【エクスタシー】リトバス妄想スレpart6【18禁化】
1 :
名無しさんだよもん:
ここはリトルバスターズの妄想やSSを書き込むスレです。
リトバスであればジャンルやエロ・非エロ、キャラは問いません。何でもどうぞ
。電波を受信したり、思いつきでも構いません。ぜひ文章にしてみませんか?
2 :
名無しさんだよもん:2007/12/27(木) 02:48:20 ID:vOsirzGa0
ちんぽー
※前スレ
>>90 Bを選択
いやいやいや……それはない。
僕の身勝手でそんな変態みたいなことをクドにさせられるはずがない。
あの小さな口で僕のを…………なんて。
(……ごくり)
それはひどく蠱惑的なアイデアだった。
「あのさ……クド」
「はい、なんでしょう?」
「お願いがあるんだけど……変なお願いだけど聞いてくれるかな?」
「あ、はい。私にできることでしたら」
「うん。クドに……口で……してもらいたいんだ」
「口で……なにをですか?」
「だから、」
大きな声で言うのが恥ずかしくて、僕はクドの耳元に囁いた。
「僕の…………をクドの口で…………くれないかな?」
「わふーっ!?」
当然だけど、クドは戸惑いの声を上げた。
「ど、どうしてですかっ?」
「どうしてって……」
「もしかして、怪我でもされて痛いのですか?」
「いや、そうじゃなくて……そういうやり方もあるんだ。その、セックス、の」
「わふー……そうなのですか……」
クドはどこか感心したような口調でそう言った。
「うん」
「リキは、それがしたいのですか……?」
「うん、今時のカップルは普通にやってるみたいだし……」
「そうなんですかっ!?」
「たぶん……」
なんて適当なことを言ってみる。
「知りませんでした……」
それっきりクドが黙ってしまったので、僕が、
「別に嫌なら無理に、」
してくれなくても……と言いかけたところで、
「あの……初めてなのでうまくできるか自信が無いのですが……それでもよろしければ……」
「う、うん。お願いするよ。というか僕だって初めてだし……」
「で、では、初心者同士がんばって練習することにしましょうっ」
なぜか笑顔でクドは言った。僕は「そうだね」と返した。
「それで……」
「ん?」
「まず、どうすればいいのでしょうか……?」
「あ! じゃあ、とりあえず、その……出すから」
カチャカチャとホックを外してジッパーを下ろすのももどかしくスラックスの前を開いた。
「わ、わふーっ!」
もう十分硬く大きくなっている僕のものがクドの目の前に飛び出した。
「近くで見るのは、初めてだっけ?」
「は、はい。……この前はずっと目を閉じていたので……」
今度は目を大きく開いてマジマジと見つめていた。
「これを、どうすれば……?」
「じゃあ、とりあえず……舌で舐めてみてくれるかな」
実は僕もよくわからなかった。
「わかりましたっ」
クドは僕の方に身を乗り出して顔を近づける
「し、失礼しますっ」
そう言って、さすがに目はつぶって、舌を出す。
ぺろっ。
(うっ……!)
ビクッ、と僕のが跳ねて、
「わふっ!?」
びっくりしたクドが目を開けた。
「どうしましたっ!?」
「あ、うん、平気だから……」
「良かったです……」
「……えっと、続けてもらえるかな?」
「はいです」
ぺろぺろ……。
「うっ」
ぺろぺろぺろ……。
「うぐっ……!」
クドは子犬のように舌の先でぺろぺろと舐めてくれて、その刺激は痛いくらいに鋭かった。
すぐに堪らなくなって僕は言った。
「……やっぱり口の中に入れて、その、おしゃぶりするみたいな感じでお願いできないかな……? クドが嫌じゃなかったらだけど……」
そんなお願いにもクドは、
「わ、わかりました」
とすぐに答えてくれて口を軽く開ける。
唇から八重歯が覗いているのが見えた。
「えっと……歯を当てないように気をつけて。敏感、だから」
「はいです」
返事とともに熱い吐息を感じたと思うと、ぬるっとした暖かさに包まれる。
「うああ……」
僕はみっともない声を上げてしまう。
想像以上だった。
しかも、ほんの先っぽをくわえられただけでも信じられないくらい気持ちいいのに、もっと深く飲み込もうと、ピンク色の唇が僕のの胴体を滑り降りていく。
「ああぁ……っ!」
クドにこんなことをさせているという事実だけで、僕は今すぐにでも出してしまいそうだった。
先端が何かに当たる感触。
「んーっ!?」
無理して喉の奥を突いてしまったのか、クドが顔をしかめると、
「――いたっ!!」
激痛が走った。
「ぷはっ……。ごめんなさいっ。大丈夫ですかっ!?」
クドは慌てて口を離す。
反射的に噛んじゃったのかな……?
僕はおそるおそるクドの唾で濡れた自分の性器を見てみた。
血は出てないみたいだけど……なんというか、ものすごく痛かった。
A.気にしない
B.どめすてぃっく・ばいおれんす
GJ!!
これはまた朝からエロいな。
9 :
名無しさんだよもん:2007/12/27(木) 08:55:27 ID:qmvu95QJO
あとAで、クドにドメスティックバイオレンスな事なんて俺にはできない………
俺もAで頼む
後、かなりエロティックだった…GJ!
Bだな。
しつけのなっていないわんこにはおしおきが必要だ。性的な意味で。
>>12 じゃあこれが事実の8で、次立てる時はスレ番は9ということで。
※一回目のHシーンのあと
理樹「二木さんは…初めてじゃなかったんだよね…?」
二木「…だったら、なに。お堅い風紀委員長が経験済みだなんて意外だった? 幻滅させちゃったかしら?」
理樹「え、いや…」
二木「それとも…私の初めての相手が気になる? あなたの前に私を抱いた男が誰なのか」
理樹「別にそんなんじゃ…」
二木「別に遠慮しなくてもいいわよ。あなた初めてだったんだし、気になって仕方がないんでしょう? だから、教えてあげる……二木の叔父よ」
理樹「え…?」
二木「『おまえがちゃんと跡継ぎを作れるか試してやる』ですって。馬鹿みたいで笑えるでしょう?」
理樹「そんなのって…」
二木「ええ、めでたく、『私がちゃんと跡継ぎを作れる』ことが証明されたわ」
理樹「そ、それじゃあ…二木さんは…!?」
二木「産めるわけないでしょう、そんな子供。堕ろしたわよ。わざわざ遠くの町の病院に連れていかれて……十四のときだった」
理樹「………」
二木「どうしたの? そんな心配そうな顔しなくても大丈夫よ。あれ以来ずっとピルを飲んでるから、さっきのであなたの子供ができたりなんてしな……きゃっ!?」
理樹「ぎゅ…(抱きしめ)」
二木「…なんのつもり?」
理樹「だって、こんなのあんまりだ……二木さんが…」
二木「可哀想、とでも言いたいの? そういう安っぽい同情が相手の自尊心をどれだけ傷つけるか、少しでも考えたことあるかしら?」
理樹「ごめん…でも……ごめん…」
二木「…泣かないでよ…そんなの…いらないわよ…」
これはおぎおぎせざるをえない
>>15 初めてはふたなりなクドに取られたのは内緒。
ふたにゃーなクドが欲情し佳奈多とH
↓
クドは「リキに嫌われるから」と内緒にしてと頼む
↓
これは私以外の誰かに見つかったら風紀が〜って事で黙秘
↓
佳奈多、理樹とH
↓
理樹に初めてがどうとか聞かれる
↓
そーいえばクドが内緒って事を思い出し作り話を聞かせる
↓
理樹納得
みたいな電波を受信した。
>>15さんすいませんでした。
※
>>7 Aを選択。
「うん。大丈夫だから」
安心させるように僕は言った。
「わふー……やっぱりうまくできませんでした……」
ごめんなさい、と俯いたクドの目線は、さっきので少し萎えたとはいえまだまだ元気な僕のものへ。
……正直、また口でしてもらうのはちょっと怖かった。
だけど、こんな中途半端に終わるのも嫌だった僕は、
「……じゃあ、手でお願いできないかな」
勢いでそんなことを言ってしまった。
「手、ですか?」
「うん、手で握って擦る感じで……。それで、たぶん大丈夫だと思う」
なにが大丈夫なのかはともかく。
「わ、わかりましたっ。やってみますねっ!」
そう言って右の手を近づけてくる
「うっ」
触れられた瞬間、またしても跳ねようとしたのを意志の力でなんとか抑えつけた。
「なんだか……熱いです……」
僕の赤く充血した肉が白くて細い指に包まれた。
「あの……どうすれば?」
上目遣いでクドが訊ねてくる。
僕はクドの手に自分の手を重ねて、
「こうして、こう……こんな感じで……」
と、上下させて見せる。
(ああ……なにやってんだろう)
頭がどうにかなりそうだった。
「がんばりますっ」
「うん、よろしく……」
僕のうわずった声に応えて、クドはゆっくり手を動かし始めた。
こし……こし……。
ついさっきまでの舌と口に比べると鈍い感覚。
それでも、他人の、クドの体温の感触はどこまでも鮮烈だった。
その動きの拙さぎこちなささえも。
「うぅ……」
「リキ?」
思わず呻いた僕を心配そうに見上げるクド。
「……大丈夫。もっと、強くしてくれてもいいよ」
「はい」
こしゅっこしゅっこしゅっ……。
しなやかな指が僕から漏れた液でべたべたになっていく。
「はぁっ……はっ……はっ……」
僕のを一生懸命に擦っているクドは、浅く早い呼吸をしながら何度も舌で唇を舐めていた。
ひどく可愛いその顔に煽られて、僕は快感の高まりを感じた。
「う、そろそろ出そうだよ……」
「はいです!」
どう解釈したのか、そう言われてクドはますます速く手を動かしたので僕はひとたまりもなく、
「うあ゛っ!!」
「わふっ!?」
噴き出した精液がクドの額から鼻筋を汚した。
それから勢いを弱めて、まだ僕のを握っていたクドの右手を濡らす。
「ご、ごめんっ!」
僕は急いでティッシュを取ってクドの顔を拭いた。
クドはぽーっと呆けた表情でされるがままになっていた。
ようやく僕のから手を離すと、指に絡まって糸を引いている精液を不思議そうに眺めていた。
「手も、これで拭いて……」
ティッシュを渡そうとしたら、
「…………」
舌先でぺろっ、と舐めた。
そして、すぐに眉をひそめて一言。
「にがいです〜……」
「別に舐めなくても……」
しえん
※
>>20の続き
朝夕の肌寒さに秋の深まりを感じたある日のこと。
今日も僕はクドと一緒にテスト勉強をするために放課後の家庭科部室にやってきた。
クドは先に来ていて、こたつに入っていた。
「こんにちは、クド」
「こんにちは、です」
足はこたつに入れたまま、ぺこりと頭を下げる。
「そのこたつも家具部から?」
「はい。まだちょっと早いかもですが……」
「クドは寒がりだもんね」
「えへへ……」
と笑うクドは、制服の上に半纏とかどてらとかそんな感じのものを羽織っていて、ぬくぬく幸せそうだった。
「リキ、お隣はいかがですか?」
クドは体を端に寄せ、こたつ布団を持ち上げて僕が入る場所を用意してくれる。
「ありがとう」
ふたり肩を並べてコタツに入った。
少し窮屈だったけど暖かかった。
「あ・まんだりん・とぅー・ゆー、なのです」
きれいに皮をむいたみかんを渡される。
「ありがとう」
「まだまだたくさんありますからねー」
そう言って、もう一つ手にとって、小さな手で皮むきに取り掛かる。
こたつの上の籠にはみかんが山盛りになっていた。
なんだかすごく日本の冬って感じだった。
それで、せっかく快適な環境を整えたんだから勉強に励むべきだったのに、
「……ちゅ」
一回キスをしたら止まらなくなってしまった。
抱き合って舌を絡めたら、みかんの味がした。
僕の手はクドの胸へ。
「ん……」
クドが体を硬くする。
「嫌……?」
僕は唇を離して訊ねた。
「あ、嫌じゃないです……リキがいいなら……」
「ありがとう」
僕はまたクドと唇を合わせて、上着のボタンを外してブラウスの上から胸を撫でた。
もう片方の手はこたつの中に隠れている部分へ。
またクドの体が硬くなる。
僕は今度は訊ねなかった。
あれから、もう一度だけクドとセックスしていた。
そのときは自分ではうまくできたと思ったんだけど、終わった後クドに「どうだった?」と訊ねたら、「この間よりも痛くなかったです」と言われた。
にっこり笑顔を向けられながら。
……クドは本当はどう思っているんだろう。
セックスだけじゃなくて……今みたいに僕にぺたぺた体を触られることを。
気持ちいいのかな? それとも嫌なのかな? 本当は嫌だけど僕が求めるから仕方なく、とかなのかな?
きっと訊いても「リキがいいなら」とかそんな言葉が返ってくるだけなのだろうけど……。
そんなことを考えながら徐々にふたりの体はこたつに沈んでいって、もう外に出ているのは頭だけだった。
ふたりとも上着を脱ぎ捨てて、こたつとお互いの温もりの中で、薄いシャツとブラウス越しに抱き合う。
クドの半纏はだいぶ前に用済みになって畳の上に放ってあった。
僕はソックスに包まれた脚を撫でていた手を、スカートの裾から中に入れて、そのまま下着に差し込んだ。
「わふ……」
クドはさすがに困ったような表情を見せる。
だけどそれ以上の抵抗はなかった。
見えないせいか、僕はなんだか大胆になってる。
たぶんよくない……きっとよくない……よくない、けど……
クドが何も言わないのをいいことに、つい僕は予習してきた知識を実践してみようとしてしまう。
(この辺かな……?)
陰核……クリトリス……手探りして見つけた女の子の気持ちいいところを摘んでみる。
ぎゅっ、と。
「ひゃあっ!」
びくん、とクドの体が跳ねる。
その反応の大きさに僕は怯む。
「ご、ごめ……」
謝りかけたところで、指に水の感触。
「え……?」
「あ……」
呆けたようなクドの表情。
「く、クドっ」
慌てて僕は自分の体ごとクドをこたつから引っ張り出した。
「や、やぁ……っ!」
クドは手で押さえたけど無駄だったみたいだ。
スカートにまで染みが広がるのが僕の目にも見えたから。
「クド……」
「う……うぅ……」
そしてクドは顔を真っ赤にして泣き出した。
「ぐすん……ごめんなさい……えぐっ……ごめんなさい、ごめんなさい……」
支援
謝りながら泣き続けるクドの頭を僕は急いで抱き寄せて言った。
「安心して。僕は気にしないから……っていうか、悪いのは僕だ。ごめんよ」
調子に乗りすぎた……。
自己嫌悪に襲われる。
「ぐすっ、ほんと……?」
「うん。大丈夫だから……」
背中をさすりながら、頬っぺたや額にキスする。
そうやってしばらく慰めて、やっとクドは泣き止んでくれた。
「リキ……ごめんなさいです」
「う、うん。それはいいから、とりあえず、拭いたらどうかな……」
そう言って僕はティッシュの箱をクドに差し出した。
「あ……はい。ありがとうございます」
そう言ってクドは背中を向けると、スカートを脱いでぱさりと畳の上に落として……
(ええっ!?)
――たぶん、クドも気が動転してたんだ。
んしょ、と濡れた下着まで下ろしてしまってから、ティッシュを手に取ろうとしていた。
目の前に、クドの裸のおしりがあった。
A.目を逸らす
B.犯す
GJ!!
ほーにょ……エロいな。
いつもより選択肢が難しい気がする。
目を逸らすなんてクドに失礼だ。
B.犯す
Bだとバッドエンド直行っぽいんで、Aで。
ものすごく寝付けない。
なのでAで。
※
>>26 Bを選択。
僕は背中からのし掛かるようにクドに抱きついて畳の上に押し倒した。
「わふーっ!?」
これはクドの声。
僕はスラックスと下着をまとめて脱ぎ捨てて、この体勢……後ろからするのは初めてだったのに、誰に習ったわけでも練習したわけでもなかったのに、難なくそれをやり遂げた。
おしっこで濡れてたせいか抵抗なくあっさり入った。
今までで一番深く。
「いやぁ……っ!」
ようやく自分がされていることに気付いたクドが悲鳴を上げる。
「は、恥ずかしい……」
うん。おしりの穴も丸見えだ。
僕は腕力と体格の差を使って僕から逃げようとするクドの手足を押さえつけた。
「ぐすっ……やめて、リキ……えぐっ……おねがい……」
細い小さな体を組み敷かれたクドは絶え入るような声で訴えてくる。
だけど、そのときの僕はなぜか、クドは本当は嫌がってないんだと思った。
その認識が僕の頭からあらゆる思慮を奪っていた。
折れそうに細い腰を両手で掴んで抱きすくめると、狭くて柔らかい穴に太くて硬いものを何度も何度も突き立てて無理矢理慣れさせ最後には受け入れさせた。
その日、僕は初めて、ただ自分の欲望に従ってクドを――犯した。
僕らは下半身は裸で上半身は制服のシャツを着たまま、犬のような格好で長い時間交わり続けた。
「わふっ、わうっ、わふぅ……っ」
クドは泣き声まで犬みたいだった。
性器と性器が擦れ合う摩擦熱なのか、クドの中はどんどん熱くなっていった。
裸の背中が火傷したみたいに赤くなってじっとり濡れているのがたまらなくいやらしい。
「なんか、なんか変ですっ! なんかくるっ! なんかくる……っ!」
汗まみれの顔で叫びながら、クドはぽろぽろ涙をこぼした。
でも、それは決して苦痛の涙ではなく――
「わっ、わっ、わふーーーーーっ!!」
クドの膣がきゅぅっと締まって最高の快楽の中で僕は射精した。
おぎおぎわふてかいやっほーう!!
やべえ・・。
おぎおぎエクスタシー!?
前スレ落ちてて読めなくなってら……ログも残ってないorz
あーもー、あれか、これも規制解除の煽りなのか!?
クッソー、誰だよ、迷惑行為しまくったやつぅ。
>>37 ほわぁあああぁああ!!!
ありがとう、本当にありがとう。
あなたに幸せスパイラルのあらんことを。
※
>>31の続き
「私が上に……ですか?」
「うん」
こたつを出した日から僕とクドの関係が確かに変わった。
もちろん、あの後すぐに僕はクドに謝って、クドも僕を許してくれたんだけど……
それから何度も――毎日セックスするようになって、僕は自分のしたいことをはっきりクドに伝えるようになったし、クドの方も、自分からは言わないし、訊ねてもきっと『わふーっ』とか言って顔を赤くするだけなんだろうけど、なんていうか……素直になった。
だから、こういうのも受け入れてくれるんじゃないかと思って言ってみた。
「クドが僕の上に乗って動いてよ。……いつもと逆だね」
「わふー……」
クドは俯いて指をもじもじさせていた。
「駄目?」
クドのだいじなところを探りながらもう一度訊ねてみる。
「んん……っ。だめ、じゃ、ないです……」
今度は同意してくれた。
「じゃあ、お願い」
僕は愛撫していた手を止めて、畳の上で仰向けになった。
「わふ……」
クドはそろそろと僕の腰を跨いで、ちょっとの間不安そうな顔で僕の体を見下ろしていた。
なにも隠していない性器と内股気味の脚がなんだか可愛かった。
「……早くしてくれると嬉しいな」
畳で背中がちくちくして、おまけに寒い。
裸になっても平気なようにストーブ(これも家具部から調達した)も入れてるんだけど、床には冷たい空気が溜まっていた。
次からは座布団でも敷かなきゃと思った。
「あ、はいですっ!」
返事だけは大きかったけど、そこから先は怖々って感じで、本当にゆっくりゆっくり膝を曲げて腰を落としていく。
「手で持ってないとうまく入らないかも」
「はい……」
僕が言ったので、クドはほんの弱い力で僕のに指を添えた。
もうそれを触るのには慣れてもいいと思うんだけど、自分で入れるのにはまた別の抵抗があるのか、そのまま固まってしまう。
中腰の無理な姿勢に膝小僧が細かく震えていた。
もどかしくて、いっそ目の前の腰を両手で掴んでぐいっ、と押し込んでやりたいという衝動が起こったとき、
くちゅ……
僕の先端とクドの入り口が触れ合った。
「んっ」
クドの意思なのか、それとも膝が限界なのか、
「あ、あ……あぁ……」
途切れ途切れに息を吐きながら、クドは少しずつ少しずつ僕を飲み込んでいく。
「あうぅ……」
どうやら一番奥に突き当たったようだ。一際長い息が漏れた。
やっぱり全部は入らなかったけど、
「これ……いつもより……深い、です……」
なんて感想をもらえた。
「手、ここに置いていいよ」
クドが辛そうにしてたので、僕は自分の胸を指した。
「はい」
クドが両方の手のひらを僕の胸の上に乗せる。
「は……」
と安心したようなため息が聞こえた。
くすぐったかったけど我慢。
落ち着くのを待ってから、
「じゃあ、動いてくれる?」
とクドに言った。
「えと、どんなふうにすればいいのでしょうか……?」
「別に……クドの好きなように、気持ちいいように動けばいいと思うよ」
「きもち……いいように……」
やっぱりほっぺたを赤くして固まっていたクドだったけど、もう一度促すとやっと腰を動かし始めた。
「ん……ん……」
まだ怖いのか、前後と左右に小さく動くだけ。
「あっ……!」
それでもたまに好きなところに当たるのか、切なげな声をこぼす。
僕の方は、実はあんまり気持ちよくなかったんだけど、僕のお腹の上で快感を求めて試行錯誤するクドの姿に、なんていうか、その――子供に自慰の仕方を教えているような奇妙な興奮を感じていた。
「はぁ……ぁはぅ……」
だんだんコツが掴めてきたのか、ときおり上下の動きも交ぜながらクドは行為にのめり込んでいく。
僕の胸を強く突いて半開きの口で熱の篭った息を吐きながら、その顔はもう快楽を隠そうともしていなかった。
ストーブが強すぎるのか、汗が丸いあごを伝ってポタポタと僕の胸に落ちた。
「クド、いきそう?」
僕はそろそろ。
「あ、はい……もうすこしで。もうすこし、もうすこし……っ」
今ではこんな質問にも律儀に答えてくれる。
答えながらも最後の快感に向かって脚を突っ張って腰を揺すり続ける。
(がんばりやさんだなぁ……)
僕はこんな彼女をすごく可愛いと思った。
「あ――わふぅ――っ!!」
短く鳴いてクドの背中が反り返る。
ぱっと広がる亜麻色の髪が、ただただ美しくて、僕はそれに見とれながら果てた。
「わふぅ……」
力尽きたクドはくたっと僕のお腹の上に倒れる。
重さは全然感じなかったけど、しっとり濡れた肌の柔らかさを全身で感じた。
「クド、おつかれさま」
「わふー……」
乱れた髪を手櫛ですくとクドは嬉しそうに目を細めた。
それから僕らはお互いの濡れた部分を拭いもしないで裸で抱き合っていた。
でも、ずっと抱き合っているわけにもいかないので、
「クド、そろそろ服着ようか」
「はいです」
それで僕の体から起き上がろうとしたクドは、
「わふっ!!」
と右足を手で押さえて床に丸くうずくまった。
「どうしたの?」
訊ねるとクドは涙目で答えた。
「わふー……筋肉さんがこむらがえりました……」
「大変だ」
しばらくの間、僕は頑張りすぎたクドのふくらはぎをさすってあげないといけなかった。
>>41 騎乗位ktkr。
俺もクドに乗ってもらいたい。
冬コミに向かう夜行バスの中でさっき受信した妄想を携帯から投下。
「もしも鈴の性知識がゼロだったらという妄想」
鈴「ライジングニャットボール!(すぽっ)……あ」
ゴスッ!
理樹「ぐふっ!?」
真人「げ…」
謙吾「おい、135キロが理樹の股間に直撃しなかったか?」
恭介「まずいな、理樹の声が声になってないぞ」
葉留佳「大の男三人が揃って股間を手で押さえてる絵はキモイですね」
美魚「いえ……いい絵だと思います」
理樹「……!! …………!!」
クド「そそそそそ、そんな冗談を言ってる場合ではないのですっ!」
小毬「どどどどど―しよう! 理樹君顔が真っ青だよ〜」
来ヶ谷「いざとなったら保健室か救急車もありえる。そこのでかいの二人、タンカを持ってこい!」
真人「お、おう!」
謙吾「理樹を女にしてなるものか! 急ぐぞ真人!」
鈴「理樹――っ!」
恭介「落ち着け鈴、下手に動かすな…(ドンッ)うおっ」
鈴「理樹ごめん! 苦しいのか!? どこが痛いんだ!? さすってやるからしっかりしろ!」
恭介「心配する気持ちは分かるが落ち着け。男の股間、いわゆる急所に当たったんだ。たぶん理樹に今俺達の声はとどかな」
鈴「股間だな? よし分かった!(さわさわ)」
葉留佳「ちょっ!?」
鈴「……すごく熱い。それになんだか腫れてきた」
44 :
小ネタ2/3:2007/12/28(金) 23:27:14 ID:VkWvJLfpO
小毬「りりり鈴ちゃん!? どーして理樹君のズボン脱がしてるの!?」
鈴「こういうときは、痛いところをさすってあげるといいって聞いた。あたしのせいで理樹が苦しんでる。だからあたしが理樹を助ける」
クド「わ、わふーっ! りりり、リキのを見てしまいましたー!?」
鈴「う……すごく大きく腫れてる。さすってるのにまだ大きくなるぞ。理樹すまん……」
西園「(……実物は意外とグロテスクなんですね。夢は見るものではないです)」
理樹「……は……ぁ……り……ん?」
鈴「理樹、苦しいのか? 今腫れてるところ舐めてやるから、恥ずかしくても我慢してくれ。……れろ……あむ……」
恭介「うおおおお!? お、俺はこの光景を見せられてどうすりゃいいんだよ!?」
葉留佳「……と、とりあえず鈴ちゃんを止めるか、誰かに見られないように周りを見張ればいいんじゃないかな……」
来ヶ谷「……クドリャフカ君、悪いがティッシュを持ってないか? 鼻血が止まらん」
クド「……どきどきどきどき」
小毬「…………!! み、見ちゃだめ、見ちゃだめだよわたし〜」
美魚「指の隙間からバッチリと見ているように見えますが」
理樹「……え? 鈴……っあ……な、なに!? ひゃあっ!」
45 :
小ネタ3/3:2007/12/28(金) 23:31:35 ID:VkWvJLfpO
鈴「……む……れろ……んく……ぴちゃ……」
理樹「ま、待って鈴……みんな、見てる、のに、そんな、こと……っ!」
鈴「りふぃ……んむ……ちゅ……りふぃ……んぷ……んっ、ふぁ、みゅ、くっ、」
理樹「だ、ダメだよ鈴、うあっ、そ、それっ、僕、もう……っ!
で、出るっっっ!! ふあぁぁぁぁぁっ!!」
鈴「……!? ん〜〜〜〜〜〜っ!!」
真人「タンカ持ってきたぜ!」
謙吾「理樹は大丈夫か!?」
真人「……って」
小毬「……」
クド「……」
真人「なんで小毬とクド公がオーバーヒートしてんだよ」
来ヶ谷「……」
美魚「……すみません、私には少々刺激が強すぎました」
葉留佳「いや……私もちょっと腰が抜けたかも」
謙吾「なぜ来ヶ谷がへんじのないしかばねの如く血の海に倒れていて、西園と三枝が仲良く座りこんでいるんだ?」
恭介「うわあああ――! 俺は……俺は……妹と親友のあんなところを見てほんの少しとはいえ興奮しちまった……最低のクズだあぁぁぁぁぁ――――――っ!!」
真人「そしてあそこでトラックを全力疾走してる恭介はなんなんだよ」
理樹「え、えっと……鈴、その……」
鈴「う、うん……うみゅ……よ、よかったな理樹」
理樹「え、あ、うん。よかった……かも」
鈴「……うん」
謙吾「というか理樹と鈴になにがあったんだ、この気まずくも甘い二人だけの空気は」
これはひどいwwww(いい意味でwwww
47 :
名無しさんだよもん:2007/12/28(金) 23:39:34 ID:bPRK22piO
いいなあGM!!
特に男性陣の壊れっぷりが最高だ!
君はまるで猫の瞳のようだね
笑うととてもいいよ
見知らぬ所へふらふら行っちゃダメだよ
僕がご主人様さ いいね?
頭のてっぺん リボンでも付けようか
それともチリリン 鈴でも
おいで ここさ おいで ここまで
にゃーお にゃーお にゃーお 君が応える
ほんとに可愛い意 僕の恋人さ
>>45 これは良いwww
恭介たちの反応も様々でイイw
GM!
緑川ボイスで再生されたぜ・・・w
>>45 おいおい実にGJじゃないか!
この後さらに微妙に性知識が芽生えちゃったら、とか
今後も折に触れてエスカレートしちゃったりとか、色々妄想しちまうぜ1
>>48 すまん、
例の腹黒妹のインパクトが強すぎて
その文みてもそっちしか思い浮かばない・・・
※
>>41の続き
土曜日の放課後。
午前で終わる授業を受けてから、午後も家庭科部室で勉強した僕らは、夜の時間を女子寮のクドの部屋で過ごしていた。
ルームメイトの二木佳奈多さんは週末は家に戻っているそうだ。
だから僕は今この部屋にいられる。
それにしても、僕とクドが付き合っていることはみんな知ってると思うのに、今でも顔パスで女子寮に入れるのってどうなんだろうか。
僕って女の子たちにどう見られてるのかな……?
ベッドに横になってクドの膝に頭を乗せて柔らかいお腹に顔を埋めながら、ふとそんなことを考えた。
だけど、暖かい手が後頭部を撫でさすっているのを感じてどうでもよくなる。
僕は幸せだった。
「あ……」
なにかに気付いたクドの手が止まる。
「どうしたの?」
顔を上げて訊ねる。
「そろそろお風呂が沸いたと思います」
そういえば、さっきお風呂の準備してたっけ。
「じゃあ、入ろうか」
「え……」
僕が言うと、なぜか頬を染めるクド。
「あの……一緒にですか?」
ああ、そういうこと。
「いや、別に……」
そんな意味じゃ、と言いかけて、僕は思い直した。
「……そうだね。一緒に入ろうか?」
「わふ……」
クドは照れる。
「嫌?」
「いえ……その……」
照れた顔に少し困った表情が混ざる。
たぶん僕が強く言えばクドは言うとおりにすると思う。
だけど、そういうことはしたくなかったので、
「……僕、先に入ってるから、後からおいでよ」
「えっ……?」
クドの返事は待たないでさっさとシャワールームに向かった。
「ふぅ……」
丁度いい加減になっていたお湯に浸かる。体から疲労が抜けていくようで心地いい。
今日は家庭科部室で珍しくずっと勉強だけしていたので疲れが溜まっていたようだ。
いや、テストも近いのにこんなことじゃいけないんだけど……。
(クド、来るかな?)
期待半分って感じでぼんやりガラス戸を眺める。
(…………)
そろそろ諦めて、体を洗って上がろうかと思い始めたころになって、ガラス戸の向こうに影が映った。
曇っていてよく見えなかったけど、そのシルエットは服を脱いでいるみたいだった。
そして、ガラス戸が少し開いて顔が覗く。
「あの……」
湯船の中の僕と目が合うと、クドは小さな声で言った。
「入ってもいいですか……?」
「うん。いい湯加減だよ」
そう言って僕が誘うと、
「…………」
しばらくためらう様子を見せてから、
……からからから。
戸を開けてクドが入ってきた。
「わふ……」
裸をじっと見ていると下の方をタオルで隠した。
ぱしゃ。ぱしゃ。ぱしゃ。
「……んしょ」
クドは何回か掛け湯をしてから湯船の縁を跨いだ。
僕は体を端に寄せてクドの入るスペースを空ける。
「はぅぅ……」
熱かったのか少し眉をひそめながらゆっくり体を沈めていき首までお湯に浸かる。
湯船はそんなに大きくないので肩と肩が密着した。
僕は片手をお湯の中のクドの手と重ねて、もう片方の手で頭を抱き寄せてキスをした。
「ん……」
クドはそれでリラックスしたみたいで、
「ぬくぬくです……」
僕の肩に頭を乗せながら、はぁ……と気持ちよさそうなため息を漏らす。
少しして、これ以上入っているとのぼせそうだったので僕は立ち上がった。
「わふっ」
クドが慌てて顔を逸らす。
うーん……目の前で見ちゃうどころか、それを手で握ったり、口に入れたりなんてことまでもう何回もやっているのに、それでも恥ずかしいんだ。
いい加減慣れないのかなという疑問と、ずっとこんな可愛い反応を見せてくれるクドでいて欲しいという願望が同時に浮かんだ。
僕は湯船から出て髪を洗った。
次に体を洗おうとタオルに石鹸をつけていると、クドが湯船から出てくる。
「ん、どうしたの?」
「あの、お背中お流しましょうか?」
と言って、はにかむように笑う。
「……うん。頼むよ」
「はいですっ」
嬉しそうに僕の側に来てタオルを手に取った。
「力加減はいかがですかー?」
「丁度いいよ。ありがとう」
そうやってクドは背中をごしごしと洗ってくれる。
それはとても気持ちよくて僕はずっと続けて欲しかったのだけど、
「終わりましたよー」
残念ながら終わってしまった。
「…………」
僕が何も言わず動こうともしないのでクドが訊ねてくる。
「わふ? どうかしましたか?」
「うん……他のところも洗って欲しいんだけど、いいかな?」
僕は甘えて言ってみる。
「ええ、いいですよっ」
クドは軽く返事をして続けてくれた。
腕、胸、お腹……順番に洗っていく。
「わふー……」
少し顔を赤らめながら腰や脚の方もタオルで擦ってくれる。
そうやって全身を洗ってもらって、
「…………」
最後に一箇所だけ洗ってない部分が残った。
「あの、ここはどのようにすれば……?」
「そこは……手でお願いできるかな」
「わふっ!? そうなのですかっ」
「うん、敏感なところだから、タオルじゃ痛くて……」
もっともらしい説明をしてみる。
「わかりました」
クドはタオルを置くと、僕の背中から前に手を回した。
「し、失礼しますね……」
泡で濡れた手に包まれる。
「うわっ」
いつものしなやかな肌触りとは違う、あそことも違う、濡れた感触に、僕は上半身を前屈みにして耐える。
「リキ……? 痛いですか?」
クドは心配そうに聞いてくる。
「うん、大丈夫だから、そのまま洗ってよ」
「はいです」
クドは握った手を前後に動かし始めた。
ぬるっ……ぬるっ……。
まるでクドに自慰の手伝いをしてもらっているような姿勢。
背中に抱きついたクドのお腹が柔らかかった。
石鹸水が尿道の入り口を刺激するヒリヒリした痛みさえも快感だった。
頭の中で羞恥心と支配欲が入り混じり、やがて小さな白い手が生み出す快楽に溶けていく。
わかってやっているのか、もにゅもにゅと袋まで揉み洗われ、僕は追い詰められる。
細くしなやかな親指と人差し指でできた輪がにゅるりと僕のくびれた部分を扱いて丸い先端を握った瞬間、達した。
「出る……っ!」
「わ、わふっ」
噴き出るものを押し止めようとするかのように両手で僕の先端を包むクド。
その暖かくぬめった感触に、膣の中に出しているような錯覚を感じる。
指の隙間から石鹸ではない白く濁った液体が漏れてクドの手の甲まで汚した。
くちゃくちゃおぎおぎだ!
※
>>57の続き
「はぁ……」
今日初めての射精が終わって、ようやく息を整えた僕はシャワーで自分の股間とクドの手を洗い流した。
「クド、ありがとう」
本当に。
「わふー」
と笑顔で返してくるクド。
「それでは、私も髪を洗おうと思うのですが……」
「うん、場所替わるね」
僕は椅子から立ち上がって、そこにクドが腰掛けた。
髪洗うの手伝おうか? ……言いかけてやめる。
目の前に広がった綺麗な亜麻色の輝きに手を出すのにはためらいを感じたから。
僕は湯船に入り直して、長い髪を手際よく楽しそうに洗っている裸のクドを眺めていた。
天使の湯浴み――そんな言葉が頭に浮かんだ。
「背中流そうか?」
クドが髪を洗い終わるのを見計らって声を掛けた。
「はい。お願いしますー」
「うん」
お湯から出てクドの背中と向かい合う。
長い髪はまとめて右胸の方に垂らしていた。
タオルに石鹸をつけて肌に乗せる。
こしこし……。
僕はほんの弱い力で擦った。
その肌があんまりに白くて、すぐに傷ついてしまいそうだったから。
「どうかな?」
「あ、もう少し強くても大丈夫です」
「そうなんだ」
ごしごし……。
僕は恐る恐る力を加えていく。
「それくらいで丁度いいですー」
「よかった」
クドの背中は小さくて、僕はすぐに洗い終わってしまった。
「他のところも洗おうか? 僕も洗ってもらったし」
「あ、はい。お願いしますっ」
「うん」
まずは細い腕と肩を普通に洗った。
そこで僕はつい良からぬことを思いついてしまう。
(このくらいならいいよね……?)
自分に言い訳をしてから実行に移す。
ぺたっ。
「わふっ!?」
クドの胸に触れた。素手で。
「僕も、手で洗ってあげる。さっきクドがしてくれたみたいに」
両方の胸を手のひらで撫で回す。
「わふっ、わふっ」
クドは椅子からおしりを浮かせてくすぐったそうに体を捻る。
ぬるぬると手を動かしていると胸の先が固くなって指先に引っかかったので、コリコリと弄くった。
「ん、んーっ!」
「胸、気持ちいい?」
答えは無い。
「はぁ……はぁ……」
代わりにそんな息が返ってきた。
僕は抱きかかえるようにしてクドを立たせると白い肌のあちこちに手を這わせた。
むっちりと指を押し返してくる太もも、生々しいあばら骨の感触を包むほっそりした脇、ぽっこり丸いつるつるのお腹、赤ん坊のような肉付きのふわふわのおしり。
「あぅ……はっ……あぁ……っ」
どこに触れても可愛らしい声が返ってきた。
それから……
「前も洗うよ」
「ま、まえ……わふーっ」
クドが脚を閉じてしまう前に右手を股間に差し入れる。
泡で滑るに任せて割れ目に指を走らせると、中指がぬるりと沈んだ。結構深く。
「中も洗ってあげる」
そんな言葉が勝手に口から出た。
「ひゃあ、あぁ……っ」
中を指で擦ったり、襞を一枚一枚開いて溝を掃除したり……
……じゅっ。
割れ目を何本かの指で包んで軽く握ってみると果物を搾ったみたいに汁がこぼれてタイルに散った。
そうやってクドを洗って(可愛がって? いじめて?)あげているうちに僕のが硬さを取り戻してくる。
たまに、ぴんと張り詰めた先端が、抱きしめている体のきわどいところに触れたりする。
「んんっ!」
その度に脅えるようにクドは身震いした。
(そういえば……)
僕はクドの体でまだ洗ってない部分があることに気がついた。
「ひんっ……!」
反応は抜群だった。
おしりの入り口を指先でほんの触れる程度に撫でてみる。
「ここも洗おうか」
「そこは、いいですっ」
「遠慮しないで」
「ひゃっ、あっ」
指から逃れようとするクドを抱きすくめて、中には入れなかったけど、表面の皺をなぞるように石鹸を擦りこむようにして念入りにきれいにした。
「はぁー……はぁー……」
顔を真っ赤にして息も絶え絶えといった感じのクド。
僕は最後に取っておいた場所を洗うことにした。
手を前に戻してお腹に置くとゆっくり下に滑らせていく。
指を引っ掛かけて、そこを包む薄い皮を剥いた。
「や……だめっ、それ……っ!」
自分がされようとしていることに気付いたクドが悲鳴のような声を上げる。
訴えを無視して、さっきのお返しのつもりで、僕がクドに扱かれたのと同じ場所――女の子にとっての――を、親指と人差し指で根元から扱き上げた。
「ひっ、あ――あ――っ!!」
ぎくんっ、と心配になるぐらい首を仰け反らせてクドはイった。
「ぁはぁ……はぁぁ……」
苦しそうに息を吐きながら、くにゃりと脱力してもたれかかってくる汗まみれの小さな体。
「ごめん……辛かった?」
僕は今更のように白々しい言葉を掛ける
「……い、いえ……だいじょうぶ、です……」
荒い呼吸も涙で濡れた瞳もそのままに笑顔を向けてくる。
安心して僕は言った。
「お湯に入ろうか?」
「……はいです」
僕は背中からクドの両脇の下に手を入れて抱えると、滑らないように気をつけながら一緒に湯船に浸かった。
「ほぅ……」
僕の両脚の間に収まったクドは頭の後ろを僕の胸に当ててため息をついた。
僕のはずっと硬いままで、今はクドのおしりの左側に触れているのだけど、さっきの余韻でまだぼうっとしていて気付かないのか、クドはなんのリアクションも見せずに僕に寄りかかっている。
(入れちゃいたいけど……今は我慢、かな?)
A.我慢する
B.我慢しない
>>64 朝からキター!!いつもGJ!!
我慢するな理樹!www
いや、ここは我慢だな
そしてクドが気付いて自分から…という展開だ
そうだな、ここはクドが湯船の中でお尻をこすりつけてくるまで我慢だ
Aでしょ。
すでにクドは麻薬がごとき快楽に支配されてるから
気づいたら禁断症状に耐え切れずに求めてくるって。
それより挿入する場所だが
上も下もやってるから当然後ろでしょ?
洗って準備もしてあるし。
Bだな。
クドからくるのを待つんだ。
理樹のお猿さんっぷりにクドの心が離れていく展開にならなければ良いが…
>>70 禿同 つよきすの乙女さんルートみたいだ
てことでB
72 :
名無しさんだよもん:2007/12/31(月) 04:28:16 ID:M5Pi97V1O
じゃあおれもここは空気読んでB
※
>>64 Aを選択
十分過ぎるくらい温まった僕らは、お風呂を出てバスタオルでお互いの体を拭いてから、パジャマに着替えてベッドに並んで座っていた。
「そういえば、ベッドでするのって初めてだよね」
クドが淹れてくれたお茶を飲んでしまってカップを机に置きながら、僕は言った。
「そうですね」
と少しほっぺを赤くして答えるクド。
「どんな風にしようか?」
「あの、できれば、ふつうに……」
とほっぺをかなり赤くして答えるクド。
「普通って?」
だいたいわかってたんだけど、敢えて訊ねてみる。
「あ、あの、前からで、リキが上で私が下で……わふーっ!」
とほっぺを真っ赤にして顔を伏せてしまう。
「ごめん、ごめん」
僕は軽くクドの体を抱き寄せた。
「わふ……」
「うん。僕も普通がいいよ。そうしよう」
「……はい」
腕の中でクドが頷いた。
着たばかりのパジャマをまた脱がせる。
クドを裸にしてしまってから、僕も自分のパジャマを脱ぎ捨てる。
肩に手を置いてキスしてクドの上半身をベッドの上に寝かせて抱きしめた。
裸の胸と胸を合わせて僅かに前後させる。
「んん……く……」
キスしているうちに、クドのほとんどない胸の二つの出っ張りがまた固くなってくるのがわかって楽しかった。
僕はクドのおしりを撫でていた手を前に回してそこに指を沈めていく。
中で指を曲げて、最近見つけたクドの弱いところを責めてみた。
「んっ、んー……」
そこを引っ掻く度に、僕のお腹の下で小さな体がぴくぴくと跳ねて可愛かった。
「いいかな?」
僕は体を少し起こして問い掛けた。
「はい……」
今や、何がと問い返すこともなくクドは答える。
僕はクドの膝を掴んで脚を開かせた。
ベッドの上で――正常位で――そういうシチュエーションが僕を、これは初めてのときのやり直しなんだという気にさせた。
だから、クドの中に入る直前にこんな言葉を口にした。
「愛してるよ」
「わふ……」
やっぱりクドは頬を染めて瞳を揺らした。
泣き出す寸前の表情にも見える。
ゆっくりと挿入。
「あぅ……」
僕に入られて震えるクドの表情を眺める。
確かに、前からでよかったかも。
……きし……きし……。
いつもの畳とは違う、柔らかく弾むベッドの上。
でもふたりともすぐに慣れて、その振動も心地よいリズムに取り込み、僕とクドはスプリングを軋ませながら一緒に踊る。
「リキ……リキぃ……」
体と気持ちが高まるにつれて、切なく細い声で僕の名前を呼びながら、クドは僕の腰に脚を絡め僕の背中に爪を立ててくる。
そんなありきたりな女の反応を、こんな幼い天使のような姿をしたクドに演じさせている。
汚辱、涜聖、堕落、蹂躙――要するに、そんなありきたりな背徳の悦びを僕は感じていた。
それはありきたりなんだけど、この上なく強烈な感覚だった。
僕はクドを汚し、同じだけクドに汚された。
「あっ、はっ、はぁっ――」
クドの声と肌と肉が絶頂の予感を訴えてくる。
「クドっ、一緒に……っ」
ふたりが同時に達するように呼吸を合わせて僕はクドを強く強く抱いた。
「ん――っ――!!」
仰け反る体。とっさにその口を手で覆う。
そうしないと女子寮中に声が響いていただろうから。
甘く優しく僕を抱きしめてくれるクドの中で、ふたりはほんとうにひとつの生きものになった。
……すべてが終わり、ふたつに戻った僕らはお互いの濡れた性器をティッシュで拭い合った。
それからしばらくの間、キスをしたり肌に触れたりしてじゃれ合った。
そのうち眠気に耐えられなくなって、軽く手足を絡めて抱き合い目を閉じた。
明日は日曜日。
僕はクドのぬくもりに包まれてなんの憂いもなく眠りについた。
今までと違って14「A」とかいてあるのか・・・
Bも書く予定なのかな?
>>75 大晦日もGMだぜ!
Bルートも期待でおぎおぎしながら待つよ。
「おまえら、ちょっとは落ち着け」
モンペチを持ってきたことに気づいたのか、鈴の周りにものすごい勢いで猫たちが集まってくる。
「あー、うっとい!」
口では悪態をつくのは、鈴なりの照れ隠し。喜んでくれるのは、正直うれしかったりしている。
「ほら、今開けてやるから」
一つ一つ缶を開けていく。
「こら、お前さっき食べただろ」
「にゃー」
「人数分しか持ってきてないんだから我慢しろ」
「うにゃー」
「なに!? お前ももう食べたのか?」
「ぬおー」
「うわっ、お前人の取ろうとするなバカ!」
そんな大騒ぎの中、いつの間にかいた影。
「・・・!?」
「・・・・・・」
猫の集団の中に、いつの間にか。
小学生くらいの少女が、まぎれこんでいた。
知らない人と話すのは今を持って苦手だ。
それでも鈴自身、それを克服したいと思っていたから。
「・・・お前、何だ?」
ぶきらっぽうでも、声をかけた。
少女は、鈴を一瞥しただけで、猫達に視線を戻す。
「・・・・・・」
この反応には、鈴は正直弱った。
彼女の周りの仲間達は、自分が話しかければすぐに答えてくれる人ばかりだったから。
こんな風に、返答の帰ってこない反応に対しては全く対応できないのだ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
結局、その日は猫と遊ぶどころではなく。
ただ、その少女を気にしつつ時間が過ぎるのを待つだけだった。
「?」
理樹が廊下からそれを見かけたのは偶然だった。
いつものように鈴が猫にモンペチをあげている。
そのあと、いつも鈴は嬉しそうに、はしゃぐ猫達の相手をするのだ。
そんな心温まる光景は、ある意味この学園の風物詩。
彼女や猫達を刺激しないようにしつつ、上の階の窓からその光景を見守っている人も多い。
そんな光景に。
「・・・あの子、誰だろ」
闖入者がいた。
学園の生徒ではない、小学生くらいの少女。
鈴はモンペチをあげつつも、明らかに硬くなっている。
でも。
「・・・逃げないね、鈴ちゃん」
「あ、小毬さん」
たまたま同じものを見つけたのか、それとも理樹が見ているものが気になって隣に着たのか。
いつの間にか来ていた小毬の言葉に、ちょっと間をおいてうなずく。
「うん」
「でも、どうしたんだろうね〜」
小毬の疑問はそのまま自分の疑問。
鈴が初対面の子を相手に逃げを打たなくなったのはいいことだ。
だが、あの子は一体どうしてこの学校の中にいるのだろう。
翌日
「・・・・・・」
また、その女の子がいた。
それに気づいて鈴は、中庭に出たところで硬直してしまう。
これが猫に危害を加えるようなことをしていれば、勢いに任せて何かできるのだろう。
だが、その子はただ見ているだけだ。
中庭でじゃれあっている猫たちをただ見ているだけ。
と、猫たちが鈴に気づいて駆け寄ってくる。
それはつまり、女の子の周りにいる猫たちがいなくなることで。
猫たちを追って視線を動かした女の子と、鈴の目が合った。
「・・・うう」
弱ってしまう。
いつもなら振り払っているはずの猫たちのよじ登りも、されるがままだ。
頭の上にレノンが乗っかり、満足げに一声鳴いた。
猫たちはいつまでも立ち尽くす鈴に好き勝手にじゃれ付き。
鈴は女の子と睨み合うような形でただ立ち尽くす。
その日は結局、そんな形で放課後を終えてしまった。
「理樹」
授業が終わって教科書を整理していた理樹に、窓のほうから声がかかる。
そんなところから声をかけてくるのは一人だけだ。
「なに? 恭介」
言いながら振り返る。ロープにぶらさがった恭介がそこにいた。
「ちょっと話があるんだが、いいか?」
「・・・あのこと?」
理樹は視線を返し、前の席のほうにいる鈴の背中を見やった。
「お前も知ってたか。なら話は早いな」
恭介はそれだけで頷いて、
「じゃあ、そうだな、特別教室廉まで来てくれ」
「わかった。僕だけでいい?」
「いや・・・、できれば小毬も頼む。ことがあいつのことだから、小毬にも協力を頼みたい」
できれば、とつけたのはおそらく、鈴に不審に思われそうなら呼ばなくていい、ということだろう。
「わかった。後でね」
「ああ」
恭介は頷くと、窓の外のロープを上っていく。
それを見送ってから、理樹は視線を鈴の方へ向けた。
「・・・?」
妙に気合が入っているように見える。
「鈴のやつ、どうかしたのか?」
真人の疑問に、理樹は「さぁ」としか返せず。
気合の入った足取りで教室を出て行く鈴を見送った。
そして、同じように見送っている小毬に近づく。
「小毬さん、鈴に何か言った?」
「ふえ? ううん、何にもいってないよ?」
「・・・だよね」
「鈴さん、どうしたんでしょうか・・・。心配なのです」
クドも鈴の様子が変なことに気づいていたのか、そんなことを言ってきた。
「うん・・・」
「来たか、理樹、小毬」
「うん」
「こんにちは〜、恭介さん」
その恭介は窓の外から中庭を見ている。
「今日もあの子来てるの?」
言いながら、理樹も中庭を覗いた。
また鈴と女の子が対峙している。
「まるで決闘前のにらみ合いだな」
「いやいやいや・・・」
微苦笑。
「うーん?」
同じように見ていた小毬が首をかしげた。
「どうしたの?」
「うん・・・。鈴ちゃん、何か持ってないかな?」
「え?」
「なに?」
小毬の言葉に、二人で改めて、鈴の手元を確認しようとする。
「確かに何か持っているように見えるが・・・。よく見えんな」
「ではこれを使うといい、恭介氏」
「助かる、来ヶ谷」
「・・・は?」
突然割り込んだ声に対して、全く動じない恭介と、驚いて振り向く理樹。
全く対照的な反応を返してしまった。
「ほわ!? ゆいちゃんいつからそこに!?」
「何だ、お前ら気づいてなかったのか?」
「私としては恭介氏にも気づかれないようにしたつもりだったのだが・・・」
恭介は唯湖から渡された双眼鏡を目に当てつつ、
「あれは・・・、猫じゃらしか?」
「ふえ?」
「猫じゃらし?」
鈴がそういったもので猫と遊ぶことがあるのは知っているが。
改めて、中庭を覗いてみた。
気合を入れて出てきはしたものの。
やはり女の子と視線を合わせた瞬間、体が強張ってしまった。
「・・・うう」
猫たちにされるがままになってすでにどれくらい過ぎたのか。
女の子は鈴にじゃれ付く猫たちを見ているだけだ。
鈴は、その女の子が何故か気になって仕方なかった。
見られているから気になるのではなく。どこかで見たことがあるような。そんな感じ。
デジャヴ、だったか。とそんなことを思い出した。
と、チャイムが鳴った。時計を見ると、6時だ。
女の子は、この時間にいつも立ち去っていく。
今日も、いつもと同じように立ち上がって歩いていった。
「・・・あ」
その背中を見送りつつ、鈴の口から、言葉にならない言葉が出て。
女の子は、それに気づかないまま、家路に戻る。
「・・・結局、話しかけられなかった」
ぽつりと、呟く。
手に持っている猫じゃらしを見て、ため息ひとつ。
「・・・あたしは、ほんとにだめだな」
にゃー、と猫たちが励ますように鳴く。
「お前ら、励ましてくれるのか? ありがとな」
「・・・恭介、どうするの?」
「・・・何か手助けしてやろうと、正直思っていたんだが」
女の子が帰っていって、明らかに落ち込んでいる鈴を見て、恭介は頭をかく。
「鈴ちゃんはがんばってます」
「うむ。まだ結果は出ていないが」
小毬と唯湖の意見に、恭介は一息つくと。
「理樹、お前はどうしたらいいと思う?」
「え?」
理樹は突然のその質問に少し考え込む。
「僕は・・・、見守っていた方がいいと思う。鈴が手助けを求めてくるまでは」
「・・・そうだな。俺はどうやらかなり過保護らしい」
「何、鈴君はかなり保護欲を煽る性質だからな。無理もあるまい」
「恭介さんはお兄さんですから当然ですよー」
二人の意見に苦笑いしつつ、
「それじゃあ、リトルバスターズとしては、鈴が手助けを求めてくるまで不干渉を徹底する」
「うん、わかった」
「おっけ〜ですよ〜」
「うむ、了解した」
それぞれに返事を返して、理樹は中庭から去ろうとする鈴を見た。
「・・・がんばって、鈴」
「がんばってね、鈴ちゃん」
同じ言葉を隣で口にした小毬を驚いて見て、目が合って、ちょっと苦笑してしまった。
そんな日が数日続く。
女の子は相変わらず訪れ、鈴は相変わらずどう接していいか困って。
リトルバスターズの面々はそれを見てはやきもきしつつ。
そんな日に、唐突に変化が訪れた。
「こまりちゃん!」
「ふわ!?」
ばん、と音がしそうな勢いで小毬に話しかけてきた鈴。
「ど、どうしたの、鈴ちゃん?」
「えっと、えっとだな。聞きたいことがあるんだ」
「ふえ?」
聞きたいこと。頼みではなく。
「何かな?」
「うん、えっとな、えっと・・・」
ことこういう事に関しては説明が苦手な鈴。必死で頭の中で言葉を組み立てている。
小毬はそれを急かさない様に、待つ。
「えっと・・・。友達の作り方が知りたいんだ」
「・・・・・・ふえ?」
予想外すぎる質問に戸惑ってしまう。
「・・・友達?」
「そうだ」
遠目に見ていた理樹から見ても、小毬は相当に困っている。
とはいえ、リトルバスターズの中でも特に小毬は友達の多いほうだ。
あの鈴に負けず劣らず誰にも懐かない気高き猫、笹瀬川佐々美の友達をやれるほどだし。
この答えづらい質問の的にされてしまうのは、まぁ、理解できる話ではある。
(とはいえ、無茶な質問だよなぁ)
小毬は頭を抱えて唸りだしてしまい、それを心配して鈴が慌て始めている。
もしもこれを恭介に聞いていたなら、恐らく簡単に答えていたかもしれないが。
助け舟が必要だな、と判断して、理樹は二人に近寄った。
「どうしたの?」
「うわ、理樹!」
「え?」
「な、なんでもないぞ、なんでもない! あっちいけっ」
「えっと・・・?」
何故か追い払われようとしている。
「鈴、僕なにかした?」
「してないしないするな!」
「・・・すごい三段活用だね」
小毬も妙に邪険にされる理樹を見て、首をひねっている。
「うう、小毬ちゃん! あそこにいくぞ!」
「ふえ? えっと、うん、わかったよ」
「理樹は来るな、わかったな!?」
言いながら、鈴は小毬と連れ立って走り去っていく。
「・・・えっと?」
「嫌われたようですね、直枝さん」
「わふー、元気を出すのです、リキ〜」
「・・・いやいやいや」
そしてまぁ、二人がそろっていく「そこ」というのは大概限られて。
屋上に出て一息つく鈴を見ながら、小毬は微笑む。
「理樹くんには聞かれたくなかったの?」
「うう」
鈴はうなり声を上げながら、
「だって、笑われる」
「笑わないよ〜」
「いや、理樹は笑う。今あたしらしくないことをしようとしてるから絶対笑う」
「そうかなぁ?」
確かにちょっと笑うかもしれないが、それは悪意のあるものではないだろう。
むしろ、微笑ましいとかうれしいとか、そんな類。
鈴にしてみれば、そんな笑顔を向けられるのも十分恥ずかしいのかもしれないが。
それよりも、だ。
「あたしらしくないこと、って?」
「う」
鈴は口ごもると、
「・・・た、他言無用だ」
「うん、約束するよ〜」
一方。
「そんで、鈴はお前から逃げてった、と」
「まぁ、そんな感じ」
学食でほとんど食べ終えてしまったラーメンのスープをなんとなくかき混ぜつつ、理樹は恭介に答える。
その恭介は、どこから調達してきたのか、ビッグマックセットなどを頬張っている。突っ込まないことにしたが。
「珍しいな。鈴が理樹から逃げ出すような真似をするとは」
「うーん、意外とそうでもないんだけど」
和食セットを行儀良く食べている謙吾に答えつつ、理樹はスープに沈んでいたチャーシューのかけらを器用に箸でつまみ、口に運んだ。
昼からステーキなどを食べ終えてしまった真人はというと、伸びをしつつ、
「けどまぁ、鈴の相談事っていったら、真っ先に理樹に行くもんだと思ってたけどな」
「・・・兄としては正直不本意だがな」
言ってからポテトを口に放り込む恭介。
「うーん・・・。というか、最近の鈴なんだけど」
理樹は少し考え込みながら、
「ひょっとしたら、僕たちから卒業しようとしてるのかな、って」
「なに!?」
「つまりそれはあれか!? 俺の筋肉が足りないってことか!?」
動揺したのは謙吾と真人。
恭介はというと。
「ふ、鈴もそんなことを考える時期なのか」
「本人無意識だと思うけどね。ところで恭介、ストローは噛むものじゃないよ?」
冷静に動揺していた。
「実際、僕たち四人ともさ、鈴のこと、妹みたいに見てるでしょ?」
「いや、俺は実の兄だから当然なのだが」
「・・・・・・それはともかく」
普段入れる側のはずの突っ込みを貰い、ちょっとテンポの乱れる理樹である。
「確かになぁ。何かしら鈴がやってると首突っ込んでた気がするぜ」
「うむ・・・。それが当然だとも思っていたな」
真人が天井を仰ぎながら言い、謙吾もうなずき、続ける。
「ようするに、俺たち全員が過保護だったということかもしれんな」
「そうだね・・・」
理樹もため息ひとつ。
理樹自身、幼馴染五人の中では守られる側ではあったが、だからこそ頼ってくれる鈴にはちょっと兄貴風を吹かしていた気もする。
結果として、この年まで鈴を五人の中に閉じ込めてしまっていたのかもしれない。
「鈴の人見知りがここまで続いたのは、ある意味俺たちのせいでもある、か」
恭介が沈痛な表情で呟く。
「ひょっとしたら、最初に鈴を一人の人間として見て上げたのは、小毬さんなのかもしれない」
「だから鈴は、自分を認めてくれた小毬に懐いた、ってとこか」
自分たちにとっては妹だが、小毬にとっては友人、親友だ。
もちろん、その他の仲間たちにとっても鈴は友人だろう。
だが、最初にそう見てくれた人、という点では、やはり小毬は鈴にとって特別な位置にいるのかもしれない。
「やれやれ・・・。ほんっと最近俺、鈴に対して役立たずもいいところだな」
自虐的にぼやく恭介に、理樹は何言ってるんだか、という視線をやる。
「よく言うよ。何かあったらいつも飛び出せる位置に控えてるのに」
「全くだ。兄バカというか、シスコンというか」
「お前ら、そこは慰めろよ」
不貞腐れて紙コップを握りつぶす恭介である。
「で、その、卒業しようとしてる鈴はどーすんだ?」
真人に言われ、理樹は苦笑を返す。
「見送ってあげないといけないんじゃないかな?」
「くっ、名残惜しいぞ、鈴・・・」
「いや謙吾、別に物理的に離れ離れになるわけじゃ・・・」
わけじゃない。だが、頼られることはこれから先どんどん減っていくだろう。
そういう意味では、確かに寂しかった。
だから。
「・・・僕らも、鈴の兄貴分、ってところから先に進まないといけないんだろうね」
「・・・・・・」
理樹の言葉に、3人とも沈黙。
「だがまぁ、鈴を安心して送り出すにはまだ心もとない」
「恭介?」
「いずれ間違いなく、鈴は巣立っていくだろう。だがそれまでの間はせいぜい、兄貴として勝手に威張らせてもらうさ」
ようするに、しっかり成長するまでは口も出すし手も貸す、というところか。
苦笑して、理樹は釘を刺してみる。
「過保護にならないようにね、バカ兄貴」
「鈴みたいに呼ぶなよな・・・」
放課後。
やはり、その少女はやって来た。猫たちの中でしゃがみこんで、彼らを見つめている少女の姿。
鈴はそれを見つけると、深呼吸する。
「・・・よし」
竦みそうになる足を無理やり前に動かして、鈴はその子の隣まで歩いていった。
「・・・」
少女は鈴を見上げる。
目が合えば動けなくなることはなんとなく気づいていたから、鈴は極力目を合わせないようにしながら。
「また来てたのか」
かなりぶきらっぽうだが、声をかけた。
「・・・・・・」
無言のまま少女は猫たちに視線を戻す。
「・・・・・・」
反応がないのに困りながら、それでも気力を奮い起こす。
「・・・ひょーどるっ」
いつもよりかなり硬い声が飛び出した。呼ばれた黒猫は、一瞬驚いたように飛び退く。
「あ」
怖がらせてしまった。深呼吸する。
「ヒョードル、おいで」
今度はいつもに近い声が出た。まだ少し硬かったが。
「・・・?」
少女は鈴が呼んでいるのが何なのか気になっているようだ。
鈴はブラシを取り出すと、寄ってきたヒョードルの毛並みを整えてやる。
気持ちよさそうな声を上げるヒョードル。それを見つめる少女。
「・・・・・・」
横目でそれを見ると、鈴はもうひとつブラシを取り出した。
無言で少女に渡す。
「・・・?」
不思議そうにそれを見る少女に対して、やはりぶきらっぽうに、鈴は言う。
「やってみろ」
「・・・・・・」
「・・・・・・こいつらも、喜ぶ」
「・・・・・・どの子に?」
初めて、少女から言葉が返ってきた。
鈴は驚きに目を丸くするも、慌てて、
「レノンっ」
呼ばれた白猫は待ちかねたように鈴の肩を駆け上って頭の上に陣取る。
「って、いきなりそこにいくな・・・」
頭の上の白猫を抱き上げ、少女の膝の上に降ろす。
「・・・・・・っ!?」
「レノン、大丈夫だ」
白猫にそう声をかけてから、少女にうなずいてやる。
少女は緊張した手で、そっとレノンの毛を梳いてやった。
やがてレノンが気持ちよさそうに一声鳴いた。
それを聞いた少女の顔に、少しだけ嬉しそうな表情が浮かぶ。
その顔を見て、鈴はやっと一息ついた。その瞬間。
「・・・うわ!?」
レノン以外の猫たちが鈴に群がった。
「お、おまえら、なんだいきなり!?」
少女はそんな鈴を驚いたように見つめ、微笑した。
「うう、笑うなー」
猫たちに下敷きにされながら、情けない声を上げる鈴。
「・・・っ」
こらえ切れなかったのか、少女が小さく笑い声を上げる。
「うう」
恥ずかしいのと、嬉しいのと、半々の気持ちで、鈴は渋面になるしかなかった。
「お前、なんていうんだ?」
「・・・?」
少女が鈴を見上げてくる。
「えっと、あたしは鈴だ。棗鈴。お前は?」
少女は小さく答える。
「りん」
「・・・うん、そうだ。で、お前の名前は?」
「だから、りん」
「それはあたしの名前だ」
「ちがう、あたしの名前」
「・・・・・・」
沈黙して、考える。やがて、気づいた。
「にゃにい!? お前も『りん』なのか!?」
少女がうなずく。
「さっきからそう言ってる」
「うう、そ、そうだったのか」
「お姉ちゃん、ばか?」
「!?」
ショック。
「ば、ばか? あたしがか? あたしは真人や謙吾と同じなのか? うわ・・・、それは嫌だ・・・」
明らかに落ち込んだ様子の鈴の背中を、『りん』は軽くたたく。
「・・・がんばれ」
「ううう」
励まされてしまった。
「・・・この子達、お姉ちゃんの?」
「猫たちか?」
「・・・うん」
お姉ちゃん、などと呼ばれることなど今までなかったから、少しだけ得意げに、鈴は答える。
「そうだ」
「・・・そうなんだ」
ほぼ全てが恭介の拾ってきた子であることは意識の外。
『りん』は自分の膝の上で寝ているレノンをそっとなでる。
「・・・あたしも猫欲しい」
「・・・飼えないのか?」
「・・・うん」
と、6時のチャイムが鳴った。
「「あ」」
二つの声が重なる。
「・・・帰る」
「あ、ああ」
立ち上がる『りん』の背中を見て、鈴は立ち上がると、
「あ、明日も来いっ」
「・・・・・・」
少女は驚いた顔を見せると、それから少しだけ笑顔を見せて
「・・・うん」
うなずいた。
「うううううう・・・」
「小毬さん、にやけすぎ」
「よくやった・・・。よくやったぞ、鈴っ・・・」
「うわ、恭介感激で泣いてるし・・・」
「よっしゃあ! 今日は朝まで鈴祭りだ!!」
「謙吾それ意味わかんないから」
特別教室前の廊下から中庭を見下ろしていたリトルバスターズの面々である。
「でも鈴ちゃんよかったねぇ。あの様子なら、きっと仲良くなれたんだよね」
本気で喜んでいる葉留佳の言葉に、理樹は頷く。
「うん、多分ね」
先ほどまで突っ込みで忙しかった理樹も、人のことをとやかく言えないほど嬉しそうだ。
「鈴ちゃんよかったよ〜」
「鈴さんよかったです〜」
「うおお、鈴、お前の筋肉のすごさ見せてもらったぜっ」
一部妙な感想があるのはいつもの事として聞き流すことにした。
「しかし、皆これ知らなかった振りできるの?」
「無理でしょうね・・・」
美魚の間髪入れない返答に、理樹は苦笑する。
「・・・まぁ、いいか」
嬉しいことには違いないから。
そう思っていた。
おそらく、この場のほぼ全員がこれで終わりだと思っていた。
一人を除いて。
「鈴ちゃん、これから、だね・・・」
小毬は、少女を見送る鈴を見つめながら、つぶやく。
「がんばって、鈴ちゃん・・・」
to be continued...
数え間違えて書くつもりが無かった後書きみたいなのを書くことになりました(汗
クドアフターのエロ空気ぶった切ってスマン。
続きも早いとこ書き上げる。がんばる。うん。さらば。
GJ
面白かったぜ
>>93 明けましておめでとうございます。
今年も続きを宜しく楽しみにしてお願いいたします。
>>93 鈴の物語・・・気になるな。
GM!
>>96 知らぬが仏www
GM!
※
>>64 Bを選択
「ねぇ、クド……」
「…………」
返事がないので、僕は指先で軽くクドのほっぺたをつついてみた。
……つんつん。
「ん……」
まぶたが開いて眠たそうな目が僕を見る。
「……リキ、なに……?」
「僕、我慢できないみたい……クドと繋がりたいんだ」
「わふ……?」
通じなかったみたいで、クドはぼんやりした顔を向けるだけだった。
「今ここでセックスしたいんだ」
もっと直接的に言ってみた。
「わ、わふーっ!」
はっきり目が覚めたみたいだった。
「いいかな?」
僕は改めて訊ねた。
「……はい。リキがそうしたいのなら」
僕はこの子が大好きだ。
「大丈夫? 立てる?」
「あ、はい……」
お湯の中にクドを立たせる。
「手は、ここに」
それから湯船の縁に両手を置かせた。
「いいよ。……入れるね」
子供みたいに細い腰を掴んで、突き出た丸いおしりに自分の腰をくっつける。
既にお湯以外の液体で潤い、きらきら光っているそこを僕の硬くなった先端で割り開いていった。
「あ……は……」
縁が掴みにくいのか、足が滑りそうで不安なのか、クドは自分からぐりぐり腰を押しつけてきた。
おかげでいつもより深く繋がってる気がする。
僕の方からは腰を動かさなくても、その刺激だけで達しそうだ。
体重をかけないように気をつけながら、クドの背中に抱きついた。
左右の胸を手で覆い、既に固くなっている胸の先端を指で挟む。
「は、くぅ……」
クリトリスほどではないけど、二つの乳首を摘む度に中の締め付けで返事してくれる。
「……はむ」
跡が残らないぐらいの強さで細い首筋を噛んでみる。
「んっ……んくぅっ」
それにも感じているとわかる声が返ってきた。
僕はあまり下半身を動かさないで、しばらくの間、こうやってゆっくりクドを愛撫し続けた。
「リキぃ……」
甘ったるい声で名前を呼ばれた。
「なに?」
「うぅ……じらさないで……いじわるしないでください。私、もう……」
ほしがる言葉に反応してクドを貫いている僕のものがさらに硬くなった。
「クドはもうイきたいの?」
露骨な質問をしてみる。
クドは目をつぶって、ん、と微かに頷いた。
「じゃあ、そろそろ終わりにしようか」
僕はもう一度両手で腰を掴んで、前後に揺さぶり始めた。
それをだんだん速くしていく。
……ちゅっ……ぢゅくっ……。
出し入れを繰り返すうちに、繋がった部分に溜まった水でも石鹸でもない液体が白く泡立つ。
「わふっ! あふっ!」
声と一緒に中が熱くなっていく。
いままでの愛撫でクドの体に溜まった熱が溢れ出てる感じ。
僕はクドの右肩に噛み付いた。今度は歯型を刻むつもりで。
「わふ――っ!!」
……もしかすると隣の部屋の人に聞こえたかも。
そんな心配をする暇もなく、ぎゅっぎゅっと収縮を繰り返すクドの膣に僕はなすすべもなく搾り取られた。
「う……」
一瞬、気が遠くなる。
なんとか意識を保ち、クドを抱えて湯船の中に座り込む。
ずるりと結合が解けて、そこから僕らの吐き出した粘液がお湯の中に広がった
「はぁ……っ。はぁ……っ」
ふたりの呼吸が落ち着くまでには少し時間が必要だった。
「……ちょっと……のぼせ、ちゃったかな……」
「わふー……」
やっとのことでシャワールームを出た僕らは、裸でもつれ合いながらベッドに倒れ込むと、そのまま気絶するように眠りに落ちた。
なんとか日付変わる前に間に合った…
正月ネタ、ひとつ投下します。
2008年、1月1日の朝。
佳奈多は、やや遅めの時間に目を覚ました。
いくら学校が休みとはいえ、二木家にいた頃には考えられないことだった。
この家… 母と、二人の父と、そして妹のいる三枝家での生活は、どうしようもなく居心地が良くて。
自然と肩から力が抜けていくのを佳奈多は感じていた。
肩の力を抜くのは悪いことではない。
しかし、抜きすぎて自堕落になるのも好ましくない。
今年は適度に肩の力を抜こうとの新年の抱負を抱いて、佳奈多は体を起こした。
着替えて顔を洗い、台所へ向かう途中。
居間で新聞を読んでいる、二人の父の姿を見つけた。
「父さん、お二人とも明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
二人の父にする、新年の挨拶。
「ああ佳奈多、明けましておめでとう」
「おう、おめでとさん」
かたや丁寧に、かたやぶっきらぼうに、挨拶を返す二人の父。
「佳奈多、今日はいつもよりゆっくりだね。何かあったのかい?」
「いえ、ただ少し寝坊してしまって… すみません」
恥じ入りながら謝る。
「謝ることはないよ。どうせ休みなんだしね」
「そうそう、ただ珍しいなと思ってな… いつもとは逆だな」
そう言ってくれる二人の父。
しかし、その言葉の中に気になるフレーズがあった。
「いつもと逆? それは…」
「お母さん、出来たよ。味見してみてー」
「はいはい… うん、美味しく出来てるわよ、葉留佳」
「ふっふっふ。成功成功〜♪」
たくさんのおせち料理が並んだ台所には、母と、そして妹… 葉留佳が立っていた。
「葉留佳… もう起きてたの。珍しいわね」
そう、いつもはむしろ寝坊するのは妹の葉留佳の方だった。
「あ、お姉ちゃん。今日は早起きしてお母さんがおせち作るの手伝ってたんデスヨ。っていうか今日はお姉ちゃんこそ遅いじゃん」
「今日は少し寝坊したのよ… それよりあなたが料理の手伝いですって? 大丈夫なの?」
「むー、それどういう意味ー?」
子供のように膨れる葉留佳。
しかし実際、葉留佳は料理が苦手だったはずだ…
「そんなことないわよ佳奈多。葉留佳が作った伊達巻も寄せ卵も竜眼揚げも、良く出来てるわよ」
「…なるほど、全部卵料理ね」
…卵料理以外は。
「ふっふっふ。卵料理だけなら、まぁ自慢じゃないけど〜、ちょっと県内じゃ敵が見あたらないって言うか〜」
「葉留佳、あなたキャラ変わってない? それに卵以外の料理も少しは練習しなさいよ」
とりあえず突っ込んでおく。
確かにこと卵料理に関しては、葉留佳は何度も練習し、着実に腕を上げている。
それ自体は喜ばしいことなのだが、葉留佳が卵料理に愛着を持つようになったきっかけが自分の嘘だと知っている佳奈多にとっては複雑だった。
「えー。いいじゃんいいじゃん。私は卵料理を誰にも負けないぐらい上手になって、他の料理はお姉ちゃんに作ってもらうよ」
「…え?」
意外な言葉。
「そうすれば二人合わせて無敵なのだー! ね、お姉ちゃん。そうしようよー」
姉妹である私たちの間で不毛な競い合いをするためではなく。
私たちが補い合うために葉留佳が卵料理の腕を上げているのなら。
それを否定する理由はどこにもないのだろう。
「佳奈多、どうするの?」
微笑みながら聞いてくる母。
この人はどこまで見透かしているのだろうか。
「仕方ないわね… 分かったわ。そうしましょう」
そう答えた。
「おーい、何騒いでんだ?」
そう言って、父の一人… 三枝晶が台所に顔を出す。
「おせちの出来ばえについて話していたのよ。葉留佳も頑張ってくれたから晶さんも期待しててくださいね」
母はそう言って笑いかける。
「そうそう。はるちん特製おせちにお父さん2号も期待しててねー」
「葉留佳… 何度も言ってるがその2号ってのはやめろ…」
そう、葉留佳は晶父さんのことをお父さん2号と呼んでいる。
父が二人という特殊な状況とはいえ、その呼び方は正直どうだろうと私も思う。
「えー… じゃあ、お父さんMKUか、お父さん乙型か… えーと他には…」
「おいおい、もうちょっとマシな選択肢はないのかよ…」
前々から思ってたけど、どうもこの子のネーミングセンスは…
「葉留佳、こう呼んだらどうかしら」
母が助け舟を出す。
「『晶お父さん』って。晶さんもそう呼ばれたいんですよね?」
「なっ!? いや俺は別にそんなんじゃ…」
否定しているけど、そんなに動揺してたら意味がないと思う。
「晶お父さん…?」
「…っ!」
葉留佳が口にすると、父はそっぽを向く。
「ふふっ。晶さんったら照れちゃって」
楽しそうに笑う母。
「照れてるんだ? じゃあもっと言っちゃいますヨ。晶お父さん♪」
便乗して葉留佳も楽しそうに言う。
「や、やめろっての!」
「そうだ! せっかくお正月なんだし、お年玉くれたらやめてあげますヨ」
「ん、んなもん用意してねぇよ!」
余程照れているのか、普段は柄の悪い部分がある父もたじたじだ。
「じゃあ言い続けよっと。晶お父さん、晶お父さん♪」
「あぁもう! わかった、ほらこれやるからやめろ!」
そう言って私と葉留佳に押し付けられるポチ袋。
けれど…
「晶さん、さっきは用意してないって言いませんでしたっけ?」
母がニコニコしながら言う。
「う…」
そう、確かにさっき父はそう言った。
一応中身も確認すると、諭吉さんが二人いた。
葉留佳の方も同様だ。
「それなのにわざわざポチ袋まで用意して渡すなんて、相変わらず素直じゃないですね、晶さん」
「う、うるさいな! 恥ずかしいこと言ってんじゃねえよ!」
真っ赤になりながら言う父。
母じゃないけど本当に素直じゃない人だと思う。
「ありがとう晶お父さん!」
葉留佳は葉留佳でそう言って父にまとわりつく。
「だあぁもう、やめろって言ってんだろが! 離れろ、鬱陶しい!」
そんな風に言いながらも、その父の顔がどこか楽しげに見えるのは。
きっと、私の気のせいではない。
「良かったね」
気付けば、もう一人の父が隣に立ち、こちらを覗き込んでいた。
良かったね。
主語のない言葉。
何をさして言っているのだろう。
けれど、私の口は自然と動いていた。
「ええ、本当に… 良かった」
笑顔で父にじゃれつく妹。
そんな妹を口では邪険に扱いながらも、どこか嬉しそうな表情の父。
あるいは、私にそっと微笑みかけてくれる父。
それがどうにも気恥ずかしくて、つい目を逸らしてしまう私。
そして、穏やかな笑みを浮かべてみんなを見ている母。
こんな光景がきっと、『普通の家族』の『普通の生活』なのだろう。
そしてそれは、私たちにとっては望んでやまないものだった。
はっきり言えば、私たちは『普通の家族』ではない。
父が二人いるなんて普通ではないし、三枝本家の問題もある。
今のこの光景でさえ、紆余曲折の末にようやく勝ち取った、はじめての家族での正月なのだ。
私たちはきっと、『普通の家族』にはなれない。
けれど、『普通とはちょっと違うけれど、それでも幸せな家族』になら、なれるかも知れない。
この光景を見ていると、そう思えた。
「あ、いっけないいけない。肝心なこと言い忘れてましたヨ」
突然、思い出したように… いや、実際思い出したのか、言う葉留佳。
全員の視線が葉留佳に集まる。
すぅ、とひとつ息を吸った後、葉留佳が口を開いた。
「お母さんも、お父さんも、晶お父さんも、そして、お姉ちゃんも… みんな、明けましておめでとう!
今年も、ううん、これからもずっと… よろしくお願いしますっ!」
そう言う葉留佳の笑顔が眩しかった。
今年はきっと、いい年だ。
>>102-106 お疲れ様! こういう何気ない幸せな描写こそが
さらなる妄想を羽ばたかせてくれるな。
ただ、中学の勉強を完全にすっ飛ばした葉留佳は、
無事大学へ進めるのだろうか……? と妄想の種を撒いてみる。
と言う訳で、正月ネタです。
正月にノンビリすごすはるちんとかなたんを書きたかったはずなのに、気がつけばあんまりノンビリしてなかったという…。
ところで、姉妹の母親と父親(三枝晶じゃない方)の名前ってどこかで登場しましたっけ?
とりあえず「父」とか「もう一人の父」とかで表現しましたが、これだとどうも書きにくい。
いっそのこと名前捏造して書いたほうが楽だったかなと思ったり…。
捏造と言えば、3人の親の性格は本編を参考にはしましたが、意図して変えてる部分も多い(特に母と晶)です。
「俺の中ではこんなキャラじゃねぇ!」という方がいたらごめんなさいでしたぁーーー!
それでは、最後になりましたが。
皆様、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
>>108 明けましておめでとうございます。
確かめてないけど、おそらく出ていない(と思う)
晶じゃない「葉留佳の父」「葉留佳の母」のキャラクターって難しいよね
世間ズレした人だということ以外はわからないもの
>>107 葉留ちんは進学校である高k…「学園」の学生さんだぜ
俺は撒いた種をついばむカラスさんさ…
>>102 よかったよ。
公式で後日談があったらこんな感じなんじゃないかと思ったぐらい。
>107
佳奈多と同じ学校に行こうと思わなければ大丈夫でね?
行くにしても推薦と一般とか、学部違いとか…‥
※
>>100の続き
今日も家庭科部室でふたりきり。
僕の脚の間にクドがひざまずいている。
「んっ……あむ……」
僕は壁に背中を預けて彼女のフェラチオを受けていた。
じゅっ……じゅぷっ……。
もうずっと長い間、クドの唇と僕のものの間からそんないやらしい音が漏れていた。
「あ……そろそろ出すよ」
僕は片手でクドの頭を押さえつけて、もっと深くくわえさせた。
「んー……!」
喉の奥を突かれて、クドが涙目になる。
それでも僕のものを吐き出したりはしない。
何回も何回も練習させて慣れさせたから。
感慨に耽る間もなく、僕はクドの喉奥に射精した。
「ん……ふ……」
こく……こく……。
鼻で息をしながら、むせないように少しずつ飲み込んでいるのが喉の動きでわかる。
クドはゆっくり時間をかけてやっと飲み終わったのだけど、そこで終わりじゃなかった。
「ちゅ……ちゅっ」
ストローでジュースを飲むみたいにして、僕の尿道に残った精液まで吸い出してくれる。
「ううっ……!」
クドに吸われる度に、射精の感覚を圧縮したような、まるで背骨が引っこ抜かれるような鋭い快感に襲われて、僕の口は勝手に声を漏らした。
「はぁ…………」
ようやく奉仕を済ませ顔を上げたクドは少し苦しそうな長いため息をついた。
でもすぐ僕に笑顔を向けて、
「リキ、きもちよかったですか?」
「うん、すごくよかった……」
きもちよすぎて苦しくて、それだけ言うので精一杯だった。
「わふー……よかったです」
はぁ、と僕の口からため息が出る。
本当にクドは上手になった。
下を見ると、完全に萎えた僕の男根。
回復には少し時間が必要みたいだ。
「ちょっと待ってね……」
「はいです」
やっぱり笑顔で応えるクド。
その顔が綺麗だったからなのか、それとも、一回出してすっきりしたせいなのか、僕はふと罪悪感にとらわれた。
クドリャフカ。
僕の彼女、恋人、愛しい人。
僕のことが大好きで、僕の言うことなら、たぶん何でも聞いてくれる可愛い女の子。
こんなクドに僕はなにやってるんだろう?
クドの好意に、純情につけこんで、自分の欲望を満たしているだけじゃないか……。
僕はいたたまれない気持ちになった。
「クド」
僕が名前を呼ぶとクドは、
「…………」
なにも言わず、少しだけ頬を染めてブラウスのボタンを外し始めた。
「そうじゃなくて……」
「わふ?」
僕はクドの手を止めて言った。
「なにか僕にしてほしいことはないかな?」
「……え?」
きょとんと見返してくる瞳。
「いつも僕がしてほしいことばかり言ってるから、今日はクドの番ってことでさ」
「でも……リキが喜んでくれることが私のしたいことなのです」
そう言ってくれるのは本当に嬉しかったけど、
「だったら、僕もクドの喜ぶことがしたいんだ。何でもいいから言ってよ。僕にできることなら何でもするから」
「……では」
一体どんな要求をされるんだろうかと、不安半分期待半分で待っていると。
「だっこしてください」
「え?」
「それで、いいこ、いいこ、って頭なでなでしてほしいです」
「そんなことでいいの?」
「はい。……駄目でしょうか?」
上目遣いで僕を見るクド。
「……駄目なんてことないよ。おいで、クド」
僕は畳の上であぐらをかくと、クドに向かって腕を広げた。
「わふーっ!」
嬉しそうな声を上げてクドが首に抱きついてくる。
僕の組んだ脚の中に小さな体が収まった。
「リキ♪ リキ♪」
はしゃぎながら頬ずりしてくるクドを片手で抱き止めて、もう片方の手を頭のてっぺんに置いて撫でた。
「いいこ……いいこ……」
なでなで……。
「わふ……」
幸せそうに目を細める。
「いいこ……いいこ……」
なでなで……。
「わふー……」
撫でる度にわふわふとクドは喜んだ。
僕の気持ちはとても穏やかだった。
……だけど、それも長くは続かなかったんだ。
クドの髪の匂いが肌の温もりが僕の劣情を煽り始めたから。
「あのさ、クド……」
やっぱりしたい、と言おうとしたら、
「……すー……すー……」
クドの寝息が聞こえてきた。
A.このまま寝顔を見ている
B.やっちゃう
B!B!
うう・・クドかわいすぎる・・。
出来ればこのまま寝顔を見ときたいがここはあえて?B!
破局を予感しつつB!B!
あんたら鬼畜か。
たまにはエロじゃなくて萌えようよってことでA
俺もAだな
ここは寝顔で萌えまくりな感じで頼みます
AだA。
寝顔をじっくり堪能してから
やっても十分間に合うだろ。
せっかくの楽しみの半分を捨てる理由は無い。
>>108 GMだ!
こういう温かいお話、個人的に大好きだぜ!
親二人については、本編では名前出てなかったね。
ただ、ここでないどこかで名前を仮に設定した二次創作を見た覚えはある。
そういう意味で名前捏造もアリだな。
けど、もしかするとエクスタシーの佳奈多ん√で三枝家のこととかこれまで以上に語られて、名前も出るかも。
まあそんな感じで今後に期待かな。
>>107 軽く妄想してみた。
こんなのどうだろう。
@猛勉強で切り抜ける
1−A:佳奈多と猛勉強
「なるほど、スパルタな二木に次々間違いを指摘されて凹む三枝の姿が目に浮かぶようだぜ…
そうなる可能性は高そうだな。アリだ」
1−B:リトルバスターズで猛勉強
「能美ルートの勉強会みたいな感じになるわけか。
俺はあまり関われないだろうが、理樹がきっと受験勉強を楽しいミッションに変えてくれるさ。
当然アリだな」
A仕方ないので就職する
2−A:恭介と同じく普通にどこかに就職する
「まあ、俺も同じようなことやってるわけだし、文句は言えないな。
けど、普通にどこかに、ってのは面白くない。
アリはアリだが、もう一捻り欲しいところだな」
2−B:恭介が立ち上げたリトルバスターズ鰍ノ就職する
「おっと、そいつはいいな。
けど、そうなると俺は卒業から1年以内にリトルバスターズ鰍立ち上げないといけないわけか…。
そいつはなかなか困難なミッションだぜ…。
だが、その分燃える展開だぜ、こいつは。
すっげえ楽しそうだしな。
大いにアリだ」
Bいっそ永久就職
3−A:理樹に永久就職
「理樹とか…。
けど、多分理樹は進学するだろうし、学生婚になるか、でなければ理樹の卒業まで三枝がプーになっちまうぜ?
いくら三枝がボクノハチミツゥとか言ってても、そいつはシャレにならないぞ。
どうせなら学生婚の方を推したいところだな。
いろいろ問題もあるだろうが、それはそれで萌…燃えるからな。アリだ」
3−B:謙吾に永久就職
「謙吾は恐らく道場を継ぐことになるから、そこに永久就職ってのはアリだろうな。
けど、謙吾は知っての通りのロマンティック大統領だ、手強いぜ?
古式や笹瀬川をはじめ、ライバルも多いだろうしな。
とりあえずのりたまで餌付けするのがいいと思うぞ」
3−C:真人に永久就職
「そもそも真人は三枝以上に進路が心配な奴だからな…。
真人に永久就職したからってそれでどうやって食っていくのか、不安になっちまうぜ…。
けど、これまで真人にそういう話は全く無かったからな。
真人はあんなにいい奴なのに…。
だから、不安もあるし、真人と三枝という組み合わせは以外でもあるが、それでもアリだ。
大変ではあるだろうが、だからこそ燃えるってもんだ。応援するぜ」
3−D:恭介に永久就職
「なにっ、俺かよ!?
三枝か…これまでそんな目で見たこと無かったからな…。
黙ってれば可愛いんだが…。
…ん、ちょっと待てよ?
三枝は割と普通に二木をお姉ちゃんお姉ちゃん呼んでるよな…。
あの調子で俺をお兄ちゃんお兄ちゃん呼んでくれれば…。
…ぐはっ」
「ド変態」
「り、鈴? いつからそこに!?」
「あたしに近づくな。はるかにも近づくな。あとこまりちゃんにも理樹にもクドにもみおにもくるがやにもざざみにも近づくな」
「うあぁぁぁーーーーーーっ!!」
某動画を見たせいでこんな会話が・・・。
小毬「あきのたのー、かりほのーいとのー、とまをあらみー・・・」
全員「・・・・・・」
小毬「ふえ? 何でだれも取らないの?」
理樹「あああうううう・・・」
唯湖「ああ、可愛い・・・」
美魚「力が抜けてしまいます・・・」
恭介「誰だよ、いくら正月だからって、小毬に百人一首読ませようなんて言い出したの・・・」
小毬「??? 次行くよー?」
>>123 >そういう意味で名前捏造もアリだな。
ONEというゲームの(21)担当ヒロインの母親を思い出した
>>125 > 「あたしに近づくな。はるかにも近づくな。あとこまりちゃんにも理樹にもクドにもみおにもくるがやにもざざみにも近づくな」
厳しすぎw
というか理樹が入ってるのはツッコミどころなのか…
>>128 脳内再生楽勝ですネ
※
>>116 Bを選択
僕は眠っているクドを畳の上にうつ伏せに寝かせ、後ろからお腹の下に手を回して腰だけ持ち上げた格好にさせるとスカートを捲り上げた。
それから下着を脱がすのも面倒だったので、薄い布地を横に引っ張り露わになった性器に僕の性器を押し込んだ。
「わふっ!?」
びくんっ、とおしりが跳ねてクドが目を覚ます。
「やっぱりしたくなっちゃった。ごめんね」
一応謝っておく。
「いっ、痛いです……」
僕の方は先走りの汁がだらだら溢れてたから大丈夫だと思ったんだけど、やっぱり濡れてないところにいきなりは辛かったみたい。
「ひぅ、ううぅ……」
痛がる声を聞くのは久しぶりだったのでなんだか新鮮だった。
それでも、クドのお気に入りの場所をつついたり肩を甘噛みしたりしてあげてるとすぐにこなれてきて、
「はぅ……あぁぅ……」
切ない声で鳴き始める。
それがあんまりいつも通りの反応で退屈だったので、僕はちょっと遊ぶことにした。
「ねえ、クドは後ろからされるのが好きなんだよね?」
「わふっ、そんなこと……」
「そんなことあるよ。今だって僕のことぎゅうぎゅう締めつけて離してくれないじゃない。動かすのが大変なくらいだよ」
「あぅ……」
真っ赤な顔でうな垂れるクドの耳元に囁いた。
「だからさ、…………って言ってみてよ」
「そ、そんなの……」
「言わないならやめちゃう。もうキスもだっこもしてあげないし、デートも無しだよ」
デートなんてずっと前からしてないけどね。毎日セックスしてるだけだから。
「うぅ……わかりました」
「じゃあ、言って」
少しのためらいの後、消え入りそうに細い声がその言葉を紡いだ。
「……わ、私は……犬みたいに、後ろから……お、犯されるの、好きです……」
きゅぅっと絞り込むように、クドのが僕のを握る力が一段と強くなった。
「あははっ。なんだか変態みたいだね」
僕は笑った。
「はい……変態さんなのです……」
涙声で同意するクド。
もう恥ずかしすぎて自分で何を言ってるのかわからないのだろうか。
僕は満足して、後は黙ってクドを責めた。
ぺち、ぺち、ぺち……
薄いおしりの肉と僕の腰がぶつかるそんな音が続き、
「わふっ、わふっ、わふっ……わふーっ!」
今日はクドの方が早かった。
遅れてぐったり力の抜けたクドの中に出したとき、僕はまた罪悪感を感じた。
でも今度のは軽くて、事後の気だるさに任せてクドの胸を弄ったり髪の毛の匂いを嗅いだりしているとすぐに消えてしまった。
黒理樹モード全開だな
だ が そ れ が い い w
投下します。恭介と来ヶ谷というペアなので苦手な方はスルーしてくださいな。
134 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:34:02 ID:mosRJ7Sz0
「今夜、ルームメイトもいないしどうせなら泊っていくか?」
どうして俺はこんなことを言ってしまったのか。
悔やんだのは発言のわずか2秒後だった。
「ああ、そうさせてもらおう」
来ヶ谷は俺の提案にためらいなく頷いたのだ。
待て来ヶ谷、これは冗談だったんだ。仮にもお前は女で、俺は男だぞ。
「言われなくても私と恭介氏の性別は記憶しているよ」
「だったら泊まるな」
来ヶ谷は抗議を聞き流し、俺が広げていた問題集を取り上げて目を落とした。
「恭介氏、これの続きはまだか。私としては早く読ませてほしいのだが」
「お、おう。悪い」
突きだされた漫画を横に置く。
椅子に座っている来ヶ谷は違うシリーズの漫画に異様な速度で目を通している。
一ページ一秒もかかってないんじゃないか、こいつ。
漫画はもっと心を注いで読むもんだぜ、と声を大にして説教してやりたいところだがこいつには
言っても意味がなさそうだから止めておこう。
一度言ってもダメってことは無駄なんだ、無駄なのは嫌いだ、無駄…無駄…。
いかん、今読んでる漫画の台詞が出てきてしまうとは。俺の感情移入度もまんざらじゃないな。
「それより来ヶ谷。本気で泊まる気か?」
ルームメイトはまだ帰省しているから部屋には俺と来ヶ谷の2人きりだ。
もし誰かにばれたら多大な誤解を生みそうなシチュエーションである。
まったく余計な提案をしちまったな、今さら後悔しても遅いが。
135 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:35:28 ID:mosRJ7Sz0
厳しい現実を噛み締めていると、来ヶ谷が何やら探しだした。
だから読むのが早すぎるっての。
「それの続きは後ろの机のところにあるぞ」
「む、ありがとう。ところで先ほどの続きはまだか」
「もう少し待ってくれ」
部屋の時計は既に11時を回っている。
俺が読み終わった頃には日付が変わっているかもしれん。
「来ヶ谷。そろそろ帰ったらどうだ」
「自分から誘っておいて酷い言い草だな、恭介氏。ああ、やはり私はこうして遊ばれるだけの女だったのだな。
明日になれば私のことなどそこらの石ころ程度の存在としか認識しないのだろう」
「分かった分かった、俺が悪かったよ」
俺は諦めて返事をした。
こうなったら仕方ない。こいつはきっと折れないだろう。
俺の部屋に泊まって何を企んでるだろうな、一体。
…ろくでもないことに決まってるか。
「お前の好きにしてくれ。ちょうどベッドは二段ベッドだしな……」
「ふむ…もう一度よく下を見てみてくれるか恭介氏」
来ヶ谷に言われたとおり、ベッドから部屋の様子を見わたした。
見知ったはずの部屋は見事なまでに様相を変えていて、俺の度肝を抜くに十分だった。
これでもかというほど物が散乱している。当然下のベッドにもだ。
足の踏み場もないとはこのことだ。小柄な小学生だって寝れそうにない。
俺の知る限りで最高の散らかり具合だった。これは片付けるにしても相当時間がかかるな。
「なんなんだよ、いったい」
「帰ってきてから部屋はずっとこの状況だがね、夢中になりすぎるというのも困り者だ」
マジか…どうせ暇だからって大量に漫画を買ったのがいけなかったのか?
「そもそも私がここにいるのも、恭介氏が自分の漫画で潰れそうになっていたからだろう」
「ふっ…そんなこともあったな」
理樹と鈴は二人でいるし、他の奴らは帰ってると来たもんだ。そりゃあ漫画でも読むしか
ないだろう。そんなときに来ヶ谷がいたのは幸運だとさっきは思ったんだが…。
136 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:37:54 ID:mosRJ7Sz0
とにかく、俺は困ってしまった。
まあ、ここは妥協案として来ヶ谷には俺のベッドで寝てもらおう。俺は椅子で寝ればいい。
よし、そうしよう。
――結論から言うと、俺のその案は来ヶ谷に却下された。
「一応お前は女だし、客を床に転がす趣味はない。上のベッドを使え。俺はいすによっかかって寝るさ。もしくは部屋に帰れ」
「その件はお断りしよう。帰れという意見を黙殺して泊まることにしたのは私だからな、
流石に部屋の主を椅子で寝かせるのは心苦しい。過剰な気遣いは不要だよ。
それともう寮の鍵は閉まっているはずだ」
お前なら抜け出すくらい簡単だろうに。
「じゃあどうする?」
ふむ、とひとつ頷いた来ヶ谷はベッドに登ってきて
とんでもないことを言い出してくれやがりました。
「何、簡単なことだ。二人同時にベッドを使うのが現時点で最良の案だと思う」
「お、おい、来ヶ谷。それはどっちかと言うと最悪の案だろう」
「何故だ? 二人の睡眠の質を考えれば素晴らしい案じゃないか」
変だ変だと思っていたが、こいつは頭のネジが吹っ飛んでるのか?
「お前に何かあったら悪いと心配している俺の気持ちをわかって欲しいんだが」
来ヶ谷は偽悪的な笑みを浮かべた。
「私が恭介氏の部屋に泊まると害があるのか? この部屋には二人しかいないんだろう。
恭介氏が私に危害を加えるつもりがないのなら何もないはずだ」
ああ、そうだな。俺がお前に何もしなければな。
そして俺は来ヶ谷に変なことをする気なんてこれっぽっちもありゃしない…はずだ。
137 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:39:47 ID:mosRJ7Sz0
そしてふいに来ヶ谷がこんなことを言ってきた。
「なあ恭介氏、友人と恋人の違いとはなんだと思う?」
なんなんだいきなり。
「そうだな、恋人相手にじゃなきゃしないこととかあるから、それだろ」
「それは例えばどんなことかな?」
ニヤニヤしやがって、分かって言わせようとしてるなこいつは。
「それを俺に言わせてどうする」
「はっはっ、冗談だよ恭介氏、
だが所謂『身体だけの関係』というのもあるじゃないか」
「なるほど、セフレってやつか」
「さっきは言いよどんでいたのに今度は随分あっさり言ってくれるじゃないか」
「お互い様だ、気にすんな」
「そうなるとなんだろうな、意識してるかどうか、とかか?」
「それは告白という儀式を済ませていなくても、互いに意識していれば恋人ということか?」
「暗黙の了解ってか?難しい問題だな」
というところで、
「ではここで1つ質問しよう」
などと言ってきた、なんだ急に改まって
「私たちの関係は一体なんだろう?」
しえん
あそっか。支援しない連投にひっかかるか。
140 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:51:06 ID:mosRJ7Sz0
「そりゃあリトルバスターズの仲間さ」
「だろう、ならば問題ない」
「でもな、やっぱり男と女が一緒に寝るってのは……」
そうは言ってもやはり理性と欲望の戦いを繰り広げることになる。間違いない。
俺は苦い顔をしていただろう。
ここに鏡がないから俺には見えないが。
「あのな、来ヶ谷」
一晩中欲望と戦う苦渋の未来を選ばされる前に、俺は再び抵抗を試みた。
「俺、これでも男だぞ」
「わかっているさ。言いたいこともだ。だが恭介氏にそんな度胸はないだろう?」
平然と言う来ヶ谷に腹が立った。
……こいつは俺が何を心配して、何に困っているのか百も承知で言っている。
俺がその言葉を快く思わないのもおそらくわかっているんだろう。
それが、とても胸糞悪く感じた。
「来ヶ谷」
我ながら落ちついた声だった。
何をするつもりだと、心の奥で誰かが問いかける。
大事な友人を失うつもりか、信頼を裏切るつもりかと、俺の心が訴える。
ああ、それでも腹が立つものは立つのさ。ちょっとふざけたっていいだろう?
「なんだい、恭介氏」
澄ました来ヶ谷の顔が見える。
まだ空いている距離を詰めながらもう一度彼女の名を呼んだ。
「恭介氏? どうし……きゃっ!?」
小さい悲鳴が耳に届いた。
俺はそれに構わず、来ヶ谷の腕を掴んだ。既に俺は来ヶ谷を押し倒している。
「俺、これでも男だぞ」
先ほど言ったセリフを繰り返した。
来ヶ谷が目を白黒させる様子は見物だった。
「お、落ち着け恭介氏、少し調子に乗りすぎてしまった、だからどいてくれ。
まあ君も男だ、気持ちは分かるが私と君は―――」
141 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:53:23 ID:mosRJ7Sz0
焦って俺を押しのけようとする来ヶ谷の顔は今まで見たことがないものだった。
ちょっとした仕返しのつもりだったが、そんな顔をされると、その、困る。…へたれだな俺。
やっぱりコイツも女なんだって変に意識しちまうな。自分で押し倒しておいて何を焦ってるんだか。
「私と君は、友人だ。離してくれ恭介氏」
「友達だからってできなくはないだろう? 恋人同士じゃないといけない決まりはない」
これはさっき来ヶ谷が言ってたことだ。
頭のいいこいつのことだ。前に自分が言ったことを覚えていたのだろう、少しばかり顔をしかめた。
「確かに恋人である必要はない。だが友人や恋人といった人間関係以前に今やっていることは問題がある。
恭介氏は嫌がる女に無理矢理行為を迫る男なのか?」
来ヶ谷は近くにある俺の顔をまじまじと見た。
喋っているうちに落ち着いたのか、普段の表情に戻っている。
「しかし、ふざけていわゆる男のプライドを傷つけてしまったことは私に非がある。
明日に響く行為は困るが、少しくらいなら恭介氏のしたいようにしてくれて構わない」
「……冗談だな?」
「その通りだ。恭介氏ならそう受けとってくれると信じていたよ」
それは褒めているのか? ちっともそういう気がしないんだが。
俺はふてくされながらも来ヶ谷を解放してやった。
来ヶ谷は特に気分を害した様子もなく、面白そうにこちらを見ている。
俺はあまり面白くない。舐められっぱなしは嫌なものだ。
142 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:54:11 ID:mosRJ7Sz0
「……少しならいいって言ったよな?」
「ああ」
「ちょっと目を閉じてくれ」
ほう、と来ヶ谷は笑った。
「君が婦女暴行を働く男だったとは知らなかったな」
どう考えても、からかわれている。こいつ悪いと思ってないな。
「いいって言い出したのはお前だろ」
「それもそうだったな」
くくく、と喉を鳴らして笑い、来ヶ谷は目を閉じた。
こうして見ると実に綺麗な顔をしている。
変な言動を直せばもっとモテるだろうに。当人は全く興味がないようだが。
そんなことを考えながら来ヶ谷のあごに手をかけた。
ゆっくり顔を近づけても来ヶ谷は目を開けない。
まったくそこの知れない女だな、本当に。
そしてさらに顔を近づけて――俺は来ヶ谷の唇に軽く触れた。
すぐ離れたが、その途中で来ヶ谷の驚いた顔が見えた。なんで驚くんだ。
来ヶ谷は俺から顔をそらして口を押さえている。
「……本当に…やるなんて……」
俺はそこまで甘く見られていたのか。今日の出来事で一番ショックだ。
「いつまでもふざけるからだ」
143 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:55:07 ID:mosRJ7Sz0
翌朝。
俺は強引に起こされた。犯人はもちろん来ヶ谷である。
「恭介氏、起きろ。いつまで寝ているつもりだ」
「……あと5分寝かせてくれ……」
「寝起きが悪いんだな君は。朝のまどろみが心地よいのは理解しているつもりだが、
私を客人と思っていて、その客人より惰眠を貪っているという自覚があるならばさっさと起きろ。
なんなら私一人で出て行ってもいいが、もし誰かと遭遇したときは恭介氏に都合が
悪いことになるが構わないのだな?」
ビシビシと厳しい発言が聞こえてくる。休日の朝から勘弁してくれ。
これでは至福の時間がゆっくり味わえない。
「……わかった。起きるから勘弁してくれ」
来ヶ谷はいつも通りだった。
まあ、いきなり妙にしおらしい態度でも取られても俺が困る。ほっとした。
起き抜けに来ヶ谷がひとつ提案をしてきた。
「昨日の夜にあったことは今後触れないようにしないか」
「何かあったか?」
「……忘れたわけじゃないだろう? 恭介氏があんな行動に走るとは想定外だった」
そうかよ。
このままほっとこうとも思っちまったが、昨日の様子じゃ多分ファーストキスだろう。
それを騙したままにするのはさすがに悪い。
俺は右手の人差し指と中指をそろえ、来ヶ谷の顔へ近づけた。
二本の指で、来ヶ谷の唇に軽く触れる。
……これが昨日の夜に来ヶ谷にやったことだ。
勿体無いことをしたと悔やむ気持ちもあるが、来ヶ谷と妙な関係になるのは避けたい。
「で、あんなってどんなことだ?」
再びしえん
145 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 17:56:45 ID:mosRJ7Sz0
にやにや笑いで問いかけてやる。
来ヶ谷は数秒間、らしくもなく呆け気味だった。昨日の夜よりも驚いているようだ。
こいつがこんな風になるのは珍しい。 俺も見るのは初めてだ。
「恭介氏」
普段冷静な声が、いつにも増して冷たく聞こえたのは俺の気のせいだろうか。
「私もからかい過ぎたが、その悪戯は報復としてもやりすぎだと感じるよ」
「怒るなよ。実際にはキスなんてしてないんだからさ」
「……恭介氏はもう少し、女性の心の機微を察するようになったほうがいい。なりたまえ」
「あ、ああ。努力はしてみる」
その機能が向上する保障はしないがな。
しかし、来ヶ谷はなんでこんなに怒ってるんだ?
そんなに騙されたのが癪に障ったのか。
「俺が悪かった。すまん」
とりあえず頭を下げたが、彼女の冷たい目の温度は上がってくれなかった。
「お前、目が赤くないか?」
「誰かさんの悪戯のせいで寝付けなくてね。私にも思春期の少女らしい一面があったようだ。
新しい発見をしたのは喜ばしいことだよ。それ以上に腹が立っていて実感しにくいのが残念だ」
……なんだか、ものすごく怒っていらっしゃる。
来ヶ谷がここまで感情的になるなんてな。昨日の夜から珍しいものをよく見るぜ。
「あー、来ヶ谷。朝飯はどうする? 何なら学食で一緒に食べないか」
「…この時期、学食は閉まっているはずだが」
「っと。忘れてた。じゃあ散歩がてら商店街のほうまで行ってみるか。どうせ
この部屋じゃ何も出来ないからな。なんならおごるぜ」
「ならば付き合おう」
来ヶ谷の顔を見るに機嫌は直ってくれたようだ。あんなに怒ってたのに早いな。
何でなのかわからん。
来ヶ谷よ、すまないがお前の要求はハードルが高いようだ。
商店街へ向かう途中、行きかう車の音に混じって何故かため息が聞こえた気がした。
146 :
正月の攻防:2008/01/03(木) 18:03:05 ID:mosRJ7Sz0
結局朝飯はマックで食べることになった。関西圏ではマクドらしいな。
なんか真人と能美のコンビ名みたいだな…などと考えていたら来ヶ谷の
メニューも来たみたいだな。
暖かいコーヒーを一杯…胃に流れ込んできてようやく体が覚醒してきた。
「ちなみに恭介氏」
「ん、どうした?」
「昨日の会話…全て録音済みだ。覚えておくがいい」
俺は朝っぱらからむせ込むはめになった。
これで終わりです。支援してくれた方々ありがとうございました!
新鮮な組み合わせで面白かった!恭介はこの後が大変だろうな…。
>>147 恭介×姉御かぁ…。
いいコンビにはすぐになれても、恋愛関係になるには随分時間がかかりそうな組み合わせですなぁ。
お互いイニシアチブの取り合いして、しかもどっちも曲者だからなかなか先に進まない、と。
この後も面白いことになりそう。
GMです。
攻略キャラが二人追加と聞いてリトバスにあと二人追加されたら何が出来るのか考えてみたんだがやっぱサッカーか。するとポジションがどうなるのか気になるところだ。
ということで誰か妄想頼む。
>>150 だーまえがサッカーの話書くとはちょっと思えないのがなんとも
Keyチルドレンオンリーだったらあるいは…
鈴 ささみ
理樹
クド 小毬
佳奈多 葉留佳
真人 恭介 謙吾
来ヶ谷
2−5−3で理樹が司令塔になってこんな感じかなと思った。もちろんマネージャーが美魚。
理樹 鈴
はるか
マックス クド
恭介
来ヶ谷 さささ
かなた 謙吾
真人
4-4-2
理樹鈴には花形FWとして活躍してもらう。トリッキーなはるかを1シャドーにおく。中盤の底は恭介。
サイドアタッカーとして足の速い来ヶ谷とささみを起用。クレバーな謙吾とかなたにDFを頑張ってもらう。
前面積のでかい真人がGK。技術は期待してない。美魚はもちマネージャー。
ちなみに男子だけのチームに挑めば、女子に当たるのを怖がってガツガツこないから結構勝てる。
※
>>131の続き
「じゃあ、頑張ろうか」
「はいですっ」
もちろん、勉強を。
実力テストが間近に迫っていた。
あれからもずっとただ毎日毎日セックスしかしてなかった僕らだけど、今日からは心を入れ替えて真面目に勉強することにした。
テストが終わるまではセックスは無しだ。
さて、何からやろうか?
A.物理
B.セックス
き、筋肉で…
セックスセンセーションだ!
なんかネタっぽくなってきたな…
>>154 っ筋肉
うわ何をするやめくぁwせdrftgyふじこ
これ以上クドをいじめないでくれということで、Aで。
いやいやいや、ここ最近黒を通り越して鬼畜だから真面目にAでいこうよ
もしくは筋肉で。
「サッカー最高!!」
正月休みから帰ると、恭介は異様な出で立ちで全員を迎えた。
「ぬ、なんだそりゃ!!?」
「また恭介の発作が始まったのか」
「こんどはなんだ、バカ兄貴」
「見てわからないか? サッカーだよサッカー! いやっほーぅ!!」
頭にバンダナを巻き、頬に色を塗っている。
首にはタオル地のマフラーを下げ、来ているシャツには何かのエンブレムが大きくプリントされている。
両手には叩けるように先が割れているメガホンと、吹いたらパフパフと音がしそうな小さなホーン。
そしてその全てが、○色と○色(お好きなチームのカラーを適宜当てはめてください)だった。
「すっかりはまっちゃったみたいだね〜、恭介さん」
「小毬、ありがとな。すっかりこのとおりさ! いやっほぉー!!」
後で聞いた話だと、小毬さんが元旦に行われるサッカーの招待券を恭介にあげたらしい。
実家に戻った時に、新聞のおまけでついてきたものを貰ってきたそうだ。
「微妙にセンスが古い所が、なんとも恭介さんらしいところです。今時フェイスペイントは……」
「Vメガホンはないぞ。声を掻き消すということで、応援団からは嫌われているというのに」
「それに、ホーンの使用は、日本のプロリーグでは禁止されていたハズなのです」
「あー、確かにプロリーグができた当時はプープープープーうるさかったもんねー」
ここまでハマってしまうと、次に言う言葉はもう決まっていた。
「みんな、サッカーをしよう」
「チーム名は……リトルバスターズだ!」
鈴 佐々美 鈴 佐々美
恭介
恭介 唯湖
葉留佳 小毬 葉留佳 小毬
理樹 理樹
クド 佳奈多 クド 佳奈多
真人 唯湖 真人
謙吾 謙吾
システム:4-4-2(1V) , 4-3-3 システム:3-5-2
責任感と「護る」ことから考えて謙吾をGKに。
対人能力の高さを考えるとCBをふたり置くなら真人と唯湖。
3バックでやるなら真人は他では使えないので、唯湖をトップ下へ持っていく。
狩猟犬のごとき運動量を考えるとクドがSB。危機管理能力から考えて佳奈多もSB。
ボランチの位置に理樹が入り、前方のメンバーへ突っ込み(パス)を供給。
メンバー唯一の左利き、葉留佳を左ウィングへ。
恭介は司令塔の位置にいて、隙あらば自らもゴールを狙いに行く。
2トップは猫の反射神経とライバル心を煽るためにこの二人。
で、余ったところに小毬を配置。学習能力の高さを活かして英才教育を施す。
唯湖FWにして残りはDF
ボールを奪ったらゴール前に放り込んで
瞬間移動させればいいんじゃねと浪漫の欠片も無いことを言ってみる。
リトルバスターズがサッカー初心者なことを考えると
フォーメーションはやはり4-4-2(フラット型)か4-3-3がいいかと
真人と謙吾に鈴を横投げさせてボレーさせればいい。
>>163 姉御は気分屋だからパスもらっても取らない可能性が大いにある。
取れる範囲のボールをスルーされてコンボ中断、何度悲鳴上げたことか・・・。
>>167 同意。
いっそのことクドGK、姉御&小毬をDFとかにしてみてはどうだろうかと思う。
そうすればクドや小毬に鋭い球が来た時(=得点取られそうな時)は姉御が本気出してフォローせざるを得ないわけで。
結果、姉御が3人分以上の働きで守りを固めてくれて。
残りの8人は攻めに集中できる、と。
※
>>154 Bを選択
「セックスだよねっ!」
「わふーっ、お猿さんなのですっ!!」
僕はクドを押し倒してセックスした。
「セックス、セックスぅーっ、セックスいくいくーっ!!」
「セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!! なのですっ」
僕は絶頂の余韻に浸っているクドを放って家庭科部室を飛び出した。
――もうクドだけじゃ満足できないっ!
「ほわぁっ!! どどどうして理樹君ぱんつはいてないのーっ!?」
屋上にいた小毬さんとセックスした。
「こまりあいしてるこまりあいしてるこまりあいしてるこまりあいしてる」
「おにいちゃん! おにいちゃんっ! せっくすいくいくー! せっくすいくいくー!」
「おまえ、こまりちゃんに何やったーっ!!」
廊下で詰め寄ってきた鈴を後ろから猫の交尾っぽくセックスした。
「ふにゃあぁぁぁっ!! セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「あわわわ……すごい場面に出くわしちゃいましたヨ」
「あなたたち、廊下で何してるのっ!」
ふたりまとめてセックスした。
「お姉ちゃんっ、私、私っ……お姉ちゃんのこと大好きぃっ!! セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「葉留佳っ、私もよ、はるかぁっ、ずっと好きだったのっ……! セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「これほどの鬼畜だったとは……直枝さん、見損ないました」
「でも、美魚のここは違うみたいだよ?」
「美鳥……っ! こ、これは……」
「さて、理樹君。お姉ちゃんを素直にしてあげて」
西園さんとセックスした。
「て、てごめにされてる……わたし、直枝さんにてごめにされて感じてます……セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!! ……です」
「あはっ、美魚の顔すっごく気持ちよさそう。理樹君、あたしにもしてほしいな……」
美鳥ともした。
「この、すけべ。この、すけべ。でも、一番すけべなのは……あたし。セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「……はじめてなんだ。おねがい……やさしく……」
「可愛いよ、ゆいこ」
「な、名前で呼ばないで……ああぁっ、セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
――まだまだ足りない……!
――この学園の、
「そんな……宮沢様じゃないのに……どうしてっ!? セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「「「ああーっ、佐々美様とひとつにぃ……! セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」」」
「宮沢さんの言うとおりでした……生きてるって素晴らしい……セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「私は直枝くんのことが……好きだから。セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「むつだけ、ずるい! あたしにもセックスしてよっ。セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「もう来ヶ谷のことなんてどうでもいいっ! 直枝とセックスできたら、それだけで……セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「ちょっ、わたし本当にただの脇役だからっ! 可愛い呼び名とかあってもFDで攻略対象になったりとかしないからっ……! セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
――この町の、
「だめー! 私、人妻なのにー! 夫が二人もいるのにー! セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
――この国の、
「うぐぅ……セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「が、がお……セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
「朋也くんより開かれてますっ……セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
――この世界の!
「あら、あなたはクーニャのボーイフレンドの……セックスいくいくー! セックスいくいくーっ!!」
――すべてのヴァギナにペニスをこすり合わせて精液を流し込んだ。
「さあみんな一緒に!!」
セックスいくいくー!! セックス絶頂!! セックスいくいくー……!!
……こうして世界はエクスタシーに達した……。
――――――――――THE END――――――――――
まさかの超展開!?
クソワロタwwwwwww
こwwwwwwれwはwwwwひwwどwwwwwwwwwwいwwwwwwww
>>172 もーくちゃくちゃだな(∵)
大いに笑ったけどw
っていうかこれを見ていた恭介真人謙吾はどんな気持ちだったんだろう?
まあ何はともあれ長編完結お疲れ様!
この終わり方は予想してなかったわ。つーかできるかw
てか人妻のとこ変やろ。
夫が二人ってwww浮気してるやないか。
佳奈多葉留佳のママンだろ
>>172 謝るなら早いほうがいいぞ
本物の人が投下し辛いだろ
……本人じゃないよね?
ID違うし本人じゃないだろ
日が違うんだからID違ってて当然だろ常考…
____
/ \ /\ キリッ
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \ ID違うし本人じゃないだろ
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
____
/_ノ ヽ、_\
ミ ミ ミ o゚((●)) ((●))゚o ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\ /⌒)⌒)⌒)
| / / / |r┬-| | (⌒)/ / / // だっておwwwwwwwwwwwwwwwwwww
| :::::::::::(⌒) | | | / ゝ :::::::::::/
| ノ | | | \ / ) /
ヽ / `ー'´ ヽ / / バ
| | l||l 从人 l||l l||l 从人 l||l バ ン
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、 ン
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
本人であろうとなかろうと、この鬼才っぷりには噴かざるを得ないwww
あれか。ちょっと雫っぽいのは“拓也”繋がりがあるからか。
たしかに月島さんっぽいけど井ノ原さんの筋肉旋風…いや、真人はこんな事しないな
謙吾ばりにブッ壊れたのかと思ったぜ。
あまりのぶっ飛びっぷりにコーヒー吹いたぜ
ちょっと『仰げば尊し』歌いながらセックスセックスしてくるわ
ところで、このスレって3行程度の小ネタ妄想はアリなの?
>>187 アリだ、というかそういうのも多いぜ結構
それをトスにスパイク打ち込む猛者が現れることもあったくらいだ
トスとかスパイクとか寒い
鈴「・・・ちゃんと生えてるぞ」
謙吾「見えた!」
謙吾「マーーーーーーーーーーーーーーン!」
鈴「 こ」
>>178 ごめん。本人なんだ。
ネタ思いついたら止められなかった(∵)
もう少しだけ続きます↓
※
>>172の続き
「……はっ」
目を開くといつもの家庭科部室。
僕はこたつに入っていて、肩にはクドの頭が乗ってて小さな寝息を立てていた。
(ふたりとも寝ちゃったのか……物理の勉強してて……)
いま何時だろう?
こたつの上に置いている腕時計を見た。
……って、消灯時間、過ぎてる!?
「クド、起きてっ!」
僕は隣で眠るクドを揺さぶった。
「……わふ?」
「もう消灯時間過ぎてる! 寮に戻らないとまずいよっ!」
「わふーっ! たっ、大変ですっ!」
僕らは慌てて筆記用具やノートや教科書や参考書を鞄にしまう。
そのとき、部屋の外から靴の音が聞こえてきた。
(誰か来る……?)
というか、風紀委員の見回りに決まってるじゃないかっ!
「クドっ!」
僕は急いで部屋の明かりを消してふたりの鞄をこたつの中に押し込んで、
「わふっ!?」
クドを抱きかかえて近くの押入れに滑り込んだ。
なんとか二人分の体を詰め込んで中から戸を閉める瞬間、部屋のドアが開く音を耳にした。
明かりの点く音。
「なんか音がしてましたよね……?」
部屋を歩く複数の気配。
「…………」
少しの沈黙。
「……ここはこれでいいわ。次に行きましょう」
「え? でも、委員長……」
「ほら、さっさと回らないといつまでたっても寝られないわよ」
「あ、はい……」
気配が部屋から出ていく。
「はぁ……やれやれだわ……」
最後にそんな呟きを残して。
……とりあえず危機は去ったようだ。
「わふー……」
胸の中のクドも安堵の息を漏らす。
「しばらくここにいよう。まだ見回りしてるかもしれないから」
「そうですね」
そうやってクドとくっついてじっとしていたら、
(あ、勃ってる……)
寝起きだったのもあって、僕のものは妙に元気になっていた。
A.おとなしくしておく
B.クドに処理させる
あれで終わりかと思ってたよw
とりあえずB!
そして「何やってるのよあなたたち!」とかなた乱入希望。
とりあえずAだが、クドのほうから迫ってきた!的展開キボン。
例えば
例えば、目の前の自分のベッドに年頃の女の子が無防備に寝ていたなら、男はどうするだろう。
加えてその女の子が涼しげなミニスカートで、眩しい太股がしどけなく投げ出されていたなら?
そんなバカな事があり得るかと世間の有識者は仰るかもしれないが、現に俺の目の前にはなぜか小毬が平和そうに寝息を立てている。
そして寝返りをうって仰向けな小毬のスカートは非常に際どい状態だ。
さあ、再度問おう。この場合、若人たる俺の取るべき道は?
「めくる」
グラシアス俺、ありがとう俺、その通りだ俺。
ならば行こう。夢と希望、すなわち ぱんつ が其処にある。
純白、縞縞、スケスケ、レースに紐、黒に紫、青に紅。いやさ、伝説のぶるまも在りや?
さあ今こそめくるめくデンジャーな世界への冒険へと、いざ!
―――ピラ
「……」
俺は彼女のスカートを直すと、無言のまま部屋を出た。後ろ手で扉を閉め、そのままの姿勢で俺はそっと天井を見上げる。
天井の染みが涙で滲んで見えなくなっていく。頬を流れる雫が熱くて、俺は静かに目を閉じたのだった。
「……ぱんつ、履いてませんでした」
>>199 これって恭介視点だよね?
それで合ってるよね?
…一瞬だけど、生前の拓也さんかと思っちまったんだ…
まあ何にしてもGM。
やはりマックスははいてないのか。
※
>>196 Bを選択
「クド」
腕に寄り添っているクドに声を掛ける。
「はい、なんでしょう?」
「口でしてよ。勃っちゃったから」
言いながらクドのふとももに硬くなったところを押しつける。
「わふ……」
このまま入れようかとも思ったけど、まだ風紀委員が近くにいるかもしれないから、ここはおとなしく口で我慢することにした。
「よろしくね」
「はいです……」
光が無いので、返事をするクドの表情はわからない。
「んしょ……よいしょ」
それからクドは狭い押入れの中、もぞもぞ体を動かして僕の股間に顔を寄せた。
「失礼……します」
一言断って、スラックスの前を開けて取り出したものに手を添える。
「ぺろ、れろ……」
まずは棹の全体を丹念に舐めて唾液を塗りつける。
「はむ……ん……ん……」
それから口に含んで舌で舐めつつ唇で扱きつつ喉で吸い上げる。
片手の指で痛くない程度に、でも十分に刺激的な、絶妙の力加減で袋の方をマッサージしてくれる。
文句のつけようが無いクドの奉仕に、僕も初めはおとなしく身を任せていたんだけど、顔の前でふらふら揺れるおしりの気配にイタズラがしたくなった。
で、スカートを捲り上げて下着をずりおろした。
「わふっ!?」
びっくりしたクドがフェラチオを中断する。
「しー……風紀委員の人たちが戻って来ちゃうよ?」
「な、なにを……」
不安そうな声で訊ねてくる。
「僕だけ気持ちよくなるのも悪いから、僕もクドにもしてあげる」
舌を伸ばして、ぺろりっとクリトリスからおしりの方まで剥き出しの割れ目を舐め上げた。
「わひゃっ!」
「ほら、大きな声ださない」
クドの薄いおしりを平手で軽くぴしゃぴしゃ叩いた。
「うぅ……ごめんなさい」
涙まじりの声で謝ってきたので許してあげる。
「わかった?」
「……はい」
「じゃ、続けて」
「はい……あむっ、ん、んん……」
クドは一生懸命な奉仕を再開した。
それで、僕が(おしっこの穴を舌先でつついてみたりして)いちいち邪魔をするから、集中できないようで、たまに八重歯が肉を掠った。
「わかってると思うけど……絶対に歯は立てないでよね。すごく痛いんだからさ。もし立てたらオシオキだよ?」
わざと怖い声を作って言ってみる。
「はぅぅ……オシオキですか?」
またクドは手と口を止めてしまう。
「うん」
「どんなオシオキなんでしょう……?」
「それは、えーと……」
実は特に考えてたわけじゃないけど……じゃあ、思いつきで、
「おしりのあなにおちんちんいれちゃう」
相当に興味あるので。
「わふっ……んんっ!」
またクドが声を上げそうになったので、おしりをつねって黙らせた。
「入れられたくなかったら、がんばってね」
「……がんばりますです」
クドはもう一度僕のをくわえておしゃぶりを続けた。
僕はしつこくイタズラし続けた。
(……ん?)
ふと気がつくと、クドの頭は僕のをくわえたままこっくりこっくりと船を漕いでいた。
「寝ちゃ駄目」
僕は目の前のおしりの穴に人差し指を入れた。第一関節ぐらいまで。
「わふーっ!?」
そのままコリコリと入り口を引っ掻く。
「ひぅぅ……おしりは嫌です〜……」
「じゃあ、がんばって口を動かそうね」
「……はいです」
これはかなり効いたみたいで、それからのクドは僕が満足するまで休まずに頑張った。
黒いwww
黒理樹は実にいいですね。
主導権を握ったあとの理樹は止まらないぜ!
この鬼畜どもいいかげんにしろ!
これ以上エスカレートするなら鬼畜スレに行くべきだな
そこまで鬼畜ってほどでもないだろw
どうでもいいけど誰か鬼畜スレ立て直してくれない?
「諸君、リトルバスターズの新戦力を紹介しよう」
家庭科室に三十分も遅れて参上するなり、何ら悪びれる様子もなく胸を張る来ヶ谷に、すでに集まっていたメンバーたちは胡乱な視線を向けた。
「姉御ー、何か面白いものでも発明したのー?」
「発明か。ふむ、中々上手いことを言うね、葉瑠佳君は。そう、今回のテーマはずばり、高次元への人類の飛躍!」
ぱちんと指を鳴らして廊下に合図を送ると、がらりと扉が開き、全身ねずみ色の奇妙な風体をした鈍重な何者かが部屋にのそりと入ってきた。
「汎用人型自律思考ロボットGPAT3号機。開発コード【ロリコップver21】だ。みんな仲よくしてやってくれたまえ」
「バケツ被ってるだけだよね!?」
理樹が指摘するとおり、ロリコップ(21)は小さな穴が二つ開いたブリキのバケツを逆さに頭に被せられていた。
さらにグレーの胴体はペンキで塗り潰したダンボール製だ。
今時小学生でも考えつかないような、思わず目を背けたくなるチープ加減だった。
「何か見るからに人力って感じだな」
「はっはっは! 何を言うのかね。ロリコップ(21)は来たる終末戦争に備え、ネオナチが極秘裏にジオフロントで開発していた……」
ダンボールの継ぎ目から肌色の関節がちらちら覗きながらも、来ヶ谷はあくまでロボットだと言い張る。
美魚は開け放しの窓枠を歩く小鳥を目で追いかけながら、涙と共に込み上げる欠伸を一所懸命に噛み殺していた。
「さあ、ロリコップ(21)くん。みんなに挨拶したまえ」
「ガガ……ロリコップ(21)デス。ミナサンヨロシクオネガイシマス」
「こわっ! こいつこわっ!」
「わふー…なんかすごいです…」
「製作に何時間もかかったからな」
「けど、こんなものが何の役に立つんです?」
「二木君、聞き捨てならない台詞、大いに結構。ロリコップ(21)くん、きみの必殺技皆に見せつけてやれ」
ぶんぶんと頭のバケツを大きく横に振るロリコップ(21)くん。
「どうした! 口からビームくらい出してみせろ! なんのために君を作ったと思うんだ!?」
無茶言ってんな、と暗い穴から覗く瞳が必死に抵抗の意思を伝えていた。
「やっぱりただの粗大ゴミじゃない」
「ふむ……必殺技は使えないかもしれないが、こいつは何でもみんなの言うことを聞くと思うぞ」
ちょっと待て、と遮るふうにロリコップ(21)くんが両手を前に突き出すが、来ヶ谷は頓着しない。
「へー。じゃあ、ちょっくら商店街行って菓子パン買ってきてー! さっきから小腹が空いちゃって。ほい、お金」
「ナンデソンナザツヨウヲ」
「ああいいぞ、他に用事はないのか?」と意気揚々と来ヶ谷。
「それじゃあ私も。ちょうど喉が渇いてたところなの。 コーヒーをブラックでお願いね」
「はっはっは、ちょろいちょろい」
「ついでに俺のハンバーガーも頼むぜ!」
「あ、そうだ。部室に服忘れてきたんだよ。帰りに取ってきてもらえるかな」
「グオオオオ」
屈辱にダンボールの肩を震えさせるロリコップ(21)くんを無視して、来ヶ谷は窓際で傍観している美魚にも声をかけた。
「美魚君はこの最新テクロノジーの結晶に何かパシリ、もとい頼みごとはないかね?」
「いえ別に」
「遠慮することはないんだよ!」
「はあ……」
どうやら何が何でも自分に命令させたいらしい。
じゃあ、よく冷えたお茶でも買ってきてもらおうかしらと、硬貨の詰まった財布を取り出した際、ふいに地団駄踏んでいるロリコップ(21)くんと目が合った。
そういえば。
今日はまだ一度もあの人の顔を見てないなあ、とか思ったり。
「……それでは、お願いします」
「オウ」
「何かの罰ゲームですか?」
「キカナイデ」
「ご愁傷様です」
まあ、彼が来ヶ谷さんに色々と弱味を握られているのは確かなようだ。
手の中の小銭をじゃらじゃら鳴らしながら執務室を出ていくロリコップ(21)くんの背中に、美魚は何とも言い知れぬ哀愁を感じた。
「ハアハア。カッテキタゾ、コノボンクラドモ」
校舎から商店街やまでをダッシュで往復して金属疲労を起こしたロリコップ(21)くんが、無慈悲で頑ななリノリウムの床の上に倒れ伏す。
でこぼこに歪んだバケツの中で、ぜいぜいと荒い息づかいが聞こえる。
美魚は灰色の装甲の隙間から、ぱたぱたと団扇で涼風を送ってやりながら、自分が買ってきてもらった冷たいお茶缶を差し出した。
「喉が渇いたでしょう? これ飲んでくださいな」
「グスン。アリガトウ、ミオ」
「いえいえ」
「ニンゲンッテ、ヤサシインダネ」
「ロリコップ(21)くん、私のコーヒーは買ってきてくれたかな?」
「ホラヨ。オメエハ、ニンゲンノクズダ」
来ヶ谷はその悪態を軽く聞き流し、乱暴に投げられた缶を片手で難なくキャッチする。
が、ふいに顔をしかめたかと思うと、一転、気持ちがいいほどの晴れやかな笑顔で言った。
「そういえば私はこれ嫌いだったなあ……買い直してこい」
堪忍袋という回路の焼き切れる鈍い音に、周りの空気が揺れた。
「ロリコップ(21)くんが暴走したっ!」
「こわっ! こいつくちゃくちゃこわっ!!」
「はっはっは! 創造主に勝てると思っているのか! スクラップにしてやろう!」
誰も止めないどころか、嬉々として囃し立てる様が、実にみんならしいなあと、美魚は自若として思った。
これで終わりです、134-146と微妙にリンクしてたり…。
※
>>203の続き
実力テストは明日だ。
今日こそは真面目に勉強するはずだったんだけど、クドの可愛い顔を見てたら我慢できなくなったので、いつも通りキスして服を脱がそうとしたら、
「あ、あの……」
「ん? 今日は服着たままがいい?」
「いえ、そうじゃなくて……」
クドがポケットの中からなにかを取り出して僕に差し出した。
「……なにこれ?」
コンドームだった。
「昨日、あの、佳奈多さんに言われたんです……その、ちゃんと避妊しなさいって……」
それは、つまり、
「話しちゃったんだ。僕らのこと……」
「わふー……ごめんなさい」
叱られた子供のようにクドが俯く。
「別に怒ってないけど」
「本当ですか……?」
「……怒ってないって言ってるのに、どうして聞き返すのさ?」
「わふっ。ごめんなさいですっ」
叩かれるのに脅えてるみたいに両手で頭を抱いて小さくなるクド。
「いちいち謝らなくていいから」
「ごめっ……わふー……」
おどおどと僕の顔を覗くクドの上目遣いに少し苛立ちを覚えた。
今日は少し乱暴にしようかな、と思った。
(……それにしても避妊か)
まるで考えてなかったけど、やっぱりしないとまずいかな?
クドから受け取ったコンドームを眺めながら考える。
A.せーふぁー・せっくす・うぃず・こんどーむ
B.ナマ
―嫌だ。クドには僕の子供を産んでもらうんだ。
B! B!
>>214 ちょwwwなんて名前だよwww
前回の録音テープが今回脅迫に使われたわけか。なんにせよえがった!
これ以上は本当にバッドエンドになりかねん。
さすがにA。
220 :
名無しさんだよもん:2008/01/08(火) 17:11:53 ID:bq6OxAFZO
じゃあ俺もKを読んでAに
なんか完全に私物化されてるなこのスレ
文句あるならお前が書け
グチグチ文句垂れるだけで現状を変えようとも思わない豚が
んー、間に投下してる人がいるしそこまで悲観的にならんでもって感じかな。
ただあまり作品にレスはないけど。
蔵リトバスごちゃまぜカオス意味無しネタ妄想してみた
春原「へっ!有紀寧ちゃん直伝のおまじないで三枝も僕の虜さっ!フォロモンフォウシュツチュウフェロモンホウシュツチュウ・・・!」
葉留佳「いや〜・・・・相変わらず頭沸いてますネ。」
来ヶ谷「どれ、この趣味の悪いパンツも下げてやろうか。(ズリッ)」
春原「へっ?」
小毬、椋、クド『「ほわぁぁぁー!」「きゃあぁぁぁっ!」「わふ・・・(バタッ)」』
智代、鈴『「なにをしてるんだお前はぁぁー!!」「なにしとんじゃぼけー!!」(バキキィ!)』
春原「はごふっ!!」
朋也「おー飛んだ飛んだ。」
恭介「どれも等しく春原さ。」
風子「わっ。風子びっくりしました。ユウスケさんと声が同じです。」
往人「国崎最高ぉぉおお!!」
風子「わっ。2人に増えました!」
公子「ふうちゃん。これはね、同じ声優さんなの。」
風子「おねえちゃんなにを言ってるんですか。声優さんとかわけ分からないです・・・。でも3人に増えたユウスケさんを受け入れなくてはなりません。」
春原「痛ってーなーぁああ!智代と一緒に蹴りいれた奴2年だったろ!先輩に向かっていい度胸してんじゃねえか・・。」
真人、謙吾「何だと?」
春原「は・・・・いや、なんでもないっス!!」
芽衣「お兄ちゃん♪」
恭介「ぐはぁぁぁああっ!!」
渚「ど、どうしたんですか!?この人?大丈夫ですか?」
理樹「大丈夫。いつもの発作だから。」
芽衣「恭介お兄ちゃん♪」
恭介「ぎゃぁぁぁああああっ!!!」
渚「ああっ、またっ。」
おわり
恭介……w
>>224 蔵リトバスと言いつつ往人までいるしw
そしてこっちも小ネタ投下してみる。
女子寮、神北小毬の部屋。
ここに、一人の人物がいた。
その人物は落ち着きなくキョロキョロとあたりを見回した後、おそるおそる『それ』に向かって手を伸ばしていった。
こう書くと、一体どこの不審者かと思うだろう。
しかし、その人物は決して怪しいものではない。
その人物の名前は、笹瀬川佐々美。
ソフトボール部部長にして、神北小毬のルームメイト。
つまり、この部屋の住人なのだ。
なら、なぜ彼女がそんな怪しげな行動を取っていたのか。
その理由は、机の上に置かれた『それ』にあった。
…タンバリン。
彼女が、何故かこれまで一度も触れることが叶わなかった楽器。
(これはわたくしの持ち物じゃない。ということは恐らく神北さんのものなんでしょうけど… す、少しだけ…)
しゃらん、と音を立てて、タンバリンは佐々美の手の中に収まった。
タンバリン。
それで思い出される、一つの光景。
『しゃかしゃかへいっ! …こう使う』
佐々美のライバル、棗鈴。
その鈴がタンバリンを鳴らしていた姿。
(こ、こうだったかしら…)
佐々美は自然とその姿を真似していた。
(そ、そして次は…)
ごくりと唾を飲み込んだ後、佐々美は口を開いた。
「しゃかしゃか…」
ばたん。
音を立てて、部屋のドアが開く。
「やはは、ごめんねこまりん、手間かけさせちゃって」
「ううん、気にしないではるちゃん。私もよく忘れ物しちゃうから…「へいっ!」…ほわあっ?」
「あ、私のタンバリン」
入ってきたのは、神北小毬と三枝葉留佳。
その二人の前で、タンバリンを掲げたポーズの佐々美。
そして、佐々美の時間は止まった。
「やはは、こまりんの部屋に遊びに来て、タンバリンを置き忘れちゃって、で食堂でこまりんを見てそれ思い出したんですヨ」
「うん、私も気付かなかったから… 気付いてれば届けてたんだけど」
「そ、そうだったんですの…。ごめんなさい三枝さん、勝手にタンバリンを使ったりして…」
恐縮して謝る佐々美。
「いやいや、謝らなくてもいいですヨ。ささみんもタンバリン、好きなんでしょ?」
「さ、ささみん!? それって私のことですの!?」
「もちろん。でささみん、タンバリン好きなの?」
「え、ええ、まあ…」
ささみんという呼び方に不満はあるものの、勝手にタンバリンを使った手前、強く出られない。
「なら、せっかくだからそのタンバリンはお近づきの印に差し上げますヨ。まだいっぱいあるし」
そう言ってどこからか2つのタンバリンを取り出す葉留佳。
「あ、ありがとうございます…」
「いやいや、どういたしまして。ほら、こまりんにも1個あげる」
「はるちゃんありがとうー」
タンバリンの1個を小毬に差し出す葉留佳と、笑顔で受け取る小毬。
「これで私たち3人、立派なタンバリンメイトですヨっ!」
「ふえ? タンバリンメイト?」
「なんですの、それは…」
葉留佳の発言に、小毬も佐々美も疑問符を浮かべる。
「タンバリンを鳴らしながら練り歩く仲間ですヨ。まず私がお手本見せるから二人も真似してね」
そう言って立ち上がり、タンバリンを構える葉留佳。
「しゃかしゃかへいっ!」
タンバリンが軽快な音を立てた。
「」に入ってる文章の尻には。をつけない
常識レベル
「はい、こんな感じで。こまりんもやってみて」
「うんっ、頑張るっ」
葉留佳に促され、小毬も立ち上がり、タンバリンを構える。
「しゃかしゃかへいっ!」
「うんうん、こまりん上手上手」
「そ、そうかな、えへへー」
「はい、そんじゃ次ささみん」
「わ、私もですのっ!?」
「あったりまえジャン。私たちタンバリンメイトでショ?」
「さーちゃん、頑張ってー」
「う、うう… 分かりましたわ…」
二人に言われ、渋々立ち上がる佐々美。
おずおずとタンバリンを構える。
「しゃ… しゃかしゃかへいっ…」
「声が小さい! やり直し!」
葉留佳のダメ出しが飛ぶ。
「さーちゃん、ふぁいとですよー」
「うぅ… しゃ…しゃかしゃかへいっ!」
「ちょっとはマシになったけどまだまだ! もう1回!」
「しゃ… しゃかしゃかへいっ!」
…約1時間後。
「しゃかしゃかへいっ!」
「よーしよし、ささみんも合格! これでささみんも立派なタンバリナーですヨ」
「さーちゃん、おめでとうー」
「や、やっとですの…」
何十回にも及ぶダメ出しの結果、佐々美はもはや満身創痍だった。
「おけおけ、ささみんもモノになったことだし、今日はタンバリン祭りですヨ。さっそく校内を練り歩きまショウ」
「おっけーですよー」
「なっ、い、今から!?」
「もちろんですヨっ! これがしゃかしゃか旋風(センセーション)の始まりなのだー!」
「しゃかしゃかへいっ! だよー」
「な、なんでわたくしがこんな…」
「ささみん!」
「さーちゃん!」
げっそりとする佐々美に、葉留佳と小毬の檄が飛ぶ。
佐々美はやけになって叫んだ。
「ああ、もうっ! しゃかしゃかへいっ! ですわ!」
その後、タンバリンを鳴らしながら「しゃかしゃかへいっ」と連呼し、あちこちを練り歩く3人の少女が目撃されたとかされなかったとか。
さらにそれを見て「佐々美様… おいたわしや…」と呟く別の3人の少女がいたとかいなかったとか。
そして、世界はタンバリンに包まれたとか包まれなかったとか。
GJ!
佐々美は押しに弱いなwww
GJ!
これで鈴が加わったら恐ろしいことになるww
※
>>215 Bを選択
「だよねっ!」
僕は、ぽいっとコンドームをゴミ箱に投げ捨てた。
「わふーっ!? どうして捨てちゃうんですか……?」
「クドっ」
クドを背中から抱きしめて、いい匂いのする髪に顔を埋めて囁いた。
「僕はいつもクドを直接感じたいんだ。ゴム越しなんかじゃなくて……」
「でも、もし、こどもが……わふっ!」
耳とかうなじとか脇とかのクドの弱いところを指で舌で責めまくりながら続ける。
「僕とクドの間に余計な何かがあるなんて耐えられないよ……そんなの我慢できない……」
そうやって愛撫しつつクドの服を脱がせていく。
もう目をつぶってても片手でできる作業だ。
さっさとクドをパンツ(とニーソックス)だけにしてしまう。
で、パンツの中にも手を入れて弱いところをなでなでする。
「あぅぅ……」
クドの口から切なげな声が漏れる(もちろん感じてる声だ)。
この世で僕くらいクドの弱点を把握している人間はいないね。
「わふっ、わふっ」
すぐにクドはわふわふ以外の声を出せなくなる。
「いいよね? このまましても」
そろそろいけると思ったので、右手の人差し指で中をくすぐりながら訊ねた。返事ができる程度に浅く軽く。
「でもっ、でもっ」
(……この期に及んでまだ抵抗するのか)
どうやら必殺技の出番だった。
「クド、愛してる」
「わふっ……」
「誰よりも好きだ。愛してるよ」
そう囁きながら頬に軽く口づけをする。
「わふー…………」
クドの瞳がみるみる幸せそうにとろけていく。
実のところ、キスも愛撫も何もしなくても、ただ一言『愛してる』と囁くだけでクドは濡れるし何でも言うことを聞いてくれる。
「愛してるから……ナマでしよう?」
「……はい。ナマでしましょう……」
説得に成功したので、パンツをずりおろして中に挿れた。
クドの美少女のまだかたさを残したにくつぼのひだがまるで歓迎するようにねっとり絡みついてきて奥の奥のコリコリと歯ごたえが良さそうで刺身醤油で食べたら美味しそうな幼い子宮口が僕の肉棒のすずくちとくちゅりと肉と肉のキスを交わして
――ようするにすごくきもちいい。
「いやっほーーーぅ! ナマ最高!」
ズンズンズンズンズンズンズンズン!
「わふっわふっわふっわふっわふっ!」
パンパンパンパンパンパンパンパン!
「わふーっ! わふーっ! わふーっ!」
(……いやいやいや)
クドの白い背中が桃色に染まり汗の膜でおおわれる頃になって(もうすぐイきそうってことだね)、自制の声が僕に語りかけてきた。
(……少しは避妊の努力もするべきじゃないのかな……せめて外で出すとか?)
A.無理だぁっ!
B.中で果てる快楽に勝るものなどないぃっ!
支援
また暴走しそうだなリキクン
もう選択肢じゃないしw
Aなら普通
Bなら高槻理樹なんだろう
239 :
名無しさんだよもん:2008/01/09(水) 20:36:11 ID:pjGXtNzoO
わざわざコテつけて糞つまんねえレスすんな低能
面白いと思ってんのか?
そうだぞ239の言うとおりだ
自重するように
エクスタシースレだと思ったのにとんだ外れだ
242 :
名無しさんだよもん:2008/01/10(木) 00:29:43 ID:Lp2V5EUlO
変なのが沸いてるな
ちょっと気休めを投下するよ。
「はぁ…、これすごく気持ちいいです…」
「わ、わふ」
「やめないか西園、困ってるぞ」
「そうですか? こうやってぺしぺししていると、されている側もだんだんと良くなっていくそうですよ」
叩かれたままにされている能美の肌は赤く、見ているこっちがじわじわとしてくるような感覚だ。西園の
余興はまったくもって俺の理解に及ばん。不可思議なやつだ。
「そうとも言えないだろう。そんな風にしているとジンジンしてくるに決まっているぞ」
甘んじていたずらを浴びている能美は、火照っているかのように顔が丸みを帯びて、どことなくぼんやり
としている。すっぽりと椅子におさまったまま、小さくしている。やはり一大事だ。
もはや一刻の猶予も無いだろう。思い至った俺が取った行動はTHE茶番だ。
「…ごほん」
「?」
一つ咳払いをしてやると、これから何かをするのだと気付いてもらえた。そのままの勢いでアクションに
入ることにした。
「西園」俺はわざとらしくつぶやいた。
「な、なんでしょうか…」
明らかに不審がられている。お前は知らないな? 違うな、お前は理樹から聞かされているな? 既に。
そう、俺の真骨頂がすべり芸にあるということを……。(ああ、許せ古式……)
「西園ぉーーーぅっ!!」
「ぇ、はい」
今全てを解き放つ。俺の、連続的な分解と結合、その二重のプロセスを。
そして、正の字の連なりを崩し去る。
具体的に言うと、おもむろに後ろを向き、袴をたくし上げ、さぁ、俺が代わりだ、叩くならこのシリを叩
けと、その一心でこの身を捧げた。
――これは俺の恥ではない。俺にシリを出させた西園の恥なのだ――と。
「…奏でてみせろ」
これが……俺だ。
俺は常々、トランクスやブリーフなどの類はよこしまだと、そう考えている男だ。男はふんどしだと、い
つも理樹や恭介にも言い聞かせている。これはある意味でいい機会なのだ。あいつらときたら――
ドサッ。
一刀の下、宮沢謙吾は前のめりに倒れた。
抜き身を受け止めて宮沢の首の辺りがややへこんではいたが、この事態なのでさほど気にする必要はなか
った。彼は剣道部員なので頑丈だ。
刀身をするりと鞘に納め、来ヶ谷は聞いた。
「なんだ、なぜ謙吾氏はこんなところで桃尻を出している」
「……はぁ…来ヶ谷さん……それに…恭介さん……」
あまりに驚いていたためか、西園は弄り倒していたクドリャフカを抱きかかえていた。口調は穏やかであ
ったがその動揺のほどが窺える。
「大丈夫だったか? 二人とも。謙吾もまぁ……こんなときもあるさ」
クドリャフカはというと、何度も何度もぺちぺちと叩かれていたためか、おでこがまっかになっていた。
なんと言う超発想、いい感じのくずれっぷりにワロタ
馬鹿謙吾視点ってのは新しいwww
っていうか書くの難しそうだなw GJ!
>>246 馬鹿謙吾もさることながら、どこかサド臭漂うみおちんも素敵だ
そしてクドはマゾ臭が漂う、と…
>>249 理樹と鈴のやつがツボっていうか、微妙に本編に忠実で笑った
友から始まって、ちょっと違う好意が内側にあって、中心に愛があるって意味深だ
敵の部分は恐怖というか理樹と鈴のパワーバランスと解釈しよう、そうしよう、がんばれ恐妻家
そして、鈴はわりと勝手気ままに…ってあたりがなんとも
※
>>235 どちらを選んでも同じ
「自制などきかないぃっ!」
「わふーーーーーーっ!!」
こうして、今日も僕は何億もの精子をクドの子宮に注ぎ込んだのだった。
『今日一番運勢の悪いのはふたご座のあなた…』
「むー、最下位かー…」
「気になるんですか?美鳥」
「一応ねー、そういう美魚は信じてるの?」
「いいえ、星座なんかで運勢は変わらないと思ってます
美鳥も占いの結果なんて気にしないで…」
ピッ
「あっ誰か変えた?」
『今日一番の良い運勢はふたご座!ラッキーカラーは青です!』
「なんだかいいことが起きそうな日ですね美鳥」
「…」
「…」
「うわー!寝過ごしたー!」
「おそいわよ葉留佳、もう貰ってきてあるから食べなさい」
「ありがと!ってもうTVの占い終わっちゃった?私たち何位だったの?」
「一番良かったわよ、ラッキーカラーはピンクだそうね」
「ほんとー!ちょうど髪飾りもピンクだしいいことありそうだねー」
「そうね、あるといいわね」
253 :
丸ゴシック体の人 ◆GothicfNhE :2008/01/11(金) 00:59:07 ID:MzLrg3dZ0
あけましておめでとうリトバス妄想スレ。
ペースは落ちましたが、ネタはまだたくさんあるので、これからも投稿していきます。
大晦日ネタで一作。もし理樹×クドが始まるのなら、多分こんな感じかな…と妄想してみました。
というわけで、参ります↓
「はじまりの日」
「じゃあな、理樹。また来年」
「理樹、またな」
「恭介、鈴、気をつけて帰ってね」
僕はそう言って、最後まで寮に残ってくれた恭介と鈴を、学校の校門まで見送った。
その姿が、道路のむこうに消えるまで。
今日は12月31日。大晦日。
そして今、学校には僕以外、誰もいない。
「はぁ………」
僕は最近ついたこともない深いため息をついて、校門の中へ戻った。
ほとんどの寮生が自宅へ一時帰宅するなか、この寮以外に行くあてもなかった僕は、寮母さんから一時的に鍵を預かって、居させてもらえることになった。
そろそろ昼も近い。
「ごはん、買ってこよう……」
僕は寮の裏手に置いてあった、寮管理の自転車を引っ張り出すと、学校裏の通用門を目指してペダルを漕いだ。
が、すぐにチェーンが外れた。
自転車を降り、チェーンをかけ直す。
でも少し漕ぐと、外れる。
何度もチェーンをかけ直してみたが、何度やってもすぐチェーンが外れてしまう。
「なんだよ、もう」
僕は少し怒り気味に自転車を元の場所へ戻すと、歩いて商店街まで行くか、それとも部屋に隠していたカップ麺を食べるか、少し考えた。
いや、その前にまず手を洗わないと……。
チェーンについた機械油で、手はベトベトだった。
僕は泣きたい気持ちを抑えながら、寮の洗い場で手を洗った。
すっかり気分的に疲れてしまった僕は、そのまま部屋に戻ろうと、玄関の前を通った。
ォン。
外から、聞き慣れた、犬の鳴き声が聞こえた。
「…ストレルカ?」
二匹とも、クドが連れて帰ったんじゃないのか?
僕はさっき玄関に脱ぎ散らかした靴を再びつっかけると、急いで中庭へ向かった。
そこにはやはり、二匹がいた。
そしてそのそばに、もうひとり。
「え………?」
僕以外にも、寮で年を越す人がいるんだ…?
でもその人が、なんでストレルカとヴェルカと一緒に……?
「…あ!」
純白のコートと、頭をすっぽり覆っている白い帽子。どちらももこもこで、ふかふかだ。
そこから腰まで流れる亜麻色の髪。
そして何より、ストレルカやヴェルカと並んでも違和感のない、小さい体──────間違いない。
「リキっ?」
「クド!?」
何でクドがここに? そう思いながら駆け寄った。
「「(クド/リキ)も、寮で年越しなの(ですかっ)!?」」
声がシンクロしたけど、全く気づかなかった。それくらいびっくりしていた。
「知らなかったです……」
でもよく考えてみれば、クドは単身こっちに来ているんだから、ここ以外に泊まる場所もなかったはずだ。
「でも、よかったよ…」
「今年もひとりぼっちなのかと思うと、すごい寂しかったから…」
去年の僕は、正真正銘のひとりぼっちだった。
年越しの瞬間は、カセットコンロでお湯を沸かして、ひとりだけでカップ麺の天ぷらそばを食べていた。
リトルバスターズのみんなと一緒にいる時がとても楽しかったから、いざひとりになってみると、それまでの何倍も寂しくなってしまった。
みんなが帰ってきたときに、泣いてしまった覚えがある。
今年もそうなるのか、と思っていたから、クドを見つけたときは、心の底からほっとした。
「ところで…クドは何してたの?」
「おひるごはんです」
見ると、正座をしたクドの前に、バスケットに入ったマフィンがいくつか入っていた。
クドの手には、魔法瓶のカップに入った紅茶が。
「三枝さんのマフィンだね」
「はい。前にいただきました」
「本当はさむいので、寮の中で食べようと思いましたですが、ストレルカとヴェルカにも、ごはんをあげないといけないですから」
二匹の口の周りには、マフィンのかけらがついていた。
「ところでリキ、おひるごはん、まだですか?」
「うん。商店街まで自転車で行こうと思ったんだけど、壊れちゃっててさ」
「歩いて商店街まで行こうかな、って思ってたんだ」
「それだと往復して、一時間以上かかっちゃうですね…」
そういうとクドは、唇に人差し指を当てて、えーっと、と考え始めた。
結局、クドにマフィンをごちそうになることにした。
その代わりといってはなんですけれど、とクドは僕に、買い物に付き合っていただけませんですか、と言ってきた。
僕も何かすることがあったほうが楽しいから、クドの提案を快諾した。
「私ひとりだけだったら、簡単に年越しそばでも作ろうと考えていたですけど、せっかくリキがいるですから」
「ストルツガスキー家特製のおーばーいやー・ばっくうぃーとぬーどるをごちそう致します、なのです」
そう言ってクドは自信満々に、右手を高く掲げたのであった。
ていうかそのふたつは、どちらも年越しそばじゃないの?
「ところで、何を買うの?」
僕とクドは、商店街へ向かう河原を歩いていた。
「えーっと、私が家庭科部にいるのはご存知ですよね」
「うん。女子寮の中に部室があるんだよね」
「正確には女子寮と渡り廊下でつながった平屋の建物、ですけどね」
「そこにいろいろ調味料や乾物があるので、あとは材料を買えばひととおりの料理ができますです」
「じゃあ、買うとしたら生そばと、年越しそばの具だね」
「はい。ついでですからお雑煮も作ろうと考えているです」
「お雑煮のだしで、そばを食べてもおいしいかもしれないね」
「ではリキ、そうやって作りますか?」
「作り方はクドにおまかせするよ。すとるつがすきー…特製だっけ?」
「はいっ、ストルツガスキー家特製、なのです」
「それって、ロシアでのクドの名字?」
「そうですよ。生まれた国、テヴアで登録されている名字です」
「えっ、クドってロシア生まれじゃないの?」
「はい。おかあさんが日本人とロシアのハーフなのですが、生まれたのは南太平洋の小さな国、テヴアというところです」
そんな感じで、クドと道すがら、いろいろな話をした。
大晦日の河原は雲ひとつなく晴れ渡っていたけれども、ほとんど人がいなくて、まるで僕とクド以外、すべての人間が学校の周りからいなくなってしまったように思えた。
スーパーマーケットに着くなり、クドはわふわふ言いながらお節料理の棚を見ていたが、財布の中身を見ると途端に元気をなくした。
「おせち、買いたかったの?」
背中越しに、クドに訊いた。
「おせち料理、とってもとーっても憧れでした…」
「でも、全部そろえるととってもとーーーってもお金がかかるのです…」
「いま暗算しましたですが、これを全部揃えると、2万円近くするのです…」
クドがいるのは伊達巻やかまぼこ、黒豆やなます、栗きんとんなどの加工している食品の棚だった。
実際にはこれに筑前煮や海老の塩焼き、煮豚などが入るから、もっとお金がかかる。
けど、敢えて言わなかった。代わりに、僕はクドに言った。
「クド、ありがとう」
「ごめんなさいです…」
「ううん、僕の事を考えてくれただけでも、十分うれしいよ」
「わふぅ……」
クドは恥ずかしそうに、首もとのファーを両手でつかむと、そこに口元を埋めた。
「栗きんとんとかまぼこだけ、僕が買ってあげるよ」
僕はカートのかごに栗の甘露煮のパックとさつまいも、それと紅白のかまぼこを入れた。
「え! いいですよリキっ、悪いですよっ」
「気にしないの。遅れたけど僕からのクリスマスプレゼントだと思ってよ」
そのあと青果コーナーに立ち寄って、せりや大根、にんじん、里芋などのお雑煮の材料を揃えた。
最後に小さな餅のパックを探しだして、それも買った。
そのまま学校に戻り、さっそく僕たちはお雑煮作りを始めることにした。
クドが大きな鍋でだしを作り、僕が共同の流し場で野菜を洗い、皮を剥き、切っていく。
今回は関東風、醤油のすまし汁風味でいくらしい。
僕が野菜を切り終わって家庭科部室に戻ると、クドは大きな鍋にかつおぶしをこれでもか、これでもかっ、と入れていた。
腰まで伸びる長い髪を頭の後ろにまとめ上げて、三角巾を頭に巻いているクドがいつもより頼もしく見えた。
「クド、野菜置いとくよ」
「はい。根菜類と葉ものを分けて、そこに置いておいてくださいです」
「もう分けてるから、置いとくね」
「ありがとうございます」
「調味料、持って来ようか?」
「それでは、おしょうゆとみりんと、あと砂糖や塩が入ったかごがあるですから、それをお願いするです」
すっかり厨房での主導権は、クドが握っていたので、僕は助手に徹することにした。
それから数十分。大量のお雑煮が鍋で踊っていた。
あとは食べるときに、好きな数だけ焼き餅を入れればいい。
味を見せてもらったが、なんというか…これがプロの味とでも言うのだろうか。高校生のレベルを超越した味付けだと思った。
「ガスコンロが使えれば、もっと上手に出来たのですが…」
ガスの供給が止まっていたため、カセットコンロを使って調理をしていた。
途中でガスがなくなり、ボンベを二度ほど替えた。
それでこの美味しさだったら、ガスコンロが使えてたらどれだけ美味しくできたんだろうか。
「いや、これで十分お金とれるおいしさだと思うよ」
「そっ、そんなことないですっ」
「私がお雑煮屋さんだったら、この味では営業できないですっ」
「今日は閉店ですっ、お客さん、帰ってくださいっ………ってなってしまうですよ」
とっても頑固なお雑煮屋さんの主人だった。
「でも僕は、すごいと思った」
「このお雑煮があったら、毎日の授業だってがんばれるよ」
「……わふっ」
手にした三角巾を口元にあてて、クドが首をすくめて、照れた。
僕は思ったことを言っただけだったのに。
でも、そんな反応をするクドが、かわいい、と純粋に思った。
そのあと僕たちは、早速次の作業にとりかかった。
さつまいもを茹でて柔らかくし、その皮を剥いてからすり鉢で細かく潰す。
細かくなったさつまいもを、木綿の布で裏ごしする。
そこに少しだけ砂糖とみりんを入れて味を調え、それに栗の甘露煮を混ぜ、栗きんとんを作った。
「腕が痛いよ…」
「手が疲れたのです…」
やったことだけを書くと単純に見えるが、大量のさつまいもをすり鉢で潰すのも、それを裏ごしするのも、大変な重労働だった。
すり鉢で潰す役と裏ごしをする役を、僕とクドは何度も交代しながら、すべてが終わった頃、空は今年最後の夕焼けを山々に映し出していた。
僕たちは動く気力もなく、後片付けもそこそこに、家庭科部室の壁にもたれかかった。
「クド……ほんとうに、ありがとう」
「これで楽しく…年が越せるよ」
「はい……私もリキに喜んでもらえて……うれしいです」
そのまま僕もクドも、日が暮れて真っ暗になるまで、ずっとそのままでいた。
それから僕たちは、そばを茹でて年越しそばを食べ、同時に栗きんとんとかまぼこも、ちょっとだけ食べてみた。
一瞬、言葉に詰まる。
「……おいしすぎるよ」
食べ物が旨くて『驚き』を覚えたのは、初めてだった。
「やっぱり労働のあとの食事は、格別なのです」
「いや、クドの味付けが上手なんだよ」
「いえいえ、まだまだなのです」
「そんなことないのに……十分おいしかったよ」
「ところでクド。どこで料理を勉強したの?」
「小さい頃から、おじい様の留守のあいだに、見よう見まねで料理を作ってはいたですね」
「じゃあ、独学なんだ」
「そうですね」
「だったらなおのこと、すごいよ…」
「リキもすごいですよ。男の人だと、料理をやらない人もたくさんいるですのに…」
「野菜を切るのとか、洗い方とか、慣れてる人だなー、って思ったですから」
「うん………」
小さい頃のことを思い出して、自分の表情が沈んでいくのが、自分でもよくわかった。
「リキ、どうしたですか?」
クドが僕の顔をのぞきこむ。
「ううん。何でもないんだ」
「ちょっと昔のことを、思い出しただけ」
「そうでしたか……」
そう言ってクドは、それ以上追求してこなかった。
僕は今まで、両親が他界している事をリトルバスターズ・オリジナルメンバー(恭介、鈴、真人、謙吾)以外の誰にも話していなかった。
といっても、隠していた訳ではなく、たまたま話す機会がなかったから。
それに僕も、できれば触れたくない過去の事として、そのままにしておきたかった。
でも今なら。きっと今なら言えそうな気がしていた。
「…ねえ、クド」
「はい」
「…みんなにね、まだ言ってなかったことが、あるんだ」
「よかったら、聞いてもらえるかな…?」
「はい」
クドの柔和な表情が、真剣なそれに変わる。
「誰にも言わないで欲しい」
「リトルバスターズのみなさんも、知らないのですか?」
「ううん。オリジナルメンバーはみんな知ってるけど、女子部に話をするのは今回が初めて」
「はい……。」
僕はひとつひとつ、話を進めていった。
小学生のときに、両親が事故で亡くなったこと。
それから僕は親戚の家を転々としていたこと。
そうしないと家にいられないような気がして、家の手伝いをするようになったこと。
だから家事は、ある程度身についているということ。
「だから僕は、大晦日なのに学校に残ってるんだよ」
クドは床に視線を這わせながら、もじもじしていた。それから意を決したように僕を真っすぐに見据えた。
口元が小さく、ようしっ、と動いたように見えた。
「………リキ」
「ん?」
「私もまだ、みなさんにお話していないことがあります」
「うん」
「リキが…リキがつらい思いをして、私に教えてくれました」
「だから私も、お話します」
「うん。聞くよ」
僕は体勢を整え直し、クドの話を真面目に聞く姿勢をとった。
「私が将来、宇宙飛行士(こすもなーふと)を目指していることは、知っていますですよね」
それは、自分の母親に対する憧れから来ているものだということ。
生まれ故郷の島で宇宙ロケットの打ち上げが失敗し、大規模な化学災害が起こったこと。
そのさなか、島民が暴動を起こし、それに巻き込まれて両親と祖父が帰らぬ人になったこと。
そしてそれは、修学旅行の直前に起こったこと。
「だからクド、修学旅行中もずっと元気がなかったんだね」
「はい…」
「でも本当は、お母さんに誘われていたんです」
「打ち上げのときに、テヴアに来ないか、と誘われていたんです」
「でも私は、行かない、と言ってしまったのです」
「………修学旅行に……修学旅行に、みなさんと、どうしても行きたかったから」
クドは顔を歪めて、俯いた。
「………………」
僕は何も言えず、ただクドを見ていた。
「そして、事故に遭いました」
「そのときは、天罰だと思いました」
「わたしが間違ったことをしてしまったから、かみさまに罰せられたんだと、そのときは思いました」
でもクド。もしクドがお母さんの誘いを受けてテヴアに行ってたら、クドもここにいなかったかもしれないんだよ?
僕はそう言いたかったけど、腹の中で押し留めた。
まずはクドの話を聞いてから、言おうと思った。
「だから私は、宇宙飛行士になって、お母さんが行けなかった宇宙に、いかなければいけないのです」
「ご清聴、ありがとうございました」
こんなときに言う言葉じゃなかったけれど、クドなりの感謝の言葉なんだろう。
僕はクドに、こちらこそ、と謝意を返した。
「……ねえ、クド」
「はい」
「僕の意見なんだけど、いいかな」
「はい」
クドはうつむいたまま、抑揚のない返事をした。
「お母さんは、クドが宇宙飛行士になることを望んでいるのかな……」
「………」
「僕がお母さんなら、クドに危ない目に遭って欲しくない」
「………リキ」
クドが体勢を崩さず、言葉を返す。
「ん?」
「私が宇宙に行くことは、生まれたときから決まっているのです」
「えっ?」
「私の名前、クドリャフカというのは、世界で初めて宇宙に飛んだ、犬の名前なのです」
「おかあさんの名前、チェルヌシカも、クドリャフカの後に飛んだ『黒髪の娘』という名前の犬なのです」
「おかあさんは血の半分が日本人なので、とてもきれいな黒髪をしていたです。ですから、そう名づけられたのだと思うです」
「そんな………!」
僕は言うべき言葉を見失っていた。
名前がどうであれ、クドの人生はクドが開いていくものじゃないの?
そうやって名前を付けられたからといって、一生それに縛られなきゃいけないなんて、馬鹿げてる。
でも。そう言ったってクドの信念が簡単に揺るぎそうもないことは、分かっていた。
だから僕は立ち上がり、入り口にあった電気のスイッチの前に立ち、部屋の中のものの位置を確認する。
それから、家庭科部室の照明を、全て落とした。
世界は、暗黒に包まれた。
南側に窓はあったけれど、月が出ていないのか、ほとんど光が見えない。
「リキ……なに、するですか?」
クドの不安げな声が聞こえてくる。
お話をするだけだから大丈夫だよ、と僕はクドに声をかける。
床の上のものを踏んづけたり、壊したりしないように気をつけながら、クドのすぐ隣に座った。
「宇宙空間っていうのがどんなものか、僕は知らない」
「でも、どこまでも広くて、自分ひとりしか居られないんだろうな、とは思う」
「ちょうど、この部屋みたいに」
「家庭科部室が宇宙船で、学校が宇宙。どこまでいっても、僕たち以外誰もいない」
「そんなところに、クドは、行きたいの?」
「………………」
返事はかえらない。
僕達が腰かけた正面にある窓からは、裏庭が見える。
そして、校舎の向こう側には、満天の星がひしめいていた。
僕には見慣れた風景のはずなのに、どうしてだろう。クドとふたりで見る世界は、何もかもが違って見えた。
「………リキ」
「なに?」
「来月の上旬に、文系か理系かの希望提出期限が来ますよね」
クドは関係のない話を始めた。
「うん」
「リキはどっちにするか、決めたですか?」
「いや、まだ……」
「私は将来の夢があるですから、理系にしようと思っているです」
「………」
言われて僕は、初めて気がついた。
否応なく時は、進んでいくんだと。
今という時が、とても楽しくて……
このままの時間がずっと続けばいいと、本気で思っていて……
リトルバスターズは不滅だ、と言ってみてもそれは学校の中だから言えることであって……
いつかはみんな、進路が分かれて、散り散りになっていってしまって……
恭介がこの学校にいるのも、あと3ヶ月足らずで……
そんな中で、僕はどうすればいいのか。
どうすれば、この先ずっと生きていけるのか。
生きるための糧を、得られるのか。
星が照らす明かりだけが、家庭科部室に光を届けていた。
目の前のちゃぶ台には、食べ終えた年越しそばの器。
そのさらに手前には、お雑煮の入った大きな鍋。
そしてそのさらに手前、僕の隣には──────クドがいた。
小さな子犬のように見えて、心の中に強い芯を持っている女の子。
とても頭はいいのだけれど、要領が悪くて理解されづらい女の子。
マスコットみたいに弄られるけど、誰よりも素敵な、内面に光り輝くものを持っている女の子。
それが、能美クドリャフカという女の子の、真実。
僕には、光り輝く何かを持っているわけではない。
少し人と比べて、要領のよさがあるくらいだ。
クドを見ていると、こうしたらもっと良くなるのに、と思うことがたくさんある。
だったら、その僕のとりえで、クドがもっともっと輝けるのなら──────
それが、僕の生きる意味に、ならないだろうか。
そこまで思い至れば、あとは自動的にすべての事を進めていくだけだ。
後から考えてみれば、このときの僕には神が降りていたのかもしれない。
それくらい何も考えずに、口が動いていた。
「………クド。今決めた。理系にするよ」
「えっ…そうですか」
これから僕は、一世一代の大舞台に向かう。
僕はクドに向き直って、正面に座りなおした。
「それからクド。宇宙はこんなに暗くて冷たくて、寂しい所かもしれないけど」
「今はここに、僕がいる」
「僕も行くよ。クドと一緒に、宇宙へ」
「今、わかったんだ」
「僕はクドのことが………好きなんだと思う」
クドの目を、真正面から見つめる。
表情があまり変わらない。
僕の思考回路が、普段の倍の速度で暴走している。
それが体内時計すら狂わせて、クドがこっちを見ている時間を何倍にも長く感じさせた。
クドが動かない。
もしかしたら、嫌に思ってしまったんじゃないか。
そう思った次の瞬間
クドの目から、ひとすじの涙が零れ落ちた
そして、肩を震わせて嗚咽を漏らす。
顔を両手で覆い隠して、俯いてしまった。
「ぐすっ………! えぐっ……ぐすっ…!」
拒否しているのか、受け入れてくれるのか、全く分からない。
僕は全ての神経を、クドの一挙手一投足に集中させていた。
「あっ……」
クドが、嗚咽をこらえようとしながら、話しだした。
「………ありが………とう……」
そこまで聞こえた時点で、僕はクドの手に、自分の手を当てていた。
「ございますっ………!」
声が裏返りながらも、力強くクドは言い切った。
クドの手に添えられた自分の手を、精一杯の力で握り締める。
その手を通じて、クドの思いが僕の体の中に流れ込んでくるのが、はっきりと分かった。
「私…も……初めて…会ったときから……」
「……ずっと、ずーっ…と………リキのことがだいすきでしたっ…」
「…初め…て……クラスに入…って……あいさつ…した時…に……」
「リキだけでした……リキだけでした…笑わなかったのは……っ…」
2年生の新学期。クラスは転校生がくる、という噂でもちきりだった。
帰国子女らしい。ロシア人で金髪で、とっても頭がいいらしい。実は年下で、飛び級してるなんて話もあった。
朝のHRでクドが現れると、皆一様におおーっ、と感嘆の言葉を漏らす。
そんな反応を示した皆にもじもじしながら、クドはあいさつをした。
『皆様、お初にお目にかかります。わたくしは本日からお世話になります、能美クドリャフカと』
そこまで言った時点で、クラス中が笑いの渦に巻き込まれた。
帰国子女らしくもない流暢な日本語と馬鹿丁寧な言い回し。それにロシア美女=長身の固定観念を打ち破るミニマムな体と、可愛らしい声。
そのギャップに耐えかねた者が笑いだし、やがて笑いはクラス中に広まっていった。
クドは頭を抱えて、わ、わふーっ、と早速困っていた。それがさらに笑いを加速させる。
教師も『失礼だろ! 笑うのをやめなさい!』と制そうとするが、止まらなかった。
僕はそんなクラスメイトの姿を、苦々しく思いながら周りを見ていた。
「だって、普通に失礼じゃない。人が自己紹介してるのに笑うなんてさ」
「あの後、真人や謙吾にも怒ったんだよ。笑うなんて失礼だ、って」
「……それが」
クドはハンカチを取り出すと、涙を丁寧に拭いながら、言った。
「それがとっても、うれしかったです」
「たったそれだけでしたですが、私にはそれが何よりも、うれしかったです」
目の前には、クドがいる。
たった今、僕の好きな女の子になった。
小さい体に、無限の可能性と、大きな思いを詰め込んで。
僕はそんな女の子の思いを、一生かけてサポートしていく。
それを僕の生きる意味にしよう。
僕は今、そう決めた。
ふたりで家庭科部室の後片付けをしてから、僕は女子寮までクドを送った。
「クドも、女子寮の鍵を預かってるの?」
「はい。大晦日と正月三が日は、私が管理人代行なのです」
「僕も」
そういって、ポケットに入れたマスターキーの束をクドに見せた。
「でもさ、そのコートと帽子、とっても暖かそうだよね」
「来ヶ谷さんにプレゼントしてもらったです。とってもあったかくて、お気に入りなのです。けど…」
「けど?」
「みなさんにイエティとか、サスカッチとか、機械の体を貰いに行きそうとか、言われてしまうです…」
「最初のふたつはわかるですけど、あとひとつが分からないです……」
「リキ、わかりますか?」
たぶん、銀河鉄道にまつわる物語の、ヒロインのことだと思った。でもあれは背が高くて、黒かったけど。
「うーん……」
でも敢えて、言わないことにした。
「クド、寒いの苦手なのにね」
「はい……でも、今年からはリキがいるから、ずっと暖かいです」
「ありがとう。それじゃ、また初日の出の直前に電話するから」
「しーゆーねくすといやー、です」
「うん。おやすみ」
僕は寮の自室に戻ると、カーテンを開けて外の光を入れた。
「僕とクドは、恋人同士になったんだな……」
リトルバスターズのみんなといること。クドとふたりきりでいること。
それは同じようで、違うと思った。
みんなと大騒ぎしながらいるのは、確かに楽しい。
リトルバスターズという集団にいる、ということに対する安心感だ。
でも、それでは個々の顔が見えにくい。
あれからクドといろいろな話をしたけれど、僕の知らないことがたくさんあった。
クドはロシアと、太平洋の小さな島国、テヴアの二重国籍者だということ。
クドのロシアでの名前の話。クドリャフカ=アナトリエヴナ=ストルツガヤ。
その時初めて、名前・父親の姓・名字の順番で名前がつけられることを知った。
そういうのが分かるようになるのが、ふたりきりでいることの、良い点なんだと思う。
でも、気をつけないと、リトルバスターズという集団に歪みを生じさせてしまう。
小さい頃から集団行動をしてこなかったクドは、班行動をする時にも不慣れな様子があった。
リトルバスターズと、クド。
そのバランスを気をつけて付き合わないといけないな、と思った。
「恭介がいなくなったら、多分、僕がみんなをまとめるようになると思うんだよな…」
でも、今まで僕が恭介や、真人に頼ってきたように、きっと僕もクドに支えられるときがあると思う。
そしてそれは、卒業しても、ずっと続いていく。
僕とクドのふたりで、将来を選んでいけるのだから。
「いずれは、明日からだな……」
正直、眠りについてしまうのが怖かった。
目が覚めたら、全部が夢だったなんてなったら、悲しすぎるから。
それでも眠気にはかなわなかった。
携帯電話のアラームを日の出の30分前に設定し、シャツとズボンだけを脱いで眠りについた。
混濁した意識を衝いて、電子音が鳴る。
僕はのそのそと布団から這い出ると、脱いだシャツとズボンをまた、身に着ける。
が、少し思い直して全部着替えることにした。
真人とふたりだけだったらこれでも良かったけど、クドの前ではちゃんとしていたかった。
洗い場で顔を洗い、寝癖がないかどうかを確認する。
「よしっ」
僕は曙光に包まれた元旦の空気の中へ、躍り出た。
クドが、待っていてくれた。
「クド」
声をかける。
その存在を、確かめるように。
「リキ」
声が返ってくる。
私はここにいますよ、と主張するように。
「あけまして、おめでとう」
「あけましておめでとうございます、なのです」
クドは男子寮の前にいて、僕を待っている。きのう別れた時の、ふかふかもこもこの装いのままで。
僕は男子寮の玄関にいて、クドのところへ向かおうとしている。
その距離は、僕が少し歩けば、すぐに縮めてしまえる距離だった。
『距離を隔てて、なお届くものなんてあるのだろうか』
そんな言葉が、頭をよぎった。
でも今は、僕が歩いていけば距離なんて簡単に縮められる。
だから僕は、クドのほうへ歩いていく。
クドも手を前に出し、一歩一歩、進んでいく。
手を伸ばせば、クドに触れられる距離まで近づくと、クドは僕の胸のなかに飛び込んできた。
「リキっ…!」
僕も胸の中のクドを、大切に抱きかかえた。
「クド…」
クドは何度も僕の胸に頬をこすりつけて、僕の名前を呼び続けた。
「寝るのが、怖かったです…」
「寝て起きたら、いままでのことが全部、夢になっちゃうんじゃないかって、思ったです…」
「せっかくリキと恋人になれたのに…」
「ずっとずっと、願っていたことが叶ったのに…」
「それが全部、なくなっちゃうんじゃないかと思って……こわかったです…」
「こわかったですぅ……」
僕はしょうがないなぁ、と思いつつ、柔らかなうれしさに包まれていた。
こんなにも僕を頼りにしてくれる人がいる。
だから僕は、その人を一生かけて、守っていく。
そう自然に、僕は思っていた。
「僕はもう、離れないよ」
「ずっとクドといっしょにいる」
「ずっと、……ずっと」
僕はクドの背中を、背中に流れる亜麻色の美しい髪を、撫で続けた。
一年で一度だけの、特別な朝の光に包まれながら。
「さ、クド。校庭で一緒に、初日の出を見よう」
「はいっ」
クドは笑顔になって、僕に応えた。
>クドはロシアと、太平洋の小さな島国、テヴアの二重国籍者
それだとクドは帰国子女じゃなくて外国人じゃないか?
>253-271
面白かった。GJ!
>>271 なかなかよかったよ
「はじまりの日」とあるから本編開始前のクドビフォーかとおもた
※
>>251の続き
今日も僕とクドは家庭科部室でセックスする。
ふたりとも実力テストの結果は散々だったけど、どうせ期末試験で挽回すればいいんだ。
だから僕は今しかできないことをする。つまりセックス。僕は僕であり続けるため、セックスをする。
「わふ……この格好……」
「ん? クドは座位は嫌い?」
「いえ……リキにだっこされてるみたいで……これ、好きです」
「クドは可愛いなあ……」
僕は手のひらでクドのおっぱいを揉んだ。むにゅむにゅ。
「あぅ……っ」
クドは素直に可愛い顔と声で応えてくれる。
両足が僕の腰に絡んできて中の締め付けが覿面に強くなる。
(……って、あれ?)
いつの間に揉めるほどのおっぱいが生えたのだろうか? クドの胸に。
「ん……どうしました、リキ?」
性交の快楽にぽーっと赤くなった顔でクドが訊ねてくる。
「クド、胸大きくなってる?」
「ええ、そうみたいです。最近ブラがきつくて……」
「へぇ……成長期なのかな」
「リキに、毎日可愛がってもらってるからなのかもしれません……」
自分で言って照れてるのか、えへへ……とクドは笑った。
――それで僕の理性がふっ飛んだ。
「わふっ!?」
繋がったままクドを畳に押し倒した。
ニーソックスに包まれた細い足首を掴んで高々と持ち上げ、ただただ自分が気持ちいいように乱暴に腰を動かしてクドのお腹をえぐる。
「あ、あ、リキっ、はげし、はげしいですっ……! わたし、わたしっ、こわれちゃうぅっ!」
じゃあいっそ壊れろとばかりに僕は少しの遠慮も容赦も無くクドの細腰を打ち続けた。
「あぅっ、ああっ……! リキ、すきです。リキ、すきっ。リキすきっリキすきっ。リキぃっ――だいすき――っ!!」
クドがあんまり可愛い声ですきすき言うからその日は何回中出ししても勃起が収まらなかった。
>>275 胸が大きくなるってことは妊娠しちゃったか。
>>277 アッー!
リフレイン酷すぎるwww感動ぶち壊しすぎフイタwww
※
>>275の続き
それからしばらく経った日曜日。
クドと付き合い始めてから、僕の昼ご飯は毎日クドの作るお弁当なんだけど、今日はなぜか朝からクドを見かけなかった。
だから、本当に久しぶりに恭介たちと一緒に食堂で食べようと思ってテーブルに座ったら、
「直枝理樹!」
僕の名前を呼ぶ鋭い声が食堂に響いた。
「ちょっと、来なさい」
つかつかと歩み寄ってきた声の主にいきなり肘を掴まれる。
「あの、僕、今からご飯食べるから、話なら後で……」
「いいから来なさい!」
「わわっ!?」
テーブルの上にレバニラ定食を残したまま、二木さんに腕を引っ張られて僕は食堂を出た。
行き先は家庭科部室だった。
「連れて来たわよ。クドリャフカ」
「あ……リキ……」
そこにはクドがいた。
「クドリャフカからあなたに話があるそうよ」
厳しい表情の二木さんにそう言われたので、僕はクドに訊ねた。
「えっと……なにかな、クド?」
「あ、あの……あの……」
クドは助けを求めるように二木さんの顔を見る。
「駄目よ。あなたの口から言いなさい。この男に」
最後の『この男に』の部分は吐き捨てるようにして二木さんは言った。
……一体、僕は何をしてしまったんだろう?
(特に心当たりは…………あるな)
ようやくクドが口を開く。
「あの……直枝さん……」
「うん、なんだい……?」
「なんだか最近ぽんぽんが大きくなるのです……」
「へぇ……食べ過ぎとかかな……」
ぷつぷつと背中に汗の玉が浮かぶのを感じる。
「それで、佳奈多さんに相談して一緒に病院に行ったのです……そしたら……」
つつ――と冷たい雫が背筋を流れ落ちた。
「赤ちゃんができてましたっ!!」
「わふーーーーーーっっ!!!!」
僕の絶叫が校舎にこだました。
エクスタシーでさささと佳奈多がバトルランキングに参加するんじゃないか…
というわけで2人のバトルパラメータを妄想してみた。ついでに古式も。
参考までに旧リトバスメンバーの5/13時点でのバトルパラメータは以下の通り。
(表記は平均、実際には全て±2までの範囲でランダム)
腕力/体力/敏捷性/反射神経/集中力/判断力/運
恭介 80/80/100/100/100/120/60
真人 120/120/60/60/40/40/45
謙吾 105/105/80/80/80/60/50
理樹(弱)35/40/45/45/45/40/60
理樹(強)85/90/95/95/95/90/60
鈴(弱) 40/30/60/65/30/40/60
鈴(強) 90/80/110/115/80/90/60
で、以下妄想↓
佐々美:60/50/80/85/50/60/40
理樹と鈴は1周ごとに運以外のパラメータが10ずつ上がるが、佐々美は(鈴への対抗心から)5ずつ上がる。
最初は鈴より一回り上だが、4周クリア時点で並ばれ、5周クリアで抜かれる。
ただし若干運が低い。
佳奈多:70/70/65/65/95/100/30
恭介(リーダー)と謙吾(剣道部)を足して2で割り、女子補正を加えた感じ。
ただし運はひk(ry
古式:60/65/60/75/130/120/15
集中力・判断力がずば抜けて高く、その他も(女子にしては)高め。
ただし絶望的に運(ry
…こんな感じでどうでしょ。
>>283 佐々美は鈴とバトルしてる時にパラメータ出てるじゃないか
しかも戦うたびにものすごい勢い(運以外+10)で成長していくw
佐々美(初期平均値):70/65/60/60/50/55/45
>>283に便乗妄想
佐々美:105/95/90/95/75/80/45
佐々美戦でのステータスを見る限り、鈴よりも謙吾に近いパワータイプかと。
参加する時期によっては多少変動するだろうけど、鈴(強)の値にあわせるとこんな感じになった。
佳奈多:40/65/80/90/90/100/70
はるちんのステータスに集中力と判断力と運を上げ、運動神経を落しただけ。
その結果、腕力が事実上最低にまで落ちてしまった。
古式:70/85/65/85/115/80/45
集中力はトップクラスで、その他の能力はそこそこ良い感じ。
不幸なイメージがあるけど、運自体はそこまで低くは無いと思った。
専用武器に関しては
佐々美はボールとバット
佳奈多は竹刀(木刀可)とヴェルカかストレルカ(片方のみ)
古式は模擬弓と何か一つ
そういえば古式の初期称号ってどんな感じになるんだろう。
『文武両道の独眼竜撫子』………とか?
あぁ、なんか謙吾お手製のリトバスジャンパーを着て
ブッ壊れた言動をしている古式が見えてきた……
校内1のバカップルの誕生だな。
>>287 ついでに二人の姿を物陰から見ながら「宮沢様……」と呟く佐々美がいるんだな
※
>>282の続き
春が来て、僕はスーツに身を包んで就職活動をしていた。
クドに妊娠を伝えられてからしばらくのことは覚えていない。
あの後すぐに来日したクドのおじいさんに記憶が無くなるまで殴られたからだと思う。
恭介曰く、『おまえ、一ヶ月ぐらいモザイクかけないと人前に出せない顔だったぞ』とのこと。
二木さんには、『クドリャフカに感謝しなさい。あの子が庇ってくれなかったら、あなた死んでたわ』と言われた。
僕は危うく本当に三途の川でクドが来るのを待ち続けることになるところだったようだ。
病院のベッドで意識を取り戻した僕は、泣きながらお願いするクドの言う通りに、おじいさんに土下座して謝った。
そして、高校卒業と同時にクドと結婚して就職して一生クドのために働くと誓うことで、なんとかおじいさんに許してもらった(さもなければハラキリしろと言われた)。
……うぅ……進学するつもりだったのに……。
ただ、不幸中の幸いと言うべきか、同級生がみんな受験勉強に励んでいる中ひとりぼっちで就職活動をしていても、別に寂しいとは思わなかった。
クドを妊娠させたことが知られて以来、僕は学校中の嫌われ者で、校内では誰も(リトルバスターズのみんなですら)口を聞いてくれないからだ。
むしろ、学校の外で就職活動をしているときの方が心が休まるぐらいだった。
会社の説明会に出た帰り道。
まだ慣れないネクタイを解きながら歩いていたら、携帯が震えた。
クドからのメールだ。
『今日は大丈夫です』
そんな文面だった。
僕は手帳を開いて確認する。
今日の予定はもう無かった。
『今から行くよ』
そう返信した。
学校からそれほど離れていないマンション。
クドがおじいさんと一緒に住んでいる部屋のインターフォンを押した。
すぐにドアが開いて、ゆったりしたワンピース姿のクドに迎えられる。
「リキ、こんにちは」
「こんにちは、クド。今日はおじいさんは……」
いないから僕を呼んだのはわかっていたけど、一応訊ねてみる。
「日本のお友達に会いに出かけてます」
「そうなんだ」
「だから、ふたりっきりですよっ」
「そうだね……」
僕らはソファーに肩を寄せ合って座り、菓子を食べながらおしゃべりをした。
「これはですね、昨日小毬さんが作って持ってきてくれたお菓子ですよ」
「……へぇ、そうなんだ」
最後に彼女と話したのはいつだったろう。
確か、廊下で重そうな荷物を抱えて運んでいるのを見かけたので、また損な役回りを引き受けたのかなと思って「手伝おうか?」と声を掛けたら、「ほわぁっ! はらまされるーっ!」と荷物を放り出して泣きながら逃げられたときだったろうか。
「それでですね、小毬さんに作り方を教えていただいたので、今度は私が理樹に作ってあげますねっ」
「それは嬉しいな」
「それに……この子にも作ってあげるのです」
そう言ってクドは微笑みながら大きなお腹を撫でる。
「……食べられるようになるのは、まだまだ先ですけど」
「そうだね……」
それから、クドが病院で受けた検診のことなんかを聞かされる。
お腹の中の子供は順調に育っているようだ。
ふと会話が途切れたときだった。
「リキ……」
クドがしなだれかかってきた。
「久しぶりに……しませんか?」
そう言いながら手のひらで僕のふとももを撫でる。
背筋がぞわぞわした。
「いつも手とか口とかじゃ、リキも満足できないですよね……?」
そんな言葉を紡いでいる唇の濡れた赤色がやけに目を引く。
妊娠がわかってから、僕とクドは一度もしてなかった。
もしそれで流産したら、なんて思うと怖くてできなかった。
その代わりに会う度にクドは手や口でしてくれた。
最初の頃、そんなことしてくれなくてもいいのに……って言ったら、クドはにっこり笑って、『浮気予防ですっ』と答えた。……きっと冗談だ。
「……でも、大丈夫なの?」
「安定期に入ったので、激しくしなければ大丈夫だってお医者様に言われましたっ」
えっと、そんなことを訊ねたのかな?
「……じゃあ」
僕は求めに応じた。
「ん……」「あ……」
僕らは久しぶりに繋がった。
おなかに負担の少なそうな対面座位で。
ソファに座っている僕に、クドが抱きつきながら寄りかかっているような格好。
これまでどんな体位でしても軽いとしか思わなかったクドの体は、人間二人分になった今では随分重く感じた。
まんまるに膨らんだおなかを撫でてみる。
「くすぐったいですー」
きゃっきゃっと赤ん坊のようにクドが笑う。
僕は幸せな気分になった。
それからはあまり動かないで繋がったままおしゃべりしたり触れ合ったりしていた。
「胸、また大きくなったね」
「はい。もうしばらくしたらお乳が出るようになるそうです」
「そうなんだ」
正直なところ僕には父親になる自覚なんてないのに、クドの体はどんどん母親になる準備を進めている。
「リキにも飲ませてあげましょうか?」
にっこり笑いながらそんな問い掛けをしてきた。
「いや、えっと……」
僕は返事に困る。
「……リーキっ、早く答えなさい♪」
「うっ……!」
中をきつく締め上げられた。
「うん、嬉しい、な……楽しみに、してる、よ……」
喘ぎ喘ぎしながらなんとか答えると、クドは満足そうにくすくす笑い、
「リキ、愛してます」
僕の髪を優しく撫でながら頬に軽くキスをしてきた。
頬だけじゃなくて、唇にも額にも鼻にも耳にも目にも髪にも顔中にキスされて舐められて、僕はずっとされるがままクドに可愛がられた。
キスもセックスもいつまでたっても終わりそうになかった。
くすぐったくてきもちよくてだんだんなにもかんがえられなくなる。
……僕は生きていく。
クドとこれから生まれてくる僕らの子供のためだけに。
もう、それ以外の生き方は許されない。
いや、それ以上の生き方なんてありえないんだ。
僕はようやく理解して受け入れた。
ずっといつまでも続くこの人生の素晴らしさを。
クドリャフカアフター 〜いっつ・あ・わふーっ!・らいふ〜
【クド妊娠END】
おしまいです。
長らくお付き合いいただきありがとうございました。
お疲れ様でした。
まさに駆け抜ける青春。素晴らしいSSだったと思います。
少し物悲しいけど、これってハッピーエンドだよね。
尻すぼみのシリーズだったな。。
バッドエンドじゃなくてよかったよ。いやマジで。
全く同じ文章なのに言ってる人が違うと正反対の意味になる不思議
小毬「小さな子供が好きです」
恭介「小さな子供が好きです」
>>298 こういうのも?
クド「これには夢が詰まっているのです」
美魚「これには夢が詰まっているのです」
>>301 セリフの指示代名詞はクドは乳だけど美魚は薄っぺらい本だろ
リトバスのアンサイクロペディアがwww
電波を受信したが文章にするのって難しいな…
改めてSS書く人を尊敬するわ
>>303 >能美 クドリャフカ(のうみ くどりゃふか) - 声:若本規夫
これはないわwww
あとAIR(エロゲ)の項目手込みすぎww
クド「わふー」
クド- 声:若本規夫「わふー」
なるほど
>>307 小毬「断罪の幸せスパイラルゥゥゥゥゥゥゥ!!」
>>308の勝手に続き
仮面(21)・・「逃がさん!喰らえ!HA!HA!HA!HA!斬り刻む…遅い!魔人千裂衝!二度と会う・・・」
穴子困り・・・「私の服だけ切り裂いてんじゃぬぇぇぇぇぇえい!」(チープエリミネイト発動)
エロ(21)「うはっwぐはっ馬・・・馬鹿な!!」
怒りマックス&乱入鈴・・・「今死ね!すぐ死ね!骨まで砕けろお!! 」(三連殺→デス・アビスで踏み躙り中)
思いつきで書いたネタを投下してみる。
先に断っておくと、決して誤爆じゃありません。
『やれやれ、できればあんたらとは戦いたくなかったんだがな』
『それは私たちも同じよ。でもいずれこうなるのは分かっていたことでしょう』
そこには男と、大柄な女と、小柄な女がいた。
男は女達と向かい合って立っている。
大柄な女がぼやく男に答えた。
『まあ、まわりの状況を見ていれば、な』
戦いたい相手ではなかった。
お互いに相手の強さはよく知っていたから。
けれど、状況は戦わないことを許さない。
『それに、どんなに戦いたくなくても、結局は戦うのでしょう』
『その通りだ』
大柄な女の言葉をきっぱりと肯定する男。
その視線は正面から女達を捉えており、男が本気であることは疑いようもない。
やがて男は女達に向けていた視線を虚空に移し、語り始めた。
『容姿からしてまわりの兄弟達とは違っていた俺は、親からも気味悪がられ、捨てられた。まだほんのガキのころの話だ』
『…』
『…』
女達は黙って男の言葉に耳を傾ける。
『住むところのない、食うものだって残飯を漁るか、でなきゃそこらの雑草でなんとか食いつなぐ… そんな生活だった』
男の、過去。
『まわりの連中は気味悪がって近寄らないか、でなきゃ囃し立て、攻撃してくるかのどっちかだった』
ある程度は彼の過去についても聞かされていたが。
『当時はまだ力もないただのガキだったからな。一方的にやられるだけだったさ。おかげで生傷の絶えない日々だった』
だがまさか。
『滲んだ血とこびりついた泥が固まって、更にみすぼらしい姿になる。すると更に気味悪がられ、更に激しい攻撃に晒される。悪循環だよ』
まさか、ここまで。
『本当に酷え生活だった。今思い出しても寒気がする』
ここまで悲惨なものだとは思いもしなかった。
『そんな俺に手を差し伸べてくれたのがお嬢だった。俺は神なんぞ信じねえが、あの時だけはお嬢が女神様に見えた』
そう言う男の表情は、先程までの陰鬱さからは考えられないほど穏やかだった。
『お嬢が拾ってくれたから俺は今もこうして生きている。でなきゃとっくに野垂れ死んでただろう。その恩を少しでも返すために…』
男は虚空から女達へと視線を戻し、言い切った。
『お嬢に勝利をもたらす。それが今の俺の存在意義だ。そのためならどんな汚いマネだってするし、どんな戦いたくない相手とだって戦うさ』
大柄な女が口を開く。
『…あなたの主への忠誠はよく分かったわ。けれど、それは私たちも同じこと』
男に主がいるのと同じく、女達にも主がいた。
『お嬢様は私たちに本当に良くして下さった。ただの護衛に過ぎない私たちに本物の姉妹のように接して下さった』
戦いたくないのは相手の強さを知っているためだけではない。
彼らはお互いに共感できた相手だったから。
仕える主は違ったとしても、それぞれの主のために戦う、同様の存在だったから。
『私たちはあなたのように酷い状況から救って頂いたわけではない。けれどそれが忠義で劣る理由にはならない。そもそもお嬢様を守るのは私たちの本来の役目』
けれど、だからこそ。
『私たちはお嬢様を守る。お嬢様の敵の兵であるあなたを倒す』
だからこそ、お互いの主が敵対する立場となった今は。
戦わざるを、得ない。
『全く… いくら最高の主人にだとしても、辛いもんだな。仕えるってのは』
『ええ… お互いに、ね』
男は女達の主を認めていた。
女達も男の主を認めていた。
今の主とめぐり合っていなければ、そちらに仕えていたかも知れないと思えるほどに。
しかし現実には、男は男の主に仕え、女達は女達の主に仕えていた。
そして、お互いの主は現在、敵対していた。
ほんの少し前までは仲間と言える間柄だったが、それでも今は敵対しているのだ。
―ならばやはり、男と女達は、戦うしかない。
―なのに。
『姉さん…』
これまで黙っていた小柄な女が口を開いた。
『何?』
『私、やっぱり… 彼とは戦いたくない!』
―小柄な女は戦いを拒否する。
『なっ… 今更何を言ってるのっ!?』
小柄な女の方へ振り返り、問い質す大柄な女。
『だってそうでしょう! ついさっきまで仲間だったのに、どうして戦わなきゃいけないの!』
しかし小柄な女は怯むことなく言葉を返す。
『それでも今は敵なのよ! 私たちの役目はお嬢様を守ること、忘れたとは言わせないわよ!』
『忘れてない、忘れるわけない! それでも戦いたくないのっ! だって、私、彼のことが…』
『それでもっ!!』
小柄な女の言葉を遮る大柄な女。
『たとえ彼のことを認めていたとしても、尊敬していたとしても、愛していたとしても! 戦うしか、無いのよ!』
その言葉は、相手にと言うよりも自分に言い聞かせているようで。
『姉さん… もしかして、姉さんも…?』
小柄な女は、自然とその結論に辿り着いた。
しかし大柄な女は、否定も肯定もしないまま、小柄な女に背を向けた。
『…戦いたくないならあなたは下がってなさい。私だけでは厳しい相手だけど、何とかするわ』
『姉さん… ううん、私も戦う。さっきは戦わないなんて言ってごめんなさい』
『…無理しなくていいのよ?』
『ううん、無理じゃない。それより今は姉さんこそ無理しようとしてる』
『…』
『姉さんもそうなら… 私も戦う。姉さんだけに背負わせはしない』
『そう…お願いね』
ぽつりと、大柄な女が言った。
『話は済んだか?』
黙って様子を見ていた男が言う。
『ええ、時間を取らせて悪かったわね』
『気にすんな。俺の方も言っておきたいことがあるし、な』
『何かしら?』
『これが最後かもしれないから言っておく… 俺、あんたらのこと、嫌いじゃなかったぜ…』
『…できれば、もっと早くにその言葉を聞きたかったわね…』
『私もです…』
女達が、男に答える。
『そうか…』
しばらくの間、あたりが沈黙に包まれる。
やがて、男が口を開いた。
『それじゃあ、始めるとするか… 戦いを』
『ええ…』
『はい…』
男と女達、仕える者たちの望まぬ戦いが、今、始まる。
「ぬぅおー、ぬおー」
「オンッ! …オンッ!」
「ヴァウ! …ヴァウ〜」
「何かドルジもストレルカもヴェルカも盛り上がってるみたいだけど… 何言ってんだろ?」
「あたしが知るか」
「私も分かりません…」
RANK6 怒涛のニンジャファイターリン 棗鈴 VS. RANK8 キューティ☆クーちゃん 能美クドリャフカ
使用武器
棗鈴:ドルジ
能美クドリャフカ:ヴェルカ&ストレルカ
「バトルスタートだ!」
「ぬおー」
「オンッ!」
「ヴァウ!」
男…ドルジと、女達…ヴェルカとストレルカの、望まぬ戦いが始まった。
激しくワロタwww
GJ!!!
オチうめぇ!
すぐにオチが読めた俺涙目ww
間違いなくハカロワのせいwww
会社帰りにケータイで見てたが、いや、いい落とし方だ!
5/6まではセピア色した、中世の風景が頭に浮かんだけど、
それが6/6を見た瞬間に、いつもの風景に戻ったのはなんだか快感w
ともあれ、ぐっじょぶ、なのですー。
読んでいてある程度オチには気づいたが、
男がドルジだとは思わなかった。
ヒョードルあたりかなぁと思ってたわ。
GJ!
しかしドルジのあの穏やかそうな風貌からはとても想像できない言葉づかいだなw
G'sの某企画みたく19匹の猫話が読みたい
漫画好きだが非オタな友人にリトバスのキャラ絵だけ見せて設定を予想させてみた。以下結果。
・真人→主人公
・恭介→主人公の親友
・理樹→実は女の子
・謙吾→主人公のライバル
・鈴→主人公の妹
・小毬→妹の友達
・葉留佳→クラスメイト
・来ヶ谷→生徒に混じった変な先生
・クド→近所の仲が良い小学生
・美魚→クラスメイト
・佳奈多→クラスメイト
・佐々美→どっかのお嬢様
・美鳥→美魚と双子
・古式→孤高の美少女(違うクラス)
ちなみに恋愛関係は
来ヶ谷、小毬←恭介←理樹、鈴、美魚←真人←クド(犯罪)、美鳥、佳奈多
古式←謙吾←佐々美、葉留佳
だそうだ、なんたるカオス(∵)恭介は気が多そうで二人を狙ってそうとのことwwwあと謙吾は一般人にモテそう、らしい。
クド
↑
小毬←恭介←美魚
↓ \ ↓
鈴 理樹←真人
329 :
名無しさんだよもん:2008/01/17(木) 19:58:01 ID:Q/1nM15y0
>>326 合ってる箇所も多いけど、姉御の扱いがテラヒドスwww
理樹はやっぱりそうなるのか…
>来ヶ谷→生徒に混じった変な先生
ウケタwww
俺もやってこよっかな
>>226 当たっているのは
・恭介→親友キャラ
・理樹→実は女の子
・謙吾→真人のライバル
・鈴→妹キャラ
・小毬→妹キャラの友達
・クド→小学生
辺りかな
>>理樹→実は女の子
いやいやいやいやいやいや
クド「わふーっ!
>>333さんに小学生扱いされましたっ!?」
そういやすっかり忘れてたがクドの実年齢って何歳だっけ?
え、ちゃんと同い年だろ?
通信制で飛び級したうんぬんだから15か16歳だな。
それでもクドってぎりぎりローティーンに見えるぐらいだしな。
下手すれば今時の小学生高学年より下に見えるぞ。
そだ |------、`⌒ー--、
れが |ハ{{ }} )))ヽ、l l ハ
が |、{ ハリノノノノノノ)、 l l
い |ヽヽー、彡彡ノノノ} に
い |ヾヾヾヾヾヽ彡彡} や
!! /:.:.:.ヾヾヾヾヽ彡彡} l っ
\__/{ l ii | l|} ハ、ヾ} ミ彡ト
彡シ ,ェ、、、ヾ{{ヽ} l|l ィェ=リ、シ} |l
lミ{ ゙イシモ'テ、ミヽ}シィ=ラ'ァ、 }ミ}} l
ヾミ  ̄~'ィ''': |゙:ー. ̄ lノ/l | |
ヾヾ " : : !、 ` lイノ l| |
>l゙、 ー、,'ソ /.|}、 l| |
:.lヽ ヽ ー_ ‐-‐ァ' /::ノl ト、
:.:.:.:\ヽ 二" /::// /:.:.l:.:.
:.:.:.:.:.::ヽ:\ /::://:.:,':.:..:l:.:.
;.;.;.;.;;.:.:.:.\`ー-- '" //:.:.:;l:.:.:.:l:.:
18歳以上に決まってるだろ
>>337 理樹の一つ下だな。
確か作中にもそういう描写があったはず。
まぁまったり行こうか。
クドが18だとすると恭介は20か21か
まさに(21)
でも恭介の扱いなんであそこまで扱い悪くなったんだろうな?
(21)とか(21)とか(21)とか。
個人的にはそこが好きだが(笑)
クドのエロSSを書いてみました。
「陵辱」とか嫌いな人は読まないでね。
「クド…」
「…わふ」
僕が唇を寄せると、彼女は困ったように顔をそらす。
クドの部屋のベッドの上。ふたりの間に沈黙がおりた。
僕らは元通りの日常を取り戻したはずだった。
だけどすべてが元に戻ったわけじゃなかった。
テヴアから帰ってきたクドは僕のキスを拒むようになっていた。
「クドは…僕のこと嫌いになったの?」
その日とうとう耐えられなくなって僕はクドに訊ねた。
「そんなことないです…大好きです」
「だったら、どうしてキスさせてくれないの…してくれないのさっ!」
声の苛立ちを抑えることができなかった。
「…私は汚れてるんです。キスしたらリキまで汚れてしまいます…」
「え…?」
意味がわからない。
「汚れてるって…なんだよそれ…。僕にわかるように言ってよっ」
明らかに言いたくなさそうな顔をするクドに僕はいつまでも食い下がった。
それでようやくクドは教えてくれた。残酷な事実を。
「…テヴアでリキじゃない男の人とセックスしました…たくさんの男の人と…」
「そんな…」
暴動のさなか連絡を絶ったクドの身にそういうことがあったんじゃないかという心配はずっとしていた。
けれど、そんなことこちらから訊けるはずがないし、クドも全然そんな様子を見せなかったので僕はすっかり安心していた――なにもなかったんだ、と。
「あそこだけじゃなくて…口もおしりの穴も使ってセックスしました。何度も何度も…」
その言葉がさらに僕を打ちのめした。
「この口で、」
と桜色の下唇に指をあてクドは言う。
「たくさんの男の人の…」
「クドっ!」
僕はクドの両肩を掴んでやめさせた。
「いいんだ……クドは汚れてなんかないよっ! だって、そんなのクドのせいじゃないじゃないか。悪いのはその男たちだ。クドは悪くない。クドがどんな目に遭ってても汚れてるだなんて僕はっ…!」
「リキ」
奇妙に落ち着いたクドの声が、捲くし立てる僕を遮った。
「違うんです…私は汚れてます」
「どうして、どうしてそんなこと言うのさ…」
怒りと悲しみでほとんど涙声になりながら僕は言った。
「リキ、見てください」
そう言うとクドはスカートの端をつまんで持ち上げた。
「……!」
むせそうに濃いにおいが広がり、僕は言葉を失う。
クドの下着はおしっこを漏らしたみたいにぐっしょり濡れていて、透けた布地がぴたりと肌に張りつき、無毛のわれめのかたちさえわかりそうだった。
「さっきから、ずっとこうなんです…」
クドの声に、そこしか見てなかった僕ははっと顔を上げる。
「リキだから…じゃありません。誰でも、男の人が近くにいるだけでこうなっちゃうんです」
頬がみるみる赤く染まり、早口になっていく。
「したくて、したくて…たまらなくなるんです…」
もうクドは発情しているのを隠そうとしなかった。
「授業中もずっと我慢してて…休み時間になったら急いでお手洗いに入って自分でしてるんですっ…」
たしかに…授業が終わる度にすぐに席を立ってトイレに行くクドの姿におかしなものを感じてはいた。
だけど、そんなのって…。
「今だって…欲しくて欲しくてしょうがないんですっ。ああっ…欲しい…リキのおちんちん欲しいですっ…!」
もうずいぶん前からクドの右手は下着の中に潜り込み愛液で塗れた股間をまさぐっていた。
「………」
僕は何も言えずにクドの痴態を眺めていることしかできなかった。
――そうなったのはクドのせいじゃない。
――それは、クドが男たちに犯され続ける中で身についた、ただの肉体の反応なんだ。
――生き延びるためにそうなるしかなかったんだ。
――だから、クドは悪くない、汚れてなんかない。
そう言ってあげたかった。
だけど、僕の喉はからからに乾いていてなんの声も出せなかった。
その代わりに僕の下半身が語った。
「リキ…」
僕のズボンの膨らみに気付いたクドは、
「リキもしたいんですね……嬉しい」
にいっ、と見たことのない顔で笑みを浮かべた。
それから僕の返事など待たず、右手で自慰を続けながら左手を伸ばして手際よくズボンの前を開いてそれを握った。
「あぁ…おっきいです…すてきなにおいがします…はぁぁ…」
クドは涎を垂らしそうな顔で僕のものに頬擦りをすると、
「いただき…ます」
と言って口にくわえた。
「うあぁ…!」
僕の口から情けない声が出た。
いったいどういう手品なのか、その小さな口ではとても収まりそうにないのに、僕のペニスの三分の二以上が既にクドの唇の奥に消えている。
窄めた唇は根元の方を、喉は先端を、その間の部分は舌で、間隙なく締めつけられる。
普段している自慰とも、たった一度だけのセックス――そのときのクドは痛がるばかりだった――とも比べ物にならない快楽。
「くうっ!」
僕は彼女にこんなことを覚えさせた見知らぬ誰かへの嫉妬に駆られて、自分のを全部くわえさせようとクドの頭を乱暴に押さえつけた。
だけどクドはそれさえ予想していたかのように柔軟に応えて、ずずーっと本当に根元まで飲み込んでしまった。
そして、ぐちゃぐちゃと音が聞こえるぐらい激しく自分の性器をかき混ぜながら、喉の奥を使ってぎゅぅぅっ…と僕の性器を締め上げた。
「は…ッ」
僕は掠れた声を上げ、全身の神経を根こそぎにされるような快感とともにクドの口に射精した。
同時にスカートのおしりがビクッと跳ねて緊張し、彼女も達したのがわかった。
「んぐっ…んぐっ…」
クドは僕の精液を飲み干しつつ、ピクピク腰を震わせて自らの絶頂をも意地汚く堪能していた。
そうして僕にとっては初めての、クドにとっては数え切れないほど経験したであろうオーラルセックスが終わり…
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
クドはぽろぽろと涙をこぼした。
「私、こんなんなんです…いやらしくて汚いんです…。もう…リキのそばにいる資格、ないです…」
自虐を続けるクドの姿にたまらなくなって僕は彼女を抱き寄せた。
「わふっ!」
驚きのかたちをつくる唇を無理矢理奪った。
ただ触れ合うだけじゃない。舌も入れる。
「んー…!」
クドは僕の腕から逃れようと身をよじる。だけど離さない。
僕はクドの口の中を余すところなく蹂躙し、彼女の唾液と自分自身の精液が混ざり合った苦くて甘い液体を嚥下した。
「ぷあっ…リキ、だめですっ…! 私、汚いのに…」
まだそんなことを言うクドが許せなくて、
「い、いたいっ…」
僕は力いっぱい細い体を抱きしめて言った。
「汚れてたって…かまわない」
「え…?」
僕の言葉にクドはぱちぱちとまばたきを返す。
「クドが汚れてるなら、僕も汚れる」
…いや、違うな…そうじゃない…
「僕が、クドを汚すんだ。これから、クドがされたこと全部…ううん、それ以上のことを僕はクドにする。…他の男になんて絶対に負けない…忘れさせてやる……僕のことしか考えられないようにしてやるっ!!」
「わふっ…」
僕に向けられたその表情は脅えてるのか悦んでるのかよくわからない……ただ、じわぁっとスカートに染みが広がっていった。
「だからもう、汚れてるなんて気にしなくていい。僕がクドを真っ黒になるまで汚すんだから。クドの汚れは全部僕のだ。クドは全部僕のものだ…」
そう言って僕はひどく優しい手つきでクドの頬を撫でた。
「リキ…」
青い瞳が再び涙を落とす。
だけど、きっとそれはさっきまでの涙とはまるで逆の涙だ。
「リキ…リキっ……リキーーーっ!!」
泣きながら僕の唇を貪るクドを受け止めそのまま押し倒す。
そして僕は自分の望むままに彼女の求めるままにクドを陵辱し尽くすべく邪魔な服を引き裂いて――――
わっふわっふ
わふーわふー
わふ〜
ぐーぐまーぐげー
リトバスアフターマダー?
「り、理樹…そんなとこ触ったらめっ、だ…」
「そんな…僕、もっと鈴の色んなこと知りたいよ」
「そ、そうか……じゃあ、触っても、いいぞ。うん、いいぞ」
誰か続きを書いてくれ
>>357の続き書いてみました。
思ってるのと違うかも知れないから先に謝っておく。済みません。しかも超短い。
たしたし。
「ふ…、…ゃ……」
霜焼けになったように、腿にほのかな赤みがさしている。
――本当にこのままさすり続けてもいいのかな……
「…ぅぅ……それじゃ気持ちよくならないぞ…」
「え、うーん、強くしたらいいの?」
「理樹がそんな調子だとあたしは…」
鈴がむずむずしているのは見ていても分かった。上手く触る自信は皆無だったけど、触れてみれば何か分かり
そうな気がしたから僕はとりあえず足やおなかに手を預けていた。慎重にやらないとあとが怖いような気はした。
手を出してみないことには何も始まらないと思ってひとまず手を動かしてみた。
ぶんっ。
「………みゃっ…!」
「ごめっ、…」
撫で方を誤って手刀をかましてしまったかも知れない。
「いま絶対わざとだろ!」
「そんな訳ないよっ、ちょっと加減を間違えただけだって…!」
なんだろう、ヘンなとこに手がいくともう違うみたいだから難しいし、僕よりずっと敏感で繊細なんだと思う
と手が動かなくなったり高速化してしまう。そして鈴は怒ってしまう。
さわさわは気をつけないといけないんだなーと思いながらしばらくはもみもみをしていた。すると、
「どうも君は分かっていないようだな」
僕に判決を下しにきたのか否か、来ヶ谷さんが訊ねてきた。
そうだね、これじゃあ鈴は納得しないよねと思いながら悶々としていたところだったので、来ヶ谷さんはある
意味で女神だった。僕は嘆きをぶつけてみた。
「どうしたらいいのか分からないんだよっ」
わきわきの熱心さでは誰にも負けていないつもりだったので僕はちょっとショックだったのだ。実際に触る段
になって制御が利かなくなるなんて思ってもみなかったんだ・・・。
僕はどことなく落ち着かなくなってまた新たにさわさわしようとしだした。しかし、来ヶ谷さんはそれを見逃
さなかった。
「君はそれがいかん。どうかね、こうしてみたまえ」
「……みゃゃ…」
僕の控えめな手を取り払って彼女を抱くように持ち上げた。胸に抱え込んだかと思うと、そのまま満遍なくな
でなでと……してあげてるようなんだけど……?
「なんかさ……卑猥なさわり方してない?」
「違うのか?」
「いや……何が」
誤解を招きそうなさわり方だった。それより何より鈴の前でそんな事したらダメなんじゃないか? 僕は素朴
な疑問を抱いていた。
「それは新しいな。あたしも今度してみる」
「一応オススメとしてみるが、猫や理樹君以外には絶対にするんじゃないぞ」
「猫も僕も引くから」
とりあえず僕は何も考えずに合いの手を入れといた。
361 :
357:2008/01/23(水) 23:52:33 ID:/ZJlxAdD0
>>359-360 ありがとうありがとう、すごくおぎおぎした…
って猫じゃねーか!!Σ(∵)
いや、良かったけどさ。
こんなことがあった。
「なぁ、理樹」
「何? 恭介」
「昔さ」
「?」
「食べると大人になったり子供になったりする何かが出てくる漫画、あったよな?」
「それが、どうしたの?」
「いや、食べさせてみたいな、と。主にうちの女子メンバーに」
そこで僕は黙って席を立った。
さようなら、恭介(21)。
でもクドだと逆に大きくなると思うよ?
もうすっかりキョマリとか見なくなったなぁ・・・。
真クドや真カナもさっぱりだなぁ・・・
>>364 ネタはあるんだけどテスト期間で書けないのです…終わったらきっと投下するのでお待ちくだされー。
>>363 俺もキョマリ分が足りない・・・。
真クドはけっこういろんなサイトで見るけどキョマリはマイナーだからな・・・。
367 :
名無しさんだよもん:2008/01/26(土) 14:30:11 ID:3DcGgNR+0
キョマリとか略すな、キモいわ
腐女子かっつーの
腐女子ってそういう風に略すのか。知らんかった
真人×クドはそのままマクドになっちゃったりするのかな
んじゃ「棗×直枝」な表記の美魚ちんは偽腐女子なのか?
嬉しいような寂しいような…複雑な気分だ(∵)
別に腐女子特有ってわけでもないと思うけどな
オフ活始めた影響で4スレぐらい留守にしてた俺が来ましたよ。
363,366>>
キョマリすっかり見ないですか…
久しぶりに書きたいのですがブランクがあるのと、
別のゲームに夢中なんでちょーっと燃料もらわないと書く自信ないっす…
371 :
名無しさんだよもん:2008/01/27(日) 01:29:46 ID:YPy2A/pU0
作家w
372 :
恭毬支援:2008/01/27(日) 01:34:33 ID:Z6r3Z3sOO
むー…なんか態度でかかったですかね…(´・ω・)
作品持ってくるまでひっこんどきゃよかった。
コテの馴れ合い見たい訳じゃないからねぇ……
匿名掲示板の性質を見抜かないと
(神、いわゆるゴッドになるには)難しい。
375 :
名無しさんだよもん:2008/01/27(日) 07:29:39 ID:tOFdciuc0
個人的には理樹×姉御分が全然足りてないんだぜ…
姉御×理樹ならあるんだけどねー
なにが違うのかよくわからんぜ
理樹×姉御:理樹がゆいちゃんを押し倒す
姉御×理樹:姉御が理樹を押し倒す
全然違うのだぜ。
姉御×理樹だと、普段どおりで変化に乏しいじゃん。
理樹×姉御の時の責めに弱いゆいちゃん、つまりギャップ萌えってヤツかな。
そこがイイのだ。
381 :
名無しさんだよもん:2008/01/27(日) 23:40:25 ID:NPCFfVtMO
そういえば、はるちん×理樹って見たことないね
はるちんが攻めに回るとヤンデレっぽくなるんだよな
はるちんが受けだと普通の純愛路線って感じなんだが、なぜだろう。
同様に佳奈多も攻めだとヤンデレっぽく感じる。
だが、はるかな×理樹と考えればどうだろう?
二人に(性的な意味で)翻弄される理樹きゅん。大いにアリだろ。
リトバスエクスタシーとかもうこれで良くね?
恋愛ゲーム『リトルバスターズエクスタシー』は、リトルバスターズ中の男性登場人物を操作して、女性キャラとエクスタシーするというゲームです。
ヒロイン理樹を攻略したい方は『リトルバスターズエクスタシーマッスルエボリューションver』を購入して下さい。
世界観
リトルバスターズ無印に準じるが、虚構世界にて男連中のリビドーが暴走した結果生まれた世界
操作人物(主人公)
理樹、恭介、謙吾、真人のいずれか。
ヒロイン
鈴、小毬、来ヶ谷、葉瑠佳、クド、美魚、佳奈多、笹瀬川、美鳥、古式、杉並、高宮、勝沢、あーちゃん先輩、さささの取り巻き左、同じく右、同じく中央、加藤多香子
他隠しキャラあり
クリア条件
世界崩壊時点で1人以上の女性と(21)して、なおかつ以下の条件を満たしていればクリア
@死亡エンドがあります。(二股がばれて恋人に刺されることが多いです)その場合、ゲームオーバー
A世界崩壊時点でだれとも(21)できなかった。又は他の男子キャラにアッーされたら失敗です。(21)した女性に新しい世界を作られて幽閉されても同じ。
基本攻略(ネタバレ注意)
理樹はリトバスメンバーと杉並、美鳥の誰かとは比較的楽に(21)できます。
逆に恭介と謙吾はそれ以外の生徒と(21)しやすいです。
キャラによっては、絶対に(21)できないヒロインがあります。(詳細はネタバレ解説書を参照)
出来るだけ多くのヒロインと(21)しよう!
とある板での声
「理樹でクリアすることあるのか?全部アッーエンドになった。見た目がほぼ女の子だからオカズには困らないが」
「俺はできたな。真人に気をつければなんとかなるだろ。間違っても絆スキップはするなよ、あれは次の週に即死するから」
「むしろ恭介が出来ないだが。(21)病院エンドになっちまう。」
「おれは禁断の妹エンド目指したら、社会的存在抹殺エンドになったわ」
「恭介は普通にやったらかなり楽だけれどな、口も上手いし顔も良いから。いかんせん(21)嗜好が…」
「理樹で18股したけど、死亡エンドだった。(21)した女全員にタコ殴りされて」
「ド素人が、理樹じゃ17股が最高だ。嘘書いてないで早く攻略汁」
「17股以上あるってことか? 上には上がいるな…」
「はるかなたの両立が最難所だよな、9割方刺される。どうしたもんか」
「とにかく誤解を解け。そして、リトバス皆の力をあわせて家のほうをなんとかするんだ。そしたら夢の3Pだぜ!」
「俺は謙吾6股でクリアした」
「ロマンティック大統領乙。しかし、ストレルカルートって冗談じゃなかったんだな。修学旅行前日にストレルカが人間の女の子になったのはびっくりした」
「おれはヴェルカのほうが好みだ」
「お前は恭介か (∵)」
「古式たんとできるのは謙吾だけだよな?」
「そう。あとさせ子もだな。取り巻きと5Pになったのはワラタが」
「真人は馬鹿キャラだから女の子がなかなか(21)させてくれないけど、一回やると浮気しても蹴られるだけで殺されにくいな」
「馬鹿だからな。それにそもそも筋肉が分厚いから死ににくい。ただクリアするだけなら一番簡単かもしれん」
「真人は理樹でプレーしてるときは鬼門だ…」
「こいつヒロインより理樹好きだからなwww好感度理樹が一番で99、次のクドが65ってひでぇwww」
「あと1でアッーだからまずは高感度下げないといかんからな」
「おい、おまいら、とうとう全員制覇したぞ!!」
「kwsk」「詳細希望!」「なにーΣ(∵)」「夢の20股エクスタシーか!?」
「答えは…筋肉筋肉〜」
「ま、まさか…」「それは盲点だったなー」「…(∵)?」
「俺も出来た! まさか筋肉旋風にver.2があったとは思いもよらなかったぜ」
「筋肉いぇいいぇーい!」「筋肉いぇいいぇーい!」「筋肉いぇいいぇーい!」
(以下略)
製造元:kay
ちょwwwひでぇwww
理樹が17股ってことは隠しキャラをストレルカとヴェルカだけだとすると、
3人だけ攻略できないことになるが、古式とさささとあと誰だ?
佳奈多かな?
てか真人と恭介www
>>388 加藤多香子=さささの取り巻き右
だからそれで終わりだなw
あれ、別人じゃなかったっけ?
結局攻略可能人数は
真人>理樹>謙吾>恭介か。
恭介はロリ系は全部アウト臭いしwww
理樹きゅんは女装しなくても半ズボン穿いてくれれば十分萌える
そういえば理樹きゅんって中学生?
こんなエクスタシーなら絶対買うわwwwだいたいアッーされるのって
理樹だけだろwww
>>390 こんな感じじゃね?
真人:筋肉旋風で20人制覇、そうでなければクドとかこのスレ的には佳奈多や
美鳥もアリだな。
理樹:主人公の貫禄で古式とさささ以外ゲット、上限は17人(18人?)
謙吾;専用キャラ古式とさささ+ロマンティック大統領で相当いけるはず。
少なくともさささの取り巻きは全員いける。
恭介:人気カリスマ性は高いがロリ容疑で伸び悩む。クドとかはまず無理そうwww
いけるのは小毬、姉御、一般学生とかかね。
>>392 そんな感じかな〜、どうしたロマンティック大統領!?
リトバス本編での女子人気は
謙吾≧恭介>>理樹>>>>>真人
って感じだっけ?
>>393 読み取れる範囲ではそんな感じだったね。
ところで逆に、リトバス女子メンバーの男子人気はどんなだろう?
鈴は人気あるって描写あったけど、他は特になかったよね?
個人的にこんな感じがするんだけど↓
鈴>コマリマックス≧クド>>姉御>はるちん>>みおちん
いや、別にみおちん嫌いなわけじゃないんだけど、カゲナシ呼ばれてたぐらいだしあんま人気はないのかなーと。
科学部部隊!
>>394が氷酢酸を飲みたいそうだ!
>>394 みおちん人気についてはまだ一考の余地があるのではないかと思われる。
ぶっちゃけNYP目当てな可能性も大だが科学部部隊をはべらせているわけだ。
固有ファンの存在は鈴とみおちんにしか確認されていないわけで。
鈴にも言えることだが、「異性からは人気高いが、同性からはいまいち」キャラな可能性もある。
そこんとこ含めて男女両方からの好感度で行くと、男子メンバーでは謙吾、女子メンバーでは小毬
辺りがトップに来ると考えてみたんだが、どうだろうか?
それぞれの支持層(男子限定)を考えてみる。
鈴:ペドフィリア
小毬:癒されたい現代人
姉御:おっぱい星人
クド:ロリコン
美魚:貧乳フェチ
葉瑠佳:変人
佳奈多:マゾヒスト
ささみ:ツンデレ属性持ち
このうち鈴とクドと美魚は微妙に支持層が被る。
はるかなはマニア向きすぎる。ささみは女子人気の方が高そうだ。
というわけで、小毬と姉御が人気ナンバーワンを争うのではないかと俺は思う。
(が、母集団がロリコンの集団だったりするかもしれない。葉鍵板みたいに。)
巨乳派だが美魚ちん好きだぜ
巨乳派だが、リトバスキャラに関しては別格。
みおちん、鈴、クドいける。
もちろんはるちんとこまりんと姉御も。
突然だが、シャッフルタイム。
鈴>クド>姉御>小毬>美魚>葉留佳>鈴(鈴mind into クドbody 以下同じ)
というのを思いついたが、俺の力量ではSS化は無理だ。
誰か妄想を拡げてくれまいか?
>>401 目がつんとしてハイキックをかますクドもみてみたいし
わふーっとか英語がしゃべれない姉御もみてみたい
全てを破壊する破壊心こまりんも見たい
そして和んでる雰囲気のみおちんもこれは中々…
毒を吐くはるちんは……なんか合わないな
でとりあえず脈絡のない鈴ちゃんも…普通…
だから 鈴>クド>姉御>小毬>葉留佳>美魚>鈴 はいかがか?
まぁ…書けないから
>>401あとは任せた。
クド「今まで黙っていたのですが、実はテヴアでは一夫多妻制が認められているのですっ」
来ヶ谷「そうか。ところで諸君、唐突だが今夜からテヴァ国で通用するロシア語の勉強会をしようと思う」
美魚「……後学のために参加させていただきます」
葉留佳「いつ行っても困らないようにしないとねっ!」
理樹「すごいね、みんな勉強熱心なんだ……って鈴? 小毬さん? なんで僕を引っ張るの?」
小毬「もちろん、理樹くんもいっしょにお勉強〜」
鈴「理樹、お前があたしたちの大黒柱になるのに現地の言葉を使えなくてどうするんだ」
クド「大丈夫ですリキ。自分たちの分は自分たちで稼ぎますから、リキ一人に負担はかけないのです」
理樹「えっ、ちょっと、みんないったい何を……ちょっと恭介、真人、謙吾、何がどうな……うわあぁぁぁぁぁ…………(ずるずるずる)」
>>403 姉御「ということは、クドリャフカ君も葉留佳君も鈴君も小毬君も美魚君も理樹君も私の嫁ということでいいんだな」
理樹「いやいやいや」
>>406 恭介「理樹、今まで黙ってたんだが、実は卒業したらテヴアに行こうと思うんだ…こう何て言うか「青年は旅のひと。」…っていう感じでよ」
理樹・鈴「ド変態」
>>404 そして数ヵ月後、みんながロシア語を十分に使えるようになった後のこと。
恭介「能美、言いにくいことなんだが……テヴアでは以前のクーデターの後、新政権によって一夫多妻制が廃止されたそうだ」
クド「えっ……本当なのですかっ!?」
恭介「ああ、本当だ」
鈴「どういうことだ、クド。クドはあたしたちをだましたのかっ!?」
クド「わふっ!騙すだなんてとんでもないですっ!」
美魚「では、どういうことなのか説明していただきましょうか」
唯湖「うむ。そうしてもらおう。事と次第によってはクドリャフカ君といえどただでは済まさんぞ」
クド「えっと、あのそのあのその……(オロオロ)」
小毬「クーちゃん……?」
葉留佳「このガッカリダメダメワンコっ!」
クド「わふーっ!ごめんなさいなのですーっ!」
理樹「ちょっと、みんななんでそんな本気で怒ってるのさ!?」
謙吾「理樹……お前、まだ分かってなかったのか……」
理樹「え?どういうこと?」
恭介「ふう……罪な奴だぜ……」
真人「で、どういうことなんだ?」
恭介・謙吾「真人、お前もかっ!!」
リトルバスターズ!エクスタシーではバイオ田中、マッド鈴木の他に
理樹やヒロインにアレな薬を盛る新キャラ・ケミカル佐藤が登場する
と脳内月面からの情報がありました
>>409 つまり性転換薬を飲まされた理樹が女の子になって、男メンバーたちとHするシーンが追加されたり、ヒロインたちにアレが生えて、理樹に入れるシーンが追加されたりするんだな!
……あれ?
>>410 お前は間違ってる
獣耳のはえる薬をメンバー全員が飲んだが、理樹だけプラス女体化してしまう
そして、そんな理樹としっぽりむふふ
・・・・・・あれ?
囚われの姫となった理樹を奪回すべく立ち上がった猫耳ヒロインズ+他二名
しかしその行く手にはバイオ・テクノロジーによって筋肉魔獣と成り果てた真人が待ち受けるのだった……
リトルバスターズの明日はどっちだ!
……あれれ?
ヒロインが負けるとCGが出て、全滅すると理樹×真人になるわけか。
そして真人を倒すと乱交と、なんたるカオス(∵)
414 :
名無しさんだよもん:2008/02/08(金) 23:44:18 ID:vzdM6t+p0
まあ、keyはあるかないかのエロで自然な流れを作ってくれそうだけどな
おまいらの妄想は、さらにリトバスの価値を高めそうだ
リトバスメンバーのバレンタインはどんな感じだろう。
とりあえず今までもらったチョコの数は謙吾>恭介>理樹>真人って感じがする。
でも真人はバレンタインの意味知らなさそう、ってのはさすがに馬鹿にしすぎかね。
え?理樹はあげる側じゃないのか?
理樹は本気で恭介あたりにあげたことありそうだな…。
とりあえず女子側の対応
鈴→理樹への本命一筋か、イベント自体に興味なし、二極
小毬→とりあえずお菓子イベントというだけでチョコ量産、結果的に義理チョコメーカーその1
姉御→特に何もしない、下手したらもらう側
葉留佳→てきとーに自分のおやつストックから義理なんだかよくわからないのを配る
ビックリマンチョコ配ったかと思いきや、シールだけよこせとか言い出す
美魚→チョコ作らない、代わりにバレンタインに関する薀蓄を語る
クド→その礼儀正しさゆえにはじめから義理チョコメーカーその2
と言ったところじゃないだろうか
クドは理樹にあげるのだけを特別にするかで迷いそうだな
はるちんからチョコ貰ってドギマギするかなたんというのはどうよ!?
>>420 ぎゃー!
そのネタ今書いてる真っ最中だって言うのにー!
>>422 了解。
バレンタインネタなのに男女のらぶらぶ話じゃない異端なものになりそうだけど、書いてみます。
14日に投下するので、出来れば読んでやって下され。
ある男が、自分を愛している双子の姉妹のどちらを結婚相手にするか長いこと考えていた。
ルームメイトに相談したところ、「筋肉で選べ」と言われたので
聞いた相手が悪かったと他を当たることにした。
次にもう一人の同い年の親友に相談すると、「自分が愛しているほうを選べ」と言われたのだが
男は姉妹のどちらも同じくらい愛していたので決めることができなかった。
八方塞になった男は最後に彼の兄貴分に相談したところ、
「何を悩んでいるんだ、おっぱいの小さいほうと結婚すればいいじゃないか」と事も無げに言われ、
男は早速姉妹のおっぱいを比べてみたのだが、さすがに双子だけあって
どちらも同じくらいのおっぱいだったのでやはり決めることができなかった。
数ヵ月後、姉妹の妊娠が発覚したので、男は刺殺された後に鋸で解体された。
某絵師サイトで見た区分をリトバスキャラに適用してみる
手をつなぐ派: 鈴 小毬
腕を組む派: 葉留佳 姉御 佐々美
裾を掴む派: いない?
つかず離れず派: 美魚 佳奈多 クド
おんぶ派: いない?
で、どうだろうか
>>425 クドはこれで頼む
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し 頭 / / 丶ヽ:ゞ;、_:-く
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代打バース
さて、今日はバレンタイン。
バレンタインネタ、ひとつ投下します。
バレンタインデー。
日本においては、女性が意中の男性にチョコレートを贈ると同時に愛の告白をする日とされている。
もっとも、最近では恋愛感情を伴わない相手にもチョコレートを贈る「義理チョコ」、女性が女性へチョコレートを贈る「友チョコ」等の習慣も存在しているが…。
しかし、そもそも本来のバレンタインデーの習慣は少し違っている。
欧米では、男性も女性もチョコレート以外にも花、ケーキ、カードなどといった贈り物を、恋人に贈る日とされている。
なかなか紛らわしい話である。
複雑な環境で育ったが故に、若干常識が欠けている部分のある「彼女」。
その「彼女」が、バレンタインデーに対して、間違った認識を持っていたのも無理からぬことだろう。
そもそも、さほど大きく間違った認識という訳でもない。
ただ、日本での習慣と欧米での習慣が入り混じったような… そんな認識を持っていたのだ。
「彼女」は、バレンタインデーをこう認識していた。
『男の人も女の人も、お世話になった人や親しい人にチョコレートを配る日』と。
「やはー、みんな。おはよう、おはよー」
いつものように2年E組の教室に現れた三枝葉留佳。
葉留佳が現れると、普段ならほとんどの生徒が『また何か騒ぎを起こすのか』と身構える。
しかし、この日ばかりは皆浮き足立っており、一度は葉留佳に向けられた視線は、すぐに外されることになる。
「ってあれー…?」
いつもとは違う反応に戸惑う葉留佳。
「葉留佳さん。こっちこっち」
そんな葉留佳に向けて理樹が手を振ってみせると、葉留佳はぱっと表情を輝かせ、とことこと駆け寄って来た。
「理樹くんも姉御もみおちんも鈴ちゃんも恭介さんもおはよー」
「おはよう、葉留佳さん」
「うむ、おはよう」
「おはようございます」
「…おはよう」
「うぃす」
理樹、そして理樹と話していたリトルバスターズの面々に声をかける葉留佳と、返す面々。
「何か今日は教室の雰囲気違うねー。はるちん入る教室間違えたかと思っちゃいましたヨ」
「あはは。今日はバレンタインだからね。みんなソワソワしてるんだよ」
「そっか。でもここにいるみんなは普通だよね? チョコ配ったりしないの?」
「いやだめんどくさい」
「キャラじゃありませんから…」
「なんであたしがそんなことせにゃならんのだっ」
葉留佳の言葉に即座に否定の返事を返す来ヶ谷・美魚・鈴の3人。
「…やはは。まあ3人は確かにそんな感じですネ」
葉留佳はその即答っぷりに苦笑し… そして爆弾を投下した。
「…理樹くんは? 恭介さんたちにあげてないの?」
「…なんだと?」
「なにぃっ!?」
「僕が!? 何でさっ!?」
「理樹が… 俺に?」
それぞれの言葉遣いで驚きを表す来ヶ谷・鈴・理樹・恭介の4人。
「直枝さんが恭介さんにチョコレートを… 直枝×棗… これはいけます!」
そして顔を赤くしながら何やらガッツポーズを取っている美魚。
「あ、それから恭介さんの方は? 理樹くんたちにはあげないんデスカ?」
葉留佳の爆弾、第二弾。
「………なんだと?」
「なにぃぃぃっ!?」
「恭介が!? 僕に!? 何でさっ!?」
「俺が… 理樹にだって!?」
それぞれの言葉遣いで先程以上に驚きを表す来ヶ谷・鈴・理樹・恭介の4人。
「恭介さんが直枝さんに… 少々意外ですが、しかしこれも絵になります。棗×直枝… これはいけます!!」
そして更に激しくガッツポーズを取っている美魚。
「ちょっと葉留佳さん! なんで僕や恭介がチョコをあげないといけないのさ!?」
「え? だってバレンタインってそういう日でしょ?」
理樹が慌てて問い詰めるも、葉留佳は平然と返す。
「お前ら… 馬鹿兄貴はともかく、理樹はまともだと思ってたのに…っ!」
「ちょっと待ってよ鈴! 僕も恭介もそんなんじゃないから! ほら恭介もなんとか言ってよ!」
涙目で睨む鈴に必死で弁解しつつ、恭介の方を見る理樹。
「理樹が… 俺に…」
「ってなに言ってるのさ恭介まで!?」
しかし恭介はあらぬ事を呟きながら別の世界へと旅立っていた。
「…やっぱりこいつら、ド変態だ!」
「待ってよ鈴! 恭介はともかく、僕はド変態じゃないからっ!」
「はっ! 待て待てお前ら! 違うんだ今のは…」
理樹と鈴の二人にド変態扱いされ、ようやく帰ってきた恭介。
しかしそんな恭介を二人はジト目で睨みつけ、異口同音に言い放つのだった。
「「ド変態」」
「うああぁぁぁぁぁぁっ!!」
そんな混沌とした状況に終止符を打ったのは、来ヶ谷の言葉だった。
「…葉留佳君、もしかして君はバレンタインデーについて少しばかり勘違いしているのではないかね?」
「へ? 姉御、どういう事ッスか?」
「いいかね葉留佳君。そもそもバレンタインデーというのはだ…」
来ヶ谷によるバレンタイン講座が始まった。
「…という訳だ。通常、男性がチョコレートを贈るという習慣は無い」
「やはは、そうだったんだ… ごめんねみんな、変なこと言っちゃって。はるちんちょっと勘違いしてましたヨ」
頭を掻きながら謝る葉留佳。
意識するしないに関わらず、周囲に騒ぎを巻き起こす… 『騒がし乙女』の面目躍如と言ったところだ。
「もう… あんまり驚かさないでよ、葉留佳さん」
そんな葉留佳に、苦笑しながら言う理樹。
「いえ… むしろ、ごちそうさまでした」
美魚は何故かそんなことを言う。
「はるかは悪くない。悪いのはそこのド変態だ」
「ぐっ…!」
恭介を睨みつける鈴と、呻き声を上げる恭介。
「やはは。まあその、お詫びも兼ねて、良かったらこれ、みんなで食べて」
そう言って葉留佳は大き目の紙袋を机の上に置いた。
閉じられた袋の口から、それでも甘く香ばしい匂いがふわりと漂う。
「葉留佳さん、これは?」
「チョコレート。って言うかマフィンなんですけどネ。チョコチップマフィンと、生地そのものにチョコを練りこんだマフィンの2種類を作って見ました」
「へえー… 美味しそうだね」
「こまりんやクド公も合わせて、みんなで分けて食べてね。…こうやって私がみんなに配るのは、間違ってないッスよね、姉御?」
「うむ。間違っていない。これは所謂『友チョコ』『義理チョコ』と言えるものだろう」
「そっか… 良かった」
来ヶ谷の答えに一度は笑みを浮かべた葉留佳だったが、すぐにその表情は曇る。
「『友チョコ』? こっちはそれでいいけどあっちはそうじゃなくて…」
支援
「葉留佳君? どうしたのだ?」
表情を曇らせて何かを呟きだした葉留佳に声をかける来ヶ谷。
「姉御。もう一つ聞きたいんだけど」
「うむ。何かね」
「おね… じゃなくて… そう、例えば、鈴ちゃんが恭介さんにチョコをあげるとか言うのは、バレンタインとしてアリなんですかネ?」
「なんであたしが馬鹿兄貴にチョコをやらにゃならんのだっ!」
「や、やだナァ鈴ちゃん、例えばですヨ、例えば」
「例えばでもそんなこと言うなっ! 考えるだけできしょいわ!」
「鈴… そこまで嫌か…」
「うっさい黙れド変態」
「ぐっ…」
さっきの今では、恭介には返す言葉も無い。
「…まあ、棗兄妹の私情は置いておいて、妹が兄に贈る…というか、家族全般に贈るのはアリだ。安心しろ、葉留佳君」
「そっか… いいんだ。ありがと姉御、教えてくれて」
今度こそ安堵した笑みを浮かべて、礼を言う葉留佳。
「なに、気にするな。後でそのマフィンを頂くから、その礼だと思えばいい」
「そうだね。今は居ないけど、小毬さんとクド、真人と謙吾が帰ってきたらみんなで食べるよ。ありがとうね、葉留佳さん」
「ありがとうございます、三枝さん」
「やはは、何だか照れますネ」
口々に礼を返され、頭を掻きながら言う葉留佳。
「ありがとうな、三枝」
「お前は食わんでもいいぞ」
「鈴、そのぐらいにしといてあげなよ… それより鈴も、言う事あるでしょ?」
「う…」
「ほら、鈴」
理樹はやや強引に鈴の肩を掴み、葉留佳の前に突き出した。
「はるか。あ… あ…」
「あ?」
聞き返す葉留佳。
「あ… あいしーぴーおー」
しかし鈴はどうも照れてしまって、言いたいことが言えないようだ。
「ICPO? 私いくらなんでもICPOに追われるようなことはしてませんヨ」
「そうじゃないっ! あ… あり…」
「あり?」
「あり… アリーヴェデルチ」
「さよならなんですカっ!?」
「うぅ…」
「ほら鈴、もう少しなんだから頑張って」
そう、鈴に声をかけてやる理樹。
鈴は理樹の方を向き、しばらくじっと見つめた後、頷いた。
鈴(すず)が、ちりんと一つ音を立てる。
再び葉留佳に向き直り、鈴は言う。
「マフィン、後で食べさせてもらう。だから… あ… あり… ありがとう」
しばらくの間、葉留佳はきょとんとしていたが、やがてにぱっと笑顔を浮かべ、答えた。
「やはは、どういたしましてですヨっ!」
「うぅ…」
そして鈴は顔を赤くして俯いてしまうのだった。
「それじゃ、そろそろ教室に戻るね。みんな、まったね〜」
そう言って手をひらひらと振りながら、葉留佳は教室を出て行った。
「…相変わらず、行動の読めない人です」
それを見送った後、ぽつりと呟く美魚。
「まあな。しかも意識せずにあれだっていうんだからな…」
「葉留佳さんらしいというか、何というか…」
恭介も理樹も苦笑しながら同意する。
「はっはっは。可愛いものじゃないか。まあ照れている鈴君は更に可愛かったがな」
「…っ! うっさい! 忘れろ!」
彼らがそんないつも通りの会話をしていると。
「あ、一つ言い忘れてましたヨ」
出て行ったはずの葉留佳が扉から顔だけ覗かせていた。
「そのマフィンの中に、一個だけ味噌カツチップマフィンが混ざってるから」
「味噌カツチップマフィンって何さそれっ!?」
とんでもない味を想像させるその名に、理樹が思わず突っ込む。
「味噌カツジュースを使って作った味噌カツチップをチョコチップ代わりにしたマフィンだよん」
「ジュースをチップにって、うまく固まるものなのか、それ…?」
恭介も恐る恐ると言った感じで問う。
「いやー最初はなかなかうまく固まらなくて苦労しましたヨ」
「いやそれ苦労する方向間違ってるから!」
「やはは。まあそーゆーワケで。誰が当たったか後で教えてね。そんじゃ今度こそあでゅ〜」
そう言って、今度こそ葉留佳は去っていった。
「………」
沈黙する5人。
やがて、美魚が口を開いた。
「……本当に、行動の読めない人です」
残りの4人も、心の中で深く同意するのだった。
放課後の委員会室。
今ここに居るのは、風紀委員の面々だった。
何かと騒ぎを起こす生徒が多いせいで、この学校の風紀委員は普段から忙しい。
そして、多くの生徒が浮き足立っている今日は、普段以上に忙しかった。
朝から大小様々な騒ぎがあちこちで起こっており、その鎮静に奔走していたのだ。
「はあ… やっと放課後か…」
風紀委員の一人がそんな言葉を漏らしたのも、無理からぬことだろう。
「お疲れ様。今日はあと見回りだけすれば解散でいいわ。ただし気は抜かないで。まだ何かあるかも知れないから」
目を通していた資料から顔を上げ、そう言ったのは風紀委員長、二木佳奈多。
「ははは… 分かりました。とりあえず何も無いことを祈りながら見回りに行ってきます」
苦笑しながらその風紀委員が立ち上がろうとした、そのとき。
ガラリと音を立てて勢いよく委員会室に飛び込んできたのは。
「甘いあまーいっ! このはるちんが居る限り、何も無いなんて事はありえないのですヨっ!」
風紀委員達の天敵、三枝葉留佳だった。
「はっ… 三枝葉留佳!」
「何をしに来た!?」
「また騒ぎを起こすつもりかっ!?」
突然の天敵の出現に、どよめき立つ風紀委員たち。
「いやいや、なんか風紀委員のみなさんがお疲れのようなんで、いつものお礼をしにきたわけですヨ」
対する葉留佳は平然と言い、ガサガサと音を立てながらポケットから『それ』を取り出す。
「喰らえっ! はるちんセントヴァレンタインプレゼンツッ!!」
言葉と共に葉留佳は『それ』を風紀委員たちに投げつけてきた。
「きゃっ!」
「うわっ!」
「なっ!」
条件反射で、風紀委員たちは身を守るが。
ぺちぺち、ぺちぺち。
ぶつけられる『それ』は、全然痛くない。
恐る恐る目を開いた風紀委員が見た『それ』は。
「…チ○ルチョコ?」
葉留佳が風紀委員たちに投げつけていた『それ』は。
某菓子メーカーの10円チョコレート、チ○ルチョコだった。
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする風紀委員達を見て、葉留佳は満足そうに笑うのだった。
「あはははは、そっちがお疲れじゃはるちんとしても張り合いがないのですヨ。というわけではるちんからのプレゼント! それでも食べて元気だしてね。そんじゃね〜」
そう言ってパタパタと廊下を走り去って行った葉留佳をしかし、風紀委員たちは呆然と見送った。
「…っ!」
そんな風紀委員たちの中で、最初に我にかえったのは佳奈多だった。
佳奈多は立ち上がり、葉留佳の後を追い始めた。
「…葉留佳っ! 待ちなさいっ!」
残された風紀委員たちは、ただ驚いていた。
葉留佳がチョコレートを投げつけてきたことももちろんだが、それ以上に。
二木佳奈多風紀委員長が、三枝葉留佳を、フルネームではなくファーストネームで呼んだ事に、驚いていた。
「はあ、はぁ… どこにいったのかしら…」
葉留佳を追いかけた佳奈多はしかし、校舎の外で葉留佳を見失ってしまっていた。
その佳奈多の背後で、茂みがガサリと音を立てる。
佳奈多がそちらを振り返ると。
「おねーえちゃーんっ!」
茂みから飛び出してきた葉留佳が、佳奈多に抱きついてきたのだった。
「ちょっ、葉留佳っ、こんな、なに抱きついてるのよっ!」
「だって、お姉ちゃんが来てくれたのが嬉しいんだもぅん」
「いいから離れなさいっ!」
「えーやだー」
離れるどころか更に体を摺り寄せて来る葉留佳を、佳奈多は多少強引に引き離した。
「むー。お姉ちゃんが冷たい」
「いいから、ちゃんと説明しなさい。どうしてあんなことしたの?」
有無を言わさず問い詰めようとする佳奈多に、葉留佳は渋々ながらも答え始める。
「いやまあ、風紀委員の人たちにもまあ『お世話になってる』しさ」
「なら、もっと普通な渡し方にすればいいでしょう」
「普通の渡し方じゃつまんないよ。それに『敵に塩を送る』ならぬ『敵にチョコを贈る』っていうのもかっこいいかなって」
「それに、よりによってチ○ルチョコだなんて挑発してるようなものを選んで…」
「やはは、そこは単純に予算の問題でして…」
頭を掻く葉留佳の様子を見て、佳奈多は呆れるしかなかった。
握っていた右手を開き、その中にあるチ○ルチョコを見る。
先程葉留佳が投げていたものの一つだ。
「ってあれ? お姉ちゃんもチ○ルチョコ取っちゃったんだ?」
それに気付いた葉留佳が言う。
「…何よ。風紀委員のみんなにはお世話になってても、私の世話にはなってないとでも言いたいの?」
「うわお姉ちゃんなにその真人くんみたいな言い掛かり? そんなんじゃないってば」
葉留佳はそう言って、先程姿を現した茂みの中へまた戻り…。
「はい。こっちがお姉ちゃん用。ちゃんと別に用意してたんだってば」
再び姿を現した葉留佳は、そう言って丁寧に包装された箱を佳奈多に差し出した。
「え… これ… 私に…?」
おずおずと言う佳奈多。
「そだよ。お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだから、風紀委員の人たちよりちゃんとしたのあげるに決まってるじゃん」
それは、佳奈多にとっては意外な言葉だった。
葉留佳と佳奈多は、修学旅行の後に和解していた。
しかし、それでも学校においては、以前と変わらぬ二人を演じ続けていた。
三枝本家や二木家に二人が和解したことを知られるのは得策ではなかったから。
二人が本当に姉妹らしくあれるのは、親達の居る三枝家だけでの話だった。
それが、二人を未だに『普通の姉妹』に戻れなくしていた。
特に、素直に甘えようとしてくる葉留佳とは違い、酷いことをしていたという負い目のある佳奈多は、距離をとってしまいがちだった。
今回のことにしてもそうだ。
風紀委員たちにチ○ルチョコを投げるとき、葉留佳は意識して佳奈多の方には投げなかった。
これは、佳奈多には佳奈多用のチョコレートを別に用意していたからである。
しかし、佳奈多はこう思った。
もしかして、葉留佳は自分にはチョコをあげたくないからわざと自分の方に投げなかったんじゃないか、と。
自分でしておきながらも、その想像は寂しくて、悲しくて、悔しいものだった。
悔しかったから、比較的近くに落ちていた一つを拾ってから葉留佳を追いかけて来たのだ。
もちろん、ただ偶然に自分の方には来なかっただけという事も考えられた。
ただの偶然なのか、それともまだやはり自分は嫌われているのか…。
葉留佳の真意が知りたくて、佳奈多は葉留佳を追ってここに来たのだった。
「私が、もらっても、いいの…?」
「もちろん、というか… 私こそ、聞かないとダメだよね。受け取ってもらえるか」
おそるおそる言う佳奈多に答える葉留佳。
最初は楽しそうだった葉留佳の笑顔は、だがしかし、だんだんと寂しそうな笑顔へと変わっていくのだった。
「あのね。これさ… チョコレートケーキなんだよね。
お姉ちゃん、あんまり甘すぎるのは苦手だって言ってたから、ビターチョコレート使ったんだ。
でもほら、私って料理へたっぴだからさ。
何回も失敗しちゃったんだ。
苦いだけのが出来たり、逆にすっごい甘いのができたり。
そもそも、スポンジがうまく固まらなかったり…。
そうやって、何回も材料を無駄にしちゃったから、材料費が増えて…。
だから、風紀委員の人たちへのがチ○ルチョコになっちゃったんだ。
何回も何回も失敗して… やっとちゃんとできたのがそれなんだ。
ちゃんと味見したから、食べられなくはないよ。
うん、食べられなくはない。
けどそんな、すっごい美味しいってわけでもないし。
きっとお姉ちゃんなら、1回でもっと美味しいのが作れるだろうし…」
もはや、葉留佳の表情は、寂しげな笑顔と言うより泣き顔に近いものとなっていた。
それはあまりに痛々しかった。
痛々しいのは表情だけではなかった。
葉留佳の話の途中で、佳奈多は気付いた。
葉留佳の手。
そこには、無数の小さな切り傷、そして火傷が刻まれていた。
そんな妹の姿を見ているのがどうしようもなく切なくて… 佳奈多は葉留佳を抱き締めた。
「お姉ちゃん…?」
戸惑ったような声を上げる葉留佳。
「葉留佳、ありがとう。私へのチョコレートをそんなに頑張って作ってくれて。すごく嬉しいわ」
葉留佳の頭を優しく撫でながら言う佳奈多。
「受け取ってもらえるか聞くって言ったわよね。私の返事はイエスよ。是非受け取らせて頂戴」
「お姉ちゃん… ありがとう…」
「馬鹿ね。貰うのは私の方なんだから、ありがとうは私の台詞でしょう」
「うん… ありがとう… ありがとう…」
「だから違うって言ってるのに、もう、ほんとこの子は…」
優しく言って葉留佳の顔を自分の胸に埋める佳奈多。
葉留佳は何も言わなかったが、やがて箱を持ってないほうの右手を佳奈多の背に回し、小さく肩を震わせ始めた。
佳奈多は優しく葉留佳の背を撫でながら、葉留佳の体温と、制服の胸元に染み込む雫の温かさを感じていた。
どのくらいそうしていただろうか。
やがて葉留佳は、そっと佳奈多から離れた。
「もういいの?」
「うんっ。いつまでもこんなんじゃ、リトルバスターズのみんなに笑われちゃいますからネ」
目尻を拭いながら言う葉留佳。
そこにいたのは、いつもの陽気な騒がし屋、三枝葉留佳だった。
「それじゃあ、改めて… お姉ちゃん、これ、受け取ってくださいっ!」
ケーキの入った箱を佳奈多に向かって差し出す葉留佳。
「ありがとう、葉留佳」
差し出されたそれを両手でしっかりと受け取る佳奈多。
「えへへ…」
「ふふふっ…」
意味もなく笑みを浮かべる二人。
「ねえ、お姉ちゃん」
「なあに、葉留佳」
「お姉ちゃん、大好き」
それは、佳奈多にとっては毎日鏡で見る自分の顔とほぼ同じものであるはずなのに。
佳奈多は、その葉留佳の笑顔に見惚れた。
ややあって、佳奈多は葉留佳の言葉に答える。
「私もよ、葉留佳」
しかし、その言葉は葉留佳に届かなかった。
「三枝ぁぁーーーーっ!! どこにいやがる!? よくもあんなもん食わしてくれやがったなあぁぁーーーーーっ!!」
遠くから聞こえてきた、しかしそれでも十分な音量を持った、井ノ原真人の叫び声にかき消されたためだ。
「わわっ! どうやらアタリを引いたのは真人くんだったみたいですネ。けど間が悪いナァ。折角いいところだったのに」
余談ではあるが。
葉留佳を除いたリトルバスターズメンバーが勢揃いし、葉留佳のマフィンを食べることになった際。
味噌カツチップマフィンの存在を知っている面々は、チョコチップマフィンは避け、チョコレートマフィンばかりを食べていた。
そして、その存在を知らず、さらに他のメンバーを上回るペースで次々とマフィンを平らげていた真人が、味噌カツチップマフィンを引き当てたのだ。
チョコチップマフィンとチョコレートマフィンは『なかなか素晴らしい味』だった。
対して、味噌カツチップマフィンの方はと言えば、『なかなか凄まじい味』だったことをここに記しておく。
「それじゃお姉ちゃん、私逃げるから。またね」
そう言って駆け出す葉留佳。
「あ… 葉留佳、待っ…」
佳奈多は引きとめようと片手を伸ばすが、そのときにはもう、葉留佳の姿は見えなくなっていた。
「…ふう」
ため息をつく佳奈多。
遠くから声が聞こえる。
「見つけたぞ、三枝! てめぇぇぇ!」
「ひゃあん! 見つかってしまった〜!?」
そんな声を遠くに聞きながら。
佳奈多は先程伝えたかった言葉をもう一度、口にした。
「私も大好きよ、葉留佳」
…届かないと、知りつつも。
一人残された佳奈多。
その手の中には、ケーキの入った箱。
佳奈多はしばし逡巡したが、やがて丁寧に包装を開き始めた。
葉留佳はバレンタインデーに対して、少し間違った認識を持っていた。
それ故に、所謂『義理チョコ』と『本命チョコ』の違いを知らなかった。
だが、しかし。
もし、全てを見ていた者がいたならば。
その者は間違いなく、こう断ずるだろう。
「葉留佳が風紀委員達やリトルバスターズのメンバーに贈ったのは義理、佳奈多に贈ったものこそが本命」だと。
葉留佳が佳奈多に贈ったのは、それほどまでに手の込み、そして心の篭ったものだった。
葉留佳自身の評価は低かったようだが。
佳奈多から見れば、それは本当によく出来たチョコレートケーキだった。
佳奈多は、行儀が悪いと知りつつも、指でケーキからクリームを掬い。
そして、その指を口に入れた。
控えめな甘さと、芳しい香りが口の中に広がる。
「美味しい…」
佳奈多は無意識のうちにそう呟いていた。
口の中のチョコレートの味が消えると、佳奈多はまた丁寧に、ケーキの包装を戻し始めた。
これ以上ここで食べるような行儀の悪い真似をするつもりは、もとよりない。
やがて、元通りと言っていいほど綺麗に包装された箱に戻る。
「あなたの作ってくれたチョコレートケーキ、本当に美味しいわ。ありがとう、葉留佳」
佳奈多は、ここにはいない妹に向かってそう言い。
ケーキの箱を、抱き締める。
潰れないように。
それでいて、しっかりと。
数十分後、佳奈多を探しに来た風紀委員が声をかけるまで、ずっとそうしていた。
その日の夜。
クドは寮の自室のドアを開いた。
「佳奈多さん、ただいまなのですっ」
ガタガタガタッ、バタン!
「お、お帰りなさい、クドリャフカ」
そう言って迎えてくれるルームメイト、佳奈多の表情は少し焦っているように見えた。
「? 今何かすごい音がしませんでしたか?」
「気のせいよ」
即答する佳奈多だが、やはりどこか様子がおかしい。
そう、例えば… クドが帰ってきたので、慌てて何かを隠したかのように。
「気のせいよ」
…聞いてもいないのにもう一回言うし。
「………」
クドは何も言わずじっと佳奈多を見つめる。
「そ、それより、今までどこに行っていたの?」
佳奈多はあからさまに話を、そして顔を逸らす。
机の上に広げたノートに向き直り、更にその上で鉛筆を走らせる。
ゴリゴリ。
しかし文字は書かれない。
当然だ、削ってない側を下に向けているのだから。
そんないかにも誤魔化している佳奈多に対してでも、クドは素直に答える。
「はいっ。葉留佳さんの部屋に行っていましたっ」
…そしてその答えは佳奈多にとっては地雷だった。
バキッ!
佳奈多の手の中の鉛筆が真っ二つに折れた。
「ははははは葉留佳の部屋に!? どうして?」
これまでどうにか平静を装ったのが台無しになるほどの勢いでクドを問い詰める佳奈多。
「今日、葉留佳さんからマフィンを頂いたので、そのお礼を言いに行ってました」
「そ、そう… マフィンをね…」
「葉留佳さんの作ったマフィン、とっても美味しかったのですっ」
「そうね。美味しかったわね」
「佳奈多さん…?」
「気のせいよ」
…会話がかみ合ってないし。
「気のせいよ」
…だから聞いてないし。
ゴリゴリ。
佳奈多はまた鉛筆の削ってない側を下にして、ノートの上を走らせる。
先ほどまでの半分の長さになったそれを。
「佳奈多さん、今日はなんだか嬉しそうなのですっ。何かいいことでもありましたか?」
「べ…別に何もなかったわ。気のせいよ」
クドの言葉をあっさり否定する佳奈多。
「そうなのですか。ところで、佳奈多さん…」
クドは一端そこで言葉を留める。
「な、何かしら?」
クドは佳奈多の顔をじっと見つめた後…続きを口にした。
「…口の横に、チョコレートが付いてるのです」
「え…やだ、嘘っ!?」
慌ててバタバタと音を立てながら洗面所に駆け込む佳奈多。
ちらりと見えたその横顔は、それでもはっきりと分かるほど朱に染まっていた。
そんな普段の彼女らしくもない佳奈多の様子を見て、クドは佳奈多に聞こえないように、それでいて楽しそうに言うのだった。
「やっぱり佳奈多さん、とっても嬉しそうなのですっ!」
以上、バレンタインネタでした。
それぞれが劣等感と負い目を抱え、まだどこかぎこちなかった二人が少しだけ歩み寄る話です。
バレンタインだというのに男女じゃなく女同士、しかも姉妹でいちゃついてますが、まあこんなのもありかと。
>>433 支援ありがとうございます。
全部投下するまでに2回も規制に引っかかりましたとさ…orz
やっぱそこらへんちゃんと考えないとダメですね。
>>420 エスパーですかあなたは。
それでは皆様、よいバレンタインを。
>>448 激しくGMだ!
はるちんかなたん二人ともかわいいよかわいいよ(*´Д`)
>>448 GM
突飛な行動っぷりが実にいい葉留佳。
たしかに鈴なら恭介にあげないのかときかれればきしょいとか言いそうだな
451 :
420:2008/02/14(木) 22:33:43 ID:77uSN01R0
>>448 GM!!
俺には無い、素晴らしい妄想具現化能力に乾杯だ!
帰りが遅くなってしまって、バレンタインSS間に合わず…
が、せっかく書いたので投下してもいいよね?
どんと恋
>>448 投下するまえに読んでて、クオリティの高さにちょっとしり込み。
姉妹でバレンタインっていいね。
クド視点だと他のキャラの前では決して見せないであろう、佳奈多の一面がちらりと
覗く演出が上手だと思いました。いやぁ、GJです。
まだ冬が続く2月。学園のグラウンドの片隅のプレハブ部室。
そのひとつが学園を騒がすリトルバスターズの溜まり場。
いつもは男女混ざったリトルバスターズだが、その日は女子メンバーだけが溜まっている。
いつからか女子メンバーのみで開かれるようになった定例のお茶会行事であった。
「バレンタイン?」
鈴は不思議な顔で葉留佳に聞き返す。
「そう、バレンタインですよ、日本中の恋する女の子の一大イベントですヨ」
手にティーンズ向けの雑誌を手にした葉留佳が力説した。
「女の子が男の子にチョコを贈るイベントがあることは知っているが…」
そうは言われても、人付き合いといえば、小さい頃から兄の恭介をはじめ、
リトルバスターズのメンバーは男子ばかりであり、女子メンバーが増えたのは最近であり、
女友達との付き合いなんてものもまともにするようになったのも最近、
という鈴にとってバレンタインという行事はあまりピンとこなかった。
「そういうものなのか…」
鈴は少し考え込む表情をした。
そして理樹という恋人をいる現在ですら、その認識はあまり変化がなかったりする。
「もう〜、彼氏持ちだというのに何とも呑気にしてますネ…いや、逆に彼氏持ちだから…?」
葉留佳はわからない、わからないぞと言わんばかりのため息をつく。
「今更そんなイベントで確認などせずとも理樹君と鈴君の間には確固たる絆がある、
ということだよ」
部室の片隅で美魚とクド共に午後のお茶を嗜なむ来ヶ谷が鈴と葉留佳を見ながらコメントする。
「それに三枝さんこそ、贈る相手はいらっしゃるのでしょうか。私は気になります」
同じくお茶を楽しむ美魚がしれっと言った。
「うぅ…そりゃ今の私は贈る相手なんかいないけど、せっかくの女の子なイベントなんだから
騒ぎたいじゃない〜」
来ヶ谷と美魚の厳しい指摘を受けて葉留佳はがっくりとした顔をする。
「まぁまぁ、せっかくの行事なのですから自分に直接縁がなくとも、うきうきした気分に
なってもよいというものなのです」
クドがあまりフォローになっていないフォローを入れる。
「むぅ〜、クド公、お前だって贈る相手なんかいないくせにこのひんぬーわんこがぁぁっ!」
クドのフォローにムキになった葉留佳はクドの後ろに回りこむとそのわき腹に手をかける。
「ふぇっ!?わふぅぅぅぁぁぁっ!やめてっ!やめてくださいなのです!わき腹はっ!
わき腹はダメなのですぅぅぅっ!」
葉留佳とクドの喧騒を尻目に来ヶ谷は鈴に話しかける。
「まぁ、この手の行事にピンとこないのは鈴君らしいと言えばらしいし、そしてそこが
魅力だと私は思う。とは言え、だからこそ今年は体験してみてもいいのではないかね?」
来ヶ谷は不敵な笑みを浮かべながら鈴に提案する。
その言葉を聞いて鈴は考える。
チョコをもらって少し照れながらうれしそうにそれを受け取る理樹の顔が思い浮かべてみる。
「う〜ん、なんかいいかも、しれないな…」
想像だけで顔を少し赤らめる鈴の表情を見て、来ヶ谷はその笑みを一層深くした。
小一時間後、鈴たちは学園近くの商店街の入り口に立っていた。
雪こそ降っていなかったが、空は曇っており、冷たい風が強く吹く中、
鈴は体を小さくして震えながら、葉留佳に訴える。
「うう…やっぱりやめようかと思うくらいに寒いぞ…」
「まぁまぁ、どんなものも代価なしに手に入れることはできないのですヨ」
葉留佳はあくまで乗り気である。
ピンと来ないながらもバレンタインに動く気になった鈴を見て、葉留佳が学園の女子の間で
流行のお菓子屋のチョコを買いに行こうと主張し、鈴とクドを引っ張って現在の状況に至っていた。
「三枝さん、ひょっとしてあれがそのお菓子屋さんなのですか?」
クドが指差す先に鈴と葉留佳が目を向けるとそこには長蛇の列、そしてその先には小さな
洋菓子店があった。
「なんかすごい列だぞ。これに並ぶのか?」
鈴が体を小さくしたまま、怪訝そうな表情で葉留佳に問う。
「当たり前じゃん。ここまで来て引いたら女がすたるってもんよ!」
強気の姿勢を崩さないのか、それとも単に引けなくなっただけかはわからないが、
葉留佳は初志貫徹の方針らしい。
結局、葉留佳の主張の元、鈴たちは列の最後尾につくことにした。
長い列ではあったが思いの他、回転が良いのか、小一時間した頃には
鈴たちは列の真中ほどに進むことができた。
「思ったより早く進んでいますから、これならもうしばらくで買えそうなのです」
クドがにこやかに言った。
「あたしは今からでもあったかい部屋に戻りたいぞ…」
鈴はまだしぶっている。
「そう言わずにさー、もう少しだって」
葉留佳がなだめる。
しかし、鈴の頭の中は葉留佳の言葉を他所にコタツのことを考えていたりしていた。
と、そこにその温かい幻想を打ち破る声が後ろからかかる。
「あら、棗さんじゃなくて?」
鈴が振り向くとそこには佐々美が立っていた。いつもの取り巻きもセットである。
いつもと違うのは4人揃ってなにやら紙袋を抱えている点だった。
「なんだ、さささか」
鈴は佐々美の姿を認めると何事もなかったかのように前に向き直る。
「って、人の名前を間違えた上に、スルーとは何事ですか!」
佐々美は鈴を肩を掴んで強引に振り向かせる。
しぶい表情をした鈴の顔が佐々美の方に向けられた。
「今、あたしはコタツのことを考えるのでいっぱいいっぱいで、お前のことを考える
余裕はないんだ」
コタツと比べる鈴の発言は佐々美のテンションをさらに挙げたようだ。
「人に話しかけられたら、少しは話題にのるそぶりくらいなさいな!」
「お前は何をやってるんだ?」
鈴はむーっとした顔をしながら問いかけた。
佐々美はぱっと表情を明るくすると、
「これは宮沢様へのバレンタインデーの贈り物の材料ですわ。少し張り切りすぎて
買いすぎてしまいましたけど」
謙吾へのチョコレートの材料ということらしいが、いくらなんでも量が多いと
鈴は思ったが、手作りのチョコという部分には興味を感じた。
「ん?バレンタインのチョコって自分で作れるもんなのか?」
「もちろん。それに手作りの方が愛情がこもってよいというものですわ」
佐々美はさらに語調をうれしそうにする。
「貴方のことですから、おおかた直枝理樹のためにでしょう?ならば手作りの方が
よろしいのではなくて?ま、出来合いが悪いとは申しませんが、味気がないというもの」
佐々美は不敵な眼差しで鈴を見つめる。
「む…さささのくせになんだか正しいことを言っている気がするぞ…」
「この私が何かとうとい貴方のために、敵に塩を送る思いで、
恋する女性の在り方の何たるかを語ってあげているのに、あんまりな言い草ですわね…」
佐々美は少しむっとした顔をする。
「まぁ、どうしようが貴方の勝手ですけど。私はチョコレート作りがありますので、
これにて失礼しますわ」
そう言ってきびすを返すと取り巻きをつれて、佐々美はすたすたと去っていった。
「相変わらず謙吾君にお熱ですネ…」
葉留佳がやれやれと言った口調をする。
一方、鈴は佐々美の後姿を見ながら鈴はライバルが示した案に心を揺らしていた。
確かに手作りの方が気持ちが伝わる、そういうものだろう。
しかし、自分にそんなお菓子作りの技術があるかと言えば、残念ながら皆無と言いざるを
えないのも事実だった。
そうこう考えながら列についているうちに売り場までの距離は着実に縮んでいた。
「鈴さん、もう少しでこの長い行列もゴールなのです」
クドの言葉に対して、鈴はまだ上の空で考え続けていた。
というより、内心は決まっていたのであった。どうせなら手作りである、と。
が、頭を巡るは自分にまったくと言っていいほど皆無なお菓子作りのノウハウ。
そんな鈴のところへ、天使が降臨する。
前方は鈴たちが並ぶ洋菓子店、その中から両手一杯の紙袋を携えた小毬が出てきた。
小毬は鈴たちの姿を認めるなり、笑顔で駆け寄ってくる。
獲物を確保した喜びか、ほくほく顔である。
「やっほ〜、鈴ちゃんたちもチョコレート作りの材料買いに来たの?」
「いや…ふつーにチョコを買いに来ただけだ。はるかがここのチョコレートが人気だって言うから」
「うん、ここのチョコレートおいしいんだよ〜、今はバレンタインキャンペーン中だからお休みしてるけど
チョコレートワッフルなんかもう最高でね…」
流石、行事やイベントの折に触れて甘味を大量生産する姿が、
もうリトルバスターズ内では定着しているバスターズ真正の甘味神(恭介命名による称号)
小毬であり、甘味に関するトークとなるや、とどまるところを知らない。
「…って、話が脱線しちゃったね。私もバレンタインだから皆にチョコレートを贈ろうって
思ってこーんなに材料買っちゃった♪」
と、漫画ならてへっという符が付きそうなステレオタイプの笑顔をする。
「流石はこまりちゃんだな…あたしもほんとは手作りがいいなと思うんだが、
難しそうだしな…」
口ごもる鈴に小毬はこほんとせき払いをして語り始める。
「手作りって言っても大抵はお店で売ってるチョコを溶かして固めるんだよ〜
カカオの粉から作るのはすごく大変だからね」
小毬はあっさりとバレンタインの仕組みを明かしてしまう。
「そうだったのか…でもお店で売ってるチョコレートを溶かしてまた固めるだけだと
あんまり手作りって感じがしなくないか?」
「う〜ん、そこはアレンジ次第、かな。生クリームを加えて生チョコにしたり、
チョコレートケーキにしてみたりとかね。だけど、一番は”お祭り”なんじゃないかな」
「”お祭り”…そう言えば葉留佳も恋する女の子の一大イベントとか言ってたな…」
「うん、だからあんまり難しいことは考えないで、チョコレート作りにチャレンジしてみても
いいと思うよ?」
鈴の懸念を打ち消そうとしてか、やさしい笑みを向ける小毬に、少し鈴は照れた。
渡せるものなら手作りチョコを渡したい、でも自分は料理は不得意。
けれど、小毬ならお菓子作りは得意で、気兼ねなく頼れるだろう。
鈴は決心をする。
「…小毬ちゃん、チャレンジしてみるぞ、チョコレート作り」
「よし、じゃあ、さっそく準備をしよう〜」
「葉留佳、クド、あたしは手作りチョコを作る戦いに行かなきゃならなくなった。
悪いが後は、頼む…」
鈴と小毬は意気揚々と歩き出していってしまった。
そうして突然の方針転換にあっけに取られるクドと葉留佳がその場に残された。
「行っちゃったね…私たちはどうしよう?」
「せっかく並びましたし、買って帰りましょうか…でも鈴さん、なんだか男らしい
顔をしていました」
「うん、私もなんかそう思った…」
家庭科室に甘い匂いが満ちていた。
毎年この時期になると大抵は鈴たちのような女子がいるらしく、
家庭科室の使用許可を願い出たところ、すんなり許可が降りたので家庭科室にてチョコレート
作りが進められていた。
慣れないエプロン姿と慣れない手つきで取り組む鈴だったが、
小毬の協力を得たことで、その的確な指示の元、鈴のチョコレート作りは順調に進んでいた。
「そうそう、チョコレートが溶けてなめらかになるまで静かに混ぜてね」
「…」
鈴は無言でチョコレート作りに集中している。
チョコレート作りに熱中している鈴たちを葉留佳とクドはチョコレートをかじりながら眺めていた。
結局、件の洋菓子屋でチョコレートを買ったものの、別に自分たちは贈る相手がいるわけでもなく、
義理チョコか、自分たちで消化するかという話になり、どうせなら鈴のチョコレート作りを
見ながらかじることにしたのだった。
「む〜、なんだか私たちおいてけぼりな感じ〜」
葉留佳がつまらなそうに毒づく。
「仕方がないのです。そもそも最初から鈴さんが直枝さんにチョコレートをプレゼントする、
という話なのですから、私たちは外野なのです」
語るクドのしたり顔を見て、葉留佳は一層つまらなそうな顔をする。
「クド公って、こういうときになると大人の顔するよネ」
葉留佳の目がじとりとクドに絡む。が、クドは意に介しない。
「いいじゃないですか、直枝さんのために頑張ってチョコレートを作る鈴さんの顔を
見ているとなんだか私まで気分が高揚してきてしまうのです」
「私はつまんな〜い、なんかこう、もっとわかりやすいドキドキが欲しいよ〜」
2人の観客の視線の先の2人、鈴と小毬のチョコレート作りは佳境に入っていた。
「じゃあ、チョコが冷めるまでの間に、メッセージカードを作ろう〜」
まるで幼児向けの番組に登場するお姉さんみたいな口調で小毬が次のステップを語る。
「うーむ、メッセージか…」
小毬が用意してくれたメッセージカードを前に鈴は苦悩する。
何せ手紙はおろか、携帯のメールですらまともに使うようになったのはわりと最近という
鈴である。そもそも人にあてた文章を書く、ということ自体が苦手であった。が、
「そんなに難しく考えなくていいと思うよ?気持ちを伝えるには一言でじゅーぶん!」
という小毬のアドバイスをもとに、なんとか一筆を書き上げる。
「よ、よし、できたぞ…」
大作の小説を書き上げたかのように鈴はぐったりとする。
そこに小毬が無事冷め、完成となったチョコレートの皿を持ってきながらねぎらいの言葉をかける。
「お疲れ様、というわけでチョコレートができました!あとはこの箱に入れて…
メッセージカードを添えて、ラッピングすればぜんぶ完成!」
机の上に広げられたチョコレートを箱詰めし始める。
おいしそうに仕上がったチョコレートは丁寧に箱詰めされ、素人の目には一見
プロの作品のようにも見えるくらいの出来映えだった。
こうして無事、理樹へのチョコレートは完成をみる。
が、皿には少しチョコレートが残っていた。
「少しチョコレートが残っちゃったね。どしよ?食べちゃおうか?」
小毬の問いに、鈴は少し考え込む。
「うーん…いや、せっかくだからこれは、恭介にでもやることにしよう」
予想外の鈴の案に小毬は少し驚きの表情を見せたが、すぐに笑顔で同意する。
「いいんじゃないかな。恭介さん、きっと大喜びだよ〜」
「うむ、理樹のついでだが、恭介にも、義理チョコというやつだな」
鈴は少し照れた顔をする。
恭介宛に理樹宛のものより一回り小さい箱が用意され、そこに余ったチョコが
詰められた。
「恭介へのメッセージはてきとーでいいから楽だな…よし、できた」
支援
理樹のときの悩みっぷりが嘘のようにさらさらと恭介へのメッセージカードが
書かれる。
目の前の各々手紙が添えられた大小2つの箱を前に鈴は腕組みをする。
「さて、あとはラッピングするだけだな」
「でも、2人だとちょっと包装紙が足りないかな。取りに行くけど、
鈴ちゃん、好きなの選んだらいいよ、私、一杯種類持ってるから」
鈴と小毬は包装紙選びに家庭科室を後にした。
鈴と小毬が離れた家庭科室に二人、本日二回目の置いてけぼりを食らった2人がいた。
クドと葉留佳である。
「また行っちゃいっましたね…」
「うん、またおいてけぼりだね」
三枝葉留佳という人物は、およそ行動力という点において、
リトルバスターズに行動力溢れる人物は多いといえども、
その中でも一番と言える。その葉留佳にとってここまでおいてけぼりな事態は
大変つまらないものと言えた。が、その瞳はあるものに気づく。
その視線の先、つい先ほどまで鈴と小毬が作業をしていた机の上、二つの箱、
その上に置かれた二つの手紙、それぞれ理樹と恭介へのメッセージが書かれた手紙である。
「ねぇ、クド公。鈴ちゃんはメッセージカードにどんなこと書いたのカナ?」
葉留佳は視線を手紙にやったまま、クドに問いかける。
「それは…バレンタインですから、少なくとも直枝さん宛のものは、愛する直枝さんへの
気持ちがつづられたものでしょう。恭介さんへのものは、日ごろの感謝、と言ったところ
ではないのでしょうか?」
クドは常識的な回答を述べたところで、いやな予感に気づいた。
「…ってまさか、まさかとは思いますが、手紙を盗み見ようと考えているのでは…」
クドが制止をかけようとしたときには、すでに葉留佳はメッセージカードの前に移動していた。
「いーじゃん、いーじゃん、ちょっとだけちょっとだけ、戻しとけばバレやしないって」
葉留佳は恭介宛のチョコレートに添えられた手紙を開いた。
中を覗き込む葉留佳に、クドもつい釣られて中身を見てしまう。
そこには鈴の兄への想いが簡潔に綴られていた。
『ほんとはやらないつもりだったが、余ったからついでにお前にもやる。感謝しろ。
鈴』
あまりに率直かつドライに書かれた兄への手紙は、葉留佳とクドの間に
一瞬の沈黙をもたらした。
「お兄さん相手とは言え、容赦のないついでに作ってやったぞ感ですネ…」
「相変わらずですね。でもこれはこれで愛情が隠れているのです…多分」
クドは苦笑いを浮かべながらフォローをする。
手紙を手に葉留佳は体を揺らして喜んだ。
「さーて、じゃあ次は真打、理樹君への手紙〜っと…」
葉留佳はもうひとつの便箋に手をかける。
「いやー、いけないことをするのってどうしてこんなにテンションあがるんだろうねぇ」
葉留佳はもうワクワクが止まらないと言った顔をしている。
その言葉にクドははっと我にかえる。葉留佳の手から便箋が奪うと、
葉留佳にぐっと強い視線を向けて言った。
「いいえ!今、私達は覗いてはいけない秘密を覗いているのです!
ましてこれは鈴さんの直枝さんへの想いが書かれた手紙なのです!
ラブレターなのです!」
「ほほ〜う?」
静止するクドの真剣な瞳の前に、葉留佳は妖しい光をたたえた瞳を突きつけた。
その光に、心の底を射抜かれたような気がして、クドは眼を逸らす。
「な、なんなのですか…?」
期待通りのクドの反応に葉留佳の眼が笑う。
葉留佳の指先がクドの左胸、心臓のある辺りを突く。
「わふっ!」
驚くクドに一層顔を近づけると、その瞳を覗きこみながら葉留佳は言う。
「ゆ〜、そんな台詞は最初の手紙を覗く前に言うべきじゃないのカナ?
でも、ゆ〜はもう見ちゃったんじゃないのカナ?
ゆ〜のこのぺったんこの胸の奥のハートは覗くとき、まるで恋してるみたいに
ドキドキしてたんじゃないのカナ?」
クドはいつになく葉留佳の瞳は深みを増した色をしているような気がした。
見つめられているうちに一層、その深みは増してくるように見える。
それはきっとクドの心の葛藤を映したものと言えるのだろう。
その深みにクドは心を絡め取られていく…
「わ、私は…」
そして、クドは堕ちた。
「うう、鈴さん、そして直枝さん、ごめんなさい…」
「それじゃあ、ご開帳〜」
クドを懐柔することに成功したことと、禁断の手紙を覗く高揚感に酔いしれながら
葉留佳は理樹への手紙を開く。
『何だか書いてて恥ずかしいが、お前のことが好きだから我慢して書いてみた。
ちょっとなれないことをして大変だったけど、がんばって作ったから食べてほしい。
いつもそばにいてくれるお前に感謝してるから、特別だ。
鈴』
走り書きしたような恭介への手紙に比べ、丁寧に書かれており、そこはかとなく
かわいらしい丸みを帯びた文字でつづらている。
「きゃ〜、微妙にぶっきらぼうながら、その中にかわいさが滲んでますネ」
「鈴さんらしい直枝さんへの愛情が感じられるのです」
クドは秘密を覗いている背徳感か、それともあどけない愛情にあてられてか、ほんのり
頬を染めながら手紙の内容にコメントする。
「きゃ〜、なんか自分のことじゃないのに告白されちゃったみたいに胸がドキドキしちゃうね〜」
「さぁ、もうこれぐらいにするのです…」
わりと素早く背徳感を取り戻したクドが撤収を提案しかけたところで、
外から鈴と小毬の声が聴こえてきた。
「やばっ、はやくもどそっ!」
2人は慌てて手紙をたたむと箱に戻し、何事もなかったよ?、私たちはチョコ食べながら
だべってただけだもんねと主張するように、チョコを口にくわえて話し込んでいたポーズをとる。
それと同時にガラリと戸が開き、鈴と小毬が入ってくる。鈴の手にはカラフルな包装紙があった。
「じゃあ、あとはその包装紙でチョコと手紙を包んだら完成、だね♪」
鈴のチョコの完成を我が事のように喜ぶ小毬。
鈴はテーブルの上に包装紙を広げる。
「んーと、こっちの箱が理樹ので…こっちが恭介のだったな」
理樹宛のチョコが入った箱を取ると、器用にくるくると包装紙を巻き始めた。
その手を見ながら、クドが眼を見開いた。慌てて葉留佳にささやく。
(三枝さん!今、気づいたのですが、さっきの手紙、戻す方を間違えているのです!
このままだと直枝さん宛の手紙は恭介さんへ、恭介さん宛の手紙は直枝さんに!)
それを聞いて、さすがの葉留佳も慌てだす。
(それまずい、まずいよそれ!でも言いだしたら私たちが手紙読んだってバレちゃうじゃん!
どうしよう!?)
(私たちが読んだとばれずに手紙が入れ替わっていることを伝えるか…
何とかして気づいてもらうしか…)
クドと葉留佳があーでもない、こーでもないと言っている間に鈴は箱の包装を終えてしまう。
2人が意を決して口を開こうとした瞬間、鈴がまるでウォークライのような勇ましい声で
「よし!これからチョコを渡してくるぞ!」
と高らかに宣言すると、駆け出していき、あっという間に遠くに行ってしまった。
鈴ちゃんファイト!、とにこやかに手をふって見送る小毬と間一髪でタイミングを逃がし
呆然とする2人が部室に残された。
「行っちゃいましたね…私たちは何てことをしてしまったのでしょう…」
クドが天、我を滅ぼせり、といわんばかりにうなだれる。
その様子を見て、葉留佳も罪悪感を感じ始めたようだ。が、苦笑いをして
「こういうときは…ほら、あれ、こまりんの…見なかったことにしよう!ってやつ?あはは…」
と笑い飛ばしてみせるも、クドの悔恨に満ちた目に見つめられ、シリアスになりざるをえなくなる。
「ど、どしよっか…」
「とりあえず、鈴さんを探して正直に自首するしかないのです…」
こうしてクドと葉留佳は鈴の姿を探して、贖罪の旅を始めることになったのであった。
結局、クドと葉留佳が鈴に自首したのは鈴が部室に戻ってきた後であった。
「な、なんだって!?」
「ふぇぇ!?」
2人からことのいきさつを聞いた鈴は当然のごとく驚いた。
我がことのようなものか、あるいは単に釣られてか小毬も驚いた。
そして部室には驚愕する2人とその足元に土下座で謝るクドと葉留佳という
関係のない人が見たら、そのまま驚愕する人が一名増えるであろう状況が展開されていた。
「ごめんなさい!出来心だったんです〜」
「うぅ…鈴さん、ほんとうにごめんなさいです…」
その申し訳なさから床を向いたまま、顔を上げないクドを見て
鈴はとりあえず顔をあげるようになぐさめる。
「とりあえず…理樹と恭介に事情を話さないといけないな…」
「そうだね…」
こうして今度は4人による理樹と恭介への事情説明への旅が始まった。
そして、さしたる時間がかかることもなく探し人の1人は見つかることとなった。
何故ならば向こうから居場所を知らせていると言えたからである。
「うおおおおおっ!いつもはクールだが、やっぱりほんとは兄ちゃんが大好きなんだな!
マイシスター!俺は感動しているぞぉぉぉっ!」
箱を天高く掲げた恭介は目の幅涙を流しながら、号泣していた。
その声は3年生の教室のある階全体に響くほどの音量であり、階段を上ってきた鈴たち一行
にも、階段を上る途中で気づかせるものであった。
迷惑であることもさることながら、何より鈴にとって耐え難いほど恥ずかしい号泣だった。
「そのバカでかい声をやめろ!それとその手紙はお前宛じゃないから返せ!」
鈴は恭介の姿を見つけるなり駆け寄り、手紙をひったくる。
その言葉を聴いた恭介はひったくられたポーズのまま硬直する。
しばらくして自らポーズをとき、ため息をひとつつく。
「やっぱそうだったか…なーんかおかしいなと思ってたぜ…」
「残念ながらそういうことだ。っていうかわかってたのか?」
「あのな、一応俺は兄ちゃんなんだぜ…」
恭介はふっと前髪を直して気取ったポーズを見せる。そして、少し厳しい顔を鈴に向けた。
「鈴、手紙は宛名をちゃんと書かないとダメだろ。俺だからこそ理樹宛の手紙が
間違えて俺んとこに来たんじゃないかってわかるけど、普通はこうはいかねぇぞ?」
「う…今度から気をつける…」
誤解されるどころか、理解されていたことが恥ずかしくなってか、鈴は殊勝な態度をとる。
恭介はにかっと笑ってつけくわえる。
「というか、俺はうれしいんだぜ…お前と理樹がちゃんと愛を育んでいることが確認できてよ…」
その言葉に、鈴の顔が赤信号並に真っ赤になる。
「うっさい!妹の手紙を覗く奴はド変態だーーーー!」
駆け出す鈴と追いかける小毬たちの背を見ながら、恭介はうれしそうに箱に残されたチョコを
ひとつ摘むとほいっと口に投げ入れた。
「へぇ、わが妹ながら悪くねぇ味だ」
期待していた以上の味に兄が素直に関心の言葉を漏らしたが、当然妹の方は知る由もなく。
残るもう1人の探し人、理樹を探す鈴たちであった。
全ての校舎、施設を全て含めると結構な広さがある学園であるけれど、
一方で当然、理樹が行きそうな場所は案外限られているわけであり、その場所を一つ潰していく
こととなるわけで、消去法的に探してゆく。
そうするうちに渡り廊下の途中に理樹の姿を見つけることができた。
鈴たちの姿を見つけると理樹はやわらかい笑みで返した。
「あ、鈴。なんだ行き違いになってたのかな、部室に行ったんだけどいなかったと思ったら
鈴たちも僕を探してたんだね」
その屈託のない笑みに逆にたじろぐ鈴。
「理樹、えーとな…」
まるで悪いことをしてしまった子供が、意を決して謝りの言葉を口にするかのように、
話を切り出そうとする。
「鈴、チョコレートのことでしょ?」
「うん、そうなんだが、その…」
恭介のときの勢いが嘘のように眼に狼狽を浮かべた瞳でしゃべる鈴。
そんな鈴を温かい目で見る理樹。
「心配しなくてもわかってるよ。手紙、多分誰かのと入れ替わっちゃったんでしょ?
きっと恭介辺りだと思うけど」
鈴が言い出そうとして困っていることを、まるでうどんでもすするみたいにつるっと
理樹は口に出してしまった。相も変わらずの、屈託のない笑顔で。
「そ、そうか…」
恭介のときに見せた熱い赤面とは違う、ほんのりとした赤みを顔に浮かべて、
鈴の瞳は理樹の瞳にくぎ付けになる。
そんな鈴と理樹の様子を事細かにウォッチする鈴の後ろに立つ外野の1人であるところの
小毬は2人の様子を見てやさしく目を細めた。
そして、傍らの残る2人、葉留佳とクドの肩に左右の手をポンとやると小声でささやいた。
「はるちゃん、クーちゃん、ちょっと私の方を手伝ってくれないかな?」
小毬に肩を叩かれた葉留佳とクドは一瞬きょとんとした顔をしたが、
クドは小毬のようにやさしい笑顔で、葉留佳は安堵を一杯に浮かべた顔で
「はい、お手伝いするのです…」
「うん、手伝うよ…」
こっそりと小毬に先導されて、場から退場していった。
「はっはっはっ、何かあると思って楽しみにしてたが、いやいや本当に期待を裏切らないな」
今回の事件の一部始終を小毬から聞いた来ヶ谷は、その期待通りの顛末に喜色満面である。
「まったくもってお約束です」
美魚は相も変わらずしれっとした態度で本に視線を外さない。
「いや〜、一時はどうなるかって思っちゃった」
どんな焦燥も後悔も喉もと過ぎればなんとやら、いつもの調子でケラケラと笑う葉留佳を
クドがたしなめる。
「三枝さん、今回私たちのせいであやうく鈴さんと直枝さんの間にいらないわだかまりを
作ってしまうかもしれなかったのです!今回のことを深く反省して、今後このような
ことが起こらないように…」
クドのお説教を右から左に、葉留佳は小毬が大量に製作したハッピー・バレンタインお裾分け
チョコレート(一般名称:義理チョコ)をボリボリと食べる。
「まぁまぁ、クーちゃん、最後はちゃんとうまくいったんだからおっけー、だと思うよ?」
なだめる小毬にクドはしかたなく牙を収める。
「ところで」
美魚が会話が落ち着いたところで切り出す。
「三枝さんのバレンタインデーの女の子のイベントとしての側面を楽しむ、という目的
は達成されたのですか?」
「え」
美魚の指摘に葉留佳はたじろぐ。
「そう言えば、結局私たちは鈴さんにくっついて、列に並んで、誰かに贈るわけでもない
チョコを買って、自分たちで食べて、鈴さんのバレンタインを引っかきまわしただけなのです」
「想いを寄せていたり、日ごろの世話になっている男性にチョコレートを贈る日に
ボリボリとチョコレートをかじっているわけだがな、葉留佳君は」
「鈴ちゃんも、さーちゃんも、バレンタインを満喫してるよね〜」
厳しい指摘の集中砲火が葉留佳を襲った。
「うう…言われてみれば、はるちん、お祭りムードにあてられて、自分のバレンタインを
見失っていたのか!?」
「ま、贈る相手もいないわけですが」
美魚の言葉がとどめを刺した。
「ほんと、みおちんに言われると、やけに染みます…」
葉留佳はがっくりとうなだれる。
そこにさらに葉留佳にとって個人的に衝撃的な情報がもたらされる。
「そう言えば、佳奈多君もチョコレートを用意していたな。まぁ、義理だとは思うが、
まさか、な…」
「えぇっ、お姉ちゃんが!?嘘、誰、誰に!?」
「さぁ、私はそんな人の恋路においそれと踏み入ったりはしないからこれ以上は、ね。
昔から人の恋路を邪魔するものは馬に蹴られて死ね、と言うじゃないか」
来ヶ谷は今日、鈴に向けたのと同じような不敵な笑みを葉留佳に向けた。
「ちょ、ちょっと私、出かけてくるね!」
葉留佳は慌てて駆け出していった。
その状況に場の何人かは既視感を覚える。そして、その視線は来ヶ谷に向けられる。
「何、せっかくのバレンタインデーだ、もう一つくらいおもしろいものが見たいじゃないか」
来ヶ谷は言って、その笑みを深くした。
場の誰もが、これからまた起こるであろうドタバタ騒ぎを想像しながら、来ヶ谷には
気をつけよう、と思いなおすのであった。
END
あとがき
>448氏とちょっとかぶっちゃってますが女子メンバーメインの話を書いてみたいと
思って、時期ネタで…
男の子たちがバカやってるところの一方、見えないところで結構彼女らは彼女らで
楽しんでるんじゃないかなぁとそんな想像をそのまま書き連ねてみたり。
過去ログに乗ってる作品に比べるとオチが弱いなぁと思いますが、許してやってくださいませ。
支援してくだった方、背中押して下った方、ありがとうございました。
>>474 GM!
恭介が普通にしてるっぽく見えるが後で泣いてる気がするなw
>>448 はるちん! かなたん! ひゃっほうぅぅぅ。これ以上の言葉はないっ。
>>474 はるちんとクドの会話がいいなぁ、自然だねぇ。
鈴ちゃんとささささんが出会った時がすごくささささんらしさが出てる。
そしてはるちんは姉御の手のひらの上で踊らされる……哀れ。
mixiで理樹×恭介のコミュが90人ぐらいいて
「さすがリトバス、腐女子人気もバッチリだぜ」と思ってよくみたら男も結構コミュに参加している件。
理樹が責めなのか?
理樹は総受けだとばかり思ってたんだが。
そういえばそっちの世界は攻受が重要だった事を忘れてたぜ!
理樹は最初は弱々しい受けだけど1周するごとに強くなるから
最後はランキング王者の鬼畜攻めになるんだよ
すみません。
多少時期が外れてしまいましたが、バレンタインSSを投下します。
ちょっと長くなってしまったので分けて投下します。
リトバスのSSを書くのは初めてで、SSを書くこと自体も大昔KanonのSSを書いて以来なので
多少文はつたないと思うんですが、ご容赦を。
では投下します。
駅前の商店街へと真人と買い物に行った帰り、
僕はたくさんの女の子達がケーキ屋さんの店先に集まっている姿を見かけた。
「あれ、なにやってんだろう」
「あん?」
「あれ。何か女の子達が買い物してるみたいだけど」
僕がその光景を指差すと、真人はそれを見て渋い顔を浮かべた。
「あー、もうそんな時期か。くそっ、またあの暗黒の日々を過ごすのか」
「なに、その暗黒の日々って……」
僕は呆れた口調で返すと、真人は思いのほか真剣に見つめ返してきた。
「な、なに?」
「忘れたのか、理樹。去年、2人寂しく過ごしたバレンタインデーを」
「バレン……ああ、そっか。もうそんな時期か」
ポンと手を打ち、僕は頷いた。
そうかそうか。もう2月だ。
節分も終わったし、みんな、特に女の子はそういうのを意識する時期になっているんだろう。
「くそっ、思い出したくもねぇ。今回こそはチョコが貰えるんじゃないかと悶々とした日々を過ごし、
結局誰からも貰えなかった去年のバレンタインデー。今年もあの憂鬱なイベントが来るのか」
どんよりとした雰囲気を纏って、真人は呟く。
……まぁ、確かに真人って今まで一度もチョコを貰ったことないからなぁ。
一応バスターズのメンバーには唯一の女の子として鈴がいたけど、
彼女にそういったものを期待するだけ無駄だと言うのは真人だけでなくバスターズ全員の認識だ。
だから毎年抱えきれないほど女の子からチョコを貰っているくせに、
鈴からチョコを貰ったことのない恭介は微妙に不満なんだろうけど。
と、それは置いといて。
「なぁ、理樹。今年もモテない男2人で仲良くバレンタインの夜を過ごそうぜ」
「あ、そ、そだね……」
僕は曖昧に頷き、その場を濁した。
ごめん、真人。
僕も実は去年、恭介や謙吾とは比べるもないけど、それなりにチョコを貰ったんだ。
真人に悪いと思って黙っていたけど、今年も貰ったら黙っていようかな。
「くっそ〜、この浮かれた雰囲気はどうにかなんねーのかなぁ」
「まったくだわ」
「え?」
真人の独り言、それに答える声に驚いて僕は後ろを振り返った。
そこにいたのはとても意外な人物だった。
「ふ、二木さん!?」
そこにいたのは二木佳奈多さん。
我が学園の風紀委員長にしてバスターズの天敵、そして葉留佳さん姉である二木さんその人だった。
「失礼ね、直枝理樹。そんなに驚かなくてもいいのではなくて」
「あ、ご、ごめん。二木さんがこんなところにいるのがちょっと意外だったんで」
「私だって買い物くらいには来るわ」
そう言う二木さんはいつもの見慣れた制服姿ではなく、落ち着いたデザインの私服姿だった。
あまり私服姿って見かけないけど、新鮮だなぁ。
「それよりも苗字で呼ぶのは止めてと言ったはずよ。嫌いなのよ、苗字で呼ばれるの」
「あ、う、うん、ごめん。えっと、佳奈多さん」
僕が名前を呼ぶとよろしいと言って彼女は頷いた。
でも最近変わった気がするな。
一学期の頃はそれこそ触れれば切れるような圧倒的な威圧感を振りまいていたけど、
この頃はそうでもなくそれなりに話しやすくなった気がする。
けどそんなことお構いなしに真人は若干敵意を込めて二……佳奈多さんに話しかけた。
「二木。なに、オレと理樹の時間を邪魔してんだよっ」
「ちょ、誤解を生みそうな言い方しないでよっ!」
真人の言動に僕は慌ててツッコミを入れた。
うん、この場に西園さんがいなくて良かった。
けれど佳奈多さんは気にした風もなく言葉を返した。
「別に。ただ気になることをあなたが言っていたから同意しただけよ」
「オレが?」
そう言えば僕以外のメンバーが苗字で話しかけても何も注意しないんだよなぁ。
なんでだろう。諦めてるのかな。
「そうよ。この浮かれた雰囲気はどうにかならないかと言っていたでしょう」
「お、おう」
「ホントその通りね。
これからバレンタインデー当日までこの浮かれた雰囲気が続くとなると憂鬱だわ」
「え?佳奈多さんもバレンタインって嫌なの?」
意外に思って僕は聞き返した。
女の子なら普通はそわそわしたり妙にテンションが上がったりするとばかり思ってたんだけど。
「別に嫌と言うわけではないけれど、それが学園の風紀にも悪影響を及ぼすのが嫌なのよ」
「あ、ああ、なるほど」
「女子も男子も大半が浮き足立って集中力を乱しているわ。
バレンタインが終わったらすぐに試験があると言うのになにを考えているのかしら」
「あー、そうかもね」
そう言われるとここ数日授業中も含めて学園全体の雰囲気がいつもと違っていた気がする。
授業を聞いていない生徒が多かったり、なにかこそこそとしている男子たちがいたり。
なるほど、バレンタインの影響でみんないつもと違ったのか。
まぁ、僕も含めてバスターズのメンバーはいつも通りだし、全部が全部って訳じゃないだろけど。
「ならよー。風紀委員の力でバレンタインを中止してくれねーか」
真人が縋るような目で佳奈多さんに頼み込む。
いやいや、さすがに風紀委員でもそれは無理でしょ。
「無理よ」
ほらやっぱり。
「そこをなんとか」
「あのね、チョコレートを持ってくることを禁止したり、不純異性交遊の中に
バレンタインを含めることは可能と言えば可能だけど、それをしたら反発が必至なのよ」
「お、おう」
「学園の風紀のために対策は取りたいけれども、それが原因で生徒全てに反発されたら本末転倒よ。
正常なる学園の運営のためにはたかだか一日の催しを制限するよりも、
運営に支障をきたさないように目を瞑る方が利口だと言うのが学園の考えね」
そう答えつつも佳奈多さん自身はそれに不満なのが見え見えだ。
一見するとそうでもないが、結構顔に出るタイプらしい。
もしくは僕らの前だからそうなのかも。それだったら嬉しいけど。
「くそ〜、じゃあやっぱり今年も理樹と2人寂しくバレンタインを過ごすしかないのか」
真人は頭を抱えるとうな垂れるように身体を丸めた。
そんな落ち込まなくても。
けれどそれを聞いた佳奈多さんは嘲るような口調で僕に話しかけてきた。
「あら、直枝理樹。去年チョコを貰ってないの?」
「え、あ、えっと」
僕が返答に困っていると。
「おう。こいつもオレと同じく今まで一度も貰ったことないぞ」
僕の代わりに真人が答えた。
いやいやいや、待って待って。
確かに去年は貰っていないって嘘ついたけど、
それ以前はチョコを貰ったかどうか報告してないんだから適当なこと言わないでよ。
けれど僕が何か反論するより前に佳奈多さんの中で結論が付いたらしく。
「そう。あなたもなかなかに寂しい人生を送っていたのね」
なんか同情されたしっ。
と言うかそれって同情されることっ!?
佳奈多さんに憐れみの目で見られたことに僕は相当ショックを受けたのだった。
「そっか。そうなのね……」
「え?なにが?」
佳奈多さんが漏らした呟きの意味が分からず問いかけてみたものの。
「なんでもないわ」
いつも通りのにべもない態度で返されてしまったのだった。
「コホンッ……それよりも」
「な、なに?」
佳奈多さんは軽く咳払いをして一度間を置くと、僕の顔をジッと見た。
「私としてはあなた達リトルバスターズの方が監視対象としては上なのだけれど」
「僕達?」
僕は真人と顔を見合わせる。
そう言われるのはちょっと心外かも。
「当然でしょう。こんなイベント事、あなた達が見逃すとは思えないのだけれど」
「そうは言っても、ねぇ」
「だよなぁ。恭介から別に何かするって聞いてねーし」
だからバレンタインを失念していたと言うのもあるかもしれない。
いつもなら何かイベント事があるたびに恭介主導で何かやらかすのに、今回に限ってそれはない。
「信用できないのだけれど」
「なんだよ、オレらが嘘ついてるってのか?」
「そうは言っていないわ。
ただいつものあなた達の行いを見れば、何もしない理由が思いつかないもの」
「あー、確かに」
言われて僕は頷いた。
きっと恭介ならこんな全国的なイベント、見逃すはずがない。
「分かった、何か企画しているなら伝えるよ」
「え?」
「お、おい、理樹」
真人は咎めるような声を上げるが、僕はそれを無視して言葉を続ける。
「ただみんなで遊ぶとかその程度なら見逃して欲しいんだけど」
「……まぁ、それは構わないわ。あくまで学園の風紀を乱すことを止めて欲しいだけで、
他生徒に迷惑をかけず個人的に楽しむだけなら私も五月蝿く言わないわ」
「そっか。ありがとう、佳奈多さん」
「っ!?」
僕が笑顔を答えると突然そっぽを向かれてしまった。
……何かしたかな。何もしていないと思うけど。
「と、とにかく、そういうことだからよろしくお願いするわ」
そう言って、佳奈多さんは用事があるからと言ってどこかに行ってしまった。
「……帰ろうか、真人」
「おう」
僕らは首を傾げつつも帰路に着くのだった。
「そう言えば恭介」
学食で恭介、謙吾、真人、僕の4人で夕食を食べている途中、僕は恭介に話しかけた。
「どうかしたのか」
「うん、もうすぐバレンタインじゃない」
「ああそうだな。何だ、お前もそういうのを気にする年になったのか」
恭介はからかうような口調で僕に答える。
「そう言うんじゃなくて。いつもこういうイベントがあると何かしら企画するじゃない。
でも今回は何も聞いていないからさ。何をするのか教えて欲しいなって思って」
僕の言葉にあからさまにがっかりと言った顔に恭介はなった。
「ああ、そういうことか。てっきり誰かとバレンタインを過ごしたいから
協力してくれとか言うのかと思ったんだが」
「いやいや、当てがないから」
僕と2人っきりで過ごしても良いと言ってくれる奇特な女の子に心当たりはなかった。
まぁ、義理チョコくらいは貰えれば良いかなってくらいだ。
「そうだぞ、恭介。理樹が女子と過ごすわけがないだろう」
「その通り。理樹はオレと過ごすんだからな」
恭介の発言にバンと机を叩き立ち上がる男2人。
いやいや、それおかしいから。
けれど2人はお互いに睨み合ってしまった。
「なにを言っているのだ真人。理樹は俺と過ごすに決まっているだろう」
「ふざけんじゃねーよ。理樹と過ごすのはルームメイトのオレだ」
「そちらこそふざけないでもらおう。たかがルームメイトというだけでそんなこと俺は許可せん。
理樹と一緒に過ごす人間はあいつを一番大切に思っている俺の役目だ」
「あん?寝言言ってんじゃねーぞ。無二の親友であるオレが一番大切に思ってるに決まってんだろ」
そして互いに火花を散らす真人と謙吾。
そもそもなんでいつの間にかバレンタインデーに僕と過ごす人間を決めようとしてんの?
なにより言っている内容が妖しすぎるよ。
「はぁー」
周りもきっとドン引きしてるだろうな。
そう思って、溜息をつきつつ周りを見渡すと
何故か熱い視線を送られているのに気づいた。主に男子に。
もとい今の時間、基本的に男子しかいないので食堂にいる女子自体が少ないんだけど。
その女子も含めて結構な数の男子が僕に対して熱い視線を送っている気がするのは気のせいだろうか。
と言うよりそう思わせて欲しい。
「きょ、恭介」
僕は軽く身震いをしつつ恭介に助けを求めた。
そもそも2人が変なことで喧嘩をしているのが問題なんだから止めてもらいたかった。
僕の意図が伝わったのか、恭介は一度僕に頷くと2人の間に割って入った。
「待てお前ら」
「何だよ恭介」
「止めないでもらおうか」
そうは言っても2人とも恭介に一目置いているらしく、口論を止め次の言葉を待っていた。
やっぱり恭介だ。
たった一言で争いを止めるなんて凄い。
僕が感心していると恭介は言葉を続けた。
「俺が一番理樹を大切に思っているんだ。だから一緒に過ごすのは俺だ」
「いやいやいや、なにそれっ!?なんで争いに加わってんのさっ!!」
あまりの驚きの展開に思わずいつも以上に力を入れてツッコミを入れてしまった。
と言うか恭介の発言の直後、女の子たちのキャーキャー言う声が聞こえてきたのは幻聴だろうか。
「ん?そう言う意味で俺を呼んだんじゃないのか?」
「全然違うよっ。と言うかそう言う意味ってどう言う意味さっ」
「……俺に言わせるのか?」
ず、頭痛がしてきた。
それと女の子達の黄色い悲鳴が増えているは気のせいだろう。
そうじゃないと頭痛が更に大きくなりそうだ。
「恭介っ。いくらお前でもこればっかりは譲らんぞ」
「そうだ。てめぇよりオレの方が理樹を大事に思ってんだよ」
「ふっ、俺に逆らう気か。事が理樹に関する以上、引く気はないぞ」
そう言って三者は睨み合いを始める。
「あー、もう止めてよー」
そして食堂に僕の声が空しく響いた。
数十分後。
何とか争いが止んだところで、恭介が声をかけてきた。
「それでバレンタインになにかイベントを企画しているのかって質問だが」
「ああ、そうだそうだ。忘れてたよ」
あの騒ぎですっかり忘れていたが、質問にまだ答えてもらってなかったんだ。
「結論から言えば、何もする気はない」
「え?そうなの?」
それは意外だ。
てっきり恭介なら何かしら企画すると思っていたのに。
「当然だろう。この手のイベントは女が中心だ。男の俺らに出番なんてないさ」
「そういうもの?」
「ああ。まぁ、チョコの数を競うってイベントをやっても良いんだが、
結果が見えてるものをやってもつまらないしな」
「ぐおぉーっ」
恭介の発言に、突如真人が頭を掻き毟り苦悶の声を上げた。
あー、うんそうだね。もしやったら真人がぶっちぎりでビリ決定だもんね。
ちなみに1位はおそらく恭介だろう。
なんだかんだ言って人気は非常に高いしね。
2位は謙吾で決定か。
この2人はバスターズの中でなく学園の中でも1位と2位になるのがほぼ確定だしね。
「まぁ、そう気を落とすな。どうやらバスターズの女子メンバーで
何かしら企画してるみたいだからな。義理チョコくらい貰えるんじゃないか?」
「え?鈴たちが?」
「ああ。女子メンバーはしばらく放課後は時間が取れないと来ヶ谷から連絡があった。
調理室の使用許可を小毬が取ったと言う情報も聞いているし、まず間違いないだろう」
「そうなんだ」
「それに鈴もなんか楽しそうに能美と一緒に買い物袋掲げてたな。
今年こそは鈴の妹チョコを食べれるかと思うと今からすげぇ楽しみだ」
「は、はは……」
コメントは差し控えておこう。とりあえず近親相姦は犯罪だからやめてね、恭介。
とりあえず支援しておこう
……ん?止まった?
微妙に投稿制限が変わってるような気がするんだ。
しかも、今回はわりと長めに入ってるような。
深夜に投稿開始すると途中で寝ちゃいそうなくらいに。
誰か教えてエロい人。
でも女子メンバーでチョコレート作りか。楽しそうだな。
それにあの鈴がねぇ。なにか感慨深いものがあるなぁ。
「でもそうなると、その間は僕らって待ってるだけって事?」
「ああ。なんだ、不満か?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
そういうんじゃないけど、あっちは楽しそうだなって思っただけで。
「ん?それとも向こうに加わって一緒にチョコ作りしたいってか?
……おお、それ良いな。向こうに参加しても違和感ないし……今から参加するか?」
「参加しないよっ。それになにっ、違和感ないって」
中性的というか女の子っぽい顔立ちなの気にしてるんだから言わないで欲しい。
あー、前に女装させられたの思い出しちゃった。
あれは僕の今までの人生の中でもベストスリーに入るくらいの汚点だ。
誰も違和感を感じないと言うか、みんなに歓迎されたという事実に、更に気が滅入る。
「いいアイデアだと思ったんだがなぁ。……けど俺らで何かしたいんだろ?」
「う、うん」
バレンタインを忘れていたくせに図々しいと思われるかもしれないけど、
存在を思い出してしまった以上は、自身も盛大に騒ぎたいと思うのは、
自分が紛れもなくバスターズのメンバーなのだと再確認する瞬間だ。
「そうか。ならば何とかしよう」
「本当?」
「ああ。理樹の頼みだ、お祭り事に関しちゃいくらでも力を貸してやる。
そうだな………………………………」
しばらく恭介は口元に手をやり考え込むと。
「よしっ」
何か思い付いたように顔を上げた。
「なに?何か思い付いたの?」
僕はワクワクしながら恭介の言葉を待った。
「ああ。……俺達が行う今度のミッションだが」
重々しい口調で恭介は口を開く。
「うん」
「俺達でチョコを作らないか?」
「はっ?」
「なに?」
「へ?」
語られたミッションの内容に僕だけでなく、謙吾と真人も戸惑った声を上げた。
「って、もう一度言って?」
「だから、俺達でチョコを作らないか?」
全く同じ台詞が恭介の口から語られた。
「えーっと、本気で言ってる?」
「本気だ。なんだ、嫌なのか?」
恭介は本気で意外そうな顔をしている。
「嫌って訳じゃないけど、それ、空しくない?」
「俺も理樹に同意見だ。自分達で作って自分達で食べるなど情けないにもほどがあるだろう」
「ああ。んなもんやってられっか」
どうやら2人も反対らしい。
だよね。いくらなんでも自分達でチョコを作って食べようなんて最悪なアイデアだよ。
はぁ〜、恭介には期待したのになぁ。
「なんだ、その如何にも期待はずれって顔は。ふっ、分かってないなお前らは」
「なにがだ」
「なにがわかってねーんだよ」
恭介の言葉に反応する謙吾と真人。
いや、分かっていないと言われても何か凄い秘密でもあるとは思えなんだけど。
「お前ら、理樹が作ったチョコを食べられるんだぞ」
「はぁ。それがどうかしたの?」
恭介の言わんとしているとこがいまいち分からない。
僕が作るからなんだと言うのか。
だが……。
「そ、そういうことかーっ!!」
「すまん恭介っ。俺が浅はかだったーっ!!」
「はっ?」
2人の反応に僕は思わず間抜けな反応をしてしまった。
えと、なにを言ってるのかな2人とも。
僕は混乱した頭のまま2人の方へ顔を向けた。
すると。
「理樹、チョコを作ろう」
「ああ。チョコ、作ってくれ」
めちゃくちゃ爽やかな笑顔で誘われた。
「はぁっ?はぁはぁはぁ?」
訳が分からないし。
いやいや、なにいきなり前言を撤回してるのさ。
「おう。はぁ?が四つで4わけわからんポイントだな」
「なに冷静にカウントしてんのさ、恭介っ」
「ふっ、気にするな。それよりも材料を集めよう。今日は遅いから明日からだな」
「「おう」」
恭介の言葉に珍しく息ぴったりで謙吾と真人が頷く。
……出来ればこういうことで息を合わせて欲しくないんだけど。
と言うかすでに決定事項っ!?
「あの、拒否権は……」
「そんなものあるわけないだろう」
爽やかな笑顔を見せないでよ、恭介。
「さぁ、いくぞ」
「わっ、ちょ、引っ張らないでよ、恭介。真人も謙吾も押さないで。どこ連れてく気!?」
「なあに。お前の部屋でじっくり考えをつめるんだよ。まずはどういうチョコを作るかだな」
「わ、わわっ!?」
そして僕は3人によって自分の部屋にへと連行されたのだった。
*******************************************
2月14日。バレンタイン当日。
今日は雲一つない青空で非常に天候に恵まれている。
こう、心まで晴れ渡るような青空……なんだけど僕の心だけは絶賛土砂降り中だ。
「……結局作らされてしまった……」
溜息一つ。
溜息を一つ吐く毎に幸せが一つ逃げていくとすれば、僕はあの夜から
どれだけの幸せを逃がしているのか考えたくもない。
と言うかもう僕に幸せは残っていなんじゃないだろうか。
そんなことすら考えてしまう。
「けどなんで持って来いなんて言ったんだろ」
僕の鞄の中には昨日完成させた手作りのチョコが一つ入っている。
朝方恭介からメールが来ており、作ったチョコを持ってくるように書かれていたのだ。
食堂で真意を尋ねようにもすでに恭介は登校した後。
謙吾と真人も何故かさっさと食事を終え、学園にへと行ってしまったため、
現在、寮から学園までの道を珍しく僕一人で歩く羽目になっていた。
それがまた僕の憂鬱な気分の原因の一つ。
ここ最近鈴たち女子メンバーと一緒に登校できておらず、寂しい思いをしていたのに加え
今日は残っていた男子メンバーとも登校できないなんてかなり寂しい。
「相変わらず僕は弱いままだな……」
少しは強くなったと思っていたのにともう一度僕は溜息を吐いた。
「朝から陰鬱な顔ですわね。こっちまで気分が重くなってしまいますわ」
「え?……ああ、笹瀬川さん。おはよう」
不意に声を掛けられ振り向くと、笹瀬川さんが立っていた。
「おはようございます、直枝さん。……あの、宮沢様は?」
「謙吾?今日は用事があるからといって先に行っちゃったよ」
答えると笹瀬川さんはふぅーと溜息を吐いた。
「謙吾に、用事?」
「い、いえ、そういうわけではありませんの」
少し気まずそうな顔で彼女は答えた。
なんだろうと思っていると、ふとある考えを思いついた。
「もしかしてチョコレートを渡そうと思ったの?」
「え?そ、そうですね。……受け取って頂けるかどうかは分かりませんが」
そう呟いて笹瀬川さんはギュッと持っていた鞄の紐を握り締めた。
そうなのだ。
謙吾は恭介同様、非常にもてるにも拘らず女の子から渡されたチョコを全て断っているのだ。
だから、実際のところ毎年真人と同様に受け取った数ではゼロ個となっている。
「確かに今まではそうだったかもしれないけど、今年は可能性はあるんじゃないかな」
「何故、そう思われるのです?」
僕の言葉に不思議そうに笹瀬川さんは小首を傾げた。
「えっとね、今年はバスターズのメンバーがチョコレートを作ってくれるみたいなんだよ」
「え?」
笹瀬川さんは驚いた表情を浮かべた気がしたが、僕は気にせず言葉を続けた。
「さすがに謙吾でもバスターズのメンバーからのチョコは無碍に出来ないと思うからね。
なら、他の人からのチョコも去年に比べて断りづらくなるんじゃないかと思ってね」
仲間とはいえ、女の子からのチョコを一度受け取ったならば、
さすがに謙吾でもにべもなく断るなんてできなくなるんじゃないかと思う。
だから少しは安心してくれるかなと思ったんだけど、
笹瀬川さん呟いた言葉は予想外のものだった。
「棗鈴は……」
「え?」
「棗鈴も作ったんですの?」
「た、たぶん……」
僕がそう答えた瞬間、明らかに笹瀬川さんの瞳が怒りに染まったのに気づいた。
「ちょっ、別に鈴は謙吾のことなんとも思っていないよっ。鈴と謙吾はただの幼馴染だって」
僕は必死に弁解した。
ずっと前にも笹瀬川さんは2人の仲を勘違いしたことがあったけど、まだ誤解しているのだろうか。
けれど僕の言葉に笹瀬川さんは吃驚した表情を浮かべ、
それから何かに気づいたのか真っ赤な顔で反論してきた。
「ち、違いますわっ。べ、別に棗さんと宮沢様の間柄に対してなにも思うところはありません」
「で、でも」
「なにを勘違いされたのか分かりませんが、そのようなことわたくし思っておりません。
……本当に思ってなど、おりませんのよ」
腕を掴みながら、真っ直ぐな眼差しで笹瀬川さんは僕を見上げた。
その真剣な表情に不覚にもドキリとしてしまった。
……なにを考えているのだろう、僕は。あまりの浅ましさに恥ずかしくなった。
「わ、分かったよ、笹瀬川さん。うん、僕の勘違い。それでいいでしょ」
内心の動揺を悟られないように、必死に平静を保って僕は告げた。
「ええ。………はっ、すみません、思わず掴んでしまって」
「き、気にしないで」
笹瀬川さんは慌てて僕から離れたが、僕はさっきまで彼女が触れていた腕が気になり
目を合わせられなくなっていた。
「ところで他の方のお姿を見かけませんが、それも先ほどのお話は原因でしょうか」
「そ、そうだね」
話題を変えるように話を振ってきたので、僕もそれに乗らせてもらった。
「ここ最近鈴たちとは一緒に学園には行ってないね。
それでも昨日までは恭介たちと一緒だったんだけど今日は何故かみんな用事があるとか言ってさ」
そう言いながら、僕は改めて周りを見た。
本当に誰もいない。
その事実が僕を心細くさせる。
「……だからですの?だから先ほどあんなにも暗い表情をされていたのですわね」
そう指摘されて一瞬言葉に詰まったが、事実なので僕は小さく頷いた。
「情け、ないよね。単に一人で登校しているだけなのに」
そんな人間、他にもいると言うのになんて弱いのだろう。
「そんなこと、ありませんわ」
「え?」
だから彼女の言葉が僕には非常に意外だった。
こういう弱さは彼女が最も嫌うものだと思っていたから。
「そんなことありませんわよ。いつも楽しく騒々しい集団の中にいて、
不意に一人にさせられたら誰だって不安で寂しく感じるものですわ」
「えっと……」
「だからそんなに自分を恥じるものではありませんわよ」
彼女はそう言うと優しく微笑んだ。
なんだろう。その微笑がとても暖かくて凄く嬉しいと感じたこの気持ちはなんだろう。
「寧ろあなたを一人にした彼らこそ責められるべきでは?
あなたのことを大切だ何だと言いながら不安にさせては世話ないですわ」
その中に彼女の憧れの謙吾がいると分かってて言っているのだろうか。
……きっと分かっていて言ってくれているんだろうな。
だから僕は素直に礼を述べた。
「ありがとう」
ただ一言、色々な思いを込めて。
「気に、なさらなくて結構ですわ。……それよりも一緒に行きませんこと?
わたくしも一人で登校するより誰かと喋りながら行きたいですし」
「それは………僕なんかでよければ」
一瞬断ろうとした。
でも僕を気遣ってくれているんだと気づき、その瞬間首を縦に振っていた。
「こちらこそ宮沢様たちに比べれば力不足かもしれませんけどね」
「いや、そんな」
「ふふ、では短い時間ですが一緒に参りましょう」
「うん」
そして僕らは2人で学園にへと向かった。
学園に着き、一旦下駄箱で別れた僕らは廊下でもう一度合流しようとした。
けれどすぐ来ると思った笹瀬川さんがなかなか来ないので、
不審に思った僕は彼女のクラスの下駄箱にへと向かった。
「どうしたの?」
「え?ああ、直枝さん。いえ、ちょっと」
そう答える笹瀬川さんの手の上にはたくさんのチョコが乗っていた。
「えっとそれって……」
「バレンタインのチョコレートですわ。……まぁ、なんと言いますか、
わたくし下級生の女子から人気がありまして」
「なるほど、そういうこと」
つまり下級生の女の子からのチョコが下駄箱の中に入っていたと言うことか。
「ええ、そういうことですわ。申し訳ありません、お待たせしてしまって」
「いいよ別に。けど大丈夫?前、見えないんじゃない?」
「い、いえ、これくらい……キャッ」
答えた途端、笹瀬川さんはバランスを崩して倒れそうになった。
「危ないっ」
身体が動いたのはほぼ無意識だった。……でも。
「え?」
上手く彼女を抱き止めることが出来たのだから、自分の反射神経も捨てたものではないらしい。
「大丈夫?」
事態が把握できないのか、僕の胸に顔を埋めたまま顔を上げようとしない。
だから僕はは足元がフラフラする彼女をしっかりと抱きしめ軽く髪を撫でた。
鈴やクドがパニックに陥った時こうすると落ち着くのを思い出したからだ。
すると何度も瞬きをして僕を見つめた後、彼女は弾かれたように僕から離れた。
その顔は耳まで真っ赤に染まっていた。
「あ、あと、その……」
「怪我、ない?」
混乱しているのだろう。出来るだけ優しく僕は話しかけた。
「あっ、はい。お陰様で」
「良かった。急に倒れるから吃驚しちゃったよ」
もう少し反応が遅れたら怪我をさせてしまうところだったかもしれない。
「ふぅー、やっぱり持つの手伝うよ。危なっかしいし」
僕は手を差し出してチョコを受け取ろうとしたが、笹瀬川さんはゆっくりと首を横に振った。
「その……お気持ちは有難いですが、遠慮しておきますわ。これらのチョコは一つ一つが
わたくしに向けての真摯な気持ちの表れ。ならばわたくし自身が持つのが道理でしょう」
そう言って大切そうにチョコを抱える姿を見て、僕は頷くしかなかった。
「申し訳ありません」
「ううん。でもさっきみたいなことがあったら危ないし、せめて鞄の中に入れた方が良いよ」
僕がそう提案すると、笹瀬川さんは失念していましたわと言って、持っていた鞄を漁りだした。
不思議に思っていると鞄の中から紙袋を一つ取り出した。
「実は去年も同じように沢山のチョコを貰ったので袋を用意していたんですの。
でも、駄目ですわね。つい舞い上がって忘れてしまうなんて」
「舞い上がる?」
彼女の言葉に疑問を覚えて呟くと慌てたように一二歩下がり、忘れてくださいと言われてしまった。
「んー、了解」
気にならないと言えば嘘じゃないが、追求したら本当に嫌がる気がしたので僕は頷いた。
そして笹瀬川さんがチョコを入れ終わるのを待って、僕らはそれぞれの教室にへと向かった。
あれ、終わり?
すみません。投下直後にさるにひっかかりました。
なので携帯から失礼します。
一旦ここで終了します。
残りは今日はちょっと厳しいかもしれないですがちゃんと投下します。
あと支援してくれた方、感謝です。
乙!続き待ってるぜ!
これはいいニヤニヤ
妄想は形にする。それが俺ルール。もとい筋肉ルール。
エクスタシーエピローグ妄想(超小ネタ)
「鈴…僕は鈴の全部が欲しい」
「うん……でも、あたし、こういうの初めてだからちょっと怖い」
「大丈夫。僕も初めてだからうまくできるか自信ないけど、できるだけ優しくするから」
「わかった。約束だ。やさしくしてくれ、理樹……」
…
……
………
「理樹のうそつき――――っ! お前はじめてって絶対ウソだろっ!!(ゲシゲシ)」
「いたっ、ほ、ほんとだってばっ。鈴とが初めてだよ」
「初めてのあたしを3回もいかせて、自分は5回も出しておいて何がはじめてだ――――っ!!」
「痛い痛い、というか鈴、見えちゃうからあまり足あげない方が」
「り、理樹はあたし以外に誰としてたんだっ。こまりちゃんか? クドか? それともくるがやか!?」
「いや、誰ともこんなことしてない……と思う……たぶん」
「うっさいぼけ――! 理樹なんて知るかっ!!」
「あ、待ってよ鈴、下着忘れてるよ! っていうかまだ顔につけたまま廊下に出ないでっ!」
(理樹……お前はいったい何回あの世界を繰り返したんだ…………ふっ、いや、親友と妹の初体験を窓の外から覗き見ていた俺にはカッコつける資格はねぇか……)
終わる
>>507 鬼才あらわるwwwwwwww
美魚とはるちん涙目
509 :
ショコラ2:2008/02/22(金) 00:24:38 ID:/UX1jUxo0
さて、続きを投下。
途中で投稿制限に引っかかったらそこで一旦やめるんでよろしく。
ちなみに2でもまだ終わらないですよ。
笹瀬川さんと別れ、教室の前に辿り着いたところで、僕は息を吐きつつコートを脱いだ。
みんな、いるかな?
今日まだ一度も会話していない鈴たち女子メンバーのことを考えつつ、
僕はコートを抱えながら教室のドアをくぐった。
途中、クラスメートに挨拶をしながら自分の机を目指していると、
小毬さんたちが話している姿が視界に入った。
「あっ、おはよう、みん……うわっ!?」
バシッ
みんなに挨拶をしようとした瞬間、いきなり背中に衝撃を受けて僕はつんのめってしまった。
い、いったい何が?
「わわっ、理樹くんっ?」
「理樹っ」
僕あ倒れそうになったのを見て、慌てた様子で小毬さんと鈴が駆け寄ってきてくれた。
「だ、大丈夫だよ」
僕は2人にそう答えながら後ろを振り向いた。
こんな事しそうな人間は一人しか思いつかなかった。
「ヤハハ、おっはよー、理樹くん」
そこには全く悪びれない様子で、案の定葉留佳さんが立っていた。
僕は溜息を吐きながら立ち上がった。
「おはよ、葉留佳さん。けど出会いがしら叩くなんて酷いよ」
「ごめんデスヨ。つい無防備な背中を見かけたもんで、
これは狙えという神様の思し召しかと思って」
「思わないでよっ。たく、本気で痛かったんだから」
僕は痛む背中を擦ろうと思って手を伸ばすと、いきなりその手を掴まれた。
「え?」
驚いていると、下の方から心配げな声が聞こえてきた。
「大丈夫ですか、リキ。痛いなら私が擦りますよ」
「クド。うん、大丈夫だよ」
安心させるようにもう片方の手でクドの頭を撫でた。
するとわふぅ〜と独特の声を上げながら照れだした。
ぽんぽんっ
「ん?」
先ほど葉留佳さんに叩かれた辺りと軽く撫でられている感じがして、
首だけを後ろに向けると鈴が立っていた。
「はるか。理樹を苛めるな」
「エー、別にそんなつもりはないんだけど」
「でも理樹が痛がってる」
鈴がそう言うと、葉留佳さんは一瞬何事か考えるとつついと距離を詰めて来た。
「理樹くん、痛かった?」
「え、うん」
「じゃあお詫び」
「え?」
僕が戸惑っているといきなり葉留佳さんは背後に回り。
「うわっ!!ちょ、なにいきなりして……」
「なにって、胸を擦り付けてるんですヨ。気持ち良くない?理樹くん」
「い、いや、それはその……」
気持ち良くないと言えば嘘になるわけで、ふにふにっと適度に柔らかい感触が抵抗力を奪ってしまう。
「あ、あの、葉留佳さん。なぜこのようなことを……」
うん、思わず敬語になってしまった。
「いやいや、お詫びですヨ。姉御ほどじゃないけど結構おっきいでしょ。ほら、ぐりぐり〜」
「い、いや、ちょ……はっ」
ふと鈴たちに冷たい目線で見られていることに気づき、僕は硬直した。
いや、鈴だけじゃない。クラス全体から白い目で見られている気がする。
これは罠っ。罠なの?葉留佳さん。
「も、もういいから」
僕は慌てて葉留佳さんの腕を解き距離を取った。
「エー、そう?もう少しサービスしますヨ」
「いやいやいや、もういいから。と言うかもう少し恥じらいを持とうよ」
「エー、持ってるよー」
「いや、持ってるならあんな恥ずかしい真似できないって。気をつけなきゃ駄目だよ」
僕はそう言って注意する。
もし同じようなことを別の人にしたら危険だと言うことを分かっていないのだろうか。
でも僕のそんな心配に気づいた風もなく、葉留佳さんは笑って答えた。
「大丈夫ですよ、理樹くん。ちゃーんと相手選んでるから」
「いや、相手を選んでるって言っても……」
「とりあえず、はるちんがこういうことするのは理樹君だけだよ。
……それとも理樹くんは危険な人なんですかな?」
「ぐっ」
言葉に詰まる。
安全牌と見られているのはショックだけど、
これでも男なんで理性を保ち続けられるか自信はないし、
それなのに全面的に信用されるのは心苦しい。
と、返答に困っていると。
「……やはり理樹もおっぱいが大きい女の方が好きなのか?」
鈴、いきなりなに爆弾発言を言ってるのかな。
「そうなのですか、リキ。リキはひんにゅーは好みじゃないのですか」
「えっと……」
「見損ないました、直枝さん。直枝さんだけはそんなことないと信じていたのに」
鈴に続いてクドと西園さんも僕を悲しそうに見つめてきた。
「いやいやいや、なに勝手に人の性癖を決め付けてるのさっ。胸とかで女の子選ばないからっ」
勝手な推測で軽蔑されても困るんだけど。
と言うか変な誤解を与えて評判を下げないでください。
僕は必死の思いで3人の言葉を否定した。
すると。
「冗談だ、理樹」
「いっつじょーくですー」
「からかい甲斐がありますね、直枝さんは」
3人は笑いを噛み殺すような表情を浮かべてる。
えっと、これって。
「僕、遊ばれてた?」
「うむ、君は弄り甲斐があるからな」
来ヶ谷さんに追い討ちをかけられてがっくりと肩を落とした。
「わわっ、理樹くんがすっごい落ち込んでる〜」
「ははは……」
小毬さんの言葉に答える気力も沸かず、
僕は自分の机に辿り着くとそのままドカッと突っ伏した。
……朝っぱらからごっそり気力を奪われた気がするよ。
僕は溜息を吐きつつ、楽しそうにおしゃべりに興じる小毬さんたちを眺めるのだった。
そして昼休みの時間がやってきた。
朝の騒ぎ以外は何事もなく、平穏な一日が今のところ過ぎていた。
でもなんでだろう。
その平穏は僅かなモラトリアムでしかないんだろうなと感じるこの気持ちは。
「理樹。昼飯食いに行こうぜ」
いつも通り真人がお昼ご飯に誘ってきてくれる。
その傍らにはこれまたいつも通り無言で立つ謙吾。
だからいつも通りそれに僕は頷こうとした。
「待て理樹。今日はあたしらと一緒に食事をしよう」
「え?」
振り向くと鈴が仁王立ちで立っていた。
その奥ではいつの間に来たのか葉留佳さんを含めてバスターズの女子メンバーが揃っていた。
「なんだ、嫌なのか?」
「ふむ、理樹君は女子と食事をするよりも男子と食事をする方が好きと。
こんなに綺麗どころがいると言うのに少年の心は度し難い」
「個人的にはオーケーですが、相手が井ノ原さんというのがいただけません。
それに今日は出来れば来て頂きたいのですが」
「ふぇ〜、一緒に行こうよ、理樹くん」
「リキ、駄目ですか?」
「理樹くん、私らと食べましょうヨ」
6人にジッと見られて、思わず後ずさってしまった。
……これは、断れない気がする。
支援
「えーっと、真人、謙吾。そういうことだから」
「えーっ、そりゃないぜ、理樹」
「なんだとぅ!?」
思いっきり不満そうな顔をされてしまった。
「ごめん、2人とも。今度埋め合わせするからさ」
僕は2人に頭を下げた。
「くっそー、羨ましいぜ」
「まったくだ」
心底悔しそうな顔をする2人。
え?もしかしてメンバーの中に誰か好きな子がいるとか?
「なんだよ、オレも理樹と一緒に食いたいのに」
「理樹を奪われるとは何たる不覚」
「そっちっ!?」
思わずツッコミを入れてしまった。
……2人とも、なんか気持ち悪いよ。
あと西園さん。顔、赤らめないで。
「ふむ、そんなに言うなら2人も来るかね」
「「なに?」」
来ヶ谷さんの意外な言葉に2人は驚いたように顔を向けた。
「馬鹿2人もか」
「ああ、どうせなら手間は省いた方が良かろう」
「まぁ、そうですケドネ。理樹くんとの甘いひと時を邪魔される感じでなんだかなーと」
「だがあれでもバスターズの仲間なのだ。無碍にするのは可哀想だろう」
「そうだねー。真人くんも謙吾くんも仲間だもんね。私はおっけ〜ですよ」
そして小毬さんが同意すると、残りの面子も頷いた。
なんと言うか扱い酷いね。
「と言うことで来ていいぞ、2人とも」
「おう」
「ひゃっほー」
鈴の言葉に喜び踊る2人。
どうやらさっきのやり取りは全然気にしてないらしい。
「席がなくなるからさっさと来い。理樹もだ」
「え?」
見ればすでに他のみんなは入り口に移動している。
それを見て僕らは慌てて教室を出るのだった。
「ふぅー、上手かった。やっぱ理樹と一緒に食う飯は最高だな」
「まったくだ」
食事を終え、まったりとしたひと時の中、真人と謙吾が呟く。
……いや、僕のことを大切に思ってくれるのは嬉しいけどさ。
なんと言うかそう口にされると微妙にテンションが下がるな。
「理樹、ご飯粒が付いてるぞ」
学食で合流し、一緒に昼食を食べていた恭介にそう言われ、慌てて口元に手をやった。
「え?どこ?」
「ああ、そっちじゃない。ほら、ここだ」
恭介は僕に手を伸ばすと、ひょいご飯粒をつまみそのまま自分で食べてしまった。
「まったく、うっかりさんだな、理樹は」
「むぅ、子供扱いしないでよ」
恭介の言葉に思わず頬を膨らます。
「ぶほっ」
「のわーっ、みおちん鼻血ー!!」
「ぐっ、これは破壊力があるな」
「わわっ、ゆいちゃん大丈夫〜」
「お2人とも大変なのですっ」
何故か目の前が阿鼻叫喚と化していた。
「……きしょいな、お前ら」
そして理由は分からないが、鈴に冷たい目線を向けられてしまった。
ああ、恭介が落ち込んでるし。
謂れのない非難を鈴から浴びた数分後、復活した西園さんと来ヶ谷さんはコホンと咳払いをした。
「失礼しました」
「ふむ、すまんな柄にもなく取り乱してしまった」
「いや、まぁ、いいよ」
理由は気になるけど、聞かないでおく。
なんか怖いし。
「ああ、それが賢明だな」
「ちょっ、地の文につっこまないでよっ」
ああ、もう疲れるなぁ。
「それよりも理樹くん」
「ん?なに、葉留佳さん」
「理樹くんって、今日はもうチョコレート貰った?」
「え、チョコ?いや、まだ貰ってないけど」
そう言えば今年はまだ貰ってないなぁ。
何人か席の近くに来たけど、近づいた直後に何故かくるりと向きを変えて去って行ってしまった。
「そうなのか?珍しいな。確か去年は昼休みまでにそれなりに貰っていただろう」
「理樹は結構もてるからな。去年は3年生からと言う限定なら俺より貰っていたな」
「理樹君は年上キラーか。ふむ、分かる気がするな」
「分からないでよ、もう」
恭介と謙吾の話に便乗するように加わった来ヶ谷さんの言葉に思わずツッコミを入れた。
「…………………………なぁ」
「へ?」
重苦しく声を掛けてきた真人に思わず変な声を上げてしまった。
なんだろう……はっ、忘れてた。真人はそのこと知らなかったんだ。
「……理樹、お前去年チョコ貰ってたのか?」
「あ、そ、その……」
僕が返答に窮していると恭介が代わりに答えた。
「なんだ、知らなかったのか?こいつ結構もてるからな。去年も一昨年もそれなりに貰ってたぞ」
「こいつには敵わんがな」
さりげなく謙吾も加わる。
「えーと、真人」
なんと声を掛ければいいか分からない。
「オ……」
「お?」
「オレとお前の神聖なる一日に汚らわしいチョコを貰っていただとーっ!!」
「なにその言い回しっ!?」
今にも襲いかからんとする勢いの真人に対して逃げ腰になりながら叫んだ。
ああ、もうこのまま責め立てられるんだろうか。
支援
支援するぜ!
携帯から失礼。
投稿規制にひっかかりました。
というわけで今日のSS投稿は一旦やめます。
朝に時間があれば続きを投下するんでよろしくお願いします。
真人がチョコ欲しがるとかバレンタインは憂鬱とか、そういうイメージはなかったなあ
真人だって男の子なんだぜ
真人じゃなくとも理樹からのチョコは欲しい
真人はバレンタインだろうがクリスマスだろうが「筋肉が唸るっ、唸りを上げる!」っていってるイメージしかないな
真人は自分がチョコ貰えなくても、理樹が貰っても、それ自体には何も言わないと思う。
ただ、理樹があまりにチョコに一喜一憂していれば、「理樹が遠くに行っちまったぜ…」とか言って悲しみそう。
おまえら本当に真人好きだな
俺もだけど
529 :
ショコラ2:2008/02/23(土) 11:35:42 ID:LYXs1Q3w0
続き、投下します
「うっさいわ、ボケーっ」
「ぐえっ!!?」
鈴の飛び蹴りがいい感じに真人の首に決まり、派手な音を立てて崩れ落ちた。
ありがとう、鈴。助けてくれて。
そしてごめん、真人。今のは理不尽な攻撃だったよね。
「さて、話を戻そうか」
うわっ、スルーしたし。
と言うか来ヶ谷さんだけでなく、他のみんなも見なかったことにしたらしい。
「それで、理樹君は今年はいまだ貰っていないのだな」
「うん、そうだよ」
「そうか」
来ヶ谷さんは頷くと他のみんなに目配せをした。
なに、その計画通りみたいな顔は。
でももちろんつっこまない。疲れるから。
「では理樹君」
「なに?」
「そんな可哀想な理樹君にプレゼントだ」
「え?」
来ヶ谷さんの言葉に驚いていると彼女はどこからともなく
綺麗に包装紙で包まれた小さな箱を取り出した。
「あの、これって」
「ふむ、チョコレートだ」
「あ、ありがとう」
そう言えばチョコレートをバスターズの女子メンバーが作ってるかもって恭介が言ってたな。
朝の騒動ですっかり忘れていた。
「ふむ、喜んでくれてなによりだ。
嬉しすぎてひゃっほーと叫びながら裸で校庭を駆け回ってもいいぞ」
「しないよそんなことっ」
「なんだ、つまらん」
はぁ、疲れる。
「……ああ、それと恭介氏」
「ん?なんだ」
「君達にもこれをやろう」
差し出されたのは僕が貰ったものとは違う包装紙で包まれた三つの箱だった。
ぱっと見、僕が貰ったものより高級な感じがするなぁ。
「へー、悪いな。まさかお前から貰えるとは思わなかったぜ」
「なに、日頃の感謝の意を込めてた。それ以上の他意はない」
「だがありがたく受け取っとくぜ」
「うむ、すまんな」
いつものように涼しい笑顔で受け取る恭介と小さく礼を述べる謙吾。
そしていつの間にか復活していた真人はというと。
「うおっ、まさか生まれて初めて貰うチョコが来ヶ谷からのとは思わなかったぜ」
「なんだ、不満そうだな」
なんだったら返してくれてもいいんだぞ。そう言外に意味を込めているような口振りだった。
「い、いや、貰っとくぜ。ありがとよ」
「ふむ。素直なのはいいことだぞ。なにせこの私が直々に高価なチョコレートをデパートで探して
買ってきてやったのだ。味も保障付きだし喜んで食すといい」
その言葉に僕は驚いた。
まさかそんなしっかりとした物を買ってくるなんて。
「なんだ、理樹君。意外そうな顔をして。まさか私がこういうことに力を入れるのが
不思議だとでも言うのかね?失敬だな」
「い、いやその……」
図星を付かれて口篭ってしまった。
「ふふ、冗談だ。確かに去年までの私はこういう行事に女達が熱を入れるのか分からなかったからな。
だが今年は仲間がいるのだ。それに対して感謝の意を示すのはおかしいことではなかろう」
「うん、そうだね。……でもなんで僕のチョコだけ違うの?」
他の3人のチョコレートは同じ包装紙に包まれているのに僕のだけ包装紙も箱の形状も違う。
不思議に思っていると不意の顔を赤くし目を逸らされしまった。
「んー、まぁなんだ。見た目は多少彼らに渡したものより安っぽいが、味はいいはずだぞ。
……いや、初めてだったから売っている物より多少味は落ちる気がするから済まないとは思うが」
「え?もしかして手作り?」
吃驚して思わず尋ねてしまった。
「……不満かね?」
その驚き方が不服だったのか、多少不機嫌そうに来ヶ谷さんは聞き返してきた。
「ううん、そんなことないよ。ありがとう、来ヶ谷さん。凄く嬉しいよ」
本心からの感謝の意を込めて僕は頭を下げる。
「む……ええい、五月蝿い。黙って受け取れ」
感謝されるのが恥ずかしかったのか、不機嫌そうな声でそう言うと再びそっぽを向かれてしまった。
その様子が可愛くてつい笑みが零れてしまう。
「うわっ、姉御がそんな攻撃に出るとははるちんぬかったー。と言うことで今度は私からガイズに贈り物。
喜び咽て受け取りやがれいっ」
やたらテンションの高い口上とともに差し出されたのは三つの包み。
あれ?一つ足りないけど。
でもそんな疑問を口にする前にそれらの包みは僕以外の3人に手渡されてしまった。
「って、僕の分は?」
「やはは、理樹くん自分が貰えると思い込んでるなんて随分自意識過剰だね」
「え?あ……」
そう言われてみれば貰えないって可能性もあったんだ。
自意識過剰と言われればそうなんだけど、葉留佳さんから貰えないのは結構ショックだった。
「も、もう、そんなに落ち込まなくてもいいじゃない」
「あ、いや、ごめん」
「やはは、ごめんデスよ。冗談だってば。ちゃんと渡すしますヨ」
「え?」
「私が理樹くんに渡さないわけないじゃない。そんな薄情な人間見えるかーっ」
「ははは……」
テンション高いなぁ。
でも良かった。仲間外れにはされなかったらしい。
「と言うことでこれを進呈!贈呈!掌底!ずびしっ!!」
「ありがとう、葉留佳さ……え?」
受け取ったものを見て、お礼の言葉が止まってしまった。
不審に思った他のみんなも僕の手にあるものを見て固まる。
「あの、葉留佳さん。これ……」
最初に復活した僕が代表して尋ねる。
「ん?ポッキーだよ。見て分からないですかネ」
「いや、分かるけど、なんでポッキー?こういう時普通チョコレートじゃない?」
「だからチョコのポッキーだよ」
「あっ、本当だね〜。チョコレートがたっぷりかかってるね〜」
小毬さんがのほほんとした口調でポッキーの箱を見て呟く。
「いやいや同意しないで。なに、真人たちのもそうなの?」
包装紙に包まれてたから分からなかったけど、実はみんなポッキーってオチ?
「違うよー。あっちは普通のチョコレートですヨ。理樹くんだけ特別。意外性あっていいでしょ」
「いや、意外性はあるけどさ」
さすがに今までの人生でこれをバレンタインの贈り物として貰ったことはなかったなぁ。
どうにも苦笑しか浮かばなかった。
まぁ、葉留佳さんらしいと言えばらしいけど、欲を言えばまともなものが欲しかったかも。
「とまぁ、それは冗談でして」
「冗談なのっ」
思わず声を荒げる。
「あったりまえじゃん。理由もなくそんなことしませんヨ。……実はね」
「実は?」
「手作りチョコレート失敗しちゃったからその代わりー」
「そ、そうなんだ」
まともだ、まともな理由だ。
まぁ、代わりにポッキーを選ぶところが三枝クオリティなんだろうけど。
でもその言葉に新たに反応する人影が三つ。
「なぁ、三枝。もしかしなくてもこのチョコレートは手作りか?」
重々しい声で口を開いたのは恭介だった。
いやいやまさか。さっき手作りは失敗したって言ったよ。
「その通り」
「ええーっ!?」
葉留佳さんの言葉にまたも驚いてしまった。
「やはりか。包装の仕方が甘いと思ったからもしやと思ったが」
「てめぇ、失敗作食わす気だったのかよっ」
葉留佳さんの言葉に真人も声を荒げる。
その隣では謙吾も憮然とした顔を見せる。
「むぅー、酷いですヨ。別に失敗作って言っても食べれないもんじゃないもん。
ちゃーんと味見したよ。ただ、見た目が歪なだけだもん」
「そう、なのか?」
まだ訝しげに恭介はチョコの箱を見やる。
「私、料理は苦手だけど、壊滅的ってほどじゃなもん。
それにクド公や小毬ちゃんにもいっぱい教えてもらったんですヨ。
そりゃ見た目良くないから失敗と言えば失敗だけど、食べれないものを贈るような真似しないよ」
葉留佳さんの顔は少し悲しそうだった。
「恭介、謙吾、真人」
3人に訴えるように名前を呼ぶ。
するとそれに応えるように謙吾がおもむろにチョコレートの包みを開けた。
「謙吾くん?」
「ふむ、確かに食べられないわけではない。むしろ美味いと思うぞ」
「謙吾」
「……やはは、でしょ。やー、自分でも味はうまく言ったと思うんだよネ」
謙吾の言葉にすぐに元気を取り戻し、葉留佳さんは頭をかいた。
切り替え早いなと思うが、笑顔の方が断然似合うから別にいいか。
「でも味がいいならくれても良かったのに。むしろ味とか関係なく欲しかったかな」
「……えと、そう言ってくれるのは嬉しい、かな。……もしかして口説いてる、理樹くん」
「いや、そんなこと……」
「やはは、冗談冗談。でもそうだね。理樹くんには本当にお世話になりっぱなしだし、
いっつも迷惑掛けてるからね。だから中途半端なものは渡したくなかったんだ。
まっ、これでも女の子だもん。プライドってものがあるんですヨ」
「そっか。うん、ありがとう、葉留佳さん。嬉しいよ」
僕はそれを受け取り、ポッキーの箱を仕舞おうとした。
「Stop!!Just a moment!」
無駄にいい発音で葉留佳さんは僕の動きを止めると、持っていたポッキーの箱を奪った。
……傍らで凹んでいるクドの姿が見えたけど、とりあえず今は放っておこう。
「葉留佳さん、一体なにするの?」
僕の言葉に葉留佳さんはチッチッチッと人差し指を立てて左右に振った。
「これはね、ただ渡すだけじゃないんだ」
おもむろに箱を開けてポッキーを1本取り出す。
「えっと、なにを……」
「ふふん、実はこの行為もセットでのプレゼントになりまーす」
高らかに宣言すると、葉留佳さんはその持っていたポッキーのチョコのかかっていない方を咥えた。
「…………えっと、まさか反対側から食えと?」
コクリ
僕の言葉に小さく頷く葉留佳さん。……ってぇ!!
「ムリッ、絶対ムリッ!!そんな恥ずかしいことできるわけないでしょっ」
「むぅ〜」
僕の言葉に不満げな顔を作った。
「いやいや、駄目だよ。こんな衆人観衆の前でそんなことどこの罰ゲームかって……ってええーっ」
なんか泣きそうなんですけど。
いやいやここは心を鬼にしてでもね……。
「りひくんはわはひがひらい?(理樹くんは私が嫌い?)」
ポッキーを咥えながら寂しそうに葉留佳さんは呟いた。
……罠だ。絶対罠に決まってる。
良心にチクチクとダメージが来るけど、ここで妥協してはいけない。
「嫌いなわけないけど、駄目だって」
何とか全力で説得を試みてみる。
だが、他のメンバーが目の前にいるのにそんなことは無駄な労力だと言うことを失念していた。
「なんだ、しないのかね。理樹君も案外ヘタレだな」
「ですね。女性にここまでせさせて尻込みとは正直失望しました」
「リキ。女性に恥をかかせるものではないですよ」
「もう理樹くん、はるちゃんが可哀想だよ」
「理樹、メッだ」
「理樹。お前はそんなに情けない男だったのか?俺は悲しいぞ」
「男としてどうかと思うぞ、理樹」
「筋肉足りてねーな。それ、マッスルマッスル」
なんでみんな責めるのさっ。あと真人、それ分けわかんないから。
いや、それよりもここでやれと?みんな見てるのに?
「え、えっと……」
誰かに助けを求めるように周囲に首を巡らす。
すると何故か学食にいる周りの人間から責めるような冷たい目線で見られた。
ゾクッ
それどころか刺すような視線すら感じる。
なに?もしかして僕が悪いのっ!!
僕は小さく嘆息しながら葉留佳さんにへと向き直った。
「ん〜」
葉留佳さんは変わらずポッキーを咥えたまま待っていた。
……まっ、葉留佳さんのことは嫌いじゃないしキスをするわけでもないんだ。
何とか自分に言い訳すると覚悟を決めるように一度大きく息を吐いた。
「分かった、行くよ」
僕の言葉に一瞬葉留佳さんは目を見開くが、次の瞬間ギュッと目を閉じた。
ふぅー、緊張する。
心臓の音がやけに五月蝿い。
僕は覚悟を決め、葉留佳さんの肩に手をやった。
その瞬間、微かに葉留佳さんの身体が震えたが無視してそのままポッキーへと口を近づける。
そして……。
「シャク、シャク……シャクシャクシャクシャク……」
出来るだけ早く終わらせるように僕は可能な限り早くポッキーを食べ砕き進めた。
そして時間にしてほんの数秒後。
「シャクシャク……グッ」
葉留佳さんの唇に付く直前で更に力を篭めポッキーを折るとその勢いのまま軌道の外れるのだった。
「はぁはぁ……どう?ちゃんと食べたよ?」
勝利宣言をするようにみんなの方を振り返った。
て、あれ?なんでみんなそんな「うわっ、やっちゃったよこいつ」みたいな顔で固まってるのかな?
「……凄いな、少年。お姉さんビックリだよ」
「な、なんでさ」
「わたしたちの予想では一口、二口食べたところでギブアップすると思ってましたので」
「え?」
「と言うかあんなギリギリまでいくなんて思わなかったよ〜」
「ふっ、理樹。知らぬ間に成長したな」
「いやいやいや、口つけてないよ。直前だよっ。直前で回避したよっ」
さすがに唇が触れ合っていたら言い訳効かないだろうけど、今回は全く触れていない。
責められる謂れは全くないはずだよ。
「ならば葉留佳君の様子を見てみたまへ」
「葉留佳さん?」
そう言えばなんのコメントもなかったな。
そう思ってさっきから僕の肩口に顔を埋めている葉留佳さんに呼びかけた。
「もしもし、葉留佳さん?」
するとゆらりと顔を上げ、上気した顔で僕を見つめた。
「り、理樹くん、激し過ぎるよ……。私もう駄目、限界」
「ちょ、なにその意味深な言葉っ。そういう冗談止めてって」
「はぁはぁ……冗談じゃなくて恥ずかしくて顔も真っ赤で心臓も飛び出しそうなんですヨ……。
もっと直前で止めるとばかり思ってたのに、理樹くんって意外にエロいね……はるちん、壊れちゃう」
それだけ言うとふらふら〜と僕から離れると、先ほどまで座っていた席に座り突っ伏してしまった。
「理樹」
「なに、鈴」
「鬼畜だな、お前」
「う、うわぁぁぁーっ」
めっちゃ冷たい視線で言われて僕は頭を抱えて項垂れるのだった。
538 :
ショコラ2:2008/02/23(土) 12:24:49 ID:LYXs1Q3w0
一旦投下終了
投下規制ってどういった基準なんですかね。
SSが投稿しにくいってのはいやですね。
なんにもしてもSSに不慣れなもので妙に長ったらしくなってしまってすみません。
まだ完結にまで時間かかるのでご容赦を。
夕方辺りにショコラ3を投下します。
投下終了?
>はるちん、壊れちゃう
おぎおぎ
連投規制バイバイさるさんはおそらく葉鍵板では5連投で一定時間( >533-534見るに30分とか40分)
書き込みできなくなるというのががおレスレでの結論ですー
ご参考までに
>>541 452-474、481-502辺りは最大10連投までいってないか
543 :
ショコラ3:2008/02/23(土) 18:57:47 ID:LYXs1Q3w0
今度はレス番間違えないようにしないと。
ということで続きを投下です。
例によって、途中で制限に引っかかると思うんで、
そうしたら間を置いて投下します。
とりあえずショコラ3に関しては今日中に全部投下する予定です。
さるさんは時間と割合のはずだから他の人がそれなりに書き込んだら解けるはずですよ
「さて、リキ。次は私の番なのです」
クドがびしっと右手を上げて僕を見つめてくる。
「……」
「わふ〜、すっごいテンション低いのです」
「ああ、ごめん。つい、ね」
軽く溜息をつきつつ葉留佳さんの方を見やる。
当の彼女はと言うといつの間にか復活し、
ゲルルンジュースなるものを自動販売機で買ってきて悪戦苦闘しながら呑気に飲んでいた。
なんであんなにも落ち着いてられるかなぁ。
「リキ?どうされました?」
「あ、ううん、なんでもない。えっとそれでなんだっけ?」
「はい。実は私もちょこれーとを作ってきたのですよ」
「あ、そうなんだ」
「三枝さんには負けませんよ」
どうやらクドはかなり張り切っているようだ。
でもクド。できれば葉留佳さんのあれには負けてくれないかな。
「ふぅー」
思い出されるのは先ほどの悪夢。
どうやら葉留佳さんは残りのポッキーも同じように食べさせてくれるらしい。
ただし恥ずかしいから今度は周りに人がいない2人っきりの時に行うそうだ。
僕としてはもう勘弁して欲しいんだが、あっちとして譲れないらしい。
……2人っきりの方が僕は恥ずかしいんだけどなぁ。
「リキ、元気ないですね。ならここは私のしゃからーとぅ≪Шоколад≫で元気を出してください」
「しゃからーとぅ?……ああ、もしかしてチョコレートのこと?」
「いえす、あいどぅーです。と言うことでこれをどうぞです」
クドに渡されたのは少し大きな箱だった。
「開けていい?」
「どうぞどうぞ、です」
クドの了解を得て箱の中を開けると綺麗に切られたケーキが二切れ入っていた。
「チョコレートケーキ?」
「はい、そうなのです。昨日頑張ってとーると≪торт≫を焼いたのです。
なので恭介さんたちにもお渡ししますね」
取り出した箱は僕に渡したものと全く同一のものだった。
「八等分に切って二切れずつ入れてみたのです。少し大きすぎたでしょうか」
「え?ああ、そんなことないよ。ちょうどいい大きさだよ」
僕の言葉に良かったですとクドは笑顔を作った。
「ありがとう、能美。あとで食わせてもらう」
「ありがとよ、クー公」
「すまんな」
恭介たちもみんな満足そうだ。
クドは料理の腕がとても上手いからきっとこのケーキも美味しいんだろうな。
僕も寮に戻ってから食べようかな。
やっぱ夕食後かな。たまにはお洒落に紅茶でも入れて。
ああ、それならいっそ家庭科部の部室にお邪魔してクドに入れてもらうのもいいかもしれない。
そんなことを考えていると。
「あの、リキ」
「なに、クド。どうかしたの?」
「あのですね……お願いがあるのですが」
「お願い?まぁ、僕で叶えられることであれば」
僕が頷くとパアッと明るい笑顔を向けてなにかごそごそとバックから取り出そうとした。
「あっ、ありました」
「なに探してたの?」
「じゃじゃーん、まいふぉーくです」
「フォーク?」
僕が戸惑っていると、いきなりクドはテーブルの上に置きっぱなしになっていた
ケーキの箱にそのフォークを差し入れ、ケーキを一切れブスリと刺した。
「え?えと……」
クドの行動の意味が分からずただジッと見ていると、
彼女はそのフォークで刺したケーキを僕に差し出してきた。
「……えーっと、もしかして食べろと、そういうこと?」
まさかと思いつつ恐る恐る尋ねると。
「はい、そうなのです。食べてください、リキ」
ずずいとケーキを差し出してくる。
いや、ここで流されるわけには……。
「むむ、リキは手強いのです。……やはりここは伝統のあれを試さなくてはいけないのでしょうか」
「伝統?」
クドの言葉に首を捻っていると、彼女は気合を入れるように一度息を吸うと。
「あ、あ〜ん」
めちゃくちゃ恥ずかしい行動を取りなさった。
「く、クド、それは……」
「来ヶ谷さんが言ってました。人に食べてもらうにはこうするのが日本の伝統だと」
「く、来ヶ谷さんっ!!」
僕は後ろで可笑しそうに笑いを堪えている来ヶ谷さんに怒鳴りつけた。
「なんだね、少年。役得だろう?」
「そんなことないよっ」
「むぅ、ここはクドにあーんって言ってもらえるなんて俺は宇宙一幸せだぜ。
寧ろお前をあーんと食べたいぜ。くらい言い給え」
「言わないよっ」
僕は荒い息を吐きつつ答えた。
「なんと。君くらいの年頃の男子はみんなそういう願望を持っていると思ったが。
やはり少年の心は度し難い」
「僕の方が来ヶ谷さんの考えが分からないよ……」
本当にもう、今日は何度溜息を吐いたことか。
クドもいい加減騙されてることに気づこうよ。それとも、それを教えるのも僕の役割なのかな。
「リキ……」
「ん?」
「リキは私のケーキ、食べたくないのですか?」
「ええっ!?」
クドは今にも泣きそうな子犬のような目で僕を見てきた。
「駄目、ですか?」
いや、そんなしょんぼりとした顔をしないで。
なんか僕がすっごい悪い人間みたいじゃないか。
ちらりと周りを見るとまたしてもさっきと同じ状況。
やはり僕が悪いんでしょうか。
「リキ……」
潤んだ瞳でクドは僕を見上げた。
……………はぁ。仕方ない、覚悟を決めよう。
「クド……あーん」
「あっ……はい、です。あーん」
僕が口を開いたのを見て、クドは嬉しそうにチョコレートケーキを口の中に放り込んだ。
うん、美味しい。予想通りとても美味しいんだけど、めちゃくちゃ、いやくちゃくちゃ恥ずかしい。
そして数分間掛けて僕は赤い顔をしながらクドが差し出すケーキを全て完食したのだった。
「お疲れ様です、直枝さん」
どうぞと言いながら西園さんが水を差し出してくれた。
「ありがとう、西園さん」
「いえ、ここでへばってもらっては困りますから」
「え゛!?」
西園さんの言葉に僕は思わず動きを止めてしまった。
「なんて声を上げるのですか、傷つきます。……これでも繊細、なんですよ」
「いや、それは……」
顔を伏せ声を震わせる彼女の様子に慌ててしまった。
もしかしてあの西園さんが泣いてる?
いや、そんなことないと思うけど、もし万が一そうなら僕は学園一の悪者に決定だ。
「冗談です。そんなに取り乱さないでください」
「西園さん……」
がくりと力が抜ける。
あーもう。自分の騙されやすいところが嫌になる。
支援
「ふふっ、ですがそういうところが直枝さんのいいところですよね。と言うことでどうぞ」
「え?」
「チョコレートですよ。他の方のような奇抜な真似はしていませんのでご安心ください」
彼女の言うとおり手渡されたのは何の変哲もない普通のチョコレートだった。
でも今はそれがありがたいかも。
「ありがとう、西園さん。……手作り、なのかな」
若干つたない包装の仕方から判断して尋ねてみた。
「ええ、ばれてしまいましたか。お気付きの通り手作りですよ」
「そうなんだ」
西園さんも料理上手いからな。きっとその辺で売ってるものより美味しいかもかもしれない。
「それもわたしが生涯初めて異性の方に贈った贈り物です。かなり希少ですよ」
「はぁ……」
「本当は色々な思いを篭めて色々な物を篭めても良かったのですが、今回は見送りました」
何か凄く不穏当な発言があった気がする。
「なに、その色々な物を篭めるって」
「それは、色々ですよ。髪とかそういう類の。女の子はおまじないが好きなんです」
「…………………………冗談、だよね」
背筋がゾクッとしたんだけど。
怪談の時期じゃないのに西園さんってば人が悪いなぁ。
「おや、知らないのかね。ファンからアイドルや有名人宛へのチョコには高い確率でそういった類の
チョコレートが混ざっているというのは結構常識だぞ。
学校で人気の男子生徒に対し盲目的な女生徒が自らの唾液を混ぜたチョコを贈ったと言う逸話もあるな」
来ヶ谷さんの発言に僕だけでなく恭介と謙吾も固まった。
特に恭介はダラダラと汗をかいて顔が青くなっている。
ああ、そう言えば謙吾と違っていつもチョコレートは全部断らず貰ってたね。
「学校の話のほうは都市伝説という噂ですけどね」
「だが女性が男性に対して愛の告白する際にまじないに頼るというのはよく聞くがな」
自分はやらないがと前置きをしながら来ヶ谷さんは語る。
「に、西園さん。まさかこれ……」
途端にさきほど西園さんから貰ったチョコレートがとても妖しく不気味な物に見えてきた。
「言いましたよ、今回は見送ったと。
まぁ、わたしもおまじないに頼る気はないですから今後もそう言ったことはしないつもりです」
「は、はぁ……」
とりあえず安心していいのだろうか。
「でも忘れないでください。まじないは『呪い』と言う字を書くんですよ」
ふふっと意味ありげに微笑んで西園さんは席に戻ったのだった。
お願いだから爆弾落として帰らないでよ、ねぇ。
クドとか小毬さんがすっごく怯えているんでフォローをちゃんとして〜。
ちなみにあとで恭介たちに渡したチョコはお店で売っていたものらしい。
その事実に3人は安心していた。なんでさっ。
「ふえ〜ん、怖かったよ〜」
先ほどの西園さんの話ですっかり怯えて小毬さんはべそをかいていた。
「や、まぁ、ほらきっと冗談だからさ」
どうにかして慰めないと。
「でもでも……」
「さっきの話が本当だって証拠はどこにもないじゃない。よくある都市伝説だってきっと」
「そうかなぁ。……えへへ、そうだよね。じゃあ気にしないでおこう」
なんとか笑顔になってくれた。
良かった良かった。
「ですが嘘かどうかも分かりませんけどね」
「ふえぇぇ!!」
西園さんの言葉に再度小毬さんは身を縮ませた。
「ちょ、西園さん」
「すみません。思ったことを口にしただけですのでお気になさらず」
「ああ、もう」
時折西園さんはポロッと不穏な言葉を口にする。
まっ、そこが個性と言えば個性だけど時と場合を考えて欲しかった。
「え、えーと、その……そうだ、小毬さんはチョコって作ってきてないの?」
「ふにゅ?チョコ?あっ、持って来たよ〜」
僕の言葉に答えると、小毬さんは包みを四つ取り出した。
「変な物は入ってないから安心して〜」
「大丈夫。最初から疑っていないから」
そんな泣きそうな顔で言わないで。
僕は差し出されたチョコの入った包みを一つ掴もうとした。
「あっ、理樹くん。それは理樹くん宛のじゃないよ」
「え?」
「こっち」
彼女が差し出したのは一番奥に置いてあった包みだった。
それはなんと言うか……。
「でかいね……」
「はい、頑張っちゃいました。ということで、ゆー、受け取っちゃいなよ」
「う、うん。ありがとう、小毬さん」
ズシッとした重みを感じるなぁ。
「いえいえ」
「ちなみに中身は?」
「トリュフですよ」
「そうなんだ」
「そうなんですよ。もう、溢れる愛をビシビシって篭めて作っちゃいました」
「え?」
小毬さんの言葉に目を見開く。
えっと、それってつまり……。
「んにゅ?……って、ふあーんっ!!めちゃんこ恥ずかしいこと言っちゃった〜」
「ちょ、落ち着いてっ」
「あーん、思わず口走っちゃったというか、でも嘘って訳ではなく本心と言うか、その……。
不束者ですが宜しくお願いします」
「って、愛の告白すっ飛ばしていきなりプロポーズっ!!?」
ぺこりと頭を下げてそんなことを口にされ、僕は固まってしまった。
ど、どう答えればいいんだろう。そりゃいつも一緒にいると楽しいし、
好きか嫌いかで言えば断然好きだけど、でもそれとこの告白を受け入れるのとは別な気がするし。
それも恋人関係すっ飛ばして結婚だなんて……。
グルグルと僕自身も混乱して、どうすれば良いのか分からなくなっていた。
すると。
「まぁ、落ち着け、理樹君。コマリマックス、ちょっと我らと共に行こうか」
「ふぇ?」
「すぐ終わりますよ」
「そーそー、ちょちょーっとお説教をですネ」
「小毬さん、抵抗は無意味なのです」
「行くぞ、小毬ちゃん」
「ふぇ…………ふえぇぇぇぇぇぇっ!!?」
小毬さんが何か言うよりも早く、来ヶ谷さんたちは彼女を引きずって何処かへと行ってしまった。
そして取り残される男子4名。
「なんだったんだろう」
「……さぁな」
「ふむ、女とは怖いものだな」
「だな。オレの筋肉も恐怖で震えたぞ」
そして数分後、戻ってきた小毬さんはと言うと。
「ごめん、理樹くん。さっきのは忘れて。テンパってただけだから」
「はぁ……」
これでもかと言うほど憔悴した表情で言われ、僕は頷くしかなかった。
支援
支援
「さて、最後はあたしの番だな」
そんな小毬さんを尻目に鈴が胸を張って僕の傍に来た。
小毬さんは鈴の一番の親友だと思ってたんだけど、フォローする気はないんだろうか。
と思ったけどつっこまない。それをやると色々と面倒なことになると僕の中の何かが囁いていた。
「鈴もくれるの?」
「ん?不満なのか?」
「いやいや、そういうわけじゃないけど今まで貰ったことなかったからさ」
やはりみんなが作っているから自分だけ仲間外れにされたくないという感じだったんだろうか。
けれど鈴は僕の言葉に一瞬目線を逸らした後。
「いわゆるしんきょーのへんかと言うやつだ」
「そ、そうなんだ」
どうにも納得し切れなかった。
「と、とにかくつべこべ言わずに受け取れ」
バッと差し出されたのは拙いラッピングが施された小さな箱だった。
「その……クドや小毬ちゃんに教わっていっしょーけんめい作ったんだ。
だから、その……喜んでくれると嬉しい」
僕はその箱を受け取りジッと眺める。
きっと慣れないお菓子作りを必死に頑張ったんだろうな。
鈴に視線を移すと手に真新しい火傷の痕がいくつも見つかった。
そんな風に苦労して僕のために作ってくれたことが嬉しくて。
「ありがとう、鈴。本当に嬉しいよ」
気づいたらそんな言葉を口から発していた。
すると鈴は一瞬戸惑うような表情を見せた後、はにかんだ笑顔を見せる。
「理樹にそう言ってもらえてあたしも嬉しい」
彼女は頬を少し染めながら優しい口調で囁いた。
その普段見せない笑みに僕はドキリとしてしまうのだった。
鈴って女の子なんだよな。
失礼だと思いながらも、僕はその瞬間その事実を再認識したのだった。
「けどこれじゃあインパクトが欠けるな」
しかし次に鈴が漏らした言葉に僕の表情は引きつった。
「ちょっと待ってっ。このまま綺麗に終わろうよ」
「ヤダ。小毬ちゃんたちばっかりズルイ。あたしも何かしたい」
「いや、ズルイって……」
これ以上何をする気というのだろう。
想像できないし、想像したくもない。
そもそも鈴はなんでそこまで対抗意識を出すのか分からないし。
「うにゅ、恥ずかしいけどそうしよう」
何かを思いついたらしく鈴は僕を見上げた。
でも恥ずかしいって台詞が非常に僕を不安にさせるんだけど。
「とりあえず理樹、それ返せ」
「ええーっ!!なんでさっ」
「いいから、つべこべ言わずに」
「う、うん」
内心不満だらけだったけど、渋々受け取ったばかりのチョコレートを本人に返した。
すると鈴は箱を包んでいた包装紙を剥がし、中からチョコレートを一個取り出した。
それは少し不細工で、でもちゃんとチョコとしての形になっている代物だった。
「理樹」
「ん?」
「口開けろ」
「はい?」
「いいから、開けろ」
「う、うん」
いまいち納得いかなかったけど鈴の要求通り僕は口を開けた。
すると……。
「むぐっ!?」
突然指を口の中につっこまれた。
そして次に舌先に感じた感触は……甘み?
あっ、まさかチョコレートを直接口に入れたのか。
僕が驚いて目を白黒させていると、鈴はそんな僕の表情を見て楽しそうに笑った。
「お前、めちゃくちゃ面白い顔だな」
「むぅーっ」
口を塞がれて上手く言葉が発生ない。
「うまいか?」
「ん?」
「うまいかと聞いてるんだ?……それとも、まずい?」
……そういう上目遣い目線はどこで覚えてくるのだろう。
これじゃあ美味しくなくても美味しいと言わざるをえない。
……でも実際にところ舌に広がるチョコレートの味は、
あの鈴が作ったとは信じられないくらい美味しかった。頑張ったんだな、鈴。
と言うことで素直に観想を言おうと思ったけど。
「むぐぐ……」
声が出なくて答えられないし。
「ん?あっ、すまん」
僕が質問に答えられないことに気づき、鈴は慌てて僕の口から指を引き抜いた。
「……はぁ、いきなりああいうことは止めてよ、鈴」
「うん、すまん。……あの、それで、どうだった?」
頭を下げつつもチョコの出来が心配なのか、不安気に尋ねてくる。
そんなに心配なのかな。まぁいいや。
「美味しかったよ。甘くてホントに美味しかったよ」
僕は彼女の目をしっかり見て、素直に正直な気持ちを答えた。
「そ……そうか、あたしも実は予想以上に上手くできたと思ってたんだ」
僕の言葉に満足したのか、先ほどの不安そうな表情はどこかにいき、鈴はにこっと笑顔になった。
「えへへ、理樹に喜んでもらえて、あたしも嬉しいぞ」
「そう、なんだ」
できれば普通に食べたかったけどね。
本当に今日は恥ずかしい目にばかり合うな。
「りんちゃん、指にチョコレートが付いてるよ」
「え?うー、ほんとうだ。結構ついてる」
小毬さんの言葉に鈴が指を掲げると、確かにベタッと人差し指と中指にチョコが付着していた。
そりゃそうだよね。口の中突っ込みっぱなしだったんだから溶けて付くのは当たり前だ。
「はい、りんちゃん。お手拭」
小毬さんが気を利かせて近くから紙のお手拭を手に取り鈴に差し出した。
「んー、いい」
「え?なんで?」
チョコをつけっぱなしで午後の授業を受けるつもりなんだろうか。
さすがにそれは汚いと思うんだけど。
「これくらい舐めればいい」
「え、ちょっと!?」
鈴の言葉に驚いて止めようとしたが、それよりも早く鈴は先ほどまで僕の口に入れていた
自分の指を自らの口にへと含ませた。
「ちゅぱちゅぱ……ん、甘いな。確かにうまい」
自分の指をしゃぶり、指に付いたチョコを舐め取りながら鈴は感想を言う。
僕はその光景をただ呆然と見ていた。
「ぺろぺろ……それともこれは理樹の唾液が甘いだけか?」
「し、知らないよ、そんなのっ」
なにそんな純粋無垢な表情でとんでもないこと訊いているのさっ!!
僕はあまりの恥ずかしさに顔を赤面させてテーブルに突っ伏すのだった。
支援
「ふむ、理樹君の身悶える貴重な姿も拝めたし、そろそろ教室に戻るか」
来ヶ谷さんがニヤニヤとした表情を隠すことなくみんなに訊いた。
僕はというと精神ダメージが限界を超えて机に突っ伏したまま、反論する気も起きなかった。
うん、もう瀕死です。最後のがダメージでか過ぎた。
「おや、反応無しとは相当重症だな」
「ですね。やはり最後のあれが効いたのでしょうか」
「りんちゃんのあれ、凄かったものねぇ〜」
「ん?なんのことだ?」
……どうやら鈴は自分が何をしでかしたのか分かっていないらしい。
うん、願わくばそのままの純粋な鈴でいて。
ついでに叶うなら僕を巻き込まないで欲しい。
「……気にしないでいいよ、鈴。はぁー、そうだね、もう戻ろうか」
鈴に要らんことを吹き込まれたら敵わないので、
瀕死状態の気力を奮い立たせ僕はよろよろと立ち上がった。
もうさっさと戻ってしまおう。そしてできれば午後は平穏に過ごしたい。
僕の言葉に来ヶ谷さん他2名が一瞬不満げな顔を見せたものの、
すぐに頷きみんな席を立ち上がった。
「なぁ……何か忘れてないか?」
訂正。我らがリーダー恭介だけがその場から動こうとしていなかった。
「ん、なにが?何か忘れ物したっけ?」
みんなの方を向いて尋ねるも、みんな首を横に振る。
「恭介。みんな忘れ物ないって」
当然僕もない。
けど恭介は僕の言葉を聞こえてないのか、ある一点をジッと注視していた。
「鈴、忘れていることがないか?」
「あたしか?別にないぞ」
名指しされたことに驚きながらも、鈴は腕を組み憮然とした表情で答えた。
その答えにピシッと恭介が固まる。
なんだろう。鈴の答えがものすごくショックだったのだろうか。
でもなんで?
「お……」
恭介のリアクションの意味を図りかねて首を捻っていると、不意に動き出した。
「お?」
恭介の言葉を反芻するように鈴も呟く。
きっと何か重要なことを言おうとしてるじゃないだろうか。
そんな予感がして、僕は恭介の続きの言葉を待った。
「俺の……俺へのチョコはないのかーっ」
ズシャッ
僕は思いっきりずっこけた。
周りを見ると、みんなも同じように脱力していた。
唯一変わらず恭介を見下ろしていた鈴は一言。
「んなもんない」
にべもなく否定したーっ。
でも恭介は諦めることなくもう一度尋ねた。
「て、照れなくていいんだぞ。大好きなおにーちゃんへって渡してくれて構わんぞ」
「きしょいぞ。なんであたしがきょーすけにやらなくちゃならん」
「う、うわあぁぁぁぁぁ!!」
バッサリ拒絶されて恭介は心底落ち込んでしまった。
でもまったく同情が出来ないのはなんでだろう。
「り、鈴。あまったチョコとかないの?」
けど見捨てるわけにもいかず、とりあえず余り物のチョコでも渡せばいいかと考えたんだけど。
「んなものないぞ。お前へのチョコが完成したから、残ったチョコは全部食った。うまかったぞ」
「そ、そうなんだ。じゃあ恭介だけじゃなくて謙吾と真人の分もないの」
「そうなるな。なんだ、ダメなのか?」
「駄目と言うか……」
こう、もう少し配慮と言うか日頃の感謝の気持ちから作ってもいいんじゃないかなと。
「んー、変だな。あたしはバレンタインのチョコは一番大切なやつに渡すって聞いたぞ」
「え?」
「だから理樹にだけ作った。というかなんでみんなこいつらにも作ってるんだ?」
本当に不思議そうに鈴はみんなに尋ねた。
……とりあえず前半の台詞は今は聞かなかったことにしよう。
何か色々と面倒なことになりそうだし。
「えっとね〜、いわゆる義理チョコってやつだね。お世話になった人に渡すチョコのことだよ〜」
小毬さんが分かりやすく教えてくれた。
確かにそれが一番分かりやすい説明かもしれないね。
「そうなのか?……うにゅ、ならあたしも馬鹿兄貴たちに渡さなくちゃダメか?」
「ダメって訳じゃないけどこういうのは感謝の気持ちだよ。
りんちゃんが恭介さんたちにお世話になってるって思ったなら渡した方がいいんじゃないかな。
でもきっと貰ったら恭介さんたちも幸せになって、渡したりんちゃんも幸せになれるよ」
出た、幸せスパイラル理論。
でも確かに恭介は確実に幸せになるだろう。……それを見て鈴が幸せになるかは正直微妙だけど。
けど、鈴の心には何か響いたらしい。恭介の傍に行くと鈴は名前を呼んだ。
「きょーすけ」
「……なんだ?」
「あとで5円チョコを買ってやる。それで我慢しろ」
安っ。
鈴……買うにしてももうちょっと高いやつにしようよ。それに妙に偉そうだし。
恭介はどういう反応をするんだろうか。やっぱさすがに嫌がるよね。
「全然構わんぞ。むしろオーケーだ。ひゃっほーっ!!」
「いいんだっ?」
こ踊りしながら嬉しがる恭介に僕は呆れながらつっこんだ。
いやいや、なんでそこまで身体全体で嬉しさを表現するかな。
周りのみんな引いてるし。
「恥ずかしいんじゃ、ボケーっ」
そして身内の奇行に耐えられなかったのか、
鈴のハイキックが問答無用で恭介の後頭部に炸裂したのだった。
565 :
ショコラ3:2008/02/23(土) 20:43:34 ID:LYXs1Q3w0
以上で一旦終了です。
結構長いですが、今ので前振りが終わったとこです。
主題は実は次回以降。
それを書きたいがために書き始めました。
続きは夜かな。
恭介ww
待ってるよー
567 :
ショコラ4:2008/02/23(土) 23:22:19 ID:LYXs1Q3w0
続きを投下〜。
今回は6レスほどとちょっと短めです。
一応ラス前と考えています。
学食でのひと悶着も収まり、僕たちは恭介と別れて自分達の教室へと向かった。
ちなみに何故か葉留佳さんも付いてきてる。
まっ、いつも通りのことだけどね。
「しっかし、オレらと理樹の扱い全然ちげーな、おい」
先ほど小毬さんたちに渡されたチョコを玩びながら真人が呟く。
「まぁ、ある程度予想していたことだ。なんだ、お前も同じようなものが欲しかったのか?」
「そういうわけじゃないが……いや、そういうことなのか?」
「聞かれたところで困る」
真人の発言に謙吾が眉をひそめる。
「あー、なんつーかだな。何が言いたいかというと………理樹が遠くに行った気がして寂しくてさ」
「なるほど、それなら同意だ」
「ちょっ、なに謙吾も同意してるのさ。別に僕はどこにも行ってないってっ」
さすがに聞き捨てならなくて抗議するも、だってなぁと2人は顔を見合わせた。
「なんだね、理樹君はこんな美少女6人から貰ってなんとも思わなかったのかね?」
突然、来ヶ谷さんが顔を寄せて尋ねてきた。
一瞬ドキリとしたけど、それは表情に出さずに努めて冷静に答えた。
「あのね、来ヶ谷さん。そういうのは自分で言わないでよ。
それと確かにみんなから貰えて嬉しかったけど、だからと言って遠くに行くとか意味分からないし」
僕は溜息をつきながら答えたが、逆にみんなから溜息をつき返された。
「ちょ、なんで?」
「いえ、直枝さんらしいです」
「まっ、とりあえずそんなに貰えて羨ましいぞ、コンチクショーって感じで」
「いやいや、渡したの葉留佳さんたちでしょ。それに恭介とかと比べれば全然だよ。
結局僕が今日貰えたのってみんながくれた6個だけだし」
去年はもう少し貰えたんだけどなぁ。
心の中で軽く嘆息しつつ、教室へ入ろうとしたドアに手を掛けた。
「あの、直枝君」
その瞬間、僕は女の子の声に呼び止められてしまった。
「え、なに?」
振り返るとそこにはクラスメートの杉並さんが立っていた。
「えっと、どうかしたの?」
杉並さんの目は妙に真剣だった。
それに圧されて若干引き気味に僕は尋ねた。
「その……」
けれど続く言葉は彼女からなかなか出なかった。
何か言おうと必死に口を動かそうとするが、勇気が出ないのかすぐに口を閉じてしまう。
たぶん杉並さんが今からすることは彼女にとってみればとてつもなく勇気がいることなのだろう。
それを後押しするのは、たぶん僕の役目ではない。
……いや、僕だからこそしてはいけないことなんだろうと、直感的に思った。
「理樹、先に行くぞ」
彼女の雰囲気を察してか、謙吾が声を掛けて教室の中へと入り、
それを見てみんなも慌てて中にへと入った。
……ありがとう、謙吾。声を出さず僕はお礼を言う。
さぁ、これで一応は僕たちの周りに人はいなくなった。
だから彼女も決意したのだろう。一度大きく息を吸うとぐっと顔を上げ僕の顔を見つめた。
「な、直枝君」
「な、なに?」
「あの、その……これ」
「え?」
差し出されたものは先ほど学食で鈴たちに渡された包みに非常に似た代物に見えた。
「う、受け取って、直枝君」
「えっと……もしかしなくてもチョコレート?」
コクコク
杉並さんは顔を真っ赤に染めて首だけ縦に振って頷いた。
「あ、ありがとう」
受け取ると、彼女は顔を更に赤く染めて慌てた様子で教室の中に入ってしまった。
「……」
受け取ってしまった。
いや、それ自体が悪いとは全く思わないけどあれほどまでの思いをぶつけられたのは初めてだった。
「……7個目だな」
「!?……ああ、うん。そうだね」
いつの間にか近くに来ていた来ヶ谷さんに動揺しつつも、頷いた。
あー、ええとこれってやっぱあれだよね。
本命か義理か、さすがに僕でも気づく。
どうしたものかな。
そんな相談できない悩みに頭を悩ませているとふと来ヶ谷さんたちの声が聞こえた。
「ふむ、まさか渡すとは。彼女も強くなったと言うことか」
「なに冷静にコメントしてんデスカ、唯ねえ。あれ、効いてないんじゃないっすか?」
「いえ、効果は発揮していると思いますが、それを突破しただけだと思いますよ」
「わふ〜、恋する乙女は強いのです」
「はぇ〜、すごいねぇ〜」
「うう、先を越されて気がする」
いつの間にか鈴たち他の女子メンバーも来ヶ谷さんの側に集まり何かを話し合っていた。
なんだろう。こそこそと喋る彼女たちの話の内容に微妙に不穏な空気を感じ取れるのは。
気になる。本能が止めろと告げるが、でも聞かずにはいられない。
「えーと、何の話?」
僕は意を決して尋ねてみる。
けれどみんなは途端に話を止めた。
「少年は気にしなくていいぞ」
「い、いやでも」
「いやいや理樹くんには関係ない女の子のお話ですヨ?」
「直枝さんはそんな女性の領域に土足で踏み込む気ですか?破廉恥です」
「おまえ、変態だな」
「わふ〜、リキはへんたいさんなのですか〜」
「ふえぇぇぇっ!?理樹くんってそうなの?」
……凄い言われようだった。
これ、知らない人が聞いたら絶対通報されるよね?
「もう、いいです」
僕は深い溜息をついて自分の席にへと向かった。
席に戻ると何故かその前に真人と謙吾が立っていた。
「どうかしたの?」
僕の声に気づいたらしく2人は左右に移動した。
どうやら僕の机を見てみろと言うことらしい。
「一体なにが……」
そこで僕の言葉は止まってしまった。
昼食を食べに行くまでは何の変わりもなかった僕の机。
それが今、包装紙でくるまれた包みで溢れ返っていた。
……ごめん、さすがにそれは嘘。でも10個近くの包みが机の上に置かれていた。
「これなに?」
たぶん一緒に来た謙吾たちも分からないだろうと思い、他のクラスメイトに声を掛けた。
「え?ああ、それ。なんか下級生や他のクラスの女の子たちが置いてったぜ。
バレンタインのチョコレートだろうよ」
やっぱり。形状とかからもしかしてと思ってたけど。
「でも僕?謙吾とかじゃなくて?」
さすがにこういうことは初めてだ。
以前は直接手渡しされてたはずだけど。それも謙吾や恭介宛に渡してくれって物のついでに。
その質問に彼は謙吾の机を指差しながら答えてくれた。
「宮沢も宮沢で別の女子が置いてったぞ。ただあっちはいくつかのグループで来てたけど
お前んとこには一人で来る子ばっかだったな」
その言葉に謙吾は反応し、慌てて自分の机に向かい中を漁った。
すると案の定いくつものチョコが発掘されて謙吾は深い溜息をついた。
やっぱり謙吾は今年も全部返すのかなぁ。
そんなことを思っていると。
「ふぇー、理樹くんチョコいっぱい……」
「全部手作りっぽいですね」
「少年。君はいつの間に女の子をかどわかす男になったのかね」
「姉御ー、それはきっと元からですヨ」
「リキ?リキに近づくとてごめにされます?」
「ふかーっ!?」
「ちょ、なに人を犯罪者みたいに言うのさっ」
あまりの不穏な物言いに再度僕は抗議した。
なに?今日は僕が苛められる日ですか?
これで三度目だよ、もう。
支援
「まぁ、それは冗談として……ふむ、予想外だな」
「直枝さん。去年もこのぐらいの量を戴いていたのですか?」
「え?ああ、いや去年はもうちょっと多かったかなぁ……。
ただ、それって謙吾や恭介へ渡すついでって感じで個別にはそんなに貰ってなかったかも」
確かに恭介たちのついでではなく僕だけにって女子がいないわけでもなかったけど、
その大半が去年学園を卒業してしまった先輩たちだ。
だから今年はそれほど貰えるとは思っていなかったんだけど。
「うーむ、これは根本的な対策の練り直しが必要かもしれんな」
「そうですね。数は減ったものの、本来の目的は達していないみたいですし」
「というかパワーアップしてるってどういうことだーっ」
「それはリキが魅力的だからですよ」
「そうそう、理樹くんは優しい人だから」
「ああ、そうだな」
ワイワイガヤガヤ騒ぐみんな。
今度は褒められてる……のかな?なんか微妙だけど。
ふぅー、来ヶ谷さんじゃないけど、女の子の気持ちは度し難いよ、ホント。
「とりあえずこれどうしよ」
目の前のチョコレートに視線を移して溜息をつく。
直接渡されていないから、どこの誰のものか分かりづらい。
ホワイトデーのお返しって必要なのかな?
……去年はお礼だけ言って終わったし、今回もそうしようかな。
「うーん、よし」
チラッと鈴たちを見て小さく頷く。
とりあえずバスターズのメンバーと杉並さんくらいには返しておこうかな。
その時どう返さばいいかは悩みどころだし、篭められた意味に対しての返答も悩みどころだけど
その辺は一時保留ってことで。
「そうしよ」
方向性が決まった?ので席に着こうとすると、不意にクラスメイトが声を掛けてきた。
「直枝、お客さんだぞ」
「え?誰?」
「ん、3年の先輩。お前を呼んでくれってさ」
クラスメイトの言葉に頷き教室のドアのところまで行くと、前に何度か会話したことのある
女の先輩がいた。
「あっ、いたいた。直枝君」
「はい、なんですか?」
「これどうぞ。バレンタインのチョコだよ」
「え?」
チョコレートの包みを手渡されてしまった。
「す、すみません」
「ふふっ、やっぱり直枝君って可愛いね」
「は、はぁ……」
僕が動揺した声を上げたのを見て、微笑むと先輩はバイバイっと言って去っていった。
「……さて、どうしよう」
なんか背中の方から凄い視線を感じるんですけど。
方向としては鈴たちが喋っていた辺りから。
その後、昼休みが終わるギリギリまで何度か先輩達が訪ねては僕にチョコを渡し、
その度にキツイ視線を向けられて僕は溜息をつくのだった。
いや、いつもの恭介や謙吾に比べれば微々たる量だよ?
なんでそんな目で見られるのか訳が分からなかった。
575 :
ショコラ4:2008/02/23(土) 23:30:36 ID:LYXs1Q3w0
これで一旦終了です。
残りは明日以降に投下します。
たぶんそれでラストです。
容量結構使って申し訳ないですが、それまでお付き合いお願いします。
GM!
期待でおぎおぎしてきたぞ。
母性本能くすぐりまくりですネ
なんというおぎおぎ
これは間違いなくおぎおぎ
本命率高すぎw
期待してます
理樹、羨ましい奴め…(´・ω・`)
理樹って隠れ人気キャラって扱いだっけ?
本編では謙吾が一番人気だったのは覚えてるけど。
謙吾>恭介>>>>>理樹>>>>真人かね。
真人は義理チョコくらいもらってそうなキャラなんだがな、気さくなやつだし。
地味な人気はあるだろうけど、特別もてる描写はなかったはず
話の展開の予想だけど、このモテ展開には秘密があるとみた
そうだな
俺が思うに中性的というあたりになにか鍵が
普通に、エピローグ後の強くなった理樹だから、中性的な可愛らしさの中にも頼もしさがあって、メンバー以外からも前より評価されてるんじゃないかと思ったな。
理樹は年上受けしそうだよな。
関係ないけどエクスタシーであーちゃん先輩攻略したかったな……
せめて立ち絵ほしいよな…
綺麗な花は手の届かない所に咲くからこそ美しい
あーちゃん先輩は僕たちの心の中で微笑んでいるさ
あーちゃん先輩は実は恭介のクラスメイトで、恭介×あーちゃん先輩…
そんな妄想をしていた時期が私にもありました
あーちゃん先輩の名前は朝倉南か旭化成、もしくは朝青龍と予想してみる
ごめんなさい。
まだ出来ていません。
ちょっとあるキャラへ感情移入し過ぎて暴走してしまいました。
今修正しているとこですが、なんとか週末には間に合わせるように頑張るつもりです。
とりあえず30スレくらいいきそな雰囲気なんで、一部だけ投下します。
>>582,583
あとあんま期待しないでー。プレッシャーが。
(ん……喉、渇いたな)
5時間目の授業の終わり頃、喉の渇きを感じて唾液を飲み込んだ。
どうも昼のやり取りで緊張していたらしい。
(終わったら自動販売機に行くか)
授業が終わったらすぐに自販機に行こう。そう決めて後半の授業に僕は集中した。
「理樹、なんかして遊ぼうぜ」
授業が終わり先生が出て行った途端、真人が声を掛けてきた。
「ごめん。ちょっと喉が渇いちゃってさ。今から自販機に飲み物を買いに行きたいんだ」
「そっか。それじゃあしょうがねえな」
真人に謝りつつ、僕は中庭にある自動販売機に向かった。
「なに買おうかなぁ」
やっぱりポカリとかかな?
スポーツ飲料水は喉の渇きにはとてもいい。
「ああ、お茶ってのもいいかも」
最近クドの影響で日本茶のよさも再認識しているんだよね。
コーヒーとか紅茶にも新しいバスターズのお陰で興味を持ってきたし、悩みどころだ。
「その場に行って適当に決めればいいか」
まぁ、葉留佳さんと佳奈多さんが好きと言うドロドロのジュースは遠慮したいとこだけどさ。
そんなことを考えながらのんびりと自販機に向かって歩いていると、突然僕の名を呼ぶ声が聞こえた。
「はぁーはぁー……直枝さん。……良かった、追いついて……」
「え?ああ、笹瀬川さん。こんにちわ、どうしたの?」
振り返った先には朝ぶりに会う笹瀬川さんの姿があった。
息を切らせていることに少し驚いてしまう。
何か僕に用でもあるのだろうか。
「その、直枝さん……」
「ん?なに?」
少し震えた声。彼女らしくない仕草を疑問に覚えた。
どうかしたのだろうか。
「……」
僕の言葉に彼女は逡巡を見せた。
それもらしくない。僕が知る彼女は何でも明快に意見を言う子だったはずだし。
でも迷っているのもつかの間。
軽く深呼吸をすると笹瀬川さんはポケットからなにやら綺麗な包みを取り出した。
「あの、これを……」
「えっと……もしかしてチョコレート?」
昼休みに結構似たような代物をいくつも貰っていたので、彼女に差し出したものを見てピンと来た。
でも何故笹瀬川さんが僕にそれを差し出すんだろう?
一瞬疑問に思い、でもすぐに答えらしきものに思い当たった。
「ああ、そっか。謙吾へのチョコレートだね。渡せばいいの?」
自分の中で納得できる回答を見つけ、僕はそれを受け取ろうとした。
「ち、違いますわ。それは誤解ですっ」
「え?違うの?……ああ、そういうことか。謙吾に渡すのを手伝って欲しいてことでしょ。
一緒に謙吾にお願いすればいい?」
彼女の性格からして人づてにこういった物を渡すとは考えづらい。
きっと断られることを考えて僕に助力を頼みに来たんだろう。
なら善は急げだ。今から渡しに行こう。
「笹瀬川さん、行こう。大丈夫、僕もお願いするから受け取ってくれるって」
できるだけ彼女を安心させるように、笑いかける。
こんなにも努力している人が報われないなんて良くないよ。
謙吾自身の気持ちもあるから無理強いは出来ないけど、チョコを受け取るくらいしてもいいはずだ。
……でも、なぜか彼女からの反応はなかった。
「笹瀬川さん?」
どうしたのだろう。早く行かなくては休み時間が終わってしまう。
それとも放課後にするつもりなのだろうか。
「……違うんです」
「え?」
「違うんです、直枝さん。これはあの方へのチョコレートではないのです」
「え、でも……」
彼女が持っているものはどう見ても手作りのチョコレートだった。
謙吾に渡すのではなければ何なのだろう。
「あの方へのチョコはもうすでに渡しに行きましたわ。……結局受け取っていただけませんでしたけど」
「そんなっ」
思わず声に力が篭る。
そんな僕の様子に気づいたのか、ゆっくりと彼女は首を横に振った。
「それ自体はいいのですよ。受け取っていただけない、それは半ば予想していたことですから」
「でも、頑張ったんでしょっ。笹瀬川さんはあんなにも一途に謙吾のことを思っているのに……
なんでそんな風に言えるのっ」
……正直、自分の感情が分からなかった。
謙吾がいつもバレンタインのチョコを断っているのを知っているのに、何故こんなに憤りを感じるのか。
でも自分が変だと分かっていても感情を抑えることが出来なかった。
彼女に同情している?……違う。謙吾の行動に怒っている?……違う。
なのになんでこんなに感情が暴走してしまうのだろう。
グッ
「え?」
胸に押し付けられたものを見て僕は固まる。
それは先ほどから笹瀬川さんが持っていたチョコレートの包みだった。
「それならばきっとあの方に対するわたくしの気持ちにブレが生じてしまったためなんでしょうね」
一見悲しそうで、でも彼女の話す口調に後悔と言ったものは微塵も感じられなかった。
ただ事実を口にし、受け入れているような、そんな感じだった。
「納得しているんならそれでいいけど……」
それが一番重要だった。
もし落ち込んでいるのを無理に冷静に振舞っているのなら、それの方がもっと嫌だから。
「ええ、納得していますわ」
「そっか。それならいけど」
「ふふっ、直枝さんは本当にお優しいですね」
嫋やか笑みを浮かべる彼女に思わず僕は見惚れてしまった。
「……別に、そんなことないよ」
だからだろうか。そんな気持ちを彼女に知られたくなくて口調が少しぶっきらぼうになったのは。
でも彼女は気にした風もなく微笑んだままだ。
うー、なんか恥ずかしいな。
「とりあえず、さ」
押し付けられたままのチョコレートの包みを、笹瀬川さんの手ごと掴んだ。
「え?」
僕の行動に目を見開いて笹瀬川さんは驚くが、構わずそのまま彼女に押し返す。
「分かったからさ。笹瀬川さん。誰か宛のものをこういう風にしちゃダメだよ」
きっと僕なら嫌だ。
さっきの包みは若干歪んでしまっている。
渡したい相手に渡した結果、こうなったのなら良いけど、
赤の他人に押し付けて形が歪んでしまうのは良くない。
そう思ったから窘めたんだけど、何故か彼女に深い溜息を吐かれてしまった。
「ふぅー、直枝さん」
「なに?」
「これはあなたへのチョコですわ。あなたのための」
一瞬彼女の言葉の意味が理解できなかった。
そして徐々に理解できて来ても信じられなかった。
「……僕の?」
「そうですわ」
再度、彼女は僕の胸にチョコレートを押し付ける。
そのままそのチョコをジッと見つめる。
「本当なの?」
「当然ですわ。でなければ差し出したりしませんわよ」
「あっ……」
言われてみればそうだ。
彼女は僕に声を掛けてこれを渡してきたんだった。
それを勝手に謙吾宛だと勘違いしたから変になった訳で、彼女は最初から僕に宛てて渡してたんだ。
「でも、なんで……」
「ふ、深い意味はありませんわ。ただ直枝さんには度々助けられていますから」
顔を僅かに紅潮させて彼女は視線を逸らせた。
そういうこと、か。
でも助けられたって言われてもなぁ。
「別に大したことをしているつもりはないんだけど」
本当になんでもないことだ。
あれぐらいのことで感謝をされても逆に困ってしまう。
「い、いいではないですか。それにこれはいくつも作ったうちの一つに過ぎませんから」
「そ、そう」
「ええ。…………あの、それともご迷惑でしたでしょうか?」
途端に彼女の表情が曇る。
その変化があまりにも大きくて、僕は罪悪感を覚えた。
何故そこまで彼女が落ち込むのかは分からない。
でも彼女にそんな表情をさせたくはなかった。
「そんなことないよ。嬉しいよ、笹瀬川さん」
受け取ったチョコの包みに少しだけ力を込めて握り僕は頷いた。
そう、戸惑いはしたけどその気持ちに嘘はなかった。
僕の言葉に満足したのだろうか。
笹瀬川さんの表情はすぐさま明るいものにへと変わり、安堵の表情を見せた。
「良かったですわ」
その笑顔はとても綺麗だった。
やっぱり、女の子は笑顔の方がいいよね。
「……あ、あのところでその……」
「ん、どうしたの?」
急に歯切れが悪くなったので僕は首を傾げた。
何かあったのだろうか。
「い、いえその……そろそろ離していただけないでしょうか?」
「離す?」
何のことだろう。
「い、いえ、その……直枝さんがどうしてもと仰るならわたくしもやぶさかではありませんが、
こういったことはもっと仲を深めてからであって……」
「???」
彼女の言葉は全く要領を得ない。
一体なにを言いたいのだろうか。
それに喋るたびにどんどん顔の赤みが増すのはなんでだろう。
「その、さすがのわたくしも恥ずかしいのです。……お、お願いですから手を……」
「ん?」
「手を離していただけないでしょうか」
「手?…………うわっ、ご、ごめんっ」
僕は自分の手を見つめ、チョコの包み後と彼女の手を握ったままであることに気づき慌てて離した。
なんてことをやっちゃったんだろう。
「ご、ごめん。本当にごめんなさい。僕全く気づかなくて」
何度も何度も僕は頭を下げた。
本当に申し訳ないことをしてしまった。
「い、いえ、そんな……わたくしは気にしていませんわ」
「でも……」
「本当に全く。……その、寧ろ嬉しかったというか……」
「え?」
「い、いえ、なんでもありません」
耳まで真っ赤にして笹瀬川さんは俯いてしまった。
う、うーん。意味はよく分からなかったけど、怒っているわけではないらしい。
「と、ともかくわたくしはこれで先に戻りますね」
「あ、うん。じゃあね、笹瀬川さん」
「は、はい。お先に失礼いたしますわ」
まだ赤みの残った顔のまま優雅に会釈をすると、笹瀬川さんは校舎へと向かって行ってしまった。
「……はぁ〜、緊張した〜」
彼女の姿が見えなくなったところで大きく息を吐いた。
なんて恥ずかしいことをしてしまったんだろう。
彼女は気にしてないと言ってたけど、さすがに女の子の手を握り締めたままってのはどうかと思う。
緊張で更に喉が渇いてしまった……ってああ、そうだ。
僕はここの飲み物を会に来たんだった。
「だいぶ時間がたった気がするけど今何時だろう」
慌てて腕時計を見るともう飲み物を飲んでいる時間はなかった。
というか早く戻らなくては6時間目の授業に遅刻してしまう。
僕は飲み物を諦めて、慌てて校舎に向かって走るのだった。
「よう、遅かったな、理樹。飲みもんは買えたか……って、なんだそりゃ」
席に戻ってすぐ真人が声を掛けてきたけど、僕が手に持っていたものをみて怪訝そうな声を上げた。
まぁ、そうだよね。
飲み物を買いに行くと出て行って、どう見ても飲み物に見れないものを持って戻ってくれば、
そりゃ真人でなくても疑問に思う。
だから僕は正直に答えた。
「えーと、チョコレートだよ。笹瀬川さんからいつものお礼だって」
僕が答えた途端。
「なにーっ!?」
「ええーっ!?」
「なんですと?」
鈴、小毬さん、クドが慌てた様子で近寄ってきた。
ああ、その後ろには来ヶ谷さんと西園さんもいるし、謙吾も興味深そうにこちらを見ている。
「理樹、そりゃホントか?」
「う、うん」
「な、なんでざぜんだぜん子が……」
「いや、笹瀬川佐々美さん。名前ちゃんと言おうよ。
……えーとね、いつもお世話になってるお礼だって」
「え、で、でも……」
僕の答えに小毬さんは不服なようだ。
でも事実だから仕方ない。
「本当だって。いくつもある義理チョコの一つらしいよ」
僕の言葉に今度こそ小毬さんは明確に否定の態度を取った。
「それはありえないですよ。だってさーちゃんは去年は謙吾くん一筋でチョコレート作ってたもの。
全ての気持ちをそれに注いでるって感じだったし」
「で、でも……いくつか作ったうちの一つだって言ってたし」
そう、彼女は確かにそう言って僕に渡した。
「直枝さん。笹瀬川さんは作ったと言われたのですね?渡したではなく作ったと」
「え、あ、うん。そうだけど、それがどうかした?」
「いえ、なんでも」
そうは言っても何か気づいた顔だ。
来ヶ谷さんも同様で何か考えついたようだ。
「理樹君。一つだけ確認したいのだがその時笹瀬川女史はどのような様子だったか?」
「え?笹瀬川さんの様子?……えっと……」
あの時の彼女の様子を思い浮かべる。……そう言えば。
「妙に自信なさ気だったかも。彼女らしくなくてちょっと気になってたんだ」
「ふむ、他には?」
「え?えーと、ああ、そう言えばなんで僕にくれるのか聞いたとき、何故か顔を赤くしてたっけ。
あれもよく分からなかったな」
もっともそういう変化も新鮮で可愛らしかったけど。
「ふむ、そう言うことか。なるほど、参考になったよ」
来ヶ谷さんは納得したように何度か頷いた。
「させ子が、まさか……」
「わふ〜、予想外の展開なのです〜」
「ふぇ〜、さーちゃんが……」
鈴たちも様子が変だ。
「何が一体どうしたの?」
訳が分からない。
でも誰も僕の質問にちゃんと答えてくれなかった。
「ふむ、なるほどな」
「謙吾」
唯一謙吾だけが反応を示してくれた。
「何故か去年と違って今年は受け取りを断りやすかったと思っていたがそういうことだったか」
「え?断りやすかったって、チョコレートのこと?」
「うむ、去年はかなりしつこかったからな。断っても何度か会いに来られて大変だったな」
謙吾は喋り終えた後、鬱陶しそうに溜息をつく。
その瞬間思い出す。
笹瀬川さんが謙吾へのチョコを受け取り拒否されたと伝えた時の表情を。
彼女自身は納得していると言ってたし、それに嘘はないんだろうけど。
「謙吾。例えそう思っていたとしても口にするもんじゃないよ」
そう。納得していたとしてもきっと傷つく。
渡したいと言う気持ちに嘘はなかったのだから。
僕の声に怒気が含まれているのに気づいたのか、謙吾は真剣な表情を浮かべた。
「……そうだな、すまん。渡してくれる者達の気持ちも汲むべきだったやもしれん」
素直に彼は頭を下げた。
「うん、謙吾なら分かってくれると思ったよ」
それからごめん怒ってと僕も頭を下げる。
でも謙吾は気にするなと笑い言葉を続けた。
「なるほど、笹瀬川がお前にチョコを渡した理由がよく分かった」
「え?それはどういう……」
「いや、なに。彼女も気づいただけなのだろう。俺よりもお前のほうが断然魅力的な男だというのがさ」
「はははっ、なにそれ。おだててもなんにも出ないよ」
謙吾の言葉に思わず噴き出してしまう。
何を言っているのやら。
僕なんかよりも謙吾たち他のみんなの方がずっと魅力的なのは僕自身よく分かっている。
「ふっ、本当のことさ。なに、気づかないところもまたお前らしい」
謙吾は優しげな表情を向けると、そのまま笑いながら自分の席に戻ってしまった。
そして直後、休み時間の終了を告げるチャイムが鳴りみんなもそれぞれ席にへと戻ったのだった。
600 :
ショコラの作者:2008/02/29(金) 00:40:08 ID:QCPeabMbO
携帯から失礼します。
これで一旦終わります。
投下時は投稿規制に引っ掛かるんじゃないかとびくびくしながら投下してました。
結局あとがきで引っ掛かったわけですが。
最後の話は確実に引っ掛かる長さなんで、投下時は気長にお待ち下さい。
これだけまっすぐなハーレムは久しぶりだなー、さささを入れるのは予想外だった。
次は佳奈多と古式かね?
これは実にエクスタシーなルートw
いいよいいよーw
ささみかわいいよささみ(*´∀`*)
最後の謙吾のセリフがガチホモルートのフラグじゃないことを祈りつつ
GJです
エクスタシーのささみが楽しみすぎるだろ
何だか総当たり(ヒロインと男三人)させてみて浮かんだのを書きなぐる。
真人と葉留佳(理樹と鈴が付き合っている設定)
「やはーガイズ!……ってあれ?真人クンだけ?」
三枝葉留佳はいつものよう、突然にあらわれる。突然ゆえに、目的の人物には会えなかったようだ。
「んだよ、俺だけじゃ悪いかよ」
代わりに悪態をつく男が一人。
「んー?別に?あ、理樹クンに辞書返しといてくれるかな?
あと、マフィン作ったんだけど食べる?」
しかし葉留佳は気にする様子もなく、辞書とマフィンを差し出す。
「おー、サンキュ!……理樹なら、出掛けてる」
少し言いにくそうにしながら真人が告げる。
今日は日曜日、目的の人物――直枝理樹は出掛けているらしい。
言いにくそうに言った理由に思い当たり、葉留佳は苦笑する。
真人の気遣いにも、苦笑してしまった。
「そーだよねぇ、理樹クンは鈴ちゃんとデートだもん……ネ」
葉留佳が理樹に好意を抱いているということを真人は知っている、
しかし、理樹は鈴と付き合っている。
葉留佳はそんな二人をひやかしたり、からかったりしている。
多分、落ち込んでいる内心を悟られないように。
ただ、ふっとしたときに少し影が差す。
「……三枝、」
「あは、ごめんごめん暗くして!」
ただ、その影はすぐに消えて、いつもの葉留佳に戻る。
真人は初めて見る、その影。
607 :
その2:2008/02/29(金) 21:30:48 ID:+n7MVVu9O
「気にすんな、筋肉わけてあげれりゃあ元気も出るんだろーがな」
笑う葉留佳に答えるように真人も笑う。
ふ、と葉留佳の頭がゆらぐ。
こつん。
真人の胸板に葉留佳の頭があたった。
ふわりと柑橘系のにおいがする。
「……三枝?」
「やはは、筋肉はわけてもらえないけど、
こーしてれば真人クンのパワーぐらいなら貰えるかナ?なんて思いまして」
「お、おう」
葉留佳は少し目を閉じる。
その表情はどうなっているのだろう。
真人は動くわけにもいかず、ただじっと時が過ぎるのを待つ、
突然のことにただ驚いていただけかもしれない。真人が知っている三枝葉留佳という女の子は、こんな風に弱気な声などは出さない。
ただ突拍子のない行動だけ、いつものまま。
少しの、静寂。
「……うんうん、なんだか元気になったよ!じゃ!」
葉留佳は無理矢理笑ったような顔を見せ、さっさと部屋を後にしてしまった。
「……」
やりきれない気持ちを抱きながらかじったマフィンは、マーマレード特有の苦い味がした。
以上。
色々ありえない上、なんか消化不良になってしまった。
読みにくかったらすまない。
ほかにも謙吾とクドとか浮かんだんだがまとめる力がねぇOTL
そしてやっぱ美魚ちん関連が浮かばないっていう。
>>600 ささ子が可愛すぎる。
手を握っているシーンににやにやが止まらねぇw
GJ!!
なんという甘酸っぱさ
また、なにか思い浮かんだら是非投下を
俺の筋肉が真人だったらいいのに
俺の真人が筋肉だったらいいのに
筋肉の真人が俺だったらいいのに
真人の筋肉が俺だったらいいのに
俺が真人だったらいいのに
俺が真人だ!!
俺が筋肉だ!
お前らは刹那Fセイエイかww
真人がガンダムだ
真人は筋肉の嫁
真人は俺の嫁の筋肉
621 :
sage:2008/03/02(日) 07:25:43 ID:cDJG+1qC0
俺は真人の嫁の筋肉
筋肉は嫁の真人の俺
それは、私こと来ヶ谷唯湖が暇つぶしにネットサーフィンなどに興じていたときのことだ。
アドレスバーに文字を打ち込む。
http://… key.visualarts.gr.jp/diary/2008/02/post_1.html…と。
恭介氏に教えられたアドレスだ。
曰く、『こいつらなかなか面白いことをやってるぜ、見てみろよ』とのことだ。
若干の読み込み時間の後、ページが表示される。
[新商品開発日誌|不定期スタッフ日誌|Key Official Home Page]
そこにはこんな内容が書かれていた。
『Sよりエージェント トノッチへ
指令だ。ある人物から「カラムーチョとチョコを同時に食べると超ウマ!」という噂を聞いた。
今日の昼にでも、「ポテトスナック×チョコ」の組み合わせが本当にイケてるのか何種類か買って本当なのかどうか検証するのだ。
以上。』
…何をやっているのだ、この連中は。
新商品開発日誌などと言いつつ、新商品とは全く関係ないではないか。
とは言え、これは確かに恭介氏の喜びそうな内容だ。
…まさか恭介氏、リトルバスターズでこの真似をしようなどと言い出さんだろうな?
コマリマックスあたりならポテトスナックもチョコレートも常備していそうなものだからな、実現性は高い。
…その時は容赦なく止めるぞ、恭介氏。
しかし、ふと思ったのだが…
コマリマックスは、ポテトスナックもチョコレートもよく食べている。
だが何故だろう、コマリマックスのイメージとしてはポテトスナックよりチョコレートの方が正しい気がする。
やはり、色々な意味で『甘い』イメージがあるからだろうか。
ふむ、ではコマリマックスをチョコレートと仮定しよう。
ならば、ポテトスナックはどうだろう?
ディスプレイに視線を戻すと、最初に目に飛び込んできたのは、のり塩味のポテトチップスの写真。
のり塩… 和風な味付けだな。
和風と言えばやはりクドリャフカ君か。
いやしかし、以前に美魚君が大量の海苔を持っているのを見たこともあるな。
…まあいい、クドリャフカ君と美魚君の二人でのり塩、ということでいいだろう。
そこまで考えて、はたと彼らがやろうとしていることを思い出す。
『ポテトスナックとチョコレートを同時に食べてみる』…
のり塩とチョコレートを同時に食べる…
クドリャフカ君と美魚君とコマリマックスを同時に食べる…
「がはっ!」
その時、私の脳裏に浮かんだ光景は何と言うかもう、おねーさん的にクリティカルヒットだった。
い、いかん、鼻血が…。
クールダウンするために、丸めたティッシュを鼻に詰めつつ、続きを読むことにする。
先程ののり塩の隣に写っているポテトチップスの袋。
その袋にはこう書かれていた。
『しょうゆマヨ』
しょうゆ=佳奈多君。
マヨネーズ=葉留佳君。
チョコレート=コマリマックス。
これらを同時に、食べる。
「ぶはあっ!!」
先程以上に衝撃的な光景が浮かぶ。
ただでさえ姉妹丼は強力だというのに、さらにコマリマックスも一緒だと!?
おねーさんとしてはやっちゃうしかあるまい!
ぐっ、と手を握り締める。
その手にぼたぼたと、何かが落ちてくる感触。
…私自身の鼻血だった。
鼻血は先程より激しく噴出し、鼻に詰めたティッシュも飛んでしまっている。
…というか、我ながらこの出血量はやばくないか?
鼻血で失血死、などというみっともない死に方はしたくないぞ。
私はいそいそと鼻にティッシュを詰めなおし、ディスプレイに視線を戻した。
のり塩、しょうゆマヨと来て、最後のポテトチップスの袋。
それは、この企画のメインらしい、カラムーチョだった。
カラムーチョか…
カラムーチョと言えば辛い…
辛いと言えばキムチ…
キムチと言えば私…
「なにっ、カラムーチョって私かっ!?」
自分でも意味不明なことを口走っていた。
カラムーチョとチョコレートを一緒に食べる…
私とコマリマックスを一緒に…
絡み合い、混じり合い、蕩け合い、ひとつになってゆく私とコマリマックス…
「―――――っ!!!」
もはや声も上げられなかった。
ただ片手で鼻を押さえて俯き、もう一方の手で机をバンバンと叩いていた。
やがて、少し落ち着いた私は顔を上げ、大きく息を吸い込む。
その目に先程まで読んでいた続きが飛び込んでくる。
『自分「あれ、結構いけますよ」
おりと「ほんまや。割といける」
しのり「でしょ!?」』
割といける、どころではないだろう!
むしろこう言うべきだ、完璧だと!
『おりと「でも別々に食ったほうが美味いな」
自分「別々のほうがいいですね」』
………
「茶番だあぁぁーーーっ!! 折戸・都乃河あぁぁぁーーーーーっ!!!」
>>628 乙w
おもしろかったぜ。
姉御のノリがなんかバカ二人に近い感じだw
>>628おつ
わろたw
普段こういうのあんまり読まないんだけど、ちょっと気に入ったわw
>>628 おねーさん妄想大暴走ですなw
で、おねーさんが理樹君に攻められるえっちぃのはまだですか
1〜2スレ以来ほとんどなくてもう禁断症状が
どうも、こんばんわ。
ショコラを書いてる者です。
作品はなかなか終わらなくてちょっと申し訳ないので一本別作品を書きました。
題材は3月3日で美魚SSです。
放課後、珍しく野球の練習がなかったので僕は西園さんと一緒に下校することにした。
「こうやって二人で帰るのは久しぶりですね」
「そうだね。時間もあるしどっか行く?」
「デート、ですか?日曜も行きましたけど」
確かに日曜日に駅前のデパートでウインドウショッピングをしたり映画を見たりしたけど。
「そうだけど平日も西園さんと一緒に過ごしたいなって思ってさ。……ダメかな?」
「え?い、いえ。そんなことはない、です……」
頬を朱に染めて、僅かに顔を伏せた。
やっぱり西園さんの恥ずかしがる表情は貴重だけど、それだけに可愛いな。
「それじゃあどこ行こうか。今日は3月3日、ひな祭りだし、それに因んだとこがいいよね」
「いい考えだとは思いますけど、因んだところと言ってもどこがありますか?」
「え?」
思わず言葉に詰まってしまった。
そう言われたらなにがあるだろうか。
「も、桃の木を見に行くとか?」
「安易過ぎますし、なにより遠出しないといけませんよ。……休日だったらいいんですけどね」
「そっか、確かに近くにはないもんね。……じゃあ、どうする?菱餅とかひなあられでも食べに行く?」
僅かばかりの希望を込めて尋ねてみるけど、西園さんは小さくため息をついた。
「食べ物ばかりですね。神北さんじゃないんですから」
「まぁ、そのほら、男にとってはひな祭りっていったらそのくらいのイメージしかなくて」
真人と謙吾なんてひなあられの大食い競争とかしてた記憶があるな。
「直枝さんなら女の子に混じって雛人形を飾るなど、ひな祭りをお祝いしていても違和感ないのですが」
「違和感あるよっ!」
なにを言い出すのかなこの子は。
でも西園さんは何か妄想しているらしく僅かに恍惚とした表情を浮かべていた。
「あの……西園さん?」
僕は遠慮がちに話し掛けた。
「あっ、すみません。つい幸せな想像を」
「あ……いや」
幸せだったんだ……。
「直枝さん」
「ん?」
「私、直枝さんが女装して恭介さんと浮気されるなら許しますよ。むしろ応援してしまいそうです」
や、なに嬉しそうに言うかな。
「あのね。僕が好きなのは西園さんだけだよ。君のことが一番大切だから浮気なんてしないよ」
ホント、なにを言ってるのやら。
妄想はいつものこととはいえ、浮気なんてするはずないじゃない。
「…………相変わらず直枝さんは恥ずかしいことを平気で言いますね」
西園さんは耳まで真っ赤になっていた。
「そ、そう?恥ずかしいこと言った自覚ないんだけど」
ただ気持ちを正直に伝えただけなんだけど。
「ふぅー、本当に天然で女殺しですよね」
「え?」
よく聞こえなかったんだけど。
「いえ、お気になさらず。それよりも3月3日でしたら別の意味合いもあるので、
そちらに因んだことをしませんか?」
「あ、うん。いいけど」
僕が頷くと西園さんは嬉しそうに笑顔を向けた。
いったい何をする気なんだろう。
「それでは一旦普段着に着替えてから私の部屋に来て下さい」
「部屋?いいけど、僕行けるのかな」
仮にも女子寮なのに。
「大丈夫ですよ、直枝さんなら」
そう言うと西園さんは楽しげに寮に戻ってしまった。
……考えても仕方ない。
「なんとかなるか」
そう言い聞かせて僕も一旦自分の部屋に戻るのだった。
で、着替えて女子寮に向かったんだけど。
「普通に来れてしまった」
なんの妨害もなく西園さんの部屋の前まで来ることができてしまった。
と言うか絶対防衛ラインを守ってるはずの女の子たちに見送られるおまけ付きだし。
「はぁー、まぁいいや。とりあえず呼ぶか。西園さん、来たよー」
ドアを叩きながら呼び掛けると中からどうぞと言う声が聞こえた。
その声に応えドアを開け中に入ると西園さんがベットに腰掛けていた。
「お待ちしていました、直枝さん」
「ああ、うん。来たけどいったい何をするの?」
来たはいいがなにをする気なのか皆目見当がつかない。
遊びに行くなら部屋じゃなくて校門とかでいいはずなんだけど。
「直枝さんは今日がひな祭り以外になんの日かご存知ですか?」
「え?いや、知らないけど」
僕が答えると西園さんは彼女らしくないいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「今日は3月3日、耳の日ですよ」
「耳の日?」
初めて聞いたかも。
「まぁ云われはあるのですが今回は省きましょう。目的はこれです」
そう言って西園さんが取り出したのは。
「耳かき?」
それはどこにでもありふれた代物で、梵天が付いているタイプだった。
「はい、耳かきです。今日は耳の日に因んで耳のケアをしようということで。直枝さん」
「は、はい」
西園さんの迫力に僕は少し後ずさってしまった。
「よろしければ、その……これで耳かきをさせていただけないでしょうか?」
「え?耳かき?あーうん、いいけど。そっちこそいいの?どっか外に遊びに行ってもいいのに」
奢るぐらいはするんだけど。
けれど西園さんは静かに首を横に振った。
「いえ、私はこちらの方がいいです。十分恋人らしいことですから」
「あっ……うん、そうだね」
彼女が頬を赤らめたのを見て、こちらも釣られて顔を赤くしてしまう。
そうだな。確かにしてもらったことないよね。
「じゃ、じゃあお願いしようかな」
「ええ。任せてください」
トンと軽く胸を叩いて西園さんは微笑んだ。
「どう、ですか?気持ち良いですか?」
耳を掻きながら西園さんは尋ねてくる。
「まぁ、ね。ちょっと恥ずかしいけど」
気持ちは良いんだけどこの体勢は少し恥ずかしい。
今僕たちは揃って西園さんのベットの上に上がり、そのまま僕は彼女に膝枕をしてもらっている。
してもらったことはないとは言わないけど、やっぱり気恥ずかしい。
「そう言わないでください。私まで恥ずかしくなってきてしまいます」
「ご、ごめん」
怒られてしまった。
「ふふっ。でもこういうのはちょっと幸せですね」
「まぁー、そうだね。人に耳掃除をしてもらうことがここまで気持ちいいなんて知らなかったよ」
「そう、なのですか?お母様には?」
「うん。昔誰かにしてもらったような気がするけど思い出せなくてね。
だからこの気持ち良さを今初めて知った気がするよ」
微かに記憶がある。
それはそう昔ではない最近の思い出のような気もするが定かではない。
だから記憶違いかもしれない。
「……そう、ですか。ごめんなさい」
「え?なんで謝るの?」
理由が分からなかった。
「いえ、なんとなく。……それで直枝さん。気持ち良いのでしたらまたしてもよろしいですか?」
「してもって耳かき?うん、大歓迎だよ。こういうのいいよね……んっ……はぁ……」
気持ち良くてつい声が出てしまう。
「んんっ……やっ……あ……んふぅ……」
ホント、穏やかな気持ちになる。
これなら毎日にでもしてもらいたいかも。
「な、直枝さん。あ、あまりそういう色っぽい声を出さないでもらえないでしょうか」
「え?」
見上げると西園さんが何故か真っ赤な顔をしていた。
「へ、変な気分になってしまいます」
「???」
意味がよく分からないが、彼女は息が若干荒くなっていた。
「えーと、声を出さないのはちょっと無理かな。西園さん、上手いから」
「っ!……わ、分かりました。頑張ります」
何故か更に顔を赤くした西園さんは決意を固めたように真剣な表情で耳かきを再開するのだった。
そしてしばらく経つと西園さんが声をかけてきた。
「あの、直枝さん」
「ん……あ、なに……」
気持ちよくてちょっとボーっとしてしまっていた。
「反対側の耳を見せて頂けませんか?」
「……ああ、うん。分かった」
彼女の言葉に頷き立ち上がろうとすると、手で制されてしまった。
「?」
「いえ、その。反対を向いていただければ」
「え?それは、その……結構恥ずかしいんだけど」
その体勢は西園さんのおなかに顔を埋めるような形になってしまうんだけど、
分かって言ってるのだろうか。
「分かってはいますが、たぶんその方が安定します」
「んー、西園さんがいいって言うなら」
僕は頷くとその場で向きを変えた。
「ど、どう?」
目の前には西園さんの服が全面に見える。
「そ、そのもう少し顔を近づけてくれていいですよ」
「あ、うん」
僕は覚悟を決めて西園さんのおなかに僅かに顔を押し付けた。
「あ、ええ。それでいいです。耳かきがし易くなりました」
「そ、それは良かったけど、その……いいの?」
ここまで密着させてよかったのだろうか。
トクントクンと西園さんの心臓の鼓動すら聞こえてきそうな距離だ。
「そう、ですね。ちょっと恥ずかしいですが、でも幸せな気持ちですからいいです」
「幸せ?」
「ええ。直枝さんを抱きしめてる感じでお得です」
顔は見えないけど、その声はとても幸せそうだ。
「そっか。僕も幸せだよ。好きな人とこんなにも近いんだから」
「はい、私もです。……それじゃあ再開しますね」
「うん、おねがい」
僕の言葉に彼女は耳かきを耳に入れることで答えた。
「気持ち良い、ですか?」
「うん……とっても……」
さっきもより更に気持ちよく感じる。
たぶん幸福感が倍増しているからかもしれない。
「そうですか……」
「なんか眠くなってきちゃいそう……」
そしてそうすると睡魔が襲ってきてしまうわけで。
さすがに彼女を放っておいて眠るのはどうかと思うんだけど。
「お気になさらず。寝てしまっても構わないですよ」
西園さんの優しい言葉に僕の意識は徐々に深い眠りの中に落ちていくのだった。
「なお……ください」
「ん?」
声が聞こえる。
静かで優しい声。
「直枝さん。起きてください」
「え?西園……さん」
僕はぼんやりとした頭のまま声の主に呼びかけた。
「はい、おはようございます」
「え……と。あれ……僕……あのまま寝ちゃったのか」
僕は寝ぼけた頭のまま目を開けた。
……あれ?まだ暗い。
不審に思ってそこに手を触れる。
「ひゃっ……な、直枝さん?」
「え?」
声のした方に首を向けると、そこには静かに上下する柔らかそうな膨らみがあった。
少し小振りだけど思わず触りたくなるような……ってっ!?
「ご、ごめんっ」
僕は今の状態を思い出して慌ててその場から飛び起きた。
そうだ、思い出した。
僕は西園さんに顔を押し付けるようにして膝枕をしてもらってたんだ。
「いえ、それはいいのですが。何か不穏な気配が」
「き、気のせいだよ」
なんで女の子ってこういうことに鋭いかな。
「そうですか?」
「うん。……でも、その重くなかった?」
「いえ、そんなことなかったですよ」
彼女はそう言って微笑んだ。
「それなら、良かったけど。……今、何時?」
なんか外が暗い気がするんだけど気のせいかな。
「そう、ですね。もう6時かと」
「え?」
一瞬聞き間違えかと思った。
でも自分の腕時計も確かに6時過ぎを差していた。
「ご、ごめん。僕寝ちゃって。今日デートしようって言ったの僕なのに
西園さんのことほったらかしにして」
ああ、もうなにやってんだろ、僕は。
自分の馬鹿さ加減に頭にくる。
僕は擦り付けるように頭を下げた。
「い、いいですよ、そんな」
「でも、退屈だったでしょ。ごめん。本当にごめん」
僕はもう一度頭を下げた。
でも彼女は首を振った。
「そんなことはありませんよ。直枝さんの寝顔も見れましたし、ギュッて抱きしめることも出来ました。
どちらかと言えば幸せな時間でしたよ」
彼女は本当に幸せそうに微笑む。
「本当?」
「ええ。直枝さんを近くに感じていたんですから幸せに決まってるじゃないですか。
そういう直枝さんはどうでした?……寝心地、悪くはなかったでしょうか?」
少し不安げな顔で尋ねてくる。
たく、それこそ愚問だ。
「凄く気持ちよかったよ。だって西園さんに膝枕をしてもらってずっと側にいてもらったんだもの。
あのままずっと寝たいくらい良かったよ」
本当に穏やかで心地いい一時だった。
「それなら良かったです。本当でしたらもう少し寝かせて差し上げても良かったんですが、
夕食の時間を過ぎてしまいますから。申し訳ありません」
「いいよ、別に。だって西園さんとおしゃべりしている方がもっと楽しくて幸せだし」
あのままずっとも良かったけど、西園さんと楽しくおしゃべりしながら食事する方がもっといい。
「それは……私もです。……ただ夕食を食べに行く前に一つだけいいですか?」
「ん?なに?」
僕が尋ねると彼女は顔を少しだけ赤らめた。
支援
遅かったか…
いちおしえん
遅いと思うが俺も支援
「あの……直枝さんの寝顔を見ていたらキスをしたくなってしまって」
「え?」
「ダメ、でしょうか?」
少し自信なさ気な表情。
何を言ってるのやら。
「いいよ、僕もしたいし」
「あ、はい」
西園さんが頷くのを見て僕は彼女を抱き寄せ頬に手を添える。
「ん……はふ……ちゅ……」
そっと口付けを交わした。
最初は軽く、徐々に荒々しい唇を合わせ。
「ん……んんっ!?……はむぅ……くちゅ……」
舌を差し入れると一瞬びくりとしたもののすぐに彼女は受け入れて、
逆に向こうから舌を絡めてきた。
そんな彼女が可愛くなって、僕は更に舌を彼女の口の中に侵入させ犯し、
彼女の舌を吸い尽くす。
そのたびに身体を小刻みに震わせ荒い息を吐く彼女が更に愛しくなって
荒々しく舌をねじ込み歯の一本一本まで舐め取る。
すると向こうもやられたままでは嫌なのか舌を差し出し絡め、
僕の口の中に侵入してくる。
「ん……んむぅ……ぷはっ……」
主導権を奪われるのもなんなので、一度舌を引き抜き彼女の舌が所在無さ気に蠢くのを眺める。
そして僕は彼女の身体をベットに押し倒し唇を合わせ口の中を蹂躙したのだった。
そしてそんなことをどれくらい続けていたのだろう。
さすがに疲れて身体を起こし、西園さんの様子を確認すると。
「はぁはぁはぁはぁ……苦しい……です」
焦点の合わない目で虚空を見上げ、彼女は苦しげに荒い息を吐いていた。
「ご、ごめん。少しやりすぎたかも」
「い、いえ……はぁはぁ……嫌ではないですから。
……はぁー、ただ少し……はぁはぁ……体が回復……するのを待ってください」
何とか起き上がりながらも体力を使い果たしたかのように荒い息を吐いて、
西園さんはベットから動けないでいた。
「もう少し……体力をつけるべきですね」
「いや、僕が気をつけるべきだったね。ごめん、つい気持ち良くて」
もう一度頭を下げる。
「いえ……私も気持ち良かったですから抵抗しなかったですし。ふぅー」
そして一度大きく息を吐くと彼女はゆっくりと立ち上がった。
「じゃあ行きましょう、直枝さん」
「うん」
僕は彼女の手を取り、体を支えながらドアを出るのだった。
食堂へと向かう道中、彼女は小さな声で話しかけてきた。
「直枝さん」
「ん、なに?」
僕が答えると、彼女は僅かに妖しげな笑みを浮かべて呟いた。
「今日、ルームメイトの方は友人の部屋に泊まりに行くそうです」
「え?」
「だから……遊びに来てくださいね」
そして西園さんは僕の体に体をより密着させてきた。
「キスだけじゃ、物足りなくなってしまったので」
その表情は妖しく艶やかでとても綺麗だった。
だから僕もその可愛らしい耳に口を近づけ囁いた。
「うん、よろこんで」
そして僕らは仲良く食堂にへと向かうのだった。
Fin
とまあ、そんな感じで終了です。
途中引っかかってしまったんで投下遅くなってすみません。
今回の話は、某かえるの侵略者のアニメを見て思いついたネタです。
急造作品なので美魚の台詞がおかしくないかとか、誤字脱字がないかちょっと心配です。
感想とかお願いします。
GJ!
ただ理樹がエロ過ぎますね(笑)
>「キスだけじゃ、物足りなくなってしまったので」
おぎおぎしたので、続編をキボンだぜ。
650 :
名無しさんだよもん:2008/03/04(火) 23:44:44 ID:KtW/J2O0O
GJ!
理樹と西園さんってあんま書かれてないけど
好きになったかもww
>「もう少し……体力をつけるべきですね」
みおちんがNYPで肉体強化したらNYPが暴徒と化して、首から下が真人みたいになったみおちんを想像してしまった
くちゃくちゃきしょかったorz
素晴らしいSS続きの中、馬鹿丸出しの小ネタを投下します。
先に注意書き。
・恭介×小毬、理樹×鈴前提
・キャラが壊れ気味です
・馬鹿丸出しです
先に謝ります。どうもすみませんでした。
恭介の自室にて。
「小毬、いいか?」
「はい……。恭介さんだったら、いいです、よ」
「怖かったら言ってくれ。やめてやれないかもしれないけど、な」
「…………」
「…………」
「……あ、あのっ」
「ん、何だ?」
「わ、私、あんまり恭介さんの、好みじゃない、かも……」
「? どういうことだ?」
「ゆいちゃんが、恭介さんは(21)「ちょっと待てーーー!」ほわぁぁぁっ」
「あのな、小毬。俺は断じて(21)ではない」
「ほぇ? そ、そうなんですか」
「ああ。俺は……『ギャップ萌え』だ!」
これ、どう見ても夜中に(自主規制)だよなあ……
続きを!とにかく続きを!
「偉そうに宣言するなこのド変態ーーー!!!」
ドガァッ!
「ほわぁぁっ、きょ、恭介さんが動かなくなっちゃったーーー!?」
「あ、大丈夫だよ小毬さん。いつものことだから。……ごめんねヘンな時に」
「りんちゃん、理樹君……い、いつから」
「えーと、ちょっと前から……ごめんね、鈴をどうしても押さえきれなくて」
「うわぁぁぁぁん、すっごい恥ずかしいぃぃ」
「お前たち、野暮にも程があるぞ」
「まともにハイキック入ってたのに復活が早いね、恭介……」
「きょーすけがこまりちゃんにいかがわしいことをしようとするからだ。自業自得だ」
「俺だって十代の健康な男子なんだ。どこが悪い?」
「あ、恭介、『ギャップ萌え』って間接的に(21)って言ってるのと同じだと思うよ」
「(無視)だいたいお前たちだってシて「死ねこのド変態ーーーーー!!!」うぐぉっ!!!」
「あちゃー、珍しくローキックが入っちゃったよ……」
「どどど、どうしよーりき君! 恭介さんがけいれんしてるよぅ!」
「鈴はどっか走って行っちゃうし。小毬さん、ごめんだけど恭介頼んで良いかな?
何か冷やすものと、ついでに鈴を探してくるから」
「ふぇぇ、恭介さーん! 起きてください〜!」
656 :
小ネタ:2008/03/05(水) 01:54:24 ID:dZbBys8G0
ヤマなしオチなしイミなし。
恭介×小毬が好きなのと、小毬はロリな雰囲気といい体のギャップがいい。という
個人的好みを恭介に喋らせてしまいました。
言葉遣いとかヘンなところも多々あるかと思います。
お目汚しすみませんでした。
やべぇ、小ネタなのに朝見たせいか、やけに頭に絵が浮かんでしまってウケる…
>>656 ちょまwwww
展開が理想すぎて吹いたw
それ使って漫画描いていいかな?(´∀`)
小ネタ投下した人です。
怒りを買うかも、とびくびくしながら投下したので、
暖かいお言葉にほっとしております。ありがとうございます。
>>658さん、こんなネタでよろしければ是非お願いします
ついでに小ネタのその後も。
同じ設定で、恭介が更に馬鹿になってますのでご注意ください。
「鈴、もうあんな風に邪魔しちゃダメだよ」
「でも、こまりちゃんが……」
「じゃあさ、僕と一緒にいる時に、今日の僕らみたいに恭介が乱入してきたらどうする?」
「……出て行け、ぼけー! ふかーーっ!!」
「いや僕恭介じゃないから。
僕だって恭介も小毬さんも大好きだけど、鈴と一緒にいる時は二人きりでいたい時だってあるよ。
鈴は?」
「……二人の時は、ふたりだけがいい」
「ね? あの二人だって一緒なんだよ。わかった?」
「…………うん、わかったぞ」
数日後。
「なあ理樹、最近全く小毬と二人きりになれないんだが……」
「え、どうして?」
「事あるごとに小毬を鈴が連れ出すからだ。部屋にいる時も、何かと鈴が顔を出すしな」
「(うーん、鈴全然わかってないなあ……)それは大変だね」
可愛い妹と一緒にいられるのは嬉しい、確かに嬉しいが、たまには……っ!」
「(うわあ恭介がすごく苦悩してる……)ま、まあ嬉しいならいいじゃない。
鈴のはただのヤキモチだろうから、そのうち治まるんじゃないかな」
「ヤキモチ……? …………そうか、ヤキモチか。
可愛いところがあるじゃないか、鈴も」
「…………うん、そうだね」
(多分、鈴は恭介にヤキモチやいてるんだろうけど……まあ、いいか)
鈴は本心ではちゃんと認めてても、
「きょーすけにこまりちゃんを任せられるかー!」
というように反発してしまいそうだな、と思いました。小毬大好きですし。
ナンバーをミスった上、カギ括弧が一つ足りませんでした。
読みにくい文章で申し訳ありません。
理樹だけじゃなく小毬ちゃんもあたしの嫁ってか
欲張りさんだな、鈴は
理樹は恋人、こまりちゃんはお嫁さんだ(∵)
665 :
名無しさんだよもん:2008/03/06(木) 02:18:29 ID:ZOo/3uV7O
ギャップ萌えてww
このスレは実に色々な欲望にあふれていて困る
自分もなんだか小ネタを考えたくなってきたぜ…
やっちゃいなよ、ゆー
欲望の塊おおいにけっこう。
投下しちゃいなよ、ゆー!ってなノリで。
666じゃないけどエクスタシーの炎が身体に宿ってどうにもならないんですが、チラ裏的に使ってしまってかまわないんでしょうか。
ここは妄想スレ
共用のチラシの裏・黒歴史ノートのようなもの
使っちゃいなよ、ゆー。
ふと思ったんだが、恭介ってまだ未経験なのかな?
リトバスの話的にナシかなと思うけど、
未経験って感じがしない。
他の三人は確実に未経験だと思うけど。
恭介と真人はフリーであってほしい
童貞さっ!
青年は旅の人
きっと旅(就活)の道中で行き倒れて助けてくれた沢渡真琴(本物)みたいな
お姉さんに宿賃代わりに童貞を奪われてお釣りにテクを教えてもらっているよ
性年は旅の人
来ヶ谷を経験豊富にしたような年上のおねーさんに翻弄される恭介を妄想した。
恭介はむしろ小毬に翻弄されてそう
コワレマックス状態になった小毬にお兄ちゃんお兄ちゃん言われながら責められれば、
そりゃ恭介は翻弄されるがままだろうさ
恭介主人公・小毬ルートみたいなのを想像。
シャツ一枚+「お兄ちゃん」で果たして恭介はどういった行動を取るだろうか。
ケツを蹴れ
蹴られ空へ
高く飛べ
高く声をあげ
いつか折られた
尾てい骨の向こうまで
曲もエクスタシー化すると予想
>>678 コワレマックス状態だと流石にどうにかしようとするんじゃないかね
くっついた後なら
>>680でFA
流石にそこは恭介の理性他諸々を信じたいところか。
エクスタシーでは恭介ルートとかないかな。
誰かのルートの派生で、恭介と誰かのHシーンとか。
展開的に無理だってのはわかってるけども。
恭介とヒロイン(理樹含む)のHを見るなんて寝取られた気分で鬱になる
俺の恭介を取るな!!
気さくなイケメン男子高校生(3年)の童貞って
下手すると美少女の処女より価値があるんじゃないか?
685 :
名無しさんだよもん:2008/03/09(日) 02:26:20 ID:n0N8LDzt0
恭介なら大いに有り得そうだな。
理樹や鈴の心配ばかりしていて、もしくはみんなで遊ぶのに夢中で
もてるのに特定の相手は皆無だったんじゃないだろうか。
ある意味ヒロイン達よりも希少価値?
あげてしまった
すみません
ところで、クドの例のシーンで輪姦妄想してる人が多いですが、
あの架空の世界で、誰がヤったんだ?
本当にそうだったら鍵は終わり
輪姦シーンなんだけどクドの願望が混ざって全員理樹の顔
筋肉革命に疲れてぐったり。プロテインまみれ。
ということでどうだ?
まあクド自身が抱える罪悪感によって…というなら考えられないことはないんじゃないかな。
さすがに恭介の(21)癖が出たせいだとは考えたくない
つまり輪姦シーンは全員相手が恭介なわけですね。
わかります。
キスシーンを見る限りクドは積極的というか痴女的素質があると思うよ
妄想が暴発して長くなりすぎたので本スレの投稿所に投稿してみた
良かったら見てやってくれ
…それにしても、ふと気付くとさささと佳奈多を書いてる俺って一体
(かなり)お久しぶりです。やっとこまきょの新作が書けました。
描く方の修行ばっかりで書く方がおろそかだったので駄文もいいところですが、
投下させてもらいます。
設定的にはアフターストーリーで、理樹×鈴決定後の2月、
恭介の就活帰りでボランティアの小毬とエンカウントっていう普通すぎる設定。
日常会話意識したかったのでそんな感じです。
とりあえず冒頭投下して様子見…|ω゚)
春一番の風が吹き抜け、二月も終わりに差し掛かっている。だが、日が陰るとまだまだ肌寒い日が続いていた。
ピッICカードをタッチして見慣れた改札口を出る。
俺はふと、左腕の腕時計を確認した。
午後5時半。駅前ビル街はすでに明かりが灯りはじめ、窓ガラスを斜陽が茜色にそめている。
駅前の人通りはそれほど多くは無い。だが、就職イベントのティッシュ配りや、コンタクトレンズの割引券を配るアルバイトで騒がしい。
まぁ、とりあえずティッシュは使えるしもらっとこう。
「いよいよ来週か…」
就職イベントのティッシュを受け取り改めて自覚する。来週の水曜、最終面接の日だ。
「やっとここまでこぎ着けたわけだが…いい加減これで最後にしたいな」
そう。やっとだ。
高卒の就活は普通、学校斡旋とかで年明けの前に内定をもらうようだが、俺は一学期遊びほうけてた上に、夏の一件があったからな…。
そんなわけだから俺の就活はだいぶ遅れをとり、こんな時期にもスーツ着て駆け回ってるわけだ。
「ご協力お願いしまーす」
駅の広場の外れ。聞き覚えのある声がしたので目をやってみる。
ロングコートの黒にうめ尽くされた駅前の広場の中、クリーム色のセーターを着た彼女は遠目でも行動がよくわかる。
小さな箱を持ち募金活動、いわゆるボランティアをしているようだ。
「よう、小毬」
彼女は俺に気付くと、長いリボンを風になびかせ、やや見上げるように振り向く。疲れを一片も感じさせない、屈託のない笑顔がまぶしい。
「あっ、恭介さん!スーツだからちょっとわかりませんでした。 しゅーかつの帰りですか?」 「あぁ、まぁな。 募金ははかどってるか?」
「はい、けっこー順調ですよ」
じゃらっ小銭だらけだからよくわからないが、クリアタイプの募金箱はその容量の半分ほどを満たしていた。
「有名な募金だからこんなに集まるけど、いつもはそうもいかないんだー」
彼女のセーターの左胸にアクセントのようにつけられた羽と、募金箱に描かれた朱のそれが示していた。
赤い羽募金。学校内でもよくやってるアレか。昔は羽欲しさに、俺もよく募金してたもんだ。
「えっと、恭介さんもご協力お願いします!」
金属音と共に、箱を差し出される。
「ん、あぁ」
折角の機会だ、俺も入れて行こうか。財布の小銭入れに手を掛ける。
「多分今日は帰りに崩して来たから…ありゃ?」
小銭入れのホックを開くと、真鍮(しんちゅう)の黄とアルミの光沢が見えた。
「…1円と5円が一枚ずつ…」
「よっしゃあ!こうなりゃさらば諭…」
「ほわぁっ! だから自分を不幸にしちゃだってばー!」
募金箱は諭吉を通すまいと手で阻まれる。俺はなんだか満足できないまま、行き場の無くなった手をまた財布まで戻した。
「あの、5円でいいですよー?」
「昔から、ご縁がありますように、って言うじゃないですか」
そう言う小毬に、いつの間に財布を覗きこまれていた。
「それに…わたしが言ったこと忘れちゃったんですか?」
そうだったな…そういや前にもこんな事があったっけ。
「気持ちがこもっていたら、それはとってもプライスレス…だっけか」
「はいっ、つまりそういう事ですよー」
俺は再び小銭入れに手を掛け、硬貨を取り出す。おもむろに額に当てて見る。
「…ちょっと恭介さん? 何やってるですか?」
「ん? 『気持ち』を込めているんだ…気を散らさないでくれ」
「ぇえーーーっ?」
えー言うな!俺は至って真剣なんだぜ!
「よし、これでオーケーだ」
ちゃりん真鍮の硬貨を投じる。ぱんぱんっと二回手を叩く。
「うえぇぇん、お賽銭じゃないってば〜!」
「あ、すまん。 縁起を担ぐと言うからつい…」
「ところで募金って何時までやるんだ?」
「えっと、確か18時までかな…?」
小毬は携帯を取り出し、時計表示を見てそう言った。
「そっか、じゃその後はどうするんだ?」
「終わったら募金箱は一度学校で回収だから、学校戻るよー」
なら帰り道は一緒か。まぁ寮生の俺たちにはそれが当たり前なわけだが。
「じゃあと少しか。 ちょうどいい、ミスドおごってやるよ。 食べながら一緒に帰ろうぜ?」
「えー?! いいんですか? なんか悪いですよー」
「構わないさ。 気持ちがこもっていたらプライスレスとは言うけど、銀貨ぐらい入れたかったしな。くずしてこようかと思う」
うーん、と彼女は困った顔をして決めかねている。優しくするのは得意な割に、優しくされるのは苦手なんだな。
「まぁ、とりあえず何が欲しいか言ってみろよ」
小毬はうーん、とあごに人差し指を添え、少し悩む。
「春限定のダブルベリーってもうでてたかな? あったらそれでお願いします!」
了解、といった感じで親指を立てると、俺は駅ビルのテナントにあるミスドへ向かった。
さすがに誰もいないようで…続きは明日にしときますね
┗(∵)┓≡ 逃
いいところで…
乙です
書いてくれぇぇ!!
703 :
真人:2008/03/10(月) 06:35:32 ID:TkU5lbOK0
筋肉が通りまーす。白線の内側までおさがりくださーい!
[えと、おはようございます。さっ、さささ再開させてもらいますね。]
「いらっしゃいませー」
自動ドアをくぐると、油と砂糖が混じった独特な香りが感じられた。
店内は会社帰りにお土産を買っていこうといったところだろうか、やたらと混み合っている。
行列…といった感じではないが、注文も決めずにつっこむのもアレな状況ではある。
「ま、小毬も手伝いがそろそろ終わるんだし待たせるわけにもいかないな…」
「すいません、持ち帰りで注文いいですか?」
「はい、承ります」
小毬の注文は確か…限定のやつだったよな
「えーと、ダブルベリーって今ありますか?」
「申し訳ございません、そちらの商品は3月からの販売となってます」
ありゃ、少し早かったか…
「それじゃ普通のストロベリーをひとつ。 それとオールドファッションと…」
――――。
つまみ食い程度と思っていたのが、結局、みんなの食べる分ってことで10個近く買ってしまった…まぁ、旅なんて割には今日は使ってない方だしかまわないか。
店を出て、駅前の広場に再び戻る。
帰宅ラッシュも一旦過ぎ去りあまり通行人が多いわけでもないが、さすがに大声で名前を呼ぶのは恥ずかしい。
とはいえ当ても無いわけなので、先ほど彼女が募金活動をしていたあたりをぶらついて見る。
「あ、恭介さん、こっちですよー」
不意に、探している本人から名前を呼ばれる。俺が気を使ってるのにもかかわらず大声で。
広場の中央、大きな樹の下ベンチから声は聞こえた。
どうやら他のボランティアももう散ってしまい手もちぶさだったようで、俺の姿を見つけると子供のように駆けてきた。
「おいおい小毬、もうちょっと周りの目にも気つかってくれよ…恋人同士ってわけじゃないんだからな」
「ほぇ? 恋人同士? お友達は名前大声で呼んじゃダメなんですか?」
「いや、別に…」
てか何でこんな話になってんだ…話をもどさねーと。
「まぁおいといて」
「とりあえずドーナツは買ってきたんだけど、ダブルベリーは三月かららしくまだ入ってなかったぜ」
「そっかぁ…うーん、残念」
「ごめんな、一応ストロベリーは買っておいたから我慢してくれ?」
「はい、ダブルベリーは来月の楽しみにします♪」
駅から学校へ続く道。俺たちは川の土手道を夕日を背に歩いた。
見慣れすぎたこの光景。だけど今日は一緒に帰る人がいるから少し心持も違う。
しかし、隣に歩いているのが鈴とか理樹だったらバカ話してわいわい帰っているだろうけど…
なんだか違和感を感じるな。
「あ、ドーナツ開けるか?」
「ほぇ? うーん…でもみんなの分もあるなら帰ってから食べたほうがいいです」
「そっか、ソレもそうだな」
……。
なんだろう、間が持たない…。どうもいつものノリが掴めない。
「恭介さん? むつかしい顔してどうかしました?」
「…あ? あぁいや…そんな顔してたか?」
「うん…ちょっとお疲れみたいですよ?」
「まぁ疲れてるのは確かだからな…」
就活疲れ…だろうか。
まぁやりたいことが無いわけじゃない。
だけどこれだってほど、そう野球をしていた時ほどの情熱を就活に傾けられているかって聞かれると、答えはノーだ。
そんな中途半端な状態でも就活は待ってくれない。だから必死でついて行くしかない…流されるままに。
今までハッタリを利かせてきたものの、最終面接はそうも行かないだろう。
社会人は学生生活とは関わる人の人数が違う。そんな星の数ほどいる社会人の中で俺は役に立てるだろうか。
そんな不安な気持ちが少し表情に出てしまったのを彼女は見逃さなかったようだ。
「小毬、お前はなんで一人でがんばれるんだ…?」
「? なんのことですか?」
「いや、募金活動。 だって一緒に友達が参加するわけでもないだろう?」
「うーん…がんばるってほど頑張ってないからよくわからないです」
「そっか…じゃあ質問を変えよう」
「じゃあなぜ小毬は見えない人のために頑張れるんだ?」
「う”〜…なんとなく…そうしてる自分が楽しいから…?」
「本当にか? 何か目標とかあるわけじゃないのか?」
「えーっ? ほんとですってばー…」
曖昧な答えしか帰ってこないのでつい語気を強めてしまった。
なんだかこれじゃ尋問だな…
「恭介さん、さっきから質問ばっかりです…」
「すまん、そんなつもりは無かったんだけどな」
「でも、だ。 単なる自己満足だけでボランティアって続けられないだろ?」
小毬は質問攻めに困ったような表情を見せたが、遠くを見ながらこう言った。
「えっと…誰かのために頑張らなきゃいけませんか?」
「役に立たないと、自分がやりたいこと…やっちゃダメですか?」
「誰かの役に立つのってすごいことだし、いい事です」
「でも、嫌々にやってても自分は嬉しくないじゃないですか」
「自分が幸せにならないと、他の誰かだって幸せになれないって…私はそう思います」
簡単なこと。
誰かの役に立つ以前に…自分が満足しないと何もできない。それが人の役に立てばなお良いってだけだ。
何カッコつけてるんだ俺。そんな簡単なこともわすれちまったのか。
「まぁ…そうだよな」
「はい♪」
「自分が幸せになれば、その幸せをわけてあげられる」
「みんなが幸せなら、私も幸せ。 みんなで幸せスパイラル」
…彼女は強いな。俺なんかよりよっぽど大人かもしれない。
「…小毬、お前すごいな。 見直した」
「ほわ…『見直した』ってどーいうことですかっ!?」
「いっ、いや別に…いまのは言葉のアヤってやつでな?」
「うわーんひどぃーー」
[あと1Res使っておまけ書かせてもらいます]
そうこうしている間に、いつの間にか学生寮についたようだ。
一緒に話ながら帰るといつもより通学路は短い感じがした。
ドーナツの手土産を左手に、小毬と共に男子学生寮を歩く。
時刻は18時半。部活に通っている学生はまだ帰宅していないが、ほとんどが帰宅部であるリトルバスターズメンバーはもう在室だろう。
とりあえず暗黙のたまり場になりつつある理樹の部屋へ直行する。
「おーっす理樹、真と…、いないのか?」
「ふんふんふーん♪ 今日もお疲れ筋肉さん」
がらんとした部屋を見渡し、とりあえず部屋にあがりこもうとしたその時鼻歌を歌いながらバスルームから大男が登場した。
「きゃぁぁぁあ!?」
「恭介ー? ってだぁあああ! つかノックしろー!!」
高速で脱衣場に戻る真人。タイミング悪すぎるな。今のCGはまずいらんから破棄。
「すまん小毬…汚いものを見せた」
「えへへ…ちょっとびっくり」
「勝手に人を汚いもの扱いするなーーー!」
―――。
「ただいまー、あ、恭介に小毬さん? 来てたんだ」
「ん、まぁな。 大量にドーナツ買ってきたから差し入れに来たところだ」
「ドーナツ…ねぇ」
「ん? どうした、ドーナツは嫌いか?」
「いやいや…なんかデジャブが」
ヒソヒソ
「残念ながら新作は見れそうに無いぞ?」
「そっかー…エクスタシー期待してたのになぁ…」
以上っス。なんとかオチつけようと頑張りましたが無理でした。
本編は時事ネタっぽく就活ですが…ちょっと本人の思想入りすぎたかもしれないです。
なんせ就活はリアルに困ってることなんで(ノω`)
挿絵も入れたかったけれど…影付けがヌランプにつきラフまでで逃げました(泣)
GJ!
GJGJGJ!
GJ!
リアル就職活動の身としては心りにさりと来る内容…
二人のらしさが出てて、とても良かったヨ
しかし、コマリマックスと恭介の会話はなんか自然体だなぁ、と感じてしまうのは何故なのか
>>710 久々の新作じゃないか、まずはGJだ
いちいちこの2人は絵になるから困る
なんか微妙に小ネタも含めると恭介×小毬が復活してきてるじゃないか…
ここらで何か小ネタを考えてみるか…
こまりんは潜在的な運動能力が高くて、投球フォームすぐマスターしちゃってたよね。
てことは、エッチしてる時の腰の動きなんかも、教え込めばすぐ上手くなるんじゃないだろうか。
教えた方(個人的には恭介がいい)が逆にK.Oされるくらい。
717 :
小ネタ:2008/03/11(火) 09:35:34 ID:XsyHPogI0
やり直しの修学旅行から数ヶ月。
わたしはいくつもの苦難の道を越え、権謀術数を尽くし、直枝さんの恋人となることが
できました。とくに強敵だったのが能美さんで、危ない場面もいくつもありました。
今では人気のないところやわたしの部屋でキスを交わすところまではいっています。
それどもここのところ、次のステップにはなかなかすすまないところを悩む今日この頃です。
(理樹くん、あたしにはすぐ手をだしたけど)
うるさいです美鳥。うるさいですけど参考にあなたの時はどうだったのか言う権利を与えます。
(面倒くさい姉だなぁ。別に理樹くんは勝手におそいかかってきたよ)
嘘です。あんな固くて手を出さない直枝さんがそんなことをするとは思えません。
(雰囲気だってば。夕暮れ、人の気配なし、ベッドの上で上目遣い。するよ)
それはあなただからです。わたしにはできません。
(それじゃあ、部屋に二人きりになったときにエッチなマンガでもおいておいて
西園さんもこんなのに興味があるんだ、とか)
どんな快楽天ですか。そんなのは持っていません。
(雑誌名まで知ってるくせに)
(じゃあ、短歌つながりでみだれ髪でも一緒に読めば)
与謝野晶子ですか。快楽天よりはいいですね。
(快楽天と比べられたらさすがに怒るんじゃないのかな)
アトリエかぐやのOP曲名にも採用されてるくらいですからもって瞑すべしです。
やは肌の あつき血汐に ふれも見で さびしからずや 道を説く君。
といいながらそっと身体を直枝さんに預ける。
悪くありません。エクスタシー的です。
ちょっとシミュレーションしてみましょう。
「やは肌の あつき血汐に ふれも見で さびしからずや 道を説く君」
「そんなこと 言っちゃって 下はもう 準備オッケー なんじゃないのぉ?」
(だめだこりゃ)
タカ棒はエロゲ板では誠や孝之やピアノマンと同じ領域に突入しちゃったからな
PS2では地味でたまに優良に見える程度の普通の主人公だったのにね。(´;ω;`)
三宅なんて嫌いだ。
>>720 エロ入れて酷くなった主人公だからなあ、理樹は大丈夫だろうか…
推敲無しだけど……投下します。
よしどんとこい
少なくともループのせいで全員とやっちゃう可能性が極めて高いから
ヤリチンの称号は避けられない気がする
幼い頃、振り返ることは愚かだと聞きました。同時に、望みを待つことは狂気だと。
あなたが苦しんでいたことも、いなくなってしまったことも、分かりません。
最初からあなたは存在しなかった。そんな風に言われれば、漠然とそれを受け入れてしまいそうです。受
け入れてしまえば、私もいなくなることができるような、そんな気さえします。
私が望むと声が聞こえて、それは明晰なその人の声で、戸惑ってしまうくらいにすぐ近くからで、目を覚
ますと忘れていて、なのに、物語のような記憶が残っている。
でも覚えてません。順番なんて。ただ、持続と切断を繰り返す黒い雨が、滂沱たるその雨が、私たち姉妹
の上に降り注ぎました。お互いの顔が見えなくなり、藻が絡む岩場の海に漂っているように気持ちが悪く、
美鳥にとっても同じであろうけれど、胸を圧された不自由な私が立ち尽くしていたのです。あなたは笑
っていました。感動する気力もないまま。
この作りものの世界をどれだけ異化しようとも、それは作りものでしかないのでしょう。砂の壁は脆くて、
私の体は小さい。知らないふりをするつもりはありません。これは私自身の弁明で、私の不逞な妄想なの
です。見失ってしまった私の笑顔が現れてしまい、不幸にも厳粛な時間の先へと進もうとするその秒針を
止めようとしたのです。美鳥と直枝さん、そして私、喪失を埋めてくれるあなたを裏切って。
私はみじめにも口ずさんだ。――春の夜の夢の浮橋とだえして、嶺に別るる横雲の空
和歌はあの仄かな熱を持たず、また私もそれを持ち得ずにいた。
あなたの生命を忘れないよう、また眠りにつくことができるようにと、それをたとえるならば無機質な白
い繭、その中へと私は沈んだ。
ちなみに717は俺じゃないです。
>>326と同じことをやってみた。
・真人→主人公。お人よしの熱血バカ。規格外の体力と根性だけが取り得。義侠心と喧嘩っ早さのせいでよく事件を起こす問題児。
・恭介→権力者の息子。知力も体力もエリート。最初はキザで傲慢な悪役。後に敵対してきた真人に助けられて改心する。
・理樹→真人の無二の親友。真人とは対照的に気弱でケンカも苦手、絵とかバイオリンとかが得意なタイプ。だがいざという時には女の子をかばって不良にボコられるような性格。
・謙吾→堅物な風紀委員。見た目通り剣道の達人。最初は真人を軽蔑しているが、後に憎まれ口を叩きあいながらも認め合う仲に。
・鈴→一匹狼の不良少女。家庭の問題とかが原因で人を信用できない。真人と理樹のお節介に心を開いていく。
・小毬→真人と理樹の幼馴染。明るく優しく面倒見が良く、ことあるごとに攫われる正統派ヒロイン。
・葉留佳→記憶喪失の謎の少女。天然ボケで不思議系。何を考えているか良く分からないが、たまに見せる笑顔が真人をドキっとさせる。物語終盤のトンデモ展開に関わるヒロイン。
・来ヶ谷→金持ちのお嬢様で恭介の政略的婚約者。自分の立場に諦観し完璧なお嬢様を演じている。真人と理樹に触れて笑顔を取り戻した後は凄いお転婆に。
・クド→謙吾の妹。兄とは違っていつも笑顔で人懐っこい。
・美魚→真人の妹。兄とは違って優等生。普段はそっけないが、真人が退学処分になりそうな時など肝心な所で一生懸命フォローしてくれる兄思いのいい子。
・佳奈多→別人格モード発動中の葉留佳。記憶があり、要所要所で思わせぶりな台詞を言って伏線を張る。
・佐々美→恭介の取り巻き。
感想その1。やはり真人が主人公に見える辺り、典型的昔の少年マンガ世代なのだろうか。
感想その2。葉留佳が違和感ありすぎ。聞いた瞬間「は?」と思った。だが、
ttp://key.visualarts.gr.jp/product/little/chara_haruka.htm なるほどこの絵だけ見ればそう見えるのかもしれない。
感想その3。理樹については『ジョジョで言えば広瀬康一』と即断された。納得。
感想その4。クドと美魚、ご愁傷様。ちなみに謙吾とクドは髪の色でなんとなくとのこと。真人と美魚に関しては「あのバンダナとヘアバンドに強い絆を感じる」と自信満々に言われてしまったw
感想その5。ごめんねささみ。サブキャラとか言わずに見せれば良かったね。
731 :
ショコラ:2008/03/13(木) 23:48:04 ID:e5FYQ6k90
お久しぶりです。
やっとこさ残りが完成し、投下しようかなって思ったんですが、
レス数が40近くにまで及んでおり、残りの容量的にも無理なことに気づいてしまいました。
バレンタインから一ヶ月が経ち、ホワイトデーを明日に控える状況でなんですが、
完結編を二つに分けて投下しようと思います。
今から投下し、残りは新スレで明日の夜投下しようと思います。
制限におそらく引っかかると思うんで新スレッドの作成とかは無理だと思うんで
その辺よろしくお願いします。
とりあえず暴走してこんなに膨大な量になってしまって申し訳ありません。
できれば最後までお付き合いください。
「じゃあ日直、号令」
「きりーつ、れい。着席」
日直の号令で6時間目の授業は終わった。
これで今日の授業は全て終了し、後は帰るだけだ。
まぁ、あと帰りのホームルームが残ってるけどたぶんすぐ終わるはず。
(今日は久しぶりにみんなで野球の練習かな?)
ここ最近は僕たち男子メンバーだけで練習をしていたけど、今日はきっとみんな参加に違いない。
そう思うと少し心躍る。
(早く放課後にならないかな)
担任が来るのを僕は今か今かと待ちわびていた。
〜〜♪〜〜♪
突如胸ポケットからメール着信を知らせる着信音が鳴った。
誰だろうとも思いながら携帯を開くと『恭介』の文字が。
「何々……『今日の野球の練習は中止。ただし別のミッションを用意しているので
各自帰宅せず待つように』……って、別のミッションっ?」
思わず叫んでしまう。
慌てて周りを見渡すと謙吾や小毬さんなどメンバー全員も携帯を開きながら、僕に視線を向けていた。
どうやら恭介はみんなに一斉送信したらしい。
まぁ、それはいい。他のクラスメイトは気にしてないみたいでよかった。
(にしても……)
別のミッションって何をするつもりだろう。この前は何もないって言ってたのに。
「あっ……」
それで思い出した。
佳奈多さんに恭介が何か企画していたら教えろと言われていたことを。
(あー、もうこんな直前で言わなくても良いじゃないか)
心の中で恭介に毒づきつつ僕はどうしたものかと悩んでいた。
「やっぱり連絡した方が良いよね」
言葉に出しながら頷くと、僕は佳奈多さんのアドレスを呼び出そうと携帯の操作を行おうとした。
〜〜♪〜〜♪
「わわっ……」
再び携帯の着信音が鳴り、慌ててしまった。
「だ、誰だろう……え?」
再びディスプレイに表示されたのは恭介の名前。
なんだろうと思い文面に目を通すと簡潔な指令が書かれていた。
「『理樹へ。出歩く時は持ってきたチョコを肌身離さず持って歩け。以上』……なんだこれ」
周りに悟られないように小さな声で呟きながら意味を反芻する。
持って来たチョコって僕が自分で作ったチョコだよね。
でもどうして。恭介の意図が分からなかった。
「まぁ、でも……」
恭介の言葉なら何かしらちゃんとした意味があるのだろう。
僕は小さく頷き鞄からチョコを取り出し、上着のポケットに移し変えた。
「さてと、それじゃあ今度こそ佳奈多さんにメールを……」
呟きながら携帯を操作しようとすると。
「おーい、席につけー」
タイミング悪く担任が教室に入ってきてしまった。
はぁー、さっきは早く来て欲しいと思ってたんだけどな。
ままならないものだと思いつつ、あとで直接会えばいいやと思い直した。
そしてそのまま僕は担任が連絡事項を伝えるのを待つのだった。
「どこに行ったんだろう、佳奈多さん」
あの後、予想外にホームルームが伸びたため
急いで彼女の教室に行き姿を探したものの彼女はどこにもいなかった。
ただ葉留佳さんはいたので行方を尋ねてみたもの知らないと言われてしまった。
なのでこうやって探しているのだけれど。
「そう言えばなんかすっごい変な目で葉留佳さんに見られたなぁ」
去り際、怪訝そうな目で見られてしまった。
僕が佳奈多さんに用があるのか、不思議でしょうがないとでも言うのだろうか。
理由が理由だから話せないんだよね。
「とりあえず風紀委員の仕事があるってことだからまだ帰ってはいないはず。探さないと」
今は佳奈多さんを探さないと。
……ちなみに携帯に電話してみたけれど、電源が入っていないらしく通話できなかった。
たく、どこにいるのやら。
「ここにもいないか」
よく佳奈多さんがジュースを買いに来る自販機の前まで来たものの、辺りに姿は見えない。
となるとどこにいるんだか。
よくよく思い返せば僕は彼女の行きそうなところをよく知らない。
風紀委員の仕事をもうしてるのかもと委員会室にも行ってみたもののまだ彼女は来ていないらしい。
「うーん、どこにいるんだろう」
さっぱり見当が付かない。
と、不意に自販機が視界に映った。
「……とりあえず飲み物でも買おうか」
結局休み時間に飲み物は買えなかったし、いろいろ動いて喉も結構渇いた。
それくらいしても問題ないだろう。
「じゃあなに買おうかな」
小銭を取り出しながら指をボタンの上で彷徨わせる。
「ポカリとか紅茶も良いけど……これにしようかな」
目に付いたのはコーヒー。
いくつか種類があるけど、まぁそれはどれでもいいか。
小銭を投下口に入れ、適当にボタンを押してみる。
ガタンッ
取り出し口に缶が落ちてきた。
「さて、なにが出てきたかな」
ブラックかな、微糖かな。その辺のボタンを適当に叩いたから何が出てきたのか分からない。
まだ飲んだことのない種類ならそれもそれで面白いかも。
そんな軽い遊び気分で取り出し口から缶を取り出すと。
「……ココア?初めてだな、そんな種類のコーヒー」
これはレア物かも。そんな味のコーヒーがあるなんて。
「って、ココアっ!?コーヒーじゃなくてココア?」
思わず一人ノリツッコミをしてしまった。
何故ココアが出てきたのだろう。
そう思ってもう一度、今度はしっかりと自販機を見た。
「うわっ、なんでコーヒーが並んでる中にココアが一つ入ってるかな」
さっきは気づかなかったけどコーヒーが種類毎に並んでる間にココアの缶がデンと鎮座していた。
この並びにした人のセンスが分からなかった。
「はぁー、よりによってココアか」
他の飲み物ならまだいいだけどココアとは。
チョコをいくつも食べた後じゃ、同じカカオを原料とする飲み物はちょっと遠慮したかった。
「でも買い直すのももったいないし……はぁー」
なんか全てがどうでも良くなってきた。
佳奈多さんへの連絡と言うのも強制ってわけじゃないし、こんな直前にメールが来たんだ。
もし教えなかったとしてもきっと怒られないはず。
「うん、そうしよう」
僕はそう結論付けると教室に戻るために踵を返した。
ところが……。
「え?佳奈多……さん?」
「な、直枝理樹?」
少し歩いた先で、さっきまで探していた佳奈多さんの姿を見つけた。
探すのを諦めた途端に会うとはなんと言う運命の巡り合わせ。
僕はさっき結論付けた考えをうっちゃって恭介からのメールについて話そうとした。
……でも。
「へー、さっきもあんなにチョコを食べたのにまたそんなもの飲むの。変わってるわね、あなた」
悪意に満ちた、そう表現するのが一番正しい声を聞いて僕は動きを止めた。
「なに?あれだけのチョコレートじゃ足りない?あなた、甘党なのね」
彼女の視線は僕の右手、いや持っている缶に注がれていた。
「あ、いや、これは違って。間違えて買っただけで」
「ふーん、そうなの。集中力が欠けてるのね」
彼女の辛辣さは変わらない。
訳が分からなかった。
この前、外で会った時の態度も素っ気無くはあったけど、こんな敵対的な口調ではなかったはずだ。
僕はいつの間にこんなに嫌われてしまったのだろう。
「あの、佳奈多さん」
「なにかしら」
「僕、何かしちゃった?それなら謝るよ。……ごめん」
「っ!!別にあなたは何もしていないわ」
「で、でも、だったらなんでそんなに不機嫌なの?」
嫌だった。
佳奈多さんに昔みたいな態度を取られることがこんなにも悲しいなんて。
「別に……普通よ」
「ならいつもみたいに会話しようよ。嫌だよ。せっかく仲良くなれたと思ったのに……」
「……だ、誰と誰が仲良くなれたよ。妄想も大概にしなさい」
「そんなんじゃないよ。確かに昔はそうだったかもしれないよ。でも今は違うよ。
気づいてる?ここ何ヶ月、暇さえあれば僕ら、喋ってるってこと」
「……」
「確かに僕から話しかけることもあるけど、佳奈多さんからだって話しかけてくれる。
葉留佳さんの様子、クドの様子……ううん、それだけじゃない。
何気ないことだってたくさん話してくれるようになったじゃない。
お互いに何かを、些細なことでも話したいって気持ちを持てるようになったのなら、
それって仲良くなったってことでしょ。違う?」
僕はそうだと信じたい。
あれがただの思い込みなんて思いたくない。
「……なんでそんなに必死なの?」
右手で左腕をギュッと握り締めながら彼女は強く言葉を吐き出す。
でも目線は僕を捕らえていない。
そう言えばそうだ。佳奈多さんはさっきから一度も僕の目をしっかりと見ていない。
いつもは射抜かれるんじゃないかと錯覚するようなあの眼光をまともに浴びていなかった。
「だって、佳奈多さんは僕にとって大事な友達だから。
だから普通に会話できないのは嫌なんだ」
「別にっ……別に良いでしょ。仲良しこよしがしたいなら葉留佳がいるじゃない。
あの子ならあなたの望み通り仲良くしてくれるわ」
なんでそんなことを言うんだろう。
僕が頷くはずないって、佳奈多さんも分かっているはずなのに。
「ねぇ、佳奈多さん。それは違うよ。僕が仲良くしたいのは君だよ。
葉留佳さんも佳奈多さんも別の存在だもの。
だから代わりなんてならない。……僕は佳奈多さんとも仲良くしたいんだ」
それは偽らざる本心だった。
いつもクールでちょっと融通が利かないとこがあって、
でも本当は優しく世話焼きなとこもある、そんな彼女は嫌いじゃないから。
「だから僕のせいで君を怒らせてしまったのだとしたら謝るよ。
謝るからあんな他人のことを攻撃するような口調はやめて欲しい」
「……なんで、かしら?」
佳奈多さんはゆっくりと僕の顔を見上げた。
その時、僕は今日初めて彼女の目をしっかりと見据えることが出来た。
彼女の目はいつもと違い、自信なんて欠片もないようなそんな弱々しい光を湛えていた。
「だって、そんな佳奈多さんを見続けていたら、きっと僕は昔みたいに
君に対して嫌な感情を抱いてしまう。そんなの嫌なんだ」
「っ〜〜〜〜〜〜〜」
あんな悪意を込めた声で喋る佳奈多さんなんて見たくなかった。
だからそのためならなんだってするつもりだ。
「もう一度言うよ。僕が何かしたのなら謝らせて欲しい。
もし知らない内に傷つけるようなことをしたのなら、教えてほ……ぶほっ!?」
何かの塊が鼻にぶち当たって僕はその場にうずくまった。
物自体はそんなに硬くはなかったけど、物凄いスピードでぶつけられてめちゃくちゃ痛かった。
「か、佳奈多さん。いったいなにを……」
鼻を押さえながら顔を見上げた。
「……………違うわ」
「え?」
「だから、その……イライラしていただけ。それをあなたにぶつけていただけよ」
えっと、それで今度は物理的にぶつけたって事?
それはちょっとあまりにも理不尽なんだけど。
僕の視線に気づいたのか、彼女は一度咳払いをした。
「それが何か分かる?」
「へ、これ?」
言われて僕は落ちていたそれを拾う。
なんだろう、最近……というか今日やたらと見かける代物に似てる気がする。
でも、まさかなぁ……。
「あの、まさかと思うけど……………チョコ?」
信じられない気持ちで僕は告げる。
だってあの佳奈多さんだよ。そんなもの持ってると考える方がおかしい。
「ええ、そうよ」
でも彼女はあっさりと肯定してくれた。
僕は一気に混乱の渦に叩き込まれた。
いったいなんで彼女はこんなものを持っているんだろう。
「………空箱だけどね」
「はい?」
「だから、空箱よ、それ」
言われてもう一度見直す。
確かに言われてみれば包装紙は破かれており、包みも非常に軽かった。
そっか、そういうことか。
「なんだ、ゴミを拾っただけなんだね」
それなら納得だ。
ゴスッ
「がっ……」
思いっきり頭を殴られ、僕は地面に倒れ伏した。
「な、なにを……」
文句を言おうと顔を上げたところで、僕は言葉に詰まってしまった。
だって、そこにはとても素敵な笑顔の佳奈多さんがいたから。
「なにがゴミなのかしら」
「いえ、なんでもありません」
僕は首を横に振ると、何事もなかったように立ち上がった。
「ふぅー、やっぱりあなたって最低よね」
いきなりめちゃくちゃ酷いことを言われたし。
さっきの悪意に満ちた声とは違うけど、でも凄く刺々しい。
「いきなり酷いこと言うよね」
「あら、本当のことでしょう。学食で葉留佳だけじゃなくて6人もの女の子からチョコを貰って
で、デレデレして……。いいえ、貰うだけならまだしもあんなことをさせるなんて……」
「え……み、見てたの?」
「ええ。葉留佳とのポッキーゲームは楽しかった?
ああ、それとも棗鈴にチョコを食べさせてもらうほうが良かったのかしら」
「も、もしかして最初から最後まで見てたの?いや、見てたんだねっ」
だー、もう恥ずかし過ぎる。
って、そうか。あの時一瞬感じた殺気じみた視線は佳奈多さんのだったのか。
僕が頭を抱えているのを尻目に彼女は言葉を続けた。
「それに葉留佳に聞いたわ。
昼休み、あの子達のだけじゃ飽き足らず何人もの女子からチョコレートを貰って喜んでたってね。
なに?あの子達だけじゃ足りない?あなた見掛けによらず女ったらしなのね」
「ち、違うよっ。そんなわけないじゃない」
凄い言いがかりだった。
「どうだか。……あなた嘘つきじゃない」
対する佳奈多さんはとっても冷たい目線を向けていた。
「別に清廉潔白だとは言わないけど、嘘つき呼ばわりはされたくないよ」
彼女に負けないように精一杯目に力を込めて言い返す。
今、ここで引いたら更になにを言われるか分かったもんじゃない。
「あら、今まで一度もチョコを貰ったことがないとか言いながら、実際はこれでしょ?」
「あぅ……」
彼女の言葉にたちどころに勢いが失せるのだった。
そ、そう言えば佳奈多さんにはそう認識してたんだった。
実際が真人が言ったとはいえ否定しなかったんだから、言ったも同然だ。
「ほら言い返せない。浅ましいわね。そう言って他の子にも同情してもらって
チョコレートを貰おうとしたのかしら?」
「そ、それは違うっ。僕にそんなつもりはないよ」
「信じられないわね。ならどういう理由があってあんなことを言ったのかしら」
「そ、それは、その……話の流れというか、真人に知られたくなかったからというか」
と言うかそれに尽きるんだけど、きっと納得してくれないだろう。
だからせめてこれだけでも伝えたかった。
「でも、このことを言ったのは佳奈多さんだけだよ。他の人には言ってない。
それだけは信じて欲しい」
あんなことを吹聴したことなんてない。
そんな風に佳奈多さんには見られたくなかった。
……そしてどれくらいの時間が経っただろう。
ジッと僕を見続けていた佳奈多さんは不意に小さく嘆息した。
「ふぅー、分かってるわよ。冷静に考えればそうよね。
あなたが貰えないはずないのよね。…………なのに馬鹿みたい」
「え?」
最後の言葉に僕は思わず声を漏らす。
けど僕の声に彼女は何も反応を示さず、独白を続ける。
「最低ね、最低よ。浅ましいのは私の方ね、きっと。
自分の行動があまりにも愚かしくて反吐が出るわ」
「佳奈多さん……」
理由は分からない。
けど彼女が自分のことを責めるのは違うと思った。
支援
支援
だから僕は行動に移す。
ギュッ
僕は彼女の肩を掴み揺さぶった。
「え?な、直枝理樹!?」
僕の行動に驚いて佳奈多さんは目を見開いた。
けどお陰で言葉を止めてくれた。
「ごめん。……でも言いたいことがあって」
「な、何が……」
「僕が嘘をついたことと、佳奈多さんが不機嫌になった理由。
それがまだ僕は理解できていない。けどそれは絶対佳奈多さんが自分を責めることじゃないはずなんだ」
それだけは間違っているとは思えない。
もし責任があるとしたら僕なんだろう。
「僕は何をしてしまったの?……ううん、僕が嘘をついたことで何があったの?
その、これと関係あるの?」
チョコレートの空箱を差し出す。
そう。僕にこれを叩きつけた理由はきっとそれに関係しているはずだ。
でも僕にはその関係が思いつかない。
その鈍感さが嫌になる。
本人に聞かないと分からないなんて、なんて情けない。
「あ……その……」
僕の言葉に答えて僅かに躊躇の表情を見せた後は口を開いた。
「……それは、あなたへのチョコよ。あなたがチョコを貰ったことがないって言ったから……。
……柄じゃないと自覚してるわ。けれど放っておけないもの。だから買ってきたのだけどね……」
佳奈多さんは自嘲するように口元に薄く笑みを浮かべ答えた。
僕は持っていた空箱をまじまじと見つめた。
「でもね、昼休みにあなたが葉留佳たちからチョコを受け取っている姿を見て
自分がどれだけ滑稽だったか気づいたわ。だってあの子達が渡さないはずないんだもの。
……いいえ、それだけじゃない。昼休みね、ギリギリに戻ってきた葉留佳がとても不機嫌だったの。
気になって次の休み時間に尋ねたら、あなたがチョコを他の子からも貰ってたって言ってたのよ」
ああ、僕が笹瀬川さんに会っていた時か。
「あなたに好意を持ってる人間はこんなにいるんだったって、今更ながらに気づいたわ。
いいえ、なんで気づかなかったんだろうって自分の行動が恥ずかしくなったわ。
……無意識に気づかない振りをしてたのかもしれないわね。
だからかしらね。自分のチョコがとても不恰好なものに思えて……さっき食べちゃったわ」
結構美味しかったわよ、なんて笑顔で彼女は言う。
……ああ、やっぱり自分の鈍感さに怒りがこみ上がる。
そんなこと、女の子に言わせるべきものじゃないのに。
少し考えれば思い当たるはずなのに……何故僕はこんなにも人の気持ちに鈍いのだろう。
「…………ふん、あれだけ浮かれてることに対して文句を言ってたくせに、
結局やってることが一緒じゃ世話な「佳奈多さんっ!!」……え?」
なおも自虐的な言葉を口にする彼女に向かって叫ぶ。
そんな姿、見たくなかったし、彼女が自分を皮肉る理由なんてないと思ったから。
「ごめん。佳奈多さんが怒るのは当然だよ……。
あんな嘘吐かれたら馬鹿にしてるって感じるよね……」
そう。全部僕が悪いんだ。
チョコレートを貰ったことがない。
そう聞いて佳奈多さんは何とかしてくれようとしてくれたんだろう。
もしかしたらちょっとしたからかいくらいはあったのかもしれない。
でも結局、その男は当日いくつもチョコを貰っていた。
それどころか貰ったことがないと言う言葉さえ嘘だった。
そんなの怒って当然だ。馬鹿にしている。
「なのにあんな偉そうなこと言って、ごめん。本当にごめん」
僕は何度も何度も頭を下げる。
なにが仲良くなりたいだ。
なにが攻撃的な口調を止めてくれだ。
そうさせたのは紛れもない僕じゃないか。
「だから、あなたのせいじゃないと言ってるでしょ。私が勝手にやっただけで」
「でも……」
彼女を苛立たせた理由は僕以外ないじゃないか。
そうとしか考えられない。……けれど佳奈多さんは僕の言葉を真っ向から否定した。
「違う、違うわ。私は別にあなたを責め立てたくてあんなことを言ったのではないわ。
……はぁー、自分の性格が嫌になるわ。こんな言い方しか出来ないから勘違いさせるのよね。
あのね、私が不機嫌だったのはあなたに嘘を吐かれたからじゃないわ。
あなたの言葉に嬉々として動いた自分自身の浅ましい考えに怒りを覚えたからなのよ」
そこまで言い終えると、彼女は僕から目線を逸らしポツリと呟いた。
「その…………チャンスだと思った自分が嫌だったのよ」
「え?」
チャンス?
その言葉の意味を図りかねた。
彼女は僕の戸惑った表情を見たのか、小さく溜息をついた。
「本当に分からないの?……下心を持って動いてたと言ってるの。情けないことにね」
そこまで言うと、彼女は力無く僕を見つめた。
「下心?あ、あの、また良く分かんなくなってきたんだけど」
佳奈多さんが何を言いたいのか分からない。
なんだろう。何かを決定的に僕は勘違いしていた気がしてきた。
「本当にあなたは鈍いのね……」
馬鹿にするような言葉で、でも口調には一切嘲りを含まず彼女は呟いた。
「それは……嫌と言うほど分かってるよ……」
だからこんなにも情けないって痛感しているのだから。
僕の顔を見つめていた佳奈多さんは不意に話題を変えた。
「ところで、直枝理樹。あなたは葉留佳たちの気持ちに気づいているのかしら?」
「え?葉留佳さんたち?」
何故ここで葉留佳さんたちのことが出てくるのだろう。
「そう、あの子達の気持ち。まさか気づいていないとは言わせないわよ」
有無を言わせない表情。でもそのことで彼女が何を言いたいのか分かった。
「……さすがに、気づいてるよ。鈴たちが僕に好意を持ってくれていることくらい」
あそこまでされて気づかない方がどうかしてる。
でもだからと言って。
「それから先に進みたいって気持ちはまだ持てないけど」
「……なに、風紀委員長を目の前にして堂々と不純異性行為の宣言?」
「ち、違うよ。そうじゃなくて恋愛関係になりたいかって言われると微妙ってこと」
僕の言葉に分かってるわよと、小さく佳奈多さんは頷いた。
「でも分からないわね。あの子達は十分可愛いでしょ。葉留佳なんて特に。
なのになんでそういう気持ちになれないのかしら」
「それは……分かるよ。綺麗だし可愛いとも思う。
でもさ、踏み出していいのかも分からないし、向こうもそこまで望んでるのか分からないもの。
ぶっちゃけて言えば好意は好意でも友達としての好きって延長なのかなって気がしちゃって」
「はぁ?何を言って……」
佳奈多さんは呆れたように呟く。
でもしょうがない。
「だって、僕は特別好かれるようなことなんてしてないもの。
だから自信が持てないし、鈴たちの真意も分からない。
そんな状態で今のこの関係を壊してもいいなんて気持ちは沸いて来ないんだ」
もし本当に誰かを好きだって思えたらきっと僕は迷わず動けると思う。
みんなだってその時には祝福してくれる。それくらい僕たちの絆は決して浅くないと信じてる。
でも今はリトルバスターズの関係の変えてもいいって気持ちを持つことは出来ないでいる。
「それは、他の子にも言えるのかしら」
「え?他の子?」
「そう。葉留佳たち以外からもチョコ、貰ったでしょう」
「あ、うん、そうだね」
言われて考える。
杉並さんとかから貰った時、どう思ったのか。
あー、たぶん一番相応しいのはあれかな。
「困った、かな」
「困った?」
「うん。なんで僕にくれるのかなって。
去年は分かるよ。恭介たちのついでって感じだったし。
でも今年は違う。本気の気持ちをぶつけられた気がするんだ。
けれどそんなものを貰えるようなことした記憶がないからどうすればいいんだろうって」
だから困ってしまう。
素直に気持ちを受け取れないでいる。
「真面目ね。そして本当に鈍いわね。………いえ、それともそれが自然だからかしら」
「え?」
僕の戸惑う声に彼女は薄く微笑んだ。
そしてそっと口を開く。
「あの事故以来、あなたは本当に変わったのよ。あなた自身は気づいていないでしょうけど。
そんなあなたにきっと助けられた人はたくさんいるわ」
「そう、なの?よく分からないけど」
本当に特別なことをした記憶はないんだけどな。
けれど佳奈多さんはそれでもあなたに助けられた人はいると繰り返した。
「だから、かしらね。きっと私も……」
「?」
小さな呟き、その声が聞き取れなくて首を傾げる。
「……ねぇ、直枝理樹」
「な、なに?」
幾分鋭い響きを持って声を掛けられ、僕は少しばかり驚きながら答えた。
「それ貰うわよ」
「へ?わっ、ちょ……」
僕が何か答えるより先に佳奈多さんの手が動き、持っていたココアの缶を奪われてしまった。
「な、なにするのさ」
いや、たかがココアくらいで怒る気はないけど、いきなりは止めて欲しい。
でも佳奈多さんはそんな僕の抗議を聞き流すように缶を玩び、プルトップを開けた。
「直枝理樹。私が何故不機嫌だったか教えてあげるわ」
「え?あ、うん」
どういう流れでそうなったんだろう。ホント、さすが葉留佳さんの姉だって思うくらいの唐突さだ。
まぁ、教えてもらえるなら文句は言わないけどさ。
「本当に、簡単なことなのよ」
「う、うん」
「あなたが鈍感すぎるから悪いのよ。女の子にこんなことを言わせるなんて」
顔を赤らめ何かを決心したような表情を佳奈多さんは見せる。
その珍しい表情に戸惑いを覚え、思わず固まってしまう。
そして木偶の坊のように突っ立っている僕にぎこちなく微笑みかけると、
佳奈多さんは僕の背中に手を回し思いっきり引き寄せた。
それに対して抗議の声が上げようとした瞬間、
彼女は意を決した表情を見せ、小さくでもはっきりと口調で囁いた。
「好きだからよ、あなたを。理樹くん」
「え?あ……んんっ!!?」
その言葉に反応するよりも早く、僕の唇は何かに塞がれた。
いや、違う。佳奈多さんの唇によって僕の唇は奪われたのだった。
そしてそのまま舌が口腔を侵入し、何かが流し込まれた。
「ん……はふぅ……むぅ……くちゅ……」
この口の中に広がる甘さは……ココア?
きっと僕が驚いた隙にココアを自ら呷って口移しで飲ませているんだろう。
佳奈多さんにキスをされている。
その出来事にショックを覚えつつも、僕の頭は完全に動転せず、そんな推理をしていた。
女の子にファーストキスを奪われたという事実は、本来もっと驚きパニックを起こしたって
おかしくないはずなのに、何故かキスを言う行為を客観的に見れるくらい落ち着いていた。
(……初めてのはずなのに……)
でも何故だろう。記憶にない思い出が蘇りかけるのは。
そしてその中に、目の前の彼女の姿が含まれているような錯覚を覚えるのは。
……けれど考えはそこで止まる。なぜなら僕は彼女の姿をはっきりと意識してしまったから。
「ん……う、ん……んん……はふ……」
顔を赤くしで必死な表情で手を回し、キスを続ける佳奈多さんの姿がそこにはあった。
その姿にさっきまで考えていたことはあっさりと霧散した。
そう、目の前の彼女に比べればさっきの考えはどうでもいいことだった。
彼女がああまで大変そうなのはおそらく自分の方が背が高いからだろう。
(きっと飲ませ難いのだろうな)
頑張って舌で押し出そうとしているんだろうが、
上手くいかず幾筋かココアが彼女の口元から垂れていた。
その頑張っている姿が妙に可愛く健気に見え、手伝ってあげたくなった。
……後から考えればなにを馬鹿なことをしたんだろうと凹むほど愚かしい行動だったけど、
その時は本気でそう思ったのだ。
キュッ
僕は自らの腕を彼女の体に回した。
その瞬間、彼女の体はびくりと震え、僅かに強張った。
僕は安心させるようにその体を静かに抱きしめ、柔らかい髪ごと背中を撫でた。
何度か撫でているうちに彼女の体から力が抜け、僕に体重を預けてくれるようになった。
それを見て、僕は自らの舌を彼女の舌に絡ませ、互いの唾液を交換するように彼女の口の中に侵入した。
「むうっ!?」
さすがに驚き佳奈多さんは目を見開くが、無視して僕は彼女の口腔に残ったココアを一気に吸った。
ビクンビクンと体を小刻みに震わせ、徐々に体を擦り付けるように佳奈多さんは僕に垂れかかる。
背中に回した彼女の手にも力が篭り、まるで振り落とされないようにしがみ付く子供のようだった。
そんな反応が可愛く新鮮で、彼女の口の中からココアが無くなるまでずっと見つめ続けるた。
「んく……ん……はぁ……」
そして佳奈多さんの唾液とココアの混合物を飲み干すと、僕らはどちらからともなく唇を離した。
その瞬間お互いの唇から銀糸が掛かり、ぷつんと切れる。
それと共に彼女の体は僕にもたれかかるように崩れ落ち、僕は慌ててその体を支えた。
彼女の顔を見ると目の焦点は合っておらず、
惚けた表情のまま口元には幾つかのココアの垂れた後と唾液の跡も見て取れた。
「え、えっと……」
よかれと思って手伝ったんだけど、被害拡大させたようにしか思えない。
というかこれって結構まずい?
と、とにかくそのまま放って置くのもなんだし、
ズボンのポケットからハンカチを取り出して、彼女の口元を拭った。
「……あ……」
そして粗方口元を拭い終えたところでようやく彼女は目の焦点が合い、虚脱状態から回復したようだ。
さて彼女はなんと反応を示すんだろう。
できればいきなり怒鳴るのだけは勘弁して欲しい。
「……大丈夫、佳奈多さん」
ともかくまずは落ち着いてもらおうと、僕は出来るだけ優しい声で彼女に語りかけた。
すると佳奈多さんは僕の言葉に熱に浮かされたような視線を向け、気だるげに尋ねた。
「…………キス、初めてじゃなかったの?」
「え?」
「驚かせようと思ったのに……逆に驚かされたわ……」
あ、あれ?なんかテンション下がってる?
「えーっと、僕初めてだよ。生まれて初めてのキスを、今この場で佳奈多さんに奪われたんだけど」
「う、嘘よ。だってあんな……上手いのに……。それに凄く冷静だったし……」
そこで言葉が途切れ、佳奈多さんは自分の頬に手をやった。
その顔は真っ赤に染まっており、今にも倒れそうだ。
「い、いや、その……」
そう言われると言葉に詰まる。
確かに佳奈多さんにキスをされたこと自体は驚いたけど、必要以上にテンパらず事実を受け止められた。
普通ならあまりのことにあたふたと動揺を見せるものなんだろうな。
「私が初めてだと思ったのに……。いったい何人の女とキスしたのよ……」
恨みがましそうな視線で僕の目を見つめてくる。
い、いや、だから。
「本当に僕初めてなんだってばっ。というかなんでいきなりキスなんてしたのっ。
いや、それよりもさっきの言葉ってなに?……その、冗談ってわけじゃ……」
「ないわよっ。私だってキスは初めてなんだもの。
なんとも思ってない相手にそんな貴重なもの捧げるほど安っぽい女じゃないわ」
なんと言うか意外に古風な考えの持ち主らしい。
まぁ、誰かとキスの経験があるって言われたら気持ちとか関係なくショックなんだけどさ。
と、それは置いといて。
「ほ、本当なの?全然そんな素振り見せなかったし……」
にわかに信じがたい。
けど佳奈多さんは僕の言葉に不満げな表情を浮かべた。
「素振りぐらい見せたわ。あなたが鈍いだけ。
私は、その……あなたのこと、好きよ」
頬を染めながら彼女はもう一度はっきりと告げた。
その言葉に一瞬で頭の中が沸騰する。
「そ、それは……えと……」
どう答えればいいんだろう。
彼女がそんな気持ちを向けてくれてたなんて全く気づいていなかったのに。
なので、どんな反応をすればいいか分からなかった。
「別に今すぐどうこうってわけじゃないわ。ただ伝えたかっただけ。
………それで、私がさっきまで不機嫌な理由は分かったかしら」
腕の中で彼女は小首を傾げる。
理由とそう言われても。僕のことを好きってこととどういう関係があるんだ?
「ふぅー、まだ分からない?なんてことのないただの浅ましい考えよ。
あなたがチョコを貰ったことがないって聞いて、
それなら私があげたらあなたが気にしてくれるかもって甘い考えを抱いてチョコを買ったのよ」
それがチョコを佳奈多さんが買った理由?
「けど葉留佳たちが渡す可能性は十分にあるって今なら気づけたのに、
その時は自分の考えに舞い上がっていたのか気づけもしなかった。
でも実際にあなたが葉留佳たちにチョコを貰ったのを見たことで、
自分がどれだけ短絡的で欲に捕らわれた考えで動いていたか分かったのよ。
そんな自分に嫌悪感すら抱いたわ。だから買ったチョコはすぐにでも消し去りたくて自分で食べたのよ」
でも結局八つ当たりをしてしまったわ、ごめんなさいと彼女は頭を下げた。
けどそんなのとんでもない。
「謝らないでよ。僕がもっと早く気持ちに気づいて上手く立ち回ってれば良かっただけだよ」
僕が自分の不甲斐なさに落ち込むと、彼女が小さく笑う。
「……ふっ、立ち回れない方があなたらしくていいと思うけどね」
「そう、かな。そんなことないと思うけど。……でもだったらなんであんなことしたの?」
「……嫌だったかしら?」
「い、いや、それは……嫌って言ったら嘘になるけど。でもなんで急に……」
話を聞く限り直接気持ちを伝える気はなかったみたいだけど。
僕が問いかけると彼女は僕の肩に手をやると体を離した。
「佳奈多さん?」
その行動に思わず声をかけると、彼女はゆっくりと口を開いた。
「あなたが悪いのよ。あなたが私にもまだ大丈夫だって思わせたから」
「え?」
「正直、葉留佳たちには負けると思ってたわ。いいえ、あなたとの関係性ならバスターズの連中の方が
圧倒的に上だもの。あの子にも悪いって気持ちも少なからず有ったし」
「う、うん」
「けどあなたはあの子達のことをまだ恋愛対象と見てないと、
気持ちを向けられる理由が分からないって言ったわ。仲間としての関係性を崩したくないと」
確かに言った。
今の僕には彼女達に好かれる理由が分からなければ、
自分が彼女達に相応しいような人物だという自信もない。
「そんなこと言われたら期待してしまうじゃない。私でもまだあなたを好きになっていいんだって」
「それは……」
否定の言葉は出てこない。
だって元より僕は佳奈多さんのことを鈴たちと同じくらい大切だって思ってたから。
好かれたくないなんて言葉、嘘でも思いたくない。
「浅ましいと思ったわ。自分がさっきまでやっていた行動を思い出したら特にね。
けれど仕方ないわ。あんなにも優しくされたら気持ちを抑え付けておくなんて出来ないもの。
だから伝えたのよ。理樹くん、あなたが大好きだって」
彼女はにこりと笑顔を作る。
それはたぶん今まで佳奈多さんを見てきた中で一番綺麗な笑顔だった。
「僕、別に何もしてないよ」
けど彼女の言う優しいことと言うのが皆目検討付かず、戸惑ってしまう。
支援
すると彼女は予想していたように笑い、告げた。
「キスの上手さもそうだけど、あなたって天然の女殺しよ。ジゴロって言ったほうがいいのかしら」
「ちょっ、相当失礼なこと言ってるよね」
「あら、事実よ。……だから自覚しなさい。
あなたの行動がどれだけ女の子の助けとなり幸せを与え、同時に不幸にするかを」
きっぱり言われてしまうと反論できなくなる。
僕ってそういう人間なんだろうか。ただ普通のことを当たり前にしているだけなのに。
「それと、さっきのキスだけれど、あげられなかったチョコレートの代わりよ。
ココアだし、私が買ったものじゃないからかなりのマイナスだけど、
私のキスのおまけ付きってことでプラマイゼロかしら?」
「い、いやー……」
頭を掻きながら言葉を濁す。
こっちがキスを堪能してしまったことを分かってて言ってるんだろうな。
……やっぱ性格悪いよ。やっ、文句を言える立場じゃないけどさ。
「まぁ、満足はしてくれたようだから良しとしましょう。
…………私も予想外に気持ち良かったし……」
「え?」
最後の台詞だけ声が小さくて聞き取れない。
でも彼女は僕の声に何の反応も示さず、それどころか真後ろを向いてしまった。
ただ振り返った際、彼女の耳が真っ赤に染まっていたように見えたのは気のせいだろうか……。
スレ立て失敗。支援求む。
次はpart9なので注意
756 :
ショコラ6:2008/03/14(金) 01:11:49 ID:hcvmFcSN0
一旦これで終了します。
最後の話は明日夜。
結構長くなってしまってすみません。
>>756 じーじぇい、先が気になるが投稿はしばしまたれよ(・ω・´)
妄想スレ2代目立てた人が通りますよ。支援に来たけどスレタイどーする?
てか誰かいるのかな?
虚構世界でだいぶ鍛えられたみたいですネw
次スレ別にシンプルにリトバス妄想スレpart9でいいんじゃないの?
理樹・・・お前は遠いところにいっちまったんだな
760 :
757:2008/03/14(金) 11:34:26 ID:Z5OpvQQc0
ホストが規制食らったorz
これがうわさに聞くOCN遮断?
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