1 名前:名無しさんだよもん[sage] 投稿日:04/07/18(日) 01:10 ID:y6vku426
ここは、期限内に与えられたテーマに沿った SS を書くスレです。
他人と腕を競いあうもよし、ネタで盛り上げるのもよし、テーマに沿っていれば何でも(・∀・)イイ!!
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん参加してみましょう。
このスレを育てるのは、あなたが紡ぐ言葉です。
・期間の設定や細かい変更点は告知のなかで発表します。
・テーマはこのスレの話し合いで決定され、開催ごとに毎回変更されます。
・その他、ルールや投稿方法、過去スレや関連スレは
>>2-10 あたりに。
【前スレ】
葉鍵的SSコンペスレ14,1
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1090080634/
【ルール】 ・テーマを決めて、それに沿った SS、シチュなどを書く。 ・書き手は全員名無し(書き手の知名度で作品の評価が変わるのを避けるため) ・書き手の騙りを防ぐために、作品ごとのトリップを推奨する。 但し、普段コテでトリップをつけている人は、それとは別のトリップをつけること。 ・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。 ・告知及び投稿期間→感想期間→総括期間、という流れ。投稿期間終了までは一切感想をつけない。 ・感想期間では、参加作品について感想、評価などを行う。 なお、他の人の感想等に影響が出ないように、感想期間中は作者は身を明かさないこと。 これはコンペスレの内外を問わない。 ・総括期間では、書き手の挨拶、運営への意見、次々回のテーマの決定などを行う。 また、感想期間で評価が高かったもの選び、最優秀作品として推す。 ・各期間は以下のように設定する。 投稿期間: 2 週間 感想期間: 10 日(暫定) 総括期間: 1 週間+α(そのときに応じて期間は変化する)
【注意】
※必ず名無しで投稿して下さい(誰だか判らなければ良い)。
※特に、普段トリップをつけている方はご注意を。
(そのトリップと違うトリップなら構いません)
それ以外の手順は SS 投稿スレに準じます(以下に転載)。
|【投稿の手順】
|
|1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
| 「今から SS 投稿します。なお、××な内容です」など。
| 鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
| (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
|2:書いた SS を 30 行程度で何分割かしてひとつずつ sage で書き込む。
| (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
|3:最後に sage で作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
| アップしたところをリダイレクトする(
>>1-2 みたいな感じ)と トッテモ(・∀・)イインチョ!
【よくあるかも知れない質問】 Q.複数の作品を投下するのは OK ですか? A.構いません。期間内でテーマに沿っていればいくつでも結構です。 Q.もうすぐ完成するから、締め切りを伸ばしなさい(`□´)くわっ A.終了間際の混雑などを考え、締め切りは延長される可能性もあります。 その際は、一言その旨をこのスレに書き込んでください。 ただし、完成まであまりにも時間がかかりそうな場合はその限りではありません。 Q.締め切りが過ぎてから完成したんだけど、ここに投稿していい? A.締め切りを過ぎたものについては、葉鍵的 SS Training Room や 内容に見合った別の SS 関連スレに投稿してください。 このスレは、決められたテーマと期間の両方を満たす SS を対象にしています。 Q.気に入った SS があったけど、みんな名無しだから作者がわからない。 A.締め切り後にこのスレで訊いてみましょう。教えてくれるかも知れません。 Q.投稿した投稿作品がリアルリアリティに汚染されてます。 A.ときには厳しい意見が付くこともありますが、別にあなたが憎いわけじゃありません。 良い感想職人さんはちゃんと理由も書いてくれますから、次回に役立てて下さい。
第三十回投稿テーマ:『過去のテーマ・再び』
(過去にテーマとして取り上げられたものの中から1つ以上を自由選択)
投稿期間: 10 月 4 日の午前 8:00 から 10 月 25 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>3-5 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
今回のテーマとして使用できる過去のテーマ一覧です。
『花』『走る』『雨』『サッカー』『夏だ!外でエッチだ!』
『嘘』『絶体絶命』『夢』『キス』『旅』『初め』『プレゼント』
『耳』『桜』『風』『結婚』『海』『復讐』『動物』『友達』
『戦い』『卒業』『お願い』『相談』『えっちのある生活』『If』
『料理・食べ物』『家族』
※第二十一回『なんでもあり』は含まれないのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1090080634/596-620 「一枚の思い出」 の続きを投下します。
「あらま、ご挨拶ね」
「まぁ、生意気盛りですから」
ほがらかに笑いあう二人に、また怒りがかき立てられる。
「ここを潰すのは、あたいらだ。あんたには……関係ないだろ。すっこんでろ」
「立ち上がることもできないくせに、生意気言うんじゃないわよ」
「るせぇっ……」
痛みをこらえ、力を振り絞って、立ち上がる。目の前のルミラの身体を、這い昇るようにして。
ルミラはイビルに手を貸さず、かといって邪魔もせず、立ち上がるのを待っていた。
「あたいは……仇をとらなきゃいけねぇんだ」
ルミラを睨むその後ろで、エビルも立ち上がっていた。
「ふぅん……なかなか根性あるじゃないの。いいわ、見届けてあげる」
「……あ?」
「そうね。ザコは露払いしてあげるわ。私達もほら、同盟を組んだ縁があるし。
でも、ここを仕切っているボスがいるでしょ。そいつはあなた達に譲ってあげるわ。
代わりに、死んでも手を貸さないけど」
「……ったりめーだ」
まるでイビルの意を汲んだような言い方だが、巧にイビルの手助けは、承知させている。
プライドを守らせるために、できる限り手を出さないような振りをして。
「メイフィア、で、こちらのボスさんは?」
「はいはい。できてますよ」
紙の上で踊るように描いていた筆が、最上階までの順路を描き出した。
その地図を口にくわえて、エビルに肩を貸しながら、互いに支えるようにして、二人は最上階を目指す。
足が重い。一歩ごとに血が抜けてゆく。目が霞んでゆくのを、かろうじてこらえる。
ずるりと、エビルから力が抜けた。
「んだよ、しっかりしろよ……」
ぼやきながら、エビルを引きずるようにして階段を上がってゆく。
後ろからルミラ達が付いてくるのに、情けない所を見せるなと思う。
もちろん、自分も見せられない。血の跡を残しながら、暗い階段を一歩一歩登る。
軋む身体をごまかし、気の遠くなるような時間をかけて、ようやくその部屋に辿り着いた。 倒れ込みながらドアを押し開けると、部屋の片隅で、なにかが震えていた。 いかにも小ずるそうな、小心者。 男は怯え、気が触れる一歩手前の、へつらうような笑みを浮かべていた。 男の周りには、ルミラ達が予め手を打って置いたのか、護衛と思しき首が、綺麗に並べられている。 それが、男の動きを、恐怖によって封じ込めていた。 ――こんな男が……と、馬鹿らしくなるような、惨めすぎる、本当の敵。 上にこびへつらいでもしたのか、弱みでも握ったのか、人の上に立つには、あまりにも不釣り合いな――。 仲間の命を奪ったにしては、あまりにも貧相な男。 「く……」 消えそうな命の火を、全力でかき集める。こいつだけは……こいつだけは、殺さないと、ならない。 こんな男すら殺せないようでは、自分にはこの先、生きていく資格がない。 自分は、イービルリングの名を継いでいるのだから。 足を一歩進めた。右手に炎が宿った。エビルが、腕の先からすり抜ける。 落ちた拍子に、行け、とばかりに、背中を押された。 「う……」 崩れそうな膝を、ぎりぎりで耐え、最後の力をそこに込めた。 ほんの少し、だけど確かに、自分の身体が飛ぶ。 倒れるようにして、その男の元にまで、手を伸ばす。 届け。ただ、それだけを願った。 「う……おおおおおおおっ!」 最後の炎が、散った。
蝉が鳴いていた。 「あー……?」 目を開けば、見慣れた天井が、そこにあった。 そこは狭苦しい、デュラル家の借家。 本宅は抵当に差し押さえられ、個室すらないその家で、七人が押し固まって暮らしている。 狭い上に、非常に暑い。 それもそのはずだ、べったりとエビルが自分にまとわりついている。 「……なんか、やな夢見たのは、こいつのせいか」 乱暴に押しのけて、胸元をばたばたと扇ぐように空気を入れる。 ぼーっと見上げた視線の先に、二枚の絵が、画鋲で止められていた。 一枚は、イビルと、エビルと、最初の仲間達の。 もう一枚は、イビルと、エビルと、このデュラル家の、七人の仲間と。 並んでいる絵は、現在と過去の違いはあるが、どちらも等しく大切なものだった。 「あれ……?」 気が付いたら、泣いていた。 夢の中で、何を見たのか、何を思いだしたのか。思い出せないけど、なんとなく分かった。 そんな自分が女々しいように思えて、ごしごしと乱暴に拭えば、すぐに涙は乾いた。 同じ夢を見ているのか、まだ眠っているエビルの目尻からも、涙がこぼれている。 それをそっと拭うと、少し安心したような表情になった。 しばらく、蝉の声に、耳をすませた。 階下から、二人を呼ぶ声が聞こえた。 エビルを揺り起こし、並んで駆けてゆく。 静かになった部屋に、もう涙の後は残っていなかった。 昔の想いも、悲しい夢も、涙と同じように、すぐに乾いて、消えてゆく。 ただ、一枚の絵だけが、それが確かなものであったことを、イビルの胸に残していた。
お疲れさまでした。 引き続き、延長希望のかたはいらっしゃいますでしょうか〜
いらっしゃらないようなので、これまでとします。 では、終了宣言〜
すいません、「Ifにもならない可能性」を書いたものですが、 テーマは『もしも』ではなく『If』でお願いします。 お手数をかけまして申し訳ありません…。
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。 参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。 それでは、これから感想期間に入ります。 投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。 期限は 11 月 4 日の午前 8:00 までとさせていただきます。 以下が、今回投稿された作品一覧です。 前スレ >368-380 金のない話(CLANNAD)『家族』 >445-447 送る言葉(千鶴)『旅』 >469-474 ambling in the umbllera(はるか) >479-487 りょうてにはなを(椋)『花』『お願い』『キス』 >491-509 Signs Of Life(風子)『結婚』他 >512-527 乙女対決!七瀬VS智代 1 (ONE & CLANNAD)『戦い』 >530-540 サラマンダー殲滅(Kanon)『戦い』 >543-553 夕焼けロマンチック同盟(ONE)『雨』『友達』 >558-567 Ifにもならない可能性(瑞佳)『If』 >571-574 You never need me(志保) >577-591 北風と太陽(CLANNAD)『闇鍋』 >596-620+新スレ>8-10 一枚の思い出(雀鬼) なお、保管所への収録は今のところ未定です(保管所掲示板参照)。 とりあえず、HMX氏にお願いしましたが……。 頑張って復旧しますんで、今しばらくお待ちください。
>>15 乙。
七瀬VS智代の後の1はいらないんじゃ?
2桁越えか…。 お前等、やればできる子だったんですね。
キタ━━(゚∀゚)━━
21 :
葉田信鍵 ◆.T76NLtXTY :04/10/26 10:43:38 ID:iZCXaCmO
____ ____ __/_ ー | ヽ _|_ |、 /_l_  ̄ ̄| ̄ 人 | ヽ. / | . | 」 ├ | / \ | | ⊥!ノ \_/
テーマもバランスよく分かれたし、作品も葉4に鍵8と若干偏りがあるとは言え作品もそれなりに分かれた。 久々じゃないだろうか、こういうの。 ただ、今回は正直感想を付けるのが難しい作品が多い。 俺の感想はもう少し先になりそうだ。
マターリしてるとスレが即死するんじゃないか?w 最近の基準はよく知らないが… とりあえず、短い所から感想書いてみるか。
久々に感想でも書いてみっか。 ・金のない話 理性的なSSだな。コメディ調の部分もあえて起伏を抑えて平坦な作りにしてある。 なんか読んでてやるせない気分になったよ。それだけ入りこめたってことか。 ・送る言葉 コメディじゃ、ないよな? なんか「逝くのですか?」とか「GODSPEED 叔父様!!」がツボにはまって笑い転げちまった。 なんつーか、緊迫感とか悲壮感とか慕情の念とか全くこっちに伝わってこなかったんだわ。 ・ambling in the umbllera 「もったいない」と「嬉しい」と「ありがとう」の意味がどうも解読できん。 冬弥と歩いてた余韻が薄れるのが「もったいない」、雨の中帰れないのが「もったいない」? 傘を返してもらって「嬉しい」、冬弥と一緒に帰れて、体を張ってくれて「嬉しい」? 誘ってくれて「ありがとう」、かばってくれて「ありがとう」? まあいいや。俺から言えるのは、濡れた傘を鞄に入れるのはやめとけよ、と。それぐらい。 ・りょうてにはなを 両手に花、つーことで姉妹の話を期待してたんだが……ふっつーのデートの話。 一言で言えば退屈だった。 ・Signs Of Life 意外性は皆無、子供どうだかの話にも全く重みが感じられない。 でもそれがかえってクラナドの世界、というかこのSSの作風とマッチしてると思う。 風子スキーは安心して読める作品だな。朋也の葛藤やらなんやらも丁寧に書かれてるし。
・乙女対決!七瀬VS智代 こう、なにも考えなくてもスーっと染み渡る感じがいいよな。 なんていうか、漫画的。読んでるだけで次々と場面が浮かんでくる。 途中で誰が話してるのかわかりづらい部分があったけど、それでもまあ楽しんで読めた。 組み合わせ&展開の妙かな。面白かったよ。 ・サラマンダー殲滅 君のKanonは俺の求めるKanonではなかったようだ。 ・夕焼けロマンチック同盟 所どころ君目が見えてるんじゃないのー、とか思う場面もあったけど、まあ許容範囲かな。 でも時空列とか考え出すのは無粋か? そんなんほっぽって百合やら照れやらをニヤニヤして読めれば一番いーんだけど。 ・Ifにもならない可能性 なんか中途半端な終わり方だな。話もちょっとちぐはぐ。時間なかったのか?
・You never need me そんないきなり思いつかれても。 んで自己完結されても。 あ、さいですか。じゃ頑張れよーとしか思えないな。 ・北風と太陽 全てのテーマを選択しているのはいいけど、それを消化できていない。 場面場面をみれば面白いが、作品全体としての統一感がない。 今のままだと「テーマを網羅したー」との自己満足で終わっちまうぞ。 ・一枚の思い出 プレイしてないからな……パス。 投票はスルー。まともな感想人に任しときますわ。
>>18 コピペミスですね。指摘ありがとうです。
保管所に収録の際には訂正しておきます。
思いっきり下がってるのでage
とりあえず落ちたら洒落にならんので 感想は……書けるといいなあ(´・ω・`)
即死回避書き込み。
保守
ああそうか、即死判定あったっけ。 急いで感想書くか。あまり作者の方にためになるとは思えないが。 金の無い話 親父の駄目駄目雰囲気はよく書けていると思う。しかし読後感はどんよりとしたものにしかならないので、気分的には辛いな。 貯金を遊んで使い果たす朋也もダメダメだし、春原の私物を売らせる杏もやりすぎじゃないかと思った。 感情移入をさせる技術的には申し分ないが、ネタはやはり人を選ぶだろう。 送る言葉 ギャグなのかシリアスなのか分からないのが最大の欠点。 死にに行く叔父を涙を隠して送り出すためとはいえ、「笑えッ! 千鶴!」「GOODSPEED 叔父様!!」はシリアスなら入れるべきではないセリフだと思う。 千鶴の心境はよく書けていたと思うが……。 ambling in the umbllera ううん…上の人じゃないけど、俺も分かりにくかった。 これがはるかSSの雰囲気的にマッチするのは分かるが、しかし内容が登場人物だけではなく読者にもよく分からないようでは読み手としては厳しい。 りょうてにはなを デートの雰囲気はよく出ているかと。読後感もよく、特にネタに関してうるさく言うことはない。 『お店が辞めてしまった事でした』これに違和感を感じたのは俺だけ? 単純に、『原因は、お店が閉まっていたことでした』でよかったと思うのだが。
Signs Of Life 風子でなければ出来ないネタだなと思う。渚や智代が同じことしてはたぶんただのアホな子だろうし。 しかし、起承転結の起、承、転が念入りに書かれている割に結の部分が弱いような気がする。まあ、それはそれで風子SSらしくて味があるが。 あと、タイトルには何か意味があるのだろうか?他の作品と比べてこれはどうもタイトルが弱い気がする。 乙女対決!七瀬VS智代 今回のコメディの中で一番笑った。 「はぁーってしてよ」 「はぁぁーーー!!」 「なんか違うー!!」めっさワロタ。 ただドタバタさせてなんとなく笑いを取るだけではなく、読者を巧みに笑わせる技術を持っているな、と思った。 サラマンダー殲滅 上のと比べると同じ『戦い』をテーマにしたコメディでも物足りない。 うまく言えないのだが、テーマの選びようというよりは技術と経験の差だろうか? ちなみに、個人的にオンドゥル語は大きく滑っていると思った。 夕焼けロマンチック同盟 ありそうで意外と多くない、この二人だけの組み合わせは新鮮だった。 情景描写も台詞回しも素直に上手い。安心して読める一作。 Ifにもならない可能性 浩平のキャラはよく出来ている。が、いかんせん中途半端。 時間が無かったのかもしれないが、最後に浩平が書いたページを瑞佳と二人で読むなどのシーンがあればもっとよくなったかも。
You never need me このSSで作者が何を書きたかったのか、何を読者に伝えたかったのか、何をキャラにさせたかったのか。それがどうも見えてこない。 失礼な言い方をすれば、こういう作品は長い短いに関係なく、あまり記憶に残らず忘れられがち。 土台はしっかりと組み立ててから書くべきかと。 北風と太陽 全部のテーマを入れたその根性には素直に乾杯。努力賞があるのならあげたいほど。 しかし肝心の中身は……微妙、としか言いようが無い。 キャラを壊す=笑いを取れるではないし、ヘンなことをさせる=笑いを取れるでもない。 タイトルは素直に上手いと思った。無理をしないで真面目な話にすればもっと良作が生まれたのでは、と思ったり。 一枚の思い出 申し訳ない。雀鬼もナイトライターも未プレイです。 いちおう3レスくらいまで読もうとしたけど、やっぱり途中で諦めた。パスさせていただきたい。 全体的に、作品の傾向は色々なものが出てきて楽しめる回だったと思う。 しかしどうも、突出した作品が見当たらない。時間は十分にあったはずだから、ネタ切れか、職人の入れ替わりによるレベルの低下か、読み手の目が肥えたせいか……。 個人的に最優秀は該当なし。 佳作として、『りょうてにはなを』『Signs Of Life』『乙女対決!七瀬VS智代』『夕焼けロマンチック同盟』の四作をあげておく。
hosyu
せっかく投稿作が増えたのだから、それに見合うだけ感想も増えて欲しいですね。 私もとりあえず4つほど書きます。 「送る言葉」 覚えてます、これ。 たしか1レスしかなかったのに、誤字を爆裂させて笑いを取っていたやつですね(w ( ゚д゚) (つд⊂)ゴシゴシ (;゚д゚) (つд⊂)ゴシゴシ _, ._ (;゚ Д゚) ……GODSPEED? とりあえず、あまり笑かさないでください、と。 「ambling in the umbrella」 これは微妙なセンを狙いましたねぇ……。 たしかによく理解しきれないのだけど、そのよく理解しきれないところがはるからしいわけで、 ようは「はるか、萌え!」と、そう言いたいわけですね、作者さん? 彼女のよく分からないところに対して、主人公のツッコミがもっと鮮やかであれば SS的にもカタルシスを得られたのではないかと思うけれど、なにぶん冬弥だからなぁ(w 私が気に入ったのは、 >とても雨の日とは思えない加速度 という描写。ちょっとしたことだけど、はるかのこと良く描けてると思いました。 タイトルも洒落てていいですね。
「You never need me.」 志保って普段元気キャラだから、落差が引き立つというか。 とても短い文でありながら思わず惹きつけられてしまうのは、 そこに切実な一面が描写されているからだと思います。 私自身、志保というキャラを未だに良く分からないんだけど、 こういうのもアリかな、と考えさせられました。 >あいつが別にそんなことどうでもよくても。 この一文が志保ですねー。このあまのじゃく(・∀・)!!
「一枚の思い出」 >エビルは海老だから赤い方。イビルはイビだから青い方 (w それを言うなら、しっぽのある方とない方でしょうがっ!! とりあえず、力作乙。 本編のキャラを知らないと理解できないような話でありながら、 本編を大胆に再構築して別世界を創り上げた、はっきり言って大それたSS。 正直、読み始めた最初は不安でいっぱいだったけど、読んでみた結果はなかなか良かった。 キャラが良く動いているという意味ではとても面白かったし、 イビエビの描写も丁寧で、物語の起承転結それぞれしっかりしていたと思います。 文章も読みやすくて長さが全然苦になりませんでした。 ただ、個人的な感想ではルミラ様がどうにもこうにも。 せっかくイビエビがシリアスなストーリーを展開していたところに、 >「ええーっ、それほんとぉ?」 このセリフで全てぶっ壊れましたよorz ショタなのはNWに免じて許すとして、あからさまにストレートなセリフは違うんじゃない?と思う私は雀鬼原理主義(w 彼女ならもう少し余裕のある、かつ回りくどい言い方をするような。 同じお嬢様でも、これはどっちかつーと、綾香? ま、それ以外は総じて面白かったです。 世界背景をもっと早い目に説明しておくと、序盤がより分かりやすくなったかもと思ったり。 それから、イビエビの個人的な話に収縮してしまいがちだったので、客観的な視点の広がりもあったら良かったかと。
らしくないな。感想書く前に検索かけなかったなんて。 まあそういう俺も初読ではGOODSPEEDの間違いかと思っていたわけだがw
Σ(゚д゚lll)ソウダッタノカ こりゃ一本取られた(w 昔、ゴッドスピードという競走馬がいて、私は「速そうな名前だな」とか思ってたのですけど、 安全に走って欲しいという意味の名前だったのですね。 ……ええ、その馬は、私が賭けたレースで見事に落馬しやがりましたが。
馬が落馬、ですごい場面を想像してしまった俺はきっと疲れてる もう寝るか……
カコイイ!w <馬が乗馬、落馬 我が名はズシオにあったな
ここはRRなインターネットですね(゚∀。) 「サラマンダー殲滅」 めちゃワラタ。 私自身おっぱい大好きなんで、妙な一体感があるというか。ある種の懐古さえ覚えるというか。 ま、そういう趣味のある人にしか受けなさそうだけど。 男どものアホさ加減がとてもいい感じで、読んでいると、ズブズブと自虐の海に沈んでいきそうです。 「乙女対決!七瀬VS智代」 こっちは「サラマンダー」と同じコメディでも、会話のかけあわせで笑わせるタイプですね。 実はONEもCLANNADも知らないんだけど、それでも充分面白かった。 でもセリフがこんがらがったところもあるので、ぜひ声付きで読みたいと思いました。 あと三番勝負の描写に結構な分量を費やしたくせに、たった二言の説得で収まってしまうのはバランスが悪いような。 ゆきねぇと言う人がものすごい人なのかもしれないけど。 「北風と太陽」 コメディだということは分かるけど、何の話をしているのかがさっぱり分かりません。 部分部分で笑えてたとしても、全体的な締めがないとね……。
メンテ
>金のない話 私物売り払うのは流石にギャグにならないし、 意味もあんまりないかなあ。 親父と朋也の関係は涙腺ジャストミートなんだけど。 >送る言葉 親指立てて笑って『GODSPEED』って言ってる千鶴さんは、 ふつーに見たらギャグ以外の何者でもないって気もしますが、 それは悪いことではないと思います。 >『ambling in the umbrella』 萌え大賞。心情を全然悟らせてないあたり非常にグッド。 >りょうてにはなを 乙女チック大賞。いくら社会人になったとはいえ信じ難いほど さわやかな朋也が気になった。椋視点だとこんな感じなんだろうか。 >Signs Of Life 予想外のものはなにもなかったですが、結構いい感じです。 直球過ぎて気恥ずかしい気分にはなりました。 >乙女対決!七瀬VS智代 美佐枝さんのものすごい投げやりっぷりとか、瑞佳の悪意 あるんだかねーんだかわかんない失礼っぷりが笑えました。 基本的なネタのレベルが高くて好印象。 >サラマンダー殲滅 ヤバい本当に野球勝負がごった煮でサラマンダーが 戦車兵でコウモリだ。よくまー本当に形にしたもんです。 それもとても面白い文章で。
>夕焼けロマンチック同盟 女の子同士の絡み(変な意味ではない)っていいなあ。 先輩も里村も非常にらしかったです。 >Ifにもならない可能性 ソツがないけど、その分印象が弱い。オチとか特に。 浩平とか稲城さんとかの行動をもっと意外性に溢れて はっちゃけたものにすれば、良くなると思う。 >『You never need me.』 多分こんな心情だったんだろうな、とは思うけど それ以上の感銘を受けたりすることはできませんでした。 >北風と太陽 かなりナンセンスでした(誉めてます)。 部分部分で爆笑。ハム子のは流石に笑えなかったけど、 風子は風子らしい >一枚の思い出 あのナイト雀鬼からここまでイメージを膨らませてそれを 実際文章にしてしまうとは、凄いの一言。 文章に厚みがあり、展開にも引き込まれるものがありました 最優秀には一枚の思い出を推薦。
皆さん、おはようございます。 さっそくですが、感想イかせていただきます。 『金のない話』 父親との下りやお金の話題で、微妙に神経を逆撫でされるイヤな話、というところが 何とも面白かったのです。 春原の扱いは不憫でしたが、この話にはもっと不憫な人間が二人もいるので……。 『送る言葉』 多少原作知識を前提に作ったきらいはあると思いますが、読みやすくシンプルで、 また美しいシーンであると感じました。 英語のキーワードもうまく絡めた良い場面作りですので、あっけなく終わって勿体 ないとも感じました。TVを付けたらいきなりクライマックス近くなので「あーもっと 早くTVつければ良かった!」と後悔するような感じでしょうか。 話に更なる盛り上がりを与えるためにも、このシーン単体を作品にするのではなく、 彼の暴走が始まるあたりから描くと良かったのではと思いました。 『ambling in the umbllera』 二人のやりとりがとてもほほえましく思えた作品です。 シーンについての解釈は読者に任せて、目の前の出来事を淡々と描くにとどめた、 という方針で作成されたのでしょうか。明確なテーマ性を求める読者には、 この話は物足りないかも知れないとも感じました。 そうした茫洋としたところがはるかSSらしいといえばらしいのかもしれませんが。
『りょうてにはなを』 佳いリズムを持つ文章だと感じました。それだけに誤字脱字が残念ですが、好印象に 変わりはありません。 話の内容もほのぼのとしていて、何というか、初々しい幸せがいっぱいで、好きです。 実を言うと「〜でした」を連発されるので、「幸せでした。…あのときまでは」と、 いつ状況が暗転するのか気が気でなかったのです。裏読みしすぎですね……(笑) 幸せなデートレポートが良かったです。読んでいるこちらも、とても楽しかった。 『Signs Of Life』 いいセリフがあります。いい表現があります。 ここに描かれた人情が好きです。愛情に満ちた人々がとても好きです。 原作の延長にある喋りや振る舞いで軽妙な笑いを取ったかと思えば、ほろりとさせる のも、とても気に入りました。 「話的にはありきたりな構図」と言われればそうかも知れません。 しかし何度繰り返されても飽きない構図であります。ラストが分かっていても、 最後まで見届けずには居られないタイプのお話です。 こういうストーリーは大好きです。 『乙女対決!七瀬VS智代』 随所に散りばめられた軽妙なギャグがとても楽しかったのです。キャラを生き生きと 演出することにも成功していると思います。いやぁ、良い具合にボケとツッコミが 揃っているので、話が転がる転がる(笑) こういうセンス、羨ましいです。 違和感ないクロスオーバー、存分に笑わせてもらいました。
『サラマンダー殲滅』 三人三様の馬鹿っぷりが面白かったのです。ドゥルガー静香さんの場違いっぷりも 可笑しくて。勝ったと思えば負け、負けたかと思えば勝ちというように、めまぐる しく攻守が入れ替わるあたりの演出も好きです。 ワガママ言わせて貰えれば、殲滅されるシーンが見たかったよ…ってこれ舞の創作 だったのかよっ!! いやはや…面白かったです。 『Ifにもならない可能性』 何か大きなお話の導入部という印象でした。正直、続きが気になります。 『夕焼けロマンチック同盟』 百合百合しそうでしないのですね。落ち着いた気持ちで読んでいられるのは、やはり、 語り手がみさき先輩だからなのかも知れません。 穏やかに語り合うみさきと茜がタイトル通りとてもロマンティックで、読み終えた後も 余韻に浸っていました。 『You never need me』 自分の気持ちに気付いてしまった志保の切ない心情がよく現れていると思います。 何か音楽の詩のように、私には思えました。 『北風と太陽』 えーと、、、なんつーか、偉大な試みであると思います。 敬意を表しつつ……ゲロワロタ。 女装ネタから始まる暴走劇はもームチャクチャでありますが、キャラの壊れた様が とても面白かった。でも最後はほんのりと情を感じさせて終わるところに好感を 持ちました。心温まるエンド、有り難う。
『一枚の思い出』 自由闊達な内容であり、「次は何があるんだろう?」と読んでワクワクしてきた 作品です。 それだけではありません。読むうちに『古い作品も、二次創作という器を得ることで、 ずっと生き続ける事が出来るのだ』と、力強い励ましを受けた気持ちになりました。 また同時に、この作者さんは、自分の好きなものを生かし続けるために、文章技術を 磨いてきたのではないかとも思ったのです。 お話、とても面白かったです。 【作品を読み終えて】 今回、特に良いと感じたのは以下の作品です。 『りょうてにはなを』『Signs Of Life』『夕焼けロマンチック同盟』 『乙女対決!七瀬VS智代』『サラマンダー殲滅』『北風と太陽』 『一枚の思い出』 その中では、『Signs Of Life』『一枚の思い出』が目を惹きました。 前者はキャラの描写が魅力的であり、後者は話の内容が好印象でした。 キャラの情の細やかさを考えれば…『Signs Of Life』のほうに軍配を 上げたいのですが…一つの話として面白いと感じた『一枚の思い出』を、 今回の最優秀作に推薦したいと考えます。 ご静聴有り難うございました。
【告知】 ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。 投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、 そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。 引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、 次回以降の開催について議論・テーマ決定などを行いたいと思います。 上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『一枚の思い出』
>>49 >>55 ということで、第三十回の最優秀作品は『一枚の思い出』らしいです。
おめでとうございます。
>>51 感想自体は期間にかかわらず投下OKですので是非。
で、次のテーマはどうする?
投稿数の割に感想数が少ないなぁ。 と、投稿者兼感想人の一人として愚痴ってみる。
継続してやるのなら、次回と次々回のテーマ決めと、スケジュール調整やらんと。
今回、投稿は11(+前回1+遅刻1)、期間内の感想数は5でした。 この数字をどう見ましょうか……。 まずは今後の方向性を決めたいところですね。 とりあえず今夜いっぱい、ブレーンストーミング期間にしてみます。 各自、思ったこと、感じていることを自由に吐き出してみるよろし。 次回以降の具体的な予定などは、そのあとで決めていこうかと思います。
印象的だったのは全レス感想が多かったことかな。
全部読んでからの感想は素晴らしいが、一見さんの感想書きには少し敷居が高いように見えるのかも。
とりあえず、ひとつ読んでみて感じたことをすぐに書いてみるのも良いと思うのだが……。
気に入った作品がひとつで、それだけ感想書くのはちょっと……とか思ってる人、結構多いんじゃないかな。
後、感想の指摘。今回は『goodspeed』の解釈かな。
こういうのは感想を書いた人も歓迎だと思う。みんなで「わいわい」やりつつ作品の議論とか。
個人的には調べずに感想書くのもありだと思うしね。
昔のスレを覗いてみたけど、『桜』がテーマの時はなかなか熱かった。
みんなが「わいわいやってた」という意味で。
話題に上った作品は、それこそ普段ROMってる人にも「俺はこう思った」って言えると思うし。
興味を引かれて読む人もいるかもしれないし。
作品を投稿する方には
>>1-6 にあるようなことを熟読する必要があるけど、
感想は個人の裁量で自由に行ってもいいものだし、それをもっと前面に押し出した方がいいのかもしれないな。
テーマだけど、次回は『なんでもあり』にして、次々回のテーマは、今回決めるってことで、どうかな。 今回、時間切れで出せなかった人もいるだろうし、今から次回のテーマ決めても、時間的な問題があるから。
次回と次々回と両方決めると、どちらを書いていいか迷ってしまうこともあると思うから、 次回のみにするというのも1つの手かな。 そのほうが集中して書きやすいかも。 そのかわりに期間を長めにするとか。
思い切って感想自由にしない? 投稿期間中もすぐに感想書けるようにするの。 理由は2つ。 1つは、感想の敷居を下げる。 敷居ってのはつまり、感想を書くまでの(物理的精神的)手間のことだと思うんだよね。 で、今の感想期間はこの点、期間まで待たなければいけない、他の人の立派な感想と比べられてしまう、とあまりいいことがない。 ちょっと読んでちょっと感想したいなんて向きには適していないと思う。 一見さん(コンペとかを意識しない、ふつーの読み手さん)は、SSを読んだその瞬間に感想書くことができないと、感想期間に再度登場することはなく、結局二度と書いてくれないと思われ。 そこで読む→書くの速攻コンボ。ちょっとした感想でも書きやすくなるかと。 むろん気合の入った人は、期間の最後にどどんと全レス感想を落とすもよし。 2つは、投稿の平均化。 早くに作品を投下することが早くに感想をもらうことにつながるなら、感想が欲しい書き手さんは早めに投稿するかもしれない。 一方、完成度を重視したい書き手さんは、今までどおり締め切り間際まで粘ればいい。 最終日夜の混雑が解消するはず。投稿期間中のメンテの必要も減ると思う。 むろん、これを実行したからといって直ちにスレが賑やかになるとは思っていないし、 感想を書きたくなるようなSSを投稿するのが第一なのはあたりまえだが、間違いなく参加者の自由度は上がる。 ようは、かつての投稿スレの自由さをコンペスレに取り入れようということだけど…
三十回を記念して、今までの作品別の最優秀ランキング クロスは除外 5回:kanon 3回:Air TH 2回:ONE WA まじアン 雫 痕 CLANNAD 1回:誰彼 天いな 雀鬼 ある意味、妥当な結果。 書いてて葉東京組の苦戦とまじアンの意外な奮闘が見えた。 悪いが、雀鬼が最優秀取る日が来るとは思わなかったw
なんかこんな状況下で全レス感想書くのもためらわれるような……w まぁ、いいか。 初めに言っておくと、俺はクラナド未プレイです。 一応、選択スレのバットマンとかは見たっつーか書いてたりもしたんだが。 まぁその程度の理解なんで、蔵SSの感想はちょっと的はずれになってしまっても勘弁してくれ。 あー、あと。俺、褒めるの苦手だから。控え目に褒めてるんで、そこは拡大解釈してくれw 「金のない話」 春原や杏との会話が楽しいだけに、全体を通しての雰囲気に違和感が。 親子の確執があるとは聞いていたが、頭の部分では全くと言っていいほど解消されていない模様で、 なのにエンディングでは、ただの不器用な家族のようにも見える。 どちらかと言えば、後者の雰囲気が全体を流れているだけに、頭で印象をつけられてしまった。 部分部分が面白いのに、残念。 あと、細かいとこだがマジぎれしている人は、自分を客観視はできないんじゃないかなぁ。 最後に。杏、空気嫁。露骨に家庭の事情な場面に立ち入らんように。 「送る言葉」 GODSPEEDというとガンパレを思いだしてしまったりするのだが、板違いなので以下略。 そうか、あれって「風のような奴だったな……」とかそういうニュアンスじゃなかったのかw シーンとしては分かるんだけど、もっと適切な言葉がいくらでもあったような気がするのだが。 この言葉を話の中心に据えたのはなんでだろう。 例えばそれが、痕本編に出てきた、なにか耕一or千鶴の心に引っかかるような言葉だったら、分かるんだ。 でも、無理矢理に持ってくるような言葉ではないと思う。暗く静かな雰囲気が根底に流れているんだし。 最後に。「贈る言葉」の方が適当なようだ。荷物配送するんじゃないんだから。
「ambling in the umbrella」 えーと、俺、ホワルバに関しては、ちと細かく突っ込んでしまうのだが。 電車で数駅を歩いたらめっちゃ大変そうだが……なんで歩いたのか。 図書館って、大学のじゃないよなぁ。はるかが自転車で来ているし。 ホワルバには図書館が三つ確認されていて、大学のと、近所のと、駅で数駅行った先のとあるんだけど、 このうち近所のが、駅からは遠いらしいので、そこから歩かせるだけでもよかったのでは。長く歩く必要もないし。 雰囲気作りには成功しているし、それはとてもいいんだけど、それだけで終わってしまった感があるのも事実。 はるかの意図をぼやかしたのはらしいんだけど、作品としては不透明感を煽るだけになってしまっている。 冬弥は意外と突っ込み上手なので、そこらへん強化すれば、もうちょっと面白くなったかなぁ。 「自転車乗るときは傘差さないから」が、「自転車乗るときは、傘は差さない人だから」だったらポイント高かった。 最後に。「んだね」。……これがめっちゃ気になる。 「りょうてにはなを」 えーと、あれや。椋は妹で占いするけど絶対あたらないスーパー占い師の方や。わかっとるねんで。 玄関の下駄箱はノックされないのだから、ドアって書かなくってもいいんじゃないかなぁといきなり突っ込んでみる。 七行目の覗き窓の所も、玄関だって分かっているんだから、別にドアいらんかも。……ドアフェチ? なんでしょう。こちらの朋也君は妙にスーパーキザテイスト満載です。歯が光ってる(俺の脳内で)。 椋一人称のせいもあるんだろうけど。ええ、まぁ、全体的に死にたくなるほど甘ったるいです。よいですね。 歯が浮くデート風景を余さず再現してくれた作者さんには、蜂蜜練乳ワッフルニンニク乗せを差し上げたいと思います。 ところでこの子、所々お店が辞めたとか言葉遣いが独得だけど、もしかしてそういう設定なん? ドアフェチも。 >──いつまでも、いつまでも、幸せでいられますように。そう願っていました。 最後に。ここ、そうか死ぬんだな。鍵キャラだもんなぁ……と思ってしまうではないかw
「Signs Of Life」 引き出物は何ですか。とげとげしたものですか。ひとでだらけ、ひとでだらけ、ぷち最高だと思いませんか。 それはさておき。風子が同居する(泊まる)のを了承するのはいいとしても、 連絡もなにもしないで目の前の風子に欲望を抑えきれず、めくるめく官能の一時を過ごしたのか。こやつめ、にはは。 芳野さんって呟きグセがあったのか。「人、それを結婚という……お前達に名乗る名前はry」とか続きそうでドキドキ。 よい話だったと思います。ちと長い気もしますが、小ネタが効いているので、さほど気にはならない。 >公子さんの年齢なら、子どもは早い方がよかったはず。 最後に。ここ、失礼だな、ゴルァ(゚д゚)殴るぞこの野郎。俺の国の法律ではショートカットの女性を辱める奴は死刑だ。 「乙女対決!七瀬VS智代」 変な二人w だよもん萌え(*´Д`)ハァハァ。以上。――というわけにもいかんかw 凄い勢いで流す美佐枝さん萌え。悲しい顔する雪ちゃん萌え。有紀寧さまの後光萌え。通りすがりの天才少女って誰。 シンデレラのへん、キャスト多すぎてセリフが掴めない。何人増えたのかすら。まぁ流すところなんだろうけど。 全体的に面白かったんだけど、ちと落ちが弱かったかな。がつんと来るんではなく、フェードアウトしていった感じ。 んでも、バカな話だけどうまく楽しくまとめられていると思う。 最後に。個人的には「二大怪獣大決戦」とかの煽り文句を兼ねたサブタイトルが欲しいところだ。 「サラマンダー殲滅」 オンドゥルネタはちと寒いぞ。知らん人にはなおさら。俺と一緒に特撮スレに帰ろうな。 んー、落ちが予定調和だった気がするなぁ。一対一の野球対決というのを上手く活かしてはいたけど。 笑えるとこもあったし、ドゥルガーさんとか変に雰囲気作っていたがw でもそういう捻り方で落ちるのは、なにか違う気が。舞がupする行為自体にも、あんまり意味はないし。 あと、この北川だったら、香里の写真なんぞ見つけたら、問答無用で飛び込んで掻き抱きそうだ。……だめじゃん。 最後に。このタイトルならちゃんと復讐しようよ。その前に辱めようよ。色々と。なぁ。 それじゃ、俺は斎藤と一緒に貧乳派の勢力拡大に貢献してくる ノシ
「夕焼けロマンチック同盟」 みさき先輩萌え━━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!! やばい。あのままキスなんかしてたら、きっと心臓が七秒ほど止まってから蘇生して萌え転がっていたに違いない。 よい話です。俺の中ではみさき先輩は完全に見えない方が、イメージだけど。 まるで見えないからこそ、思い出が綺麗になりそうな気がするし。彼女らしさを強化できると思う。 タイトルはもうちょっと落ち着いたものでも良かったかなぁ。 みさき先輩の日記みたいなものだ、と思えばそれらしいけど。 最後に。一つ突っ込むのなら、茜の顔に触れたとき、その感触を細かく表現して欲しかった。 彼女の手のひらは、我々の目に等しい重要な感覚器なのだから。 「Ifにもならない可能性」 うーん、うーん、うーん。なんだろう。もったいない。好きなんだけど。話の主題はどこなのか。 浩平の文集ができてない、という最後の引きがはぐらかされたまま終わったからだろう。 稲城さんが出てきてからの話が、浩平とだよもんのラブラブ話と繋がらないではないですか。 中身が書かれてないにしても、タイトルだけ決めて、話を想起させていれば、しっくり落ち着いたはず。 浩平の心の中の本当の気持ちでもいいし、「じゃあタイトルは、『もしも長森に彼氏ができるとしたら』でいくぞ」 「そんなの卒業文集で書かないよっ」みたいな軽い冗談兼のろけ落ちでもいいが。髭に締められてもなぁ。 最後に。タイトルポイント高し(・∀・)b どこかで聞きそうなフレーズだけど、そこはそれ。適材適所って奴。 「You never need me」 志保日記。ちょっと弱いなぁ。気持ちは分かる。心情は分かる。でも、それだけなの? と。 例えば現実での出来事に絡めるなり、雅史や誰かと絡めて膨らませるなり、もっと色々欲しい。 ああ、こんなんだったんだろうなぁ。と、それしか思えぬ。 誰もが予想できるような心の内だけに、もっと深みが欲しかった。 最後に。深夜に目覚めて悶々としてるからオナニーでも始めるのかと思ったのは秘密だ。
「北風と太陽」 一本目。おもしろいです。ちょっといい話です。ぷち幸せになれますっ。 二本目。こんな芳野さん却下です。ちょっと分からないところもあります。勝平さん萌えという設定でもあるんですか? 三本目。ここでこの話が続き物だと分かりました。海を出すならジブラルタル海峡でも絡めれば良かったと思いますっ。 四本目。最終テーマのために少し唐突感があります。あと、戦いと一方的虐殺は違うと思いますっ。 五本目。ここは特撮の多いインターネットですか? さりげなく書いてもお見通しです。 六本目。ぜんぜんエッチじゃありませんっ! 詐欺です虚構です俺俺です。JAROに粛正されるべきですっ! 七本目。反応に困ってしまいました。どうすればいいんでしょう。きっと大人になれば分かると思いますっ。 八本目。バカだらけです。こんな家庭に生まれてしまった汐ちゃんに、「ハッピーバースデー汐ちゃん」。 ショートの連作かと勘違いしてましたのでこんな形式にしてしまいました。んーっ、気にしないでいきましょう。 全体の筋を通しているようで、結構バラバラですっ。でもバラバラに見えて、結構通っていると思います。 だけどホモ夫婦(芳野改造前)とレズ夫婦?(春原改造後)が、最終的にそれぞれ誕生するなんて史上最悪ですっ。 面白いところもあったし、よく頑張ってると思うので、努力ヒトデ進呈です。タイトルもいい感じです。 最後に。なんで渚ママのパンはおいしかったのでしょうか。きっとヤバイ薬でも入っていたんだと思いますっ。 「一枚の思い出」 長いですハードです二人はプリキュアですっ……いかん。口調をそのまんま引っ張ってまう。解除。 あまり葉鍵板では見ない雰囲気です。戦記物というか歴史物というか、淡々とした文体が雰囲気出しています。 雀鬼にLF、NWと数多く出ているわりには描写の少ない二人の過去話に、興味津々です。 かえって情報が少ないだけに、世界を自由に作れて、なおかつ上手く構築してあると思います。 平和だった村が一気に崩壊していくのは、うたわれを思いだして(´Д⊂) おかしい。これはレズハァハァするSSではないのか。二人が仲良くなっていくのに萌える話ではないのか。 一晩過ごしたときに何があったのか教えろと小一時間(ry (下に続く)
(上から続き) 最後に。絵描きのメイフィアさん萌え。マイペースなルミラ様萌え。壊されてから呪い返しするフラン萌え。 いや、ほんとこんな強かったのか、凄いよあんた等みたいな描写が素敵です。 まとめ よいです。おもしろかった。力作が多いですね。振り返ってのおまけ感想。順適当。 葉鍵板らしい萌えたっぷりの「夕焼けロマンチック同盟」が好き。すごいみさき先輩らしいと思いまする。 ……そういや昔、俺もこの二人の似た話書いていた。茜視点で。この二人は萌えだ。お前らつき合え。 対照的に、二次創作としてはこの板では珍しい雰囲気の「一枚の思い出」もよかった。 いかん、こんな所でレズスキーとしての俺の本性をかいま見せてしまうとは。 「サラマンダー殲滅」は、もっと胸に関しての熱い談義を見せてくれるべきだった。 対香里と舞という個人的感情ではなく、巨乳スキーとしての主張を。 「乙女対決」は面白いんだけどシンデレラの所がちょっと中途半端。あと、智代だが……屈服させてぇ。 「金のない話」はダメパパに萌えた話。うらぶれた背中が哀愁を感じさせます。 もうちょっと主題をはっきりさせて欲しかったのが、「Ifにもならない可能性」。材料選びは上手い。 「You never need me」は、メッセージが薄い。最後の一言とか、志保らしいんだけど。 「北風と太陽」は形式が形式だから、実は懐疑的な目で見てたけど、思った以上によかった。ちと下のネタがきついが。 「Signs Of Life」はやってないのに言うが、クラナド的なんだろうな。幸せ風景を長く綴るって言うのが。 きっと凄くらしい作品ではあるんだろうけど、ちょっと刺激が足りなかったのもまた事実。 「りょうてにはなを」はさほど長くはないけど、やはりそういう傾向。甘いのもいいけど、事件が欲しい。 「ambling in the umbllera」もね。あまあまがないけど、それははるからしいスタンスだと思う。 この三つ、同じ傾向にあると思う。そういう中ではしっかりと話を作った「Signs Of Life」が好印象かな。 ところで「贈る言葉」って……やっぱあった。第9回の「生きて帰らぬ」のちゃんとした版か。 んーっ、時間があったんだから、もうちょっと膨らませられなかったのかなぁ。 なんだかんだ言って今回の収穫は大漁旗を掲げて凱旋気分でした。うむ。
>>65 は一度試してみたいな。
>>66 を見て、今度は時系列順・元ネタ別に眺めてみた。
第一回: ONEが第一回を制する。まぁ妥当というか、順当というか。
第二回: WAが来ました。意外なように見えて、当時のWA職人の評価の高さから見ると、妥当だったかも。
第三回: まじアン受賞。こう言っちゃ何だが、純粋に、意外w
第四回: 雫がここに来て、葉三連覇。
第五回: 激戦を制し、AIR初受賞。にはは。
第六回: WAがまた来ました。
第七回: 三作品同時受賞。ONEが再受賞。そして、ここでようやく東鳩・Kanonが初受賞。
第八回: と思いきや、東鳩・Kanonが並んで2連続受賞を決める。
第九回: そして、東鳩三連覇がここで決められたw Kanon、惜しい。
第十回: ここで初めて痕が顔を出す。言われてみれば、出ていなかったw
第十一回: 老舗の意地か、痕二連覇。
第十二回: 負けていられるかとKanonの逆襲。
第十三回: 鍵系主人公で初のクロスオーバー受賞。また、雫も同時受賞で復活。
第十四回: エンジンがかかったのか、Kanonが順調に受賞を重ねる。
第十五回: 初の該当作品無し(´・ω・`)
第十六回: インターバルを挟んでまたもKanon。お前は某F1ドライバーか。
第十七回: ここに来て、伏兵・誰彼が受賞するという意外だが(前回、力作が多く)意外でもない展開。
第十八回 第十九回: 連続で該当作無し 寂しい。
第二十回: いきなりまじアンが復活。まじアンは本数が少ないわりに、ヒット率は高い。
第二十一回: 初の天いな作品受賞。
第二十二回: またも該当作無し
第二十三回 第二十四回: 久しぶりにAIRがきました。と思ったらいきなり二連覇。
第二十五回: 該当作無し (´・ω・`)ショボーン
第二十六回: ついに来たか、という感じでクラナド降臨。
第二十七回: あれよあれよとクラナドが受賞を重ねる。鍵の時代か?
第二十八回 第二十九回: またも失速。2連続該当作無し。このスレの存在意義が問われかける。
第三十回: だが、ここにきてまさか、もっとも古いソフトであるナイト雀鬼(NW?)が受賞しようとは、誰が予想しただろうかw
受賞無し うたわれRoutesこみパフィルス(´・ω・`) 同棲とリアもか?
まじアンって、クロスオーバーを除くと最優秀作の2本しか無かったような・・・
んー、あとは第十九回のくらいかな。クロスオーバーだけど、ありゃまじアンと言っていいと思う。 うたわれがないのが結構意外だったな。 Routesは三本エントリーした十八回で取れなかったのが惜しかった。 こみパは……そもそもあんまここで見かけないような。
>>65 >思い切って感想自由にしない? 投稿期間中もすぐに感想書けるようにするの。
漏れは反対。
最初に投下した作品に対し、ボロクソにけなす感想がつくと、次に投下する者がひいてしまう。
逆に、ベタ褒めの感想がついても、次に投下する者が、その作品と比べられるのは、
目に見えてしまうわけで………。
むしろ、敷居が高くなると思うけどなぁ。
まぁ懸念は分かるが、そこまで極端な感想は、あんまここでは見かけないけどな。
一番の理想はどっかのこんぺみたいに他からの感想を見えなくしちまうことなんだけどな。 それがどんな意見であれ見ちまった奴は絶対に影響を受けちまう。
そうだね。上記のことをするとコンペスレじゃなくSS投稿スレになる可能性があるから。 テーマ縛りがある分何とかなるかもしれないという気持ちもあるのだが……。 もし試しに採用してみるなら、投稿期間は五日くらいに圧縮した方がいいかもね。
それはそれでなんか投稿作品が減りそうだし、感想が早めにもらえるメリットが薄くなる予感。
どうせお試しなら、他の部分はあまり変更しない方が参考になると思う。
あと、
>>76 は投稿者に対しての敷居を考えているが、
>>65 は感想者の敷居を低くする方向性だから、また違いそうな予感。
俺のスタンスは
>>73 で、とりあえず試してみね? って感じだが。
どちらかと言えば、書き手よりの人間の一意見として。
書き手として言うならば、投稿期間は一週間くらいでも良いような気がする。 今までだと、テーマ決定から、実質1ヶ月以上期間が有ったわけだし。 感想期間は、作品が来ないと書けないから、2週間は欲しいかなぁ。
82 :
65 :04/11/06 18:19:40 ID:Hfi1I6AJ
>76 ん〜、それも一理ある。 書き手の敷居を上げてしまったのが、かつての投稿スレだろうからねぇ… 投稿期間中は叩き禁止にするってのはどうかな? 批判・提言系の感想が書きたければ、全作品が投稿され終わるまで待つことにするの。 そうすれば、きつい感想で投稿者が萎縮することはなくなると思う。 マンセー系の感想がついた場合その作品と比べられてしまうというが、ここはコンペスレ。 他作品と比べられることを喜ばずしてどうしろと言うのか(w ただ、だらしなくなって欲しくはないので、自分も投稿期間の短縮を提案したい。 投稿期間(投稿+擁護感想)1週間 感想期間(批判感想解禁・最優秀投票)2週間 総括1週間 って感じっす。 投稿スレと似通うのは、投稿スレみたいなことをしたいという提案だから仕方ないんだけど、 それでも、匿名投稿、テーマ制限、期間制限、感想返し制限、最優秀選出、などの点で違ってるはず。
感想スレッドとかあればいいと思うんだけどね。
>>82 叩き禁止、の一言で叩きが消えたらこんな楽なことはないよ。
>>84 まぁ、気分的なレベルの問題を気分的なレベルで解決するための策だから。
叩き禁止とルール化しておけば、万一それ系の人が来ても生暖かい目で見守ることができるでしょ。
この板では演奏スレとか、叩き禁止のルールでそこそこ上手く回っているわけで…
(その逆をやってしまったのがDNMLスレのような気がする)
業務連絡です。 とっとと終了すべしという意見は消えたようなので、次回のことについて、 具体的な議題を考えていこうかと思います。 >テーマ 前回決めていなかったので、急いで募集しなければなりません。 次回次々回分を同時決定することになるやも知れませんので、 今回に限ってですが、1人2個までの提案を認めたいと思います。 >次回開催期間 既に出ている意見も合わせますと、 1.テーマを決めて通常通り開催 (準備期間が短くなる!) 2.「なんでもあり」で通常通り開催 (1より書きやすいか) 3.テーマを決め、期間を遅らせて開催 3を選んだ場合の期間の調整法としては、今回のように投稿期間を長く取るか、 あるいはミニイベントなど挟んでみるという手もありますが… (前回言われてた記名コンペとか? あるいは感想の扱い方変更の試験?) その他にも何かありましたら、意見・提案よろしくお願いします。
(;´Д`)/ 先生!! 今回、感想扱い変更試験を、投稿期間が短い説と併用した場合、大変なことになりそうです!
3→2のコンボは駄目ですか? 時期的に考えて次々回のテーマは『冬』。まんまやけど。
89 :
88 :04/11/07 01:19:10 ID:gupK4DUt
あ、言葉足らずだ。 次回のテーメを『なんでもあり』にした上でミニイベントも開催してほしいです。
90 :
88 :04/11/07 01:20:55 ID:gupK4DUt
テーメって何だよヽ(`Д´)ノ ウワァァァーーン!
では次回のテーマを「なんでもありで記名しつつ即感想ありで混沌とした素敵な状況を(・∀・) テーメねぇw 「隣り」なんてどうだろう。なんとなく。
OK、とりあえず次回は「何でもあり」で頼むぜ ……ああそうだよ、今回途中まで書いて間に合わなかったんだよ!ヽ(`Д´)ノ
SS投稿→即感想 メリット ・即感想を付けてもらえるので投稿する気力が沸く ・流れによっては感想が書きやすい ・スレに活気が出来る デメリット ・感想数に偏りが出来る(早めに投稿された作品ほど感想がつきやすい) ・流れによっては投稿や感想がつけにくい ・後に書く人は既に投稿されているSSや感想に左右されてしまう
こんばんは。今回、「一枚の思い出」を書きました。感想くれた方、読んでくれた方、ありがとうございます。
なんか初っぱな、感想スルーされまくりで不安だったのが、最終的には最優秀取ってしまって「ええのか?」と思ってたりもしますが。
原作知らないなどの理由で俺のを読まなかった人は、そのせいかどうか投票もしてないので、微妙に複雑な気分でもあります(;´Д`)
基本的にはバングルの数行の情報を元に、好き勝手させてもらいました。勝手にできたので楽しかったですw
ただ、もうちょっと……幅は広げられないけれど、深みは出せたかな、と思うところもありますが。
では、個別レス返しを。
>>37 氏
実はルミラ様とメイフィア姉さんのセリフ回しに苦心して、NWとLF97を再プレイしてみたのですがこれがなかなか。
強さを出すためにちゃらけさせすぎたかもしれませぬ。イメージと違ってしまったら申し訳ない。旧雀鬼はさすがに未プレイです。
客観的な視点かぁ……うーん。今回本当にイビルに絞ってしまったし、それを書きたかっただけなので、どうかなぁ。
書いてみないと分からないけど、俺が書くと、散漫になってしまいそうな気がしまする。
>>49 氏
お褒めいただきありがとうございます。ええ、まぁ、情報がないのをいいことに、散々膨らませました。ぶわっと。
時系列的に、メイフィア姉さんがここにいるのかどうかだけは、実は怪しいのですが。
>>55 氏
ああ、いや、んな立派なもんでもないと思いまする。
「IF」あってこその二次創作とは言いますが、私の場合、「IF分」を人より多めにぶち込むのが好きなだけで。
クロスオーバー好きなのも、きっとそこから来ているのだろうなぁ。
先を読むのが楽しみな作品を書けたというのは、大きな励みになります。
「IF分多め」であるが故の、アドバンテージですが。
>>71 氏
ええ、もう。そりゃあ素敵なことがあったに違いありませんよ(*´Д`)ハァハァ
なんかもうラブラブげっちゅうな二人を妄想を炸裂させつつ書きました。
ルミラ様達はちょっと強すぎかなー、でも大勢力だったしこんなもんかなーと想像しながら書きました。
自分で書いててなんですが、フランの戦い方は好きです。敵が殴ってこなかったら、どうするのか知りませんが。
実は今回三十回で区切りがいいので、過去作品の発表とかしようと思ったのですが、
なんか次記名有りになるかもしれませんので、とりあえず伏せておきます。
テーマとかにかんしては……今眠くてちょっと脳が働かないので、また正気の時にでも(;´Д`)
以上です。では、またよろしくお願いします。
次回の投稿期間はやっぱ伸ばす方向でいくん? テーマ決まった、じゃ投稿開始!になるなら、一ヶ月ぐらい欲しいかも……
次のテーマを何でも有りにした場合、投稿期間は2週間くらいでいいんじゃない?
なんで? 今回に間に合わなかった人が仕上げるだけならそれでいいかもしれんが、 テーマ決まってから書こうとしてた人にとっては短くない? まあ次々回にまわせばいいのかもしれんが
「乙女対決!七瀬VS智代」の作者です。感想ありがとうございました。
誰でも思いつきそうなネタの割に誰も書かないので挑戦してみましたが…うまい締めが思いつかず、
放り投げ気味のオチになってしまいました。
とはいえ概ね笑っていただけたようで何よりです。
>>25 普段漫画ばかり読んでるので、書く最中もそんな感じで浮かんできます。地の文を埋めるのに苦労したり。
誰の台詞かわからないというのは大きな反省材料です。勢いに任せすぎた…。
>>32 ここらで本編名台詞の一つも入れねば、と無理矢理ねじこみました(w>はぁーっ
>>43 元作品を知らない人にも面白いと思ってもらえたのは光栄です。
終わりの方はかなり駆け足になってしまいました。「乙女を目指す姿が乙女」という七瀬物でよく使われる
理屈を逆手に取ったギャグ、という方向にしたかったのですが、煮込み不足でした。
>>48 瑞佳は一部浩平の代役ということでひとつ(w 美佐枝さんが好評だったのは瓢箪から駒でした。
>>53 キャラが生きているというのは嬉しい評価です。フーミン役(瑞佳)のお陰で書きやすくなりました。
>>69 >>72 やっぱりオチが問題でしたねー。 天才少女はなのなの言ってる人です。ONEと蔵のクロスならことみと
澪との競演はさせねば、と出してみましたが、結果演劇部チームも必要になって収拾のつかないことに。
七瀬と智代ならむしろ二大ヒーローになれそう(w そして後半に出てきた強大な敵を協力して倒しそう。
業務連絡です。 えー、次回どうするか、まだ迷ってます。 いくつか意見は出ましたが、コレなら!というものが…… ですが、いたずらに引き伸ばしてても仕方ないので、いくつかの決定を。 >次回テーマ 「なんでもあり」への支持が多いようなので、「なんでもあり」に決定します。 次回参加意思のある方は、早い目に書き始めちゃって下さい。 >次々回テーマ 現在のところ「冬」「隣り」が挙げられています。 もうしばらく募集を続けます。
>次回開催のこと 記名コンペは賛同がないようなので、エントリーから外します。 さて、即感想の実験をどうするか。 スレを眺めてみましたが、賛否拮抗の様子…… やっても良いと言う人、やりたくないと言う人、今一度、意見表明のほどをお願いします。 私としては、意見が出ないようならとりあえずやってみようと思います。 もうひとつ、期間をどうするか。 投稿期間を3週間にするというのが1案。 いつもの1ヶ月準備期間よりは短くなりますが、「なんでもあり」なので何とかなるかと。 ただ、即感想の実験を行うとなった場合、投稿期間を短くする必要があります。 その場合、ミニイベントと割り切って投稿期間7日くらいの小品主義で開催するのも手かと考えています。 回数は30.5回という扱い。数の集まりを期待するよりも、ノウハウ蓄積を主目的に。 >次々回開催のこと 次回開催がどうあれ、これはいつもどおり、次回後(最低でも1ヵ月先)の開催予定です。 以上、意見・提案などありましたらお願いします。 とりあえず今週土曜までを期限にしたいと思います。
age忘れにつき、age
第三十一回は◆2tK.Ocgon2さんの言うとおり実験的にやってみる回にしてはどうかと思います。 テーマ 「なんでもあり」 投稿期間 3週間 即感想 有り(罵倒されても泣かないで頑張るという事で)
>>101 即感想を行う場合、それを理由に敬遠する人が出るかもしれないのに、
さらに投稿期間を短く取ると、作品数が恐ろしいことになりそうな気がしない?
俺としては、
>>103 氏にほぼ同意。
ところで記名コンペは否定も肯定もほとんどないんだが、それはどうなんだろう。
個人的には、今までどの作品がどの作者さんの書いたものか知りたいという気持ちもあるのだが。
ここで普通に明かしてくれてもいいんだけど、そういうことをする作者さんって、あんまりいないからなぁ。
即感想はともかく記名コンペには反対。 匿名の気安さってのは投稿を増やすのに重要だと思う。
記名は俺も反対。 晒したくない人とか、そもそもハンドルがない人とかもいるだろうし。 投稿期間は3週欲しいなあ、即感想なら感想期間分を 投稿期間に回しちゃっていいだろうしね。
>>77 極端な感想が少なかったのは、こういう、あるていど感想が
間接的になり、期間を置くという形式を守って運行されていたから、
というのもあるかもしれない。
まあ基本的に、他人の感想への反論や批判のみのレスをつけるとか、
書き手と感想人で感情的なやりとり、とかがなければ
荒れたり極端なことにはあまりならない。
今回のGODSPEEDみたな基本的な事実の間違いの指摘は別として。
あと、マンセー感想が影響を与えるのは、
その次に作品を投下する人にとばかりは限らない。
最初に絶賛の感想が続いたため、「すごい絶賛されているが、
ちょっと反発を感じる」「そこまでの作品か?」的な流れを生んで
落ちた、という例も過去あった。
あれですか。作者さんの挨拶がブームですか。
よーし、酔った勢いで俺も挨拶しちゃうぞー。頭ぐだぐだですが、勘弁してね。
サラマンダー殲滅書きました。ども。
2年越しの大作を仕上げた徒労感で一杯です。
ていうか俺前スレの453じゃないのでパクリになりますか。法律のことよく解りません。
個別レスは正直俺様吐きそうなので許してください。一つだけ。
>>25 >・サラマンダー殲滅
>君のKanonは俺の求めるKanonではなかったようだ。
うん。俺もこんなKanon求めてなかった。
じゃ!
次回は投稿期間三週間で感想期間を一週間(+、投稿期間中の即感想もあり)とかにしてみては?
次々回のテーマは「冬」でいいかと。Kanon勢がまた勢力伸ばしそうだけど、色々書けそうなテーマではありそう。
ところで
>>108 の作者さんの挨拶見てふと思った。
このコンペで今まで最多参加者って何回くらい参加してるんだろう?
さすがに30回全部参加した人はいなさそうだが…。20回くらい? それとも
>>108 で紹介された作者さんの15回が最高?
今回『送る言葉』を投下させて戴きました、如風といいます。
まさか『GODSPEED』の綴りで、ここまで論争になるとは予想外でした。
この話は以前、中途半端に投下したものに手を加えたものです。
本当は、もっと長い話でした。
柏木賢治が鬼と葛藤するシーンとか。
千鶴さんが、車に乗ろうとする叔父を後ろから抱きしめ、
「私も一緒に連れて行ってください」
と泣きつき、途中まで一緒に付いて行くシーンとか。
ラストで、楓が出てくるシーンとか。
どれもこれも、在り来たりなうえ冗長なので、必要な部分以外切り落としたら、
あのような形になりました。
>>67 >GODSPEEDというとガンパレを思いだしてしまったりするのだが
実は、この感想を見るまで、どうして『GODSPEED』という言葉を入れたのか、
私自身すっかり忘れていました(;´Д`)
実は、葉鍵キャラにこの言葉を言わせたかったというのが、この話を作った
動機だったりします。
今回、一番書いて楽しかったのは、勝手に性格をでっち上げた、柏木賢治でした。
自ら選んだ死を、無事にあの世に行けるよう、千鶴に笑って見送れと豪快に
かますあたりが、
『親父、見事な死に様だっ!』
と、書いてて悦に入っていました(爆)
>>24 >コメディじゃ、ないよな?
>なんか「逝くのですか?」とか「GODSPEED 叔父様!!」がツボにはまって笑い転げちまった。
「逝くのですか?」だけは、後からちょっと後悔しました………_| ̄|○
>>110 今まで、投下した作品をまとめてみました(=゚ω゚)ノ
嘘の上手なつきかた 第五回:『嘘』
キスして欲しい 第八回:『キス』
初めての買い物 第十回:『初め』
真夜中の午前二時 第十一回:『プレゼント』
お約束劇場・耳編 第十二回:『耳』
壁に耳あり 第十二回:『耳』
桜を見る回数 第十三回:『桜』
木に揺れる風 第十四回:『風』
いつもの夢 第十五回:『結婚』
何も変わらない夏の海 第十六回:『海』
神様なんていやしない 第十七回:『過去のテーマ』
電気羊の夢 第十八回:『復讐』
さかり 第十九回:『動物』
昔の私から 第二十三回:『卒業』
何時の日か 第二十八回:『料理・食べ物』
送る言葉 第三十回:『過去のテーマ・再び』
数は多いのですが、短めの作品もいくつかあるため、文章量は他の人に負けると思います。
多分、私より多く作品を投下した人が、いると思いますけど。
ちなみに私は一度も、最優秀とった事がありません。
駄文の帝王とでも呼んでくださいヽ(;´Д`)ノ
「冬」ってのは、それなりに書きやすそうでいいかもね。
>>112 数もすごいが、ほとんど痕ってのもすごい……
なんか記名コンペやらないっぽいし、流れが流れなんで俺も作品告白。以前も一度告白したのですが。 第一回 『楓のおもてなし(楓・イビル)』 『約束の桜(はるか)』 第二回 『坂を越えた向こうに(はるか)』 『時に歩いても(葵・マルチ)』 第三回 『突然の、雨と出会いと肩すかし(沙織)』 第五回 『その日は4月1日、いわゆるエイプリルフールだった(はるか)』 第六回 『生贄(美咲・弥生)』 第七回 『沈黙を暴くために(久瀬・舞)』 第八回 『しあわせになる方法(真琴・秋子)』 『恋人としての(梓・耕一)』 第九回 『空を繋ぐ声(セリオ)』 第十四回 『風が運ぶ願い(舞・香里・栞)』 第十五回 『君に届くなテレパシー(琴音)』 第十七回 『いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人(瑠璃子・はるか) 』 『闇に閃く鈴の音(誰彼)』 第二十回 『あなたを想う音(沙織・瑠璃子・祐介)』 第二十三回 『揺らぐ仮面(セリオ)』 第二十四回 『神社御参拝・水瀬家の場合(水瀬家)』 『叶える代償(カミュ)』 第二十五回 『聞いてません(WHITEALBUM)』 第二十七回 『姉妹ごっこ(香里)』 第三十回 『一枚の思い出(イビエビ)』 都合十七回参加、二十二本投下。Kanonが五本ある他は、全部葉っぱ作品。旧作多め。 雀鬼(NW)1本 雫2本 痕1本 東鳩4本 ホワルバ5本 うたわれ1本 誰彼1本 クロス2本(雀鬼・痕、ホワルバ・雫)。 っつーか、かろうじてうたわれが1本ある他は、(こう言っちゃ何だが)旧世代作品ばっかだ。懐古主義ではないのだが。 余談だが、違う作品とのクロスでなくても、舞と美坂姉妹とか、沙織と瑠璃子とか、 作品内でほとんど接触がない連中で話を作って、勝手に作品内クロスオーバーと矛盾した呼び方をしてたりもする。 IF分多めと前に書きましたが、ここらにもそういうところは現れていまする。 そのせいか、『叶える代償』の時に、「一本道の本編とは、明らかに違う流れ」に違和感を感じられることもヽ(;´Д`)ノ ジャンルはだいたいなんでも。脳内妄想の命ずるままに。 俺はほとんど葉鍵板専門SS書きなんで、またなにか浮かんだら書くと思いまする。 では、またよろしくお願いします。
アレとアレが同じ手によるものだったなんて…。 作風といいますか、多芸ですねぇと感心すること頻り。
今回「ambling in the umbllera」を投稿させて頂いた者です。 久し振りの参加でしたが、大変多くの感想を頂き、感謝の気持ちで一杯です。 「話がよく分からない」「理解しきれない」という意見が多かったのですが、 自分の技量と、原作に対する理解がまだまだ不足していたのが原因です…。 そのあたりも含めて今後の参考にしようと思います。
…で、今回「You never need me」も投稿させて頂いた者ですw
こちらも上作と同様「分からん」「中身が見えてこない」等の意見を頂きました。
思いつきだけで書くと良くない、という事を身に染みて感じました。
とりあえず、構想から完成までを締め切り当日の3時間で仕上げられただけでもう満足です…_| ̄|○
ご感想、本当にありがとうございます!
>>110 今までにコンペスレで投稿させていただいた作品は、
今回の2本と第19回(動物)の「SELF HIGH FIVE!」です。
これからも機会があれば参加させていただきたいと思いますので、
いつか読んでいただいた方に「面白かった」と言われるその日まで、
今後ともよろしくお願いします。
早いとこ反転スレに戻って回線吊って首切ってこよう…
業務連絡です。 出された意見を総合すると、次回開催は、 テーマ「なんでもあり」 投稿3週間 即感想あり というところでしょうか。 特に反対がなければ、日曜いっぱいをもって次々回テーマ募集を締め切り、 11 月 15 日の午前 8:00 より、上記の要項にしたがって、 第三十一回「なんでもあり」を開始したいと思います。 テーマ投票や作者挨拶を予定されている方は、お早めにお願いします。
>>110 過去に投稿したのは、
空の下の恋人(夏だ!外でエッチだ!)
基準座標(嘘)
サツキ・ザ・ワイルドキャット(耳)
サクセサーズ・ルーツ(復讐)
雀鬼のネタ(動物)
DeepInMyself(なんでもあり)
dear my sister(えっちのある生活)
ハクオロのいない六月(えっちのある生活)
甘菓子職人的恋愛学(過去のテーマ・再び)
タイトルのセンスが……(・ω・)
それはそうと、感想期間は別に設けるの? 即感想だからいらない、となると、最終日の投稿が切ないことに……
>>120 感想期間は10日間、取ります。ご心配なくです。
【告知】
第三十一回投稿テーマ:『なんでもあり』
※テーマ制限は設けません。なんでもщ(゚Д゚щ)カモーン!!
投稿期間: 11 月 15 日の午前 8:00 から 12 月 6 日の午前 8:00 まで。
※今回の投稿期間は3週間です。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※今回、実験的措置として、
>>4-6 にある投稿ルールが一部変更されています。
※「投稿期間終了までは一切感想をつけない」→「投稿期間中も感想OK」
※投稿される方、感想を書かれる方はご注意ください。
それでは、投稿開始っ!
また、次回のテーマは『冬』への支持が多いようなので、『冬』に決定します。 開催時期は 1 月上旬になる予定です。 「三週間じゃ短すぎて書けない」という方はこちらの執筆に力を注いでもらっても構いません。 ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
そういえば今日知ったんだが、某所で行われているCLANNADSS祭りはSS好きならチェックして損はないと思う。 CLANNAD限定だが、毎回テーマを決めているところなんかはここに順ずるものがあるし、 ここのコンペ参加者からも、今回含め最近では 「さまよう仮説」のガテ○ー星人氏、 「Signs Of Life」のエル○ート氏、 「りょうてにはなを」のよ○お氏などが参加した模様。 書き手も読み手も、何らかの参考になるかも。
書き手の人たちに質問が。 どうやって文章って練習すればいいのでしょうか?
とりあえず書くこと。書くときに何が一番ふさわしい表現か、考えること。 とりあえず読むこと。好きな文章を読んで、どこをいいと感じたのか考えること。 ダメな文章を見つけたら、自分ならどう直すか考えること。文字に対して注意を払うようにすること。 そこらにあるもの、例えば読んだ漫画や出来事、風景などを、頭の中で文章に直すのも基本的練習の一つらしい。 語彙を増やすこと。でも本読んでりゃ勝手に増える。辞書を引くのも大事。 こういうことを、無意識にできるようになること。習慣づけかな。ほっといても、なる人はなるけど。 正直なところ、俺は結構天然系なんで、あんまり練習とかは考えない。 でも、本の読み方は昔に比べて大分変わったとは感じていた。 まず、ひたすら書いて、悩むのはそれからでもいいと思うけど。ま、一応。 実際には、好きかどうか、向いているかどうかの方が重要な気もする。国語だし。 国語を勉強しなくてもできる人はできる。つか勉強の仕方なんてあるのか? ってのと似たフィーリングの予感。 人に読んでもらうってのも、世の中いろんな見方をする人がいるから、参考になる。 書いてここで晒せば、チェック入れてもらえるけど、 しかし2chだといきなり攻撃的なレスも付く可能性もある諸刃の剣。 色々書いたが、文字が好きなら後は何とでもなると思うけど。 長々と書いてしまったが、お好きな方法を試してくれ ノシ
>>125 さんへ
自分で学んだ事からお話します。お役に立てれば幸いです。
文法ではなく「作品を書く」と言う意味での文章の上達ですが、たくさん書いて
それを人に読んで貰いその批評を受け容れる事が一番だと思います。
どんなに自分が良いと思っても読んで貰う人の感想は別です。
私は特に思い入れが強いのでそのギャップに毎回驚きますがだからこそ人に
読んで貰う事を大事にしております。
何かご参考になればと思いでしゃばりました。
>>126 さんの
>ダメな文章を見つけたら、自分ならどう直すか考えること。文字に対して注意を払うようにすること。
これはとてもいいと思います。私もやっています。
過去スレってもう見られないんですか? PINKちゃんねるのトップに飛んじゃうみたいなんですけど… もう見られないなら悔しい。
ありがとうございます。過去を振り返ってみようと思います。
文章の話なんだけど……。 確かに文字での表現力を鍛えたり、たくさん本を読むことは必要だとは思うけれど、 それ以上に、自分自身の「人生経験」や「体験」、「想像力」といったものを鍛えることが 何よりも重要じゃないかと思う。 で、こういった要素を駆使することで、より深みのある話を書けたり、 場面場面でのキャラクターの行動や心情をよりリアルに表現することが 出来るんじゃないかと。 それがなければ、他の作品で出てきたような表現の模倣や、上っ面だけの薄い話に 終わってしまうと思う。 登場人物の行動や心情を描くときには、「何故、この状況でこう行動するのか?」、 「何故、こう考えるのか?」、「何故、こういう台詞が飛び出すのか?」ということを、 一字一句に至るまでしっかり考えて書く必要がある。 その際に、「自分自身がこのキャラだったら?」と、想像しながら書いたほうがいいのでは。
本を読むのは、疑似経験ではあるが、人生の幅を増やすことにも繋がるし、想像力はむしろそういったもので鍛えられそうだが。 女性と男性の差を初めとして、どうしたって自分では体験できないものも多いし、知らないからこそ、断片的な情報で想像するのだろう。 もちろん自分の体験と照らし合わせて物語に深みを与えることは大切だが。 ただ、上っ面はともかく、模倣は別に悪いことじゃない。言語なんて全部模倣で学んでいくものなんだから。 だから、「たくさん」読むべきなんだろう。 まぁ、文章の技法と物語を作るのと、どっちがより、ではなくどっちも大事だ。 物語を作ることと、それを正しく伝えることは、切って離せるもんじゃない。 キャラの心情に関しては、考えるより、自分の中に取り込むタイプだな、俺は。 あまり意識して考えなくても、自然に出てきて、自然に動く。 逆に言えば、それくらい把握しているキャラじゃないと、ちゃんと書けない。 だから原作を何度も読み込む。今ちょうどそれやっているところだわw しかし、こりゃ討論スレ向きの話題だな。
とりあえず本格的に話し込むなら討論スレに誘導してやろうよ。 俺は携帯だから無理だけど。
>>133 保守代わりには良いんじゃない?
いつもより期間が長いうえ、最初の一週間は閑古鳥がないているし。
>>125 毎日30分でも良いから書くこと。必ず毎日。
ポケットの中に、メモ帳とボールペンを忍ばせ、通勤時間や暇な時に書く。
内容は何でも良い。
書き続けると、単語や文章の取り回しなど、スラスラと頭に浮かぶようになる。
1ヶ月くらいで成果が出ると思うよ。
ちょっと過去ログを漁っていたら >218 名前:名無しさんだよもん[sage] 投稿日:04/08/08(日) 00:14 ID:E9c4zyjR >久々に痕ネタが浮かんだので「家族」を次々回テーマに推薦(´ー`)y-~~ ゴルァ(゚д゚) と今さら責めたててみる。
保守
>>135 今、書いているから許してil||li _i⌒i○ il||li
えーと、SS書けましたので投下します。 kanonの舞のやつです。
「サンダルでラーメン」 川澄舞が普段何をしているのか。それを知る人は少ない。 朝は遅い。 夜更かしが過ぎるからか、ギリギリまで寝ている。そうして母からふとんを引っぺがされ、「早く起きないと遅刻するでしょ」 と睡眠時間の終了を毎朝、目覚まし代わりに告げられている。 ……まだかなり眠い。思わず、新しくできた友人の悪ふざけが、口をついて出てしまう。 「……ぽんぽこたぬきさん」 「はぁ?」 忙しい時間帯に、母を混乱させてしまう。 学校は楽しい。 以前も楽しかったが三人でつるむようになって、ますますこの時間は花が開くようになってきた。 有意義だ、とすら思ってしまう。 自分にはきっとこの先、これ以上の時間は訪れないだろうと確信している。 いつだって手を差し伸べてくれる友人と。ほのかに……、いや。馬鹿で憎めなくて、なぜか時々無性に腹の立つ、 (恐らく前世で私はこいつに、詐欺にあったり騙し討ちされたに違いない)友人。 限りがあるのだから、一瞬間だって逃したくない。 「またか……。君はどうも社会というものを、甘く見ているようだね?」 ……なんかメガネが、なんかいってる。 うぜー。 こいつは、シカト。
放課後になると、さっさと帰る。 佐祐理とは、今日はお別れ。祐一とは……また会うかな? 家につくと、夕飯の支度。いつも帰りが遅い母の分は、いつものとおり冷蔵庫へ。 二人しかいないから、洗濯も掃除も簡単。 宿題も早々と終わらせる。 最近は料理にも慣れてきたのか、時間が余るようになって来た。 そこで、本を読む。 図書館でさまざま、多岐にわたるジャンルを勉強する。 世の中に存在する、ありとあらゆることを頭に詰め込んでゆく。 もしかしたら。 もしかしたらこの中に、あいつ等を打ち倒せられる記述があるかもしれない。 完璧にこていし、ひきたおし、きりひらき、こなごなに、できる方法。 そうすればきっと帰ってきてくれる。 いつか見た、あの夢の続きを見せてくれる。 だからこうした生活が毎日続いても、それは全く苦にはならなかった。 「私は魔物を討つものだから」
味も素っ気も、女の子らしさもまるで無い、家具だってろくに無い、なんだかえらくだだっ広く見える部屋の真ん中で ごろごろと寝っころがっていると、ごつりと何かがぶつかってきた。 なんだ? かったるいなー。 何様なんだよ、魔物にだって触らせなかった頭をよ〜。 こっちはまいばん、剣振り回しながら走ってんだよ。これからだって、お勤めなんだよ。 生死の境界線上を、綱渡りなんだよ。わかってる? そこんとこ。 イラつき混じりに手をやると、思ったよりもやわらかい感触。 本だった。前に図書館で借りてきたやつだろう。 何の気なしに、ページをめくる。 と。 『ラーメン丼のふちギリギリまで張られた醤油味のス−プ。そのスープの中に、漂うがごとくひそむがごとく 見え隠れしている細打ちの縮れ麺。周辺に脂の層を一筋走らせた厚切りの焼き豚。醤油色に染まって 行儀よく並べられたメンマが五本。今のせたらしい海苔が周辺から湿り始めている。』 引用・東海林さだお。
表紙を確認する。 「……ショージ君の丸かじりシリーズ」 ……こんなもの、私が借りたっけ? そうは思ってみても日頃の習慣からか、目のほうは勝手に読み進めてしまう。 「………」 腹の虫が、途端に活気づきはじめる。 「ラーメン丼のふちギリギリまで張られた醤油味のス−プ……」 どこからともなく、香ばしい湯気が漂ってくる。目の前にラーメンが表れたような気がした。 心はすでに、スープに浮かぶ細打ち縮れ麺にうばわれている。 「ラーメン、ラーメン。ワンタン、ワンタン」 商店街の一角に、たしか若者向けの専門店があったはずだ。今ならまだ間に合うだろうか。 慌てて時計を確認する。 ……いける。 次に財布を確認。 ……うーん。 あ、それに学校行かなきゃ、魔物が。 ……………………。 「あははー。舞は悪い子ですねー」 はっ! 佐祐理? 「いけませんよ。深夜の食べ歩きだなんて。それも夜中のらーめんだなんて。佐祐理は一回もそんなことしたことないんですよー」 想像上の夢ラーメンから、よく見知った顔が現れる。 「いいなー、いいなー。」 ピコピコと両手を振り回す。
丼からちょこんと顔を出したちびっちゃい佐祐理に、舞はぶんぶんぶんと首を振った。 「うう、和也ぁー。良くなったらおねえちゃんと一緒に、らーめん食べ歩こうね」 あ…、私も行きたい。 「舞は今から行くんでしょ? ひとりで勝手に」 頭にメンマを乗っけて、何を言うのか。 「そ、そんなことない。佐祐理、牛丼に続いてラーメン。友情のラーメン」 「つーん。しりません」 「…………ぐすっ」 「うそうそ。舞があんまり可愛いから、からかいたくなっただけですよー」 いつもの安穏とした表情に、それでも猜疑心が湧き上がる。 「…………ほんと?」 「はい。……それに、祐一さんもいるでしょう。もう、舞と二人っきりってわけじゃ、ないんですよ」 あははー、モテモテですねー、と照れ隠しなのか混ぜっ返してくる。 「……うん」 「佐祐理はいいんです。舞とは友情の牛丼! ですから」 「……はちみつくまさん」 「祐一さんをさそってください。そのかわり、次は佐祐理もついて行っちゃいますよ。佐祐理は屋台のらーめんがいいです」 「……わかった。屋台、探しとく」 「はいっ」 笑顔。 それにつられて、私も笑顔。 「それにほら、祐一さんのことですから。『はは。舞…ここは俺にまかせとけ』。なんてことになるやもー」 「はちみつくまさん!」 それでも一応は、財布をポケットにねじ込んでおいて……。 祐一の家へ、れっつゴー!
相沢祐一は、背後に気配を感じる。 「遠いな……、4メートルってとこか?」 考えがすぐに口をついて出てしまう。 自室からこれだけの距離、この方向だと、ベランダだろうか? 足音を忍ばせて近づくと、一気にカーテンを引きあける。 「こらぁっ! あゆっ! またかっ!」 前にも一度、こうしてあゆが忍び込んできたことがある。 先月だっただろうか。祐一が転校してまだ、間もない頃。 (あの時はまあ……いろいろあったわけだが) さすがに二度目はまずい。隣室の名雪は寝ているはずだが、真琴はまだ漫画でも読んでいる時間帯だ。 まずい、のだが期待していないかというとそういうことでもやぶさかではなく。 一応用心しながら、ベランダを覗き込む。 いない。 戸を開いてベランダへ一歩踏み入れる。
(何だ……?) 階下を見下ろしても人影はない。しかし、かすかに気配、呼吸音がする。そして首を傾げる暇もなく、 「…………祐一」 「おわぁっ!」 振り向くとそこに舞がいた。 「ななっん…! 忍者か、お前は!」 「………祐一。驚いた?」 「驚くわっ!」 ほう、と息を吐く。吐き出される吐息は、もう既に白くはならない。泣きそうな程に凍えくる季節は、とうに過ぎ去っていた。 「……牛丼もいいのだけど」 「人の話を聞けよっ! ってか何で牛丼なんだ?」 「……………………」 「……………………」 「…………………………………………神殺しのくせに」 「……わかったよ! うん、で? 牛丼でもいいけど?」 「……私と牛丼との関わりは、もう三年にもわたり続けられているのだけれど……」 「はい、ごめんなさい。三年分も聞きたくありません」 「……今日は、ラーメンを食べに行こうと思って」 卒業間近の先輩の奇行には慣れているつもりだったが、これには祐一もあっけに取られるだけだった。
春先だが、今日は一段と暖かい。瀬戸内に面した辺りなら、これほど暖かくもあるだろうが。 商店街の入り口までは、ほどほどに時間がかかる。「ほどほど」といっても、以前の生活から比べれば相当な距離である。 それをほどほどと思えるまでに、祐一はこの町に慣れてきている。ちょっとそこまでという距離感の一致。こうした些細な共感が、 いまの祐一にはうれしく感じられた。 祐一はまだ、舞が牛丼好きということは知らなかったし、道すがら「三年分の関わり」を聞く気もなかった。 話すのは専ら祐一のほうであったし、話題はさきほどの水無瀬家での、ちょっとした混乱についてだった。 それでも舞は、充足していた。楽しそうな無表情で頷いている舞を見て、祐一も顔が綻んでいた。 玄関先が試練であった。 家を出るときの秋子さんへの言い訳やら。それに答える真琴の、あたしも行く。それがだめだとわかると、お土産買ってきて、やら。 夢遊病者の足取りで、何度も行き先を聞いてくる名雪やら。それに答える真琴の、イチゴの国だって、やら。 困った様子を微塵も感じさせない秋子さんの、夜は気をつけないといけませんよ、やら。 イチゴの国の王女様になってしまった名雪やら。「これからは毎日が、イチゴジャムだおー」。 ……大変だった。 「まったく」 くすくすと笑い合う。 柔らかな闇が、両者を包んでいる。 商店街の明かりはまだ遠い。
〇 〇 重い音とともに、丸みを帯びたやや大きめの丼が、舞の眼前に置かれる。 醤油をとんこつで割っているせいか、口に含むとゆるく溶けた脂が口内に纏わりついてきた。 そのくせ、しゃっきりとした醤油の焦げた香りがある。麺はストレートだったがよくスープとなじんでいた。 刻まれたねぎがそこに辛味をトッピングしてくれる。 久しぶりに、いただきますを言うのを忘れてしまっていた。 「……おいしい」 満腹感のせいか幸せそうに、ぼうとする舞。 そうした仕草は祐一にとって新鮮なものであった。 たまに佐祐理さんと共に昼食を取っているが、ここまでまじまじと食後の舞を観たことはない。 テーブル席に向かい合って座っているせいか、意識しなくても視界に入ってしまう。 妙な気恥ずかしさを覚えて、祐一は話に気を紛らわすことにした。 「……ところで、さっきの話なんだが」 「?」 「いやさ、牛丼がどうとか」 「……うん」 「好きなのか? 牛丼」 「……はちみつくまさん」 「ラーメンより?」 うーん、と考え込む舞。 「今日のもおいしかったけれど……」 「ならさ」
祐一にとっては、ただ間を持たせるつもりだけだった。今度は別のを食べに行こう。そうして、伝票をレジに持っていく。 そうして帰りすがらに、牛丼屋の検討をするのだ。どこがいいとか、豚丼は違うだとか、焼き肉丼はもっと違うだとか。 だからそうした反応を期待していたわけでは決してなかった。軽く頷いてくれれば良かった。 「食べに行くか?」 あのときの舞を、どう表せばよいのだろう? 本当にあっという間だった。知らない人からすれば気付く気付かない以前の、何の変哲もないいつもの無表情。 「……わかった」 返事が単純に音として聞こえてくる。 それが了承したという意視のあらわれだと理解したとき、同時に先ほどの違和感が霧散していった。 その程度のものだったのだ。いつまでも心に留めておけるものではない。しかし。 「……なあ、舞」 「……何?」 「いや……」 自分が何を言おうとしたのか。ここにはもう、淡い焦りの残滓があるばかりだ。 代わりに伝票を、引き掴む。 「行くぞ」 「祐一……まだ残ってる」 「ん、ああ、いいんだ」 自らを隠すように、一人でさっさとレジへと赴く。 「……祐一、お勘定」 放っておくと置いていかれる気がして、つられるように舞も急ぐ。 「ああ……。いや、それもいい」 憮然とする舞に、祐一はつい笑ってしまう。 「……何だよ? いいんだって」 「……怒ってる?」 それで、完璧だった。 「はは。舞…ここは俺にまかせとけ」 また何か、別の意味で舞の顔が変わった気がした。
食べ終わって、帰路に着く二人。 熱った体を、川風が心地よく冷ましてくれる。 春の夜には甘い匂いがたち込められている。 この頃浮き足立ってしまうのは、萌える初芽のせいなのだろう。 自然、帰り道は饒舌になる。 「……で香里が『こんなに食べられるわけないじゃない』っていうんだよ。ならやっぱりそのアイス、栞の分だろっ。て」 あはははは。 笑っているのも話すのも、主に祐一ばかりではあるが。 「……祐一は、ほかの人の話が多い」 「…そうか?」 舞は月夜の影に沈む。 「……嘘」 「ん?」 「……嫌いじゃない」 「………そうか」 「……うん」 十六夜月の黄色い絵の具が、一筋、川面になぞられている。はるかからの色彩を運ぶかのように、突風。 木々のこずえが、慌しさを増す。 「ああ!」 突然、跳ねるようにして祐一は声を上げた。 「しまった! お土産!」 真琴と約束していた、お持ち帰りのラーメンである。 「くそっ、まずいぞ! あいつは何をしでかすかわからん!」 「……大丈夫」 「そんなわけないだろ! ああ、いい所でこんにゃくロケットカレー弾か?」 「……あの子だってわかってる」 「舞はあいつの食い物への執着心を甘く見ている!」 「…………」 こうした心の機微を伝えることを、舞は苦手とする。 (私だって牛丼を忘れられたら)
「……忘れられたら、寂しいからだと思う。だから怒る。 でもそれは、ラーメンが食べたいからじゃなくて。あの子のことを忘れていたから……。 だから、祐一が覚えるように頑張る。おなかが空いても怒るけど、忘れられたことにはもっと怒る。 でも悲しいから、そんなには怒れない」 「……だから、本気で怒ってはいない」 舞の説明に、祐一は目を丸くする。 「いや、でも……。本気じゃなくても、絶対やらかすぞ」 「……違う。ネコさんの甘噛み」 「?」 「……じれったい」 ぽかりと、チョップを入れる。 「いてっ!」 「……祐一は馬鹿」 一睨みすると、もう一度突っ込みを入れる。 びしっ。 「……叩いたら、直る?」 「テレビじゃねー!」 逃げる舞を、追いかけていく。 遠くから風の、草を凪ぐ音が近づいてきた。 既視感があった。 一面が黄金色の草原で、いつでもお互いを探して、駆け回っていた。 永遠に続くと思っていた、夢の中の切り取られた風景。 手が届かないほど遠くの時間が、今ここにあった。 明日からはまた戦いの日々。 だから、こういう日がたまにはあってもいいかもしれない。 小麦畑が奏でる驟雨の中、舞はどこまでも逃げていく。 捕まえてくるその手を、信じ続けて。
以上で終わりです。お目汚し、申し訳ございません。 感想、批判、マンセー、ぺっ!(唾棄)。 なんでも結構ですので、是非一言お願いします。 えー、あとそれと、舞のアレは小麦畑でしたよね? ね! すすきじゃないですよね? 間違ってませんよね? うん、きっとそうだ! それでは、たぶんあってることを祈りつつ。 失礼しましたー。
うーん。投稿期間中の感想一番乗りか。緊張するな。 まあ、普段通りの感想付けを心掛けてみます。 >「サンダルでラーメン」 うん。何でもない日常を面白く描くのは難しいものです。 大概の人はそこにドラマを付け加えます。さて、今回の作品を見るに私は娯楽性に乏しいと感じました。 地の文の素っ気無さ乱暴さは、一種の味であると感じます。最初の数行の出足も良好でした。 が、そこから物語りに引き込まれないのが、残念でした。 夜にラーメンを食べに行く、ただそれだけの日常を楽しく描くのは、熟練した作家でも難しく思います。 会話、そのやり取り。「叩いたら直る?」という切れのある会話もありましたが、 全体的には、淡々とお話は進んで私は少し退屈であると感じてしまいました。 佐祐理の会話をなくし、真琴のやりとりだけに絞り、着眼点をもっと普通の少女でいられる時の舞にすれば、 話に起伏も生まれたかと存じます。 最初の数行の舞の話のやりとりは好ましく私には思えた、と言いましたが、 続いていく話にその関係性が用意されていないのなら、祐一との会話の中に舞が「こんなことがあった」という風に、 物語の中織り込んでみては、如何でしょうか。話の短縮にもなるし、会話に弾みが生まれるかと思います。
2レス目突入。まだ作品がひとつだと多くなるな。 次に文章的に気になった点です。いやいや、重箱を突付く勢いですが。 地の文は、良いと思います。この場合、『混ぜっ返してくる』などの反則クラスの技も許容範囲です。 ただ、作者氏も言っておられましたが、確認作業の動作が不足している気がしました。 件の『小麦畑』は、正確には『麦畑』だと記憶しています――が、確認方法がkanonアンインストの為、 パラダイム小説の方になりましたが、(正誤判定は置いといて)読者の私が確認しているのが、いやはや何とも(笑。 理由はあるかと思いますが、佐祐理の「和也」発言や真琴の「あたし」等の言葉遣いは、 続いてしまうと荒になり拒まれる恐れがあります。是非、推敲の為の時間を増やすことをご考慮入れてくださいね。 後、誤字の指摘はするまいと思いましたが、『意視』の判断には迷いがありましたので…。 誤字かと思いましたが、普通の変換ではこうはならないですよね? 何か深い意味はあるのでしょうか。 表現方法に気になる点は、文章が独特というのもありますし、とりあえず割愛しておきます。 それでは最後に、荒々しさのある(敢えて言わせて貰いますが)未熟なSSでしたが、その部分を伸ばしていけば、 他の追随を許さない切れを持った文章に化ける可能性もあると感じました。以上。 ……と、まあ、随分好き勝手なことを言っている気がしますが、単に私が読んで感じただけのことです。 つーか、私の「ここをこうしたらどうか?」は完全に、私個人の趣味です。間違いも当然あるでしょう。 あまり気にしないで(というのも酷だよなぁ)くださいね。
感想、ありがとうございます。 >『意視』 はい、誤字です。普通に変換したらこうなりました。そして、気付きませんでした。 それと「和也」、「あたし」、『麦畑』は、完全に勘違いですね。 いえいえ、決して煽ってたわけではありません。単に、僕の記憶力がまずいだけです。 >佐祐理の会話をなくし、真琴のやりとりだけに絞り、普通の少女でいられる時の舞にすれば oops! 俺がっ、俺が「さゆ×まい」萌えなばっかりにっ? だって、書きたかったんだもんっ! ラーメン丼のSD佐祐理さん、書きたかったんだものっ! >最初の数行が浮いてる。 はい。真にごもっともです。思いつきで書いていったのが、バレバレですね。 時間はたっぷりあるのに、せっかちに……。私が貧乏性なばっかりに……。 その他にも、数々のご指摘ありがとうございました。 精進しなおして、再び挑戦したいと思います。 それでは、失礼します。
短文な感想ですが。 和也は一弥ですよね。他の誤字はともかく、キャラ名の誤字は ゲームのSSとしては問題あるかと。 作者氏は佐祐理さん、舞萌えの様なのでなおさら。 独特の文章回しは面白かったです。舞が多少、舞っぽくない 気もしましたがそれはそれで面白いと感じました。 次作もがんばって下さい。では。
今回感想返しも即OKなのかな?
>感想返し うっかりしてた;y=ー( ゚д゚)・∵. 実験を提案された方の考えでは、投稿期間中は禁止だったですね。 そのこと事前に確認しておくべきでした。 ……。 …。 ううん、今回は容認するということで仕方ないかぁ。 ただ、投稿期間という形を壊さない程度には各自節制いただきたく。 ややこしいことになって申し訳ないです。よろしくお願いします。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
第三十一回投稿テーマ:『なんでもあり』
※テーマ制限は設けません。なんでもщ(゚Д゚щ)カモーン!!
投稿期間: 11 月 15 日の午前 8:00 から 12 月 6 日の午前 8:00 まで。
※今回の投稿期間は3週間です。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
その際に
>>4-6 のルール、FAQ に一度お目通しを。
※今回、実験的措置として、
>>4-6 にある投稿ルールが一部変更されています。
※「投稿期間終了までは一切感想をつけない」→「投稿期間中も感想OK」
※「期間中の感想返しもある程度までならOK」
※投稿される方、感想を書かれる方はご注意ください。
>ううん、今回は容認するということで仕方ないかぁ。 そう? 容認か否認かあるていどみんなに聞いてみては? 一人目は規定をはっきりしてなかったから仕方ない (失格とかにはしない)として。 ある程度までならっていうのもどのくらいかわからないし。 上のも、一レスに詳細に一レス返しという本格的なものだ。
どちらかと言うと、否認かな。 でも、投稿期間を過ぎた感想期間は感想返しもOKにしてほしい。
というか、毎回感想返しするの大変かも知れないので、 「投稿期間後のまとめレスもOKです」 みたいな風に言っておくと、書き手の負担が軽やかで良いかも知れぬです。
作者さんは総括の時にコメントすべきだと思います。 流れや後ろの人に影響が大きすぎると思いますので。 ダメとはいわないで自粛レベルということでどうでしょうか。
>>162 同意。
全員が一々返してたら進行がグダグダになる。
感想書く方にとっては、スグリアクションがあるのは嬉しいけどな。
うん……心情的に否認派の人が多いようですね。
1つ確認を。
感想返しが原則禁止されることの理由としては、
「スレの進行を妨げる」他に、
「ネタ解説することによって、評価に影響」ということもあるかと思います。
コンペスレである以上、評価の公平の確保は最優先事項なわけで、
1作品にのみネタ解説を許す状態になるのは良くないかな、と私は考えました。
容認するしかないかぁ、と書いたのはそういう理由です。
不公平は嫌だという人がいらっしゃるでしょうから。
ただ、多くの書き手の意見も同じようなものだと思っていたのですが、これは私の見込み違いだったようです。
そんなことよりスレの進行が心配という意見が多く、それももっとも。
う〜む……
折衷案として、
>>160 さんの提案を採用しましょうか。
投稿期間中は、感想返し禁止(1作目のは特例とする)。
感想期間に入ったら、即感想返し可能。
投稿期間はスレの進行を優先、
作者として言いたいことがあれば、投稿締め後、投票が始まる前に言っておくというもの。
これで一応の公平は保たれそうですが……
あまり時間も取れないので、今日一日意見を待って決めたいと思います。
◆2tK.Ocgon2さんの方針に賛成です。
私も◆2tK.Ocgon2 氏に賛成です。 今回は新しい試みをしているのだし、不測の事態は起こるものです。 また総括期間に振り返り、今後どうするかを話合いましょう。
議論でグダグダになるほうが多少の例外を認めるより弊害を産みそうだしな
では、 投稿期間中は、感想返し禁止(1作目のは特例とする)。 感想期間に入ったら、即感想返し可能。 というルールで行くことにします。 ややこしくなって申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
せっかくの機会なんで、多少早めに。 なぜか星新一を読んでいるときに思いついたが、中身はそれとは全く関係なかったのはなぜだろう。 超先生の御遺志だろうか。(−人−)南無。 うたわれるもの、アルルゥ主役。十レス予定。 では投下いきます。
キスが、流行った。 いわゆる、現代で言うところの、マイブームという奴だ。 ごく突発的に発生した流行という名の風は、アルルゥの胸の内だけで吹き荒れている。 キス、接吻。この世界風に言うなら、口吻(くちづけ)。 先日、ユズっちやカミュちーとその感触を体験し、 ついでに身近なムックルとガチャタラとも試してみたことで、口吻が大層心を疼かせる、不思議なものだと知った。 だけどそれぞれ、相手によって受ける感触も感情も違う。 ユズハはしっとりと柔らかく、カミュは暖かでふくよかだった。ムックルはざわざわで、ガチャタラはくすぐったい。 ユズハやカミュ相手は少しドキドキしたが、ムックルとガチャタラの時はそうでもなかった。 そういえば、ユズハがオボロにしたときは、オボロは悲鳴を上げて倒れてしまった。ちょっと幸せそうに。 なんでああなったのかと、好奇心が疼く。 他の人はどんな感じがするのだろうか。どんな反応をするのだろうか。 よし、確かめよう。 そうアルルゥは決意した。
カミュちー曰く、本当は、男の人とやるのが正式らしい。 ユズっちやカミュちー相手でも特に問題はなかったが、それが正式ならば、それに従うのもいいだろう。 ならば、まず確かめるべきは、やはりおとーさんの感触だろう。本能もそう囁いている。 だが、「おとーさんは?」と、聞いた相手がまずかった。 「今はお仕事中だから、邪魔しちゃ駄目よ。なにか用事なの?」 なにかとアルルゥに干渉しがちなこの姉に、「口吻する」と、正直に答えたのもまずかった。 姉は尻尾を膨らませた。 「まっ、待ちなさいっ!」 「待たない」 今回はいたずらではない。切実な願望なのだ。 なのに姉は、いつも以上に嫉妬の炎を燃やして、アルルゥの首根っこを掴もうとする。 飛んでしゃがんで滑り込んで、その手をかいくぐりながら、おとーさんの姿を探す。 エルルゥも必死だが、アルルゥも必死だ。 様々なものを蹴散らしながら逃げまどううちに、何の騒ぎだと白い仮面が顔を出した。 見つけた。 一気に跳躍。掴まれそうになった尻尾をとっさに丸め、おとーさんの胸の内へと飛び込んだ。 「おっ、とと。どうした、アルルゥ?」 「ん」 抱き上げられたその目の前に、目指す唇があった。 「だっ、だめーーーっ!」 ちゅ。 しばし味わい、離れてみれば、仮面の奥の瞳がまんまるになっている。 なにやら楽しい気分と、暖かな気持ちで胸が高鳴り、アルルゥは大層満足した。 「んふ〜」 思わず首を掻き抱いてしまう。充実度で言うなら、今までの所一番だ。
「あ、アルルゥ? いや、参ったな、これは……」 おとーさんは照れ笑い。が、その笑顔が不意に強張る。 視線を追って振り向けば、そこには真っ白になった姉の姿が。ちょっと先日のオボロっぽい。 ……そうだ、ついでに。 アルルゥはハクオロの腕から飛び降りると、いまにも崩れ落ちそうな姉の元へ。 膝をついて固まっていて、ちょうどいい感じの高さ。 なんだろう。少しいけない感じがする。 だけどアルルゥはかまわずに、姉に口づけた。 姉は、尻尾どころか、髪の毛から耳の先まで総毛立たせる。 「ん〜?」 不思議な感じ。でもいやな感じではない。ほんの少し、嗅ぎ慣れた薬草の香り。あと、安らぎ。 今までとは違う感覚に、アルルゥの好奇心が刺激される。 ん〜と、も一度。 ちゅ。 姉は再び総毛立つ。 ……おもしろい。 姉は先ほどとは違った衝撃で固まってしまい、ちょんとつついたら、ぱたりとそのまま横に倒れた。 なるほど、今度怒られたらこの手でいこう。 「きゃっほう」 アルルゥは、浮かれた様子で駆け去った。 後には倒れたままのエルルゥと、オロオロするハクオロが残された。
さて、おとーさんと姉と、二大巨頭を制したが、ここまで来たら、全部確かめたいのが人情というもの。 かくして城内は、ちょっとした騒ぎに襲われた。 まず見かけたのはウルトリィ。 別に女性と口吻しても、なんの問題もなかったので、経験を積むべく、頼んでみる。 ウルトリィは顔を赤らめ、困り笑顔でたしなめてくるが、それで止まるようなアルルゥではない。 右から左へお小言を聞き流し、不意をついて、唇を重ねる。 尻尾の代わりに背中の羽根が、ばさりと大きく広がった。 儀式用か装飾用か、なにかの香りが強く流れ込んでくる。ちょっと、苦手だ。 「ん〜……」 だが、真っ白になった姉とは逆に、真っ赤になって動揺している。 こんなウルトリィは珍しく、それはそれで好奇心が満たされる。 「あらあら」 すると後ろからも、珍しいものを見ましたわ、と言いたげな声。 最近、転がり込んできた、カルラの姿がそこにあった。 あまり話をしたことがなくて、よく知らない人だ。 どうしよう、逃げようか? それとも、これを機会に知っておくべきだろうか? 幸い、お酒の臭いはしてこない。 なんとなく尻尾が警戒を促すが、好奇心がそれを上回った。 頼んでみようと思った矢先、向こうから、 「私とも、したいんですの?」 そう、問われる。
こくりと頷くと、なにやらカルラの瞳に怪しい輝きが。 思わず一、二歩後ずさるが、する、と間合いを詰められた。 逃げる間もなく肩を押さえられ、向こうから口吻される。 力強く、やや固く、でも、熱い感触。自分の身体にも火が移るようだ。 と、不意に口の中に滑り込んでくる、ぬるっとした感触。 「☆■※△◎$%っ!?!?!?!?!?」 得体の知れないものに口の中を一撫でされ、変な雷が全身を走る。なんだ、なんだ? なにをされた? 姉もこのような衝撃を受けたのだろうか? いやいや、違う。なにかが違う。分からないけどなにか違う。 固まっているところを、もう一度、ぬるりと。 「っ!!!!!」 アルルゥは、尻尾を丸めて逃げ出した。後ろから、からかうような笑声が聞こえる。 階段の下の隙間に滑り込み、逸る鼓動を懸命に押さえる。 よくわからない。気持ち悪い? そうかもしれない。でも気持ちいいような感じもする。 頭のてっぺんから胸の奥までが、かーっと火照って落ち着かない。 思いっきり叫んで転げ回りたいような、このまま固まって嵐の過ぎるのを待っていたいような、矛盾した感情。 これが本物の口吻なのか、それとも違う行為なのか。 舌を入れるのは作法なのか、それとも彼女の国特有の特殊なものだったのか? 未知の感触が、アルルゥの好奇心をより強力に後押しする。これは是が非でも確かめねば。 だけど、カルラにもう一度頼むのは、なんだか恐い。 ――じゃあ、どうやって調べよう? そりゃもう、手当たり次第に。
ところが、いざ男性陣にかかろうというところで、分厚い壁にぶち当たった。 そう、オボロとその親衛隊、ドリィとグラァである。 そのころになるとアルルゥの口吻襲撃事件は城内に知れ渡っていて、標的にも警戒されていた。 次の標的はかなりの確率で、オボロか自分たちであると確信した二人は、 たちまちの内に若様の身柄を確保し、『貞操死守』を旗印に、自室へと立てこもった。 いつのまにやら窓は打ち付けられ、ドアには除き窓が設けられ、 部屋に近づくものにはそこから無差別に矢が射られる、完全防備体勢。 いや、さすがに矢尻は外され、丸めた布がつけられてはいたが……容易に近づくことは敵わない。 「例えアルルゥ様が相手といえど、若様とボク達の唇は渡せない!」と、意気も盛んだ。 ちなみに当のオボロはといえば、幾日かを経ても、実の妹に口吻された衝撃から立ち直っておらず、 二人に簀巻きにされて、運ばれるがままだった。 こんなことなら、ユズっちが奪ったときに、自分も試みておくのだった……、 などとアルルゥは後悔せず、むしろ闘志を燃え立たせる。 それはアルルゥの中にある、女としてのプライドがそうさせていたのかもしれない。 口吻を拒まれる、というのは、そういうことだ。 向こうが二人の親衛隊を守りにつけるというのならば、こちらも両の腕と頼む、ムックルとガチャタラで相手取るのみ。 なにがなんでもあの三人に、口吻をしてみせる。 アルルゥの背中は、そう語っていた。
いつのまにやら集まる観客の中で、クロウがどちらが勝利を収めるかと、賭けの胴元を始め、 カルラが興味半分、酒瓶片手に見守る中、その時は唐突にやってきた。 「ムックル、いけ」 「ヴォフ」 白い弾丸が廊下を駆け出す。 無数の矢がムックルを襲うが、さすがに森の主、矢尻のない矢ごときにはびくともしない。 ならばとその主人を狙おうにも、その上にはちょこんとガチャタラが掴まっているのみ。 かといって、無視するには大きすぎる獲物だ。 「ドリィ!」「うん!」 双子が顔を見合わせて、なにやら特製の矢を取りだした。 放たれた矢は、狙い過たずムックルの鼻先に命中し、先から粉を撒き散らす。たちまちムックルが咳き込んだ。 「ヴォ……ヴォフンッ! ヴォフッ!」 いや、くしゃみだ。南方より流通した、舌を刺激する白い粉。 鼻に入るとくしゃみを引き起こすそれが、矢の中に仕込んであったのだ。 「よしっ!」「命中!」 ところがだ、くしゃみしようが目がくらもうが、一度ついた勢いは止まらない。 ムックルは駆けた勢いそのままに、見事にドアにぶち当たる。 「「しまっ……」」 たと言う暇もあらばこそ、扉がムックルに粉砕される。 巨大な白い鞠が飛び込んだとき、二つの影が室内を飛んだ。 片方はガチャタラ、そしてもう一つは――もちろんアルルゥだ。 矢をかわすため、油断させるため、あえて腹に取り付いて、この時を待っていたのだ。 双子が慌てて迎撃するが、アルルゥの素早さも並ではない。姉のお小言から幾度も逃げのびてきた健脚だ。 グラァの放つ矢を跳び越えて躱し、目を光らせて飛びかかる。まさしく辺境の獣の如く。 恐怖に顔を歪ませたところに容赦なくのしかかり、勢いと体重で押し潰した。 「きゅう」 とグラァを仕留めたところで、背後からの殺気に気づく。
「アルルゥ様、御免っ!」 狙い澄ました一本の矢が、アルルゥに向けて放たれる。 直撃は躱したものの、襟を引っ掛けられた。体勢が崩れて、後ろにひっくり返る。 「むぎゅ」 下敷きのグラァがおかしな悲鳴を上げた。 「ボク達の勝ちです、降参してください!」 鋭く引き絞られる矢は、完全に本気がこもっていた。おかしな真似をしたら、即座に撃つぞといっている。 だが、ドリィは忘れていた。彼らが双子であるように、彼女もまた、一人ではないのだ。 とん、と軽い衝撃が、ドリィの頭の上に乗る。 「え?」 「ん」 「キュ!」 主からの命令を受け、ガチャタラが雷撃を迸らせた。 ――崩れ落ちるドリィと入れ替わるように、立ち上がるアルルゥ。 観客達に背を向けたまま、勝ち誇るように拳をあげた。 途端、悲喜こもごもの歓声が巻起こった。
さて、勝者にはもれなく、勝者の権利がついてくる。 この場合は当然、アルルゥの当初の目的である、唇を奪う権利が発生するのだが……なんだかどうにもやりづらい。 ちょっと黒焦げたドリィの顔を見つめては、いやいや、やっぱりこっちが先かと、グラァの方に視線を移す。 この躊躇いは何なのだろう。 背後からの視線が鬱陶しいせいもあるけれど、それだけでもないような。 先ほどのカルラとの体験で、なにか恐怖のようなものが芽生えたのか、それとも性別の差異のせいか。 だけど、おとーさんの時には平気だったのに、なんでだろう。 ……試してみれば、分かること。ようやくアルルゥは覚悟を決めた。 とりあえず、綺麗な方にしておこうと、グラァの上にかがみ込み、両手で顔を挟んで、標的を固定。 なんとなく唾を飲み込んで、ゆっくりと顔を近づけた、その時。 「!!」 ビクンと尻尾が逆立った。先のドリィに向けられたものとは、比べものにならない強烈な怒気。 産まれたときより、三日に一度は体験していたはずのこの気配は、通常よりはるかに濃度も強さも増している。 それがいつの間にか、すぐ背後に。 逃げようとしたが、首根っこをひっ掴まれた。藻掻けど暴れども、しっかり掴まれて逃げようがない。 完全に注意力がドリグラの方にそれていた。アルルゥ一生の不覚だ。 「ア〜ル〜ル〜ゥ〜っ」 禍日神もかくやと思われるような、低い呻きを発するのは、紛れもなく姉上殿。 茫然自失の反動が、一気に怒り沸騰状態に転化したらしい。 「あなたって子はぁっ!」 これはまずい。かなり本気で怒っている。 頼りになるはずの二匹のお供も、尻尾をたたんで隅っこで丸くなっている。 観客達も、事の成り行きを見守るだけで、なんの役にも立ちそうにない。
どうしよう、どうしよう。この状況を打開するには……そうだ、あれだ。 「聞いてるの、アルルゥっ!」 今にも食らいついてきそうな姉の、大きな口が閉じるのを見計らって、 「――!!」 ちゅ、と。 やはりエルルゥは、動きを止めた。なぜか周囲からは感嘆のため息が。 それはさておき、第二段階。 舌を入れてみた。 「☆■※△◎$%っ!?!?!?!?!?」 さすが姉妹。叫び方も一緒だ。 目を白黒させたエルルゥは、混乱状態に陥って、突き飛ばすように身を剥がしては、なにやらあわあわ言っている。 作戦成功。やっぱりこの手は使える。 ――よし、逃げよう。 「アルルゥーーーーーっ!!!!」 背後から叫びが追いかけてきたが、腰でも抜けたのか、それ以上の追撃はない。 ほっとしながら唇に手を当ててみると、やっぱりなにか変な感じ。胸が早鐘を打っていて、口の中を濯ぎたくなる。 まだ自分には早いのだろうか。それとも相手が悪いのだろうか。 ……やっぱり相手にするなら、おとーさんが一番いい。 でもカミュちーやユズっちも結構良かったと思う。 やはりここは、もっと経験を積んで、確かめねば。 そんな不穏な決意をしながら、アルルゥはトゥスクル城内を駆け抜けてゆく。 あ、発見。
以上です。 長々と書き込み規制喰らったから、一っ風呂浴びてきちまったい。べらぼうめ。 今度から、この時間帯の投下はやめよう。 投下と言えば、トウカはこの時期にはまだ顔出ししていないことを忘れ、数行書いてから慌てて削除してしまった。 それでは。
リズム重視の言い回しが独特だが、キャラが生きてて、読んでて楽しい。 キスというテーマの選び方も面白い。 続きを読みたい。切に。
これって、「うたわれるもの」だっけ? 元ネタ知らなくても楽しめた。 「転」に淀みを感じたのは視点のせいか? でもシンプルでいい構成。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
第三十一回投稿テーマ:『なんでもあり』
※テーマ制限は設けません。なんでもщ(゚Д゚щ)カモーン!!
投稿期間: 11 月 15 日の午前 8:00 から 12 月 6 日の午前 8:00 まで。
※今回の投稿期間は3週間です。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
その際に
>>4-6 のルール、FAQ に一度お目通しを。
※今回、実験的措置として、
>>4-6 にある投稿ルールが一部変更されています。
※「投稿期間終了までは一切感想をつけない」→「投稿期間中も感想OK。ただし、感想返しはダメ」
※投稿される方、感想を書かれる方はご注意ください。
なんかあんまり普段と変わらんのぉ
もともと投稿は最終日に集中していた上に、今回は前回からの告知がなかった 投稿が後になればなるほど即感想の意味がなくなるのは仕方ないさね
「なんでもあり」だとモチベーション上がらないです……ゴメンナサイ。
マニュアル世代だな(・∀・)
俺は上がりまくりだ エロ書くZEEEEEEEE!! ……間に合うかな(´・ω・`)
「なんでもあり」ということで、投稿させて頂きます。 WAの由綺メインで9〜10レス予定です。 では、投下します。
『277秒の福音』 3月上旬、春と呼ぶにはまだ肌寒いある日。 僕は緒方プロダクションの中にある程よく暖房の効いた応接室で一人、 茶色いふかふかのソファーに座っていた。 所定の時刻より20分ほど早く到着した僕を出迎えてくれたのは、 当代きっての敏腕と噂される美人マネージャーのS氏だった。 森川由綺、緒方理奈に勝るとも劣らぬその容姿に心奪われつつ、 マネージャー氏と取材の打ち合わせを行う。 ものの数分でインタビュー、スナップ撮影、段取りの仔細までカッチリと決定。 なるほど、確かに敏腕の呼び声の響くわけだ。 さて、こちらも予定時刻より数分早く、森川由綺は応接室にやって来た。 私服の森川はえんじ色のパーカーの中に唐茶色のインナーを合わせ、 紺色のパンツを気軽に履きこなしている。 ブラウン管を通して我々に伝わってくる「森川由綺」のあのイメージが、 まさにそのまま目の前に現れたのだ。 僕は思わず、自分がドラマのエキストラになって街を歩いているような錯覚を起こした。 ◆休暇を利用してお勉強 ―― 今日はよろしくお願いします。 森川 はい、こちらこそよろしくお願いします。 ―― まずは『音楽祭』、お疲れさまでした。 森川 はい、どうもありがとうございます。
―― あれから何日か過ぎましたが、今は何を? 森川 そうですね…とりあえず、仕事はお休みを頂いているので、 それを利用して一人でのんびりしたり、友達と一緒に遊んだり、 あとは……学校に(笑) ―― 学業との両立は大変? 森川 大変といえば大変ですね。レッスンで授業をお休みしなければいけなくなったり… 今、その分の補習を受けているところです。 先生にはいつも迷惑をかけてしまって、本当にごめんなさい(両手を合わせて謝る森川)。 ―― 僕に謝られても(笑) 森川 そうですね(笑) ―― 『音楽祭』以降、周囲の反応はどう?今までと違ったりする? 森川 うーん… ―― あんまり変わらない? 森川 …そうですね、あんまりそれまでと変わらないですね。 私がよく行く喫茶店があるんですけど、そこにいる人たちも 「お疲れさま」とか「疲れてるでしょ?のんびりしてってね」とか…
―― いいお店だね、一度行ってみたいな。 森川 はい、いい所ですよ。 ―― ここから近い? 森川 はい、あのですね… S氏 由綺さん、それ以上は… 森川 あ、ごめんなさい(S氏に)。 えっと、お話ししちゃいけないみたいでした。ごめんなさい。 ―― いえいえ(笑) ◆『音楽祭』は貴重な体験 ―― ところで、話を『音楽祭』に戻すけれど。 森川 はい。 ―― 今振り返ってみて、どう感じた? 森川 そうですね…
それまでの「日常」を語る森川の表情は実に明るく生き生きとしたもので、 それを受け取る僕に一種の安心感を与えていた。 しかし、話が『音楽祭』に向けられた瞬間、彼女の瞳がスッ…と、 それこそoffになっていたスイッチが入ったように、色を変えた。 一大学生としての森川由綺から、歌手「森川由綺」へ。 僕は彼女の中に芽生えつつあるプロ意識をひしひしと感じた。 森川 自分が出来る限りの事をしましたから、満足しています。 あのステージに上がれただけで、私は十分幸せです。 だから、貴重な体験をさせていただいて、 私を支えてくれた人たちに、本当に感謝しています。 ―― いい体験でしたか。 森川 はい。 あの日のことは、きっと一生忘れられないと思います。 ―― 僕は歌手じゃないから分からないんだけど、 あのステージっていうのは他の会場やイベントとは違う? 森川 ええ、全然違います。 大きな会場を使うっていうのもありますけど、 そこにたどり着くまでの事とか、いろいろ…
―― 思い入れが違う? 森川 はい。 ―― そこに進むまでの過程でいろいろあったと思うけど、 一番印象に残っていることは? 森川 えっと…(ちらり、とS氏を覗う)。 「出場する」っていう事が正式に決まってから、当然なんですけど、 前以上にレッスンに時間を割くようになって、 それで個人的な時間が全然取れなくなってしまって…。 だから、さっき言っていたそのお店にもなかなか通えなくて、 それが一番辛かったですね。 ―― 気軽に話せる相手がいなかった? 森川 Yさん(S氏)が側にいてくれたからそれは平気でしたけど、 やっぱり淋しかったですね。気持ちが張りつめていたみたいな…。 学校に行くこともできなかったから、気の紛らわし方がなかなかなくて。 ―― それで今補習を。 森川 (苦笑)そうかもしれないです。
◆そして本番の舞台へ ―― そういう経緯があってあのステージに立ったわけですが、 その時の心境はどうだった? 森川 夢心地…っていう感じだったと思います。 最初のうちは何がなんだか分からないまま周りがあわただしく動いてて。 楽屋の外はもうおもちゃ箱をひっくり返したような騒ぎになってて、 私だけ「みんな何をそんなに急いでるの?」って。 そうしたら私の楽屋を理奈ちゃん(緒方理奈)が訪ねて来たんです。 ―― 緒方理奈、といえば新人賞をあなたと争う最大のライバルだったんだけど、 彼女はその時何を? 森川 はい、ほんの少し…5分くらいですけど、お話をしました。 それで気が楽になった部分がありましたね。 「楽しみなさいよ」って言うんです。 「あなたが将来どの道を進もうと、この舞台は今のあなたにしか立てないんだから」って。 ―― いいことを言いますね。 それを受けて、楽しもうという気になったわけだね? 森川 ですね。それで私も「楽しもう、楽しもう」って思うようになって、 そのうちに緒方さん(緒方英二)が楽屋にやって来て。
―― その時、緒方さんはなんて? 森川 それがよく覚えてないんです(笑)。 何か話をしたんですけど、内容を全然覚えていないんです。 それだけ緊張していたのかな、って今は思います。 それで、しばらくしたらスタッフの人に「準備してください」と言われて、 今一つ実感がないまま舞台袖まで行ったんです。 ―― 舞台袖だと、他の人の歌声や歓声が聞こえてきますよね。 自分の番までの待機時間はどうやって過ごしてた? 森川 さすがにそこまで来たら、私も「ああ、ここまで来ちゃったなぁ」って思いました。 その時急に「失敗したらどうしよう」って考えちゃったんです。 歌詞を間違えたら、振り付けを間違えたらどうしよう、って。 そうしたらYさんが側に来て励ましてくれて、 それで「よし、頑張ろう」っていう気持ちになったんです。 ―― (S氏に)その時なんと仰ったか、覚えてらっしゃいますか? S氏 申し訳御座いませんが、プライバシーですので。
―― …失礼しました。 (森川に)それで、ついに念願の『音楽祭』のステージに立ったわけですが。 森川 なんていうか、もう…震えました。 司会の方が「森川由綺…」って言った瞬間、 今まで聴いたことがないような歓声が聞こえてきて。 「私、こんな所で歌っていいのかな?」なんて思ってしまいました。 舞台の中央にマイクスタンドがあって袖からそこまで歩いていくんですけど、 その途中で「夢じゃないよね?ほっぺたつねっちゃおうかな?」って(笑) ―― あはは(笑) 森川 マイクスタンドの前に立って最初に思ったのは、 「ああ、こんな風にお客さんが見えるんだ」っていうことでした。 袖から見た舞台は赤、青、黄色、緑、白、紫… とにかくたくさんの照明が舞台を照らしていて本当に綺麗だったから、 「あそこから見た景色はどんな風なのかな?」って思ったんです。 それであそこに立って客席を見て、その時気付いたんです。 「これが『楽しむ』ってことなのかな?」 そう思ったら、なんだか楽になっちゃって(笑) あとは音に任せてやるだけやった―― そういう感じでした。
僕は森川由綺のパフォーマンスをプレス席の端っこで眺めていた。 彼女が登場した時の歓声の大きさは、それまでに登場したどの歌手よりも 大きく、温かいものだった。 彼女はマイクの前に立つと僕たち観客に向かって一礼し、 それからマイクを握った。 それをきっかけにして彼女のデビュー曲である「WHITE ALBUM」は演奏された。 演奏時間は4分37秒、たった277秒しかなかった。 277秒では、カップ麺を作ることはできても食べきることはできない。 その間に、彼女は僕たちの記憶を強烈なインパクトで満たしたのだ。 演奏が始まった瞬間、あれほど騒がしかった歓声が一斉に止んだ。 おそらく、客席にいた誰もが、彼女の歌声を聞こうと思ったのだろう。 僕の席は会場の一番端っこだったから、森川由綺と観客の姿を一目に見ることが出来た。 彼女の歌う姿を、数千の観客が一言も発さず、固唾を飲んで見入っている。 僕は聖書を読んだことがないし、そもそも宗教にも疎いからよくわからないけれど、 少なくとも僕の目には彼女は聖母様のように映った。 救いを求める群衆の前に一人立ち、福音を授ける聖者。 あるいは、天使。
読者の皆様もご存知のように、結局新人賞は下馬評の通り、 この直後に登場した緒方理奈が「SOUND OF DISTENY」で受賞を果たした。 森川由綺の「WHITE ALBUM」、緒方理奈の「SOUND OF DISTENY」。 どちらが素晴らしかったかはそれぞれの読者の皆様にお任せするけれど、 あくまで僕の『個人的な見解』を述べろと言うなら、僕はこう答える。 「そんなもの、わからないよ」 「WHITE ALBUM」277秒、「SOUND OF DISTENY」256秒。 21秒の差は、大きいのか小さいのか。 「Knockin'on」4月号より抜粋文責:上野陽一
投下します。 kanonもので7〜8レス予定です。 タイトルは「bitter」
帰宅した時に玄関の明かりが灯っていなかったので、大体の見当はついていた。 予想通り彼女はリビングにいた。ソファに深く身を沈め、何をするでもなく中空を見上げている。僕は構わず上着を脱ぎはじめる。 クローゼットを閉める頃、ようやく彼女がこちらに視線を向けてきた。その動作も古い玩具のようにぎこちない。 「あ――」 喉に絡まると彼女の声はアルトになる。 「おかえりなさい」 ひとたび他人の存在を認識すれば、そこからの復旧は早い。彼女はたちまち表情を取り戻し、全ての事象を無条件に愛するかのような馬鹿げた笑みを浮かべた。 「ごめんなさい。ちょっとうとうとしてしまって、ご飯がまだ――」 「いい。今日は外食にしよう」 謝罪の言葉をさえぎって、僕は再びクローゼットに手をかける。駄目です、お仕事から帰ったばかりで疲れてるでしょう――と反論が返ってくる。まったく彼女は強靭だ。それとも僕が彼女をそうさせているのか。 強引に手でも引いて連れ出せば早いのだろうが、そうはしない。可能なことなら僕は彼女に指一本さえ触れたくない。 根競べをすれば折れるのは向こうと決まっている。彼女は困ったように微笑み、着替えのために奥の部屋に向かった。 それを確認してから僕は留守番電話の再生ボタンを押す。少しの間を置いて、重々しい声が流れる。 『……佐祐理、』 最初は決まってこの呼びかけだ。そして僕はいつもここまでしか聞かない。これ以上聞く意味はない。 僕は録音テープとそれに関する思考を止め、今夜の行き先を検討しはじめた。
その店の料理は素直に素晴らしいと言えた。しかし、パンで皿を拭う気にはならなかった。 原因は明らかだ。頼みもしないのに出てきたワイン。 「お客様の特別な日のために、私どもからの……」と説明する店員の顔はあからさまに媚を含んでいた。 不景気で常連客が減っているせいか、あるいは僕の父親を意識したのか。どちらにせよサービス過剰だと言わざるを得ない。 記念日と言っても、たったひと月経っただけ、偶然に日が同じだというだけなのだから。 そう―― 倉田佐祐理と僕が結婚してから、まだほんのひと月なのだ。 結局、帰りは代行運転を頼むことになった。 彼女が執拗にグラスを勧めてきたからだ。 「少し度を越しちゃいました」 その彼女は僕の肩に頭をもたせかけ、穏やかに笑っている。 「よく言う。僕よりよほど強いくせに」 「あははーっ、気にしてるんですか?」 らしくない、相手をからかうような口調。多少なりとも気分が高揚しているのだろうか。 「佐祐理は好きですよ。お酒に弱い男の人」 そう言った彼女の横顔は、流れていく街の光に紛れた。
軽やかなターン、一拍遅れて長い髪が付き従う。舞踏会、という単語が一瞬浮かんで、すぐに消えた。 それは確かに優雅な身のこなしだったが、残念ながらここはダンスホールではなく単なる居間だった。 彼女は勢いのままソファに倒れ込む。 らしくない。何かが彼女の演技力を削いでいる。 「行儀が悪いよ。服が皺になる」 「あははー、駄目です。まっすぐ立てません」 少しも悪びれず言って、彼女は虚空に手を伸ばす。 「……僕に支えろ、と?」 「どうぞご自由に」 くすくす、挑発するため嘲笑う。重症だ。この場合に限っては僕の方が折れざるを得ない。 傍らに移動し、身をかがめた刹那。彼女の手が僕を引き込んだ。 僕はその力に抗わず、唇が触れ合わないように顔だけを背けた。 「佐祐理とは、嫌ですか?」 何も答えない。ただソファーの黒い革と彼女の白い肩のコントラストを眺める。 それきり彼女も黙って、僕の背中に腕を回してきた。振りほどこうとは思わない。ひどく残酷な気分だった。 僕らはそれ以上どうすることもなく、互い違いの方向を見つめたまま、じっと無為な時間を過ごした。
翌朝、普段通りの美味で味気ない朝食の後。 出勤の途中である人物に出会ってしまい、僕は大きな溜息をついた。 通り魔のように目を血走らせ、朝の空気にまるで似つかわしくない雰囲気を纏ったその男は、確か相沢祐一と言った。 「おはよう」 最低限の社交辞令として口にした僕に、彼は無言で詰め寄ってきた。 「……一度しか言わない。佐祐理さんを、返せ」 「誤解を招く言い方はやめてほしいね。僕が彼女をさらって監禁しているとでも?」 「お前が邪魔してるんでもなければ、佐祐理さんが舞からの連絡を無視するわけないだろっ!!」 僕の襟首を掴み上げてヒステリックにわめく。 「もう少し冷静に会話できないのかい? とてももうすぐ父親になろうという人間の行動とは思えない」 「……っ!!」 目に見えて狼狽する相沢。まったく分かりやすい男だ。 「ああそうか――確かに、祝辞のひとつも贈らないというのは無礼だったね。君が気を悪くするのも無理はない。 改めて、川澄さんとのご結婚おめでとう相沢君」 祝福の言葉を睨み返されるというのもなかなか珍しい経験ではある。 「老婆心ながら言わせてもらうと、一人の女性を娶ろうという男が他の女性に執着するのはあまりよろしいことではないよ。世間一般ではそれを不貞と呼ぶ」 「お前がっ……お前が、佐祐理さんにいい加減なことを吹き込んだんだな!!」 襟を締め上げる力が強まる。 「権力目当てで結婚するようなお前に何が分かるっていうんだ!! 俺たちの関係はそんなものとは違う!! 俺と舞と佐祐理さんは、親友であると同時に、かけがえのない家族なんだ!! ずっと三人一緒に歩んでいくと約束したんだ!!」 「なるほど。彼女に育児を押しつけて、君と川澄さんは二人目の製造に専念する、というわけか。実に効率的だ」 「久瀬、テメエ――!!」 やみくもに振り回す拳をかわして、逆に相沢の腹を打ち抜く。動物のような鳴き声を上げて彼は崩れ落ちた。 「繰り言になるが、こういった野蛮な行為はもう卒業しよう。 『お互い』近いうちに人の親になるのだから、ね」 「――!!」 見切りをつけて踵を返す。それでも相沢は僕の背に感情をぶつけ続ける。 「この……っ!! 佐祐理さんに指一本でも触れてみろ!! 絶対に許さないからな!!」
家に戻って最初に目についたものは、開け放たれたトイレのドアだった。 聞こえてくるのは苦しげな呻き声、喉元から空気を搾り出す音。 彼女が嘔吐している。 「――久瀬、さん?」 少し驚いたように振り返った彼女は、いつものように僕を姓で呼んだ。 「今日は休暇をとることにしたよ」 可能性は低いが、相沢が僕を追って仕事場に乱入してくるかもしれない。 「そうなんですか……ごめんなさい、見苦しいところを」 「君が宿酔いとは珍しいね」 未だに謝り癖が抜けない彼女に苛立ち、僕は思わず皮肉をこぼした。 反応はただ、曖昧な微笑。――ああ、またこの表情だ。 「……あまり酷いようなら病院に行くかい」 僕の提案を仕草だけで断り、彼女は後片付けを始める。 僕はダイニングの椅子に腰掛け、しばらく所在なく時を過ごした。
「祐一さんに会ったんですか?」 新聞の紙面から顔を上げると、いつの間にか彼女が向かいの席に着いていた。 「なぜ?」 「不機嫌そうに見えます」 何とも短絡的な推理だ。しかし、それが的中しているのだから言い返せない。 「祐一さんのこと、悪く思わないでくださいね」 ――あまり無理を言わないでほしい。 「祐一さんは舞と同じで……とっても純粋なだけなんです」 「純粋、ね。確かに。あそこまで欲望に正直になれる人間は珍しい」 彼女にあたっても意味はない。その程度のことは理解しているはずなのだが、僕の言葉から険が失われることはなかった。 「……きっと、不安だったんだと思います。 祐一さんは責任感が強いから、父親になるという事実を人一倍重く受け止めてしまって――」 「だから、飲めもしない酒に溺れて正体を失っても仕方なかった、と?」 理解に苦しむ。なぜ、彼女はここまで彼らに肩入れするのか。 「……不幸な事故だったんですよ」 彼女は目を伏せ、自分の腹部にそっと手を置いた。まるで、その部分が痛むかのように。 「気の迷いだって分かってました。でも拒まなかった。ですから……佐祐理のせいです」 ただ一時の逃げ場にされて、それでも構わない、何の見返りも求めないと言う。 自己犠牲が過ぎる。それでは、君の逃げ場はいったい誰が用意してくれると言うのか――
「どうしてですか?」 「――え?」 「今度は佐祐理の『なぜ?』です、久瀬さん。久瀬さんはどうして、佐祐理をお嫁に貰ってくれたんですか?」 「倉田さん……」 今日二度目の辟易した溜息をついて、いつものように彼女を姓で呼んだ。 「その理由はもう何度も説明したはずだよ。僕は君と結婚した訳じゃない。倉田の名前と結婚したんだ」 「……そうですよね。ごめんなさい」 本当に今の説明で彼女が納得しているならどんなにいいだろうと思う。 けれど彼女は謝罪しながら、やはりこの寂しそうな笑みを見せるのだ。 何もかも見透かされている。彼女と僕では文字通り役者が違いすぎる。 僕は席を立った。 そして座ったままの彼女に歩み寄り、黙ってその瞳を見た。 彼女は口元を引き締め、もの言いたげな視線を投げ返してくる。 今、ここで触れても、彼女はきっと拒まないだろう。 むしろ望んでいるのかもしれない。贖罪のために、あるいは逃避のために。もう僕が割り込む余地などないと言うのに。 「……倉田さん」 許されている。 本当は。 僕は、君に、触れたい。 「コーヒーを淹れるけど、君も飲むかい」 それでも僕は彼女に触れなかった。 それは負け犬の意地であり、けじめだった。 「あ――それなら佐祐理が」 慌てて立ち上がろうとする彼女を、体調が悪いのだからと制する。 そうして僕はあっけなく彼女とすれ違った。 ――今はただ、熱いブラックコーヒーが飲みたい。
>『277秒の福音』 軽くさらりと読みやすい。長さというか、レス数のわりには量が少ないせいもあるんだろうけど。 いい気分で読み終われる話。切り口もちょっと面白い。でも、それだけとも言える。 このタイトルはいい。でもこのタイトルならば、彼のその時感じたことを書くべきだ。観客でなく。 例えばそれをインタビューの動機(仕事以上の)に持ち込めば、意味が強くなる。 あと、少しばかりおとなしすぎる。ところどころ弥生さんが入ってくるのがアクセントになっているので、 どうせなら由綺にうっかり発言でもさせた方が良かったかもしれない。そこらは紙上からはカットになるけど。 最後の落ち、SOUND(ryの方が長いほうが決まったのだが、これはどうにもならんかw 一人称で書いているわりには、上野さんの感情があまり出てないから、少し希薄なんだろうなぁ。 けして悪くはないんだけれど、インパクトがちょっと弱かったな。 >bitter 感想書くつもりの人、俺のこれ、読まん方がいいかもしれないと警告。 えーと、長々と脳内解釈を協議した結果……間違っていたら見のがして。 自立できてないヘタレから佐祐理を救うために政略結婚を口実に保護する久瀬。 本意でない状況に甘んじつつも意地を通す彼はいいとしよう。 で、佐祐理だが。佐祐理も妊娠中。祐一は、舞との子供ができて不安になって酒に溺れて正体を失った……? で、そこで起きた不幸な事故は、一時の逃げ場発言からして、佐祐理が対象らしい。 気の迷いと言うからには祐一の本命は思いっきり舞で、過ち以外では佐祐理には指1本触れていなかったような書かれ方。 あかん。佐祐理が理解できん。てゆーか、結果的にすがるんならちゃんと愛するふりくらいしろ。見透かされても。 それじゃ触れてこないなんてこと、分かるだろうに。 >204最後の嫌がらせは何のつもりですか。パパ怒りますよ。 しかしなんだろう、この痛い祐一は。かわいそうに。 話自体は興味深いだけに、もっと書いて欲しかった。なんらかの決着を付けるまで。 こういう終わらせ方はあるけれど、すっきりしない思いが強い。 せめて子供が産まれるまで。久瀬がどんな感情を抱いて、どんな風に育てるのか見てみたい。 それならもっといい話にも嫌な話にもできたのに。いくらでも。 文は読みやすくてよい。
ようやく書き上げました。 一眠りしてからUPします(´Д⊂ヽ ただ、今回50スレを楽に越えていそうなんだけど………
5万レス分とは膨大ですね。とお約束のツッコミを、
>>211 まず一弥と名付けるところから始まりですか?
215 :
211 :04/12/05 12:26:10 ID:18NI4eoL
>>214 俺、そのベタ代理転生大嫌いなんだわw
俺が書くとしたらだけど、産まれてきたのが男だったら嫌な話、女だったらいい話という落ちに行きそう。
で、たぶん後者にもっていく。産まれてきた子に罪はないし。
でも男だったらどうしても、なぁ。一弥がどうこうより、祐一の影が。ダークというより、後味の悪い話になってしまう。
佐祐理ダークものに持ってくなら、なにも知らない久瀬に黙って一弥とつけさせるという展開も有りだが、
この話の場合、佐祐理がそうする理由もないし。
最初この話見て、佐祐理壊れてるのかと思ったんで、壊れならそれでもいいが……
原作以上に壊れている様子はあんまりないみたいだし。
216 :
212 :04/12/05 13:31:14 ID:j6TcOszp
>>213 >5万レス分とは膨大ですね。とお約束のツッコミを、
徹夜明けだから許して……_| ̄|○
ちなみに字数を改めて数えたら、110レス越えていたんですけど(;´Д`)
html形式にして、どっかにUPしたほうが良いかな(´・ω・`)
投下するだけで数時間かかるな……。 どっかべつのとこにupして、まとめサイトに収録してもらう方が現実的かなぁ。
投稿します。 タイトルは「千鶴姉の幸せに」、「痕」の梓視点のお話です。 22レスを予定しています。 よろしくお願いします。
──ちょっとだけやるせない想いをしたのだから、それを紛らわせる権利があたしにはあると思う。 というわけで、あたしはかおりに電話する。 「はい、もしもし…」 「あ、かおり? 梓だけど…」 「あ! 梓先輩!」 元気な声のかおり。笑顔なのは電話越しでも想像出来る。 「ん、そう。あたし」 ちょっとだけ嬉しいような気がするのは、あたしの心の空模様のせいだろう。 「一体、こんな夜にどうしたんですか?」 「うん、実はね──」 「──また千鶴さんが夕食を作ったのですか?」 うっ。 「──うん、まあね」 「…大変でしたね。で、今日はどんな感じだったんですか?」 興味だけで訊くかおり。 あたしはそんなかおりに語り始める。 まだ残るやるせない想いからサヨナラしたいから。そして──── 【千鶴姉の幸せに】
千鶴姉の作った夕飯。これだけでおおよその見当と説明にはなると思う。 さて、話はその夕飯の支度。 「あのさ、千鶴姉」 「なに?」 笑顔の千鶴姉。 「これなら、あ、いや、これを千鶴姉が作ると耕一が喜ぶと思うよ」 「え! ホント?」 「うん、ホント」 命懸けの説得。 人には向き、不向き、得手、不得手というのがある。 もちろん、柏木家とて人に非ずというツッコミはあれども例外ではない。 そう、悪い方向にそれが出てしまっているの人が柏木家にはいるのだ。 あたしの姉であり、現在柏木家の当主──柏木千鶴。その人である。 ──味覚が異次元。 あたしの姉は非常に残念な事ながら、味覚が常人のそれを超越している。 しかも本人には自覚が無いときたもんだ。 冗談は貧乳だけにしてもらいたいのだけど、あたし以下妹達には冗談では済まされない。 生きるという事は不安や恐怖と戦う事で磨かれていくのだ、と確信している。 あたしも妹の楓や初音も料理については千鶴姉によって真剣になれた。 おかげで現在は千鶴姉に料理をしてもらわなくて済むようになっている。 鬼とはいえ毎日、毒、あ、いや、千鶴姉の料理を食べればやがては…ということだ。 「これ?」
「そう。これは喜ぶと思うのよ〜」 耕一が家に来ているこの夏は地獄の季節。 耕一の存在によって、千鶴姉が料理を作りたがるようになってしまったのだ。 千鶴姉はあたしから見てもわかる程、耕一に好意以上の想いを持っている。 だからそれを形にしようという女心はわからなくもない。 だけどねえ…。 「これは、麻婆豆腐ね?」 あたしに確認する。 「そう」 「でも、こんな簡単なもので耕一さんが喜ぶかしら?」 身の程知らず、とはこの姉には言えない。 「大丈夫だって、こういうのが実は喜ばれるんだって」 あたしも大人になったと思う瞬間。 「そう?」 「そうそう。これで耕一は千鶴姉にメロメロってわけ」 「そんなー。もうっ、何を言ってるのよっ」 ドンッとあたしの胸元を叩く。──くっ、この…。 「そうかぁ、耕一さんが喜ぶのね」 うっとりしている千鶴姉にコクコクと頷く。──意思を切り離した運動として。 「じゃあ、梓」 ニッコリと微笑む。 「教えてくれる?」 「もちろん。がんばろうよ」 「ええ!」 耕一。今回はアンタの胃袋に期待しなくて大丈夫なものを作らせるから。
中華のモト、というのがある。 具材を用意して僅かに調理すれば完成する、という便利なものだ。 これなら千鶴姉でも作れるし、何より味付けは既にされているわけだから安心出来る。 しかも今回は、あたしが傍について監視、いやサポートする。 だから、今回は大丈夫だろうと思っている、というか思いたい。 「では、まず何をすればいいの?」 屈託の無い笑顔。もう、耕一が「ああ、千鶴さんおいしいよ!」と言っているシーンが脳裏に浮かんでいる顔。 「まずね、これを買ってくるところから」 メモを渡す。 「ええっと、──お豆腐と長ネギね」 「そう。それは買わないといけないからさ」 ふふ、と笑ってしまう。実はこれ、あたしの作戦なり。 「わかった。買ってくる!」 「そうだね。できるだけ吟味して良い物も選んで来てよ」 「オッケー」 そんな軽口を残し、飛び出すように買い物に出かけて行く柏木千鶴2X歳。 「よしっ」 あたしはその様を見てから作戦を開始する。 まずは最低保証のご飯と味噌汁を作っておく。これさえ確保すれば、最悪でも漬物と三品は食べる事が出来る。 千鶴姉には「麻婆豆腐に専念して欲しい」とでも言っておけば、最大限の好意的な返事が来るはず。 お米を手早くといでから、炊飯器をセットする。 「これでご飯は食べれる、と」
そしてお味噌汁の用意。 「梓お姉ちゃん」 初音が台所に入ってきた。学校から戻ってきたのだろう。 「あ、おかえり」 「うん。ただいま。何か手伝う?」 …可愛いあたしの妹はまだ何も知らない。 「いいよ。大丈夫」 「そう?」 これまた屈託の無い笑みをあたしに向ける。──ああ、ごめんなさい。こんな姉を許してください。 初音が「じゃあ、部屋に戻るね」と背を見せる。 さて、作戦再開。 お味噌汁に豆腐は使えない。そんな凡ミスはしない。 大根とワカメで手早く作る。 「よし、これで完璧」 かくして今日の最低限の夕飯は完成した。…最低限が最高にならないといいのだけどねえ。 まあ、あとは千鶴姉を待つだけですよ。 台所の窓から空を眺める。 綺麗な夕焼け。雲がすーと泳ぐように流れている。 さすがに今回は大丈夫。大丈夫。あたしは一抹の不安を払うように夕日に向かいそう呟いた。 * * *
「ただいまー」 ドタドタと足音がする。…とても大人の女が立てる足音じゃないよ…。 「あーずーさー」 どうだ、とばかりに袋を持ち上げてあたしに見せる。 「料理長をシバ──あ、お願いして丹波から取り寄せたお豆腐を手に入れたの!」 ──ごめんなさい、料理長さん。 「それとね」 土の付いた長ネギを見せる。 「専務の奥様が野菜の有機栽培をしていると聞いてたから、そこの畑から抜い──頂いてきたの!」 ──ごめんなさい、専務の奥様。 「これで揃ったわね」 満足げな表情にあたしは悲しくなる。だけど、この先もっと悲しくならないようにしなくてはならない。 「じゃ、早速作ろうかね」 「ええ」 千鶴姉の笑顔。──無理に料理なんかしなくても、そんな笑顔を耕一にしてあげれば、それだけでいいと思うんだけどなあ。 麻婆豆腐を本格的にどう作るかはあたしも知らない。だけど、このモトを使えば簡単なはず…。 まずは具材のカット。 お豆腐はサイコロ状に切ればいい。手でお豆腐を持てなくても、まな板の上で切れば大丈夫──── 「フ、フハハハハハハハハー」 左手を顔にあて、右手でお豆腐を握りつぶす千鶴姉。 「ちょ、ちょっと千鶴姉!」 慌てて止める。 「ハハハハハ…この! この! …って、あれ?」 何事? という顔であたしを見る。 「千鶴姉…」 「い、いえ、何て言うのかしら? そう! ほらっ、ちょっと庶民、ああ、ううん、お客さんで嫌な感じの…」
──キャラが違うから。 取り敢えず、お豆腐はちぎってもOKだと自分を納得させて次へ。 仕上げに使う長ネギを洗う。 これは何にも問題は──── 「アハハハハハハハハー」 高笑いの千鶴姉。…あんた、味覚がおかしい以前に料理を何だと思ってるのさ? 「ちょっと!」 長ネギをシンクに叩きつける千鶴姉を止める。 「あ、何?」 「いや、真面目にやろうよ」 「…そうね」 アンニュイな顔。うわ、こっちのやる気が…。 …何とか下ごしらえを終える。 後は簡単な調理。だけど、これからが本番──── 「フフフフフフフフ」 あたしは現実の世界でも、モザイクが入る事を初めて知った。 見るな、見てはいけない、と鬼の何かが命じているらしく…。 千鶴姉の手元が見えない。フライパンみたいなものがモザイク外からチラチラと。 千鶴姉の顔を見る。──楽しそうな顔。 作ってあげたい人を想いながら料理をしている──らしい。 それを見ると複雑な想いになる。
千鶴姉は耕一が好き。言葉ではなく態度でそう言っている。 耕一も千鶴姉が好き。それも態度でそう言っている。 そう、そういう事。 そういう事なんだよね…。 「アハハハ、梓! 出来たわよ! アハハハハハー」 …どうしてそんなキャラになるのかわからないけど、完成したらしい。 モザイクがとれ、あたしの視界には麻婆豆腐。 「おいしそうでしょ?」 笑顔。眩しい笑顔。 「──そうだね」 あたしはそれ以上は答えられなかった。 だけど大丈夫。今回は大丈夫。──麻婆豆腐の見た目と香りはしているのだから。 麻婆豆腐が出来てからすぐに電話が鳴る。 「──はい……ええ……」 それは、その、何というか、因果応報という言葉がピッタリな内容。 「ええっ、バレたのですか?」 おそらく社員の方からの電話に、直立で対応する千鶴姉。 電話に向かい何度かペコペコと頭を下げ受話器を下ろす。 「梓〜」 涙目。だけどあたしはそれを見て思う。──こんな人だから耕一も、と。 「どうしよう。──シバいたのがマズかったのかな?」 「まあ、そうだね…」 苦笑を超えて絶句。そういう事じゃないだろう、と。 「謝りに行こう…」
あたしにも来て欲しいという顔。まったく、子供じゃないんだからさ。 「行っておいでよ。耕一にはちゃんと言っておくからさ」 「いやー! ダメっ、絶対」 「…わかった。ちょっと仕事が入ったと言っておくよ」 あたしの姉にそう告げると、その姉は初音よりも子供のような顔をして飛び出していく。 「まったく」 あたしは途中からこの場にいる楓に苦笑を向ける。 「千鶴姉さんらしいね」 「まあ、そうかもね」 あたしは楓の肩を叩き「二人が帰って来るまでテレビでも見ようか?」と言う。 楓は無言で頷き、二人で居間に向かうことにした。 * * * 千鶴姉が出て行ってから一時間位経った。 「ただいま」 耕一の声。 「おかえりー」 自分の部屋から玄関に走る初音。 「ただいま。初音ちゃん」 「うん。おかえり〜」 玄関から聞こえるそんな会話に楓が少し笑う。 「耕一さんは初音を子ども扱いしすぎだね」 「まーそうね。耕一は兄貴面したくてしょうがないのかねえ」 「──そうかも。初音もそれを悪くないと思っているようだし」
苦笑する楓。 あたしはそんな楓を見て、じゃあ楓は耕一をどう思っているだろうかと顔を見る。 ──いや、止めよう。 それが何の役に立つというのか。 「おう、ただいま」 横柄な声。居間にドカドカと入ってくる。 「おかえり、っていうか、なんであたしには初音みたいな甘い声じゃないのよ?」 耕一は驚いた後、意地悪そうな顔をする。 「OK。では」 わざとらしい咳払い。 「梓ちゃん。ただいま〜。いい子に──ってスイマセン」 あたしが立ち上がるとヒィと身を護る耕一。 「お前がしろって言ったくせに!」 「バカにしてるだけじゃないの!」 「梓お姉ちゃん」 「梓姉さん」 止めに入る妹達。 「ごめんよ。冗談だよ」 ──そうやってアンタはあたしを子供扱いする。 「冗談だよ」 耕一の笑顔が少しだけ憎くなる。なんだよそれ、と。 先に知らせるのがあたしなりの正義感なんだけど、結果は良くはないのは仕方ない。 「「「えええっ!」」」
あたし以外の三人の悲鳴。 「そうか、千鶴さんが、か」 耕一は天上を見る。──アンタが原因なんだけど、その被害者面はなんなのさ。 「……………………そう」 「え、えーと。そうなんだ」 楓の青白い顔と初音の困った顔。 「あ、あたしのせいじゃないのに!」 不当な仕打ちを受けたような気分。 「ま、まあ、頑張ろうぜ!」 耕一の言葉に力はない。だけど、楓はそれを見て頷く。 「……………………がんばって」 初音に託す楓。 あたしは「がんばれないよ」とフルフルと頭を左右に振る初音を見ながら思い出す。 壊れていたけど、材料はキチンと形になっていた。 モザイクは入っていたけど、調理に不審はなかった。 途中、何も悪戯(本人は本気だろうけど)はしていないのは確認している。味付けは不要だから大丈夫なはず。 見た目もちゃんとしていた。完成後はモザイクが入っていなかった。 だから──大丈夫。絶対。そう、今回は大丈夫。──あたしが見ていたんだから。 「なあ梓」 「なによ?」 「今回のは、どうなんだ?」 耕一の問い掛けに切実そうな顔であたしを見つめる楓と初音。 「あ、あたしだってわからないわよ!」 「えー」 …そうはいいながらもこれから起こる確率の高いシーンを想像する。 みんなも同じように天上を見上げ、最後の晩餐に想いを寄せる。
…。 ……。 ………。 『いただきまーす』 無邪気な千鶴姉。あたし達は青ざめている。これは確定事項。 『さあ、耕一さん』 『あ、ああ』 『今日はわたしが作ったんですよー』 ほいほいと耕一に取ってあげる。怖いねえ。(他人事) 『たーんと食べてくださいね』 『あ、うん。嬉しいな』 ──口をヒクヒクさせながら言うんだろうけど。 『みんなもいっぱい食べてね。今日のは自信作なんだから』 楓は賢いから自己保身の為に致死量を超えない分だけ口に入れると思う。 『…………………………………………まっず』 千鶴姉が、ガシャン、と食器の音を立てるわけ。 『千鶴お姉ちゃん! 爪が! 爪が!』 『フハハハ、って、あっ、いけない』 ──爪を隠す。これまた怖いねえ。(他人事) 初音は優しいから結果が見える事にも自己犠牲を発揮するだろうし。 『あわわわわ』 泡をふいて突っ伏す初音。 『千鶴姉さん……』 それを見てサムズアップを残し突っ伏す楓。 『な、なによ、あなた達! 失礼ねっ』 自分で食べる。 『──うんっ、こんなに美味しいのに! ねえ梓?』 ──はい、来ましたよ。
『そうだよねえ』 ──もしかして、あたしが一番、偽善者? そして、あたしは一口食べて記憶が飛び、耕一がどうなるのかを知る事なく、翌朝に──── 「「「「いやぁー!!」」」」 それぞれの描いた悪夢に絶叫する。 「…まだお夕飯には早いし宿題でもするね」 初音が部屋に戻る。楓も「わたしも」と初音を追うように。──心の準備が必要だからねえ。 あたしは耕一と苦笑し合う。 居間にはあたしと耕一の二人だけに。 あたしは知っている。千鶴姉は耕一が好き。耕一もそうだろう。 二人ならお似合いだと思う。結婚してもいいかもしれないとも思う。 だけど、なんだろう。あたしはそれでいいのだろうか? それでいいのだろうか? 「ねえ耕一」 「なんだ?」 何となくを装って訊いてみる。 「耕一はさ」 否定してくれるのだろうか。 「千鶴姉の事が──」
耕一は少しだけ驚いた顔をしたけど、すぐに真剣な顔になる。 ──もういいや。 「なんだよ?」 注意深くあたしを見ている。 「いい。なんでもないっ」 ──答えなんてそれで出ているようなものだから。 あたしはつっぱねるような言い方をしてしまったけど、耕一は咎めてこない。 そして幸運な事に、気まずい雰囲気になる前に当人が帰って来てくれた。 * * * 「さあ! お夕飯にしましょうね〜」 宣告。それは恐怖の宣告。──っていうか、謝りに行って来たのに反省の色がないのがどうして? 「楓、初音、手伝ってくれる?」 「「はいっ!」」 悪夢に対して前向きな二人。…あたしより肝が据わっているのかもしれない。 「耕一さん」 「は、はい!」 千鶴姉の笑顔。ああ、女のあたしから見ても美人なんだから、耕一じゃすぐにまいっちゃうよね。 案の定、自分がこれからどうなるかなど忘れている顔を千鶴姉にする耕一。 ──ちぇ。 そんなふうに目で会話されたら、──何も言えないよ。 「楽しみにしていてくださいね」 そう言いながら台所へ。耕一はその後姿を見ている。
「まいったな」 照れ隠しなのか、本心なのかそんな事を言う。 「…しっかりしなさいよね」 「ああ、わかっている」 何をわかっているんだか。 あたしはそんな耕一に何かを感じて話を逸らす。 「だけど、なんで千鶴姉だけあんな事になったんだろう?」 もちろんあんな事とは料理の事。耕一もわかっている。 「俺だって知りたいよ」 頭をかく耕一。あたしも何となく頭に手をやる。 「まあ、でもさ、千鶴さんらしい気もするんだよな」 「あ?」 素でノロケたよ。 「あ? って何だよ?」 不満そうな耕一。──コイツに真っ先に食べさせよう。 「準備するよ」 楓が戻って来て食器やお箸を配る。 「いよいよ、か」 耕一の呟きに、楓は注意深く見ないとわからない位の──微笑みを浮かべていた。 ──それは小分けにされていた。 しかも、ご丁寧に各々が致死量を超えないギリギリの配分。 「初音が『こうした方がいいから』っていうのよ」 何故か嬉しそうな千鶴姉。──ありがとう初音。本当にありがとう。 ご飯とお味噌汁が配られると、緊張は極限に達する。
いよいよ準備が完成し、柏木家の当主が手を合わせ厳かに告げる。 「では、いただきますっ」 「「「「いただきますっ(涙)」」」」 耕一はご飯、あたしと初音はお味噌汁、楓はお漬物を口にする。 「あらあら〜?」 マジギレ寸前の御当主。 「どうしたの 楓?」 ビクッと体が震える楓。 「今回は自信あるのよ。食 べ な さ い ?」 その声にビクビクッっと初音も震える。 「……千鶴姉さん」 「なに?」 「まずは耕一さんに食べてもらって」 表情からは発言の意図は読めないけど、良い事を言ったのは間違いない。──楓、あんた偉いよ。 「そうね」 ぎぎぎ、という金属同士が擦れ合うような音を携えた首の動き。楓→初音→あたしと動き、耕一の前で止まる。 そしてアイコンタクト。 「♪」 「…」 「?」 「!」 会話終了。耕一は意を決して麻婆豆腐を口に──── 「!?」
耕一の表情を見て何故か笑顔の楓と初音。 「どうですか?」 どうもこうも「おいしい」以外の返事を予想していない千鶴姉。 あたしはこれからの起こる惨劇に耐えらないと思い、目を逸らす。 だけど、その瞬間、耕一が叫んだ。 「お、おいしい! 千鶴さん、おいしいよ!」 ────エ? 「そうですかっ!」 目を輝かしている。これはこれで見ていられない千鶴姉。あたし達がいなければ耕一に抱きついているかもしれない。 「うん、おいしいよ。びっくり、あ、いや、本当においしいよ!」 偽らざる心の叫び。助かったーという思いが少しだけ滲み出ているのをあたしは感じる。 「うん、おいしい!」 初音も喜んで食べている。 「………………………………………うまー」 楓まで! あたしはまだ集団幻覚の線が否定出来ないのだけど、覚悟して口に入れてみる。 「…え!」 そんなバカな! ──考えてみればおかしな絶句だけど──おいしいのだ。 「どう、梓?」 自信たっぷりな顔。 「うん。おいしい。確かにおいしいよ」 現状が幻である事を望むかのように何度も口に運ぶ。──でも、おいしいのだ。 楓と初音を見ると笑い合っている。 そうか、二人は先に毒見、いや、味見したんだ。──さっきまでのは二人の芝居ってわけね。
千鶴姉と耕一の為か、あたしと耕一を驚かす為か、それはわからないけど、二人の事だから善意でやったのは間違いない。 「うん。千鶴さん! おいしい!」 大仰しいくらいに千鶴姉を褒め称える耕一。その言葉に目をトロンとさせている千鶴姉。 ──あーあ。 あたしは何だか気が抜けてしまい、レンゲを置いて食べるのをやめる。 いつも通りの失敗を望んでいたわけではない。不安で何回も確認をしたのだから。 だけど、なんだろう。 上手くいったのに喜べない。 このやるせない想いは何なのだろう。 「梓、どうだよコレ!」 自分の手柄のように言う。 「…おいしいよ」 「そうだろ?」 「そうでしょ?」 幸せそうなご両人。…なんだか同時に言われるとムカっとくるのは何故だろう。 気がつくと楓が滅多に見せない程の笑顔をあたしに向けている。 あたしが楓を見ると──楓は黙って頷く。 楓のそれは「これで良いのではないの?」と言っているように見える。 少し時間が掛かったけど、その頷きに意味があることに気づく。 だけどもう、楓はいつもの顔。 だからこそ楓のあの笑顔に納得してしまう。 ──楓も、そうだっだんだね。 あたしも楓も、初音は正確にはわからないけど、──耕一の事を……。
あたしは黙って食べ続けている楓を見る。視線に気づくと楓もあたしを見る。 ──うん、言っちゃおう。それがいいと思う。 「ねえ、いいんじゃなーい?」 楓はそれでわかってくれた。だから言ってくれる。 「うん、いいんじゃなーい?」 驚いている千鶴姉と耕一。特に楓の口調に。 あたしと楓は笑っている。 意味はわかっていないだろうけど、みんなも笑っている。 いいんじゃない? 千鶴姉も、 耕一も。 まあ、せっかく千鶴姉が上手く料理を作れたんだから味わって食べさせてもらおうっと。 ところで、どうして今まで作れなかったものが、今回は作れたのだろう? 実は仕向けた自分にも確信はない。…………愛の力、という事にでもしておこうかな。 * * * 台所。初音と後片付けをしている。 「梓お姉ちゃん」 「ん? 何?」
お皿を洗いながら初音があたしに言う。 「梓お姉ちゃんは──よかったの?」 ちょっとだけ様子を伺うような顔。 「そうね…………初音はどうなの?」 初音は複雑そうな笑顔を返してくる。 「うん。わたしはいいかなって、思うよ」 濡れた手を拭きながらあたしは初音の言葉を受ける。 「千鶴お姉ちゃんとお兄ちゃんならお似合いだと思うよ。…ちょっと羨ましいけどね」 その言葉で初音の気持ちがわかる。 初音にとって耕一は「お兄ちゃん」であって恋愛の対象ではなく憧れの人、というところなのだろう。 「そう、そうだね」 あたしは呟くように答える。 「それで、梓お姉ちゃんは、どうなの?」 「うん? そうねえ…」 あたしはお皿を食器乾燥機に入れる初音を眺めながら気持ちを整理する。 あたしは耕一が好き。何だか悔しいんだけど好きみたい。 だけど、耕一が千鶴姉を好きになっているのなら、それでいいと思う。 楓も淡い想いを抱いていたのだと思う。 だけど、耕一が千鶴姉を好きになっているのなら、彼女もあたしと同じようにそれでいいと思ったのだろう。 何より、あたしは千鶴姉が好きだ。もちろん楓も初音もそうに決まっている。 だから、千鶴姉が耕一を好きになったのなら、それでいいと思う。そして──── 祝福してあげたいと思う。 これは、 負け惜しみなんかじゃない。 負け惜しみなんかじゃない。 負け惜しみなんかじゃ──ない。
「いいんじゃないかな?」 その言葉に初音は、「そうだね」と優しい笑顔を向けてくれる。 片付けが終わり自分の部屋に戻ろうとすると、千鶴姉の部屋から耕一の声がした。 想いは変わらないが、いざこんな現実に直面すると気持ちが揺らいでしまう。 ──いけないな。しっかりしろ! と言いながらも、聞き耳を立ててしまうあたし。 『…千鶴さん』 『はい…』 『あのさ…』 『はい…』 ──何をじれったい事を! 押し倒せばいいのにっ。 『俺さ…』 しばらく何も聴こえない。 あたしは立ち去る事も出来ず、ただ耕一の次の言葉を待つ。千鶴姉も待っているのだろう。 そして──── 『俺…』 『はい…』 『俺さ、千鶴さんと…』 『はい…』 『正式に付き合いたいんだ』
『…はいっ、わたしもです…』 ──なーんだ。 あたしは目頭を押さえながら離れる。何で今まで気づかなかったのだろう。 いや、そうじゃない。気づいてもそうでないと思いたかっただけ。 ああ、もうっ! そう考えると何だか腹が立つ! ──何に対してかわからないけどさ。 千鶴姉の部屋を振り返って呟く。 「諦める。うん、まいった。諦めるよ」 それでいいと思う。 だって、あんなに幸せそうな千鶴姉を見たら、あたしだって、楓だって──諦めるよ。 柏木千鶴。 あたし達が誰よりも大好きで愛している人。そして、あたし達を誰よりも大切にしてくれる人。 「あーあ。でもまいったなあ」 そうだ、まずはグチでも言って、自分を落ち着かせよう。 といってもこんな事を話したら…………喜ぶだけかも。 もしかしたら彼氏が欲しいのに彼女が先に出来ちゃうかも…。 そんなくだらない事を考えながら受話器を取る。 ──ちょっとだけやるせない想いをしたのだから、それを紛らわせる権利があたしにはあると思う。 おわり
>>219-240 以上です。
宜しくお願いします。
#即感想に賛成しておきながら、ギリギリになってしまいました。すいません。
>>216 まとめサイトのBBSのほうなら、ここみたいな
連続投稿制限とかないんじゃない? 知らないけど。
まあでも、まとめてうぷしたほうがラクだよなあ。
【告知】 締め切りまで残り半日くらいです。 最後の追い込みがんばっていきましょう。 今回のテーマは『なんでもあり』で、締め切りは 12 月 6 日の午前 8:00 です。 締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、 前もってお伝えください。それについて考慮いたします。 また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。 締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。
110レスともなれば、ここに落とすのは無理そうですね。 まとめサイトのBBSも確か制限があったはず >あそこはHMXさんが管理されているので私は良く知らない。彼女に尋ねるのが一番ですが いずれにしろ時間かかるでしょうねぇ… 爆撃スクリプトでも組みますか(w 保管所のみの収録でよろしければ、どこかの匿名あぷろだに上げていただくか私にメールくだされば対応しますです。 その場合、このスレには紹介文とリンクを張っていただくということで。
まとめサイトのBBSは200レス連投まで大丈夫のはずです。確か。
これから投稿させて頂きます。 6レス、MOON.のものです。
「ふたり」 「郁未さん、お久しぶりです」 「あっ葉子さん、遅い遅い」 「私は待ち合わせの時間ちょうどに来ていますが」 「あれ、そう?じゃあ私が早く来すぎたのかな?」 「そうですよ」 お互い笑いあう。FARGOでの生活の後、私は葉子さんとたまに会っては、近所のゲーム センターや色々な場所へふたりで遊びに行く。 「今日はどこへ行きますか?」 「うーん、いつも通りだけどゲームセンターはどう?」 「私、あのパズルゲームはもうクリアできますよ」 「えっ、嘘。もう?」 「だって、郁未さんがくれた携帯ゲーム機でさんざんやりましたから」 「はは、やっぱりいっぱいやってたんだ」 「もう……笑わないで下さい」 ふたりの間を暖かい風が通り過ぎる。季節はもう、初夏になろうとしていた。 「今日は、暖かいですね」 「そうね。ねえ、葉子さん。今日は公園でのんびりとしない?」 「めずらしいです。郁未さんが遊ぶ場所と食べる場所以外の所に行くのは」 「なんか酷い言われよう。でも、公園ならもうアイスクリーム売ってるかもね」 「やっぱり、食べ物の事ばかりです」 「はは」 最近は、葉子さんも普通の女の子みたいによく笑顔を見せるようになった。 ただ、消費税にはまだ慣れていないみたいだけれど。 近くの公園は、お昼休みの休憩に来たのか、多くの人で賑わっていた。 サラリーマン風の人、OLさん、学生さん、そして小さい子供を連れた親子。 その光景をふたりでぼうっと眺める。
「良い光景ですね」 「……うん」 しばらくの間、無言でそれを眺める。 少しの間の沈黙。 そして、葉子さんが静かに話し始める。 「私のお母さんも、昔はすごく優しかったんですよ」 葉子さんは、公園で遊んでいる親子連れを見ながら、懐かしそうに話をする。 私は隣でその話を聞く。葉子さんの過去を、私の知らない葉子さんの思い出を。 「小さい頃はよく公園に連れて行ってもらいました。楽しかったですよ、その頃は。 公園で私は知らない子たちと遊んでいる。それを母は、ベンチに座りながら笑顔で 見守ってくれてた」 お母さんの話をする葉子さんは、本当に嬉しそうな顔をしていた。 「でも、その後ぐらいから両親の仲が悪くなって……。結局、母は家を出て行って しまいました。後になって、母がFARGOに入信している事が分かりましたが」 葉子さんの表情に翳りが入る。とても辛そうな表情。 「すいません、暗い話をしてしまって」 葉子さんはそう言うと、少し遠くの方を眺める。 私は、葉子さんの横顔を見つめる。 「郁未さんは……」 「えっ?」 「郁未さんのお母様はどういう方だったのですか?」 葉子さんが私の方に向き直り、静かに訊ねる。 「……すいません。少し、迂闊でした」 そう言った後、申し訳なさそうに俯く葉子さんに、私は答える。 「ううん、そんな事ない。聞いて欲しいな、葉子さんに。私のお母さんのこと」 ……そして私は葉子さんに、私のお母さんの話をする。
「私のお母さん……未夜子って言うんだけどね。とても優しいお母さんだった。 いつもいつも笑顔で……でも私が悪い事をした時は凄く怖かった。でも、その 後はいつも『次からはダメですよ』って言って、特製のシチューを作ってくれた。 暖かかった……」 私は葉子さんに、ゆっくりと話し始める。 葉子さんも真剣な眼差しで、その話を聞き入ってくれる。 「私、多分……ううん、きっとお母さんに憧れてた。あの暖かいお母さんが好きだった。 大好きだった……」 私がそう話すと、葉子さんが笑顔を私の方に向ける。 「郁未さんが、少し……羨ましいです」 「そう、かな?」 「はい。羨ましいです」 ふたりで、無言で、初夏の空を眺める。大きな雲が、私たちの上を通り過ぎる。 「そう言えば……」 「何ですか?郁未さん」 「う、ううん、何でもないよ」 「気になります、そう言われると」 「うん……ちょっと思い出しちゃった、お母さんとの思い出。お母さん、流れる雲が好き だった。私とふたりで、よく原っぱや河原で空を眺めてた。今日みたいな日に……」 ゆったりとした風が雲を吹き流してゆく。私と葉子さんは、無言で流れていく雲を 見つめ続けた。
「でもね」 私はふと口を開く。 「でもね、私、ときどき思うんだ。お母さんは幸せだったのかなって……。お父さんを亡く して。それでお母さん、FARGOに入ったから。家を出て行ったから……。私はお母さんと 居られて幸せだったけど、お母さんにとってはどうだったのかなって」 雲を眺めている瞳に、不意に涙が浮かぶ。 私は、泣かない様にと必死に涙を堪える。だけどそれは、どうしても止められなかった。 葉子さんが私の方を見つめている様な気がする。けれど私は、泣いている姿を見せるのが 嫌で、流れる雲を、空を無言で見続ける。 頬に、涙の雫が伝う。 「ご、ごめんね。変なこと言って」 私は何とかその場を取り繕う様にそう言うと、手の甲でごしごしと顔を拭う。 そして無理矢理に笑顔を取り戻し、葉子さんの方に向き直る。 「郁未さん」 そんな私を、葉子さんが神妙な面持ちで見つめる。 「な、何かな、葉子さん……」 「その……私がこういう事を言うのは、差し出がましいかもしれませんが、お母様は…… 郁未さんのお母様はきっと幸せでしたよ」 「えっ」 私は驚いて葉子さんを見つめる。葉子さんは神妙な面持ちのまま、まっすぐな瞳で 私の方を見続ける。 「私には解ります。だって郁未さん。お母様の……郁未さんがお母様の事を話す時の顔、 とても幸せそうですから。私もだいぶ吹っ切りましたが、今でも自分の母親の事を 思い出す時はやはり辛いです。でも、先程の郁未さんは、凄く幸せそうでした」 そう言われた私は、少し気恥ずかしくて……そして切なくて、葉子さんから顔を背ける。 葉子さんはそれを気にする風も無く話を続ける。 「郁未さんのその笑顔を見ていると解ります。郁未さんがお母様の事をとても大切に 思っている事。そして、一緒にいられて幸せだった事。だって一緒にいられて幸せ だったからこそ、その思い出は大切で、かけがえのないものですから……」
「そしてその幸せは、郁未さんだけではなく、お母様も感じておられたはずです。何故なら、 郁未さんの思い出の中のお母様は、笑顔でおられたのですから」 葉子さんはそう言うと、少し何か思案したような表情をした後、話を続ける。 「きっとお母様はいつまでも郁未さんのそばに。そしていつまでも郁未さんを見守って くれているはずです。そしてそんなお二人を……私はやっぱり羨ましいです」 「葉子さん……」 私と葉子さんは、ふたりでまた空を見上げる。雲は風に乗って流れ、次々と形を変えていく。 「あっ」 「どうしました?」 不意に声を上げた私に、葉子さんが訊ねる。 「私、思い出した。私の名前。『いくみ』はお父さんが付けてくれたけど、郁未の『未』は お母さんの字だ。お母さんがこの字に、この名前にしてくれたんだ……」 私はあのFARGOでの日々を不意に思い出す。あのMINMESでお母さんが教えてくれた、私の 名前の意味を。 「『未』は私の名前、未夜子の未」 「ずっといくみのそばに居るよって、意味」 「ずっとそばに居てくれてたんだ、お母さん」 私は空にそう呟く。 「ありがとう、葉子さん」 そして、葉子さんの方に向き直り感謝の言葉を口にする。 「郁未さん……」 ふたりでもう一度、空を見上げる。 私はまた、瞳に涙をためる。 けれど今度は、私はその溢れる涙を止めようとはしなかった。
頬を伝った涙の雫が、ぽとりと地面に落ちた。 雲はいつまでもいつまでも、青い空を流れ続けていた。
255 :
212 :04/12/06 00:58:36 ID:zR7aCA9N
SSを投稿させて戴きます。
題名『夢の続きは果てしなく』
題材『痕』
全レス数 約118レス
話の内容はコチラ↓
http://www.conohana.com/yume.htm 最初は、まとめサイトBBSに投下しようとも思いましたが、流石に118レスもあるので腰が引けまして、
仕方なく、友人の鯖にUP致しました。
非常に長い話ですが、よろしくお願いします。
256 :
189 :04/12/06 01:07:40 ID:uTcPr6/v
やっぱり間に合わなかったよ(´・ω・`)モウネル
え〜、思いっきり寝過ごしました。申し訳ありません。 延長希望の方はいらっしゃいませんか? いらっしゃいませんね? では、終了宣言〜。
*次回のテーマは『冬』で、開催は 1 月上旬になる予定です。 *早くに書き始めてもらっても構いませんが、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
>長文投稿 いま思ったけど、葉鍵板SS訓練所でもよかったかもね。 コンペスレへの投稿兼だとことわって。 あそこなら相当の長文SSでも大丈夫でしょ。
葉と鍵と綺麗にバラけていい感じだね。 あ、CLANNADが参加してない…。チョト意外。 >260 そう言われれば、あそこにはイベント用投稿板があったねぇ。自分も忘れてた。 まぁ初めて&急な例だったし、いまさら言っても仕方ないんだけど。
すんません、クラナドのエロSSってどこ逝けば見れますか?
すいません、クラナドのエロSSってどこに投稿したら読んでもらえますか?
すみません、クラナドのエロSSってどうやれば書けますか?
「口吻最前線」 アルルゥならさもありなんという話で、楽しく読めた。 子供らしく思いつめた表情が浮かんでくるようだ。 相手キャラの反応もそれぞれ書き分けられていて良かったと思う。 トウカを入れられなかったのは実に残念。面白い反応を返しそうなのに。 エルルゥが二回登場するのは、姉の特権かな? いずれも瞬殺なのは報われないなぁ(w 二度目はパワーアップして出てきてくれたほうが、お約束的にも良かったのではないかと思ったりする。 「277秒の福音」 雰囲気でてますねぇ……。 VC引っ張り出してきて、BGM再生しながら読むとなおさら。 カウンタ見たけどホントに277秒なんだ。芸が細かいな。 由綺タンのお答えは優等生っぽくて正直面白くないけど(彼女の本質に切り込まないままに終わっちゃったな)、インタビュアの語り口がいい感じっす。 「そんなもの、わかんないよ」に激藁。なるほど、役に立たない記事の典型例だ。 B級音楽誌はずいぶん長い間読んでなかったけど、久しぶりに読みたくなった。 個人的な好みを言えば、S氏ではなくてS嬢のほうが良かったな。 実際の雑誌だったら、この文章に併せてグラビアフォトがでーんと載ってるんだろうなぁ。 見たかったなぁ。 ……つか、どこに売ってるか分かったら速攻買いに行きたいぞ。
「bitter」 ん〜、解釈が難しい……。 祐一が壊れて佐祐理さんを孕ませて佐祐理さんが飛び出して久瀬が拾った、でOK? 各所に無理がある設定だなぁ……。 ま、敢えて突き詰めるまい。好きに解釈させてもらおう。 視点を久瀬のそれに絞ったのは正解だと思う。良くも悪くも彼個人のフィルターを通せるから。 そのフィルターで見れば、祐一はどうしようもないDQNだし、佐祐理は決して愛し合えない奥さんだし、久瀬自身は意地に拘る負け犬ということで、それらの関係をとてもすっきりと書けてる。 久瀬の抱える葛藤は私には理解不能だけど、ま、お話のまとめ方としてはいいんではなかろうか。 フィルターを取り払って客観的に見れば、どういう関係なんだろうね。 久瀬のフィルターで捉えきれない存在――佐祐理さんの真意とか気になる。 これが彼女なりの愛情表現だとしたら……もうホラーの世界だなぁ(w。 「千鶴姉の幸せに」 美味いのか。そうか、美味いのか…… (なぜがっかりしている?>私) 丁寧な描写がすこぶる好印象。 登場人物にそれぞれ個性が出てるし、首尾のエピソードを合わせるなどの小細工も器用にまとめられてる。 さんざんやり尽くされた料理ネタではあるけれど、つまらないということは全然なく、むしろ千鶴さんの暴れっぷりに一喜一笑しながら読むことができた。 普通なら地獄絵図になるべきこのネタ、どういう風に纏めるのか非常に興味があったが、なるほど、そうきたか……という感じ。 王道とも言えるし、捻ったとも言える。こういうの好きだ。うん。 柏木家万歳。 「ふたり」 MOON.やってない……ごめん。 優しい雰囲気の、いかにも後日譚ぽい話だと思った。 「夢の続きは果てしなく」 まさかこんなに長いのがくるとは思わなかった。 ちょっと読めそうにないんでパスしても良いだろうか。超個人的な理由で申し訳ない。
以上、3週間という期間を考えれば集まったほう、かな? どのSSもそうだけど、短い期間でよくこれだけ仕上げられるものだと素直に感心した。 次回も楽しみにしてます。 最優秀投票は「千鶴姉の幸せに」を。
>>169 によると、今回即感想返し許可らしいので、こちらも早めにリアクションを入れてみます。
今回、「口吻最前線」を書きました。
よく考えてみると、ドリグラとアルルゥは見た感じ年は近く、結構キスなどには興味あるお年頃っぽく思えます。
問題は互いの標的が、それぞれ定まっているところですが、うっかり違う方に興味がシフトしたらどうなる事やら。
最初はドリグラはおろか、ベナウィやクロウまで制覇する予定だったのですが、
さすがに抵抗があるかと思って、おとーさんと女性陣だけに絞ることにしたのは秘密だ。
>>182 楽しんでいただけたようでなにより。そうですね、意図的に跳ねるリズムを多用した感じがあります。アルルゥっぽく。
テーマに関しては、確かにキスの時にそのまま出せそうな感じですが、思いついたネタをそのまま転がして形にしただけだったりも。
続きはこれ以上書いても、縮小再生産に近い感じになってしまいそうで。いいネタが浮かばないです。
惜しまれる内に終わるのが華と言うことで。
>>183 んー、視点に関しては、限りなくアルルゥに重なった状態での第三者視点で通したつもりでしたが、
たしかに、転の部分でちょっと離れすぎた感じはします。
起承転結はあんまりというか、実は全く考えてないんですが、よく見りゃ偶然、起承転結な構成になっている。
……いやいや、計算通りですとも(゚∀゚) こちらも楽しんでいただけたようで、ありがとうございます。
>>266 トウカはですね、なんかかわいいにゃーモードが暴走してまじアンの結花に近い感じになりそうな勢いです。
暴走トウカに襲われるアルルゥ。崩壊した理性はとどまることを知らず、アルルゥの柔肌は……はっ。
いやいや、そんな十八禁なことは寸毫たりとも。
アルルゥのような、何をしでかすか分からないキャラは書きやすいです。
今回は大人の階段を少々登らせてしまいました。主にカルラの手によって。
そして成長したアルルゥの方がむしろパワーアップした感じで、ハイパーモードな姉の撃墜を。
そう、これは姉を超える妹などいないという、世界の常識を覆すためのSSだったのだよ。な、なん(AA略
その他読んでくれた人もありがとうございました。では失礼します。
感想書くす。押忍。 ちょっと辛口っていうか、熱出ててテンションがおかしくて歯止めが利いておりませんので 繊細な作者さんは見ない方がよいかも。 「サンダルでラーメン」 軽快に読み進められる地の文がよい。素材の味を生かすためのざく切り、といった印象。 舞の心理描写もわりと俗なこと考えてて新鮮。個人的にはこれはこれで人間味が感じられて萌える。 >こっちはまいばん、剣振り回しながら走ってんだよ。これからだって、お勤めなんだよ。 >生死の境界線上を、綱渡りなんだよ。わかってる? そこんとこ。 ここ、なんか今にも吉野家コピペが始まりそうだと思ったw ただ、ちょっとエピソードを詰め込みすぎな気がしなくもない。 確かに「祐一とラーメンを食べに行く」というアクションだけで話を膨らませるのは難しい。 でもだからってトッピングを乗せすぎると肝心のラーメン単体の味がどっか行っちゃいませんかね? 佐祐理in妄想はまだいいとしても、水瀬家ヒロイン陣まで登場させるのはどうかと。 つーか、 >前にも一度、こうしてあゆが忍び込んできたことがある。 >先月だっただろうか。祐一が転校してまだ、間もない頃。 >(あの時はまあ……いろいろあったわけだが) この祐一は誰ルートに乗ってんだよw お前ちょっと待てと。 あと、最後は妙に綺麗にまとめてるけど、なんか騙されてるような気がするのは俺だけすかね? いや、最初からこの締めへ向けて書いてたならいいんだけど……読んでる最中ぜんぜん着地点が見えなかったんで。
「口吻最前線」 >キスが、流行った。 なんでだよ!と突っ込むと話が続かないので流すが。マジで星新一関係ないすね! お題「キス」の回に出しそびれたネタ?とも思ったけど、そういうわけでもないようだし。謎。 まあ置いといて。この作品も地の文のリズムが秀逸。 「サンダル〜」がざく切りならば、こちらは名人の繊切りか。非常にこなれていて滑らかな印象を受ける。 誰彼構わずキスして回る話なのに微笑ましい、可愛らしいとしか感じられないのはアルルゥのキャラのおかげだろう。 ぶっちゃけ俺はうたわれ未プレイだけど空気が伝わってくる。楽しそうだなこいつら。 途中で引っかかることなく、ライト感覚で楽しく読める佳作だと思います。 「277秒の福音」 あー……評価に困るなこれは。 下手ではない。ちゃんと「それらしい」文章になっていると思う。 弥生さんの横槍とか、まとめのセンテンスとか、いいなあと思う要素もある。 しかし、とにかく動きがなさすぎる。 事件性がなくても会話の妙や描写の積み重ねで雰囲気を構築してくれるならまだ良かったのだが…… インタビュー記事という形式のため描写はほぼゼロだし、会話では模範的な回答しか出てこないし。 技術的に褒めることはできても、個人的な感情に訴えてかけてくるものがまるでない。 「bitter」 なんともドロドロした昼ドラの如き設定。わりと普通に受け入れてしまえた俺は変なのか……? 絶対に万人受けはしない嫌ーな話。しかしその「空気感」は今回の作品群の中でも一番ではなかろうか。 ただ、見せ方にいくらセンスがあっても設定の紹介だけで終わってしまったのは残念。 まあここから大団円まで持っていこうと思ったらホームページ作って連載でもしなきゃ無理そうだけど。 あるいは、あえてオチをつけないことで閉塞感を表現したかったのかなとか思ったり。 その気になればいくらでも穿った見方ができそうな、良くも悪くも不親切なSS。
「千鶴姉の幸せに」 すげえ個人的な好みの問題だとはわかってるんですが、題名はもうちょっと捻られては如何でしょうか。 千鶴さんの料理下手をギャグのネタとして引っ張りすぎな気もする。最後のいい雰囲気の方がおまけみたい。 途中のギャグノリが上滑りしてて素直に染みてこない。単に波長が合う、合わないの話なのかなあ。 というか、そもそもこのポップな文体が妙に据わりが悪くて仕方ないんです。 「サンダル〜」はOKなのに(たびたび引き合いに出して申し訳ない)、こちらはダメっていうのは、 俺自身の原作(kanonと痕)に対する印象が違うせいなんだろうとは思うんだけど…… それを抜きにしても、なんか全体的に冗長。もうちょっと推敲の余地があるのでは。 「ふたり」 うーん……あんまり言うことないすね。あ、自分MOON.もやってませんすいません。 なんつーか、エンディング後のちょっとしたエピローグみたいな。えらく正統派の「二次」創作というか。 突っ込みどころはほとんどないけど新鮮味もない。 「あの人は本当はあなたのことを……」という、伝統的な「気付かせ」あるいは「後付けの救い」の展開。 こんな素晴らしいお話に素直に感動できない私は汚れっちまった悲しみです。 あと全然関係ないけど、 >頬を伝った涙の雫が、ぽとりと地面に落ちた。 >雲はいつまでもいつまでも、青い空を流れ続けていた。 最初ここだけ読んで「雫」のSSかと思いました。そんだけ。
「夢の続きは果てしなく」 楓いぢめシリーズ(←間違った認識)の完結編ですね。 設定が微妙に「bitter」とシンクロニシティ……なのか? 連作の最終回、ということでさすがに気合入ってますオーバー100レス。こちらも気合を入れて読み始め、 >ゴッ! >ギィシャッ!! 出だしでコケました。擬音語の多用は嫌われる傾向にありますよ。主に俺とかに。 ましてや最初の一行は大切な「つかみ」なんですから、もうちょっとこう、何とかならんかったとですか。 そしてオリキャラ大乱舞。読みながら、あーこの作者さんf○teとか好きそうだなーと思いました。 いや、いいんですよ? 新しい世界をちゃんと構築していて好感が持てます。 娯楽性を高めようという努力も随所からにじみ出ていてよろしいです。 ただ、もうちょっと緩急をつけて、深い心理描写とかがあればさらに味わい深くなったんじゃないかと。 日吉誠の設定は面白かったです。 単なるギャルゲーのお約束的な三枚目悪友、あるいは時間の経過を示すためサブキャラにも年輪を…… という意図かと思いきや、お前だったんかい!という。 かおりがなんで子供を作ってる(男と結婚してる)んだ?と疑問を抱かせるところとか、 「ストーカー」という単語のリンクで自然と読者に気付かせるあたりは素直に上手いと思いました。 っていうか……やっぱり誠はあの時の子なんですよね? さすがにかおりが不憫だ。 どのルートか知らんけどちゃんとアフターケアもしてやれよ梓…… その梓ですが。中国拳法とか渡辺ってどこの馬の骨だよとかいう話はもういいですよこの際。 >「アイツなら、山の方に逃げたわ。うん。そう。後はよろしくね」 追 え よ ! 息子とか姪とか心配じゃないんですか。なんかもうダメダメです。
274 :
255 :04/12/09 23:38:04 ID:K1UsN4AH
>>567 >「夢の続きは果てしなく」
>まさかこんなに長いのがくるとは思わなかった。
>ちょっと読めそうにないんでパスしても良いだろうか。超個人的な理由で申し訳ない。
長いのはダメですか……そうっすよね、読むの疲れますしね…………ナガクテゴメンナサイil||li _i⌒i○ il||li
やっぱり、30レスくらいまでが限界かなぁ(´・ω・`)
つづき ちょっと残念だったのが楓と初音。 これまでのシリーズでは主役と準主役だった二人ですが、今回初音は単なる脇役。楓に至ってはご臨終。 前世の記憶ばりにしずりの精神に語りかけてくるとかするかなーと思ってたんですけど何もない…… まあ「死者は何も語らず」という現実的なスタンスを徹底していると思えばこれはこれでいいのかな。 でも、これまでの薄幸な楓に萌えろシリーズ(←間違った認識)の趣旨はどこに行ったんでしょう。 今回はしずりがメインヒロインということなのでしょうが…… ぽっと出のオリキャラに楓の代役はいささか重荷すぎた気がします。 というか、全員にまんべんなく出番が振られすぎていて、全員が主役のような感じでした。 故に、本来の主役であるはずのしずりや鋼より、キャラが立っている梓や酒井の方が目に入ります。 正直、一番おいしいところ持ってったのって梓なんじゃないすかね? 耕一はもうどうしようもないし。まあ耕一最低ってのは前話の時点ですでに別の人が言ってますが。 あと、これだけは言わせてくれ。 そんな最後でとってつけたように血縁関係を否定しなくても。 むしろ禁断の愛、大 歓 迎 ! 呪われた鬼の血の上に近親相姦! この背徳の関係にこそ未曾有の萌えがッ!! ……すいません俺は昼ドラが大好きみたいです。 最優秀投票はパスの方向で、どうかひとつ。
>>274 なんかすごいタイミングだな……
最初の感想がこんなんでほんとすいません。
風邪薬飲んでもう寝ます。
277 :
255 :04/12/09 23:46:43 ID:K1UsN4AH
>>276 >なんかすごいタイミングだな……
>最初の感想がこんなんでほんとすいません。
コチラこそ、途中で話しをぶった切ってすみません(;´Д`)
しかも、自分対する感想で、かち合うとは………。
278 :
267 :04/12/10 00:17:00 ID:/hnTi6IK
>274 そう言われると困っちゃうんだけど、スルーしたのは単に私が長いの苦手だからなんですよ。 長いのと短いのを比べたら、断然短いほうが好き。 市販の小説は短編集しか買わなかったり、かのんこんぺの短編に参加しつつ中編は読みもしなかったり、 AIRを途中で投げ出しCLANNADは買う気も起きなかったくせにplanetarianは喜んでやっている、 そんな人間の超個人的な理由ですんで。 長いのがこのスレで好まれない……と言うわけではないとオモフ。
279 :
267 :04/12/10 00:27:57 ID:/hnTi6IK
>269 >そして成長したアルルゥの方がむしろパワーアップした感じで、ハイパーモードな姉の撃墜を。 >そう、これは姉を超える妹などいないという、世界の常識を覆すためのSSだったのだよ。な、なん(AA略 なんかすごく納得した。解説ども(w
280 :
255 :04/12/10 03:25:15 ID:SVk9A+7a
「夢の続きは果てしなく」の作者です。 今回、感想返しokということなので、いつもはしていないのですが、 感想返し&言い訳をさせて戴きます。 まずは、この長いSSを最後まで読んで戴き、篤く御礼申し上げます。 誰も読んでくれないんじゃないかと、気に病んでいました(;´Д`) >出だしでコケました。擬音語の多用は嫌われる傾向にありますよ。主に俺とかに。 >ましてや最初の一行は大切な「つかみ」なんですから、もうちょっとこう、 >何とかならんかったとですか。 何ともなりませんでした。 一番の理由は、夢の中から初めてしまった事。 現実の話(?)であれば、どこで、どのような車が、どのように衝突したかを書くのが 一番良いのですが、なにせ『おぼろげな夢の中』での話なので、あえて擬音にしてみました。 あと、短い単語を並べて、文章を読むテンポを考慮した結果でもあります。 冒頭に関しては、『いきなり人を殺して話を進めるのもなぁ』という思いもあり、 AIRのように、しずりに楓が鬼の昔話をするシーンも考えましたが、その場合次に続く、 綱と千鶴の会話と状況がダブッてしまう上、夢からの覚醒というインパクトが乏しくなるため、 ボツにしました。 >そしてオリキャラ大乱舞。 最初、オリジナルキャラは、しずりと綱だけのつもりでした。 それだと、主人公の学校生活が面白くないので、チョイ役として『酒田先輩』と『日吉誠』 を考えたのですが…………。ここまで、キャラが立つとは予想していませんでした。 >読みながら、あーこの作者さんf○teとか好きそうだなーと思いました。 『f○te』と『月○』はやっていません。興味は有るのですが、時間がなくて。
281 :
255 :04/12/10 03:26:08 ID:SVk9A+7a
>深い心理描写とかがあればさらに味わい深くなったんじゃないかと。 今回主人公が、単純明快なので、それは無理(笑) ここ最近、内向的な話ばかり書いてきたので、あえて心理描写関係は省いてみました。 >っていうか……やっぱり誠はあの時の子なんですよね? さすがにかおりが不憫だ。 >どのルートか知らんけどちゃんとアフターケアもしてやれよ梓…… 私は『日吉誠』が、かおりちゃんの子供だとは、一言も書いていませんが(´ー`)y-~~ ただ、アノと時の子供ではありません。そうだとすると、綱と同級生にはなりえませんし。 かおりちゃんの兄弟の子供か、あの日以来、かおりちゃんが男にも目覚めて、 両刀使いになったのか。その辺りは読者想像にお任せします。 >>「アイツなら、山の方に逃げたわ。うん。そう。後はよろしくね」 >追 え よ ! >息子とか姪とか心配じゃないんですか。なんかもうダメダメです。 鬼を狩るという事は、どんな理由があろうとも、人を殺す事には違いないわけで。 梓としては、人目のある所から、山の中など人気のない所に追い込み、 ヤッちゃうつもりだったわけです。姪と甥(息子)が山に居たのは誤算でしたが。 やっぱりこの部分、説明不足だったなぁ(´・ω・`)ショボーン >ちょっと残念だったのが楓と初音。 実は楓ちんに関しては、幽霊にて登場し、しずりのいる場所を綱に教えるというシーンも ありましたが、流石にお約束過ぎるのでボツにしました。
282 :
255 :04/12/10 03:26:33 ID:SVk9A+7a
> そんな最後でとってつけたように血縁関係を否定しなくても。 > むしろ禁断の愛、大 歓 迎 ! > 呪われた鬼の血の上に近親相姦! この背徳の関係にこそ未曾有の萌えがッ!! 何言っているんですか、これからが楽しくなるんですよ( ̄ー ̄)ニヤリッ しずりと綱がヤッテる最中に、「わたしも混ぜて」と乱入する初音たんとか。 しずりと綱がヤッテる最中、千鶴さんにみつかり、「二人ともこっちに来なさい」 と耕一の部屋に連れて行かれて、正しい性教育といいつつ、親子丼で4Pとか。 その結果、みんな妊娠したけど、誰の子か判かんないとか。 いくらでもネタはあります。 ………………ちょっと書きたくなってきた(;´Д`) 以上、簡単ではありますが、即レスとさせていただきます。 なお、ネタバラしと作品の総括については、作者挨拶の期間に (今回あるのかな?)書きたいと思います。
283 :
255 :04/12/10 03:37:09 ID:SVk9A+7a
感想で、誤字脱字やってりゃ世話ないよな_| ̄|○
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感想期間は、12 月 16 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
目に留まった作品だけでもいいので、よろしければ感想を書き込んでください。
あなたの一言が、未来の SS 職人を育てるかもしれませんYO!
*次回のテーマは『冬』で、開催は 1 月上旬になる予定です。
*早くに書き始めてもらっても構いませんが、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
こんばんは。二度目の書き込みですが、「口吻最前線」作者です。感想返しというか、少々解説に来ました。
なぜか今回、感想人の方のうたわれ未プレイ率が高いようなので。
>>271 現作未プレイの人にはちょっと不親切だったようですが、そもそもの発端は、原作内でキスイベントがあったからです。
1レス目にも多少はしょって書いてあるのですが、ユズハ、カミュ、アルルゥの三人でとある物語を読んでいるときに、
口吻という単語がユズハの興味の対象になり、(ユズハは病弱で盲目なので、世間知らずな面がある)
カミュやアルルゥ、オボロ(実兄)などに実践してしまうという出来事があったのでした。
そこでシスコンなオボロが倒れてしまうという形で、そのイベントのオチは持ってかれたのですが、
じゃあアルルゥは口吻というものにいかな感想を抱いたのか、というのがこのSSの発端です。
なぜ星新一を読んでいるときにイメージが想起されたのかはやっぱ謎ですが。
うたわれ世界はこういう感じで、日常の合間の楽しげなどたばた劇が魅力の一つだと思うので、
そんな感じを伝えられたのなら、良かったと思います。
その割りに、ハードで衝撃的な展開も挟まったりするので気が抜けませんが。
機会があれば、一度プレイしてみるとよいですよ、と信者っぽくお薦めしてみる。
では、失礼します。
安西先生……感想が欲しいです…
「千鶴姉の幸せに」の感想行きます。 とりあえず、軽くジャブ。 >ドンッとあたしの胸元を叩く。──くっ、この…。 ダメですよ、千鶴さんが梓の胸元なんか叩いちゃ。九センチの壁を意識してしまいます。 それはさておき。うん、楽しいんだけどね、ギャグの方に気を回しすぎ。 梓たちがギャグやっているのは別にいいんだ。それは楽しかったし。 でも千鶴さんは、とても大切な人を思って作っている態度、というか口調には思えない。 ちょっとここはやりすぎだと思った。着地地点がほのぼのなのに。材料強奪は愛ゆえということで許容範囲だけど。 一生懸命やっているのに、不器用な方がいいと思う。梓の思いから言っても。 梓の思いがしょっちゅうギャグとシリアスを行ったり来たりしているのが、作品イメージの不安定さに拍車をかけている。 あと、千鶴の料理シーンを梓が見たのが初めてだというのは、ちょっとなさそう。 電話で呼び出されるとき、楓を唐突に登場させるなら、電話の取り次ぎをさせればよいと思った。 ついでに、初音と耕一の兄貴面会話を聞いたときの、楓のセリフがなんからしくなく思えるのは俺だけ? しかし、なぜに千鶴さんは一番に食べてもらいたいはずの人を無視して、楓に振るのか。 耕一が薦められ、千鶴の視界の外で十字を切る楓とか、そういうリアクションでもよかったはず。 展開からいっても、味見をする必要はなかったように思う。毒とか致死量とかそんなことを把握している姉妹だ。 できる限り口にする量は減らしたいはず。種を知っている梓ならともかく。 空行、少し多すぎ。いただきますの前後とか、特に。 などなど細かい突っ込みはしましたが、うん。惜しい作品だと思いますよ。 ギャグとか適度に軽くて面白いし、それっぽいし、ちょっと弱いけど、下三人の思いも分かる。 だけに、強烈な毒の部分が強すぎた。もったいない。 あと、もうちょっと梓は嫉妬してもよかったんじゃないかな。料理は梓の方が上手いのだから。 にしても、麻婆豆腐の素でみんな大げさにおいしがりすぎw 最後に、このメッセージを残して、この感想を締めくくりたいと思う。みんなさようなら。 >冗談は貧乳だけ 葉鍵板に毒されすぎ。三人称ならそれでもよいが、梓が言うなら「年増、寸胴、偽善者」のうちのどれk
惜しい感想人を亡くした……(´人`)ナムナム
>>248-253 の「ふたり」を書かせて頂いた者です。
16日までに再度ここに来られるか分からないので、今のうちに書き込みさせて頂きます。
まずは読んで頂き、ありがとうございます。
そして感想を書いて下さった方、どうもありがとうございます。
いちMOON.スキーとしては、MOON.で話を書けること自体が価値があると考えております。
ただ、やはりMOON.未プレイの方が未だ多いのが実情のようで、そういう方の興味を引く
ような話にするべきだったと反省しております。
「ふたり」に関しては、シチュ先行で書いていたので、どう終わらせるかを考えずに書き進めた
ため、後半部分が特に苦労しました。
当初は多少ニュアンスの違う話(後半部)だったのですが、改めてゲームをやってみて、ゲーム
本編の部分と多少矛盾する話になってしまったので、書き直しました。
ただ、イマイチしっくり来ず……何度か書き直したのですが、結局時間が間に合いそうになく(今回の
コンペに投稿する、と自分に課していたので)こういう形になりました。
後半部は特に悔いを残したかな、と自分では思っております。
>伝統的な「気付かせ」あるいは「後付けの救い」
そういう感じの話にはする予定でいたのですが、多少強引にいってしまったかなと反省しております。
後、MOON.は自分のヘタレなSSよりももっと面白いので、プレイされていない方はプレイして頂ければ
ありがたいです(といっても精神的にキツイ描写の多いゲームなんで、誰にでも、と勧められないのが辛い(;´Д`))
長々と書きすいません。では。
『サンダルでラーメン』を書いたものです。
まず初めに安易な感想返しを行ったせいで、皆さんにご迷惑をかけたことをお詫びします。
本来ならばそうなった時点で、お詫びをしなければなりませんが
討議の場を壊すこと、また感想返し以降から今日にいたるまで時間が取れなかったことで
書き込みが遅れてしまいました。
それにも関わらず感想を書き込んで下さり、本当に返す言葉もございません。
皆さんの許容とご理解に感謝いたします。
それでは、以下に感想返しを記しておきます。
>>155 今度からは下調べをしてから書くようにしますね。
楽しんで頂けたようなので、うれしいです。
次回作は……うーん。moon.が舞台だから「冬」が関係ないしなあ。
ここでは多分、発表できないと思います。
>>265 舞の性格変わってます?
自分としては前半に舞の視点で内情を、後半では外の視点でいつもの舞を描いて
外と中のギャップを出そうと思ったんですが
ディティールまできっちり決めていた訳ではないので矛盾点があったのかもしれません。
唐突に思われたのは、文体のせいではないでしょうか。
突き放した雰囲気を出すために不親切な作りにしてあるので、いきなり突拍子もない
事柄が出てきますし。
「食べ終わって、帰路に着く二人。」なんて、ト書きですよ。
また上でもちらっと書いてありますが、外から視るといつもクールな舞だけに
心内ちでは何考えてるのかわかったもんじゃない、という視点から舞を描きたかったので
>萌えというには、前半の狂いっぷりに引いた。
これは、ある意味で最高のほめ言葉です。(笑)
長くなりました、ニレス目です。
>>270 文体に力を入れていただけに私のものだけでなく
ほかの作品の感想にまで引用していただいて非常にうれしいです。
ただ前述したとおり、読者の方々にとっては不親切な書き方をしています。
指標といいますか、話の枠を提示して流れをつくることを放棄しているため
だらだらと「ヤマ」も「タニ」もありません。着地点が見えず(書いていないので
当然ですが)オチも唐突なのであっけにとられたでしょう。
しかし、これは予定通りなんです。
オチが妙に綺麗なのは個人的な趣味からなのですが、そう言われて改めて読み直すと
唐突さに益々拍車をかけているようですね。これは計算外でした。
でも効果アップなので、結果オーライです。
>>265 さんが指摘されたように、まとまりがないのはトッピングのせいでしょうか。
祐一の置かれている状況下で、水瀬家の面々が出てくるのはしょうがないとしても
真琴を引き合いに出したのは失敗でした。
もっと的を絞って(最低でも佐祐理さんが出てくる程度で)じっくり腰をすえた
構成にするべきですね。
>この祐一は誰ルートに乗ってんだよw お前ちょっと待てと。
ばれてしまいましたか……。
うーん、あえて言うならU−1ルート?
あるいはアニメ版でも……。
あ、でもそうなると、真琴が空から声だけであれに参加してることになっちゃうな……。
やっぱりU−1ルートかな。モテモテだし。
実はラーメン屋に最高がいて、そこでラーメンライスがらみで1エピソード
なんてのもあったのですが、これら含めて蛇足ですね。
失礼しました。
保守
原作を前提に話が組み立てられていると、未見の人間は感想をつけられない。 原作の抽出が話に組み込まれているなら、未見の人間にも感想を付けられる。 前者が多いと楽しみ損ねるのだろうか。くやしい、もったいない。
かといって、あんま原作の設定を作品内に盛り込むと、それはそれで重くなることもあるからなぁ。 そこらを細かく書くか、最低限に留めるか、いっそはしょるかの判断は難しい。 二次創作ということを考えると、はしょるというのも間違いではないし。 ここみたいに、葉鍵板で扱う全ての作品が対象のスレは、 原作を知っていれば知っているほど、楽しめるって言うのは当然だし、仕方ない。 ただ、今回のだと、「口吻最前線」がうたわれ知らない人にも評判いいみたいだが。
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まだの方はお早めにお願いいたします。
*次回のテーマは『冬』で、開催は 1 月上旬になる予定です。
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感想を書きたい所だが、コミケ原稿が忙しくて今回は無理。スマソ(´・ω・`)
>>255 「夢の終わりは果てしなく」、読ませてもらいました。
長い……と思ったんだけど、個々の文が短いせいもあって、
勢いに乗って読むことが出来ました。
これ、オリキャラが中心になってますね。
ネクスト・ジェネレーションものということでしょうか。
ただ、酒天童子退治とだぶらせることでオリキャラの必然性を
補強しようとしているなど面白い試みが見られ、
キャラの描写も十分受け入れられる内容でした。
ただ、個々のキャラの掘り下げが控えめな
ため、話の流れを楽しむにとどまりました。
是非にも心理描写をとは申しませんが、戦闘を
描く筆致と比べて名乗りのシーンや
エンディングのあたりがあっけなさ過ぎて、
もったいないなぁと感じたのであります。
あ、それと、梓が……という辺り、言われて
みれば気づいて当然の伏線ですが、見過ごして
しまいました鬱(笑)
いや全く頼光センパイ(「お伽草子」)に申し訳立たないです。
とりあえず「ウマイゾー」と口から透過光吐き散らし、
柏木ならぬ柏手打ち鳴らして退場するといたしましょう。
やってないゲームのSSにゃ、そりゃあ的外れな感想しか言えないよ(disclaimer代りw 「サンダルでラーメン」〜時間設定やキャラクターに微妙な違和感があり、前半のポップな感じとともに 不思議空間行きな気分。テンポは良し。ネタと人情のうまくミックスされたこのタイプは好み。 「277秒の福音」〜原作依存度・中、くらい? 面白いーってものではない。キャラ紹介以上の情報の無い 未プレイ者なので。スマソ でも、そういうものが必要ないタイプかも。記事としてよく出来ているなぁ、と。上手ぇなぁ、と。 「bitter]〜導入部と結末を切り落としたようなものみたいに感じる。説明というか情報量がもっと欲しくなる。 続き、もしくは別視点とか。抑制の効いた進行は凡百の二次創作崩れにない美点。 「千鶴姉の幸せに」〜原作依存度・小? 未プレイ者にはほどよい原作のエッセンス量。 経験者にはこれってくどいのか? 視点がぶれないためか、ギャグ要素入りなのに整理されていて 読みやすい。梓の内面もそれほど動いていないからと思える。そのためあっさり風味。 「ふたり」〜原作依存度・大? MOONはそれ以降の作品のように、キャラがまともな分元ネタ要りそう。 会話文メインなところがさらに。回想っぽい臨場感の無さもあり、もっと無理に盛り上げてもいいかも。 思いやりを感じる、言葉の選び方がやわらかい雰囲気を出してる。 まっすぐな二次創作の基本。戦い、終わって。そういう設定なんだろうなー。 「夢の続きは果てしなく」〜一言、本格的な短編。重箱の隅をつつくような真似とは思いつつ、 表記の不統一などが気になったり。また、緊迫感を常に出しっぱで単調になってしまうようなところ、 特に激しく動く場面に淡白さを感じる。あと、キャラとシーン、贅肉が無いでもない感じ。 ただ、この長さを億劫と感じさせないのは、全体の構成にメリハリが付いているから。 また、テーマと主人公のストレートさと推敲もきっちり行われていると思しき点もプラス。 事前に思っていたより、さっくり読めた。戦術級でなく戦略級に上手い。 全員魅力的ではないにせよ人物造型も失敗無く、締めも見事。 「口吻最前線」は前に書いた通り。下地からして密度を感じる「夢の続きは果てしなく」、 単純に楽しい「口吻最前線」に星を。両方原作やってないけど。
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『口吻最前線』
>>299 『千鶴姉の幸せに』
>>268 『夢の続きは果てしなく』
>>299 ということで、三作同票、引き分けとします。
>>255 氏
あなたの「夢の続きは果てしなく」を読んでみました。
が、以前の作品からそういう傾向はあったのだが、あなたの作品と俺の感性はどうにも相性が最悪らしい。
オリキャラやオリ設定があるから嫌だというわけではないのだが。
で、読んで感想を書いてみたはいいが、突っ込みどころしかないのか、みたいな感じのものになってしまった。
延々四レスに渡って。叩きというわけではないんだが、そう取られても仕方ないかもという感じの。
元が長い分、比例して突っ込みも多くなってしまったが、
さすがに長すぎだからと箇条書きにしてみたら、もっと印象悪くなったのでやめた。
俺の感想は元々そんな感じなのだが、今回のはさすがにちと、書き込むのをためらってしまう。
それでもその感想が読みたいというなら書き込むけど、どうしますか?
承諾が出たら、夜にでも書き込みます。
部外者の意見だが、外部掲示板の方に書いてはどうか。 批判ばかりの感想は、見ていてあまり気持ちのいいものではない、、、
うん。じつはそれも考えた。どちらにしろ公開の場だから、あまり意味はないような気もしたのだが。 向こうが許せばメールとか……あ、確かホームページあったんだっけ。 そっちでもいいか。どっちにしろ、ここに書くのはやっぱあんまよくないな。 ……探索の末、サイト発見。まだ公開されていないようなので、メールで送ることにします。 スレ汚し、失礼しました。
>>301-303 お話中、ちょっと失礼しまして業務連絡です。
まず最初にお詫び。
今回、感想返しの有無について明確にしておかなかったため、無用の混乱を招いてしまいました。
ルールが途中変更になるなど、実験としてもあまり美味くない運びになりました。
進行役として責任を痛感しています。どうも申し訳ありませんでした。
さて、それでは総括期間の議題ですが……
>今回行ったルール変更実験について
ルール変更の狙いは、
・感想の敷居を下げる
・投稿が分散される
というものでした。
また、デメリットとして指摘されていた点は、
・書き手が敷居を感じる
・スレの進行がややこしい
というものでした。
今回を振り返って、どうでしたでしょうか?
結果に対する考察や、次回以降も続けるかどうかなど、意見をお待ちしています。
>次回開催期間について
通常のスケジュールで行けば 12/25 ごろから次回開催に入るところですが、
年末にさしかかることもあり、時期をずらそうかと考えています。
思い切って年内いっぱいはお休みとし、正月明け 1/4- からの開催でいかがでしょうか?
他の提案もあれば受け付けます。よろしくお願いします。
>次々回テーマについて
これは通常どおり募集します。開催は2月上旬になる予定です。
>次回開催期間について 賛成です。投稿締め切りが一月中旬以降になるとありがたいです。
ぬおっΣ(゚Д゚; ちょうどいい作品が浮かんで、途中まで書いて、早く投稿したいぜフゥーハハハァって気分なのに。 まぁ、年末は忙しいから、それも止むなしかな。
>>305-306 さっそくありがとうございます。もうしばらく意見を集めてみたいと思います。
で、もう1つ業務連絡。進行役の引継ぎについてです。
私が進行役を拝命して早一年。
当初夏までと言っていたものの、皆さんもご存知のように色々あって引継ぎの機会を逸していました。
しかし、新しい実験もひとまず終了した今、区切りを設けるに良い頃合になったかと思います。
この機会に私は進行役を退くこととし、後を引き継いでいただける方を募集します。
お仕事は、このスレの進行および保管所の管理です。
早ければ次回開催から、遅くてもその次の回くらいまでにはお願いしたいと考えています。
引き受けていただける方は、どうぞその旨をこのスレに書き込んでくださいませ。
308 :
255 :04/12/16 23:52:24 ID:ADTIHUP9
まだ感想とか待ってます…
ファフナーまでまだ時間があるので、私の中にいる小人さんたちに意見聞いてみました! ■『サンダルでラーメン』 「忍者ワロタ。怪しすぎ」 「うぐぅ、ラーメン美味しそう……」 「終わり近くの舞の言葉とシーンの描写がええね! しみじみさせられた(忘れられたら寂しい、のくだりね)」 「でも、ところどころ、言い回しの軽妙さだけで 間を持たせようとしてるみたいに感じたよ」 「妄想部分が分かりづらいなー。特に佐祐理」 「水瀬家でのどたばた部分が面白そうに思えたので、 そこをもっと掘り下げて欲しかったなぁ、なんて希望してみたり」 「面白かったです。作品のマターリした空気が好きです」 「ヒトデ2つ進呈ですっ ☆☆」 ■『口吻最前線』 「すっげぇ好み。マンガなら何度も読み返すタイプ」 「続編を読みたいなと感じずには居られない作品でもありますね」 「シチュエーション選択の確かさに感銘を受けた……が、 オボロ&どりぐらんトコは面白いなぁと頭では分かっていても、 お前ら散れ散れっと思った(ひどい!)」 「エルルゥの燃え尽きシーンは萌えるし笑える」 「表現がとても映像的で、アニメを見ているかのようでした」 「オニヒトデ2つ進呈ですっ ☆☆」
小人さんたちはファフナーまでヒマそうなので、引き続き感想聞きました! ■『277秒の福音』 「うーん、本編で得た感動があれば、この作品から 受ける印象も強く変わって来るんだろうなぁ」 「良い文章なんですよね。なんというか空気がいい。 行間に想いを感じますね」 「なかなか面白い発想だ>インタビュー形式」 「ちょっとインタビュアーの気持ちが盛り上がりすぎて 企画連動広告のノリになってるかんじもするが、イイ」 「うかがう、に気を付けている辺り、好感を持ちましたよ」 「ヒトデ一つ進呈ですっ ☆」 ■『bitter』 「ここで描かれている久瀬さんは、とても素敵な男性です」 「なんて言うんだろう。こういうシチュエーションは好きだ。 お互い、近づく方向に気持ちが向かっているのに、 こだわりがあって、どうしても一つにはなれない。 それでも近づこうとし続ける」 「祐一を愚かに描いたことに対して、批判はあるでしょう。 ではありますが、あの三人の行動は、よくよく考えれば、 愚かと言われても仕方ない……」 「すれ違うたびに傷ついている二人だけど、すれ違わせているのは 意地だけじゃなくて優しさのせいでもある。だから この物語を読んで悲しいとは感じない。 明るい未来を予感している」 「久瀬さんに、貴婦人に忠誠を誓う騎士の姿を見てしまいました」 「オニヒトデ二つ進呈ですっ ☆☆」
( ・∀・)ノ ヒトデとオニヒトデには、なにか違いがあるのですか?
「みんな〜、寝てるの〜?」 「年末なんだよ! 寝るヒマも無いさっ」
誰のなりきりなんだかはっきりしる
315 :
ポストマン ◆mGZfoq5fBY :04/12/24 14:57:26 ID:d6UR3vaT
1000スレ突破記念火気庫ヽ( ´∀`)ノ ボッ
冬が好きなので、次回は頑張って感想書きたい。 期待してまっす。
業務連絡です。
>次回開催
>>304-306 の議論に対して、特に追加意見も無いようですので、
1/4 - 1/18 の日程で開催したいと思います。
テーマは『冬』になります。
>感想の取り扱い
重要な問題ですので、早め(年内を目処)に方向性を決めたく思うのですが。
次回からどうするか(今回の方式で行くのか以前の方式に戻すのか)ということについて、
意見をお待ちしています。
>次々回テーマ
募集してます。投票・提案よろしくです。
参考までに、以前候補に挙がっていたテーマは、
「星」「パソコン」「歌」「趣味」「恋人」「魔法」「失恋」あたりです。
それから、進行役を引き継いで下さる方もお待ちしています……すぐでなくても結構ですので
よろしくお願いします。
「色」で書いてみたい。
>次々回テーマ 「島編」。
今回みたいに即感想OKってした方が、早めに書き上げた人へのごほうびにはなるし 〆切ぎりぎりまでレスがつかなくてdat落ち、という危険もいくらか緩和できる。 ただ、作者の感想返しはあんまり頻繁じゃない方がいいかもね… 作者がなにかと前に出て語りすぎてゲンナリする事態が起こりかねない。 個人的に、作品で伝えられなかったことを補足説明されても言い訳にしか聞こえないんで…
今回は準備期間が少なかったり、感想返しに関する混乱があったりしたので、もう1回ちゃんとしたルールでやり直して欲しいな。 >320 島編って何?
324 :
322 :04/12/26 22:45:56 ID:I2xmYBUr
あ、「ちゃんとしたルール」ってのは、作者さんが(終了まで)感想返しをしない、ってことね。
>>323 >320
>島編って何?
バトルロワイヤルとか
耕作に出世の出汁にされるとか
保守っとく
>次々回テーマ 「星」で。 もし通ったら「東の佐々木、西の井川」と称される球界屈指のヲタ、星の守護神、某佐々木をネタに一本書いてみるさ(w
「趣味」を推してみる
業務連絡です。
>感想の取り扱い
>>321 >>322 という意見が出ていますので、次回も実験の回にしようと思います。
感想は随時OK、感想返しは投稿期間中禁止とします。
>次々回テーマ
「色」「島編」「星」「趣味」が候補に挙げられています。
引き続き、提案・投票をお待ちしています。
>次回開催
1/4〜 の開催になります。テーマは「冬」です。
保守リ
『夢の続きは果てしなく』作者挨拶 『夢の続きは果てしなく』を書きました、如風といいます。 ようやく、コミケの呪縛から解放されました(笑) まず最初に、あの長い文章を呼んで戴いた皆様、篤く御礼申し上げます。 今回の作品は、今から6年前に発行した『いつか見た夢』という同人誌の続編になります。 発行直後から、書く気だけはあったものの、ずるずると徒(いたずら)に月日を費やしてしまいました。 コミケの原稿と同時進行だった為、時間的なスケジュールがかなり厳しかったものの、いい加減、 頭の中に6年近く貯めたプロットを消化したく思い、短時間で一気に書き上げました。 作品自体は、前半部分が既に出来ており、当初は楽勝と予想していました。 しかし、なにぶんその原稿も2年近く前に書いた物であった為、全面手直しを入れる必要があり、 全体的にも予想以上にテキスト量も膨れあがり、結局最終日まで投下がずれ込んでしまいました。 その為、文章の表記統一が徹底出来なかったうえ、ただストーリーを並べるだけで終わってしまい、 話しの内容に深みを与える事に失敗しました。 本来の『起承転結』で『承』の部分がなく、『起転結』になってしまった感があります。出来れば、 しずりの失踪前に一日間を置き、日常生活を描いて置けば、しずりのキャラ的な魅力を引き出せたかなと 悔やんでいます。 この作品の初期設定では、しずりと耕一の話が中心でした。 しかし、書き進めていく上で、この二人のキャラクターは自発的にあまり行動を起こさない為、 どうしてもストーリー的な盛り上がりに欠けました。 実際、しずりが主人公では、心理的な葛藤ばかりが目立ち、楓とキャラかぶっていました。 これではいかんと思い、しずりと耕一を別のキャラクターを通して、話しを展開していく手法に 切り替える事にしました。
そこで出来たのが、綱というキャラクターです。
綱の両親は最初、耕一と千鶴でした。しかし、この二人の子供だと、確実の鬼の血が濃いわけで………。
その辺りの話しを絡めると、話しが助長になるという欠点がありました。
ついでに言えば、しずりと恋人関係にしたいという思惑もあり、そこで、表向きは千鶴と耕一の
子供だけど、実は、梓の息子という事に。
ついでに、鬼の血が薄く暴走しないという設定にして、性格も梓に似せてみたところ………
キャラクターが大化けしますた(;´Д`)
ぶっちゃけ、性格は『うしお○とら』の潮なんですが、話しの中で動く動く、とにかく書きやすい。
考えるよりも先に行動が出るキャラクターというのは、その分ストーリーがダイナミックに動くので、
書いていて結構楽しかったです。
ただ、無敵キャラにすると、面白くないと言うことで、対抗馬として作りだしたのが酒田先輩です。
性格はありがちな豪快さんにしたのですが、コイツも予想外に暴れました。主役を差し置くくらいに。
同級生の日吉は、一番最後に出来たキャラです。
最初、鬼は暴れるだけでしたが、どうせならと言うことで、しずりを変質的につけまわすという設定で
出しました。性格は『○ヴァ』のケ○スケそのままです。
名前を日吉にしたのは、オリジナル『痕』のなかで、かおりちゃんに鬼の血が薄く流れているという
設定からです。
ちなみに、かおりちゃん息子では………多分ないでしょう(笑)。だって、男と結婚するかどうかも
怪しいですし。
しずりの性格は、楓よりを少し能動的にしてみました。
このキャラに関しては、文章中の表記に苦労しました。漢字ではなく、ひらがなにしてしまったので、
必然的に句読点が増えてしまい、文章のバランスに気を遣いました。
>>298 『お伽草子』の設定に気付いて戴き、ありがとうございます(笑)
誰にも気づかれずスルーされるかなと、思っていました。
当初、前世ものにする予定でしたが、ありきたりなので削りました。
>>299 >また、テーマと主人公のストレートさと推敲もきっちり行われていると思しき点もプラス。
無駄に6年間、頭の中でアレコレ妄想していましたから(笑)
さすがに、これ以上長いSSは、もう書かないと思います。 今後は、短めのSSを中心に、投下していくことになるかな………。 それでは最後に。 あけまして、おめでとうございます(笑) 本年もよろしくお願い申し上げます。
業務連絡です。 予定通り、総括期間を今夜一杯で締め切ります。 作者挨拶、テーマ投票などを予定されている方は、お早めにお願いします〜。
【告知】
第三十二回投稿テーマ:『冬』
投稿期間: 1 月 4 日の午前 8:00 から 1 月 18 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※今回、実験的措置として、
>>4-6 にある投稿ルールが一部変更されています。
※「投稿期間終了までは一切感想をつけない」→「投稿期間中も感想OK、
※ただし、感想返しは今までどおり、感想期間終了までダメ 」
※投稿される方、感想を書かれる方はご注意ください。
それでは、投稿開始っ!
また、次回のテーマですが、『色』『島編』『星』『趣味』が同票でした。 どうすべきか迷いましたが、私の一票を『色』に入れたいと思います。 というわけで、次回テーマは『色』に決定です。 開催時期は 2 月上旬になる予定です。 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
あけましておめでとうございます。 では、今年一番手、行かせてもらいます。 痕、エディフェルと次郎衛門の話で、十五レス前後を予定。 タイトルは「冬巡り」です。
339 :
冬巡り 1 :05/01/06 02:15:47 ID:7XxG6rBT
夜明け前。 まるで、体の中を吹き抜けるような冷たい風に、エディフェルの身が竦んだ。 身震いした彼女は、半ば眠ったまま夜具を被り直し、温もりを求めて、厚い胸板にぴたりと寄り添う。 次郎衛門の温もりは心地良く、耳にする鼓動は子守歌のように穏やかで、彼女を再び眠りへと誘う。 だが、うとうとした矢先にまたもすきま風が忍び込んで、エディフェルの肩口をひやりとさせる。 反射的に次郎衛門の身体にしがみつくと、力を入れすぎたか、「ぐっ……」と、呻きが聞こえた。 はた、とエディフェルの目が覚める。慌てて次郎衛門を見れば、やはり同じように目を覚まし、顔をしかめていた。 「……あ、ごめんなさい」 「ああ、平気だが、どうかしたのか?」 「寒かったから……なんで、こんなに」 エディフェルは肩を震わせて、ますます次郎衛門へと身体を押しつけてくる。 熱く柔らかいふくらみが、次郎衛門の脇から胸にかけて密着すると、否応なく、彼の立つべきものが立った。 朝なれば、なおのことだった。 「なにかあったの……?」 エディフェルはそれに気づかず、すきま風の源である、戸の隙間を責めるように見ている。やや不安をにじませて。 脚を絡めるような仕草は寒さ故の無意識だが、次郎衛門の男を刺激するという意味では変わりない。 熱を求めて摩擦する動きも、媚びを含んだもののように捉えてしまう。 当然、昨夜も何度か交戦済みではあるが……据え膳食わぬは何とやら。 次郎衛門は我慢ならず、身を起こして、エディフェルに覆い被さった。 持ち上げられた夜具の隙間から、どっと冷たい空気が流れ込んでくる。 「ひゃっ――」 エディフェルが身をすくめて、自らの身体を抱いた。 いつもの凛とした容貌からは、あまり想像できない弱々しい仕草だった。 ますます欲望の炎が次郎衛門の中に灯ったのを感じ取って、エディフェルが赤面した。 「じ、次郎衛門……?」 どうやらエディフェルをすくませたその風は、次郎衛門の炎を煽ってしまったようだ。 「エディフェル……抱くぞ」 「ちょ、ちょっと待って……あ……」 抵抗の声は、熱い口づけによって塞がれた。 結果、二人は盛んに温もりを交換し合った。
340 :
冬巡り 2 :05/01/06 02:16:51 ID:7XxG6rBT
「……」 「な、何を怒っているのだ?」 「怒ってない」 そうエディフェルが返した声は、まるで氷の如く冷たく、固かった。次郎衛門に顔も向けない。 事が終わった後とは思えぬほどに、きっちりと着込まれた服が、彼女の頑なさの現れであるようにも見える。 互いに意識は通じているのだから、怒っているということは分かるが……何に怒っているのかは見当も付かない。 やはり朝から少しばかり激しすぎたのか。しかし、誘ってきたのは向こうであるのに、と次郎衛門は悩む。 悩みつつ、ご機嫌伺いのために、いろりに薪をくべ、食事の準備をする。 味噌を溶かし込んだ鍋に猪の肉を入れ、山菜と共に煮込む。 単純な狩人料理だが、やはり冷え込んだ朝には、味噌仕立ての汁が一番だ。 これでエディフェルの凍り付いた態度も、少しは溶けてくれればよいのだがと、期待する。 「朝餉ができたぞ」 ぴく、とエディフェルが反応した。 汁を椀によそうと、いかにも暖かそうな湯気と匂いが立った。 エディフェルはゆっくりと、警戒した猫のような様でこちらを向き、横目で伺う。 「ほら、暖かいぞ」 そっとエディフェルの方に椀を置くと、ようやくこちらに寄ってきて、すました顔で手に取った。 慎重に何度も吹いてから、恐る恐るすすり込む。 そのくせ、喉の奥を通すと、ほっとしたような息を吐いた。 「相変わらず、熱いのは苦手なのだな」 からかい混じりに次郎衛門が言うと、やや赤面したエディフェルに睨まれた。 また機嫌を損ねてはまずいと、ごまかすように熱い汁を掻きこむと、 「うぁちっ」 彼女を笑った天罰か、自分が舌を火傷した。 冷ますために舌を突き出していると、よほど情けない顔だったのか、エディフェルが小さく吹きだした。 文字通りの、怪我の功名だった。
341 :
冬巡り 3 :05/01/06 02:17:47 ID:7XxG6rBT
「だから……怒ってはいないけど。そういう気分でなかったのに、あまりに強引だったから……」 「最後の方はしがみついてきたでは……いや、なんでもない」 また半眼で睨まれ、慌てて言いかけた言葉を飲み込む。 エディフェルは小さくため息をついた。機嫌を損ねたのとはまた違う憂い顔。 「なにか、心配事でもあるのか?」 心配、と言うほどのものでもないけれど、と前置きしてから、エディフェルは語り始めた。 「近頃、曇りでも雨でもないのに、妙に寒い日が続くけど……それも、段々とひどくなっているような」 「……あぁ」 聞いてみれば、確かに心配するようなことではない。もう、冬に入り始めている。 が、それにしては妙にエディフェルの顔は曇っているし、どこか落ち着きがない。 先ほどの強引さに怒ったのも、自分の心配を軽く見られたことにあったのだろう。 「なにか、よくない事の起きる兆しかもしれない」 自分たちが、やや後ろめたいことをしているからこその不安なのだろうが…… いささか、大げさに過ぎるように思える。 「だが、冬なのだから、冷えるのは当たり前だろう」 「冬?」 エディフェルは首を傾げた。 「……それはなに?」 「は?」
342 :
冬巡り 4 :05/01/06 02:18:55 ID:7XxG6rBT
聞いてみると、彼女達は四季という概念を知らなかった。 ある程度の意志が通じ合っているとはいえ、まるで知らないことを伝えるのは難しい。 ましてや、どうしてそうなるのかは彼も知らない。 次郎衛門は四苦八苦して、月日と四季の有り様を伝えた。 自分よりもはるかに様々なことを知っている彼女が、目を丸くするのはなかなかに面白くはあったが。 「それは……天変地異のようなものではなく?」 「うむ、毎年起こるものだ」 「不思議ね」 「そうか?」 「だって同じ星なのに、時節に応じて天候が変わるなんて……地方によって違うというなら、分かるけど」 「しかし、日の高さが変わるのだから、天候とて変化するだろう」 「日の高さまで変わるなんて……ますます不思議」 エディフェルはまだ理解はできないようであったが、そういう現象が起こるということ自体は受け入れた。 受け入れると、興味が湧いた。 「それで、冬とはどういうものなの?」 「……寒い」 「それは分かったから」 「雪も降るぞ」 「一度だけ、見たことがある」 それも予想の範疇だったのか、さしたる感銘はないようだ。寒い地方に雪は降る、それは当たり前だ。 では、冬とは……冬になると、何がどうなるのだろうか? 次郎衛門は、あまり使わない頭を絞って考えた。
343 :
冬巡り 5 :05/01/06 02:20:13 ID:7XxG6rBT
「ううむ……それから雷鳥も姿を変えるし、木々は葉を落とす。 獣たちは冬ごもりのために食料を蓄えるし……、後は……えぇと、まぁ、見ていれば分かる」 考えてみると、自分もえらそうなことを言えるほど、冬というものを注意して見た憶えがない。 なぜ息をするのか、と同じように、人は当たり前のものに、想いを馳せることはあまりないのだ。 考えてみるとなかなかに新鮮であるが、知らぬエディフェルはなおさら好奇心を刺激されたようだ。 「……楽しそう」 「そうでもないが」 冬は寒いし、食料も乏しくなり、いいことなどあまりない。 洗濯も炊事も、水回りの仕事は大変になり、太刀を持つ手はかじかんで、上手く働かなくなる。 ――なんだ、まだまだあるではないか。いやまて、これは『寒い』であって、『冬』ではないのか? と、彼が悩む合間にも、エディフェルは初めて出会う冬という季節に、期待のようなものを膨らませていた。 「今は、もう冬なの?」 「冬の入り始め、という頃か。だが、今日は冬と言っても良いくらいの冷え込みだな」 「ふぅん……」 エディフェルは窓から外を見た。そこにあるのは昨日とよく似た風景だが、確かに僅かに違っている。 そういえば、この星の木々を初めて見たとき、その鮮やかな色彩に驚いたものだが、 今ではすっかり寂しいものになってしまっていた。 病気かなにかかと思っていたが、それが秋の終わりであり、冬の訪れなのだ。 冷たい風が、エディフェルの耳に、その足音を運んできてくれた。 「なら、もう、どこかにあるのかも」 「なにがだ?」 エディフェルは立ち上がり、次郎衛門に手を差し伸べた。 「冬。探しに行こう」
344 :
冬巡り 6 :05/01/06 02:21:13 ID:7XxG6rBT
「次郎衛門」 小屋を出てすぐ、エディフェルが立ち止まった。 「どうした?」 「ほら、見て。息が白い」 はぁーっ、と吐いた吐息が、白く濁って、掻き消えてゆく。 それだけなのに、不思議で、楽しい。 「ああ」 次郎衛門も同じように息を吐くと、エディフェルのものより一回り大きな雲ができる。 エディフェルはその中に指を差し入れて、温もりと湿っぽさにくすぐらせる。 「これも、冬?」 「そうだな、冬だ」 「一つ、見つけた」 エディフェルは、童女のように微笑んだ。 「エディフェル。ほら」 次郎衛門が、頭上から木の枝を手繰って寄せる。その先には、毛皮に包まれた木の芽が付いていた。 「ネコヤナギだ」 「ネコ……」 その名前だけで親しみが湧くのか、指先で芽を撫でる。 「木も、寒いから毛皮を着るのね」 「ああ、エディフェルのようにな」 外に出たがったくせに、寒いのを嫌がるエディフェルは、二枚も余分に衣服を着込んでいた。 膨らんだ身体同様、少しばかり頬を膨らませるエディフェルを見て、次郎衛門が笑う。 怒ったしぐさで拳を振り上げたエディフェルから、次郎衛門は逃げだし、手から離された枝が大きく揺れた。 そして、またじっと固まって、寒さを堪え忍んでいた。
345 :
冬巡り 7 :05/01/06 02:22:04 ID:7XxG6rBT
「――っ」 不意に、エディフェルが後方に飛んだ。 「どうした!?」 反射的に刀に手をかけ、辺りを見回す。だが、敵どころか、生き物の気配さえ見られない。 「……そこの地面が」 「地面?」 指差した先の地面が、薄く割れて、その合間に白い輝きがあった。 「なんだ、霜柱か」 「霜柱?」 その場にしゃがみ込んで、地面の高さから覗かせる。 「ほら、地面を氷の柱が持ち上げているだろう。霜柱といって、よくは知らぬが冬の朝にはこうなるのだ」 「へぇ……」 次郎衛門のいいかげんな解説にも、エディフェルは一々感心する。そして、 「罠かと思った」 「いや……」 次郎衛門は苦笑しながら、もう一度踏んでみろと促す。 エディフェルは恐る恐る脚を乗せ、崩れる感触を味わうと、指でそっと土をのけた。 茶色に混じって、合間に白の輝きが見える。 「冷たい」 「それは、氷だからな」 「けれど、綺麗」 「そうだな」 「なのに、なぜ踏むの?」 責めるような視線が、次郎衛門を見た。 「え? いや……踏んだ感触が楽しいから、かな?」 「踏んで壊すのは、もったいない」 エディフェルは指先から土を払うと、霜柱をよけて歩き始めた。 「どうせ昼前には溶けてしまうんだがなぁ」 そうぼやく次郎衛門を、もう一度同じ視線で睨んで。
346 :
冬巡り 8 :05/01/06 02:23:13 ID:7XxG6rBT
隘路を歩きながら、冬に関連した事柄を、思い出しつつ語る。 「獣たちも冬支度をするぞ。冬眠といってな、秋の間に食物をたらふく詰め込んで、春が来るまで寝て過ごすのだ」 「寝てるの?」 「うむ。ほとんど動かずに、洞窟の奥とかで眠っている」 エディフェルは視線を空に飛ばして、その様を想像する。 「……ちょっと、かわいい。それに暖かそう」 「エディフェルは、寒いのは苦手か?」 「えぇ」 エディフェルはぴたりと襟元を掻き合わせ、温もりを僅かも逃がさないようにしていた。 身体を縮こまらせているために、いつもなら軽快に超えてゆく段差も、どうにも不格好な形になる。 冬がなければ、寒い中をわざわざ出歩きたくなどないと、理不尽なことさえ思う。 「では、冬眠する代わりに、こちらは毛皮を着込んで、囲炉裏の周りで丸くなるか」 今度は次郎衛門がその様を想像し、からかうような笑みを浮かべた。 「もうっ……」 咎める視線にも力がない。さすがに寒さに活力を奪われてきたようだ。 かじかんだ手に息を吹きかけ、 「そろそろ、帰らない?」 と、提案する。次郎衛門は、少し困った顔になって、 「もう少しだけ、我慢できないか?」 「まだ、冬があるの?」 「上手くすればな」 「じゃあ、もう少しだけ」 「すまんな」 次郎衛門は彼女の手を取り、力強く擦った。 そして、その手を握ったまま、歩き出した。
347 :
冬巡り 9 :05/01/06 02:24:19 ID:7XxG6rBT
「ほら、ここだ」 「わぁ……」 良く鯉が捕れた、大きな池。その表面に、薄く氷が張っていた。 氷は池の四割ほどを覆っていて、斜めに差してくる陽光を、半ば透かし、半ば反射している。 「綺麗……」 「もっと寒くなれば、池の全部が氷で覆われるのだぞ」 「魚は大丈夫なの?」 「底の方はなぜか固まらないのでな、そこでじっとして冬を越すのだ」 「魚も冬眠?」 「うーむ、だが、もっと厚く氷が張れば、真ん中まで歩いていって、 そこに穴を開けて釣りもできるから、起きている奴もいるのだろうな」 「真ん中まで……」 エディフェルは、池の縁によって氷に触れた。軽く指で押し、なにかを確かめている。 冷たさにその指先を唇で暖め、だけど代わりに確認できた。 ――多分、大丈夫。 とんっ、と軽く飛んだ。 「お、おいっ、エディフェルっ!」 まだ人の立てるような厚さではない。そう、次郎衛門は思っていたが――。 エディフェルは、池の上に立っていた。 つま先だけを触れさせるような姿勢で、静かに。 くるりとこちらを向いて、驚いている次郎衛門を、楽しげに眺める。 「だ、大丈夫……か?」 「平気。見てて」 そして、舞い始めた。
氷の上を滑るように足を運び、ふわりと飛んでは、重さを無視したように着地する。 軽やかに彼女が回るたびに、飾り紐が後を追う。時折、視線が誘うように流れる。 まだ赤みの残る陽光が、青白い氷面に反射して彼女を照らすのが、ますます幻想的だ。 まるで、氷の精が舞っているようで、笛か鼓の音がないのがいかにも惜しい。 薄いはずの氷は、僅かに軋む音すら見せず、彼女を受け止め続けている。 彼女らの種族は戦闘時には体重が増すが、あるいは体重を操る術でも持っているのか、それとも特殊な体術か――。 そんなことを考えたのは後のことで、今はただ、目の前の舞に魅入ってしまう。 初めて出会ったときの戦慄的な衝撃とはまた違う、穏やかで優雅で艶やかな、魅惑。 おもわず、ふらりと足が進んだ。 頼りなくひび割れる感触に気づいたときには、遅かった。 「うわっ」 踏み砕かれる氷。亀裂が池の表面に走っていく。 「きゃあっ」 今まで保たれていた均衡が、一瞬で崩れる。それでもエディフェルは、何とか氷を蹴って、こちらへと飛んでいた。 だが体勢が悪い。勢いも足りない。このままでは池に――そう思ったときには、踏み込んでいた。 身体を伸ばし、投げ出された腕を取って、強引に引き寄せる。 かろうじて、身体を丸めたエディフェルが、胸の中に収まった。 「……くぁっ」 「次郎衛門?」 足の芯まで凍えるような、冷たさを代償に。
囲炉裏から、薪がはぜる音が聞こえる。 「ごめんなさい……」 その傍らにはしゅんとした様子のエディフェル。そして足を火にかざす次郎衛門。 水は拭き、表面は乾きはしたものの、まだ冷たさは残っている。 なにぶん、小屋と池の間はかなりの距離があり、その間にすっかり冷え切ってしまったのだ。 「いや、俺が無意識に踏み込んでしまったのが、悪いのだしな」 「でも……」 「冷たいには冷たいが、どうということもない。まぁ、せいぜいしもやけができる程度だろうよ」 「……しもやけ?」 またもエディフェルの疑問符に、説明を呈する必要に迫られた。 「――とまぁ、そんなもので、大したことでは……」 だが、かえって彼女の心配に拍車をかけてしまったらしく、エディフェルは慌てて次郎衛門の足を、手に取った。 最愛の人が、自分のせいで病になるとあっては、焦る気持ちも分からないではない。 エディフェルは、次郎衛門の足指を、ぎゅっと両の指で包み込んで、揉みほぐし、さすり、暖める。 真剣な面もちでそうしてくれるのはありがたいが……くすぐったく、痒く、落ち着かない。 しもやけになりかけの所は、下手にいじられると、かえって妙な気分になるものだ。 「え、エディフェル、いや、そうまでしてくれずともよいから」 だが、エディフェルは首を振った。 「いや、それでエディフェルの指が冷えて、そっちがしもやけになっては、俺の方が申し訳ない」 そういうと、彼女はちょっと怯えた顔を見せ――そして、意を決した。
「っ!?」 次郎衛門の足指が、生暖かい感触に包まれる。 じわっと温もりが染みこんでくる合間に、柔らかいものが指の間をなぞった。 先ほどの指で擦られたときよりも、はるかに落ち着かず、色々とざわめかせるその感触は、 エディフェルの口腔によるものだった。 指では冷たさが移ると見るや、それよりもはるかに熱い口内と舌とで、次郎衛門の足指を暖める。 献身的に、丁寧に。しもやけなる未知の症状が発生せぬよう、精一杯の温もりを込めるようにして。 たっぷりと熱さを足指に移し、息をついて、逆の足に移る。次郎衛門は、声も出せず、仰け反った。 その、熱心な治療が幾ばくか続き……ふと、妙な気配を感じて、エディフェルは顔を上げた。 視線の先に、妙なものが屹立していた。 「……っ!?」 動揺するのもつかの間、次郎衛門に肩を掴まれ、唇を塞がれ、 別の方法で責任を取ってもらうといわんばかりに押し倒され、そして――。 足の指とは異なる部分が、口内とは異なる部位で、暖められた。 熱く、激しく。
「……」 「いや、すまぬ……つい」 一つのしとねで裸で寄り添いながらも、エディフェルは顔を身体ごと横に背けたままだ。 「……」 「ほ、ほら。試してみて分かっただろう。足の指というものは意外に……」 肘が脇腹に突き立った。次郎衛門が咳き込む。髪の隙間から覗くエディフェルの耳は、真っ赤に染まっていた。 もう食事で機嫌を直すという手も使えず、次郎衛門は困り果て、どうしようかと悩んでいると、エディフェルの体が震えた。 恐る恐る腕を回し、ゆっくりと力を込めながら抱きしめる。 はたして、エディフェルは抵抗しなかった。安心して、身体を密着させる。 反応しないように、心を静めながら。 エディフェルが、呟いた。 「……足、平気?」 「あ、ああ。いや、だから、もともとしもやけというものは、そんな大病というわけでは……」 そんな言い訳じみた言葉を遮って、 「しもやけも、冬?」 「え? うむ、そう……だなぁ」 「少し、嫌いになった」 「冬が、か?」 エディフェルは、頷いた。 「寒いのは嫌いだし、冷たいのも嫌い。だから、冬も……少しだけ、嫌い」 少しだけ、なのは、やはり今日発見した、様々な冬のおかげなのか。 「暖かい方がいい」 エディフェルは身体に回された腕を抱え込み、頬を寄せる。 そう言ってくれるエディフェルは、愛おしいし、嬉しい。 だけどこのまま冬を嫌いにさせるのは、もったいない気がした。 もう二度と、あの舞が見れないのではないか、 様々な発見に顔をほころばせたエディフェルが見られなくなるのではないか。そんな不安に襲われる。 どうすれば、嫌いにさせずにすむだろう。 そう考えると、言葉が自然と零れだした。
「エディフェル……冬というものは、厳しく、冷たく、嫌う者も多い。 だがな、だからこそ、大切に思えるものがある」 エディフェルは、振り向いた。片方だけ覗く瞳には、不思議そうな色が乗っている。 「冬の間に大地は、白く、冷たい、雪と氷に閉ざされる。 だが、冬が終わり、春が巡ってきたとき、一斉に緑が芽吹き、色とりどりの花が美しく映える。 眠りについていた虫や動物たちも、暖かな日差しに呼び起こされる。 川のせせらぎに乗って魚たちが泳ぎ始め、鳥たちは歓喜の歌声を上げる。 そんな美しい春が見られるのも、冬の厳しさがあればこそだ。 作物も、冬の寒さが弱いものであれば、かえって実りを悪くするものもある。 母が優しさを、父が厳しさを子に伝えるように、 与える印象は違っても、どちらも、どの季節も、なくてはならぬものなのだ」 今まで、漠然と感じてきたことが、すんなりと言葉という形になってでてきた。 だが口に出してみれば、そういう想いは常に自分の内にあったように思う。 それらは身近にあり、考えることはない。だが、確かになにかを感じ取っているのだ。 あえて、言葉にする機会も必要もなかっただけで。 「……そうね」 エディフェルは瞳を閉じて、次郎衛門に身体を預ける。 「冬は寒く、空気は冷たい。だけど、だからこそ……今触れている温もりが、こんなにも愛おしい。 かけがえのない大切なものだって事が、とてもよく分かる」 「エディフェル……」 愛おしさが胸に募り、強く、エディフェルを抱きしめた。唇が二の腕に優しく触れる。
「ねぇ、春もこれくらい素敵なもの?」 「俺と比べてはどうかは分からぬが……春もきっと、エディフェルを満足させてくれると思うぞ」 「……見たいな、春」 「まだ、しばらくは冬だな。三月ほど待ってもらわねば」 「三月も?」 「冬眠するか?」 不満そうなエディフェルをからかうように言ってみたが、彼女は首を振る。 「もったいない」 傍らの温もりを楽しむ時間が、減ってしまうと言外に伝えながら。 「じゃあ、また冬探しでもするか」 「次郎衛門が探して」 「俺だけ?」 「見つかったら、行くから」 その間、自分は火に当たって待っているからと言う。 もちろん、それは戯れで、次郎衛門も怒ったふりをして、それに乗った。 しばし、楽しげな嬌声が響いた。 やがてまた落ち着いて、抱き合ったまま、時を無駄に費やす。 幾度も求め会ったせいか、二人は起きる気にもなれず、半ば夢心地に浸る。 そうしてエディフェルは、春の絵姿を脳裏に浮かべようとするが、なかなか上手くいかない。 懸命に思い描いてはみたが、ごく普通の風景を超えているようには思えない。 だから、聞いた。
「……春ってそんなに素敵?」 「うむ。素晴らしいぞ」 自信ありげに次郎衛門が答える。 「夏も? 秋も?」 歌うように弾む声。期待する声音。 「もちろんだ」 「……見たい」 「ああ、見よう。季節が巡り、移り変わっていくのを、二人で」 「えぇ、二人で……」 エディフェルが、次郎衛門の片手を握り、頬に寄せた。 次郎衛門はもう片方の手で、彼女の髪を、耳を、くすぐった。喉を鳴らすような声が愛らしい。 不意に彼女の身体が捻られ、上に向けられた唇に、これはよいのだよな、と一寸考えてから、唇を重ねた。 熱い、命の味がした。 二人の命が、燃え立つ炎となって、絡み合い、混じり合う。 あまりに熱くて、胸が焦がれて、狂おしい不安にも駆られる。 だけどそれは、強く抱きしめあい、唇を吸うことで、容易く吹き散らされた。 このまま春まで、冬が終わるまで、それこそ冬眠ではないが――混じり合っていたいと願う。 二人が永遠に離れることがないように。 春を迎え、夏が訪れ、秋が過ぎ、また次の冬が来ても、互いがそばにあるように。 寒さの中の温もりだけを、ひたすらに求めて。
>>339-354 以上、「冬巡り」でした。
番号を一カ所ミスったりもしましたが、では皆様、今年もよろしくお願いします。
次回のテーマって決定したのかな?
357 :
◆2tK.Ocgon2 :05/01/07 01:41:41 ID:m169a/bD
>>356 次回テーマは『色』です。決定の経緯は
>>337 。
分かりにくかったようで申し訳ないです。
感想一番乗りいきます。 >『冬巡り』 途中までは良かったが、後半?という感じのSSだった。 このSSのいいところは、なによりも登場人物の選択だろうと思う。 次郎衛門とエディフェルが登場すると言うだけでも今時めずらしく面白かったし、 季節の変化を知らないエディフェルにいろいろ教えてあげるという展開も、テーマとよくマッチしていて良い。 原作は北陸あたりを想定してるんだっけ?(雷鳥とか出てきたしね) ちょうど雪国で話ピッタリだね。 エディフェルの性格づけも、つっけんどんな楓ちゃんを想像させて良し。 逆に気に入らなかったところは、おしまいのほうの展開が理屈っぽい点。 それに、なんか流れがしっくりこない。 季節とはなんぞや、ということのオチが「セックスしましょう」というのは(;゚д゚)ポカーン これじゃ「冬巡り」というより「えっちのある生活」だよ(w まとめると、一見タイトルどおりの内容と思わせつつその実はセックスばかりしているノロケ話だった(嫉妬。ということで。 #痕とは関係ないけど、人外のヒロインにいろんなコトを教えてあげると言う点で、次郎衛門とハクオロがかぶって見えたです。 #だから、セックスに積極的な展開に違和感あったのかも……(´A`)?
お題で「Toheart2」ってのはどうだ。 次の次とかでヨ。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『冬』です。
投稿の締め切りは 1 月 18 日の午前 8:00 までとなっています。
思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
※今回、実験的措置として、
>>4-6 にある投稿ルールが一部変更されています。
※「投稿期間終了までは一切感想をつけない」→「投稿期間中も感想つけてOK、
※ただし、作者さんの感想返しは今までどおり感想期間終了までダメ 」
※投稿される方、感想を書かれる方はご注意ください。
また、次回のテーマは『色』で、開催時期は 2 月上旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方は、こちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
今からSS投稿します。 ToHeartで琴音&葵、ジャンルはギャグ、7スレを予定しています。 なお、琴音ちゃんファンの方に怒られそうな内容です。ご注意ください。 タイトルは『冬のブルマ』です。
(はじめに) 琴音ちゃんは友達付き合いがちょっと下手なだけの普通の可愛い純朴な女の子です。
お友達ができました。 藤田さんの紹介でお友達になった、その子の名前は松原葵さん。 何事にも一生懸命でひたむきな彼女の姿は、激しくネガな私にはちょっと眩しいです。 そんな彼女なんですが、画竜点睛なことに、奇行が一つ。 冬もブルマです。 『冬のブルマ』 OP曲:ブルマから今まで ネゲ オルス オッスル ブルマ ホゥ〜 イジェン クロルス オッタゴ〜 チェバル クマナラゴ ナルル タルナゴ〜
「例のロッ○免税店CMソングがっ!?」 「姫川さん!? どうしたんですかいきなり!?」 「ご、ごめんなさい、いつもの謎のテレパシーが」 「いつもの!? 謎のテレパシーが日常茶飯事なんですかっ!?」 あああ、これじゃすっかり電波さんですっ。 いけませんっ、松原さんがおもいっきり引いてます。 心象表現でいうなら暗闇にフェードアウトしていく赤ブルマ。 こ、ここは話題転換ですっ。 先ほどの疑問でごまかすのです! 「ま、松原さんはなんで冬もブルマなんですか?」 「え、おかしいですか?」 「おかしくないんですか」 「おかしくないですよ?」 「そうですか」
……。 「やっぱりおかしいですよね」 「おかしくないですよ?」 「そうですか」 ……。 「おか…いや、寒くないんですか?」 「寒いです」 「そうですか」 ……。 「寒いならジャージとか履きませんか?」 「履きません」 「そうですか」 ……。 「そういう趣味なんですか?」 「どういう趣味なんでしょう」 冬の極寒にも負けないほど冷たい笑顔が返されました。 ああ、心象表現で再度フェードアウトする赤ブルマっ!
「あのですね、私って汗っかきなんですよ」 「えっ、ええっ!? なんでそんなにフェティッシュな話題に!?」 お友達が少なかった私はその手の猥談には耐性がないのにっ。 思わずテンションが上がっ…あれ、なんでドン引きなんですか松原さん。 「姫川さんって、意外と…」 「意外となんなんですかっ?」 「え、い、いえ、それはともかく」 凄く気になりますよ松原さん。 「だからジャージとか着ちゃうとぐしょぐしょになっちゃいますし、私、熱中しちゃうと途中で上を脱ぐの忘れちゃいますし」 「やーですよ松原さんっ、えっちすぎますよもーっ」 ぐしょぐしょだとか脱ぐだとか猥語の無呼吸連打ですか、ぽっ。 変な気分に…って、あれれ、なんでまた弩ドン引きなんですか松原さん。 「姫川さんって、本当に意外と…」 「だから、意外となんなんですかっ!?」 と。 松原さんは何故か、頬を染め。 「意味はよくわからないんですけど、え、え、えっちな事に詳しいんですね、べ、勉強になります」 え、あの、いや待って、松原さん。その展開の方が意外すぎますが。 目を伏せ、遠慮がちに上目遣いでこちらをじっと見て。 吐く息も悩ましく白く。 その初々しさに私の心の中の友達大好き回路がオーバーヒーツ。 気がつけば。 押し倒してました。
「え、あれ?」 私みたいな細腕に組み付されると夢にも思わなかったんでしょう松原さん。だけどこの展開は2ミリ秒前に予知されていたのです。 今この瞬間だけは私の超能力をポジティブに受け止めましょう。 このポジティブさは貴女がくれたんですよ、松原さん。 「大丈夫ですよ、私のスマタは天下一品だから自信もって!と某藤田さんも言ってましたから!」 「藤田さん!? なんですかその不穏当な発言!? というか、すすすスマタって、何!? 何に対して!?」 「わかってるじゃないですか、っていうか、生えてないっていうの松原さん!? 有り得ないですよそのショタっぷりではっ!?」 「何が生えてないっていうんですかーーーーっ!? ショタってなんですかーーーっ!!」 「問答無用ですっ」 「あぁっ、アレがナニして、太ももに挟まれて!? ありえませんっ、なんで、なんでこんなことに!?」 「超能力ですよっ!」 「ちちち超能力っ!? 超能力ってそんなこともできるんですかー!?」 「できるんです」 「できるんですか」 ごきげんよーう。(百合の効果音、釣り○カ日誌における合体と同義)
(おわりに) タイトルに誤りがありましたことをお詫び申し上げます。 正式タイトルは『冬のブルマ』でなく。 『冬のスマタ』でした。 ED曲:スマタの名産地 友達ができた スマタの名産地 仲良しこよし スマタの名産地 スマタの名産地 素敵なところよ 可愛いあの子の晴れブルマ スマタの名産地 <大団円>
今回みんな苦戦しそうな予感
えぇ、苦戦してます・・
ネタはあるんだが、今回は書く暇がなさそう………。
雫で長瀬祐介のみ。 3レス予定。 タイトル「授業中」
375 :
授業中1 :05/01/15 23:42:08 ID:ZjJQR4OZ
トンネルを抜けるとそこは雪国だった。 国語の授業で教師が読みあげた有名な作品の台詞。 だからどうしたというのだ。 それに対する僕の正直な感想だ。 そう思ったときから教師の読み上げる台詞は 空虚で意味のないものへと変わっていた。 首と胴が離れてももがき続ける虫の動きのように。 教師は機械的に言葉を吐き、生徒はノートに 文字を走らせテストのときにだけ記憶を呼び起こす。 そしてすぐに忘れ去る。 死ぬ前は価値がない虫でも死んでからはむくろが 大地へと帰り循環する。 学校の授業それは世界で最も無意味なものなのかもしれない。 そう思ったのは僕だけだろうか、僕だけじゃ ないのだろうか、そんなことは問題じゃない。 物事に対する印象は人それぞれのはずだから。
376 :
授業中2 :05/01/15 23:42:38 ID:ZjJQR4OZ
だから、いま僕がノートに書いたただの円、これに 対する印象も人それぞれのはずだ。 その円を地球、そう思うのは僕だけのはずだ。 なぜならそれは僕の地球だから。 これから火に包まれる鬼哭啾々阿鼻叫喚、それだけしか ない地球だから。 思考がシフトする、世界が僕の地球へと。 猫。 最初に気づいたのは猫だった。 大欠伸、上に上げた視線は炎を捉えていた。 ミサイルの尻尾の炎。 それが無数に。 大きな瞳孔をさらに広げ、その様に見入る。 本能で逃げようとしたときには着弾していた。 はじけ散る家々、えぐれる地面、消失する酸素。 いたるところで人が飛び散り、つみあがり、燃え上がる。 息をするたびに臓腑が焼き付き体内が燃え上がる。 動くたびに身体が崩れ落ち、たまったそれが川に 流れ込み腐臭をあげる。 炎、骸、恐怖、憎悪、死と……、そして生。
377 :
授業中3 :05/01/15 23:43:11 ID:ZjJQR4OZ
地獄のような世界にも生き残るもの、生まれてくるものがいる。 生命は弱くない、息をするたびに人が死に行くような環境に 対応して強い生命で育ち、育み、さらに強くなっていく。 僕は見ているだけで何もしない。 命の輝きを見るのはとても楽しい。 待っているのが絶望だけということを知っているから尚更に。 世界が人としての営みを取り戻せるのを待って世界が動く。 再び飛来するミサイル。 人々の中には前ほどの絶望はない。 また今の世界を取り戻せると信じているから。 しかし、今回は違った。 核。 放射能 巻き上げられた塵が空を覆い日の光をさえぎる。 人々が乗り越えた困難をさらに超越した困難。 強くなった人たちは大勢生き残る。 絶望を伴って。 塵が雪のように舞い散る僕の地球で。 待っていたのは冬。 絶望という名のトンネルを抜けるとそこは雪国だった。 核の冬が作り上げた絶望の雪国。
投稿します。 タイトルは「冬の過ごし方」 ToHeart2、貴明視点で、”るーこ”とのお話です。 24レスを予定。 よろしくおねがいします。
「あけましておめでとうだ、うー」 「あけましておめでとう。るーこ」 「今年も宜しくしろ、うー」 「宜しくな。るーこ」 新年の挨拶。──何気ない挨拶だけど、るーことは初めて交わす挨拶。 ──高校生の俺と、許婚であり、花嫁修行中のるーこ。 るーこと再会したあの日から、俺の周りにいる人間は、俺達のこんな関係を最初からそうだと思っている。 むしろ、俺の方が現実を理解していないように思われ、色々と言われる始末。 るーこが帰った後は、彼女がいた事自体、誰も知らなかったような雰囲気だったのに、不思議なものだ。 とはいえ、るーことまた一緒に暮らせる事は、とてもとても嬉しい。それは間違いない。 だってそれは──どんな事があっても、信じて、願って、待ち続けた夢なのだから。 こんな貴重な幸せの中にいるのだけれど、あの再会に戸惑っている自分がいる。 俺の大好きな「るーこ・きれいなそら」が「ルーシー・マリア・ミソラ」という女の子になって帰って来た事。 そして、俺との思い出が、るーこにとっては、遠い昔の記憶になっていた事。 俺の心の中では、るーことの再会で受けたこの二つのショックは、完全には消えてはいないのだ。 だけど今は、敢えてその事には触れようとは思わない。 何故なら、どんな事があっても、互いを好きであるという事は変わってはいなかったのだから。──それだけは真実だったから。 だから、あの日の事よりも、今、目の前にいる大好きな女の子と幸せになりたいと思っている。 最も身近な周囲である俺の両親は、当然ながら、るーこが俺の許婚である事を認めている。 それどころか大喜びしているようだ。このあたりがいかに現実化してどうこう、というのは最早わからない。だけど、それが現実のようなのだ。 るーこは俺の嫁になる事を夢見ている。俺の為に何でもこなそうとする健気さは、とてもかわいい。るーこ独特のおしゃまな態度や言葉も、むくれたり、拗ねたりする表情も、るーこには悪いけど、とても微笑ましいものばかりだ。 それらは、最初に俺の家に来た頃からずっと変わっていない。そう、それらは、「るーこ」は「るーこ」と思わせてくれる事ばかりなのだ。
そんなるーことは反対に、俺自身は結婚という言葉には現実味を持てないでいる。結婚となると、なんだか想像出来ない世界になってしまうのだ。 俺は、るーこと一緒に暮らせればそれでいいと思っている。やがては結婚とするという事になるのだろうけど、今はるーこさえ居てくれればいい。それが本心だ。 何にせよ、こうして二人で暮らせる現実が嬉しい。そう、俺にはそれが全て。 今年はるーこがいるお正月でもあり、昨年末に帰国した俺の両親のいるお正月でもある。 その昨年末の事。久方の再会というのに、家に入るなり、実の息子の俺よりも先に、るーこを抱きしめる両親。 それは本当はおかしな事なのだが、るーこを小さい頃から知っている「設定」になっている両親は嬉しそうに言った。 「ただいま、ルーシーちゃん」 「おかえりだ、うーママ」 スリスリと頬をすり合わせる。母さん。 「元気そうだね。ルーシーちゃん」 「ああ、元気だぞ、うーパパ」 笑顔で歓喜に沸いている彼女達を見る父さん。 ──るーこは許婚というよりは、二人の大事な娘。そんな感じさえする。そしてそんな二人になつくるーこ。 そんな愛情表現が済むと、ようやく俺の方を向く二人。 「ああ、貴明も元気か?」 「貴明も大丈夫そうね」 明らかについでのような口調に、俺は苦笑してしまった。まあ──いいけど。 こうして、家族が再会した年末は過ぎ、元旦である今日に至るのだ。 まだ深夜ではあるけど、正月というのは静かなものだ。 リビングで話す事もなく黙ってテレビを見ている俺達。父さんは既に、酒を飲みながらも、コックリと船を漕いでいる。 そんな静寂の中、突然、母さんがるーこの方を見た。 「さて、ルーシーちゃん」 「るー?」 御節をつまんでいる、るーこが、ちょこんと箸を置いて母さんを見る。
「アレ、着る?」 「るー! もちろんだ! うーママ」 待っていました、とばかりの笑顔。 「アレ?」 わからない俺は母さん訊くと、苦笑される。 「貴明は気にしないでいいの」 「そうだぞ、うー」 るーこは嬉しそうな顔で俺を見る。 「そこでじっとしていろ、うー」 「そうそう」 母さんは立ち上がり、るーこの手を引く。 「さぁ、ルーシーちゃん。行きましょう」 「るーっ!」 すたすたと奥の部屋に行ってしまう二人。 「……なんなんだ?」 俺は後姿を眺めながら呟いてしまう。すると、背後から起きていたらしい父さんの声がする。 「ふふ。貴明はまだまだネンネだな」 「え?」 振り向くと──真っ赤な顔をしてテレビを見ている父さん。顔を合わせるつもりはない、というような態度。 「覗いて来いよ」 視線をそのままに言う。──しかし、それって、親が子に勧める事ではないような気が……。 足というのは正直だ。あくまでも足が正直なだけだ、と弁解する。 るーこの着替えシーンを見て、ドキドキするようなレベルは卒業したはず筈だし(まだ、るーこ主導なのは情けないけど)、別に弁解する事もないのだけれど、ついそんな事を考えてしまう。 二人は寝室にいるようだ。非常に都合のいい事に、ドアが少しだけ空いていて、声が聴こえてくる。 俺はもちろん(?)そっと部屋の中を覗く。──やっぱりまだ、ドキドキしてしまうな。父さんの言うと通りなのかもしれない……。 最初に目に入ってきたのは桐箱。それと、 「るー」
るーこの嬉しそうな顔。──ああ、そういう事か。俺は、これからるーこが何を着るのかを理解した。 案の定、母さんの為すがままに着せられていくるーこ。本当に嬉しそうにされるままだ。 後は楽しみにして、立ち去ろう──と思った時に、 「うーママ!」 突然、大きな声が上った。外にいる俺にもはっきり聞こえる。 俺は驚き、再びドアの隙間から様子を覗かせて貰う。 「……なに?」 るーこの声に、優しく問い返す母さん。 「るー……」 少しだけ戸惑っている声が続く。 「ルーシーちゃん。大丈夫。貴明はルーシーちゃんに似合うと言うわよ」 「……本当か?」 「ええ。本当よ。早く──お嫁さんにしたいって、思うわよ」 「よかった……るーはうーの嫁になれるのだな?」 「もちろんよ」 母さん、そんな事を……。恥ずかしい。 るーこの表情は見えなくなってしまい、声だけが聴こえるようになる。──着させらせながら、あっちこっちと移動しているからだ。 「うーママ」 少し沈んだ声。 「どうしたの?」 「るー、訊いてもいいか?」 「どうぞ……」 なんだろう? 「るーは……るーは、いつ、うーの嫁になれるのだろうか?」 ──え? 「そうねえ」 動じない母さん。──母さんにとっては、るーこはもう、嫁に来ているのも同然なのだろうか? 「ルーシーちゃんが貴明と会ったのは──春だっけ?」 「ああ。桜が咲いていた」 再開、というのは正確ではないのだが、春である事は間違いない。
「ルーシーちゃん」 ぐるぐると回る、るーこ。もちろん着付けの為に。 「うーママ?」 「両手を上げて」 これも着付けの為だが、”るー”をするポーズ。 「そうねえ、ルーシーちゃんは──いつがいいの?」 「今すぐにでも」 即答。 母さんは笑う。 「ルーシーちゃんらしいわね」 声を出して笑う母さん。るーこは──顔は見えないけど──憮然としているに違いない。 「るーっ! る……」 予想通り、抗議する声。だけど母さんはそれを優しく遮る。 「大丈夫。あと何回か──そうね、あと何回か春が来れば、きっとお嫁さんになっているわよ」 「るー……」 「大丈夫。そんなに焦らなくても」 「本当か? 大丈夫か? うーママ」 「ええ。そうよ。だって貴明は──」 「うーは?」 「──ルーシーちゃんにぞっこんだから」 「る、るー!!」 ……恥ずかしい。 るーこの喜ぶ声が聴こえる中、俺は戻る事にした。──これ以上は見ていられないから。 それにしても、るーこは、やはり真剣なんだ。 『るーは……るーは、いつ、うーの嫁になれるのだろうか?』 この言葉に、俺はどうしてあげればいいのだろう。 俺はまだ高校生で、結婚は出来ない。その年になったとしてもまだ、非現実的だ。 だからせめて、仕事をするまでは、と思う俺は──間違っているのだろうか。
◇ 「今まで以上に、惚れろ、うー」 アゴを少しだけ上げて、ふふ、と笑う、美しいお姫様。 先程から着ていたのは、もちろん着物。年末に母さんが、るーこにプレゼントしたものらしい。俺は知らなかったけど。 赤を基調とした鮮やかな色彩。華やかな柄も、るーこの白磁のような透き通る肌に良く映える。 るーこはこの事をずっと言わなかった。今日まで我慢して言わなかったのだろう。どんな事でも俺に話をする、るーこにしては大変な事をしていたのだと思う。それだけ喜んで欲しいのだろう。 「どうだ? どうだ?」 それを証明するかのように、いろいろなポーズをして俺に見せる、るーこ。堪えていた嬉しさを、爆発させている。 「うん、とっても似合っているよ。本当に」 ──素敵だよ。るーこ。 「るー!」 俺に見せつけながら、るーこは感極ったようで、母さんに抱きつく。 「うーママ、ありがとう! うーも気に入ってくれたぞ!」 「良かったわね」 まるで、実の母娘のような二人。──これはこれで幸せそうだから、いいか。 「うおぉぉぉ」 そこに、いきなり目を覚ました父さんが叫ぶ。 「か、母さん!」 るーこに抱きつく。 「る? るーっ!!」 いきなり父さんに抱きつかれて驚くるーこ。それはそうだろう。 「お父さん」 「んあ?」 「それはルーシーちゃんですよ」 母さんは父さんのボケに突っ込む。
「……気付かなかった。てっきり母さんかと」 「そんな馬鹿な!」 「るー?」 四者それぞれの役割を果たしてから笑う。──オヤジギャグ、まったくもって恐るべし。 るーこはもう一つ自慢したいものがあるらしい。 「どうだ、うー。似合うか?」 「もちろん!」 差し出される白い手。 「これも、うーママにしてもらった」 「……綺麗だよ」 それは薄い桜色のマニキュア。るーこの白い手にはぴったりな色。 「貴明」 困ったような、咎めるような母さんの表情。 「少しはあなたも、ルーシーちゃんに気を遣いなさいよね」 「う、うん」 「頼むぞ、うー」 そんな事を言いながら両手で俺の手を握る、るーこ。 女の子に気を遣う。──それはまだ俺には出来ない事。恥ずかしさがだけが、先行してしまうのだ。 「ごめんな。るーこ」 「いいのだ。謝るな、うー」 俺は照れながら「似合っているよ」と繰り返してあげる。──俺達のやりとりに、ニヤニヤしている父さんを無視して。 「では行こうか、うー」 「そうだな」 この後、るーこと近所の神社までお参りに行く事になっている。るーこは、このお参りをかなり楽しみにしているらしい。 玄関で慣れない履物に苦戦しながらも、嬉しそうに母さんを見る 「行ってくる、うーママ」 「外は暗いし寒いから、気をつけてね」 「る〜!」
嬉しさのあまり、ちゃんと聞いていないような返事をする。 俺はそんな着物美人の後姿を見ながら、母さんに「行って来る」と言って家を出た。 冬の夜らしく、身に染みる寒さ。吐く息も白く、顔も少し痛くなる。 新年のお参り。去年までは、このみや雄二達と行っていたけど、今年は気を利かしてくれたらしい。──ちょっと嬉しいような恥ずかしいような、そんな気にさせられる。 コートのポケットに手を突っ込んで歩いている俺と、その横で、歩き慣れないのか、よたよたと歩くるーこ。 「……うまく歩けないぞ、うー」 不満そうに俺を見る。……おしゃまな女の子とは違う、子供のようなるーこがそこに。 「慣れるまでは大変かもね」 「じゃあ、慣れるまで寄り添え、うー」 「はいはい」 腕を巻きつけるように組む。 「やっぱり、外は寒いな」 そんな事を言いながら。 何となく歩きながら、思う。 こうして、二人だけで歩くのは久しぶりだ。──学校も忙しく、年末という事でなかなかデートも出来なかったから。 両親が帰って来るまでは、いつも二人だった。だから、二人でいる事が普通という状態に慣れてしまったようだ。久しぶり、なんて思ってしまうのはそういう事なんだと思う。 こんなにかわいい女の子が俺の傍にいてくれるというのに、それを……。 ──いけない。それでは、いけない。そう思いながら、るーこの顔を見る。 そこには、安心しきった表情。──こんな幸せを、当たり前と思っていはいけない。そんな想いにさせられる表情。 俺は、痛くなる程、指を絡める。いつまでも、るーこを離さないと誓って。 ──ありがとう。るーこ。いつも一緒にいてくれて。 ──いつまでも、いつまでも、一緒に暮らそうね。 十分程だろうか。るーこが歩くのに慣れてくる。
「あそこだな、うー」 少し先の方に、神社が見えてきた。 「そうだよ」 たどたどしかった足音も、カラン、カランと規則的なそれに変わっている。 「だいぶ慣れたぞ、うー」 「そうか。よかった」 ああ、と言ってから微かに首を振る、るーこ。 「寒いな。耳が痛くないか? うー」 「そうだな。少し……」 「ふふ、情けないぞ、うー」 ……労わってくれる訳ではないようだ。 「冗談だ、うー」 俺の耳にあてられる綺麗な手。──とても温かい。 神社の近くまで来ると、俺達は人だかりの中に並ぶ事に。 「大勢来るのだな」 「毎年そうだけど、今年は更に多い気がする」 「そうか。ところでみんな、何を願いに来るのだろうか」 表情を変えず、そんな疑問を出す、るーこ。 「るーこは?」 ──笑って答えないるーこ。 やはり今年は、例年以上に盛大のようだ。参拝者も屋台の数も増えている。 俺達は少しずつしか進まない列の中で、手を繋いで待っている。 るーこは「前が見えないぞ、うー」と少しだけ拗ねている。──男が前に立つと何も見えなくなるらしい。 「もうすぐだから」 「では我慢しよう」 「偉いぞ、るーこ」 「馬鹿にするな、うー」
「謝るな、うー」 「……ごめん」 どうしようもない会話。でも、楽しそうにしている、るーこ。 ──こんな何でもない事が、俺達には貴重なのかもしれない。 ようやく、お賽銭を投げられる場所まで来た。 「五円玉を投げるぞ、うー」 待っていましたとばかりに、用意していた二枚の五円玉を見せる。 「お、知ってるんだ」 「馬鹿にするな、うー」 「……ごめん」 「謝るな、うー」 「……ごめん」 「さっきと変わらないぞ」 笑いながら、一枚を俺にくれる。 「るーの愛情を篭めた1枚だ。感謝しろ、うー」 「ありがとう」 素直に礼を言ってから、るーこと一緒にそれを投げ、手を合わせる。 『いつまでも、るーこと一緒に暮らせますように』 これが俺の──心からのお願い。 ──自身のおみくじの結果である「小吉」に対してのコメント。 「革命されろ」 いきなりそんな不穏当な事を口にする、るーこ。 そんなるーこに「うーはどうなのだ?」と言われたので見せてやる。 「不平等だぞ、うー」 頬をプクーとさせながら、大吉のそれに、恨むような目線を送る。 「交換しろ、うー」 「いいけど、俺が小吉でいいの?」
ちょっとだけ、からかってみる。 「る、るうっ!?」 しまった、という顔。本当に素直な反応が、面白くてかわいい。 「大吉を買って来るぞ。感謝しろ、うー」 取り繕うように引き直そうとする、るーこ。 「こういうのは、一回だけなんだよ」 「そうか……では、どうしよう?」 俺は笑うのを堪えて、少しだけ涙目になっている、るーこに「来年また引けばいいさ」と言ってあげる。 ──ムキになるるーこもかわいい。なんて言ったら怒るだろうな……。その前に恥ずかしくて言えない、か。 俺達は、それらを木に結び付ける。 「来年、必ず大吉を出すぞ。覚悟しろ」 木を見上げて、そんな事を言う女の子が、ここに一人。 すぐ傍で、甘酒を振舞っていらしい。それを見たるーこの瞳が、ただならぬ輝きを放っている。 コーラで酔える稀有な女の子に甘酒はどうだろう? と心配になる。 が、俺もまだ子供らしく、心配より興味が先行してしまう。──花見の時の地獄を、忘れた訳ではないのだけれど。 早速俺は、促してみる。 「るーこ。甘酒、飲んでみるか?」 「る、るー!」 笑顔で両手を上げ「飲むぞ」と”るー”をする。 俺は参拝者に振舞われる甘酒1杯と、空の紙コップを1つ貰う。そして空の方に少しだけ入れる。──興味があるとはいえ、分量には気を遣いたいところだ。 「本当に飲んでみるか?」 「もちろんだ」 その必死な表情に、またちょっとだけ、からかってやりたくなる。 「酔っ払わないかなー?」 「そんなことはない!」 「本当かなー?」 「何を言うか、うー」
「着物、脱ぐなよ?」 「意地悪だぞ、うー」 さすがにこれ以上は可哀想なので、るーこに渡す。 すると、るーこは少量とはいえ、全部飲んでしまう。 「……おいしいぞ、うー」 「大丈夫?」 「ああ、なんともないぞ、うー」 「少し、赤いぞ?」 「そんな事はないぞ、うーぃ」 「ぃ?」 「なんだ、更に惚れたか? うーい」 「!」 語尾が危険になっている。 俺は慌てて、熱いのを我慢しながら甘酒を飲む。──お姫様が暴れないように全部飲み干さないと……。 「ちょっと、気持ちいいぞ、うい〜」 うい〜って、るーこさん……。 急いで、振る舞っている人から水を貰い、るーこに飲ませる。 「うまかったぞ、うー」 「それって、水の方だよね?」 「るー」 あいまいな返事。 しかしながら、甘酒でやコーラで赤くなれる、るーこって……なんだかなあ。 ◇ 縁日のような賑わいに、るーこは、何もかもが新鮮だといわんばかりに目を輝かせている。 ワタアメを買ってやると、子供のように口の周りをベトベトにして食べる。 「ほら、髭だぞ、うー」
笑ってしまう。これでも、おしゃまな子らしいのだ。 焼きソバを買って、二人ではんぶんこ。邪魔にならないところを探して座って食べる。 るーこの満足そうな顔。 俺はその光景を見て、少しだけ後悔する。こんな事を、夏祭りにしたかった。夏の方が盛大で楽しかっただろうに、と。 だけど、それは出来なかった。──いや、しなかった。少しだけケンカをしたのだ。 理由を思い出せないくらい、どうでもいい事に怒ってしまった。 遠くの花火を別々の部屋で眺めた。 本当に馬鹿だった。どうしてそんな事をしてしまったんだろう。 本当に馬鹿だったと思う。 そんな、後悔から帰って来る。 「なあ、るーこ」 「るー?」 「覚えている?」 「何をだ?」 「──夏祭り」 るーこはその言葉に少し驚いてから、ふふ、と笑う。 「まだ、気にしていたんだな、うー」 「うん。あの時、るーこと一緒に祭りに行けばよかったのにさ。ごめん」 焼きソバを俺に渡す、るーこ。 そして、”るー”をする。 「少しだけ、ソースの味がすると思うぞ。覚悟しろ、うー」 人は少ないけど、いないわけではない。でも──嬉しかった。 ソースの味がする。 ──ごめんね。るーこ。そして──ありがとう。 「さあ、帰ろうか」
少しだけ赤い──甘酒のせいではない──るーこにそう告げると、そうだな、という返事が戻ってくる。 るーこはまだ、この風景が珍しいらしく、境内や人だかり、屋台などをキョロキョロと見て、 「こういうものも、悪くないな」 なんて言って、俺の手を握ってくる。 「うー、なんだか楽しいな」 「そうか? るーこがそう思うんだっら、来て良かったよ」 「うん、良かったぞ、うー」 もう少しるーこに寄る。コートと着物が擦れ、そして、重なる。 「積極的だな、うー」 「な、なんだよっ」 焦ってしまう。──こういう事はまだ、るーこの方が上手な訳で……。 るーこはそんな俺を見て、ふふ、と少しだけ馬鹿にしたような、それでいて嬉しそうな笑みを向ける。 「幸せだな、うー」 「そうだな」 人ごみの中を泳ぐように歩く俺たち。 きっと幸せに違いない。だって──もうこんな事が、二度と出来なかったかもしれないのだから。 「るー!」 もうすぐ、神社を出るというところまで来て、突然、鋭い声を出するーこ。 俺は、るーこの表情を見て、それが声を同期していると知ると、視線の先を見る。 「……ネコ?」 それは、るーこの友達だった「ニャー」とは違っていたが、ネコではあるようだ。 「あのニャー。危ないかもしれないぞ」 俺の方を振り向きもせずに、小走りでネコの方に行く。 「あ、おいっ!」 仕方なくついて行く。どうしたのだろうか。 るーこの言っている事が何となく理解出来た。 ネコはある一点を見つめていたのだ。──それは屋台の売り物である、焼魚。
「うー!」 るーこは最初から、そのネコが何をしようかわかっていたらしい。 「そこのニャー、やめろ!」 得意のネコ通訳(?)をしながら近寄る、るーこ。だが── 「うわっ!」 るーこの想いとは反対に、屋台に飛び出すネコ。それに驚く店の男。 「ニャー!」 るーこは人ごみを避けながら屋台まで駆け寄るが、時既に遅し。 ネコは必死に屋台の魚を咥え、店の男は逃すまいと屋台を作る為の、鉄の棒でネコを叩こうとする。 「このヤロ!」 「やめろー!」 俺は叫んだが、それは遠慮なく、振り下ろされる。 ガッ、と鈍い音。 棒が振り下ろされた先にはネコではなく──るーこ。 ネコは自分が庇われたのを知る事なく、何処かへ逃げてしまったのだ。 「るーこ!」 るーこは鉄の棒を辛うじて避けていた。──信じられない程ギリギリに。 俺は店の男に喰いかかった。 「危ないじゃないか!」 店の男は呆然としていた。ネコを叩こうとして、るーこがいたのだから、それはそうだろう。 だが、俺にはもう、そんな理屈は関係なかった。ただ、るーこが鉄の棒で叩かれた。それだけだ。 「だ、だってよ……」 半ば呆然の男に俺は怒鳴る。 「そんな棒で叩くことはないだろ!」 「うー」 落ち着いている、るーこの声。 「やめろ。その男は悪くない」 「るーこ……」 「悪くない──だから、とめようとしたのだ」
るーこは着物についた土を払う。 「……汚れてしまった。うーママに申し訳ない事をした」 「そんなことはいいよ。ケガは? なあ! ケガはどうなんだ!」 るーこはそんな俺を見て笑う。 「るーは大丈夫だ。うーの方こそ大丈夫か?」 その優しい声に俺は冷静に戻る。いや、戻らなければならないと感じる。 「……大丈夫」 「そうか、よかった」 るーこはそんな事を言いながら、俺に背を向ける。 「あのニャーを探してくる。何となく心配だ」 そう言って、着物で走れる限界と思える速度で暗闇に向かっていく。 「お、おい!」 驚いて後を追おうと思った俺に、店の男の手が伸びる。 「なんだよ!」 ヤケ気味に言うと、男は紙袋を渡してくる。 「持っていけ。それと──」 香ばしい、魚の匂いが漂う。 「あの嬢ちゃんと──ネコに、謝ってくれよ……」 俺はそれを受け取り「わかった」とだけ告げて、その場を離れる。 ──自分だけが興奮している事に、恥ずかしくなってしまったのだ。 ◇ この神社は、そんなには広くはない。 だから、ネコと──恐らくそれを追っている、るーこが行く先は神社の裏側しかない。 ネコが隠れるとしたら、人気の無いそこしかないと思うのだ。だから俺は、確信を持って神社の裏側に向かった。 「るーるーるー」
確信はその声で現実になる。 誰もいない神社の裏側。蔵らしき建物の横の茂みに向かって叫ぶるーこ。 「るーるーるー。出で来い、ニャー」 ”ニャー”を呼び出す独特な言葉を話す。 「るーるーるー。怖くないから、出で来い」 悲しそうに、暗闇の向こうへ手を差し出するーこ。 俺はるーこのその顔と声に、驚いた。──それは、かつてのるーこ自身だったのだ。 帰る所のなかった、かつてのるーこ。”るー”でありながら、”うー”として生きていかなければならないと覚悟したあの可哀想なるーこ。 悲しくなる。だってそれすら、二人で過ごしたあの日の出来事すら、今のるーこには、無意識の記憶でしかないのだから。 それはつまり、るーこが、気づく事のない悲しみを抱いて生きているという意味になるのだ。 そう。悲しい記憶は、るーこを離してはくれない、という事なのだ。 だったら、忘れてもいい。過去の記憶を全て、忘れて欲しい。そう思いたくなる。 ──これが「4回目」への罰なのだろうか……。 しゃがんで声を掛けている、るーこ。無理をしているのだろう。微笑みながら呼び掛けている。 「大丈夫、捕まえたりはしないぞ」 「るーこ……」 優しそうで、やっぱり、悲しそうな笑顔。 俺は胸が痛くなる。──どうしてそんな顔をしなければならないのだろうか。 「るーこ、これを」 俺はそんな想いを振り切りたくて、手に握っているものをるーこに渡す。 「これは?」 「貰った。るーことネコに謝ってくれ、って言ってたよ」 「……そうか。良い、うーだな」 自分の危険も顧みずそう言う。本当に優しい。 「なあ、ニャー。どうだ? 魚だぞ」 るーこは魚を茂みに向かって見せつける。 「ニャーはさっき魚を残して逃げてしまったのだ」 「そうなのか?」
「ああ。だけど、あの目はただ飢えている目ではなかった」 「どういうこと?」 「それ以上はわからない。でも、単なる魚泥棒ではない、という事だけはわかる」 そう言うとまた、必死に呼び掛ける。 「るーるーるー」 野良猫が人の声で出てくるとは思えない。警戒しているだろうから、魚のニオイでも、出て来るとも思えない。 だけど、るーこは必死にネコ通訳(?)で訴える。大丈夫、大丈夫と呟きながら。その呟きをおそらく、自分に向けながら。 「るーるーるー」 もう何度目だろう。無理とも思える行為。 だけど、ついに、それが──── ”ニャー”に通じた。 ネコは茂みから出て来たのだ。 警戒しながらも、俺達の手が届くか届かないかのところまで寄って来る。 「食え、ニャー。魚だぞ」 るーこは魚を差し出す。それにネコは恐る恐る近づく。 「……ん?」 よく見ると、ネコは怪我をしているのがわかる。 「さっきのせい?」 「……いや、もともとだ」 少しずつ、魚に寄って行くネコを見て、悲しい顔をする、るーこ。 「何か必死な目をしていた。でも、怪我のせいじゃない」 るーこの本当に悲しそうな声。 「──こうして、誰にも頼らず生きていく。大変な事だ」 そう言いながら、寄って来るネコに魚を渡す。 「ほら、持っていくがいい」 「え?」 俺の驚きに小さく笑うるーこ。 「──このニャーには家族がいるのだ」
魚を咥え、また茂みに隠れるネコ。それを少しだけ悲しそうに、だけど慈しむように見る、るーこ。 「──みんなで食べるがいい」 ネコのいるだろう方向に言葉を放つるーこ。 茂みからはるーこの言うとおり、複数の鳴き声がしてきた。 「きっと、家族の為に、怪我をしていても盗ろうと思ったのだろう」 「るーこ」 「るー……」 「なあ、るーこ」 俺は、ここまでネコを捜して土や誇りまみれになったるーこの顔を、ハンカチで拭いてやる。 「なんだ、うー?」 照れくさそうだが、なすがままのるーこ。 「あの、ネコ達を──家で飼うか?」 その言葉に、少しだけ驚いてから、小さく笑うるーこ。 「うーはやっぱり優しいな」 「そんな事はないけど……」 「いや、そうだ。だけどな──」 ハンカチを持った俺の手を握る、るーこ。 「決して飼われても幸せとは限らないぞ」 そして、抱きつく。 「るーだって、そうしたい。だけど、それではいけないのだ。だって、ニャー達は……ニャー達も──必死で生きているのだから」 顔は見せない。だけど声で、泣いているのだとわかる。 るーこはただ感傷的になってるわけではない。 それは彼女自身が忘れさせられた「るーこ」としての遠い過去の想いなのだ。 両親に会えないるーこ。その寂しさの中で”うー”として生きようと決意したるーこ。その想いはどれだけ大変で悲しいものだったのか、想像出来ない。しかも今は、その悲しさだけがるーこにあって、あとは昔話でしかないのだ。 何故悲しいのかもわからないるーこ。本当に可哀想だ。 だけど、彼女は前向きだった。そんな悲しみに負けまいとする、るーこは、誇り高い”るー”なのだ。
「うー」 呼び声。 「なんだい? るーこ」 ぐしぐし、という鼻をすする音。 「ありがとう。嬉しかったぞ、うー」 誰に対して、何に対してのそれなのか、訊いてはいけないと思った。 それが、るーこへの愛情だと信じて。 俺はそんなるーこをしっかりと抱きしめてあげた。 彼女が落ち着くまで。 大好きなるーこが、落ち着くまで。 ◇ 静かに時間が流れる。 すすり泣くるーこ。 魚を食べている ニャーの家族。 遠くから声がここまでに届く。それだけ、この場は静かなのだ。 ここだけが、冬のように思えるくらい、静かなのだ。 俺は待つ。 そんな冬が終わるまで。 「冬は嫌いだ……」 ようやく落ち着いたるーこが拗ねるように言う。 「大抵の生き物にとって、冬は厳しい季節なだけだ」 「るーこ……」
「早く春になれば良いのに。うーはそうは思わないか?」 「そうかもな」 俺はるーこの涙の跡と拭いてやる。 「冬か……」 「ああ、そうだ」 るーこはまだ潤んでいる瞳を俺に向ける。 「るーにとっても今は冬だぞ、うー」 「え? どういう事?」 「──まだ、うーの嫁になれないのだからな」 そう言って、悪戯っぽい笑顔をするるーこ。 「るーこ……」 「うー。早く春が来るといいな。るーこは、神様にお願いした」 「何を?」 「『早く春がきて、うーの嫁になれますように』って」 俺はるーこさえいればそれで幸せだと思っていた。だけど、るーこにとってはそうではないのだ。 どこまでも、待っているだけのるーこ。そう、るーこは俺の嫁になれる事を待っている。やがて来る春を待つように。 俺にはまだ、結婚なんて想像出来ない。だけど、るーことは一緒に暮らしたい。だから、一緒にいられればいい、そう思っている。 だけど、るーこは本気で待っていてくれる。──長い冬を越えた先の事を夢見て。 ──心に知らない冬を抱え、やがて来るだろう春を待つ。 それはどんなに悲しい事なのだろうか。 「るーこ。好きだよ」 「るー?」 「好きだよ。るーこ」 「うー……」 「るーこ」 「るー」 魚を食べ終わったネコ達が、るーこの足下に来る。そして、お礼をいっているかのように、まとわりつく。
最初に見たネコと仔猫が2匹。 俺はそんな光景に微笑んでいるかわいい人を、また抱きしめる。 ──少しだけ、少しだけ、時間が欲しくて、 「にゃー達が『ごちそうさま』と言ってい──」 その言葉を塞ぐようにキスをする。 「うぅー」 少しだけ、少しだけ、時間が欲しくて────長いキスをする。 冬は何の為にあるのだろう。 春をじっと待つためなのだろうか? ただそれだけなのだろうか? その答えをるーこに返してあげたくて、キスをする。 ──もう、るーこを寂しくさせたくはない。そんな想いを篭めて、もう少しだけ。 答えが出た訳ではない。 出せるとも思っている訳でもない。だけど、なんとなく感じた、いや、してみたい事が出来たので、唇を離す。 その温もりは欲しくて、抱きしめる手は離さない。るーこもそれを感じてか、そのままでいてくれる。 「うー、どうした? 寂しいのか?」 ふふ、と笑いながら、そんな事を──そんな強がりを言うるーこ。 「なあ、るーこ」 「るー?」 「一つ、約束というか、一緒にしたい事があるんだ」 「なんだ? うー」 俺は手を離して、るーこの肩を掴む。 「まだ、本当にまだ、先の事だけどさ────」 期待する、るーこの瞳。 「いつか必ず、結婚しよう。るーこ」 「るー!!」
「結婚しよう」 「る〜!!」 俺の胸倉をポカポカと叩くるーこ。──生意気だぞ、なんて笑って悪態をつきながら。 「だけど今はまだ出来ないし、現実的じゃない。だから、提案があるんだ」 ちょっとだけ残念そうに叩くのをやめて、俺を見る、るーこ。 まだ顔についている土の汚れ。それをハンカチで拭いてから提案してみる。 「冬になったらさ、そうだね──お正月がいいかな。何か二人で約束をしようよ。結婚するまでさ」 「約束?」 「そう、約束。毎年、約束をしていくんだ。結婚までに毎年1つずつ増えていく約束」 「……増えすぎるという事はないか?」 「ないよ。約束する」 「それが今年の約束か? うー」 「いや、これは既にある約束という事にしよう」 「そうか、で、まずは何を約束するのだ?」 今まで、やっぱり俺は、「るーこ」を「るーこ」として見ていた。 あの出会った頃の「るーこ」を見ていたのだ。 再会して、それが「るーこ」である事がわかっていても、俺は以前の「るーこ」を見ていた。 出会った頃の記憶を、昔の事と思っている彼女。だから俺は「るーこ」と呼びたかった。そんな現実をどこかで、否定したかったのだ。 だけど、違う。そんな事ではダメなのだ。 「るーこ」はあの日の思い出。もう過去の事。だって、目の前にいる女の子は──ルーシなのだから。 「るーこ・きれいなそら」ではなく、「ルーシ・マリア・ミソラ」なのだから。 俺が二度と過ちをおかさないように、大切な人に約束したい。 今日からは──── 「今日からは、ちゃんと名前で呼び合おう」 「るー?」 「俺はルーシーと呼ぶ」 「うー……」 「そして、る……いや、ルーシーは俺の名前を呼ぶ。どうだ?」
「それが、今年の約束なのか?」 「ああ。そうだ」 「それでいいのか?」 「ルーシーは嫌か?」 顔をぶんぶんと横に振る。 「そんな事ないぞ、うー」 苦笑する。しまった、とばかりに。 わざとらしい咳払い。そして、 「わかった。約束しよう」 ルーシーはそう言って”るー”をする。 「約束しよう────貴明」 優しく微笑むルーシー。 長い冬が来ても、やがて春は来る。 だけど、それをじっと待つような冬は、今日でおしまい。 悲しみや不安を心に抱えているような冬は、もう、おしまい。 俺達にとって、冬はもう、寂しい季節ではない。 これからは、冬は約束をする季節。 やがて来る、本当の春の為に約束をする季節。 そんな冬の過ごし方を、これからはしていきたいと思う。 大好きなルーシーと共に。 終
>>380-403 以上。
タイトル番号がなかったり、余計な数字がついてしまいました。すいません。
よろしくおねがいします。
おはようございます。 短いのを1本。 名雪のお話です。 では投稿します。
6年前の冬、祐一は来なかったよね。 やってきたのは一枚の年賀状だけ。それも、おじさんおばさんの名前の横に、祐一って書いてあるだけの。 わたしは『祐一が来ないのは残念だよ』って書いたのに、祐一は返事なし。 ううん、怒ってないけど、でも本当に残念だったんだよ。 それで、そのことをお母さんに言ったら、ちょっと困った顔をして、 『祐一さんはふでぶしょうなのね、きっと』って、言ったの。 わたしは『筆武将』かと勘違いして、大きな筆と鎧兜を身につけた祐一を想像したよ。 恰好いいかもと思ったけど、よく見るとちょっと恰好悪かった。 白馬の王子様の日本版にしては、あんまり様にならないよね。 5年前の冬は、すっごい雪が降ったんだよ。 ううん、今年なんかとは比べものにならないくらい、すごいの。 電車も飛行機も止まっちゃって、これじゃ祐一が来たくてもこれないよって、やきもきしてた。 一生懸命、雪かきもしたけど、すぐにどんどん埋まっちゃって。 風も強くて、ほんの少し外に出てるだけで、たちまちわたしが雪だるまになるくらい。 隣の町では、雪の重みで古い家が潰れちゃったって言うんで、その雪で庭にかまくらを作ったんだ。 これで家が潰れても大丈夫だって。 家は潰れなかったけど、せっかく作ったから、お母さんと一緒に火鉢とお餅とみかんを持ち込んで、食べたんだよ。 祐一の分のお餅もいい具合に焼けていたのに、やっぱり来られないみたいだったから、お母さんと二人で食べちゃった。 そうそう。みかんってね、焼いてもおいしいよ。
4年前の冬はね、祐一のことを考えていたら、大変なことを思いだしたんだよ。 祐一に千円貸しっぱなしだったってこと。 こういう時って、利子が付くんだって知ってたから、お母さんに計算方法を聞いたんだ。 教わった『トイチ』で計算したら、どんどん増えていって、計算が大変だったんだよ。 わたし、数学あんまり得意じゃないから。 計算の途中だったけど、もう面倒になってお母さんに、これってどれくらいの借金? って聞いたら、 『あらあら、これじゃ祐一さん、一生地下帝国で強制労働ですね』なんて言うんだよ。 そんなことになったらかわいそうだから、利子は一年一イチゴサンデーでどうかなっていったら、了承された。 そう。あれはこのことを思いだして、決めたんだよ。 うん、妥当だよね。 3年前は町内会で餅つき大会があってね、お母さんはそのお手伝い。わたしも一緒に手伝ったんだ。 臼と杵でね、ぺったんぺったんって、つくの。祐一、やったことある? お母さんは餅米を蒸したり、お餅を返したり、大活躍。 えーと、わたしはお餅つきって初めてだったから、そっちばっかり見ていた……あはは。 杵を持たせてもらったけど、重くて上手くつけないし、お餅をひっくり返すのは、熱くて大変だし。 だから食べる方で頑張ったよ。 やっぱり、つきたてのお餅って、全然違うね。 すごいんだよ。伸びるし熱いし、ベタベタしてるんだけど、飲み込むとつるりって喉の奥に滑ってくの。 お年寄りが、うっかり喉に詰まらせちゃうのも分かる気がしたよ。 きな粉餅とか、安倍川餅とか、砂糖醤油とか色々あったけど、わたしはやっぱりあんこ餅かなぁ。 でも、惜しいことをしたかも。 うん、あんこ餅にいちごを乗っけて食べていたら、いちご大福みたいだねって言われたんだよ。 わたし、子供の頃からこうして食べていたから、出願していたら、いちご大福の特許を取れていたかもしれないよ。
一昨年は受験生。冬は暖かくて、布団の魅力が三倍増しで、勉強するのも大変だったよ。 コタツで勉強していたはずなのに、目が覚めたら布団の中。もちろん朝。 なかなか勉強が進まなくて、苦労したよ。 普段の実力を出せれば、まず大丈夫って言われていたんだけどね。 でも、試験の日に遅刻せずに起きられるかが心配で……前日は念のために、七時に寝たよ。 それでも不安で、あらかじめ、新しい目覚ましを三つ買っておいたんだ。 あ、そうそう。祐一に貸したあの目覚ましも、確かこの時。 そんなことないよ。あの目覚ましのおかげで、無事に起きられて、試験にも合格したんだよ。 幸運の目覚まし、かな? 香里たちにも会えたしね。 え? うん、そう。歩いて通えてぎりぎりまで寝ていられるからあの学校にしたんだけど……よく分かったね。 去年はね、香里と一緒に遊んでいた。うん、一番の友達だよ。 一緒に初詣に行った帰り、初めてうちに招待したんだ。 なんだか香里、ちょっと緊張していたみたいで、いつもと違った感じで面白かったよ。 お母さんからお年玉を渡されて、慌てて結構ですって言ったけど、結局受け取って。 申し訳ないからって、後でわたしにイチゴサンデーおごってくれたから、わたしもラッキーだったよ。 その時、『あなた達って似たもの親子よね』って言われたけど、なんでだろう。 それでね、その日は夕飯も一緒に食べることになったんだけど…… そこから先は、あんまり詳しいことは憶えていないんだ。 でも、なんでだろう。なにか恐ろしいことがあった気がするんだよ。 ほら、日記もそれ以降のことはなにも書いてないの。 ただオレンジ色の染みがあるだけで……。
今年の冬はね、もちろん一番楽しみだったよ。 祐一が来るって、それもうちに住んで、ずっといるって分かったから、わたし、ついみんなに触れ回っちゃったよ。 香里はなんだか呆れていたけど、それは良かったわねって言ってくれたんだ。 うん。本当に良かったよ。 後何日でやってくるって、指折り数えた。十日後、来週、三日後、明後日、明日って。 その前の晩は楽しみで楽しみで、おかげでぐっすり眠れたよ。 え、普通逆? うーん、でも楽しい気持ちだと、いい気分で眠れない? ……ううん。遅刻したのは、それで思わず寝過ぎちゃったってわけじゃなくって……あのね、怒らないでね。 あれ、実はわざと。 あ、ちょっと。痛い痛い。怒らないでって言ったのに……。 だって、7年も待ったんだよ。7年前は、丸1日待ったんだよ。 だからちょっとだけ、祐一も待たせようと思ったんだよ。 待ち合わせの十五分前について、こっそり駅の影から覗いていたけど、祐一、全然気づいてくれないし。 そうなるとなんだか悔しくって、見つけてもらうまではって、ちょっと頑張り過ぎちゃったんだよ。 寒くなるし、眠くなるし、もしかしたら駅前で遭難するかもしれないくらい、大ピンチだった。 わたしも大変だったんだから、おあいこだよね。缶コーヒーもあげたし。 「 」 ……うん、そうだね。 わたしも、もう待つのは嫌だよ。 冬が来るたびに、今年は来るのかな、来ないのかな、やっぱり来ないんだろうなぁ……って、 そんな風に思うのは、もう嫌だよ。 もう、思わなくていいんだよね?
>>406-409 以上です。どーでもいいけど「猛虎ナイフ湯」ってどういう変換だ、ATOK。
おやすみなさい。
投下します。 タイトルは「けものたちの雪合戦」 うたわれるものです。
いかに気候温暖なトゥスクルとは言え、冬ともなれば雪が降るのである。 ずんずん降って、子供の背丈くらいに積もるのである。 日ごろ馬を走らせたりしている草原が、見わたすかぎり、白銀のベールに包まれて、 その結果、何が起こるかというと。 「雪がっせーん!」 「雪がっせーん!」 「……今朝は、やけに子供たちが騒がしいな」 庭のほうから聞こえる歓声に、私(ハクオロ)は書類を整理していた手を止める。 良く晴れた、冬の日の朝。 いちおう火を焚いているものの、帳場の空気は肌を刺すように冷たい。 (昨晩は、ずいぶん積もったらしいな) 朝っぱらから大きな声を上げているのはアルルゥとカミュだろう。 子供は風の子と言うが……。まったく元気なものだ。 私はと言えば、指先の痺れを暖めるために湯が手放せないというのに。 自慢ではないが、私は寒いのがどうも苦手なのだ。 熱い茶の入った湯飲みをきゅっと握りしめる。 しばらくのあいだ、そうやって暖を摂る。
と、廊下にぱたぱたと衣擦れの音。 少しはしたなく聞こえるのは、おそらく音の立て主が気を急かせているからで。 「ハクオロさん、ハクオロさん」 慌ただしく部屋に駆け込んでくるエルルゥ。 どうやら、庭でアルルゥ等と出会ってそのまま駆けてきたらしい。 「見ました? 雪が積もってますよ」 「うむ……朝起きたときにちらと見たが」 「今年いちばんの積もり具合ですね」 「そうか。通りで冷えるはずだ。アルルゥたちは喜んでいるだろうがな」 「それはもう」 そのことを伝えたかった、とばかりにエルルゥが大きく頷く。 「これでようやく雪合戦ができると喜んでいます」 「雪合戦か……」 私が最後に楽しんだのはいつだっけな、と思う。 小学生の頃だったか、あるいは大学の仲間と戯れたこともあっただろうか。 いずれにしろ今となってはもう参加する気など起こらないが…… (まぁ、子供たちの遊びぶりを端で眺めているぶんには構わないかもな) 熱い茶を啜りながら、そんなことを考える。 繰り返すが、私は寒いのが苦手なのだ。 「それでですね」 「……?」 「皆で雪合戦大会をやりませんか?」
「……皆で? 本気か」 思わず聞き返してしまう。 エルルゥはそれが不満だったらしく、口を尖らせる。 「本気も本気です。ヤマユラにいたころは村の全員で良く遊んだんですよ」 それに、とエルルゥは付け加えて言う。 「雪合戦は、単なる遊びではないんです。 おばあちゃんが言ってましたけど、皆の連帯を深めるという意義もあるんですよ。 私たちの国はできて間もないですし、国民の団結を高めるためにも良い機会なのではないかと思います」 頬を紅潮させて力説するエルルゥ。 「ですから、ハクオロさんが一声かけて、やりましょうよ」 「いや、しかし……。実は私は冷たいのが苦手なのだ」 「大丈夫です。審判員の役で参加できますよ」 「む……」 「ねぇ、やりましょうよぉ」 「しかし……」 「やってくれなきゃ、熱いお茶の差し入れは今日限りです」 (う、それは困る……) 結局、私が折れることになった。 「分かった。とりあえず、今いる者に声をかけてみる。エルルゥは会場の準備をしておいてくれ」 「やったぁ♪」 「念を押しておくが、私は審判員だからな」 「ハイ」
数十分後。 「えー、それでは、トゥスクル建国を記念しまして、第一回トゥスクル雪合戦大会をただいまより開催します」 紅白の垂れ幕が飾られた雪原に、ムント僧正の声が響く。 「僭越ながら私、ムントが進行を務めさせていただきます。選手の方は準備に入ってください」 選手たちがコートに散っていく。 私が思いつく限りの人間に声を掛けたところ、皆こぞって参加を表明してくれた。 ノリの良い人間が多いのか、はたまたお祭り好きなだけなのか。 ことこうなると、私だけ審判員という椅子に座っているのが申し訳ないようにも思えてくるな…… そんなことを考えながら、私は試合の開始を待つ。 チーム分けも無事済んで、皆思い思いに準備を始めたようだ。 参考までに、このように決まった。 エルルゥチーム:エルルゥ・カルラ・クロウ・オボロ・ウルトリィ アルルゥチーム:アルルゥ・トウカ・ベナウィ・ドリィ・グラァ・カミュ 「去年までの戦績は、21勝0敗。今年も……ふふふ」 「ムックル、ガチャタラ、一緒にがんばる。今年こそおねーちゃんに勝つ」 エルルゥとアルルゥには深い因縁がありそうだな…… 「雪遊びとは言え、格闘戦の一種。ギリヤギナの誇りにかけて負けるわけにはいきませんわ」 「今日は一段と気合いが入ってるッスね、姐さん」 「フフ、ちょうど良い遊び相手もいることですしね……」 「貴様ぁ! 遊び相手とは誰のことだ!」 「トウカ殿、そのような安い挑発に乗っては……」 「む……」 両チームの前衛は、すでに火花を散らしている…… 「お前ら、手加減はいらねぇ。全力でかかってきていいぞ」 「「はい、若様」」 「えへへ、私は手加減して欲しいかな〜、なんて……」 「いまさら泣き言は通用しないわよ、カミュ」 こちらもかなりやる気を出しているみたいだな……
「ユズハは激しい運動はできないので、観戦するだけですが……」 「ん。ユズっち、応援よろしく」 「ハイ……」 「こっちの応援も忘れないでくれよ」 「ハイ……お兄さまも」 アルルゥとオボロが敵味方に別れて、ユズハも大変だろうな…… そんなこんなで準備時間も過ぎ。 「それでは、試合開始!」 笛の音が鳴り響き、ムント僧正の持つ赤旗が振り下ろされる。 けたたましい喚声とともに、雪玉が宙を舞う。 この遊びに複雑な技術は必要ない。ひたすら相手より多くの雪玉を作り、投げ、命中させるだけだ。 制限時間は15分。その時間内に優勢であった思われるほうを、審判員である私が表彰するという取り決めだ。 そしてこの手の競技につきもののハプニング対策だが…… 基本的には何をやっても自由、いざというときは私の判断で対処する、ということにした。 もっとも、私に雪玉を命中させてしまった場合には厳罰を科すと言うことだけは、しっかりと伝えておいたけれども。 さて、審判員らしく、試合の状況でも眺めるとするか。 「やぁ」 「双子流回転投げっ!」 ドリィとグラァは、息を合わせた共同攻撃だ。 入れ替わり立ち替わり、片方がもう片方の隙を埋めるように雪玉を投げつける。 「はぁっ!!」 その攻撃を、オボロが持ち前の二刀流で捌いていく。 こちらもまた隙のない、相手の攻撃を読み切った流れるような防御。 雪合戦というより、演舞を見ているようだ。 (敵味方と言うより、3人息のあった共同芸術だな……)
一方、こちらはエルルゥ。 「えいえいえいえい!」 気合いの入ったかけ声とともに、素晴らしい勢いで雪玉を繰り出す。 熟練を重ねているだけあって、狙いも正確。 的(正確には玉避け)になっているムックルが、もう半分近く雪に埋もれている。 「ヴォルルルル……」 「ダメ。ムックル、我慢する」 もともと水の苦手なムックルは、かなり辛そうだ。 (的に隠れているお陰でアルルゥに命中弾はないようだが……) どっしゃーん!! なにか雪合戦に似合わぬ爆音が響いたと思って、目を向けてみれば。 「貴様! そのような大玉を使うなど卑怯であろうが!」 「あら、雪玉の大きさに制限なんてありませんわ」 大振りのくす玉ほどもある雪玉を片手で弄びながら、カルラがトウカを挑発する。 「受け切れないと判断すれば、避ければよいだけですし」 ひょい、とカルラが腕を振ると、 ぐおぉぉん、と異様な唸りを上げつつ、雪の大玉がトウカに向かって突進する! 「くっ……!」 と、そのとき。 ぱしゃーん。 様子を見計らっていたのか、ベナウィの投じた小さな雪玉が絶妙の位置で衝突。粉々に砕ける大玉。 「トウカ殿、ここは発想の転換です。受ける前に破壊してしまえばいいのですよ」 一方、おやおや、といった表情のカルラ。 「ちょっと玉が脆すぎましてよ。もう少し固めて下さらない?」 「ウ、ウイッス!」 (クロウは玉捏ね役か……)
「そぉれ、カミュ」 「はぁい、お姉様」 羽姉妹はのたりのたり、キャッチボールのような応酬だ。 可愛らしいというか、微笑ましいというか。 先ほどのカルラやトウカに比べると、格段に平和だな…… うーむ。 一通り見てみたが。 印象では、ほぼ互角と言ったところか…… 際どい攻防が繰り返されていて、ムント僧正もポイントの判定に大わらわのようだ。 ユズハが一人、手持ち無沙汰にしていたので、傍らへ寄って話しかけてやる。 「ユズハ、動かないでいて寒くはないか?」 「いえ、大丈夫です」 「無理をしなくていいんだぞ」 静かに首を横に振るユズハ。 その髪に散った雪の飛沫を払ってやる。 「ユズハは雪合戦を見るのは初めてですけれど、すごく激しいものなんですね。 ここにいるだけで皆さんの熱気が伝わってきます」 「いや……はは。何人か特別なのが混じっているからな。普通はここまで激しくはしないだろう」 「今、どちらが勝っているのですか?」 「正直なところ、互角だ。どちらもまだ決定的なものを得られていない」 互角、という言葉に、ユズハはホッと胸をなで下ろすような仕草をする。 兄と、友達と。どちらも応援したいというのが本音なのだろう。 「アルちゃんはどうですか?」 「うむ、やや押され気味だな……。ムックルが壁になっているが」 「……」 「……」 「アルちゃん、がんばれ!」 ユズハの、細いけれどもそれなりに良く通る声が響く。
それに応えて、 「ん。ムックル、出撃」 アルルゥが彼女の下僕に命令する。 「ヴォルルルルルルッッッ!!!」 さんざん的にされて鬱憤が溜まっていたのだろう、ムックルが凄まじい咆哮を轟かせる。 そして。 「グルルルォォォォ!!」 自らが雪玉と化したかのごとく、エルルゥの陣へ向かって突進してゆく。 ……突進してゆく!? ちょっと待て。このような攻撃を認めていいのか? 雪合戦と言うからには、雪玉を投じるのが攻撃ではないのか? アルルゥもそのくらい分かっているはずだ。 なにかがおかしい? と、思う間もなく。 「きゃあぁぁぁぁ!」 強大な獣にあえなく陣を蹂躙されたエルルゥの悲鳴。 「ヴォルルルル!」 轟くのは勝ち誇った獣の咆哮だ。 その、あまりに場違いな轟きに、ユズハが小首を傾げる。 「どうなさったのですか?」 「いや……その……、ムックルが暴走して……」 そうだ。暴走だ。 鬱憤がたまったせいなのか。 一時的なものだろうが、アルルゥの命令で制御できなくなっているのかもしれない。 このままでは勝負を壊しかねない。 ここは審判員として、まずは試合を一時中断させ、なんとか沈静化を…… そのためにもとりあえず、状況の整理だ。 まず、エルルゥは……と。
「ムックルのばかばかばかあ」 うわ、エルルゥの目が本気になっている。 いわゆる「辺境の女」全開状態だ。 (頼むから余計な挑発はしないで欲しいんだが……) 「おもしれぇ……」 オボロが二刀短剣を構え直す。 「やるというならやってやるぜ、森の主」 (だからそこ、挑発するんじゃないって!) 「ひっ、若様!」 「若様が猛獣と対決をっ」 「もしかしたら若様が食べられちゃう!」 「うう、僕たちは、いったいどちらの味方をしたらいいのやら」 (よく分からない混乱も広がっているし) 「よそ見をしている暇などないのではなくて?」 ぎゅぅぅぅうん! 先ほどよりも一段と質量を増した雪玉が、カルラの手から放たれる。 「なんのっ!」 トウカが渾身の力で迎え撃ったそれは、先ほどと同じようにバラバラに砕け散って、 「きゃあぁっ!」 「うわぁぁ!」 いくつもの破片(と言ってもそれぞれが普通の雪玉ぐらいの大きさだ)がウルトリィとカミュの陣へ降り注ぐ。 あっという間に雪まみれになってしまう二人。 (うわあ……これはまずいな)
まずいと思ったときには既に手遅れと相場が決まっている。 「やって下さったわね、トウカ殿」 無差別攻撃を受けた形になったウルトリィがぶち切れた。 「ρξλξπκσ……!」 刹那、局所的な突風が巻き起こり、周囲に雪塵を吹き上げる。 その噴量たるや、一個人がとうてい避け得る規模ではなく。 「埋まっておしまいなさいッ!」 「な……」 一瞬呆気にとられたトウカに向かい、四方八方から迫る雪塵。 その中に、彼女の細い体が見る見る雪に隠れてゆく。 腰と言わず顔と言わず埋め尽くされてゆく。 「お姉さまっ! トウカさんを生き埋めにする気なのっ!!」 カミュが悲鳴のような声を上げる。 「εθγαικξ……!!」 ふっと、体が軽くなる感覚。カミュの術法は重力を自在に操る。 トウカを埋めんとしていた雪の塊が、重力を失ったように地面から離れ、宙に浮き上がり、 ドガドガドガ!! 今度はウルトリィに向かって投下される! しかし、それがウルトリィの体に達することはなく、突風に吹き散らされて再び宙を舞う。 「υψωβεθ……!」 「τεητκν……!」 人知を超越した力で、宙を飛び回る雪の群。 それはもはや、常人の立ち向かえる域を越え……
荒れ狂う猛吹雪の中。 「お、おい。俺はどうすればいんですかい?」 「……取りあえず生き延びること。今はそれを最優先に考えましょう」 今や、雪合戦はサバイバルゲームと化し……。 「お姉ちゃん……、おばあちゃんが呼んでるよぉ……」 「アルルゥ、アルルゥ! 目を閉じちゃダメ」 か弱いものから、次々に脱落してゆき…… 「猛獣の次は猛吹雪ってわけかよ……腕がなるぜ」 「若様、どこまでもお供します!」 この状況を楽しむものたちやら…… 「こういうときこそ真の実力が問われるのですわ」 「望むところだ! 今こそ決着をつけてやるゥ」 俄然張り切るものたちも出てきたりして…… 「ユズハ、決して私の側を離れるな」 「ハイ……」 もはやムント僧正がどこに埋まったのかも分からない状態で…… 私は、ただ祈る。 (終われ……。はやく終わってくれ……)
そうして。 永劫にも思える長い長い10分間が終わる。 ピーッ。 雪の下から高らかに響きわたる試合終了の笛。 (終わった。ようやく終わった……) どっと疲れが襲ってきたような気がして、私はその場に座り込む。 そもそも、たかが雪合戦にウィツアルネミテアの契約のような大層なものを持ち出すから ややこしくなったのだ。 最初の時点で、強権発動して試合終了させればまだましだったものを。 つい愚痴も言いたくなるというものだが、まぁ、なんとか試合は終わった。 ウルトリィとカミュを引き離して、埋まっている人たちを掘り出すのにまた時間がかかったが、そんなことはもう些細なことだった。 とにかくあの狂乱から生還し得た、そのことに私は満足していた。 傷ついた選手たちを迎えながら、私の心は満足感でいっぱいだった。 「いや、皆無事で何よりだった。両軍とも素晴らしい戦いだった」 うむ。審判員の講評としては妥当なところか。 「お二方とも、ご立派でした……」 「ありがと、ユズっち」 アルルゥとユズハががっちり握手。親睦も深まったようで良かった良かった。 めでたしめでたし。
……とは、やっぱり問屋がおろしてくれないわけで。 「ところでハクオロさん、素晴らしい戦いは当然ですけれど」 「勝敗はどう判断されたのですか?」 「どちらが勝ったのか、ハッキリしてくれません?」 「そうそう、白黒つけたほうがスッキリするってもんでさぁ」 いや、そんなこと言われても、あんな試合に白黒つけようがないですし。 痛み分けってことで許してくれませんか……そうですか、やっぱり。 「あれだけ辛い思いをしてがんばったんだもん」 「引き分けなんて言葉は認めませんわよ」 「審判員なら、責任をとってもらう必要がありますね」 皆が手に手に獲物を抱えてにじり寄ってくる。 雪玉が一斉に投げつけられる。 「ハクオロさんも埋まれーっ」 私の体が冷たい雪に埋められてゆく…… 嫌だ。 埋まるのは嫌だ。氷漬けは嫌だ。 助けてくれ。 私が寒さを嫌う理由。 トラウマが…………トラウマが………… 雪合戦なんか……二度と……二度とやるものか…………
「ハクオロさん、ハクオロさん」 「……はっ!」 慌てて飛び起きると、目の前にエルルゥの顔があった。 「どうしたんですが、ぼんやりしちゃって」 「あ、いや、特にぼんやりしていたつもりはないのだが……」 しどろもどろになりながら、私は辺りを見回す。 何の代わりもない、いつもの仕事部屋だ。 どうやら机に向かったまま、私は白昼夢のようなものを見ていたらしい。 (もう雪合戦はこりごりだ……) 「本当に大丈夫ですか? 風邪気味とか」 心配顔で私のことを気遣ってくれるエルルゥはいい娘だ。 「うむ、本当に大丈夫だ。心配ない」 「なら良かったです」 エルルゥの顔に明るさが戻る。 「見ました? 雪が積もってますよ」 「うむ……朝起きたときにちらと見たが」 「で、ものは相談なんですけど、皆で雪合戦大会を……」 「却下」 こうして、第一回トゥスクル雪合戦大会は遂に日の目を見ることなく闇に葬られたのである。
延長希望の方はいらっしゃいませんか〜
いらっしゃらないようなので、締めます。 【告知】 ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。 参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。 それでは、これから感想期間に入ります。 投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。 (作者さんの感想返しは感想期間終了までお控えください) 期限は 1 月 28 日の午前 8:00 までとさせていただきます。 今回投稿された作品一覧は、進行役多忙のため、昼頃までお待ちくださいませ。
早くも蔵作品ゼロか…… 発売当時は勢いがあったがなあ
えーと(゚д゚;三 ゚д゚) コンペ応募ってわけじゃないんですが、 ここで書かれた第17回作品「神様なんていやしない」の続きを書いていいですか? 第31回「夢の続きは果てしなく」とは別バージョンで……
>>431 aが大文字だぞ。
それ、作者とは別の人で、あれの続きを書きたいけど、作者さんいいですかって事か?
>>430 つーか、葉が5本、鍵が1本という、葉よりの比率は珍しい。
>>432 基本的にはそうですが、オブザーバーの発言もお待ちしております。
さすがに自サイトはまずいですか。
おまいら、それこそどっちかのサイトで話し合え。迷惑だ。 間違ってもこのスレには落とすなよ。
長くなるような話題なら、保管所の掲示板がいいのでわ にしても今回は葉の独壇場だね。VN3作にうたわれ鳩2と人気作がひととおり揃ってる。
簡単ではありますが、感想を投下させて戴きます。 「冬巡り」 読んだ感じ、随分と書き慣れた印象を受けます。 日本語として特に変だと思うところもないし。 ただ、難点があるとすれば、『竦んだ』『朝餉』『隘路』など読み仮名が 判りづらい漢字が多いかなと。 雰囲気を重視するため漢字を使う意図は判りますが、読めなければ意味が ないわけで、ルビが振れない以上、送りがなを()で後付するか、平仮名に ひらいたほうがいいんじゃないかなと、私は思いました。 ストーリーに関しては………正直、読んでいて辛かった(;´Д`) 別に、ほんわかした内容が嫌いというわけではないけども、内容の割には 文章が冗長気味かなぁ。 私見ではありますが、単語を整然と羅列するよりも、もっと単語を吟味し、 文章を短くしたほうが良いかなと。
例えば導入部分。 >まるで、体の中を吹き抜けるような冷たい風に、エディフェルの身が竦んだ。 >身震いした彼女は、半ば眠ったまま夜具を被り直し、温もりを求めて、 >厚い胸板にぴたりと寄り添う。 コレを改行を増やし、読みやすくしてみました。 寒い………。 身が竦むような冷たい風。 エディフェルは身震いしつつ夜具を被り直した。 まだ、寒い。 温もりを求めて、厚い胸板にぴたりと寄り添う。 文章のスタイルも人それぞれなので、好き嫌いもありますが、導入部分に 重めの文章を持ってくると、先に読むのに気が滅入りますw 長い文章が悪いとは言いいませんが、短い文章と組み合わせて使うなどして 緩急を付けたほうが良いと思います。 賑やかで騒がしい風景の時は、文章を量を多めに。 静かで寂しげな時は、文章量を絞る。 そういう表現方法も考慮しながら書いたほうが、文に深みが出てくると思います。
「冬のブルマ」 強引なオチにワラタヽ(´ー`)ノ 書き方が、前に投下されている「冬巡り」とは対照的な作品。 文章が短めなため、テンポ良く読めて、最後に笑いで落とす。 コメディSSの見本みたいな作品やねぇ。 もしかして、第二十八回の『sweet lemonade』と同じ作者かなと思った(違ったらゴメン)。
「授業中」 正直………こういう文章好きですw 私自身『祐介の日記スレ』の常連でしたからヽ(´ー`)ノ 最後のオチも悪くないですけど、テーマ性が少し薄いような気がしました。 句読点はちゃんと付けた方が良いと思います。 付けるのが嫌なら、最初から最後まで付けないのも一つの手ではありますが。 とりあえず、今日の感想はココで打ち止め(=゚ω゚)ノ 今回、感想少ないねぇ。
感想行くよー! >冬巡り すまん。合わんかった。……とまあ、感想がこれだけというのぞんざいだな。 合わなかったのひと言で済まされると、俺も多分どうして合わなかったのか気になると思うし、 いやまあ、どうにも辛辣になるとは思うのだが、ここは我慢して聞いてくれ。 まず、文章がちぐはぐに感じた。テンポかな? ひとつひとつの文が強すぎて文章にすると起伏ないように思える。 あと、エディフェルの口調も少し違和感。痕をしてかなり時間が経つので聞き流してほしいところだが、 もう少し硬い物言いだった感じがする。エディフェルとの蜜月は長く続かなかった覚えがあるので、 リネットなら納得の出来る話だったかも。エルクゥに対する焦燥が感じられなかったのも個人的に痛いな。 というわけだ、俺が本当に合わんかっただけだ。でもテーマの昇華は随一だったよ。 >冬のブルマ 作者は馬鹿(良い意味で)だな。しかし馬鹿になり切れてない気もするな。 もっと馬鹿になってほしい。そう。こいつ天然か!? と思わせておいて計算づくと感じさせるも、 やっぱり単なるおおばかちゃん様くらいにな。どうせならもっと理不尽なの所望。 >もう来ない冬 OK! アンタ最高の馬鹿だ。細かいところは言わない。 掴みやテンポも最高だ。すべて俺好み。 >けものたちの雪合戦 とりあえず地の文一字字下げきぼんぬ。 話は王道かな。でも、この王道は安易ではなく安心できる展開という意味でのこと。 ハクオロ大学云々はまあ俺は見なかったことにするが、気にする人はたくさんいると思われるので、 こういう遊びはやるならトコトン。そうでなければ、まずやらない。 あとはよく全員をカバーして描けていると思う。文章にも不満な点もほとんどない。 ハクオロが雪を嫌う理由も良。でも、気付かずに流してしまう人も少なくないかもしれないので、 こういう面白い材料(トラウマ)はもっと前面に押し出した方がいいな。 で、出来るならそこでオチに繋げる。夢オチは王道ではなく安易になることもしばしばだしね。 雫、T2は未プレイ。ごめん。
ちらりと見て読めそうだったので追加します。 >授業中 実は雫したことないけど、内容はそれなりに知ってます。 でも、この作品は祐介の性格知ってたらそれだけで読めてしまいますね。 良い狂気です。やつに相応しいわ。導入部も最高。 書かれた方はオンリーワンの作り手ですね。 というわけで、せっかくだし最優秀も決めときます。『もう来ない冬』に一票。 ではでは。
簡単だけど感想。 >冬巡り 丁寧な描写が心に沁みる。タイトルと内容の合致も抜群。 なんか久しぶりに痕をやり直したくなった。 >冬のブルマ なんてものを読ませるんだコラ(←いちおう褒めてる 文章のテンポを重視したせいか、状況が掴みづらくなってるところがあったのが惜しい。 >授業中 いきなりの祐くん全開でびっくり。 意外にまともなオチがついていたので二度びっくり。 や、どうせ祐くんなら壊すばかりだろうと思ってたからさ…… いい意味で予想を裏切られた。 >冬の過ごし方 ネタバレが怖いにつき封印。 クリアしたらまた読ませてもらいます。 >もう来ない冬 一見単純なストーリだが、よく読むとネタがいちいち面白いな。 締め方も綺麗だし上質の名雪萌え。 >けものたちの雪合戦 うたわれ世界に雪が降るのか?という疑問はさておき、 もし降るのならこんなこともありなんと思わせるエピソード。 DNMLみたいな絵付きで読みたい話だと思った。 総評。数は少ないがそれぞれ毛色の異なる作品で物足りなく思うことはなかった。 どの作品もちゃんと「冬」してたし、その中でも「冬巡り」には特別賞をあげたいくらいだ。 ああ、暖房のない部屋で読んでたら寒くなってきた……
え〜、遅くなって申し訳ございません。
【告知】
26時間ほど前をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。
※次回のテーマは『色』に決定しており、開催時期は 2 月上旬〜になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『もう来ない冬』
>>443 投票数が少ないので、今回の最優秀作品は該当なしということにしたいと思います。
もっと感想・投票キボンヌ!
で、イキナリこの話題を振るのも心苦しいのですが…… >進行役の引継ぎお願いについて 私に代わってスレの進行役を勤めてくださる方〜 前回にもお願いしていましたが、改めて募集します。 私、現状でもスケジュールどおりに働くことができておらず申し訳ないところですが、 2月以降はさらに詰まった状況になりそうでして…… どなたか後を引き受けてもいいという方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします〜
447 :
438 :05/01/30 22:15:03 ID:PJlxwS2/
締め切り過ぎちゃった(;´Д`) 続きの感想を投下します。 「冬の過ごし方」 まず、冒頭に説明文が多すぎる。主人公に語らせすぎ。 状況の説明をする必要があるのは理解出来るけど、もう少し工夫をした方が良いと思う。 特に話自体が長い場合は、最初を読んだだけで『もう、お腹いっぱい』という気分になりかねない。 テーマ性もいまいち薄い。 『正月』でも『結婚』とかでも通用してしまう。 ストーリーも起こっている出来事を、淡々と書き連ねているだけ。 作者は一体この話を通じて、何を訴えたいのか、よく判らない。 日常を描くのが悪いとは言わないが、やはり何らかのテーマ性を念頭に置いて書くべき。 もう少し、『言葉』を吟味しては如何だろうか。 ただ、感動的な単語をダラダラと並べるだけでは、読んでいて飽るばかりか、 冗長的にしかならないと思う。
448 :
438 :05/01/30 22:16:39 ID:PJlxwS2/
「もう来ない冬」 第一印象は、『この作者は、名雪の事が好きなんだなぁ』と思った。 一人称って、主人公の性格に癖がある場合、結構書きづらいのよね。 名雪はこんな考え方するだろうなぁって、違和感を憶えなかった。 短いけど、構成の仕方は上手い。 書き方としては、「冬の過ごし方」 と似ていて、淡々と状況を語っているものの、 『6年前の冬』『5年前の冬』『4年前の冬』と、過去から現代へと時間軸が近づいている為、 『最後はどうなるのだろう?』と読んでいて、結末がとても楽しみだった。 最後にオチの付け方は見事。 これは、祐一に話しているのだろうか? それとも、心の中で思っているだけなのだろうか? いずれにしろ、綺麗なまとめかただと思う。 あえて難点をいえば、文章が一本調子なところだろうか。少々読みづらい。 もう少し、文章が短めでも良いと思う。
449 :
438 :05/01/30 22:18:56 ID:PJlxwS2/
「けものたちの雪合戦」 まず、文章がとても読みやすい。 世界観にグッと引き込まれる。 多分、今回読んだ中で、一番文章力があるんじゃないかな。 話の展開の仕方も悪くない。 きちんと、起承転結の基本を押さえている。 オチも悪くない。 ただ話が、こぢんまりとしていて、個々の文章は良いものの、 全体的にはやや薄味的な印象を受けた。 総括 今回、テーマを活かした作品が、少ないかなぁと思った。 個々のレベルは高くなっているとは思うけど。 次回のテーマは『色』ですが、かな〜り難しいような気が…………。 漏れは未だに、良い話が思いつきません(^^;
つか、一番決めなきゃいけない事は◆2tK.Ocgon2氏の後釜。 氏はボランティアでやってるわけだし、進行役がいなかったら、 それこそコンペスレ終了になる。
いろいろとお世話になったからお手伝いしたいのも山々なんだが、 時間的な都合が…
夜12時とかに変えちゃえば? 朝10時なんて無理な人が続出だろ。
時間は引き受けてくれる人の都合優先、嫌なら自分で引き受けるか、 前日に投稿どうぞ、かな なにはともあれお疲れさまでした
そもそも後継者出なければ、このスレ終わりだけど。
一人で全部やるのが大変なら、作業を分業するのもいいかもしれないね。 …ところで、管理人がするべき仕事って? 全部ちゃんとは分かってなかったりするw
開始、終了宣言は代行が多かったし、けっこうアバウトかな
業務連絡〜 総括期間も1週間を過ぎてしまいました。なるべく早く決めたいところ。 >進行役のお仕事 1.期間の開始・終了を宣言 2.適宜告知age 3.投稿作品一覧を作る 4.最優秀選出 5.総括期間の司会 6.保管所の管理 ネックになるのは、356あたり。 12は、このスレの住人に代行してもらうこともできるし、 4は手間かからないし。 分業するとすれば、134/5/6の3分割かな? どなたか、この区分なら引き受けられる!というのはありますでしょうか?
で、上の話題と併せて。 >次々回テーマ こちらの提案もよろしくです〜 参考までに、前回候補に挙がっていた案は、 「島編」「星」「趣味」 あたりです。
460 :
444 :05/02/06 02:02:00 ID:+GIHpq9a0
引き継ぎ進みませんね。 できることなら自分も協力したいのは山々なのですが。時間的な問題が…… それはそうと、飛ばしてたSSの感想。 >冬の過ごし方 え〜、実はまだ完全にはるーシナリオを理解していないんだけど、 せっかく読んだんで感想書いておこうと。 一言で言うならば、るーこ可愛いよ(略。 彼女に関する描写が細かい細かい。 作者さんは本当にるーこのことが好きなんだなぁというのがひしひしと伝わってきて、読み手としても幸せな気分になってくる。 ねこのシーンとかいかにもって感じだったし、葉鍵板の萌えSSとして十分な描写だと思う。 それでいてただの萌えSSにとどまらず、二人の仲が深まっていく過程を丁寧に描写していることも評価したい。 最初はたらたらとした日常描写だったけど、ラストに近づくにつれて焦点が締まってきて最後は綺麗にピント合ったと思う。名前で呼び合う二人ってのは絵になる情景だなぁ。 せっかくのコンペスレなんで、気になったところも指摘しておくと。 好みの問題もあるだろうけど、文章がどうもしっくりこない。 何がまずいのかと言われるとなかなか上手く纏められないものの。 とりあえず、「〜〜するるーこ。」という表現が多用されるのは味気ない。 モルモットの観察日記じゃないんだからさぁ。 この例に限らないけど、もう少し感情のこもった表現を使ってあげてもよいのでは……と思った。 もう1つまずいと思ったのは、貴明のものわかりがあまりにも良すぎること。 るーこの心の中とか二人を取り巻く状況とか、ほとんど瞬時に理解して説明しちゃってるけど、 そういう性急な説明では、なかなかリアリティや説得力を得られないと思う。
461 :
444 :05/02/06 02:02:41 ID:+GIHpq9a0
ラスト付近の心理描写にその弊害が顕著。 終わり良ければ全て良しというが、このSSはその逆の状態で、損をしているように思う。 感想ここまで。 1レスに収まらなかった…
作者挨拶も今回まだやねぇ
自分もお手伝いしたいのはしたいのですが、この春から無職になるかならないかの瀬戸際なので… 下手にお仕事を引き受けてなおざりになってしまうのは怖いので、辞退します_| ̄|○ とりあえず、次々回テーマ候補に「指」を一票。
業務連絡〜 >進行役 う〜ん、皆さんなかなか都合がつかないようですね。 このままいたずらに時間を費やすのももったいないので、 とりあえず、次回進行は私がやります。 その間に情勢の変化を待ってみよう、と。 また次回終了後募集しますんで考えておいてくださいませ〜 >次回開催 手帳を繰りながら考えたのですが、2/11 から開始したいと思います。 この日程なら、進行役の仕事もなんとかなりそうですので。 >次々回テーマ 現在「指」が提案されています。 引き続き提案・投票お待ちしています。 以上で特に異論がなければ、2 月 11 日の午前 8:00 をもって総括期間を締め切り、 第三十三回「色」を開始したいと思います。 作者挨拶、テーマ投票などはお早めにお願いします〜。
追記。 >感想の取り扱い 前回今回と、作品投下後の即感想を許可していますが、現状特に問題も出ていないので しばらくはこのままでいいのかな、と考えています。 なにか意見をお持ちの方はお聞かせください。
「冬の過ごし方」の作者です。
いつも感想を頂いておきながら、そのお返しが「ありがとうございます」と「ごめんなさい」の二つか頭の中に出てこ
ないので今回も書くのを遠慮させてもらおうと思っておりました。(前回は「千鶴姉の幸せに」を書きました)
ですが、わざわざ拙作を読んで頂き、感想までつけて頂いたので、頑張ってレスさせて頂きます。
>>447 さん
拙作を読んで頂きありがとうございます。
説明文が多さ、主人公の語りのくどさ、テーマ性の弱さ、ストーリーの冗長性、メインテーマの埋没、言葉の拙さ、感
性的な単語の羅列。どれもご指摘の通りだと思います。
少なくとも読めるSSを目指しておりますが、いかんせん、ご覧の通りの実力不足にてなかなか上手くいかず。
こんな拙作ではありますが、今後も感想を頂けると幸いです。
>>460 さん
感想を頂きありがとうございます。
>モルモットの観察日記じゃないんだからさぁ。
すいません。彼女の魅力を上手く出す方法が見つかりませんでした。
るーこ自身は感情をあまり表にださないので、貴明が説明するか、感性的な言葉で装飾するしかないかなあ、と思った
次第です。
>貴明のものわかりがあまりにも良すぎること。
これも、迷ったのですが、るーこを映す貴明を迷わせると、るーこ自身も良く映らないと思いましたので、EDでなん
となく納得した貴明という設定を強めて使用しました。
以上。ありがとうございました。
#◆2tK.Ocgon2様へ
#本スレでお世話になりながらもお手伝いできず、申し訳ありません。
明日明後日来られるかわからないので、作者挨拶しておきます。
「けものたちの雪合戦」
うたわれるもののSSを書こうと思って原作を再プレイし始めたら、
ついつい熱中してしまい(難易度参は嵌るのだ)、気がつけば締め切り前日。
もはやプロットを練りこむ時間もなく、
「登場人物多数」+「冬」→「雪合戦!」、と単純飛躍で話を作ってできたのがこれでした。
あの田舎村らしく盛り上がりはなくてもまったりしたものになればいいな……とか思っていたのですが。
>>442 王道万歳!
一字下げ……すっかり見落としてたです。読みづらくてごめん。
ハクオロは、うむむそうでしたっけ? また原作やり直してみます。
>>444 うむむ、絵がほしいというのは、文字書きにとっては微妙なところです。
描写量も少なく、読者の想像に頼る部分が多かったかもしれません。
反省点ですね。
>>449 文章が読みやすいと言われたのは初めてのような気がします。
ネタがネタなので軽めの文章を心がけてみたのですが、それが功を奏したのでしょうか。
こじんまりしてるのはまさにその通りですね……。
薄味とは、私の書くもの全てがそうであるような気がしますが、一度くらいは濃い口のものも
料理してみたいものです。
んでは。
次々回テーマ、「趣味」を再推薦してみる。
「冬のスマタ」作者です。
冬のソ○タのOPでブルマッホゥ〜って歌ってました。
でも冬のブルマだと語呂が悪いなぁ。
じゃあスマタじゃね? 俺ってマジ頭良くね?
そんな作品です。鬼子。
>>440 テンポを評価していただいたのは嬉しいです。ありがとうございます。
ご指摘のとおり『sweet lemonade』の作者です。いまとなっては懐かしいSSです。
誰もタイトルの下劣さに突っ込んでくれなかった、切ない恋のような感情が蘇りますね。
そんな思い出も遠い日の花火。(BGM:夜が来る《小林亜星》)
>>442 いやいや、目指すはインパク知ですよ。滲み出す教養と知識が理想です。
これ以上理不尽になると小学生並みの知能に戻ってしまうので勘弁してください。
うんこーうんこーとか超☆笑顔で書き連ねてしまいそうです。
あれ、なんだ、今と全然変わらないじゃないか。うんこーうんこー。(きゃっきゃっきゃっきゃ)
>>444 状況の掴みづらさは反省点です。
テンポ重視は、時間の問題がありまして。いや、時間がとれないとかそういうのじゃなくて。
期限ギリギリにならないと手をつけない子なんですよアッチャーなんだこの萌えっ子。
小学生か。反省します。
以上です。拙作に感想をくださった方々、本当にありがとうございました。
ふぅ、ようやく繋げられた。やや遅くなりましたが作者挨拶を。
今回は「冬巡り」と「もう来ない冬」の二本立てで参加しました。
「冬巡り」に関しては、ちょっと実験作みたいな感じで書いていて、
文体を慣れない手法で書いてみたのですが、やはり読みづらいものになってしまったようで、ごめんなさい。
タイトルは「冬を探して巡る」と「次の冬が巡ってくる」の二重の意味を持たせたんですが、
その裏で「でもエディフェルには次の冬は巡ってこないんだよな」と言うことを念頭に置いていました。
で、いつもならそこらへんを主張して、落ちを持っていくんですが、あえて全く匂わせないで。
……えぇ、どっちも大失敗。それでもこの作品個人的には大好きなんですが。
>>358 氏
確かに見てみるとセックスに始まりセックスで終わっているよーな。
当初の予定通り、次の冬が来ない予感が二人を駆り立ててるという方向に引っ張った方が良かった……のでしょうか。
登場人物の選択に関しては、この仕立てだと、彼女しかあり得ないって感じで。
原作で、二人が出会ったのが「秋」だと知ったとき、思わずキタ━━(゚∀゚)━━!!となりましたw
余談ですが、「冬」と聞いて一番最初に思いついたのが、うたわれキャラの冬支度話でした。
が、うたわれ世界には季節はないと言うことを知って、変遷したあげくこういう話になったというオチが。
>>439 氏
実は書いてる本人も、引っかかりながら書いてた所があります。大抵、いつも短いセンテンスから入るもんで。
書いてる方がそうなら、読んでる方はなおさらですね、ごめんなさい。
>>442 氏
文章に関しては前述の通りで。ただエディフェルの口調に関しては、エルクゥの説明と死に際のセリフくらいしかなく、
ちょっと情報量が少なかったので、そこらへんは私のさじ加減が入ったせいもあると思います。
ごく短い幸せ期間の抽出だったので、周りを取り巻く危機感に関しては、すっぱり切ってしまいました。
念頭にはあったんですが、文章では全く触れない方向で。
>>444 氏
ありがとうございます。丁寧なのはいいですが、やっぱちょっとくどすぎたみたいです。
書いていてしみじみと、自分が一番好きな痕キャラは、楓ではなく、エディフェルだということを思い出しました。
さて、「もう来ない冬」のほうですが、気づいてみたら冬の化身とも言うべきKanon作品がこれだけでしたね。
ホワルバもないし、かえってこういうテーマだと、原作で触れていない方が作りやすいのかなぁ。
>>442 氏
うーむ、なんで馬鹿なのか知らんけど、最高だからいいかw
ありがとうございます。
>>444 氏
構成的に単調になりそうだったので、懸命にネタ探しました。
なにせ冬限定ですから、幅が狭くて。キャストも秋子さんと香里だけで、なかなか厳しかったです。
余談ですが、ネタ探しでテキスト読み返したせいで、ネタを一つ潰してしまいました(後述)。
あ、さっき書き忘れましたが、「冬巡り」特別賞ありがとうございます。
>>448 氏
うーんなんでしょう。名雪って、滅茶苦茶萌えーとか、そういうんじゃないんですけど、好きなんですね。
ねこ好きの血が騒ぐのか、頭のバルカンがガノタの私を撃ち抜いたのか。
口調はそんなに悩まなかった気がします。結末も……あんまり考えずに書いてたよーな。
冬というものを表現するにはどうしようと探っていたら、カウントダウン形式が思いつき、それで自然とこうなったって感じで。
余談ですが、途中から過去の名雪は祐一のことに触れなくなっております。祐一が来ない冬の始まりです。
一応、私の中では祐一に語りかけてるという設定です。
何も言わせず「 」という表現にしたのは、ここで下手にセリフを入れると、なにかが壊れちゃいそうな気がしたので。
テンポに関しては、うーん、名雪はマイペースですから……ということでw
で、ネタを探していたら、三つ編みは一年だけという記述を発見して、没になってしまったテキストです。 個人的には結構気に入っていたのですが。このネタ限定のキャストがいますし。 去年はね、首筋が暖かかった。 ん? 分からない? 三つ編みをやめたんだよ。 中学の時から友達だった子がいたんだけど、その子がリボン外しちゃったんだ。 リボン、とてもよく似合っていて可愛かったから、なんで外したの? って聞いたら、 その子は笑って『高校生にもなって、リボンはちょっと恥ずかしいから』って言うんだ。 そういうものかなって、少し悩んだよ。 そんなこと言われると、三つ編みだって、十分子供っぽいような気がしてきたんだ。 そしたらね、一学年上に、変な人がいるって聞いたんだ。 後頭部に大きなリボンを付けて脳天気に笑う人と、襟首で大きなリボンを結んで器物破損する人。 ……どうしたの、祐一? それでね、やっぱりリボンはなにかまずいと思ったんだよ。 だからわたしも思い切って、三つ編みをほどくことにしたんだよ。 少し大人になった気がしたよ。 でもそんなことより、朝、髪を編む時間も眠っていられる方が、大きかったけどね。 今の髪型は、櫛を軽く入れるくらいで、後は何もしなくてもいいから、らくちんだよ。 あれ? 何が不思議なの? 以上です。では、またよろしくお願いします。
【告知】
第三十三回投稿テーマ:『色』
投稿期間: 2 月 11 日の午前 8:00 から 2 月 25 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
>次回テーマ 「指」と「趣味」が一票ずつ提案されました。 どうするか迷ったのですが、「趣味」のほうは前回に引き続いての提案ということで、 その熱意?を買って次回は「趣味」で行きたいと思います。 開催時期は3月上旬になる予定です。よろしくお願いします〜
めめんて …さすがに一週間書き込みがないと怖いな
もう滅多なことではdat落ちしないからね。 しかしこう言うときに備えた投稿期間感想付けなのだが、どうだろうか。 色は傍から見ても難しそう。
まぁとりあえずプロット練ってみるさ
最終日にどかっと来るのか? まあ色を選択した人がいるから、投稿数ゼロはないと思うが。
作品0だったら、いくらなんでもまずい。
書き上がったので落とします。12レスくらい。 CLANNADの智代&有紀寧&生徒会役員です。
生徒会室で作業をしつつも、僕の目は彼女へと向いていた。 平凡な色彩の中で、一人だけ燦然と輝く存在。 我らが生徒会長は、今は交通安全運動のポスターについて役員と打ち合わせている。 「ベージュの地に白文字は見にくいと思うぞ」 「そうかなぁ。スタイリッシュでいいと思ったんだけど」 「スタイリッシュもいいが、内容が伝わらなくては仕方ないだろう。デザインはいいと思うから、遠目からも見える配色にしてくれないか」 「ん、わかった」 頷いて引き下がる役員。駄目出ししても素直に受け入れられるあたりが、坂上の人徳というものだろう。 そんなことを考えていると目が合ってしまったので、見たままの光景をそのまま口にした。 「さしずめ僕らは灰色の地で、坂上は原色だね」 しかし彼女の気には召さなかったらしく、不満そうな顔をされる。 「どうしてそういうことを言うんだ。そんな卑下が似合うような人間は、うちの生徒会にはいないはずだぞ」 「でも坂上と比べれば霞むよ。卑下してるんじゃなくて坂上を誉めてるんだ」 「それが卑下というんだ。情熱の赤も、若さの緑も、冷静の青も、どれが欠けても画家は絵を描けないじゃないか」 ごもっともだが、坂上が言うと正論すぎて引っかかる。 他の人間にはお題目でも、こいつだけは馬鹿正直にそれを信じているからだ。 「必要のない色だってあると思うけどね。世の中には」 なので僕はついそんなことを言ってしまい、坂上は僅かに表情を強ばらせるだけで、沈黙で答えた。 最近、坂上は彼氏と別れた。 原因の一端は僕にある。悪いことをしたとは全然思ってないが、坂上からすれば敵も同然だろうし、殴られるくらいは覚悟していた。 が…未だ、彼女は何も言ってこない。 代わりに、時々遠くを見るようになった。 呆けているわけではない。仕事は熱心にやっている。でも時々…遠くを見る。失ったものを懐かしむように。 事情を知る僕にとっては、それは鮮やかな輝きの中で、一点だけ残った染みに近かった。
(そりゃまあ、別れて数週間で吹っ切れというのも無理な話ではあるが…) 「お疲れですか」 翌日の昼休み。食欲がわかないので考え事をしていると、隣の席の宮沢さんが声をかけてきた。 「副会長さんも大変そうですね。何かお手伝いできることがあったら、言ってくださいね」 そう言って、微笑む彼女の名は宮沢有紀寧。 いつもこんな風に親切で人当たりも良く、人望では坂上にも引けを取らない。 ただ、特別に親しい友人はいない。休み時間や放課後になると、決まってどこかへ姿を消すからだ。 「ありがとう。君みたいな優秀な人が生徒会に入ってくれれば、僕も楽になるんだけどね」 「あははは。またまたそんなお世辞を」 笑顔でかわしてから、心配そうに覗き込んでくる。どうも僕は相当疲れた顔をしているらしい。 「本当に大丈夫でしょうか。何か生徒会で問題でも?」 「生徒会といえば生徒会だけど…」 「そうだ」 宮沢さんはぽん、と手を合わせて立ち上がった。 「お時間があったら、一緒に来ていただけませんか」 「? 別にいいけど」 嬉しそうに歩き出す宮沢さん。特にすることもないので着いていく。いつも彼女がどこへ行くのかも、多少興味があった。 が、期待と裏腹に、連れていかれたのは単なる資料室。 扉を開けて先に入った彼女が、右腕を広げて招き入れる。 「いらっしゃいませー」 「入ったけど…。ここに何があるのさ」 「今、コーヒーをお淹れしますね。砂糖はいくつですか?」 「っておい」 見ればコーヒーカップに食器、調理器具まで揃っている。部屋を私物化しちゃいけないだろう。 生徒会役員として抗議しようとしたが、『幸村先生の許可は取ってます』の一言で防御されてしまった。あんな爺さんでも教師には違いないので、権力構造上何も言えない。 憮然として待っていると、ソーサーつきのコーヒーカップが差し出されてくる。
「それで、一体何があったんですか」 「なに、それを聞くためだけに連れてきたの?」 「こういう落ち着いた場所の方がお話もしやすいでしょう?」 「大して変わらないと思うけど…」 まあ別に話して困ることではないし、誰かとこの憤りを共有したい気分もあったので、かいつまんで話した。 『坂上が変な不良と付き合って仕事を蔑ろにしたので、男の方に別れろと言ったら別れた』…む、こう言うと何の問題もないな。 「そうですか。別れてしまったんですか…」 「なんだよ? 僕が間違ったことをしたとでも?」 「うーん、わたしからは何とも言えませんが、それでは何が問題なんですか?」 「…坂上がまだ引きずってる」 それはそうでしょうね、と言いたげに、宮沢さんは困った笑顔になった。 「時間が解決してくれますよ」 「ならいいんだけど。万一坂上に吹っ切る気がないとしたらと思うと、気が気じゃないよ」 「好きでい続けるつもりなのだとしたら、素敵なお話ですねー」 「相手によるだろ!」 「そこまで嫌わなくても…。少なくともその岡崎さんという方、あなたの希望通りにしてくださったんでしょう? それならいいじゃありませんか」 「そうだけど…!」 つい、テーブルを叩いてしまう。 コーヒーの中のクリープは渦を作り、元の液体の色は影も形もない。 「そりゃ僕は別れろと言ったよ。あいつと坂上は釣り合わないってさ。でもさ、そう言われたならむしろ奮起して釣り合う男になろうと努力するのが筋ってもんじゃあないか?」 「ま、まあそうかもしれないですね」 「なのにあの岡崎とかいうヘタレ男は、坂上と別れた途端に元の怠惰な生活に逆戻りだってさ! 遅刻はする、三年生なのに進路相談にも出ない、当然まともに勉強なんかしてない、もう呆れてものも言えないね!」
ぜえぜえ…と息を切らせてから、一気にコーヒーを飲み干した。 要するに僕が最も憤っているのはそこらしい。 坂上が、あんな男のために悩んでいるのが許せない。あんな何の努力もせず、別れた途端にさっさと坂上のことを忘れ去るような野郎を、なんだって坂上が気にかけなければいけないのか。 「坂上は一体あの男のどこが気に入ったんだ…」 「まあまあ、恋の形は人それぞれですから」 取り乱す僕にも動じることなく、宮沢さんは変わらぬペースでカップを傾けていた。 「きっとその岡崎さんという人にも、他からは分からない良いところがあるんですよ」 「これっぽっちもそうは思えない」 「まあまあ」 さらに何か言おうとする彼女だが、昼休み終了のチャイムが鳴ってしまった。 どうもこの部屋にいると、時間の経過を忘れてしまうようだ。 「残念です。また来てくださいね」 「もういいよ。君のことだから『その岡崎ってクズですね!』なんて同意は絶対にしてくれないんだろうし」 「あはは…でも、来てくださいね。コーヒーを用意して待ってますから」 何でそこまで親切なのやら。 僕は軽く肩をすくめて、ごちそうさまを言ってから資料室を後にした。
当の会長はといえば表面上は何も変わらず、今日も熱心に仕事をしていた。 「うん、なかなかいい色合いじゃないか」 再提出のポスター案を誉められて、役員は嬉しそうに顔を綻ばせる。 「ありがと。でもなーんか、印刷すると画面通りの色にならないのよね。プリンタが安物だからかしら」 「というより、光の三原色とインクの三原色は違うからな」 そう言われた相手はよく分かっていないようだったので、つい僕が口を挟む。 「パソコンの画面、つまり光の三原色は赤青緑で、絵の具やインクは赤青黄なのは知ってるだろ。正確にはマゼンダ・シアン・黄だけど」 「それは聞いたことあるけど…」 「うん」 その通り、というように頷く坂上。 「光の三原色を混ぜると白になるが、色料の三原色を混ぜると黒になる」 「なぜなら、光の色とはその光自体の色だが、物体の色とは『物体に一部吸収された後、吸収されずに残って反射した光の色』だからだ」 「バナナが黄色く見えるのは、青の光を吸収しているから」 「光を混ぜると全ての波長を含む白色になり、色料を混ぜると全ての光を吸収するので黒くなる」 「プリンタは違う三原色で画面の色を近似しているだけだから、どうしても多少の差はあるんだ」 「…ふーん。何となくわかったような」 役員は何となく納得し、僕も満足して自分の席に戻った。 見ろ、坂上についていけるのは僕くらいじゃないか。 まあ無駄知識で自慢するのも何だけど、少なくともあの岡崎とかいう馬鹿男には今の会話はついてこれまい。 あらためて、視界の端で彼女を見る。 昨日は原色と言ったが、むしろ白色なのかもしれない。全ての原色を含む色。 何もかもを持ち、なのに純粋でひたむきで真摯な坂上の色。 だからこそ、余計に黒い染みが目立つのだ。
数日は資料室に行くこともなかったが、しばらくして不快な事態が起こった。 昼休みに学食に行こうとすると、玄関からあの岡崎が眠そうな顔で歩いてきたのだ。今頃登校してきたらしい。 (おい…もう昼だぞ) 頭に来た僕が、嫌味の一つも言ってやりたくなったのは至極当然といえるだろう。 「随分と余裕あるんだね。とても三年生とは思えないよ」 「…うるせぇよ」 こちらを睨み付けて、さっさと行こうと――僕から見れば逃げていこうとする背中に、さらに言葉を投げつける。 「あんたさあ、この場所がどこだか分かってんの?」 「……」 「進学校なんだよ。勉強する場所なんだよ。勉強する気も努力する気もないならとっとと退学しろよ。見苦しい!」 「テメェ…!」 振り向いた岡崎に、胸ぐらを掴まれ持ち上げられた。 今までもこうして自分より弱い奴を脅してきたんだろうが、そういつでも通じるものか。脅えるかわりに、思い切り侮蔑の目を向けてやる。 効果がないと分かると岡崎は手を離し、睨むだけ睨んでさっさと行ってしまった。 (けっ。ヘタレ野郎め…) 殴ってくれればそれを理由に退学にできたかもしれないのに。そこまで上手くはいかないか。 (………) …我ながら、精神がささくれ立ってるな。 自然と、足があの部屋へ向く。別に癒されたいわけじゃないが、コーヒーでも飲ませてもらえば気分も落ち着くだろう。
宮沢さんはいつもの人当たりの良さで歓迎し、コーヒーを淹れ、怪しげな本を勧めてくれた。 「おまじないなんてどうですか? とっても効くんですよ」 「一人、呪い殺したい奴がいるんだけど」 「穏やかではありませんねー」 「まあ、冗談だけどさ」 でも本当に人形か何か渡されたら、『岡崎しねえええ!』と叫びながら釘を打つくらいはしたかもしれない。 「まったく、なんで坂上はあんな奴を…」 コーヒーをすすりながら同じ愚痴を繰り返す僕に、宮沢さんは相変わらずにこやかに言った。 「本当に、坂上さんのことが好きなんですねぇ」 危うくコーヒーを吹き出しかける。 「…そういうこと、さらりと言わないでくれる?」 「あはは。気をつけます」 「断っておくけど、好きだの嫌いだの低レベルの話じゃないんだよ。ただ坂上ならもっと高みへ行けると…」 …こう言うと『それは勝手な理想を押しつけているだけだ』と思われそうではある。実際多少は自覚している。 でも、あいつにそれだけの素質があるのは本当だから…。 「…坂上ってさ」 「はい」 「色に例えたら、何色だと思う?」 ちょっと聞いてみたくなって、そんなことを口にする。 「それはやはり白…でしょうか。あの人は、純粋ですからね」 「だよな」 彼女の目にも、そう写るようだった。裏表のない坂上は、誰の目にもその色に写るのかもしれない。 「それでは、わたしは何色だと思いますか?」 「宮沢さんが?」 「はい」 いきなり返されて言葉に詰まる。眼前の、無垢に微笑む同級生は…
「やっぱり白…かなぁ」 我ながらイメージが貧困のような気もするが、それ以外に思いつかない。 「あはは。さすがにそれは思い違いですよ」 「なんで?」 「だってわたしなんかが、坂上さんと同じ色のわけがないじゃないですか」 謙遜、坂上風に言えば卑下なのだろうが、まあ言われてみれば、この二人はあらゆる面で対照的だ。 坂上は剛で宮沢さんは柔。 坂上は何でも正直に、自分の思うところへ突き進んで。宮沢さんは――。 「宮沢さんは――いつもそうして笑ってるんだな」 「はい?」 唐突に妙なことを言われても、彼女はやはり微笑んでいた。 「同じクラスになって二年目だけど、君が怒鳴ったり、苛ついたりしているところと見たことがない」 「そう…ですね。そうかもしれません」 生来のんびり屋ですからね、と言う宮沢さんの笑顔は、もうそれで固定されてしまっているようだった。 何故だか少しだけむかむかする。 この人は周りを助けてばかりで、誰かに助けを求めることはあるんだろうか。 (しばらく前に兄を失ったというのは、噂で聞いているが…) 「それで、これからどうするんですか?」 話を逸らすように、宮沢さんはそう尋ねてきた。 「どうと言っても…どうにも」 「その岡崎さんのことを認めてあげる、という道もありますけど」 「それはない」 「あはは…。言い切っちゃうんですね」 とはいえ、こうして愚痴るばかりなのも情けない。 僕にできることといったら… 「坂上さんなら、真剣な気持ちは真剣に受け止めてくれると思いますよ」 見透かされたようにそう言われた。 「…かもね」 相手の欲しい言葉を言ってくれる。 結局、宮沢さんはどこまでもそういう人なのかもしれなかった。
放課後の生徒会室。 役員たちが帰った後、坂上と二人きりになるのは簡単だった。いつもこいつは、最後まで残って仕事をしていくからだ。 夕陽の中で、赤く染まろうと坂上は坂上であり、その存在感は確として揺るがない。 「うん、これで準備は終わりだな。そろそろ帰るか」 「ああ。ところで坂上――」 「うん?」 実を言えば、あの日宮沢さんと話してから三日が経っていた。 岡崎にはあれだけ言いたい放題言えたのに、坂上には言えないとは情けない。だから今日こそはと決意してきた。 …これでまた、彼女に嫌われるとしても。 「もう、あの男のことは忘れろ」 坂上は黙って、真っ直ぐに僕の目を見ていた。 気圧されそうになりながら、必死で用意してきた言葉を続ける。 「あの岡崎とかいう最低男が、お前のために何か努力をしたか? お前が想ってるほどあいつはお前を想ってるのか? そう仕向けたのは僕だけど、でもその程度にしか想ってなかったから、あの男は逃げ出したんじゃないか――」 なのに今のお前はまだあいつを想ってて、そんなのあまりにも報われない。 …それは余計だと思ったから、口にはしなかったけど。 「もう、あんな奴のことなんか気にするな。お前にはいくらでも輝く世界がある。それに比べれば、あの男は単なる汚点だ。あんな奴、お前の好意を受ける資格なんかないんだ…!」 坂上は―― 微笑んでいた。 「お前は本当にいい奴だな」 開いた口が塞がらなかった。 嫌われるのを覚悟して言ったのに、 「いつもそうやって、私のことを真剣に気にかけてくれる。お前にとっては一文の得にもならないのにな」 「い、いや――それは」 真面目に言われて、気恥ずかしさがこみ上げてくる。僕こそ、そんな風に言ってもらう資格はあるのか。 でも坂上は坂上で… 陽が落ちていく中でも、その色は変わらないまま一点の染みもなかった。 「だから私も、せめて正直に答えようと思う。嫌だ。絶対に忘れない」
「あーゆー奴だよ、あいつはなっ!」 静かな資料室は、僕のせいで最近騒々しくなってばかりだ。 「結局僕なんかが何を言ったって、あいつは生き方を変えたりしないんだ。全く強情で、一途で、前しか見ないんだから…」 苦笑する宮沢さんの前で愚痴りながらも、どこかこの結果を予想していたような気もする。 坂上の強さは、僕が一番よく知っていたのだ。 強烈な白色光に、多少の色を加えたところで意味はないって。 だから… だからあいつなら、あの岡崎とかいう駄目男すら、いつかは更正させてしまうのではないだろうか。 「…まあ、とりあえず僕も気が済んだよ」 「それなら良かったです」 「色々とありがとう。もうここへ来ることはないと思う」 「そうおっしゃらず、また気が向いたら来てくださいね」 気が向いたらね、と答えはしたが、そんな時が来ないのは自分でも分かっていた。 部屋を出ていこうとして、出口の所で振り返る。 「宮沢さんの色は、やっぱり白だと思うよ」 「こんなにも坂上さんと違うのに?」 「白にも2種類あるんだ。色光の白と、色料の白」 それだけで、宮沢さんは十分理解したようだった。 色料の白。それは全ての波長の光を反射するということ。 誰にでも優しく微笑み、手を差し伸べ、望む答えを与えて… けれどその内面には、決して光は届かない。その前に反射してしまう。 「いつか、僕なんかよりもっと強い光が当たるといいね」 「そうですね」 最後に微笑む宮沢さんは、やっぱり完全な白色に見えた。
* * * 彼が来なくなってからも、わたしの毎日は変わらなかった。 資料室で一人待ち、たまに来る客には飲み物を出して、話を聞く。 みんなが喜んでくれる限り、この毎日は変わらない、変わらなくていいけど… 「たのもう!」 いきなりそんな、場違いの声とともに彼女が現れたのは、そろそろ夏が始まる頃だった。 しかも威勢良く来た割に、入口のところで逡巡している。 「え、ええと…。入ってもいいだろうか」 「はい、もちろん大歓迎ですよ。いらっしゃい、坂上さん」 立ち上がり、椅子を引いて招き入れる。 「来てくれて嬉しいです」 「あ、ああ。本当は前から来たいと思ってたんだ。…でも、宮沢さんは私の過去のことを知ってるから」 「人づてですよ」 「それでもだ」 彼女の顔が少し陰る。この人にも色々あったのだ。最初から純粋な白色だったわけじゃない。 「でも、来てくれましたね」 「そうだな…。自分が傷つくのを承知で、私に直言してくれた奴がいたんだ」 わたしには少しだけ、心当たりがあった。 「言った内容はともかく、その勇気は見習いたかった。だから私も、もう逃げるのはやめようと思う。宮沢さん、実はっ!」 「は、はい」 テーブルに身を乗り出して、ずいと顔を近づけた坂上さんは…
「その…宮沢さんはとても女の子らしいから、内心密かに憧れていたんだ。こんな私で良ければ、友達になってもらえないだろうか!」 そう一気に言って、私は目をぱちくりして、そして思わず吹き出してしまった。 「笑うことないじゃないか…」 「ご、ごめんなさい。いえ、おかしくて笑ったわけじゃないんです。ただ坂上さんは、どこまでも真っ直ぐなんだなぁって」 色光の白。本当、彼の言うとおり、この人は光そのものだ。 こんな風な笑い方は、兄を失って以来では初めてかもしれない。 この人なら、わたしを照らしてくれるのかもしれない。 「喜んで、坂上さん。どうか、わたしと友達になってください」 破顔する彼女と握手した。 もうすぐ夏が来て、世界の色彩が最もはっきりする頃に、わたしも少し変わるかもしれない。
0はさすがに、と久しぶりにキーボードに向かってみました。 誰彼で、『ある暑い夏の日に』 3レス程度かと。
じりじりと照りつける太陽の下、磯の水溜りに身をひたしながら老人と若者は過ごしていた。 「まだまだ夏は始まったばかりだというのに、今年は暑いなあ。」 「本当、うんざりしますね。まあ、そのおかげで食事が美味しくなるんですけど。」 穏やかな夏の日。これからさらに暑さが増していく昼前の磯は、波の音が聞こえるのみで、ゆったりとしている。 「いやいや、そう言ってばかりもいられないぞ。この夏もまだまだこれからだ。私が若い頃にも一度、今年のように どうしようもなく暑い年があってね。その年は大変だった。あまりの暑さに磯の青海苔や海草はみな焼けてしまっ てね。食べていくのさえも大変だったよ、あの年は。今の季節からこの暑さというんじゃ、今年がそうなるんじゃ ないかと不安になってしまう。」 「はあ、そんな年があったんですか。私はそういう経験をしたことがありませんから、よくわかりませんけど。」 「何にせよ、無事にこの夏が終わってくれるといいな。」 「何を言ってるんですか。夏は始まったばかりだ、とさっき自分でおっしゃったばかりじゃないですか。」 「まあ、な……。」 雑談を楽しみながら、二人はゆっくりと食事を口にする。ぎらつく太陽の下で味わうそれは、今が夏であることを なお一層感じさせる、爽やかな味わいだった。 「……その年は本当に暑くてねえ。それだけじゃなく、嫌な年だった。いや、何があった、というわけでもないんだ よ。ただその夏は、嫌な感じのする奴がこの辺りをうろついていてね。思い出すだけで吐き気がするような、ピリ ピリした雰囲気がこの一体を覆っていた。」 「はあ……。」 「……そろそろ私は日陰に入ることにするよ。これ以上潮が引いたら、私まで干上がっちまうからね。」 「そうですか。私はここに居ますよ。また潮が満ちてきたら、お話を聞かせてくださいね。」 「ああ。まあ、嫌な感じがしたら、じっとしていることだよ。私らに出来ることなんて、それくらいだからな。」
老人が去り、一際増した静けさの中、波の音と自分の食事の音だけが響く。 「嫌な感じ、か。」 実感は湧かないが、自分よりもずっと経験が豊富な老人がわざわざ言うのだから、何かあるのだろう。でも、ただ 暑いというだけでそうそう異変が起こるものだろうか。去年との違いといえば、多少暑いことくらい。そんなに気に しなければならないようなことなのだろうか。食事が満足に取れなくなるかもしれない、ということは気になるが。 まあ、考えても仕方ない。なるようになるだろう。 ひとしきり考えを巡らせた後、若者は食事に集中することにした。 ――その感覚は、突然に来た。 チリチリと神経を焼かれるような感覚。敵ににらまれたときなどとは違う、しかし致命的な何かをもたらしそうなも の。どこから見られているのかはわからない、だが確実に自分を視界に捕らえ、舐めるように見つめられているとしか 思えない。 それまで口にしていた食事の味など、一瞬でわからなくなった。 『嫌な感じ』 老人の言葉が思い出される。今ならわかる。これこそが、老人の言っていた『嫌な感じ』というものだろう。 ただ、得体の知れない恐怖だけが身体を支配した。身をすくませ、ただただその『嫌な感じ』が通り過ぎてくれるこ とを祈った。
「あ〜っ!みっけ〜っ!!」 「ほんとだ〜っ!」 磯に月代と夕霧の声が響いた。 「でも小さいのだったよ。」 「どうやって見つけたんですか?」 そうは言いながらも、夕霧の手にはしっかりとあめふらしが乗せられている。 「……勘だ。」 「へえ、凄いね蝉丸!!」 「やっぱり蝉丸さんも、子供の頃はあめふらしを触るのが好きだったんですか?」 「そんなのが好きなの、夕ちゃんだけだよ〜。」 「そうかなあ……。」 「ねえ蝉丸、次はどの潮溜まりに居そう?」 「そうだな……」 夕霧があめふらしを潮溜まりに返すと、三人は次のあめふらしを求めて歩き去っていった。 若者はただただ呆然としていた。 一体、あの感覚は何だったのだろうか。わからない。しかし、確かに見られていると感じたし、実際にその直後に人 に見つかった。カサゴににらまれてすくみあがった時のことなど比ではないほどに、恐怖を感じた。生命の危機とはま た違う、それどころかそれを上回るほどのものだった。 今は、その感覚を直接感じることはない。しかし、既に心にはしっかりと刻み込まれてしまっている。 暑い、というだけで思い出してしまうと言っていた老人の言葉。きっと老人も同じような感覚を味わい、そして忘れ ることが出来なくなってしまったのだろう。心を捉え、二度と放すまいとするあの恐怖を。 無意識のうちに身を守ろうと出した紫色の煙幕が揺れる潮溜まりの中、若者は思った。自分は一生、この感覚を忘れ ることはできないのだろう、と。そして老人のように、暑さを感じるたびに思い出さずにはいられないのだろう、と。 夕暮れ。 再び潮が満ちてきている。 潮溜まりの煙幕は既に波に洗い流され、澄んだ水に戻っている。 しかし若者の心は紫色によどんだまま、なかなか清澄にはならなかった。
2レスほど投下します。 ONEで、『みさきと世界と色』です。
今日の浩平君は、いつもの明るい浩平君とは違っていたと思う。 「みさき先輩はさ……っと、ごめん、やっぱりなんでもないよ」 放課後の屋上で突然こんなことを男の子に言われて、気にならないわけないよね。 「うー、浩平君のいじわる。そんなこと言われるとかえって気になるんだよ」 「いや、言いかけて、悪いなぁと思ってさ。ホント、なんでもないんだ」 浩平君がこんな風に戸惑うのは珍しい。 「浩平君ウソついてるよね。今日はカレー屋さんでご馳走してくれるのかな?」 「うっ、いや、その……」 「私が本気を出せば、お店買い取ることになっちゃうかもよ?」 「そ、それは…でも……」 あれ。冗談も軽く返されると思ったのに。 さすがの私でも心配しちゃうよ? 「何言っても怒らないから、何でも言って欲しいんだよ」 浩平君が悩むなんて珍しいから、ちょっとお姉さんぶっちゃったりして。
「うんと、その……みさき先輩の世界には色があるのかなって、ふと思ったんだ」 「色?」 よくわからなくて、ただ同じ言葉を返しただけに。 「あ、いや、先輩は目がその、見えないってことはさ…ずっと真っ暗なのかなって思ってさ。やっぱそれってすごく寂しいだろうなって。つい聞いてみたくなっちゃったんだけど……ホントごめん。気分悪くしたかな」 あぁ、そういうことか。てっきり浩平君自身のことで悩んでると思ったのに。私のことで悩んでくれてたんだね。 「ううん、心配してくれてありがとう、浩平君。うん、確かに真っ暗で見えないし、やっぱり学校の外を歩くのは怖いんだけどね。そのかわり、ちゃんと感じることはできるんだよ」 こんな風に浩平君が気遣ってくれるのが嬉しくて、私は少し感傷的になったのかもしれない。 「たとえばほら」 そう言って浩平君の頬に触れる。 「こうすれば、浩平君を感じることができるんだよっ」 「んっ」 浩平君の息遣いを追って、唇に軽くキスをした。
「それにね、私がいつも屋上(ここ)に来てるのは」 「夕焼け?」 私が言い切るより先に浩平君が繋いだ。 「うん、その通りだよ。こうして夕方、屋上に来るとね、いつもあっちからの風を受けて、むこうからの光を感じられる」 何年も前から変わらない情景。この場所は夕方になると必ず南から風が吹いてくるということを、昔先生から聞いたことがある。 「そうしてると思い出せるの。何年も前に見た、綺麗な夕焼けがね。そのときだけは、私の真っ暗な世界が、真っ赤な世界に変わって、本当に綺麗な赤を感じることができるんだよ」 いつもは心細くて仕方ない世界だけど、その分だけ夕焼けの美しさを私は知っていると思う。 「でも、私が知ってる世界は本当に少ないんだよね。きっと、浩平君の世界の半分の半分の半分も知らないんだと思う」 「……みさき先輩」 「でも、これから浩平君が教えてくれるんだよね」 ぎゅ。 返事の代わりに、浩平君は私の手を強く握ってきた。 これからの世界に少しの不安と、たくさんの希望を渡してもらったみたいだった。
3レスほど投下します。 雫で「ぬくもり」です。
もしかして。 もしかして。 …もしかしたら。 ドアノブを握り締める右手に自然と力が籠もる。 トク、トク、トク。 心臓の鼓動が身体に響く。 少し気を抜いたら、空へと浮かび上がってしまいそうな昂揚感。 ここにくる時の僕はいつもこうだ。 気が付いたら、それを期待してしまっている。 汗で滑るノブをしっかりと掴んで、僕は重い扉を押した。 ギギギ…と重苦しい音を立ててドアが開くのに合わせて、 初春の冷たい風が踊り場に入り込んできた。 と、咄嗟に目をつむった。目の中にゴミが入ったらしい。 僕はそのままドアを押しやって体を外にすべらせた。
心地いい風が吹いていた。 あと少しすれば、この屋上も桜の匂いでいっぱいになるだろう。 その頃にまた来たら、きっと確めてみようと思う。 僕はそっと目を開けた。 がらんと広がる屋上の空間は網目が斜めに張り巡らされたフェンスで囲まれていて、 その隅っこのさらにてっぺんに、古ぼけたアンテナが一つ寂しそうに立っていた。 いつもと同じ、見慣れた光景だった。 安心したのとがっかりしたのが一緒に僕のもとにやってきて、なんだか笑ってしまった。 やりきれないものが胸の中からこみ上げて、おかしくもないのに口元が緩んでしまう。 そして、あんまり汚れてない場所を探して適当に寝転がる。 流れていく雲をのんびりと眺めて、気が付いたらため息をついている。 それもいつもと同じだった。
あれからどれくらい経ったんだろう。 もう何年も昔のような気がするし、昨日起こった事のような気もする。 だけど僕は、絶対に忘れない。 瑠璃子さんが残した電波のかけらをここに来ればすぐに感じることができる。 そしてそれは、僕に僕のぬくもりを与えてくれる。 独りで生きている限り感じることができなかったぬくもりを。 僕が見ているのと同じように、雲ものんびりと流れている。 背中が少し冷たいけれど、あたたかい気持ちに包まれている。 二人の電波が絡みあって、あの夜に似た空間を作るから。 だから、少し寂しいけれど、寒くはないんだ。 ――ねえ、見えるかな?瑠璃子さん。 ――空が青いよ。 ――ほら、こんなに。
延長希望の方はいらっしゃいますか〜
>>509 今から4レス分お願いします。
AIRで『初夏』です。
夏の初め社中の湿度は本番には及ばぬものの蒸し暑く、只でさえ気難しい姫君の機嫌は益々悪くなるばかり。 現なりし今も高貴なる身分は忘却の彼方、肌着以外全て脱ぎ捨てられる御姿を嗚呼女房が目にすれば、 忽ち社殿は喧騒豊かになること請け合いである。 しかし、そこはそれ姫君の知恵も然したるもの。衝立屏風で御姿を隠し畳に抱擁する始末、女房が世話役に入りし折も、 「裏葉以外は通るでない」 などと申されては御殿女中を困らせている。 年長の女房も祟りを恐れる余り進言すること在らず。姫君の我侭に拍車が掛かり、 読み書きすらも未だたどたどしく、諳んじることなかれ。 「ああ、裏葉殿。裏葉殿」 弱り果てた女房は社中を隈なく探し件の女官を見つけ出す。 さて、この裏葉と申すうら若き女、社殿の中でも新参者。 高潔な翼人神奈備の社殿ではあるが、所詮は辺境の土地。手柄の数よりも釜の数である。 どのような鳴り物入りであろうと、斯様な者が順序なく御側に仕えられるほど世の中上手く働かないのが常時であるが、 斯く斯く云々、成る程成る程、お任せくださいと裏葉は笑顔で会釈する。 僅か半年足らずで直に神奈備命の世話を許される功績、大した女官と言う他なかった。 「裏葉殿、してその手に持つものは?」 「万葉集全二十巻でございます。神奈様のお心を豊かに出来まする一品なれば」 と、女房の疑問であった何処で如何様に手に入れたかは不確かなまま、踵を返した。 「御待ちくださいませ、神奈様。裏葉はすぐに参ります」 上機嫌で鴬張りの廊下を――何故か音も立てず、裏葉は歩いていった。
寝所は見るからに混沌、やんごとなき身分の御方にあるまじき姿に裏葉は眩暈を覚えた。 衣服を畳む事を知らずは姫君の所業、これ仕方なしと裏葉も考えるのだが、あまりの体たらくに「嗚呼」と声を上げ、 床に倒れるのは致し方なしこと。倒れた拍子に万葉集の巻き物が姫君の頭に落ちるもまた肝要。 「あらあら。まあまあ。どうしましょう、どうしましょう」 むくりと起き上がる姫君だったが、 「この無礼ものが……ぬぐぐ!」 怒声を上げる間もなく、裏葉に抱き込められる。 「ああ、神奈様、神奈様、しっかりしてくださいませ」 「は、はな、せ……無礼……もの、息が……出来ぬ、わ……」 しかしここぞとばかりに裏葉は露になった姫君の肌に手を這わし大喜び、否、大慌て。 姫君は翼人。背には純白の羽が携えられている。これこそ神の使いの証であり、 社殿の者が畏怖する対象であったが、裏葉に掛かれば無響鈴や巫女装束と何ら変わりない、 姫君を彩る装飾品のひとつに過ぎなかった。可愛い可愛い、と母のように姫君を抱き締める。 「く、苦しいと言っておるであろう!」 裏葉をぐいっと押し退けて姫君が叱咤した。 よよよ、と白々しく目尻に着物の袖を寄せて泣き崩れるが、 ここで仏心を出し隙を見せるとまた抱き締めてくることは姫君もお見通しである。 「ええい。気に喰わんのは余の格好であるか。裏葉はもう少し話の分かるやつと思っていたぞ」 「お願いですから神奈様、寝所とは言え破廉恥な真似はお止めくださいませ」 「……裏葉にだけは言われたくないのう。して」 眼を床に散らばった巻物に合わせて、 「この不届きな巻物は何だ? 釜戸に放るにしても風呂の焚きつけにするにしても、ここに置くでない」 「万葉集、一具にございます。神奈様のご機嫌麗しければ、手習い事などひとつ」 「むっ。確かに和歌のひとつも詠めなければ、恥であるのう」 裏葉は目を輝かせて、 「神奈様も同じ心持ちとはこの裏葉感激の至り。時が惜しいとはこのことです」 「う、うむ。しかし、何だか嫌な予感がするぞ……」 姫君の予感は的中。 三日後の朝餉が雅な香りに包まれることになるのを裏葉は知る由もなかった。
後日、懲りもせず古今和歌集を手配しようとした裏葉を見つけ、 姫君は大層取り乱し、「裏葉にだけは習いとうない」と啖呵を切るにまで至った。 差しの裏葉も流石に無理強いすること叶わず、今回の習い事はご破算。 泣く泣く姫君に白旗を上げることになる。 とは言え、姫君の見識を広めることを裏葉は諦めた訳ではなかった。 神奈様は飽きが来るのが早い、と見極めた裏葉は読み書きよりも先に、 母が幼子に物語を聞かせるように、為るべく姫君の興味そそりそうな事柄を話し聞かせることにした。 「海? 海とは何だ?」 「とてもとても大きな水溜りでございます」 「水溜り? 森の奥の湖よりも広いのか?」 「はい、比べるのならば、この空と比較しても何ら遜色はありません」 「なんと。空と同等の水溜まりだと? そのようなでかいものがあるとは。世の中は広いのう」 裏葉の狙いは遠からず。 社殿の中が全てであった姫君の白亜の心を豊かにすることが徐々に出来ている。 後々、今昔物語、宇治拾遺物語を語り聞かせ、源氏物語に移行し和歌の素晴らしさを語り、 男女のいろはを教えるのはさぞ趣深いことだろうと微笑する。 「海か、一度はこの目にしたいものだ」 その姫君の一言で夢想していた裏葉の意識が戻る。 思慮が欠けていたのではないか、と裏葉は胸を痛ませた。 使える主は、まさに籠の中の鳥。自由に飛び立つための翼を広げることも出来ぬ箱庭にある。 海や富士を語り聞かせたところで見る術などない。 でも、いやしかし、と裏葉は思案する。 『――神奈様が望むのならっ!』 だが、言葉にすることは躊躇われた。今、自身に姫君を連れ出すこと叶わないことくらいは理解している。 足は達者との自信はあるが、姫君の眼は海よりも遠くを見ているのだ。 海。海とは母を指す示す言葉である。だから。
「……今のは戯言だ。聞き流してくれ」 「神奈様」 悲哀の情に溢れた御姿を見ることは憚れる。 「大丈夫でございます」 「ふ。何がだ? まさか社から出ることか? 悪い冗談であるぞ」 「無論、冗談などではありませぬ」 言うが早いか裏葉は姫君の横にそそくさと寄り尻を撫でる。 声に成らぬ声音を上げて姫君は裏葉を睨み付けた。 「あらあら。矢張り、可愛いお尻ですね」 「な、何をするか!」 「お尻を撫でたのです」 「事も無げに言うな。何故にそのような無礼を働いたのかと訊いておる!」 「可愛らしいからです」 裏葉は迷い無き眼で真摯に主に向けて言葉した。 「神奈様のような可愛らしい女子を、社殿に閉じ込めて置くような殿方などおりますまい」 「……それと尻を撫でることがどう繋がる?」 「無論、何時の日か姫を攫いに来る勇ましい殿方が社殿に訪れるということ」 「……は?」 「古今東西、美しい姫君を救いに来る殿方の物語は山ほどありますわ、神奈様」 夢物語は必ずしもそうではない。 平氏に打ち勝つ源氏の例もある。世の中、何が起きるか分からぬから面白いのだ。 たったひとりの女子が幸せになることに不都合などあるわけがない。 例えそれが翼人と呼ばれるものであったとしても。 「ふん、余を救いに来るうつけ者など居はしまいよ……」 いやいやそれこそ何を言っているのだ、と裏葉は口を尖らせて言った。 「神奈様、ご存じないのですか?」 “可愛い可愛い神奈様、英雄は色好むものなのですよ?” ―終―
>>515 受け付けました〜
他に延長希望の方はいらっしゃいますか?
いらっしゃらないようなので終了します。 では、終了宣言〜
一時はどうなることかと。 毎度はらはらさせるスレだなぁ。
感想いきますー。 ○白色光/白色料 この作品、すごく好き。 『色』という題材を目一杯使って構成され、それでも違和感なく仕上がっている。テーマの昇華が非常に上手いと思う。 原作で不満に感じた岡崎のヘタレっぷりをぶつけてくれたのが個人的に嬉しい所。生徒会の彼がいい動きしてる。 個人的な話を続けると、有紀寧が原作より萌えたw ○ある暑い夏の日に 原作やってなくて、最後の方の会話が誰の台詞かわからず…。 誰彼のプロローグみたいな印象を受けた。 ただ、全体的に色というテーマにはなっていないかと。 思い浮かぶ雰囲気は好きなのだが…。 ○みさきと世界と色 浩平が暗い、というかどこか幼く見えるのは、みさき先輩の明るさとお姉さんっぽさの現れなのか…。 それにしても浩平どうしちゃったんだ、という感じ。 テーマがぼかされていて、最後のシーンは「色」からは外れている。 ほんわかしたみさき先輩は好きなのだが…。 ○ぬくもり この流れでは空の青さに説得力がないし、無理矢理「色」に結びつけた感は否めない。 状況描写は好きなのだが…。 ○初夏 文体と相まって雰囲気が非常に好み。 物語の流れとしても自然で、テーマの落とし方もいい。 全体的にやはり『色』に困った様子。 そんな中で「白色光/白色料」と「初夏」がいい味を出していたように思えるが、前者の方がより『色』っぽかったので、こちらを最優秀に推します。
感想〜。「雫」「AIR」以外は未プレイなり。 「白色光/白色料」 最初タイトルを見たときは?だったけど、なるほどヒロインたちのことかー。 今回難しいテーマだったと思うけど、このやり方にはとても感心した。 登場人物について一通りの説明を付してくれてるのも、原作未プレイな自分にはうれしい。 恋愛ものだと思わせつつ、女の友情話に落ちるところがいかにも鍵っぽいと思った(w。 今回の最優秀に推薦します。 「ある暑い夏の日に」 これは原作を知らないと辛い。 もう少し説明があっても良かったかなぁ。 「みさきと世界と色」 みさき先輩はお姉さん属性だったのかーー!? 原作知らないからなんとも言えないけれど、これはこれで良い。と思う。 「ぬくもり」 典型的な雰囲気重視SS……こういうの好きだ。 長さもこのくらいが丁度いいかと。 屋上で空を見るということに、その空がとても青いということに、特別な感慨を覚える自分は、未だに雫FANなのだなぁと思った。 瑠璃子さんラヴ。 「初夏」 本編を踏まえた展開で誰にとっても安心して読める内容と思う。 ヒロインの描写もそれっぽく、なんというか、初めてsummer編をプレイしたときの雰囲気を懐かしく思い出した。 やっぱりこの二人は良いコンビだ。 1つ欠点を挙げるとすれば…… 上の人の感想とは逆に、自分は読みにくい文章だと思った。 最初読んだときは、これは果たして日本語なのだろうか?とさえ(w 確かに雰囲気は出てるけど……う〜ん。
522 :
名無しさんだよもん :05/03/05 18:30:54 ID:lxMFHWjs0
以上です。最優秀は「白色光〜」で。 最終日なんでageてみる。
わ、最終日なのにこんなに感想少ないと職人さん達は張り合いがないのでは…と余計な心配をしてしまう。 それともこれからドカンと来るのかな?では、及ばずながら自分も協力しますね。 えっと最初に言っておきますと、クラナドと誰彼はやっていないので、白色光/白色料とある暑い夏の日にの二つは読んでいません(ルール違反なら謝ります)原作やったらよみますので…。 みさきと世界と色 全体的に纏まっている感があって良かったです。お姉さんチックな先輩は○。先輩の心の中の夕焼けは綺麗なんだろうな…としみじみしました。
感想の締め切りが今日という事に、ついさっき気がつきました。 簡単ではありますが、感想を投下させて戴きます。 ○白色光/白色料 文章的には及第点。 読みやすい………とは言わないけど、読みづらくはない。 ただ、 >「? 別にいいけど」 この表現は、ちょっと判りづらい。 話としては、テーマに引きずられている印象を受ける。 その割には、テーマを消化しきっていないような。 ただ、起こっている日常を、実況放送しているようで、もう少し構想に 時間を掛けて見た方が良いと思う。 ○ある暑い夏の日に テーマが薄い〜。 前半部分だけ読むと、テーマが『海』か『夏』に思えてしまう。 短い文章だけに、目立つんだよね。 あと、作者がこの作品を通して何を言いたいのかが判りづらいかな。 ○みさきと世界と色 見えない色を想像させる。 正直、意表を突かれた。 短い文章にもかかわらず、序文から結末まで綺麗にまとまり、話の意味も深い。 良作だと思う。
感想の締め切りが今日という事に、ついさっき気がつきました。 簡単ではありますが、感想を投下させて戴きます。 ○白色光/白色料 文章的には及第点。 読みやすい………とは言わないけど、読みづらくはない。 ただ、 >「? 別にいいけど」 この表現は、ちょっと判りづらい。 話としては、テーマに引きずられている印象を受ける。 その割には、テーマを消化しきっていないような。 ただ、起こっている日常を、実況放送しているようで、もう少し構想に 時間を掛けて見た方が良いと思う。 ○ある暑い夏の日に テーマが薄い〜。 前半部分だけ読むと、テーマが『海』か『夏』に思えてしまう。 短い文章だけに、目立つんだよね。 あと、作者がこの作品を通して何を言いたいのかが判りづらいかな。 ○みさきと世界と色 見えない色を想像させる。 正直、意表を突かれた。 短い文章にもかかわらず、序文から結末まで綺麗にまとまり、話の意味も深い。 良作だと思う。
○ぬくもり 今回のテーマは『雫』を題材にした話が多いと思っていました。 私自身、時間がなくて書けなかったけど、『雫』の話が頭に浮かんでいました。 空の青。 雲の白。 溶鉱炉のような夕日の赤。 そして………瑠璃子さんの瞳の色。 シーン毎に印象に残る色がとても多くて。 ……さて、この話の感想ですが、一つ前の『みさきと世界と色』と話の雰囲気は 似ています。 しかし、構成仕方はコチラの方が甘いかな。 >――空が青いよ。 この文章は、話の中間くらいに持って来た方が良かったと思う。 テーマは色なんだから。 ○初夏 >“可愛い可愛い神奈様、英雄は色好むものなのですよ?” どこで、テーマが出てくるのかと思ったら、そこで落としますか(笑) まず、文章。上手いです。 この手の時代小説物は、単語の一つ一つに気をつかう必要があり、 それを難なくこなしているところに文章力を感じます。 話はというと…………。 これ、もうちょっと短くても良いんじゃない(;´Д`) 最後のオチが、オチだからねぇ。
○総評 なんか最初の作品以外、 『投稿作品が少なそうなので、とりあえず書いてみました』 的な印象をどれも受けるんですが(笑) やっぱり、テーマが漠然として書きづらかったでしょうか。 最優秀作品 該当なし 佳作『みさきと世界と色』 書き手の皆様、今回もお疲れ様でした。
コピー、ミスった………_| ̄|○
蔵は遊んでません。よってその分の感想はパス。
>>495-497 ある暑い夏の日に(誰彼)
・」の直前に句点を添えるのは素人臭く見えるからやめたほうがいい。
特殊なファンタジーや歴史小説ならその限りじゃないけど。
・食事の献立がわかれば読者はもっと楽しめただろう。
旨そうな朝食が痕のシナリオに錦上花を添えていたように。
・たとえば磯を歩く凸と月代の素足のきめ細かさを描写すれば、
短いレスの中で作品の印象が大幅に増えるだろう。
ささいな創意工夫を加えることでジャンプアップするSSだったかな。
>>500-502 みさきと世界と色(ONE)
ちょっと悪名高いONE時代のいたる絵だが、立ち絵の豊富さなどはこれ以上の
作品をほとんど俺は知らない。たとえばみさき先輩の立ち絵は
・掌を後ろ腰に組んで背中を見せる構図。
・口許に手を当てて考え込んだりする構図。
・軽く胸を張ってにっこり笑ったりする構図。
・両腕を前にたらしてだらんと落ち込む構図。
・涙をぬぐう構図。
と基本パターンだけで5種類あり、それぞれに表情変化も猫の目だ。
それに比べて、このSSの先輩はどうもただ突っ立ってるだけって印象がある。
こんなの先輩じゃない、とONE現役信者として説教したくなる口を抑えられない。
>>505-507 ぬくもり(雫)
行間の空白のあけかたや風と雲の描写などに、こまやかな意思を感じる。
よく磨きあげられた小品、といえばいいのか。
……ぶっちゃけ、性欲を一度克服し電波の力を制御下に置くまでになった
トゥルーエンドの祐介に、「ぬくもり」というやや小市民的な関係性は似合わない気がするが。
でもまあ、そのあたりは雫という傑作への読者間の解釈の違いなのかもな。
>>511-514 初夏(AIR)
漢字が多すぎて読みにくい。ルビも振れず行間も狭い(ブラウザにもよるけど)2chでは、
書き手は本来の文体より、漢字の開きや改行を増量するのが原則だと思う。
内容もようするにコメディー風味なんだから、なおさら漢語の多用は適切でないのでは。
最優秀は該当作なし。
531 :
名無しさんだよもん :05/03/06 01:32:40 ID:W4pB8SdRO
>>523 の続き。
ぬくもり
雫ですか〜。なつかしいです。最初は色が出てこないなと思ってたんですが…空の青だったんですね。
ちと強引な気もしましたが、描写は良かったと思います。瑠璃子さんの居た屋上…せつない気持ちになりました。
初夏
やはり最初は文体に目がいきました。確かに雰囲気は良く出てますが読みにくい印象を与えてしまいますね…。自分は好きですが。
話は、二人の掛け合いが良かったです。ラストはやっぱ色と色気を掛けてるんですよね?なるほどと思いました。でも柳也には合わない様な気もしましたが…。
532 :
名無しさんだよもん :05/03/06 01:44:34 ID:W4pB8SdRO
>>531 の続き
長々とすいません。続き書いてる間に感想増えてて良かったです。
とりあえず全部読んでないので自分的最優秀作品は決められません…。
感想書くことが初めてなんで感想になって無かったらすいません。職人の皆さん、どうもお疲れさまでした。
【告知】 ただ今より4時間ほど前をもちまして、感想期間を終了させていただきます。 投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、 そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。 引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、 次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。 上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。 ※次回のテーマは『趣味』に決定しており、開催時期は 4 月上旬〜になる予定です。 ※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『白色光/白色料』
>>520 >>522 ということで、第三十三回の最優秀作品は『白色光/白色料』らしいです。
おめでとうございます。
訂正。
>>533 >※次回のテーマは『趣味』に決定しており、開催時期は 4 月上旬〜になる予定です。
4 月上旬 → 3 月中旬
ですね。
どうも、作者挨拶……といいますか、謝罪を。 お目汚しと呼ぶにも値しないようなものを公表という スレ内部のSSの質を低下させるような行為、 本当に申し訳ありませんでした。 最終日0時ごろ、いまだに誰も投下していないのを見まして、 それから「いっそ『枯れ木も花の賑わい』で」とプロットを練り始めておよそ3時間(含ゲーム発掘・プレイ時間)。 最初に出てきた案をそのまま突貫で書き上げ、誤字・脱字チェックだけをして投稿する、という暴挙でした。 このスレはほぼ完全にROM、最後に書いたのは第十四回『風』の回というくらい久しぶりの文章書き。 当初参加する予定など全くありませんでしたが、やっつけで見苦しいものをお見せしたこと、 どうもすみませんでした。 自身での講評。 内容としては、誰彼のゲーム内二日目午前中のイベントをアメフラシ視点で。 蝉丸が調整も兼ねて、仙命樹の力で一歩も動くことなくアメフラシを探してみせる話です。 おそらくそれなりに強烈な気配を伴うんじゃないかなあ、と……。 説明不足のため、誰彼本編をやったことがない人には何がなにやら全くわかりませんね。 自身の創作における発想の貧困さから某板レビュ書きという安住の地を見つけて逃げ出していたとはいえ、 久しぶりでも必要最低限の「誰が読んでも理解できるだけの説明」はできたはずだ、と反省しきりです。 加えて、テーマの扱いの軽さがまた、ひどいですね。 『色』と言われて最初に思い出したのが月代の「アメフラシは紫色の毒を出す」発言だったのですが、 アプローチの仕方にもっと別の方法があった、もっと『色』に意味を持たせられた、と悔いております。 時間を言い訳にするのが最も見苦しいのはわかっておりますが、 もっと前から参加することを念頭に入れ、準備しておけばよかった、と。
レス返し。
まずは、読んでいただいたことに対する感謝をまとめて済ませてしまう旨、事前にお断りさせていただきます。
私のような拙い文章を読み、かつ講評までしていただけたこと、ありがとうございます。
次回参加がいつになるかはわかりませんが、糧とさせていただきます。
>>520 氏
返す言葉もございません。
実際プロローグ的イベントそのままですし、『色』とは言いがたい内容ですし。
雰囲気だけでも楽しんでいただけたなら幸いです。
誰彼、今なら高くても二千円することはまずありませんし、
雰囲気と世界観・音楽・グラフィックはいいですからこれを機に!……と勧誘してみる(笑)
>>521 氏
くどくならない程度に説明を入れておかないと、未プレイの方には厳しいですね。
自分の中ではしっかり世界観が構築されているから、と説明を端折りすぎました。
申し訳ありません。
>>524 氏
描きたかったものは、原始的恐怖とでも言いますか。
己の表現力の拙さのみならず、描写そのものが薄いせいで全く描ききれていませんね。
もっと全体としての構成を練り直すだけの余地は十分以上にありましたね。
勉強して出直してきます。
>>529 氏
なぜ『――。」』となっているのか、私にもさっぱり理由がわかりません(汗)
普段だったらまずそういうことはしないのになあ。
食事の献立は……岩に生えた藻類だから、とあえて詳しい描写は省きましたが、
発想力を駆使すればなんらかのものを引き出せたのかもしれませんね。
「粗い」という言葉さえもおこがましいようなもので、どうもすみません。
もっと地力を磨いてきます。
拙い本文、見苦しい言い訳と、お目汚し失礼しました。
どうも、「ぬくもり」を書いた者です。
「そういえば今日は締め切り日、今回はどのくらい来てるのかなぁ」と
軽い気持ちでこのスレを覗いてみたのが寝惚け眼の午前4時。
…よく間に合ったと思います。
作品の解説を。
「雫」の冒頭、祐介は繰り返しの日常に辟易して「色」を失いかけています。
目に映るすべてが灰色に塗られた世界の中で、彼は瑠璃子さんと出会いました。
そして…ここから先は本編をやっていない方のために伏せますが、
結果的に、彼は自分の世界に「色」を取り戻すことが出来ました。
今回の作品では、「彼が得たものと失ったものの対比」を表現しようと試みました。
その舞台には、彼と瑠璃子さんとが出会った屋上を選びました。
お楽しみ頂けたなら幸いです。
レス返しを。
>>520 様
祐介が「色」を取り戻したことについての説明が不足していたかもしれません。
なるべく説明的なものを省こうとした結果、こうなってしまいました。
次回は気を付けます。
>>521 様
瑠璃子さんは好きです。でも瑞穂はもっと好きd
>>526 様
「雫」の中で数ある色の中から「空の青」を選んだのは、…ごめんなさい、理由はありませんw
もっと様々な「色」を作品の中に絡ませられれば良かったかもしれません。
また、
>この文章は、話の中間くらいに持って来た方が良かったと思う。
ということですが、最後まで話のサゲを判らせない構成を自分は好むので…
次回はそのような構成も考えてみたいと思います。ご指摘ありがとうございます。
>>530 様
「トゥルーエンド後の祐介は、どのような人間だろうか」というものがまず念頭にありました。
その問題に対する自分なりの解答がこの作品の祐介だと思っています。
落ち着いてしまったというか、優しくなったというか。
自分はそう考えました。
>>531 様
はい、みんなで切なくなりましょうw
また次の機会に、皆様に作品を提供できたら幸いです。
では失礼して、回線吊って首切ってきます。
_ ||
\\ ||
\\ ||
\\ −−―――─――─────────…‥
\\ ||
\\ ∧||∧
\ 〆> ∧_∧ ( ⌒ ヽ
>>539 ∠/⊂(∀’ ) ∪ ノ
ヽ(イ` )ゝ ∪∪
(_\ \
(__)
業務連絡です。
>進行役の引継ぎをお願いしたい件について
前回先送りした問題ですが、どんなもんでしょう?
私としてはそろそろ何らかの結論を出したいところです。
とりあえず
>>458 を再掲しておきますと、
>進行役のお仕事
1.期間の開始・終了を宣言
2.適宜告知age
3.投稿作品一覧を作る
4.最優秀選出
5.総括期間の司会
6.保管所の管理
手間がかかるのは、3番5番6番かと思います。
1番2番は、このスレの住人に代行してもらうこともできるし、
4番は手間かからないし。
全部の仕事を引き継いでいただけるならそれに越したことはありませんが、
一部のみを手伝っていただくということでも構いません(その場合残りの仕事は私がやります)ので……
引き受けて下さる方、いらっしゃいませんでしょうか?
>次々回テーマの提案を募集したい件について
こちらの提案もお待ちしています。
参考までに、前回までに提案されていた案は、
「島編」「星」「指」
あたりです。よろしくお願いします。
次々回は4月…新学期ということで、『新しい』というテーマはどう?
誰も名乗り出る人がいない場合、今回で解散……ということも有り得るか?
最悪の場合…はね。
流れを遮ってすみません。「白色光/白色料」の作者です。
感想及び最優秀ありがとうございました。
>>520 さん
朋也についてはアンチ岡崎スレを参考にしました(w。
ゆきねぇはテーマに合わせたのと、シナリオ前半で感じたイメージで
書いたのとで、シナリオ後半での描写とは多少変わってしまいましたが、
萌えていただけたなら良しということで。
>>521 さん
小学生の頃に「空が青いのは空気が青い光を散乱するから」という理科の
プリントを読んだのがなぜか印象に残ってまして、物理方面の切り口に
してみました。
説明については実は意識していませんでしたが、怪我の功名でした。
女の友情話大好きです(w。
>>524 さん
普通に「ん? 〜」等にしておけば良かったですね。
ご指摘通り、テーマに合わせるためにかなりこじつけが入ってました。
言われてみればあまり起伏もないですし…もう少しメリハリをつけないと
いけませんねー。
まだスレを続けたいという人がいるし、 3, 4 月の短期間ならやってもいいかな >進行役
総括期間終わるまでに、長期出来るという人がでなかった場合はお願いしたい
時刻的に宣言の類はできないけれど、 保管所の管理(HTML作成)くらいなら手伝えるかもしれない。 ログさえ採っておけばどうにかなるだろうから。 きちんと請け負える人が出なかったら、 これだけでいいなら手伝わせてもらうよ。
宣言の類は思い切って締め切りをやりやすい時間に変えてしまうというのはどうか そもそもマンドクセってなら仕方ないが
締め切りは、深夜0時丁度でもいいんじゃない? 朝の10時なんて、社会人には無理。
夜遅くに帰ってきてそれから寝ないで執筆する人も居るからなー 微妙。
仕切る人の都合でいいじゃない
>>551 >夜遅くに帰ってきてそれから寝ないで執筆する人も居るからなー
一日早く執筆しれ
>>553 全人類にそれが可能なら、夏休みの宿題は誰もが最初10日間で終わるはず。
ま、全人類じゃなくてコンペ参加者のみだし可能でしょ。 間に合わなかったとしてもこれっきりお蔵入りになるわけじゃないしね。 仕切る人の都合のいい時間でいいと思う。
人数少なくなってるから、SS書く人、感想を書く人、 都合をひとりひとり聞いていってもいいような気もする…… まあでも > 仕切る人の都合のいい時間でいいと思う。 これが一番いいかな。
> 仕切る人の都合のいい時間でいいと思う。 賛成。 なんにせよ、スレを続けられそうで良かった。
>>546 >>548 ありがとうございます。
>>548 さんは保管所の管理を引き受けていただけるとのことですが、
>>546 さんのご都合はどうでしょう?
差し支えなければトリップ付きでお返事をいただけませんか?
トリップつけますた。 >558 今までの進行役の役割(負荷)を分散させるという試みは面白そうなので、 548 氏が良ければ保管所の管理は任せたいな。
私はOKですよ。
>>559 >>560 それでは、そのような分担でお願いしたいと思います。
>>◆ofe8RX92rc さん
早速ですが、以降のスレ進行をお任せして構わないでしょうか?
急な話で申し訳ないかぎりですが……
>>◆AT4D7UpDws さん
保管サイトのパスワードをお渡ししますので、お手数ですが私のほう↓までご連絡いただきたく。
[email protected] よろしくお願いします。
司会進行役の◆2tK.Ocgon2氏本当にお疲れ様でした。現スレがあるのは貴方の尽力のお陰です。 そして、お引継ぎの御二方、コンペスレを改めてお願い致します。 と、言うわけで空気読みつつ、しかし何かタイミング悪く出遅れた『初夏』を書いたものです。 口頭は短く、作品解説というか簡潔に説明をば。 古典を現代仮名遣いにしたような文体で書きたかった、との想いありこの形になりました。 読み仮名を振らなかったのは、振るくらいなら初めから平仮名を使うべきだよな、との心の葛藤があり、 結局、まあいいか、と己のぐーたらさを象徴するかのようなエピソードを経て、 ぱぎゅーと、今回の不親切な文と相成りました。ゴメンヨ。 >現(うつつ)なりし、なんて反則の表現です。 >忽(たちま)ち、なんて普通平仮名でいいような気もします。 >衝立屏風(ついたてびょうぶ)、はセーフですよね? 他にも数多く漢字を使う必然がないものが見受けられますが、 全部を根気よく読んでくれた人は最後の方、“女子”を“おなご”と読んでくれたんじゃないかなって、 雰囲気に流されてそう発してくれたんじゃないかなって、妄想してにやにやしてます。 作品解説以上っス。いやまあ、時代考証に触れてないのは武士の情けでした。
>>520 >テーマの落とし方もいい
お褒めの言葉ありがとうございます。もう自分の中は『色』は『color』じゃあないんですよね。
『色魔』『色男』『色香』『好色』と列挙するだけでこんなにも色っぽい意味があり、
何と言うか日本語万歳と思うわけですよ。
>>521 >上の人の感想とは逆に、自分は読みにくい文章だと思った。
いやいや、実は古典苦手なんです。それどころか与謝野晶子の源氏物語すら10ページも読めません。
まあ色んな意味で実験作なわけですが、本当は古語でSS書こうとしてました。
『翼人伝』を本物っぽくを作るとか。いや、嘘です。出来ません。ごめん。
>>526 >これ、もうちょっと短くても良いんじゃない(;´Д`)
無理むり。俺の構成力が無理です(胸を張り)。……いや、無理のひと言で片付けるのは凡人だ。
仮にもあっしはSS作家もどき。期待に応えねば創作する価値なしだ。
「神奈様、お色直しといたしましょう」
「いや。めどい」
――無理でした!
>>530 >ルビも振れず行間も狭い(ブラウザにもよるけど)2chでは
とりあえず、かちゅとIEでは私的にこの程度かな、とも思うんですが、
読みにくい人がいる以上は色を変えることも必要ですね。
でも、こういう文体で書いてると間延びしないように詰めてしまうんです。
漢字の多用はもう今回限りの作風ということで。
ん、ということで皆さん感想ありがとうございました。
業務連絡〜
>>560 メールお返ししました。
では、以降の管理をお任せします。
どうぞよろしくお願いします。
565 :
◆ofe8RX92rc :05/03/13 23:51:13 ID:ygJCYiAc0
>567 了解です。 長い間おつかれさまでした > ◆2tK.Ocgon2 氏 さて引継ぎも終わりましたので、明朝 8:00 (ごろ)より 次回のテーマによる投稿を開始させていただきます。 次々回のテーマについては、そのとき票が一番多かったテーマ (同数ならば自分の独断)で決めたいと思います。
>>564 保管所への接続他、確認しました。
改めまして、長らくお疲れ様でした。
◆2tK.Ocgon2さん、おつかれさまでした。 みんなこのスレ住人でいられたのも進行役さんのおかげです。 ◆ofe8RX92rcさん、◆AT4D7UpDwsさん、よろしくお願いします。
ん。 おまいら挨拶もいいけど、テーマ投票も宜しくですよ。
569 :
◆ofe8RX92rc :05/03/14 08:00:56 ID:D8FWMiUr0
【告知】
第三十四回投稿テーマ:『趣味』
投稿期間: 3 月 14 日の午前 8:00 から 3 月 28 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!! もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
次回のテーマですが同票だったので、独断と偏見で 「星」とさせてさせていただきます。
とりあえずは存続にしても、五月以降の進行役も募集しとかんとな
進行役ですが希望者がいなかったので、独断と偏見で
>>571 とさせてさせていただきます。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『趣味』です。
投稿の締め切りは 3 月 28 日の午前 8:00 までとなっています。
思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>4-6 のルール、FAQ に一度お目通しを。
今から投稿させて頂きます。 ONEで、タイトルは「無表情な彼女への傾向と対策」
放課後の屋上と言えばまず最初に先輩の姿を思い浮かべるが、今日の相手は別だった。 「遅いっ」 二月の寒空の中、せっかく会いに来てやったというのにこの男、クラスメイトである南は、開口一番不満そうな声をあげた。 「なんで同じ時間に終わったのに20分も待たされるんだっ」 「真打ちは遅れてやってくるものだからな」 「…ひょっとしてそれを言うためだけにどこかで時間を潰してきたのか?」 「で、なんの用だ?」 「答えろよっ」 「真実は時に人を傷つける。オレは南のためを思ってあえて沈黙を保つことにした」 「しゃべってるじゃないかっ」 なるほど。今まであまり話したことはなかったが、南は突っ込み気質のようだ。 「七瀬と気が合いそうだな」 「はぁ?」 リアクションも良く似ている。ただ七瀬の場合、スナップの効いたお釣りも付いてくるが。 「それで、なんだ? オレとコンビを組んで国立でも目指したいのか?」 「国立は…って、もういい。今日お前を呼んだのはだな、」
「浩平っ」 「どわっ」 いきなり現れた顔に、驚いてのけぞる。 「急に目の前に来たと思ってるでしょー。さっきからずっと呼んでたもん」 「お前は超能力者かっ」 「浩平がわかりやすいんだよ」 昨日の屋上での出来事を反芻しているうちに、授業は終わっていたようだ。 「それでどうしたの? 手紙まで回して」 手に持った四つ折りの用紙を玩びながら、長森が尋ねてきた。 「うん? そうだな…」 手紙に意味はない。入れ違いになるのが面倒くさかったので呼び寄せただけだ。 オレは周りを見回し、特に注目を集めてる訳でもないのを確認してから切り出した。 「長森、里村の趣味って知ってるか?」 「え? 里村さん?」 全く想定外のことだったのだろう。長森は目を丸くして聞き返してきた。 「ああ。噂でもなんでもいい。聞いたことないか?」 「う〜ん…」 突発的に聞いたのにも関わらず、長森は真剣に考えて込んでくれているようだ。
「ごめん、わからないよ」 そしてしばらく経った後、そう長森は答えた。 「そうか」 長森がわからないと言った以上、本当に知らないのだろう。隠すメリットもない。 「用件はそれだけ?」 「おう、もう帰っていいぞ。ちゃんと声色変えて代返しといてやるから」 「帰らないよっ」 「帰らないよっ」 「真似しないでよっ」 どうもオレの「長森瑞佳」はお気に召さなかったようだ。 「でも浩平が…そうだったんだぁ…」 「うん、なんだ?」 長森が漏らした言葉を聞きとめ、聞き返す。 「浩平、応援してるからねっ」 「だからなにをだっ」 オレの抗議を受け流し、長森は微笑を浮かべながら席へと戻っていった。 …うーむ、どうやら勘違いをしているようだ。 でも今説明すると契約が反故になるからな。やれやれ。
昼休み。 「知ってるわよ」 「なにっ」 廊下で捕まえた七瀬は、あっさりとそう答えた。 「そうか、まさかそんな趣味だったとは…」 「まだなんにも言ってないじゃない!」 「いやいや。そうか、里村が…なぁ」 したり顔で首を振って教室に戻る素振りを見せる。すると七瀬は、 「勝手に納得するなぁ!」 叫んでオレの胸倉を掴み、周りを見渡して慌ててその手を離した。 「ほ、ほら、折原くん。カッターが曲がっていてよ?」 「ここ、学ランじゃないぞ」 取り繕うように笑みを浮かべる七瀬。でも今更、どうやってもフォローできないと思うんだが。 七瀬もそれに気付いたのか「ひんっ」と声を上げると、今度は自分が教室に戻ろうとした。 「まあ待て。それで趣味はなんだって?」 「おか…むぐっ」 「場所を変えるか」 流れのまま大声で答えようとする七瀬の口を抑え、人気の少ない方へと引きずっていく。 そして気配が途絶えたのを確認してから七瀬を開放し、覆い被さるようにして後ろの壁に手をついた。 「ちょ、ちょっと折原っ。こんな所を誰かに見られたら…」 見られないよう人目を忍んでいるんだが。 まあいい。分析してみよう。廊下の片隅、オレと七瀬の二人きり。 声が漏れないよう目と鼻の先まで近づいて話をしている。 「…オレが恐喝されてると勘違いされる?」 「なんでそうなるのよっ」
あの後七瀬から入手した情報によると、どうやら里村の趣味はお菓子作りのようだ。 調理実習の時間、それとわかるほど顔がほころんでいたらしい。里村にしては珍しかったので、よく覚えていたそうだ。 心当たりはある。なるほど、それであの時あっさり承諾したんだな。 「流石はオレ。SISも真っ青の諜報能力だな」 「CIAじゃない所が折原君っぽいよね」 「なにっ」 そのまま教室に戻らずに屋上で成果に浸っていると、隣で柚木が「やほー」とばかりに指をひらひらさせていた。 「いつの間に来たんだ?」 「さっきからいたよ。折原君、相変わらずへんなこと言うね」 まるで当然のことのように柚木は答える。 …オレか? オレが気付かなかっただけなのか? 「それより聞いたよ。折原君って大胆なんだね」 「なにが?」 楽しそうな柚木の様子を見る限り、どうせまたろくでもないことを言い出すのだろう。 これ以上ペースを乱されないよう、心の準備をしてから聞き返す。 「七瀬さんに廊下でキスしてたって」 「違うっ!」 全く無駄だった。
「なるほどねー」 「……」 結局オレは洗いざらい白状させられていた。 警戒していたはずなのに、穴の空いたバケツのごとく話してしまう。 とことんコイツとは相性が悪いようだ。 しかし聞き出した側である柚木の表情が冴えないのはどういうことだ? 「それで、南君、だったかな。その人に教えてあげるの?」 「まあ、そういうことだ」 「うーん…」 困惑したような、なんともいえない柚木の顔。そんなコイツが珍しくて、思わずまじまじと見てしまう。 「なにか気になることでもあるのか?」 「んー。ま、いっか。いつも玩具になってくれてるもんね。詩子さんからの大プレゼントだよっ」 非常に嬉しくない前置きをして、詩子は続ける。 「七瀬さんの答え、残念ながら間違ってるよ」 「そうなのか? でも前里村を誘ったときは…」 「え、折原君、茜と出かけたことがあるの?」 「おう。長森が休んだときに課題を写させてもらってな。その礼がてらに」 オレは里村を山葉堂に誘ったことと、承諾をもらったこと。そこから菓子作りが趣味だと納得した流れを説明した。 ちなみにオレが里村を誘ったのは、単なるカモフラージュだったりする。 いくら甘い物好きなオレでも、男一人であの店に特攻するほど無謀ではない。
「茜がねぇ…」 「それで?」 「あ、そうそう。茜の趣味は甘味屋巡りだよ。作るのは上手いけど、特別好きじゃないみたい」 そっちか。調理実習の時間も、過程じゃなくて完成品が楽しみだったという訳だな。 「それで、どうするの? 南君にも教えてあげる?」 オレが今の話の内容を吟味していると、詩子が一番最初にした問いかけをもう一度繰り返してきた。 「まあ、約束だからな」 「そしたら南君、茜を誘うんじゃない?」 「だろうな」 「その時茜、どうするんだろうね」 「一緒に行くんじゃないか? オレでさえ成功したんだから」 オレの当たり前の答えを聞き、何故だか詩子は呆れたような表情を浮かべた。 そしてその話が途切れるタイミングを計ったかのように、昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。 「お、急がないとやばいな。柚木はどうする? そこから飛び降りるか?」 「それも面白いけど…あたしはもうちょっとここに残っていくね」 「そうか」 覇気の感じられない柚木の様子が気にかかったが、時間がないのでその場を後にする。 「茜は断るよ。絶対」 去り際、柚木の呟いた声が、何故だかオレの耳に深く残った。
「…いいですか?」 放課後。南から数時間にも及ぶ愚痴を聞いて教室に戻ってきたオレは、まだ残っている人物がいることに驚いた。 茜色に染まった教室の片隅。窓際に手をついていた里村が振り返る様子は、まるで映画の一場面のようだった。 「その前に、オレからいいか?」 「…なんでしょう」 「なんで南からの誘いを断ったんだ?」 「……」 「あいつ、ひょっとして『おごってくれ!』とか言い出したのか?」 だとしたら尊敬するぞ、オレは。 オレの問いかけに里村はかぶりを振ると、「気付きませんか?」と小さな声でささやいた。 「ああ、わからないな」 「…本当に?」 「髭に誓って」 胸に手を当てて宣誓してやると、里村は溜息をつきながら答えた。 「…理由が、ないからです」 「理由?」 「…南君は、私の分も出してくれると言いました。でも私には、そうしてもらう理由がありません」 「いや、あるだろ」 アレはどう見ても里村に好意を持っている。それに気付かないほど鈍感だとも思えない。 「…後になればなるだけ、辛いこともあります」 「そうか…」 期待を持たすより、ってことか。 「でも里村ならおごってもらってから『…嫌です』とか言いそうなもんだけどなっ」 「……」 もの凄い目で睨まれたぞ? 「ん? でもオレが誘ったときは付いて来たよな?」
「あれは…」 それまでの断定口調から一転、語尾を濁すように言いよどむ。 「ああ、そうか。あの時はオレが課題を見せてもらったもんな。ちゃんと理由はあるか」 「…そうです。だから今日もおごってもらいます」 何故か不機嫌そうに言い放つ。 「なんでそうなるんだっ」 「…南君から聞きました。私のことを調べた見返りとして、食券を受け取るんだそうですね」 「いやでも、A定食一週間分がB定食三日分に…」 「関係ありません。その取引があったという事実のみが肝心なのです」 取り付く島もなくぴしゃりと跳ねつけられる。 そして「反論は許さない」とばかりのオーラをまとって自分の席へと戻っていった。 「わかったわかった。おごればいいんだろ、おごれば」 「当然です」 全くこちらを見ずに、黙々と帰る準備を続ける。 「そういやなんか話があったんじゃないのか?」 「…忘れました。それより早く行きましょう」 コートをはおった里村に睨まれ、自分の薄い鞄を掴む。 振り返った先には、既に教室の外へと出ている里村の姿があった。 「早っ」 慌てて追いかけようとして、ふと先ほどのやり取りを思い出す。 ……なんか流れ的に矛盾しているような気がするんだよな。 「…ワッフル」 「おわっ」 耳元で里村の声が聞こえたような気がして、思考を中断する。 これ以上待たせるのは危険だ。なにかが警鐘を鳴らしている。 オレは本能に従って違和感を押し込め、里村の後を追いかけた。
お題的には前回より書き易そうだけど。 また最終日にドバッと来るんかな。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『趣味』です。
投稿の締め切りは 3 月 28 日の午前 8:00 までとなっています。
思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>4-6 のルール、FAQ に一度お目通しを。
ビタミンと水分が抜けきり、真っ赤に充血した眼。 『かゆみ』に眼の殆どを支配されたかのような気分で時計を見遣る。 時計の短針は4の辺りを指し、長針は9を廻ったという事実が視覚から脳へと伝わり 眼の前の現実を俺の口からため息混じりに漏らさせるのに数秒かかった。 「もう5時かよ…」 勿論、一日の疲れを食事で癒す夕食の時間を間近に控えた『午後5時』ではない。 新たな一日を迎えるにあたり、多くの人々は未だ温かい布団の中で最後の眠りを貪っているであろう 『午前5時』。 そんな時間に俺は机に向かい、ひたすら頭に浮かんだアイデアやネタを脳内で咀嚼し それらを眼の前にあるケント紙に『絵』という形で再構成していた。 黒いインクや、規則正しく並んだ斑点や線の集まりであるスクリーントーンがその紙の 面積のごく一部だけを占めているだけで、殆どが空白のままであるという紙切れが 今の俺の切迫した状況をそのまま表している。 下書きは省いて、それで空いた時間をネタ出しとペン入れに費やし尚且つそれを同時に やってストーリーと絵柄のレベルを落とさずに、作品そのもののクオリティアップを図る… といえば聞こえはいいが、何の事はない。 締め切り期日が間近に迫る今までに全然ネタが浮かばず、机の上で悶々としていて 無為に過ごした時間のツケを今此処で払わされているだけのことだった。
俺は、紙の上でのろのろと動く自分の手を止め、背後のちゃぶ台で一心にベタ塗りや スクリーントーンの切り貼りに勤しんでいる、高校以来の友人の姿を見遣る。 頭をちゃぶ台につくかつかないかの所まで下げているゆえに、そのトレードマークの 見事なまでに長いサイドポニーが横顔を隠すように垂れ、その多くはちゃぶ台の上に ばらりと広がっている。 傍から見ると、机に顔を近づけひたすら勉強に打ち込んだ挙句眼を悪くしたものの 懲りずに机に顔を近づけたまま本やノートに向かい、更に眼を悪くする…といった悪循環に 陥っている『ガリ勉』以外の何者でもない。 もっとも、その豊かな髪の毛を汚さないよう、そして作業の邪魔にならないように 原稿用紙にあまり近づけないようにしている姿勢が、男以上に身だしなみに気を遣う女であることを 雄弁に語ってもいた。 高瀬瑞希。 高校以来の友人であると同時に、大学入学と同時に始めた同人活動に理解をしてくれ プロの漫画家としてデビューする端緒となったのみならず、俺がマンガを描く作業を 手伝ってくれているベストパートナーでもあった。 とはいえ、あくまで素人同然のアシスタントであるが故に、今手伝ってもらっているベタ塗りや トーン貼りもあまり細かい作業を要する箇所は頼んではいない。 それでも、瑞希によって幾分俺の負担が軽減されているのもまた事実であったが。 俺は作業の手を止め、作業に打ち込む瑞希を姿を盗み見る。 普通なら、顔をほんのりと赤らめながらとはいえ「な…何ジロジロ見てんのよ! バカ!」 という悪態の一つでも覚悟しなければならない行為だが、眼の前の原稿用紙に意識を 集中している今ならそのようなリスクを負うこともないだろう。 瑞希が手を動かす度に、シャッシャッとペンと紙とが擦れ合う音が、さほど広いとはいえない 俺の作業部屋にかすかに響く。
一心に机に向かうに瑞希の様子を確認し、俺は既に書きあがって後は印刷されるのを今か今かと 机の端っこで待っているマンガの原稿を左手で取り、おもむろに右手でズボンのファスナーを 下ろした。 別にマンガのように『ジジー』という音がするわけではないが、今の俺にとってはは 微かな金属音すらも『瑞希がこちらを向くのではないか』という警戒心を呼び起こす ものだった。 下着の布と布との境目から、いきり立ったナニを取り出し、右手で握りこんで少しずつ 擦り始める。 左手で持っているマンガの中で、瞳からは涙を、だらしなく開けられた口からは涎を垂らし そして男の屹立し、脈打つ肉棒をぱっくり開いた股間の秘裂に受け入れ、汗と分泌物を 飛び散らせつつ愉悦の表情を浮かべている女の子の痴態が、俺の勃起中枢を刺激する。 その女の子は、薄い紺色のスカートに、太股までの長さの白い靴下を穿き、スカートの 色に合わせた紺のチェックのブラウスに白いGジャンを身につけ、長い豊かな髪の毛を サイドポニーにしていた。 勿論そのサイドポニーは、大きな黄色いリボンで纏められている。 彼女の名前も、ちゃぶ台に向かって黙黙と作業している女の子と同じ『高瀬瑞希』だった。
『ちょっ…止めなさいよっ! バカァっ!!』 『ああん? そう言っている割に下の口はずいぶん素直じゃねえか!』 良く言えば読者にとって予定調和的、悪く言えば聞くからに頭の悪そうなセリフを 恥ずかしげもなく吐く『男』に自らをなぞらえて『作品の中で男に犯され、はしたないよがり声を 上げる瑞希』を『今、此処にいる俺』が犯している気分に浸り始める。 別に俺はおかしくなったわけではない。 エロマンガをネタに抜いているなんて事は、心身共に健康な男子であれば誰でも少なからず していることだ。 ただ、俺の場合は、友人である瑞希をエロマンガのネタにし、尚且つそれを自分が抜く時の ネタにしているだけのことだ。 手を伸ばせば届く所に、ちょっとわがままな所があるが本当はしおらしく、テニスのみならず スポーツを大いに嗜むその性格が作り出した、出る所は出て締まる所はしっかり締まっている 素晴らしいプロポーションを誇り、そして、俺の前では喜怒哀楽の表情を包み隠さずに映し出す 可愛らしい顔をした瑞希かいるにも関わらず。 なぜ俺は、今此処で一緒にマンガを完成させるべく作業に没頭している瑞希に興味を失い 自分で書いたマンガの中にいる『瑞希』に欲情するようになってしまったのだろうか…? そもそも、『何故』『俺』は『今』『ここ』で『エロマンガ』を描いているのだろうか…?
話は一年以上前に遡る。 悪友の大志に半ば唆されるような形で『同人稼業』の世界に飛び込んだ俺だったが こみパでの由宇や詠美、彩の『自分の創作物を見知らぬ他人に発信する熱気』を感じ 自分の心の奥底で蠢く何かが動かされた。 美術系の大学を志望していたものの、それが叶わずにごく普通の大学に入った今の自分の 状況が、その熱気に共感する素地を作り出していたのかもしれない。 そして俺は、普通に大学生活を送りつつマンガを描く自分を、美大で絵を描く自分に なぞらえるかのように、頭に浮かんだネタを原稿用紙の上で実在するものにする行為を 繰り返してきた。 自分が楽しむという、いわば趣味の延長で他人も楽しめるように。 そして『本』という形にし、こみパで不特定多数の人々に頒布したわけである。 メールや同封のアンケート、果てはこみパの会場で直接読者からの絶賛や感想、厳しい指摘 声援…等が反応として帰ってきた。 中には作品と関係ない誹謗中傷の類もあったことはあったが、好意的な感想が多くなっている 事実の前では大した問題ではなかった。 そして大志から『同人王』の称号を得(本当にそんなものがあるか、得たとしても それが何の役に立つのかはまた別の問題だが)、澤田編集長に『アマが集まるこみパではなく プロの編集者と書き手が集まる雑誌であなたの腕を振るってみませんか』という誘いを受けて 今に至るわけである。 尤も、少年誌や青年誌ではなく男性向けの『成年誌』―所謂エロマンガ―に活躍の場を 与えられたのだが。
それに対して別に不満があるわけではない。 元ネタである1次作品の世界観やキャラを活用してエロ同人に勤しんでいた俺にとっては スカウトがあるとすればそういうところから来るのが至極当然の話だし、生計を立てる という意味でも身に余る程の僥倖でもあった。 そして今、俺は商業雑誌に掲載される予定のマンガを描いている。 『期待の新人登場』というアナウンスと共に巻頭に掲載される予定なのだが、肝心な マンガを描く手がいまいち進まないのである。 俺は作業の進捗状況が大幅に遅れているという現実から眼を背けるかのように、ナニを握り締める 手に更に力を入れ、サオを扱く手の動きをも早めて、紙の上で淫猥な舞いを舞う『瑞希』を 犯すことに意識を集中し始めた。 実際の瑞希ではなく、俺自身が描いた『瑞希』を頭の中で本能の赴くまま好き勝手にする この行為は別段今始まったわけではない。 今、手がけているマンガを描く手が初めて止まってしまったのがその発端だった
和樹に与えられた作業を丁寧に、確実にこなすべくひたすら机に向かっている私。 とはいえ、和樹が身動きした気配に感づかないほど鈍感ではない。 小刻みに震える和樹の身体に合わせ、座っている椅子の背もたれが不自然な動きをし 椅子の脚と床とがカタカタと触れ合う音がし始めた。 『ったく…。また始めたのね…』 そう一人ごちた私は、最早忘却の彼方へ押しやることが出来ないであろう忌々しい ここ数日間の記憶を呼び起こした。 「瑞希。俺に漫画を描いてくれという依頼が来たんだ」 「ほんと!? すごいじゃない和樹。自分の趣味が仕事になるなんて。で、どんなマンガを描くの?」 「いや、それが…大人の、男向けのなんというか、Hな漫画で…」 「そ、そう…。で、でも、どんな形ででも和樹が描いたマンガが評価されるのは、嬉しいから…」 「そこで相談があるんだが…、瑞希をモデルにしたヒロインを登場させたいんだ」 「…私、が…? どうして…?」 「出来れば漫画を描くのも手伝って欲しい。これから二人で一緒に生きていく上での 初めての共同作業ということにしたい」 「で、でも…恥ずかしい…」 「俺は瑞希を描きたいんだ」 「和樹…」 そして修羅場の幕が切って落とされた。
「和樹ぃ〜。眠い眠い眠い〜」 「俺だって眠い」 「気分転換にテニスでもしに行こうよぉ〜」 「そんな時間なんてない」 『俺が漫画を描くのを手伝ってくれ』という和樹のいうまま、渡される原稿に向かってはいたが これほどの重労働だとは思っていなかった。 スポーツをした後のように、肉体的には疲れているが精神的には満たされているという すがすがしい疲れではなく、肉体的にも精神的にもどんよりねっとりとした疲れ、まさに 『疲労困憊』という言葉に相応しい疲れが和樹には勿論、私にも覆い被さっていた。 私にとっては、漫画を描くのを手伝うのは初めての経験で、とにかく和樹から手渡される 原稿を台無しにしないよう、丁寧に仕上げるという精神的な重圧は相当なものだった。 そういったプレッシャーの中で要求される細かい作業が、私の指先や手首、ヒジや肩に 痛みやコリという形で肉体的な疲労を残していった。 『Hな漫画に私をモデルにした登場人物を登場させられるだけではなく、それを仕上げるのを 手伝わされる』事への羞恥心は、疲労と睡眠不足の前にあっさりと何処かへ押しやられてしまっている。 いきなり立ち上がった和樹が、いかにも不機嫌そうな足取りでコーヒーメーカーへと向かう。 先程までビーカーの中になみなみと満たされていた黒く熱い液体はすでに二人の胃袋の中に 収められていることに気付いた和樹が言った。 「瑞希…ブルーマウンテンを買って来てくれ」 「へ…」 睡眠不足でもやのかかった頭の中で、私は和樹の言うことを理解しようと務めた。 「ブルマンだ。今まではブレンドだったが、やっぱ高級な豆が眠気覚ましにもいいだろう」 「わかった…買って来る…」
正直、どんな理由であれ、少しでもこの缶詰状態から抜けられるという喜びのほうが 大きいくらいだった。 和樹から財布を受け取った私はのろのろと立ち上がり、半ばよろけながら玄関へと 向かい、外へ出る。 私は数日ぶりに浴びる太陽の光の温もりを存分に楽しみつつ、ゆっくりと歩き始める。 が、身体は起きてても、頭は覚醒していないことは、買い物によって証明されることとなった。 「和樹〜。買ってきたよ〜」 「ずいぶん遅かったけど、いい気分転換にはなっただろ」 「まあね、はい。サイズは適当だけど」 「…サイズ?」 いぶかしげな表情を浮かべる和樹に、私は紙袋から『買って来た物』を取り出した。 「…ってこれブルマじゃないか!」 濃紺の厚ぼったい布でできた女子専用の体操服を眼の前で広げて和樹は言う 「だって和樹が買って来いって言ったじゃない!」 「俺が言ったのはブルマンだって! コーヒーの! ったく、勿体無いから俺が穿く!」 そう言いつつ和樹はズボンを脱ぎ、ブルマを穿き始めた。 女性用下着と大差ないデザインの布切れは、和樹が穿いている下着を完全に覆うわけではなく いたるところからトランクスの端っこをはみ出させている。 和樹が着替え(?)を済ませたのを見計らったように電話が鳴った。 その表情が、明らかに狼狽したものへと変わる。 その一連の表情の変化は、否が応でも『借金取りから逃げ回る債務者』を髣髴とさせた。
「和樹ぃ、電話、鳴ってるぅ…」 「瑞希が出てくれ。多分担当者からだ。『もう半分は描き終えました』『進捗状況は順調です』 と言ってくれればそれでいい」 「ん〜っ、もう〜」 私はふらつく足取りでしつこく鳴り続ける電話機に向かい、受話器を取った。 「はい。高瀬です」 『あ、私は千堂さんを担当させて頂いてもらってる者ですが、千堂さんはいらっしゃいますか?』 相手の少し焦りを含んだ慇懃丁寧な話し振りも、今の私には子守唄にしか聞こえない。 勿論、何故和樹に電話してくるのか、そして何故和樹が電話に出るのを嫌がるのか そして、どう贔屓目に見ても半分も描き上がったとは言えないにも関わらず、私に対し 『半分は描き終えたと言え』と強要する理由を想像することは、今の私の脳にとっては 無理な相談だった。 「和樹は…いますがぁ…、本人はなんだか電話に出たくない様子でしてぇ…」 『じゃあどこまで書き上げたかはご存知ですか?』 「さあ…。ただ、かなり煮詰まった様子なのはわかります…」 『そうですか。では失れぃι…』 一際大きい睡魔の波が私に襲い掛かり、電話口から聞こえてくる声がぷつりと途絶える。 結局、既に電話が切られていたことを知るのは、和樹が私がいないことに気付き、電話台に 寄りかかるようにして眠っているのを叩き起こした時だった。 そのとき和樹は『寝るな! 寝ると起きられなくなるぞ!』と大声で叫んでいたっけ。 雪山で遭難した二人じゃあるまいし。 さすがに自分のしていることの愚かさに気付いたのか、和樹は私が買ってきたブルマから 自分のズボンに履き替えていたのがせめてもの救いだった。 目覚めにあんな紙一重の格好を見せられたのではたまらない。
締切日が近づくにつれて、和樹は奇妙な行動を取るようになった。 それに初めて気付いたのは、私の頭が猪脅しよろしくカクン…カクンとのめりこんだり 戻ったりを繰り返した挙句、額を机にごちんとぶつけた時だった。 「ん…」 覚醒した頭に『原稿は無事か』という不安が広がる。 焦点の定まった眼で、机上の原稿に何ら変わったところのないのを確かめ、安堵の息を漏らした。 以前、私が居眠りして原稿に倒れこんだときは、私の睡眠不足を心配する前に原稿に インク擦れが生じてないか、トーンがずれてないかを心配した挙句、ものすごい剣幕で 私に詰め寄ったものだった。 血相を変えて私の襟首をむんずと掴み上げ 『もし締め切りに間に合わなくなったならコロスぞ!』 という脅しのおまけ付きで。 そっと和樹の方を見ると、別に私の居眠りを咎める様子は見受けられない。 原稿にのめりこんでいる姿勢は相変わらず…ではなかった。 机に上で次々とストーリーを生み出しているハズの和樹の右腕が下腹部の辺りにあり 腕と上半身とが小刻みに震えているのが窺い知れる。 『ちょ…ちょっと…これって…』 知識としては知っていたが、後姿とはいえ実際にそれを見るのは初めてだった。 女ではなく、男が自分で自分を慰める行為を。 不潔感よりも、むしろ好奇心の方が刺激され『ナニを考えてそういう行為に浸っているのか』 という疑問の答えを見出した私は複雑な気分になった。 私をモデルにしたヒロインが登場するHな漫画をオカズにしているのだから、和樹の頭の中は 当然、私で一杯になっているのだろう。 今までに仕上げた原稿を見る限りでは、女のキャラクターは一人しか登場していないし 『浮気』している可能性はかなり低い筈だ。 尤も、頭の中は『私の知らない誰か』で埋め尽くされているのかも知れないが…。
デビュー作である漫画を描き始めて以来、傍から見るとロクな思い出がないようにも思えるが、 私は和樹のことが嫌いになったわけではない。 同人活動に打ち込む、漫画を描くことに力を注ぐ和樹の姿を見て、友達付き合いから 男と女の付き合いへと変わるのにさほどかからなかった。 漫画を描くのはオタクっぽいという偏見も、気に入らないものにレッテルを貼って 自らを正当化しようとしていただけに過ぎなかったのではないかとも思い始めるに至った。 そして自分の好きなこと―漫画を描くこと―で生計を立てる、プロとして生きていくという 今の和樹の姿勢をも含めて、好きになったのである。 とはいえ、私の心の奥底にある女としての心情を一言で表すとこうだ。 『和樹のバカ…』 同じ部屋に、紙の上に描かれた『瑞希をモデルにしたヒロイン』ではなく、和樹の身の回りの 世話をするのみならず原稿をも手伝っている『本物の瑞希』がいるにも関わらず、 『そのような行為』に浸られてはどうしても嫉妬心が芽生えるのを押さえきれない。 私は、思考が迷走し始める前に、意識を眼の前にある紙切れに戻した。
俺が、自分で描いた瑞希に欲情し、それをネタにしてカク…なんて行為を始めたのは ある事に気付いた時だった。 そう、漫画の最初の読者は他ならぬ自分自身であるということに。 今の仕事を初めて以来、俺は顔も知らないどころか何人いるのかもわからない読者を 勝手に想像し、その期待に応えるべく色々試行錯誤していた。 が、絶賛や酷評、叱咤激励の葉書や手紙・メールといった『眼に見える形』で読者の 反応が返ってくるわけではない。 それも当然だろう。まだ読者そのものが存在しないのだから、読者の反応を期待すること自体 お門違いというものだ。 初めてこみパに参加すべく、原稿に向かっていたあのときは、会場で感じた熱気と 美大に入れなかった悔しさとが作品を生む上での原動力となっていた。 特に見返りなど望まず、ただ自分が好きなように漫画を描くことで自分を満足させるように。 言ってみれば、漫画を描くこと自体に楽しみを見出し、趣味で済ませることが出来たのだ。 今の仕事は、そういう気の赴くままに書けばよい趣味の延長ではない。 不特定多数の読者を満足させなければならないゆえ、決して自己満足に浸ってはならない。 読者を置いてきぼりにしないように。 だが、必要以上に読者を意識して『最初の読者である自分』を蔑ろにした漫画をかいてよいものだろうか。 他人に迎合することそのものを目的化してよいのだろうか。 自分さえ納得できないものを、他人である読者が喜んで読んでくれるのだろうか。 もし仮に、『読者受けしたが、自分では納得しない作品』と『読者受けしなかったが 自分では納得した作品』のどちらを選ぶと問われれば、今はまだ、後者を選ぶ気持ちの方が 幾分強い。 今の俺は、商業雑誌に掲載されているという点ではプロではあるが、その雑誌の読者や 俺の担当者に作品を読まれてすらいないという意味ではアマと変わらない。 プロに限りなく近いアマ、というのが今の俺の姿だろう。 ならば尚更のこと、自分を信じるほかないわけだし、自信という根拠のない原稿を 編集者に託すわけにはいかない。 そこで、俺は、ある基準を設けることにした。 『自分で満足できる、すなわち抜ける作品であれば、読者も大いに満足できるはずだ』
数日後。 締め切りを間近に控えてはいるものの、俺は以前に比べて筆の進みが格段に早くなって いるのではないかと思えるようになっていた。 執筆開始から締め切りまでの中間点まではほんの数ページしか進まなかったものの 今ではもうページ数も残りわずかになるまでに描き終えている。 日程的に決して余裕が生まれているわけではないが、それでも原稿を進める手がスピードアップ したのは目に見えて明らかだ。 これも、『自分で抜けるかどうか』という基準を設けた賜物だろう。 だが、執筆のスピードアップと引き換えに、俺の自慰の頻度もそれ以上に激増していた。 ゴミ箱の中には、くちゃくちゃに丸まったケント紙の他に、ぱりぱりに乾いたティッシュペーパーが 不自然なまでに山盛りになっている。 そんな中、俺はひたすら頭に浮かぶ瑞希の痴態を眼の前の紙に表現してゆく。 俺の頭に浮かぶ要求にも素直に応じ、その身体で受け入れる瑞希。 だが、新しい場面で、先程と同じシチュエーションにしたのでは、ただのストーリーの 使いまわし以外の何者でもなく、当然読者も『ああ、またこのパターンか』という感想を 抱くのは間違いないだろう。 マンネリ化だけはなんとしてでも避けなければならない。 読者も満足できないだろうが、瑞希を描いて、それでカイている俺も満足できないからだ。 いきおい、エロ漫画という特性上、『紙の上に描かれる瑞希』に無茶なプレイを強いることとなる。 場面も、俺の部屋から人気のなくなった学校…という風に変わっていく。 次回作があるとすれば、白昼堂々とテニスコートで、海水浴場、夏祭り、仮病を使う 瑞希の部屋に押し入り、挙句の果てには若い二人は並みの刺激では満足できず夕暮れの公園で… というふうにエスカレートしていくことは間違いなさそうだ。
「瑞希。コーヒーをくれ」 「新しく作んなきゃ。もうないし…」 「インスタントでいいから」 「どっちにしろ、お湯が必要じゃない…」 ぶつぶつ言う瑞希から、インスタントコーヒーの粉が入ったビンを受け取り、口を天井に向ける。 インスタントコーヒーの粉がザザザザッと音を立てて俺の口一杯に納まった。 咀嚼するたびにジャリ…ジャリ…という砂を噛むような音がしていたが、唾液と交じり合ううちに グッチャ…グッチャ…ニチャ…ニチャ…という粘着質な音へと変わる。 「うぷっ…」 そんな俺の眠気覚ましの様子を見ていた瑞希が口元を押さえる。 今日は締切日。 なんとしても今日中に原稿を仕上げ、雑誌社に持ち込まなければならない。 勿論、一部手直しや、ひょっとしたら全面的に書き直しの憂き目に遭うかもしれないが とりあえず最初の関門はスケジュール通りにクリアできそうだ。 原稿を書き上げるのに間に合うか間に合わないかの瀬戸際だった先程が一番大変だった。 深夜にいきなり瑞希に『数日間寝ないでも疲れない薬を買って来てくれ』と頼むと 『お願いだから犯罪者だけにはならないで!』と泣きながら懇願されたり、俺が 『今から雑誌社に爆破予告を送りつけるか、放火して編集者を皆殺しにしよう。 そうすれば締め切りは延びるだろう』と言うと『和樹の漫画を本にしてくれる所を 無くしてどうすんのよ!』と一喝されたのも今となってはいい思い出だ。
が、商業用の漫画を描いていくに当たって、最初からこんな調子ではずいぶん先が 思いやられる。 そんなことを思いつつも、俺は最後のコマを仕上げ、久々の開放感に浸りつつ立ち上がり 座りっぱなしで痛くなった腰を伸ばした。 机に丸く覆い被さるような姿勢を余儀なくされていたのを取り返すように、四肢を 思う存分四方へと伸ばす。 「じゃあ瑞希、俺はこれから原稿を雑誌社に出してくるから。留守番を頼む」 先程までの修羅場での瑞希に対する態度からの豹変振りに我ながら驚く。 口ぶりや表情も自然に柔らかくなっているのも、何とか締め切りに原稿を間に合わせた賜物だろう。 「うん。気をつけて」 瑞希もそんな俺の様子に気付いたのか、げっそりした顔から満面の笑顔を浮かべる。 眼の下にクマを浮かべつつも。 「帰ったら…瑞希の好きなことに付き合うから」 「和樹…」 瞳を潤ませる瑞希に背を向け、俺は新たな修羅場が用意されているであろう雑誌社へと 歩みを進め始めた。
夜。 睡眠という概念が全くなかった先日までとは違い、俺は思う存分布団の中で安眠を貪っていた。 寝返りを打つと、ムニュリとした柔らかい感触が俺の胸や腹一杯に広がる。 俺と同じようにゆっくり眠っている瑞希の感触。 俺は、つい先程まで、瑞希と一緒に過ごしていた時間を反芻していた。 雑誌社から帰ってきた俺は、まず始めに『今回の原稿はOK』と言われたと瑞希に伝えた。 尤も、重労働から解放されたばかりの瑞希に次の仕事に関することを言うのはあまりにも酷なので 『数日後に次回作について担当と打ち合わせますので構想だけは練っておいてください』 と言われたことは伏せておいたが。 そして俺と瑞希はショッピングに映画、ちょっと贅沢な夕食と共にするという、ごく当たり前の 男と女の付き合いを存分に愉しんできた。 当の瑞希はテニスにも行きたがってはいたようだが、さすがに俺の体が持たないので またの機会に譲ってもらった。 『だったら和樹が自分で描いたヒロインではなく、ここにいるあたしを…その…愛して…』 という瑞希の言葉通りに、俺はテニスではなく夜のスポーツに励むハメになったわけである。 俺も瑞希も数日間徹夜が続き、ずいぶんハイになっていたせいか、くんずほぐれつの 絡み合いとなったわけだが、その最中にも、俺は心の片隅にあった小さなものが 少しずつ大きくなるのを自覚していた。 ティッシュペーパーに滴った一滴のインクが大きな染みを彩るように。
今、ここにいる瑞希よりも、俺が漫画の中で動かしている『瑞希』の方が、はるかに都合がよい。 俺の無茶な要望にも何ら反抗することなく、ただ俺の思うままに動く『瑞希』。 『瑞希』は、俺のなすがままでいるだけではなく、漫画という媒体の中で俺の意思を 見ず知らずの読者に伝えるという役割をも果たしているのである。 俺のとなりで寝息を立てている瑞希は、こみパで売り子をするのにも少なからず 躊躇していた思い出がある。 漫画の中の『瑞希』は、決してそんなことはない。 俺の思うがままの『瑞希』をネタにしてカク自慰行為で生計を立てることになった俺だが これからは雑誌社の意向に左右されるケースも増えるはずだ。 締め切りなどはまだ可愛い方で、ページ数に話を合わせるのではなく、話をページ数に あわせざるを得ないこともあるかもしれない。 いや、それ以前に読者のアンケート葉書により、編集者から『参考という名の強制』を 強いられるかもしれない。 勿論打ち切りに戦々恐々とする日々を送るようになる可能性も残されている。 仮にそういった制約を受けずにプロとして漫画を描き続けることが出来たとしても 俺自身が漫画を描くことを『工業製品を生み出すように』し始めないという保証はどこにもない。 慣れはマンネリでもあるからだ。 とはいえ、たっぷり時間をかけて自分が納得ゆくまで満足するまで創作活動に励むのは 理想的ではあるが、結局は趣味の延長に過ぎず、アマチュア的な姿勢でしかないだろう。 まして、自分がカクために作中で『瑞希』を描いている今の俺の漫画に対する姿勢は 自己満足以外の何者でもない。 いくら自分が好きでやっているからとはいえ、果たしてネタがいつまで続くのか 俺の自慰行為に読者がいつまで付き合ってくれるのか。 空転する思考にくさびを無理矢理打ち込み、俺は目を閉じた。 新しい朝が来るまではまだ時間がある。 一眠りすれば、俺の頭の中にいる『瑞希』も、新たな一面を見せてくれるようになるかもしれない。 それを待つまでもなく、夢の中に『瑞希』が現れるかもしれない。 「瑞希を描きたかった俺だが…、『瑞希』でカクようになるとはなあ…」 そう一人ごちた俺は、再びまどろみの中へと落ちていった。
>587-604 趣味と実益の狭間で 以上。
投下させて戴きます。 題名『人には言えない趣味』 20スレくらい 題材『痕』 主人公『初音』 18禁
人には言えない趣味 我慢が出来なくて。 あんまり良くないって判ってるけど………。 止まんない。 机に向かいつつ。 ノートを広げつつ。 ダメだよね。 本当はこんなことしちゃ、イケないよね。 でも、指が………。 下着の中へと勝手に。 ……ちゅく……。 「っん!」 体がぴくりとケイレンする。 やだな、最近敏感になってきちゃった。 毎日、こんなこと、やってるから。 ………耕一お兄ちゃんのせぇだよぉ……。 わたし、前はこんなにエッチじゃなかったもん。 耕一お兄ちゃんが、いっぱい気持ちいいことするから………。 お兄ちゃんが帰った後も、わたし…。 「楓、初音ぇ。夕ご飯出来たわよぉ」 「ひゃいっ!」 ガンッ!! 「っい!」 い、痛ぁ〜い。 膝、机の柱に、思い切りぶつけちゃったよぉ。 「早く降りて来ないと冷めちゃうわよぉ〜」 「い、今降りるからっ!」 急ぎ下着を上げ、扉に手をかける。 廊下に出た瞬間、楓お姉ちゃんと目があった。
思わず目を逸らす。 別に悪い事しているわけじゃないけど。 ついでに頬も熱くなった。 「いただきます」 机の上には湯気と共に、美味しそうな匂いが立ち上る。 「悪いね、今日は品数が少なくて」 梓お姉ちゃんがすまなそうな顔をしつつ呟いた。 「しょうがないじゃない。みんな中間テストで忙しいんだから」 千鶴お姉ちゃんが優しくフォローを入れた。 「もし良かったら、明日から私が料理を…」 「千鶴姉、今は掻き入れ時で忙しい時期じゃないの?」 すかさず突っ込みを入れる梓お姉ちゃん。 「そ、そうだよね。丁度、紅葉のシーズンだし、千鶴お姉ちゃんもお仕事大変だから、 わたし達でなんとかするよ」 「あら……、そう?」 シュンと落ち込む千鶴お姉ちゃん。 ごめんねと心の中で謝った。 千鶴お姉ちゃんの気持ちはありがたいけど、さすがにテスト前は………ちょっと………。 「三人とも勉強はすすんでいるの?」 千鶴お姉ちゃんの声に、ピタリと箸が止まる。 ごめん……実は全然すすんでいない。 だって、ひとりで部屋にいると……。 ……………ついつい、しちゃうんだもん。 「千鶴姉。心配しなくても、ウチはみんなちゃんと勉強しているから。その辺は 心配しなくても大丈夫さ」 梓お姉ちゃんがチラリと視線を向けてきた。 うぅ、そんな目でわたしを見て欲しくない。 「……耕一さん、勉強しているかしら」 千鶴お姉ちゃんの声に、静かにご飯を食べていた楓お姉ちゃんが顔を上げた。 「耕一の事だから、アルバイトに精を出しているかもね」
湯飲みにお茶を入れつつ、梓お姉ちゃんが答えた。 「ねぇ、千鶴お姉ちゃん」 「何かしら、初音」 「確か来月の連休、耕一お兄ちゃんが来るんだよね」 「えぇ、確かその筈よ」 千鶴お姉ちゃんの顔がほころんだ。 「どうせ飯をたかりに来るだけだろ?」 口ではあーいう梓お姉ちゃんも、どこか嬉しそう。 「楓お姉ちゃん。耕一お兄ちゃんが来たら、どこか遊びに行こうよ」 「………」 無言の視線。 わたしの方を向いたまま。 無表情なまま。 わたしを見ていた。 「………そうね」 一言呟くと、楓は席を立った。 「ごちそうさま」 脇目もふらず部屋から出ていった。 わたしの名前は柏木初音。 昔の名前はリネット……らしい。 私を好きだと言ってくれた耕一お兄ちゃん。昔の名前は次郎衛門……だったらしい。 前世では、お兄ちゃんとは夫婦だった……らしい。 でも次郎衛門は、死に別れたエディフェルのことが、本当は好きだった……らしい。 そしてエディフェルの現世の姿は、楓ちゃんお姉ちゃん……だと思う。 あくまで『らしい』『だと思う』でしかない。 何故なら、あの洞窟……九死に一生を得て、耕一お兄ちゃんと結ばれた洞窟で得た知識は、 どれもこれも真実なのかどうか、確かめようのないものだから。 だから、わたしは『らしい』としかいえない。
でも、ひとつ気になることがある。 それは………。 楓お姉ちゃんのこと。 もし、わたしと同じ知識を有していたら……。 複雑な気分。 わたしは耕一お兄ちゃんのことが大好き。 耕一お兄ちゃんも、わたしのことを好きだと言ってくれた。 幸せだけど、それは確かに幸せなことだけど………。 楓お姉ちゃん。あの日から笑わなくなった。 もともと感情を顔に出さないほうだけど。 そして………わたしを見る目が少し変わった。 どこか悲しげな目で、わたしを避けるようになった。 やっぱり、わたしと耕一お兄ちゃんが恋人同士になったから……。 お姉ちゃん達には何も話していないけど、勘の鋭い楓お姉ちゃんのことだから気付いたのかもしれない。 きっと間違いなく、楓お姉ちゃんも耕一お兄ちゃんのことが好きなんだろう。 教科書を広げたまま。 ノートを広げたまま。 さっきから勉強が手につかない。 机に座ってから、悲しげな楓お姉ちゃんの視線が頭に浮かんで。 悩んでも、結論なんて出ないのは判っているのに………。 あの日から出口のない迷路をさまよっているわたし。 「試験勉強、すすまないよぉ………」 溜息をついた。 そうだ。 いいこと思いついた。 梓お姉ちゃんと一緒に勉強をすればいいんだ。 ひとりでするよりは集中できそう。 わたしは早速勉強道具一式を手に持ち、隣の部屋へ向かった。 コンコン。 扉を軽くノックしてからノブに手を掛けた。
「梓お姉ちゃん、一緒に勉強し…よ………ぅ」 真っ暗な部屋。 電気が消え窓にはカーテンが引かれていた。 「………ん、はつね?」 眠そうな梓お姉ちゃんの声。 「ごめんなさい。もう……寝ていたの、梓お姉ちゃん」 「う、うん。あたし、夜よりも早朝のほうが勉強はかどるから……」 「そ、そうなんだ。お休み梓お姉ちゃん」 「うん、お休み初音」 わたしは静かに扉を閉めた。 梓お姉ちゃんて、前から朝起きるの早かったよね。 じゃぁ、どうしよ。 楓お姉ちゃんとは……………。 今は、やめたほうがいいかも。 暫く廊下で悩んだ後、結局自分の部屋へと戻った。 わたしも早く寝て、明日の朝に梓お姉ちゃんと一緒に勉強しよう。 上着を脱ぎ、寝間着に着替えた。 ………………。 時計の音がカチコチと気になる。 眠れないよぉ……。 普段より2時間は早いから。 遠くで鳴く虫の声。 私は毛布を深く被った。 ……………。 …………ん。 ………ぁっ。 いつの間にか、右手がショーツの中へ。 眠れないから。 寂しいから。 気持ち…いいから。
一回すれば、疲れて眠くなるかな。 きっと眠くなるから。 そう自分に言い訳しつつアソコへと指を沈める。 …………いつも思う。 何か足りない。 気持ちいいんだけど。 やっぱり、耕一お兄ちゃんのアレが………。 でも、他に代わりになるモノなんて………。 「うぅ、ぁふぅ」 もう、ぬるぬるになってる。 敏感になってる。 お兄ちゃん。 耕一お兄ちゃん。 おにい…ちゃ……ん………………。 「初音、おはよう」 「……おはよう、梓お姉ちゃん」 「昨日はごめんね」 「う、うん。わたしこそ、起こしちゃってごめんなさい」 わたしは目蓋を擦りつつ答えた。 「寝不足なの初音? 勉強も大事だけど体壊したら意味ないよ」 思わず返事につまる。 勉強……してたわけじゃないから。 昨夜、止まんなくなって。 一晩中エッチなこと、してたから。 激しく自己嫌悪。 「梓お姉ちゃん、私も朝ごはん手伝うね」 「悪いね。サラダ作るから、そこのニンジン皮を剥いて細く切ってくれる?」 「うん。コレね」
寝不足でふらつきながら、わたしは野菜籠から赤いニンジンを一本取り出した。 細くて丸くて長い棒。 ………ちょうどいいかも。 「初音。それ、どうかしたの?」 お鍋を掻き混ぜつつ、梓お姉ちゃんが不思議そうな目でわたしを見ていた。 「うん。ひとりでエ………」 わたしはハッとして口を手で塞いだ。 な、な、な、な、なに言っているんだろ、わたしっ!? 「ひとりで……え?」 梓お姉ちゃんが、わたしの顔を見つめる。 「ニンジンで何をするの? 初音」 「え……」 「え?」 「え…」 「え?」 「え、絵を最近、趣味で描いてるのっ!」 背中に冷たい汗をかきながら。 顔を引きつらせながら。 わたしは咄嗟にウソをついた。 「あら、初音ったらそんな趣味があったの?」 振り向くと、後ろに千鶴お姉ちゃんが。 さらにその後ろに楓お姉ちゃんが。 3人の視線がわたしと、わたしの握るニンジンに集まっている。 「そ、そうなの。最近、わたし絵に、め、めざめて、その、美術の時間に、先生に……ほめられて」 ウソに、ウソを重ねるわたし。 「そうなんだ。画けたら、あたしにも見せてよ」 「う、うん」 どんどん自分のクビがしまってくる……。 それにもまして、無言でたたずむ楓お姉ちゃんの視線が痛かった。 「一応、ニンジンとっておいたから。あと適当に他の野菜も」
「あ、ありがとう梓お姉ちゃん」 学校から帰宅すると、籠に盛られた幾種類の野菜がわたしを出迎えた。 「これ、お父さんが昔買ったまま、使わなかったスケッチブックよ」 「大事に使うね、千鶴お姉ちゃん」 二人の姉に礼を述べながら、内心青くなっていた。 夕ごはんを終えると、わたしは自分の部屋に籠もった。 野菜とスケッチブックをたずさえて。 真っ白な紙を前にして、頭を抱えた。 試験勉強もすすんでいないのにぃっ! でも、絵を描かないとみんなに………。 自業自得とはいえ泣きたくなった。 とりあえずニンジンを手に取る。 やっぱり、アソコに入れるのは……そうじゃなくてっ! しっかりしてよ、わたしぃ! もう…全部、耕一お兄ちゃんが悪いんだ。 前はこんなにエッチじゃなかったもん………。 でも、それを受け入れたわたしが一番悪いんだけど。 …………わたし、あまり絵を描いたことない。 この際だから、試験勉強が忙しかったということにしようかな。 それでも、テストが終わったら描かなくちゃいけないだろうけど。 コンコン。 突然叩かれる扉。 「初音。お風呂沸いたわよ」 楓お姉ちゃんの声。 「う、うん。わかっ……きゃっ!」 腰掛けたベッドから立ち上がった瞬間、歩こうとして椅子に足を取られた。 倒れまいと伸ばした手が野菜の籠に当たり。 絨毯の上に大根や玉葱と共に転がった。 「どうしたの、初音」 ガチャリと開かれる扉。 「な、なんでもない」
床にぺたりと座りながら、わたしは答えた。 「…………初音。ニンジン、役に立ちそう?」 冷ややかな視線と言葉。 「え………」 楓お姉ちゃんの見ている場所。 まくれたスカート……と、そこから覗くように股の間に転がったニンジン。 「あっ!」 ニンジンがまるで、わたしの下着から………。 「ち、ちが、違うの、コレは…」 「早くお風呂に入りなさい」 ガチャンッ! とりつくしまもなく閉じられる扉。 ………………。 うわぁ─────っ! 楓お姉ちゃん、完璧に誤解してるよぉっ! どうしよぉっ! どうしよぉっ! どうしよぉ───っ! 多分、楓お姉ちゃんのことだから、他の人には言わないと思うけど。 でも、でもぉ……。 ………………お風呂入りながら考えよ。 体に湯を掛け、足を浴槽へ。 あ、ちょうどいい温度。 体を湯船に沈め一息ついた。 頭に巻いたタオルを直しつつ天井を見上げた。 …………なんて楓お姉ちゃんに説明しようかな。 普通に転んだだけと言うしかないけど………。 信じてくれたらいいけど。
突然、ガララと脱衣所が開く音。 誰だろう。 布の擦れる音。 服を脱ぐ様子が磨りガラス越しに見えた。 わたしがお風呂に入ってるの知らないとか。 でも、脱ぎ終えた衣服が脱衣所に残ったままだから、普通気がつくはず。 そう思っていると、今度は浴槽の扉が開かれた。 「か、楓お姉ちゃん……」 わたしは目を丸くした。 「初音。たまには一緒に入っても………良いでしょ?」 「……うん」 特に断る理由もなかった。 湯を体に浴びせ、楓お姉ちゃんも湯船の中へ足を入れた。 ウチのお風呂は広いから、二人でも楽に入ることが出来るけど………。 わたしと正対する形で楓お姉ちゃんは座った。 どうやって話せばいいんだろうか。 いきなりだから心の準備が…………。 「ねぇ、初音」 「な、なぁに楓お姉ちゃん」 「勉強、すすんでる?」 う…………。 あぅう………。 「あ、あんまり」 正直に答えた。 ウソをついてもしょうがないから。 「多分、そうだと思ったわ」 え、多分……て? 「だって、初音。毎晩あんな事してるから」 ふぇっ!? 思わず、湯船の中でひっくり返りそうになった。 「あ、あ、あんなこと………って?」
心臓が破裂しそうなくらいドキドキし始めた。 「初音。私達の一族には不思議な力がある事………知っているわね」 「うん……」 怖ず怖ずと頷いた。 「私、何となく判るの」 「な、なにが?」 嫌な予感がしてきた。 「家族の感情よ」 「感情?」 「そう、強い感情」 「た、たとえば……」 「怒っていたり、笑っていたりすると、家の中だったら何となく判るの」 「そ、そうなんだ……」 それって……もしかして。 「おかげで、私も勉強がすすんでいないの」 「え?」 まさか、まさか………。 「誰かさんが毎晩、エッチなこと考えているから」 うわぁ─────っ! やっぱりぃっ!! 「ご、ごめんなさいっ!」 あまりの恥ずかしさに楓お姉ちゃんの顔を見る事が出来ない。 「どうして謝るの?」 「そ、それは……」 「どうして?」 「わ、わたしが、毎晩エッチな事して………」 恥ずかしいよぉ……。 「楓お姉ちゃんの、べ、勉強の邪魔を……」 「ウソよ」 …………う、そ? 今、楓お姉ちゃん、なんて……。
「私にそんな便利な能力、あるわけないでしょ」 「え?」 え? まじ? うそ? うそぉっ!? 「初音。あなた毎晩エッチにな事してたのね」 うぁわぁわぁあああっ!! バシャ。 お湯の中に顔を沈めた。 恥ずかしい。 本当に恥ずかしいよぉっ! 「ニンジンもあんな事に使っていたのね」 「ち、違うのっ!」 お湯から顔を上げ、慌てて否定した。 「使っていないの?」 「使ってなんか、ないっ!」 「どうして?」 「だって、大きく…て……」 あぅ。 か、楓お姉ちゃんの目が………吊り上がってる。 「何と比べて、大きくないの?」 「それ……は……」 墓穴を掘っちゃった………。 「何が、ニンジンと比べて小さいの?」 「…………」 あぅぅぅ………。 「黙っていても判らないわよ」 「ご、ごめんなさい」 再び謝罪の言葉を、わたしは口にした。
「何を謝っているの?」 「……………」 どうしよ。 どぅしよぉ……。 返答の代わりに涙が溢れた。 「初音。別に泣かなくて良いのよ」 わたしの頬を流れる涙。楓お姉ちゃんが指ですくった。 「ニンジンの件は黙っていてあげるから。その代わり……」 「その代わり?」 「私に見せて」 「み、見せる?」 何を? わたしは首をかしげた。 「初音が毎晩していることを」 「ぇええっ!」 それって。 まさか………。 「お風呂上がったら、私の部屋に来て」 そう言うと楓お姉ちゃんは湯船から立ち上がった。 「楽しみに……待ってるから」 ガラリと音を立てる扉。楓お姉ちゃんは脱衣所へと姿を消した。 ジャボンッ!! 全身をお湯の中に沈めた。 頭ごと。 このまま、深く沈んでしまいたかった…………。 「本当に、やらなきゃダメ?」 椅子に座ったまま、無言で頷く楓お姉ちゃん。 恥ずかしぃよぉ………。 私は楓お姉ちゃんのベッドに腰掛けショーツを降ろした。
「電気、消してもいい?」 「………暗くしたら、良く見えないでしょ?」 楓お姉ちゃん、目がマジだ………。 私は観念して、ネグリジェの端をゆっくりたぐりあげた。 露わになるわたしの性器。 こんな明るい所では、耕一お兄ちゃんにも見せたことがないのに………。 「まず、どうするの?」 低い楓お姉ちゃんの声。 「指で……」 「してみせて」 「ぅ……うん」 頷きつつ、アソコに指を這わせた。 顔は火が出るくらい熱くなって。 ついでに………。 「んっ!」 アソコも、かなり濡れてる……。 恥ずかしいから。 いつもより、なんだか……。 …くちゅ。 にちゅ。 エッチな音。 いつもより、ぬるぬるになってる。 「初音、足を広げて」 楓お姉ちゃんが椅子から降り、わたしに近づいて来た。 「う、うん」 太股をゆっくり広げる。 「もっとよ」 「はんっ!」 太股を当てられた手が、わたしの足を強引に広げた。 …にちゃぁ……。 パックリと開かれる私のアソコ。 「み、みないで……」
羞恥心で頭がカーッとしてくる。 何も考えられないくらい。 「続けて、初音」 「うぅ……」 もう嫌……。 視線が食い込むなか、再び指を動かす。 ………なんか、いつもと違う。 いつもより敏感で。 いつもより糸を引くくらい濡れて……。 にちゃっ! 「ひぃっ!」 ゆ、ゆびが…。 楓お姉ちゃんのゆびが…。 「んぁ。だ、だめぇ…」 ぴちゃ。 にちゅぴち。 「はんっ! くふぅっ! そんな…ぁんっ!」 「初音。ココ、気持ちいい?」 「ふぁ…はぁっ!」 おまめの部分、撫でられ…んんっ! 「こっちに、指とか入れるの?」 「こ……こっち?」 ずりゅ…。 「ふぁああ!」 楓お姉ちゃんの指が、わたしの中に……。 「一本じゃ物足りない?」 ぢゅり…。 「ひんっ!」 じゅちゅり…。 「はぁああっ!」 「三本も入れば十分かしら?」
ずちゅ。 ずりゅるる……。 掻き回されてる。 わたしの中を、掻き回せれて……る。 「この後は、どうするの?」 「どうする……って」 「いつも耕一さんに、どんな事をされているの?」 「それは……」 ちゅぷっ! ずちゅっ! ぢゃくっ! 「ひぃっ! やめて、そんなに強く…はぁっ!」 「ねぇ答えてよ、初音」 やっぱり、楓お姉ちゃんは………。 「許して……」 「ゆるす?」 「許して、楓お姉ちゃんっ!」 「何の事?」 執拗にわたしを攻め続ける三本の指。 「お願いだから…ゆるして………」 哀願した。 目から涙がこぼれた。 「さっきから何を謝っているの。私は初音が、どんなふうに愛されているのか 知りたいだけよ。それなのに、どうして謝り続けるの?」 許して、もらえないんだ………。 悲しかった。 とても、悲しかった。 「いつもは………」 「いつもは?」 「口で……」 「口でどうするの?」
「アソコを、舐めて……」 にゅろ…。 「あっ!」 ぴちゃ。 ぢゅるるぅ。 「ふぁああああっ!」 アソコが。 敏感な部分に。 楓お姉ちゃんの唇が、舌が。 ぴちゃる。 ちゅりっ! 「くはぁっ!」 吸われて。 揉まれて。 アソコの中も、指が、動き続け……って!! 「ひぃっ! はぁあ!」 刺激がっ! 気持ち良すぎてっ! 「かえ、で、おねぇ…ぁあああっ!」 あんっ!!。 ひぁああああああああああああっ!!! んぁあああ…………………。 ふぁあ……………。 はぁ………。 ………。 …。 「初音。イッたの?」 「…………」 わたしは顔を手で覆いながら、首を縦に振った。 「耕一さんと、こんなふうにエッチしているの?」 返す言葉なんて頭に浮かばなかった。
「……………私にもしてよ。初音」 「…ぇ?」 服を脱ぐ音。 パジャマのズボン。 水色のショーツ。 わたしの目の前で、楓お姉ちゃんの下半身を覆う布が消えていく。 「私にも、気持ち良い事、してよ………」 「う、うん」 ベッドの上で横になる楓お姉ちゃん。 両足の膝を立てた状態で。 気怠い体を起こし、わたしは白い太股の間に顔を近づけた。 ………こんなふうなんだ。 楓お姉ちゃんの性器。 間近で見るのは初めてだった。 自分のすら、あまり見たことないから。 …にちゅ。 人差し指でそっと触る。 ピクリと細い足が震えた。 濡れていた。 ピンクの割れ目は、ぬるぬるになっていた。 楓お姉ちゃんも興奮していたんだ………。 口をアソコに近づける。 変な臭い。 わたしのも同じ臭いがしたのかな……。 れろ…。 「ふぅっ!」 楓お姉ちゃんのあえぎ声。 ぺろぺろと舐めて上げた。 「ぁあ、んんっ!」 さっきのわたしと同じ……。 なんとも表現しがたい味がした。 耕一お兄ちゃんもわたしとする時、舌で同じ味覚を感じているのだろうか。
ちろ。 にちゅ。 ちゅる。 楓お姉ちゃんのアソコを。 なるべく感じるところを。 女の子同士だから。 楓お姉ちゃんの気持ちいいところも、多分わたしと一緒だろう。 おまめの部分。 指で皮の部分を引っ張って。 プリッと現れた真珠のような肉の芽を。 わたしは丹念に愛撫した。 感じているのは聞こえる声と、震える腰の動きから容易に想像できた。 気持ちいい? 楓お姉ちゃん気持ちいい? さっきのお返しとばかりに、わたしは舌で攻め続けた。 「あふっ! ふぁあああああああああっ!」 激しくケイレンする体。 楓お姉ちゃんは、あっけなくイッてしまった。 「ふぁ、はぁ、ふぅ」 顔を上気しつつ甘い吐息を吐き出していた。 「ふぁ…。はぁ、ふぁあああ……」 鼻をすする音。 「うぅ、うぁあぁ……」 目に当てられた指。 その間から流れ落ちる雫。 いくつも、いくつもこぼれ落ち、シーツを濡らしていった。 押し殺した嗚咽と共に。 やっぱり………。 楓お姉ちゃんは耕一さんを愛しているんだ。 深く、とても深く。こんなに苦しむくらい。 その姿を見て、わたしの目頭も熱くなった。 胸がギュッと苦しくなった。
これと似た光景を、遠い昔に見たような気がして………。 わたしはベッドに手をつき四つんばいの格好で、泣きじゃくる姉の耳元へと這っていった。 「楓お姉ちゃん。今度の週末、ふたりで耕一お兄ちゃんの所で行こぅ」 「……はつね……」 「耕一お兄ちゃんに、愛してもらいに行こぅよ」 ずっと、考えていた。 「わたし、ひとりだけ幸せになることなんて、できない…………」 幸せを独り占めすることなんて、できないから。 「大人になったら、ふたりで耕一お兄ちゃんの赤ちゃんを産もうよ」 わたしは笑った。 「ふたりで、耕一お兄ちゃんの子供を育てようよ」 楓お姉ちゃんに笑って欲しくて、わたしは笑顔を一生懸命つくった。 「きっと、そのほうが楽しいと思うから………」 「良いの? 本当に良いの初音」 わたしは微笑みながら首を縦に振った。 そっと向けられる二本の腕。 わたしを包み込み、やさしく抱きしめてくれた。 これでいいんだ。 これで。 向かい合う唇。 自然に重なり合った。 心が、とても安らいだ。 そして、長い間抱き合い続けた………。 静かな時が流れた。 優しい時間が流れた。 もう、いいかな………。 目を合わせる。 いつもの楓お姉ちゃんがそこにいた。 「わたし、そろそろ自分の部屋に……」 離れようとするわたしを、楓お姉ちゃんが離すまいと引き留めた。
「ねぇ、初音……」 「なぁに、楓お姉ちゃん」 「もう少し、しない?」 「え?」 …くちゅ。 「…んっ!」 わたしのアソコへと、一本の指がするりと入り込んだ。 「とても、気持ちよかったから……」 「もう一回するの?」 はにかかみながら楓お姉ちゃんは頷くと、わたしにキスをした。 「んん……」 舌がお互いの口の中で重なり合う。 なんか気恥ずかしいけど、気持ちいい……。 わたしも楓お姉ちゃんの太股の間に指を割り入れた。 「んふっ!」 ぴくりと楓お姉ちゃんの背中が震えた………。 (終わり)
以上、21スレ 『人には言えない趣味』でした 今書いている野師、ラストスパートがんがれ(=゚ω゚)ノ
>>607 冒頭の部分、題名に『』をつけ忘れていました………_| ̄|○
短いものですが、一個投下します。 タイトルは『考え事』で、ToHeart2の愛佳。 4レス予定です。
どんなものにも必ず終わりがやってくる。 古い書物と塵埃の積み重なった書庫で、俺と愛佳が過ごした時間にも。 いろいろな事情も重なったけど、それでも終わりのやって来るのは、 予想していたよりずっと早かった――。 「……たかあきくん、たかあきくん」 感慨に浸っていたところを、いきなり脇腹をつつかれて我に返る。 そうだ、今、後片付けの最中だったっけ。 もう書庫で作業することもないからと、備品を引き上げているんだった。 振り向くと、ダンボールの箱を抱えた愛佳が立っていた。 どうやらキッチンの一角を整理してきたところらしく、箱の中身をガチャガチャ言わせている。 「サボっちゃだめですよぉ」 「サボってないサボってない」 「む〜」 あからさまな疑いの視線を向けられる俺。 「嘘は良くないですよ? ちゃんと分かってるんですから」 俺の言い訳などお見通しといわんばかりに、愛佳は薄い胸を張る。 「だからサボってないって。ちょっと休息をとっていただけ。 休息をとることはサボリとは違うんだ。そう、最高能率を達成するためあらかじめ科学的計算によって合理的に定められた計画的行動なんだ」 「む〜」 「そういうわけで納得した……?」 「するかぁ〜、この屁理屈ぅ〜」 「いたいいたいっ!」 愛佳が、手に持ったダンボール箱の角でがしがし俺を叩く。 これは結構痛かった。 「……悪かった」 素直に頭を下げる俺。いたずらは引き際が肝心だ。 「これ持ってってやるから」 俺は愛佳の手からダンボール箱をもぎ取る。よし、武器奪取。
ん? キッチンから持ってきたって事は、この中身って食器類だよな? 壊れ物が入っているかもしれないな……。 中身を確認すべく俺はダンボールの上蓋をぺらりとめくる。 「あ、開けちゃ駄目!」 愛佳の静止よりも、俺が箱の中を覗き込むほうがほんの少しばかり早かった。 「え〜と、飴玉の詰まったガラス瓶に、チョコレートの箱折、クッキーにビスケット……」 「わーっわーっわーっ」 愛佳が得体の知れない奇声を上げ、素晴らしい速さで箱を取り返した。 そして一歩引き下がり、俺のほうを上目づかいで見る。 「……あたしのじゃないですよ?」 「お前以外に誰がいるんだよ」 あからさまな疑いの視線を向ける俺。 「だってあたし、つまみ食いなんかしませんてば〜」 ……この期におよんでいい根性してるな、こいつ。 愛佳の言い訳などお見通しといわんばかりに、俺は無い胸を張る。 ついでに一発デコピンを決めてやる。ばちん。 「嘘は良くないぜ。ちゃんと分かってるんだから」 「はぅ……」
そんな他愛ない会話を繰り返しているうちに、作業はどんどん片付いて、やるべきことが本当になくなってしまう。 そろそろ切り上げ時だろうか。 「あの、たかあきくん?」 ふと見ると、愛佳が困惑したような顔で俺を見ていた。 「あたし、このあと部のほうに顔を出さなきゃいけないから」 ……部? ああ、愛佳は文芸部にも入ってたんだっけ。 あとクラス委員会と郁乃担当委員……は違うけど。 「だから……ごめん」 愛佳が頭を下げる。 ごめんっていうのは、一緒に帰れない……て意味だよな。 愛佳の事情だから仕方ないけど、やっぱり寂しい……な。 なんとなく思い沈黙が二人の間に流れる。 「たかあきくんも、何かクラブ活動すればいいのに」 場の空気を察したのか、愛佳が口を開いた。 「そうは言ってもな……」 俺は首をひねった。 せっかく愛佳の出してくれた助け舟だけど。 「スポーツ系統はダメだし、これといって文化的趣味もないし」 体育倉庫に呼び出されていた気もするが、それはこのさい忘れることにする。 そうすると、マジで何にも思いつかない。 ほとほと無趣味だな、俺。 まぁ、今まではバーコード貼りが趣味みたいなもんだったからな。 「う〜ん、急に言われてもなあ……。愛佳は何か趣味持ってるの?」 「へ、あたしの趣味? あるよ」 急に話を振られてきょとんとした愛佳だが、すぐ頭の中を整理したのか、自身ありげな笑みを浮かべる。 「それはね――」 「買い食い」 「ち、違うよ〜」 「つまみ食い」 「それも違う〜〜っ」
……何をやってるんだ俺は。 愛佳の趣味を聞くのが怖くて、冗談にしてしまった。 なぜだろう、聞いてしまったら、俺と愛佳の距離が一層離れてしまう気がしたからだろうか。 愛佳も苦笑して、それ以上何も言わなかった。 書庫を出たところで右と左。特に何をするでもなく俺たちは別れる。 愛佳は文芸部へ。俺は一直線の帰り道へ。 この書庫も今日が最後だと思うと、なんだか後ろ髪を引かれる思いだった。 明日から俺は何をすればいいだろう? 俺たちは、何を共有できるんだろう? 5月の夕暮れ、茜色に染まった帰り道で俺はずっと、そんなことを考えていた――
最終日だから見に来たら間違ってる…。
すいません、保管サイトに収録する際、
>>578 の11行目の
「カッター」を「カラー」に修正頂けませんでしょうか?
よろしくお願いします。
AIRのないの?
投下します。 ToHeart2でタイトルは「音楽鑑賞」 草壁優季についてのネタバレあります。ご注意。
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音楽鑑賞1 :2005/03/28(月) 07:53:29 ID:NxwJ303q0
うとうとと夢を見ていた。 ずっと昔、幼い僕たちが知り合ったばかりのころの夢…… 『音楽鑑賞』 とても綺麗な海の中だった。 水の色はどこまでも青く、たくさんの魚たちが自由気ままに泳ぎまわっていた。 上を見上げれば、僕の背丈ほどもある大きなヒレを広げたエイが、頭の上をゆっくりと通り過ぎていく。 その傍らでいろんな色や形の小魚が舞い、横を振り返ればマグロの群れがキラキラと金属質の輝きを放ちながら僕に近寄ってきたりして…… 僕は、まるで幻を見ているかのようなぼんやりした瞳で光景に見とれていた。 そうして気がつかないうちに、ずいぶん時間が過ぎていたんだろう。 いつのまにか僕は一人ぼっちだった。 さっきまで確かにみんなと一緒にいたはずなのに…… ぐるぐると周りを見回してみても、見知った顔のひとつも見つからなかった。 右も左も、青い青い水の輝きと大きなぎょろ目を剥いた魚ばっかりで、僕は異世界に一人迷い込んでしまったような気分になる。 少し心細くなりはじめた、その時だった。
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音楽鑑賞2 :2005/03/28(月) 07:54:10 ID:NxwJ303q0
突然、手を引っ張られた。 びっくりして振り向くと、そこに草壁さんがいた。 目が合うとにっこり笑って、 「こっちだよ」 と、通路の一角を指差した。 僕は、まるで救いの女神さまが現れたように思って、草壁さんの手を握った。 と、草壁さんはいきなり僕の手を引いて歩き出そうとする。 「ちょ、ちょっと待ってよ草壁さん」 いきなりどこへ連れて行こうとするのさ、と文句を言おうとすると、草壁さんはびっくり顔をして唇を尖らせた。 「河野くん。私、草壁って名前じゃないよ」 「え?」 「……草壁は私のお母さんの名字」 あれれ、そうだっけ? 僕は目の前の女の子を見つめなおす。 僕と同じクラスの、僕も良く知っている女の子。黒くて長い髪の毛と、頭の上のほうについたかわいい髪飾りが彼女の目印だ。 ちょっと人見知りするけど、優しくて良く気が付いて、それからおとぎ話が好きで……。 名前は……ええと、高城さんだ。高城優季。僕は何を勘違いしていたんだろう。 「……高城さん」 「うん!」 高城さんは納得したような表情で、また歩き始めた。 エイやマグロの泳いでいる水槽を離れ、回廊のように曲がっている通路の奥へ。 高城さんに手を引かれながら、僕は疑問を口にした。 「ねえねえ、僕をどこへ連れて行くの」 「さぁ? どこだと思う?」 高城さんの答えはそっけなかった。 僕は真剣な気持ちで聞いているのに、彼女はとてもいたずらそうな目で僕を困らせるばかりだ。 「イジワルしないで教えてよ」 「だ・め。河野くん私の名前間違えたから教えてあげない」 ぴしゃりと言われてしまった。 本気で怒っているわけじゃないんだろうけど……。 仕方なく、僕は黙りこくって高城さんの後を付いて行った。
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音楽鑑賞3 :2005/03/28(月) 07:54:51 ID:NxwJ303q0
そのうち通路はどんどんうす暗くなってきて、周りの水槽を泳いでいる魚もさっきのみたいにきらきらしたものではなく、青白くて不気味なものばかりになってきた。 枯れ草みたいにひょろ長いウミヘビとか、耳元まで口が裂けたアンコウとか……。 高城さんは先に立ってずんずん歩いていくけれど、僕はなんだか異次元へ誘い込まれているかのような錯覚で恐怖さえ感じてしまう。 「ね高城さん? 本当に大丈夫なの?」 「大丈夫だよ。任せて」 何も心配していないような高城さんの態度が、かえって僕を不安にさせる。 いったいどこへ連れて行かれるんだろうか……。 僕は落ち着きなく、目をきょろきょろ動かしながら、通路の奥へ奥へと進んでいった。 そのとき僕はあることを思い出した。 そうだ。今の僕の状況と同じように、海の底へ連れて行かれて……っていう話があったじゃないか。 その通りなら行き着く先はべつに恐いところじゃないはずだ。 僕の心の中に、一筋の希望の光が差し込んだみたいだった。 「ねえ高城さん」 思いきって聞いてみた。 「ひょっとして、高城さんの連れて行ってくれるところって……竜宮城?」 「……!?」 高城さんは、俺のほうを見て目をぱちくりさせると、次の瞬間、とても大げさに笑い出した。
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音楽鑑賞4 :2005/03/28(月) 07:55:51 ID:NxwJ303q0
「ごめんごめん……」 しばらく経ったけど。 いまだに虫が治まらないのか、高城さんは目に涙の粒さえ浮かべて笑いをかみ殺している。 普段おとなしい彼女があんまり笑うもんだから、僕のささやかな怒りもどこかへ吹っ飛んでしまったくらいだ。 笑うなんてひどいよ、とすっかり毒気を抜かれた文句を言うと、 「そうだね、ごめん……。海の底といえば竜宮城だよね」 高城さんはまるで可愛い子供を見るような目で、僕を見た。 僕はいまさらになって恥ずかしくなる。 良く考えたら竜宮城なわけがないじゃないか。仮にもここは水族館の中なんだぞ。 そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、高城さんは一層ご機嫌だった。 彼女はこういうおとぎ話の類が大好きだったから。 「どうぞ浦島太郎さま」 すっかり乙姫さまに成り切ったかのような高城さん。 「竜宮城へようこそいらっしゃいました。おもてなしに歌でもお聞かせ致しましょうか」 大人びた口調で口上を述べると、優雅に膝を折る。 つられて僕もお辞儀をしてしまう。ほんのちょっとした真似事なのに。 けれど、そういうのは嫌いじゃなかった。 「ぜひ聞かせてよ。でも、どうして歌なの?」 僕がそう訊いたのは、乙姫様ならもてなすべきはご馳走じゃないかと思ったからだ。 「ご馳走なんて用意できないでしょ」 そりゃそうだ。
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音楽鑑賞5 :2005/03/28(月) 08:02:31 ID:NxwJ303q0
ゆらゆら揺れる光が、まるで特設のステージライトのよう。 やわらかく幾重にも帯を巻いて、上質の天鵞絨のような美しさを輝かせる。 その真ん中に立った高城さんは、さながら高貴なドレスを纏ったお姫様だ。 僕がそのことを褒めると、彼女は心なしか頬を紅く染めて、今までに見たことがないくらいの笑顔を浮かべて……。 それがまた、どんな手の込んだお化粧よりも彼女に似合っているように思うのだった。 そして、たった一人の観客のために、彼女のコンサートが始まった。 決して上手くはないけれど、誠実で、どこか暖かみのある歌声が僕の耳に届いてくる。 僕は静かに目を閉じた。 目を閉じると、本当に竜宮城の舞台で乙姫さまの歌声を聴いている気分だった。 乙姫さまの歌は、とても優しかった。 僕の中にすうっと入ってきて、不安で震えていた心を陽だまりのような暖かさの中に包み込んでしまう。 まるで、僕の体全部が、高城さんの温かい手のひらに包まれたみたい。 これは高城さんの優しさなんだろうか? 心細くないよ、寂しくないよって、励まされているようだ。 なんだかひとりでに涙が零れてきそうになって、僕は唇をぐっとかみ締めた。 歌が終わっても、僕はなんだか頭がぼんやりして、夢の中を漂っているような気分だった。 高城さんは礼儀正しく深々とお辞儀をすると、僕のほうを見て言った。 「えと、どうだった……?」 その言葉に僕はきょとんとしてしまう。 あとから考えれば、高城さんは感想を聞きたかったのだと思うけれど……。 そのときの僕はぼんやりしていたので、彼女が何のことを聞いたのか分からなかった。 僕があやふやな返事をしたせいだろう、彼女はその可愛い眉をひそめた。 「河野くん、歌好きだよね……? 趣味は音楽かん賞だったよね?」 え……っ!?
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音楽鑑賞6 :2005/03/28(月) 08:04:59 ID:NxwJ303q0
僕たちの学校の通知票には特技や趣味を記入する欄があって、学期の終わりにはその欄を埋めて先生に見せなければならなかった。 けれど幼い僕たちのことだから、趣味なんて聞かれてもよく分からなくて、大抵の子は思いついたものを適当に書いて済ませていた。 むろん、まじめに書いている子もいたろうけど……。僕もご多分に漏れず、適当に書いていたうちの一人だった。 そのときも、誰かが「音楽かんしょう」と言い出して、僕はそれを真似しただけだった。 だいたい僕は、音楽鑑賞の正確な意味さえ分かっていなかった。 ただ、音楽っていうのが、どっちかっていうと女の子っぽい趣味だな、と思っていた程度だ。 だからこのとき、高城さんが趣味の話を持ち出したとき、僕は本当にびっくりしたと思う。 どうして彼女は僕の書いた内容を知ったのか。 通知票に適当に音楽鑑賞と書いたのは事実だけど、それを肯定したくはなかった。 女の子っぽい趣味の持ち主だと思われるのは真っ平ごめんだった。 そんな趣味の持ち主を、彼女はきっと軽蔑すると思ったから。 幼ごころに僕は高城さんのことが好きだった。 軽蔑されたくなかった。嫌われたくなかった。 僕の体の中を渦巻いていたいくつもの感情を、幼い僕は幼い少女にどう伝えれば良かったんだろう。 混乱する頭を抱えて、僕は、口を開いた。 「僕……音楽好きじゃないんだ」 「え……!?」 「音楽かん賞とか、趣味じゃないから……。だから、高城さんの歌もつまらなかったよ」 高城さんの顔が、急に曇ってゆく。 きゅっと唇を噛んで、瞳をうるうるに潤ませて下を向いてしまう。 さっきまでの笑顔なんかかき消されてしまって。 しまった、何か声をかけなきゃと思ったけれど、僕の頭の中はもうぐちゃぐちゃで……。 とても気まずい雰囲気の中で、今にも泣き出しそうな高城さんを見て、 僕はその場にいたたまれなくなって、駆け足で逃げ出したんだった。
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音楽鑑賞7 :
2005/03/28(月) 08:08:27 ID:NxwJ303q0 そのあとどうなったのか、僕は覚えていない。 覚えていないってことは、特に問題もなくて出口に辿り着いたんだろう。 そしてクラスメートの群れに混ざって、何食わぬふりで学校へ戻ったはずだ。 高城さんにはちゃんと謝れたんだろうか。それとも……。 夢は、そこで終わる。 ……。 「あ……起こしてしまいましたか?」 夢から覚めると、目の前に草壁さんの顔があった。 思わず名前を呼びそうになって、慌てて口をつぐむ。 えとえと……今度こそ間違いないよな。正真正銘の草壁さんだ。 昔の高城さんと同一人物だけど、今の名前は草壁さんで、俺の学校の同級生で、黒髪が綺麗で、スタイルが良くて、ちょっとメルヘンチックで、とても優しく笑ってくれる今の俺の恋しい人だ。 「ごめん、俺……」 「いえ。私もうとうとしていましたし……それに、退屈はしませんでしたから」 草壁さんは静かに笑って、頭上を見上げた。 俺たちは水族館デートの途中で、通路脇のソファーにもたれて休憩していたところだった。 「ここは、水槽のいちばん底の部分にあたるんですね。青い青い海の底。きらきら輝く水の色が綺麗でまるで夢の世界を見ているよう。こんな美しい光景を目にしながらのんびりした時間を過ごせるなんて、ふふっ、とても素敵だとは思いませんか?」 草壁さんにつられるようにして、俺も上を見上げる。 大きな水槽の青い色と、その中を悠然と泳いでゆくジンベイザメ。 俺が夢の中で見た大きなエイは、どこを探してみても見つからなかった。 ふいに、俺は思い当たる。 「草壁さん、いま歌……歌ってたでしょ?」 聞かれて、草壁さんは目をぱちくりさせた。 「え……あの……? どうして分かったんですか? 貴明さん、実は狸ねむりだったとか、もしくはエスパー……? ああ、貴明さんにそんな力があったなんて私ぜんぜん……。あ、それじゃ、あの……とか……の事も……」 なんだかおろおろしている草壁さんはそれはそれで可愛らしかったけど、その反応で俺の知りたかったことは分かってしまった。 どおりで、夢の中の高城さん、あの歳にしては歌が上手すぎると思ったよ……。 ……なんて言えないよな。恥ずかしいし。 「……あの時はごめん」