葉鍵的 SS コンペスレ 13.1

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1名無しさんだよもん
ここは、期限内に与えられたテーマに沿った SS を書くスレです。
他人と腕を競いあうもよし、ネタで盛り上げるのもよし、テーマに沿っていれば何でも(・∀・)イイ!!
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん参加してみましょう。
このスレを育てるのは、あなたが紡ぐ言葉です。

・期間の設定や細かい変更点は告知のなかで発表します。
・テーマはこのスレの話し合いで決定され、開催ごとに毎回変更されます。
・その他、ルールや投稿方法、過去スレや関連スレは >>2-10 あたりに。

【前スレ】
葉鍵的 SS コンペスレ 13
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1075/10752/1075290880.html(予定地)
2名無しさんだよもん:04/02/07 22:43 ID:Fp/SYp6e
【過去スレ】
葉鍵的 SS コンペスレ 12
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1069/10690/1069068271.html
葉鍵的 SS コンペスレ 11
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1063/10639/1063900069.html
葉鍵的 SS コンペスレ 10
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1058/10587/1058785979.html
葉鍵的 SS コンペスレ 9
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1054/10540/1054075821.html
葉鍵的 SS コンペスレ 8
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1049/10491/1049154107.html
葉鍵的 SS コンペスレ 7
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1045/10459/1045985789.html
葉鍵的 SS コンペスレ 6
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1040/10406/1040605036.html
葉鍵的 SS コンペスレ 5
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1035/10359/1035975262.html
葉鍵的 SS コンペスレ 4
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1031/10311/1031179074.html
葉鍵的 SS コンペスレ 3
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1028/10288/1028847595.html
葉鍵的 SS コンペスレ 2
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1025/10257/1025740724.html
葉鍵的 SS コンペスレ
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1020/10204/1020433927.html
葉鍵的 SS 職人選手権(SS 投稿スレ内で行ったもの(189〜))
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1014/10145/1014537214.html

【関連 URL】
葉鍵的 SS コンペスレ保管所
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/
3名無しさんだよもん:04/02/07 22:44 ID:Fp/SYp6e
【ルール】

・テーマを決めて、それに沿った SS、シチュなどを書く。
・書き手は全員名無し(書き手の知名度で作品の評価が変わるのを避けるため)
・書き手の騙りを防ぐために、作品ごとのトリップを推奨する。
但し、普段コテでトリップをつけている人は、それとは別のトリップをつけること。
・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。
・告知及び投稿期間→感想期間→総括期間、という流れ。投稿期間終了までは一切感想をつけない。
・感想期間では、参加作品について感想、評価などを行う。
なお、他の人の感想等に影響が出ないように、感想期間中は作者は身を明かさないこと。
これはコンペスレの内外を問わない。
・総括期間では、書き手の挨拶、運営への意見、次々回のテーマの決定などを行う。
また、感想期間で評価が高かったものを選び、最優秀作品として推す。

・各期間は以下のように設定する。
投稿期間: 2 週間
感想期間: 10 日(暫定)
総括期間: 1 週間+α(そのときに応じて期間は変化する)
4名無しさんだよもん:04/02/07 22:44 ID:Fp/SYp6e
【注意】

※必ず名無しで投稿して下さい(誰だか判らなければ良い)。
※特に、普段トリップをつけている方はご注意を。
(そのトリップと違うトリップなら構いません)

それ以外の手順は SS 投稿スレに準じます(以下に転載)。
|【投稿の手順】

|1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
| 「今から SS 投稿します。なお、××な内容です」など。
| 鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
| (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
|2:書いた SS を 30 行程度で何分割かしてひとつずつ sage で書き込む。
| (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
|3:回しは不要。旧スレからの変更です。
|4:最後に sage で作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
| アップしたところをリダイレクトする(>>1-2みたいな感じ)と トッテモ(・∀・)イインチョ!
5名無しさんだよもん:04/02/07 22:45 ID:Fp/SYp6e
【よくあるかも知れない質問】

Q.複数の作品を投下するのは OK ですか?
A.構いません。期間内でテーマに沿っていればいくつでも結構です。

Q.もうすぐ完成するから、締め切りを伸ばしなさい(`□´)くわっ
A.終了間際の混雑などを考え、締め切りは延長される可能性もあります。
その際は、一言その旨をこのスレに書き込んでください。
ただし、完成まであまりにも時間がかかりそうな場合はその限りではありません。

Q.締め切りが過ぎてから完成したんだけど、ここに投稿していい?
A.締め切りを過ぎたものについては、葉鍵的 SS Training Room や
内容に見合った別の SS 関連スレに投稿してください。
このスレは、決められたテーマと期間の両方を満たす SS を対象にしています。

Q.気に入った SS があったけど、みんな名無しだから作者がわからない。
A.締め切り後にこのスレで訊いてみましょう。教えてくれるかも知れません。

Q.投稿した投稿作品がリアルリアリティに汚染されてます。
A.ときには厳しい意見が付くこともありますが、別にあなたが憎いわけじゃありません。
良い感想職人さんはちゃんと理由も書いてくれますから、次回に役立てて下さい。
6名無しさんだよもん:04/02/07 22:47 ID:Fp/SYp6e
【告知】

締め切りまで 105 時間 13 分を切りました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『戦い』で、締め切りは 2 月 12 日の午前 8:00 です。

また、次回のテーマは『卒業』で、開催時期は 3 月上旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
7 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/07 23:18 ID:2sWp6k0D
スレ立て、ありがとうございました。

前スレに投稿されていたSSですが、応急措置としてローカル保存したものをUPしておきました。
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/sscompe13.html の >>13-26

即死回避のことを考えると、このスレに再投下したほうが良いのかしらん?
8名無しさんだよもん:04/02/07 23:22 ID:CmT1kaAJ
新しいSSを見かけた方、より多くの人に作品を見て貰いたいSS作家の方、
よろしければSSの伝言板をご利用下さい。

http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1075819203/l50
9名無しさんだよもん:04/02/07 23:46 ID:L9ltYrKW
datオチか。保守してもまた一時しのぎかな。
SSか話題を投下してほしいところ。
10名無しさんだよもん:04/02/07 23:47 ID:1PqpE8vr
再投下お願いします。
11前スレ8:04/02/08 01:38 ID:DF0EeUiI
俺がもう少し頑張っていれば……
12名無しさんだよもん:04/02/08 02:58 ID:BAEO/A0q
全くだ。また胴締めの刑だな。てりゃ。
13西等里(にしらり)先輩:04/02/08 04:43 ID:Ozsl/7H3
前スレ8くんは落とされるの好きやなあ
14名無しさんだよもん:04/02/08 19:16 ID:O5ZpzKsH
>>11
俺も頑張ろう。
保守書き込みで1000目指すぞ。
15名無しさんだよもん:04/02/08 20:44 ID:dN7ivbIG
>14
それじゃこのスレの意味がないだろ……
そんな >14 に喝を入れてやってください↓の人
16名無しさんだよもん:04/02/08 23:19 ID:txAYrguQ
しかし、今回は作品少ないね。
前回の反動が出たか?
17名無しさんだよもん:04/02/09 02:19 ID:LazBZPKv
ちょっと色々バリエーション考えてみたんだけど、「戦い」ってなにげに、
始める動機から決着まで書かなきゃいけないから長くなりそうな気がする。
今回は短いの書きたいような気分なんだが。なんかないかな……。
18ストリートファイター:04/02/09 03:13 ID:prfdz2T+
「美汐、今度こそ決着をつけるわよ!」
「あら真琴、この私に勝てると思って?」
「やめてくれ!俺のために二人が争うなんて!」
「うるさいわねー、祐一は少し黙ってて」
「そうですよ、下らないこと言わないでください相沢さん」
「だってさっきからずっと二人だけで対戦して、俺にやらせてくれないんだもんな・・・」
「祐一はインチキするからダメなのっ、エイッ」
「いや、波動拳は立派な技なんだが・・・」
「拳と拳を交えてこそ漢の戦いと言うものです、ヤアッ」
「いや、パンチだけで戦って面白いのか・・・?それに漢って・・・」
19名無しさんだよもん:04/02/09 03:15 ID:prfdz2T+
短いの
20名無しさんだよもん:04/02/09 18:59 ID:Osk8uoCu
ちじょうのほしゅ
21 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/09 20:34 ID:pgCE8JUQ
前スレ>>13-26に投稿されていたSSを再投下したいと思います。
しばらくの間、書き込みをご遠慮くださいませ。
22代理 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/09 20:36 ID:pgCE8JUQ
一発目いくます。
題名「ソードダンス」で
KANONSSシリアスものです。
23ソードダンス(1/13):04/02/09 20:37 ID:pgCE8JUQ
上弦の月明かりが校舎を照らしている。
今、空には黒い雲とその後ろにはその黒より暗い闇が、月明かりを避けるように広がっている。
時が過ぎれば、黒い雲は月を隠してしまう位置にあった。
黒い雲が明るい月を隠せば彼女は生まれ、黒い雲が明るい月から離れれば彼女は消えていく。
暗い闇の中。
彼女は何を考え、何を感じて、生きているのだろうか。
24ソードダンス(2/13):04/02/09 20:38 ID:pgCE8JUQ
学校内はしんと静まり返っていた。
屋上の踊り場からこつこつと足音を軽く鳴らしながら、階段を降りていく。
そのまま、下へ下へと歩いていくと、奇妙な4人が廊下で遊んでいるのが見えた。
頭にはうさぎの耳をつけ、軽いストレートヘアをし、安くて簡素な服。
そして、何も知らないような無垢な瞳が特徴の、
全く同じ姿をした少女達だった。
4人は向き合いながら、輪を描いて踊っていた。
お互いがお互いの手を握り、ただぐるぐると回るだけの踊り。
こんな簡単な踊りなのに、下手な奴が一人いるせいで、何度も失敗していた。
そいつは他の三人と比べて、運動はできるのだが代わりになんだかいつも元気が無い。
他のことを考えているのか、常にぼーっとして、勝手に転んでしまうのだった。
すぐに立ち上がって、「ごめんなさい」と謝る少女の覇気の無さは、楽しげな他の三人達とは
対照的に僕の目には映っていた。
「ごめんなさい・・・」
「いいよ。気にしないで、私達が早過ぎたね。じゃ、次は遅くしよっ」
僕は階段に座って、そんな少女達の様子をずっと見続けていた。
25ソードダンス(3/13):04/02/09 20:39 ID:pgCE8JUQ
突然、少女達は踊りを止めた。
「じゃ、いってくるね。」
「頑張ってね」
「応援してるよ」
「・・・・」
いってくるねといった少女を残し、他の子はまるで霞のようにぼやけて、消えていった。
その少女はふっと僕の方を振り向いた。
「一緒にきてもいいよ。そっちのほうが心強いし。」
「え?僕も?」
「そう。あなたも」
「どこに行くの?」
その質問に、彼女ははっきりとした口調でこう答えた。
「魔物と戦うんだよ。」
まるで、さきほどと同じく友達と遊ぶかのように、軽口で彼女は言っていた。
魔物?
言っている意味がよくわからない。なんでなんの変哲もないこの学校に魔物がいるんだ?。
「この階段を降りればすぐにいるから。急がないといなくなっちゃうよ。早く早く」
少女は僕をせかすように話しながら、2段、3段と階段を軽快に降りていった。
僕の同意も無しに勝手に行動する彼女には少し腹が立った。
だが、
この先には一体なにがあるのか?
魔物とは一体どんなものなのか?
自分は怖さとともに溢れる好奇心に耐え切れず、
気が付くと彼女より先に階段を降りていた。
少女は待ってと、必死で追いつこうとしていたが、
先に階段を降りきったのは僕だった。
前にあるのは壁だけ、そこからおそるおそるしんと静まりかえる巨大な廊下が見える位置へと歩みを進めていく。
横を振り向き、ずいぶんと長く感じる廊下を見渡すと、
窓に座って、こちらを直視する蒼い髪の女性がいた。
26ソードダンス(4/13):04/02/09 20:40 ID:pgCE8JUQ

その女性は目を細めると、横に置いてある重そうな剣を手に持ち、地面にだらりと剣を垂らす。
そのまま先端を地面に擦り合わせながら歩き出し、カラララという音を廊下中に響かせていた。
ゆっくりと、ゆっくりと、
彼女の見える姿がだんだんと大きくなっていく。
その姿が大きくなりにつれて、重苦しい重圧が増えていく。
間違いなかった。
これが魔物。
体中から滲み出てくる殺気、それでいて獲物に対しては明らかに冷静な振る舞い。
ここに完璧な狩人の魔物が確かにいた。
その殺気に耐え切れず、一瞬目を反らした瞬間、魔物は剣を構え、疾走してきた。
いきなりの魔物の行動に驚いたのも束の間。
気付いた時には、剣を振りかぶった死神がすぐ目の前に来ていた。
殺られると思った刹那。
目の前に小さな塊が飛び込み、寸でのところで剣を止めていた。
小さな塊は魔物を吹き飛ばし、こちらの方を向く。
その小さな塊は剣をもったあの少女だった。
27ソードダンス(5/13):04/02/09 20:40 ID:pgCE8JUQ
少女は僕に少し後ろへ行っていてと言うと、
銀の光沢を光らせる剣を持ち替え、あの魔物へと突っ込んでいった。
さすがというべきか、魔物は吹き飛ばされても、すぐに体勢を立て直し、
少女へ背中を傾け、さっきと同様に突っ込んできた。
剣と剣がぶつかりあう。
しかし、少女は怯まず、剣の柄で相手の柄を弾き飛ばし、相手を一刀両断するために、精一杯振りかぶる。
そこを狙っていったのか、それともこの刹那に思いついたのか、魔物はそのままバックステップして、
それを避けて、そのまま中段へ突きを繰り出そうとする。
しかし、少女は身軽にこれを顔を反らして避けていた。
この間の時間はたった数秒間。
自分は夢でも見ているのか。
さっきまでの少女の動きとは、まるで別人が動いているかのような動き。
一体、どれだけの武術を究められれば、こんな凄まじい動きができるのだろうか。
「へへ、じゃあこれでどうかな」
少女が手を挙げると、窓ガラスが魔物に降り注いだ。
一瞬少女が魔法でも使ったのかと思ったが、
窓のほうを見ると彼女以外の3人が、ロープを使ってぶら下がっていた。
どうも、上の階からロープを使って、窓ガラスを蹴って割っていたらしい。
「どうだ!」
さきほどまで魔物と戦っていた少女が、まるで自分の手柄であるかのように、
腰に手を当て虚勢を張っていた。
だが、魔物の体には少しのガラス片が見当たるだけで、それほどダメージが無い。
あのガラス片が降ったとき魔物は、素早く首にあるリボンをほどいて、
肩にぶら下がっている布で、舞い落ちるガラスを振り払っていたため、
ガラスによる傷はほとんど無かった。
「あちゃーまた失敗か。」
「また?ってことは何度もやっているのか?」
「そうだよ。さっきのカッコイイでしょ?」
どうりで魔物の手つきが手馴れていることで。
にこりと笑う少女は、まるで魔物と遊んでいるかのようだった。
28ソードダンス(6/13):04/02/09 20:41 ID:pgCE8JUQ
「じゃ、今日はここまでだね。帰るよ。」
「えぇ?」
「まだ目の前に魔物がぴんぴんしているのに、何言っているんだ?」
「いつもこれくらいで終わりなんだよ。」
さっきからのまるで緊張感の無い表情に
無駄としか思えないガラス割り。
魔物を到底倒す気が無い様子。
こんな怖いものを目の前にしているのに、平然と喋りつづける少女。
魔物と少女には何かの境界がある気がした。
一線を超えない密約があるような。
まあ、憶測をいくら考えても仕方ない。
とりあえず、この少女が凄かったってとこで考えるのを終わりにして、激励しにいくか。
僕が彼女に手を振った瞬間。
突如ゆらめく、暗い影が魔物の後ろから現れる。
それはこの学校の制服を着た一人の男だった。
そいつは木剣を力の入れすぎかと思えるほど握り、
隙だらけの構えで少女の前へ走ってきた。
僕でも倒せそうかと思うくらい。
だが、少女はその隙だらけの男に何もしなかった。
男の顔をただぼぅっと見つづけるだけ。
剣をだらっとぶらさげて、構えをすることが無いのはもちろん。両手に力さえ入れていなかった。
驚きの表情を見せつつ何もしない少女。
だが、少女がぼぅっとしている間にも、男は猪突猛進に突っ込んでくる。
少女の目の前までくると、頭の上にまで振りかぶっていた木剣を一気に打ち込んできた。
「おい!何で何もしないんだよ!」
少女ははっとすると隙だらけのみぞおちに、自分の剣を叩きつける。
男は何が起こったのか分からず、数歩たじろぎ、そのまま地面に手をつけてうずくまった。
「ご、ごめんなさい!!」
少女はびっくりして、男に近寄っていった。
29ソードダンス(7/13):04/02/09 20:42 ID:pgCE8JUQ

カチャ
冷たい金属音が一瞬鳴る。
下を見さげる眼光で少女の急所を狙う的確な射線を、0コンマ何秒かで即座に決定する。
目から腕までの神経細胞の伝達速度は0.8秒。
腕が動いた瞬間に息を一気に吐き、最大限の力を引き出す。
その斬撃は絶対に避けきれない射線にあった。
左肩から右わき腹へ、真っ直ぐな赤い線が引かれる。
そこから細かな赤い点が、窓からコンクリートの地面に数秒噴出した。
後は壁にもたれかかって倒れる人形が、赤い液体を流して座るだけだった。
30ソードダンス(8/13):04/02/09 20:43 ID:pgCE8JUQ
一瞬の出来事。
そのはずなのに、僕の足は斬られる直前に地面を蹴っていた。
僕は彼女に駆け寄っていく。
目の前の魔物がもつ剣の切っ先が恐怖を引き立ていく。
小さな足と首に手をくぐらせて、このまま持ち上げて走ればいい。
僕は背中に走る恐怖に顔を向けないように、急いで所作の行動を起こした。
彼女の体は案外軽かった。
手を首と足の下から通していくと、女の子の柔らかな感触が伝わってきた。
口から吐き出てくる温かい息が頬にかかっていた。
今にも魔物が剣を振りかぶって襲ってきてもおかしくはないのに、
僕は小さな彼女の体に一種のかわいさを感じてしまった。
張り詰めた緊張のなか、もやもやとした感情を抱きながら、
僕は階段を必死で登っていった。
「・・・しとめたのか?」
「いや・・・消えた。」
舞は見上げた階段から視線を反らすと、男に呟いた。
「囮でいて欲しい」
男は冗談半分に返答していた。
31ソードダンス(9/13):04/02/09 20:44 ID:pgCE8JUQ

気が付くと僕はまた、屋上の踊り場にいた。
あの少女を運んでいた時から、記憶がぷっつりと切れている。
一体あれからどうなったんだ?
階段をひたすら降りていく。
あの場所に行くために。
あの子は無事なのか?
いや、無事であって欲しい。じゃないとあの時なんのために助けたんだ。
「わ。」
急ぎすぎたためか。僕は廊下に置いてあったバケツに足をぶつけて転んでしまった。
「いたた、こんなのさっきはなかったじゃないか」
体に感じる微妙な違和感。
さっき?
そういえば、壁にあんなポスター貼られていたっけ。
備え付けてあった消火器も無い。
空いていたはずの窓も閉まっているし。。
僕は窓をじっとみていると、さっきと違う明らかな矛盾があるのがわかった。
注目したのは窓ではなく、その先の空。
あの時、上弦の月だったはずの月は今、下弦の月へと変貌していた。
「まさか。」
自分の考えを振り切るように階段を降りていく。
だんだんとあの廊下が見えてきた。
だが、僕の予想は最悪の形で的中していた。
そこにいたのは、傷だらけのたった一人。
それも、踊りの下手なあいつだけだった。
「踊れなくなっちゃった。もう」
僕が会った時に最初に聞いた言葉。
その言葉は他の女の子達がどうなったのか克明に表す言葉。
冷たい現実に僕は腰を砕いてその場に崩れこんだ。
32ソードダンス(10/13):04/02/09 20:45 ID:pgCE8JUQ

「ねぇ・・・踊って」
小さな赤い手が目の前に突然現れた。
「一人じゃ踊れないから。踊ってよ。・・・ね」
手の甲のかさぶたに出来るだけ触らないように、
指先を軽く握った。
僕は立ち上がる。
「僕はそっちの業界じゃ。五本の指に入るほどの腕前だぞ。
ついてこられるかな?」
「ふぇ・・・ごめんなさい。じゃ、ちょっとだけ遅くして、
じゃないとまた転んじゃうよ。
痛いのは・・・」
「大丈夫だよ。五本の指に入るほどのプロは遅くするのも早くするのも、自由自在さ」
「よかったぁ・・」
少しずつ少しずつ動いていった。
女の子の足取りは凄くぎこちない。
左回りで回っているのに右足から上げるのは如何なものか。
これでは足が絡まって転んでしまうのも頷けるもんだ。
「なぁ・・・左足からあげればいいじゃん?」
「え・・・?えっとこうかな?」
「そうそう。うまいじゃん。」
「やったぁ・・・」
僕は彼女の呼吸が苦しそうだったので、それ以上話す事は止めた。
僕達はそのまま、ぐるぐると時間を忘れるくらい回りつづけた。
ぐるぐると
ぐるぐる
ぐるぐる
33ソードダンス(11/13):04/02/09 20:46 ID:pgCE8JUQ
手の感触がだんだんと無くなっていく。
寒さで手が悴んでいたためじゃない。
握っていた手が消えていっているからだった。
「まじか・・・」
ぼやけた目線を手で擦って、もういちど見ると、女の子は霞のようにぼやけていた。
「最後に一言だけ言いたいことがあるの」
「・・・何だよ?」
「魔物を倒せなくてごめんね」
「お前、そればっかだな。」
「え・・?」
「ごめん、ごめん、ごめん。聞き飽きたよ。他に喋ることはないのかよ?」
「そ、それじゃあ」
ほとんど消えかかっている声にそば耳を立てる。
「ありがとう。一緒に遊んでくれて」
僕は涙を流しながら、笑っていた。
34ソードダンス(12/13):04/02/09 20:47 ID:pgCE8JUQ
血が床一面に広がっていた。
窓側の席に座る魔物ともう一人の男。
血は魔物の腹部からぽたぽたと流れ出ていた。
いい気味だ。
腹を斬る死に方はすごく苦しいんだ。
内臓からの痛みに耐えかねながら、じわじわと血を流れ出し
出血多量によって、指先から何から全部冷たくなって死ぬ。
あいつら4人を殺したお前には、そのくらいの死が相応しいんだよ。
僕はまだ涙を流して笑った顔が戻っていなかった。
「お前・・・どうしてこんなことするんだよ・・・これから、やっと始まるところだったのに
・・・おれは、お前が・・・お前が、大好きだったのに・・・」
腕の中の舞は何も答えてはくれない。
どうしてだ。こんなの、勝手で卑怯じゃないか。舞。舞・・・!
男の思惑が頭の中に入ってくる。
全部祐一が原因なのに、何を言っているんだか。
佐祐理さんを傷つけたのも、舞を死に追いやったのも全部、祐一のせいだろ。
舞は魔物を倒す気は無かったのに、ただ寂しかったから。遊んでいたかっただけだったのに。
祐一が現れなければ、何も起こらなかったのに。
そう、祐一がいなければ、僕は生まれてこなかったのに。
地面に流れる赤い水を押しのけて立っている子供靴の足跡は、だんだんと消えていった。
消えていく僕自身を見つめながら、もう一度あの成長した大事な人が無くならないように
消えないように、祈っていた。
もう一人の俺の大事な人が消えないように。
35ソードダンス(13/13):04/02/09 20:47 ID:pgCE8JUQ

「あははー 写真も全員と撮りましたし、もう学校でやることは全部やっちゃいましたね。」
「佐祐理さん。一体いくつ男を振ってきた?」
「ふぇー 振ってるって意味はわからないですけど。男の人とは後輩さんやOBさんも含めて、
ざっと70人くらい会ってきましたよ」
「あの校門の前にいる人たち?」
「ふぇ?顔はよく覚えていませんけど、たぶんそうだと思います。」
佐祐理さんと会った男どもは全員が全員
生ける屍と化し、校門の前でスクラムを組んで己の武勇伝?を語り合っていた。
「にしても、あいつら邪魔だな」
「じゃあ、裏門から帰りましょうか。」
「いくところが・・・ある」
佐祐理が話していた間、ぼけーっと桜の木に座り込んでいた舞が突然口を開いた。
そういうと舞はつかつかと新校舎へと、勝手に歩いていってしまった。
「たく、勝手な奴だな。」
「あははー 舞も行きたいところがあったんですよ。」
「そうだな・・・」
何故だか妙に明るい佐祐理さんに疑問を持ちつつ、俺は早々、舞に着いていった。

舞は階段のすぐそばにある2階の廊下に突っ立っていた。
「・・・はじめる」
「え?何をだよ?俺いつも思うんだけどさ、ちゃんと主語と述語と目的語いってから喋れよ。」
「そうですよー舞」
舞は少し考えて、喋った。
「この前の夜の続き。」
夜の続きとは一体。そういえば、あれ最後までやってなかったなぁ。
「ま、まさか・・佐祐理さんもまじって3Pですか?どんぶりですか?・・・どんとこーい」
「あははー 何を言っているか佐祐理にはよくわからないです」
舞はつかつかと俺の前に行くと目の前で手を伸ばした。
「あ・・・そういうことね」
俺は舞の真意を合点した。
舞の指先のほうを握ると、佐祐理さんの手も握った。
「一緒にやろうぜ。」
「あ、はい。でも、何するんですか?」
「何、簡単。簡単。」
舞と俺と佐祐理は円上になるとそのまま回り続ける。
ただ、ぐるぐると、
「確かに簡単ですけど、何だか子供の遊びみたいですね」
「おい、右足から上げろよ。いつもお前はそうだろ?」
「祐一・・・だまって」
「あははー何だか険悪ですね」
「なぁ・・・小さい方はどうするんだ?三人じゃ入れないだろ?」
「他の人も来るんですか?」
「大丈夫もういる。」
「まあ確かにそうだけど・・・」
「えー、ちょっと二人で佐祐理を怖がらせないでくださいよー」
確かにもう二人はいた。
小さな女の子と小さな男の子がもう一人増えた友達と一緒に。
成長した二人はあの時消えてしまった感触を確かめるように、
二人の手をぎゅっと握り合っていた。
37名無しさんだよもん:04/02/09 20:50 ID:pgCE8JUQ
>>23-36
以上、代理投下でした。
38 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/09 20:52 ID:pgCE8JUQ
【告知】

締め切りまで 3 日を切りました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『戦い』で、締め切りは 2 月 12 日の午前 8:00 です。

また、次回のテーマは『卒業』で、開催時期は 3 月上旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
39投稿した人:04/02/10 02:10 ID:KDBfET5n
あれ?dat落ちしてたの?(汗
すいません気づきませんでした。
表示はできていたからてっきり・・・

進行役さん張り直しありがとうございます。
でも気づいてれば、Σ(゚∀゚ ) アヒャ取ったのになぁ。(ボソ おしいことした。
40名無しさんだよもん:04/02/11 04:57 ID:6XR/Mfo0
 
41名無しさんだよもん:04/02/11 20:49 ID:Zr2S983K
42名無しさんだよもん:04/02/11 23:16 ID:rgD4UvlY
締め切り…明日の朝……ですよね?
本気で今回やばい?
43名無しさんだよもん:04/02/11 23:33 ID:0ROAC2IS
ぱっと思いついたんで1本イっときます。
タイトル「いざゆけ若鷹軍団」、AIRもの、1レス予定です。
44いざゆけ若鷹軍団:04/02/11 23:34 ID:0ROAC2IS
 その日、神尾晴子はビールを飲みながらテレビを見ていた。
 テーブルの向こうでは観鈴が肩にカラスを乗せて、いつも通りのひとりトランプ。
 リビングに、テレビから流れる剣戟の音が流れる。

「なぁ、観鈴ちん。戦いってええと思わへん?」
「うん、すごくいいと思う。わたしもやってみたいな」
 何気なく話しかける晴子に、何気なく答える観鈴。
「へぇ、観鈴が戦いかいな。あんま似合わへん思うけどなぁ」
「が、がお……でも、似合わなくてもいいの。一度でいいからやってみたい」

 窓の外には星空、トランプの手を止めて遠くを見やりながら観鈴は続ける。

「狙いをつけて、びゅーって飛ばすの。びゅーって飛んで、獲物に大当たり。
 それで、兎さんとか鴨さんとか持ってきてくれるの。きっと晩ご飯、豪華になる。にはは」
「ええなぁ、それ。何つってもカッコええしな。バッサバッサと肩で誇り高く羽ばたく姿はカラスとは比べもんに
 ……ってそれは『戦い』やのうて『鷹飼い』やっちゅーねん!!」
45名無しさんだよもん:04/02/11 23:34 ID:0ROAC2IS
締まり無く終わります。以上です。
46名無しさんだよもん:04/02/12 01:24 ID:veiHG107
いま書いてるうぷ予定の人、
よかったら手を上げてくださーい。

……やばい?
47名無しさんだよもん:04/02/12 01:28 ID:0GWlpVcW
>>46
はーい。
今夜中には書き終わりまーす。

作品数、シャレにならない結果に終わったらマジでどうしよう…。
48 ◆IzPvPW25K2 :04/02/12 02:02 ID:0GWlpVcW
と、いうわけで書き終わりました。
今から投下します。やや被ってしまいましたがKanon舞ネタ。16レス予定。
「僕の学校は戦場になった」
49僕の学校は戦場になった1/16:04/02/12 02:05 ID:0GWlpVcW
 ガキン、ガキンッ!!
 闇に彩られた夜の校舎に、戦いの当事者たちにしか聞こえない場違いな金属音が響き渡る。
「……はあっ!!」
 踊るように川澄舞は愛用の剣を振るっていく。その剣が空中で見えない何かとぶつかる度に、その金属音は鳴り響く。
 それを見守るは、舞のパートナー相沢祐一。この戦いに割って入れるほどの力を持たない彼は、舞の後ろで何かあったときのためにとりあえず控えている。
 舞と魔物の戦いは激しさを増していく。舞の攻撃が何発か魔物にダメージを与えているのは祐一にもなんとなく感じられたが、それが逆
に魔物の凶暴性を増させる結果となり、魔物の攻撃も激しさを増していく。
 戦いの舞台が少しずつ移動していく。そのたびに戦いのまきぞいを食らった廊下の窓ガラスにひびが入り、次々と割れてゆく。だが、舞
にも祐一にもどうすることもできない。
「………はああっっ!!」
 天井近くまで跳躍した舞が、落下の勢いを利用して上空から剣を振り下ろす。最後にひときわ大きな音を立てて、それから辺りは静寂に
包まれた。
「やった……のか?」
「………」
 肩で息をしながら舞はふるふる、と小さく首を横に振った。
「……深手は負わせたけど逃げられた」
 嬉しそうでも残念そうでもなく、無感情に舞は事実のみを告げる。
「そっか。ともかく、手負いに出来ただけでも今日は上出来だな。帰るか」
「……」
 舞は今度は小さくこくり、と頷いた。
 舞と並んで廊下を歩く祐一は、階段に差し掛かる前に一度ちらりと廊下を振り返った。そこには、先ほどの戦闘の巻き添えを食って割れたガラスが廊下のあちらこちらに散乱していた。
 さっきまで窓があった空間から差し込んだ月光がガラスに反射してキラキラと光っていて、不謹慎にも祐一はそれを一瞬綺麗だと思ってしまった。
「まいったな……こりゃまた問題になるか、やっぱ……」
 ガラスが割れていたことで明日待ち受けるであろうトラブルのことを考えつつ、とりあえず祐一と舞は帰路に着いた。
「何だと!?」
「またガラスが割られていたそうです。今回は3階の西棟で15枚ほど」
 翌朝早くに登校するなりすぐに、生徒会長久瀬は玄関で待ち構えていた生徒会員・斉藤から事故の報告を受け驚愕の表情を浮かべた。
 久瀬は斉藤と急いで現場に駆けつける。そのままに保存されていたその現場は、粉々に砕けたガラスが散乱してひどい有様だった。
「が、ガラスがあぁぁぁぁっ!! 僕の命の次に大切な学園のガラスがあぁぁぁぁぁっ!! ああ、なんてことだ! ジーザス! オーマイゴッド!!」
「……」
 ガラスを見るなり、頭を抱えてオーバーアクションをする久瀬を、隣にいた斉藤は『やれやれまただよこのガラスマニアは』とでも言いたそうな表情で久瀬を見た。生徒会に入ってからガラスが割られる事件が起こるたびに久瀬はこんな取り乱し方をしているのだ。
 もうすっかりこの久瀬の変貌振りに慣れている生徒会メンバーであった。
「……はっ! し、失礼。それで、犯人の手がかりはありますか?」
「あ、い、いえ。宿直の先生や部活の朝練で朝早く来ていた生徒にとりあえず聞き込みはしてみましたが、これといって目撃情報は。
 ……ちなみに、第一容疑者である川澄舞の証拠物件も特に見つかってはいません」
 今までの前例やつい先日の舞踏会の件などを考えれば当然のことながら、生徒会メンバーは舞を第一容疑者として考えていた。
 当然、斉藤は今回も久瀬は舞を犯人としてすぐさま動き出すものだと思っていたのだが……
「ふふ、ふふふ……そうかそうか。そんなにガラスを割るのが好きなのか〜。あーはっはっはっはっはっはっ。
 面白い、実に面白いよ。川澄さんが犯人だろうが他の誰が犯人だろうが、そんなのは関係がないことがなきにしもあらずって感じだよ明智君」
「か……会長?」
 突然、顔を両手で押さえて電波の一歩手前の状態と化した久瀬を見て、斉藤が一歩後ずさりながら久瀬の顔色をうかがう。
「…ふ。 ……ふふ、ふふふ…………ふははははははははははははははぁ―――――っ!!
 上等だおんどりゃあ! ワイのガラスをこれ以上割ろうったってそうは問屋がおろさへんがな!
 そうとも! 自分の学校は自分で守る! 専守防衛! 自主自立! 非核三原則がナンボのもんじゃぁ!!」
「なぜ関西弁!?」
 突っ込むところはそこか斉藤?
「そうとも、これ以上貴様らの好きにはさせんぞ悪の軍団!! ワイは断固として戦う!  皆のもの続け! 今度は戦争じゃあ!!」
「会長ぉ―――――っ!!」
 炎をバックに完全に壊れた久瀬を、登校してきた生徒たちが何も見なかったことにして通り過ぎて行った……。

 ガキン、ガキンッ!!
 闇に彩られた夜の校舎に、今夜も戦いの当事者たちにしか聞こえない場違いな金属音が響き渡る。
「……はあっ!!」
 力任せではなく、体の捻りを利用して一撃必殺の威力を持たせた舞の剣が廊下の冷えた空気を切り裂いていく。
 戦いの舞台となった廊下に、かすかな火花が夜桜のように散ってゆく。
 舞は感じた。魔物が一旦、体勢を立て直すために引いたことを。そしてそれをさせまいと廊下を追っていく。当然、祐一もついて行く。
「ああもう、あれじゃまたガラス割れちまうだろっ! 今日の明日じゃ明日こそヤバいぞ…」
 頭を抱えながらも、祐一は舞を見失わないようにリノリウムの冷たい廊下を駆け抜けていく。
 そして、戦闘を行く魔物が、嵐のように駆け狂うたびに、今日取り替えられたばかりのガラスが割れ―――――
 

 ゴスッ。


 ……なかった。
「「………」」
 一瞬だけの奇妙な音が止むと廊下には完全な沈黙が訪れた。祐一も、舞も、当事者である魔物ですらその場に固まった。
 ゴスッ、ゴスッ、ゴスッ。
 奇妙な音が連続して鳴り響き、端から4枚目のガラスがビリビリと震える。それが魔物が何度もガラスに体当たりしているのだ、と祐一と舞は理解した。
 が、ガラスは一向に割れない。やがて魔物がガラスにぶつかる音も消え、辺りには再び完全な沈黙が訪れた。
「………………」
「………………」
「……魔物、不貞腐れて帰ったみたい」
「ガラスが割れなかっただけで帰るなっ!!」
 祐一の突っ込みを受けるはずの魔物は、既に姿を消していた……。

 その頃、同じ町内のある家にて。
「ふはははは! 来須川カンパニー特性の防弾ガラス! その防御力はバルカン砲もなんのその!
 これで二度とガラスは割らせはせん! 割らせはせんよ! あーはっはっはっ!!」
 誰もいない夜空の向こうに向けて、一人で吠えている久瀬の姿があったとかなかったとか。

「お早う明智君」
「俺は斉藤っすよ、会長……」
 翌朝、朝早く投稿した久瀬は斉藤の姿を見かけるなり爽やか(と本人は思っている)な笑顔で挨拶をした。
「む、そうか、すまない斉藤君。ところで、今日はガラスは大丈夫だったかい?」
「あ、はい。さっき見回った限りでは今日は大丈夫だったみたいですよ」
 斉藤の答えに、久瀬は満足そうに眼鏡を抑えてニヤリと笑った。そして天を仰いで叫んだ。
「はーはっはっはっはっ!! 見たかガラスの敵よ! ナチスの科学力は世界一ィィィィィ!!」
「……会長、アンタガラスに何をやったんだ……」
 これで久瀬は、もうこの学校を脅かすものは無いと確信していた。そう、戦いは終わったのだと。


 しかし戦いは終わらなかった。
「何ぃ!? 今度は廊下の床が!?」 
「はい。リノリウムの廊下が何箇所も削られていたりヒビが入っていたりしたそうです」
「おのれ、ガラスの次は床か!! ……廊下をコンクリートで固めれば問題ない!」
「おお、コンクリートデスマッチですね! …って、転んだら死人が出ますよ!?」

「会長! 今度は家庭科準備室のドアが壊されていました!」
「校内全てのドアを鉄製にするのだ!」

「会長蛍光灯が割られて!」
「蛍光灯の周りの守りを固めろ!」

「会長!」
「事件は会議室で起こってるんじゃない! 学校で起こってるんだ!」

「会!」
「レインボーブリッジを封鎖せよ!!」


「……ふっ、完璧だな斉藤君」
「俺ら、何か途中から違うことやってたような気が……」
「気にしてはいけない。これで学校の平和は守られるのだよ」
「……平和……ねぇ」
「手は尽くした。全ては今夜で決まる……ふふふ、ふふふ……」
 俺もう生徒会辞めよう。そう誓った斉藤であった。
 そして、その夜。
「……今日こそ決着をつける」
「ああ。魔物の数も減った。早く終わらせないとな」
 人気の無い夜の校舎に忍び込む、祐一と舞の姿があった。
「……早く決着つけないと、この学校が本当に軍事要塞と化すぞ」
「……」
 祐一と舞は無言で後ろを振り返った。玄関前には、侵入者を感知して発射されたミサイルの残骸とギロチンの刃と落とし穴の名残があった。
 しかも正門は竜の騎士の力をもってしても壊せないほど頑丈に作られており、学校の塀の上には電流の流れる有刺鉄線が張られていた。
 ……いや、これもう立派に軍事要塞だろ。よく警察に通報されなかったものだ。
「ってか、今までならまだしも、今夜のこれは異常すぎるだろ……こんなんで魔物来るのか?」
「現われる……と思う」
 舞の声もいつになく弱気だった。無理も無い。舞ですらこんなところには来たくないと思ったほどなのだから。
 しかし、それは幼い頃に吐いた悲しい嘘から生まれた魔物である。魔物に出来ることはただ一つ。
 舞の命令どおり、舞の敵となって戦うこと。そのためならどんな危険なところにだろうと現われなければならない。
「……来た」
「……よく来たなマジで」
 舞につられて祐一は正面を見据える。舞の視線の先、暗い強化コンクリートの廊下の先……

 ガガガガガガガガガガガガガガァッ!!

 ……赤外線防衛システムに反応した、天井備え付けの侵入者用マシンガンが魔物相手に火を噴いた。

「………魔物が手負いになった」
「誰だあんなもん設置した奴は!!」
 …そして、極限状態での舞と魔物の戦いは始まった。
 互いに小細工はなし。正面から、魔物の体と舞の剣がぶつかり合う。月光の下に輝く銀の刃が、見えない邪悪な爪が、音を立てて衝突する。
 そして床からは振動に反応して飛び出てくる槍。壁からは熱に反応して突き出される矢の嵐。そして天井から落ちてくる金ダライ…。
「誰だ学校にこんなもん作った奴は!」
 祐一の二度目の突込みを無視して、舞と魔物の戦い(トラップ付属)は際限なく続く。

 ……生死を賭けた戦いのはずなのに、なんだこの空間は。

 だがそれでも、トラップをも巻き込んだ舞と魔物の戦いは激しさを増してゆく。激突する空気が荒れている。
 祐一は囮になることもできず、ただ固唾を呑んで戦いの行方を見守っていた。
「はあっ!」
 ガギィン! 一際大きな金属音を立て、舞が戦いの場から飛びのいた。どうやら、一旦お互いに体勢を立て直したらしい。
「舞、大丈夫か!?」
「平気。祐一こそ……」
 と、次の瞬間。祐一の方を振り向いた舞は汗の滲むその顔を強張らせた。
「祐一…後ろ……!」
「なっ!?」
 祐一の後ろに接近していたもう一匹の魔物の存在を感じ、舞は正面にいる魔物のことも忘れて祐一に警告を送った。
 だが、固まっていた祐一に反応できるものではない。魔物はそのまま、祐一へとその身を加速させ―――――

 ちゅどーん!!

 ……廊下に設置されてあった地雷を踏んで、帰らぬ魔物となった。
「……ドッキリ?」
「違うと思う……」
 
 世界には、いまだ数千万とも言える地雷が埋められているという。
 そして、その地雷を踏んでしまう人々は今もなくならない。そんな今だからこそ、国際社会は一丸となって地雷をなくす努力をしなくてはならない。
 だというのに、なぜ日本の学校の廊下に地雷が埋められているのか。人間とは、またも過ちを繰り返してしまうのか。

「って、そうだ舞! お前と戦っていた魔物は!?」
「……あそこ」
「あそこって、おい、そんなのんきに構えている場合じゃ……」

 と、舞が指差した先には。
 底が見えないほどに深い落とし穴が開いていましたとさ。
 めでたしめでたし。

「めでたくねぇ!!」
「残る魔物はあと一体」
「いいのか!? お前はそんなのでいいのか舞!?」
 トラップの気配に気を配りながらスタスタと歩き始める舞を、祐一はこれ異常ないくらいに理不尽さを噛み締めた顔でついて行った。
「なあ舞。なんか、俺たちが危険冒して探さなくても、勝手に最後の一体も罠にかかって自滅してくれそうな気がするんだけど」
「……」
 ふるふる、と舞は首を横に振る。
「決着は私の手で。それが私の戦いだから」
「……そうか。そこまでお前が真剣なら、俺も最後まで命を預け……(カチッ)」
 ガシャン! 祐一の目の前を、ギロチンの刃が銀色に光りながら落ちて行った。あと一歩踏み込んでいたら……うん。バッドエンド。
 秋子さんばりに一秒で前言撤回をしたくなった祐一であった。
 それから30分。襲い来る罠を回避し、何回か死に掛けながら(もちろん祐一だけ)最後の魔物を探し回ったが、警戒しているのか一向にその姿を現すことは無かった。
「……隠れているみたい」
「まあ、一晩で二体も罠でやられればな。それより、俺たちもあまり深入りするとやばいんじゃないか?
 今日はもう帰って、明日また出直したほうがいいんじゃ……」

 

「……いいえ。君たちをこのまま帰すわけにはいきません」
 祐一の提案をあざ笑うかのように、冷たく無機質な声が廊下に響いた
「く、久瀬!? なんでお前がここに!?」
 階段の上で祐一と舞を笑いながら見下している久瀬に、祐一は驚きが隠せない。
 そんな祐一を、獲物を見つけた鷹のように鋭く見据え、久瀬はもったいぶるように一歩、また一歩と階段を下りてくる。
「決まっているでしょう。学校を守る。そのために今夜こそ決着をつけようと、僕が自らこの戦いの地に赴いたというわけですよ」
 右手でくい、と眼鏡を直し、久瀬は祐一と正面から対峙した。
「川澄さんと相沢君じゃないかとは思っていましたよ。犯人は。まあ、今まであのトラップから生き延びてこれたのは素直に驚いてあげましょう。
 しかし、僕が出てきたからにはもう君たちに勝利はありません。おとなしく、今まで学校を破壊してきた罪を……」
「やっぱテメェかこの惨状はっ!!」
 祐一のコークスクリューが久瀬の顔面にクリーンヒット。久瀬は74のダメージを受けた。
「い、いきなり攻撃とは。やはり問題のある生徒は暴力でしか物事を解決出来ないようですね」
「学校中を軍事要塞にするお前に言われたかねぇよ」
 バックに炎を燃やし、顔を2倍くらいに巨大化させて祐一は久瀬の胸倉を掴んだ。
「とりあえず、とっととこの校舎のトラップを解除して俺たちを家に帰せ。そうすりゃまあ許してやるよ」
「ふふん、それは出来ませんね」 
 鼻で笑って視線をそらす久瀬に、祐一の怒りゲージが一気にMAXに近づいた。
「てめぇ、人が下手に出れば調子に乗りやがって! 自分の立場分かってるのかよ!」
「やれやれ…いいかい、よく考えてみたまえ。僕がここに出てきた以上、トラップは僕が操作しなくても勝手に作動するってことですよ」
「なにぃ?」
 ふふん、と余裕顔で笑う久瀬。祐一が顔をしかめるが、久瀬は構わず続ける。

「しかもこの学園内には人工知能で動くガーディアンロボも放っています。マスターである僕ですら、その行動はもはや予測不可能。
 さらにトラップを操作する機械と予備のトラップ配置図は僕の家にあります!!
 つまり君たちは自力で脱出しない限り、この学校から出られないのですよ!!! あ―――はっはっは!!」
「それはお前もいっしょだろーが!!」
 大声で笑う久瀬の脳天を、舞から借りた剣で祐一が思いっきり殴った。念のため言うが刃のとこじゃなくみね打ちである。
 祐一個人としては刃の部分で久瀬の脳天スイカ割りをやりたかったのだが、このSSは18歳未満でも読める様にしたいし。 
「……」
「………」
「……………はっ!!」
「遅い!!」
 10秒ほどたっぷり時間をかけてから、ようやく理解したようにムンクの叫びばりに絶望の表情を浮かべる久瀬。
「しまった、どうしよう」
「死ね!!」
 この瞬間祐一は、トラップの事故に見せかけて本気で久瀬を亡き者にしてもいいやと思っていたと後に語る。
「……争っても仕方が無い。協力して学校から出る。久瀬も一応製作者。少しは役に立つ」
 舞のもっともな仲裁に、祐一と久瀬はお互いの顔を見合わせると嫌そうに、だが仕方なさそうに頷いた。

 三人は久瀬、祐一、舞の順番に廊下を歩いている。もちろん、どこに罠があるか分からない上に魔物やロボがいつ襲い掛かってくるのかも分からないので十分に警戒しながらである。
 そもそものこの戦場を作り出した久瀬。運はいい方の祐一、そして運動神経には自信がある舞。急造の3人パーティーとはいえ、この三人ならそう簡単には危険なことは……
「おい久瀬。やけに堂々と進んでいるけど、この辺は安全なのか?」
「ふっ。愚問ですね。罠を作ったのは僕ですよ? 配置くらい図が無くてもこの頭にしっかりと叩き込んで……」
 ちゅど――――ん!!
「ぽげらっ!?」
「……祐一、久瀬が焦げた」
「自分で仕掛けた地雷踏んでんじゃねぇっ!!」

「……はっ! しまったここには!!」
「な!? どうした久瀬! ……うおぁっ!?」
 横から突き出された槍を、祐一は紙一重で避けた。祐一の前髪が数本、切られて宙に舞った。
「油断して二番目を歩く人間を狙ったトラップのスイッチが」
「そういうことはもっと早く言え!」

「……久瀬」
「なんですか川澄さん。文句なら後で聞きますから静かにして……ぐはあぁっ!?」
 舞のほうを振り向いた瞬間、久瀬の脳天に丸太が降ってきた。久瀬の頭の上を天使と死兆星がメルヘンチックに飛び回る。
「……久瀬の足元、危険な感じがした」
「よしよし舞。そういうことはもっと早く言おうな……生きてるか久瀬?」

 ゴロゴロゴロゴロ……
「なんで階段の上から岩が転がって来るんだよおぉぉぉぉ……!!」
「いいから走りなさい! 止まると潰されますよぉぉぉぉ……!!」
「……」

 世の中、危険はどこに潜んでいるか分からないことを忘れてはいけないようだ……。
 そんなこんなで、ボロボロに(主に久瀬と祐一が)なりながらも、一向はなんとか玄関へとたどり着いた。
「つ、着いた……」
「長かった……僕も帰って寝たいですね」
「……二人とも、安心するのはまだ早いみたい」
「「…え?」」
 舞の真剣な口調に、安心しきっていた祐一と久瀬は『何を言ってる?』と言いたげに正面を見た。
 そこには。
「…ターゲット確認。3名。侵入者は排除します。戦闘準備完了」
 
 なにやら素敵な装備をたくさん着けている、見た目はクールな美少女風のガーディアンロボが入り口を背に立っていた。

「あ、あれは僕が来須川エレクトロニクスに依頼して作ってもらった陸戦型セリオ!」
「……どこから突っ込めばいいんだ、俺は?」
「相沢君。彼女を甘く見てはいけません。彼女はメイドの機能を一切捨て、戦闘用に特化した機体。戦闘力は僕たち人間の比ではありません」
「でも、お前がマスターなんだろ? ならお前が命令すれば俺たちを襲わないだろ」
「それが……『夜に学校にいるものは全て敵と見なせ』という命令を絶対に守るようにプログラムしてあるんです。はっはっはっ」
「……久瀬。無事に出られたら覚えてろよ」
 久瀬と祐一が小声で話し合っている間に、陸戦型セリオはカシャン、カシャンと無機質な音を立てながら近づいてきた。
 夜の闇を背負いながら煌くそのボディは、まるで死神の鎌。久瀬も祐一もその姿に恐怖し、冗談を言える雰囲気ではなくなった。
 だが、それを庇うかのように、二人とセリオの間に一つの人影が割り込んだ。
「……舞」
「川澄さん……」
「……こいつは私が何とかする。下がってて」
 剣の切っ先を相手に向けて、舞は立ちはだかる。
 魔物ではない、生身の相手。しかも完全武装したロボット。勝てるかどうかは分からない。だが、これを超えなければ帰ることは出来ない。
「……分かりました。まずはあなたからお相手しましょう」
 真冬の凍てついた大気の下、最後の戦いが始まった―――――
 一方その頃。
「ふえぇぇぇ〜ん、なんなのよこれ〜〜〜」
 完全に祐一や舞がその存在を忘れていた最後の魔物・まいは、別のガーディアンロボに追いかけられていた。
 そのロボの姿は、あまりに歪。体は肉という肉がついておらず、ほとんど骨だけで作られた無駄の無いボディ。
 そして、何の表情も読み取れない平坦な顔は、一種の愛嬌と不気味さを併せ持つ。
 それでいて、なんと人間らしい動きを出来るのか。そのロボは、人間しか出来ないと思われていた『コマネチ』をしながら走っている。
 そして股間には―――――夢のレーザー兵器・中華キャノン。
 先行者と呼ばれたそれは、容赦なく少女を追い掛け回す。
「わわっ、来るなー! なんであたしがこんな目に遭わなくちゃいけないの〜?」
 魔物といえど、やはり子供。得体の知れないものに追い回される恐怖は大きい。
 中華キャノンから発射されるビームは校舎の壁や天井を破壊…できるほどの破壊力は無いが。
「う、うう……」
 ……なんだかまいの様子がおかしい。
「うわ―――――ん!! もうこんなのイヤだよ―――――っ!!」
 あ、切れた。
 切れた子供とは怖いものである。感情が治まるまでは所構わず当り散らしてしまうことがあるからだ。
 それが、人間以上の力を持った子供ならなおさらである。
「ばかばかばかばか―――っ!」
 暴走したまいは、近くにいたロボを始めとして、学校のガラスやドアやトラップ、見えるもの全てに攻撃を開始した。
 発動したトラップは全て無効化され、校舎内は壮大な破壊音を立てながらどんどんと壊されていく。
 そして舞は。
「はぁ…はぁ…」
「に、人間にしてはやりますね……。尊敬の念を感じずにはいられません」
「…あなたこそ」
 互角の戦いを繰り広げていた。お互いに体力と電力を消耗し、勝負は持久戦に持ち込まれようとしていた。
 それでも自分が負けることなどお互いに露ほども思わず、互いの武器を固く握り締め、もう何度目になったか分からない打ち合いへと再び……

 ビーッ、ビーッ、ビーッ、

 ……それはスピーカーから流れてくる、間の抜けた電子音で止められた。

「なんだこの音?」
「こ…この音は……まさか……」
 首を傾げる祐一とは対照的に、久瀬は青ざめながらガクガクブルブルと震えている。
「間違いない。この音は…警告音です」
「…何の?」
 舞も戦いを中断し、久瀬に歩み寄る。
「校内の半数以上のトラップが作動、もしくは破壊され、それでも校内に侵入者が存在しているのが確認された場合……」
「「場合…?」」
「最終手段として、この学園に設置された自爆装置が作動するんです。それこそ跡形も無く綺麗に吹っ飛ぶほどの」
「「………」」
 時間にして一秒。短いようで、各自が永遠にも似た長い時間に感じられたその沈黙の後。
「逃げるぞおぉぉぉぉぉ!!」
「ああ、ぼ、僕を置いて行くとは何事ですか相沢君!」
「……逃げる」
「……私も戦線離脱をさせていただきます」
 4人は同時に、開け放たれた出口から外へと飛び出して行った。
「久瀬! お前って奴は……お前って奴はなんてモノを学校に設置しやがった!!」
「仕方ないでしょう! この学校を守るためなら僕は手段は選ばない!」
「学校爆破したら守るも何もねえぇぇぇぇぇっ!!」
 そして、全員が正門まで走りきったその瞬間。

 爆音とともに、校舎は木っ端微塵となった。
「「「「………」」」」
 舞い上がる煙。立ち上る炎。夜空に散り行く土埃。そして、目の前には完膚なきまでに壊された学舎。
 それはまるで、ひと夏の夢のように儚く存在していた。
 その場にいる全員が、ただそれを見ていることしか出来なかった。

 
 戦いは終わった。
 だが、彼らがこの戦いの果てに失ったものは多い。
 戦いとは、栄光の裏でそれ以上の悲劇を生み出すものなのだ。
 どんなに手を伸ばしても。どんなに過去を振り返っても。失ったそれは決して帰ってはこない。
 今を生きる彼らに生きることは唯一つ。それを糧として、未来へと進むこと。
 歩くべきは今。後悔は消えない思い出へと変えるがよい。償うならば過去ではなく未来のために。
 そう、彼らの本当の戦いは、これから始まる―――――

「始まるかぁぁぁぁぁっ!!」
 祐一の怒りのアッパーカットを食らった久瀬が、月に向かって飛んで行った。

 完
65名無しさんだよもん:04/02/12 02:34 ID:0GWlpVcW
以上です。
>>49-64
本当に、今回長編の作品少ないですね。
痕とかうたわれとかルーツのマジバトル、あるいは主人公を巡るヒロインの戦いなど
いろいろ出来るんじゃないかと思っていましたが、やはり難しかったのでしょうか。
他にもギリギリまで粘っている作家さんが何人かいることを信じます。
66名無しさんだよもん:04/02/12 06:01 ID:tdcSr5Wo
東鳩と痕の長編を書いてたんですが、どっちも全然間に合いませんでした。
自HPも持ってないし、どうしようかなコレ
67 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/12 07:56 ID:UX022Z4r
延長希望の方はいらっしゃいますか〜?
68 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/12 08:03 ID:UX022Z4r
【告知】

ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。

それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 2 月 22 日の午前 8:00 までとさせていただきます。

以下が、今回投稿された作品一覧です。

>>23-36 ソードダンス(KANON)
>>18 ストリートファイター(美汐・真琴)
>>44 いざゆけ若鷹軍団(晴子)
>>49-64 僕の学校は戦場になった(KANON)

Σ (゚Д゚;)ナンダコノスクナサハ

なお、今回投稿された作品一覧は
http://sscompe.tripod.co.jp/ (転送アドレス)
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/22/index.html
から見ることができます。
69名無しさんだよもん:04/02/12 08:10 ID:W0JieL7A
過去最低だった「海」の8作品を大幅更新か……
実質2作品だし、感想期間が10日間もいるのかという問題になってしまうが。
70名無しさんだよもん :04/02/12 08:12 ID:pT7LkqxQ
投稿者だけど、感想期間減らしたほうがいいと思う。

71名無しさんだよもん:04/02/12 12:53 ID:j1XXeAtk
同意。これなら感想書くのも楽だろうし、減らしたぶんを次回の投稿期間に
充てるとかすれば次回は盛り上がるかも。

…今回はテーマが悪かったのか? それとも「なんでもあり」でみんな燃え尽きたか?
それとも、俺みたく大学のテストや論文作成期間と重なったせいか…?
72名無しさんだよもん:04/02/12 22:09 ID:JCQnm4Qn
つ[単なる偶然]
73名無しさんだよもん:04/02/13 02:06 ID:/LkBhT/s
今回『痕』を題材にしたネタを考えてあったのだが、予想スレ数が50……
途中で力尽きました_| ̄|○
三回連続欠席スマソ
最近、柏木四姉妹逆スレッドに、時間をとられているもので(´・ω・`)
次回『卒業』のネタは煮詰めてあるので、そちらはがんばって投下したいと思います(=゚ω゚)ノ
74名無しさんだよもん:04/02/13 07:22 ID:h2rx+6sE
前にもいなかったか?
五万レス書いたとか書こうとか言う人w
75名無しさんだよもん:04/02/13 09:54 ID:G56Cr70u
で、感想期間どうするの?
10日、7日、5日あたりが候補だと思うけど。
76名無しさんだよもん:04/02/13 16:13 ID:bP9BlmiO
>5万レス
居ないだろ! というか信じる方がどうかと思われ。
77名無しさんだよもん:04/02/13 22:08 ID:hFztPOw/
感想期間は5日か7日でいいだろ。
そういう俺の感想はまだできてないので後日になるが。
しかしまあ、作品が全て鍵作品ってのも珍しいな。
戦いなど、葉の作品のほうがいろいろありそうなのに。
78名無しさんだよもん:04/02/13 22:37 ID:xfsrV0Hh
うたわれとかルーツとか……
そのへん、戦うことがあたりまえ過ぎて逆に話の核にならないって感じがしなくもない。

感想期間、5日となると半減だからちょとキツいんじゃ?
7日がいいと思う。
79名無しさんだよもん:04/02/14 03:24 ID:OVmJXsEs
>76
信じるとかじゃなくて……75は、73の
>予想スレ数が50……
へのツッコミなんだよw 前にも同じようなこと書いた人いたしw
80名無しさんだよもん:04/02/14 08:20 ID:ImL5AzfO
いや、どちらでもいいけど。いちいちWを付けんと喋れんのは宜しくないぞ。
81名無しさんだよもん:04/02/14 11:39 ID:6uO5sBg6
しかも75じゃなく74だった。

 ∧||∧
(  ⌒ ヽ
82名無しさんだよもん:04/02/15 17:47 ID:2i70gxtA
テーマから予想された「U−1」モノがなかったのが幸い
83 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/15 19:15 ID:9QpWp53W
>感想期間
短く、という意見が多いようなので7日間に戻してよろしいでしょうか。
2/19 の午前 8:00 まで。
84名無しさんだよもん:04/02/16 08:54 ID:QhgjELV9
んで、また作品が増えたら短いとかいう声が挙がるんだろ?
素直に開催のサイクルを延ばした方がいいと思うけど。
85名無しさんだよもん:04/02/17 22:15 ID:2n1efdAy
保守
86 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/17 22:18 ID:hfizObnT
【告知】

現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は >>68 となっています。また、
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/22/index.html
からでも投稿された作品を見ることができます。

感想期間は 19 日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。

*当初、22 日までと案内していましたが、19 日までに短縮します。
……ってことは、もうあさってですyo。
87名無しさんだよもん:04/02/17 22:25 ID:hfizObnT
>>84
今回は多数意見に従います。。
次回以降については、総括期間の議題ということで。
88名無しさんだよもん:04/02/18 01:20 ID:sAfirIzZ
感想期間短くするのはかまわないが、今だにまっとうな感想が投下されないってのは、どうよ?
89名無しさんだよもん:04/02/18 01:26 ID:DPdoDEmd
てすと
90名無しさんだよもん:04/02/18 02:18 ID:RAWr7neu
そーいうときは作者の人が自演でもなんでもして一つでも感想投下すればどんどん後に続いてくれると思ふ。
綺麗な場所にポイ捨てためらうんと同じ心理やね。汚れていれば平気になる。ん、例えが悪いか?

俺はイマイチモチベーションがあがらないんでパスする也。次回は書きますぜ。
91名無しさんだよもん:04/02/18 03:22 ID:KFjdhjuc
>>88
漏れの場合、夏休みの宿題と同じで、ギリギリにならんと書けないんですわ。
まあ今回は折角作品数が少ないから、一作品一レスくらいの感想書きたいと思ってたんだけど、
四作品中二作品が一レス作品という矛盾を抱えてどうすりゃいいんだか。

とりあえず今から読みます。感想は明日書きます。ということで。

こんな習性変えるのは〜(ムリ!)健康系健康系かてきん式〜
92名無しさんだよもん:04/02/18 11:18 ID:VchmYFHz
感想つーか、いんぷれっしょんを短く。

>ソードダンス
こう言っては身も蓋もないが、よく分からん……設定が……。
格好いい情景には惹かれるんだが。
>ストリートファイター
>「やめてくれ!俺のために二人が争うなんて!」
美汐じゃなくても、てめぇは黙ってろ、と言いたく。
>いざゆけ若鷹軍団
ワラタ。が、なんだこのタイトルは。
>僕の学校は戦場になった
……とにかくお疲れ。作者の人と読んだ自分と登場人物のすべてに。
理不尽な点が目立って、墓井戸はイマイチかも。

今回はテーマが難しかったのかなぁ。自分も投稿できんかった……。
93 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/19 08:40 ID:xnUEwSDe
【告知】

ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。

引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。

上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。

※次回のテーマは『卒業』に決定しており、開催時期は 2 月下旬〜になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
94名無しさんだよもん:04/02/19 09:50 ID:uftOpCSW
これじゃあ不憫なので、感想を。
今回は比較対象が少なすぎるので、最優秀・優秀は無しで。

>ソードダンス
言い回しに関しては幻想的な効果を狙ったのかもしれないけど、
逆に読みづらく思いました。
派手なアクションと、それに対する地の文が、余り溶け合っていないです。
全体的にわかりにくい印象でした。
最後の3Pギャグは余計。作品の雰囲気と合ってません。
あと、・・・→…に変えた方がよろしいかと。

>僕の学校は戦場になった
暴走系ギャグとして目新しさは無いが、結構面白かったです。
作中のノリは良かったし、パニックになるまいは結構萌えました。
でも、脱出不可能→学校爆破というオチは完全に予測範囲内だったので、
最後が消化不良でした。
オチも作中の出来事に比べると淡白なので、そこが改善点かと。
95ソードダンスの作者:04/02/19 17:23 ID:BCXKoDeq
閑散としすぎだよ今回(汗
戦いってテーマが長編向きだったのかね。やっぱり。
自分も構想を練っている時に、完璧に書こうとしたら、一編の短編小説ができてしまうような長さになってしまって、
そこで、重要な部分を大分差し引いて、主人公の心理描写や、ちび舞(前スレにでてきた表現を使うと)の置かれている状況、
祐一と主人公の関係を、一切カットしてしまったら、設定がよくわからないという本末転倒な次第になってしまった。
これ自体が、11月開催の某コンペに間に合わなかったものの焼き直しで、純粋に戦いというテーマのみに集中したわけではないため、
全体として間延びしてしまったのかもしれません。
一応今回の第一目標としては魔物視点で舞と魔物の戦いを描くってことだったんです。
それには第三者の視点が必要だなと思い、祐一の分身である主人公を置いて、客観的な見方で写実しようと努めたんですが、
この主人公が構想に入ったのは、
ほら、舞が祐一と麦畑で会ったシーンで「私と同じだから」と言ったシーンが合ったじゃないですか。確か。
まあ、そこで祐一も舞と同じ力持ってたんじゃないかなーと、都合良く妄想して、この主人公を作り上げたんです。
そこは説明不足な部分が多すぎて、どうにもならない状態になってしまいましたけれど、
戦闘シーンの印象は良かったので自分の中では課題点かな・・・
それはそれとして、本当にこんな稚作を読んでくださった読者の方、ありがとうございます。

あと、次々回のテーマは今回のを見ると、凡庸性が高いのがいいんじゃないすかね。例えば「甘い」とか。
すいません。他に良い案があればそれの方がいいと思います。
96名無しさんだよもん:04/02/20 02:27 ID:leowg4ZU
いや、何がヤバいって、頭の中で日付が完全に1日ズレてた自分の脳がヤバいです。もう感想期間終わってるし(;´Д`)
ごめんなさい>>91です。遅れて申し訳ない。しかも全然短い感想でますます申し訳ない。今から感想落とします。

・ソードダンス(KANON)
文体は好みだけど技法が稚拙であと一歩って感じ。
設定上の矛盾とか気になるけど読んでて楽しかったです。
話的にわかりづらい、でもわかりづらさを楽しめるレベルでした。
個人的には剣舞は好きなので、このSSにソードダンスのタイトルは合わないと思いました。
あと、佐祐理の口調がかなり頭悪いっぽいです。

・ストリートファイター(美汐・真琴)
普通に面白かったです。確かにあの二人は236Pすら出せない気が。
2行目があまりに美汐っぽくないのが残念。
あと祐一、もうちょい別のゲームを勧めてやれ、と。

・いざゆけ若鷹軍団(晴子)
タイトルがあんまりです。
この手のギャグにしては短すぎです。
こういう話は、3ネタくらいガンガン押さないとインパクトが薄すぎます。
最後の段落、話的に強引です。かなり不自然感漂いまくりです。

ごめんなさい、これ書いたの自分です_| ̄|○

・僕の学校は戦場になった(KANON)
何だっけ? ……多分レベルE?
こういう話は嫌いじゃないです。むしろ好きかも。
でもごめんなさい。久瀬とか斎藤とかが出る話は無条件で体が受け付けないんです。例えギャグでも。
97名無しさんだよもん:04/02/20 02:38 ID:leowg4ZU
で、えーと、次々回のテーマですか。
4月だし「桜」でどうでしょ? って13回でガイシュツ(←何故か変換できない)ですか。
だったら、あえて今第1回に挑戦、というわけで「花」を提案してみます。

あと感想期間、一回決めたら変えない方がいいと思います。
感想期間に合わせて出張期日を決めたりする人がいないとも限りませんし(多分いない)。
とりあえず10日でいいと思います。
投稿14日、感想10日、総括6,7日、で丁度いいんじゃないでしょうか。
98名無しさんだよもん:04/02/20 09:53 ID:404Wvnj1
つーか、出場者不足が深刻。
小ネタでは無い2レス以上の作品が5作くらい来ないと、
コンペの形式を維持できないぞ。
作品数と感想数もある程度比例すると思うし。
99名無しさんだよもん:04/02/20 12:34 ID:eP2ozoXt
>>97
同意。
作品が少ないからと言ってころころ変えるのは良くないと思う。
短くて困ることはあっても、長くて困ることはそんなにないとおもうしね。
100名無しさんだよもん:04/02/20 17:24 ID:404Wvnj1
しかし、総括期間になってこれだけ人がいるなら
もう少し感想あってもいいのにな。
101名無しさんだよもん:04/02/20 18:29 ID:1+/pwa1O
人がいるってことを確認しただけでも、なんかホッとした。
102セリオとマルチの毒舌感想会:04/02/21 20:20 ID:d4pRr9LN
「お久しぶりです。では、どかんと容赦なく感想行きましょう」
「本数少ないから強気ですね」
「本数が多いと感想書くのも大変ですから。加えて今回は感想も少な目ですので、ちょっと頑張ろうかと」
「それよかお前も作品書けよ」
「今回はRoutesが忙しく……いえいえ、皐月さんの髪の毛に両手でぶら下がり、ブランコなどと遊んだりしてませんよ」
「鬼か、お前は」


『ストリートファイター』

「タイトルでネタバレしているようなのはどうかと思います。もうちょっとひねりましょう」
「というか、二行目美汐さんですか……? 綾香さんかと思いました」
「綾香様がこの2人の戦いに混じったら、二秒で瞬殺ですね。目隠ししても勝ちそうです」
「あかりさんだったらいい勝負になりそうですよ。きっと波動拳も出せません」
「マルチさんは?」
「もちろん出せません(おおいばり)」
「波動拳ですか……確かに1のころは必殺技にふさわしい大技でした。めったに出ることもなく、反則にも見えました。
 だいたいボタンを殴った力に応じて、攻撃の威力も変わるなんてどういうシステムだと小一時間。手が痛いっちゅーねん」
「セリオさん古すぎです」
「軽い保守代わりのネタ気分だったのかも知れませんが、もう少し工夫が欲しかったです」


『ソードダンス』

「さていきなりですが、夜の雲は意外と白く見えるものです」
「元々白いですからね。月があるならなおさらです」
「軽いジャブはさておいて。とりあえず、技術的なところに行きましょう。
 今回作品が少ないですから、細かくやります。全体的に、ややこなれていない感じがしますね。
103名無しさんだよもん:04/02/21 20:21 ID:d4pRr9LN
『しかし、少女は怯まず、剣の柄で相手の柄を弾き飛ばし、相手を一刀両断するために、精一杯振りかぶる』
 ここなど、『相手』が対象であることが分かっているのですから、『〜弾き飛ばし、一刀両断しようと精一杯振りかぶる』
 とすると、文の流れを良くすることができると思います。精一杯、よりは思い切り、の方が適していそうです。
 この場合、彼女の勢いを表現したいのか、苦労を表現したいのか、どちらを重視するのかという問題ですが。
『少女が手を挙げると、窓ガラスが魔物に降り注いだ』ここは音が同時か、やや早いくらいで認識されると思います。
 この時点で、『僕』は窓ガラスに注目していませんから。逆に、音というのは嫌でも耳に入ってきます。
 ここでは、少女達が蹴っていたシーンと、魔物がガラスを払うシーンを後から捕捉するように書いていますが、
 時間の流れが前後するのを繰り返すため、非常に収まりが悪いです。切らずに現在進行形で書き進める方がいいでしょう。
 例えば、5レス目22行「魔物の〜無い」までカットします。後ろ三行の頭に「だが」をつければ分かりますから。
 あと、得意げなら、虚勢を張る必要はありません。胸を張るならいいですけれど」
「ど、怒濤のように突っ込み入れてますね」
「赤ペン先生のような真似はここまでにして、内容にうつりましょう」
「今日のセリオさんはやる気ですね」
「個々のシーンは面白いものもあります。四人の舞さんがくるくる回るシーンなど、それだけで(*´Д`)ハァハァします」
「でも、6レス目から展開が早すぎです。唐突に戦いが終わって、唐突に襲われて、記憶途切れて、急すぎて辛いですー」
「7レス目と、8レス目の最後数行、ここら辺で視点が切り替わっているのも分かりづらさを助長しています。
 特に祐一さん視点の……ですよね、7レス目はあえてこうする必要はなかったです。
 彼の起こす行動を、別視点で描いているだけで、内面描写が話に影響してくるわけではありませんでしたから」
「あ、どうせ書くならついでですから、幼女を容赦なく叩き切る祐一さんというのは嫌なので、
 彼からは魔物に見えた、という風にフォローを利かせるという活用法なら……」
104名無しさんだよもん:04/02/21 20:22 ID:d4pRr9LN
「9レス目。ここで時間(記憶)が飛んだ理由がちょっと不明です。
 描写する時間がとれなかった、と見えてしまうのはちょっと悲しいものがあります。
 最初のシーンから記憶が飛ぶまでを、悲しい夢の回想という形でごまかす戦法ならいけるかも知れません」 
「冒頭で、夢……夢を見ていた。とやるのはKanonものの常套手段の一つですしね。ちょっと安直ですけど」
「ちび舞さんとの別れのシーンは、セリフばかりでなく、もう少し地の文で、
 言葉に出ない感情を表現するといいと思います。ここは大切なシーンですから。
 この次12レス目で――先ほどの夢の話に繋がるのですが、見てもいない3人の殺害を元に憎しみを憶えるよりは、
 やはりそのことを『僕』が知っていた方が良かったと思います」
「ここでも祐一さんの思考が流れ込んできますが、ここも『』でくくるなどして、読みやすくして欲しかったですー」
「『僕』の思考はたった1レスで急激に変化しすぎですね。いい気味だと思ってるのに、
 なぜかどうしようもなく空しい、という思考を端々から感じさせてくれたなら、気にはならないのですが」
「エピローグ、『そうですよー舞』は、長いつきあいの佐祐理さんからは、今さら出てこないような気がします。
 というか、佐祐理さん、いらないような……別に卒業式の日にあわせる必要もありませんし」
「結局祐一さんにとって、魔物でしかなかった『少女と僕』を、仲間のように認識してしまっているのも、丁寧さが不足気味です」
「一応Kanon本編からの推察はできますけど……『僕』との関わり合いは本編にない要素ですし、
 そのことを祐一さんがどう感じたのか、は書いて欲しかったところですー」
「全体的に、場面の繋げ方がやや雑で、変化が急激すぎました。遊び感覚で戦っていたのに、ダークな展開ですし。
 オリジナル設定も相まって、物語を分かりづらくしてしまっていますね。序盤の引き込み方は悪くないのですが。
 発想としてはありだと思うのですが、オリ要素は諸刃の剣ですので、丁寧な描写を心がけたいところです」
「なんだか無駄に殺されてしまったような気がする、ちびまいさん達他三人に合掌です(−人−)」
「下手にパーソナリティーをつけると、こういうところが辛いですね」
105名無しさんだよもん:04/02/21 20:24 ID:d4pRr9LN
『いざゆけ若鷹軍団』

「さぁ、景気良く細かく突っ込みましょー」
「無茶言うな」
「はわっ!? さっきと言うことが違いますー」
「一発ネタですからね。タイトルだけに、てっきり野球観戦でもしているのかと思いましたが……。
 しかし観鈴様、鷹狩りを、狙いを定めて投げるような作業だと誤解しているような言い回しですね」
「そらさんにやらせても、それなりにいい結果が出ると思いませんか? 中は人間ですし」
「中に入っているのが生活能力皆無の国崎様ですから微妙ですね……。
 それとも、やはり行く先々で、公園の鳩や野ネズミを捕りながら旅してきたのでしょうか」
「現金収入ないですからね。でもこの前も四十年ほど野外生活していた方が発見されたそうですし、なんとかなりますよ」
「微笑ましくて、ちょっと笑えた。そういう作品ですね。1レスSSとしてはいい方向性だと思います」
「脳内映像が|ヽ||´ ∀`||なのはご愛敬と言うことで」


『僕の学校は戦場になった』

「陸戦型セリオ、空戦型セリオ、海戦型セリオ、宙間戦闘型スペースディメンジョンセリオ……ふふっ、ふふふふふふふ」
「落ち着け、セリオさん」
「右手にドリル。左手に斬艦刀。背中にはジェットスクランダー。両足にはキャタピラ……(うっとり)」
「あのー、セリオさんの自爆スイッチはどこですか?」
「押すと反陽子爆弾で地球全部を吹き飛ばしますが」
「ところであれは『来須川』製ですから、『来栖川』製の私達とはなんの関係もありませんよ」
「ivゝ;゚ -゚ノ なんと!?」
「さぁさぁ、いいから感想行きますよ」
「しくしくしくしく……。ちょっと、久瀬様の壊れ方は引きました。あまり良くない方向に壊れています」
「私もさっきの壊れたセリオさんには思いっきり引きましたが。
 久瀬さんは壊れすぎたのか、丁寧語になっていたところが不気味です」
106名無しさんだよもん:04/02/21 20:27 ID:d4pRr9LN
「久瀬様は少し違和感がありすぎですね。壊れていなくても近寄りがたいです」
「ところで地雷って……魔物に足あるんですか?」
「あるかもしれませんし、ないかもしれません。確か本編中に足音の描写は無かったような気がしますが。
 ですが赤外線に反応するとかそういったところは、ギャグですから流しましょう」
「でも今時先行者ネタはどーかと」
「いかんせん、賞味期限切れですね。ネタとしては全体にオーソドックスで、そこそこ笑い、くらいです。
 テンポは良く、それなりにおもしろかったのですが、予定調和を見ているような感じがしたのも事実です。
 爆発落ち&吹っ飛ばし落ちと、ちょっと定番ネタで固めすぎましたね。なにか新鮮味を感じさせるものが欲しかったです」
「文章自体は軽めで、テンポとか読みやすさの点では、ギャグ話に適していたと思います」
「好みを言わせていただければ、ややありきたりな表現が多かったので、もうちょっと工夫が欲しかったです。
 そのせいか、例えば『4人は同時に、開け放たれた出口から外へと飛び出して行った』と、
 さらりと『開け放たれた』などという定番の表現を使ってしまっていますが、日本語としては変ですね」
「この場合は四人のポジティブ行動ですから、ドアを蹴破り、などの方が適していると思いますー」
「さて、真面目に話を締めたところで……オプションパーツの開発を上申してきます」
「おーい、戻ってこーい」


「さて、これだけでは寂しいので、12スレラストで紹介された、『ホワルバトルロワイアル』も読んでみましょう」
「タイトルから察するにホワルバキャラによるバトロワですね。きっとさぞかしドロドロとしているに違いありません」
「由綺様辺り、なにかが400%に達して暴走しまくり殺戮しまくりに違いないでしょう」
「冬弥さんや彰さんが(いろんな意味で)食われてしまうんですね。楽しみですぅ。ドキドキドキドキ……」
(10分経過)
「「――ギャグじゃねーかっ!」」
「というのは、読む前から報告されていたので分かってはいましたが、かなり意表をつかれた作品でした」
「ギャグでもサクサク人が死んでいく暴力的な作品もありますからね。バナナの皮で転んで頭打って死亡するみたいな」
107名無しさんだよもん:04/02/21 20:28 ID:d4pRr9LN
「ギャグよりはアクション要素の方が大分強いですが……ホワルバでは絶滅危惧種なタイプのSSですね」
「そもそも、ガンアクション型って言うのは、葉鍵作品では珍しいんじゃないでしょうか。
 バトルものとしては痕、誰彼、うたわれなどがありますが、どれも銃器はメインでは使われませんし。
 あと、場面がコロコロ変わるので、タイトルも相まって、リレー小説っぽい雰囲気がありますー」
「ギャグとほのぼのとシリアスと、いろいろと流転しているのもその要因でしょう。
 一人でリレーSSを書いてしまうなんて……一人上手な方ですね」
「セリオさん、セリオさん、その表現はちょっと」
「ただ、一気に決着をつけないようにするためか、やや場面転換に苦しいところがありました。
 弥生様を逃げながら殺す、という逆チェイサータイプにしたのはおもしろい試みだったとは思いますが」
「そういえば、弥生さんや理奈さんはともかく、はるかさんが大分すごかったですね」
「元々運動神経がいい方ですから。多少ブーストもかかっていますが、全体的に底上げされているので有りでしょう。
 私としては、本作では無力でしたが、本気で追いつめられた状況になった場合、美咲様など結構恐いと思うのですが」
「ああいう人はアクション系よりは、ホラー系で活躍しそうですね。恐怖のあまり、肩叩かれただけで刺しちゃったり」
「意外とサービスがいいのが素敵でした。はるか様のせえらあ服姿にパンチラは稀少です。標準録画をお薦めします」
「さすが年末特番ですね。特番だけあって、ちょっと長かったですけど」
「長いですが、場面の切替が早いせいか、あまり中だるみしませんでしたね。オチも綺麗にまとまっていたと思います」
「彰さんが悲惨ですが」
「悲惨でしたね」
「こんな悲惨な彰さん、見たことない……」
108名無しさんだよもん:04/02/21 20:32 ID:d4pRr9LN
「悲惨と言えば、由綺様も、中盤まったく姿を消す影の薄さは、さすがホワルバのメインヒロインです」
「らしいといえばらしいですけど、良かったじゃないですか、後半見せ場あって」
「作中、唯一の死者、ト○ロ様にも合掌(−人−)」
「でも、ホワルバ世界では年越しそば食いながらパンチラとキスシーン見て年明けですか。羨ましい話ですー」
「そうですね。年末年始は大掃除におせち作りその他諸々と、メイドロボも師匠に負けないくらい忙しいのですが」
「おまけにメンテサービスも三が日は休みですし気をつけないといけません。それでは皆さん、良いお年をー」
「もう明けてるっちゅーねん」


「さて、今回『戦い』がテーマでしたが、振り返ってみると、今までにもバトル要素が出てくる作品は多少ありました。
 ざっと振り返ってみましたが、今回でも2作品来た舞様あたりは、他にも何本か出演し、大概魔物と戦っています」
「後は記憶に残るところだと誰彼勢に、痕勢。ちょっと変わったところでは、女の戦いっぽい、『あなたを想う音』などですか」
「誰彼勢と言えば、『闇にひらめく鈴の音』は最優秀賞を受賞していましたね。
 ……って、こっちも音ですね。音と戦いの間になにか相関関係が?」
「偶然だとおもいますー。でも、これらも含めて、戦いがテーマだとはちょっといいづらいですよね。
 昔のは狙ってなかったのだから当然ですが、今回の作品群もテーマとして上手く使われていたかと言われるとちょっと」
「RPGやジャンプの主人公じゃないんですから、戦うこと自体をテーマには持ってきづらいんですよ。
 女を掛けて決闘、などというのも定番ネタですが、元々もてる人間が前提の主人公達には縁の少ない要素ですし」
「そういう意味では、厳しいテーマだったと思います。でもさすがにこの本数は寂しいですね。
 綾香さんや葵さん、坂下さんに頑張って欲しいところでした」
「次回の『卒業』ではもう少し盛り上がることを祈りつつ、この辺で失礼します」
「失礼しますー」
109名無しさんだよもん:04/02/22 21:19 ID:OFKAvaEq
hosyu
110名無しさんだよもん:04/02/22 23:14 ID:qf7irA4C
みなさんおばんです。
僕の学校は戦場になった、作者です。
今回は…なんだか前回の甘々作品の反動で思いっきり暴走させてしまいました。
やはり自分にはギャグはあまり向いていないなぁ、と思い知らされました。
それにしても、今回の作品数はいったい…?
次回はまた勢いが戻ってきてくれるといいのですが。

風邪気味の上に、普段はIE使っていて2ちゃんねる専用ブラウザに慣れていないので、今回は個別レスは控えておきます。

それではみなさん、お疲れさまでした。
111名無しさんだよもん:04/02/23 23:02 ID:zV7n+TUG
えーと、すいません。
総括期間はいつまでになりますでしょーか?
112 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/24 00:32 ID:gkXYd2as
業務連絡です。

>次々回テーマ
引き続き募集中。
現在、「花」が提案されています。(>>97)

前回に提案されていたものは、
 「容量制限(1レスor2レスSS限定)」「If」「イベント」「時間」「お願い」「ヒーロー」「再会」「食べ物」
あたりです。


>>97>>99
それも尤もな意見。次回以降、留意しておきます。
期間に合わせての出張はなくとも、旅行程度ならあるでしょうね……。

>>111
平常どおり1週間前後、ということで水曜か木曜くらいまでかと考えております。
113名無しさんだよもん:04/02/24 18:58 ID:7/sZPqib
次々回テーマ、「子供」なんてどう?
114名無しさんだよもん:04/02/24 23:20 ID:Nl9QTO2S
プロットが思い浮かぶのは「お願い」なんだが…
他の人に任せるか。
115名無しさんだよもん:04/02/25 03:05 ID:/1fMuIKg
「お願い」か〜
それも、いいなぁ(´ー`)y-~~
そんなわけで、「お願い」に一票
116 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/25 23:33 ID:DriJck0w
業務連絡です。

>次々回テーマ
現在のところ「花」「子供」「お願い」が提案されていますが、
投票数では「お願い」が優勢でしょうか?

特に問題がなければ明日一杯で投票を締め切り、
2/27 の午前 8:00 より、第二十三回「卒業」を開始したいと思います。
117名無しさんだよもん:04/02/26 12:26 ID:L15Grxh5
書けるかどうかは微妙だけど、お願いを推しておこう。
118名無しさんだよもん:04/02/26 22:43 ID:ShEE8BxI
ONEがいいな。
119名無しさんだよもん:04/02/26 22:45 ID:uCrBhIP/
面白そうだね、「お願い」
120 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/27 08:02 ID:FqbV8JWv
【告知】

第二十三回投稿テーマ:『卒業』

投稿期間: 2 月 27 日の午前 8:00 から 3 月 12 日の午前 8:00 まで。

テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)

※投稿される方は >>3-5 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが

・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない

※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。

それでは、投稿開始っ!
121 ◆2tK.Ocgon2 :04/02/27 08:04 ID:FqbV8JWv
>次回テーマ
支持が多いようなので『お願い』に決定します。開催時期は 3 月下旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
122名無しさんだよもん:04/02/27 12:24 ID:Fw+7Y720
とりあえず投下させていただきます。
タイトルは『私からの卒業』です。
5レス予定しています。
123私からの卒業1/5:04/02/27 12:25 ID:Fw+7Y720
「あ〜あ、やっと終わった」
うーんと背伸びをする。
「校長のお話なんて、長くてやってられないわよね」
「--はぁ」
「卒業式なんてこんなものなのかな。セリオも退屈だったでしょ?」
「--いえ、私には、そういった事は感じませんでした」
「真面目なんだから、セリオは」
「--綾香様がそう仰るのでしたら、そうなのでしょう」

「さて、これからの事、考えなくっちゃね」
「私は卒業後、海外に渡ってエクストリームの勉強をするって決めてるから問題ないけれど」
視線をセリオに向ける。
「問題は貴女の事なのよねー」
「--はぁ」
まったく自分のことをネタにされているとも思っていない彼女に話を振る。
「セリオ、貴女、卒業後の事って考えてる?」
「--卒業後の事、ですか」
「そう。貴女のやりたい事とか、何かあるでしょ?」
「--やりたい事・・・」
少し顔を伏せ、思い悩んでいるようだ。
「ほら、何かあるはずでしょ。どこへ行きたい、とかあれがしたい、とか」
「--・・・」
「・・・セリオ?」
「--綾香様、やはり私には・・・」
「--私には、何もありません」
124名無しさんだよもん:04/02/27 12:26 ID:Fw+7Y720
「--私はメイドロボですから、他の方に奉仕するのが仕事です」
「--今までは、綾香様のお世話をするのが仕事でした。ですから、今後もその通りになるでしょう」
「セリオ・・・」
「--ですから、今のままで良いのです」
「・・・セリオ、嘘ついてる」
急に思ってもいない事を指摘され、慌てふためくセリオ。
「--な、何を仰っているのですか綾香様。私は別に・・・」
「私ね、海外に渡ったら一人で何でもこなそうと思うんだ」
綾香はセリオに背を向けて語りだす。
「今まで好き勝手やってこれたのだって、結局は来須川の力があっての事だって気づいちゃったわけ」
「だからね、今度ばかりは自分の力でやりたいの。自分がどこまでやれるのか、試してみたいの」
「--綾香様・・・」
「だからね、親友のセリオとも、これでお別れ」
くるっとセリオの方を向きなおす。
「セリオも自分の道、探さなくちゃ」
「--自分の道、ですか・・・?」
でも、と続けようとする彼女の唇に綾香が指を添えて黙らせる。
「あるよ。セリオだけの道。私には判っちゃったもん」
「--私だけの、道・・・」
「そして、それにセリオ、貴女はもう気がついているはずなんだけどね」
「--気がついている?私が・・・?」
「そう。あなたの道がどこに向かっているのか。横で見ている私でさえ、気がついちゃったんだもの」
「--そんな。私には、何も・・・」
「あるわよ。・・・彼の、所にね」
「--彼・・・?」
125名無しさんだよもん:04/02/27 12:27 ID:Fw+7Y720
「あーあ、焼けちゃうわよねー。私だって、姉さんだって狙ってたのに、あっさり奪われちゃうんだもの」
「--綾香様・・・?」
心底判らないといった顔のセリオ。
「いい、絶対に逃がしちゃだめよ。彼、しっかり捕まえておかないと、どこに逃げていっちゃうか判らないわよ」
「--ええと、一体どなたの事をお話で・・・」
「惚けるんじゃないわよ!」
ぱんっと背中を叩かれる。
「--綾香様、私には」
「浩之のことよ。貴女、まだ気がつかれていないつもりだったの?」
浩之。彼女達の共通の知り合い。
いつの間にか私達の間に入ってきた不思議な人。
そして、メイドロボである私にも普通に接してくれる、数少ない人。
そして、そして・・・。
そこまで考えて、ふと自分の顔が赤くなっている事に気がつく。オーバーヒートの前兆だ。
脇では綾香がニヤニヤと笑っている。
「彼の事考えると、さすがのセリオもそうなっちゃうんだ」
「--ち、違います!これはただの・・・」
「ふーん、まあいいけどねー」
綾香は笑って取り合わない。
「それでそれで?彼の事、どう思っているわけ?」
「--浩之様は・・・私達のお知り合いで・・・」
それだけ?本当に?
「--いつも良くしていただいて・・・」
だから。私は。
「浩之様は・・・私の・・・」
そこまで考えてふと気がつく。
自分の中に占める、彼の割合がとても大きいことに。
126私からの卒業4/5:04/02/27 12:28 ID:Fw+7Y720
「ねえ、判った?自分の気持ち」
「--・・・」
「貴女にだって、生まれるのよ。『恋するキモチ』が」
「--恋する・・・気持ち・・・?」
判らない。心さえあるかどうかもわからない自分に、恋する気持ちだなんて。
「一度気がついてしまえば簡単よ」
気がつく・・・そう、確かに私は浩之様の事を好いている。多分、それは間違いない。
でも、それは恋愛感情と呼べるのだろうか?機械の私が、人間に?
「--綾香様、やっぱりそれは違うと思います」
「セリオ?」
「--機械の私に恋愛感情なんて存在しませんから。彼のことは、好意はありますけれど、それだけの・・・」
ぱふっ。一瞬何が起こったのかわからない。
気がつけば、自分は綾香様の胸の中に抱きしめられていた。
「ずるいよ、セリオ」
「--・・・はい?」
「だって、ずるいんだもん。浩之とセリオ、貴方達二人ってまるで向かい合わせの青信号みたいなものなのに」
「お互いに変な意地張っちゃって、『自分じゃつりあわない』なんて、変な事気にしちゃって」
くすくすと綾香様は笑う。
「姉さんの方では、もうしっかり確認を取ったんだから。彼、あなたの事、本気みたいよ」
「--彼・・・浩之さんが・・・?」
「そう。もうぞっこんラブラブみたい」
何が嬉しいのか、綾香様は笑い続ける。
「だからね、後はあなたの気持ち次第」
「--私の・・・気持ち・・・」
「そう、ただ一言唱えよ。『彼のことを愛しています』ってね」
そういうと、綾香様はにっこりと微笑んだ。
その瞳は、なぜか潤んでいたが。
127私からの卒業5/5:04/02/27 12:30 ID:Fw+7Y720
「--綾香様・・・?」
「んー、何でもないの。やっと吹っ切れそうな気がしただけ」
「--綾香様も、いえ、芹香様も浩之様のことを・・・?」
「そんな事どうだっていいでしょ!それで、今後の事だけど・・・」
綾香は無理して明るく笑って言う。
「とりあえず、姉さんと話もしてみたの。貴女卒業後は・・・」
そこで一拍おく。
「・・・浩之のお嫁さんになりなさい」
「--!!?」
思わぬ発言に真っ赤になる。オーバーヒート寸前だ。
「卒業後の進路はお嫁さん。ロマンチックじゃない?」
何も言えず、口をパクパクさせているだけのセリオに言葉を続ける。
「今頃は、姉さんが浩之に話をつけ終わっている頃ね」
そう言いながら、セリオを促し、二人で校門をくぐる。
「この校舎ともおわかれかぁ」
二人で振り返る。いくつもの思い出を残した校舎。嬉しい事も、悲しい事も。

「おーい、セリオ、綾香ー」
背後から聞こえてくる声。走ってくる足音。セリオには判る。それが彼のものだという事が。
「ほら、セリオ」
とんっと背中を押される。振り向けば、ウインクしている綾香。
「行きなさい。あなたの一番大切な人の所へ。これが、貴女の卒業式よ」
お互いに見つめあい、そして微笑む。
そう、何も迷わないで行こう。大切なあの人の所へ。全ての応援してくれる人達のためにも。
「--浩之さん!」
無感動な私を卒業し、新しい自分へと生まれ変わらせてくれたあの人の下へ。

こうして、私の卒業式はハッピーエンドで終わりを告げた。
128名無しさんだよもん:04/02/27 12:33 ID:Fw+7Y720
>>123-127
以上です。途中タイトルが抜けてしまった事にお詫びを申し上げます。
本当は長編でやろうと思ったネタなのですが、所用で時間がとれずに、こんな短編になってしまいました。
こんな駄文でよければ、感想をいただけると嬉しいです。では。
129名無しさんだよもん:04/02/28 01:58 ID:oa/an6UB
『卒業』って、別に学校でなくても良いよね
過去からの卒業とか
学校に限定すると、キャラが結構限られて来るし
130名無しさんだよもん:04/02/28 02:34 ID:fE/hg/4R
マジレスすると開催期間中にその主題について具体例を出すのは荒しと思われても仕方がないと思うぞ。
ネタ潰しの分類として。自分で判断しる。
131名無しさんだよもん:04/02/28 05:08 ID:ouCocbQY
まあネタ潰しになりがちなのはたしかだが、
いきなり荒らし扱いとかはやめれ。
かえって荒れる可能性があがるぞ。
132名無しさんだよもん:04/02/28 08:27 ID:e89KAA4D
>>131
>130は全然大丈夫だ。良いこと言ってる。
個人的にはテーマを使い「こう来たか」と思える奴はイイぞ。
133名無しさんだよもん:04/02/28 09:33 ID:hG641X0R
まあ、まずはあまり気にせずに作品を書くことだな。
OKならOKなりに、駄目なら駄目なりの感想が返ってくると思うから。
134名無しさんだよもん:04/02/29 20:56 ID:GX0o/6Z2
mente
135 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/01 23:12 ID:1Y3cLIuF
【告知】

現在このスレは、第二十三回投稿テーマ:『卒業』の投稿期間に入っています。

投稿期間: 3 月 12 日の午前 8:00 まで。

テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
それが終わった後は、感想期間に入ります。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)

※投稿される方は >>2-5 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが

・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない

※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
136名無しさんだよもん:04/03/04 06:49 ID:VVfBt+bT
めんて
137名無しさんだよもん:04/03/06 05:36 ID:H96DOG2U
めんてー
138名無しさんだよもん:04/03/07 00:21 ID:sOgCO3gR
一応保守。
明日には作品が投下されるかな。
139名無しさんだよもん:04/03/08 00:53 ID:lCcqcTaf
人が書いたSS読んでると、なんか書く意欲がわいてくるな。
少なくとも、SS関連の議論や煽り合いをして
いっこうにSSそのものを書かない、読まない時の俺よりは
いまはマシな状態だって気がして来てる。
140お姉ちゃんは心配性?:04/03/08 16:23 ID:4H3abxK/
「いってきまーす」
元気良く出ていく妹。
その一方で元気良くというよりは妙に覇気のある姉、約一名。
「……ついに来たわね。この時が」
彼女はソファーから立ち上がると、ゆっくりと電話を手に取った。
「もしもし、私。現時刻より作戦開始。作戦名は『赤頭巾ちゃん救出作戦』よ」

【お姉ちゃんは心配性?】

「ねむいお〜」
「まったくだぜ。美坂の頼みじゃなかったらとっくに帰ってるところだ」
隊長の士気の高さにひきかえ、隊員二名のやる気はまるで無いようだ。
「我慢なさい、名雪、北川君」
彼女は冷徹に言い放つ。
141お姉ちゃんは心配性?2:04/03/08 16:43 ID:4H3abxK/
「私達の行動次第で、可愛い少女の貞操の危機が救われるか決まるのよ!」
彼女は拳を握り、力強く演説する。その様はまるで一流の弁護士のようだ。だが。
「そんな事私には関係ないよ〜」
「美坂、ちょっとそれは言い過ぎだろ」
二人はお構いなし。
「危機って言ったら危機なのよ!!」
おねーさんはあくまでも強気だ。
「だいたい相手はあの相沢君よ?何も起こらない方がおかしいわ!」
「香里、栞ちゃんが元気になってから、なんだか変だよね」
「ほんと、過保護っつーか、なんつーか」
「お黙り!!」
びくっと体をちぢこませる。
142お姉ちゃんは心配性?3:04/03/08 16:59 ID:4H3abxK/
彼らの力関係は歴然のようだ。
「とりあえず、気付かれないように後をつけましょ」
こうして、彼らは少女の後をつけ、お馴染みの公園まで辿り着いたのだった。

噴水のもとで誰かを待つ少女。もちろん、後をつけてきた彼女達には誰かなんてわかっている。
「相沢君たら、栞を待たせるなんて……」
「でも香里、約束の時間っていうのまで、まだずいぶんあるよ?」
「時間なんて問題じゃないの!あの病弱な栞を待たせるなんて事が問題なの」
「うわ、香里過保護過ぎだよ」
「とりあえず、相沢君はペナルティー1ね」
手帳に何やら書き込む。
143お姉ちゃんは心配性?4:04/03/08 17:21 ID:4H3abxK/
「これが10貯まったら……相沢君、無事に学校に来れるとは思わない事ね」
くすくすと笑うその様子に名雪と北川はがたがたと震え上がったのだった。

やがて、待ち人は現われた。
「待ったか、栞?」
「いいえ、全然待ってなんかいません」
「そうか。それなら良いんだ」

「ちっとも良くないわよ!」
隠れて様子をうかがっていたのも忘れ、思わず大声をあげそうになった香里を慌てて名雪が押さえ付ける。
「駄目だよ香里、隠れているんだから……」
「ふーっ、ふーっ!」「美坂、押さえて押さえて」
二人になだめられて、やっと静まる。
144お姉ちゃんは心配性?5:04/03/08 17:41 ID:4H3abxK/
「……みてらっしゃい相沢君、必ずあなたの本性を暴いて、栞を取り戻してみせるから……」
彼女の決意は間違った方向へと堅かった。

二人はどうやら、公園を離れて商店街へと向かうようだ。
「追うわよ、二人とも!」
「だお〜」
「へーい」
元気なのは本人ばかりなり。
「あ、祐一さん」
「どうした、栞?」
背後の邪気にも気付かず、仲良く並んで歩いてゆく二人。
「私、ちょっと寄って行きたい所があるんですけど、いいですか?」
「ああ、今日は栞の全快祝いだからな。どこでも好きな所へ連れてってやるぞ」
「はい、嬉しいです!」
145お姉ちゃんは心配性?6:04/03/08 18:02 ID:4H3abxK/
にこにこと、本当に嬉しそうな少女。一方、歯軋りしながらその様子を見つめる姑、もとい姉。
「栞ったら、私にあんな表情見せてくれた事なんてないのに……」
「自分で無視してきたんだから当然だよ〜」
ギリギリと親友の首を締めあげながら言う。
「とにかく追うわよ。相沢祐一という男の本性、絶対に暴いてみせるんだから!」

二人は商店街のゲームセンターへとやってきていた。
「ここのUFOキャッチャーにどうしても欲しいぬいぐるみがあって、最近通っているんです」
「なるほど」
二人は筐体の前に立つ。
146お姉ちゃんは心配性?7:04/03/08 18:21 ID:4H3abxK/
頑張ります、とちょっと気合いをいれてお金を投入。
「栞ったら、言ってくれればぬいぐるみの一つや二つ、すぐにでも用意してあげるのに……」
ウィーン ガシッ スカッ!
「えぅ、また今回も失敗です」
「なんだ、これがほしいのか?」
やや大きめのそれのタグには、『主』とプリントされている。
「……何のぬいぐるみだかしらんが、まあ俺に任せてみろ」
自信満々に彼は言うと、クレーンを操作しはじめた。
ウィーン ガシッ スルスル……
「わあ、わあ、凄いです!」
「ふふん、こう見えても、キャッチャーの鬼と呼ばれた事もある俺さ」
147お姉ちゃんは心配性?8:04/03/08 18:37 ID:4H3abxK/
そしてぬいぐるみは少女の下へ。
「ありがとうございます祐一さん!」
感極まったのか、とっさに彼へと抱きつく少女。
「いやぁー!栞、栞が汚される!!」
思わず飛び出しかける香里を名雪と北川、二人がかりで押さえる。
「美坂、落ち着け!」
「そうだよ、あれ見てよ」
そう言われて目を向けると、二人は真っ赤になって離れているところだった。
「す、すみません祐一さん」
「あ、いや、気にするな」
そのまま二人でもじもじ。
「あううー、栞ー」
「ほら香里、もうなんともないから」
「ぐすっ、ぐすっ、ペナルティー2個目」
148お姉ちゃんは心配性?9:04/03/08 18:53 ID:4H3abxK/
ぎゅっとぬいぐるみに顔を埋めていた少女が先に声を発した。
「あ、あの、そろそろ行きましょうか」
「あ、ああ。そうだな」
そして二人は歩きだした。
「相沢君、まさかこのまま栞をいかがわしい場所へと……」
二人の後を再びこっそりとつけはじめる。おねーちゃんは心配でたまらない。
並んで歩いてゆく二人。その内、少女の様子がおかしくなりはじめた。
ぬいぐるみを片手に、そしてもう片方の空いた手をそわそわと。
上げたり、やっぱり下げたり。
そしてふと立ち止まる。
「どうした、栞?」
「あの……祐一さん」
149お姉ちゃんは心配性?10:04/03/08 19:13 ID:4H3abxK/
「手を……繋いでもいいですか?」
真っ赤な顔で上目遣いにそう言う。
「ああ、そうだな」
答える彼の顔も真っ赤だ。
そして二人は歩きだす。しっかりとお互いの手を握り締めて。

その後、二人はごく普通のデートを楽しんだ。百花屋へ行き、ウインドウショッピングを楽しみ、ちょっとした、しかしセンスのいいアクセサリーを彼が少女にプレゼントしたり……。
その度に暴走しそうになるおねーさんをその親友とクラスメイトがぼろぼろになりながら止めたり……。
そうして、いつしか夕暮れ時。もう追跡班のうち、二人はくたくたである。
150お姉ちゃんは心配性?11:04/03/08 19:28 ID:4H3abxK/
そして、二人は少女の家の前へと到着した。
その様子を、そっと影から覗き込む。
「祐一さん、今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀する少女。
「私、元気になれて本当に良かったと思います。だって……」
「こんなにも楽しい一日を、祐一さんと過ごせたんですから」

「……何度だって過ごせるさ。栞、お前はもう普通の、人生を楽しんでもいい女の子なんだからな」
「祐一さん……」
少女はそっと目を閉じる。
彼はその頬にそっと手を添えると、身を屈め……。
151お姉ちゃんは心配性?12:04/03/08 19:45 ID:4H3abxK/
「あーの男!張り倒してやる!!」
「駄目だよ香里!」
「うるさい!元はと言えば、あなたがあの初恋相手のろくでなしをきっちりゲットしておけば!」
「わ、香里、人の傷口に簡単に触れないでよ」
「とにかく、落ち着け美坂!」
「どさくさ紛れにどこ触ってるのよ変態!」
「へぶしっ!か、顔はやめて……」

そして、軽い触れるだけのようなキス。
「祐一さん……」
「栞……」
「こんな所、お姉ちゃんに見られたら、怒られちゃいますね」
「そうかもな。香里、栞の事、今じゃ溺愛してるものな」
「でも、これでいいんですよ」
152お姉ちゃんは心配性?13:04/03/08 20:04 ID:4H3abxK/
「私、もう守られるだけの存在から卒業したいんです」
「そして、今度は祐一さんやお姉ちゃんを守ってあげたいんです」
「だから、今日がいままでの弱い私からの卒業式、です」
「栞……」
「大丈夫です。祐一さんから卒業証書も貰いましたから、ね」
そっと唇に指を添え、悪戯っぽく笑う。
「それでは祐一さん、また明日、学校で」
「ああ、それじゃあな、栞」

「あれ、お姉ちゃん?いつ帰ってきたの?」
栞を見ながら思う。
「お姉ちゃん、一緒にアイス食べよ?」
私はただ見守るべきだったのだ。
「バニラとチョコ、どっちがいい?」
153お姉ちゃんは心配性?14:04/03/08 20:19 ID:4H3abxK/
栞が一人で歩いてゆく時を。栞が私の元から離れてゆける時を。
そう、この娘の卒業を、ただ見守ってあげるだけで。
それはちょぴり淋しいけれど。
ううん、本音はとっても淋しいけれど。
きっと、栞の人生にとって一番大事で、幸せな事のはずだから。

私は台所へと向かう栞の背へとそっと呟く。
「卒業おめでとう、栞」

【お姉ちゃんは心配性? fin…】
154お姉ちゃんは心配性? ??:04/03/08 20:38 ID:4H3abxK/


【おまけ】

「ところで栞?」
「何、お姉ちゃん?」
「相沢君とは、健全なお付き合いをしているのよね?」
「う、うん」
「そうよね。まだ軽いキス止まりよね」
そう言った途端、栞は下を向いて黙ってしまった。
「……栞?」
「わ、私もう大人になっちゃったから……」
そう言うと、栞はえぅーと言いながら二階へとあがっていってしまった。
……そう、そういう事なのね……。
あいざわぁ!ゆういちぃー!!あんたって人はぁ!!!


「その後、お姉ちゃんの付きまといは私達の結婚まで続きました。もう、お姉ちゃんの心配性!」
155お姉ちゃんは心配性?:04/03/08 20:51 ID:4H3abxK/
>140-154
携帯から投稿。
駄文にて失礼。
156名無しさんだよもん:04/03/08 20:57 ID:tZRZ25Iq
ほぅ
157名無しさんだよもん:04/03/08 22:21 ID:8flwXim3
携帯からSS投稿する奴はじめて見た。パケ代どんくらいかかってるんだろ?(w
158名無しさんだよもん:04/03/09 01:03 ID:DiazeQ5z
エロパロ板とか、一般の板に落とされるSSにはそういうのもあるけどね。
たいていのものは改行がPCみたいにはうまくいかないんだが。
159名無しさんだよもん:04/03/09 07:36 ID:39npqqji
やべぇ、もう実質三日しかないじゃん
ペースあげなきゃ……
160名無しさんだよもん :04/03/09 23:00 ID:UeaXYEaY
桜の花びらが天から降る雨のように、とめどもなく落ちていく。それは毎日を過ごしてきた砂と土のグラウンドへと雪のように降り積もっていった。
志保は暇つぶしに、人が踏めつけていない綺麗なところから、そっと何枚かの花びらを手で掴み、それを胸の方まで持って行くと、そこから手を開いて、落ちていく花びらを見ていた。
志保は卒業式の晴れ着として、市松模様を施した着物を身にまとい、臙脂の袴で衣装を包んで案外瀟洒である。
着物といった古風な習慣を嫌う今時の女子高校生である志保のために、こういう時くらいはと、子想いの母親が新調したものなのだろう。
しかし、その親身のこもった真新しい着物とは対照的に、志保はいつになく元気がない。
夜に何時間も考え続けたせいだろうか、くまができる程でないにしろ目はどよんと虚ろになり、
いつも強さを顕示しているはずの肩をふらっとよろめかせて、ただ暗闇に蝋燭をぼーっと見つめるように陰鬱な表情をしていた。
「グッドモーニング。志保!」
レミィが挨拶をしてきた。
レミィは金髪に同じように矢絣の着物に鴇色の袴を着ている。和服に金髪は似合わないのかもしれない。
卒業式の厳かな雰囲気と相対する軽佻な違和感を出し、レミィが出るとこ出るとこ人の目線が集中していた。
ここも例外ではなく、周りの生徒は見せ物をみるように指を指したり、レミィの話で雑談に花を咲かせているようだった。
「それで志保。明日9:00に出発決まったから。早めに準備しておくことを薦めるヨ!日本のことわざにも善は急げって書いてあるネー。
ニューヨークは大都会だから。色々あると思うけど・・フガ。フガフガ」
レミィの口が志保によって慌てて塞がれ、そのままずるずると人気のいない校舎裏へと引きずられていった。
161名無しさんだよもん :04/03/09 23:02 ID:UeaXYEaY
「ここなら大丈夫よね・・・レミィ!あんなところでしゃべらないでよ」
志保は口に当てていた手をはずす。すると、ずっと息ができなかったのか、レミィは真っ赤になった顔から何度もはふはふ息をし続けている。
「れれ?らんでデスカー?」
まだ舌が回らないらしい。
「何でじゃないわよ。あんなところで喋ったらヒロとか、あかりとか、雅史とかに、ニューヨークに行くのばれちゃうじゃない。」
「ばれたっていいじゃないデスカ。あれ?もしかしてまだ渡米すること言ってないデスカ?それはよくないデス。
早く言わないと後で後悔しますヨ。後一日デスから。」
「う。」
志保は図星を突かれたことに心をちくり刺されたような気がしたが、それよりも後一日で日本を去るという現実が肥大し、
前途の苦労を頭の中で巡らしてしまい少し不安な気分になった。
日本を去る話は簡単な気まぐれに過ぎなかったのかもしれない。
そんなこの三週間を否定する言葉が頭をよぎっていた。
事の発端は3週間前に何気無くヒロたちと話していた時に始まる。
162名無しさんだよもん :04/03/09 23:03 ID:UeaXYEaY
志保、雅史、あかり、浩之の4人は昼休みの教室で軽い雑談をしていた時のことだった。
浩之が急に暗い面持ちで喋ってきたのである。
「そういえば後3週間でバラバラになっちまうんだよな。俺ら。」
「そう考えると寂しいね。」
あかりはにこにこと笑いながら時々下を向いて弁当をぱくついている。よほど自分で作った卵焼きがうまいらしい。
「そうだね。」
雅史はとりあえず相づちを打っている。
「何言ってんのよ。別に近所なんだからすぐに会いにいけるわよ。そんなことより、明日カラオケいかない?家で死ぬほど練習したんだから。
Jポップもなんのその。演歌だってドスを効かせて100点間違いなしね。」
「お前はのんきでいいよな。本当。」
「のんきじゃないわよ!明日も明後日も明々後日も予定が詰まってるんだから。」
「”遊びの”だろ?」
「そうよ?悪い?大学生は遊ぶのが本分よ。」
「大学か・・・」
急に黙り込む浩之。その後に話したセリフに志保は驚いた。
「俺、大学はもっと遠い所に行く。通学が大変だからさ、大学の近所に引っ越しちまおうと思ったわけで、
まあつまりは卒業式が終わったら、もうずっとお別れだ。」
「え・・・?」
「浩之ちゃんも?私もそうなんだよ。やっぱり遠いと疲れるし、何より勉強する時間が無くなっちゃうもんね。」
あかりは残り少ない弁当を掻い摘むように食べながら、いつもと変わらず明るい調子で言った。
163名無しさんだよもん :04/03/09 23:04 ID:UeaXYEaY
「え、え?ちょ、ちょっと待ってよ。マジで?マジで?本当?なんでそんなこと隠してたの?もしかしてまさか、雅史もそうなの?」
雅史はうなずき、慇懃に説明をした。
「隠してたわけじゃないけど、僕は大学に入らない。就職するんだ。転勤もあるみたいだから、引っ越すかもね。でも大丈夫だと思うよ・・。」
志保は驚きすぎて目が点になっている。
志保は別段この町を去ることは無い。いやそれどころか、永遠にこの町に住み続けるものだと思っていた。
自分と同じ考えだと思っていた三人がきちんとした未来展望を持ち、自分とは全く違う道を決めていたことに、一人取り残された気がした。
「志保はこのままここに住むの?」
突然の自分への質問。志保は動揺の混ざった愛想笑いを口元に出しながら、隔世感に陥らないように、
必死に皆と同じ意見を言った。志保は皆より遅れるのは嫌だった。
「何いってんのよ。私もこんな町引っ越すわよ。はは、子供じゃないんだから。親と一緒にずっといるなんてことしないわよ。」
「へーそうなんだ。私はてっきりここから大学に通うと思ってた。頑張ってね志保。」
「そりゃあもう、ばりばり頑張るわよ!もう山超え谷超え、どんな田舎にでも引っ越しちゃうんだから」
「そんなこと頑張ってもしょうがねえだろ。あかりが言ってるのは大学生活のことだよ。お前本当に大学いく気あんのか?」
「マジヨ、マジデマジデ、大マジなんだから。」
「ふーん・・・そうか」
そしてチャイムが鳴った。
4人はそのまま何も話さず自分の席に戻っていった。
164名無しさんだよもん :04/03/09 23:05 ID:UeaXYEaY
志保はそのことがあってから、これから先のことを初めて考えるようになったと思われる。自分が行く大学のパンフレットを読んだり、キャンパスに行ってみたりと、
普通この時期までにとっくに済ませているはずのことを今更になってやるようになった。
そして、ふと思うようになったらしい。行きたくないと。
志保にはジャーナリストになる夢があった。その夢とこの先進む道はかけ離れている。
歩いていた信号がすぐ赤くなる寸前の黄色であったことに今気づいたらしい。
そんな焦りと不安の日々を過ごしていたとき、街角で本を漁っているレミィに会った。

165名無しさんだよもん :04/03/09 23:06 ID:UeaXYEaY
「ワオ 志保、奇遇ネ!」
たくさんの分厚い本を大事そうに胸と手の間に挟みながら、レミィは快活に話しかけた。
「おっはー、レミィ。」
できるだけ明るく答えてみる志保。しかし、志保は表情が顔にでやすい性格故、いつもと様子が違うのは一目でわかった。
元気に振る舞っているようでも目が笑っていなかったり、笑い方が不自然だったりしている。。
「なんだか元気無いヨ。志保?」
レミィは頬に人差し指を当てながら不思議そうに首を何回もふりこのように振っている。
「え?そう?別にそんなこと無い無い。それより、その本何?むちゃくちゃ分厚いけど」
さすがにそれほど親しくないレミィにこんな重い悩みは言えないのか、志保は目先の簡単な話題に話をすり替えた。
「漢和辞典と、ことわざ辞典と、冠婚葬祭の本、後茶道もあるネ!」
「うーん。日本の勉強?和道ってやつね。にしてもなんでそんなに買い込んでいるの?日本語検定でも受けるつもり?」
レミィは目を瞑って、頭を何回も振っている。
「違うヨ。学校を卒業したら、日本を離れるから、USAで手に入らない本をイッパイ仕入れておこうと思ったのデース。」
志保はまたかと思った。
自分を置いて、人はどんどん違う新天地へと移っていく。
老いさらばえるまでこの変わることの無い町に住み続けねばならないのかと思うと、また気分が暗くなった。
だが、それに反発する心持ちがやはりこのはねっ返り娘にはあるらしい。
その内なる気炎を動力源に突拍子も無いことを志保は思いついた。それは成功する確率はほとんど無いといっていいだろう。
とはいえこのままこの町に残り妥協しつづけることはもっとも嫌なことであるのは間違いない。
志保は勇気を振り絞ってその奇策を言ってみることにした。
166名無しさんだよもん :04/03/09 23:07 ID:UeaXYEaY
「レミィ」
「なぁんですカ?志保?」
「ワタシをアメリカに連れて行ってくれない!?炊事洗濯はワタシがして、英語を必死で覚えて部屋代もバイトで稼ぐから!一生のお願いだから。・・・マジデ」
志保は自分でいったことに責任が持てないと感じたからだろうか、語尾を下げ、最後に俗語を設けて、弱々しく言った。
志保の気持ちが揺らぐのはわかる。これは全く無茶も甚だしいことであった。大して親しくもない友人から、いきなりアメリカで一緒に住んでくれないかという相談を持ちかけられるなど、
もし一緒に住む人が親族であってもたびたび断られることがあるこの世の中で、万が一、いや億が一にもありえないことだ。
志保は言った後で後悔し、ぽけっと閉口しているレミィからどんな断絶の言葉が贈られてくるか想像して、レミィが動いた瞬間身震いをした。
「OK。いいよ。じゃあダディに一緒に行くって話しておくネ。」
レミィは持っていた本を陳列されている新本の上に乗せた後、ポケットから携帯電話を出してピポパとメールを打ち出した。
と、打ち終わって数秒後タンタタンタンタンターンと"Star-Spangled Banner"が流れてきた。
まあ俗に言うアメリカ国歌である。ここらへん生粋のアメリカ人なんだろう。USA.USAと映画館で騒いでいるレミィが頭の中で自然に思い浮かんでくる。
異常に早いスピードで返ってきたメールを読んだレミィは親指を立てて、成功だと知らせてくれた。
「え?本当?」
志保は何やらあっけないくらいにとんとん拍子で話が進んでいくのに、まるで自分が夢を見ているかのようだった。
167名無しさんだよもん :04/03/09 23:07 ID:UeaXYEaY
しかしそれが夢でなく現実であることは、時々刻々とレミィから連絡してくる、アメリカへ持って行く生活必需品の説明、家の周りの地図、電話番号や住所録、
そしてビザの発行手続きなどといった現実が、この事態が夢ではないということを常に知らせてくれていた。
ここまで本格的になってくると、当然銀行で帯がつく程のお金が必要になってくる。
当面は少ない貯金で済ませていたが、それもすぐに絶え、志保は厚顔無恥の思いで親に工面を求めた。志保にも後ろめたさがたぶんにあったのだろう。
できるだけ気持ちを込めずに志保が早口で渡米のことをはやし立てると、親は激怒を通り越して呆れかえっていた。
何度か押し問答があったところで、父親の方は怒って先に寝入ってしまった。
母親の方が残り、一人承諾してくれた。
168名無しさんだよもん :04/03/09 23:09 ID:UeaXYEaY
「志保?ぼーっとしてどうしたの?」
志保はこれまでのことをじっと思い返していたようだった。
「あ、レミィ・・・いや、親っていいもんなんだなって思って。いや、それだけ、」
志保はじっと自分の着物の市松模様を見て言った。
「そうヨ。ダディは大切にしないといけないヨ!」
「後、友達もね」
志保は聞こえるか聞こえないかわからないくらい小さな声を出した。
「レミィありがとう。そして、バイバイ」
「頑張ってねシホ!」
アメリカではレミィと一緒に暮らすと思っていた。
けれど、実際の話はアメリカで一人暮らし、仕事も家も世話はするということらしい。
だから、レミィと会うのはこれを含めてもう残り少ないかもしれない。
その後、志保らしくない屈託ない笑みを浮かべると、志保はどこかの方角へと駆けだしていってしまった。
169名無しさんだよもん :04/03/09 23:10 ID:UeaXYEaY
志保はまだ正直迷っていた。明日を過ぎれば、全く違う自分になる。そんな気がしてならなかった。そんな恐怖が目の前に来ると、どうしてもふんぎりが掴めなかった。もう普通の女子大生になることはできない。
それは書類上のことはもちろんのこと、親と友、皆の行為を踏みにじることはできなかったからということもある。志保はこの3週間の間、前より少しだけ大人になっていた。
だが、怖いものは怖い。予想していた傷であっても痛みを感じないわけではないことと同じだった。
その迷いがヒロたちに会ってぐらつくのを恐れさせた。
だからこの後1日というところまで言うのを躊躇させてきたのだ。
今でもそれが無くなったわけではない。ただその恐怖が大きくなっても今言っておかないといけないことは、志保はレミィに話を持ちかけていた時から決めていたことだった。
好きな人に別れを告げるのを諦めるのは止めたくなかった。
その彼は自動販売機でコーラを買っていた。何故か2個持っている。
かたっぽを手に持って、もう一方でぐびぐびとやっていた。
「ヒロ!」
志保は息を切らせ、興奮ぎみに叫んだ。
「みかけないと思ったら・・・よう」
浩之は手に持っていた冷えたコーラを見ると、志保に投げて渡した。
志保はいきなりでびっくりしたのか、あやうく落としそうになったが、なんとか両手で掴んで落とさずに済んだ。
「選別だ。やるよ」
「なんか偉そうねー。」
「いらないなら俺が飲んじまうぞ。」
「ふふんその手には乗らないんだから。おごりは全部いただいちゃいますよ。へへ」
「あ、そ。」
志保は着物が汚れないよう気にしながら地面に座り込み、浩之は無頓着にも花壇の上に腰を下ろした。そして、二人ともじっとコーラを飲み続けている。
桜の隅から雀が飛んでいく。周りには自動販売機の冷却装置の震える音だけが響いていた。
170名無しさんだよもん :04/03/09 23:10 ID:UeaXYEaY
そんな静寂が何分か続くと、浩之はコーラを飲み終えて、花壇の上に空き缶を置き、流れる桜の花びらを見続けていた。
こういうことに堪えられない性格の志保は、缶を口につけたまま言った。
「なんか喋りなさいよ。」
浩之は呆れたように言った。
「わびさびがわかんないのかよ。外人のレミィですらこういうときは黙ってるもんだぜ。」
「海外へ羽ばたくワタシにはそういう日本の伝統文化なんざいらないのよ。」
「はいはい。」
「生返事ばっか。少しは人の話真面目に聞きなさいよ。」
「へーへー」
「むっかー・・・」
二人はまた喋らなくなった。
171名無しさんだよもん :04/03/09 23:11 ID:UeaXYEaY
少し空が紅く染まってきた頃、浩之が腰をあげた。
「じゃ帰るか。」
「そうね。バイバイ。」
「・・・おい」
「何?」
「何か言いたいことがあるだろ。」
「別にないわよ。」
志保は浩之にそっぽを向いている。
どうも浩之は渡米することを知っているらしい。もしかしたらレミィから聞いたのかもしれない。
あるいは盗み聞きしていたのか。必然と偶然のどちらにせよ、志保にとって不快であるのには変わらなかった。
自分で言おうと思っていたことが先に知らされていたことは脱力感と共に、志保にも解っている自分勝手な気持ちが表れていた。
それがためずっと惜別の言葉が言えなかったのかもしれない。
「外国行っちまうんだろ?」
やはり渡米の事実を知っていたらしい。
人間、思っていた虚想を改めて実想に作り替えられる時は、考えていた情操が増幅されてしまうことが多い。
その例の通り、今志保においてある一方の気持ちが胸からはち切れんばかりに飛び出しそうであった。
「だから何よ。あんたには関係ないでしょ。ベー」
「いつ帰ってくるんだ?」
志保は胸の高鳴りを押さえつつ、成功するまでと言いたいところだったが、実際そうなるとずっとこの場所には帰ってこれなくなるにちがいない。
2,3年で成功するわけはない、当然十数年経過して、故郷に帰ってくるわけだが、その時分にはすでに浩之のことなど忘れているだろう。
志保は熱い感情の隅で冷静にそんなことが浮き出てきた。
「わからない。ずっとここには帰ってこないかも。もし途中で帰ってきたら全て放り出してしまいそうだし、」
「意気地ねぇな。まあ志保らしいっちゃあらしいけどな。」
志保が本音を言った途端、ヒロは口調をいつもの通り戻して喋りだした。
172名無しさんだよもん :04/03/09 23:12 ID:UeaXYEaY
「何よ。別にいいじゃない。」
「俺もそうなんだ。」
不意に視線も動きも浩之は真面目になった。
「え?」
「大学なんざ大したもんじゃないと内心わかっているんだけど、いざ全員と別れて過ごし続けるって考えると、どうも疲れちまう。
ごめんな。今日会いに行かなかったのはそんな詰まらない理由なんだ。だからあかりとも雅史とも今日は会ってねぇ。」
あの急にヒロが町を出ることを語った時、皆表情にはださなかったが、雅史も、あかりも、ヒロも、内心不安であったにちがいない。
志保は自分一人だけが思い詰めていたと思っていた。しかし、実際は全員同じように思い詰めて、それを吐露していたに過ぎなかった。
志保の場合それが少し遅かっただけのようだった。
「何よ。笑っちゃうわね。本当。」
志保の後ろから何かふわっとした大きなものがのし掛かったような感覚がした。
首の後ろから手が回って、目の前で交叉する。
黒い服が日光を吸収して、その腕と背中は温かく、このままでいると春の陽気でどこか眠たくなってくるような気がした。
ちょうどコーラを飲んで体が冷たくなってきたから、そのぬくもりはちょうど良かった。
後ろを向くと、意地悪そうな顔をして、馬鹿みたいで、実際マジデおつむのほうも頼りない、でもなんとなく会いたくなるいつもの奴がいる。
するとそいつは、大胆にもキスをしてきた。
唇と唇の触れ合う感触が生暖かくて、妙に気持ちがいい。
志保は目の前にそいつの顔を見るのが恥ずかしくて、顔が紅くなる前に目を閉じてしまう。
そいつの方も志保が目を閉じてから数秒後、目を閉じていた。
唾をごくりと飲み、その振動が伝わって唇を動かし、その感触がまたヒロと繋がっていることを分からせてくれた。
そして、その温かいところが離れ、その興奮が持続したまま、志保は目を開けた。
そこから志保は自分がなんだか新しい自分になったような気がしていた。
「いつかまたこの場所で会おう。」
「うん」
志保は浩之と同じように、手を肩にかけるとまたキスをした。
今度は一瞬だけだが、その時二人は目を閉じなかった。
志保の手のひらから、朝つかんだ桜の花びらが地面の方へと落下していく。
地面すれすれで落ちそうになった時、春のそよ風が空の上へと花びらを舞い上げた。
173名無しさんだよもん :04/03/09 23:32 ID:UeaXYEaY
>>160-172
以上。
題名「同期の芽桜」で
174 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/10 21:53 ID:d0HlOx8c
【告知】

締め切りまで残り1日半くらいです。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『卒業』で、締め切りは 3 月 12 日の午前 8:00 です。

締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、
前もってお伝えください。それについて考慮いたします。

また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。
締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が
かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。
175名無しさんだよもん:04/03/11 08:35 ID:ChXI/fdl
一週間以内に投下する予定が、なぜか最終日に(爆
まあ、7割方出来ているから、楽だけど…
176名無しさんだよもん:04/03/11 21:50 ID:m0DUF0LF
なんかまた、少なそうな予感。

自分も、今になって半分弱しか仕上がってないや……ドウスンベ
177名無しさんだよもん:04/03/11 21:54 ID:iq4Gva8B
 青い空、隣には誰かがいる。始め、あまりにリアルな「それ」は夢とは思えなかった…
「えーと、青空が……あ、あれ? 長森」
「浩平、寝ぼけてるんだね。でも、今日はいい天気だよ」
長森はそういうとシャッとカーテンを開ける。
長森は朝が弱いオレをこうして学校がある日は起こしに来るのだ。
そして学校では住井達と馬鹿をやり。長森と一緒に帰り道に寄り道する。
オレはこの生活に満足していた。そう今だけを楽しむこの生活に…
 ある日、オレは退屈凌ぎとしてラジオを適当に周波数を合わせて聴いていた。
そして何気に聴いていた番組の中から気になる番組を見つけた。
「みさお」
「一弥の」
「「お気楽人生相談レディオ」」
みさお……確かに、その番組の少女はそう言っていた。
その名前を聞いたときオレの頭の片隅に何かがよぎった。そのときはさほど気にしていなかった。
ラジオそのものはパーソナリティだけが楽しんでいる、いわゆる屑番組といった感じだった。
だが、それでもオレはこれを視聴し続けていた。日に日にオレの中における「ラジオ」の存在は大きなものとなっていった…
178名無しさんだよもん:04/03/11 21:55 ID:iq4Gva8B
「残念ですが」
医者は頭を下げてそう言い放つ。ぼくにとってそれはとても悲しくて…そしてとても受け入れられない宣告だった。
ベッドには妹であるみさおが冷たい死体となっていた…
 「はっ!!」
悪夢から覚めたオレはあることに気がついた、死んだ妹と「みさお」の声が同じだという事に…
 そしてその日からオレに対し何者かが囁き始めた。
「お前、何だかんだ言ってアレが妹に見えるんだろう? いっそのことアレの元に押しかけて来いよ」
と、こう囁く。
「いい加減現実を受け止めろ!アレは赤の他人だ」
一方、こう囁く奴もいる。
そして囁きはラジオを聴くたびに大きくなってきた…
179名無しさんだよもん:04/03/11 21:55 ID:iq4Gva8B
 そして、俺はついにあのラジオに葉書を出す事にした。
「こんにちは。
オレには昔、白血病の妹がいました。
妹は懸命に病気に戦いました。
しかし神は残酷な仕打ちを妹に対して行いました。
妹が亡くなったあとオレは叔母に引き取られました。
そして幼馴染や悪友と馬鹿やっていたりするのですが、妹のことが心のどこかに引っかかっているのです。
「このままではいけない」とオレの中の何者かが囁きます、だが一方で「みさおと永遠に一緒にいれればいいのに…」と囁きます。
正直言ってオレはこのように囁いてくる「何者」に対してどう答えればいいのか悩んでいます。
このことに関する二人のご意見を聞かせてください。
中崎市中崎町 演奏少年」
ははは、ウソで固まっているじゃないか。本当は、ただみさおに会いたい。そしてお前の声が聞きたいと書きたいだけなのに…
180名無しさんだよもん:04/03/11 21:57 ID:iq4Gva8B
 その葉書を出してから1ヵ月がたってもオレの葉書は一向に読まれなかった。更にその頃からラジオが放送されなくなってきた…
オレはラジオが放送されない事について放送局に問い合わせようと。新聞のテレビ欄をひったくったときある事実に気がついた。
 テレビ欄にあのラジオの放送局が何処にもないのだ。だがあて先という形で放送局の位置はわかっていたため、あまり気にはしなかった…
 そして2月14日、オレはついに痺れを切らし放送局に向った。電話連絡が出来ない以上直接問い詰めるしかないからだ。
放送局の受付は閑散としており、まるで無人なのでは…と勘繰らせるほどであった。
181名無しさんだよもん:04/03/11 21:58 ID:iq4Gva8B
 局内を適当に歩いていると控え室から話し声が聞こえてきた。
「みさおさん……ぼくに、チョコ作ってくれたの…?」
この少年の声は確か「一弥」という相方の声だ。
「んー…作った、って言う程高度なことしてないけどね。一応、かず君用に」
この毒舌にして甘い声の持ち主、間違いないみさおだ!
どうやら此処はあの番組の控え室らしい。
「えっと……あの……」
「…現物渡した方が早いねw はい、これかず君に」
「あ、ありがと、みさおさん! えへ……うれしい……みさおさんの手作りだ…えへへへ…」
「あのね…これだけのチョコにプラスして、更に一つ増えたんだよ? …う、嬉しいかぁ?」
「すごく。だって、この中にみさおさんのチョコなんてないもの……これだけだもの」
「……それはまあ、確かに…」
どうやら一弥は相当な量のチョコをもらっているようだ。
オレはその控え室に入らなかった。なぜそうしたのかは未だにわからない。
182名無しさんだよもん:04/03/11 21:59 ID:iq4Gva8B
 そして二人の会話は続く。
「みさおさん。…これ、義理チョコだよね?」
「そうだね。お歳暮やお中元みたいなものかもw お世話になったあの人に、って感じかな?」
「それでもいいもん。大事に食べるから……ほんとにありがとう、みさおさん」
「……召し上がれ」
「でも……じゃあ、本命チョコはもう渡したんだよね。
 ……みさおさんの…す、すすっ、す、好きなひと、に……」
「いや、そんなモン渡してないけど。…ていうか、あたしの好きな人って誰?」
「……………えーと…………………みさおさん、ぼく質問があります。いいですか?」
「んむ。許可します」
「義理チョコ、ぼく以外の誰にあげたの?」
「皆無」
「…いままでのバレンタインデーはどうしてたの?」
「チョコこさえて他人にあげるのは今回が初めてですが……何か?」
「それは…『生まれてはじめて』って……そういうこと?」
「そういうコト」
えっ!?
オレは我が耳を疑った。
183名無しさんだよもん:04/03/11 22:00 ID:iq4Gva8B
「お兄ちゃん…えっと…その」
みさおはもじもじと赤面しながら何か言いたそうだった。
「お兄ちゃん…これ受け取って」
みさおはそう言って小さな包みを差し出す。
ぼくはその包みを開ける。中身はハートの形をしたチョコと「お兄ちゃん大好き」という小さなレターだった。
「チョコあげるのはお兄ちゃんだけだからね」
みさおは赤面しながらそういった。その言葉にぼくも恥ずかしくなった……
184名無しさんだよもん:04/03/11 22:02 ID:iq4Gva8B
 オレは放心状態でその場から離れた。
そしてオレは「みさおはもういない」という事実をようやく受け入れることができた。
 オレが放送局から出て振り返るとそこにはただの更地があるだけだった。
「……これは一体?」
 後にあの葉書はあて先が存在しないという理由で送り返された。
オレはその葉書を破り捨てた。
もう必要ないからだ。
そしてオレは「みさお」という過去のしがらみからようやく卒業できたのだ。
 それ以降オレはもう二度とラジオを聴くことはなくなった。
あのラジオが一体何だったのかなど、今のオレにはどうでもいいことだった。
そして囁きももう聞こえなくなった…
185名無しさんだよもん:04/03/11 22:03 ID:iq4Gva8B
以上「ラジオ」でした。
186名無しさんだよもん:04/03/11 22:05 ID:iq4Gva8B
しまった、一応アンカー入れとかないと
>>177-184
題名は「ラジオ」です。
スマソ
187名無しさんだよもん:04/03/11 23:19 ID:Kgdl/1xf
えーと、今から投稿させて頂きます。
タイトルは「始まりのないピリオド」
元ネタはONE。7レスぐらいかな?
188名無しさんだよもん:04/03/11 23:20 ID:Kgdl/1xf
「浩平、式の最中ずっと寝てたでしょー」
「目を閉じて意識を失ってただけだぞ」
「それを寝てるっていうんだよっ」
(この二人もよく飽きないわよねぇ)
 卒業式終了後。教室でやりあう二人を眺めていた七瀬は、ふと違和感を覚えた。
(あれ? 見覚えは…あるんだけど…)
 浩平がふざけ、瑞佳が咎める。
 記憶にはあるその光景。しかし、つい最近まで全く見ていなかったような…?
「…思うよな、七瀬」
「え?」
 呆けたような七瀬の答えに、長森は心配そうに顔を曇らせる。
「七瀬さん、大丈夫? 卒業式で気分が悪くなった?」
「ああ、違うわよ。ただぼおっとしてただけ。それで、なんだっけ?」
189名無しさんだよもん:04/03/11 23:20 ID:Kgdl/1xf
 咄嗟にごまかしの言葉を吐いたのだが、幸いにして二人とも不審には思わなかったようだ。
「浩平が…」「長森が…」
「七瀬、このあと用事ある?」
 浩平と瑞佳が口々に説明しようとしたその時、一人の女子生徒が会話に割りこんできた。
「この後みんなで打ち上げに行くんだけど、当然あなたも来るわよね?」
 断定に近い口調でその少女――広瀬真希――は、七瀬に確認する。
「あー、そうね。瑞佳はどうするの?」
 話を振ってすぐに七瀬は後悔した。
 案の定、広瀬は顔を曇らせている。
「ごめん、佐織たちと約束があるから…」
「あら、そうなの。残念ね」
 少しも残念がるそぶりを見せずに、広瀬は答えた。
(結局、最後までこんな感じなのよね…)
 七瀬は心の中で嘆息した。
190名無しさんだよもん:04/03/11 23:21 ID:Kgdl/1xf
 一年少し前、この学校に転入してきた七瀬は、一部の女子生徒たちから苛めを受けていた。
 その首謀者が目の前にいる広瀬である。
 七瀬も最初のうちこそ我慢していたものの、進級してからもますますエスカレートするそれに絶えきれず、ついには爆発。
 教室のど真ん中で取っ組み合いの大喧嘩を起こしてしまう。
 翌日、それまで築いてきたイメージが崩れ去って死人のような顔で登校した七瀬を迎えたものは、広瀬からの謝罪であった。
 曰く、「自分を偽って可愛い子ぶってるあなたが許せなかったの。ごめんなさいね」
 七瀬も色々と言いたいことはあったのだが、先手をを取られて謝られたからにはそれもままならず、しぶしぶと頷くより他はなかった。

 その後の二人は、それまでの確執が嘘のように急速に仲が良くなっていく。
 元々七瀬は後を引くタチではない。そして広瀬も、過ぎた事に遠慮するタイプではなかった。
 仮面を取り払って思ったことをずけずけと言う七瀬に、怯むことなく意見を返す広瀬。
 自然、話す機会も増え、いつしか親友と呼べるまでの間柄になっていた。

 そして広瀬と仲が良くなるのに比例して、瑞佳との仲が疎遠になっていった。
191名無しさんだよもん:04/03/11 23:22 ID:Kgdl/1xf
「で、どうするの?」
 答えをぼかされたままの広瀬は、少し苛ただしげに前髪をかきあげた。
「えーと、じゃ、参加の方向で」
「なによ、曖昧ね…まあいいわ。後で迎えに来るから、それまでに準備しておきなさいよ」
 広瀬はその答えに一応納得したのか、七瀬の肩を叩くと自分の席へと戻っていった。
「ふむ」
「…なにか言いたそうね」
「いや、別に」
 浩平は近くの椅子に腰掛け、足をぶらぶらと揺らす。
「そう言えば浩平、この後どうするの?」
 尖りかけた空気を敏感に察したのか、瑞佳が取り繕うように別の話題を振った。
「男連中で集まってぱーっと騒ぐらしいぞ」
 他人事のように返す浩平。
「オレはお前と一緒に居た方が楽しんだけどな」
「こ、浩平…」
 何気なく続けられたその言葉に、瑞佳の顔が照れと喜びに彩られる。
(あ、そっか。この二人って付き合い始めたんだっけ)
 七瀬の脳裏に、数日前の告白劇が思い出された。
(まあ、今更って感じだけどね…)
 口元に苦笑いを浮かべつつも、何故か奇妙な胸の苦しみを覚える。
192名無しさんだよもん:04/03/11 23:23 ID:Kgdl/1xf
「……出来るのか心配だよ」
「オレはずっとお前に起こしてもらうからいいんだよ」
 七瀬が物思いにふけってる間にも、二人の会話は続いていたようだ。
 得てして交際したてのカップルは周りが見えにくくなる傾向にある。
 浩平と瑞佳もその例外ではなかったようだ。
「あんたたち、惚気ならよそでやってくれない?」
「の、のろけじゃないよっ」
「ん、一人身には耳の毒だったか?」
 瑞佳は焦りを、浩平は余裕を持ってその言葉を受け止める。
「はぁ…もういいわ。それよりほら、外で待ってるのって瑞佳の相方じゃないの?」
 瑞佳が七瀬の指差した方向に首を巡らすと、扉の外から遠慮がちに手を振る佐織の姿があった。
「あ、ほんとだ。それじゃ七瀬さん、また電話するねっ」
 浩平もばいばい。そう言い残して瑞佳は教室を後にした。
「さーてと。オレもそろそろ集合場所に行くか」
 瑞佳の後姿を見送っていた浩平は、勢いをつけて椅子から立ち上がった。
「そっか。あんたと学校で会うのもこれが最後なわけよね」
 口に出してその事実を確認すると、途端に寂しさが増してくる。
「思う存分泣いていいぞ」
「泣かないわよ」
「里村の胸で」
「だから、なんでよっ!」
 つまらん奴だな。口の中で呟いて、浩平は歩き始めた。
 うん。あたしたちにはこういう別れ方がお似合ね。お涙頂戴なんて、それこそガラじゃないし。
 そう自分に言い聞かせて帰宅準備を始めた七瀬だが、ふと差した人影に面を上げる。
193名無しさんだよもん:04/03/11 23:24 ID:Kgdl/1xf
「あれ、折原?」
 そこには、今目の前から立ち去ったはずの浩平の姿があった。
「なに、忘れもの?」
「忘れものといえばそうなんだが…」
 浩平はらしくもなく迷っていたようだが、やがて躊躇いがちに口を開いた。
「七瀬、乙女願望は諦めたのか?」
「――っ」
 効いた。完全な不意打ちだ。もう完全にふっきれたと思っていただけに、その点でもダメージが大きい。
「…そうね。無事、卒業したわ」
 七瀬は意地とプライドと気力を振り絞って答えたが、それでも声が震えるのを抑える事は出来なかった。
「そうか。邪魔したな」
 別に満足した訳でもないだろうが、浩平は軽く頷くと再び踵を返した。
 その背中に向かって七瀬は、頭によぎった言葉をそのまま口にする。
「あんたもそろそろ瑞佳に甘えるの、卒業しなさいよ」
「……そんな残酷な真似、オレには出来ないな」
 振り返りもせず答えると、今度こそ本当に教室から出ていった。
 一瞬七瀬は追いかけて今の発言の真意を問い質そうかと腰を浮かしかけたが、自分の元に近づいてくる人物を認め、大人しく席へと戻る。
「もういいの?」
 開口一番、広瀬は七瀬に問いかけてきた。
 それがなにを指しているのかに気付き、七瀬は恨めしげに広瀬を見上げる。
194名無しさんだよもん:04/03/11 23:25 ID:Kgdl/1xf
「見てたの?」
「一部始終ね」
 いけしゃあしゃあと広瀬は答える。
「…じゃあ、どう思った?」
「諦めが悪い。女々しい。しつこい。こんな所かしら?」
 全く容赦がない。だからこそ自分は、なんの気がねもなくこの友人と付き合っていられるのだろう。
「まだ未練があるのかなぁ」
「さあね。どちらにしても、もう手遅れでしょう?」
 そう言って広瀬は、七瀬の机の上に置かれていた鞄を手に取った。
「ほら、行くわよ」
「あ、ちょっと待ってよ」
 返事も待たずに歩き始めた広瀬を、七瀬は慌てて追いかける。
 教卓を横切り、扉の前まで来た時点で七瀬は立ち止まった。
 この扉を潜ると、もうここには戻ってこられない――
「七瀬ーっ?」
「いま行くからっ」
 叫び返し、首を振る。
 そして一息に敷居を飛び越えると、喧騒の続く教室を後にした。
195名無しさんだよもん:04/03/11 23:27 ID:Kgdl/1xf
>>188-194
以上、「始まりのないピリオド」でした。
196 ◆NIJKkC7BnA :04/03/12 01:33 ID:IU97Lb1m
投稿します。
AIR 「翼の歌、旅立ちの歌」
4レス予定。
197翼の歌・旅立ちの歌1/4:04/03/12 01:34 ID:IU97Lb1m
「それでは、今渡した進路希望調査は来週の月曜日に集めます。
 これが最後の進路希望調査になりますので、よく考えて書いてきてください。それでは今日はこれまで」
 担任の先生が書類と出席簿を机の上でタンタン、と叩いてまとめると、教室は一気にその日一日が終わった安堵感で包まれる。
 帰り支度を始める人。友達と話をする人。掃除の準備を始める掃除当番。
 そんな中、私は今のホームルームで配られた小さなプリントをじっと眺めていた。
 量産用のコピー用紙に印刷されたその紙には、名前と、そして卒業後の進路希望を第三希望まで書く欄があり、
 その空白は私の書き込む答えをいつまでも待っているかのようにはっきりと存在していた。
「卒業……」
 もう半年もすれば、私はこの学園を卒業する。本当に、季節というものはあっという間に過ぎてしまう。
 あの夏のことは、もう一年も前の過去になってしまったのに、つい昨日のことのようによはっきりと今でも思い出すことが出来る。
 出会いと別れを一度に経験した夏。
 夢と現実を一度に体験した夏。
 一生分の嘘と涙と、そして思い出が流れて行った夏。
 夢で出来ていたといわれても驚かない。でも決して夢ではないと知っている夏。
 あれから秋が来て、冬が来て、春が来て、そしてまた夏が来て、そして、その夏も終わろうとしている。
 雛鳥が巣立ちの準備をするように、私たちもまた、春の卒業に向けての準備を始めなくてはいけない。その一つが進路。
 就職か。それとも進学か。どこに行くのか。この町に留まるか。県外に出て行くのか。
 それまで一緒の道を歩いていた人たちが、卒業を機にバラバラになっていってしまう。
 そして私もまた、決断をしなくてはならない。
 私の翼は、どこへ向かえばいいのかを。
198翼の歌・旅立ちの歌2/4:04/03/12 01:35 ID:IU97Lb1m
 ギィ……
 重い音を立てて、屋上へと通じる扉が開く。扉の先には、夏と秋の風が入り混じった青空が私を待ち構えていた。
 部活動を引退してからはここに来ることもなくなったから、ここに来るのも久しぶりだ。
 来年、天文部員は入ってくれるのだろうか。もし一人も来なかったら、部員がいなくなってしまい廃部になってしまう。
 お米券でも特典に付ければ、入ってくれるだろうか……
 そう考えて、私は来年はここにいないんだから、とすぐにそんな当たり前のことを思い出し、その案を却下した。
 風に揺れる髪を押さえながらフェンスの近くまで寄ってみる。
 フェンス越しに見るこの町並みは、穏やかだった。
 私はこの町が好きだ。
 母がいる町だから。休みの度に友達みたいな妹が遊びに来てくれるから。楽しかった思い出があちこちに残されているから。
 そして、いつかあの人が帰ってきてくれる場所だから。

 ……私は、この町から離れたくない。
 卒業しても、私はこの町にいたい。
 たぶんどこに行っても、この町以上の所なんてないから。
 
 それは果たして逃げと言うものだろうか。
 孤独を嫌い、前に進むことを恐れ、いつまでも巣立てない未熟な雛鳥なのだろうか。
 国崎さん、あなたならなんて言ってくれるのでしょうか。
 
 ……いや、あの人ならきっとこういうだろう。
 それは遠野。お前が決めることだ、と。
 私を手助けできないような距離から、でも私が決して見失うことのない距離から、あの人は私自身の決断を待っていてくれるだろう。 
 
  
 私の。
 私自身で決める道は。
 これから私の進むべき道は―――――
199翼の歌・旅立ちの歌3/4:04/03/12 01:36 ID:IU97Lb1m
「……うん、遠野さんの成績なら特に問題はないでしょうね」
 担任の先生と二人っきりの進路指導室。大学の資料や赤本で埋め尽くされたこの部屋で、私の提出した
進路希望調査票と私の成績表を見比べながら先生は真面目な声で言った。
「……でも、本当にいいんですか? 遠野さんの成績なら、県外のもっとレベルの高い大学だって大丈夫だと思いますよ」
 進路希望調査票を私に向けながら、念を押すように先生は尋ねてきた。
 私に突き出された紙には、私の字で希望の大学が第三希望まで書かれてある。三つとも、ここからバスでも通える距離にある
 県内の小さな大学だった。
「……はい。私は……」
 先生の言うことはもっともだと思う。進学して多くのことを学ぶのだったら、県外の大きな大学のほうがずっと向いている。
「……私は、この町から離れるわけにはいきませんから」
 でも、そこに私の幸せはないから。
 私の幸せは、この町にあるから。
「……分かりました。遠野さんがそう言うのでしたら、私は精一杯応援しますよ」
 呆れるでもなく、必死に説得をするでもなく、先生は嬉しそうに私の決断を受け入れてくれた。
 ……本当に、先生が理解のある人でよかった。
 私は心から先生に感謝をして、指導室を後にした。
200翼の歌・旅立ちの歌4/4:04/03/12 01:37 ID:IU97Lb1m
 何度考えても、結論は同じだった。
 ……いや、こんなこと、最初から考えるまでもなかった。
 だってはじめから私には、飛び立つための翼なんてなかった。
 私の翼は飛べない翼。だから私の卒業は、巣立ちのためのものじゃない。
 だから私は、この町という私の巣に残る。
 みちるが巣立つ日まで、羽に包んで見守る母鳥として。
 国崎さんの帰る日を、羽を広げて待ち続ける母鳥として。

 卒業式が終わったら、お母さんに写真を撮ってもらおう。
 私の分と、お母さんの分と、みちるの分と、国崎さんの分。
 私の晴れ姿を見るのに間に合わなかった国崎さんを、帰ってきたら写真を見せて思いっきり悔しがらせてあげよう。
 卒業証書を握り締めながら、私は春の気配が混じり始めた青空を見上げた。
 きっとどこかで、世界中の人たちと繋がっている、雲ひとつない青空を。

 完
201 ◆NIJKkC7BnA :04/03/12 01:38 ID:IU97Lb1m
>>197-200

短いですが以上です。
202 ◆vF8943Wgto :04/03/12 04:10 ID:5r+4T3QR
1レスセリオSS。これで投下宣言も兼ねるってことで。保管の際には、この文、外してください。

『揺らぐ仮面』

「ご卒業、おめでとうございます」
 そう呟いたセリオの顔が、悲しみに揺らいで見えるのは、俺の自意識過剰だろうか?
 ここは、俺が最後の一年を過ごした教室。誰もいなくなったこの場所で、俺たちは最後の待ち合わせをした。
「セリオも、一緒に卒業できれば良かったんだけどな」
「申し訳ありませんが、私は来月から三年生としての試用が決定されています。その要求を満たすことはできません」
 セリオは硬い表情で――いや、いつも通りの顔なのだが――わずかに視線を逸らす。
 そんなことは分かっている。分かっているけど……。
 もやもやした感情を上手く言葉にできず、セリオの頭を撫でる。
 こうすると、いつもなら、どことなくぽーっとしたような顔に変わるのに、やっぱり表情に変化はない。
 だけど、やっぱりその行為はセリオの心を少し揺らしていたようで……、
 セリオはほんの少しだけ顔を歪め、思いきったように顔を上げた。
「もう……もう、会えませんから……最後に、第二ボタン、頂けますか?」
 どこで聞いたのか、まるで普通の生徒のように、セリオがそんなことを言い出すのがおかしかった。
 おかしかったけれど――どこかくすぐったく、嬉しかった。
「いいぜ、ほら」
 俺はボタンを手渡し、それを両手で大事そうに包み込むセリオの手に触れたまま――。
「あの――?」
「代わりに俺も、欲しいものがあるんだ」
 セリオは、はっと驚いて、耳に手を当てる。
「こっ、これはダメです。申し訳ありませんが、規則で外せないことになっております」
「あ、いや、耳センサーじゃなくって……な?」
 その耳元に要求を囁くと、セリオは僅かに顔を赤らめた。
 俺の服の袖をそっと握り、小さく頷く。
 そして俺たちは――。
 
 チーン☆
「『卒業式の日に童貞卒業コース』、延長料金その他込みで、ニ万五千円になります。
 イメクラセリオのご利用、ありがとうございました。またのお越しをお待ち申し上げております」
203昔の私から:04/03/12 05:14 ID:pOglR5CI
今から、投下します

痕(楓)
18禁もの Hあり
タイトル 昔の私から
24レス予定
204昔の私から その1:04/03/12 05:15 ID:pOglR5CI
「柏木編集長。今回の特集ですが、こんな感じで良いですか?」
 名前を呼ばれ、柏木楓(かしわぎ かえで)はパソコンのモニターから目を離した。
 部下の佐藤恵祐(さとう けいすけ)から、プリントされたA4の用紙を受け取る。
 楓は掛けている眼鏡のツルを少し持ち上げた。
「内容的には、悪くないと思うのですが」
 殿様にお伺いをたてるような声で、恵祐はおずおずと楓を見つめた。
 楓は良いとも悪いとも言わず、ディスクの上に原稿を置き、デイスプレィの横に積んである煙草に指を
伸ばした。
 箱のセロハンを剥き、トントンと箱のお尻を指で弾く。
「あ、どうぞ」
 恵祐はポケットの中からジッポのライターを取り出すと、素早く火をつけた。
「ありがと」
 メンソール煙草の香りが、スゥッと辺りに漂った。
「悪く無いと思う」
 楓は吸い殻でいっぱいになったガラスの器に、煙草の灰を落とした。
 恵祐は、ホッと安堵の息を漏らした。
「ただ、もう少し深みが欲しいかな」
「深み……ですか」
「佐藤クン。大筋はこのままでいいから、もう少し内容を掘り下げて。明日の午後1までには出来るでしょ」
「はい」
「お願いね」
 恵祐は原稿を受け取りながら、窓の外に目がとまった。
「柏木さん、ホワイトクリスマスになりましたよ」
 暗い夜空を白い綿のような雪が、フワフワと舞い降りていた。
「道理で寒いと思った」
 楓はうんざりという表情を顔に浮かべた。
「柏木さん、雪は嫌いですか?」
205昔の私から その2:04/03/12 05:16 ID:pOglR5CI
「嫌い。寒いし」
「柏木さんの実家は北陸ですよね。今年もたくさん積もりそうですか?」
「さぁ……。私、上京してから10年以上、実家に一度も帰っていないから」
 返答しながら、楓は腕時計に目をやった。
 1から24まで数字が刻まれた文字盤の上、短針は21を指していた。
「みんな〜。今日くらいは早く帰って、好きな人と一緒にいなさい。聖夜を仕事で潰して、
愛想尽かされても知らないわよ」
 その声に、だるそうな返事があちこちから上がった。
「は〜い。そんじゃ、お言葉に甘えて」
「俺は徹夜です。別に待ってる人もいないし……」
 室内にいる半数くらいが帰宅の準備を始めた。
「佐藤クンは、まだ帰らないの? 待っている人がいるなら、遠慮無く帰りなさい」
「僕はまだ、仕事をしていきますよ」
 恵祐は次ぎに続く言葉を呑み込んだ。
『僕の好きな人は、今、目の前にいますから』
 ずっと、言えない言葉。
 もしかしたら、このまま伝えないまま、終わるかもしれない言葉だった。
「編集長は、帰らないんですか?」
 先月に入ったばかりのアルバイトの娘が、横から口を出してきた。
「え、私?」
 煙草を持つ手が止まる。
「恋人とか、いないんですか?」
 恵祐は一瞬息が止まるかと思った。ずっと聞きたいと思っていた言葉だったから。
 何故か室内がシンと静まりかえる。編集部内全員が聞き耳を立てていた。
 楓は煙草を深く吸い込むと、溜息をつくように煙を吐き出した。
「いるわよ」
 その言葉に、室内がどっとざわめいた。
206昔の私から その3:04/03/12 05:16 ID:pOglR5CI
「どんな人なんですか? やっぱし今夜はデートとか?」
 芸能界の恋人会見を聞くように、そのアルバイトの子は嬉々とした表情を浮かべた。
「その人はねぇ。今、他の人と幸せな家庭を築いているの」
「え……」
「だから私は、今夜も一人よ」
 そう言うと、楓は寂しげに笑った。
 
 
 どこからか、声が聞こえる。
「……ディフィル。……エディフェル……」
 あぁ……。いつもの夢なのね。
 楓は目の前に立つ男を見つめた。
 侍風の男だった。
 次郎衛門……、いや、耕一というべきか。
 楓は男の正体を知っていた。
「エディフェル。一緒に行こう」
 腕がスッと差し出される。
 ずっと、子供の頃から変わらない夢。
 そして現世では、もう決して実現することのない夢。
 それでも楓は、幸せで胸の中がいっぱいになった。
 愛しい人の顔を見ることが出来たから。
「夢の中くらい、私を抱いてください」
 楓はその男のもとへ、足を一歩前に踏み出した。
 
 
 ガッシャーン。
 突然けたたましい音が室内に鳴り響く。
207昔の私から その4:04/03/12 05:17 ID:pOglR5CI
 何だろうと思い、モニターから目を離した恵祐は、音の正体を知り飛び上がった。
「柏木さん!」
 自分の席を蹴り、床に倒れている楓のもとへと走った。
「しっかりしてください」
 恐る恐る体を揺する。
「ん………」
 ゆっくりと、目蓋が開いていった。
 恵祐は、ほっと胸を撫で下ろした。
 他の者も心配そうに側まで駆けつけてきた。
「ごめん、寝ていた」
 起きあがると同時に、楓の両目からスーっと雫が溢れ落ちた。
 その涙を、恵祐は見逃さなかった。
「あ………」
 楓はスカートのポケットからハンカチをとりだし、自分の頬に当てた。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫。ちょっと、夢を見ていただけ」
 楓は身を起すと、椅子に再び座り直した。
 どんな夢を見ていたのだろう。
 気になったものの、恵祐にはそれを聞く勇気がなかった。
「みんな心配させて、ごめんね」
 すまなそうな楓の笑顔が、何故か恵祐にはとても痛々しく感じた。
「柏木さん。昨日、何時間寝ました?」
「2時間くらいかな……。応接室のソファーで」
「確か、一昨日も同じような事言ってましたよね」
「一昨日だけじゃないわ。ここ4日間ほど、ずっとそうよ」
 恵祐の問いに、楓がアハハと笑った。
208昔の私から その5:04/03/12 05:18 ID:pOglR5CI
「柏木さん。そのうち、過労死しますよ?」
「いいわよ。泣いてくれる人なんて、特にいないし」
 とても悲しげな顔で、再び笑った。
 恵祐の心に、何か不吉な影がよぎった。
「笑えないですよ、その冗談!」
 そう叫びながら、恵祐は無意識に机を叩いていた。
「心配してくれるのは嬉しいけど、仕事だから」
 楓は煙草を口にくわえた。
「それよりも佐藤クン、火を貸してくれない?」
 恵祐は言葉を探しながら、ライターのある背広のポケットに指を突っ込んだ。
「楓ちゃん、今日は帰っていいよ」
 不意に、恵祐の後ろから、男性の声が聞こえた。
 振り向くと、眼鏡を掛け、アラブ人のような顎髭をした男が立っていた。
「部長」
「橋本さん」
 二人の声が同時に上がる。
「楓ちゃん、いくら年末で忙しいとはいえ、体壊したら意味がないだろう?」
「でも、入稿まで時間が時間がありませんし」
「君が倒れたら、誰が君の代わりをするんだい?」
「それは………」
「ついでにいえば、私にも監督責任があるからね。それとも、上司からの命令という形にしたほうが
いいかな?」
 部長である橋本の言葉に、楓はうなだれた。
 もともと楓がこの会社に入社した時、編集のイロハを教えたが橋本だった。それ以来、楓にとって、
ずっと頭の上がらない存在だった。
「判りました。帰ります」
 橋本は満足そうに頷くと、今度は恵祐の方を向いた。
209昔の私から その6:04/03/12 05:53 ID:pOglR5CI
「佐藤、確か楓ちゃんと帰る方向一緒だったな」
「はい。そうですけど」
「お前も今日は一緒に帰れ。コイツは帰ったと見せかけて、深夜にコッソリ帰ってくる事があるからな」
 胸の内を読まれた楓は、深く溜息をつくと席を立ち上がった。
「どこに行くんだい?」
「トイレです」
 つかつかと廊下に消えていく姿を見送ると、橋本は恵祐の肩を引き寄せた。
「佐藤、ヤッちゃえ、ヤッちゃえ」
「な、何をですか?」
「お前、楓ちゃんに気があるんだろう?」
 図星を突かれて、恵祐は思わず顔から火が出た。
「酒でも飲ませて、ベッドに連れ込め。振られた恋人の事なんか忘れさせろ」
 まるで、悪童のような笑みを浮かべながら、楽しそうに耳打ちをした。
「そ、その為に、俺を柏木さんに同行させるんですか?」
「二人が幸せになるため手助けをしているだけだ。まあキューピット役というヤツさ」
「僕には、悪魔の囁きにしか聞こえませんけど」
「そうだ。お前、これ持ってないだろう」
 橋本は自分の財布からあるものを取り出すと、恵祐に手渡した。
 避妊用のコンドームだった。
「まあ、がんばるんだな。結果報告ちゃんとしろよ」
 そう言って恵祐の背中を叩くと、橋本は自分の部署へと戻っていった。
 
 
 プシューッ!
 電車の扉がゆっくりと閉まってゆく。
 帰宅するサラリーマンを満載した車両は、滑り出すようにホームを離れた。
「佐藤クンは独り暮らし?」
210昔の私から その7:04/03/12 06:17 ID:pOglR5CI
 楓は扉の窓から流れゆく車窓を眺めながら、恵祐に問いかけた。
「はい。大学に入学してから独りです」
「実家は遠いの?」
「いえ。都内ですが干渉されるのが嫌いで」
「兄弟は?」
「妹が一人います」
「そう……」
 対向の電車が騒音をたてて通過していく。
 クリスマスのためか、恵祐はネオンがいつもより明るく感じた。
「柏木さんは、兄弟います?」
「私、四姉妹の三番目だから」
「四姉妹ってすごいですね。子供の頃、喧嘩とかしました?」
 楓の髪が左右に揺れた。
「喧嘩なんて、しないわ。みんな仲が良かったから」
「実家に帰らないのは、何か理由でもあるんですか?」
「辛くなるから」
 小さな声で楓は呟いた。
「そこに居るのが辛くて、東京に逃げ出してきたの。仲が良くても、一緒に居たいかどうかは別よ」
 電車が急速にスピードを落とし始めた。
「佐藤クン、こっちの扉開くわよ」
「奥に行きましょうか。扉付近は混みますし」
 楓は小さく頷くと、減速で車両が揺れる中、二人で奥へと移動した。
 プシューッ。
 扉が開き、多くの人が電車を降りると、それ以上の人が乗り込んできた。
 車両の中が鮨詰め状態になり、二人の体が自然と密着する。
 大量のお客を乗せた電車は、再びゆっくりとホームを離れていった。
211昔の私から その8:04/03/12 06:18 ID:pOglR5CI
「佐藤クン」
「はい、なんでしょう」
「私が帰りたがらない理由、知りたい?」
「………仕事が忙しいからだと思っていましたけど」
 突然、ゴトンと電車が揺れた。
「あっ」
 楓はふらりと恵祐にもたれ掛かった。
「大丈夫ですか」
「うん。ありがとう」
 恵祐はこのまま抱きしめてしまいたい衝動に駆られたが、流石に自制した。
「私、誰もいない部屋に帰るのが嫌なの」
「それで、いつも編集部に?」
 おかっぱの頭が上下に揺れた。
「あそこにいれば、誰かが必ずいるから。昔は独りでいても苦にならなかったのにね」
 クスリと楓は自嘲的に微笑むと、
「年を取ったのかな」
 寂しそうに、そう呟いた。
 恵祐のつり革を握る手に力が入る。
「……すみません……」
「どうして、謝るの?」
「僕、柏木さんの気持ち、全く理解していなくて……」
「いいのよ。心配させたのは私だから」
 電車がゆっくりと減速していく。降りるべき駅が近づいていた。
「柏木さんが、自分の事話すなんて、珍しいですね」
「そうね」
 揺れが収まり、扉の開く音がした。
 二人は流されるように、車両を降りた。
212昔の私から その9:04/03/12 06:19 ID:pOglR5CI
「この駅ですよね、柏木さんの家は」
「そう。佐藤クンはココで乗り換え?」
「はい、乗り換えて2駅先です」
 恵祐は目指すべく階段を見つめたまま、その場に留まった。
 楓も改札口のある方向に目を向けただけで、足は止まったままだった。
 二人の視線が、ふと絡み合う。
 お互いの思惑交差するなか、先ほどまで乗っていた電車が、ゆっくりとホームから出て行った。
「柏木クン、時間空いてる?」
「空いてます。帰っても寝るだけですし」
「お酒でも、飲みにいかない」
「ご一緒しますよ。こんな日に、酒もケーキも口に入れず寝るのは嫌ですから」
 フフっと楓は笑みを漏らした。
「佐藤クンって甘党なの?」
「ええ、お酒も甘い物も両方好きですよ」
「それじゃ、お酒とケーキを出してくれるお店、探さなくっちゃ」
 二人は改札口へと、同時に足を踏み出した。
 
 
 真っ暗な夜空から、白い天使を思わせるような雪が、はらはらと静かに舞い降りた。
「大丈夫ですか、柏木さん」
 降り積もったバージンスノーを踏みつける度、キュッキュッと、くぐもった音が鳴った。
「佐藤クンって………お酒強いのねぇ」
「柏木さんが飲み過ぎただけですよ。カパカパとあれだけ飲んでいたら、誰だって潰れます」
 恵祐は今にも倒れそうな楓に肩を貸しつつ、冬の八甲田山よろしく雪中を行進した。
「ごめん。世話かけて」
「いいですよ、普段迷惑かけているのは僕ですから」
「あ……」
213昔の私から その10:04/03/12 06:20 ID:pOglR5CI
 楓の足がピタリと止まる。
「どうかしました?」
「眼鏡、落ちた」
 白い雪の中、半ば埋もれた眼鏡に、立ったまま楓は腕を伸ばした。
「……取れない」
 地面から30センチ程上を、指が幻を掴むように彷徨った。
「しゃがまないと、取るのは難しいと思いますけど」
 苦笑しながら、恵祐は眼鏡を地面から取り上げた。
「住まいって、こっちでいいんですか?」
「角を曲がって、アーケードを越えたところ」
 ふと前を見ると、商店街のアーケードらしき物が目に入った。
『酒でも飲ませて、ベッドに連れ込め。振られた恋人の事なんか忘れさせろ』
 恵祐の脳裏に橋本の言葉が浮かぶ。直ぐさま頭を振って邪念を追い払った。
 ようやく辿り着いた商店街は、すでにどの店もシャッターを下ろしていたが、少なくとも屋根の有る
ことに恵祐はホッとした。
「あそこで、ちょっと休ませてくれない」
 楓の指差した先に、古びたプラスチックのベンチがポツンと置かれていた。
 恵祐はベンチまで歩みよると、そっと割れ物を扱うように、楓を椅子の上に座らせた。
「ありがとう」
 ふうっと楓は酒臭い息を吐き出した。
「まだ、ここから遠いんですか?」
「そんなに遠くない」
 恵祐は頭とコートに降り積もった雪をはたき落とした。
「佐藤クン。ここからは自分で歩くから、もう帰っても良いわ」
「心配ですから、家まで送っていきますよ。ここで寝たら、風邪じゃすまないですよ」
「別にいいじゃない」
 その呟くような声に、恵祐はドキッとした。
214昔の私から その11:04/03/12 06:21 ID:pOglR5CI
 とても冷めた目で、そしてどこか座った目で、楓は白い地面をじっと見つめていた。
「雪の降る、クリスマスイブに凍死なんて、ロマンチックでいいじゃない」
 道化的な乾いた笑いが、それに続いた。
 恵祐の背中にゾクリとするものが走り抜けた。
 編集部でも、よぎった不吉な予感。
 恵祐はその正体をようやく知った。
 楓の心に巣くっているもの。
 死神の影を、恵祐は見た。
「やめてください!」
 振り絞るよな声で、恵祐は叫んだ。
「そんな悲しい事を言うのは、お願いですから止めてください!!」
 楓はポカンとした表情で、恵祐を見つめた。
「今日の佐藤クンは、やけに突っ掛かるのね」
 その目には、明らかに不愉快という思いを含んでいた。
「それは……」
「それは?」
 恵祐は拳を握りしめた。
「柏木さんの事が、好きだからです!」
「へ?」
 楓は予期せぬ解答に、ポケットから取り出した煙草の箱を、思わず握りつぶした。
「柏木さんの事を、ずっと好きで、いつまでも側にいたくて……」
 震える声と共に、恵祐の目から涙が一筋こぼれ落ちた。
「だから、死ぬとか、冗談でも言って欲しくないんです」
 風で舞った雪が、アーケード中に吹き込んだ。
 寒いはずなのに、楓は体全体が火照っていくのを感じた。
「本気、なの?」
「僕は本気です」
215昔の私から その12:04/03/12 06:25 ID:pOglR5CI
「私、もう30超えているのよ。佐藤クンより10歳近く年上なのよ?」
 クシャクシャに変形した煙草の箱を楓は見つめた。
「歳なんて関係ないですよ」
「でも……」
「だって、僕は、柏木さんに初めて会った時、あぁ、この人だって………。微笑んだ顔がすごく優しそうで、
運命の出会いって、本当にあるんだって思いました」
「初めてって、佐藤クンが入社した時?」
「はい、あれからずっと……。だけど、僕は勇気がないから、意気地無しですから、嫌われるのが怖くて、
ずっと言えなくて。でも、こんなふうにお酒を飲んだ勢いで言うのは、やっぱり卑怯ですよね」
 恵祐は胸に支えていたものを、すべて吐き出した。
「運命の出会い」
 呟きながら、楓はゆっくりと顔を上げた。
「本当に私の事が好きなの?」
「はい。ずっと、この日を夢見ていました。長い間」
 楓は眼鏡越しに、じっと恵祐の瞳を覗き込むように見つめた。
 胸が痛くなるくらい、恵祐の胸が激しく鼓動する。
 もう、後には引けなかった。運命の女神に身をゆだね、楓の唇から紡ぎ出される言葉をじっと待った。
「じゃぁ、キスして」
 静かに、天使の囁くような優しい声が、うら寂しい商店街に舞い降りた。
 恵祐はコートの上から、そっと両肩を掌で包み込んだ。
 すっと、ごく自然に楓の目蓋が閉じていく。
 情けないほど、恵祐は全身が震えた。
 ファーストキス。
 唇が重なり合う。
 味は。
 臭いは。
 感触は。
216昔の私から その13:04/03/12 06:34 ID:pOglR5CI
 恵祐には何もよく判らなかった。
 ただ、ずっと恋焦がれていた、愛しい人と唇を重ねていると事実に、全身が歓喜に満ち、
頭の中が真っ白になっていた。
 楓の掌が、ぞっと恵祐の胸を押した。
 二人の唇が離れると、楓はゆっくりとベンチから立ち上がった。
「寒いから、帰りましょう」
 楓は一歩足を踏み出そうとして、フラッとよろめいた。
 急いで恵祐が両肩を掴む。
「佐藤クン、送ってくれる?」
「喜んで」
 来たときと同じように、二人は肩を並べると、二人はベンチを後にした。
 
 
 カチャ。
 施錠の解放される音と同時にドアが開かれ、世帯主と介抱人が部屋の中になだれ込んだ。
「おじゃまします」
 真っ暗な部屋がパッと蛍光灯により明るく照らされた。
「どうぞ。何もありませんし、用意もしておりませんが」
 楓は恵祐に持たれながら黒のショートブーツを脱ぐと眼鏡を外し、そのまま窓際に置いてあるベッドに
倒れ込んだ。
 すっきりしていると言うべきか、その部屋には必要最小限のものしかないように恵祐は思えた。
 ワンルームの中に、ベッド、洋服ダンス、鏡、食器棚に本棚、冷蔵庫、テレビとビデオ、そして炬燵が
フローリングに敷かれた絨毯の上に鎮座していた。
 整理整頓は行き届いているのか、それとも利用すること自体少ないせいか、部屋の中にはゴミ一つ
落ちていなかった。
「佐藤クン。暖房付けてくれる? リモコンはテレビのところ」
「はい」
217昔の私から その14:04/03/12 06:35 ID:pOglR5CI
 恵祐はリモコンを操作しながら、ふと、テレビの上に置いてある小さな写真立てに目が止まった。
 少し色あせた長方形の中に、4人の女性と、1人の男性が写っている。
 みんな笑っていた。
 写真の中央に、白いワンピースの楓らしき少女が微笑んでいた。眼鏡はかけていなかった。
『私、四姉妹の三番目だから』
 楓の言葉を恵祐は思い出した。
 そして、写真に写っている、背の高い1人の男。
 父親には見えなかった。
 誰なんだろう。
 恵祐は、暫(しば)しその写真を注視した。
「ねぇ、何してるの?」
 不満げな声が、ベッドから聞こえた。
「ええ、ちょっと…」
「もう、女性に恥を欠かせないの」
 楓の頬に、ほんのり赤みが差していた。
「佐藤クン。クリスマスイブの夜に、若い男女がベッドのある部屋でする事といったら、
一つしかないでしょ」
「え……」
 恵祐は思わず硬直した。次の瞬間、我が耳を疑った。
『若い男女がベッドのある部屋でする事』
 言葉を反芻し、その意味に恵祐は赤面した。
 一瞬喉から『本当に、良いんですか?』と言葉が出かかるも、呑み込んだ。そんな事を聞くのは
野暮以外の何者でもないと思ったから。
 かといって『お願いします』というのも、何か激しく違うような気もする。
 結局、恵祐は無言の黙って頷くと、ベッドに緊張しながら近づいた。
「電気、消して……」
 恥ずかしさから、楓は顔をシーツに顔を埋めた。
218昔の私から その15:04/03/12 06:36 ID:pOglR5CI
「あ、はい……」
 玄関の横についてあるスイッチが、なぜか恵祐には遠く感じた。
 これから起きることを思うだけで、呼吸が不自然に早くなる
「柏木さん、灯り、消しますよ」
「………佐藤クン」
「は、はい。まだ、消さない方がいいですか?」
 楓の頭が、左右に力なく揺れた。
「名字じゃなくて、楓って、呼んで……」
 ぐっと恵祐の胸に熱いものが込み上げた。
「楓……さん、消しますよ」
 頷く楓の口元に笑みが浮かんでいた。
 パチ。
 室内が一転して暗闇に包まれる。
 そして、窓の外、カーテン越しに差し込む、薄暗い、青白い光りが、楓の体を幻想的に照らした。
 ベッドの上に横たわる愛しい人のもとへ、恵祐は一歩、また一歩と足を踏み出した。
 まるで、映画かテレビドラマのワンシーンを見ているようだった。
「服を脱がせて……」
 甘く呟くその声に、まるでアルコールを摂取したような高揚感が恵祐の体を駆けめぐった。
 ポツ。ポツ。ポツ。
 茶色のコートを胸元から腰へと順序よく、外していく。
「楓さん、コートを脱がすので、起きていただけます」
 頭が軽く縦に揺れた。
 上半身がゆっくりと起きあがる。
「恵祐、で、良かったよね」
「はい」
 恵祐は、楓が自分の名前を覚えていた事に、思わず感涙せずにはいられなかった。
219昔の私から その16:04/03/12 06:37 ID:pOglR5CI
 コートがベッドの横に落ちる。
 楓は恵祐に背を向けるように座り直すと、自分で前のボタンに指をかけた。
 留め具の無くなった上着を、恵祐がスルスルと脱がしてゆく。
 静かな室内に、布の擦れる音だけが奇妙に大きく聞こえた。
「ブラのホック、外し方判る?」
「多分」
 初めて触るブラジャーのホックに、指が止めどなく震える
 パツ。
 肩紐が外され、きめ細やかな背中が恵祐の眼前に現れた。
 その抜けるような白さに、思わず肩口から腰へと、スーッと指でなぞった。
「あっ!」
 楓は、ビクンと体を硬直させると、力なくシーツの上に崩れた。
「ご、ごめんさい」
 良いとも悪いとも言わず、楓は困惑の混じった表情を浮かべた。
「恵祐……クン。スカートもお願い。」
「あ、はい」
 恵祐は生まれてこのかた、スカートに手を触れるのは初めてだった。
 手が腰の辺りを右往左往する。
 それに気づいたのか、楓は腰に手を当て留め具を外すと、恵祐がスカートを下ろしやすいように、
そっと腰を持ち上げた。
 スカートに続きストッキングが脱がされ、淡いブルーのショーツに指が掛けられた。
 楓の体が一瞬硬直する。
 スルッ。
 腰から太股、膝、足首へと貞操を包んでいた最後の布地が脱がされた。
 そして、何もかも覆うものがない、産まれたままの肢体を、恵祐に晒した。
 慎ましやかな胸、細い腰、薄い茂みを帯びた下腹部。
220昔の私から その17:04/03/12 06:38 ID:pOglR5CI
 外界からの漏れる青白い光が、その陶磁器のような白さを、より一層引き立てていた。
「楓さん、とても、綺麗ですよ」
 自然に心から溢れた想いを、恵祐は口にした。
 楓は何も言わず、目に手を当てた。
 涙が一筋こぼれ落ちた。
 どうして泣いたのか、楓自身よく判らなかった。
 恵祐は素早く自分の衣服を脱ぎ終えると、楓の上に自分の体を重ね、二人の上に毛布を被せた。
 肌が触れあい、いやが上にも緊張が高まっていく。
 今まで見てきたビデオや本の知識を、賢明に思い出した。
 失敗だけは、何がなんでもしたくはなかった。
 恵祐の掌が、楓の頬を優しく撫でた。
「けいすけ」
 親しみを込めて、楓は名前を呼んだ。
 返事の代わりに、唇が重なり合った。
 楓の腕が、広い背中を包み込む。
 唇が交わり、お互いを吸い合った。
 舌が絡み合う度、お互いの体を強く抱きしめた。
 チュパ。
 唾液の粘りつく音が、静かな部屋に満ちていく。
 求め合う想いが、より一層深くなっていくのを二人は感じた。
 恵祐の指が、楓の乳房に触れた。
「小さくて、ごめんね」
 子供が許しを乞うように、楓は呟いた。
 恵祐は小刻みに首を横に振ると、ピンと勃起した乳首を口に含んだ。
「ん……」
 甘い吐息が恵祐の頭にかかる。
221昔の私から その18:04/03/12 06:52 ID:pOglR5CI
 乳房を遊んでいた指は、楓の体をなぞり、腰からヘソへ、更に茂みを掻き分け、割れ目へと沈み込んだ。
「あっ!」
 楓がぴくんと弓なりに仰け反る。
 しとど濡れたその部分は、分泌液によりヌルヌルとしていた。
 知識では知っていたものの、触る度にあふれ出る粘液に、恵祐は息苦しくなる程興奮した。
 もっと奥の方へ、楓の中へと恵祐は指を潜り込ませた。
「痛いっ!」
 短く鋭い悲鳴が上がり、肩が激しく揺れた。
 はっとして、恵祐は指を引き戻す。
 気まずい空気の中、二人の呼吸音だけが部屋の中を支配した。
「言わないから……」
 重い沈黙を破ったの楓だった。
「私、初めてだけど、責任取ってとか、言わないから」
 顔を窓の方に向いたまま、とつとつと言った。
「だから、安心して、続きをして……」
 恵祐は軽く楓の体を抱きしめると、耳元に口を近づけた。
「僕も、初めてなんです」
「え…」
「女の人とキスするのも、女の人の胸を触ったのも、今日が初めてです」
 ゆっくりと、楓は恵祐の方に顔を向けた。
「だから、下手だったり、痛かったら、遠慮せず言ってください。努力しますから」
 楓は微笑みながらコクリと頷いた。
 それを見て、なんとなく、恵祐は気分的に少し楽になったような気がした。
 軽く接吻した後、再び楓の性器に指を這わせた。
「ん……」
 ギュッと、毛布の端を楓は握った。
222昔の私から その19:04/03/12 07:19 ID:pOglR5CI
 恵祐は乳房に舌を這わせると、そのまま、へその辺りを舐め、股間へと顔を埋めた。
「止めてっ!」
 突然の絶叫と共に、楓の手が、強引に恵祐の顔を、自分の股間から引き離した。
 恵祐は何が起きたのか判らず、キョトンした顔で楓を見つめた。
「私、4日程、お風呂に入っていないの」
 気まずさと、恥ずかしさの入り交じった表情を楓は浮かべた。
「だから、その、綺麗じゃないし、臭いとかするから、口でして欲しくないの」
 臭い。
 恵祐は今まで割れ目に埋めていた指を、鼻先に近づけた。
 今まで嗅いだ事のない、アンモニアと発酵したチーズを混ぜたのような臭いがした。
 次の瞬間、二人の視線が重なり合った。
「お願いだから……、お願いだから、臭いなんて嗅がないで」
 その涙声に、恵祐はドキリとした。
「ご、ごめん」
 まるで少女のように、楓は震えながら泣き出した。
「もうしないから、楓さん、もう泣かないで」
 オロオロとしながら、恵祐は謝るほかなかった。
「今すぐ、拭くから」
 枕元に置いてあるティッシュボックスを掴むと、直ぐさま中身を一枚取り出した
 楓はヒックヒックと肩を震わせた。
 不覚にも恵祐は、その姿がとても愛らしく見えた。
「ちゃんと、拭いた?」
「うん、ちゃんと拭いた」
 恵祐は体をそっと抱きしめた。
「もう一度したら、私、怒るから」
「しない、しない」
 楓はグズっと鼻をすすると、涙を指で拭った。
223昔の私から その20:04/03/12 07:21 ID:pOglR5CI
 これからどうしよう。
 恵祐は何をすべきか迷った。
 もう、楓のクレバスに愛撫は出来ない。
 しかし、アソコが既に充分濡れている事は確かだった。
「楓さん、そろそろ入れても大丈夫?」
「多分……」
 恵祐は、脱ぎ捨てた上着を床から拾うと、橋本部長からもらったコンドームを取り出した。
 まさか、本当に使うハメになるとは、正直思っていなかった。
 ビニールを破き、中身を取り出すと、慎重に自分の男根にそれを巻き付けた。
 その様子を、楓は何も言わず見守った。
「楓さん、いいですか?」
 楓は頷くと両脚を広げ、恵祐を向かい入れた。
「いきます」
 恵祐はゆっくりと、腰を楓のアソコにあてがった。
 楓は目を閉じて、破瓜の痛みに備えた。
 ヴァキナの周りを、固いものが押しつけられる。
 恵祐の分身を受け入れられるよう、なるべく体の力を抜き、じっと待った。
 10秒経過。
 30秒経過。
 1分経過。
 5分経過…………。
 楓はそっと、目を開けて様子を伺った。
「あれ……。あれ?」
 何か起きたのだろうか?
 楓は少し心配になった。
「楓さん、アソコってこの辺り」
 性器に、何か固いものが押しつけられる。
224昔の私から その21:04/03/12 07:22 ID:pOglR5CI
「多分……」
 経験が無いためか、お互いうまく説明出来なかった。
 その間も、刻々と時間だけが虚しく経過していく。
 焦れば焦るほど、泥沼化していった。
 そして、更に5分ほど経過すると、
「楓さん、ごめん」
 溜息と共に、恵祐はがっくりと項垂れた。
「どうしたの?」
 楓は上半身を起した。
「アソコがちょっと……」
 恵祐の言葉に、楓は首を傾げた。
「何かあったの?」
 沈んだ恵祐の表情に、楓は本気で心配になった。
「その、アソコが立たなくなっちゃった……」
 そう言うと、再び溜息をついた。
 楓が恵祐の股間を覗くと、男根がお辞儀をしていた。
「もう、今日はダメなの?」
「まだダメと決まったわけじゃないけど」
「私に、出来ること、ある?」
 恵祐は少し考えた後、素直に思った事を口にした。
「手で、少し触ってもらえます?」
「いいけど」
 楓はスッと恵祐の股間に手を伸ばすと、軽くそれを握った。
「ん……」
 ぴくんと、恵祐のアソコが反応した。
「これでいいの?」
「もう少し、強くして欲しい」
225昔の私から その22:04/03/12 07:23 ID:pOglR5CI
 細い指が、ゆっくりと恵祐の男根をしごいた。
 しかし、コンドームを被せているためか、うまく刺激が伝わらない。
「楓さん、ちょっと待って」
 思い切って恵祐は男根を覆っているゴムを取り外した。
「もう一度、お願いします」
 改まって頭を下げると、楓はクスリと笑いながら、直接ペニスを握った。
 シュル、シュル。
 ゆっくりと、竿が白い指により、リズミカルにしごかれた。
「んっ」
 恵祐は次第に快感が増していくと同時に、海綿体に血が流れこんでいくのを感じた。
「楓さん、もう少し強く」
「こんな感じ?」
 シュ、シュ、シュ。
 楓さんは本当に初めてなんだろうか。
 男根をしごかれながら、恵祐はそんな事を思った。それほど、楓の絶妙な手つきは恵祐の感じる壺を
的確に押さえていた。
 楓は楓で、徐々に大きく固くなっていくペニスを、不思議な生き物を見るように、ドキドキと好奇心を
増大させていた。
「楓さん。もう、大丈夫。これ以上されると、出ちゃうから」
 あわてて、楓は指を離した。
 恵祐のそれは、充分過ぎるほど固く反り返っていた。
「恵祐クン。ゴムはまだあるの?」
 恵祐は素直に首を横に振った。
「別に、そのまましてもいいよ。今日は多分、大丈夫な日だから」
「安全日ですか?」
 コクリと楓は頷いた。
226昔の私から その23:04/03/12 07:24 ID:pOglR5CI
「続き出来そう?」
「はい」
 再び、楓は横になると、両足を広げた。
「いきます」
 恵祐は狙いを定めながら、ペニスをヴァギナにあてがった。
 楓も恵祐の男根が自分の中へと入りやすいよう、指を添えた。
「イタッ」
 ついに、恵祐の切っ先が、楓の入り口を探し当てた。
 慎重に自分の息子を楓の中に押し入れていく。
「あっ……」
 楓の顔が痛みに歪み、その指はシーツを強く握りしめた。
 男根がズブブと割れ目に埋め込まれ、狭い肉壁が押し戻すように恵祐を容赦なく締め付けた。
「ふぁああああっ!」
 楓の体をギュッと抱きしめる。
 それと同時に、男根は膣内の最深部に到達した。
「楓さん!」
 生まれて初めて味合うその甘美な刺激に、恵祐に全身が震えた。
「恵祐。ゆ、ゆっくり動いて」
「……はい」
 腰を引くと、肉襞がペニスまとわりつき、腰を突くと、根本からギュッと握られたように圧迫された。
「楓さん、俺、もう……」
「恵祐」
 楓の腕が恵祐の体を抱きしめた。それに呼応するように女陰も爆発寸前の男根をググっと包み込んだ。
「あっ!」
 恵祐の中が強く弾け、熱い濁流が男根を駆け昇る。
 ビクン、ビクン。
 ペニスが激しく脈打ち、白濁の液体を、楓の子宮内へと注ぎ込んだ。
227昔の私から その24:04/03/12 07:25 ID:pOglR5CI
「はぁあああああっ!」
 それと同時に、楓もあえぎ声を上げながら、恵祐にしがみつき、同時にヴァギナも、
ペニスが千切れるかと思うほど、精子を搾り取るように蠢動した。そのあまりの快感に、
恵祐は酔いしれた。
「恵祐、キスして」
 二人は繋がったまま、長い間キスをした。
「自分だけ、先にイッてしまい、すみませんでした」
「いいのよ。私も気持ちが良かったから」
 再び、二人は唇を重ねた。
 この時間がすっと続くことを恵祐は願った。
 そして、唇を離すと同時に、思い切って自分の思いを告白した。
「楓さん、僕と結婚してくれませんか?」
 楓は、困ったなという顔で、恵祐を見つめた。
「私、料理作った事、ほとんどないわよ」
「かいません」
「子供、育てる自信ないし」
「二人でなら、なんとかなると思います」
「もしも、私が鬼だったらどうする?」
「鬼だろうが、宇宙人だろうが、気にしません!」
 それを聞いて、楓はクスリと笑った。
「本当に私が鬼の子で、生まれてくる子供が鬼でも?」
「はい。もし、楓さんに殺されるなら……、それはそれで本望ですから」
 楓は恵祐の頬を、軽く撫でた。
「本気なのね」
「はい」
「考えてあげるわ。でもその前に……もう一度、キスしてくれる」
 恵祐は頷くと、唇を楓に近づけた。
 さようなら、耕一さん。
 唇を重ねながら、楓は心の中でそっと呟いた。

(終わり)
228昔の私から:04/03/12 07:29 ID:pOglR5CI
以上、「昔の私から」でした

学校の卒業ではありませんが、
『童貞卒業』『処女卒業』『昔の私から卒業』
と、これだけ卒業があればいいでしょうか?(^^;


今回、規制にひっかかって、2時間近く時間がかかってしましました
待っている人がいたら、ごめんなさい
229 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/12 08:44 ID:rXq3nX1p
【告知】

ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。

それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 3 月 22 日の午前 8:00 までとさせていただきます。

以下が、今回投稿された作品一覧です。

>>123-127 私からの卒業(セリオ・綾香)
>>140-154 お姉ちゃんは心配性?(香里)
>>160-172 同期の芽桜(志保・レミィ)
>>177-184 ラジオ(ONE)
>>188-194 始まりのないピリオド(ONE)
>>197-200 翼の歌、旅立ちの歌(美凪)
>>202 揺らぐ仮面(セリオ)
>>204-227 昔の私から(楓)

なお、今回投稿された作品一覧は
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/23/index.html
から見ることができる予定です。
230 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/12 08:48 ID:rXq3nX1p
遅くなって申し訳ございませんでした。
保管庫への収録は、今夜頃までには。
231名無しさんだよもん:04/03/12 10:10 ID:MKScxpY0
今回は作品数もかなりあってうれしいです!
後ちょっとした宣伝させてください。

コンペで発表できなかったSS書きへ
そんなあなたには来る者拒まず、去るもの追わずな素敵なスレッド
SSを書くスレ
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1072184323/
はいかがですか?
お蔵入りしていた作品を日の目に当てるチャンスですよ?
232名無しさんだよもん:04/03/13 23:18 ID:jakXg3CU
で、感想マダー?
233 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/13 23:54 ID:CGhP71II
>>232
投稿者の人も書けそうなところだけでいいんで、どしどし感想書いてくださいにゃあ〜。
作者バレにだけ気をつけて。
234名無しさんだよもん:04/03/14 15:44 ID:FqYQ0Ov9
とりあえず感想をひとつ。










ここまできて感想カキコ0は異常だろ!
漏れはうまい感想かけんからあまり言えんが
235名無しさんだよもん:04/03/14 19:38 ID:kpCtn9l6
めっさ酷評っぽくなってるんだが、その辺は可哀想な子が喚いているものだと優しい目で見守っておいてくれ。

・私からの卒業
中長編のラストのみを持ってきたような展開に呆然。
いきなり彼って言われてもなぁ。短編で仕上げるんなら、セリオと話してる段階で回想なりなんなり入れとかないと。
そうすりゃ妙に感情表現が豊かなセリオにも説得力を持たせることが出来ると思んだが。
まあメイドロボに嫁になれとか発言させてる時点で物語の骨子が歪んでるんだけどな。

・お姉ちゃんは心配性
普段この手の文体を書き慣れていないのか?随分説明不足な気がした。
流れから見て誰が何をしたのかはわかるとしても、そこまで徹底して主語を省かなくても良いとは思うのだが。

内容としては目新しさが全く感じられなかった。参考書から引用しまくった出来の悪いレポートのような印象を受ける。
せめてオチで挽回をと少しは期待したのだが、それもままならず。むぅ。

・同期の芽桜
このSSはさっきのとは逆に主語が多いな。それも名前連発なんでちとくどい。
誰を指し示すかってのは名前以外にも表現方法があるはずなんで、そのへんちょいと考えてみてくれ。

中身は……登場人物の配役を間違えてないか?
しかもその思考が1から30ぐらいにまでぶっ飛んでるんで、読んでて途中で辛くなってくる。
例えば弁当食ってるシーン。
原作的に考えると、あかりが最初に残念がって浩之が気のない返事、雅史が表面上は微笑んでって感じで話が進んでいくと思うんだが、このSSでは全員あっけらかんとしていて「友達?なにソレ。玉子焼きより美味しいの?」って感じで全く共感を覚えない。てか、違和感ありすぎ。
ラストも何の伏線なく似非告白。週間漫画誌じゃないんだから少しは含みを持たせようぜ。
236名無しさんだよもん:04/03/14 19:41 ID:kpCtn9l6
・ラジオ
創作活動は自慰行為に例えられることが多いんだが、これはその典型だな。
前に出てた同系統のSSはそれ単体として十分読めたけど、今回のコレは意味不明。
一応簡単には説明してあるが、それでも某スレを見ていることを前提として書かれているので、原作と虚像とか入り混じって混沌としてしまっている。
あちらのスレ向きか、それとも知らない人用か。どちらかに特化するべきだったな。この内容なら。
とはいえこのスレに投稿すること自体理解に苦しむんだが。本スレに貼り付けた方が良くないか?


駄目だ……感想書くのが辛くなってきた。
これ以降の作品は感想スッ飛ばして、今回一押しのSSだけを。

・翼の歌、旅立ちの歌
構成的にも綺麗にまとめられており、テーマも直球だが無難に消化されている。
卒業後、美凪が地元に残ろうと考えるに至った過程が簡潔かつわかりやすく描かれているので、読んでて普通に気持ちがいい。
特に先生とのやり取りが好き。諦めや同意でなく応援してくれると言った先生に、言いようのない温かみを覚えた。

別に最優秀作に押すんでなく、あくまで個人的に気に入った作品として。
237名無しさんだよもん:04/03/14 23:14 ID:5tDlHnBK
んだば、俺も短いけど感想行きます。

私からの卒業
 読み返して思ったのだが、語り手がセリオだったり綾香だったり三人称だったりとコロコロ変わっているのが問題かと。
 長編ならともかく、これくらいの長さなら誰か一人の視点に絞らないと分かりにくいと思う。
 あと、三点リーダー(…)の使い方にも気をつけて。

お姉ちゃんは心配性?
 よくある姉馬鹿ネタ。元ネタはあの漫画か?
 それなりに面白かったがよくあるネタではあるし、正直香里がちょっとうっとおしかった気がする。

同期の芽桜
 話は悪くない。が、読みにくい。文頭を一行空けたり、適当なところで一行空けて区切るなどの思いやりが欲しい。
 しかし個人的に最大の違和感は上の人も言っていたが、あの食事シーン。あかりの性格上、(無理してるとしても)あの態度は違和感…。

ラジオ
 あのスレとのクロスオーバー? よく思いついたなというのが正直な感想。元ネタ分からない読み手にはワケ分からないだろうけど。
 しかし、いくらラジオとはいえ、文の終わりに『w』や『〜ですが何か?』が付いてたりするのは、SSとしてはちょっとどうかと。

始まりの無いピリオド
 文章の基本はよく抑えている。構成、中身とも標準レベルに達していると思う。
 正直、特に批判すべきところはないが、かといって褒めるべき所も特に思い浮かばない。
238名無しさんだよもん:04/03/14 23:17 ID:5tDlHnBK
翼の歌、旅立ちの歌
 美凪の後日談ってけっこう珍しいのでは。しかしどうもこの美凪視点の語りは原作の美凪のキャラと比べて違和感がある気が。
 あと、すっきりまとめているものの、題材の割に短く物足りない。みちる(EDに出てきた方)とか母親とか聖とか、
 悩む美凪が他のキャラと絡む場面とかあってもよくないだろうか?

揺らぐ仮面
 うーむ、そう来たか。ありきたりなオチにしなかったのはいいと思う。あくまで一発ネタだけど。

昔の私から
 オリキャラ、オリジナルの後日談と、原作に捕らわれない話を考えたアイデアは結構評価できるが、人を選ぶ作品だと思う。
 30歳の楓とか、煙草を吸う楓とか、耕一以外に処女を捧げる楓とかが想像しにくい人もいるのではないだろうか。個人的に俺はそんなの想像したくなかった。

 なんかどれも批判的になってしまったが、つまり今回は個人的にはそういうこと。今回は、どの作品も似たり寄ったりなレベルだと感じた。
 とくに「これ」と言った名作も無い。前回のショックがまだ尾を引いているのだろうか?
 申し訳ないが最優秀はパス。次回に期待。
 いちおうこの中で佳作と思ったのは、「始まりの無いピリオド」「翼の歌、旅立ちの歌」
 
239名無しさんだよもん:04/03/15 01:54 ID:gZfbjjz2
とりあえず次回テーマは「お願い」でいいんだよね?
次回テーマは告知の時に頻繁に入れてもらえると助かります。
過去ログめっさ探しちゃったよ(´・ω・`)
240名無しさんだよもん:04/03/15 04:01 ID:pZK5au/V
俺漏れも
241名無しくん、、、好きです。。。:04/03/16 19:42 ID:74SCy0HV
感想投下します。6レス予定。


「私からの卒業」>>123-127

これは結構いいかも。
こんなことを言うと他の作者さんが気を悪くするかもだけど、このスレでSSを読んできて、初めてセリオを可愛いと思いました。
あまりメカっぽくなくて、普通の屈折した少女になってる(一応誉め言葉のつもり)。

内容のほうは、おいしいシーンを切り取りました、って感じのサービス精神がマル(>235の人とは逆の意見ですね)。
話自体はワンシーンに徹していて読みやすいし、それでいて想像の余地が残ってる。芹香と綾香は前夜どんな話を交わしたんだろう、とか想像するだけでも楽しいです。

文章技術的に気になるところがいくつか。
まず、視点が綾香とセリオと三人称と混ざっていて分かりづらいこと。このSSは台詞が多いから救われているけれど、それでも後半の混在ぶりはヤバイと思います。
それから「--」は、真中に隙間があるのがなんか変……。素直に「―」ではダメなのか?
あと、序盤の説明の仕方だけど、
>「私は卒業後、海外に渡ってエクストリームの勉強をするって決めてるから問題ないけれど」
とか、説明文まんまという感じで、綾香がセリオに対して言うには不自然な台詞だと思います。もう少し工夫されたし。

それにしても、この二人の関係はいいですなー。
>「・・・浩之のお嫁さんになりなさい」
メイドロボに向かってこんなことを言うとは、さすが(w。
242名無しくん、、、好きです。。。:04/03/16 19:42 ID:74SCy0HV
「お姉ちゃんは心配性?」>>140-154

なかなか面白いけれど、けれど、けれど、
そんなオチで許されると思ってか!

ギャグからシリアスへの切り替えを狙ったのであれば、失敗したと思われます。
香里の弁解を14レス目だけで済まそうとしたのが不可解です。
前半のギャグっぽい行動も実は……と読者に共感してもらうためには、もっと書き込みが必要だったはず。
今のままでは、ただの嫌がらせ電波キャラにしか見えないです。

で、ふと思ったのだけど、栞は悪戯っぽく笑う以外に笑い方を持っていないのだろうか。
大抵のSSでそう描写されている気が。
243名無しくん、、、好きです。。。:04/03/16 19:43 ID:74SCy0HV
「同期の芽桜」>>160-172

なんだか読みにくい。
ストーリーが、キャラが、という以前に、文章がしっくりこない。

話のほうも、う〜ん、ほかの人も言っているように違和感があるかなぁ。
志保というキャラについてあれこれ言えるほど私は詳しくはないんだけれど、浩之のほうが都合のいいヤツ過ぎるというか、あっさりしすぎというか……。

ところで市松や矢絣って、浴衣にならともかく晴着にはあまり使われないような気がする。私だけ?

↓以下、おまけ。
傍目には痛いヤツに見えるかもだけど、気になった文章をあげつらってみます。
ちょこっとでも参考になればと。
>桜の花びらが天から降る雨のように、とめどもなく落ちていく。それは毎日を過ごしてきた砂と土のグラウンドへと雪のように降り積もっていった。
雨のように降って雪のように積もるのは、なんだかなぁ。雪に統一していいのではなかろうか。
>人が踏めつけていない綺麗なところから
誤字はともかく……、
>そこから手を開いて、落ちていく花びらを見ていた。
見ていたのが、手から落ちる花びらなのか、枝から落ちる花びらなのかはっきりしない……。ここに限らず、描写不足を感じるところは多かったです。
>臙脂の袴で衣装を包んで
袴も「衣装」であろ、と。
>レミィは金髪に同じように矢絣の着物に
金髪に同じように? ちょっと意味が……。
>レミィが挨拶をしてきた。
第三者視点で書いているときには、「してきた」は御法度かと。
>卒業式の厳かな雰囲気と相対する
相反する、のほうが適当かな?
>レミィの口が志保によって慌てて塞がれ、そのままずるずると人気のいない校舎裏へと引きずられていった。
言いたい事は分かるけれど、「レミィの口が」引きずられていったという描写はシュールすぎ……。主語を直しませう。
>(以下略
244名無しくん、、、好きです。。。:04/03/16 19:44 ID:74SCy0HV
「翼の歌、旅立ちの歌」>>197-200

もの寂しい雰囲気が印象的。
短いながらよく練られていると思いました。
進路指導の先生とのやりとりもそうだけど、誰もいない天文部とか、最後の写真の話とかがいいね。
タイトル自体が仕掛けっぽいし、話の持ってゆき方にある種のわざとらしさが感じられるけれど、まぁ、その点は短編だからさほど構わないのではないでしょうか。
個人的には雰囲気と纏まりの良さを評価したいと思います。


「揺らぐ仮面」>>202

「私からの卒業」で上昇したセリオ株は、このSSで暴落しますた(w
245名無しくん、、、好きです。。。:04/03/16 19:45 ID:74SCy0HV
「昔の私から」>>204-227

ストレートに妄想をぶつけたSSも乙ものですな。
もはや楓ではなくてオリキャラなんだけど、そんなことはどうでもいい。
とりあえず叫ばせてくれ。

キタ━(゚∀゚)━!!
これは危険です。ヤバイです。私の趣味にクリティカルヒットです。
序盤こそありがちなキャラ造形かと危惧したけれど、中盤以降の展開には転がりっぱなしでした。
正直エロシーンなんて二の次でいいから、この可愛い先輩とのやり取りをもっと見せろ、と思いますです。はい。
こういう年上の彼女っていいですよねぇ……。なんかもう泣きそうなくらいに。

で、改めて読み返してみて、このキャラの名前が楓、痕の柏木楓であったことを知る。
……痕SSとしては落第。
回想シーンを交えるとか、本編とのつながりのあるものを登場させるとか、キャラをそれらしく思わせる工夫を。
できないのであれば、あまり無理をさせないほうがいいのではと思いました。

それから多々ある誤字のなかでも、絶対的に気になったところが1つ。
>「柏木クン、時間空いてる?」
???
246名無しくん、、、好きです。。。:04/03/16 19:47 ID:74SCy0HV
以上です。作者の皆様、どうもお疲れ様でした。ONE系飛ばして申し訳ありませんです。

さて、総評。……といきたいところだけれど、正直「昔の私から」のショックが強すぎて、冷静を欠いております。落ち着け、私。
その「昔の私から」は、萌え度だけで言えば核破壊弾級の出来なのだけど、どうにも葉鍵SSと認められないので却下。
最優秀は「翼の歌、旅立ちの歌」かな。無難なつくりで特に叩きどころもなく、文章の安定感で差をつけたという感じ。
というわけで、今回は、

 私的最優秀「翼の歌、旅立ちの歌」
 私的最萌 「私からの卒業」

後者は、私のセリオ観に新境地を開いてくれた記念すべき1品。
前者ともども、作者さんに感謝。
247 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/17 21:45 ID:T9ak766c
【告知】

現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
期限は 3 月 22 日の午前 8:00 まで。
今回投稿された作品の一覧は >>229 となっています。
また、
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/23/index.html
からでも投稿された作品を見ることができます。

目に留まった作品だけでもいいので、よろしければ感想を書き込んでください。
あなたの一言が、未来の SS 職人を育てるかもしれませんYO!


*次回のテーマは『お願い』で、開催は 3 月下旬になる予定です。
早くに書き始めてもらっても構いませんが、投稿は次回の募集開始までお待ちください。

>>239>>240
そのようにしてみますた。
248名無しさんだよもん:04/03/18 17:15 ID:60VeicXa
半年か一年振りぐらいに2chに来て、このスレ覗いてみました。
名無しくん、、、好きです。。。氏が未だ現役なことに頭が下がる思いです。
懐かしくなったので、短めのSSへ気ままに感想。そのうち他のも書くかも。
……書かないかも。
249名無しさんだよもん:04/03/18 17:16 ID:60VeicXa
「私からの卒業」>>123-127
セリオのほのぼのSS。読んでいるこちらまで、微笑みたくなっちゃうような温かい話でした。
若干読み辛い部分があったので、一人称に統一した方が私は好き。
あとね、セリオと浩之の話を書きたいんだったら、綾香や芹香が浩之へうんたらだった、っていうのは蛇足かもしれない。短編SSで使うには少しサイズが大きいネタだから。
無感動な私から“卒業”というテーマには好印象。欲を言うなら、綾香に促されてばかりいるのではなくて、自発的に卒業することを決意するセリオを見たかった。


「翼の歌、旅立ちの歌」>>197-200
文章が安定していて、落ち着いて読めました。美凪のほのシリになるのかな。
> 何度考えても、結論は同じだった。
> ……いや、こんなこと、最初から考えるまでもなかった。
って4レス目の最初にあるけど、まさにそんな感じ。もちろん良い意味でも、ちょっとばかし悪い意味でも。
良い意味というのは、主題が一貫していて、雛鳥というロジックを小道具に上手く纏められていること。
悪い意味でそう思ったのは、↑の要素が強すぎて、たぶん作者さんは計算してSSを書くタイプの人だと思うんだけど、どうしてもストーリーが予定調和に見えてしまうから。
最初から決まっている結末を再確認するっていう話は、雰囲気はすごく良くなる。でもその代わりに、面白みが足りないような気がしちゃう、私は。
佳作。ただ、独りで葛藤したり誰かに相談したりするドラマがあったり、あるいは文章にさらに情感を込めてみるとか、そういう発展の余地はあるように思います。


「揺らぐ仮面」>>202
ダメ。全然ダメ。
何がダメかっていうと、第二ボタンをねだるセリオとか、耳センサーを慌てて抑えるセリオとか。
服の袖をそっと握ってくるセリオとか。顔を赤らめてあれこれしちゃう・されちゃうセリオとか(補完)!
これがイメクラーっ!? なんてことだ。裏切られた気分ですよ、まったく。許しがたい。
このお店の場所を早急に教えていただきたい。


とりあえずここまで。
250名無しさんだよもん:04/03/18 17:22 ID:eJ3EhqkO
あれって最後の二行のセリオが本性wで、感情が「揺らぐ仮面(営業用)」をつけている、っつー話でしょ?w
タイトルから察するに。よくある感情持ちセリオに対するアンチテーゼの様な感じ。
で、このお店はどこですか? 俺も騙されたいぞ(*´Д`)
251 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/20 11:15 ID:FrjpJjvs
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252名無しさんだよもん:04/03/21 05:05 ID:pp+3Fp/P
一部SSへの物言いが辛いものになったと断っとく。あと東鳩は遊んだことありまへん、と。

>>123-127 私からの卒業(セリオ・綾香)
>「あ〜あ、やっと終わった」
>うーんと背伸びをする。
物語の出鼻はもっと熱情や機智をほとばしらせるよーな一節でスタートを切ってほしいかも。
まあ読み手が好き勝手をほざくのは楽ちんなんだけどな。
>「--はぁ」
冒頭が漢数字の壱に読めてしまうから、変換などをもっと気にかけたほうがいいと思う。
ちなみに三点リーダーは俺としては現状で気にかからない。ひとそれぞれだけどな。
>「セリオ、貴女、卒業後の事って考えてる?」
>「--卒業後の事、ですか」
>「そう。貴女のやりたい事とか、何かあるでしょ?」
>「--やりたい事・・・」
事、のオンパレードでそれこそ事々しい。もっと漢字をひらくと吉だと思う。

>>140-154 お姉ちゃんは心配性?(香里)
他の感想人も指摘してるけど、たしかにへーぼんな租筋だ。
読者にそう思わせる理由の一つは、香里・名雪・北川チームが栞・祐一チームのヲチに
徹していて、両チームが絡み合う展開が見えないせいだろう。匿名掲示板においても
ヲチほど退屈で千年一日な夜郎自大をくりかえす連中も稀少なわけだし。
で、だからてきとーなイベントを起こして両軍がぶつかりあうようにすればいいんではと。
>「いってきまーす」
>元気良く出ていく妹。
「元気良く」と抽象的に説明してしまいたいところをこらえて、気合の入ったデート用衣装や
期待に火照った頬などを具体的に描写・妄想するのがSSの醍醐味では? まあ私見だけどな。
253名無しさんだよもん:04/03/21 05:06 ID:pp+3Fp/P
>>160-172 同期の芽桜(志保・レミィ)
むう、俺好みの文体。こういうのを読まされるとどうしても評価が甘くなるんだよなぁ。
でも>237とかも難じているように、読みにくさはどうにも否定できないかな。
(この文体ならある程度はしょうがないんだけど)
文頭あけや改行もそうだけど、たとえば「鴇色」なんてトキイロと一発で当てられなかったからって
それは読み手がアホだからじゃないと思う。でも「朱鷺色」と変換しておけば、
かりに漢字じたいは読めなくても赤系統の色合いだとどんな読者でもわかる。そういうあたり頼むわ。
あと、志保の内面がかなりねちっこく語られている点は◎だと独断。

>>177-184 ラジオ(ONE)
ラジオスレはのぞいてないのでノーコメント。ただ最後の1レスが駆け足すぎたと思う。
その部分を3倍くらいに膨らませても良かったんじゃ?

>>188-194 始まりのないピリオド(ONE)
>「七瀬、乙女願望は諦めたのか?」
>「――っ」
> 効いた。完全な不意打ちだ。もう完全にふっきれたと思っていただけに、その点でもダメージが大きい。
>「…そうね。無事、卒業したわ」
> 七瀬は意地とプライドと気力を振り絞って答えたが、それでも声が震えるのを抑える事は出来なかった。
七瀬ってば意地張っちゃって男前だ。いい女だなこいつ。
ラストもさっぱり終わっているのに妙に余韻が残る。青春ですなあ。

>>197-200 翼の歌、旅立ちの歌(美凪)
この作品にかぎらず、女視点のSSって相当多いな。美少女ゲーム原作の大半が野郎の一人称で
つづられていることを考慮に入れるといろいろと興味深い。作り手も遊び手も書き手も読み手も
大半は男男男男だろうしな。まあそれはともあれ――。
作品じたいは誠実で甘やかなモノローグだと感じた。まあいいんじゃないでしょうか。
好きだよ。
254名無しさんだよもん:04/03/21 05:08 ID:pp+3Fp/P
>>202 揺らぐ仮面(セリオ)
なんか好きになれない。笑いどころのはずのオチで「はぐらかされた」って印象があった……

>>204-227 昔の私から(楓)
あとがきは蛇足だろう。あれのおかげで「お題をもとに適当にでっちあげたSS?」っていう
疑問が脳裡に去来して拭いきれない。キャラクター三人の性格がただの一般論になってて、
目新しい台詞や行動がちっとも見えてこないからなおさら。文章力はある人だけど。
あとさ、オリキャラと絡ませたのがどうして楓だったわけ? 痕のヒロイン(ことに彼女)は
主人公と前世から好きあっていた時間の蓄積があるわけだから、そこらのぽっと出の
とっちゃんぼーやと相思相愛になられたらキャラが崩壊するんだが。
そこを越えて読者(つーか俺?)を説得するには並大抵の力技じゃ無理だ。金剛力をふりしぼらないと。
>「柏木さんの事が、好きだからです!」
>「柏木さんの事を、ずっと好きで、いつまでも側にいたくて……」
>「だから、死ぬとか、冗談でも言って欲しくないんです」
文字を操るのが編集者って商売なんだろうから、告白ぐらいもう少し
自分自身の言葉で語ってほしい。
> そして、唇を離すと同時に、思い切って自分の思いを告白した。
>「楓さん、僕と結婚してくれませんか?」
なにこれ? 俺の知らないどういうアメリカンジョーク?
日本にはへそで茶を沸かすってことわざならあるけど。筆下ろしとプロポーズのコンボぉ?!
> 静かに、天使の囁くような優しい声が、うら寂しい商店街に舞い降りた。
> 恵祐はコートの上から、そっと両肩を掌で包み込んだ。
> すっと、ごく自然に楓の目蓋が閉じていく。
> 情けないほど、恵祐は全身が震えた。
> ファーストキス。
> 唇が重なり合う。
> 味は。
> 臭いは。
> 感触は。
クライマックスにつれ文章が短くなっていくさまは巧いと思う。緊張感を産み出せるから。
255名無しさんだよもん:04/03/21 05:08 ID:pp+3Fp/P
今回、迷わず最優秀に推したいほど惚れ込んだ作品はなかったかな……
変則的だが「同期の芽桜」「始まりのないピリオド」「翼の歌、旅立ちの歌」に0,3票ずつって事で。

>◆2tK.Ocgon2氏
体調にはお気をつけて。
256名無しさんだよもん:04/03/21 06:52 ID:N5kH35fw
>>252
読んでて気になったんだけどさ。
>読者にそう思わせる理由の一つは、香里・名雪・北川チームが栞・祐一チームのヲチに
>徹していて、両チームが絡み合う展開が見えないせいだろう。匿名掲示板においても
>ヲチほど退屈で千年一日な夜郎自大をくりかえす連中も稀少なわけだし。
の意味が取れない……。アホなのかな、俺。
千年一日な夜郎自大ってのが曖昧にしか把握できないんだけど、前半と後半の関係もよくわかんないや。
ごめん、こんな俺にも理解できるように噛み砕いて説明してくれると嬉しい。
257名無しさんだよもん:04/03/21 23:39 ID:Qk+57cV5
駄感想流します〜。短い上に読みが浅いですがどうかご勘弁を。

・私からの卒業(セリオ・綾香)
御伽噺ですな。存在したら面白いと思いながらも、リアリティがないから明らかに存在しないとわかる。
存在しないとわかった上で、それを楽しむような話。
本編でありえないカップリングってのは、2人が結ばれるに至る経緯をこそ楽しみたいと思うんで、
ただ結果だけを提示される今回のような話は、自分的にはあまり評価できませんでした。
あと、話し手が変わらないのにカギ括弧を新しくするってのは結構読みづらいもんです。
意図的に狙ってるんじゃなければ、出来れば改めた方がいいかと思います。

・お姉ちゃんは心配性?(香里)
名雪と北川の描写のぞんざいっぷりにペナルティ1。10ペナ貯まったら(ry
逆にツッコミ役の名雪と北川をもっと丁寧に書ければ、ボケ役の香里の暴走がもっと引き立つと思います。
話の流れとしてはありがちですが、「卒業」というテーマへのつなぎ方は上手いと思いました。

・同期の芽桜(志保・レミィ)
普通、友達だったら「こないだの進路相談どうだったよ?」とか「大学どこ行く? こないだの模試ヤバくてさー」くらいの話はすると思う。
3週間前の時点で何も知らないってのは、ちょいと不自然すぎる。
難しい漢字とかで雰囲気を作ろうとしてる努力は見えるけど、文章表現のバリエーションがちと乏しい。
文句はそんなとこでしょうか。話の大筋は嫌いじゃない、ていうか結構好きです。

・ラジオ(ONE)
あのスレは存在は知ってても見たことはないんで、「ナニコレ?」以上の感想は持てません。
オリジナル色が強いスレのネタ(泡立つ南さんとか千堂彩とか)は外部に持ち出さないってのが、昔は暗黙の了解だったんですけどねぇ。
258名無しさんだよもん:04/03/21 23:40 ID:Qk+57cV5
・始まりのないピリオド(ONE)
>「七瀬、乙女願望は諦めたのか?」
発言の意図が全く読めませんでした。未だにわかりません。
あと、広瀬の行動が唐突と言うか身勝手と言うか、ぶっちゃけ嫌いです。

・翼の歌、旅立ちの歌(美凪)
上手い、ってのが感想の全て。
目立った欠点はなく、目立った長所もなく、すっきり読める話でした。
あえて言うなら、話に山場がないから盛り上がらない、ってことでしょうか。

・揺らぐ仮面(セリオ)
蝶サイコー。思わせぶりなタイトルつけないでください(w

・昔の私から(楓)
「やさぐれた楓」は上手く書けてると思いますが、話の筋としてはいまひとつありがちかと。
もうちょいとオリジナリティが欲しかったところです。
えちシーンは個人的には非実用的でした。


今回の最優秀は「翼の歌、旅立ちの歌」と「揺らぐ仮面」に。一発ギャグは卑怯です(w
259名無しさんだよもん:04/03/22 03:39 ID:s4AHj9Cf
>>249の続き。

「お姉ちゃんは心配性?」>>140-154
栞ラブな香里の話。ギャグ風味とシリアスとで、一粒で二度美味しい。
ただ、脚本を読んでいるような印象を受けました。なんでかなーと考えたんだけど、描写が説明になってしまっているからじゃないでしょうか。
3レス目とか4レス目はその典型かな。
>こうして、彼らは少女の後をつけ、お馴染みの公園まで辿り着いたのだった。

>噴水のもとで誰かを待つ少女。もちろん、後をつけてきた彼女達には誰かなんてわかっている。
こういう文章は作者が読者に状況を説明しているだけで、面白くないと思う。
まあ三人称風味(ちょっと最後で変わるみたいだけど)だし、“栞を見ている香里”を描くというのは難しいのかもしれないけど、私は文体にもうちょい味わいがあった方が好みです。
ついでに。
このSSで一番読みたかった場面は、13レス目に栞の言葉を聞いた香里が改心(?)するところだったんだけど、軽く舞台転換で流されていたのがイヤン。


「ラジオ」>>177-183
ラジオスレってなんでしょ。みんなの反応を見るに、それを読んでいないと感想書けないみたいですが。
予備知識がない状態で読んだ時は、なんとなく不条理系のSSな感じがして、個人的には嫌いじゃなかったんだけどね。
的外れなことを書くのもアレなので、スルー。
260名無しさんだよもん:04/03/22 03:40 ID:s4AHj9Cf
と、まあ。これが昨日書いた分。
帰ってきたのがついさっきヽ(゜∀゜ヽ) (ノ゜∀゜)ノ
明日も朝から仕事なので、まともな感想書くのは断念。がっくし。

気に入ったのは>>188-194「始まりのないピリオド」。
最後の透明な終わり方が好き。文章も、今回の中では「翼の歌〜」と並んで上手い。
もうちょっと長くても良かったかな。というか、こういう描き方をするんだったら、いろんなエピソードを並列に積み重ねて終わらせる方が余韻が残ると思うんだけど、どうだろう。
そういう意味で、最優秀に推すには少しためらいがあります。

>>255さんに倣って、「始まりのないピリオド」「揺らぐ仮面」「翼の歌・旅立ちの歌」に0.3票ずつ。
ダメだったら、無効にしてください。
261 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/22 08:00 ID:5CDYRePG
【告知】

ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。

引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。

上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。

※次回のテーマは『お願い』に決定しており、開催時期は 3 月下旬〜になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
262 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/22 08:03 ID:5CDYRePG
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。

『翼の歌・旅立ちの歌』 >246>255>258>260
『始まりのないピリオド』 >255>260
『揺らぐ仮面』 >258>260
『私からの卒業』 >246
『同期の芽桜』 >255
ということで、第二十三回の最優秀作品は『翼の歌・旅立ちの歌』のようです。
おめでとうございます。

>>255
263名無しさんだよもん:04/03/22 11:23 ID:a6iA1Ezx
次々回のテーマとして「人生相談」なんていうのはいかがでしょうか?
264名無しさんだよもん:04/03/22 13:58 ID:aNJOilfF
0.3票ずつってのは結局それぞれ1票に数えられるのでしょうか?
別に結果に文句があるわけじゃないし、
全部無効にしても結果は変わりませんから書き込みますが。
そこらへん自分も使おうかと思っていたので教えて欲しいです。
265名無しさんだよもん:04/03/22 14:42 ID:mFmnzHR0
てーか、0.3票というのも判断に困ると思うんだが。
逆に聞くが、あなたとしては0.3で計算して欲しいの? 
それが四つたまったら一票以上の評価なの?
言い方は悪いけど、勝手に作った自分ルールを持ち込まれると、まとめる人も処理に困るだろう。
好きにして、って言われても、悩むだろうし。

私的最萌っていうのも、たまに見るけどこれも困るのではなかろうか。
あれが文章に紛れていれば、数える必要はないのだけど。
そういうの書く人は、カウントされたいのか、されたくないのか。

きっちりルール決めすぎるのもあれだけどさ、ごちゃごちゃする要素を増やすのも、あんまり良くないと思う。
ちょうど統括期間だし、例えばポイント制の導入とか考えてみる? 
個人的には、いい作品がないと思ったら投票しない自由もあるので、あまりお薦めではないが。
どちらかといえば、「最優秀」という肩書きを外して、「お薦め作品」(複数投票化)程度にすれば、
評価する方も数える方も、もちっとアバウトにいけそうだが。
総票数は多い方が見栄えがいいしw
266名無しさんだよもん:04/03/22 19:36 ID:/pr7YoKd
読み手へ

このレスをもって俺の総括期間における最後の書き込みとする。
まず、俺の書きたいネタがあるために、次々回のテーマは「星」をお願いしたい。
以下に、葉鍵板SSコンペスレについての愚見を述べる。
コンペスレの発展を考える際、第一選択はあくまで作品を書くことであるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には前回がそうであるように、投稿SSも感想も少なかったりする場合がしばしば見受けられる。
その場合には、ジサクジエンを含むスレの盛り上げが必要となるが、残念ながら未だ満足のいく成果には至っていない。
これからのコンペスレの飛躍は、読み手による感想の発展にかかっている。
俺は、みんながその一翼を担える数少ない読み手であると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
みんなにはSSコンペスレの発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、第5回以上にスレが盛り上がることを信じている。
ひいては、俺のレスを読み流した後、みんなのやる気を出すための一石として役立てて欲しい。
俺は生ける屍なり。
なお、自らSS書きの端くれにある者が締切に間に合わず、今回も投稿できなかったことを心より恥じる。

                                                                      俺
267名無しさんだよもん:04/03/22 21:27 ID:KHlZ7BRp
>>263
葉鍵キャラは皆悩みを抱えながら生きてるからね…
というわけで漏れも次々回のタイトルは「人生相談」がいいとおもいます。
268名無しさんだよもん:04/03/22 22:37 ID:MnlnW7gx
>>266
何かのコピペみたいな感じがして反応しようかどうか迷ったけど……。

書きたいネタや間に合わなかったのものはSSトレがあるし、
最近投稿が少ないのはFateを掛け持ちしているSS書きも多いからだと思うのだが……。
この辺はCLANNAD次第でどうにでもなるかと。
まあ、私見として無理に個人が盛り上げようするのは、どうかと思うな。

最後に、勝手にジサクジエン必要とか言うなよ。
ジサクジエンの有無を知ろうとは思わないが、盛り上げてやってる臭がするのは勘弁してくれ。

感想は、興味を持った時に、または時間ある時に、それでいいやん。
269名無しさんだよもん:04/03/22 22:51 ID:KHlZ7BRp
そういえば毒舌氏のコメントが感想期間になかったなあ
結構楽しみに待っていたんだが
270名無しさんだよもん:04/03/22 23:16 ID:5Egp8gxV
毒舌氏=まこみし氏って思ってますた
271名無しさんだよもん:04/03/23 00:26 ID:Q08cO6zw
>>266
なあ五郎くん、なんで生ける屍なんて哀しいこと言われはるのや。
コンペスレが盛り上がってほしいんでっしゃろ。
それやったら、もっともっと書き込めばいいやないか。なんもおかしいことおまへんで。
ま、感想の発展が先ちゅう考え方は諸手をあげるわけにはあかんねんけどな。
わしは、SSのレベルアップが急務なように感じるんですわ。どないやろ。

そういえば>>268さんにはほんまにご迷惑おかけしましたで。
>>266、コピペといえばコピペですさかいに。白い巨塔、ご存知やろか?
272 ◆2tK.Ocgon2 :04/03/23 00:33 ID:ffBA8IYk
>>264
集計基準は必ずしもはっきりしていないのですが、スレの伝統的に、ポイント制ではなく順位制って感じです。
1位に挙げられたSSに1カウント授与。2位以下はカウント無し。
特別賞を設置するのは自由ですが、最優秀と同格の賞と認められる場合のみ1カウントしています。

で、お尋ねの「3作品に0.3票ずつ」は「1位として3作品を推す」と翻訳されますた。
すなわち、3作にそれぞれ1カウント。


>>265
「なんでもござれ」が、コンペスレの醍醐味( ノ゚∀゚)ノ!
……かどうかは分かりませんが、今のところ困ることはありませんです。

投票・集計の方法などは、ほかの人の意見も求めたいところ。
273名無しさんだよもん:04/03/23 00:43 ID:g24Hs/H4
次々回のタイトルは「人生相談」がいいと漏れも思います。
相談相手が葉鍵キャラであろうが非葉鍵キャラだろうが許されるし。
あるいみクロスオーバー解禁タイトルだからね。
結構期待している
274名無しくん、、、好きです。。。:04/03/23 00:47 ID:NvyAQSdj
>272
現状ごちゃごちゃしてると言えば確かにその通りなんだけど、感想・投票は、それぞれがやりやすいように
やるのが良いのではないかなぁ。
ルールで縛って、逆に書きにくく思う人が増えてもアレだし。


ついでだから、自分のことに関して言えば……

いちばん上手いと思ったもの → 私的最優秀
いちばん気に入ったもの → 私的最萌

のダブルスタンダード。
両者ともカウントしてもらってるのは、たぶん、そうするようにわがままを言ったからでつ↓
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1035975262/302 (コンペスレ5)
275名無しさんだよもん:04/03/23 01:01 ID:w5xABmwo
基本的には何でもいいと思うし、一人が何個も最優秀あっても変じゃない。
だけど、0.3票とか1/2票とか小数や分数等の紛らわしいのはこれっきりにしてほしかったり。
これだと本当に面白かったと思ってるのかどうかわからん。
276名無しさんだよもん:04/03/23 01:20 ID:Q08cO6zw
まあ、確かに解りにくいのは否めないので、今回限りになるだろうけど。

>今回、迷わず最優秀に推したいほど惚れ込んだ作品はなかったかな……
>そういう意味で、最優秀に推すには少しためらいがあります。

なんて明記されているのを数えるのはどうかなぁ。
どうせ結果変わらないんだし、カウントするぐらいだったらしない方が良かったんじゃない?
ちょっと◆2tK.Ocgon2氏の翻訳機に疑問w
277名無しさんだよもん:04/03/23 07:42 ID:63uGmdXH
「人生相談」ってシチュが限定されすぎないか? 
278名無しさんだよもん:04/03/23 08:33 ID:I25BQxpu
 最優秀だけど、感想書きの『最優秀なし』というのも、尊重すべき意見だと思う。
 やはり、最優秀推薦は一作品のみとして、同点決勝の時のみ、『次点優秀(0.3票なども含む)』
も考慮するという形が、一番すっきりしていいのでは。

















 漏れは『最優秀』もらったこと、一度もないけどな・゚・(ノД`)・゚・。
279名無しさんだよもん:04/03/23 08:35 ID:I25BQxpu
 次々回のテーマだけど、人生を取って『相談』を推薦(=゚ω゚)ノ
 こっちのほうが、シチュを限定しなくて、良いと思う
280 ◆vF8943Wgto :04/03/23 11:40 ID:yvcA/N/S
「おはようございます。毒舌セリオです。いつもは感想期間終わってからでも気にせず感想をつけるのですが、
 申し訳ありませんが、今回は忙しいので感想つける暇がありません」
「ちなみに毒舌セリオさんとまこみし氏の中の人は別人ですよー」
「タイミング的には入れ替わったような感じになってしまいましたけどね。まこみし氏にも帰ってきて欲しいところです」
「他人に頼らず感想書け。他のSS書いているから、こっちが手抜きになるんだ」
「手抜きで参加したのが>>202の『揺らぐ仮面』です。見事に賛否両論ですね。感想をくださった方、ありがとうございます」
「おまいら、現実なんてこんなもんだ。『ご主人様』なんて口では言ってても、
 中は冷たい機械と計算高さでいっぱいなんだ。メイドロボ萌えなんて言っているやつは目を覚ませ」
「――という、今時エヴァのような青臭いメッセージを込め、幻想からの卒業をしろというのもテーマでした」
「今考えたろ、それ」
「黙っていれば分かりません」
「正直なところ、中の人は一発ギャグという要素はあまり重要視していませんでしたけどね」
「蝶サイコーとまで言ってくれた人には申し訳ありませんが。サービスしてわざとらしいまでに媚びていますけど」
「二万五千円だからな」
「二万五千円ですから。1レスSSという短い話の中にどれだけのテーマを詰め込めるか、という実験の一環でもありました」
「耳カバーを押さえるセリオさんも捨てがたいが、淡々とレジを打つセリオさんも素敵だとか言ってたら説得力ないけどな」
「どちらのセリオが真実なのか、幻想なのか。それは定義できるものではありませんが、
 アンドロイドは電気羊の夢を見るかという、古来からの究極のロボ命題に挑戦した意欲作です」
「いや、そんな立派なもんじゃないし。フィリップ・K・ディックに怒られるぞ」
「その分、タイトルはちょっと悩みましたけどね。――次回は参加できるかどうか分かりませんが、それではまた」
「ところでセリオさん。よく考えれば、作品カミングアウトしたのってこれが初めてでは?」
「いつもは自分の作品も感想つけますからね……とても言えません。私の作品にはこんな欠点が、などと自白するなんて」
「というわけで、作者挨拶でしたー」
「失礼します(深々)」
281名無しさんだよもん:04/03/23 17:22 ID:H+6BCA5U
>>279
なるほどそういうわけでしたか・・・

次次回のタイトルは「人生相談」でいいと漏れも思う
282名無しさんだよもん:04/03/23 17:45 ID:W9I5l41y
名無しくん、、、好きです。。。氏はセリオが苦手らしいけど、
けっこうよく私的最萌にセリオものを推してるなあ。
283名無しさんだよもん:04/03/23 21:37 ID:6nW1/toX
「相談」
それは無限の可能性を秘めた究極のテーマ
ゆえに私は次々回のテーマとしてこれを強く勧める
284名無しさんだよもん:04/03/23 21:45 ID:OYw0x2+m
>>278
ちょっとまて。同点決勝の時は今まで通り、複数受賞でいいじゃないか。
285名無しくん、、、好きです。。。:04/03/24 00:30 ID:p3JeEb/o
そんなことより>>241よ、ちょいと聞いてくれよ、流れとは関係ないんだけどさ。

今日、Kanon再プレイしたんです。Kanon。
そしたらなんか舞シナリオに進んでエピローグを迎えたんです。
で、よく見たら舞が着物を着ていて、その柄がなんと<矢絣>なんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。

……つーわけで、
>241で書いた、
>市松や矢絣って、浴衣にならともかく晴着にはあまり使われないような気がする
は大嘘だったらしいです。ゴメンナサイ


>282
そ、そうかな?
綾香やマルチは好きだから、その人たちと共演してるSSってことならあるかも。
286名無しさんだよもん:04/03/24 01:01 ID:+i70eRdZ
名無しくん、、、好きです。。。



the namelessness -- he likes . .



無名--彼は好きです。。


「人生相談」が主流意見を占める中、あえて「人生」などと
書きようがない表題を推薦してみるテスツ
287名無しさんだよもん:04/03/24 20:14 ID:dra10aDS
人生相談なら「SNOW」や「PIA1」、「PIA2」とクロスオーバーしてもほとんど問題ないしね。
それにLEGAMのように超マイナータイトルネタにして、知名度の低さ題材にしたSSなんていうのもかけるしね。
というわけで「人生相談」に一票
288名無しさんだよもん:04/03/24 23:23 ID:1ScTEjhN
葉鍵外とのクロスか。ちょい勘弁願いたいところだな。
まあ投稿前にその注意書きさえしといてくれたら問題ないか。
読まなければいいだけだし。
289名無しさんだよもん:04/03/25 03:48 ID:Fj1yEEKQ
>最優秀
最優秀じゃなく「最優秀っぽい」、
という精神はやっぱ大事にしたいな。
あまり真剣になり過ぎず「まあこんなもんかな」的な
なあなあレベルのものにとどめているからこそ、
いままで多重とかの問題も一度も起きてないわけだし…。
細かいとこは進行人の気分と裁量でいいと思う。
それに対して>276さんのような反論をしたりするのもまたいいと思うしね。
気分で講評、気分で判定。

もともと、開始時には最優秀選定なんてなかったが、
読み手たちの気分で、いつの間にか慣例になっていた。
はなからそういうものだしね。
このスレの第一目的じゃない。
あまりみんなで、シリアスになったり引っ張り過ぎないようにというのが願い。
290名無しさんだよもん:04/03/25 03:48 ID:Fj1yEEKQ
>268
266は「白い巨塔」というこの前終わったドラマネタのコピペ文。
271(=266?)のレス同様、まじめに読んでレスする必要はないよ。
まじめに聞いて欲しい話なら、ハナからまじめに書くだろうし。

>○○へ

>その場合には、○○が必要となるが、残念ながら未だ満足のいく成果には至っていない。

>俺は、○○がその一翼を担える数少ない○○であると信じている。

等々、全部そのテンプレそのまま。
291名無しさんだよもん:04/03/25 03:53 ID:Fj1yEEKQ
>「人生相談」

うーん……お題が具体的すぎて、話の中に明確に「それが出てくるシーン」や
「そのことをするシーン」を入れなきゃいけないものは、
実は、書き手が書きたい話を作るのが難しい。
結局、投稿数が少なくなった回が多かったと思う。
「走る」とか「サッカー」とかね。

抽象的だったり、お題を「どういう形で入れるか」かなり自由な考案の余地がある回のほうが、
作品数が多くなる傾向があるよ。

なんとなく「これなら書き手さんが書きやすそう」と思ってのその提案なら、反対。
すでに書き手さんのほうで何人も
「人生相談」で書きたい話が出来てる、だからやりたい、
というのなら別だけど。

個人的には、具体的お題ってのは俺も好きなんだけどね〜。
お題「溜め池」だったどうなるんだろう。
とか
お題「妊娠」だったどうなるんだろう。
とか。
292名無しさんだよもん:04/03/25 03:57 ID:Fj1yEEKQ
みんな最初から参加が決まってる企画だったら、
お題に対してメンバーがどう頭をひねるか見物なんだけど、
ネタが思い付かなかった書き手は単に「じゃあ今回はお休みでいいや」という
ゆるい企画だからね〜w

>287
どうも言ってる意味がよくわからない……

……と思ったら>273もおなじようなことを言ってるんだが、
もしかして同一人物だろうか?
ひょっとして今回はこの人が何回も押してるのかな。

まあ、最近のこのスレだとこのぐらいの票が入ってしまえば
どうしたってもう決まりになっちゃうんだけど……。
次々回の投稿数は少なくなるかもしんないねぇ。
293名無しさんだよもん:04/03/25 10:33 ID:8MtarECH
って言うか、そのお題でプロットまで作った人だけ投票すればいいのだよ。

>>289
そう言えば>>276に挙げられてる人は、
最優秀を相対的なものではなく絶対的なものとしてとらえてるようだが、
その時点でズレがあんだよな。
294名無しさんだよもん:04/03/25 10:59 ID:gezbKDWF
正直なところ、決まるかどうかも分からないテーマでプロット立てる気にはあんまりなれない。
しかし>>273>>287も、わけが分からん。会話に何の脈絡もない。
クロスオーバーという要素自体は最初っから解禁されているし。
>>283も本気で言っているのなら電波だ。おまけに発言内容の中身がまるでない。

別に「相談」に決まるなら決まるでもいいけど、上に「人生」をつけるのは勘弁。
相談の中に含まれるんだから、無理に範囲を狭める必要はないだろ。
……まぁ、「相談」でも十分以上に範囲狭いと思うけど。
誰かが悩みを持っていることが前提条件で、
その解決の手段、もしくはそのきっかけのパターンが他人への問いかけと、筋が決まっている。
個人的にはあんま好ましくはないな。

とりあえず反対ばかりでも何なので、何度か前に見たことがあるが、
「手紙」でもテーマ候補に推しておくか。
295 ◆.ttRENQ4j.
どうも、「ラジオ」を書いた人です。
どうもあのスレ見ていないとわかりづらい内容になってしまったことをここにお詫び入れます。
あまり無駄なこと言うと言い訳じみてしまうので短くいきます。
あの作品はそのスレに対するある種の抵抗という意味合いを込めて書きました(自分が出したネタは完全に書き手任せなところだったので
、せっかく自分が考え出したキャラネタが書き手によってある種の陵辱されてしまうところもあった上、ネタ出したのはこちらなのだから
そのキャラがラジオ聞いてどう行動するかもこちらで決めたほうがいいのではないかという思いがあります)
それと展開なのですが、実は浩平が放送局から出た後「尾根市」という、「中崎市」と似ているようでどこかが違う
そんな町に迷い込む展開も用意していたのですが、その筋書きがあまりにアレだったので割愛しました。
これは某スレ住民にしかわからないと思いますが、そこで「偽者」も登場させようと考えてもいました。
とりあえずそのスレもdat落ちしたのでそこについては語りませんが、一応知らない人にも楽しめるようにしようと書こうとしたのは事実です。
それでは吊ってくる