前回までのあらすじ
貴明と愛佳が結ばれたことで、必然的に出会った雄二と郁乃。郁乃が雄二をいい男と言ったことを拡大解
釈した愛佳の後押しで、ふたりは友人となり、今は恋人関係。
郁乃に無理やり連れ出された海で通り雨に降られた二人はホテルで雨宿り。
そしてついに二人は結ばれた……のだけど。
ちょっと長めなエピローグの始まり。
第一話から第十一話はこちらで。
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滑らかな長い髪をゆっくりと撫でていた。
不思議なもので一度達してしまうと裸で寄り添いあってることの照れくささはまったく感じなくなっていた。
「……ちょっと寒い」
空調が効き過ぎているのかもしれないと、ベッドの傍にあるパネルを操作する。それから重めの布団に二
人して潜り込むと、郁乃は雄二に抱きついてきた。
「ん、あったかい」
左腕を曲げて、腕の上の頭を抱え込むように撫で続ける。余った右手で郁乃の肩に触れる。ゆっくりと肩
から腕にかけて手のひらを動かすと、郁乃は少しくすぐったそうに身をよじった。
「……もう」
ぎゅっと郁乃の手が雄二の鼻をつまむ。
「ごめんごめん。ギブギブ」
鼻をつまんだ手を取って、握る。
「……雄二さんは優しいよね。……でも、あたし知ってるの。雄二さん、優しいだけじゃないよね」
「……え?」
「ううん。独り言」
そう言って首を振る郁乃の顔は幸せそうに見えたので、雄二はそれ以上なにも聞かなかった。
「あ、そうだ。雨止んだかな?」
ベッドから抜け出して、窓を小さく開ける。小さく切り取られた空は、さっきまでの雨が信じられないほどの
青さだった。
振り返るともそもそと郁乃も布団の下から這い出てくる。
「シャワー浴びないと……。雄二さん、手伝って」
伸ばされた郁乃の手を掴んで、その軽い体を抱き上げる。
「お姫様ダッコされて初めて通るドアは風呂場です」
そう言ってくすくすと郁乃が笑った。
「あんまり乾いてないね」
顔を見合わせて苦笑する。
風呂から出てきて服を着ようとしたものの、脱ぎ散らかしたままの服はほとんど乾いていない。とはいえ、
外は快晴だし、もともとずぶ濡れというわけでもなかったから、そのまま袖を通してしまう。
お金を払ってホテルを出ると、濡れた地面に太陽の光が反射して、きらきらと世界が輝いていた。
「ちょっと眩しい……」
雄二は日傘を二度三度振って雨の滴を払うと、車椅子に深く掲げた。
「そろそろ帰らないと委員ちょがパニックで入院しかねないな」
懐から電源を切っておいた携帯電話を取り出して電源を入れる。そしてそのまままた懐に戻そうとしたとこ
ろでメールを着信する。メール受信欄を開くと、
「げ、34件、マジかよ……」
何件か貴明から来たものもあったが、それ以外はすべて愛佳からだった。おそるおそる最新のものを開こ
うとしてボタンを押した瞬間、着信があってそのまま画面は通話中に変わる。
「あ、はい、えーっと向坂です」
慌てて携帯電話を耳に当てる。
――向坂くんっ! なにやってたんですかっ!
その瞬間耳を貫いたのは、携帯電話としてありえないほどの怒声だった。耳がキーンとなる。
――……あ、あや、ご、ごめんなさい。すみません。すみませんすみませんすみま……――
一方で電話の向こうでは周りに謝っているらしい愛佳の小さな声が聞こえる。
――コホン、向坂くん、郁乃はそこにいるんですか?
「ああ、ちゃんとここにいるぜ」
ほう、と電話の向こうから聞こえる吐息。
――分かりました。とりあえずそれならいいんです。でも、せめて連絡はつくようにしておいてください。
「ごめんな、委員ちょ。悪かった」
――心配してたのはあたしだけじゃないですから、すぐ戻ってきてくださいね。
「ああ、分かった。ちょうど今から帰ろうと思ってたとこなんだ」
電車に乗って二人の街に戻る。
「お姉ちゃん怒ってた?」
恐る恐るという雰囲気で郁乃は雄二の顔を伺う。雄二が苦笑いして郁乃の頭を撫でた。
「いや、でもすごい心配してた。謝らなきゃな」
「うん。そうだね」
二人で電車の窓から青空を眺める。太陽は傾き始めていたが、まだまだその強さを保ったままなので、雄
二は注意して郁乃ができるだけ日陰になるような位置に車椅子を止めている。
「……本当はね、やっぱり不安だったの」
郁乃の目は青空と、行き過ぎる風景に向けられたままだ。雄二は一瞬だけ郁乃の顔を見たが、郁乃の視
線を追うように窓の外に目を向けた。
「雄二さんがあの人と歩いててね、すごくお似合いだって思ったの。……それでね、ああ、あたしはあんなふ
うに雄二さんと並んでは歩けないんだって分かっちゃったの。それがね、悲しかった……」
「……大丈夫さ。郁乃だって歩けるようになる」
「うん。でもね、もう平気……」
郁乃の手が伸びて、雄二の手を掴んだ。ぎゅっと握り締めあう。
「雄二さんがね、あたしの全部を受け入れてくれたから……、もうなにがあっても平気なの」
二人は微笑みあう。
柔らかな時間は穏やかに過ぎ行き、あっという間に二人を見慣れた街まで連れて行った。
電車から降りてすぐに雄二は携帯を取り出す。罪滅ぼしというわけではないが、愛佳にはこまめに連絡を
入れたほうが安心だろう。そう思ってリダイヤルするとすぐに愛佳は出た。
「ただいま。もう駅についたよ」
――あ、それだったら北側の改札に出て頂けますか? その、もうついてますから。
「お、了解」
電話を切ると、くいくいと郁乃の手が雄二の服を引っ張った。
「お姉ちゃん、なんだって?」
「もう駅についてるらしい。というか、ずっと駅で待たせちゃったかもな」
愛佳に言われたとおりに北改札に向かうと、自動改札機の向こうに手を振る愛佳が見えた。こちらが手を
振り返すと、ほっと両手を胸にあてて息を吐いた。実際に郁乃の姿を見るまで心配でならなかったのだろう。
改札を出ると、すぐさま駆け寄ってくる。
「もー、本当に心配したんですよ!」
ぷんぷんと両手を振り回す愛佳。
「悪かった悪かったって」
「お姉ちゃん、ごめんね」
郁乃も素直に謝る。愛佳の手がその頭を撫でた。
「いいのよ。お姉ちゃんも郁乃の気持ちもっと考えてあげないとダメだったね」
そしてくるりと雄二に振り返る。
「向坂くん、その申し上げにくいのですが、うちの両親の気が少し立ってますので、病院へは」
「あ、そうか、すまん。ちゃんと謝りに行ったほうがいいんじゃないか?」
ふるふると愛佳が横に首を振る。
「今日のところはあたしが取り持っておきます。少し時間を置いたほうがいいと思いますので」
「委員ちょがそう言うんだったらそうするよ。その、全部俺が悪かったということにしておいてくれないか」
「それは……ダメ」
郁乃が雄二の服を掴んで、首を横に振る。
「お姉ちゃん、あたしが雄二さんにお願いしたの」
「……はいはい。二人とも悪かった、ということでいいですか?」
愛佳の微笑みに二人は顔を見合わせあい、そして頷いた。
「まったく……本当に心配したんだからね」
もう何度目だろうか。雄二と別れた後、車椅子を押す愛佳は何度もそう呟いていた。
最初は神妙な気持ちでそれを聞いていた郁乃だったが、流石にそれが二桁を数えようという頃になると、
そうも言ってられなくなってくる。
「お姉ちゃんは心配性すぎるのよ」
「だってあんなことがあったすぐ次の日なのに……」
それは郁乃もそう思う。随分と無茶をしたものだ。もし郁乃が愛佳の立場だったらもっと怒っていただろう。
しかし――。
「うん。そうだね。でもね……海いけて本当に良かった……」
それが郁乃の純粋な気持ちだった。
そっと目蓋を下ろせば、青い空に青い海、雲の白と潮の白、潮騒まで甦ってくるように思える。
「本当に、もうこんな無茶は止めてね。どうしても行きたいところがあるなら言って。お願いだから……」
「……お姉ちゃん……」
郁乃は少し微笑んで、愛佳に手招きをする。
「……?」
首を傾げて、愛佳が車椅子を止め、郁乃の前に回った。
郁乃はさらに手招きをして愛佳の顔を呼び寄せる。
「……あ……」
そして郁乃の手が愛佳の頭を撫でる。ゆっくりと慈しむように。
「ごめんね。心配させちゃったね」
「……いいのよ。もう。なにもなかったんだから……」
なにもなかった。その言葉が郁乃の悪戯心を刺激する。
「ね、お姉ちゃん、貴明とどこまで進んだの?」
「なっ、なによ。急に」
愛佳の頬に朱が差す。
「まさか――まだ――キスだけなの?」
くすくすと郁乃は笑う。その笑みに余裕が混じっていることに愛佳は気付く。
「ま、まさか……って、郁乃、まさか、え、ええっ、ええええぇぇ!?!?」
郁乃と別れた後、雄二はまっすぐに家に帰った。郁乃との確かな絆を手に入れた今、春乃に謝罪しなくて
はいけない。ひとつはもう確実に春乃に振り向くことはないということ。そしてもうひとつは昨夜の酷い態度に
ついて、だ。いくら余裕が無かったとは言え、あれは男の態度ではなかった。
玄関を上がり、まっすぐに春乃が滞在している客間に呼びかけるが、返事がない。そっと障子を開けて見
たが、どうやら留守にしているようだった。仕方なく自分の部屋に帰ると、部屋が片付けられていた。絨毯の
オキシドールが広がった後が少し色落ちしている。あの後、春乃は一人で後片付けをしたのだろう。
心から申し訳なく思ったが、相手がいないのではどうしようもない。
雄二はベッドに寝転がると目を閉じた。
一日郁乃の車椅子を押していて疲れていたのかもしれない。
そのまま雄二は深い眠りに落ちていった。
――――。
どんどんどん!!
「雄二、起きなさーい!!」
雄二は夢も無い深い眠りから浮き上がるように目覚め――なかった。
頭が、体が重い。
いつ眠ったのかは思い出したのに、眠った瞬間に目覚めたような気がする。しかしカーテンも閉めていな
かった窓から差し込んでくるのは確かに朝の光だった。
ドアを開けて中を覗き込んできた環が、雄二の様子に気付いてベッドの脇までやってきて、雄二の額に手
を当てる。
「雄二、あんた熱あるじゃない」
「……うそ、マジかよ。バカは風邪引かないんじゃなかったのか?」
「自分でそれ言ってる時点で頭回ってないでしょ。アンタ。ちょっと寝てなさいよ」
布団の上に寝てたのを、環に無理やり布団の下に押し込まれる。
どたばたと環が春乃を呼ぶ声が聞こえたりして、少しすると救急箱を抱えた春乃を連れて環が帰ってき
た。二人並んでベッドの脇に腰を降ろし、救急箱から体温計を取り出すと雄二に咥えさせる。
おわ、咥えさせるならその前に拭けよ、姉貴。と思ったものの、咥えさせられた以上喋るわけにもいかず、
頭もまた回らなかったので雄二はそのままにしておいた。
「――8度1分、まあ医者にかかるほどでもないわね。今日は一日寝てなさい。いいわね?」
「あ、でも郁乃、迎えにいかないと」
「雄二、アンタはバカだけど今日は輪をかけてバカになってるようだから、素直に私の言うことを聞くように。
郁乃さんに風邪がうつったらどう責任取るつもり?」
「あ……そうか……」
以前に聞いたような気がする。郁乃はただの風邪でも大事になってしまうのだ。
「私が行って伝えてあげるから、安心して寝てなさい。いいわね?」
「……分かった」
頭が回っていないのは間違いないようなので、逆らうに逆らえなかった。――それからどれくらいの時間が
過ぎたのだろう? 春乃がこまめに額に乗せられたタオルを変えに訪れる度に目が覚める。もとより眠りは
深くないので不快ではない。春乃がまだいるということはそれほど時間が経っていないのだろうか?
「……春乃さん……」
「はい」
「……ありがとう。それとごめん」
春乃が首を傾げる。
「どうして謝られるのでしょうか?」
「……キミの気持ちは嬉しい。でも応えられない。俺の気持ちは変わらない」
春乃は何も言わずに雄二の額から乗せたばかりのタオルを手に取り、もう一度冷水につけなおすと、細い
腕で力を込めて絞り、さっきよりも広めに折りたたむと額から目にかけてまでをタオルで覆った。それで雄二
にはなにも見えなくなる。
「雄二様がそう仰ることは分かっておりました」
ふぅと春乃が長く息を吐く音が聞こえる。
「私ももう無理は言いません。体面の問題もありますから、明後日の見合いだけは形だけでも来ていただき
ませんと困りますが、お父様もおじさまも私の方から説得してみせます。愛する人と結ばれたいという気持
ちはよく分かりますから」
「ごめん……、ありがとう……」
「いいえ、お気になさることはありません。雄二様にはこれで貸しひとつですわ」
そして次の瞬間、雄二の唇に少し湿っぽい感触が触れる。
「……これで貸し借りなしです」
びっくりしてタオルを外そうとした雄二の手を、春乃の手が押さえる。
「……お願いです。何も仰らないでください。何も見ないでください。何かを感じたのならお忘れください」
震える春乃の声に、雄二はもう何も言えなかった。
風邪薬の所為だろうか、意識は飛び飛びで時間の感覚はまるでない。寝ているようで起きているような感
覚。春乃はずっと雄二の傍にいる。流石にそろそろ雄二にも春乃が学校を休んだということが理解でき始め
ていた。それはこれが最後だからだ、と、雄二にも分かる。
「――雄二、ちゃんと寝てる?」
ドアが開いて環が顔を見せる。環は郁乃に伝言を伝えに行ったはずで、学校を休むわけはないだろうか
ら、すでに時間は放課後を回ったということなのだろう。雄二にはあまり実感が無い。
「……雄二、あのね……」
環がらしくもなく口ごもる。
「……意識はっきりしてないようだけど、言わなきゃいけないと思うから言うわ」
環の苦虫を噛み潰したような顔。環のこんな顔を見れるのは雄二のこれまでの人生でもそう何回もあるま
い。奥歯をかみ締め、環は言葉を探している。
「あの……私は席を外しますね」
空気を察したのか、春乃が立ち上がって部屋を出て行く。それを見送ってたっぷりと時間を待ってから、環
がゆっくりとその言葉を吐き出した。
「……郁乃さんが合併症を起こしたわ……」
「……え?」
「……状態がね、あまり良くないらしいのよ……」
「どういうことだよ!」
飛び起き――ようとして、ぐらりと視界が揺れ……床に倒れる。
慌てて駆けつけた環に支えられてベッドに戻った。
「郁乃は、郁乃は大丈夫なのか?」
「……朝の状態ではなんとも言えない……」
「俺か!? 俺の所為か!? 昨日、郁乃を海に連れ出したり……」
そして抱いたりしたから……!!
「……そう、かもしれないわね……」
目を伏せて環は首を横に振った。
環が部屋を出て行ってすぐ雄二は携帯を充電器から取り上げた。メモリーから愛佳を選び出し通話ボタン
を押す。呼び出し音を聞きながら雄二は心の重みは胃の辺りに落ちてくるのだということを知った。
この電話が愛佳に繋がったとき、なんと言えばいいのだろうか。雄二には考えもつかない。ただ電話しなく
てはいけないと思っただけだ。
かたかたと耳に当てた携帯が震えている。否、それを持った雄二の手が震えている。
――留守番電話におつなぎ――
一度切ってかけなおす。
愛佳は病院にいるのかもしれない。いや、そうだとしたら電源を切っているはずだ。愛佳は必ず病院に入
る前に携帯の電源は切るようにしていた。
るるるる、と呼び出し音が鳴り続ける。愛佳は出ない……。
もう一度切って、リダイヤルする。
お願いだから出てくれ、という思いと、いっそこのまま愛佳が電話を取らなければいいのに、という思い。
どちらが自分の本当の思いなのか分かるより前に、ぷつっという音とともに通話が繋がった。
「もしもし、委員ちょか!?」
――……向坂くん……。
愛佳の声は冷たく、重い……。
「郁乃は……、郁乃は大丈夫なのか?」
――それが……その……昼過ぎから病状が急変したそうで……
体の中を冷たいものが滑り落ちていく。
――……今は……面会謝絶に……
愛佳の声は疲れ果てている。魂のほとんどをどこかに持っていかれてしまったような沈んだ声。
「委員ちょ。なにか、なにか俺にできることはないのか?」
熱の所為で考えがまとまらない。ぐらぐらと視界が揺れる。
愛佳からの返事は無い。沈黙が重くのしかかってくる。
やがて……
――……向坂くん……、郁乃は向坂くんと結ばれて幸せだったんですよね……。
携帯の向こうから聞こえてくる愛佳の声が、雄二にはどこまでも遠く、遠く聞こえた。
今回からはすこし長めのエピローグ。次回で終わるか、まだ先かは、なんとも。
郁乃の病気はなんなんだ、という話題がちらりと出てましたが、特定の病名をしっかり出して作品を書くの
であれば、それこそ実際に取材に出かけるなどしなければ、同様の症状に苦しむ方、そのご家族の方に強
い不快感や悲しみを与えてしまうかもしれないと思い、わざと自己免疫疾患に類する病気の症状を混ぜこ
ぜにしております。一体なんていう病気なんだと深く考察して、こんな病気はねぇよというのは当然ですので
ご承知くださいませ。
原作のほうでもはっきり当てはめることができないように書かれていたのだと個人的には思っております。
ところで天使の卵っていい小説だったよね。俺の恋愛小説の原点でもある作品です。
>>650 GJ!
…けど、郁乃ー!(つдT)・゜。
>650,652
乙。
エピローグという感じのしないエピローグですな。
>>650 正直に言おう。
最近俺はあなたのSSを読むためだけに2chに来ている。
激しくGJだ!!
658 :
名無しさんだよもん:05/02/16 00:35:18 ID:NY2FI3fu0
>>650 天使の卵。いい小説だったと思うぞ。
ただ、郁乃ー。生きて欲しい。
>>650 この作品を読んだとき、昔見た映画のことを
(確か骨肉腫に罹った少女を題材にしたもの)、
懐かしく思い出していました。
当時、子供心に強く感じた無力感が、今また
思い返されるのです。あのときの私は、医学の
進歩を強く願ったものでした。
キャラの幸福を願う心はあれど、それはまずは
さておいて、貴殿の目指したかった結末を、
私も見てみたいのです。
物語を読み終えた後、それについてずっと考え
続けられるような余韻を、貴殿の作品に求めて
いるからかもしれません。
続きが、楽しみです。
>>650 今まではROM専だったが言わせてくれ。
ホンッットに続きが楽しみです。
雄二がめちゃくちゃカッコいいなぁ。
>>659の言うような、考えさせられるような、それでいて心地よい余韻が残るような素晴らしい締め括りを期待しています。超がんがれ
雄二x郁乃の人…
当スレのSS番付1位に認定しますた。
お め で ♪
(゚∀)人(゚∀゚)人(∀゚)
>>650 天使の卵。
良い小説だ。大好きな小説だ!
だが言わせてくれ。郁乃、生きろっ(つД`)
あなたのSSは大好きだが、
天使の梯子編書いてくれるって言ってもそれでも郁乃には生きて欲しい。_no
663 :
531:05/02/16 06:43:00 ID:DKE2F1yo0
つi
>650
投下を始めてから、楽しみに読ませてもらっています。
言うか言うまいか悩んだのですが、どう思っているのかも知りたいので書かせてもらいます。
8話以降、どうにも話の雰囲気が変わってしまっているような気がしてなりません。
シリアスになった、物語が佳境の入り口に入ったというだけではないような気がします。
まるでゲーム本編の中盤以降のような、読者の気持ち、キャラの気持ちが追いついていないように思われます。
郁乃あたりなんか、初めてできた友達への独占、嫉妬からの勘違いでしたという最後まで想像してしまうような展開です。
ともあれ、物書きとしてのルール、ポリシーを持たれて描かれており、非常の面白いと思っていることにかわりはありません。
ちょうどその時期、体調も崩されていたので、いろいろあったのでしょう。
次、楽しみにしてます、がんばってください。
あれから幾つかの季節が過ぎ去り、新しい出会いの季節または始まる。
「えへ〜、タカくん、タカくん今日から新学年だよ」
俺の隣を歩くこのみが嬉しそうな顔でそう言った。
「別に進級なんて留年しない限りするもんだし、
俺なんて進路関係で面倒だし。別に嬉しくもねぇな・・・・」
俺の言葉を聞き、このみは少し機嫌を悪そうな顔をして。
「も〜、タカくんは浪漫がないよ〜。新しい友達とか新しいクラスとか楽しみじゃないの?」
「浪漫って、お前は雄二かよ・・・・」
「いいこと言ったぞチビ助!!そうだ、新しい出会いだ。恋の一つや二つが待っているものなんだよ!!」
少し上の方から声が聞こえてきた、そうか話をしている間にいつもの待ち合わせに着いたんだな。
「ユウくん、おはよ〜。ユウくんならわかってくれる気がしてたよ〜」
「おはよ〜さん、なんかこのみと雄二の意見が合うのもめずらしいな」
いつものように挨拶を済ます。でも今年からいつもいたはずのタマ姉がいない。
「そうか、タマ姉は今年から九条院の大学なんだよな〜」
「うん、ちょっと寂しいけど・・・。またいつか必ず会えるから。このみはその時が楽しみだよ〜」
そうだな、どんなに離れても自分がその人を思う限り必ずもう一度会えるんだよな。
「へへへ、こっちは姉貴が向こうへ言ってくれたおかげで晴れて自由の身だぜ」
「そんなこと言ってもタマ姉が帰るときに寂しそうにしてたのはどこのどいつだよ」
「ぐっ・・・うるせぇよ、お前こそ遠距離恋愛中の彼女とはどうなんだよ!!」
「ぐ、別にそんなこと今は関係ないだろうが!!」
「もう、タカくんもユウくんも喧嘩してないで学校行こうよ〜、初日から遅刻なんて嫌だよ」
「まぁ、そうだな。とっとと行って新しいクラスのメンバーの面でも眺めに行くか」
そうして俺達はいつもと変わらない通学路を歩き出した。
「わ〜、タカくん掲示板の前が人でいっぱいだよ」
間もなくして学校につき、クラス発表の紙が張られている掲示板を見に来たがいいが暫く見れそうもない。
「それじゃ、このみは2年生の方に行って来るね。帰りは玄関で待ってるね」
そう言ってこのみは2年生の掲示板へ向かっていった。
「貴明さんに雄二さん、おはようございます」
後ろから俺達を呼ぶ声が聞こえ振り返ると草壁さんが立っていた。
「おはよ、草壁さんはクラスの発表もう見たの?」
「いえ、私も来たばかりなのでまだ見てません。また一緒のクラスになれるといいですね」
そう言って俺の方へ微笑んだ。
「お二人さん、もうそろそろ人も散ってきたから見に行こうぜ」
雄二にそう言われ、掲示板の方を見てみると来た当事よりだいぶ人が減っていた。
「よし、そろそろ行くとしますか」
そうして俺達は掲示板の方へ向かっていった。
「そいじゃ、まずは順番に沿ってA組だな。えぇ〜と・・・・おっ、俺の名前発見したぜ貴明」
「俺はお前の名前のすぐ下だよ。大体、あいうえお順なんだから俺達は番号近いだろうが
それにしても・・・・お前とはいつもクラスが一緒だな・・・呪われてるのか?」
「まぁ、そう言うなや。で、草壁さんはどうだった?」
「残念ですが、私は一緒のクラスではないみたいです。でも一つ気になったことがあるんですよ」
「そっか、草壁さんは違うのか〜。で気になったことって?」
俺がそう聞くと、草壁さんが掲示されている紙を指差しながら。
「ここですよ、この名前って確か」
そう言われ彼女の指差す方を見てみると。
「えぇ〜っと、笹森花梨。って笹森さんと一緒か落ち着けなそうだな・・・・」
「違いますよ、貴明さん。その上ですよ」
どうやら違ったようだ、また掲示板に目を戻す。
「ん〜っと、工藤玲於奈?・・・・って工藤さん!?なんで同姓同名とかじゃ・・・」
「貴明、この名前はあんまりいないだろうよ・・・・でも本人だとしてもどうして?」
「ですよね・・・私もこれが気になっていたんですよ。あっ私はさっき見てきたんですけどB組でした」
そんな疑問を抱いているうちに予鈴が聞こえてきた。
「まぁ、教室に行けばわかるだろうよ。行こうぜ貴明」
「あぁ、そうだな・・・」
疑問を残したまま俺達は新しい教室に向かって行った。
「タカちゃ〜ん、一緒のクラスだよ!!
これでいつもの様にミステリな話し合いがいつでもできるんだよ」
教室に入るなり笹森さんが俺の方へ向かってきた。
「そんな話し合いしたこともなければこれからもする気はないよ」
俺がそう返すと笹森さんはつまらなそうな顔をして。
「もう、タカちゃんはその場の空気を読んでないんだよ、こう言うときは
『会長!!ミステリ研の未来は輝かしいものになるさ俺達二人で頑張って行こう!!』
ぐらい言うのが普通だよ」
「俺には笹森さんの普通がまったくわからない」
「もう!!タカちゃんにはUFOが来たってUMAを発見しても呼んであげないんだから!!」
由真?どうしてそこで由真が出てくるんだ?俺が疑問に感じていると笹森さんは席の方へ戻って行った。
どうやらこのクラスに俺の安息の場がないことが教室に入った途端に判明した。
「お〜い、そろそろお前ら席に着け」
暫くして新しい担任の教師が入ってきた。
「今日からお前らの新しい担任だからな。一年間よろしく頼むな」
担任はよくある無難な挨拶を始めた。だが俺は俺の隣が空席であることが気になっていた。
「そして、お前らに重要な連絡がある」
嫌な予感がする・・・・これは朝の疑問の答えなのだと思う。
「転校生がいるんだ。前に少しこの学校にいたんだが短い期間だったから知らない奴も多いだろう」
あぁ・・・やっぱり。でも何故、彼女がこの学校に?薫子からは何も聞いてないし・・・・。
「よぉ〜し、入って来い」
教室の入り口が音を立てて開いた。生徒の視線はその方向へ向けられる。
俺も雄二もその方向へ目を向けてしまう。やはり彼女だ。
「工藤玲於奈です。これから一年間皆様よろしくお願いします」
彼女は挨拶を済ませ、一つの空席に腰を下ろした。そう、俺の隣だ。
「それじゃHRは終わり、始業式まで少し時間があるから自由にしてていいぞ。ただし教室からは出るなよ」
さて、それでは俺の疑問の答えを聞かせてもらうとしますか。
そうして彼女の方に目を向ける。
少し前に言われたように続編らしきものを書いてみました。
投稿するか悩みましたがとりあえず投稿です、容量がギリギリですが。
今回は期限的な制限がないのでのんびりとやっていきます
古いのはスレや保管庫に置いてありますので、気の向いた方はどうぞです。
670 :
名無しさんだよもん:05/02/16 20:32:05 ID:NANt0q5HO
リアルタイムキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
かおりんはずっと読んでました。
だから激しくGJです。
最後まで楽しみにしてます(・∀・)
三人娘ファソには嬉しい限りです。
あげてしまった…orz
スマソ
これはまさか3Pの予感か!そうなのか!
かおりんアフターを書いてくれるとは思わなかった…。
かおりん自体まだ出てきてないけど、楽しみにしてますよ!
つーかサブキャラSSたまんねぇ
かもりんとの掛け合いがいかにもという感じでナイスだ。
494KB
678 :
▲:05/02/17 17:38:43 ID:uO/Nq//U0
再録でスマソだが、投下。
桜色のタイが、風に舞い踊る。
ひらりひらり、止むことなくいつまでも。
それはみんなから、愛佳への感謝の気持ち。
さあ、顔を上げて。
涙を拭いて、上を向いてごらん。
愛佳には泣き顔なんか……かなり似合うけど笑ってる方がずっと素敵だから。
あ、校舎の屋上からこっちに向かって手を振ってる。
おーーい。ほら、手、振り返してみよう。
おーーーーーーい。
ね? 誰も愛佳を無視したりしないし、冷たくしたりもしない。
だってみんな、愛佳のことが好きなんだから。
……もちろん、俺もそんな愛佳のこと大好きだよ。
愛佳……
んっ……
「あいつ、学校サボってキスなんかしてやがる……ゆ、許せん!」
「ふぅん、ちゃんとうまいことやってんじゃない」
「ひゃ〜、全校生徒の前で…だいた〜ん」
「先生! まだ5月だというのにこの暑さは近年稀に見る異常気象であります!」
「バカップルだ……」
「バカップル……」
「「 (…………しまったー!!) 」」
「るー☆」
……るー。
「なーなー、貴明元気ないなー。どないしたん?」
別に元気ないってわけじゃないけど。
「ほなら、何で下向いてんの。ひょっとしてお腹痛いん?
いくら瑠璃ちゃんのごはんおいしいからって、がっつくからやでー。あかんなー、もう。あかんあかん」
いや俺が気にしてるのはご飯のことじゃなくて、こっち。
「……腕?」
そう、腕。何故か両横から俺の腕にしっかと絡められてる珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんの腕。
「なーんもおかしなことあらへんよ? ウチと瑠璃ちゃんが貴明とくっつくんはらぶらぶらぶー、の証やで」
「ち、ちゃう、そんなんちゃうもん! ウチ、貴明とらぶらぶらぶーなんてしてへんもんっ!」
……えーと。でさ、珊瑚ちゃん。登下校の時にベタベタするのはもうちょっと控えない?
「なんで?」
なんでって、ほら、皆注目してるし。瑠璃ちゃんもすごく恥ずかしがってるし。
俺だって今にも顔から火が出そうなくらい恥ずかしいよ。
「それがええんやないかー」
「「 え 」」
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ギャグものはかなり好きです。
なれなれちゅうい
ラストだったら郁乃SS書く
オーラス恋人選び
旭化成グループの提供でお送りしました
/`ヽ∠> 、
+ / /,´ ヽ
|/〃,´ j、 ヽ
{ { ノ__ノハ_,,,, } }
i Y''"_,、 _、{ノjノ +
(i l`' ̄ノ ヽ ゞ;l
. iヽ l r `__"_ヽ ,|;/
| .iヽ、~`'''''" /;;ヾ これで終わりか?
| i/`r、_-,,,,,,r"ノ''ii{
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