、潜入の代償に力の殆どを失った自分でも何かを為せた事に悪い気分はしなかった。
これならあいつを守ってやれる。
そんな自信が湧いてくるような心地すらもあった。
(だから……精々足掻かせてもらう)
ゼロに振り下ろす鉈の動きがいやにゆっくりと感じられる。
やはり厳しいか。無理に動いたせいで以前やられた傷も開き、今も尚、頭から出血は続いている。
つくづくバケモノ染みた怪力だと思うがこの鉈で斬りかかれば只では済まないだろう。
この場からの離脱。余裕があればこの男にトドメを指す事も視野に入れる。
鉈の刀身を己の身体に見立て、退けない意思を込めるかのように力強く振りかぶる。
狙いは顔面。容赦などはある筈もない。
当たれ――無我夢中に願った想いに応えるように、鉈が差し込んだ日の光に照らされ、淡い光を放った。
続けて来る感覚は確かな手ごたえ。
その筈だった。
(……っ)
声が出ない。
手ごたえはない。
響くのは小さな音。
カラン、と鉈が床を転がる音。
代わりにやってきたものは右腕を打ちつける感覚。
それは鉈を手放す事になったゼロの確実な打撃。
また、ゼロの立ち位置が少し右にずれている。
高速移動――そんな類のものじゃない。
どちらかといえば瞬間移動の類だ。
冷静な思考を有難う、と自分の脳みそにくれてやる。
きっと、この先、こんな風に礼をいう機会なんてないと理解していたのだから。
「ガッ…………!」
やっぱりだ。
左胸に衝撃が来た。
熱い。灼けるような痛みが胸の上で踊っている。
自分の分身たちが、赤い血が床に零れ出るのが判る。
胸だけではなく口元からも、声の代わりに血にまみれた泡がゴボゴボと不快な音を立てる。
見れば自分の胸から予想通りのものが生えていた。
ゼロが自分の首を切断しようとした得物――状況の観察は止めた。
もう、どうしょうもない。
この状況からの逆転は考えるだけで頭が痛くなってくる。
(相手が悪かったなぁ…………)
自分の不幸を呪う。
出会い頭に撃たれ、おっかないおっさんに会い、そして気が狂ったような格好をした男にトドメを刺される。
だけどそれが全てだ。やり直せはしない。
チャンスは一回きりだったのだから。
故に後悔の波に溺れて死ぬつもりはない。
想像してみる。自分やカミやんや一方通行が居なくなればあの世界はどうなるか。
興味はある。どう転ぶかはやってみなければわからない。
ただ、自分には到底知る術がないのだと知ると柄にもなく虚しさを覚えた。
そして、もう二度とあの顔を見れないのだと思うと、やはり悔しさしか込み上げてこなかった。
(悪い、舞夏…………)
たった一人の義妹の存在が、永遠の眠りに就こうとする土御門にとって何よりも気がかりだった。
◇ ◇ ◇
支援
支援
「これで二つ。悪いペースではないな」
校舎昇降口からゼロが歩を進め、悠然と出てくる。
手にしたデイバックは計一つ。
サカキと土御門の分を全て一纏めにした結果だ。
様々な支給品を手にいれ、首輪の数も二つとなっている。
だが、今だにもう一つの当ては残っている。
その対象から首輪を回収するためにもゼロはグラウンドへ出ていた。
「……ほぅ、あの状態で逃げのびたか。称賛に値するぞ、水銀燈」
しかし、意外にも目当ての水銀燈の姿はない。
確かに黒鍵が水銀燈の左腕を抉ったのは確認した。
その証拠に黒鍵が地面に落ちており、少し離れた場所には水銀燈の腕も落ちている。
されども水銀燈本人は何処にも居ない。
なんらかの手段を用いて逃走したのだろう。
仕留めきれなかった悔しさを感じるよりも先ずは彼女の健闘を讃えたいと思えてくる。
それは一時でも行動を共にした者への情けかは誰にも計り知れない。
だが、ゼロがやる事に変わりはない。
「……ナナリー」
ポツリと呟くは妹の名前。
たった一人の妹だ。どんなものにも換える事は出来ない。
だが、ナナリーは死んでしまった。聞き間違えたわけはない。
確かに、ナナリー・ランぺルージと一言一句はっきりとあの放送で告げられた――。
誰に殺されたのかはわからない。
判るのは自分が小細工を仕掛けている場合ではない事だ。
故にゼロは中断を余儀なくされた交渉を力づくで潰した。
それも自分以外の人間の命を刈り取れる、有無を言わさないタイミングを以ってして。
たとえギラーミンの約束が絶対に守られる保障はないとしても1%の望みがあるならば賭ける理由はある。
ナナリーの存在はゼロにとってそれほどまでにも重要だったのだから。
「すまない。私の……いや、俺のせいで」
C.Cと契約したのも何も自分の命が惜しかっただけではない。
自分が居なくなった後のナナリーがどうなるか。
彼女が怯えることなく、常に笑顔で暮らしていける世界。
そんな世界をこの手で創りたいのだともう一度強く思ったのだから。
優しい世界を造る。それがゼロがルルーシュ・ランぺルージだった頃にナナリーと交わした約束が色褪せる事はない。
そして愛しき妹であるナナリーに対する想いもまた変わってはいない。
ルルーシュであった時も、ゼロと成った時も、黒の騎士団を率いて世界に反逆を誓った時も――ただの一度もない。
しかし、自分はナナリーの中ではいつまでも一人の兄、ルルーシュ・ランぺルージだ。
いや、それは単なる願望なのだろうか。
世界を換えるためといえども時には汚い手段で策を講じる局面はある。
そんな姿を己の兄だとは思われたくはない――そう思ったのかもしれない。
だが、今だけはゼロは真正面から向き合うべきだと感じていた。
ゆっくりと仮面に手を当てると、繭が紐解かれるように中から10代後半と思わしき青年の顔が現れる。
「お兄ちゃんはお前を死なせてしまった……本当にすまない、ナナリー」
この場だけではゼロではなくルルーシュでありたい。
自分とスザクとナナリーの三人で笑い合った日々が蘇るような感覚が襲う。
だが、今はそんな場合ではない。
ただ、遂に再び出会う事のなかったナナリーに対する悔みの感情しかない。
魔王を名乗ろうとも未だ自分には脆弱さが残っていたのだろう。
否定するつもりはない。ナナリーはそれほどまでに大事な妹であったのだから。
母を奪われ、故郷を追われ、挙句の果てに両の視力と足の感覚すらも失った――守らなくてはならなかった。
「だけど待っていてくれ。俺が必ずナナリーを救う……だから――」
自分の力が制限されようとも迅速に彼女を見つけ出して。
たとえ自身の瞬間移動能力が普段のものより格段に弱くなっていたとしてもだ。
しかし、後悔をすればナナリーが帰ってくるというわけでもない。
ならばこの殺し合いに乗るしかない。
その決定に最早迷いはなく、再びルルーシュはゼロへ戻ろうとする。
だが、それは間違いであった。一迅の風が起こり、それが過ぎ去った後に答えがあった。
一瞬の内に現れた人物は蒼いレオタードスーツを着込み、襟がたったマントを羽織っている。
同時に漆黒の仮面は被っておらず、何よりも緑髪の長髪を腰まで垂らしている。
そう、先程までルルーシュだった人間は今や一人の女性となっていた。
彼女の名前は――C.C。死ぬ事を奪われた、呪われし魔女。
「私達はどんな手段を用いる事も出来る。そういうことだろう、ルルーシュ?」
C.Cと融合した事で魔王の力を得たルルーシュはC.Cと自由に意識の交代を行える。
しかし、何故このタイミングでの交代なのかと疑問は残るだろう。
黄金に輝く両の瞳にはルルーシュと同じ感情が鮮やかに映えている。
この場で死ぬつもりはない。
運命を共にするルルーシュがナナリーのために殺し合いに乗るのであれば自分も口を挟むことはない。
何故ならこの交代は作戦の内なのだから。
「私の顔は未だ知られてはいない。ならば精々利用させてもらう……この場では私達の力は弱まっているからな」
先程土御門を仕留めた際に使った瞬間移動にはいつもよりも大きな疲労が掛った。
更に飛べた距離も少なく、この場では連発は止めた方が無難だろう。
故に既に何人かの参加者と接触したゼロの姿よりもC.Cの方が使えると判断した。
逃がした水銀燈がゼロの容姿を誰かに伝えた場合には奇襲は難しいためだ。
もしくは今回のように情報交換を持ちかけ、ある程度の収穫が得た後にゼロへ戻れば他者を葬るのも容易だと言える。
力が必要になればその時に応じてゼロに戻ればそれで良い話なのだ。
ルルーシュはC.Cをそう説き伏せ、彼女もまたその案に同意し、今の姿がそこにある。
支援
「では行こうか……取り敢えずは首輪を一つ、どこかで手に入れなくては」
ゆっくりと歩き出すC.Cはただ、前方を見ている。
グラウンドを突っ切り、校門へ。
黒鍵は回収するが、転がっている水銀燈の左腕に興味はない。
一度だけ眼をやり、その後軽く潰してやる。
グシャリ、となんとも言いようのない音が響くが特に思う事はない。
ただ、C.Cの意識の片隅には別の事についての思考がこびりついていた。
(まさか、ルルーシュの奴は……まあ、いいさ。今は時間が必要だ、きっとな……)
ルルーシュからの交代が求められることは珍しい事だったがC.Cには一つの心辺りがあった。
恐らく今の彼は何も考えたくはないのだろう。
ルルーシュとC.Cは表層意識を変える事で人格の交代を果たす。
その間、表側に出ない意識側の方は情報の共有は行われるものの、基本的に行動へ干渉しない。
よって何も考えずに、ただ意識を休めることも可能だ。
やはりナナリーの死はルルーシュにとって衝撃的だったに違いない。
サカキと土御門からもう少し情報を聞き出せばよかったとは思うが、今となっては彼は我慢出来なかったせいかもしれない。
それともルルーシュは見せたくはなかったのだろうか。
愛する人の喪失に耐え切れず、悲しみに曇った自身の表情を。
仮面ですらも隠しきれない激情を、このどこまでも広がる世界の誰にも。
拭う事の出来ない悲しみが時間という材料で少しは色褪せる時まで、誰にも――。
C.Cは己の足で地を踏みしめ、未だ行先を決めていないもののそんな事を思っていた。
支援
【B-2 学校のグラウンド/一日目 日中】
【ゼロ@コードギアス ナイトメアオブナナリー】
【状態】:健康 疲労(中)、C.C状態
【装備】:大戦槍@ワンピース
【道具】:基本支給品一式×4、MH5×4@ワンピース、治療器具一式 投擲剣・黒鍵 3/10@Fate/zero、防刃ベスト@現実 電伝虫@ONE PIECE×2、
破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん、和道一文字@ONE PIECE、シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの、謎の鍵、レナの鉈@ひぐらしのなく頃に
【思考・状況】
1:殺し合いに優勝し、ナナリーを生き返らせる。
2: 『○』に関しては……
3: ギラーミンを殺して、彼の持つ技術を手に入れる。
4:自分の身体に掛けられた制限を解く手段を見つける。
5:『○』対する検証を行うためにも、首輪のサンプルを手に入れる。
6: C.Cの状態で他者に近づき、戦闘になればゼロへ戻る。
【備考】
※ギラーミンにはタイムマシンのような技術(異なる世界や時代に介入出来るようなもの)があると思っています。
※水銀燈から真紅、ジュン、翠星石、蒼星石、彼女の世界の事についてある程度聞きました。
※会場がループしていると確認。半ば確信しています
※古城内にあった『○』型のくぼみには首輪が当てはまると予想しています。
※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。
※C.Cとの交代は問題なく行えます。
◇ ◇ ◇
エリアB-2北部、森林地帯。
木々が生い茂る其処に踏み入る者が一人。
黒い外套に黒いツンツン頭が印象的な一人の青年が汗を拭いながら歩いている。
彼の名はヴァッシュ・ザ・スタンピード。
人間台風の異名を持つ男だ。
「急がないと……」
目的はサカキとの合流。
頼りになる人以前に彼もこの殺し合いを嫌っている。
ならば手を取り合う事は出来る、やらなくてはならない。
もう誰にも死んで欲しくはないのだから――。
そんな時、ヴァッシュは前方の林の中に横たわるものがある事に気付いた。
「え……?」
それは黒い衣装を身にまとった人形。
少し距離が離れてはいるが以前出会った水銀燈という少女である事は判った。
見るからに傷だらけで痛々しい。
その理由はゼロからの黒鍵を受けただけではない。
地面に衝突する寸前に水銀燈が取り出したものは強力うちわ『風神』。
只でさえ左腕が失われたというのに、これ以上ジャンクに近づくわけにはいかない。
生きたいと思う願いよりもこれ以上壊れたくはないと願いを糧にして、力の限りうちわを振るった。
水銀燈の重量が軽い事もあり、結果的に激突は免れたが勢いはあまりにも強く、水銀燈は遠く飛ばされていた。
切り傷は免れなかったが幸いな事に木々や林がクッションとなり目立った怪我はない。
水銀燈に何があったのかを心配すると同時に、ヴァッシュはとある事を思わずには居られなかった。
両眼を閉じ、今は気絶している水銀燈に動く様子は見られない。
ヴァッシュが知る由もないが左腕の喪失、地面への激突は水銀燈にとって精神的に負荷が大き過ぎた。
その恐怖から取り敢えず抜け出せた事に余程安堵したのだろう。
水銀燈の寝顔は以前の彼女からは予想がつかない程に穏やかなものだった。
故にヴァッシュは軽く笑みを見せながら自然と感想を漏らした。
「……なんだか、天使様みたいだね」
何気なく発したそれは二番目の言葉。
水銀燈を天使様と称したのはこれで二人目。
ただ、眠り続ける水銀燈は知らぬまま、彼女を天使様と呼んだ人間が一人増えた瞬間。
その言葉が一体何を示すかはは誰にもわかるわけはなかった。
支援
【サカキ@ポケットモンスターSPECIAL:死亡確認】
【土御門元春@とある魔術の禁書目録:死亡確認】
【残り34名】
【B-2 北部 森林地帯/1日目 日中】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]黒髪化、左肩に刺突による傷(再生中)
[装備]ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式、拡声器@現実、予備弾丸36発分
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める、今度こそ絶対に。
1:ベナウィを殺した場所と学校へ行き、黒服の男(サカキ)と電伝虫を探して連絡を取る。見つからなくても4時までには古城跡に戻る。
2:新庄、伊波と同行する。ゾロについては信用。
3:ウルフウッド、リヴィオとの合流。
4:ウルフウッドがいるかもしれない……?
5:目の前の水銀燈を保護し、事情を聴く。
※原作13巻終了後から参加
※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。詩音は死んだと思っています。
※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。
※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。
※全身の切り傷は再生しました。
※伊波、新庄と情報交換をしました。佐山、ブレンヒルト、小鳥遊、高槻、メカポッポ、片目の男(カズマ)の情報を得ました。
※水銀燈の左腕が欠損していることに未だ気づいていません。
【水銀燈@ローゼンメイデン】
【状態】:全身に切り傷、左腕欠損、気絶中
【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、強力うちわ「風神」@ドラえもん、
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
【思考・状況】
1:左腕……
2:今はゼロから逃げる
3:ローザミスティカは必ず手に入れる。
【備考】
※ナナリーの存在は知りません
※会場がループしていると確認。半ば確信しています
※古城内の大広間に『○』型のくぼみがあります。このくぼみに何が当てはまるかは不明です。
※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。
マッチョ転じてグラマラス支援
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます。
早速ですが自主申告を……ゼロの状態表に首輪×2が洩れていたのでwikiに収録された際に追記します。
タイトルは「それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳」です。
ではなにかあればお願いします。
投下乙です
始めの数行で結末を予測したがそれ以上に悲惨なことに
そしてもう分かってたことだがゼロはマーダー化か
それにしてもゼロってここまで強かったのか
この強さだと倒せる人物がものすごく限られてくるな
そして水銀灯は片腕失って気絶か
ヴァッシュに保護されたがこれからどうなるんだろうな
それとたぶん間違いだと思うんだがゼロが土御門とサカキの情報から殺し合いに乗っている人数を考える部分
4人になっているが、放送前だから魅音(詩音)、ロベルタ、ウソップ+レヴィ、カズマの5人だと思うんだが
投下乙。
やっぱ魔王ゼロ強え。理は暴によって蹂躙されるのが世の常か。
マーダーでありながら首輪解除フラグもあるんだよな。自分しか外さないだろうが。
期待していた頭脳派が二人とも死んでもの凄く欝だが、これがバトルロワイアルというものだ。
安心して眠る水銀燈かわええな。ヴァッシュに慰めてもらってくれ。
C.Cに交代しても肉体は魔王なのか?
投下乙です。
マーダー化は予想していたけどすごい悲惨な事に……。
ナナリーの死は、二人……いや、三人もマーダー化させてしまうなんて。
ゼロの圧倒的な力の前で、サカキも土御門もよく頑張ったよ……。
そして水銀燈、何とか逃げ出したけど左腕破損か……
アリスに拘る彼女にとって、ある意味死ど同意義だよね。
ヴァッシュに拾われたのは運が良かったけど、これからどうなるか。
ゼロとC.C自由に交代出来るのか。
ナナリーを失って傷心状態のルルーシュだけど、
このロワ最強の一角だし、これからどう動くのかすごい楽しみだ。
サカキがあっさり死にすぎなような
ゼロマーダー化も強引な気がする
マッチョ転じてグラマラスか
思考を都合の良いように持って行き過ぎじゃないか?
今まで頭良かっただけに急にアホになったように見えるぞ
頭良かろうが悪かろうがゼロにとっては関係無い気もするがな
油断の無いギルと言っても過言では無いかもしれん
ギルがゼロと同格とか無いわ
ナナナのC.Cって強いの?
ポケモンの技喰らっても平気だったりするのに
一発殴られて死亡ってのはない
抵抗無理っていったって、無防備すぎるし
>>123 一発殴られただけじゃないでしょ、死因は絞殺だよ?
サカキがどうこうよりも、ゼロの心変わりが唐突過ぎる
ナナリー死んだからって、いきなりこんなに変わるかな
強引だけで少し修正したら通しでいいレベルだと思うけど
ゼロはナナリーが絡むと暴発するしな
127 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 17:36:32 ID:ykWa+m4w
頭の切り替えが早いだけじゃね?
そこまで問題はないと思うね。
もともとナナリーが死んだ場合は優勝狙いじゃなかったか?
そんな事言ってたっけ?
むしろ主催の言うことを信用するなって言ってた記憶がある
殺し合いに勝って、主催の技術力を接収するつもりは満々だったぞ
チョンピみたいな不人気作品ならともかく、サカキや土御門がこれじゃ手抜きと言われても仕方ない
>>113 ご指摘どうもです。
状態表に反映させるの忘れてました……いつものようにwikiに編集された際に修正します。
お待たせしました。
カズマ、竜宮レナ、トニートニー・チョッパー、グラハム・スペクター、レッド
ラッド・ルッソ、ギルガメッシュ、前原圭一、古手梨花、ニコラス・D・ウルフウッド投下開始します
『人間は皆音楽を奏でている ――とあるバイオリニストの言葉』
【序曲(オーバーチュア) 〜前原圭一〜】
「うわぁ」
目の前に広がる光景を見て、俺の口から出た感想はそんな月並みなものだった。
レナたちが来るっていうあの女の言葉を信じて俺とアーチャーは劇場に向かった。ちなみに今も相変わらず俺の境遇はあいつの荷物持ちだ。
一応劇場に向かっているから切嗣さんとの合流予定地の映画館には近づいてるけど、俺は正直あまり喜べない。なぜならアレから時間が経ちすぎてる。流石にもう切嗣さん
は待っていないだろう。ていうか、それ以前にアーチャーが一緒にいるんじゃどの道彼に会いにいけない。
アーチャーはあの人の敵、それはもう聞いている話だ。だから俺があの人と合流するには、なんとかアーチャーから離れないといけないんだけど、ここまでそんなチャンス
はなかった。少し前にマンションで別れたけど、逃げ切れる自信がなくて俺は離れなかった。なにせあいつはいざとなればあの槍を思い切りぶん投げられるんだ。逃げる俺な
んて蚊を潰すように容易く無慈悲にやってしまう気がする。
なによりアーチャーは俺より確実に強い。負傷こそしていても俺では太刀打ちできないに違いない。
なら、レナたちが劇場に着てしまったら危ないんじゃないかとも思うけれど、アーチャーはレナたちに興味を持っているみたいで、殺す気はないらしい。
けど、それだけじゃ安心できない。俺はアイツの一面を知っている。ゾロさんを平然と突き落とし、クーガーって人を笑って陥れようとしたあいつの一面を。
レナたちも同じようにアーチャーの玩具にされてしまうかもしれない。それだけは絶対に避けなくちゃいけない。だが、今だそのチャンスは巡ってこないし、そもそも方法
が俺にはまだわからない。
そんなグダグダ感漂う考えのまま、俺はアーチャーと一緒に劇場に到着したんだけど、その劇場っていうのが俺の予想以上の代物だったんだ。
遠めから見ても大きめの建物だった。三階建てくらいはあるんじゃなかろうか。その玄関口は一面ガラス張り。こんなところ雛見沢はおろか、興宮でだって見たことない。
近くに来て改めてそれに驚いている俺に対してアーチャーはそれを見ても特に何も感じなかったらしく、特にリアクションもなしに自動ドアを潜って行った。
俺が慌ててアーチャーを追うと、中もこれまた豪華な代物だった。高そうなソファー、高そうなシャンデリア、高そうな樹木。
……ここ、劇場なんだよな? 映画館で言えばチケット売り場みたいなところなんだよな? うん、確かにそれっぽいカウンターや値段の表はあるからそれは間違いない。
なのに、なんだこの無駄に豪華な内装は。ロビーでこれじゃ、本命の劇場はどんだけ豪華なんだよ!?
つい呆然としていた俺が我に返ると、アーチャーがいつのまにか離れた壁際に移動していた。何か見てるのか?
俺が近づいていってもアーチャーは俺に目を向けず、壁に掛かった何かを見ていた。
それは、俺の貧相な直感で言うと『団子』だった。団子って行っても、串焼きな。
○が3つ上から直線に並んでて、それを直線的な線が繋いでる。そんな図が長方形の物に描かれて壁に掛かっていたのだ。
その○も、大きさが違っていて、一番上が中くらい、その下の真ん中が1番大きい、そして一番下が1番小さい。そんなアンバランスな串焼き団子だ。
まあ、ここまで見ると俺ももう串焼き団子とは思ってなかったんだけどさ。
「これって、もしかしてこの劇場の地図?」
「当然だ。他に何を掛ける道理がある」
この劇場に来て初めてアーチャーが言葉を発した。そして初めて俺に目を向けた。セリフも目線も思いっきり馬鹿にしてる感じだったけど。
普段の俺だったらつっかかるだろうけど、俺は無言でいた。このアーチャーにつっかかろうものなら、次の瞬間には俺の体が真っ二つになっていてもおかしくなさそうな
イメージがある。
俺の対応に特に怒りは抱かなかったようで、アーチャーは再び劇場の見取り図に目を戻した。
「どうやらここの劇場は、『北劇場』、『中央劇場』、『南劇場』の3つに別れているようだな」
「3つも劇場があ……るんですか?」
「珍しくはあるまい。我の知識でも、2つや3つステージや劇場を抱えている施設はザラだ。もっとも、ここまでのものはそうはないだろうがな」
「でも、なんでわざわざ分けるんだ?」
「ふっ、圭一。貴様、オペラも演劇も観た事はないのか?」
「う」
ものすっごい馬鹿を見る目で見られた。しょうがないだろ、確かに昔は都会育ちだったけど、親父は画家でそこまで儲かってるわけじゃない。
オペラや演劇なんてそうそう観てない。せいぜい学校の演劇がいいとこだ。雛見沢に至ってはもう論外だ。
「まあ雑種如きに高度な教養を求めるのが間違いか。いいだろう、我が特別に教授してやる。
ここは劇場ごとに演目を分けているのだ。それにより、同時に各々の演目をし、かつ設備をそれぞれ専用にしておけば、不要な準備が省略できる」
「へ、へー……」
俺はつい素直に感心してしまっていた。このアーチャー、傲慢不遜自分勝手強力なだけじゃなく、知識も豊富なのだ。
そう考えると、なんかアーチャーが高そうな劇場で高そうなワイン片手に上等なオペラを聞いているイメージが脳裏に浮かんだ。
うわ、似合ってる。すごい不本意だ!
「ふむ。この北劇場は『演劇用のホール』が設置されているようだ。そして、中央劇場には大規模な『音楽用ホール』があるようだな」
「音楽って…………ライブ?」
「戯けが。そんな世俗的な物ではない。このホールには巨大なパイプオルガンが設置されている、と記述されている」
「え、どこに?」
アーチャーが無造作に俺に何かをぶん投げた。慌ててキャッチしたそれは、一枚の紙っぺら。3つに折りたためるそれはどうやら劇場のパンフレットらしい。
いつの間に持ってたんだよ…。
「ってことは……オペラとか、オーケストラとかそっちの方?」
「そっちの方、というのが如何にも雑種らしい言い草だが……まあ良い。そう捉えておけ」
「(悪かったな雑種で!)……で、南劇場は……えーっと、『和風舞台』?」
「ああ。能や歌舞伎用の舞台のようだな。欄干や桧舞台が設置してあると記述されている」
「文字通り和風のもの専用ってわけ……です、か」
えーっと、このパンフレットの内容を纏めると。
まず劇場全体は3つの円形の建物で構成されていて、それぞれの中心に四角形のホールがあって、ホールの外には受付やロビー、簡易的な売店がホールを囲んで円形に設置
されている。そして、それぞれの劇場はさっきの串、連絡通路で繋がってるらしい。北劇場と中央劇場、中央劇場と南劇場を、な。
北劇場は中くらいの大きさで、『演劇用ホール』。
中央劇場は1番大きくて、『音楽用ホール』。
南劇場は1番小さくて、『和風舞台』。
んで、それぞれの劇場は防音加工がされており、各劇場内での音はよほどの大音量でない限り外に漏れず、また聞こえない、と。
ホールには更に防音加工がなされているから、ホールにいる人間は外の音をほとんど聞けないし、逆にホール内での音はほとんど外に漏れない、か。
……こりゃ、ホール内には居ない方がいいよなあ。だってレナたちが来てもわからないんじゃ意味ねえんだし。
でもどうやってそうアーチャーを誘導したらいいんだ? ほっといたらアイツ勝手にホール入ってっちゃうぞ。そう、今まさに連絡通路の扉を開けて――
「ちょっとぉ!!」
「何をしている。主人が往けば従者はその後ろに従え。背後からの攻撃の盾にならぬだろう」
「ああ、そうですね……って俺盾!?」
「冗談だ戯け」
連絡通路を通って中央劇場へ向かうアーチャーを俺は慌てて追いかけた。
なんとか説得してホールの中にだけは入らないようにしないと――
そんな時だった。俺の耳にアイツの声が聞こえてきたのは
『ごきげんよう諸君』
♪ ♪ ♪
『―Future→』
【夜明曲(オーバード) 〜古手梨花〜】
「そんな」
私の膝からがくりと力が抜けて、私は冷たい地面に膝を突いた。
隣にいる彼は、そんな私を静かに見つめている。
『園崎魅音』
それが新しい放送で告げられた名前。
分かっていた。先の放送で誰も呼ばれなかったからって、今度も呼ばれないとは限らないのだ。けれど、どこか期待していた自分が居た。そんなご都合主義な奇跡を。
そんな未来を望んでいた。それがエゴだと分かっていても。
けれど、サイコロはそう簡単に上手く回らない。2回続けて6が出る確率は36分の1、36回やって1回できればいい程度。期待してはいけなかったのだ。
自分でもこんなにショックを受けていることに驚いている自分が居る。
かつての100年では、展開をある程度知っていると人の死にも鈍感になっていた。圭一が凶行の末、レナと魅音を殺した挙句死亡しても、レナが凶行に至り学校ごと
生徒達が爆発で死んだとしても、『次がある』と思う自分が居た。
それはどこか、諦めきるくらいの長い暗い夜を思える時だった。
けれど、ここは違う。
私はこんなところは知らない。私は隣に居る彼を知らない。襲撃してきた男も知らない。助けてくれた青年も知らない。赤い服の女も知らない。
なにもかもがイレギュラー。サイコロの1というより、サイコロの目がAや○みたいに訳の分からないものになってしまったような感覚だ。
どうなるか、まるでわからない。
「おい、大丈夫か?」
隣の彼、ニコラスがこっちにそう声をかけて見ていた。
手はポケットに突っ込んでいる。助けてくれる気はなし、か。
けれど特に怒りは抱かない。言外に、なんとなくだが『自分の力で立ちあがれ』という意志を感じたからだ。
分かっている。こんなところで膝を突いているわけにはいかないことを。まだ仲間たちは生きている。
それでも、なかなか立ち直れない。それでもニコラスに迷惑をかけるわけにはいかないし、あんまり情けないところも見せたくない。
もう不可避の惨劇はない。もう夜は明けたはずだった。
なら、今いるここは……昼の光の中のはずなのに。
新しい夜が、私を包み込もうとしている。
「ええ、大丈夫よニコラス」
「…………」
足に力を入れてなんとか立ち上がった私をニコラスは静かにみつめて――
私の頭に衝撃が走った。
♪ ♪ ♪
『←Past―』
【行進曲(マーチ) 〜トニートニー・チョッパー〜】
「……聞いて、もらえないんですか? ギラーミンが本当に優勝者を元の世界に帰すかなんてわからないんですよ?」
俺とグラハムより前で、レナが片目を瞑った奴に向かってそう言った。なんとか説得しようとして、その気持ちがおれにもわかるくらい。
レナはちゃんと話してると思う。あいつが約束守るなんておれも思えない。あんな、人の命を遊び道具にしか思っていないような奴!だから、そう言えばどんな奴でも
わかってくれると思った。だって人を殺したがる奴なんてそういないはずだ。みんな被害者だ。みんな怖いんだって。
なのに、あいつは
「関係ねえ、っつっただろ……」
ゆっくりと手を突き出してきながら、足をゆっくり開きながら、おれたちをその片目で見据えながらそう言った。
なんだよ、あの眼……誰も寄せ付けないような、群れのはぐれ者みたいな目だ。みんなをびびらせる、そんな眼だ。誰も近づくなって言ってる眼だ。そして、とても寂し
そうな眼だ。
おれは他人事に思えなかった。おれもヒトヒトの実を食べたせいで群れを追い出されて、人間達にも怖がられて攻撃された。それで、もう誰も彼もが怖くなった。もし
かしたら、おれもアイツみたいな目をしてたのかもしれない。
なら、おれは助けたい。お前は1人じゃないんだって。Dr.ヒルルクみたいに、おれは――
「なあ―― 「待て命の恩人B」 えっ!?」
話しかけようとしたおれの前に突き出されたグラハムの手、そして静止する声におれはグラハムに文句を言おうとした。なんで止めるんだ、って。
けど、それはできなかった。
「な、なんだ!?」
「こ、これって!?」
突然、パキン、パキンって音と共に男の周りの道や壁の一部が削れていったんだ。何もねえのに。まるで何かに食われたみたいに。
なんだ、なんなんだこれ!?
おれは戸惑った。レナも同じ感じだったけど、グラハムだけは落ち着いて男の方を見ていた。おれも戸惑いながら、その目線を追って男を見た。
「な――っ!?」
その先にあったのはもっとびっくりすることだった。
男の突き出していた右手が、裂けたんだ。裂けたと思ったらそれがわっかみたいなので束ねられていく。そして――
「アイツが約束を守るなんざ関係ねえ」
そいつの型に車輪みたいなものがくっついて――
「手前らが脱出する気なのも関係ねえ」
奴の右手全体が、なんか鎧みたいなのに包まれて――
「確実なのは――今俺の前にある壁が」
そして、あいつが足に力を込めたのが分かった時は――おれは、遅かった。
「てめえらだってことだけだぁああああああああああ!!」
言葉に遅れて、あいつが飛んできた。まるで砲弾みたいに、まるで銃弾みてえに! 叫びながら、猛りながら、その右手を振り上げて、レナに向けて!
その右肩の羽みたいのが砕けて
「衝撃のぉぉぉぉぉ!ファーストブリットォオオオオオオ!!」
間にあわねえ! アイツの変化に驚きすぎた! きっと悪魔の実に決まってるのに、ぼうっとしてた!
畜生! なんでおれは獣形態で待ってなかったんだ! そうすりゃきっと間に合ったのに!
おれの離れたところで、おれの手の届かないところで、呆然としたレナに、飛び掛ったアイツの拳が、どこかゆっくりに見えて、直撃しそうな――
そこに、何かが割り込んで――
「あうっ!!」
次の瞬間、おれ目掛けてレナが――飛んできた。
♪ ♪ ♪
『―Future→』
【協奏曲(コンチェルト) 〜ニコラス・D・ウルフウッド〜】
「ったく、何が大丈夫やねん、こんガキは」
「な、な、な、なにするのよニコラス!!」
今ワイの目の前で頭を抑えて涙目になっとる梨花はこっちに向かってどうがなりちらしおった。まあ、当然か。ワシが今こいつの頭に拳骨落としたんやからな。
「こういうこと聞いてな、『大丈夫』言う奴はまず大丈夫なわけあらへん」
「なっ! さっきみたいな質問したら普通そう答えるでしょ!?」
「アーアー、キコエヘンキコエヘン」
「ちょっと!!」
まだキーキー言い寄る梨花の頭を、ぐしゃっと乱暴に掴んでやる。やけに柔らかい髪をしていた。こいつ、良い風呂はいっとるみたいやな。
「な、なぁっ!?」
「ったく――ガキが変なこと考えよって。ガキはガキらしく、ピーピー泣いとれ」
「だ、誰がピーピーよ!」
まだ言い張る梨花に、ワイはため息をひとつ吐いてから、目線を合わしてやった。
梨花がこっちの眼を見たのを確認してから、
「はっ、んなことゆーたかてなあ。顔に書いてあるからしゃあないやろ。『私は今悲しくて仕方ありません』てな。
それでガキが変な気つこーて、平気な振りしよって……はっきり言うわ、キモい」
「っ!!」
梨花が眼を見開き、歯を食いしばった。その顔は、図星か。まあバレバレなんやけどな。
「ガキが変な気使うなや。知り合いが呼ばれたんやろ。大事な奴だったんやろうが」
「そ、そう、だけど……でも、そんなことできないわよ!だって、そんな情けない――
フギャッ!!」
また梨花が頭を抑え、うずくまる。ったく、こりんやっちゃな。拳骨2回目してもうたやないか。
「情けない? ハッ、ワイが自分が泣いたくらいで見捨てる思うたんか?」
「だ、だって」
「そんなんで見捨てとったら、とっくのとうや。ワイは別に気にせんわ。ガキはガキらしく素直に泣いとけ」
「で、でも」
「その泣き声で誰か来たら、か?」
ワシは懐からデザートイーグルを取り出し、梨花に見せた。
「そないな空気読めへん奴はワイが相手しといたるわ」
「ニコ、ラス……」
梨花はしばらくワイの顔を見取ったが、やがて顔を下に向けた。
「大事な、仲間だった」
「……」
「長い間の、仲間だった」
「……」
「空気読めなくて一人称おじさんで、部活じゃ鬼のようだった」
「……」
「圭一のこと好きな癖に……こ、告白の、一つもできなくて」
「……」
「お、女らしいところも、あるくせに……ぜ、全然素直じゃなく、って……!」
「……」
「で、でも、それ、でも……!優しくて!部活の皆の事を気にかけてて!詩音のことも気にしてて!」
「……」
「良い、部長、だった……!彼女の作戦の、おかげで、私は……!た、たす、かって……!」
「……」
「けど、もう、もう魅音には、会えないの、よね……!」
「……ああ、会えへん。だから……今、お前は……泣いてええ」
もうその後は、泣き声で言葉にすらならへんかった。
♪ ♪ ♪
『←Past―』
【組曲(スウィート) 〜竜宮レナ〜】
「あうっ!!」
男の人の拳によって私は吹き飛ばされた。宙を浮く感覚はわずかで、次の瞬間には『うわっと!』という声と共になにかもふもふしたものにぶつかっていた。いや、これは
――受け止められた?
「だ、大丈夫か? レ」
チョッパーくんらしき声が聞こえる暇もなく――
次の瞬間、ドゴッ、という激しい音がした。
「うわああっ!!」
「きゃあっ!」
あまりに近い音だったから、私はつい悲鳴をあげてしまいそんな私をずんぐりむっくりな体躯覆うようにした。
私はここで思い出した。これは、チョッパーくんだ。変身したチョッパーくんが殴られて吹っ飛んだ私を受け止めてくれたんだと、私はやっと理解した。
――あれ?
でも、おかしい。あの人は物凄い形相で私を殴った。多分本気だ。アレは本気で私を殺すつもりだった眼と、顔だった。なのに、私はそんなに痛みを感じていない。さっき
のはどちらかというと、加減して吹き飛ばした――――!?
そこで私はやっとわかった。
さっきの轟音の正体を。
それは私に当てられるはずだった一撃。本当なら私が喰らうはずだった一撃。けれど、それは阻まれた。割り込んできて、私を蹴り飛ばした誰かに。
チョッパーくんはここにいる。だったら、私を蹴り飛ばした人は――私を庇った人は――あんな衝撃音の一撃を食らってしまった人は――!
「グラハムさん!!」
「グラハムーーー!!」
私とチョッパーくんは同時に音源の方を見やった。そこにはもくもくと立ち込める土煙、周りに散らばるいくつもの欠片。おそらくは地面のアスファルトのものだ。
道路ですらこの有様じゃ、グラハムさんは――!
「く、くそお! よくも、よくもグラハムをーーー!」
チョッパーくんが叫んだ。相手はもちろんあの片目の人。けれど、彼の姿は見えない。
グラハムさん……私が、あの人を説得できなかったから……! 私のことを命の恩人って言ってくれた人。私は見捨てようとすら考えていたのに。なのに、なのに!
そんな私を、庇って――!
「っ!!」
土煙が晴れていく。見たくない。きっと、そこにはひどい有様のグラハムさんがいる。原理なんて分からない、理屈なんてわからない。ただ、あの不思議な腕はアスファ
ルトすら砕いたのだ。そんな一撃に人間の肉体が堪えられるわけが――
「悲しい、悲しい話をしよう」
「えっ!?」
「え……」
土煙が晴れる、その先に。
聞き間違いかと思った、声がして。
そこに、見覚えのある青つなぎの人が立っていた。
「グラハム!!」
「グラハムさん!!」
「今俺は命の恩人Aを庇ったわけだ。ああ、そこまではいい。なにしろ命の恩人だし、守るとあのおっさんに約束したわけだしな、ここで飛び出さないわけにはいくまい。
そしてそこにそこのトゲトゲ頭が突っ込んできたわけだ。ああ、すごい勢いだった。あのパンチを食らっていたら俺もきっと死んでいた。いや、きっと? 俺はそこま
で自分の体に自信があったのか? 今まで試した事もないのに俺はまた不確実なことを! よし、ここは一応間違いなく死んでいたということにしておこう。
でだ、ならば俺はどうしたか……。腕はいかにも硬そうだ。とても受け止められそうに無い。逃げることもできない。なにしろ俺の後ろには恩人達がいたからな。俺は
考えた。いや、もしかしたら考えなかったかもしれない。本能のまま動いたかもしれないが、それは過去の俺に聞いてみないとわからないから置いておこう。
そして俺は考えた。『なら、胴体を殴ればいいじゃない』と。というわけで、奴の拳が届く前に、俺は奴の胴体を剣の腹で思い切りぶったたいた!男は呻いて、拳がそれ
て拳は横の地面にぶつかった。轟音、だが俺は無事だった!で、男は腹を押さえながら下がり、俺の追撃から逃れた…………ここまでも実はいい。
なのに、なぜ俺が死んだ事になっているんだーーーーー!」
「悲しんでたのそこだったのかーーーーー!?今までの話なんだったんだよ!?」
うん、グラハムさんは相変わらずだ。なんだか腹が立ちそうなくらい相変わらずだ。そして無事だった訳も見事に自分で言ってしまった。
私はグラハムさんの向こう側をなんとか見た。
そこには、腹を押さえて膝を突く男の人の姿。
アレだけの勢いだ。そこで脇腹への衝撃、しかも勢いのせいでさらに威力は倍増、カウンターという奴だ。グラハムさん自身の力と剣の丈夫さ、そして皮肉にも彼の
攻撃の速さが彼自身に大きなダメージを与えているみたい。それだけじゃないかも。もしかしたら、腹にはもう傷があったのかな。
なんにせよ……今しかない。
「グラハムさん……逃げよう」
「えっ、レ、レナ!? でも、説得しないのか!?」
「チョッパーくん、悪いけど……多分、あの人は無理だと思う」
「命の恩人B。俺も、同意見だ」
腹を押さえた彼は、それでもこちらに視線を向けている。敵意と、殺意。私達を倒した先、その先をただただ目指してる。
彼に、私達の言葉は、届かない。そして、私達には
「私達には、彼に抵抗できる力がない」
「っ!! そ、それは――。で、でも!レナのデイパックに俺に支給された銃があったろ!? 殺すまではしなくても、それで威嚇してグラハムが取り押さえれば」
「チョッパーくん……あれは、私には使えないよ。私じゃ、重すぎる」
「なら!俺がやる!人型の俺ならあれくらいなら持てるよ!」
「命の恩人B。銃を撃ったことはあるのか?」
「な……ない、けど!」
「ならやめておけ。俺もあんな代物は見たことないが……あれは素人が使うには危険すぎる。どこに弾が逸れて、どれほど被害ができるかわからない」
「ううううう!」
チョッパーくんが悔しそうにうめいた。
助けたいんだろう、あの人を。ただただ悲しい道を進んでいくあの人を。私もそう思う。でも、私には彼を止められる力が無い。
頼りになるグラハムさんも――
「なら話は簡単だな」
♪ ♪ ♪
『―Future→』
【戯曲(プレイ) 〜ラッド・ルッソ〜】
「おいおいおいおいおいおいおい!」
あのギラーミンの放送が終わった後、俺は地下からあがってしばらく歩いた道のど真ん中でがなり叫んだ。だってよお、これが叫ばずにいられるかよ!いられねえよなぁ
おい!
「もう28人もおっ死んじまったのかよ! おいおい、俺ぁまだ4人しか殺してねえんだぞ!? まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだま
だまだまだまだまだまだ! 殺し足りねえだろうがよぉおおおおおおお!!」
ちっ!どいつもこいつも楽しみやがってよぉ! あの宇宙人は何人殺したのかねえ! あの嬢ちゃんも何人殺したのかねえ! あのメガネメイドは!? あああああああああ
ああああああああああくそ!! だいったい、28人つったらよぉ、俺7人分のスコアじゃねえ!? あれか、俺7人でやっと今まで死んだ奴みんな殺せたってか! ちくしょ
ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 俺1人分が理想、我慢してやっても俺2人分までだっつうのによおおおおおお!
「俺も速く次殺さねえとやべえ。てか俺がやべえ! 俺の何かがやべえ! 俺の何もかもが爆発しちまいそうなんだよおおおおおおおおおお!! ああもう爆発してやろうか
!? んで、その爆発でみんな死ね! この会場ごとみんな大爆発だ! そうすりゃあ俺が全殺しだ!! なんだよそれで全部解決じゃねえか!!」
まあ、流石にこれは冗談だけどな。
だってよお、俺が死んじまったら話になんねえだろ? あ、でも待てよ? 爆発しても俺が死ななかったら問題ねえのか?
とか考えて空を見上げていた俺の上を、何かが通った。
「……なんだ、ありゃ」
空を飛んでいた。
だが鳥じゃねえ。鳥にしたってでかすぎる。なにより……そいつは、足が生えてやがった。
おい。
おいおい。
おいおいおい。
おいおいおいおいおいおいおい!
「早速か! 早速かよこの野郎! 俺まだランチも食ってねえのになぁ! けどまあいいさ! 何しろアレはあれで充分いいランチだからよぉ!
鳥なのか? 人なのか? あるいは、翼はえた鳥人間か? 天使か!? 悪魔か!?
ああ、どうでもいい! そんなことはすっげええええええええええええ、どうでもいい!
思ってるんだろうなぁ、思ってるんだろうなあああああ!
『空を飛んでいる自分は、そう簡単に殺されはしない』ってよおおおおおおおおお!!」
俺はデイパックからバズーカを取り出し、奴を追った。
今はまだ届きそうにねえが、スピードはそんなに速くねえ。それに、ずっと高度飛んでるわけでもねえだろ。いつかどこかで必ず下がる!
「さあさあさあ! ランチは鳥のソテーかぁ!? あるいは人間のソテーかぁ!? どっちでもいいけどなぁ!
天使? 悪魔? いいねえいいねえ! 前々から殺してみてえやつらだとは思ってたんだよなぁ! 天使の奴らは死んだ奴を連れてく? 悪魔は死んだ奴らの行く地獄
の住人? だったらよぉ、そいつらは死んだらどこにいくんだ!? 俺は聞いたことねえ。だから……いいねえ、天使や悪魔も殺してやる! 天使や悪魔に死ぬ心境を味
あわせてやるよぉ!
さあ、ランチタイムの時間だよ、ってなああああああ!!」
♪ ♪ ♪
『←Past―』
【舞曲(ボレロ) 〜四重奏・T〜】
「く、そ!」
既に右腕のシェルブリットを展開した男、カズマは先刻グラハムによって強打された脇を抑えながら立ち上がった。
不覚だった。まさかファーストブリットを直撃させる寸前に男に割り込まれ、しかもよりにもよって先の乱戦で銃弾を受けたところを剣で思い切り叩かれてしまった。カウ
ンターの勢いによるダメージ増加もそれを助け、強烈な痛みがカズマの脇に襲い掛かった。さすがのカズマも、一旦距離を置くしかなかった。
手で押さえている箇所から血が滲んできていた。撤退するべきか?そんな言葉がカズマの脳裏を――
「ふざけるんじゃねえ」
わずかな可能性を、カズマはシェルブリットを構えることで捨て去る。グラハムたちは何やら3人で集まって何か話している。時折驚いた声や悲痛な声が聞こえるが、カズ
マにとってはどうでもいいことだ。
全員倒す。それ以外に何を考える必要がある。脇の傷も自身の疲労も、それを止める理由にはならない。
(前へ、前へだ。決して退くな。俺の目の前の壁って奴を)
カズマとは、そういう男なのだから。
「うおおおおおおおおおお!!」
カズマはシェルブリットの拳をゆっくり握り締めると3人向けて走り出した。その様は、まるで弾丸。シェルブリットの様だけでなく、彼自身が弾丸のように突き進む。敵
意と殺意を引き金に、意志を火薬に飛んでいく。まさに弾丸。
「!」
「ほら、もう時間がない。今あんたにできる最良はそれだけだと俺は思うんだが」
「……チョッパーくん……」
「っ!! ちっくしょおおおおおおおおおおおおおお!!」
対する3人の反応は、極めて迅速だった。
悔しそうに叫び、泣きそうな顔をしたチョッパーは四足歩行のトナカイに姿を変えて、
こちらは一見泣いてはいない、だが、目はグラハムに対して悲しそうな視線を向け、唇は無意識に噛み締められていた、そんな表情のレナは、チョッパーの変身が終わるや
いなやその背中に飛び乗った。
カズマは判断する。逃げる気か、と。
「させると思ってんのかよ!!」
逃亡を許すわけにはいかないと、カズマはシェルブリットの発動を――
「違うな、ツンツン野郎」
そこに、再び割り込む影。
デジャヴのようなその光景。女を攻撃しようとして、別の影が割り込んでくる。
最後の1人、グラハムは、剣を構えてカズマへとその剣を振りかぶった。
「っ!」
だが、カズマとて歴戦の強者、二度も同じ奇襲は喰らわない。腹へと迫る刃はこちらを向いていなく、剣の腹が向いている。さっきもなぜかそうだった。ならば――
カズマの足がすかさず振り上げられ、グラハムの剣の腹をその靴で受け止める。
(ッ!なんて、力だ!)
グラハムの贅力により引き出されたパワーに、カズマはわずかに顔を顰めた。
(クッ!)
悔しそうに顔をゆがめると、剣の腹を思い切り蹴り飛ばして後方へ飛び、着地した。前のめりに姿勢を留めたままで。
勢いを殺したことで、ダメージは防げた。だが、その代償は
「絶対、絶対だぞ! 絶対戻ってこいよ!」
「グラハムさん! 絶対、絶対助けを――」
「おっと、それ以上は駄目だ。命の恩人A。奴に聞かれてしまう」
「っ! ……ごめんなさい……!」
トナカイとその背に乗った女が悲痛な声を残しながら、高らかな音を残して走り去っていく。その速度たるや、先のカズマ以上。流石馬とよく似たフォルムを持った動物
なわけはある。
そして、残ったのは――2人の男。
「てめえ……」
「ああ、そういえば……まだ話の途中だったな。どこまでだった?『悲しい、悲しい話を』……あ、これは戻りすぎているなと俺は自分で気づいてしまった。『ああ、そうい
えば』……ああ、駄目だ。これは戻ってもいない。くそ、続けるはずだった話は現在と過去の間に消え失せたというのか!? む、今俺は凄い哲学的なことを言ってしまった
気がするぞ!」
アホなことをつらづら言っているグラハムにカズマは構わない。
目の前の壁が、さらにわかりやすく壁になっただけ。なら、自分がすることはまったく変わらないではないか。
そして、この壁は、強い。だが――
「ああ、そうだ。思い出した」
独特の青繋ぎのところどころは裂け、そこから見える肌からは血が滲んでいる。
頭からも血が流れており、流れた血がグラハムの頬を赤く彩る。
「『違うな、ツンツン野郎』、からだったな」
いくら直撃を逸れたとはいえ、発動させたシェルブリットの一撃。それは、グラハムのすぐ横の道路に直撃した。
「逃げさせると思っている、んじゃあない」
シェルブリットによって散った道路の瓦礫を、グラハムが避ける手段は――――なかった。
グラハムが無傷でいられるわけがなかったのだ。
「逃げさせるんだ、この俺が」
******
「くそぉ!ちっくしょぉ!」
2人の対峙する場から逃げ出したレナとチョッパー、そのうちチョッパーは走りながら泣いていた。
本当ならばグラハムを見捨てたくなかった。傷だらけのグラハムを残していくなんて。
でも
『俺と命の恩人A、2人とも載せて速いとは思えない。あの男に追いつかれてしまうだろう』
理屈はわかる。
自分にできることは、これしかなかったのだと。援護は出来ない。共に戦おうにも、自分にはランブルボールがない。チョッパー自身が作り出した、悪魔の実の波長を
狂わせる劇薬。それにより彼は、3形態への変身だけでなく、7形態へ変身する事ができる。それにより引き出される力は、亡国の悪臣チェスマーリモ、空番長ゲダツを
も単独で撃破せしめたほどだ。だが、逆を言えば、そのランブルボールがなければチョッパーの戦闘力は激減する。そして、今がまさにその状態だ。
彼に残されたのは、グラハムが提案した方法だけだった。
『命の恩人Aと共に劇場へ向かい、救援を呼べ』
既に劇場にはレッドとイスカンダルが到着しているはずだ。ならば、彼らに救援を求めるのが今できる最善。特にイスカンダルの力は誰もが(グラハムは『悔しいが』と
つけた)認めている。ここから劇場までそう遠くはない。妥当な選択と言えるだろう。
だが、レナは苦言を呈した。『レッドくんたちが劇場にいるかどうかわからない』と。何か不測の事態が起こり到着が遅れることだって考えられる。今の自分達がまさに
そうではないか。
だが、グラハムは頑なで、かつ狡猾だった。カズマが立ち上がるまで間がないことを強調し、2人を焦らせた。このまま迷ったままここで3人ともにいるか。戦えない
自分達では足を引っ張る。援護できる武器は強力過ぎて使えない。ならどうする。
2人は、少しでもグラハムを助けられる道を選んだ。
そして、その為にグラハムが残らなければならないことを。彼の力を信じて。
けれど
「レナ!おれ、急ぐから!全力で走ってやる!絶対、絶対イスカンダルをつれてきて、グラハムを助けるんだ!」
チョッパーは泣きながらも前を見据える。転んだりなんてしないように。
泣きながら足に力を込める。少しでも速く進める様に。
泣きながら叫ぶ。自分の意志を確かめる為に。
「…………」
「レ、レナ!? レナ!」
「あ……ご、ごめん。チョッパーくん。そうだね、速く劇場に行かないと」
「ああ!」
チョッパーのけむくじゃらの背中にしっかりしがみつきながら、レナは思う。
(また、私は……)
【仲間を増やすって意気込みながら……結果が、仲間を見捨てて自分は逃亡。ははっ、素晴らしい喜劇だわ、ぱちぱち】
(うるさい……うるさいうるさいうるさい!!)
目を瞑り、苦悶に顔を歪める。
頭二響く声、一体これは誰なのか。
どこか聞き覚えのある声なのは、気のせいか。
(私は、私は助けを呼びにいくの! 見捨てたんじゃない!)
【なら、なんでそんな苦しそうなの? 後ろめたいんでしょ? 認めちゃいないよ、偽善者】
(黙れ、黙れ、黙れ!)
ひた走るチョッパー。その背で、罪悪感を刺激するあらぬ声に苦しむレナ。
そんな彼らの元に、さらなる悲報が襲い掛かる。
『ごきげんよう諸君』
******
「うおおおおおおおお!!」
「るああああああああ!!」
二つの力が激突する。
1つは、カズマのシェルブリットの拳。もう一つは、グラハムの振う宝具『アロンダイト』。片やアルター、片や英霊の振う宝具。強度においては優劣は着けがたいだろう。
だが、力はどうか。シェルブリットは当然その力は攻撃にこそ特化する。力が弱いわけがない。だが、グラハムの方は宝具を使っているとはいえ本人自身は特に能力はない。
常人よりは強く、ラッドをして『俺より喧嘩が強い』と言わしめるとはいえ、真っ向からシェルブリットのパワーに対抗できようはずがない。勝負はグラハムに不利に思える。
真っ向からぶつかれば、だが。
「ッ!!」
拳をグラハム向けて繰り出したカズマはまたも起こった結果に対して歯噛みする。
迫る拳に対してグラハムが行った行動。それはアロンダイトで攻撃する、ただそれだけ。
ただし、相手はシェルブリットの拳ではなく、それより先――腕自体。シェルブリットで包まれているはずのその腕に、剣が命中する。もっとも、刃を向けていないが。
だが、逆を言えば……面積の広い腹である分、打ち払う分においてはこの方が効果的だ。
ガキィッ、と言う鋼と鋼がぶつかるような音が響いた。
シェルブリットの拳も、その砲台である腕を揺るがされては照準はズレる。結果、拳はグラハムに当たらずあらぬ方向へと向かってしまう。
勿論、素人がマネした程度ではこのようなことはできない。これができるのはグラハムが的確なポイントを狙っているからだ。拳に力を込め、1番力を入れるポイントを。
破壊することに特化した男は、そのポイントを理解していた。攻撃において脆いポイントを。
空を切る拳。その隙に、打ち払った力を利用してグラハムがくるりと回りもう片方の手何かを突き出してくる。
(させるかよ!)
カズマはとっさにそれを左手で打ち払おうとした。それは成功し、グラハムの手は宙へと払われた。
ただし、ゴキッ、という鈍い音と、激痛と共に。
「ッ!!!!!!」
ニヤ、と笑ったグラハムに向けてカズマは激痛に顔を歪めながらも蹴りを繰り出した。蹴りはグラハムの腹に命中し、グラハムが後ろに吹き飛ぶ。だが、すぐに着地し笑み
を浮かべている。
(後ろに飛んで当たりを浅くしやがった、かっ……にしても、くそっ)
激痛が未だに走る。その元はグラハムの武器を払った左腕。その左腕がだらんと下がっている
関節が、外された。しかも腕を払ったはずのあの一瞬で。
(違う……あいつ、払われたふりをして……!)
余裕の笑みを浮かべるグラハムを見やる。右手には黒剣アロンダイト。そして、左手には――小型レンチが握られていた。
どう見てもそれしか握っていない。つまり、それを突き出してきてカズマに払われたと見せかけ、一瞬でカズマの関節をレンチで挟み、的確に外した。神業、という呼び方
すら生ぬるいかもしれない技術だった。壊すことに特化するグラハムだからこそ、できたことだ。
「どうしたツンツン頭。派手な鎧も、当たらないと意味がないな」
「……! ツンツン頭じゃねえ、カズマだ」
「そうか。俺はグラハム・スペクターだ。よろしくはしねえがな、カズマ」
怒りに顔を歪ませるカズマ、対してそのカズマを見やるグラハムは笑っている。そしてその笑みのまま、誰ともなく呟いた。
「しかし、なんだかいつもよりやけに体が軽い気がするな。それに……なんだ?アイツのあの輝いて見えたり濁ったり見える部分は」
グラハムには相対するカズマのシェルブリットを纏った左腕、そこが煌びやかに輝いて見えている。同時に、剣を叩き込んだ脇腹や、左肩は濁って見えている。
カズマと戦闘を始めてから見え始めた異常だった。
「これは、まさか」
明らかな異常。それに対してグラハムが出した結論は――
「俺の中の隠されていた力が目覚めてしまったのか! 一度生死の境をさまよったことによって俺の中の生存本能が刺激されて、そして今お前との戦いで今俺の――」
兄貴分が兄貴分なら弟分も弟分ということなのかもしれない。
そんなグラハムの無駄話をカズマは禄に聞いていない。だが、一つだけ引っ掛かるところがあった。
(輝いて見えたり濁ったり見える、だと?)
普通ならばグラハムの戯言としか受け取らないだろう。なにせ日頃が日頃だし。もっともカズマはグラハムと初対面だからそこは関係ないが。
だが、グラハムの言っている現象、それは今まさにカズマにも起こっていることなのだ。グラハムの輝いている場所、濁っている場所が見えている。そして、それは初めて
のことではない。
遊園地で相手にした3人にも、少し前に一方的に殺害した少女にも、同様のものが見えていたのだから。
今までは特に気にしていなかった。それこそ目の錯覚か、シェルブリットの新しい力か何かかとでも適当に考えていた。だが、敵であるグラハムにも見えているとなると話
は別だ。一体、自分に何が起きているのか――
そんな時だった。
『御機嫌よう諸君。無事第2回目の放送を迎えられて嬉しいよ』
「!コイツはっ」
「ギラーミン……もう放送の時間か」
2人とも当然この声の主は知っている。ギラーミン。こんな場所に自分達を放り込んだ張本人だ。その声が聞こえる。つまり、今放送の時間を迎えた事になる。
『諸君もこの放送を聞けば生き残っている実感を得られるだろう?その感覚を忘れないでくれたまえ。
当たり前の話だが死んでしまえばもう何も感じることはできなくなる。』
その言葉にカズマは不快感を味わいながらも、浮かぶものがあった。
死んでしまえば――もし、自分が死んでしまったら――
『カズくん!』
「うあああああああああああああああああああ!!」
「なっ!」
放送の声をバックにカズマが猛り、叫んだ。天高く、叫び、左肩の羽が消えていく。その様に、グラハムも放送を聞く耳を止め、剣とレンチを手に構えた。
放送を聞きながら、勝てる相手ではなさそうだ。
「撃滅のぉぉぉぉぉぉぉ!!」
カズマの右肩の車輪が回り、ヘリコプターのように宙に浮かび、グラハム目掛けて突っ込んでくる。
小細工などない。ただ、突っ込んで拳をぶつける、それだけの一撃。
もっともグラハムにそれを真正面から受ける義理はない。
足に力を込め、当たる寸前に避ける。やけに体が軽い今なら充分できる芸当。グラハムにはその確信があった。
力を入れた足から、突然力が抜けなければ。
「あ……?」
疑問を思う暇もない。
疑問を考える暇などない。
目の前には、カズマが急接近してきている。うなりを上げ、あたりの瓦礫を散らし、突っ込んでくる敵意の弾丸。
瓦礫の直撃によるダメージ。それをグラハムは――読み違えた。
それだけの、話。
「セカンドブリットォオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
轟音と共に、グラハムの体がピンポンダマのように弾けとんだ。ガスッ、ゴスッ、という音ともに地面をバウンドし――露店のガラス窓に突っ込んだ。
ガシャァアン、というけたたましい音。それが、終焉を告げるドラの音だった。
♪ ♪ ♪
『―Same Time―』
【聖譚曲(オラトリオ) 〜レッド〜】
「そんなっ……ちく、しょう!」
空。ただ広がる青空。信じられない話だけど、俺はそこを飛んでいた。まあ、プテに掴まれて飛んだことはあったけどさ、自分の意志でこんな自在に動くのは初めてだ。
俺は早く劇場に着かなくちゃいけない。だから、できるだけ急いだ。放送までには間に合いたかった、けど、流石に距離が遠すぎたみたいでそれは無理だった。劇場に
着く前に放送になってしまったんだ。
そして俺は、俺が間に合わなかった事を知った。
聞いてしまった。衛宮って人の名前を。名簿を見ても、そんな名前の人は他にいない。
「ごめん、ごめん……!」
まただ。また、手が届かない。
イエローにも、魅音さんにも、衛宮さんにも、手が届かない。伸ばしても、伸ばしているはずなのに、届かない。
俺は……無力、なのか?
「っ!! いや、まだだ! まだ……!」
チョッパーも、レナも、グラハムさんも、もちろんイスカンダルのおじさんも、ハクオロさんも、まだみんな生きている!まだ、まだ手が届くんだ!
「あきらめるもんか!」
このまま劇場へ向かおう。
もし俺たちみたいにレナたちにも何か起こっていたら、助けられるかもしれない。どの道、到着が遅れたんだから連絡しないといけないしさ。
5分くらいで目的の劇場が見えてきた。ガラス張りの入り口が見える。あそこにレナたちがいるはずだ!
「着いた!」
そして俺は建物からいくらか離れた道でX-Wiをゆっくり降ろしていく。それで着地して、すぐに駆け込んでレナたちを捜すつもりだった。衛宮さんが死んでしまった以上、
イスカンダルのおじさんもこちらに向かってるはずだ。あの馬で、きっとハクオロさんと一緒に。だから、皆でおじさんを待つつもりだった。3人に何も起きてなければ、そ
うなるはずだった。
でも、俺は忘れてた。
それは、俺にも何もないこと、も条件だったんだって。
ゴウッ、という音がした。突然何かが俺の上を掠めたんだ。
その何かの起こした風で、まだ空中にいた俺の姿勢が僅かに崩れた。
一体、何だ、と俺がそれの行方を見ようとした瞬間――
轟音と共に、爆発が起こった。それは、目の前の劇場から起こっていて――
間もなく、爆風が俺を容赦なく地面に叩き落した。
「うああああっ!!」
金属音と一緒に、俺は地面に叩きつけられて転がった。転がった時に見えた破片、多分X-Wiが落ちた衝撃で壊れたんだ。少なくとも、羽は完全に折れてる。
俺はなんとか手を突いて立ち上がろうとする。
何が、起こったんだ? 突然、劇場が爆発して、凄い風と熱が襲ってきて、姿勢を完全に崩してしまったんだ。
その疑問の答えは、すぐにやってきたんだ。
大きな、大きな声と一緒に。
「ひゃっははははははは! どうだぁガキィ!! 安全地帯から地獄へ戻ってきた気分はよぉお!! おかえりなさい地上へ、ってなぁ!」
♪ ♪ ♪
『←Past―』
【小夜曲(セレナード) 〜グラハム・スペクター〜】
「っ……くっ」
少し、気を失っていたかもしれん。
気がつけば上に重いものが載っている。
ああ、物だ。人じゃあない。おそらく俺が突っ込んだ時に落ちてきた瓦礫だ。
なら、問題ない。
俺は派手に瓦礫を、持っていた剣で打ち砕いた。斬ったりなんかしない。俺にはやはり、斬るのはなんか性に合わない。
瓦礫が飛び散るのも待たず、俺は立ち上がり、店の外向けて走った。パチパチ、とガラスを踏むのも無視した。
アイツは、いない。
俺が死んだと思って命の恩人達を追って行ったのか。くそ!
奴の攻撃が決まる瞬間、俺は何とかコイツで奴の拳を受けた。だが、それでも勢いは殺しきれず店に吹っ飛んでしまった。それでも普通なら流石の俺もしんでいたかもしれ
ないが……たしかこの剣は『使う奴の能力を1ランク上げる』とあった。1ランクというのはよくわからないが、もしその中に丈夫さとかが入っていたならおそらくそれも強
化され、そのお陰で俺は助かったのだろう。これをくれた命の恩人Aにはもう、枕を向けては寝られない。……む?しかし足を向ける方が失礼じゃないか? いや、しかし―
と、俺は我に返った。しまった!こんなことをしている場合じゃあない!奴を早く追って、命の恩人たちを救わねば!
俺はすぐに店から飛び出し、あのツンツン頭を追おうとした。
次の瞬間、俺の足から……完全に力が抜けた。
な、ま、また、か? なんでだ――そもそも、さっきだって――!?
そこで俺はもう一つ思い出した。
剣の説明の、『使う奴の能力を1ランク上げる』。この前の文。
『使用者の体力を消費して』。
そう、か――俺は、戦っている間に――どんどん体力を、失っていたのか――なんて、こった――
説明を忘れて、自爆だと――なんだんだ、俺は――
地面が近づいてくる。ああ、俺はこんな所で倒れていられないってのに。
滅多にないことなんだぞ? 破壊しか能がない俺が、ラッドの兄貴とシャフトその他大勢やジャグジーたちくらいしか付き合う相手がいなかった俺が。
誰かに命を救われて、その恩を返せる機会が来るなんて――
俺は、それすらできないのか――
く、そ――――
♪ ♪ ♪
『―Same Time―』
【狂想曲(カブリッチオ) 〜四重奏・U〜】
「どうだいどうだい! 天使や悪魔じゃなさそうなのは少しばかり残念だが別にいい! いや、でもお前背中から出たあの羽何よ? なぁ、なんか武器で出でたのか? それ
ともおまえ自身が出してたのか? なあ、どっちなんだよ? やってみせろよ、おらあ!!」
「ぐあああああ!!」
「ああ、できるわけねえか……俺が今踏みつけちまってるんだからなぁ、ヒャハハハハハハハ! こいつぁすまねえなぁ無理言ってよぉ!」
自分勝手にそう叫ぶ狂人ラッドはレッドの足を踏みつけながら言った。踏まれた足は無残に捻れ、歪な方向を向いている。折れているのは明らかだった。その箇所を、
踏み砕いた時そのままのラッドの足が容赦なく力を入れて苦痛を与える。
それは圧倒的な蹂躙だった。地に落ちたレッドを逃がさず、ラッドが与えた苦痛。それによりレッドを苦しみ、ラッドは嗤う。殺人鬼は、嗤う。
「ヒャッハハハハハハハ!
…………ここまでして、諦めねえのかてめえは」
今まで高テンションだったラッドのテンションが一気に下がった。その原因は、レッドの眼だ。
苦痛に歪んでも、絶望を与えられても、レッドは諦めていない。その目から光が失われない。
だが、それよりもラッドが気になることは。
「なんでお前、俺を恨まねえ」
普通、足を折られ、ここまで罵倒されれば、敵意はおろか憎悪を抱かれるのが普通だ。だが、レッドは苦しみこそすれ、ラッドを見るその目に憎む色は見られない。
生粋のマゾ野郎なのか、とラッドが更に罵倒してやろうと口を開いた。
「確かに、痛いよ。それに、俺は死ぬわけには行かないから、だからラッドさんを全く憎んでないわけじゃない」
「ハッ。なるほどなあ。死なないと思ってるんじゃなくて、死ぬわけには行かない、ってか。そりゃあ俺の勘違いだったな。ま、それでもここまでやったんだ。今更やめるな
んざ――」
そこでラッドの口が止まる。
おいまて、今こいつなんて言った。
「お前、なんで俺の名前を」
「だって……聞いたとおりなんだ。自分が死なない、って思ってる人を殺したいなんて――」
「グラハムさんが言ったとおりの人なんだ。だから、俺はグラハムさんが信じている人を……悪い人だって、どうしても思えない」
仲間である、グラハムへの信頼。そのグラハムが信じる、ラッドへの――
「てめ……なんでグラハム坊やの事を」
その言葉にラッドは僅かに動揺した。自分の弟分であるグラハム、それを知る目の前の少年、しかも自分に対して信頼を向け続けるおかしな少年に。
そのわずかな隙を、『彼』は見逃さなかった。
銃声、そして刹那。
ラッドの胸に穴が開き、そこから血が噴出した。
*****
スーツの男がぐらっと倒れ、一部が破壊された劇場前の丘の向こうへ転がり落ちていく。
そんな光景を、古手梨花は隣に居る、まさに男を射撃した当人、ウルフウッドを共に見ていた。その顔は、人を助けた割にはあまり明るくは見えない。それも仕方ない。
なにせ、同行者が人を殺したその瞬間を見てしまったのだから。
「ニコ、ラス……」
「どう見たかて、加害者はアイツや。アイツは、ワイのよー見た面しとった。アレは、狂っておって、かつ人殺しが楽しい顔や」
対してウルフウッドは冷静に、冷徹な表情を変えずにデザートイーグルの銃口を下ろした。
「さ、あの坊主、助けるんやろ?」
「え…ええ……もしかしたら、レナを見たかもしれないし」
梨花は何とか気丈に答え、ウルフウッドと共に丘を駆け上がっていった。
2人がここに着いたのは少し前。
赤コートの女とレナがいるはずのここに来た時、響き渡ったのは爆音だった。その方向に行くと、ガラス張りが無残にも崩壊し、ガラス片を待ち切らし、一部が爆弾を
放りなげたのかというくらい吹っ飛んでいるロビー、そしてその近くでバズーカを抱えた男と、そいつに踏み潰されている少年の姿だった。
しばらく物陰で様子を見た後、ウルフウッドはすかさず銃口を向け、引いた。梨花には何も言わなかった。あの男が梨花の知り合いである可能性はないのだから。
「おい、大丈夫か坊主」
「お、お兄さんと……君が助けてくれたの?」
「みぃ、僕は何もしてないのです」
「この期に及んでキャラ作りかいな…………こらあかんな。完全に折れとる」
梨花が少年の相手をしている間に、ウルフウッドは屈んで少年の足を見てみた。ズボンをまくり、足を見る。歪んだ足、欝血、完全に折れてしまっている。
(仕方あらへん。その辺で松葉杖代わりになるもんでも捜したるか。ったくめんどい)
一方、梨花の姿を見た少年、レッドは何やらはっとした顔をした。
「『みぃ』に、『僕』……それに、長い髪の女の子?」
「!?」
梨花の反応は速かった。すぐにレッドに近づいて詰め寄る。
「だ、誰から、誰から僕のことを聞いたのです!?」
「レ、レナだよ。レナの友達の古手梨花、でいいんだよね?」
「そ、そうです! そうなのです!」
梨花は嬉しくて何度も頷いてしまった。
やはりレナはここにいる。しかもこの少年とはかなり深い情報を交換しているらしい。そして、この少年は見るからに危害を加えそうな人格には見えない。つまり、その少
年と親密そうなレナもまた、人に危害を加える方針ではないことだ。少しだけ、ほんの少しだけ雛見沢症候群を危惧していた梨花にとってそれは希望に満ちた推測だった。
「で、レナは!? レナはどこにいるのです!?」
「レナは……多分劇場の――!?」
と、突然レッドが顔をしかめた。
何なんだ、と梨花は思ったが、次の瞬間、とてつもない異臭を鼻に感じた。おそらくこれにレッドはいち早く気づいたのだ。
ミス……orz 支援
しえん
「な、何この匂い!」
「なんやこの腐った卵のよーな匂いは!……まさかっ」
ウルフウッドも同様のようで顔を顰めて鼻をつまんでいたが、何かに気づいたような顔をした。
だが、その反応は――遅かった。
「うああああああ!!」
突然、何かが2人に突っ込んできた。
梨花はおろか、ウルフウッドに対抗できる手段はない。なにせ、その何かが近すぎた。目の前の相手が。
背中の機械を輝かせ、自分たち目掛けて猛スピードで突っ込んできたその何かが。
「ぼ、坊主!?」
「あ、あなたっ!?」
まさか騙しうちだったのか、そう2人は思った。
だが、彼らに何かが突き刺さったり、危害が加えられることは、なかった。
その何か、レッドがしたのは、たった一つ。
2人を、思いっきり突き飛ばしたことだけ。手元の自分のデイパックを押し付けて。
レッドよりも小さな体躯の梨花は当然だが、大柄なウルフウッドまでその力に耐え切れなかったのは、飛行は出来ずとも光を力に変換したX-Wiの推力と、膝を突いた不安定
な体勢と、レッドの渾身の力によるもの。
かくして、2人は後ろに倒れ、丘から転げ落ちていく。
2人は見た。転げ落ちながら、自分達に攻撃を起こしたのかと疑った少年を。
すまなそうに、でも、しょうがない、とでも言いたげな苦笑い。そんな顔をしながら、手をこちらへ伸ばしたまま、わずかに滞空した少年を――
そして
その姿は、閃光の中へ消えた。
*****
『庇われた奴は、一度死ぬ』
フィーロさんに言われた言葉だ。
なら、俺はあの2人を殺しちゃった、のかな?
でも――他に何も考えられなかった。少し顔を傾けたらラッドって人がバズーカを2人に向けてるのが見えたら。
馬鹿だよなぁ。自分の命を守る、って決めたのに。
やっぱり、俺、そういうの似合わなかったみたいだ――ごめん、イエロー。
レナ、チョッパー、グラハムさん、そして――イスカンダルのおじさん。ごめん。俺はもう、ここまでみたいだ。
でも、皆は頑張ってくれ。ギラーミンなんかに、負けないでくれ。
ピカ、フッシー、ニョロ、ゴン、プテ、ギャラ、ブイ――お前らは、どうしてるんだろうな? マサラタウンにいるのかな? それとも、ここにいるのか? こっちだと、
いやだなあ。
でも、どっちでも――ごめん。俺、お前らのトレーナーなのに――
もし、お前たちを大事にしてくれる人と、お前たちが出会えたら――任せられるんだけど、な――
いたら、いいなあ――――そんな、人が――――
*****
「あ、ああああああっ!」
一瞬で、とてつもない光が丘の向こうから迸った。丘の一部を抉り、光と熱を周囲に放出する光の帯。
それが、一瞬で、レッドの全身を呑みこんだ。小さな獲物を喰らう大蛇のように。
梨花とウルフウッドが転がり落ちるのが止まり、二人がすぐに立ち上がったときには、もう何もできることはなかった。
ごろ、ごろと梨花の目の前に何かが丘を転げ落ちてきた。まるで蓮根か大根が2本分のように見える、なにか。
「あ、うう、ああああ!」
それを見て、梨花は目を見開き、口を手で抑えた。もれそうな何かを必死でとどめようとして。
それは、レッドの両腕だった。
突き出していたせいで光の飲み込まれなかった肘から先。右腕の手首には包帯が巻かれ、手にはグローブが巻かれた生々しい腕。切断面は焦げており、嫌なにおいが漂って
きた。
「っっっ!!」
梨花が両腕に目を放せない間に、ウルフウッドは丘を見上げた。
丘の頂点は抉れ、周辺の生えていた草の一部は無残に黒焦げになっている。
そして、その抉れたところの縁に……黒焦げの人形みたいなものが1つ、倒れ伏せていた。
それがレッドの成れの果てであると、ウルフウッドは理解した。滞空していたそれが地に落ちて、そのショックで炭化した腕が脆くも砕け、両腕が落ちてきたのだと。
ぎり、と歯がぎしりなる。
誰だ、誰が――
「おいおいおい……このガキにはグラハム坊やの事を聞きたかったんだぜ? 俺が狙ったのはそこの黒スーツだってえのによお」
「なんや、と」
それは完全に胸を射抜いたはずの男の声だった。防弾チョッキだったはずがない。間違いなく血も確認した。そのはずなのに。
だが、そんなウルフウッドに『間違い』という答えを突きつけるかのように、抉れた丘に、丘の向こうからそれは姿を現した。
「まあ、やっちまった物は仕方ねえ。グラハム坊やに関しては後回しだ。さっきはよくもやってくれたなあ、黒スーツ野郎!」
白いスーツに大きなバズーカを抱えた、狂気の形相を浮かべた男。それが、平然と立っていた。
彼が持つバズーカからは煙が上がっている。ガス入りの風貝を装填する事でそれを相手向けて噴射してそのガスに炎を引火させ相手を焼きつくす”燃焼砲(バーンバズーカ”
。それがラッドが先ほど放ち、レッドの命を奪った一撃だった。
そこまでの理屈はウルフウッドも知らない。だが、ラッドが撃った一撃がレッドを殺した。それだけは彼の言葉からも確実な事だ。
そして、ラッドの風貌で気になる点がもう一つ。
ラッドの容貌は、胸のスーツこそ穴が開いているものの、そこから見える肌にはふさがりかけた傷しか見えず、噴出して服についたはずの血すら見当たらない。
いままで数多くの戦場を経験してきたウルフウッドも、その様子には驚愕するしかなかった。
(どういうことや……まさか、コイツもあの……いや、それじゃあ血まで消えてることの説明がつかん)
再生については思い当たる節もある。だが、それだけでは説明しきれない。
だが、一つだけ確かな事があるならば。
「…………やっちまった物は仕方ねえ、か。……随分軽く言えるもんやな」
激怒はしない。激情はぶつけない。
ただ、静かに懐のデザートイーグルを握った。
それで、ウルフウッドの意志表明は充分だった。
それを見て、ラッドは笑みを更に深くする。嬉しそうで、楽しそうで、狂った顔を。
「いいぜぇ、来いよ」
ウルフウッドの銃口が自分に向かれる前に、彼は口を開く。
言いたいことを言い尽くし、そして、狂いのままに殺していく為に。
♪ ♪ ♪
『←Past―』
【幻想曲(ファンタジア) 〜カズマ〜】
前へ。ただ、前へ進むだけだ。
グラハムを再起不能と判断した俺は、残りの2人を追って走り出した。
だが、あの鹿だかなんだかよくわからない奴はかなり足が速かった。ただ追っただけじゃ追いつけねえ。ラストブリットで飛んでも、距離は高が知れてる。
なら、諦めんのか? んなわけに行くかよ。
腹が痛む? 左肩が痛む? だからどうした。俺は、こんなところで潰れてるわけにはいかねえんだよ。
俺はデイパックを取り出した。本当なら、こんな道具になんざ頼りたくねえ。ましてや、こんな……兄貴に思い切り嫌味を言われそうな道具を。
……いや、もうそんなことはねえか。
兄貴はもう……死んだ。金髪野郎を殴りぬいた後に聞いた放送で、もうそれは聞いていた。
お前には速さが足りない……か。
ならよ、こんな道具で速さを補う俺は、きっとアンタからすりゃ最低なんだろうな。
でもな、今はそんなの聞いてられねえ。
俺は、デイパックから取り出した『チータローション』とか言うのを足に塗ると、まだ中身の残った容器をそこらへんの林にぶん投げた。
あんなもん、2回も使ってたまるかよ。今回きりだ。
そして、俺は走り出した。とてつもない速さで。
アンタの速さは、こんな借りもんじゃあなかったよな。
ちっ、これですら届いてないなんざ、アンタはどんだけ速かったんだ。どんな風に周りを見てたんだ。
速すぎて、周りが何も見えやしねえ。
しばらく走り続けると、建物が見えてきた。3階建てくらいはありそうな建物。
その前に、奴らがいた。間違いねえ。鹿みてえな奴と、白服の女!なぜか鹿はちっちゃくなっててその鹿は死んだみてえに力を失って、それを白服女が必死に引っ張って
いるみたいだ。
放送で誰か大事な奴でも死んだか? あのグラハムは呼ばれてなかった(もっとも放送と同じくらいに死んだかもしれねえからわかんねえけど)から、別の奴か。
わりぃな。手前らの都合には付き合ってられねえんだよ。
チータローションの効果が切れたらしく、一気に勢いが弱まった。だが、もうここまでくれば充分だった。
「抹殺のぉおおおおおおお!!」
シェルブリットと共に、宙に浮かぶ奴ら向けて突撃する。
白服の女が俺の姿を見て、驚いた顔をしたが、すかさず鹿を抱えて横に跳んだ。
別に構いやしねえ。これは……単に、怒りが収まらねえだけだ。借り物の力を使っちまった、俺自身に。
「ラストブリットォオオオオオオ!!」
拳は、奴らの背後にあった、建物のガラスも突き破り、その内部の壁に、直撃した。
ドオッ、という爆音。
壁がへこみ、ひび割れ、辺りにあったテーブルやらソファーやらが衝撃で宙を舞い、バラバラになった。
俺はそんなもんに目もくれず、床に足を着くと、建物の中から奴らを見やった。
2人とも、その目は信じられないものでも見ている様子だ。そりゃそうだよな。俺が居るなら、グラハムはどうなったんだ、って話だ。
だが、俺は答えるつもりはねえ。
ただ、言いたいことは言っておく。
♪ ♪ ♪
『―Same Time―』
【交響曲(コンチェルト) 〜そして全ては劇場と○へ〜】
劇場のロビーは酷い有様だった。
北劇場は爆発によりガラスが全て割れ、今だ煙が上がっている。
南劇場はシェルブリットによりロビー中の物が余波を受け、壁には酷い皹が広がっている。
その劇場に、1人男が居る。
男はバズーカを抱え、白いスーツに身を包み狂笑を浮かべていた。
男は新たに右腕に鎧を形成し、敵意を瞳に宿していた。
男の前には、2人の人影がある。
それぞれ男女の組み合わせだった。
長い髪の少女は両腕を前に恐怖に震え、
黒スーツの男は何も言わず白スーツの男に銃口を向けた。
男であるトナカイは放送による影響を抱えたまま敵を見据え、
白服の少女は目の前の敵にあらゆる思考を巡らせた。
殺意を向ける男は、口を開いた。
「そのガキがグラハム坊やを知っていようが」
「てめえらが脱出したくて集まっていようが」
「「俺にとってはどうでもいいことだ」」
「俺がやることはたった一つなんだからよぉ!」
「俺がやることは何もかわらねえ」
「「単純に」」
「殺す!!」
男はバズーカを敵に向けた。
「目の前の壁をぶっ壊す」
男は右腕を敵に向けた。
そして、男は告げる。
容赦なく、慈悲もなく。
「だからよぉ!」
「さあ、いくぜ……」
「始めようぜ!殺し合いを!」
「始めるぜ……覚悟決めろ!」
かくして
戦いは始まる。
北で。
南で。
役者は
ラッド・ルッソ。
ニコラス・D・ウルフウッド。
古手梨花。
カズマ。
竜宮レナ。
トニートニー・チョッパー。
そして、残る役者は――。
♪ ♪ ♪
『???』
【神曲(ディビーナコメイディア) 〜アーチャー(ギルガメッシュ)〜】
「さて――いつ始まるか」
我は中央劇場音楽ホールの座席、1番見取りの良い座席に陣取っていた。
見下ろす先には、舞台、その奥に巨大なパイプオルガンがある。
ほほう、中々に良い代物のようだ。音も確認しておきたいが、おそらくはかなり良好な調律を施されていると見える。一曲旋じてみるのもまた面白い。
まあ、それを行うのは……事態次第だがな。
我の隣に従者圭一は居らん。先の放送のあと、小便と行って出て行った。ククッ、わかりやすい奴だ。ミオンとかいう女が呼ばれていたな。いや、あるいは……まあいい、
そこは今は考えないでおいてやろう。
そういえばあのクーガーという男も死んだか。奴も我を楽しませてくれると思ったが……いや、むしろ無傷だったあの男が4時間程度で死に至ったというその経過もまた知
りたいものだな。
今頃は何をしているのか。仲間を失った悲哀に暮れているか、レナという仲間を捜しているか、我を恐れてどこにも行けずにいるのか。
我はどれでも構わん。なぜなら、圭一はどう転んだとて、『何か』に巻き込まれるに違いないのだ。
防音設備如きでサーヴァントである我の聴覚を遮れるものか。全く阻害されぬわけではないが、壁に触れていれば振動等は充分感知可能だ。
北の劇場で爆発、南の劇場で衝撃、か。面白そうな連中が集まってきているようだな。あの下女がどちらにいるか、いないか……それも面白い。
そして、この様な状況で圭一がどう動くか――それこそが我の目撃したき事よ。
たしかに我は奴とその仲間を脱出させることに吝かではない。だが、それは奴が我の認めるに足る存在であった場合だ。
奴の『人を信じる力』、それが果たしてどれ程のものか、どれ程までに耐え切れるのか、どれほどまでに強いのか、それを我は見たいのだ。
小便如きに荷物をほとんど持たせたままやったのもそれ故だ。誰かに奪われたとて構わん。その後そいつを処断してから取り戻せば良いだけのことだ。
我を頼りここへと戻るか?
全てに怯え隠れ潜むか?
仲間を捜して劇場内を走るか?
暴れまわる無法者に立ち向かうか?
全てを放棄し逃げ去るか?
どれでも構わん。ああ、どれでも構わん!
さあ、見せてみよ圭一! お前が従者で、凡愚な雑種で終わるかどうか!
我を楽しませよ。我を享楽させよ。我にその力を見せてみよ!
我は待とうぞ。お前が動くその時まで。
さあ……観劇を、始めよう。
♪ ♪ ♪
【最終楽章(フィナーレ) ???】
奏でるのは 誰?
【レッド@ポケットモンスターSPECIAL 死亡】
【残り33人】
【E-3道路/1日目 日中】
【グラハム・スペクター@BACCANO!】
[状態]:疲労(大) ダメージ(中) 青いツナギ姿(いくらか傷) 腕に○印 気絶?
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero 包帯 小型レンチ
[道具]:支給品一式、(一食分、水1/10消費。うち磁石は破損)、スペアポケット@ドラえもん、かぁいい服
海楼石の網@ONEPIECE
[思考・状況]
1:レナ・チョッパーを助けるため、カズマを追う。
2:ウソップを殺した者を壊す。
3:イスカンダルに敵意。
4:殺し合い自体壊す
5:ラッドの兄貴と合流、兄貴がギラーミンを決定的に壊す!
6:イスカンダルの勧誘は断固拒否。
※レッドたちがクレアを信用していることを知りません。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※疲労により倒れましたが、気絶したのか意識がまだあるのかはわかりません。
【E-5劇場・北劇場北口前/1日目 日中】
【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:全身裂傷(小)、腹部に傷(中)、胸に銃創、全て再生中 不死者化
[装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝(装填中)@ワンピース
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
1:黒スーツの男(ウルフウッド)を殺す。子供(梨花)は…?
2:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
3:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
4:クーガー、ラズロ、御坂は殺す。
5:ギラーミンが言っていた『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』(不死者)は絶対に殺す。
6:宇宙人(ミュウツー)は出来れば最後の最後で殺す。
7:左腕が刀になる女(ブレンヒルト)も見付けたら殺す。 詩音はまあどうでもいい。
8:ギラーミンが言っていた『人間台風の異名を持つ者』、『幻想殺しの能力を持つ者』、『概念という名の武装を施し戦闘力に変える者』、『三刀流という独特な構えで
世界一の剣豪を目指す者』に興味あり。
9:グラハムについて少し気になる。
【備考】
※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(エルルゥ)、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。
※自分の身体の異変に気づきましたが、不死者化していることには気付いてません。
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 レッドの死にショック
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム、
蓮の杖@とある魔術の禁書目録、二重牙@トライガン・マキシマム、レッドの両腕(包帯と○印あり)、絶縁グローブ(軽く焦げ)@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]
1:そんな…
2:必ず生き残る。
3:圭一達を見つける。
4:安全な場所に行きたい。
※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません)
※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。
※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
※スタープラチナに適正を持っています。僅かな時間ですが時止めも可能です。
※スタープラチナを使えないことに気付きました。落としたことには気付いてません。
※ルフィと情報交換しました。
※レナが劇場にいるという情報を得ました。
※レッドのデイパックを持っています。まだ中身は確認していません。
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:強い怒りと悲しみ
[装備]:デザートイーグル50AE(7/8 予備弾30)
[道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ)、SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL
シェンホアのグルカナイフ@BLACK LAGOON、○印のコイン
[思考・状況]
1:目の前の男を殺す。
2:古手梨花を守る。
3:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触。
4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
※ルフィと情報交換しました。
※自身が梨花の事を名前で読んでる事に気づいていません。
※○印のコインの意味は不明です。使い道があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。
※ラッドの再生がミカエルの眼の改造技術に起因するものではないかと推測を立てています。
【E-5劇場・南劇場南口ロビー/1日目 日中】
【カズマ@スクライド】
【状態】:COOL 疲労(大) 全身に負傷 砂鉄まみれ 右腕に痛みと痺れ 右目の瞼が上がらない 右頬に小さな裂傷(アルターで応急処置済み)
腹部と頬に打撃ダメージ、脇腹(打撃痕も)と左肩に銃創 シェルブリット発動中
【装備】:桐生水守のペンダント(チェーンのみ)、スタンドDISC『サバイバー』@ジョジョの奇妙な冒険
【道具】:基本支給品一式×4(食料を3食分、水を1/3消費したペットボトル×2、)、不明支給品(0〜4)、聖剣グラム@終わりのクロニクル
モンスターボール(ピカ)@ポケットモンスターSPECIAL、君島邦彦の拳銃@スクライド
【思考・状況】
1:ロストグラウンドに戻り、かなみを助ける。そのために優勝する
2:目の前の2人を倒す。
3:ギラーミンを殴り飛ばす
4:ムカつく連中をぶん殴る。(ゼロ:誰かはよく分かっていない、仗助:死亡を知らない、クレア、レヴィ)
5:次に新庄、伊波と出会ったら……
6:メカポッポが言っていた、レッド、佐山、小鳥遊に興味。
※ループには気付いていません
※参戦次期原作20話直後。
※相手の部位が光ったり濁ったりすることについて疑問を抱きました。
【チーム名:○同盟(レナ組)】
1:主催者の打倒。
2:二チームに分かれ、それぞれで『ノルマ』(仲間集め、殺し合いに乗った者の討伐を、計三人以上行う)を達成する。
3:出会い、信用した相手に印のこと(腕に○の印を描き、その上に包帯等を巻く)を教える。
4:劇場にいるはずの仲間の捜索
5:サングラスにスーツの男(無常)、クロコダイル、サカキ、アーチャー、ミュウツー、片目の男(カズマ)を警戒。クレアという女性を信用(グラハム以外)
6:ラッドについては微妙(グラハムの兄貴分という情報はあります)。
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 私服 右腕に○印
[装備]: 包帯 二重牙@トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式(一食分、水1/10消費)、ドライヤー
[思考・状況]
0:???
1:目の前のカズマに対応する
2:レッド、イスカンダルを捜す。
3:グラハム
4:部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留)
5:何とかして首輪を外したい
6:イスカンダルの勧誘は保留。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※第2回放送を聞いたことによる具体的な影響は後続の書き手に任せます。
【トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:健康 腕に○印 深い悲しみ 疲労(小)
[装備]:なし 包帯
[道具]:支給品一式(一食分、水1/10消費) タケコプター@ドラえもん、 タオル、救急箱
[思考・状況]
1:???
2:ルフィ……?
3:目の前のカズマに対応
4:レッド、イスカンダルを捜す?
5:仲間と会いたい
6:グラハムの様子を見る。(別れている為現在実行不能)
7:ギラーミンを倒し、脱出する。
8:イスカンダルの臣下になるかはとりあえず拒否。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期はCP9編以降。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※第2回放送を聞いたことによる具体的な影響は後続の書き手に任せます。
【E-5劇場・中央劇場内音楽ホール3階席/1日目 日中】
【ギルガメッシュ@Fate/Zero】
[状態]:肩と腹に刺し傷(小・回復中)、不死(不完全)
[装備]:王の財宝(の鍵剣)、黒のライダースーツ、劇場のパンフレット
[道具]:必滅の黄薔薇@Fate/Zero(王の財宝内)
[思考・状況]
基本行動方針:主催を滅ぼし、元の世界に帰還する。必要があれば他の参加者も殺す。
0:圭一とその仲間を脱出させる。ただし、圭一の価値を認められた場合。
1:騒乱を利用して圭一の価値を見定める。
2:他の参加者をけしかけてバラライカを殺す。可能ならレナ達も。
3:自分を楽しませ得る参加者を見定める。
4:ゾロ、佐山に興味。梨花とウルフウッドについては当面様子見。
5:圭一が自分のクラスを知っていた事に関しては・・・?
6:宝具は見つけ次第我が物にする。天地乖離す開闢の星、天の鎖があれば特に優先する。
[備考]
※不死の酒を残らず飲み干しましたが、完全な不死は得られませんでした。
具体的には、再生能力等が全て1/3程度。また、首か心臓部に致命傷を受ければ死にます。
※会場が自然にループしていることを把握しました。
※悪魔の実能力者がカナヅチという弱点を知っています。
※本編での経験から、螺湮城教本を手に入れる気にはならなかったようです。
※クーガーには強い印象を受けていますが、橘あすかのことは忘れました。
※文中台詞の"山猫"とはクーガーのことです。
※圭一の仲間が劇場に向かうということを聞きました。
※銃火器にはもう対処できます。
【E-5劇場・中央劇場?/1日目 日中】
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労(小)、頭部にたんこぶ×2、頬に痛み、右足に銃創(止血済み)
[装備]:デザートイーグル(残弾数2/6)
[道具]:双眼鏡(支給品はすべて確認済)、不死の酒(完全版)(空)、基本支給品×2、ゾロの地図、黄金の鎧@Fate/Zero(上半身部分大破)、ヤマハV-MAX@Fate/zero
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を助けて脱出したい
1:???
2:切嗣についてアーチャーには漏らさないようにする?
3:切嗣、佐山のグループと早く合流したい?(切嗣のことをそれなりに信用してます)
4:万が一のときに覚悟が必要だ
5:魔法使い……?
[備考]
※時系列では本編終了時点です
※アーチャーの真名を知りません。
※クロコの名前、カナヅチという弱点を知りました。
※橘あすかと真紅と簡単に情報交換し、
新たに彼らの仲間等(翠星石、クーガー、チョッパー、ハクオロ、アルルゥ、カルラ、ルフィ)と、
要注意人物(カズマ、水銀燈、バラライカ、ラッド)の情報を得ました。
また、ゾロと蒼星石が彼らの(間接的、直接的な)知人であることを知りました。
※切嗣の推測とあすか達との情報交換から、会場のループについては把握しています。
※バラライカの姿を確認しました。名前は知りません。
※バラライカからレッド、グラハム、チョッパーの名前を聞きました。
※第2回放送を聞いたことによる具体的な影響は後続の書き手に任せます。
※圭一の具体的な居場所は後続の書き手に任せます。中央劇場以外の場所にいる可能性もあります。
※劇場の構成は以下の通り。
『北劇場、中央劇場、南劇場の3つの劇場館で構成されている。
それぞれ円形で、劇場自体の大きさは、中央>北>南の順に大きい。
劇場及びホールにはそれぞれ四方向に出入り口が存在する。
北劇場南口と中央劇場北口、中央劇場南口と南劇場北口は連絡通路で繋がっている。
劇場及びホールには防音設備が備わっており、よほどの轟音でない限り、各劇場で起こった音は他の劇場には聞こえない。
ホールの外には簡易的な売店や休憩所、ロビーが存在する。
ホールの内訳は、北劇場が演劇ホール、中央劇場が音楽ホール、南劇場が和風舞台』
※E-3にチータローション(使用可能回数残り1回)@ドラえもんが放置されています。
※E-4北劇場北口の一部がバズーカの直撃を受けました。ガラスの破片が散在しており、煙も上がっています。
※E-4南劇場南口のロビーがシェルブリットにより破壊されました。劇場自体への影響は不明です。
【チータローション@ドラえもん】
ジョルノ・ジョバァーナに支給。
足に塗る事で脚力を高め、人に見えないほどの速度を出すことが出来る。
ロワ内では制限されており、脚力がいくらか増強される程度で見えないほどではない。走った分の疲労は軽減される。使用可能回数は2回のみ。
投下終了です。多数のご支援どうもありがとうございました。
情報量が多いため、私の頭では処理しきれないところがあるかもしれませんので、
指摘、感想、特に状態表へのツッコミなどは大歓迎で、お待ちしています。
タイトル及び途中のパートのタイトル名は、ワンピースの空島編エピソード『SHANDIA RHYTHM』
及び、空島編同名タイトルたちより。
タイトルの副題は、DSひぐらしのなく頃に絆、1〜3巻のOPより
投下乙!この大人数をよくw燃える展開でした あぁレッドが…
ちなみにラッドは放送をどの辺から聞けたんでしょうか
とりあえずクーガーに触れていないのと、状態表にも殺す候補で残ってますが
レッドお前はいい男だった・・・
赤くていい男だったよ・・・
サカキに続いて今度はレッドか
何なの?
何かポケスペに恨みでもあんの?
殺すならもっとどうでもいい、チョンピとかのキャラにしろよ
だいたい、チョンピのキャラ最近全然死んでないじゃん
どんなキャラも平等に扱うのがロワじゃないの?
贔屓もいい加減にしろよ
活躍してるのだってチョンピの武器やらタイトルやらばっかだし
人気もないくせに毎回毎回でしゃばってきてうざいんだよ
ここはチョンピ厨しかいないのか?
投下乙!
放送後10人ってどういう風に捌くんだろうと思ったらこう来たかー!
10人分の一人称が違和感ない時点で凄いなぁ。構成を良く考えないとこんな風に出来ないような感じが。
そしてレッドーーー!フィーロの台詞が出てきたあたりで切なさが……。
グラハムとカズマのバトルも熱い!ラッドと同じような思考に陥った時は思わず笑いがwやはりこいつらは似た者同士だw
劇場の詳細が明らかにされたけどどう考えてもヤバい雰囲気しかしないぜ……高見の見物のアーチャー自重w
放送後の反応が不明なキャラ達も楽しみ。
大人数での投下乙
ラッド会心フラグかと思ったが、やはりラッドはこうでないとな
カズマとウルフウッド、二人の超常の戦闘力有する人外相手に
不死効果と強力な武装で張り合うラッド。さてこれはどうなるかな。
グラハムがどうなったかも気になるが
投下乙
この混迷の状態に、更にバラライカや無常、イスカンダルもブケファラスがあるからすぐ来れるんだよなぁ
一体どうなるんだ
ごめんつい荒らしに食いついてしまった
スルーしてー
何勝手に人を荒らし扱いしてんだよカス
投下乙!
混沌とした劇場周りをここまで整理するとは見事。
仲間を庇ったレッドとグラハム、直後に勃発する南北の戦い。中央で静観を決め込むギルガメッシュ。
自由に動ける圭一がどちらに向かうかで展開も変わりそうだ。
劇場での第一幕としても、第二幕への繋ぎとしても面白い作品でした!
バラライカ&無常も劇場に来るし、リヴィオも近くに居るんだよな。更なる混沌の予感ww
間違いなく中盤の山場だよなぁw
次も楽しみだw
大人数投下乙!
これだけの大人数を上手い具合にばらけさせるなんてすごいな。
南北では大規模な戦闘が始まりそうだけど、そこには色々と乱入者が現れる予感……。
ギルガメッシュも圭一の行動次第でこれからの行動方針が変わりそうだね。
マーダーになるか、対主催になるか……圭一の動きが楽しみすぎる。
グラハムも何とか生き残ったか、だけど動けないなんて……
早く回復しないとそこは危ないぞ!
……そしてレッド、ちょっと目頭が熱くなったよ。
お前は良く頑張った、イエローだって怒らないさ、優しく迎えてくれるよ。
南には徘徊中のマーダーが居るけど、北には一応真紅と社長が居るよね。
この付近を調査中の唯一の対主催だけど……。
ヤバイな、中央部の火薬に本格的に火がつき始めてる!
投下乙!
放送前後の時間軸を行き来しつつの面白い構成、楽しませてもらいました
どのパートも非常に面白く、終盤の劇場北、南に分かれての表現は見てて分かりやすく、また対比にもなってて特に面白かったです
しかもよく見たら各パート前の音楽に関わる副題、出だしの劇場の話にかかっていたのも良かったです
また、南北に分かれたことで一度に書く人数を分割したのもYh氏の狙いなのか、続きを書きやすくなってて全体的にすばらしい構成だったと思います
それにしてもグラハムやっと活躍できたか、ラッドとのダブりは自分も笑わせてもらいました
そしてレッドは殺人モードだったラッドを止めれそうな雰囲気があったが、運命のいたずら、ニコラスの援護から始まる悲劇によってここでリタイアか
ここまで来てまさかのポケスペ勢残り1人か、サカキと同じく出会った相手またはタイミングが悪かったとしか言えんな
最後に圭一は無事レナと出会え、無事生き残れるのか?すごく先が気になります
なにはともあれ本当に大作乙です
てかさあ
ワンピースって人気ないんでしょ?
なんで殺さないの?
扱い平等にしなきゃとかそういうこと気にしてるの?
だったらもっと自由にやりたいようにやっていいと思うけど
書き手あっての企画なわけだし
読み手が文句言っても無視していいんじゃないの?
いや熱いな。wktkさせる上手さだ
しかし周りも結構込み入ってるなぁw本当に賑やかになってきた。火薬庫だぜ
これからにも話が広がる展開 乙です
次の予約が来ている……だと!?
そういえばもう放送後の参加者全員の描写は終わってるんだね、早いなぁ。
ブレンヒルトとビリビリか……どうなるのか、特にビリビリは……
しかしマーダーが強いな。
戦闘能力持ちの対主催はグラハム、クリス、ニコ兄、イスカンダル、社長、真紅、ヴァッシュ、ゾロ位か。
対するマーダーは……
ラッド、クレア、水銀燈、無常、美琴、ミュウツー
ロベルタ、バラライカ、リヴィオ、ブレン、ゼロ
何と言うボスラッシュ。ギル、レヴィ辺りがどう動くかが分かれ目か?
次の予約も楽しみだなーw
>>218 マーダーが凄いメンツ!これは対主催涙目だなぁw
投下きてる〜!!乙です。
10人全員視点で展開を描写して、尚且つここまでまとめるとは…素晴らしい。
足を折られた時点で覚悟してたが、レッドはやっぱりレッドらしい死に方だったな…。
ニコ兄と梨花は以前ルフィにも庇われて命救われたっけか。…赤繋がり?
運が良いのか悪いのか…梨花の精神状態が心配。
グラハムは自身の変化を覚醒と勘違いする辺りで吹いたw死にはしなかったもののしばらくは動けそうにないな。
カズマはレナ&チョッパーコンビに追いついちゃったし、この二人は放送の影響も描写されてないからどうなるか楽しみ。
二人とも今の状態じゃまともに戦えないだろうから今一番危険か?
そして最後。
南と北、カズマとラッドの対比が上手い。
それに挟まれた圭一。
圭一がどう動くかで劇場周辺組と我様の行動に大きく影響しそうだな。
北と南、どちらにも圭一にとって大切な人がいるからなぁ。
圭一頑張れ。
10人と言う大人数をこんなに上手くまとめるとはホントにお見事。
まだまだ劇場周辺に向かっている参加者も多いし
この火薬庫、どういった結末になるか…これからが楽しみ過ぎる。
改めて投下乙でした。
>>218 マーダー能力的に特にヤバイのが
ミュウツー、ゼロ、リヴィオ、無常、カズマ、ARMSのブレンだな
特にミュウツーは色々急がないアレだし。
ブレンは完全体になったらそれ以上になったらそれ以上にヤバイが
他にもヤツも支給品やらで底上げしてるし
対主催はトンでもなヤツラは
ゾロ、牧師、台風、征服。個々の能力はトンでもだが数が少なすぎる
キツいな。他の脱出組がどう動いてくれるか
バッカーノやブララグ連中は強いと言っても常人だし、美琴も攻撃力は高いがか弱い女子だしな。
しかし社長もそこに入って然るべきなんだが……ww
あ、社長忘れてた
あんまし目立たないのでwww
>>218 ゾロみたいな糞キャラを他の作品の強キャラと一緒にすんな
その作品に失礼
厨もうざいがアンチもうざい
リヴィオはニコ兄が説得(と言う名の鉄拳制裁)すれば対主催に転向する可能性はある
ニコ兄死亡フラグだが
>>223 社長だからわざと入れて無いのかと思ったww
社長は真紅の支給品だろw
>>228 おまwいくら社長といえども言っていい事と悪い事がw
またこういうキモい流れか
社長……どうしてこんなに評価が低いんだw
まだ始まってからろくに活躍してないのがいけないのか?
無常からも相手にされてないし。
我様も兄貴覚えて社長忘れてるしな
やっぱりこう、いじられキャラなのか
よくも僕の大事な玉をおおお!!
なんていうか、不憫が似合う男というか……
社長社長と言っているが……ここの彼はまだ社長じゃない
だから評価が低いのはしょうがないことなんだよ
こういうキモい話してて楽しいの?
参戦時期から言って社長じゃないんだけど、やっぱり社長が呼びやすいやね。
他になんて呼べば……あすか、ってのも何か女性のイメージがあるし。
玉男とか?
別に社長で大丈夫じゃないかな
バラライカだって別に姉さんで済むような年齢じゃないんだし
細かい事は気にしn
何この馴れ合い
気持ち悪いんだけど
バラライカは姐さんだな字的な話で。これで違和感あるまい
参加者がゴリゴリ減っていってるなあ
それでも5割切ってないんだよね。
随分まだまだ人数は多い。
ほぼ5割と言っていいくらいだけどな。65人中33人だから。
誰だwミュウツーのノルマがきついって言ったのはw
第二放送終わってるとはいえまだ1日目で半日過ぎたところだよな。
結構なペースで減ってるか?
もうちょいペース落としても…いや、話が早く進むのは悪いことじゃないか?
しかしマーダー多いなw
残りのメンバーもみんな個性的でこれからは
投下のたびに一喜一憂することになりそうだ。
減った割合よりかかった時間の方が問題だと思う
12時間で30人ってなんだよw
ロワ内時間は考えないのが吉だ!
考えるんじゃない、感じるんだ。
まあ、二時間のサスペンスドラマで五人死んだと考えれば妥当なところか?
あれの時間経過は二時間どころじゃないだろWWW
12時間で28人と考えると、約26分に一人死んでいる計算になるのか。
怖っ、でもこれからは少し減速する予感。
……でも無いか、中央の火薬庫に火がついたし。
劇場がエライことになったからまだまだ死にそうな感じがw
劇場は、ラッドVSウルフウッド梨花、カズマVSレナチョッパーになってて、
ギルは静観、圭一は居場所不明だったな。地味に圭一がキーマンなんだよなぁ、誰も来なければ。
あと近くに居る中でも、リヴィオや無常は因縁の相手が劇場にいるから要注目か
ギルさまが動けばどっちかは助かりそうだけど、もう一方が…
ウルフウッドも本来ならつおいんだがハンドガン一丁じゃなぁ
ああ、あと社長も一応カズマと因縁あるんだった。
ウルフウッド本来の能力だと50AEでも十分すぎるがね
ラッドは装備と不死でどうにかこうにかやり合うか。
それにウルフ身体能力全般制限受けてるし。それでもどうなるか・・・
まあ梨花といっしょってのが一番怖いな。
どう転ぶかワカラン。まあ楽しみだが
ウルフウッドの火力に関しちゃ
レッドが二重牙持ってきてるから問題ないかな
蓮の杖も梨花に似合いそうだし
問題はその中身に気づくかどうかだな。二重牙が得られればかなり勝機が見えるが。
あと禁書最新刊見ると、蓮の杖って威力腕力次第らしいな。
常人のラッドではな
身体能力はヤバイ差があるが
まあバズーカ力があるが。あれで渡り合えるかどうか
後はそうか、向こうは幼女のハンデ付きか。
確かに今の精神状態じゃこのハンデはキツイ
>>259 新刊読んだが確認できんかった。見逃したのかもしれんが
それだとしたらウルフの人外怪力に持たせるとヤバいな
杖は衝撃の瞬間移動攻撃と空間攻撃が強力だが
座標指定でかなり使いにくい
腕力しだいは初めて聞いたが、どこぞ理力の杖みてぇ
なんか雑談で盛り上がってる?
さぁ話題の中心区の予約がもう来ましたよ。
じゅ…ジュウサンニン?
しかもまだ増えそうとかw
伸びてるから投下あったのかと思ったら…
紛らわしいからこういうのやめてくんないかな
何でSSスレで雑談してんだよ
……ここはSSスレじゃなくて企画スレだぞ?
SS企画スレだろ?
あぁ、企画スレだな
予約はぇえパネェwktk
>>265 紛らわしいとか言われても知らないから。
作品だけ見るならwiki追えばいいじゃん。
というかこっちからしたらそっちの方が迷惑だから今度からやめてね。
13人予約……マーダー多すぎで笑ったw
ひぃ!火薬庫が大変な事に!
誰か早く火消しを!!
まさかあれだけの大人数を一人で書ききろうと言うのか。
こいつは一週間後が楽しみだ。
馴れ合い臭の強いスレは新規の人が入りにくいよ
雑談も出来ないほうが排他性高いだろ
>>256 リアル兵装だから軽く見られがちだが、最強の自動式拳銃だからな、50AEってw
胸とかにくらったらぐちゃぐちゃになって吹っ飛ばされるw
ぶっちゃけ50AE持たなくても素手でも十分凶悪だがな
>>272 余計なお世話だバカ
雑談の何が悪いんだよ
嫌なら見なきゃいいだろ
ところで、ワンピースのキャラっていつ死ぬの?
あと二人だからもうすぐかと思ってたんだけど
今回の予約で一人は死ぬかな
ルフィが死んでるだろ
そういえば、各作品の主人公、結構死んでるよなぁ。
「主人公だから」と言う先入観があるせいか違和感がw
まぁそんな違和感も「ロワだから」で済むけど。
禁書にいたっては表の主人公の上条当麻どころか
裏の主人公とも言われる一方通行も一話退場だからな。
美琴はマーダーになれば大活躍しそうだけどな
というか禁書が全体的に不遇だ
まあ、メタ視点で不遇だのなんだの言っても仕方ないんだけどね。
一応禁書の存在感を出そうと思ったら未だ不明の支給品に禁書のアイテム仕込むなんてのもあるけど。
カーテナとか使徒十字とかチャフシードとかスフィンクスとか。
スフィンクスとか何に使うんだwww
不明支給品といえば、終わクロのチート概念兵器もあんまりでてないな
7th-Gの四玉とかあったら戦略の幅が広がって面白そうだが
終わクロの支給品はよくわからないけどチート多そうな予感w
終わクロの支給品も面白そうだけど、把握が大変そうなのがなぁ。
一冊一冊がでかいんだよ……面白いけどさ
普通のラノベに換算したら全25巻くらいあるからなあ>終わクロ
まあ、変態だらけで面白いからおkだがw
どうせ把握用と割り切って古本屋で買ったんだが超クソぼろいくせに他のラノベ100円に対し
200〜500円くらいする
あるあるw
まあ読みきるのに他のラノベの2、3倍時間がかかるから
元が取れたような気がしなくもない
月報五位おめ!
もうここも立派な盛況ロワだなー
最初期の荒れ様を考えるとやっぱりここの書き手はすごいと思う。
あと一話投下されてれば同着三位……惜しいww
月報って何?
>>291 大体2、3日に1話くらいのペースくらいで進んでるな
書き手の皆さん乙です、といわざるを得ない
それにしても書き手3の生存者−58(生存率−31.4%)って笑うしかないな
把握の話になると、やっぱワンピースがネックだよなあ
単行本で50巻超えって凄まじく長いし、
その割に面白くないから読むのも苦痛でしかないし
あと二人だから殺そうと思えばすぐに出来るけど、支給品も結構出てるんだよな
どうしたもんかな
最近とみに勢いがついている気がする
まだ初日という事に改めて驚きを感じつつw書き手さん乙だわ
把握と言えばキャラ紹介の性格とかが空欄のキャラを埋めて欲しいぜ。
これからの奴らもそうだが、お亡くなりになった奴らも空だと寂しいとふと思った。短く纏めるのは難しいが
>>293 ワンピース出典の支給品て何があったっけ
>>296 これ出すぎじゃね?
何で人気もないのにこんなに出したの?
>>296 確かにワンピース出典の支給品は23種類と最多だった
けど中身はほとんどが武器で本格的な把握が必要なものは悪魔の実くらいだと思う
そういう意味では分かりやすかったから多く出たんじゃね?
ちなみに支給品出典数次点はポケスペ、Fate、ドラえもんの16種類
支給品の趣味嗜好?
んなもん書き手の趣味に決まってる。
トライガンあたりは俺の趣味です。
ドラえもんは俺の趣味です
今更ながら…月報見ました。
いや〜、最初期が嘘のよう。
こうしていつも楽しませてくれる書き手さんには感謝しないといけませんね。
話に入れる余地があったら自分も書き手になって参加したいと思ってたり。
>>298 ワンピースってこんなに支給品出てたのか。
まぁゾロの刀だったり武器関係が半分占めてるけど。
新しい予約が来てるな
今度は6人か
期間が延びたから書き手さんたちの動きが大きくなってきた気がする
今度こそ死ぬかな?
お、◆yv氏の久々の多人数予約か。
古城組の情報交換と、その周りの動きが気になってたから楽しみ。
あと、佐山&小鳥遊組。
こちらも選択肢が多数あったからどう動くか楽しだ。
◆b8氏はグラハムを外して、イスカンダルを追加か
最近は予約が来ないロワが多いのに、ここは順調だな。今晩にも投下があるし
よそと比べてどうこう言うのはやめてくれないか
ここみたいにペース速いわけじゃなくても、地道に進行してるとこもあるんだから
ペースつーか、スピードじゃね?
死者の数見るにペースで言うと結構遅いぞ、ここw
>>307 そんなつもりでは無かったんだがな
気に触ったならすまんかった。大人しく投下を待とう
予約は破棄か、残念だけどしょうがないね。
またのご予約、心よりお待ちしております。
盛況ロワの連中は、潜在的に過疎ロワのことを見下してるからな
そういう発言が出るのもしょうがない
破棄か、残念だ。
次をまってますぜ。
ちょっと気になったんだけど今古城組予約してる◆yvUxRPre9c氏と
前に「カツラへの言葉」を書いた◆yvUxRPre9c
氏って
同一人物だよな?
トリップが同じなら同一人物と見るのが普通じゃね?
wiki編集した人がミスしたのかな
そうか。
トリ割れなんてないだろうしやっぱり編集ミスだよな。
劇場組の投下は今夜だっけ?
今夜だなー楽しみだ
ミュウツー、リヴィオ・ザ・ダブルファング、バラライカ、無常矜持、カズマ、竜宮レナ、トニートニー・チョッパー、
イスカンダル、ラッド・ルッソ、ギルガメッシュ、前原圭一、古手梨花、ニコラス・D・ウルフウッド
投下します
凄惨なる戦いの幕が上がって早半日。
戦場の其処彼処で殺戮が繰り広げられ、生存者は遂に六割を切った。
どこで誰と誰が殺し合い、どのようにして死んでいったのか。
それらはミュウツーの知るところではない。
深夜から今に至るまでの間に、ミュウツーが経験した戦闘は僅か二回。
しかも確実に絶命したと言える相手はたったの一人。
ましてや、他の二十七人の死に様など。
(…………)
ミュウツーは人気のない廊下を進みながら、間断なく周囲を警戒していた。
病院の廊下という場所は、目が眩みそうになるくらいに白く、鼻を衝く臭いに満ちている。
特に不快感を覚える後者だった。
どんな薬品の臭気なのかは知らないが、特に嗅覚の鋭いポケモンなら、一秒も待たずに逃げ出しているだろう。
つまるところ病院とは、端から端まで人間を治療するための空間なのだ。
治療行為に従事している者、或いは入院生活を余儀なくされた者でもない限り、ここで寝起きするのは御免蒙るに違いない。
他の動物なら尚更だ。
健康のための施設で健康を害することになりかねない。
だが、前者はそこまで不快ではなかった。
カントー地方、グレン島。
火山と幾許かの森があるだけのその島に、カツラは秘密の研究所を構えていた。
厳密には、火山そのものが研究所だったのだ。
岩肌がむき出しの裾野には分厚い扉が設けられ、火口も改造されて本来の機能を果たしていない。
外見だけを見れば単なる火山だが、内部は完全に人工の研究施設に置き換えられていた。
かつて、ロケット団の研究所から脱走したミュウツーは、ハナダシティ北西部で暴れていたところを、
自分を生み出した研究者であるカツラと、カツラの意志を酌んだレッドによって捕獲され、カツラのポケモンとなった。
その後はボールではなく特殊な液体の中で休眠し、必要なときにボールへ収まるという形態を取っていた。
病院という施設の内装は、その中で見ていた研究所の風景と似ている気がした。
勿論、研究所にあった巨大な装置や、何が書かれているのか分からない書籍の山は存在しない。
しかし、この無機質かつ人工的な雰囲気からは、言葉にし難い懐かしさを感じずにはいられなかった。
改めてミュウツーは周囲を見渡す。
地図にも記載されている治療施設である以上、利用者が皆無であるとは考えられない。
現に入り口を潜ってすぐに見知らぬ誰かの亡骸を発見することができた。
けれど、それが全部。
エントランスを通過して何分になるだろう。
あの死体以外に戦闘の痕跡は見当たらず、人の気配すら感じられない。
もしかしたら、今は無人なのではないだろうか。
そんな考えがミュウツーの脳裏を過ぎる。
可能性としては半々だ。
誰かがいるとしても、例えば階が違えば物音が聞こえないのは当然だ。
病院内部の探索がまだまだ甘いというだけのこと。
逆に誰もいなかったとしても、次の目的地を病院とした選択が間違っていたわけではない。
偶然、ミュウツーと他の参加者のタイミングが噛み合わなかった。それだけだ。
死体が転がっていたことから分かるように、何者かがここを訪れていたのは事実である。
(……?)
執筆は進んでるのかな…心配。
とか思ってたらキター!!
ミュウツーの感覚器が、薬品臭の中に混ざった異様な臭いを捉えた。
エントランスで一度嗅ぎ、次第に薄れていたはずの臭気。
病院なら必ずあるはずの臭気。
生臭い、血の芳香。
それもかなり新しいものだ。
先ほどよりも入念に、辺りを睥睨する。
――あった。
生乾きの血痕だ。
目線で痕を辿ると、エレベーターの入り口まで続いていた。
なるほど、とミュウツーは数分前に見た光景を思い出す。
確かに一階のエレベーター付近にも血痕はあった。
そのときは死体も近かったため、特に気にも留めなかったのだが、これで確定だ。
病院……それもこの階に、傷ついた誰かがいる。
ミュウツーはエレベーターとは反対方向へ伸びる血痕を辿り、ゆっくりと歩を進めた。
負傷して息を潜めているなら、通常より警戒心を高めている可能性がある。
下手に気取られるのは避けたいところだ。
逃走を許すだけならまだ救いがある。
手痛い反撃を食らって戦闘能力が低下、更には命まで落としてしまう――
それだけは絶対に回避しなければならない。
血痕は、処置室の扉に吸い込まれるようにして途切れていた。
ミュウツーはデイパックから十字槍を取り出し、念のスプーンを使うときのように構えた。
攻めると決めたなら躊躇は要らない。
反撃を許さず、何が起こったのかすら理解させずに、一瞬で仕留める。
殺す側は疲労せず、殺される側は即死する。
それが双方にとって理想的な展開だろう。
両手で槍を支え、身を屈め……駆けた。
十字槍の穂先が押し扉の真ん中に突き刺さり、吹き飛ばすような勢いでこじ開ける。
槍の一撃で開いた隙間から突貫し、即座に振り抜――
――かなかった。
(……外れ、か)
結論から言えば、処置室には誰もいなかった。
直前まで誰かがいた痕跡はある。
血濡れのシーツとタオル。
空になった輸血用血液パック。
いくつかのアンプルと使用済みの注射器。
用途の想像もつかない医療品の空袋。
ここで治療行為が行われたのは明白だった。
しかし、その『誰か』の姿がない。
恐らくは、入れ違い。
ミュウツーが突入する直前、あるいは病院を訪れる前に、この部屋は無人となっていたのだろう。
だとすれば、急げば追いつくことも不可能ではない。
これほどの出血なのだ。
掠り傷程度で済んでいるものか。
ミュウツーが処置室を後にしようとした瞬間、突然の地響きが窓ガラスを振るわせた。
窓の外を見ると、西の方角、劇場のある辺りから煙が立ち上っていた。
狼煙の類ではない。
黒い煤が混ざった燃焼の煙だ。
煙を確認し、ミュウツーは思考を巡らせる。
あの煙が戦闘によって発生した可能性はかなり高い。
ならば自分が取るべき選択は何か。
――乱入して被害を広げる。
――戦闘が終わるまで待つ。
前者は上手くいけば被害を大きく拡大させられる。
しかし失敗すれば自分だけが敵視される危険もある。
後者は生き残った方、あるいは疲弊した両者を倒すチャンスが生まれる。
しかし少々の消耗だけで引き分けとなっていた場合は得るものがない。
ミュウツーはしばし考え、そして窓枠に足を掛けた。
迷うことなく宙に身を躍らせ、念力で落下の衝撃を相殺、軟着陸。
(ここで時間を潰す意味はない……)
出した結論は、接近。
より現場に近付き、そこで最も適切な選択肢を選び取る。
戦闘に巻き込まれるリスクは高まるが、リスクなしでリターンを得ることはできない。
十字槍を得物に、ミュウツーは無人の道路を駆けていった。
二十四時間以内での三十三人の死亡。
四十八時間以内での勝利。
死ねばそこで全てが終わる。
条件は劣悪かつ不公平。
しかしひとつの手落ちもなくこなさなければならない。
マスターたるカツラが奴の手に落ちていない確証がない以上、それが最善の一手なのだから。
◇ ◇ ◇
現実は、どんな刃物よりも凄惨に胸を抉るという。
その言葉が事実なら、古手梨花の心は、今まさに深々と抉り抜かれているのだろう。
北劇場の周辺に銃声が響く。
バズーカを構えたラッドの胸を高速の抜き撃ちが貫いたのだ。
即ち、ウルフウッドによる二度目の射殺。
「……見間違いであって欲しかったんやけどな」
胸の中心を撃ち抜かれた肉体がぐらりと傾く。
しかし、やはり死なない。
ラッドは即座に脚を突っ張り、無理矢理な体勢でバズーカのトリガーに指を掛けた。
「痛てぇじゃねえか!」
トリガーが引き絞られる直前、ウルフウッドはラッドに背を向けて地面を蹴った。
そして拳銃を持っていない方の腕で梨花を抱え、全速力で劇場へと駆け抜けていく。
選択は、逃亡。
こんな開けた場所で梨花を護りながら戦える保証はない。
一旦劇場に逃げ込んで、一対一の状況を設えてから仕切り直しだ。
蒼白色の閃光が、寸前までウルフウッドのいた地面を焼却する。
芝生は一秒と持たずに炭化して焼失。
燃焼する可燃ガスの圧力が地表を吹き飛ばす。
熱が土から水気を奪い尽くして焦がし抜く。
「やっぱ逃がしちゃくれんか!」
「誰が逃がすかよ!」
きたーー!支援!
ウルフウッドは灼熱の風を背に感じつつ、一階の窓から劇場に飛び込んだ。
窓ガラスは最初の砲撃で全て割れていたので、突入を遮るものは何もなかった。
爆風が窓枠を素通りし、部屋中の書類を天井まで巻き上げる。
侵入した先は、机やラックが所狭しと並べられた、およそ劇場らしくない部屋だった。
どうやら事務室として利用されているところらしい。
ウルフウッドは尚も足を止めず、梨花を抱えたまま廊下へ走り出た。
二人が劇場に逃げ込んだと気付かないラッドではあるまい。
あの砲のリロードに掛かる時間は分知らないが、撃てるようになり次第、容赦なくブチ込んでくるに決まっている。
それが分かっていながら、外から位置が丸分かりの場所に留まる理由など微塵もない。
まずは梨花を比較的安全なところに連れて行く。
奴を殺すのはその後だ。
「……ニコラス……」
腕の中で梨花が呟く。
ウルフウッドは「なんや」とだけ返し、走り続けた。
しばらくの沈黙。
梨花はそれ以上何も語らず、ウルフウッドも問い質そうとはしない。
廊下を抜けた先は、入り口からも通じているエントランスロビーであった。
入り口に面しているということは、ラッドが無造作に正面から入ってきても鉢合わせるということだ。
――ここもダメや。
梨花を隠れさせられる場所が見当たらない。
あの殺人鬼が梨花を見逃す可能性は低いだろう。
少年を一人殺しておいて、やっちまった物は仕方ねえ、などと言い切れる奴なのだ。
それこそ何の感慨もなく――楽しみはするかもしれないが――引き金を引くに違いない。
ロビーすらも後にしたウルフウッドが選んだのは、劇場の内部であった。
全ての照明が落とされた演劇用ホールは、しかし想像していたよりも暗くはない。
ウルフウッドが入ってきたのは二階席中央の扉。
そこからステージのある方向へと、光の坂道が延びていたからだ。
結論を先に言えば、それは通路の両脇に備えられた電灯である。
上演中に席を立っても階段等に躓かないよう、通路脇の座席の横には小さな明かりが用意されている。
無論、全ての通路と全ての階段に施された措置なのだが、ウルフウッドの位置からでは正面のそれしか確認できない。
そのため、ステージへ続く通路と階段が、光の点線に縁取られた一本の道のように見えていた。
見えない位置にある電灯は、消えてなくなったのではなく死角で光を放ち続けている。
そうして放たれた光は反射と回折を繰り返し、星明り程度のささやかさで観客席を照らしていた。
「あそこなら隠れる場所もあるやろ」
そう言うと、ウルフウッドは電灯に照らされた階段を駆け下りた。
一段飛ばしで風のように走り抜け、一跳びでステージに上がる。
ウルフウッドの目的は、舞台の両端にある道具置き場だ。
雑多な物品が置かれているであろうその空間は、隠れ場所としてはまさしく理想的だ。
梨花を小脇に抱えたまま、ステージ上手に垂れ下がった幕を潜る。
ウルフウッドの読んだ通り、舞台袖には大量の道具が放置されたままになっていた。
「暫くここで待っとけ。ワイが片付けてくる」
舞台袖の片隅にそっと梨花を座らせる。
ここには一切の光源がなく、真の暗闇に近い状態だ。
目の前にいるはずの梨花の表情すら、ウルフウッドには分からない。
不意に、ウルフウッドは己の腕を引く力を感じた。
身体のどこかを掴まれたわけではない。
スーツの袖を、小さな手が引いているのだ。
「……なんや」
「私達は、頑張った……。
何度も失敗して、何度も絶望して……」
唐突に始まった独白。
ウルフウッドは拒むことも遮ることもせず、暗闇の向こうにいるはずの梨花に合わせて膝を折った。
「やっと終わったと思ったのに!
やっと運命を変えられたと思ったのに!」
梨花の慟哭が舞台袖に響き渡る。
それはあまりにも悲痛な叫び。
数え切れないほどの惨劇を繰り返し、その果てに掴んだ未来すらも奪われた少女の嘆き。
裾を掴む力が強くなる。
ウルフウッドは何もせず、何も言わず、ただ静かに聴いていた。
古手梨花という少女の辿ってきた運命は、きっと自分の理解を超えている。
そう分かっていたとしても、いや、分かっているからこそ、耳を傾ける以外に術はない。
「ねぇ、教えて……。
どうすれば、この運命を打ち破れるの……?」
「…………」
答えなど知っているはずがない。
ミカエルの眼で身につけた殺戮技術も、生体強化手術で得た戦闘能力も。
どれも古手梨花が望む答えからは程遠い。
敵を確実に殺し、自分は殺されない――それが精々だ。
ウルフウッドは梨花の頭に手を置いた。
「……正直、さっぱり分からん。
おどれに何があったんかも、どうすれば脱出できるのかも、さっぱりや」
ウルフウッドの選んだ答えは、偽らないことだった。
理解したつもりになって半端な慰めを吐くより、こちらのほうがずっといい。
「でもな、死ぬつもりはあらへん。おどれを死なせるつもりもない。
……今はそれでええか?」
ウルフウッドの手の下で、梨花が小さく頷いた。
前にも交わしたことがあるような約束。
何の担保もない口約束。
けれど、今はこれが精一杯。
ウルフウッドはデザートイーグルを手に舞台袖を後にした。
さすがにあの男も追いついてくる頃合だろう。
北劇場中を探し回って、最後にホールへ至ったとしても、そろそろだ。
近付いてくるであろう敵を迎え撃つため、ウルフウッドは来た道を戻ろうとした。
その瞬間、二階席正面の扉が開き、ホールを眩い光が貫いた。
同時に放物線を描いて飛来する異様な影。
人間大のサイズがあるそれは、咄嗟に構えたウルフウッドの上を越えて、ステージの壁と激突した。
「何や!?」
驚愕するウルフウッドの傍に金属の筒が落下する。
それは紛れもなく、劇場の外で見たバズーカであった。
まさかと言う思いに駆られつつ、視線を上げる。
ステージの壁をへこませてめり込んだそれは、屋外でウルフウッド達を襲った男――ラッド・ルッソ。
自分達を追いかけてきていたはずの男が、細いプロペラのような金属塊によって、壁のへこみに押し付けられている。
衝撃で気を失ったのかだらんと四肢を垂らしていたが、やがて重力に引かれて金属棒諸共ステージに落下した。
ラッドを磔にしたこの武器にウルフウッドは見覚えがあった。
人間台風ヴァッシュ・ザ・スタンピートをしつこく追いかける、女二人組みの保険外交員。
その一人であるミリィ・トンプソンが持ち歩いている特殊銃の弾頭である。
短いガトリング砲のような形状をしたその銃は、普通なら片手で扱えるはずがない重量で、放つ砲弾も普通ではない。
発射されると同時に、弾頭が十字型に展開。
初速91km/h、弾頭重量4.1kgの運動エネルギーが標的を打ち据えて行動不能にする物騒な代物だ。
支援
その破壊力たるや、非殺傷兵器として運用できていたこと自体が不思議でしかない。
ウルフウッドは開け放たれたままの扉を睨みつけた。
逆光の中に人の姿が見える。
アレが恐らく、ラッド・ルッソを吹き飛ばした張本人。
そして、ウルフウッドの次なる敵。
「おどれか、コレやったんは」
「正直――かなり驚いています」
逆光の階段を、その人影は一歩一歩下りてくる。
戸惑う様子もなく、しかし隙を見せることもせず、明確な意思を持ってウルフウッドに近付いていく。
「まさかこんなに早くあなたと出会えるなんて」
敵の名は――リヴィオ・ザ・ダブルファング。
リヴィオはガトリングのような銃を途中で捨て、代わりにスチェッキン・フル・オートマチック・ピストルを右手に収めた。
「丁度いい、続きを始めましょう。ラズロの代わりに僕が戦います」
「ラズロ……? 何のことや」
ウルフウッドの問いは心からのものだった。
しかしリヴィオは足を止めた。
表情こそ変わらないが、見る者が見れば、驚愕に思考を震わされていることが分かるだろう。
リヴィオはウルフウッドを知っている。
GUNG-HO-GUNSの10としてマスター・Cと共にウルフウッドの前に立ちはだかり、
二人が幼少を過ごした孤児院で死闘を繰り広げていた最中だったのだから。
それ以前にも交戦経験はあり、ウルフウッドの本意ではないにせよ共闘までしたこともある。
老化の促進によって変わり果てた姿も含めて周知しているのだ。
だが、ウルフウッドの方は違った。
今の彼は知らないのだ。
マスター・チャペルの生存も。
ラズロ・ザ・トリップ・オブ・デスの存在も。
『泣き虫リヴィオ』が"ミカエルの眼"の暗殺者となっていたことも。
それらは両者の決定的な齟齬であり、埋まらない溝であった。
リヴィオはステージの薄暗闇に佇むウルフウッドを凝視しつつ、再び歩を進めた。
「ラズロとご老体に付けられた傷が消えている……。
急速な治癒の代償に記憶でも失ったのですか」
「さっきから失礼な奴やな。生憎と記憶力は良すぎて困っとるくらいや」
50AEの銃把を握り、身を僅かに屈めるウルフウッド。
アレが誰なのかは分からない。
けれど、言動の端々と身に纏う威圧感から理解できるコトはある。
「せやけど、おどれが『そういうモン』やってことは分かるで」
「そこまで思い出して頂ければ結構です」
リヴィオが階段を蹴る。
瞬きよりも更に早い。
次にウルフウッドがリヴィオの存在を知覚したのは、自身の左斜め後方。
物理的限界を凌駕した跳躍力は、リヴィオに先手を打つ権利を齎した。
「……ッ!」
振り向きざまにスチェッキンのトリガーを引くリヴィオ。
ウルフウッドの頭を狙い放たれた弾は狙い過たず直進し――額の肉を削った。
姿が消えたと知覚した瞬間、ウルフウッドは即座に身体をずらしていた。
無理矢理な回避運動で傾いた体勢のまま、50AEの銃口が火を噴く。
ノズルフラッシュが背景の幕を一瞬だけ照らす。
しかしそこにリヴィオはいない。
硬い靴底に擦られたステージが悲鳴を上げる。
連射される銃弾が次々と背幕と横幕を穿ち、細かな木片を撒き散らす。
肩に、脚に、脇腹に傷を与えていくも、ウルフウッドの動きを止めるには至らない。
ウルフウッドとリヴィオは人間の限界を超えた速度と反射で撃ち合っていた。
ここに梨花がいたとしても、二人が何をしているのか視認すらできまい。
単純な身体能力で言えばリヴィオの方が上回っている。
速度、筋力、反射はもとより、再生力も圧倒的だ。
たまに銃弾が掠ろうとも、その程度の傷なら数秒で塞がってしまう。
しかし勝敗の天秤は拮抗していた。
スペックで劣っているはずのウルフウッドがリヴィオに追い縋り、隙あらば急所を撃ち抜こうと図っている。
だが、リヴィオにとってそれは初めてのことではない。
孤児院における戦いで、リヴィオはラズロより先にウルフウッドと戦っている。
結果は、圧倒的な能力差を覆されての敗北。
ウルフウッドの恐るべき戦闘センスを見せ付けられた形となった。
そして今も前轍を踏もうとしている。
使い慣れた二重牙がないという言い訳はできる。
左腕の感覚が戻り切っていない不具合もある。
しかしウルフウッドも万全ではないのだ。
むしろ最強の個人兵装パニッシャーを失っている分、不利はウルフウッドのほうにあるだろう。
それでもなお競われるという事実が、リヴィオに決着を焦らせた。
一気に後方へ跳躍し、ウルフウッドとの間に十分な距離を取る。
「できることなら、貴方には使わず勝ちたかった」
数発の弾丸が残ったスチェッキンを足元に捨てる。
そしてベルトに差してあった94FAを抜き取った。
左腕がまだ使えないため、腰に差されたままとなっていたM94FA。
装填されている弾丸は――
ステージの右端から左端までを一気に詰める。
両者の腕が交錯し、それぞれの銃口が至近から互いの胸を捉える。
「さようなら」
ウルフウッドの総身に怖気が走る。
トリガーに指を掛けたのはこちらが先。
引けばこちらが六分で早い。
しかし四分は先に撃たれ――致命的な結果となる。
ただ銃弾で撃ち抜かれるより、ずっと取り返しのつかない結末に――
「〜〜〜〜ッ!!」
直感に従いウルフウッドは身体を捻った。
一瞬の後、ほぼ同時に発砲。
どちらの弾丸も標的を穿たず、ステージの床を破損させる。
そして、ウルフウッドの背後で床面が抉られるように消失した。
「何……やて」
横目でその現象を目撃し、ウルフウッドは眼を剥いた。
生じた隙を衝くように、リヴィオの繰り出した蹴りがウルフウッドを背幕に叩きつける。
「……今の、トンガリのアレとちゃうんか」
超越的な視点から見れば、ウルフウッドはエンジェルアーム弾頭のことを生涯知らずに終わる。
何故なら、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがこの弾頭を作ったのは、ウルフウッドの死後だからである。
故に『アレ』とはエンジェルアーム弾頭のことではない。
銃弾に込められたものとは桁が違う、本来のエンジェルアーム。
フィフス・ムーン事件で第五衛星にクレーターを生み出した強大な力。
それと同じ威圧感をリヴィオの弾丸から感じたのだ。
リヴィオは答えず、更にM94FAのトリガーを引く。
支援
同時にウルフウッドの放った50AEの弾丸がエンジェルアーム弾頭と衝突し、虚空でその力を引きずり出す。
狙ったわけではない偶発的な相殺。
ウルフウッドは大気を抹消する力の余波に紛れて横に転がり、更に二発をリヴィオへ放った。
超音速の弾丸が腹と左肩を斜め下方から貫き、舞台横の幕を撃ち抜く。
「これでも駄目ですか。まったく、大した人だ」
身体を穿ったダメージなど意に介さず、リヴィオはM94FAをしまい、代わりにもう一挺のM94FAを抜き取る。
エンジェルアーム弾頭は残り4発しかない。
弾の質よりも数が要求される現状、無理に頼っても使い潰すだけだ。
対するウルフウッドは、リヴィオが棄てたスチェッキンを左手で拾っていた。
50AEのマガジンに残った弾丸は奇しくもエンジェルアーム弾頭と同じ4発。
デイパックには29発の予備弾装が入っているが、補充のチャンスをくれる相手ではあるまい。
「そりゃこっちの台詞や」
と、ウルフウッドがあることに気がつく。
足りない――
この戦場に存在しなければならないモノが見当たらない。
開けっ放しの扉から差し込む光。
銃弾に穿たれた壁と床。
エンジェルアーム弾頭に抉られた痕。
プロペラのような形をした、十字型の金属弾。
足りない――
明らかに足りない――
ラッド・ルッソがどこにもいない――!
(あんにゃろどこ行きおったーーーーーー!!)
リヴィオの猛攻に意識を張り詰めていたとはいえ、あの殺人狂から眼を離してしまうとは。
梨花はちゃんと隠れさせたとはいえ、絶対に見つからない保証があるわけではない。
もし発見されればどうなるか。
そんなこと、想像するまでもない。
「――!」
ウルフウッドの視界から再びリヴィオが掻き消える。
リヴィオはウルフウッドの焦燥を見逃さなかった。
瞬時に間合いを詰め、眼前で一瞬減速。
そして更に地面を蹴り、背後へ回る――というフェイントを掛ける。
眼前に見えた姿が消えた瞬間、ウルフウッドはスチェッキンを持つ左腕を背後に振り向けていた。
鋭すぎる直感が裏目に出たのだ。
無防備に晒された右半身に、リヴィオは冷えた思考でM94FAの.45口径弾を――
「死ぬなよ、『リヴィオ』」
とん、と――
リヴィオの胸に軽い衝撃が走る。
拳で小突かれた程度の、痛みですらない感覚。
どういうわけか銃身から外れている、スチェッキンのマガジン。
そして、それをリヴィオの胸に押し当てる、50AEの銃口。
ノズルフラッシュ。
密着距離で放たれた弾丸はマガジンと内容弾装を貫通、胸筋と肺臓を穿つ。
弾丸の熱と摩擦が弾装のガンパウダーを加熱させ、リヴィオの右胸で小規模な爆発を巻き起こした。
「ガッ……!」
皮膚と胸筋が四散する。
剥きだしになった肋骨と僅かばかりの肉の向こうで、薄紫の肺が赤く染まっていく。
ウルフウッドが左腕を振り抜いた勢いでスチェッキンの銃身を投げ棄てた。
そこから最大限の加速を付けられた左の手刀が肋骨の隙間に突き刺さる。
骨を押し分け、神経と血管を引き千切り、風船のような肺臓を容赦なく押し潰す。
血の混ざった息がリヴィオの口から噴き出す。
「思い出して……いたんですか……」
「気付いただけや。言ったろ、記憶力は良すぎて困っとるって」
簡単な消去法だった。
あれだけ自分を知っているように振舞っていたのだ。
そんな相手は、名簿の中でヴァッシュ・ザ・スタンピードを除いた唯一の故知、リヴィオしか心当たりがない。
まさかとは思っていた。
ありえないとも思っていた。
『泣き虫リヴィオ』がこんな冷たい眼をするなんて思えなかった。
「しばらく寝とけ。その身体なら死にはせんやろ」
胸から左腕が引き抜かれた。
赤く染まった袖口と手が大気に晒され、ごぽりと血が溢れる。
異常なまでの回復力と運動能力。
人相まで変わるほどの急速な身体的成長。
そこに"ミカエルの眼"が絡んでいることは想像に難くない。
重心を崩し、床に倒れ込んでいくリヴィオ。
ウルフウッドはリヴィオの背中を一瞥し、梨花の待つステージ上手へ駆け出そうとした。
その瞬間、凄まじい衝撃がステージを揺らした。
◇ ◇ ◇
「はぁ、はぁ……!」
劇場がこんなに広いのは計算外だ。
圭一は廊下を走りながらぎゅっと奥歯を噛み締めた。
放送直後、圭一は適当な理由をつけてアーチャーの下から離れ、中央劇場の内部を駆け回っていた。
赤いコートの女の言葉が正しいなら、劇場のどこかにレナが来ているはずなのだ。
先の放送で、魅音と切嗣の名前が呼ばれた。
淡々と語られた無常な報告は、圭一の心に哀しみをも上回る焦りを齎していた。
もう一刻の猶予もない――
決断が遅れる度――
行動が遅れる度――
みんなの命が確実に失われていく。
レナが。沙都子が。梨花が。詩音が。
自分の手の届かないところで殺されてしまう。
劇場で合流する手筈になっていた切嗣も、どこかで命を落としてしまった。
アーチャーは余りにも危険過ぎる。
頼ることができる相手は、もういない。
「俺が絶対に……みんなを……!」
それは、園崎魅音を失ったショックを使命感で覆い隠しているだけなのかもしれない。
しかし脚を動かす思いは本物だ。
立ち止まっている時間すら惜しく感じられる。
劇場を構成する建造物は全部で三つ。
そのうち中央劇場はあらかた探し尽くした。
隅から隅までとはいかないが、レナの名を呼びながら駆け回ったのだ。
レナが、もしくはレナと行動を共にしているらしい連中がいるなら、反応が返ってくるに違いない。
それがないということは、中央劇場はハズレだということ。
「……くそっ!」
可能性は五分と五分。
北を目指すか、南を選ぶか。
調べに行けるのは片方ずつだ。
首尾よくレナと巡り会えればいいが、そうでなければ致命的なタイムロスになる。
あの赤いコートの女の存在を考えれば、まさに致命的だ。
「考えろ、考えるんだ……!」
ただ徒に走り回るより有効な手段があるのではないか。
迅速かつ確実に、レナと合流するための手段が。
もし切嗣が生きていてくれたら、北と南で手分けをすることも出来ただろう。
しかしそれも詮無きこと。
放送で名前を呼ばれた以上、生存は絶望的といわざるを得ない。
「そうだ、放送!」
圭一はロビーの柱を仰ぎ見た。
館内放送のためにあると思われる、大きなスピーカーがそこにあった。
今から大急ぎで放送室を探し出して、劇場全体に呼びかける――確かに確実だ。
レナが放送の聞こえる範囲にいれば一発で合流できるだろう。
「……駄目だ、全然駄目だ」
だが、圭一はその案を即座に放棄した。
放送は相手を選べない。
赤いコートの女を始めとした危険な連中にも、自分の居場所を教えてしまうリスクがある。
それだけならまだマシだ。
放送を聴いて動いたレナ達が待ち伏せを受ける危険も考えられる。
論外。このアイディアは論外だ。
警報機を鳴らす?
それにどんな意味が。
前原圭一が来ているぞ、というアピールにすらならない。
今からでもアーチャーに頼み込む?
下手に機嫌を損ねればその場で殺される。
あの男はそういう性格だ。
容赦なく、それこそ羽虫か何かを潰すくらいの感慨でやるに違いない。
協力してくれそうな人を探す?
……意味がない。
それなら最初からレナを探したほうがいい。
幾ら考えても解決策が浮かばない。
やはり自分の足で駆け回るしかないのか。
諦めとも開き直りとも取れる感情に身を委ね、圭一は走り出した。
「……南だ!」
圭一は南劇場へ通じる連絡通路へ進路を取った。
何かしらの根拠があったわけではない。
ただ、現在の位置が北劇場よりも南劇場に少しだけ近かった。
それだけだった。
全力で走れば数分と掛からない距離。
まっすぐな連絡廊下を駆け抜ければそれで南劇場に到着だ。
しかし、それなのに、圭一は連絡通路の手前で立ち止まった。
そして転びそうになるほどの勢いで、通路入り口の壁際に身を隠す。
「ちくしょう……!」
壁際に身を隠しながら、通路の向こうを窺う。
連絡通路を挟んだ反対側、南劇場のロビー。
そこに二人分の輪郭が見える。
忘れるはずもない赤いコートともう一人。
スーツに身を包んでいるらしい男の姿。
「あいつ、もう来てたのかよ」
図書館で自分達を襲った女。
レナ達を狙っているという赤いコートの女。
それがこんなところにいるなんて。
もう一人はあいつの仲間なのだろう。
何かを話し合っているようだが、会話の内容はとてもじゃないが聞こえない。
けれど想像はできる。
どうやってレナ達を殺すか考えているんだ――
圭一は2発しか弾丸の入っていないデザートイーグルを握り締めた。
これが唯一無二の武器。
二人の相手に一発ずつ撃てばそれでおしまい。
貧弱すぎる。
心許なさすぎる。
相手は如何にもプロといった雰囲気だった。
素人の撃った銃弾なんてあたるものなのだろうか。
図書館では退けられたといっても、それはアーチャーがいて、しかも油断を衝けたからだ。
今回はアーチャーがいない。
それどころか相手に仲間がいる。
状況はあまりにも絶望的。
それこそひっくり返す余地が見当たらないほどに。
「しまった……!」
通路の奥で男が踵を返すのが見える。
圭一は咄嗟に柱の影に身を隠した。
コツ、コツ、と近付く足音。
どうやら連中は二手に分かれて事を成すつもりらしい。
赤いコートの女が南を、スーツの男が中央か北を。
連中も圭一と同様、レナ達を探しているのだ。
「…………」
圭一は呼吸すら殺して男が通り過ぎるのを待つ。
中央にレナ達がいないことは確認している。
まさか、あの男も中央をスルーして北を調べはしないだろう。
時間的猶予は十分にある。
もしかしたらアーチャーと遭遇して倒されてくれるかもしれない。
やはり問題となるのは、赤いコートの女の方だ。
「…………っ」
足音が更に近付く。
固い床を靴底で叩く音が、だんだん大きくなってくる。
圭一は壁際の柱と壁の間に身を潜め、男が通り過ぎていくのを待っていた。
通路から中央劇場へ来た人間からは死角になっている場所だ。
下手に物音を立てさえしなければ、そうそうバレることはないだろう。
足音がすぐ近くにまで迫る。
心臓の鼓動と呼吸の音が異様に大きく感じる。
早く行け、早く行け、早く行け、早く行け、早く行け――!
心の中で何度も念じる。
銃把を握る掌にじわりと汗が滲んでくる。
うっかり手を滑らせてしまう気がして、圭一は片手ずつ服に擦り付けた。
――コツリ、と。
足音の響き方が変化する。
通路を抜けて劇場に足を踏み入れたのだ。
壁や天井との距離が変わって反響の仕方も変わり、音の聞こえ方まで変わったのだ。
圭一は少しだけ、気付かれないように、男の姿を覗き見た。
几帳面にスーツを着込んだ、比較的細身の身体。
サングラスを掛けて、不適な笑みを貼り付けた顔。
白髪を後ろに撫で付けたオールバックの頭。
明らかにヤバい雰囲気を漂わせた男であった。
圭一は呼吸を止めて待つ。
男が中央劇場の探索に乗り出して、通路の周りからいなくなる瞬間を。
「……よし!」
ロビーの事務室に男が消えたのを見計らって、圭一は柱の影から飛び出した。
廊下の向こうに赤いコートの姿はない。
男と別れてすぐ南劇場の探索に移ったのだろう。
ますます好都合だ。
圭一は可能な限り足音を立てないように、通路の端まで駆けていく。
劇場内部と連絡通路の境界付近で立ち止まり、そっと劇場の様子を窺ってみる。
北口からホールへ入っていく赤い背中。
十中八九、あの女で間違いない。
圭一は女の後を追おうとし、踏み止まった。
無策に追いかけて何をしようというのか。
ただ付いていくだけ?
説得して思い直してもらう?
どれも無意味だ。
あの女は本当に危険な奴なのだ。
レナにあいつを近付けたくないなら――
――撃つしか、ない。
銃把を握る。
デザートイーグルの重みが圭一の両手に圧し掛かる。
人を殺すという行為の重大さを告げるように、ずしりと。
幾度も繰り返される惨劇の中、圭一は何度か人を殺したことがある。
そして同じ数だけの悔悟を重ねてきた。
もう一度、それを出来るのか?
「……」
正直、決意しかねていた。
あの女を殺したとして、どんな顔で皆と会えばいいのかも分からなかった。
けれど――だけど――それでも――
護りたい人達がいるから――
圭一は歯を食い縛る。
その瞳には、何よりも強い決意の火が灯っていた。
「弾は二発……どうにかしてギリギリまで近付いて……!」
思考回路を限界寸前まで回転させる。
己の無力さは嫌になるほど痛感している。
だから考えるのだ。
彼我の実力差を埋めることができる冴えたやり方を――!
「待ってろよ、レナ……!」
◇ ◇ ◇
ウルフウッドとリヴィオの死闘が始まったちょうどその頃。
梨花はステージ上手の道具置き場で身を縮めていた。
雑多な大道具が目隠しとなって、しっかり隠れていれば見つかることはないだろう。
「もう、駄目かもしれないわね……」
梨花の抱いている感情を一言で言い表すなら、絶望であった。
ウルフウッドのことを信頼していないわけではない。
必ず護るという彼の言葉は信じているし、頼ってすらいる。
絶望の矛先は、未だ会えぬ仲間達のことである。
もう会えないかもしれない。
会えたとしても、目の前で殺されてしまうかもしれない。
眦から溢れた涙が頬を伝い落ちる。
「ニコラス……」
今は、待つしかない。
仲間達を探すのも、どこかへ逃げるのも、一人だけでは出来やしない。
ウルフウッドがあの男を倒して戻ってくるのを待つしかないのだ。
梨花は、ふと天井を見上げた。
何かの演目に使う大道具なのだろうか。
天井から巨大な人形が吊り下げられていた。
第一印象は翼のない天使。
欧米人の女性を象ったらしい人間部分を、羽衣のような衣服が覆っている。
まるでギリシャ神話の神様みたいな格好だった。
地上の人間を見渡すように顔を傾け、それでいて表情は柔らかい。
高く掲げた右腕には大きな剣を握っている。
その剣はご丁寧にも金属で造られているらしく、僅かな光を反射して鈍く輝いていた。
演目は『グリークス』
梨花の生きていた一九八三年から、遡ること三年。
イギリスのとある演出家と翻訳家が十本のギリシャ悲劇を一本の脚本に再構成した舞台作品であり、
一九八〇年に初演された、上映時間が十時間にも達するという大作である。
道具置き場がこうも混雑しているのも当然だと言えるだろう。
そして天井から吊り下げられた巨大な人形は、アテネ神を象ったもの。
全演目の終盤、ギリシャ悲劇『タウリケのイピゲネイア』を原作とする場面で、
逃げ出したオレステスとイピゲネイアを追わんとするタウリケの領主の元に降臨し、二人の逃亡を助ける役柄である。
即ち、本来の意味でのデウス・エクス・マキナ。
窮地に陥った主人公を救い、強引に物語を終わらせるため、伏線も前振りも無視して登場する神様だ。
普通は役者を機械仕掛けで登場させるのだが、果たしてこんな大きな人形を用意する例があっただろうか。
横幕の向こうでは今もなお銃撃戦が繰り広げられている。
しかし分厚い幕が防音効果を発揮しているのと、酷い反響のせいで、梨花はステージの様子を殆ど把握できていなかった。
戦いが終わればニコラスが迎えに来る……それだけを待っていた。
不意に、ステージと道具置き場を区切る幕が揺れた。
そして足音が床板を軋ませる。
「来た!」
梨花は思わず隠れ場所を飛び出した。
戦闘が終わったのだと、ウルフウッドが戻ってきたのだと思い込んで。
「ニコラ……」
そこにいるのがウルフウッドではない可能性など考えもせずに。
「……ス」
「よぉ、嬢ちゃん。こんなところでかくれんぼか?」
大仰に腕を広げる、ラッド・ルッソ。
ありえてはいけない男の存在に、梨花の思考は完全にフリーズした。
梨花はリヴィオが乱入した事実を知らない。
ウルフウッドと戦っているのはラッドであり、そしてラッドはウルフウッドに倒されるはずなのだ。
しかしそれとは真逆の現実が、目の前で残忍にニヤついている。
「うそ……」
梨花はラッドの姿に視線を釘付けにされながら、一歩退いた。
頭の中を色々なモノがグルグルと渦を巻いている。
認めたくない現実。
認めざるを得ない現実。
認めてしまった現実。
「いや……」
「怖いんだろ? 驚いてるんだろ? ビビってるんだろ?
ああ、俺も正直ビビったさ。ホールの扉を開けたと思ったら、後ろからいきなりドカンだぜ?
しかもその後は弾道飛行と来たもんだ」
梨花の一歩よりも遥かに大きな一歩が、ラッドと梨花の距離をあっという間に縮める。
狂った言葉を饒舌に繰り返しながら、更にもう一歩。
「ここに隠れていれば絶対に殺されない、そう思ってたんだろ?
それなら……あー、いや待てよ。
殺されると思ったから隠れたんだよなぁ。
つまり隠れてるってことは、殺されないと思ってはなかったってわけか?
隠れてりゃ殺されない、殺されるから隠れてた……あぁ!?」
迷走した思考を追い払うように頭を掻くラッド。
やがてトーンの落ちた口調で、冷ややかに梨花へ言い放つ。
「そりゃねぇな。どっからどう見たってブッ殺されそうでガタガタ震えてるツラだ」
その言葉を聞いて、梨花は初めて、自分が救いようもないほどに震えていることを知った。
かたかたと歯の音が合わず、今にも膝を折って動けなくなりそうだ。
恐怖――
確かに古手梨花は恐怖している。
だが、ラッドに対する恐怖心はさほど大きなものではない。
それよりも圧倒的に、ウルフウッドがいないという絶望が大きかった。
ウルフウッドとラッド・ルッソが戦い、ラッドだけがやってきた。
現状を俯瞰すれば誤解であっても、梨花にとってはそれだけが事実なのだ。
ならばウルフウッドはどうなった?
負けたのだろう――
倒されたのだろう――
殺されたのだろう――
あの少年と同じように、黒焦げになったのだろう――
「嫌ああああああ……あ゛っ!」
絶叫を迸らせかけた梨花の首をラッドの手が掴む。
五指が白い肌に食い込み、ぎちぎちと締め上げていく。
「悪いな、うっかり通り魔に殺されたとでも思って諦めな。
あーそうだ、死に方くらいは選ばせてやるぜ。窒息がいいか?」
喉元で交差した親指が気管を圧迫する。
少女の細い喉はそれだけで封鎖され、隙間風のような音しか通さない。
梨花は酸素を求め、金魚のように口を動かした。
「それとも脳みそから死んでみるか?」
力の込められる位置が変わった。
気管は解放され、代わりに左右の頚動脈が塞がれる。
脳に酸素を届ける血液の流れが滞り、視界の端から暗闇が染み込んでくる。
意識が途切れかける直前、頚動脈もまた、ラッドの手から解放された。
「どっちも嫌なら首の骨とかポッキリいってみるかぁ。
知ってるか? 縛り首ってあるだろ、絞首刑だよ絞首刑。
誤魔化し切れる限度を越えた馬鹿が法律でブッ殺されるアレだよ」
支援
ラッドの手が、梨花の首全体を包み込む。
そしてぎりぎりと力を込めながら、肩の高さまで持ち上げた。
梨花は必死に脚をばたつかせてもがきながら、ラッドの腕を掴んでいる。
器用なことに気管も頚動脈も締まっていないが、それが逆に非道であった。
「アレってよぉ、窒息して死ぬわけじゃねぇんだってな。
高いところから落とした衝撃でボキッといくらしいぜ?
確か三十年くらい前に、絞首刑になった奴の首がブチ切れて飛んでいったとか聞いたなぁ。
あー、見たかったぜ! 自分は死なねぇとか考えて列車強盗やらかして、ギロチンでもないのに首を飛ばすなんてなぁ!
つーか俺がやってやりたかったな! ヒャハハハハハハハハハハハッ!!」
首の骨が軋む。
梨花はラッドの講釈に耳を傾ける余裕すらなく、必死になって暴れていた。
爪を立てて手を引っかいても、傷がつく傍から塞がって、抵抗にすらならない。
「決めねぇなら勝手に殺すぜ? あまり時間は取りたくねぇしな。
俺はこれからまだまだ殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺しまくらねぇといけねぇんだ。
あの黒スーツも、俺をふっ飛ばしやがったモヒカン野郎……ラズロって言ったっけな。そいつらもぶっ殺さねぇと。
ていうかあの治りっぷり、ひょっとしてアイツが『決して死ぬ事のない云々』って奴なんじゃねぇか?
よーし決めた。特にモヒカン野郎は念入りにだ。徹底的にブチ殺す」
もはや何度『殺す』と言ったのかすら分からない。
ラッドの心は既に梨花には向けられておらず、本命を殺す前の一作業といった様相だ。
しかし、梨花はその狂った言葉の中に齟齬を感じていた。
殺されるか否かの瀬戸際にありながら、確かに聞き取った。
あの黒スーツもブッ殺す、と。
ニコラスは、生きている?
梨花の意識に戸惑いと希望が同時に湧き上がる。
だがそれすらも手折るかのように、ラッドの手に力が込められた。
「あ――」
締められた拍子に頭が上を向く。
天井には物言わぬデウス・エクス・マキナ。
それを吊り下げるワイヤーの数本が、いつの間にかステージからの流れ弾によって断ち切られていた。
残存したワイヤー数はアテナ像の重量を支えきれる限度を下回っている。
じりじりと負荷を受けてきた接合部が、今この瞬間、物理的強度の限界を超えた。
重力に曳かれて落下するアテナ像。
想像を絶する衝撃が轟音と共に床を砕く直前、巨大な金属の刀身がラッドの両腕を寸断した。
「……あぁ?」
轟音と粉塵が吹き荒れる中、ラッドは己の身に起きた異変に目を細めた。
肘から先が突如として消失し、凄まじい激痛が神経を遡ってくる。
足元には、床にめり込んだ大きな剣と、咳き込む餓鬼と、二本の腕。
何という皮肉だろう。
両腕を残してレッドを焼き殺した直後に、自分の両腕を失うことになろうとは。
「何じゃこりゃあああっ!」
ラッドは自身を襲った不運に叫んだ。
腕を断たれたこと自体はまだいい。
問題はタイミングだ。
どうしてよりにもよって、殺そうとするその瞬間に。
「げほっ……げほっ……!」
梨花は降って沸いた幸運に感謝した。
同時に、これ以上の好機はないとも確信していた。
目の前に落ちたラッドの両腕が、焼き切られたレッドの腕を想起させる。
しかしそれを必死で振り払い、ラッドの横を潜り抜けて走り出す。
転びそうになるたび手を突いて持ち直し、幕を掴んでステージに転がり込む。
どん、と大きな何かにぶつかった。
「どうしたんや、その血!」
はっと目線を上げる。
そこには、ひどく焦った様子のウルフウッドの顔があった。
「血……?」
梨花が自分の顔に触れると、ぬるりという生っぽい感触が返ってきた。
そこで初めて、梨花はラッドの血を頭から浴びていたことに気がついた。
舞台袖のあまりの薄暗さに気がつかなかっただけで、相当凄まじいことになっているようだ。
動脈も静脈も一緒くたに断ち切られたのだ。
両腕ともが血液を噴き出すホースに成り果てていたに違いない。
「そんなことはいいから! 逃げましょう! 早く!」
「言われんでも分かっとるわ! しっかり掴まっとれ!」
ウルフウッドは梨花を抱え上げ、梨花はウルフウッドにしがみつく。
意味不明なラッドの暴言を背に受けて、開け放たれたままの出口へ駆け上る。
眩いばかりの光を放つ扉の向こうへと――
◇ ◇ ◇
赤いコートがホールの暗がりに消えたのを見計らって、圭一はホール北側を駆け足で縦断した。
そしてすぐさま、開けっ放しの扉の横に背を付けて、ホール内部から身を隠す。
圭一の現在の装備は、残弾数が二発しかないデザートイーグルのみ。
他の持ち物も、双眼鏡に空っぽの酒瓶、半壊した金色の鎧、そして大型のバイクだけ。
つくづく、死闘に臨む男の装備ではない。
だが、戦うと決めたのだ。
ここで引き下がることなんて出来るものか。
圭一がホールへ飛び込もうとしたまさにその瞬間、劇場のロビーに男の声が響く。
「始めるぜ……覚悟決めろ!」
余裕もなにもあったものではない叫び。
それに押し潰されまいとする勢いで、別の声が重なる。
「逃げろ、レナ!」
大きさの割りに、なんて涙声なんだろう。
どこの誰かは知らないけれど、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔が簡単に想像できる。
「レナ……やっぱりここにいたんだな……!」
圭一は喜びと焦りを同時に感じながら、アーチャーの黄金の鎧を組み立てていた。
その辺にあったモノを片っ端から心材にして、どうにか自立するように調整する。
作業に掛けられる時間は一分、長くて二分程度。
傍目から、誰かがいると思えるくらいの出来栄えでいい。
「でもっ! チョッパーくんまで!」
ああ、レナの声だ。
今にも泣き出しそうなくらいに潤んでいる。
そりゃそうだよな――
魅音が死んじまったんだからな――
悔しいよな――
悲しいよな――
「……よしっ!」
小声でそう呟き、圭一は次の作業に取り掛かった。
アーチャーから預かった酒瓶に、ペットボトルの水を注いでいく。
底から測って四割くらい。
何も満タンにする必要はない。
圭一は水を移す作業が終わり次第、身を低くしてダッシュした。
赤いコートの女はゆっくりと南へ歩きながら、時折足を止めて辺りを見渡している。
腕の怪我のせいで激しい動きができないのだろう。
あいつがレナ達の声を聞いていたのかは微妙なラインだ。
圭一はホールとロビーの境界付近にいたが、女は既にホールの中に入っていた。
後は、扉が開いた状態での防音効果がどれくらいかという問題。
座席などを遮蔽物に使いながら、圭一はじりじりと女に近付いていく。
「あと少し……気付くなよ……」
位置関係は、開きっ放しの扉、黄金の鎧、赤いコートの女が北から南へ一直線。
そして圭一は、女より少々南西の座席の間に身を潜めている。
圭一から5メートルのところで女が足を止め、東側の扉に目をやった。
「……ッ!!」
今だ――!
圭一は一瞬だけ座席から身を晒し、酒瓶を北口目掛けて遠投した。
ペットボトルから移された水が錘になって、空の瓶よりもずっと長い放物線を描いていく。
床に落ちた酒瓶が割れ、甲高い音をホールに響き渡らせる。
振り返った女の視界に入る、黄金の鎧。
女が武装されたスーツケースを鎧へ向けたその瞬間、圭一は座席の間から飛び出した。
この距離、この位置、このタイミング――逃せば全てがおしまいだ――!
「――――残念ね」
スーツケースのロケットランチャーが火を噴いた。
ただし、偽装された黄金の鎧に対してではなく、真後ろの圭一へ向けて。
爆風と灼熱が、圭一の意識を刈り取った。
◇ ◇ ◇
支援
支援
支援
「ウルフウッドさん……やはりあなたは甘すぎる」
北劇場、ステージ上。
ウルフウッド達が走り去った直後、リヴィオは当然のように立ち上がった。
胸の傷は塞がってはいないが、痛みがあるだけで機能に支障はない。
「あなたに施された生体改造手術とは世代が違うんです。
こんなことだけで『僕達』は斃せません」
リヴィオとラズロは、一つの身体に宿った二つの人格という関係にある。
両者の戦闘能力の違いは戦闘センスや肉体の使い方といったソフト的側面であり、
再生能力や肉体自体のスペックといったハード的側面は共通なのだ。
それはとりもなおさず、同じ肉体を使っていながら圧倒的性能差を叩き出すラズロの凄まじさをも物語っているのだが。
リヴィオは舞台袖で狂乱する男の叫びを無視し、落ちている武器を拾い集めた。
今はまだウルフウッドとの戦闘のダメージが残っている。
連戦はなるべく避けたかった。
「…………」
ふと、ホールから走り去るウルフウッドの姿を思い出す。
あのときの彼は、年端も行かない少女を抱えていた。
おぼろげながらに聞こえた会話の感じだと、出会ってそれなりの時間がたっている様子だった。
リヴィオが記憶している限りでは、あんな子は孤児院にはいなかった。
ウルフウッドが子供と旅に同行させているなんて話も聞いていない。
だとすれば、ここに連れてこられてから知り合った子なのだろう。
やはり、昔と変わっていない――
「――まさかね」
不意に脳裏を過ぎった想像。
昔とあまり変わっていない性格。
死ぬなよ、という一言。
ウルフウッドは自分を『斃せなかった』のではなく『斃さなかった』のではないか。
「……僕には、関係のないことだ」
自分に言い聞かせるよう呟いて、リヴィオはホールを後にした。
任務に忠実な殺戮マシーンに徹すること。
マスター・チャペルから入念に叩き込まれた教えだ。
意味のない根性論ではない。
感情がブレればそこに付け入られる隙が生じる。
マシーンであれという教えは生き残るための教訓なのだ。
それなのに、欠点と指摘されたムラっ気の塊のような性格を直さず、あまつさえあんな子供に情を移すなんて。
「それでは生き残れませんよ、ウルフウッドさん……」
◇ ◇ ◇
支援
「いやいや、見事な手際でした」
和風ホールの北口から無常が姿を現した。
わざとらしい拍手を繰り返しながら、大股でホール中央へと歩いていく。
バラライカは不快そうに目を細めただけで、無常に対して特別な振る舞いをみせようとしない。
「随分と遅いご到着だな」
スーツケースを足元に置き、黒い掌大の機械を取り出す。
そう、エルルゥやルフィとの戦闘で取得した探知機である。
バラライカはこの装置によって、劇場における人々の位置関係を把握していた。
「この子がいるということは、あの黄金の男も来ているのか……予想通りだな」
両脚を吹き飛ばされて倒れ伏す少年を一瞥し、バラライカは呟いた。
探知機に反応があるあたり、まだ絶命はしていないらしい。
だがこれだけの深手だ。もう助からないだろう。
わざわざ楽にしてやる義理もなく、そのために無駄弾を使うつもりもない。
少年の不幸と誤算は、バラライカが探知機を所持していたことに他ならなかった。
いわば少年は情報戦で敗北したのだ。
彼の行動は中央劇場を駆け回っているときから筒抜けであった。
そもそも無常が一旦南劇場から離れたのも、少年を誘き出して挟み撃ちにするための策略であった。
結果的には、無常の到着が送れたためバラライカ一人で片付けることになったのだが。
しかし、もし探知機がなかったとしたら――
詮無きことだな、とバラライカは浮かんだ雑念を払う。
探知機がなければそもそも単独行動などしていない。
右腕を失った状態で一人になるなど、自殺行為もいいところだ。
探知機をデイパックに戻し、右肩を撫でる。
両腕が健在であれば武器と探知機の両方を同時に扱うことも可能だった。
しかし今は片腕がない。
武器を手にしたときは探知機を、探知機を手にしたときは武器をしまう必要がある。
それがひどく不便であった。
「南劇場にいるのはあと三人か」
「男と女が一人ずつと、よく分からない生き物が一匹でしたよ」
ふん、とバラライカは鼻を鳴らした。
合流に遅れてまで確認したということは、こちらを見限る準備は万端なのだろう。
「偵察だけしか能がないとは。少々評価を改めなければな」
バラライカは通路沿いの座席の肘置きに腰掛けた。
この手の輩はプライドだけは無駄に高いものだ。
少し煽ってやれば簡単に動くだろう。
「偵察だけ? 聞き捨てなりませんねぇ。
いいでしょう、次は私が主導で行います」
そら、来た。
◇ ◇ ◇
拳が腹にめり込んだ。
人型に姿を変えたチョッパーの巨体が床から浮く。
「がふっ……」
「邪魔だぁ!」
掬い上げるような一撃。
右肩のフィンが回転を増し、ロビーに暴風を撒き散らす。
振り抜かれた拳に打ち上げられ、チョッパーは二転三転と宙を舞い、ホールの壁に激突した。
血の混ざった息が肺から追い出され、声にならない音が漏れる。
「チョッパーくん!」
レナは獣人型となって床に落ちたチョッパーを抱き、カズマを睨んだ。
あの拳で殴られたら、レナなどひとたまりもないだろう。
チョッパーのように白目を剥いて気絶するだけで済むとは思えない。
拳が触れた瞬間に即死する危険すらある。
それでも、レナは果敢に顔を上げた。
目から溢れた涙を拭くことも忘れ、レナはカズマに問い質す。
「どうして……? どうしてこんなことするの!?」
「決まってんだろ……さっさと帰るためだ!」
簡潔にして究極の理由を叫び、カズマはレナに右腕を向けた。
広げた指を人差し指から順に折り曲げて、最後に親指を曲げて拳を作る。
無力な少女であっても殴り飛ばす――これ以上ないほどに明確な意思表示。
「殺されてなんか、あげない」
レナはチョッパーを床に横たえて、デイパックから異形の銃を取り出した。
二挺の大型拳銃が互い違いに結合した形状のそれは、名を二重牙という。
リヴィオ・ザ・ダブルファングが得意の得物とし、両手に所持して前後左右同時射撃を可能としていた代物だ。
その威力たるや、本来の持ち主の身体能力を以ってすれば、一部隊を一瞬で鏖殺するほどである。
しかしそれは、リヴィオの鍛え抜かれた肉体と技術があってこそ。
レナが扱ったところで、余分なパーツがついた拳銃として使うのが関の山だろう。
だが、それだけでも十分だ。
「魅ぃちゃん……力を貸して……」
両の足で床を踏みしめる。
そして、両手で二重牙を構えた。
「いくぜぇ!」
カズマの背でファンが高速回転を開始する。
力強い踏み切りに合わせて大気の奔流が渦を巻き、カズマの肉体を一気に加速させた。
「……来たっ!」
レナの指がトリガーを引き絞る。
炸薬が銃身内部で爆発し、弾丸に超音速の運動エネルギーを与える。
しかしその反作用は、本体の重量で抑制されながらも、反動という形でレナに牙を剥いた。
両腕が跳ね上がり、肩に激痛が走る。
銃把を握っていた指が衝撃で外れ、宙を舞う二重牙。
繰り出された弾丸は一分の狂いもなく直進し、カズマの左上腕を貫通する。
だが、足りない。
一発だけではこの男は止められない。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
放たれるシェルブリッド。
ホールの外壁が、まるで砲弾の直撃を受けたかのように爆砕。
亀裂が天井にまで及び、床材に小規模な地割れが生じた。
「チッ……」
カズマは思わず舌打ちした。
手応えがなさ過ぎる。
殴りつけたのは壁だけだ。
振り返れば、安全圏にいる動物型のチョッパー。
そして、その角に担がれたレナの姿。
「あいつはおれが倒すから……レナは休んでいてくれ」
「チョッパーくん……」
チョッパーはレナを降ろして、カズマの前に進み出た。
目深に被った帽子の下から、団栗のような目が対峙するカズマを見据えている。
「いいぜ、まずはてめぇからだ」
カズマが拳を構える。
チョッパーはトナカイの四肢で床を蹴り、カズマの眼前で人型と化した。
「うあああああっ!」
「おらぁっ!」
巨躯から振り下ろされる拳。
カズマは襲い来る腕の側面を殴り、無理矢理に軌道を捻じ曲げた。
その勢いのままに、背中のファンの出力で一回転。
無防備を晒していたチョッパーの腹部にストレートを見舞った。
チョッパーの顔が苦痛に歪む。
二歩、三歩と退いて、しかしそこで踏み止まる。
「早く逃げて!」
「駄目だ!」
レナの悲痛な叫びを、チョッパーは一言で否定した。
ぐっと歯を食い縛って、自分よりも強い敵を睨みつける。
「レナを護れなかったら、顔向けできないんだ!
ルフィに……ウソップに……みんなに顔向けできないんだ!」
獣型に変形、同時に蹄で床を蹴る。
ジグザグに跳ねながらカズマへ距離を詰めていく。
対するカズマは右腕を引き、チョッパーの突進を迎え撃つ構えを取った。
「くらえっ!」
角を突き出し、頭からカズマに突っ込む。
カズマはそれにタイミングを合わせ、脳天を狙って拳を放った。
瞬間、チョッパーの肉体が縮小。
獣人型で床に着地した。
「何っ!?」
頭上を拳が素通りする。
チョッパーは素早くカズマに背を向け、獣型に変形して後脚の蹴撃を繰り出した。
獣の脚力と頑丈な蹄が負傷していた腹部に突き刺さる。
内臓を押し潰しかねない衝撃力に、視線の焦点が揺らぐ。
しかしカズマは激痛の中、チョッパーの片脚をしっかりと握っていた。
「まだまだぁ!」
またもや獣人型に変化するチョッパー。
握られた片脚を軸に、身体全体がカズマへと引き寄せられる。
脚が細くなったことで、手との間に生じた隙間を利用して、床に背を向けるよう身体を捻る。
そして流れるように人型へ再変形。
「あああああっ!!」
振り翳した両腕をハンマーのようにカズマへ叩き込む。
カズマは受身を取ることすらできず、顔面から床に激突した。
一度だけ大きくバウンドし、うつ伏せに倒れ伏す。
「やった……か?」
チョッパーは肩で息をしながら、カズマの行動を見守った。
アルターに包まれた右腕が床材を握り、バキリと潰す。
凄まじい勢いで顔面から叩きつけられながらも、カズマはまだ折れていない。
右腕を支えに、上体だけを起こす。
伏せられた顔から、壊れた蛇口のように血が滴っていた。
「この程度で……」
脚がいうことを聞かないのか。
右腕だけで起き上がろうとして、また床に崩れる。
「……立ち止まってなんか……」
思考を埋めるのは、怒りではなく、助けたいという意思。
今すぐにでも駆けつけてやりたいという焦燥。
ロストグラウンドのどこかで自分を待っている、少女への想い。
「……いられねぇんだ!」
シェルブリッドが床を撃つ。
至近距離からの一撃は、その反動でカズマをチョッパーの真上にまで吹き飛ばした。
「しまった!」
「ブッ倒れろおおおっ!」
回転するファンの気流が落下速度を更に加速。
隕石の直撃じみた衝撃がチョッパーに打ち込まれ、その身体を床にめり込ませる。
ロビーに小規模なクレーターが生じる。
その真ん中で、チョッパーは四肢を投げ出して動かなくなっていた。
「……ぐっ」
クレーターの傍らに着地したカズマだったが、すぐに膝を折り、うつ伏せに床へ倒れた。
しばらくの静寂。
「チョッパーくん……!」
死闘の威圧から解き放たれたように、レナはチョッパーに向けて駆け出そうとした。
その首筋に、冷たく光るナイフの刃が押し当てられる。
「動くな」
底冷えするような女の声。
レナが背にしていたホールの扉が、いつの間にか小さく開かれていた。
女の腕はそこから突き出され、レナの首にナイフの硬い感触を伝えている。
「おやおや、無様なものですねぇ」
扉の隙間からスーツの男が姿を現す。
男はレナに対して興味を示さず、カズマに向かってまっすぐ歩いていく。
「無常……矜持……!」
「覚えて頂けて光栄です」
慇懃な言葉とは裏腹に、カズマを乱暴に踏みつけるスーツの男――無常矜持。
嗜虐的な笑みを満面に浮かべ、傷ついた左肩を踏みつける。
みしりと関節が軋み、激痛がカズマを襲う。
「ぐあ……!」
「結晶体との接触を果たした以上、貴方に使い道はありません。
今となってはただの邪魔者。速やかに消えていただきます」
アルターを使うまでもないとばかりに、拳銃をカズマの頭に突きつける。
カズマは動くこともままならず、チョッパーは意識を失っている。
レナはバラライカに銃口を突きつけられ、そのバラライカに無常を止める意志はない。
圧倒的窮地の中、カズマは尚も立ち上がろうともがいていた。
「答えろ無常……かなみを攫ったのはテメェの差し金か」
「かなみ……あの少女ですか? ならば返事はイエスです。私が命じました」
自身を踏みつける力に抗うように手足を動かす。
しかしそれすらも、無常の暴力の前に捻り潰される。
「どうして攫った……!」
「最初は貴方達を誘き寄せるためだったんですがねぇ。
貴方達が用済みになった以上、今は彼女の能力そのものが魅力的です。
私の渇きを癒す助けになってくれるに違いない」
肩を踏みつける力が更に強まる。
無常は心底楽しげに高笑いをしながら、トリガーに指を押し当てた。
「かなめは……どこだ!」
「教えてあげません」
後ほんの少しだけ引けば事足りるだろう。
だが――
何の前触れもなく、無常は拳銃を放り棄てた。
「突然ですが気が変わりました」
カズマの怒りの眼差しに対し、無常は更なる憤怒を持って応える。
慇懃な口調はそのままだが、誰の目にもその苛立ちは明らかであった。
「そういえば、貴方には一度対等に渡り合われていましたね。
あれが私の実力だと思ったまま死なれるのは、正直腹立たしいのですよ。
手向けと思ってください。貴方は私のアルターで葬って差し上げます」
翻意の理由は誰にも分かるまい。
無常とのやり取りで燃え上がった怒りによって、カズマに宿ったスタンド『サバイバー』が発動。
その効果が至近距離にいた無常にも及び、冷静な判断を失わせたのだ。
カズマはある種挑発とも取れる言動に激昂し、アルターの爪で床を掻き毟った。
「てめぇ!」
「無駄ですよ! アブソープション!」
カズマの全身に電撃のような衝撃が走る。
激痛と共に、シェルブリッドが強制的にアルター粒子へと分解されていく。
「ぐああああああああああああああっ!!」
指先から、背中のファンから、細かな粒子と帰すシェルブリッド。
そのアルター粒子は、無常の口内へと吸い込まれるように消えていった。
シェルブリッドが完全解除されたのを確認し、無常は蛇のように笑う。
「ホワイトトリック」
無常の左腕が黒い焔のようなアルターに包まれ、カズマの背を打つ。
白い電撃がカズマの総身を駆け巡った。
「あああああああああああああああっ!!」
「アーンド、ブラックジョーカー」
同様に、右腕。
黒い電撃のダメージが相乗し、カズマは人間の声とは思えないほどの叫びを上げた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーッ!!」
「これが力です! 結晶体から得た私の力です!」
絶叫と高笑いがロビーに響き渡る。
あまりの凄惨さに、レナは今まで戦っていた相手だというのも忘れて、カズマに駆け寄ろうとした。
しかし、首筋のナイフがそれを許さない。
「お友達のようになりたくなかったら、大人しくしていなさい」
「……お友達……?」
バラライカの言葉を聞いた瞬間、レナは背筋が凍りついた。
お友達と言われて思い浮かぶのは、同盟の皆か、部活メンバーのどちらか。
「お友達って……?」
ナイフが押し当てられていなければ、すぐにでも振り返って問い質しただろう。
もう誰一人として欠けて欲しくない仲間達なのだ。
聞きたくないという思いと、確かめたい思いが交錯し、レナの思考を硬直させる。
「あなたと同じ日本人の子よ。名前は確か……ケイイチ、だったかしら?」
「――――!」
レナの眼が見開かれる。
まさか、そんな、どうして――!
首を引き裂かれる危険も顧みず、レナは振り返った。
その瞬間、バラライカの腹部から血濡れの切っ先が飛び出した。
赤いコートを貫いたそれは、生臭い血糊を撒き散らし、レナの制服の袖を掠めて空を切る。
胃から逆流した血を吐く暇も与えず、バラライカを力任せに投げ捨てる黄色の槍。
「一度ならず二度までも……よほど命が要らんとみえる」
半開きの扉を押し退けて、金色の王気を放つ英雄王がその身を現した。
突然の闖入者に驚愕し、無常がカズマから手を離す。
「何ですか、あなたは」
「あやつの魔力を感じて来てみたが、随分と詰まらんことになっているな。
雑種ばかりが雁首を揃えたのではこの程度か」
支援
無常が激しい憤りに表情を歪める。
アーチャーの、他者を限りなく軽視した言動に端を発したその憤怒は、
未だ効力を失わぬサバイバーによって増幅され、無常から冷静さを根こそぎ奪い去っていた。
散々痛めつけたカズマを標的から外し、アーチャーを新たな敵として認識する。
しかし、それはまだ早すぎた。
「おおおおおっ!」
カズマの右腕と周辺の床が微細な粒子と化して消失、再構築。
分解吸収されたシェルブリッドがその形状を取り戻す。
無常に己の失策を悟らせる間もなく床を殴り、反動で上体を捻る。
シェルブリッドの威力を帯びた肘鉄が、無常の脇腹に突き刺さった。
「邪魔だ!」
「おのれぇ……!」
重石になっていた無常を吹き飛ばし、カズマは獣のように四肢を突いた。
眼差しの先には、千載一遇の好機と見て二重牙を拾いに走るレナの姿。
今のカズマにとっては、立ちはだかるもの全てが敵。
武器がなければ一介の女子学生に過ぎないレナも例外ではない。
肉体は頭のてっぺんからつま先までボロボロだ。
受けたダメージを数えることすら億劫になる。
しかしそれくらいで戦いを止めるほど、カズマという男は脆くはなかった。
肩のフィンが高速回転を開始する。
大気の渦を後方へ噴出。
水平かつ超低空の跳躍で、十メートル余りの距離を瞬時に塗り潰す。
「シェルブリッド……!」
シェルブリッドの装甲が展開。
手甲内部で膨大なエネルギーが渦を巻く。
そのとき、何の前触れもなく天井が砕けた。
「バーストオオオオオッ!」
カズマの拳が『壁』を打つ。
地響きにも似た轟音が鳴り響き、ロビー全体が振動する。
突如として立ちはだかった山岳の如き『壁』に遮られ、シェルブリッド・バーストはレナに届かなかった。
山岳の如き巨躯――
山をも穿つ掃射に耐え切る鉄壁――
「む……坊主、意外と効いたぞ」
征服王イスカンダルに阻まれて――!
ライダーによって破壊された屋根の残骸が、今頃になって床に落下する。
恐らくアーチャーを除く誰もが驚きを覚えたことだろう。
よもや時ここに至って、更なる闖入者が姿を現すとは。
「遅い。我を退屈で殺す気か」
「貴様を待たせた覚えはないんだがなぁ……痛つつ」
シェルブリッドがライダーの胴体から離れる。
ライダーは殴られた箇所を片手で押さえ、唾液の混ざった血を吐いた。
消耗し切った状態では十全の威力を発揮できなかったのか。
それとも純粋にライダーの耐久がシェルブリッド・バーストの威力を上回ったのか。
どちらが真相であるにせよ、ライダーがこうして立っていることが唯一の事実である。
「畜生……!」
カズマがもう一度腕を振り被る。
それを止めたのは、無常の憚ることを知らない嘲笑であった。
「愚かですねぇ、実に愚かだ。
誰彼構わず噛み付いて、ここぞという時に力尽きる狂犬を見ているようですよ」
そして、カズマを哀れむように肩を竦める。
「私が憎いのではなかったのですか?
私を倒してお姫様を助けたかったのではないのですか?
目的を見失った者の迷走は、実に哀れで滑稽ですよ」
「好き勝手言いやがって……!」
カズマは無常へ殴り掛かろうと身構えた。
しかし一歩を踏み出した時点で脚が言うことを聞かなくなり、呆気なく床に倒れこむ。
「やはりあなたでは私の渇きを埋められない。
いいえ、全てを手に入れるまでこの渇きは収まらないのでしょうね」
カズマの意識が薄れるにつれて、サバイバーの効力も消えていく。
無常は平静さを取り戻した思考回路で現状を顧みた。
――自身のダメージ、なし。
――女のダメージ、深刻。もはや死を待つのみ。
――ネイティブアルター・カズマ、脅威にならず。
――毛むくじゃらの奇妙な生物、同上。
――若い女、ほぼ無力と断定。
ここまではいい。
問題は残りの二人。
――赤目の男、詳細不明。得物の黄色い槍はいつの間にか消えている。
――大男、詳細不明。シェルブリッドの一撃に生身で耐えていた。
いわば正体不明のイレギュラーだ。
しかし、無常は負ける気など毛先ほどもしていなかった。
結晶体から入手し、先ほどカズマに放った強大な力は、それほどの確信を無常に齎していたのだ。
「全てを手に入れた程度で満たされるとは。器が知れるぞ、雑種」
「……何か言いましたか、あなた」
無常の思考に、傲慢不遜な一言が割って入る。
「この世の全ては我の所有物よ。だが、世界はいつも我を飽きさせぬ。
雑種とて数が集まれば、一人くらいは楽しめる輩がいるものだ」
「戯言を……!」
『全てを手中に収めている男』はそう言い放ち。
『全てを手中に収めんとする男』は殺意を以ってそれを睨んだ。
しかし、その憎悪は完全に一方通行であった。
アーチャーは無常へ然したる興味を払わず、ライダーの陰でへたり込んでいるレナを一瞥した。
「まだ息はある。急げば遺言には間に合うかも知れんぞ」
「…………!」
レナはアーチャーの言わんとすることを理解し、全速力でホールに駆け込んでいった。
ライダーはアーチャーの発言を聞いて意外そうに目を瞬かせ、無常は冷めた眼差しでレナを眺めていた。
バラライカの砲撃で無残に斃れた少年に縋り、肩を震わせる少女の後姿。
無様に泣き喚く声がここまで聞こえてくるようで、不快極まりない。
「力がないとは哀れなものですねぇ。
何かを手に入れるどころか、一方的に奪われるばかり。
それに死体には何の価値もない。死んでしまえばそれまでですよ」
無常は、腹と口から血を垂れ流しながらどうにか起き上がろうとするバラライカを一瞥した。
「早くお起きなさい。あなたの力はその程度なのですか」
なんという無様さの極み。
あれだけ大口を叩いておきながら、結局は不意を打たれて死に掛けている。
やはり勝ち残るのは、この無常矜持をおいて他にない。
無常はデイパックから新たな装備を取り出した。
まるで旅行鞄のような大きさのスーツケース。
傍から見ればただのケースであるが、その実体は人知を超えた凶器。
GUNG-HO-GUNSの13番目、エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルの主武装である。
『彼女』の超越的身体能力でこの武装を扱えば、かのラズロ・ザ・トリップ・オブ・デスすら赤子同然となるのだ。
無常はこれを実戦で使ったことはないが、その凄まじい威力は対物実験で既に試していた。
この男達が如何に屈強であろうと、勝ち目などあるはずがない。
勝利は必定。
敗北は奇跡でも起こらない限りありえない。
「死んでしまえばそれまで、か」
それなのに、ライダーは前に進み出た。
サーヴァントゆえの卓越した感覚は、レナの泣きじゃくる声を確かに聞き取っている。
悔しげに歪んだチョッパーの表情も感情を察するに余りある。
園崎魅音。
モンキー・D・ルフィ。
言葉には出さなかったが、橋の袂でその名を聞いたとき、ライダーは不安を覚えていた。
冷静さを失ってはいないか、嘆き悲しんではいないか、と。
だが、それは要らぬ心配だったようだ。
彼らはこうして戦い、敵に立ち向かっていたのだ。
「ならば、余も先人として王たる生き様を見せてやらねばな」
「何……?」
覇気に溢れたライダーの眼光に気圧され、無常が一歩退く。
その自信がどこから生じているのか、理解することができない。
「見せてやろう。死をも超える我らが生き様を!」
どこからか風が吹き抜ける。
灼熱の熱砂が渦を巻き、無常に一瞬の怯みを生じさせる。
再び瞼を開いたそのときには、世界はとうに変わり果てていた。
「……馬鹿な」
無窮の空。
遮るものなどなにもない蒼穹。
劇場もホールも既になく、無尽に広がる平原の果てに、陽炎に霞む地平線があるばかり。
大気が揺らめき、勇者の輪郭が具現する。
次々と形を成していく豪壮なる武具。
征服王イスカンダルの下に集う歴戦の勇士達。
光り輝く騎馬の精鋭。
それはまさしく奇跡の具現。
時を越え、空間を越えて召喚される征服王の親衛騎兵。
征服王イスカンダルが最終宝具。
王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)――!
「馬鹿な……そんな馬鹿な……!」
無常は更に退いた。
靴越しに伝わる砂と土の感触は、これが幻ではないことを如実に証明する。
『向こう側』の力を手に入れた無常は、市外の建造物を片っ端から再構成して巨大な要塞を生み出していた。
そのアルター要塞ですら、これほどの大規模な変化は成しえていない。
ビルを、川を、湖を、山を、森を、地上に存在する尽くを更地に変えてしまうなど――
しかもあの軍勢は何だ。
どこから現れたのだ。
あの全てがアルターだとでも言うつもりなのか。
「この軍勢は我が同胞よ。同じ夢を追った同志達。
死を迎え、英霊として世界に召し上げられてなお、余についてくる気持ちのいい馬鹿者どもだ」
熱風が旋風を巻く中、一騎の空馬がイスカンダルに近付いた。
イスカンダルは忠実なる愛馬に跨り、腕を横に振るう。
黒スーツに変化させられていた王の装束が本来の形を取り戻す。
軍勢の先陣で腕を組む征服王の偉容は、背後に展開した軍勢の輝きの総和に比しているといっても過言ではない。
「死を越えるだと……!?」
「貴様には分からんだろうが、軍人って奴は仲間意識が強いもんさ。今も昔も変わらずな……」
平静を失う無常の横で、バラライカが呟いた。
固有結界に取り込まれた者達は、征服王の意のままの位置に出現させられる。
無常とバラライカは軍勢の真正面に、レナ達は安全かつ戦場を一望できる位置に。
腹の傷を押さえ、どこか感慨に耽っている様子ですらあるバラライカを無視し、無常はスーツケースを構えた。
レナは、死すらも越える仲間の絆を見た。
砂と石だらけの地面に膝を突き、圭一の亡骸を抱きしめる。
チョッパーは、死しても途切れぬ主従の絆を見た。
横たわったままで首だけを向けて、仰ぐと決めた者の下に集う騎兵を目に焼き付ける。
カズマは、果て無き平原にロストグラウンドの荒野を重ね見た。
戻らなければならない大地を心に刻み、シェルブリッドの拳をきつく握る。
その中でアーチャーだけが、退屈そうに目を細めていた。
結末の分かりきった三文劇を見せられているかのような怠惰。
アーチャーの背後の空間が波打つように揺らぎ、槍の切っ先が現れる。
「使うがいい。先陣が丸腰では締まらんぞ」
低速で撃ち出された破滅の黄薔薇を受け取るライダー。
「使うがいいってなぁ……こいつは元々ランサーの宝具だろ」
手綱を手繰り、ブケファラスの鼻先を敵へ向ける。
精鋭達は王の命を待ち、忠誠と戦意に胸を昂らせている。
ライダーは声高らかに忠臣達に問うた。
「死を以って絆は途切れるか!」
『否! 否! 否! 否!』
王の問いに精鋭達が唱和する。
幾百幾千の声が束ねられ、大地すらも鳴動させる。
「死を以って夢は途切れるか!」
『否! 否! 否! 否!』
大空までも打ち振るわせる益荒男の声。
征服王が両腕を広げ、唱和を制する。
「ならば往こうぞ! 今を生きる者達に我らが覇道を知らしめよ!」
『おおおおおおおおおおおッ!!!!!』
征服王イスカンダルの雄叫びに、軍勢達は喝采を持って応える。
偉大なる王を背に戴き、地を駆けるブケファラス。
その疾走を皮切りに、輝ける騎兵が津波の如く殺到する。
『AAAALaLaLaLaLaie!!』
ライダーの咆哮に呼応して、騎兵達が鬨を放つ。
怒涛と轟く烈唱が大地を震わせ、莫大な砂煙を巻き上げる。
「勝つのは……」
無常の手が、スーツケースの取っ手を壊れんばかりに握り締める。
目を血走らせ、歯を食いしばったその姿からは、かつての余裕など想像もつかない。
「勝つのは私です! この無常矜持です!!」
スーツケースの一部が展開、ボウガンのように巨大な釘を連射する。
人間を一撃で致死させて余りある連撃は、しかし英霊達の吶喊を止めるには至らない。
たとえ十人、二十人に傷を与えようと、軍勢の猛攻には影響を与えないのだ。
『AAAALaLaLaLaLaie!!』
支援
迫り来る蹂躙。
ライダーへと飛来する一射を破滅の黄薔薇が弾き止めた。
無常はスーツケースを投げ捨て、両腕に結晶体の力を発動させる。
ホワイトトリックとブラックジョーカーがドリル状に変形。
目を見開き、口から叫びを迸らせ、無常は軍勢に向けて走り出した。
「ふざけるなああああぁぁぁぁぁっ!!」
交錯は一瞬。
芥子粒を臼で磨り潰すほうがよほど手応えがあっただろう。
軍勢の駆け抜けた跡に人の形はなく、血の臭いの混ざった砂煙だけが残された。
◇ ◇ ◇
「クソッ、ひょっとして無人なんか!」
ウルフウッドは悪態を吐きながら連絡通路を駆け抜けていた。
リヴィオやラッドがいる北劇場から一目散に逃げ出して、そこから南へ進んでいる真っ最中である。
ただ逃げるだけなら、劇場を離れてビル街の中に身を隠せば事足りる。
しかし今は、そうするわけにはいかない事情があった。
「ニコラス! あそこ、扉が開いてる!」
ウルフウッドの小脇に抱えられたまま、梨花が通路の奥を指差す。
確かに、南劇場のホールの北入り口が開けっ放しになっている。
目指す先のことは目敏く悟っても、自身のことには注意が及んでいないのだろう。
たっぷり浴びていたはずの返り血が、一滴残らず消え失せていることにはまだ気付いていないようだ。
「よっしゃ、次はそこ行くぞ!」
劇場を逃げ出せない理由。
それはここにいるという梨花の仲間の存在だった。
赤いコートの女だけでなく、あの殺人狂や、変わってしまったリヴィオまでいるのだ。
早く合流しなければ取り返しのつかないことになってしまう。
ウルフウッドは和風ホールに入り、南へ向けて走り続けた。
物陰に立てかけられた金色の鎧。
通路に散らばるガラスの破片。
火薬の爆発で吹き飛ばされたらしい座席。
飛び散った血痕。
戦闘の痕跡らしきものは幾つか見つかったが、人間は生者も死者も見当たらない。
「誰もいない?」
「遅かったんか……」
ウルフウッドは別の扉からロビーに出、ホール外周を辿って南に向かった。
三つ並んだ劇場の中でも最南端。
ここに誰もいなければ、もう探す意味はない。
「……戦いは、あったらしいな」
曲がり角を曲がった先には、誰一人として先客はいなかった。
壁は徹底的に打ち壊され、床には小規模ながらクレーターまで出来ている。
ウルフウッドは梨花を下ろして、周囲を見渡した。
誰かがここを訪れていたのは間違いない。
何らかの理由で戦闘になり、死体を残さない結果で終結し、ここを立ち去った。
デイパックを忘れていっているあたり、相当焦っていたのかもしれない。
つまり、自分達は遅かったのだろう。
「入れ違いやな。そろそろ行――」
ウルフウッドが梨花に移動を促そうとした瞬間。
突如として空間が歪み、何人もの姿が世界に現れる。
王の装束に身を包んだ征服王イスカンダル。
現世の衣装を纏う英雄王ギルガメッシュ。
ぼろぼろの身体で立ち上がるカズマ。
いつの間にか獣人型に戻っていたトニートニー・チョッパー。
小さくなった友の身体を抱き締める竜宮レナ。
そして、レナの腕に抱かれた――
「圭一! レナ!」
支援
一も二もなくレナに駆け寄る梨花。
その一方で、ウルフウッドは目の前で起きた異常に目を丸くしていた。
凄まじい速度で移動した、というのはありえない。
文字通り、一瞬のうちに出現したとしか考えられないのだ。
「ちっ……!」
カズマは片脚を引きずりながら、己が壁に開けた穴へと歩いていく。
その途中で振り返り、ライダーを睨む。
「おい、おっさん。余計な真似しやがって……」
「余は余の敵を討っただけだ。被ったんなら早いもの勝ちだろう」
もう一度だけ舌打ちを残し、カズマは劇場を後にした。
劇場の外で壁にもたれていたアーチャーには顔も向けず、ひとりきりで、まっすぐに。
「しかしアーチャーよ。貴様がレナ達と一緒にいるとは思わんかったぞ」
「成り行きだ」
ライダーから投げ渡された破滅の黄薔薇を受け取り、アーチャーは劇場の屋上を仰ぎ見た。
人間の輪郭とは程遠い影が揺れ、姿を隠す。
アーチャーはソレを見て嘲笑を浮かべた。
大方、戦闘後の疲弊を突くつもりで陣取っていたのだろうが、当てを外したのだろう。
「さて……」
アーチャーは劇場へと向き直った。
繰り広げられた死闘の余波はなおも収まっていない。
むしろ感情の面ではこれからが問題だろう。
だが、いつまでも沈んでいる連中ではないはずだ。
「彼奴には相応の褒賞を与えてやらねばな」
◇ ◇ ◇
『頼む……! レナを……みんなを助けてやってくれ……!』
ライダーの魔力を感じて南劇場へ向かったアーチャーは、その仮定でホールを経由した。
そこにあったのは、幾許かの抵抗の痕跡と、脚を吹き飛ばされた圭一の惨状であった。
敵に立ち向かい、敗北――
これが貴様の結末か、とアーチャーは毛の先ほどの失望を抱き、それきり圭一の存在を思考から弾き出そうとした。
まさにその瞬間であった。
死んだとしか見えなかった圭一が、アーチャーの足首を握り締めたのは。
辛うじて即死はしていないだけだというのに、信じがたいほどの力強さでアーチャーを引き止めようとしたのだ。
そのとき圭一が口にしたのが、前述の請願であった。
『レナはいい奴だけどさ……放っといたら何でも一人で抱え込んじまうんだ……』
見れば通路には跡が残されていた。
焦げた肉を擦りつけ、掠れた筆で血糊を塗りたくったような跡が。
それも、爆発の痕跡から南へ一直線に。
『梨花ちゃんは一番運命を変えたがってたんだ……』
恐らくは這いずったのだろう。
両腕を突いて、炭化した脚を引きずって。
どうにかして仲間達に近付こうという一心で。
『沙都子も……詩音も……こんなところで死んでいい奴じゃない……!』
意識が遠くなるほどの激痛だろう。
剥き出しになった神経を擦りながら、蝸牛の如く進んでいたのだろう。
一向に近付かない扉を目指し、諦めることなく意識を保ってきたのだろう。
『……だから……みんなを……!』
人の本性は死に際に現れるという。
迫る死に狂乱するでもなく。
苦痛に泣き喚くでもなく。
憎悪を滾らせるでもなく。
現実から目を背けるでもなく。
ただ一途に、仲間のことを思い続ける。
そんな死に際は、どんな本性を現しているというのか。
ついに圭一の手から力が抜ける。
指を振り解いて先を行くアーチャーの口の端は、確かに喜悦に歪んでいた。
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に 死亡】
【バラライカ@BLACK LAGOON 死亡】
【無常矜持@スクライド 死亡】
【E-5劇場・北劇場ホール/1日目 日中】
【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:腹部に傷(小)、背中に打撲(中)、胸に銃創、両腕切断 全て再生中 不死者化
[装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝(装填中)@ワンピース
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
1:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
2:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
3:ラズロ(リヴィオ)は特に念入りに殺す。
4:御坂と黒スーツの男(ウルフウッド)、子供(梨花)も殺す。
5:ギラーミンが言っていた『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』(不死者)は絶対に殺す。
6:宇宙人(ミュウツー)は出来れば最後の最後で殺す。
7:左腕が刀になる女(ブレンヒルト)も見付けたら殺す。 詩音はまあどうでもいい。
8:ギラーミンが言っていた『人間台風の異名を持つ者』、『幻想殺しの能力を持つ者』、『概念という名の武装を施し戦闘力に変える者』、『三刀流という独特な構えで
世界一の剣豪を目指す者』に興味あり。
9:グラハムについて少し気になる。
【備考】
※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(エルルゥ)、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。
※自分の身体の異変に気づきましたが、不死者化していることには気付いてません。
※リヴィオとラズロの違いに気付いていません。また、ラズロ(リヴィオ)のことを不死者だと考えています。
支援
【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
[状態]全身治癒中 腹部と左肩に銃創、内臓にダメージ、左腕再生中・見かけは復元、背中にダメージ中、胸にダメージ大 背中のロボットアーム故障
[装備]M94FAカスタム・ソードカトラス×2@BLACK LAGOON、.45口径弾×14、.45口径エンジェルアーム弾頭弾×4@トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式×5、
スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(残弾20発)@BLACK LAGOON、
ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、.45口径弾24発装填済みマガジン×3、45口径弾×24(未装填)
天候棒(クリマ・タクト)@ワンピース、ミリィのスタンガン(残弾7発)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
0:ラズロが戻るまで必ず生き抜く。
1:参加者の排除。ウルフウッドとヴァッシュに出会ったら決着を付ける?
2:ウルフウッドを強く意識。
【備考】
※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。
※ニューナンブM60(残弾4/5)、GPS、チックの鋏@バッカーノ! はAA弾頭の一撃で消滅しました
※とりかえ手ぶくろによって左腕を肩口から奪われました。
※ラズロとの会話が出来ません。いつ戻ってくるか、もしくはこのまま消えたままかは不明です。
【E-5劇場・南劇場周辺/1日目 日中】
【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】
【状態】:疲労(中)
【装備】:機殻剣『V−Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル、アデルの十字槍@BACCANO!
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜1個(確認済み)
【思考・行動】
1:マスター(カツラ)を救う為、24時間以内に参加者を32人以下まで減らす。
2:隙を見て参加者に攻撃を加える
3:男(ラッド)には殺害数を稼いで貰う。殺すのは後回し。
4:魅音かハクオロが細胞を移植し、自分を追ってきたら相手をする。 魅音の死に気づいていない?
5:イエローを殺した相手を見つけたらたとえ後回しにしたほうが都合がよさそうでも容赦しない。
※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。
念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。
※念による探知能力や、バリアボールを周りに張り浮遊する能力は使えません。
※名簿を見ていないため、レッド、サカキの存在を知りません。
※ギラーミンに課せられたノルマは以下のとおり
『24時間経過するまでに、参加者が32人以下でない場合、カツラを殺す。
48時間経過するまでに、ミュウツーが優勝できなかった場合も同様。』
※カツラが本当にギラーミンに拉致されているかは分かりません。偽者の可能性もあります。
※V−Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。
使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、
理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。
第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。
※男(ラッド)と戦った相手が「左腕が刀になる女」であると知りました。
※ブレンヒルトの場所は見失っています。
※ギラーミンから連絡のないことへの疑問、もしカツラが捕まっていないという確証を得られたら?
※なぜギラーミンの約束したカツラからの言葉が無くなっていたのかは不明です。
※本当に念のテレパシーがカツラに届くかは不明です。また内容は次以降の書き手にお任せします。
支援
【カズマ@スクライド】
【状態】:疲労(大) 全身にダメージ(大) 砂鉄まみれ 右腕に痛みと痺れ 右目の瞼が上がらない 右頬に小さな裂傷(アルターで応急処置済み)
腹部と頬に打撃ダメージ、脇腹(打撃痕も)と左肩、左腕に銃創
【装備】:桐生水守のペンダント(チェーンのみ)、スタンドDISC『サバイバー』@ジョジョの奇妙な冒険
【道具】:基本支給品一式×4(食料を3食分、水を1/3消費したペットボトル×2、)、不明支給品(0〜4)、聖剣グラム@終わりのクロニクル
モンスターボール(ピカ)@ポケットモンスターSPECIAL、君島邦彦の拳銃@スクライド
【思考・状況】
1:ロストグラウンドに戻り、かなみを助ける。そのために優勝する
2:ひとまず身体を休める
3:ギラーミンを殴り飛ばす
4:ムカつく連中をぶん殴る。(ゼロ:誰かはよく分かっていない、仗助:死亡を知らない、クレア、レヴィ、ライダー)
5:次に新庄、伊波と出会ったら……
6:メカポッポが言っていた、レッド、佐山、小鳥遊に興味。
※ループには気付いていません
※参戦次期原作20話直後。
※相手の部位が光ったり濁ったりすることについて疑問を抱きました。
【E-5劇場・南劇場ロビー/1日目 日中】
※南劇場ホール内に以下の物品が放置されています
・前原圭一@ひぐらしのなく頃に の所持品
デザートイーグル(残弾数2/6)
双眼鏡、基本支給品×2、ゾロの地図、ヤマハV-MAX@Fate/zero
※南劇場ロビーに以下の物品が放置されています
・バラライカ@BLACK LAGOON の所持品
ロベルタのスーツケース@BLACK LAGOON(ロケットランチャー残弾7、マシンガン残弾80%、徹甲弾残弾10)
デイパック(支給品一式×3)、デイパック2(支給品一式×1/食料二食分消費)、下着類、AMTオートマグ(0/7)、
不死の酒(空瓶)、探知機、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚、通り抜けフープ、
手榴弾×3、、AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)、デザートイーグルの予備弾×16
ロベルタのメイド服@BLACK LAGOON、ガムテープ、ビニール紐(少し消費)、月天弓@終わりのクロニクル
※無常矜待@スクライド の所持品は、南劇場ロビーに放置されているか、王の軍勢によって破壊されました
どの物品がどちらの状態にあるのかは次以降の書き手にお任せします
ハンドガン@現実 予備段数×24
基本支給品一式×2(食事一食分消費)、不明支給品0〜1個(確認済み)フシギダネ(モンスターボール)@ポケットモンスターSPECIAL 、
黒電伝虫と受話器なしの電伝虫のセット@ONE PIECE、エレンディラのスーツケース(残弾90%)@トライガン・マキシマム
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 強いショック
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム、
蓮の杖@とある魔術の禁書目録、二重牙@トライガン・マキシマム、レッドの両腕(包帯と○印あり)、絶縁グローブ(軽く焦げ)@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]
1:圭一! レナ!
2:必ず生き残る。
※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません)
※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。
※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
※スタープラチナに適正を持っています。僅かな時間ですが時止めも可能です。
※スタープラチナを使えないことに気付きました。落としたことには気付いてません。
※ルフィと情報交換しました。
※レナが劇場にいるという情報を得ました。
※レッドのデイパックを持っています。まだ中身は確認していません。
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:全身の数箇所に浅い傷 強い怒りと悲しみ
[装備]:デザートイーグル50AE(4/8 予備弾29)
[道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ)、SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL
シェンホアのグルカナイフ@BLACK LAGOON、○印のコイン
[思考・状況]
1:なんや今の……?
2:古手梨花を守る。
3:ヴァッシュとの合流。リヴィオについては保留。
4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
※ルフィと情報交換しました。
※自身が梨花の事を名前で読んでる事に気づいていません。
※○印のコインの意味は不明です。使い道があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。
※ラッドの再生がミカエルの眼の改造技術に起因するものではないかと推測を立てています。
【ギルガメッシュ@Fate/Zero】
[状態]:肩と腹に刺し傷(小・回復中)、不死(不完全)
[装備]:王の財宝(の鍵剣)、黒のライダースーツ、劇場のパンフレット
[道具]:必滅の黄薔薇@Fate/Zero(王の財宝内)
[思考・状況]
基本行動方針:主催を滅ぼし、元の世界に帰還する。必要があれば他の参加者も殺す。
0:圭一の仲間を脱出させる?
1:自分を楽しませ得る参加者を見定める。
2:ゾロ、佐山に興味。梨花とウルフウッドについては当面様子見。
3:圭一が自分のクラスを知っていた事に関しては・・・?
4:宝具は見つけ次第我が物にする。天地乖離す開闢の星、天の鎖があれば特に優先する。
[備考]
※不死の酒を残らず飲み干しましたが、完全な不死は得られませんでした。
具体的には、再生能力等が全て1/3程度。また、首か心臓部に致命傷を受ければ死にます。
※会場が自然にループしていることを把握しました。
※悪魔の実能力者がカナヅチという弱点を知っています。
※本編での経験から、螺湮城教本を手に入れる気にはならなかったようです。
※クーガーには強い印象を受けていますが、橘あすかのことは忘れました。
※文中台詞の"山猫"とはクーガーのことです。
※圭一の仲間が劇場に向かうということを聞きました。
※銃火器にはもう対処できます。
支援
【チーム名:○同盟】
1:主催者の打倒。
2:グラハムとの合流。
3:これまでの活動の総括。
4:サカキ、アーチャー、ミュウツー、片目の男(カズマ)を警戒。クレアという女性を信用(グラハム以外)
5:ラッドについては微妙(グラハムの兄貴分という情報はあります)。
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 深い悲しみ 私服 右腕に○印
[装備]: 包帯 二重牙@トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式(一食分、水1/10消費)、ドライヤー
[思考・状況]
1:???
2:グラハムが心配
3:部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留)
4:何とかして首輪を外したい
5:イスカンダルの勧誘は保留。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※圭一と会話できたかは不明です。
【トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:疲労(大)、腹部と顔にダメージ(中)、全身にダメージ(中) 腕に○印 深い悲しみ 疲労(小)
[装備]:なし 包帯
[道具]:支給品一式(一食分、水1/10消費) タケコプター@ドラえもん、 タオル、救急箱
[思考・状況]
1:レナを守り抜いてみせる
2:仲間と会いたい
3:グラハムの様子を見る。(別れている為現在実行不能)
4:ギラーミンを倒し、脱出する。
5:イスカンダルの臣下になるかはとりあえず拒否。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期はCP9編以降。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(中)、疲労(中)、腹部にダメージ(大)、全身に傷(小〜中)および火傷(小) 腕に○印
[装備]:包帯
[道具]:基本支給品一式×2、きせかえカメラ@ドラえもん きせかえカメラ用服装イラスト集 、スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
イリアス英語版、各作品世界の地図、拳銃の予備弾30発、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース
[思考・状況]
1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。
2:しばらくレナ達の様子を見る。
3:四次元ポケットとバイクを回収しに図書館へ戻りたい。
4:首輪を外すための手段を模索する。
5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
6:アーチャー(ギルガメッシュ)、クロコダイルを警戒する。
【備考】
※ヤマハV−MAXセイバー仕様@Fate/Zeroは図書館入り口に停めてあります。
※四次元ポケット@ドラえもんは図書館の中に放置されています。
※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。
本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
※レッド・レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※自分は既に受肉させられているのではと考えています。
※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します
※アルルゥの存在を知りました。
【ミリィのスタンガン@トライガン・マキシマム 】
ヴァッシュ・ザ・スタンピードを追いかける保険屋の一人ミリィ・トンプソンの武装。
本来は蒼星石に支給されたものと思われる。
ガトリング砲を短くしたような外観で、かなりの重量がある。
(しかしミリィはこれを片手で持ち歩いていた)
発射する弾丸は特殊なもので、発射すると十字型に展開し、標的を打ちのめして無力化する。
一応劇中で死者は出していないものの、金属の手すりを曲げるほどの威力がある。
初速は時速91km、弾頭重量は4.1kgにも達し、射程もそれなりに長い。
外見のイメージ通り連射も可能だが、弾数は不明。砲身は八本。
【エレンディラのスーツケース@トライガン・マキシマム 】
GUNG-HO-GUNSの13番目、エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルの武装。
本来は無常矜持かイエロー・デ・トキワグローブに支給されたものと思われる。
外見上は巨大なスーツケースだが、その実態は凄まじい威力のパイルバンカー(あるいはネイルガン)で、
ボウガンの弓部分のようなパーツを展開させ、人間の背丈ほどは優にある巨大な釘を発射する。
速度、威力、連射すべてにおいて強力で、人体を容易に串刺しにしてしまう。
本体の強度も、二重牙の掃射を至近距離から受けて耐え切るほど。
スーツケースを展開・変形させて更に強力な射撃をすることも可能。
支援
投下終了です
とりあえず投下乙。しかし懸念される点が。
「王の軍勢」が強すぎやしないか?
発動されれば相手は確実に死ぬ上に疲労もさほどではない。
いくら3回しか使えないといってもこれは拙いんじゃないだろうか
fatezeroは知らんけど俺もそう思ったなー
無常って一応スクライドのラスボスキャラなのにこんなあっさり沈むもんかと
確かにちと強すぎるな。チート対主催である事を考慮しても、必殺にしてはリスクが少ない。
戦闘続行不可な程の疲労とか、半日に一度とか、どうとでも出来そうではあるが。
投下乙。
しかしいくらなんでも王の軍勢強過ぎだろ。確実に即死、本人も疲労なし
無常にも制限があるとはいえ、最終的に兄貴すら手玉に取る強さでそれ以前もすごい強さなのに
あっさり殺しすぎ。前々からだったがサーヴァント贔屓しすぎ
では、ライダーの[状態]の一部を「疲労(中)」から「疲労(大)」に変更し、
【備考】に以下の一文を追加します
※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません
というか、自分の空間に引きづり込んで一騎当千の英霊で囲んでタコ殴りなんて能力が、弱いわけないだろ
ってかいいじゃん
原作的にはあと一回撃ったらしにかねないし、ライダー
疲労極大でも安いくらいだ。
てか、発動したら確実に殺せるってのがマズ過ぎる。
しかも殺せるのは単体ではなく複数体。
>>402 だったらむしろ今のうちに撃っておいてもらったほうがいいんじゃね?
4人相手とかでやられるよりさ
>>402 それが問題なんだよ。
引き込めばまとめて確実に殺せるんだからな
問題ありすぎ
作者が空気読んで使うから問題ないな。
広範囲技が弱点という欠点もあるんだがな。
兵を失うほど魔力の総量が減って、固有結界の維持が難しくなるから。
無常の能力が対単体向きってのも影響したんだろうな
バラライカ死んでる時点で破棄決定だろ
ブラクラは贔屓作品だから、少なくとも終盤まで全員生き残ることが保証されてるのに
空気読まずに殺しちゃうってどうよ
読んでないけどそこだけ気になった
むしろブラクラ読んだ人なら絶対通したいぞ
王の軍勢以上の死因思いつかない
極疲労どころか瀕死でも問題ねぇよ
それじゃなければ、呼び出した英霊の性能、人数を極低下しとけ。
>>409 意味不明
どうブラクラ読んだら王の軍勢以上の死因思いつかないんだよ。
>自分の空間に引きづり込んで一騎当千の英霊で囲んでタコ殴り
っての、発動したら相手は動けなくなって確実に決まるもんなのか?
空飛んだらそれだけでかわせそうなもんだが
まずは投下乙です。
いやはや熱いバトルすごかったです。
圭一のバラライカとの心理戦は息が詰まるのが画面越しにも判るくらいピリピリしていました。
そして仲間が傷ついた事によるライダー怒りの鉄拳、
カズマに対して引こうとせずお互いに仲間を守ろうとするレナとチョッパー
○同盟はやっぱし熱いねー
そして圭一、安らかに眠ってくれ、
あと、この先も気になるなぁ、ラッドに対するグラハムからの信用はどう動くのかとか
果たしてレナはこの男達(アーチャー、ライダー、カズマ、チョッパー、ニコラス)をまとめ上げることが出来るのか
……出来たらバケモンだな
そしてミュウツー、ノルマ達成オメ
改めてGJ
大作投下乙!
マーダーが三人も予約に加わってどうなることかと思えば凄いことに!
ウルフウッドとリヴィオのバトルがまるでトライガン原作さながらでびっくり!
原作と同じ台詞がまた違った状況で使われるのもいいなぁ。あとラッドがなんだかカワイソスwww
圭一の果敢な作戦も成功するかと思ってたのに……そういえば探知機持ってたことを忘れてたorz
でも最後まで頑張った圭一にはお疲れ様と言いたいな。ギルガメッシュに言付けした遺言もまた泣ける……。
カズマVS無常も無常さんが実に無常さんっぽくて面白かった!そうなんだよ、かなみちゃん居なくてもこの人結構強いんだよなぁw
そしてなんといっても王の軍勢!原作読んでみてあれを再現するのは難しそうだなーと思ってたのにまさかこれほどまでに上手く描写されるとは凄いw
ギルガメッシュが黄薔薇を渡すところや、バラライカが軍人のことについてコメントするところが印象的だった。
何はともあれこの大人数を裁いた事に惜しみないGJをー!!
そして少し気になったこと。
王の軍勢は確かにちょっと強すぎかなとは思いましたけどバラライカは負傷してたし、無常さんもちょい冷静さを失ってたから個人的にはあまり気になりませんでした。
まあ、あと一回きり。それも使ったら死ぬぐらいのレベルでもいいかなとは思いました。
それと途中でかなみちゃんの名前がかなめになったところがw
>>412 どこをどう読んだら動けなくなるとかそういう解釈になるのかは知らんが
英霊全員返り討ちに数る程度に強ければ普通に勝てるし、
空飛ぼうが土掘ろうがなんだろうが、魔力切れになるまで軍勢から逃げきれるんならそれでも勝てるよ
空飛んでも意味ないぞ。
ライダーの意思で自由に相対位置を変えられるから。
士郎やアーチャーの無限の剣製もそうだしな。
>>416 そういう固有結界もあるかもしれんが少なくとも王の軍勢じゃ
開始時に相手引き込むときの位置指定と、終了時の排出位置が指定できるくらいで
発動中に結界ないの相手の位置を自在に操れるわけじゃない
>>416 海魔の吐き出した位置くらいしか説明無いわけだが
>>417 支給品やヴィマーナや車輪やプラント能力やミュウツーなど飛べるやついるだろ
心情的なことを言えば
王の軍勢は○同盟の“仲間や臣下”が死んだ時のみ使えるくらいでいいと思うんだけどな
今回ならレッド、
その方が盛り上げやすそうだしさ
>>419 描写見る限り車輪は飛べないし飛べたところで兵隊の投げる武器に狙い討ちされる。
飛行能力(支給品込み)と絶え間なく投擲される武具に耐える力を両方持ったキャラはいるんだろうか。
使うにしても改善すべきは「召喚される兵士の数と強さ」だと思う。
数千人でのリンチなど論外。10人でも多いくらいなのに
アーカードの死の河みたいに兵士いっぱい召喚してぶつけるって技なんだろ?
物量に呑まれて力尽きる、ならともかく先鋒とぶつかっただけで消し飛ぶって言うのがなぁ
社長ならともかく素の状態でカズマやクーガー並に強い無常がさしたる抵抗もなしにってくらい強いのはどうなんだ
>>カズマやクーガー並に強い無常がさしたる抵抗もなしにってくらい強いのはどうなんだ
だからおかしいんだよ。どんだけスクライドを下にみてんだか。
それもあるが疲弊してとは言えシェルブリッド食らって、意外と効いたで済むわけないだろ。
5次バサカでもないのにこれわ無い
こんなありえない事どれだけ型月を頂点で見てるんだ
そんなもんベナウィがヴァッシュのかませ犬になった時点で…
あんな明確にとんでもない実力差があるもの上げられても困る
・王の軍勢で、80体以上のアサシンを一瞬にして粉砕
アサシンは分裂するたび能力が下がるが、最低の状態でも人間なんか足元にも及ばない強さ
・王の財宝を全身にくまなく食らっても致命傷にならず、平然と走り続ける
財宝の威力は、一発辺りが「山をも穿つ」と描写されるほど
↑は原作の描写ね
数か量か、せめてどちらかは重い制限が必要だよな。
数と量は同じだろw
一緒じゃねえかwww>数か量
>>426 なんだ、トライガンの信者が荒らしてるだけか
投下乙!
大迫力のバトルの連続で、それ自体はとても楽しく読めました。
……でも、さすがに王の軍勢が強すぎる気がするね。
制限に関しては3回の制限のみ、後は書く人が決めるって事だったと思うけど。
これは消費が大きいだけで威力に関しては全く制限が無いって事かな。
誰にでも勝てる物をライダー一人だけ持っているのは、ちょっと緊張感に欠けるというか……
後一回、命と引き換えにつかえるとしても。不意打ち以外最悪で引き分けにする事が出来るって事だよね。
威力に関しても全快の相手を一撃で確実に殺す事が出来るって言うのが……
あと、前回ミューツーはテレパシーでカツラに連絡を取ろうとしていたよね、その結果はどうなったのかな。
そしてもう一つ、カズマは無常に攫われて危機に瀕しているかなみを助けるため。
全員すばやく倒してもとの世界に帰ろうとしていたんだよね?
その無常が死んだわけだけど、それでもやっぱり方針は全員倒して優勝狙い?
カズマの性格から考えてもこの方針のままな場合は立ち去るとは思えないかな。
圭一……お前の行動はすごいと思うよ。
もしバラライカが探知機を持っていなかったら、結果は変わったかも分からんね。
でも、その行動がアーチャーの重い腰を動かして、レナ達を救ったんだと思うと
やっぱりお前はすごい奴だよ……改めて投下乙!
アッー!間違えた数か強さだww
制限が甘かったツケがきたな。今決めておいた方が良い。
>>427 山穿つ以前のランス戦で路面に穴あけて、トタンの倉庫を破壊
してるだけだろ。
山をも穿つや海魔での事なんて前後の描写のせいで月板でも微
妙としか言われてないもの出すとはな
とゆうか何が言いたいの?
>>434 バーサーカー戦のは弾かれた余波では?
海魔相手のときも、扉絵からして100m以上はありそうな巨体の3割を4本で消滅させたりしてるし
>とゆうか何が言いたいの?
ただ話題になってる箇所の原作描写を挙げてみただけ
てかロワスレで他の掲示板のこと引き合いに出して何がしたいんだ?
一応制限のルール上は書いたもん勝ちって明記されてるけど……
つかこれ以上は議論スレ行けば?
書いたもん勝ちって明記されているけど。
設定したその制限について反対意見が出るのは仕方が無いさ。
議論スレは賛成、みんな喧嘩腰になってきてるよ?
一回落ち着いてあっちで議論しようよ。
投下乙っです。
ここでバラ姉さん死亡か。
ヴィトソニスキの面々を思い出しながらの最後の台詞を想像すると泣ける。
無常さんも我様との対比がいい味を出している。
しかしラッド、外道になってるなおいw
圭一はレナを最後に救えたか。
しかし目の前で仲間をなくしたレナの今後が不安でもある。
相変わらず梨花ちゃまはニヨニヨしてしまうが、個人的にはニコ兄vsリヴィオが最高だ。
銃撃戦は○の華だぜフゥハハァハァー!
あ、AA弾頭はニコ兄の死後に作られたんで、ウルフウッドは知らないはずですよ。
投下乙
携帯で読んで震えたよ
感想は家帰ってからゆっくりと
しかし王の軍勢が出鱈目な能力だなんて最初からわかってただろ…
俺も前一回問題提起したがスルーされた覚えがある
何をいまさら
だからメンドウなんだよ型月厨の扱いは
>>440 >あ、AA弾頭はニコ兄の死後に作られたんで、ウルフウッドは知らないはずですよ。
文中でもそう書いてないか?
ウルフウッドはエンジェルアームそのものの方を思い出しただけで
>>440 >しかし王の軍勢が出鱈目な能力だなんて最初からわかってただろ…
ですよねー
大火力で月に穴あけたアレと弾頭を見ただけで関連づけられるか?
あとまとめの支給品説明になんか本文に書かれてない制限追加されてるな
分岐制なんだから、気に食わない奴は王の軍勢がくそ弱いバージョンでも書いてろよ
それがおもしろけりゃこっち無視してリレーされるだろうよ
>>446 同意する。
みんな議論スレでやろうぜw
しかしここの分岐制って結構都合いいシステムだな
表向きはそうなってはいるが、したところで誰にも相手されないから実質ないともいえる。
>>446 さすがにそれは横暴だろ
議論スレでやれってのは同意だが
それは横暴、っていったい誰に対して横暴なんだろ
書く意欲があって納得がいかない人は言われなくてもそうするだろうし、
書く意欲がないのに「横暴だ」なんて言うのは、いくらなんでも恥ずかしくて言わないだろうし
謎だ
まあ議論なんかするまでもなく破棄決定だけどな
バラライカ死んでるし
誰が死のうと構わないと思うけど、対主催で戦力としては低いK1一人に
まだ活躍の余地が多い(消耗薄くない)強マーダー複数潰しちゃうのは気になったなあ……
もっと派手に対主催殺してもいいんじゃない?
だいたい、どうでもいいチョンピのキャラが死なずに、
バラライカみたいな人気キャラが死ぬってのがおかしいだろ
もっとバランス考えろよ駄書き手どもが
改めて投下乙
圭一ベストを尽くしたが、その上をいかれたか。
ひぐらし勢も部長の死を皮切りに次々と欠けてきたなぁ。
梨花ちゃまとレナも危ういところだったし
しかし、ラッドがまた重傷負ってるなw
全ロワ中でもこんだけ怪我してるキャラは他にいないのでは?
マーダーなのに半分やられキャラとしての側面もあっておいしい奴
ウルフウッドVSリヴィオはやはりウルフウッドに軍配が上がったか。
そして満を持して現れたイスカンダルの超絶宝具の威容に仲間を失った○同盟の
面々は何を思ったのか。
自分の絶対優位を確信しているところを、それ以上の力で蹂躙される無常にスクライド原作での
最後を思い返したよ。
つか本ロワじゃ抜きんでてサーヴァントが最強なの分かってて読んでるの?
Fateが参戦した時からどうせこうなることくらい分かってたろ。
今更だよホント
何か贔屓やめたみたいだからこれ張っとこうか
2/6【うたわれるもの】
○ハクオロ/●エルルゥ/○アルルゥ/●ベナウィ/●カルラ/●トウカ
4/6【BACCANO!】
●フィーロ・プロシェンツォ/●エルマー・C・アルバトロス/○ラッド・ルッソ/○クリストファー・シャルドレード/○グラハム・スペクター/○クレア・スタンフィールド
5/6【ひぐらしのなく頃に】
○前原圭一/○竜宮レナ/●園崎魅音/○北条沙都子/○古手梨花/○園崎詩音
4/5【スクライド】
○カズマ/●劉鳳/○ストレイト・クーガー/○橘あすか/○無常矜侍
2/5【ローゼンメイデン】
●桜田ジュン/○真紅/●翠星石/●蒼星石/○水銀燈
2/5【ワンピース】
●モンキー・D・ルフィ/○ロロノア・ゾロ/●ウソップ/○トニートニー・チョッパー/●サー・クロコダイル
0/4【ジョジョの奇妙な冒険】
●東方仗助/●広瀬康一/●吉良吉影/●ジョルノ・ジョバァーナ
2/4【とある魔術の禁書目録】
●上条当麻/○御坂美琴/●一方通行/○土御門元春
3/4【ポケットモンスターSPECIAL】
○レッド/●イエロー・デ・トキワグローブ/○サカキ/○ミュウツー
3/3【終わりのクロニクル】
○佐山・御言/○新庄・運切/○ブレンヒルト・シルト
3/3【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
3/3【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○アーチャー(ギルガメッシュ)/○ライダー(イスカンダル)
3/3【BLACK LAGOON】
○レヴィ/○バラライカ/○ロベルタ
1/2【コードギアス ナイトメアオブナナリー】
●ナナリー・ランペルージ/○ゼロ
0/2【ドラえもん】
●ドラえもん/●野比のび太
2/2【WORKING!!】
○小鳥遊宗太/○伊波まひる
0/1【ARMS】
●高槻巌
0/1【あずまんが大王】
●春日歩
39/65
まあそのうち平均化されるんだろうけど、この惨状忘れちゃダメだよ
情報が古過ぎるwww
笑い事じゃなくね?
2/6【うたわれるもの】
○ハクオロ/●エルルゥ/○アルルゥ/●ベナウィ/●カルラ/●トウカ
4/6【BACCANO!】
●フィーロ・プロシェンツォ/●エルマー・C・アルバトロス/○ラッド・ルッソ/○クリストファー・シャルドレード/○グラハム・スペクター/○クレア・スタンフィールド
3/6【ひぐらしのなく頃に】
●前原圭一/○竜宮レナ/●園崎魅音/○北条沙都子/○古手梨花/●園崎詩音
2/5【スクライド】
○カズマ/●劉鳳/●ストレイト・クーガー/○橘あすか/●無常矜侍
2/5【ローゼンメイデン】
●桜田ジュン/○真紅/●翠星石/●蒼星石/○水銀燈
2/5【ワンピース】
●モンキー・D・ルフィ/○ロロノア・ゾロ/●ウソップ/○トニートニー・チョッパー/●サー・クロコダイル
0/4【ジョジョの奇妙な冒険】
●東方仗助/●広瀬康一/●吉良吉影/●ジョルノ・ジョバァーナ
1/4【とある魔術の禁書目録】
●上条当麻/○御坂美琴/●一方通行/●土御門元春
1/4【ポケットモンスターSPECIAL】
●レッド/●イエロー・デ・トキワグローブ/●サカキ/○ミュウツー
3/3【終わりのクロニクル】
○佐山・御言/○新庄・運切/○ブレンヒルト・シルト
3/3【トライガン・マキシマム】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
2/3【Fate/Zero】
●衛宮切嗣/○アーチャー(ギルガメッシュ)/○ライダー(イスカンダル)
2/3【BLACK LAGOON】
○レヴィ/●バラライカ/○ロベルタ
1/2【コードギアス ナイトメアオブナナリー】
●ナナリー・ランペルージ/○ゼロ
0/2【ドラえもん】
●ドラえもん/●野比のび太
2/2【WORKING!!】
○小鳥遊宗太/○伊波まひる
0/1【ARMS】
●高槻巌
0/1【あずまんが大王】
●春日歩
30/65
むしろ、こうじゃないか?
>>459 まだまだ続くロワ全体の流れの中で、一時的にそうなったってだけだろ
そのうちどころかもうかなり平均化してきてるし
いついかなる瞬間を抜き出してもバランスが取れていなければならない、とか言い出すのか?
議論スレでも言われてるが、今回は純粋に相性の問題だよな。
対人単位の攻撃しか持たない無常だから何も出来なかったんであって、広範囲攻撃ならいい勝負できると思う。
無常に期待してる人が多かったからこそ文句出てたんだろうし。
>>461 一時的って言うには随分長かったけどな
てか、この時にバランスがおかしかったのは認めるんだな
贔屓だったらどうなの? って感じだな。
パロロワってのは、今回の話のように自分の好きなキャラを好きなように活躍させる場だよ?
制限なんてのはその口実に過ぎないわけ。
今回の話だって、文章力がズバ抜けたfate好きな書き手がいたってだけじゃん。
踏み台にされるのが嫌なら書けよ。自分の好きなキャラが他作品キャラに圧勝する話をさ。
あぁ、書けないから喚いているのかw
>>463 人数のバランスを取らなければならない、とは毛頭思っていないんで別にどっちでもいいよ
最終的にほどよくなっていれば過程はどうでも
それでいいと思うんなら俺は何も言わないよ
>>抜きんでてサーヴァントが最強
うわぁ・・・流石にねーよ
最終的には個人の好みだしね
自分は、過度にバランスを取ろうとして先が読めちゃうのは好みじゃないってだけだし
>>468 お前の釣られ方もねーよ
>>467 多いから殺す少ないから殺さないなんて理由で無理やり生死を決めてほしくないし、決めたこともない
作品ごとのつまんないバランス気にした予定調和よりも、書き手の思いついた物語に沿った流れで殺してほしいわ
そこに文句言ってる時点でお前は頭おかしい
別にどの作品が優遇されようとお前の人生が劇的に変わるわけじゃないんだからそんなムキになるなよ
いや、ロワに命懸けてるってなら別だけど所詮遊びの企画だし
マーダーの数が減ると僕の給与も減るんです
473 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 22:26:13 ID:aB1vfjNv
お前……これ以上マーダーが減るような発言すんなよ
まぁマーダーはそう死にそうに無い奴らが大勢いるけどな。
まあ言いたい事あったら議論スレで。話はそれからだ。
このロワ最大の被害者はアレイスター(禁書)だろうな、とか言ってみる。
そんなことよりチョンピキャラはいつになったら死ぬの?
バランスとか考える必要ないから、早く全滅させてよ
てか氏から何らかの返答が欲しいな。
このままじゃ収集つかないし
何の返答だよ
苦言を言ってるやつらが何が言いたいのか、落とし所が全く見えないんだけど?
この状況で書き手が何に答えろと?
んーでも、発動に対するコストを調整するぐらいでいいんじゃない?
まあ、訂正の大小に関わらず返答は必要なわけだけど。
おっ、ゼロとペドヴァンパイア組で予約が来てる
それと古城組は延長か、
つか二人は議論スレとはID被ってないけど…
まっ、いっか
三人逃げてー!
>>479 いや、破棄するとかじゃなくて修正に関してな。
イスカンダルの『王の軍勢』以外にも要修正な点上げられてたし、俺も『王の軍勢』にもう少し制限あった方が良いと思ってるし
議論スレ見てるともはやスクライドとFateの原作知ってるのかどうかすらわからんような奴が文句たれてるようにしか見えない
召喚してきた兵士が大半を結界を維持してるから人数は減らしにくい
キャラの制限に首輪とか関係ありそうだが召喚されるのには首輪がない
魔力消費による時間制限といっても1分もあれば押し殺せるレベル
なかなか落とし所が難しいな
よくわからんが、地表に山ほど軍勢があらわれて武器振り上げて迫ってくるなら、
飛んでればいいんじゃね?
届かなければどんな攻撃も意味ないし。
適当な高さで飛び道具だけ気にして回避してりゃ勝手に消えるらしいが。
飛んでるだけじゃかわせないような代物なの?
なあ、議論スレでやろうぜ
>>486 >>415 まぁ下から手槍が飛んでくるだろうけど、それでも逃げ回れるなら問題ないさ
結界維持の必要魔力増加で維持時間を短縮
発動魔力増加
くらいだろ精々、落とし所としては
>>487 ああ、いやすまんw
議論スレとか読んでて、人間の軍勢呼び出してうおおおおっー!なら、飛べばかわせるんじゃね?とふと思っただけなんだw
素朴な疑問だw
>>489 まぁどうでもいい突っ込みだが人間の軍勢じゃなくて英霊の軍勢な
呼び出されるのは軍神とかマハラジャとかそれなりに名の通った英霊たちだ
あとは議論スレで話し合うだけだから
誰か違う話題をふってくれw
じゃあサメの話でもするか
クリストファーの話ですねわかります
悪いが一つ質問をさせてくれ。
ルルーシュはナイトメアを倒せるくらいの力を持っているらしいが
C.Cの方はどうなんだ?
まさかデコピンでナイトメアを倒せるとは言わないよな?
ロリ二人と同行とか今更ながら羨ましすぎるだろう。
C.Cの方は……どうだろう。
まあ、荒事になったらゼロに変わるんじゃないか?
そっちの方が都合も良いだろうし。
497 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 00:44:15 ID:eHRva8ia
>>494 けどナイトメアフレームって軽いよな。
ゼロぶん殴ったのって重量10tなかったはず。
勢い+プロボクシング選手以上の増幅率で自重3,4倍出せても30t前後くらい?
30t40tの攻撃……あれ、意外に食らった攻撃が軽い?w
某パンチ力80tキック力100tの等身大にはさすがに負けるか
修正箇所を仮投下スレに投下しておきました
おつです
乙だよ
>>494 倒すというか、動力部になんかして行動不能にする。
まあナイトメアの蹴り食らって立ち上がるガチタフガイだが。
ナイトメアは軽いし脆い、重装甲でもなければ重機関銃で蜂の巣に出来る
タフガイと言えばラッドとリヴィオだよな。一撃で消し飛ばしでもしない限りすぐ回復するし。
特にラッドとか最早どう殺すんだって感じだww
……ギルが食うのか?
いやいや、一応頭打ちぬかれたら死ぬんだw
本人わかってなさそうだけどw
>>503 前々から気になってたんだけど
不死の酒の効果に同じ箇所に何度もけがなどを負うとだんだん回復速度が早くなっていく
って設定があるわけよ
んでこの設定でき損ないの酒でも適用されるんだが・・・
そろそろラッドの回復速度化物じみだしてきてるんじゃないか?
というか、戦闘能力持ちでまともな参加者がいない件について。
特殊な能力持ちや再生能力や人外やらでまともな人間がいねぇw
超能力の域だからな戦闘能力がある奴は軒並み。本当に超能力の人もいるが。
本気だせばパンチとか蹴りとかで頭や首なんかぶっ飛ばせそうな奴ばっかりで
そんなことないだろ
>>507 本気出さなくてもパンチ蹴りで体を粉々吹っ飛ばす人外ばかりだろ
それってふぇいととか一部の作品のキャラだけだろ
その一部を全部みたいに語る辺り、やっぱ型月厨は(ry
すごいなその言いがかり、感動した
厨とかそんなのどうでもいいが、
サーヴァントの身体能力が○ロワ最強なのは事実なんだが
他の鯖ならともかく宝具だのみのアーチャーやライダーが身体能力でトップってのは流石にない
アニメ終盤のカズマなら超えてる
このロワで出るかは分からないけども
カズマは最終形態になったら我様(エア無し)より強いんじゃね?
我様はそんなに近接戦闘強くなかったし
>>512 本当にそう思ってるとしたら、救いようがないなw
他の鯖でもありえねぇよ
鯖じゃなかったら何が最強なんだよ
スクライド?
スクライド厨乙
すごいなその言いがかり、感動した
最強云々ってのは作品内の世界が違う以上、その人の思い入れによって決まることが多いしな
よっぽどの設定がないと最強なんて決まらんやろ
例えば
「戦隊ヒーローの合体ロボを生身で倒せて、ブラックホールに飲み込まれても死なない、そんな悪の組織の雑魚戦闘員」
とか
>>515 あたりまえだろ。あんな最終形態がギルと比較になるわけないだろ
ロワには他にもクソみたいな化け物いるし
しかしクーガーの全身アルターは制限されてないのにカズマ第三段階は制限されてるってのも
わけわからん制限だな
ルフィーのギガントと俺の自慢の拳の打ち合いとかも見てみたかったな
スタンスまとめ
ちょんぴの人
ID:FqcTzkfS
月厨(装った煽り?)
ID:LfPigut9
アンチ月
ID:wyxATzjQ
月厨(スクライドアンチ?)
ID:woYlsQdz
>>519 37564は針山さんに帰れw
しかし、夏だからか〜厨とか連呼する連中が増えてきたな…
>>520 意味不明。
平均的な鯖でも常人の何十倍の能力があるのに
ギルはトップクラスの能力持つ鯖だぞ
そもそも○ロワに鯖級の戦闘力持つヤツがどれだけいるんだよ
>>524 ねぎらいの言葉をありがとう、アンチの人
>>525 スタンス通りの発言ありがとう、月厨(偽)の人
しかし強さ議論は不毛だね、無駄に噛みつく人も多いし
ここで何言ってもどんな結論出してもSSには反映しないのにね
>>521 ここぞとばかりにチョンピの話出してくるチョンピ厨w
てかルヒーのギガントなんちゃら(笑)ごとき、カズマの相手になるわけないからw
妄想乙ww
つ制限
どれだけ強かろうが銃で撃たれりゃ死ぬし
そもそもロワで〜が最強とかいうのが間違いだよね、とマジレs(ry
>>526 お前もムダに煽ってんじゃねえよw
騒ぎ収めたいのか大きくしたいのかどっちなんだw
まあ自治ぶってる馬鹿がいるが
それで鯖以上の化けモノがどの作品なのか
早く言えよアンチさん
>>529 お前は上で月厨乙とか言ってるくせになんなの?アホすぎ
強さ議論とか不等号は大好物だし、露骨な馬鹿を見ると煽りたくなる性分なんだけど、荒れるのは望むところではないという複雑なスタンス
とりあえず最強厨の人は俺みたいに自分のPCのメモ帳開いて、キャラソートして不等号つけてフヒフヒ言ってりゃいいんだよ
ただしその情報をSS書く以外の形で表に出すのは厳禁な
まあ、そろそろ落ち着こうぜ。
もしかして投下があるかもしれないからな。
>>530 ギアス、ワンピース、ARMS、トライガン、ポケモン、スクライド、
とそういった人外が居ますが。
まあ月しか見えないアホに何言っても無駄だと思うが。
それと俺は月がキライなわけじゃなくて
お前みたいな月キャラ最強厨嫌いなだけ
>>528 撃たれて死んでない奴もいるわけだけど
ルフィとかクロコダイルとか
まあワンピースは贔屓作品だから仕方ないけど
最強スレ住人的に言うとこの流れはあんまり好きじゃない
喧々諤々に最強議論したいならさ格付け板の最強スレに逝け。
そして脳がつかるまで最強スレ理論にまみれてこいw
最強は皆の心の中にある……!
ということで、変態度最強は吉良亡き今、佐山だと思うんだ。次点は小鳥遊w
>>536 そんなこと当たり前じゃないか!
しかし、ロリやショタと合流すれば小鳥遊は佐山を越えてしまうかもしれないけどな……。
よりよって最強スレかよw
広大解釈の極みじゃねぇか
まあ月大好きさん自分の巣の異種対決スレで打ち砕かればいいよ
ところで書き手氏曰く「『現在の魔力量では』あと1回しか王の軍勢を使えません」
ということだったが、つまり魔力さえ回復すればあと二回は使えるってことだよな?
……このままなぁなぁで通す訳じゃないよね?
『王の軍勢』について修正する、しないは別として、今は氏からの返答待ちって状況だよな?
とっくに修正きてるのに何言ってるのお前?
そんなに気になるなら議論スレくらい見ろよ
えっ……。
つまり、あの書き手氏は王の軍勢に関して何も変える気はないってことか?
それは拙いだろ
>>541 あれはAA弾とかに関する修正だろ?
議論スレで議論されてたのは『王の軍勢』についてだよ。
修正しろって言ってる訳じゃないんだ。しないならしないで返答するべきだって事。
『議論スレに上がった問題でもスルーしてもOK』って前例を作ると後々面倒な事になるかもしれないし
アニメでセイバーが学校の男の先生に負けてた気がするんだが
学校の先生が強いだけか?
既に消費魔力の増大措置が入ってるだろ
>>545 あれはキャスターの魔力で超強化されてたのと、先生が初見の相手には必殺効果の暗殺術を
心得ていたから。
ノーマルの先生は消耗した5次アーチャーに一撃で切り殺される程度
>>544 王の軍勢に関して魔力の消費が多いという修正がされてるわけだが?
それでも修正が足りないというのならともかく、修正されてないとはこれいかに?
>>545 唐突な質問だが、めんどくさいんで結論だけ言うと、そうだよ、学校の先生が強いんだよ
そもそも議論スレで言えば良い事をここでグダグダ言い続ける時点で目くそ鼻くそにしか(ry
>>547 ライダーの状態表変更してないとどれだけ魔力消費したのか分からんだろ。
それだけ
これからは議論スレってことで…
>>551 サンクス。
あー、でもそれだと……いいや、議論スレで
とりあえず今回の王の軍勢のように
・今まで出てなくて(使用されてなくて)
・制限がほとんど書き手に任せきりになっていて
・そのまま放置しておくと今回のような騒動になりかねない個人能力とか支給品
がほかにまだあるのならそれらの制限をさっさと決めてしまったほうが
これから先この企画を楽しむためにいいんじゃないかと思うんだが・・・
議論スレでやれ、といわれるのはわかっているが読み手側も知っておくべきじゃないかと思って
書き手さんも今回みたいに制限があまりかかっていないのをフル活用しただけなのに
ここまでいろいろいわれたんじゃやる気もなくなるだろうし
そんなガッチガッチにして何が楽しいんだ?
全てに絶望したハクオロがウィツアルネミテア化して全員ぶっ殺してロワ粉砕とかのラストとかでも
面白ければそれでいいと思うが…
今のハクオロ見てるとウィツアルネミテア化が制限されてるのが残念でならない
>>554 そのウィツアルネミテア化ってのはそんなに強いのかw
それって、全てのロワ参加者が結束して戦っても勝てないくらいなの?
衛星ビーム直撃しても死なないから自発的な封印を望まないと手が付けられない
とあるロワのラスボスでもある
まぁ一応神様だからな
天の鎖の餌食でもあるが
それってデカイのか?
それともカッコイイ?
>>556 弱ぇ、反応は達人以上レベルだからその攻防力だと高防御の前後以下で、
よくて中位、おそらく下位クラスじゃんとか咄嗟に思ってしまうのは、最強スレ住人の悲しいサガだな……w
>>554 いいわけないだろ
そんなのただの打ち切りじゃねえか
衛星ビームを押し返した揚句地上から宇宙まで飛んでって衛星壊した奴とかいるしなぁ
その程度で、と思ってしまう
>>555 攻防も反応もたいした事ない。
図体はデカいが高火力の能力で一瞬で殺せるレベル。
そんな火力や能力を持ってるのはロワじゃごろごろしてる
そもそもあの衛星ビームも原作じゃシャクコポルの城燃やしてるくらい
ウィツがヤバいのは願い事を叶えるよくわからない力
だから制限受けてる
>>562 エアやAAの無慈悲は攻撃の前じゃ意味無いからなぁ
つか今回の騒動と制限の議論に対して
ここでも議論スレでも書き手のトリ付きの意見が無く
普段通り予約や延長申請してる人もいるのに
未だに騒いでる人は何がしたいの?
別に雑談禁止とは言わないけどぐちぐち言い過ぎ!
>>564 もう、ここでは終わったんじゃね?
今は違う話してないか?
今日古城周辺の投下日だったよな
楽しみだ
ん?明日じゃなかったか?
個人的に古城組の情報交換と、ハクオロがどっちのグループにどう関わるかが楽しみ。
ミスった
延長申請された日から考えてたぜ
いや、今日じゃないか?
五日+二日だよな?
予約したのが18日(土)の22時37分。
予約期限は5日+延長2日だから、期限は長くて一週間と考える。
今日は金曜日だから、期限は明日の今ぐらい。
で、良いんだよな?
ごめんなさい、誤爆ですorz
ま、まあよかったら見ていってよ!w
あ、あとまあ誤爆ついでだけどギルはpart3でしたorz
パート2はここで言うなら神父とかチャリオッツレクイエムとか一方通行さんとかです……ギル、予想以上に上だよ
誤爆乙
今日来るのかな? 楽しみだぜ
スイマセン、PCが規制により古城組を仮投下しました。
どなたが代理投下をお願いします。
(良かった、携帯は繋がって)
何でゾロ死なないの?
贔屓?
そのうち死ぬから安心しなさい
何かゾロのキャラが違うような気がしたな
こんな友好的なキャラだったっけ?
初対面の相手ならもっと警戒しそうだけど
「大丈夫だからさ、さっきの城の病室に戻ればなんとかなるかもしれないから」
そんなことを片方の腕のない動かない女の子の人形を持って森の中を一人の男が駆け抜けていく、
端から見れば危険な人間としか見られないだろう、あるいは大切な人を殺されて
壊れてしまった人間と見られてしまうかもしれない、ただ、ヴァッシュは知っている。
この人形が自由に動き、しゃべり、こちらの行動に反応することを
かつて戦った事のある人形遣いエミリオのそれとも違う動きをする。
そして首に付けられたこの首輪、つまりこの子はこの殺し合いに参加させられた被害者の一人という事になる。
数時間前に古城で拡声器を使った時に一番最初に出てきた人形である。
たしか名前は水銀燈と言っていた。その時はもう一人、ゼロと名乗る仮面の男が一緒にいたのだが、彼は一体どうしたのか、
いや、今はこの子を城に連れて行くのが先だ、新庄君達も協力してくれるだろう。
呼吸をしている以上はまだ助かるはずだから
「もうすぐで病室に着くから」
ヴァッシュは必死に人形を励ましながら古城の病室へと引き返している。
○
「うあああああああああああああ!!ルフィてめえええええええええ!!」
「ワアアアアアアアアアアアアアアア!?」
「あ? てめえ……誰だ?」
「さっきの叫び声をなかったことにしないでよ!? なんで突然叫ぶのさ!?」
「おれの刀はどこだ」
「お願いだから話題を一つに絞ってくれないかな! あ!そんなことより君の血液型――」
城の中の病室の中で突然大きな叫び声が聞こえる
外には大して声は漏れていないようだが、
「いいから俺の刀をよこせ!」
「その前にまずは君の傷を治療してからだね、それとも君、殺し合いに乗ってるの?」
質問をしながら新庄は身構える、おそらく大丈夫であろうがもし殺し合いに乗っていたのなら
逃げ場など限られているし、ひょっとしたら一瞬で殺されてしまうかもしれない
別に武器を取り上げていることは安全になるというわけではないのだから
「いや、殺し合いには乗っていねえ、剣士として常に刀を持つ、それだけだ」
その言葉を聞いてとりあえず安堵する、殺し合いには乗っていないという証言その一言が新庄を安心させた。
「てなわけでこいつは返してもらうぜ」
「待って、先に治療と輸血を……っわっ、」
「これくらいかすり傷だから……うおっ」
ゾロが刀を自分の手元に置こうとしたのを止めようと
刀の引き合いになったが力比べではゾロのが上
刀を思いっきり引っ張った為新庄は体ごとゾロの方に引き寄せられてゾロの上に倒れこんでしまった。
「新庄君、今の音何?……!!!!!!!!!」
まひるはヴァッシュを見送って二人のいる南東の医務室に戻っていると突然叫び声が聞こえたので慌てて向かっていった。
しかし扉を開けてみると医務室のベッドの上で二人の男が手には同じ刀を持ち顔を近づけて体を重ねていた。
思いっきり引っ張っても刀を放さなかった新庄君がゾロを押し倒したような形になっていたが
事情を知らないピュアな女の子のまひるにしてみればそれはあまりにも衝撃的なものであった。
ほかに人のいない医務室の男の人二人が体を重ねてベッドで寝ている。
男性恐怖症という特徴を持つのまひるにとっては尚更
「しししし新庄君の不潔ーーー」
「いい、伊波さんかんちがアァーー、グフッ!」
勘違いをしたまひるのパンチが新庄を直撃し、釈明をしようとする言葉を中断させ、
そのまま倒れこんでしまった。
【新庄・運切@終わりのクロニクル 死亡確ー】
「つまり俺たちを見て、変な関係か何かだと勘違いしちまった訳だな」
「そ、そのごめんなさい」
ゾロから少し距離を置きまひるは必死に謝っている
「大丈夫ですよ、なんとか誤解も解けたみたいですし」
勘違いにより殴られた新庄君がまひるをなだめる
ああ、これは一体何回目の行動になるのか、
【新庄・運切@終わりのクロニクル 生存確認】
「それにしても変態なんて佐山君じゃあるまいし」
「ん?、お前も佐山のこと知ってるのか?」
少し落ち込んだ表情をした新庄であったがゾロの質問に驚く
目の前にいるゾロさんとあった事などないはずだ、それとも僕の知らない佐山君の知り合い
確かに声は聞いたことある気がするんだけど
「君、佐山君のこと知ってるの?」
「ああ、キャンプ場でだったが離れ離れになってなければ小鳥遊って奴と一緒にいるはずだが、
…じゃあお前ひょっとして新庄運切か?」
「そうです、僕は新庄「小鳥遊君と一緒にいるんですか!!?」
今度はまひるが声を上げる、お互いの探してる相手が一緒に行動している事が分かったからだ
名簿に名前が載っているいることと放送で名前が呼ばれていないこと以外に情報が無かった
小鳥遊宗太と佐山御言をこの会場で知る人物が現れたからだ。
「それじゃあ小鳥遊君は佐山君と一緒なんですね」
「いや、それはわからねえ、」
「どうして」
「もう一人蒼星石って奴もいたんだが、さっきの放送で呼ばれていた、つまり今も一緒にいるかは
分からないが少なくとも一度何者かに襲われたってこった、そう簡単に分散するような雰囲気じゃなかったからな
まあ放送じゃあ呼ばれてないって事は生きてるって事だろ」
「つまり、その3人はいっしょに行動していたんですね」
「ん、ああ確か駅のほうに向かうとか言っていたが、それも数時間前の話だけどな」
「そう・・・ですか」
ようやく手に入れた小鳥遊君のの情報であったが結局今何処にいるのかは分からずじまい、
それでも今までとは違い小鳥遊君と佐山君が共に行動してるかもしれないという事が
分かっただけでもいいのかもしれないが、
「ところでその蒼星石って人はどんな人だったんですか?」
ふとそんな質問があらわれた
「ん?ああ、数十センチくらいのの大きさしかない生きた女の人形だ、
ローゼンメイデンなんて呼ばれてるらしいがな」
「!!」
妙な不安が二人を襲う、それに気づいてかどうかは分からないが
ゾロは話を続ける
「小鳥遊の奴、蒼星石に出会うやいなやいきなり抱きついてたぞ
佐山にしても蒼星石の尻を散々触ってたな、…しかも」
「「し……しかも!」」
不安は当たっていた……しかもまだ続きがあるらしい
「二人とも蒼星石に触るたびに妙な笑みをこぼしてやがった!」
友人、仲間、相棒、そのどれかにはあてはまる人物の奇妙な行動を聞き
一体何をしているのかと少し呆れ、蒼星石に少し同情をしながらも二人はある確信を手に入れていた。
(間違いない、この人は佐山君の事を知っている、佐山君らしい行動だもん)
(間違いない、この人は小鳥遊君の事を知っている、小鳥遊君ならありえる)
知り合いと言うことを隠したいような行動であるが、同時に探している相手らしい行動である、
つまりは自分の探している相手は単独で行動しているわけではなく
さらに自分たちを捜そうとしていることを知ったからだ。
放送で呼ばれてない以上はまだ生きているし、まず無いと思っていたが
殺し合いにも乗っていないという証言も手に入った。
一方のゾロにしてみても佐山・小鳥遊の探し人が目の前にいることに安堵をしていた。
新庄・伊波の二人を心配している様子を見ているからであろうか
ともあれ少し話した限りでは少し変わってはいるがあまり危険は感じない、
それに元からの知り合いとこの会場内で出会ったという違いはあるとしても
共通の変態の知り合いがいることが大きいだろう。
3人はゾロに簡単な治療をすると病室の冷蔵庫に置いてあったきなこ練乳なる飲み物を取り出し
男性恐怖症のまひるの為に少し距離を開けながらも
自己紹介とここに来てからのいきさつを順番に話し始めた、
ルフィやウソップを殺した相手のことが分かるかもしれない、
どこかにいるチョッパーのことを知っているかもしれない、
ひょっとしたら他にも欲しい情報を持っているかもしれない、
何かしらの主催者の事を知っているかもしれない、
首輪について何か知っているかもしれない、
もっと佐山君や小鳥遊君の事をここでの事を教えて欲しい
様々な可能性を期待しながら
○
「カーッカッカッカッカッ
獣じゃ主は最高の獣じゃ、もっと本当の力を出せ
そのためなら、民も兵も国も贄として出してやる
主は災いを呼び出す獣よ
クッチャ・ケッチャもそなたの獣を出すための贄よ」
かつて戦った事のあるシケルペチムの皇ニウェに言われた言葉が突然頭をよぎる。
一体なぜ、ひょっとしたらこれも奴の仕業なのか、いやニウェは確かに死んだ、この手で
どうやったのかはよく覚えていない
燃えるシケルペチムの城の中であの時……
巨大な牙…鋭利な爪…鋭い眼光…獣?
ハクオロはそんな事は後回しだと言わんばかりに首を振る、何より今はそれどころでは無いのだから
「アルルゥ、どこにいるんだ?」
この殺し合いの舞台に巻き込まれた家族の一員を探してハクオロは森の中を彷徨う、
トウカもベナウィもカルラもエルルゥももういない
残された家族はもうアルルゥしかいない
血は繋がっているわけでは自分のことを“おとーさん”と呼ぶ娘を求めて
森を抜けたハクオロの目の前に大きな古城、そして城へと誰かが向かっている人影が遠くに見えた。
しえん
○
「あとはこのリーゼントの男と獣耳の幼女だな」
劉鳳の名簿に書かれていた名前もわからない二人の危険人物かもしれない二人、
ゾロ自身賞金首であること、襲われた上で入れ墨の男が乱入した事の顛末を話しながら
話を聞いていた二人、特にまひるは賞金首=犯罪者というイメージがあるのか戸惑いを見せたが
ヴァッシュも賞金首であること、小鳥遊の事を知ってるなど
そして様子を見る限り殺し合いには乗っていない事などのの理由からあっけなく受け入れられた。
さらに劉鳳の名簿に×を付けられていたもう一人の名前の主カズマがこのゲームに乗っていることから
×が危険人物で○が仲間という考えは簡単に納得できた。
「じゃあ、この橘あすかさんとって人とストレイト・クーガーさんは殺しあいに乗ってない可能性が高いと」
「ああ、俺に懸っている賞金のことを知ったら襲い掛かってくるかもしれないがな」
ゾロ、伊波、新庄の3人の元から知り合いであるチョッパーやブレンヒルトの事、既に名前の呼ばれたルフィやウソップ
クロコダイルの会場での行動は3人とも知らなかった。
一方でこの3人殺し合いに連れてこられて来てから出会った人物に関しては多くの情報を得ることに成功した。
ゾロからは既に話した佐山達や劉鳳の他に、既に死んだ入れ墨の男、スーツを着た海賊
電車の中で会ったムカつく金ぴか鎧と圭一という召使い、川で流されていた女のこと
一方新庄からは危険な相手に向かっていった通りすがりのサラリーマン
遊園地の近くでカズマに襲われたこと少し前にこの古城にいた人形や仮面の男の事
そしてこの会場で話た人物から聞いた話も続けた。
蒼星石から聞いたローゼンメイデンの翠星石と真紅と水銀燈のこと。
劉鳳の名簿に乗っていた橘あすかとクーガー、リーゼントの男と獣耳の幼女。
圭一から聞いた衛宮切嗣、ライダー、古手梨花、竜宮レナ、北条沙都子、園崎魅音、園崎詩音。
川で流されていた女から聞いた奇妙な髪型をした男の人。 やたらとうるさくてむちゃくちゃ速い男の人。
赤いコートの指名手配犯――ヴァッシュ・ザ・スタンピード。 物騒な右腕をした不良。
そしてヴァッシュから聞いた、ニコラス・D・ウルフウッド、リヴィオ・ザ・ダブルファング。
広瀬康一、黒服の男、眼鏡を掛けたメイド、園崎魅音のこと。
そして又聞きとなるが広瀬康一からヴァッシュを通じて聞いた吉良吉影と東方仗助のこと。
何人かは同じ人物のことになるがこの会場にいるはずの人物に関しては
65人のうちおよそ2/3に近い人物情報がまとまったことになる。
うち園崎魅音やヴァッシュのように異なった情報を持っていたり
既に放送で呼ばれた名前もある。
名前も姿もわからない人物も多く間違っている情報も多いかもしれない
3人とも気付いていないがカズマやリヴィオに至っては3か所から情報が来ている。
「そうだ、それと…さっき森の中で一つ死体を見つけたんだが」
そういってゾロは首輪を出した、誰のものとも分からない死体から持ち出した首輪であった。
「その首輪が光ってどっかから変な声が聞こえたんだが
もった瞬間に変な声が聞こえたんだ“力は等しくなる”って」
「それ、ひょっとして、概念!!」
「え!新庄君、概念って?」
突然出てきた概念という二人にとってあまり聞いたことのない単語に二人は首を傾げる
もともとあまり知られていない力なのだから仕方がないのかもしれないが
「ああ、説明がなかったね、概念っていうのは…」
「いや、説明はもう少し後になりそうだどうやら客が来たみたいだぜ!」
ゾロの言葉に二人は窓に目を向ける、
すると南からは先ほど出て行ったヴァッシュが何かを抱えて、
一方東からは見覚えのない仮面の男がゆっくりとこっちに向かって来ている。
「ヴァッシュさん、ずいぶん早いけど忘れものかな」
「あっちの仮面の人はゾ、ゾロさんは知ってますか?」
「いや、」
この城に向かってこようとしている二人の存在、
ヴァッシュはともかくとして仮面の男に関しては殺しあいに乗っているかもわからない
とりあえず接触してみるのが吉か、それともやり過ごすべきか?
「なーに危険な奴だったら俺が叩き斬ってやる」
「あ、ちょっと待ってください、危険って決まったわけでもないのに」
そう言って二人は病室を出て仮面の男の方へ急いで向かって行った。
ゾロに至っては治療を終えたばかりというのに、
「私は…ヴァッシュさんの処へ、何か持っていたみたいだったもんね」
そういって最後に残ったまひるも病室を出て行った。
これからこの古城で何が始まるのか、ヴァッシュが2人には話さなかった殺してしまった男ベナウィ
それが今城に向かって来るハクオロの仲間であるのは偶然かはたまた運命の悪戯か
今はまだ分からない、そう、今はまだ……
【A-2 古城跡・2階・Dr.くれはの医療室前/一日目 午後】
【ロロノア・ゾロ@ワンピース】
[状態]疲労(中)、全身にダメージ(大)(止血、消毒、包帯済み)、左腿に銃創(治療済み)、
[装備]八千代の刀@WORKING!!、秋水@ワンピース、雪走@ワンピース
[道具]支給品一式×2(食料と水一人分消費)、麦わら海賊団の手配書リスト@ワンピース、迷宮探索ボール@ドラえもん、
不明支給品(1〜3)、一方通行の首輪(血がこびりついている)
[思考・状況]
0:向かってくる仮面の男が安全かどうか確かめる。
1:傷を治す為病院に向かう。
2:ウソップとルフィの仇打ち
3:ゲームにはのらないが、襲ってきたら斬る(強い剣士がいるなら戦ってみたい)
4:ルフィ(死体でも)、チョッパーを探す。橘あすかにも会ってみたい。リーゼントの男、ヴァッシュにも興味
5:佐山・小鳥遊の探し人に会えて安堵
6:首輪の秘密が気になる。
7:金ぴか鎧(アーチャー)は次に会ったらただではすまさない。
8:あの声は何だったんだ?
9:概念?何だそりゃ?
※参戦時期は少なくともエニエスロビー編終了(45巻)以降、スリラーバーグ編(46巻)より前です。
※吉良吉影のことを海賊だと思っています
※黎明途中までの死亡者と殺害者をポケベルから知りました。
※入れ墨の男(ラズロ)が死亡したと考えています
※圭一に関しては信用、アーチャーに関しては嫌悪しています。
※雪走が健在であったことに疑問を抱いています。
※大阪(春日歩)から、危険人物としてクーガー、カズマ、ヴァッシュの情報を教えられました。
※不明支給品は一方通行のものです。
※新庄・伊波の二人と情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも
気づいています。
※1回目、2回目の放送の内容を新庄、伊波の二人から聞きました。
【新庄・運切@終りのクロニクル】
[状態]:健康、顔に腫れもの
[装備]:S&W M29 6インチ 6/6@BLACK LAGOON 、尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費)、予備弾丸26/32 、一方通行の首輪(血がこびりついている)
[思考・状況 ]
1:ゾロと仮面の男の所へ行く。
2:ヴァッシュを待つ。
3:メカポッポを待ってみる。(なかば諦め)
4:まひると行動しながら小鳥遊を捜す。
5:佐山と小鳥遊のことを聞いてひとまず安心しつつも変態的な意味での不安が……
5:佐山と合流しここから脱出する
6:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。
7:人殺しはしない。
8:ゾロについてやや信用。
9:概念、どうしてここに
※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません
※新庄の肉体は5:30〜6:00の間にランダムのタイミングで変化します。
変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。
午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。
※参戦時期は三巻以降です
※カズマを危険人物だと認識しています
※まひるに秘密を話しました次の変化のときに近くの人に話す必要は…
※ヴァッシュと情報交換をしました。ウルフウッド、リヴィオ、広瀬康一、メイドの女性(ロベルタ)、園崎魅音(詩音)、黒服の男(サカキ)についての情報を得ました。
※ベナウィの事は聞かされていません。
※ゾロの声に聞き覚え?
※ゾロと情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも気づいています
※古城跡の2階の南東の角の1室が、Dr.くれはの医療室@ONE PIECEになっています。
【A-2 南部 古城前/1日目 午後】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]黒髪化、左肩に刺突による傷(再生中)
[装備]ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式、拡声器@現実、予備弾丸36発分
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める、今度こそ絶対に。
1:急いで古城に戻って水銀燈を連れて看病する。
2:新庄、伊波と同行する。ゾロについては信用。
3:ウルフウッド、リヴィオとの合流。
4:ウルフウッドがいるかもしれない……?
※原作13巻終了後から参加
※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。詩音は死んだと思っています。
※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。
※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。
※伊波、新庄と情報交換をしました。佐山、ブレンヒルト、小鳥遊、高槻、メカポッポ、片目の男(カズマ)の情報を得ました。
※水銀燈の左腕が欠損していることに気づきました。
【水銀燈@ローゼンメイデン】
【状態】:全身に切り傷、左腕欠損、気絶中
【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、強力うちわ「風神」@ドラえもん、
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
【思考・状況】
1:左腕……
2:今はゼロから逃げる
3:ローザミスティカは必ず手に入れる。
【備考】
※ナナリーの存在は知りません
※会場がループしていると確認。半ば確信しています
※古城内の大広間に『○』型のくぼみがあります。このくぼみに何が当てはまるかは不明です。
※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。
※気絶していますがヴァッシュの声は無意識に届いています。
【支給品解説】
きなこ練乳@とある魔術の禁書目録
学園都市に置いてある自動販売機に置いてある飲み物で
今回、病室の冷蔵庫中にいくつか置いてあった。
味はご想像にお任せします。
【備考】
ゾロ・新庄・伊波の情報まとめ
ゾロが直接出会った信用できる人物・・・・・チョッパー、小鳥遊宗太、佐山御言、蒼星石、前原圭一、春日歩(名前は知らない)
新庄・伊波の出会った信用できる人物・・・小鳥遊宗太、佐山御言、ヴァッシュ、高槻巌(名前は知らない)、メカポッポ
話伝いに聞いた安全と思われる人物(死亡情報のある人物は除く)
真紅(蒼星石より)
橘あすか(劉鳳より)
竜宮レナ(前原圭一より)
北条沙都子(前原圭一より)
園崎詩音(前原圭一より)
古手梨花(前原圭一より)
ニコラス・D・ウルフウッド(ヴァッシュより)
リヴィオ・ザ・ダブルファング(ヴァッシュより)
サカキ(ヴァッシュより・名前は知らない)
安全か危険か判断出来ない人物(死亡情報のある人物は除く)
ブレンヒルト・シルト
アルルゥ(情報は獣耳の幼女とあるのみ、名前は知らない)
東方仗助(情報はリーゼントの男とあるのみ、名前は知らない)
ゼロ
水銀燈(蒼星石、ヴァッシュからの情報)
ロベルタ(情報はメガネをかけたメイドとあるのみ)
吉良吉影(名前は知らない)
直接出会った危険人物(死亡情報のある人物は除く)
アーチャー
カズマ
話に聞いた危険人物(死亡情報のある人物は除く)
ライダー(前原圭一より)
クーガー(春日歩より・名前は知らず情報はむっちゃくちゃ速い人とのみ)
カズマ(劉鳳、春日歩より・春日歩からは名前は分からず物騒な腕をした不良とのみ
二人があった男と大阪の言っていた人物が同一人物という情報はありません)
リヴィオ(春日歩より・名前は知らず情報は奇妙な髪の男とのみ
ヴァッシュから聞いたリヴィオと同一人物という情報はありません)
代理投下ここまで。終了
ゾロの警戒心についてだけど、この場合はそこまで警戒しないんじゃね?
相手に殺すつもりがあるならとっくにやられてる状況だし、
情報だけいただいた後殺すつもりなら刀渡さないし、むしろ拘束してるはず。
警戒しなければならない状況ではないと思う。
>>601 原作見るに、初対面の相手と率先して情報交換しようってキャラには見えないもんだから
仲間と敵以外の他人にはあまり関心がないような
細かいことをぐちぐちとワンピ厨うぜえ
いいからとっとと死ねよ
投下乙です
この3人で全体の3分の2の参加者の情報が集まるとはすごいな
ただ中には微妙な情報もあるためそれらがこれからどういう展開につながるかに期待しておくとしよう
605 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:40:42 ID:k0MUdS6k
sage
ぶw失礼ミスしました。
少々遅れましたが感想を。
投下乙です。
いなみんパンチ→新庄死亡の流れは鉄則になりつつあるなw
新庄がゾロの声を聞いたことがある、っていうのはまた同声優ネタかw
古城組にハクオロと水銀燈という不確定要素が加わり、続きが気になります。
面白い繋ぎだと思いますが、ちょっと幾つか気になる点が。
しかしそろそろ次の投下がきそうなので、議論スレにでも書いときます。
アンチワンピはいつまで騒いでんだようぜえ
天の邪鬼の法則で死んでほしくないんだろワンピキャラ
触らないほうがいいのはわかってる
>>608 何でわかったの?
そうなんだよ、ホントは死んで欲しくないんだよ
普段から死ね死ね言ってれば、殺しにくくなるんじゃないかと思って
>>609 最悪だなワンピ厨
やっぱワンピキャラは一刻も早く殺すべきだ
投下来てないと思ったら仮投下スレに投下来てたのか。
危険球と判断して本投下を先送りにしてるみたいだけど、どうだろう。
とても面白い展開だと思うが…
あれなら彼が一人参加だった理由もおぼろげながらできるしな
俺も特に問題ないと思ったが
これは面白い
同じく問題ないと思いますよ
面白かったし問題は無いと思うが強いて言うなら
何で人捜しなのにマップの端を選んだって所。
ループに気づいてるんなら中心に人が集まると思わない?
第一城と遊園地に人が集まりやすいと思う根拠は何さ。
第三勢力の登場か。
これによって縛られる事も少ないと思う。
何より面白いのがいいね!特に問題は無いと思うよ。
>>614 端を選んだんじゃなくて、地下鉄から降りたら廃坑で
北か南とりあえずどっちに行こうかって話でしょ?
大きな建造物はそれだけで目印になる。
見知らぬ土地を歩くときはまず分かりやすい目印を決めてそこを中心に考える。
待ち合わせに駅とかアルタ前とかよく使うだろう。
これができないやつはゾロみたいな方向音痴
>>614 >ループに気づいてるんなら中心に人が集まると思わない?
なんで?
佐山が希望論って言ってるし、都合が悪ければ
全て勘違いでブラフでした、ってことにも出来なくはないからな。
読み手的には文句なしに面白いし良いと思う。
主催考察って点では書き手さんの意見の方が重要かな?
>>617 一般レベルの方向音痴ならランドマークを目印にして進むくらいは出来る…よな?
ゾロは先導されても目を離すとあらぬ方向に
ダッシュするファンタジスタだから無理なのは同意。
何で潜入しようと思ったのか分からない
関係者も全然いないのに
てか、潜入しといて即効死亡とか、高槻父立場ねーなw
それを単独参加の理由にするのも微妙
なら同じく単独参加の大阪はどうなるのって話だし
まあその辺はいいとしても、首輪ついてないならクロコ辺りが気付いても良さそうなもんだよね
書き手の意見が聞きたいな。
書き手が良いって言うのなら通していいんじゃないかな?
自分は賛成させてもらいます。
なかなか面白そうな話ですし、乗らせてもらいます。
あと予約ですが、今推敲中です。今夜中には必ず投下しますので、もう少しお待ちください
お待たせしました。
ゼロ、クリス、沙都子、アルルゥ、投下開始します。
墓。それは死者の眠る場所。死者を葬り死者を弔う場所。
今の世でこそそれは一般人も作る事ができるものであるが、古来では王や皇帝を祀り、その業績を後世に伝えるモニュメントとしての機能も存在した。
これを陵墓と一般的に呼称する。
この地で、既に30以上の命が失われた。
しかし土の中へ埋葬された者はわずかで、墓として正式な体裁をなされた者に至ってはありもしないだろう。
だがもしこの地で山盛りの土を見たならば人はなんとなく察するだろう。
墓石がなくともそこは墓なのだと。
作った人物はどんな思いを込めたかはわからない。
単に見かけて不憫だから弔ったのかもしれない。
その人物の成した何かを知っていてそれへの賛辞と感謝を込めて埋葬したのかもしれない。
そんな稀有な埋葬者たち。その内2人の人物がいる。
それぞれの眠る場所に来訪者が訪れた。
それは運命が手繰り寄せたのか、どちらも眠る者と縁ある者たちだった。それも血縁という縁だ。
さあ見てみよう。
何も語らぬ埋葬者を見て来訪者がどのような反応をするのか。何を感じるのか。
そして何が変わるのか。
*****
もしも神がいるのなら。
「私達はよほど嫌われていると見える。なあ、ルルーシュ?」
緑色の髪。スレンダーな体型。それでいてグラマラスな胸、そして纏うマント。
そんな風貌をした者、ゼロと名簿には記載されているがC.C.という女だ。
そんな彼女は木々に囲まれた中である者を見下ろしていた。
あたりには土が散っており近くには大きな穴も開いている。
彼女の足元の『それ』も大分土に塗れている。
もしこの光景を見た物が居たなら、『それ』が穴の中から取り出されたものだとわかっただろう。
そしてC.C.は『それ』を見下ろしながら――唇を噛み締めた。
皮肉った口調とは裏腹に、彼女の顔に満ちるのは、悔恨。
余裕を持とうとして、失敗している。そんな様子だった。
それも無理はない。
なぜなら『それ』は自分ともう1人の自分が守ろうとしていた存在なのだから。
『それ』の名は、ナナリー・ランペルージという。
*****
「自然はー、歩いて、こない♪だーから、歩いていくんだねー♪」
「木や花が歩いてきたらそれはそれでホラーですわ……そもそも、その歌色々まずい気がいたしますわ」
「えー? ホラーかなぁ。僕的には、アットホームコメディパロディミュージカルオペラって感じなんだけど」
「歌か映画かはっきりしてくださいまし」
「なら……ずばり!歌であり映画でもある複合エンターテイメントウィズ自然だね!」
「とうとう日本語と横文字の統一性すらなくなりましたわ!?」
「ふくえん?」
「アルルゥさん、変な略をしてはいけませんですわ」
「あれ? ここもしかして僕がつっこまなくちゃいけないところ?」
日も高くなり気温も増してきたある駅の構内。
改札口前のベンチで食事を取る騒がしい3人組がいた。
クリストファー・シャルドレード、北条沙都子、アルルゥの3人だ。
3人は人探しの都合上、移動範囲を広げることを優先し、そこで沙都子が電車に乗ることを提案。
クリスがそれに賛成し電車も汽車も知らないアルルゥには『速く遠くまでいけるもの』と説明して了解を得た。
駅が3つしかない為細かい探索は行えないが、移動範囲さえ広ければ人に会える可能性も高くなるという作戦だった。
既にこの殺し合いが始まって14時間程度。
捜し人である、真紅、圭一、レナ、詩音、梨花、レヴィを見た人物は必ずいるはずだ。見た人物が全員死んだりしていない限り。
目撃者を見つけてその情報が最近のものであったらその近くを探索すればいい。
そしてこの駅に辿り着き、遅めの昼飯をとっているところだった。
ちなみにレヴィもこの辺りにいるのではないかと踏んだのだが、生憎見つけることはできなかった。
その道中落ちていた拳銃と刀を拾った。刀に関してアルルゥが『トウカのだとおもう』と言っていた。
なぜこんなところに放置されていたのかはわからないが武器があるに困る事はないので拾っておくことにした。
自分達の傍に一人の少女が気付かれることもなく倒れているとは3人とも気づくことは出来なかった。
あまり美味しいとはお世辞にもいえない乾パンをかじりながら、沙都子は手元の3つのボールを見ていた。
そのボールは外からも中が見えて、その中には3つの生き物が存在している。
沙都子がクレア戦で頼りにしたニョロボンのニョロはいいとして、後の2匹はレヴィが残していってデイパックの中にいた者だ。
ボールが同じものであることから、もしかして同じような生き物なのだろうか、と3つのボールを並べてみた。
するとニョロと猫の耳のようなやけに太っている生き物――説明書によるとカビゴンのゴン――がやけに嬉しそうに互いを見ていた。どうやら互いに知り合いの関係
らしい。
「感動の再会ってところかな? 羨ましい?」
「……クリスってデリカシーがないって言われませんの?」
「うーん…………よく言われる!」
「自信満々に親指立てて言わないでくださいまし!」
それに比べて残った1体。岩のようなカメのような頭の丸い生き物――説明書によるとゴローニャのゴロすけ――の方は、どうもそこまで親密感はなさそうだ。
だが反応を見るに、他の2匹と全くの初対面という風ではなさそうだ。
そのあたりの感情判断はアルルゥの談なのだが。
「アルルゥさんってこういう動物に慣れてらっしゃいますわね。
わたくしには同じような表情にしか見えないのに『うれしそう』とか『とまどってる』とか、すぐわかってしまうんですのよ」
「あの子も耳についてるしねぇ。ああいう動物?の感情が分かる力とかあるのかもね。あーあ、欲しいなあ僕もそういう能力」
「あら。クリスはその力でどんな動物の声を聞きたいんですの?」
「不自然な都市に生きる自然であるドブネズミくんたちの嘆き悲しみの声を是非同時に1000匹くらいから……沙都子どうしたの、食事の手止まったよ?」
「も、もういいですわ……。
ゴンさんにゴロすけさん……技とか能力は説明書で把握いたしましたけど、やっぱり制限時間がネックですわね」
「10分ってのもねえ。強いのは認めるけどさ。ま、その子たちのことは沙都子にお任せー」
「思い切り投げましたわね……まあいいですわ。一応あらゆる想定を頭に入れて、技の組み合わせを……」
と説明書から少し目を離した沙都子の動きが止まった。
「……クリス? 1つよろしいですの?」
「アルルゥならさっきふらふらーっとあっちの出口から外に行ったよ?」
「ああ、そうでございましたの」
げしぃっ!!
「なんで止めないんですのこの人はーーーーーーーーーー!!!」
「沙都子、流石にスネは僕も痛い」
*****
山盛りになった土。その下に人が埋まっているであろうということはすぐに合点がいった。
学校での惨事の後、目当てのそれがある古城跡から一旦離れ、南へと向かった。
理由は、古城には確実にあのヴァッシュがいることだ。
ヴァッシュの実力の程は既に垣間見ている。決して勝てる自信がないからではない。古城に向かい、最後の首輪を奴から奪う事も視野にはあった。
だが、それにも問題がある。
今自分は体力を消費している。
ヴァッシュクラスの相手となるとできれば万全の状態で挑んでおきたい。
(まあ、なによりルルーシュが今だ冷静さを取り戻せてはいない。さっきこそ奇襲でなんとかなったが今度はどうなるかわからないからな)
ナナリーの死を知り、今だ平静とは呼べないルルーシュに対して時間を与えるのも一環ではあった。
とはいえ、集団にもぐりこむという目的上古城に戻っても問題はなさそうだが。
(当初の目的をまだ果たしていないしな。中央部の調査。優勝狙いとはいえただひたすら殺していくわけにもいかないしな)
他の参加者ならいざ知らず、ゼロでもありC.C.でもある彼女はただ他の参加者を殺していくつもりはなかった。
自分にもあるこの首輪。自分の能力ですら止めることができないそれ。
優勝した後主催が本当に願いを叶える保証はない。そのまま殺すということも考えられる。
ギラーミンは必ず殺さなければならない。だがそれは容易ではない。
主催と参加者。その絶対的パワーバランスを傾けているのは首輪だ。
(ここにいるうちにこれの解除法なり見つけておかないとな。
さっきの奴らはルルーシュが動揺したせいで禄に情報を奪えなかったが、今後は出来る限り情報を引き出さないとな。
潜り込んで引き出すもよし、拷問するもよし。それと平行してこの会場についても調べておこう。古城の仕掛けが他にもないとは限らない。
もっとも、あまり古城から離れるわけにはいかんから……そうだな。図書館あたりまでにしておくか)
そう辺りをつけて南下。そして少し林に入ったところに、それがあった。
死体があると思えば、躊躇いはなかった。
首輪があればそれを回収しておくつもりだった。
古城の仕掛けに使う3つ以外にも、解析用、交渉用、武器用などいくらでも使い道がある以上いくらか確保しておきたかったからだ。
そう、正しかったはずだ。決して間違っては居なかったはずだ。
ただ運が悪かった。そういう話。
ゼロが遭遇する可能性があった死体は30人(実際はもっと死者が出ているが、ゼロには知る手段はない)。
1/30。たった3%程度の確率だったのに。
それが当たった。それだけの話。
「っ!!」
C.C.は自分の体を抱え込むようにして前かがみになった。
暴れている。自分が、もう1人の自分が暴れている。
泣いている。激怒している。狂乱している。
この怒りと悲しみを発散し何もかもを破壊しようと暴れている。
(落ち着けルルーシュ!!こんなところを誰かに見られていたらどうする!!)
周囲に気配は感じない。
だがもしも双眼鏡のようなもので遠くから見られていたとしたらここでゼロへの変身を見られるのはまずい。
何よりこんなところで無駄に暴れるなど愚の骨頂だ。
だから何としてもルルーシュの怒りを抑える。意地でも押さえ込まなければならない。
数分後息を切らしながらもC.C.はナナリーの遺体を検分していた。
なんとかルルーシュは押さえ込んだ。だがいつか吐き出させなければならないだろう。
彼の怒りを、悲しみを。
(それは相手から情報を引きずり出した後だ。今のルルーシュでは相手を一瞬で粉みじんにしかねないからな)
C.C.は気持ちを落ち着けて冷静にナナリーの死体を見やった。
彼女とて動揺はしている。だが自分が落ち着かなければもう『ゼロ』を押さえつけられるものはいなくなる。
ここは無駄に敵を増やしていい場面ではない。
(全身に火傷、服もほとんどが焼け焦げている……炎で焼かれたにしてはやけに外傷が少ない。
刺し傷も銃創もない……一部骨が折れているところはあるがどうにも死因がわかりにくい。どういうことだ?)
C.C.がナナリーの死因を特定しにくいのも無理はない。
ナナリーはアヴァロンの効果で防御を上げていた為、バズーカの直撃でもバラバラにならなかった。
本当ならばありえない状態。だからこそ普通の視点では死因の特定が出来ないのだ。
(何よりネモはどうした? 私の細胞で作られているからこそわかる。奴はもうナナリーの傍にはいない。
この辺りにも……!?)
辺りを見回したC.C.はある場所に駆け寄った。
そこに残っていたのは普通なら土くれとしか思えないものの塊だった。
だがC.C.にはわかる。これは自分の細胞の一部であり、ネモの一部である。
(だが奴がここで崩壊したにしても量が少ない。誰かが持ち去ったのか?
馬鹿な。まさか新たにエデンバイタルへ繋がった者が出たとでも?)
新たな契約者。果たしてありえるのだろうか…。
(まあいい。どちらにせよ、お前はナナリーを守れなかった……それに耐え切れるのか、土人形)
土くれから目を外し、改めてナナリーの近くへと歩み寄った。
埋められていたナナリーの身なりは整えられていて、埋葬者の気遣いが伝わってくる様相だった。
(通りかかった誰かが死んでいたナナリーを埋めたのか、あるいは同行していた誰かが埋めたか。
もし後者なら――ルルーシュはそいつも間違いなく殺すだろうな。ナナリーを守れなかったそいつを。
例えそいつがどれほどナナリーを丁寧に埋葬したとしてもだ)
C.C.はもう拾える情報は拾ったと認めると、ナナリーの体を抱きかかえた。
ルルーシュにとっては最愛の妹であるナナリーを実験台にするようで気がひけるが、仕方ない。
成功すれば自分達にとってはメリットにもなるのだから。
彼女を抱えていった先にはゼロのデイパックがあった。その口は上に向けて開かれている。
その口にナナリーの頭を向けて近づけていく。
城にいた時、一度水銀燈で試した事があった。
『デイパックの中に隠れられれば奇襲できるのではないか』と。
だが結果は、水銀燈が頭をわずかに入れた瞬間、勢いよく彼女の体が弾かれた。
ゼロも試したが結果は同じ。結局参加者はデイパックに入れないということでその場は決着した。
だがあの時の検分には欠けている点があった。
『生きている参加者は入れない。ならば死んだ参加者はどうなのか』
学校を出てからその疑問に至り次の死体でそこも確かめることにした。
その実験台がナナリーになったのは不幸でもあり幸いでもあった。
(ナナリーをデイパックに入れられればナナリーの死体の保存性が高まる。
埋葬されていては私のような参加者が来てナナリーの首を刈り取りかねないからな。
主催が復活の方法を知っているならば、ナナリーの遺体は完全な状態で留めておかなければ)
ナナリーから首輪を取ることなど論外だった。
そんなことは目的が破綻するし、何よりルルーシュがそれに耐え切れない。
果たしてナナリーの体はすっぽりとデイパックの中へと入った。
念のためデイパックに手を居れナナリーを出そうと考えると、足を掴む感触が伝わってきた。
(やはりな。
問題はデイパックが何で入れられた者が生きているか死んでいるか。
そもそも参加者であるか否かを判断しているかだが。
…………首輪か)
サカキや土御門の首から首輪を外した時、爆発は起こらなかった。
つまり持ち主が死んだ場合首輪は起動を停止するのではないか。
となれば、参加者であるかを確認でき、かつ生存も判断できるのは首輪しかない。
思えば水銀燈が頭を入れた時も首輪が入り口に差し掛かったときに拒絶された覚えがある。
死んで首輪が停止した参加者ならばデイパックに入れることが出来る。
(あとは保存手段か。
このデイパックの中がどんな空間かは分からないが腐敗を止める作用はないと前提しておこう。
なら、大規模な氷かドライアイスの冷やすものが必要か。
どこで手に入れるか)
C.C.は地図を見ながら思う。
最愛の妹を氷で保存し持ち歩く。傍から見れば狂気の沙汰だろう。
埋葬者にいたってはその意志を完全に踏みにじる行いだ。
それでもゼロはそれを行う。
最愛だからこそ、何者からも守らなければならない。
その為には近場に置いて、そして復活の力を手にしたときすぐに行使できなければ。
(そうだ。我らは魔王。
凡人達には理解など及ばぬ存在だ。
もうそれは決定された。
契約したあの日から――)
見上げた空に上る太陽。
その日差しは弱まりつつも未だに自分達を照らす光だった。
*****
「なんで普通に見送ったんですの! もしアルルゥさんが襲われたらどうするんですの!?」
「いやよく言うじゃない。かわいい子にはうろつかせろって」
「言いませんわ!! アルルゥさーん! 待ってくださいましーー!」
駅から離れた林の中を沙都子とクリスは走っていた。
すぐに駅を飛び出した2人は、林に入っていくアルルゥを目撃して後を追ってきていた。
アルルゥは何が目当てなのか一心不乱に走って行き、その足取りはかなり速い。
林に慣れている沙都子、驚異的身体能力を持つクリスだからこそ距離のハンデがあってもなんとか追いつけているが、なんとか後を追えている状態だ。
沙都子がこうして叫んでいてもアルルゥは振り返らずに走り続ける。一体何が彼女をあそこまで動かしているのか。
「アルルゥさん!!」
「追いついたみたいだね。って、あれ?」
茂みから飛び出した二人は、その先に立って背を向けているアルルゥを見つけた。
さっきまで走っていたのにそこで止まっている。
何かを見ている。
アルルゥの後ろにまで追いついた2人がその先を見た。
「え……!?」
そして沙都子は絶句した。
そこにあったのは山盛りの土、その前に置かれたデイパック。そして、土の上には金属バットが突き立てられていた。
そのモニュメントの意味するところを最初に口にしたのはクリスだった。
「お墓、かな?」
盛り上がった土に墓標のようなバット。捧げられたデイパック。
確かに墓と見るのが一番だろう。
となると、ここには誰が眠っているのか。
(そんなわけ、ないですわよね……?)
沙都子の視線は墓のある一点に集中していた。
突き立てられた金属バット。別に取り立てて特徴もないその辺のバットのはずだ。
なのにそのバットにひどく見覚えがある気がする。
見覚えがあるとしたらそんなバットは1つしかない。
「なんで、なんでにーにーのバットがこんなところに」
「っ!!」
沙都子がそう呟いた瞬間、アルルゥが突然墓にひざま突いた。
何事かと2人が思う間もなく、アルルゥは迷わずその土を掘り返し始めた。
「な、何をするんですのアルルゥさん!!」
突然の暴挙に沙都子はアルルゥを止めようとした。
だが、アルルゥが掘り始めた衝撃でその上のバットが倒れた。
そして、その柄の部分が沙都子に向く。
『悟史』。その文字が沙都子の動きを止めてしまった。
「っ!!!」
一瞬頭によぎった想像。
行方不明の兄、北条悟史がここに埋められているのではないかと。
だがすぐにその考えを打ち消す。悟史の名前は名簿になかった。ここにいるわけがない。
だからすぐにアルルゥを止めよう。
どういう意図かはわからないが、これは死者に対して失礼な行為だ。
だが、沙都子が我に返ったときにはもう全ては終わっていた。
「あ、ああっ……うあああっ!」
土を掘っていたアルルゥが目を見開き、尋常でない顔をしている。
とめようとしていた沙都子も、どういう意図か全く手を出さなかったクリスも、そのただならぬ様子に後ろから覗き込んでみた。
「っ!!」
「やっぱり、ね」
沙都子は絶句し、クリスはただため息を1つ吐いた。
崩れた土から覗いた顔。その耳から生えた獣の耳。
アルルゥの知り合いだということは、すぐに察する事ができた。
そして、それはアルルゥの声で確信へと変わった。
「エルルゥ……ね、ぇ……」
*****
「なんて、ことですの……」
沙都子はことの次第にただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
目の前ではアルルゥが、動かぬ姉の顔を見ながらもう何回目かの涙を流している。
姉が死んでいたのだ。流石にそれでも泣くな、などと沙都子は言えなかった。
そして、そこに突き立てられていたバットは自分の兄、北条悟史のバット。
なんてめぐり合わせだろうか。
共に行動していた2人。その1人の姉の墓に立てられていたのが、もう1人の兄の愛用品だったなどと。
悪い冗談にも程があった。
アルルゥがなぜここまで辿り着けたのかは分からない。
彼女の直感が働いたのか、単に彼女は林を走りたかっただけなのか、あるいは姉が彼女を呼び寄せたのか。
どちらにしても、今アルルゥが嘆き悲しんでいる現状は変わらない。
「アルルゥさん……」
そっとしておこうかと思った。
でも、嘆き悲しむアルルゥが、かつての自分に重なった。
兄が居なくなり、悲しむ自分。
あの時の自分に訪れた温もりがあったはずだ。
(梨花……そうですわね。わたくしは今、アルルゥさんのねーねーなんですもの)
沙都子は思い出す。
絶望に打ちひしがれた自分に、一緒に暮らそうと手を差し伸べた古手梨花の姿を。
彼女に救われた自分が居る。
なら、今度は自分の番だ。
「アルルゥさん」
「! ねー、ねー?」
問答無用でしがみついた。
ゆっくりとアルルゥの体を抱きしめた。
「お姉さんは――きっと今でもアルルゥさんのことを見守ってらっしゃいますわ」
「で、でも……でもぉ」
「ここで動いてなくても、たとえ傍にいないように見えても――その人は、いつでもわたくしたちの傍にいますわ」
「え?」
ぎゅっ、とアルルゥを抱きしめた。
傍にいるぬくもりを感じて欲しくて。
貴方は1人じゃないんだと教えたくて。
「だってアルルゥさんはお姉さんを思い出せるでしょう?お姉さんの優しい姿を、お姉さんの強い姿を、あなたは覚えているはずですわ」
「あっ……」
「悲しむ事も大事ですけど、いつまでもここで止まっているわけにはいきませんの。わたくし達妹は、兄や姉の姿から学んで強くならないといけないんですもの」
「ねー、ねー……」
「わたくしも、どこかで全てを諦めきった時があった気がしますの。でも、そんな時仲間がわたくしの目を覚ましてくれた。そんな気がするんですの」
「今は、わたくしが、クリスが傍にいるんですの。だから、アルルゥさんがお姉さんのように強くなるのを手伝いますわ」
「ひっぐ……ねーねー……!」
「一緒に、兄や姉のようになるんですの。それを、お姉さんも望んでらっしゃいますわ」
*****
「やっぱりああいうのは沙都子の仕事だよね。で、僕はこっちの汚いお仕事と」
2人でアルルゥの姉、エルルゥに最期の別れをしている2人から少し離れて、クリスはデイパックの口を開いていた。
それはエルルゥの墓の前におかれていたデイパック。2人はまだ気づいてないが、黙って奪ったと言えばおそらくいい顔はしないだろう。
だがクリスはそれでも奪うのをやめるつもりはない。
ココにおいておけば危険人物が容赦なく奪っていく可能性がある。
もしこの中に強力な武器が入っていたならそれは後に自分達にとって有害となる。
「ちゃんと説明すれば分かってもらえると思うけど、今はやめとこっと。今の自然な流れに不自然な僕は入っていけそうにないからさ」
後で説明はしようと決めて、デイパックから中身を出した。
地図やら水やら基本的な支給品。そして
「これは……キノコ? うーん、いい自然の営みだけど……ま、まだ食料はあるし、これは今はいいか。
あ、これって沙都子の持ってるボールと同じだね。4つ目か。中身は……蜂かぁ。やあ、僕と友達にならないかい?
でこっちは如雨露かぁ。……あれ?そういえば翠星石が話の中で『翠星石は庭師の如雨露があれば天下無双の無敵人形ですぅ』って言ってたけど、もしかして?」
と、クリスが振り向いてみると。
金属バットを持った沙都子がなにやらきびしめな目つきでこっちをじーーーっと見てる。
(うわ、あれ完全に怒ってるや。ごごごごごごごご、って音が聞こえてきそうだよ。
仕方ないか。よし、ここは歌いながら謝って説得してみよう!)
*****
「なんであなたはいつもいつもそうなんですのーーー!(ブンブン!)」
「いやあ涼しい風だなぁ(ヒョイヒョイ)」
「ねーねー、クリスあぶない」
「大丈夫ですわアルルゥ! この人にはこれくらいしないとわからないんですの!!(ブンブン!)」
「あれ?いつの間に呼び捨てになってるの?もしかしていつの間にか新密度上がった?
僕ちょっと嫉妬。というわけで沙都子、僕の呼び方もランクアップの時だとおもうんだけど(ヒョイヒョイ)」
「なら『無反省人間』にランクダウンして差し上げますわーーーーー!!(ブンブン!)」
「わぁお。人間はランクアップだから僕結構嬉しい(ヒョイヒョイ)」
「きーーーーーーーーーーっ!!」
「ねーねー、顔真っ赤」
(なんなんだあのガキ共は)
ナナリーをデイパックに入れた後、更に南に進んでここに出くわして今木陰から3人を見ているC.C.はただただ呆れていた。
殺し合いの場で騒ぎながら沙都子という少女がクリスという男に金属バットを振り回してそれを男が余裕に回避。
そんな2人をアルルゥという少女が離れて観戦している。
なんとも暢気な光景だった。
(あいつらが重要な情報を持っているとは思えないが……だが、誰がどんな情報を持っているかはわからんし、接触するしかないか)
物凄く嫌だが致し方ない。それに3人いるとはいえ2人は子供なら、御するのも捕らえるのも殺すのも容易い。
男の方に警戒を向けていればいい。
(どちらにしろ、お前たちにはルルーシュの怒りを抑える贄になってもらうしかあるまい。
もちろん情報をあるだけ引き出して充分な休息時間を稼いでからだな。その後は――
ボロ雑巾のように、な)
C.C.は3人の未来について残酷な判断を下すと、茂みから出て行った。
3人の獲物を自らの手に収めるために。
【E-2 エルルゥの墓前/一日目 午後】
【ゼロ@コードギアス ナイトメアオブナナリー】
【状態】:健康 疲労(中)、C.C状態 激しい動揺と怒り、悲しみ≪ルルーシュ≫
【装備】:大戦槍@ワンピース
【道具】:基本支給品一式×4、MH5×4@ワンピース、治療器具一式 投擲剣・黒鍵 3/10@Fate/zero、防刃ベスト@現実 電伝虫@ONE PIECE×2、
破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん、和道一文字@ONE PIECE、シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの、
謎の鍵、レナの鉈@ひぐらしのなく頃に、首輪×2(サカキ、土御門) 、ナナリーの遺体(首輪あり)
【思考・状況】
1:殺し合いに優勝し、ナナリーを生き返らせる。
2: 『○』に関しては……
3: ギラーミンを殺して、彼の持つ技術を手に入れる。
4:自分の身体に掛けられた制限を解く手段を見つける。
5:『○』対する検証を行うためにも、首輪のサンプルを手に入れる。
6: C.Cの状態で他者に近づき、戦闘になればゼロへ戻る。
7:3人と接触し休息時間を稼ぎつつ情報を全部引き出す。その後は殺す。
8:ナナリーの遺体を守り抜く。その為に氷の類を捜索。
9:図書館あたりまでの施設を探索し、首輪を集めて古城跡へ戻る。
10:ネモはどこに?
11:ナナリーを守れなかった奴を見つけたら殺す。
【備考】
※ギラーミンにはタイムマシンのような技術(異なる世界や時代に介入出来るようなもの)があると思っています。
※水銀燈から真紅、ジュン、翠星石、蒼星石、彼女の世界の事についてある程度聞きました。
※会場がループしていると確認。半ば確信しています
※古城内にあった『○』型のくぼみには首輪が当てはまると予想しています。
※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。
※C.Cとの交代は問題なく行えます。
※起動している首輪を嵌めている者はデイパックには入れないという推測を立てています。
【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康、L3
[装備]:象剣ファンクフリード@ONE PIECE、レッドのニョロ@ポケットモンスターSPECIAL、悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に
[道具]:支給品一式×2<沙都子、翠星石>、グラン・メテオ@ポケットモンスターSPECIAL、
翠星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン、翠星石の亡骸首輪つき、
雛苺のローザミスティカ@ローゼンメイデン
F2000Rトイソルジャー@とある魔術の禁書目録(弾数30%)、5.56mm予備弾倉×4
カビゴンのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL、ゴローニャのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]
1:私は!クリスが反省するまで!振るのをやめませんわ!!
2:絶対にアルルゥをハクオロに会わせる。
3:真紅にローザミスティカを届ける。水銀燈には渡さない。
4:部活メンバーに会いたい。
5:レヴィと再び会い、ローザミスティカ入手の経緯を聞く。
※参戦時期は具体的には不定。ただし、詩音を『ねーねー』と呼ぶほどに和解しています。『皆殺し編』の救出以降ではありません。
※名簿は確認したようです。
※雛見沢症候群の進度は具体的には不明。L5まで進行した場合、極度の疑心暗鬼と曲解傾向、事実を間違って認識し続ける、などの症状が現れます。
説得による鎮静は難しいですが不可能ではありません。治療薬があれば鎮静は可能ですが、この場にあるかどうかは不明です。
※真紅、蒼星石、水銀燈に関しては名前しか知りません。
※アルルゥの名を仗助から聞きましたが、アルルゥの家族の詳細についてはまだ把握していません(エルルゥ=姉のみ把握しました)
※レヴィに対して良い印象を持っていません。
またレヴィがドールを壊して、ローザミスティカを奪ったのではないかと疑い、それが蒼星石のものではないかと考えています。
【クリストファー・シャルドレード@BACCANO!】
[状態]:健康、左手と背中に火傷
[装備]:アウレオルスの暗器銃(装弾100%)@とある魔術の禁書目録、マスケット銃用の弾丸50発
[道具]:大きめの首輪<ドラえもん>、基本支給品一式<エルルゥ>、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、
庭師の如雨露@ローゼンメイデン、グロック17@BLACK LAGOON(残弾10/17、予備弾薬39)
[思考・状況]
1:ひらり、ひらりと。
2:沙都子とアルルゥを守る。
3:クレアには会いたくない。だけど……
※ローゼンメイデンについて簡単に説明を受けました。他のドールの存在を聞きました。
※名簿を確認しました。
※参戦時期は、『1934完結編』終了時です。
【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]健康、いくらか擦り傷(治療済み)
[装備]トウカの刀@うたわれるもの
[道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×1@BACCANO!、
不明支給品(0〜1)<仗助> 、ひらりマント
[思考・状況]
1:ハクオロに会いたい
2:沙都子は信用。クリスは怖い(でもちょっと信用)。レヴィは謝るまで許さない。
3:エルルゥに別れを告げる。
※ここが危険な場所である事はなんとなく理解しましたがまだ正確な事態は掴めていません。
※不明支給品(0〜1) <アルルゥ>はひらりマントでした
※放送の内容を理解しました。エルルゥ達の死も認識しています。
※D−2、ナナリーの墓が掘り起こされました。死体は掘り出されて穴が開いたままです。
投下終了です。
多くの支援ありがとうございました。
感想、ご意見、矛盾点、是非お願いします。
投下乙!
幸か不幸か……ナナリーに会えたルルーシュだけど、とことんどん底まで落とされて行くね。
そしてペドヴァンパイア組に訪れる最大級のピンチ。
制限下だし、クリスなら……きっとゼロに太刀打ちできるはず。
でも人を殺せない状態のクリスにはきついかな、ポケモンマスター北条沙もサポートが重要になるか。
お墓を見つけて親しい人を見つけた二人だけど、その対比が悲しくも面白かったです。
このグループがどうなるか、楽しみだ。
投下乙です
手持ちのポケモンを全て出せば、なんとか逃げ切れるかも…
ルルーシュは妹要素のある2人を襲うのかな?
>>制限下だし、クリスなら……きっとゼロに太刀打ちできるはず。
どう考えても不可能だろ
投下乙!
ちょいと距離が離れてたからどういう話になるかと思いきやこういう風になるとは……タイトルにちょいと驚いたw
ナナリーの死体を手に入れたことは果たして幸か不幸かどっちなんだろう。
支給品が着々と集まっていくペドヴァンパイア組だけどこの引きはやばい!ピンチだーw
あとやっぱりクリストファーと沙都子の会話は良いなぁとw
たくさんのご意見ありがとうございました。
どうやら問題がないようなので、投下を開始しようと思います。
>私のお墓の前で泣かないでください
投下乙です。
墓、というキーワードでつながれた話。
姉の姿から正道に進むアルルゥたちと妹の亡骸を手に入れ外道に進むゼロの対比が実に面白い……
そしてペドヴァンパイア組に迫る最大の危機。
果たしてどうなるのか……続きが実に楽しみです。
暗闇の中、乾いた靴音が逃げ場所を求め反響する。
だが深く閉ざされた地の底ではそれは叶わない。
逃げ場所を失い次第に弱まった音は、やがて冷たい岩肌へと吸収される。
だが足音は無限に生まれ、無機質による食物連鎖は終わることなく続いていく。
その体系の一番下に位置する、足音を作り出している存在は2つ。
それらは緩やかに傾斜した洞穴の中をゆっくりと、だが決して止まることなく進んでいる。
「――駅とはただ、止まるための場所ではない」
そのうち一つが足音とは違う音を作り出す。
ランタンのオレンジ色の光にぼう、と浮かび上がるのは髪をオールバックに撫で付けた青年の姿だ。
瞳に力強い意思を浮かべるその青年の名は、佐山・御言という。
「外界から新たな乗客を受け入れ、また古き乗客を送り出す場所でもある。
……故に駅と名乗る以上、外界と駅が断絶されているならば、それはどこか外界に繋がってなくてはならない。
そしてここ、H−3におけるその道こそが――この廃坑というわけだ」
廃坑……それはかつて何かを掘り出していた、廃棄された坑道の事を指す。
事実これまでの道のりで、使われなくなったトロッコやツルハシの柄の部分などが放置されているのを2人は見ている。
だが、それらがフェイクだということは少し見れば分かる。
映画のセットを見たことがないが、ああいうものなのだろうと思う。
それほどまでにそれらは人為的で、不自然だったのだ。
上部に備え付けられた電灯はわざとらしく埃を被らされており、今まで一度でも点灯させたかどうかすら怪しいものだ。
そんな偽りだらけの冷たく暗い廃坑を2人の青年は掲げられたランタンの光だけを頼りに邁進していた。
その状況下で、佐山の同行者であるウェイター服の青年・小鳥遊宗太が思うのはたった一つのことだった。
(あれで、良かったのかなぁ……)
"あれ"とはもちろん、地下鉄で佐山に投げかけられた4つの選択肢のことだ。
小鳥遊からの返答を聞いた佐山は、それに対して特に否定も肯定も示さず、
『ふむ……このままここにいても仕方がない。とりあえず地上を目指そうじゃないかね』
と言い出し、そのまま階段に向かって足を進め始めたのだ。
そのことについて小鳥遊はこれまでの道中、それとなしに聞き出そうとしたがすべて上手くはぐらかされてしまった。
――なんで答えてくれないのだろう。
やはり、選択を間違ったのだろうか。
だが佐山なら間違ったのなら、あの場で即刻訂正しそうな気もする。
ということは間違ってない、ということだろうか。
でも、だったら何故――……
思考は同じところを廻り、答えへと決して到達しない袋小路へと迷い込む。
その逡巡を断ち切ったのは、『小鳥遊君』と呼びかける佐山の声と、差し出されたディパックであった。
「……すまないが少しの間、これを預かってもらえるかね」
「? いいですけど……何をするつもりなんです?」
「何、少しでもこの腕に慣れておこうと思ってね」
そうとだけ言うと妙に長い左腕を前に構える。
そして次の瞬間、両の足が刻むのはスタタン、スタタン、という軽やかなステップ。
続けて長さの異なる両腕から繰り出されるのはジャブからのワン、ツー。
更にそこから流れるようにショートアッパーが繋がれ、唸りを上げる。
その繰り返し……いわゆるシャドーボクシングを繰り返しながら、前方への移動を再開する。
「すごいな……」
そんな言葉が、思わず小鳥遊の口をついて出る。
同僚の見慣れた本能に任せた右とは違う、洗練された技巧による連撃。
廃坑内に連続して残響する、拳が空を切り裂く音。
そこには特に格闘技に興味のない小鳥遊でさえも見入ってしまう刀剣にも似たある種の美しさがあった。
「ヒヒジジィに仕込まれてね。ゾロ君たちのような"戦士"ほどでなくとも、それなりのものだと自負しているよ」
だがそこで佐山は唇をかみ締め、僅かな苦味を混ぜる。
「……だが本調子ではない。
先程も言ったがとてもバランスが悪い……同程度の実力の相手なら致命的な隙がどうしても出来てしまうだろう。
……いや、例え本調子だったとしても、恐らくは"彼ら"には届かないだろう」
そう、武術の心得のある佐山でも徒手空拳では届くまい。
ラズロ、およびストレイト・クーガー。
数分前に会っただけにもかかわらず、小鳥遊は恐らく一生忘れることはないだろう人たち。
いや、彼らは本当に人だったのだろうか。
空間を削り取るもの、地下鉄を追い越すほどのスピードを出すもの……
自分の知る『ケンカの強い人間』とは、文字通り次元の違う存在。
その一人に襲われた時の殺意を思い出し、再度湧き上がってきた恐怖に身震いする。
「……それに、もっと憂慮すべきことがある」
そう話す佐山はこれまで以上に真剣な顔つきだ。
やはり達人である以上、自分の考え付かないような不安要素を見出しているのか。
「それは……」
「それは……?」
唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。
「もしもこの左腕で新庄君の尻を触った場合、それは私が触ったことになるのかどうか、ということだ」
「俺の心配を返せ!」
「何を言うのかね。大きな問題だよ、これは。
この左手は自由に動かせるし、感覚もある。ということは感触を楽しむのは、間違いなく私だ。
だが触っているのは赤の他人の凶悪モヒカンの左腕なのだよ。
例えば左手でしか新庄君の尻を触れないチャンスがあった場合どうすればいいと思う?
新庄君の尻の恩恵を受けるのは世界中で私だけで良い。
だが先程のような場面に直面した場合、この私の神仏のごとき心の広さを持って、左腕にも恩恵を与えてやるべきか。
それとも鋼の意思による自制を持ってとどめ、理想に殉教すべきか……おお、これは彼の"個体化の原理"にも匹敵する難題だね?」
愉悦と苦悩を同時ににじませ、ああでもないこうでもないと妄言を呟いている。
常人が見れば何らかの冗談だと思うだろう。
だがこれがこの青年の素なのだと、長らく行動を共にしてきた小鳥遊は理解していた。
佐山・御言は普段は同年代とは思えないほどの落ち着きを見せる、頼れる青年だ。
だが新庄という人物(特に尻)の話題になると、リミッターが壊れる性質があるようだ。
未だ奇行を続ける佐山を反目で見て、小鳥遊は思う。
……だめだこの人……早く何とかしないと。
というか、この人に対していったい何の遠慮をしていたのだろう。
こっちがこんなに不安になったり苛ついているのに、この人は……
ああ――だんだん腹が立ってきた。
「おや、どうかしたのかね。額に青筋立てながら小刻みに震えたりなどして。
あまりカリカリしすぎると寿命を縮めるよ? 乳酸菌はちゃんと摂取しているかね?」
どこかコメディアンのようなオーバーな動きと共に放たれた言葉に堪忍袋の尾が切れそうになった瞬間、
急に真顔に返り、おちょくるようだった声色が真剣なものへと変化する。
「さて、君の健康状態はおいておくとして……
方針は決まった、ならば具体的な行動を決めようではないか」
急激な変化に戸惑う小鳥遊。
佐山はそんな彼に向け、更に言葉を重ねる。
「君の出した答えは確か――2番、だったね?」
地下鉄の駅で宗太の出した答えは2番、『まずは強力な武器を見つけ、ラズロの様な参加者にも対抗可能な状況を作る』であった。
そのことに対し、佐山は初めて意見を述べる。
「しかし……意外だね。てっきり1番を優先するものだと思っていたのだが」
選択を間違ったのだろうか、という恐怖から背中に脂汗をかく。
だが佐山の目に浮かぶのは、間違いを正すものでもなく、むしろ――
(……試されて、いる?)
普段から(程度の差やベクトルの違いはあれど)奇人変人に囲まれている小鳥遊は、そのことを漠然と感じ取った。
だから言い訳ではなく、それを選んだ理由を口にする。
「……うん。だって俺たちには……力がないですから……」
そう、自分たちが探している二人、伊波と新庄は決して"強者"ではない。
そしてそれは自分たちにも言えることだ。
こちらの戦力は本調子ではない佐山の格闘術と、対斬撃防御に特化した秘剣電光丸のみ。
もし、こんな状態で合流したとしても、あのラズロみたいなのに襲い掛かられたとしたら一溜りもない。
だから、小鳥遊はまず自分たちの身を守るための"力"を手に入れることを優先する。
「試すような真似をして悪かったね」
こちらが気づいたことに対して気づいたのだろう。
表情を崩し、素直に謝罪の意を示す。
思えば、あの時すぐに答えを聞かなかったのも、自分自身の意見を整理させる時間をくれたのかもしれない。
「……そう、君の言うとおり残念ながら我々は弱者だ。
概念兵器をはじめとした何らかの"力"を持たねば、抗うことも出来はしない」
だが、そこまで言葉を進めると、口の端を僅かに吊り上げる。
「とは言え、彼女たちとは出会い次第合流するつもりではあるし、情報収集も怠るつもりはないがね。
有難いことにこの目的は1番とも並行可能だ。2番をやや優先する程度でかまわないだろう。
……さて、それでは、逆に優先順位を下げるべきなのは……分かるね?」
「うん、まず……4番は時間的に厳しいよね」
基本支給品の中にまぎれていた時計によれば現在は午後2時前。
地下鉄を使うならともかくとして、今から1時間、徒歩で図書館に到着するのは不可能と判断してもよい。
「そう、更に言うなら先程の放送で待ち合わせ相手たるストレイト・クーガーの名が呼ばれたのだ。
彼らには4-C駅へと向かう理由がない。もしかしたら会えない可能性すらある。
――未見でありながら、ある程度信頼できる人物との合流の可能性は魅力的だがね」
佐山はそう付け足しながら、小鳥遊に預けていたディバックを受け取る。
「そして3番、地下の探索だが……これもまた、優先度は下げられるだろう」
「うん、何というか……広すぎるからね……」
H-3地下駅にあった駅名標には【E-2駅 ← 廃坑 → G-7駅】と書かれていた。
つまり地下空間は少なくとも7ブロック以上に広がる広大な空間だと推測される。
そんなところをたった2人、しかもノーヒントで探すなど自殺行為以外の何者でもない。
それに、と佐山は再び説明を付け加える。
「迷宮探索ボールを持つゾロ君を探す、という作業はこれまた1・2番と並行できる。
……いや、戦闘力を持つ彼との合流は2番の目的と同一と言ってもいいかもしれないね」
「え、でもゾロさんはウソップさんの仇を討つために……」
「先程の放送で彼の友人である"モンキー・D・ルフィ"という人物も名前を呼ばれた。
現時点での生存者はおおよそ半数……このペースで行けば想定よりも早く事が進むかもしれない。
この際、多少強引にでも行動を共にしてもらうつもりだよ」
そう言い切る以上、説得する自信があるのだろう。
そして小鳥遊は出来るのだろう、と思う。
時々発症する突発性変態症候群さえ考えなければ、目の前の青年は多少性格に難はあるものの極めて優秀なリーダーなのだ。
「彼は私とやりあったときには全力を出していなかったのだろうし、戦力としては十分だ。
何よりも我々と直接面識があり、ある程度の信頼関係が構築できているというのは大きなアドバンテージだ。
ふむ、信頼と実績のロロノア・ゾロというわけだ」
優先順位を定める会話は、そう締めくくられた。
……となれば自然に会話は次のステップに移る。
「さて、となると――次に考えるべきはこれからの具体的な行動だね。
端的に言ってしまえば、どこに向かうかだが……それを君に決めてもらいたい」
何故、とは問わない。
佐山がそうするのだからそれなりの理由があるのだろうと、今のところはそう思っておく。
だから返す言葉は"何故"という問いを除いた自分の素直な感想だ。
「……でもこれからの決めるっていきなり言われても……」
「ふむ、では先程と同じようにこちらから選択肢を提示しよう。
それならば――」
だが佐山はそこで言葉を切ると同時、歩みを止めた。
小鳥遊はその理由を問いかけようとして、言葉を喉の奥に引っ込めた。
その原因は佐山の全身を包む空気の変化である。
今、佐山が纏う空気は緊張の一色であり、その鋭くなった視線の先には"何か"が転がっている。
「……?」
ランタンの光によってぼんやりと浮かび上がったそれを、小鳥遊は最初は枯れた木かと思った。
もしくは山奥で寿命を向かえ朽ち果てた老木が一つ、横たわっているのだと。
(何でこんなところに枯れ木が……)
だがおかしなことに枯れ木には布が巻かれていた。
しかも複数枚が服のように重ねられて――いや、違う。
『服のように』ではない。それは『服そのもの』なのだ。
破れ、汚れ、砂まみれになったカーキのスーツとワイシャツなのだと。
"それ"に気づくと見えなかったものが見えてくる。
いいや、そうとしか見えなくなってしまう。
朽ちた古木が、次第に"あるもの"にしか見えなくなってくるのだ。
喉が渇く。動悸が逸る。背中を伝う汗が止まらない。
認めたくないという本能的な恐怖がやめろと叫ぶ。
だが理性は急に止まれない。
そして――ついに気づかされてしまう。
枝は手足であり、瘤は頭、そして瘤の文様は落ち窪んだ眼窩だということに。
そう、目の前に横たわるそれが――水分を吸い尽くされ、真ん中で折れ曲がった人の死骸だということに。
「う、うわあああああああっ!!」
それが死体だと認識した瞬間、どうしようもない嫌悪感と恐怖が小鳥遊を襲った。
思えばこの場所につれてこられてから、いや、生まれてこの方、殺された"死体"を目撃したのは初めてだ。
足から力が抜け、その場にへたり込みそうになる。
「落ち着きたまえ、小鳥遊君」
だが尻餅をつく事を避けれたのは、もう一人の青年が腕を取ったからだ。
見た目からは想像も出来ない強い力で、小鳥遊を無理やりに立たせる。
立たせた側の青年は表情を崩さず、いささか真剣みを増した表情でじっと死体を観察している。
「これが今の現実だ。今からこれと向き合わねばいけないのだよ、我々は」
その言葉には確固たる重みがあった。
見れば反対側の手で左胸を押さえている。
人の死にこの青年も何かを重ねているのだろうか?
「……立てるかね?」
「だ、大丈夫だよ」
精一杯強がって体勢を立て直すも、死体の方向は見れず、視線の先は自然と佐山のほうに向けられる。
だから気づいた、佐山の表情に別の感情……『疑念』が浮かんでいることに。
「どうしたの?」
「よく見てみたまえ小鳥遊君。この死体――おかしいところがないかね?」
指差した先。恐る恐る覗いたそこには、先程までと変わらず横たわるミイラがいた。
思わず目をそらしそうになるが、その一瞬、小鳥遊は奇妙な違和感を覚えた。
汗の浮いた掌をぎゅっと握り締め、死体の隅々に目を凝らす。
程なくして小鳥遊は気づいた、その違和感の正体に。
「――首輪が、ない?」
違和感がない、だからこその違和感がその死体にはあった。
ミイラ化した死体は辛うじて人の形を保っており、首と四肢は繋がっている。
だが、ないのだ。本来ならその首に光るはずの銀色の円環が。
「ど、どういうこと?」
「一言で言えばわからないな。だが……これが明らかに異常である事は間違いない」
参加者はすべからく首輪を仕掛けられている。それは絶対のルールのはずだ。
知らぬ間に首輪を仕掛けられたからこそ、実力者たちは畏怖し、その矛先を主催者へと向けることを避ける。
また、首に爆弾が仕掛けられているというその恐怖に駆られ凶行に及ぶものも決して少なくはないだろう。
つまりこの首輪は主催者にとって、重要なものなのだ。
その首輪がないということは一体どういうことなのか……
ありえないことを目にした小鳥遊の脳裏にまず浮かんだのは、一つの仮説だった。
「その……もともと、死んでいた、とか……
考えたくはないけど……俺たちが来る前にこの会場に閉じ込められて、そのまま……とか」
「いや、理論的な答えではあるが、その可能性はないよ小鳥遊君。
この世界が主催者によって作られた以上、その選択肢だけはありえないのだから」
「つ、作られた?」
自分のディバックの中から地図を取り出し、小鳥遊に渡す。
「地図の両端を見てみたまえ。
上下左右の地形、および線路……もし地図をくっ付けたなら、あらゆるものの位置がぴたりとくっつくはずだ。
レールなどは後から作ったにしても、地形まではそうはいくまい」
言われるまま自分のディバックからも地図を取り出し、くっつけてみる。
と、佐山の云うとおり、一部のずれもなくピタリとくっついた。
「さらに彼を舞台装置として見た場合でも、
こんな辺鄙なところに、こんな死体を置いたところで殺し合いを促進させる要因にはなりはしない」
もしも恐怖による錯乱を目的としたのなら、もっとわかりやすく凄惨な――血まみれの死体等を放置するだろう。
それもどこか目立つ場所に。
だが主催側が意味のないことをするとも思えない。
これがいったいどういうことなのか……佐山が頭が回転させ始めたそのときだった。
自らのディバックの中から小さな獣が頭を出し、背伸びをし始めたのは。
「――獏?」
* * *
「人の足を停めるのは絶望≠ナはなく諦観(あきらめ)
人の足を進めるのは希望≠ナはなく意志=v
恐怖に震え涙を流す少女に向けて男は言った。
「……諦めない」
男の言葉に背を押され、少女は頷いて走り出す。
「……―――来たか」
そして男は覚悟する。
迫り来る、大いなる脅威に対して。
* * *
そして、3分ジャストで過去は閉じる。
見せられた過去に宗太は動揺を隠せない。
それもそうだろう、過去の中にいたのは、彼が探すこの場に呼ばれた唯一の知り合いの姿だったのだから。
「伊波さん……!」
「ふむ、彼女が君の友人である伊波君か。
やはりこの彼は彼女を助けた直後、何者かによって殺されたようだね」
一度目を閉じ、先程の夢を詳細まで思い出す。
その夢の中の視線の先にあったのは、やはり男の首部分。
「そして、やはり生前の彼には首輪は嵌っていなかった。
さて、コレはいったいどういうことか……」
「参加者でない、無関係な人ってわけでもないだろうけど……」
小鳥遊が何気なく言った台詞に、驚いたような顔を向ける。
「小鳥遊君、もう一度、言ってくれたまえ」
「え、参加者以外なら首輪してなくてもおかしくないけど……」
小鳥遊の言葉に、しばしの間、何かを考え込み……そして口を開いた。
「――いいかね、これから話すことはあくまで仮説の一つとして聞いてもらいたい」
一つ、前置きをして、話し出す。
「もしも、だ。ここにいる彼があのギラーミンに呼ばれた存在ではなかったとしたら?」
そんなことを、口にした。
「……どういうことさ」
「恐らくは――彼は招かれざる客。
65人目の参加者という……本来ならありえないはずの存在だ」
絶句する小鳥遊に向けて、佐山は更に言葉を続ける。
「確かに、彼が何らかの手段で首輪をはずした可能性もある。
だが枷である……恐らく監視機能やその他もろもろの重要機能の詰まった首輪が簡単に外れるものだろうか?
それも半日も経たずといった驚異的なスピードで。
例えば……そうだね、こんなのはどうだろう」
一息ついて、己の仮説を語り始める。
「"彼"は隙を見てあの最初に我々が集められた会場に入り込んだ。
だがギラーミンはそれに反応することは出来なかった。いや許されなかったというべきか。
当然だ、イレギュラーに反応するということは、主催者に弱みがあるということを見せ付けることになる。
このゲームの潤滑な進行を考えれば、それは避けたかっただろう。
自分たちが『絶対的優位にある』という、ということを演出しなければ、予想より反抗者を生むことになるだろうからね。
だが一方で、スーツの彼も忍び込むのが精一杯で、行動に移せるほどでなかった……
もしくは動いてもどうにもならないことを知っていた、か」
「どういうこと?」
「よくあるだろう、"フフフ……あいつは我らの中でも一番の下っ端"というアレだよ。
これだけのこと……個人で起こすにはいささか規模が大きすぎる。
ギラーミンの背後に何らかの組織がついていた――もしくはギラーミンが何らかの組織の一員だったとしても、不思議なことではない。
ならばあの場所でギラーミンを打倒したとしても、背後に控えた者達によって滞りなくゲームは開始されていただろう。
それではまったく――意味がない」
この殺し合いを仕組んだのがあのギラーミンという男一人だけということはあるまい。
監視・放送、そしてその指揮……必要なのはとにかく人員だ。
規模は不明だが……この殺し合いを仕組んだのは何らかの"組織"……そう考えるのが自然だろう。
「じゃあこの人はこの中に名前が載っていない人ってこと?」
「さぁ、どうだろうね?
私の記憶が確かならば、あの最初に集められた場所で私はこのディバックを持たされていなかった。
つまり支給品に関しては後からいくらかの細工は出来た、ということだ」
名簿はコピーを取り直し、その場所だけ入れ替えればいい話だ。
何しろ最初の場所からこの場に移動するまでどれだけの時間がかかっているのか……それすら分からないのだから。
「また、参加者の位置が完全アトランダムではなく、開催者側の意図が入れることが出来るのならば間接的に殺害させることも可能だろう。
やり方は簡単だ。近くに足手まといを配置し、そのすぐそばに強力な殺し合いに乗るであろう人物を配置する……
そうすれば正義感の強い彼から逃げ場を奪うことが出来る。
万が一、逃した時のことも考えて、最初から抱き込まれた参加者もいるかもしれないね」
放送で呼ばれたとすれば、万が一、その弱者に名乗った場合のことを考えれば筋は通る。
もしくは会場内に彼の協力者が潜んでいた場合の燻り出しも狙っていたのかもしれない。
支援
「だが、この考えが正しい場合、重要なのは彼がここにいた意味だ。
彼は過去を見ての通り、類まれな正義感の持ち主だ。
そんな彼が動いた理由はただ一つ……彼は、我々を助けようとしてくれていたのだ。
それも悪人善人の区別なく全員を、ね。
だとすれば、その彼があの会場に潜入した理由……それは我々を助ける方法がこの会場内にあるということではないだろうか?」
そう、根本的な"殺し合い"を破壊する方法。
少なくともそのきっかけがこの場所にはあるのではないだろうか。
そして自分たちは"地下空間"という怪しい場所を知っている……!
(……数時間前まで、ほとんど何も出来ていなかったのに……)
もしかしたら自分たちは予想以上に主催者の近くに来ているのではないだろうか?
小鳥遊の心は思いがけず見出せた『生きて帰れる』という光明に躍る。
だがそれと同時に首に感じる存在が、忘れていた恐怖を揺り起こす。
喉もとの首輪は健在。そして脳裏に浮かぶのは爆発と共に倒れる女の人。
そう、未だ自分たちの命はギラーミンに握られているのだ。
真実に気づいたものは秘密裏に始末される――映画なんかで使い古されたパターンだ。
だが死人に口なし。有効な手段であることに変わりはない。
もしかしたら次の瞬間にも、この殺し合いを円滑に続けるため始末されるのではないか?
ぶり返してきた緊張に息を飲み込む、が、対する佐山は漲っていた緊張を解き、大きく息を噴出す。
「――とはいえ、この仮説に確固たる証拠があるわけではない。
どちらかといえばこうであればいい、という希望論に近いものがあるよ、これは。
すべては我々の勘違いかもしれないし、何らかの方法で首輪をはずせたのかもしれない……まぁ、それはそれで希望だがね」
希望……それは過去で彼が言っていた言葉。
その言葉を目の前の青年も思い出したのかもしれない。
「人の足を停めるのは絶望≠ナはなく諦観(あきらめ)
人の足を進めるのは希望≠ナはなく意志=\―いい言葉だね。
ならば我々も意志を持って、歩き出すとしよう」
その言葉どおり、佐山は全身を再開し、小鳥遊もあわてて後を追う。
一瞬だけ、横たわる古木のような死体に目をやって。
「……彼を埋葬する時間も余力も我々にはない。
残酷なようだが……ここで時間を潰すことを彼もまた望まないだろう」
そう、彼に報いるというのなら、諦めず生きることこそ手向けになるだろう。
彼が何者であっても命を懸けて伊波まひるを救ったことだけは確かな真実なのだから。
だから2人は黙祷をささげつつ、地上を目指す。
そして程なくして、目に僅かな光が入る。
次第に明るさを増すそれは長い長い廃坑の終わり。
一歩一歩着実に、その終局を二人は目指し、そして……到達した。
「うわ……」
廃坑の入り口から一歩、外へと踏み出した瞬間、一陣の風が全身に纏わり付いていた埃や砂を吹き飛ばす。
生理的な反応として肺は新鮮な外気を求め、2人の体もそれに応える。
さて、文字通り一息ついた後に時計を見れば2時直前。
まだ日は高く、暗闇に慣れた宗太たちの目を容赦なく責める。
支援
「さて、先程言いかけたこれからのことだが……
武器や武具、そして戦力を集めるには、まず人が集まりそうな場所に行くことこそ重要だ。
誰か、友好的な人物と出会えるならば良し。
そうでなくとも戦闘の余波で取り落とした誰かの荷物があるかもしれない。
危険人物の襲来には、これまで以上に気を配る必要があるがね。
となると、とりあえずはここから北に位置する遊園地――」
異形の左手で回転していない観覧車を指差す。
そして、腕を固定したまま体を180度回転させる。
「――もしくは南、山頂に位置する古城跡。
どちらかをランドマークに歩を進めるのが定石だね」
選択肢は与えられた。
そして再び選択の時間はやってくる。
「さぁ小鳥遊君、――前進しようではないかね」
今度は二択。
北へ進むか、南へ進むか。
さぁ、ここが運命の境界線上。
【H−3 廃坑入り口/一日目 日中】
【佐山・御言@終わりのクロニクル】
[状態]:健康、左腕欠損(リヴィオの左腕を移植)
[装備]:つけかえ手ぶくろ@ドラえもん(残り使用回数3回)、獏@終わりのクロニクル
[道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)、空気クレヨン@ドラえもん
[思考・状況]
1:これからの行動を決める。
2:優先順位に従い行動する(注1)
3:本気を出す。
※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。
※小鳥遊が女装させられていた過去を知りました。
※会場内に迷宮がある、という推測を立てています。
※地下空間に隠し部屋がある、と推測を立てています。
※リヴィオの腕を結合したことによって体のバランスが崩れています。
戦闘時の素早い動きに対して不安があるようです。
※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。
※過去で伊波の顔を知りました。
支援
支援
【小鳥遊宗太@WORKING!!】
[状態]:健康、腹部に痛み
[装備]:秘剣”電光丸”@ドラえもん
[道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)
[思考・状況]
1:これからの行動を決める。
2:優先順位に従い行動する(注1)
3:佐山と行動する。
4:ゲームに乗るつもりはない。
5:全てが終わった後、蒼星石と吉良吉影を弔ってあげたい。
※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。
※過去で新庄の顔を知りました。
※獏の制限により、過去を見る時間は3分と長くなっています。
※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。
注1:これからの行動の優先順位(1から高い順)
1、まずは強力な武器を見つけ、ラズロの様な参加者にも対抗可能な状況を作る。
(戦闘力を持つもの(ゾロなど)との合流なども含む)
2、新庄と伊波を捜索して保護する。
3、4-C駅へと向かい、ストレイト・クーガーの仲間と合流をする
4、地下鉄内を探索する
----------------------
投下終了です。おのれさるさん!
投下乙です!
ここでまさかの展開!リーマンが実は潜入者!
そういえば今までリーマンの首輪については話なかったなぁ(2話しか出てないから当たり前か)
しかし、となると事態を知っているかもしれない勢力がいるかもしれないってことか。
対主催にとっては希望かもしれないが、脱出の鍵となるか否か。
古城ならば伊波も新庄もゾロもいてまさに万々歳だが、遊園地だとクレアと
レヴィで完全にハズレ…果たしてどっちへ行くのやら。
なんだかこの選択、大分重要な気がするなw
改めてGJ!
とりあえず投下乙
でもこの展開は正直どうかと思う
あくまで仮説とはいえ、色々強引過ぎる
もし仮説が正しいなら、黒幕がARMS関係者ってのはほぼ確定
単独参加のARMSをそんな重要なポジションに置くのも微妙だし
勘違いってことにしても、首輪がついてなかったことは間違いない
どっちにしても何らかの説明は必要になる
それに、怯えてたまひるはともかく、一戦交えたクロコダインが気づかないってのも違和感ある
単独参加だから黒幕ダメとかないだろ。
まぁあの時点でクロコ皆殺し狙いで首輪解除を目指してはいなかったが、
戦闘はしていたし一通り首輪に悪魔の実の能力を試していた。
巌が首輪していないというのに気付かなかったってのはおかしいかもしれん。
ところで誰か巌の服装教えてくれ。首が隠れるようなのなら問題ないだろ。
とりあえず文句言っている奴はなんで仮投下の時点で意見を述べなかったんだ?
投下乙!!
いやぁ、この二人は良いなぁ、ホント。
小鳥遊の言った「突発性変態症候群」に吹いたw
伊波はリーマンと接点あったんだよな、忘れてたよ。
まさかここでこんな形で話が繋がるなんて…お見事。
ここにきて脱出に関してのフラグと言うか、希望が見つかった感じだけど
果たしてこの発見は吉と出るか凶と出るか…。
北か南…もの凄く重要な選択肢になりそうだな。
一石三鳥の南か…それとも凶となりそうな北か…?
どっちに進んでも面白いことになりそうだ。
改めてGJ!
>>666 仮投下あったこと気づかなかったから
でも確かに筋違いだったな
さっきのは無視してくれ
黒幕が1人である必要はない。
100人でも1000人でもいい。
それ本気で言ってんの?
可能性レベルなら問題ないとは思うけど、
(実際主催者決まってないし)
参謀や用心棒なんかを雇っているとかも
有りだと思う。
仮投下について本スレでも話題になったのに気付かないとか本当だったらアホもいいとこだろw
部下含めて数えていいなら100くらいいたとこあるだろ
アニロワとか漫画ロワとかニコロワとか
部下は数えないだろ
>675
なんで?
>>671 作者が書ききれるのなら何人でもいいだろ。
ところで、クロコのことなら、仮投下の時点で俺も言ってたんだが
なぜかスルーされたけど
誰かに同意を求めるならもっと具体的に問題点をいったほうがいいんでない?
なんで気付かないのが違和感なの?
高槻巌は、原作どおりの服装なら首が隠れることもない
話の中の描写だと、結構長い時間戦ってたみたいだし
それに、干からびて死んでたってことは、直接手を触れて殺してるはず
それで首輪に気づかないほどクロコダイルも間抜けじゃないと思う
まあそのクロコダイルももう死んでるし、どうでもいいといえばどうでもいいけど
だから違和感程度の話
問題ないと思うならスルーしてくれていいよ
それを仮投下時に言ってればよかったのに
今更言ってもどうしようもないよ
それは個人的にはわざわざ修正要求出すかどうかは微妙なレベルだなぁ。
直しても直さなくてもどちらでもいいかんじ。
直すなら獏の夢の中でクロコがそれに触れる感じか?
直す必要のないレベルなんじゃないかな?
ラッドとリヴィオに予約きてる
どちらもダメージ回復中だしどうなるのやら
気付いてても、気付いてなくても誰にも伝えずに死んだんだから関係ないだろ
ラッドのスタンス的に戦闘になりそうかな?
……とりあえずラッド逃げてー
そういえばラッドは放送どこから聞けたかって描写あったっけ
人数にしか反応してないから、最後の方しか聞けなかったのか
いちいち反応するような奴誰か呼ばれてたっけ?
劇場組と古城組の予約が来てるな
しかしグラハムはいつになったら起きるんだw
おお、その後が気になるメンバーだったからこれは楽しみだ。
古城組がかなりの戦力になりそうだな。水銀燈とハクオロという不安要素はあるけど。
劇場組はミュウツーがあの人数相手にどう出るか……。
>>688 クーガーが死んでるのに状態表の“殺す予定”にまだ入ってるって所?他は分からん
反応しなくても変じゃないし、直すなら状態表の名前削れば良いだけだし、そもそも読んでて別に気付かなかったし
名前の他にそう思う所が無いなら特に描写の必要はなさそう
劇場組と古城組か。わりと人気のパートだなー、気になってたからwktk
劇場関係の予約が2つ来てるけど両方投下されたときになんらかの矛盾が生じてしまった場合って
やっぱり書き手さんにもうひとがんばりしてもらうかどちらかを破棄することになってしまうのか?
ここまで近い場所でしかも劇場という拠点のすぐ外と内側の予約なんて見たことないから気になってるんだが
そういえばむかし漫画ロワで、投下されたSSと使う舞台が被ったから、予約中の人が延長して書き直してたなぁ
先に書いた人優先なのは、仕方ないよね。どうしようもないし
では完成したのでラッド、リヴィオを投下します。
そこには一人の男が居た。
三つのホールからなる劇場の内の北ホール。
そのステージ上に立つ、血まみれの男こそがこの場での唯一の演目者。
生死を賭けたデスゲームで、たった今まで命を賭していた参加者。
なんとか生き永らえた命だが男は碌な嬉しさを見い出せてはいない。
生き残った喜びを噛みしめるよりも、男は怒りに身を震わせていた。
「あああああああああああああああああああああああーーー!!
許せねぇ、ぜってぇに許せねぇ……コレはさすがの俺もプッツンものだぜ?
わかってんのかよぉ、てめぇらはああああああああああああああああああああああッ!!」
周囲に誰も居ないことは悟っているに違いない。
しかし、気に留める様子もなく男は大声で叫んでいる。
ラッド・ルッソ。彼を説明するのに“狂人”という言葉程的確なものはない。
彼の周囲には生々しい血が散乱しており、受けた負傷が決して軽いものではない事を物語る。
本来なら直ぐにでも相応の処置を施し、安静にさせておくべきなのは誰の目にも明らかだろう。
だが、ラッドの意識は少なくとも今は別の方へ向いていた。
「あの嬢ちゃんは今頃あのスーツのヤロウに守られてやがるんだろうな……気にくわねぇな。
なにせあのヤロウの身のこなしは素人じゃねぇし、なにより腕も立つ。そりゃあのヤロウの傍は安心だろうよ。
わかる。わかるぜ。ぶるぶる震えちまう子猫ちゃんはああいう手合いのヤツに保護されるのが幸運だ。
だけど、一人だけ美味しいところを独り占めってのはずるいんじゃねぇの?」
まるで両目の奥底には禍々しい炎が燃え盛っているような様子だ。
先程仕留めそこなった少女、古手梨花への歪んだ怒りを呪詛を紡ぐように口を動かす。
同時に至極勝手きわまりない想像を脳みその中で広げる。
危険が去り、同行者であるニコラス・D・ウルフウッドに肩を預けでもして心の底から安堵する梨花。
そんな梨花がどうにも憎たらしく思えてくる。
やはり一方的な、勝手な感情を滾らせることをラッドは止めようとはしない。
「よし決めた! これも知り合った縁だ、やっぱりてめぇらは直々にこの俺がぶっ殺す!
おっと、もちろんあのラズロとか言うモヒカン野郎もだ。
一人ずつでも二人でも三人纏めてでもなんでもいい――とりあえず、ぶっ殺し決定だ!!」
あまりにも簡潔な、そしてあまりにもあっさりとしたな宣言。
二人も、それも片方は年端もいかない少女であるのにラッドは彼らの殺人を良しとする。
倫理という言葉を、どこかに忘れてきてしまったような物言いがホール内に反響する。
当然、人一人居ないためラッドの声に応える者は居ない。
しかし、ラッドが虚しさを覚えることはなく寧ろ逆だ。
自分にはまだチャンスがある。
あの緩んだ顔が眼前の恐怖に引きつり、自分の手で殺されていく。
そんな光景を作り出す事がまた出来るのだ。
あいつらに思い知らせる機会が、まだまだこの場所で。
そう思えば心地よい清々しさすらも覚えてくる程だ。
「さーてと、どうするかなぁ」
やがてラッドは一息つき、キョロキョロと周囲に視線を配り始める。
案の定、やはり人影は見られない。
先程の二人組がどの出口から出て行ったのかはわかっている
幸いな事に時間も大して経過はしていなく、全力で走れば追いつく可能性はあるだろう。
決めるのであれば今、紛れもなくこの瞬間にかかっている。
あいつらを追いかけ、そして殺すためにもどうするか。
ラッドは暫く思考を走らせ――やがて答えを出した。
「……取り敢えず今は休むとするか。
殺すにしてもなんにしてもやっぱり身体が治ってねぇと始まらねぇし、ピンピンってわけでもねぇしなぁ」
ラッドが俗に言う狂人であることは揺るがない。
しかし、だからといってラッドが考えなしのボンクラというわけではない。
冷酷に且つ素早く廻る、ラッドの思考回路は常に最適な方法を弾き出す。
自分の死をギリギリで避けて、いかに効率的に人を殺せるか。
自分が死ぬとは思っていない、緩みきった奴らを殺し尽くす。
即ち死という概念が誰にも等しく存在することをその身を持って知らしめる。
その標的を一人でも増やせるためなら、ラッドはどんな手段でも講じられる。
同時に冷静な判断も下せられた。
故にラッドはこの場では一時、身を隠すことを決めた。
この殺しあいにはまだまだ時間はあり、焦る必要もない。
何より自身の身体は有限である。
殺してやった人間のようにいつかは自文にも死は訪れる。
その自覚をラッドは今まで、ほんの一時たりとも忘れたことはない。
だからこそ万全ではない己の身体に、必要以上の危険を迫らせることをラッドは良しとはしない。
使い潰す。死とは言わずとも再起不能になれば、それ以上人を殺せなくなってしまう。
そんな結果をラッドが望むわけもないためだ。
「つーか、まあホントに驚きだな。あのモヒカン野郎もだけどよ、俺のこの力にはびっくりさせられるよなぁ。
うん、自分で言っちまうのもなんだか恥ずかしいんだが……俺、ひょっとしてとんでもねぇ目覚め方したんじゃね? マジでマジで」
だが、今のラッドに肉体的な痛みがあると言えばそれほどでもなかった。
床に転がった腕を力任せに切断面に押しつけ、なんとか繋がりはした。
ただ、今のままではバズーカを扱うことも、鍛えた格闘術を振るうことも難しい。
激しい運動でもすれば、いつ取れてしまっても可笑しくはない事はわかっている。
そのための選択であり、ぐずぐずしている暇はない。
地図にも表記されており、別のホールには人が居る可能性もある。
近くの出口、北出口から出てどこか身を隠せる場所を探す。
当面の目標を定め、軽やかな足取りでラ
ラッドは出口を目指す――その筈だった。
何メートル程か歩いた後、ラッドは唐突に立ち止り、両腕に一瞥をくれる。
ラッドにはどうにも気がかりなことが一つあった。
(なんだろうなぁ……さすがにおかしいんじゃねぇの?)
この殺しあいに呼ばれてからラッドは幾度も助けられた。
そこには開始当初に摂取した不死の酒による肉体の不死身化が絡んでいる。
しかし、ラッドはその事実を知る由もないためどうにも疑問が湧いた。
なにも今までに全く心当たりがなかったわけではない。
負傷は何度も負ってきたがそれらは打撲を初めとして、治りが目には映りにくい類のものだった。
されども今回のケースは全く違う。
両腕切断という、自力ではどうにもならないような負傷がそこにあった。
だが、完全にとは言わないがある程度の接合は済んでしまった。
駄目で元々ではあったが、いざ出来たとしても手放しでは喜べない。
拭いきれない疑惑。いくらこの場で自分の常識が通じないといえどもこれではまるでアレだ。
そう。まさに自分が言った“不死者”とやらに――
一度は捨てた、最悪の事態への想定が再び蘇り、思わず嫌な汗がこめかみの辺りを濡らす。
死ぬことがなくなってしまえば、それでは生きている意味を失うのに等しい。
なにより最も憎らしく思う存在に、ラッド自身が成ってしまったというのであれば笑えない冗談にも程がある。
絶対にあり得ない。そう否定できる材料が生憎見当たらない事にラッドは少なからず焦りを感じていた。
(……まあ、いいか。あとでゆっくりと調べればいいだろうし、この殺しあいとやらが終わった後でもいい。
それに俺が死ななくなったら駄目じゃねぇか……終わりじゃねぇか。ありえねぇだろうが……!)
しかし、ラッドは強引に思い止まる。
問題の先送りと言われればそれまでだが、たとえそれでもだ。
認めるわけにはいかない。
自分は不死者になってしまった。
そんな事実を認めてしまえば、今までの自分は一体なんだったのか。
故にラッドは全てをかなぐり捨てるように走り出す。
そうだ。答えを出すのにも急ぐことはない。
たとえば今回以上の怪我を負った時、果たして自分はどうなるか。
その時の状態を見てからでも結論は遅くはない。
今、必要なのは両腕の完治。逸る自身に言い聞かせ、ラッドはホールから飛び出していく――。
「……行ったか」
別の出口の傍に身を隠した、リヴィオ・ザ・ダブルファングの存在には気づかぬまま。
ラッドはホールから姿を消した。
◇ ◇ ◇
リヴィオは確かにラッドとの戦闘を避けると決めていた。
ウルフウッドとの戦いでの傷は未だ癒えてはおらず、無理はさせたくはない。
ただ、興味はあった。
バズーカを片手にラズロと打ち合った男であるラッドに。
どうみてもチンピラにしか見えないラッドのどこにそんな力があったのか。
また、ラッドはウルフウッド達をこのまま追いにいくのだろうか――。
そんなこともあって、リヴィオは少しだけラッドの様子を見ていた。
幸いなことにラッドの声は良く通り、何よりミカエルの眼の五感は尋常のものではない。
観察は全て滞りなく終わり、ラッドについて幾つかわかったことがあった。
「……厄介なヤツが多い。わかっていたけども……厳しいな」
ラッドも取り敢えずは休息を取ること。
やはりラッドもこの殺しあいで優勝を狙っていること。
そしてなによりもリヴィオの注意を惹いたのはラッドの恐るべき生命力だ。
制限された自身の治癒能力にも匹敵する程の威力。
さすがに残り半数程に近づいた中に残っただけはある。
不死者という概念はリヴィオも知らないため、あれがラッド自身の力という結論に行きついてしまう。
何故かラッド自身も驚いているようではあったが、そこはどうでもいい。
問題はラッドが非常に殺しづらい存在である一点について。
あのラズロとやり合えた事に納得を覚えるもの、嬉しさは微塵もなかった。
やはりこの殺しあいで生き残ることは容易じゃない。
その認識は一層強まり、同時にリヴィオは強く思った。
「ラズロ、やっぱりお前は凄いな。
俺じゃあお前の領域にはたどり着けないコトがよくわかったよ」
今は居ない、もう一人の自分であるラズロが果てしなく遠い存在に感じてしまう。
十二時間で四人という成果。
全参加者の結果と照らし合わせても、きっと上位の戦績だろう。
それも全員が全員無力な参加者ではない。
不意打ちの形で仕留めた蒼星石は兎も角、劉鳳、吉良吉影、ストレイト・クーガーの三人はいずれも実力者だった。
だが、それに引き換えて自分の方はどうだ。
一度戦った事のある、しかも自身の得物を手にしていないという相手だというのに。
たとえ二重牙を持っていなくとも、自分はウルフウッドを仕留めることが出来なかった。
ラズロなら出来ただろうか――考えるまでもないだろう。
何故ならミカエルの眼に同じ手は二度通じない。
師であるマスター・Cの教えを余すことなく継いだラズロが、二度目の相手を仕損じるわけがない。
そう。ラズロは自分とは全く違うのだから。
「ラズロに笑われちまうな。
俺はまだ何も出来てない……何一つ。ラズロが出来たコトのこれっぽちも……!」
ラズロはミカエルの眼でも稀な才能の持ち主。
ラズロの宿主である自分が、GUNG-HO-GUNSのナンバーを与えられた理由は彼が居たからこそだ。
少しでもラズロに近付くため、ラズロの足を引っ張らないために重ねた特訓ではまだ足りない。
改めて自分とラズロの違いをハッキリと見せつけられた。
気が軽くなったというわけでも重くなったわけでもない。
以前からわかっていた事だが、今、自分達を取り巻く環境はいつもとは違う。
ラズロが消えた今、リヴィオは一人だ。
未だラズロに会う前、それよりも前の孤児院に送られたばかりの時のように。
信じられるものはこのちっぽけな自分自身。
AA弾の数も少なく、二重牙もなく、身体の調子も本調子ではない。
状況は絶望的だ。残り37人程ならば腕に自信がある参加者ばかり残っているだろう。
何よりラズロの力を当てにする事は出来ず、たった一人でやるしかない。
「……なに言ってるんだろうな、俺は」
だが、リヴィオに諦める気はない。
不安はある。自信があるわけじゃない。
だけどもまだ朽ちるわけにはいかないという意思がどうにも昂ぶっている。。
戻ってくる――確かにそう言ったあいつの帰る場所は一つだ。
他の何処でもない。このリヴィオ・ザ・ダブルファングという身体だ。
その時が来るまではなんとしてでも生き延びる必要がある。
だからこそ自分はこの引き金を引き続けなければならない。
目の前に何が立ちふさがろうと、必ず。
「ウルフウッドさん、後悔しますよ……いや、させてみせます。俺を逃してくれたコトを」
必要以上の事を考えることはない。
この殺し合いを自分の優勝という形で終わらせるには、何よりも人数を減らす必要がある。
よって自信の再生も兼ねてラッドは見逃しておく。
ラッドが向かった先で、ウルフウッドが連れていた少女の知り合いが死のうとも気に留めることもない。
数が一人でも減ってくればそれ上出来だ。
たとえ、あの孤児院で共に生活した年代の子供であろうとも自分はやれる。
いや、やらなくてはいけない。
迷い、銃口がぶれるということは決してあってはならない。
覚悟はとうに済んでいる。後は標的を探すだけだ。
ラッドと同じように、完全に身体の再生を待った後で。。
このホールのような目立つ場所では駄目だ。一目につかない場所が良いだろう。
目的を定め、リヴィオは北ホールの出口に背中を向ける。
「――絶対にね」
そして呟く。
まるで全てに見切をつけたように。
何も変わっていない、ウルフウッドの甘さに昔を懐かしんだ事も全て。
殺人機械と成った自分に不必要なのだから――自然と力が籠った。
ソードカトラスのグリップを必要以上に、ラズロがやったように。
まるで確かにラズロが居たという証拠を強く握りしめるように。
時間にして数秒。しかし、リヴィオにとってはそれ以上の意味を持つ時間が流れ、やがて走り出す。
そのあまりにも広く、傷ついた背中は紛れもなく一人の男のものだった。
【E-5劇場・北劇場ホール北出口周辺/1日目 日中】
【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:腹部に傷(小)、背中に打撲(中)、胸に銃創、両腕切断(なんとか繋がってはいる) 全て再生中 不死者化
[装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝(装填中)@ワンピース
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
1:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
2:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
3:ラズロ(リヴィオ)は特に念入りに殺す。
4:御坂と黒スーツの男(ウルフウッド)、子供(梨花)も殺す。
5:ギラーミンが言っていた『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』(不死者)は絶対に殺す。
6:宇宙人(ミュウツー)は出来れば最後の最後で殺す。
7:左腕が刀になる女(ブレンヒルト)も見付けたら殺す。 詩音はまあどうでもいい。
8:ギラーミンが言っていた『人間台風の異名を持つ者』、『幻想殺しの能力を持つ者』、『概念という名の武装を施し戦闘力に変える者』、『三刀流という独特な構えで
世界一の剣豪を目指す者』に興味あり。
9:グラハムについて少し気になる。
10:身体が万全になるまで戦闘は避けてどこかで休む
【備考】
※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(エルルゥ)、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。
※自分の身体の異変に気づきましたが、不死者化していることには気付いてません。
※リヴィオとラズロの違いに気付いていません。また、ラズロ(リヴィオ)のことを不死者だと考えています。
※ウルフウッドと梨花が出た出口とは別の出口から出ました。
【E-5劇場・北劇場ホール西出口周辺/1日目 日中】
【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
[状態]全身治癒中 腹部と左肩に銃創、内臓にダメージ、左腕再生中・見かけは復元、背中にダメージ中、胸にダメージ大 背中のロボットアーム故障
[装備]M94FAカスタム・ソードカトラス×2@BLACK LAGOON、.45口径弾×14、.45口径エンジェルアーム弾頭弾×4@トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式×5、
スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(残弾20発)@BLACK LAGOON、
ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、.45口径弾24発装填済みマガジン×3、45口径弾×24(未装填)
天候棒(クリマ・タクト)@ワンピース、ミリィのスタンガン(残弾7発)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
0:ラズロが戻るまで必ず生き抜く。
1:参加者の排除。ウルフウッドとヴァッシュに出会ったら決着を付ける?
2:ウルフウッドを強く意識。
3:身体が万全になるまで戦闘は避けてどこかで休む。
【備考】
※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。
※ニューナンブM60(残弾4/5)、GPS、チックの鋏@バッカーノ! はAA弾頭の一撃で消滅しました
※とりかえ手ぶくろによって左腕を肩口から奪われました。
※ラズロとの会話が出来ません。いつ戻ってくるか、もしくはこのまま消えたままかは不明です。
※ウルフウッドと梨花、ラッドが出た出口とは別の出口から出ました
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます。
なにかあればお願いします。
投下乙!
ラッド、さすがに自分の体の異変に気が付いたか。
まぁ両腕が両断されたんだし、当たり前か。
もし不死者になってるだなんて知っても、ラッドは喜ばないよなぁ。
もうこれ以上狂えないほどの狂人なのに、そこから更に狂ったら廃人になってしまうんだろうか。
リヴィオ……やっぱり銃を収める事は出来ないか。
一度揺れた心も、再び覚悟を決めた状態になってしまったね。
ニコ兄やヴァッシュと会ったときにその覚悟はこれ以上揺れずにいけるのか。
この先が楽しみだ。
一応再生能力が高い強マーダーが二人とも暫く休息な構えだね。
中央の火薬庫はもう落ち着いたと見ていいのだろうか。
投下乙です
両腕が切断されたから身体の異変を再認識したとの事ですが……ブレンヒルトとの戦闘ではもっと酷い傷を受けてた筈では?
両脚切断、両目失明状態にまでいったあの時に気付かなくて、今になって気付くのは少しおかしい気が
投下乙です
とりあえず2人とも休息か
ラッドはとうとう不死者化を疑問に思い出してきたか
リヴィオも休息+見逃しの様子だし
後は外とどのくらい矛盾が少ないか、かな
>>698で誤字と改行ミスかな?
4文目下から5行目、自文→自分
最終文下から4行目、「ラ」が残ってる
>>709 >>699で一度は捨てたって書いてあるからそれがブレンヒルトの時じゃないかな
久しぶりに見に来たけど、ワンピキャラまだ死んでなかったのか
贔屓もいい加減にしろよ
薄汚い読み手様が数匹沸いてる事を除けば、
実に素晴らしいなここのロワ。
何を唐突に
ここではよくあること
>>710 確認してきたけどブレンヒルト戦ではそんな描写なくない?
多分「一度は捨てた」ってのは秘められた力に覚醒した云々ってとこの事だと思うんだけど
感想どうもです。
>>709 そういえば両脚切断でした。
ではその両脚切断も踏まえて、今回の両腕切断で更に疑惑を深めたけど認めはしなかった……という感じでwikiに収録され次第修正しようと思います。
>>710 誤字指摘どうもです。
こちらもwikiに収録され次第修正しようと思います。
一度は捨てた元々はロベルタ戦での事を想定してましたのでその辺も手を加えようとか思います。
ロロノア・ゾロ、新庄・運切、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、水銀燈、伊波まひる、ハクオロ
投下します
きた!支援!
支援
いらない物は?
「壊れた玩具」
嫌いなことは?
「不完全なこと」
怖いことは?
「欠落すること」
◇ ◇ ◇
日当たりの悪い廊下に新庄・運切の足音が響いている。
ゴム製の靴底が石の床材を叩き、トントンと駆け足のリズムを刻む。
「ちょっと待ってよ……」
新庄は先を行く男――ゾロに声を掛けた。
後ろから追ってくる新庄のことなど気にする様子もなく、ゾロは大股で歩を進めている。
一般的な靴と地下足袋という履物の違いか、響く足音は新庄のものだけ。
ゾロから目を離してしまえば、微かな物音も聞こえないほど引き離されて、置き去りにされてしまいそうだ。
「お前が勝手についてきたんだろ」
ゾロは振り向くこともせずに答えた。
本人からしてみれば、これでも普通に歩いているだけなのだろう。
しかし新庄は部屋を出たときから早足を強いられ続けていた。
ゾロが一歩で進む距離を、新庄は二歩で踏み越える。
ゾロがゆっくり進む路を、新庄は倍の速さで脚を動かす。
新庄は一向に変化しない歩幅の差を睨みながら、少しだけ前のことを思い出していた。
伊波やヴァッシュと一緒に城内を探索していたときのこと。
そのときは、歩幅の違いなんて気にすることなく歩くことができた。
ヴァッシュはゾロと同じかそれ以上に背が高くて、歩幅も広かったはずなのに。
(合わせていてくれたんだな――)
何も言わず、自分や伊波が苦労しないように。
心遣いとは離れて初めて分かるものなのだろう。
新庄は窓の外に視線を向けた。
眼下には城塞の周囲に広がる森があるだけで、人影は全く見当たらなかった。
ここの廊下の窓は南を向いているので、もしかしたらヴァッシュが見つかるかもしれない、と思ったのだ。
だが、そうそう都合よくはいかないらしい。
「それにしても迷路みたいだね……」
探索中にも抱いた感想を漏らす新庄。
こんなところで迷子になったら一大事だ。
新庄が視線を前に戻すと、まさにゾロが階段を昇ろうとしているところであった。
『城に近付く』仮面の男へ向かっているはずなのに、何故か『上階へ続く』階段を。
「……え?」
ゾロの足取りに迷いはない。
迷いはないのだが、致命的に間違っている。
「ちょ、ちょっと!」
新庄は慌てて駆け出した。
ここで見失ったら二度と出会えない――そんな予感が本気で胸を過ぎっていた。
◇ ◇ ◇
苦しくて、惨めで、消えてしまいたかった。
『お父様』から頂いた身体を壊されてしまうなんて。
こんなジャンクに成り果ててしまうなんて。
人形は完璧でなければ意味がない。
片腕を失った醜い人形など、誰が必要とするだろう。
身を裂くほどの苦痛が水銀燈の心を苛む。
しかしどんなに辛くても、命を絶とうという思いは浮かんでこなかった。
醜く壊れてしまったといえ、大切な身体であることに変わりはないからだ。
それを自ら捨て去るなど『お父様』への侮辱に他ならない。
だから、生き延びる。
けれど、それだけでいいのだろうか。
真紅のミーディアムが死んだとき、水銀燈は喜んだ。
これで真紅がアリスになる道は狭まったと思って喜んだのだ。
しかし実際にアリスへの道を絶たれたのは水銀燈の方であった。
それを許すことが出来るのか?
……許せない。
……許すことなんてできない。
脱落した自分を横目に、真紅がアリスへ近付くなんて、見過ごせるはずが無い――!
愛憎が渦を巻き、苦痛と恥辱を飲み込んでいく。
選ぶべき道はこれしかないと確信し――
水銀燈は、闇の中で残された腕を伸ばした。
その口元に微かな笑みを湛えて。
◇ ◇ ◇
城壁の穴を潜ったハクオロは、城内の荒廃ぶりに目を見張った。
位置は城の東端、荒れ果てた庭の一画。
建物から離れているため、何に遮られることもなく庭園を一望できる場所だ。
「攻め落とされたのではないな……」
草木は枯れ、石垣は崩れかけているものの、戦場となった形跡は見当たらない。
火を放たれた様子もなく、草花は兵士に踏み荒らされることなく、咲いていた頃と同じように枯れている。
戦火に飲み込まれたのでは、こうはいかないに違いない。
何らかの理由で放棄され、自然に朽ち果てたというところか。
ハクオロは枯れた花壇の間を真西へ歩いていく。
この城はハクオロがよく知る城塞とは別物だ。
しかし、城である以上、文化や文明が違っても共通点は幾らでも見出せる。
例えば敷地の西に建つ屋敷。
他の建築物とは違う雰囲気をもつそれは、恐らく城主の居館だろう。
ハクオロが目指しているのも、あの建物であった。
ハクオロは、アルルゥを護ることを第一としていた。
そのためにはまずアルルゥを見つけ出すことが必要だが、現状では手がかりが何もない。
必要なのは情報だ。
たった一人で、この広大な地域を踏破できるとは到底思えない。
ならば、捜索対象をアルルゥだけに絞るより、アルルゥと出会った者にも広げれば……
そうすれば多少なりとも可能性が高まるだろう。
誰かを探す。
その目的を果たす最善の手段は、人が集まる場所を探すこと。
自分が進んできた方でも、イスカンダル達がやってきた方でもない方角で、人が集まるであろう場所……古城と学校。
ハクオロが選んだのは、川を越えずに辿り着ける古城であった。
城という堅牢な防衛施設であれば、戦いを厭う者が集まっているかもしれないとも考えていた。
「しかしこの荒れようではな」
期待を裏切られたような感覚を覚えながら、ハクオロは居館の扉に手を掛けた。
誰かが古城へ向かっていたのは確認していたが、どこへ行ったのかまでは把握していない。
探すならば虱潰しにいくしかないだろう。
鍵は掛けられておらず、多少蝶番が軋んだ程度で、あっさりと開いた。
荒れたホールを抜け、大広間へと抜けていく。
「これは……!」
大広間に入るなり、ハクオロは絶句した。
壁に叩きつけられて砕け散った食卓。
無残にも引き剥がされた絨毯。
額縁ごと粉砕された絵画。
この惨状は、城内の荒廃とは明らかに異質であった。
経年による劣化では断じてない。
何かしらの暴力によって破壊されたのが明白だ。
ハクオロは注意深く周囲を睥睨した。
ここで戦闘があったのではないか――
そう思い、痕跡を探る。
しかし、部屋の内装は酷く荒らされているのだが、血痕などは全く見当たらない。
「どういうことだ……?」
戦闘にはなったが、ここでは負傷しなかったのか。
それとも出血するような負傷ではなかったのか。
あるいは――戦闘ではなく、ただ暴れただけなのか。
判断する材料は足りていない。
ひとつだけ確かなのは、ここで『何か』が起こったということだけ。
ハクオロは大広間を一望する位置に掛けられた絵を見上げた。
丸い卓を囲む、流麗な外套を羽織った男達を描いた絵画。
中央に座するのは刃のような碧眼を持つ美貌の少年王。
城主が住まう居館には、こうした武威を示す絵画が決まって飾られているものだ。
ハクオロは彼らが何者であるのか知らなかったが、従者たる武将と王を描いていることは理解できた。
「皮肉なものだな……今の私を、王の肖像が迎えるとは」
足元に刻まれた三つの円環に、ハクオロはまだ気付いていない。
ただ、王と騎士達――アーサー王と円卓の騎士の肖像を前に、ただ嘆息を漏らすだけであった。
◇ ◇ ◇
「ちっちゃい……」
伊波はベッドに横たわる『少女』を前に、ぽつりと呟いた。
少し前までゾロが寝ていたベッドには、今は黒い服の『少女』が占有している。
生きた人形――ローゼンメイデン。
その存在は既にゾロから聞かされていたが、こうして目の当たりにすると驚きを禁じえない。
背丈はゾロの言うとおり、数十センチから一メートル。
ここにいる誰よりも、古城という風景に溶け込んだ服装。
ゴシック・ロリータとでもいう奴なのだろうか。
白い肌や銀色の髪と見事に調和していて、可愛いというより綺麗という感想が強かった。
「本当に人形なんだな……これだと手当てじゃなくて……」
修理になるかも、とヴァッシュは呟く。
大きさを除けば人間の少女と大差ない……とは実のところ言いがたい。
何より目立つのは背中の翼だ。
黒く艶のある、磨かれた黒曜石のような羽に包まれた双翼。
一見すればそういう飾りなのかと思えてしまう。
しかし少女が身じろぎするたびに小さく動き、それが飾りではないと証明している。
鳥のように飛ぶことが出来るのかは分からないが、少なくとも身体の一部ではあるらしい。
そしてもう一つの異質。
少女の左腕は『負傷』ではなく『破損』しているのだ。
そこに人間らしい血肉はない。
「……」
伊波の脳裏を、とある機械の姿が過ぎる。
メカポッポ――
新庄に支給されたという鳥型の機械。
意志を持ち、自力で動く不思議なロボット。
未だ戻らないメカポッポと、この少女の間には明らかな違いがあった。
――首輪である。
少女の首には、伊波のそれより一回り小さな首輪が嵌められている。
つまりこの少女は、メカポッポのような『支給品』ではなく、伊波と同様に連れてこられた『参加者』なのだ。
「参ったな」
ヴァッシュは心底困った様子で少女を診ていた。
生物の肉体とは勝手が違いすぎる。
痛覚はあるのか。
傷を塞ぐ必要はあるのか。
出血に類するものはあるのか。
何もかもが分からない。
つまるところ、対処の仕様がないのだ。
とりあえず破損箇所に包帯を巻いてはみたものの、これに意味があるのかすら見当もつかなかった。
ヴァッシュはベッド横の椅子に腰掛けたまま振り向いた。
伊波もヴァッシュの数歩後ろから、心配そうな視線を少女に向けている。
「とにかく意識が戻るのを待って――あ――」
ヴァッシュがそう言った矢先、少女の瞼がぴくりと動く。
赤い虹彩がうつろに天井を見つめ、ゆっくりとヴァッシュ達に向けられた。
「あ、起きたよ!」
「大丈夫か! 傷は!?」
上体を起こした少女に寄るヴァッシュと伊波。
少女の端正な口元が怒りに歪んだ。
「来ないで!」
「……危ない!」
少女が怒りに任せて翼を振るう。
数本の羽が鋭い矢のように放たれる。
ヴァッシュはその脅威を一目で理解し、咄嗟に横へ飛び退く。
それと同時に、伊波を右腕で抱え込んだ。
「ひっ……!」
ヴァッシュは少女の放った羽から伊波を護ろうとしただけだ。
誓って他意はない。
伊波も頭の中ではそれを理解しているだろう。
けれど、条件反射までは止められない。
「嫌あっ!」
零距離からの抉り込むような一撃が、ヴァッシュの脇腹に突き刺さる。
打撃点は肋骨の少し下。
急所を打ち抜くレバーブロー。
「うぼぁ!」
伊波に突き飛ばされ、派手に転倒するヴァッシュ。
急に腕から解放された伊波は、受身を取る暇もなく、額から床に落下した。
ごつり、と小気味のいい音が響き渡る。
「……あらぁ?」
ようやく平静を取り戻した少女――水銀燈が、周囲をきょろきょろと見渡す。
ベッドの傍では、額を押さえて転げまわる人間の女と、脇腹を抱えて悶絶する男が一人ずつ。
水銀燈は現状を理解しようと嗜好を巡らせ、考えるのを止めた。
考えるだけ、無駄そうだった。
◇ ◇ ◇
「はぁ……はぁ……はぁ……」
息を切らす新庄の横でゾロが訝しげに周囲を見渡した。
眉間に皺を寄せ、現状に納得していないのがありありと分かる表情だ。
「おかしいな、何でこんなところに出るんだ?」
二人が立っているのは、城の中で最も高い建造物の屋根の上。
その傾斜の中ほどで、ゾロは何事もないかのように直立し、新庄は落ちないよう頑張ってしがみ付いていた。
本来目指すべき地上とは奇跡的なまでに正反対の位置である。
どうしてこんなことになったのか。
もはや説明するまでもあるまい。
「全然……っ! おかしくない……っ!」
荒い息の合間を縫って、新庄は声を張り上げた。
階段を昇り続ければ最上階まで到達するのは当然だ。
それはもう、コーラを飲めばゲップが出るくらい確実に。
「仮面の野郎は……どこだ?」
ゾロは目を細めて城の敷地を見渡した。
新庄とゾロが屋根に立ち、ヴァッシュ達が二階にいるこの塔は、名称を主塔(ベルクフリート)という。
城壁の内側に建造され、城内で最大の高さを有する塔である。
位置は敷地の南東、高さはおよそ三十メートル。
一片が十メートル程はある四角形の塔で、他の建造物からは少しばかり離れた位置に建てられている。
主塔とは見張りと防衛を兼ねた建造物であり、内部の施設もそれに見合ったものばかりだ。
まず、最上階は監視用の部屋。
城塞の周囲を隈なく見渡すことが出来るようになっており、逆にそれ以外には向かない造りとなっている。
その下の四階は居住区域。
堅牢な主塔の上階という安全性から、城主の家族などが住んでいたとされる階である。
新庄達にそうした専門的知識は無いが、部屋の内装を見れば大体の見当はついた。
だいぶ荒れているとはいえ、豪華さのレベルが他とは段違いなのだ。
三階には召使のものと思しき質素な部屋と、炊事場が備えられていた。
火を使って水や油を加熱すれば、窓から敵兵に浴びせる兵器に早変わりするため、この高さに炊事場があったのだという。
そして二階には医療室などの諸々の施設。
万が一のときには主塔に篭城することになるため、戦いに必要な設備は一通り揃っている。
また、意外なことに、主塔の出入り口は二階に存在しているのだ。
梯子を外せば敵兵の侵入を阻むことができるからだ、とはヴァッシュの言である。
一階は、新庄達が探索した限りでは倉庫として用いられていた。
入り口が二階にあるため、感覚的には地下倉庫のそれに近い。
中身を逐一確認したわけではないが、特別は物品は無いだろうというのが三人の結論であった。
「もう入ってきちゃったのかな」
新庄はゾロに倣って地上に視線を巡らせた。
入り口は北の城門ひとつだけ。
城を囲むのは、生身の人間には乗り越えられそうにもない城壁。
これだけを見れば、北以外からの侵入は不可能であるかのように思われる。
しかし城壁の其処彼処が崩れており、山城であるためか「堀」が存在していないので、侵入自体はどこからでも容易である。
事実、新庄と伊波も城壁の南に開いた穴から城内に入ってきたのだから。
「かもな……」
城壁で囲まれた敷地の中央は荒れた庭園が占めている。
まさにゾロが倒れていた庭だ。
手入れが行き届いてさえいれば、美しい薔薇が咲き乱れる美しい庭だったのかもしれない。
だがそれも仮定の話。
荒れ果てた風景、それが全てである。
城内で目立つ建物といえば、主塔の他にもうひとつ。
敷地の西側に建てられた、豪勢な洋館のような建築物――城主が住まう居館(パラス)がある。
防衛を重視していた主塔とは打って変わって、居館は居住性と豪華さへの比重が大きかった。
現在はかなり荒廃しているものの、往年の壮麗さは想像するに余りある。
ちなみに、新庄と伊波がヴァッシュを運び込んだ応接室も居館の中の一部屋であった。
後は幾つかの塔や建物、そして十字架を掲げた礼拝堂と思しき建築物。
それが城内にある施設の殆どだ。
「よし、今度こそ降りるぞ」
「待って! ボクが先に下りる!」
新庄は先ほどの壮絶な迷いっぷりを思い出し、慌てて機先を制した。
果たしてゾロを上手く先導することができるのか。
そもそも主塔から脱出すること自体できるのか。
その結末は誰も知らない。
【A-2 古城跡・居館1階・大広間/一日目 午後】
【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備】:なし
【所持品】:基本支給品一式×4、
コンテンダー・カスタム@Fate/Zero 、防災用ヘルメット、コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾27/30) 、ロープ×2、消火器、防火服、
カッターナイフ、黒色火薬入りの袋、大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、双眼鏡、医薬品多数、ライター、
起源弾@Fate/Zero(残り28発)、クチバの伝説の進化の石(炎、雷、水)@ポケットモンスターSPECIAL、
空気ピストル@ドラえもん メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、排撃貝@ONE PIECE、
デリンジャーの残弾20 鉄パイプ爆弾×4、治癒符5枚@終わりのクロニクル
【状態】:右足と右肩に銃創(包帯処置、止血処置済み。ただし消毒なし)、左手首骨折
【思考・行動】
1:ギラーミンを倒す。
2:何としてもアルルゥを護り抜く。
3:そのためにもアルルゥの情報を手に入れる。
4:もしそれが叶わなければ……?
5:ミュウツーに対して怒りの念。
【備考】
※クロコダイルの名前は知りません。
※クロコダイルの能力を少し理解しました。
※聖杯戦争とサーヴァントについての情報を一通り得ました。
※かつて戦ったニウェの言葉が頭の中に入ってきてます。
※もしベナウィやエルルゥを殺した相手の事がわかったら?
※参戦時期は少なくともシケルペチムでの戦いの後。
※ヴァッシュが古城に向かっているのに気付いています。
【A-2 古城跡・主塔2階・Dr.くれはの医療室/一日目 午後】
【伊波まひる@WORKING!!】
[状態]:疲労(小)、足に擦り傷・切り傷(消毒済)、額の痛み
[装備]:学校の制服
[道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費)、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS マジックハンド×2 @WORKING!!
[思考・状況]
0:うあああ……
1:新庄、ヴァッシュと支えあい頑張る。
2:新庄を助けながら、ヴァッシュを待つ。
3:メカポッポの到着を待つ。(半ば諦め)
4:諦めない。常に信じ抜く。
5:小鳥遊、佐山の話を聞いた安堵感
6:佐山、小鳥遊と合流する。
7:ゾロに対してある程度信用、ただし触れたら…。
※新庄を信用しています。また、彼女の特異体質を知りました
※佐山・御言に関しては変な人ということを聞いています。ブレンヒルトについては、知り合いということだけ聞いています。
※運命のスプーンのことは知りません。
※ARMSのコアの事は一応目を通しましたが、何の事かよくわかってません。
※ヴァッシュと情報交換をしました。ウルフウッド、リヴィオ、広瀬康一、メイドの女性(ロベルタ)、園崎魅音(詩音)、黒服の男(サカキ)についての情報を得ました。
※ベナウィの事は聞かされていません。
※概念って何?
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]黒髪化、左肩に刺突による傷(再生中) 、脇腹の痛み
[装備]ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式、拡声器@現実、予備弾丸36発分
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める、今度こそ絶対に。
0:ぐおおお……
1:水銀燈をどうにか助ける。
2:新庄、伊波と同行する。ゾロについては信用。
3:ウルフウッド、リヴィオとの合流。
4:ウルフウッドがいるかもしれない……?
※原作13巻終了後から参加
※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。詩音は死んだと思っています。
※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。
※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。
※伊波、新庄と情報交換をしました。佐山、ブレンヒルト、小鳥遊、高槻、メカポッポ、片目の男(カズマ)の情報を得ました。
※水銀燈の左腕が欠損していることに気づきました。
【水銀燈@ローゼンメイデン】
【状態】:全身に切り傷、左腕欠損(包帯を巻かれている)
【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、強力うちわ「風神」@ドラえもん、
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
【思考・状況】
0:なにこれ……
1:真紅をアリスにはさせない。
2:ローザミスティカは必ず手に入れる。
【備考】
※ナナリーの存在は知りません
※会場がループしていると確認。半ば確信しています
※古城内の大広間に『○』型のくぼみがあります。このくぼみに何が当てはまるかは不明です。
※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。
※気絶していましたがヴァッシュの声は無意識に届いています。
【A-2 古城跡・主塔屋上/一日目 午後】
【ロロノア・ゾロ@ワンピース】
[状態]疲労(中)、全身にダメージ(大)(止血、消毒、包帯済み)、左腿に銃創(治療済み)、
[装備]八千代の刀@WORKING!!、秋水@ワンピース、雪走@ワンピース
[道具]支給品一式×2(食料と水一人分消費)、麦わら海賊団の手配書リスト@ワンピース、迷宮探索ボール@ドラえもん、
不明支給品(1〜3)、一方通行の首輪(血がこびりついている)
[思考・状況]
0:向かってくる仮面の男が安全かどうか確かめる。
1:傷を治す為病院に向かう。
2:ウソップとルフィの仇打ち
3:ゲームにはのらないが、襲ってきたら斬る(強い剣士がいるなら戦ってみたい)
4:ルフィ(死体でも)、チョッパーを探す。橘あすかにも会ってみたい。リーゼントの男、ヴァッシュにも興味
5:佐山・小鳥遊の探し人に会えて安堵
6:首輪の秘密が気になる。
7:金ぴか鎧(アーチャー)は次に会ったらただではすまさない。
8:あの声は何だったんだ?
9:概念?何だそりゃ?
※参戦時期は少なくともエニエスロビー編終了(45巻)以降、スリラーバーグ編(46巻)より前です。
※吉良吉影のことを海賊だと思っています
※黎明途中までの死亡者と殺害者をポケベルから知りました。
※入れ墨の男(ラズロ)が死亡したと考えています
※圭一に関しては信用、アーチャーに関しては嫌悪しています。
※雪走が健在であったことに疑問を抱いています。
※大阪(春日歩)から、危険人物としてクーガー、カズマ、ヴァッシュの情報を教えられました。
※不明支給品は一方通行のものです。
※新庄・伊波の二人と情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも
気づいています。
※1回目、2回目の放送の内容を新庄、伊波の二人から聞きました。
【新庄・運切@終りのクロニクル】
[状態]:健康、顔に腫れもの、精神的な疲労
[装備]:S&W M29 6インチ 6/6@BLACK LAGOON 、尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費)、予備弾丸26/32
[思考・状況 ]
1:ゾロと仮面の男の所へ行く。
2:ヴァッシュを待つ。
3:メカポッポを待ってみる。(なかば諦め)
4:まひると行動しながら小鳥遊を捜す。
5:佐山と小鳥遊のことを聞いてひとまず安心しつつも変態的な意味での不安が……
5:佐山と合流しここから脱出する
6:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。
7:人殺しはしない。
8:ゾロについてやや信用。
9:概念、どうしてここに
※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません
※新庄の肉体は5:30〜6:00の間にランダムのタイミングで変化します。
変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。
午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。
※参戦時期は三巻以降です
※カズマを危険人物だと認識しています
※まひるに秘密を話しました。次の変化のときに近くの人に話す必要は…
※ヴァッシュと情報交換をしました。ウルフウッド、リヴィオ、広瀬康一、メイドの女性(ロベルタ)、園崎魅音(詩音)、黒服の男(サカキ)についての情報を得ました。
※ベナウィの事は聞かされていません。
※ゾロの声に聞き覚え?
※ゾロと情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも気づいています
【A−2城の構造(現在までに判明分)】
北:城門
西:居館(1階:大広間、応接間)
南:礼拝堂
南東:主塔(1階:倉庫 2階:医療室 3階:炊事場、居室 4階:居室 5階:監視室)
中央:庭園
※城壁が全体を囲んでいますが、穴だらけなのでどこからでも進入できます
※周囲は深い森で、堀などの設備はないようです
※居館1階の大広間の床には『○』型のくぼみがあります
※主塔2階の一室がDr.くれはの医療室@ONE PIECEになっています
※上の内容は現在までに判明している情報のみのため、他に建物や設備がある可能性も充分あります
投下終了です
城の外向かってたはずなのに、何で上に昇ってるの?
方向音痴ってそういうもんじゃないと思うけど
ゾロだからな
アニメじゃ一本道も迷ってたしw
ゾロの方向音痴は脳障害レベルといっても過言ではない
つまり、ワンピースの作者は方向音痴と脳障害を勘違いしてるってこと?
ワロタww
何で?
ワンピースは方向音痴の意味勘違いしてんでしょ?
wwwwwwwwwwww
ハイハイそうですねー。集英社に抗議の電話でもすればいいと思うよ
間違いを指摘して何が悪いの?
やっぱワンピ厨は自分の非を認められないお子様ばっかりなんだな
ワラタwww
もはやギャグの領域に入りつつあるwwwいいぞもっとやれwww
そして、投下乙!
古城も人数増えてきたけど、果たして水銀燈がどう動くか……
またそうやって煽るし…
相手するから増長すんだろ
投下乙
水銀燈はマーダーから対真紅に転向か?
そしていなみんとゾロは自重しろww
投下乙!
わぁ〜、古城広いな…。
これは把握が大変そうだ。
しかしレバーブローは痛いぞ伊波w
水銀燈は目を覚ましたけど、一体どうなることやら。
古城の秘密を握ってるんだよなぁ。
ハクオロも例の部屋にいるし、古城の秘密を暴くキーキャラが集まりつつあるか?
しかし新庄、ゾロに振り回されっぱなしだなw
新庄もゾロのペースに合わせてたら体が持たないぞw
そしてゾロ!お前はもうちょっと新庄に配慮してやれ!
新庄は両性類なんだぞ!
色々な意味で続きが気になる!
良い繋ぎでした。
キャメロットだったのか
西洋の城って、伝説的な王の絵を飾るのはよくあることだったみたいだよ
アレクサンダー大王、つまりイスカンダルとかも頻繁に描かれたらしい
むしろそういうのが城主のステータス
みんなおとなしいな、規制か?
…ところで。
早ければ今日投下来るが、容量足りるかな?
40kb以下ならば。
SSの分量は40KBでも投下するとなるともうちょいいる
新スレ立てるか
しかし順調よな
現在推敲中です。10時には投下始めたいと思います。
40は確実に越えますのでお暇があれば次スレの準備をお願いします。
それと、こちらいっぱいまで投下してから次スレに移るか。
次スレから全部始めるか、どちらにしましょうか。意見お願いします。
40はレスで埋めるとなると結構かかるんだよね。
それに容量埋めはしばらく落ちない。
つまり…(ry
スレ挟むと少し読みづらいし、次スレからスタートでいいんじゃないかな?
ここでいっぱいまで投下してから次スレに移るに一票
んーむ。では前編後編に分けるので、前編をこちら、後編を次スレとしましょうか?
それでいいかと
では投下開始します。
終演を迎えし惨劇の舞台。
死者は4人。
残された者は9人。
1人は北の場にて休息を選び、1人も休息を選び北の場から去った。
そして、南の場には今6人の参加者が存在する。
3人はこの会場で作られた1つの○の元に誓いを立てた者達。
○は一度別れここに集った。ただし2人の欠員アリ。
2人は長い間行動を共にした2人。
その間には固い信頼関係が存在していた。会ってまだ12時間も経っていないとしてもだ。
最後の1人は慢心と傲慢を貫く王。
従者は斃れ今彼はまた1人となった。
1つの惨劇が終わった場で、彼らは何を決するのか。
そして残った2人はどう動くのか。
*****
南劇場ホール内。
劇場全てのホールと比べれば最も小規模なホールだ。
能や歌舞伎などの日本演劇の為に作られた舞台には桧が使われ、横に伸びた欄干が目を引く。
背面には松をあしらわれており和風舞台に恥じない様相だ。
もっともここにいる者でその舞台に目を惹かれている者はいはしないのだが。
「圭一……そんな、圭一!!」
100年の運命を越えた少女、古手梨花。
数多くの短い期間を繰り返した結果身体には不釣合いな大人びた本性を獲得してしまった彼女も今のこの事態にはなりふりを構わず動揺していた。
目の前には自らの運命を変えてくれた少年、前原圭一がいる。彼女が会いたかった仲間の1人だ。
だが、彼の足はぐちゃぐちゃに粉砕されており、その目は閉じられてもう目覚める気配はなかった。
「圭一……そんな、そんなぁ!!」
終わったはずだった。
繰り返される悲劇はもう終わったはずだった。仲間たちの手によって。
『繰り返される悲劇』の間なら、仲間が死んだとしても平気だった。どうせ次がある、という冷酷な諦めがあった。
だけど、もう悲劇は終わってしまったのだ。
もう仲間が蘇る事はない。
羽入の力を頼ろうにもここで話せた試しも見つけられた試しもない。
主催によって羽入の介入が阻まれているのか、羽入が殺されてしまったのかは分からない。
わかることは1つ。『次』はもう望めない。この牢獄では。
抜け出したはずの牢獄の外にあったのは、さらに過酷な牢獄だったのだ。
「梨花ちゃん……」
その圭一を手で支えていた少女は目の前で泣き崩れる梨花をただ見ているしかできなかった。
やっと会えた2人の仲間。だが、その状況は極めて最悪だった。
静かに燃え上がる蒼い炎、竜宮レナはこんな巡り会わせをした神を呪った。
よりにもよってなんでこんな。
それぞれの同行者、トニートニー・チョッパーとニコラス・D・ウルフウッドもただ黙っていた。
チョッパーは辛そうに、ウルフウッドは無表情にしながらも本当の感情はサングラスに隠しながら。
そして残る2人は。
「そろそろその耳障りな騒音を止めぬか小娘が」
金色の英雄王、アーチャーことギルガメッシュは冷徹な目で梨花を見てそう告げる。
「お、おいこら!」
あまりに梨花のことを考えない発言にチョッパーが思わず文句を言おうとしたが口をレナがすかさず封じたためそれはできなかった。
(な、なにすんだよレナ!)
(ダメチョッパーくん!あの人、多分イスカンダルさんが言ってたアーチャーだから!)
(え!?)
小声で告げられたその言葉にチョッパーの動きが止まった。
イスカンダルに教えられていた『遭遇したら迷わず逃げなければならない』相手。
赤い双眼に金色の髪。鎧こそ情報と違うがまず同一人物だろう。
そう考えるとチョッパーの体から冷や汗がダラダラ溢れ出した。
とんでもないのに『おいこら』と言ってしまったと。
自分を見つめる冷たい視線にチョッパーは自分の死を嘆き始めた。
「まあまあ英雄王。あまり余の同盟相手を脅してやるな」
「フン。貴様は相変わらずだな征服王。別に脅した訳ではない。そこの珍獣が勝手に恐れをなしたのだ」
そんなチョッパーに救い船を出してくれたのは征服王、ライダーことイスカンダルだった。
それに対してアーチャーは既知のサーヴァントに対して呆れた視線を向ける。
「まさかまたも貴様と合間見えるとはな。相変わらず夢を見ているらしい。我が目を醒まさせてやったというのに」
「生憎夢を見進むのが我が性分なのでな。というか英雄王、貴様が『また夢を見るといい』と最期に言ったのではないか」
「『我が庭で』だ。ここは我が庭から切り取られたか、あるいは模造された偽りの庭よ。このようなところで見るなと言っている」
「んな細かい事は……あーあー、すまんかったから空間を揺らめかせるな」
レナとチョッパーが2人のやり取りを呆然と見ていた。
仲が良いような、悪いようなやり取り。
そういえばライダーはアーチャーを危険だとは言っていたが『悪い奴』とは言っていなかった。
どちらもあまり変わらないような気もするが。
「まあお前たち。とりあえず各々言いたい事はあるだろうがな。一先ずここは情報交換といかんか?
そこの少年についても話を聞いておきたいしな」
イスカンダルが場を取り成す形で他の5人を見渡しそう言った。
レナとチョッパーは元々別れていた仲間だから当然なので、言葉の相手は梨花、ウルフウッド、ギルガメッシュだ。
「ほう、征服王。まさか我と対等に情報交換などできるつもりか? 今再び眠りにつかせてやってもいいのだぞ?」
「まあ焦るな英雄王。貴様とて大人しくしたがって殺しあうつもりなどなかろうに。聖杯戦争とは状況が違うのだからな」
「……フッ。まあいいだろう。今の我は気分が良い」
そう言ってギルガメッシュは圭一の死体を見やった。
それを見ての表情はまさに喜悦。
当然それを見て不快な気分を抱く者などここにほとんどいるはずなく、ただ呆れるイスカンダルだけだった。
「哀れな雑種どもに餌をくれてやるも悪くない」
「本当に相変わらずだなおい……お前たちも構わんか?」
ギルガメッシュをなんとかなだめたイスカンダルはウルフウッドに目を向けた。
先刻からイスカンダルとギルガメッシュに警戒を向けている男。恐らくはかなりの手練だろうとイスカンダルは踏んでいた。
ウルフウッドは圭一の傍で膝を突いている梨花を一瞥すると、憮然とした顔で答えた。
「ワイは構わん。今はそれが最善やろうしな。こっちもさっきの現象について説明が欲しいところやさかい」
そう大人しく言うが、ウルフウッドの視線は厳しい。
特にギルガメッシュに対して。
さっきの『耳障り』に関して彼も怒っていたのだろう。
チョッパーと違い何も言わなかったのは、ただギルガメッシュの実力とその気性を既に知っていたからだ。
「よし……さて。では何から始めるとするか」
*****
圭一の死体を寝かせやっと泣き止んだ梨花を含め6人はホール内で向かい合った。
ギルガメッシュだけはわざわざ舞台の上に乗って見下ろす形だったが。
最初に語りだしたのはイスカンダルだった。
レッドと共に橋にてハクオロ、園崎魅音、砂の男、電気の少女に遭遇した事。
「魅音!?」「みぃちゃん!?」「それクロコダイルか!?」
その話に反応したのは梨花、レナ、チョッパーの3人だった。
「ああ。すまんなレナ。余は間に合わなかった。だが娘は強大な相手に最後まで立ち向かっておったぞ。同行した男の為にな」
「みぃちゃん……」
「お人好し、なんだから…!」
「それと医術師。おそらくその者で間違いはないだろうな。尤も余が川に落ちた後戻った時にはもう死んでいたがな」
「あのクロコダイルを倒せる奴がいるのか……」
電撃を受け川に落ちたこと。
戻ってみるとそこにはクロコダイルの死体とハクオロ、レッド、そして重傷の男が居た事。
男が令呪を持っていたこと。
「令呪だと?……成程」
次に反応したのはギルガメッシュだった。
「心当たりがあるのか?」
「ああ。そ奴は騎士王、セイバーのマスターだ。名簿を見る限り間違いあるまい。その男は放送前に死んだのだろう?
ならば確定だ。第2回放送でその男の名が呼ばれたのだからな」
「話を先取りするな。……まさかあの娘のマスターがあの男だったとはのう」
「我が仕留める前にやられるとは、所詮雑種か。不憫な奴よ言峰は」
「監督役がどうかしたのか?」
「此方の話だ」
レッドが男を助ける為劇場へ向かった事。
そして――
(……ハクオロ。余はお前を諦めてはおらんぞ)
「マスターの男をハクオロが殺害した。余が少し離れている間にな」
「「「えっ!?」」」
「……」
イスカンダルの発言にレナ、梨花、チョッパーが驚愕し、ウルフウッドはただライダーを見ていた。
ギルガメッシュは意外そうにしながらも笑みを浮かべる。
「ハクオロを弁護はしておく。あの男にも大切な者がいた。その者たちはここで散った。マスターの男と少女の行動は危険と取られても充分だった。
ハクオロはもしもその男が――という疑念を捨て切れなかったのだ。余が問答無用で襲われたのも事実ではあるしな」
「で、でも話も聞かないでなんてひどすぎるだろ!」
「チョッパーよ。その男は既に3人、いや魅音という娘を入れれば4人も失っていたのだ。これ以上大切な者を失う事に堪えられなかったのだろう」
「う……」
「あ奴はその後我らと共に行動はできないとし別れた。我らを信用できなかったのではない。
あ奴は自分にその資格がないと言ったのだ」
「そんな……」
「ククククッ!あの男の最期としてはこれほど滑稽なものもあるまいなあ。
もし言峰が全てを見ていたとしたら果たしてこの最期に言峰は満足したのか……いや、恐らく無理であろうな。
ハクオロと言う男を壊したがるかもしれんが、あ奴の乾きは満たされまい」
「だからさっきから何の話だ?」
「気にするな。そこで終わりか?」
「ああ。その後は皆わかっての通りだ」
「ワイと梨花は知らん話やぞ」
「あー、そうさなぁ……」
「ちょっと待ってイスカンダルさん」
レナがイスカンダルに問いかけた。
「さっきの話じゃレッドくんがここに来てないとおかしいよね?でも、レナたちは会ってないんだよ?だよ?」
「!!」
レナの言葉に梨花の肩が震えた。
「レッドが劇場に向けて飛んだのは間違いない。……リカと言ったな。お主何か知っておるのか?」
「あ、あ……」
梨花の異常にすぐ気づいたイスカンダルが梨花に向かって聞く。
梨花は怯えた顔で答えようとしたが、その肩を抑える手があった。
「ニコ、ラス……」
「それについてはワイらの話で教えたる。こいつとワイは朝の4時あたりから一緒におったからほとんど情報は一緒やし。
ワイが言ったほうがスムーズやろ。ここで起こったことは他の奴の話で聞くとするわ」
「わかった。ならば……」
「ウルフウッドでええ」
「ウルフウッドよ。報告を頼む」
「ワシはおどれの部下か……まあええわ」
2番目に語りだしたのはウルフウッドだった。
桜田ジュンの死体を見つけたこと。
遊園地前で梨花と出会ったこと。
赤髪の男に襲われた事。
ルフィという少年に出会い、火傷顔の女に襲われ、ルフィが死んだ事。
「ルフィ〜〜〜〜〜!ルゥフィ〜〜〜〜〜〜!!」
「喧しい珍獣だ。あの下女、我と会う前に斯様なことを仕出かしていたとは」
「火傷顔って……あの女の人、チョッパーくんの仲間まで」
「あ奴がなあ」
その話に反応したのは梨花とウルフウッド以外の4人全員だった。
しかもその相手は火傷顔の女だ。
もっとも2人はそれに対してあまり反応はなかった。
「ああ……そこで死んでるのを見つけた時は驚いたわ」
ウルフウッドが見やると、座席の陰に倒れている人影があった。
隻腕で顔に火傷傷のある女、バラライカだった。
「隻腕ながら最期まで戦士として我らが軍勢に立ち向かった。仕留めた英霊達の進言もあってな。
そ奴はできる限り無事で帰還させた」
「別に粉々にしても構わんかったんやけどな」
バラライカのデイパックはその処置のおかげか傷はなかった。
軍勢に自ら突っ込んでしまった無常のデイパックは大分ひしゃげ、中の物がいくつ無事かわからない状態だった。
「……」
「チョッパーくん……」
チョッパーは無言で泣きながらバラライカの遺体を見ていた。
殴り飛ばしたかった。問い詰めたかった。何で殺したんだ。なんでルフィを殺したんだ、と。
でもその相手はもういない。もうそこで死んでいる。
その遺体を殴るなんていうのはしてはいけない行為だ。
問いかけても答えてくれはしない
だからチョッパーは自分を止めた。
悔しくて悲しくて目の前が涙で何も見えそうになっても。
*****
「どうやって殺したんかは後で聞くとしてや……その後は」
ウルフウッドは続きを話し出した。
ギルガメッシュと遭遇して劇場へ誘導された事。
そこで赤い帽子の少年と白スーツの男と遭遇したこと。
「レッドだ!」「レッドくんだ!やっぱり劇場に来てたんだ」
「むぅ……白いスーツだと?」
反応したのは○同盟の3人。レッドと見て間違いない少年の情報が出たのだから当然だろう。
だが、イスカンダルの反応だけは違った。レッドではなく、白スーツの男に対して。
「なあその男。くしゃくしゃの髪にいい笑顔で死なないと思っている奴を殺したいとか言っていなかったか?」
「最初の条件しか当てはまる気はせえへんけど……殺人大好きですって顔はしとったな」
「そう、か」
「ちょ、ちょっと待ってイスカンダルさん!それってまさか!」
レナが顔を青くした。
イスカンダルの告げた情報がある人物の情報と同じだったのだ。
仲間の兄貴分であるはずの男に。
「危険だという可能性は充分あったのだがな。おそらくはラッド・ルッソというグラハムの兄貴分で間違いないだろう」
「っ!!」
その結論にレナとチョッパーの顔は曇った。
ここまで来れば予想はつく。
レッドは劇場の近くまで来ていた。なのに、ここにいない。
そしてさっきの梨花の動揺。レッドと共に居たのは危険である可能性がある人物。
導き出される予想は最悪のもの。
2人にとって信じたくないもの。
なぜなら――
「そいつにその子供は殺された」
殺人者は、大切な仲間の兄貴分なのだから――
「レッド……お前は最後まで他者の為に生きたのだな……すまん」
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ウルフウッドに渡された、残されたレッドの両腕を抱えながらライダーは目を瞑った。
イスカンダルとて歴戦の猛者。仲間の死など幾千も越えてきた。
それでも、たとえ臣下ではなかったとしても、自分を信じ同盟を結んだ少年の死を悼まない理由にはならない。
残された腕には黒いグローブと包帯。その下には○の印がある。
(最後までお前は我らの誓いの印を守ったのだな。
偶然にしても故意にしても、お前は誓いを残したのだ。
レッド。お前の意志、無駄にはせぬ)
イスカンダルはレッドの明確な死、そしてその加害者がグラハムの友人だという残酷な事実に打ちひしがれるレナとチョッパーを見やった。
「レナ、医術師。いつまでも悲しんでいるわけにはいかんだろう」
「でも……でもよぉ! レッドを殺したのがグラハムの兄貴だなんて、そんなのねえだろ!!」
チョッパーが悲しそうに言う。
これを知ったらグラハムはどう思うだろうか。
グラハムが命の恩人と言うのはレナとチョッパーだ。だがレッドに対してもグラハムは好印象を持っていた。
ラッドの凶行を知ったらグラハムはどうするのだろうか。
その二人の前にイスカンダルは容赦なくそれを突き出した。
「っ!」
「ああっ!」
それはレッドの右腕。端が炭化した無残な、生々しい腕。
それを容赦なく目の前に見せ付けると、有無を言わさずイスカンダルは吠えた。
「目を背けるな!見よ!これが我らの同胞の遺したものだ!
成れの果てと呼ぶか! いや、違う! レッドは死しても守ったものだ!」
包帯を取り、その下の○印をさらけ出す。
レナに、チョッパーに、心配そうに見ていた梨花に、続きをしあぐねていたウルフウッドに、退屈そうにしていたギルガメッシュに。
「我らが誓いの証を守り抜き、2人の命を守ったレッドにふがいないと思わんのか!
泣くのもよかろう。残酷な事実に悲しむのもよかろう。
だが! それは懸命に尽くしたレッドへの侮辱だ!
奴の遺志が言っているであろう。必ず目的を果たせと。後を託すと。
余はそう受け取った! お前たちはどうだ?
この印を見ても尚、ここで泣き、耳をふさいで全てを否定する気か!」
ライダーが啖呵を切りレッドの腕を掲げる。残された○の印を掲げる。
『でも、俺にはその印、俺たちの勝ち星に見えるな。もちろん、負け星は……ギラーミンだ!』
「そうだ……おれ達、まだ勝ってねえ。おれ達、勝ち星をあげなくちゃいけねえんだ!」
「うん……レッドくんに笑われちゃうよ。こんなところで止まってたら」
「左様。止まっていてはそれまでだ。前へ進むのだ。遺志を胸に、前へ」
レナとチョッパーは涙を拭い見上げた。
その顔に満たすは、意志。
レッドの分まで必ず成し遂げるという、意志。
2人は立ち直り、それをイスカンダルは満足そうに見つめた。
すまん誤爆したorz
「で、続きええか?」
「空気読みなさい」
*****
「で、その後そいつから逃げて北のホールまで逃げて…………」
「ニコラス?」
話の続きをしていたウルフウッドは少し顔を歪めると、一呼吸置いてから。
「リヴィオっちゅう……顔馴染みと戦闘になった。そいつを倒してラッドをぶったおした梨花を連れてこっちまで逃げてきたってわけや」
「ちょっとニコラス!! 誰が倒したって!?」
「梨花ちゃん、意外に……」
「こ、こええ」
「ちがーーーーーう!! 上から天使の人形が降って来てたまたまそいつの腕をぶったぎったのよ!!」
「ほう。なかなか強運を味方にしているな娘。だが、その話真か?」
「えっ!?」
ギルガメッシュの指摘したのは目の前でラッドの腕が切られたにしては梨花の服に血がまったくついていないと。
この指摘でウルフウッドと梨花は今まであった違和感に気づいた。本当ならば気づいていて当然だがあまりに周りの状況変化が激しすぎて気づけなかった。
血まみれだったはずの梨花がいつの間にか全く血痕がついていない。
ウルフウッドは確かに血塗れになった梨花を見ているが、髪にも肌にも服にすら一滴の血痕もない。
コレに関してはほとんどの人員が首をかしげた。
ただ1人を除いて。
(いつの間にか消え失せた血痕、か……もしや)
不死の酒により不完全な不死を得ているギルガメッシュだ。
一度指を切りその再生を確かめていたギルガメッシュには消え失せた血について心当たりがあった。
速度こそ遅かったがまるで生き物のようにもとの場所に戻っていく血。垂れた場所には染み1つなく。
となれば、そのラッドも不死者ということになる。
(説明書では『喰う』ことができるとあったが……雑種の薄汚い記憶を我に刻み込むなど話にもならん。
汚い肉を我に食せと?)
ギルガメッシュは不完全な不死者であるラッドを喰らう権利を持つ。
だがそれを行使する気は全くなかった。
ラッドが不死者だということは一応覚えておくとするが、それを他の者に教える気はなかった。
「おい、どうしたんや。これで話は終わりやぞ。まだ疑うんか?」
「ああまだおったのか。もう良いぞ。先の疑いは我の中で解決した」
「おいおい英雄王。自分で勝手に納得するな」
「自分達で答えを得ろ、雑種共」
「あーったく……」
頭をがしがしと揺すりながらイスカンダルはレナとチョッパーに目を向けた。
「次はお前たちに頼みたいのだがな。さっきの話で出たグラハムの小僧はどうした?」
「そ、それは……」
「私が言うよチョッパーくん」
そう言ってレナがこれまでの経緯を語りだした。
劇場近くまで南下してきたが誰にも出会えなかったこと。
ホテル近くで片目の男に遭遇した事。
説得したが叶わず逃走を選択した事。
グラハムがその相手をする為残った事。
劇場まで逃げたが放送のショックで手間取っている間にカズマに追いつかれてしまったこと。
チョッパーが奮闘しレナが援護しなんとかカズマを倒したこと。
そこに火傷女と無常という男が乱入してきたこと。
英雄王と征服王が乱入した事。
征服王が宝具『王の軍勢』で2人を倒したこと。
以上がレナの口から語られた。
「なるほどのう」
「足止めを買って出ていながら果たせんとは。無能な雑種だ」
「…………」
「なあ、梨花もワイもよくわからんのやが……ほーぐ、って何や」
レナの説明でイスカンダルが補足した部分についてウルフウッドが口を出した。
「おお、そうさなあ。簡単に言えば……『必殺技』か?」
「簡単に言いすぎや。まるでわからん」
「要は余や英雄王の切り札と言ったところか。余のはまあ、特殊な結界内に敵を閉じ込め軍勢で一掃する、といったところか」
「…………わけわからんが、あんたとは一戦交えたくあらへんってことはわかったわ」
「我は破ったがな」
「わざわざ言わんでよいというに……レナ、チョッパー」
イスカンダルの言葉に2人の体が固まる。
自分達は結局ノルマをこなせず、それどころかグラハムを見捨ててきてしまったのだ。
ここで同盟を破棄されても仕方ないかもしれない。
そう思った。
「よくやったな」
「え!?」
「え、で、でもおれ達……ノルマこなせなかったんだぞ!?」
賛辞と共に2人の頭を撫でたイスカンダルに2人は驚いた。
「それを言ったら余も同じであろうが。それに余はレッドを死なせている。
片目の男相手にお前たちが善戦したのに比べれば余の方が情けない戦果であろう」
「で、でも! イスカンダルのほーぐがなかったらおれ達……」
「珍獣……それはつまり我d」
「その前に危機を救ったのはそこの英雄王だ。余は最後に仕上げをしたに過ぎん。よってお前たちを非難する資格はない」
「イスカンダル……」
少し悲しげにレッドの腕を見るイスカンダルに二人は決意する。
今度こそ、不甲斐ないマネはしない、と。
あの軍勢の光景を見て、2人にはいつの間にかイスカンダルへの信頼が芽生え始めていた。
「グラハムに関しては後に回すとして……で、英雄王。残るは汝だけだぞ?」
「フン。結局碌な情報がなかった気もするがな」
ここまで話を聞いてもなお不遜な態度に『もしやこのまま自分は何も言わない気か』と他の4人が警戒した。
それに対してギルガメッシュは不快そうな顔をする。
「舐めるなよ雑種共。言ったであろう。我は今気分が良いと。見世物もそれなりであったし、良いだろう。
お前たちに我が情報を拝聴する権利を与えよう」
(なあ、ここまで言わないと教える気になってくれないのか?)
(そういう奴なのだ。ここは諦めろ)
チョッパーとイスカンダルのひそひそ話に対して軽くにらみつけた後、ギルガメッシュが経緯を話し始めた。
もっとも話の間の空気は最悪なものだった。
圭一を屈服させ従者としたこと。ここでレナと梨花が不快そうな顔に。
電車でゾロを発見し情報を頂いた後電車から落としたこと。ここでチョッパーが怒り出しそうに。
ゾロから聞いた佐山、小鳥遊、蒼星石の名前。
降りた駅で出会った真紅という人形、クーガーという男について。誰か忘れられたような気がするが気のせいだ。
図書館で出会った下女ことバラライカ。
マンションで梨花、ウルフウッドと接触。
その後中央劇場へ移動し、今に至る。
ギルガメッシュの唯我独尊自由奔放外道な一路を聞いた皆は
(ひどいかな?かな?)
(ひ、ひでえ)
(酷いわね)
(ひどいな)
(本当に相変わらずだのう英雄王よ)
彼の語った旅路は正直『ひどい』としか苦笑して言うしかできないようなものだった。
「にしても他にも集団で対抗する者たちがいようとはな。是非臣下にしたいものだ」
「出会えればの話だがな。さて情報交換は終えた。
次は品だ。お前たちの所持品、全てここに晒して貰おう」
ギルガメッシュの不遜な物言いに流石に慣れてきていた一同も顔を不審にゆがめる。
だが梨花とウルフウッドは知っている。目の前の男が支給品だったというのに梨花を盗人と言い処刑しようとしたことを。
「レナ……お願い言う事を聞いて」
「でも…」
「レナよ。ここは素直に従おうぞ。こっちとしても好都合だ。余の神威の車輪を持っているやも知れぬからな」
「わ、わかった……」
イスカンダルの進言に2人も渋々従い、5人は支給品をデイパックから取り出しその場に並べた。
梨花は修道服、サクソフォンを、レッドのデイパックから巨大銃、銀の杖を。
ウルフウッドは手持ちの拳銃、ショットガン、木の実、グルカナイフ、コイン。
レナは梨花のと同じ巨大銃、包帯、ドライヤー。
チョッパーは包帯、救急箱、タオル、竹とんぼ型の機械。
イスカンダルは、小型カメラとイラスト集、大きな十手、包帯、イリアス、拳銃の予備弾のみ、奇妙な木の実、そして――
「そ、それって悪魔n「なんだそれは」
木の実に反応したチョッパーを遮りギルガメッシュが見つめたのはイスカンダルが図書館から寄せ集めてきた地図の束だった。
「おおこれか? 一応図書館から寄せ集めてきたのだがな。話にならんのだ。1st-Gだのグランドラインだのノーマンズランドだのカントーだのまるで地形がバラバラで、
しかも我らが知識にある世界の地図とはまるで違う。おまけに規模も統一されておらん。
世界規模かと思えば雛見沢という街であったり学園都市だかの都市であったり極めつけはワグナリアとかいうレストランの見取り図だ。
冬木の地も混じっておるし、何が何やら…………どうしたのだお前たち」
愚痴をこぼしていたイスカンダルは他の者の様子に思わず動きを止めた。
興味深そうに嗤うギルガメッシュ以外の4人がぽかん、としてしまっているのだ。
「どうしたのだお前達」
「えっとね、イスカンダルさん。実は――」
****
「うむむむむ。なるほどのう」
4人から告げられた事実に、さすがのイスカンダルも唸らずにはいられなかった。
なにしろ自分が架空の物だと思っていた地図がここにいる者たちの故郷の世界だったというのだから。
チョッパーはグランドライン。ウルフウッドがノーマンズランド。梨花、レナ、圭一が雛見沢。
思えば今までの話でそれぞれの故郷についてはあまり話が無かった。
同盟結成時もイスカンダルは地図のことをすっかり忘れていて話には出なかった。
「これで確実になったということなのか?英雄王」
「そうだろうな。『いくつもの世界から呼び寄せた』というギラーミンの言がな」
今まではどこか絵空事とも思っていた言葉。あの状況下では聞き逃していた言葉。
それが本当だったということがここで判明した。
そうと判ると各々は自分達の故郷について詳しく語った。
「悪魔の実に海賊時代……」
「荒んだ星……」
「昭和の時代に精神病とな」
「英霊に戦争……」
結果は見てのとおり……各々唖然とするしかなかった。
「フン。別に大して変わらぬ。我としては参加者共を見て大体予想は付いていたしな。何か根底にある物が異なると」
「いやいや大きく変わるぞ。これが確かならば……。
全ての世界、征服せずにはいられまい!」
「そこかーーーーーー!?」
目をキラキラとさせるイスカンダルにチョッパーが顎の骨が外れんばかりに驚いた。
「夢を見飽きん男め。そんなことよりまだ物品の確認の途中だ」
「え?でも、これで全部じゃ」
「たわけ。まだあの下女と雑種の荷物が残っておろうが」
そう言っていつの間に持っていたのか、バラライカと無常のデイパックをイスカンダルに向けて放り投げた。
それを掴むとイスカンダルが意外そうにギルガメッシュを見た。
「ほう……あれか?あの2名を殺したのは余だからこれはあくまで余の戦利品というわけか?」
「わかっているなら早く出せ」
「あーわかったわかった。変な所は一本通す奴だ本当に」
そう言ってデイパックの中身を無造作に出す。
無常のものはいくつか壊れていてその欠片がガラガラと降り注ぐ。
どうやら拳銃や受話器、カタツムリのような生物(チョッパー曰く電伝虫)が使い物にならないらしい。
使えそうなものを全員で見ていく。
「な……」
「あーーーーーー!!」
その途中、ウルフウッドが口を開けたまま凍りつき、チョッパーが嬉しそうな声を上げた。
「ど、どうしたのニコラス!」
「ど、どうしたのチョッパーくん!!」
梨花とレナがそれぞれに心配して駆け寄った。
「い、いや……な、なんでもあらへん」
「はぁ!?」
そう言ってウルフウッドがその紙切れをデイパックに突っ込んでしまった。
梨花が抗議するがそれを彼は聞かない。
(なんでこないなとこであのトンガリの手配書なんて見つけなあかんねん)
なんだか腐れ縁もココまで来ると、という感じである。
一方チョッパーは
「これ、ランブルボールだ!!」
そうチョッパーが嬉しそうに見せたのは金色の小さな玉のようなものだった。
悪魔の実の波長を狂わせる、チョッパー自作の劇薬だ。
これを使えばチョッパーは7段階の変形ができ戦闘力もアップする。
「よかったねチョッパーくん!」
「ああ!」
レナも一緒に喜んでくれている。
だが、チョッパーはその笑顔に隠しているものがあった。
(ランブルボールは……4つ、か。ランブルボールの効き目は3分。短時間に続けて使う事はできない。
連続で2つ使うと上手く変形がコントロールできなくなって、3つ使うと――)
チョッパーはその時が来ない事を祈った。
3つ使えば、自分は自制できない『何か』を起こす。
くれはは言っていた。『あれは本当の怪物だよ』と。
だから、その時は来ないで欲しい。
けれどもし、回りにレナもイスカンダルもいない時だったら――
(おれは……今度こそ守るんだ!!)
*****
ここまでで前編終了です。支援ありがとうございます。