ToHeart2 SS専用スレ 2

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621名無しさんだよもん
>>615
そっスか。トリあったほうが判別しやすいなと思ったまでで。
622名無しさんだよもん:05/01/31 00:12:08 ID:tiDXQlGf
>>620
本来はこのみの汁だけどその上に林檎ジュースをかけて誤魔化した可能性がある。
623名無しさんだよもん:05/01/31 00:13:58 ID:xZA1/9xD
>>592.593
えーと、途中でばっさり中断(しかも濡れ場で)しているこのみSSの作者です、はい。
最近忙しい状態が続いてるんで中々書けてないんですが、やっとマシになりそうです。
元来遅筆気味なせいもあって進みが遅いのですが、そろそろ作成を再開しようと思うので、その節にはお願いします。
624593:05/01/31 00:22:32 ID:gOZSe+D0
>>623
待つわ待つわいつまでも待つわ
625名無しさんだよもん:05/01/31 00:29:29 ID:Lc8wJ9ab
とりあえず、皆投稿する直前に一度リロードし直した方がいい。
キー打ってる間に更新されてる可能性が高いから
626579:05/01/31 00:52:34 ID:JYrM/KBx
ダレモイナイ・・・
SSトウカスルナライマノウチ・・・
627買い物:05/01/31 00:53:46 ID:JYrM/KBx
学校の帰り、俺はぶらりと商店街に立ち寄った。
目的は夕食の材料。
なんとなく、自分でメシを作ろうと思ったからだ。
そんなわけでスーパーマーケットに来た。
といってもなぁ、作れるものがほとんど無いしなぁ・・・
今度春夏さんに教えてもらうか。

ということで献立として決まったのはカレー
簡単だし日持ちもするという理由だ。
さっそく入り口のカゴをとり、通路にむかう。
「お・・・」
どこかで見た顔があった。確かこのみと一緒にいるきつねっこ・・・誰だっけ?
「こんにちは」
「うおっ」
考えてる間に、めがねをかけたその子は俺の目の前まで来ていた。
「なにか?」
「い、いやなんでもない」
やっぱり女の子は慣れない。
「先輩、今日はこのみと一緒じゃないんですね」
「え、ああ、いつも一緒って訳じゃないしね」
そう言うと考えこむきつね。何かまずいことでも言ったかな。
そう思ってると
「それじゃ先輩、なんで一人でこんなところに来てるんですか?」
「来ちゃまずい?」
「いえ、先輩ってこういう所に縁がなさそうっていうか、このみがやってくれそうと言うか」
「このみ?」
「あ、いえ、なんでもないです」
慌てるきつねっこ。と言ってもあんまり慌ててるようには見えないが。
628買い物:05/01/31 00:54:54 ID:JYrM/KBx
「それで先輩、どうしてここに?」
並んで歩き出すと、さっきの質問をしてきた。
「夕食の材料をね。たまには作ろうかなって」
「なるほど」
と言ってるうちにジャガイモ発見。
一袋取ってカゴに入れる。
「先輩・・・こういうところ滅多に来ないんでしょ?」
「あ、どうして分かった?」
そう言うと、きつねはカゴのジャガイモに指差す。
「これ?」
「ここ、野菜とか高いんですよ」
へぇ〜知らなかった。
「そうなんだ、それはいいこと教えてもらったよ。ええと・・・」
「山田みちるです。ちゃるってしか聞いてませんよね」
いや『ちゃる』っていうのも忘れてたけど・・・。
「みちるちゃんは何しに来たの?」
「えっ?」
しまった、年下だからついちゃん付けしてしまった。
「ご、ごめん。ちゃん付けして・・・」
「いえ、いいです。えっと・・・今日はお肉の特売日なので、それを買いに」
「そ、そうなんだ」
まぁ、怒ってないみたいだからいいか。
629買い物:05/01/31 00:55:43 ID:JYrM/KBx
「そういえば先輩」
「ん、なに?」
「このみとは本当に何もないんですか?」
「な、何もないって」
いきなりなんつー質問してくるんだこの子は。
「ほんとですか?」
「ほんとほんと」
「ふーん、そうですか・・・」
そう言って黙り込む。
「私が入る余地、あるのかも・・・」
「何か言った?
「いえ、なんでも」
そうこうして俺たちはレジに並ぶ。
「お肉の特売日だったのか、知らなかったよ」
「広告に入ってませんでした?」
「あ、いや見てない。テレビ欄とかニュースしか見てないから」
「そうなんですか、もったいないですよ先輩」
「そっか、じゃあこれからは見るよ」
「はい」
結局俺が買ったのは肉とカレールーだけだった。
みちるちゃんの方は野菜も買っていたが、その野菜は広告に出ていたものらしい
う〜ん、やりくり上手なんだな。
やはり女の子、というか俺が大雑把すぎるのかも。
630買い物:05/01/31 00:56:41 ID:JYrM/KBx
「ここです」
スーパーを出た後に連れて行かれたのは、50メートルほど離れた八百屋だった。
「ここの野菜は安めで味もいいのでおすすめですよ」
「そうなんだ、詳しいんだね」
「いつものことですから」
というと、いつも買い物とか食事作ったりしてるのか。
「いつも買い物とか料理とかするの?」
「あ、はい。一応」
「そうなんだ、家庭的だね」
「えっ・・・」
「あ、いや、なんとなくそう思ったから」
「そう・・・ですか?」
そう言ってちょっと顔を赤らめる。こういうとこ、女の子らしいよな。
「あ、すみません。そろそろ帰らないと」
「そっか、ごめんね。付き合わせちゃって」
「いえ、そんなことないです」
「でもほんと助かったよ。ありがと、みちるちゃん」
「はい・・・、それでは失礼します」
ペコリと礼をして、きつねっこは帰っていった。
ふーん、山田みちるっていうのか、あの子。

その後、俺は野菜を買って家路についた。
ほんの数百円だが、財布が軽くならずにすんだのはちょっと得した気分だった。
631買い物:05/01/31 00:58:33 ID:JYrM/KBx
>>578>>580>>581
もうだめだ。おまいさん達、後を頼む・・・
632名無しさんだよもん:05/01/31 00:59:33 ID:/A03ftKR
>>626
|∀・)ニヤニヤ
633名無しさんだよもん:05/01/31 01:09:19 ID:tiDXQlGf
(・∀・)ニヤニヤ
634名無しさんだよもん:05/01/31 01:11:20 ID:683ErBTX
>>631
オマイ、いい奴だな。
その調子で「これからも」ガンガレ!!
635名無しさんだよもん:05/01/31 01:12:37 ID:EJEpMqrh
ちゃるはもっとぶっきらぼーですからー
私の名前はキャプテンブッキラボー! 本名はヒミツ。なぜならその方がかっこいいから!!
636名無しさんだよもん:05/01/31 01:12:37 ID:683ErBTX
しまった。流れ切っちまった。
−−−−−−−−−− 再開 −−−−−−−−−−−
(・∀・)ニヤニヤ
637名無しさんだよもん:05/01/31 01:19:45 ID:s/5sxuYM
>>572
6Pになるまでの経緯のうれし恥ずかしエピソードとかあったらもっといいですな。
タカ棒はこんなに主導権とれずに流されまくりのほうがらしいと思ったり。
638名無しさんだよもん:05/01/31 02:28:58 ID:ZmBm+YjF
よし今だ
>>509の続き投下!
639夏に咲く花 2 :05/01/31 02:29:54 ID:ZmBm+YjF
「タカ君、タカ君、今日の占いみた?」
通学中にこのみが聞いてきた。
「あ〜見てない、何て言ってた?」
「えっとね、タカ君の運勢は…、今日はよくないことがある1日家でじっとしてましょう。…だったよ」
「俺を学校に行かせない気か?」
「う〜、だってTVで言ってたもん。あっ、あと新たな恋の予感があるかも!って言ってたよ」
「家にいて新たな恋があるのか?」
「だって、そう言ってたんだよ〜」
最近の占いは結構いいかげんだな…
「それからラッキーカラーはピンク、ラッキーアイテムは傘だよ」
ハイと言ってピンクの折りたたみ傘を渡される。
「いいよ、それに今日は雨降らないだろ?」
そう、今日は全くの快晴。絶好の洗濯日和だ。お天気お姉さんも言ってたんだから間違いない。
「ダメだよ〜持ってないと幸運が逃げちゃうよ」
そう言って俺のカバンにピンクの折りたたみ傘をねじ込む。
「あぁ…、ありがと」
こういう時のこのみは何を言っても聞かないことは分かっているので大人しく従う。
「どういたしまして〜」
まぁ、いいか折りたたみなら場所取らないし、どうせ今日は土曜日だから学校も半日だ。
「あ、それからタカ君。今日、このみ用事があって一緒に帰れないんだ」
「わかった、じゃあ先に帰ってる」
「うん、ごめんね〜」
640夏に咲く花 2 :05/01/31 02:30:42 ID:ZmBm+YjF
土曜日の午前中だけの授業が終わって、俺は退屈から開放される。
「ふぃ〜、やっぱシャバはいいぜ、シャバは」
などと独り言を呟きながら、今日の予定を考える。とても天気のいい小春日和。小鳥は囀り、恋人たちは和みあう。…が俺には予定はなかった。
「とりあえず商店街でも行って昼メシの調達か」
そう独りごちって、商店街の方へ向かう。

「あ〜っ!先輩じゃないッスか〜!こんちはッス!」
商店街の入り口でタヌキに声をかけられる。
「よう、今日は相方のキツネは一緒じゃないのか?」
「そうッス、なんか用事があるとかで。先輩もこのみと一緒じゃないんスか?」
「あぁ、こっちも同じだ」
「で、先輩は何してるんスか?」
「まぁ予定もないし、俺は家に帰ってウダウダゴロゴロするだけだが」
「そんなのダメッス!ゴロゴロなんかしてたら、ボケちゃうッスよ。こんなに天気いいんだし遊ばないとダメッスよ!そうだ、先輩お昼もう食べたッスか?」
「いや、まだだけど?」
「じゃあ、まずお昼ごはん食べましょう!ヤックでいいッスか?」
「あぁ…」
なんか勝手に決められてしまった。完全によっちペースだな…
641夏に咲く花 2 :05/01/31 02:31:31 ID:ZmBm+YjF
よっちに連れられ、近くのヤックに入る。さすが昼時ともなると人は多い。
「席取ってて。俺、買ってくるよ何がいい?」
「えっ?おごりッスか!?いや〜悪いッスね〜」
よっちは楽しそうにケラケラ笑う。
「んなワケないだろ。後払いだよ、後払い」
「ちぇ〜先輩もケチッスね。じゃあチーズバーガーのセットにアップルパイで!」
「オッケー、行ってくる」

俺はトレイに二人分のセットをのせて、席まで戻る。
よっちは財布からお金を出そうとするが、俺は女の子の後輩と割り勘というのは何だかためらわれた。とっさに言い訳を考える。
「金はまた今度でいいよ、後払いでいいって言ったろ?」
「さすが先輩、ありがとッス!ゴチになるッス〜」

「あ〜先輩食べるの早いッスよ!こういうのは相手のペースに合わせるんスよ?そんなんじゃ女の子に嫌われるッスよ〜?」
よっちは最後に残しておいたアップルパイを食べながら、とっくに食い終わった俺に文句を垂れている。
「それは俺が早いんじゃなくて、お前が人のナゲットやポテトをヒョイヒョイつまんでるからだろ?」
「も〜、いちいち細かいこと言ってるとハゲるッスよ〜?」
「ハゲるかっ!」
いい具合に空腹も満たされ、俺たちはヤックを出る。
642夏に咲く花 2 :05/01/31 02:32:17 ID:ZmBm+YjF
「じゃあ先輩、次は買い物に付き合ってもらうッスよ〜」
よっちは容赦なく俺に追い打ちをかけてきた。
どうやら俺の半日ウダゴロ計画は、闇に葬られてしまったようだ…。

俺が、よっちに半ば引きずられて行ったのは、この辺りで一番大きいショッピングモールだった。

俺たちは何気ないショッピングをしながら時間をつぶす。とは言ってもほとんど見てるだけなんだが。
「先輩、これ可愛くないッスか〜」
よっちはキャミソールワンピースをあてがってヒラヒラさせている
「あぁ、いいんじゃない?」
「も〜、マジメに答えてるんスか!?」
「ちゃんと見てるって、似合うよ可愛い」
「いや〜、そんな先輩っ、正直ッスね〜」
「やっぱ似合わない」
「あんですと〜!?」

「もうすぐ夏だよな」
店の一角に水着コーナーを見つけて俺は呟いた。
「そうッスね〜。あっ、みんなで海とか行くたくないッスか!?」
「いいね、雄二とかタマ姉も来るだろうし」
「となれば、まず水着ッスね。…こんなのどおッスか?」
グハッ…いきなり際どい水着をチョイスするよっち。つーかそれ、ほとんどヒモだろ…
「冗談ッスよ!さすがにアタシでもこんなの無理ッス。まぁ無難なところで、この辺ッスね」
彼女が持っていたのはプリントの柄が入った黄色のビキニタイプの水着だった。
よっちに、とても似合いそうな水着だった。このみならまず似合わないだろうな…、やはり出るべきところが出てる者のみが着ることの出来る水着ということか…。
643夏に咲く花 2 :05/01/31 02:36:13 ID:ZmBm+YjF
こうして何を買うでもなく、ゲームをしたり、アイスを食べたり、ブラブラしたりしで時間は過ぎていった。
ショッピングモールを出ると。先ほどまでの快晴とは一転、空は鈍色に淀んでいた。夕立だった。
「さっきまで、あんなに晴れていたのにな」
「全く、雨降るなんて聞いてないッスよ〜。天気予報のウソつき〜」
となりで、よっちがブーたれている。
「どうする?たぶん通り雨っぽいから、もう少し待つ?」
あれ?何かひっかかるな?何だっけ、なにか忘れてるような…

『ラッキーカラーはピンク、ラッキーアイテムは傘だよ』

…あっ、そうだった!今朝このみにラッキーアイテムとか何とか言って折りたたみ傘をカバンにねじ込まれたんだっけ。
「ちょっと待ってて確か…」
ごそごそごそ、あった。
「うわ!せ、先輩シュミ悪いッスよ…」
そうだ、よりによってピンクの折りたたみ傘だった…。確かに男が持っていてシュミの良いものじゃないな…
「これは、このみのだよ。朝、持たされたんだ」
「なんだ、そーゆーことッスか〜、安心したッス。じゃあ、先輩帰りましょう」「そうだな」
…って、傘は一本しかないぞ?まさか、もしかして、でも、やっぱりそういうことになるのか!?
644夏に咲く花 2 :05/01/31 02:37:06 ID:ZmBm+YjF
なんだか、通り過ぎる人がみんな俺たちを見ている気がする…。
「先輩もっと寄らないと、そっち濡れてるッスよ?」
やっぱり、はたから見ると恋人同士に見えてるんだろうか…。
「先輩、聞いてるんスか?そっちの肩びしょぬれッスよ?」
そーいや相合い傘なんて小学生の頃このみとしただけだな…
「お〜い、センパ〜イ?」
もしこんなトコ雄二にでも見られたらブツブツ…
「も〜、よっと」
「うわっ!?」
いきなり、よっちが体を密着させてくる。
「先輩、濡れちゃうッスよ」
「あぁ、ごめん」
いつの間にか俺の右肩はビチャビチャになっていた。
「先輩ってホントに女の子ダメなんスね〜」
「いや違うから」
「アハッ、やっぱ先輩、可愛いッスね」
俺たちはお互いの肩が触れ合ったまま帰り道を歩いた。


「先輩、今日はいろいろ付き合ってもらって、どうもありがとッス」
「いや、どうせ俺もヒマだったし楽しかったよ」
「…先輩、実はアタシッスね、最近ちょっと落ち込んでたんスよ。だから誰かと思いっきり遊びたかったんス」
「そうだったんだ…。役に立てないかもしれないけど、俺でよかったら話くらい聞くよ?」
「ん〜、そッスね…アタシ実は今好きな人がいるんスよ」

ドクンッ

俺は、なぜか心臓の音が大きくなるのを感じた。
645夏に咲く花 2 :05/01/31 02:38:13 ID:ZmBm+YjF
「でも、その人には好きな娘がいるんスよ」
「じゃあ片思いなんだ?」
なんだろう、この胸が締め付けられる思いは…?
「まぁ、そんなとこッス。それで、その二人みてたらアタシが入る隙間なんか全く無くって…、それでちょっと落ち込んでたんスよ」
「…俺は恋愛経験ほとんどないから、よく分かんないけど、それは辛いよな」
「でも、今日は先輩と遊べたんで元気出たッス!」
「そっか、よかったよ」
「…はぁ〜、先輩が彼氏だったらいいのにな…」
「えっ?」
彼女は顔を近づけ俺を見つめる。
「先輩なら彼女を悲しませるようなことは、絶対しなさそうッスよね。アタシ、先輩の彼女になりたかったッス…」
さらに顔を近づけて彼女は目を瞑った。
こ、これはまさかキスしろということなのか!?でも、俺と彼女は知り合い程度の中だし…。
うわ、ヤバいっ、どうするんだ?ここで男を見せねば末代まで笑いものにされるのか?ゴクッ…よし、今なら誰も見てない…
って俺は何やってんだ!?

お互いの吐息すら聞こえそうな距離で固まっていると、彼女は突然目を開いた。
「…なんてねっ」
「はいっ?」
646夏に咲く花 2 :05/01/31 02:39:18 ID:ZmBm+YjF
俺はキスしようとした姿勢のまま固まってしまう。はたから見たらとても滑稽なカッコだろう。
「やだな〜、冗談ッスよ、冗談!ちょっと、からかっただけッスよ!」
「な、なんだやっぱり冗談か、まったく脅かすなよ」
「(んなワケないじゃないスか…)」
「ん?何か言った?」
「アハハッ、先輩ごめんッス!じゃあ、雨も止んだことだし、この辺で失礼するッス」
「あぁ、この辺でいいの?よければ送っていくけど?」
「たいへん光栄ッスけど、なんか悪いから大丈夫ッス」
「そっか。じゃあ、またな」
「はい!センパイさよならッス!」
よっちは、そう言って走りかけたが、急に振り返って戻ってきた。
「先輩、今度からアタシのことはチエって呼んで欲しいッス」
「ああ、それは別にいいけど、でも何で?」
彼女は口元に指をあて少し考えて
「ん〜、なんとなくッス!それじゃ」
そう言って彼女は帰っていった。


俺は一人で帰りながら考える。
チエは、そこいらの女の子と比べても全然可愛いと思う。
整った顔、大きな瞳、あの年頃にしては豊かな胸、そしてなにより太陽のように明るい笑顔。
男からも女からも好かれそうなタイプだ。彼氏や好きな人がいても何の不思議もない。
でも俺は彼女が好きな人がいると聞いた瞬間、無性に切なくなり心に何か突き刺さったような気持ちになった。このみといるときとは明らかに違う感情。
だが、俺はまだ自分の想いに気づかずにいた。
647名無しさんだよもん:05/01/31 02:40:43 ID:ZmBm+YjF
ところで、これ需要あるのかな?
まあ、打ち切りにならないようにがんばりますよ。
648名無しさんだよもん:05/01/31 02:42:51 ID:dZYLLJru
普通に楽しんでます。
というか、打ち切りとかやめて!

次回を楽しみに待ってます。
649名無しさんだよもん:05/01/31 03:10:17 ID:tiDXQlGf
俺も楽しんでるけど、このみ好きとしてはこの先の展開を予想すると、日溜りの詩ほどじゃないが結構切ない(´・ω・`)
でも先を楽しみにしてるのも事実なんで頑張ってくれ。
650名無しさんだよもん:05/01/31 03:27:40 ID:Lju31kWb
需要? あるに決まっているじゃないか。

断固継続を要請する…というかお願いします。

651名無しさんだよもん:05/01/31 06:08:00 ID:uuewVCQ1
>>649
禿同。
誰でもいいからこの哀れなこのみすとにラブラブSSを書いてください。
あっもちろん漏れは書けないよ。
マジで。
652名無しさんだよもん:05/01/31 07:26:13 ID:ExeKvbmA
縦読み?
653名無しさんだよもん:05/01/31 07:40:58 ID:683ErBTX
>>647
よっち! よっち!(゚∀゚)
654名無しさんだよもん:05/01/31 08:48:26 ID:A1B78QsF
ちゃ∩( ・ω・)∩るーは?
655中断していたこのみSS続き:05/01/31 09:18:51 ID:XlNSJ8V2
誰もいないであろう時間に投下!

前回は前スレであります。
656このみSS続き:05/01/31 09:20:12 ID:XlNSJ8V2
「あ…………」
遅かったか…
止めた甲斐もなく、このみは前に回りこんで、俺の裸を見て、声を上げてすぐに顔を逸らした。
いや、顔は逸らしているが横目でちらちらを盗み見ている。それも下のほうを。
「……………………」
お願いだから、そんな見方をしないでくれ。余計恥ずかしい。
しばらく、そんなふざけているほどに恥ずかしい時間が続いたが、やがて意を決した表情でこのみが言った
「タカくん…その……これからするんだよね…?」
「あ、ああ…」
酷く恥ずかしげにこのみが聞いてきて、俺も同じく酷く恥ずかしげに答えを返す
「だから……つけてあげるね」
「へ?」
何を?どこに?
そしてこのみが既に意味を成していない、パジャマの胸ポケットから取り出したものは――
「おい、それってまさか――」
「う、うん。避妊具だよ…」
それは簡単に言うと、コンドームというやつなわけで。そうじゃなく、なんでこのみが持っている?いや、そもそもつけてあげるって?
「じっとしててね…今つけるから……」
俺は後ずさりながら慌てた。
このみはその意味通りに俺のものにコンドームを付けようとしたのだ。
「待て待て待て待て!つけるから…じゃない!なんでそんなもん持ってるんだ!とゆうか、なんで付けられなきゃならないんだ!?」
657このみSS続き:05/01/31 09:21:58 ID:XlNSJ8V2
それは本来、男が自分で自分に装着するものじゃないのか?少なくとも俺の知識ではそうなっている。
「なんで持ってるって…このみが買ってきたからだもん…。あ、でもお店の方で買うのは恥ずかしかったから外にあった自動販売機で買ったよ?」
何かが途轍もなく間違っている、とは思ったが何を言ったら良いのかわからなかった。
「それに、お母さんがタカくんとならいくらでもして良いけど、そうゆうことはちゃんとしっかりしなさいって……」
春歌さん、少しは止めてください。
「……とりあえず、それがそこにある理由は判ったし、付ける意味も当然了解しているが……それでなんでこのみが俺に付けることになるんだ?」
「え、だってお母さんが普通は女が男に付けてあげるものだって…」
絶対違う!間違ってる!それは普通じゃない!しかもまた春歌さんの入れ知恵か!
「今、付けるね…」
このみはそう言って、今度は止める間も無く俺の股間に顔を近付けた。俺は動かない。いや、動けなかった。
恥ずかしくて下の方が見れない。だが、さっきこのみがしたように目だけ動かして見ると、俺のものの至近距離にこのみの顔と手があった。
そして、股間にひんやりとした感覚がが走った。
「っ!」
俺は突然のその感触に少し驚いて体を少し動かしてしまう。
「あ、ご、ごめん!痛かった…?」
このみは俺の反応に驚いたのか、困惑した瞳で俺の目を上目遣いに見た……けど、俺は恥ずかしすぎてとてもじゃないが凝視できなかった
「いや、少しびっくりしただけだから……大丈夫」
このみの顔を見ないようにして言う。
「そ、そうなんだ」
このみの吐息がそれにかかる。ぞくぞくした。そして今度はさっきより更にそっと柔らかく、このみの手が触れてきた。
それだけで出そうになった。自分で触ってる時とは大違いだった。
658このみSS続き:05/01/31 09:23:33 ID:XlNSJ8V2
「こんなに……熱くて、固いんだ……」
うっとりとした口調でこのみが呟く。
「このみ、付けるなら…早くしてくれないか」
でも、俺は恥ずかしくてたまらなかった。早くこの状況から開放されたくてこのみを急かした。
「あ、うん、ごめんね」
それからこのみは悪戦苦闘しながらもそれを付け終えた。
もちろん、それは初めてなので付け終えるまで時間がかかり、更にべたべた触られ、俺には拷問のような時だった。

そして、ついにその時が来た。三度、このみをベッドに押し倒す。
「タカくん…いいよ…」
「ああ…」
自分のを握ってこのみのそれにあてがう。
一瞬どこに挿れればいいのかわからなかったが、なんとか理解できた。
「行くぞ…」
このみはただ頷く。
それを見て、腰を前に突き出した。
にゅるりとした柔肉が柔らかく、そしてきつく包み込んだ。
「…あぁ、うぁぁ…!」
このみが声を上げる。
俺はその味わったことない感触、気持ちよさに呻き声を上げそうになったが、歯を食いしばって耐えた。
しばらくは普通に進んだが、やがて壁のようなものに当たった。
判ってる、もちろん、これは――
このみの顔を見る。このみは……微笑んでいた。目はしっかりと俺を見ていた。言葉は要らなかった。
腰を更に突き出す。
「う、うあぁ!いっ、ひ、くっ、たぁ…!」
手を握ってやる。しっかりと、離さぬよう、ぎゅっと。
そして、ぷつり、と抵抗がなくなった
「っ!っくぁぁ……!う、うぅぅ……!」
このみは懸命に声を出さないようにしている。俺を心配させないように我慢して歯を食いしばって耐えている。
659このみSS続き:05/01/31 09:24:36 ID:XlNSJ8V2
だからこそ、それが心に染みた。愛しいと思った。抱き締めた。
「このみ…ありがとうな」
耳元でそっと呟くように告げて、軽く触れるだけのキスをした。
「このみ、タカくんのこと、だいすきだよ…」
目の端に涙をにじませながら、顔を桜色に染め、それでも本当に幸せそうな笑顔でこのみは言った。
痛いはずなのに。
「ああ、俺もこのみが大好きだ」
俺とこのみは繋がったまま、抱き合ったりキスしたりして少し時を過ごした。
でも、俺はもう耐えれらなかった。
このみのそれが締め付けてきたり、動いたりして、動かないで入っているだけでとんでもなく気持ちが良かった。
「このみ…動かすぞ」
返事を待たずに腰を引いて、そして突き出す。
「い、たっ…!」
やはり痛そうだった。俺は心配になって尋ねた。
「このみ……大丈夫か?」
「……すごく痛いよ。でも、すごく嬉しいから、すごく幸せだからきっと大丈夫だよ……」
このみはまた笑顔を見せて言った。
「このみ……」
ああもう、こいつは!なんでそんなことを言うんだ!可愛すぎるぞ!
660このみSS続き@中の人:05/01/31 09:26:01 ID:XlNSJ8V2
えーと、すいませんがここまでです。
寸止めすいませぬ・・・orz

早ければ今晩にでも終わらせようと思うので御照覧あれ。
6617月文月:05/01/31 10:39:05 ID:c3DlvYEG
GJです。
やっぱりこのみはいいなぁ
それと春夏さんあいかわらずわかってるなあ
662名無しさんだよもん:05/01/31 11:31:05 ID:A1B78QsF
春歌
663名無しさんだよもん:05/01/31 12:42:11 ID:j94dS+7H
よっち! よっち!(゚∀゚)
664名無しさんだよもん:05/01/31 13:03:50 ID:ML7K4Brl
薫子! 薫子!(゚∀゚)
665長谷部悠作 ◆QW9suXdKRE :05/01/31 13:13:20 ID:9Cy1KKLb
糞スレ
666長谷部悠作 ◆QW9suXdKRE :05/01/31 13:14:30 ID:9Cy1KKLb
666あはっ☆
667名無しさんだよもん:05/01/31 13:36:02 ID:Pa2AjGf4
春夏さんがネタキャラになっとるやんけ
668名無しさんだよもん:05/01/31 13:43:25 ID:La6d17Qj
必殺カレーに続く必殺第二段
必殺スキン装着か…
669名無しさんだよもん:05/01/31 13:46:32 ID:La6d17Qj
それと元祖メイドロボの人、文月氏、いつもいつもGJ
先は長そうだし続きをマターリ待ってます

もう、頭の中で堀江声にしか聞こえてません

てかタカ坊が浩之ちゃん風味になってるのにワラタ
マルチと話すとみんな浩之ちゃんになってしまうのか
670名無しさんだよもん:05/01/31 15:05:58 ID:jcvtGXju
ちゃるまだ〜?
671かおりん 4-1:05/01/31 20:44:36 ID:wwwLXcXO

放課後になり、俺達は『向坂家大勉強会(仮)』に参加するために学校の玄関に集まっていた。
「おい、貴明・・・何だこの人数は!?あと、男は俺達二人だけじゃないかよ!!」
・・・確かに適当に誘っていたら、大人数になってしまった。
まず俺が最初に呼びに行ったのは珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃん。
珊瑚ちゃんが嬉しそうにしている、横で瑠璃ちゃんは
「さんちゃん一人で行かすと、貴明にえっちぃ〜ことされるからうちも行く」
と言う感じで二人の参加は決定した。
次に同じクラスであるということで、小牧を呼ぼうとしたら、
偶然近くにいた由真にそのことが知られ「テストで勝負よ!!」といつもの調子で突っかかってきた。
そして、最近クラスに転校して来た小学校時代の同級生の草壁さん。
俺が誘ったのはこの5人、最初からいた俺達7人だ。合わせて12人という大所帯となった訳だ。
「タマ姉こんなに呼んで大丈夫だった?」
心配になって、俺は聞いてみることにした。
「大丈夫よこれ位の人数なら、私の家、無駄に広いから」
「まぁ、なら良いんだけどさ」
大丈夫だと言われそろそろタマ姉の家に向かうとするか。
「な〜な〜貴明、うちと瑠璃ちゃん一回家に帰ってから行くな」
「別に構わないけど・・・珊瑚ちゃんタマ姉の家わかるの?」
そう聞くと珊瑚ちゃんは嬉しそうに。
「大丈夫や、貴明の周辺なら全部チェック済みや〜☆」
どうして?と思ったが聞くと何か恐そうなので聞かないことにした。
「それじゃ、珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃんまた後でタマ姉の家で」
「ほな貴明、また後で〜☆」
そう言って、二人は自分達の家のほうに向かって行った。
さて、俺達も、そろそろタマ姉の家に行くか。
・・・知らない人はこの集団をなんだと思うのであろうか?
672かおりん 4-2:05/01/31 20:47:37 ID:wwwLXcXO
「貴明きたで〜☆」
そう言って元気にやって来たのは珊瑚ちゃん、その横には瑠璃ちゃん
「おっす」
そしてさらにその横には、あの特徴的な耳カバーは。
「あれ、イルファさん?どうしてここに?」
そうするとイルファさんはニッコリと微笑みながら
「お久しぶりです、貴明さん。私がここにきた理由は瑠璃様に勉強を教えるためです」
相変わらず、イルファさんは瑠璃ちゃんにゾッコンだな。
「うちはええって言ったんやけど、イルファがどうしてもって・・・」
「駄目ですよ、瑠璃様。テストで赤点なんてとった日には
 イルファはショックで研究所に帰ってしまいます」
なんの関係があるのかと思ったが、とりあえずイルファさんは瑠璃ちゃんに
赤点をとって欲しくないんだろうな。
「あぅ〜」
瑠璃ちゃんが情けない声で喚いていると、タマ姉が不思議そうな顔で聞いてきた。
「ねぇ、タカ坊。ちょっと聞きたいんだけど、そちらの・・・女の人は誰なの?」
そうか、ここにいる人たちはイルファさんを見るのは初めてか。
説明しようと思った時、俺より先にイルファさんが。
「初めまして、紹介が遅れてしまいました。私はHMX−17a イルファと申します
 今は珊瑚様、瑠璃様の専属のメイドロボとして活動しています。皆様以後よろしくおねがいします」
丁寧にそう言い終えると、ペコリとお辞儀をした。
皆もメイドロボをこんなに間近に見るなんて初めてなのか驚いた顔をしている。
「・・・浪漫だ、浪漫の結晶が今、俺の目の前に・・・」
そんな声が聞こえ俺の前の雄二を見た・・・・何を泣いているんだコイツは?
「それじゃ、珊瑚ちゃんも瑠璃ちゃんもイルファさんも適当なところに座ってちょうだい」
そう言われ、三人は腰を下ろした。
「そういえば、珊瑚ちゃんは勉強道具はどうしたの?」
「うちはテストなんか勉強せんでも点数取れるからええも〜ん」
「あぅ〜、さんちゃんはずるい〜」
そういえば、珊瑚ちゃんは天才少女だったことを忘れていた。
673かおりん 4-2 :05/01/31 20:49:12 ID:wwwLXcXO
歩き始めて、数十分ぐらいして俺達は向坂家についた。
「わぁ〜向坂くんのお家、大きいですねぇ〜」
小牧が家の大きさに驚いている横で由真の奴が普通にしているのが目に付いた。
「由真は別に驚かないのか?大体の奴はこの家を見て驚くんだが」
そう聞くと由真は慌てた様子で
「えっ?、そんな訳ないじゃない!?おっ、大きすぎて声が出なかっただけよ!!」
なんで慌ててるんだこいつは?・・・実はお嬢様とか、こいつに限ってそんなことは無いか。
「実は私ここに来るの初めてじゃないんですよ。
 貴明さんに連れてこられたことがあるんですよ、何か懐かしいです」
草壁さんはそう言って、俺に微笑みかけた。そんなことも会った気がする。
「さぁ、玄関なんかで突っ立てないで、さっさ中に入るわよ」
そう言われ、俺達は家の中に入ることになった。
「みんな、適当なところに座って。因みにここには勉強しに来たんだから、その事を忘れないでよね」
そう言われ、俺達は席に着き始めた。
俺は机の一番端に座り、正面に雄二、隣に柳瀬さんが座っている。
そして、その周辺にこのみや工藤さんたちが座っている。
「さぁ〜て、貴明よ俺達もボチボチ始めますか」
回りの連中も参考書や教科書を広げだしている
「んじゃ〜やりますか」
そうして俺達も勉学に勤しむ事にした。
――数十分後――
玄関のほうで扉の開く音がした。珊瑚ちゃん達が来たのかな?
「るー☆」
「さんちゃん!?人の家来たときはお邪魔します言わな」
「そうですよ、珊瑚様。瑠璃様の言うとおりですよ」
ん?声が三人分聞こえる。そんなことを考えてるうちに足音はこちらの方に近づいてくる。
674かおりん 4-4:05/01/31 20:50:53 ID:wwwLXcXO

そうして、全員揃い。再び勉強会は再開された。
イルファさんは瑠璃ちゃんとこのみに勉強を教えている。
「それにしても、凄いわね」
横にいる柳瀬さんがイルファさんたちの方を見たときそういった。
「イルファさんのこと?」
俺がそう聞くと、彼女は
「えぇ、彼女を見ているとメイドロボであると言うことを忘れてしまいそう」
確かに俺もイルファさんを始めて見た時、同じことを思った。今ではもう慣れてしまったが。
そんなことを話をしていると、柳瀬さんの横の席の工藤さんが突然口を開き。
「ねぇ、薫子。最近その男と妙に親しくなくって?今日の昼だって残って二人で話していたようですし」
コクコク・・・
ぐぁ!!突然何を言い出すのかと思うと何て事を聞いてくるだ!?というか昼に話してたこと知ってたのか!?
「なっ、何を言っているの!?玲於奈!?私はただ河野君にどうして私の名前を知っていたのか聞きたくて・・・」
彼女は焦った様な様子で昼のことを説明した。
「ふぅ〜ん、なら別に良いんですけど」
そう言って彼女は、再び手元にある資料に目を戻した。
そうして少し時間が過ぎて、タマ姉が口を開いた。
「ねぇ、みんなは今日の夜、夕食とか食べていけるのかしら?」
その声を聞き、まずはこのみが。
「うん、このみは、全然大丈夫だよ。」
「私は別に大丈夫ですわ。」
「私もお姉様さえよろしければ」
コクコク・・・
どうやら彼女達も大丈夫なようだ。
「草壁さんはどうするの?」
「私は大丈夫です、でも家に連絡させてくださいね」
「ねぇ、愛佳は大丈夫なの?」
「私は、お母さんに連絡さえすれば大丈夫だと思う」
二年生グループは残留決定のようだ。
「瑠璃ちゃんもいっちゃんもええよね?」
どうやら皆残って向坂家で夕食を食べるようだ・・・・これはまた、騒がしくなりそうだな。
675かおりん 4-5:05/01/31 20:52:43 ID:wwwLXcXO

結局、皆、残ることが決まり。今は夕食に向けての役割分担を決めている。
「それじゃ、私と小牧さん、草壁さん、瑠璃ちゃん、玲於奈、霞、イルファさんが料理担当ね」
タマ姉がそう言って、料理担当が決められた。別に反論はないようだ。
「じゃ、俺と雄二とこのみ、由真、珊瑚ちゃん、柳瀬さんが買い物に行けばいいんだな」
と言う感じに役割分担が決められた。料金はタマ姉が払ってくれると言うことだ。
「で、姉貴いったい俺達は何を買ってくれば良いんだ?」
雄二がそういうとタマ姉は少し悩んだ後に。
「まぁ人数も多いことですし、ここはカレー、あとサラダでいいでしょ」
タマ姉がそう言うと、珊瑚ちゃんが。
「うちカレー好きだから、ええで〜」
「うん、なら決定ね」
そうして、俺達は食料調達に出かけようとした。
「タカ坊、雄二」
その声に呼び止められて、俺と雄二は立ち止まり振り返った。
「荷物持ち、ちゃんとしなさいよ」
「「・・・了〜解」」
やはりそういうことか・・・・そうしてる内に玄関の方から。
「河野貴明〜早く来い〜!!置いて行くぞ〜!!」
由真の急かす声を聞き俺達は玄関に向かった。
676かおりんの人:05/01/31 20:54:21 ID:wwwLXcXO
4話目です。
だらだらと続けるのもなんなので
あと2〜3話ぐらいで終わらせたいかな?
そしてミスって順番が
4-1→4-3→4-2→4-4→4-5
となってしまいました・・・・orz
あぁ・・・すいませんでした。
677名無しさんだよもん:05/01/31 20:56:57 ID:EJEpMqrh
>668
なんか穴開いてそうだなおいッ!?

>かおりんの人
GJ そして専用ブラウザ向け支援
>671>673>672>674-675
678名無しさんだよもん:05/01/31 21:46:28 ID:Pa2AjGf4
出てる人数多いと楽しげでええの〜
679名無しさんだよもん:05/01/31 21:51:19 ID:nznLP0ul
だらだら続けてくれて結構と思う俺ガイル
>>678も言ってる通り人数多いと楽しそうだな〜
6800/7 ただ心だけが 1:05/01/31 21:55:40 ID:683ErBTX
「ちゃんと感謝するんだぞぉ、何たってお姉様が戦って守り通したものなんだから」
「やぁ、もう! 先に言っちゃダメだよぉ!」
「だってさ、あれだけ大変だったのに反応薄かったら嫌じゃない?」
「だめー! それでもだめー!」
「……ひとの背後でいちゃつかないでくれる、もう」
「予定よりちょっと小さくなったけどね」
 そうして校舎に向かう車椅子と、それを押す少年。その傍らに寄り添う少女を最後に物語の幕は降りた。
これが歌劇であればそうであろう。ハッピーエンド、その後に役者がカーテンコールに出てきて観客は幻想
の終わりをはっきりと認識する。なにせそこでは神の寵愛すら受ける英雄と卑劣で傲慢な悪役――の役者
――が仲良く並んで観客に向かって礼をするからだ。そうして物語は区切りをつける。幕は降りる。だが物
語を続けることは不可能だったのだろうか? ローエングリンが去ったあとのエルザを演じ続けることは? 
ブリュンヒルデが炎に包まれた後のクリームヒルトは? カルメンを刺し殺した後のホセは? ファントムから
自由になったラウルとクリスティーヌはどうだ? 幕は降りた。それらの物語は演じられない。だが――無
い、とは言い切れない。河野貴明と小牧愛佳をこの列に並べるのは流石に肝が冷えるが、興味がある方は
ちょっと舞台の袖までいらっしゃい。さあ、一度は降りた物語の幕を持ち上げて覗き込もう。
 物語り終わりし後の物語を。
6811/7 ただ心だけが 1:05/01/31 21:56:23 ID:683ErBTX
 小牧郁乃は人生で初めて晒し者になる気分というものを味わっていた。
 誰にも聞こえないほどの小声で、ありえない、と呟く。
 クラス中の視線が自分に集まっているのを感じる。
 別に教師に当てられたワケではない。おそらく教師もそこまで酷ではないだろう。
 問題は教室の後ろ――机の一番後ろの列という意味ではない。そのさらに後ろ――つまりまさしく授業参
観における親の立ち位置にいる二人であった。
 いや、もちろん郁乃の姉である小牧愛佳が、初日の最初の授業を心配して見守っているというのは分か
る。郁乃が学校に来て授業を受けるなんて何年かぶりのことだ。母親に急な用事ができた以上、その代わ
りに愛佳がそこにいる必要はある。
 郁乃の病状について各教師に説明はされていたが、初めて受ける高校の授業というストレス環境下で不
測の事態が起こらないとも限らない。とりあえず最初の一時間に関して、愛佳がそこに立つ意味はある。郁
乃はそれは納得できる。
 ではその隣に当然のごとく立っている男はなんだ?
 郁乃には分からない。
 よくよく思い返してみればこの男、郁乃の目の手術の日も当然のように学校を休んでそこにいた。
 おかしい。
「ふぁぁ〜〜」
 男が――河野貴明が大きなあくびをしてみせた。
 教室内の音のないざわつきが一段と大きくなったのを感じる。それは主に不思議そうに、郁乃と後方の二
人を交互に見ることに発生する一連の不規則なウェーブ現象である。しかし教師はそれを気にする風でもな
く、授業を進めている。
 ありえない。
 自分は果たしてこの学校で上手くやっていけるだろうか?
 なんだか当初とは違う方向性でその疑問が郁乃の頭の中を激しく飛び回る。恐らく教師と後ろ二人を除く
全員の間を疑問符が飛び交った授業が終わるとすぐに愛佳は郁乃の元に寄ってきた。
6822/7 ただ心だけが 1:05/01/31 21:57:06 ID:683ErBTX
「大丈夫、郁乃。なんともない?」
 愛佳は郁乃の頬と額に手を当てる。とりあえず熱があがったりしている様子はないようだ。
 愛佳はほっと息を吐く。これでひとまずは安心というところだろう。
 郁乃は苦笑を浮かべる。愛佳の心配性はちょっとやそっとでは治りそうに無い。場合によっては郁乃自身
の難病より根治は難しいかもしれない。
「……ちょっと疲れたけど大丈夫」
 これは本当。でも疲れたのは主に貴明の存在によって発生したストレスであることは言わない。
 というより、郁乃には姉が貴明がここにいることを疑問に思わないのが疑問である。愛佳はすでに貴明を
自分の付属物かのように考えているのかもしれなくて、また学校側でもそれを認めているとか。
 その想像に頬を緩めた郁乃の表情をどう捉えたのか、愛佳の表情も和らいだ。
「でも無理しちゃダメよ。熱があがるのには注意してね」
「そんなに心配しなくても大丈夫。これでも最近の体調は先生の太鼓判付きなんだから」
「うん。そうだね」
 愛佳は郁乃の手を取って、じっとその瞳を覗き込んでいる。そう言えば最近姉からのスキンシップが増え
たことに郁乃は気付く。それだけではない、言葉以外の方法で自分に色んなことを伝えようとしている気が
する。そういう表現の豊かさは以前の愛佳には無かったものだ。表情は豊かだったけど。
 ふむ、男ができるということは情緒麺での成長をも促すのかしらん。
 ただ愛佳の場合、その一方で以前にはあった一般常識というか、世間に対する恥じらいというものを失っ
ているような気もして、郁乃は気が気でならない。
「――それじゃあたしは自分の教室に戻るから、もし何かあったらすぐに誰かに来てもらってね」
「うん。分かってる」
 それから愛佳はぺこぺことクラス中に向けてお辞儀をしてから、郁乃に手を振って教室を出て行く。
「大人しくしとくんだぞ」
 それだけ言い残して、郁乃の頭を軽くぽんぽんと叩いて、貴明もまた教室を出て行った。
6833/7 ただ心だけが 1:05/01/31 21:57:49 ID:683ErBTX
 ふあぁと、郁乃は長い安堵のため息を吐いた。ようやく教室内は正常なひとつの社会基盤の元に収まった
気がする。これで次の授業からは少し気楽に受けられるだろう。
「あの、小牧さん……」
 隣の席の女の子が郁乃に話しかけてくる。休憩時間だというのにクラスメイトは誰一人席を立っていない。
全員が固唾を飲んで郁乃とその女の子に注目している。
「あのね、お姉さんは分かるんだけど、あの男の人、だれ?」
 ああ、やっぱりそこなのね。郁乃は肩を落とす。
 正直なところ、郁乃自身にも分からない。
 姉の恋人だというのは簡単だ。だがそれは結局のところ質問の答えにはなっていない。質問の意図は、
関係ない人間がなぜ紹介もされず――もちろん愛佳についての説明はあった――当然のようにそこにいた
のか、ということなのだ。
 郁乃はしばらく迷ったあげくに、結局のところ自分の思いついた言葉を使うことにした。
「……姉の付属品」
 大方間違ってはいないだろう。女の子のほうは目を丸くして
「うん。……うん? うん?」
 と、分かったような、分からないような、首を傾げたり納得したりを繰り返している。
 クラスメイトたちもみんな顔を見合わせて、それぞれがこの国語の問題に取り掛かったようだ。解答が問題
集の巻末についていればいいのであるが。
 なんにせよ、小牧郁乃の高校生活最初の一時間はこのように始まった。
6844/7 ただ心だけが 1:05/01/31 21:58:33 ID:683ErBTX
 一方で肩を並べて自分の教室に戻ってきた愛佳と貴明を手をこまねいて待っていたのは、向坂雄二、貴
明の親友である。ニヤニヤと実に嬉しそうな顔で二人を出迎える。
「いよぅ、おふたりさん。お早いお帰りで」
「はい、向坂くん。ただいま戻りました」
 愛佳と雄二は意外にウマが合うところがあるようで、最近はちょっとしたネタのやり取りなんかもしていたり
して、急速に仲が良くなっているようだ。
 貴明としては多少ヤキモチを焼いたりしてみたいところなのではあるのだが、まあ愛佳が男全般を苦手と
するのが少しでも改善されるリハビリと思えばこそ我慢している。
 本音を言えば、自分にだけ平気で他の男は全部苦手というのが理想ではあるが、そこまで勝手な思いを
押し付けるわけにもいかないだろう。
 それに雄二の性格はよく承知している。少なくとも友人の恋人に手を出すような男ではない。
「で、見たぜ。委員ちょの妹、名前なんつったっけ、ほら」
「郁乃ですよぉ」
「そうそう、その郁乃ちゃん。さすが委員ちょの妹だよな。可愛らしくていらっしゃる」
 でも、友人の恋人の妹になら平気で手を出す男だ。
 もっともこれまでそのようにして伸ばされた雄二の手が実際に誰かを捕まえるのを貴明は見たことが無
い。というより、この男は本気で誰かを好きになったことがあるのだろうか?
 いつも軽薄そうにしているが、根はマジメで正直な男だと貴明は思っている。
「止めとけ、止めとけ、確かに見た目は愛佳と一緒で可愛らしいが、あっちにゃ牙がある。手を出そうとしたら
指先をがぶりといかれるぜ」
 貴明は指先で雄二に向かって噛み付くような仕草をしてみせた。
 だが雄二は笑ってひらひらと指先を泳がせる。
「おいおい、貴明、美しい薔薇にはトゲがあるもんだろ。指先が傷つくのを恐れて薔薇は摘めないぜ。俺は
毒があったって構わんね。ところで委員ちょ、郁乃ちゃんは読書好きだったりするかい?」
6855/7 ただ心だけが 1:05/01/31 21:59:16 ID:683ErBTX
「ひゃい?」
 急に話を振られた愛佳は何故か頬を染めていた。
「あの〜、その前にひとつ確認したいことが」
「なんでしょ?」
「さっきから可愛い可愛いって、あたしのことも含まれてる、でいいんでしょうか?」
「もちろん!」
 貴明と雄二は声を揃えて言った。
「そうですか」
 むん、と、愛佳の体に気合が入る。愛佳は以前に比べて褒め言葉を素直に受け入れられるようになったよ
うだ。それは喜ばしい変化だろう。
「で、郁乃ですが、読書はしないですねぇ。なにぶん目が悪かったですから」
「そうだな。テレビもダメだし、日光もあんまりダメなんだったっけ?」
「手術で改善されたんですけどね〜。でも目を酷使するわけにはいかないですし、読書する習慣がないのは
確かですよ。それがどうかしたんですか?」
「ふむ」と、雄二は顎に手を当てて思案する。
「残念だ。実に残念だよ。委員ちょ。病弱少女と文学は有史以来のセット。これを切り離して考えることなど
俺にはでっきーーーーーーーん!!」
 両拳を握り締めて、天井に向かって雄たけびを上げる。
「はぁ……」
 困惑顔の愛佳の肩を叩いて、貴明は首を横に振った。ダメだこれは。つける薬のないなんとやらだ。
6866/7 ただ心だけが 1:05/01/31 21:59:59 ID:683ErBTX
 そうして無事平穏に一日が過ぎていく。
 愛佳と貴明は休み時間のたびに郁乃の元を訪れて体調の変化を訊ねたが、危惧していたような変調は
見られないようであった。この様子ならば明日も学校に来ることができるだろう。
 一時間が過ぎるたびに、不安そうだった愛佳の表情は明るいものになっていった。
 ほんの一日、それですらどれだけ想い焦がれたことか。
 もちろん問題はまだ山積みだ。新しい治療法が如何なものにしろ、学校に来るほどの体力を取り戻したと
は言え、病状を抑えるため免疫力を薬物で抑えてるという事実に変わりは無い。
 だが今日くらいはそれを忘れてもいいではないか。
「郁乃、お疲れ様」
 そう言って入ってきた姉の姿を確認して、郁乃は目を丸くした。
 ひとり、増えてる。良く見知った貴明に加え、見知らぬ男がひとり。
 いつの間に姉は男が苦手じゃなくなったのだろう? と、郁乃は疑問に思う。
 だが愛佳の立ち位置が貴明ともうひとりの男との違いをあからさまにしていた。
 ふむ、症状緩和というところらしいわね。郁乃は思うが、それは郁乃自身にも当てはまる言葉だった。
「こんにちは、郁乃ちゃん。俺、向坂雄二、君の将来のお兄ちゃんの親友だ。よろしくな」
 途端に愛佳と貴明の顔が真っ赤になる。
 面白い。
「あなたの親友さんの将来の義理の妹です。よろしく」
 首まで真っ赤になった二人を見て、ニヤリと笑った郁乃は手を差し出した。
 同じくニヤリと笑った雄二はうやうやしくその握手に応じる。
「私たちこれから病院ですけど、向坂くんもいらっしゃいます?」
 郁乃の荷物をまとめ終わった愛佳が訊ねると、雄二はひらひらと手を振った。
「いきなり病院までついてくほど野暮じゃねーよ。とりあえず親友の恋人の妹ちゃんに挨拶しとこうと思って
な。それだけさ。荷物持ちはひとりで十分だろ? じゃあな」
 手をひらひらさせたまま雄二は教室から去っていった。
6877/7 ただ心だけが 1:05/01/31 22:00:42 ID:683ErBTX
「さて、それじゃ俺たちも行きますか」
 貴明が車椅子のハンドルをしっかりと握って歩き出す。
 最初の頃は危なっかしい手つきだったが、今では貴明の押す車椅子でなら郁乃は眠れさえするような気
がする。それは認めたくは無いが、貴明が信頼に値する男だと言うことで、また彼自身が郁乃に気遣って車
椅子を押しているということだろう。
 ゆらゆら優しく揺られてるうちに郁乃は本当に眠気に襲われ始めた。
 こっくりこっくり船を漕ぎはじめたのに愛佳が気付く。
 貴明が少し首を傾げると、愛佳が首を横に振る。
 それだけで「どうする?」「起こさないであげて」という会話が成立している。
 実際、今日一日で郁乃がどれほど疲労したか分からない。
 本人は否定するだろうが、誰よりも今日を楽しみにしていたのは郁乃自身だ。だから今は興奮状態で自分
の疲労に気付いていないということもありうる。
 愛佳の手が郁乃の額に当てられる。
 貴明が少し首を傾げて、愛佳が横に。
 今度は「どう?」「熱は無いみたい」
「んあ……」
 と、郁乃が目を覚ます。
「あ、ごめん。郁乃起こしちゃった?」
 郁乃はキョロキョロと辺りを見回し、そこがまだ病院に向かう途中の道だと気付くと、遠慮なく目を閉じた。
「ううん。大丈夫。……ところでさっきの向坂さんだっけ?」
「ん、あいつのことなら雄二でいいよ。姉さんも同じ学校にいるから苗字だとややこしい」
「そう、なら雄二さんだけど」
 郁乃の目は閉じられたままで、愛佳にも表情はつかめない。
「けっこういい男だね」
「ええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
 ふたつの声がハモって、夕方前の空に響いた。
688名無しさんだよもん:05/01/31 22:03:30 ID:683ErBTX
文体、配役ともに受け入れられるかが不安な作品ですが、
ちょくちょく書いていくのでよろしくお願いするであります(・ω・)ゝ
689名無しさんだよもん:05/01/31 22:14:37 ID:tiDXQlGf
いや、いいと思うよ。
しかし、それは驚くよな……
690名無しさんだよもん:05/01/31 22:24:47 ID:hWW+X5sl
>>688ナイスであります隊長 ゝ
691名無しさんだよもん:05/01/31 22:32:43 ID:z3IYs0XO
>>688
うっじょ!
続くんだよね?
692名無しさんだよもん:05/01/31 22:40:19 ID:OybeIbrx
>>688
GJ!
ついに雄二に春が?w
693名無しさんだよもん:05/01/31 22:49:31 ID:6WEcD7gG
今日、身内がちょっとした事故にあってね
たいしたことはなかったんだけど、ひとつ話を思いついたから一気に書いてみた次第
694陽炎に浮かぶ彼女 1:05/01/31 22:51:34 ID:6WEcD7gG
 じいさんから急な電話があったのは、その日の午前10時頃だった。
 俺が便所でウンと気張っているところにピロピロ鳴らしやがるものだから、焦ってしまって仕方がない。「待
て待て待て待て」と叫びながら尻を乱暴に拭いているうちに、コールは止んだ。
 電話は留守電モードに切り替わったんだから、そっちに入れておけばいいじゃんか、などと思いつつ着信履歴
を確認した。じいさんからだとわかったので、こっちから掛け直そうかと思った時に、またピロピロと呼び鈴。
「はい、河野です」
「もしもしっ! 長瀬じゃがっ」
「じいさんだろ、さっきの電わ……」
「このタワケ者めが! なぜ一度で出ぬかっ、小僧おぉっ!!」
 じいさんが異様に興奮しているので、とりあえず理由を聞いた。
 じいさんの言葉を聞いて俺は絶句。由真が自転車で転倒して負傷、病院にて治療中だという。ケガの程度はま
だ不明だが、じいさんによれば「顔が血まみれ」……。

 由真がいる病院を聞き出すと、俺は居ても立ってもいられずに家を飛び出し、自転車に飛び乗った。
 飛び乗ったはいいが……俺はすっかり忘れていた。昨日、自転車のタイヤが派手にパンクしてしまっていたこ
とを。俺は使えない自転車を蹴倒した。
 タクシーを呼ぼうにも、最近は何かと物入りで金がない。
 よし、このみの自転車を借りて……いや、あのお子様チャリンコは危ないな。ミイラ取りがミイラになるどこ
ろか漢方薬の粉末にもなりかねない。
 俺は覚悟を決め、走っていくことにした。
 目指すは駅前の市立病院。懸命に走れば15分くらいで着くか……?

 じいさんによれば、由真は駅南にある予備校で公開模試を受けるため、午前9時頃にMTBを飛ばして予備校
に向かった。その途中で、MTBごと派手に転倒し、負傷してしまったという。
 由真は自力でどうにか市立病院までたどり着き、携帯で家に連絡を入れたのだが、家の人はすでに仕事に出て
しまっているらしく、誰も出なかったそうだ。
 仕方なく、由真はダニエルのじいさんに電話した。
695名無しさんだよもん:05/01/31 22:51:49 ID:3NPtUyZj
>>680みたいな言い回し好きだなあ。自分には出来ないだけに尚更。
696陽炎に浮かぶ彼女 2:05/01/31 22:52:46 ID:6WEcD7gG
 じいさんは、主人と共に東京の都心に出向いていて身動きが取れず、由真から事情を聞いたところで電波の状
態が悪くなり、通話が切れてしまったそうな。
 じいさんは由真にかけ直すが、診察室で治療に入ってしまったのか、携帯の電源がすでに切られている。
 そこで、じいさんは俺に電話してきたのだ。行って様子を見てこい、容態がわかったら連絡しろ、と。

 信号を赤信号で渡り、大通りの長い信号を迂回するため、今ではめっきり数の減った歩道橋を駆け上る。
 俺は必死に腕と足を動かすが、なかなかスピードが出ない。運動不足だろうか? 夏休みには、50メートル
自由形のタイムトライアルとか、10km持久走とか、予鈴前の猛ダッシュとか、そういうことはしなくていい
わけで、気付かぬうちに体が鈍ってしまったのだろう。せいぜい友人や由真と市民プールで遊ぶくらいのことし
かしてない。だって、暑いし。

 俺は市立病院のある通りにたどり着く。アスファルトの向こうにモヤが見える。散水車の打ち水が猛烈な日差
しで蒸発し、それが俺に陽炎を見せているのだろうか。でも陽炎の向こうには、幻でなく、確かに由真がいるは
ずだ。光の揺らぎが、昨日唇を交わした彼女の姿を、俺に見せる。
 止まることなく駆けてきたため、息は上がり、胸は締め付けられ、熱い汗は額から胸から背中から華厳の滝の
ごとく流れている。それでも、俺は体に最後のムチを打ち、ゆらぐ陽炎を越えて病院にたどり着いた。
 病院入り口で小型タクシーと接触しそうになったが、時が見える人種のような超反応で、無事にかわす。俺は
倒れるわけにはいかないのだ。時間は10時20分ちょうど。

「な、な、な……ながしぇ、由真という、女の子が、こっちに、来てると、思うの、です、が」
 市立病院の受付で、俺は訊いた。
 死神のような俺の形相を見て、受付のオバチャンは一瞬たじろぎを見せたが、すぐに「長瀬さんは救命救急セ
ンターです。こちらへ」と言って俺を案内した。
697陽炎に浮かぶ彼女 3:05/01/31 22:53:47 ID:6WEcD7gG
 そこの入り口には、赤地に白い字で「救命救急センター」と書かれたランプが点灯していた。俺の背中に、先
程とは違う種類の汗が流れ始めた。
 磨りガラスの扉の向こうで、彼女が笑顔で待っていることを信じ、俺は扉を開ける。
 外来の待合室には、由真の姿はなかった。どこの誰かとも知れぬ婆さんが一人、ぽかんと口を開けていただけ
だった。
 そして、俺の真っ正面には「処置室」の扉が立ちはだかっていた。この向こう側に、由真はいるはずだ。
 俺は、処置室の右手にある外来受付に声をかけた。
「ご家族の方ですか?」
 受付の女性にそう訊かれた。
「友人です。長瀬さんが連絡をくれて……」
 俺はそう言った。「いいえ、フィアンセです」とでも言えばカッコ良かったかな? などと後々になって思っ
たが、この時はとてもそんな余裕はなかった。
「長瀬由真さんは現在治療中ですので、そちらのソファーに腰をかけてお待ちください」
「由真の容態は!?」
 俺がそう訊くと、女性は後ろにいる医師だか事務員だかわからない男性に声をかけて訊ねた。男性は「ああ、
今レントゲン撮影だぁわ」と他人事のように答え、女性は俺に向きなおり「レントゲンです」と答えた。……全
然答えになっていない。
 納得できない俺は彼らに食い下がろうとすると、女性が「他の方のご迷惑ですから、座ってお待ちください」
とか言いやがるので、俺はしぶしぶソファーに座る。俺の隣では、さっきの婆さんが虚ろな目で口を開けている
ばかりだった。

 10分過ぎた。由真は出てこない。ピンポンパンポーン、と院内放送が流れる。ひょっとしたら由真のことを
言うかも!? と耳を澄ますが無駄だった。駐車場に違法駐車してある車の持ち主を呼びだしていただけだった。
 窓から外を見る。駐車場では子供達が戯れていた。子供らに道を塞がれたRV車が、忌々しそうにクラクショ
ンを鳴らし、茶髪の女がRV車に汚い言葉を浴びせていた。子供達の母親だろうか。気分が悪くなった俺は、ソ
ファーに寄りかかった。
698陽炎に浮かぶ彼女 4:05/01/31 22:54:57 ID:6WEcD7gG
 20分過ぎた。婆さんは出ていった。外が暑いので、ここで涼んでいただけらしい。俺は待合室に独りぼっち
になった。
 立ち上がり、待合室から空を見つめる。雲一つない青空。その下で、由真は顔を血だらけにして……いや、や
めよう。由真はきっとたいしたことない。ちょっと顔をすりむいただけなんだろう、それをじいさんが大袈裟に
言っただけなんだろう。きっと。そうに決まっている。
 待合室を出て(待合室は携帯使用禁止)、じいさんに一旦電話するが、じいさんは出ない。由真の自宅にかけ
てもやっぱり出ない。とりあえず、それぞれの留守電にメッセージを入れて待合室に戻った。

 30分過ぎた。俺は腕を組み、堅いソファーに座り続けていた。
 気が付くと、俺は貧乏揺すりをしていた。俺が貧乏揺すりをしていると、いつもいつも由真は「こら、たかあ
き! みっともないから、そういうのはやめなさいよ!!」と、母親のように咎めて言うのだ。
 受付の女性と事務員ぽい男がつまらん話をしていて、俺をさらに苛立たせる。
「ノリさんノリさん、FF]Xどこまで進んだぁ?」
「うんとね、偽善者の塔」
「レベルいくつー?」
「77」
「やりぃ、あたしの勝ちぃ」
 俺は殺意の衝動を抑えるのに必死だった。

 40分過ぎた。受付のガラス戸は閉じられている。待合室で聞こえるのは、時計の秒針の音だけ。
 ……なぜ、こんなに時間がかかるのだろう? たいしたことがないなら、とっくに出てきていても良さそうな
ものだ。
 やはり、由真に何かあったのだろうか?
 ひょっとしたら、顔が血だらけになったというのは本当で、顔を何針も縫うような――または、皮膚が削れ肉
がそげ落ちるような、酷いケガを負ったのだろうか? 手か足を複雑骨折してボルトでも埋め込んでいるのだろ
うか? それとも、それとも頭を打っていて、それで容態が急変して……。頭を打った場合は、少し時間が経っ
てから突然容態が急変して、死亡してしまうことがあると聞いたことがあるぞ。
 死の臭いが俺の周辺に漂い、それは必死になって俺を取り込もうとしてくる。
699陽炎に浮かぶ彼女 5:05/01/31 22:55:36 ID:6WEcD7gG
 昨日も俺と馬鹿話をしていた由真が、別れ際に唇を合わせた由真が、不意に、小さなつまらない事故で、陽炎
とともに壊れて消えてしまうなんて、俺には信じられなかったし、信じたくもなかったが……。
 「予備校の古文の講師は、あたしの胸元ばかりチラチラ見てくるドスケベ野郎! 雑巾の絞り汁を飲ませたく
なるくらい嫌い!!」だの、「あんたはハメ技使いすぎ!!」だの、「いい加減、あたしからの電話はワンコールで
取ること!!」だの……。
 ようやく、どんな泣き言やムチャな話でも言い合える仲になったのに、身も心も結ばれたというのに、「さよ
なら」の一言もなく俺の前から消えてしまうなんて、俺には許せなかった。
 一人で勝手にどこかへ行こうとするな。俺はあの日、お前にそう言ったはずだ。
 俺はお前を二度と離さないと決めたんだ。夕闇に震えていたお前を二度と孤独にはさせないと、俺がそう決め
たんだ。
 だから、戻ってこい。どうしても戻れないなら、俺が陽炎の向こうに迎えに行ってやろう。
 日本史の授業で聞いた話だが――『古事記』に出てくるイザナギは、死んだ妻のイザナミを連れ戻そうと黄泉
の国まで行ったのだが、イザナギはタブーを犯してしまい、逆にイザナミに命を狙われたあげく、ついに離縁し
てしまったという。
 俺なら、そんなポカはしない。由真、お前が犬になれというなら、俺はお前のゲンジ丸になろう。お前がバナ
ナの皮でスケートをやれというなら、俺は躊躇わずにやってやる。
 だけど、由真。俺にそこまでさせたくないなら、どうか処置室から出てきてほしい。どうか無事な笑顔を見せ
て欲しい。そして、いつものように、俺に憎まれ口を叩いてくれ。

 不意に、処置室の扉が開いた。
 俺はソファーから飛び上がって、扉の向こうを見た。
700陽炎に浮かぶ彼女 6:05/01/31 22:56:10 ID:6WEcD7gG
 由真だ。由真が出てきた。ナースが押す車椅子に乗って……。
 眉に皺を寄せて大きなハンカチで鼻を押さえ、右手首と両足の膝には痛々しく包帯が巻かれていた。フレーム
が歪んだメガネを載せた目元は、往年の喜劇俳優のそれを思わせた。
「……たかあきじゃん。何やってるの?」
「なにやってんのじゃないだろ、お前は……!!」
 俺は思わず怒鳴ってしまった。
「ちょ、ちょっと、自転車でコケただけよ。骨にも異常はないから……ただの打撲よ、ホントに」
 由真は鼻を押さえながら、歯切れの悪い言い方をした。
「頭は、打たなかっただろうなっ!」
「打ってないよ。顔面から倒れたから、鼻とアゴを擦り剥いちゃった。下唇も噛んじゃって……アイタタ」
 由真が押さえていたのは、鼻ではなかった。噛んで傷ついた下唇だった。
「顔面が血だらけになったと聞いたぞ!? 服にも血が付いてる」
「唇切ると結構血が出るじゃない!? だからよ……。ところで、誰から聞いたの? あ、わかった。おじいちゃ
んでしょ!?」
「じいさんも心配してたし、俺も!」
「……ご、ごめん」
 しおらしくそう言うと、由真はヨロヨロと立ち上がろうとする。
「あ、無理すんなって」
「いいのよ! あたしはちゃんと歩けるから! さぁ、これから治療代を精算しに行かないと……」
 そう言いながらも、顔をしかめて辛そうだ。
「無理するな。一緒に行こう。そうだ、俺がおぶっていってやる」
「おんぶって……子供じゃないんだからぁ」
 由真は首を左右にブンブン振って抵抗する。
「じゃあ、お姫様ダッコだ」
「もっとイヤっ!!」
 後ろでナースがクスクス笑っている。由真はそれに気付いて真っ赤になった。
 そして、潔く俺の背中にもたれかかった。
701陽炎に浮かぶ彼女 7(終):05/01/31 22:56:53 ID:6WEcD7gG
「……痛むか?」
 ふと、由真に訊いてみた。
「当たり前じゃないの。そんなにホイホイ痛みが消えるなら病院はいらないわよ」
 由真の口調は、いつものままだ。何も、壊れてはいなかったんだ。
 俺の目から、涙が一滴こぼれて落ちた。
 由真の温もり、そして鼓動が、俺の背中全体へと伝わってきた。
 俺の感じた死の臭いなどは、全て陽炎の見せた幻だったのだ。それは夏の日差しの中で、瞬く間に蒸発して消
え去っていった。
702名無しさんだよもん:05/01/31 23:08:55 ID:OybeIbrx
>>701
GJ!
由真が無事で良かった(´;ω;`)
703名無しさんだよもん:05/01/31 23:12:49 ID:683ErBTX
>>693
お疲れ様です。たいしたことはなかったとのことですが、
作品から693さんがどれほど心配されたのかよく伝わってまいりました。
当方も先日母が車で事故を起こしたばかりでして、こちらもたいしたことはなかったのですが、
連絡を受けてすぐは肝を冷やしたものです。
うちの母は軽いPTSDに悩んでおりますが、
693さんの身内の方がそのようなことのないよう祈っております。
704元祖!メイドロボのテスト:05/01/31 23:25:40 ID:m9trlddH
午後になり、あらかた話も聞き終わると休みであるゆえにやることがない。
テレビを見てるのも暇だし、このみと最近やることの主流になっている勉強でもしようかな。
このみの奴、成績が芳しくないのが本当だからかただ単に甘えるのが目的なのかはわからないが積極的に勉強中にも俺に質問をしてくる。
しかも必ずと言っていいほどこのみのほうから『勉強しよ』と誘ってくる。
おかげで期末テストの点数も鰻のぼりだ。
昨日の英語の小テストの点数なんかもいい例だ。
ただ今はマルチがいるし、ほっとく訳にもいかないもんな。
う〜ん、どうしようか。
「あのう」
「ん?」
「私、そろそろお仕事をしたほうがいいと思うんですが」
「仕事?」
「はい。お掃除をしたいと思いまして」
掃除を?
でも昨日掃除したばっかりだし、かなり綺麗だとはおもうんだけど。
「よろしいですか?」
「いや、駄目とは言わないけど・・・昨日掃除したばっかりだよ」
「でもお掃除は毎日したほうがいいです。毎日ちょっとずつでもほこりはたまっていきますから」
「確かにそうだけど・・・本当にいいの?」
「はい。お二人はその間ゆっくりとしていてください」
う〜〜〜ん、なんか悪いよなぁ。
俺自身そんなに掃除が好きなわけじゃないけどそれを人に押し付けるのもあんまりいいとは思わないからな。
「でもやっぱりこんな広い家の中を一人でやらせるわけには・・・」
「私はメイドロボです。私は、人間の皆さんのお役に立てれるように作られたんです。ですからやらせてほしいんです」
「んーーー。じゃあそこまで言うんじゃやってもらおうかな」
「はい。任せてください」
マルチはにっこりと笑ってぐっと拳を握った。
「それではお掃除の道具がある場所をお教えしていただきたいのですが」
「あ、それはこっちだよ」
マルチに掃除用のクリーナーや布巾、座敷箒にモップの場所を教えてあげると俺とこのみは邪魔にならないように二階へとあがった。
705元祖!メイドロボのテスト:05/01/31 23:26:26 ID:m9trlddH
二人で勉強するために親父たちの部屋から持ってきたガラスのテーブルでいつものようにノートと参考書を開く。。
「ねぇ、タカ君」
「ん?」
「ここの数学の公式がよくわからないんだけど・・・」
「ここか?」
これは二次方程式の解の公式だな。
「ここのbっていうのはxの値の係数であって―――」
「あ、そうか。じゃあここを代入すればいいんだね」
「ああ、そういうことだ。えらいぞ、このみ」
「えへ〜」
こんな具合で勉強は進んでいく。
が、やっぱり下が気になる。
掃除機の音が鳴ったり止んだりしているんだからちゃんと掃除は進んでいるんだろうけど・・・。
「ねぇねぇ、タカ君」
「なんだ?またわかんない問題があったか?」
「ううん、そうじゃなくて」
「ん?」
「マルチさん、一人で大丈夫なのかな?」
やっぱりこのみも気になってはいたのか。
・・・あれから二時間。
「休みがてらにちょっと見に行ってみるか?」
「そうだね」
座っているクッションを重ねて部屋から出ると階段を下っていく。
リビングからは掃除機の音と『るんるん』と語尾に星をつけてもいいような鼻歌を囀さんでいる。
どうやらさっきみたいに蒸気を出して倒れているとかそんなことはないみたいだ。
まずはそこで安心した。
706元祖!メイドロボのテスト:05/01/31 23:27:12 ID:m9trlddH
「おーい、マルチ・・・」
リビングに入って呼ぼうとしたときに中を見て唖然とした。
「どうしたの、タカ君・・・ふわ〜」
これは予想をはるかに越えていた。
リビングの中はまるで新築の家のようにフローリングやガラスはぴかぴかでサッシや梁の上のほこりも綺麗にふき取られていた。
「あ、貴明さんにこのみさん」
マルチはこちらに気がついたらしく、掃除機の電源を切ってぱたぱたとやってきた。
「これ・・・一人でやったの?」
「はい。まだ半分も済んでませんが」
え?!これで半分済んでないの?
「もしかしてどこかよろしくなかったところでも・・・」
「いやいやいや、十分だよ。それどころかあんまりにも綺麗で逆にびっくりしたよ」
「マルチさんってすごいんですね。私のお母さんだってここまではできないですよ」
「いえ、私にはこれくらいのことしかできないですから」
そうだとしてもすごい。
これはお世辞じゃなくて素直にそう思う。
「では、あとの残りも頑張りますので」
「あ、少しぐらい休んだほうがいいんじゃないか。疲れているだろうし、こっちもちょうど休みを入れようとしてたとこだし」
「いえ、でも・・・」
「せっかくだからいっしょにお茶を飲みましょう」
「はい、それではお言葉に甘えて」
マルチは頭にかぶっている三角巾をたたんで奥にある掃除機を壁際に寄せた。
「あ、それとこのみさん」
「はい?」
「私に話すのに気を使わないでください。貴明さんと同じように喋ってもらって結構ですので」
「ん〜。それじゃ、私はマルチちゃんって呼ぶから、マルチちゃんは私のことこのみって読んでね」
「そ、それじゃあ立場が逆です。名前を呼び捨てなんてできません」
「それじゃ〜マルチちゃんの好きに呼んでいいよ〜。私もあんまり気を使われるのは得意じゃないからもっとラフにいったほうがいいな」
「あ、ついでに俺もこのみと同意見で」
「ど、努力します」
メイドロボってこういうところは律儀なんだろうな。
707雄二の人:05/01/31 23:48:47 ID:eQRJ0G/O
ごまん…。駄SS投下しまつ。
708名無しさんだよもん:05/01/31 23:50:27 ID:+cv/zmVj
まて!

容量があと27kbしかない!
次スレを待つんだ!!
709名無しさんだよもん:05/01/31 23:54:25 ID:j94dS+7H
710名無しさんだよもん:05/01/31 23:55:14 ID:XYLGUalH
>>707
よしいけ!
711雄二の人:05/01/31 23:56:03 ID:eQRJ0G/O
>>708
GJ!次スレを待つよ!
712名無しさんだよもん:05/01/31 23:56:36 ID:j94dS+7H
前スレで他所にうpされた作品一覧

暗闇の中で
ミルファのいる生活
ttp://www2.tokai.or.jp/v-sat/ss/ss_index.html

真夏のミステリ
ttp://www.geocities.jp/karin_th2/index.html

押しかけメイドイルファさん
ttp://bcproject.h.fc2.com/maid.html
713名無しさんだよもん:05/01/31 23:56:47 ID:+cv/zmVj
>>709


>>710-711
関連スレ貼り終えるまで待つんだ!!
714名無しさんだよもん:05/02/01 00:01:00 ID:H7Pms2Yg
そろそろ念のため保存しとくか(・ω・)
715名無しさんだよもん:05/02/01 00:01:45 ID:lLJqixjq
>>711
偉大なスレ立て人j94dS+7Hの作業が完了した!
SS逝ってヨシ! グッド・ラック!
716名無しさんだよもん:05/02/01 01:55:41 ID:sgEf1ebH
とりあえず>>565氏の作品に追いつくものを書いてみようと思ったが、
エロ描写はさくさく3レス分くらい出たものの、台詞回しや呼び名とかの整合監修のほうが
大変だなーと思った。

TH1のキャラは脳内にエミュレーターシナプスが結線済みだけど、TH2キャラは
もう何回か通しでプレイしないとあかんのう。

717名無しさんだよもん:05/02/01 10:39:51 ID:CqEw227u
>>GJです
このみ最高
マターリ待ちます
718名無しさんだよもん:05/02/01 14:38:13 ID:D3pElRYQ
さあ盛り上がってまいりますた!
719名無しさんだよもん:05/02/01 21:13:42 ID:XDWwNBud
 な ぜ 由 真 タ ン の エ ロ が 無 い ? !
720名無しさんだよもん:05/02/01 21:16:06 ID:krOxLuDu
 キ ャ ラ が う s ( r y
721名無しさんだよもん:05/02/01 22:06:53 ID:IpeV1lxq
何故ゲーム中には名前が出たくらいのキャラが大活躍するのか?
722名無しさんだよもん:05/02/01 22:59:49 ID:DWQqr10A
愛だよ!愛!!
723名無しさんだよもん:05/02/02 00:01:53 ID:FMvay6tz
倉等SSスレが未だ3スレ目なのに対してこちらは既に3スレ目に突入したのは何故か?
724名無しさんだよもん:05/02/02 00:04:43 ID:YoH2T0sM
2次創作しやすいからじゃない
725元祖!メイドロボのテスト:05/02/02 00:47:47 ID:+JTChq/t
結局、その後にお茶の時間を取った後、マルチは再び掃除を続けることになり、俺たちも勉強を続けた。
今度はさっきのように下の心配はすることはなかった。
まぁあれだけ綺麗になってればそう思っても不思議じゃないだろう。
そしてさらに二時間ほどたった。
「んーーー、あ。もうこんな時間か」
大きく伸びて時計を見た後に外を眺めると西の空がオレンジ色に染まり、大分暗くなってきていた。
もうすぐ夏休みに突入して夏真っ盛りになるが、このころになるといくら夏とはいってもやっぱり暗くなってくる。
「あ〜、本当だ。そろそろ夕御飯作り始めなきゃ」
このみがノートと参考書を片付ける。
「俺も手伝うよ」
正直、このみといっしょだから勉強するのにそのこのみがいなくなるんじゃな。
座っていたクッションを重ね、テーブルのガラス板をはずし、足をたたんで部屋の隅に立てかけてから下へと降りていく。
一階からはさっきまで聞こえていた掃除機の音が聞こえないんだからもう掃除も終わっているらしい。
「おーい、マルチ〜」
リビングをのぞいて名前を呼ぶが反応がない。
「あれ?」
どこいったんだろう?
726元祖!メイドロボのテスト:05/02/02 00:48:33 ID:+JTChq/t
あ、ソファーに座ってる。
「マルチ〜?」
まさか・・・また倒れたとか?!
確認するために前からのぞく。
「す〜・・・す〜・・・」
ほっ・・・なんだ、眠ってるだけか。
そりゃ疲れただろうからな。
その証拠にリビングはさっきより一層綺麗になっている。
「ありがとう、マルチ」
眠ったままのマルチの頭を撫でてやる。
「ん〜」
眠りながらもニコッと笑う。
きっといい夢を見ているんだろうな。
イルファさん曰く、メイドロボは眠っている間に記憶データの整理を行って必要なデータと不必要なデータを整理・削除等を行うらしい。
その時に整理されるデータがメモリーを通過するときに夢のようになるそうだ。
しかしこの顔を見る限り、マルチは今『いい夢』を見ているんだろうな。
今しばらく、ゆっくり寝かせてやろう。
ピンポー――ン。
「ん?」
手を離した瞬間、家の中にはインターホンの音が鳴り響いた。
いったい誰だろう?
ああ、同行人が夕方ころまでは来るっていってたよな。
時間的に考えてもそろそろだろうし、おそらくそう思って間違いないかな。
「このみ、マルチのこと頼むぞ〜」
「あ、はーい」
727名無しさんだよもん:05/02/02 23:18:38 ID:u/4T5XGU
俺SSよりもあとがきや感想、お礼を書く方が苦手。。。
なんか自分で読んで変な感じがするの。
結果書き逃げみたいなことが増えそうなんだがこれいかに。
やっぱ社会協調能力に欠けてるのかなー。
728名無しさんだよもん:05/02/02 23:53:03 ID:XMG2WN7A
>>727
自分のペースで書けばよいのだ。
作品で人を楽しませたのだから十分だ。
なおこの上に、気苦労背負い込んでまでいい子ちゃんにならんで良い。

お礼は、書きたくなれば勝手に体が動いて書いておるだろうから、
その気になるまで気楽にして、陵辱ものを書いておればよいのだ。
729名無しさんだよもん:05/02/02 23:56:02 ID:x6NPqsA+
>727
いや、別にいいんじゃね?
つか私などはむしろ投下後にあーだこうだ言うべきじゃないと思ってるし。
感想貰ったからっつってそれにレス返すと、それにまたレスがついて……となって
結果、一部の人がスレ占有してるみたいになっちゃう。
(っつーか、もう既にそうなってるように感じる)
馴れ合いは嫌いじゃないんだけどね。
730元祖!メイドロボのテスト:05/02/03 00:49:16 ID:Sh/03Kiv
ところで同行人ってどんななんだろうな。
やっぱりこういうものを作る人なんだからアレげなぐるぐるメガネに白衣とか?
それとも若干12歳の天才美少女、とかってのもあるかも。
いやいや、まさかな。
でも珊瑚ちゃんの例もあるしな。
うーん、わからないぞ。
ピンポー―ン、ピンポー―ン。
・・・バカなこと考えてさっさと応対しよ。
こんなことで待たせてどうするんだよ。
「はいはい」
扉を開けてその先にいる人物を確認する。
そこにいたのは街中を探せばどこにでもいそうな男性と女性の二人。
男性の手には大きなキャビネットケースが引かれ、女性も肩にパンパンにふくれたスポーツバッグをかけている。
見た感じでは俺より少し年上のようではあるが。
「すみません、河野さんのお宅というのはここですか?」
「はい、そうですが」
女性は丁寧にお辞儀をすると写真を見せてきた。
「それじゃあここにHMX-12ことマルチちゃんが来ているはずなんですが」
「はい、今リビングにいますが」
どうやら今度は本当に同行人みたいだ。
「それではご両親をお願いできますか」
「すみません、今うちには両親がいないです」
「え?」
「二人して海外赴任しちゃってて現在は一人暮らしをしているもので」
「ひ、浩之ちゃん。どうしよう?こんなこと聞いてないよ」
731元祖!メイドロボのテスト:05/02/03 00:50:00 ID:Sh/03Kiv
女性は一人で慌てだして隣の男性にすがりついた。
珊瑚ちゃん、もしかして俺が一人暮らしだってこと伝えてないの?
「落ち着け、あかり」
男性は女性の肩にぽん、と手を置き、今度は男性から話し掛けてきた。
「とりあえず、あんたがマルチの面倒を見ていてくれたんだな」
「あ、はい・・・結果的にはこっちが世話になっちゃったんですが」
「こっちの話では確かにあんたんぽ家でテストが行うことになってるんだが、本当にそれであってるかい?」
「ええ、まあ・・・一応ですが」
そうではあるんだがこちらから進んで受けたわけじゃないからどうも歯切れが悪い返事というか・・・。
印象悪いよな、これじゃ。
だが男性そんなことはお構いなしにすっと手を差し出した。
「俺は藤田浩之。これからマルチといっしょにアンタん家で一ヶ月ほどお世話になるが、よろしく」
「あ・・・よろしくお願いします」
一瞬あっけにとられたが反射的にこちらも手を差し出して握手を交わした。
「こっちは俺の助手にあたる神岸あかり。こっちもたまに泊まることがあるからそのときはよろしくたのむ」
「神岸あかりです。このたびはご協力ありがとうございます」
ぺこぺこと深々と下げる。
「いえいえ、こちらこそ」
今度は相手の腰の低さにこちらも腰が低くなってしまう。
「立ち話もなんなので、それでは藤田さんに神岸さん、中へどうぞ」
「おう、お邪魔します」
「失礼しまーす」
7327月文月:05/02/03 01:15:08 ID:Sh/03Kiv
重大な誤字発見!

730の8行目
バカなこと考えて〜〜 ⇒ バカなこと考えてないで〜〜

731の7行目
〜確かにあんたんぽ家でテストが行うことに〜 ⇒ 〜確かにあんたの家でテストを行うことになってるんだが〜

が本当です。
推敲したのに何で気づかなかったんだろう?
ただ単に注意不足か。
733名無しさんだよもん:05/02/03 07:23:58 ID:aMU7KplZ
>>727
俺は作品がそこで終了したことを分かりやすくするために、
一行でもあとがきはいれるようにしてるけど、
お礼レスは基本的にしたことないよ。
気にすること無いさ〜。どんどん書こうぜ。
734名無しさんだよもん:05/02/03 08:59:53 ID:ms/bp0Is
ごめんあんたんぽ家で吹いた
でもGJ!
735名無しさんだよもん:05/02/05 23:24:34 ID:1TE0tIuP0
まだ落ちてないの?
736元祖!メイドロボのテスト:05/02/06 00:48:16 ID:PxwbXa+S0
「俺は貴明っていいます。気軽に『貴明』って呼んでください」
そのまま招き入れた二人のことをリビングへと通す。
「あれ。タカ君、お客さん?」
後ろにいる藤田さんと神岸さんの姿に気がついたこのみがエプロン姿のままリビングのほうへとやってくる。
手が微妙に濡れているみたいだからエプロンを着て手を洗ったばかり、ってところかな。
「ほら、マルチの同行人の二人だよ。こちらは藤田浩之さん、それでこちらが神岸あかりさん」
「柚原このみです。一応・・・タカ君の恋人であります」
「へぇ〜」
うおっ。何いきなり爆弾発言してるんだよ、このみ!
「なかなかモテモテのようだな、『タカ君』は」
藤田さんも神岸さんもニヤニヤと俺の顔を見ている。
うう・・・恥ずかしい。
「えへ〜、モテモテだって」
「お・ま・えなぁ〜」
「うあ゙〜〜〜〜〜」
ぐりぐりと拳を頭の上で回す。
それから逃れようとじたばたと暴れまわる。
が、そうはさせまいと俺も粘る。
「ふふっ、面白い人達だね、浩之ちゃん」
「ああ、とりあえず退屈はしなさそうだな」
見守りながらくすくすと笑い続ける二人組。
737元祖!メイドロボのテスト:05/02/06 00:49:07 ID:PxwbXa+S0
「あ、そうそうマルチは・・・」
藤田さんはドタバタしている俺たちを尻目にソファーのマルチに近寄り、
持ってきたキャリーケースからノートパソコンと一本のケーブルを取り出す。
「なぁ、貴明。コンセントはどこにあるんだ?」
「あ、コンセントですか。ソファーの後ろです」
ようやくこのみのことを開放してやり、ソファーの後ろを指差す。
藤田さんはコンセントにアダプターを差し込んでノートパソコンを立ち上げる。
お、これって来栖川エレクトロニクスの最新型のノートパソコンだ。
その証拠に立ち上がる際に『KURUSUGAWA ELECTRONICS』とかっこいいロゴが画面上へと浮かび上がる。
うちのPC、親父が知らずに買ってきた『SATEC』のPCだからな。
そろそろPCも買い換えることも考えてみるかな。
と、そんなことを考えている間にも藤田さんは早々とキーボードをたたいてプログラムを開いていく。
そしてさっきのケーブルをPCに繋ぎ、もう片方をマルチの耳カバーに接続してEnterキーを押す。
するとピコピコと画面が変わって『接続中だよ』とクマの人形が吹き出しで喋っている画面が出てきた。
「これでよし、っと」
「これは?」
「マルチの簡易バックアップとデータ整理の手伝い、それに電源の補給さ。マルチは毎日一回、バックアップを取っておくことが実験中の義務になってるんだ。
 それにマルチは水素電池で動いているけどそれも電源を長期間起動させられるレベルであるだけでまだ電源補給も必要なんだよ」
「は、はぁ」
何となくだがわかった。
「・・・いい顔をしてるな」
「うん、マルチちゃん、うれしそうだね」
二人は眠りつづけながらも浮かべている笑顔を遠い眼で眺めていた。
この三人・・・俺の知らないような大変なことがいっぱいあったんだろうな。
きっと・・・深く強い絆で結びつけるような大きな大きな出来事が。
738元祖!メイドロボのテスト:05/02/06 00:49:51 ID:PxwbXa+S0
「タカ君、二人の分も作るけどいいよね」
「ああ、もちろんだ。むしろ今日は豪勢にいってもいいぞ」
「ほんと?!やた〜。それじゃあ今日はカレーだ〜」
「あ、私も手伝うよ」
神岸さんは持ってきたスポーツバッグの中からエプロンを取り出してささっと身に付ける。
胸元のポケットにはクマのかわいい刺繍が入れられている。
「私、お料理得意だから、いろいろできることがあったら言ってね」
「はい。それじゃあ・・・野菜の皮むきをお願いできますか?」
「うん、いいよ」
神岸さんはこのみが冷蔵庫から出してきたジャガイモと人参をさっと洗うと皮むきをはじめる。
おお!早いし上手だ。
正直このみや俺なんかは相手にならないほど鮮やかだ。
もしかしたタマ姉といい勝負なんじゃないか?
「あかりの料理の腕は俺が保証するぜ」
「そんなにすごいんですか?」
「少なくても俺にとっては下手な料理店とかで出される料理なんかよりはうまいぜ」
太鼓判つきですか。
これはできる前からちょっと楽しみだ。
7397月文月:05/02/06 00:51:10 ID:PxwbXa+S0
ここで訂正
前回浩之が持ってきたのが『キャビネット』ケースになってました。
これ、『キャリー』ケースの間違いです。
そこのところ、修正でお願いしますです
740名無しさんだよもん:05/02/06 00:55:23 ID:5rL58/Au0
取り合えずGJ!
けど総鉄屑なんて買っていたら、さんちゃんだったらマジで怒っていたかも。
741名無しさんだよもん:05/02/06 01:05:24 ID:tJQfFsw40
そしてさんちゃんはGAGABYTEとか勧めるのか。
742元祖!メイドロボのテスト:05/02/06 23:58:53 ID:3f1l2ALT0
「ところで藤田さん。さっき一ヶ月ほど世話になるって言いませんでしたか?」
そういえばさっきはいろいろ慌てたりしてたから気が付かなかったけどマルチも『ここで一ヶ月ほどお世話になります』って言ってたし。
「ああ。一ヶ月ほど世話になることになってるけど、それが何か問題でもあるのか」
「いえ・・・俺は一週間か二週間ほどって聞いてたんで」
う〜ん、もしかして間違えたのかな?
珊瑚ちゃん、結構ぽわわ〜んとしたところがあるからなぁ。
「でも一ヶ月間もテストを行うんですか?」
「ああ。本来は二週間ほどが普通なんだけどな。またマルチにあの学園に通わせたくてな」
「あの学園?」
「寺女はわかるよな」
そりゃ、このあたりに住んでて知らない人は普通いない。
寺女とは西園寺女学院の略称としてよく呼ばれている。
このみの友達のタヌキっ子とキツネっ子が通っているところでお嬢様学院として有名だ。
とはいってもこのみが曰く、全員がお嬢様ではないらしいが。
確かによくよく考えれば全員がお嬢様だとしたらこの町は一体どういう町になるんだよ。
――ちなみにその二人の名前は確か吉田チエと山田ミチルだった気がする。
タヌキっ子は普通の家の子らしいがキツネっ子は・・・まぁ・・・このあたりを裏で仕切っている家のお嬢様であるらしい。
「そこから東の山のふもとにある学園さ」
「あ、俺もこのみもそこの現役の生徒ですよ」
「へぇ〜。じゃあ貴明とこのみちゃんは俺とあかりの後輩にあるわけだな」
と、言うことは・・・。
「藤田さんと神岸さんもうちの学園の卒業生なんですか?」
「ああ。三年前の話だよ。マルチがテストということであそこにやってきたのは・・・」
743元祖!メイドロボのテスト:05/02/06 23:59:36 ID:3f1l2ALT0
最初に俺とマルチが会ったのは学園の階段だった。
当時、俺はまだ二年生でいつものようにカフェオレを買いにいくところだったんだ。
休み時間に渡り廊下の自販機でカフェオレを買うことは俺の日課みたいなもんでな。
買いに行く途中、階段に差し掛かったとき大きな荷物を重そうに持ちながら上に上がっていく小さな子がいたんだ。
その光景が気になってしばらく上を見てた。
なにせ一歩一歩上がっていくごとにグラグラって今にもバランスを崩しそうで不安で不安で。
案の定、後2、3歩でってところでバランスを崩して後ろに落ちてきた。
あぶねぇ!って思って必死になってその小さな背中を支えた。
ゴロンゴロンって持ってた荷物、確か印刷紙だったけ。
それが階段の下まで一気に落ちたけどその子はちゃんと俺の手の中に吸い込まれるように落ち着いた。
でもその子、『はわわわわわ〜〜〜〜。落ちるー。落ちるー』って腕をブンブンって振り回していつまでたっても落ちていることになってるらしくて、
『お〜い』って声をかけるとはっと気が付いたようでくるっと俺のことを見るんだよ。
で、ちょっと間を置いた後に体制を立て直してやると『はわ〜、すみません!すみません!』って何度も誤って来るんだ。
その時に初めてその子の耳がちょっと違うのに気が付いた。
話を聞いて、実はメイドロボとようやく分かったんだ。
でもその子はどこから見てもちょっと小さくてきゃしゃな女の子。
だから持っていくっていう荷物を持ってやげると『そんな、私がやります』って、あくまでも自分でやろうとする。
そんな頑張りに惹かれたのかな。
それからと言うもの、その子が試験テストが終わるまで毎日のように俺とあかりとその子と三人で過ごしたんだ。
744元祖!メイドロボのテスト:05/02/07 00:00:19 ID:3f1l2ALT0
「それが俺とマルチの出会いさ」
そんなことがあったんだ。
この三人にこんなエピソードがあるなんて思いも寄らなかった。
「だからその思い出の地でまた新しい思い出を作らせてやりたいんだ。あいつ、あれから俺たちの半分の時間も過ごしたか過ごしたかわからないんだ。
 だからこそ、新しい時間を有意義な時間にさせてやりたいんだ」
・・・こういうのは親心っていうのかな。
とにかく、藤田さんは・・・いや、多分神岸さんもマルチのことを本当に大切に思ってるんだな。
きっと二人にとってマルチは『メイドロボ』って言う感覚じゃなくて『一人の人間』、そして『家族』として認識しているんだろう。
みんながみんなでそんな風に思えるようになればきっと心のあるメイドロボも世に出ることができるんだろうな。
745名無しさんだよもん:05/02/07 08:12:17 ID:LW5D99I20
いつの間にか続きが!
GJです。
やはりマルチは2年に入るのだろうか・・・
ここももうちょいで落ちるな〜
746名無しさんだよもん:05/02/07 14:55:24 ID:yKSJ0jlb0
SS2もSS3も目が離せないな
747元祖!メイドロボのテスト:05/02/07 22:12:25 ID:+fLf19S30
そうこう藤田さんと話しているうちに一時間ほどの時が流れた。
いつのまにか俺は藤田さん・・・いや、浩之さんと打ち解けていた。
言葉では説明できないけど、なんかどこかで分かり合えるところがあったんだと思う。
「は〜い、あかりさんとの合作、『愛の必殺カレー』できました〜」
「結構上手にできたと思うよ」
う〜ん、確かにうまそうだ。
きちっと綺麗に一口サイズに切られた野菜にカレーの香ばしい匂い。
だけどもその中にはほのかなワインのいい香りも。
匂いだけでもよだれが出てきそうだ。
「こいつはうまそうだな」
「今お皿を出しますから。少し待っててください」
「あ、俺も手伝うよ。神岸さんも浩之さんいっしょに待っててくださいよ」
「え、でも悪いし」
「いえいえ。このみと一緒に夕飯をつくって頂いたんですから。それくらいは俺がやりますよ」
と、言いつつ、行動を起こす。
このままじっとしてたらおそらく勝手にやりはじめてしまいそうだし。
「タカ君、あかりさんってすごいよ。うちのお母さんみたいにお料理を作るんだよ」
「春夏さんみたいに?」
「うん。野菜の皮むきは上手だし、調味料も計ることないで目分量で入れてもちゃんといい具合に味がつくんだよ」
「へぇ・・・」
748元祖!メイドロボのテスト:05/02/07 22:16:23 ID:+fLf19S30
なるほど、浩之さんが誉めるのも何となくわかる。
春夏さんと同じってならかなりのレベルだし、このみが絶賛するのも納得できる。
あの人はパワフルだけど家事全般に関してはプロ級の腕前を持っている。
実際、春夏さんの料理は何度も食べてるがお世辞抜きでうまい。
「タカ君。ご飯はどれくらいがいい?」
「そうだなぁ」
正直、さっきまで一生懸命に勉強してたから今はかなり腹が減っている。
運動しないで勉強すると腹が減るなんておかしいじゃないかとは思うがそれにはちゃんとした理由がある。
人間がエネルギーとする『ブドウ糖』が一番消費されるのは体の筋肉とかじゃなくて実は脳なのだ。
脳は、安静にしていても1日120g、つまりは1時間に5gものブドウ糖を消費することになる。
それに脳がエネルギー源としてできるのはブドウ糖だけで不足するとひどい場合は昏睡状態や脳が使い物にならなくなってしまう。
マラソンみたいにエネルギー消費が多いスポーツで疲れきった選手が水のほかに飴とかの糖分の多いものをとるのはそのためだそうだ。
だから勉強するっていう脳を非常に使う行動をすると腹が減るのだ。
「よし、大盛でいっちょ頼むぞ、このみ曹長」
「わかりましたであります、隊長!」
しゃもじを軽く水でぬらして炊飯器の炊き立てこ飯を軽くほぐした後、しゃもじに目いっぱいの御飯を三回ほど器に盛った。
・・・・・・・・・やっぱり自分でやったほうがよかったかな。
749名無しさんだよもん:05/02/08 10:13:01 ID:Nepnkutr0
そろそろピンチですな、ギリギリまでやって次スレ移行ですか
750名無しさんだよもん:05/02/08 16:07:33 ID:U518NsxV0
しかし長々と続く割には見せ場と盛り上げに欠けるSSですね。

こういうのもなんですが。
751元祖!メイドロボのテスト:05/02/08 23:06:50 ID:e2NDER640
「うぃ〜、ご馳走さんでした」
「お粗末さまでした」
結局俺はそのカレーをご飯一粒残さず食べた。
「でも今日のは特にうまかったな。また腕を上げたな」
「えへ〜、でも今日はあかりさんも手伝ってくれたからだよ」
「そんなことないよ。このみちゃんの土台がいいんだよ。私はそれにちょっとお手伝いしただけ」
「そ、そんなことないですよ」
「ううん、そう思うよ。お料理は愛情が大事。このみちゃんが貴明くんのことを想っているからこそ、お料理はどんどんおいしくなるんだよ」
「え、えへ〜、そうですか」
少し恥ずかしそうにしながらも顔はふにゃりとしている。
「よ〜し、これから毎日タカ君のためにいっぱい愛情のこもったお料理をたくさん作ってあげるね」
そいつはうれしいんだけど・・・。
「せめて量は普通にしてくれよな」
パンパンにふくれた腹をさすりながらそう答えた。
このペースで続いたら完璧に幸せ太りしてしまう。

夕飯の後はゆったりとした時間が流れた。
テレビを見たり、トランプをしたり、たいしたことをしているわけじゃないのにのんびりとしてとても楽しい時間だった。
「あ、もうこんな時間だ」
時計に目を傾けるともうすぐ9時になる所でテレビではニュースと天気予報がやっている。
「そろそろ帰るね」
「ん、そうだな。送ってくぞ」
「いいよ。お隣さんだし」
「そうか。でも隣だからって気をつけるんだぞ。今は危ない人はどこにいるかわからないんだからな」
「はい!肝に銘じておくであります」
びしっと敬礼を行うこのみ。
「うん。よろしい」
それにこちらも敬礼で返す。
すると自然と笑いが起こる。
「ま、そこまでは行かなくても玄関口までは送ってくぞ」
「うん」
752元祖!メイドロボのテスト:05/02/08 23:12:45 ID:e2NDER640
「それじゃあタカ君、おやすみ」
「おやすみ」
別れ際に軽く唇を合わせる。

さてと、このみも帰ったし、今夜のために三人用布団をの客間に敷かないと。
えっと、確か客用の布団が襖のなかにあったはずだよな。
ガラッ。
バサバサバサ!
「うわっ!!!」
襖を開けた途端に中から客用の布団が俺に向かって落ちてきた。
突然の出来事に対処できるはずもなく、そのまま下敷きになる羽目に。
(しまったなぁ。前にこのみのために出したのを片付けるときに無理やり押し込んだのを忘れてた)
ま、いまさら思い出そうが後悔しようが仕方がないが。
とりあえず崩れ出た布団の中から這い出て敷布団を引っ張り出して畳の上へと敷いた。
こんな風に乱暴に扱ってるのを母さんにばれたらきっとすごい剣幕で怒られそうだ。
母さん、寝具に関してはちょっとばっかりうるさいからな。
何でも昔にひどく寝つきの悪い期間があったらしくて布団や寝相を変えたらその前が嘘のように快眠できるようになったとか。
その後から眠ることに関しては結構凝るようになって布団なんかも専門店にオーダーメイドで作らせたり、
枕の中身がお茶とか檜なんかが入ってるものなんかも買ったりしている。
とはいってもマニアとかそんなほどのレベルではないみたいだからあくまでこれなら出せるという金額くらいのものではあるのだが。
布団って高いイメージがあるけど実際はそんなに高くはないらしくて高いのでも精々二万から三万くらいで買えるらしいし。
だからテレビショッピングなんかで羽毛布団が一万円で売ってたりするが実はそれほど安いというわけではないそうだ。
・・・・・・・・・しょうもないことなのになんか気になったら頭から離れないな。
寝る前にネットで確認しておこう。
7537月文月:05/02/08 23:20:15 ID:e2NDER640
そろそろ容量もいっぱいなんで次回からは3スレ目に移りたいと思います。

>>750
厳しいご指摘、ありがとうございます。
こちらも頑張って書いてはいるものですが何せまだまだへっぽこなもので。
皆さんに満足できる文章を書ければそれに越したことはないのですがどうか期待にこたえられるよう長い目で見つづけてください。

それとここまででも長々と書いてますがあくまで今までの部分はまだまだ序盤に過ぎません。
おそらくこのペースでいくとかなり長くなりそうです。
今回目標は日常を書くことにしているために不要な描写等が多くなりがちかもしれませんけどそれでその場の情景を
想像していただければありがたいです。
また、つまらないかもしれませんがこの長編にお付き合いいただければまたうれしく思います。
754名無しさんだよもん:05/02/08 23:47:49 ID:bu297ucq0
がんがれ
755元祖!メイドロボのテスト:05/02/11 02:55:01 ID:1famDV+b0
今日は時間がなかったので今までのあらすじとちょっとだけです。
明日はちゃんと書きます。

〔今までのあらすじ〕
このみと晴れて恋人になった貴明。
そんな数月後、急に珊瑚によってメイドロボの実験テストの場として自らの家がその実験場所となってしまった。
そこにやってきたのは以前発売されたHMX-12『マルチ』と藤田浩之、神岸あかりの三人だった。
これからこの三人と貴明との一ヶ月に渡る生活が始まる。


「タカ君、タカ君」
ゆさゆさと揺らされる感覚で目が覚める。
「ん・・・このみか?」
「おはよ、タカ君」
「おはよう・・・」
ベッドの横でにっこりと笑うこのみを朝から見るとやっぱり安心するとともに今日一日が始まった気になる。
ここ最近はこのみに起こされるのが習慣化していて毎朝食事を作ってくれるがてら、いつも7時前に起こしてくれる。
これは頼んだわけでもなく、このみが自分で好きでやっている。
あの寝坊助でこっちが起こしに行ってようやく起き、ドタバタして制服を間違えるし、女の子なのパンをくわえながら登校はするし。
そんなこのみが今はほぼ真逆の位置にいるんだから信じがたい。
信じがたくてもこれは現実だ。
ためしに頬を軽くつねると痛みを感じる。
そうすると―――
「あ、もしかして眠いから目を覚まそうとしてるの?それなら私も手伝うよ」
あ、いや、そういうわけじゃな―――。
「せーの!」
うっ・・・・・・・・・ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
756名無しさんだよもん:05/02/12 15:55:19 ID:HaO4Htlp0
再誘導 次スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1107183192/

>>755は投下ミス
>>752の続きは次スレ467より
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1107183192/467-

次スレがすでに400k越えているし、
スレ立ては480k越えてからくらいがいいのかねえ。
757名無しさんだよもん:05/02/13 20:24:39 ID:AOWDzXuI0
教えて君で悪いが、スレ容量ってのはどうやったら分かる?
758名無しさんだよもん:05/02/13 20:31:16 ID:mKVBbCT80
胸に手を当ててごらん
759名無しさんだよもん:05/02/13 20:49:24 ID:5BCFHR/b0
一番下を見てごらん。
760757:05/02/13 20:51:04 ID:AOWDzXuI0
因みに専ブラ(ゾヌ2)使ってます
胸に手は取り合えず当ててみましたw
761名無しさんだよもん:05/02/13 20:53:41 ID:mKVBbCT80
両手を上に挙げて
762名無しさんだよもん:05/02/13 20:57:27 ID:5BCFHR/b0
>>757
取り合えずラストは頂く。
763名無しさんだよもん
                              ζ               /ヽ   / |
                             / ̄ ̄ ̄ ̄\           | |  / /
     ,‐ヽ  /"ノ                /         \           | ヽ‐'、/__,-‐つ
  _  \ \ | /               /\   \   /|      ,,---、/二、 ヽ、,,-'"      
  \゙゙''ヽ‐-‐'"゙''|  ___            _|||||||   (・)  (・) |     ヽ‐-、   ヽ  二ニ⊃
    ゙゙''ゝ  ,‐''''ヽ',,,,-ヽ  ,-‐'''''''''''‐-;;.、 ^ (6-------◯⌒つ |''‐-、       |‐--,,,,、__/  
    /ヽ  ヽ‐-/    ./::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;|--|    _||||||||| |:;;;;;;ヽ、__  / ヽ‐''"ノ
   レ'"ヽ、,,,,,/ \ ,,,,/-‐‐-、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   \ / \_/ /、;;;;;;;;;;;;;|   /'"    '"|
       |‐‐''"   \‐''"""ヽ \;;;;;,,/ \    \___/ ゙''‐,-‐''''" " ''ヽ |       .|
       |       |ヽ   ゙゙"'-,,,,,      \  /  、,,,--、 /    ,,;;  |、      /
       |       / |    ヽ、‐ニ     ^ ^     ‐'''''|   //  \ヽ─‐''"ノ
       ヽ___/ /     /"~       |       /\,,,,, ヽ---‐' _/"
       _ヽ、     ‐-、,,,,,,,,,/、      __|_    //      ̄""─''"
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