小説でもSSでも漫画でも絵でもなんでもあり。
酉はつけても付けなくてもおk
魔法少女リリカルなのはの世界を表現して欲しいな(はぁと
// ,.へ ー‐-、` 、:.:.::/ \ \
__ _,. ‐'´/ / ヽ/ k'^ヽ、 ヽ ',
`ヽ、__/ / / / / / ヽ ∨ !:.:.:.:.:.ヽ、 ', !
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! . リ ヽ !イ ー7,':||:i |ー'、 / | ∧! | ' ,
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| ヽ. |::::| |:::| / ,'
| k':::::| |:::Y /
l ト┘└┤ イ
リンクは
>>2
なんだこの板!
とうとう立ったのか
確かトリップスレに一作あったから誘導してくるか
ちょっと厳しいかもしれないけど応援するぞ
小説とかは既に非エロokでそれなりに人もいるエロパロがあるしなぁ……
下手に分散させんのもアホらしいし、需要あるのかこのスレ?
8 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 19:53:11 ID:anb6jFGB
漫画用?
でも伸びなさそう
普通のSSならエロパロであるし、クロスはクロスでもそれなりにいってるし
伸びそうに無いね。
クロススレは特撮クロスとか多くて……ゲテモノ食いだよなああそこの住人
11 :
ムスペルヘイム ◆LEivbieokw :2008/09/13(土) 20:44:46 ID:Qy9g1kyM
トリップスレでなのはの2次書いてるものだけど続きはこっちでOK?
誘導ももらったし
OK
>>11 それは職人さんの自由だぜ
……だが正直ここは過疎りそうだからあまりオススメはしないかも
なんかもう板からして伸びる気がしない
数ヵ月後には板の名物スレできてるかもよ?
まぁ、自分のSSで板を盛り上げてやるぜってくらいでもいいんじゃね
こいこーい
このキャラの話が読みたいとかリクエストある?
↑に同じく
なのフェイしか認めないけど
百合スレあんのに、ここでリクするの?
そもそもユーノスレってキャラスレじゃねぇの? どうして関連スレに載ってんだよw
あそこのSSの数にビビッた
>>18 百合スレ以外では百合はダメって訳じゃない
エロパロとかにもあるし
ま、ノマカプだろうが百合だろうが特定のカプ以外認めないって書き込みは止めるべきだけど
その名前によろしく、魔導師を艦載機とする空母の話で
ごめん冗談、WSG2じゃ真ん中グロースじゃないんだね
シグシャマシグティアとか誰でも、将メインの話がいいなぁ
>>19 キャラSSスレって感じだからじゃないか?w
>>21 百合スレやエロパロがあるが故に、ノーマルスレとしてここができたと勝手に勘違いしてた。
すまんかった。
>>21 サーセン
でもフェイトちゃんは受けがいいでつ
カプは職人さんの自由
読みたくないカプはスルーすればいいだけ
これはどこでも基本だと思うぜ
しかし未だこのスレが何のためにあるのか分からん
エロパロで全て事足りるような……
どちらかというと漫画や絵のためにあるのか?
絵師が描いたワンシーンをお題にSSを書くとか、或いはその逆とか出来たら面白いんだが
いいねソレ
>>26 元々はpinkにしかなかった創作系の板をpink以外にも・・・ということで作られた板らしいから
そういう用途で使えばいいんでないかね。エロパロのスレとか知らんから、現状とかわかんねーけど
絵・音楽・文芸その他創作ならオールオッケーの板だから、pinkに来れない職人とか集まるかもわからんぜ
A'sまでしか見てないから参加は難しそうだけど応援してるわ
エロパロスレは、元々エロもノーマルも問題なく投下されてたスレだからな。
このスレができる前にも話題になったけど、わざわざ住み分けの必要もないんでね? って意見が向こうでは出てた。
あちらの職人が流れてくる可能性は低いかも。
なんかもージャンルも付けられないような曖昧な小ネタとかができたら戯れに投下してみるような、
スナック感覚でまったり楽しむスレみたいなのが序盤の落としどころのような気がする。
荒れるか過疎るか誘導されるか、どう転んでもダメージを受けないタフガイ専用みたいな場所というイメージ。
>>31 それはいいね。エロパロにあるなのはスレは歴史を積み重ねてるせいか新規さんが現れないし。
そもそも18歳以下が参加できない希ガス。エロパロだし
百合はゴミ 書いてる奴もそんな作品を見る人間も
>>34 ゴミ以下の君が何かをゴミといっても笑えるだけだがね
クロス本音で似たような事言ってたのがいたねぇ
おまけに自演までばれてたし
他人の趣味に口出しするやつは馬に蹴られて死んじまうのさ
38 :
ムスペルヘイム ◆LEivbieokw :2008/09/15(月) 13:33:08 ID:chDf3b75
トリップスレで僕が書いてた話の粗筋です。
2005年の世界に住むフリーターの青年がサーフィンを楽しんでいたら突然大きな波に飲み込まれて気付いたら
機動六課の病室のベットの上にいて、元の世界に戻る方法を模索する傍らで機動六課のメンバーとして働くことになる話と
小さな村の医者が死んだと思ったら機動六課隊舎にいて、フェイトに事情聴取を受けて、シャマルのサポートをすることになった話の2つを書いたんだけど…続きこっちで大丈夫?スレ違いな気がしてならないんだけど。
かまわないんじゃね?
まずはどんなものにせよ作品が投下される事が大事だし
>>38 オリキャラ物イテェw
つーかこのスレ、ノマカプと百合カプそれぞれの厨の言い争いで終わる気がする
>>40 とりあえずお前みたいなクズはとっとと消えろ
>>38 スレ違いではないと思いますが……
ここよりももともとトリップ物目的の人しかいないトリップスレで連載した方が
ウケはいいように思いますね
第一ここ人いませんし
43 :
ムスペルヘイム ◆LEivbieokw :2008/09/15(月) 18:30:08 ID:chDf3b75
>>40 ごめん、説明が足りなかったかな。
前者が「僕たちの戦争」っていう小説の主人公の尾島健太。
後者はSIRENの宮田司郎。素直に名前出せばよかった。
誰も聞いてねえよってツッコミはなしの方向でお願いします。
同意。クロススレ向きだと思う。
46 :
ムスペルヘイム ◆LEivbieokw :2008/09/15(月) 19:08:11 ID:chDf3b75
>>44-45 了解です。それでは続きはクロススレッドの方で失礼します。
色々助言ありがとうございます。興味があれば見に来てくださると光栄です。
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 20:26:34 ID:BzZ/l+64
あの2つって別のストーリーだったのか
両方が途中でリンクするもんかと思ってたわ
48 :
◆Ev9yni6HFA :2008/09/15(月) 21:14:27 ID:zvvQ8o7t
エロパロの方で連載してるけどこっちに移ってみようかな
百合ばっかりじゃなくて熱いのも書いてみるか……
うん、無理かな……
連載中なら最初から全部投稿し直す気でないとやめた方がいい。
もしくは新作か。
しかし
>>1さんは建てた以上、過去ログ管理
ミスった。
>>48 連載中なら最初から全部投稿し直す気でないとやめた方がいい。
もしくは新作か。
しかし
>>1さんは建てた以上、wiki建てて過去ログ管理してくれるのだろうか。
>>52 筋違い。
>>51も言っているが、
>>1さんは依頼所からきてくれた代理人だ
この板では●持ちでないとスレたてできないんだよ。
あと
>>48も本人じゃない可能性があるぞ。この板内でこの前、トリップディスクロージャーに鳥抜かれてたべ?
すこしROMってなさいな
54 :
ムスペルヘイム ◆LEivbieokw :2008/09/15(月) 22:57:05 ID:chDf3b75
>>47 いや、あなたのおっしゃる通りリンクしますよ?
管理局と全面戦争してなのはキャラを質量兵器で皆殺しにするSSキボンです。
アンチ・ヘイトは帰れ。
質量兵器の技術者とかそいつらに出資してるパトロン何かのキャラや設定は上手くやれば面白くなりそう
あとオリキャラってぶっちゃけ皆はどう思ってる
設定だけでなく人物関係や性格も無理がなくてちゃんとした話になるのなら歓迎
俺キャラはのこぎりで首ひいたる
ACクロスで、面白いのあったな。
なのはたちエース級撃破は苦戦してたけど、
結局、質量兵器の利点の一定の戦力と数で押す戦いうや、
陸士や非戦闘員が立て篭った施設が、MT部隊の襲撃やバンカーバスター在庫一掃セール撃ちでやられてたよ。
エースの相手はレイヴンがしていたなぁ。
ミッドチルダで機動兵器、戦車や航空機はもちろんモビルスーツなど人型機動兵器を
合法的に運用し、ガジェットや魔導師とガチらせられないだろうか?
なのはクロススレでよくあるデバイス化は無しの方向で。
例えば動力炉はアースラと同型を使用しているのでビーム兵器はギリギリグレーだとか。
なにを議論しても職人がいない以上無駄
っつかエロパロやらクロススレが既にあんのにまんま同じ内容のスレにする気かよ
これじゃほとんど重複スレじゃねぇか
もうここは妄想雑談スレでいいよ
BETAとミッドチルダの血みどろの生存競争が見たいな。
最初は魔法一辺倒でBETAに対抗しようとするも、その物量に押されて一線級の魔導師は次々と戦死。
早急な戦力回復の必要から特例的に質量兵器の使用を許された低ランク魔導師や一般人成年男子の部隊まで設立される。
そうして捻出された戦力もじきにすり潰され、銃後の女子どもまでが徴兵され前線に送り出されるという絶望的状況。
鉄と硝煙と魔法の織り成す末期戦――リリカルALTERNATIVE始まります。
64 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 02:55:26 ID:Hk9pQdRu
>>62 例えこの先投下があったとしても保管庫作るほどの量は全く期待できないし、
保管庫の管理に名乗り出る人もいなそうだしなぁ
このスレ雑談で使い切って次スレは建てないって感じかね
アニキャラ板のスレ、
もしかしたらいつかこっちに移転するかもしれないんだし
どちらにしろ長い目で見たらいいと思うよ
クロス物だって、クロススレ池って言うんじゃなくて
なのは関係ならこっちでやってもいいと思う
そもそも
>>1にクロス不可って書いてないんだし
追い出さずにまったりやればいい
アニキャラ板のスレが移転してくることはまずないだろ……
クロス物はクロススレがある以上そちらでやるべきだと思うぜ
ってかここホント内容が重複してるよなぁ
スレ建て依頼した奴は何考えてたんだか
>>67 クロススレ側から見ると
なのはスレあるならそちらでやるべきとも言えるしどっちもどっち
この板にある統合スレや総合スレのテンプレ見る限りでは
「個別のスレがある場合は移るかどうかは自由」ってのが多いから
どっちでやってもいいと思うよ
あとアニキャラ総合板は、実は結構揉めてるんだぜ
SS関連のスレも立てるなら1つだけにしてまとめろって意見もあるしな
自治スレも毎度荒れてるし、この先運営まで口出ししてきたら
何が起こるかさっぱりわからんのだぜ
アニキャラ個別のほうの自治騒動が総合板にも飛び火してるしな
この先どうなるかはわからんぜ
>>66 >>68 なんか勘違いしてないか?
みんなの言ってるクロススレってのはこの板のではなく
>>2の関連スレのクロススレの事だと思うが
それとSS関連のスレまとめろってのは板こそ違えどエロパロとかとモロに被ってるここにも言えるような……
この板の方向性がまだ定まってないうちは、他板のデッドコピーみたいなスレが乱立してもいいと思うけど。
なにやっていいかわからんやつが大半だしな
当面は何でも試してみよう、でいいんじゃね?
とりあえず雑談でもしとこうぜ
>>63 いつも思うんだが、そういうのって楽しいのか?
ヤンキー喧嘩漫画に、モビルスーツで乗り込んで皆殺しにするようなものだと思うんだが。
>>75 それ以前にミッドチルダだけで戦ってることにツッコミ入れようぜw
まあ、はっきり言えば原作のパワーバランスが大きく狂ってる作品のクロスなんて見る気にならんけどな。
クロスの意味があるのかわからん作品も多いし。その分、うまくクロスできてる作品見つけたときは嬉しいんだが。
でも、ま、このスレ雑談で潰すんなら、立てた意味も価値もない気がするぜ。
>>75 物量無制限で殺す気まんまんならそら勝つわなって話だよな
大体禁じ手全部解禁したら次元震で一発終了だし、勝てるようにしか書いてないみたいな
他の次元世界から派遣された航行艦の衛星軌道上からのアルカンシェルで、
倒せそうな気もしないではない。問題は相手に学習された場合だけど。
「フェイトちゃん」
「なに、なのは」
「私たちって、お兄ちゃんに子供がいるじゃない」
「うん」
「ということはさ、私たちっておばさんなんだよね」
「……うん。おばさんだね」
「このあいだね、言われたの」
「?」
「なのはおばちゃんって。……だから言っちゃったんだ」
「『なのはさんでいいよ』って」
「……」
「……」
「飲もうか、なのは」
「そうだね、フェイトちゃん」
おしまい。
素晴らしい小ネタw
ワロスwww
ちょwwwなのはwwwww
こういう小ネタいいなw
なのは「ねぇ、フェイトちゃん」
フェイト「ん?」
なのは「私も結婚考えなきゃいけないのかな」
フェイト「いいじゃない。私がいるし」
なのは「まぁ、そうだけどさ。一応考えとかないと。ヴィヴィオもいるし」
フェイト「だからなのはには私が」
なのは「……いい年して流石に百合だけじゃキツいよ。いいよねー、フェイトちゃんは身内が偉いし。はやてちゃんはなんかコネやばいし」
フェイト「……合コン行く?」
なのは「行く」
フェイト「お兄ちゃんのセッティングだけど」
なのは「行く」
ユーノ「一期ではフラグ立ちそうだったのに。あれ、目からジュエルシードが……」
黙れ淫獣w
>>79 それを言ったらリンディさんや桃子さんなんてお祖母さんダカッ
セインさんとシスターシャッハ。その戦闘のIFを想像してみた。
『聖王のゆりかご』が月軌道上を目指している頃、スカリエッティのアジトでは
戦闘機人セインと聖王教会のシスターシャッハが戦っていた。
ウーノが掴まって旗色が悪くなったセインは、ISディープダイバーを発動。
逃走を図ろうとするのだが、似た能力を持つシャッハが逃走先にまわりこむ!
いざ決着を着けんとヴィンデルシャフトを構え、セインの到着を待つシャッハ。
そこに、
セイン「わーーーーーーーーん!?」
身体の前面にミミズをびっしりと纏わりつかせたセインがごろごろ転がってきた。
セイン「なんでミミズがこんなにっ、ぺっぺっ! うええ最悪だーっ!!」
床の上にもんどりうって、泣きながら身体にはりついたミミズを取り払う。
それを見たシスターシャッハが
シャッハ「うっわ、キモッ」
素直な感想を言うと、ビクッと反応したセインが肩を震わせ、泣き出してしまった。
なんだかトラウマのスイッチを押してしまったらしい。
セイン「気持ち悪くないよ……。私気持ち悪くなんかないよ……っ! うっ、ぐすっ」
泣き出してしまったセインに、シャッハは自分の失言に気付いて聖王様に謝罪した。
そして慈愛に満ちた表情で、セインの肩に手をかける。
シャッハ「よしよし、泣きやんで?」
セイン「私気持ち悪くなんてないよ……」
シャッハ「ええ。セインは気持ち悪くなんてないですよ」
セイン「……本当か?」
シャッハ「もちろんです。いっしょにお風呂に入りましょう?」
セイン「うん……いっしょに入る……」
そうしてセインさんはシスターシャッハと仲良く手を繋いでお風呂に向かうのでした。おしまい。
ミミズってw
ガンダム00クロスネタ考えた。
臨海空港の火災に巻き込まれた少女を助けたのは光の翼を背負った機動兵器だった。
テロリストに殺され、名誉すらも剥奪され兄の墓前で妹は復讐を誓う。
実験施設は血に染まり無数の屍を残してクローン実験体は姿を消した。
その少女の過去は誰も知らない。ただ子竜とももに強い意志を持った存在がいるだけだ。
数年後、彼らは帰ってきた。天使の名を冠した機動兵器を駆り、ミッドチルダに宣戦を布告する。
彼らはソレスタル・ビーイング――紛争根絶を詠い今、武力介入を開始する。
ミッドチルダ、ガンダムに試される…
90 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 23:54:32 ID:SFRdv6qU
ほ
JS事件1年後、ゆりかごの後遺症で1年間の完全休暇を言い渡されレイジングハートも封印されたなのは 暇に任せて
無限書庫に入り浸るうちにユーノとついに恋愛関係に発展ヴィヴィオの後押しもあって、でき ちゃった婚で長女ユーナ
(勇奈)を出産。そのまま産休に、2年後現役復帰したなのは、ストレス(ユーノとの 関係や11歳の事故のときの後遺症
で子供が産めない体と言われたことなど)が無くなった為、魔王を超えた大魔王に進化し、新設の第13番教導隊隊長
に就任する羽目になってしまう。(タイトルは ママは大魔王)
なのはさんの直弟子二人の話。オリキャラ二人の第13番教導隊分隊長の座を巡る血で血を洗う模擬戦
一番弟子”黒衣の喪女 カミラ”vs二番弟子”鮮血の鬼女 メリッサ”の頂上対決(タイトルは 魔王の徒弟)
というのを書く予定です。
93 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 20:27:14 ID:bFWcavQz
strikerから数年後、高町なのは(■■歳)は今日も天空(そら)を飛ぶ。
そしてまたもや事件発生。何者かが新魔法の開発に成功、武装化しテロ行為をしている。急行したなのはは不意をつかれ犯人に謎の魔法をかけられてしまう。
謎の魔法は本来死の効果があったが、術式が未完成だっために「体が小さくなってしまった!!」
幼女化したなのはさんブチ切れ。なんか嬉しいヴィータ、とても嬉しいフェイトさん、狂喜乱舞のキモヲタ。
なのはさんを元に戻す&犯人逮捕のためになのは、フェイト、ヴィータ、そして成長したヴィヴィオが小隊を結成する。
果たしてなのはは無事、元の姿に戻り、犯人をデストロイ出来るのか。そしてはやてに変身シーンはあるのか! リリカルなのはGT、始まります。
こんな感じの話を考えていない。
なのはさん59才、幼女化する!ですね、わかります
95 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 20:33:22 ID:DfenA59q
前半はコ○ンくんなのに、ラストDBかw
>>93-95 こんな過疎スレで3分ごとにレスとか自演乙としか言いようがないんですが
なんか前から一人だけ盛り上げようとしてるのがいるみたいな
スレ建て依頼したバカだろうけど
このスレ、無いほうがいいって思ってる人が大半なのか?
エロパロでも否定的なレス多かったし、不安なんだが
俺が早いのが悪いのか
ない方がいい、というよりも、必要性を感じている人が少ないのだろ。
既出スレみたいなものを無駄に建てるなって怒ってる人は結構いるかもねぇ
正直、消滅してもどうとも思わないスレではある
>>96 自演はどうか知らないけど、
前から一人だけ盛り上げようとしてる奴ってのは確かにいるかもw
まあ盛り下がってるよりは盛り上がってるほうがいいんじゃないか?
それでも僕はやってない
なのはSSのスレはいくつかあるのに、立てた奴がどんな意図でわざわざ立てたのかがわからんからな。
自ら作品を投下するわけでなし。ただ立てて放置してるようなもんだし。
ここに投下するとしたら、よそのスレに落としてない新規さんくらいだろ。
いまならスレの英雄になれるしw
需要があるとしたらヴアィスやゲンヤのスピンオフとかだろうな
確かに建てた意図が理解できない
マンガやら絵をメインにしたかったのかも知れないけど、それでもなぁ……
ただでさえ、なのはssスレは数が多いってのに既出スレと内容も変わらないし
似たようなスレが乱立するのは避けるべきだと思うけどね
ってか
>>90がなぜ保守したのかも理解できない
自分が望むものが既存のスレになかったんだろうかな。
でもそれって結局需要がないから供給されないというか、供給したい人がいないって事だろうから、新スレ立てても一緒なんだけどな。
落ちるまで書き込まずに放置とか、
適当に
>>1000までいって次スレ建てないとかでいいよ。
ところでこの板ってどのくらい書き込まないと落ちるの?
>>89と
>>90の日付が結構開いてる訳だけど
即死判定はレスの数で決まる
10までレスが書き込まれたスレは5年経っても残る
109 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 12:15:27 ID:QnFO2jLR
なのははちゃんかわいい!
スレ需要がないから仕方ないんだろうね
111 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 12:33:38 ID:hvWA+fXA
普通のSSもエロパロスレで運行出来てしまっているからなぁ
まぁ、スレっていうか板自体に人いないけどな
とっとと雑談か何かで使い切ればいいんでない
そうするか。とっとと埋めようぜ。
なんだ
結構人いるんじゃない
もおいっそ、既存SSスレの感想スレにしてしまえ。
(ヒント:荒れる)
ほかのスレを巻き込むなアホ
ばよえ〜ん
ふぁいや〜
あいすすと〜む
だいやきゅ〜と
ぶれいんだぐど!
いんでぃぐねいしょん!
「JS事件から一年。ようやく落ち着いてきたんじゃないか?」
カウンターに座る金髪の青年は薄茶の液体が入ったグラスを揺らしながら隣に座る黒髪の青年に語りかける。
黒髪の青年はグラスに一口だけ付けて嘆息。
「表面上はな。だが陳述会襲撃からゆりかご浮上による一連の騒ぎでミッドチルダでは社会不安が増大している」
「だからこそ管理局が先頭にたって頑張らなくちゃならないんだろ」
「簡単に言ってくれるな。
レジアス中将が亡くなった事で政財界からの信用は失われ、市民も管理局に対して懐疑的になっている」
「随分と信頼が厚い人だったみたいだね、そのレジアス・ゲイズという人は」
「ああ。そのせいか地上本部の一部局員が不審な動きをしているらしい」
「クーデター?」
「かもな」
次元航行部の提督である黒髪の青年の元には実名、匿名を問わず様々な情報が舞い込んでくる。
クーデターの可能性もそんな有志によるたれ込みの一つだった。
「そういえばフェイトが嘆いていたよ。スカリエッティが非協力的だって」
「らしいな。本局としても早急に解決したい疑問があるんだが」
何だい? と問われ彼は話すべきか僅かに逡巡。
しかし、すぐに会話を続ける為の方便だと気付く。
聡明な奴が状況の不自然さを理解していない訳がない。
「スカリエッティには最高評議会やレジアス中将を殺害するメリットが薄い。
最高評議会に関しては個人的な私怨や計画遂行の邪魔になった、と考える事も出来るが、不自然さは残る。
直接手を下した機人は破壊されているし、スカリエッティが黙秘を続ける以上は何とも言えないが、
第三者の存在も浮上する」
「そして、それは本局の人間である可能性が高い」
「……」
肯定も否定もしないまま黙り込む。
相手に意見を促す為の沈黙だ。
「今回の件、見方を変えれば一番特をしたのは本局だ。
預言の信憑性を認められた聖王教会も得をしただろうけど、
一部とはいえ記憶を保持した聖王のクローンが現れた事で成立以来の大慌てのようだし。
本局は出先機関の六課が事件を解決した事で治安維持という建前で地上本部に対して強引な介入も可能になった。
その上に事件解明の名目でスカリエッティの研究成果を自分達の物に出来た」
「……」
「最高評議会の殺害に関しても、脳だけの彼等が買収やその他の条件で大人しく隠居するとは思えない。
ならば……と考えるのは乱暴かな?」
「さっきから何もかも推論だな。確たる証拠は何もない」
「そう。さっきまでのは全部、アングラで流れてる噂話からの引用。僕の考えじゃない」
「上手い逃げだ」
したたかな奴だ、と苦笑。
管理局という陰謀渦巻く巨大な組織に入って十年。
自然と処世術を身につけていたらしい。
「それと、破壊したゆりかごの残骸を極秘裏に回収している連中がいるらしい」
「残骸が残っていた事には驚きだけど、犯人は聖王教会の狂信者じゃないのかい?
僕は考古学的に興味があるけど、彼等にしてみれば立派な聖遺物だろ」
「それならある意味では安心なんだが、危険な質量兵器の残骸として考えると見過ごせない」
はは、と渇いた笑いを浮かべ、
「こんな有り様じゃ預言を阻止出来たとは言えないな」
「むしろこれからだね。僕も可能な限り協力するよ」
「当たり前だ。お前がいないと仕事が滞る」
「相変わらず人使いが荒いな」
金髪の青年はグラスの中身を一気に飲み干し席を立つ。
残った黒髪の青年も同じようにグラスを傾ける。
「管理局内部に関してはロッサの調査次第か」
態度は軽いが頼りになる友人の顔を思い浮かべる。
かなり危険な任務だがあの男なら飄々とこなすだろう。
むしろ自分の心配をしろと言ってくるだろうか?
笑みを押し殺し、二人分の代金をカウンターに置き彼も席を立つ。
127 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 02:46:13 ID:DBLQvOQ6
この流れを変える救世主↓
二人で仲良くお茶をしているキャロとルーテシア。
その近くを休暇を共にしていたフェイトとはやてが通りかかる。
「お、キャロとルーテシアやん。こんちゃー」
元気に挨拶するはやてに、キャロはチラ見するだけで挨拶を返さない。
おろ? と首を傾げるはやて。よっぽど話に夢中だったのだろうかと思う。
次いで、フェイトが声をかける。
「今日は二人で遊んでるんだね。私たちも一緒していい?」
フェイトの言葉に、キャロは足をぷらぷらさせながらんー、と考えて
「ダメです」
にっこりと笑って答えた。
「そ、そうなんだ、ダメなんだ……」
有無を言わせない否定の言葉に結構ショックを受けるフェイト。
保護責任者としての自分の行動に自信がもてなくなってくる。
「今日は召喚魔導師の集いなので、召喚魔法が使えないとダメなんです」
「召喚魔法は少しだけレアスキル……召喚魔導師は少しだけ選ばれし者……」
ぴしゃりと言うキャロと、小さな声で選民思想を語りながらフフフと笑うルーテシア。
ハブられたフェイトは、同じ理由でハブられたに違いないエリオを思って涙する。
「私たちは召喚魔導師同盟を結成して、ミッドチルダに楔を打ちこむ存在となるんです」
「目指せ一大勢力。目指せ一大派閥。めざせクラナガン怪獣大戦争……わくわく……」
たった二人の少女同盟が頬を染めながら未来への展望を語る。
いよいよ自分の保護責任者として歩んできた道に自信がもてなくなるフェイト。
その隣で、はやてが笑いながら肯いていた。
「おー、かっこえーやん。はやてちゃんもお近づきになりたいもんやわー」
「ありがとうございます。でも八神元部隊長も残念ながら参加できません」
「フフフ、それはどうかな?」
はやてはニヤリと笑って結界魔法を発動し、四人だけしか存在しない世界が構築される。
突然のことにファイティングポーズを取るキャロとルーテシア。
二人揃ってグローブ型のデバイスのため、微妙に格闘アニメ風なビジュアルになる。
はやてはそんな二人に向けて悪戯っぽくウィンクをすると、闇の書を起動させた。
「赤竜召喚! わはははーすごいぞーかっこいいぞー!!」
にょろにょろと出てくる赤いドラゴンに、キャロとルーテシアがビックリする。
八神はやては闇の書に蒐集した魔法を使えるトンデモ魔導師だったのだ。
はやては出した竜をあっという間に引っ込めて、結界魔法も解除する。
「ま、そういうわけなんで」
振り返ってフェイトに軽く挨拶すると、二人が用意した椅子に向かって行った。
「「召喚魔導師同盟へようこそ、八神はやて元部隊長!!」」
「いややわー、私のことは、気さくにはやてちゃんって読んでーな〜」
和やかに談笑する、キャロとルーテシアとはやて。
それをぽつんと眺めていたフェイトは、
「……さ、寂しくないもんっ!! ほんとだもんっ!! わーん、アルフー!!」
ダッシュでその場を後にして、アルフに慰めて貰いに行った。おしまい。
あ、闇の書じゃなくて夜天の魔導書だった。
数日後……
「私だって召還くらいできるんだからね」
フェイトの宣言をうさんくさげに見る同盟三人組。
「見てなさい。……角度から現れし魔犬、召還!」
「ティンダロス!?」
緊張する三人の前に現れたのはどっかで見た人。
「何か用かい? フェイト」
「……アルフさんじゃないですか」
「お。久しぶりだね、キャロ」
age
続き来ないかな
突然ですが・・・
現在こちらでstsのキャラ数名を、漏れの趣味で執筆して
ますSSのキャラと絡ませた短編を考えてます。
まぁ投下するのは何時になるか分かりませんが・・・
(~ヘ~;)y-~~
ただ内容の方はアクションは抑え気味にし、キャラ同士の対
話とかをメインにする予定です。
まぁ、待ってる
現在39kか……500kまでは遠いな
俺もなんか書こうかねぇ。300k、10話くらいで完結する話なら根気も続くし埋め立ての役にも立つだろうしな。
それにしても落とすまで長いのでてきとーに話題振りをば一つ
なのは知らなくても二次小説だけ読んでるって奴どのくらいいる?
なんかの二次小説でだけ知ってるタイプ。
お、何か始まるの?
ドキドキwktk
>>137 いや、時間の余裕あったら時間つぶしにちょくちょく家族愛テーマにクロスモン書こうかなあとか思っただけだ。
実際始動するかわからんし、俺自身なのは流しでしか見てたことない(二次小説読むための知識付け程度)だから期待すんな
クロススレでやるほど深いネタでやるわけじゃない、埋め立て企画の延長だ
>>136 俺まさにそれ
クロス二次SSでだけ知ってるけど本編は見たことない
なんども見ようと思ったんだけどあれ長すぎ&ビデオ屋で借りるのがちょっと恥ずかしくて
>>139 俺もまさにそれw
>クロス二次SSでだけ知ってるけど本編は見たことない
>なんども見ようと思ったんだけどあれ長すぎ&ビデオ屋で借りるのがちょっと恥ずかしくて
ちょwwwパクられたw
142 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 11:32:34 ID:fdkgUwN0
よーしパパもちょっと二字創作かじっただけだけど書いちゃうぞーとなのはwikiみたけど・・・
なにこのもっさりな情報量。ファンはこの情報を普通に頭に叩き込んでSS書いてるのか?
なんか尋常じゃないディープなワールドだな、なのはってw
×ディープなワールド
○ディープなファン
世界観自体の情報量は微妙なんだよねー
管理局の詳しい設定もミッドチルダの政治形態もさっぱり
>>143 詳しい人いるのかw
質問だけど、スカリエッティ事件終了後、機動六課解散までってどのくらいの期間?
とてもじゃないけど一悶着起こる暇なんぞ明らかにない、すぐ後だったりする?
漫画読んでみたいが本屋にない悲しみ
機動六課自体一年限りの実験部隊だからそれ引く六課発足からJS事件終結まで
時系列考察を見ると……
新暦75年3月に発足準備
新暦75年4月 スバルとティアナのBランク昇格試験。 アニメ第1話
キャロとエリオが初邂逅。機動六課に合流
ってあるから、大体 3月から4月にかけて発足か。
んで、解決が、新暦75年9月19日で……解散が新暦76年4月28日
お、10月〜4月とスカスカじゃないか。十分にネタ挟む余裕あるな。
矛盾があっても大丈夫さ。二次創作だからw
それにしてもstsのナンバーズが覚えられない
148 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 19:30:30 ID:tVHijhS9
なのはは細かい魔法の設定はあるくせに世界そのものや物理法則はまったく示さないのがひどい、アルカンシェルとかどうやって撃つんだよ
>>細かい魔法の設定
行き当たりばったりに名前つけてるようにしか見えません。
150 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 20:01:39 ID:tVHijhS9
>>149 効果のことな名前は…かわいそうだろ、ただおおざっぱな系統はあるみたいだが
でも魔力ってリンカーコアからしか生み出せないんじゃないのかアルカンシェルの動力源って一体……
とりあえず今日は漫画版(Asのとstsの1,2巻)買って、stsの24〜26話見て来た
それ以外は、無印後半とAsの夢の話とかフェイトの掘下げの回だけ視聴……なのはwikiは色々熟読。
あー、あとsts1〜23話まで書くために見ないとな
エリオキャロフェイトがらみのシーンだけピックアップできりゃいいんだけど
なんか二次小説書くためだけに原作把握するのも久しぶりだな、随分と楽しいw
創作文芸の荒れ空気に揉まれてた時期考えると、創作発表ってどれだけなごやかでいい板か分かるなw
このスレ埋めたてるまで頑張ろう
おおぉー着々と進んでるっぽいな
読めるのをwktkしながらまったり待ってる
このスレ息を吹き替えしたか
さて自分も書きたくなってきた件
おおー期待でwktk
>>153 息を吹き返したとも思えんな
もともと使わないスレだからとっとと埋めようぜって流れなだけだし
なのはsts1話を見てるけど、これビビるなw
漫画読んでから見てるから二人の会話の背景わかるけど、これ見てなかったらワケワカメrなんじゃないか?www
>>156 ちょっと前に全部見たなー
個人的にstsも楽しい
>>157 正直アニメを見るなんて機動戦艦ナデシコの劇場版見たのを最後にしてなかったから、
普通に面白いと感じるけどなー どんなものも楽しめる性格だからすごい得してる気分。
いやあティアナかわいいね。
>>156 stsは漫画の方に重要なイベントがあるから二次創作するには必須といえる
埋め立てするための二次創作ために漫画買ってアニメ見るってすごい根性だw
うん本当に
マジで頭が下がる
現在15話まで見た。明日明後日で最後まで見て、それから書くから大分先になりそうだ
がんばれー
最後まで見たぞうおおおおお!
……昼寝したらなのはの問題をスバルとエリオと一緒に穴埋め式に解く夢見た。色々詰め込みすぎて重症だな……
おおー乙なんだぜ
お疲れ様です。さて、次はサウンドステージ(ドラマCD)ですね。
>>166 ごめん、流石にそれは勘弁して。
漫画+アニメ+wikiの知識で書くよ。
自分もなんか書くからお題くれ
暇つぶしに書こうとおもって力ついたのを晒してみる
『我思う、故に我有り』。彼女が垣間見たとあるの思想家の言葉。
存在する物について他者と自分は同じ物を同じ物として認識しているとは限らない。
だが、対象を認識した自分の意識、思考を否定することはできない。否定できないものが我であり、自我そのものである。
自分が存在することは理解できる。今、ここにある存在が自分だ。自分自身だ。
では、ここにいる自分はいったい何なのか? 人でもない。動物でもない。機械でもない。兵器でもない。
自分として認識する存在が、いったい何なのか、何になるのか、何になるはずだったのか。
分からない。何でもないにもかかわらず存在だけは確立された。
だからこそ悩む。彼女は思考する。『自分はいったい何であるのか』という答えを知るために。
正解をくれる創造主はない。自分を創造した存在は、もはや過去の存在になってしまった。
自分は『過ち』。本来なるはずだったのものから、かけ離れている。けれど、本来なるはずだったのものも分からない。
彼女は、胎内に納められた虚数空間跳躍能力を使い世界を回る。
目的は2つ。『自分が何になるはずだったのか』『過ちとはなにか』。
世界に『過ち』を起こす。自分がいなければ起こる『そうなるはず』だった事象をゆがめ、『過ち』というものを観測する。
気が遠くなるほどの時間、彼女は答えを知るため、思考と試行を繰り返す。
どこかにある正解を求めて、今日も世界に『過ち』を呼ぶ。
新たな世界への虚数空間跳躍の最中、彼女はあるものを見つけた。
漆黒の闇と、容赦なく熱を奪う風が吹きすさぶ時空間の狭間。周囲の闇に決して溶けず温かな光を放つ何か。
寄る辺もない彼女は、何を思うわけでもなくそれに近付き、そっと眺めてみた。
「これ、は……」
宝石のように輝く、カッティングされた輝石が9つ。数字を刻まれ、膨大な魔力を秘める物質たち。
だが、その場にあったのはそれだけでなかった。黒い闇にまぎれて、一人の女性の遺体が何かを書き抱くように漂っている。
時空間では、長時間いれば体の時間軸がずれることがある。
女性の体は頭部などはまだ瑞々しさを保っていたが、体は穴が開くように朽ちた部分が点在していたのだ。
女性が掻き抱いていたものを見る。2m以上はある円筒の中は培養液で満たされており、金色の髪をした幼い少女が漂っていた。
次元の狭間に落ちた母親と、医療ポッド。彼女はそう最初は考えた。だが、すぐにその考えを改める。
女性のそばにあったこの異常な魔力塊9つの理由がつかない。
これほどのものをわざわざ肌身離さず持っていたとは考えずらい以上、何か特別な理由があったのだ。
そう考えれば、このポッドの意味は大きく変質する。治療でない、とするならばこのポッドの中に浮かぶ少女はなんなのか。
生き物で言うのならば、『好奇心』と呼ぶべきものが彼女の中で首をもたげた。
期待するわけではない。だが、もしも、もしもこの少女が『作られたもの』であるならば。それも、『破棄されたもの』であるならば。
自分の答えを探す一端になるのかもしれない。ありえないような可能性を胸に、彼女はその場にあったもの全てを回収した。
この日の出来事により、彼女の行動は変化することになる。のちにJS事件と呼ばれる出来事があった、少しあとの10月末。
彼女は、動き出した。
◇ ◇ ◇
多くの方向で波紋を呼んだジェイル・スカリエッティの起こした事件は、無数の禍根、そして憂いを残しつつも一応は解決した。
管理局最高評議会の死亡。レジアスによって起こった管理局が事件に関与していた現実。壊滅した地上本部。
しかし、それらは管理局の崩壊を意味するものではない。
予言で記された破滅の未来は、多くのストライカーの尽力もあり、別のものへと変化した。
だれもが、これで全てを終わらせないように力をあわせ、平和の維持に務めている。
機動六課の隊舎もまた復旧され、通常の業務も可能になった。
「なのは、本当にもう大丈夫?」
復旧した隊舎で、心配そうな声でフェイトはなのはに声をかけた。
事件で「ブラスターシステム」を開放し、数年の療養を薦められるほどの後遺症を抱えているにもかかわらず、
相変わらずフォワード陣の指導などを精力的に行なっているなのは。
頑固というより、一度決めたら無理でも無茶でも突き通す同棲相手に、もう一度確認する。
「大丈夫だよ、フェイトちゃん。もう少ししたらヴィヴィオも帰ってくるんだから、このくらいでまいってられないよ」
「そう、そうならいいんだけど」
相変わらず心配そうなフェイトの顔を見て、なのはは笑う。
お互い幼いころから一緒の仲だ。向こうも自分のことは分かっているのだろう。
それに、ヴィヴィオがもうすぐ退院なのも事実だ。
あの事件ののち、正式に自分たちが引き取ることなった娘を頭にフェイトは思い浮かべる。
「そういえば、フェイトちゃん。はやてちゃんに呼ばれてたんじゃなかった?」
首肯。朝の仕事をしたあと、フォワード陣の朝の訓練を終えたなのはと朝食をとっている最中だった。
険しい顔で部隊長のはやてがこちらに連絡を寄越したのだ。曰く、ロストロギア関係の事件で話があるということだった。
機動六課は、本来の設立理由は別にあるとしても、表向きはレリックなどロストロギア絡みの事件を受け持つ組織。
専門として追っていたレリック事件が解決しても、それで終わりというわけでない。
つまり、そういう事件が舞い込んでくることもおかしくないわけだが……いったいどんな事件なのか。
小さく手を振り、テスクワークへいくなのはと分かれて部隊長室へ向かう。
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です」
ドアを軽くノックし、そう告げて部屋に入る。そこには、見知った親友であり、部隊長の八神はやてが座っている。
彼女もまた、大切な親友の一人だ。お互い、気安い仲だと思っている。
外を見ているようだったが、こちらに気付いて椅子をこちらにはやては向ける。
はやては、少し戸惑うような仕草を見せ、黙っていた。
機動六課を作ろうとフェイトとなのはに打ち明けたときのように、こちらに何か遠慮しているように見える。
しばらくフェイトも黙っていたが、彼女が小さく笑いかけると、はやても少し表情を柔らかくした。
それでも、かなり硬いものだったのだが。
「昨日、封印するため運送していた『ジュエルシード』が強奪されたんや」
指揮官として、背筋を真っ直ぐに伸ばしはやてがいった。
「ジェイル・スカリエッティが盗み出したものや。それも、ただ襲われただけやない。
犯人グループは、かなりの戦力を使い、一気に盗み出した後、空間転移で撤退してる。
その戦力量も問題なんやけど、その一味が使用した兵器は……」
空間に浮かぶウィンドウをはやてが叩く。
一、二度操作したところで、フェイトの前に、おそらく襲撃時のものと思われる映像が投影された。
何気なく視線を落とす――絶句する。
「これ……!?」
映し出されていたのは、細部が違い、動きも俊敏になっているが間違いなく傀儡兵。
かつて、とある人物が使っていた、自立駆動型の魔法兵器だ。
フェイトの表情を見て、察したはやてが僅かに目を伏せた。
「やっぱり、そうなんやね」
さらに、はやてがキーを叩く。さらにポップアップ映像。
そこに写っているのは、管理局員の魔導師たちと……小さな男の子だった。男の子に向け、管理局員たちはデバイスを向けている。
その子を見て、フェイトが真っ先に連想したイメージは、青いエリオ。
としかさもちょうどそのくらいだったし、髪の長さも同じくらい。瞳の色は分からなかったが、髪の色は紫に近い青。
そして、その手に握られているのは、群青色の槍。髪の色よりも青みが強い。ストラーダに比べると随分無骨なフォルムだ。
デバイスを向けられているというのに、まったく男の子は動じない。構えるわけでもなくうつむいて立っている。
管理局員による呼びかけ。
「なぜ、こんなことをする!? 運送されているものがどれだけ危険か知っているのか!?」
少しの静寂ののち、男の子が口を開いた。
「知ってますよ。
でも、僕を造ったお母さんが、アルハザードに行くためには、9個じゃ駄目なんです。
本当の自分を取り戻すにはジュエルシードがもっともっといる。
こういうの、好きじゃないですけど、渡してくれないなら……すいません。いくよ、ヒュポクリシス」
男の子のもつ長槍の正体は、デバイス。『ヒュポクリシス』はデバイスの名だろうか。
独特の機械音声が流れ、その足元に青い魔方陣が展開される。
構える護衛の管理局員たち。次の瞬間、眩い光が溢れ、映像は途切れてしまった。
「異変を知って後続の部隊がついたときには……もう、ジュエルシードは奪われた後やった」
はやての声を、ほとんどフェイトは聞いていなかった。
『傀儡兵』
『僕を造ったお母さん』
『アルハザードへ行く』
『本当の自分を取り戻す』
『ジュエルシード』
「な……ぜ?」
はるか昔、フェイトがハラオウンの姓を名乗ることになる前にあった、とある人物の起こした、とある事件と一致しすぎている。
とある人物とは、プレシア・テスタロッサ。とある事件とは、P・T事件。
そう、フェイト・テスタロッサの母であるプレシア・テスタロッサが『あるはずだった本当の幸福』を求め、
『アルハザードへ行く』ため『彼女が作った』フェイトを使い、『ジュエルシード』を収集しようとした事件だ。
だが、この事件ははるか昔に終わったはずだ。
フェイトが伸ばした手をプレシアは取らず、そのまま9個のジュエルシードともに虚数空間へ落下していった。
事件の顛末はこれで間違いない。フェイト自身、その瞬間を見ている。
なのに、今になって何故、こんなことが。これでは、まるで母が生きているかのようにしか見えない。
現実味があまりになかった。一瞬、今自分が硬い地面の上に立っていることすら信じられなかった。
頭が揺れて、まっすぐ立つことができない。
「フェイトちゃん!」
はやてが椅子から立ち上がり、フェイトの肩を支えてくれていた。
そこで、やっとフェイトは我に帰った。きっと、今の自分の顔は信じられないほど青ざめていただろう。
動悸がする胸を押さえ、机に手を突き、どうにか立つフェイトが、
しっかりと自分の足で立てるようになるまで、はやては何も言わずに待ってくれていた。
「……とにかく、こんな事件が起こったんや。残りの封印処理をしてあるジュエルシードを守らなあかん。
それで、この一味とジュエルシードの護衛任務が六課に回ってきたんや」
はやての言葉にフェイトも頷く。
この事件を追えば、自然この集団の謎は解け、首謀者が露わになるだろう。
この母の起こした事件と酷似した事件を起こした理由もまた、同じこと。
「戦力が戦力でな。気絶してた局員に聞いてみたんやけど……相手の戦力は大きく分けて3つ。
傀儡兵。子供の姿をした魔導師。あと、大型の傀儡兵を元に改良したと思われる巨大な質量兵器」
彼女自身、傀儡兵のことは知っている。母が作ったものは、一騎一騎がAランクの魔導師に匹敵する。
はっきり言ってその他の量産兵器の枠に収まるレベルではない。陸戦魔導師は平均してB程度。
つまり、同数でぶつかり合えば、戦術その他でいくらでも結果はかわるだろうが、単純な攻防に限れば傀儡兵に軍配が上がるほどだ。
そして、P・T事件のころの自分と同じように魔導師としての力を持つ子供。造られた、人造生命。
映像はないそうだが、大型の質量兵器のもととなった傀儡兵にも心当たりがあった。
かつて、なのはとフェイトがともに力を合わせて撃破した、あの大型をベースに改造したのだろう。
「これは、機動六課向けの事件や」
機動六課向けというその言葉は多くの意味を含む。
ロストロギアがらみの事件で動くことを創設目的とし、
Aランク魔導師と同等の実力をもつ傀儡兵を分散しても叩けるだけの実力を持ち、
何より過去それらと酷似した存在と戦った経験者が所属する。
確かに、これ以上はないだろう。
自分なりに、母のことを含めあの事件のことは受け入れたつもりだ。
だというのに、抑えきれない様々な思いが体を駆け巡る。フェイトは、全身を覆う不安、懸念をかき消そうとした。
首謀者が、もしも母だったら? 母だったら、どう自分は向き合えばいい?
もう二度と会うことはないと思っていたもう一人の母が、『死者』が再び自分の前に現れたとき、
自分を冷静に保てる自信は、フェイトには……まったくなかった。
◇ ◇ ◇
「ラリアー、デスピニス……御苦労でした」
彼女は、ジュエルシードを手に戻った自分の娘と息子に声をかけた。
彼女の前には、槍を持つラリアーと呼ばれた青い髪の男の子と、杖を持ちデスピニスと呼ばれる長い巻き毛の髪を揺らす女の子。
どちらも、まだ10歳になるかならないかという外見だ。
「体に異常はありますか? 『ヒュポクリシス』と『エレオス』の調子に変化は?」
「大丈夫です、怪我してません。デバイスの調子も特に」
「私も、疲れていますけれど、平気です……」
子供たちとそのデバイスの調子を聞き、彼女は小さく目を瞬かせる。
「ティスの『テュガテール』と『パテール』は不調の気配があるとのことでしたが、お前たちは問題ないのですね?」
「あの、ティスは、どうしてもデバイスの扱いが荒くなるから……だから、だと思います……」
デスピニスがそう言うと、暗闇の影からもう一人、誰かが姿を現した。
肩までより少し短い、桃色の髪の少女。やはり、デスピニスとラリアーと同じくらいの年だ。
不機嫌そうに腕を組んでいる。少女の姿を見て、ラリアーは、声をかけた。
「ティス、君も今帰ったの? 怪我はない?」
「当たり前だよ、あんな連中あたいの前じゃ……ってじゃなくて!」
ピシリとデスピニスのほうを指差す。びくりと体を小さく振るわせたデスピニスに、ティスと呼ばれた少女は言う。
「あたいのは、いつも全力で殴り潰しと体当たりなんだから扱いが荒くなるのは仕方ないだよっ!」
「ご、ごめんなさい……」
明るく快濶なティスと、消極的で大人しいデスピニス。
二人のやり取りはおおむね毎回こんな調子だ。それを知る彼女は、何も言わずに静かに収まるのを待つ。
すぐにこのやり取りは終わる。なぜなら、
「二人とも、そんなこと言ってもしょうがないでしょう。それに、お母さんの前ですよ」
ラリアーが必ず仲裁に入り、場をおさめるからだ。
日頃の押しは弱いが、家族が傷つくようなこと、争うようなことを極端に嫌うラリアー。
姉妹の喧嘩――というかティスがデスピニスにほとんど言いっぱなしになっているが――を一人息子が止める。
三人を作ってもう何年も経つ。いつもの光景を今日も彼女は見守っていた。
静かになってから、彼女は口を開いた。
「体の調子が悪くはないようですが、全員調整ポッドに入りなさい」
「え、デバイスの整備は……」
「そろそろ『テュガテール』と『パテール』はフルメンテナンスが必要でしょう。
その時、お前たちの『ヒュポクリシス』と『エレオス』のメンテナンスも私がすべてやっておきます。
貴方たちは今日の晩に備えて休むのです。特にデスピニス。疲れが残っているとのことだったので」
その言葉で、顔を見合わせた後、彼女の前へデバイスを差し出す三人。
三人の顔を見回し、彼女は言う。
「昨日のように運搬部隊を襲うのではありません。保管場所を襲撃する以上、万全の準備を怠らないように。
これからが、始まりなのです。私が生まれた場所へ……生まれた意味を知るための、本当の始まり」
・フェイトの心情をトレースできない
・親子のあり方と話が尋常じゃなく重い
・冷静に考えると子供が最後全員死ぬのでなのはクロスにむいてない
という理由で過去ぶん投げたシロモノ
えええええぇぇぇ
これここで終わりかい!
めちゃくちゃ続き読みたいぞこれ
文章もうまいし話に引き込まれるしおいといてるのもったいない
んーでもそうか、続き書くの無理なのか、残念だな
ぜひ他の話も書いてみて欲しい
普通にもったいないw
是非リライトしてクロススレでやって欲しいわー
180 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 10:37:01 ID:w+ZS8rt4
過ち! 過ちじゃないか!
なるほど、フェイトと過ちのダブルママンが主人公なのねw
お、意外と好評価
これは書き直してクロススレでがんばろうかね
とりあえず認証がてらにトリップ出すか
デュミナスママンと聞いてすっ飛んできますた
一瞬クラウザーさんが降臨したのかと思った。良く見たらデスピニスだった。
一瞬
>>183がデスペニスっつってんのかと思った。良く見たらデスピアスだった。
「StrikerS終わったッスね〜、セイン」
「だな〜ウェンディ」
「いやー、まさか私らが負けるとはね〜」
「まったくだな〜。壁抜けシスターこえーっつの」
「こっちは自称凡人にフルボッコッスよ。やってらんねッス」
「それはさておき、ゆりかご内の戦闘、見たッスか?」
「白いのがすげー暴れてたな。アレも怖いな。私は逃げれるけど」
「いやいや、クアットロがメガネ外してたじゃないッスか。それがねぇ」
「そっちかよ。ってメガネ?」
「ほら、メガネをかけたメガ姉からメガネ取ったら、ただの姉じゃないッスか」
「あー……確かにな」
「みつあみも解いて、本気モードになったら、なんか逆にキャラ薄くなったっていうか」
「あー、それはちょっとあるなー。ウーノ姉やドゥーエ姉ほど美人でもないしなー」
「ディードほど可愛いってわけでもないッスしねぇ」
「もうこれからなんてアダ名つけたらいーかわかんないッス」
「メガネないとなぁ。あの人他になんか特徴なかったっけ」
「トーレ姉だったらデカ姉とか、チンク姉だったらチビ姉とか付けようがあるんスけどね〜」
「なにげにセッテのほうがデカいのは驚いたな〜ピンク髪なのにデカキャラ」
「ッスね〜。なにげに聖王もデカかったし、驚きの連続ッスね」
「…………」
「…………」
「……クア姉でいっか」
「だな。めんどいし」
メガネは保護されているッ!!
グリフィス、シャーリー、マリエル、ユーノ!
メガネをかけたキャラは本編でろくに怪我もしていないッ!
クアットロを見ろ!!
メガネをかけているときは主役三人に追われても見事逃走せしめることができた!
しかしメガネを外した途端に主役一人の壁抜き砲撃でオダブツになった!!
メガネは保護されているッ!!
ヤロウ……最大のタブーに触れやがった……!
だが待って欲しい!
むしろメガネはサブキャラであることの目印といえるのではないだろうか!
先ほど述べたメガネキャラたちは、ろくに活躍していないキャラだ!
しかも二期までメガネをかけていなかったユーノの三期での登場時間の短さ!
これこそがサブキャラ=メガネという図式に説得力を与える!!
ゆえにクアットロはメガネを外すことで弱体化したのではなく!
サブキャラのポジションからメインキャラに昇格したのだ!!
しかし、それは諸刃の剣だったのだ!!
メガネキャラのメガネ外し。それは死亡フラグでもあったのだ!!
クアットロはメガネを外したから負けたのではない!
メインキャラに昇格したために、倒すべき敵として倒されたにすぎないのだ!
メガネは保護されてなどいないっ!
むしろメガネは隔離されているのだっ!!
ヤロウ……最大のタブーに触れやがった……!
>>186-187 なっ、なんだってー(AA略
しかしシャーリーは六課襲撃で怪我してたような
額に番号を振って欲しい
「これを見たまえウーノ!!」
「はぁ、なんですかドクター」
「これだよ! これ!!」
「キーホルダーかストラップに見えますが」
「フフフ、これはな、こうすると……こうなるのだよ!!」
「押したら丸いのが飛び出しましたね。あ、引っ込んだ」
「これは管理外世界で作られた玩具なのだよ」
「はあ」
「その名も『無限枝豆』!! 無限! 無限だよウーノ! 私と同じ無限を冠しているのだよ!! 凄いと思わないかねウーノオオオオ!!」
「あの、近いです。大きいです。長いです」
「ほらほら、押す、飛び出る。離す、引っ込む。そしてまた押す! するとどうだ! また飛び出るのだよ!!」
「みたいですね……こっちのはなんですか?」
「『無限プチプチ』だよ! 無限! 無限だよウーノ! 私と同じ無限を冠しているのだよ!! これまた凄いと思わないかねウーノオオオオ!!」
「あの、近いです。大きいです。長いです」
「おおお、なんと素晴らしい文明なのだ! 私の欲望を満たすアイテムを作るとは!
もはや聖王のゆりかごもレリックも必要ない! これで無限に遊ぶ日々を私はすごすぞウーノオオオ!!!」
「はあ。ドクターがそうおっしゃるのなら」
「んっ!?」
「どうしましたドクター」
「今くぎゅボイスが……素晴らしい! これは実に素晴らしいぞ」
「良かったですね」
※この後ジェイル・スカリエッティは無限枝豆中に管理局に踏み込まれて捕まりました。
「無限枝豆と無限プチプチの牢屋への持込が許されたぞウーノオオオ!!!」
「良かったですね、ドクター」
魔法少女リリカルなのはStrikerS 完!
仕事中に電波来て文にしたが、投下するところが無くここに投下。
烈火の将シグナムの話。
ハラオウンとリミエッタの挙式を、私は主らと共に見守っていた。
今まで数多くの主に仕えてきたが、やはり主はやては今までの数多くの主とは違う。
我々騎士を人間として遇してくれる。
使い魔以下の扱いしか知らない私は戸惑うばかりだ。
今日のこの挙式もそうだ。
このような晴れやかな式典に招かれるなど経験に無いことだ。
何故だか、シャマルだけは適応して着飾っているのが少し妬ましく思う。
私のような闘うことだけしか知らぬ者がこんな平和な場所に居てもいいのだろうか。
「なんや、シグナム。めでたい席なんやからそんな難しい顔はあかんよ」
少し酒が入った主が絡んでくる。あまり酒癖が良くないのは主の数少ない欠点の一つだ。
「いえ…こういう場で、どうしていいものか勝手がわからないのです」
「エイミィさんが綺麗やなー、幸せそうやなーって思うだけでええんよ?」
主が簡単に言う、その「幸せ」というものが、私にとって何よりも難しいものだった。
ベルカの将として剣を振るうことのみを我が使命としてきた身には、余りに分不相応で、そぐわない。
主はそんな私の心境を知ってか知らずか。
「あぁ、いつか私も、着飾ってバージンロード歩く日が来るんやろか」
そんな、歳相応な憧れを含んだ目でリミエッタを見ていた主だが。
「シグナムは、恋とかせえへんの?」
…主は、更なる難題を私の心に持ちかけてくる。
「ひな壇のクロノくん見て、かっこええなぁとか似合わへんなぁとか、思ったりせん?」
「…いえ、特に何も」
「んじゃ、あそこのユーノくんは?」
主が指を指した先には、高町と談笑するスクライア。
文官だというのにその結界・防御壁は強固、レヴァンティンでも簡単に破れるものではない。
良い訓練になると思い、幾度か模擬戦の話を持ちかけているが、にべも無く断られている。
フェレットに変化し高町の肩に乗れば攻防一体となるというのに。非常に勿体無い。
「ほほぉ、シグナムはユーノくんは興味あるんやね」
「ええ、スクライアには少なからず興味があります」
***
…私は何か、間違った返答をしてしまったのだろうか?
余り質の良いとは言えぬ笑みを浮かべた主は高町らのテーブルに飛んでいったかと思うと
何事かスクライアに耳打ちし、こちらへ連れてきた。
光景を見る限り、拉致とか略取の類に思えなくも無い。
「あの、主、一体…?」
「何ゆうとんねん、シグナムがユーノくんに興味があるってゆうたやん」
それを聞いた周囲から様々歓声めいたものが沸く。
なんなんだこれは。視線があちこちから集まり非常に居心地が悪い。
先ほどから高町がじっとこちらを見ているのも気にかかる。
遠めだからか表情が見えない所為で得体の知れない圧力を感じる。
連れて来られたスクライアも、この視線に恥ずかしいのか顔を赤らめ下を向いている。
「すまん、スクライア。私が」
「シグナム、その、友達から、でいいかな?」
スクライアの言葉に更に周囲に沸く歓声。
待てスクライア。お前は一体何を言っているんだ?
…リミエッタ、さっきまで高砂に居たのに何故ここに加わっているんだ!
「いやー、こんな面白い展開、ほっとけないよ」
「シグナムがこんなに積極的になるなんてね」
シャマルまで…何も言わず黒い笑みを浮かべるヴィータがやけに憎らしい。
救いを求めテスタロッサに目が合う…逸らされる。
同時に念話。『なのはの事もあるから表立って応援は出来ないけど、頑張って』
テスタロッサの言葉に、どうやら皆が壮絶な勘違いをしていることにようやく気づく。
高町とスクライアが互いを想い合っているのは私にでも何となくわかる。
原因がわかれば話は早い。
この混乱を収める為に声を上げようとした私だが。
いつの間にか、傍に立っていた高町に驚き止められてしまった。
「シグナム…負けないから!」
凛として真っ直ぐな目で宣戦布告した高町のこの発言で。
祝宴は収拾つかぬ混乱へと突入してしまったのであった…
投下終了。
ここにこんなの投下していいのかどうか迷ったが、
エロ皆無なのでここに。
これは続きがきになるwktk
198 :
195:2009/02/06(金) 16:35:02 ID:Nx0kXS47
>>196-197 すまぬ、これで終わりなんだ。
だが微妙にリンクしていなくも無い電波が来たので投下する。
やはり烈火の将シグナムの話。
高町と模擬戦をした。
何セットしたか覚えていないくらいだ。
私は高町に近接しようと飛び掛り、高町は牽制しながら巧みに間合いを取る。
互いに近接戦が得意なテスタロッサとはまた違った戦術を強いられ、
私は心の底から闘いの歓びを感じていた。
疲労の余り、高町と二人、だらしなく大の字で横になってとりとめのない話をしていた。
ふと、私は尋ねてみた。
「スクライアと、普段どんなことをしているのだ?」
ハラオウン夫妻の祝宴以来、高町とスクライアは恋仲になったという。
あの時は多大な誤解で宣戦布告までされたが、誤解が解けてしまえばなんてことは無い。
今では日々、主はやてらの話の種になっている程に仲睦まじいようである。
高町は頬を赤くして、だが嬉しそうに話す。
二人でどこへ行った、どんな話をした、ちょっとしたことでケンカをした…
傍から聞くと何気ない事でしかないのだが、高町とスクライアの二人にとっては
大切なことなのだろう。
どこか、主はやてと、我々ヴォルケンリッターとの他愛の無いやり取りに似ている。
…そうか。そういうことなのか。
「幸せそうだな」
私は知らず、そう呟いていた。
にゃはは、と笑う高町。
「そういうシグナムは?」
「いや、私も幸せだ」
蒐集の呪縛から解き放たれた主が自由に振舞い、傍で過ごせるこの日々。
仲間と共に、武を高め合う。
確かに、これを幸福と呼ばず何と呼ぶのか。
気付けば簡単な事だった。
***
「シグナム、どしたん?めっちゃ嬉しそうな顔で」
八神邸での何気ないひととき。
いつも無表情、しかめっ面とヴィータから言われていたが、
今この時が幸せと気付いた今は、自然と顔がほころぶのを感じていた。
「いえ、こうして皆で過ごせる事がどれだけ幸福なことか、そう思うと自然と」
少しびっくりした主だが、そのままぎゅっと、抱きついてきた。
「そうやよ。こうして皆でいられることは、一番の幸せなんやで」
主のぬくもり。あたたかい。体温だけではなく、心まで、温かくなる。
「いつまで皆でいられるんやろうなぁ」
「我々は主の望む限り、側におります」
「でも例えば私が結婚したら、一緒におる?」
「もしも御相手が許すのであれば」
「じゃ、シグナムが結婚したら?」
「また、その話ですか」
苦笑する。
「以前も問われましたが、恋というものはやはりわかりません」
「あー!シグナムばっかずりーぞ!」
「あら、今日はどうしたんですか?」
ヴィータとシャマル、そして無言だがザフィーラも一緒に来て。
今日も八神邸は賑やかな、幸福の風が吹く地であった。
いや、祝福の風と言った方が、いいのだろうか?
***
次の日。机の上に山のように積もる手紙に唖然としてしまう。
「主…これは…?」
「いやー、シグナムが恋がわからんゆうてたからな、付き合ってみればわかるかなーと…」
私の事を思って、主はやては骨をおってくれた。そう信じたい。
だが、『恋人急募!仔細問わず!』という怪しい広告めいたものを流し、
しかもそれに反応する局内外の人々はどうなのかと思う。
しかも。
7割は、女性からのもの。その山の中にテスタロッサら知り合いの名が見えたのは錯覚だ。
そういうことにしてくれ。頼む。
「シグナム、モッテモテやなー」
笑って誤魔化そうとする主を横目に、
この不測の事態にどう対処すべきか、私はその日一日、悩むことになった。
投下終了。
シグナムが恋話に翻弄されるのって可愛いと思うんだ。
それだけ。
よし、いいぞ。
素晴らしい。
シグナムかわいいよシグナム
お、職人きてる
はやてにおもちゃにされてるシグナム、結構いいかも
これは高町なのはが教導隊に戻り、ヴィヴィオが魔法学院に通い始めたころのお話です。
----*----*----
「お花畑」
ヴィヴィオはずっと考え事をしていた。
1週間前に配られたプリントを出し忘れたのが事の始まりだった。
翌日謝って渡そうと思ったら、なのはママはとても遅く帰ってきた。
その翌日は出張で、アイナさんが夕食を作ってくれた。
ママがいない日。ママがとても疲れている日。ママがとても遅く帰ってくる日。
机の上に置いておけば済む話だった。でも、できなかった。
ママがきっと、疲れていても頑張りすぎてしまうお手紙だから。
'校外学習のため、お弁当が要ります'
渡すなら、直接渡したかった。遅くなってごめんなさい。簡単なお弁当でいいから。
そう言って渡したかった。でも、その日がないまま、とうとう明日になってしまった。
体育の時間なのに、そのことばかり考えていた。そして。
「ヴィヴィオ!」
鉄棒から落ちた。呼ばれる声が遠く聞こえた。
「ヴィヴィオじゃないの」
女の子の声がした。ヴィヴィオが起き上がると、そこはお花畑だった。
背の低い花が一面に咲いている。
そして知らない女の子が、脇に座り込んでいる。
ヴィヴィオと同じくらいのその子は、知っている人によく似ていた。
「フェイトママ?」
「ううん。ちがうよ。でもヴィヴィオって、どうしてここにいるの。まだのはずなのに」
「わかんない。鉄棒から落ちちゃって」
「じゃ、ヴィヴィオすぐ帰っちゃうね。どうして落ちちゃったの」
ヴィヴィオはわけを話した。
「そっか。わかった」
女の子は、ヴィヴィオの肩にぽんと手を乗せた。
「アリシアママに任せといて」
いきなりお花畑が消えた。
「ヴィヴィオ、ヴィヴィオ」
揺さぶられていた。見慣れた風景が戻ってきた。
帰宅してみると、留守番電話のメッセージが光っていた。再生ボタンを押すと、
なのはの声が聞こえた。
「ヴィヴィオ、ママです。ごめんね。また演習場壊しちゃって、後片付けで
遅くなっちゃうの。特別にアイナさんに先に来てもらって、夕ご飯頼んだから」
ヴィヴィオはぱたぱたと冷蔵庫に走った。夕ご飯のおかずをこっそり残しておけばいい。
きっとさっきの神様みたいな女の子が計らってくれたんだ。
勢いよく冷蔵庫のドアを開けると……
鍋いっぱいのビーフシチューがそこにあった。その脇には、レタスの入った小皿。
ヴィヴィオは恨めしくレタスをつまみあげたが、レタスはレタスのままだった。
パンと水だけのお昼になるだろうか。でも……ヴィヴィオは自分でパンが切れない。
夕食分のパンを翌日に残したら、今日はシチューだけの晩御飯になる。そして
明日はおかずのないお昼ご飯。
ヴィヴィオの目から、ぽろぽろと涙がこぼれた。
玄関のチャイムが鳴ったので、ヴィヴィオは涙を拭いた。
ドアを開けると、アルフだった。
「やっほー。元気にしてる? 晩御飯食べた? 差し入れ持ってきたよ」
ヴィヴィオはアルフに抱きついて、わんわん泣き出した。
事情を聞いたアルフは、持ってきた食べ物でお弁当のおかずを作ってくれた。
「ちょっと乾いちゃうけど、サンドイッチ作っておくね」
「でも、どうしてアルフは、ヴィヴィオが困ってるってわかったの」
「えへへー。お昼寝してたらヴィヴィオの夢を見たんだよ」
「どんな夢?」
「あはははは」
アルフは笑って答えなかった。
血まみれのヴィヴィオが手を伸ばして救いを求めるスプラッタな夢だったことを、
本人の前で言っていいかどうか、わからなかったのだ。
おしまい
208 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 16:01:55 ID:b3rdAJ6t
ヴィヴィオかわいい
なのはって多忙だな、改めて実感した
>>207 GJ
アルフに夢をみせたのはアリシア嬢の仕業だろうが、ひどい夢だw
ヴィヴィオかわいいよヴィヴィオ
アリシアが自分をママと呼ぶのに何故だかニヤニヤしてしまったwww
感想サンクス。初投稿です。かるーいほんわか話を目指してみました。
なのはさん何をやっとるんだァー! GJでした
良い仕事ですね。
ここは、またーりな話のスレにしましょう。
幼女まったりシリーズ第2弾。前の話とは連続してません。
--*--*--*--
機動六課解散から1年。なのはとヴィヴィオが家を買ったので、フェイト、エリオ、キャロが遊びにやってきた。
「なのは、貯金してたんだね」
「うん、足りない分はユーノくんから借金しちゃった」
「ええっ、ふたりの新居??」
身を乗り出すフェイトに、なのははにこにこ答えた。
「ううん、お金借りただけ」
数秒の沈黙の後、エリオがポツリと言った。
「なのはさん、ある意味最強」
「ま、まあそれはいいから。ケーキ買ってきたから後で食べようね」
「うわあい」
「ヴィヴィオ、お行儀悪い」
なのはは、ケーキの紙箱を開けるヴィヴィオを叱った。
「2階も見る?」
なのはとフェイトがキャロはルーテシアを通信で呼び出した。最近、無人惑星との通信だけは解禁された。
「あ。ルー? おはよう。いまなのはさんの新居に来てるんだよ……」
「あーっ」
背後でエリオが大声を上げた。ケーキの箱が荒らされている。
手づかみで食ったように、いくつかショートケーキが崩れて、クリームが減っている。
降りてきたなのはは、まずヴィヴィオを尋問した。
「ヴィヴィオ、どういうこと」
「ヴィヴィオじゃない。ヴィヴィオ知らない」
ヴィヴィオはおどおどしている。だが、口にクリームがついていない。
「まさか、エリオ……食欲に負けたとか」
「ぼくはケダモノじゃありませんっ」
「もしかしたら……」
みんながキャロのケータイに注目した。
「ルー、犯人がわかったの?」
答えの代わりに、インゼクトが現れた。ふわふわと部屋の隅を順番に、大掃除するように漂う。ぞろぞろと皆がその後を追った。
そして、白い影がインゼクトに飛びかかった。いや……じゃれついた。
「にゃあん」
「ごめんなさい。ついてきちゃったの」
ヴィヴィオは謝った。子猫の口には、クリームがべっとりとついていた。
おしまい
あっ脱落。ごめんしてね。
(誤)なのはとフェイトがキャロはルーテシアを通信で呼び出した。最近、無人惑星との通信だけは解禁された。
(正)なのはとフェイトが2階に上がった後、キャロはルーテシアを通信で呼び出した。最近、無人惑星との通信だけは解禁された。
ユーノがキャッシュカードに(つД`)
218 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 15:57:22 ID:xHRGXrPU
('A`)「これでアルターのなのは水着フィギュア買えなくなったorz」
ユーノカワイソス(´・ω・`)
ユーノ可哀想(´・ω:;.:...
感想サンクス。というか全員ユーノの運命にコメントか。-人-
なんだか誰も使っていないので保守投下。今さらですがStS第8話再構成を
やってみます。上の短編と同一作者です。
以後「きみどり」を名乗ります。よろしゅうに。
オリキャラなし。カップリング特になし。独自設定は……シャーリィのビデオ
入手法とアクセルシューターの最大弾数くらい?
----*----*----
「もうひとつの願い、ふたりで」
スバルははらはらしていた。拳を振るうときまで心に迷いがあるなんて、ほとんど
ないことだ。
ティアナの提案……練習でいっさい使っていない武器による完全な奇襲。それの
何がいけないのか、スバルには言葉にできなかった。だから従った。だが、心の
何かが抵抗し続けていた。
ウイングロードは開かれている。高町なのはに向けて。ならば……走るだけ。
マッハキャリバーが無機的な轟音を立てる。ぐんぐん近づいてくる白い巨人、高町なのは。
心の迷いをよそに、スバルの本能が筋肉に必要な命令を下していた。
気配。ティアナが跳躍したことをスバルは背中で知った。射撃オンリーのはずの
ティアナが魔法刃をもって殺到する。この作戦はそれに尽きた。
そして高町なのはが素手で斬撃を受け切ったとき、その作戦はついえた。スバルの
身体を満たしてゆく恐怖はしかし、なのはを倒せなかったことから来たものではない。
模擬戦開始からずっと抱えていた恐怖。正体の知れない違和感。
それが吹き上げるように広がってきているのだ。
「おかしいなあ。どこかに勘違いがあるね」
血を流すなのはの右手が、銃剣のような魔法刃を突き出すクロスミラージュを
押し返していた。
「勝ちたかったんです。あたし、勝ちたかったんです」
ティアナはそれをなのはに伝えたいのだろうか。いや、何か叫んでいなければ、自分の
恐怖が自分を押しつぶしてしまうのではないか。スバルにはそう聞こえた。
「模擬戦は勝つためにやるんじゃないでしょ。実戦に持っていけるものを得るためにやるんでしょ」
「だって、もう二度と力不足で、仲間を失いたくないから」
「ティアナの力が足りなかったから、スバルが危ない目にあったと思ってるの?」
スバルの呼吸が止まり、脈動音が聞こえた。
機動六課庁舎では、はやてがスクリーンをにらみつけて、ふたりのやりとりを聞いていた。
「あたし、大事なものを守れる力が欲しいんです。あたしはみんなみたいに凄くないけど、それでも……きゃっ」
ティアナは空中に投げ出された。そして何の動作もなく、ティアナはバインドされた。なめらかななのはの所作はそれとは関係なく、空中に魔法弾を次々に作り出していた。
「覚えておいて。あたしの同時にコントロールできる魔法弾は12発」
「なのはさん、それ」
エリオが思わず言いかけて口をつぐんだ。たしかに……いま空中に浮かぶ光の玉は13発。
スバルもティアナも、それに気づいた。
「ティア……あっ」
スバルもいつの間にかバインドを受けていた。そして、封を解かれたように光弾は
風を切って飛んだ。すべてがティアナの顔面で焦点を結ぶように。
「やめてええっっ」
スバルは叫んだ。ティアナは声を出すことすらできなかった。
バインドが解けたことをスバルが感じたとき、ティアナの顔があったところには
光の花束が出来ていた。ティアナの膝が折れ、横倒しに倒れたとき、すべての光弾は
まだ空中にあった。
「ティア、ティア」
助け起こしたティアナには傷ひとつなかった。13個全て、寸止めだったのだ。
「ライトニング小隊も聞いて。30分後、新たなミッションの演習をします。
それまでにティアを手当てしておいて。それまでは誰も私に連絡しないで。
演習フィールドに入るのも禁止」
なのははそう言い捨てて、機動六課庁舎に入って行った。
----*----*----
演習フィールドには、いつもの仮想市街が広がっていた。見かけの上では、いつも通り。
「状況を説明します。このフィールドには、みんなの誰も見たことがない危険が
隠れています。いつものガジェットも出てきます」
ティアナが顔を伏せた。何の叱責もなかったのは、懲罰的な罠のはじき役が
用意されていたせいなのか。
「指揮はティアナに取ってもらいます。私も指揮下に入ります」
全員の顔がなのはに向いた。スクリーンの前のはやても、身を乗り出して息を呑んだ。
「さあ、20分以内にすべての建物をクリアして。まだ逃げ遅れた人がいるかも
しれないから、破壊は慎重にね」
ガジェットがゆらゆらと建物の背後から姿を現した。ティアナは言葉に詰まった。
誰を罠のはじき役に任じたらいいのか。
「わ……私が先頭に立ちます」
「ダメよ、ティアナ。指揮官は全体状況が見えるところにいないと。誰かを先に立てて」
「じゃ……じゃあ……」
「スバル・ナカジマ、行きます」
ティアナの迷いを見て取って、スバルが返事も聞かずに先行した。
「……エリオ、スバルをバックアップして。他のふたりは距離を取って」
やっと指示を出し始めたティアナを見るなのはの顔には、微笑すらあった。
目に付くガジェットを掃討しながら、スバルとエリオは建物に近づいた。その壁が突然崩れるように内部をむき出しにすると、中からロケットランチャーが数十個の模擬弾を一斉に撃ちかけてきた。
「うわあああっ」
「スバル!!」
スバルはうずくまってバリアを張った。エリオがランチャーを破壊し、スバルを引っさらうように連れ出す。
「だ……大丈夫だよ、ティア。あたし……丈夫だから」
スバルは模擬弾のエネルギーを打撲という形で受けたようだったが、顔をゆがめながらも戦闘力を失っていない。
「ぼくが行きます」
「エリオ、気をつけて」
キャロが思わず声をかけた。ティアナは顔をそむけ、そして思い直した。正面を向いて、すべてを目に刻む。
「このペースじゃ間に合わない。もうひとり先行させる必要があるでしょうね」
なのはが言った。その口調には好悪どちらの感情も感じられない。
「なのはさんを先行させるのは、かまいませんか」
「かまわないけど、あたしも最終的な設置はシャーリィにやってもらったから、トラップの位置は知らないの」
「ティア、あたしが行くよ。まだ、やれるよ」
ティアナの表情が暗くなり、急に明るくなった。ティアナの足元に魔法陣が開く。
そして地上をティアナの幻影が3人、一斉に走り始めた。
幻影目掛けて次々にトラップが発動する。火器があり、落とし穴があり、
火炎や電撃があり、移動を阻む各種のフィールドがあった。そしてティアナの
中距離射撃が、次々にそれらを掃討する。
「ワーオ」
オペレーターコンソールでシャリオが思わず賛嘆の叫びを漏らした。
「エリオ、スバル、残ったハザードの処理お願い。なのはさんとキャロは上空から
バックアップ」
「わかった!」
スパルとエリオは低空に入ると、暴露されたトラップを次々に無力化した。
だが演習区域にはまだ、光センサを持たず、音にだけ反応するトラップが
残されていたのだ。
「ぐあっ!」
「エリオ!!」
キャロが心の隅々から勇気をかき集めて、エリオを救い出しに飛び込んだ。
エリオは爆発トラップに吹き飛ばされ、道の反対側近くで地面に
たたきつけられていた。
「落ちついて。状況はまだ終了してない」
ティアナの言葉に、スバルもエリオもなのはを見た。なのはは無言だった。
状況は継続だ。
「キャロ、応急処置任せる。なのはさん、エリオを引き継いでください」
「了解」
なのはは淡々と残った建物をクリアした。ほどなく、すべての建物の安全が
確認された。
「状況終了」
おつかれさま、の言葉はなかった。スバルは、ティアナとなのはがじっと互いを
見つめているのに気づいた。互いに、相手の表情から何かを読み取ろうと
しているようだ。何を読み取ろうとしているのかわからないが、それは感情の
ぶつけ合いよりは、よほどましだ。
先に口を開いたのはなのはだった。
「ティアナは私の部屋に来て。他の人はこれで解散」
----*----*----
「ティアナ・ランスター、入ります」
「どうぞ」
部屋に入ったティアナは、すすめられるままに腰掛けた。
「どう、演習の感想は」
「確実に出来る自信のあることと、成功するかもしれないことは違うんだって、
わかりました。何だかわからない危険があるとき、頼りになるのは手馴れた防御だけ。
指示できるのは、相手にできるとわかっていることだけ」
「13個目の魔法弾は、ティアナの鼻っ柱をへし折るかもしれなかったけど、たまたま
うまく行ったね。ほかには?」
「お互いの命を預けあって、チーム全体でかばいあうのが本当の強さなんだって
わかりました。あたしが弾のコントロールに失敗しただけじゃなくて、スパルと
ちゃんと協力して戦えなかったのがいけなかったんですね」
なのははにこにこした。
「満点。じゃあちょっと早いけど、ご褒美をあげちゃおうか。クロスミラージュ
を貸して」
「はい」
「クロスミラージュ、モードツー、モードリリース」
クロスミラージュは接近戦用の魔法刃を装着した形態に変化した。最初から、接近戦用のモードがあったのだ。
「これ……最初から……」
「ティアナは執務官志望だものね。ひとりで戦えなきゃって相談したの。もう少し
したら、ちゃんと練習しよう。ティアナの思いつきは悪くなかった。一番大事なこと
じゃなかったってだけ」
「ありがとう……ございます」
「さあ、自分のやったことが全部わかったところで、ティアナ・ランスター二等陸士に
処分を言い渡します」
なのはが立ち上がったので、ティアナも自然にそうした。
「今日一日、出撃はもちろん、魔法のトレーニングも禁じます」
「は……はい。謹慎します」
自然にうつむくことになった。そして……やはり少し涙が出た。その下向きの視界に
なのはの右手が伸びて、カードが差し出された。データ閲覧用のセキュリティカードだ。
「他の隊員たちの戦闘記録と能力データをよく読んでおいて。シャーリィには私から
話を通してあります。」
ティアナはカードを見つめた。なのはのカードだ。
「まだ試されていないどんな協力が出来るか、あした考えを聞かせてちょうだい」
「なのはさん……あたし……」
「お帰りなさい、ティアナ」
ティアナは泣きべそをかきながら敬礼した。抱き合って時間をつぶす場合ではない。
大切な任務を与えられたのだから。
----*----*----
出動用意の放送が流れたときも、ティアナは記録に没入していた。
「エリオがフリードで突っ込んでいくなら、キャロはフリーなのよね。でも射撃して
位置をさらしたら、フリード抜きじゃ逃げ回りにくいのか……」
ふとティアナは、「高町なのは 負傷と回復の件」とラベリングされたフォルダに
目を留めた。内容を開いたティアナは、目を疑った。
血まみれで意識をなくした高町なのは。泣き叫ぶヴィータ。
「まだそのころは、ヴォルケンリッターと八神部隊長のリンクが今よりずっと強くて、
部隊長が感じ取った現場の様子がそれ」
いつの間にか、シャリオが後ろからのぞき込んでいた。
「リハビリの様子は、フェイトさんのビデオ。絶対笑って語れる日が来るって
信じてたのね」
音声も記録されていたが、ティアナはすぐにヘッドホンを外した。シャリオが
ティアナの肩に手を置いた。少女のうめき声に耐えられない気持ちが、よく
わかったのだ。そして言った。
「なのはさんは、危ない教導も、無理な教導も嫌い」
ティアナは前かがみになった。何かが肩の上に乗ったようだった。
「あたしが……あたしなんかが、これを見てもいいんですか」
「あたしは、見て欲しいな。なのはさん、自分で言わないから」
シャリオが答えたのと同時に、廊下が騒がしくなった。整備班が呼び集められている。
そして機械室のドアが開いた。
「ああ、恥ずかしいもの見てるのね」
なのはは別段困った風もなく、現状を受け入れた。
「あの……なのはさん」
「なあに、ティアナ」
ティアナは謝ろうとした。なのはの気持ちに無神経だった自分を。だがなのはが
先に口を開いた。
「ティアナなら、見てもかまわないよ。もしあたしたちが指揮を取れなくなったら、
ティアナがみんなのお姉さんだから。教えられる限りのことは、知っていて欲しい」
ティアナはその賛辞を受け流して、別のことを言った。
「なのはさん……ときどきとっても怖い目をしてるんです。とっても失礼なことを
言いますけど、落ちたときの気持ちと戦ってたんですね」
「そうかもしれない。小さいころからずっと無茶をして、よく怒られた。
ティアナなんかかわいいものよ」
「いつか落ちるとか、思ってらっしゃるんですか」
「ティアナ」
「ごめんなさいっ」
シャリオがとがめ、ティアナが謝るのは、ほとんど同時だった。
「うん。それでも、私は飛ぶから」
「部隊長には内緒で、話し合っておきます。ひとりで突っ込んじゃった、
なのはさんを助ける作戦」
「大きく出たわね、ティアナ・ランスター」
「みんなでなら、できます。きっと。なのはさんの育てた人みんなに手伝って
もらって……あっ」
なのはが無言でティアナを抱きしめたので、周囲が急に静かになった。ドアの外で
盗み聞きしているスバルたちは、いるのが発覚しそうになって慌てた。
ティアナはなのはから受容の抱擁を受けても、悲しげな表情のままだった。なのはが
持つ、死への諦めと虚無。それを直接癒し埋めることは、自分たちにはできない
ことが直感的にわかっていたのだ。
それができる人が早く現れてくれることを、ティアナは願った。
完
投下完了。変更を最小限にして8話だけリテイクするならこんな話はどうかしらん、という発想。
てす
お、いいですねーこういうのも
GJ!
どうせならこのあとなのはさんが一人で突っ込んで瀕死の重傷を負ってそれを助ける話とかも見たいかも
ってかさ、このスレ猛烈に過疎ってるけど、いい加減削除以来出してみんなでエロパロにでも移った方がいんじゃね
>>229 ところどころなのはの口調に違和感が
だがGJ!!この展開は十分ありだ!
>>231 それは困る
ここに投下しようと思って書いてるとこなんだ
>>229 GJ
>ってかさ、このスレ猛烈に過疎ってるけど、いい加減削除以来出してみんなでエロパロにでも移った方がいんじゃね
パロ民いい加減自重しろ
いやいや、パロ民なら向こうの状況わかってるから、エロパロに移れとは言わずに
避難所に移れと言うはずさ。
よって単なる荒らし
感想サンクス。あー、「わね」とか使っちまいました。失敗失敗。指摘感謝。
>>231を見てふと思ったけど、「ステエキ主人公」で2クール押し通したらどんな話になったでしょうね。
・隊長陣はリミッタかけられっぱなし
・ナンバーズは出てこない(戦闘機人はスバギンだけ)
・ゼスト一党とガジェットは微妙強化(白天王が倒されて爆天王が登場する。挿入歌は山本正之「ああ爆天王」…ウソ)
・ガジェット相手なのでシグナムが斬る斬る斬る、ニート侍返上
・ルーテシアがVIII番だったかのレリックを見つけて黒メガーヌ爆誕
・助けに行くんじゃなくて、ステエキがヴィヴィオ救出とスカリエッティ拘束の主役に
気が向いたら書きます。
元々、都築はステエキというかスバルとティアナを前面に押し出していくつもりだったらしいが……
まあ、発言権がナンバーワンじゃなかったのが不幸か。
まったりとしていいスレ
まぁまったりというかただの過疎(ry
239 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 23:06:42 ID:O/MWZBOD
age
「助ける者として」
ナンバーズが登場せず、最後までフォワード陣中心の展開になったとしたら?
そういう設定で24〜26話にあたる部分だけ書いてみました。
スバル中心で、全体に熱血修正がかかっています。
メガーヌがよみがえってスカリエッティに操られています。
---*---*---
[あらすじナレーション]
(ナレーション:ティアナ)
その子、ヴィヴィオが機動六課にいつやってきたのか、誰ももう覚えていない。
ヴィヴィオのいない機動六課を、もう誰も思い出せないから。
そして、そんな日々に終わりが来たことを、誰も信じられなかった。
あたしたちの努力も及ばず、スカリエッティの手に落ちたXI番のレリック。
それはルーテシアのお母さん、メガーヌをよみがえらせるカギだった。
そして、それ自身が邪悪な心を持ったレリック。
ルーテシアを従えたメガーヌは、公開陳述会に合わせて機動六課を襲撃。
庁舎を壊滅させて、ヴィヴィオを連れ去った。
母の親友メガーヌを撃てず、重傷を負うギンガ。
同時に襲われた地上本部では、スカリエッティがもう邪魔になった長年の協力者、
最高評議会の3人を口封じして、レジアス・ゲイズとの協力関係も明かしてしまった。
そしてスカリエッティは、リミッタ技術を応用して全ての隊長・副隊長の
魔力を抑制して見せた。
それぞれが傷を負った機動六課をめぐる人々。
だけどそんな人々の回復を、スカリエッティは待ってはくれなかった。
地底から姿を見せる古代戦艦「聖王のゆりかご」は、
その魔力を最大に発揮できる軌道ポイントへと昇ってゆく。
今日はかけがえのない1日になる。誰もそのことを口にしない。みんなわかっているから。
「スターズ小隊はヴィヴィオとコントロールルームの確保。ライトニング小隊はルーテシアと動力炉の確保。シグナムは
ゼストのマークについてもらうから、私とリイン、ザフィーラはライトニング小隊につく。スカリエッティの所在は不明」
はやては、ゆっくりと最後の指示を与えた。どの顔にも緊張があった。負傷が癒えたばかりのギンガも、
スターズ小隊に加わっている。「聖王のゆりかご」はすでに地上を離れ、巨大な影を市街に落としていた。
軌道ポイントにこのフネが入るまでに、全てを終わらせなければならない。
「ほんまやったら、私たちの魔法で、みんなにもっと楽させてあげるとこなんやけど」
スカリエッティの手に落ちたリミッタ関連の技術データが、隊長や副隊長を縛っている。フォワード陣が
おのおのランクを越えた力を示し、ストライカーへと脱皮することが勝利の絶対条件だった。
「生まれた星はそれぞれ違う。今日は宇宙のどこでも同じ、命の重さだけを背負うて闘おう。
みんな自分の命はしっかり持って、またここに集まろう。約束やで」
緊張が浮かんでいない顔はひとつもない。ギンガの顔を横から不安げに見るスバルだけが、その例外かも
しれない。ギンガは何かを決心しているのだが、それが何なのかスバルにはわからない。
はやてに続いて、全員が姿勢を正した。
「機動六課、総員出動」
「了解っ!」
すでに武装隊が、白と茶色のバリアジャケットで空を埋めていた。高町なのはの育ててきた全てのものが、
今日審判を受けるのだ。
---*---*---
ゼストとアギトはルーテシアを聖王のゆりかごに残し、半壊したままの地上本部へと飛んでいた。
「投降して欲しいと言っても、無駄でしょうね、騎士ゼスト」
シグナムが声をかけたのは、地上本部の陸戦魔導師たちからの射程ぎりぎりのところだった。
ゼストの行き先は見当がついたから、シグナムは地上本部警備の魔導師たちと協力できる地点まで
仕掛けを控えたのだ。飛べて闘えるものはすべて聖王のゆりかごに向かっている。地上本部を守る
魔導師たちは、屋上と地上からゼストにデバイスを向けていた。
「かつての友に会いに来た。用事はすぐに済む。そのあとなら勝負も受けよう」
「ゼストの旦那、もう体が……」
「よいのだアギト」
「わしに用事があるのだろう」
シグナムは振り向いた。地上本部の屋上に、レジアス・ゲイズ中将がいた。スカリエッティの証言だけで
直ちに収監などされないが、実権は取り上げられ、査察部の捜査が済むまで事実上の軟禁状態にあった。
「レジアス・ゲイズ、貴様にふたつの問いがある」
居並ぶ魔導師たちの向けたデバイスを気に留める様子もなく、ゼストは間合いに入ってきた。もうゼストが
腕を一振りすれば、管理局員たちがゼストを撃墜するまでの一瞬に、レジアスは人であることをやめるだろう。
その間合いに入れることを許したのは、すでにシグナムの判断といえた。
「ひとつ。俺の部下たちを全滅させたスカリエッティのアジト、お前はすでに承知のことだったか」
沈黙があったが、それに続く答えは叫ぶように大声だった。
「承知していた。俺はお前たちを見殺しにした」
「ではふたつ」
予期していたのだろう。ゼストはすぐに問いを続けた。
「いまミッドは危機にあり、脅威は空にある。レジアス・ゲイズはいずこに在り、何をなさんとするか」
「かなうならば、戦いに身を置きたい。我が命、そのためにあった」
レジアスの答えもまた、早かった。
「制服を脱げレジアス。その肩章、もはや貴様にふさわしくない」
ほんの一瞬にらみ合いがあり、レジアスは上着を脱ぎ捨てた。そして、ゼストはいきなり突進した。
シグナムはゼストに追いすがったが、アギトが炎を吹き付けて進路をそらした。
そしてゼストは、レジアスの巨躯を担いで飛翔した。聖王のゆりかごが浮かぶ方向を指して。
「昔のよしみで引導を渡そうかと思ったが、最後にひと暴れするか」
「わしとまだ、肩を並べてくれるか」
「ルーテシアはもう俺の言うことを聞かん。俺も最後に、自由な時間ができたからな」
シグナムが追ってきたが、接近しようとせず、並んで飛ぶ格好になった。ゼストは言った。
「ベルカの騎士よ。迷惑をかける」
「仲間が死地にある。働けるものは敵でも使わせてもらう」
シグナムの口調に憎しみはなかった。ただ焦りは隠しようもなかった。
---*---*---
「ええいっ」
フェイトがガジェットを斬り飛ばした。大型でもないガジェットひとつを処理するのに、
渾身の力がいる。スカリエッティの擬似リミッタが、フェイトの魔力を押さえ込んでいるのだ。
「働けるものは敵でもか……」
シグナムとゼストのやり取りは、はやての耳に届いていた。
機動六課主力は、武装隊の支援を受けて聖王のゆりかごに取り付き、侵入を果たしたところだった。
ただの機械音が身体を震わせるほどに共鳴している。間近で見ると、改めてその巨大さに気づかされる。
「誘い込まれたかも知れねえな」
「メガーヌさんの所在は、まだわからんのか」
「ギンガもスバルも子供じゃねえよ」
ヴィータはティアナ、スバル、ギンガの姿を目の端で確認すると、なのはを追って走り出した。目指すは艦首方向のコントロールルーム。
はやては、自分でメガーヌに立ち向かいたかった。スバルとギンガを当たらせたくなかった。
だが、スカリエッティはそれを知った上で、わざとメガーヌをふたりにぶつけるつもりではないのか。
そう疑っていても、はやてにはどうすることもできない。ヴィータの言うとおり、行くしかない。
「ライトニング小隊、行くで」
目標は、艦尾方向の動力炉。ルーテシアのインゼクトたちは、艦尾方向に分布が厚かった。
おそらくそちらにいるだろう。
「スターズ小隊、コントロールルームへ向かいます」
「気ぃつけてな。シグナムがもうすぐ、おまけつきで戻ってくる」
なのはの胸は、もう別の何かでいっぱいになっているようだった。
誘導弾で3体のガジェットを連続的に爆裂させると、なのはは小隊を連れて飛び去って
いった。ヴィータが振り向いてグラーフアイゼンを振ったのが唯一の返事だった。
その爆発音が収まったのを見計らって、フェイトははやての背中から声をかけた。
「部隊長、前進の指示を」
「あ……ああ、ごめん。考え事をしてた」
「なのはのことですか」
「うん。私が助け出してもろうたときのこと」
「ひとりで突っ込ませて、大丈夫でしょうか」
「フェイトちゃんもそう思うか。ひとりではないけどな……」
キャロの声が高く響いた。
「いました。ルーテシアです」
これで1/3くらい。あと2回くらい投下します。
武装隊はシグナムたちを支援したというより、道を譲った。アギトの火炎攻撃が
あまりに見境なく、濃密に振りまかれたので、近寄れなかったのだ。
「アギトといったな。飛ばしすぎると、後が大変だぞ」
「うるせいっ」
シグナムとアギトのやり取りに苦笑しながら、ゼストはレジアスを聖王のゆりかごに下ろすと、
自分の剣を預けた。スターズ分隊を追いかける格好になる。
「こいつを使え。俺は魔法で闘う」
「でえええい」
礼も抜きに、レジアスは近くのガジェットを斬り飛ばした。なかなかの怪力だ。
触手の伸縮部分が飛び散り、次いで突き刺された刀に黄色い火花が飛ぶ。シグナムも加わって
4人で競うようにガジェットを退けた。主だったガジェットは、先にスバルたちが排除している。
そしてスバルたちの後姿が見えてきたころ……メガーヌが空に形を取った。そのバリアジャケットは、
見たことのないクリーム色のロングドレス。額にはルーテシアと同じ刻印のような模様がある。ゼストが呼びかけた。
「メガーヌ、こうなっては是非もない。お前を倒して、ルーテシアだけでも助ける」
「ほう、事件の首魁がそちら側につくとはな」
メガーヌはレジアスに冷たい視線を送った。冷静というより、感情の欠落した対応だった。
ギンガはそんなメガーヌをにらみつけながら、なのはに言った。
「なのはさん、ヴィータさんとティアナで先行しませんか。ここは私とスバルで何とかします」
「何とかって……」
「ヴィヴィオが心配です。必ずすぐ後を追いますから」
ここで時間を空費できないのも確かだ。なのはは唇をかみながら、ギンガの言うとおりにした。
シグナムも行こうとしたが、なのはに止められた。
「シグナム、ここの状況を部隊長に伝えて」
シグナムはうなずくしかなかった。ヴォルケンリッターとはやてのリンクは、この距離なら完全に働く。
なのはにはヴィータがいるのだから、この場にはシグナムがいたほうがいい。
「スバル、付き合って」
「ギン姉……」
スバルの声には、はっきりと不安がにじんでいた。それに気づかぬギンガでもあるまいに、ギンガは
何の説明もしようとしなかった。
---*---*---
「ルーテシア、ミッドの人たちを危ない目にさらすのは、もうやめて」
キャロの説得が始まっていた。メガーヌがよみがえって、ルーテシアの戦闘意欲は増したように思われる。だが……
ルーテシアが欲しがっていた「心」を手に入れたようには見えない。感情を得ないで意志だけを強めているように、
キャロには思えた。
「私はお母さんと一緒に戦う」
「そんなの関係ないよ。お母さんがいてもいなくても、ルーテシアには心があるんだよ。人間だから」
ルーテシアの返答は無言……いや、鋭い視線とインゼクトの大群だった。エリオが電撃を飛ばしてそれを叩き落とす。
「あたしもお母さんと放されたけど、フェイトさんと出会って人を愛する心ができた。お母さんだからいい心をくれるって、
お母さんじゃなきゃ心をくれないって、そんなことはないんだよ。ルーテシアは持ってたじゃない。お母さんの蘇りを待つ心を。
優しい心を最初から持ってたじゃない」
肩に手を置かれて、フェイトはびくりとした。ついキャロの説得に聞き入っていたのだ。
「しっかり守ったげんとな」
フェイトは肩をすくめて、キャロの側面からバルディッシュの一振りでインゼクトを追い払った。キャロやエリオも、
親はいないも同然の子だった。フェイトもかつてはそうだった。フェイトがキャロやエリオと接し、心を育ててきた年月。
その成果がいま、キャロによって語られている。なのはとは違った意味で、フェイトもまた審判を受けているのだった。
「はやて。スカリエッティは壁の向こうにいるようだ」
ザフィーラが見ている方向をはやても向いた。魔力を脈動させている動力炉の向こう側。
入口は見当たらない。特殊な転移魔法かISを使って行き来するのだろう。
「時間稼ぎにしても、妙に消極的やな。まだ何か……待っとるんやろか」
はやてのつぶやきに、答えるものはいなかった。
---*---*---
「この特殊スナイパースコープは、AMFの所在を探知します。ステルスタイプの
ガジェット対策として開発したものですが」
「ですが、か」
シャマルの説明を聞くヴァイスはそれほど不機嫌には見えなかったが、警戒心は持っているようだ。
ふたりの目の前には、狙撃用デバイスがあった。鉄そのままの色をしたスコープは、
見たことのないものだ。塗装する時間も惜しんだに違いない。
「スナイパーの俺に渡すってのは、それだけじゃないんでしょうね」
「このデバイスを手にするかどうか、陸曹にお任せすると部隊長が」
「大事なことは何にも聞かずに決めろってね。あの人らしい。ひとつだけ、いいですか」
「なんですか」
「部隊長は、俺がスナイパーとして立ち直ると踏んで、機動六課に呼んだんですか」
「もちろん」
シャマルは即答した。ヴァイスは降参するように肩をすくめた。
「柄じゃないんだが。エクスカリバーを抜くなんてね」
ヴァイスは、デバイスを右手につかんだ。ずしりとした重みがその手に伝わった。
もともとメガーヌは拳主体ではないとしても、近距離タイプの魔導師だった。だがいまや、
メガーヌは空間を支配していた。白い火花のように無属性の攻撃が飛び散り、敵も味方もなく破壊していく。
「おかしい。こんな調子で消耗していたら、いくらレリックの力を借りていても、本人が長持ちしないだろう」
「これだけの力を使っても、メガーヌさんひとりでは私たちを押しつぶすことはできません。
なぜルーテシアかヴィヴィオと協力しないんでしょう」
シグナムとギンガの会話に、ゼストが割って入った。
「スカリエッティは、メガーヌを死なせるつもりだ」
「えっ」
シグナムも、ギンガも、そしてスバルもその言葉に驚いた。
「いまルーテシアの心はうつろだ。言われたことを熱心にやっているに過ぎない。だが母を殺されれば、
永遠に消えない悲しみと憎しみを植えつけることができる。スカリエッティにとって最高の作品はルーテシアだ。
他の者は、それを輝かせる布切れに過ぎん」
「メガーヌさんを生きて確保することが、ルーテシアを保護する最低条件ってことですね」
「その露払い、わしがやろう」
レジアスは返事も聞かずに、自分の姿を隠せるほどのガジェットの残骸をつかみ上げ、かざした。
「なすすべなく任務に倒れた魔力なき局員たちよ、その志をわしに貸せい!!!」
止める間もない。レジアスの突進と共に全てが動き出した。
「アギト、力を貸せ!」
ゼストはアギトとユニゾンに入った。レジアスを先頭にした炎のトンネルができ、その中をギンガたちが進んだ。
「昔の私ではないと知れ!!」
メガーヌは火花でなく、針状の攻撃を降らせた。白い針は先頭のレジアスと、炎のトンネルを維持する
ゼストに集中した。先に倒れたのはゼストだった。ユニゾンを解いたアギトに、ゼストは言った。
「アギト、シグナムとユニゾンして、炎の渦を出し続けろ」
「だ、旦那!!」
「急げ。全てを無駄にするつもりか。生き抜けアギト」
シグナムとアギトはほんの一瞬、顔を見合わせた。一瞬しか許されなかった。アギトはシグナムに飛び込み、融合した。
「火龍一閃・洞(ほら)走り!」
炎の螺旋が再びギンガとスバルを守った。その炎には、アギトの涙がいくらか含まれていた。
先頭を走っていたなのはの足が、突然止まった。
「あ……あれ……」
明滅する半透明の……なにか。
「どいてろ!!」
怒号と共にヴィータが飛び出した。それが何であるか気づいたのだ。かつてなのはに瀕死の重傷を負わせた、
ガジェット・ドローンIV型。ヴィータ渾身(こんしん)の一振りは、しかし外れた。
「ふたりとも伏せて」
ティアナが叫んだ。そのあとのつぶやきは、ずっと低い声だった。
「右扇形4発、左扇形4発……」
伏せているのでヴィータには状況はわからない。なのはは鋭い空間知覚で、おぼろげに起こっていることを知った。
「狙ってない?」
直射型の射撃。ただし横方向には隙間のない掃射。ティアナのつぶやきはまだ続いていた。
「右らせん誘導、左らせん誘導」
進行方向と逆方向に、左右の銃から誘導弾を打ち出した。上下方向にもらせんを描き、ガジェットに
逃げ場所を残さない。そして、小さな爆発が起こった。
「見つけた! 効力射!」
ティアナがカートリッジをロードした。1発、2発。そして誘導弾4発を連射した。少しずつ軌道の違う誘導弾が
半透明のガジェットに当たり、撃破した。小さな部品の転がる音がして、そして静かになった。
「すげえな」
「あのビデオを見てから、対策を練習してました。まず弱い弾をたくさん撃って、
居場所を見つけたら本命。行きましょう、なのはさん。ヴィヴィオのところへ。みんなで行けば、大丈夫ですよ」
ティアナは、なのはの肩を揺さぶった。ヴィータは何も言わず、子供のような笑顔だけをふたりに見せた。
---*---*---
レジアスは前のめりに倒れた。絶命してから止まるまで、いくらかの間があったようだった。
その直後、ギンガがメガーヌに飛びつくタイミングを、スバルは捉えることができなかった。
それほど突然で鮮やかな動きだった。ウイングロードでメガーヌの後ろに回りこんだギンガは、メガーヌの右腕と肩を抑えた。
「今よスバル、埋め込まれたレリックに振動破砕を」
「ギン姉、それじゃギン姉まで」
「ふたりでひとりを助ければいい。母さんだったら……絶対引かない。早く!」
スバルは大きく息を吸い込んだ。まだ振動の範囲を局限するのは練習中だ。だが、この一瞬を逃すわけには行かない。
「ぶっつけ本番……」
拳を振り上げたスバルの瞳は、金色の戦闘機人モードに変じていた。そしてスバルは全ての息を吐き出して、叫んだ。
「振・動・拳!!」
ヴィヴィオはコントロールルームにいた。
その姿はなのはの知っているヴィヴィオではなかった。レリックの力で聖王として無理に覚醒させられ、
なのはを敵として思い込まされた、若い女性の姿だった。
「高町なのは、待っていたぞ。お前を倒して、ママを取り戻す」
「落ち着けヴィヴィオ」
ヴィータの接近を、ヴィヴィオは荒々しくプラズマスマッシャーで拒んだ。
「なのはちゃん、ヴィヴィオはこっちにおるスカリエッティがコントロールしてる」
ヴィータを通じて状況を把握したはやてが念話してきた。
「まずそれを切る。それよりヴィータをメガーヌさんのとこへ。けが人が多いんや」
「……うん」
なのはは悔しそうに応じた。
---*---*---
ガリューのすさまじい運動量に、フェイトは受身に回っていた。エリオが懸命に介入して、致命傷を避けている有様だ。
キャロの身体を小刻みな震えが走っていた。ルーテシアはまったく動揺していない。フリードはインゼクトたちの相手で
精一杯、はやては擬似リミッターのせいで強く魔力を制限されている。
「メガーヌさんは確保したで」
はやての叫びはキャロの心に火を灯し、ルーテシアの心を震わせた。キャロはもう一度呼びかけた。
「ルーテシア、こっちへおいでよ。たくさんの人のところへおいでよ」
揺れたルーテシアの瞳に、無機的な光が点った。スカリエッティがコントロールを強めたのだ。
ルーテシアは小声で祈りを唱えた。
「大地の竜ヴォルテール、ここであたしたちが負けたら、みんなの努力も、みんなの思いも
無駄になってしまいます。どうか力を貸してください」
「そんな顔をしなさんな、嬢ちゃん」
ヴァイスがそこにいた。
「ヴァイスさん……もう、いいんですか」
機動六課襲撃事件のとき、過去の失敗経験からルーテシアを撃てずに負傷していたはずだった。
「なにひとつ治っちゃいないし、乗り越えちゃいない。だが人にはメンツってものがある。
10才児に大人の汚れ仕事を任せるわけにゃ行かないのさ。ルーテシアの注意を、2秒そらして欲しい。できるかい」
「はい……あっ」
フェイトがガリューに、バルディッシュを弾き飛ばされた。身をかわしたフェイトだが、ガリューの
踏み込みはそれより速い。ガリューの突き出した爪がフェイトに迫る。
「!!!」
フェイトが閉じた目を開けると、目の前にキャロがいた。その手にはバルディッシュが握られている。
「守護者ヴォルテールの名において、われ大地の加護をこのいくさ杖に、
願わく……求めらく……請いせがまく、
聞き届けたまえっ」
バルディッシュはフェイトに合わせて大魔導師プレシア・テスタロッサが建造したもの。それが易々と
他人の下知(げち)に従うだけでも面妖なことだが、いまやバルディッシュはフェイトの見たことがない色をしていた。
豊穣の黄金色。それはキャロの魔法色ですらない。大地の色であるに違いなかった。そしてキャロは恐れもせず、
バルディッシュをガリューの爪と打ち合わせた。フェイトが上げようとした警告の叫びは、喉元で止まった。
「弾き……飛ばされた!!」
ガリューは数歩吹き飛ばされて、踏みとどまった。一合。二合。右から、上から、キャロは不器用にたたみかける。
そのたびにガリューは後退していた。
「重いんや。それを魔法で振り回してる」
はやてに言われてフェイトも気づいた。キャロの一撃は決して早くはないが、それにガリューが対抗できないのは、
大きなエネルギーがあるからだ。速度が一定なら、後は質量を大きくするほかない。
ガリューの思わぬ危機は、ルーテシアの冷静を失わせた。ガリューへの強い感情は、ルーテシアが最初から持っていた
いくつかの心の中でも、母への思いに次いで強いだろう。それは、ヴァイスにとって十分な対象の静止時間だった。
「つくづく運命って奴かな」
ヴァイスは、ルーテシアの額がAMFの発信源のひとつになっていることに気づいていた。額の模様が発信機能を
持つとしたら、受信機能の中心もそこかもしれない。魔力の低さを逆手にとって、ヴァイスは額への超弱装射撃を
試みたのだ。簡単に言うと、「魔法によるデコピン」である。
そして少なくとも束の間、それは成功した。額の魔法紋様が着弾で乱されたためにスカリエッティからの
精神支配が弱まり、ルーテシアは意識が遠のいた。インゼクトたちが混乱した隙をついて、エリオが反応炉の
奥に突進した。その手槍、ストラーダも黄金色に輝いている。フェイトは後ろを振り返り、キャロが強化魔法を
かけているのに気づいた。
「ふふふ、この壁はそう簡単に通れはしない。そしてもうすぐこの船は予定座標に到着する」
エリオの叫びが、スカリエッティの冷笑を止めた。
「スピーアアングリフ、ニーズヘッガー・フォルム(地竜攻撃)」
それは槍による刺突ではなかった。槍そのものがしゅるしゅると伸びるのだ。タケノコが土を破るように、
その先端は易々と障壁を破った。
「う、うわああああっ」
スカリエッティの周囲の装置が次々に火花を吹き、機能を止める。呆然と眺めるフェイトに、
キャロがバルディッシュを差し出した。
「スカリエッティの確保、お願いします」
「う……うん」
フェイトにはもう笑顔しか出てこなかった。
ヴィヴィオが見る見る人の心に戻ってくるのが、なのはとティアナにははっきりわかった。客観的に見れば10分にも
満たない戦闘だったが、「聖王のゆりかご」動力炉からエネルギーを得るヴィヴィオは、ふたりの能力をぎりぎりまで試した。
「ママ……あたし、戦ってたの?」
「ヴィヴィオ、フェイトママたちが、スカリエッティを捕まえてくれたんだよ。さあ、みんなのところに帰ろう」
「だめなの。もう」
「えっ?」
「ヴィヴィオの身体には、悪い心のレリックが埋められてるの。今までは言われたことだけしてきたけど、
何も言われなくなっても、レリックがだんだんヴィヴィオを変えていくの」
「それは大人たちがなんとかしてくれるよ。さあ、行こう」
「ヴィヴィオ、悪い子になったらウソをつくの。大事な人を人質にだって取る。それがいつなのか、
ヴィヴィオにもわからないの」
なのはが黙り込んだ。同じような光景を、かつて見たからだ。
「お願い。ママの手で、あたしに最後の魔法をかけて」
なのはの頬を涙が伝った。あのときはリインフォースの言うとおりにするしかなかったが。
少女であることをやめて、得た力もあるのだ。それをいま示そう。
「……レリックを叩き出せばいいのね」
レイジングハートが持ち上がった。斜めに、そして水平に。だが、そこでなのははよろめいた。ダメージが大きい。
「なのはさん、ふたりでやりましょう」
「ティアナ」
「今度、スターライトブレイカーを教えてもらう約束じゃないですか。ふたりともぼろぼろだけど、ふたりならきっと」
「わかった。ヴィヴィオ、すぐに済むから、動かないでね」
ティアナのクロスミラージュに、なのはが後ろから手を添えた。周囲から魔法エネルギーが集まり、
なのはからティアナの体内に流れ込む。負担にティアナの表情がゆがむ。
「3、2。1……スターライト・ファントム・ブレイザー!」
光の渦がクロスミラージュを離れ、目を閉じて待つヴィヴィオへと伸びた。
「うあああああぁぁっ」
ヴィヴィオの絶叫に続いて、レリックの黄色く禍々しい光がヴィヴィオの体から現れた。
そして……結晶体はかすかな音を立てて割れた。
ヴィヴィオは魔力を失って、そして大人の外観も失って、吹き抜けの下に倒れていた。
「ヴィヴィオ! 今、そっちへ行く……」
「なのはさん」
ティアナとなのはは顔を見合わせて苦笑いした。ふたりとも、ヴィヴィオを連れて上がる魔力が残っていないのだ。
「なのはさん、ティアナ」
スバルはヴィヴィオの様子を見て、まずなのはを助け起こした。そして一緒にヴィヴィオのところに降りた。
抱き合うなのはとヴィヴィオを上から見ていたティアナの背中を、ヴィータが叩いた。
「聖王のゆりかご」外部でガジェットを抑え込みながら成り行きを見ていた武装隊員たちは、スバルに抱えられた
なのはとヴィヴィオを歓呼と拍手で出迎えた。大空のウイニングランだった。なのはもスバルも、空港火災のときのことは
口にしなかった。言わなくても、互いにわかっていたからだ。代わりに、スバルは言った。
「やりましたよ、なのはさん」
「そうだね。みんなでやり抜いた」
もう大空は、ただ青いだけの存在だ。いくさ船などは浮かんでいない。
事件解決により、機動六課は担当事件がなくなり、事実上訓練部隊となった。フェイトは執務官として他の世界に
出動することが多くなった。ある日、巡行艦で帰ってきたフェイトを、エリオとキャロがクラナガン公共転移ゲートまで
出迎えに来ていた。
「ただいま。聞いたよキャロ、自然保護隊のアルザス勤務を志願したんだって?」
アルザスは強大すぎる竜と結縁したキャロを追い出した世界である。
「ええ。ヴォルテールの力を借りたとき、そうしなきゃって思ったんです。
ヴォルテールはアルザスの守護竜なんだから、あたしのせいで追い出されてるのは変だって」
「お父さんやお母さんに会うの?」
「今はまだとても。でも、いつか」
「エリオも一緒に?」
「もうフリードはぼくの仲間でもあるから、フリードの世界も知っておきたいんです」
フェイトは少し寂しそうに笑った。
「ティアナとスバルは?」
「元気です。とっても」
---*---*---
「ぬおおおおおおおっ」
「無理しすぎだよティア」
トレーニングマシンと果し合いをする様子のティアナにスバルは呆れ顔だった。キャロとエリオが出迎えに行ったので、
今日の教導は個別のトレーニングになった。ティアナは消耗回復のため1週間ほど安静を言い渡された。その間に
なまった筋肉を猛然と鍛えなおしている。
「次の出動のとき、フェイトさんに連れてってもらう約束なんだから、動けるようにしておかないと」
「疲れて動けなくなっても知らないぞ。子供の遠足じゃあるまいし」
「ねえ、スバルはやっぱり特別救助隊志望?」
「うん。今度の事件でメガーヌさんやルーテシアを助けるために、たくさんのひとが危険な目にあって、
命を落とした人もいる」
レジアスとゼストは殉職局員への礼をもって葬られた。ギンガは軽傷で済んだが、メガーヌは生命活動そのものを
レリックに頼っていたため、制限の多い生活になりそうだった。アギトははやてたちの仲間に迎えられるよう、
色々と政治的調整中だった。
「第一、聖王のゆりかごを軌道に上げてしまったら、どれだけの人が脅威にさらされたかわからない。
知ってる人だからって人命優先の場合じゃなかったって意見も聞いた。どっちが正しいって話じゃないんだ。
だれかが冷たい判断をしなきゃいけないこともある。でもあたしは、助ける側の人になりたい。助ける役をやりたいんだよ」
一緒に筋力トレーニングをしていたなのはが話に割り込んだ。
「あたしもフェイトちゃんを助けるときは、ずいぶん命令違反で怒られたし、はやてちゃんのときは
故郷をアルカンシェルで焼かれそうになった」
「ひどおい」
「焼く焼くって脅かしながら、焼かないように陰で頑張ってくれるのがクロノ提督。でもみんな、
助ける道を一緒に歩いてくれて、ほんとにうれしかった」
「ヴィヴィオはやっぱりなのはさんの娘になるんですか?」
「うん。そうなる。もうすぐ学校が始まるんだよ」
「春になると、ちょっと寂しくなるかな」
悲しげな顔のスバルに、なのはは微笑みかけた。
「さあ、アップして、今日は上がろうか。フェイトちゃんとみんなで、なにか食べに行こう」
「わあい」
「小料理 虫かご」と書かれた白い広告灯には、まだ明かりが入っていなかった。改装工事が終わってから
1ヶ月近くになるが、まだ開店準備中だった。完成している台所を使って、今日は身内の宴会だった。
「おっ、いい魚使ってるじゃん」
アルフが食っているのは、魚のあらをすり身にしたドッグフード風のものである。
「それで司法関係は、話まとまったの?」
「まとまるも何もありませんよ。母さんのほうがよくご存知でしょう」
クロノはリンディに苦笑した。
「ルーテシアは最高評議会とレジアスが流した個人データで誘拐されたんです。管理局員が乳児を売ったんですよ。
表沙汰になったら管理世界の半分は離脱して、残り半分はミッドと断交です。うやむやにするしかないんです」
メガーヌが静かに言った。やっと半身を起こせるようになったところだ。
「確かに言われましたよ。惑星ひとつあげるから引っ込んでくれないかって」
「それを思えば料理屋の一軒くらい安いもんだと思うんですけどね」
クロノはすまし顔でビールに手をつけた。
トントントントントントン!!!
機関銃のような音が厨房から聞こえてきた。
「すみませんね。ガリューの爪さばきがまだまだ荒くて」
リンディは思わず、目の前の山芋短冊をしげしげと見た。そのとき、店の戸が勢いよくがらりと開いた。
「ただいま、お母さん」
「おかえり、ルー。早くローラースケートなんか脱いで、手を洗ってきなさい」
「ルーテシア、初めまして。学校は楽しい?」
「うん、お友達もできてきた」
ルーテシアの表情は、すっかり小学生のものだった。
---*---*---
かっくん、かっくん、かっくん。
ヴィヴィオの小さな身体には、まだランドセルは大きめだ。重いランドセルが体から離れて揺れるので、
小走りなヴィヴィオとランドセルが別々に動いているように見える。鍵を開けるのも、ドアの高いところに
ノブがあるから背伸びものだ。しかしそれらすべてが、いまヴィヴィオにとっては楽しい大冒険だった。
もう周囲は暗い。ドアを開けると、暖かい光があふれ出た。
「ただいま、ママ」
「お帰り、ヴィヴィオ」
「助ける者として」完
すいすい行ったので残り全部を投下完了。
熱血風味にすること以外はなるべく偽本編っぽく書くよう心がけました。そしたら恋愛要素ゼロに。
うわなんかいっぱい来てる嬉しいな
これから読むお
保守代わりに
ママが好き。
世界で一番ママが好き。
なのに、何なんだろう。あの男。
あんなにママの近くに……
「ねぇ、いいでしょう? ユーノ君」
「う、うーん……でも、今から?」
「そう、久しぶりだし。ね?」
「あっ、ちょ……うぅ?」
ママがあんなに嬉しそうにおしゃべりしている相手。
そして、ママが幸せそうに腕にもたれかかっている相手。
どうしてだろう…………面白くない。
ヴィヴィオは、男を鑑定するかのように上から下までじっくりと見つめた。
野暮ったい草色のスーツに、大きな丸いフチなし眼鏡。
首には、ネクタイの代わりに、紐のようなものが垂らされていた。
紐の先には紋様が描かれた石のようなものがあった。
(紐を首にかけてる。変なの)
まだループタイの存在を知らないヴィヴィオは、
そんな失礼な感想を抱きながら、「鑑定」を再開した。
肌は女性のように白く、髪は女性のように長い。
ヴィヴィオとおなじブロンドだったが、彼女のそれとと違って、
彼の髪はサラリとしたものだった。
ブロンドの髪は緑色のリボンで軽く結わえられて、背中に垂れさがっている。
(緑色のリボン?)
それが、ヴィヴィオの頭に引っ掛かった。そういえば、どこかで見たような……。
すこし考えて、それが母のつけているものと同じであることに、ヴィヴィオは気づいた。
つまり、お揃いということだ。お揃いというのは、親しい間柄でやるものだ。
たとえば、親子。たとえば、兄弟姉妹。たとえば、恋人……
では、なのはと、この優男との関係は?
ヴィヴィオの疑念が、膨れ上がった。
ヴィヴィオの目の前では、彼女の敬愛する母親が普段よりもいくぶん高い声で男に話しかけている。
この男はママの何なの?
心中で不審の念を募らせるヴィヴィオ。そこに、なのはから声がかけられた。
「ヴィヴィオー、聞いてた?」
「えっ。何、ママ?」
「うん。だから一緒にお食事に行かないかって」
「お食事?」
そう言って、ずっと高いところにある母の顔を見上げると、例の眼鏡の男もヴィヴィオを見た。
彼のほうがヴィヴィオよりもずっと上背があるので、自然、ヴィヴィオを見下ろす形になる。
腕につつましやだが張りのある乳房があたっているせいか、頬は桃色に染まり、
その表情は笑っているような、びっくりしているような、中途半端な形に歪んでいた。
男の緩んだ表情に、ヴィヴィオのなかの何かに火がついた。
挑むような目つきで男を見る。
視線がかち合う。
ヴィヴィオは、フェイトが教えてくれた言葉を思い出した。
『戦うときには、目をそらしたら駄目なんだ』
いつもは優しいフェイトが、戦いの心得を語るときには、
うってかわって凛々しく、そして雄々しくなったものだった。
ヴィヴィオはそんなフェイトに憧れていた。
フェイトの教えを思い出したヴィヴィオの目が、一気に鋭さを増す。
(ここで……視線をそらしたら負け……負けないもん……ヴィヴィオ、負けないもん!)
実際にフェイトが物凄い目つきでスカリエッティにガンを飛ばした姿には及ばないものの、
そこは流石、一生を戦闘にまみれて過ごした聖王家の血統か、はたまた育ての親達の影響か、
ヴィヴィオの纏う気魄はなかなかのものだった。
気後れした風に視線を彷徨わせたのは、やはり、男のほうだった。
(勝った……! 勝ったよ、フェイトママ!)
ヴィヴィオはささやかな勝利の余韻に浸った。
だが、すぐに母の隣にいる冴えない男は、にこやかな笑顔を貼り付けた。
心中ヴィヴィオがむっとしているのをよそに、男は微笑をたたえながらこう言った。
「あ、ああ。そうなんだ。ヴィ、ヴィヴィオちゃんも、ど、どうかな?」
(どもってる……)
ヴィヴィオの親は、高町なのはである。
自らを「空の人間」と言い切り、「散るなら空で」と、どこかの
戦闘機乗りみたいなことを本気で思っている高町なのはである。
戦闘民z……もとい、武に生きていた一族の末裔である高町なのはである。
ヴィヴィオが、一番安全で魔力データの収集に最適な場所だと感じた人物である。
そう、ヴィヴィオの親は高町なのはなのである。
畢竟、ヴィヴィオにとってのあらゆる基準がなのはをベースとして構成された。
それ故、誕生する前から刷り込まれた「兵器」としての習性と相まって、
人を判断する基準のひとつとして、力の強弱が重要な基準として無意識のうちにインプットされていた。
さらに、今まで直接・間接的にヴィヴィオが見てきた男は、強い男が多かった。
魔導師、騎士として前線で戦うエリオやヴァイスはもちろんのこと。
敵ではあったが、類稀なる才能と狂気とをあわせもつスカリエッティ。
グリフィスやゲンヤ・ナカジマ、あるいは配信映像で見たレジアス・ゲイズ
といった男たちは、魔力こそ持ってはいなかったが、
態度は堂々としており、男らしい一種の威厳があふれていた。
それに引き換え、この男はどうだ。
――軟弱。
それが、彼に対する第一印象だった。
□■□
本局内部にあるショッピングモールの一角。
ある一軒のミッド式日本料理専門店で、ユーノ・スクライアは、
幼馴染みとその義娘といっしょに少しはやめの晩飯を食っていた。
両手に花。
とりわけ、目の前に座る幼馴染みの一挙一動、
何気ないしぐさや、こちらに向けられる微笑みにユーノは幸福を感じていた。
実際のところ、彼女の顔を眺めていられるだけで満足なのだ。
しかしもちろん、胸元の谷間にも、チラリ、チラリと目をやるのも忘れない。
当然、不自然にならない程度に、だ。
なのはのそれは、決して大きくはない。どうも父方の家系の遺伝らしい。
だが、それでも。乳の価値は、ただ大きさのみで決まるわけではないのだ。
やはらかな輪郭、ふつくしい球体美。
四六時中、無機質な画面や書類の束と格闘している目にとって、
これ以上の癒しを与えてくれるものはない。まさに眼福であった。
(ああ、あのおっぱいをこの手で鷲づかみに……揉んでみたいなぁ……
フェレットに変身して彼女と同居していたあの頃よりもきっともっとずっと……)
そんな不埒な願望を抱えながら、至極真面目な顔をして、日本酒を片手に、
最近発見された古代文明のロストテクノロジーについて語っていられるのは、
マルチタスクの為せる業である。
もはや忘れ去られているが、この男、一応Aランク魔導師である。
さて、そんなユーノの桃色の妄想が打ち切られたのは、
彼が食後のデザートとして、大学芋を頼んだときだった。
間髪いれずに、目の前の幼馴染みから冷え冷えとした声がかかった。
「ユーノ君、まさか大学芋でポン酒を飲むの?」
彼女は笑顔だった。だが、女の笑顔を舐めてはいけない。
見よ。口元は笑っていないではないか。
むしろ今にもあの形の良い唇から舌打ちが聞こえてきそうだ。
そして、さすがは本職のアグレッサー。射抜くような眼光が恐ろしい。
「……………………」
蛇に睨まれた蛙。
ユーノ・スクライアは固まっていた。
額に汗がにじみ出る。
ああ、なのは。
お願いだから。
そんな塵芥を見るような目で僕を見ないで欲しい。
「甘いものを肴に呑むのは邪道でおじゃりまするぞ」
と割烹着を着た店主が言った。
その場の全員の目が店主に向いた。
「え、そうなんですか?」
ユーノは驚きの声をあげた。
一時期は海鳴に滞在していたこともあって、
自分ではチキュウ文化通と思っていただけに、少しばかりショックだった。
「茶、飯、餅、菓子。これらと、酒との組み合わせは善くないのでおじゃりまする。
本場日本では、古くは室町時代から、『酒茶論』、『酒飯論』などと申しまして……」
カン高い声で、店主が機関銃の如くしゃべり続ける。
「はぁ……」
ユーノは耳慣れない固有名詞に、曖昧な相槌をかえすことしかできなかったが、
教導官のほうはと言えば、腕を組みながら、店主の薀蓄にしきりにうなずいていた。
どうやら、こだわりがあるらしい。
まあ、遠く離れていても故郷の文化なのだ。むべなるかな。
(でも……大学芋……食べたいなぁ……)
しかし、ありのままの現地文化を尊重するのが、スクライア族のやり方である。
邪道とわかっていながら、タブーを犯すのはスクライアの美学に反した。
第一、心をよせている馴染みの心象を悪くしたくない。
後ろ髪をひかれる思いはあったが、
結局、ユーノは好物の大学芋をあきらめることにした。
「ミッド人は邪道が多くて困りまする。この前など、茶に砂糖とミルクを入れるご婦人が……そもそも、茶というものはですね……」
それにしてもこの店主、ノリノリである。
□
さて、アルコールもはいり、ほんのりと幸せな気分を感じていたユーノだったが、
途中からおかしな視線に気づいた。あまり気持ちの良い視線ではない。
相手に気づかれないように、その視線のもとを辿る。
すると、赤と緑の瞳をもった小さな女の子にいきあたった。
(ねえ、なのは……)
ユーノは、はやくもほろ良い加減の幼馴染みに念話をつないだ。
(なぁに? ユーノ君?)
(僕、あの子に嫌われてる?)
ユーノがそう言うと、なのはは目を瞬いた。
そっと視線を隣の我が子に落とすと、すぐに何気ない風に酒の肴に箸をのばす。
(あの子……ヴィヴィオのこと……? そんな事、ないと思うけど)
でも、さっき凄い目で睨まれたんだよ。
どうも、視線に敵意を感じるし。僕、何かした?
ユーノはひとりごちた。もちろん念話には出さないが。
何か、嫌われる要素があっただろうかと思い返してみても、
どうにも思い当たるふしはない。
まさか、ちらっとなのはの胸を見てたのがいけなかったのか。
いやしかし、チラッとだけだし。そんなまさか。
(あの子は人見知りするからね。緊張しているんじゃない?)
(そ、そうなんだ? でも、なのはには懐いてるね)
(にゃはは……)
ここで力尽きた
ヴィヴィオー!俺だー!結婚してくれー!
一行空けるのはとても読みづらいからやめて欲しい
文章のを読むリズムが狂う
俺はむしろとても読みやすいんだが
空いてなかったら読む気が起こらない
俺も空いてる方が読み易いな
俺もあいてるほうかなー
掲示板で読むとき限定だけど
書くやつの好みでいいだろ
読みやすさなんてね、全て慣れよ、どんな文を読んできたかによる
かつてヴィヴィオと同じ実験体とされた男がいた 高町恭也
>271
それはつまり、恭也が実験体の思い出を語ると言う事か。
こちらの方に投下させてよろしいでしょうか?
オリ主で少年レジアスメインの再構成になります。
おk
では投下させていただきます。
夕方くらいから三十分置きぐらいにチェックしてたのは秘密です
「やめろ、返せ!返せよ!」
閑静な住宅地。丘の上にひっそりと存在する公園に、まだ声変わりも迎えていない声が響く。
そこに居たのは三人の少年だった。同じチェックのブレザーに同柄の半ズボン、それにベレー帽を身につけ薄い革製の鞄を背負っている。傍から見れば、学校帰りの子ども達が遊び場でふざけ合っていると言う印象しか受けないだろう。
だが、よく観察すればそこに剣呑な雰囲気が漂っていた。三人の中で、やや身体の小さな少年が他の二人に対峙して睨みつけていたからだ。
「なんだよ、いーじゃねーか隠すなよ。」
「ほれ、返して欲しければ自力で来いよ。」
身体の大きな二人組は挑発の言葉を少年に浴びせる。二人組みの片方の手には一枚の紙が握られており、それを少年は取り返そうとしているようだ。
が、実力行使で取り返そうと試みても、体格差から頭上へ引き上げられて手が届かなかったり、一人に対して飛び掛ろうとしてももう一人にパスされて中々その紙片を手にすることは出来ない。
再度返還を要求するも、のらりくらりと流される。少年にとってその言葉は正当な毅然とした要求のつもりではあったが、その声色にはしっかりとした恐れが散見され、二人組にとっては出来の悪い嘆願としか受け取られなかったからだろう。
二人組にとって少年は玩具でしかなかった。からかえばからかうほど激昂し立ち向かってくるが、数と体格の有利であしらう続ける。その度に悔しげな顔を浮かべる少年が滑稽で面白かった。
もし、このやり取りを良識ある大人が目撃したら思わず顔をしかめただろう。少年の悲痛な声を忍びなく思い何らかの行動に移ったかもしれない。
だが、少年にとっては不幸なことにその公園には誰もおらず、二人組みを止められる者は誰もいなかった。そして、往々に制止する大人たちの居ない場所でのいじめは、自覚することなくエスカレートしていく。
「うはっ、魔導士適正:Eだってよ!才能0じゃんかよ!」
片方が背中から少年に組み付き制止させ、もう片方が書面を読み上げていく。その内容は彼らに新たなからかうネタを用意させてくれた。
「やめろ!勝手に読むな!」
組み付かれながらも顔を赤くして少年は取り返そうと必死にあがくが振りほどくには至らない。
「わはは、なんだよそれ!なんでそんな奴が魔法学校にいるんだ?」
魔法学校とは通常の幼年学校とは違い魔法を学ぶ者が通う学校である。その中には、魔法を学問として学ぶ研究職希望など魔法の才を持たない者も極稀にいたが、やはり魔法を扱う才に長けた者が圧倒的であった。
そして、魔法の才を持たない者または発現しなかった者は数年のうちに他の教育機関に移籍することが習慣となっている。
三人の年齢、およそ9歳前後とは魔法に見切りをつけ新たな道を模索し始めているのが通常の年齢であったが、少年は未だに魔法学校に在籍していたという。
彼らにとってその矛盾はちょっとしたジョーク程度の笑いであったが、笑われた少年は顔を赤く羞恥に染めざるを得なかった。
その反応に気を良くした二人は更に追撃をかけていく。彼らにとってはそれは巷で言われる所謂「いじめ」などではなく単にからかっているだけだった。だから致命的なところに来るまで気付こともなかった。
「お前さ、魔法使えないで管理局に入れるなんて思ってるわけ?」
「なっ?!」
「管理局?なんだそれ?」
「ああこないだの作文で、将来の夢は管理局に入りたいって書いてたんだよ」
「無理だろー?魔法使えない奴に悪者やっつけれるわけないじゃん。ばっかだなー」
「『僕の夢は父と同じく時空管理局で平和と安全のために為に戦うことですっ!』だっておっ」
少年の当時の口調を真似か、格好をつけて言い切った後に膝を叩きながら嘲い飛ばす。
「あっはははははは、無理無理現実見ろよー。」
彼らの囀りを少年はぐっと堪えていた。
拳を震わせ歯を食いしばり、涙を浮かべぬように・・・。
「なあ、実際のところ本気か?
だったら諦めたほうがいいぜ。」
「そうそう、『地上の平和』は俺たちに任せとけよ。」
ポンっと肩に手を置いて、最後に彼らはそう言った。
ずっと黙りこくった少年に対してさすがに言い過ぎたと思ったのか、それは純粋に助言のつもりであった。
叶わない夢など諦めた方がいいという思いもあった。
だから、それに対する返答が振りかぶった拳であろうとは夢にも思わなかった。
◆
「はい、あーん♪どう?美味しい」「ええ、とっても」「じゃあさじゃあさ、あーん♪」
昭和41年―――いや、こっちの世界では新暦30年だったけ?
ビートルズが来日したりウルトラQが放送開始したこの年、俺は魔法世界の機上の人となっていた。
いや待て、言いたいことは判るしそれについては俺も同感だ。
右隣の席でいちゃついてる馬鹿夫婦の頭の悪い会話から意識を逸らすためにも、ここに至るまでの経緯を振り返ってみよう。
さて、ある日突然母親に、「実は私魔法使いなの。」と言われたら皆どうする?
俺はちゃんと最小公倍数な返答をしてやったさ「寝言は寝て言えクソババァ。てめーとサマンサとの間には天と地ほどの溝がある!」ってな。
次の瞬間物理的に意識を断ち切るとかマジねぇし、てめーは本当に親かよ?!
あーやっぱり「主にヴィジュアル面でな」って付け加えたのがまずかったのか?
んで目が覚めたときには既に魔法世界でした。
あれ?おかしいな起こった出来事に対して短すぎないか?
・・・・・・。まあいいか。
母親っつーか、横で顔を蕩けさせて機内から濁った視線を向けられている馬鹿女は地球人ではなくこっちの世界の住人だったらしい。
優秀な魔法使い候補生だったらしいが、色々あって端的にいうとぐれてしまった。んでそっからは転げ落ちるように犯罪者街道へとずぶずぶと嵌って行ったという。なまじ才能があっただけに裏社会で名を上げるのも早かったそうな。
ある時そんなあばずれが目をつけたのが地球だった。なんかこっちでは別の呼び方があるらしいけど詳しくは知らん。地球に目をつけたのはこっちの警察組織に当たる「管理局」の目が届かない世界だからだ。
地球には魔法は存在しないためなんでもやりたい放題だったらしい。
だけどお父さんに出会って、やっぱり色々あって更生したっぽい。いやね、馴れ初めとか詳しく聞こうと毎回チャレンジするんだけど、途中から100%惚気に入って耐え切れずに毎回離脱してんだ。
話を戻すぞ。
愛の力とやらで裏社会から足を洗い、結婚して静かに暮らしているうちに、俺爆誕。
そんでまあ俺もそんな過去なんか微塵も感じずにぬくぬくと高度経済成長期を過ごしていたわけだが、馬鹿は馬鹿なりにしつこいよーだが色々と思うところあったらしく管理局に自首した。
あれよこれよするうちに、司法取引で管理局に協力し監視下に置かれることで免罪されることになった。
ここらへん、地球育ちの俺にはどうにも理解しずらい。まあわざわざ波を立てることもあるまいと黙っているがな。
そして監視下に置くにしても通勤するにしても地球は不適切となり、こうして一家三人でお引越しとなったという話を先ほど聞かされたわけである。
「大丈夫かな?」「君を育てた人たちだろ。きっと判ってくれるさ」「けど私馬鹿だったから色々迷惑かけてしまって。」「今の君なら大丈夫。僕の保障じゃ心細いかい?」「・・・あなたっ」
ひしっと抱き合う二人によって俺を含め乗客たちは砂糖を吐いている。
あれは他人あれは他人あれは他人。
顔をそらしていたが、更に身体ごと背を向けてそうアピールしていると視線は自然と小さな窓から見える雲海に落ちた。
ふっと雲の切れ端が広がる。どうせまた青い海だろうと思っていたがその予想は大きく裏切られた。
そこにあったのは銀色の都市。メタリックに陽光を反射し、東京にあるビルよりも何倍も大きい尖塔。新幹線が子どもの玩具に見えるほど早くスタイリッシュなレールウェイ。縦横上下に絡み合った都市高速はまるで電子基盤を彷彿とさせた。
拉致まがい方法で無理矢理連れてこられたが、この光景を見られただけでも来た価値はあったかもな。
単純と言うなら言え。男なら近未来都市予想図に心を躍らせない奴はいないだろう?
先ほどまで不機嫌で心中は満たされていたが、今は未知への期待感に膨らんでいくのが自分でも判った。
◆
その日は朝から憂鬱だった。
空は曇り、靴紐は切れ、ニュースの占いはブービーだ。何より、先日行われた定期健診の結果が返ってくる。
はぁ、思わず溜息が登校中に出てしまう。
このまま学校に行くのをやめてしまおうか。ふっと湧いた弱音を首を振って打ち消す。
それは駄目だ。今まで白い目で見られながらも魔法学校への登校を許してくれた父への申し訳が立たない。
「ゲイズ家の出涸らし」―――それが僕の渾名だ。面と向かって言われたことは無いが、影での噂話から耳に入ってくる。そして、何より夜遅く定期的となってしまった父と母の夫婦喧嘩でそれが自分のことだと思い知らされてしまった。
父は優秀な管理局執務官だ。魔導士ランクAAの称号を持ち確固たる地位を築いている。平和と安全をその命を賭けて護る父は僕の憧れだった。
兄や姉もその血を引いたのか高ランク魔導士として入局してそれぞれの分野で活躍している。
そして僕、第三子レジアス=ゲイズだけが魔力を持たない。
最初のうちは気楽に考えていた。たまたま少し成長が遅れているだけだって。しかし、周囲の同級生達は一人二人と次々にその豊かな才を開花させていく。気がついたときには僕は一人取り残されていた。
才能はあるはずなんだ!怠けないで訓練をしろ!父はそう励まし、忙しい中本局で行われている訓練を施してくれた。けれど、体力をつけるだけで終わってしまった。
そしていつしか、父は僕に訓練を施すことはなくなった。その代わり、毎晩のように酒を飲んで帰ってきた。その度に母に怒鳴り散らした。
母は美しくあったが平凡な人だった。魔導士でもなく特殊なスキルもない、穏やかな日々を望む人だった。父と母の馴れ初めは、父の上司からの紹介だったらしい。父の一目ぼれだったらしい。
管理局の若手期待の星、良家の一人娘。その結婚は大勢の人に祝福された。円満な家庭を二人で築き上げるだろうと思われた。ただ一つ、僕という存在が誕生するまでは。
優しかった父は母を何度と無く罵った。レジアスが出来損ないなのはお前のせいだ。なんで魔導士でもない奴と結婚したんだろう、と。果ては不義密通を疑い、鑑定を医局に依頼したとも聞いている。
母はただ、黙って耐えていた。純朴な人ゆえに、父の言うとおり自らの罪と受け止めてしまったのだろう。
僕は母に謝るべきだった。僕のせいで辛い立場に置いてしまっている。
だけど、今まで庇ってくれていた母にさえ見捨てられたら、という思いが膝から下を拘束する。
僕は父に直訴すべきだった。悪いのは僕だから母を苛めないでくれ、と。
だけど、その通りだお前など私の息子ではない、と言われる恐れが暗闇の中にその身を潜ませる。
駄目だ駄目だ!
暗い考えにばかり囚われるな!
統計によると、リンカーコアの発現期を過ぎても魔法を使える者が魔導士全体から見て0.8%もいるではないか。優秀な血を引いている僕がその0.8%に入る可能性は十分にある!
ましてや僕は自分で言うのもなんだが、秀才の部類だ。魔法の実学を伴わない方面では、例え魔法理論だろうがデバイス工学だろうと学校一と揶揄されたのだ。少々後発であろうとも、そこらの奴らなど追い越してみせる!
諦めない限り、夢は必ず叶う。
その言葉が胸に熱く宿る。
そうだ。最後に笑うのは努力し続けた者の筈だ。才能がなんだ!そんなもの消し飛ばしてやる!
あれ?ああ、これは今朝決心したことだ。
あのときは本気でそう思った。
だから、例え検査結果が何時も通りであったとしても、いつか見返してやると思って耐えることが出来た。
あいつつつ、なんだ?・・・口の中がジャリジャリする。それに全身が痛む。
倒れていたのか僕は。
「くそっ、いきなり殴りかかってきやがって。」
「優しくしてればつけ上がって、生意気なんだよお前は!」
頭上から声が聞こえてくる。
駄目だ、全身が疲労したように身体を起こせない。
あれから・・・・・・下校時にクラスの二人組に絡まれたな。
その二人は決して優秀とは言えず、むしろ素行不良でよく教師の呼び出しを受けていた。
魔導士としても下の中と言ったところで、同じく帰ってきた検査結果に顔を顰めていたのを覚えている。
今思うと自分より下の人間を安心したかったのだろう。自らのことを棚に上げて、僕を扱き下ろしていった。
頭には来たが、反論したところで現状の無力っぷりが変わることは無い。僕は結果表を奪い返してさっさと帰りたかったんだ。
けど、『夢』を馬鹿にされて・・・・・・人には笑われるかもしれないが、ずっと前からの夢だったんだ。
ましてやお前達なんかに任せて溜まるものか!
そう思ったとき、既に殴りかかっていた。
そして、自らの行動に戸惑ってるうちに相手はデバイスを起動して、応戦されて・・・。
決して相手を弱く見ていたわけではない。
だけど、二人掛りとはいえ魔導士としてのレベルも低く、何より同年代の相手だ。手も足も出ないとは思わなかった。・・・・・・信じたくなかった。
『信じたくなかった』か・・・、魔法のあるなしでここまで歴然とした差があることを僕は判っていたはずだ。けれど、それを思考から意図的に外していた。
ああ、そうか。
僕はとっくに、魔法を使えない自分を受け入れていたんだ。
魔法は自らに宿るものではなく、対峙していくものだったんだなぁ・・・。
魔法学校をやめない理由は見捨てられたくなかったからだ。
魔法の才能しか見ない父に、自分は頑張ってるんだとアピールしたかったからだ。
・・・・・・心根ではとうに諦めてると知られたくなかったんだ。
「魔法なんて・・・・・・クソくらえだ。」
口をついて出た言葉は思いのほか大きかったようだ。
「あん?その魔法のおかげでお前はいい暮らし出来てるんだろうが?」
「魔力が無いからって僻むなよ。」
言われなくたって判ってる。
けどな、今なら判る。魔導士じゃない人間は皆どっかで魔法を僻んでる。
「何度だって言ってやる。・・・魔法なんてクソくらえだ・・・・・・ッ!
お前達みたいに馬鹿に力を与えることがどんだけ愚かなのか判らないのか・・・!」
「てめぇッ・・・・・・!」
胸倉を掴まれ引きずり起こされる。
魔法なんて無ければ、母は泣かずに済んだ!父は優しいままで居てくれた!
魔法が憎い。これほどまでに憎い!
「・・・・・・おい、もうやめよーぜぇ。なんかブツブツ言っててこいつやべーよ。」
「何びびってんだよ!
こういう奴は徹底的に教育しなきゃいけないんだよ!」
そうだ。お前らは僕たちが何を考えているかなんて少しも判らないだろう。
魔法が使えない人間は怯えるか恭順を示すかしかないと思っているんだろう。
安心しろ、その考えは正しい。
だけどな、心の奥底でまでお前達に従うと思っていると大間違いだ!
「お前みたいなへなちょこな攻撃なんて痛くない!
本気で来いよっ!」
「っ?!上等じゃねぇか!
ただで済むと思うなよ!!」
デバイスの先に光が収束していく。
嗚呼、それは確かに恐るべき力だ。非殺傷設定という名が嘘のように思える。
だから、俺はこれから来る痛みを絶対に忘れない。
お前らみたいな「理不尽な力」をこの身に刻み込んでやる。
生涯を通して戦っていくためにだっ!!
後にこの少年レジアスは管理局に入局する。
非魔導士でありながらその地位を上げ、ミッドチルダの頂上の地位に辿り着く。
その辣腕で「地上の守護者」とも呼ばれるほど治安を回復させるも、JS事件後に犯罪者との裏取引などの犯罪行為が明るみに出る。
また、図らずも守護してきた地上を未曽有の危機に曝した張本人となったことを自覚し、JS事件の際失意のうちに殺害される。
・・・・・・はずであった。
これは歴史のIf。
ある存在によって分岐した、ありえたかもしれない未来の記録である。
「・・・・・・だ〜〜〜〜ん〜〜〜〜き〜〜〜〜ち〜〜〜キィィィィィィックッッッ!!!」
「ヘブラッッ??!!」
来ると思っていた衝撃は来なかった。
その代わりに横合いから黒い塊が突っ込んできて、今まさに攻撃魔法を撃たんとしてた奴が吹っ飛んだ!
俺ももう一人も一体何が起こったか把握出来ないまま、その飛んできたものに視線を向けた。
「あいつつつつ、着地失敗しちまった。
イジメカッコ悪いの現場に颯爽と登場する俺カッコイイのプランが台無しじゃねぇか。」
パンパンと足についた砂を払いながら立ち上がると、こちらの方に向き直った。
オールドスタイルな衣装に坊主頭。なんていうか、ここらへんどころかミッドでは見ない容姿の俺たちと同じぐらい歳の男だった。
「なあところでさ、
イジメカッコ悪いは当然として、いじめっ子といじめられっ子ってどっちの方がカッコ悪いと思う?
そこのいじめられっ子。」
そいつは俺にそんなことを聞いてきた。
「俺的にはどうかなー?
そういや、当事者だけじゃなくて見てるだけの奴も中々なカッコ悪さぷりだよなー。
むう、選択肢が増えちまった。」
「・・・・・・いじめられっ子って俺のことか?」
「おう、違うのか?」
カチンと来た。
「・・・ッそうだ!俺はいじめられてなんかいない!」
「ふむ、ならケンカだな。
俺が見たときには一方的にやられてるように見えたからな。それは悪いことをした。
お前がこれからやり返す邪魔をしてしまったぜ。」
違うのか?と視線が問いかけてくる。
地面に転がってる状態で何が出来る?と言っているのか?
ああくそ、その通りだよ!けど絶対に認めたくない
「・・・ぐぁっ・・・・・・勘違いして・・・ケンカにしゃ、しゃり出てくる奴・・・ふぅ、っていうのも中々にカッコ・・・悪いな。」
上半身がみしみし言う。
くそ、非殺傷設定っていうのは文字通り、殺さないだけってことだな。
脇にあったジャングルジムに手を掛け笑いっぱなしの膝を叱咤する。
「ガーンっやっぱりかーっ?!
あー、悪かった。もう俺は失意のうちに帰るからどうぞ、続きをなさってください。こんちくしょう。」
「言われなくてもっ」
なんとか立ち上がり呆然と立ち尽くしてる奴に視線を向ける。
多分、一歩歩いただけで崩れ落ちてしまう未来が容易に見える。
けど、俺は今からあいつのもとまで行って、殴って蹴ってケンカをして、更に勝たなくちゃいけない。
いや、勝つんだ!
パシュッ
「うわたぁっ?!
な、なんだ?!今のは?」
目の前を魔力球が通り過ぎていく。
それを仰け反るように避けるカッコ悪い奴はやはりカッコ悪かった。股間をこっちに向けるな。
発射元を見ると先ほど吹き飛ばされた奴がデバイスを構えながら立ち上がりつつあった。
「うそぉ〜〜ん。改心の一撃!いじめっ子Aは力尽きたってメッセージ出るくらい綺麗に入ったと思うんだが。」
とても心外だという顔で・・・・・・これで驚いてるつもりなのか?
けど口ぶりから察するにこいつ・・・
「バリアジャケットだ。術者の周囲に防御フィールドが展開されて生半可な攻撃じゃ通用しない!
というかお前魔法知らないのか?」
「おう、おかんから話だけは聞いていたが実際に見るのは初めてだ!」
頭が痛くなってくる。
「おいっ舐めた真似してくれたな!
このまま帰すと思ったのかよ?」
怒り心頭天を突くと言った様子だ。
「いやね、俺も悪かったと思うぞ。
けどな、ケンカすんならタイマン。あと出来ればステゴロだろ?ケンカに見えなかった原因はそっちにもあると思うからここはどうぞ水に流してケンカの続きを・・・」
「うっせぇ!ごちゃごちゃうるせーんだよ!
てめぇもそこのガリ勉もただで済むと思うなよ!」
もはや問答は無用とばかりに魔力を収束させ始めるいじめっ子A(仮)。いいな、この呼称。使いやすいことこの上ない。その対義語俺になるのは不本意だが。
「はぁ、しょうがない。
おい、そこのいじめられっ子君。
よかったら俺と君で組まないか?人数的にも2対2で丁度いいと思うんだが。」
予想外の提案だった。
普通、魔導士と喧嘩している人間に加勢しようとする人間はいない。
というか魔導士とケンカしようとする一般人もそういないか・・・。
「いじめられっ子って言うな!
・・・・・・勝算はあるのか?こっちの攻撃はあいつらに通用しないぞ?」
「通らないわけじゃ無さそうだ。多分、威力を減衰させてるんだろう。
それならそれでやり方を変えればいいだけだ。
俺が聞きたいのは、お前のケンカに俺が首を突っ込んでいいのか?って話だ!」
勝つつもりだ。魔法を使えない俺たちが魔導士に勝てるわけ無いと常識の部分が否定しているというのに。
ああ、こいつは普通じゃない。
だが、俺はそれを嬉しく感じている。どうしよう。
支援
しえん
シエン
「どうせ、売られたケンカだ。
転売したところで文句は言わせん。・・・ダ、ダサ野郎!」
「ダ、ダサ?!
それはちょっと酷くない?」
「お前だって人を好きに呼んでるだろう。なら、お前はダサ野郎で十分だ!」
「あー、静かーに怒ってたのな。
・・・・・・いじめられっ子、お前の名前は?」
さっきから普通に怒ってるだろうが。
「レジアス、レジアス=ゲイズだ。」
「俺は時尾団吉だ。
さぁて、向こうさんも今にも飛び掛ってきそうだしそろそろ行こうか。
第二ラウンド開始だ、レジィ!!」
「さっそく変な呼び名つけてんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」
この一つの出会いが世界にどんな変化をもたらすのか。
それを知る者は未だ誰もいない。
第一話「それは間に合った出会いなのだ?」 了
GJ!!です。
よし!奴らのBJを無効化するには関節技が有効だw
冗談はさておき、中々珍しいので楽しみです。
投下終了です。
規制されるとは思ってもいなく、支援してくれた方、SSスレからいらしてくれた方々感謝です。
元々この話はレジアスレで思いついたのが発端でした。
本編での不遇っぷりをなんとかしたいと思いペンを取りました。
もしかしたら設定などおかしな所があるかもしれませんが、こっそり教えてくれたら幸いです。
ではもしよろしければ次回の投下時にお会いしましょう
P.S キーボードが反応しなくなる事態発生。再起動してなんとかことなきになりました。ふぅ。
GJ!
このオリキャラならレジアスを救ってくれるのだろうか?
期待!
三馬鹿第二羽を投下させていただきます
ケンカは勝たなくちゃ意味が無い!
本来暴力によって自らの目的を押し通すなぞ野蛮の極みだ。人間社会において、腕力を振るった物はどんな正当性があったとしても罰せられる。ならば、例え暴力を振るわれても応戦しないことこそが自らを守る最大の防御となろう。
だがそれでも、愚かと判っていても、立ち向かわなければならない場面がある。
生死に関わる場面、大切なモノを守るため、自尊心、正義、金品・・・・・・。
どんな理由でもいい。お前の理由など誰にも理解されないのだから。そこまで覚悟したケンカならばこそ絶対に勝たなくてはならないのである。
「で?」
俺の前に仁王立ちした悪魔兼おかん。
「だから門限に間に合わなかったのはそれ相応の理由があってでね・・・・・・いっつぅぅぅぅぅぅ!!!」
うん、鉄拳制裁なのは判ってました。
第二話「魔法の言葉は『ありがとう』だと?」
あれから、
俺と団吉は奴ら二人に飛び掛って行った。
飛び道具を持たない俺たちは接近戦をする以外に勝機はない。
右肩の黒く変色した痣を擦る。これはその過程において焦がした物だ。
奴らは向かってきた俺たちに対して完全に動揺していた。思えば、動かない的しか狙ったことが無い連中だ。動いてしかも向かってくる人間など初めてだったろう。
「絶対に眼を閉じるな!ケンカはびびった奴が負けるんだ!」
あいつの声は頼もしかった。本人には絶対に言ってやらないけどな。
三発。俺に向かって飛んできた魔力球だ。
一発あらぬ方向へ。二発目は肩をかすめた。三発目は地面で土ぼこりをあげた。
多少熱をもったが、魔導士に接近する為の代償を思えば安すぎるものだ。
このあたりから至極冷静な自分の思考に気がついた。
相手が動揺すればするほど、頭は冷えていく。
なるほど、これが「ケンカのやり方」か。勉強になる。
思わず口元が歪む。
それを見たあいつの顔は恐怖に歪んだ。
そうだ、もっと俺を恐れろ!
そうすれば俺が勝つのだから!
先行していた団吉がそのままの勢いで右腕を振りかぶるのを見た。
見よう見真似で俺も自分の相手に拳を振りぬく。二回目に振るった拳は一回目に比べるとマシではあったが、やはり団吉のようにはいかず体当たり同然であった。
だが、重要なのは次の拳に与えられた感触だった。
渾身の力だったはずなのに、宙空で始めはやんわりとしかし終端ではギリギリと停止してしまった。
まるで右腕に背後から伸びきったバネを取り付けられているようだ。ちょっとでも力を抜けばそのまま押し返されてしまいそうになる。
それを見た相手は、ハっとした顔で安堵した。
コイツ自身存在を忘れてしまっていたようだ。
これがフィールド魔法。魔導士を常に守護する力か。
言うなればこれが最初の壁。人と魔導士を隔てる壁だ!
だからこそ俺はこれをぶちこわす!
さっきの言葉を思い出す。ここでこいつを安心させたら駄目だ。なんとかしてビビらせるんだ!
それまで一度たりとて口にしたことがスラングが口から吐き出された。
「ケツの穴から腕突っ込んでリンカーコア引きずり出して潰してやろうかっ?!」
・・・・・・昨日テレビで見た魔法生物特集管理外世界編のせいだな。うん。
とにかく、成功したかしてないかは不明だが硬直した相手に組み付く。
狙いはデバイスだ。これを奪えば相手の攻撃手段を制限すると同時に戦意を削れることは間違いない。だが、当然ながら相手もそれに抵抗する。
「くそっ離せ!」
「お前の言うことなんか聞けるか!」
押し合い引き合いねじりながらも杖を奪い合う。
そして全体重をかけて押しつぶそうとしたら、二人揃ってもみあったまま倒れこんでしまう。
デバイスはっ?!
手元には無い。相手の手にもだ。
二人して首を廻し、先に動いたのは相手だった。
いち早く飛び出したそいつに飛びつく。その5m程先には目当てのものがあった。
崩れ落ちたこいつは腰にしがみついた俺の背中に肘を落としていく。
痛い。だけど最初からボロボロだった俺はもう痛みには慣れていた。興奮状態で脳内麻薬も過剰だったんだろう。
俺がこいつらに勝ってる点に一つだけ気がついた。
俺は痛みそして屈辱に慣れている。
泥仕合上等だ!
魔法に頼り切ったお前らが身を削りながら生きてきた俺に勝てるものか!
顔を上げ、振り下ろそうとした腕にしがみつく。代わりに足の裏が顔面に飛んできた。
「放せよ!この出来損ないが!」
嗚呼、言葉とは裏腹に焦りを宿した声の音が気持ちいい。それを聞くためなら、何度だってその汚い靴の裏を舐めてやろう。
思い出した当時の心境に思わず頭を抱えてしまった。
あいつと出会うまで俺はかなり追い詰められていたのだと今更ながらになって気付く。
もし、あいつと出会わなければ・・・・・・。壊れてしまうか、暗い復讐心に囚われて鬱屈したまま一生を過ごしたのではないかと思うと、暖かい湯だというのに寒気が走った。
耐えつつも相手の上に馬乗りになり両手を押さえたとき、そいつの顔は真っ赤に染まっていた。
主に俺の鼻血で。
けれど何故か負った怪我が誇らしく思えて、血が垂れるたびに相手の顔が赤と怖気に染まるのが快感だった。
しかし俺はここで途方にくれる。
有利な体制を築けても、ここから攻撃する手段がなかったからだ。
拳を落としても鈍い感触しか伝わらない。
そんなところでやはりあいつの助けが届く。
「レジッ!髪だっ、髪を引っ張れ!」
見ると、団吉は相手の頭を掴み引き摺り回していた。
全身に擦り傷だらけであったが、半泣きとなっているのは中腰となったそいつで、時折あまり効かない膝をもらって両手で顔を庇っていた。
そうか。
フィールド魔法は強い衝撃を緩和するだけだ。デフォルト設定ではそうなっていると習ったばかりではないか。
先ほど拳を打ち込んだ感触から察するに、液体状の膜が術者の身体を包み込んでるようなものだろう。
水面に拳を打ちつけてもエネルギーが発散してしまうのと同じ理屈だ。
なら、ゆっくりでいい。水中に腕を突っ込んでから攻撃すればいいということか。
すなわち、掴み引き摺り抓り噛み付き引っ掻き目潰し指折り鼻フック電気アンマ!!
なんだ、攻撃手段なんていくらでもあるじゃないか。
バリアジャケットには物理防御が掛かっている可能性もある。なら狙うべきは顔面だな。
俺はその頭に手を伸ばした。
もはやその時点で大勢は決した。
痛みに慣れない彼らが戦意を失うのは思いのほか早かった。
両者共に泣き出すまで痛めつけ謝ってきたことを確認し、デバイスを没収して帰らせた。
未練がましくデバイスに目をやるあいつらに対して、「さっさと帰らないとデバイスを壊すぞ!」と宣言すれば簡単だった。
正直生温く感じていた。
今までの恨みはこんなものでは済まないと思った。
けれど団吉が
「ケンカってのは、泣くか謝るか大人に言いつけた時点でそいつの負けだ」
とケンカのルールを教えてくれたので、それに則る事にした。
どうせ、俺の敵はたくさんいるんだ。あいつらも、このままやり返してこないという保証も無い。
そのときまで楽しみは取っておいてやろう。
ハハ、俺も傲慢になったな。今回勝てたのは奇跡みたいな物だ。もう一度やったら絶対負けるだろう。
なのに次のケンカが楽しみに思えるだなんてな。
「ひっでー、有様だなぁ」
団吉が俺の格好を見てそんなことを言った。
服は裂けて真っ赤に染まり砂だらけ。
擦り傷は全身だし、鼻から下は真っ赤に染まってる。
多分、あいつらよりも俺の状況の方がひどいだろう。
「お前と比べたらな。」
団吉は砂に塗れていたが、俺ほど酷くは無く出血もしていなかった。
「まあ自分慣れてますんで。」
そう得意げに返す。
夕陽をバックに誇らしげに笑うこいつを不覚にもかっこいいと思ってしまった。
その後、デバイスは遺失物(落し物)科に届けた。と言っても扉の前に放置してノックしたあとにダッシュしただけだが。
俺たちの格好を見て色々と聞かれるのがめんどくさかったからだし、ケンカのルールも守らなくちゃいけなかったからだ。
俺はあいつらのデバイスなんか破壊すべきだと主張したが、やはりケンカの領域についての講義を受け、器物破損と脅し取る行為には大きな差があることを学ぶ。
具体的には「借りていただけ」といういい訳が成り立つかどうかが焦点のようだ。
歩きながらお互いの経緯について話した。
団吉は目新しい街に目を奪われてるうちに迷子になったらしい。
迷子じゃない?自らの進むべき道を見失っていただけとか言い方を換えただけだろ。
そして、公園で俺たちを見かけて道を尋ねようとしたらああ言った経緯となったらしい。
幸い、住所自体は覚えていたようで俺が近くまで案内したらすぐに目的地は見つかった。
まあ問題はその後にあったわけだが。
団吉の母殿はなんというか今まで出会ったことのないタイプであった。同時に、ああこの二人は母子だと納得できるものがあった。
黙って外出したことと門限を破ったことに鉄拳制裁を施したところはまだ納得できなくはない。
だが、息子がケンカしたことを知った後の第一声が
「で、勝ったんだろうね?」となる親を俺は他に知らない。
団吉、お前もお前で何故「勿論だぜ!」とガッツポーズなんだ?
「ならばよし!」あ、いいのかそれで・・・・・・
なんというか今日は常識が崩れっぱなしだ。
ただ少しだけ、本当に少しだけだが親と本気で喧嘩できる関係を羨ましく思わないでもなかった。
その母殿の薦めで俺はこうして入浴していくことになった。本来なら送り届けたところで帰宅するつもりだったが、母子のやりとりにタイミングを逸してしまっていた。
遠慮はした。だが、子どもが遠慮するんじゃないよ!と無理矢理押し込められてしまった。善意を押し付けられて困るというのは新鮮な体験だ。
まあ、確かにあんな格好のまま帰れば母は卒倒してしまうかもしれない。ありがたく厚意に甘えることにしよう。
続いてこの家の最後の一人の住人を思い返す。
団吉の父殿は穏和な雰囲気を纏っており、どこか母に似ていた。
眼鏡と黒いスカートのような異世界の服を身に着けてるのが強いて言えば印象的だった。
母殿の鉄拳制裁から始まった母子喧嘩を目にしても、苦笑しながら息子の無事を喜んでいた。
だが、気になるのは団吉があの母殿よりも父殿の方を気にしていたように見えたことだ。それは、恐れによく似ていたが何か別の要素も混じっていたような・・・。
やはり、あの人もこの家の住人ということなんだろうか?鉄拳制裁をする様など想像するのが難しいものがあるが・・・うーむ。
そんなことを浴槽の縁に顎を乗せつらつらと考えていると浴室の扉はガラララと開いた。
「はあもう、おかんの奴ただじゃおかねぇ・・・
よぉ、いっい湯〜か〜な?アハハン♪」
「団吉か。」
「お?どうしたどうした〜?なんか暗いじゃねーか?」
「なんでもない・・・・・・いや、そうじゃない。
団吉、俺はお前に謝らないといけない。」
「はぁ?」
「・・・俺のケンカのせいでお前に怪我をさせてしまった。
お前の両親にも世話をかけてしまって、俺には謝ることしか出来ない・・・」
「・・・・・・。」
ただ、無言で頭を下げることしかできない。
今さらだろうがせめて謝りたかった。許して欲しいなんていえるわけがないのに、どこか心の奥底でそれを望んでる自分が許せなくて恥かしくて顔を合わせられなかった。
「くっれー奴。そんなことじゃ女の子にはもてないぞ?」
「・・・・・・。」
え、うそマジモード?という少し慌てた呟きが頭上から聞こえたような気がした。
「あーまー、あれは俺が勝手にやったことだ。だから、お前が気にする事じゃない。」
「だがっ、俺に会わなければお前も母殿に怒られずに済んだではないか!」
「あー確かに。」
グサッ。いやいや、判っていたことだ。これは俺が負うべき積だ。
あ、わりぃ今のナシな、おい。という声は耳には入らない。
「・・・はぁ。
おいこら、頭を上げろ!いつまで俯いてやがる!」
ノロノロと頭を戻すと目の前にはポークビッツ様と落花生殿が鎮座しておりました。
「『生きるってことは他人様に迷惑をかけるって事だ!』
母親の胎から生まれて、父親の加護を受けて、草が作った空気を吸って、生き物の命を喰らって俺たちは生きているんだ。
お前みたいにこんぐらいのことで謝ってたら全ての物事に対して謝り倒していかなきゃならんだろうが!」
なんだか凄くいい話をしてるような気がするが、その度にソレが顔に向かって揺れてくる。
まさか、これが報復なのか?!
「だから、動物は謝らない。当然という顔して他人から奪っていくだけだ。
動物ならそれでもいい。だけど人間には幸か不幸か言葉が生まれた。そして群れの中で人間関係を円滑に営むことに『ごめんなさい』は大きく貢献した!
やがて人類は複雑な社会を築ていく。原始的な欲求から愛情や善意等複雑な感情というものも育まれていった。だが、そんな中で『ごめんなさい』だけではうまく機能しなくなった。
当たり前だ。プレゼントをもらって『ごめんなさい』じゃ贈った方贈られた方両方の気分が悪いからだ。
じゃ人間はどうしたか判るか?」
やめろ!そんな身振り手振りで表すな、揺れるだろうが、ひょえええ、今のは危なかった!
おい、頼むから一歩下がれ!
土下座でもなんでもするから!出ないと、俺は一生心に癒えない傷を負ってしまうっ!!
「そう人間は『ありがとう』を作ったんだ。
他人からの恩恵を受けたとき、そこに意図したとか意図してないとかは関係ない。胸から湧き上がった感謝の心を『ありがとう』に込めて贈ったんだ。
だから、お前が言うべきは『あ・・・
「だから、離れろって言ってるだろうがぁぁぁっ!!!」
ブンッガン・・・ドタドタ・・・クワランクワラン・・・
「『っちょんぶりけっ??!!』」
注:手塚治虫の漫画作品『ブラック・ジャック』は1973年連載開始されましたが、劇中はその七年前となります。この矛盾に気付いたのは執筆から大分時間が経ってからでした。
時代考証に不手際があったことをここにお詫びし以後一層執筆活動に励みたいと思います。
はぁはぁはぁ・・・思わず、殴ってしまった。
ついでに俺の中のSAN値が減っていく音が聞こえしまった・・・
多分今の一撃ならバリアジャケットどころかシールド魔法も抜けれる気がする。
注:クトゥルフの呼び声(Call of Cthulhu)という同名の小説を題材とした(もお、ええっちゅーに)
「いっつー・・・俺今とってもいいこと言ってたんだぞ!輝いてたんだぞ!格好よかったんだぞ!
・・・・・・中身はお父さんからの受け売りだったけどな!」
「黙れ!前を隠さない奴が人間を語るな!
人間は服を着ることで猿から人間になったんだ!!」
「前って・・・・・・あ―――――っ!てめぇ腰にタオルなんて巻いてんじゃねぇ!
男はフリチンで親睦を深め合うんだよ!」
「フッ、フリッ?!」
「おう、Full RIsing The Innocence Nude DA!」
「こらっやめろ、無理矢理取ろうとするなっ!!」
「風呂には裸で入るのがマナーだぜ!ほうれほうれ、観念しやがれ!」
「や、やめろっ!来るな!文化を押し付けるなって言うだろうが!!」
「故郷じゃ『郷に入りては郷に従え』って言葉もあるんだよ!
そしてここはうちの風呂だ!」
「判った!判ったから自分で脱ぐから、手を放せっ!!頼む!この変態っ!!」
「誰が変態だ!・・・・・・あーもう決めた。絶対に脱がす!脱がしつくしてやる!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!!」
「こらっ、あんたら近所迷惑ってものを考えなっ!!!
引越し蕎麦持って行く前に苦情を受け取るなんてごめんだよ、あたしゃっ!!」
少年の暗鬱なる思いは湯気とともに夜空へと熔けていく。
喧騒は過去を解し新たな出会いを呼び込んでくる。
だが、それが少年にとっていいことなのか悪いことなのかの判断は読者である貴方に任せよう。
余談ではあるが、彼がその言葉を口に出来たのはそれから数年後初めての飲酒で前後不覚になった際であったと追記しておこう。
304 :
あとがき:2009/06/26(金) 20:15:52 ID:VzcYryhe
なんで小学生って下ネタ好きなんだろうねな第二羽でした。
途中規制くらったりもしましたが私は元気です
書いてる途中にマウスが壊れて使えなくなったりしたけど私は元気です。
バイト先が潰れたりしたけど私は・・・・・・ヒック・・・エグエグ・・・
三馬鹿カラスの作者です。
例え感想がなくとも待っているであろうサイレントマジョリティのために帰ってきました。
第三羽は予想以上に話が長くなってしまいこちらで確認したところ40kbを越えてしまいました。
・・・・・・何やってんだ私。
今日も規制が行われることが予想されますので、もし物好きな方がいらっしゃいましたら支援と感想をおねがいしたいと思います。
十分以上投下が行われない場合、離席してるか規制中となります。
最終的に今日中に投下を終了する予定であります。
スレを独占してんじゃねーよというお叱りの声などありましたらどうぞ仰ってください。
それでは投下させていただきます。
それでは再びあとがきにてお会いしましょう。
少年レジアス主役なのにオリ主ものでございます。
今俺は大事なミッション中である。
このミッションの重要性は短い俺の人生の中でも最大のものであると言ってもいいだろう。
何せここでしくじれば、最悪俺の命にも関わるのだから・・・
長い廊下を監督役の先導で進んでいく。
廊下は綺麗に掃除されており、そのことからミッションの成功率を上方修正する。
そして、一つの扉の前で止まった。扉の奥には大勢の野獣たちの気配を感じる。
監督役は「皆、いい子達だから緊張しなくていいわよ。」と言ったが、はっきり言ってその認識は甘いとしか言えないだろう。
この人は当てにならないと、改めて孤立無援の戦いだと気を引き締めた。
監督役の手によって扉が開かれ先ほどまでの喧騒はぴたりと止む。そのことから奴らはかなり錬度を伺わせた。
決して隙を見せないように監督役の二歩後ろへ続く。
その間俺を品定めする視線がぐさぐさと突き刺さってくる。果たして獲物か敵か、はたまた仲間か問うているのだろう。
監督役愛用の処刑台の横に立たされ、指示を待ってから慎重に口を開いた。
「第97管理外世界から来た時尾団吉です。
こちらの世界は初めてで色々と教えてくれたら幸いです。
これからよろしくお願いします!」
ペコリと頭を下げ反応を待つ。さぁ、どうだっ?!
パチ・・・パチパチ・・・
次第に増加していく拍手の音。
俺は第一フェイズを無事通過したことに安堵の息をもらした。
第三羽「学校は敵でいっぱいだ?」
「いつこっちに来たんだ?」
「三日前。手続きとか色々と面倒でさ。」
「家族と一緒?」
「お父さんとおかん、一家三人でお邪魔させてもらってます。」
「やっぱお仕事の都合?」
「仕事ねぇ・・・。まあそんなところかな。元々おかんがミッドチルダ出身で仕事場をこっちに移したんだ。」
「へぇー、もしかして管理局員?」
「そう、ショクタクマドウシって言ったっけ?それやってる。」
「すごーい!じゃあさトキオ君も魔法使えるの?」
「団吉でいーよ。その代わり、こっちも名前で呼ばせてもらうぜ♪
魔法はね、使えるらしいけどまだ何にも習ってないからよく判んないんだ。」
「よしっ、じゃあ俺が教えてやるぜ!
いいかシュートバレットはこんな風に魔方陣を組んでだな・・・・・・ドゴールッ?!」
「こんなとこで射撃魔法使うんじゃないわよ!こんの砲撃バカ!」
ドッと湧く俺の机を中心とした集団。
どうやらうまく馴染めたようだ。転校生という立場は嵐の中不時着しようとする飛行機の着陸によく似たものがある。
積極的になりすぎても引かれてしまう、消極過ぎてもめんどくさいと思われる。
雰囲気を読みつつも、何枚か被った猫の皮を少しづつ脱いでいく。
慎重に事を進めなくてはいけないが、同時に時間制限も存在する。
一般的に転校生の机にこうやって密集されるのはHR終了後とその次の休み時間までである。
これは男の比較的かっこいい奴の場合の話で、俺たちみたいないがぐり坊主の勝負時間はHR終了後から1限目終了開始までの短い時間までなのだ。
それまでに仲のいい人間―――出来れば自分の机の周りの男女両方が望ましい―――を作らなければならないのだからその困難さは熾烈を極める。
だが、ここで失敗すれば暗黒の学校生活が待ってるので絶対に失敗は出来ないのである!
ま、失敗したときはそのときで楽しくやってくバイタリティは持ってるつもりだけどなー。
「ねぇねぇ、ミッドチルダはどんな感じ?ダン君の世界と違うところはあるかな?」
おっと、今はミッション中だった。うまく言ってることに安心して一息ついてたぜ。
あと、そこのほんわかしたサイドテールっ娘。あだ名とはナイスだ!
苗字から名前呼び、君づけから呼び捨て、最後に愛称やあだ名が馴染んだ距離の無意識の目安だからな。
しかも、名前から取ったので俺のことだと判りやすいし、何よりカッコ悪くないっていうのはかなりポイント高いぞ!出来ればそれが浸透することを願う。
正直、ハゲ吉とか呼ばれることも覚悟していたからな。
天然な雰囲気を持つこの娘とは今後とも仲良くしていくことにしよう。
こういうタイプはクラスのマスコットになってることが多いしな。
「うーん、そうだな。
・・・・・・お、女の子が可愛い所かな・・・?」
う、本当はキラーンと白い歯を輝かせながらもクールに言うはずなのに、どうしてどもって顔が熱くなりつつなりながらですか俺?
やっぱいがぐり坊主にはそんなセリフにあわないって事ですね。判ります。ちくせふ。
ちなみに女の子が可愛いというの事実だ。
華やかで垢抜けてる印象がとても強い。
まあ女の子だけではなくてそれは男も同様の傾向があるんだがな。
こっちに来たばっかりの空港で、世のお姉さま方に「彩り鮮やか」なんて言葉を抱くとは思わなかったぐらいだ。
見ると女性陣は少しだけ顔を赤くして、男達はケッとでも言いたげな軽い侮蔑の眼差しを向けてきている。
やっちゃったか?けど後悔はしていない!
男は皆もてたいという潜在意識があるものだから!
男達には今度管理外世界から持ち込んだエロ本で親交を深めることにしよう。
やっぱ年頃の少年達の共通の話題はエロだろ?ただし、生々しい話はノーサンキューだ。
夢を見ていたいお年頃なんです。
「もー、やだー!そんな本当のこと言わないでよー♪」
バンバンと背中を叩かれて、さっきまでの空気が霧散していくのがわかった。
叩いたのは大口開けて哂う少女。なんか姐さんって感じだ。
彼女のツッコミで冗談として受け取られたらしい。要精進ってことだな。
「・・・・・・あー言っとくが、多分お前のことは含んでないと思うぞ。」
「ぬわんですってぇ!」
つかみ合いに発展する少年少女。よく見ればさっき魔法使おうとして吹っ飛ばされた奴と吹っ飛ばした奴だった。
周囲は、あーまた始まったと生暖かい微笑を浮かべている。
なるほど二人はよく言う幼馴染という奴ですね。
しかも普段は喧嘩ばっかりしてるけど実は両思いってパターンと見た。
うらやましい。
とにかく、おかしな雰囲気を壊してくれてありがとう。
二人の結婚式では友人代表としてスピーチしてやるからな!
あとまあ男の方。
そんな目で領有権を主張しなくても取ったりはしないから安心しろ。
多分その女はお前しか相手できない。
けど、女性陣と仲良くするにはその娘を通してが手っ取り早そうだから友達付き合いはしようと思うが誤解しないでくれよ?
「・・・あれ?」
「どうした?」
「いや、今誰か教室から出て行かなかったっけ?」
そう。後姿が視界の端にちらりと見えた。
それだけなら気にしないのだが、それがどこかで見たことがある気がしたから気になった。
「うーん、多分ゲイズ君かな?」
教室内のメンバーを確認して居なかった人間を検索したようだ。
ゲイズねぇ。なんだろう極最近、どっかでそんな名前を聞いたような気がするけど。
「そう、レジアス=ゲイズ君。学級委員長さんだよ。」
ああ、レジか!
ヤッベー、居るのに気付かなかったよおい。陰薄いんだなーあいつ。
いるならいるで話しかけに来ればいいのに。転校生にとって、一人知り合いがいるのと居ないのでは大違いなんだぞ!
しかし、委員長か。お似合いなことだな。
あいつみたいなタイプは押し付けられた役割でもきっちりこなすから重宝されるんだよな。責任感にあふれているというかなんというか。
そんなことを気楽に考えていた俺だから、次に一人の少年の発した言葉は予想外だった。
「ダン、ゲイズには関わらない方がいいぞ。」
はぁ?と目が丸くなる。
いや、確かに堅苦しい奴だけどそこまで言われるか?
と、思うが周囲の奴らは彼の言葉を否定しなかった。消極的な同意ってことか。
「どうしてだ?」
固い奴だが嫌われるような奴じゃないと思うんだが。
「どうしてってなぁ・・・」
聞いてみると魔法が使えない癖に成績は優秀で先生達の覚えも目出度い。
愛想は悪いし話しかけても会話を続けられないなど社交性は0。
そしていつも不機嫌そうな顔で見下されてる気がするということだ。
あたまいてー。
なんとなく感じていたがこの学校、いや魔法と言うものは一種のステータスなんだな。
俺からしてみれば、魔法が使える?うわーすげーってな感じだが、魔法が使えるかどうかで勝ち組か負け組みか幼いうちに決まるような風潮がある。
レジもなんかコンプレックス感じてたっぽいしなぁ。
多分、自分から孤立していくのを選びそうな感じがする。
「あのね、これはあんまり大きな声じゃ言えないんだけど・・・」
「ん?まだ何かあるの?」
これ以上懸念材料があるのか。聞きたくねーなぁ・・・
「ゲイズ君、あまりよくない人たちによく絡まれてるの・・・。」
「あ、それ僕もみた。うちのクラスのアルファとバルケッタだろ。
いつも校舎裏で上級生とサボってるよな。」
なんというAB識別法。
おいおい、小学生が授業をさぼるなよ。
10歳越える前に不良なんて呼ばれるのって恥かしくないのか?
「あいつに関わるととばっちり喰うからな。
ダンも気をつけろよ。」
善意から言ってくれてるんだろうな。
レジを厄介者扱いしてるのには憤りを感じるが、話を聞く限りそれはあいつの自業自得だ。
コミュニティのルールを守れなかったレジが弾き出されたのはある意味当然とも言える。
それに直接的な悪意を持ってるわけじゃないってのが難しいところだ。
何より俺を心配してくれた言葉に言い返してどうするんだよ。
なら彼らの言葉通りレジに関わらないべきか?
それは最高にカッコ悪いじゃねーか。
・・・・・・全く、異文化交流って言うのは難しいなぁ。
◆
屋上・・・・・・は、施錠されているのでそこに続く非常階段。
校舎からもその外からも見つかりにくいこの場所が授業の合間や魔法実技の時間、よく利用する場所だ。
教室内は騒がしくて駄目だ。それに煩わしい連中が絡んでくる。
そんなときはよくここに来る。専門校舎を間に挟んでるため、ここへ来る生徒はほぼいない。
敵だらけの学校の中でここは唯一平穏の場所だ。
・・・・・・敵か。
あいつも俺にとっての敵なんだろうか。
教室で改めてあいつの顔を見たとき、心が沸き立つのを感じた。
灰色の学校が四色刷りになったように思えたのだ。
だが、すぐに一つの事実に気がついた。
ここは魔法学校。
俺のような存在を除けば、魔法を使える奴しか通うことは無い。
案の定、あいつの口からその事実を聞かされた。
最初「裏切られた」と感じた。
なんであのとき一緒に戦った奴が魔法使いなんだと叫びたかった。
けれど、あいつはいい奴だ。そしてその血の源である、団吉の母殿も同様だ。
ならこんな思いを抱く俺が悪いのだろう。
魔法使いでもないのに魔法使いの群れにいるせいでどんどん汚れていっていしまう。
こんなちっぽけなプライドなど捨ててしまえればどんなに楽か。
だが、それはもう俺じゃなくなってしまう・・・
「レジ!こんなところにいたのか、探したんだぞ。
毎回毎回授業が終わったらすぐに姿消しやがって」
そこに居たのは団吉だ。
ああこいつは変わらないな。
どんな場所に居ようとも楽しんでいる。
俺にはそれが羨ましかった。すぐにネガティブな方向へと考える自分に嫌気が差す。
「ったく、一言ぐらい声掛けろよな!よく似た別人かと悩んじまったじゃねーか!」
ぷんぷんと言いたげに怒っている。
男に使う擬音ではないか。
息を大きく吸い込んで吐き出す。
大丈夫。一人は慣れてるだろ。
団吉のことは決して嫌いではない。感謝もしている。
こんなことを言えばお前は怒るだろうが、この社会のことを俺はよく知っている。
この世界には魔導士と人との間に大きな溝がある。そしてその溝を不用意に越えようとした者は迫害される。
だからここまでだ。
俺はお前のお蔭で一時の安穏を得られた。
だから、これからも戦っていける。
お前はそっちの世界で幸せに生きろ。
「団吉、もう僕に構わないでくれ。
お前が関わってくるのは迷惑なんだ!」
◆
アイツ―――レジアス=ゲイズ関わるんじゃなかったと今は心底後悔している。
あの日あいつをからかってたらいきなり切れだして、途中からよく判らん奴まで乱入してきて散々な目にあった。
次の日、あの変な奴が居ないと事を確認してから今度は本気で挑んでも何故か負けてしまうし。
あいつは急にケンカが強くなってしまった。
そのまた次の日、前回の反省を生かして丸坊主にして、更に人数まで増やして挑んでも結果は同じだった。
一体あいつに何が起こったんだ?
俺はお母さんが「ゲイズさんの子はあんなに優秀なのに、なんであんたはこんな成績しか取れないの?」と、引き合いに出された憂さ晴らししただけだったのに。
それに、あいつが俺たちを殴るとき「哂う」んだ。
それはそれは楽しそうに哂う。血だらけになって哂う。その哂いを見る度に身体が震えてくる。
魔導士と一般人の歴然とした力の差。
あいつはそれを理解して、俺たちを文字通り殺す気で攻撃してくる。
たとえ、俺たちが大怪我をしたとしても魔導士と一般人ではその立場も待遇も違うんだ。逆に、こんなことが表沙汰になれば俺たちの破滅となってしまう。
一般人は魔導士の言うことを大人しく聞いていればいいものをなんでこんな事態になっているんだ?!
正直、もう俺はあんな奴になんか関わりたくないんだ。
けれどもう事態は俺の手を離れて動き出している。昨日ノされた連中は、今日こそ復讐をと息巻いているし、事の発端である俺とバルケッタは逃げることは許されなかった。
そして放課後。
あいつは一人で俺たちの溜まり場である廃工場までやってきた。
手足や顔には治療の跡が見えるが、今日また傷が増えることだろう。
手には鞄がありその片側に大きく傾いてることから、かなり重い物が入ってると推測される。
対する俺たちは14人だ。
俺とバルケッタを最下級として、Eランク魔導士が4人、Dランクが1人。この人たちはいずれもデバイス持ちで、チーム全体のデバイス所持は合計して九人となる。
前回は五人がかりでも勝てなかったから、とうとうチーム全員で叩き潰すことになったのだ。
さすがにあいつもこれでは勝ち目が無いだろう。おそらく三人、いや多ければ五人近くはあいつにやられる気がする。
その中に自分が入るのことはどうしても避けたかった。
だから、あいつを呼び出しに掛ける時に「逃げてもいいんだぞ?」って言ってやったのに、心底おかしなモノを見るような目をしやがって!
「お前達のボスに言ってやったらどうだ?俺が怖くて仕方ないんだろう?」
とかのたまいやがって!言えるわけが無いだろうが!!
もう謝れば許してやるとかそういう話じゃなくなってきてる。
俺たちみたいな落ちこぼれの唯一の自負であった『強さ』。
学校の勉強なんかで評価されないところに価値を置いた俺たちは、例え馬鹿だと罵られても同世代の奴に恐れられることこそ拠り所にしてきた。
だからこそ魔導士でもない奴に負けるなんて事になれば、大したことない奴らだと舐められてしまう。
そうしたらもうどうやって生きていけばいいんだ・・・?
逆に俺たち全員掛りで倒したところで何か得る物はあるのか?
単に一人を袋にしただけの話だ。大人に見つかれば軽犯罪を喰らうこともある。
結局、得られるのはちっぽけなプライドだけだ。
嗚呼、このケンカにもう意味が無いって事をゲイズも上級生もどうして判ってくれないんだ!
◆
「泣いて謝れば半殺し程度で許してやるぞ?」
「ほざけ、群れることしか出来ないか弱い羊が狼を気取るな。」
余りにも短い言葉の応酬。それが戦闘開始の合図となった。
結局のところ両者は和解が出来るなど露ほどにも考えていなかったのだ。
バリアジャケットを身に纏った少年達の中から二人が飛び出した。
杖の先から近接用攻撃魔法の刃が形成されている。
また、一人は彼らのサポートにまわり、三人が誘導弾を詠唱しつつある。
残りは様子見を決め込んだ。
彼らにはまだチーム単位で動くと言う発想を持ち合わせていなかったことと、一人に掛かれる人数には限界があること。
そして何より、たかが一般人に魔導士が負けるはずが無いという侮りが根っこの所を支配しており、六人がかかったのは怨みが募っていた者と獲物を奪われたくない者、そしてごく一部の例外たちだけであった。
対するレジアスは鞄の中に両腕を突っ込みながらゆらりと身体を滑らせる。
その動きは決して早いものではないが、絶えず動き続け狙いを定めさせないためのものであった。
レジアスがまず鞄から取り出したのはゴーグルであった。
バイク用のヘルメットに装着されているようなもので、それを自らの頭の円周に調節してある。
それを右腕を鞄に突っ込んだまま装着するころには、フォワードの一人があと数メートルというところまで迫ってきていた。
魔力刃を振りかぶる。
レジアスに武器は無く、受け止めることなど不可能だった。
少年は自らの勝利を確信し、その呆気ないほど終端にやや落胆した。
だからだろう、自らの目を襲った激痛が信じられずに本能の赴く前地面に転がるしか無かった。
何が起こったか判らぬ少年は杖を放り出しその両目を擦るが一向に痛みはなくならない。
最後に後頭部から響いた、ズンという音が意識を断ち切るまで激痛は続いた。
それを見ていたものたちもレジアスが一体なにをしたかは理解できなかった。
鞄の中からベージュ色の長い袋のようなものを取り出したかと思うと、それを少年に対して振りかぶったのだ。
だがその手にした袋は杖に対して三分の一の長さしかなく空ぶった。だというのに、次の瞬間少年は地面にうずくまり、その頭にもう一度レジアスが白い袋を振り落とすまで立ち上がることは無かった。
魔法
皆の頭に一瞬その言葉が浮かぶ。
そして一様にその考えを打ち消した。それではここに至る経緯までもを壊してしまうことになる。
そこまではよかった。だが、得体の知れない攻撃に尚更恐怖を大きくしてしまったことが失敗だった。
魔導士達の一過性の心病として、魔法を過剰評価するというものがある。
魔法を駆使することで、それまで困難であった事を容易に解決できたことなどの経験によって魔法万能説を築いてしまうことである。
魔法に勝るものなし。魔法に打ち勝てるのは魔法のみ。
これらの病気は、魔法を覚えたての発症しやすく経験をつむことでゆっくりと解消していく。
もっとも高ランク魔導士の場合、解消されずに悪化し続け、選民思想などの重病に繋がるケースもあるので注意は必要である。
さて、彼らは落ちこぼれとはいえ魔法学校の生徒であり、素行不良であろうと職業を選ばなければ将来の不安はないという人間達である。
そんな彼らだからこそ、魔法と言うものに対する執着は強く、魔導士を人の上に見ている者が大半であった。
レジアスが理解できない方法で魔導士を倒したことは、それだけに衝撃的であっただろう。
見下していた者が魔法を使った?いや、魔法よりももっと恐ろしい力かもしれない。
そんな恐怖は皆の思考と足から時間を奪い、レジアスがもう一人突出してきた者に対して攻撃を加えるには十分すぎる時間だった。
「グワッ!!??い、いてぇぇぇぇっ血、血が出てるよっ?!」
振りかぶられた白い袋は、かなり鈍い音をして顔面を凪いでいった。
かなりの重量を有していると思われるレジアスの武器であったが、思わず顔を守ったため自らの手の甲で
鼻粘膜を傷つけるだけで済んだ。
だが、盾とした腕は骨こそ折れなかったものの無事では済まず、指が曲げられないほどの激痛が走っていた。
そして、それは彼にとって不幸だった。
「出血程度で吠えるな。今からもっと痛くなるからなぁっ!!」
そう言って更に攻撃を加えていくレジアス。
相手は振り下ろされるたびに激痛に悲鳴を上げ、やがて身体を亀のように丸め込み蹲る。
それでも攻撃を加えた結果、少年はごめんなさいごめんなさいとうわごとのように呟き出した。
レジアスは自らの戦略の正しさに歓喜しつつあった。
手に持っている白い袋。これは実のところただの靴下を重ねただけの物である。
それが武器として通用するのは、中に詰められると同時に全身に塗されている細かな砂によってである。
一般人が魔導士に勝つ最低限の条件として、その護りを抜けるだけの攻撃手段というものがある。
魔導士が戦場に出るに当たってその身は常にフィールド魔法に守られている。
最初のケンカ、そして次のケンカでではなんとかなっていたが、三度目多人数を相手に取った際自らの力不足を痛感することとなった。
レジアスが取れる手段は基本的に一対一でしか使えないものだった。
三回目は根性で結果的に見れば痛みわけと言った結果だったが、新たな攻撃手段を求めるには十分であった。
さて、フィールド魔法というのは全身を覆う薄い膜のようなものであると前回述べた。
その力は他の四種の魔法防御手段に比べると弱いものであるが、その分魔力の消費が少なく常時展開する魔法として最適なものである。
また特徴として簡易で展開が速く、他の魔法と併用しても思考要領を圧迫せず魔法同士が干渉しずらいというものがある。
それだけにフィールド魔法はありふれたものでその用途も多岐に渡り、戦闘の心得が無い物でさえ習得している基礎魔法の一つと言ってもいいだろう。
そしてレジアスがその対抗手段としての採用したのは殴打武器。
私たちが言うところのサップ、もしくはブラックジャックと呼ばれるものであった。
結果として、レジアスのこの選択は正しかった。
一撃でフィールド魔法を突き抜けられるかと言う不安材料はあったが、柔らかい砂が魔法の効力を受け止め発散させその本体に十分な衝撃力を与えた。
砂を目潰しとして使用するのも奇襲として十分な効果があった。
ケンカ場で目をふさがれることの危険性を十分に理解していたためである。
一つだけ失策があるとすればその耐久性だろう。
二人を倒したことで、既に繊維は避け穴から砂が漏れ出していた。
ここに来てようやく少年達は、あれが魔法でも未知の力でもなくただの目潰しであることに気付いた。
チッと舌打ちしたレジアスは蹲っている少年から視線を上げ、その手に持つ殴打武器を逆さに持ち少年達に対して大きく振りかぶった。
視界一杯に広がる黄土色の砂。思わず目を瞑った彼らだがそこに声が響く。
「プロテクション!」
一番奥に控えていた親分格。
唯一戦闘用のストレージデバイスを持つ彼が張ったバリア魔法が彼らを砂から防いだ。
「お前ら気合を入れろ!
あいつを一般人と考えるな。Aクラスの魔獣と考えて対応しろ!」
彼らの中に魔獣と戦闘経験のあるものなど存在しない。
だがその叱咤によって彼らの顔色は変わり、フォーメーションを組み始めた。
前衛と後衛。補助と攻撃。
もう彼らに油断は無い。
いつの間にか彼らが狩る側ではなく狩られる側に回っていることに肌で感じ始めたからだ。
そして、倒れている二人の少年。
ああはなりたくないから必死になる。
だが、
ようやく起こった戦意を無慈悲に刈り取る音が聞こえてきた。
ヒュンヒュンと鳴る風切り音。
レジアスの手にしていたのは鈍色に輝く鎖分銅。
それが頭上で円盤を形どる。
恐怖はより判りやすい痛みが作り出す。
それを目にした者はその分銅が自らに突き刺さる光景を、鎖が絡みつき自分を縛りながら加速していき最後に待っている止めを幻視しない者はいなかった。
故に誰もが攻撃を躊躇する。
あの狂気は一番初めに動いた者を獲物に選ぶからだ。
だが、このまま手を拱いていても阿弥陀くじで選ばれるのと変わらない。
レジアスが哂う。
その笑みを見た瞬間全員が動き出した。
ただただ恐怖に晒され続けることに耐えられなかったのだ。
そして今度は全員を巻き込んだ乱戦が始まった。
◆
その年頃にしては背丈の大きな少年は溜息をついた。
その目に映るのは惨澹たる光景であった。
彼のグループで無事な者は14人いるうちのわずか四人。残りの者はどこかしら負傷を負っている。
中傷者も二人いて、今は無事だったものが治癒魔法を掛けているが場合によっては病院に運ばなければならないだろう。
この光景を見たら相手は高ランク魔導士かと思うだろうが、それならまだ救いがある。
相手は魔法も使えないただのガキだと言うのだから、救えない。
彼の名はアーレクス=ズィート。魔法学園の生徒であり、そこの不良たちを束ねるボスである。
Dランク魔導士であり戦闘用のストレージデバイスを有する、ある意味学園最強を自称する者だ。
四肢を魔力光を発するわっかに縛られた、まだ十に満たない少年に対しても目を向けた。
全身に決して軽くは無い怪我を負っていても未だその目は食い殺さんとばかりに憎悪が渦巻いている。
『魔導士殺し』
ふと、授業で聞いた魔法使いの天敵として知られる存在の名を思い出した。
そいつは魔力を持たないというのに、高ランク魔導士にも勝利できるという稀有な存在。
歴史的に数回その存在が確認されただけで、その発生の経緯も完全に謎である。
アーレクスはもしかしたらその誕生の瞬間を目にしているのではないかと感じた。
十年後自分はいけてもBランク魔導士が精々だろう。だがこいつはAAAランク魔導士すら凌駕する存在になるのではないか。
常識では考えられないことだったが、もはやその常識は先ほどまでの出来事で破壊されている。
ありえないということこそありえない。
「おい、お前俺の子分にならないか?」
「なっ?!」
「何考えてるんすかズィートさん!こいつに何人やられたと思ってるんすか?!」
その叫びは尤もだった。
だが、アーレクスにとってチームを半壊状態に追い込んだレジアスを憎いと思うと同時にその手腕に敬意を払いつつあった。
出来ることなら取り込みたい。こいつを対魔導士用の切り札として育て上げたい。そんな思いがアーレクスの心中にふつふつと湧いてきていた
単に仲間達が集まってまた何かろくでもないことを始めようとしてたので監督役として顔を出しただけのつもりだったが、自らも戦闘に参加せざる得なくなりこんな逸材に出会えるとは思っても無かった。
「お前達は黙ってろ!
どうだ、どうせ俺たちは落ちこぼれの集団だ。お前が入ったところで気にするものは誰も居ない。
この学校で魔法を使えない奴は他に行き場は無いだろ?」
レジアスは唾を吐き捨てた。
「魔導士なんかと組めるか」
「そうかそいつは残念だ。」
アーレクスは心のそこからそう思った。
レジアスにとって魔法、そして魔導士という存在は敵そのものなのであろう。
そして今や魔法とは世界そのものである。レジアスは世界の敵となることを選んだのだ。
こいつはいずれ世界に禍をもたらす。ならせめてその牙をここで折っておくのが、不良とはいえ社会の構成員としての義務だとアーレクスは考えた。
一つの才能を己の手で潰すことに思わないところがないわけではない。
だが、いずれ誰かの手によってなされるのならば、せめて戦った俺の手で行うと言うのも情けだろう。
「お前ら、手が空いてるものは非殺傷設定で砲撃用意。
こいつに俺たちに逆らうとどうなるか教えてやれ。だが、絶対に殺さずこれ以上怪我もさせるな。」
殺すのはその心だ。
こいつが俺たちに対してそうしたように、魔導士に歯向かったら酷い目にあうという恐怖を矯正出来ないレベルで叩き込む。
アーレクスの指示を受け数人が杖や指先に魔力を収束し始める。
ゆっくりと上げられたアーレクスの右腕が今降ろされようとしたとき、あたりは一斉の破裂音と白煙に包まれた。
◆
バンッババババババババッ!!!
レジアスは目を瞑り歯を食いしばった。
だがいつまで経っても衝撃は襲ってこなかった。
周囲からは断続的に続く破裂音と悲鳴?が聞こえてくる。
この独特の肩透かし感には覚えがある。
だが、あいつが現れるはずが無い。
そう考えたとき、それを否定する頭の悪い会話がレジアスの耳に入ってきた。
「な、なんだお前は?」
「ふっ名乗るほどの者じゃありませんよ。」
「いや聞いてるのはこっちなんだから答えろよ。今何かやったのはお前なのか?」
「うぃっす。地球産の爆竹っす。お近づきの印にどうぞ。」
「な、なんだこれ?」バンバババババババ「うわぁぁぁぁ、質量兵器だぁぁぁ!」
「いや、爆竹だよ?」
両腕を縛られていなかったら頭を抱えたことだろう事は堅くない。
仕方なく顔を上げると、飄々とした顔で「よっ」と片手を上げた団吉がいた。
なんでここにいるんだお前は。俺がどういう気持ちで別れを告げたか判ってないのか?
ともすれば男女の痴情のもつれとも取られないかねない脳内思考だったが、それを指摘できる者は幸か不幸か誰も居なかった。
「・・・・・・んで、お前はそいつの関係者なのか?」
「その通り。というわけで、あいつに掛かってるバインドでしたっけ?外してもらえませんか?」
「はぁ?何言ってんだよ。んなこと出来るわけねーだろが。
お前も痛い目に遭いたくなければあいてててててててててててっ!」
団吉の肩を強く押して脅そうとした少年だったが、反対にその指を取られ捻り上げられ固められてしまう。
レジアスを除けば唯一団吉を知るアルファとバルケッタは止めようとしたが間に合わなかった。
「・・・・・・えーとそこのオヤビンって顔のおっさん。
この通りです。どうかお願いします。」
「ぎゃぁぁぁぁぁ、動くなぁぁぁぁぁ!!」
アーレクスをボスと判断したのか頭を下げ誠意を見せようとするがセリフが噛みあっていない。
ついでに言うと固めた姿勢のまま上半身を倒したため、指を取られた少年の悲鳴が大きくなる。
案外、要求が通らない場合こいつがどうなってもいいのか?という脅迫なのかもしれない。
「・・・・・・解いてやれ」
「やった。いやー話が判る人で助かります。
はい、先輩ももう放しますからすいませんでした。ちょっとだけ邪魔しないでくださいね。」
団吉は拘束していた奴を放した。そいつは不満がアリアリと見て取れたが、また同じ目に遭うことを恐れたのか大人しく引き下がっていく。
周囲もいきなり乱入した闖入者に対して様子見のようだ。
音も無くバインドが消えた。
「何しに来た!お前は目障りなんだ、もう俺に関わるなって言っただろうが!」
本当はこんなことは言いたくない。助けに感謝を告げたい。
だが、団吉まで巻き込みたくないからこそ俺は決別したんだ!
だから次の言葉は予想もしなかった言葉だった。
「レジは俺の友達だ。そのことを告げに来た。」
「なっ?!」
何を言ってるんだこいつは?
この状況で言うことなのか?俺の言うことを聞いていなかったのか?いやそもそも・・・・・・
頭の中は疑問の海で決壊寸前だ。
周囲の奴らも困惑気味である。
駄目だ、団吉も仲間と見なされたらこいつもターゲットになってしまう。
「お、お前なんか友達じゃない!そもそも俺に友達なんかいない!」
「おいおい、カッコ悪いことを堂々と言うなよ。」
苦笑しつつ団吉は呆れていた。一体誰のせいだと思って居やがる!
「けどな、レジアス=ゲイズは時尾団吉の友達だ。お前がなんと言おうと俺はそう思っている。」
全く一方的に言って逃げるなよなー。とか愚痴が続いているがそれどころじゃなかった。
「違う!俺は友達なんて要らない!お前なんか大嫌いだバーカ!」
「俺は割りとお前のことは好きだぞ。性的な意味じゃなくな。」
「な、何言ってんだよ!俺は違うって言ってるだろうが!」
「それはお前の理屈だ。俺たちは友達だと決めたんだよ。」
「ふざけるな!
魔法使いとただの人間が友達になれるわけないだろ!」
「え?そうなの?」
さも意外と顔で周囲に団吉は確認を求めたが、そいつらはいきなりの質問に答えられないで居る。
ああもう、ここには馬鹿しかいないのか?!
「当たり前だ!
魔法使いと一般人には超えられないぐらいの力の差があるんだ!
それは種族の違いとも言っていい。猛獣と友達になろうとする奴がどこにいる?!」
「日本にはいたけどなぁ、ライオンに頬擦りする王様とか・・・。あ、そういう話じゃないか。
うーん、つーかさそもそも俺は魔法使いじゃないし。ほら、解決♪」
「お前の母は魔導士だし、お前もそのうち魔法を使えるようになる!
お前はどうやっても魔導士なんだよ!」
自分でも段々と何をしゃべっているか判らなくなってくる。
けど、熱い胸のうちが言葉となって飛んでいくのを感じている。
泣きたくなって情けなくなってそれでも身体から熱がどんどん湧き上がっていくのが判る。
「なぁレジ。
その魔法使いとか魔法使いじゃないとかで分ける考えやめないか?」
「は、・・・・・・はぁ?!」
「いやな。
魔法が使えても魔法を使えなくても、俺は俺だ。
お前だってレジはレジじゃんか。」
「違う!ここはお前のいた世界と違うんだ!」
ああ判れよ。
この世界には魔法使いとそのおこぼれにあずかって生きてる人間しかいないんだ。
俺はそんなのは御免だ。魔法になんか頼らずに生きていけるって事を証明してやる。
全身が炎に灼かれているようだ。
もはや痛みは熱に塗りつくされた。
わずかな感覚を頼りに身体を起こしていく。
だけどあいつらに従って生きることよりも俺は戦うことを選ぶ。
俺はやっとのことで目の前に立っている団吉と視線の高さを合わせた。
「団吉、まだお前には判らないかもしれない。
けれど、魔法使いかどうかで職業も生き方も変わるのがミッドチルダだ。
魔法使いじゃ無い者は常に魔法に怯えて暮らさないといけない。魔法に対抗できるのは魔法だけだから魔法使いに反抗することも許されない。
ただの人間にとって魔法は潜在的な敵なんだよ。」
もし、こんな世界じゃなければ友達に成れてたかもな・・・・・・。
それが至極残念でならない。
「そこを退け、団吉。
お前まで俺の敵になってくれるなよ。」
武器は無い。
もはやこの身一つだが引くわけには行かなかった。
「・・・・・・・・・・・・ねぇな。」
え?なんだ今、団吉が何か呟いたか?
「・・・・・・勿体無いって言ったんだ。
なんだよお前。偉そうなこと言ってやってることはただのチンピラ相手の八つ当たりじゃねぇかよ。」
「なっ?!
お前に何が判る!
この世界をよく知らない奴が口を出してくるな。いいからそこをどけ!」
「どかない。
世界はどうか知らないけどな、レジのことなら判るぞ。」
団吉はその両手を広げて立ち塞がる。
「は、はははは。知り合ってたった数日だというのに、やっぱりお前は魔導士だな。
俺はその傲慢さが許せないんだ!」
「友達が馬鹿なことやろうとしてたら止めるのがかっこいい男だろ?
どうせ一度使ってしまったんだ、お前の気が済むまで付き合ってやるからかかってこいよ、レジ。
先輩方も邪魔しないでくださいね。こいつはおれが方つけますんで。」
溜息を付きながら指を曲げて来いと言っている団吉。
お前なんか大したことないと挑発された気がして一気に頭に血が上るのがわかった。
「その余裕がお前らの弱点だ、魔導士ぃぃぃっ!!」
「馬鹿野郎。お前にケンカのやり方を教えたのは俺だぞ。」
ダンッ
「ガハっ?!」
気付いたときには天地が反転していた。
そして右腕と背中が擦り剥けていく感覚。
「よし、しっかり受身は取ったな。」
地面に寝転がって、青い空をバックに哂う団吉を見上げている。
一体何が起こったか判らなかった。団吉に怒りのまま殴りかかって行って、気付いたら痛みとともに寝かされていた。
「さて、まだやるか?」
俺から二、三歩離れて問いかける団吉の顔は余裕そのものだ。
やはり癪に障る。
膝に手を付き俺は立ち上がった。
「当たり前だ!」
「ちなみに今のは体落としだ。どんどん投げていくからしっかりと受身を取れよ。」
「敵に呑気に話しかけるな!」
俺は団吉に走り寄る。
だが、二度同じ失敗しない。
先ほどは殴りかかったからその勢いを利用されたんだ。
今度の狙いは掴み合いだ。
しかし、あいつの服を掴んだ瞬間、下半身が消滅したかのような錯覚を受け気が付いたら肩から地面に落ちていた。
「出足払。」
「ぐぅっ?!・・ゲホゲホゲホッ!」
肺の空気が一気に圧し出されて一時的な酸欠に陥る。
四つんばいになって涙目になりながら息を吸うことしか出来ない。
「お、おい大丈夫か?」
なんて情けないんだ。
敵に心配してもらうなんて。
けれど、こんな姿を団吉に晒すことは耐えられない。
立ち上がれたのはただの意地だった。
「な、げほっ・・・・・・なんともない!行くぞ!」
大外刈
「ぐはっ!」
大腰
「がぁっ!まだまだぁ!」
小内刈
「ぐぐっ次ぃ!」
内股
「はぁはぁはぁ・・・・・・こ、こんなところでぇ!」
何度も何度も投げられた。
地面に叩きつけられるたびに心は削れていく。
なんでだ!なんで俺は団吉に勝てない?
これが力の違いなのか?やはり、人間なんかでは魔導士に勝てないのか?
負けちゃいけないのに・・・・・・僕は負けちゃいけないから俺になったのに・・・・・・
ポツン
地面に黒い染みができた。
雨かと思ったが。空は晴れ渡っている。
ポツンポツン。
また出来た。
ああ、泣いているのか僕は・・・・・・。
その事に気付いてしまったらもう立ち上がれなくなった。
「動け!動けよ!魔導士は敵だから・・・エッグ・・・戦わなくちゃいけないのに・・・グスッ」
◆
レジアス=ゲイズという人間を紐解くと、その経歴に二つの物が浮かび上がる。
「戦闘機人化計画」と「アインヘリアル」。
いずれも強大な力を有した兵器であるが、それ故に多大な予算を必要とする。
では何故彼がこの二つの計画に拘ったのか?
地上戦力を増強するなら他の手段もあったのではないか?犯罪者とさえも取引して推進したのは何故か?
私は一つの仮説として「魔導士へのコンプレックス」を挙げたいと思う。
彼はその志の高さに見合った能力を持たなかった。
魔法という存在は劣等感を彼に与え、地上勤務となってからそれは幾分和らいだもののやはり本局と言う高ランク魔導士の巣と敵対していた彼が、魔導士を敵視していたことは想像に難くない。
それ故に、彼は「魔導士ではなくとも魔導士よりも協力な兵器」を欲したのではないかと私は見ている。
もし彼がJS事件の際死亡することが無かったならば、今頃魔法は一つの手段としての地位まで落とされ、科学と魔法が融合した今とはまた違った世界が築かれていたかもしれない。
歴史にIfは禁物としても、近年再評価されているゲイズ氏が目指していた物が何なのか?
それは今後もミッドチルダの守護を預かる者として、知っておかねばならないのではなかろうか。
とある名も無き武装局員:著「大地の星空」より抜粋
◆
「くそっ、くそっ、チクショウめぇ!
どうしてだ!どうして勝てないんだ!」
レジアスは地面に拳を打ちつけることしか出来ない。
涙はもう止まらないし、立ち上がる気力も無い。
団吉を除く全員はただその様子を見ているしかなかった。
何故なら今の団吉の姿は自分と重なるものがあったからだ。
何も最初から彼らとてぐれていたわけではない。頑張っても報われない日々は皆が同じように経験していた。
「いや、思った以上に強くなって驚いたぞ?」
息一つ乱していない奴が何を言う!
「慰めなんか要らん!魔導士・・・・・・魔導士なんかに・・・っ!」
「いい加減魔法に拘るのはやめろ!
お前はそんなものがなくても強くなれるんだ!」
「嘘をつくな!」
「こんの、頑固者が!思い返してみろ!
俺は一度だって魔法を使ったか?そんなものに縋らなくても人は強くなれるんだよ!」
あ・・・ああっ!・・・・・・
確かにこいつは今まで魔法は使わなかった・・・・・・
「な?
お前は強くなる。友達の俺が保障してやるからそれを信じろ。」
「・・・け、けどそれは今までお前が魔法を知らなかっただけじゃ・・・。」
「ああそうだ。それが俺の強さだ!
魔導士だとか魔導士じゃないとか勝手なレッテル貼ってるんじゃない!
魔導士だから強いんじゃない、俺だから強いんだ!
お前だってそうだろ?
お前が魔導士じゃないから魔導士に勝てたんじゃない、お前がレジアスだから勝てたんだ!
そのことをもっと誇れよ!
俺が友達になりたいって思った奴を貶すんじゃねぇ!」
そんなことを言われたのは初めてで・・・・・・
「はぁ全く勿体無いぜぇ
お前が本気になれば主役になれるじゃねぇか。
こんな八つ当たりでケンカするみたいな、そこらのモブやしょっぱい悪役路線なんかじゃなくてよ。
男なら、俺にしか出来ないような主役を目指そうぜ!」
俺は誰かに認めてもらいたかったのかもな。お前は頑張ってるって・・・・・・
「お前に夢とか無いのか?
俺はな、サイコーにかっこいい男になるのが夢だ!
見た目も服装もダサいし、お前が悩んでるときもこんなださいやり方しか出来ない。ついでに言うと、言ってることはテレビや本からの引用だ。
けど、それでも目指しているんだ!
他人に文句はつけさせねぇ!」
俺の夢か、なんだっただろうか・・・?
「おい、そこのおっさん。
あんたの夢はなんだ?」
団吉は俺が咄嗟に答えられないでいると奴らのボスを指名した。
「お、おっさ?!俺のことか?」
そいつはいきなりのことに戸惑ったが団吉が頷くと
「わ、笑うなよ?」
「人の夢を笑うなんてカッコ悪いことはしねーよ。」
団吉のその言葉に覚悟を決めたようだ。
「俺は管理局に入って出世するんだ!
そんで母ちゃんに楽させてやりてぇ・・・・・・。」
やや頬を赤らめてぶっきらぼうに言うこいつに俺は驚いた。
何も考えずにチンピラになるだろうと思ってたこいつにこんな夢があったなんて・・・
「そうか、いい夢だな。」
「お、おう!」
団吉はそれを嘲笑わずにそう讃えた。
そいつはそれに対して胸を張って力強く頷き返し。
俺にはそれが羨ましかった。
「そこの右の先輩、あんたの夢は?」
「お、俺は料理人だ!自分の店を持ちたいんだ!」
「頑張れよ。」
「ああ!」
「その隣の先輩は?」
救助隊、作家、レーサー、建築家etc・・・・・・・
こいつらがまさかそんな夢を持っているなんて全く思いもしなかった。
いや、知っていたとしてもなれる訳が無いと切って捨てただろう。
だが、団吉はそんなことはせずに応援している。
そのたびにあいつらは喜色を浮かべた顔で力強く頷き返していった。
出来るとか出来ないじゃないんだ。
夢を持ったら目指さずには居られないものだ。
俺もあんな風に胸を張って自分の夢を語りたかった。
けれど、いつのまにか分不相応だと恥かしくなって、興味が無くなったフリをしていた。
あれ?俺の夢ってなんだったっけ?
自分を誤魔化しているうちに何か解らなくなっていた。
魔導士に勝つこと?
違う、そんなのは団吉が言ったとおりただの八つ当たりだ。
魔法使いになること?
それも違う。だったら、とっくに諦めることが出来ている。
皆を見返すこと?
近いけれど、それは途中から入れ替わったんだ。
最初に抱いた夢はなんだ?
「レジ、お前の夢はなんだ?」
チームの奴らが一通り宣言し終わり、全ての視線が俺に集中した。
俺もそちらがわに入れて欲しい。
思い出せ、一番最初に湧き上がったあの熱い気持ちを思い出すんだ!
『僕の夢は父と同じく時空管理局で平和と安全のために為に戦うことですっ!』
ああこれは学校の課題だったな。
幼き日に、まだ父が優しかった頃、父の背中に憧れたんだ。
『ミッドチルダの平和はパパが守っているんだぞ』
そう言って僕の頭を撫でて、母はそれを微笑ましく眺めていた。
いつしかその風景は失われてしまったけど、あのときの気持ちだけは忘れなかったんだ。
「俺は、このミッドチルダが好きだ。
この世界の安全と平和の為に働くことが俺の夢だ・・・・・・っ!
魔法が使えない俺がこんなこと言うのはおか「ストップだ!」」
団吉は俺の言葉を遮った。
そしてこう言ったんだ。
「大丈夫だ。お前なら出来るさ。」
もう一生分の涙は出し尽くした。
一番欲しい言葉を貰えた時、泣くしか出来なくなるんだと知ったのもこのときだった。
それ以後、団吉や元不良グループ達にはこのことで度々からかわれることになる。
それは恥かしいことではあったが、悪い気はしないのは何故だろうか?
あれから数年経っても、その問いに答えは出ないという・・・・・・
◆
あの日から俺ことレジアスゲイズの生活は相も変わらず続いている。
代わり映えしない毎日ではあるが、その心境が変わる事で劇的な変化を遂げている。
「レージアースくーん。がっこーいこー♪」
・・・・・・またあいつは。
近所に迷惑で恥かしいからやめろというのに何度言っても聞きやしない。
母さん、そんな急かさなくてもいいから。しかも、なんで嬉しそうなのさ?
不思議なことにあの日から母の笑顔が増えてきた。
思えば俺はいつも何かに対して苛付いていた。それが解消されたのが移ったのだろうか?
「はいお弁当。車に気をつけていくのよ。」
「解りました。それでは行ってきます!」
母が振る玄関から扉を開ける。
そこには何時も通りあいつがいるはずだ。
「もー団吉君たらお上手ね♪」
「いえいえ、俺は思ったことがそのまま口から出てるだけですよお姉さま。」
・・・・・・いるにはいたが、そこに姉までいた。
「おい、なに人の姉さんをナンパしてやがる。」
「やぁ、レジアス君。今日もいい天気だね♪」
「レジアス、お友達を待たせちゃ駄目でしょ。めっ」
「なぁに、レジアス君はお姉さんが取られそうで焼餅やいてるだけですよ。」
「まあそうなの?ごめんねーちゃんとレジアスにも構ってあげるからね。」
抱き締められて頭撫でられる。
む、胸が当たっています姉さん!
こら、団吉俺の後ろに並んで順番待ちしてるんじゃない!
「ね、姉さん。もう仕事の時間ですよ!遅れるとまた上司に怒られますよ!」
「あ、ほんとだー。じゃあね、団吉君。レジアスのことよろしくね♪」
「はっはっは、勿論ですとも!だから、俺にも是非ともハグを・・・・・げふっ!」
「それでは姉さん俺たちも行ってきます!」
「はーい。いってらっしゃーい!」
笑顔で手を振る姉を背中に、俺は団吉の襟首を掴みながら進み始めた。
「全く、何故毎日律儀に迎えに来るかと思えば姉さんが目的だったんだな!」
「他にどんな理由が男を迎える理由になるんだよ!」
「逆切れすんな!もういい、明日からは俺がお前の家に迎えに行ってやる!」
「げっやめろよな!おかんにお前と比べられるのとかマジ勘弁。」
「ふっ、俺はお前の母殿に気に入られてるからな。」
そう何故か気に入られている。
まあ素直でマナーがいい俺は団吉の友達の中でも極稀だからだろうな。
本人は否定しているが、団吉の交友関係は基本的に悪餓鬼ばっかりだ。
「よし、学校まで早く着いたほうの言うとおりだ!」
「そう言うと思ったぞ。先に言ってるからな!」
「あ、てめ卑怯だぞ!」
「言い出したのはお前だろうが。先読みしたのは俺のアドヴァンテージだ。そうそう譲るつもりは無い!」
「まぁてぇぇぇぇぇい!ル○〜ン逮捕だぁ〜〜〜〜!」
なんだよ○パンって!
「ゼハー・・・ゼハー・・・やるじゃねぇか・・・!」
「そ、それでも・・・お前の勝ちか・・・・・・この化け物め・・・っ!」
校門をくぐった時、1mの差で俺の勝ちだった。
だが恐ろしいことにレジは日々早くなっている。
最初は俺の圧勝だったのに、今日はほぼ差が無くなっていた。
トレーニングの量を増やすことを決意し、汗を拭きながら俺たちは教室への扉を開いた。
「あ、おはよーっす。ダンさんもゲイズも。」
「今日も全力疾走っすか?元気ですねー」
真っ先に挨拶してきたのは教室の後ろで駄弁っていたアルファとバルケッタだった。
「お前らね、敬語はやめろって言ってるだろ。」
「いやいや、ダンさんはズィートさんも一目置く人ですから。」
「そうそう、それに俺は尊敬してるんすよ。ため口なんてとてもとても・・・。」
そう、何故か先の一件で俺はこいつらに気に入られてしまった。
それ自体は特に問題ないし、そのお蔭であの一件は丸く収まったのだが、授業に出るようになったこいつらが俺の周囲を纏わりつくせいでクラスメイトに怖がられてしまっている。ちくせふ。
今じゃ気軽に話しができるのは、レジかこいつらだけだ。まじむさ苦しい。
ええい、お前ら俺の桃色学園生活を返しやがれ!
「ふっ、哀れだな。」
「おいこら、思っても口に出すなよ!つうかお前のせいでもあるんだからもうちょっと申し訳無さそうな顔しろ!」
「・・・・・・・・・。」
無反応。
何こいつ実はホモとか?いやっ俺もしかして狙われてる?!
実際校内水面下で、レジアスへタレ攻めか団吉俺様受かで抗争が行われてる事実を知るのはまた別の話。
「あーダンさん、ゲイズもちょっといいですか?
ズィートさんが放課後話したいことがあるらしいっす。」
戦々恐々としている俺にアルファはそんなこと言ってきた。
「あー、なんだ改まって?おっさんならいつも気軽に話しかけてくるじゃねぇか。」
「それが、Cランクに昇格したことでズィートさん管理局からスカウトが来たらしいっす。
そのことで色々相談したいとか。」
「そうか。じゃあ行くって伝えといてくれ。レジもそれでいいよな?」
「ああ。多分、管理局に一番詳しいのは俺だろうからな。」
レジも頷く。
そのことに戸惑ったバルケッタが色々とレジに聞いてるようだ。
曰く、管理局に他人が入ることに嫉妬がないのとかどうとか。
それに対する返答は
「嫉妬が無いわけではない。
だけど今は自分に何が出来るか考える段階だ。人の進路に焦る余裕は無いな。」
とのことだ。
ちなみに俺はこっちの勉強をしようとしてもその文字がネックになっている。
会話だけは魔法でなんとかしているが、読み書きに関してはおかんに禁止されて翻訳魔法をつかうことを許されなかった。
教師も出来ない子は置いていくって厳しいタイプなのでほぼ毎日レジに頼み込んで教わっている現状だ。
文句を言いながらも付き合ってくれるレジには感謝してる。可愛くておっぱいぷるんぷるんで女の子じゃない部分を除いてな。
こっちの奴らはどいつもこいつも進路決定が早すぎるよな。
お前らもっと遊べよ。若い時間は二度と来ないんだぞ?
こっちに来てスカートめくりしても許される年頃じゃないってことを知ったときには泣いたね。うん。
いや、したいわけじゃないわけでもないんだけど、出来ないとなると悲しくなるもんさ。
ほら、女の子との接し方って難しいしさ。
ま、そもそも近寄ってこないがな。目合わせたらさっとそらされるんだぜ?およよよよよ。
ま、まあそんなこんな色々ありながら俺たちはこの幼年期を思い思いに過ごしている。
ケンカしたり慰めたり協力したり怒られたりと、いつも子どもらしく全力投球だ。
いつか大人になったときに笑って語り合えるような思い出になればいいなと思う、時雄団吉九歳の春なのでした。ちゃんちゃん。
第三羽「学校は敵でいっぱいだ?」 了
あとがきという名の言い訳
今回は難産でした。ついでに今でもこんな形でいいのかと悩み中。
ベストは尽くしましたが、正式に公開するときは色々手直ししたいですね。二羽目は正直無かったことに・・・・・・
オリキャラによるSEKKYOUになってないかとか、いくらなんでもレジアス強すぎない?だとか
一応問題ない範囲に収められてるとは思いますが読者の認識の方が優先される世の中ですからね
中身で語れという言葉が重く圧し掛かってくる〜〜〜
あー次回は主役陣最後の一人、ゼストが登場予定です。
それでは 第四羽「もう一人の魔法少年だと?」でお会いしましょう。
感想批判などお待ちしております。
PS:SSスレにこのレス誤爆してしまいました。
最後だけ誤爆なんて都合がいいよね。俺もそう思う。
ご迷惑かけて申し訳ありませんでした
三馬鹿烏の作者です
色々と考えた結果、より多くの人に見てもらおうとarcadiaに活動の場所を移すことにしました。
今まで応援してくれた方ありがとうございました。
まあ、一番たくさんの人に見てもらえるのはarcadiaだろうな
がんばって
「フェイト、フェイト」
「なに、アルフ」
「おにくはあるかい?」
「さっき食べたでしょ」
「ある〜ん」
⌒*(・∀・)*⌒ 山田君、
>>333さんの座布団一枚持っていってなの
だれか高橋孟の海軍めしたき物語もとい、管理局めしたき物語を書いてくれんかなぁ
Gパン捜査官海鳴戦記なら
だれかアースラの詳しい資料もっていない?
平常時の乗員数、シフト、科の種類とかそういったもの
二期までのキャラクターの資料で
・全員のBJ全身立ち絵・背面有り
・ヴォルケンズ・ユーノ・クロノ・エイミィあたりの私服
・全デバイス・展開前含む
上記、色も分かると尚良い
の条件だと普遊舎の一期/二期ビジュアル本がベスト?
イラスト描くのに資料欲しいなと思ったのだが
結局買っちゃったよ普遊舎本
クロノ扱いちっせぇー!
ショボンヌ
「それは小さな投下待ちなの」
「ohanashi読みたいの」
テスト
タンバリン
344 :
保守:2009/10/28(水) 02:40:39 ID:n2eVx/Am
保守
345 :
おすみ。:2009/12/21(月) 10:30:39 ID:ZCQv5/4A
なのはとフェイトにレズ疑惑がたった。
機動六課の寮内では、仲良くダブルベッドで一緒に寝ていると噂されてしまったのだ。
ダブルベッド? 同室は解るが、何故ダブルベッド。それも優遇としか思えない部屋のサイズ。
そんな噂を聞いた司書長。
「噂は噂だよ。」
そう言いながら気にしてない、という風だったが。僕は何故ここにいるんだろうと思いに突き動かされた。
誰でも一度はある話だ。何故生きているのだろう、何故仕事をしているんだろう、悩みがない人間はいない。
なのはと仲良くなったPT事件。みんなの為と無限書庫に入った闇の書事件。愛は無償であるが故に、自己犠牲は素晴らしいが
僕はこのままでいいのかな、という疑問が姿を現す。なのははフェイトとレズってる。いや、
同性愛が嫌いとか、そういうことではない。愛し合って幸せならばそれはそれでいい。同性愛も一つの道だ。否定はせず
祝福してあげるべきだ。だが、僕は誰もいないのか?
「………。」
キスをして
抱きしめて
愛から来るセックスがしたいと思う相手はいないのか?
伴侶との子供は欲しいとは思わないのか?
愛していると言いたい相手は? 仕事は大事だが男としての相手が欲しくなった。
人生仕事に熱中。
それは一度気づいてしまうととても寂しかった。
346 :
おすみ。:2009/12/21(月) 11:33:47 ID:ZCQv5/4A
おわり。やっぱりどっかにうつろうかな。。
…投下乙なの
348 :
おすみ。:2009/12/22(火) 01:35:53 ID:pdV5JI69
>>347 続けるべきかな。
読んでくれる人が1人でもいるなら、一言でもgjって言ってくれるなら書くかもしれない。
349 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/24(木) 11:11:01 ID:GrhPfPbR
>>348 乙です
某ユーノスレで拝見した者です
ユーノは超奥手か、達観しているタイプが多い中で
ふつうの若者視線での切り口は面白いと思いますよ
寂しさの先に彼は何をするのでしょうか?
350 :
おすみ。:2009/12/24(木) 16:56:01 ID:DaJaJGAr
>>349 返信来るとは思わんかった……2chで期待するだけ無駄だと思ってたし。
ありがとう。ユーノスレとは違った方向性に出来ればいいな、程度に考えてます。
それ以上の先のことはまだ未定です。
sage
353 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/29(月) 01:07:51 ID:H7nuvnk/
!
ユーノ「ここなら誰にも見つからないよ」
なのは「はぁ……やっと二人きりになれたね」
ユーノ「管理局の看板娘も大変だね」
なのは「ごめんね、友達だなんてラジオとかで言って」
ユーノ「そういう台本だったんでしょ。しかたないよ」
なのは「結婚もあと数年待つか、するなら夫婦別姓で隠し婚にしてって」
ユーノ「しばらくは別居かぁ……無限書庫で逢えるのが救いかな」
なのは「海鳴まで行けば人目を気にせずデートできるしね」
ユーノ「その割には、室内にいることが多い気がするけど」
なのは「それは……もう、いじわる」
ユーノ「ふふ、それじゃ、せっかくだしキスしようか」
なのは「うんっ! ――――ッ! だめっユーノくん!」
ユーノ「わぷっ、――あ、見られてる!? 早く逃げないと!」
なのは「あーん! どこに逃げればいいのー!?」
誰もいないことをネタにしつつ保守。
どうしたもんかね、このスレ。
ユーノ「さっきのは勘違いだったみたいだね」
なのは「ごめんね、ユーノくん」
ユーノ「気にしないで、なのは」
なのは「ありがと。……走ったら汗かいちゃった」
ユーノ「あはは、確かに」
なのは「首のボタン外してあげる」
ユーノ「ありがとう」
なのは「ネクタイも緩めて……っと、ふぅ」
ユーノ「ありがとう、楽になったよ」
なのは「お安い御用だよ」
ユーノ「それじゃ、お預けだったキスしようか」
なのは「……うん。えへへ、嬉しい……」
ユーノ「なのは……」
なのは「ユーノく――って待って!」
ユーノ「わぷしっ、今度はなに!?」
なのは「あ、汗かいたから恥ずかしい……」
ユーノ「気にしないのに」
なのは「ダメ、ちょっとまって……えーっと」
ぱち、ゴソゴソ、パカッ、シュッシュッ……くんくん
なのは「うん、準備オッケー」
ユーノ「今度は誰もいないよね?」
なのは「うん、ちょっと待ってね」(キョロキョロ)
誰もいないことをネタにしつつ保守。
どうしたもんかね、このスレ。
早くレスしないとどうなってもしらんぞーーー!
│∀・)ニヤニヤ
なのは「! 見られてる! 逃げなきゃ!」
ユーノ「わ、今度は本当にいる!」
なのは「それじゃ、行こう! お友達のユーノくん!」
ユーノ「わかったよ! お友達のなのは!」
「「ただの友達ですからーーーー」」
スタスタスタスタ
(誰もいないと思ったのに、残念だったね〜)
(でもこの辺りって人が少ないから、機会はあると思うよ)
(またこっそりこようね)
(うん)
おしまい。
まさかのインターセプトにびっくり。
だが過疎が続くと彼らはまた現れるかもしれない。
誰もいないことをネタにした保守でしたー。
乙。またなんか書いていってくれ
ほし