マルチジャンルバトルロワイアルpart8

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1創る名無しに見る名無し
様々な作品のキャラを使った上での、小説及び映画で有名なバトルロワイアルの企画を行おうというスレです。
小説・漫画・アニメのキャラが入り乱れていることから、マルチロワという名前になりました。
略して○ロワ。別に見るのに●はいりません。


【過去スレ】
いろんなジャンルの作品キャラでバトルロワイアル
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220604468/
マルチジャンルバトルロワイアル part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221055898/
マルチジャンルバトルロワイアル part3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221229891/
マルチジャンルバトルロワイアル part4
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221405474/
マルチジャンルバトルロワイアルpsrt5
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221749250/
マルチジャンルバトルロワイアルpart6
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221924153/
マルチジャンルバトルロワイアルpart7
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1227019873/

マルチジャンルバトルロワイアルpsrt7


【したらば】
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11860/

【wiki】
http://www26.atwiki.jp/marurowa


【予約について】
 ・通常3日。延長は2日まで。(合計5日まで)
 ・したらばの予約スレで予約してください

【全キャラクター共通・スタート時の持ち物】
  地図、コンパス、懐中電灯、筆記用具、水と食料、名簿、時計、ランダム支給品1〜3

【MAP】
  (p)ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/70/405fccc08ebbff8b539e6e47e7acf801.png
   上が北、一マス一km四方、端はループしています。(例:A-1から北へ行けばH-1に出る)

2創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 23:59:57 ID:OgLvI6IT
参加者リスト

6/6【うたわれるもの@アニメ】
○ハクオロ/○エルルゥ/○アルルゥ/○ベナウィ/○カルラ/○トウカ
6/6【BACCANO!@小説】
○フィーロ・プロシェンツォ/○エルマー・C・アルバトロス/○ラッド・ルッソ/○クリストファー・シャルドレード/○グラハム・スペクター/○クレア・スタンフィールド
6/6【ひぐらしのなく頃に@アニメ】
○前原圭一/○竜宮レナ/○園崎魅音/○北条沙都子/○古手梨花/○園崎詩音
5/5【スクライド@アニメ】
○カズマ/○劉鳳/○ストレイト・クーガー/○橘あすか/○無常矜侍
5/5【ローゼンメイデン@漫画】
○桜田ジュン/○真紅/○翠星石/○蒼星石/○水銀燈
5/5【ワンピース@漫画】
○モンキー・D・ルフィ/○ロロノア・ゾロ/○ウソップ/○トニートニー・チョッパー/○サー・クロコダイル
4/4【ジョジョの奇妙な冒険@漫画】
○東方仗助/○広瀬康一/○吉良吉影/○ジョルノ・ジョバァーナ
4/4【とある魔術の禁書目録@小説】
○上条当麻/○御坂美琴/○一方通行/○土御門元春
4/4【ポケットモンスターSPECIAL@漫画】
○レッド/○イエロー・デ・トキワグローブ/○サカキ/○ミュウツー
3/3【終わりのクロニクル@小説】
○佐山・御言/○新庄・運切/○ブレンヒルト・シルト
3/3【トライガン・マキシマム@漫画】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
3/3【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○アーチャー(ギルガメッシュ)/○ライダー(イスカンダル)
3/3【BLACK LAGOON@漫画】
○レヴィ/○バラライカ/○ロベルタ
2/2【コードギアス ナイトメアオブナナリー@漫画】
○ナナリー・ランペルージ/○ゼロ
2/2【ドラえもん@アニメ】
○ドラえもん/○野比のび太
2/2【WORKING!!@漫画】
○小鳥遊宗太/○伊波まひる
1/1【ARMS@漫画】
○高槻巌
1/1【あずまんが大王@漫画】
○春日歩

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3創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:01:19 ID:OgLvI6IT
【能力制限】

◆禁止
・ハクオロのウィツァルネミテア化(@うたわれるもの)
・ローゼン勢のNのフィールドへの侵入(@ローゼンメイデン)
・吉良吉影の"第三の爆弾バイツァ・ダスト"(@ジョジョの奇妙な冒険)
・ジョルノ・ジョバァーナの"ゴールドエクスペリエンス・レクイエム"(@ジョジョの奇妙な冒険)
・ドラえもん本人の四次元ポケットは没収(@ドラえもん)

◆制限
[BACCANO!]
・不死者の耐久力(頭部切断、出血多量など通常では致命傷に成り得る負傷を受ければ死亡、回復速度に衰え)
[スクライド]
・アルター威力制限&支給品のアルター化は禁止。
  特にカズマの第三段階以降、劉鳳の第二段階以降、クーガーの脚部限定時の速度、無常のホワイトトリックは制限
[ワンピース]
・ワンピース勢の身体能力制限
・スナスナの実に関しては下記のとおり
  あまり広範囲には広がれない
  砂化しても首輪は取れない
  砂化した状態でも、首輪が爆発したら死ぬ
[ジョジョの奇妙な冒険]
・ジョジョ勢のスタンド(視認と接触可、威力制限。クレイジーダイヤモンドによる怪我の治癒時に掛かる疲労増大)
[ポケットモンスターSPECIAL]
・ミュウツーの全能力制限(超能力、自己再生の速度、身体能力など)
[終わりのクロニクル]
・概念兵器の威力低下、概念核兵器は誰にでも扱えるように制限し、特に威力を低下させる
[トライガン・マキシマム]
・エンジェルアームの威力低下
・プラントの力は原作よりかなり早く進む黒髪化と負荷の増大
・回復力は速度低下
[fate/Zero]
・Fate/Zero勢の身体能力制限、宝具使用に必要な魔力と疲労増大。
・霊体化不可、物理攻撃有効
・切嗣の「固有時制御」について←2倍で小ダメージ、3倍で中ダメージ、4倍で使用後に戦闘不可能
・宝具は支給品(威力低下などの制限あり)
・王の財宝は使い手の所持品から展開
・神威の車輪は速度と高度制限
・王の軍勢は元々作中でも消耗ゆえに3回が限界点
 (詳細な制限は出した書き手、もしくは戦闘などで使用する書き手が決めるなど)
[コードギアス ナイトメアオブナナリー]
・ナナリー&ネモのマークネモは制限
  ナナリーとネモはセット。マークネモは10分しか使用できず、二時間経過しなければ再度使用できない。
  マークネモのスペックは全面的に制限あり。
・ゼロの身体能力、耐久力、瞬間移動能力は制限(銃弾でも負傷し、通常の状況での致命傷は死亡。瞬間移動は隣のエリアまで)

支給品は話し合っているときりがないので、作中に明らかにまずい品、バランスブレイカーが出た時にフレキシブルに対応していきます
追記:ジョジョの原作で登場しなかったスタンドDISCを支給することは禁止な流れ
4創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:02:14 ID:3laPCXZS
ってあれ?前スレに次スレはpart9って書いてある…
これはやっちまった予感
5剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:06:04 ID:vesN5OqA
「あぁ……いいなぁ、小さいなぁ……」
「おい、いいからさっさと歩け」
「可愛いなぁ……あ、ゾロさん」
「……なんだ」
「この子、抱きしめてもいいですか? ……潰れたりしないですかね?」

ぎろり、と後ろを歩く少年を睨む。
黒髪で眼鏡をかけ、身長はやや小さめ。会って間もないが、まぁ普通の人間だ。
いきなり変な刀を持って襲いかかってきた時は何かと思ったが、まぁそれもいい。
どうやらその刀――刃はついていない模造刀だったとはいえ、持ち主を操るという、所謂魔剣(?)みたいな物だったらしい。
名前も聞いたことがない刀だったが、広い世界にはそんな物もあるんだろうと、適当に流す。
自分が持っていても何の役にも立たないし、たとえまた暴れ出しても簡単に止めることは出来ると考え、一応返してはおいたが。
ここまでは、特に問題はない。決して気に入る類の人間じゃないが――邪魔にならないんだったら勝手にしておけばいい。
だが――今度はじろりと、少年の胸元……正確には、その両手に抱きかかえられた謎の生物を見る。
白い毛に覆われたそれは、今までにゾロが見てきた生物とは外見を異にしている。
とはいえ、グランドライン入りしてからというもの見てきた生物といえばどれもこれも珍種ばかりだ。同じものを二度見たことのほうが少ないかもしれない。
これもまた――適当に流す。広い世界には、こんな生き物もいるのだろう。
だが――今度は半ば呆れた目で、少年の顔を眺める。
小さいもの、可愛いものが好きだということは、さっきからそわそわと呟いている独り言ともなんともつかない言葉を聞いているうちに察することは出来た。
広い世界には、そんな人間もいるのだろう。だがしかしこれは――適当には流せない。
にやにやと笑いながら小動物をつついたり、さすってみたり、撫でてみたり、はっきり言って気色が悪い。
頬を赤らめる男なんざ誰が好き好んで見るものかとは思うものの、向こうが勝手についてくるのだから嫌でも顔を合わせることになる。
無条件にイラついてくるのは、この小鳥遊とかいう野郎が持って生まれた才能なんじゃないだろうかと、そんな気までしてくる。

「お前ァ、女か。情けねぇ」
「な……! 俺は男ですよ、正真正銘の! まかり間違っても女装が似合ったりなんかしない……普通の一般男子学生です!」
「あぁ分かった分かった。だからちょっと黙ってろ」
「ちょっと……! 人を女呼ばわりしといて」

小鳥遊の叫びを中断したのは、かざされたゾロの左手。

「黙ってろ。――誰か近づいてくる」

ゾロの言葉を聞き、小鳥遊はびくりと身を震わす。
遠目に見えるのは……ログハウス? いつの間にかキャンプ場のすぐそばまで来ていたようだ。
小鳥遊宗太は、自分が今何に巻き込まれているのか、一応は理解しているつもりだ。
自分は今、殺し合いを強制されている。ワグナリアで佐藤さんが種島先輩をからかうネタに出てきそうな、陳腐な題材だ。
しかし、言葉では理解していても――現状は、まったく認識出来てないといっても差支えない程度。
そもそも、殺し合いをしろと言われて、それで殺し合いが出来るという人間は、どこかの回路が狂っているんじゃないだろうか。
……でも、こんな話を聞いたこともある。
戦場帰りの兵士たちに、何故貴方は敵兵を殺せたのかと質問して……返ってきた答え。
祖国のためだとか、自分たちの正義を信じてだとか、そんな答えは返ってこなかったらしい。

「殺せと命令されたから」

一番多かった答えは、それだったそうだ。自分で決断しない。言われたことをやるだけ。
確かにそれが一番楽なのだろう。
じゃあ、今自分たちが置かれているこの状況はどうなんだろう?
「殺しあえ」と言われ――見せしめに、二人死んで――
……この状況下なら、殺し合いに乗るのも有り得ない話ではないかもしれないと少し思った。
自分が、殺し合いに――戦いに巻き込まれる?
――やっぱり実感が無くて、少なくとも自分は殺す側には回らないだろうな、とぼんやり考える程度だった。
だがそれでも、自分の身は自分で守らなければならないということくらいは分かっている。
近づいてくる人間が、殺し合いに乗っていないという保証はどこにもない。
緊張で汗ばんだ手で、自分に与えられた刀が腰に差さっているのを確認。
いざというときは……これで、戦うしかない。
6剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:06:59 ID:vesN5OqA
がさりと音がして、茂みの中から現れたのは自分と同年代くらいの男だった。
とはいえ、自分が……あまり良い気持ちはしないが、少年と形容されがちなのに対して、目前の男が持っている雰囲気は、青年と言うほうが近い。
きっちりと着こなしているのは制服だろうか? 濃紺のブレザーの中心に、高級そうなネクタイが一つ。
手に持つ鞄のようなものは彼に与えられた支給品なのだろう。大事そうに抱えている。
短く揃えられたオールバックの黒髪には、一筋だけ白が混じる。
そして最も印象的なのは鋭い視線だ。見定める視線を、逸らすことなくこちらへ送ってくる。
――と、小鳥遊の前に立っていたゾロが、男に声を投げかける。

「おい、いいか? その鞄の中身……俺に教えてくれ」
「ふむ、いきなり鞄の中身を教えろとは……破廉恥だね?」
「あぁ? 何ワケの分からねーこと言ってるんだ。俺はただ刀が欲しいだけだ。
 その中に刀が入ってないんだったら……」
「だったらどうするのかね?」
「一つ、俺と手合わせしてくれねえか?」

にやりと不敵な笑みを浮かべ、ロロノア・ゾロはそう言った。

 ◇

「……君の連れ合いは、『手合わせしようぜ!』が挨拶の国の生まれなのかと問いたいのだがよろしいかな?
 そういえば、オープニングがそれで始まるアニメが夕方頃に放送されていた覚えがあるが……それの影響なのだろうか。
 でかい図体をしておいてアニメ脳とは……嘆かわしいね?」
「いや、まぁ……なんというか……何故そこで俺に話を振るんですか? ははは」
「それは勿論君が会話に入りきれてなかったからだよ。ほうら、これで君と私はフレンドリー。うむ、仲良きことは善きこと哉。
 友達としてお願いしたい――この血気盛んな緑髪の面倒は、君で見てくれないだろうか?」
「いやー、その理屈は分かるんですが……貴方が原因の怒りなのに矛先がこっちを向くのは理不尽じゃないでしょうか?」
「ははは、何、気にすることはない――慣れれば、気持ちいいらしいよ?」

――小鳥遊宗太は後にこう語る。
『あの時、プチンって音が聞こえた気がしたんです――幻聴なんでしょうけど……堪忍袋の緒が切れる音って、あんな音なんでしょうね……』

瞬間――ゾロは刀を抜き、先ほどから人を食ったような態度ばかりとる青年へと切りかかっていく。
無論、本気の抜きではない。人を小馬鹿にした態度に腹を立てた、半ば鬱憤晴らしの一撃だ。
全力にはほど遠い、相手を倒すつもりなど微塵もない峰打ち。
とはいえ、自身のそれがかわされるとは、ゾロは欠片も思っていなかった。
――なら、刃の峰が肉を打つ感触がいつまでも伝わってこないのは何でだ?

刀が振り切られ――青年・佐山が立っていたのは切っ先の軌跡から、更に数センチ奥。

「やれやれだね。口より先に手が出るとは……風見でもあるまいし」
「あの……俺が口を挟むのもなんですけど、貴方は口が出過ぎです」

小鳥遊の突っ込みも効果なく、佐山はゾロの前に再び立つ。
鋭い視線はそのまま。今度は見定める視線ではない――試す視線。

「……何者だ、てめぇ」
「名は佐山・御言。佐山の姓を持つ、『悪役』だ」
「ロロノア・ゾロ。『剣士』だ」
「小鳥遊宗太です。えっと……『ファミレスのアルバイト』?」
「『剣士』に『ファミレスのアルバイト』とは……面白い組み合わせだね」
「俺にはまったく面白くない話だがな。だが……佐山、アンタは面白そうだ」

そう言って、ゾロは不敵に笑う。
いくら手を抜いていたとはいえ、ゾロの剣を容易く避けるとは只者ではない。
純粋に、一剣士――いや、闘いを生きざまとする一人の男として――血が滾る。

「興味を持ってくれて嬉しいよ。さて、早速だが――君たちに、交渉を持ち掛けよう」
「交渉……ですか?」
「だがその前に、私の仲間を紹介しておきたい。……蒼星石君、起きているかね?」
7創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:07:39 ID:3laPCXZS
8剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:07:45 ID:vesN5OqA
佐山は小脇に抱える鞄へと声をかける。
その様子を見て不審がるのは小鳥遊だ。

(仲間……って、ぱっと見た感じ、周りには誰もいないみたいだけど……?
 今佐山さんが話しかけたのって鞄だよな……まさか、あの鞄の中に誰か入ってるとか?)

鞄の大きさをもう一度確認。少なくとも、人が入れる大きさではない。
ああいうものに入るのを持ちネタにしてた芸人がいたけれど、それでもあの大きさには入りきれないだろう。
もしかしてこの人……鞄がお友達とか言い出してしまうタイプの人間じゃないだろうかと少し心配に。
確かにさっきから言葉が飛躍しすぎている節はある。その可能性は捨てきれない。

(でも変人の相手なら……慣れたくはなかったけど、慣れてしまったし……)

いつも相手にしているのは姉たちやらワグナリアスタッフやら複数人。
佐山が変人であろうと、一人ならばそこまで心配せずともよいかもと、どこかズレた考え。
とりあえずは行く末を見守ろうと、佐山とその手に握られた鞄を見つめる。
驚いたのは、鞄の中から声が聞こえてきたことだ。鞄越しなためにくぐもってよく聞こえなかったが、それは確かに人の声。
この鞄、やはり誰か中にいるらしい。
なら今度は、別の疑問が浮かんでくる――もしかして、変人なのは佐山ではなく鞄の中の人物なのではないのだろうか。
鞄の中に入るという行動自体常軌を逸している。先ほど佐山は、起きているかと声をかけた。それはつまり、鞄の中でその人物は眠りについているということ。
鞄の中で寝る……しかも、こんなわけのわからないことに巻き込まれているのに。
ただの馬鹿か、或いは大人物か。良く考えてみると、彼(?)を仲間と呼ぶ佐山も、やはり変人であることに間違いない。
つくづく自分は変人と縁があるのだろうかと、心中嘆く小鳥遊だった。

「ふむ、先ほどのゾロ君とのやり取りで目が覚めてしまったらしい。
 それでは対面といこうか――蒼星石君だ」

鞄が、開く。
光源は、お世辞にも明るいとは言えないランタンが三つ。佐山とゾロと小鳥遊が持つものだ。
鞄の中から出てきたそれは、三方向から光に照らされ立つ。
希代の人形師ローゼンが手がけた作品の中でも、最高傑作と称される七体のアンティークドール――ローゼンメイデン。
ローゼンの作品は、緻密にして繊細――まるで生きているかのようなリアルさがその特徴である。
その極みとも言えるのがローゼンメイデン――薔薇乙女たちだ。「生きているかのような」ではなく、「生きた」人形。
気高く、凛々しく、そして美しく。第四ドール蒼星石は、其処に立つ。

「はじめまして。僕は蒼星石。ローゼンメイデン第四ドール……君たちに分かるように説明すると、生きた人形ということになるのかな」

とん、と鞄から降り、地に足をつける。ランタンの赤白色に照らされた彼女のイメージは、その名の通り蒼。
頭にはシルクハット。履くのは裾の締まった半ズボン。髪は短く揃えられている。こう書けばまるで男の子のそれだが――
短く首筋のあたりで揃えられた髪は、艶やかに輝く焦げ茶色。柔らかな髪質は蒼星石は少し動くたびにさらりと流れる。
顔の色は白。だが生気の無い人形とは違う、やや桃の混じった、温かみのある白だ。
こちらを向く瞳は、右と左で色が違う。オッドアイと呼ばれるそれは、右は翠の、左は紅の光を持っている。
小さな、完成された少女。世界の蒐集家が、喉から手が出るほどに欲しがる一品。

「おいおい……小人か?」
「違うよ。何と言えばいいのかな……生きている、人形……やっぱりこれが一番近いね。
 僕たちローゼンメイデンはお父様に作られた人形に過ぎない。人のように成長することもない。
 だけど、自分で考えることだって出来るし動くことだって出来る。僕たちは――生きているんだ。」
「僕たちってことは……お前の他にもお前みたいなやつがいるってことか?」
「ローゼンメイデンは全部で七体――名簿に載ってたのは、そのうちの四体だけどね。
 真紅と翠星石と水銀燈……この三人も、僕と同じ薔薇乙女――ローゼンメイデンさ。……信じてくれるかな?」
「信じるも何も、目の前にいるんだからどうしようもないだろ。広い世界には動く人形もあるんだなと思うだけだ。
 俺の仲間にも喋るトナカイがいるしな。なら動く人形くらい十分あり得る話だろ」
「喋るトナカイ? へぇ、僕も会ってみたいな。……ねぇ、そこの眼鏡の人……大丈夫? ……やっぱり、それが普通の反応なのか」
9創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:07:57 ID:3laPCXZS
10剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:08:50 ID:vesN5OqA
見た目に反して物わかりのよいゾロと、その仲間の話に少々の驚きはあったものの、蒼星石の興味はすぐに小鳥遊のほうへと移っていく。
自分が稀有な存在だということは理解している。動く人形というその現実は、誰もが受け入れられるものではない。
不気味に思われて拒絶されることは想定の範囲内。それは仕方のないことだと分かっている。
だから……蒼星石のほうを見つめたまま一言も言葉を発さない小鳥遊宗太のことも、仕方がないことだと受け入れなければいけない。
常識を兼ね備えた、普通の人間なら――

「か、可愛い……」
「え?」

ぽつりと小鳥遊が呟いた単語。蒼星石は最初、聞き間違いかと思った。
あれだけ真面目な顔で見つめられた末にそんな言葉が出てくるとは、完全に想定の範囲外。
蒼星石は知らない――小鳥遊の言葉に戸惑い、少し困った表情をしながら言った、「え?」の破壊力が、どれだけのものなのかを。
小鳥遊の反応を窺う中、知らず知らずのうちに緊張により強張る表情。小鳥遊の一言により、それは崩れ。
一瞬の呆けた顔は蒼星石が本来持つ無垢な少女のそれ。と、そのまた一瞬後には小鳥遊の言葉が聞き間違いではなかったかと眉をひそめる。
聞き間違いならと思うと同時に、言葉の意味をようやく理解し、頬を赤く染め。
様々な感情が一瞬のうちに現れて、複雑な表情を生み出す。ただの人形では到底持ちえない、生きるヒトの持つ愛らしさ――爆発。

気づけば蒼星石はぎゅ、と抱き締められていた。
慌て振りほどこうとするも、背まで周る腕は細身な外見とは裏腹に、予想以上に力強い。
顔を上げると、至福の表情を浮かべる小鳥遊の顔。

「ちょ、ちょっといきなり……!」
「事後承諾になりますが……抱きしめてもよかったでしょうか!?」

抱きしめたまま正々堂々と了承を得ようとする男、小鳥遊宗太。漢である。
だが、佐山・御言がそれに口を挟む。

「小鳥遊君……!」
「あ……す、すいません! 思わず我を忘れてしまって……!」

あたふたと弁解を始める小鳥遊。とはいえ、その両腕は未だに蒼星石の身体に回されたままだ。
その様子を見て、佐山は口で言うよりも行動で示すほうが早いと動き出す。
確かめるように右手を握り、開き――そして一気に目標まで手を伸ばす!

「……ひゃっ!?」
「せっかく蒼星石君を愛でるというのに……このふらチックなお尻をスルーとは、いただけないね?」

佐山の右手がむんずと掴むのは蒼星石の尻だ。佐山がふんわりやわらかチックと形容した尻だ。
新庄のまロい尻とは違い、やや小ぶりで膨らみも緩やか。だが、その曲線は心地よいフィット感を生み出す。
撫でるのは終いにし、今度はやや強く揉みしごく。同時に顔を近づけ、触覚だけでなく嗅覚でも蒼星石を確かめる。
薔薇乙女の名の通り、ほのかに漂う香りは薔薇の香り。

「ん……佐山君、やめてよ……」

抱きしめられ、尻を弄られ。息も絶え絶えに蒼星石は抵抗の声を上げる。
だがそれで止められるのならば――佐山も小鳥遊も、変態と呼ばれることはなかっただろう。

(うわぁ……困ってる蒼星石ちゃんも可愛いなぁ……しかも人形ってことはこれ以上歳も取らないってことだろうし……完璧じゃないか!)
(ふむ、新庄君とよく似た、けれど違う反応を見せてくれる……愛でる側としては心地よいね、この差異は)

とはいえ――止(や)める者はいなかったが、止(と)める者はいた。
一瞬のうちに視界が銀になったことに、小鳥遊は疑問を覚える。
その後に続いた、髪が数本鼻頭に落ちる感触と、銀に映る自らの顔を見て――ようやくそれが、刀だと認識する。

「うっ、うわああああ!?」

目の前で繰り広げられる訳の分からない光景に対して、ゾロが再度プチンといったのだ。
怒りで血管を浮かび上がらせ、鬼のような形相で小鳥遊たちを睨む。

「早く話を進めろ……!」
11創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:09:08 ID:3laPCXZS
12剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:09:36 ID:vesN5OqA
 ◇

それでは、と前置きして、佐山が司会進行を進める。
出会った山道からキャンプ場へと一旦戻って仕切り直しだ。これは更なる乱入者を避けるための選択である。
佐山がゾロと小鳥遊の元へとまっすぐ向かえたのは、夜の山道に光るランタンの明かりを見つけたからだ。
日中ならまだしも、夜中、それも他に光源がまったく存在しない山中でランタンを使うのは見つけてくださいと言っているようなもの。
友好的な人物ならまだしも、奇襲を仕掛けてくる殺人者もいるかもしれない――そう考え、周囲に誰も潜伏していないことを確認済みなキャンプ場へと移動した。
キャンプ場には潜伏に丁度良さそうなバンガローが複数個用意されていた。
佐山の手によって、その全てに明かりが灯され、一見するとどのバンガローに人が入っているのか分からない。
そこまで用意した上で話し合いの場に選んだのは、

「なんでトイレなんだ……」
「キャンプ場の隅に位置してはいるものの、全体を見渡すことが出来る場所だ。この上なく最適な場所だと思わないかね?
 それに……これで私たちはクサい仲というわけだ。――仲良くなれて、何よりだね?」
「やっぱり佐山君って下品だね……」

と、前置きもここまでにしておいてと断り、佐山はゾロ達に交渉を持ち掛ける。
結びたいのは――『同盟』だ。

「何も、これから先もずっと共に行動しようと言っているのではない。互いに危害を加えないという約束のようなものだと考えてくれても構わない。
 難しい話ではないと思うが、どうかね?」
「俺は別に構わない……というか、こちらからお願いしたいくらいです。まだ何がどうなってるのかさっぱりで……」
「そんな面倒そうなものに縛られる気は無ぇ。だいたい……佐山、俺はアンタのことが、まだ信用できん」
「小鳥遊君。これで私たちと君は仲間だ……! ん、そこの緑髪。いまどきヤンキーでもそんな頭はしないよ? しっしっ」
「てめぇ……馬鹿にしてんのか?」
「私は先ほどから、佐山・御言として行動している。今の私を見て信用できないというのなら――仕方がない」
「ぶっちゃけた話、俺もさっきの佐山さんの行動を見る限りでは全幅の信頼にはほど遠いんですが……」
「小鳥遊君、佐山君のことについてはあまり触れてあげないで。あれでなかなかしっかりしたところもあるんだ。……残念なところが多すぎるけど」
「皆……セメントだね。言葉は人を傷つける――覚えておいたほうがいい」

なんやかんやと会話を続けていくうちに――同盟についてはまだ判断できないが、互いに有用な情報については交換しておこうということになる。
名簿を見て、簡単な説明も付けながら知り合いの名前を挙げていく。
合流すれば力になってくれるであろう人物、殺し合いに乗る可能性のある人物、殺し合いには乗らないだろうが、危険な人物――さまざまだ。
もし探す人物と会った場合は、誰が探していたのか、何処で遭遇したのかについて伝え、その後同行するかどうかは各々の判断に任せるということになった。

「……でも、正直な話……まったく現実味がないんですよね。ドッキリか何かじゃないかと思ってるくらいですよ」
「殺しあえと言われて……本当に殺し合いが始まると思えないと?」
「そうです。俺はほんの数時間前までファミレスでバイトしてて、そしたらいきなりこんな場所に送られて……
 非常識ですよ。少なくとも俺は、誰かを殺そうなんて考えちゃいません。どうしたらここから帰れるのかが知りたいだけです」

言って小鳥遊は、ふぅと息をつく。
確かに最初集められたあの場所で、二人殺された――だけど、それはまるで映画か何かのワンシーンのようで――現実感というものが、完全に欠如していた。
自分はまだ、死というものから遠く離れている気がする。
そこまで考えて――自分に支給された、あるアイテムのことを思い出す。

「あ……! ちょっと見て欲しいものがあるんです」

バッグからポケベルを取り出す。一見普通のポケベルにしか見えないこれ。
だがしかし、それには隠された機能がある。前後二時間ほどに死んだ参加者と、それを殺した参加者――両方の名が表示されるのだ。
リアルタイム性には欠けているものの、仲間の安否、そして殺し合いに乗った可能性のある危険人物の名前を知ることが出来る。
その旨を佐山に伝え、表示された名前の中に知っているものはないかと確認してもらおうとする。

「ふむ……私の知人の名前は、幸いにしてないね。蒼星石君はどうかね?」
「僕も大丈夫。じゃあ……これは小鳥遊君に返しておくね」
13剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:10:44 ID:vesN5OqA
蒼星石からポケベルを受け取り、またバッグに入れようとしたとき、ポケベルが更新の印を点滅する。
思わずびくりと身が震えた。また、誰かが――死んだ。
願わくば――それが、伊波さんではありませんようにと願いながら、ボタンを押していく。

“トウカ死亡、殺害者ミュウツー”

知らない名前だ。不謹慎な話だけど、少しだけ安心してしまった自分が嫌になる。

“エルルゥ死亡、殺害者バラライカ”

また、知らない名前。次の名前はと、ボタンを押す。

“ウソップ死亡、殺害”

「ウソップ……って」

え、と思ったその瞬間、小鳥遊の後ろから手が伸び、ポケベルを奪い取る。
振り向いたその時には、ポケベルはゾロの手の中で握り潰されていた。

 ◇

画面に映る名前を見た瞬間、反射的に手が出て――それを握り潰した。
もう少し待てば殺した相手の名前が分かったのだということに気づいたのは、破片が手のひらに刺さり血が流れ出始めてからだった。
だが既に過ぎたことだ。悔やんでも仕方のないことだ。
割れた機械のなれの果てを地面に払い落す。少しばかり刺さった破片も、そう深い傷にはなっていない。
適当に引き抜き、つばでもつけておけば勝手に治るだろう。
問題は――

「おい、佐山」
「……いきなり人の物を壊しておいて、謝罪もなしかね?」
「今は時間が惜しい。聞いてくれ。一撃だけでいい。――手合わせを、願いたい」
「理由は――聞く暇も惜しいね。こちらで勝手に察するとしよう。その前に――」

佐山は、己のバッグから一振り刀を取り出すと、ゾロへと投げつけた。
対しゾロは、それを掴み、鞘から引き抜き刀身を眺める。

「……悪くない刀だ。いいのか?」
「気にしなくとも良い。私からの――いや、私たちからの餞別だと思ってもらって構わない」
「そうか……じゃあ貰っておくぜ。なら――」

四人はトイレから出て、草原へと移動する。
ゾロと佐山が向かい合い、二人の行方を小鳥遊と蒼星石が見守る構図だ。

ゾロは両手に刀を持ち、構える。
右手にはトウカの刀。左手には轟八千代の刀。
三刀流には一本足りない。だが――今は、それを気にするような場面ではない。
息を吸い、吐き。全身に力をこめ、抜く。今――ロロノア・ゾロは、『剣士』となる。

対峙する佐山も、準備は万全。拳を握り、身体は相手に対して半身。
剣を握る相手ならば――と思考を巡らせかけるも、それを破棄。
小細工を弄するような相手ではないということは、この短い交流の中でも分かったことだ。
一撃。一撃と言った。ならば相手は、それを守るだろう――ならば自分も、何も考えず、ただ無心に、一撃に集中する。

「いざ――」

「尋常に」

「「勝負!」」
14創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:10:56 ID:3laPCXZS
  
15創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:11:13 ID:3laPCXZS
 
16剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:11:30 ID:vesN5OqA
決着は――いや、決着と言っていいのかすら定かではないが――二人の動きは、始まるとほぼ同時に終わった。
両者ともに、動いたのは刹那の時。
刀を振るい、拳を振るい――それを受ける。たった四つの動作しか、そこには存在しなかった。

「ゾロさん――!」「佐山君!」

大上段から振り下ろされた二本の刀を右腕一つで受け止めたのは佐山だ。
だが――佐山の右腕は、引き裂かれることなく存在している。受ける刀の刃は――両方共に峰だ。
佐山の左手は、貫手の形となりゾロの眼へと一直線に向かっている。
だが、これも同様に――睫毛に触れるか触れないかという瀬戸際で、止まっている。

佐山が一呼吸つくと、刀は佐山の腕から離れていく。
腕の痺れを感じながら、佐山はゾロへと声をかける。
これで満足かね、と。

「……ああ。お前の力も良く分かった。だが……最後、何故寸止めた?」
「それはこちらの台詞だよ。もし逆刃でなければ、そのまま貫くつもりではあったがね」
「食えない野郎だぜ……おい、小鳥遊」
「は、はい!?」
「お前はこいつらに預けていく。縁が合ったら――また会うこともあるかも知れねぇな」

は? と、ゾロの言葉を理解しようと努める。
それはつまり、俺は佐山さんと蒼星石ちゃんと一緒に行動するということで――
ゾロさんは、一人?

「だ、駄目ですよそんなのっ! 危ないです! 皆で一緒に行動したほうが――」
「行かせてあげようよ、小鳥遊君。……きっと、あの人にはあの人の考えがあって、そうするんだろうから」
「で、でも、蒼星石ちゃん……」
「小鳥遊。分からないんならはっきり言ってやる――お前は、足手纏いだ。
 むしろ俺一人のほうが楽なくらいだ。だからお前は、佐山と、蒼星石と一緒にいろ」

離別は突然だ。いきなり言い渡された別れの言葉に困惑しか湧いてこない。
だが――自分の無力さも、仲間の死を知ったゾロが何を考えているのかも、分かってしまうから。
だから……今は、見送ることしかできなかった。
せめて、少しでも男らしく、胸を張り答える。

「分かりました。ゾロさん……また、会えますよね?」
「縁が合ったら――な。……じゃあ、俺は行かせてもらう」

刀を腰に差し、荷物を纏め、ゾロは足早に去っていく。
振り返らずに、真っ直ぐに――
キャンプ場を出る直前、手だけを振って、別れの挨拶とする。

 ◇

「それで、佐山さん……この後、どうするつもりなんですか?」
「ふむ。ひとまずは、協力者を増やしていこうかと思っている。三人寄れば文殊の知恵……仲間は多ければ多いほど良いよ。
 とはいえ、あまり集まりすぎても船頭多くして、だ。せねばならないことは山ほどある。大事なのは役割分担だね」
「そうですね……少しでも多くの人を集めてからじゃないと、俺たちだけ逃げるわけにもいかないし」
「でも、どうやって集めるの? 一人一人僕たちが接触するのは難しいと思うよ?」

それはだね、と佐山はバッグの中から細長い物体を取り出す。
幼稚園のころには誰もが使ったことがあるだろうもの――クレヨンだ。
佐山はクレヨンを弄りながら、これを使おうと思うと二人に話す。
当然二人には意味不明。クレヨンで書き置きをしていこうというのだろうか?
しかし、クレヨンというのは確かではない。書けるものが決まっているし、紙などに書いていってもきちんと伝わるとは限らない。
そもそも、筆記用具ならばランダム支給品のほかに共通のものが持たされているではないか。
二人の疑問には答えることなく、佐山は蒼星石に声をかける。
17剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:12:23 ID:vesN5OqA
「蒼星石君、少しこちらに来てくれないかね?」
「? うん、いいけど……」

蒼星石が近づくやいなや、佐山はぐいと蒼星石の身体を持ち上げる。
またこれかと蒼星石は抵抗の声を上げるものの、佐山は少し動かないでいてもらいたいと返すばかりだ。
観念したのか蒼星石は力を抜き、佐山の為すがままに。
佐山はクレヨンを蒼星石の顔に近づけ――小鳥遊のほうをちらりと見る。
これから先、佐山がすることをしっかりと見ていてほしいと、言葉には出さずとも目で合図。
そして――佐山は、蒼星石の可愛らしい口元に、立派な髭を描いた。クレヨンでだ。

「ちょっと……なにやってるんですかー!?」
「ふふ……驚いたかね?」
「可愛いものに……可愛いものにそんなことをするなんて……!」

蒼星石に髭を生やされ、本人よりも怒ったのは小鳥遊だ。
小さくて可愛い――小鳥遊にとっての絶対の正義に対し、なんたる狼藉を……!
だがしかし、よく見てみれば。
髭が生えた蒼星石も――案外、悪くないかも?
髭とそれ以外とのギャップは、逆にチャームポイントになり、先ほどまでの完璧な少女像とは違い、マスコット的な可愛らしさを持っている。
そうか……!

「この蒼星石ちゃんの可愛らしさで、無駄な争いを止めるんですね……!
 こんな可愛い子が非戦を訴えれば、みんな聞いてくれるはず……!」
「少し変化球で言うとすれば――君は少し、頭がおかしいね?」

笑顔でそう返し、佐山は蒼星石の頭の位置を少し動かしてやる。
すると、不思議なことに髭だけは場所を変えず――宙に浮いている。

「――!? これって、空中に描けるってことですか?」
「物わかりがいいね。これで、皆が通りそうな場所に色々と書いておけば――通った人間は、見逃さないだろう。
 何せ、空中に字が浮かんでいるのだからね」

だが、と佐山は断りを入れる。
同封されていた説明書によると、空中に書かれた文字が残るのは、書いてから六時間だけらしい。
それを過ぎれば、自動的に文字は消え、全ては元通り。

「さて、それでは方向も定まったことだし、まずは人通りの多そうな道路沿いに進んでいくとしようか……っと」
「佐山さん、大丈夫ですか? ……やっぱり、さっきのゾロさんの剣で腕を痛めて?」
「何、少し痺れるだけだよ。心配はない。……それに元々、こちらは握れぬ拳だ」
「……無理はしないでね、佐山君」
「大丈夫だとも。蒼星石君に心配をさせるわけにもいかないしね」

実際に、大したことはない。ゾロも寸前で力を抜いたようだった――数時間もすれば痺れは取れ、元通りだろう。
この程度は怪我のうちに入らない。昔は散々鍛えられたものだと、少しだけ過去を思い返す。
飛葉での修行――あの糞爺め、と思い至るのはすぐ。
だが、そこで鍛えられたからこそ、今の自分がある。
今は握れぬ拳も――力を向ける先を見定めたその時には、握ることとなるだろう。これは予感ではなく、確信だ。

出来れば、その時までに。
自らの対となる、新庄君に会いたいものだなとそう思い、佐山は歩を進めていく。
――『悪役』として。
18剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:13:09 ID:vesN5OqA
【D-8 キャンプ場/一日目 早朝】

【佐山・御言@終わりのクロニクル】
[状態]:右腕に痺れ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、空気クレヨン、不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
1:新庄くんと合流する。
2:協力者を募る。
3:本気を出す。

【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:健康、精神的疲労
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2、天候棒(クリマ・タクト)@ワンピース
[思考・状況]
1:翠星石と合流する。
2:佐山と行動する。
3:現状では、ゲームに参加する意思は無い。
4:変態が二人に増えた……

【小鳥遊宗太@WORKING!!】
[状態]:健康
[装備]:秘剣”電光丸”
[道具]:基本支給品一式、獏@終わりのクロニクル
[思考・状況]
1:佐山たちと行動する。
2:伊波まひるを一刻も早く確保する。
3:ゲームに乗るつもりはない。

【共通備考】
※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。

【空気クレヨン】
空中に文字や絵を描くことが出来るクレヨン。
原作では描いた絵が動き出す能力もあったが、ここでは制限されている。
書いた文字や絵は書かれてから六時間後に自動的に消えるように設定されている。




「ったく……」

佐山たちと別れ、ゾロは一人山を降りる。
ウソップが死んだ――信じられない。だが、あのポケベルの情報が確かならば、そうなのだろう。
静かな怒りが、腹の奥から湧きあがってくるのを感じる。
殺しても死なないような奴だと思っていた。お調子者だとも。
だが――仲間だった。仲間という言葉では足りぬほどに――繋がりが、あった。
今にもそこの草むらからひょっこりと顔を出しそうな気がする。
よぉゾロ。このウソップ様が来たからにはもう心配はいらないぜ!

――そんなもの、気のせいだ。

ウソップは――死んだのだろう、きっと。
なら――この怒りは、何処へ、誰へ向ければいい?
分かっている。

「ギラーミン……とかいったな。それと、名前も知らないウソップを殺した奴……」

お前らは――この俺が、斬る。それがウソップに対して出来る、最後の手向けだ。
19創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:13:11 ID:3laPCXZS
  
20創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:13:26 ID:3laPCXZS
 
21剣士と悪役とバイトと人形と ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:13:56 ID:vesN5OqA
【E-8/一日目 早朝】

【ロロノア・ゾロ@ワンピース】
[状態]:健康
[装備]:トウカの刀、八千代の刀
[道具]:支給品一式、迷宮探査ボール@ドラえもん
[思考・状況]
1:ウソップの仇打ち
2:ゲームにはのらないが、襲ってきたら斬る(強い剣士がいるなら戦ってみたい?)
3:ルフィ、チョッパーを探す

※参戦時期は未定。
※吉良吉影のことを海賊だと思っています。
※黎明途中までの死亡者と殺害者をポケベルから知りました。

【轟八千代の刀】
ワグナリアフロアチーフである轟八千代が常に帯刀している刀。
実家である轟刃物店の特注品である。
22 ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 00:14:42 ID:vesN5OqA
投下終了です。
誤字・脱字、矛盾点など見つけられましたらご指摘くださいませ。
23創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:15:56 ID:g4yxFcwZ
もう少しSSの書き方を勉強してくれ
24創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:26:53 ID:3laPCXZS
ヘ、変態だー!!! 変態がここにいるぞ!
いなみんと新庄、君らの心配は確かだった! この2人はまさに変態!
ああでも蒼い子かわいいよ、ふんわりチックなお尻に猫髭とか最高だよ!
こんなに蒼い子が小さくてかわいいんだもん。手を出してしまうのも当たり前かもね!?

……コホン、ちょっと取り乱した

噂の変態2人が合流して狭山小鳥遊蒼星石組とゾロに別れたか
この先の蒼星石の苦労が目に浮かぶね? 
時間が進んだことでポケベルに死者が表示されてゾロがウソップの死を知ってしまったのか
しかも敵の名前を見る前に壊してしまったということは手がかりもないまま敵討ちに挑むことになるわけか
果たしてこの状況でゾロは仇を見つけ出すことができるだろうか

キャラがみんな生き生きしてて読んでて凄く楽しかったです! GJでした!
25創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:28:33 ID:5t6GqaQU
変態ばかりだw
ダメだこいつら、早く何とかしないと……
それはさておき、ゾロが単独行動か
……蒼い子が危ないw
26創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:33:25 ID:EMk1TE6Y
変態すぎるwwww
まぁ小鳥遊の性癖にローゼンメイデンはぴったりすぎるよなw
27創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:44:21 ID:4wxBvWpM
トウカ乙ですー
変態wwwwwww
ゾロがウソップ死亡を知ったか……さあどうなる?

そして予約がw
ニコ兄、梨花逃げてーwwwwww
28創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:54:47 ID:3laPCXZS
また予約来てる!
ニコ兄、梨花ちゃま、クレアか
これは波乱の予感!
29創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 01:09:33 ID:Serpi+TE
投下乙!
へ、変態だ……変態過ぎるぞこの二人www蒼の子が悲惨すぎるwww
四人での会話シーンがそれぞれのキャラの個性が出てて、いいねぇ。
特に衝撃のあまりポケベルを握りつぶしてしまうゾロがかっこいい……佐山との対峙シーンも勿論良かった!
先が気になるキャラ達だけど、蒼の子がこれ以上悲惨な目に遭わない様に祈りますか……w
GJ!!
30創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 07:36:13 ID:ph7uVZya
投下乙!
やっぱり佐山が佐山だーーー! 原作どおりの会話で、凄い再現度だ…小鳥遊も。
方向音痴で時々駄目なゾロがどちらかというとツッコミになるほどのボケ集団!
大丈夫かな、蒼の子……苦労な意味で。
まさか互いのパートナーがそれぞれ組んでいるとは思ってもいまいなぁ、なんてめぐり合わせ。
更に、ゾロもまさか少し前に銃を渡した男がウソップを殺したってこともわからないだろうなぁ。
改めてGJ!
31 ◆YYVYMNVZTk :2008/12/25(木) 08:48:38 ID:vesN5OqA
皆さん感想ありがとうございます。
見返してて自分で不備を発見……orz
今回新しく出した支給品の出典を書いてませんでした。以下のようになります。
空気クレヨン@ドラえもん
八千代の刀@WORKING!!
32創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 09:47:35 ID:u6Gsjt4a
投下乙です。
佐山、この変態がw
それぞれのキャラが引き立てられてて、良い感じでした



てかまた予約来てるーー!!
なんなんだこの勢いはw
33 ◆Wott.eaRjU :2008/12/26(金) 00:01:50 ID:UKzvRmUh
では、ヴァッシュ、康一を投下します。
34創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:02:15 ID:9HCHRaOa
しえーん
35創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:02:51 ID:3laPCXZS
しえんー
36創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:03:20 ID:vesN5OqA
 
「あの、ヴァッシュ……さん……?」

金髪を逆立たせた少年、広瀬康一が話を切り出す。
己の魂――生命エネルギーといった類をヴィジョンに映し、唯一無二の力として行使する力。
“スタンド”と呼ばれる一種の超能力を保有したスタンド使い。
そう、そして康一のスタンドはエコーズ、彼は幾多の危機を乗り越えたスタンド使いでもある。
そんな彼は数十分前程には荒れていた呼吸も収まり、今は大分落ち着いている。
少しの間ではあるものの、休憩を取る事が出来たお陰だろう。
だが、康一には気になる事があった。
少し前に、簡単に自己紹介はしたが本格的な話はしていない。
自分に休むように言った青年――ヴァッシュ・ザ・スタンピードが未だ、何も口を開いていないからだ。
自分に背を向けて、何も言わずに、只、先程の少女が駆けて言った方向をじっと見つめながら。

(困ったなぁ……よっぽどショックだったのかもしれない……)

康一にはヴァッシュの事について知っている事は少ない。
出会ったばかりで碌に会話も交わしていないため、当然の事だと言える。
そしてヴァッシュとの間にも未だ、確固とした信頼関係がないのもまた自然な話だ。
主催者、ギラーミンの言葉が本当であるなら、此処には多くの参加者が居る事になる。
きっと様々な経歴の持ち主が呼び集められている事だろう。
状況に怯える者、殺し合いに反抗する者、そして進んで殺し合いに乗ろうとする人々。
自分一人の力だけでは、現状をどうにか出来るとは残念ながら思えない。
誰か信頼できる仲間を捜す事は避けては通れず、かつ必要な事でもある。
先程、別れた男――サカキはどうやらまともな大人なようだが、この人はどうだろうか。
未だに碌な判断材料がないため、康一はヴァッシュへの対応を決めかねる。

(でも、きっと良い人のような気がする。少なくともあんな行動は相当の覚悟がないと無理だ)

しかし、康一にはヴァッシュの人間性が少しわかったような気がした。
先程、康一を含む総勢四名によって生まれた一触即発の状況に介入したヴァッシュ。
自分達に争いごとを止めるように呼びかけた姿勢から、殺し合いは望んでいないというのは良くわかる。
そして、その時ヴァッシュが口に出した言葉は今でも特に印象深い。
『ラブアンドピース』――良い言葉だとは思うが、同時に口に出すとなると気恥かしいとも康一は思う。
もし、この台詞を自分が言う事になったら――ふいに康一は想像する。

何故か自分とヴァッシュの二人が、銃を持った何十人もの人間に囲まれる状況を。

38創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:04:12 ID:+sY19KgM
 
39創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:04:25 ID:79dhue1d
  
ドドドドドドドドドドドドドドド!!


『ヴァッシュさん! 駄目です、囲まれました……このままじゃあ、僕達は』
『諦めるな、康一! 僕達は絶対にこの殺し合いを止めないといけない!そこで僕は考えたんだ!必要なものは二つだけで良いコトをネ!!』
『必要なもの!? それは一体何ですか、ヴァッシュさん!?』
『良い質問だ、康一! そう、それは――ラブとピース! ラブアンドピースさ!この二つがあれば大丈夫!!
きっとこの人達も銃を下ろしてくれるさ! さぁ、僕達の心を皆に伝えよう! 行くぞおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』
『はい、ヴァッシュさん!せぇのおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!――BGMは奇妙な効果音でお送りします!!


『『ラアアアアアアアアアアアアアブアンドオオオオオオッピイイイイイイイイイイイイスゥゥゥゥゥ!!!!!!!』』


ぱらららららららららららららららららららららららららららら!!
男たちは一斉に銃をぶっ放し、ヴァッシュと康一の身体に面白いように銃弾が当たる。
やがて、力なくパタリと倒れた二人はぴくりとも動かない。
その後、彼ら二人を見る者は居なかった。


【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム:ラブアンドピース不発により死亡確認】
【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険:以下同上】


◇     ◇     ◇


(まあ、露伴先生に怒られそうな展開は置いといて……どうしようかな。あまり時間を掛けるのも良くない。
それに聞いてもらいたい話もある……!)

さらりと流すところが、今まで数多くの修羅場を抜けてきた事によるものだろうか。
真相はわからないが、特に関係ないのでその事については置いておく。
そして康一は只、身体を休めていただけではない。
それなりに落ち着いてきた辺りで、自分に今出来る事をしようと思い立った結果による成果。
故に康一は再度、ヴァッシュとの接触を図ろうとする。
そんな時、康一より一足早く、何処からか声が聞こえた。


「ああ、気づいた? 悪い、ちょっと考えコトしてたからさ。広瀬康一だったっけ? 僕は――」


康一の髪より更に、鋭さを増し、彼と同じように逆立たせた毛髪。
但し、その色は塗り潰したように漆黒を伴っている。
焦げ付いたような程に真っ黒なコートを羽織り、洒落っ気にサングラスを掛けた主が康一の方へ振り向く。


「ヴァッシュ・ザ・スタンピード、よろしくな」


“台風”の名を持つ青年が、康一に少し弱気な笑みを見せていた。

◇     ◇     ◇

42創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:06:13 ID:+sY19KgM
 

「どうだい、良く休めた? 何かあったら直ぐにでも言ってくれ。僕に出来るコトならなんでもするよ」
「はい、お陰さまで。もうかなり調子良くなったと思いますよ」
「それは良かった」

ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
手を染めた犯罪は数知れず、彼が通った後は必ず騒ぎが起こり、恐怖と破壊を撒き散らす人間災害。
付けられた異名は“人間台風”、600億$$の報酬金を掛けられた極悪非道な賞金首。
しかし、事実は違う。所詮、それは大層な尾ひれがついてしまった噂話にしか過ぎない。
確かに射撃の技術――特に抜き撃ちは得意中の得意だ。
俗に言うガンマン。
それも超一流の腕ききであり、護衛を頼まれた事が何度もある程の熟練者。
この殺し合いに来るまでに何千回とも行ったため、既に身体が覚えてしまっている。
嫌悪感はあった。銃口を向けるだけで涙が溢れそうだった。出来るものならば関わりたくはなかった。
当然だ、誰かが死ぬのは見たくはない。
誰かが悲しむ顔を、苦悶の顔を見るのはとても心苦しく、表現出来ない悲しさがある。
そして何よりも嫌だ――あの人が命を賭して守った人達の命が、意味も無く刈り取られていくのは。
そのために必要だった。
人を守るためには、人を殺す、大嫌いな銃を知る必要が。
そしてヴァッシュは自分に出来る事をやってきた、今もそしてこれからも――その決意に揺らぎはない。

(……何をやってるんだろうな、僕は)

投げ掛けた言葉に反応する康一を見ながら、ヴァッシュは一人思う。
別に康一の態度が気に食わないわけでは決してない。
寧ろ年の割には礼儀正しく、好感が持てそうな感じだ――まあ、極度のお人良しであるヴァッシュに掛かれば大抵の人間はそうなるのだが。
ヴァッシュの心に未だ根付く陰のようなもの。
それは先程の一件――園崎詩音を止められなかった事についての事だった。

(ナイブズ、お前はきっと笑うんだろうな……僕がまた馬鹿なコトをやっているって……あんな女の子、一人すらも助けられなかった僕を)

康一と二言三言交わし、会話を弾ませるが、生憎ヴァッシュの心は別の方へ向いている。ヴァッシュが必ず倒さなければならない相手――ミリオンズ・ナイブズ。
ヴァッシュのたった一人の兄でもあり、ある出来事によって人間の根絶を望むようになった男。
そしてナイブズの凶行から全てではないが、それでも命と引き換えに人類を守った女性こそが二人の親代わり。
レム――ヴァッシュの大切な存在、ナイブズにとっても大切であった筈の存在。
あの時から音をたてて、全てが崩壊した。
兄弟を繋ぐ絆は、最早修復が不可能な程に離れてしまっている。
人間の殺戮を止めようとしないナイブズとの全ての因縁に蹴りをつける――それがヴァッシュの目的。

44創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:07:22 ID:+sY19KgM
 
だが、結果はどうだろう。
ナイブズとの決着も未だつけられぬまま、康一の身を危険に晒し、詩音を止められなかった。
何も出来ない――未だ、何も出来てはいないが、これからも何もしないわけにもいかない。

(それでも、僕はこのやり方を止めない……止めたくはないんだ、ナイブズ。 足掻いて見せるさ……この先ずっと、お前を倒すまでは……!)

たとえ、何度も酷い怪我をしようと。
たとえ、何度裏切られようと。
たとえ、何度涙を流す事になっても――一人でも多く人間を守る。
ギリギリのところまでは諦めたくない、出来る限りの事はやりたい。
そう、襲われたからと言って直ぐに銃を使ってしまっては、彼らとなんら変わりはない。
自分の話を聞いてくれるまで、何度だって説得は続けよう。
それが殺し合いに乗った者、自分を殺そうと向かってくる者でもだ。
険しい道だとは思う。きっとこの身体が今以上に傷つくだろう。
そんな事はとうの前にわかっている、痛い程に。
昔は金髪――眼の前に居る康一のように、黄金の色を放っていた毛髪は既に真っ黒に染まっている。
力の行使、プラントと呼ばれる人型生命体として力を使ったつけが、眼に見える程に身体を蝕む。
だが、それでもだ。
ヴァッシュの信念は揺るがない。
何一つ終わりにしないように、みっともないほどに足掻く――それがヴァッシュ・ザ・スタンピードの戦いなのだから。
そんな時、ふと康一の声が一段と大きく、ヴァッシュの耳に聞こえてきた。

「ところでヴァッシュさん、僕、凄い気になってるコトがあるんです」
「気になってるコト? それは?」
「これなんですけど……」

そう言って、康一は一冊の冊子のようなものをヴァッシュへ差し出す。
詳細名簿、参加者一人につき一冊ずつ支給されたものだ。
同時に康一の片方の指が、名簿に書かれた名前を指し示す。
伸ばされた指の後を、どれどれと言わんばかりにヴァッシュは己の眼で追っていく。
そう言えば未だ、自分は確認していなかったなと思うと同時に視覚した。
吉良吉影――一人の参加者の名前が目に留まるが、当然、ヴァッシュはどう反応を返せば良いか迷う。
彼にとっては見知った名前ではないのだから。
森王町と呼ばれる町で、女性ばかりを次々と狙った殺人鬼――そして康一と同じく、スタンド使い。
勿論、吉良が危険人物である事は康一がヴァッシュに知ってもらいたい事の一つだ。
それ以前に康一にはどうしても不思議な事があった。

46創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:08:07 ID:9HCHRaOa
 
「この……吉良吉影はかなり危険な奴で、既に女の人を何十人も殺しました。そして丈助くん……あ、この東方丈助っていう僕の友達です。
吉良は丈助くんの友達も殺し、僕達はあいつを追い詰めて、あいつのスタンドに打ち勝ったハズなのに……何故か名前が載っているんです。
そう――」

真剣な面持ち、段々とヴァッシュも彼が何を言わんとしているか理解してくる。
現実では有り得ないような事。
ヴァッシュは思わず固唾を呑んで、康一の話に耳を傾け――驚きを見せた。


「既に死んでしまった人の名前が、載っているんです……この名簿には……!」
「ち、ちょっと僕にも見せてくれ!」


死人の名前が載っている。
それだけでは、その名前が死人本人のものか全く別の人間のものかはわからない。
特徴的な名前でも、必ずしも同姓同名ではないとは言い切れない――但し、可能性は低そうではあるが。
理屈ではそう理解しても、ヴァッシュは直ぐにでも確認を行いたい衝動に駆られる。
半ば強引に康一から、名簿を取った形になった事にもあまり気が回らない。
そして上から順に、様々な名前が羅列された名簿に眼を通す――見つけた。
康一や吉良の名前があった場所から更に下方に、自分の知っている名前がある事を、二つも。

一つはリヴィオ・ザ・ダブルファング
以前は、やりあった事のある――厳密に言えばもう一人のリヴィオであるラズロだが、今は違う。
今は共にナイブズと戦う身であり、彼の部下、エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルと戦っていた所を呼ばれたのだろう。
リヴィオなら問題はない。
きっと自分と同じように、この殺し合いを潰す為に動くと確信出来る。
そう、リヴィオの方なら全く問題はないのだ。
もう一つの見知った名前。
それが名簿に書かれていた事が何よりもヴァッシュの驚きを誘い、彼は一瞬言葉を失い
――

「ウ、ウルフウッド…………?」


辛うじて彼の名前を呟く以外の言葉が、ヴァッシュには出てこなかった。


◇     ◇     ◇

「連絡ないですね……」
「ああ、そうだな……もう少し待ってみようか」

特にする事もない。
吉良の名前の一件から互いの知り合いの情報を交換した二人は、只待つ事を決めた。
先程、飛びだしていったサカキからの連絡。
今の二人にはそれくらいしか、やる事はなかったのだから。
それに本格的な情報交換なり話し合いは二人よりも三人の方が、互いに知り得る事は多くなる。
だから三人揃ってからが良い――ヴァッシュが出した提案だが、彼の本心は違った。
ヴァッシュは時間が欲しかった。

「康一、これ預かってくれ。ちょっとトイレにでも行ってくるよ」
「近くにトイレなんてありましたっけ?」
「全部言わせるんじゃないぜ、康一……黙っていかせてくれぇ。男の旅立ちは静かなものに限るのさ」
「あー……はいはい、わかりました。失敗して、服に掛けない様に注意して下さいね」
「よ、余計な御世話だよ!」

要するにその辺の草影で用を足そうということだ。
カッコよく決めようと思ったが、康一の何処か冷たげな視線がヴァッシュには嫌に痛々しい。
電伝虫を康一に手渡し、さも我慢出来ないような感じでヴァッシュは駆けて行く。
幸い彼らが居たのは森林地帯であり、場所にも困らない。
康一から見えなくなった距離、手頃な大木を見つけたところでヴァッシュは立ち止まる。
気休め程度に周囲を見回し、ヴァッシュが取った行動は意外なものだった。

そう、ヴァッシュはズボンには手を掛けずに――両手を振り上げて、叩きつけるように木へ打ちつけた。


「ウルフウッド……どうして、お前の名前があるんだ……」


叫ぶ。必死に感情を押し殺すような、苦しげな声をヴァッシュは上げた。
ナイブズが保有する戦闘集団――GUNG-HO-GUNSの一員であり、ヴァッシュと共に彼方此方を転々としたウルフウッド。
先程の名簿で見かけた、もう一人の知り合い――有り得ない、此処に居るわけがない。
何故なら、ウルフウッドは確かに死んだのだから。
ヴァッシュ自身が彼の死を確認し、墓標までも確かに造ってやった。
死人が蘇るわけがない。
だから、名簿に載っている名前は“あの”ウルフウッドとは違う。
普段なら迷わずそう思ったヴァッシュだが、既に吉良吉影という前例がある。
都合良く、二人も同姓同名の参加者が居る事などあり得るのだろうか――しかも両方とも死人という駄目押しの共通点すらもある。
最早、真っ向からも否定するわけにもいかないだろう。
そう、この場には“あの”ウルフウッドが居るかもしれない――その可能性を認めないといけない。
49創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:10:53 ID:9HCHRaOa
   
「チクショウ……喜べばいいか、悲しめばいいか……わからない。僕にはわからない……わからないぜ、ウルフウッド……!」


両眼を細めて、木々に両腕を叩きつけるのを止めず、項垂れながら身体を預ける。
紡ぐ言葉に答える者は誰も居ない。
それでもいい、最初からヴァッシュは答えなど期待していない。
只、急速に溜まった葛藤のようなものをどうにかしたかった。
ウルフウッドとまた会える事になれば嬉しく感じるだろう。
自分だけじゃない、きっとリヴィオも大喜びする事は間違いない。
自分とウルフッド、そしてリヴィオの三人が再び出会う――想像するだけでも、胸の高まりは隠せそうにない。
ウルフウッドとリヴィオは共に同じ孤児院で育ち、自分とウルフウッドは友達――向こうがどう思っているかは定かじゃないが。
只、一刻も早く出会いたいという気持は抑えきれず、抑えるつもりもない。

しかし、それでもだ。
死者が蘇るという事には抵抗があり、何より――悲しかった。
ボロボロなソファーを急ごしらえの椅子として、サシで飲み合ったあの日。
ウルフウッドと最後の酒を飲み、最期に言葉を交わしたあの思い出。
そして、ウルフウッドが守った孤児院の子供達が、彼との別れ際に送った紙吹雪の優しげな雨が――台無しにされたようで悲しかった。
ウルフウッドが息を引き取った瞬間、自分は悲しみと怒りがごちゃ混ぜの状態でナイブズに反撃のサインを送った。
だが、ウルフウッドは満足して死んでいっただろう。
思わず眼を奪われそうな、幻想的な景色――彼は最期の最期で、自分の生を存分に噛み締めながら逝けたのだ。
間違いはない。
絶対の確信を持って言えるこそ、ウルフウッドが生き返ったかもしれないと言われても、素直に喜べなかった。


「ギラーミン……もし、本当にウルフウッドが此処に居るならば……僕は恨む。
あいつは、あいつはもう十分に苦しんで、苦しみながら戦ったんだ……あいつにまた銃を握らせるなんて……嫌だ。
僕は我慢出来ない……こんなコトは……!」


直ぐにでも移動するべきだとは思うが、もう少し時間が欲しい。
今のままでは、康一に不要な心配を掛けてしまう恐れがある。
きっと何かあったのか訊いてくるだろう。
その時、自分は答えられるだろうか。
ウルフウッドの、悔いのない死が無意味にされたかもしれないと思うと、いつものような笑顔は出来そうにもなかった。
だから、今は時間の流れに任せるしかない。
片方の腕を懐に伸ばし、己に支給された品を力強く握りしめる。
固い感触――S&W M29が自分の掌の中にある事が、はっきりと伝わってくる。
自分はこの銃で一体何が出来るか――未だわからない。
わからないが、何かをしなくていけないという思いが、胸の奥底で騒ぎ続ける。
そう、未だ決まっていないから。
切符は、ヴァッシュ自身の未来への切符は――


依然として白紙のままなのだから。


【B-2 森/1日目 早朝】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]:疲労、黒髪化
[装備]:S&W M29 6インチ 6/6@BLACK LAGOON
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜1 予備弾丸32/32
[思考・状況]
 基本:殺し合いを止める
 1:ウルフウッド、リヴィオとの合流。
 2:康一の所へ戻り、サカキの連絡を待つ。
3:ウルフウッドが居るかもしれない……?
※備考
 原作13巻終了後から参加
※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。
※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと思っています。
※康一と簡単な情報交換をし、丈助、吉良、スタンドの事について聞きました。
丈助を協力者、吉良を危険人物と見ています。
※康一にはウルフウッドの事は適当に誤魔化しています。

【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:疲労 首に痛み
[装備]:電伝虫@ONE PIECE
[道具]:支給品一式 不明支給品1〜3
[思考・状況]
 基本:皆を守ってギラーミンを打倒する!
 1:ヴァッシュ、サカキの連絡を待つ。
 2:少女を止めたい。
 3:同じ意志を持つ仲間を探したい
 4:ギラーミンと話していた少年に会う
5:吉良はもう一度倒す。
※備考
 第四部終了した時間軸から参戦。
※スタンドパワーの消費が激しいことに気付いてません。
※サカキ、ロベルタ、詩音の名前はまだ知りません。
※詩音をスタンド使いだと思っています。
※ヴァッシュと情報交換をし、リヴィオの事を聞きました。
彼の事は協力者だと思っており、ウルフウッドはヴァッシュの知人である事ぐらいしか知りません。


支給品紹介

【S&W M29 6インチ@BLACK LAGOON】
ラグーン商会のリーダー、ダッチが愛用するリボルバー。

52 ◆Wott.eaRjU :2008/12/26(金) 00:14:18 ID:UKzvRmUh
投下終了しました。
支援ありがとうございます。
それではご指摘や感想などお待ちしていますね。
53創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:14:51 ID:9HCHRaOa
 
54創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:18:16 ID:9HCHRaOa
投下おつです。
ついに知っちゃったか。
両人ともに死んだはずの人間が参加してるコンビですね。
ヴァッシュとウルフウッドの、あの最後の別れのシーンが目に浮かびました。
許さないと呟く人間台風がかっこいいです。
55創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:18:48 ID:79dhue1d
投下乙です!
ちょww妄想の奇妙な効果音ってw

やっぱり名簿見たら2人とも動揺するわなー
自分達にとっては死人の名前が載ってるんだもの
56創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:28:56 ID:7WQ5Rv6h
投下乙!
またも謎妄想死w。
小鳥遊、新庄に続いて…やけに多いなこのロワw。2時間に1回ってw。
両名とも死者がいて、特にヴァッシュにとってその名の意味は深い。
再会の時は来るのだろうか……改めてGJ!
57創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:29:54 ID:ANsvqzvs
死人の名前が名簿にあったら、複雑な気持ちだろうなぁ…
ヴァッシュの心情がいい具合に書かれてていいねー
58創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:34:56 ID:znFWuOm9
投下乙!
あと「丈助」じゃなくて「仗助」ね。
59創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 00:36:20 ID:+sY19KgM
投下乙!
またもや登場の妄想死にふいたw
生きているウルフウッドに対して複雑な感情を抱くヴァッシュが格好いい。
二人がまた会うときはくるんだろうか……
60創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 01:15:58 ID:cqCCpo2g
投下乙です!

妄想死wだけどそんな状況に陥ったらヴァッシュは確実に同じこと叫びそうな所がなんともw
そしてさらりと流しすぎな康一に吹いたw

ウルフウッドの死を見取ったヴァッシュならではの葛藤が胸に迫ってくる
あのニコ兄が死んだときの衝撃が蘇ってきて…GJです!
10巻は、10巻はどこだー!
しかしヴァッシュ色々と精神的に参るようなことが続いてるなぁ
しかも現在進行形で勘違いが進んでるみたいで涙目過ぎるw
61創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 02:25:33 ID:79dhue1d
新しい予約が2つも来てた!
ひゃっほい!!
62創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 12:40:20 ID:wH7hnarP
48話『闘争と逃走と』の衛宮切嗣の支給品の修正を行いました。
 この話の続きでリレーされる方は注意してください。
63創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 12:55:53 ID:gipWccQb
>>62
編集乙ですー。

てか、なんという予約ラッシュw
しかも全てマーダーと予約されてる……これはwktk
64創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 13:56:00 ID:ydJIvhUL
予約すげぇw
書き手の人たち勢いに乗りまくってるな
65創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 15:32:55 ID:79dhue1d
また新しい予約きてた〜
ひゃっほい!ヒャッハァ!幸せだ!
66創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 19:20:33 ID:Lz2aV7Iy
すいませんFate/Zeroのキャラが今一つ把握出来ないんですけど
どこらへんにいけばキャラを把握しやすいですか?
ニコやようつべで検索してもあまり出て来ないし、
地元の古本屋にあったアンソロ本とか頼りにしちゃっても大丈夫ですか?
67創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 19:41:36 ID:AajMkpTW
fate/zeroって小説じゃなかったか
68創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 19:52:32 ID:Lz2aV7Iy
えっ、そうなの?
同人のゲームとかだと思ってたや
序盤だけはプレイ動画とかあったからさ
(オイラの調べ方がマズかったのかな?)
69創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 20:01:56 ID:7WQ5Rv6h
小説小説。
ゲームはstaynightの方。
全4巻で、原価は最低でも1000円。
げまずとか虎の穴とかじゃないとないかな?
70創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 20:06:58 ID:quJaJOjI
あれは有志が作ったヤツ。
ところでどのキャラのことが知りたいの?
後これ代理なんでできればしたらばで話してほしいなあ……なんて
71創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 20:10:13 ID:Lz2aV7Iy
ああ、そういうところに置いてあるのか、
普段行かないからなぁ、
明日にでも行ってみます。ありがとうございました
72創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 21:10:53 ID:Lz2aV7Iy
うぐっ、携帯からじゃしたらば書き込めなかった

一時間も間あけて申し訳ありません
73創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 21:20:12 ID:DNlEB+vO
あとたしかラジオドラマがあったはず>笛零
74創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 21:39:32 ID:gipWccQb
代理って何のこと?
75創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 22:05:24 ID:lhlbfHc9
フェイトゼロって、同人ゲームの小説版だよね?
元のゲームをやらなくても把握出来るの?
76創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 22:53:26 ID:nfrAQXk0
>>74
大規模鯖規制に引っ掛かったのでとあるスレで代理レスしてもらってます。

登場キャラの把握に必要な巻数
切嗣→3巻まで
ライダー、アーチャー→4巻まで

ちなみに全巻買うなら5000円(税込)かかります。
アンソロじゃまともな把握は無理です。
後、zero読んでもわからない用語があると思うのでwikiで調べるなりググるなりして下さい。
staynightの方までやれとは流石に言えん。
>>75
ググれ
77創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 23:18:58 ID:gipWccQb
>>76
そういうことか、納得。ありがとう
78創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 03:32:58 ID:JclBixwd
また予約がw
あの人の書くひぐらしは大好きだw
79創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 19:32:31 ID:L3zbnzw4
質問だが、#divid(mokuji)って何?
wiki編集してて
ttp://www26.atwiki.jp/marurowa/editx/91.html
で見つけたんだけれども
80創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 19:36:15 ID:ZDoV5NlT
あ、それ俺だわ。
某有名ロワのwikiから丸写ししてきたんだが…mokujiはいらない?
81創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 19:37:25 ID:L3zbnzw4
さぁ……mokujiの理由は?
82創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:49:22 ID:IH0bJ8Yc
いつから書いてあったのかは知らないが
フィーロの他の項目は大して書かれていないのに
備考に童帝ってw
その通りだけど
83創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:49:43 ID:KovwKIIv
早く次の作品こないかな…
待ちきれないwww
 
84創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:54:20 ID:isnMU8Uf
え?童帝ってルルーシュじゃ…
あ、でもここではゼロか
85創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:56:07 ID:ZDoV5NlT
でもゼロはマッチョ転じてグラマラスがあるぞ?
処女、なのか?
86創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:58:39 ID:7aMJOqub
>>84
フィーロは良思いの彼女と同居、のちに結婚して
一つ屋根の下で暮らして約70年にもかかまわずチェリーなお方だぜ…
87創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:59:11 ID:KovwKIIv
ゼロは処女なの?w
88創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 00:09:01 ID:ZJmLJCZX
>>86
仙人かよ……
89創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 03:03:40 ID:f+GkyYa8
新しい予約きたー!
90創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 03:07:49 ID:BQpC4MPf
うおっ、マジだ!
というか、丁度最速兄貴氏の作品を収録したところだw
どれだけ世界を縮める気だあの人は…!
91創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 11:26:14 ID:VeSAj424
おいおいおいおい…これが冬休み年末の力か?
予約状況ちょっと纏めてみた。予約期限順。


12/29(月) 00:33:16まで ◆YhwgnUsKHs『ミュウツー、ナナリー、ブレンヒルト』
12/29(月) 01:02:09まで ◆SqzC8ZECfY『切嗣、クロコダイル、美琴』
12/29(月) 11:05:14まで ◆TEF4Xfcvis『真紅、橘、ベナウィ、ルフィ』
12/29(月) 23:59:35まで ◆EHGCl/.tFA『クレア、梨花、ウルフウッド』(延長済み)
12/30(火) 01:01:02まで ◆UcWYlNNFZY『ハクオロ、魅音』
12/31(水) 03:02:12まで ◆Wott.eaRjU『サカキ、ロベルタ』

延長がなければ今夜来るか?
92創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 11:29:10 ID:f+GkyYa8
>>91
まとめてみると本当に凄すぎるwww
なにこれ? 俺死ぬの?
93創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 12:03:34 ID:f+GkyYa8
今夜はたぶんまた投下ラッシュだよなー
やばい嬉しい
94 ◆YhwgnUsKHs :2008/12/28(日) 14:32:45 ID:VeSAj424
意見を求めたい支給品があるため、仮投下に一旦投下します。
意見を夜の7時、8時ごろまで待ち、その意見によってはすぐ投下するかどうか決めようと思います。
ですので、是非ご意見をお願いします。
95 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 14:36:56 ID:xDCXAd7y
ニコラス・D・ウルフウッド、古手梨花、クレア・スタンフィールドを投下します
96創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 14:38:36 ID:KsFW67V9
支援
97 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 14:39:24 ID:xDCXAd7y
かぶっただと…………ということで、自分はもう少し時間を空けてから投下します。
98創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 14:41:38 ID:KsFW67V9
意見待ちのものらしいので、投下してしまっても問題ないかと
99 ◆YhwgnUsKHs :2008/12/28(日) 14:55:09 ID:VeSAj424
のわあっ!なんということだ。
こっちは仮投下でしたらばなので構いませんよー!
100 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 14:55:42 ID:xDCXAd7y
それではコチラも投下を始めたいと思います。
>>98
申し訳ない……Yh氏の作品を読んでいてレスに気付きませんでした…orz

101 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 14:56:52 ID:xDCXAd7y
煌びやかな遊園地。
そこから少し離れた森の中に二人は居た。
一人はニコラス・D・ウルフウッド。
ある砂の惑星にて牧師と殺し屋を成合としている男。
その実力たるやまさに一騎当千。
類い希なる戦闘センス、改造によりもたらされた常人を超越した身体能力と感覚神経で、与えられた任務をこなす殺し屋「だった」男だ。

もう一人は古手梨花。
何十、何百と同じ時を繰り返すという数奇な運命を背負い、そして遂にはそれを打破した少女。
精神年齢だけを取れば、隣のウルフウッドよりも遥かに上。身体は子供、心は大人を地で行く少女だ。
そんな二人が肩を並べて歩いていた。
会話はなく、ただ森林を進み続ける二人。

(なんか気まずいわね……)

そんな二人の片割れ―――古手梨花が、沈黙に気まずさを覚え始めたのは歩き始めてから数分経った頃であった。
二人がした会話と言えば、最初の自己紹介の時と支給品の確認、そして木の実を貰った時だけ。
古手梨花お得意の猫かぶりを見せる間すらない。
ただウルフウッドが危険な男ではない事は、梨花にも何となく判断できた。
元々無口な男なのか、ただ他の参加者を警戒しての沈黙なのか、その判別はできないが、少なくとも悪者には見えない。

(とはいえこうも会話が無いのは流石にねぇ……)

何をする上でもコミュニケーションというものは大切だ。
信頼を深めれば緊急事態への対応も円滑になるし、窮地に陥っても互いに励ましあう事で打破できるかもしれない。
仲間の大切さを、梨花は身を持って知っている。
一人では打ち破れなかった運命も、仲間と協力する事で乗り越えた。あの苦しい苦しい日々を打ち破れた。
仲間とならばこのふざけたゲームだって脱出できると信じている。
ゲームの主催者であるギラーミンの打倒だってできると信じている。
「運命」をぶち壊し「未来」を掴み取った仲間となら―――、

だからこそ梨花は考える。このゲームを打破するには仲間の存在が必要不可欠。
そして仲間という関係には、何もせずに至れる物ではない。
お互いを知り、言葉を酌み交わすことにより漸くスタートラインに立てる物。
少なくとも、今の自分とニコラスの関係は仲間と呼ぶには余りに不充分であった。

「……ニコラスは外国の人なのですか?」

だから梨花は一歩踏み出す。
自分から動かなくては運命は変わらない。
あの時もそう。仲間に秘密を打ち明けた事が運命を打開するキッカケとなった。
失敗はもう二度としない。漸く掴み取った未来を手放すなど、絶対にしない。
だから梨花は自ら一歩を踏み出したのだ。

「……外国いうんは良く分からんけど、まぁ基本は根無し草やな」

帰ってきたのは無愛想な返事。
でもそれで良い、と梨花は思う。
この些細な会話こそが運命の打開に繋がる筈の一歩目に繋がる、そう信じているから。
振り向き答えたウルフウッドに、梨花は微笑みを贈る。
そんな梨花を、男は眩しい物を見るように目を細めて見つめ、直ぐに逸らした。


102 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 14:57:44 ID:xDCXAd7y




眩しかった。

直視できなかった。

自分に投げ掛けられた言葉。

自分に向けられた笑顔。

思い出してしまう。

孤児院で暮らしている兄弟達を。

自分の手は血塗られている。

自分の心も血塗られている。

もはや拭い去ることなど出来ない漆黒に染まりきっている。

そんな自分が、どうしてこの少女の笑みに答えることができる?

悪党は何処まで行っても悪党。

居場所は血と血で争う地獄だけ。

今のような殺し合いの中がお似合いだ。

「そうなのですか。なら今度は雛見沢に来るといいのですよ。とても良い所なのです」

だからそんな顔を見せないでくれ。

希望を持ってしまう。

まだ引き返せるかもしれないと。

アイツのような生き方ができるかもしれないと。

そう、思ってしまう。

無理や。

いやまだ戻れる。

二つの思考がせめぎ合いを起こしている。

今、決めるんや、ウルフウッド。

アイツと同じ道を行くか、それとも自分の道を行くか―――今、決断しろ。



103 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 14:58:38 ID:xDCXAd7y




「そうなのですか。なら今度は雛見沢に来るといいのですよ。とても良い所なのです」

別に変な事を言ったつもりは無い。ただ本心から出た言葉を口にしただけだ。
なのに、ニコラスは視線を逸らし押し黙ってしまった。
そして空を見上げたまま、木の実を一つ口の中へ放り込む。
それを咀嚼しゆっくりと飲み込むニコラスは何かを考えているように見えた。

「――嬢ちゃんは人を殺した事があるか?」

唐突に放たれたその単語に、梨花は固まってしまった。
――「殺す」
何の脈絡もなく、突然ウルフウッドが呟いた血生臭い言葉。日常なら笑い飛ばせる言葉、でも今この状況ではあまりに重過ぎる言葉だ。
それをウルフウッドは易々と口にした。
サングラスの奥底に隠れた瞳が、鋭くなっているような気がした。

「……あ、ある訳ないのですよ。もしかしてニコラスはあるのですか? 怖い狼さんです」

にぱー☆と笑顔を作るが、その裏では声が震えないようにするので精一杯であった。
何とか猫を被ったまま喉から言葉を絞り出す。
一応、答えに嘘はない。ある世界では鉄平を殺そうともしたが結局は失敗した。
何回も殺された事はあるが、人を殺した事はない。

「ワイはあるで。まぁ、ワイの事はどうでも良い。今は嬢ちゃんについての話や」

サラリととんでもない発言をした。
さもそれが常識のようにアッサリと、本来ならば隠蔽すべき事をニコラスは打ち明けた。
先程までの恐怖も忘れ、ニコラスの顔を眺めたまま、ポカンと口を開けてしまう。
冗談なのか、本気なのか区別がつかない。
ただサングラスの奥で光る眼を見る限り、信じられないが真実のように感じた。
何なのだ、この男は。
訳の分からない質問を飛ばし、殺人を行った事実を当然のように口にする。
少なくともマトモな人ではない。
考える。質問の意図を、言葉の真偽を、男の思考を。
だが幾ら考えても答えは導き出せない。
逆に、考えれば考える程、今まで優しげに見えた男が異常者に思えてしまう。
その途端、背筋に、何かが這い上がってくるような寒気が走った。
体全体に鳥肌が立つ。
もしかして自分はとんでもないミスを犯してしまったのではないか?
目先の恐怖に捕らわれ、選択を誤ったのではないか?
脳内を駆け巡る疑問符。無意識に右足が後ろへと下がるが、それ以上は動かない。
蛇に睨まれた蛙の気持ちが少しだけ分かった気がした。

「次の質問や。嬢ちゃんは銃を撃ったことはあるか?」

自分の様子に気付いているのか、いないのか、ニコラスは飄々と悪びれた様子を一切見せずに、別の質問をした。
その質問もまた、こんな子供にするものではない、オカシナ問いである。

104 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:00:06 ID:xDCXAd7y
「な、ないわよ……ある訳ないじゃない!」

知らず知らずの内に地が出ていた。
まだ二、三言、会話を続けただけなのに、既に目の前の男が何なのか理解出来なくなっていた。
そんな梨花を尻目にウルフウッドは小さく溜め息を吐くと、デイバックに腕を突っ込み掻き回し始めた。
何を探しているのだ?
何故いきなりデイバックを漁り始める?
何故こんな子供に殺人をした事があるか、などと聞く?
何故こんな子供に銃を撃った事があるか、などと聞く?
何かが変だ。噛み合わない。
この男を本当に信用していいのか?
その時、ニコラスの手からデイバックが滑り落ちた。
慌てた様子で落下を防ごうとするも手は空を掠り、バックは地面へと落下してしまう。
そして私は見た。ニコラスのデイバックから飛び出た物体を。
地面に転がった漆黒の物体――俗に言うピストルとショットガンを。

支給品の内容を互いに確認しあった時、ニコラスは私の問いに答えた。
「武器はない」と。
確かにそう言った。だが目の前には確かに二つ、強力な銃器が転がっている。
ニコラスが嘘を吐いた? 何故、どうして、嘘を吐く必要がある?
別に銃器を保有している事は悪くない。
寧ろ幸運。それらを持っている事により戦闘は有利になり、生き延びる確率も上がる。
隠す必要もなければ、嘘を吐く必要もない。
なのに何故ニコラスは嘘を吐いてまで、武器を隠した?
―――いや、ちょっと待て。
そもそも私は聞いていない。
この男が殺し合いに乗っていないと。
男が自分を殺さず、名を明かし、不器用ながらも優しさを見せてくれた事により、自分は想像してしまった。
この男は殺し合いに乗っていない、と。
まさか。
まさか。
まさか!

疑い始めたら直ぐに、その考えへと行き着いた。
視界の中ではニコラスが武器を拾う為、屈み込んでいる。注意は自分ではなく、銃器に向けられている。
そのことを確認したと同時に駆け出していた。
綱から放たれた警察犬並のスタートダッシュを決め、全力で、ニコラスから少しでも遠ざかるべく、足を回した。
逃げられる、と思った。助かった、とも思った。
だがそれらの考えは、肩に乗せられた無骨な手の感触により、「どうしたんや?」というニコラスの言葉により、一瞬で吹き飛ぶ。
何より乗せているだけにも関わらず身体を固定する、抗いようのない力に、刹那の希望は易々と砕かれた。
全身を使って抵抗など歯牙にも掛けてもらえず、無理やり身体の向きを変えられる。
視線の先のニコラスは右手に拳銃を握っていた。
くそ。
くそっ。
くそっ!
こんな所で断たれるのか!? ようやく掴んだ未来が、こんな訳の分からないゲームで!?
ふざけるな! 私が、仲間がどれだけ苦労し、掴み取ったと思っている!
あんたが、あんたみたいな男が易々と奪い取って良い物なんかじゃない!!
ふざけるな、ふざけるな!

105 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:01:53 ID:xDCXAd7y
「ふざけるなぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」

何時しか思いが言葉となり口から飛び出していた。
ただの子供としか思っていなかった人間の突然の絶叫に、ニコラスは表情を驚愕に染め、僅かに力を緩めた。
ただそれも一瞬。逃げ出す暇などない。驚愕は直ぐさま沈み込み、肩にのし掛かる力は元に戻る。
諦めるしかないのか。あの未来を、あの日常を、取り落としてしまうのか。
涙が零れる。悔しくて、悔しくて、たまらない。
視界が滲み、役目を失う。ニコラスの表情もぼやけ、確認できない。

――駄目だ。死ぬ瞬間までみっともない姿を晒すのか。
死ぬのならせめて誇り高く死ぬ。暴力などに屈しない。
涙を拭き、胸を張り、前を見据える。
自分は、自分達はあの運命を打破したのだ。
三十数年しかいきていない殺人鬼相手に弱みなど見せてたまるか!
晴れた視界の中ではニコラスが右腕をコチラに差し出している。
そこに握られているのは漆黒の拳銃――――ではなかった。

「あの、その、なんや、怒らせたんならスマン、謝るわ。そりゃそやな、いきなりこんなゲームやもんな、ビビる、そりゃビビる、ワイやってビビるもん。でも、な。スマンから泣かへんでくれ。な、ほら木の実全部やるから、な?」

まるで機関銃の如く謝罪。
ニコラスは困り果てた顔で頭を下げていた。
右手に乗せてある物は四粒の木の実と一枚の円形の何か。
拳銃は左手にあり、銃口は下に向いている。
この事態は何なのだ?
―――自身が思い描いていた予想とは全く違う展開に、古手梨花は混乱することしか出来なかった。






「ようするに、あんたは殺し合いに乗ってないのね」
「まぁ一応な。でも向こうから襲ってきた場合は別やで」
「じゃあ、何で武器を持ってないなんて嘘を吐いたのよ」
「嘘? ……あぁ、これの事か。水に浸かってしもうてな、これは使い物にならんのや」
「な……! な、なら、あの質問は何なのよ! 人を殺したことがあるかーとか、銃を撃ったことがあるかーとか!」
「一応確認しとかなあかんと思ってな。殺しや銃の経験あれば最低限、自分身くらいは守れそうやし」
「こんな子供がそんな事する訳ないでしょ!」
「いや、嬢ちゃんは知らんかもしれへんけど、結構いるもんやで。ガキのクセして殺しが当たり前になっとる奴」
「どこの国の話よ! あんたが知ってる国ならともかく、日本でそんなことある訳ないでしょう!」

106創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:03:04 ID:VeSAj424
支援!
107 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:03:08 ID:xDCXAd7y
悪びれた様子もなくしれ言い放つウルフウッドに、梨花は心底呆れ果てていた。
デリカシーが余りに欠如している。
一応こちらは小学生、まだ子供。しかもこんな意味不明な殺し合いの場。
そんな状況であんな物騒な質問、加えて紛らわしい故障中の武器。
配慮に欠けているにも程があると、梨花は思った。

だがこの擦れ違いには大きな原因があった。

ウルフウッドは人死にが当たり前の世界から連れて来られた。
人と人は些細な理由で殺し合いをする事を知っている。
親を殺害されたことにより、復讐に心を染め、殺しを行う子供がいる事も知っている。
単純に生きる為に、銃を持たざるを得なくなった子供がいる事も知っている。
殺人を犯す、または犯した経験を持つ子供というものはウルフウッドにとって決して珍しい存在ではない。

古手梨花は平和な村から連れて来られた。
何百回と友人の豹変を目にし、凄惨な殺人劇を経験してきたが、殺人が日常茶飯事というには遠く及ばない。

ようするに生きてきた世界が違うのだ。
確かにウルフウッドの行動にも問題はある。
が、真の原因は世界観の違いだということに古手梨花、ニコラス・D・ウルフウッド共に、気付いていない。
そして真の原因に気付かぬまま会話は進んでいく。


「……それでこのレコードみたいなのは何なのよ。これで身を守れって言うの?」
「よくは知らんけど、それを頭に差し込むとゴッツい力が手に入るらしくてな。ワイは駄目やったけど嬢ちゃんならもしや、と思ったんやけど。……そしたらいきなり逃げ出すんやもんなー」
「うっさい! あんたが悪いのよ!」
「ハイハイ、分かった分かった。あ、コレ説明書や。途中千切れとるけど、一応な」

怒り冷めやらぬ梨花は乱暴にウルフウッドが持つソレを受け取る、もとい奪い取った。
もはや猫かぶりをする気も起きないのか、その口調には地の彼女がありありと出ていた。

梨花は水にふやけ、途中で破けている紙へと目を通す。
書いてある事は非現実的。
頭に差し込むとのことだがその時点でかなり怪しい。
種類によってという事はまだ他にもあるのか?
というか超常的な力というは何だ?
抽象的すぎて想像がつかない。これでは説明書としての役目を果たしきれていないだろう、全く。

108創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:03:25 ID:KsFW67V9
支援
109創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:03:57 ID:KsFW67V9
支援
110創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:04:01 ID:VeSAj424
支援!
111 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:04:17 ID:xDCXAd7y
粗方の愚痴を脳内で吐き捨て、説明書からDISCに目を移す。
不思議な光沢の中に、変な姿の人影が映っている。
じっくりとそれを眺めた後、梨花は大きく――側でボンヤリと傍観に務めている男にも聞こえるようため息を吐いた。

「で、これを頭に入れろって言うの?」
「そや」
「ふざけてんの?」
「いや、別に」

再度ため息。
これ以上話しても無駄と判断し、DISCと向き直る。
「力が手に入る」―――これは梨花にとって魅惑的な言葉であった。
今の自分は無力。純粋な力だけで見れば、参加者中で最も下かもしれない。
それに支給品も外ればかり。
もし最初にウルフウッドでなく、殺人鬼に出会っていれば間違いなく死んでいただろう。
しかしこのDISCとやらの使用が可能なら、超常的な力が手に入れられる。
力を、得られるのだ。この場で生き抜く力を。

ウルフウッドは何も言わない。全ての決断を梨花へと任せている。
膨大な不安と僅かな恐怖に挟まれ梨花は逡巡する。
しかしそれも数秒、十秒にすら至らない。
梨花は覚悟を決め、不安を振り切るように勢いよく、DISCを頭に突っ込んだ。







世界が黒と白に染まっていた。

先程まで聞こえていた風の音や木々が擦れ合う音もない。

振り返り、あの唐変木を見るが、コイツもまた静止していた。

一歩、二歩、三歩、横に歩いてみる。

うん、私は動ける。

この状況には覚えがあった。

あの日、あの時、羽入を救う際に発動した不思議な力。

あの時の状況と今の状況は非常に酷似している。

これが超常的な力の正体なのか?

そこまで考えたところで不意に力が抜けた。

寸前、自分の後ろに誰かが立っている事に気付いたが、姿までは確認できなかった。

―――そして、時は動き出す。


112創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:04:28 ID:KsFW67V9
支援
113創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:04:59 ID:KsFW67V9
支援
114創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:05:30 ID:KsFW67V9
支援
115 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:05:40 ID:xDCXAd7y




「何やと?」

驚愕の声を上げたのはウルフウッド。
サングラスの奥の瞳はこれ以上なく見開かれていた。
それもその筈。眼前の少女が瞬間的に移動したのだから。
たった数メートルの距離だが、自分にすら知覚できない速度で、何の力も持たない筈の少女が移動した。
少なくともウルフウッドにはそう見えた。

「凄い……凄いわよコレ!」

歓声を上げる梨花を呆然と見やる。
不審と驚愕の混じった視線に気が付いたのか、梨花は満面の笑みを浮かべながら、ウルフウッドへと近付いてきた。

「……瞬間移動か?」

ウルフウッドの問いに梨花は首を横に振る。

「違うわ、時を止めたのよ」
「時を止めた……やと?」
「ええ、たった数秒だけどね、私が時を止めたのよ」

んな阿呆な、と思わず口から出掛けた言葉をウルフウッドは飲み込んだ。
確かに見てしまったからだ。
少女が何の前触れも、予備動作すらも見せずに移動した瞬間を。

「マジかいな……卑怯すぎるやろ、そんな能力」

下手すればあの歩く核兵器にすら勝利できるかもしれない馬鹿げた力に、ウルフウッドは天を仰ぐ。
何故その能力が嬢ちゃんに使えて、ワイには使えないんや、と心の中で愚痴るのも忘れていない。
ウルフウッドは大きく肩を落とした。

「みぃ〜かわいそかわいそなのです☆」
「うっさいわ、ボケ……ハァ……」

嘲り百パーセントの励ましを右から左に聞き流すと、梨花の方へと向き直り―――そしてその瞬間、ウルフウッドはあらゆる動作を停止した。

116創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:05:43 ID:VeSAj424
スタープラチナ支援
117創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:06:22 ID:KsFW67V9
>>100
俺も読んでいて支援遅れてすみませんでしたー
118 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:06:47 ID:xDCXAd7y
「? どうしたのですか、ウルフウッド?」

まるで時が止まったかの如く固まったウルフウッドに不穏を感じ、梨花は首を傾げる。
そして、それと同時に視界が真っ黒に染まった。
続いて身体が横に傾く、いや強制的に傾かされる。
突然覆い被さってきたウルフウッドにより、餓えた野獣のように襲いかかってきたウルフウッドにより、押し倒されたのだ。
梨花とて外見は幼いにせよ、紛れもない乙女。
本能的な危険を感じ、悲鳴を上げようとする―――が、ウルフウッドの胸板に顔面を押し付けられ悲鳴も上げられない。
なんとか脱出しようともがくが、その瞬間、脳天と地面が熱烈なキスをかました。
頭に衝撃が走る。
埋め尽くされた漆黒に火花が走り、意識が真の暗闇へと浸透しかけた。
しかしそこでまた別の衝撃が意識を引き上げる。

梨花の瞳が数秒振りの景色を映し出す。
そこでようやく梨花も現状の一部分を理解した。
ニコラスに抱き上げられ――というより荷物のように脇に担がれ――何処かに移動しているのだ。
梨花は叫び声を上げるのを中断し、懸命に走り続ける男へと大声で怒声を浴びせる。

「離しなさいよ、この変態! いきなり、何すんのよ!」
「悪い、今は少し黙っててくれ!」

やけに切羽詰まったウルフウッドの返答。
今までのウルフウッドとは違う雰囲気に気圧され梨花は沈黙する。
途中一度足を止め、振り返り何かを振るったが、また直ぐさま走り出した。
結局、梨花が解放されたのはそれから十分程、疾走を続けた後であった。







「二本同時に防ぐとはな。なかなか楽しめそうだ」

つい数分前まで、一人の男に一人の少女が怒りをぶちまけていた場所にクレアは立っていた。
唯一の武器を奪われたというのにその顔に悔しさは微塵もない。
それどころか、珍しいことに感心の表情を浮かべてさえいた。

「だがあれでは貴重な武器が壊れてしまうぞ? 奴は馬鹿か?」
119創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:07:02 ID:KsFW67V9
支援
120 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:07:31 ID:xDCXAd7y
何の気なしに周辺を歩き回りブツブツと独り言を止めない。
するとクレアは不意にうずくまり、何かを拾い上げた。
それを躊躇うことなく頭へと差し込むクレア。身体が弾かれることはなかった。

「さっきの少女は、驚くことにこの俺でさえ知覚できない速度で移動した。いや、俺が知覚できなかったという事はただ移動ではないか。おそらく瞬間移動。面白い能力もあるもんだ」

クレアはしっかりと見ていた。
梨花が円盤状の物体を頭に差し込む瞬間を。
梨花が時を止め移動した瞬間を。
ウルフウッドに押し倒された際に梨花の頭から飛び出たDISCの存在を――。

「さてここで問題なのは、その能力が少女自身のものか、それともこのレコードが関係しているかだ」

クレアはまた何の気なしに周囲を歩き、手頃な木の前で立ち止まる。
その後ろにはクレアより二回りほど大きい、人間の形をした何かが寄り添うように佇んでいる。

「よし、壊せ」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」

人間が繰り出す目にも止まらぬ連打。
クレアの胴体視力でも全てを見切るには至らないであろう連打が、巨木をまるで紙切れのように宙へと誘った。

「ふむ、凄まじいパワーとスピードだ。それに感覚の共有もできる。こんな支給品を手に入れるとはな、やはり世界は俺を中心に回っている。……だが瞬間移動は出来そうもないな。ってことあの能力は少女自身のものか、まぁ良い」

クレアは満足げに笑い、再び歩き始める。
その圧倒的な自信――、一厘の疑いも持たない、異常とも言える自信により最強のスタンドを従えたクレア・スタンフィールド。
この出来事により、彼の中にあった確信はさらに深みを増した。

「さてと、武器……というのも変な物だが、武器は手に入れた。行くか」

ウルフウッドは気付くべきだった。梨花の頭からDISCが抜け落ちたことを。
図らずも彼は誕生させてしまったのだ。
最強のスタンド・スタープラチナ、最強の殺し屋・クレア――世界も次元も概念も越えた二つの最強が重なり合った怪物を。


【G-2 遊園地周辺 1日目 早朝】
【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】
[状態]:健康 若干の疲労 拳に血の跡
[装備]:スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式×2 未確認支給品0〜1
[思考・状況]
1:優勝し、ギラーミンから元の世界へ戻る方法を聞き出す。
2:優勝のために他の参加者を殺す
3:レヴィ、ウルフウッド、梨花と再び出会った時には彼女を殺す。
【備考】
※何処へ向かうかは後続の方にお任せします。
※参戦次期は1931~特急編~でフライング・プッシーフット号に乗車中の時期(具体的な時間は不明)
※未だ名簿は見ていないため、フィーロが居る事も知りません。
※スタープラチナを発現できますが、時止めの適正があるかは不明です。
※梨花が瞬間移動の能力を持っていると思っています。


121創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:07:39 ID:VeSAj424
クレア襲来支援
122創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:07:49 ID:KsFW67V9
支援
123 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:08:10 ID:xDCXAd7y




より一層濃くなった緑の中、ウルフウッドと梨花は相対していた。
ウルフウッドは雑草をくわえ喫煙衝動を誤魔化しながら、古手梨花は怒りの感情を隠そうともせずに、二人は向かい合う。

「で、何であなたはあんな行動を取ったのかしら? 返答によってはあなたを変態扱いしなくてはいけなくなるんだけど」

眉間に皺を寄せ睨んでくる少女にチラリと視線を送り、ウルフウッドはため息を吐いた。
そして答えを返さずにただ無言でデイパックからある物を取り出し、梨花に見せる。
黒色のそれは、遂数分前に誤解の火種ともなったショットガンであった。

「なによ、これ……」

だがその銃器は先程と僅かに姿を変えていた。
鉄の銃身に巨大な刃物が二本食い込んでいるのだ。
先に行くに連れ幅を増していく特徴的な刀身が、銃身に挟まり日光に照らされていた。

「グルガナイフやな。武器にしとる奴はあまり見掛けへんけど、これはなかなか上物やで。まぁ、最初はただ逃げよ思うたんやけど、ご丁寧に追撃かましてくれたからな。ついでにナイフも貰といたわ」
「嘘……何時の間に……」

梨花は、呆然と戦闘が起きた証拠を見つめる。
自身が気付かぬ内に、命の危機に晒されていたのだ。
ショックを受けるなという方が無理な話だろう。

「……もしかして助けてくれたの?」

そして結論に至る。
あの時、ウルフウッドが自分を押し倒したのはナイフから助ける為に。
あの時、ウルフウッドが自分を荷物のように担いでいたのは襲撃者から逃亡する為に。
自分が知らぬ内にこの男は命を救ってくれたのだ―――ウルフウッドの行動の真意を古手梨花は理解した。

「気にする事はあらへん。子供は大人に助けられる物や。変に気ぃ使われると、逆にこっちが困ってまう」

口の中の雑草を吐き捨て、励ますでもなく、さも当然のようにウルフウッドは告げた。
彼方を向いた顔に、少量の気恥ずかしさが含まれている事に梨花は気付かなかった。

「…………ありがとう」

その時、静寂の森に言葉が響いた。
ウルフウッドの目が見開かれる。
その脳裏に浮かぶある光景。
自分に微笑みかけてくる子供達。
無邪気な笑みをあの時と変わらずに向けてくる子供達。
血塗られた自分には、変わってしまった自分には決して訪れないであろう光景。
思わず視線が梨花へと移る。
そこには、僅かに頬を朱に染めにぱー☆と微笑む少女が居た。


124創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:08:48 ID:KsFW67V9
支援
125 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:08:57 ID:xDCXAd7y




そんな顔を見せないでくれ。

希望を持ってしまう。

まだ引き返せるんやと。

こんな自分でも、救える者がいるんだと。

こんな自分でも、アイツのような生き方ができるんだと。

希望を持ってしまう。

勘違いをしてしまう。

悪党は何処まで行っても悪党。

変わらない。

たった一人の命を救ったところで、この事実は揺るがない。

悪党は何処まで行っても悪党。

頼む。

そんな顔を見せないでくれ―――


126創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:09:19 ID:KsFW67V9
支援
127創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:10:34 ID:VeSAj424
チート×チート支援
128 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:10:39 ID:xDCXAd7y
【E-3 森 1日目 早朝】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 (少々の不安はあるが前向きに)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、王の財宝(の鍵剣)、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
 1:ニコラスと行動
 2:必ず生き残る。
 3:圭一達を見つける。
 4:安全な場所に行きたい。
 5:ネズミ?
 ※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません)
 ※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。
 ※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
 ※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
 ※スタープラチナに適正を持っています。僅かな時間ですが時止めも可能です。
 ※クレアの姿を確認していません。
 ※スタンドDISC『スター・プラチナ』を落とした事に気付いていません。

【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康
[装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能)
 SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL シェンホアのグルカナイフ×2@BLACK LAGOON
[思考・状況]
 1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。血まみれの謎の男(クレア)を警戒
 2:古手梨花を守る
 3:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触
 4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
 5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
 6:この木の実結構ウマイ
 ※スタンドDISC『スター・プラチナ』を落とした事に気付いていません。


129創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:11:29 ID:KsFW67V9
支援
130 ◆EHGCl/.tFA :2008/12/28(日) 15:11:51 ID:xDCXAd7y
投下終了です。
タイトルは、時を止める幼女/チート野郎ってレベルじゃねーぞ! です
疑問点、矛盾点があったら指摘お願いします
131創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:38:05 ID:KsFW67V9
投下乙!

くうぁああ〜〜〜! ニコと梨花の組み合わせキュッとくるなァァァーッ!
梨花のくるくる回る思考ッ! 揺れ動くニコの心理ッ!
読んでいてニヤけましたッ! 思考欄を見て更にニヤけましたァ〜〜〜ッ!
もう、ホントのこの二人の今後が楽しみで仕方ありません!
そして……クレアにスター・プラチナ……だと……?
しかも落とした二人は気付いてない……!?
これはwktkが止まらないッ!

GJでしたッ!
132創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 15:46:01 ID:ZJmLJCZX
投下乙です。
ニコ兄と梨花コンビ良い!
ってかクレアにスタプラはチートすぎるだろw
まぁ、対主催も存外チート揃ってるし丁度良いか、GJでした!
133創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 16:46:15 ID:VeSAj424
投下乙です!
勘違いはひぐらしの恒例なのか!
歳の差コンビ(精神と肉体の意味で)、いいですねえ。観ててニヤニヤしてしまう。
しかしさらっととんでもないドジをしでかしてくれたよこの人たちw。ナイフ手に入ったけどさ。

ギャアアア!
チート+チート=なんてこったい!
ただでさえ強いクレアにスタープラチナとは、おっそろしい。
ある意味クロコダイルと同程度の脅威になったか? ただでさえ○ロワ、マーダーが強いっていわれてんのにw。
これからどうなることやら。
改めてGJ!
134創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 17:47:16 ID:D/boljxz
しかしニコ兄涙目だよなあ、クレアや梨花ちゃまはDISC使えたのにwww
なんか条件でもあるのか?
135創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 17:54:53 ID:uBFJFyp1
クレアは時止め使ってない(使えない?)からまだなんとも。
梨花は適正あるんじゃね?原作がアレだし。
実を言えばあと一人適性ありそうなのがいるんだよなあ……
136創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 18:38:56 ID:22JScaTr
梨花はあれ適正あるの羽入でしょ
デイブレイクで止められてるし
137創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 18:54:46 ID:Vm3Xh6bp
適正あるっぽい人の条件って何なの?
138創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:05:35 ID:ZJmLJCZX
つスゴ味
139創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:08:14 ID:uBFJFyp1
書き手の一存……じゃなくて(まあ実際そうだろうけど)
時間に関係のある人じゃないかと
>>136
一応梨花は羽入の子孫なんだぜ?
140 ◆YhwgnUsKHs :2008/12/28(日) 19:11:27 ID:VeSAj424
予告の7時ごろと相成りました。
意見が寄せられなかったので問題ない、と判断して本投下を開始します。
もちろん本投下後に、仮投下の時に読むことができなかった方でも是非修正すべきと思われた点は上げてください。
では、ミュウツー、ナナリー、ブレンヒルト、投下開始します。
141創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:12:43 ID:ZJmLJCZX
>>136
原作読んでみ。
時止め中に梨花が動いて、羽入が驚いてる描写あるから。
充分素質はある


てか感想書いてから雑談しろよ
142創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:13:19 ID:BQpC4MPf
投下乙です!

梨花ちゃま真骨頂!
不安と信頼にゆれながら猫をかぶりつつ、でも時々覗くかわいらしい本音!
くぁあああ、たまらん!
そしてニコ兄の葛藤に板ばさみになりつつ、どうしても覗いてしまう人の良さ
ああもうこのコンビ大好きだ!

しかしまあクレアはなんというチートw
こいつはチート+チートじゃない……チート×チート、チートの二乗だッ!

そういえばニコ兄は代謝によって実年齢より見た目老けてて、梨花はあのとおり
つまり、年齢詐称コンビだなw
143創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:13:36 ID:ZJmLJCZX
被ったorz

支援
144創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:14:22 ID:BQpC4MPf
同じく被ったorz
支援!
 車椅子に座する少女、ナナリー・ランペルージは怪訝な様子でその車椅子を後ろで押しているであろうブレンヒルト・シルトの顔を見上げた。
 いや、正確には『ブレンヒルトの顔があるであろう方向を』だ。目が見えない彼女にブレンヒルトの正確な顔の位置を見上げる事はできないのだから。

 ブレンヒルトは今いるこの場所までナナリーの車椅子を押してきてくれていた。車椅子の進路上にあった枝をどけてくれたり、土に埋まった石が進路上にあれば
迂回させてくれたりと、目が見えないナナリーの案内代わりになってくれていた。
 ちなみに、ナナリーを守る者としてブレンヒルトが現れるまでその役目をしていたネモはブレンヒルトの後方でそれを見ながらとても不服そうにしていた。
 ナナリーにはそのネモの不機嫌な様子もすぐわかった。彼女とネモは繋がっており、ナナリーは目が見えなくてもネモを感じる事はできるし、ネモの感情もなんとなく感じる事ができる。
自分がここまでしてきた役目をブレンヒルトに取られて妬いているのだろう。そう思うと、ネモが少し微笑ましいとナナリーは思った。元の世界ではネモに対してこう思った事はなかった。
ネモ自身がナナリーにとって負の象徴であり、心を開きにくかったからだ。
 閑話休題。


 そんな状況で2人(とネモ)は温泉を目指して進んでいた。だが、突然車椅子を押していたブレンヒルトの足が止まった。
 どうしたのだろう、とナナリーは思ったが、ひとまずブレンヒルトの言葉を待つことにした。
 だが、一向にブレンヒルトは何も言ってくれない。
 ナナリーはそこで本格的な異変を察し、ブレンヒルトに声をかけた。

 そして、今に至る。


 *****

(酷いものね)

 ブレンヒルトは目の前の光景を見つめた。
 自然にナナリーの車椅子を持つ手に力が入った。
 何か感情が沸き立つ。それを握り手を掴む事で発散したい。そんな思いから生じた行為だった。
 目の前の光景を見て、彼女に浮かぶ感情。それは、

(警戒と、純粋な……恐怖、かしら)


 一言で表すなら、『蹂躙』だった。
 2人が抜けてきた、木々が並び立つ夜の森林。
 その太くどこか力強さを感じさせてきた木々たちが……あっけなくへし折れ、あっけなくちぎれ、あっけなく砕けている。木々たちが明らかな破壊を受けた痕跡だった。
 それも1本2本ではない。木々の折れている様は直線状だが広い。
 ブレンヒルトの体よりも太く、丈夫そうな木もいくつも破壊されている。もしも自分たちがこの破壊の中にさらされたなら、あっけなく体はぐしゃぐしゃになり目も当てられない状態になるだろう。


 この惨状が語る事実は1つ。
 このような破壊を行えた者が、この会場内にいる。
 しかも、まだ開始から4時間程度しか経っていないということは、今ここにいる自分たちと破壊者との距離はまだそう遠くはない可能性が高い。

 その事実にブレンヒルトは戦慄する。本当ならば彼女がそこまで戦慄する事はない。全竜交渉部隊とも戦闘を渡り合ったこともあり、戦闘についての自信はある。
 だが、それは自分の力をフルに発揮できての話だ。彼女の1st-Gの魔術を使うには、霊石という青い石が必要だ。霊石さえあれば、概念空間が展開できなくても、『文字の力』の魔術を行使することができる。
 自分が今いる立場は決して安全とは言いがたい。よって、安全の為普段から持ち歩いていたはずのそれが……ここに来てから無くなっていた。

(ギラーミン……理不尽な状況には変わらないから我慢していたけど……これは贔屓が過ぎるんじゃない!?)

 今や自分は、自身の肉体や見知らぬ支給品のみでこの殺し合いという状況に立ち向かわねばならない状態だ。木一本を破壊する事にすら相当苦労するだろう。
 それに対して、そんな自分を上回る、このような破壊を行える者がいる。
 その参加者の元々の力か、それとも支給品の力か。いずれにしても、力の制限されたブレンヒルトにとってその相手は脅威であり、力という点のみにおいては嫉妬を覚える存在でもあった。
 無力と言うことは、それだけで苦痛以外の何物ではないと彼女は知っているからだ。

「ブレンヒルトさん?」
「え?」

 ブレンヒルトはナナリーの声を聞き、我に返った。つい思考に没頭していたらしい。彼女の事をすっかり忘れていた。

「なんだか、突然車椅子が止まってしまったので何かあったのかと思って」
「……」

 ブレンヒルトはナナリーの問いかけを聞きつつも、その少女を見つめてさっきの考えを訂正する事にした。

(いえ、贔屓という意味では……ナナリーの方が酷いわね)

 ナナリーは目が見えない。その上足も動かない。彼女自身がそう言っていた。
 車椅子というサービスがあったとしても、彼女が殺し合いにおいて目が見える健常者よりも圧倒的に不利なのは間違いなく、それは誰でもわかることだ。
 なぜ彼女のような存在をこんな場所に放り込んだのか。優勝を期待しているのか? バカな、あり得ない。
 考えているうちにブレンヒルトは更に自分のギラーミンへの怒りが高まるのを感じた。
 正直、ナナリーを死なせる為に参加させたとしか思えない。
 さっき会った時も車椅子に乗るナナリーを見てブレンヒルトは自分の目を疑った。見つけた人物を嵌める為の演技かとも思ったくらいだ。
 だがナナリーは目の前で転倒し、車椅子から転げ落ちた。その様子は明らかに演技ではなかった。

 もしナナリーを見つけたのが自分ではなく、優勝を目指している誰かだったら……間違いなくナナリーは殺されていただろう。
 目の前の惨状を起こした者なら、より簡単にナナリーなど赤子の手をひねるように破壊できてしまうだろう。

(それだけはさせない)

「なんでもないわ、ナナリー。空を見上げていたらだんだん明るくなってきたからつい思い出したのがいただけ」
「大切な人ですか?」
「ええ、大切な……猫よ」
「猫さんですか?」
「ええ。早く……あの輝く空へ投げ飛ばしてみたいわ」
「か、可愛そうです……」
「大丈夫。安全に投げるから」

 適当に誤魔化し(そのとき空に本当にどこかの黒猫の泣きそうな幻影が空に見えたが無視した)、ブレンヒルトは足を進め、車椅子を押した。
自分が押す車椅子の車輪が回る音が静かな破壊現場にからからと響く。


 ナナリーには嘘をついてしまった。
 けれど、目が見えない彼女に不必要に恐怖を覚えさせたくない。
 自分が『何もなかった』といえば、彼女には分からないのだ。
 それならば彼女の不安を少しでも避けることができる。
 ブレンヒルトは彼女の平穏を少しでも守りたかった。
 少なくともこの先の温泉に行くまでは、彼女の平穏を保ってあげたかった。


 破壊現場を横目に見ながら、車椅子を押し歩きつつブレンヒルトは考えた。
 この破壊を行った者は何者かと。
 彼女の知っている中でこのようなことができるのは……機竜や武神。加えて、概念核兵器の類だろう。
 ブレンヒルトが知っているここにいる参加者2人は、どちらも元々体内等にそれを持っているような特殊な存在ではないはずだ。
となれば会場内、あるいは支給品の中にあると考えられる。しかし。

(どれも扱いを知らない人間が数時間で使えるようなものではないはず。はず、だけど……。
 もしあのギラーミンが何か処置を施したとしたら)

 ギラーミンは自分たちを簡単に拉致するような不可思議かつ驚異的な力を持っている。
 その不可解な力はもしかしたら機竜や武神を簡単に扱えるようにするものもあるかもしれない。
 それに概念の力もある。もしそれすらも、ギラーミンの範疇だとしたら。
148創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:18:57 ID:ZJmLJCZX
支援


 だが進む途中目に入ったものを見て、ブレンヒルトは息を呑んだ。


(なによこれ……)


 それは固い地面に深々と刻み込まれた痕跡。おそらくは破壊の主が残したであろう痕跡の一部。
 半円状に曲線を描き、まっすぐの棒を捻じ曲げたような形。地面に描かれたその形の内側の地面が一段深くなっている。
 足跡と考えるのが自然だろうか。さらにブレンヒルトの考える範囲で、この形から連想できるものが一つある。

(蹄ね)

 馬や牛などの四足歩行の動物の爪が変化した形状、それが今ブレンヒルトの目の前にある足跡として1番しっくりくるものだった。
 だがその蹄の大きさは異常だった。その辺の馬ならばブレンヒルトとてそこまで恐れはしない。だが目の前の足跡はブレンヒルトやナナリーの体よりも大きい。
自分がこの足跡の穴の中で寝そべって、すっぽり入ってしまうに違いない大きさだ。

(蹄でこの大きさだなんて持ち主の動物かなんか自体はどれだけ大きいのよ!
 それに……私の知る機竜や武神にこんな形状の痕跡を残す物はない)

 そこが最大の問題だった。
 ブレンヒルトの知る範囲で考えられた3つの可能性、その可能性を根こそぎ奪いかねない証拠がこの蹄の足跡だった。
 彼女とてすべての機竜や武神を知っているわけではないので100%の断言こそできない。だがこんな足跡を残す物はまずいない、はずだ。
 つまり機竜や武神がこれを行った、という可能性は低くなってしまった。
 概念核兵器も同様だ。概念核兵器だとすれば、この足跡はその持ち主、つまり参加者のものということになる。
 だが、あの説明の場にこんな巨体の人物はいなかったはずだ。
 せいぜいブレンヒルトの近くにいた、ヒゲ面に太い腕の巨漢があの中では最大だと思う。けれどあの男でもこんな足跡を残せるほどの巨体では無かった。
足の形だって人間と同じだった。
 これで概念核兵器の可能性も低くなってしまった。
 となればこの破壊の惨状と足跡を残したものは、彼女の知らない『何か』ということになる。

(知らないことがこんなに恐ろしいことだなんてね……。
 10の概念世界を知って、それなりに色々知っているつもりだったのに)


 足跡、ひいてはその持ち主に対して戦慄を覚えつつ、ブレンヒルトはナナリーの車椅子を押して温泉へと向かう。
 たとえ脅威があったとしても、この破壊を行った者は派手に轟音を立てたに違いない。この木々の壊れようから言って無音で行ったとは考えにくい。
となればここに残っている可能性は低い。他の参加者がゾロゾロ来るのはさすがに避けるだろう。だから温泉にこのまま向かっても問題は無いはずだ。

(もっとも警戒は最大限にしないといけないわね)

 ブレンヒルトはデイパックから棒状の物を取り出すとそれを説明書に従って展開した。
 やがてできあがったのは十字の刃を持つ槍だ。それを右手に構えると、ブレンヒルトはナナリーと共に旅館へ入っていった。


 *****


「ここが女湯ね。ナナリー、私が先に入るから少しだけここで待っていて?」
「はい。わかりました、ブレンヒルトさん」
150創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:19:49 ID:BQpC4MPf
151創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:20:30 ID:BQpC4MPf

 ナナリーはブレンヒルトに押され案内されながら、旅館の中まで入ってきていた。
 旅館に入った途端、ブレンヒルトは注意深く警戒しはじめて、玄関からここに至るまで細心の注意を払っているようだった。ちなみに車椅子はそのまま乗っている。
玄関にあったタオルで車輪に着いた土を拭いて、ナナリーを玄関に一旦下ろし、ブレンヒルトが車椅子を床に持ち上げた。ナナリーは女性にそんなことをさせられない、
と思ったがブレンヒルト曰く車椅子はそれほど重くは無かったらしい。加えてブレンヒルト本人も『私やわじゃないから。美術部部長だし』と、まったく繋がっていない
が自信満々に言っていたのでブレンヒルトに車椅子を任せることにした。そして車椅子に乗り直しブレンヒルトの後を追いながらここに至る。


「大丈夫ね。入ってきていいわ、ナナリー」
「はい、今行きます」

 ナナリーは言葉に従い更衣室の中へ車椅子を進めた。
 少し進んだところで誰かの手にそっと体を止められる。当然ブレンヒルトだ。

「ちょっとここに棚が出ているからこっちに周って?」
「ありがとうございます」
「いいのよ。……ナナリーの進路上を遮るこの棚が悪いだけ。軽く切っておこうかしら」
「ブ、ブレンヒルトさん?」
「冗談よ冗談。私の持ってるものじゃ、とても切るのは無理そうだから」

 持っていたら切ったのかな、とナナリーは少し考えた。


「さて……ナナリー?早速服を脱ごうと思うけど……あなた、下はやっぱり脱ぎづらい?」
「ええ……動きませんから」
「わかったわ。私が手伝う」

 そして、ナナリーの下半身をブレンヒルトが掴む感触が――。


 *****


 何かが、来た。


 女に大きな衝撃による攻撃を受け、この温泉とかいう施設を訪れた後暗闇に包まれた2階の一室に隠れて傷を癒していたオレはその声にすぐ気づいた。
 なにしろここにはオレ以外はいない。オレの周りに音が一切ない以上、防音も何もなっていないこの建物ではよほど遠くない限り、1階の声は2階の客室まで充分聞こえる。

 ……声質の違う者が……2人。少し遠いのに加え、喋っていない人物がいる可能性も算段にいれれば、2人以上と踏んでおくべきか。
 聞こえる声はどちらも高めだ。女、子供の可能性が高い。
 複数で行動している以上、この殺し合いには乗っていない可能性が高いだろう。オレのように乗っている者ならば、他人など信用しない。出合った者は全て敵。共に行動するなどまずないことだ。
 となれば……オレは奴らを消す必要がある。乗っているならば、このまま見逃していた。ギラーミンが出した条件は、『24時間終了時点で参加者が半数以下になっている』ことだ。
オレがすべてをやる、という条件ではない以上殺し合いに積極的な奴はそのまま泳がせ他の参加者を減らさせた方が得策だ。だが、そうでないならば生かすメリットはない。マスターを救う可能性を高める為にも、
ここで始末するのが一番だ。

 だがここで問題がある。
 オレの傷がまだ完治していないことだ。
 普段ならば“じこさいせい”を使えば一瞬で治せる怪我も、このフィールドでは何故だか治りが遅く、今やっと体力の半分弱を回復したといったところだろう。
 女子供2人相手に何を臆している、とオレも思うがここにいる参加者は油断なら無い奴らばかりだ。ポニーテールに活動的な服(ただし下半身だけだが)を着た銃撃に優れた女、
仮面で顔を隠しそれほど力が無いにも限らずオレに勝とうと言う意思は確固たるものだった男。そして、オレに腹を貫かれたにも拘らずオレにここまでのダメージを与えた妙な耳の女。
 たった3人。そのたった3人にオレは重傷を負い、逃走を選ばざるを得なかった。
 ここでは一瞬の油断が命取りだ。たった2人の女子供も、どんな力を発揮するか分からない。オレは既に一つ支給品を失っている。できれば体力を完全に回復した状態で挑みたい。
 だが完治する前に奴らがここを立ち去る可能性もある。階下の電気はいまだ点いているから、まだこの建物内にはいるはずだ。だが、それも長くは続かないかもしれない。そうすれば
奴らを殺すチャンスが失われ、マスターを助けられる可能性が低くなる。
153創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:21:03 ID:uBFJFyp1
支援


 どうする……?


 ******


 心地いい。それがナナリーの温泉に対する第一感想だった。

 温かい湯が全身を包み、疲れてきた心にひと時の安息を感じる。何も着ていない体への直接的な熱がなんとも言えない。
 湯の浮力で動かない足も浮き、そんな浮遊感は体感する自身の重さを軽減させ更に心地良さに拍車をかける。
 加えてナナリーたちがいる女湯は露天になっており、外から来る冷たい空気が熱くなる顔を程よく冷ましてくれている。

「やっぱり温泉はいいわね……温泉はLow-Gの作った文化の極みだわ。そう思わない?ナナリー」
「そうですね……」
(Low-Gって?)

 同じ温泉に漬かっているブレンヒルト(勿論ナナリーにその裸の姿は全く見えない。よって描写なんてできるわけないじゃないですか常考)の言葉にかすかな疑問を
ナナリーは覚えた。思えば、ここに来る前にも彼女は『1st-G』という奇妙な言葉を使っていた。
 ナナリーはここに来るまですっかり聞きそびれていた。
(折角の機会ですし、聞いてみましょう)

「あのわひゃ!?」

 話しかけようとしたナナリーの体に突然何かが触れた。誰かの手だ。ネモは温泉から離れたところでこちらを見ている。ということは。

「ブ、ブレンヒルトさん?何を」
「……すべすべね」
「す、すべ…ひゃう!?」

 またも触られた。
 裸を触られる経験なんて、全然なかったナナリーにとっては声を上げてしまうほどの感覚だ。

「若いだけあって本当にすべすべ……勿論私も若いけど。あのドイツ女より。あのドイツ女より」
「なんで2回もううん!」
「……ごめんなさいナナリー。けれど、これはスキンシップよ。お互いの親交を深める為の。人間は肌と肌の付き合いで親交を深める、と本に書いてあったわ。
 決して、私の中のささやかで小さな愛らしい小悪魔がイタズラ心を刺激しているのではないのナナリー」

「そんなあん! そ、そんなところは……ひうっ! く、くすぐったいです……ああ! そこは

 *****

 何やら外の方でバシャバシャ水音が聞こえる。
 恐らくはさっきの来訪者達だろうが、暢気なものだ。この状況下で温泉に漬かるとは。
 いや、あるいは裸でも襲撃者に対応できる準備が充分ある、という捉え方もできるか。
 どちらにせよ、オレの決定事項は変わらない。

 オレは結局この部屋に潜み続ける事にした。ただし、来訪者の動きによっては対応を変える。

 もし奴らがオレの怪我の完治までここに居座っていた場合、オレは奴らを奇襲する。そう、奇襲だ。マスターの命がかかっている以上、
手段には構っていられない。オレ自身へのダメージを減らすため、不意をついて襲撃する。

 もし奴らが何らかの理由でこの部屋に踏み込んできた場合もほぼ同じだ。ここで待ち構え、入ってきたところを奇襲する。

 もし奴らがオレの怪我が完治する前に、ここを立ち去った場合は……見逃すしかない。ただし、奴らの行った方向は確認して完治の後追いかける。

 ここまでは奴らがオレに全く気付かなかった場合だが……万が一、奴らがオレの存在に気付いたならば……怪我によっては応戦するが、完治前ならば逃走する。
今はオレの身はできるだけ安全にしなければならない。ギラーミンは言った。オレが死んだ場合もマスターを殺すと。オレの死は即ちマスターの死。
オレは絶対に死ぬわけにはいかない。


 オレはデイパックから2つ目の支給品を取り出した。
 オレに支給された2つ目の剣。片刃で長さは身丈程もありそうな大剣。先の戦いでは守りの剣の方が攻めにも守りにも使用できるため優先的に使用していた。
 オレはその機械的な姿の一部にあるコンソールを見つめた。すると、闇の中で淡い光と共にそこに言葉が流れた。

『カエレル?』
(ああ、オレが帰してやる)


 この大剣、説明書によれば名を機殻剣(カウリングソード)『V−Sw(ヴィズィ)』というらしい。
 概念核やらなにやらよくわからない単語は読み飛ばしたが、この剣には意思があり複数の形態があるという。
 4つあると書いてあったが、制限で第2形態までしか使用できない、とわざわざ書いてあった。今の状態が第1形態であり、持ち主の意思により第2形態への変形が可能だという。
ただし、一度変形を行えばその後4時間の間の変形はできないらしい。
 つまりは使いどころを見極める必要のある切り札、というところか。使う時は必ず相手を仕留めなければならない。失敗は許されない。

 そして、この剣の意思。コンソールに表示されている言葉がそれだ。
あの3人との戦闘よりも前、支給品の確認中いきなり浮かんだ『ダレ?』という言葉に、オレは戸惑いつつもテレパシーで『オレはミュウツーだ』と返した。
本来ならばオレはマスターか、よほど心を許した人間、自分の意思を絶対にぶつけたい相手でもなければテレパシーを使いはしない。
今回は、3つ目の理由だ。生死をある程度預ける事になる武器だ。意思の疎通は必要だと思ったからだ。本来ならば音声で疎通する、と書いてあった為、オレとしても駄目で元々だった。
だが念でも意思は伝わったらしく、『ミュウツー?』と、コンソールの言葉がそれを証明した。その後、オレとV−Swは念とコンソール文字という奇妙な会話を繰り返した。

 その結果、V−Swもまた主を持つ存在であり、その主はこの会場にはいないこと。本来ならば主でなければ使えないはずの自身が誰にでも使えるようになっているらしいこと。
説明書の通り、自身の力に制限がかけられていることを知った。
 オレはV−Swに共感を覚えた。共に主を持ち、その主からギラーミンによって引き離されている者同士。V−Swもまた、さぞ主に会いたいであろうということは、
コンソールの文字からも充分伝わってきたし、オレもまたその立場にあるのだからよくわかった。
 だからオレは『オレはここから帰らなければならない。その為には力が必要だ。主以外に使われるのは屈辱に違いないだろう。だが、それをわかって頼む。オレに力を貸してくれ。
オレが優勝し、マスターを助けたときは、必ずギラーミンを殺す。そして奴の力を使ってお前を主の元へ必ず帰してやる。必ずだ』とV−Swに伝えた。
 それをV−Swは承諾し(もっとも、承諾如何に関わらずV−Swは使われる事に関して抵抗はできなくなっているらしい。だが、オレは無理強いをしたくなかった)、今の状況に至る。

(オレのエネルギーを回復に集中させている以上、念による戦いは避けたい。今頼りにしているのはお前だ、V−Sw)
『タヨリニシテ』

 V−Swの答えに、オレの顔は自然と緩んでいた。
 やはり、同じような境遇の同士と共にいて、オレも少し安心しているらしい。

 改めてオレは、状況に変化に対応できるよう、階下へと耳を澄ませ、V−Swをしっかりと持ち、構えた。
 その汚れなき刃を血に染める事に、わずかな心の痛みを覚えた。

156創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:25:18 ID:uBFJFyp1
支援
【B−7・温泉宿2階客室内/1日目 早朝】
【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】
【装備】:機殻剣『V−Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜1個(確認済み)
【状態】:中ダメージ(じこさいせい中)
【思考・行動】
 1:マスター(カツラ)を救う為、24時間以内に参加者を32人以下まで減らす。
 2:体を休めつつ、階下の人物の行動によっては奇襲する。
 3:魅音かハクオロが細胞を移植し、自分を追ってきたら相手をする。
 ※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。
  念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。
 ※念による探知能力や、バリアボールを周りに張り浮遊する能力は使えません。
 ※じこさいせいは直りが遅く、現在50%近くまで回復しましたが、完治まではあ最低でもあと2時間以上必要です。
 ※名簿を見ていないため、レッド、イエロー、サカキの存在を知りません。
 ※ギラーミンに課せられたノルマは以下のとおり
  『24時間経過するまでに、参加者が32人以下でない場合、カツラを殺す。
   48時間経過するまでに、ミュウツーが優勝できなかった場合も同様。』
 ※カツラが本当にギラーミンに拉致されているかは分かりません。偽者の可能性もあります。
 ※V−Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。
  使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、
理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。
 第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。


 *****


「うう……」
「大丈夫か?ナナリー」
「ええ」

 旅館1階、風呂入り口前の休憩用ベンチにナナリーは座っていた。おそらくのぼせた人間用のスペースなのだろう。
 ネモは座らず、近くの壁に寄りかかっている。
 ブレンヒルトは一緒に出た後、『忘れ物をした』と言って風呂へと戻っていった。

「ブレンヒルトさんって……ちょっと変わってるわね」
「素直に変人と言っていいと思うぞナナリー」
「そんな率直に言ったら失礼よ」
「率直だと思っているわけか」
「う」

 気まずそうな顔をしたナナリーに対し、ネモは深くため息をついてから厳しい目を向けた。

「ナナリー。あの女をあまり信用しない方がいい」
「!? な、なんで? だって、ブレンヒルトさんはここまで私のことを守ってきてくれて」
「それがそもそも信用できない。殺し合いという状況下で車椅子の少女を助けるメリットがどこにあるんだ?
 『貴方に私は守らせなさい』など、詭弁に決まっている。人間は自分に得がなければ行動なんてしない」
「で、でも! ブレンヒルトさんは純粋な善意で!」

 ナナリーはつい声を荒あげていた。
 ブレンヒルトに聞こえてしまったかと、口を手で抑えたが、しばらくしても彼女が来る気配はなかった。
 それを見計らったように、ネモは続けた。

「いいか、ナナリー。あの女は既に、ナナリーに2つ嘘をついている。どちらもナナリーの目が見えないことをいいことにな」
「えっ……」

 突然のネモの言葉に、ナナリーも思わず絶句した。
(ブレンヒルトさんが、嘘を……?)

「1つはここに来る直前だ。奴が黙った事があったろう。あの時、この建物の目の前には破壊の痕跡が広がっていた」
「破壊……?」
「木がいくつも根こそぎ砕け、倒れ、壊れている光景だ。まるでKMF(ナイトメアフレーム)が暴れたような、な。
 奴はその惨状を見ていながら、お前の目が見えないことをいい事に黙っていた。『何もなかった』と嘘をついてな」
「でも、それは私を怖がらせたくなくて」
「互いの安全の為にはあらゆる危険を知らせておくべきだろう。ナナリー、奴はお前に破壊者がまだいるかもしれない周辺を何も言わずに進ませたんだぞ」
「う……」

 ナナリーは二の句が続かなかった。
 ブレンヒルトはナナリーを怖がらせたくなかった。そう信じたい。
 けれど、それでもナナリーは真実を全て伝えて欲しかった。
 どんなひどい事も覚悟はできているつもりだ。
 だから、衝撃を受けていたことだけは確かだ。
 そして、ささやかな疑念がナナリーの心に生まれていた。

「もう一つは……ついさっき。いや、今まさに進行中だ」
「進行中……?」


「奴が戻ったのは、さっきまでいた『女湯』ではない。『男湯』の方だ」


【B−7 温泉宿・1階風呂場前休憩所/1日目 早朝】
【ナナリー・ランペルージ@ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[装備]:車椅子、ネモ
[道具]:支給品一式、全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero
[思考・状況]
1:男湯……?
2:ブレンヒルトを信じる…?
3:バトルロワイアルを止める
※ナナリーを守る。ブレンヒルトは信用しない(ネモの思考)
※参戦時期はサイタマ事変前
※『全て遠き理想郷』はある程度の防御力の強化、受けたダメージのワンランクの軽減、治癒力の向上に制限されている。


 *****

「……酷いものね」

 ブレンヒルトは思わず、先の惨状を見た時感じた感想と同じ言葉を呟いていた。
 なぜなら、目の前に広がる光景も、『惨状』だったからだ。


 ブレンヒルトはこの宿に入ってすぐに電気を点けた。
 もしここに誰かが潜んでいる場合、自分たちの存在を知らせてしまう事になる。だが、その誰かを見つけるには暗いよりも明るい方がいい。
 誰かいるならば、どの道自分たちの存在などバレてしまうだろう。ならば、身を隠しやすい闇よりも姿を見えやすくする光で相手をけん制しておいた方が良い。ブレンヒルトはそう判断した。
 そしてナナリーと共に風呂へ向かう進路上も、槍を構え先に自分が誰もいないことを確認してからナナリーを来させ、慎重に事を進めていた。
 2階に関しては、玄関口に張ってあった宿の構造図を見たところ、風呂への進路上に2階への階段が存在しなかったこと、電気が点いていないことから温泉に入った後でもいいだろうと後回しにしてあった。
 そして廊下の突き当たりの風呂場に辿り着いた。
 休憩用のベンチを間に二つの入り口が存在していた。左側が男湯で右側が女湯、とのれんが物語っている。○印にそれぞれ『男』、『女』と描かれる形で。
 この時もブレンヒルトは誰かが隠れている可能性を考え、ナナリーを入り口前で待たせてまずは男湯から見に行った。
 その時、この『惨状』を見て絶句したがナナリーを長い時間1人にしておくわけにはいかないため、人が隠れられそうな場所を一通り確認して、ナナリーの所に戻った。
 温泉から上がった後、ブレンヒルトは改めて『惨状』を確認しておこうと、ナナリーにはまた不安を抱かせないよう嘘をつき、男湯に戻ってきた。
 そして今に至る。

 男湯脱衣所の中は物品が色々転がっている。誰かがここで暴れたのだろうか。少なくとも、外の破壊者とは別人の可能性が高い。同一人物ならば、ここは部屋の原型すら残っていないはずだ。
だが、部屋自体は健在で、物が散らかっているくらい……。

(……『健在』じゃなかったわね)

 ブレンヒルトは更衣室の壁に近づき、それを見つめた。
 それは弾痕だった。壁に穿った後があり、覗き込んでみるとかすかに金属の輝きが見えた。弾丸が埋まったままになっているようだ。

(間違いないわね。ここで誰かが銃を撃った。
 錯乱して1人で撃ったでもない限り、誰かに向かって撃った、って考えるのが普通でしょうね。
 つまりここで少なくとも2人が争った。しかも、片方は銃を持って)

 ブレンヒルトの脳裏にイメージが浮かぶ。
 自分たちのようにここで温泉にでも入ろうとしていた、男(男湯の脱衣所なのだからその可能性が高い)。そこに乱入してきた誰かが男に向かって銃を撃つ。
 有り体な想像ならこんなところだろう、とブレンヒルトは思った。勿論、襲われた方が反撃に銃を撃った可能性もあるから、一概に今の通りとは限らない。

 ブレンヒルトは足を進め、風呂場の方に向かった。
 異常はすぐに見つかった。脱衣所と風呂場を区切るドアに大きな穴が開いている。

(何かしら、これ……銃弾にしては大きすぎる。
 男の拳くらいかしら……誰かがぶち破った?)

 ドアの穴。これからイメージできるのは……。
 襲われた男が襲撃者から逃れるため、風呂場に逃げ込みドアを閉める。
 だが、襲撃者はドアを拳で貫き……。

(違う……。
 このドア、鍵は内側から簡単にかけられるようになっている。逃げ込んだ人物は鍵を閉めるだけで相手が風呂場に入ってくることを阻止できた。穴が開けられたってドアは閉まっているの
だから問題はなかったはず。穴は鍵を開けられる位置にはないから、鍵を開ける為、ってわけでもないし)

 だが実際はドアの鍵は閉まっておらず、立てこもっていてもおかしくない逃亡者はここにはいない。

 風呂場にも入ってみるが、先に確認したとおり誰もいない。
 死体も転がっていない。
 死体がないということは、結果的にここでの襲撃はここで誰かが死ぬ事態は起こらなかったということになる。
 逃亡者が逃げる事に成功した、ということだろうか。

(これと外の大破壊は関係あるのかしら……。
 ……いえ。可能性は低そうね。あんなことができる奴なら、撃った方にしても撃たれた方にしてもさっさと使ってこんな部屋跡形もないでしょうし)

 ブレンヒルトは踵を返した。
 結局、謎ばかりが生まれて何もわからなかった。ここで一体何が起こったのか、弾痕とドアの大穴だけでは手がかりが少なすぎた。


 これからどうしようか、とブレンヒルトは思った。
 ナナリーのところへはまずすぐ戻る。だが、問題はその後だ。
 温泉を堪能した以上、さっさとここを出るに限るのだが一抹の不安がある。

 2階だ。
 暗闇に包まれたそこに誰かが潜んでいる可能性。
 脱衣所の現場を考えれば銃を撃った犯人かもしれないし、外の破壊者かもしれない。
 撃たれた被害者、の可能性は低いだろう。なぜならここから玄関まで、血痕はまったく見当たらなかった。宿の構造上、風呂場から2階へ行くには迂回して玄関を通らなければならない。
撃たれた者に自分の血痕を完全に拭い去る余裕と技術があるだろうか。

 もし、誰かが2階にいるとしたら……このままノコノコ外に出て行くのは危険かもしれない。銃を持っていたなら2階から狙い撃ちにされてしまう。
 かといって、2階に乗り込んでいくのも危険ではある。なにせ向こうは待ち伏せができる。こちらには近接武器しかないから、更衣室の銃撃者が相手だったならどうにも対抗ができない。
 もちろんただの取り越し苦労で2階に誰もいない、ならば1番良い。そうでなければ、どれもリスクが高いのだから。こちらにはナナリーがいる。車椅子では銃での襲撃に際し、逃げる事も満足にで
きないだろう。
 となれば……1番の策は、ブレンヒルトがナナリーを1階において、自分だけが2階に行き探索をすること。もちろん自分の危険が一気に増えるが……無力なナナリーが危険に晒されるくらいなら、
自分が傷つく方がマシにも思えた。

(ふふっ、いつから自己犠牲精神の持ち主になったのかしらね、私も……)
160創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:29:52 ID:BQpC4MPf


 ブレンヒルトは苦笑すると、デイパックから小さな球状のものを取り出した。
 それは支給品の1つで、彼女にとって最後の手段ともいえる代物であった。
 それを使った時、自分はどうなるかわからない。
 これもまた彼女の知っている範囲にはないものだ。何が起こるか本当にわからない。

(でも……もう、一度助けた命を取りこぼしたくは……ないものね)

 思い出すのは、かつて故郷で助けた小鳥。
 ナナリーのように、動く手段を失い誰かに食われるしか未来がなかった生物。
 助けた小鳥は……彼女の滅びた故郷と共に、消えてしまった。

 そして、Low-Gでも、小鳥を助けてしまった。
 けれどその小鳥も命の危機に瀕した。
 あの時の絶望感は今でも忘れられない。
 だから、もうあんな事は御免だ。
 自分はもうナナリーを助けてしまったのだから、それを最後まで続けなくてはならない。たとえ、わが身が……。

(ナナリー……あなたは必ず、私が守るわ)

 ブレンヒルトは球をぐっと握り締めると、これからについての思索に意識を戻した。


 その球の説明書には、使用者に対しての配慮がまるでない冷酷な文が記されていた。


『ARMSコア 『騎士(ナイト)』
 生物の頭部、又は胸部に直接当てる事でコアを埋め込むことができる仕様になっています。
 通常でも問題は有りませんが、身体の四肢、一部に完全欠損が存在するとよりお勧めです。このコアのお勧め欠損箇所は、左腕です。
 性能は――』


【B−7 温泉宿/1階・男湯脱衣所/1日目 早朝】
【ブレンヒルト・シルト@終わりのクロニクル】
[状態]:軽度の疲労
[装備]:汗で湿った尊秋多学院制服 アデルの十字槍@BACCANO!
[道具]:支給品一式、ARMSコア『騎士(ナイト)』@ARMS、不明支給品0〜1(1st-Gに関連するもの、遠距離攻撃ができるものではない)
[思考・状況]
1:2階の存在を懸念しつつ、これからどうするかを決める。
2:1st-G概念を行使できるアイテムを手に入れる
3:ナナリーを守りながら状況の打開策を考える
※森林破壊者、男湯銃撃者を警戒しています。また双方とも別人だと思っています。
※ARMSコア『騎士』に適性要素があるか、それとも誰でも使用できるのか、性能に関する具体的な制限、騎士自身の意志有無など、は後続の書き手に任せます。
162創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:31:31 ID:BQpC4MPf
投下終了です。
大分詰め込んでしまったのでまたも長くなりました。
タイトル元ネタは『ドラえもん のび太と夢幻三銃士』より。
多数の支援ありがとうございました。雑談に被ってしまい申し訳ありませんでした。


そして…。


サービスシーンに期待してくれた皆!
こんなんですまねえ!OTZ
164創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:36:16 ID:22JScaTr
>>163投下乙

>>139
羽入が梨花の子孫生んだのは神になる前

>>141
読んだけど忘れてた
でもそれありなら部活メンバーと詩音は耐性少なからずあることになるじゃん
165創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:41:00 ID:uBFJFyp1
投下乙でした!
いやー、描写が上手いな〜尊敬しちゃうな〜。
ARMSコアがカギになりそうだなあ。
とにかくミュウツーからは何とかして逃れないと色々大変だ


>>164
そうかい。もう不毛な争いはやめよう。
166創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:45:50 ID:BQpC4MPf
投下乙です!

すべすべ…だと!?肌と肌の付き合い…だと!?
ブラボー…おお、ブラボー!
でもブレン先輩、気持ちは非常にわかるが情報交換…いや、こんなナナリーを前にして手を出さない者がいるか?
いや、いまい!先輩GッJ!GッJ!!

…ふぅ。
先輩のナナリーを思ってしている行動が順調に勘違いを生み出してるなー
ナナリーもネモの事を隠してるから人の事いえないってw
でも先輩、色々と心配なことはわかるが、そっち行っちゃだめだー!
167創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 19:48:29 ID:ZJmLJCZX
投下乙です。
ARMSの核か……詳しく知らないけど良い感じの爆弾になりそうだw
てかブレンヒルトwwwお前という奴はwww
GJでした!


>>141
動けたのは梨花だけな
168創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 21:52:29 ID:dV4re3Tx
ARMSって知ってる人少なさそうなので、説明を投下するって形で支援。
執筆や制限議論などの参考にしていただければ幸いです。



*ARMSコアの説明 (簡易ver.)*

ARMSコアを身体の中に取り込むと、ARMSというナノマシン集合体による超能力が使用できるようになる。
ARMSには第1形態と第2形態(完全体)があり、第1形態では身体の一部のみが変形、第2形態では全身が変形する。
(カズマ@スクライドの第1形態と最終形態をイメージすれば解り易い)
ナイトを例に取ると、第1形態では左腕が硬質のブレードに、第2形態では槍と盾を持った騎士の姿と変身する。
また、ARMSを移植されると運動能力と治癒能力が著しく向上する。発動中、第2形態へと進めば更にそれは顕著になる。
ARMSはナノマシン――つまりは機械の集合体なので強力な電気を流されると一時的に機能が麻痺する。
また電子ウィルスにも弱い。だが、耐性を学習する機能があるので同じ攻撃は一度しか通用しない。

オリジナルと呼ばれる4つのコアには自立した意思が存在し、これに認められないと第2形態へとは変身できない。

ARMSに対する適性がないものがコアを取り込むと、ARMSの暴走により身体を浸食され死んでしまう。
適性は非常に厳密なもので、それは遺伝子による。



*ARMSコアの説明 (詳細ver,)*

【ARMSコアとは】
ARMSコアとは、アザゼルと呼ばれる宇宙から飛来した珪素生命体より分離、取り出されたものであり、
これを体内に移植されることで、その人間は炭素生命体と珪素生命体のハイブリット体――「ARMS」として強化される。

【ARMSとは】
ARMSの正体とはナノマシンの集合体であり、これが移植者やコアの持つ意思により身体に変異を齎し、
その身を強力な武器と変形させたり、運動能力の治癒能力を著しく向上させる。

 ■ナイトの場合、第1形態だと左腕の肘から先が硬質のブレードと化す。
 ■ナノマシンが全身に浸透すれば生身に見える部分でも超人的な力を発揮する。
 ■ARMSによる身体能力向上の程度は、爆弾の詰まったダンボール箱(30kg程度?)を数十メートル投げるくらい。
 ■また、人間大のサイボーグをパンチでぶっ飛ばしたりと、普通の人間の範疇を大きく超えている。
 ■切り傷などは一瞬で治癒。重傷を負っても致命傷でなければ時間をかけて治癒する。
 ■ただし、治癒はあくまで身体に擬態するナノマシンが傷を塞ぐだけなので疲労や失血までは回復しない。
169創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 21:53:03 ID:dV4re3Tx
【第1形態と第2形態(完全体)】
ARMSコアと移植者の意思が通じることで、ARMSは第2形態(完全体)へと進化する。
基本的な身体能力の向上と身体の一部を武器にするだけの第1形態とは異なり、
第2形態では肥大化したARMSが全身を覆いそのコアが持つ本来の姿へと見た目を変える。
この状態だと身体能力は更に向上し、そのARMS特有の超強力な能力の使用が可能となる。

 ■ナイトの場合、身長3-4mほどの騎士(甲冑)の姿へと変身し、ランスと盾が生み出される。
 ■特有の能力は超振動で全てを粉砕する「ミストルテインの槍」。また、盾はARMSなので破壊されても再生する。
 ■第2形態ともなると、数十メートルの跳躍を見せたりビルを粉砕したりとその能力は完全に超人の域に入る。
 ■変身中に受ける様々な強力な負荷はARMSが感覚をカットしてくれているのでそれを移植者が感じることはない。
 ■また、第2形態に変身する際、人間の状態であった時の負傷は全て同時に完治する。これは完全に変身しているため。
 ■変身時に身体が巨大化するため着ている衣服は破れてしまう。それが再生するということはない。

【ARMSコアの種類】
ARMSコアには、「オリジナル」「アドバンスド」「モディレット」の3種類があり、それぞれに異なる点が存在する。

 ■「オリジナル」はアザゼルが自ら生み出した物で、そのコアには自立した意思が宿っている。
 ■なので、このコアの意思に認められないと第2形態へとは変身できない。
 ■また、その意思は時に移植者の意思を押しのけてARMSを操作する場合もある。

 ■「アドバンスド」は人間が使いやすいよう調整して取り出したもので、そのコアに意思は存在しない。
 ■なので、コアの移植さえできれば第2形態へは移植者の意思のみで変身できる。

 ■「モディレット」は更に誰にでも扱えるようにと生み出された量産型のコア。
 ■ただし普段扱えるのは第1形態のみで、第2形態になると二度と人間に戻れないという欠点がある。
 ■また、上記の2つと比べると能力的にも劣る。

【ARMSの弱点と耐性】
ARMSは基本的に電気信号により活動している機械であるため、強力な電気を流されると一時的に機能が麻痺する。
また電子ウィルスを流されることでもその力が阻害されたり暴走を起こしてしまう。
しかし、ARMSには学習する機能があり、同じ攻撃に関しては耐性が生まれて次からは通用しなくなる。

【ARMSへの適正】
ARMSを移植するには極めて厳密な遺伝子による適性がなければいけない。
適性がない者にコアを移植すると、ARMSと人間の部分のバランスが取れず全身がARMSに浸食され死に至る。
170創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 22:28:53 ID:BQpC4MPf
おお、わかりやすい説明乙です!
ARMS未把握だからありがたいな

適正ないと侵食されて死に至るとは、適正結構厳しいんだな。
171創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 22:31:56 ID:f+GkyYa8
投下2つ来てる!

梨花ちゃまとニコ兄のコンビはいいなー
いろいろあったけど絆ができてきたようでなにより
しかしクレアwwwwwそれちょっとチートすぎるだろwww

ナナリーとブレン先輩の裸のおつきあい…ゴクリ
でも誤解フラグがあったりすぐそばにミュウツーが潜んでたりしてかなり波乱の予感
172創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 22:54:25 ID:BQpC4MPf
遅くなりましたが、地図更新です

http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00664.png
いやあ、遊園地周辺がおそろしい
173創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 23:02:35 ID:f+GkyYa8
地図乙です!
たしかに遊園地付近めちゃくちゃ恐ろしい…
全体的に左のほうが人多いな
174創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 23:18:56 ID:VeSAj424
地図乙!
確かに左の方に人数多いな。
誰が誰と接触してもおかしくなさそうだ。
そしてループしてるから違うのに、右下の劉鳳の凄いポツーン感はなんだろう。
175創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 23:29:57 ID:f+GkyYa8
な、、、さらに予約が2つだと!?
176創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 23:44:59 ID:uBFJFyp1
ふむ。見てきたがキャラに被りがあるから一人取り消してた
だから予約は一つだけだな。
177創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 23:46:41 ID:VeSAj424
おお、そうか。
5人パートktkr!
178創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 23:48:26 ID:uBFJFyp1
>>172
地図の修正要請〜
カズマの位置が違います。H-4の間違いかと思われ。
179創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 07:56:10 ID:+Z22rVIj
地図の人規制だとか

以下代理投下


おお、本当だ。指摘ありがとうございます!
修正版です
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00665.png
ってこのタイミングで規制ー!?
申し訳ないですが、誰か本スレに貼ってくれると嬉しいです
180創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 08:17:03 ID:odyWBMF8
チャット組うぜぇな
最初、多ロワにいた奴がなにくわぬ顔でこっちで書くとか馬鹿じゃね
自分達で潰しておいて、景気よくなると戻ってくるとか都合良すぎて素晴らしい
181創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 08:34:24 ID:COo+Oy0N
チャット組ってのが今一理解できないが、別に2つ3つまたがって書き手やっているのって悪い事じゃないだろ
書き手は書きたいところで書いているだけなんじゃないか
182創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 08:39:57 ID:XkGwvb8r
>>180
チャットは正義です
183創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 08:41:56 ID:odyWBMF8
全員が平等の企画なのに
@チャットとついてもおかしくない奴等がうざい
最初はボロクソに言っていたのに企画が乗り始めたらてのひら返してきたんだぞ
マルチが賑わってきたのはチャット組のおかげ
こう思われるのがかなり不快
別にチャット内で自分がマルチで書いているという必要ないだろ。
184創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 08:43:56 ID:XkGwvb8r
いきなりチャットの話
185創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:01:20 ID:LLoW3lNt
チャット組って何だ?
186創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:08:12 ID:odyWBMF8
毎日特定ロワの書き手で賑わっているチャットがある、そこにいる奴等のこと
チャットメンバーでもチャット組でも何でもいいが
最近気になっていたところに某所のレスで怒りが沸騰してしまった
とりあえず警告はできたからもういうことはない
187創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:08:33 ID:0QDjJzb7
>>183
ぶっちゃけ、チャットを見なければいい
後、君はこのロワに大いに貢献してきた書き手さんですか?
もしそうなら気持ちは分かるが、そうじゃないなら読み手様乙だ
書いてくれてるのにその反応は頂けない
188創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:45:33 ID:+Z22rVIj
そんなことより好きなキャラ話でもしようぜ
僕は蒼星石ちゃん!
蒼い子かわいいよ蒼い子ーー
189創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:47:49 ID:eLVKm7D5
荒らしたいだけなんだから無視しろよ…
釣られるなよ…
190創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:50:05 ID:pVrOp3hs
WORKINGの2人がいいな
最初はこんないいキャラだとは思いもよらなかったよ
191創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:50:59 ID:0QDjJzb7
ブレン先輩に決まっておる!!
ひんぬーツンデレ魔女は俺の好みどまんな…おや、だれか来たようだ
192創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:52:06 ID:Ctv+Oxqh
変態2人に囲まれた蒼星石ね。
あと、赤目鮫牙と錯乱少女に囲まれた翠星石。
ちょっと暴走気味の玉男とペアの真紅。
マッチョゼロ仮面とペアの水銀燈。

……なんでこうも同行者に恵まれないローゼン組。
193創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:52:28 ID:eLVKm7D5
俺はブラック・ラグーンだな。
最近、読み始めた。
194創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:53:29 ID:+Z22rVIj
あの2人はどっちも同行者との組み合わせがいいな
奇しくも佐山新庄コンビとお互いの相方を交換した形になってるのが面白い
195創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:54:45 ID:+Z22rVIj
>>192
そういえばそうだなw
薔薇乙女みんな微妙な同行者としか出会えてないw
196創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:55:52 ID:pVrOp3hs
ブレン先輩とナナリーとの入浴シーンをぜひ覗かせてもらいたいところ
197創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:57:04 ID:odyWBMF8
俺はローゼン知らなかったが今ではすっかり銀様ファン
198創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:58:10 ID:+Z22rVIj
ブラクラはバラライカの無双がどこまで続くのか期待
199創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:58:19 ID:Ctv+Oxqh
ひんぬー……そうか!ブレン先輩、ナナリーのそれなりにふくよかな(ネモ時だけのような気もするけど)あれに
嫉妬して、もみもみしまくったに違いない!
あれ? 俺の目の前に十字槍―
200創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 10:00:13 ID:pVrOp3hs
ローゼンというともうジュン死んでるしな
ジュンの死が伝わったら衝撃が走りそうだ
201創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 10:05:10 ID:uMhby71Q
俺は詩音が気になるな
冷酷な殺人者としての面と沙都子にのみ向けるためらいと愛情の2面性がたまらない
202創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 10:08:36 ID:+Z22rVIj
ふと思った
このロワって同行者に恵まれてるキャラのほうが少なくね?
203創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 10:23:40 ID:Ctv+Oxqh
ハクオロと魅音……あー、でも魅音下がブルマで空気読めないし…。
204創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 10:44:57 ID:B1lr/aBv
ロベルタ、サカキの冷徹コンビには期待せざるをえない。
205創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 11:02:00 ID:jrB5NESD
レヴィ・カビゴンだろJK……
206創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 11:02:41 ID:Ctv+Oxqh
その発想はなかった>参加者&支給品
207創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 11:03:24 ID:+Z22rVIj
カビゴンww
ポケモンであえてカビゴンを選んだところにセンスを感じたな
208創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 11:21:26 ID:F2GdX1El
まあレッドのメンバーにカビゴンいるからなw

しっかしゴンに限らずピカやフッシーも
仲間に恵まれてないというかなんというか
209創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 12:12:29 ID:Ctv+Oxqh
6匹中3匹出たとなると、ニョロさんの出番はあるのか!?
と思ったんで、未確認支給品の状況を纏めてみた。『所持者』まとめ。

1〜4:大阪
0〜4:無常
1〜3:カズマ、カルラ、バラライカ、橘、美琴、翠星石、レッド、チョッパー、レナ、劉鳳
1〜2:クリストファー、沙都子
0〜2:アルルゥ、詩音、ハクオロ、吉良、真紅、ロベルタ、グラハム
0〜1:仗助、レヴィ、まひる、クーガー、水銀燈

最大でも61個か……結構出たと思ったけど、またまだあるもんだ。
210創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 12:17:54 ID:Ctv+Oxqh
っと、最近の分が漏れてた。

1〜4:大阪
0〜4:無常
1〜3:カズマ、カルラ、バラライカ、橘、美琴、翠星石、レッド、チョッパー、レナ、劉鳳、康一
1〜2:クリストファー、沙都子
0〜2:アルルゥ、詩音、ハクオロ、吉良、真紅、ロベルタ、グラハム、蒼星石
0〜1:仗助、レヴィ、まひる、クーガー、水銀燈、佐山、ヴァッシュ、クレア、ミュウツー、ブレンヒルト
211創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 12:29:44 ID:+Z22rVIj
おお乙!
思ったよりたくさん残っるもんだな
212創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 12:44:35 ID:qfaXHX2E
乙です!
果たしてニョロはこの中に入る事ができるのか…

そういやミュウツーに支給されたVーSwって制限無しで第四形態までいったら一km位の大剣になるんだよな
制限外れてミュウツーとシンクロ率限界まで行ったらヤバそうだw
213創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 12:52:31 ID:F2GdX1El
ニョロもそうだけど残りのレッドのメンバーもでてくるかな?
プテとかブイとかギャラちゃんとか
214創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 12:56:07 ID:N6gt5zgn
ニョロさんが出ても、あっさり返り討ちにされる図しか浮かばない
215創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 13:02:47 ID:jrB5NESD
ポケスペ三巻に於けるニョロの不遇っぷりは泣ける。
ミュウツーに吹き飛ばされ、サカキのパルシェンに凍り付けにされ、グリーンのキュウコンに一撃KO………三巻終了時ではメンバーの中で一番レベル高いのに……
あまり使われてないこのスレ。
とりあえず、スレ立てるまでもない質問スレとして使ってはどうでしょうか。
もちろん、地図やまとめの諸連絡などにも使ってくださればいいのですが、

「書き手やりたいのでルールを一通り読んだけど、ここがわからない」
「wikiのここ、違ってませんか」

など些細な、だけど気になることについて質問して、それに誰かが善意のレスを返す。
という感じでやっていけたらいいのではないかと思います。
とりあえず皆さんの意見をお聞きしたいところです。(転載)
217創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:00:23 ID:LLoW3lNt
あんまりポケモンだらけになっても困るなw
レヴィが。
218創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:03:22 ID:Ctv+Oxqh
>>216
俺は賛成かな。ここでしにくい質問とかもできる場になればいい。

>>217
ポケモンばかり、ってことはないだろうけど……まあ、良い支給品ではあるな。
他にどんな支給品が出て欲しい?
219創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:04:34 ID:+Z22rVIj
それくらいここでやったらいいんじゃ?と思わなくもない
本スレで質問や雑談したほうが盛り上がるような
220創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:05:38 ID:+Z22rVIj
もっとハズレ支給品もあっていいと思うな
221創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:17:18 ID:F2GdX1El
長い目で見れば脱出プラグになりそうな支給品とか
そろそろ出てほしいかな
あと、参戦作品の中で唯一支給品の出ていない
ナイトメアナナリーにも目を向けてほしいかな
222創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:17:23 ID:jrB5NESD
>>216
俺も質問とかは本スレでいいと思うけどなぁ。
本スレとなんでもスレ、質問者が好きな方を利用するって感じで良いんじゃね?


>>218
トライガン系のビックリ武器を出して欲しい。
パニッシャーとかダブルファングとかゲルニカとか
223創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:18:47 ID:eLVKm7D5
支給品にセイバーとかイリヤとかヘンゼル、グレーテル
が入ってるといいな。
224創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:18:54 ID:LLoW3lNt
>>218
なるだけ作品毎に満遍なくとは思う。
俺も集計取ったわけじゃないからあれだけど。
225創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:20:01 ID:Ctv+Oxqh
ナナナはなー。基本ロボットものだからどうしても、見当たるのがKMFなんだよ。
ギアス能力とかもDISCみたいな移植アイテムないし。
226創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:21:02 ID:LLoW3lNt
ナナナからゼロの衣装は・・・と思ったが、あれは変装じゃなくて変身か?
227創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:24:31 ID:+Z22rVIj
わざざわ役に立つ武器を探さなくても日常品でいいじゃない
228創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 20:55:20 ID:pTsfpC18
スザクが持ってた拵えはブリタニア風な日本刀とか出せばいいんじゃ>ナナナからの支給品
229創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 21:03:36 ID:La20yOIb
ポケモンと言えば、サカキのスピアーの不遇さは異常。
サカキと組んだ戦闘能力はあの漫画のワタルのカイリューにも匹敵し、
デオキシスの瞬間移動にも追いつける厨スペックなのに……
230創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 21:07:12 ID:Ctv+Oxqh
ボールごと貫かれたエーたろうも忘れてはいけない。
231創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 21:14:09 ID:0QDjJzb7
>>218
ブレン先輩のために鎮魂の曲刃(レークイヴェム・ゼンゼ)出したいなあ
死者と対話できるっていうロワ向けの能力もあるしw
なにより死者達の協力により強い力を発揮できるってのが終盤辺りで燃え展に使えそう
232創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 01:02:42 ID:PLajBdO6
お、予約延長か
でも今晩中に来るんだって
これは起きていなければwktk
233創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 01:20:25 ID:2V0BneC1
予約が止まらない……!
てかあの書き手氏頑張りすぎだろw
234創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 01:21:32 ID:PLajBdO6
うわマジだ新しい予約きてるー
235 ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:14:01 ID:nxxR0Siy
大変お待たせしました。これからトウカを始めます
236創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:14:37 ID:OJZvZm3W
237非常な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:15:50 ID:nxxR0Siy
地獄のような殺し合いの場所にやっと日が昇り始めている。
悪夢のような夜が終わりを告げ朝が始まろうとしていた。
そして、その中で草原を2人の人間が黙々と歩いていた。
トゥスクルの皇、ハクオロと園崎家次期頭首、園崎魅音の二名。
ハクオロの背はに彼の部下であったトウカの亡骸が。
彼はトウカを埋葬する為に唯、歩いていた。

「済まないな、園崎……火葬を選ばなくて」
「いや、いいよ。おじさん、まさかそんな時間かかるとは思わなかったしさ……はは、やっぱり何も考えて無かったよ……私」
「いや……園崎はトウカの事を思っていただけだ……誰よりもな」
「……ハクオロさん」
「とりあえず街に行くぞ。そこに行けば何か道具など有るかもしれん」
「……うん」

彼らは火葬という手段を考えたのだが油などが無い現状遺体が燃え尽きるまで数時間もかかる。
且つ燃え尽きるまで、傍に居続けなければならない。
それに火葬で人を呼び寄せる危険性だって充分ありえたのだ。
呼び寄せる人が全て安全とは限らないのだから。
メリットよりもデメリットが多いと判断し火葬という手段を諦めた。
とはいえ、トウカを埋葬する事には変らない。
それが、魅音の意志でありハクオロの意志であるのだから。
そして埋葬する為の何か道具を探す為に止め街に探す事にしたのだ。

(……ハクオロさん)

魅音の前をトウカを背負っていたハクオロが歩いている。
何時の間にか魅音を追い越し唯、黙々と歩いていた。
口数も少なく足早に。
魅音は思う、ハクオロの事を。
トウカを失って最も哀しいのはハクオロだという事を。
でもそれを彼は決して言わない。
それが皇である自身の役目であるといいたいように。
決して何も言わず、立ち振る舞いに現さない。
理屈を優先している。

だけど。

ハクオロの本心はどうなのだろうかと思う。
ハクオロ個人としてはトウカの死をどう受け入れているのだろうか?
ハクオロはその死を吹っ切っているのだろうかと疑問に思う。
語る言葉はとても強い言葉だけど心は見えてこない。
理屈に固められた言葉だけ。
ハクオロの素の感情は見えてこない。
魅音はそれが何処かもどかしく感じ、でもそれを口にする事はできなかった。

ハクオロの表情を見ようと思っても仮面に隠された顔から何も読み取る事ができない。
それが何処か遠い存在のようにも感じて。
トウカの死をも力にしてるように感じていた。
魅音はそれが大人なんだろうかとさえ思ってしまう。
でもそれに対して魅音は思う。

(でもそれって……何か哀しいよ。それが大人というなら……私は何か嫌だ)

何か哀しいと。
それが大人になるという事なら。
成長というなら。
嫌だと思ってしまう。
確かに感情を喚き散らす事は決していい事とはいえない。
でも、感情を露わにしないというのもそれは何処か哀しいものだと思ってしまう。
238創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:16:12 ID:OJZvZm3W
239非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:17:06 ID:nxxR0Siy
これがハクオロの強さなのかもしれない。
でもそれは魅音からすれば寂しく哀しいものだった。

それがハクオロと自分との違いなのだろうかさえ。

小さいようでとても大きな違いなのだろうかと思ってしまう。


明確な『溝』かもしれないとさえ

思ってしまう。


(違う!……ハクオロさんは仲間だっ!……溝だとしてもきっと乗り越えられる。私達はそうしてきた……だから大丈夫)


魅音はそんな事を一瞬考え慌てて頭をブンブン振って否定する。
何を馬鹿な事をと思って。
第一今自分とハクオロはトウカを埋葬する為に団結していると。
溝があってもきっと乗り越えていける、そう前向きに思って前を向く。

考えるのはやめた、歩くことに集中すると決めて歩く足を早く動き始めた。

目の前には黙々と歩くハクオロが。

何故か魅音はそんなハクオロの背が近いのに遠く感じて。

そしてハクオロの背に背負われているトウカがハクオロには重たそうに見えた。

何故か。

何故かだけど。

そう

感じた。


感じて……しまった。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇









「ふぅ……結構歩いたね」
「……ああ」
240創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:17:27 ID:OJZvZm3W
241非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:18:32 ID:nxxR0Siy

あれからハクオロ達は歩き続け草原を抜け街を見つける事ができた。
早速道具を探索に入ろうとするも、もう少しで放送という事もあり一度休憩をとる事にし近くの家に入る事にした。
家は平屋でキッチンとリビングと二部屋しかなくリビングには大きなテーブル、食器棚、ベッドといったとても簡素な家だった。
家や町並み、家具にハクオロは驚ききつつも休憩を優先する。
ベッドにはトウカが安置されていてやすらかに眠っていた。
椅子に向かい合いながら座っていた二人は喋ることなく魅音は水を飲みハクオロはディバックの中に入っていた支給品を調べていた。
互いに何処か落ち着かないまま時間だけが過ぎていく。
放送が訪れるのを唯待っていて。

「園崎」
「うん……?」

幾らかの時が経った時だろうか、ハクオロが唐突に魅音を呼ぶ。
魅音がハクオロの方を向くと一丁の小さい銃と銃弾と3つの石がテーブルに置かれている。

「何さ? これ」
「私の支給品だ……進化の石とでりんじゃーという武器らしい」

テーブルに置かれていたのは進化の石とハイスタンダード・デリンジャー。
進化の石は炎と水と雷がありポケモンを進化させることができしかも無くならないらしいとハクオロが言いった。
が、ポケモンについてはハクオロも魅音も理解できないので何の石かさっぱり理解できずそのままにしておこうという結論に。
だが、ハクオロが見せたかったのは石ではなくもう一つのもだった。

「ハクオロさん……これって銃だよね?」
「ああ、銃が何がよく知らないが武器だ、そして説明を見る限り、園崎が持っているものと違って命を確実に奪う事ができる……凶器だ」
「……それが……どうしたのさ」
「これを……園崎に渡したい。私では使えこなえそうもないしな」
「……っ!?」

ハクオロはしっかりと意志を持った目をして魅音に告げ手渡す。
魅音は驚き、そして狼狽した。
両者とも理解していた。
命を奪う武器を与えるという事の意味を。その重さを。
それはもしも襲われて説得も聞かず仕方なくなった場合の時

「私に……人を殺せって言うの?」

その人を殺すという事。
命を奪えという事。
その覚悟を持てという……厳しすぎる事だった。
魅音は震えていた。
ミュウツーに襲われた時死ぬ可能性だった……いや代わりにトウカが死んだ。
ミュウツーが命を奪った。
その命を奪うという行為をもし襲われたからといって自分ができるのかと。
いや、結局は殺し合いに乗った人物と一緒の行為をしなければならないのかと。
不安と……そしてハクオロに対して一種の失望ともとれる哀しさが満ちていた。

「ねえ……どうなのさ?」
「…………そうではない……最悪の話……覚悟をして欲しいだけだ」
「同じじゃないか!……それ」
「………………」
「何か……いってよ……ねぇ?……ねぇってば」

魅音の声が震える。
ハクオロに言って欲しくなかった、そんな事。
例え、例え殺さなければならない状況が本当にきたとしてもだ、それでも言って欲しくなかった。
最後までそんな事言って欲しくなかった。
例え夢物語のような事でも、それでも。
理屈では、そうなる時がくる可能性だってある事はわかっている。
242創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:18:56 ID:OJZvZm3W
243非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:19:27 ID:nxxR0Siy
最初に襲われた時だったってそうなった可能性はあったのだから。
でも、殺すとかそんな事、言って欲しくなかった。
甘えだとしても。

言って欲しくなかった。

魅音の感情が、心が。

そう告げていたから。

ハクオロは唯黙っていて。
魅音は悲痛な顔をしてハクオロを睨んでいた。

やがてハクオロは口を開く。

「では……園崎。もしお前の本当に大切な仲間が襲われていた場合……殺すしか助ける方法が無い場合……どうするのだ?」
「……っ……それは」

ハクオロの問いに魅音が戸惑う。
もし、圭一達がミュウツーのような存在に襲われていた場合どうするのかと。
圭一達は絶対に助けたい。
でもその為に重い引き金を引けるのだろうか?
瞬時に答えは返ってこなかった。
狼狽する魅音にハクオロは続ける。

「そしてもしお前の仲間が殺し合いに乗ってもう戻れない位置にまで進んでしまった場合……どうするのだ?」
「……!?……それって」

魅音が聞き返すがハクオロは応えない。
それは暗に殺せるのかと聞いてるのと同じだから。
もし圭一達が殺し合いに乗って沢山の人を殺して狂気に駆られて止められなかった場合……殺せるのかと。
その問いに魅音は

「止めるさ! 何があっても!」
「……理想論だな」

殺しという選択肢は選ばない。
そんな事になっても仲間だけはどうしても止めたかった、絶対に。
そんな応えにハクオロは理想と切り捨てる。
叶わないものだと、理屈で。
魅音はそれに反論を言う。

「じゃあハクオロさんはどうするのさ!」
「私は……仲間を助けるのがそれしかない場合はそれを選ぶ。そして仲間達がもう戻れない位置まで進んでしまった場合……私が手を下す」

ハクオロはそう答える。
もし、エルルゥやアルルゥが襲われている場合……説得が聞かない場合殺しをえらぶだろうと。
それは戦でも一緒の事だから。
そしてカルラやベナウィが自分の為に殺し合いに乗り罪なきひとを殺し続けたの言うのなら、手を下すだろうと。

それが

「それが……皆の上に立ちそして国を治める皇のやるべき役割だ」

ハクオロの役目なのだからと結論付けて。
唯、そう言い放った。

「そんなの!……えっ?……」
244非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:20:05 ID:nxxR0Siy

魅音は怒りに駆られハクオロの胸倉をつかむ。
が、ハクオロの顔を見て直ぐ放した。

何故なら仮面に隠された顔の中で見える目がとても、とても悲しい目をしていたから。

それ以上魅音は言えなかった。

言える訳無かった。

その途端自分自身が何処か恥ずかしくなって

「ご、ごめん……ちょっと風に当たってくるよ」

魅音は身を翻し家から出て行く。
ハクオロの問いに答えを返さないまま。

唯、立ち去った。

今はきっとお互いに落ち着かないといけないから。

そう、そう思ったから。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「はぁ……なにやってんだろ……私」

魅音は玄関の扉に身を預けながら呟く。
またハクオロとぶつかってしまった。
何故かそれか無性に悔しくて。
心が不安で揺れている。

「殺す覚悟……かぁ」

手に握っている小さい銃を見つめる。
とても小さい銃。
だけど確実に人を殺せるものだ。
この重たい引き金を引けば。
殺せるのだ。

不安になる。

ハクオロから投げかけられていた言葉。

仲間の為に誰かを殺せるか。
仲間を殺せるか。

どうなんだろうと思ってしまう。

大切な仲間達。
245創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:20:24 ID:OJZvZm3W
246非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:20:41 ID:nxxR0Siy

前原圭一。
園崎詩音。
竜宮レナ。
北条沙都子。
古手梨花。

その仲間達が襲われていたとしたら……?

もし殺されていたりしたら……?

あのトウカでさえ殺されたのだ。

仲間が死なないなんて事……ありえないのだから。

そんな絶望がありありと思い浮かんでしまう。

圭一が剣で串刺しになる姿。
詩音が銃で頭を撃たれる姿。
レナが車で轢き殺される姿。
沙都子が首を絞められる姿。
梨花が崖から落とされる姿。


有りえるかも知れない……絶望。


「嫌だっ……そんなの絶対に嫌だっ!」


仲間が殺されるなんて嫌だった。
そんなの絶対に嫌だった。

なら。

仲間を助ける為なら……殺す?


「わかんない……そんなのわかりっこないよ」


解る訳無かった。

解りたくも無かった。


そして仲間達が殺し合いに乗ってしまう……もう一つの絶望。

雛見沢症候群。
それによってもしかたら全員がそうなってしまう可能性だって……有りえるのだ。
雛見沢症候群だけではない。
この殺し合いの恐怖に飲まれて錯乱してしまう可能性だってある。
恐怖に負けてくるってしまう事はありえてしまうのだから。

絶望が溢れるこの殺し合いでは
247創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:21:09 ID:OJZvZm3W
248非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:21:12 ID:nxxR0Siy
狂いに狂って戻れない事が有りえるかもしれないのだから。

圭一が狂い。
詩音が狂い。
レナが狂い。
梨花が狂い。
沙都子が狂い。


魅音の自らの手で殺さないといけなくなる……絶望。


「それも……もっと嫌だっ! 絶対に嫌だっ!」


それも嫌だった。
絶対に嫌だった。

そんな絶望。
そんな運命。

絶対に嫌だったから。


ならば魅音は

「私は……どうすればいい?」

どうすればいいのかと心に問う。

仲間を助ける為に。

そんな絶望避ける為に。

どうすればいい?








「そうさ……簡単だよ」

……簡単だった。

とても簡単だった。

大切な事を魅音は見失う事だった。

例え絶望だらけだとしても。

魅音はそれを信じればいい。

どんな時でも。

そう、

それは
249創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:21:34 ID:IblKfq2X
 
250創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:22:01 ID:5mFraLfi
 
251創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:22:06 ID:IblKfq2X
  
252非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:22:16 ID:nxxR0Siy


「それでも……私は……絶望よりも……希望を! 仲間を! 信じるっ!」

絶望よりもかすかにでも存在する希望を信じる。

そして共に戦った仲間を。

何処までも。
何時までも。

絶対に。

絶対に。

信じ抜けばいい。

唯、それだけなのだから。



魅音は拳を空に向かって高く高く突き出した。

希望を仲間を。


絶対に信じるために。


日はもう既に

高く高く上っていた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




253創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:22:17 ID:OJZvZm3W
254創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:22:48 ID:OJZvZm3W
255非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:22:53 ID:nxxR0Siy
「私は何をしてるんだろうな……トウカ」

ハクオロは溜め息をつつベットに寝ているトウカに呟く。
もうトウカは問い返す事ができないのは知っているのに。
それでも自嘲を聞いてもらうしかなかった。

魅音に言った事。
自分でも厳しいと思うぐらいの事。

それを今魅音に聞いた。

自分は偉そうに言ったが果たして自分はそうなのだろうか。

理屈では解っている。
そうだと言い切ったのだから。

だけど、それは余りに悲しい事だ。

自らの手で仲間を殺さなければならないという事は。
臣下の過ちを正すのは君主の役目だ。
だがしかしハクオロにとってベナウィやカルラは臣下以上に

家族でもあったのだから。

もし彼らが殺し合いに乗って止まらないのなら。

自ら手にかけなければならない。

そう、家族を殺さなければならない。

それは、それはとても悲しい事。

とても悲しい事だ。


でもそれを選ばないといけない。
悲しくてもだ。
それが救いとなりえるのなら。
それで罪が償えるとなりえるのなら。

選び取らなければならない。

君主として。

でも……それは悲しい事。

ハクオロの本心を押し潰してやらなければいけない、とても悲しい事だ。


「無様だな……私も」

そうハクオロは自嘲する。
冷静である様勤めても身体が震えてしまう。
これで一国の君主かと笑ってしまう。
256創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:23:06 ID:IblKfq2X
 
257創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:23:31 ID:OJZvZm3W
258非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:23:32 ID:nxxR0Siy
そして仲間の為に誰かを殺すという事。

そんな事慣れている。
もう、ずっと前からやっていたのだから。

だがしかしそれよりも別の感情が湧き上がっていたのだった。

それは家族が殺される恐怖。
エルルゥ、アルルゥが凄惨に殺されてしまう姿。

もし、だ。

もし彼女達を殺され彼女達を殺した者にあったとして。

自分は冷静でいられるのだろうかと。
ハクオロ個人に戻って激昂して止まらなくならのではないかと思ってしまう。

君主でいられるのだろうか?





「……無理かもしれない」

ハクオロはその問いに対して肯定は出来なかった。
なんて甘いのだろうと笑いたくなるぐらい。
本当に無様だった。

「なあ……トウカ……お前は笑うか? 無様な私を」

自嘲するようにトウカに問う。
当然答えは返ってこない。
でも、トウカのやすらかな顔は凛としていて。
ハクオロはそれを唯見つめるだけ。



それを見てはっと思う。

「いや……私はそれでも生きて胸を張って生きていかなければならない。命を尽くしたお前の為に」

例えハクオロの今の姿が無様であっても生きなければならない。
迷っていてもそれでも胸を張らないといけない。
それが命を尽くしたトウカの為にできる事。

トウカの生を馬鹿にされないようにするにも自分は胸をはりしっかり生きなければならない。

それが君主を想い剣に想いを残したトウカの為に自分ができる事なのだから。

「お前には……もう、三度も助けられたな」

笑いながらハクオロはトウカに言う。
そして忠節を尽くしたトウカに今、ハクオロができる事。

259創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:23:33 ID:5mFraLfi
  
260創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:23:41 ID:IblKfq2X
  
261創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:24:02 ID:OJZvZm3W
262非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:24:23 ID:nxxR0Siy


仲間であったトウカに感謝を。
家族であったトウカに哀悼を。

そして臣下であり最高の武士であったトウカに告げる言葉を。

彼女の働きを認める最大の言葉を。


「御勤め……ご苦労であった」


贈った。

心の。
心の底から。



その時


―――忠義、尽くしたまで。


トウカのその言葉が。

ハクオロの心に。

そっと。

そっと聞こえた気がした。



【A-6 線路沿い/一日目 早朝】



【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL
【状態】:健康 体に僅かに痛み トウカの遺体を背負っている 服の裏にトウカの血がこびりついている
【思考・行動】
 1:ギラーミンを倒す
 2:仲間(魅音の仲間含む)を探し、殺し合いを止める。全てを護り抜く。
 3:トウカを弔う。
 4:ミュウツーに対して怒りの念。



263創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:24:45 ID:5mFraLfi
   
264創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:24:57 ID:OJZvZm3W
265非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:25:30 ID:nxxR0Siy


【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
【装備】:空気ピストル@ドラえもん ミリィのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム
【所持品】:排撃貝@ONE PIECE、デリンジャーの残弾20、基本支給品一式
【状態】:健康 体にやや痛み 悲しみ
【思考・行動】
 0:仲間を信じる
 1:仲間(ハクオロの仲間含む)を探し、殺し合いを止める
 2:詩音と沙都子にはやや不安。
 3:トウカを弔う
 4:線路を辿って駅に向かう?
 5:ミュウツーに対して恐怖。
 6:死者に対しては誠意を以って対応する
※本編終了後の参戦です。雛見沢症候群の事を知っています。


【支給品説明】
クチバの伝説の進化の石@ポケットモンスターSPECIAL
クチバシティの海のそこにあるという進化の石。
普通の石と違いポケモンに使ってもなくならない。炎、雷、氷のみっつ。

ミリィのハイスタンダード・デリンジャー@トライガン・マキシマム
ミリィ・ストライフが使用するハイスタンダード・デリンジャー。
小型の銃で手のひらに収まる程度。
266創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:25:32 ID:OJZvZm3W
267非情な覚悟と揺れるココロと ◆UcWYlNNFZY :2008/12/30(火) 03:26:01 ID:nxxR0Siy
投下終了です。
支援有難うございました。
指摘、感想お待ちしています
268創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:30:43 ID:OJZvZm3W
投下おつかれさまです。
魅音の若者っぽさがいい。しかしそれよりもハクオロさんの大人の哀愁がなんともいい!
あぁ、放送後のリアクションとかどーなるんだろう?w
GJでした!
269創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:33:54 ID:5mFraLfi
投下乙です。
やはりハクオロさんかっこいいですよ。クールなだけでは人はついてこないのです、多分。
二人共人情味溢れる人間で、そんな二人が生死を真剣に考えながら葛藤する様が、とても良く描かれていたと思います
270創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 03:39:08 ID:IblKfq2X
投下GJです!
この雰囲気最高だ
二人の心情がよく伝わってきます
271創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 04:13:15 ID:bIjuIm8L
投下乙!
原作では命乞いするわ空気読めないわ不遇で駄目な子だわなあの魅音がまるで別人のように輝いてる……!
頑張れ魅音!
272創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 16:37:33 ID:PLajBdO6
投下乙!
魅音とハクオロの対比がいいねー
273創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 17:48:56 ID:2V0BneC1
投下乙ですー。
細かい心情描写がうまかったです! GJ!


そーいや明日は、延長の二つ、サカキ組、五人予約組で投下ラッシュか?
wktkしながら待機してようw
274創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 21:58:42 ID:NA5ywIKy
投下乙!
やっぱいいなぁこの統治者コンビ。
『現』と『次期』の違いがよく出てて、良い繋ぎSSです。
進化の石にデリンジャーか……ニョロさんニョロゾフラグktkr!?
そしてそれでも忘れられてるミュウツー細胞涙目。
本当この2人は先が面白そうなコンビですね。
改めてGJ!

>>273
今はこんな感じ。

12/31(水) 01:02:09まで ◆SqzC8ZECfY『切嗣、クロコダイル、美琴』(延長済み)
12/31(水) 03:02:12まで ◆Wott.eaRjU『サカキ、ロベルタ』
12/31(水) 11:05:14まで ◆TEF4Xfcvis『真紅、橘、ベナウィ、ルフィ』(延長済み)
12/31(水) 22:43:16まで ◆/1LLBq1Ub2『ライダー、イスカンダル、チョッパー、レナ、グラハム』
12/33(金) 01:05:14まで ◆EHGCl/.tFA『ゼロ、水銀燈、ヴァッシュ、康一』

次からはしたらばの予約スレに貼った方がいいか?これ
275創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:01:22 ID:NA5ywIKy
33日ってアホか俺は!?

12/31(水) 01:02:09まで ◆SqzC8ZECfY『切嗣、クロコダイル、美琴』(延長済み)
12/31(水) 03:02:12まで ◆Wott.eaRjU『サカキ、ロベルタ』
12/31(水) 11:05:14まで ◆TEF4Xfcvis『真紅、橘、ベナウィ、ルフィ』(延長済み)
12/31(水) 22:43:16まで ◆/1LLBq1Ub2『ライダー、イスカンダル、チョッパー、レナ、グラハム』
01/02(金) 01:05:14まで ◆EHGCl/.tFA『ゼロ、水銀燈、ヴァッシュ、康一』
276創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:10:12 ID:PLajBdO6
今夜またいくつか来そうだねー
277 ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:12:26 ID:eL32r7MH
では衛宮切嗣、サー・クロコダイル、御坂美琴を投下します
278創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:12:49 ID:2V0BneC1
>>274>>275
まとめ乙!
少なくとも延長の二つは投下されるのか、今からワクワクするw

あと、まとめ貼る場所はどっちでも大丈夫だと思う……てかどっちにも貼っちゃえばいいんじゃねw
それか気付いた人が転載するとか
279同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:13:35 ID:eL32r7MH
東の空から差し込む夜明けの輝き。
反対に西の空にはまだ星が残る光と闇の空漠の下、街灯の人工的な光に照らされた道路を一人の男が走っていた。
カツ、カツと足音がアスファルトを叩く音。
だがそれは一定しないリズム。
地味なコートを羽織り、ふらつく足取りで、時折体勢を崩しながら、それでも前へと身体を運ぶ。
衛宮切嗣は汗と血が入り混じる苦悶の表情を浮かべていた。
襲撃者からの逃走を図る際、己の奥の手である固有時間加速を使った。
その反動が切嗣の肉体に莫大な付加をかけていたのだ。
切嗣は自らの時間を三倍速まで引き上げることで、普段の三倍の速度で動き、逃走に成功した。
ならばその反動とは一体何なのか。
それは至極、単純な話。
三倍の速度で動くために、心臓の鼓動や全身の血流を、同じく三倍の速度で動かせばどうなるか。
不整脈でまともには身動きがとれず、一気に三倍の血が循環すれば毛細血管は耐え切れず破裂し、全身に内出血を起こす。
使った時点で、全力で戦うことはほぼ不可能だ。
それどころか一刻も早く身体を休めなければならないほどのダメージである。
だが足を止めれば追いつかれる。そして襲撃者に追いつかれれば自身の命は風前の灯に等しい。
だから無理を押して、さらに切嗣は走る。
ぜえぜえと荒い息の音だけが、道路上の静かな空間に響く。
どれくらい走ったのか。短いようで永遠に感じる時間だった。
太陽が地平線から顔を出していた。
真夜中の風景に慣れていた切嗣の瞳には、夜明け間際の微かな光に照らされたショッピングモールの姿がやけにまぶしく写る。
やはり切嗣の予想通りだった。
消防署から南下してこのモールにたどり着くには、地図の下辺から上辺に地形が繋がっていなくてはならない。
だがそれを考えるのは後だ。
後ろを振り返る。
襲撃者は数百メートル後方で悠然とこちらに歩を進めてきている。
本気で追ってくる気がないのか、それともどういうつもりかは切嗣は知ろうとも思わない。
ただその慢心に付け込んで、状況をすこしでも有利にする方法と手段を模索するだけだ。
切嗣は迷わずモールへと飛び込んだ。
広い駐車場を横断して、さまざまな店舗が連なる自動ドアの向こうへとその身を躍らせる。
もう一度振り返った。
まだ襲撃者は追いついていない。
まだあの傷の男の姿は敷地の中には見えない。
このモールなら隠れる場所には事欠かない。
隠れてやり過ごし、そしてまずは体力の回復に勤めなければならない。
とりあえず、あの男が追いついてくるまであまり時間があるわけではない。
切嗣は目に入った様々な店舗のうちの一つ――――とあるレストランへと飛び込んだ。


   ◇   ◇   ◇


コートの男がショッピングモールへとたどり着いてから十分ほどの時間が過ぎていた。
顔の端から端まで真一文字の大きな傷を刻んだ偉丈夫が、その巨大な施設の入り口に立ったところで、感心したように呟く。
傷の男、その名はサー・クロコダイル。

「しかし……たいしたもんだな」

遠目から見た限りでは、ただ巨大なだけに過ぎない建築物かと判断したが、そうではない。
ドアはガラス。透けて見える内部は華やかな装飾が施され、閑静な周囲の景色から切り離されたようなきらびやかさで彩られていた。
内部へと歩を進める。
すると磨き上げられた硬質の床が先へと伸びており、その両脇に連なる小奇麗な構えの様々な施設が彼を迎えた。
そこらの軒下に店を広げた露天商ではない。高級商店街を屋内に詰め込んだようなその景色は、クロコダイルの世界にはないものだった。
コートの男を追っていることも僅かの間忘れて、物珍しそうに周囲を見回しながら歩く。
280創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:13:42 ID:2V0BneC1
アッー! 被った……ホントすみませんorz
支援します
281創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:14:39 ID:2V0BneC1
支援
282創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:14:51 ID:PLajBdO6
ってキター
283同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:15:47 ID:eL32r7MH
カツ、カツと硬質の足音が一定のリズムで響く。
その歩みが突然、止まった。
フン、わずかに鼻を鳴らして、ある施設を凝視している。
その視線の先にはレストランの入り口があった。
ガラス戸の向こう側には店内の様子が見えている。
白いクロスに覆われた清潔なテーブルに落ち着いた色合いの椅子。
明るすぎない程度に調節されたライトがそれらを照らしている。
そして床のカーペットにぼんやりと写る――――影。

「…………」

クロコダイルの目が無機質な狩猟者のそれに変化した。
ゆっくりとレストランのドアに手をかけ、開けていく。
馬鹿が――と口元が思わず歪んだ。
よりによってガラス張りで中の様子が丸見えの店に飛び込み、あまつさえ隠れたつもりで自分の影すら隠せないとは。
レストランの入り口からすぐの場所にあるレジの向こうにはキッチンへの入り口が在る。
その入り口の床には、人の形をした影がうっすらと浮かんでいた。
つまりそこに奴はいる。入り口のすぐ横の壁に身を隠したつもりでいる。
だがクロコダイルにとっては、その位置さえ分かっていれば、そんなチンケな壁は盾になどならない。


「――砂漠の宝刀ッッ!!」


容赦も慈悲もなく、間髪入れずに必殺の一撃を放った。
砂には細かく砕かれたガラス質や鉄分が含まれている。
砂とは元々が鉱物であり、それを凝縮した刃はつまり一般的な剣のそれと変わらない。
むしろクロコダイル自身の鍛錬によって剃刀以上に細く鋭く、まさに砂粒のようにミリ単位以下まで研ぎ澄まされた一撃は、名刀と呼ばれる剣の切れ味すら遥かに上回る。
ただの壁などたやすく両断し、その向こう側で震えて隠れるネズミの首にいたっては話にもならないだろう。


――斬ッッ!


切り裂く音。


――どさっ。


何かが落ちた音。


――ころころ。


そして、何かが、転がる、音。


   ◇   ◇   ◇

明け方の空気は冷える。
夏休み真っ最中の学園都市からいきなり拉致された御坂美琴は、もちろん夏服だ。
校章の入ったベストをワイシャツの上から身につけているとはいえ、短いスカートに半袖だけではちと辛い。

「うー……ほんとどこなのよ、ここは」

夏でもなく冬でもない。
その中間の何ともいえない微妙な気温である。
おまけに先程のひと悶着で少し汗をかいてしまって、それがさらに身体を冷やす。
284創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:17:26 ID:PLajBdO6
285同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:17:36 ID:eL32r7MH
土埃に塗れた全身をパンパンとはたいてから、なだらかな斜面に広がる草むらに身を預けてしばらく休んでいたが、いつまでもこうしているわけにもいかない。
そろそろ行動を起こすことにする。
とりあえず外気でこれ以上身体を冷やすのは御免こうむりたいところだ。
斜面の下に視線を向けると、そこには一本の大きな道路があった。
無数の街灯に照らされて、薄暗い景色の中から浮かび上がるように存在をアピールしている。
道路の周りにはぽつんぽつんと民家。そしてもう一つ、道路の街灯に匹敵する光量に彩られた巨大なショッピングモールがやや遠くに見えている。
ここから降りていけばひとまず休む場所には困らない。
そう判断して御坂美琴は斜面を駆け下りようとした。

「……!」

周囲は無人。そして静寂。
ゆえに動くものが存在すれば、それはことのほか目立つ。
少なくとも200メートル以上離れているとはいえ、その姿を彼女の視界が捕らえるのは容易いことだった。
即座に草むらに伏せて身を隠す。
美琴が見つけたのは、ふらついた足取りで、それでも懸命にモールに逃げ込んでいくコートの男。
そしてその数百メートル後方。
悠然と道路の真ん中を進み、コートの男を追うもう一人の男。
コートの男は追われているのだろうか。
殺し合いをしろといわれてここに放り込まれたからには、この状況で推理できることは――、

「あの後ろの男にコートの人が襲われたってことか……」

御坂美琴は超能力者である。
都市ぐるみでそのような能力開発を行う『学園都市』において、トップクラスの能力者たちが集う名門、常盤台中学に所属。
そのようなエキスパートたちの中でも彼女は一目置かれる存在だ。
二つ名は超電磁砲<<レールガン>>――――その力は単独で軍隊に匹敵すると言われるレベル5、つまり最強の超能力者の一人であるという称号。
だが彼女には元からそのような強力な能力があったわけではない。
もともとの力量はレベル0。つまり彼女は自らの努力によってここまでのぼりつめたということだ。
むしろだからこそ自らの力に対する自負も強い。
自分が正しいと思ったことを貫き通す。まっすぐに。
その実力も相まって常に人の輪の中心にいるが、そういったスタンスをとればそれなりに敵も多い。
だがそれも意に介さない。自分を信じているのだ。
そうやってできなかったことなどないから。
頑張れば報われる。正しいことをすれば世界はきっとよくなる。皆幸せになれる。
信じていた。
そう、今までは。
草むらに身を伏せた美琴は、その体勢のまま動かず、地面の青草を握り締めた。
その手には震えがあった。
そうしているうちにもう一人の男もコートの男を追ってモールへと歩を進めていく。

「くっ……」

御坂美琴は勝気な性格だが基本的には優しい人間だ。
子供の頃は病気の人を助けるためと言われて、自分の遺伝子情報を素直に医者に提供した。
それは今も変わっていない。
いつもどおりなら正義の味方よろしく、あの男の前に立ちはだかって電撃をお見舞いしていただろう。
それができなかった。
隠れて離れたところから見ているだけ。
その手には震え。
本人は指摘されれば否定するだろう。
だがそれは紛れもない、恐れと言う感情だった。


   ◇   ◇   ◇

286創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:17:41 ID:PLajBdO6
287創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:18:11 ID:PLajBdO6
288創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:18:37 ID:PLajBdO6
289同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:19:26 ID:eL32r7MH
「は……はっ……」

懸命に呼吸を落ち着かせる。
このモールは広大だから、隠れることさえできれば確率的に見つかる可能性は限りなく低い。
敷地面積は数百メートル四方、店舗数だけで数十を数えるだろう。
大丈夫だ。
しばらくはゆっくり休めるはずだ。

「くそっ……」

切嗣は歯噛みするのを抑えきれない。
あの傷の男、そこらの魔術師どころの話ではない。
人間を越えた死徒、または下位のサーヴァントクラス。
名簿にあったライダーやアーチャーといい、あんな化け物がゴロゴロいるとでもいうのか。
勝てない――と切嗣は己を冷静に客観視した上で考える。
自分ですらそうなのだから圭一などは生贄となるべくしてここに連れてこられたようなものだ。
人間の範疇では、どう足掻いたところで勝ち残るなど不可能に等しい確率。
腕の令呪を見やる。魔力の反応は健在。
呼べばセイバーは応えてくれるだろうか。


「――令呪をもって我が傀儡に命ず」


小さく、呟くように鍵となる言霊を紡ぐ。


「――ここへ来い……セイバーッ……!」


令呪の一画が消えた。
正しく機能すれば次元の壁すら越えてサーヴァントはマスターの元へ駆けつけるはずだった。
それが令呪の力だ。
全ての願いを叶える超常の願望機たる聖杯がもたらす奇跡の一つ。
だがそれが――――何も起こらなかった。

「なぜだ……!?」

驚愕に切嗣の目が大きく見開かれた。
ここへ自分たちを連れ去ったギラーミンが令呪の働きを妨害したとでもいうのか。
もしセイバーを召喚できるとしたら、彼女は絶対に殺し合いなど認めないだろう。
圭一のような一般人が巻き込まれていればなおのこと。
殺し合いを停めるために動くであろうセイバーの召喚をギラーミンが邪魔するとしたら?
ならば――――それが可能だとしたら、奴は聖杯以上の力を持っているのか。
にわかには信じられないが、それならばライダーやアーチャーが自分たちと同じ立場で殺し合いをさせられているのも納得がいく。
だが、おかしい。
それほどの力を持っていながら、何故今さら、奴はノビタとかいう少年への復讐などに固執するのか。
名声? ――そんなものは復讐などせずともいくらでも手に入るだろう。
もし聖杯の力すら意のままに妨害できるなら、それは国一つ、惑星一つをその手に治めることすら可能な力を持つということ。
それに比べてギラーミンは、あまりに目的が小さすぎる。
数多の怪物どもを含めた大勢の人間を容易く拉致し、脱出不可能な閉鎖空間を形成し、最後の一人になるまで殺し合わせる。
これほどまで大掛かりな仕掛けを用いた悪辣なゲームの最終目的が――たったひとりの少年への復讐だというのか。
馬鹿げている。
ギラーミンの小ささだけが、あまりにこの殺し合いのとんでもないスケールから浮いている。
だが、正直にいって現在の切嗣にはそこまで考えているような余裕はない。
前門には令呪の力すら封じるギラーミン。後門には超級のサーヴァントをはじめとする人外の怪物ども。
虎と狼の挟み撃ちなどというレベルを遥かに超えている。
290創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:20:03 ID:PLajBdO6
291同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:21:24 ID:eL32r7MH

衛宮切嗣は絶対に生きて返り、聖杯の力を手に入れ、争いのない世界をもたらさなければならないというのに――――!!


「――――あ?」

その瞬間に思考が中断。
切嗣の視界に強烈な光が差し込んだ。


   ◇   ◇   ◇


首が転がっていた。
砂刃が放たれ、それによって鋭利な切断面を見せる壁の向こう側から、ころころとカーペットの上で転がる首。
それを見てその刃を放ったクロコダイルが忌々しげに呟いた。

「ちっ」

それは間抜けな顔をした、犬のぬいぐるみの首だった。
綿をはみ出させた哀れな目がじっとクロコダイルを見つめている。

「小細工をしやがって忌々しいネズミが……」

興が冷めた。
この広大な施設をムキになって探すのも馬鹿馬鹿しい。
それよりもかつてグランドラインに名を轟かせた大海賊には、このレストランに現在進行形で強烈に興味を惹かれるものがあった。
麦わら一味によってその謀を完膚なきまでに潰されたクロコダイルは、国家転覆を企てた超重犯罪者として七武海としての権利を全て剥奪された。
その後、世界でもっとも厳重な警備を誇る大監獄の奥深くに収容されていたのだ。
それゆえに――、

「酒なんざァ本当に久々だからな……」

その手にはワインの瓶とグラスが一つずつ。
レストランのキッチンに冷やしてあったものを見つけたのだった。
真っ白なクロスが張られたテーブルにそれを置いて、どっかりと椅子に座る。
キン――と、指先を砂刃に変えて瓶の首を一閃。
コルクごと瓶の上部を切り離し、グラスに赤い液体を注いだ。
顔に似合わぬ優雅な仕草で、手に取ったグラスを顔に近づける。
それから軽く振って香りを楽しむと、一気に飲み干した。
日常的にラム酒で酒盛りする海賊にはワインなど水のようなものだ。

「……うまい」

それでも久々の酒の味は格別だった。
毒は入っていないようだった。
そんなことをギラーミンがするくらいなら、そもそも互いに殺し合わせるなどという面倒なことはしない。
あのネズミにもそこまで細工する余裕と時間があったとも思えない。
もう一杯を楽しむべく、再びクロコダイルはグラスにワインを注ぐ。
本当に久しぶりだ。
そう考えると、自分を酒も飲めない境遇に追いやった麦わらのルフィのことが頭に浮かぶ。

「……信じれば裏切られる」

かつてクロコダイルはルフィにそう語った。
それは昔の自分がそうだったからではないのか。
『裏切る』、ではなく――『裏切られる』。
292創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:21:31 ID:2V0BneC1

293創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:22:44 ID:PLajBdO6
294同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:23:21 ID:eL32r7MH
その顔を真一文字に横断する傷は、失われた左腕は、彼がかつて辛酸を舐めてきた証ではないのか。
だが彼は自らそれを絶対に語ろうとはしないだろう。
全てを心の内に封じ込めて、誰を頼りにすることなく、自らの研ぎ澄まされた力のみで、どこまでもただ征くのみ。
クロコダイルは無言。
グラスをあおる。
ワインを注ぐ。
それを繰り返すうち、いつのまにかワインの瓶は空になっていた。
大きく息をついて椅子の背もたれに寄りかかると、ぎしりときしむ音が静かな店の中に染み渡る。

「ほう――――」

そのとき、光が射した。
店の通り側から逆方向の壁は、こちらも一面ガラス張りで外の景色を眺めることができる。
この光は夜明けの光だった。

「そういや日の光を見るのも久々か……」

眩しそうに目を細め、大監獄の奥深くで闇だけを見つめてきた男が嗤う。
だが太陽の光をもってしても、その瞳の奥に宿る闇を消し去ることはできなかった。


   ◇   ◇   ◇


御坂美琴には二万人の妹がいる。
正確には自分と全く同じ遺伝子を持つクローンが二万人いる。
幼い頃、不治の病に対抗するために君の遺伝子が鍵になるかもしれないと言われ、それを信じるままに自分の遺伝子情報を提供した。
だがそれはどこでどう捻じ曲がったのか。
人間のクローンを量産するという非人道的な結果を生み、それが何に使われているかを知ったとき、美琴は絶望した。
超電磁砲こと御坂美琴の劣化複製品――レディオノイズ。
その扱いは一言で言えば実験動物。
研究者たちが求める真実のために、実験のために、家畜以下の扱いを受けて、ただ殺されるためだけに存在する。
そしてそのクローンたちもそれを正確に受け止め、肯定していた。
動物が好きで、他人を気遣うことができる、ちょっと感情表現がズレてるけど、れっきとした女の子。
美琴と同じ姿形をした、だけど紛れもなく美琴と違う個性を持った一人の人間たちが、自らを実験動物と――そう呼んだ。
その研究によってもたらされる結果は、真実を追究する大人たちにとっては、法や倫理よりも、何をおいても大事なものだったらしい。
学園都市の巨大な権力はその実験を黙認していた。


二万人のレディオノイズ――妹達<<シスターズ>>を二万通りの実戦で殺戮することで、最強のレベル5能力者である一方通行は進化する。


御坂美琴の世界における最高性能のコンピューターはそう結論を出した。
レベル6は人ならざる領域と言われている。
それは能力開発の研究者たちが求めてやまない神の領域だ。
だがそこに至るためならば何をしても許されるというのか。
実験のために生きたまま解剖され、テストのためと言う名目で命の尊厳を踏みにじられ続け、数が足りなければ量産すればいいと。
製造費、単価18万円の肉の塊は研究者が求める真実のための踏み台に過ぎないというのか。
御坂美琴はそれが許せなかった。
妹達がそんな運命を享受する羽目になったのは自分のせいだ。だから自分が何としても止めてみせる。
御坂美琴は決意した。
実験を中止させるために、自らの能力をフル稼働して、研究施設を潰して潰して潰しまくった。
だがそれは結局のところ徒労に終わる。
研究施設は何度潰そうとも別のルートから実験を再開した。
実験の要である一方通行を倒そうとも考えたが、同じレベル5でありながら力量の差は歴然としていたのだ。
御坂美琴では、あの一方通行に対して万が一の勝ち目もない。
最高性能のコンピューターが出した結論だった。
295創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:23:44 ID:PLajBdO6
296創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:25:07 ID:PLajBdO6
297同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:25:40 ID:eL32r7MH
そして美琴自身もそれを認めざるを得なかった。
どうしようもない、と。
割り切れれば楽になれた。
クローンがいくら死のうが自分には関係ない。
だが彼女はそれができない。
御坂美琴はどうしようもなく優しく、善人で――――だから背負い込む必要もない罪悪感すら背負い込んで、自分自身の無力を呪い続ける。
そして彼女が見つけた最後の手段は自らが一方通行に挑み、あっけなく殺されることだった。
クローンの大元たる自分自身が何の抵抗もできず、無様に死亡する。
そうすればそのクローンたる妹達をいくら殺したところで進化の餌にはなりえないのではないかと、研究者たちがそう思い直してくれればと考えた。
だが、それを止めにきたのはレベル0の無能力者。
にも関わらず美琴がどうしても勝てない、幻想殺し<<イマジンブレイカー>>の上条当麻だった。
心配してわざわざ夜の街中を探し回ってきてくれた彼は、美琴の話を聞いて「止めろ」といってくれた。
嬉しかった。
御坂美琴は、本当はずっと誰かに助けて欲しかったのだ。
だがその気持ちに甘えることは許されない。
このままでは妹達がただ殺されていくだけだ。
だから立ち塞がる当麻を撃った。
自分は間違っていないと、そう思って、撃った。
だけど――――撃ってから気付いた。
美琴はそんな自分がたまらなく嫌になった。
今の自分が、今の御坂美琴が、御坂美琴は大嫌いだった。


   ◇   ◇   ◇


結局、御坂美琴は斜面の草むらから動けないでいた。
あの男がモールに入っていくのを指を加えて見ていたのだ。

「何やってんだろ、私……」

力はある。
武器もある。
デイパックにしまわれた銃弾をレールガンとして撃ちだせば、並大抵の相手は敵にならない。
だが――ここに連れ去られる以前の経験と、先ほどのカズマと名乗る男との戦いが、美琴から自信を奪っていた。
一方通行に勝てない。
上条当麻にも勝てない。
妹達を助けることもできない。
カズマとの戦いからも尻尾を巻いて逃げ出した。
そんな自分に何ができる?

「たすけて……」

それはずっと言えなかった言葉。
だけど心の奥にずっと潜んでいた言葉。
ボロボロに擦り切れて、脅え、傷ついたたった一人の少女が漏らした呟きは、誰の耳にも届かない。

「う……」

夜明けの光が美琴の顔を照らす。
その目には今にもこぼれそうな涙。


   ◇   ◇   ◇
298創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:26:18 ID:PLajBdO6
299創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:26:56 ID:PLajBdO6
300同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:27:23 ID:eL32r7MH


価値観が違う。

生き方も違う。

信念も全く違う。

<<魔術師殺し>>衛宮切嗣。

<<王下七武海>>サー・クロコダイル。

<<超電磁砲>>御坂美琴。

そんな三人の男女が、この一瞬、この場所で、いまこの時だけは、




――――同じ夜明けを見ていた。




【A-4 モール内部のレストラン/1日目 早朝】

【サー・クロコダイル@ワンピース】
【状態】:ダメージ無し
【装備】:なし
【道具】:基本支給品一式、拳銃(28口径)0/6@現実、拳銃の予備弾36発、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース
【思考・状況】
1 皆殺し(主催も殺す)
2 麦わらの一味はやや優先度高く殺害する
※切嗣、圭一の名前は知りません




【A-4 モール内部(レストラン以外のどこか)/一日目 早朝】

【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]:全身にダメージ(中)、疲労(中)、令呪残り二画
[装備]:コンテンダー・カスタム29/30@Fate/Zero 、防災用ヘルメット
[道具]:コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾30発入り) 支給品はすべて確認済)、基本支給品一式
    ロープ×2、消火器、防火服、カッターナイフ
[思考・状況] 基本:なんとしてでも元の世界に帰る
1:どうすればいいんだ……。
2:クロコダイルから逃げる。
3:圭一が心配。
 
【備考】
 会場がループしていると確信。
 クロコダイルの名前は知りません。
 スナスナの実の大まかな能力を知りました。
301同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:28:05 ID:eL32r7MH



【A-4 緩やかな斜面の茂み/一日目・早朝】

【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
【状態】:疲労(大)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品 起源弾@Fate/Zero(残り28発)、不明支給品0〜2
【思考・状況】
 基本行動方針:脱出狙い。上条を探す。
 1:どうしよう……。


 ※くんくん人形@ローゼンメイデン は真っ二つになりました。
 ※切嗣がモール内のどこにいるかは次の書き手さんにお任せします。




【起源弾@Fate/Zero】
切嗣が使用する魔弾。全部で66発が作られた。
彼の体内より摘出された左右の第十二肋骨をすり潰した粉を霊的工程を以って凝縮、コンテンダーに込められる.30-06スプリングフィールド弾の芯材として封入した物。
概念武装としての側面も持つ。効果は「切断」と「結合」という切嗣の奇異な起源を撃たれた対象に具現化するというもの.
対象が生物である場合は命中した箇所は、傷が開く事も出血する事もなくただ古傷(内面的には神経・毛細血管は元通りには再生していない)のようになる。
が、魔術師に対して使用する場合は事情が異なってくる。
何も知らずにこの魔弾に対し魔術を以って干渉してしまった魔術師は、切嗣の「起源」による影響を自身の魔術回路にまで受けてしまう。
結果魔術回路を循環していた魔力は本来の経路を無視して暴走し(つまり魔術回路が「ショート」する)、肉体を破壊する。
ダメージは回路を巡っていた魔力の大きさに比例し、その程度によっては絶命に至る。
仮にそれほどのダメージから運良く一命をとりとめようと、神経及び魔術回路は完全に破壊されてしまう。
故に肉体がまともに機能しなくなるばかりか、魔術師としても確実に再起不能となる。
原作3巻まで無駄撃ち無しで38人の魔術師を葬ってきたため、残りは28発である。
302創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:28:21 ID:PLajBdO6
303同じ夜明けを見ている ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:29:02 ID:eL32r7MH
投下終了です。
タイトルの元ネタは「同じ月を見ている」より。
ご意見ご感想ありましたらよろしくおねがいします。
304創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:32:17 ID:PLajBdO6
投下乙!
三者三様のあり方がいい対比になってるなー
起源弾って美琴の能力なら干渉してもおkなのかな
禁書の世界では魔術と超能力は違うものだしたぶんおkなんだろうな
305創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:36:39 ID:NA5ywIKy
投下乙!
3人の能力者(切嗣はちょっと違うけど)のそれぞれの姿勢の違いがまたいい。
自分の正義の為に突き進む切嗣。誰も信じず闇を行くクロコダイル。
切嗣と違い、正義を恐怖に押さえ込まれる美琴。
禁書目録未読にも優しい、美琴のエピソード。うーん、やっぱ早く読みたいな。

ところで、地図で確認したところ、モールはA−5エリアでは?
気になったのでとりあえず確認をば。

改めてGJ!
306創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:38:20 ID:2V0BneC1
投下乙ですー。
切嗣も逃亡を果たしたようで何より。
クロコダイルは貫禄あるなー。流石は元七武海、思う存分暴れまわってくれw
美琴は上条とか一方通行が死んだこと死ったら驚くんだろうな。
GJでした
307創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 22:41:18 ID:PLajBdO6
もうすぐ放送だもんな
その放送で美琴は一方通行と上条の死を知る…と
308 ◆SqzC8ZECfY :2008/12/30(火) 22:43:52 ID:eL32r7MH
>>305
すいません、確かにそうです。
切嗣とクロコダイルはA-5の間違いです。
ご指摘ありがとうございます。
309創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 23:04:51 ID:PLajBdO6
したらばのほうに昨日の投下の訂正が来てる
お二人とも素早い修正乙です!

しかし年末年始は本当に規制多いんだね
310創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 23:12:48 ID:NA5ywIKy
あ、本当だ。
したらばの修正、乙!
魅音ー、隣のエリアにレナいるぞー(黎明だけど)。
311創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 23:22:22 ID:2V0BneC1
お、ホントだ。修正乙ですー。
あとなんでもスレにアイテム紹介が投下されてるな、こちらも乙です
312創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 00:16:20 ID:Y0hBJZNw
けっこう投下された作品も増えてきたし、用語集を充実させたかったり。
何か載せたい単語ってある?
313創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 00:22:20 ID:B8NyZ/XR
用語か、面白いかもな
314創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 00:30:24 ID:OnBrSrat
ロワ内容だと、【妄想死】とか?
2時間に1回は起こって、恒例化しつつあるような気がするから。
315創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 01:45:44 ID:myfEFCRc
「psrt」を用語化すべき
何度もスレタイに使われましたからねぇ
316創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 01:49:21 ID:B8NyZ/XR
あれ本気でみんな気づいてなかったんだよな
スレタイ間違ってるから早く埋めようって言ったときにびっくりされて
こっちがびっくりした
317創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:11:15 ID:myfEFCRc
しかし何て読むんだアレ……
318 ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:14:21 ID:E5DjQ3Xo
投下乙です!
おぉ、構成が上手い……三人がそれぞれ対比されてて読み応えがありました。
三人のキャラや作品背景の説明もすっと頭に入ってきて、未把握の者でも読み終えた後に面白いと感じました。
特に美琴のところが……ううん、こんな背景があったとは。
あと真っ二つにされたくんくん人形に黙とうを捧げます……くんくーん!!w


それではサカキ、ロベルタを投下しますね。
319創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:14:46 ID:B8NyZ/XR
来た!支援
320創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:15:23 ID:OnBrSrat
来たか!支援!
321創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:15:49 ID:B8NyZ/XR
 
322 ◆SqzC8ZECfY :2008/12/31(水) 02:15:53 ID:69otja5j
しえーん
323創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:16:39 ID:B8NyZ/XR
トリでてまっせ支援
324創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:16:55 ID:69otja5j
て、とりorz
325BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:17:33 ID:E5DjQ3Xo
「さぁ、そろそろ返答をお願いしたいのだがね……」

男――サカキが低い声でそう呟く。
紡ぐは何かの回答を、要求する旨を伝えるための言葉。
言葉とともに、向け続けるは視線の矢。
年相応の威厳さは消えず、冷たさすらも感じられる程に睨みを利かせた瞳。
月並みな表現だがまるでナイフのように鋭い……そんな感じだ。
そう、既に何分間も返答を待っているというのに。
サカキは極めて平然を貫き、其処に立っていた。

(即答は出来んか。まあ、無理もない。重要な事だ、所詮他人でしかない私と組むかどうか……慎重になるのはわかる)

沈黙に紙一重の思考。
この殺し合いを潰す為に手を組む。
サカキがロべルタに出した提案、極めてシンプルな内容。
要するに自分の生存のために、お互いを利用するだけ利用し尽くす。
いささか大袈裟な表現かもしれないが、根本は間違ってはいない。
青臭い子供の決め事ではなく、信頼関係とやらは二の次だ。
いかに互いの利が噛み合うかが重要な事。
サカキにとってロべルタを抑える事が出来れば、この上とないメリットとなる。
ロべルタのポテンシャルは既に先程の騒ぎで、その一端を見ている。
素晴らしい。射撃技術を始め、思わず感心する能力値だ。
味方に出来れば己の戦力が飛躍的に上がってゆく。
だが、敵に回す事になれば手を焼く事は必至。
故にこの同盟交渉の機は、自分のものにしておきたいのは当然と言える。
決して無限とは言えない時間の中で、サカキは静かにロべルタの次の行動を見守る。

(とはいえ、なかなか肝が冷えるこの状況はどうにかしたいが)

しかし、現状は余裕綽綽なものとは到底言えない。
サカキの視界に一際強く映るものはロベルタの表情ではなく、ぽっかりと一つの穴が空いた筒だ。
ロベルタによって、依然として向けられている黒い銃身からサカキは眼を離せない。
予備動作はあるだろうが、きっとロべルタの技術に掛かれば些細なものになるだろう。
故にいつ銃弾が飛び出してくるかを見計らうのは容易ではない。
結局はロベルタの決断次第、恐らくは一発の発砲がサカキ自身の死へと繋がる。
単なる推測にしか過ぎないが、不思議と自信はある。
サカキの行動を警戒するロベルタの視線――あまりにも冷たいもの。
犯罪組織ロケット団の中でも、これ程までの眼を持つ者はそうそう居ない。
ロベルタが歩んできた人生が、いかに常識と逸脱している事がわかる。
だが、本当に重要な事はロベルタが何をしてきたかわけではない。
何が出来るか――それがサカキにとって有益な事であり、大体の見定めは終えたつもりだ。
結論から言えばロベルタの有用性は十分。
但し、この状況を乗り越えてからの話ではあるが。

(こうも黙っていられると、こちらも何らかの行動を示す必要がある……が、煮え切らんな。
私としたことがどうにも気が乗らない、いや……自信が伴ってこないと言った方が正しいかもしれん)

自分らしくもない。
弱音とも言うべき事を思う己に苦笑しながら、サカキはあの出来事を考える。
思い出すは先程の一件。
園崎詩音――サカキを含むその場に居た4人は、園崎魅音と認識している人物による騒動。
普通の少女だと思っていたが、様々な奇妙な能力を行使した魅音。
人間離れした反応で、事の次第に反応したロベルタとヴァッシュ。
そして何よりも、只の学生だと思っていた広瀬康一にも常識を超えた力があった。
言葉すらも発する人形を――ポケモンのような物体を何処からともなく出す力。
馬鹿げている。あまりにも馬鹿げた力が溢れている。
ギラーミンの言葉通りなら、未だ見ぬ参加者にも相応の力があるのだろう。
サカキはロケット団のボスである共に一人のポケモントレーナー。
ポケモンを戦わせる事を主としており、自身の能力の行使には慣れていない。
326創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:19:10 ID:B8NyZ/XR
327BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:19:13 ID:E5DjQ3Xo
(だが、何も出来ないわけでもあるまい。 現に私の命は未だ続いている……この状況下ですらも)

サカキは思う。
手持ちのポケモンが一匹も居ない今、自分は弱者の部類に入っているだろう。
支給された一振りの剣もあるが、拳銃相手では有効距離に違いがありすぎる。
仮に交渉が決裂し、戦闘に転がり込めば恐らく自分に勝ち目はない。
ロケット団のボスも落ちぶれたものだと非難されようが、気にする事はない。
自分の目的はこの場からの脱出。
一時の感情に溺れ、暴走するなど甘い時期はとうの昔に過ぎている。
自分がこの場で弱者というのなら――それを受け入れた上で行動すれば良いだけの事
ならば慎重に動かなくてはならない、たとえば次の手の打ち方など。
まあ、全ては、今後のロベルタの反応次第なのだが。
そんな時、サカキは思わず眼の前の出来事に眼を奪われる。

(なっ!?)

ロベルタの腕から何かが零れ落ちる。
いや、それが何かはサカキにはよくわかっていた。
只、事実としてはあまりにも受け入れ難かった。
そう、それは一挺の拳銃。
今までサカキに向けて突きつけられたものであり、ロベルタにとって重要な武器。
何故この状況で手放す、サカキを襲う疑問もごく当然のもの。
たとえ交渉に応じる気があってもこれでは警戒が薄すぎる。
この目の前の女がそんな真似をするのか――そう、するわけがない。
地へ落ちる拳銃から即座に視線を放し、ロベルタを見やるが既に遅い。
サカキは一瞬、目の前で何が起きているのか理解出来なかった。

「まいったな、このような馬鹿げた武器があるとは……」

回った。
サカキが銃に気を取られている間に、ロベルタはデイバックからあるものを取り出した。
手早いでは生ぬるい。
女性とは思えない筋力を存分に扱った事による、眼にも止まらぬ動き。
クルリとさも軽々と言ったようにそれはサカキの前で回った。
白と黒の躯体を持つそれには厚みがあり、かなりの重さを窺えるというのに。
それは一見して只の十字架にしか見えない。
髑髏を模したような、中心部にある握り手をロベルタの左手がしっかりと掴む。
そして一度の回転を終えて、やがてそれの先端がサカキの正面を捉えた。
ぽっかりと空いた、深い窪みがサカキと向かい合う。
重機関銃とロケットランチャーを複合させた、設計思想に隠しようのない無茶がある。
暗殺者集団、ミカエルの眼では与えられる事が至上の名誉と認識されている武器。
個人兵装の類では最強にして最高と称された得物――パ二ッシャー

「……それが君の答えかね」

パ二ッシャーの機関銃部分の銃口が、サカキにとっては嫌に冷たいものに見えた。


◇     ◇     ◇


328創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:19:20 ID:OnBrSrat
悪の牙支援
329創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:19:21 ID:B8NyZ/XR
330創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:19:25 ID:69otja5j
しえん
331創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:20:19 ID:69otja5j
ぱにっしゃーしえん
332創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:20:34 ID:OnBrSrat
また凄い組み合わせ支援
333BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:21:05 ID:E5DjQ3Xo
自分は誰だ。
幾ら鍛えていようが、パ二ッシャーの重量は相当なもの。
確かな重みを腕に感じながら、ロベルタは思う。
そう、自分の名はロベルタ――本当の名前はロザリタ・チスネロス、あの日捨てた筈の名前。
ラズレス家に面倒をみてもらい、今は婦長として誠心誠意彼らのために尽くしている。
自分を拾ってくれた旦那様、そして次期当主である若様のために。
その筈だった。


「やはり私は此処で時間を潰すわけにはいきません。一刻も早く、手短に終わらせるつもりです……何もかも」


サカキの声と謙遜ない程に低い声が響く。
そうだ、自分はこんな意味のわからない場所には興味がない。
あの日、とある記念式典に出席した旦那様――無慈悲なる爆弾に、身を焼かれたあの方を忘れた事はない。
革命を信じて、殺して殺しまわった結果、マフィア共の麻薬を守る番犬でしかなかった自分。
そんな自分を追っ手から匿い、あまつさせ屋敷に住まわせて貰った御恩。
たとえ四肢を引き裂かれようとも、頭をカチ割られようとも恩義を忘れてはならない。
だから、自分は誓った。
旦那様の葬儀の後、涙と雨でボロボロになった若様がポツリと漏らした疑問――
『どうして殺されなければならなかったのか』、あの子らしい純粋な言葉が踏み切らせた。
もう一度、銃を取り、返り血を――旦那様を殺した“あのクソ共”の汚らしい血を浴びる覚悟を。


「貴方も見たでしょう。先程の少女……一見何も力がなかった彼女ですらも異常な力がある。
最早、のんびりと構えているわけにもいかない。
私は現時点で最も判り易く、遂行が可能な行動を取るつもりです……たとえ手にした情報が少なかろうと、何が待っていようとも」
「……優勝か。が、ギラーミンが必ずしも約束を守るとは限らないだろう。 君はそんな不確実な事に己の命を賭けられるのか?」


確かにサカキの言う通りかもしれないと思う感情もある。
だが、命ならとうの昔に捨てている。
恐れを抱く事はたった一つだ。
ラブレス家の優しさによって、今日まで繋ぎとめられたこのちっぽけな人生。
幾多の血に塗れたこの身体が、彼らのために何も出来ずに朽ち果ててゆく。
それだけがどうしても我慢出来ない。

「ずっと考えていました。貴方と手を組むべきどうか……いえ、この殺し合いとやらが本当に意味があるのかどうかを」


周囲の空気が変わる、ロベルタの瞳が更に鋭さを増していく。
サカキは思わず息を呑む。
サカキには未だ彼女にどのような目的があるかはわからない。
だが、彼女が諦めという意思を持ち合わせていない事は痛い程にわかる。
彼女が作る、底冷えがする程に冷たい表情を見てサカキはそう思えずにはいられない。
そして、彼女が次に何を言おうかしているのも大体の予想はついた――
故にサカキは彼女との会話に乗り出す。

334BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:22:03 ID:E5DjQ3Xo
「私は、ギラーミンとやらのあの言葉は不自然としか思えません。
自分を倒したら何でも願いを叶える……あの時、貴方が言ったようにギラーミンが死んだら一体誰が願いを叶えるのか……疑問に思うのは可笑しい話ではない。
ですがギラーミンはその事を見落とした、それは一体何故でしょうか」
「……奴はつい考えずに口にした。自分に与えられた台本を……己のボスによって用意されたセリフ、いや若しくは奴に任せられていたのかもしれない。
子供に仕事を言いつけるわけでもあるまい。
ギラーミンに言うべき要項だけを伝え、それを我々に知らせるような類の説明をしろと……そして奴はつい口にしてしまった。
事情を知らない我々にとっては、不自然なセリフが出てきてしまった事に気づかずに……」
「そう、貴方が言ったように、ギラーミンの上に何者かが居るという前提なら何も問題はありません。
あれは単なる進行役であり、彼の殺害が褒美とやらの、彼の上に立つ者に辿り着く資格に直結しているのかもしれない。
しかし、この殺し合いが単独でのものならば不自然さが残ります」
「勿論、褒美の渡し方だな。奴を殺せばあらゆる願いを叶える事の出来る力が手に入る……なんとも抽象的で下らん言葉だ。
問題なのはその手に入れ方……よもや殺すだけで急に力が湧く事もあるまい。
大方、奴の上の存在がなんらかの行動を起こすのだろう……私も君の推測を聞き、確かに納得はした。
あのギラーミンのセリフは、奴が自分の上に何者かが居る事を前提にしていなければ出てくるわけがない。
だが、何度も言うようだが奴らが約束を守る保障は」
「そうです。ですが――」

一息。
長い問答を経て、ロベルタは少し息を吸う。
この殺し合いの事について会話を重ねたのは何も今回が初めてではない。
互いに相手が何を言うのか見当がついていた
サカキの問いかけは至極尤もなものだ。
有無を言わさずに自分達を此処に集めた者達など信用には値しない。
だが、何も可能性が0というわけではない。
そう、彼らが自分達を集めた目的。
言うなれば彼らが指示した道標に沿って歩いて……いや、走って行けば――可能性はある。
辿りつく可能性は0ではない。


「彼らを表の舞台に引っ張り出す事は出来るでしょう。
最後の一人となれば彼らが接触を行わないわけがない……彼らの望みは私達の中からたった一名を選びぬく事なのですから。
そして、その後の事はそれから考えるつもりです、ギラーミンを殺した後に出てくるであろう人物の出方次第で。
勿論、この場からの脱出は絶対に譲る気はありませんが……!
ですから、残念ですが……名も知らない紳士殿、お別れです」


そう、優勝してしまえばギラーミン――いや、真の主催者とも言うべき存在に近づく可能性が出てくる。
集団では動きにくい、単独での行動の方が裏切りなどを気にする必要もない。
弾薬の補充は別の参加者から奪うなりなんなりし、強者と戦う事になっても奇襲などを織り交ぜればやりようはある。
只、今まで以上に警戒すればいい。
パッと見ては武器とは思えず、今まで気づかなかったパ二ッシャーがある。
既に一挺の拳銃で満足していたため、碌に読んでいなかった説明書にも目を通した。
詩音を追う途中、サカキに追いかけられている間の僅かな瞬間に。
引き金を連結した形になったパ二ッシャーの掴み手に力を込め、ロベルタは狙いをつける。
たとえ、未だ使い慣れていない武器だとしてもこの距離で外す事はない。
依然としてサカキに向けられた銃口からはやがて、無数の銃弾が吐き出され――る事はなかった。

335創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:22:34 ID:OnBrSrat
交渉決裂なのか支援
336創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:22:40 ID:B8NyZ/XR
337創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:23:03 ID:8pEcyRg8
【変態】蒼の子の周りの人達
とかかな?
あとは
【珍走族】とか【ポケモンマスターレヴィ】とか【セイバー道場】、【チート】かな?
338創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:23:28 ID:69otja5j
ネゴシエイターサカキ様支援
339BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:23:32 ID:E5DjQ3Xo
「私は、ギラーミンとやらのあの言葉は不自然としか思えません。
自分を倒したら何でも願いを叶える……あの時、貴方が言ったようにギラーミンが死んだら一体誰が願いを叶えるのか……疑問に思うのは可笑しい話ではない。
ですがギラーミンはその事を見落とした、それは一体何故でしょうか」
「……奴はつい考えずに口にした。自分に与えられた台本を……己のボスによって用意されたセリフ、いや若しくは奴に任せられていたのかもしれない。
子供に仕事を言いつけるわけでもあるまい。
ギラーミンに言うべき要項だけを伝え、それを我々に知らせるような類の説明をしろと……そして奴はつい口にしてしまった。
事情を知らない我々にとっては、不自然なセリフが出てきてしまった事に気づかずに……」
「そう、貴方が言ったように、ギラーミンの上に何者かが居るという前提なら何も問題はありません。
あれは単なる進行役であり、彼の殺害が褒美とやらの、彼の上に立つ者に辿り着く資格に直結しているのかもしれない。
しかし、この殺し合いが単独でのものならば不自然さが残ります」
「勿論、褒美の渡し方だな。奴を殺せばあらゆる願いを叶える事の出来る力が手に入る……なんとも抽象的で下らん言葉だ。
問題なのはその手に入れ方……よもや殺すだけで急に力が湧く事もあるまい。
大方、奴の上の存在がなんらかの行動を起こすのだろう……私も君の推測を聞き、確かに納得はした。
あのギラーミンのセリフは、奴が自分の上に何者かが居る事を前提にしていなければ出てくるわけがない。
だが、何度も言うようだが奴らが約束を守る保障は」
「そうです。ですが――」

一息。
長い問答を経て、ロベルタは少し息を吸う。
この殺し合いの事について会話を重ねたのは何も今回が初めてではない。
互いに相手が何を言うのか見当がついていた
サカキの問いかけは至極尤もなものだ。
有無を言わさずに自分達を此処に集めた者達など信用には値しない。
だが、何も可能性が0というわけではない。
そう、彼らが自分達を集めた目的。
言うなれば彼らが指示した道標に沿って歩いて……いや、走って行けば――可能性はある。
辿りつく可能性は0ではない。


「彼らを表の舞台に引っ張り出す事は出来るでしょう。
最後の一人となれば彼らが接触を行わないわけがない……彼らの望みは私達の中からたった一名を選びぬく事なのですから。
そして、その後の事はそれから考えるつもりです、ギラーミンを殺した後に出てくるであろう人物の出方次第で。
勿論、この場からの脱出は絶対に譲る気はありませんが……!
ですから、残念ですが……名も知らない紳士殿、お別れです」


そう、優勝してしまえばギラーミン――いや、真の主催者とも言うべき存在に近づく可能性が出てくる。
集団では動きにくい、単独での行動の方が裏切りなどを気にする必要もない。
弾薬の補充は別の参加者から奪うなりなんなりし、強者と戦う事になっても奇襲などを織り交ぜればやりようはある。
只、今まで以上に警戒すればいい。
パッと見ては武器とは思えず、今まで気づかなかったパ二ッシャーがある。
既に一挺の拳銃で満足していたため、碌に読んでいなかった説明書にも目を通した。
詩音を追う途中、サカキに追いかけられている間の僅かな瞬間に。
引き金を連結した形になったパ二ッシャーの掴み手に力を込め、ロベルタは狙いをつける。
たとえ、未だ使い慣れていない武器だとしてもこの距離で外す事はない。
依然としてサカキに向けられた銃口からはやがて、無数の銃弾が吐き出され――る事はなかった。

340創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:24:31 ID:B8NyZ/XR
341BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:25:06 ID:E5DjQ3Xo
「……君は何故、そうまでして拘る。何か大きな目的でもあるのか、何か大切なものでも失ったか……仇討でもするつもりか?」
「仇討ではありません。私が行うのは所詮、穢れた犬同士による共食い。その途中で寄り道をする……そう、ギラーミンという犬の喉笛を食い千切る。
同い穢れた犬であるこの私が……只、それだけの事です」


己に向けられた銃口をサカキは食い入るように見つめる。
サカキが投げ掛けた疑問はごく自然なもの。
彼は未だロベルタの事情はわからず、名前すらも知らない。
ロベルタにとって無視してもいい質問だが、彼女は何故か動きを止める。
理由は彼女自身にもわからないが、心辺りはある。
サカキが浮かべる顔、彼の醸し出す雰囲気に見覚えがあった。


「犬か……ククク、面白い。自分のコトをそこまで評せられる君が、今までどんな生き方をしてきたか是非気になるところだ。
だが、生憎お喋りを楽しむ時間もなければ、私にはそんな趣味もない。
君も私をこのまま殺すつもりだろうからな……そこでどうだろう。一つ提案があるのだがね」
「……手を組むという話ならもう結構ですが」
「そうではない。何、簡単な事だ」


組織を、それも堅気のものではない――法に触れた組織を束ねる一介のボスの面構え。
一向に動じず、不適な笑みすらも浮かべながら話を進めるサカキ。
余裕などない筈の状況であるが、サカキとてプライドがあるのだろうか。
世界を股にかける犯罪組織の長が、自分より年下の娘なぞにコケにされてたまるものか。
たとえ馬鹿みたいな銃器を携えた、狂犬と呼ばれた元テロリストだったとしても。
勿論、口に出すような事はしない、する必要はない。
野心を常々と抱く多くの手下どもを力づくで従わせてきた、ボスとしての威厳があれば事足りるのだから。
そして、サカキは続ける。
彼の言うように、至極簡単な提案を叩きつける。


「私とゲームをしよう。君は犬としてこの殺し合いで優勝を目指し、私はあくまでもギラーミンの殺害を目的とする。
そう、先程の彼らと協力し、私はこのゲームを潰して見せよう。
そして私は君のように己自身を犬とは見なしはしない。
奴と同じ位置……いや、最終的には奴を見下ろす形でケリをつける。
私と君のやり方……どちらの方ギラーミンの命を奪えるか、それを確かめようではないか……放送とやらで呼ばれる互いの名前でな」


競争。
言うなればどちらがギラーミンを倒す事が出来るかどうかの競争。
但し、それには人の命が関わる。
ギラーミンを倒すとはいえ、危険人物に襲われた時に、サカキは当然反撃を行うつもりだ。
結果的にその参加者の命を奪う事になっても、それは気にする事ではない。
自分の命を守るためには仕方のない事だと割り切る事など簡単な事だ。
だが、それよりもサカキは“ある事”を平然と見過ごすのをロベルタに告げている。
そう、ロベルタが優勝を目指す――殺人を犯そうとする事に特に言及していない。
肯定でも否定でもない、あくまでも無言。
それはロベルタに対し、勝手にやれと暗に言っているようにも見えた。
しかし、ロベルタは首を縦に振ろうとはしない。

342創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:25:17 ID:OnBrSrat
黒対黒支援
343創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:25:31 ID:B8NyZ/XR
344創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:25:44 ID:8pEcyRg8
うお、かぶった
支援
345創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:27:05 ID:OnBrSrat
牙と犬のゲーム支援
346創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:27:06 ID:69otja5j
しえん
347創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:28:08 ID:B8NyZ/XR
どっちもかっけー
348BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:28:17 ID:E5DjQ3Xo
「……確かに貴方の方はそれでいいでしょう。少なくともそのゲームに乗れば、貴方はこの場を切り抜けられる。
ですが、私には何もメリットはありません」

当然の反応。
ロベルタにしてみれば此処でサカキを逃す手はない。
何も参加者を殺すには正攻法だけが必要というわけでもない。
時には相手を口車に乗せて、騙し討ちをするのも手段の一つだろう。
そのためには自分の存在を知っているサカキは此処で消しておけば、後々問題になる事もない。
が、流石にその事はサカキ自身も理解しており、ロベルタがそう切り返してくる事を予想出来ていた。

「君の言う通りだな……そこでだ、その代わりといってはなんだが……君にこれらを譲ろう、きっと君の役に立つ筈だ」

自分とのゲームに乗ることへの交換条件。
サカキが取り出したのは少量の包帯と薬、そして五本の短剣――投擲剣・黒鍵。
確かにロベルタにとってはどれも有難いものだろう。
包帯と薬は負傷した右腕の治療に、黒鍵はナイフと見立てれば色々と応用が利く。
だが、それでは理由には弱い。
故にロベルタの表情にそれ程の変化は見られない。
幾ら魅力的な物とはいえ、そんな物はサカキを殺してから奪ってしまえば良い話なのだから。
そう、その事をサカキは見落としている――わけがない。

「私を殺した上で奪うつもりかもしれないが、本当にそれでいいのか? 此処で私が死ねば、きっと疑問に思うだろう。
今も私の連絡を待っているあの二人の青年と少年……彼らは君の事を不審に思うかもしれない。
あの見るからに正義感に満ちた彼らが君を疑ってしまえでもしたら、それは面倒な事だろう。
彼らの力を忘れたわけでもあるまい。」
「……ッ」

今もサカキを待つ二人の人間、ヴァッシュと康一。
康一の方は言うまでもない。
突如として奇妙な人形を発現し、それで詩音の動きを完全に抑えた恐るべき力。
どうやってやったのか、どこまであの力が及ぶのか。
何一つわからない力を持ち、言動からしてこの殺し合いを憎むだろう。
一方、いまいちパッとした動きは見せなかったヴァッシュだが、サカキとロベルタは見抜いている。
彼も只の一般人ではない。
何よりもあの一触即発とも言える状況に、『ラブアンドピース』など酔狂染みた事を叫んで、乱入を行える度胸。
自分達の予想以上の実力を持っているからこそ、成し遂げた芸当であると二人は奇しくも同じ推測をしていた。
そう、そんな自信がなければ只の馬鹿でしかない――まあ、半分は当たっていると言えるのだが。
そして、その二人がサカキの連絡が途絶えた事を知れば、詩音かロベルタのどちらかに殺されたと疑うのは当然だろう。
少なくとも、危険人物であると疑われるのは免れない。
彼らのような実力者から眼をつけられる事は、避けたいと思うのは自然な話だ。
349創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:29:23 ID:B8NyZ/XR
350BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:29:45 ID:E5DjQ3Xo
「だが、此処で私のゲームに乗れば私は彼らに対し、君の事について話さない事を約束しよう。
『結局追いつく事は出来なかった』、とでも言えば彼らは信じるだろう。
これで君にもメリットはある……そう思わんか?」


ロベルタは何も言わない。
只、沈黙を貫き続ける。
依然としてパ二ッシャーの狙いは逸らさずに、サカキを研ぎ澄まされた瞳で睨みながら。
両のポケットに手を突っ込み、悠然と構えるサカキはその睨みにも億さない。
彼もまたそれ以後は何も言わず、身守り続ける。
ロベルタが歩く道を、己を犬と称した女の意思を、その目に焼きつけるためにも。


「さぁ……どうする?」


最期に発した駄目押しの問いかけ。
その言葉が響いた途端、パ二ッシャーの銃口が――


動いた。


◇     ◇     ◇


351創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:30:37 ID:B8NyZ/XR
352創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:30:43 ID:OnBrSrat
いまいちパッとしないヴァッシュ支援
353BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:31:41 ID:E5DjQ3Xo
「迷う事はありません。一刻も早く、私の目的を果たす……たとえ、あのサカキという男との取り決めがなんであろうとも。
そう――」

既に太陽が顔を出し始めている辺り一帯をロベルタが走る。
背中には支給されたパ二ッシャー、右腕に巻かれたものは簡易治療による包帯。
懐には五本の黒鍵、そして既に支給されていたコルト・ローマンも用意してある。
まさに万全の装備、合衆国の軍隊を相手にするにはもってこいといったところか。
だが、この場で相手にするのはアメリカではない。
自分が相手をするのは化け物共なのだ――腕を生やす事が出来たり、奇妙な人形を出す事の出来る種類の。
ならばこちらもそれ相応の装備、覚悟を以って挑まなければ生き残れない。
そう、だからロベルタは乗った。
この殺し合いにも、サカキの提示したゲームとやらにも。


「サンタマリアの、名に誓い――」


この場に似つかわしくない言葉を呟く、だが不思議と心が休まるような心地がした。
サーチアンドデストロイ。
女子供であろうと油断は出来ない、即刻殺せば脅威は霧のように消えてゆく。
一度油断を見せればまた、あのような失態を犯す可能性がある。


「すべての不義に――」


詩音の予想外な抵抗――あんな事はもう二度とあってはならない。
そのためにも硝煙の臭いが身体中に染み込むまで、銃弾を叩き込めば良い。
優勝し、必ずギラーミンを殺して、真の主催者を引っ張り出す。
それを胸の奥底に焼き付けて、自分は暴れ狂おう。
所詮、犬は犬だ。
それもとびっきりの――旦那様を殺した奴らを叩き殺すまでは、死ぬことは許されないとう使命を帯びた狂犬。
故にロベルタは走り続ける。


「鉄槌を――!!」


最後に支給された支給品。
何かの錠剤が含まれた瓶をロベルタはデイバックの中に保管し、疾走する。
そして、その瓶の中には少しだけ空洞があった。
少しだけ、ほんの少しだけの空間がポッカリと空いていた。


◇     ◇     ◇


354創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:33:08 ID:B8NyZ/XR
決め台詞キター
355BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:33:12 ID:E5DjQ3Xo
「行ったか……」


額に滲み出た汗をサカキは拭う。
やはり長い間、銃口とにらめっこをするのは神経が削がれる心地がするものだ。
しかし、当面の危機は去ったのもまた事実。
手放したものは多くはあったが、それでも上出来だ。
ポケモンが一匹も居ない状況は自分にとってあまりにも酷なものと言える。
その状況を乗り越えただけで、十分に妥協点は出る。
サカキはそう確信していた。

「さて、私も急がねばならんな……」

自分の提案を受け入れ、取り敢えずはこの場を去ったロベルタを思う。
互いの生存を確認するために、既にお互いの名前は交換済みだ。
偽名を使っている可能性もあるが、正直ロベルタがこの先死のうがどうなろうかはどうでもいい。
自分のカードと成らなかった者の末路など所詮些細な事だ。
それがたとえ興味を、経歴に興味を持った人物であろうとも。
自分と別れる際、姿がかなり遠くなった時に何かを口に含んでいたが、それについてもあまり興味はない。
まあ、彼女の言った名前が放送で呼ばれたら鼻で笑ってやろう――その位の認識。
しかし、約束を違えるつもりはない。
嘘も方便とは言うが、それではサカキの誇りが許さなかった。
そのような手段を講じずとも、自分はこの殺し合いに生き残るという自信がサカキにはあるのだから。

「先ずは集めるべきだな……彼らだけでは足りない。 そう、仮初の形だが結成する価値はある――」

康一とヴァッシュへの連絡もした方が良いだろう。
既に時間はかなり経っている。
あまり心配させても面倒であるし、他の参加者と不用心に接触するかもしれない。
性格にクセがありそうだが、それらをコントロールするのも上に立つ者の勤め。
よって、サカキは固く決意する――

「新生ロケット団……目的は只一つ、ギラーミンの殺害……そして奴の上に居る存在を引きずり出す。
必ずや率いてみせる……たとえ何があろうともな」


サカキの野望は未だ終わらない。


356BLACK FRACTION ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:34:23 ID:E5DjQ3Xo
【C-2 北部 山道/一日目・早朝】
【サカキ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康
[装備]:投擲剣・黒鍵 5/10@Fate/zero
[道具]:支給品一式、電伝虫@ONE PIECE
[思考・状況]
基本:ゲームを潰してギラーミンを消す
1:ヴァッシュに連絡を入れ、彼らの元に戻る
2:同士を集め、ギラーミンへの対抗勢力を結成する(新生ロケット団)
3:ヴァッシュと康一にはロべルタの事は『追いつかなかった』と説明し、彼女の事は言わない。
※備考
 第三部終了(15巻)以降の時間から参戦。
※康一、ヴァッシュ、はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。
※ギラーミンの上に黒幕が居ると推測しています

【C-2 中心部 山道/一日目・早朝】
【ロベルタ@BLACK LAGOON】
[状態]:健康 。メイド服。 右腕に切り傷(応急処置済み)
[装備]:パ二ッシャー@トライガン・マキシマム(弾丸数100% ロケットランチャーの弾丸数2/2) コルト・ローマン(5/6)@トライガン・マキシマム 投擲剣・黒鍵 5/10@Fate/zero
[道具]:支給品一式 コルト・ローマンの予備弾42 グロック26(弾、0/10発)@現実世界 謎の錠剤入りの瓶@BLACK LAGOON(残量 95%)パ二ッシャーの予備弾丸 2回分、ロケットランチャーの予備弾頭 6個
[思考・状況]
1:サカキとのゲームに乗り、殺し合いに優勝する。
2:園崎魅音(詩音)を追い、殺す。
3:必ず生きて帰り、復讐を果たす。
【備考】
 原作6巻終了後より参加
※康一、ヴァッシュ、名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。
※ギラーミンの上に黒幕が居ると推測しています、よって優勝の褒美は有効であると考えています。
※錠剤を服用しました、具体的な影響は後の方にお任せします。
※何処へ行くかは後の方にお任せします。


支給品説明

【パ二ッシャー@トライガン・マキシマム】
ウルフウッドが使用する、十字架の形をした『最強にして最高の個人兵装』
銃機関銃とロケットランチャーの複合兵器。

【謎の錠剤入りの瓶@BLACK LAGOON】
原作七巻、バオの回想シーンでロベルタが服用したアレ。

357 ◆Wott.eaRjU :2008/12/31(水) 02:39:27 ID:E5DjQ3Xo
投下終了しました。
夜遅くですが支援どうもありがとうございます。
前回、誤字のご指摘をして下さった方はどうも助かりました。
今回も誤字の指摘や感想などお待ちしていますね。
358創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:46:40 ID:OnBrSrat
投下乙!
黒い2人の緊迫したやり取りがなんともいえないなぁ。
ゲームでなんとかのりきったサカキ、対主催じゃ大分頼りになるなぁ。
身体能力や武器じゃそれほどじゃないけど。
ヴァッシュや康一と普通に合流できればいいが、その2人は水銀燈とゼロで予約が入ってるからなぁ。
果たして新生ロケット団は結成の狼煙をあげられるのか。
ロベルタはマーダーに返り咲きか。ううむ、まあやっぱりそうなるのか。
パニッシャーがここに来たか! またなんとも凄い組み合わせ。
果たして彼女の標的になるのは誰か…。

あと『いまいちパッとしない』で不覚にも噴いたw。ヴァッシュ…。

改めてGJ!
359創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:48:36 ID:B8NyZ/XR
投下乙!
ロベルタもサカキもかっこいいなー
同じ裏の世界に生きるもの同士の対決、素晴らしかったです!
360創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 09:42:59 ID:3YZeTyIE
投下乙!
なにこのサカキ…かっこよすぎ
口先一つでロベルタを丸め込むとかw
新生ロケット団を是非みて見たいな
361創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 11:39:26 ID:Y0hBJZNw
投下乙です。
サカキかっけぇwなんというハイレベルな口撃だw
新生ロケット団は設立なるか、予約メンバーを見る限り心配で仕方がない……


>>314>>315>>337
よし、考えてみよう
362創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 19:30:38 ID:L19dphS2
いやサカキは実際身体能力も常人の比じゃねーぞ
さすがに超人軍団には及ばんが
363創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 20:19:38 ID:SHB/rHWp
原作のレッドVSサカキは(決め手はあれだけど)燃えたな。
364創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 21:30:00 ID:Y0hBJZNw
TE氏遅いな……何かあったのか?
365創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 21:31:51 ID:OnBrSrat
予約期限は過ぎちゃってるけど、4人パートなだけに期待してるから連絡はほしいんだがなぁ。
とりあえず形式的には4人の予約はもう他の人が入れられる状態なのかな。
366創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 21:34:19 ID:B8NyZ/XR
大晦日の夜なんだからいろいろあるよ
もうちょっとまったり待ってよう
367創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 22:51:00 ID:Y0hBJZNw
TE氏からコメント来たな。
具体的にどんだけ時間が欲しいか、知りたいんだけど…
368創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 23:20:15 ID:OnBrSrat
午前1時か。
それくらいなら待とう。
369創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 23:29:12 ID:AEjJF3rw
投下乙です!

サカキも凡人でないとはいえ、殺されるかといやぁハラハラした
しかしこのサカキの格好いいこと!
これぞまさに一大組織を率いていた者の貫禄!
新生ロケット団結成は…前途多難だな。あまりに個性が強いやつが多すぎるw
それにしても大人二人の冷静さ、年月を積み重ねてきた貫禄がお見事でした。GJです!


TE氏、あの感じだとなんか穴が見つかったとかかな?
予想外…まさかイデとかw
まあゆっくり待ちますよ〜
370創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 23:50:28 ID:Aw17hAY+
TE氏、僕たちはゆっくり待ってますのでがんばってください

推敲して遅くなる分には個人的に問題ないと思うので
慌てる必要はありませんから
(年が変わるときに回線が繋がらなくなる可能性だってありますし)

>>369同様気長に待ってます。
371 ◆TEF4Xfcvis :2009/01/01(木) 01:10:33 ID:sbw9uX5l
それじゃあ、投下します。
372創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:12:38 ID:mG+wUyaY
キタ!新年初支援!
373 ◆TEF4Xfcvis :2009/01/01(木) 01:13:41 ID:sbw9uX5l



「――――――何も、ありませんね」
ベナウィは駅の構内を一頻り見回したあと、少し残念そうにつぶやいた。
電車が停まっていればベナウィも駅がどんなものか知る機会はあったのだろうが、生憎その電車とは
時間違いで出会わなかったのだ。しかし彼の要望に電車は沿っていないので存在を知ったところで
彼にとって利点があるかどうかは疑問である。
ベナウィは駅のプラットホームから身を乗り出し、その下にある線路を見つめる。
「これが延々と続いているということは……ここを何かが通るのだろうか」
自問してみるが、結論が出るはずもない。
彼はこの場所に来てまだ数時間しか経っていないが、ここには多くの未知なるものが溢れていると実感できた。
彼は思索する。ギラーミンとは一体どのような者なのだろうか、と。
自らが見聞きしたこともない世界に瞬時に移動させ、そのうえこの首に取り付けられた首輪。
手で触れて調べてみれば繋ぎ目などは一切存在しない。どのようにしてこれを取り付けたのかはわからない。
それを考えると同時に、彼はハクオロを無事に生き残らせなければならないと感じた。
このような場に集められた者たちなのだから、自分のようにこの殺し合いに参加する者がいないわけがない。
その場合、ハクオロとて無事では済まないだろう。出来れば彼を見つけて守りたいところだが、仲間を殺すとなれば
彼が承知してくれるはずがない。それならば、一刻も早く参加している者を減らすのが道理だろう、とベナウィは考えた。
「ならばここでじっとしている必要もない。ここがどういう場所なのかは気になるが……」
そして、彼は出口へと足を戻した。




    *    *    *    *    *    *    *    *
374 ◆TEF4Xfcvis :2009/01/01(木) 01:14:22 ID:sbw9uX5l




とりあえず、橘あすかは真紅の進言に乗ることにした。
「先にホテルの方へ行ってみて、その後に遊園地の方へ行きましょう」
「どうして?」
「何がですか?」
真紅はジト〜ッとあすかを睨みつける。
「だから!どうしてホテルの方を先にするのかってこと!」
「ああ、そういうことですか。まあはっきりとした理由ではないんですけど、やっぱり市街地の方が
 人が集まりやすいでしょう。人は慣れた環境の方が落ち着きやすいですしね。
 隠れる場所があるという点では遊園地も同じでしょうが……」
そうかもしれないわね、と真紅は言い返した。
「とにかく、これから出会う相手が友好的とも限らない。くれぐれも離れないようにしてください」


しばらくして、二人はホテルへと向かった道を戻っていた。
「結局誰もいなかったわね」
「そう……ですね。本当はもっと奥の方に行ってもよかったんですけど電車に乗るならどのみち中心部に
 行くことになるでしょうし」
「私たちが慎重すぎたのかしら?」
真紅の言葉にあすかは俯き、唸る。
「そうかもしれません。僕たちが地図に書かれている道を通らなかったのが理由でしょうね」
目的は果たせていないが、それはあくまで自分たちの身の安全を考慮してのことだ。
あまり見通しが良すぎるところにいても、それでは逆に殺し合いに乗っている者の恰好の標的になってしまうのを
あすかは何としてでも避けたかった。ミイラ取りがミイラになってしまっては何の意味もない。
あくまでも確実に、そして慎重に行動すべきだと彼は思っていた。
「別に気に病むことはないのだわ。焦っても仕方のないことなのだから」
そうだ、そうなのだが、それがあすかにしてみれば最も気に病む要因だった。
自分の発見が遅れたせいで殺された人がいたら……そう思うととてもいたたまれなかったのだ。
375 ◆TEF4Xfcvis :2009/01/01(木) 01:15:27 ID:sbw9uX5l
突然、あすかはハッと顔を上げる。
「真紅」
「ええ、気づいてるわ」
何かを蹴る音が少しずつあすか達の後方から近づいてくる。
間隔は数秒程度。しかも、音は地面から発せられるものではないようだ。
二人は、音をたてないようにそっと木陰に身を隠した。
彼らが潜んでいる林の前方には、地図には載っていない小道を挟んでE-2駅へと続く線路がのびている。
すでに音は彼らの前方へと迫っていた。
(音は何処から……?)
あすかがそう疑問に思ったのも束の間、音の発生源はすぐに知れた。
電車に電気を送るための電線をつなぐ電柱を、黒い人影がまるで蛙のように次から次へと飛び継いでいた。
(人か?しかしあの身体能力……とても普通の人間には思えない)
真紅が何かを言おうとしたが、あすかは左手でそれを制する。
彼はじっと人影を見つめるが声をかけようはとしなかった。
人影が50メートル程離れた時、ようやくあすかは動き出した。
「どうするの?どうやら駅の方に向かっていったみたいだけど」
「後をつけてみましょう。まだあれが安全かどうかはわかりません」
そうして二人は薄暗い闇の中を駆けて行った。




    *     *     *     *     *    *    *    *

376創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:15:50 ID:mG+wUyaY
支援
377 ◆TEF4Xfcvis :2009/01/01(木) 01:16:27 ID:sbw9uX5l
「どうやったら早くエルルゥの仲間をみつけられるかなあ……」
電柱の上を一つ飛ばしで跳びながら、ルフィはそんなことを考えていた。
これといった目的地は無い。駅を目指しているのだって、先ほどいた位置から一番近かったからにすぎない。
探知機があればよかったのだが、さっきの混戦でどこかへ失くしてしまったようだ。
それでもルフィは、同じ場所にとどまるよりは動き回った方が誰かに出会う確率も高まると思った。
ところで、彼の目的はまずエルルゥの仲間を探すことである。
名前は知っているといえども、ルフィにとっては姿さえ知らない者達。
あと、探す上でヒントとなるものを挙げれば、似たような服装を見つければいいといったところか。
それを踏まえても確認する方法といえば、やはり限られてくる。
「やっぱり名前を聞いていくしかないか」
その場合だと、相手とは正面から出会って確認することが必須となる。
危険なのは確かだが、今の彼にはこれくらいしか術はなかった。
それでも、ルフィは諦めない。過ごした時間はほんの数時間だが、エルルゥは間違いなく彼の仲間だった。
その仲間に報いるためにも、ルフィは捜索を止めることはないだろう。

そうしてルフィは駅へと辿り着く、と同時に、駅の入り口から出る人影を発見した。
「……とりあえず、会ってみるっきゃねえな!」
そう言うと彼は下方の人影に向かって弧を描くようにジャンプした。

ルフィが滞空している間にすでに人影はルフィの存在に気づいたようで、素早く5メートル程後ろに下がり
距離をとった。手には赤い穂先の槍を持ち、上から降ってきたルフィに対し構えをとる。
「待ってくれ!」
ルフィは目の前の男に叫ぶと、隠しポケットから何かを探りだした。
目の前の人影……ベナウィは猶も構えを崩すことなくルフィを見つめている。
ルフィはポケットから何かを取り出す前に、男に質問をした。
「なぁ、エルルゥってヤツしってるか?」
ぴくり、と男が動く。
「知っているが、どうかしましたか?」
ここではじめて男は口を開いた。
ルフィは内心で喜ぶと、また男に問いかけた。
378 ◆TEF4Xfcvis :2009/01/01(木) 01:17:03 ID:sbw9uX5l
「お前の名前は?あ、俺はルフィってんだ。よろしくな」
「私はベナウィです」
男は答えるが、それでも表情を崩さない。
男の言葉を聞き、ルフィはほっとしたように肩を下ろすと、ようやくポケットからエルルゥの首飾りを取り出した。
「よかった。探してたんだ、エルルゥの仲間を」
そう言うとルフィはベナウィの方へ近づいて行った。
ベナウィはしばらく何か考えたあと、槍の穂先を地面に下ろした。
「彼女は今、どこにいるのですか?」
ルフィは、立ち止まった。
そしてほんのすこし間をおいて、ルフィは話し出した。
「ごめん……オレ、エルルゥを守れなかった」
「……どういうことですか」
「銃で撃たれたんだ。オレが周りに注意してなかったから……」
ベナウィは何も答えない。
ルフィは左手で帽子のふちを下げ、言葉をつづけた。
「だから、エルルゥの前に会いに行ってほしいんだ。そのくらいしか出来ること思いつかなくてさ」
しばらくの沈黙の後に、ようやくベナウィが口を開いた。
「エルルゥは、死んだのですね」
「……そうだ。だからアイツに」



「それならば好都合です」




    *    *    *    *    *    *    *    *
379創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:17:22 ID:mG+wUyaY
支援
380創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:18:19 ID:mG+wUyaY
支援
381 ◆TEF4Xfcvis :2009/01/01(木) 01:18:57 ID:sbw9uX5l
ぽた、ぽたと液体が流れ落ちる。
その色はベナウィの持っている槍の穂先と同じくらい赤く、それはルフィの左肩から滴り落ちている。
傷は左肩から胸まで縦一文字に10cmくらいの長さで、傷はそれほど深くはない。
気づくのは遅かったが瞬時に飛びのいたおかげで、致命傷は避けられたようだ。
ルフィの顔はその痛みに耐えているというよりは、ベナウィの行動にショックを受けているような表情だった。
「ク……なんで……」
ルフィにはベナウィの気持ちは理解できているつもりだった。
誰とも分らぬ者に自分の仲間が殺されたのだ。それに対し怒りの念がぶつけられるのは理解できる。
その怒りはルフィに向けられてもおかしくはないだろう。だがしかし、ルフィにはベナウィの発した言葉の意味が
理解できなかった。
「どういうことだよ……好都合って!」
声を荒げてルフィは叫ぶ。
「言葉どおりです。彼女が殺した者は誰だかは知らない。もしかしたら実はあなたが彼女を殺したのに
虚言を用いて私を騙そうとしているのかもしれない」
「ッ!そんなことは……!!」
「どうでもいいんです。結果として彼女は死んだ。私が手を下す前に」
「何!?」
「私は目的のために此処にいる者たちを誰であろうと殺す。そう、たとえ仲間であっても―――――」
ルフィにはベナウィが何を言っているのかわからなかった。いや、理解したくはなかったのだろう。
肯定できない。肯定してしまえば、仲間を想っていたエルルゥの気持ちを踏みにじることになる。
「ふざけるな!お前、エルルゥがどんな気持ちで仲間を心配してたと思ってるんだ!!」
ルフィの顔は完全にベナウィに対する怒りで染まっていた。
許せない。いますぐこいつの言葉を取り消したい。
「単純に、仲間より私の目的の方が重要だと判断しただけのことです。それ以上でもそれ以下でもありません」
ルフィから落ちる血の音以外に、他の音は響かない。
「……もう言うことはねえのか?」
「言うことはそれだけです。やることは、まだ残ってますが。」
そう言い放ち、ゲイ・シャルグをルフィの首へと向ける。
「わかった」
ルフィはエルルゥの首飾りをポケットにしまうと、ベナウィを睨みつけた。
「俺は、お前をブッ飛ばす!!」

382創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:20:02 ID:mG+wUyaY
対決支援
383創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:20:55 ID:mG+wUyaY
支援
384創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:21:57 ID:H+/HZBgZ
385創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:22:25 ID:H+/HZBgZ
386創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:22:44 ID:mG+wUyaY
支援
387創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:25:26 ID:mG+wUyaY
さるさんか
388創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:26:46 ID:H+/HZBgZ
389創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:29:17 ID:CoefqcCN
支援
390◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/01/01(木) 01:32:34 ID:mG+wUyaY
先に動いたのはベナウィの方だった。
下段よりの喉笛目掛けての刺突。常人ならば捉えることさえままならない高速の攻撃を、今度こそルフィは
首をずらすことで難なく避けきった。しかしそれだけでベナウィの剣戟は留まらない。そこから一気に
ルフィの頭と胴を乖離させるがごとく一線に薙ぎ払う。が、それに当たることなくルフィは槍の間合いから逃れた。
ベナウィも後れを取ることなくすかさず距離を詰めようとしたがそれは意表を突く攻撃により阻害された。
「ゴムゴムの銃(ピストル)ッ!」
ルフィの左腕だけが一瞬で間合いを詰め、ベナウィを打ち砕かんと襲いかかる。
しかし間抜けに喰らうベナウィではない。咄嗟に槍を両手で構え、不意の強襲を防ぐことに成功した。
生身の人間では有り得ない攻撃に一瞬驚いたが、それでも彼を倒すほどには至らない。
ベナウィはルフィに問いかけようとしたがそれを自制した。
(もはや余計な詮索は無用……)
殺し合いとして対峙する相手にその特異な体質のことなど聞いても仕方がない。
それよりもこの戦闘を早く終わらせなければならないとベナウィは思っていた。
このような場面をハクオロに見られるわけにはいかない。
(早々にケリをつける!)
「ゴムゴムのォ〜……ック!」
大技を出すようだったが、ベナウィはみすみす相手にそんな隙を与えるほど悠長ではない。
右手、左手と槍を持ち替え、縦横無尽にルフィを絡め取ろうと槍を振り払う。
ルフィも負けじと拳を突き出すが、どうしても防がれて決定的な一打に欠ける。
そんな感じで両者ともに攻めあぐねていた。
(……そうだ!)
ルフィは何か思いついたのか、腹を抉る軌道の槍を躱しながら右足をサッカーボールを蹴るように振りかぶった。
「だあっ!」
そしてそのまま右足を思い切り振りぬくと同時にサンダルを飛ばした。
無論、何の変哲もないサンダルである。
しかし、ベナウィはそれを防ぐことに神経を注いでしまった。
ルフィのサンダルはあくまでも只のサンダルであるため、爆発するとかいったそういう効果は一切ない。
しかし、ベナウィは今現在ルフィの奇怪な体質を目の当たりにしている。
それにより必要以上に警戒心を高めてしまい、ただのサンダルにも完全防御の形で対応してしまったのだ。
391◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/01/01(木) 01:33:12 ID:mG+wUyaY
「ゴムゴムのォ〜〜〜」
ベナウィはルフィを再度見ると同時に、驚愕の表情へと変わる。
ルフィがサンダルを飛ばすために振りかぶった右足はそのまま天を突き破らんとするばかりに高く伸びている。
ゴムゴムの戦斧(おの)。バラライカにも使用した、自らの片足を伸ばし、敵に振り下ろすというシンプルではあるが威力は絶大の技。
それが今まさにベナウィの下に振り下ろされようとしていた。
(槍で防ぐ?いや、あれを私が耐えられるかどうかわからない。逃げるにしても間に合わないかもしれない……)
「〜〜〜戦斧!!」
選択は2つに1つ。だがベナウィは逆に、
『忍法、バッタの術!』
その戦斧へと突っ込んでいった。
此処に辿り着く前に少年より奪い取った支給品の中の一つに、この巻物があった。
半信半疑ではあったがベナウィは地震で試してみることによりその効果を実感した。
そしてその巻物をすかさず口に咥え、バッタの術を使用したのである。
その時にすでに右足は振り下ろされていたが、ちょうどバッタの術の限界跳躍高度にあった。
故にルフィの右足とベナウィが交錯するときはそれより少し下辺りになる。
ベナウィはルフィの右足目掛けて槍を振るう。
ルフィは驚き避けようとするが、おそらく完全に避けきることはできないだろう。

そして2つの影は、一瞬だけ交わった。


ドサッと二つのモノが地面に落ちる音がした。
一つはベナウィの着地する音、もう一つはルフィがバランスを崩して尻もちをつく音だった。
「グッ……」
「なかなか素晴らしい強さでしたが……此処でおしまいです」
そう言って、ベナウィはルフィの方向へ向かっていく。
一方のルフィは右足のふくらはぎから血を流していた。さっきの傷よりも深い。
治療をすれば大丈夫だろうが、治療などしている暇はない。
目の前にはルフィの命を刈り取ろうとする者がいるのだから――――――

その時、8つの光弾……否、光った珠がベナウィめがけて同時にルフィの後方より飛び出してきた。
ベナウィはすかさず打ち払うが、何度叩き落としても珠は迫ってくる。
彼は視界の向こうに人影を確認すると、珠を払いながら踵を返して逃走した。
(多勢に無勢……今はまだ死ぬわけにはいきません)
ベナウィがルフィからほどほど離れたと同時に、一人の人間と一体の人形がルフィの方へと駆けつけてきた。
「畜生……」
ルフィは二人(?)を気に留めずに、その場に座り込んだ。
392◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/01/01(木) 01:33:46 ID:mG+wUyaY
【E-2 駅前 1日目 早朝】



【ベナウィ@うたわれるもの】
[状態]:健康 甲冑に返り血 、軽い疲労
[装備]:破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、腰に和道一文字@ONE PEACE
[道具]:支給品一式 シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん 謎のカギ
[思考・状況]
1:聖上を生き残らせるため、殺し合いに加担
2:かつての仲間を優先的に殺したい
3:駅内を探索する。出来れば馬も欲しい。
4:ルフィは、また改めて殺す。

※破魔の紅薔薇:あらゆる魔力の循環を遮断する事が可能で、対象に刃が触れた瞬間その魔術的効果をキャンセルする。ただし、魔術そのものを根元から解除するわけではない。破壊される、触れてから一定時間経過などすると効果は解除される。

※『忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん』
ハテノハテ星雲にあるアミューズメントパーク・ドリーマーズランド
における忍者の星における忍者の免許皆伝のための実地試験の
忍術が少し使えるようになる巻物。使える術は次の3つ
壁抜けの術:その名の通り壁をすり抜ける事が出来る。しかし厚すぎる壁は越えられない
バッタの術:バッタのように高く飛ぶことが出来る。だいたい一般家庭における屋根裏までが限度
ネズミ変化の術:少しの間、小さなネズミの姿になることが出来る。ある程度時間がたつと元の姿に戻ります。

※『謎のカギ』
詳細不明、何のカギでどこに使うのかは後続の書き手におまかせします。




【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】
[状態]:右手のひらに切り傷 、左肩から胸にかけて浅い切り傷、右足ふくらはぎに深い切り傷、中度の疲労
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース、エルルゥの首飾り@うたわれるもの
[思考・状況]  
 1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く
 2:ベナウィを止められなかった……
 3:ギラーミンブッ飛ばす!
 4:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす!
 5:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ!
 
【備考】
 ※原作44巻(第430話)終了後から参戦。
  ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。
 ※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、
  庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています
393◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/01/01(木) 01:34:14 ID:mG+wUyaY
【真紅@ローゼンメイデン(漫画版)】
【装備】:庭師の鋏@ローゼンメイデン
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0?個(未確認)
【状態】:健康
【思考・行動】
 1:殺し合いを阻止し、元の世界へ戻る。
 2:目の前の少年(ルフィ)に話しかける。
 3:ループを生み出している何かを発見する。
 4:ジュン、翠星石、蒼星石、劉鳳、クーガーと合流する。
 5:カズマ、水銀燈に用心する。また、水銀燈が殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める。

 【備考】
 ※参戦時期は蒼星石死亡以降、詳細な時期は未定(原作四巻以降)
 ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。
 ※蒼星石が居る事や、ホーリエが居ない事などについて疑問に思っています。
 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。
 ※どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします



【橘あすか@スクライド(アニメ版)】
【装備】:なし
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1~3個(未確認)
【状態】:健康
【思考・行動】
 1:ギラーミンを倒し、元の世界へ戻る
 2:目の前の少年(ルフィ)に話しかける
 3:ループを生み出している何かを発見する。
 4:ジュン、翠星石、蒼星石、劉鳳、クーガーと合流する。
 5:カズマ、水銀燈に用心する。特にカズマは気に食わないので、出来れば出会いたくもない
 6:できれば会場全体を一通り見ておきたい。
【備考】
 ※参戦時期は一回目のカズマ戦後、HOLY除隊処分を受ける直前(原作七話辺り)
 ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました(アリスゲームは未だ聞いてない)。
 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。
 ※何処へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。



※電車は北方向に1つ分進んでいます。1周30分程度(停車時間含む)。
  詳しい車両数や、車掌や運転手の存在の有無、詳しい内装は後続の書き手に任せます。
394想いは簡単に届かない◇TEF4Xfcvis 代理投下:2009/01/01(木) 01:35:05 ID:mG+wUyaY
勝手ながら、代理投下終了です。
題名は上の通り。
395創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 01:39:31 ID:H+/HZBgZ
投下あんど代理投下乙!
そしてあけましておめでとうございます
今年もよろしく!

ベナウィ強いなー
396創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 02:18:17 ID:Pj6C5GI0
投下&代理投下乙です。
ベナウィ強いな。ルッチ戦を経たルフィに一杯食わすとはw


あと一つだけ指摘を。
「ネズミの国」内の梨花の描写(電車内の橘あすかを見た)と今回の話では少々矛盾が生まれてしまう気がするのですが……。
まぁ、梨花も完全に橘あすかの姿を確認した訳ではないので、他の話でもカバー出来ると思いますが、一応指摘をさせていただきます。
397創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 05:17:56 ID:0zWhRBV0
投下乙。
型破りで野生児だがどこかカズマと似た熱さを持ったルフィと
優等生だが真面目すぎるあすかと真紅の遭遇とかw
やべぇ俺ワクワクしてきたw

あとハクオロの武器、ガイルの剣ついて29巻でわかったこと書いときます。

あの剣の正式名称は「瞬(しゅん)」。
能力は「物理、特殊とあらゆる攻撃を瞬く間にはじくことができる」というもの。
ようするにまぁ、チート武器ですな。
なんでポケモンの漫画でこんな殺傷能力高い、実用性高い
武器が出てんだよなぁw
ポケスペだからしょうがないけど
398創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 09:05:09 ID:Pj6C5GI0
お、ついに無常に予約が。
深夜の時間帯からずっと動いてなかったからな……
399創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 09:11:33 ID:mG+wUyaY
あとは土御門か…4巻だっけ、初登場。
400 ◆TEF4Xfcvis :2009/01/01(木) 12:18:58 ID:sbw9uX5l
>>396
それに関しては、梨花の方を時系列的に先と考えました。
それでも梨花と彼らが出逢わなかったのは、地図に載ってないより線路に近い
小道を通っていたと考えていただければいいと思います。
ジュンの電車に関しての描写がなかったのが少々苦労しましたが、別に電車の
事に関してはどうとでも取れるのでいいでしょうか。

時系列的に言えば、
1:ジュンが線路沿いを歩く(その間にあすか達が乗った電車が通り過ぎる)
2:梨花があすか達が乗った電車を見る
3:ジュンがべナウィに殺される(べナウィは電車を見ていない)
4:あすか達がE-2駅で下り、ホテル方面へと向かう
5:ルフィがE-2駅へたどり着く(電車の音を聞いてるかもしれない)
と考えました。
疑問がある場合これ以降はしたらばの修正・議論スレで続けたいと思います。

……全体的に描写が足りないな。加筆修正するかもです
それから皆さん、あけましておめでとうございます
401創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 12:20:00 ID:jdVW2Vb7
三巻まではただの隣人Aだな<土御門
書かれないのはキャラが難しいからだろうか
402創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 14:35:16 ID:KSZf7M7O
劉〇「俺のことも時々でいいから思いry」
403創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 23:36:50 ID:yZQnUEGS
EH氏、延長か……まあ、五人だし時間かかるのかな。

でもさ、流石に四連続で延長、今まで延長なしで投下回数ゼロは正直どうかと。
今回は仕方ないとしても、次回からはある程度書いてから予約するとか何かしらの対応が必要じゃないかな。
そうじゃないと、ちゃんと予約期限を守ってる他の人がなんか馬鹿みたいで可哀想だと思う。
少しでも気に留めてもらえたら幸いです。


404創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 23:48:52 ID:Pj6C5GI0
そんな気に止める事でもなくね?
最終的には書き上げてくれるんだし、そう思うならテンプレにでも組み込んどけよ
405創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 23:54:39 ID:7C6SXqG9
まあ普段気にはしないけど今回追加予約した上で延長だからなぁ
406創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 23:57:20 ID:0w6zeogi
個人的には延長は問題ないかな

むしろ完成しているが延長して推敲すれば質があがるのであれば
ドンドン延長してもいいと思う。
407創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 00:34:27 ID:Rve9v77B
俺も延長はOKだと思うな。
そんなルール何処にもないし、面白い作品書いてくれるのならドンドン延長してくれw
408創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 00:40:05 ID:sstvuMtl
延長は全然いいけど、それをさらに延長したり延長しておいて破棄とかが増えてくると困るな
409創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 01:58:26 ID:Rve9v77B
>>408
延長期間すぎての延長は、流石に明確な時間指定がなくちゃダメだろw
まぁそれでも、一日くらいならまだしも二日とかは止めて欲しいけど。

……俺としては前回のTE氏みたいな時間過ぎての報告無しって方がキツかったり。
延長は良いけど報告だけはキチンとして欲しい
410創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 02:03:16 ID:J0U3WAmi
>>409
その件に関してはごめんなさい。まさか家出るなんて思わなくてさ。
帰ってきたのがあんな時間だったから……言い訳にしかならないけど
今度からは気をつけます
411創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 02:10:31 ID:Rve9v77B
>>410
いえいえ、遅くともしっかり投下して下されば充分ですよ。
最後はちゃんと指定した時間通りに投下してくれましたしw
ただ次からは出来るだけ時間を守ってくれると嬉しいです
412創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 07:15:35 ID:mWA0dT7d
絵をうpするのははじめてですが、うまくいってるかな?

http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00688.jpg
413創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 08:01:40 ID:w0IW5dxz
>>412
なんかキター------!!!上手いなぁ…
これからも投下してほしいです
414創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 08:44:33 ID:ieSiknqr
>>412
キターーー!梨花を守るウルフウッドがいい!
切嗣とバラライカも大人の渋みが出てやがる。
こういう支援も本当ありがたい。GJ!
415創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 12:06:23 ID:ieSiknqr
破棄かぁ……延長されたって、書き上げてくれたのを読めば満足できるのに。
5人パートなだけに楽しみだったし、書き上げて投下してもらえないのかなぁ。
416創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 12:37:15 ID:Rve9v77B
破棄すか……あんな意見シカトして書き上げてくれたら良かったのに……
417創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 12:43:54 ID:J0U3WAmi
なんで破棄するんですか?
延長も規定内なんですし気にしなくてもいいのに……
418 ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 12:52:05 ID:nPRS+twj
破棄……ですかorz。延長したってかまわないのに、
EH氏はちゃんと申請したんですし問題ないと思いますけどね。

それとレッド、ライダー、レナ、チョッパー、グラハムを
少し問題があると思い仮投下してきました。

意見の方をお願いします。
それと問題なかった場合でも、こちらの都合により
本投下は夜になってしまいます。ご了承ください
419創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 12:56:43 ID:Rve9v77B
読み手様意見にやる気削がれたんだろうなぁ……あぁwktkしてたのに……。

>>418
自分は問題ないと思いましたー
420創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 13:07:01 ID:ieSiknqr
>>418
ちょっとイスカンダルの口調に違和感が…。
あまり『じゃ』は多用しないし、一人称は『わし』よりは『余』とかの方が多かったような。
421創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 13:25:44 ID:Rve9v77B
そういやこれで無常さんまた放置かw
あと、どのパートが書かれれば放送入れるんだろ?
422創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 16:48:00 ID://JFm8Af
あけましておめでとうございますッ!

年末年始の忙しい時期だというのに、書き手の投下にGJを!
wikiの編集も元日の大量編集、そして年末の地図更新にも心から乙を!
さらには>>412で絵の投下……だと……?
これはテンションあがる!!!!!!
ニコ兄、ちょっと俺とポジション代わってみないかい?主にせい(ry

そして、今年に入って土御門の予約キター!
元日はすぎたけど、彼に春が来るか!?楽しみですッ!
423創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 20:01:52 ID:3lvtMEaK
>>418
ぱっと目に付いた問題はライダーの口調くらいかな
>>420の言ってるように、一人称は「余」で、「じゃ」とは付けてなかったと思う
あんな外見だけど30歳で崩御したから意外と若い
424創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 20:03:55 ID:3lvtMEaK
あ、でも「我ら」や「我が」は普通に使ってたな
425創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 20:53:20 ID:dhaq0VNU
スペアポケットは描写見るぎり携帯できるワープトンネルと
みていいだろうから利用価値あるだろうと思った。
426創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 22:58:54 ID:FZz4Qq6i
口調の参考になるかと思い、個人的ライダー名台詞集

「とりあえず、このクリントンとかいう男が当面の難敵だな。ダレイオス王以来の手ごわい敵になりそうだ」

「通信販売というヤツを試してみたのだ。『月刊ワールドミリタリー』の広告欄に、なかなかそそられる商品があったのでな」

「身体一つの我を張って、天と地に向かい合う。それが征服という"行い"の全て……そのように開始し、押し進め、成し遂げてこその我が覇道なのだ。
 だが今の余はその"身体一つ"にすら事欠いておる。これではいかん。始めるべきモノも始められん。誰に憚ることもない、このイスカンダルただ独りだけの肉体がなければならん」

「貴様、もしかしてケチか?」

」「無欲な王など飾りものにも劣るわい!」

「王とはな、誰よりも強欲に、誰よりも豪笑し、誰よりも激怒する、清濁合わせてヒトの臨界を極めたるもの。そう在るからこそ臣下は王を羨望し、王に魅せられる。
 一人一人の民草の心に"我も王たらん"と憧憬の火が灯る!」

「ほれ! なんと『アドミラブル大戦略W』は本日発売であったのだッ。初回限定版だ! フハハ、余のLUCはやっぱり伊達ではないな!」

「マスターじゃないにせよ、余の朋友であることに違いはあるまい」

「此度の遠征も、また……存分に、心躍ったのぅ……」
427 ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 23:50:13 ID:6TMu0hzX
お待たせしました。

とりあえずライダーの口調を修正してみたので
これからこちらに投下したいと思います。
428創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 23:51:36 ID:FZz4Qq6i
 
429戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 23:52:33 ID:6TMu0hzX
暗闇の中レッドは西へと進路を定めて進んでいった。
イエローによって助けられたこの命を無駄にしないために、生き残る。だけど人殺しはしたくない
だからこのゲームを終わらせるため、もしくは脱出するためには仲間をつくる必要があった。
そのためにはまず共に脱出を目指す人間を見つけ出す必要がある。
そこで考えた策としてまずは最も近い位置にある図書館を目指し
そこから街道沿いを進んでいくというものであった。

程なく図書館が見えてきたが、レッドの脳裏には小さな疑問があった。
(この会場に飛ばされてから、一度も野生のポケモンを見ていない?)
こんな夜中でもコラッタやナゾノクサくらいはそこらじゅうにいるはずなのに
もっとも、今の俺にはニョロやピカといった仲間もいないし捕獲用のモンスターボールだって持ってない以上は捕まえることは難しいけど、一体どうして
それにフッシー、一体どうして進化前に戻ったんだ?
などと考えているうちに図書館の目の前に到着していた


階段を上り扉をゆっくりと開け図書館へと入っていく
入口の前にバイクが置いてあった以上はここに誰かいるのは間違いない
中にいるのが危険な人物かもしれないがそういっててもキリが無いのでここは一か八か接触を試みることにした。

図書館は意外と広く相当な数の本が眠っている。吹き抜けになっている2階も含めると
どれだけの蔵書数になるのかは正直見当も付かない。
書籍検索用であろうパソコンも少し気になったが今はこの図書館の中にいる
相手との接触が先決である

レッドが進む先から足音が聞こえてくる。おそらく相手もこっちが近づいてきてることに気が付いているのだろう。そう考えてからもし相手が危険な相手ならどうするかと考えていた。
おそらく外に逃げてもバイクを持ってる以上は追いつかれるのが関の山だろう
それならこの広い図書館の中に隠れるほうが賢い選択ではないだろうか
そんなことを考えていると目の前にサングラスをかけた褐色の大男が現れた。
幾多の修羅場を潜り抜けてきたのであろうその男を目の前にレッドは

「俺はマサラタ…「余は征服王イスカンダル、貴様は何者だ」

今名乗ろうとしてたんだけど、と思いながらもレッドは目の前の大男イスカンダルを見る。
名乗った時に言った『征服王』の名前が妙に頭の隅に残りながらもイスカンダルの問いかけに
答える。

「俺はマサラタウンのレッド、殺し合いには乗っていない、ここから生きて帰るために
仲間を集めてるんだけど…。おじさんはどうなの?」

すると

「なるほど、仲間を集めているとな、余はこの戦で優勝を目指しておる」

その言葉を聞いてレッドは咄嗟に身構える。
いや、ひょっとしたらすぐに逃げ出すべきだったのかもしれないイエローに守られた命を無駄にしないためにも
430創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 23:52:53 ID:AnSIe1vV
支援
431創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 23:53:12 ID:AnSIe1vV
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432創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 23:53:27 ID:FZz4Qq6i
 
433創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 23:53:28 ID:AnSIe1vV
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434創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 23:54:12 ID:ieSiknqr
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435戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 23:54:17 ID:6TMu0hzX
「余はこの戦で勝利をを目指すために臣下となる強き者を求めておる、どうだ、貴様もわが臣下へとならんか」

なんだと?殺し合いに乗っているのなら部下を集めるなんて真似する必要も無いのに
一体何をしようとしてるんだ、それに殺し合いに乗っているのならさっきの奴みたいに問答無用で攻撃してくるはず、

「ちょっとまて、お前殺し合いに乗ってるんじゃないのか?」

「我が道の妨げに成る輩には容赦せぬ、しかし余の臣下となれば数多の財宝と名誉を約束しよう。」

「だから、それじゃあ一人しか生き残れないだろ!俺はそんな真似したくないんだ。」

どこか噛み合わない会話の中でライダーは質問に答える。

「そうか?、考えても見ろあのギラーミンという男、この殺し合いの優勝者と戦い勝利することを
目的としていたじゃろ。」

「そ、それがどうかしたのか」

「戦いとは、常に1対1とは限らん!、1対1に美学を持つ者もおるが、
本来の戦い、即ち戦とは優れた臣下と共に力を駆使し勝利を勝ち得る物だ
つまり余の軍がこの戦いに優勝し、ギラーミンの輩を制圧するまでの事よ。
目を見ればわかる貴様も幾多の戦いを潜り抜けてきたのだろう」

たしかに俺もピカやニョロと一緒に戦ってきたし、仲間のポケモンの数は人それぞれ異なっている
ただ、この普段の状況と明らかに違う以上同じに考えていいのか?

「貴様とて仲間を探しているのだろう、決して悪い話ではない話だが」
436戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 23:55:00 ID:6TMu0hzX
ライダーの突然の勧誘に対し戸惑いを見せるレッドであったが警戒は解こうとしていない。
さらに王の威圧感をかけるためにサングラスを外し鋭い目でにらみ付けてもレッドは物怖じしない。

見れば分かるレッドが自分と同じく戦場での戦いを好むタイプの人間であることを。
そしてワシほどではないが場数を多く踏み幾多の戦いを経験していることを。
しかし、武芸に秀でている様子も無ければ魔術師にも見えん一体何があるというのだ。

「ごめん、悪いけどそれはできない、ギラーミンの奴は許せないけど
イエローの死を無駄にしたくないんだ、だから今はアイツを倒すことよりも
この首輪を外してここから脱出する方法を探したい」

「ふむ、本心では戦いたそうだがな」

その一言を聞いてドキリとした。
そう、レッド自身本音を言えばギラーミンと戦い倒したかったのだ。
こんな世界に飛ばされたからといって人を殺そうなどとは思わない。
しかしポケモントレーナーとしてのレッドは戦闘狂とまでは行かないまでも日々
修行やバトルに明け暮れていた。それ故仲間のポケモン達と共に戦い仲間達とこのゲームを破してしまいたかったのだ。

「ど、どうしてそれを……」

「フハハハハ、貴様、中々面白いではないか、気に入ったぞ
余もこの首輪を外したいのでな、どうだここは同盟を組まないか
もっともお主を余の臣下に加えることを諦めたわけでは無いがな
とりあえずはお主としのケガのことを教えてはくれないかのう」

本心では戦いたかったことを隠そうとせずにして尚且つこちらを警戒を見せないレッドに
ライダーは大きな関心を持っていた。
一方のレッドも自分のことを突然部下にしようとした等の一連の流れに戸惑いを見せながらもとりあえず襲われる様子は無く警戒こそ緩めないものの
相手は相当の実力者であることを
なにより仲間を求めていた二人ははとりあえずお互いの持つ情報を交換することにした。
簡単な自己紹介の他にお互いの知っている参加者のことの他に
レッドは殺し合いに乗っている無常や、その後出会ったフィーロ、そしてその彼女赤い髪のクレアがいるということなどを教えた。



  ☆     ☆    ☆
437戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 23:56:07 ID:6TMu0hzX
  ☆     ☆    ☆


「ふー、これで一安心だ」

気絶したグラハムの体をタオルで丁寧に拭取り、押入れの中から見つけてきた毛布をかけて
今はぐっすり眠っている。
起きてからの後遺症や感染症といった危険は依然として残っているもののとりあえず一段落着いたといえるだろう。
医者として出来る事はやった、あとはこの気絶している男の回復力を信じる他ない

「チョッパー君、乾いた服はここに置いておくね、それとタンスの中に置いてあった
このかぁいい服もいっしょに」

「いや、それは……いいのか?」

そういってレナはドライヤーで乾かした青いつなぎと謎の服をグラハムの隣に置いた。
チョッパーとグラハムを置いて圭一達を探しにいこうとしていたレナだったが
日の出も近いのかある程度明るくなってきたとはいえ周囲がまだ暗く、入れ違いになる危険があることと、今いる屋敷の窓からタイヤの跡が残る街道の様子が簡単に街灯で分かることといった状況であったため
とりあえず何事も無ければもう少しここにいることにしたのだ。
理想を言えば未だ目の覚まさないグラハムが目覚めすぐにチョッパーと3人で
みんなを探しにいくというものだから、
ひょっとしたらそれはすぐにでもできることかもしれないのに、


大丈夫、きっとみんな大丈夫だから、むしろ私のことを探しているかもしれない
そう信じて、いや信じたいと思いながら……。


  ☆    ☆    ☆
438戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 23:56:59 ID:6TMu0hzX
  ☆    ☆    ☆

「そうだおじさん、俺のディパックの中に変なものがあったんだけど…
なんだか判る?」

情報交換から話が進み、レッドは自分のディパックの中にある不思議なモノが
なにか知っているかと聞いてきた。
それは白い半円でもし両足の通す穴があればパンツでか片付くものであった。
―――四次元ポケット、本来は遥か未来22世紀に誕生する不思議なポケットで
あるのだが二人にはそんなこと知る由も無い。

「どれどれ、…」

そういってポケットの中に手を突っ込んでみる
するとどうだろう明らかにライダーの腕がポケットの容量より多くの入っているのに
ポケットは破けるどころかぎゅうぎゅうになっている様子すら見られない。

「ふむ、どうやら無限に物を入れることができるようだな」

「すげぇ、でもどうやって」

「そんなこと余は知らん、だが恐らくはこのディパックと同じ原理であろう
ここの入り口の前にバイクが止まっていたじゃろ
あれはワシのディパックの中に入っておったわいだからこれもほれ」

そういってポケットの中に何度も腕を突っ込む
ポケットに手を入れる瞬間こそボスッ!と空気抵抗の音がするものの
それ以外は何かにあたる音や感触は無かった

はずだった
「ん?」

「おじさんどうしたの?」

「ふむ、どうやらこのなかに何かが入っているようだな」

そういってライダーは様子を見るためにポケットの中に思いきり首を突っ込んだ。
するとライダーの首から上の部分はポケットの中に入り込んでしまった。


  ☆    ☆    ☆
439創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 23:57:42 ID:FZz4Qq6i
 
440戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 23:57:57 ID:6TMu0hzX
  ☆    ☆    ☆

「ここに連れて来られたチョッパー君の仲間ってどんな人たちかな、かな?」

窓から見える街道を眺めながらレナはチョッパーに尋ねた。
もし街道を通ったのがチョッパーの仲間であればすぐに知らせることができる、
そう考えた上での質問であった。

「ああ、ルフィ達のことか、それなら…」

レナの質問にチョッパーが答えようとしたそのとき

ボスッ!   ボスッ!

「何、今の音は!!」
二人は慌てて音のなるほうを向く

音は今も意識を取り戻さない男のディパックの中から聞こえてくる。
二人は恐る恐るディパックを空けてみる
謎の音そしてまるで中からパンチを受けているように動くディパックに怯えながら
ゆっくりとディパックを開きひっくり返して中に入っている物を出してみた。

ディパックの中には地図や食料、などの通常支給品が入っていた
もっともレナはディパックの中を確認していないためどれが通常支給品なのかはわかってはいないが
ディパックにあった通常支給品以外に見つけたものといえば壊れた磁石に大きな網とパンツから出た謎の腕が伸びており
腕は床に当たるとパンツの中に引っ込んでしまった。
チョッパーは恐る恐るパンツを拾い広げてみるが何がなんだかわからなかった。

が次の瞬間

「ぬんっ!!」

突然パンツの中からサングラスをかけて髭を生やした男の顔が現れた!!!。

「ふむ、ここはどこだ!」

一方突然のライダーの登場にレナとチョッパーは慌てふためいている。
特にチョッパーはレナの後ろに隠れている。
もっとも隠れている部分は顔の半分だけで残りはライダーに見えてしまっているが

「パッパッパンツからお、お、おっさんが出てきやがった」

警戒するレナと怯えるチョッパー、二人は突然現れたライダーに対してどのような
対応をとるのか、そしてグラハムはいつ目覚めるのか、それはまだ誰にもわからない。
441戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/02(金) 23:58:46 ID:6TMu0hzX
【B-4 市街地 民家内 1日目 早朝】
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 
[装備]:小型レンチ
[道具]:支給品一式 未確認支給品1〜3 ドライヤー
[思考・状況]
1:とりあえずはグラハム・チョッパーと行動する。
2:部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留)
3:目の前に現れた大男にどう対応するか…
4:何とかして首輪を外したい

※グラハムの名前は知りません。
※チョッパーから軽く自己紹介を受けました。ルフィたちやクロコダイルの情報はまだ知りません。
※幻聴はとりあえず消えましたがまた出てくる可能性があります。
※屋敷から見える街道に誰かが通るかもしれないと意識をしています。
※濡れた服はドライヤーで乾かしました。
※屋敷の洋服ダンスのなかからグラハム用のかぁいい服を見つけてきました。

【トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:健康 人型
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 確認済支給品1〜3、 タオル
[思考・状況]
1:パパパパンツからおっさんがでたーー
2:グラハムが目を覚ますまで様子を見る。
3:ルフィたちや巻き込まれた人たちと合流する。クロコダイルは倒す。
4:ギラーミンを倒し、脱出する。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期は不明。少なくともCP9編以降。
※グラハムの名前を知りません

【グラハム・スペクター@BACCANO!】
[状態]:気絶
[装備]:毛布、毛布の下は全裸
[道具]:支給品一式、(うち磁石は破損)、スペアポケット@ドラえもん
海楼石の網@ONEPIECE
[思考・状況]
1:気絶中
2:殺し合い自体壊す
3:ラッドの兄貴と合流、兄貴がギラーミンを決定的に壊す!
※後遺症等があるかどうかはわかりません。
※服を脱がされて、現在寝ている隣にレナが見付けたかぁいい服といっしょに
おいてあります。
442創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 23:59:02 ID:FZz4Qq6i
 
443戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/03(土) 00:00:02 ID:2bTovHJy
【D−4 図書館/一日目 早朝】

【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:健康 、首から上はB-4の屋敷の中
[装備]:張維新の衣装とサングラス@BLACK LAGOON
[道具]:基本支給品一式 きせかえカメラ@ドラえもん きせかえカメラ用服装イラスト集 ヤマハ・V−MAXセイバー仕様@Fate/Zero  四次元ポケット@ドラえもん
     イリアス英語版 各作品世界の地図
[思考・状況]  
 1:バトルロワイアルで優勝。聖杯で望みを叶えて受肉する。
 2:ここはどこじゃ?
 3:首輪を外すための手段を模索する。
 4:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
 5:アーチャー(ギルガメッシュ)を警戒する。
【備考】
 ※ヤマハV−MAXは図書館入り口に停めてあります。
 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
 ※臣下と共に優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。
  本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
※レッドを部下にすることを諦めていません。
 ※目の前にいるレナ達も部下にしようとしているかもしれません。

【レッド@ポケットモンスターSPECIAL】
【装備】:なし
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み。モンスターボール・スコップなどの類はなし)
【状態】:疲労大 背中に擦り傷、左肩から出血
【思考・行動】
 1:殺し合いを止める。必ず生き残る。
 2:仲間を捜す。ただし慎重に。
 3:ある程度はライダーを信用していますが…。
 3:赤い髪の『クレア』に会ったら、フィーロの名前を出す。
 4:絶対に無常からフシギダネと取り戻す。
【備考】
※参戦時期はポケモンリーグ優勝後、シバの挑戦を受ける前です(原作三巻)
※野生のポケモンが出てこないことに疑問を持ってます。
※フシギダネが何故進化前か気になっています
※ライダーと情報交換を行いました。
※『クレア』をフィーロの彼女だと勘違いしています。
※後回しにしていますが図書館にあったパソコンに興味

※図書館内に書籍検索用と思われるパソコンが置いてあります。

※支給品解説

海楼石の網@ONE PIECE
ローグタウンで海軍がバギー一味に向かって投げた網
海と同じエネルギーを持つといわれている海楼石でできており
網に触れてる間は悪魔の実の能力が失われてしまう上に力が出なくなる。

四次元ポケット@ドラえもん
どんなものも入れることができるドラえもんがいつもお腹に付けているポケット
入る容量は無限大だがもともと入っていたはずの秘密道具は入っていません
またポケットの中は同様の機能を持つスペアポケットと繋がっています。

スペアポケット@ドラえもん

  パンツじゃないもん!!!!
444戦いへの想い ◆/1LLBq1Ub2 :2009/01/03(土) 00:02:32 ID:6TMu0hzX
以上で投下を終了します。
誤字・脱字・及びライダーの口調に修正不足だった場合の
指摘などあったらお願いします。
445創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 00:06:07 ID:uzWv+XXw
投下乙。
それなりに面白かったよ。ライダー以外は。
つか、ライダーはレッドの何を見て部下に勧誘しようと思ったのか疑問。
原作をちゃんと読んだ?
446創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 00:15:20 ID:QJTCs3Uv
誰かライダーの部下選考基準を原作知らない俺に教えてくれ
447創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 00:23:27 ID:hqb08zro
セイバーとランサーにアプローチを掛けたときは、
両者の戦いぶりを遠くから見物して「胸の熱くなるような益荒男どもだ。気に入ったぞ。殺すには惜しい」
といって、ゴルディアス・ホイールでヘッドハンティングに向かってた

速攻で断られての一言が「……待遇は応相談だが?」だったり
448創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 00:27:30 ID:BVCBFPRi
投下乙。
スペアポケットから出てくるとはなんともシュールw
449創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 00:45:30 ID:uzWv+XXw
>>446
少なくとも手当たり次第に勧誘したりはしないハズ。
450創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 01:17:29 ID:QJTCs3Uv
レスありがと
致命的というほどでもないみたいってとこかな
それと投下乙
451創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 01:24:21 ID:hqb08zro
漫画でのレッドの戦いぶりを見れば勧誘したりするかもだけど、
今んとこはまだ見せ足りてない印象かな?
452創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 01:43:55 ID:fbinAAcV
投下乙!
イスカンダル、レッド勧誘! ううむ、そうか、この人の優勝は自分の軍勢の優勝なのか。
ますますマーダーなのかわからなくなってきた。
勧誘理由とかは、後続の書き手の補完を待つのもまたリレーの醍醐味だと思いますよ。

レナ、とりあえず不安定は治まったようだけど、まだ油断はできないか。
チョッパーは頼りに…なる、と思うから大丈夫だろうけど。
まさかの恐ろしい光景にびっくりしただろうなぁ。
この2グループが果たしてこの後どう接触するのか、楽しみです。

あとグラハム起きろww。放送になっちまうぞw。
453創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 03:14:25 ID:9Cijab6+
   ∧l二|ヘ
  (・ω・ )  ←に土産を持たせてどこかのスレに送ってください
 ./ ̄ ̄ ̄ハ
 |  福  | |
 |  袋  | |,,,....
   ̄ ̄ ̄ ̄

現在の所持品: 帽子 老眼鏡 爪楊枝 ステテコ コタツ 仲村みうのDVD「卒業」 東名
オプーナ オプーナ オプーナ オプーナ 株券 オプーナ 信長の野望online争覇の章 いづおロール
神藤美香のDVD(赤) FF11アルタナの神兵追加ディスク 、FF11ジラートの幻影追加ディスク、xbox360エリート
もんもん  ガチホモ 黒の書 14部 グラットンソード 生物兵器『AMIDA』 おっぱいがいっぱいセット
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ウルトラセブン第12話のDVD 怪人ゾナー チワワ2匹 金田朋子1年分+三姉妹 
同人ロリゲー詰め合わせ 使用済みティッシュ 睡魔 LDゲーム「タイムギャル」 イデ 新人王 パチンコ
ロビー・キーン 無職様 中村修三 橋内優也(17歳・人妻)
454創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 03:44:58 ID:yjTxFir9
四次元ポケット支給はいいのか?
ほぼ同じ機能のデイバックが全員に支給されてるんだから、わざわざ別に出す意味ないじゃん
それに、「人でも入れられる」と「スペアポケットと繋がってる」ってのは問題があると思う
実際、この話でも一瞬で2エリア分移動しちゃってるし
455創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 07:52:26 ID:uzWv+XXw
話の展開として面白いけど、ライダーのキャラクターを考えるとレッド勧誘は有り得ないな。
ドラえもんの四次元ポケットを制限してるのにスペアポケット出すのも駄目だろうし。
未把握な作者の勇み足って印象が強い。
折角書いてくれた物を破棄するのも勿体無いから把握してから修正して欲しいね。
456創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 08:15:20 ID:YvdSa17l
投下乙です。
ぱんつからおっさんがでたw
ライダーの口調はだいぶ直ってますが、まだ「ワシ」である部分があります。基本的に一人称は「余」です。
あと「〜じゃろう」「〜じゃわい」などは使いません。「〜だ」「であろう」がふさわしいと思われます。
四次元ポケットに関しては、そのまま出すならばスペアへの通り抜けだけで収納できず向こう側に行ってしまう仕様に変更すればいいのではと提案します。
457 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/03(土) 20:25:37 ID:AlvpuPtS
土御門元春を投下します
458 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/03(土) 20:26:17 ID:AlvpuPtS
状況を確認しよう。
周囲は360度全部、木に囲まれた夜の森。
今の俺には鉈一本しかない。
地図もない。名簿もコンパスもライトも、水と食料が入った荷物も取り上げられちまった。
ぶっちゃけた話……ここがどこだかわからない。
見上げた山のてっぺんの向こう側の空が僅かに白んでいる。
あれが東の空というなら、そうだな……つまり俺は山の西側にいる。
ここは地図で言う左上のあたりか?
スパイってやつは、ことのほか色々なスキルを要求されるモンだ。
数十秒で地図や名簿を頭に叩き込むくらいの暗記力がなけりゃ、それで命を落とすか拾うかの瀬戸際に立たされる場合だってある。
しゃげキングに遭遇して弾丸ぶち込まれる前に、地図の大まかな内容は暗記できていた。
流石に名簿を完璧に、ってのは無理だったが。
カミやんの他に、一方通行、御坂美琴といったレベル5能力者がいたことくらいは確認してある。
つーか、これやばくねーかにゃー?
カミやん見たいな例外はともかく、こいつらとまともに殺り合ったら、並みの人間じゃあ命がいくつあっても足りないぜよ。
――そう、まともに殺り合ったらの話だ。
こいつは狭いリングに閉じ込めてプロ格闘技みたいに戦わせるようなルールじゃない……。
裏切り、騙まし討ち、何でもあり。
……つまりはそういうことだ。
殺し合え――与えられた情報はそれだけ。
だがこの会場の広さや、与えられた支給品を考えれば、こいつはサバイバルの要素もでかい。
殺し合うという以前に、いかにして生き残るか、というスキルも要求されるだろう。
まー、このダメージじゃあ当分まともに戦うことなんざ無理だが。

「さて……」

周囲に人の気配はなし。
たしかあの山のてっぺんには学校があったはずだ。
逆に麓に下りようとすれば地図の外に出ちまう。
遠目に見たところ、柵や壁みたいなもので囲まれてるわけではないようだが、会場の外に出れば首輪が爆発するとギラーミンは言っていた。
だったらこの首輪を外す手がない現状では、それは却下だ。
となると――あの学校に行くしかないか。
保健室に治療器具があれば、この怪我もだいぶマシになるだろう。
水道が機能していれば飲み水も補給できる目処が付く。
なんせ今の俺には他の奴らが持ってるような水や食料すらないんだからな。
もっともギラーミンが地図上の施設からそういった機能や現地調達品を取り上げちまってたらお手上げなわけだが。
俺はそれはないと踏んでいた。
そういったファクターこそが実力差をひっくり返す鍵になるからだ。
このゲーム……胸糞悪いが、まともに殺り合ったら俺じゃあ勝てない。
俺の知らない他の連中がどれほどの力を持ってるのかはともかく、こいつがもしギャンブルで、誰が生き残るかに賭けろといわれれば、大本命はまず一方通行だろう。
俺なんかは大穴もいいとこだ。
それでも勝ち目があるとするなら……まともにぶつかる以外の方法をとるしかない。
おっと、それはこの時点で言わぬが華だぜい。

「さてさて、それでは背中刺す刃こと土御門さんのサバイバル。お手並みご披露と行きますかにゃー」

俺の声はすぅっと夜の森に溶けるように消えていった。
答えるように、ざざ、と森の木の葉が揺れる。
オーディエンスは森の木々だけ、か。
そのざわめきは「死んじまえ」かそれとも「せいぜい頑張れ」か?
益体もないことを考えた自分に苦笑しつつ、俺は学校へ向かう一歩を踏み出した。


   ◇     ◇     ◇

459 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/03(土) 20:28:01 ID:AlvpuPtS
「つ……着いたぜい」

学校に着いた頃にはすっかり夜が明けていた。
広々とした校庭の向こう側には、太陽に照らされた乳白色の校舎がみえる。
その中央に掛けられたでっかい時計はそろそろ六時を指そうとしている。
まあ、日の出の具合からして、だいたいそんなもんかにゃー?
怪我を庇って、しかも視界が不安定な明け方の森を抜けるためにかなり慎重に進んだせいで時間がかかってしまった。
しかし、ここは襲い掛かってくるような人間がいなかっただけでもよしとするべきぜよ。
できれば「大丈夫ですか!?」とかいって優しく駆け寄ってきてくれる美人の姉ちゃん(できればロリ)でもいればよかったのが。
だが、現実は非情である。
ここにはバニーガールのおしゃまなロリも、スク水ドジっ子のロリも、メイドでお兄ちゃんスキー(ここ重要)のロリもいないんだにゃー!!




――――神は死ンだッ!!




……とまあ、あまり馬鹿なこと考えてる場合でもない。
俺はとりあえず保健室を探すべく、校舎に向かって歩を進める。
校庭の砂が俺の足の下で、じゃり、じゃりと微かに音を立てる。
校舎の入り口。
下駄箱が並んだ正面玄関が見える。
こうして見ると人が少ない朝の学校にはよくある風景だ。
ここが殺し合いの場だということを僅かの間、忘れそうになる。
学校――――俺にとっての日常の象徴。
カミやん。
青髪ピアス。
小萌先生。
馬鹿みたいな話で盛り上がったクラスメートたち。
…………舞夏。


たわいない日常。


俺はそれを守りたいと思った。
俺はスパイだから。
だからそれは一時の、偽りのものに過ぎない。
それでも守る価値があると思った。
人間なんてのは簡単に死ぬ。
本当に簡単に死ぬ。
不幸は常に幸福の隣に潜んでいる。
理不尽は常に前触れなく、容赦なく、誰かの幸せを破壊する。
俺はそれをよく知っている。
今もそれを現在進行形で思い知っている。
誰か一人しか生き残れない、この殺し合いのさなかで。


『認めない。誰かが犠牲にならなきゃいけないなんて残酷な法則があるなら、まずはそのふざけた幻想をぶち壊す!!』


なあ、カミやん。
以前、オマエはそう言ったな。
それは幻想じゃない。
オマエが知らなかっただけで、オマエの認識の外にあった数え切れないくらいの現実に、確かに存在する法則だ。
俺はオマエより広くて、だが暗い世界で生きてそれを思い知った。
460 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/03(土) 20:29:29 ID:AlvpuPtS
だけど。
でも、だからこそあの言葉は良かったな。
あの言葉は響いたな。
もしそうだったら、それはとても素晴らしいことだと、そう思ったな。
だからよ。
頼むから生きてろよ、カミやん。
オマエは悲しんでる人間や助けを求める人間を見ると、後先考えず飛び出すタチだからさ。
でもたとえ誰かを助けたって、オマエ自身が死んだらそれは『誰かが犠牲になる』っていう、残酷な法則に絡めとられるってことなんだから。




【B−2 学校/1日目 早朝(放送直前)】

【土御門元春@とある魔術の禁書目録】
[状態]:左の肩付近に重傷。肋骨1本完全骨折。失血で衰弱。超能力により自動回復中(微弱)
[装備]:レナの鉈@ひぐらしのなく頃に
[道具]:なし
[思考・状況]
 基本:上条たちのために危険人物を排除しつつ、状況を把握する。
 1:保健室で傷の手当てをする。あるいは回復を待つ。
 2:『しゃげキング』と名乗った長鼻の男に警戒。次に会ったら殺す?
 3:一方通行(念のため御坂美琴も)を警戒。


[備考]:ウソップの本名を把握していません。
    地図や名簿は大まかに把握しています。
    会場がループしていることに気付いていません。
    原作4巻以降からの参戦です。
461創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 20:30:42 ID:fbinAAcV
支援
462 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/03(土) 20:31:04 ID:AlvpuPtS
投下完了です。
ご意見ご感想ありましたらよろしくお願いします。
タイトルは上条当麻の決め台詞より「その幻想を――」です。
463創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 20:48:45 ID:2+xYl/eF
おおおおお! これぞ土御門だ
生き残るためのなんでもありサバイバルなら、こいつの大得意だよな
464創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 21:17:28 ID:fbinAAcV
投下乙!
禁書目録未読だけど、凄い口調だなぁ。
けれど思考はかなり合理的で確かにサバイバル慣れしているみたい。
あああああ、でもその校舎の中には……これからどうなってしまうのか。
改めてGJ!
465創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 21:19:20 ID:/9QA9m1r
投下乙です。
これでようやく土御門のロワも始まりってとこですかね。


そういや予約来てるな。
不死能力+強力武器持ちのラッドか……wktkだw
466創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 21:21:02 ID:4mlQUAvL
ふと思ったんだが……東から太陽昇るだろ?
つーことは境界にいる人間にはどう見えるんだ?
467創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 21:49:06 ID:/9QA9m1r
東から昇って見えるんじゃん?
468創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 21:54:50 ID:NR36BsNJ
投下乙です!
こういう堅実な思考の奴って、超人揃いのパロロワでは逆に新鮮だなぁw
上条さんの言葉と、それに対する思いがいい。
469創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 22:23:24 ID:iWSGRiNf
そろそろ死人がたくさんでる作品が来る予感
470創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:01:27 ID:/9QA9m1r
やっぱ遊園地付近が肝だろうな。
超人ルフィ、準超人コンビの真紅組、装備は弱いが地力は強いウルフウッド組にカルラ組、マーダーにも安定した力を持つベナウィやチートスタンド持ちのクレア。
全員が全員ぶつかる訳ではないだろうけど、メンバーだけ見ると凄いw
471創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:08:45 ID:uzWv+XXw
結局◆/1LLBq1Ub2氏はどうするんだろ。
このまま返事が来なかったら破棄になるのか?
472創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:21:06 ID:9llzr3ko
うお、予約2つきてる
473創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:23:56 ID:iWSGRiNf
破棄になるのは個人的には困る
474創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:27:53 ID:5ZNwT7Um
>>471
自分以外に文句言ってる人いるのか?
475創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:29:49 ID:/9QA9m1r
せめて何らかの反応は欲しいな。
そして予約が二つ……キタ!というか劉鳳にようやく予約が……
476創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:35:35 ID:uzWv+XXw
他の人間がどう思ってるのか知らないが、未把握で書いたり四次元ポケット制限してるのにスペアポケット出したら不味いだろ。
477創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:47:17 ID:WDO3P3QI
まさかイデか?
478創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 23:59:34 ID:krb4IhYn
気になるなら議論スレに要点まとめて指摘してみたら?
自分はライダーの口調と四次元ポケットは>>456の案で修正だといいと思う。
479創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 00:02:47 ID:7KA2V4FC
>>478
賛成
480創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 00:02:55 ID:1bOGEclU
超有名アイテムの折か
481創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 00:39:36 ID:C5Q7VmVZ
  
482創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 06:14:53 ID:xQDIevCa
ポケットの他にそういうアイテムねえの?
パンツネタは惜しいけど、収納できないポケットなんてポケットモンスター
483創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 11:12:54 ID:WFvta7v2
口調は修正して欲しいが、ポケットは、四次元デイパックがもう一つある程度のことだからなあ……。
これに関しては修正はいらないに一票。
ところで、デイパックには人間(というか参加者)は入れる仕様なのか?
484創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 11:30:35 ID:F8PrYi7+
個人的にはだけどそれは無しにして欲しいな。
そう簡単に気付く事じゃないけど、いざと言う時の隠れ場所を常備しているのは何か緊迫感に欠ける
485創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 13:05:01 ID:R4BFgFEe
というか誰も気にしてないみたいだけど、ポケット同士繋がってるってのも結構問題だと思うんだけど
ステージの端から端まででも一瞬で移動できるわけでしょ?
それは流石に便利過ぎるんでないの?
486創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 13:22:19 ID:7KA2V4FC
>>485
みんなができるから問題ないと思う
487創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 14:07:43 ID:jXWOCVGN
>>485
流石に問題ありだと思う。
488創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 14:25:04 ID:F8PrYi7+
>>485
飛ばされる場所は限定されてるんだし良いと思う
489創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 16:14:26 ID:O64+s92x
誰でも使える手軽な避難経路を持ち運べるってのは緊迫感なくなるような気がする
どっかに拠点定めて、片方そこに置いとけばいつでも逃げ込めるわけだし
490創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 17:50:48 ID:jXWOCVGN
スペアポケットと言っても殆ど捏造アイテムだしな・・・
修正は必要だろJK
書き手の意見が聞きたい所だ
破棄するのは勿体無いから出てきて欲しいぞ
491創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 18:39:29 ID:aWGvKbAh
本気で修正が必要だと思ってるなら、
要点まとめてしたらばの議論スレに書き込むべきじゃないの?
投下の時間から考えて、今日中に正式に修正要請しないと駄目だと思うけど。
492創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 20:12:59 ID:jXWOCVGN
まさか書き手逃亡?
帰っておいでwww
493創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 20:30:24 ID:JcvG5r7+
>>489
片方がマーダーに取られたら喉元への直通ルートが即座に完成してしまうけどな
誰でも=マーダーも、なわけだし
494創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 20:33:38 ID:kSMR0VEf
>>493
凄くナイスな展開じゃないかw
んー、まぁ個人的にはあまり歓迎したくないアイテムだけど、この程度なら誤差の範囲内だと思う
495創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 20:40:31 ID:OesV9DHC
口調は修正すべきかなと思うけど
スペアポケットはどこが悪いのかわからない
どこにでも移動できるんなら問題だろうけど
一固定の2地点で移動できるだけだぜ?
496創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 20:44:13 ID:3JkuFkVu
まあ、意見があるなら議論スレで頼む。
497創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 20:53:38 ID:jXWOCVGN
>>495
スペアポケットが捏造アイテムになってるのが問題だろJK
ひょっとして書き手様ですか?
498創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:03:54 ID:7KA2V4FC
次の書き手の方にどちらかのポケット壊してもらったら?
マーダーに襲われて壊されたとか、奪われたとか…

続きは議論スレでやるか…
499創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:07:19 ID:JcvG5r7+
ところで、スペアポケットと四次元ポケットが繋がっているのは公式設定なんだけど、何が捏造なんだろう
ポケットの中の四次元空間には人間も入れるし、それを利用してスペアと本体の間を移動するのも映画でやってるし
500創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:07:44 ID:jXWOCVGN
自分のケツは自分でふかねーとダメだろwwwwwwwwwwwwww
501創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:10:10 ID:jXWOCVGN
>>499
そうだったか。こりゃすまんかったわ。だけどわざわざドラえもんから四次元ポケット没収した意味ねーよなwwwwwwwwwwwwww
502創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:12:10 ID:JcvG5r7+
持ってる道具や武器を没収して、支給品として再配布するのは当然のことでは
中身がない状態なのはギルガメッシュのゲート・オブ・バビロンも同じだし
503創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:14:11 ID:OesV9DHC
むしろ支給品ってかなりの数がキャラから奪ったものの再配布だよな
504創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:14:49 ID:jXWOCVGN
そろそろ空気読んで自重するか。
505創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:21:53 ID:F8PrYi7+
>>500-501>>504
キメェw

四次元ポケットは有りで良いでしょ。
ライダーの口調は修正して欲しいけど
506創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:52:00 ID:jXWOCVGN
あげとくか
507創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:36:22 ID:7KA2V4FC
>>501
没収した意味がない?

意味不明だなw
508創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:46:42 ID:Zq94XN49
>>462
投下乙!
おぉー漸く動いた……ってなんか凄いキャラw口調が面白いですねーw
神は死ンだッ!!っていう台詞にふいたw しかしそれでいて冷静に状況に対応してるとは。
上条が死んだと知ったらどうするんだろう……思わずそう思ってしまいました。
GJ!!
509 ◆Wott.eaRjU :2009/01/04(日) 22:48:48 ID:Zq94XN49
では、完成したのでラッドを投下します。
510Ignited ◆Wott.eaRjU :2009/01/04(日) 22:51:08 ID:Zq94XN49
六十名以上の参加者による殺し合い、通称“バトルロワイアル”の進行も順調の至り。
早くも十人以上の参加者が、この場でその命を散らせている事実を知る者は恐らく居ない。
主催者であるギラーミン、そしてポケベルにより知り得た者達を除いては。
だが、確かな数字は分からずとも、大体の目星をつけている参加者は居るかもしれない。
なんといってもこの異常な状況だ。
他の人間はどう動くか、どのくらいの人数が殺し合いに乗ってしまったのか。
果たして自分の知り合いは今も無事で居られているだろうか。
色々と思う事はあるだろう。
そしてその答えを知る事が出来る定時放送の時間は刻一刻と近づいている。
数十分――いや、十分もないか。
支給された時計を見ればその位の事は直ぐにわかる。
しかし、敢えて確認はしない。
何故? いや、それよりも寧ろ――誰が?と聞いた方が正しい。
これは失礼、彼の紹介をすっかり忘れていた。
演目者は一人、舞台はその辺の茂みの一帯、舞台器具や照明設備はあるわけがない。
ギラーミンによる殺し合いの中では、ほんの一時にしかならない時間。
そう、今から話すのは実はあっても無くても構わないお話
それは流石に言い過ぎか。
兎に角、紹介しよう。
殺し合いもとい馬鹿騒ぎを演出する一人であり、少なくともこの瞬間での主役――


ラッド・ルッソの小さな話を。


◇     ◇     ◇


511創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:51:55 ID:Zd6ULo0Q
支援
512創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:52:50 ID:OesV9DHC
513Ignited ◆Wott.eaRjU :2009/01/04(日) 22:53:40 ID:Zq94XN49

「さぁーーーてっ、何人死んだかなぁ!?」


暗色の背広を羽織った男が大声で叫ぶ。
短髪とも長髪とも言えない髪型。
体型も一般的な成人男性のそれと特に差異はない。
筋肉が程良く付いた身体とは言え、筋肉隆々とは言い難い。
あくまでも標準の域だ。
そう、男にはこれと言って他の人間との相違点はない。
只、ギラついた双眸、不自然に歪んだ口元、そしてたった今彼が口にした言葉は少し異質とも言える。
今は小休憩も兼ねて、大木に身を寄せながらその場に座り込んでいる。
ラッド・ルッソ――限りなく平凡な風貌でありながらも、歪んだ価値観を持つ男が其処に居た。


「先ずは俺が殺した分で三人だろ? あとはどうだろーなー? まさか俺以外、誰も殺してねぇってコトはねぇよな――あるわけねぇか!
だってよ、殺し合いだよ殺し合い? ぶっ殺しまくれるんだぜ? もおーーーーやり放題って感じ?
トンデモねぇ銃ぶっ放したり、ドでかいナイフとか振り回せられるんだぜ?
楽しまねぇとそりゃあ人生損してるぜと言いたくなっちまなぁ! 」


狂っている。
ラッドの事を表現するにはこれ以上しっくりくる言葉はない。
死ぬだとか殺すだとか言葉にするだけで嫌悪する人間は居るだろう。
だが、ラッドの場合そんな事はない。
自分の叔父が率いるマフィアで、殺し屋を担っているせいなのだろうか。
その事にも関係性がないわけでもないが、そもそもラッドには殺人という行動に戸惑いを感じない。
何か心に大きなトラウマを負ったせいで――生憎そういうわけでもない
ラッドが少年時代を過ごした家庭環境は平凡そのものだ。
只、生きる事と死ぬ事を考えた結果――何処で歯車が狂ったのか、忌避感はこれっぽちもなくなった。
無論、他人を路上に転がるゴミ屑のように扱う事について。
故にラッドは良識を持った人間が聞けば、耳を疑うような内容でも大いに語る事が出来る。


514創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:54:59 ID:Zd6ULo0Q
支援
515Ignited ◆Wott.eaRjU :2009/01/04(日) 22:55:27 ID:Zq94XN49
「まあ、なんだ。結局、それも放送とやらでわかるコトだがよ……なんかワクワクしてきたなぁ、もしかしてもう半分ぐらい死んじゃってるとか!?
かーーー頑張るねぇ、みなさん! いいねぇいいねぇいいねぇーーーそういうのは大好きだ! 俺も負けないようにサクっとぶっ殺しまくっちゃうからよろしくぅ!!
んーいや待てよ……おいおいおいおいおいおいーーーそれじゃあ俺のブッ殺せる数が少なくなっちまうじゃねぇか!
そいつは駄目だ。認めねぇ、ぜッてぇーに認めねぇ。最低でもあと10人は殺してぇからな」


誰かを殺す時、用いる方法は別に選ばない。
拳でボコボコにしたり、銃で頭をブチ抜いたり、機関銃でハチの巣にしてやってもなんでも構わない。
まあ、効率良く殺せる方法がどちらかと言えば好のみかもしれない。
だってその方が一杯殺せるだろうし――所詮、そんなもの。
ラッドの中では他人の命を殺す事など、全く造作もない事だ。
殺人享楽者――その言葉が恐ろしく良く似合う。
人を殺す時に湧き上がる感覚。
ラッドの場合、それは溢れんばかりの快感を齎してくれる。
故にラッドは時放送での死者の発表を今か今かと心待ちにする。
ちなみに時計は見ていない。
特に理由はないが、敢えて言うならドキドキを楽しみたいからだろうか。
いつ来るかわからない時間をこうして楽しみながら待つ――それもまたその位の認識だ。


「――つかやっぱ惜しかったよなぁ、あの女……あれだろ? その辺のパン屋に居るようなババァじゃなくて、ぶっちゃけ俺らみたいな種類の奴だろ?
傭兵や軍人、それか軍人崩れってところかぁ? どっちにしろ似たようなもんだが訊いておけばよかったぜ。
覚悟を持って覚悟してる奴を殺す時はどんな気持ちがしますかぁ〜?……ああ、どんな心地がするんだろうな、そいつはよぉ。
あんまり興味はねぇけど訊けるもんなら訊いておくベだったなぁ、マジでマジで勿体ねぇ」


そして、陽気な声でラッドは一人の女の事について語る。
彼女はバラライカ、先程ラッドと戦った相手であり顔に大きな火傷の傷を負った女性。
口振りから平和ボケした一般人ではないのは明確。
明らかに離れした様子もあり、立ち振る舞いや銃器の扱いからしてその筋の人間だとラッドは考えている。
もう良い年齢の癖だろうになかなかやる――そう思いはしたが既にそれは意味のない思考だ。
何故ならラッドは彼女にブチ込んでやったからだ。
支給された、大きな大砲を構えて――こう、ドカーン!と。
ついでに自分をブッ飛ばしてくれたガキと少女を巻き添えにして、砲弾による爆炎の餌食にした。
やった時は実に爽快な気分ではあったが、今は少しその興奮は冷めている。
無論、殺さなければ良かったなどと思っているわけではない。
只、もう少しじっくりと殺してやっても良かったかと思う気持があった。
何せバラライカは散々自分をコケにしてくれた相手だ。
それ相応の“礼儀”を以って丁寧に――ぶっ殺してやるのが筋だっただろう。
そう、バラライカはきっと思っていただろうから。

516創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:55:42 ID:OesV9DHC
517創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:55:49 ID:Zd6ULo0Q
支援
518Ignited ◆Wott.eaRjU :2009/01/04(日) 22:56:27 ID:Zq94XN49

『自分はこんなチンピラには殺されない』――それは最適な感情。
最適? 何に対して?――言うなればそれは一種の鍵だ、スイッチと言っても良いだろう。
ラッドの殺人は特別な条件は特に必要なく、可能な範囲で気が赴くままに行われる。
しかし、其処には一種の要素が絡む。
標的となる人間が緩み切っている場合――ラッドのぶっ殺したいと思う感情は一際大きくなる。
自分は絶対に死なないと思っている奴に、段々と己の死を理解させ、殺していく。
その時の高揚感はとても形容出来ず、ラッドにとってこの上なく心地良い。
格好の対象であるバラライカは既に死んでしまったが、未だ当てはある。
そう、他の参加者の中でも特に目星をつけている人間がラッドには居たのだから。
上がりすぎたテンションを少しずつ落としながら、ラッドは声を上げる。
最早言うまでもない、そいつは――ギラーミンが言っていた存在。


「あのくそヤロウは言ってたよなぁ……『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』って。
要するにアレだ。ホウレンソウ喰ったポパイみてえに頑丈な奴ってことか?
いーや、もしかしたら腕とか脚をブッ千切ったら新しく生えてくるとかか?
良くわかんねぇが まぁ、いい。大事な事はよーくわかってるからな……なんせ不死の身体だ。
緩んでんだろ、そいつは? 誰にも殺されないって……思ってんだろう――そいつはッ!!」


ルーアとデューンを殺した、ギラーミンの言った言葉をラッドは忘れてはいない。
人間台風の異名を持つ者――台風?腹に風車でもついてんのか?――気になる。
幻想殺しの能力を持つ者――幻想?自分は絶対殺されないと思っている奴の幻想か?――気になる。
概念という名の武装を施し戦闘力に変える者――概念?何だそりゃ、人をぶっ殺せるのか?――気になる。
三刀流という独特な構えで世界一の剣豪を目指す者――三刀流?三本目はどこで持つんだ?――気になる。
だが、何よりも気になるのは『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』――最高だ。
これ以上にない得物につい、ラッドは舌舐めずりさえしたくなってくる。
決して死ぬ事のない?
名前も知らないそいつの余裕に満ち溢れた顔を想像するだけで、感情が爆発しそうだ。
ゾクゾクする、身体中の血液が沸騰しているかのように、全身がほのかに熱くなっていく。
ここまで格好な対象も初めてだ。
ならば、自分はどうするか――そんな事は決まっている。


519創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:56:54 ID:Zd6ULo0Q
支援
520Ignited ◆Wott.eaRjU :2009/01/04(日) 22:58:16 ID:Zq94XN49

「よーし、決めた。 殺す、俺が直々にぶっ殺す。生まれてきたコトを後悔させながら殺してやる。
不死の身体なら頑張って耐えて見せろよ?簡単に死ぬんじゃねぇぞ?俺に出会うまでの人生を精々楽しめよ?
今すぐ向かってやるさ――」


碌な情報はない。
が、そんな事はこれから先にでも集めて行けばいい。
まあ、何せ不死の身体と言われているくらいだ。
馬鹿みたいにしぶとい奴がアタリだろう。
捜すのはそう難しいコトではない。
不死身の肉体を持つ人間と、いちいち言うのは面倒だ。
よってラッドは自分なりにその者の名前を変えて、メッセージを送る。
放送の時はもう直ぐそこまで来ているが、気にしない
ギラーミンの次に優先すべき対象、必ず殺すべき存在へ。
偶然にも、自分自身が同じそれと同じ存在になった事に気づかずに――


「なぁ、『不死者』さんよぉ?」


『不死者』の殺害をラッドはしっかりと心に留めた。



【D-1/西端/早朝(放送直前)】
【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:健康、不死者化
[装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝@ワンピース
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
 1:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
 2:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
3:ギラーミンが言っていた『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』(不死者)は絶対に殺す
4:ギラーミンが言っていた『人間台風の異名を持つ者』、『幻想殺しの能力を持つ者』、『概念という名の武装を施し戦闘力に変える者』、『三刀流という独特な構えで世界一の剣豪を目指す者』に興味あり。
【備考】
 ※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(エルルゥ)、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。
 ※自分が不死者化していることに気づいていません。
521創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:58:32 ID:OesV9DHC
522 ◆Wott.eaRjU :2009/01/04(日) 23:01:16 ID:Zq94XN49
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます。
何かおかしなところなどがありましたら、お願いしますね。
ではー。
523創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 23:03:35 ID:Zd6ULo0Q
投下乙!

さすがラッドの兄貴! ゆるんでねぇ!
そして、ラッドの“殺し文句”がそれっぽくてすげぇ!
……ラッドは不死者になったことを知らないんだよなぁ
それを知った時にどうなるのかが楽しみだ!
GJでした!
524創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 23:05:49 ID:OesV9DHC
投下乙!
そうか、ラッドは3人殺したと思い込んでるんだよなぁ
放送で殺したはずの相手が生きてると知ったらどうするか楽しみだ
525創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 23:10:52 ID:jZnPUaNx
投下乙です。
テンションがすげえw
しかしこれで矛先が向くのはー、フィーロよりも我様あたりがやばいなw
台詞回しがまさにラッド!
兄貴さいこーうw
526創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 23:11:07 ID:kSMR0VEf
投下乙
ラッド良い感じに楽しんでるなぁw
だがしかし、彼はまだ自分が不死者になったことを知らない……!
さてさて、どうなるのだろうか
527創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 23:31:37 ID:F8PrYi7+
投下乙です!
ラッド楽しんでるなぁw
不死者を殺そうと頑張る不死者……自分がその不死者だと気が付いた時、どう思うのか。
GJでした!
528創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 07:34:31 ID:h5GKbZsm
さすがルッソ・ラッドの兄貴だ何ともないぜ
529創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 21:10:09 ID:AJRwQ3GV
流石ラッド、大人気だな
明らかに主催の人選間違ってるOPをラッド人気のみで当選させただけのことはあるな
530創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 21:28:20 ID:jq8IJOIh
明日に二つ投下されるのかな?
楽しみだ。
531創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 21:37:05 ID:Kv7GMT1k
劉鳳組は延長しないって言ってたから明日投下もありそうだな。
まぁ延長しても良いけどね。
あとはカルラ組か……春日が何するか心配で仕方がないw

>>529
^^;
532創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 22:05:04 ID:AJRwQ3GV
>>531
ん?何か変なこと言った?
533創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 22:05:59 ID:UhjDerHh
>>532
間違ったことは言って無いな
534創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 22:08:53 ID:h5GKbZsm
気に入らなくても触っちゃダメです。図に乗るから。
535創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 22:35:42 ID:CvpS0p0q
じゃあ話題替え兼質問を1つ

漫画出展や小説出展の参戦作品でアニメ化又はドラマCD化、実写化してる作品の
声優ネタ、俳優ネタって使っていいのかな?
例、カズマと圭一、真紅とアルルゥ、
ハクオロと切嗣、レナとまひる
みたいな感じでさ
536創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 23:03:05 ID:xQ/qcxLs
既に魅音であったりする。
魅音が持つことになったメリルのデリンジャーがそうw
アニメ版のメリルの声優が魅音と一緒のはず
537創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 23:56:11 ID:xroJqmG7
いいんじゃないかな
同じ声優だと声だけ聞いた人が勘違いしそうだなw
自分の声は違って聞こえるから余りなさそうだけど
538創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 02:27:32 ID:TnDb+FN7
避難所のテストスレに足りないと思われる部分を補完したテンプレ改定案を投下しました。
なお、支給品の照明器具ですが、wikiには最初はランタンとかかれていましたが、懐中電灯とランタンの両方がすでに登場しており、このように変更しました。
ご意見やご指摘ありましたら、どんどんよろしくです。
539創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 16:14:50 ID:oWbfoc2a
>>531
そんな顔するなよ
事実なんだから
540創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 16:47:10 ID:E+sDjQqD
>>538
乙ですー。
取り敢えず自分は問題ないと思います
541創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 17:09:17 ID:Cz6cvZnP
テンプレ纏め乙です
自分が見る限りではそれで問題ないと思いました
大変な作業お疲れ様です
542創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 17:39:35 ID:7332b/4S
テンプレ?みてこよっと
543創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 17:43:40 ID:7332b/4S
みてきたー
特に問題はないと思うけどしいていえば言葉が硬くて新規の人が初めて見るとちょっと引くかも
もうちょっとくだけたやわらかい文体でもいいと思うなぁ
544 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:12:29 ID:DsGo9He+
少し遅くなりましたが、劉鳳、ゾロ、ラズロを投下します
545 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:14:29 ID:DsGo9He+
ゾロは全力で道を走っていた。
ウソップの仇を、共に様々な冒険をしてきた仲間の仇を取る為、走る。
彼ら、麦藁海賊団は沢山の島を越えてきた。
ある島では国の内乱を阻止し、ある島では神と呼ばれる男を打ち破り数百年と長きに渡り形成された住民達の溝さえも取り払った。
仲間を救うために政府の玄関と呼ばれる島に攻め込み、そして仲間を奪取したこともあった。
短い間に彼等は山のような戦いを潜り抜け、着実に夢へ向かい旅を続けていた。
誰一人として欠けることなく、幾多の死線を越え、強さを身に付けてきた。

――だが、死んだ。

彼等の仲間の一人は、この殺し合いの場で、跡形も残さずアッサリと消し飛んだ。
そしてロロノア・ゾロは仲間の死を知った。
止まらない。
止まれない。
止まる気もない。
仇を取るまで、止まる気など欠片も持つつもりはなかった。
胸に渦巻く感情のお陰か、あの神懸かりな方向音痴も発揮される事なく、ゾロは道なりに南へと足を進める。
考えも何もない。
ウソップを殺害した参加者とギラーミンに償いをさせる為、ゾロはひたすらに邁進していた。


「おい、そこの男」

その声が降りてきたのは、E-8南部に位置する橋の上であった。
仲間の死を知ったゾロがその言葉に機嫌良く応対できる訳もなく、「アン?」というチンピラ同然の言葉と共に顔を上げた。
そこに居たのは、白を基調とした服を几帳面に着こなした、若い男。
男は、橋の終着点の側に生えた樹木の上から、ゾロを見下ろす形で立っていた。
十九歳である自分よりは年輩者だろう、と判断するが、それでゾロの態度が変わる筈もなかった。

「誰だ、お前。道でも聞きてぇのか?」
「……お前の名はロロノア・ゾロで間違いないか?」

質問を質問で返された事、鼻持ちならない男の態度、突然自分の名を言い当てた
事、それぞれに驚愕や苛立ちを覚えながらゾロは警戒心を高める。
賞金稼ぎ時代、海賊時代と記憶を辿るが、男の姿に見覚えはない。

「何でおれの名前を知ってる」
「……その返事は肯定と受け取って構わないんだな?」
「おいおい会話が成り立ってねぇよ。ちゃんとおれの質問に答え―――」

ゾロがため息混じりに男へ歩み寄ろうとした瞬間、事は起爆に至る。
それまで悠然と佇んでいた男が弾けるように動作を始めたのだ。

「絶影!!」

バコンという音が三度響いたと思いきや、虹色の光と共に人間大の人形が現れた。
ゾロの顔に不審な色が宿る。念の為にと刀を鞘から引き抜こうとし――

「おわっ!!」

――瞬間、青色の線が視界の中を縦横無尽に駆け、身体を掠めた。

546創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:15:08 ID:6WMcA+Nx
支援
547創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:16:26 ID:6WMcA+Nx
支援
548 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:16:31 ID:DsGo9He+
「……この賞金額は伊達ではないということか」

いや、実際は違う。
身体を掠めた、のではなく掠めさせた。
ゾロが寸前で身を捻り、身体を吹き飛ばしていただろう一撃を掠めさせたのだ。

「賞金額……チッ、そういうことかよ。戦るのは構わねぇが、おれは今猛烈に機嫌が悪い。手加減はできねぇぞ」
「黙れ毒虫。お前は俺が断罪してやる」

常人以上に他人から恨みを買う―――これもまた海賊につきまとう因果。
海賊自体を恨む人もいれば、賞金目当てで襲い掛かってくる人もいる。
海軍や海賊と命のやり取りをするなんて物は日常茶飯事。
麦わら海賊団はその容姿や性格からか、人から恨みを買うことは比較的に少ないが、それでもれっきとした海賊だ。
賞金稼ぎや正義感溢れる男に突然襲われたとしても、驚かない。
自分達は海賊だ、それを理解しているからだ。

「何の実の能力かは知らねぇが、死んでも後悔すんなよ」
「悪い事は言わん、アルターを出せ。出さなければ死ぬぞ」

劉鳳は絶影を前に、ゾロは二本の刀を手に、信念も信条も何も知らない二人が相対する。







劉鳳は激しい怒りを覚えいた。
自身のデイバックの中に入っていた八枚の紙束。その全てに、顔写真と八、九桁の数字、そして「DEAD OR ALIVE」の言葉と名前が書かれていた。
劉鳳は、この紙に記された者達が賞金首だと理解し、それと同時に灼熱の怒りを心に沸かせた。
そして、その中の数名が参加者名簿にも載っていることにも気付いた。
「モンキー・D・ルフィ」
「ロロノア・ゾロ」
「トニートニー・チョッパー」
チョッパーというペットらしき狸は別にしても、残り二人の賞金額は億を越えている。
断罪せねばならない毒虫――劉鳳はそう判断した。

そしてそれから数十分後、劉鳳はロロノア・ゾロと遭遇し、戦闘に至る。
そこに躊躇いや罪悪感は欠片もない。自身の信念に基づき悪を処罰する。
母を殺した奴のような悪、カズマのような秩序を乱す悪、それら同様にコイツを断罪する。
ただその意志だけを胸に劉鳳は全身全霊で戦う。

「絶影!」

そしてその意志に呼応するは、劉鳳の分身とも言える存在・絶影。
劉鳳を守護するように立ち、二本の鞭を縦横無尽に振るいゾロを追い詰める。

「へっ、面白い能力持ってんじゃねぇか。でもな……甘ぇ!」

だがゾロとて一億二千万の賞金首。
易々と攻撃を喰らう気もなければ、引く気もない。
それどころか、戦闘を楽しんでいるかのような微笑みすら見せている。

549創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:16:58 ID:6WMcA+Nx
支援
550 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:18:54 ID:DsGo9He+
「この状況下で笑うか……何処までも救えん屑が!」

一本は真上から叩き付けるように、一本は真横から薙ぎ払うように、劉鳳は触鞭を動かす。
地中に根を張り巡らせた木をも軽々と吹き飛ばす触鞭での二撃。
それをゾロは二本の刀で受け止める。
簡単に、とまではいかないが、それでも確実に両の腕だけで止めた。

「何っ!」
「なに驚いてんだよ、坊ちゃん顔」

劉鳳が驚愕するのも無理はない。
絶影の触鞭は、乗用車や全長数十メートルのアルターまでも吹き飛ばし切り裂く程の力を持つ。
制限があるとはいえ、それを生身の人間が日本刀で受け止めたのだ。
驚くなという方が無茶だろう。

「次はおれの番だ」

言葉と共に触鞭を弾き、ゾロが疾走。
絶影との間にあった数メートルの距離が一瞬でゼロになり、間合いはゾロの物となる。
右の肩口から袈裟切りに刀を振り下ろす――それを絶影は僅かに後退し回避。
お返しの蹴撃がゾロの鳩尾目掛け進むが、ゾロは左腕を盾に回しそれを防御。
瞬間、絶影の姿が掻き消え、ゾロの真上へと現れる。
触鞭を螺巻き状に束ね、ゾロの脳天へと直進させた。

「二刀流……龍巻き!!」

だが弾かれる。
ゾロを中心に発生した竜巻のような斬撃が、触鞭の軌道を逸らした。

(絶影の速度に反応したばかりか、攻撃を弾いただと……!)
(鞭ごと上の人形も切り刻むつもりだったんだけどな……あんなナリの割に攻撃が重ぇ。二刀じゃちょっと辛いかもな……)

予想が外れたのは両者同様。警戒心を強め距離を取り、隙を伺うように睨み合う二人。
十数秒の静止の後、先に動いたのは劉鳳であった。

「ロロノア・ゾロ、貴様は何の為に戦う?」

唐突の質問にゾロは首を傾げ、だが直ぐに不遜な笑みを浮かべ劉鳳を正面から睨んだまま口を開く。

「野望の為だ」
「野望?」
「そうだ、最強の剣豪になる為におれは戦う」
「下らんな……そんな物の為に他者を傷付けるというのか!」
「ああ、そうだ」

何処までも不遜な微笑み、僅かな迷いも見受けられない瞳、自身の道を信じきったその言葉。
劉鳳は、目の前のゾロにある男を重ね合わせていた。

551創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:19:29 ID:6WMcA+Nx
支援
552 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:20:18 ID:DsGo9He+
―――最初は歯牙に掛ける必要もなかったネイティブアルター。
見所があるのはその異常なまでの反骨心と執着心だけ。そう思っていた。
だが奴は成長を遂げた。
ホーリーの精鋭アルター使いを一人、また一人と再起不能に追い込み、大きな壁となり自分達の前に立ち塞がった。
だから叩きのめした。
離反したホーリー隊員に邪魔されトドメを刺せなかったにせよ、絶影の真なる姿を解放し奴に力の差を見せ付けた。

だがしかし、それでも奴は立ち塞がった。
それまで以上に激しい抗戦をし、遂には相棒ともいえる仲間まで傷付けられた。
奴が分からなかった。
ふざけた理屈で暴れ回り、他を傷付け、何度叩いても折れずに反逆を続けるあの男が。
だから再び戦った。
完膚無きまで奴を潰す為に戦い、その最中、奴が新しい力を見せた際に発生した
不思議な光に包まれ、気付けばあのギラーミンの元にいた。
倒しきれなかった。真なる絶影の力を用いても、倒しきるには至らなかった。

――劉鳳は、その男とゾロとが僅かに似ていると感じていた。
低脳としか思えない理屈で我が道を行くゾロが、低脳な理屈で我が道を行くカズマと同様のタイプだと感じていた。
この男を、眼前の悪を打ち砕くべきだと、劉鳳は判断した。

「絶影! お前の真の姿を奴に見せてやれ!」

淡い白色の光に絶影の姿が隠れたと思いきや、その形状が徐々に変化していく。
巨大な尾が生え、身体も二回り程大きさを増し、今まで存在しなかった両腕が現れる。
絶影の進化にゾロは目を見開き、手の中の刀を力強く握り締めた。
その頬を、一筋の冷や汗が伝った。

「てめぇ、それは……」
「もはや貴様に万が一つも勝ち目はない! 大人しく地獄へ向かえ!」

そのアルターの名は真・絶影。
影をも絶やす速度で空を掛けるその姿は将に神速。
断罪の使者が、動き出す。

「うおっ!」

ゾロの反応速度を持ってしても、その姿を捉える事は出来なかった。
人の上半身を持った大蛇が消えたと思えば、何かが視界を掠め同時に真横から衝撃が走る。
防御の体勢を取る暇もなく、身体が空を浮遊した。
ゾロも空中で真・絶影の攻撃を見切ろうと目を開く―――が、その瞬間、真下から衝撃。
続いて真上から。
続いて右斜め下から。
続いて真っ正面から。
宙で四度ほど方向を転換した後数本の木をへし折ることにより、ゾロはようやく地面と再会する事ができた。

「満足したか毒虫……貴様は最強でも何でもない、ただの社会不適応者だ」

砂煙の奥で力なく倒れ伏すゾロを見やり、劉鳳はそう捨て吐いた。
もともと多大な疲労を伴う真・絶影での戦闘、そしてそれに加えられた制限により大きく息を乱しつつも、劉鳳は絶影をアルター分子へと分解する。
最後にゾロの死体を一瞥すると、踵を返しその場を後にした。

「待てよ、おれはまだピンピンしてるぜ」

が、それを呼び止める一つの声。
うんざりとした気分を噛み締めながら振り向く劉鳳。
そこには到底ピンピンしているようには見えない姿だが、余裕ある表情でロロノア・ゾロが確かに立ち上がっていた。

553創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:20:48 ID:6WMcA+Nx
支援
554 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:22:07 ID:DsGo9He+
「まだやる気か……」
「当たりめぇだろ。こっちはようやく身体が暖まってきたところなんだよ。ここで引く訳にいかねぇだろ」

頭から血を流しつつもその笑みは少しの陰りも見せない。
劉鳳は真・絶影を発現させ、自身の前に待機させる。その顔には呆れと怒りがない交ぜになった、混沌があった。

「……分かった。ならば、とことんやってやろう! この俺が、絶影を持つ劉鳳が!」
「こいよ、坊ちゃん顔!」

駆け出すタイミングはほぼ同時、だがスピードには雲泥の差がある。
残像を残し、一瞬でゾロの背後を取る絶影。
尾と触鞭が振るわれ、刀を構えたゾロへと迫る。

「柔らかなる拳・烈迅!」
「二刀流・犀回(サイクル)っ!」

絶影の必殺の拳を受け止めるは二刀流の妙技。
刀を逆手に持ちその場で回転し斬撃を発生させ、触鞭と尾の軌道を逸らす。
それと同時に絶影目掛け疾走。一気に斬り掛かる。
だが、空気を切る鋭い音と共に絶影の姿が再び消え、ゾロの一撃は回避された。

「やべぇっ!」

唐突にゾロが横っ飛びをし。その場から動く。
そのコンマ数秒後、絶影の尾が轟音と共にゾロが立っていた地面を叩き割った。
安堵の息を吐きかけるゾロであったが、それは許されず、青色の触鞭が脇腹に命中。
内臓まで届く衝撃に苦悶を滲ませるゾロへと、続いて尾が振るわれた。
再度横っ飛び、何とか避ける。

「逃がすかッ!」

戦場から少し離れた位置に立つ劉鳳が叫んだ。
その意志に応えるかのように真上から絶影がゾロに迫る。

「潰れて消えろ! ロロノア・ゾロ!」

そのままの勢い、速度を維持し、押し潰す形でゾロへと激突。
今までの中で最大の破砕音が周囲に飛び散り、衝撃に巻き上げられた砂埃が辺りを埋め尽くす。
奴は絶影の動きに反応しきれていない、加えて回避した様子は見られなかった――今度こそ劉鳳は勝利を確信する。

「二刀流居合い……羅生門」

――その確信を吹き飛ばしたのは自身の右腕から発せられる痛みであった。
有り得ない事態に驚愕を隠すこともせずに、劉鳳は砂埃の奥に立つ男を見つめた。
そこには刀を納めた形で膝を付くゾロと、片腕を斬り落とされた絶影がいた。

「……馬鹿な……」
「大分ダメージくらっちまったが、目も慣れてきた。次は外さねぇ」
「……何をした」
「あ? 斬っただけだよ、お前御自慢の人形をな」

信じられない、劉鳳の表情が雄弁に語っていた。
力を制限した絶影なら兎も角、真の姿を解放した絶影。
それをたかが生身の人間が斬った。
有り得ない。あまりに非常識で馬鹿げている。
生身の人間が絶影を斬り裂くなど―――。

555創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:22:52 ID:6WMcA+Nx
支援
556 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:23:02 ID:DsGo9He+
「なにボケッとしてんだ!」

驚きに支配されていた劉鳳を現実に引き戻したのは剣士の一言。
それと同時に振るわれた刃を寸でのところで交わし、右腕のない絶影を呼び戻す。
だが、影を絶ち接近する絶影に視線を移す事もせず、ゾロは後ろへと飛び退き、そして地を蹴り絶影目掛けて飛翔。

「なめるな!」

しかし単純な速度なら絶影の方が遥か上の領域に達している。
四つの残像を残しゾロの上方へと強襲、触鞭での打撃でゾロを地へと墜とした。
まるで弾丸の如く地面に直進するゾロであったが、空中で二、三ほど回転した後にしっかりと両の脚で着地。
油断なく剣を構え、絶影、劉鳳の襲撃に備えた。

「やっぱ速ぇえな……まともにやってちゃ話にならねぇか……」

絶影での攻撃は確かに命中したにも関わらず、ゾロは余裕ある表情を見せている。
劉鳳の歯がギリ、と音を成す。
右腕の痛みなど最早どうでも良かった。怒りが噴出する。
何度も絶影の攻撃を受けて、それでも尚ゴキブリのように立ち上がる毒虫に、劉鳳は憤怒を覚えていた。
――殺す。
化け物じみた身体能力を持つとはいえ、一応は生身の人間。
今までは心の何処かに躊躇いがあった。
それを拭う。奴の命を摘み取るため全力を出す。
劉鳳は覚悟を決めた。

対するゾロは考えあぐねていた。
速度はあちらが上。
力もあちらが上。
特に速度の差はあまりに大きすぎ、その差は致命的とまで言える。
ギリギリで反応は可能だが、全てを避けるにはあの攻撃は猛烈すぎる。
今も立ってはいるものの、体中がダメージに悲鳴を上げ警報を鳴らし続けている。
先の一撃だって奴が向かって来た瞬間を狙い、居合いを成功させただけ。
三刀あればまだ話は別だが、正直に言えば今の時点での勝ち目は薄い。
だが引けない。
最強を目指すため、何より死んだウソップに顔向けが出来ない。
奴は死ぬ直前まで抗った筈だから。
自分の為か、仲間の為かは分からないが、奴は偉大なる海の戦士として抗った筈だから。
――だから引く訳にはいかない。

「毒虫にしては良く耐えた方だ……だがこの一撃で終わらせてもらう!」
「そりゃありがてぇ……おれもやる事があるんだ。サッサと終わらせちまおうぜ、おれの勝ちでな!」

互いの距離は十五メートル程。
刀を武器とするゾロには不利な間合い、速度を武器とする絶影には存在しないと同然の間合い。
端から見ればゾロの不利は明確。
だがゾロは一つだけ切り札を隠していた。
飛ぶ斬撃――三刀流で放てば鉄をも斬り裂き、巨大な津波すら貫通する技。
偉大なる航路での冒険の中で会得した技の一つ、それをゾロは隠していた。
相手は自分に飛び道具が無いと勘違いをしている筈。
少し狡くも感じるが、相手の能力も充分卑怯なレベル。おあいこだ。

557創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:23:40 ID:2QkV9pEk
558創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:24:03 ID:6WMcA+Nx
支援
559創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:24:19 ID:2QkV9pEk
560創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:25:15 ID:2QkV9pEk
561 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:25:44 ID:DsGo9He+
(バカ正直に狙ったところであの人形には当たらねぇ……狙いは奴自身、一発で決める……)

この場では二本の刀しか無いが、それでも劉鳳を戦闘不能に追い込むだけの威力はある。
ゾロは背負うように刀を構え、必殺の一撃を見舞うため力を溜め始めた。
――しかしゾロは知らない。
自分が切り札を隠し持っていたように相手も切り札を持っていた事を。
その切り札こそ、絶影が持つ最強の一撃だという事を。
速度だけが絶影の武器ではない事を。
――ゾロは知らなかった。

「剛なる右拳・伏龍!」

劉鳳の咆哮と共に絶影が行動を開始する。
背中に装着された、いわゆるロケットパンチが絶影から離れ、その切っ先がゾロへと向く。
そして発射。
伏龍は、一瞬で最高速へと加速し、眼前の毒虫を潰す為に空気を切り裂き直進した。

「何ィっ!?」

ただの飾りだと思っていた物が突然ロケットパンチとして動き出した事に、ゾロの口から思わず驚きが飛び出る。
しかしその驚きに自立稼働型のアルターが同情や躊躇を覚える訳もなく、ロケットパンチはただ一直線に一億二千万の賞金首を目掛け進む。

「くそっ! 七十二……煩悩鳳(ポンドほう)!!」

策の失敗に舌を打ち、切り札を自身の防衛の為に発射するゾロ。
空気が渦巻き斬撃となり駆ける。
アルターが放つロケットパンチ――伏龍。
海賊剣士が放つ斬撃――七十二煩悩鳳。
世界観が全く異なった攻撃同士が次元を越えて巡り会い、接触――空気や、地面や、木々、周囲にある全ての物体を震撼させる。
均衡はない。
剣士が様々な死線を乗り越え身に付けた飛ぶ斬撃を、伏龍は一瞬で打ち破る。
ドゴッともメシャッとも付かない音が辺りに響き、剣士は苦痛の声を上げることすら叶わずに、数本の木と伏龍ごと森の奥へと姿を消した。







「まだ生きているのか……」
「まぁな……馬鹿みてぇにハードな冒険でタフさは鍛えられてんだよ……」
「……貴様の負けだ、死ね」
「ハッ、まだだ……まだ負けちゃいねぇ……」

劉鳳はただジッと男を見下ろしていた。
男は体中に傷を負い、頭からは血を流し、将に満身創痍といった風。
どう見ても戦えるようには見えなかった。
だが男はもがいている。
二本の刀は手に握ったまま、震える両腕を地面に押し付け必死に立ち上がろうと試みている。
その眼光は少しも衰えず、強靭な意志を漲らせていた。

「お前は何だ……何故戦う」

無意識の内に劉鳳の口から出た言葉。
劉鳳もアルター使用による疲労は大きいが、ゾロと比較すればダメージの内にすら入らない。
それ程にゾロがボロボロに見えた。
なのにゾロは立ち上がろうとする、立ち向かおうとする。
それは劉鳳にとって疑問でしか無かった。
立ち上がれたところで勝負にならない事は瞭然。
562創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:25:59 ID:6WMcA+Nx
支援
563 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:27:20 ID:DsGo9He+
何がこの男を突き動かしている?
毒虫でしかない筈のコイツが、何故ここまでの気迫を目に宿す?
何が目的で此処までの戦闘力を手に入れた?
アルターと、生身で絶影の真なる姿とさえも斬り合える程の力を、何故手に入れた?

「言っただろ。最強を目指してだ」
「……何故最強を目指す? 名声が欲しいのか?」
「……約束した。もう逝っちまった親友に、最強の剣豪になると……約束した」
「約束……」
「だから引けねぇ……引けねぇんだよ!」

遂には立ち上がり、覚束ない脚で剣を構えるゾロに、劉鳳は複雑な瞳を向け構えを取る。
地面が数ヶ所抉れ虹色の粒子となり、彼の分身へと姿を変え、ゾロの前に立ち塞がる。

「貴様はおかしな男だ。今までに出会ったどの犯罪者とも違う印象を受ける」
「だからどうした。なら見逃してくれんのか? ハッ、ありえねぇな」
「……そうだ。だからせめて苦しまないように逝かせてやる」
「死んだらおれはそこまでの男……来いよ、その人形、真っ二つにしてやるよ……!」

刀に全てを乗せ、ただ己が信じる道を突き進む―――ゾロは二刀を逆手に持ち地と平行に構えた。

「二刀流・弐斬り……閃(ひらめき)!」

そのまま横一文字に一閃。
真・絶影が防御に伸ばした青色の触鞭とぶつかり合い火花を散らす。
そして跳躍。横一文字を縦一文字に移行し上から乗し掛かる形で刀を振るう。

「魔熊(マグマ)!!」
「甘いっ! 柔なる拳・烈迅!」

だが傷付いた身体が足を引っ張り、今一つの押しが足りなかった。
二本の刀は一本の鞭に防がれ、残りの一本はゾロの足に絡み付きその身体を放り投げる。

「剛なる右拳――」

畳み掛けるように劉鳳が絶影へと言葉を紡ぐ。
一撃でゾロを瀕死の淵へと追い込んだ必殺の拳を、再び撃ち出そうともう一人の己へと命じる。

「二刀流・七十二――」

しかしそれでもゾロの瞳は未だ諦めの文字を映し出さない。
二本の刀と自分の力を信じ、攻撃を放つ為に刀を構える。

「――伏龍!」
「――煩悩鳳(ポンドほう)!」


――劉鳳は強かった。
純粋な実力だけなら参加者の中でもトップクラス。
アルター・絶影の力は同様にアルター使いであるカズマやクーガーでさえも舌を巻く程である。
この場に於いてもスタンド使い・東方仗助を圧倒し、麦藁海賊団の主力であるロロノア・ゾロさえも追い詰めた。
ゾロが三本の刀を装備し、本来の三刀流を発揮できたとしてもその結果は変わったかどうか分からない。
それに劉鳳は、この時点では彼自身も知り得ない事であるが、もう一段階の進化の可能性を秘めている。
自立行動型である絶影を融合装着し、彼自身の肉体を強化するというもの。
その力はあまりに絶大。
対抗できる者は同様の進化を果たしたカズマくらいのもの。
将に最強のアルター使いと呼称するに相応しい力を得る事となる。

564創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:27:50 ID:6WMcA+Nx
支援
565創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:28:06 ID:2QkV9pEk
566 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:29:09 ID:DsGo9He+
しかし、そんな彼にも弱点はある。

それはその性格。
何処までも悪を憎み、それを断罪する事を信念とする――これ自体は素晴らしい信念。
ただその行程があまりに愚直過ぎる。融通が聞かないと言い換えても良い。
悪は悪と決め付け、話し合いではなく力で制圧しようと考える心持ち。
今回ゾロと戦闘に至った過程もそう。
支給品の賞金首リストの内容から、ロロノア・ゾロやモンキー・D・ルフィを悪と迷うこと無く断定した。
これがまず一つ目の弱点。

そして彼にはもう一つ弱点がある。

度々周りが見えなくなるのだ。
仲間を傷付けたカズマと戦った時然り。
後々知り合う由鉈かなみを無常に連れ去られた時然り。
最後のカズマとの決闘も然り。
あまりに一本気すぎる正義感が影響して、周囲の声が全く聞こえなくなる。
そして今この瞬間もまさに、その事態に陥っていた。
絶影の操作に全神経を傾け、ゾロを打ち倒す為に力を振るう。
満身創痍とはいえ油断のできない相手だと理解しているし、何よりゾロの信念と野望を聞いた今、手を抜くなど劉鳳には到底無理な話であった。

―――だから気付けなかった。
巧妙に殺気を消し影から狙う敵の存在に。
自身へと向けられた銀色の銃身、ほの暗い銃口に。

劉鳳が自分の危機に気付いたのは銃声が轟いた瞬間。
それでも反射的に身を捻り、射線から急所を外したのは流石と言える。
が、撃たれた銃弾もまた特別な物であった。
砂の惑星を救う為ある平和主義者が命を削り精製した、特別な『力』が込められた弾丸。
万物を『持っていく力』――全てを守る為に使われる筈だった力が劉鳳の眼前で発動。
劉鳳の左腕、左胸、左脇腹、左腿、左耳を文字通り『持っていった』。







「なっ……!?」

技名と共に二刀の刀を振り切ろうとした寸前で、ゾロは新たな危険を察知した。
銃声が鳴り響いたかと思えば、相対する男の左半身が謎の光に呑み込まれ消滅。
当然ロケットパンチも飛来せず、男が倒れると共に散々苦戦させられた人形も形を崩し、宙に霧散していった。

「チッ、次から次に……!」

ゾロは直ぐさま、自分なりに事態を判断し銃声の方向へと刀を振るう。
――また一人敵が現れ、不意打ちであの人形使いを殺した。
事態の把握など、ゾロにとってはその程度で充分であった。
敵は斬る。それがゾロの行動方針。
明らかな敵意を持った相手にグダグダ考える暇などない。
まずは攻撃。次も攻撃。敵に対する対応などそれしか存在しない。

567創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:29:22 ID:2QkV9pEk
568創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:29:58 ID:6WMcA+Nx
支援
569 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:30:35 ID:DsGo9He+
木々の間に隠れる謎の敵へと、二本の刀から飛び出した斬撃が渦となり迫る。
それと同時にゾロの両脚が地面に触れ、敵へと接近する為の脚力を溜めつつ、数メートルほど滑る。
視線を新たな敵に固定したままゾロは二本の刀を構え直した。

「てめぇも能力者か」

ゾロが飛ばした斬撃は、またもや発動された『持っていく力』により、敵へ到達する前に消えて無くなっていた。
謎の光、消えた斬撃、異世界の事など何も知らないゾロは敵が悪魔の実の能力者だと判断する。

「能力者? 何だ、そりゃ?」
「てめぇの事だよ。……どうした、影からチマチマ攻撃すんのは止めたのか?」
「まぁね。あんたボロボロだし、それに大して強そうに見えねぇしさ」
「ハッ、そういうお前はどうなんだよ、変入れ墨」
「……まぁいいや。精々楽しませてくれや」
「お前こそな」

――ゴングはベレッタカスタムの雄叫び。
こうして死闘は2ラウンド目を迎えた。







何が……起きた?
何故……なにも……見えない?
奴は……ロロノア・ゾロは何処に消え……た?
あの……銃声の主は…どうした?
身体が動か……ない……。
絶……影は……何故……出……ない。

「ざまぁねぇな。絶影を持つ劉鳳さんよぉ」

貴様は……カズ、マ……!
何……故ここ……に……いる……!?

「身体が半分ばかし吹き飛んだくらいでテメェは立ち止まんのか?」

……な、に?

570創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:30:49 ID:2QkV9pEk
571創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:30:57 ID:6WMcA+Nx
支援
572創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:31:46 ID:6WMcA+Nx
おお!?
573 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:31:57 ID:DsGo9He+
「テメェが言う正義ってのはそんな簡単に終わるものなのかって聞いてんだよ!」

黙、れ……。

「テメェもそんなもんかよ。変わらねぇ……そこら中にいる口だけ野郎と変わらねぇよ」

黙、れ……!

「じゃあな劉鳳。テメェには失望させてもらったぜ」

黙れと……言っている!

「ハッ、まだまだ元気じゃねぇか。なら立てよ! 立ってテメェの力を見せてみやがれ!」

貴様に……言われなくても……見せてやる!
この俺のアルター……絶影を!

「そうだ! それを待ってたんだ! ムカつく奴がいるんだろ! やれよ、やっちまえ! ブチ壊せ! テメェの前に立つチンケな壁をよぉ!」

黙れ……!
貴様の……指図は……受けん……!
俺は、俺の信じる道を行く……!
それが俺だ……絶影を持つ劉鳳だ!
悪を、打ち砕け、絶影!!







「どうした、息が上がってるぜ! 剣士さんよぉ!」

勝負はゾロの不利で展開されていた。
本来の力が出せない上に、劉鳳との戦闘で積み重なったダメージ。
一挙一動が不可視の重りを背負っているかのように緩慢。体力も尽き欠けている。
ラズロの猛攻に何とか耐えてはいるが敗北は時間の問題。
誰の目にもそう映るであろう程にゾロは追い込まれていた。

「二刀流……鷹波(たかなみ)!」

ラズロの足元に滑り込んでの連斬――だがまるでその場から消え失せたかの如く超速移動で容易く交わされる。
二刀流の技も起死回生には至らない。むしろ消耗を大きくするだけ。
どう動いてもラズロの身体に二本の刃が届く事はない。

「……そろそろ終わりでいいよな」

終焉の時は容易く訪れる。
ふらつくゾロへと一瞬で距離を詰め、強烈な蹴りを腹部に一発。
『く』の字に折れ曲がり、献上するように前へ出された顔面を更にキック。
天を仰ぐように跳ね上げられた顔面に踵落としの要領で更に一撃。
糸が切れた人形のように崩れ落ちるゾロの身体。

「弱ぇえな……お前みたいなカスには銃使うのも勿体ねぇよ」

動かない身体、だがゾロは顔だけを上げてラズロに殺気の籠もった視線を向ける。
死に体とは思えない程の殺気にラズロの表情が愉悦に染まり、そして数秒後、無感情なものへと移り変わっていった。

574創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:32:29 ID:2QkV9pEk
575創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:32:55 ID:6WMcA+Nx
支援
576 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:33:14 ID:DsGo9He+
動かない身体、だがゾロは顔だけを上げてラズロに殺気の籠もった視線を向ける。
死に体とは思えない程の殺気にラズロの表情が愉悦に染まり、そして数秒後、無感情なものへと移り変わっていった。

「いいねぇ、いいねぇ。なかなか楽しませてくれそうな顔だよ。……でもな、意志に身体が追い付いてねぇ。それじゃあ楽しめねぇんだよ!」
「グアッ!!」

轟音。
ラズロの左手に握られたソードカトラスが火を噴き、ゾロの右腿に指先サイズの穴を空ける。

「出血大サービスって奴か? その根性に免じて銃を使ってやるよ。次は何処撃って欲しい? 脚? 腕? 腹? 胸? それとも頭いっとく?」

傷は微小、ダメージは絶大。
ゆっくりと、だが確実に近付いてくる死にゾロは何も出来ない。
ただ心は負けぬ、と視線で見せ付ける。それが今のゾロに可能な精一杯の抵抗であった。

「おい、返事が聞こえねぇよ」
「……うるせぇよ……変入れ墨」
「……よし決めた。肺に一発撃ち込んでやるよ。精々苦しんで逝っとけ」

ゾロに皮肉を返す暇も与えず、無情に、無慈悲に、銃声は鳴り響いた。
ラズロの狙い通り弾丸は胸部を貫通し、右肺をズタズタに傷付け、呼吸器としての役目を終わらせる―――事はなかった。
何故か弾丸はゾロの数cm手前に着弾し、地面を抉っただけ。
ゾロには傷一つ付ける事はなかった。

(何が……起きた……)

ゾロはしっかりと見ていた―――後方から飛んで来た何かがラズロと激突し、ラズロを森林の奥深くまで吹き飛ばしていく光景を。
結果的にラズロが撃った弾丸はその衝撃により外れた。
ゾロは痛みに悲鳴を上げる身体を無理矢理にねじ曲げ後方に顔を向ける。
そこには男が立っていた。
元は白色だった服を真っ赤に染め、右半身の殆どを消失させ、それでも尚立ち続ける男。
そしてその傍らに立つ、宙に溶けるように姿を消していく人形。

「剛なる拳……伏龍、臥龍……」

その言葉を最期に人形は完全に分散し、男も地面に倒れる。
ゾロは見ていた。
最期まで自分の信念を貫き、悪を断罪し続けた男の姿を、ゾロは見続けていた。


【劉鳳@スクライド 死亡】







「結果的に助けられちまったな……」

命の恩人とも言える男の側にてゾロはポツリと呟いた。
男は、達成感に満たされた穏やかな顔をしたまま息を引き取った。
元々即死レベルの傷。立ち上がった事は奇跡以外の何物でもない。
ゾロは複雑な表情でその死体を見下ろし、数分後、ゆっくりと歩き始める。
死体から頂戴したデイバック、その中に入っていたアイテムにより、身体の傷は僅かながら癒え、体力も微量ではあるが回復した。
ここで立ち止まっている道理も言われも無い。
手には一枚の紙、腰に三本の刀を差し、ゾロは歩く。

577 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:33:47 ID:DsGo9He+
紙には参加者の名前が掲載されており、所々の名前の横に○印や×印、△印が付けられている。
×印は「カズマ」、「モンキー・D・ルフィ」、「ロロノア・ゾロ」の横に。
○印は「ストレイト・クーガー」、「橘あすか」の横に。
△印は「トニートニー・チョッパー」の横に。
名前欄の下には「リーゼントの男・×」、「獣耳の幼女・△」との文。

「×が危険人物、○が仲間、△が微妙……ってことか?」

敵と認識されていた自分の名前が×に区分してある事により、ゾロはそう判断する。
その思考は将に大正解。
もう一人の危険人物――ラズロの事もメモ書きしようとしたが、あの一撃で生きているとは到底思えず、ゾロは手を止めデイバックの中に名簿を締まった。

次いでゾロは腰に差された刀を一本、鞘から抜き出す。
これもまた劉鳳のデイバックに入っていた支給品の一つ。
近い未来ゾロが入手する事となる、伝説のドラゴン殺しの愛刀「秋水」――大業物21工の一振りであり、頑強さが特長の黒刀だ。

「……おれの刀達が見付かるまでだけどよ……使わせてもらうぜ」

決して後ろを振り返らず、漆黒の刀身を空に掲げ、ゾロは誰にともなく言葉を飛ばす。
ボロボロの身体を引き摺る歩き続けるその姿は、何処か虚しげに見えた。

【F-8/森・西部/早朝】
【ロロノア・ゾロ@ワンピース】
[状態]疲労(大)、全身にダメージ(大)、左腿に銃創
[装備]トウカの剣@うたわれるもの、八千代の刀@WORKING!!、秋水@ワンピース
[道具]支給品一式、麦わら海賊団の手配書リスト@ワンピース、迷宮探索ボール@ドラえもん
[思考・状況]
1:ウソップの仇打ち
2:ゲームにはのらないが、襲ってきたら斬る(強い剣士がいるなら戦ってみたい)
3:ルフィ、チョッパーを探す
4:クーガー、橘あすかにも合ってみたい。リーゼントの男にも興味

※参戦時期は少なくともスリラーバーグ編(46巻)より前です。
※吉良吉影のことを海賊だと思っています
※黎明途中までの死亡者と殺害者をポケベルから知りました。
※入れ墨の男(ラズロ)が死亡したと考えています
※劉鳳に支給されたげんきのかけら@ポケットモンスターSPECIALを使用しました



578創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:34:11 ID:2QkV9pEk
579 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:34:28 ID:DsGo9He+




「いやはや、やってくれたなぁ……アイツ等……」

隕石が惑星に落下した際にできるクレーター。
その縮小版の中心に身を置きながらラズロは一人笑っていた。
数本の肋骨が砕け、その破片が突き刺さり内臓はグズグズ。だが死ぬにはまだまだ全然足りない。
この程度の傷なら数十秒、妙な制限が設けられたこの場でも数分で完治しきる。
とはいえ直ぐに活動できるほど浅い傷でもない。
ラズロは寝転がり身体の治癒に努める他なかった。

「背中のアームは……壊れちまったか。ピクリとも動かねぇ」

しかし代償はあった。
自分の本領――トライパニッシャーが発揮できない事態を知り、心中にて燃えたぎる殺意はその勢いを増すばかり。
即死と判断したにも関わらず立ち上がり自分を吹き飛ばした白服の男。
トドメを刺す寸前で邪魔が入り幸運にも生き延びた緑髪の男。
苛立つ。
白服の方は直ぐに死ぬだろうが、それでも苛立ちは収まらない。

「本当ムカつく奴ばかりだな、ココは。……収まんねぇ、全部ぶっ壊さなきゃ収まんねぇ……」

待ち続ける。
回復の時が来るのを、全てを滅ぼし尽くす時が来るのを、ラズロはただひたすら
に待ち続ける


【F-8/森・東部/早朝】
【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
[状態]健康。ラズロ状態。肋骨を粉砕骨折、内臓にダメージ大(治癒中)、背中のロボットアーム故障
[装備]M94FAカスタム・ソードカトラス×2@BLACK LAGOON、.45口径弾×9、.45口径エンジェルアーム弾頭弾×22@トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式、.45口径弾24発装填済みマガジン×4、45口径弾×24(未装填)
[思考・状況]
 1:片っ端から皆殺し。
 2:ヴァッシュとウルフウッドを見つけたら絶対殺す。あとクーガーとゾロも。
 3:機を見て首輪をどうにかする。
 4:ギラーミンも殺す。
【備考】
 ※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。


【秋水@ワンピース】
スリラーバーグにて雪走に代わる刀として手に入れた刀。
大業物21工の一振りで、鍔、刀身共に黒色。
また「恐竜が踏んでも一ミリも曲がらない」強度を持ち、先代の雪走と比べるとかなり重いらしい。
原作47巻から後を読めば把握できます。

【麦わら海賊団の手配書リスト@ワンピース】
45巻にて新聞と一緒に配布された麦わら海賊団の手配書。
当時のメンバー全員(ブルックを除き)のフルネームと顔写真、賞金額が載っている。
因みにルフィは三億ベリー、ゾロは一億二千万ベリー、チョッパーは五十ベリー、そげキング(ウソップ)は三千万ベリー。
チョッパーの写真は人獣形態で撮られています。

580創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:34:30 ID:6WMcA+Nx
支援
581 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/06(火) 23:35:37 ID:DsGo9He+
投下終了です。
途中、投下量をミスってしまいました……orz
矛盾点や疑問などあったらご指摘お願いしますー

582創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:36:01 ID:iEtFdlvG
支援
583創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:36:04 ID:2QkV9pEk
584創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:45:21 ID:wMVnf/q+
投下乙!
劉鳳がここで脱落か…
確かに周りが見えなくなりやすいタイプだから不意打ちには弱いか
そこを突いたラズロはある意味流石だな
そしてゾロに三本目の刀が!ただどう見ても戦闘可能な状態じゃないのが何ともw
585創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:47:34 ID:+Q4ZnMyA
URYYYYYYYYYYYYYYYY!
ゾロの悪運強ッ!
面白かったです。
586創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:49:07 ID:6WMcA+Nx
投下乙!

劉鳳が逝ったか……!
誤解をしたままだったけれど、自分を貫いた結果だからこその最期だったんだろうな
ゾロとのバトルも迫力があって、読んでいて楽しめました!
これからゾロがどう動くのか楽しみです
そしてラズロ! 良い感じに動いてるなぁ
GJでした!
587創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:54:51 ID:ghDJ+7QY
投下乙
戦闘力トップクラスのうちの一人が消えたか
それにしてもラズロの強さやばいな
重症とはいえゾロを余裕で追い詰める身体能力に強力な武器とは・・・

それにしてもいくつかパロロワを見てきたがやっぱり劉鳳は生き残れないかw
588創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:57:09 ID:EJoIdMps
劉鳳がここで落ちたか…
周りが見えなくなる故に奇襲されて死ぬというのは良かったぜー
589創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 00:06:56 ID:ADnpyqAX
乙ー
正義の人が散ったか
面白かった!
590 ◆EHGCl/.tFA :2009/01/07(水) 00:08:06 ID:9iB6OFk3
タイトル忘れてた……。
タイトルは「海賊ロロノア・ゾロvsアルター使い劉鳳」ということでお願いします
591創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 00:38:30 ID:1/CuLkb/
乙。なんだかんだで自分の正義のために行動してた劉鳳に乾杯。
ラズロもいい具合にマーダーとして活躍中だなぁ、
それにしてもマーダー強いwこんなにもパロロワの先行きで不安になったのは
某ロワで主役級二人が死に、最強マーダー超パワーUPしたときだ時以来だ。

そしてゾロ死にかけか、実に原作基準だwさすが麦わら海賊団で戦闘において最も血を流す男。
まぁ原作のゾロの体力回復というかタフさを考えれば
この状態になったからこそ、そうそう死にそうにないから困る
592創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 02:09:48 ID:MWJL/wHv
劉鳳……
名勝負乙でした
593創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 07:45:56 ID:Qj3cHdMV
劉鳳ーッ!
すごい三つ巴バトルだった!
なんとういう激戦…GJでした!
594創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 08:59:07 ID:xNSZae8U
投下乙でした。
銃vs刀vsアルター!
最後に運命に反逆を叩き付けた劉鳳が散ったか……。
ゾロは死に掛けてからが強い……筈。
リヴィオも第三の腕をやられたが、原作どおりならここからが勝負。
リターンマッチなるか、期待。

そしてテンプレ仮投下したものですが、とりあえず内容自体には問題ないみたいなので、まとめwikiのテンプレを変更してみました。
ついでにやわらかい文体がいいということで、おっぱいがでかくてやわらかい部長に出張ってもらいました。
後ほどセイバー道場の追加版も創ろうかなーと考えています。
595創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 17:36:45 ID:9iB6OFk3
テンプレ見てきました。
まさかの部長www
読みやすく分かり易くでとても良かったです、GJでした。
セイバー道場も楽しみにして待ってますw
596創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 18:39:03 ID:Qj3cHdMV
今避難所に修正SSが来てるの気が付いたんだけど
あれ代理投下してもいいおものなの?意見待ち?
どうすればいいのかな
597 ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:36:51 ID:iMpIIKCJ
お待たせいたしました。
カルラ、ドラえもん、春日歩、投下開始します。
598創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:37:17 ID:Qj3cHdMV
キタ!しえーん
599創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:39:27 ID:b8UY37Qk
支援
600鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:39:44 ID:iMpIIKCJ
 待合所を後にしたカルラとドラえもんは、遊園地の更に奥の方へと移動していた。
 入り口付近はドラえもんの大声がそれはもう響き渡ってしまった為、そこに長居をするのは危険だとカルラは判断したのだが、狼狽しつつもドラえもんが『まだ遊
園地を探しきっていない』と言って出るのを拒んだ。
 ドラえもんが言うには、彼が捜しているのび太という少年は動き回るよりはどこかに隠れている可能性の方が高いらしい。
 遊園地には観覧車の他にもいくつも建物がある、とカルラはドラえもんから聞いた。だからそこを捜しつくすまではここを離れたくないとドラえもんは主張した。
 入り口から奥に入れば袋小路になり、もしも入り口が危険人物に抑えられれば出られなくなってしまうのでは、とカルラが反論するも、待合所に置かれてあった地
図を既に読んでいたドラえもんが言うにはこの遊園地にはF−2エリアの西側入り口、G−4エリアの東側入り口、そしてG−2エリアの南側入り口の3つの入り口
があるらしく、一つを封じられても脱出は充分できるらしい。
 どうしても、と言うドラえもんの懇願、そして話を聞いてカルラも、アルルゥやエルルゥなどは確かにどこかで隠れている可能性もあると判断したことから、自分
も付き合うことにした。
 まずは北側の施設、メリーゴーランドやジェットコースター、サーカステントなどを見て回ったが、誰も見つからなかった。西から東へと進みながら捜していくう
ちに、彼女たちは東の、湖に面した場所に辿り着いていた。
 湖を眺められるロケーションに、備え付けられたベンチ。本来ならばここで客達が座り湖の絶景を眺めながら休日のひと時を過ごすのだろう。
 だが、今やここは殺し合いの会場。とはいえ、ここに着いた2人は湖を見渡す場所で落ち着く程度の余裕はあった。

「うわー。大きいなあ」
「ええ……このような状況でなければ、あるじ達とのんびり眺められるのですが」

 2人は身体を休める為、ベンチに座った。
 正面には柵があり、その向こうには大きな湖が広がっている。
 既に朝日が覗いて大分周りは明るい。光が湖を照らし、それが湖に反射して煌いていた。まさしく、本来ならば見ていて晴れやかな光景だった。
 湖の向こう岸には森が多く広がっているのが見える。かなり遠くには、流れ込む河口がある。
 森の更に向こうには地図で見れば病院などがあるはずだが、遠いことや木々が高いことからここからでは見ることはできなかった。
601創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:40:03 ID:b8UY37Qk
支援
602鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:40:37 ID:iMpIIKCJ

「…………?」

 湖を眺めていたカルラは、その一点に目を止めた。
 水しぶきが上がっている。激しく、何かが湖に落ちた時のような。
 だが、それは一瞬で消えずずっと残っている。それも、なぜか遠くとはいえ、湖の真ん中あたりでだ。
 しかも。

「ドラえもん」
「え?なあに?」
「あれは何ですの?」
「あれ?」

 カルラが指差した方をドラえもんも見やる。
 彼も同じ水しぶきを見て、そして同じ異常に気付いた。

「どんどん大きくなってる?」
「ええ。どういうことですの?」
「……もしかして……」

 どんどん大きくなってきている水しぶき。
 そしてだんだん聞こえてくる音。カルラには全く思い当たるものがない。
 だが、ドラえもんには心当たりがある。それはテレビとかで見る、彼の世界にはありふれている物。

「モーターボート?」

 ドラえもんがそれを確かめようとした時、終に2人の視界にそれが入ってきた。

 水しぶきの大元。
 それはドラえもんにはモーターボートではなく、バイクのように見えた。
 小さなボートのような物体に着いたT字の棒。それがバイクのハンドルに見えた。棒にはライトもついていて、その後ろから水しぶきが上がっている。
 そしてその棒に……誰かしがみついている。

「女性のようですわね……何をしているんでしょう?」
「運転……じゃあないみたい……カ、カルラさん?」
「なんですの?」
「あれ、こっちに突っ込んでくるみたい」
「ええ。だから水しぶきがどんどん大きくなっているように見えたみたいですわね」

「お、お、落ち着いてる場合じゃないよおおおおおおおお!!」


 *****
603創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:40:47 ID:Qj3cHdMV
604創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:40:49 ID:b8UY37Qk
支援
605鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:41:25 ID:iMpIIKCJ

 時間は少し遡る。


「そういえば、あのコロネの子の支給品見てへんかったなー」

 病院を離れた春日歩こと、大阪(逆な気もするがまあ気にしない)は南のほうに進み、湖のほとりで休息を取っていた。
 その途中、自分が殺した少年から奪った荷物をまだ確認していなかったことに気がついた。
 もしかしたら石ころ帽子のように便利な道具、銃のように強力な武器があるかもしれない。
 できれば、超人たちにも勝てるような物、超人たちから逃げ切れるような物を望む。
 大阪は奪って自分のデイパックにそのまま放り込んであった少年のデイパックを取り出し、中をまさぐってみた。
 細い筒……出してみた結果、自分も持っている懐中電灯。
 紙……出してみた結果、自分も持っている地図。
 ペットボトル……出してみた結果、自分も持っている水(以下略)

「ろくなのあらへん……どないしよ」

 焦ってもいいはずなのに、どこか暢気な感じでなおも大阪はデイパックを漁る。
 と、探る手が何かを掴んだ。手触りで判断すると……木、だろうか。自分のデイパックには木でできたものはなかった。
 よっしゃ、とばかりに大阪はそれを両手で引っ張り出した。

「…………自転車?」

 ハンドルとライトだけで判断しているが、それの付いているのは小さなボートのようなものであり、サドルもないので自転車とは言いがたい。

 これはある世界で『ウェイバー』と呼ばれる乗り物である。
 後部にあるという貝(ダイアル)から風を噴射し、その勢いで進む物である。
 だが、当然大阪はこんなことを知る由もない。

「ん?」

 ウェイバーをじろじろ見ていた大阪はハンドルの下にある物に気が着いた。
 その形状は、車のアクセル、ブレーキのペダルに見えた。

「……」

 大阪はウェイバーの上に乗り、ハンドルを握る。
 そして、足がちょうど乗るそれを……踏み込んだ。

 なぜか、と聞かれれば彼女はこう答えただろう。
『そこに踏むものがあったからやろかー』
 普段から思考が緩かった彼女はろくに考えず、なんだか見るものに『踏んでくれ!』と訴えているようなペダルをとりあえず踏んでみてしまった。
 こんな状況で、と思うかもしれないが……それはせめて、いつもの日常を少しでも感じていたい彼女の無意識な、それでいて純粋な求めだったのかもしれない。

「ふえ?」

 その結果が、たとえ彼女にとって恐怖のそれだとしても。


 *****
606創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:41:52 ID:b8UY37Qk
支援
607鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:42:02 ID:iMpIIKCJ

「うひゃああああああああああああああああ」

 現在大阪はハンドルにしがみつき、悲鳴をあげている。
 そのハンドルがあるウェイバーと言えば、後部の貝から大量の風を噴射して爆進している。
 どこを、と聞かれれば……それは湖の上だった。

 ウェイバーは地上を走ることもできるが、水の上を走ることもできる。
 勢いのある風がそれを可能にしていた。
 ほとりで発進したウェイバーは、そのまま湖へ突入し、水しぶきをあげながら湖の上を突き進んでいた。本来ならば、
その船体の軽さゆえ小波でも舵を取られてしまうほど操縦が困難な代物であり、動転した大阪がハンドルにしがみつい
てしまっていて操縦などされていないこの状況では既に転覆していてもおかしくないのだが、そこは大阪が無意識にハ
ンドルを動かしている奇跡か、あるいは主催による余計な処置なのかはわからない。
 いずれにしても、アクセルペダルを船体で伏せてしまっている大阪が押さえつけたままになっていて大阪がそれに気付
かずウェイバーが暴走してしまっていることだけは確かな事だった。

「ひゃああああああああああ」

 大阪はもう突然の出来事にどうしたらいいかわからず、ハンドルにしがみついていた。
 ただこんな場にさっきのような超人が殺意を持って現れない事だけは祈っていた。

 そんな彼女の視界に何かが見えてきた。
 今まで青い湖くらいしか入ってこなかった視界に、別の青が飛び込んできた。


(青ダルマ……?)


 そのシルエットにだんだんと近づいているのを感じた、瞬間。
608創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:42:10 ID:Qj3cHdMV
 
609創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:42:33 ID:b8UY37Qk
支援
610鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:42:43 ID:iMpIIKCJ


(あ、れ?)


 一瞬の衝撃。

 視界が回る。

 浮遊感が身体を包む。

 そして、彼女は。


(地球が……上になってもーた)


 *****


 カルラはその光景を呆然と見ていた。

 自分たちに向かって突き進んでいた船のような何か。そしてそれにしがみついている少女。
 こちらへの奇襲攻撃かとも思ったが、遠目に見える彼女の泣きそうな、慌てた顔を見るにそれは違うらしい。
 「あれでもないこれでもないー!」と、見知らぬ少女を助けようとしているのはわかるが、デイパックの中身を投げ散
らかしているだけのドラえもんを無視し、カルラは船がこちらに来ればすぐに避けられるようその動きを見ていた。
 だが、船が彼女たちに突っ込んでくる事はなかった。

「あ」

 轟音と共に、船は湖岸の岩に衝突し、木製のそれは呆気無くバラバラになってしまった。木片や貝のようなものが空にパラパラと四散していった。
 だが、カルラと、衝突音に気付いたドラえもんは船の成れの果てなどに意識をむけてはいなかった。
 彼女らの意識の先は……空を舞う少女だった。
611創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:42:57 ID:Qj3cHdMV
 
612鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:43:22 ID:iMpIIKCJ

 猛スピードで進んでいた船。それが衝突により破損し、スピードは停止した。
 だが、少女自身のスピードは止まらず、結果、彼女は勢いよく空へと放り出されてしまった。

「っ!」

 カルラが瞬時に、少女の行き着くであろう先を見やった。
 そこに広がるのは、ごろごろと大き目の岩の転がる、硬い湖岸の地面。あのスピードでここに叩きつけられたなら、只
では済まないだろう。その上、少女は今頭が下の姿勢になってしまっている。当たり所が悪ければ……死ぬ。

「カ、カルラさん!あの子助けなきゃ!」
「……」

 カルラはその求めに、容易に『ええ』とは頷けなかった。
 相手は全く見知らぬ少女。主催者を知っているという意味で充分守る価値があるドラえもんとは違う。それに、彼女が
この殺し合いに乗っているという可能性がないとは言えない。助けた後、主ハクオロを殺そうとする害悪になるかもわか
らない。つまり、彼女がわざわざ助ける意味が薄いということだ。

「……」
「うううう! ぼ、ぼくは助けるぞお!」

 ドラえもんは少女を助けようとして走ろうとしているが、今まで同行していて判断した彼の足では、彼女を助けるには間に合わない、とカルラは思った。
 そして同時に……ドラえもんのその意志に、彼女の仲間たちを思い出した。

(……おそらく、皆様でも同じことをしたでしょうね……特に、あるじ様は)

 彼女の主君ならば、懸命に命を助けようとするだろう。
 たとえ見知らぬ者でも。
613創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:43:25 ID:Qj3cHdMV
 
614創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:43:26 ID:b8UY37Qk
支援
615鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:43:58 ID:iMpIIKCJ

(ならば……主君の意志に家臣が背くわけには、行きませんわね)

 彼女は決めた。少女を助けようと。
 だが、少女が落ちるであろう先は遠い。カルラの脚でも間に合いそうに無い。
 そもそも彼女の自慢は脚ではないのだから仕方ない。


 ならば簡単だ。『自分の自慢』で少女を助ければ良い。


 *****

 突然自分の腕をつかまれてドラえもんはカルラに反抗の念を抱いた。
 自分が走ったって間に合いそうもないのはわかってる。でも、もしかしたら間に合うかもしれない。それも手を掴んで、しかも両手で止めるカルラに言い返してやろうと思った。

「カルラさ
「ドラえもん。急ぐので一言しか言いませんわ」


 瞬間、ドラえもんの視界が……回った。


「絶対に受け止めてくださいませ」


 カルラの言葉が耳に届いた瞬間、カルラの手は既に離されていた。
(え?え?え?)
 ドラえもんは訳が分からない。
 なんだか、周りの景色が凄い勢いで通り過ぎていく。それからなんだか凄い風を感じる。
(ま、まさか……)

 ここでドラえもんはやっと気がついた。
 自分が少女と同じように空を舞っているのだと。

 カルラの両腕に腕を掴まれ、そのカルラが勢いよく身体を回転。砲丸投げのように、ただし回転は時間が無いので一周分。
遠心力のままにドラえもんを空へと投げ出した。以上がドラえもんが空を飛ぶことになった経緯だった。
 簡単に言ったが、やるとなれば容易な事ではない。ドラえもんの体重は129.3kg。それを両腕とはいえ持ち、振り
回し、なおかつ少女まで届かせるとなるとかなりの力が必要になる。
 だが、カルラの自慢はその驚異的な怪力。元の世界では大剣を軽々と振るい、敵を恐怖に陥れていたほどだ。ドラえもんをぶん投げることは充分できた。
616鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:44:37 ID:iMpIIKCJ

(でもちょっと酷いよおおおおお!)
 空を飛んでいきながらドラえもんは軽くカルラを恨んだ。
 その視界に少女が見えてきた。だんだんと自分との距離が近づいてくるのがわかる。
(受け止めなきゃ……せっかくカルラさんがくれたチャンスなんだ!)
 ドラえもんは身構えた。丸っこい手では不安だが、全身で受け止めればいいはずだ。もちろんそこはカルラの投擲の腕
を信じるしかない。それでも、自分がちゃんと抱きとめられなければ少女は落下してしまう。

 少女が終に目の前まで来た。
 やらなければならない。少女のためにも、託してくれたカルラの為にも。
 一介のお世話ロボットの自分が。本当ならばのび太を探さなければいけない自分が。

 けれど、そんなことは関係ない。

(目の前で傷つきそうな人がいて、何で助けちゃいけないんだ!)

 少女が勢いよくぶつかった。
 恐ろしい勢いだった。腹に直撃した衝撃に、意識が一瞬飛びそうになる。
(駄目だ、だめだ! がんばれぼく! がんばれぼく!)
 その意識を懸命に引き戻す。腕でひっしと少女の身体を抱きとめる。
 短い腕だが、少女を抱きとめるには充分だったらしく、少女が落ちるのはとめることが出来た。
(やった!)
 ドラえもんは少女を助ける事が出来た事が素直に嬉しかった。それはやはり彼の生来の優しさからか。


(…………あれ?)
 だが、ここでドラえもんは一つとんでもないことに気付いてしまった。
(ぼく、この後どこに飛んでいくの?)
 ドラえもんも当然かなりの勢いで飛んでいっている。さっきの少女と状況は同じだ。
 つまり、このままでは……やはり落ちるのは硬い地面でしかない。
(カ、カ、カルラさぁぁぁぁぁん!!)
 再びドラえもんのカルラを恨もうとする気持ちが復活しようかという瞬間、自分の進む方に目を向けたドラえもんにあるものが目に入ってきた。

(あ、あれって……さっきぼくたちが調べた……)

 ドラえもんが、その施設の名を思い出すと同時に。

 ドラえもんとその少女は、その施設の屋根に衝突した。


 *****
617創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:44:46 ID:b8UY37Qk
支援
618鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:45:01 ID:iMpIIKCJ


「……なんとか、大丈夫のようですわね」

 湖のほとりで息をつきながらカルラは呟いた。
 その目線の先には……湖を望む形で存在する、サーカステントがあった。
 大きな布が六角形の錘状になり、そびえるその上部に……ドラえもんと少女が倒れている。遠目に見れば、どうやらどちらも気絶しているらしい。

 少し前まで2人が人を捜していたのがそのサーカステントだった。
 中には円形になるように観客席があり、ドラえもんの話ではその中心の広場で芸人たちが芸を行い、人々を楽しませるらしい。
 その時、そのテントを構成しているものが柔らかい布であることをカルラは知った。

 そして、少女を助けようとした時、自分たちと少女が通る点の延長線上に幸運にもそのテントがあるのが見えた。
 故に、少しの軌道変更も視野に入れ、テントの上を狙ってドラえもんを放り投げた。なんとかその策は上手くいったらしい。
 2人は柔らかな布に衝突し、地面に落下することなくテントの上に留まっていた。

「こういうのはあまり得意分野ではないのですが」

 カルラは二つ分のデイパック、それと放り出されていたおそらく少女のぶんであるデイパックを抱え、サーカステントへと向かった。二人を起こさねばならない。
 再びサーカステントを見やる。
 そこで、見上げた二人の様子に少し変化があった。

(あの子……こちらを見た?)


 *****
619創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:45:18 ID:b8UY37Qk
支援
620鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:45:56 ID:iMpIIKCJ

 柔らかい感触を自分の下に感じながら、大阪は微かに目を開けた。
 その先にはこちらに歩いてくる女性の姿が見えた。
 空を舞いながらも大阪は2人の様子を見ていた。そして、なんとなくだが自分が彼女らに助けられたのだろうと思った。
 抱きとめた青ダルマからも必死な感じがした。本気で自分を助けてくれようとした。
(ええ人たちみたいやなぁ……よかったぁ……)
 殺意を持っているような人たちではないだろう。そんな安堵感があった。

 また意識が遠のいてきた。
 今までの数時間で、気づかぬうちに疲労が溜まっていたのだろうか。
 初めての殺人が、自分からいつの間にか疲れを生んでいたのかもしれない。
 薄れ行く意識で大阪は思う。

(ほんまよかったなー……一緒に、おれたらええなぁ……)


 それは、いつかの日常におけるいたって普通の、けどどこか緩い少女の思考で――
621創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:46:00 ID:b8UY37Qk
支援
622創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:46:05 ID:Qj3cHdMV
ちょww投げるとはw 
623鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:46:41 ID:iMpIIKCJ



(私の役に、たってくれたらええなー……私を、皆のところに帰してほしいなぁー……)


 けれど、『殺し合い』という毒は、そんな思考にすら侵食を始めていく。
 かつての幸せな日常もかつての幸せな少女自身も、もう永遠に戻りはしないと言うかのように。


【F−4 南・遊園地湖岸のサーカステント/1日目 早朝】

【春日歩@あずまんが大王】
[状態]:健康、心神喪失状態、失神中
[装備]:グロック17@BLACK LAGOON(残弾15/17、予備弾薬51)、石ころ帽子@ドラえもん
[道具]:
[思考・状況]
1:助けてくれた2人を利用する。
2:生き残るために全員殺してギラーミンも殺し、現実に帰る。
3:あまりにも強そうな相手とは関わらない、あくまでも不意をつけば倒せそうな相手を狙う。
4:お人よしの集団に紛れるのもいいかもしれない
5:ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュを警戒。
【備考】
※サカキを榊@あずまんが大王だと思っています。
※『石ころ帽子について』
制限により、原作準拠の物から以下の弱体化を受けています。
大きな物音、叫び声などを立てると、装備者から半径30m以内にいる者はそれを認識する。
鍛えた軍人レベル以上の五感を持つ者に対しては、上記の制限(距離、"大きな物音、叫び声"の判定)がより強化される。
 (具体的には、より遠い距離、微かな気配でも装備者の姿が認識されやすくなる)
さらに、常人のそれを超えた五感を持つ者に対しては完全に無効。

【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:失神中
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]
 基本行動方針:ギラーミンを止める。
 1:???
 2:ネズミ嫌い

【備考】
 ※他の世界の参加者たちを異星人と考えています。
 ※名簿などは未確認です。
 ※周囲にドラえもんの叫び声がF-2周辺に響きました
 ※高い建物(ホテル)から“何か”が飛び出していったのに気づいていますが
  何が飛び出したかはわかりませんでした。

624創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:47:06 ID:Qj3cHdMV
625鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:47:44 ID:iMpIIKCJ
【G−4 北・遊園地湖岸/1日目 早朝】

【カルラ@うたわれるもの】
[状態]:健康
[装備]:白銀の剣@ドラえもん(夢幻三銃士)
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3 、モンスターボール(ピカ)@ポケットモンスターSPECIAL、支給品一式<ドラえもん>、君島邦彦の拳銃@スクライド、
    支給品一式×2<大阪、ジョジョ> 不明支給品(1〜4)<大阪、ジョジョ>
[思考・状況]
 基本行動方針:殺し合いには乗らない。ハクオロたちと共に脱出してトゥスクルへ帰る。
 1:ドラえもんと少女と合流し、少女から事情を聞く。危険な相手だったときは……。
 2:ドラえもんをハクオロに会わせる。(ドラえもんへの不安もある)
 3:ハクオロを探して守り抜く。
 4:もし、あるじ様が死んでしまったら……。
 5:ネズミ、ねぇ〜

【備考】
 ※ドラえもんやギラーミン、他の世界の参加者たちを異星人と考えています。
 ※カルラの支給品、名簿などは未確認です。
 ※電気の究極技に興味を持ちました。
 ※地図は確認していません。
 ※ドラえもんのデイパックと投げた時に落とした拳銃、大阪のデイパックを持っています。ジョジョのデイパックは丸ごと大阪のデイパックに入れられていて気付かれていません。

 ※G−4北、湖岸にバラバラになったウェイバー@ONE PIECEの欠片と、噴風貝(ジェットダイアル)@ONE PIECEが落ちています。
626創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:47:49 ID:b8UY37Qk
支援
627鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 21:48:42 ID:iMpIIKCJ
投下終了です。
多数の支援ありがとうございました。
矛盾点等ありましたら是非お願いします。
628創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:51:07 ID:Qj3cHdMV
投下乙!
大阪かなりいいコンビと出会えたなー
これからステルスマーダーとしていくのだろうか
ほややんとしつつ実は黒いことを考えてることろが怖いのう
629創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:51:47 ID:b8UY37Qk
投下乙!

こうなるかもしれないとは思っていたがやはりか……!
ドラはとんでもない大阪を助けてしまったなぁ
カルラの助け方には笑わさしてもらいましたw
GJでした

ドラって129,3キロあるんだよな
それを投げるなんてやっぱゴリr……ん? 誰か来たようだ
630創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 22:03:43 ID:vHJOyzWj
URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!
うたわれるもののカルラってこんなにら強いのかw

つーか、大阪って黒ッ!
631創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 22:24:16 ID:9iB6OFk3
投下乙です。
空を飛ぶ129.3kgwww
ゴリ……カルラさんすげぇw
そしてこれだけのハチャメチャの中いまだ黒い大阪……怖い、怖いよ、大阪……
632創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 22:29:52 ID:3KF4iHJc
カルラすげぇぇぇぇw
流石怪力のメスゴr…おや誰か来たようだ
633鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ! ◆YhwgnUsKHs :2009/01/07(水) 22:33:04 ID:iMpIIKCJ
遊園地について構造を決定した部分があって説明を忘れてたので、追記。

※遊園地は3つの出入り口があります。
 F−2エリアの道路に面した『西側出入り口』。
 G−4エリア、湖岸に垂直な塀にある『東側出入り口』。
 G−2エリアの南にある『南側出入り口』。
 そこ以外は高めの塀(一般人が容易に越えられない高さ。詳しい高さは不明)で囲まれています。


 以上の分を、wiki収録の際、文末に追加をお願いします。
634創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 23:03:06 ID:szHmf7sL
投下乙
カルラ凄いな、オイ!
大阪は黒くて怖いがそこがいい
635創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 17:31:26 ID:eiIhRYTJ
さて、後は放送まで必要なのは……クーガー&バラ姐さんに、クリストファー翆の子沙都子トリオだけかな?
え、無常? いたっけそんな人。
636創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 17:51:35 ID:y4P34sOb
あと、童帝フィーロ、爆弾魔吉良、マッスルゼロ仮面&みんなの銀様だな。
え? なんか呼称に贔屓? キノセイダヨ。
637創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 17:53:21 ID:ErVEJVS6
仮投下スレに来てる修正版はどう対応すればいいのか教えて欲しいお
638創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 18:42:59 ID:u8ZqzJFu
修正意見ないし、通しで良いんじゃね?
本投下も一度されてることだし、代理投下なしでもおkな気がする
639創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 18:49:17 ID:ErVEJVS6
あ、あれ修正意見を求めてたのか
じゃああれをwikiに収録して一件落着?
640創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 19:20:03 ID:u8ZqzJFu
うん、それで良いと思うけど
641創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 19:38:08 ID:y4P34sOb
俺も通しで良いと思う。
642創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 21:58:05 ID:IZLRpn2B
ならば通しだね
643創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 23:26:39 ID:y4P34sOb
>>635
時間的に、新庄・伊波ペアも描写必要かも。
644創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 05:40:48 ID:Wf98VA4A
一時期の過疎が嘘のようだwww
死者も増えて来た頃だし、放置されてる死者スレネタなら俺でも書けるかな……?
645創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 06:11:18 ID:Wf98VA4A
とりあえず死者スレ、ノリと勢いででちょこっと書き込んでみました。反省はしてない。ていうか三ヶ月ぶりかよwww
646創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 17:41:53 ID:9gsofUE0
死者……今のところ十二人死亡か。
何だかんだで他の参加者に影響与えそうなラインナップだよなぁ
647創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 19:59:37 ID:dwpzNziR
全体の2割近くなんだよな、死者。
結構ペース速い…のかな?
648創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 20:59:32 ID:J7DouUUf
ベナウィ、ラッド、クレア、詩音、カズマ、無常、クロコダイル、
リヴィオ、レヴィ、バラライカ、ロベルタ、春日歩

一応、マーダーっぽいやつら書いといたけど
ブラック・ラグーンの参加者全員マーダーなんだなw
649創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 21:32:02 ID:FWsyUnFk
凶暴すぎるwwww
これ以外にも危険どころでは
吉良とかギルもいるのに…
一方がいなくなったと知った御坂とか
動き方次第ではどうなるかわからないゼロとか結構危険な所も多いし
なにより強対主催が少ないのが怖いところだと思う。

そして忘れられるマーダーに銀様とミューツーのポケモン2体がいる。
650創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 21:32:50 ID:dwpzNziR
前にも話になったが…不死者に、チート×チート、悪魔の実能力者、アルター使い…。
一般人がガチで勝てそうなのが全然いないな、マーダー勢。
651創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 21:54:18 ID:VuuYSyYk
マーダーが強すぎるって?
対主催が頑張ってくれるだろうから大丈夫さ!
着実に誤解フラグは増えていってるけど……w
652創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 22:03:13 ID:rVdIcaj1
無傷で仕える武器があって、もともと強い対主催が既に
ヴァッシュ組とカルラ組とあすか組、ハクオロ組くらいしかいないからな
不明支給品でまだひっくり返るかもしれないとは言っても、ねぇ

653創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 22:04:25 ID:dwpzNziR
対主催  アルルゥ、仗助、イスカンダル、レッド、伊波、新庄、ヴァッシュ、康一
     ウルフウッド、梨花、切継、圭一、カルラ、ドラえもん、クーガー、グラハム
     レナ、チョッパー、サカキ、佐山、蒼星石、小鳥遊、真紅、橘
     翠星石、魅音、ハクオロ、ゾロ、土御門、ナナリー、ブレンヒルト、フィーロ
     美琴、ルフィ

危険人物 ギルガメッシュ、吉良、ゼロ、クリストファー、沙都子、レヴィ

マーダー 大阪、カズマ、バラライカ、クレア、クロコダイル、水銀燈、詩音、ベナウィ
     ミュウツー、無常、ラッド、リヴィオ(ラズロ)、ロベルタ

計 対主催34人 危険人物6人 マーダー13人

ざっと纏めてみました。
『マーダー』は『現時点で明確に優勝(他者の優勝も含める)を狙っている人物』
『危険人物』は『優勝狙いの方針はないが、他の参加者を無差別に殺害する可能性が高い人物』
と私の勝手な定義でカテゴライズしたので、人によってはカテゴライズに違いが出ると思われます。
イスカンダルは、最新話でマーダーとしては方針が違うと判断して、対主催としました。
ちなみにマーダー数13人は、全体53人の約4分の1に当たります。
654創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 22:22:17 ID:9gsofUE0
対主催も存外チートばかりだから……仗助、ルフィ、ゾロ、クーガー、ヴァッシュ、ニコ兄、橘あたりは普通にヤバいw
てか○ロワは元々の超人率が高すぎるw
655創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 22:23:48 ID:VuuYSyYk
纏め乙!
なんだ、四分の一ならそれほどマーダーが多いってわけじゃなさそう。
放送がどう影響するかはまだわからないが……。
656創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 22:25:11 ID:Oh48LeKo
強対主催と言えるのは誰だろう
武器無しならルフィとか仗助あたりか?
武器があればまだ増えるけど
657創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 22:50:22 ID:O5XCYEZB
イスカンダルは武器がなくても王の軍勢が強いかな
ロワにあるまじきタイプの能力だけど
658創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 23:03:37 ID:fQMSnsIG
マーダーの中でクレア、詩音、べナウィあたりは方針に関わるキーパーソンがまだ生きてるからこれからどう転ぶかわからんな

>>655
多くはないかもしれんがマーダーは人数の割りに強マーダーが多いから対主催は合流が進まないうちはやばいと思うが
659創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 23:13:48 ID:dwpzNziR
原作バトロワじゃ、トトカルチョとかあったが……不謹慎な話になるが、
もしあったらマーダー間の競争率激しそうだ。
660創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 23:20:27 ID:7vvxW2LE
戦闘能力は劣るが佐山なら佐山なら何とかしてくれる
661創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 23:20:39 ID:4WsgIEve
対主催がタイマンで勝てそうなマーダーがなかなかいないなあ……
662創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 23:24:39 ID:dwpzNziR
危険人物カテゴリーの我様とかゼロ仮面が対主催に傾けばなぁ…逆もありえるから困る。
663創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 23:58:06 ID:9gsofUE0
むしろルフィにタイマンで勝てそうなマーダーが居ない気が…
通常状態でクロコダイル倒して、その上ギア2あるんだぜ……消耗激しいだろうけどそれでも相当だぞ
664創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 00:03:44 ID:fh1uU31f
強対主催はルフィ、仗助、ルフィ、ゾロ、
クーガー、ヴァッシュ、ニコ兄、橘だが
こいつらみんな一般人と感覚がずれてるなw変人ばっかだマーダー勢のほうが
常識人多いぞたぶん。
大剣もてばカルラ、覚醒すればハクオロ、覚悟が決まれば康一あたりも普通に強者だし、
ポケモンが手に入ればサカキとレッドは二人とも戦力としても大化けする。

強さもそうだがマーダーとして頭一つ抜きんでてるのは、
クロコ筆頭に、ミュウツー、リズロかなぁ
665創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 00:08:11 ID:LpJzC9G4
マーダーは幾ら多くても、マーダー同士で潰し合わせれば簡単に減らせるから大丈夫。
でも、対主催同士を潰し合わせる事は誤解フラグが無くては難しい。
マーダー勢が強いのは寧ろ歓迎すべき。比較的超人が多い○ロワなら特に
666創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 00:25:31 ID:fOnReM8J
マーダーが強い分にはいいんだけど
一般人の策や度胸でひっくり返しようが無い奴が多いのと
マーダー補正が掛かる分が怖いんだよな
667創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 00:47:41 ID:LpJzC9G4
それはその講じる策にもよるんじゃね?
完璧に裏をかけば倒すまではいかなくとも逃げるくらいは出来るっしょ。
そもそも○ロワの超人率なら一般人のみのチームなんてそうは生まれないだろうし

あと、あまりにやり過ぎでなければマーダー補正は全然おk。
むしろ書き手陣には優勝エンドも視野に入るくらい思い切って書いて欲しい
668創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 01:01:07 ID:CPEp2p70
12人死んでて内マーダーが1人って時点で既に補正がかかってる気がするけど、
まあ今後の展開への駆け引きみたいなのは要らないわな
669創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 01:30:42 ID:jR/BA7Dv
唯一死んだマーダーって一方通行だよな
いきなり強マーダー通しの遭遇というハプニングで死んだ
ていうか殺害者のスタンス全員マーダーって
マーダー天国状態じゃないかw
670創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 01:36:04 ID:LpJzC9G4
ウソップ……
671創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 01:50:03 ID:jR/BA7Dv
>>670
死亡者情報見て書いたから忘れてたorz
けど詳しくは知らないが吉良もかなり危険なやつみたいだからあまり変わらないのでは?
672創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 07:51:40 ID:eZbkeyFz
ただひとつ言えることは、ルフィは強いがライダーやアーチャーと遭遇した場合、間違いなくガチンコになる。
なんせ「海賊王になる男だ!」から、征服王や英雄王とはよほどでないと組まないだろうな。
こいつらの聖杯問答もちょっと見てみたいがw
673 ◆YhwgnUsKHs :2009/01/10(土) 09:27:11 ID:HJVPHbm8
wiki収録の『鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ!』に訂正を加えさせてもらいました。
ドラえもんとカルラの状態表に、『遊園地内の施設を捜す』の思考追加、
カルラ所持の大阪、ジョルノの不明支給品の表記訂正を行いました。
この話からリレーされる方はご注意ください。
674創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 13:06:08 ID:kxQi3BXM
支給品で石仮面出てこないかな?

キャラが崩壊するから無理かw
675創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 14:11:06 ID:fh1uU31f
特性を知らないと日光で死ぬわw
676創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 16:51:54 ID:6vzLMvv+
>>673
修正乙です!



今から日が昇ろうとしてる時期にこれから石仮面支給とかなんという鬼畜w
677創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 21:57:38 ID:kxQi3BXM
URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!
予約入っとる!
678創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 22:02:14 ID:6vzLMvv+
マジで!?
見てこよー
679創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 22:05:58 ID:6vzLMvv+
アルルゥと東方仗助か
楽しみ楽しみー
680創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 22:41:24 ID:6vzLMvv+
支給品といえば、まだ支給品が出てない作品って結構あるよね
絶対出さなきゃいけないってわけじゃないけど
面白そうなアイテムが出てきたりしないかな
681創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 22:50:50 ID:cAMS+l/I
支給品が出てない作品……んーナナナ以外なんかあったっけ?
いや、あずまんがからも出てないかな?
682創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 22:57:37 ID:6vzLMvv+
出てないっていうのはおかしいか
ほとんど出てない作品ねw

出てても1つなやつが多いから
683創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 23:01:07 ID:6vzLMvv+
つうかワンピース、ポケスペ、ドラえもんあたり出展の支給品の数が異常に多いんだw
他の作品にも出したらいいようないいアイテムないかなと気になった
684創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 23:32:36 ID:CPEp2p70
Fate、ブラグラ、トライガンあたりも地味に出てるな

逆に、ジョジョや禁書、うたわれが意外と支給品が少なく見えるな
685創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 23:51:37 ID:LpJzC9G4
禁書は知らんが、ジョジョとかはスタンドバトルがメインだから出せそうなアイテム少ないからなぁ
686創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 23:55:00 ID:2yBvLJpG
ぢsc
687創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 23:58:53 ID:LpJzC9G4
言いたい事は伝わったw
ただ六部スタンドは訳分からなくて強力過ぎるのが多いから……
688創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 00:01:44 ID:6vzLMvv+
それでわかるのかw
689創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 00:03:26 ID:7e+t4I5A
じゃあチープトリックを支給品として(ry
690創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 01:01:57 ID:gHYpsMHN
>>683
凡庸性が高いし、おもしろいアイテムが多いんだよその三作品。

ドラえもんは言わずもがな、ワンピもメインはバトルものだけど
しっかり冒険ものとしても作者が描いてるから日常で使えそうなオリジナルアイテムが多いし、
ポケスペはむしろ日常で使うオリジナルのアイテムを頭や地形、状況などと併用したりで
利用することで勝利をつかむっていうジョジョ的な頭脳ポケモンバトル漫画だから

戦闘用にしか使えないアイテムなんて面白くないし、
ただ殺すだけの支給品なら銃や剣だけで十分。
691創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 01:38:51 ID:76+J8OQU
上の三つが凡庸性に富んだアイテムだとしたらFATE、ブラクラ、トライガンは武器中心て感じか?
特にFATEとトライガンは宝具やらパニッシャーやら強力な武器が多い印象。
ただトライガン名物のトンデモ武器はパニッシャーくらいしか出てないけどね
692創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 11:59:57 ID:y6mRvoDG
セイバー道場その2をまとめのルールページに追加しました。
今回は状態表についてです。ご意見ありましたらよろしくーです。
693創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 13:06:38 ID:+V/HN+t0
URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!
また予約キタ−
694創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 13:25:27 ID:cNPCG51H
>>692
編集乙です!
おおすごい、セイバー道場にうまくつながってる
というか何してるんですかネブラの皆さんw

予約キターーーー!
最高にハイって奴だァーッ!
695創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 13:30:12 ID:sxzMwG0l
新しいSSをwikiに載せる時、リンクを張ってからページを作るんじゃなくて、ページを作ってからリンクを張ってほしい。
そうしないと携帯で見れなくなる。
696創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 14:08:15 ID:76+J8OQU
なら自分で編集しろw
てか俺は携帯からでも見れるぞ?
697創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 15:43:10 ID:sK+2RhTn
ん? リンク先だろうとページ先だろうと携帯で見るのに関係ないはずだけど
そして予約きてるー!
698 ◆WDKcDkBO8c :2009/01/11(日) 18:43:08 ID:fOcghYHu
仗助、アルルゥ投下しますー
699 ◆WDKcDkBO8c :2009/01/11(日) 18:44:05 ID:fOcghYHu
 行けども行けども森ばかり。
 空は徐々に青みを帯びてきているというのに、相変わらずここは暗いままだ。
 これだけ歩いているのに町どころか建物ひとつ見えやしない。

 先ほどのゴタゴタのせいもあり、東方仗助は完全に道に迷っていた。
 どうやら逃げ切ったらしいのはいい。後方からは何も聞こえてはこない。
 けれども身体的にも疲れ、先の見えない状況で精神的にも気力が落ちてきている。
 その上迷子になるのがこんなに不安になるものだとは思わなかった。

 迷子の子供がピーピー泣く理由にようやく納得した仗助は大きくため息をついて、
 近くにあった太い幹の木の根元に腰を下ろす。
 背負っていたアルルゥはすやすやと気持ち良さそうに寝息を立てている。

 気持ち良さそうに寝やがって、と心中で苦笑しながら木を背もたれにするようにして寝かせる。
 仗助自身も地べたに座り込むと、アルルゥを横目にしながら一時休憩することにした。

 改めて眺めると、獣のような耳があるという奇異な姿ではあるもののほんの小さな子供だというのが分かる。
 どんなところに住んでいるのか。どんな暮らしをしているのか。何も知らない。
 そう、赤の他人でしかない。けれどもここにいるべき人間ではないというのだけは分かる。

 思い切り遊んで、存分に親に甘えたい年頃だろうに。
 家族の大切さと温もり。表にこそ出さないが仗助も知り抜いているかけがえのないもの。
 ……同時に、自分がなくしてしまったもののひとつ。

 町の平和を守ることを生き甲斐にしていた祖父。仗助の誇りでもあったそのひとを失ってしまったこと。
 仕方がなかった、とは口が裂けても言わない。仗助自身もその原因のひとつであることは十分認識している。
 だからこそ意思を継ぐと決めた。祖父の誇りを、崇高なる精神を失わぬためにも。
 そして何より、これ以上の悲しみを増やさぬためにも。
 もう見たくはない。家族を失って、泣き崩れる誰の姿も……

 それが仗助の決めた事だ。まるで先の見えない、曖昧で茫漠とした暗闇の中でも忘れまいとする約束だ。
 必ず、親に会わせてやる。それだけでなく、共に元いたところへ帰してやる。
 口に出しては言えない台詞だな、と仗助は思った。あまりにも恥ずかしすぎる。
 隠しておくことがまたひとつ増えてしまった。こんなのが友人達に知れればどんなにからかわれるか……

 虹村億泰がここぞとばかりに小馬鹿にする光景がありありと浮かんで、また苦笑する。
 それと同時に一抹の寂しさも生じた。まだ友人どころか味方と思しき人物にも出会えない。
 一体どれほどの人物が好戦的なのだろうか。自分が思っている以上の人物が、既に殺しあっているのか。

 僅かに、とはいえ傷も負っている。いかなクレイジー・ダイヤモンドとはいえ、
 たった一人で何十人ものスタンド使いに挑むには心許なさ過ぎる。それは杜王町において仗助がよく認識している。
 無論一人一人に負けるとは思わないが、一人で戦い続ける自信は、正直なところない。
 それだけでなく他の問題も山積みだ。ここはどこなのか、爆発するという首輪をどうするのか……
 スタンド使いとしては一級の強さを誇る仗助といえど、所詮は一介の高校生であるという事実は変わらない。
700 ◆WDKcDkBO8c :2009/01/11(日) 18:44:49 ID:fOcghYHu
 承太郎さんがいれば……その思いは何度か込み上げていたが、助けは望めないと思い直し、その度に断ち切っていた。
 守らなくてはならないという重責と、未だ頼れる仲間がいないという不安。
 高校生でしかない仗助の精神にはそれがかなりの負荷となって圧し掛かっていた。

(……クソッ、じっとしてるのは性に合わねェしオレだってこんなところにいつまでもいたくないんだがよォ〜……)

 視点を変えてじっと闇に目を凝らし、少しでも遠くを見ようとするがまだまだ暗く、一寸先は闇の状態が続くばかりだ。
 完全に夜が明ければもっとよく見えるようになるのだろうが、まだ完全な夜明けまでには時間がかかりそうだった。

「ん……」

 と、仗助の横でごそごそと動く気配があった。アルルゥだ。まだ眠たげに目をこすりながら欠伸をしている。
 お姫様のお目覚めか。予想より早かったなと思いながら、仗助は見るのを中断してアルルゥの相手をする。

「よぉ、起きたか。調子はどうよ?」
「んー……」

 頭が目覚めきっていないのか、曖昧に返事をしてぷるぷると頭を小刻みに揺らす。
 本当に子供なんだなァと今更のような実感を持ちつつ「どこも痛くはないか?」と続けて尋ねる。

「ん」

 ぷるぷると再度首を横に振る。顔も平気そうな風だったので、我慢しているのではないと判断する。
 仮に怪我をしていたとして、多少のかすり傷程度ならクレイジー・ダイヤモンドですぐ治せるのではあるが。

 ……なんだか、本当の『おにーちゃん』みてーだ。

 こうしていると実にそう思う。妹がいればこのような感じなのだろうかと想像する。
 兄弟がいない仗助にとってこの感覚は新鮮であった。

「……おなかすいた」

 と、今度は唐突にしょんぼりした表情になり腹を抱えるアルルゥ。同時にくー、と分かりやすい音がした。
 お姫様は朝飯を御所望のようだ。アルルゥのデイパックを手繰り寄せ、中からおはぎを取り出す。

「また変なのが入ってるとヤベーからな。チョチョイと確認するぜ」

 おはぎを半分に割り、中に針が入っていないかどうかチェック。こんな作業はスタンドを使うまでもない。
 中身を指先でつついていると、チクリとした感覚が走る。ビンゴだ。
 卑怯くせーことしやがって、とおはぎの製作者(主にギラーミン)への怒りを溜め込みつつ針を抜き取る。
 他には何も混じっていないことを確かめ、アルルゥに手渡す。

「ホレッ。今度は大丈夫だぜ」
「ん!」
701 ◆WDKcDkBO8c :2009/01/11(日) 18:45:51 ID:fOcghYHu
 目を輝かせて割れた半分をすぐさま口に放り込むアルルゥ。ぱたぱたと獣の尻尾が揺れてまるで犬のようだった。
 耳といい、あの尻尾といい、体の構造はどうなっているのだろうか。好奇心を持った仗助だったが、
 流石に確かめるのは憚られた。子供とはいえ、性別は女の子であるし、確かめるということはアレでアレなのである。
 硬派にして純情な仗助には到底不可能な行為だった。
 もしゃもしゃと半分を平らげると、続けてもう半分も口の中に入れようとした。

「ん〜……」

 が、その動きが止まり悩ましげにおはぎと睨めっこを始めるアルルゥ。
 ダイエットか、と思いかけて相手が子供だということに気付きんな訳ねー、と仗助は思った。
 ひょっとするとまだ何かが入っていて、見落としでもしていたのだろうかと考えて、
 おはぎを覗き込もうとした仗助の前に、「ん」とおはぎが差し出された。
 予想しなかった行為に目をしばたかせていると、少し照れたように頬を赤らめてアルルゥが言った。

「半分こ」

 言葉の中身が伝わるまでには数秒の間があった。反応しない仗助にもう一度「半分こ」と、
 幾分か大きくなった声が聞こえたと同時、仗助はそういうことかと体の芯が温まる感じを覚えた。
 自身も照れ臭さを感じながら「ありがとな」と受け取る。
 差し出されたおはぎにはアルルゥの手のひらの熱が伝わり、ほんの少し温かくなっていた。
 口に含んで、じっくりと咀嚼する。じんわりと広がっていくほのかな甘味に素直な感想が漏れた。

「うめぇ〜ッ……!」

     *     *     *

 結局、二人でおはぎを全て食べてしまった。
 一個一個何かが入っていないか調べながらだったので結構に時間がかかってしまった。
 スコアとしては約4分の3に針が混入されていたことが判明。
 おはぎ全てに針が入っているわけじゃないという部分に、仗助はせこさを感じるのであった。

 とはいえ、腹が膨れたのは事実であり、おはぎの甘さが精神的疲労を取り去ってくれてもいた。
 何より……アルルゥが少し懐いてくれたことが仗助には嬉しかった。
 味方にも、友人にも出会えない。それでも自分にはアルルゥがいる。

 決して一人ではないという事実が不安を僅かにではあるがなくしてくれていた。
 子供と一緒にいて安心を感じるのもどうなんだという気持ちもないではなかったが、今は素直にそう思っておく。
 思っていれば、暗闇に惑わされることはないだろうから。
702 ◆WDKcDkBO8c :2009/01/11(日) 18:46:33 ID:fOcghYHu
「さて、と。メシも喰ったことだしよォ〜、そろそろ動かなくっちゃなァーッ! 働かざるもの喰うべからずだぜ」
「ん! 食べたらお仕事する!」

 すっ、と立ち上がった仗助に合わせてアルルゥも元気良く立つ。
 この調子なら当分やっていけそうだと思いながら、仗助は地図を取り出しつつ、森の奥を指差す。
 勿論方向は適当だった。何となくやりたかっただけである。

「オレたちは取り合えず地図にある街を目指さなくっちゃいけねぇ。
 だが方向が全然分からない……さてアル公よォ、どうするべきだと思う?」
「ん〜……?」

 アルルゥに振ってみたが、やはり子供というべきか首を傾げて困ったような表情をするだけだった。
 話の展開を広げるべく、仗助はいくつかのアイデアを打ち出すことにした。

「まず一つ目。オレの勘を信じて進む」
「むー」
「二つ目。枝を投げた方向へ進む」
「うー」
「三つ目。上から探す」
「うえ?」

 仗助が上を指差す方へ合わせて、アルルゥも上を向いた。
 そこには背の高い木がいくつも立ち並んでおり、軽く10メートルを越すような長い木もあった。
 この森がほの暗い理由の一つがこれら背の高い木々である。

「木登りをして、少しでも高いところから何か目印を探すんだ。問題はそこまで登れるかってことなんだが」

 と、アルルゥの方を見てみると、いつの間にかその姿がなかった。
 消えた……だとッ!? 新手のスタンド使いかッ!?
 一気に緊張感が高まり、同時に気配を探りにかかる。
 一体どこから? それにこんな音もなく攻撃が出来るものなのか?
 クレイジー・ダイヤモンドを展開させて襲撃に備えようとした瞬間だった。
703創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 18:46:53 ID:2QFKo0jM
704 ◆WDKcDkBO8c :2009/01/11(日) 18:47:14 ID:fOcghYHu
「おにーちゃん」
「……あ?」

 上のほうから聞こえてくる、聞き覚えのある声。自分でも間抜けだと思えるくらいの反応だった。
 見てみるとアルルゥが一際大きな木に登って、途中の枝に腰掛けていた。
 いつの間に、と思う一方でその素早さ、行動力に感心する。スタンド能力かと思うくらいだ。
 それと同時に、過剰に反応してしまった己の馬鹿さ加減にため息をつく。
 億泰をもう馬鹿に出来ないと嘆息しながら、アルルゥに声をかける。

「大したモンだぜ……で、何か見えるか?」
「んー、なんか、ヘンなのが見える」
「ヘンなの?」
「おっきなわっか」

 なんだそりゃ、と思いながら地図を見てみる。近くに目標となりそうなものは……

「『観覧車』かッ!」

 この近辺で『おっきなわっか』と表現できそうなものはそれしかない。観覧車自体も大きいので誤りはあるまい。
 でかしたぜッ、と仗助は快哉を叫ぶ。ここから見えるということは距離もそんなに遠くはないはず。

「アル公、そりゃどっちで見えた?」
「あっち」

 ん、とアルルゥが指差す。仗助の立っているところからはまだ森が続くばかりで見えない。
 だがとにかく方向は分かった。後はそこへと向けて歩き続ければいい。
 日はすっかり昇り始めていたが、もう迷うことはないだろう。

 降りて来い、と仗助が言おうとした瞬間、耳障りな雑音が届く。
 それは二人が始めて聞くことになる『放送』の瞬間だった。
705 ◆WDKcDkBO8c :2009/01/11(日) 18:47:44 ID:fOcghYHu
【H-2/森/朝 放送前】 



【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】 
[状態]頬に細い傷、右太股に銃弾による掠り傷 
[装備]なし 
[道具]支給品一式、不明支給品(0〜1) 
[思考・状況] 
1:プッツン女(レヴィ)から逃げる 
2:アルルゥと遊園地に移動
3:しばらくしたら、劉鳳を捜す事も検討。 
4:ギラーミンを倒し、ゲームから脱出する 
5:うたわれ勢や康一と合流する 
6:軽率な行動は控え、できるだけ相手の出方を見て行動する 



※アルルゥからうたわれ勢の名前を聞きました 
※ループしたことに気が付いていません 
※レヴィ(名前は知らない)をスタンド使いだと勘違いしています 



【アルルゥ@うたわれるもの】 
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0〜2) 
[思考・状況] 
1:おっきなわっかを目指して移動
2:ハクオロ達に会いたい 
3:仗助と行動する 



※ココが殺し合いの場であることをイマイチ理解していません 
706 ◆WDKcDkBO8c :2009/01/11(日) 18:48:50 ID:fOcghYHu
投下終了です
タイトルは「目覚めた朝に」です

指摘などありましたらお願いします
707創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 20:23:28 ID:rOdNXkF8
投下乙です。
アルルゥと仗助の絡みが掘り下げられていて和むw
そしてやはり遊園地にいくのか……観覧車が悪いんだ、目立つからw
放送後の大乱戦にwktkです。
708創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 20:30:19 ID:+V/HN+t0
遊園地の方向に向かったのか…
マーダーに遭遇しなければいいがなw
709創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 20:33:02 ID:sK+2RhTn
確かに観覧車は目立つからw
おはぎたべて満足げなアルルゥかわいいよう
710創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 20:38:21 ID:76+J8OQU
投下乙です。
アルルゥ可愛いよアルルゥ。
そしてそっちはマズいwある種の火薬庫状態w
711創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 20:56:32 ID:ENlfnvDj
投下乙!
アルルゥ起きたか。やっぱ和むなー、この2人は。
このロワの清涼剤だよ…。
って、清涼剤ピーンチ!いや、そっちはカルラいるんだけどさ!
仗助も知る強スタンド持ちとか、腹黒大阪とかいるんだよー!
あと新庄伊波コンビも火種の元だし(時間的な意味で)…どうなる遊園地!
改めてGJ!
712創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 21:04:42 ID:76+J8OQU
今、遊園地周辺って誰居るんだっけ?
結構な数の強参加者が居た気がするけど……
713創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 21:10:05 ID:sK+2RhTn
えーっと誰がいるんだっけ
714創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 21:18:33 ID:76+J8OQU
今wiki見てきたけど対主催は、ルフィ・橘・真紅組、カルラ・ドラ組、丈助・アルルゥ組、新庄・伊波組。
マーダーはチート×チートにベナウィ、カズマと大阪が居た。

何か揃いも揃ったりだなw
715創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 21:22:58 ID:sK+2RhTn
やっぱり多いなww
716創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 21:27:55 ID:ENlfnvDj
これで人形トリオまで観覧車に引きつけられたらもう大変だな。
717創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 21:33:19 ID:cNPCG51H
投下乙です!

和む…実に和むね、この二人の会話は
この口調といい行動といいなんとも仗助らしくていいな
ちょこちょこ確認してるとことか完全に荒木絵で脳内再生されたぜ

ってちょ、そっちはやばいw
チートなやばい人がすぐ上のエリアにいるから!
逃げてー仗助たち超逃げてー!w

遅くなって申し訳ないですが、地図更新です
まさに火薬庫状態!な遊園地周辺だけど、学校周辺も中々
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00734.png
718創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 21:36:23 ID:sK+2RhTn
なんというジャストタイミング!
噂をすれば地図がくる!

いつもどうもありがとうございます
719創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 22:42:53 ID:K+NCOYWi
逆に右下16マスの過疎っぷりもある意味すごい
生存者53人でいるのは圭一、ギルガメッシュ、ゾロ、リヴィオの4人だけ
720創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 22:46:08 ID:sK+2RhTn
確かに右下は人いないなw
721創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 21:48:34 ID:hxl6Dgcb
でもループしてるんだから偏ってるようで
移動は結構簡単かも
722創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 22:02:15 ID:iWSfBAw7
ジョジョ組、橘組、ウルフウッドとかもループ機能で遊園地周辺に行ったしな。
何だかんだで分散は簡単な気がする
723創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 22:04:26 ID:hxl6Dgcb
うんうん、電車移動という手もあるしな
実は短時間でかなり移動しててもおかしくないよこのマップ
724創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 22:45:54 ID:wp/X0W+/
確かにマップはループしてることを考えるとそれほど偏ってるわけじゃないな

ところで10日に出たBACCANO!1931「臨時急行編」だがいろいろと設定が追加されてるな
ラッドの「絶対に死なないと思っている甘い連中を殺す」っていう考え方についてやグラハムの戦闘スタイルの根本は解体作業から来てるために工具を持てばそれなりの戦闘行動が可能とか
725創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 22:49:24 ID:hxl6Dgcb
たしかに臨時急行偏はいろいろ参考になるね
フィーロがなぜ童帝と言われるまでに両思いの恋人へ手を出さないかの理由とかw
726創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 23:00:54 ID:KrPBE++n
次の投下が楽しみだな
727創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 23:38:54 ID:jb1Ab5XC
少し前は遊園地周辺が安全地帯だと言われていたというのに……。
ループだから直ぐに状況が変わる可能性があって、なんか面白いなw
728創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 23:46:07 ID:iWSfBAw7
マップの端と端が不自然なくループしてるから、参加者が気付きにくいってのもミソだな。
適当に歩いてたり道なりに歩いてるだけで、知らない間に大移動てのがあるから、状況が変化しやすく先が予想できないw
729創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 21:11:48 ID:gMryIMKY
今日投下かな?
730創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 21:16:35 ID:nQFmedzR
たぶーん
731創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 21:26:26 ID:uY+hjDf6
もし投下が済んだら残る人数が、深夜1、黎明6になるんだよな。
そろそろ放送SSとかについて考えるべきだろうか。
予約はいらないかとか、禁止エリアの決め方とか。
732創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 21:29:35 ID:BTo87MZU
>深夜1
無常さん・・・
733創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 21:29:58 ID:nQFmedzR
そうだねー
禁止エリアの決め方のバリエーションってこれくらい?

@書く書き手が決める
A話しあいで決める
B安価
734創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 21:36:45 ID:BTo87MZU
なんでもスレ辺りに案出して、その中から書く書き手三つ選択で良い気がする
735創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 21:41:40 ID:nQFmedzR
その方法でやるなら別になんでもスレつかわなくてもここでいいんじゃない?
できるだけ本スレで盛り上がったほうが楽しいしー
736創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:02:19 ID:5YM+IVHq
禁止エリアいらなくね?
とか個人的に思ってたりするんだけど考え甘いかな?
737創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:07:52 ID:nQFmedzR
後半になると禁止エリアが重要になってくるよ
738創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:08:59 ID:BTo87MZU
それも面白そうだけどオープニングで禁止エリアについて語っちゃてるから……。

>>735
そこら辺はどっちでも良いや。まぁ他の人の好きな方で
739創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:10:01 ID:MjuHp8Rm
禁止エリアには人、即ち展開を動かす力があるしな
740創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:12:59 ID:nQFmedzR
無理なく動く動機ができるのは大きいよな
741創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:16:27 ID:5YM+IVHq
いや、禁止エリアの替わりになにかしらのサブミッション用意して
クリアすると新たに武器が貰えるとかってシステムがあったら面白いかな?
ってのがふと頭をよぎったからさ
穴だらけの思いつきなんだけどね
742創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:17:22 ID:uY+hjDf6
行動範囲が狭まれば、遭遇率も高まるわけだし、禁止エリアを使った戦術や考察も生まれるからな
743創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:18:53 ID:nQFmedzR
禁止エリアを利用した戦術っていいよね
俺もそのうちそういう話書いてみたい
744創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:25:31 ID:5YM+IVHq
やっぱり自分の考えは甘かったですね。
お手数おかけしました。
よくよく見るとルールの所にも禁止エリアは明記されてましたね。
745創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:36:14 ID:uY+hjDf6
いやいや、そういう新しい発想は大事だと思う。
これからも何か思いついたら遠慮なく提案して欲しいと思う。
746創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 22:37:02 ID:zN5+HLGn
原作でもバトロワがバトロワたるゆえんの一つでもあるしな>禁止エリア
747創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 01:42:34 ID:csGm+sY6
あ、予約延長来てる
朝までにはできるとな?
さぁてまったり待つとするか
748 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/14(水) 06:19:45 ID:N4bjKdDo
お待たせしてすいません。
クリストファー、沙都子、翆星石を投下開始します。
749にんげんっていいな ◆SqzC8ZECfY :2009/01/14(水) 06:21:19 ID:N4bjKdDo


「友達にならないかい?」


眼前でにこやかな笑みを浮かべながら、そう提案した異形の男を前に、翆星石はかなり混乱しながらも思考する。
ここで気絶しているチビ人間をすぐに殺さなかったこと。
そしてそうしながらも、帰る方法が見つからなければ殺し合いに乗ると言う。
よくわからない――――翆星石が抱いた第一印象がこれだ。
掴みどころがないのだ。
その外見もさることながら、その態度。
翆星石をだますつもりなら、殺し合いに乗っているなどと、わざわざ言うことはないだろう。
名探偵くんくんを欠かさず視聴する自分にとって、この程度の推理はお手の物だ。
――ふふふ、翆星石をあまり甘く見ないほうがいいですよ、サメ人間。
心の中で根拠のない自信とともにほくそ笑む。

「そうやって混乱させておいて、後ろからガブリといくつもりですね? そーはいかないですぅ!」
「あ、それもいいかもね?」
「あっさり認めるなですぅ!?」

ますますわからなくなった。
どうすればいいのか。
翆星石自身としては喧嘩はいやだ。
みんなで仲良く。
あの家で和やかな日々を過ごしたことを思い出す。
蒼星石が動かなくなってしまった喪失感を知っているからこそ、それがとても大事なことだと理解できる。
だから殺し合いと言う選択肢だけは選べない。

「す、翆星石は殺し合いなんか絶対にしねーんですぅ! だからお前がそれをするなら友達になんかなってやらないのです!」
「じゃあ、どうやってここから帰るのさ?」
「う……」
「僕だって帰る方法があるなら、それに越したことはないけどね。というか、どうやってここに来たのかも分からないしさ。
 君はそれでも……帰れると思うかい?」

思わず言葉に詰まる。
でも、やっぱり、それでも駄目なのだ。
そんなことぐらいで引き下がるなら最初からアリスゲームでもそうしている。
ローゼンメイデン同士で、最後の一人になるまで、自身の命とも呼べるローザミスティカを奪い合う戦いに身を投じていただろう。
それができない。
それが翆星石なのだ。
だから――――。


「……それでも殺し合いなんかしないんですぅ!」


力いっぱい、なかばやけくそ気味に叫んだ。
ですぅ……ですぅ……と、残響音が暗い森に響いていく。
その声に軽く驚く、クリストファーと名乗る異形の男。
やれやれ、といった感じで軽くため息をついたが、不意にあらぬ方向へと顔を向けた。
目を細め、暗い闇の先を見通そうとしているようだ。
赤い眼球、その中心に白い虹彩、黒い瞳孔。
月明かりを跳ね返すそれらは人間からかけ離れた、まるで作り物の人形のよう。

「……どうしたですか、サメ人間?」
「いや……向こうで何か光った気がしたんだけど」
「ええっ?」
「ひょっとしたら殺し合いが始まってるのかもね? あの光は爆弾かな? 銃かな? ここにも来るのかな?」

突如として楽しそうに語りだすクリストファー。
750にんげんっていいな ◆SqzC8ZECfY :2009/01/14(水) 06:22:52 ID:N4bjKdDo
翆星石には何がなんだか分からないが、お構いなしに言葉を紡ぐ。

「あるー日ー 森の中ー 殺し屋にー 出会ったー 殺し合い 殺し合い 銃殺 斬殺 ララララララー♪」
「歌いだすなですぅ!?」
「真っ赤な花が咲くよ 血の花が咲くよ 今だー必殺 森パーンチー♪」

翆星石の突っ込みを無視して珍妙な歌は続く。
呆然とそれを見ているとついにはくるくると回りだした。

「…………わけわかんねーです」

なんだか馬鹿らしくなってきた。
翆星石はぐったりと肩を落とす。

「と、まあ冗談はこのへんにしておいて、と」
「……冗談に見えねーです」
「ひどいな。僕が殺し合いのさなかに歌って踊る奇妙な変人だなんて。僕ってそんな風に見られていただなんて。
 あー傷ついたー傷ついたー。ま、嘘なんだけど」

もはや突っ込む気力も無くなってきた。
いや、とっくにそんな気は失せているのだが、話し相手が他にいないので、ついつい会話に乗ってしまう。
そしてそのことに自分で気付き、この馬鹿馬鹿しい変態の他に誰も話し相手がいない状況にさらにぐったりする翆星石なのであった。

「これは真面目な話でね。どうだろう、一緒に行動しないかい?」
「翆星石は殺し合いなんかしねーですよ」
「うわ、ぶっきらぼうな返事。いや、それでいいんだけどさ。君がそういうなら僕も殺し合いしないから。
 というか最初からしないっていってるし……これならどう?」
「信用できねーです」

というか、最初から信用されようとすらしていない風にすら見える。
そもそも理解しようとすればするほど頭が混乱してくる類の人間だ。
こんなやつは今まで会ったことがない。

「うんそれがいい。友達として忠告するけど、初対面でいきなり友達になろうなんて人間は信用しないほうがいいよ。
 人生を破滅させられる」
「いつ友達になったですか!? そもそもお前が何をしたいのかよくわかんねーですぅ!!」
「いつというなら今さっき。なにがしたいって友達になろうっていってるじゃない。目標は友達百人さっ」
「あーもー埒が明かねーで……」

消えた。
忽然と目の前にいたはずの男の姿が見えなくなった。
翆星石は何が起こったのかと目を見開いたが、やはり一瞬前までたしかにいたはずの赤い目の怪物が消えた。
――とっ、と僅かに音がした。
背後から。
振り返る――――そうしようとして、できなかった。そっと抱くように翆星石の両肩に手が置かれたからだ。
全く力が入っているように見えないが、その手が振り返ることを許さない。
そして翆星石の視界にぎりぎり写った、自分の肩を抑える手から伸びる腕、それを包む特徴的な服の袖口。

「さ……サメ人間!?」
「せいかーい。僕ってすごいでしょ。で、ここからが本題なんだけど……」
「う……」
「殺し合いだからね。誰かがこうやって君の事を襲ってくるとも限らない。そうなったら君はどうするのかな?」

ぎちり――と空気が密度を増したような気がした。
今にも翆星石の肩を掴む手が破壊の意思を持って襲い掛かってくるかように思えた。
陽気に飄々と話すクリストファーの声がかえって不気味だ。

「それでも殺し合いは嫌かい? 自分の身に危険が降りかかっても? 殺られる前に殺れ、って思わない?」
「あ……ぅ……」
751にんげんっていいな ◆SqzC8ZECfY :2009/01/14(水) 06:24:55 ID:N4bjKdDo
その問いに翆星石の心は追い詰められていた。
最初に集められた空間で起こった殺人劇と悲痛な叫びがフラッシュバックする。
言いようのない重圧が翆星石の心を締め付けていく。
視界が狭まって何も考えられなくなる。

殺さなければ死ぬ?

ならば殺さなければならない?

どうするどうするどうするどうする?

それでも思考の中心に最後に残ったのは――――、


目を閉じて動かない蒼星石だった。


「……やっぱり、駄目なんですぅ!!」
「うわ……!?」
「死んだらもう二度と話せないです! 皆で仲良くお茶することもテレビを見ることもできないのです!
 殺し合いなんて、するのもされるのも絶対に御免なんですぅ!!」

まくしたてた翆星石の言葉にクリストファーは数秒間の沈黙を返す。
感情をそのまま叩き付けた後で、何も言ってこないその静かな数秒。
それは翆星石にとって耐え難いほどの数秒だった。
そしてついにクリストファーから返ってきたその言葉は全くの予想外。

「……素晴らしい!」
「はぃ?」
「いいね! 人形なのにとても人間らしい! 友達になろう! いや是非なってくれ!
 いいなぁ、憧れるなぁ、素敵だなぁ! ラ、ラ、ララ、ララルルラ♪」
「ちょ、ちょ、ちょっと待つです――――ッッ!?」

クリストファーは翆星石の両手を掴んでぶんぶんと振り回す。
テンション爆高のままでしばらくそうしていたが、目を回し始めた彼女に気付いてようやくその動きを止めた。

「おっと、ごめん。大丈夫?」
「こ……この……なんてことしやがるですか……」
「あはは、ほんとにごめん。でも嬉しいなあ。よし、こうしよう!」

もはやここが殺し合いの真っ只中で、騒ぐと見つかるかもしれないという状況を、完璧に思考の彼方にすっ飛ばしている。
そして高らかにクリストファーは宣言した。

「翆星石は殺し合いはしたくない、と。なら逃げ出す方法に心当たりは?」
「そ、それはないです……けど」
「ああ、分かってる。それでも殺し合いはしたくないんだろ。じゃあ、逃げ出す方法を知ってそうな人を探そうじゃない」
「サメ人間は心当たりがあるんですか?」
その問いに、いいや、何にも――と朗らかに答えるクリストファー。
そしてここで出会ってから何回そうしたかも分からないほどに繰り返したリアクションを取る、つまりがっくりとうなだれる翆星石。
その時、森の中に音が響いた。
それは明らかに遠くから聞こえる音であり、日常からかけ離れたものであった。
翆星石には分からない。
しかし、それはクリストファーには馴染み深い音でもあった。

「……銃声?」
「え……銃声って、あの音がですか?」

今度は翆星石もその音を拾うことができた。
さっきの光よりも位置が近いことだけは間違いない。
752にんげんっていいな ◆SqzC8ZECfY :2009/01/14(水) 06:26:46 ID:N4bjKdDo

「どうする? 音の方向に行ってみる? それとも逃げる? ああ、あの子はどうしようか? 置いてく?」
「それは――――」
「ああ、置いてくわけないよね。うん分かってる、僕が担ごう」

クリストファーは翆星石の答えを待つまでもなく気絶した少女を背中に担ぎ上げた。
翆星石は確かに見捨てるより助けるほうを選びたかった。
だがクリストファーにしてみれば、この少女はいきなりこちらを刺そうとした人間なのだ。

「お前は……いいんですか? そいつはさっき……」
「ああ、大丈夫、大丈夫。僕ってかなり強いから。本当ならとっても強いって言いたいところなんだけど……」
「?」
「まあいいや。こっちの話。とにかく大丈夫さ、また襲ってきたって殺さないように返り討ちにできるから。君は殺すのは嫌だろ?」

それはそうだ。
だが、どうしてそこまで翆星石に気を使ってくれるのかが分からない。
先に襲ってきたんだから荷物くらい使ってもばちは当たらないよねー、などと言いながら少女の荷物を漁る怪しいサメ人間にその疑問をぶつけてみた。 

「ん? 友達だから」

あっさりと言い切った。

「……初対面でいきなり友達とか言い出すヤツを信用するなと自分で言ったではねーですか」
「うん、だから信用しなくていいよ。君は僕を利用すればいいじゃない。僕は勝手に友達として君を手伝うし」
「それは、友達とは呼べるのですか?」
「友達は利用するものさ。共生関係・寄生関係は自然界の立派な摂理だよ。
 ナマコとその内臓に隠れ住む小魚にだって友情が生まれないとも限らない。
 一緒にいて安心するっていうのだって、自分の心の平穏のためにその人を利用してるとも言えるだろ?」

翆星石はしばし呆然としていた。
おかしなヤツだとは思っていたが、本当に理解しようとすればするほどわけが分からない。

「本当に変わってるですね、お前は……」
「よく言われるよ。むしろ言われる間もなく外見でわかりそうなもんだろ?」

はあ、と思わず深いため息が漏れる。
もっともひとりでに動いてしゃべる人形である自分自身も人のことは言えないのだが。
見ればクリストファーはその背に少女を担いだまま、さらに自分の荷物からとりだしたらしい銃火器を片手に構えている。

「さて、準備はできた。あと、はいこれ」
「なんですか、これは? ……マドレーヌ?」

顔を近づけてよく見ると甘い香りが漂ってきた。
ここが殺し合いの場でなければ、お茶を淹れて楽しみたいと思わせる上質のお菓子の香り。

「どうも僕が作ったものらしいんだよねえ、これ。ほら、説明書きに【クリストファーのマドレーヌ】って書いてある」

明かりをつけて説明書きらしい紙片を照らすと、そこには確かにそう書いてあった。
さらに『とても美味しい』とも。

「いやあほめられると照れるねえ。たしかに食べてみるとこれ僕のだよ。うん、美味しい」

一つ取り出して齧りながらにこやかに微笑む。
だがその表情はともかく、微笑んだ口の中全ての歯が八重歯というのがどうにも不気味だ。
そして翆星石にも勧めるクリストファー。

「……それ、毒とか入ってたらどうする気ですか?」
「え、大丈夫だよ。僕が作ったんだし、ほら食べてもなんともないし」
「そうでなくて、あのギラなんとかが渡した荷物の中に入ってたんなら、ヤツが何か入れてるかもしれないですぅ!」
「あ――――」
753にんげんっていいな ◆SqzC8ZECfY :2009/01/14(水) 06:28:35 ID:N4bjKdDo

その瞬間、クリストファーの表情が固まった。
そしてさらに苦悶に歪む。

「ぐ……くぁ……」
「わ――――――ッッ!? しっかりするですサメ人間!!」
「……って、うっそー。あはは、驚いた?」
「…………」

しばし固まった後、翆星石がクリストファーに向けて放ったのは、殺気すらこもった視線とどす黒いオーラであった。
背中に冷たいものを感じて、慌ててクリストファーは話題を変える。

「……うん、こんなことしてる場合じゃないよね。話を戻そう。どうする? 向かう? 逃げる?
 迷う時間はあまり掛けないほうがいいと思うよ?」
「それなら余計なことすんなですぅ! ここはー……銃でドンパチやってるヤツがいたらチビチビ人間が危ないし、ひとまず逃げるです!」
「オーケー、じゃあいこうか。さあ掴まって」

マドレーヌを一つ、翆星石になかば無理矢理押し付けるように渡してから、クリストファーは翆星石の小さな身体をひょいと担ぎ上げた。
もう一人の少女も背中に背負っておきながら、少しも重そうな素振りを見せない。
この御伽噺に出てくる吸血鬼みたいな青年の『僕はかなり強い』という言葉はハッタリではなさそうだった。

「……いくよ」

たんッと地面を蹴る音。
それが幾度も繰り返されるうちに、みるみるうちに森の風景が風を切るような速度で後方へと流れていく。
翆星石は振り落とされないために、しっかりとクリストファーの肩を掴んだ。
どれくらいそうしていただろうか。
ふと気付くといつの間にか夜が明けようとしていた。
森の木々がまばらになって、陽光が木々の間からシャワーのように降り注ぐ。
目を細めてその空を眺めると、ふと翆星石の視界の端を大きな観覧車の影がかすめたのだった。
754にんげんっていいな ◆SqzC8ZECfY :2009/01/14(水) 06:30:04 ID:N4bjKdDo
【G-2南部 森の出口付近/1日目 早朝】


【クリストファー・シャルドレード@BACCANO!】
[状態]:健康 、沙都子と翆星石を担いでいます。
[装備]:F2000Rトイソルジャー@とある魔術の禁書目録(弾数100%)、5.56mm予備弾倉×4
[道具]:支給品一式×2、鉄板入りの鞄@WORKING!!、クリストファーのマドレーヌ×8@バッカーノ!シリーズ
     包丁@あずまんが大王、不明支給品(0〜1)
[思考・状況]
1・ 友達の翠星石に付き合う。

※ローゼンメイデンについて簡単に説明を受けました。他のドールの存在は聞いていません。
※名簿はまだ見ていません。
※参戦時期は、『1934完結編』終了時です。




【翠星石@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:クリストファーのマドレーヌ×1 支給品一式 不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
1・とりあえず銃声から遠ざかる
2・サメ人間と友達に……?
3・真紅たちに会いたい。
4・ゲームに乗るつもりはない。

※参戦時期は蒼星石が動かなくなった後です。
※名簿を確認していません。




【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:やや擦り傷 気絶 L4?
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1・部活メンバーに会いたい。
2・死にたくない。


※参戦時期は具体的には不定。ただし、詩音を『ねーねー』と呼ぶほどに和解しています。
※名簿は確認したようです。
※雛見沢症候群の進度は具体的には不明。L5まで進行した場合、極度の疑心暗鬼と曲解傾向、事実を間違って認識し続ける、などの症状が現れます。
 説得による鎮静は難しいですが不可能ではありません。治療薬があれば鎮静は可能ですが、この場にあるかどうかは不明です。


【F2000Rトイソルジャー@とある魔術の禁書目録】
クリストファーに支給された。
現実にあるF2000というアサルトライフル(全長694mm 重量3.6kg 発射速度850発/分 装弾数5.56×30発)をカスタム化したとおぼしき架空の小銃。
赤外線ポインタによる照準機能と電子制御による弾道計算機能が内蔵されており、風向きや距離を自動的に調整してくれる。
さらに銃身を覆う特殊ゴムと炭酸ガスによって反動は極限まで軽減される。
いわく、小学二年生でも撃てる「怪物」らしい。

【クリストファーのマドレーヌ@バッカーノ!シリーズ】
北条沙都子に支給された。
お菓子やデザートの味にうるさく市販の味では飽き足らないクリストファーが自作したマドレーヌ。
食べたものは口を揃えて美味しいと認める一品。10個入り。
755 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/14(水) 06:31:55 ID:N4bjKdDo
投下終了です。
ご意見ご感想ありましたらどうぞお願いします。
756創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 09:47:40 ID:0nPMJFjc
投下乙!
いいないいなー、クリストファーのセリフ回しが本当原作どおりで見ててニヤついてしまうw
翠の子もすっかりツッコミが板について、なんだこの漫才人形コンビ。
と、ギャグを踏まえつつもしっかり翠の子の殺さない決意がしっかり描かれていますな。
蒼の子死亡後、という参戦時期のおかげか。しかし、となると名簿を見たときが大問題だなぁ。
クリストファーもだけど。クレアがいると知ったらどうなるか。フィーロは別にいいか
とりあえずクリストファーは翠の子扇動はやめたようだけど、今後次第じゃまだわかりませんね。
そして、観覧車フラグがちらりと。またか、またあいつのせいなのか!観覧車!
あっちにはクレアいるよー、あと真紅もいるよー、梨花もいるよー……3人の関係者全員いたりするんだよな。
改めてGJ!
757創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 12:42:32 ID:csGm+sY6
投下乙!
この人形グループいいなー
クリストファーに振り回される翠星石がかわいいw
758創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 14:30:07 ID:qrlo9OED
観覧車が拡声器のようだw
クリストファー、真面目なんだかふざけてるんだかよく分からん奴だなぁ
本格的な戦闘に巻き込まれたらどうなるやら
759創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 16:58:59 ID:oDq15xSL
投下乙!
クリストファーと翠星石のトークが面白あったです。
それにしても沙都子の目が覚めるのはいつだろうw
760創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 16:43:02 ID:akKZA4Dy
予約が入ったようだ。万歳!
761創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 18:37:44 ID:+W825orm
投下即予約かぁ
嬉しいねー
762創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 08:27:14 ID:tsmJNZ9M
放送どうしようかねえ
763創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 19:13:57 ID:8LQcTIYK
結局禁止エリアはどう決めるんだ?
個人的には参考にどこが面白いか案を出し合ってから安価がいいと思う
764創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 19:29:50 ID:YzSPJVlJ
どういう形にしろどこがいいかの案だしはやりたいねー
自分じゃ思いつかないようないい場所があるかもしんないし
765創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 19:47:46 ID:wUrhQbQR
本スレかなんでもスレに案出し→放送を書いた書き手が決定、の流れで良いんじゃね
766創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 19:56:12 ID:YzSPJVlJ
ここで雑談てがらやろうよー
遊園地の観覧車がある場所が禁止エリアとかなったらどうなるだろうなww
767創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 21:08:41 ID:KL5y7s8U
他ロワじゃ、端っことか、施設がないエリアとかが序盤じゃよくあるみたいだけど。
768創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 21:19:17 ID:YzSPJVlJ
あとで仕えそうな施設はとっとくほうがいいみたいだね
端っこはこのロワだと存在しないわけだけどそこんとこどうだろう
あ、いやむしろ端が禁止エリアになったことで端のほうを見に行くとか
移動&考察ネタになったりするか?
769創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 21:49:54 ID:Qcsd8t79
右下の方が人が少ないんだっけ?
右下の連中を移動させるためにも禁止エリアを右下にしたほうがいいのかな?
770創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 21:56:17 ID:YzSPJVlJ
人が少ないところに人寄せ目的で禁止エリアっていうのはなんか違うような
771創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 22:16:01 ID:qbtFPMp3
通りすがりの禁止エリア指南〜

とあるキャラがA地点からB地点に向かっているとして、その間であるAB地点に禁止エリアを置けば
キャラはそれを迂回してC地点またはD地点などを通らざるを得なくなる。
C地点やD地点にまだ使われてない施設があったり、遭遇させたいキャラがいるなら面白いかも?
ただし禁止エリア発動までに時間があると突っ切られる可能性もあるので、この場合は発動が早くある必要があります。

施設や特殊な地形なんかは話の種になりますので、基本的に初期のうちは無難なところを指定してゆくのがセオリーですね〜。
流されることで移動経路となる河川や、そこを渡るための橋など、移動に関わる部分にも最初のうちは置かない方がいいでしょう〜。

初期の内は、書き手の自由度を阻害しないことを優先し、終盤はキャラの動きを制限する……とするのがベターかと思われます。

では、失礼〜。
772創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 22:42:11 ID:wUrhQbQR
別にそこまで深く考えなくても、移動を制限するようなエリアでなければ何処でも良い気がするけどな。
禁止エリアをどう料理するかは書き手次第だし、禁止エリアは伏線を張るってよりはこじつけで後付けするって印象
773創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 00:23:39 ID:v9CrGYaT
一度も使われてない(描写が少ない)エリアはなるべく禁止にしない方がいいよ
774創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 00:25:22 ID:SfG+mwWW
否定じゃなくおすすめの場所を教えてくれー
今はもったいないから禁止エリアにしないけど
もしここが禁止エリアだったらこういう展開になるかもwwwwとかでも可
775創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 01:12:33 ID:oSUmDdOo
>>774
IDもレスもwが好きだな
776創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 01:14:14 ID:SfG+mwWW
言われて初めて気が付いた
そうか、じゃあ今日はwをいっぱいつけてよう
777創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 01:23:32 ID:qIhspe5B
ふと思ったけど最速兄貴以外の書き手の名前って
どんなのがつくかな?
778創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 11:01:34 ID:0EqU1TAh
他かぁ……何か特徴とか見つけなきゃいけないんかな。
779 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/18(日) 13:39:49 ID:vqiDjund
ゼロ、水銀燈を投下します
780荒城の暁 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/18(日) 13:41:54 ID:vqiDjund
紫色の空漠を太陽の白い光が浸食していく。
夜明けのときだ。
荒れ果てた庭園の先に、これまた荒れ果てた古城の跡があった。
森を切り開いて欧州あたりから持ち込んできたのかと思わせる西洋風の巨大な建築物。
だが壁面全体にひびが入り、いつ崩れだしてもおかしくない。
大木からけずり出したと思われる幅数メートルの木製のドアは完膚なきまでに破壊され、その奥に覗く玄関ホールの惨状は目を覆うばかり。
館の内部で暴風雨が発生したと思わせるほどだ。
それを引き起こした一因である二人が今、再びこの古城跡にやって来ていた。
破壊の爪痕には目もくれず階段を登っていく。
装飾が施された踊り場、くるぶしまで埋まる絨毯の廊下などを通り過ぎて、うらぶれた屋根裏部屋へ。
踏み込むと、埃に塗れた板張りの床がぎしりとどこか恨めしげな音を立てた。
薄暗い部屋の中にぼんやりとした光を取り込んでいる、やはり埃塗れの窓枠に手を掛けて、外の屋根へ繋がる道を開く。
入り込んでくる朝の冷気を吸いながら、滑り落ちぬよう屋根の斜面をしっかりと踏みしめて外へ。
空と森林の狭間で太陽が真っ白な光を突き刺すように浴びせてくる。
照らし出された二人の姿は揃って黒。
だが同じ黒でも全くもって類似点があるとは言いがたい。
片方は黒いゴシックロリータのドレスに、色を揃えたように黒い鳥の翼を背中に生やした人形のような少女。
いや、その少女は人形そのもの。その袖をまくれば球体関節が覗く生きた人形、ローゼンメイデン。
銀の髪が緩く冷たい風になびき、そして陽光にきらめく。
汚れ一つないその肌は青白いまでに真っ白で、陶器のなめらかさを思わせる美を宿していた。
薄闇の紫色、地に広がる緑の森、その狭間から差し込む僅かに赤みがかった暁の光、そして黒い翼の人形少女。
荒れ果てた古城の屋根にたたずむその様子は、まるで一枚の絵画のように幻想的な光景だった。

「水銀燈、ではよろしく頼む」
「……わかったわよぉ」

そんな雰囲気を打ち破るように言葉を放ったのは、もう一人の「黒」だった。
銀髪の人形少女はけだるげに返事をしてから、漆黒の翼を羽ばたかせて空に舞う。
それをじっと見上げてたたずむのは一人の男。
厳密に言えばその顔は仮面に覆われており判別が付かないのだが、その威圧的な肉体が問うまでもないほど如実に物語る。
水銀燈と呼ばれた少女が絵画なら、その男はまるでコミックヒーローの世界から飛び出してきたような風体だった。
黒いマントに包まれた、言いようのないパワーを漲らせる仮面の男。
ちなみにその仮面も黒だ。
自らを魔王と称するに相応しい迫力をかもし出し、飛び上がった水銀燈を見つめる。
ここはA-2。山の中腹にある古城跡。
地図の境目を確認すると言う目的のため、二人はこの会場に放り込まれた際、最初に転移させられた場所へと戻ってきた。
ここが地図でいう外側に一番近く、かつ森の木の上から辺り一帯を見晴らせる、見通しのよい場所だからだ。
そうしてここへやってきたわけだが、結果としてそこから眺めた「外側」の景色は何の変哲もない森が続くだけだった。
更にその先に目を凝らすと、延々数キロほどもなだらかに続く斜面の向こうに湖らしきものが見える。
そのほとりにうっすらと見えるのは巨大な円状のよくわからない建築物。
さらにアップダウンの激しい曲がりくねった白いレールのようなものがそのそばを囲むように配置されている。
まるで遊園地の観覧車とジェットーコースターのようだ、と仮面の男は思った。
彼はゼロ。
黒の騎士団を纏め上げ、自らを魔王と称する――――だが、この世でたった一人の妹を愛する兄。
飛行できる水銀燈にここからさらに高いところから見渡してもらえば違った情報が得られるかと考えたのだが、その結果は芳しいとはいえないものだった。

「特に変わらないわねぇ。境目っぽいところには柵も壁も何もそれっぽいのは見つからないわぁ」
「そうか……」

戻ってきた水銀燈の報告を受けて、ゼロはさらに思案する。
まずこの殺し合いをゲームと考えてみる。
もちろん人道的、倫理的に考えて許されるような行為ではないが、人命を玩具にするという点を考えなければこれはゲームだ。
隠れる場所は豊富にあり、支給される武器はランダム、つまり運次第。
主催の立場にあるギラーミンに歯向かわない限り、禁じ手もほとんどない。
781荒城の暁 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/18(日) 13:43:18 ID:vqiDjund
そして自分と水銀燈のように、一時的に手を組んで他の人間に対して数的有利に立つこともできるし、裏切り行為も咎められることはない。
これらの点から言えることは、このルールは弱者が強者を倒す可能性を助長するものだということだ。
個人やチームの技量を鍛え上げて、そして真っ向から競い合い、ぶつかり合うような正々堂々のスポーツではない。
むしろ運次第、立ち回り次第で力に劣るものでも勝算が見出せるギャンブル的なものに近いだろう。
そもそもゲームでなければこんな無意味な殺し合いを企画する理由が思いつかない。
ギラーミンの復讐とやらを動機として信じるにしても、もっと効率の良い方法は誰でも思いつくだろう。
自分たちを知らぬ間に拉致するような超常の力を用いてまで、何故こんな不可解な殺し合いを企画運営するのか?
が、それについてはひとまず置いておく。
この殺し合いがゲームであるならば、ルールが曖昧であればあるほど、抜け穴というものが存在する。
その抜け穴をつけば勝利の可能性もその分高くなるだろう。
ギラーミンは「会場の外に出れば首輪が爆発する」とは言ったが、「地図の外がイコール会場の外である」とは言っていない。
そしてこの古城の屋根から見つめる景色の中にある、特徴的な施設の配置を見て、ゼロの脳裏にある可能性が浮かび上がる。

「……一人で黙ってないで、いい加減に何か言って欲しいわねぇ」

ゼロの言うとおりに動いてやったにもかかわらず、報告を聞くだけ聞いてそのまま思索にふけっていたことが気に入らないのだろう。
水銀燈は不満を隠そうともしない。

「すまない。だがおかげでとある可能性にたどり着くことができた」
「可能性?」
「ああ、私の考えが当たっていれば、このフィールドに境目というものはない」
「……言っていることがよくわからないのだけれどぉ?」

ゼロは眼前に広がる景色の一点を指差した。
その先には巨大な円形が特徴的な建築物がある。

「あれは、いわゆる観覧車ではないだろうか。遊園地に設置されているような、な」
「そう言われてみればそうねえ……で、それがどうだっていうのかしらぁ?」
「あれが遊園地とすれば、その周りの地形も合わせて考えると、ここからの景色は地図のH-2から見たそれに酷似している」
「何言ってるのよぉ、ここはA-2の古城跡じゃ……」

ぶつくさ言いながらも自分の荷物から地図を取り出し、確認する水銀燈。
そして眼前の景色と地図への視線を往復させ、突如としてその秀麗な眉目を歪ませる。

「これって……」
「気付いたか。そう、この地図の上の境界と下の境界が繋がっているとすれば、この景色にも納得がいく」
「じゃあ、外への出口なんてないってことじゃない! 外に出たら首輪が爆発するだなんてギラーミンの奴……!」
「私達を無理やり殺し合いに巻き込むような輩の言うことを素直に信じたりなどしないことだ」

うるさい! と、ややヒステリックにわめく水銀燈を一瞥し、ゼロは変わらず淡々と言葉を紡ぐ。

「奴が私達にも理解できないような恐るべき力を持っていることは分かるな?」
「くっ……ええ、分かってるわよぉ!」

突然、前触れもなく見知らぬ場所に拉致され、首輪を取り付けられて、さらに一瞬で別の場所に飛ばされた。
ここまでいいようにされては、流石にその力は認めるしかない。

「だが……ということは、この夜明けの風景も、向こう側に見える観覧車も幻影であり、境目には壁なりが存在している可能性も考えられる」
「は? どっちなのよぉ?」

苛々がかなり溜まっているのが傍目にも見て取れる。
水銀燈はあからさまに刺々しい口調でゼロを追及した。

「現時点では境目がループしているかもしれない、と分かっただけでもここに来た意味はあった。
 そのうちにこの情報が重要な意味を持つこともあるかもしれん。
 他の人間と接触した場合、向こうの知らない情報を持っているということは交渉のアドバンテージになる」
「私は他の連中なんて皆殺しにしても構わないしぃ、最後まで勝ち残るのが目標なんだけどぉ?」
「ならば尚のこと無駄な消耗は避けるべきだ。片っ端から殺すのではなく、あくまで最後まで生き残るのが第一目標なのだろう?」
「……」
782荒城の暁 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/18(日) 13:44:09 ID:vqiDjund
漁夫の利という言葉がある。
二つの勢力が真っ向から争っているその横から第三の勢力が全てを掻っ攫う。
ただ闇雲に戦うのではなく、利用できるものは利用したほうが良い。
そのことは水銀燈も理解しているようだった。
それにゼロにとっては、まずナナリーの探索のためにも他の人間と接触してなるべく多くの情報を集めたい。
最終的な目標は相容れないが、現時点ではまだ水銀燈とは組むことができるはずだ。
うまくやってみせるさ――――ゼロは心の内で堅い意思を込めて誓う。
ナナリーを、彼女の世界を守ると、そう決めたから。

「もうすぐ6時……そろそろ休む時間も必要だろう。食事をとってから中心部へ向かう」
「……ええ」

二人はどちらからというわけでもなく空を仰ぐ。
この空。この大地。この夜明けすら偽者かそうでないか確かめる術はない。
確かなものは唯一つ。
二人の胸の中に、はっきりと形を成す強い想い。
その想いの名はナナリー・ランペルージ。
その想いの名は人形師ローゼン。


世界はそれを愛と呼ぶのだろう。




【A-2 古城跡/1日目 早朝】



【ゼロ@コードギアス ナイトメアオブナナリー】
【状態】:健康
【装備】:大戦槍@ワンピース
【道具】:基本支給品一式、強力うちわ「風神」@ドラえもん、MH5×4@ワンピース
【思考・状況】
1:ナナリーの捜索。そのために情報を集める。
2:ナナリーの害になる可能性のある者は目の届く範囲に置く、無理なら殺す。
3:中心部を目指す。
4:ギラーミンを殺して、彼の持つ技術を手に入れる。
5:自分の身体に掛けられた制限を解く手段を見つける。
【備考】
※都合が悪くなれば水銀燈は殺すつもりです。(だがなるべく戦力として使用したい)
※ギラーミンにはタイムマシンのような技術(異なる世界や時代に介入出来るようなもの)があると思っています。
※水銀燈から真紅、ジュン、翠星石、蒼星石、彼女の世界の事についてある程度聞きました。
※ナナリーの存在は水銀燈に言っていません



【水銀燈@ローゼンメイデン】
【状態】:健康、服に若干の乱れ
【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、チェスの長メス@バッカーノ
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
【思考・状況】
1:優勝を狙う。
2:しばらくはゼロと組んで行動する。
3:守るべき者って……バカバカしい。
【備考】
※ナナリーの存在は知りません
783創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 13:45:12 ID:vqiDjund
投下完了です。
ご意見ご感想ありましたらお願いします。
784 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/18(日) 13:48:03 ID:vqiDjund
すいません、ゼロと水銀燈の状態表に追記を忘れていました

※会場がループしていると確認。半ば確信しています。
785創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 14:16:51 ID:K7sDEwVm
銀様にはいい軍師がついているなぁ
もし二人のコンビネーションが完璧になったかと思うと…ゴクリ
786創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 15:28:12 ID:0EqU1TAh
投下乙!
ループに気付いたか。ああ、また観覧車!まあ、流石にこいつらは行かないだろうけど。
いや、でもわからないか…どっちにしろ中央部にはいくんだし。
まだ目立ったそれはないけど、進行方向によっては凄いことになりそうだこのコンビ。
改めてGJ!

これで、深夜1(無常)、黎明4(吉良、フィーロ、バラライカ、クーガー)か。
放送行っても問題はなさそうな人数だけど……無常は出さないとマズいかなぁ。
787創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 17:47:45 ID:21r+vWOn
投下GJ
二人ともループに気づいたか、ゼロと銀様のコンビ
この二人も観覧車に…と思いつつもさすがにそれはなさそうですね。

そして地味に近くにいるんだよな翠星石、再会はあるのか
それにしても他のローゼンメイデンに比べて銀様は相棒に恵まれたというか

変態・玉男・鮫人間・マッチョ仮面
人形たちのこれからが目が離せない改めてGJ
788創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 00:29:39 ID:xCtSDYm0
投下乙!
ゼロの考察がイカス!同時に銀様を抑え込んでるあたりに痺れるなぁ……。
戦闘面でもかなり強い二人だから、この情報を今後いかに使うかが気になるー。
ちょっと過剰気味にゼロの言葉に反応する銀様も素敵w
そして観覧車が出た辺りで少しビクッとなったのは秘密w
789創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 01:08:42 ID:uKcJyPo5
投下乙です!
この二人は賢いから考察がさえるなー
790創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 01:11:59 ID:E0r6xhCk
6人予約きてるー!
791創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 15:17:46 ID:HqiPy72U
ついに無常さんに予約が……
792創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 17:02:58 ID:4gQRm7Qu
おめでとう、無常さん……w
793創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 19:42:30 ID:ly+ba7m/
誰が蝶のように舞い、蜂のように死ぬのかが楽しみだw
794創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 19:55:51 ID:fbuUBIeL
無常さんリンチじゃないか……
そう思ったけどメンツがそれほどでもない
即時戦闘可能なのがライダーとチョッパーくらいか。
でもライダーは丸腰だしなあ
795創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:03:22 ID:GfiB93If
固有結界があるので、ライダーは実質的には丸腰じゃなかったりする
でも燃費悪いから一人だけの相手に使う類の能力ではないな
796創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:39:45 ID:4gQRm7Qu
てか無常さんのアルター吸収って、他の能力者に効くのか?
効く、効かないによって彼の行く末が決まる気がするんだけどw
797創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:46:49 ID:n6i4134f
戦闘に入るかは限らんけどな。
同じ作者なだけに温泉の話みたいに焦らしで終わるかもしれないし。
798創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 21:45:27 ID:hK5r/bV9
なんか大量殺人になりそうな予約の組み合わせだなぁ

レッドと無常の再会も以外に早そうだし
そして何よりグラハムは目を覚ますか?
799創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 02:16:38 ID:WuOfH1S8
>>796
アルター吸収に限定した方が良いと思う。
異能力全般に有効だとあまりに強すぎるし、ホワイトトリック・ブラックジョーカー・不思議シールドも充分強い能力なんだから大丈夫でしょ
800創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 21:48:35 ID:AcxQh7iJ
楽しけりゃ何でもオーケーw
801創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 23:33:27 ID:8Ckf+yjh
いや、そこは正確に定めておかないといざという時に困る気が
802創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 23:41:58 ID:qQJtmukS
予約キター!
803創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 00:35:17 ID:bLh1Czis
ほんとだ!
804創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 00:46:41 ID:DpUcz7j8
これで残るは童帝とクーガー組……!
805創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 00:55:59 ID:RkGy/1JL
クーガーはバラライカが起きるまで待機ですむからなぁ
むしろ必要なのは新庄君だと思うんだが。
時間的な意味で
806創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 01:01:02 ID:HXrPZpJO
5時半〜6時だからなぁ。
放送後でもできないことはない時間だけど。
807 ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:04:54 ID:VdsKMpfx
お待たせしました。
ライダー(イスカンダル)、レッド、竜宮レナ
トニートニー・チョッパー、グラハム・スペクター、無常矜侍を投下開始します。
808Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:07:09 ID:VdsKMpfx
「よし、こんなところで大丈夫かな」
「ああ。ありがとな、チョッパー」
「べ、別に褒められたって嬉しかねーぞ♪このやろが♪」
「はぅ〜。素直じゃないチョッパーくんかぁいいよぉ」
「はっはっは!まったく愉快な奴らよのう」

 ある民家の一室。
 そこで4人の人物がテーブルを囲んで座っていた。
 筋骨隆々とした大男。赤を基調とした帽子、服をまとった少年。少年の腕に包帯を巻く二足歩行のトナカイ。ゆったり
とした白い服を着ている少女。
 彼らがここにおいて一堂に介するまでは、ちょっとした騒乱があった。


 *****

 始まりは、ある支給品だった。
 白いパンツにも見えるそれから生えた男の首。
 白服の少女、レナはそれを不可解に思いつつも警戒し、その脚に隠れるトナカイ、チョッパーは生えている首を見て顔
を蒼白にして震えているしかなかった。
 男が2人を見つけ、『お前達、こんなところに潜んでおるのか?』など質問したが、二人は答えない。男、ライダーこと
イスカンダルが更に質問をしようとしたとき。

 突然、イスカンダルが『避けろ!』と叫び、次の瞬間にはパンツのようなものが射出するかのように、その中からイス
カンダルの全身が、飛び出した。
 レナとチョッパーは慌てて避け、結果イスカンダルは民家の壁に激突……する直前、その壁に強引につっぱりのように
手を突き出し、壁に激突させ勢いを相殺。そのまま何事も無かったかのように着地して見せた。
 その腰に、しがみついて目を回した少年、レッドと共に。
 後で聞いたところ、ポケットに吸い込まれそうだったイスカンダルを助けようとしたが、力及ばずに吸い込まれてしまっ
たらしい。


 その後、レッドが怪我をしている事に気付いたチョッパーが彼に怪我を治させてくれるよう提案。その際に、レッドが
自分たちに戦う意思が無い事を2人に告げ、レナもまた同じ事を宣言。結果、今の状態に至る。
 ちなみに寝ていた男を起こさないよう、話は隣の客間で行われている。


 *****

 簡単な自己紹介を済ませた後、話題はレッドの傷の話に移った。
 ちなみに、左肩の刺し傷や背中の擦り傷は民家を探して見つけた救急箱の消毒薬や包帯でチョッパーが簡易的な治療を
行った。本当ならば、もっと本格的な医療道具を使って左肩の傷を塞ぎたいらしいが、なぜか裁縫道具すらこの民家では
見つけることができず、それは諦めるしかなかった。
 だが、話の中心は傷自体ではなく、それがついた経緯だった。

「ひでえ……」
「レッドくん……」

 チョッパーとレナは絶句するしかなかった。
 サングラスの男に襲われ、一時は追い詰めたものの、その後は嬲るように一方的にされたこと。とどめを刺される瞬間、
知り合いの少女イエローに庇われ逃げる事ができたこと。そして、イエローが死んだ事。全てが、今のところ絶対的な敵
意に襲われていない2人にとっては悲惨であり、残酷であり、『殺し合い』という状況を改めて認識させるものになった。
 イスカンダルも、既に聞いたその話に嫌がるでも飽きた様子を見せるでもなく、神妙な面持ちで聞いていた。

「その後……フィーロっていう、帽子にスーツの人に会って、その人に……励まして、もらった、んだと思う。
信用できる人だよ。その人の紹介で、クレアっていう赤い髪の女の人も信用できるみたいだ」
「フィーロにクレア……この2人かな?かな?」
809Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:08:31 ID:VdsKMpfx

 レナが名簿を取り出して、『フィーロ・プロシェンツォ』『クレア・スタンフィールド』の2人の名前を指差す。名簿を
見る限りでは、他に同じ名前の者はいない。

「多分。きっと恋人同士なんだと思う。やけに自信満々だったから」
「は、はぅ〜。こ、恋人同士の熱い信頼……レナ、顔赤くなっちゃうよぉ」
「レ、レナ……そこでなんでおれを抱きしめるんだ〜」
「レナよ、それ以上抱きしめると医術師が窒息するぞ」

 いつの間にか膝の上に座らされていたチョッパーが抱きしめから逃れると同時に、イスカンダルが別の話を切り出した。

「この小僧が余と出会う前に遭遇したのは以上だ。余はこの小僧が始めて見た参加者だ。
まったく、あれだけ轟音を響かせてやったのに誰も出てこんとは」
「……それって、もしかして数時間前のバイクの音のこと、かな?かな?」
「おお。それだ、それ。なんじゃ、聞いていたのなら出でこんか軟弱者」
「出られっかぁ!! おれ、あの音を聞いて怪物が叫んでるかと思ったんだぞ!? 怖かったぞー!」
「レナも、男の人を助けてからその音を聞いて、だから会わないようにこの民家に入ったんだよぅ」
「まったく……」
「いやおじさん、俺もバイクの大きな音なんて聞いたらまずは隠れると思うなぁ」

 レッドが呆れた顔でレナとチョッパーに同意した。
 同時に、レナの言葉に気になる点に気付いた。

「助けたって、さっき寝てた男の事?一体どういうこと?」
「えっと、近くの川で倒れてたのを見つけたの。誰かに撃たれたみたいで……」
「大丈夫なのか?その人」
「うん。支給品が銃弾を防いでたから。あと、レナはここに運んだだけで、具体的に濡れた服を乾かせたりとかはチョッ
パーくんが指示してくれたの」
「へえ……凄いんだな、チョッパー」
「!! だ、だから褒められてもうれしくねーって言ってんだろこのやろが♪なめんじゃねーぞ♪」
「かぁいいよぉ〜!」
「おーい。堂々巡りだぞ、お前達ー」

 その話を聞くと、イスカンダルはその大ぉな腕を組み、3人を見据えた。
 サングラスの向こうの瞳に、何かこれから話を切り出す気配を3人は感じた。

「ふむ。この状況で見知らぬ男を助ける胆力を持つ娘。医療に精通する珍獣、か。まったくもってここは面白い場よ。
余の呼び出しに応じなかった事は目を瞑っておくとして……ふむ」

 そして、イスカンダルは至って真剣な顔つきで。

「お前達、余の臣下にならぬか?」

 *****

 男は目を覚ました。

 男は朝がけに自分の武器を振り回そうと思った。

 男は枕元にそれがないことに気付いた。

 男は自分がいる状況を思い出した。

 男は自分が撃たれたことを思い出した。

 男は自分が室内にいることに疑問を思った。

 男は自分が裸だということに気付いた。

 男は自分の貞操が奪われてしまったのか、と鬱状態に入った。
810創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:08:44 ID:x4+zr5dH
 
811創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:09:16 ID:x4+zr5dH
 
812創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:10:23 ID:On26UE1Q

813創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:11:20 ID:On26UE1Q

814Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:11:28 ID:VdsKMpfx

 男はそうしたら俺の子供ができて世界人口が増えるからいいじゃないか、と躁状態に入った。

 男は隣の部屋からの声に気づいた。

 男は会話に聞き耳を立て、自分が2人の者に助けられた事を知った。

 男は更に会話を聞いた。

 男は会話の流れが不穏なものになったことに気付いた。

 男はその原因の声を聞き分けた。

 そして男は、とどめの声を聞いた。


「そうか。余の臣下とならぬということは……お前は余の敵ということになるぞ、医術師」


 男は、飛び出した。


 *****


「悲しい、悲しい話をしよう……俺はどうやらこの女性とこのふかふかチビに助けられたらしい。言わば命の恩人A、B
と言える。もちろん確証はできないが、撃たれた俺は川に落ちたはずだから俺が気絶しながら川から這い上がれる夢遊病
患者でない限り、この2人がやはり命の恩人ということになる。ところが目覚めればどうだ? その命の恩人Bが危機に
陥っているという悲しい状況だ。俺にはわかる。あんたはあの時間違いなく敵意を晒した。俺も震えるような本気の敵意だ。
 これはどういうことだ。俺の命の恩人の命が脅かされるという事はつまり俺の命を助けた命が脅かされ脅かす命を俺の
命が脅かし俺の命を助けた命が脅かされ俺の命……。
 …………すこし混乱したが、つまりは……消えろ、おっさん」



 突然部屋の襖を開けて現れたさっきまで寝ていた金髪の男。
 イスカンダルが瞬時に気付き、腕を動かしたが……気付けば、その額に大きな銃が突きつけられていた。
 だが……金髪の男の眼前にも、イスカンダルの大きな拳が突き出されたまま
止まっている。
 そんな一触即発の光景を、レナもチョッパーもレッドも見ているしかなかった。

 何故こんな事になったのか、と誰かが考えた。
 きっかけは恐らく、イスカンダルの勧誘だったのだろう。自分の臣下にならないか、と。
 レナとしては、イスカンダルの助力を得られるならばそれも手か、と思った。イスカンダルの体躯は頼りにするには充
分のもの。後で約束を反故にしてもいいだろうし、今は少しでも対抗力を高めたほうがいいと思ったからだ。
 けれど、チョッパーは違った。彼は既に海賊であり、麦わらの船長ルフィと共にグランドラインを共に行く決心をした。
だから、イスカンダルの臣下に入れ、という勧誘には拒否を示した。
 その時、イスカンダルがチョッパーに向け、敵意を向ける。その気迫たるや、他の3人の言葉を呟く事すら許さなかったほどだ。
 そしてその次の瞬間、この状況に至る。

「お前、起きたのか?」
「ああ。礼を言っておこう命の恩人B。いや、礼はこいつを追い払うことで済ませようか」
「追い払う事ができる、という前提で話を進めるつもりか?」
「ああ。人を殺すのは好きじゃないが、人を壊すのはOKだ。追い払うことなんてさらにOKだ。OK二つ分、つまりOOKKと言える」
「言えないと思うかなぁ」

 互いに銃と拳を突きつけあっている状態にも関わらず、暢気に話す2人。
815創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:12:08 ID:On26UE1Q

816Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:12:58 ID:VdsKMpfx

「いきなり飛び出してきた動き……貴様、かなりの手練と見た」
「おっと先に言っておくが、さっき聞いた質問をしても俺の答えも命の恩人Bと同じだ。俺はラッドの兄貴以外の下につく気はない」
「ラッド?ああ、最初の時にギラーミンの奴に恋人を殺されていた男だな」
「ああ。ついでに忠告してやる。お前みたいなタイプはラッドの兄貴の1番嫌いなタイプだ。見つかったらまずお前は殺される」
「ほう?それは面白い」

 それでいて互いに抜き差しならない雰囲気を漂わせ、嫌が応にも緊張感がその場に満ちていた。

 だが、テーブルを叩く音がその空気をぶち壊し、二人がそちらに目を向けた。
 そこには、手をテーブルに叩きつけて2人に真剣な顔を向けているレッドがいた。

「何してるんだよ! 今俺たちがいがみあってる場合じゃないだろ!? 今は殺し合いに乗らない皆で力を合わせなきゃ!
出ないと、今もイエローみたいに殺されている人が…!」
「そ、そうだぞ! おれは臣下っていうのには入れねえけど、協力はするぞ! な! それでいいだろ!?」

 レッドの説得にチョッパーも追従し、なんとか2人を諌めようとする。
 だが、イスカンダルはふう、と一息つく。

「そうはいかん。確かに協力し団結する事は即ち強力である、というのには余も同意しよう。だがな、余にも信条がある。
戦うならば、余の軍勢と主催との対決だ。それ以上の勢力はいらん」
「つまり……従わない場合は、ここで殺す、ということですか?」

 今まで沈黙を守っていたレナが、今までと違った口調でイスカンダルに問いかける。
 レナの今までと違った眼差しにイスカンダルはふっと笑った。

「どう取るかはお前達次第よ」
「そうですか。なら……私はイスカンダルさんに一つ言いたいことがあります」
「ほう。言ってみよ。だが、この征服王に物申すというならば、つまらん事だった場合……相応の覚悟をしてもらおう」
「わかりました」
「命の恩人A。話なんて聞く必要は」
「ちょっと黙っててください」
「…………」

 イスカンダルの目が鋭くなった。
 今なお金髪の男(ちなみに今ので少し欝になった)に銃を突きつけられているにも関わらず、イスカンダルは不敵な笑
い、それでいて鋭い眼でレナを見据える。
 イスカンダルは見抜いている。レナの中にある何かを。
 他の2人に比べて冷静に見えるレナに燃える何か。そしてその裏にあるもの。

 レナは一息つき、そしてイスカンダルに真正面から目を合わせた。


「イスカンダルさん。私たちを臣下にしたいなら……あなたの力を、私たちに見せ付けてください」


 *****

「…………ここで、この家屋を吹き飛ばせという気か?」
「違います。私たちが見たいのは、貴方のあらゆる力です。
 それを、私たちにこれから見せてほしいんです」
「回りくどいのは好かん。はっきり言え」
「じゃあ言います。私たちと一緒に来てください。
 その過程で、あなたの力を見せ付けて、私たちを臣下になる気にさせてください」

 レナとイスカンダル。
 2人がテーブルを挟みにらみ合う。
 しかも、イスカンダルは金髪の男によって銃を突きつけられている状態で、だ。
817創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:13:29 ID:On26UE1Q

818創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:15:23 ID:r+FwbF8A
超私怨
819創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:16:02 ID:On26UE1Q

820創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:16:28 ID:ZKQzgyFs
 
821創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:17:13 ID:On26UE1Q

822創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:18:08 ID:pnJc5bb8
823Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:19:18 ID:VdsKMpfx

「『なる気にさせる』か。つまり、この2人には、今の主君以上の器を見せつけろ、そういうことか」
「はい。1番偉い人なら、言葉で言うより、実際に見せ付ける事ができると思います。
 それとも、できないって言いますか?」
「…………舐めるな、娘よ」

 イスカンダルの敵意が一層膨れ上がる。表情こそ剣呑なそれだが、目だけは笑っていない。
 その気迫に、レナの顔にも冷や汗が浮かぶ。
 本当なら逃げ出したい。けれど、それを抑えてでも今、ここでこの4人は繋げとめておきたい。
 それは直感に近い。けれど、それこそが最善だと思える。

「余は征服王イスカンダル。余の振る舞い、行動で臣下を生むなどかつては常時の事であった。
 だが、それだけでは余がお前達と行動するには理由が薄いぞ」
「……もう一つ。逆の理由があります」
「言ってみよ」

 2人の舌戦を3人は静かに見ている。
 2人の間には口出しをできない空気が漂っていた。
 拳も剣も銃もない。けれど、そこには確かに激しい何かがあった。

「貴方も、私たちを見極めてください。私、レッドくん、チョッパーくん、あと……」
「グラハムだ、命の恩人A」
「グラハムさん。貴方の臣下に相応しいかどうか、こんなところで判断するのは、王として早急じゃないんですか?」
「ふむ」
「これから、殺し合いに乗りたくない私たちの先には、多くの危機が待っていると思います。そういった危機の中で、人の真価は見えると思います。
その中で、互いに互いの力を見極める。その上で、貴方は私たちを臣下にしてみせる。できなければ、貴方の力不足。……どうですか?」
「……小僧ども」

 イスカンダルがここでレッドとチョッパーに目を向ける。
 自分たちに話が来た事で2人が少し竦む。

「お前達は構わんのか? この娘が言っているのは、要は危険の中にわざわざ飛び込むということなのだぞ?仲間からすれば、迷惑以外の何物でもあるまいて。
 もう一度聞く。お前達は構わんのか?」
「……構わない」

 イスカンダルの目をまっすぐ見てそう言い切ったのは、レッドだった。
 その瞳にあるのは、レナとも少し違う輝き。
 敵と立ち向かう、『戦う者』たる瞳。

「何事もなく帰れるなんて思ってない。きっと色んな敵が待っているんだと思う。
 それでも、俺はイエローに誓ったんだ! きみの命を守るって。だから、俺はレナの提案に乗る。おじさん、俺たちと一緒に来てくれ」
「医術師、お前はどうなのだ?」

 イスカンダルに目を向けられたチョッパーは、少し顔を俯かせていた。
 だが、意を決したように顔を上げたチョッパーは、もう怖がりの目をしていなかった。
 イスカンダルはほくそ笑む。
(まったく。良い眼をした者ばかりおる)

「おれは……できれば、そういうのは避けれたらいいな、って思ってる。だって、人が傷つかないには越した事ないんだ。
 でも……そうは行かないことがある、っておれは知ってる。困難がおれたちに降りかかってくるなら、おれ達はそれに
全力で立ち向かわなきゃいけないんだって。
 おれは、絶対ルフィたちと一緒にあの海へ戻る! そして、こんな殺し合いも絶対みとめねえ!
 イスカンダル。おれはルフィの下を離れたくないけど……もし、お前が本当に凄い奴だったら……おれ」
「そんなに辛そうな顔で言うでない。結論は先で構わん」
「……ありがとな」
824Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:19:52 ID:VdsKMpfx

 チョッパーの答えを聞いたイスカンダルは、再び腕を組む。
 そして、3人を見つめる。

「よかろう。このイスカンダル。お前達と暫くの時行動を共にし、お前達を見極め、そして余の力を知らしめようぞ。
 必ずや、お前達全員我が臣下としてみせる。言っておくが、自分の身は自分で守れ。お前達を試す以上、そこまで面倒は見んぞ」
「わかってる」
「わかった」
「望むところ、かな」

 3人がそれに決意の篭った瞳で応える。
 イスカンダルは思う。
(静かなる炎。戦う者。命を尊ぶ獣。どいつもこいつも、魅力的この上ない!)
 だからこそ征服のしがいがある。
 自らの力を示す事で、こやつらを征服してみせる。
 イスカンダルは、自然と笑みがこぼれるのを止められなかった――。
825創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:20:12 ID:On26UE1Q

826創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:20:23 ID:pnJc5bb8
827Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:20:32 ID:VdsKMpfx





「…………悲しい、悲しい話をしよう…………俺だけ何も聞かれていない」
『あ』


 *****


「イスカンダルさん。人が悪い、かな?かな?」
「む?」

 部屋の隅で金髪の男、グラハムが『そうか、俺はいつも空気をぶち壊す事ばかりしていたから空気の恨みでいつのまに
か空気になってしまっていたのか。くそう、ならば今俺はどうやって呼吸をしているんだ。そうか、今俺は吸っている空気
と一緒になって世界に溶け込んでいっているに違いない。おのれ世界、俺という存在を吸収してどこにいこうという気だ』
と呟き体育座りで落ち込んでいるのをレッドとチョッパーが励ましている横で、レナがイスカンダルにそっと囁いた。

「ああやってグラハムさんを誘き出して……あの敵意に私たちがどう反応するのか、見たかったんだよね?」
「あの男の乱入は予想外だ。まさか、そこまで分かっていてああ言ったのか?」
「流石にそこまで余裕はないかな?かな?」
「読めん娘よ」

 笑顔で首を傾げるレナに、イスカンダルは笑みを浮かべる。
 と、突然『ああ、そうだ!』と叫ぶ声がして、2人はそっちを見やる。
 そこには笑顔で立ち上がるグラハムと、それを見て唖然とするレッドとチョッパーがいた。

「楽しい、楽しい話をしよう!俺は今世界と共になった、空気になった!つまりは俺がどこにでもいる人間に必要な要素
の一つになったってことじゃないか!人間は空気がなければ生きられない! これが楽しくなくて何が楽しい! 空気万
歳だ!さあ、踊ろう命の恩人B!」
「え?ちょっ、あっ、うおおおおおお!?」
「チョ、チョッパーー!?」


「…………何なのだろうな、あ奴は」
「レナもよくわかんない、かなぁ……」


 *****


「そうだ!」

 改めて5人でテーブルを囲んだ時、チョッパーが突然声を張り上げた。

「一体どうした医術師」
「せっかく俺たち、仲間になったんだし」
「余はあくまで見極める為の同行よ。仲間とは少し違う」
「俺はこのおっさんを認めてはいない」
「うううううううう……」

 イスカンダルに警戒心むき出しのグラハムに、チョッパーが少し涙目になる。
 レッドとレナがなんとか元気付け、話の続きとなった。
828創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:21:11 ID:x4+zr5dH
 
829創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:21:11 ID:neZKlt4e
830創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:21:11 ID:On26UE1Q

831Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:21:27 ID:VdsKMpfx

「その証を作ろうと思うんだ!」
「証?」
「つまり、私たち、あるいは私たちと志を共にする人たちの、その意志の証明、ってことかな?かな?」
「そう!」
「でも、証ってどういうことだ?」
「ちょっと待っててくれ」

 チョッパーが自分のデイパックを寄せ、中を探る。
 4人が静かにそれを見ていると、チョッパーが中から何か取り出しテーブルの上に置いた。
 それは、救急箱から取り出した包帯とメモ用の紙、筆記用具だった。

「これはおれ達が前にやったことなんだけどさ。まず、腕の手首とかにこういう印をつけるんだ!」

 チョッパーが筆記用具でメモに『×』の印を書く。
 それを見たイスカンダルはやや冷ややかな口調。

「それを我らの協力者の証とするのか? 確かに、それならば別行動をしていた時に出会ったとしてもわかりやすいが、
だがそのようなもの、一見で証だとわかりやす過ぎる。マネでもされたらどうするのだ」
「へへーん。ところがそうじゃねえんだ」

 チョッパーは徐に包帯を掴むと、それを自分の右手に巻きつけた。
 一目では腕のを怪我したようにしか見えない、手首の布。

「……なるほどのう」
「へえええ。チョッパーくん凄い!」

 その意図を悟ったイスカンダルとレナが感心した風な声を上げる。
 対して、グラハムとレッドはイマイチ分かっていないらしい。
 仕方なく、レナが説明に回る。

「手に書き込んだ印の上に、さらにこの包帯を巻くの。もし、仲間だって偽ろうとする人がいたら、複数の人が包帯を手
に巻いてたらそれが証だと思うでしょ?」
「あっ」
「うん。でも、下の印には気付かない。本当の印は、レナたちから本当に聞かないとわからない。だから、包帯さえ取
っちゃえば、その人が本当に仲間なのかどうか、すぐにわかるの。
 だから、本当に信用した人にだけこの印を教えれば、仲間が本当に信用した人だってすぐにわかる」
「理解した。しっかり理解したぞ命の恩人A。そして凄いじゃないか命の恩人B」
「ほ、褒められたってうれしかねーっての♪」
「医術師、そろそろそのパターンに変化はないのか」

 チョッパーは身を悶えつつも、かつての事を思い出していた。
 この方法は、かつて自分たち麦わら海賊団がアラバスタにて敵に変装の能力者がいることから考えた方法だ。けれど、
今やあの証はただの判別の為の物ではない。
(おれは、皆と仲間になりたい。臣下につけとか言うけどイスカンダルもいい奴らしいし、レナはちょっと怖いけどいい奴だ。
レッドもおれのこと『ポケモン?』とか言うけど、イエローって子のことを思ってるのは本当だもんな。グラハムはこん
なおれの為に武器を持って飛び出してくれた。だから、この証で、みんなとの仲が深まればいいな、って思うんだ)
 かつて、海で腕を突き上げた記憶、それが彼の心にありありと蘇っていた。

「しかし……この印は気に入らん」
「え?」
「他の集団のお下がりというのはどうもな」
「はう……レナも、ちょっと『×』は縁起が悪いかなぁ」
「え?え?」
「俺も、もうちょっとなんか元気がでそうなのが」
「え?え?え?」
「命の恩人B。悲しい話だが、俺もそう思った」
「そ、そんなぁ〜〜」
832Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:22:05 ID:VdsKMpfx

 ずーん、と落ち込むチョッパーを尻目に、イスカンダルはこめかみに拳を押しやり、何か考えているようだった。
 やがて、閉じていた目を開き、自身の筆記用具とメモを取り出すと、簡単に何かを書きこんだ。

「そう落ち込むな。アイデア自体が悪いとは言っておらん。ただ、仮初とは言えそれは主催に敵対する我らが旗印となるもの。
ならば、我ら独自の物がいいとは思わんか?」
「え?」
「主催どもに見せ付ける我らが意志の表れよ。……『×』は縁起が悪いといったな、娘」
「う、うん」
「ならば……こちらはどうだ?」

 イスカンダルがメモを4人に見せ付けた。
 そこには4人もよく知るある図形があった。
 至ってシンプルで、至って描きやすい。
 彼の言うとおり、『×』と対極にある、その図形。
833Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:23:04 ID:VdsKMpfx



「『○』……」



 円形。丸。
 一筆書きで書ける簡単なシンボル。イスカンダルが描いたのはそれだった。

「そうだ。円形。これくらい着飾っていない、単純な印もよかろう。
どうだ? 縁起は悪くなかろう。
 それに、こいつには我が野望の意味も込めてある」
「野望って?」

「余にはこいつがいつか手に入れる世界にも見えるのでな。
 奴らを倒した暁には、余は世界を手に入れる。その野望もまた、ここには含んであるのだ」
 そう言うと彼は、筆記用具の中からサインペンを出し、自分の右腕の手首に『○』を描きこみ、突き出した。
「この印を是とし、余の眼に晒されるを良しとするならば腕を突き出せ。
イスカンダルの名において、臣下を見極めるべく、お前達に余を主と認めさせるべく、この印が下に行動を共にする事を誓おうぞ」

「俺は……もちろん、いいよ。
 でも、俺にはその印、俺たちの勝ち星に見えるな。もちろん、負け星は……ギラーミンだ!」
 レッドがそれに続き、サインペンで『○』を右腕に書き込み、突き出す。
「俺も誓う! イエローの命も意志も無駄にしない為に、ここにいる皆と一緒に必ず生き残って、帰るって!
そのためなら、どんな困難にだって戦ってやる!」

「うーん。×も良かったけど……でも、『○』もいいな!!
 おれには、太陽に見えるぞ! おれたちを照らして、船の行き先も照らしてくれる真っ赤な太陽だ!」
 言いだしっぺのチョッパーも『○』を書き込むと、かつてのように突き出した。
「おれも誓うぞ! 命は大事なんだ。それを踏みにじる殺し合いなんてみとめねえ! 絶対止めてやるんだ! 仲間と、一緒に!」

「チョッパーくんが太陽なら、レナは月に見えるかな、まん丸お月様。
 なんでか、いざやるぞ、って思ったら満月が想い浮かんだの。理由はそれだけ」
 レナも同じく○を腕に描き、突き出す。
「レナも誓うよ。必ず帰る。あの平和な雛見沢に。……部活のみんなと、ここにいる皆、どこかにいる反抗する人たちと一緒に」

「…………」
「お前さんはどうする?別に無理してせんでもいいぞ」
「笑えない、笑えない話をしよう……勝手に決めるな、おっさん。
 その印のように、大きな穴を体に開けて欲しくなければな」
 イスカンダルを見て嫌々な顔をしていたが、サインペンを取ると素直にその腕に印を書き込み突き出した。
「あんたが仕切っているようなのは気に入らないが、命の恩人2人は俺が守ってやる。仇で返すようなマネはしない。
それに、ラッドの兄貴を悲しませた主催共に反抗する気持ちは俺も同じだ。
俺も誓ってやる。この殺し合いそのものを、俺が壊してやる。そう、丸い大穴では済まさない、完全に壊してやる。
本来形のないものを壊すのは性に合わないが、ラッドの兄貴のためなら、そんな無理はひっこめてやる」

「よかろう。ならば、各々それぞれの誓い、そしてこの印が元に! あらゆる困難に立ち向かおうではないか!
 優勝を狙う輩、弱者を弄ぶ外道者、そして果てには主催者よ! 来るなら来るがいい! ただし、その愚行には相応の罰があると知れ!
 共に往こうではないか! この印を持つに相応しい同士を捜しに!」

 高らかにイスカンダルが叫ぶ。
 突き出された5本の腕。
 そこに描かれる『○』印。
 5つの誓い、5つの意味、5つの魂をその元に。
 それを見つめる者たちの顔には、ほのかに希望というものが覗いていた。
834Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:23:32 ID:VdsKMpfx




 そんな、希望を。


 絶望の蛇は、舌をなめずり嘲笑う。


 *****


「良い事を聞いてしまいましたねぇ〜〜!」


 静かな図書館の一室で、その独特な口調の声は鳴り響いた。
 声の主は、スーツにサングラス、白髪というこれまた独特な容貌の男、無常矜侍。
 その足元にはフッシーという四足歩行のポケモンがおり、そこから伸びた蔓がすぐ前に落ちている白い布でできたもの
の中に伸びている。
 無常の腕には腕時計のようなものがついている。腕時計と違うのは、時計がある場所に、黒くて小さなカタツムリに似た
生物がくっついているところのみ。


 無常矜侍が図書館でレッドを見つけたのは全くの偶然だった。
 自分に圧倒的な力があり、優勝を目指すのが難しくないのは間違いない。
 だが、気になることはあった。先ほど手に入れた『ポケモン』の存在だ。
 無常は今までこんな生物は見たことも聞いた事もない。少年のアルター、ではないようだし、無常はこの存在に酷く興味を抱いた。
 そこでまずは情報を集めよう、と図書館に向かっていた。

 図書館を見つけた際に、入っていくレッドの姿を見かけた。
(おやおやおや。庇った人間が死んだというのに元気ですねぇ)
 ニヤニヤとしながらその様子を物陰から確認した無常は、すぐに入らず図書館の入り口を見られる民家に一旦身を潜めた。
 後を追って今度こそ殺す事も考えたが、図書館の前にあからさまに止められたバイク。それが彼を押しとめた。

 もし中にいるのが自分のような優勝狙いの者ならばレッドは殺される。無常が手を下す必要はない。
 レッドと同じようなやる気のない奴ならば、一緒に出てきたところを仕留める。いくらいようとも自分の前では有象無
象。何の問題もない。
 要は泳がせるということだ。小魚を釣らず、それを食おうとする大物を狙う釣り人のように。


 だが、大分時間が経とうとも一向に誰も出てこず、戦闘の音すらしない。
 痺れを切らした無常は、アルター発動の準備をしつつ、図書館の中へ入った。
 朝日が差し込んできた図書館の中を捜し歩いたが、バイクの持ち主はおろか、レッドの姿すら見つからなかった。
 裏口でもあるのかと思ったが、そんなものはなかった。
 どこに行ったのか、と考えた無常の目に、床に無造作に落ちている白いものが眼に入った。
 掴みあげれば、ポケットに見えるそれ。中に何やら空間が広がっているのは見てわかった。
 だが、無常はそこに迂闊に顔をつっこんだりはしない。支給品の正体がわからないならば、慎重に対処した方がいい。
 そこで、無常は『道具』を最大限に使う事にした。

 レッドから奪ったフッシーとやらをボールから出し、自分に対して使われたつるのムチを出すように命じた。無常は技
名を知らないので、フッシーはどうすればいいか迷っていたが、そこは無常なりの『躾け』で、やっと蔓を出すことに成功した。
(やはり生きている道具には傷みで教えてやるのが1番ということですよぉ)
 フッシーの体の数箇所には浅い、それでも痛みを伴う怪我が刻まれている。無常のアルターによるものだ。
 そうして、蔓を出させた無常はその先に、電伝虫というカタツムリのような生物を結びつけ、ポケットの中に電伝虫と
共に蔓を伸ばさせた。自分は腕に黒い電伝虫と装着する。
 これは無常の支給品の一つで、盗聴用の黒電伝虫と盗聴器用の電伝虫のセットだ。黒電伝虫は盗聴の名の通り、自分か
ら言葉を伝える事はできない。できるのは、向こうからの音声をこちらに伝える事だけ。盗聴器用もまた、向こうの音声
を聞き黒電伝虫に伝えるのみで、受話器がついておらず向こうにこちらからの音声が伝わる事はできない。
 つまり、完全に盗聴器の代わりにしかならない電伝虫のセットだ。
835創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:24:06 ID:On26UE1Q

836Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:24:14 ID:VdsKMpfx

 無常はコレを使い、この空間の先を探ろうとした。もちろん、勢いよくではなく、慎重にポケットを覗き込み、遠くに見える光の先に出ないように。
 果たして、黒電伝虫から音声が聞こえてきた。
『悲しい、悲しい話をしよう』


(いやぁ、すっかり元気になられたようで! 彼女はやはり死んだようですねぇ。お悔やみ申し上げましょうか、ハハハハハハ!!)
 向こうから聞こえてくる、レッドを含めた5人分の音声を聞きながら無常は愉悦に浸っていた。
 スペアポケットの口ギリギリの電伝虫が5人の会話を逐一無常に伝えていく。
 だが、会話の内容はだんだんと深刻になってくる。彼の表情も、自然と変わる。

 更に愉悦を含めた笑いに。

(いいアイデアです! ええ! この無常矜侍、素直に感服いたしました! 素晴らしい! ああ素晴らしい!
 ですが……それを私に聞かれていたのは、ざぁんねんでしたぁ!)
 無常は○印のアイデアを全て聞いていた。それを主催に対抗する者の証にする、と。

「そうとなれ、ば」
 無常はフッシーをボールに戻し、電伝虫も回収すると、くるりと踵を返した。そのまま図書館の入り口まで向かう。

 ここでポケットを通り、5人を強襲するのは難しくはない。自身には強力なアルター能力がある。5人程度、いくらでもなんとかできる自信はある。
 だが、それでは面白くない。

(ほのかに芽生えた希望、それをここで刈り取ってしまってはねぇ。
 希望を伸びるだけ伸ばし、育つだけ育て、そしてそこで無慈悲に刈り取る! その時最高の希望は最悪の絶望へと姿を変えるのです!
 アッハハハハハ!なんと甘美な未来でしょうか!想像しただけで胸がお!ど!る!)

 自分が得た情報はいくらでも料理の仕様がある。
 優勝狙いの者どもに、それとなく教えて奴らを騙すよう仕向けてもいい。
 別の反抗者に、印は優勝狙いたちの同盟の証だと誤情報を流してもいい。
 全ては、自分の掌の上。

 自分の存在は全く悟らせないためにこの場は早急に去る。
 バイクやポケットがある以上、奴らが戻ってくる可能性は高い。
 希望が踏み潰される事を直前まで知らない方が、無常は絶望が深いと考えたからだ。

「アハハハハハハハ! アーッハッハッハッハッハ!!」

 無常は大きく高笑いしながら、図書館の外へと出た。

 その眼には、絶望に染まる者たちの顔だけが見えていた。
837創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:24:16 ID:pnJc5bb8
838Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:24:56 ID:VdsKMpfx


【B-4 市街地 民家内 1日目 早朝】
【チーム名:○同盟】
1:主催者の打倒。
2:出会い、信用した相手に印のこと(腕に○の印を描き、その上に包帯等を巻く)を教える。
3:サングラスにスーツの男(無常)を警戒。フィーロ、クレアという女性を信用(グラハム以外)

【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康  右腕に○印
[装備]:小型レンチ 包帯
[道具]:支給品一式 未確認支給品1〜3 ドライヤー
[思考・状況]
1:とりあえずはグラハム・チョッパー・イスカンダル・レッドと行動する。
2:部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留)
3:何とかして首輪を外したい
4:イスカンダルの勧誘は保留。
※チョッパーから軽く自己紹介を受けました。ルフィたちやクロコダイルの情報はまだ知りません。
※幻聴はとりあえず消えましたがまた出てくる可能性があります。
※屋敷から見える街道に誰かが通るかもしれないと意識をしています。
※濡れた服はドライヤーで乾かしました。
※屋敷の洋服ダンスのなかからグラハム用のかぁいい服を見つけてきました。

【トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:健康 人獣型 腕に○印
[装備]:なし 包帯
[道具]:支給品一式 確認済支給品0〜2、 タオル、救急箱
[思考・状況]
1: グラハム・レナ・イスカンダル・レッドと行動する。
2:グラハムの様子を見る。
3:ルフィたちや巻き込まれた人たちと合流する。クロコダイルは倒す。
4:ギラーミンを倒し、脱出する。
5:イスカンダルの臣下になるかはとりあえず拒否。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期は不明。少なくともCP9編以降。

【グラハム・スペクター@BACCANO!】
[状態]:健康? 腕に○印
[装備]:包帯
[道具]:支給品一式、(うち磁石は破損)、スペアポケット@ドラえもん
海楼石の網@ONEPIECE、二重牙@トライガン・マキシマム、かぁいい服(詳細不明)
[思考・状況]
1:レナ・チョッパーを助ける。
2:イスカンダルに敵意。
3:殺し合い自体壊す
4:ラッドの兄貴と合流、兄貴がギラーミンを決定的に壊す!
5:イスカンダルの勧誘は断固拒否。
※後遺症等があるかどうかはわかりません。
※元の青つなぎを着ています。かぁいい服はデイパックに入れました。
※二重牙は枕元においてあったチョッパーのデイパックから借りたものです。
※4人の会話を途中から聞いたので、レッドたちがクレアを信用していることを知りません。
839Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:25:58 ID:VdsKMpfx

【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:健康  腕に○印
[装備]:張維新の衣装とサングラス@BLACK LAGOON 包帯
[道具]:基本支給品一式 きせかえカメラ@ドラえもん きせかえカメラ用服装イラスト集
     イリアス英語版 各作品世界の地図
[思考・状況]  
 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。聖杯で望みを叶えて受肉する。
 2:レナたち4人を見極め、自らの力を示す為に同行する。
3:四次元ポケットとバイクを回収しに図書館へ戻りたい。
 4:首輪を外すための手段を模索する。
 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
 6:アーチャー(ギルガメッシュ)を警戒する。
【備考】
 ※ヤマハV−MAXセイバー仕様@Fate/Zeroは図書館入り口に停めてあります。
 ※四次元ポケット@ドラえもんは図書館の中に放置されています。
※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。
  本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
※レッド・レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。

【レッド@ポケットモンスターSPECIAL】
【状態】:疲労大 背中に擦り傷、左肩から出血(両方とも簡易治療済み) 腕に○印
【装備】:包帯
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み。モンスターボール・スコップなどの類はなし)
【思考・行動】
 1:殺し合いを止める。必ず生き残る。
 2:ライダー・レナ・グラハム・チョッパーと仲間を捜す。ただし慎重に。
 3:ある程度はライダーを信用していますが…。
 3:赤い髪の『クレア』に会ったら、フィーロの名前を出す。
 4:絶対に無常からフシギダネと取り戻す。
【備考】
※参戦時期はポケモンリーグ優勝後、シバの挑戦を受ける前です(原作三巻)
※野生のポケモンが出てこないことに疑問を持ってます。
※フシギダネが何故進化前か気になっています
※ライダーと情報交換を行いました。
※『クレア』をフィーロの彼女だと勘違いしています。
※後回しにしていますが図書館にあったパソコンに興味


【D-4図書館/一日目 早朝】
【無常矜持@スクライド(アニメ版)】
【装備】:ハンドガン@現実 予備段数×24
【所持品】:基本支給品一式×2、不明支給品0~3個(確認済み)フシギダネ(モンスターボール)@ポケットモンスターSPECIAL 、
      黒電伝虫と受話器なしの電伝虫のセット@ONE PIECE
【状態】:健康
【思考・行動】
 1:殺し合いで優勝する
2:○印の情報を利用する。
 3:カズマ、劉鳳、クーガー、あすかの始末
 4:レッドや同行者たちとはまた会いたい
【備考】
※ポケモンは一度モンスターボールから出し、10分が経過すると強制的にボールへ戻ります。再び使用するには2時間の経過が必要です。
また、基本的にはボールの持ち主の指示に従います
※何処へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※○印と包帯の情報を知りました。
※レナ・チョッパー・グラハム・ライダー(イスカンダルのみ)の名前は知りましたが顔は知りません。
840Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:26:19 ID:VdsKMpfx
二重牙(ダブルファング)@トライガン・マキシマム


リヴィオ・ザ・ダブルファングの愛用武器。
二つの大きな銃身を繋いだような形をしており、前後同時射撃が可能な代物。

黒電伝虫と受話器なしの電伝虫のセット@ONE PIECE
盗聴用で通話はできない黒電伝虫と、受話器がついていない電伝虫のセット。
841創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:26:26 ID:On26UE1Q

842創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:27:08 ID:On26UE1Q

843Testament of circle ◆YhwgnUsKHs :2009/01/23(金) 00:27:23 ID:VdsKMpfx
投下終了です。
またも詰め込みすぎて長くなってしまいました。
多数の支援ありがとうございます。
誤字脱字、矛盾点、問題点等の意見是非お願いします。
844創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:35:45 ID:ZKQzgyFs
無常さん空気化してしまうのかと思ったら流石です!
強固な布陣かと思えば誤解フラグを撒き散らされるフラグだったとは……

キャラ一人一人がそれぞれの持ち味を出せてていいなー。楽しんで読めたぜ
845創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:47:34 ID:qL43yRTb
投下乙!おもしろかった!
グラハムも目が覚めて証も立ててこれからというところをいきなり利用されるとか
やはりバトルロワイアルは一筋縄ではいかないな
846創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 00:53:54 ID:9QCibsWw
○同盟!チョッパーの提案が○ロワとかけたこんな素敵な案になるだなんて!
5人それぞれが信頼しあい、お互いの力をあわせて同盟をつくりあげる話…
かと思いきややっぱり落とし穴が

まさか最後の最後でこんな落とし穴が待っているとはねー
コレは面白くなってきたぞ
847創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 01:00:53 ID:uy42pMup
しかし無常が入手できたのは口に出して発言された内容だけだから、
実は不完全な情報しか得られていないというのも面白いバランスだな
848創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 01:05:19 ID:XzSzR4TR
投下乙!
おぉ、○同盟かぁ……上手い、これは予想出来なかった!
台詞盛りだくさんで、同盟の成り立ちの道筋が良く伝わってきました。
何より読んでる最中にわくわくしてきた……途中で起きてきたグラハムやライダーとのレナの舌戦など見どころが多いw
そして、無常さんが何気にフッシーを痛めつけている事が、実に彼らしいと密かに思ったのは自分だけじゃないはずー。
849創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 02:01:10 ID:neZKlt4e
投下乙!
○同盟のみんながなんか生き生きしてて読んでてwktkしながら読んでました。
これから危険にあえて飛び込もうとしてるところも楽しみです。
そしてなんかとんでもない勘違いされてるクレアに噴いた。

それにしても面白そうなグループだな○同盟
850創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 11:20:22 ID:8GyVlDM8
「投下乙」ばっかだな
851創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 12:14:40 ID:a4tYA/1H
投下乙

投下乙ばっかだなと言われると尚更、投下乙したくなるねw
852創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 18:28:51 ID:9QCibsWw
したらばに放送案がきてるよー
俺はあれなかなかいいんじゃないかと思う
いろいろ考えてあっていい感じ
853創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 19:30:16 ID:neZKlt4e
放送案、個人的には禁止エリアの猶予が短すぎるって思ったな。
丈助なんかは自分がどのエリアにいるのか分かってない雰囲気があったし

ループの先は禁止エリアでしたってのもあり得る分不安かなってのがあったかな?
あと死亡者より先に禁止エリア言った方がいいような気がする。
他所だと知り合いの名前に驚いて名前から先が聞き取れないってのがよくあるから

それ以外は問題ないと思いました。
特に後半の何かありそうな雰囲気がこれからの展開に大きく響きそうな
所が楽しみです。

まだ仮投下なのでここに書くべきでは無かったかもしれませんが。
854創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 20:39:17 ID:XzSzR4TR
放送案仮投下乙!
個人的には禁止エリアの時間は10秒でもいいかと思いました。
死亡者と禁止エリアの順番は確かに死亡者を後の方がいいかな。
その方が禁止エリアを聞き落とす意味も考えて、死者の発表に対して大きなリアクションを取るキャラの話も書きやすいと思うし
855創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 23:44:35 ID:8GyVlDM8
>>851
いや冗談抜きで
ここに限った話じゃないけど、ほぼ全部の感想レスが「投下乙」から始まってるってのは、何か意味があることなの?
こういうパロロワ系のスレの慣習か何かなの?
他のSSスレとかではあまり見たこと無い言い回しだけど
856創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 23:48:54 ID:6CO9vKTe
>>855
ちなみに、君のいう「他のSSスレ」ってどんな所?
煽りとか抜きで
857創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 23:54:58 ID:uy42pMup
俺が入り浸ってる非ロワのSSスレでも、だいだいここと似たようなもんだけど
858創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 00:06:25 ID:ugLwhwZu
煽りじゃなかったのか…
ごめんね。勘違いしてた。
859創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 00:16:19 ID:3QLKZe0+
仕事やバイト終わりでまずお疲れ様でしたって言うのは当たり前だろ?
それと同じ
SSスレ云々じゃなく、まず労をねぎらってなんぼ
860創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 00:41:49 ID:DfGP2Joo
>>855
取り敢えず他のSSスレも見てこようか
861 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/24(土) 00:45:18 ID:0xX51z8B
ルイズ召喚スレとか反応少ないってきいたけど、そこらへんかな?
862創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 00:46:11 ID:cWe6dz/x
ちゃんと仕事をした人間にはよくやったと言うものだろう
それが書き手の潤滑油になるんだから嘘だとしても言っとくものだろ
863 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/24(土) 00:46:50 ID:0xX51z8B
規制が解けたようなので、こちらで。
先に禁止エリアについての説明をする、については了解です。
あとはどこを禁止にするか、よろしければご意見お願いします。
864創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 02:40:37 ID:MbCooFu4
そういやのび太達も、ギラーミンについてそんなに詳しいわけじゃないんだよな
とすると、ギラーミンの不自然さに気付かなかったってのもあり得ない話じゃないのか
後は誰が何のためにわざわざギラーミンの偽物用意したのかってとこに説明つけば、問題は全部解決だな
865創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 10:48:15 ID:xChmhuMx
黒幕にナナナのシャルルはどうかな?
アニメしか見たことないから詳しいことはわからないけれど…
866創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 11:32:17 ID:kVBMpKJo
黒幕が居るかどうか、誰が黒幕なのかははこれからの展開で決めるべきだと思うから、今そんな事話しても意味ないと思う。

>>863
禁止エリアですか……個人的にはどこでもいいかなと。
良かったら3つ決めて貰えれば余計な議論も飛ばせて、進行もスムーズにいくかと思います。
867創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 11:37:23 ID:DfGP2Joo
別にこのままギラーミンが主催でも問題は無いんだよね?
把握難しそうだから、変えるのも全然おkだけど
868創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 12:27:09 ID:h1hkgXFC
ギラーミンにはロワ開く能力なんてないんだから、黒幕いるのは確定だろ
性格違うから偽物かなんかだってのも間違いない
869創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 13:25:33 ID:DfGP2Joo
つ秘密道具
870創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 13:28:10 ID:LT5peBmt
いや、そもそもギラーミンは未来人じゃないぜ?
871創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 13:29:36 ID:FVnfjbNJ
>>869
その秘密道具の知識に関して皆無なんだよ。
だから主催だとしても秘密道具に関して教えた黒幕が存在しないとおかしい
872創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 13:33:31 ID:DfGP2Joo
え?そうなの?
873創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 13:35:09 ID:7TjmeAlX
まあ黒幕はいるにしたって解るのは終盤でも問題ないんだし
焦る必要は全くないよ

そういやギラーミンっていえば今年のドラの映画って宇宙開拓史だったよね
874創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 13:57:17 ID:NqJs/aaX
あと禁止エリアの警告10秒ルール。
30秒だと最速で駆け抜けそうな兄貴とかいるから、どうすべきか……。
フレキシブルに20秒を提案とか言ってみる。
875創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 14:05:49 ID:rROTCBLf
あんだけたびたび言われてんのに、まだギラーミンが未来人だと思ってる奴いたのか
まあしょうがないか
みんなラッドとかバッカーノのキャラが活躍してれば、主催なんてどうでもいいんだろうし
876創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 14:07:17 ID:t248Wt/j
別に駆け抜けるぐらいいいじゃん
877創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 14:16:56 ID:8uBRe/kk
>>875
というか、あの程度の内容で活躍とか言って馬鹿じゃないの?
どんだけオマエの面白さのハードルは低いんだ
出番があっただけで活躍なんてしてないじゃん、バッカーノキャラも性格違うし
878創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 14:30:34 ID:DfGP2Joo
バッカーノアンチ、ってかラッドアンチが度々沸くなw

>>874
俺は三十秒で良いと思う。
この辺は作者の描写で幾らでも変化あるし、短すぎなきゃ何秒でも良いが
879創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 15:09:40 ID:rROTCBLf
>>877
OPに登場するってのは、それだけで十分な活躍だと思うけど
投票の時に、それを理由にしてる人も結構いたし
性格違うのは知らん
バッカーノ見たこと無いし

>>878
ラッドアンチってか、ラッド信者アンチだけどね
「ラッド活躍してるからこれにしよう。ギラーミン?知らないけどドラえもんのキャラなら大丈夫でしょ」
何て適当な理由で投票されたんじゃ文句も言いたくなる
ちゃんと投票前に、「ギラーミンは主催向きじゃない」って指摘したのに無視されたし
880創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 15:23:53 ID:8uBRe/kk
いやラッド信者からしても、ルーアが死んでラッドの行動縛られて迷惑以外の何者でもないんだけど
お前はいったい誰と戦ってるんだ?
881創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 15:32:25 ID:rROTCBLf
>>880
じゃあ何で票入れたの?
882創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 15:41:14 ID:8uBRe/kk
いれてねーし
他の作品がよっぽど気に食わなかったのか、あの作品が気に入った奇特な人間がいたのかもしれない
ラッド関係なくドラえもんキャラ便利そうって理由だけで投票した奴もいるだろ
理由なんていくらでもあるのに、お前は自分の気に食わない作品がOPになったのを理由をラッド信者に押し付けて暴れてるだけだろ
通ったものは覆らないんだから黙ってろ
883創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 15:43:35 ID:rROTCBLf
いくらでもあるっていうなら、ひとつでもいいからまともな理由を挙げてみてよ
884創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 16:11:18 ID:8uBRe/kk

一つでもって、>>882で挙げてるじゃん

>他の作品がよっぽど気に食わなかったのか、あの作品が気に入った奇特な人間がいたのかもしれない
>ラッド関係なくドラえもんキャラ便利そうって理由だけで投票した奴もいるだろ

本当の理由は投票した奴に聞け
885創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 16:24:25 ID:FXyBJ8y3
俺が入れたのは主催はドラえもん系がよかったから

ところで話がずれてないか
放送の話だったんじゃ
886創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 16:25:18 ID:h1hkgXFC
rROTCBLfと8uBRe/kkが同一人物に見える
887創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 16:57:45 ID:DfGP2Joo
これはヒドいwww
888創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 18:18:30 ID:FVnfjbNJ
落ち着けお前ら、とりあえず緑茶でも飲め。つ旦

首輪爆破までの制限?
10秒でいいと思うんだが。30秒もあったら楽に禁止エリアから抜けられるだろ
889創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 18:35:25 ID:o7hpLMwt
俺は15秒〜20秒は欲しいかなぁ。10秒じゃやっぱ短い気がする。
あと、禁止エリアはSq氏の判断で3つ決めてもらうって案でFA?
890創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 19:40:28 ID:DfGP2Joo
良いと思うよ。
と、するといつ放送に入るんだ?
個人的には童帝と新庄組は描写が必要な気がするんだが
891創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 20:06:36 ID:emsxelLV
10秒だろうと30秒だろうと、禁止エリア内部から走って脱出できそうな奴なんてあまりいないだろうけどな
クーガーとか固有時制御発動中の切嗣とかしか思いつかない
892創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 20:43:28 ID:FVnfjbNJ
成人男性で30秒以内に脱出できる距離は精々200メートルくらいか
ぶっちゃけそこまで奥に進むことはないだろうが戦闘や負傷も加味するとまあいいのかもしれないが
893創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 21:12:28 ID:m+5o9sLg
禁止エリアを殺しの手段として使うのか
話を進めるための手段として使うかによって答えが違うと思う。

時間が短いと一般人のチートを倒すための手段に有効だけど
特にあのトラップマスターの異名をもつ沙都子なんかは

このロワの黒幕が見世物とかの目的で用意したもので
間違えて禁止エリアに入り戦わずして死んでしまうことを望まない場合は
長いほうがいいと思う。

短いと道に迷って間違えて禁止エリアに入って爆発とかが
ありえそうな上にそのキャラらしいですまされそうな方向音痴がいるからな
894創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 21:37:17 ID:+AFNWwVF
10秒でも30秒でも結局それをどうつかうかは描写の問題だしなー
俺はどっちでもいいからそうしたい人が多いほうに従うよ
895創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 10:58:17 ID:T6UC1oK8
支援MAD作りました。
初めてなのでつたない出来ではありますが。
地図の画像とロゴを使用した映像を使いたいので、地図の人に許可をいただきたいのですが。
よろしければ連絡ください。
896創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 11:57:09 ID:TDcWPJVl
支援MADだと!?
これはwktkすぎる!
897創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 12:43:32 ID:PoYF+5dK
支援MAD!?
楽しみでしょうがねえ!
898創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 13:53:18 ID:+9NXH1Np
なんという……wktkが止まらない!
899創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 14:36:41 ID:cmPU6Z9n
支援MAD楽しみすぎるw
地図の人早く来てください
900創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 17:24:27 ID:ZuBIYVcQ
おいおい、冗談だろ!?
支援MAD!?
MAD!?

いやたあああああぁぁぁぁあああぁあああああぁぁああああ!
901創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 17:25:34 ID:ZuBIYVcQ
全裸で投下待ってるぜw
902創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 20:16:39 ID:UqrbUaG2
>>901
全裸だなんて失礼な!
○ロワ紳士なら全裸に靴下とネクタイだ!
903創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 20:34:52 ID:ZuBIYVcQ
>>902
淑女はどうすればいい?
904創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 20:51:20 ID:yxGw+yj/
>>903
貴女が女だということにして……下着はつけておきなさい
905創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 20:56:48 ID:nejB6axV
淑女の下着はバンドエイドが定番ですな
906創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 21:09:49 ID:+hLJTfd9
支援MAD…だと…!?
イヤッホォオオオオオウ!

試験中で返事遅れて申し訳ない
もういくらでも使って下さい!
というかロゴ出来があまり良くないんで、ガンガン改造しちゃってください
よっしゃああああ今から全裸と靴下で待機!
907 ◆SqzC8ZECfY :2009/01/25(日) 21:26:55 ID:tnTG5nzb
許可していただきありがとうございます。
えーと、もう一度いいますが初めてですのでーw
あとジャンルとかの問題で画像が手に入らなかったキャラがいくつかいる……。
いつかリベンジはしたい。

ttp://jp.youtube.com/watch?v=J4Z0HWXqWGE


↑MADはこちらです。
908創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 21:59:48 ID:emnL8Ce5
MAD乙です!
おおおお、いいなぁ……こういう支援は凄い嬉しいw
BGMの曲目は自分には良くわからなかったけど何か合ってる感じが!
GJでしたー!
909創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 22:01:46 ID:+hLJTfd9
おお、静止画MADだ!
漫画媒体どころか小説媒体まで混じってるのに、よくここまで集めたな…!
GJです!
やっぱり参加者80人は多いなと再実感したw
910創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 22:10:49 ID:UqrbUaG2
>>907
最っ高にGJです!!!!
曲が始まった瞬間からゾクゾクしてしまって鳥肌立ちまくりでしたよ!!!
思わず違うところも立ちそうになりましたww
全裸に靴下でネクタイで正座して待ってた甲斐がありましたよw
もう明日風邪引いてても後悔しないくらい素晴らしいMADでした!!
改めてGJでした〜!!
911創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 01:19:14 ID:sE3xOd9A
誰か次スレを頼む……規制で立てられなかった……
912創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 01:35:52 ID:YeY1us3Z
次スレってpart9でいいんだっけ? >>4を見る限り、次は10?
あと>>1にある過去スレのいちばん下の「マルチジャンルバトルロワイアルpsrt7」って
アドレスわからないんだけど、どうしたらいい?
913創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 03:31:15 ID:H/V+MQLQ
>>907
期待してたほどではなかったな
静止画ばっかりだし、盛り上がりに欠けるし、何か画質悪いし
まあそれでも手間かかってるんだろうなってのは分かるし、とりあえず乙って言っとこうか
914創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 04:53:07 ID:K+OlNHko
>>913のMADに期待
915創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 07:38:34 ID:zr9Cj5Ew
社交辞令は大切
916創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 08:35:18 ID:GdZlg1hc
テンプレって>>1-3の奴をコピペでO.K.なのか?
917創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 09:40:52 ID:sE3xOd9A
それでおk。
>>4見る限り次スレはpart10ぽい
918創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 10:03:37 ID:YeY1us3Z
919創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 14:03:39 ID:GdZlg1hc
>>918
スレ立て乙です
920創る名無しに見る名無し




                 ───── ロワはリレーで出来ている。

                    書き手は作品で 読み手は支援。
                   幾たびのスレを越えて不敗。
                    ただの一度も敗走はなく、
                  ただの一度も理解されない。
              彼の者たちは常に 筆の丘で勝利に酔う。

                   故に、生涯に意味はなく。
                 次スレは、きっと乙で出来ていた。

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    ,-、            : : : :  : : : : : : : : :7 /`i  } : : : : : : : : : :       ji
    ! !           : : : :   : : : : : : : j´  ̄   !,、_: : : : : : :       ,r'イ!  /
    ! !                 : : : :/⌒′       \.: :       /ノ |l /
  , ┘└ 、               _,./             ヽ.      /j  |l /  /
  (/〉〈\)              ,. - '゜                 ゙''‐- ._ `′ |/  /   <´ヽ.__
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