『コーラス!コーラス!』 の人です。お久しぶり。
例のBパートですが、入浴シーンを目論んだために聡子の頑強な抵抗に遭って頓挫していますw
かわりと言ってはなんですが、時節がら、聖夜祭のネタなど、と思ってお話を書いてみました。
あいかわらず、脚本にも小説にも届かないヘタクソな駄文ですが、何とかイブに間に合いましたので、
読みたいとおっしゃる方がおられれば、明日(24日、今日かw)、夕刻より投下したいと思います。
あと、今回はもうすこし丁寧に芝居をつけました。
そのせいかどうか、まだレス分割していませんが、またも分量がw どうも150レス前後になりそうです。
ご迷惑なら、おっしゃってください。他スレに貼るか、貼る場所を用意するか、テキストでウプするか、考えます。
よろしくお願いします。
349 :
347:2006/12/24(日) 16:27:18 ID:uEHGt8VR0
>>348 お久しぶりです。いつもありがとう。
とりあえずここで始めて、だめなら使わせてもらいますね。
例によってダイアルアップでゆっくり入れていきます。時間がかかると思いますので
気長に待ってください。では、はじめます。
繁華街にほど近い住宅街の教会では、いま少しで今年の聖夜祭が始まろうというところ。
会堂には、キャロル目当ての人たちがぽつりぽつりと集まりはじめている。
生徒たちは、そろいの聖歌隊の衣装、祭壇にしつらえたステージで出番を待っている。
その祭壇の左手、すこし開けた場所で、身支度をする生徒たち九人。
聡子、凉子、恭子の三人は彼女たちの身支度を手伝っている。
恭子はアルトのリーダー。背が高く、ショートで眼鏡の姐御風。
アルトの娘の髪に大きな白いリボンを結んでやって、結び目に小さな鈴を付けた。
「さぁ、出来たよ」
「ありがとう。センパイ」
アルトの娘は向き直り首をかしげて照れ笑い。リボンの鈴がちりりと鳴る。
恭子は、そろいのリボンのアルトの三人娘を眺めやり、
「ふふ、可愛いよ。あんたたち」
腰に手をあてて、ふちなし眼鏡を押し上げながらきししと笑った。
ふと見ると、凉子と聡子はメゾソプラノとソプラノの娘にリボンを結んで
もらっているところ。
恭子は短く切った髪の毛に手をやって、すこし寂しげに微笑んだ。
と、アルトの娘がにこにこしながら進み出て、
「センパイ、これ。つけてください」
「えっ? 無理だよ。あたしは・・・」
「いいから、いいから。ふふっ」
ひとりが後ろから小さな鈴のネックレスをかけると、ひとりがそれに細い小さな
リボンをつけた。
「あ・・・」
顔をあげる恭子。胸元でちりり、と鈴が鳴る。
「えへー。センパイ、キレイです」
「あ、ありがと」
恭子は少しはにかんで、にこにこしている三人の顔をひとつひとつ見遣ると、
急に真顔になって、直立不動の姿勢をとった。と、
「連隊長訓辞ッ!」
「はッ!」
恭子に合わせて直立不動の姿勢になるアルトの娘たち。
恭子はそれを見遣ってにやりと笑い、
「やすめッ!」
合図をすると後ろに手を組んで、娘たちの前を往復しながら、
「諸君。ついに日頃の猛訓練の成果が試される時が来た。
今日は諸君のめでたい初陣である。諸君はこれより凉子分遣隊長の配下に
入る。聡子歩兵団長の指揮の下、病院で赫々たる戦果を挙げられたし。
諸君の奮戦を期待するッ」
いつもの調子で訓辞を垂れると娘たちの方を向き直り、ひとさし指で眼鏡を上げて、
「ン以上ッ!」
「はッ!」
かかとを合わせて敬礼する四人。互いににっこり笑い合う。
と、聡子がこっちを見て、つかつかと歩み寄って、背伸びしながら恭子の後ろ頭を
げんこつで、ぽかり。
「ばかッ!」
「いたッ。誰ッ!?」
恭子がふりむくと、すでに学校指定のマントを着込んだ聡子が両手をにぎりしめて、
仁王立ち。恭子を睨みつけている。
「聡子ッ!?」
「あッ、歩兵団長閣下ッ」
「歩兵団長閣下に、敬礼ッ」
恭子の背中越しに先程のノリのまま敬礼をおくるアルトの娘たち。
聡子はソプラノのリーダーで部長さん。小柄でおかっぱ、童顔の元気な娘。
彼女たちを指さして、
「恭子ッ、部員に変なこと教えないでッていつも言ってるでしょッ」
恭子は、腕を組んで眼鏡を押し上げ余裕たっぷり。にやにやしながら、
「えぇ〜? 変なことぉ? なぁにそれ? や〜らしぃ(クス)」
「兵隊さんごっこッ。決まってるでしょッ。分かってて言ってるわねッ」
身を乗り出して怒鳴る聡子。
アルトの娘たちは敬礼の手を下ろしかけ、体を縮めて左見右見。恭子は、
「あらぁ、ごっこはないでしょォ? ミリこそオンナのロマンじゃなぁい?
それがわからないなんてっ(クス)」
聡子のおかっぱの頭に手を置いて
「お・こ・さ・ま・ねっ(クス) さ・と・こ・お・じょ・う・さ・まっ(クスクス)」
わしわしと頭をなでる。リボンの鈴がちりちりと鳴る。
アルトの娘たちはいやいやをしながら少しずつあとずさっていく。
聡子はうつむいて恭子にされるがままになっていたが、やがて顔を上げて
にっこり笑い、思い切り恭子の足を踏み付けた。
どすん、という音に肩をすくめて目をつぶる娘たち。
「お子様って言ったわねーッ。許さないッ」
「いたーッ、このおッ、お子様にお子様って言ってどこが悪いのッ」
「わたしのどこがお子様よッ」
「あんた自分でわかんないのッ、その不自由なムネも、直線美の腰つきも、
ちんちくりんな背も、どこをどうとっても完璧なお・こ・さ・ま(クス)
お子様お子様パーフェクトッ!」
聡子の表情がどんどん険しくなっていく。
アルトの娘たちは、はらはらしながらふたりの顔色を見比べている。
「・・・貴様ァ」
「あら、貴様だなんてぇ。レディの使う言葉じゃなくてよ。
まるで 兵 隊 さ ん みたい(クス)」
「・・・コロス」
「ハァ? よく聞こえないわ」
「コロシテヤル。塵になれーっ」
「だめーっ」
青ざめた聡子が恭子につかみかかろうとしたその時、騒ぎに気づいた凉子が駆け寄って
大急ぎで二人に割って入った。
凉子もすでにマント姿、普段長くたらした髪はマントの中に入れている。
凉子はメゾソプラノのリーダーで、副部長。背が高く、目元が優しい。
本を好きな夢見がちな娘。困った顔で聡子を押さえて
「やめて、聡子ちゃん、喧嘩はダメよ。神様の御前で。
今日はせっかくのイブなんだから。仲良くしなきゃ」
「う、凉子ちゃん・・・」
聡子は振り上げた拳をおろすと、床に視線を落とす。
ソプラノとメゾソプラノの娘たちも心配そうにこちらを見ている。
凉子は続いて恭子の方に向き直り、
「恭子ちゃんも。ワザとあおるようなこと言っちゃダメ。
喧嘩のあと寂しい思いをするのは、恭子ちゃんの方よ。いい?」
「ちぇっ、わかったよ凉子・・・」
恭子は腕を組んだまま、天井の方に視線を逸らす。
凉子はほっと息をつくと、にっこり笑い、
「じゃ、仲直りの握手。二人とも」
「・・・」
「・・・」
二人の手を取って互いに握らせた。が、二人とも不満そうに無言でそっぽを向いたまま。
凉子は声を荒げて
「聡子ちゃんッ、恭子ちゃんッッ!」
「はぃぃぃ」
反射的に背筋を伸ばす二人。凉子は怒って二人を交互に見遣りながら、
「二人ともッ、え・が・おッ」
「は・・・」
にへら、と作り笑い。
「もっとッ!」
「は・・・」
二人がさらににぱっと笑うと、凉子はようやくほっとした様子で笑顔に戻り、
「そうそう、それでいいわ。これで仲直り成立ねっ」
二人の両手を持って揺すったあと、アルトの娘たちの方へ向き直り、
「そろそろいくよ。マントを着て用意して」
「(プププ・・・)」
「?」
必死に笑いを堪える娘たち。
凉子が振り向くと、二人はにらめっこで無言のまま激戦中。
「あはははは、ぁは、はぁ、はっ、っ、ははははは」
娘たちはついに堪えられなくなり、凉子の後ろで笑い崩れた。
凉子はふくれっ面で二人につかつかと歩み寄って、
「いいかげんにして!」
げんこつ2つ。
きょとんとして凉子を見つめるアルトの娘たち。
「あいたーッ」
二人は頭をかかえてうずくまる。
「もぅ。ホント、お子様なんだから。二人とも」
凉子はつんとしてメゾソプラノの娘たちの方へ戻ってゆく。
アルトの娘たちはふたたび笑いを噛み殺す。
きょとんとした顔を見合わせる聡子と恭子。と、むむむとしかめ面になって
「フン!」
と、互いにそっぽを向く。凉子が遠くから、
「聡子ちゃんッ。急がないと列車におくれちゃうよッ」
聡子は行きかけて、恭子を見遣ってにやりと笑い、
「じゃ、いくけど。へろへろのタクトで神父さんを泣かせないように
せいぜい気をつけることね」
「あんたこそ。無茶なタクトで一年坊泣かせたりしたら承知しないからッ」
眼鏡を押し上げながらにやりと笑って答える恭子。凉子が
「はーやーくーしーてッ」
つかつかと戻ってきて、聡子の襟首を掴むとずるずると引きずっていく。
アルトの娘三人は笑顔で聡子に手をひらひら。
聡子は引きずられながらげんこつを恭子に向けて振りかざす。
恭子はそれを見遣ってあかんべをひとつ、アルトの娘の方に向き直り、
「さっ、あんたたちも早くして。凉子がお待ちかねだよ」
と促すと、アルトの娘の一人が
「あの・・」
と言いよどんで、うつむいてもじもじ。そして、
「あの・・、センパイ。あの、センパイもあとから来てくれますよね?」
恭子はしかたないなぁといった風にかぶりを振ると、声を励まして
「大丈夫、大丈夫。心配ないって。あんなに一生懸命練習したんだ。
凉子や聡子もいるんだし。絶対うまくいく。間違いないよ」
「でも・・・」
アルトの娘は食い下がる。恭子はふう、とため息をついて
「あー、わかった、わかったよ。でも、これが終わってからだから間に合うか
どうかわからないよ? それでもいい?」
娘はぱっと笑顔になって、
「はい!」
「そらそら、いったいった」
苦笑しながら追い払う仕草。
三人は凉子たちのいる方へ行きかけてもう一度振り返り、声を合わせて
「絶対ですからねー!」
恭子は目を閉じて渋い顔、大きくうなづきながら追い払う。と、
「すみません。お嬢さん」
呼ばれて恭子が振り返ると、教会の神父様。カソック姿、首にクロスを下げている。
神父は落ち着いた様子で、
「そろそろですが、よろしいですか?」
「あっ、あぁ、スミマセン。ほったらかしで。あは、あははは」
乾いた笑い。頭を掻く。神父は、
「じゃあ、お願いしますね。もう少ししたら始めますので」
会釈して、説教台の方に歩いていく。恭子も
「あ、はい」
答えて、すたすたと祭壇右端の自分の位置へ向かった。
× × ×
聖歌隊の前列向かって右端、恭子の定位置。
隣の聖歌隊姿の娘が、列に戻った恭子を肘でこづく。と、
「恭子〜、かわいいもんしてんじゃん。ずーとみてたよぉ、このー」
すけべ笑いをしながら恭子の頭をこづく。ネックレスを持ち上げて鈴をちりちり鳴らす。
後ろの娘が身を乗り出して
「ええー、これって恭子だけなのー?ずるーい」
「あー、わかったぁ。ひょっとしてぇ、愛しのオネエサマってやつ?」
「きゃーっ!!」
叫び声をあげながら恭子のまわりからあとずさるアルトの娘たち。恭子は、
「しーっ!」
口元に指を当ててたしなめて、
「そんなんじゃないよ・・・」
ちょっとうつむいて微笑んで、胸元の鈴に手を触れる。
すぐ前を見ると説教台で神父さまがプログラムを確認している。
恭子が会堂を見渡すと、いつのまにかぎっしりと人で埋まっていた。
普段の日曜ミサとは違う、にわか信者も混じって、どことなく華やいだ気分。
恭子は左手を返して時計を見る。5時50分。
分遣隊の方はと見ると、凉子はメゾソプラノの娘二人とにこやかに本のやりとりを
しているところ。聡子はソプラノの娘四人がじゃれかかっているところ。
アルトの娘たちはそれにはさまれてちょっとさみしそう。
× × ×
祭壇左手。聖歌隊の衣装にマント、リボン姿の分遣隊。
聡子はソプラノの娘たちとじゃれあっている。
ひつじの帽子の娘二人が、三角帽子につけひげの聡子の両脇を抱きかかえて満面の笑顔。
もう二人が携帯を聡子たちに向けて写真撮影のかまえ。
聡子はぐったり疲れた様子。渋い顔。
「えへー、部長〜」
「聡子センパーイ」
聡子は二人にぶら下がる体。二人は聡子の脇をぎゅっと抱きしめてにこにこしている。
携帯を構えた娘の一人が
「聡子センパイ、スマイル、スマイルっ!」
聡子をかかえた娘たちはにっこり。聡子はにへら、と作り笑い。
もう一人の娘があいた手であおりながら
「もっとッ!」
娘たちはもっとにっこり。聡子はやけくそでにぱっと笑う。
「そうそう、イイヨイイヨー、はぁいそのまま」
「はぁい、チーズっ」
かしゃり、とシャッターの音。写真を撮った娘はかけよって
「ほらほら交代交代」
「はやくはやく」
すりすりしている娘二人をめりめりと引きはがして入れ替わる。
ぎゅっと脇をだきしめてうれしそう。聡子はぐったりして左右を見ながら
「ねぇ、いい加減放してくれる?」
「えー、あたしたちまだだもん」
「あの子たちだけずるーい」
さらにぎゅっと抱きしめる。聡子はがっくりうなだれて
「もう好きにして」
「聡子センパイ、スマイル、スマイルッ!」
「はぁい、チーズっ」
娘はにっこり。聡子はやけくそのにぱっと笑い。
かしゃり、とシャッターの音。
写真を撮られた娘二人は聡子にすりすり。
と、写真を撮った娘二人がにこにこしながら近づいて
「センパイ、これ。つけてください」
「う、まだあるの?」
「ほらほら、ふふっ」
一人が後ろにまわると三角帽子とつけひげをとりはずす。
もう一人が木の枝状のつけ鼻を前から取り付ける。登山帽をかぶせて
「えへー、センパイ。おもしろいですぅ」
娘はにこにこしながら小さな鏡を聡子の前に差し出して
「センパイ、ほら」
「・・・で、これはなに?」
「ピノキオですよー。部長、知らないんですかぁ?」
「そうそう、鼻が高くなるの」
「えー、頭が高くなるんでしょ、首がのびるの」
「違うよ、背だよ。足がのびて」
「・・・くっ」
拳を握りしめてうつむいて耐える聡子。
「でね。ここをこうするとぉ・・」
生徒が鼻についた枝の部分をひねると、鼻の先から白いふうせんが張り出してきて
鼻を引っ張りあげようとする。聡子は徐々に上を向いてつまさき立ちになり
左右にふらふら。
「ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん!」
「やたー、正解ィィ!」
「よっしゃあああ!」
「激写ッッ!!」(かしゃり)
「えー、あたしが正解だよ」
「もういっちょ!!」(かしゃり)
「はぁ?あたしにきまってるよ。ほら、足のびてる」
「ちがうよほらぁ、くびのびてる、ほら」
拳を突き上げて凱歌を上げたり、手をたたいてとびはねたり、写真を撮ったり、
言い争ったり、かしましい。
聡子は眉をひくつかせながらつけ鼻をはずすと、持ったまま拳を振り上げて
「こらーっ」
「きゃーッ!!」
うれしそうに逃げまどう娘たち。
聡子は振り上げた拳を下ろしながら、アルトの娘たちの方を見た。
口元に手をあててクスクス笑っている。聡子と目が合うと、笑いを収めて、うつむいて
ちらちらとこちらを見たり、互いに目配せしたり。
聡子は少し微笑むと、ソプラノの娘の一人を捕まえて、アルトの娘たちの方に目を遣りながら
「ね、あの子たちにもつけてあげたら? よさそうなの」
とん、と娘の背中を押す。
娘はきょとんとしていたが、すぐ笑顔になって
「はい!」
トートバッグを下げて、ソプラノパートの皆とアルトの娘たちを取り囲むと
「これ。つけてつけて」
「え、あ、あの、あたしは・・」
「いいからいいから、ほら、カワイイ」
「ほらほら、あんたも」
「や、や」
「これは嫌?じゃ、こっち」
「やぁん」
「はぁい。チーズっ」(かしゃり)
たちまちにぎやかに混じり合う。
聡子は祭壇の恭子の方をちょっと見遣って微笑んで、凉子の方に向き直った。
× × ×
祭壇上の恭子。分遣隊の様子を見つめている。
聡子にじゃれかかっていたソプラノの娘たちが、聡子が後押ししたあと、
アルトの娘たちを取り囲んで、うさ耳やねこ耳や、つけ髭や、天使の輪っかや羽を取り
出して付けてまわったり写真を撮ったり入り交じって笑いさざめく様子を見つめている。
と、聡子が振り返って目が合った。聡子はちょっと微笑んで凉子の方に向き直る。
ゆっくり目を閉じて微笑む恭子。
× × ×
祭壇左手。分遣隊の集結地。
聡子は木の枝のついた風船を持ったまま、凉子の方に向き直る。と、
「凉子ちゃん。揃ったよ。そろそろ行こう」
凉子はメゾゾプラノの娘二人とにこやかに話していたが、はっと気が付いた風、
聡子の方を覗き見て、
「ごめん、聡子ちゃん。それじゃみ・・・」
驚く凉子。
メゾソプラノの娘越しに、仮装をしたソプラノ、アルトの娘達、そろってにぱっと笑う。
しんがりに聡子の風船だけが見えてゆらゆら揺れている。
「・・んな、・・・ふっ、ふふ、うふふ、どうしたの、それ、うふふ、うふふ」
凉子は口元を抑えてクスクス笑い。堪えようとするがとまらない。メゾソプラノの
娘二人が凉子の様子に驚いて振り返る。そろってさらににっこり笑うソプラノ、アルトの娘たち。
「まぁ。うふふ、カワイイ。うふふ、うふふ」
「ふふ、うふふ、うふふ」
三人揃ってクスクス笑い。聡子が、
「凉子ちゃんッ。列車に遅れるよッ」
娘たちの後ろから少しいらついた声をかけると、凉子はようやく笑いを収めて
「ふふ、ごめんね。じゃあみんな、行こう」
「はい!」
ゆっくり会堂後ろの出口の方へ歩き出す。
× × ×
祭壇上の恭子。分遣隊の様子を見つめている。
凉子の声に促されて分遣隊はわらわらと動き始めた。うじゃけて仮装行列の体、
しんがりには風船を持った聡子がげっそりした様子でついている。
説教台の神父さまが腕時計を見てマイクに向かって話そうとするその時、
うさ耳をつけたアルトの娘がちらっと恭子を振り返った。
恭子はそれをを見ながら姿勢を正して、息をおもいきり吸い込んで、
と、先程恭子を小突いた隣の娘が直立不動、腹の底から声を出し、
「きをーつけーッ」
ばっ、と直立不動の祭壇上のアルトの娘たち。
ばっ、と姿勢を正す神父さまと会堂に集まった人たち。
おそるおそる振り返ってびっくりする神父さま。
隣の娘は横目で恭子を見遣って、にっこり笑う。
恭子は眼鏡を押し上げながら微笑み返し、分遣隊の方を見る。
「分遣隊に対しー、かしらーみぎーっ」
挙手の礼をする恭子と隣の娘。
頭を分遣隊の方に向けて注目するアルトの娘たち。
「○○ちゃーん」
「△△ちゃーん、がんばってー」
「聡子センパーイ」
手を振ったり、声を上げたりのソプラノ、メゾソプラノの娘たち。
分遣隊のアルトの娘たち、立ち止まって祭壇の方を向き、姿勢を正す。
それにあわせて立ち止まる分遣隊。
ソプラノの娘たちは、アルトの娘たちと調子を合わせて直立不動。
凉子とメゾソプラノの娘たちはにこにこしながら手をひらひらと振っている。
聡子はこめかみを右手で押さえてしかめ面。聡子はやけくそ、ぴりぴり通る大きな声で、
「直れ。前へー」
号令と共に分遣隊はふたたび出口へ動き出す。
「直れー」
号令と共に祭壇上のアルトの娘たちも緊張を解くと、ソプラノ、メゾソプラノ
娘たちに加わって、分遣隊に手を振ったり、声をかけたり。
会場の人たちからも大きな拍手がわく。
「いってらっしゃーい」
「がんばってー」
笑顔で会釈をする凉子とメゾソプラノの娘たち。
何度も振り返り、振り返り手を振る仮装姿のアルトとソプラノの娘たち。
風船を持ったまましかめつらでしんがりを歩く聡子。
恭子はにこにこしながら手をひらひら。
最後に残った聡子の風船も出口を出て行って、会場が少し静まって、説教台の神父さまが
渋い顔で咳払い。マイクにむかって
「えへん。あー、本日は雪のなかようこそおこしくださいました。ただいまより
クリスマスイブの集いをはじめます。共にひととき、主の生誕を祝い・・・」
声を背中に聞きながら、聡子たちは、教会の玄関を出ていった。
× × ×
教会の玄関先。冬の日はすでにとっぷり暮れて、門にあかりが灯されている。
ふだんはすすけた扉にも、とくべつな祭日らしく、飾られたガーランドの金銀の
モールに門灯が反射して、きらきらと輝いている。
午後から降り出した雪は、七年ぶりの大雪となってあたりを覆い尽くし、
なおしんしんと降り続いていた。
凉子は空を見上げてちょっと肩を縮めると、フードをかぶり、マントの合わせを
片手で押さえて、あいた手で褄を取り、
「みんな、足元に気を付けて。行こう」
娘たちも凉子にならって仮装をはずしてフードをかぶった。手をあげるとマントの下には
肩からはすにかけた通学カバン、小さなランタンをひとつつけている。
そろいのマントの娘たちは、凉子に促され、後について歩き出す。
聡子は右手に風船を持ったまま、頭に雪のかかるのもかまわず、じっと玄関の方を
向いて立っている。扉の向こうからは、恭子たちのキャロルの歌声。
口元をきりりと結んで聞き入っていたが、やがて、ふうと息をついてにっこり微笑んだ。
「聡子ちゃーん」
「ん、今行くよ」
凉子の呼ぶ声に左手でフードをかぶり、小走りに後を追う。マントの下にちらりと見えた
通学カバンには小さなランタンをふたつつけている。
× × ×
人気の絶えた住宅街。街灯に照らされた車の屋根には、分厚く雪が積もっている。
静かな、静かな雪の夜。聡子たちの雪を踏む音だけが聞こえている。
ときどき、ふぁさり、と庭木の枝から雪の落ちる音。
家々には暖かなあかりが灯され、壁のむこうから、クリスマスを祝う声や
クラッカーの音がかすかに聞こえてくる。
聡子たちは、寒さにすこし身を縮め、マントの合わせを押さえて歩いていた。
吐く息が白い。ブーツを履いた足は、すねのあたりまで雪に埋まっている。
住宅街をしばらく行くと、大通りに出た。
チェーンをつけてやかましく行き交う車の群れ。除雪車が出て雪を端に寄せている。
路肩には、チェーンも無く立ち往生した車が並ぶ。
聡子たちは、その横を通り抜けて、ジングルベルの音に引かれるように
商店街のアーケードに入っていった。
× × ×
宵の口の商店街。アーケードにつるされた時計は6時7分を指している。
アーケードは、もみの木、金銀のモールや玉、わたの雪、サンタにトナカイ、
ちいさなエンジェルなど、さまざまなクリスマスの飾り付けでいっぱい。
ジングルベルがにぎやかに鳴っている。
凉子はアーケードをくぐった所で立ち止まり、マントについた雪を払い始めた。
と、メゾソプラノの娘の一人が凉子の背中についた雪を払ってやって、
「はい、センパイ」
「ありがとう」
凉子はフードを下ろしながら振り返り、娘と顔を合わせてにっこり笑った。
「ほら」
「はい」
凉子は生徒の肩に手をかけて後ろを向かせると、マントについた雪を払ってやる。
メゾソプラノとアルトの娘たちは、互いにマントの雪を払いあって、にっこり。
聡子はと見ると、ソプラノの娘が雪払いをめぐって競っているところ。
「あたしがセンパイの雪はらうの」
「ちょっとぉ、どきなさいよ」
「あんたこそ、ジャマ。あっちいってよ」
「離しなさいよぉ、あーたーしーのー」
マントの四隅をしっかり握って離さない。
聡子はあきらめた風、目を閉じて渋い顔、されるがままになっている。
マントは四人が争うにつれて、ぴんと張って、聡子はマントをまわした首のところで
つり上げられてつま先立ちになり、右手に持った風船と一緒にくるくる廻る。
聡子はあわてて、
「ちょっと、破れる破れるッ。は、離して離してッ!」
あっ、と気が付いて四人同時に手を離す。すとん、とかかとを下ろす聡子。
マントがふわり。
「あ、あたしが一番最初に離したのッ」
「あたしに決まってるでしょ、ほらほらどいて」
「なにいってんのよ、わたしよわたし」
「あたしだってば、あーたーしッ」
聡子そっちのけで言い争うソプラノの娘たち。
聡子は無言、しかめつらでおもむろにマントを取ると、端を持ってぱたぱたと振った。
「聡子ちゃーん。はやくー」
「はーい」
凉子とメゾソプラノ、アルトの娘たちはもう先に行きかけている。
聡子はひらりとマントを羽織ると、
「おいてくよ、あんたたち」
言い争っているソプラノの娘たちの横を通って、凉子たちの後を追って
すたすたと歩いていく。
「あ、待って」
「待ってくださいー」
「センパイー、待って」
「おいてかないでぇ」
はっと気が付いて、あわてて聡子の後を追う。聡子は、まとわりつこうとするソプラノ
の娘たちを前へ押しやると、ふたたび列のしんがりについた。
ちょっと振り返って微笑む凉子に、風船を持ち上げて答える聡子。
着飾った家族連れ、友達同士や、男女のペアとすれ違う。
雪降るイブの夜ともなれば、うかれるのも道理、みな晴れやかな表情で足取りも軽い。
「や、それひとつ」
「ありがとうございます。2500円になります」
会社帰りらしいおじさんが、出店でクリスマスケーキを買っている。
おかあさんに抱かれた子供が、笑顔で聡子たちに向かってぱたぱたと手を振っている。
会釈する凉子。フードを下ろした後ろ頭のリボンが揺れて鈴がちりりと鳴る。
やがて、アーケードの出口の向こうに駅舎が見えてきた。
地方の小都市の玄関口、大きな駅ビルなどはなく、二階建ての簡素な作り。
雪におおわれて寒々と横たわっている。ロータリーにはバスとタクシーが少し。
聡子たちは駅前の大通りにかけられた歩道橋を渡ると、駅舎の中に消えていった。
× × ×
岬の病院。朝永の病室で。
窓のカーテンはあけはなたれていて、くもったガラスの向こうに病院の
ロータリーのあかりがにじんで見える。
部屋には、ラジエターを通るスチームの音がかすかに聞こえている。
ベッドのかたわらのサイドテーブルにはちいさなツリー。壁にはリースがかかっている。
気分だけでも、と仁科が用意したものだ。
仁科はそのサイドテーブルで、ちいさなケーキを切り分けている。
朝永はベッドの上に体を起こして、本を読んでいる。
手術から二ヶ月あまり、朝永は、院内をいざり歩けるまでに回復していた。
仁科は浮かぬ顔でケーキを小皿に移すと、ふう、とため息をついた。
朝永は、本のページを繰る手を止めて、顔をあげると、
「気になるか」
仁科は、ケーキの小皿をベッドテーブルに置きながら、
「はい。あの子たちだけで、大丈夫でしょうか」
「放っておけばよい」
朝永は再び本に目を落とす。
「でも、誰もそばにいてやらないのははじめてなんですよ」
杉坂も原田も、ヤボ用とかなんとか言って、困ったような嬉しいような、複雑な笑顔を
残して夕刻から姿を消していた。二人とて、希有のチャンスを失いたくはないだろう。
当然のことながら、無線封鎖は万全だった。
「聡子君たちがいる。街の行事など、どうということはない。放っておけばよい」
朝永は、気のなさそうな声で答えると本のページを繰っていく。
仁科はぷい、と席を立つと、部屋の隅に備え付けたポットのお湯で、ティーバッグの
紅茶を入れ、がちゃり、とベットテーブルの上に置いた。
「どうぞ」
ぶっきらぼうな声。どさりと椅子に腰掛けて、ふくれっ面で窓の方を向いたまま。
朝永は乱暴に置かれたカップの音に驚いて、本を閉じると、
「どうした」
「別に」
仁科は横を向いたまま。朝永は、
「何を怒っている」
「知りません」
「すまない。言ってくれないとわからない。私のせいなら、あやまる。
だがその前に話してくれ。頼む」
仁科は朝永の方を向き直り、
「先生は、薄情です」
「なに?」
「歌は人並み以上に上手でも、あの子たちだって、普通の女の子なんですよ。
心細く思う子だっているに違いないのに・・」
聞いて朝永は、ふふふ、と笑い出す。仁科はちょっとむきになって、
「何がおかしいんですか」
「ふふふ、いや、すまん。心配はもっともだが、仁科君。七年前、聖夜祭に
でるようになってからずっと、練習も本番も、生徒たちだけでやってきたんだ。
毎年、聞かせてはもらったが、指導など一度もしたことはない。違うか?」
「・・・」
「そもそも君らが始めたことだ。忘れたとは、言わせないぞ」
「う・・・」
顔を赤らめる仁科。朝永は続けて、
「私はこの体だし、高村先生もまだ外出は控えろと言う。
では君は? なぜここにいる? 言ってみなさい。生徒たちは何と?」
「う、そ、そのぅ、聖夜祭はいいから、朝永先生といっしょにいてくださいと・・」
耳まで赤くなって身を縮こまらせて答える仁科。最後の方はごにょごにょと
口ごもってよく聞こえない。朝永は、ははは、と明るく笑い、
「そうか。ならば好意に甘えた方がいい。押してついていたりすれば、
むこうはかえって気をつかう。放っておけ、とはそういうことだ」
「はぁ・・・」
照れ隠しに微笑む仁科。朝永は片頬を上げて微笑み頷くと、ふたたび本を開いて、
「婦長さんが言っていた。今夜は地元の子供たちが、ここでキャロルをするそうだ。
ぜひ聞いてみようと思う。仁科君、どうする?」
「はい」
朝永の言葉に微笑んで頷くと、仁科は窓の方に視線を移した。
部屋にはラジエターの音と本のページを繰る音だけが聞こえている。
仁科は立って窓に寄ると、ガラスをぬぐって外を見た。
ガラスには仁科の憂いを含んだ影。外は一面の銀世界。雪がしんしんと降っている。
× × ×
岬の病院。ナース詰め所。壁の時計は6時25分を指している。
クリスマスイブの夜ともなれば、退院間近の患者たちの多くは、外泊許可をとって
家族の元に帰っている。加えてこの雪、ふだんは患者でごったがえす外来も
午後からは足が途絶えて、いつになく閑散としていた。
そんなわけで、なんとものどかなナース詰め所では、二直のナースのうちの二人が、
机について、所在なげに同じ書類を積み直したり、専門誌の同じページを拡げたまま、
右手でただただシャープペンシルを廻したり。あまり仕事に身が入らない様子。
婦長の柴崎は彼女たちの奥の机でにこやかに電話をしているところ。
「・・・よかったわ。この雪でしょう? もしかして、こられなくなるんじゃないかと
思って。心配してたの」
婦長は虚空に向かって頷きながら、
「ええ。ええ。居られますよ。お二人とも。高村先生にね、ちょっと意地悪をして
もらったの」
悪戯っぽく、ふふふ、と笑う。
ナース二人がそれを聞いて顔を合わせて、笑いを堪える。
外科診療室で、べしっ、とくしゃみをする高村。
「んん? 大丈夫。人生たまにはこんなハプニングがないと、面白くないわ。ふふっ。
じゃ、手筈どおりに。お待ちしていますよ」
婦長はかちゃり、と受話器を置いて、
「さぁ、楽しくなるわね」
胸の前で両手を組んで、にっこり笑うと、ナース二人へ向き直り、
「あなたたち、ずいぶんと忙しそうね」
「はっ!? え、ええまぁ。あは、あははは」
さっと起立して答える二人。後ろ頭に手をやりながらごまかし笑い。
婦長は笑顔を崩さず、ずいと二人に近寄って、
「あなたたちを見込んで頼みがあるの。実はね・・」
手招きして額を寄せる。ナースたちはひそひそ声の婦長の話を、怪訝な顔をして
聞いていたが、やがてぱっ、と表情があかるくなった。
「えーっ、じゃあ子供のキャロルって・・」
「本当ですかっ」
「しーっ。それでね・・・」
ナースたちはそれまでとうってかわって、ふんふん、と激しくあいづちをうちながら
婦長の話に熱心に聞き入っている。やがて、
「・・・ということなの。どう? 手伝ってくれるわね?」
「ええ、もちろんですっ」
「こういうことなら、いくらでもお手伝いします。婦長」
婦長の念押しを待つまでもなく、勢い込んで答える二人。
婦長は笑顔でおおきく頷いて、
「ではお願いね。今日は外来の患者さんも少ないから、7時位から準備を始めれば
迷惑にならないでしょう。それまでに、待合室に荷物を少し運んでもらうわ。いい?」
「はい」
「はい」
婦長は楽しそうに、ふふふ、と一人笑いをして、
「これは、非番の子たちが、きっと悔しがるわね。ふふふっ。
あなたたち、良かったわねぇ。イブの夜に当直のかわいそうな娘にも、
神様はちゃんと、み恵みを用意してくださる。素晴らしいことだわ」
両手を組んで恍惚の表情。
婦長が無邪気に放った一言が、ナースたちにぐさりとつきささる。
「・・・あ、あは、あははは、はぁ・・・」
乾いた笑いとともに、がっくりとうなだれる二人。
婦長は気づいた風もなく、にこにこと笑いながら、
「そうそう。くれぐれも、話を漏らさないようにね。
皆には、子供のキャロル、としか言ってないの。いい? 絶対よ」
「はい!決して」
「口が裂けても」
「そう・・・」
婦長はさっと真顔に戻ると、静かな声で、
「あなた。今から何の準備をするの?」
「え? せいk・・」
じろり、と婦長。ナースはあっ、と言葉を飲み込んで、
「し、失礼しました。子供のキャロル、です」
ナースののど元に指を当てながら、婦長は静かに問いかける。
「荷物を運ぶのは、何のため?」
「うぅ、子供のキャロル、ですっ」
婦長は指先でくいっとナースの顎を持ち上げ、いっそう優しく、
「待合室でする催しは、いったい、何?」
「こっ、子 供 の キ ャ ロ ル、ですっっ」
緊張のあまり声が裏返るナース。額に冷や汗が浮かんでいる。
婦長はようやく満足げに頷くと、
「そう、それでいいわ。くれぐれも、秘密は守ってね。いいこと?」
「ふぁい」
「じゃあ、行きましょう。ついてきて」
「ふぁい」
すでにぐったりしたナース二人は、元気いっぱいの婦長の後を追って
へろへろと廊下の奥に消えていった。
× × ×
在来線特急の車内。列車は聡子たちの街の駅を離れたばかり。
車掌の停車駅案内のアナウンスが流れている。
聡子は通路側の席について携帯電話をかけている。膝にはマニュアル。風船を座席の
肘掛けに結んでいる。
隣には凉子。大きめのボストンフレームの眼鏡をかけ、本を膝に置いている。
娘たちは聡子のまわりにすずなりになっている。凉子も娘たちも、聡子が携帯電話を
かける姿に興味津々の様子。
「・・・はい、はい。では、あとで。よろしくお願いします」
聡子は携帯を耳から離すと、ちょっと迷った後、通話OFFのボタンをやっと左の
ひとさし指で押し、待ち受け画面に戻ったのを確かめて、ふぅ、と大きく息をついた。
と、ソプラノの娘の一人が待ちきれない風に、
「センパイ!」
「んん、なに」
聡子は疲れた様子で携帯をぱちりと閉じた。顔を上げると皆がこちらを覗きこんで
にこにこしている。
「それ。ちょっと見せてもらえませんか?」
「ん? みんな、持ってるでしょ? 携帯」
「はい!」
身を乗り出して声をそろえて答える娘たち。聡子は、
「そうだよね。今時めずらしくもないよね。じゃ」
そっけなく答えると、携帯とマニュアルを鞄にしまおうとする。
と、ソプラノの娘たちが聡子にすがりついて、うるうるしながら、
「センパ〜イ」
「あたらしいのが使ってみたいんですぅ」
「これなんか、中学の時からですよー」
「ほらこれー、父さんのおさがり」
「ちょっと、離してよ」
「離しません。借りるまでは」
「ねぇ。ねぇ〜」
聡子の肘にぶら下がって、ゆすったり、すりすりしたり。
凉子は聡子たちの様子を隣で見ながら、クスクス笑っている。
聡子はうっとうしそうに、すがる娘たちの手をふりほどくと、
「もぅ。ほら、壊さないでよ」
渋々娘たちに携帯を渡す。娘たちははしゃいで、
「やたー!」
「ありがとー! センパイ!」
「どれどれ」
「あー、ずるーい」
「こっちこっち、ほら」
「わぁ、凄ーい」
向かいのクロスシートに集まって、頭をつきあわせて、わいわいがやがや。
聡子はそれを見遣って、もう一度、ふぅ、とため息をつくと、鞄からパズル本と
シャープペンシルを取り出した。凉子がにこにこしながら、
「ね、どうしたの。携帯」
「うん。買ってくれたの。コンクールのあと」
「使ってるとこ、初めて見た」
「うん。いろいろあってよくわかんないし。とりあえずうちにかけるだけ」
えへへ、と笑う聡子。凉子は、
「ふふっ、じゃたくさんつかわなきゃ。あとで番号とアドレス交換しよ」
「う、よくわかんないんだってば」
「大丈夫。聡子ちゃんならすぐだよ。わたしが教えてあげる」
言って、口元で手をあわせて嬉しそうに、
「うふふ。これでいつでもお話やメールができるよ」
聡子は凉子の様子を見遣って、ちょっと困ったように微笑む。
向かいのクロスシートが少し静まった。と、ソプラノの娘が、聡子の携帯を差し出して、
「センパイ、これ。ありがとうございました」
「ちょっと、貸して」
凉子は立って聡子の頭越しに手をのばす。娘は聡子が頷くのを見て、
「はい」
凉子は受け取ると、聡子がじっと見つめる前で、慣れた手つきで自分の携帯をコールし、
メールを送る。と、電話帳に自分のデータを登録しようとして、はたと手を止めた。
凉子のデータがすでにある。
凉子が怪訝そうに向かいのクロスシートの方を見遣ると、ひとかたまりになった
娘たちが、にっこり。
ふたたび凉子は電話帳のページを送っていく。すでに合唱部の皆や先生、杉坂、原田の
データも入っているようだ。
凉子は再び娘たちの方を見遣って、聡子の携帯を指さしながら眉を上げて微笑むと、
娘たちはそろってにこにこしながら、こっくり、と大きくうなづく。
「ありがとう」
凉子は言って微笑むと、聡子に携帯を手渡して、
「ほら。みんな、入れてくれたよ。みんなの」
「え・・」
「すぐ、いつでもつながるよ」
聡子は携帯を胸に抱いて振り返る。娘達がにこにこしている。
聡子はちょっとうつむいて照れ笑い。小さな声で、
「あ、ありがと」
「えへー、センパイ、あとで」
「ちゃんと返事くださいねー」
「うん」
微笑み合うと、娘たちは向かい合わせにしたクロスシートに散らばって、
お菓子を出したり、カードを出したり。くつろいだ雰囲気。
凉子はシートを倒してすでに読書に没入している様子。
聡子は携帯をポケットに大事にしまうと、パズル本にとりかかった。
× × ×
在来線特急の車内。クロスシートのアルトの娘。
三人、額を寄せて、携帯をのぞき込んでタイマーメールを送ろうとしている。
「7時半でいいかな」
「うん」
「なんか、短くない?」
「いいよ。伝えたいことは一つだし」
「じゃ、送るね」
「うん」
ぽちり、と送信ボタンを押す。携帯をぱちりと閉じると、顔を見合わせて、
三人同時に深いため息をついた。
「届くかな?」
「わかんない。電源切ってるかも」
「センパイ、時々うっかりするから」
もういちど、深いため息。
車窓は漆黒の闇。時々まばらな街灯が通りすぎる。
街灯の下にうっすら見えるのは、一面の雪に覆われた冬枯れの田園風景。
窓には降る雪が斜めに吹き付けている。
× × ×
在来線特急の車内。聡子と凉子。
凉子はシートを倒して本を読んでいる。時々クスクス笑ったり、顔をしかめたり。
聡子はパズルに熱中している。すごい勢いでマス目を数字で埋めているところ。
と、聡子のポケットで携帯が、ぽろん、と鳴った。
聡子は本を置いて、あわてて携帯を取り出すと、ぱちりと開く。
が、どうしていいかわからない。
「えと・・」
鞄からマニュアルを取り出そうとする。凉子は、本を閉じてにこにこしながら様子を
見ていたが、聡子に額を寄せて携帯をのぞき込み、
「ふふ。さっそくね」
「うん」
聡子はちょっとうれしそう。凉子は、聡子の携帯を指さしながら
「ここ押して」
「こう?」
「うん。それで、これ押してメニューを送るの」
「これ?」
「そう。あと、これで選んで、これ押したら」
「あっ」
差出人はソプラノの娘。たわいのない文面に、聡子も凉子も、頬がほころぶ。
聡子は席を伸び上がって、ソプラノの娘の席の方を見遣る。
と、娘と目が合うと、にこにこしながら聡子の方に手を振っている。
凉子が、
「返事はね、ここ押すの」
「うん」
「文字はこれで入力するの」
「う、めんどくさい」
「ふふっ。仕方ないよ。下に漢字が出たら、こうすると選べるから」
「うん。ありがと」
聡子は、両手を使ってぎごちない手つきで文字を入力していく。
にこにこしながらそれを見ている凉子。
やがて真顔になって、入力に熱中する聡子の横顔をじっと見つめている。
聡子が笑顔で、
「できた。凉子ちゃん」
「うん。じゃ、これ」
ふっ、と笑顔に戻って、携帯を指さす凉子。
「こう?」
「そう。押して」
離れた席で、ぽろん、と音がして、娘たちのはしゃぐ声。
「センパーイ!」
手を振るソプラノの娘を見遣って、顔を合わせて微笑む二人。
聡子はさっそく自分から先程の娘にメールを打とうと携帯と格闘をはじめた。
にこにこしながら携帯の画面をみつめてキーを押す聡子。
凉子は、まじめな顔で聡子の横顔をじっと見つめていたが、膝の上の自分の指先に
目を落として、すこし寂しく微笑んで、ふたたび読書に戻っていく。
通路向かいの席からは、娘たちのカードに興ずる声。列車が鉄橋を渡る音。
× × ×
教会の会堂。
聖夜祭のプログラムは進んで中程、神父様がお説教をしているところ。
「・・・クリスマスは神を発見する日です。私たちは一人ではないということがはっきり
した日です。この私たちの歴史の中に神が入ってくださった、という発見です。神が
本当の私たちの相手であることがはっきりする日です。神が真実の裁き主であることを
知る日でもあります。・・・」
にわか信者にはつらい時間。会堂のあちこちで、あくびを噛み殺している姿。
恭子は、口元をきりりと結んで、すこしうつむいて会堂の様子を見つめている。
恭子は左手を返して時計を見る。6時50分。
すこしため息をついて、聖歌隊の、祭壇に向かって左端最前列の娘を見た。
いつもは聡子の立っている場所。今日はソプラノのサブリーダーの娘が立っている。
と、口に手をあててあくびをひとつ。恭子と目があって、えへへと照れ笑い。
恭子は微笑むと、ふたたび真顔で前を向いた。
「・・・思い煩い、それは神から離れてしまった私たち人間にどこまでもつきまとって
くるものです。それは私たちが自分で自分に決着をつけなければならないところから
出ています。クリスマス、それは思い煩いからの訣別の時です。・・・」
神父さまのお説教は続いている。
恭子は、また左手を返して時計を見る。6時52分。ため息をついて目を閉じる。
「・・・天に栄光、神にあれ、地には平和、と祈ります。アァメン」
恭子は目をあけると、姿勢を正してちょっと顎を上げ、聖歌隊の娘達を横目で見渡すと、
大きめの仕草でブレス。それを合図に流れ出す、賛美歌。
× × ×
病院の待合室。壁の時計は7時5分を指している。
病院の玄関をはいってすぐのところ、本館からすこし突き出るように待合室は
設けられている。左右の壁には大きな窓があり、2Fまで吹き抜けの天井の高いつくり。
外来の多い日には、この時間になっても人の出入りが絶えない待合室も、
今日はがらんとして静まりかえっている。婦長があらかじめ話を通しておいたようで、
受付嬢も会計や薬局の渡し口の娘も、みな早々に引き払っていた。
玄関には、すでに夜間通用口への案内板。待合室から病院の廊下につながるところには、
準備中の立て札を立てている。
待合室には、3〜4人がけの背もたれのない長いすが二列、片側8脚ずつ
かなり余裕をもってならべられている。
隅っこには背の高い観葉植物がいかにも寒そうに葉を垂らしている。
婦長の心理攻撃にぐったりした様子のナース二人は、荷台に載せた荷物をへろへろと
ほどいている。かたわらの壁には脚立が立てかけてある。
そこに、やる気まんまんの婦長が指図を与えようというところ。腕組みをした片手を
顎に当てて、その手でときどき指さしながら、
「この暗幕を玄関のガラス戸のところに張ってちょうだい。楽屋代わりにするの。
あいだの傘立てをどけて」
「ふぁい」
「ベンチはもう少し前に寄せて。玄関のほうをステージにするから」
「このモールとか、星とか・・」
「あぁ、窓の桟づたいに飾っていって。そうそう、そこの鉢植えにもね」
「あのぅ、婦長。これ、ゴムの木なんですけど」
おどおどと抗議するナース。婦長は腕組みをしていかにも自信ありげに、
「あなた、知らないの? 南洋じゃこれをツリーにするの」
「えっ、ほんとうですか」
驚くナースに、婦長はにっこり笑い、
「ふふ、知らなくても当然ね。いまつくったお話だもの」
あんぐりあいたナースの口。その顎を、婦長は人差し指で押し戻しながら、
「さ、急いで。8時頃には着くはずだから。もうあまり余裕はないわ」
「ふ、ふぁい」
ナース二人はへろへろと暗幕を持って玄関へ。婦長はゴムの木におもむろにクリスマスの
飾り付けを始めた。
× × ×
在来線特急の車内。
アルトとメゾソプラノの娘たちはカードに興じている。
ポーカーだろうか、プレッツェルをチップにするのはいいのだが、手元に集まるそばから
食べてしまうので、すぐハコになってしまうのだ。
「おかしいなぁ。さっきあけたばかりなのに」
「次はこれ、これでいこう」
「あー、それいいかも」
「うわー、これなら当分大丈夫だよ。いこういこう」
「・・・無理(ボソッ)」
取り出したのは、カラムーチョ。レポート用紙に一盛りずつ、手元に置いて、
「じゃ、配るね」
「・・・(にやり)」
「これ、三枚おねがい」
「こっ、これは・・」
「ダメ。総替えね」
カードをばしっとテーブルにたたきつけると、チップをわしづかみにして一気食い。
辛さに涙を流す娘。あきれた顔で見遣る四人。
× × ×
在来線特急の車内。聡子と凉子。
近くの席からは、チップの取り扱いをめぐって娘たちが言い争う声が聞こえている。
凉子は、先程までとは違う本を読んでいる。文庫本と同じくらいの大きさの、表紙の
黄色い粗末な横文字の本。電子辞書を引いては、ぽつり、ぽつりと訳語らしき文字を
ノートに書き付けている。傍らにはもう一冊、やはり横文字の本。
聡子は、メールが一段落して超特大のパズルに取り組み始めたところ。
と、ソプラノの娘たちがそろって同じ問題集を持って聡子の側に集まって、
「センパイ!」
「んん? なぁに」
聡子はパズルから目をはなさずに生返事。ソプラノの娘はにこにこしながら
「センパイ。これ、教えてください」
問題集を開いて元気よく聡子に差し出す。聡子はパズル本を閉じて顔を上げる。と、
見ると、平面幾何の論証問題。聡子はひとにらみすると、さっと補助線を一本引き、
脇に論証を書き込んでいく。
「・・・ふぇ」
胸の前で手を組んで、うるうると尊敬のまなざし。
「はい。できたよ」
「うわぁ。ありがとう、センパイ」
「あの、センパイ、わたしも」
「どれ?」
問題集を受け取っては次々と解いていく聡子。
凉子も手を止めて、聡子とソプラノの娘たちの様子をにこにこしながら見守っている。
聡子は、四人目の問題を解きかけて、はた、と手を止めた。ページをゆっくり逆に繰る。
見ると、さきほど解いた問題が白いままで残っている。聡子は怪訝な表情で娘を見た。
「えへー」
にへら、と困った笑いで後ろ頭に手をやる娘。
聡子は二人目の娘に手を差し出して、すこし厳しい調子で、
「貸して」
「う・・・」
困った笑いをしながら問題集を差し出す娘。聡子がページを繰ると、やっぱり同じく、
白いまま。聡子が解いたページだけが埋まっている。にっこり笑ってソプラノの娘達を
見渡す聡子。娘達はそろって困った笑い。
「え、えへへ・・・」
聡子はにっこり笑ったまま、手に持った問題集で、娘達の頭をぱしぱしとはたいていく。
「痛ーい」
「宿題は自分でやりなさい」
「えーん。センパ〜イ。あとひとつだけ、おねが〜い」
「ダメ。何のために四つも頭があるの?」
「ゼロはいくら足してもゼロなんですぅ」
「センパ〜イィ、ぐすっ」
「しくしくっ」
「ウソ泣きしてもダメよ。その一問くらい自分達で考えて」
「うぅ・・」
「んー、そうね。電車が着くまで四人で考えて、わからなかったら見てあげる。
答え、じゃないよ。どう考えるか、をね。それでいい?」
「ふぁい」
しおしおと席に戻る娘たち。それでも、四人、頭をつきあわせて、補助線を引いては
消し、引いては消ししながら、がやがやと考え込んでいる様子。
聡子は娘たちを見遣って、ふぅとため息をつくと、苦笑いしながら凉子の方を振り返る。
凉子はにこにこしながら、うんうんうなっているソプラノの娘達を見遣って、
「ね、あれ。冬休みの?」
「うん。たぶん」
「ふふ、楽しそう」
「うん。あのほうがいいの。たとえ間違っても、ね」
聡子は言って、凉子の膝の上の本に目を止めた。と、目を丸くして驚いて、
「凉子ちゃん。それ・・」
黄色い粗末な小さな本の表紙には、
- Eduard Morike
- Gedichte
中央に眼鏡の神経質そうな作者の肖像。題字のすぐ下に出版社らしいReclamの文字。
「メーリケ・・・メーリケ・・・・あっ、ひょっとして、詩集?」
ローマ字読みで素直に発音する聡子。凉子はちょっとうつむいて、
「うん」
「これ、英語、じゃないよね」
「うん。ドイツ語」
「すごいや」
聡子の言葉に、凉子は赤くなって、うつむいたまま少し微笑みながら
「う、凄くないよ。まだ全部引かないとわからないの。まるで暗号みたい」
えへへ、と笑う凉子。続けて、とつとつと語るには、
「あのね。ドイツ語の歌が好き、って仁科先生に話したの」
「うん」
「先生、とっても喜んで、それで、もしよかったら、って、
図書委員の当番が終わった後で、教えてくれる、って」
「ドイツ語?」
「うん。この人ね。先生のいっとう好きな歌の詩人なんですって。
手元に置いて、励みにしてね、って、この本をくだすったの」
「いいなぁ」
聡子は思い出す。コンクールの日の晩のこと。
あの晩、こころの重荷が取れて、笑顔が戻った先生は、
二人、泊まった朝永の、あるじのいない病室で、
自分のむかしといまのことを、すこし、聡子に話してくれて、
いっとう好きな思い出の歌だ、と言って、聡子に歌ってきかせてくれた。
月は西にかたむいて、淡く差し込む光の中で、
先生のおちついたメゾソプラノの歌声は、
病院を、おもんばかって、ひかえめに、
ころころと鈴の鳴るように、部屋にあふれて、
聡子のこころをやさしく揺すって、あやしてくれたのだった。
聡子は言う、
「凉子ちゃん。わたし、その歌、きっと聞いたことがある。
先生が、歌ってくれたの」
「えっ、ほんとう?」
「うん」
「ね、どんなの? 聞かせて」
目を輝かせて身を乗り出して聡子の手を取る凉子。
聡子はちょっとうつむいてすまなそうに、
「うん。わたし、ドイツ語わからないし、メロディもうろ覚えだから。
ごめん。凉子ちゃん」
「そう」
肩を落としてうつむく凉子に、聡子は声を励まして、
「ごめんね。でも、聞けばかならずわかると思う」
「うん。もしわかったら、教えてね。きっとよ」
「うん」
凉子の手をしっかり握りかえしてにっこり頷く。
と、娘たちが聡子たちの側の窓にあつまって、外を指さしながら口々に騒がしく、
「見て。あれ」
「あっ、きっとあれだよ」
「センパイ、センパイッ、あれ、あれッ、ほらッ」
「どれ?」
娘の指さす方を見遣ると、防風林の切れたところ、湾をはさんだ岬の先に、病院の十字の
あかりが見えた。積もった雪がロータリーのあかりに照らされてほんのり白く
輝いている。いつのまにか雪は小やみに、ところどころ雲が切れて星がのぞきはじめて
いた。
「センパイ、あれ、ですよね? 朝永先生の」
「うん」
「もうすぐだよぉ。どきどきする」
「そうね」
微笑む凉子。
しばらくして、列車は左に大きくカーブすると岬の駅のホームを通過してトンネルへと
入っていく。改札の白熱灯が流れて暗転する車窓の風景。トンネルを走る列車の轟音。
凉子が、
「さ、トンネルを抜けたら乗り換えよ。そろそろ支度して」
「はい」
「はい」
さっと立って菓子くずやらカードやらを片づけはじめるメゾソプラノとアルトの娘たち。
ソプラノの娘たちはそろってべそをかきながら聡子にすがって
「ううっ、センパイィ」
「しくしくっ。真っ白なままですぅ」
「あなたたち。まだ帰りがあるわよ。がんばんなさい」
「えーっっ」
「そんなぁ」
突き放した聡子の言葉に、がっくりと肩を落とす四人。
「ほらほら、支度支度」
「ふぁい」
へろへろと問題集を片づけたり、マントを羽織ったり。
それを見遣って微笑み合う凉子と聡子。
トンネル内の轟音が止んで、ほどなく到着と乗り換え案内のアナウンス。
列車がポイントを通り過ぎる音。車窓には沿線の民家のあかり。
× × ×
教会の会堂。
今年の聖夜祭もどうやら無事終わり、会堂内はようやく人波が引いてきている。
聖歌隊の娘たちは出口のところに立って、教会を訪れてくれた人たちに挨拶をして
いるところ。
「ありがとうございました」
「よいお年を」
「はい、よいお年を」
「主の恵みがありますように」
「あなたたちも」
互いに、暖かい感謝の言葉と、新年の祝詞を交わす人々と娘たち。
中には信者の娘もいて、祈りの言葉もちらほらと。
恭子は、いつもは聡子の立っている、列のしんがりに立って、教会を出ようとする
人々に、笑顔で真っ先にお礼の言葉をかけている。
やがて、最後の人を送って、ふぅ、とため息をつくと、ポケットから携帯を取り出して
電源を入れた。と、神父さまが近づいて、
「やぁ、ごくろうさま。ありがとう」
「あっ、神父さま。あの、どうもすみませんでした」
あわてて携帯をぱちりと閉じて、平謝りの恭子。神父は、ははは、と明るく笑って、
「始まる時のあれのことですか? 気にしてませんよ。まえにはもっと凄いのも
ありましたし・・」
「えっ、もっと凄いの、って・・」
怪訝そうに問い返す恭子に、神父はにこにこしながら
「そう、いつだったか、猪が暴れた年がありましてね。あの時はたいへんでした。
みな逃げまどったり泣き叫んだり、あれはまさにj・・げふんげふん」
「・・・」
「はは、いや、すぐ飼い主の子が取り押さえてくれましたがね。ふだんはおとなしい
らしいんですが、ひとが大勢いるので興奮したんでしょう。それにくらべれば・・」
「あは、あははは」
かわいた笑いでごまかす恭子。と、ポケットの携帯が、ぽろん、と鳴った。
「あ・・・」
ポケットをまさぐる恭子に、神父は、
「じゃ、いろいろとありがとう。よいお年を。あなたがたに主の恵みがありますように」
十字を切ると、にっこり笑い、きびすを返して、会堂の後かたづけをしている
シスター達の方へ向かっていく。恭子は、
「ありがとうございました」
神父の背中に礼をすると、大急ぎで携帯を取り出してぱちりと開き、もどかしそうに
新着メールを確認する。
「え・・・」
差出人は、あのアルトの娘。発信は、今。7時30分。あわてて開くと、
- 先輩、約束。忘れないでね。
たった一行。携帯の画面に写ったその文字を、じっと見つめて微笑む恭子。
恭子を小突いたアルトの娘が、それを背中越しに見て、恭子の顔をのぞき込む。
「恭子」
「ん?」
「行くの?」
「うん」
ぱちりと携帯を閉じながら頷く恭子に、娘はにっこり笑って、
「待ってる」
「遅くなるよ」
「かまわない」
「・・・ありがと」
恭子は微笑んで、通学カバンとマントをひっかけると、
「じゃ」
右手を上げて、ぱちん、と娘と手を合わせると、ひらりとマントを羽織って
早足で出口へ歩いていく。恭子の通学カバンに、ちいさなランタンがひとつ。
娘は、恭子の背中へ大きな声で、
「みんな、待ってるから。帰っちゃだめだよ」
恭子は前を向いたまま軽く手を上げて答えると、早足で会堂を出て行った。
× × ×
教会の玄関先。恭子。
雪は小やみになっていて、空はところどころ雲が切れて星が見えている。
恭子は空を仰ぐと、口元をきりりと結んで頷いて、ちょっと褄を取り、
早足で歩いていく。フードも被らず、マントの前は開いてすそがひらひら舞っている。
聡子たちの踏み跡はすでに消えかけていて、足にからまる雪が重い。
恭子の吐く白い息とその音。ネックレスの鈴の音。
恭子は先を急ぎながら、ポケットから携帯を取り出して、開いたままになっていた
アルトの娘のメールの画面で返信のボタンを押すと、返事を打つ間ももどかしく、
そのまま送信のボタンを押した。
そして、携帯をふたたびポケットにしまうと、褄を離して、すその濡れるのも構わずに
大股で歩いていく。
恭子はやがて角をまがると、大通りの方へと消えていった。
× × ×
特急の停車駅。ホームの時計は7時38分を指している。
聡子たちの街の駅より少し大きい程度の、地方小都市の駅。
特急の停車している同じホームの向かい側に、二両編成の普通列車が停車している。
聡子たちはその普通列車に乗り移ろうというところ。
ホームの特急列車の側に立った駅掌が、腕時計をちらりと見て、列車の側を向いて
カンテラを掲げると、左右を見渡し、長く呼び子を吹いた。
自動ドアの閉まる音。汽笛をひとつ。特急列車はゆっくりとホームを離れていく。
風船を持った聡子はホームの中程に立って、娘たちが普通列車に乗り込むのを
見つめている。凉子につづいて、メゾソプラノ、ソプラノ、最後にアルトの娘たちが
乗り込もうとしたときに、アルトの娘のポケットで、携帯が、ぽろん、と鳴った。
あわてて携帯をとりだして、ぱちり、と開く。
と、恭子からの返信メール。選んで、開いて、
-
恭子、と。シグニチャだけの空メール。
携帯を胸に抱いて、空を仰いで飛び跳ねて喜ぶアルトの娘。
「センパイ?」
「うん・・・うん!」
アルトの娘たちはドアの前で手をとりあって喜んでいる。聡子はちょっと微笑んで、
「さ、早く」
「あ、はい!」
促す聡子に、アルトの娘達は元気よく答えると、普通列車に飛び乗った。
駅掌と車掌はホームに立ってにこにことその様子を見つめている。
「すみません」
聡子は笑顔で会釈をすると、最後に列車に乗り込んだ。
車掌は駅掌とうなづき合って、半身になって列車のドアを閉めると、車掌室に乗り込んで
運転台へ鈴を二つ。普通列車は特急列車の来た方向へ、ごとごととホームを離れてゆく。
カンテラを掲げて列車を送る駅掌。遠くなる列車の赤い尾灯。
駅掌はやがて反対側を向いてホームを確認すると、詰め所の方に戻っていった。
× × ×
病院の待合室。壁の時計は7時40分を指している。
突貫工事の待合室の飾り付けもようやく終わろうとしていた。
玄関の脇には暗幕を張り、楽屋の空間を用意した。
窓の桟の高さに合わせてぐるりを金銀緑のモールや綿で飾り、両側の柱にはガーランド、
ステージとなる玄関の壁、中央の高い所には十字架を掲げている。
ゴムの木数本はむりやりツリーにされて、ちょっと困ったふうに葉を垂れている。
二列にならべたベンチの周囲と間の通路には、靴音が立たないように絨毯をしきつめた。
ナースたちは最後の仕上げ、ベンチの周囲の壁際にそって、譜面台を立てているところ。
婦長は腕組みしながら置く位置を指図している。
「両側に四本、奥に三本ね。上は開かないで」
「はい」
「あと、ステージの前に二本」
「はい」
次々に譜面台を立てていく。婦長は、見本にそのうちの一本の、楽譜を置く部分を
しっかり立てずに浅い角度に調整すると、指さしながらナースたちに
「このくらいの角度にあわせて」
「はい」
婦長を見遣ってうなづくナースたち。と、婦長が頭の部分を下に押すと、譜面台の足元が
ふらふらと動いている。婦長はちょっと考えて、
「重しがいるわね」
「婦長!」
集まってきたナースたちに、婦長は、譜面台の足を指さしながら
「あなたたち、ここに乗せるなにか、重しになるもの、探してきて」
「・・・れんが、とか。裏門あたりにたくさんありましたけど」
「えぇ、えぇ。それでいいわ。急いで持ってきて」
「はい!」
二人、台車を押して玄関を飛び出していく。
婦長は、微笑んでそれを見送ると、ふぅ、とため息をついて、待合室を見渡した。
二度、三度と見渡したあと、腰に手をあてて満足げに頷く婦長。
と、奥の廊下を高村が書類を下げて通りかかって、にこにこしながら会場に足を
踏み入れて、
「や、柴崎さん。きれいにできましたね」
「高村先生」
振り返って微笑む婦長。高村は続けて、
「今日は? 予定通り?」
「えぇ。6時半ごろ電話がありました。もうすぐね」
「朝永さんにはちょっとすまないことをしました」
「ウソも方便」
婦長は片目を閉じて、悪戯っぽく微笑むと、
「お嬢さんと朝永さんの二人のイブは、これから何度もあるでしょう?
でも生徒さんたちの、今年のこのイブは、これきり、一度きりの特別よ。
だから、高村先生。何にも気に病むことはないわ。知らん顔をしてればいいの」
婦長の言葉に、にっこり笑って頷く高村。
と、玄関が勢いよく開いて、レンガを乗せた台車を押してナースが駆け込んでくる。
「はぁはぁ、ふ、婦長ぉ・・」
「も、もって来ましたぁ・・・」
全力疾走したのか、はぁはぁと息も絶え絶えの様子に、婦長は、ふふふ、と笑い、
「ご苦労様。じゃあ、もうひとがんばり、れんがを置いてって」
「ふ、ふぁい」
「柴崎さん。では、あとで」
会釈して、行こうとする高村に、婦長は答えて
「はい。またご案内します」
礼をすると、
「ほらほら、こんな置き方じゃすぐひっくり返ってしまうわ。こうするの。いい?」
レンガを手に取り、ナースたちに手本を見せる。
高村はその様子を見て微笑んで、きびすを返すと、奥の廊下を渡っていった。
× × ×
普通列車の車内。
普通列車は先程特急で通り抜けた長いトンネルへとふたたび入っている。
トンネルをゆく列車の轟音。車窓をトンネル内の保安灯がときどき流れていく。
お客もまばらな普通列車のロングシートに、娘たちは神妙な面持ちで向かい合わせに
収まっている。
凉子と聡子はいつものように隣同士。聡子は正面を向いて口元をきりりと結び、
保安灯の流れる車窓を見つめている。
凉子は少しうつむいて、膝上で指先をいじっていたが、やがて聡子の方を向き
「ね、聡子ちゃん」
「ん?」
「聡子ちゃんは、三年生になったら、どうするの?」
「クラブ?」
「うん」
聡子は凉子に向き直った。いつもと違う、悄然とした凉子の声。
凉子は聡子と目が合うと、ふたたび指先に目を落として、
「恭子ちゃんね。遠くの大きな街の大学の、法学部を受けるんだって。
こないだ、聞いたの。受験勉強があるから、って」
「うん」
「ね、聡子ちゃんは、どうするの?」
聡子の顔をのぞき込む。
聡子はうつむいて少し迷っていたが、やがて顔をあげて、
「ごめん。凉子ちゃん。わたし、たぶん・・・」
「そう・・」
凉子はうつむいて、深いため息。指先をいじりながら、
「ふたりとも、いつもそう。自分で決めて、どんどん先にいっちゃうの」
凉子は、えへへ、と笑い、
「わたしだけ、おいてけぼり・・」
「凉子ちゃん・・」
凉子は顔をあげ、一生懸命笑顔を作りながら、続けて、
「もっと先のことだと思ってた。
わかれわかれになるときが、いつかはくる、って、わかってたけど
・・・もう少し、一緒に歌っていたかったけど、仕方ないよね・・・」
「・・・」
うつむく凉子。
聡子が答えようと口を開けかけると、凉子は笑顔で聡子の手を取って、声を励まして、
「ね、聡子ちゃんは、何になるの?」
「え?」
「これからのこと。わたし、歌が好き。だから、異国のことばをたくさん覚えて、
歌のこころを、いろんなひとに、ちゃんと伝えられるようになりたい」
「うん」
「それで、まず、ドイツ語を、って思ったの。
近くの大学の文学部でね、推薦枠があるから、クラブも続けられるし。
それに何より、お父さん、外には出してくれそうにないし」
えへへ、と笑う凉子。続けて、
「仁科先生の母校なんだよ。だから、様子もわかるし、いいかな、って」
「うん」
聡子は凉子の手をしっかり握って、にっこり笑い、
「いいと思う」
「うん」
「先生もきっと喜ぶよ」
「うん。ありがとう」
凉子は笑顔で聡子の手を握り返すと、身を乗り出して聡子の顔を覗き込み、
「ね、聞かせて。これからのこと」
「うん」
押し黙る聡子。やがて上目遣いに凉子を見て、
「・・・笑わない?」
「なんで?」
「小さい時から、この話をすると、みんな笑うの。だから・・・」
「言ってくれないと、わからないよ」
「でも・・・」
「ね、聞かせて。恭子ちゃんとわたしのを聞いて、聡子ちゃんだけ
黙ってるなんて、ずるいよ」
「う・・・」
にっこり笑って白状をせまる凉子に、聡子は困った風にうつむいていたが、
やがて頷いて顔を上げると、
「あの・・・」
「うん」
「あのね、あの・・・」
聡子はようやく思い切って、
「わたし、星をわたる船を造るの。それに乗って、遠い世界を見てみたい。
だから・・・」
「・・工学部?」
「うん。わたし、宇宙飛行士になりたい」
凉子はちょっと驚いて、聡子の真剣な顔を見つめていたが、
やがて、クスクスと笑い出す。聡子はふくれて、
「ほら、笑った」
「うふふ、ごめん。違うの。聡子ちゃんが、あんまり眩しいから」
凉子は、聡子の手をしっかり握ってゆすりながら、
「きっと、かなうよ。
ううん。聡子ちゃんは、きっと、かなえてしまう。自分の力で、いつものように」
「・・・」
「聡子ちゃん」
「うん。ありがと」
凉子の手を握り返して微笑む聡子。
列車はトンネルを抜け、岬の駅のひなびたホームに入っていく。
あかりは、ホームにひとつ、改札にひとつ。待合室があるだけの、小さな駅。
凉子はすっと立って、
「ついたよ。みんな、忘れ物のないように」
みなの先に立って降りていく。姉らしい様子の戻った凉子の背中を
にっこり笑って見送る聡子。車内をひととおり見渡して、列の最後に降りてゆく。
聡子が車掌に会釈をすると、車掌は頷いてドアを閉め、鈴を鳴らすと、
列車はホームを離れていく。やがて娘たちは、聡子を最後に改札口を抜けていった。
× × ×
ナース詰め所。壁の時計は7時55分を指している。
婦長は湯飲みを片手に、じっと一点を見て考え込んでいる。
ナース二人は待合室の準備の疲れで机に伏せっているところ。
と、婦長の机の電話が、るるる、と鳴った。間髪を入れず受話器を取る婦長。
はっ、と顔を上げて婦長の方を見遣るナースふたり。
「はい。柴崎です」
答えて、すぐに笑顔になる婦長。ナースふたりも、顔を見合わせて、にっこり。
「えぇ。えぇ。大丈夫。ちゃんと出来ていますよ。じゃ、お客様にご案内するわね」
ナースは立って、出て行こうとする。婦長は手を振ってそれを押しとどめながら、
「ころばないように、気をつけて。お待ちしていますよ」
かちゃり、と受話器を置く。ナースが、わくわくした風に、
「婦長。子供のキャロル、からですよね」
「そう。子供のキャロル」
婦長は、楽しそうに、ふふふ、と笑い、
「あなたたち、ご苦労だけど、お願い。あなたは、6階と5階、あなたは、4階と3階に
声をかけて。放送じゃなく、一部屋ずつ廻って、ね」
「はい」
「わたしは、スタッフに声をかけたら、正門にいるから。声をかけ終わったら、会場と、
玄関先で待機して」
「はい」
「じゃ、お願い」
「はいっ」
ナース二人は元気よく返事をすると、駆け足で勢いよく飛び出していく。
その背中で、渋い顔でかぶりを振る婦長。やがてにっこり笑うと、早足で詰め所を
出て行った。
× × ×
岬の駅の待合室。
聡子の風船が、改札口のそばの手すりに結びつけられて、ゆらゆら揺れている。
娘たちは、小さなランタンを手にもって、待合室に2列に並んで、聡子の電話の
終わるのを待っている。仮装のトートバッグを提げた娘も数人。
凉子はその間を歩いて、娘たちの身だしなみを確認してやっているところ。
リボンの曲がったのを直してやったり、顔の菓子くずを払ってやったり。
「センパイ」
直してもらった娘が凉子と顔を合わせて、にっこり。
凉子は、ちょっと離れて皆を眺めやり、満足そうに頷くと、聡子の方を見た。
聡子は、携帯をぱちりと閉じて、通学カバンにしまうと、改札の駅員にカバンを
渡しながら、
「すみません。これも、お願いします」
深く礼をした。駅員は微笑んで、
「たしかに、預かったよ。みんなのも」
「ありがとう」
「気をつけて」
聡子は微笑んで、もう一度会釈をすると、改札を離れて凉子の方に近づいて、
「凉子ちゃん」
「いいの?」
「うん」
聡子は頷いて、
「あかり、つけよう」
「うん」
凉子とふたり、並んだ娘たちのランタンのろうそくに順番に火をつけていく。
最後に、自分たちの持ったふたつのランタンのうち、片方のランタンに火を入れた。
互いにうなづきあう二人。凉子が列の先頭に立って、
「じゃあ、みんな、いくよ」
「はい」
「はい」
岬の病院へ通じる坂道へと歩き出す。
聡子は脇に立って通り過ぎる隊列をじっと眺めていたが、やがて列のしんがりに
ついて歩き出した。
× × ×
病院への道行き。
雪はすでに止んで、雲はほとんど切れている。風はない。冴えた空気に満天の星。
娘たちは駅前の小さな広場を離れて、病院前の上り坂の入口に通じる坂道を下っていく。
街灯もまばらな、いなか道。病院のまわりだけが、あかりに照らされてほんのり白く
浮かび上がっている。通院患者も通る道だが、踏み跡は完全に消えている。
すねのあたりまである雪を、吐く息白く、すべらないように、踏みしだき、踏みしだき
ながら歩いていく。左手の湾に打ち寄せる波の音。雪を踏む音。鈴の音。
と、凉子がランタンを高く掲げて聡子の方を振り返り、
「聡子ちゃん」
「なに、凉子ちゃん」
列からすこし覗いて答える聡子。凉子は笑顔で元気よく、
「聡子ちゃん。歌おうよ」
「うん。何がいい?」
「なんでも。聡子ちゃんの好きなの。リードして。おねがい」
聡子はちょっと考えて、にっこり笑ってうなづくと、歌いだす、賛美歌484番。
- 主ーわーれーをー愛ーす
聡子のあかるいソプラノの声。一節歌うと、すぐに応じる娘たち。
- 主われを愛す 主は強ければ
- われ弱くとも 恐れはあらじ
- わが主イエス わが主イエス
- わが主イエス われを愛す
パートに別れて和声をつくると、冬空に楚々とした彼女らの歌声が流れていく。
暖かなランタンの光とともに、遠くなる、娘たちの影。
風がすこし吹いて、足元から舞い上がる、雪。
× × ×
岬の病院。朝永の病室で。
朝永は、ベッドに体を起こして本を読んでいる。
ラジエターと本のページを繰る音だけが聞こえる、静かな夜。
朝永が本から顔を上げて、仁科の方を見遣ると、ベッドの横の椅子の上で、
仁科は、フープスタンドを前に、こくり、こくりと居眠りをしているところ。
小さなフープにかけられた白い布には、やりかけの百合の刺繍。
朝永は微笑むと、しずかにベットを降りて、仁科のそばに寄った。
フープスタンドを脇に寄せると、ベッドの上にたたんであった、もう一枚の
毛布を拡げて、仁科にかけてやろうとする。
穏やかな仁科の寝顔。ちいさな寝息。
毛布をかけてやろうとする手を止めて、朝永はじっと仁科の寝顔に見入る。と、
「・・・・んん、ん」
と仁科の細い声。ゆっくり毛布を引く朝永。
仁科は右手でちょっと目をこすり、眩しそうに目をしばたくと、
自分の顔をのぞき込んでいる朝永とばったりと目があった。
「・・・・・っ!!」
がたり、と大きな椅子音を立てて、真っ赤になって立ち上がる。と、たたたっ、と
窓の方に寄ると、朝永に背を向けたまま、大あわてで髪をなでつけたり、
口元をぬぐったり、スカートのすそを直したり。ふくれっ面で顔だけ振り向いて、
「見ましたね」
「何を」
朝永は、わけがわからず問い返す。
仁科はふくれっ面で向き直り、つかつかと朝永に寄ると、ぺち、と軽く頬をたたいた。
呆然として頬をなでる朝永。
仁科はふたたび朝永に背を向けて、つんとした表情で、
「こういうときは、ウソでも、見なかった、と言うものです」
朝永は、頬から手を下ろすと、穏やかな表情で、静かに、
「見ていた」
「え・・・」
「君の寝顔を、見ていた」
「・・・」
しだいに表情の剣がとれていく仁科。朝永は、続けて、
「穏やかな寝顔だった。
そばにいて、ずっと見ていたい、と思った」
仁科はどんどん赤くなる。朝永はすこしうつむいて、
「起こしてしまって、すまない」
耳まで真っ赤になった仁科は、ぱっと向き直り、
「先生、もう一度言ってください」
「んん? だから、すまないと」
「その前ですッ」
仁科の剣幕に気圧されて、朝永はすこし後ずさる。
仁科は朝永にずいと寄って、とん、とん、と朝永の胸をたたきながら、
「先生ッ、もっとはっきりと、わかりやすく、言ってくださいッ。
わたしは、・・わたしはッ、にぶちんだからッ・・・」
次第にべそをかきながら、すがる声が高くなる。
「わかりやすくッ、ひとことでッ、言ってッ・・・・っ!!」
朝永は、仁科をしっかり抱き寄せた。
たかぶるこころが、しずまるように、やさしく仁科の髪をなでてやる。
半べその仁科の目から、涙が一粒、ぽろりとこぼれて、朝永の胸に吸い込まれていく。
やがて、穏やかな表情の戻った仁科は、朝永と見つめ合って、目を閉じて、唇を寄せて、
- こほん!
二人、あわてて体を離す。と、咳払いのした方を見遣ると、入り口をちょっとあけて、
ナースが申し訳なさそうにのぞき込んでいる。
「あ、あの、すみません。子供のキャロルがもうすぐ始まるので、
も、もしよろしければ。待合室ですので」
「ありがとう。すぐ行きます」
「お、おおお、おじゃましました」
そそくさと扉を閉めるナース。
廊下で、ナースは、胸に手をあてて、ほう、と息をつく。と、口元に手をあてて、
ちょっとすけべ笑いをすると、隣の病室へと廊下を渡っていく。
病室で、朝永は、背を向けたまま、もじもじしている仁科にむかって、
「仁科君。そろそろ、いこうか」
仁科は残念そうに、もじもじと指先をいじっていたが、やがてため息をひとつつくと、
頷いて笑顔にもどって朝永の方に向き直り、
「はい」
明るく返事をする仁科に、朝永は頷いて、二人、連れだって病室を出て行った。
× × ×
在来線特急の車内。恭子。
進行方向に向かって左側の列、マントとカバンを通路側の空席に置いて、
窓側の席に腰掛けて、頬杖をついて窓の外を眺めている。
街灯もまばらな冬枯れの田園風景。雲が切れてあらわれた星空が流れていく。
車窓にうつる恭子の憂い顔。
恭子は左手を返して時計を見る。8時05分。
大きなため息をつくと、胸元で鈴がちりり。
恭子は、胸元を覗いて鈴を持ち上げて、ちょっと振る。
鈴がちりり、ちりり、と鳴る。
鈴を見つめて微笑む恭子。鈴を離すと、ふたたび窓の外を眺めやる。
列車は左にすこしカーブを切って、先をいく車両の窓のあかりが連なって見える。
列車はやがて広い川にかかった鉄橋を渡ってゆく。
雪に覆われたいなか道、警報機すらない踏切で、恭子の乗った列車が通り過ぎて、
赤い尾灯が遠くなる。
× × ×
病院の待合室。
ナースたちの案内を聞いて、患者たちが集まってきている。
ほとんどは病院のガウン姿、頭に包帯をまいたもの、腕を三角巾でつったもの、
点滴のスタンドを脇に立てたもの、車椅子のものもいる。
子供の患者がおかあさんの膝の上ではしゃいだり、通路を走り回ったり。
患者にまじって、手すきの病院スタッフの姿も見える。
めざといナースの一隊は、詰め所にほど近い、吹き抜けの二階のテラス、
玄関を見下ろす特等席に陣取って、大向うを気取る構え。
朝永と仁科は、待合室の中程からすこし後ろの席にならんで座って、会の始まるのを
待っている。朝永は飾り付けをぐるりと眺めやり、
「なかなか、力が入っているな」
「はい」
仁科は、あいづちを打ちながら、患者を席に案内しているナースの様子を見つめている。
ナースはにこやかに患者を席に着かせると、顔を上げて仁科の方を見た。
目が合って、笑顔で仁科に会釈をするナース。見ると、さきほど病室を訪れた娘。
「先生、あの子・・・さっきの・・」
「んん?」
促されてナースの方を見ると、ナースは二人にもう一度会釈をして、次の患者を
案内していく。ナースの甲斐甲斐しく患者の間を歩く様子を見て、朝永は少し微笑むと
「よい会になりそうだ」
「はい」
二人、微笑んで頷きあう。
正面の玄関の壁には、待合室のあかりに照らされて、十字架が鈍く光っている。
× × ×
病院の正門。
雪は止み、雲は晴れて冴えた空気に満天の星。あたりは一面の銀世界。
正面に湾を見下ろす坂道の上、病院の正門で、婦長はナース服にカーディガンを
羽織っただけの軽装で、肘を抱いて、じっと娘達を待っている。胸元には小さなクロス。
静かな、静かな雪の夜。風はなく、湾に打ち寄せる波の音だけが聞こえている。
と、つきあたりの辻の左手、岬の駅へ向かう口に、だいだい色の小さなあかりが見えた。
ひとつ、ふたつ、みっつ・・・
辻を曲がって、列になってこちらへと向かってくる様子。
耳をすますと、娘達の楚々とした賛美歌の声。
婦長はにっこり微笑むと、玄関の方を振り向いて、ナースに手を振って合図した。
玄関で、同じく肘を抱いて、寒さに足踏みしながら待っていたナースは、
にこにこしながら婦長に大きく手を振ると、玄関を抜けて待合室へ入っていく。
婦長はそれを確認すると、坂道を娘達の方へ向かってゆっくりと降りていった。
× × ×
病院の坂道で。ランタンを下げた分遣隊。
坂道を三分の一ほど登ったところ。娘達の先頭を歩く凉子は、坂道を降りてくる人影に
気が付いて、ランタンを高く掲げて聡子の方を振り返る。
「聡子ちゃん」
聡子は列から身をのりだして凉子の方を見遣って、人影に気付くと大きく頷いた。
早足で列の先頭に出ると、娘達を振り向いて右手を高くかざして、
節の終わりで手のひらを外に向けて小さく握る。それを合図に歌い収める娘たち。
聡子は凉子と顔を合わせて、にっこり笑い、凉子と共に列の先頭に立つ。
やがて人影が近づいて、凉子と聡子がランタンをかざすと、
「メリィクリスマス!」
祝詞を唱える笑顔の婦長。凉子と聡子の手をとって、
「遠いところをようこそ。元気そうね」
「婦長さんも」
婦長の手を握り返して微笑む聡子と凉子。婦長は列を見遣って、
「まぁまぁ、可愛らしいこと。
皆さんは、はじめてね。婦長の柴崎です。どうかよろしく」
「メリィクリスマス!」
「よろしくお願いします!」
ランタンを高く掲げて元気よく答える娘たち。
婦長は優しく、ふふふ、と笑い、
「案内するわ。ついてきて」
娘たちの先に立って歩き出す。
- かいばおけに すやすやと
- ねむるみこは 主イェスさま
婦長が小さく口ずさむ、賛美歌269番。娘たちは次第に声を合わせて、
- 空に光る 星たちも
- その誕生を 祝います
歌声とともに、娘たちは、坂道を登っていく。
正面に、ロータリーのあかりに白く浮かび上がる、病院の建物。
屋上の十字のあかりと、満天の星。
× × ×
病院の待合室。
暗幕をかけた玄関の扉から、玄関先のナースがのぞき込む。
二度目の合図。待合室のナースは心得た、と頷いて、待合室に集まった聴衆に向かって
「皆さん。長らくお待たせしました。もうまもなくで始まります。
これから明かりを落とします。お席を立たれる時は、足元に注意してください。
それでは、子供のキャロル、ごゆっくりお楽しみください」
口上を切ると、壁に寄って待合室の明かりを消した。ざわつく場内。
待合室の両側の窓からは、ゆきあかりがほの白く淡く差し込んでいる。。
やがて暗幕をかけた玄関の扉がうすく開いて、ランタンを下げた娘たちがそろそろと
入ってきた。そろいの聖歌隊の衣装、髪に白いリボンを結んでいる。
リボンにつけた小さな鈴がちりり、ちりりと鳴る。
やがて聡子と凉子をかこんでひとかたまりになった娘たちは、ランタンを高く掲げて、
声をそろえて、聖夜の祝詞、
「メリィクリスマス!」
- わぁ!!
ひときわ高い歓声は、二階席のナースたち。
病院スタッフは覚えている。朝永の手術の日、娘達の、
第一外科手術室前の壁際に悄然と佇む姿、
セミナールームに切々と静かに響く祈りの歌声、
上弦の月煌々と照る裏門の歓びの声、
ICUの扉の前で無邪気にはしゃぐその姿。
娘達は翌日に、聖歌隊の衣装をつけて、お弁当を手に手に持って、
杉坂原田の鼓笛に乗って、岬の駅から現れて、
燕尾服の女先生と、ひとり制服の小柄な娘を、玄関先で胴上げし、
やわらかな秋の日の差す病院の前庭で、日が暮れるまで興のむくまま歌い踊った、
あのときの小柄な娘が、今日は先頭でタクトを取っている。
「聡子ちゃん!」
仁科は、娘たちの姿を認めると、ベンチの上ではね起きた。右手で口元を押さえて、
左手で朝永の肩をゆすりながら、
「先生・・先生! 聡子ちゃん、凉子ちゃんが! みんなも!」
「うむ・・・」
呆然とする朝永。待合室を見渡すと、笑顔で拍手をしている高村と目が合った。
高村は、朝永と目が合うと、含み笑いで天井に目をそらす。
朝永は、片頬を上げて微笑むとゆっくりと目を閉じた。
「先生! 教会、聖夜祭は・・」
「んん? 恭子君だろう。案ずることはない」
片頬の笑みを崩さずに、自信ありげに頷く朝永。その様子に、やや落ち着きを取り
戻した仁科は、ふう、と大きく息をついて、
「みんな・・・」
小さくつぶやくと、膝の上で両手を組んで身を乗り出して娘たちをじっと見つめる。
聡子は聴衆の方を向いたまま、右手をあげるとリードを取って、
- てんのかなたから はるばるきました
- うれしい知らせを 伝えるためです
歌い出す、賛美歌246番。声を合わせる娘たち。
聡子と凉子はランタンを前に捧げ持って、娘たちの先に立って、真ん中の通路を奥に
向かって静かに歩いていく。娘達も歌いながらそれに続いて歩き出す。
吹き抜けの高い天井に響く歌声と、リボンにつけた鈴の音。
ランタンの暖かなあかりに照らされて、娘たちの影がふわりと揺れる。
仁科と朝永の姿を認めて、会釈して傍らを通りすぎる娘たち。
通路を奥までいくと、右と左の二手にわかれて、ひとりづつ順番に、席の周囲におかれた
譜面台に、手にもったランタンを吊していく。
それが終わると、娘たちは、玄関前のステージに、パートの順に一列に並ぶ。
聡子と凉子は、最後に残った2つのランタンに火を入れると、ステージ前の譜面台に
つり下げた。娘たちが、聡子の合図で歌い収めると、聡子は一歩前へ出て、
「こんばんは。
わたしたち、蔵等高校の合唱部です。
わたしたちの先生が、こちらでお世話になったご縁で、
今日はキャロルにやってきました。
短いときではありますが、みなさんと、たのしく過ごしたいと思います。
ご存じの歌があれば、どうぞいっしょに歌ってください」
笑顔で元気よく前口上。会場から暖かな拍手が湧く。
聡子は列の右端に戻ると、姿勢を正してちょっと顎を上げる。
聡子に注目する娘たち。聡子が横目でそれを見遣って大きめの仕草でブレスをすると
それを合図に歌い出す、賛美歌261番。
- もろびとこぞりて いざむかえよ
- 久しく待ちにし、主は来ませり
- 主はきませり、主は、主は来ませり
ランタンのろうそくの暖かな光のなかで、救世主を迎える歓びの歌声は、会場の声と
合わさって、待合室の高い天井いっぱいに響いて溢れていく。
夜間通用口から戻った婦長は、会場の後ろで二人のナースとにっこり頷きあうと、
皆の歌の輪のなかに加わっていった。
× × ×
病院の待合室。
聖夜祭のプログラム。娘たちは簡単な仮装をつけて聖劇を披露している。
歌は、賛美歌258番(まきびとひつじを)。
- ♪
ひつじのつけ耳のソプラノの娘、クーフィーヤを被って羊飼いに扮したアルトの娘と聡子
がひれ伏す前で、羽と輪っかをつけて天使に扮したメゾソプラノの娘を連れて、ガブリエルに扮した
凉子がキリストの生誕を告げているところ。
「・・・今宵、ベツレヘムにキリストがお生まれになりました」
をを、と顔を上げる羊飼い。と、ひつじが聡子ににじり寄って、すりすり。
「えへー」
「ちょっと。何やってんの」
聡子は振り向いて、鋭く囁いて手に持った杖でひつじの頭をぽかり。
だがひつじたちはすり寄るのをやめない。やがてひつじに押しつぶされそうになり、
聡子は杖でひつじの頭をぽかぽか叩く。アルトの娘があわててひつじを引きはがそう
とする。振り向いて杖を振り回している聡子を押しとどめようと背中から引っ張る凉子。
おたおたとまわりをゆきつもどりつするメゾソプラノの娘。
会場はこのどたばたを見て大笑い。
仁科は、腰を浮かせてはらはらしながら聡子たちの劇を見つめている。
朝永は、仁科の横で、右手で顎をすりながら、必死に笑いを堪えている。
ひつじをひっぱる手を止めて、玄関を見遣るアルトの娘。
聖夜祭のプログラムは進んで、神父さまのお説教を聡子が代読しているところ。
歌は、賛美歌259番(急ぎ来たれ、主にある民)。
- ♪
賛美歌のメロディを娘達が遅めのテンポでハミングする前で、聡子は神父さまの
お説教の書かれた紙をひろげて、大きな声で読み上げている。
「・・・クリスマス、それは喜びを発見する日です。この喜びはたとえ悲しみの中に
あってもなおも喜びであるような喜びです。いえ、悲しみが深まれば深まるほどにこの
喜びは輝いてきます。そのような喜びが私たちに与えられたのです・・・」
会場の奥に立って、胸の前で手を組んで、目をうるうるさせてお説教に聞き入る婦長。
その後ろで口元に手を当てて横を向いてあくびをかみ殺しているナース二人。
仁科は、身を乗り出して、真剣な表情でお説教を聞いている。
と、朝永が口に手を当てておおあくび。
仁科は、それに気付くと、きっとなって、朝永の太ももをおもいきりつねった。
「いッ・・・」
朝永の背筋がぴんと延びる。叫び声を上げそうになるのをかろうじてこらえると、
太ももをさすりながら弱り顔で仁科の顔をのぞき込む。
つんと横を向く仁科。朝永のため息を背後で聞いて、表情をやわらげて微笑むと、
ふたたびお説教にもどっていく。
ステージでハミングしながら、玄関をちょっと振り返り、目を伏せるアルトの娘。
聖夜祭のプログラムはさらに進んで、娘たちはクリスマスカードと心ばかりのプレゼント
を会場の人たちに配っているところ。
歌は、賛美歌263番(荒野の果てに)。
- ♪
ナース達の案内で、待合室に来られない重症患者の病室を廻る娘たち。
病室で、メゾソプラノの娘は、ベッドの傍らに贈り物を置いて、患者の手を握り、笑顔で
「はやくよくなってください」
鼻に輸液のチューブを入れた患者は弱々しく微笑んで、二度、三度頷く。
付き添いの年配の女性がちょっと目元をぬぐって微笑むと、会釈して部屋を出て行く
ナースとメゾソプラノの娘に、深く頭を垂れた。
待合室で、娘たちは、患者たちに一声ずつかけながらにこやかに贈り物を手渡してゆく。
快癒も近い患者のこと、軽口も出て、会場のあちこちで笑いさざめく声がする。
朝永は、アルトの娘から贈り物を受け取って、片頬笑みで何度も頷いている。
「先生!」
仁科の前にくると、にっこり笑って元気よく贈り物を差し出すソプラノの娘。
「ありがとう」
仁科が受け取って微笑むと、ソプラノの娘はえへへ、と笑い、次の患者へと移っていく。
その様子を笑顔で見遣りながら、仁科は思い出す、はじめての聖夜祭。
街のいちょうが色づいて、日に日に寒さがつのるころ
教会の神父様が突然学校に訪ねてこられて、
このごろ寂れた聖夜の催しを手伝ってはくれまいか、と仰った。
聞けば、キャロルと、イエスさまの劇だという。
渚先輩と二人、二つ返事で引き受けたわ。
たくさん雪が積もった晩の、熱心な信者の方々との、内々だけの聖夜祭。
渚先輩のご両親が、おいしいケーキをたくさん焼いて皆にふるまってくだすって、
早苗さんの塾の子供達がおおぜい来てくれて、一緒に歌ったり踊ったりしてくれた。
イエスさまの劇で、ぼたんちゃんとうりぼう達に羊になってもらったの。でも、
ぼたんちゃんが会堂のみんなにおびえて、逃げまどうのを、
子供達や信者のかた達が、おもしろがって、追いかけて。
杏先輩が、とうとう怒って、説教台の下にぼたんちゃんをかくまって、神父様が、
仮装のとれたぼたんちゃんに驚いて倒れてしまって、
介抱したり、なだめたり、たいへんだった。
そうそう、有紀寧さんの知り合いの男の方たち、姿はちょっぴり怖かったけど、
歌ってくれた地鳴りのようなグローリア、教会の窓がびりびり言って、凄い迫力だった。
杉坂さん、原田さんは、いつもわたしのそばにいてくれている。でも
年賀状をやりとりするくらいで、ふだんはごぶさたしてる人もいる。
あのころのみんな、どうしているかな・・・
仁科は微笑みながら、目を閉じる。
待合室では、ベンチの間を抜けて、笑顔でプレゼントを運ぶ娘達。
ランタンの短くなったろうそくのあかりが揺れて、溶けたろうの焦げる音。
× × ×
岬の駅。改札口の時計は、9時20分を指している。
マント姿の恭子を残して、二両編成の普通列車はごとごととホームを離れていく。
雪は上がり、空は晴れて満天の星。雪におおわれたプラットホーム、ひとつしかない
あかりに透かすと、たくさんの小さな踏み跡が改札口の方にむかってついている。
恭子は口元をきりりと結んで、大股で改札口の方に歩いていく。と、改札口の柵の
ところに、聡子の風船が結びつけられて、ゆらゆらとゆれている。
ぱっと笑顔になる恭子。改札口の駅員に、切符を渡して、風船を指さして勢い込んで、
「ね、これ・・・」
「んん? 遅刻かい?」
駅員は逆に問いかける。と見ると、駅員の後ろの部屋の隅に通学カバンがかためて
置いてある。恭子は、さらに表情が明るくなって、
「うん。そんなとこ。ね、おじさん。みんなは?」
「あー、一時間ちょっとってとこだ」
カバンを振り返りながら答える駅員。恭子の顔を覗き込みながら、続けて
「行くのかい?」
「うん。おじさん、これも預かって」
恭子は急いで通学カバンに携帯をしまうと、ランタンを外してカバンを駅員に手渡した。
駅員は笑顔で頷いて、
「間に合うといいな」
「うん。ありがと」
恭子は元気よく答えると、すたすたと駅舎の出口の方へ歩いていく。
恭子の背中を見送る駅員。恭子は駅舎の出口まで来て、はた、と立ち止まり、
ランタンを足元に置くと、駅員に背中を向けたまま、ぱたぱたとブロックサイン。
呆然と頭に手をやって、ぽりぽりと頭を掻く。
と、ランタンを拾って、ぱっと駅員の方に向き直ると、食いつきそうな表情でつかつかと
歩み寄り、
「おじさん。火。火を貸して」
恭子の剣幕に駅員はちょっと後ずさる。が、恭子の下げたランタンを見て笑顔になると、
「ああ。ちょっと待ってな」
少し考えて、備え付けの流しの引き出しから割り箸を出すと、傍らのガスストーブの
グリルに近づけて、種火を取った。
「そら」
「うん」
恭子はランタンのほやを取って、ろうそくを出す。駅員が種火を近づけて、あかりが
ともると、顔を見合わせて微笑む二人。恭子はあかりのともったランタンを下げて、
「ありがとう。じゃ」
「気をつけてな」
駅員は笑顔で気軽な挙手の礼。恭子は応えて答礼すると、眼鏡を上げてえへへと笑い、
駅舎の出口の方へ早足で歩いていく。恭子は駅舎の出口でもう一度振り返り、
頭を下げて礼をすると、病院へ通じる坂道の方へと消えていった。
× × ×
岬の病院への道行き。恭子。
歌は、賛美歌264番(きよしこの夜)。
- ♪
駅舎を出ると、右手のほどない距離に、ロータリーのあかりに照らされて、白く浮かび
上がる病院の建物が見えた。風はなく、空は晴れて満天の星。水平線には十七夜の
遅い月がかかって優しい光を投げている。左手の湾からは、静かに打ち寄せる波の音。
病院へと続くゆるやかな下り坂の入り口で、恭子は、口元をきりりと結んで大きく
頷くと、ひとすじに続く聡子たちの踏み跡を大股で歩き出す。
揺れるランタンのあかりが消えないように、大事に、大事に捧げ持って、
マントをひるがえして、大股で、早足で、踏み跡を降りていく。
恭子の荒い息の音。胸元で鳴る鈴の音。
恭子の短い髪の毛が風になびいて、こぼれて消える玉の汗。
やがて踏み跡は右に折れて、病院の入り口へと続く坂道を登っていく。
その跡を追って、脇目を振らず、一散に歩いていく恭子。
正面にロータリーのあかりに照らされた病院の正門と、屋上の十字のあかり。
× × ×
病院の待合室。聖夜祭のプログラム。
娘たちは、ステージにふたたび並んで、キャロルを披露しているところ。
歌は、賛美歌264番(きよしこの夜:連続)。
:
- きよしこの夜、み子の笑みに
- あたらしき代の あしたのひかり
- かがやけり、ほがらかに
と、席のまわりのランタンのあかりが燃え尽きて、ひとつ、またひとつと消えていく。
- アーメン
キャロルを歌い収めると、のこるあかりはステージに吊したふたつだけ。
窓からは十七夜のやわらかな月のあかりが差し込んで、長い影を落としている。
聡子は、凉子と頷きあうと、二人で一歩前へ出て、
「そろそろ、お別れの時間です。最後に、一年生だけで歌います。
今日のために、準備しました。聞いてください」
聡子と凉子は、静まり返った待合室の、真ん中の通路を奥までいって、
ステージの方を向き直った。聡子が右手を挙げて合図すると、ステージで右端に
立ったソプラノの娘が頷いて、姿勢を正して皆を見遣る。
が、列の左のアルトの娘たちは、うつむいたまま顔を上げない。
「○○ちゃん」
隣のメゾソプラノの娘が、心配して声をかけると、アルトの娘はちょっとだけ
顔を上げ、また指先を見つめてうつむいてしまう。
目にいっぱい涙をためて、うつむいたままのアルトの娘たち。
ステージのソプラノ、メゾソプラノの皆がアルトの娘たちを心配そうにのぞき込む。
会場の聴衆たちが、異変に気付いてざわつきはじめる。
「聡子ちゃん」
震える声で聡子の袖をひっぱる凉子。
聡子は口元をきりりと結び、ステージを厳しい表情で見つめたまま、じっと待っている。
仁科は、ステージの娘たちの様子を、はらはらしながら見守っていたが、
もう耐えきれなくなって、立って声をかけようとした、そのとき、
朝永が、右手で仁科を抑えて、ゆらりと立った。
すがる表情で朝永を見上げる仁科。
朝永は、微笑みながら、ステージの娘たちに向かって、穏やかな声で、
「ああ、歌をとめてすまない。朝永です。
今日は遠いところをたずねてくれて、ありがとう。
なにかお返しがしてやりたいが、このとおり、
入院中の身の上だ。手元にはなにもない。
だから、良ければ、私にも少し歌わせてくれ。
指揮をはじめてからというもの、人前で歌うことなどなくなった。
とても人様に聞かせる喉じゃあないが、座興と思って。
どうかな? 聞いてくれるか?」
はっとする仁科。
ステージの娘たちは驚いて、互いに顔を見合わせていたが、やがて朝永の方を
向いて、揃ってにっこり笑って、大きく頷く。朝永はそれを見て頷いて、
「そうか。では、はじめよう。
まずくても、笑うなよ」
ふふ、と笑って、目を閉じて想を練ると、静かに歌い出す、ブラームスのOp.19-5。
(エオールスの竪琴に寄せて)
- ♪
二学期が始まってまもなくのこと。
たいくつな物理の授業、さっぱりわからぬ教科書をひろげて待っていると、
いつもとちがう先生が、つかつかと入ってきて
黒板にくせ字で名前を書き殴り、ぶっきらぼうに自己紹介。
季節はずれの、転任教師。
それから、せかいともののありようについて、
黒板にみみずのような図を書きながら、一時間、
教科書と一切関係のない、俺様な話を続け、
終鈴とともに、草履を鳴らして、疾風のごとくに立ち去った。
お昼休みにそのことを、ことみ先輩に話すと、
猫がどうのと、さらにわからぬことをいう。
どうせ縁なき物理の教師、忘れてしまえ、と放り出した。
- ♪
その日の夕刻、いつものように、音楽室へ譜面台を返しにいくと、
部屋の隅の、ピアノの前に、見慣れぬ男が立っていた。
昼間の変な物理の教師、裸足に草履、腕まくり、首に手ぬぐいのかまわぬ格好で、
ぽーん、ぽーんと音を取り、目を閉じて、静かに歌い出す。
ときおり鈴の鳴るように、ころろ、ころろと響く、聞き慣れぬ異国の言葉。
その意味はわからねど、寥々と、憧れを込めた歌声は、
紅に染まる廊下の柱の陰で、そっと見守る聴衆の、ちいさな胸に染み入った。
やがて、歌い収めて顔を上げた、教師とばったり目が合って、
譜面台をその場に投げ出して、部室へと一目散に逃げ帰った。
その次の日の放課後に、顧問の幸村先生が、合唱部の部室を訪ねてこられた。
あの変な物理の教師を連れて。物理の教師は、娘たちを一渡り見渡して、
片頬を上げて微笑むと、
「今日から君らの部活の指導をする。よろしく頼む」
と言ったのだ。
- ♪
仁科は、立って歌う朝永の横で、呆然と前を向いて座っていた。
もう一度聞きたいと願って、かなわなかった。
いくら水を向けても、朝永は、決して人前で歌わなかった。
大きな全集の片隅に、ひっそりと収められたその歌を。
仁科がはじめて、自分の心の求めるままに、探し、歌って、ものにした、
その歌を、いまふたたび朝永は、仁科の前で歌っている。
- ♪
「凉子ちゃん」
聡子がそっと凉子の袖を引く。凉子は聡子の方を見て、
「うん。わかるよ。この歌ね」
にっこり微笑むと、聡子と、静かに、歌う朝永を見つめる。
- ♪
病院の玄関先。あたりは一面の銀世界。
ロータリーのあかりと、おりから昇った十七夜の月の光が、柔らかく差している。
恭子は深呼吸して乱れた息を整え、少し身なりを正すと、玄関の扉に手をかけた。
と、中から聞こえる、寥々としたバリトンの歌声。
恭子は手を止めてしばらく聞き入っていたが、やがてちょっと微笑むと、
静かに玄関の扉を開けて、待合室へと入っていく。
- ♪
しいんとなった待合室で、朝永は、静かに歌い収めると、
「さぁ、次は君らの番だ。聞かせてくれ。頼む」
そういって微笑んで、ステージの後ろへわずかに顎をしゃくった。
ステージで聞き入っていた娘たちの足元に、ふわり、と冷たい空気が流れ込む。
はっ、とアルトの娘が振り向くと、そこには、ランタンを下げた、マント姿の恭子。
「あ・・・」
恭子は、曇った眼鏡を人差し指でちょっと下げて、振り向いたアルトの娘に
にっこり微笑むと、ランタンを捧げ持って、待合室の端を渡って聡子たちの方へ
歩いていく。笑顔の戻ったアルトの娘は、ぱっと前を向き直り、
「はい!」
元気よく答えると、右端に立ったソプラノの娘を見遣って大きく頷いた。
ソプラノの娘は笑顔で頷き返し、聡子の方を向き直り、
「センパイ!」
と大きな声で合図を促す。姿勢を正す娘たち。
聡子は、ランタンを捧げて隣に立った恭子を見上げてちょっと微笑んで、口元をきりりと
結び、右手をあげると、頷くソプラノの娘を見遣って、ハミングで与える、Cの音。
- m--
娘たちはひとしきり、ハミングをして音を取ると、ふたたび姿勢を正して前を向いた。
聡子が微笑んで、任せた、と頷くと、右端に立ったソプラノの娘は、娘達を見遣って、
顎を上げ、大きめの仕草でブレス。
アルトとソプラノのユニゾンで、おこぞかに歌い出す、コダーイの聖霊降臨節。
- ♪
創立祭が終わったころだった。
顧問の幸村先生のすすめで、皆で合唱コンクールに出ようと決めた。
規約の人数に足りなくて、なかまをさんざんさがしたけれど、
音楽好きの生徒には、吹奏、軽音が人気のクラブで、
かたちすらないわたしたちは見向きもされなかった。
渚先輩のつてをたよって、やっと9人になったけど、
楽譜の読めないものが半分以上の、ほんとのほんとのよせあつめ。
自分のパートをつられず歌えるように、そんなとこからはじめたの。
- ♪
降臨節のちいさな女王様、ハミングで漂うように流れる和声にのせて、
見事なソロを聴かせる、いちばんのお調子者のソプラノの娘。
会場の後ろで、恭子が、隣に立った聡子のあたまをちょっと小突いて、
聡子を見遣ってにっこり微笑む。
恭子を見上げて、得意げに微笑み返す聡子。
二人を横目で見遣って、微笑む凉子。うれしそう。
- ♪
夏休みになって、それでもすこしずつかたちになって、そんなころ
杉坂さんと杏先輩が喧嘩をしたの。杏先輩、もう演劇部の部活しかしないって
いって飛び出して、それきり練習にこなくなった。しぶる杉坂さんを連れて、
みんなで杏先輩をなだめにいったわ。仲直りさせるのたいへんだった。
そうそう、夏休みの間だけだといって手伝ってくれた坂上さん。
皆が二ヶ月かかったところを一週間で追いついて。さすがの杉坂さんも舌を巻いたっけ。
- ♪
宗門の英雄を讃えるコラールが荘重にホールに響く。
あごを引き、まじめな顔で聞き入る婦長。
- ♪
夏休み最後の土曜日、コンクールの県大会の日、出番を待つ舞台の袖で、
渚先輩が青ざめて、ぶるぶる震えて、べそをかいて。
隣の私が手を握ってあげると、ようやっと少し落ち着いた。
それで、誰言うとなく、みんなで手を繋ぎあって、そのまま舞台にあがったの。
久しぶりに浴びるステージライトは眩しくて、客席がうんと遠くに見えた。
あの子たちがしたように、顎を上げて、みんなに合図して。
四ヶ月、体に刻み込んだそのままに、夢中で歌ったわ。
- ♪
踊りのリズムが高まって、生き生きと体をゆすって歌う娘たち。
それをじっと見つめて微笑みながら聞き入る朝永。
- ♪
・・・失笑は湧かなかった。かわりにお客さんがたくさん暖かい拍手をくれた。
演奏が終わった舞台の出口の廊下で、みんなで抱き合って泣いたの。
すっかりあきらめて、さばさばした気分で望んだ表彰式の、舞台の上で聞いたのは、
「銀賞」の声だった。客席で、みんなまるで代表をもらったみたいに喜んで。
となりに座った強豪校の子たちが、すっかりあきれてた。
- ♪
力強く歌い収める娘たち。
娘たちは、満足げに互いに顔を合わせると、そろって笑顔で聴衆に礼をした。
会場から大きな拍手。
会場の隅で、互いに笑顔を見合わせて、拍手をするナースと婦長。
朝永は、何度も、何度も頷きながら、手を前に掲げて拍手をしている。
その横で、仁科は、半べその笑顔で娘たちをじっとみつめていたが、
やがてちょっと目元をぬぐうと、笑顔で拍手をおくりはじめた。
聡子は、会場の後ろで、凉子と恭子と笑顔で頷きあうと、ゆっくりと真ん中の通路を
渡ってステージの前に出た。聡子と凉子がステージ前のランタンを手にとると、
三人そろって、ランタンを捧げて聴衆の方を向き直る。静まる拍手。
と、聡子は一歩前へ出て、
「お別れです。
今日はわたしたちのキャロルを聞いてくだすって、ありがとうございました。
皆様に、主の恵みがありますように。
よいお年をお迎えください」
挨拶すると、三人で呼吸をはかって、歌い出す、ラターのマリアの子守歌。
- ♪
壊れた左手。
二度とネックは握れない、と知ってから、
音楽と名の付くものすべてを、自分から遠ざけた。
コンサートソリストの、誇り高く、激しい性も、仮面の下深くにしまいこんだ。
あの日、幼なじみの求めに応じたのは、ほんの気まぐれ。
「りえちゃん」
「りえちゃん、待って」
「なあに?」
「りえちゃん。お願いがあるの」
「えへー、これ。来週テストなんだ」
「でね、メゾの子が今日休みで、練習できなくて、困ってるの」
「・・・」
「メゾのパート、歌ってくれない?」
「ダメ、かな?」
渡された譜面をざっと見た。児戯に等しい三本の線。わけはない。
「いいよ」
「え?」
「もう取れた。いつでもいいよ」
「・・・」
「しないの? 練習」
「・・・うん。じゃ・・・」
ホイッスルを取り出すのを抑えて、3つ、ハミングで音を取る。
「ふぇ・・・」
「・・・杉坂さん。まだ?」
「う、うん。原田も、いい?」
「うん」
「じゃ、いくよ。いち、に、さんっ」
- ♪
ひとけの絶えた放課後の教室で、三人、はじめて声を合わせた、あの日。
背を向けた私を、ミューズは再び、そのやさしきかいなに抱き寄せた。
私の胸で、ひとつに響き合う、声と声。
エオールスの竪琴をゆする、おだやかな春の風をうけて、歌の翼は、私を連れて、
どこまでも、高く、高く、舞い昇る。
- ♪
娘たちは、聡子たちが歌う後ろで、ひとりずつ、玄関の扉の前で、
笑顔で聴衆にむかって深くお辞儀をすると、そっと扉をあけて、会場から消えていく。
十七夜の月あかりが窓から長くさしこんで、娘たちの
お辞儀する頭のリボンが揺れて、鈴がちりり、ちりり。
- ♪
あの日、杉坂さんの求めるままに、二度、三度と、声を合わせたわ。
練習が終わって、別れ際に、杉坂さんは、私の目を見て、祈るように手を取って、
「ね、りえちゃん」
「・・・ん?」
「また、いいかな?」
「うん」
「ほんとに?」
「うん。誘って。おねがい」
「うん。約束・・・」
そう言って、私の手を強く握って、何度も、何度もゆすったの。
夕日に染まる教室で、えへへ、と笑った杉坂さんの顔が、くしゃりと崩れて、
背を向けた、ふるえる肩に手を置いて、
「ありがとう」
その背中を、抱きしめた。
ともの、あたたかな、こころに触れて、とけていく、かたくなな、私のこころ。
あかね色の、空の下で、音楽は、また響き始める。
- ♪
やがてみんないなくなって、ステージに聡子と凉子と恭子だけ。
捧げ持ったランタンのあかりがゆれて、三人の影がふわり、ふわり。
:
- Sing lullaby, sing lullaby,
- My own dear son, my child;
- Lullaby, sing lullaby;
と、聡子と凉子の持ったランタンが、ふっ、と消えて、
- Lullaby, my little baby.
- Amen.
祈りの言葉で、静かに歌い収めると、聡子と凉子は、娘たちがしたように、
扉に寄って、深くお辞儀をすると、そっと待合室を後にする。
待合室にひとり残った恭子は、ランタンのあかりを顔の前に掲げて、
ちょっと微笑んで、会釈をすると、皆に背を向けて、左手でマントのフードを被り、
静かに玄関の扉に手をかけて、
- ぱたん。
玄関の扉のしまる音。
咳をするものすらいない、しいんと静まりかえった、月あかりの待合室。
「聡子ちゃん!」
仁科ははじかれたように席を立つと、もつれる足ももどかしく、
聡子たちの後を追って走り出す。
- かしゃん!
譜面台を引っかけて、玄関の扉を乱暴に引き開けて、
楽屋で、娘たちにマントを渡し終えて待合室に入ろうとしたナースとぶつかって、
「あっ・・・」
「ごめんなさい」
脇目もふらず、次の扉へ。引き開けて、
「聡子ちゃん! みんな!」
玄関の脇に立つ婦長は仁科の目に入らない。
ロータリーの向こう、正門のところに並んで、いま行こうとする、マント姿の聡子たちを
呼び止めて、走り出す。
「聡子ちゃん! 行ってはだめ!」
ロータリーのところで、つまづいて、ふみとどまって、泳ぐように、仁科は走る。
冬の夜空は、冴えた空気に満天の星。
正面に、十七夜の明るい月がこうこうと。
正門で、いつものように、娘たちのしんがりを行く聡子は、先生の呼ぶ声に、
ゆっくりと向き直って、
「聡子ちゃん!!」
- とんっ!
仁科は、聡子のちいさな体をおもいきり抱きしめた。
動かぬ左手、その手首のところで、聡子の背中をしっかり抱き寄せて、
「聡子ちゃん・・・」
右手で聡子の頭を抱いて、ぬくもりを確かめるように、ほほを寄せる。
聡子のリボンの鈴が、ちりり。しっかりと、しっかりと抱き寄せて、
「先生・・・」
ささやく聡子に、仁科は、ほほをすり寄せながら、
「神様が、お召しになるのだ、と思ったの・・・」
ふるえる声でそういうと、ふかい、ふかいため息をついた。
娘たちが皆振り返って、二人のまわりをとりかこむ。
ランタンを高く掲げながら、左手でマントのフードを下ろす恭子。
仁科はようやっと聡子を離すと、聡子の肩に手を置いて、
「よく来てくれたわね」
そう言って、にっこりと微笑んだ。仁科を見上げて微笑み返す聡子。
仁科は、立って凉子のそばに寄ると、しっかりと抱きしめて、
「引率は、凉子ちゃんね?」
「はい・・・」
「ありがとう」
聡子と同じように、ほほを寄せる。仁科は恭子を抱きしめて、
「教会は、恭子ちゃん?」
「えへへ・・・」
「ごくろうさま」
言って、恭子の髪をゆっくりとなでてやる。
「みんな・・・」
仁科は、聡子にしたように、娘たちの名前を呼んで、ひとりひとり、
しっかりと抱きしめて、ねぎらいの言葉をかけていく。
微笑みながら、それを囲んで見つめる娘たち。
仁科はやがて、最後の娘を離すと、聡子たちから一歩離れて、指先で目元をちょっと
ぬぐって、
「みんな」
娘たちを見渡して、身を乗り出して、にっこり笑い、
「メリィクリスマス!」
「メリィクリスマス!」
恭子の掲げるランタンに合わせて、にっこり笑って仁科に応える娘たち。
病院の玄関先で、それを見つめて微笑む患者たちと病院スタッフ。
仁科と娘たちを見つめて微笑む朝永の肩をたたいて、玄関を入っていく笑顔の高村。
「じゃあ」
娘たちは、ランタンを捧げ持った恭子を先頭に、二列になって病院の坂道をおりていく。
「みんな、また来年。元気で」
「先生」
「せんせーい」
いつまでも手を振る仁科を、何度も何度も、振り返り見ながら、娘たちは、
病院の坂道を下って、岬の駅の方角へと折れていった。
× × ×
岬の駅への道行き。マント姿の分遣隊。
先頭はランタンを持った恭子と凉子、アルト、メゾソプラノ、ソプラノの順に
二列に並んで歩く娘たち。聡子はそのしんがりで、口元をきりりと結んで、
じっと前を見て歩いている。
恭子と凉子も口を結んだまま。マントの前を合わせて歩いている。
中空にかかった十七夜の明るい月のひかりが反射して、雪がきらきら輝いている。
空は晴れて、雲ひとつなく、満天の星。
行く手には、小さな駅舎のあかり。彼方には、山々の稜線がぼんやり見える。
静かな、静かな雪の夜。右手の湾から打ち寄せる波の音。雪を踏む音。鈴の音。
娘たちはうつむいて、恭子と凉子の後をついていく。
時折深いため息と、遠慮がちに鼻をすする音。
恭子は、ふぅ、と息をつくと、ランタンをちょっと掲げて、後ろをついてくる
アルトの娘たちを振り返った。
恭子の気配に気付いて顔を上げるアルトの娘。目にいっぱい涙をためて、鼻水が少し
垂れている。あわててぬぐって、えへ、と笑い、うつむいて、また目をぬぐう。
恭子はそれを見つめて微笑むと、ランタンを高く掲げて聡子の方を振り返り、
笑顔で元気よく、
「聡子」
名前を呼ぶと、聡子はちょっと顔を上げて、恭子を見遣って微笑んだ。
恭子は続けて、
「聡子、歌おう」
「うん。なにがいい?」
「なんでも。聡子の好きなの。リードしてよ」
微笑んで、人差し指でちょっと眼鏡を上げる。
聡子はちょっと考えて、口元をきりりと結んで頷くと、大きく息を吸い込んで、
- ぐんかーっ!
冴えた空気に、かあんと通る、ソプラノの声。
はっ、と顔を上げるアルトの娘たち。
- ゆきのしんぐんっ
聡子は、恭子を見遣ってにこりと笑う。
いつか見た映画の大尉殿、一面雪のあぜ道で、難所へ赴く小隊の、
沈む気持ちを鼓舞するように、先じて歌った、行軍歌、冬の夜空に、りんりんと、
- ゆきーのしんぐん、こーおりをふんで
ランタンを掲げて、聡子を見遣ってにっこり笑う恭子。
聡子と恭子を交互に見遣って、微笑む凉子。二人、聡子と声を合わせて
- 雪の進軍 氷を踏んで
- どれが河やら 道さえ知れず
:
聞いて、気持ちがふっつり切れた。
かろうじて抑えていたものが、堰を切って溢れ出す。
「う、うぅ、う、う・・・」
「うぅ、うぅ、ヒッ、う、う、ヒック・・・」
「うぇぇ、えぇぇぇ・・・ヒック・・え、えぇぇ・・・」
アルトの娘たちに誘われるように泣き出す、ソプラノ、メゾソプラノの娘たち。
満天星の夜空に響く、泣き声と、歌声と。
娘たちの、かわいさましい凱旋を、十七夜の月が、やさしく、見守っていた。
あらずもがなの解説をw
賛美歌の番号は、日本基督教団賛美歌委員会が1997年に発行した
「賛美歌21」によりました。
神父様のお説教は、茨木春日丘教会、軽込牧師様の2000年のものから引用させて
もらいました。安藤忠雄の手になる美しい教会と聞いています。お近くの方はぜひ
一度礼拝されてはいかかでしょうか。
ttp://www.asahi-net.or.jp/~NV3N-KRKM/ ブラームス/OP.19-5(エオールスの竪琴に寄せて)
ttp://homepage2.nifty.com/182494/LiederhausUmegaoka/songs/W/Wolf/S500.htm メーリケのこの詩にはヴォルフも曲を付けていますが、私の好みは圧倒的にブラームス。
ただ、選集でこれを歌っているのをあまり見かけません。
特に女声の、よいのがあったら、ぜひ教えてください。
コダーイ/聖霊降臨節
ハンガリー語です。どうしようもありませんでした。
全訳はハルモニア出版の「ゾルターン・コダーイ合唱曲集[IV]」にあります。
聡子にソロを取らせると、恐ろしいくらいにぴったりはまる曲です。
スコアを手に入れて、解説を読んでびっくりしました。
録音は、フンガロトンのものが比較的手に入りやすいようです。
ラター/マリアの子守歌
この曲は英詩、混声、小編成オケの伴奏付きです。
女声同声三部アカペラの透明な響きを妄想しながら聞くとより萌えるでしょう。
録音は、ラターの手兵、ザ・ケンブリッジ・シンガーズのものがあります。
歌詞の一部はそのジャケットから引用しました。
それと、通院従事放課さんへ
あなたがアクロスティッシュにした、美しいことばを使わせていただきました。
あのときお返事できなくて、ごめんなさい。レスをくれて、うれしかった。ありがとう。
おしまいです。読んでくれたひと、ありがとう。
みなさんに、主の恵みがありますように。
よいお年を、お迎えください。
乙。
07/01/13E01<<十波由真@ToHeart2>>
07/01/13E01<<仁科りえ@CLANNAD>>
07/01/13E01<<天野美汐@Kanon>>
07/01/13E01<<トウカ@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄>>
…
475 :
迎春:2007/01/01(月) 19:45:46 ID:YJr/9P9m0
'´  ̄ `ヽ .゙ '´  ̄ `ヽ
|l ff j j ))〉 l i ノノノ)))〉
|l |(゚)。(゚)ノj .. tt(|゚ ー゚ノj
∩ ▼∩ ⊂ ▼jつ
く/_|> . く/_|>
し'ノ .゙ し'ノ
,´´  ̄ ヽ ♪第九な第九の第九で大工〜♪ (imi fumei ase
f i f ノ j j 〉
{ j ゚ ヮ゚ノ,j
f ∩▼∩j
ノ, ,く/_|〉,t
. し'ノ
123って何の嫌がらせだ…
最萌で勝ち進んだ時のだろ
どのカードも支援のテンションが異常だったからな
うぅ、だからあらかじめ断ったですよ。返事は無かったですが。>100レス越え
あと、あのときの続編ですが一応新作です(泣・・・・
479 :
名無しさんだよもん:2007/01/07(日) 21:07:30 ID:YtQ8s3E20
久々に合唱スレのぞいたらすごいことに^^;;;
貼り付けるだけで3時間もかかったんですね。。。
激しく乙です。後ほど読まさせていただきます。
のんびりとですが^^;
以下、突然歌いたくなった歌
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、
| (ノ/リノ ヽ)))) まけないでー もーおーすこしー
| | | ┃ ┃ |i| さーいいごまでー はしりぬーけてー
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、 どんなにはーなーれーててもー
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ こーこーろはそーばーにいーるわー
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ おいーかーけーてはーるーかーなー
(__八__) ゆーーうめをーー♪
すごいな、ビックリしたぜ
1/13
E01
<<十波由真@ToHeart2>>
<<仁科りえ@CLANNAD>>
<<天野美汐@Kanon>>
<<トウカ@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄>>
漫画版は心が癒される。
, _-‐‐v‐-_ やっつぁっつぁっ ぱれでぃっぱりらんらん
/ /´ ハ ヽヽ、 でぃっぱりりんらん ぴちたんるんらー
| (ノ/リノ ヽ)))) りぴたびだんらー るっぱでるぴらん
| | | ┃ ┃ |i| これがんぐぉっこや きりがんぐー
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、 ぁらっつぁっつぁーや りびだびでぃんらば
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ りちたんでぃんらんでんらんどーあば
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ りっぱった ばりっばりばりべ
(__八__) りびりびりすてんてんらんどーやば
484 :
名無しさんだよもん:2007/03/09(金) 01:12:11 ID:NL6YRw4k0
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 すきーだーよ
| (ノ/リノ ヽ)))) こーいーすーるーきーもちーにはー
| | | ┃ ┃ |i| すこしだけふあんがいいるよー
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、 あーなたのー こーこーろにー
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ とけーなーいかーぎつーけたーい
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ せーかーいーじゅーうーのこーとばー
(__八__) あつめてもたーりーなーいけーえれどー
あーなたがー すーきですー
いまーもういちどつーたーえーたいーんだー ♪
485 :
名無しさんだよもん:2007/03/16(金) 02:02:04 ID:H7pLR8/q0
アニメ化に期待。
劇場版はどうなるかわからないが
TVアニメ版は仁科さんも当然登場するわけだよな
京アニだったら原田さんも普通に登場しそうだな
原田さんって原作に居たっけ? 名前は別として
存在はしてたが名前は出なかった
490 :
名無しさんだよもん:2007/03/23(金) 11:01:37 ID:cpH50dN60
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□□□□□□□□□□□□□□□□□■■□□□□□□□□□□□□□
491 :
名無しさんだよもん:2007/03/23(金) 11:55:24 ID:cpH50dN60
/ . : : : :ィ: > ` ̄ イ: : 、 、、: : : : .ハ ナ ゝ
/ . :/i/ "´ |  ̄ | `^``゙^\:、 : . ハ ⊂ト l ¬ ー|┐\ヽヽ
i/ . :/ へ ノ __ Vニ、 ヽi、:、: i レ ー ノ亅
ハ i:/ ∠.... iく__ 彡⌒ソ > ‐ 、 ヽi、! 合唱部スレ ー|‐_〃
V / ̄、 ̄\\ ∠ニ -‐_厂 ヽ. ` | 、_
/ |: レ  ̄ ̄` 厂| ̄,r ̄- 、: |. i
/ .|/ 厂 | '´ V: 丶 ┼┐\
「 ̄ ̄`ヽ/. : : : . . / ハ . : : : : : . V/ ̄`ヽ l ー|‐ヽヽ / ノ ー|┐\
,ノ二二.ヽ {. : : : : : :∧ヽ/∧: : : : : : : : :} . ニニヽ レ ⊂ト ノ亅 __l__|__
< ̄ィ―- 、ヽV: : : : : :\//: : : : : : : : ノ//. --t、ヽ ー|‐ ヽ 月リ
`7 ヽ.ハ: : : : : : : :`´|: : : : : : : : : {彡''´ |/ <ノ⌒)
492 :
名無しさんだよもん:2007/03/23(金) 11:56:11 ID:cpH50dN60
/ . : : : :ィ: > ` ̄ イ: : 、 、、: : : : .ハ ナ ゝ
/ . :/i/ "´ |  ̄ | `^``゙^\:、 : . ハ ⊂ト l ¬ ー|┐\ヽヽ
i/ . :/ へ ノ __ Vニ、 ヽi、:、: i レ ー ノ亅
ハ i:/ ∠.... iく__ 彡⌒ソ > ‐ 、 ヽi、! 【NANNO'S BAR】 ー|‐_〃
V / ̄、 ̄\\ ∠ニ -‐_厂 ヽ. ` | 、_
/ |: レ  ̄ ̄` 厂| ̄,r ̄- 、: |. i
/ .|/ 厂 | '´ V: 丶 ┼┐\
「 ̄ ̄`ヽ/. : : : . . / ハ . : : : : : . V/ ̄`ヽ l ー|‐ヽヽ / ノ ー|┐\
,ノ二二.ヽ {. : : : : : :∧ヽ/∧: : : : : : : : :} . ニニヽ レ ⊂ト ノ亅 __l__|__
< ̄ィ―- 、ヽV: : : : : :\//: : : : : : : : ノ//. --t、ヽ ー|‐ ヽ 月リ
`7 ヽ.ハ: : : : : : : :`´|: : : : : : : : : {彡''´ |/ <ノ⌒)
493 :
名無しさんだよもん:2007/03/26(月) 23:53:06 ID:/WjGRwPx0
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、
| (ノ/リノ ヽ))))
| | | ┃ ┃ |i| さっくうら
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、さっくうら
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ いまさきほこる♪
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
494 :
名無しさんだよもん:2007/03/27(火) 12:44:51 ID:Xx9Didoc0
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; \
/;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;; ヽ
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;; ;;;;;;; 丶
/ ;;;;;;: ;;;;;: ;;;;; ;;;;; │
/ ;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;; ;;;;; ;;;;; ;;; ;;;;;;;; │
│;;;;;;;;;;;;//|| ||||| || ||||| |||| || ゞ:::::::: :::::::│
│;;;;;;;;;/|| || | |||| |||| ||| ||| || |||| | |ゞ:::::::::::│
∩;;;;;;/丿,;::≡ミミ;;、、 ソ __,,,,、、、.. ゞ::::: /
|/|;;;;// _" _''ヘノ ヾ彡=''_""`` ヾ:::/、
((|ソ ,─≦◎≧ヾ - , ≦◎≧- 、 ヾ|/)
ヾ||| - ̄ ' ヽ  ̄ - ||ノ
ヽ!| / ヽ |ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ゝ: 、 ( _ _ ) ノノ < このスレのみゴミ!これは常識!!
` ヽ / _ヽ ノ ヾ ノ \____________
__>、 ,, '::_`_' _:` 、` ./
/\ _/ ヽ ( /----- ヽ) , ノ
/ \ , 、 、 、ヽ、'  ̄ `ノノ_ ,/
/ \ ヽ ヾ、. ̄ ̄ ( )'丶
/ ' "'' 、 \ \ _,, ̄ ''ノ ` ゙/ \
/ , - 、 ,, `ヽ \/  ̄ヽ ' ヽ ,ゝ--、
/ ヽ | / ノ
,, 、 / ヾ ヾ ヽ-' 、 ,/
- '' ヾ ( ヽ 丶 ! '' ,, ゝ" |
''" \/ヽ ヽ ヽ _ 'i / ヽ
495 :
名無しさんだよもん:2007/03/28(水) 00:42:58 ID:5i9IxVBN0
/;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;; ヽ
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;; ;;;;;;; 丶
/ ;;;;;;: ;;;;;: ;;;;; ;;;;; │ _________________
/ ;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;; ;;;;; ;;;;; ;;; ;;;;;;;; │ |
│;;;;;;;;;;;;//|| ||||| || ||||| |||| || ゞ:::::::: :::::::│ | やっつぁっつぁっ ぱれでぃっぱりらんらん
│;;;;;;;;;/|| || | |||| |||| ||| ||| || |||| | |ゞ:::::::::::│ |でぃっぱりりんらん ぴちたんるんらー
∩;;;;;;/丿,;::≡ミミ;;、、 ソ __,,,,、、、.. ゞ::::: / |りぴたびだんらー るっぱでるぴらん
|/|;;;;// _" _''ヘノ ヾ彡=''_""`` ヾ:::/、 |これがんぐぉっこや きりがんぐー
((|ソ ,─≦◎≧ヾ - , ≦◎≧- 、 ヾ|/) | ぁらっつぁっつぁーや りびだびでぃんらば
ヾ||| - ̄ ' ヽ  ̄ - ||ノ | りちたんでぃんらんでんらんどーあば
ヽ!| / ヽ |ノ / りっぱった ばりっばりばりべ
ゝ: 、 ( _ _ ) ノノ < りびりびりすてんてんらんどーやば!!!
` ヽ / _ヽ ノ ヾ ノ \__________________
__>、 ,, '::_`_' _:` 、` ./
/\ _/ ヽ ( /----- ヽ) , ノ
/ \ , 、 、 、ヽ、'  ̄ `ノノ_ ,/
/ \ ヽ ヾ、. ̄ ̄ ( )'丶
/ ' "'' 、 \ \ _,, ̄ ''ノ ` ゙/ \
/ , - 、 ,, `ヽ \/  ̄ヽ ' ヽ ,ゝ--、
/ ヽ | / ノ
,, 、 / ヾ ヾ ヽ-' 、 ,/
- '' ヾ ( ヽ 丶 ! '' ,, ゝ" |
496 :
名無しさんだよもん:2007/04/09(月) 00:07:24 ID:SGkdvlrG0
関東ではそろそろ花見も終わりですね
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、
| (ノ/リノ ヽ))))
| | | ┃ ┃ |i| さくら
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、さくら
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ いざ舞い上がれ♪
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
いつもの人の代わりに歌詞貼って保守w
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、花のように 香り高く
| (ノ/リノ ヽ)))) 花のように ほほえむ
| | | ┃ ┃ |i| 花のように 色とりどり
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、わたしのなかに
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ 愛があふれる
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ 愛があふれる♪
(__八__)
498 :
名無しさんだよもん:2007/04/27(金) 21:00:59 ID:SMfhIynZ0
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 ひとりひっとりーがー
| (ノ/リノ ヽ)))) ないてわーらあって−
| | | ┃ ┃ |i| おなじときをーあるーいてーいるーよー ♪
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、つきとばーしたーりー
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ いじをはーあてーもー
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ わかりあえるーそおーしんーじてーるー♪
(__八__)
>>498 いつもご苦労さま。
君もいなくなって、もうこのスレ覗いてるのは俺一人で、ネタもなく、
このまんま墓守で時々歌詞貼って、それでもいいかな、なんて思ってたよ。
TVアニメが始まればまた盛り上がりそうなもんだが…
そんな悲観することも無いと思いますよ。
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 このよーはーでっかい
| (ノ/リノ ヽ)))) たっかーらーじまー♪
| | | ┃ ┃ |i| そおさーいまこそ
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、 あどべーんーちゃー♪
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
>>502 即保存
今月のコミックラッシュで久しぶりに姿を確認した
「じぇいぺぐ……じぇいぺぐ、あっ、ひょっとして、萌え絵?」
ローマ字読みで素直に発音する杉坂。仁科はちょっとうつむいて、
「うん」
「これ、既出、じゃないよね」
「うん。新作」
「すごいや」
杉坂の言葉に、仁科は赤くなって指先を見つめてもじもじと、
「う、ちっとも凄くないよ。まんがの出番も先細りだし、アニメにもなってないもの。
まるで、 脇 役 みたい」
ふふふ、と寂しく笑う仁科。続けて、とつとつと語るには、
「あ、あのね。陽のあたる場所が好き、って絵師さんに話したの」
「うん」
「絵師さん、とっても喜んで、それで、もしよかったら、って、毎月部活の様子を
描いて、保守がわりに貼ってくれる、って」
「萌え絵?」
「うん。このスレね。このまま沈めるには忍びない思い出のスレなんですって。
スレの皆で、手元に置いて、励みにしてね、って、この萌え絵をくだすったの」
「いいねぇ」
--
>>502 GJですー。やー、久々の萌え絵で和みました。ありがとう。
あー、あつかましいおねだりは無視してください……改作ですみません……orz
505 :
名無しさんだよもん:2007/05/18(金) 22:22:25 ID:fx11pB1j0
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 どこーまーできたかと
| (ノ/リノ ヽ)))) きみーはきいた
| | | ┃ ┃ |i| つかーれたときーけば
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、 わらーいーくびをふる♪
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
仁科さんと朋也とか面白そうだな
羨ましいって言ってたし!!
杉坂「念のため、ここを保守する前に言っておくわ」
仁科「どうしたの?」
杉坂「あたしは今書き途中だったSSをほんのちょっぴりだけど推敲したのよ。
いや…推敲したというよりはまったく理解を超えちゃったんだけど…」
仁科「SS?どんなの書いたんだろ、読んでもいいかな?」
原田「読んだら氏ぬ予感が…」
杉坂「……あ…ありのまま、さっき起こったことを話すわね。
あたしはりえちゃんの甘々ラブコメSSを書いていたと思ったら
いつの間にかあたし×りえちゃんのいかがわしい文章になってたのよねー」
原田「……(やっぱりそっちなのか)」
仁科「私とすーちゃんの……え、ええっ!?(あたふた赤面)」
杉坂「な…なんでこうなったのか分からないと思うけど、あたしも何で脱線したのか
分からなくって…」
原田「どれどれ…………うん、確かにこれは頭がどうにかなりそう(汗)」
杉坂「ホントホント、智代アフター序盤だとか18禁蔵等だとか、そんなチャチなもん
じゃあ断じてない、もっと恐ろしいヤ○帽とか神○月の片鱗を味わったわ
……って、あんたらっ!?」
古河「えっと、こういう本なんですけど、この前朋也君と物置で……(真っ赤)」
一ノ瀬「レズビアンの語源は、エーゲ海の東、トルコ沿岸に位置するギリシア領の
島・レスボス島だと言われているの」
伊吹「(ヒトデ…)」
仁科「(顔面真っ赤混乱麻痺魅了石化)」
かくして余りに重苦しくて欝でえちぃ文体だったため、杉坂の書いたブツは
封印指定となったのであった。
ツギハマトモナ SSカキマス スマン.
期待して待ってるよー
自分含めて4人くらいしかここ見てる人いないんじゃないだろうか
俺も見てるから5人だな
俺もいるから7人だ
アッー!間違えた6人だ
ところでこのIDは俺に何か書けという神のお告げなのでしょうか
仁科さんは膨大なクラシック曲を何で聴いてるのだろうか?
部屋でラジカセやミニコンポだったら不憫だな。泣けてくる
俺だったら仁科さんの親父を説得して
高性能なアナログシステムとタンノイGRFを広い部屋に設置させたいものだ
良い音に常日頃接する事は、娘の情操教育と才能を伸ばすのに繋がりますからな
NHK-FMを聴いている仁科さんの姿が浮かんだ
遅ればせながら7人目参上。
>>512に果てしない期待を
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 わ・た・し・は・
| (ノ/リノ ヽ)))) はちにんめのじゅうにーん♪
| | | ┃ ┃ |i|
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
朋也「仁科は音楽は何で聴いてるんだ?ラジカセとか??」
仁科「いえ、私はクラシック・コンサートで生の曲を聴くので、
ラジカセとか持っていないんです。」
バイオリン弾いていたくらいだから、こうかもしれないなぁ
いずれにしても裕福な家のお嬢様ってことでデフォだな
そもそも学校が勝ち組養成進学校だし
殆どの家が夕食を済ませた頃。
ゲーセンで有意義な時間を過ごし、上機嫌で魔窟(人はこれを春原ハウスと呼ぶ)
への道を歩いていた俺は、思わずその足を止めた。
「ん?」
夜風に乗って、何かが聞こえてくる。
途切れ途切れでよく分からないが、外国文学の朗読だろうか。美しい声質と流れる
ような韻律が、まるで俺を呼んでいるようだ。
しかしこの声、気のせいかどこかで聞いたことがあると感じる感情が……。
rァ 暇だし、ちょっと行ってみる
めんどくさいのでさっさと帰る
「……帰ってゴロゴロするよりはマシだな」
俺は声の正体を突き止めるべく、帰り道を逸れて住宅地に入っていった。
耳をそば立てて、風のような声を辿る。
夜の住宅地をどれくらい徘徊しただろうか。通報されてもおかしくない言動の末に、
俺はとある大きな家の前に辿り着いていた。
「何かすげえ家だな……」
流行のドラマに出てきそうな、広い庭付きの一戸建て。汚れ一つない白亜の壁に、
開放的な洒落た窓。
何となくことみの家を思い出すが、大きさは倍以上ある。
主は社長か大学教授か、俺なんか一生縁の無さそうな、絵に描いたような邸宅だ。
「Rosebug …… con…… riteral works ……small……」
「……と、こっちか?」
暫く途切れていた声が、家の横手から思い出したように流れてくる。
歩を進めるたびに、声はいよいよ鮮明さと音量を増していく。そして歩くこと20秒、
俺はついに、薄いカーテンが揺れる半開きの窓を発見した。
ここに間違いない。窓から流れ出る言の葉に、俺は耳を傾けて……
「In my childhood, my mother told me many traditional stories. I can remember one
about a girl with wings……」
「って、去年やらされた参考書じゃねーかよ!」
そう、それはただの英文の音読だった。
しかも、英語の歌でもなければ知的な詩でもない。
内容は聞き取れなくても、あの部屋の子は今英語の勉強中なんだなと分かる――
そんなつまらないテキストの朗読だ。
……それなのに、聞き手を惹き付ける。
発音が完璧というのもあるが、それ以上に、声の質とリズム感が絶妙なのだ。
言霊だとかセイレーンだとか、そんな面妖なもんじゃあ断じてない。
去年英語の鬼教師に監禁されて、夜中まで朗読させられたトラウマの文章なのに、
一流の音楽でも聴いているようだ。
まさに幻想のような不思議な時間。……ところが。
「……わ、そろそろクラシックの時間だよ」
ほろ酔い気分を一発で破壊し尽くす、超絶天然な声が上がる。
というかこの声、まさか仁科か!?
「えっと、N○K、N○K……」
脱力する俺の耳に、家の中をあたふた歩き回る音や、何かが机から落ちる音が
聞こえてくる。ラジオ探してどたばたしている姿がありありと浮かぶ。
仁科だ。どう見ても仁科だ……!
『**&アン#?*%~チョ*-$オマ*~ソンチルジョルミンジャームルレンイーボルパングフ』
「え?あれっ?」
夜の静寂を引き裂き、怒涛の怪音波が奔る。中華放送かノースコリアか、どうやら
周波数を間違えて、とんでもない電波を拾ってしまったようだ。
「わ、わっ!どうしよどうしよ!?」
何が起きたのか分からず、仁科はぷち錯乱状態になっている。
「というか仁科、お前が今回しているのは周波数じゃなくて音量だぞ……」
ラジオを鎮める方法は俺が知っているが、ここで呼び鈴鳴らして突入するわけにも
いかない。仕方なく、千載一遇の特ダネを捕まえたジャーナリストの気分で、
笑いを堪えながら傍聴を続けることにする。
だが。
「こらりえ!」
「あ、お母さん……」
「もう、こんな時間に窓も開けっ放しで、近所迷惑でしょう?すぐに消しなさい」
「え……いけない、すっかり忘れてた……」
「ったく、いつまで経ってもこの子は……」
結局。母親の乱入で窓が閉められてからは、電波は聞こえなくなってしまった。
そして、邪魔が入ったとはいえ貴重な時間を満喫した俺も、寮に戻ることにしたの
だったが、
「……そういえば、帰り道ってどっちだ?」
結局、寮に戻れたのは日付が変わった後になった。
そして、翌日。
「はい、家から持ってきたワルシャワのクラシック全集。こっちは去年のニューイヤー
コンサートのやつね」
「わ、これ久々に聞きたかったんだ、ありがとうすーちゃん♪」
「たまには気が利くじゃないか、GJだぞすーちゃん」
「あんたら二人して連呼するなぁ!」
いつものメンバーがたむろす旧校舎で、仁科はいつもの笑顔を見せていた。
おっとりしていて天然だけど、不思議と人を和ませる笑顔……本人に言ったら拗ね
そうだが、やっぱり合唱部にはコレがないと始まらない。
「……けどりえちゃん、ワルシャワのは昨日ラジオでやってたハズだけど、もしかして
聞かなかったの?」
「あ……?」
何気ない杉坂の一言に、思わずどぎまぎする仁科。
「もしかして、本とかに夢中になってて忘れてた?」
「いや、忘れてたというか、ラジオの聞き方が分からなくて……」
「せ、先輩!?」
しまった……と思ったが、もう遅い。
俺が振り返った先には、真っ赤に茹だった仁科と、興味津々の杉坂の顔。
「えっと、どうしてそれを……?」
「いや誤解だぞ仁科。俺は別に、窓開けっ放しで変な電波流してたとか、豪邸の一室
から突然『箱根の皆さーん』なんて叫び声が上がったとか、そんなことはしらんぞ」
「…………」
それから暫くの間、合唱部でラジオの話題は封印された。
ちなみにかく言う俺も、なんでそんなことを知っていたのかを二人に小一時間問い
詰められ、変な誤解が解けるまで色々面倒な目に遭ったような気がするのだが、
詳しいことは覚えていない……ということにしておく。
>>518-521 仁科さんラジオと聞いてつい妄想してしまった。今は反省していない。
しっかし、こうしてSSっぽい杏仁豆腐を作ってみると、改めて最萌支援のSS作家が
神だったことが良く分かるですな。
対抗しようとしてみたが余りに無謀であった(汗)
……しかし、縦読み入りの小さな手のひらとかより明らかにシナリオがへぼいって、
私には文才というものはないのでせうか……_| ̄|○
ワクワクニヤニヤしながら読ませていただいた7人目参上!
大陸半島からの電波攻撃にあたふたする仁科さんがディ・モールトにデリシャス。
SSとしてもしっかりまとまっていて非常によかったです。
それにつけても蝉丸乙
>>522 ネタを入れてこの寂れたスレを盛り上げようという心意気が嬉しい。激しく乙でした。
とにかく書かなきゃうまくならないと分かっていながら、読む方が圧倒的にラクなので
ついつい易きにながれてしまう。しかも読むほどに自分のものが書けなくなる罠。
あと、無理して美文を書こうとせず、素直に綴った時の方が結果は良いような気がしてる。
相変わらず、まともな感想はもらえない駄文なんだけどね……orz
仁科さんシナリオを書くとしたらやはり涼元だろうか?
しかしファミレスでバイトとかしてるからなあ
1、社会勉強
2、学費自分稼ぐから大学は好きなとこ行かせて
3、別に裕福というわけではない
どれだろ
1と思う。
箱入り娘じゃ将来何かと不便だから、と
親の後押しもあったと妄想。
1に一票。以下妄想劇。
仁:「あのね、この胸元のひらひらが可愛いかなぁ、なんて思ったの」
杉:「……」
仁:「それでね、こう、くるっと廻ると、アンダースコートがちらっと見えちゃうの。
ちょっと、えっち」
杉:「……(怒)」
仁:「渚先輩が言ってた。最近、お客さんが男の人ばっかりになったらしいわ。わたし、
まだ注文を取るだけでもたいへんなのに、いっぱい話しかけられて、困っちゃう」
杉:「……あんたァ……(怒怒)」
仁:「手をにぎる人もあるんだよ。お客さんだから、振りほどくわけにもいかないし……。
杉坂さん。わたし、どうしたら……」
杉:「ばかあッ!!」
仁:「きゃーッッ!!」
杉:「あんたはまたそんな劣情をそそる格好で、こんなオオカミの巣にのこのこと!!
いい? ここのバイトは今日限り中止。さっ、帰るわよっ」
仁:「いたたたたそんなに引っ張らないで杉坂さん。無理だよ。契約があるし……」
杉:「はぁ? 契約ぅ?」
仁:「うん。最低3ヶ月は辞めないこと、って条件で雇ってもらったの。最近、女の子の
バイトがどんどん辞めてて切実なんだって。黒スーツにサングラスの採用係の
おじさんが葉巻ふかしながら言ってた」
杉:「……はぁ〜っ、それってもしかして……」
仁:「かも」
杉:「こここ怖くないわよ。そうだわ、わたしが直接、話をつけてやる。部屋はどこ?」
仁:「あっち。でも、いいの?」
杉:「あ、あああたりまえよ。さっ、い、いいいくわよ」
原:「あれーっ。大きな声がすると思ったら、杉坂じゃなーい? どうしたの?」
仁:「あっ、原田さん。あのね、杉坂さんも一緒にバイトしてくれる、って」
杉:「はっ、原田っ!? って、えっ、違っ、そうじゃなくて……」
原:「えへー。やったね。杏先輩を倒した伝説の張り手があればもう安心だよ。さっ、窓口はあっち」
仁:「わーい。今日からは三人一緒にバ・イ・ト(はぁと」
杉:「はっ、放してッ、二人ともッ、やっ、いやッ、いやだああああッッ!!」
>杏先輩を倒した伝説の張り手
kwsk
ニコニコ見てたら
部室の窓開けて渚が見守る前で歌ってる仁科さんの姿が・・・
って、んなもん知ってるか。ここのみんなは
>530
その画像持ってるわ
あれはいいものだ
533 :
名無しさんだよもん:2007/06/07(木) 22:36:04 ID:c4Im4WdI0
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 あーいまーいさんせんっち
| (ノ/リノ ヽ)))) そりゃぷにってことかいっ ちょっ♪
| | | ┃ ┃ |i|
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ ・・・・・・
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
仁科さんは絶対歌わなそうだなぁ
「えぇえぇぇぇっ?」
春原を生贄にして補習から離脱した俺は、その間の抜けた悲鳴につい足を止めた。
声の発生源は、現在地から直線で35mほど離れた旧校舎の一角。
合唱演劇部室という名の青春の舞台にして、俺がいつの間にか足しげく通うように
なってしまった空間である。
そこに足を踏み入れたが最後、部長の練習その他に付き合わされ、夕方まで帰れ
ない魔界。普通は気乗りしない場所だが、補習に比べれば1兆倍マシ。
教師もとい追跡者の目も届かないし、下校までの暇潰しには最適だ。
すーちゃんでもからかいながら、のんびり放課後を過ごすとしますか。
そう思いながら、合唱演劇部室の扉の隙間から中を覗くと……
「次は一番難しいとこね。足はこんな風に、上までビシィっと伸ばせるようにすべし」
困惑気味のメンバーが作る輪の中で、杉坂が何やら踊りながら叫んでいる。
「次の腕の振りはこんな感じ。この動作をしながら横1列になって……こう締めるっ!」
熱く語りながらステップを踏み、締めに両手でL字を作る決めポーズ。
部員達に適切なアドバイスしながら、あれだけの踊りを平然とこなすとは、妙な所で
恐ろしいヤツだ。
しかしあの振り付け、どこかで見覚えあるのは気のせいか?
それに杉坂に装備されたセーラー服とボンボン、あれって、まさか……。
「ねぇすーちゃん、本当にこれで行くの?」
「モチのロンよ、コレを極めればオリコンTop3だって夢じゃないわ!」
「でも、『けぇ〜つろぉ〜〜んっ♪』の所とか、私達だけじゃ人数不足だし……」
「平気平気、一ノ瀬さんと藤林さん×2と坂上さんを呼んで来て、ついでに岡崎と春原
を女装させて混ぜるから」
「なっ、なんだってーーーーー!?!?!?」
余りにも恐ろしい一言に、俺は思わず引き戸を開けて絶叫した。
「ゲェッ、岡崎!」
「ったく、春原はともかく、俺まで勝手に巻き込むな!」
「大丈夫よ、先生役の彫刻少女にパパママ役の古河夫妻、春原更正係もとい婦警の
妹さんも協力予定だから。あんた一人に辛い思いはさせないわよ」
「猛烈に事後承諾だろ!」
どうしてこいつが風子や春原妹を知っているのだとか、既に合唱や演劇というより
アニメ研究の領域だとか、突っ込み所が満載だ。
だが今は、その辺を小一時間問い詰める前に、こいつの計画の犠牲にされようと
している無実の人々を救うのが先だろう。
「とゆーか、そもそもなんでらき○すたなんだよ。ハ○ヒED辺りでもいいだろ」
登場人物大杉のらき○すたに比べ、あっちなら3人いればどうにかなる。
それに、天然アイドル仁科・ショートカットでツンデレのすーちゃん・寡黙眼鏡原田と、
キャスティングも丁度いいようn……
「岡崎さん、私は未来人とかじゃないですよ?」
「私も普通の地球人だし……すーちゃんのツンデレは認めるけど」
「何勝手に決めてんのよ!?あたしはツンデレちゃうわボケーっ!それにあんたは
どうやらとんでもない考え違いをしてるみたいだから言うけどね、
あたしは伊達や酔狂でらき○すたやろうとしてるわけじゃないんだからねっ!!」
これは聞かない方がいい。杉坂をころしてでもとめるべきなきがする。だが……。
「念のため聞いとく。どういうことなんだ杉坂!?」
「ふっふっふっ、あたしがコレをやるのは、こんな電波な歌を歌いながらダンスする
セーラー服のりえちゃんにハァハァしたいなんてそんなやましい理由じゃない、
今年の文化祭と、その先の一大イベントのためなのよ」
「すーちゃん、それってひょっとして……!?」
「そう!空高と華音高に続け!光坂高合唱部、念願の全国放送よっ!!!」
遥か蒼天を指差す杉坂の背後で、昔の戦隊モノを彷彿とさせる大爆発が起きた。
杉坂の野望。それは近年、ここ光坂高を席巻している伝説だった。
事の発端は一昨年頃。知る人ぞ知る京都の組織が、紀伊の姉妹校(通称大気高)
周辺で起きた、神妙不可思議な物語をアニメ化したのだ。
さらに去年秋には、同様に北海道の姉妹校(通称華音高)も奇跡のアニメ化。
その予想以上の出来栄えに号泣した者は数知れず、放送から数年を経た今でも、
舞台になった街を訪ねる巡礼者……もとい観光客が後を絶たないという。
以来学校では『次はウチの番』という話で持ちきり。収録されるような話はないかと、
校内で『七不思議探し』だの『ミステリー調査』だのが流行している。
しかし……。
「これは一世一代のチャンス!そこらのエロゲに負けないりえちゃんの感動秘話なら
収録間違いナシ、とゆーかりえちゃん必殺のエンシェントリリックを全世界に
轟かせろという高野山の神託!」
「す、すーちゃん……」
「しかぁぁしそこで最後の壁になるのが身体能力!あのスタジオは高確率でOPかED
にダンスを入れて来るわ。だからこそっ、我々『りえちゃんを大いに盛り上げる
杉坂の団』は、今のうちに踊りのレベルをMAXに上げなければならないのよっ!」
「ちょっと待てぇぇぇっ!!」
瞳に炎を灯して天を指す杉坂。
渚にまつわるエトセトラとかヒトデの召喚獣とかことみの世界とか智代桜とか藤林の
辞書に不可能はないとかうしおとあっきーとか冬の幻想物語とか、数多の有力
候補を見事にスルーする強気ぶりも、ここまで来ると清々しい。
けどコレはやっぱり無茶過ぎる。それに何より、踊りの練習は虹パン以上に嫌だ。
「岡崎さんも困ってるし、そんなに無理しなくても……」
「そうだ落ち着け、EDとかだってせいぜい幻想雪道ダッシュ位だと思うぞすーちゃん」
「そそそそんなこと言われても!このままじゃ謎パン1週間分と引き換えに制服と
チアリーダー服借りたあたしの苦労がっ!!」
仁科の説得をもってしても止まらない杉坂の暴走。
ああ神様仏様、どうにかしてコイツを止めてくださいマジで……そんなことを思った、
まさにその時。
がらがらがらっ。
「こんにちは」
これ以上ないタイミングで、古河がやってきた。
さすがの暴走杉坂も、古河必殺『無邪気なえへへ笑い』には勝てないらしく、思わず
黙り込んでしまう。
まあ確かに、衣装やパンが絡んだことを、当事者の前で叫ぶのは無理だわな。
「ふぅ、グッドタイミングだぞ古河。お陰で俺は人生最大のピンチを……?」
そう言いかけた俺。だが次の瞬間、背筋を不吉なものが走る。
これは、この既視感は……!!
「岡崎さん、先生が呼んでました」
「きのせいだろ」
「補習の先生が怒ってました。早く教室に戻らないと駄目です」
「そんなはずないぞ。補習ならちゃんと終わしてき……」
カクカクした声で笑いながら、さり気なく出口に向かう。だが、古河の横をすり抜け
ようとした瞬間、見事に袖を捕まえられてしまった。
「一緒に教室に戻りましょう」
「そうだぞ、ちゃんと補習受けないとだめだぞ、岡崎さん♪」
「補習、頑張って下さいっ」
「……杉坂に補習を薦められるなんて、どうすればいいんだ…… orz」
かくして、古河の活躍もあって、杉坂の暴走はようやく止まったのだった。
「じゃ、頑張ってきてねー。戻って来たら踊りの練習が待ってるから、よろしくっ!」
「嫌だあああああああっ!!!」
>>534-537 ついカッとなってやった。今は反省している。
というか、書いてる途中2度もPC落っこちた……未知の呪いだろうか……
いいいいじょうおめこぼししつれいしましたっ!
しかし、蔵等アニメ化されたら仁科さんのデザインて
ほんわかウエーブロングヘア陽だまり天然和みぱうあ〜爆発の例の姿なんですよね?
>>538 おめこぼし、じゃなく、おめよごし、なw
つーか、勢いあるよなぁ。こんなにぎやかなもん書いてみたいと思いつつ
進まぬ筆を転がして、じっと手をみる私……スマンネイツモ……orz
とにかく乙。
神速で保存した
妙にレスが進んでると思ったら
なんすかこの支援の数々w
いいもの見せてもらいました。
>>538も
>>540も乙&ありがとう。
来月は夏服か・・・
>>540 ありがと。ごめんね。負担にならないようにしてください。
ヲマエハナゼカカナイノダナゼカイテハラナイノダトトハレレバシカタガナイノデストシカ……
ダレモマッテハイナイダロウガ……カサネガサネスマヌ……orz
最近SSが多くてとてもとても嬉しいぜ…!
アニメ来たらプチ祭りだな
しゃあさんの描く仁科さんが気になる今日この頃。
547 :
名無しさんだよもん:2007/06/21(木) 23:48:09 ID:lgG/AKlw0
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 つ・ゆ・が・は・じーまるよー
| (ノ/リノ ヽ)))) おおーきなーまーどをーあけーてー♪
| | | ┃ ┃ |i| ・・・・・・
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ (何か違います。。)
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
最近車で片道1時間半くらいのとこまで出かけたのだが、
帰り道暇だったので色々アレな曲を歌ってたら
喉に負担かかったのか咳風邪ひいた。
…改めて、合掌部とか演劇部って、すごいんだなあ…(笑)
>>548 演劇部でも合唱部でも、1時間半ぶっ続けで発声なんて無茶はしないよ。
ちゃんとウォーミングアップもするし。
そもそも、大きな声は体全体を使って出す訓練するし。
550 :
名無しさんだよもん:2007/07/07(土) 20:41:42 ID:YFFT7n7f0
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 なつーのーかぜがー♪
| (ノ/リノ ヽ)))) ゆめーをーのせてー♪
| | | ┃ ┃ |i| ぼくーらーのーまーちにー
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、 ふーいーてーきたー♪ ♪
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
保守っておこうと思うんだ
552 :
名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 22:34:06 ID:VghvIv4/0
, _-‐‐v‐-_
/ /´ ハ ヽヽ、 ほーんとうのー
| (ノ/リノ ヽ)))) なーつがーきーたー♪
| | | ┃ ┃ |i| いーきてーいーるー
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、 まぶーしーさー♪♪
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
合唱部の3人は今週末から仁科祖母の家方面で海水浴・・・
とか妄想してみる。
ソフト部3人組と言うライバルが出てきましたが・・・
, _-‐‐v‐-_ なーつまつーりー
/ /´ ハ ヽヽ、 よーいーかーがりー
| (ノ/リノ ヽ)))) むーねーのたかーなーりーにー
| | | ┃ ┃ |i| あーわーせてー♪
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ はーちがつーはー
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ ゆーめーはーなびー
(__八__) わたしのこころはなつもよお♪♪
>>556 こいつ同じもの二回張ったぞ!
…と言おうとしたら2枚目が実にけしからんものだということに気付いた
GJでござる
>>556 まったく、こんなに握られたらたいへんなことになってしまいますな
GJであります
夏服ダー!!
560 :
名無しさんだよもん:2007/08/30(木) 23:49:18 ID:NY4zl5/+0
, _-‐‐v‐-_ 宿題はー
/ /´ ハ ヽヽ、 7月でおわりましたー
| (ノ/リノ ヽ)))) 8月はー
| | | ┃ ┃ |i| 歌の練習してましたー♪
ノ ノiハ ''' ヮ''ノハヽ、
( <( ⊂}l^:|.ロ{つソ
ノVハ く_/_|_j_ゝハヽ
(__八__)
仁科さんは宿題さっさと終わらせて
8月最後はまったりと予想。
定期保守
もうすぐアニメが始まるなっ!
仁科さん登場は3話あたりか?
結構尺を詰めているようだから、それくらいかな?
キャラデザがみさき樹里版コミック準拠なら嬉しい
京アニなら・・・京アニならきっとなんとか以下略
声優が変えられたりしてな…
PC版しかやってなくてまだ仁科さんの声を聞いてない俺は
アニメ化でどんな声がつくのかwktkして待ってるよ
さて明日は蔵等の放映日だな
まだ仁科さんは出ないだろうけど一人このスレで盛り上がるか
MBSは13日からでし。・゚・(ノд`)・゚・。
残り二時間弱wktk
来週は杉坂登場か?
クラナド3話でも合唱部の出番はまだか…
俺…仁科さんが登場したらSS書こうと思うんだ…
仁科さんの声優を変更せずにラッシュ版のキャラデザでやってくれたら
京アニに一生ついていくわ
各ヒロインのシナリオ回収からかーまず風子
仁科さん登場したら、バスケ→創立祭→朋也卒業まであっという間だしな
後半登場は仕方ないか…
仁科さんならことみシナリオでも繋がりが出る筈だが……
仁科さんオンリーのサイト見つけた…!
世の中には凄い奴がいるもんだw
○○などかな?
>>576 見つけたw
すーちゃんとか…このスレの住人であることは間違いない
しかし、まあ…俺がノリと勢いでつけた呼び名が使われてるのはなんか嬉しいな
後ウェイトレスAAがあることに驚いたw
「にし○○」か…。
すごいな。住人の鑑だな。
仁科さんシナリオを自力でフラグ管理までして妄想するとは。(褒め言葉)
おまえら、いよいよ今日は仁科さんアニメデビューの日ですよ
ソースは俺の脳内
>>582 出てくるにしてもコミック版準拠かオリジナルデザインかで俺は大きく評価変えそう
オリジナルだったら…軽く鬱入るわ
仁科キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
相沢舞でキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
微妙にウェーブがかかってないが…許容範囲内だ
ってかかわえぇーーーーーーーーーーー!
うおお・・・見らんねえ身が恨めしい・・・
反応 早っ!
合唱部組は、基本はコミックス版準拠で3人とも1ポイントいじってるような……。
アレンジポイントは、杉坂:髪の色 原田:メガネ で、
身長はだいたいコミックスの1巻準拠に見える。
……あと、誰も触れてないけど単行本4巻の裏表紙に、ゆきねえの後ろで
ぶすっとしてるのって杉坂だよね?
みさき先生も満足してるだろうな
おまいらあんま騒ぐなよ…妬み、嫉妬、憎悪…最萌後で痛い目にあったじゃないか。
ニコニコならともかく葉鍵板なら自重してくれ…マジで。
591 :
名無しさんだよもん:2007/12/07(金) 06:38:04 ID:SgZ6dYHtO
まだ放送されてないはずの
福岡在住の先生が自重してないんじゃだから、仕方ないだろw
イヤッホー!仁科サイコー!
稼げるときに人気かせぐぜ!
みさきち先生のブログ見たら、喜びのあまり発狂しかけててワロタw
事前に情報貰ってただけじゃね?と思って見に行ったら、ご丁寧にキャプまで貼ってあんじゃん
「自重」と言い、この人ニコ厨なのか?
来たのか!?仁科さん来たのか!!??
うおおおおおお!!
だがまだ見れないorz
>>594 いつの間にかブログのキャプを消したな、実に素早い対応だ。
>596
仁科さんの容姿があまり変わってなくて安心した…
>14からカチューシャ取ったのがコミック版で
そこから髪をストレートにしたのが京アニ版って感じだな
599 :
名無しさんだよもん:2007/12/08(土) 10:59:16 ID:yblTifQZO
≫597
昨日の昼12時には消えてたぞ。
600 :
名無しさんだよもん:2007/12/08(土) 22:59:23 ID:RqfVKCbTO
うええアニメ版仁科これ他ヒロインよりかわいくないか?w
知ってるか
こんな可愛い子がウェイトレス姿になるんだぜ
だが俺は杉坂がツボ
喜びのあまり最萌以来の仁科さんSS書いた
ここに投下していいものだろうか…?
どうぞどうぞ。
ぜひぜひお願いします。
おっと久々にSS
見せてくれー
んじゃ行くよー
最萌仕様だからなんか違和感があるかも…
「雨、か……」
ふと窓枠から見上げた空の色は、どんよりと濁った鼠色になっていた。そればかりか既に雫が静かに地面を侵食し始めている。
雨は好きじゃない。湿気で肩が……古傷が、軋む。
それだけならまだしも、あの日の親父とのやりとりが鮮明に思い出され、俺の気分を黒く汚していくのが無性に嫌だった。
普段なら春原にくっついていって(先に言っておくが、俺は春原の金魚のフンではない、断じて)寮でごろごろして過ごすのだが、こんな日に限ってあいつは風邪を引いて休んでいた。バカは風邪を引かないというのは嘘だったらしい。
もちろんあいつの風邪を伝染されるのも嫌だったので、寮に寄ることすらできない。商店街で時間を潰そうにも、先述の通り雨でとてもじゃないがそんなことは出来やしない。
となれば、このつまらない学校という空間で下校時刻まで暇を持て余さなければならないらしい。当然の如く、娯楽施設などというものを期待するのはお門違いであろう。
春原でもいればあいつをイジり倒して有意義な時間を過ごせるのだが、もちろん出来ない。
いつもは鬱陶しいはずの春原が、今は無性に恋しかった。
なんだかんだ言って、俺も春原がいないと何も残らないんだな……
ふぅ、とため息をつくと俺は空から顔を背けて、どこへともなく歩き出した。
「待てよ……そう言えば俺って風邪で休んだことあったっけ……?」
ぼやけた記憶の引き出しを必死に掘り出してみる。
……ない。
授業は星の数ほどサボってきたが、登校自体を欠かしたことはなかった。
しかめっ面をした教師から突き出すようにされた皆勤賞の賞状を受け取った記憶があるくらいだ(最もそのありがたい賞状はすぐにゴミ箱行きになってしまわれたが)。逆に休みの日に限って風邪を引いて腹いせに春原に伝染しに行ったことがあるほどだ。
そこで俺の中に、ある一つの仮説が浮かび上がった。
「俺って……バカだったのか?」
しかもその理論で行くと春原がバカじゃないことになってしまう。待て、俺が春原よりバカだと?
ありえない、絶対にありえない。
某会社の漂白剤がまっくろくろすけになって商品名を正反対にするくらいありえない。
だが何故か俺の頭の中ではイヤらしい表情を浮かべて笑う春原の姿がそこにあった。
「うおぉーーーっ、ありえねぇーーーーっ!」
俺は頭を掻き毟りながら廊下を走り出し、一直線に外へと向かった。
* * *
「……なんで俺こんなことしてんだ」
数十分後、廊下の窓に映ったずぶ濡れの自分を見ながら、そう呟いた。
『俺がバカ疑惑』に惑わされた挙句やたらめったら雨降りしきる外を走り回って奇声を上げていたことは覚えている。
ホンモノのバカだった。杏あたりが聞けば馬鹿笑いして転げまわっていることだろう。
ちくしょう、なにもかも全部春原のせいだ、そうに決まってる。
ぶつぶつ言いながら何か拭くものでも求めようと保健室に足を運ぼうとしたときだった。
「あ、あの……先輩?」
どことなく遠慮がちな、しかしよく聞こえる透き通るような声。そしてこの学校で俺を先輩と呼ぶ人間を、俺は一人しか知らない。
知り合ってから、何かと一緒に行動するようになった奴。
「よぉ、仁科」
不思議なことに手にタオルを抱えている彼女に、俺は軽く手を上げて応えた。そこはかとなく爽やかさを演出してみたりもする。
……が、すぐにその表情は崩れ、俺は盛大にくしゃみを撒き散らす。かっこ悪かった。
「あの、タオルを持ってきましたので……どうぞ」
おずおずとタオルを差し出す仁科。心なしか手が震えているようにも見える。それが寒さのお陰でないことだけは確かだろう。黙って受け取っておくことにする。
手渡されたタオルはしっとりとしていて、まるで動物の体毛のように暖かだった。なるほど、極寒の冬に動物たちが身を寄せあっている理由が分かるような気がする。
それと同時にほんのりとやわらかな匂いがしてきたような気がするが、きっと洗剤だろうと思い込んでおく。決してこれが仁科の使用済みなのかなあとかそんな春原級の変態的想像をしていたわけじゃないぞ。
「ええと、先輩。一つ聞いてもいいですか?」
頭を拭き終わった俺に、仁科が俺の顔を覗きこむようにして尋ねる。その目が純粋な疑問の目であることから、俺の顔がヘンになってますよとかそういう質問ではないらしい。
「どうしてヘンな声を上げながら学校を走り回っていたんですか? 雨が降ってるのに」
頬の筋肉が、僅かにだが引き攣るのが自分でも分かった。
オーケイ。慌てるな岡崎朋也。見られていたことはこの際仕方のなかったことだ。何せ校舎中を走り回っていたからな。だがそれ自体は大したことじゃない。後のフォローこそが重要なんだ。
俺はなんだそんなことか、とまるでおはようとクラスメイトに挨拶するかのように自然さを装いながら言った。
「実は俺、春原から新種の病気を伝染されてたんだよ。あいつの種族はごくまれに新しい病気を発症するらしい。で、それを治すためにはどうすればいいんですかと渡米してダイ・ジョーヴ博士と対談したところ、
『チミ、とりあえず声出して走り回ってきんさい』とのアドバイスを受けて今に至るというわけだ」
「どこから突っ込めばいいのか分かりませんけど、とりあえず先輩の言ってることが大嘘だというのだけは分かりました」
にっこりと笑いながら仁科が俺の手からタオルを取り、ついでに上着も出すよう要求してきた。
つまり、バレバレだった。
* * *
「くそぅ、お前はボケ専少女隊の立派な一員だと思ってたのに……失望したぞ」
上着を脱いだ(流石にカッターとズボンは着ている)俺は空き教室の一角にてこれまた仁科がどこからか持ってきた毛布に、コタツムリのようにして包まっていた。出来ればストーブが欲しいところだが夏も間近なこの季節にそれを期待するのはお門違いというものであろう。
「なんですかそれ? 少年隊なら知ってるんですけど……」
「……いや、やはりお前はボケ専少女隊の一員だよ」
少年隊なんてものを出してくるあたり近年稀に見るハイセンスさが窺えるが、今はそれについて語り合っている時間はない。
困ったように首を傾げる仁科を横目にしながら、俺は気になっていたことを訊いてみる。
「帰らないのか?」
「どうしてですか?」
質問に質問で返すな、義務教育のときに教わったでしょーがと言いたいのを抑えつつ、補足を入れる。
「一人でいるってことは部活は終わったんだろ? なら帰ればいいじゃないか。俺にタオルを貸してくれたりするのはありがたいが……別に、こんな時間まで付き合ってくれる理由にはならないと思うんだが」
「それは……その」
俺がそう尋ねたところ、何やら仁科はもじもじとし始め、顔を俯けてしまった。今度は俺が首を傾げる番だった。
そのまま仁科はしばらく黙りこくっていたが、やがて本当に小さな声で、それもどこか不安そうな声で言った。
「わたしが一緒にいると……お邪魔ですか?」
「いや、別にそこまでは……ただ、無理して居る必要はないって言いたかっただけなんだけど」
元々迷惑をかけているのはこちらなのだから感謝こそすれ邪険に扱うなどもっての外だ。だから仁科の時間を潰していたのではと思っていたのだが。
「無理なんてしてないですよ。わたしは……ここにいたいだけだから、ここにいるだけで……あと」
「あと?」
「……傘を忘れてしまって」
ああ、なるほど。
外はまだ、大粒の雨が滝のように降り注いでいる。俺ならともかく、女の子が濡れて帰るのは見た目的にも健康的にもよろしくないだろう。とはいえ。
「傘なんて誰かのを持ってけばいいじゃないか。どうせ分かりゃしないって」
そうして寮から頂戴したことなどどれだけあったことか。お陰で我が家にはビニール傘が占めて6、7本はある。が、当の仁科はしごく真面目な顔で、
「そんな泥棒みたいなこと、しません。それに……わたしの代わりに誰かが困ることになるのは、嫌ですから」
「……やばい、感動した。俺、悔い改めるよ」
「はい?」
俺が自らの罪に懺悔していることなど露知らず、「とにかく、そんなことはできないです」とぴしゃりとシャットアウトしてきた。「じゃあどうするんだ。止むまで待つのか」
「そういうことになりますけど」
やれやれ、あっさり言い切ったよこの人は。どんだけのんびりしてるんだか。
「すぐに止むと思うか」
親指で窓の外を指し示す。雨はテンションが上がってきた様子でますますその勢いを強めている。
「それは……」
「大体、杉坂にでもついていけば良かっただろ? いやまあタオルを貸してもらってなおかつ毛布の恩恵に与ってる俺が言うのも間違いだとは思ってるけど」
「あ〜……それは……」
おい今、それは、って二回言ったぞ。いや待て、仁科の性格を考えろ。
俺は足りない脳味噌を駆使して仁科の行動を推理してみる。
「まさかとは思うが、練習が終わった後も一人で練習して満足したところでさあ帰ろうとは思ったが昇降口まで来たところでうっかり傘を忘れていたことに今頃気付きさあどうしようとか思っていたところ俺を発見したとかそういう訳はないよな?」
半分くらいは当たってるとは思うがまさか全てが当たっているわけでもあるまい、と思っていたのだがそれが間違いであるということをすぐに理解することになった。
仁科は俺の言葉を聞いてしばらく固まっていた。数分の後、やっと口を開いたかと思えば、
「あはは……どうして分かったんですか?」
などと仰った。
「……全部正解?」
「全部正解です」
俺は頭を抱えた。のんびりとかうっかりとかそういうレベルじゃない。真性の天然だ。
「よくありますよね、そういうこと」
「ねぇよ」
自分の性格を全然理解していない仁科を小突いてやる。
「って言うかよくある、って今までにもあったって事か」
「……」
再び黙り込む仁科お嬢さん。グレイト、図星ですか。
「……先輩、今日はいじわるです」
「不良だからな」
忘れるたびにどうしていたのか気になるところではあったがまあそこは上手く杉坂がフォローしていたんだろう。今回はたまたま運が悪かった、ということだ。
「恩を仇で返されました」
「不良だからな」
「泣きそうです」
「……それは勘弁してくれないか」
たとえ冗談だと分かっていてもそれだけはやめて欲しい。女を泣かせるのは春原だけで十分だ。いや、そもそも春原に女ができるわけないんだが。
すると仁科は味を占めたかのように笑って、
「じゃあ恩は恩で返してもらわないといけませんよね」
状況は一転。いつの間にやら俺が仁科に何かおごらないといけないみたいな雰囲気になってしまっていた。
しまった、これは孔明の罠じゃ。皆の者退け、退けーい。
などと逃げ出せるわけもなく。俺は諸手を挙げて「分かったよ」と言って降伏した。いつだって、こいつには敵わない。けど――安心もする。
「何がいいんだ?」
「んー……今回は缶ジュースの一本でもご馳走になれれば」
ちなみに、前にも何かを奢ることになったことがあるがその時は安い駄菓子を御所望だった。なんと言うか所帯じみているというか、控えめというか……杏なら遠慮なくゼロがみっつくらいの品を頼み込んでいることだろう。おお恐ろしい。
「了解」
俺はそう言うと毛布を脱いで服の乾き具合をチェックする。まだ湿った感じは残っているが概ね問題はない。風邪は引かずに済みそうだ。
「サンキュ。これどこに返してくればいい?」
「あ、わたしが返してきます。先輩は、もう少しそこで」
別にいいのに、と言おうと思ったが仁科が借りてきて、俺が返しに行ったのではあらぬ噂を立てられかねないことに気付いたので素直に従うことにする。
毛布を丁寧に(俺なりにだけども)折りたたんで仁科に渡す。重たくはない……はずだ。
「先輩のあったかさがしますね〜」
素なのかわざとなのか分からない口調で言いながら仁科が一旦空き教室を後にする。「いってきます」とこれまた天然なのかどうか分からない台詞を付け加えて。
「さて……」
後するべき行動は帰るだけなのだが、缶ジュースを奢ってやる関係で仁科の帰りを待たなければならない。
……いや、そんな約束がなくてもきっと待つんだろうな、俺は。
どうしてだろうか、仁科には不思議と人を惹きつけるものがある。側に居るだけでなんとなく落ち着いた気分になれる。さっきまで、雨で憂鬱な気分だったのに今はなんというか、リラックスしている。それこそ雨の中濡れて帰ってもいいくらいに。
まあそんなことしたら乾かした意味がないわな、とか考えていたころに仁科が戻ってきた。
「済みません、お待たせしてしまったみたいで」
「そんなに待っちゃいないさ。まずは自販機に寄っていこうぜ」
はい、と返事する仁科の横に立って俺は歩き始める。
そういえば、人に歩幅を合わせて歩くようになったのはいつからだったかな、などと思いながら。
* * *
「……で、だ」
「はい」
「俺はいいかげん帰ろうと思うわけだが」
「わたしもそう思っていたところです、奇遇ですね」
「俺は傘がある。一応持ってきてたからな」
「わたしは忘れてしまいました……」
「……」
「……」
沈黙が俺たちの間を支配する。
「仁科、逆に考えるんだ。盗むんじゃなくて借りるんだと考えるんだ」
「でも、勝手に借りるのは迷惑だと思いますよ?」
「一回くらい許してくれるさ、世間の懐を信じろ」
「……先輩、分かってていじわる言ってないですか?」
どっちの意味で、と言おうと思ったがなんとかそれを押し留める。
ジュースをちびちびと飲み終えた頃には帰宅するに丁度いい時間になっていた。それで俺も仁科も帰ろうかということで結論を見たのだが……さっきの会話の通り俺は傘を持っているのですぐに帰れるが、仁科は傘を忘れた。
空模様はまだまだ厳しく、普通に帰ればびしょ濡れは間違いない。
しかしながら最終下校時刻も近い。このままぼーっとしていても差し当たり見回りの先生に叱られるのがオチだろう。
解決策がないわけではない。ただそれを実行するには俺の度胸と恥を捨てる覚悟が必要だった。
(相合傘なんて……相当恥ずかしいぞ)
同姓ならまだしも男女、しかもお年頃ときたもんだ。万が一知り合いにでも、いやクラスメイトにでも発見されたらあらぬ噂が立ちかねない。
(って待て。相合傘程度でそこまで考える必要なんてないんじゃないのか? どこの小学生だ、俺は)
しかし気恥ずかしさというものもあるわけで……
「やっぱり……ダメですか?」
返答しない俺に対して仁科が悲しげな顔をする。いや違う、そういう意味じゃないんだって……ああもう! ウジウジしてても仕方ない!
「今日だけだからな」
俺は傘を開くとそこに仁科を招き入れる。俺の持っているものは安物のビニール傘なので大きさという点では小さい部類に入る。従って、必然的に体が当たってしまうわけなのだが……気にするまい。
「それでは」
一歩、飛び跳ねて傘の中に入ってくる。ひょっとしたら体がはみ出てしまうんじゃないかと危惧したが、そんなことはなかった。
女の子の体ってやっぱり小さいんだな……と感心なのかどうかわからないことを考えていると仁科が見上げるようにして言う。
「正直なところ、ホッとしました。もし断られたらすごく困っていたところです。雨って……すごく嫌いで」
「そうなのか?」
濡れるのが嫌だ、というのは誰でもそうだろうが仁科はそれだけじゃない、雨そのものに対して嫌悪感を抱いているようだった。
「雨の日って、周りがよく見えなくなっちゃいますよね」
どことなく自嘲するような声色。以前話していた――力が入らなくなってしまった手を雨から隠すようにして。
「あの日も……こんな感じの雨でした」
どこか遠くを見るようにして、仁科は雨に満ちた世界を見ていた。
俺は黙って傘を、もっと雨露から守ってやれるように仁科に近づける。俺には――これくらいしか出来ない。
――いや、もう一つある。
「送ってってやるよ」
「いいんですか?」
「雨、すごく嫌いなんだろ?」
「……はい」
だが、これを実行するには一つ問題がある。それは仁科の協力がなければ為しえないことだった。
「でもお前の家知らないから道案内は頼む」
なんとも格好悪い事実だったが、仕方ないものは仕方ない。なるべくしれっと言ったつもりだったのだが、逆にそれが可笑しかったらしく仁科はくすっと笑って「分かりました」と言ったのだった。
「……少しだけ、雨に感謝です」
「何か言ったか?」
「いいえ、なにも」
何か言ったような気がしたのだが、雨音のせいかそれは俺の耳には届かなかった。けれども悪い表情ではなさそうだったのでまあいいか、と納得しておくことにする。
「それじゃあ、行きましょうか」
気のせいかもう少しだけ仁科が傍によって来たような気がする。それでまた少し、顔が赤くなり体温が上昇する。
ああ、でも――服が早く乾くからいいかな、などと思っている自分がいた。
雨はもう少しだけ降り続く。晴れるのは、もう少し後。
GJ!
いいものを読ませてもらった
キュンときたぜ…
さあ、次は杉坂×春原だ
杉坂の足に惚れるなぁ・・・
今日の放送が楽しみだ
618 :
名無しさんだよもん:2007/12/14(金) 19:38:38 ID:Aj6jIfOI0
今週スルーかよ…
と思ったけど美佐江に智代が近づいていくシーンで
シートと離れた遠い位置で3人娘座っていたな。
髪型からみて右がりえぽんだろう。マジ芸細かい…
619 :
名無しさんだよもん:2007/12/14(金) 19:43:08 ID:Aj6jIfOI0
キャブれないのでこんな感じだった
朋 美 智っトテトテ
被害者被害者
シートシートシート 有
原 杉 り
被害者ワロすw
ボタンかわいそすボタン
杉坂って眼鏡ノッポじゃなかったんだな
俺の中では風子の友達の方が杉坂のイメージに近かった
冒頭しか出番無かった…
でも笑顔がっ!かわええーーーーーー!
台詞があっただけでも上等ww
笑顔の可愛さは反則だろ!