701 :
天之御名無主:
アホな質問だとは思うのですがお願いします。
古事記を読んでいて疑問に思ったのですがイザナギが黄泉にイザナミを迎えに行った時
イザナミは「黄泉の神さまに相談してくる」といいますよね。この黄泉の神って誰の事なんでしょう?
他にも天岩戸の話で神様なのに占いをおこなったりしてたと思うのですが誰に神意を聞いている
と考えたらいいんでしょうか?
>>701 アホな質問どころか、なかなかの着眼だと思いますぜ。
↓ここで聞けばギリシャ神話における多神教的性格と比較して、何か出て来るかもしれない。
★★古事記、日本書紀について★★
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/min/1012122820/l50 一般的には、男性神を祭る巫女自身が神格化されるのはよくある現象。
(井沢元彦その他が、アマテラスも男性神だったという説を唱えているのはご承知のとおり)
ただ、この場合はギリシャ神話と違って「イザナミ」という最も原始的な神格(地母神)が
自分よりさらに上位の者の存在を認めてるが、その上位者の記述がないってことだよな。
>一般的には、男性神を祭る巫女自身が神格化されるのはよくある現象。
たとえばどういうものですか?
アマテラスは中世っていうか江戸時代おわるくらいまで男性と一般には考えられてたよ。
ええとですね703では
>一般的には、男性神を祭る巫女自身が神格化されるのはよくある現象。
こういう現象がどれほど「一般的」なのか、と疑問に思いました。
>>703>>705 たとえば、アマテラスだって。
アマテラスと天皇、斎宮あたりの関係に顕著。
そのほかに日本神話の中からあげるなら、典型的なのはナキサワメという神格。
死者(鬼=鬼)のために仕え、泣く女=ナキメ(アメノワカヒコの段に鳴き女という名の雉あり)
もっと世界的な例で見るなら、大神を取り巻く、楽器を持った無数の女たちってのは、たいがい巫女が原型と思っていいと思う。
ギリシャのミューズ、インドのアプサラスその他。
ついでに、バアルとかの男だか女だかわからんようになっちまった神格も、巫女属性が入ってるんじゃないかと思うが。
このへんは悪魔スレの中の人に聞いてくれ。
>>704 その「一般」ってのはどの程度の「一般」?
>>706 実際に「男性神を巫女が神格化される」例が文献的でも考古学的にでもいいので
実証的に証明されていることはあるのですか?と疑問に思うのです。
少なくとも、インドやギリシアでアプサラスやムーサイが
男性神を祭っていた巫女の神格化だという説は聞いたことがないです。
そもそもこの二群の神々は祭儀の対象だったのかどうか?
アマテラス=巫女の神格化説も文献的な裏づけはない推測と聞いたことがあるのですが。
708 :
天之御名無主:04/09/05 22:42
世界的に普遍的といえるほど広範に、また頻繁にみられるものではありませんが、
確かに巫女や祭司のような神と人の仲介役を担う存在は
同時に祭儀の場において様々な技芸や娯楽を司る進行役でもあり、
ときに陪神的な存在へと転化します。
これらが神と同一の存在として、あるいは別個の神格として継続的に祀り上げられるのは
また相当強力な母集団か信仰の統一化が図られている必要があるかと思いますが、
神格化とは言わないまでも何らかの影響を与えていたことは事実でしょう。
ギリシアのムーサなどは芸能兼祭司集団がその信仰の発端であったか、あるいは
彼ら自身が信仰の担い手であった可能性はかなり高いでしょう。
インドのアプサラスはより精霊的な存在ではありますが、ガンダルヴァなどと併せて
一種の楽師集団がその信仰に関わっていたと思われます。
他にも、技芸的な側面は薄いですがフリュギアの古い大地母神キュベレなどは
豊饒性と農耕、特に葡萄栽培を司ることからその信仰の中心に何らかの母系集団、
特に婦人層の存在があったことがうかがえます。
バアルは「主人」という意味が示すとおり元々男性神です。
西アジアの都市国家の多くでは祭儀は王を兼任する神官を中心に行なわれていましたが、
都市を護る主神とは別に信仰される神格もあり、これらは個別の神殿を設けて祀られていました。
中でも強力であったのがイシュタル(アシュタルト)で、ビュブロスのイシュタル神殿では
巫女がこの女神と合一し神託を来訪者に与える際、あわせて売春をすることが
通例となっていたのは有名です。
709 :
天之御名無主:04/09/05 23:00
>>707 男性神に伴う巫女自身が神格化されるのではなく、
男性神とは別に巫女や技芸集団を通してある(女性的な)神格が祀られ、
結果的にその地域の主神や同様の特徴を持つ男性神と縁が結ばれる
と考えてはどうでしょう。
この場合、元々巫女たちが祀っているのは主神というより彼ら自身の信奉する(女)神です。
>>708で陪神的、といいましたが初めから男性神の随伴者として祀られはじめる例は
少なく、むしろ信仰が隆盛をむかえるなかで次第にある種の神話群に取り込まれ、
ある神格の妻となることでより母性面が強調されることのほうが多いように思います。
その意味で「巫女や女性集団が中心となりある神格が創造される」ことはありますが、
必ずしも
>>706さんの言われるように「大神をとりまく」という条件は付随しないと
いえるのではないでしょうか。
具体例はないですね。
ガンダルヴァ=ケンタウロス=クンドレウが現実に存在した祭司的秘密結社の神話化・神格化
という説は確かに存在しますし、イナンナに付き従う超自然的な存在が
実際の祭儀執行者の神話化という説もありますね。
ただ、例にあげられてるムーサ、アプサラス、キュベレにしても、その神々が司るところの機能集団が
その神々の前に存在していた、というのはこの質問とは無関係でしょう(というか、当然のことだし)。
アマテラス巫女説では、女性祭司が夫たる男性主権神の座を奪って女性主権神として
君臨した、という、そして巫女は結局のところ「自身に祭儀を捧げる」という奇妙な祭儀形態を
執行することになってます。男性神は神話の別のところで頑張ってますが、
巫女は男性神に祭儀を捧げません。
>>708の例に見られる「陪神」は、神格化された祭祀集団は祭祀するところの神を捨ててないし、
陪神に祭儀の重点を置いているわけでもないです。
>>709 推測は推測でいいのですが、筋道が上記アマテラス巫女説とは異なりますので参考にだけしておきます。
集団の神格化といえばマルト神群やクーレースなんかもそうですね。参考までに。
一応言っておきますけど、もし
>>709のように女性祭祀集団の中に「女性神」と「男性神」が
別個に存在し、それが交代したとか、という説なら私は何の疑問も持たないし、
賛同すると思いますが、アマテラス巫女説はそう単純じゃないんですよねぇ。